衆議院

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第10号 平成13年11月21日(水曜日)

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平成十三年十一月二十一日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君

   理事 森  英介君 理事 吉田 幸弘君

   理事 鍵田 節哉君 理事 釘宮  磐君

   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君

      奥山 茂彦君    上川 陽子君

      鴨下 一郎君    木村 義雄君

      北村 誠吾君    熊代 昭彦君

      佐藤  勉君    田村 憲久君

      竹下  亘君    西川 京子君

      野田 聖子君    林 省之介君

      原田 義昭君    福井  照君

      松島みどり君    三ッ林隆志君

      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君

      吉野 正芳君    大島  敦君

      加藤 公一君    金田 誠一君

      木下  厚君    土肥 隆一君

      古川 元久君    三井 辨雄君

      水島 広子君    山井 和則君

      青山 二三君    江田 康幸君

      樋高  剛君    小沢 和秋君

      木島日出夫君    阿部 知子君

      中川 智子君    井上 喜一君

      川田 悦子君

    …………………………………

   議員           城島 正光君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局

   長)           真野  章君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 坂本 哲也君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     福井  照君

  三井 辨雄君     木下  厚君

同日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     松島みどり君

  木下  厚君     三井 辨雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案(内閣提出第二五号)

 雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案(城島正光君外四名提出、衆法第一〇号)




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案及び城島正光君外四名提出、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長篠崎英夫君、労働基準局長日比徹君、職業安定局長澤田陽太郎君、職業能力開発局長酒井英幸君、社会・援護局長真野章君及び政策統括官坂本哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの大島敦でございます。

 きょうは、昨日の鍵田議員の質問に引き続きまして、派遣労働関係についてまず冒頭御質問させていただきます。

 労働者派遣法の特例により、対象となる中高年労働者の雇用機会の確保及び雇用の安定について、どれくらいの効果があるとお考えでしょうか。

澤田政府参考人 今般の措置による雇用創出効果につきましては、なかなか予測が難しいのでありますが、あえて予測をいたしますと、現在の派遣先事業場に対するアンケート調査に基づいてやっておりますが、この中高年の特例派遣がある程度定着した段階で約五万人程度の雇用創出効果があると予測しております。

大島(敦)委員 続きまして、現行の労働者派遣制度は、一般の派遣業務期間を臨時的、一時的業務として一年間に制限し、これを超える場合は常用雇用とすることで常用雇用代替の防止を担保しておりますが、中高年労働者の特例により、対象労働者の常用代替を防止する措置についてどのように考えているか、御答弁ください。

澤田政府参考人 今回の臨時特例措置によりまして、一年以上三年以内の期間働き続けた中高年齢者である派遣労働者につきましては、今回提出しております法案の読みかえ後の労働者派遣法第四十条の三のいわゆる優先雇用の努力義務の規定が適用されますので、現在の枠組みと同様に常用代替防止に一定の効果を発揮するものと思っております。

大島(敦)委員 今回の派遣期間の延長については、あくまでも臨時特例の措置であり、現在検討が開始されている派遣労働全体の見直しとは関係しないものと理解しておりますが、見解はいかがでございましょうか。

澤田政府参考人 今般の中高年齢者にかかわります派遣期間の特例措置とは別に、労働者派遣制度全体につきましては、去る八月三十一日より労働政策審議会で見直しに入っておりまして、今後鋭意調査検討を開始して、検討を進めていくところでございます。

 この検討に当たりましては、関係者の真摯な取り組みのもとに着実に進めていくということが、公労使一致して確認されているところでございます。

大島(敦)委員 今回の派遣期間の延長は、趣旨、目的からして、中高年齢者の雇用の場がふえているのか、当該労働者の雇用の安定に寄与しているのか、常用代替が生じていないかなどについて十分な検証を行い、派遣労働全体の見直しを検討していくことが必要と考えるが、見解はいかがでしょうか。

 そしてまた、制度全体の見直しに当たっては、単に量的に派遣労働が伸びているかという観点ではなく、我が国全体の労働力需給調整機能を強化するという観点からなされるべきと考えますが、見解はいかがでしょうか。

坂口国務大臣 おはようございます。

 今回の派遣期間の延長につきましては、先ほどから局長が御答弁を申し上げたとおりでございますが、現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえまして、特に再就職が厳しい状況にあります中高年齢者に限って、雇用の安定と再就職に必要な措置を緊急に講じることにしたわけでございます。臨時特例の措置を講ずることとしたわけでございます。

 労働者派遣事業制度全体の見直しにつきましては、これも先ほど局長からの答弁にもありましたとおり、また委員から御指摘をいただきましたとおり、我が国労働市場全体の需給調整機能を強化するという観点をもって検討に当たるものというふうに考えております。

 また、その検討に当たりましては、平成十一年の改正労働者派遣法の施行状況や現在の特例措置の実施状況を可能な限り把握、検証いたしまして、そして労使関係者の御意見等も十分伺いながら検討を進めることにしたいと考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 続きまして、ことしの三月三十日の当委員会の質問で、私、雇用保険料の弾力条項について質問させていただいております。当時から比べますと大分、失業雇用状態も非常に悪くなってきておりまして、改めてもう一度雇用保険財政について御質問させてください。

 まず、平成十三年度予算での積立金の額については、年度末でどのくらいを想定されておりますでしょうか。

澤田政府参考人 平成十三年度当初予算におきまして、二千六百四十五億円の積立金を取り崩すということを予定しております。そうした結果、十三年度末には積立金五千七百九十九億円になる見込みでございます。

大島(敦)委員 ことし三月三十日の私への答弁の中で、この前提となっている条件が四%半ばの失業率と聞いているという私の問いに、澤田政府参考人は「そのとおりでございます。」と答えておりますけれども、当平成十三年度予算の前提条件はいかがでしょうか。確認させていただきたいと思います。

澤田政府参考人 十三年度予算を編成する当時、いわば直前の失業率は四・八%程度でございました。

 私ども先般の雇用保険法改正で目指しましたのは、四%半ばの失業率で収支均衡を図るということでございましたが、予算編成直前の失業率が四・八ということで、予算要求のフレームとしては若干四・五%よりは高目のところで考えておりました。

大島(敦)委員 今の四・五%から若干高い水準で平成十三年度予算を組まれたということでございます。

 今、四月から始まりまして、十月まででちょうど半分が終わっております。今後、平成十三年度のこの積立金の推定実績は、来年の三月三十一日末で、どのくらいの金額を想定されておりますでしょうか。

澤田政府参考人 今回、補正予算をお認めいただきました際に雇用保険制度全体につきましても見直して、補正予算ベースで今お話をする状況になっておりますが、十三年度の雇用保険の補正予算におきましては、積立金からの取り崩しを、当初は先ほど申しました二千六百四十五億円予定しておりましたが、現在は三千四百五十七億円の取り崩しを予定しております。その結果、十三年度末の積立金残高、補正後でございますが、四千九百八十七億円という数字を見込んでおります。

大島(敦)委員 次の質問、これはわかりましたらお答え願いたいんですけれども、今年度の四月一日から雇用保険法は改正されております。非自発的失業者については雇用保険の基本手当は延ばす、自発的な失業者に対しては基本手当は短くする、六十歳で定年を迎えた方についても少なくすると伺っておりますけれども、このところの予算的な効果というのはどのぐらい見込んでおりますでしょうか。

澤田政府参考人 私どもが目指しました雇用保険の収支バランスは、具体的に申しますと、改正を決意した時点よりも平年度ベースで約五千億の支出を縮減するというようなことを考えておりました。

 実際、この間どうなったかはなかなか難しい問題でございまして、現在は、改正前の旧法の受給者と四月以降の新法の方の受給者が混在していること、あるいは、雇用失業情勢が非常に厳しくなっているというようなことで、御承知のように本年九月の完全失業率が五・三%という事態になっておりますので、改正時点で想定した雇用失業情勢が大きく変化しているということがベースにございますので、どれぐらいの効果があったかということは大変難しいわけですが、一点申しますと、十一年度の決算で単年度収支を見ますと、一兆四百八十九億円の赤でございました。これが、十二年度の決算におきましても、一兆四百二十一億円の赤でございます。十三年度の補正後の収支の見込みでいきますと、約三千五百億円程度の赤ということでございますので、この赤の幅が大分縮小したということは言えると思います。

大島(敦)委員 確認なんですけれども、今このタイミングでは、旧法の流れ込みと新法があるものですから、その辺のところを明確に規定することは難しいというお考え。ただし、来年度になりますと、今回の法改正効果というのは五千億ということでよろしいでしょうか。ちょっと御確認させてください。

澤田政府参考人 そこが、当初見通した、いわば受給者実人員の水準がどうなるかによって変わってまいりますので、五千億の財政支出効果が出るかどうか、予測不可能ということでございます。

大島(敦)委員 そうしますと、十三年度の予算と今回の補正を受けての補正予算に関しては、積立金が、当初は五千八百億円、それが今回の補正では五千億円ということで、八百億円減るわけです。そうしますと、来年度、平成十四年度に関しても、平成十三年度ベースで考えた場合にはこの五千億円の金額はどれくらいになるのか、想定値を教えていただければ幸いでございます。

澤田政府参考人 十四年度の概算要求ベースでお話を申し上げますと、十四年度の概算要求におきましては、積立金のいわば取り崩し、三千三百四十二億円を予定しております。そういうことで、十三年度の補正後の積立金残高、先ほど申しました四千九百八十七億円からこれを引きますと、十四年度末の積立金残高は一千六百四十五億円ということになります。

大島(敦)委員 そうしますと、ことしの三月にも私、伺っているんですけれども、弾力条項の発動要件というのはどのような内容でしょうか。

澤田政府参考人 弾力条項は、積立金の残高が失業等給付額を下回った場合に、厚生労働大臣が必要であると認める場合に、審議会の意見を聞いて、保険料率を千分の二の範囲内で引き上げることができるというものでございます。

大島(敦)委員 現在の積立金の額というのは、今御説明のございました弾力条項の要件を満たしておりますでしょうか。

澤田政府参考人 平成十二年度の積立金残高八千四百四十四億円、対しまして平成十二年度の失業等給付費二兆五千百三十八億円でございますので、弾力条項の発動要件を満たしております。

大島(敦)委員 これも確認なんですけれども、今の千分の二ということなんですけれども、金額に置きかえますと、労使ともにどのくらいの出費がふえると考えればよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 保険料率千分の一で約千五百億円の保険料になりますので、労使それぞれ約千五百億円負担を願うということになります。

大島(敦)委員 そうしますと、厚生労働大臣が審議会の意見を聞いて弾力条項を発動した場合には、会社側の利益は千五百億円分減る、従業員の受け取る給与というのも千五百億円分減るという理解でよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 従業員の手取りの給与からトータル千五百億円は減る、間違いありません。

 それから会社の方は、社会保険料の税の控除がございますので、利益と直に結びつくかどうか。ちょっとワンクッションあると思いますが。

大島(敦)委員 先ほどの質問に戻るんですけれども、平成十四年度、来年度の概算の予算請求においては、今年度の四千九百八十七億円から三千三百四十二億円減って、もう残りが一千六百四十五億円しかなくなってしまう。

 これは、今の推定実績というのは、四月から始まって大体十月ぐらいの間の失業率を前提として延ばしているわけですから、今、足元の失業率が五・三%、これから構造改革等あれば、減ることはないと思うんです。多分今の、今年度ならしてみて五%の失業率が、一・二倍ふえて六%になった場合、こちらの方の金額というのはどのくらいになるのでしょうか。

澤田政府参考人 委員御指摘のように、求職者給付費が、平成十四年度、私どもの見込みより一・二倍になったというケースで機械的に計算をいたしますと、積立金はすべて取り崩して枯渇する形になります。ただし、各年度の支出の中に予備費というものを想定しておりまして、この予備費を十三年度、十四年度使わなかったということになりますと、それは積立金の取り崩しのマイナスを埋める財源として使いまして、わずかながら積立金はプラスで残る、こういう状況でございます。

大島(敦)委員 今御説明になりました予備費なんですけれども、どのくらいの金額規模を見込めばよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 災害が急に起きるとかいろいろな事態がありますので例年一定の予備費を積んでおりますが、平成十四年度で申しますと予備費を約千四百五十億円計上しておりますので、例年これぐらいの予備費は確保しておきたい、こう思っています。

大島(敦)委員 これはもう来年の経済見通しになるかと思うんですけれども、恐らく来年度、今年度の五%から六%にふえた場合、この場合はほぼ積立金の額はゼロになってしまう、ただし予備費として千四百五十億円あるのでそれを充当できるというお話でしたけれども、この予備費も使い切った場合には、今度は逆にマイナスになるわけなんですけれども、そのときはどのような措置が考えられるのでしょうか。

澤田政府参考人 そうした事態が予想される場合には、選択肢はいろいろございますが、一つは、今御議論いただいております弾力条項発動の問題があります。それは収入面の手だてでございます。それから、その前にやるべきことは、歳出の方で節減できるものがあるかないか、これもかなり限りがございますが、そうした努力も当然なすべきだろうと思っております。

大島(敦)委員 これは、一般会計から借り入れるということは考えられるのでしょうか。

澤田政府参考人 国庫負担が求職者等給付の四分の一という規定がございまして、そのルールで運用しておりますので、単年度の資金繰りとの関係で一般会計から借り入れるということはなかなか難しいと思います。

大島(敦)委員 難しいということは、今の積立金を取り崩してゼロになった場合に、失業等給付は支払われなければいけない、しかしながら財源がないというケースもあると思うんです。今御説明のございました、弾力条項を発動しない、そしてかつ歳出削減も思うようにいかなかった場合には財源がなくなってしまう、そのときには、今おっしゃられたように、借り入れを起こさないと今度は支払いの方ができなくなると思うんですけれども、その点はどういうふうに考えればよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 短期借り入れということであれば金融機関から借りるということも理論上はございますし、あとは、財政当局と話をして、どういう手だてをとれるか、いろいろ工夫できるかとは思います。

大島(敦)委員 念のために確認したいのですけれども、今まで借り入れ等を起こしたことはございますでしょうか。

澤田政府参考人 私の知り得る範囲では、ございません。

大島(敦)委員 そうしますと、今、雇用、特に雇用保険財政というのは非常に逼迫しているということがわかるかと思います。

 今回私ども民主党が出しているのは、要は、基金として、二兆円の借入金を同資金に投入することとしております。これにより、失業等給付費の不足額を同資金から繰入金で補足することができるようになり、雇用保険財政の破綻を防ぎ、保険加入者らの不安を取り除くことができることとなります。これは、積立金がなくなった場合は、失業等給付資金から通常の求職者給付に拠出するものであり、一度に二兆円全額投入しなくてはならないという趣旨ではございません。経済が好転し、支払い財源の不足が解消して、その不足が当分の間生じないほど雇用保険財政が安定化した場合、この失業等給付資金は廃止されることとなっております。

 したがいまして、私ども民主党は、この雇用保険財政の、破綻するかもしれない、あるいはできるだけ来年度についても働く人たちに安心感を持ってもらうために、今回の法案を提出しているわけでございます。

 それで、坂口厚生労働大臣に伺いたいのですけれども、この弾力条項について、発動するかしないか。

 特に、今御説明ございましたとおり、弾力条項を発動した場合においては、要は、会社側も受け取る金額が減ってしまう、あるいは従業員の側も日本全体で一千五百億円分受け取る金額が減ってしまう。今このデフレの中で、賃金が減っていく中で、この弾力条項を発動するということは非常に重い意味があるところでございます。その点について坂口厚生労働大臣はどう考えるのか、お考えを聞かせていただければ幸いでございます。

坂口国務大臣 先ほどから委員がずっと御質問いただくのを聞いておりまして、財政が非常に厳しくなっている状況ということが手にとるようにわかるわけでございます。

 弾力条項の発動というのも、これもまた委員御指摘のとおり、そう簡単にできるものではございません。とりわけ、ことしの四月から改定をしていただいて、そしてふやしていただいたところでございますから、一年たつかたたないかというようなときに再びまた弾力条項の発動というのも、なかなか難しいことではないかというふうに私は思っています。

 今後、もう少し推移を見ないとわかりませんが、さらに失業率が増加をしてくる、そうした状況になってまいりましたときには、初めの予定よりもさらに財政は厳しくなるわけでございますから、何らかの手を打たなければならない。

 一つは、先ほど局長からの答弁にもありましたように、雇用保険勘定からやっております事業の中で節減できるもの、やめることのできるようなもの、そうしたものはぜひ本来の雇用保険の方に振り向けるということは最大限やらなきゃならないというふうに思いますが、しかし、そんなに多くの額がここから出てくるわけではないだろうというふうに思います。

 そうしますと、あとは、残された道は何かということになってくるわけでございますが、なかなかここで、きょう、それではどうするということを申し上げるわけにもまいりませんけれども、厳しい状況になってきているという現実、それを認識しながらこれから最大限考える、こういうことになるんだろうと思います。

 それ以上のことをなかなかここで申し上げられる状況にまだございません。しかし、委員が大変御心配をいただいておりますそのお気持ちは、私も共有をしているつもりでございます。

大島(敦)委員 きょうの新聞を読みますと、二次補正の話がもう出ております。来年度の予算の概算請求も、予算も今徐々に仕事を詰めていらっしゃる段階かと思います。

 やはり先を見た仕事というのは、できるだけ前倒しして、予想され得るケースを想定していた方が、突然、例えば今回の弾力条項を発動する、しない場合には、では国庫の方から借り入れを起こすとか、その金額も半端な金額ではないと思います。それは、今の話を聞いてもやはり五千億円ぐらいは持っておいた方がいい財源でございますので、結構な金額を借り入れなければならない。ですから、その辺のところを前向きに、前倒ししながら、厚生労働省としては作業をすべきだと思うんですけれども、その辺のお考えを聞かせていただければ幸いでございます。

澤田政府参考人 雇用保険財政を今後どう見通すかが大変重要な時期でありますが、足元の情勢は、今委員御指摘のようなことで大変厳しい。あと、雇用保険財政を考える場合には、中期的にどういう見通しが立てられるかというところが極めて大事でございます。

 そうした意味で、まずは十三年度末までの雇用保険財政の推移を見て、それによって十四年度がどうなるかというのはある程度わかると思います。その辺で、あとは経済情勢が中期的にどうなるかという様子を勘案して考えていきたい、こう思っておりますので、しばらくは、旧制度、新制度の受給者の動きがどうなるか、失業率がどうなるかを注視していきたいと思いますが、全体のスケジュールとしては、委員御指摘のように万般怠りのないように考えていきたいと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 今回いただきました補正予算の概要ということで、雇用対策として八千七百七十一億円、こちらの方、資料をいただいております。この八千七百七十一億円のうち、前から継続した事業じゃない事業というものは、どれくらいの金額、規模がございますでしょうか。

澤田政府参考人 ちょっと手元に資料がございませんで大変恐縮ですが、ちょっとそのお時間をいただければありがたいと思います。

大島(敦)委員 私が勉強させていただいたところなんですけれども、例えば、八千七百七十一億円のうち、新公共サービスとして三千五百億円がここに盛り込まれているわけなんですけれども、この三千五百億円というのも、これは目新しい三千五百億円ではなくて、これまでございました緊急地域雇用特別交付金、これが新しく緊急地域雇用創出特別交付金という、一回聞いただけではちょっとわからないんですけれども新しい名前に変わりまして、今回は三年と三カ月これから続くということでございます。

 そうしますと、平成十一年が三百八十七億円、平成十二年が九百五十二億円、平成十三年が、この緊急地域雇用特別交付金が六百二十四億円ですから、今回、この三年と三カ月分の三カ月分、来年の一月―三月分が入ってくれば恐らく一千億円ぐらいになるんでしょう。それで、十四年、十五年、十六年で一千億円ずつというふうな見方をすると、この三千五百億円分も新たにふえた予算ではないわけなんです。

 もう一つ、次の、再就職の促進と失業者の生活の安定ということで五千八十八億円ここに盛っておるわけですけれども、そのうちの四千億円については、雇用保険求職者給付について受給者がふえたから四千億円盛り込んだだけで、要は新しい予算措置ではないわけなんです。

 なかなか、これを見ると、新しいものとしてあるのは、この八千七百七十一億円のうち、きのう松島議員から御質問のございました自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設で七百六十一億円、ほかに幾つかございまして、トータルしても九百億円ぐらいしか、新しい、これまでの継続ではなくて今回の雇用対策として新しく始まった制度、予算というものはないと思うんですけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 今回の補正の中で全く新規であるという点については、今先生御指摘の自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設のほかに、財源は雇用保険特別会計に求めておりますが、約五億円程度であり、額的にはどうかというお話であろうかと思いますが、民間の活力を生かして日本国全体の職業紹介機能を高めるという観点から、先般改正いたしました雇用対策法あるいは現在あります高齢者雇用安定法に基づいて、やめる方の再就職援助計画というのを作成義務がありますが、こうした再就職援助計画に基づいて事業主が民間の再就職支援会社を利用して従業員の再就職支援を行ったという場合に、当該事業主を助成するという制度を新規に盛り込んでいるところでございます。

大島(敦)委員 そうしますと、今回の八千七百七十一億円のうち新しいものというのは、七百六十一億円プラス五億円で、七百六十六億円。非常に少ない金額なんです。

 今国会は、雇用対策国会と言われていた国会でございます。雇用対策国会の中の新しいものが八百億円弱しかなくて、本当に雇用対策と言えるんでしょうか。その辺の御所見を伺えれば幸いでございます。

坂口国務大臣 確かに、御指摘をいただきましたように、全体の中での全くの新規のものというのはそのとおりでございます。そのほかのものは、今までのものを質的にあるいは量的に拡大したといったようなものでございまして、新しいものでないことはそのとおりでございます。

 今回のこの予算は、当初から平成十三年度の予算の中で継続をしてまいっておりますものと総合をいたしまして、それにどれだけ加えていけるかということでございますが、今回の予算は、その三千五百億円という特別交付金、これを中心にして、平成十三年度当初からつくりました雇用対策、それでなおかつうまくそこを乗り切れない人たちに対して一時、臨時的につなぎの役割をしてそこに登場をさせた、今までの額をさらに上積みしてさせたということが一番大きかった。

 もう一つは、今、新規にというふうに御指摘をいただきましたとおり、自営業者の皆さん方でおやめになる人がこの二年間ぐらいもうずっと、前年同月比で比べますとどんどんふえてきているというこの現実に対しまして、そこに新しいものを加えたということでございます。

大島(敦)委員 そうしますと、平成十二年度と平成十三年度、今回のこの補正予算を伺ってみますと、新しく職場がふえたり、あるいは新しく雇い入れが行われたりする規模は、非常に少ないと言わざるを得ません。そして、そのような中で今後、今回二次補正があった場合に、坂口厚生労働大臣としては、二次補正の中でさらに突っ込んだ雇用対策というのはお考えなのかどうか、お話を伺えれば幸いでございます。

坂口国務大臣 これはまだだれとも相談をしていない話でございますが、だれとも相談をしていない話をここで私が言うのはいかがなものかというふうに思いますけれども、方向性としては、一つは、ことしの八月から地域別の雇用対策というものを始めていただきました。全国八ブロックに分けまして、それぞれの地域で、その地域の経営者の皆さんや労働組合の皆さん方にもお入りをいただく、政令都市あるいは都道府県、そしてまた経済産業省の出先の皆さんや厚生労働省の出先の皆さん方もそこにはめていただいて、とにかくその地域に合った雇用を創出していこうということで話し合いを始めてもらいました。

 私は、ここをもう少し充実させていって、そこでどうするかという議論を積み重ねていただいて、そこで必要なものは何かということをもう少し出していただくということを早急にやっていただきたいと思っておりますが、そこにもう少し、やはりその地域地域の独特の雇用対策というものに対して国が手を差し伸べるということが一つ大事ではないかというふうに私は思っている次第です。

 それからもう一つは、キャリアカウンセラーの話を民間の皆さん方からもお聞きして、やはり一対一で失業者の皆さん方にいろいろのことをしていくということは大変大事なことで、そこがうまくいかないと、どれほど新規求人がありましてもミスマッチをうまく埋めることができないということがございます。

 そうしたことをやっていきますためには、やはりキャリアカウンセラーのような人たち、一度にキャリアカウンセラーの資格をどうするかというところまではいかなくても、各企業の中でそういうお仕事をなすっていた優秀な皆さん方がおみえになる、そしてその皆さん方の中でおやめになった皆さん方もおありになるわけで、むしろ、そういう皆さん方はなかなか次の雇用に結びつきにくい方々ではないかというふうに私は思うんですが、その皆さん方にぜひお越しをいただいてお仕事をしていただけるような場をつくっていくということが、一人でもそこを早くふやすということが、失業者を減らしていくということについて非常に大事なことだというふうに私は思っております。それは個々の問題です。

 そしてもう一つ、一番大きな問題は、ワークシェアリングの問題だというふうに思っています。きのうも出ましたけれども、労使の間の皆さん方のお話で進めていただきながら、しかし、国の方も積極的にその中に入らせていただいて、御相談に乗せさせていただきたいというふうに思っております。

 さて、そこで予算的措置がどれだけ要るものなのかということは、これはちょっとわかりません。わかりませんが、きのう申しましたとおり、塩川財務大臣が、坂口さん、少々のことはやろうやないかと言って胸をたたいていただきますので、お言葉に甘えて、それじゃ、そう言っていただければそれに私は乗せさせていただきます、両手で受けてじゃなしに、両手両足で受けて私はお受けさせていただきますと申し上げているわけでございますが、その辺のところがこれから詰めていかなければならないお話でございます。

 塩川財務大臣は、個人的見解と言いながら、御自身で、これは衆議院でしたか参議院でしたか忘れましたけれども、予算委員会で御発言になったことでございまして、その後でも、坂口さん、これは何とかやろうよと言っていただいております。

 私は、その辺のところもこれは次の予算の中、補正予算にその話が間に合うのか、それともこれは話し合いがもうちょっとかかって来年度予算の方になるのかということはちょっとわかりませんけれども、急いでやらなければならない話の一つになってくるのではないかというふうに私は思っている次第でございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 私も昨年からずっと訴えてきたのが、むだな公共投資をやめて人材投資をする時代に来ているのかなと。この二十年間で日本は人材投資をしてこなかったと思うのです。今人材がいないんです、この国は。

 例えば、一番の雇用対策は景気浮揚です。景気がよくなることが一番の雇用対策です。しかしながら、今皆さんの気持ちが本当に固まってしまっている。いろいろな新規事業とか新しい分野と言うんですけれども、そんなに難しいことじゃないと思っているのです。一億二千七百万人の国民は、朝起きれば朝御飯を食べるわけです。世界で二番目の市場は、この日本にはあるわけなのです。お金を使わないこと、お互いにサービスし合うということを皆さんこの十年間でやめてしまったわけです。

 これは、雇用のミスマッチ。能力のミスマッチとよく言いますけれども、雇用のミスマッチです、私は政策のミスマッチだと思っているのです。やはり、経済政策というのは商売人の感覚が必要だと思います。このタイミングでこういう経済政策を打ったから当たるわけですよ。企業でもそうです。設備投資計画をする、このタイミングでしたからオーダーが入って次の再投資につながっていく。これがどうもここ十年間、皆さん言っていることは正しいです、竹中さんも塩川さんもみんな正しい、しかしながら、タイミングをこの十年間すべて外してきた。だからこのように私たちの気持ちが大分冷え込んでしまったのかなと考えております。それを温めるのが政治の仕事だと私は一つ思って、できるだけ心を温めるために抜本的なセーフティーネットはしっかりしたいなというところです。

 もう一つは、やはり人材投資だと思っております。私は、厚生労働省さんは、今非常にいいフォローウインドが吹いていると思っております。今までの時代をリードできれば、厚生労働省が、日本のキャリア、あるいは日本の仕事をする人たちの能力を率先して上げることができる。全然違った、皆さんが応援してくれる非常にいい機会だと思っております。

 今まで、各種助成金をたくさん伺ってまいりました、この一年間。例えば、中小企業についての雇い入れ助成はありますかと言うと、中小企業高度人材確保助成金がありますとか、いや五十歳超えるとなかなか就職するのが大変なんですねと言うと、特定求職者雇用開発助成金とか、助成金がたくさんあるわけなんです。私聞いていて、これは、私たち議員が質問したことに対して答えられるだけの各種助成金がすべてあって、これで全部答えているわけですよ。

 これまでの労働行政というのは、坂口厚生労働大臣がバケツを持って、バケツから、こっちから水が漏れるとぺたっと助成金で張るわけです。今度は、こちら側から水が漏れ始めると、また助成金でぺたっと張っていく。各種助成金をぺたぺた張って、ようやく保ってきた。でも、今の雇用環境というのは、持っている柄が腐ってバケツが落ちている段階なんですよ、三%から五%、六%になるということは。したがって、このしっかりした受け皿をちゃんと用意すると、厚生労働省は非常に評価されるし、皆さんが、予算もつけてこれだけのことをしてくれるところはないと思うのです。

 経済産業省なんというのは、なかなか、意外とそういうコンサルタント的なことをやる省庁ですから、うまくそういうところをねらっているわけですよ、こちらの方で。うちの方で手を差し伸べますよと。ここでやはり厚生労働省は、しっかり、こういうようなもっと前向きな抜本的な改革、新しい人材をつくっていくような予算措置、あるいは三事業を見直して一定の分野に投資していく、こういうことをやると非常に評価されると僕は思います。非常にいい時期に厚生労働省の皆さんはいらっしゃると僕は考えているわけなんです。

 若干また細かいところを、申しわけないんですけれども、坂口厚生労働大臣の御意見を聞いて私の意見を言わせていただいたんですけれども、またちょっと戻って細かく質問させてください。

 先ほどの七百六十一億円の貸付制度なんですけれども、この貸付制度、例えば借りた場合に、きのうの松島議員ですと、中小、自営の方が借りられるケースが多いと。特に会社を倒産したりして借金抱えている方が多いものですから、その辺の債権の優先順位というのは、要は、こういうことを考えられるわけですよ。保証人つけてその金額を全部債権者が取ってしまうケースもあり得ると思うんですけれども、それはどう考えればよろしいでしょうか。

真野政府参考人 今回新しく創設いたします離職者支援資金でございますが、もともと、趣旨は、自営廃業の失業者に対して生活資金をお貸しするということでございます。そういう意味で、これは、債務者の生活に欠くことができない資金ということで、民事執行法上の差し押さえ禁止動産に該当するというふうに考えておりまして、私どもとしては、そういう形でのことではなくて、保護されているというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 もう一つ、これは生活福祉資金貸付制度を倣っていると思うんですけれども、やはり民生委員さんを通じて申し込むわけでしょうか。

真野政府参考人 これは、市町村社会福祉協議会を通じまして都道府県社会福祉協議会が貸付決定をするという仕組みを考えておりまして、我々としては、必要な書類でもって貸付決定をしたいというふうに思っております。

 ただ、廃業というケースにつきましては、なかなか、書類で確認できる場合とできない場合があるというふうに思っておりまして、廃業届を出しておられないようなケースにはその確認ができないということも考えられますので、そういう場合には地域の民生委員さんにその辺のところの事情をお調べいただくということもあろうかと思いますけれども、原則としては、私ども、書類での貸付決定を考えております。

大島(敦)委員 これは、やはりお金を借りるということは非常に、民生委員の方とか社会福祉協議会ですと地域に根差したものなわけですから、地域に根差した方に借りたいんですよと言うのはなかなかハードルが高いと思うんです。そこのところを工夫していただければ幸いでございます。

 次に、人材育成ということで、雇用保険の中には教育訓練給付があるかと思います。教育訓練給付の上位五社の支給金額の実績について御報告いただければ幸いでございます。

酒井政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇一年三月末時点でございますけれども、一位が受給者数で約八万強でございまして、支給金額が五十五億でございます。順次、二位が受給者数二万三千余でございまして四十七億、三番目が約八千の受給者数で十六億弱、四番目が九千強でございまして約十四億、それから五番目が約七千でございまして十二億強でございます。受給者数と支給金額、必ずしも連動しませんが、講座の金額が反映されているところでございます。

大島(敦)委員 きのうの御質問にもありました教育訓練給付でございます。講座の内容については見直す方向、もう少し職業に密接に結びついた講座に絞っていくというお話があったかと思います。

 ことしの三月末までで、トータルの支給金額というのはどれくらいの金額でしょうか。

酒井政府参考人 ことしの三月末では、支給金額が二百七十一億という状況でございます。

大島(敦)委員 そうしますと、二百七十億円ぐらいのうち、上位の、これはニチイ学館が五十五億円、二番目が四十七億円、三番目が十五億円、四番目が十三億円ということで、大体五番目ぐらいまででトータルで百億円を超えて、上位三つの機関で三分の一、この教育訓練給付の支給対象講座を持っているということだと思います。多いから悪いわけではなくて、必要だからそれだけ多くの方が受講されたと考えます。

 しかしながら、ちょうどいい機会なものですから、今後職業訓練を、大学とか大学院とか民間の教育機関とかさまざまな教育機関に職業教育をやってもらうという一つの方向があると思います。今回は非常にいい機会だと思うんです。これらの機関がどういう講座を持って、どういうことをしたらどれだけ能力アップにつながったのか、そのようなフォローアップというのはされておりますでしょうか。

酒井政府参考人 先生その前に、先ほどの数字でございますが、先ほど上位五位を申し上げましたが、上位五位は制度発足時からの累積金額でございました。ですから、それに見合う金額といたしましては、トータル、今二百七十一と申し上げましたが四百、四百に対してそれだという感じでございます。いずれにしても、大変大きな額でございます。

 それで、今の、内容の精査ということでございますが、これにつきましては、従来から、役に立つ、つまり就職あるいはアップグレードに役に立つということが、当然雇用保険法の制度でやっておるわけですから、それを求めて制度の管理をしてきておるところでございますけれども、先ほど来から出ております雇用保険も厳しい中でございますので、これは制度を重点化していくというようなことで、内容の精査は、特に九月以降といいますか、六月、七月、九月以降精力的に取り組むようにいたしております。

 今後も、例えば成果がどのようにあったか、あるいは受講者に対してアンケートをすること等によりまして内容の、役に立ったかどうかといったようなことも十分踏まえて、それを今度は指定の方に反映させていきたい。役に立っていない、あるいは効果が上がっていないものについては外させていただくというような取り組みに着手しておるところでございます。

大島(敦)委員 今のお話にありましたとおり、教育訓練給付というのは、これは求職者給付から充当されておりますので、この予算的には、先ほど申し上げました積立金の金額を、もしもこれをできるだけ抑えるのでありましたら、こちらの教育訓練給付の講座内容についてもより職業教育に密着したものに今後はしていく、そういう理解でよろしいでしょうか。

酒井政府参考人 そのとおりでございまして、先ほど先生おっしゃった、大学のような非常にレベルの高いものを採用する反面で、やはりレベルが低いといいますか、職に必ずしも役に立たない、あるいは直結していかないものについては、これはしっかりと制度管理をして、先生おっしゃるような方向を念頭に置きながらやっておるつもりでございます。

 今後ともそのようなことでやっていきたいと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 やはり、先ほど冒頭述べましたとおり、今、厚生労働省が御担当になっているこの労働行政については、極めて、フォローウインドがこれだけ吹いているような行政あるいは政策というのはないかと思います。本当にこれから、日本の働き方あるいは職業人の能力アップ、こういう観点に立つと、非常にさまざま多くの仕事ができる省庁でございまして、かつ財源もふんだんに持っていらっしゃるわけなんです。ですから、そこのところを生かしながら、今後も、パラダイムシフトというのですか、コアコンピタンスを変えていただければ非常によいのかなと思っております。

 坂口厚生労働大臣には、やはり弾力条項についてはまだお決めになっていないのかどうか、最後に御答弁いただいて、私の質問を終わらせていただきます。

坂口国務大臣 決して決めておりません。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

鈴木委員長 加藤公一君。

加藤(公)委員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。

 きょうはまとまってある程度お時間をちょうだいしましたので、大変重要な雇用対策、大臣と御議論を申し上げたいのですが、その前に、どうしてもこのタイミングで坂口大臣の御意思を伺いたい問題がございますので、恐縮ではございますが、まずはそちらの課題から入らせていただきたいと思っております。

 引き続きに私としてはなるのですが、ハンセン病の問題に取り組ませていただいておりまして、せんだって第四回の協議会が十一月の十六日に開催をされております。その段階で、幾つか御案内のとおりテーマがありますけれども、退所者給与金の件については、桝屋副大臣が概算はあくまでも概算ですからという名言を残していただいたとおり、大変に前向きな御返答をいただきまして、患者、元患者の皆さんも、これならばお受けできるという御返答をされたというふうに伺っております。ありがとうございました。

 あわせて、名誉回復、謝罪広告の件ですとか、それから財源保障の件、この件についても、せんだってもこの委員会で御質問させていただきましたが、かなり歩み寄れているというふうに承っておりまして、何せこの問題、スピーディーに全面解決をしなければならないという観点からいたしますと、大変にありがたい気持ちでいっぱいでございます。

 ただ、一つ大きな課題が残っておりまして、もう御存じのとおり、真相究明の部分が残念ながら一向に進んでおりません。

 この問題、今申し上げた最初の三つのテーマと比べますと、どうも後回しにされやすいテーマでありまして、それはまさに、実際に患者、元患者の皆さんの日々の暮らしあるいはあすからの暮らしに直接影響しないということで、どうしても後回しにされがちなのかもしれませんけれども、しかし、この問題、一刻も早く解決をいたしませんと、患者、元患者の皆さんが大変御高齢だということもありますので、なかなか時間的猶予はない。その意味では、この問題だけ後でいいということにはならないというふうに思っておりますし、皆さんも同じお考えではないかと思います。

 それで、きょうはその件について幾つか大臣の御意思を確認させていただきたいと思うのですが、まず、真相究明の取り組みというのは一体何を目的にしていくのか。検証会議ができるということで準備が進んでいて、なかなか実際に動いていないようでありますが、では、その検証会議は一体何を目的に設立をされるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 いろいろと委員も御協力をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 先般の会議におきまして、一応、社会に復帰をされる皆さん方の問題につきましては、皆さん方からすれば十分ではなかったかもしれませんけれども、まずまずのところで決着ができたのではないかと喜んでいる一人でございます。

 そして、あと残りましたのは、今お話ございましたとおり、一つは検証の問題、もう一つはマスコミに対する謝罪広告の問題だというふうに思っております。

 謝罪広告のことにつきましては、だれの名前で出すかということだけの一点でございまして、私の名前でとなれば、もうあすにでもということになるわけでございますけれども、皆さん方としては、やはり厚生労働大臣の名前でというのはぐあいが悪い、やはり総理大臣の名前で出してほしいということになるものですから、なかなかそこが進まなくて滞っている原因になっているわけでございます。

 ここはもう少しお話し合いをさせていただいて、何よりも私はこのことで大事なことは、多くの皆さん方がそれをごらんになって、そしていわれなき差別、偏見というものをどう取っていただくかということが一番大事なのだろうというふうに思っておりますので、ここはもう少しお話し合いを続けさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、今お話がございました検証会議のことでございますが、若干申しわけなかった、初めの検証会議をやろうというふうになりましたときに、もう少し具体的に、こういう方向でこういうメンバーでということを、もう少し我々の方もサジェストをしておけばよかったわけでございますけれども、そこを、お願いをしました先生に少し、一任をしてしまったということもございまして、少し混乱をいたしました。これは、その先生にも責任があるわけではなくて、もう少し具体的なことを言わなかった我々の責任だと思って、ここは少し反省をしているところでございます。

 ぜひ、これは早く進めたいというふうに思っておりますが、その内容は、現在に至りますまでの医学的な背景、それから社会的な背景、それからハンセン療養所におきますところの今までどういう措置がとられてきたかといったこと、それから、いわゆるらい予防法などの法令、これがなぜ平成八年なら平成八年まで続いてきたかといったようなこと。もちろん、療養所内におきましてさまざま起こりましたことも含めてでございますけれども、そうしたことを、医学的、社会的あるいは人権的にそれがどうであったかということを、これを検証していくというのが私はこの検証会議ではないかというふうに思っている次第でございます。

 それには、やはり当事者と申しますか、もちろん患者の皆さん方の御意見を十分に聞いていかなきゃならないということもあるでしょう。あるいは、それに携わってまいりました療養所の職員の意見も聞かなければならないこともあるでしょう。

 しかし、私は、それを検証していきますときに、その皆さん方の意見は十分に聞くということをやりながらも、立場としては第三者の立場の人たちが中心になって構成をしていただくのが妥当ではないかというふうに思っております。

 そこに、例えば原告団の皆さん方がたくさんお入りになるとか、あるいはまた厚生省の役人がたくさん入るとかいうようなことになって、裁判の延長のようなことでそれが進むというのでは、なかなか私はうまくいかないのではないかというふうに考えておりまして、これらのことを、やはり歴史に残る検証をしていただくためには、それなりの人選というものが必要ではないかというふうに思っている次第でございます。

加藤(公)委員 次に伺おうかと思ったことまで御回答いただいておりますので、ちょっと整理をして一つずつ行きたいと思うんですが、私、最初に申し上げました質問は、この検証会議、真相究明の目的は一体何でしょうかというお話をしました。今大臣は、るる、これこれこういう問題について事実を明らかにすることだというお話でございまして、もちろんそれは当然なんですが、実は気になっておりますのは、せんだってから、二度ほどでしょうか、衆参両院の委員会で、大臣が、今後の疾病対策に資する目的でこの検証会議を開くというような御発言が見受けられたかと思うんですが、それの真意を実は伺いたいというふうに思っているんです。

 そもそも、事実を明らかにする、真相を究明するということは、二度とこうした悲惨な事案が発生をしないように、つまり再発の防止というのが最大の目的ではないかと思うんですが、この点、大臣いかがお考えかお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 そこは御指摘のとおり、そのとおりというふうに私も思います。やはり、こういうことを何度か繰り返してはいけません。これを繰り返さないようにするために、我々は何が今日に至りますまで欠けていたのか、何が不足をしていたのか、その結果として今日こういう結果を招いたのかといったことを確実にチェックをしながら、そして、これからの行政におきましても、政治におきましても、生かしていかなければならないというふうに考えております。

加藤(公)委員 ありがとうございます。ぜひ再発防止に向けて事実を明らかにしていただきたいと思います。

 先ほど大臣がおっしゃった二つ目の方のことなんですが、第三者機関でそれを進めたい、検証会議を進めたいというお話でしたが、六月の段階で坂口大臣は既に、これは六月の十一日だったかと思いますが、「第三者を中心とした、できれば第三者機関にお願いして」云々とありまして、その後に「元患者の皆さん方にもお入りいただく」ということを明言されていらっしゃいます。

 実際には、その検証会議では、患者、元患者の皆さんが入る、構成員になるということが前提で協議会の方では進んできたというふうに承知をしているんですが、これは、先ほどのお答えですと、どうも方針を変えられてしまったのかというふうに受け取れるんですが、もう一度確認をさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 第三者の方が中心になりまして、そうして、患者の皆さんですとか、あるいは職員の皆さんですとか、いわゆる現場に、あるいはまた当事者であった皆さん方の御意見を十分に聞かなければならないことは、これは私は紛れもない事実で、そうしないと前には進まないというふうに思っておりますが、その皆さん方だけで構成をしたのではぐあいが悪いということを私は申し上げているわけでございます。

 やはり、主要なメンバーは第三者にゆだねる。そこに患者の皆さん方が例えば代表としてお一人お入りいただくとかお二人お入りいただくというのは、これはメンバーの構成上、何人でやるかということにもよりますけれども、それは私はあってもいいというふうに思っているわけでございますが、その構成メンバーを何人にするかとか、そのときにどうするかというところまで私も具体的に頭の中で描いているわけじゃないものですからそういう言い方をしたわけでございますが、しかし、主力は第三者、こういうふうに思っています。

加藤(公)委員 先ほど大臣が、裁判の二の舞になって、ここでまた同じことを繰り返しても仕方ないとおっしゃっていましたが、もちろんそのとおりでありまして、裁判はもう決着をしている話でありますから、それと同じ議論をしても仕方がないわけでありまして、本当に事実を明らかにする、真相を究明するということを進めていただかなければなりません。

 その意味では、今の御答弁にありましたように、当然第三者機関で、ただし、実際に患者、元患者の皆さんにもそこにお入りをいただくというお話でございましたので、その線はぜひお守りいただきたいと思います。話を聞くといいましても、全く関係ない人たちだけで検証会議をつくって話を聞きに行きますよということでは、これはやはり信憑性の問題で、当事者はあくまでも患者、元患者の皆さんですから、この方々がそこに疑いを持たれても真相究明にはなりませんので、ぜひ今の線、お願いを申し上げておきたいと思います。

 それから、続いて、この検証会議の下に、当初、研究班ということでもう一つグループがつくられておりました。これがどうも、当初同じ座長の先生が兼務をされて進められるというようなことで準備が進んでいたようでありますが、残念ながら、それが枠組みが何か変わって御提案をされてきたというふうに承っておりまして、それがまた紛糾をした原因じゃないかというふうに思っているんですが、改めてここでちょっと整理をさせていただきたいんですが、真相究明を進めるその検証会議のもとに研究班というものをつくるのかどうか、つくるとすればそれはどういう形なのか、大臣、いかがお考えか、この点御説明をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 そこは、全体としての検証を行う親研究会と申しますか、一番中心になりますところがあって、しかし、その部分の人たちは純粋な医学的なことばかりがわかっている人たちだけではいけないと僕は思うんですね。もう少し社会的、倫理的、すべてのことにやはり明るい、そしてそういう人たちが中心になってこの検証会議というものが一つあって、そして、そこにやはり、この問題はどうしてもこれは医学的なことでありますから、純医学的な問題でそのことをサポートすると申しますか、純医学的に見ればこういうことですよというのを別の、その下の下部組織でつくって、そして意見を具申するというのが私は一つよろしいんではないかというふうに思っています。

 それで、もう一つは、過去のハンセン病施策についての社会的な側面ですね。この社会的な側面について検討をするというグループをもう一つつくろうかという話に今なってきているというふうに聞いております。これも、医学的なことと同じように社会的な側面からいろいろのことを検証して、そしてそのことを中央の検証会議に上げて、そしてそこで最終的に御議論をいただくということにする。

 だから、体制としては二段階、二重構造、二重構造といいますか、上に一つ検証会議があって、そしてそこにさらに詳しいことを調査そして整理をするところが二つあって、そしてそれをフォローアップする、こういう体制がよろしいのではないかということに現在なっているところでございます。

加藤(公)委員 今大臣がそういうことになってきているというふうにおっしゃいましたけれども、別に、なってきているわけではどうもなさそうでありまして、桝屋副大臣はその辺の事情はよく現場でお感じになっていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、当初、検証会議のもとに研究班がつくられるという段取りで事が運んでいて、委員の方まで既に委嘱状まで出ていて、第一回の会議が開かれる前に、どういうわけか第ゼロ回という、なかなか私も理解しにくいんですが、そういう会合が持たれた。

 その後、なぜかその第ゼロ回の後、急遽方向が変わって、この今大臣おっしゃった医学的というのと社会学的という、私からすると、そんなにはっきり分けられるはずないんじゃないかと思うんですが、その二つに分けましょうという提案、これは厚生労働省の方から急遽されたというふうに承っています。なおかつ、その医学的検討会という方は、何と当初研究班で委嘱をしたメンバーの方の中から患者、元患者の皆さんを外して、一方的に何の合意もなく外して、きのう強制的に開会をされたと伺っております。

 さっき大臣おっしゃったように、患者、元患者の皆さんの御意見をしっかり聞いて、事実を明らかにする、真相を究明するとおっしゃいましたし、再発防止が目的だということもおっしゃっていただきました。だからこそ、検証会議にはもちろん、第三者機関ではあるけれども、患者、元患者の皆さんにも適切な人数をお入りいただく、こういうお話であったわけですが、それと今現実に動いている実態が全く合っていないわけであります。

 この点、大臣にどこまで御報告が上がっているのかわかりませんが、せっかく協議会を持っていただいて、この間は四回目でしたけれども、その前、三回目までに合意をした内容を一方的にほごにして、急遽提案をされた内容の検討会を、何と十六日の協議会の後、きのう二十日ですから、二十日に開くというのは余りにも乱暴で、これはやはり、当事者たる患者、元患者の皆さんからすれば、とても誠意がないじゃないか、本気で真相究明する気があるのか、こう受け取られても仕方がないと思うんです。

 もう一度伺いますが、検証会議のもとに研究班をつくるという当初の構想をどうして一方的にほごにしなければならなかったのか、そしてまた、十六日に提案をしたばかりのその検討会のうちの片っ方だけをなぜ患者、元患者の方を外してまできのう急遽開かれたのか。この点、大臣の御認識を承りたいと存じます。

坂口国務大臣 ここは、一番最初に私がお断りを申し上げましたとおり、一番最初のスタートのところでもう少し私の考え方なり厚生労働省の考え方を明確にお伝えしておけばよかったんですけれども、そこが私たちの少し手抜かりでございました。

 一番最初、検証会議としてメンバーが選ばれて、そしてゼロ回の会合が開かれたという、そこのゼロ回の会議が開かれました後、実は、こういうメンバーにして、こういうことをやりましたというのが後で私ども厚生労働省の方に報告が来た。それまで、厚生労働省とは何のかかわりもない形でそこまで進んでしまったということでございます。

 したがいまして、いずれにいたしましても、厚生労働省が責任を持ってこれはやっていかなければならないことでございますから、厚生労働省が一方的にこういう人にしてくれということを言うことは、それは私たちも差し控えなければならないというふうに思っておりますが、何ら我々の方に何の相談もなく一方的に、そしてその会議が既に聞いたら開かれていたというのは、ちょっとぐあいが悪いのではないかと。

 それで、ここは申しわけないけれども、これは私が申しました、これは私が申しまして、そこは一遍ちょっと御破算にしてほしいと。何ら厚生労働大臣の方に何の相談もなく、どこでどう相談をして進んだのかわからぬような形でスタートするというのは、それはやはりぐあいが悪い。本当にこの会合が開かれてちゃんとするならば、私も最初にはあいさつぐらいはしなければならない。それは少しおかしいのではないか、もうちょっとここはやり直させてもらいたいということを申しました。それで、そういう経緯があってつくり直されたことが事実でございます。

 これは、私ごとを申し上げて失礼でございます、これはたまたまのことでございましたけれども、この一番初めの検証会議のキャップに指名されたのは私の実は同級生でございました。医学部の同級生でございますし、よくよく知った人間であったわけでありまして、特にまた私は懇意に長くつき合いもしてきた、学問的には優秀な人材でございます。

 学問的には優秀な人材でございましたが、こういうことをやることになれていなかったものでございますから、あなたにやってくれということを私がそういうルートで、私のルートで言ったわけではないんですけれども、たまたま医学の歴史を研究しているということがございましたので、女性でございますけれども、彼女のところに白羽の矢が立った、医学の歴史をやっているというようなことから。それで、彼女は一生懸命に、自分の責任で何かやらなきゃならないというので一生懸命に進めたんですけれども、なれていないものですから、親元の方に連絡することなしに自分一人で始めてしまった。

 こういう経緯があったものですから、どうしてもこれはぐあいが悪い、こういうやり方は、だから、ここは少しもう一つもとに戻してほしいと。

 だから、一番最初お声をかけた皆さん方に対しては、甚だ私も申しわけなかったというふうに思っているんです。お声をかけて一度やるということを言いながら、ここでゼロ回とはいえ一遍やったということは、そして、そこへ御出席をしていただいた皆さん方もあったわけでありますから、非常に申しわけなかったというふうに思っておりますが、そういう経緯でゼロ回が始まったものですから、それはもう少し正式の、これは重みのある検証会議ですから、それなりのやはり経緯を踏んでやってもらわなければいけないということを私は申しました。

 そういう経緯がございまして、そして新しくなったということでございますけれども、先ほど申しましたように、患者の方々はボイコットするというようなつもりはございませんので、どこのところにお入りをいただくか、中央の検証会議にお入りをいただくのか、あるいは社会的検討会の方にお入りをいただくのか、それはよく検討をして、皆さんとも御相談をしたいと思いますけれども、それは患者の方々の御意見というのも十分に拝聴できるようにしたいと思っているところでございます。

加藤(公)委員 今のお話でちょっと問題がございまして、簡単に言っちゃうと、この紙なんですけれども、もう皆さん御案内のとおりだと思いますが、検証会議、下に医学的検討会、社会学的検討会、こういうふうに分けてやりたいという提案は十六日の協議会で初めて厚生労働省のお役人の方から出てきた話であって、だれも合意をしていないんですね。そのだれも合意をしていない内容を今大臣は既成事実のように、どこにお入りいただくかというお話されましたが、そうじゃなくて、これは何にも合意されていないわけですから、これをベースに考えてもらっては困るというのが私の意見であります。

 だれも合意をしていないのに、そのうちの一個だけがなぜ進むのか、しかも、そこに当初メンバーとして委嘱までしていた方々を一方的に外してというのは余りにひどいんじゃないですか、余りに誠意がないんじゃないですか、どういうことなんですかということを申し上げているわけです。

 本来であれば、大臣今おっしゃったように、最初に説明不足で手抜かりがあったというふうにおっしゃいましたが、例えばその件であるとか、あるいはゼロ回が開かれた後大臣のところに報告があったということですけれども、そのゼロ回が開かれるまでの経緯も、一番最初に協議会で、この真相究明について作業部会をつくりたいという話があったにもかかわらず、ほかの三テーマは作業部会つくったのに、この真相究明だけは作業部会つくらなかったわけですよ。それは、拒否したのは厚生労働省サイドが拒否しているんですから。

 それで結局、僕は名前を出さないつもりだったんですけれども、大臣が御自分でおっしゃいましたので、わかりやすくするために言いますが、酒井先生と患者、元患者の方々で相談をしてくださいというふうに厚生労働省サイドから言われたから、そちらで準備をした、しかし酒井先生は、今大臣おっしゃったように、学問的には大変すばらしい方だと思いますが、こういうことはふなれでいらっしゃった、なかなか事が運ばないということになってゼロ回が開かれた、こういう経緯ですから、いずれも、その最初の説明不足もそれからゼロ回の報告が大臣におくれたことも、その瑕疵は厚生労働省の方にあったんじゃないかと思うんですよ。

 そこにミスがあったにもかかわらず、今回急に十六日にこういう提案がいきなり出てきて、そのうちの一つ、だれも合意をしていない会議を、要は、原告団を外して勝手に一回開いて既成事実化しようというのは余りにも誠意がないと思うんですが。本来だったら、これをもと、第三回の協議会までで合意をした内容に戻してもう一度議論をする、相談をするという姿勢が望まれると思います。大臣、いかがお考えか、もう一度お聞かせください。

坂口国務大臣 この検証会議というのは、これは原告団のためにやる会議ではないんですね。そこを間違ってもらっては困るわけであります。これは、やはり純然たる医学的立場、社会的立場、そして行政、政治が今までかかわってまいりましたその過ちが一体どこにあったのか、なぜこういう経緯をたどったのかというところを検証するわけでありまして、むしろ、この検証会議というのは、役所がその中心になって始める、責任を持ってやるということからスタートしなければならないというふうに私は思っています。

 ただし、その内容につきましては、役所が、自分たちが入って、そして自分たちの言い分だけを通すというようなことがあってはならない。その中身につきましては、多くの皆さん方の御意見を聞いて、それにふさわしい人たちにお入りをいただかなければならない。もちろん、そのメンバーにつきましては、原告団の皆さん方の御意見もそれはお聞きをしましょう、私はそういうことだと思うんですね。

 だから、これは、始めるということが、どういう枠組みをするかということまで原告団に御相談をして、それで決めなきゃならないという筋合いのものではない。決めるということは、厚生労働省が、いわゆる政府としてこれはやるということを決めて、そしてその中身については御相談をさせていただく、こういうことだろうと思うんですね。

加藤(公)委員 今のお話ですと、この真相究明のところについては、厚生労働省が主体となってそこだけで進めるようにどうも受け取れて、非常に残念なお話であります。もちろん、大臣おっしゃったように、原告団のためにやるんじゃないことは私も重々承知であります。

 私が申し上げているのは、たまたま原告だった方もあれば、そうじゃない方もあって、いずれも当事者、患者、元患者の皆さんであるわけですから、最初に委嘱をしておいて、手紙一枚ぽっと送られて、はい、あなた来ないでください、弁護団の方も来ないでください、こっちでやりますからという話はないんじゃないですか、こういうことを申し上げているわけです。

 大臣は、そこについて、最初に説明不足があったし、ゼロ会の報告も終わった後来て、了解をしていなかったからこういうことになって申しわけないと、今、ついさっきおっしゃったとおりなんですから、それであれば、せっかく協議会をここまで開いてきているんですから、皆さんが合意できる内容を協議会でもう一回議論して、まとまった形で検証会議をやればいいんじゃないですか。

 ほかの、例えば退所者給与金の件であるとか、あるいは名誉回復、謝罪広告の件であるとか、きちんと議論をして合意を得ようと努力しているんですから、この真相究明のところだけそんな強引なやり方をする必要はないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 そこは、御意見を聞いてやっていきたいというふうに思います。

 ただ、しかし、これをスタートさせるというのは、政府の責任においてやらなければならないことであるということを申し上げているわけでありまして、その具体的なことにつきましては、御相談を申し上げてそれはやっていきたいというふうに思います。しかし、我々としてはこういう枠組みでやっていきたいということを、いろいろありましたけれども、そういうことを申し上げているわけでございます。

加藤(公)委員 細かいスキームとか人選をこの委員会で議論するつもりは毛頭ありませんので。

 今大臣おっしゃったように、せっかく協議会をやってきているんですから、その場でもう一度合意ができる枠組みをつくっていただいて、せっかく三回目まではそれで合意してきていたんですから、もう一度次の協議会で御協議をいただいて、その後リスタートをしていただくということでよろしいですね。一言、確認だけさせてください。

坂口国務大臣 枠組みはこういうことにさせてもらいたいと思うのです、枠組みは。今後の進め方や人選、そういうことについては、また御相談に乗せさせていただきます。

加藤(公)委員 では、枠組みは合意していなくても、大臣はこれでお進めになるというおつもりなんでしょうか。一言、確認をさせてください。

坂口国務大臣 私としては、こういう形で進めさせていただきたいと思っております。

加藤(公)委員 では、仮に、私はこれを決める立場にありませんから仮にのお話になりますが、大臣がおっしゃるような枠組みでスタートをしたと仮定いたしますと、検証会議のもとに医学的検討会と社会学的検討会というのがつくられることになります、仮にですが。そうしますと、その二つの検討会というのは、当然、検証会議と同じ目的を持つというふうに理解してよろしいんでしょうか。仮の話でありますが、御答弁ください。

坂口国務大臣 当然、それは同じ目的を持っていると思います。

加藤(公)委員 本来であれば、この件は私ももう少し御議論をしたいんですが、たっぷりあったつもりの時間が大分過ぎておりますので、ちょっと前へ進めさせていただきたいと思います。

 ただ、せっかくことし、これは何の縁というのかタイミングというのかわかりませんが、お医者様でいらっしゃる坂口さんが大臣のときに、このハンセン病の問題が最終解決をしようとしているタイミングでありますし、五月には大英断をしていただいたわけでありますから、ぜひ最後まで、本当に当事者の立場でひとつ御判断をいただきたいということだけはもう一度申し上げておきたいと思います。

 次に進めるんですが、実は、ちょっと急ぎ、ハンセンの件であと二つだけありますので伺いたいのです。

 ここまで進んでおります協議会なんですけれども、日にちは未定といたしましても、どうも話では年内にもう一回開かれるということは承っているんですが、それ以降、議案といいますか、課題があれば開きましょうというような声も出ているようです。どうも課題がなくなることは当面ないだろうと思いますし、実際に、四つのテーマそれぞれに今後まだ、方向性が決まっただけでは解決をいたしませんで、話を進めていかなければならないわけですから、この協議会を来年以降も定期的に開催してもらいたい。それが当事者にとっては非常に安心感につながるわけでありまして、定期的に開催をしていただきたいと思うんですが、大臣の御意思を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 会議の進め方等につきましては、私はそのメンバーに入っていないわけでございますので、私が強制することはいけないというふうに思いますが、まだいろいろとお話をしていただかなきゃならない問題があるということは十分に承知をいたしております。したがいまして、会議をお持ちいただきましたら、では、次はどういう内容でいつ幾日ひとつ持ちましょうというようなことを決めて、次々とおやりをいただくのがよろしいのではないかというふうに思います。

 定期的に、月一遍ずつやりましょうとか、月二遍ずつやりましょうとかということではなくて、少し問題を絞りながら一つ一つ解決をしていただく。いろいろ御議論をいただきましたけれども、十分にいかなければ、それじゃ、来月この問題を続いてやりましょうとか、そうしたことでひとつお進めをいただければありがたいというふうに私は思っている次第でございます。

 先ほど申しましたとおり、この問題はやはりどうしても、今療養所におみえになります皆さん方の問題とあわせて、社会的にもいわれなき差別、偏見をどうなくしていくかという大きな課題を抱えているわけでございますから、これは最後まで責任を持ってやらなければならないというふうに思っておりますし、私もその自覚でおりますことは間違いございません。

加藤(公)委員 もちろん、ここでの議論でいつやるなんということを決めるような話じゃありませんので、今の大臣の御意思どおりに今後も続けていただければというふうに思います。

 それからもう一つなんですが、とにかく、できる限り年内に全面的な解決を図りたいというのが多くの関係者の皆さんのお気持ちだと思うんですけれども、では、何をもって全面解決と言うかというときに、すべての問題に合意をすれば、それでよしとすれば、もちろんそれまでなんですが、やはり当事者の方々からすれば、それの何か一つあかしが欲しい。例えば、協定書という形になるのかどうか、書面で、お互いここまで努力して合意したということを記録に残そうじゃないか、ぜひ残してほしい、そういう意見が出ております。

 協定書という名前になるのかどうかわかりませんけれども、合意をした内容について書類で残していただくということについて、大臣、いかがお考えか。ぜひこれは進めていただきたいと思うんですが、お考えをお聞かせください。

坂口国務大臣 今大きく出ています問題は、これからいろいろあると思いますけれども、三つであるというふうに思っています。

 一つは、社会復帰をされる皆さん方に対する保障の額の問題、これはもう額として決定をしたわけでありますから、これは、後に残すとか残さないということではなくて、これからずっともうこのままでいくわけですから、一応これで区切りがついた。

 あと残っていますのは、そういたしますと、謝罪広告の問題と、それから検証会議の問題でございます。だから、広告の問題は、だれの名前で出すかということが決まればこれはもう実現されるわけでありますから、それは出せばそれで一段落、そこはそれで終わる話でございますし、検証会議の方は、先ほどからお話をしておりますように、これから進めていくわけでございますから、その進みぐあいによってそれをどういうふうに世間に出していくかという問題はあるというふうに思うんです。

 その内容を考えてみましたときに、今抱えております三つのことだけを思いますと、何か一つの文章にしなきゃならないという内容のものではちょっとないような気も私はするんですが、何かまたその他の問題でいろいろのお話し合いが出て、そしてそれをまとめて、やはりここはお互いが確認をしておかなきゃならないというような事態が発生をいたしましたときには、それはそのときのお話し合いでまたそういうふうにしたらいいというふうに私は思っております。

加藤(公)委員 実は、紙にしたいというのは、例えば、協議会の議事録というのは別に法的拘束力があるものではありません、ただ記録がきちんと残っていると。ただ、それに対しても、どなたとは申しませんが、協議会の場で、都合の悪いことになると口をつぐんでしまう、こういう方がいらっしゃるんですね、実際。かなり怒号が飛び交いまして、ちゃんと議事録に残るように、そのとおりですと、はいと言えなんという声が飛び交うわけですね。

 前回、十六日のときには、ある方がそのときに、はい、そのとおりですと言うかわりにうなずく、こうこたえた、これはどういうことなんだと。やはり失礼にもほどがあるというのがありまして、そういうことがあるからこそ、たとえ小さなことでも協定書という形できちんと書類に残したいという気持ちになるわけですね。

 これは、もちろん大臣、副大臣を私が責めているわけではなくて、実際にそういうことが起こっている。これは、ちょっと御退席になりましたが、桝屋さん現場にいらっしゃったわけですから、後で聞いていただければいいと思うんですが、そういうことがあるからこそこの協定書という話が出てくるんだということをぜひ御理解いただいて、もちろんお互い信頼関係がきっちりできていればこの話もどこまで出るかわかりません。しかし、現実には今申し上げたようなことが起きているわけですから、必要に応じて、これはここで決める話ではもちろんありませんけれども、協議会の場で前向きに検討していただきたいとお願いだけ申し上げておきたいと思います。

 前段がちょっと長くなり過ぎてしまいまして、本当は、毎度の続きで、大臣と雇用政策の大局論について御議論したいと思っているのですが、ちょっと慌てて進めさせていただきたいと思います。

 今回の緊急地域雇用創出特別交付金の件でございますけれども、過去、戦後すぐの失業対策事業と、それから平成十一年からの緊急地域雇用特別交付金と、二つ、今回と同様の、ほぼ同様のと私はあえて申し上げますが、ほぼ同様の政策がとられてきましたが、残念ながら成功したというふうには思えません。その成功していない部分をどう改善して、今回の緊急地域雇用創出特別交付金にどう生かしていらっしゃるのか、その改善点を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

南野副大臣 先生のお尋ねの件でございますが、現在の緊急雇用特別交付金、これは、かつての失業対策の弊害ということで避けるべきである、それから、民間企業への委託を原則としております緊急かつ臨時的な雇用としたところでございますので、新たな緊急地域雇用創出特別交付金の創設に当たりましては、こうした点は踏襲していっているところでございます。

 さらに、改善した点ということでございますならば、これらの交付金においての雇用創出の低い事業が見られた場合、その実態を踏まえながら、交付金においてはより雇用創出効果が高くなるようにしたいということで、三点ほどございます。主な分野別の推奨事業例を国が提示すること、それから、失業者の雇い入れ割合などについて一定の要件を設けること、さらに三つ目につきましては、事業計画、その実績の公表を求めていくということでございます。これらの見直しを実施していこうとしているところでございます。

加藤(公)委員 今の改善点は、確かにこれまでの失敗を生かすという意味ではそのとおりなのかもしれないんですが、根本的に、これはあくまでも臨時応急の措置ですから、一時は仕事が発生をするかもしれませんが、その期間を過ぎればまたもとのさやにおさまってしまう、また失業状態に戻ってしまうという、このリスクが実は最大の問題じゃないかと思います。

 これを改善しない限り、幾らお金を使っても一時しのぎにしかならないわけでありまして、この最大の問題をどう改善するのか、どう長期雇用、常用雇用につなげていくのか、その案、改善点があればそこを教えていただきたいと思います。

坂口国務大臣 実はそこが大事なところでございまして、この政策はおっしゃるようにつなぎでございます、つなぎ。これは紛れもないつなぎでございますから、ここでおやりをいただいて、そしてその間に本当にその人が望みます雇用をどう見つけていただくか、このいわゆる見つけていただきますまでの間のつなぎをこれでさせてもらおうというわけでございます。中には六カ月の方もあれば、それは一年になる方もあろうかというふうに思いますけれども、そういう形でこれは利用をしていただく以外にないわけであります。

 ただ、今回市町村にも申し上げておりますのは、そうはいいますものの、この特別交付金を使うことによって将来それが本格的な雇用に結びつくような使い方というのはないか、知恵を絞ってほしいということを各市町村にも実は言っているわけです。そういたしましたら、その中から二、三、いや、実はもううちはこういうふうにしたいというような電話が参ったり、私のところに手紙が来たりしているのもございます。

 一つは森林作業員。これは山のある部分を、今までの木を育てるということではなくて、それを環境林ということで村全体でつくり上げていきたい。環境林にして、いい空気、いい水をそこでつくり出してもらうための森にしていきたい。みんながそこで憩うこともできるような森にしていきたいというような話がありまして、そこにこれを使わせていただいて、この交付金を使って、そしてスタートをさせてもらいます。その間に体制を整えて、これが終わりました後は森林組合でお引き受けをして、その人たちをずっと継続的に雇うようにしますというような話が一つございます。これなんかは非常にいいと私は思っているわけであります。

 それから、教員補助員の方でも、ぜひ交付金による教員補助員として、社会の中で大変活躍をされた、あるいはまたいろいろな経験をされたような方にひとつお越しをいただいて、そして教育現場で活躍をしてほしい。そういう人たちにつきましては、その後非常勤講師でありますとか正式の教員として採用してもいいというようなお話が参りましたり、これらは、それが後へうまく継続する話としてあるわけでございます。

 また、リサイクル産業等をおやりになっております皆さん方で、これはその後には委託先の民間事業所で採用してもらうことを約束していますというようなところもあったりいたしまして、そういう使い方をしていただけば、これは本当にありがたいというふうに思っておりますが、広い日本の中、広いといいましても狭いのですが、三千三百からあります日本の地方自治体でございますから、そうそう全部が全部こんな調子にいくとはもちろん考えておりません。しかし、できるだけそうしたことをやってほしいというお願いをしているところでございます。

加藤(公)委員 今大臣がおっしゃったような例であれば、確かにこの制度によって常用雇用が生まれるということであれば、それは非常に望ましい話であります。

 ただ、今伺っていると、常用雇用につながりそうだとは言いつつも若干不安な面がありまして、森林作業員の方として例えばある一定期間入られた、その方のうち、では果たしてどれくらいの方がその後もその仕事をしたいと思うのか、本人の御意思もあるわけですから。これが実はかなり疑問でありますし、また、教員補助の場合ですと、その後、常用雇用という形で、では非常勤の講師とか、あるいは教員としてというお話になりますと、今度教職の免許の問題もございます。

 つまりは、ミスマッチがない場合にだけ今の話は成立をすることでありまして、もちろんそういうケースもあるとは思いますし、それを望むんですけれども、全体からすると、まだまだ実は一部なのかなと思います。

 それでいうと、今回ここに三千五百億円ですね、予算がついていますのが。三千五百億円かけて、多くの皆さんに、臨時応急の措置ということで、その臨時応急の仕事についていただいて、期間が過ぎたらまたもとに戻ってしまうという方の方が、今現在の可能性ではやはり高いわけですね。そうなりますと、その期間とその費用というのは、後々の職業能力の開発には何にもつながっていないわけでありまして、大臣おっしゃいましたけれども、臨時応急の措置のその間に次の仕事を見つけてほしいという気持ちはわかるんですけれども、例えば、森林作業員で行っていて山奥に入っちゃっている方が、その間に次の仕事を見つけろと言われても、それはどだい無理な話でありまして、もし、常用雇用につながる可能性が極めて高いという仕事に限定をしてそこに予算を使うということであれば、むだはなくなると思うんですが、今のように、とにかく一たんは臨時応急だから仕事が発生したらどんどん行ってください、終わってだめならだめでしようがないでしょうというやり方は、ちょっと乱暴なんじゃないかと思うんですね。

 本当はここを議論させていただきたかったのですが、時間がないのでべらべらしゃべりますが、三千五百億円使うのであれば、今、一年以上の長期失業の方約九十万人に、自営業を廃業されてしまって失業給付の対象になっていらっしゃらない方、概算を加えますと約百万人ですから、三千五百億円で百万人ということになりますと、一人当たり約三十五万円。三十五万円を、もしその方々の職業能力開発に使ったらどうなるのか。結構な訓練が受けられるんじゃないですか。

 ある期間臨時にお仕事をしていただいて、それが常用雇用につながるんだったら、私は大賛成なんですよ。それはどんどんやっていただいた方がいいと思うんですけれども、もしそうでない可能性が極めて高いという仕事であれば、そこに行ってその費用を払うよりは、その期間、その時間と費用を使って能力開発をしていただいた方が本質的なミスマッチの解消になると思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

坂口国務大臣 これは、それぞれの人によりまして随分、環境は違うだろうというふうに思っています。

 ですから、例えば森林の作業員として働いていただく方も、これはそんなにたくさん出るわけじゃありませんから、十五、六万と思いますが、だから、毎日行っていただくわけじゃないわけですね。月のうちで恐らく半分ぐらい行っていただいて、半分はお休みをいただいて、その間にまた次のことを考えていただいてということに多分なるんだろうと思うんですね。

 だから、そういうことをして、とにかく当面そういうふうなことをやりながら次をひとつ考えようというふうに思っていただく方もあれば、そうではなくて、もうそんな面倒くさいことはやめて、そして民間なりハローワークなり、とにかく毎日のようにでも通い詰めながら次のことを考えていこうと思われる方もあるでしょうし、私はそこはさまざまだと思います。

 しかし、中には、今回行いましたような方法でひとつつなぎたい、少しでもつないでほしい、そしてその間でその次のことを考えさせてほしいという御要望が多いことも、これは確かだったわけですね。二千億のを出しましたときにも、来年の三月でこれは終わるわけでございますが、ぜひこれだけは終わらないようにしてほしい、もう少しこれを継続してほしいというお声が全国津々浦々から本当にたくさん来たことだけは事実でございます。市町村だけではございませんで、それは、連合を初めとする組合等からも参りましたし、企業からも参りましたし、さまざまな角度から、これは少しつないでほしいというお声があることも事実です。

 ですから、私は失業者の中には、そういう思いで、とにかく一時的にでも、たとえ額は少ないけれども、それで若干つなぎながら自分に合ったような仕事をやるというような市町村があれば、そこでつなぎをしながらひとつやろうと思っておみえになる方も私はある、そんなふうに思っております。

加藤(公)委員 今、最後に大臣がおっしゃったように、自分に合った仕事とおっしゃいましたけれども、まさに私が申し上げたように、ミスマッチがなくて、その臨時応急の措置の期間がきちんとした、いわばOJTになるようなものであって、次に長期雇用、常用雇用につながるんだったら、非常にいい制度だと思うのですよ、それは。

 ただ、そうじゃなくて、本当に単なるつなぎでしかなくて、その期間が過ぎたら、またもとに戻ってしまって、また何か別のつなぎということを繰り返すと、結局これは戦後の失業対策事業と同じになっちゃって、何十年も続いちゃうということになりかねないし、その方個人にとっても何一つ職業能力が開発をされなくて、最近フリーター批判が大分出ていますけれども、言い方は悪いですが、その状態になりかねないわけですよ。

 この前の委員会で大臣とお話をさせていただいたときに、失業者の方の五分の四がミスマッチが原因になっているというお話は確認をさせていただいたとおりでして、それをなくす手法というのがやはり第一義になきゃいけないと思いますので、それで私、先ほど百万人に対して一人三十五万円で職業能力を開発した方が有効な使い方なんじゃないでしょうかということを御提案したわけであります。時計とにらめっこですので、この辺にしておきますが、ぜひお考えをいただきたいと思います。

 続いて、キャリアカウンセラーの件。この前、大臣が何かしらの資格認定をしなければいけないというふうに思っていますという御答弁をいただきましたが、実際どういう内容、どういうレベルの資格を、どういうところが認定するのか。今現在どうお考えか。これはここでお話しいただいたからといって、それが最終決定だとは認識をいたしませんが、今現在どうお考えか、お教えいただきたいと思います。

坂口国務大臣 前回にもいろいろの御指摘をいただきまして、それからその後、私も民間の職業紹介にかかわっておみえになります企業の皆さん方ともお会いをさせていただいて、現状等も聞かせていただいて、また、私ハローワークにも参りまして、特にハローワークの大阪に行きましたときに、臨時に嘱託みたいな形で来ていただいている皆さん方が大変多くの雇用を創出しておみえになる。大阪のハローワークにおきましても、一万件の新しい雇用をその人たちが見つけてきてくれたというお話がございまして、それは企業等でそれなりの立場にあった人でありますから、やはり人脈も非常に広いわけですね。

 そういう人が非常に大きな働きをしてくれたというお話を聞き、それで、これはやはり現状を打開していくのには、皆さん方も御指摘いただきましたこのキャリアカウンセラーというのが非常に大事だということを思いまして、そして、ぜひこれはやろうということで位置づけさせていただきました。この会場で皆さん方の御質問で教えていただいたことを実現に移していこうという一つだというふうに思っております。

 それをやるにつきましては、とにかく、アメリカは十七万人か何かおみえになるそうでございますが、日本はそんなにはできないでしょうけれども、とにかく五万人まで早くしようと。五万人。それは、国の方がある程度養成しますものと、それから民間でやっていただくのと両方で五万人ということでいきましょうと。そこは、今企業の皆さん方、その民間のいろいろの職業のことにかかわっておみえになります企業の代表の皆さん方にもお越しをいただいて、そして一緒にどういうふうな形のものをつくり上げていくかということのお話し合いに今入らせていただいておるわけで、早くこのお話の結論を出したいというふうに思っております。

 今のところは、その中で、一つのこれは制度として、そこをどうするかこれから決めなきゃいけないんですけれども、一つの職業として立派にそれが役立つようにしていかないといけないと思うんですね。企業の中でも、そういう職を持たれた、そういうことを勉強された皆さん方がそれでやはり自立できるような形にしなければいけないだろうというふうに思っております。その辺も今詰めをさせていただいているところでございます。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

加藤(公)委員 この前の委員会で大臣おっしゃったように、資格認定をしないと、私キャリアカウンセラーですと名乗ったらそれで通っちゃうというのだけはやはり困るわけでありまして、人の人生を左右する仕事でありますから、そこは、別に今ここで決めてくださいとは申しませんけれども、しっかり御議論をいただきたいというふうに思います。

 五年で大体五万人を養成したいというお話なんですが、簡単な数じゃないと思っていまして、先ほどアメリカで約十七万人というお話がありましたが、これは何も私、学歴偏重を言うわけじゃないんですが、大半の方が四大卒以上で、一部の資格に関して言えばマスター以上でありますから、そうそう簡単に育成できる話じゃございませんで、日本で、じゃ、どうやって五年で五万人を育てるつもりか。

 そして、ちょっと時間がないのでもう一つあわせて伺いますが、その五万人の方が資格を取っただけじゃやはり意味がありません。今大臣おっしゃったように、お仕事として、なりわいとして成立をしなきゃいけないわけですから、五万人全員が一気に開業できるとも思えませんので、どこかに最初はお勤めいただくことになるかと思うんですが、その五万人の雇用はどこにあるのか。

 この二つをあわせて御答弁いただきたいと思います。

坂口国務大臣 なかなか一度に五万人というわけにもいかないんだろうと思います。これは一応、今のところ、五年かけて、年間一万人ずつということにいたしておりますが、その中で、既に民間の方では、手がけられて、そして教育をしておみえになるところも四、五カ所あるようでございますから、そこともお話をさせていただいて、キャリアカウンセラーという一つの名前のそういう職業の人たちをつくっていこうということになれば、一定の勉強をしたということもなければいけないわけでございますので、それをどういうふうにするかということを今やっております。

 そして、このキャリアカウンセラーの中にも、上級、中級、下級というふうに、初級かな、上級、中級、初級というふうな、そんな差をつけることがいいのかどうかもちょっと検討しなきゃならないですけれども、やはり、それぞれやっていただく分野も、それは非常に高レベルのものもあるでしょう。アメリカも大学院を卒業しておやりになっているようなところもあるようでございますから、そういうふうなことも少し考えながら、そして、その人たちが働いていただく場所は、それは私は、企業の中でそういう資格を取って企業の中でいろいろとおやりになる方もそれは中にはあるんだろうというふうに思いますが、できることならば、ハローワークでありますとか、あるいは民間の職業案内所と申しますか、職業にかかわりますさまざまなところで働いていただくということもできるし、それから、独立して、そして自分はそういう皆さん方の御相談に乗っていこうということもできるというようなやはり職種にしていかなければいけないんではないかというふうに思っている次第でございます。

 まだ固まったわけではございませんけれども、そんなことを頭の中で考えているということでございます。

加藤(公)委員 時間になりましたので終わりますが、五年で五万人は、別に私ちっとも反対しているわけじゃなくて、どんどん進めていただきたいと思うんですが、いいかげんな資格にならないようにお願いをしたいということと、もう一つは、お勤め先が今、中、高、専門学校、大学、ハローワークまで入れても多分一万六千カ所ぐらいだと思いますので、それで五万人果たして勤務先があるのかというのはちょっと不安になりますので、そこも含めて御検討いただきますようにお願いをして終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 四十分間質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 本来の雇用関連法案の質問に入る前に、非常に重要なことですので、医療制度改革について一点、坂口大臣にお伺いしたいと思います。

 前回の質問の続きにもなるんですが、大臣在任中は医師連盟から政治献金は受け取らないということを御答弁されましたが、ちょっと確認をしたいんですが、なぜそのように考えておられるんですか。その趣旨は、なぜでしょうか。坂口大臣、お答えください。

坂口国務大臣 厚生労働行政というものをお預かりして、そしてこれを担当させていただくということになれば、それはやはり、国民の皆さん方からごらんをいただいて、偏りのない、中立公正な行政にしていかなければならない。そのためには、李下に冠を正さずで、いろいろなところからいただくということは、それは、たとえ自分の気持ちの中でそうではなかったとしても、そういうふうに理解をされる可能性がある。したがって、慎まなければならないというふうに思っている次第でございます。

山井委員 まさに、国民から見て偏りのない、公平中立な行政という意味で、李下に冠を正さずということで、本当に私もそのとおりだと思います。

 そこで、一つお伺いをしたいと思うんです。坂口大臣もごらんになったかと思うんですが、ある医療情報紙をちょっと私、たまたま入手して、そこにこういうことが書いてあります。医療制度改革の最終決着は日本医師会会長との話し合いでと坂口厚生労働大臣が明言、これが見出しであります。ちょっと読ませていただきます。

 坂口厚生労働大臣は十七日、医療制度改革案の意見集約について、最終的には自身と日本医師会の会長との話し合いで取りまとめると言明した。小泉首相が繰り返し強調する三方一両損の考え方から、「先生方にもいろいろご苦労をお願いしなければならない」とする一方、厚生労働省としても痛みを十分感じることをやらねばならないとの認識を表明。目先の財政対策ではなく、二十一世紀に耐え得る制度の骨格をつくる決意で今後の改革論議に臨むとして、最終的には日本医師会会長との直談判で決めさせていただくとの方針を明確に示した。

 十七日、三重県四日市市で行われた中部医師会連合委員総会であいさつした中で述べたということでありますが、この報道は事実でしょうか。

坂口国務大臣 正確には覚えておりませんけれども、大体そういうことを言ったというふうに思っております。

 そこで私が申しましたことは、それだけではなくてもう少しいろいろのことを言っているわけですが、これからこの年末に、とりわけこの十一月の末にかけまして、医療制度の改革を進めていかなければならない、それを進めていくにつきましては業界やあるいはまたさまざまなところと御意見も伺っていかなければならない、そうして最終決断をしたい、とりわけ医師会にかかわります分野につきましては医師会長との直談判で決めさせてもらいたい、こういうことを言ったわけでありまして、これから進めます医療制度全体を坪井医師会長と二人で決めようなんというようなことは、思ってもできないことでございますし、そういうことを申し上げたわけではありません。

山井委員 ということは、今まさにおっしゃいましたように、いろいろな関係団体があるわけですから、例えば看護協会の会長さん、歯科医師会の会長さん、薬剤師会の会長さん、あと保険医協会さん、病院協会さん、健保連の会長さんといらっしゃいますが、この方々とも直談判はされるというふうに認識してよろしいですか。

坂口国務大臣 いろいろの御意見があると思いますから、承りたいというふうに思っております。

山井委員 私は、このような報道を見まして一つちょっと気になりますのが、やはり医療制度改革という、まさに坂口大臣がおっしゃいましたように、国民から見て本当に公正な行政を行わねばならない、ところが、やはり一つの関係団体に偏ったことがあってはならないと私は思っております。お医者さんの意見も大事ですし、看護婦さんの意見も大事ですし、また患者さんの意見ももちろん大事ですし、健保連さんの意見も大事だと思います。

 また、そんな中で日夜医療制度改革づくりのためにある意味で御奮闘されている厚生労働省の役人さんにとっても、このようなことで、最終的には医師会の会長と直談判で決める、こういうふうなことを厚生行政の責任者がおっしゃるということは、ある意味では役人の方のモラルの低下も招くのではないかというふうに私は思いますが、坂口大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 そんなことも思いませんけれども。なかなか直談判して決まる話ではありませんから。

 ただ、医療にかかわります問題というのは、これは医療機関と話をするチャンスというのは当然あるのだろうと私は思うのですね。これはなかなか、決めなければならないところで、大きな分野であろうというふうに思っています。それは医師会だけではありません、病院協会もありますし、さまざまな協会がございますから。そうしたところの中で、いわゆる医師会関係のことにかかわります分野につきましては、これは医師会長と最終的に話をして決めなければならないだろうというふうに私は思っております。しかし、病院協会は病院協会でまた別の御意見があるだろう、その皆さん方とのお話もあるだろうというふうに思っています。

 先ほども申しましたように、全体を二人で決めるというようなことはできるわけでもありませんし、そういう状況にないことも事実でございます。

 また、うちの方の官僚諸君の方は、それぞれ努力をして今やってくれているわけでありますから、逐一話をしながらこれはやっているわけでございますので、もしそういう話をするといたしましても、私が個人の見解で決めるということではなくて、みんなの意見も十分に聞いてそれはやるということになるだろうというふうに思います。

 そういう趣旨でございますから。どうぞひとつ、そういう趣旨に御理解をいただければ幸いでございます。

山井委員 私は何も医師会の意見を聞くなと言っているわけではなくて、お医者さんの意見も大事ですけれども、同時にほかの関係団体とも、バランスよく当然意見を聞いていただきたいというふうに思っているからです。まさに大臣がおっしゃったように、偏りのない、公平中立な行政というふうに、今、この医療制度改革、国民が一番注目して、また痛みに対してどう対応しようかとしているときであります。

 そういう意味では、ある意味で医師さんの数よりも看護婦さんの数が多いわけですが、目の前に南野副大臣がおられるので聞いてみたいのですが、こういう医療制度改革の議論では、また、看護協会の会長とも直談判ということがこれから出てくるのでしょうか。

南野副大臣 直談判ということよりも、広く御意見をいただく。御意見の中には、直接お聞きすることもあれば、メールで来ることもあるし、クレームが来ることもあるし、いろいろなマスメディアを通して知り得た情報で私の考えをまとめさせていただくということでございます。

山井委員 ありがとうございます。まさに今南野副大臣おっしゃいましたように、直談判というよりも、広く多くの人の意見を聞くということであると思います。

 ですから、ひとつ坂口大臣にもお願いなのですけれども、やはりこういうふうな、直談判で特定の関係団体と話を決めるという誤解を招かないように、直談判というよりも広くオープンに、意見を聞かせてもらうのだったら、何も直談判という表現ではなくて、オープンな場で意見交換して話を聞かせてもらったらいいと思うので、そういう意味では、坂口大臣、直談判という表現はちょっと適切ではないのではないかと思うのですが、そのあたり、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 いろいろの団体と話をしなければならないというふうに思いますが、医療にかかわっている人との話し合いというのは、これは一番大変なことだろうと思うのです。総理も三方一両損ということを言っておみえになりますが、医師会の皆さん方にも厳しいことを申し上げなければならない、最も厳しいことをやはり医師会の皆さん方に申し上げなければならないのだろうというふうに思っています。

 ですから、他の分野のことよりも最も厳しいところを言うところは、それはまさしくだれかに絞って直談判をして決めるということにせざるを得ないことが起こるのではないか。易しいことを決めようと思っているのなら、それはそんなことを私は表現はしなかったわけでありますけれども、直談判をして私が決めるというふうに言いましたのは、私も覚悟をしておりますよ、どうぞひとつ皆さんも覚悟していてくださいよということを私は表現したわけでありまして、いささか文学的表現過ぎたかな、こう思っております。

山井委員 そういう意味では、これは医師会だけではなくてあらゆるところが今回の医療制度改革では痛みを伴うのではないかと思いますので、もちろん国民を含めて、そういう関係団体の声をバランスよくぜひとも聞いていただきたいですし、それはオープンにやっていただきたいというふうに思います。

 では、本題の雇用関連法案についてお伺いしたいと思います。

 まず、一九九九年に開始した緊急雇用対策では、七十万人以上の雇用創出を目指していたものの、確保できた新規雇用者は、ことし八月末現在で四割弱という結果が出ております。また、二〇〇〇年五月から実施しているミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策の二〇〇〇年度の実績がことし五月までにまとまりましたが、その結果を見ると、二〇〇〇年度の雇用実績は三十一万九千人で、目標の三十五万人を達成できなかった。このようなことに関して、なぜ目標どおり達成をできていないのかということについてお聞かせください。

南野副大臣 先生から二つの御質問がございましたが、まず最初の、緊急雇用対策でどうして七十万人ができない、その件につきましては、七十万人の雇用就業機会の増大ということを掲げた一昨年の雇用対策は、これは平成十三年度末までの計画期間といたしている、これが一つでございます。

 その件に関する状況といたしましては、新規また成長分野、これは十五分野ございますが、そこにおける事業主が労働者を前倒しして雇い入れる際の支援については、本年九月末現在で、支給申請対象人員、これが約五・一万人。さらに二番目の項目でございますが、地方公共団体が現在行っている、創意工夫に基づき臨時応急の雇用就業機会の創出を図る事業については、十二年度までの新規雇用就業者数の実績は約二十二万人ということとなっております。これが、本年の九月末現在では、やはり約三十万人近くの雇用就業機会が創出されているということは申し上げられると思います。

 さらに、これに関しての二つ目でございますが、七十万人の四割にとどまっている理由としましては、一つは、対象人数が二十万人とされた緊急雇用創出特別奨励金の支給申請が九千件程度にとどまっているということでもあろうかと思います。さらにまた、本年の三月に終了いたしました人材移動特別助成金の利用率が低い、さらに対象人員の七万人の二割程度にとどまったという、この点も考えられるのではないかなと思っております。こうしたことから、現時点で七十万人に達していないとはいうものの、雇用対策としての、一定の下支えをすることについての効果は果たしてきたというふうに思っております。

 さらにもう一つのミスマッチの件でございますが、これにつきましては、平成十二年度を中心といたしまして、三十五万人程度の雇用就業機会の拡大の実現化を図るというふうにいたしております。

 平成十二年度末における実績、これを御報告いたしますと、一つは、創業や異業種進出を行う中小企業への雇い入れ助成については十二万人弱、これは目標が十万人でございましたので一応達成されているかなと思っております。また、二番目の、地方における臨時応急の雇用就業機会の創出につきましては十六万人弱、これも一応目的を達成しているかなと思っております。さらに、介護関連事業主の雇い入れ助成につきましては二万人弱ということでございます。さらに、新規・成長分野におきます前倒し雇用に対する助成につきましても三万人弱となっておりまして、合計で三十二万人の雇用就業機会が創出されたということでございます。

 このように、中小企業の雇い入れ助成は目標を上回っており、または新規・成長分野雇用創出特別奨励金や介護人材確保助成金などについての目標は下回っているということを申し上げなきゃならないのかなと。目標の三十五万人に達し得なかったということでは事実でございますが、その雇用に関しましては、先ほど申したとおり、下支えの効果があったというふうに認識しているところでございます。

山井委員 私は非常に不十分だと思うんですが、その中で緊急地域雇用特別交付金についてお伺いしたいのです。これは、さまざま新聞でも報道されているように、新規雇用だけではなくて非失業者をたくさん雇っていたというふうなことが指摘されております。私もこれを調べさせてもらいましたが、なかなかいろいろなものがありました。

 具体例で目についたのを挙げますと、例えば、ちょっと本当に私の独断と偏見で抜き書きしましたが、ニホンザルの生息数調査、被害調査等の基礎調査、三百万円で新規雇用二人。別に、これが悪いと言っているわけでは全然ございませんが。例えば、伊勢崎かすりに関する資料収集と目録作成事業、三百四十万円で新規雇用が四人。飼い犬ふん害等防止パトロール事業、五百六十万円で二十一人雇用。ということは、半年たったら、ふんはもうほったらかしておいてもいいということになるのかな、これは半年ですからね。あと、桜祭り会場駐車場内誘導業務、五十万円で三人。

 ここで感じますのは、何か法の趣旨と違って、地方自治体のお金が足りないから、ああ、ちょうどいいお金が来たからこれを使ってしまえということで、一番多い広島県では三分の二が、非失業者がこれによって仕事をしていたということなんですね。このような現状に対していかがでしょうか。

澤田政府参考人 今委員が御紹介されました事案は、私どもも承知しております。この交付金事業は、都道府県がやる分と市町村がやる分とございまして、市町村に行きますと、かなり事業規模も小さく、個々の事業においても今のように雇用効果がどれだけかというものもございます。

 この点につきましては、現行交付金の交付要領あるいは通達等で失業者を雇うことということは強調しておりますが、どの程度雇うかとか、その辺の一切の基準がないという点が今回の反省点でございまして、そういうものを含めて、新しい交付金ではより効果的に、かつ、みんなが納得できるような事業が創意工夫のもとに凝らせるようにしていきたいと思っております。

山井委員 私が一番気になりますのは、この交付金があったから仕事をふやしたということなのか。そもそもやる事業だったけれどもたまたまこの交付金が来たからお金だけをそこに充てた、これでは雇用を創出したことにならないわけですね。

 例えば青森県雇用創出推進プラン策定事業は、一千三百万円で新規雇用一人なんですね。雇用を創出するという趣旨から考えたら、一千三百万もかけて一人しか雇用が生まれていないというんだったら、やはりこの趣旨から余りにも外れているんじゃないでしょうか。それともう一つは、そもそも、青森県雇用創出推進プラン策定事業というのは、この交付金が来なかったらやらなくてよかった事業なんですか。すごく重要なことだと思うんですね、雇用創出推進プラン策定事業ですから。だから、これを見ても、明らかに本来の趣旨とずれてしまっている。

 このことに関して今後どのようにしていくか、答弁をお願いします。

澤田政府参考人 現行交付金の趣旨、内容を改めて申しますと、まさに臨時応急の措置として、大臣がたびたび申しているように、ある意味ではつなぎとして雇用創出をしていただく。その場合に、私ども通達で言っておりますのは、今、都道府県なり市町村が自前の財源でやっているものを、この交付金のいわば財源のつけかえで実施することはだめです、新しいことを考えてください、そのために交付金の財源を使ってください、こう言っております。

 したがいまして、今の例で言いますと、青森県の雇用創出事業をこれから起こそうというときに、どういう計画、つまりどういうコンセプトでやろうとか、どういう仕組みでやろうとかということをお考えになることは、まさに今までになかった新しいことでありますから、交付金の使い方としては不適正とは言えない、こう思います。

 今後のやり方でありますが、今申しましたように、とにかく新しい事業で今までの事業の財源のつけかえではない、こうはっきり従来もしておりますが、今後もさせます。そして、雇用創出効果を高めるという意味で、これまでも他の委員の方々に御答弁しておりますように、事業費の中の人件費の割合を八割以上、そして新規に雇う人の四分の三は失業者ということをきちんと示したい、こう思っております。

 そして、その点につきましては、計画段階で私どもが見るだけではなくて、計画を実施した後の事後の報告においても、何人の失業者を雇ったかということ等詳細に報告を得て、都道府県、市町村段階でもそれが公表されるようにしていきたい、こう思っております。

山井委員 ちょっと坂口大臣にあえてお伺いしたいんですが、繰り返しになりますが、国民の貴重な税金で雇用対策ということをやっていて、今のような、一千三百万も使って新規雇用が一人しかふえなかった、そういうことに対していかが思われますでしょうか。

坂口国務大臣 先ほどいろいろの例を挙げていただきましたのは特に悪い例ばかり、もっといいのもあると僕は思いますから、例を挙げていただくときにはいいものも一つ二つぜひ公平に挙げていただきたいと思うのです。

 それはそれといたしまして、この事業は、先ほどから話が出ておりますように、一時的なつなぎの役割をするということでございます。したがいまして、先ほど例を挙げていただきましたのは青森県でございましたか、いろいろこれをお使いいただいて、そこではあるいはお一人しか雇用に結びつかなかったかもしれませんけれども、そこで働いていただいた皆さん方の中には、御自分でまたその間にいろいろ雇用のことをお考えいただく一つの機会になったのではないかというふうに思います。

 そこで働いていただいている皆さん方が半年しても何らなくて、半年で全部が終わりで、その間に新しい仕事を見つけることも全部できなかったということになれば大変残念なことですけれども、やはり私は、その間に考えていただく方もあるのではないか。あるいはまた、今まで自分の予定していなかったことだけれども、半年間そこで働くことによって、新しい仕事への価値観、こういう仕事も一遍自分は将来やってみてもいい、そうした思いが芽生えることも私はあるのではないかというふうに思っております。

 私ごとを申し上げて恐縮ですけれども、私は若いときに三カ月のアルバイトに行きまして、それで、これはええことやというので、そこで私は七年間、一つ仕事をすることになったわけでありまして、人生思わざるところで思わざる方向に価値を見つけることもあるわけでございますから、私はそうしたことが生まれることを期待いたしております。

山井委員 一つ御要望したいのは、本当に半年後の雇用に結びつくかどうかということなんですね。そういう意味で、今回のこの新たな三千五百億円の雇用創出特別交付金に関してもきっちりと、どれぐらい雇用に結びついているのかということを検証していただきたい。先ほども言いましたように、それによって雇用が生まれたのか。もともとその事業はやろうとしていたけれども、たまたまこういう交付金が来たから当てはめたということでは、ある意味で雇用行政、雇用創出の政策そのものの信頼性も失われると思います。

 それと、私もおとつい、ハローワークや地元の市町村の窓口に行ってこのことについて聞きましたら、人件費率八割、そして四分の三以上新規雇用ということになったらもう職種がなかなかないですよという声を聞きました。だから、逆にこの三千五百億円が使い切れないんじゃないかというふうな心配もしております。そのような意味で、ある意味でここ一、二年の失敗というものを踏まえて、決してばらまきにならないようにしていただきたいと思います。

 次に移らせていただきますが、自治体の担当者も、ある意味で、雇用対策だけでは不十分である、雇用の受け皿、不況対策と車の両輪としてやってもらわないと限界があるということをおっしゃっておられました。そんな中で、私は、大型の建設型の公共事業よりも医療や介護の方が約二倍ぐらい雇用創出効果が高いという研究調査もあるわけですから、介護分野にこれから力を入れるべきだと思っております。それに関連して、介護雇用創出助成金についてもお伺いしたいと思います。

 どのような中身で何件ぐらい介護雇用創出助成金を使ったのか、それで年間の予算は大体何億円ぐらいだったのか。この一例として、介護雇用創出助成金についてお伺いしたいと思います。

澤田政府参考人 介護雇用創出助成金は、介護分野で新サービスの提供等を行う事業主が、そのサービス提供に伴って新たに労働者を雇い入れた場合に、賃金助成をしたり、職場環境の整備に要する施設整備費を助成したり、あるいは能力開発が必要な場合にはその能力開発の費用を助成したりという制度でございます。

 これの助成を受けるには、まず、介護労働法に基づきまして、自分が雇う労働者の雇用管理の改善計画を都道府県に出して認定してもらうことが要件になりますが、そうした上で、この助成金が別途申請されて支給されるということになります。

 雇い入れの人数及び予算等のことでございますが、平成十二年度分といたしまして、一万八千人強の雇い入れ人数が出ております。制度発足以来の累計で申しますと、二万四千七百人強が助成対象として受け入れられております。予算でございますが、平成十三年度は約七十六億円を計上しておるところでございます。

山井委員 年間一万八千人ということですが、これは大体、すべての介護関係の事業所のごく一部だと思います。新しく新規雇用や新規事業を始めたところの中でもこれを利用されているのはごく一部だと思うんですけれども、なぜ一部のところしか利用されていないのでしょうか。

澤田政府参考人 実際の数字をちょっとあらあらでございますが計算してみますと、労働者ベースで見た場合に、ゴールドプラン21に基づく基盤整備ということで、年間平均八万人の雇用を介護分野で広げる、広がるということになっています。それで、八万人のうち、この介護助成金の対象になった人は大体二二%ぐらいになると思いますが、そもそもこの助成金を利用するには、先ほど申しましたように、事業主がそこで雇う労働者の雇用管理の改善計画を都道府県に申請して認定してもらうというのがベースになりますので、その改善計画の認定申請を新規に開業された事業主すべてがしているわけではないというのも一つあろうかと思います。

山井委員 そこで、そもそも私思うんですが、今、年間一万八千人ふえたと。このような雇い入れ助成がなくても、この一万八千人はふえていたんじゃないかと思うんですね。

 単純に言えば、老人ホームの入居者がふえる、あるいはホームヘルプの利用者がふえる、新しい事業展開をしたい。そうしたら、ホームヘルパーをふやしますよね。言ったらなんですけれども、半年だけ半額お金が補助されるというのは、そこに新たに進出しようと決めた後での話であって、半月分お金が出るから新たな事業を介護でやろうとか考える人というのはいないと思うわけなんです。

 そういう意味では、この介護雇用創出助成金があったから雇用がふえた分と、なくても雇用はふえていた分と、例えばこの一万八千人のうち何割が介護雇用創出助成金の効果だというふうに認識していられるでしょうか。

澤田政府参考人 そこは、委員御指摘のように、残念ながら分析不可能であります。

 この助成金の趣旨を申し上げますと、この助成金があることによって介護分野で新規に参入しよう、事業を起こそうということを刺激するというよりは、介護分野で新規開業した人たちの創業時の、いろいろ創業時は困難な時期であろうと思います、そういうときに創業時の立ち上がりを支援する、こういう目的がこの助成金のかなりの趣旨でございますので、この助成金があるから新たに人を雇うとか介護分野に進出するというインセンティブは、事業主から見て多いとは私どもは思っておりませんし、現実にもそういう効果としてはないだろう。開業した後の困難な時期において、事業主に対するいろいろな経費面での支援等々では制度として効果があるものと考えております。

山井委員 新規雇用にどれだけ寄与したか分析不可能というのは、ちょっと余りにも無責任ではないでしょうか。やはり、限られた財源でどうやって効果的に雇用を創出しようかというときに、いや、これによってどれだけ雇用が創出されたかというのは分析はできませんと。逆に言えば、だからこそ、こういうのはやはりばらまきと言われるのではないでしょうか。

澤田政府参考人 私の説明が不十分だったと思いますが、実際にこの助成金の対象になった方のうち、当初から使用者が雇おうと思っていた人と、助成金があるから追加して雇おうと思った人の分離はできないという意味で申し上げたのでありまして、助成金の対象になった方はいずれも新規雇用であることは間違いございません。

山井委員 介護の分野の特徴を言いますと、ある意味で、補助金が、交付金が出るからヘルパーさんをふやすとか新しい事業をやるというよりは、基本的には、需要があるから新しい事業所をふやそうか、あるいはもっと言えば、介護報酬の設定を見て、この介護報酬だったら採算がとれるから、もうかるから、あるいは採算が成り立つからということで新規事業に出ていくわけですね。

 そういう意味では、根本的に雇用創出をしようとするならば、このような、言い方は失礼かもしれませんが、小手先の雇い入れ助成ではなくて、例えば、介護報酬を引き上げて、こういう介護事業、採算とれますよ、しっかりとれますよということをアピールする。あるいは、今、在宅で暮らす人が困難になってきている、在宅の介護保険の支給の限度額をアップさせる。そうしたら自動的にヘルパーさんの数や訪問看護婦さんの数もふえて、雇用は創出されていく。やはり、そういう介護報酬の問題や在宅の介護保険の給付限度額のことまで踏み込まないと、そもそも需要が一定なのにそこに交付金を出しても、それによって雇用がふえたかどうかというのはおっしゃったように検証できないのですね。

 そこで、申しわけないのですけれども、坂口大臣、こういう小手先の雇用対策ではなくて、やはり本当に雇用を創出していく。その中でも、目玉としてITや介護ということを小泉首相もおっしゃっておられるわけですから、そうしたら、やはり介護報酬のことや在宅の介護保険の給付の限度額を上げていって、利用者をふやす。サービスの利用者がふえたら、サービスの提供者の雇用がふえるのは当然なわけですから。そういうところを考えないと、繰り返しになりますが、この給付金でどれだけ雇用が本当にこれによってふえたかどうかわからないというような事業にお金を使うよりは、私は、介護報酬の引き上げや在宅の給付限度額の引き上げの方が、同じ年間何十億を使っても効果があると思うのですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 なかなか、介護保険の引き上げというのも、そうなかなか簡単にはいかない話なものですから、お気持ちはわかりますけれども、そう簡単ではないというふうに思います。

 確かにそれは、そういう補助金がなくてもお仕事は始められたかもしれませんし、気は心といいますか、やっていただく皆さん方に対するささやかな支援をさせていただいているということにすぎないというふうに私も思います。それだったら、そんな気は心みたいなことはやめて、ささやかなことはもうやめて、そしてそれをほかへ回したらどうだという御意見、それは、私は率直にそういう御意見もあるだろうと思うのですね。そうしたこともよく考えて、これからやっていきたいと思います。

山井委員 まさに大臣が答弁をしてくださったように、気は心、そういうふうな形でお金をばらまいていたのが二十世紀の、やはり右肩上がりの時代はそれで通用したかもしれませんが、これから本当に限られた財源で、いかにどうすれば国民の方々の負担をふやさずに雇用をつくっていくかというときには、やはりそれは一回整理する必要があるのではないかと思います。

 それと同時に、介護の分野でいいますと、ホームヘルパーさんや老人ホームの職員さんの離職率が非常に高いのですね。例えば、私の知り合いの東京の老人ホームでは、新卒の方が去年の四月に十人新たに入った、ところが、もう七人やめちゃったというわけなんですね。要は、労働条件が悪いから、雇ってもころころまたやめてしまう。つまり、労働条件をきっちりと介護分野でも整備せずにこういう交付金を出していっても、穴のあいたバケツで水をすくうようなものだと思うのですね。

 そのあたり、やはり雇用を創出していくという前提には、離職者を減らすということとセットでやらないと意味がないわけですから、介護分野の働く方々の労働条件、待遇の向上ということについて、坂口大臣の思いというか、決意をお聞かせ願いたいと思います。

坂口国務大臣 もちろん、働く人たちに対し、そのお仕事に対する評価を十分にするにこしたことはないというふうに思いますが、若い人が皆さん方お勤めになって、そして十人のところ七人もやめていかれるというのは、もちろん私は金銭的な面もあるとは思いますけれども、しかし、それだけではなくて、自分たちがやろうとしていた仕事、自分が思っていた仕事の内容と現場の仕事の内容との違い、そのことによっての、やはり落胆といいますか、自分が思っていたのはこういう仕事ではなかった、そういう思いが非常に私は強いのではないかというふうに思います。

 もちろん、給与のことにつきましては、初めお入りいただきますときに大体決まっているわけでありますから、その決まっていた給与でありながら、しかしそこで一年間も続かなかったのはなぜかといえば、給与のことももちろんあるかもしれませんが、しかし、私は、仕事に対する認識、意識、やはり介護とは何をやるべきかということがちゃんと若い人たちの頭の中に入っていないというところに問題があるのではないかというふうに思います。

山井委員 もう時間になりましたので締めくくらせていただきますが、厚生省さんと労働省さんがくっついたわけですから、繰り返しになりますが、特にこの介護分野というのは離職率が高いわけですね。雇用創出を図る一方では、離職者を減らす、そのことをきっちり厚生労働省さんとしても取り組んでいただきたいと思いますし、また、最初の質問にもありましたように、厳しいことを言うから医師会と直談判するということですけれども、今回の医療制度改革はみんなにとって厳しいのですね。だから、そういう意味では、特別扱いすることがないように、きっちりと、周りから見て公平な取り組みというものをお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。山井議員の時間を二十分ほどちょうだいしまして、質問させていただきます。

 さて、高齢化社会が進展する中で、国民医療費が年間三十兆円を超えるという大変巨額なものになっております。そうした中で、まさに今、医療制度改革、抜本的な改革が必要でありますが、さまざまな抵抗勢力によって医療制度改革が先送りされている。そればかりではなくて、むしろ高齢者あるいは患者といったいわば社会的弱者の皆さんに大きな負担がかかってきている、それが現実ですね。

 その一方で、いわば診療報酬の不正受給や、あるいは医療事故なども頻発しております。数年前、医療行政のトップである旧厚生省の岡光事務次官が、特別養護老人ホームなどを手広く営む彩福祉グループからわいろを受け取っていた容疑で逮捕された事件は、まだ記憶に新しいと思います。国民の生命を預かる医療、福祉の世界で、診療報酬の不正受給や補助金の不正流用事件が相次いでいる、これはまことに残念でございます。福祉や医療を食い物にするとはよく言いますが、これまで発覚したケースはまさに氷山の一角ではないか、そんな思いさえいたします。

 そして、今回また、一つの病院グループに補助金受給の不正疑惑が持ち上がっている。今回の疑惑は、厚生労働省所管の医療施設近代化施設整備事業に絡む補助金受給の不正疑惑についてであります。

 本論に入る前に、この医療施設近代化整備事業とはどういうものか、その概要を、坂口厚生労働大臣、簡単に御説明をお願いします。

篠崎政府参考人 医療施設近代化施設整備事業の概要についてでございますが、簡単に申し上げますと、目的といたしまして、療養病床への転換整備並びに病院における患者療養環境などの改善及び僻地診療所などの円滑な承継のための整備などを促進して、医療施設の経営の確保を図ることを目的といたしております。

 補助対象としては、都道府県、市町村、医療法人など厚生労働大臣の認める者ということになっておりまして、補助率が三分の一ということでございます。

木下委員 いわば、その医療施設近代化整備事業として、国と静岡県は、静岡県東伊豆町所在の医療法人社団健育会熱川温泉病院の改築工事に対して平成九年五月に補助金を交付していますが、国と静岡県は幾らずつその補助金を交付しておりますか。

篠崎政府参考人 厚生労働省と静岡県、ともに同額でございまして、三億四百九十四万四千円。静岡県、厚生労働省、同額でございます。

木下委員 しかし、この補助金の交付要綱、あるいは旧厚生省の指導によると、この補助金を受け入れられる対象施設の条件というのは、整備区域については建築後二十五年以上の部分が総床面積の五〇%以上を占める施設となっております。ところが、本件の熱川温泉病院の場合は、本館、北、南、東の四棟あるが、その四棟の各建築年月日からすると、建設後二十五年以上の部分が五〇%という前記の条件を満たしていない。果たして、熱川温泉病院に対する補助金の支払いは、補助金の交付要件及び旧厚生省の指導のいずれの条件を満たす適正なものであったかどうか、その点を御答弁お願いします。

篠崎政府参考人 この点については、当該病院につきまして、それぞれの病棟で築後の年数が違っておりますが、その改築をする建て面積が五〇%以上が二十五年以上に当たればそれは補助対象となるということでございまして、本件の場合におきましても、補助対象としてはそれに値するものであるということでございます。

木下委員 今、要件に当たるという御指摘だったんですが、しかし、我々が調査したところによると、これは全く当てはまらない。これは、またいずれ、時間の関係であれですので。非常に細かい計算が必要です。ですから、これは当てはまらない、不法な支出であるということを指摘しておきます。

 さらに、もう一つ大きな問題は、病院側は当初、改築工事の進捗状況に合わせて、平成七年度分として、事業費全体、これは十三億六千六百二十九万五千円の三〇%、そして平成八年度分として残り七〇%に対する補助金を受ける予定で国と県に申請書を提出したが、突然、病院側の都合で七年度分の補助を辞退し、改めて平成八年二月八日に八年度分の七〇%に対する補助申請を行い、これはまあ補助申請、事業計画書ですね、これを提出しているわけです。その分が補助金として支払われたということでございますね。これは間違いございませんか。

篠崎政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

木下委員 もしそうだとすれば、実は最近大変な資料が出てきました。

 これは平成八年一月二十八日に静岡県の土木課がこの病院の近辺の市街地を撮影したものであります。この中に本件の病院が写っています。ところが、これをさらに拡大してみますと、この平成八年の一月の段階で、既に本館の約六階から七階部分まで完成しているんです。要するに、申請時は、三〇%つくられている、残り七〇%について補助金をいただきたい、そう申請したにもかかわらず、実際はもう七割方あるいは八割方できているんです。

 この資料は見たことありますか、写真。ございませんか。では、ちょっと、この写真をぜひ見ていただきたいんですが。

 これは静岡県の土木課が撮影、平成八年一月二十八日です。申請したのが平成八年二月八日なんです。その時点で既に七〇%の建設ができているのに、いや実は三〇%だ、七〇%の補助金をくれといって申請しているんです。これは違法じゃありませんか、もし事実だとすれば。

篠崎政府参考人 平成八年度に交付決定がされた時点におきましては、工事の進捗状況につきまして、まだ七〇%が完成していないという条件で補助されておるわけでございますから、今の先生の御指摘が事実だとすれば、それは適当ではないということになりますが、ちょっと申し添えさせていただきますが、ただいま静岡県当局でその進捗状況について現在調査中でございますので、今、その結果報告を待って私どもは対応を考えたいと思っておるところでございます。

木下委員 例えば、この事業にかかわる補助金の申請、これは温泉病院が静岡県ですから、静岡県に出すわけですね。当然、静岡県の担当者は、その申請書に基づいてやはり事前調査して、十分なチェックをした上で、厚生省、国の方へ上げる。あるいは、国の方も、きちんとチェックしたのかという、そういった指導あるいは手続はしていないんですか。

篠崎政府参考人 県におきましては、静岡県から聞いた話でございますが、他の補助事業と同じように、申請時においては書面によるいろいろな調査をいたしまして、交付確定時に現地で関係者の立ち会いのもとに検査をしていたというような実態があるわけでございます。

 ただ、その後、それを改善いたしまして、平成十年度からは、工事の途中で現地に入って調査をするというように変えているということを聞いております。

木下委員 いや、それは詭弁ですよ。私も何回も聞きました。要するに、同じ静岡県でも、同時に四件の案件があります。四件の案件で補助金がおりています。違う案件については、担当者が十八回も調査に来ています。なぜここだけ調査しなかったんですか。国として何で指導しなかったんですか。もう一度答弁ください。

篠崎政府参考人 その点も含めまして、静岡県からの報告を待って対応を考えたいと思っております。

木下委員 実は、この静岡県の担当者というのは、厚生省から出向していた人間なんです。当然、厚生省としても、御自分のところから出向している人間、当時保健衛生部医務課長、その後、平成九年に組織変えにより健康福祉部指導課長に肩書が変わっていますが、彼は厚生省から出向しているんです。その点、もう一度お答えください。

篠崎政府参考人 ちょっと調べてみたいと思います。その年次で医務課長には行っていたかどうか、ちょっと違うような気がしますが、調べてみます。

木下委員 もう一つ。この熱川温泉病院、これを経営しているのは健育会なんですが、この健育会というのは、全国に九つの病院あるいはクリニック、あるいは特別養護老人ホームを持っております。このグループにはさまざまなうわさがあります。さらに、この前理事長、先代の理事長は茨城県出身です。茨城県出身の厚生族の元大物国会議員、これがバックにいるということで、かつて何回も問題になったことがあります。今回の案件についても、例えば政治力が働いたのではないかという指摘がありますが、その辺はどうですか。何らかの確認はしていますか。

篠崎政府参考人 御指摘の点につきましては、承知をいたしておりません。

木下委員 そうすると、もう一度確認しますが、今お話ございました、要するに、三〇%のあれなのに七〇%請求したということに対しては、もし事実とすれば、どういう形での返還、あるいは返還請求なり、それを予定していますか。

篠崎政府参考人 これは、補助金等の適正化に関する法律によりまして適正に対処をしなきゃいけないのでございますが、国といたしましては、静岡県に対する間接補助ということになっておりますので、先ほども申し上げましたが、その進捗状況につきましてはただいま静岡県が調査を、当該年度が何%であったのかという調査をいたしております。

 それによりまして静岡県がどういう判断を下すかということでございますが、一般的に考えられますのは、補助金の一部返還あるいは全部返還、それから加算金の問題もございますが、その点を含めて、補助金等の適正化法に照らして適切な対応が図られるものと思っております。

木下委員 これは私もいろいろ調べました。病院側が計算ミスとか不注意で申請したんじゃないんです、過って申請したんじゃないんです。明らかに虚偽の申請をしているわけですよ。要するに、もう七〇%もできているのに、あるいは八割もできているのに、写真をごらんのとおり、もう八割近くできているわけですよ、それをわざわざ三割にして七割部分を請求する。これは意図的な、あるいは作為的な詐欺ですよ。その辺、どう認識していますか。

篠崎政府参考人 その進捗状況が一番問題なのでございまして、先ほど来申し上げておりますように、静岡県の調査、それで上がってくるその報告を待って、私どもとして適切に判断をしてまいりたいと考えております。

木下委員 この補助金の不正受給疑惑については、平成十一年八月二十八日に、静岡県賀茂郡に住む会社役員が、静岡県の石川知事と当時の申請受付担当者であるその保健衛生部医務課長、さらには病院、医療法人、これに対して、補助金六億一千万円を国と県に返還することを求める民事訴訟を静岡地裁に起こしておりますが、これについては承知しておりますか。

篠崎政府参考人 承知いたしております。

木下委員 これは、事実上、地裁の判決は原告側が敗訴になりました。しかし、直ちに原告側が控訴しまして、今東京高裁で裁判が行われております。

 実は、十一月十九日に第二回の公判がございました。ここで、病院側が突然、六億円を返したいという話になったそうです。これは聞いておりますか。

篠崎政府参考人 法廷の場でそのような申し出があったということは、県の方から連絡を受けております。

木下委員 とすれば、これはやはり病院側に何らかの落ち度があった、これはミスであるか、あるいは意図的であるかは別にして。ただ、その総額については、既に法務省に供託金として六億円を供託しております。これはやはり一刻も早く国庫に、あるいは返納すべきだと思うんですが、この手続はどうなりますか。

篠崎政府参考人 実は、県の方が調査に入る前にいろいろ資料がない状況があったものですから、この五月以降、精力的に進捗率について調査をしておるところでございますので、私どもといたしましても、なるべく早くその結果をいただいて、適切に対応したいと思っております。

木下委員 当然、これを不正に受給したわけですから、この全額返還、それから、交付された平成九年から今日までの、やはり、まともに申請しても受けられなかった、そうした病院あるいは医療機関があるわけですから、そうしたところを犠牲にしてこういうところへ交付しているわけですから、そうした人たちの損害賠償、それから五年間にわたる金利、そういったものを含めてこれはきちんと対処してもらいたいと思うんですが、それはやっていただけますか。大臣、いかがでございますか。

坂口国務大臣 私も、具体的なケースのことにつきましては詳しく知っているわけではございませんが、この不正受給の事実がもしあるとするならば、補助金の返還を含めまして、厳正に対処したいと思います。

木下委員 この問題はさらに追及したいと思いますので、きょうは時間がありませんのでこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。樋高剛君。

樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうもお時間をいただきまして、ありがとうございました。

 この委員会室を見渡しますと、委員の出席率がかなり低い。今国会は雇用国会と言われておりますけれども、こんなのでいいんだろうかと本当に率直に思うわけであります。どうか、中身のある議論をきょうはさせていただきたいと思っております。

 私は、今から十年前、サラリーマン生活にピリオドを打ちまして、現小沢一郎党首の門をたたきまして、自宅に住み込みをしながら、書生をしながら政治を学び、そして時にはかばん持ちをしながら修業してまいったわけであります。

 そんな中で、いわゆる自公民の時代から、現坂口厚生労働大臣の行動、発言につきましては、私は裏方ではありましたけれども、さまざま触れさせていただきました。卓越した御見識、そしてお考えに触れさせていただきました。また、大臣の人柄も、同僚の議員から伺いますと、とても心の通った人格者でいらっしゃる、その上、政策はピカ一であるということであります。その坂口大臣と議論できますことはまことに光栄でありまして、どうか率直なお考えを御期待申し上げたいと思います。

 前半で総論、そして後半では各論について議論させていただきたいと思いますけれども、今回の雇用情勢、大臣もおっしゃっておいででしたけれども、私に言わしめれば、緊急事態を通り越してもうどうしようもない状態、悲惨な状態、そういう状況まで来てしまっているのではないかと思うわけであります。そんな中にありまして、情勢認識が甘いんじゃないか、そして全く危機意識が感じられないんじゃないか、この委員室を見回してもそのように思うわけであります。

 失業率五・三%、そして失業者三百五十七万人というのは、福井県、山梨県、鳥取県、島根県の四県のすべての人口を足した以上の人数に当たるわけでありまして、大変な数字であります。しかも、それはあくまで統計上の数字にすぎないんだそうでありまして、細かいことはわかりませんが、この失業者の数字を出すに当たっては、一カ月の最後の一週間のうちの一時間だけ有給、報酬をもらって仕事をしたかどうか、ただそれだけで数字を出しているんだそうでありまして、ほかにも、いわゆる企業内潜在的失業者は百五十万人以上、そして求職をあきらめた人が四百二十万人以上いると言われておりまして、この失業の問題に直面をしておりますのは約一千万人にも至らんとしているとも言われております。

 雇用の問題は、ただ雇用のことだけを考えていたのでは解決をしない。広く経済構造、社会構造と連動しておりまして、世の中の仕組みをどのようにしていくか、そして二十一世紀の日本社会のビジョンにまで踏み込んだ方策をとらなくてはならない、私はそのように考えます。

 私が考えまするに、昨今の雇用状況を踏まえた上で、どのような理念に基づいてどのような社会をつくろうとしているのか見えてこないところに、我々国民は不安を感ずるわけであります。将来の姿が見えてこない。見えてこないものに対して不安を感ずるのは、これは当然のことであります。十年後、二十年後の日本をこのようにするというイメージがわいてこないわけであります。

 将来の長期的なビジョンをしっかりと示した上で、その次に、今すぐ講じなければならない方策というのは何なのかということを明確にし取り組むのが私は物事の順序ではないかと思うわけであります。既存の枠組みにとらわれた単なるつなぎではなくて、経済、行政、財政、税制の仕組みを根っこから見直すことこそ、まさに本来の構造改革ではないかと思うわけであります。

 今回の法案は、場当たり的なその場しのぎの対症療法の域を決して出ないのでありまして、中長期的ビジョンが欠落していると言わざるを得ないのであります。もちろん、今回は緊急的な措置であるとおっしゃっておいででありますけれども、その緊急的な措置につきましても、やはり長期的なビジョンの中の一環として私はその施策が速やかに行われるべきであるという考えであります。

 そこでまず冒頭、大臣に伺いますけれども、雇用の問題を抱える現在の日本を、将来、一体どのような日本の姿に改革をして、そして長期的視野に立って解決なさろうとしていらっしゃるのか。社会システムを変革いたしまして、雇用創出型の構造改革へと行動に移すことが重要である。大胆な具体策とともにお示しをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 委員から初めに余り褒めていただいたものですから、これは後は危ないぞと思いながら聞かせていただいておりましたけれども、案の定、初めからなかなか厳しい御質問をいただきました。

 やはり日本の現状を見ましたときに、一つは、少子高齢化が超スピードで進んでまいりまして、現在は失業者が非常に多い状況でございますが、もし経済が回復をしてまいりましたことを考えますと、日本の人口は急激にこれから減っていくわけでございます。二〇一〇年ぐらいには、二〇〇五年のときの百二十万からこの労働力人口が減るというふうに言われておりますから、その二〇一〇年の後はいわゆる秋の日のつるべ落としと申しますか、もうとんとんとんと失業者が減っていく、そうした日本がこれから来ようといたしております。

 一方におきましては、グローバル化、国際化の中で、日本が今まで築いてまいりました第一次産業そして第二次産業が音を立てて崩れるという事態に今立ち至っております。そして、将来これが改善されるかといえば、この日本を取り巻きますアジアの諸国の賃金と日本の賃金を比較いたしました場合に、どうしても太刀打ちのできない部分がある。そして、その国々が非常にすぐれた生産物を、製造物をつくるようになってきている。

 したがいまして、一次産業、二次産業を我々が今までのような形でこの日本の中で行うということがまことに難しい段階になってまいりました。その中でこれからどういう働く場を我々がつくっていくのか、これは、かなり長期的に構えた政策を立案していかなければならないのであろうというふうに私は思っております。

 そうした中で、この雇用問題を考えますときに、昨今だけではなくて、もっと将来に結びつく雇用対策をつくらなければなりませんが、そのためには、一次産業や二次産業も決してこれは捨ておくことはできません。新しい産業の創造に向けた努力をしなければならないというふうに思いますが、それだけではしかし足りない。したがいまして、今まで以上にやはり三次産業をこれは大事にもっと育てていかなければならない、ここで働いていただく皆さん方を育てていかなければならないというふうに思います。

 これらのことを行いながら、最終的にそこで残ってくるのは何かといえば、諸外国と競争をいたしますときに、日本の賃金とそして東南アジアを初めといたします諸外国との間の賃金格差をどう埋めていくかということになってくるだろうというふうに思います。ここが一番の難しい問題であり、ここを乗り切らなければ日本の将来はなかなか生まれてこないということだろうというふうに思いますので、そのことをお互いに議論をしながら、今国会の雇用問題だけではなくて、この委員会の中におきましてそうした議論を、本当に腹を割ったお話し合いをさせていただきながら、将来の新しい日本をどうつくっていくかということを考えなければならないというふうに思っております。

 午前中にも申しましたとおり、競争原理がまことに大事であることは私もそのとおりというふうに思っておりまして、規制改革を行い、構造改革を断行していかなければならないというふうに思っております。

 委員は、初めにもおっしゃいましたとおり、小沢一郎党首のもとで薫陶を受けられて、そして、日本改革ということについて、日本一新ということで大変な御勉強を重ねられたことと思います。その高い見識をお聞かせいただきながら、これからの議論を続けていきたいと思っております。

樋高委員 大臣からも身に余るお言葉をちょうだいいたしました。これまた私の方も危ないなとちょっと危機感を感ずるわけでありますけれども。

 いずれにいたしましても、将来に結びつく雇用の創出を願いたいわけであります。そして、大臣おっしゃいましたけれども、やはり腹を割った議論をしたいと思います。各論ではぜひ大臣の率直な前向きな御答弁を賜りたいと思います。

 この雇用の問題も当然含めてなんですけれども、経済社会の活性化という意味におきましては、やはり規制の撤廃、規制緩和は不可欠であると認識しております。いわゆる規制の廃止によりましての雇用、仕事をつくっていくということであります。

 行政のむだをなくして、役所が細かくはしの上げ下げまで口を出す規制社会、管理社会を改めまして、自立した個人がみずからの責任と能力に応じまして自由に活動できる公平で開かれた自立社会、つまりフリーでフェアでオープンな世の中をつくることを私は理念といたしておりますけれども、規制の撤廃、緩和が雇用対策の一つの大きなキーワードではないかというふうに考えております。官僚の方々も、一々重箱の隅をつつくようなことはそもそもやりたくないんではないか、将来の日本をどうするのか、天下国家の思案を通じて、明るい未来を築くために優秀な頭脳をお使いいただくことを望んでいるのではないかと私は考えるわけであります。

 自由党では、雇用対策も視野に入れまして、規制の撤廃、緩和へ向けまして、今臨時国会での構造改革の法案成立を目指しております。真の構造改革を断行しない限り、競争力ある企業による社会は生まれてこない、雇用は創出されないと考えるからであります。抜本的な規制の撤廃、緩和をやらなくてはいけない。

 その一つにつきまして、副大臣にお伺いをさせていただきますけれども、業法廃止法案というのを今考えております。これは、自由な経済活動を阻害して、行政指導、いわゆるお役所がそれぞれの業界に対して、ああじゃない、こうじゃないということを指導する根拠ともなっております各種業法を原則廃止いたしまして、統一ルールを定めることによって経済を活性化させるための法律案であります。これによりまして、明治以来我が国が行ってきた官が民に一々指導する社会を改めて、民間の創意工夫が十分に生かされるというふうに考えるんでありますが、いかがでしょうか。

南野副大臣 御質問いただきました。

 先生の岳父平野先生には本当に大変御指導いただいたところでございます。先生の掲げておられる大きなマインドが自由党を引っ張っていかれるんじゃないかなというふうに思っております。

 先生今お話しになられました業法廃止法案、これもまだ先生のお話を十分お伺いしておりませんのでその内容については触れることができませんが、今我々としてどのように考えているかということをちょっと御報告させていただけるかなと。

 小泉内閣におきましては、改革なくして成長なし、その基本的な考えのもとに、今、日本経済の本来の成長を高めるために取り組んでいるところでございます。構造改革も着々と進めていきたいと思っておるところでございますが、今回取りまとめました総合雇用対策におきましても、思い切った規制・制度改革により、新市場、新産業を創出しながら雇用の受け皿整備を推進することを大きな柱として位置づけているところでございます。今後、総合雇用対策に盛り込まれました施策を着実に推進することにより、雇用創出に万全を期してまいりたいと思っております。

 先生の高邁なる業法廃止法案、また近々見せていただき、勉強させていただけるのかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

樋高委員 副大臣からもお褒めをいただきまして、ありがとうございました。

 時間がありませんので、ここで各論に入りたいと思うんでありますけれども、いずれにいたしましても、規制の緩和、撤廃を行いまして、新しい市場、産業の育成によって新しい雇用をつくり上げていかなくてはいけない、これはもう急務である。産業競争力の強化とともに、経済活動の土俵を広げまして、個人個人が新しい仕事にチャレンジできる環境を整えまして、個人ですとか企業の努力が報われるような社会をつくり上げる、そこまでの長期的な大きなビジョンを持った上で雇用対策を講じていかなくてはならないと私は考えるわけであります。

 雇用につながる構造改革の根本は、いわゆる官僚主導の護送船団方式の行政、民が官に依存し、地方が中央に依存し、なれ合ってきた規制社会、中央集権体制を仕組みから改めることを理念とすべきであると考えております。

 各論に入らせていただきますけれども、まず取り上げたいのは、いわゆるハローワークの改善であります。公共職業安定所の改善についてでありますけれども、この公共職業安定所、ハローワークは、いわゆる国直轄の機関でありまして、今すぐできることの一つではないかと思うわけであります。

 このハローワークは、平日の朝の八時半から夕方の五時まで、平日の、いわゆる普通の方はお仕事をなさっている時間帯のみ開庁しているわけでありまして、東京、大阪、名古屋の五カ所につきましては夕方から二時間だけ延長して七時までやっているということも伺っておりますけれども、やはり時間延長、これを大臣に強く求めたいと思います。

 それはなぜなのかということでありますけれども、やはり、離職を控えた在職中の労働者への紹介が必要ではないか。つまり、例えば、今月であなた、悪いけれどもちょっと新しい仕事を探してくれ、今月いっぱい働いてくれと仮に一カ月前に言われたとして、しかしながら、子供を二人三人抱えていて、塾も出さなくてはいけない、お金もこれからまだまだ必要になってくる。だから、今月いっぱいで今までのお勤めした会社をやめて、その後すぐにでも、来月から新しい仕事に入りたい。そう思っているものの、実は、このハローワークさんがあいている、紹介事業を行っている時間帯が極めて限られている。

 もちろん、五時から七時まで二時間時間延長したのは私は高く評価をしたいと思うんでありますけれども、普通のサラリーマンが夕方五時、六時まで仕事をして、その後ハローワークさんに移動する、三十分か一時間はかかるんだと思いますけれども、そうしたら七時になってしまうわけです。そうしたら、せっかく、本来今回延ばしたのは、いわゆる在職中の方も、一人でも多くの方々に、今緊急事態でありますから、やはり新しい職を探していただく機会を国が直接提供するということは、私は重要なんではないかと思うわけであります。

 新聞報道でもありましたけれども、先週末、金曜日、十一月十六日に方針を固めた、求職活動を積極的に支援、失業率の上昇に歯どめをかけるためということでありますけれども、まず時間については私はせめて九時ぐらいまで、平日仕事をして、夜二時間ぐらいパソコンの画面に向かって、仕事を終えて早目に上がらせていただいて七時ぐらいにハローワークさんに着いて、二時間ぐらい、せめて九時ぐらいまで平日でも探せるように。そしてまた一方で、土曜日、日曜日、祝日の、いわゆる休日にも探せるように時間をすべきではないかと思うわけであります。

 もちろん、一部は土曜日の十時からも開庁、開所というんでしょうか、開庁なさっていることも伺っておりますけれども、その新聞報道によりますと、来年の一月から時間延長、もしくは、場合によっては祝日の開所するのを十五カ所から二十カ所にふやすということでありますけれども、これは、各都道府県単位にしても、一カ所にも至らない。

 全国で今ハローワークは、出張所を含めて四百七十八カ所ございます。せめてその四分の一の百二十カ所程度までは、つまり各都道府県に二カ所から三カ所ぐらいは、土曜日、日曜日、祝日、そして平日の夜間でも紹介作業をすべきではないかと私は考えるのでありますけれども、いかがお考えでしょうか。

坂口国務大臣 東京、大阪、そして名古屋と今まで時間延長をやってきたわけですが、いろいろの皆さん方からの御指摘もあり、現実問題として失業者の皆さん方が朝の九時から五時までではやはり行きにくい、こういうふうに言っていただくものですから、やはりそれにおこたえをしなければならないというので、地方都市にまでこれは広げたいというふうに思っています。

 しかし、九時までというのはなかなかちょっと厳しいのかなと。午後七時ぐらいまではやりたいというふうに思って今やっておりますが。これはやはり、我々の方も労働組合がございまして、労働組合の許可も得なければいけないわけでございますしいたしますので、そこはなかなか、九時までというのはちょっと厳しいかなというふうに思いますが、しかし、正規のハローワークの職員の皆さんだけではなくて、いわゆるアドバイザー的な皆さん方もお手伝いをいただいておりますから、その皆さん方をできるだけふやして、そして回転をよくしていくといったようなことを今心がけているところでございますし、これからもそうした人たちをもっともっとふやしていきたい。そうしなければ正規の人たちも体がもたないというふうに思いますから、そのようにいたしまして、国民の皆さん方にできるだけおこたえをするようにしていきたいというふうに思っております。

樋高委員 夜間延長、それは行政サービス、なかなか難しい部分がもちろんあるのは理解しておりますけれども、それであるならば、同じような話でありますけれども、土曜日、日曜日、祝日にも、もちろん一部土曜日開庁しておりますけれども、ぜひこれはお考えをいただきたい、御検討いただきたいと思うわけであります。

 例えば、いわゆる非自発的失業というんでしょうか、リストラになった。それを機会に、自分は田舎に今まで仕事を持っていたけれども、東京に出ていって東京で職を探してみようということに相なりましたときに、例えば新幹線に乗ってでも東京に週末お休みの日を利用して出てきて探すこともできるし、また、東京で一生懸命汗水流して、本当に一生懸命働いたけれども、会社が倒産してしまった、では、これをきっかけに田舎に帰って親孝行しようじゃないか、親と一緒に暮らしながら仕事を私は探したいんだという方もいらっしゃると思うんです。だからこそ、平日の夜だけではなくて、土曜日、日曜日、祝日にもぜひ前向きに開所をしていただきたいと私は思うわけであります。

 いわゆるハローワークさんでの紹介によりましてよい仕事にめぐり会えて、そうすることによって、意欲、能力もあって即仕事ができる方もたくさんいらっしゃるんではないか、そういう方々がまず一人でも多く仕事につけるような、国直轄の機関がやはり率先して見本を見せるべきではないかと私は思うわけであります。

 また一方で、そういった時間延長をすることによりまして、先ほど大臣おっしゃっておいででした、人数が足らぬということでありますけれども、もちろん財政的な措置、裏づけも必要でありますけれども、緊急事態でありますから、やはりキャリアカウンセラーのお力を新しくかりるなり、職業相談員さんそのものの人数をこの際ふやすことによって、それ自体が新規雇用に私はつながるんではないかというふうにも考えるんであります。これこそ、先ほど来、公的雇用という話、いろいろ難しい部分もあるというのも議論を伺っておりましたけれども、まさしく、ハローワークさんの人員をふやすということによって、それ自体が一つの雇用対策としての意味も私は持つんではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 ハローワークの人数をふやすことができれば一番スムーズに事は運ぶわけでございますが、限られた人数の枠の中で私たちはやっていかなければならない。そういう今全体の環境の中にあるわけでございますので、この正規の人数を大幅にふやしていくということはなかなか難しいんだろうというふうに思います。

 しかし、そうはいいますものの、国民の要求が非常に多いということは事実でございますから、このハローワークの分野に、より多くの人がひとつ国民の皆さんに対応できるような体制をつくる、それにはどういう方向があるかということを少し知恵を絞らなければいけないというふうに思っています。ハローワークの正規の職員の皆さんだけに大変な思いをいつまでもさせるといったことではいけないので、やはりここも考えていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

樋高委員 もちろん、人数をただふやせばいいわけでもないし、職業安定所で働いていらっしゃる方々のことももちろん考えなくちゃいけないんですけれども、こういう昨今の状況を考えますときに、ある意味で、ここが大臣の本当のリーダーシップの一番の私は見せどころではないかと思うわけであります。どうか前向きに、公共職業安定所の時間延長、土曜日、日曜日、祝日も含めての紹介業務に向けまして、強く要望をさせていただきたいと思います。

 最後に、一問だけ大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 公的就労事業、午前中もきょうずっと議論がありました。そして、大臣の話の中には、悪い事例ばかりじゃなくてよい事例も挙げてくれないか、そんな話もありましたし、また、今回から失業者の新規雇用の割合を四分の三以上に課したり、人件費の割合を八割以上にするということも伺ったわけなんですけれども、緊急地域雇用創出特別交付金の事業でありますから、原点に戻ってよく考えてみますと、四分の三などと言わず一〇〇%、中途半端にしないで一〇〇%新規雇用、いわゆる失業者のみの雇用に限定してしまった方がいいのではないかと思うわけであります。

 やはり、そこに四分の三以上という条件を課したことによって、残りの四分の一は、もちろんそれもすべて雇用に使われるんであれば大いに結構なことですし、それはそれで私は一つの役割を果たしているとは思うんです。しかし、目的が雇用の創出ということをこの間の本会議でも総理が答弁の中でおっしゃっておいででしたので、新しい仕事をつくるのが主目的は当たり前ですけれども、主目的だけであってはいけない。その残りの四分の一があることによって、そこがいわゆるばらまき行政じゃないかと指摘されるわけであります。

 いずれにいたしましても、先ほどのハローワークの話じゃありませんが、公的就労につきましては本格的な就職までのつなぎ、そのつなぎの間に仕事を探していかなくてはいけないということでありますけれども、その仕事によりましてはもちろん時間が短い場合もありますし、先ほどの森林の作業のように、毎日でない、合間を縫って仕事を探せばいいじゃないかという話もありました。

 私はどうも腑に落ちないのは、やはり、本来のいわゆる失業者への緊急救済策ではなくて、財源不足の自治体が交付金を通常の事業に惰性で使ってしまっていることが指摘されておりましたけれども、そちらの方に随分流されちゃっているなと。もちろん、難しい部分、今までの雇用対策の反省も含めての話なんでしょうけれども、どうもよく私には理解ができないわけであります。

 いずれにいたしましても、短期雇用措置にとどめるんではなくて、先ほど来申し上げてきましたけれども、中長期的な就労の定着に結びついていくビジョンが必要である。長期的雇用に結びつきやすい職種に限定するなど、いわゆる中途半端な施策ではなくて永続的な雇用創出の場が必要であると思うわけなんですけれども、最後に、大臣にそのことにつきまして御所見を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 できる限り、今御指摘いただいたように、そういう方向でやりたいというふうに思っています。

 しかし、一方におきましては、余りいろいろの条件をつけますと、余り条件がついていて使いにくいというお話も一方ではまた出てくるんだろうというふうに思います。しかし、これは雇用のために予算編成をしたものでございますから、これが雇用のために大きな威力を発揮できるように、私たちも効率的に使わなければいけないというふうに思っております。

 したがいまして、都道府県や市町村に対しましては、このいわゆる財源の趣旨なるものを十分に話をし、あるいはまた書き添えて、そして、この中で少なくとも八割以上は人件費に使うんですよといったようなことを、八割以上にするんですよといったようなことをはっきりと理解をしていただいて、そして、これで雇用拡大のために使っていただきたい、知恵を絞っていただきたい、こういうふうに思っております。

樋高委員 いわゆるこの事業につきましては、その後、事業の実績につきまして国に報告するとともにこれを公表するとあります。失業者雇用、そして非失業者雇用の割合の報告も今後なされるということでありますけれども、しっかりと追跡をしていただきまして、検証、そして次に向けてその反省点をしっかりと生かしていただきたいと思います。

 雇用の問題は今急務であります。今、刻一刻と、きょうもまさしく仕事を離れなくてはいけないということを通告される方もいらっしゃる、その気持ちを考えるときに、本当にいても立ってもいられない、そういう考えであります。どうか、大臣、そして副大臣、そして厚生労働省の皆様方、この雇用対策に対しまして、最も実効性の上がる施策を積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 小沢和秋君。

小沢(和)委員 私は先日の本会議で、失業の増大を当然の前提とする立場でつくられたこの法案は、そもそも雇用対策の名に値するかと質問いたしました。これに対し小泉総理は、失業の発生を抑えるためにも早期成立をお願いしていると述べられました。しかし、本当に失業の発生を抑えようとするのであれば、肝心なのは首切りや人減らしなどをできるだけ抑えることではないのでしょうか。

 大臣は、解雇を規制もせず、大量の失業の発生を当然とする立場で本当に有効な雇用失業対策を講ずることができると思われるか、まずお尋ねをします。

坂口国務大臣 予防が大事だという小沢議員のそのお考えは、私も全くそのとおりだと思っています。初めて一致したような気がしますが、これは本当にそのとおりだと私も思っているわけでございます。どんなに失業対策をやるよりも、やはり予防をやらなければならないということはもうそのとおりだというふうに思います。

 言ってみれば、経済の中で雇用対策というのは一番最後の出口のところの話でございまして、入り口のところをどうするかということによってこれは決まるわけでございますから、最後の出口のところだけどれほど一生懸命になりましても、この問題が解決しないことは当然でございます。

 そうした意味で、予防対策を重視しろという御主張はそのまま私もそのとおりというふうに考えている次第でございます。

小沢(和)委員 九月から労働政策審議会の労働条件分科会で、いわゆる解雇ルールの議論が始まっております。マスコミの報道では、この分科会では当初そういう議論をする予定はなかったが、総理から、解雇しやすくすれば企業はもっと人を雇うことができるとの指示があり、急に解雇ルールの審議が始められたと報じられておりますが、事実でしょうか。

 私は、その審議内容を知りたいと思い、厚生労働省のホームページにアクセスいたしましたところ、審議は非公開と表示してありました。これほど労働者に重大な問題をなぜ密室審議にするのか。当然今後は公開し、全国民が見守る中で論議を進めるべきではないか。お尋ねをします。

坂口国務大臣 解雇ルールの問題につきましては、先般来、私、お答えをいたしておりますように、これは総理から言われたからとかなんとかということではなくて、雇用が多様化をしてまいりますこれから、やはりどうしても必要になるのではないかというふうに考えているから申し上げたわけでございます。決して首切りをしやすいようにというような意味で、私は、解雇ルールなるものをつくろうといったようなことを言っているわけではございません。もちろん、理由なく解雇をされるようなことがあってはならないという気持ちを持って私は言っているわけでございます。

 委員会があって、そして委員会の内容がホームページに公開されていないではないかというお話でございますが、これは申しわけありません、この部分が欠落をしているようでございます。私も、委員からの御質問があるというので調べましたところ、確かに欠落をいたしておりますので、これから、今までの分も含めまして、これからの分は当然でございますけれども、ホームページで明確にお示しをするようにしたいと思っております。

小沢(和)委員 会議録は公開されるように今聞こえましたが、会議そのものの非公開というのも、私は、まずいんじゃないか、これも公開をすべきだという意味でもお尋ねしたんですが、いかがでしょう。

日比政府参考人 御指摘のように、現在、労働条件分科会について会議は非公開となっております。

 ところで、労働政策審議会関係のいろいろな分科会、部会等ございますが、公開する方向で全体としては動いておりまして、労働条件分科会につきましても、かねてよりその公開の議論を分科会のメンバーの中でしていただいたこともございます。現在は非公開でございますが、なおこの分科会を構成されておられる方々の御意見等も承ってまいりたいと思います。

小沢(和)委員 くどいようですけれども、こういう重大な問題だから、公開をして国民が見守る中で議論を進めていただきたいということを重ねて申し上げておきます。

 さて、私が先日の本会議の質問で、雇用を守るためには大企業の身勝手なリストラを規制すべきだとNTTや電機大手各社の例を挙げましたところ、早速住友金属の労働者の方から、うちでもこんなひどいリストラがやられているとの訴えがありました。住友金属は、御承知のとおり、鉄鋼大手五社の一つに数えられる大企業でありますが、今年四月、大リストラ計画を発表いたしました。

 それによると、住友金属本体を純粋な持ち株会社にし、各製鉄所を事業ごとに分社化する、そして今既に出向させられている約九千名については、一たん全員を退職させて、出向先に転籍させ、これで三百億円の労務費を浮かせようとしております。さらに、下請企業を半分に減らし、下請単価を三割から五割切り下げるというすさまじいものであります。職場では、住友金属に入社したばかりなのに、よその会社に行けとは詐欺ではないか、これから定年まで四十年も低賃金で辛抱しろというのか、在籍出向という約束は絶対守りますと言っておきながら今になって転籍とはだまし討ちだ、転籍で賃金を三割も四割もカットされたら家のローンが払えないなど、怒りと不安が渦巻いているといいますが、当然だと思います。

 住友金属は今でも約三千億円近い内部留保を持っており、社長自身が業績に不安はないと言っております。鉄鋼は電機と違って中国などの激しい追い上げはなく、むしろアメリカからは、最近も輸出し過ぎで反ダンピング法の攻撃を受けているくらいであります。要するに、もっともうけたいということで、労働者や下請企業、地域経済にこういう犠牲を押しつけております。そんな身勝手なリストラが許されるものでありましょうか。

 ここで確認しておきたいのは、転籍には本人の同意が必要という最高裁判決があることであります。このことは、先日の本会議質問で、NTTの問題でも私は触れましたが、最高裁の判決どおりなら、労働者がこの転籍を拒否すれば会社は強行できないはずだと思いますが、間違いありませんか。

坂口国務大臣 転籍には労働者の承諾が必要であるというふうに、私も理解をいたしております。

小沢(和)委員 転籍には本人の同意が必要ということは、会社もよく知っております。だから、賃金が三割も四割も下がる転籍を嫌がる労働者を何が何でもうんと言わせようと必死になっております。会社は、労働者が何回断っても執拗に工作を行っておりまして、出向に応じなければ職場はないなどと脅迫めいた説得を繰り返しております。こういうおどしで同意を迫るのは人権侵害であり、断じて許されないし、一定の限度を超えれば不法行為となるはずだと思います。

 そこでお尋ねをしたいのは、どういう場合に不法行為となるのかということであります。ここで私が思い起こすのは、一昨年、同じ鉄鋼大手の一つである日本鋼管で同じような転籍強要問題が起こり、神奈川労働基準局長が会社に対し、文書で助言を行っておることであります。その中で、転籍の説得が限度を超えれば不法行為となる裁判の判例を五つ挙げていると聞いておりますが、どんな判例が挙げられているでしょうか。

日比政府参考人 転籍そのものではございませんけれども、恐らく結果としては類似ということになろうかと思いますが、退職勧奨に関する裁判例が幾つかございます。それで最も代表的なものは下関商業高校事件で、最高裁まで争われたものもこの一例だと思いますので、神奈川局の方でも、中心としてはこの下関商業高校事件、これを引き合いに出しておったものと思います。

小沢(和)委員 だから、神奈川労働基準局長が会社に対して、こういう場合は説得の限度を超えておって不法行為になりますよといって五つ例を挙げているというふうに聞いているから、その五つ、これこれというふうに、もう少し具体的な内容を言ってください。

日比政府参考人 神奈川局で取り上げているものでございますが、今おっしゃられたもので、参照裁判例としては実は三つを別添一、二、三という形で挙げておるんですが、実はこれは一審、二審、上告審という関係になっておるものですから、いずれもここで取り上げておるのは下関商業高校の事件でございます。

 それで、中身でございますが、実は、この事案そのものは昭和四十年代の、現在のいわゆる定年制がない時代の公務員に対する退職勧奨の事案でございますが、一審、山口地裁では、これは限度を超えた退職勧奨だとして、違法であり、損害賠償を命じております。それで、広島高裁、二審でございますが、判決文の一部については書きかえ等を行っておりまして、判断の基準等はやや一審、二審で微妙に違っておりますけれども、やはり一審判決の考え方を結論としては維持しております。それで、昭和五十五年に最高裁第一小法廷で判決が出ておりまして、これも、原審、広島高裁の判断を認容し、したがいまして、限度を超えた退職勧奨であるとして、損害賠償の支払いというものを求めたもので確定しております。

 そこで、限度の問題でございますが、どの程度の勧奨行為が限度を超えるかどうか、これについて具体的な判断基準というのは一審と二審で微妙に違っておりますけれども、総じて申し上げますと、退職勧奨のいろいろな根拠の問題もあるけれども、被勧奨者、勧奨を受ける者が基本的には自由にその意思を決定し得ることが大切と。

 したがいまして、勧奨行為そのものが、その回数なりあるいは個々の勧奨行為の時間、態様のあり方等については、概括的な言い方で申し上げて恐縮ですが、社会的相当性というものがあるのでおのずから限度がある、その自由な意思決定を妨げるようなことはどうであろうかというふうな観点で、一定の限度を超えれば違法なものであり、したがって損害賠償の責めにも任ずることになるということがこの下関商業高校事件についての裁判所の考え方であると言ってよいと思っております。

小沢(和)委員 私、ちゃんと質問通告の中で、もっと端的に、あなた方が日本鋼管に出した文書の一節を読み上げてくれればもうそれで済むんだというふうに申し上げたんですがね。だから私、手元にあるからちょっと読み上げてみますけれども。

 退職勧奨の許容される限界を超えるものと判断している場合として、一、出頭を命ずる職務命令が繰り返される場合、二、被勧奨者がはっきりと退職する意思がないことを表明した場合に、新たな退職条件を提示するなどの特段の事情がないのに執拗に勧奨を続ける場合、三、勧奨の回数及び期間などが退職を求める事情の説明及び優遇措置などの退職条件の交渉に通常必要な限度にとどまらず、多数回、長期にわたる場合、四、被勧奨者に精神的苦痛を与えるなど、自由な意思決定を妨げるような言動がある場合、五、被勧奨者が希望する立会人を認めたか否か、勧奨者の数、優遇措置の有無などについて問題がある場合。

 あなた方の文書にこう書いてあるんですよ。これを確認してください。こういう場合でしょう。

日比政府参考人 これは平成十二年のことでございますが、当時の神奈川労働基準局長でございますが、御指摘の内容の文書を出したことは事実でございます。

小沢(和)委員 今の答弁ではっきりしたと思いますが、私は、住友金属の勧奨行為はもう限界をはるかに超えており、まさに不法行為そのものだと思います。ぜひ実情を調査して、日本鋼管と同じように指導していただきたい。

 さらに会社は、出向していない社員たちにも、皆で犠牲を分かち合おうなどといって、近く賃金を五ないし一〇%切り下げようとしております。これは転籍者の賃下げに見合うものであり、分社のときにやるはずの措置ですが、そのときだと労働承継法で労働条件を一〇〇%承継する義務が出てくるため、会社分割の前に前倒しでやるということではないかと思われます。これは事実上の脱法行為ではないでしょうか。

坂本政府参考人 一般論で申し上げますけれども、株式会社がその組織の再編を行うに当たりましてどういった形態の手法を選択するかということにつきましては、その株式会社の自由な経営判断に基づいて選択をされるべきものであるというふうに承知をいたしております。

 今回のこの住友金属の事例でございますけれども、どういった形態の組織再編を選択されるのかということにつきましても、その住友金属の経営判断に基づくものでございますし、個別の事例について私ども詳細な情報を承知しておりませんので、会社分割法制の活用の是非という観点からは、ちょっと意見を申し述べることは適当ではないというふうに思っております。

小沢(和)委員 時間がありませんので、以下、法案について幾つか質問いたします。

 この法案は、検討すればするほど、これだけ深刻な雇用情勢に対応するには余りにも貧弱な内容だと思います。今回の法案で一番大きいのは、公共職業訓練を再度受けられるようにし、その間、最長二年間雇用保険の給付日数の延長を認める措置であります。これ自体一応評価いたしますが、フランスでは最長五年間、ドイツでは三年近く失業給付を受けられるのと比較をすると、その貧弱さは一目瞭然だと思います。

 緊急措置というなら、なぜ給付日数を全体として延長することを考えなかったのか。現行法にも、全国的に失業情勢が著しく悪化した場合には九十日間全国で給付を延長できる制度があります。せめてこれくらい発動すべきではないでしょうか。

 ところが、本会議での答弁で大臣は、そこまで考えていないと言われました。それなら、一体何%ぐらいの失業率にまで悪化したらこの制度を活用するというのか、お答えいただきたいと思います。

澤田政府参考人 失業率が何%になったらこの制度が活用といいますか発動するかという御質問ですが、もう委員御承知のように、全国延長の発動基準は雇用保険のデータに基づいてはじいた基準でやっておりまして、労働力調査の失業率の数字との相関関係がよくはっきりしない点があります。ということで、失業率何%になったら発動するかお答えできないんですが……(小沢(和)委員「およそ」と呼ぶ)今、雇用保険の全国延長の発動基準というのは基本受給率四%ということになっていますが、現在、雇用保険の基本受給率、これは九月で三・二三%でございます。ですから、これが四に届くことになれば発動するということでございます。

小沢(和)委員 だから、そうすると六%とかそれ以上にならないと発動されないというふうに聞こえましたけれども、失業率が戦後最悪の五・三%となって、雇用対策臨時特例法を今こうやってつくろうという非常事態で、それでも発動されないというような制度では、あっても意味がないんじゃないでしょうか。本当にこれ以上の悪化を食いとめたいというのであれば、政令の発動の要件を引き下げてでも、今こそこの制度の活用を真剣に考えるべきじゃないですか。今度は、大臣、お答えください。

坂口国務大臣 現状を考えましたときに、この失業率をどうすれば下げていくことができるのかということを一生懸命考えなければなりませんが、一方におきまして、最悪のときに一体どうするかということも、当然のことながら考えなければならないというふうに思っております。

 今、現状につきましての報告を局長からしたわけでございますが、諸般の事情を総合的に見ながら、これからまた決定をしていきたいというふうに思っております。

小沢(和)委員 次に、自発的離職者が本年九月現在で百二十七万人で、非自発的離職者百九万人を大幅に上回っております。景気がよくて簡単に転職できる時期ならともかく、この就職難の中で本当に自発的に離職する人がそれほど多くいるのか。

 私がよく聞くのは、会社の嫌がらせや、長時間、過密労働に耐えかねての離職の多くが自発的と処理されているということであります。実際は非自発的である人が、職安の窓口で多数、自発的と処理されているのではないでしょうか。

 去年四月からの雇用保険の改正で、自発的離職者とされると極端に給付日数などに差をつけられるわけであります。そのことを知らずに、簡単に自発的という形でやめた人も多い。もっと、一人一人の実態をきちんとつかんで判断する必要があるのではないでしょうか。

澤田政府参考人 今御指摘の労働力調査の非自発的理由、これは勤め先や事業の都合により前の仕事をやめたという定義になっておりますね。

 それで、労働力調査では、非自発が百九万人、一方、自発が百二十七万人という事実はありますが、私ども、雇用保険でいわゆる非自発的離職者と言っておりますのは、正確には特定受給資格者と言っておりますが、この中には、省令レベルで規定しておりますが、倒産、解雇のほかに賃金が不払いになったとか、賃金が従前に比べて八五%以下に下がってしまったとか、それから上司からの故意の排斥、いわゆる嫌がらせ等々も、いわゆる特定受給資格者、非自発という扱いにしております。

 離職理由を確認する場合は安定所の窓口でやっておりますが、事業主及び本人の申し出をもとに判断しておりまして、事業主の言い分と御本人の言い分が違う場合には、それぞれの主張を確認できます客観的資料等を求めて事実を確認して判断しておりますので、的確な判断がなされているものと思います。

小沢(和)委員 今の答弁は、会社が発行した離職証明書の離職理由欄に自発的と書いてあっても、職安が改めて事実関係などを確認して、最終的には安定所の判断で決める、こういうお答えだったと思います。ぜひ、そういうふうに処理をしていただきたいと思います。

 時間もぼつぼつ迫ってまいりましたので、労働者派遣法の特例についてお尋ねをしたいと思います。

 今回、中高年の派遣労働者の派遣期間の上限を一年から三年に延長した理由は、当然、雇用をふやすためと言われると思います。先ほどは五万人の雇用増を見込んでいると答弁がありましたが、そのように推計する根拠が本当にあるのか。私がいただいた資料では、派遣期間は七割近くが三カ月未満で、九カ月以上の長期にわたるものはわずか三・六%にすぎません。一年を超える需要はほとんどないと思われますが、それなら期間を三年に延ばす法律などつくってもほとんど意味がないのではないでしょうか。

澤田政府参考人 委員御指摘の今の数字でございますが、それは平均の話でございまして、例えば特定労働者派遣事業の場合には、九カ月以上十二カ月未満という派遣期間の方が三三%強おられます。

 これは、事実だけの話でありますが、今回一年を三年までに延ばしたことによりまして、新たに雇用が拡大する部分というものが期待されます。また、現に営業等につきましては派遣労働者として働いている中高年の方もおられるわけで、現に派遣労働者としてついておられる方につきましては、一年の制限が三年まで延びますので、そうした意味では雇用の維持、安定という面で効果が出てくるもの、こう考えております。

小沢(和)委員 同じ趣旨の私の本会議での質問に対して大臣は、営業などで旺盛な求人があると答えられましたが、もしそれほど営業の求人があるのなら、それこそ正社員として採用するのがふさわしいのではないでしょうか。臨時的な派遣労働者では十分な営業活動はできないと思いますが、いかがでしょうか。

 また大臣は、上限を三年に延長しても、一年以上同じ職場で働き続けた場合には正社員に切りかえる指導を行うことに変わりはない旨の答弁をされましたが、それなら、いよいよもって三年に延長する意味はないのではないでしょうか。

坂口国務大臣 やはり一年限りでということになりますと、そこからスムーズに正規の就職にということに行きにくい場合もございまして、少し幅を持って対応した方がいいのではないかというふうに思っています。

 三年にということをしましたのには、一つは、やはり一年だけということになるとなかなか雇いにくいという雇う側からの声もあったりいたしまして、少しそこは延ばさせていただいたわけでございます。しかし、これからもその延ばしました三年の間で、正規の雇用にそれが結びついていくようにさらに私たちも努力をしたいというふうに思っている次第でございます。

小沢(和)委員 時間が来ましたので、これを最後の質問にしたいと思うんですが、大臣は、八月三十一日から派遣制度全体の見直しの検討を開始したとも発言されました。

 私は、労働者派遣法が制定された当時、たまたま社会労働委員会に在籍し、その審議に直接参加しましたが、当時は派遣を認める対象業務は十三に限定されておりました。それが次々に追加され、ついには、逆に原則自由化され、今では港湾運送など幾つかが例外として残されているだけであります。物の製造についても、我々の反対により当面自由化から除外されております。

 今回の派遣期間の延長も、自由化、規制緩和をさらに一歩進める動きと考えられます。こういう除外された分野についても全面的に自由化することが検討されているのではないでしょうか。そのような自由化が行われれば、雇用の不安定化はいよいよ極限に達するのではないか。この際、見直しの検討の方向を明確にしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

坂口国務大臣 正規の問題につきましては、これから検討をしていきたいというふうに思っておりますので、その議論の結果を待ちたいというふうに思っております。

小沢(和)委員 終わります。

鈴木委員長 阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 冒頭、質問通告をしてございませんのですが、一点だけ、今朝明らかになっております北海道での狂牛病の発生について、坂口厚生労働大臣に早急な対処をお願いしたき件があり、御質問をさせていただきます。

 今回、狂牛病ということが判明した牛も乳牛でございます。そして一頭目も乳牛だということで、この間、私もいわゆる食肉牛の肥育にかかわる農家も見学させていただきましたが、ほとんどの肥育にかかわる農業者たちは、肉骨粉などは使っておられずに干し草等々で肥育しておられるわけです。この間、二頭とも乳牛であったということは、やはり、乳牛から由来する食肉と、それからいわゆる廃用牛から由来する肉と、いわゆる肥育の肉の処理に関しまして何らかの区別を、例えば食肉センターでなさるとかする必要があるのではないかと思うのです。

 どういうことかと申しますと、私は、やはりこの狂牛病問題が国民の間に果てしない不安の連鎖を生んでいくということは、今一生懸命牛を育てておられる農家にも本当に気の毒に思いますし、恐らく乳牛の方が、赤ちゃんを産ませるとかお乳を出させるということで高たんぱくにしなければならなかったということもあって、現実に肉骨粉を使用された頻度は高いと思うのです。これも数値的なものはございませんが、私が聞き取ってきた調査ではそう思います。

 そこで、今回の狂牛病発生の報を受けて厚生労働大臣としては、感染ルートの明確化ということはお心にございますでしょうが、そのほかに、本当に即対処できて余分な不安が広がらないための対策、と申しますのは、これからいろいろな食肉センターで解体処理をいたしますときに、また一頭狂牛病が出れば三十頭分、次の消毒が済むまで廃棄ということになりまして、本当に国民の隅々にまで、またというおそれが広がると思うのです。せめて、ラインを分けて処分なさるとか、リスクの高い群のものは後に回すとか、何か具体的な御指導を考えておられるかどうか。きょうの段階ではその一点、よろしくお願いいたします。

坂口国務大臣 正直申しまして、そこまで今考えておりません。

 ただ、今御指摘のように、乳牛というのは、飼料のこともあるし、あるいは品種的にも乳牛は出やすいというお話もあるわけでございます。それらのことはもう少し専門家の御意見をお聞きしなければいけないというふうに思いますが、乳牛と、それからそうではなくて肉牛と申しますか、本来の肉牛というのはそんなにうつるものではないというお話もございますので、私も、それはそうではないかというふうに個人的には思っているわけでございます。

 牛の屠畜をしますときに、それを別々に、うまくそれができるのかどうか、技術的なこともあるだろうというふうに思いますが、肉牛の方を先に処理して最後に乳牛の方をするとかというようなことができれば、それも一つの方法ではないかという気もいたします。その辺のところは少し検討させていただきます。

阿部委員 安全対策は、早過ぎるということはないので、ありとあらゆる方法を御検討いただきたいと思います。

 では、本来の質問に移らせていただきます。

 昨日、本日と皆様の御質問の中にもたくさん出てまいりましたが、いわゆるハローワークのことに関しまして、一点目、お伺いいたします。

 ハローワークでもいわゆるIT化、求人自己検索パソコンの導入が大変進められております。今年度も、さらに三十九カ所を切りかえるための予算化十七億円というのが既に実施に入っておりまして、実は、私の選出区である藤沢でも、ことしの九月からこの自己検索パソコンというのが導入されました。

 自己検索パソコンの導入に伴ってハローワークの業務が、ありていに言えば楽になるか、業務量としてふえてくるかというあたりを、私はせんだって職安の方にお訪ねいたしまして、ちょっとお伺いをしてまいったのですが、いわゆるこの機械の導入以降、お一人お一人の相談者の最大待ち時間は九十七分、病院で一時間半待ちとか三時間待ちと一緒のように一時間半以上お待ちになる方が出て、待ち人数も四十六人。機械で自己検索なさった後相談員の方にも相談されるわけで、この相談員の対面相談に至るまでの待ち時間が九十七分、人数にして四十六番目というふうな実態になっております。

 実は、相談件数全体も約三千件くらいであったものが五千件くらいにふえて、自己検索すると、それを持って相談員のところに、あるいは職安の正規職員のところに相談に行かれるわけですけれども、まず大臣に御認識をお伺いいたしますが、このIT化ということが、果たして現実に必要とする職安の職員の方の労働力、これを軽くしていると御認識でしょうか。それとも、いやいや、やはりもっとさらに相談が密に必要になって手がかかるんだというふうに御認識がおありでしょうか。まず一点お願いいたします。

坂口国務大臣 IT化を行いますときに、その結果によって職員に対する負担がふえる、ふえないという考え方よりも、むしろ、IT化をすることによってより多くの皆さん方にそれを見ていただく、いわゆる国民の皆さん方に情報をより多く提供できるということが先決問題としてあったと思うんですね。

 それは、私は早くそういうふうにした方がいいというふうに言ってまいりましたが、しかし、結果としてそのことが、多くの皆さん方にお越しをいただいて、それをごらんいただいて、さらにそれを手に持ちながら相談をするということになってきたときに、職員の皆さん方の人数は限られておりますから、そこで大変待ち時間が長くなってくるということに、なるほど、それはそういうことが起こる可能性としては十分あるんだろうというふうに思います。これは何とかしなきゃならないというふうに思います。

 その前に、しかし、そういうふうに多くの皆さんがお越しをいただいて、機械をお使いいただくようになったということは、一つそこは私はプラスだというふうにとらなきゃいけないと思うんですが、プラスになるのはいいが、その後の処理のところを今度は一体どうするかという問題なんだろうというふうに思います。そのことは、ひとつこれから私たちも真剣にまた至急に取り組んでいかなきゃならないと思います。

阿部委員 今御指摘のように、九月に機械が入りまして、入る前が二千九百五十四件、九月が四千二百三十三件、十月が四千九百二十件と、相談がふえたということは私もいいことだと思うんです。

 それで、行ってみても、大変に明るいですし、今の若い人たちは特にパソコンとか好きですし、まず自分がアクセスしてそれから相談される。その結果、紹介件数も、八月が千八百六十八、九月が二千六百、十月が三千三百三十八と、紹介できる件数もふえて、就労に結びつく件数もふえておりますので、機械化、IT化ということは私も前向きに思いたいのですが、先ほど申しましたように、待ち人数が四十六人にもなってしまうと、銀行でも、自分で札を引いて、六番、七番くらいだったら待っていようかと思うけれども、四十六番目に自分が来るんだよ、逆に、対面相談をするのが三分間とかになったのでは、ただでも失業中というのは気分も明るくはなれないし、いらいらもなさるし、窓口での職員とのトラブルも多くあるように私も聞いてまいりましたので。

 そこで、具体的な提案ということで、次に、職業安定局長にお伺いいたしますが、この間、いわゆる職安の職員数というのは平成十年度から徐々に徐々に減少、削減されておりまして、例えば平成九年度が一万二千八百四十三人のところ、平成十三年度一万二千六百九十二人とじわりじわりと逆に定員削減されております。

 その分、多少は非正規というか常用雇用ではない相談員の方が、年々八十名から多いときは二百名くらい増加しておりまして、平成十三年度の補正予算でも七百九十三人の、相談員という形で非正規雇用で職安業務にかかわるという方の増加はございますが、実は、七百九十三人という数を単純に全国の職安で割りましても一名増になるかならないかというふうな事態で、先ほど申しました待ち時間の短縮もかないませんし、非常に手薄な体制に現状あると私は認識してまいりましたが、そのあたり、統括なさる職業安定局長としての御認識を伺いたいと思います。

澤田政府参考人 職員定数が微減で動いているということは事実でございます。

 平成二年からこの間に求職者の方が大体倍増しておりまして、第一線の安定所も業務量としては一人当たり大変ふえております。そこで、私ども、国全体としての定員事情が大変厳しい中で、安定所の繁忙等々を訴え、必要な定員確保に努力してまいりましたが、それでも足らないということを一線からも声として上がっていることは承知しております。

 そこで、委員御指摘のようにいろいろ、相談員ということで職員の仕事を補助するという形で体制の強化を図っておりますが、補正の話が出ましたのでちょっとお話しさせていただきますと、補正予算でも各種アドバイザーというものを、キャリアカウンセリングができるようなアドバイザーを相当要求しておりまして、そうしたものも、採用は雇用・能力開発機構がやるにしても、実際の配置は一部安定所に配置して、そして安定所の就職支援アドバイザーと一緒になって相談、紹介、能力開発、就職に向けた一貫したそうした体制を少しでも強化したい、こう思っております。

 増強いたします相談員につきましても、これを全国に均等に配付するというのではなくて、本当に求職者の方々がふえていて、業務量的に見ても大変忙しいところに重点的に配付して、少しでも求職者の方々の待ち時間が少なくなるように努力をしていきたい、こう思っております。

阿部委員 私の地元の事例ばかりで恐縮ですが、今私の地元のハローワークでは、三十七人の定員職員で、この相談業務には八人がかかわり、一年契約の相談員が六人ということで、あとどのくらいの数があれば先ほどの待ち時間が法外にならないかということを大体で検討してみてくださらないかと申しましたら、あと六人くらいないと先ほどの待ち時間は解消されないということでもございました。

 やはり職業安定局として、全国の職安の、特にIT化以降の業務量の増大等をきちんと把握されて、そして私は、本来は職安職員、正規職員がふえて、プラス相談員の方も配置されることが望ましいと思いますが、先ほどの樋高委員のお話にもございましたが、時間延長も当然必要となってまいると思います。土日もあれば、その方が就労の機会も高まりますし、未曾有の高失業率時代でございますので、いわゆる考え方を職業安定所も大幅に転換していかなければいけない。

 ちなみに、ドイツ等々では三十万人近い職安の職員もおられるということを、私の記憶違いでなければことしの夏の視察のときに伺ったようにも思います。ヨーロッパ型と我が国とは違うとは申しましても、やはり本当に職を求める人に職をつないでいく大事な職分ですので、これからもよろしく御検討のほどをお願い申し上げます。

 引き続いて、先ほどの失業問題でお尋ねいたしますが、これも藤沢の事例で大変恐縮ですが、日本全国失業率五・三%、藤沢もこの平均と大体同じなのですが、いわゆる大量雇用調整、全国の場合は三十人以上の大量解雇でしたかしら、神奈川県では、十人以上を登録して、あらかじめ大量に解雇がされる場合には職安にお申し出いただいて事前に調整するという業務を行っておりますが、この大量雇用調整の人数にいたしましても、平成十一年度六百十七人、平成十二年度五百九人、平成十三年度は、まだ十一月段階ですが七百八十二人で、これから十二月から三月まであと四百人くらいの大量の失業が出るということで、昨年度の二倍の失業者に上るということが既に今の段階で予見されております。今五・三%で、私もこの数値を聞いたとき、一体失業率というのがどこまで上がってしまうのか大変に不安に思いましたし、もともと藤沢はそうそう野宿等々の多い町ではございませんが、最近は非常に目につくようにもなってまいりました。

 ここで、いわゆる集計上の問題をちょっとお伺いいたしたいのですが、小泉総理を初めとして、いわゆる一次、二次産業部門では雇用の創出は余りはかばかしくないが、第三次部門ではサービス業を中心に求人は伸びておるというふうに御認識を御披露される場合が多いのです。でも、例えば、一つの生産ラインでリストラが起こり、それが派遣という業務形態をとりますと、本来は製造部門に換算される人員が第三次部門の集計に入ってくるという統計上のまやかしが生じるように思うのです。

 ここで、安定局長ないしは担当の部署にお伺いしたいですが、現在とっておられます集計、いわゆる派遣とかになった場合が本来の生産ラインにいながらサービスとして換算されてしまうというふうな実態についてどうお考えか。より現状を正しく認識できないと、政策、対策も打てないと思うのです。それが一点。

 それから、あわせて、いわゆる製造業部門が極めて我が国では、特に私の近辺では電気機器の製造業の大量解雇が相次いで起こっておりますが、こういう事態に対しての雇用政策面での何らかのお考えがおありかどうかの二点について、お願いいたします。

澤田政府参考人 職安業務統計の集計上のお話でございますが、求人を出す事業場がどの業種に属するかによって分けておりますので、派遣業から派遣する社員を求人するために出てくれば、それはサービス業にカウントされます。それは、日本の産業構造、就業構造がサービス化していくという中で、例えば対事業所サービスがふえていくというまさに産業構造の変化方向でありますので、それがまやかしだとかおかしいとかいう議論はちょっといかがかと私は思っております。

 それから、製造業につきまして雇用調整が相当進んでおります。これにつきまして、失業をできる限り予防するという観点からは、雇用調整助成金という制度が従来からございます。

 この制度、衰退部門から発展部門への労働移動を政策的に阻害するデメリットのある制度であるという批判が相当ございまして、改善や見直しを言われましたが、やはり今日の時代、なるべく失業を出さないように企業に努力していただくということも非常に大事だと思っておりまして、この雇用調整助成金、従来は産業指定がベースで、指定された業種に属さないとなかなか利用しにくいという実態がございましたが、産業指定をやめまして、個々の企業の生産、売り上げ、販売、こうした営業指標が相当悪化した場合に発動できるようにいたしましたので、ぜひこれを御利用いただいて、当面の雇用維持あるいは将来に向けての事業拡大に利用していただきたい、こう思っております。

阿部委員 私が指摘した一点目は、国としての政策、特にこれからの産業政策を検討なさる場合に、製造業の一部がいわゆるアウトソーシングしていて、それがサービス業として集計されたのでは実像が把握し切れまいという指摘ですので、言葉の上のまやかしかどうかというところにとらわれるのではなくて、本当の意味で、どうやって人々をより多く雇い、そしてまた、特に物づくり部門ですね、我が国は間違いなくこのことによって今日の繁栄を築いたわけですし、それは、全体を第三次産業にといっても、やはりそれだけでも成り立たない国の規模でございますから、きちんと労働政策上位置づけていただきたいという観点でございます。

 そして、坂口厚生労働大臣にお伺いいたしますが、今の澤田局長の御答弁にもございましたが、非常に失業が多く発生しておる。それが、構造改革上やむを得ないという認識に立つ方もおありかと思いますが、私が身近で見聞いたしますにも、とにかく一たん失業させない、失業という状態に置かないことの施策を、いわゆる物事の発想を転換して高失業率の現在ではつくっていかなくてはいけない。そのためには、例えば、法制整備的には私どもの社民党が出しております雇用継続保障法とか、あるいは働き方としてのワークシェアリングとか、今いろいろな考え方が浮上というか論議に上っておると思うのです。

 ここで、厚生労働大臣の基本認識ですね。やはり失業率、先ほど申しましたように戦後最大、それから、これからも、いろいろ補正予算等々対策はしておりますが、なかなかに、下がってくる見通しよりは、むしろもう少し、本当に残念ですが、上がることも覚悟しなければいけないかもしれない事態の中で、新しい就労形態ということを目指していくべきではないかと思うのですが、ワークシェアリングについては、坂口大臣も以前に二度ほど、賃金の低下の問題をクリアしなければならないのではないか、そこをどう考えるかだという御意見はございましたけれども、そのほかに、特に社会保障政策ですね、雇用保険とか医療保険とか、そういうものをワークシェアという形態に合わせてどのようにつけていくか、そういう向きのお考えがありや否やという一点だけ、よろしくお願いいたします。

坂口国務大臣 できる限り雇用を、未然に防いでいくということは大変大事なことでございます。したがいまして、企業がもし、三カ月後あるいは六カ月後には二十人とか三十人の雇用の削減をしたいというようなことがはっきりしてくるようなことがありましたときには、その皆さん方がスムーズに次の雇用に移れるように、その企業をおやめになる前に、いろいろの技術を身につけていただきますとか勉強していただいて、そして新しい企業に移っていただくような制度を今やっておりますが、そうしたことも大事ではないかというふうに思っております。

 もう一つ、さらにさかのぼって、そういうやめるということにしないための手だては何かということになれば、一つは、これは景気の動向ということにもよりますけれども、現在のような景気の動向を前提にして考えますと、先ほど御指摘になりましたワークシェアリングのような、これは大枠の政策というものが必要になってくるだろうというふうに思います。

 それを進めていきますためには、労使の間の話し合いというものが前提であるということは当然でございますけれども、その前提のところのお話し合いは、さらに進んできているものというふうに考えておりまして、我々もその中に入らせていただいて、その中で国がなすべき役割は何かということを考えていかなければならないというふうに思っております。

 その中の一つに、今御指摘になりました新しくそこに職を求める人たちの社会保障の問題等をどうするかという問題が入ってくるのではないかというふうに思います。

 それらのことは、企業の側からすれば、人が多くなれば多くなるほど自分たちの出し分が多くなるのではないかという御懸念も私はあるだろうというふうに思いますけれども、しかし、働く皆さんが平等に働いていただくということを中心に考えれば、それらの点は乗り切らなければならないことでございますから、そうしたことも含めて、このワークシェアリングの問題はひとつ進めていきたい。しかも、余りゆっくり話をしておりますと、だんだんと時間がたっていきますから、できるだけ早くそうした話し合いを進めていきたいと思っているところでございます。

阿部委員 いつも前向きな御答弁をありがとうございます。特に、雇用保険等々あるいは医療保険も持たない状態でのワークシェアというのは非常にリスクが高いと思いますので、その点も勘案してよろしくお願いいたします。

 最後に、研修医の過労死問題についてお伺いいたします。

 八月二十九日、大阪地裁で民事訴訟の判決がございましたが、関西医大で研修中に心臓の突然死を起こされました二十六歳の森さんの御両親が、地裁に対して、この森さんがいわゆる社会保険を何も持っていない状態で働いておられたこと、それから最低賃金にも満たない状態で働いておられたことなどなどを問題にいたしまして、地裁での争いを民事で起こされました。

 その前に、既に大阪の、北大阪労働基準監督局が四月の二十七日に関西医大の前学長らを労働基準法違反の疑いで検察庁に書類送検いたしまして、こちらの検察側の判断は不起訴処分とはなりましたが、労働基準監督局が過労死という判断をなさって研修医問題を取り上げたということと、地裁が労働者性を認定された判決を出されたということで、平成十六年度の研修医の義務化を控えまして、きっと厚生労働省内でも幾つかの検討、論議の点があったと思います。

 まず、一点お伺いいたしますが、労働基準監督関係では、各私立医大の研修医の労働実態につきまして、例えばその方が雇用保険あるいは医療保険等々に加入しておるか、平均賃金は幾らか、労働時間はどうしたものかというふうな実態の把握をしていらっしゃいますでしょうか。

篠崎政府参考人 お尋ねのことでございますが、今先生御指摘のようなことすべて把握しているわけではございません。平成六年度に厚生科学研究で研修医の勤務状況等を調べたものがございます。

 これによりますと、私立大学を含めました大学附属病院での一週間当たりの日勤は五・五日、また一月当たりの日直、休日の昼間、及び宿直は、合わせて五回程度となっております。また、月収は平均十九・七万円となっておりますが、労働時間や賃金については、研修先の病院による格差が大きいという指摘もあることを承知いたしております。

阿部委員 全体を平均されれば今のようなデータになると思いますが、私がお伺いしたのは、私立大学の医学部の学生でございます。

 特に官民格差がございまして、国立大学よりも私立の大学の医学生の方が賃金も低い。例えば、この関西医大の方は六万円でございました。平均しても、月十万円未満が七四%でございます。これは私立大学の医学部生たちが調査したものでございますし、この関西医大の同級生アンケートによれば、彼らは週八十一時間労働、時間数を数えればそのような実態になっております。

 もちろん、私や坂口厚生労働大臣の時代には無給でございましたし、それでも働いていたんだと坂口厚生労働大臣が先日おっしゃいましたが、でも私は、やはりこれからの日本の医療の未来ということを考えれば、この方たちに安定した身分で、そして過労死することなく、医師としての道の研修に励んでいただきたい。特に、アルバイト等々しないでよい状態にして、本当にいい医師になってほしいと思うのです。

 そこで、医政局長にお願いいたしますが、先ほどの実態調査、まだまだ実態把握に至っておらぬと思いますので、引き続き質問をいたしますので、次回御答弁の折までは、もっとこんなに調べたよという実績を重ねていただけますようにお願い申し上げて、質問を終わります。

鈴木委員長 次回は、来る二十七日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十分散会




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