衆議院

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第11号 平成13年11月27日(火曜日)

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平成十三年十一月二十七日(火曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君

   理事 森  英介君 理事 吉田 幸弘君

   理事 鍵田 節哉君 理事 釘宮  磐君

   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君

      浅野 勝人君    奥山 茂彦君

      上川 陽子君    鴨下 一郎君

      北村 誠吾君    熊代 昭彦君

      佐藤  勉君    田村 憲久君

      竹下  亘君    西川 京子君

      野田 聖子君    林 省之介君

      林  幹雄君    原田 義昭君

      松島みどり君    三ッ林隆志君

      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君

      吉野 正芳君    枝野 幸男君

      大島  敦君    加藤 公一君

      金田 誠一君    城島 正光君

      土肥 隆一君    古川 元久君

      三井 辨雄君    水島 広子君

      山井 和則君    青山 二三君

      江田 康幸君    樋高  剛君

      小沢 和秋君    木島日出夫君

      金子 哲夫君    中川 智子君

      井上 喜一君    川田 悦子君

    …………………………………

   議員           熊代 昭彦君

   議員           田村 憲久君

   議員           城島 正光君

   議員           福島  豊君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局長)       岩田喜美枝君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  木村 義雄君     林  幹雄君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  奥山 茂彦君     浅野 勝人君

  林  幹雄君     渡辺 具能君

  家西  悟君     枝野 幸男君

  三井 辨雄君     城島 正光君

  阿部 知子君     金子 哲夫君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野 勝人君     奥山 茂彦君

  枝野 幸男君     家西  悟君

  城島 正光君     三井 辨雄君

  金子 哲夫君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(木島日出夫君紹介)(第四九〇号)

 同(大森猛君紹介)(第五二九号)

 介護保険の改善、高齢者の医療費負担増の中止に関する請願(小沢和秋君紹介)(第四九一号)

 介護、医療、年金制度の拡充に関する請願(木島日出夫君紹介)(第四九二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五六六号)

 同(永田寿康君紹介)(第五六七号)

 野宿生活者自立支援法制定に関する請願(石毛えい子君紹介)(第四九三号)

 食品衛生法の改正・運用強化等に関する請願(石毛えい子君紹介)(第四九四号)

 同(黄川田徹君紹介)(第四九五号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第四九六号)

 同(武正公一君紹介)(第四九七号)

 同(中本太衛君紹介)(第四九八号)

 同(西川京子君紹介)(第四九九号)

 同(樋高剛君紹介)(第五〇〇号)

 同(不破哲三君紹介)(第五〇一号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第五〇二号)

 同(山口富男君紹介)(第五〇三号)

 同(粟屋敏信君紹介)(第五〇九号)

 同(石毛えい子君紹介)(第五一〇号)

 同(石破茂君紹介)(第五一一号)

 同(大谷信盛君紹介)(第五一二号)

 同(亀井久興君紹介)(第五一三号)

 同(亀井善之君紹介)(第五一四号)

 同(黄川田徹君紹介)(第五一五号)

 同(倉田雅年君紹介)(第五一六号)

 同(河野太郎君紹介)(第五一七号)

 同(河野洋平君紹介)(第五一八号)

 同(坂本剛二君紹介)(第五一九号)

 同(土田龍司君紹介)(第五二〇号)

 同(中村正三郎君紹介)(第五二一号)

 同(根本匠君紹介)(第五二二号)

 同(藤井裕久君紹介)(第五二三号)

 同(細田博之君紹介)(第五二四号)

 同(山本明彦君紹介)(第五二五号)

 同(宇田川芳雄君紹介)(第五三〇号)

 同(大森猛君紹介)(第五三一号)

 同(桜田義孝君紹介)(第五三二号)

 同(実川幸夫君紹介)(第五三三号)

 同(城島正光君紹介)(第五三四号)

 同(高市早苗君紹介)(第五三五号)

 同(高橋一郎君紹介)(第五三六号)

 同(達増拓也君紹介)(第五三七号)

 同(都築譲君紹介)(第五三八号)

 同(虎島和夫君紹介)(第五三九号)

 同(中津川博郷君紹介)(第五四〇号)

 同(中林よし子君紹介)(第五四一号)

 同(長浜博行君紹介)(第五四二号)

 同(葉山峻君紹介)(第五四三号)

 同(蓮実進君紹介)(第五四四号)

 同(浜田靖一君紹介)(第五四五号)

 同(平沢勝栄君紹介)(第五四六号)

 同(細川律夫君紹介)(第五四七号)

 同(松崎公昭君紹介)(第五四八号)

 同(松野博一君紹介)(第五四九号)

 同(松本和那君紹介)(第五五〇号)

 同(村田吉隆君紹介)(第五五一号)

 同(山口富男君紹介)(第五五二号)

 同(渡辺喜美君紹介)(第五五三号)

 同(石毛えい子君紹介)(第五六八号)

 同(岩國哲人君紹介)(第五六九号)

 同(小里貞利君紹介)(第五七〇号)

 同(古賀一成君紹介)(第五七一号)

 同(塩田晋君紹介)(第五七二号)

 同(下村博文君紹介)(第五七三号)

 同(杉山憲夫君紹介)(第五七四号)

 同(達増拓也君紹介)(第五七五号)

 同(谷川和穗君紹介)(第五七六号)

 同(中沢健次君紹介)(第五七七号)

 同(永田寿康君紹介)(第五七八号)

 同(不破哲三君紹介)(第五七九号)

 同(増原義剛君紹介)(第五八〇号)

 同(水野賢一君紹介)(第五八一号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第五八二号)

 同(伊藤達也君紹介)(第六〇六号)

 同(石毛えい子君紹介)(第六〇七号)

 同(上田清司君紹介)(第六〇八号)

 同(江田康幸君紹介)(第六〇九号)

 同(小泉龍司君紹介)(第六一〇号)

 同(末松義規君紹介)(第六一一号)

 同(鈴木康友君紹介)(第六一二号)

 同(高木陽介君紹介)(第六一三号)

 同(野田佳彦君紹介)(第六一四号)

 同(牧野聖修君紹介)(第六一五号)

 同(渡辺博道君紹介)(第六一六号)

 介護、医療、年金の拡充に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五〇四号)

 患者負担引き上げ中止に関する請願(木島日出夫君紹介)(第五〇五号)

 同(松本善明君紹介)(第五〇六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五八三号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第五八四号)

 年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(岩屋毅君紹介)(第五〇七号)

 同(森英介君紹介)(第五二六号)

 同(岡下信子君紹介)(第六一七号)

 医療への国庫負担を増やし、患者負担引き上げの中止に関する請願(大森猛君紹介)(第五二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六一八号)

 介護・医療の負担増反対に関する請願(児玉健次君紹介)(第五六一号)

 だれもが安心して受けられるよい医療に関する請願(亀井静香君紹介)(第五六二号)

 同(木村義雄君紹介)(第五六三号)

 同(山本公一君紹介)(第五六四号)

 同(相沢英之君紹介)(第六一九号)

 同(逢沢一郎君紹介)(第六二〇号)

 同(青山丘君紹介)(第六二一号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第六二二号)

 同(浅野勝人君紹介)(第六二三号)

 同(甘利明君紹介)(第六二四号)

 同(荒井広幸君紹介)(第六二五号)

 同(伊藤公介君紹介)(第六二六号)

 同(伊藤信太郎君紹介)(第六二七号)

 同(伊吹文明君紹介)(第六二八号)

 同(池田行彦君紹介)(第六二九号)

 同(石破茂君紹介)(第六三〇号)

 同(稲葉大和君紹介)(第六三一号)

 同(今村雅弘君紹介)(第六三二号)

 同(岩倉博文君紹介)(第六三三号)

 同(岩崎忠夫君紹介)(第六三四号)

 同(岩永峯一君紹介)(第六三五号)

 同(岩屋毅君紹介)(第六三六号)

 同(臼井日出男君紹介)(第六三七号)

 同(江藤隆美君紹介)(第六三八号)

 同(衛藤征士郎君紹介)(第六三九号)

 同(遠藤武彦君紹介)(第六四〇号)

 同(小此木八郎君紹介)(第六四一号)

 同(小里貞利君紹介)(第六四二号)

 同(小野晋也君紹介)(第六四三号)

 同(小渕優子君紹介)(第六四四号)

 同(大木浩君紹介)(第六四五号)

 同(大野松茂君紹介)(第六四六号)

 同(大野功統君紹介)(第六四七号)

 同(大原一三君紹介)(第六四八号)

 同(岡下信子君紹介)(第六四九号)

 同(奥谷通君紹介)(第六五〇号)

 同(奥野誠亮君紹介)(第六五一号)

 同(加藤紘一君紹介)(第六五二号)

 同(梶山弘志君紹介)(第六五三号)

 同(金田英行君紹介)(第六五四号)

 同(上川陽子君紹介)(第六五五号)

 同(亀井久興君紹介)(第六五六号)

 同(亀井善之君紹介)(第六五七号)

 同(鴨下一郎君紹介)(第六五八号)

 同(川崎二郎君紹介)(第六五九号)

 同(河村建夫君紹介)(第六六〇号)

 同(瓦力君紹介)(第六六一号)

 同(木村太郎君紹介)(第六六二号)

 同(木村隆秀君紹介)(第六六三号)

 同(岸田文雄君紹介)(第六六四号)

 同(岸本光造君紹介)(第六六五号)

 同(北村誠吾君紹介)(第六六六号)

 同(北村直人君紹介)(第六六七号)

 同(熊代昭彦君紹介)(第六六八号)

 同(栗原博久君紹介)(第六六九号)

 同(小泉龍司君紹介)(第六七〇号)

 同(小坂憲次君紹介)(第六七一号)

 同(小島敏男君紹介)(第六七二号)

 同(小西理君紹介)(第六七三号)

 同(古賀正浩君紹介)(第六七四号)

 同(河野太郎君紹介)(第六七五号)

 同(河野洋平君紹介)(第六七六号)

 同(高村正彦君紹介)(第六七七号)

 同(左藤章君紹介)(第六七八号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第六七九号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第六八〇号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第六八一号)

 同(坂井隆憲君紹介)(第六八二号)

 同(坂本剛二君紹介)(第六八三号)

 同(桜田義孝君紹介)(第六八四号)

 同(自見庄三郎君紹介)(第六八五号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第六八六号)

 同(実川幸夫君紹介)(第六八七号)

 同(菅義偉君紹介)(第六八八号)

 同(杉浦正健君紹介)(第六八九号)

 同(鈴木恒夫君紹介)(第六九〇号)

 同(砂田圭佑君紹介)(第六九一号)

 同(園田博之君紹介)(第六九二号)

 同(田中和徳君紹介)(第六九三号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第六九四号)

 同(田村憲久君紹介)(第六九五号)

 同(高市早苗君紹介)(第六九六号)

 同(高木毅君紹介)(第六九七号)

 同(滝実君紹介)(第六九八号)

 同(竹下亘君紹介)(第六九九号)

 同(竹本直一君紹介)(第七〇〇号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第七〇一号)

 同(谷洋一君紹介)(第七〇二号)

 同(谷川和穗君紹介)(第七〇三号)

 同(谷田武彦君紹介)(第七〇四号)

 同(谷畑孝君紹介)(第七〇五号)

 同(谷本龍哉君紹介)(第七〇六号)

 同(近岡理一郎君紹介)(第七〇七号)

 同(中馬弘毅君紹介)(第七〇八号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第七〇九号)

 同(虎島和夫君紹介)(第七一〇号)

 同(中川秀直君紹介)(第七一一号)

 同(中村正三郎君紹介)(第七一二号)

 同(中本太衛君紹介)(第七一三号)

 同(中山太郎君紹介)(第七一四号)

 同(中山成彬君紹介)(第七一五号)

 同(中山正暉君紹介)(第七一六号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第七一七号)

 同(丹羽雄哉君紹介)(第七一八号)

 同(西川京子君紹介)(第七一九号)

 同(西川公也君紹介)(第七二〇号)

 同(西田司君紹介)(第七二一号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第七二二号)

 同(根本匠君紹介)(第七二三号)

 同(野田聖子君紹介)(第七二四号)

 同(野呂田芳成君紹介)(第七二五号)

 同(葉梨信行君紹介)(第七二六号)

 同(萩野浩基君紹介)(第七二七号)

 同(橋本龍太郎君紹介)(第七二八号)

 同(蓮実進君紹介)(第七二九号)

 同(馳浩君紹介)(第七三〇号)

 同(浜田靖一君紹介)(第七三一号)

 同(林幹雄君紹介)(第七三二号)

 同(林義郎君紹介)(第七三三号)

 同(原田昇左右君紹介)(第七三四号)

 同(原田義昭君紹介)(第七三五号)

 同(平井卓也君紹介)(第七三六号)

 同(平林鴻三君紹介)(第七三七号)

 同(福井照君紹介)(第七三八号)

 同(藤井孝男君紹介)(第七三九号)

 同(二田孝治君紹介)(第七四〇号)

 同(古屋圭司君紹介)(第七四一号)

 同(保利耕輔君紹介)(第七四二号)

 同(細田博之君紹介)(第七四三号)

 同(堀之内久男君紹介)(第七四四号)

 同(牧野隆守君紹介)(第七四五号)

 同(増田敏男君紹介)(第七四六号)

 同(松岡利勝君紹介)(第七四七号)

 同(松島みどり君紹介)(第七四八号)

 同(松野博一君紹介)(第七四九号)

 同(松宮勲君紹介)(第七五〇号)

 同(松本和那君紹介)(第七五一号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第七五二号)

 同(三塚博君紹介)(第七五三号)

 同(御法川英文君紹介)(第七五四号)

 同(水野賢一君紹介)(第七五五号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第七五六号)

 同(宮澤喜一君紹介)(第七五七号)

 同(宮本一三君紹介)(第七五八号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第七五九号)

 同(村岡兼造君紹介)(第七六〇号)

 同(持永和見君紹介)(第七六一号)

 同(望月義夫君紹介)(第七六二号)

 同(茂木敏充君紹介)(第七六三号)

 同(森喜朗君紹介)(第七六四号)

 同(森岡正宏君紹介)(第七六五号)

 同(森田一君紹介)(第七六六号)

 同(八代英太君紹介)(第七六七号)

 同(谷津義男君紹介)(第七六八号)

 同(保岡興治君紹介)(第七六九号)

 同(柳澤伯夫君紹介)(第七七〇号)

 同(柳本卓治君紹介)(第七七一号)

 同(山口泰明君紹介)(第七七二号)

 同(山本明彦君紹介)(第七七三号)

 同(山本幸三君紹介)(第七七四号)

 同(山本有二君紹介)(第七七五号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第七七六号)

 同(吉田六左エ門君紹介)(第七七七号)

 同(吉野正芳君紹介)(第七七八号)

 同(米田建三君紹介)(第七七九号)

 同(渡辺具能君紹介)(第七八〇号)

 同(渡辺博道君紹介)(第七八一号)

 同(渡辺喜美君紹介)(第七八二号)

 労働時間の男女共通規制の実現と育児・介護休業制度の改善に関する請願(木島日出夫君紹介)(第五六五号)

 医療費負担増計画の撤回に関する請願(児玉健次君紹介)(第六〇四号)

 薬害ライ症候群後遺症に係る医薬品機構障害年金者認定に関する請願(江田康幸君紹介)(第六〇五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案(内閣提出第二五号)

 雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案(城島正光君外四名提出、衆法第一〇号)

 建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外四名提出、第百五十一回国会衆法第一七号)




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案及び城島正光君外四名提出、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長日比徹君、職業安定局長澤田陽太郎君、職業能力開発局長酒井英幸君及び雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城島正光君。

城島委員 おはようございます。民主党の城島でございます。

 私の方からは、政府案について、今までの論議を踏まえた中で質問をさせていただきたいと思いますが、政府案の柱の一つでございます派遣労働における中高年齢者の派遣期間の三年への延長、これの特例措置についてまず中心的にお伺いをしたいというふうに思います。

 条文の第四十条の二に「労働者派遣の役務の提供を受ける期間」ということで、「派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から一年(中高年齢者である派遣労働者のみを当該業務に従事させる場合にあつては、三年)を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。」こういう条文がありますが、この中の、「のみ」という表現がされておりますが、この「のみ」とはいかなる意味かを御説明いただきたいと思います。

澤田政府参考人 今回の労働者派遣法の特例は、中高年齢者が派遣労働者である場合につきまして、その職場に若年者が存在しようとしまいと、当該中高年齢者を継続して当該業務に従事させる場合、もう一つは当該中高年齢者が交代しても別の中高年齢者に引き継ぐ場合、そういう二つの意味で中高年齢者のみを継続して派遣就業させる場合に、派遣期間を一年以上三年まで可能という特例措置を書いているものであります。

 したがいまして、条文上、当然に若年者は排除されますが、中高年齢者で同一人物あるいは交代した別の人物という意味で「中高年齢者である派遣労働者のみ」という表現をとっているところであります。

城島委員 ということは、中高年齢者であればこの特例措置の対象であるが、四十五歳以下であればこの特例措置の対象外であるという、ある面でいうと当然の理解ということでよろしいわけですね。

 ということであるということですが、つまり、この特例措置によって実際の職場で起こり得ることとして、同一の業務に継続して従事している一年契約の派遣労働者が仮に二人いたとした場合に、お一人が四十五歳以上の方である、もう一人が四十五歳以下の場合である、そうしたときに、四十五歳以下であれば派遣労働を一年以上超えてはならない、四十五歳以上であれば三年まで更新ができるというふうなことだと思います。

 そうしますと、こういう状況が存在するということなんですが、契約期間について、そうした場合に、ちょっと確認をさせていただきたいわけでありますが、この特例措置において、中高年齢者の派遣労働者は、労働基準法第十四条に定める契約期間に基づいて派遣元事業主との間で契約期間を定めることができるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

澤田政府参考人 派遣労働者と派遣元事業主との間の雇用契約は、あくまでも労働基準法十四条によって契約されるという枠組みは何ら変更ございませんので、委員御指摘のとおりであります。

城島委員 わかりました。

 それでは、続きまして、第四十条の三についてお伺いしたいというふうに思います。

 この条項は、一年以上派遣労働者を受け入れた企業が引き続き労働者を必要とする場合には、その当該労働者を雇うようにしなければならないという雇用義務規定が、今回、中高年齢者である派遣労働者にも適用されるという答弁がこの委員会でございました。

 そこで、この条文の読み方を確認させていただきたいわけでありますが、例えば一年契約の中高年の派遣労働者の場合、一年たったら必要な要件を満たした場合の雇用義務規定が適用されるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

澤田政府参考人 今回の特例法によります読みかえ後の派遣法第四十条の三の優先雇用の努力義務の規定でございますが、一年以上三年以内の期間で継続して同一の中高年齢者である派遣労働者を受け入れた派遣先が、引き続きその当該業務に労働者を必要とする、そして雇い入れを行おうというケースにつきましては、その中高年齢者である派遣労働者を優先的に雇い入れなければならないという努力義務が当然かかるわけでございます。

 したがいまして、くどいようですが、今回の臨時特例措置による優先雇用の努力義務の規定は、必要な要件を満たす場合には、一年間働き続けた中高年齢者である派遣労働者についても当然適用されることになります。

城島委員 わかりました。

 そうしますと、最近、契約期間を調査しますと、三カ月とか六カ月といった短期間の契約をしているケースが多いわけでありますが、この短期の契約を更新した場合も、今御説明ありましたけれども、必要な要件を満たした場合の雇用義務規定が一年間経過した後に適用されるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

澤田政府参考人 短期の雇用契約を複数回更新して一年間という要件を満たせば、当然この優先雇用努力義務が働くことになります。

城島委員 わかりました。

 労働者派遣法には、制限を超えた場合の指導、勧告それから制裁の規定がございますが、これは今回の特例措置においても適用されるということでしょうか。

澤田政府参考人 今回の特例措置は、中高年齢者の置かれている状況にかんがみまして、あくまでも臨時特例の措置として講ずるものでありますので、労働者派遣法の基本的な趣旨、考え方、枠組みを変更するものではございません。

 したがいまして、今御指摘の、今回の特例により延長される三年の派遣期間を超える場合につきましては、まず、派遣法第四十八条に基づきまして、派遣先に対し雇い入れの指導、助言がなされますし、第四十九条の二の規定によりまして、雇い入れの勧告、それに従わない場合の公表等が当然適用されます。また、派遣元の事業主に対しましても、労働者派遣の禁止、三十五条の二の規定、それからそれに違反した場合の罰則、六十一条の規定が当然適用されることになります。

城島委員 では、続きまして、常用雇用代替の歯どめに関してちょっと質問させていただきます。

 厚生労働省が九月に発表されました労働者派遣事業実態調査結果報告によりますと、派遣労働者の受け入れ前に担当していた者の雇用形態は、常用の労働者であるというのは七三・七%、新規業務のため前任者がいないというケースが二三・二%、ここに報告書があるわけでありますが、そういうふうになっております。すなわち、常用労働者の代替として派遣労働者が利用されている実態が浮き彫りになっていると思います。

 この間、この常用雇用代替の歯どめ措置について、この委員会でも質問がありましたが、その際、厚生労働省はこの四十条の三という項目が歯どめ措置になっているというふうに答弁してきておりますが、なぜこれが歯どめというふうになり得るのか、その説明を求めたいと思います。

澤田政府参考人 繰り返しになって恐縮でありますが、今回の特例措置は、労働者派遣法の基本的な趣旨、考え方を変更しようとするものではありません。したがいまして、一年以上働き続けた中高年齢者でありましても、一年の派遣期間の制限にかかわります基本的な枠組みを変更せずに、いろいろな常用代替防止、雇用安定のための規定は適用するという構成になっております。具体的には、今御指摘のように、派遣法第四十条の三の派遣労働者の優先雇用の規定につきまして、一年以上派遣労働者として同一の業務に就労した中高年齢者の直接雇用の実現等に配慮しているところであります。

 なお、今回の措置の効果といたしましては、若年者に比べまして就業機会に恵まれにくい中高年齢者につきまして、延長された派遣期間によります雇用機会の確保、当人にとっての一層の雇用の安定を図ることが可能になるというふうに考えております。

 さらに、今回の措置は、求人が大変旺盛な営業等におきまして活用されることが見込まれております。若年者に比べて就業機会に恵まれにくい中高年齢者につきまして、延長された派遣期間、これによります新たな雇用機会の拡大等の効果が期待できまして、そうした観点からは、正社員が派遣労働者に置きかわる可能性は極めて低いものと考えております。

城島委員 今の御説明では、なるほどというような理解をすることは難しいというふうに思います。歯どめ措置がこのことによって十分であるというような解釈はできないというふうに思われます。

 特に、臨時的、一時的派遣のこの期間制限緩和ということにつきましては、派遣先、派遣元、派遣労働者、双方が規制緩和を望んでいるという人材派遣協会の調査結果も確かにありますが、一方で、派遣労働ネットワークの調査を見ますと、派遣期間は短期化、派遣料金、賃金値崩れ、そして雇用の不安定度が増しているという報告もあります。

 厚生労働省は、延長された派遣期間による雇用機会の確保、一層の雇用の安定というところが求められる、そういうところにつながっていくというふうなことを述べられておりますが、三年への期間延長というのは三年間の雇用を保障するというものでは、先ほどの答弁もありますが、そういうものではないわけでありまして、派遣先の都合に応じて、長期に活用できる枠組みを維持しながら、場合によっては、都合が悪くなったら派遣元との契約を終了させようということになっていくとすれば、労働者保護の観点というものがかなり大きく欠けているのではないか、まさしく安定した雇用につながらないのではないかというふうに思うわけであります。

 こうしたことについては、今後の対応というものがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 先ほどから御議論をいただきましたとおり、今回のいわゆる臨時特例措置というものとは別に、これからのこの派遣そのもの、全体の今後につきましては別途これから御議論をいただいていきたいというふうに思っております。既に御議論をいただいているわけでございますが、これからさらに、労使の皆さん方の御意見も十分踏まえまして、そして全体像といたしましては決定をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 とりわけ、雇用就業形態の多様化に対応した雇用の場の確保、それから労働者保護措置のあり方等に留意をして労働市場の需給調整機能の強化を図るという、その点を中心といたしまして検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 これからさらにさまざまな議論を重ねながら、この派遣業の全体像といたしましては、今後さらに皆さん方にも御相談を申し上げたいと思っているところでございます。

城島委員 臨時的な、しかも一時的派遣の規制緩和というものが、今申し上げましたように常用雇用との境界線が限りなくあいまいになってきているんではないかと思います。

 現行法におきましても、事前の面接が横行し、一般事務あるいは営業における違法派遣の存在はよく知られているところであります。派遣が禁止されている製造ラインにおける請負あるいは委託を偽装した違法派遣が広がっているわけでありまして、常用代替を促進しない、促進させない措置がない限り、どうも限りなく歯どめがきかなくなっていくおそれがあるというふうにとらえております。特に、女性労働者への影響を私は危惧しているわけであります。

 本会議や委員会審議での答弁によりますと、雇用創出効果は制度定着後五万人ということでありますが、制度が定着するころは、法施行後三年後の見直しの時期がやってくるわけであります。見直し規定があるのに、あえて今回、中高年の雇用状況の厳しさゆえのこの特例措置を設けたということでありますが、今回の措置が規制緩和の名をかりたその場しのぎ、あるいは悪乗りだったと言われることがないように、法律の遵守、実態調査も含め、労働者派遣制度全体のあり方について見きわめることが極めて重要じゃないかということを指摘しておきたいというふうに思います。

 時間がございませんので、次の質問に移らせていただきます。

 雇用保険財政についてお伺いいたしますが、せんだってのこの委員会の中で、大島議員だったと思いますが、同僚議員の質問でこの雇用保険財政の逼迫した状況ということが明らかになったわけであります。

 現在の状況からすると、雇用保険の状況が財政的に破綻するような事態があるのじゃないかという不安感が広がるのではないかというふうに思っております。そうした不安を払拭することが急務だというふうに思いますが、この危機的状況にあっても弾力条項の発動を来年はしないというふうなことを言い切れるのでしょうか。その点を御質問したいと思います。

坂口国務大臣 前回にもお答えを申し上げたと思いますが、本年の四月から雇用保険法の改正につきましては実施をしたところでございまして、これが保険財政にどういう影響を与えるかということにつきまして、現在のところ明確にそれを把握するところまでは至っておりません。今後の雇用情勢、とりわけ経済情勢がどう進むかということによっていろいろの影響を受けることは言うまでもございません。

 今先生が御指摘になりました、弾力条項を発動しないと言い切れるのかというお話でございますが、現時点におきましては弾力条項を発動するというつもりはございません。ただし、今後の経済動向等によりましてどう変化をしていくかを見定めなければならないことは言うまでもございません。

 しかし、それは、多分、経済の動向等につきましては、これを定めますのには、来年の四月以降ぐらいになってまいりますと、経済動向というものの見方、あるいはまた雇用情勢、その他の情勢、それから今回のこの改正の結果どういう状況になるかということも大体明らかになってくるだろうというふうに思っておりまして、その時点でいろいろの判断をしなければならないことはあり得るかもしれませんけれども、現在のところ、弾力条項を発動する、そういう思いはございません。

城島委員 終わりますが、現在のところそういうことはないということでありますが、いずれにしても、これからの雇用情勢も考えると、この雇用保険財政、極めて大きな問題として出てくるのではないか、あるいは不安感として出てくるのではないかというふうに思います。

 民主党が提案したような緊急措置を講じた上で、雇用保険制度の抜本的な見直しが必要ではないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

鈴木委員長 佐藤公治君。

佐藤(公)委員 自由党、佐藤公治でございます。

 きょうは、締めくくりということで、幾つかの点について大臣に確認をとらせていただければと思います。

 先日の厚生労働委員会でもお話をさせていただきましたが、この景気状況下の中で、数千億の雇用対策予算を投入しても、狂牛病というこの一つのことにおける対策、対応の失敗において、数千億円、または本当は数百、数千の企業、卸、小売、お店、また本当に数百、数千人の雇用を失うような状況になりつつあるというよりも、なっているところもあると私は思います。何のために、雇用の関係で大切な税金を投入しているにもかかわらず、まるでバケツに一カ所穴をふさぐとまた一カ所穴があいているというような状況に思えると思います。そんな中で、二頭目の狂牛病の牛が発見されたということでございます。

 一般質疑のときも大臣とも狂牛病の点に関してはお話し合いをさせていただきました。そのときの委員会の大臣の御答弁の中で、大臣がおっしゃられたのは、「現在日本の国の中で出回っておりますものは大丈夫でございますという安全宣言をしなければならないだろうというふうに思っています。」というふうに安全宣言に関してお答えになられているわけでございますが、私は本当は安全宣言というものは、あのときも、本当にいろいろな可能性がある、それをまやかし、ごまかすのではなくて、やはりきちんとした情報開示を含めたものをして対応していくべきだということをお話しいたしました。

 そういう中で、大臣がこういうふうにお答えになっていただいたわけなんでございますけれども、この狂牛病に関して、大臣も記者会見等でも述べられておりますけれども、二頭目が見つかって、今後大臣として、また農林水産省との共同歩調における狂牛病における対応、対策というのを今現時点でどのようにお考えになられているか、お答えを願えればありがたいかと思います。

坂口国務大臣 BSEの二頭目が発見をされまして、そのことがまた経済にいろいろの影響を与えている。あるいは御指摘をいただいているのが正しいのかもしれないというふうに私も思っておりますが、しかし、日本の国におけるBSEの牛につきましては、すべてそれを明らかにして、そして国民の皆さん方の食卓に乗せることはない、そういう安全宣言をいたしましたそのことは、これは確実に実施されているというふうに思っております。全頭の検査という世界でも例を見ない検査体制を確立したわけでございまして、そのために二頭目が確実にそこにキャッチされることができ得た。

 これからも、私は、日本の国内において発生しないと言うことはできないだろうというふうに思っています。ヨーロッパを中心といたしました国々からの、肉骨粉なのかどうかよくわかりませんけれども、とにかくえさが日本の中に入りました以上、日本の国の中でBSEがさらに発見されないということはない、される可能性もあるのだろうというふうに私は思っておりますが、しかし、それらをすべてこの検査におきましてチェックをすることができ得るというふうに思っておりまして、国民の皆さん方には御安心をしていただけるというふうに理解をしているところでございます。

 安全宣言というふうによく言われますが、その安全宣言というのは、そうした全頭検査をすることによって、今後皆さん方に、消費者の皆さん方にBSEに罹患した牛の肉を提供することは絶対にあり得ないということを、体制をつくりましたという安全宣言でございますので、そこはよく御理解をいただきたいというふうに思っている次第でございます。

佐藤(公)委員 そういうことに関しては自分もわかっているつもりでございますが、まさに大臣のおっしゃられるように、現在の日本の国の中で出回っておりますものは大丈夫でございますという安全宣言をしなければならないだろうというふうに思っています、まさにそのとおりだと思います。

 このBSEに関しての範囲を、商品を広げたらば、それは血液製剤、医療関係、そして加工品、健康食品と幅広いものになりますが、食肉ということに関して絞った場合であっても、では大臣、今、それ以前に食肉用、牛の肉というものが多量に出回っているわけでございますけれども、農林水産省、厚生労働省の御見解またはお話としては、そのお肉に関しては危険部位以外は安全であるというような一応前提で、大丈夫なんだということを言い切る、言っていらっしゃるというように私は思いますけれども、まず一点は、本当に一〇〇%、この牛肉、以前に出回っている牛肉は一〇〇%安全と言い切れるのか、これに関してお聞きしたいことが一つ。

 それと、もしも多少なり、〇・〇〇〇何%でもあり得るかもしれないというのであれば、このお肉に対して、今出回っている、それ以前に出回っている肉に関してどういう対応をとっていくのが一番いいと思われるのか、お答えを願えたらありがたいと思います。

坂口国務大臣 今、佐藤先生が御指摘になりましたことは、それは十月の十八日以前に屠畜されました肉が出回っているという意味なんでしょうか。それとも、それ以前に既に我々日本人が食べてしまった肉のことをおっしゃっている……(佐藤(公)委員「前者です」と呼ぶ)前者。そういたしますと、十八日以前に屠畜されました肉につきましては、これは農林水産省のお仕事でございますけれども、全部その肉につきましては今市場に出回らないように処理されているということでございます。

 この肉を今後どうするのかということを農林水産省はまだ正式にお決めになっていないというふうに私は今理解しておりますけれども、少なくとも現在の市場に出回っている中にはないというふうに私は理解をいたしております。ただ、その以前のもので、肉以外の食品として、いわゆる加工食品として出回っているものというのは、これは点検をしなければならないというので、私の方が点検をいたしました。

 それで、食品の場合には、何と何を使っておみえになるのかというところまで全部役所の方で把握をしていないものでございますから、自主的に、どういうふうな部位を使っているかということの点検をそれぞれしていただきました。その中で、いわゆる危険部位と言われておりますもの、特に腸でございますけれども、いわゆる回腸遠位部と言われておりますその辺のところが入っている可能性のあるもの、そうしたものを点検いたしまして、二十二品目ございまして、それらの自主回収、そして販売の中止等を指導したところでございます。

 そのほかのものにつきまして、業界の皆さん方のいろいろの自主点検を踏まえてでございますけれども、我々の方といたしましても、都道府県の衛生部等と連携をさせていただきまして、ここは一度点検をした方がいい、調査をした方がいいというところは、こちらの方で調査に入っているといったようなところでございまして、それらはすべてインターネットでオープンにいたしまして、皆さん方にもその結果をお知らせ申し上げているところでございます。

佐藤(公)委員 大臣、もう一度確認いたします。

 十月十八日以前に出されたお肉、肉関係ですけれども、BSEにかかっている牛が市場に出回った――危険部位は当然、それは危険部位ということで、これは非常に危険なところだということでそれは別にいたしまして、普通のお肉に関して、BSEにかかった牛のお肉が市場に出回っていたとします。普通の、危険部位以外のところです。これに関しては、安全ですということを言い切れるのか。はっきりおっしゃられるということでいいんですか。それは間違いないんでしょうかということが一点。

 もしも一〇〇%安全ですというのであればそれでもう話が終わりますが、〇・〇〇〇何%でも可能性は否定できないということであれば、以前に出回っていたお肉に関しては、それをどう対処していくのがいいかということの方法論が、お考えがあったらばお聞かせ願いたい。

 この二点でございます。もう一度、繰り返しになるかもしれませんが、お願いいたします。

坂口国務大臣 肉につきましての研究というのは、ヨーロッパを中心にしましてかなり進んでいること、これは間違いありません。日本に比較いたしまして肉を多食いたしますヨーロッパにおきましては、やはり、肉、それから牛乳、そうしたものの中にBSEの心配がないかどうかということが、いろいろの研究機関で研究されているところでございます。

 それで、その結論を拝見いたしますと、肉からは感染しないということがはっきりと、どの研究機関からも、研究調査からも言われております。ただ、神経、いわゆる脳神経及び脊髄も含めてでございますが、そうした神経からは、神経はBSEに対する親和性がありまして、感染源になり得るということでございます。

 そういたしますと、脳や脊髄はもう当然処理しておるわけでございますが、では、肉の中にも細い神経の枝は来ているではないかという話は、率直に言ってあるわけでございます。しかし、これもヨーロッパにおきます研究でございますけれども、いわゆる脊髄から出ております神経の出どころの太いところのものについては若干の問題なしとしないけれども、筋肉の中に入り込んでしまっているような神経においては大丈夫という結果、データが多いと私は理解をいたしております。

佐藤(公)委員 大臣、いろいろと細かく説明していただいたんですが、単純に消費者の方は、今出ている肉に関して、そういう区別というか分け方をせずして、市場に出ているものは大丈夫ですかということに関しては、一〇〇%大丈夫と言い切ってよろしいですね。それはよろしいですね。

 細かい部分のいろいろな説明はあるかもしれませんが、今出ているものに関しては、BSEにかかった牛の肉、今市場に出ているものの危険部位、以外のものは心配なく食べてください、一〇〇%大丈夫ですと言い切ってよろしいんですね。

坂口国務大臣 今出ておりますものは、もうすべてと言っていいと思うんですけれども、十月の十八日以降に検査をした肉であるというふうに思っています。それ以前のものは除去したわけでございます。(佐藤(公)委員「以前のものです」と呼ぶ)だから、以前のものは外へ出していないわけですから、現在のところ。それは出していません。

 ですから、そこは今後、それも廃棄処分にするのかどうするのかを、これは農林水産省で決めていただくことでございますから、私がそこまで言うことはでき得ませんけれども、それは出ていないというふうに私は理解をいたしております。

佐藤(公)委員 私が言っているのは、出していない、買い取っている、一応保管している、それ以外のところの小売、卸、そういうところにもそれ以前の肉というのはたくさん出回って、そのまま置いてあるところがたくさんあるということです。

 別に国が今とめているところだけじゃなくて、ほかにたくさん、加工食品屋さん、卸売元の肉屋さん、お肉屋さん、焼き肉屋さん、みんなそれがストックされてとまっている、もしくはある、冷蔵庫の中にある。これを、大丈夫ですねと、はっきり言い切れることができますねということです。それも含めて。そういうことなんですよ。当然、国が管理しているところは出していないから安全なのは決まっています。それ以外のところでもたくさんありますよ、それは大丈夫ですねと。

 大臣の今お答えになられていることを聞けば、今出ている危険部位以外のことに関しては大丈夫だということをおっしゃられているので、それだったら、大丈夫ですとはっきりおっしゃっていただいたら、まだいろいろとその辺のあたり不安があるにしても、皆さんが安心して食べられる可能性がまだあると思いますけれども、そこの部分が、今のマスコミを見ても、いろいろな学者の見解を見ても、一〇〇%安心だと言い切れないというような報道が幾つかされているのは事実でございます。

 そういう部分を見ますと、どうしても大臣のおっしゃられているところが、今、いろいろな部分によって、部分によってもありますけれども、非常に心配が多い。はっきりその辺をお答えになっていただけたらありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 先ほど申しましたように、これは、学者の間にはいろいろ具体的なことをおっしゃる方もありますけれども、危険部位は除かれているわけでございますから、私は大丈夫というふうに思っております。

佐藤(公)委員 僕が言いたいことは、本当に大臣の言葉は重たいということでございます。ですので、その辺をはっきり、きちんと調べ、そしてそれなりにお答えを願えればありがたいと思います。

 時間がもうないので、最後の質問に入らせていただきます。

 このたびの雇用対策関係において、雇用保険の財政状況について、大島委員、城島委員からもたくさんの指摘がございました。この中で大臣は、先ほども、経済状況を見ながら、動向を見ながらということをおっしゃられておりましたけれども、この弾力条項の発動というか適用に関して、では大臣は、この弾力条項を発動というか使っていくには、一体全体、どういう条件もしくは前提においてこれは出すというような一つのわかりやすい具体的な線引きを明確に教えていただきたいなというのが、私が大臣により聞きたいことでございます。

 今までも城島委員、大島委員からもいろいろとお話が出る中、言葉が合っているか合っていないかはわかりませんが、財政破綻、一体全体、破綻というのは、何を、どの基準で、どこで破綻とみなすのか。定義みたいなものになってしまうかもしれませんけれども、そこが、お互いが明確にならないまま歯車が合わない。でも、こういうあいまいな状況になっていれば、その辺をはっきりしていただけないことによって、僕は、民主党さんのおっしゃられる、やはりこの不安を持つ部分というのは当然あると思います。

 そういうところ、大臣、一体全体、この弾力条項、いつを発動する一つの基準と考えておるのか。状況を見ていくというのはわかります。ですが、それは失業率なのか、GDPなのか、経済成長率なのか。いろいろな数値があると思いますけれども、そういう中で、一体全体、その経済状況、そして財政状況がどの時点まで来たらばそれは発動に値するのか、また、破綻ということで大きな方針、方向転換を図られるのか。具体的にお答えを願えればありがたいと思います。

坂口国務大臣 これは、ファクターはいろいろあると私は思いますが、主なものはやはり今後の経済動向、これは一番大きいのだろうと思いますが、経済動向、それから雇用失業情勢の動向。それから、いわゆる求職者給付の支出面、どれだけ支出をしたかという求職者給付の支出面。それから、保険料などの収入がこれからどう変わるか、収入面。さらには、積立金が今後どうなっていくか、といったようなことのトータルで見なきゃならない。

 いわゆる前提条件としての考えなければならないことは今申し上げましたようなことが中心で、それらのことをトータルで見て結論を出さなければならないということでございますから、当面、現在の時点でこれらの結論はなかなか出ないわけでありまして、これらのことが出てまいりますのは、大枠が出てまいりますのは来年の四月以降というふうに私は思っておりますが、そうした中でどうするかはまた考えなければならないこともあり得る、しかし現在のところは変更する考えはございません、そういうことを申し上げているわけでございます。

佐藤(公)委員 私は、その項目はわかりますが、それにおける基準をどこに持っているのかというようなことをきちんとお答え願いたいと言っているんです。

 項目はわかりますが、全体を見ながらといっても、発動するには、今おっしゃられた中で、これがここら辺、これがここら辺に来た場合に一つの発動する線引きと言えるのではないかという、具体的な一つの線引きをお示しくださいとお願いをしているんですが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 そこはちょっと難しいですね。今そこを明確に申し上げることはでき得ませんけれども、結局は、先ほど申し上げましたようなさまざまな要件をもとにいたしまして、そしてトータルで財政上これで大丈夫かどうかという判断をするということ以外にないと思うんです。ですから、その中で一番大きな役割をしますのはやはり経済動向。今後、経済動向がどう動くかということによって判断する以外にないというふうに思っております。

佐藤(公)委員 もう時間が来ました。大臣、この雇用対策、BSEに関して、きちんとした大臣のリーダーシップをお示しください。私は、今の答えでは先々不安でなりません。よろしくお願いします。ありがとうございました。

鈴木委員長 小沢和秋君。

小沢(和)委員 本題に入る前に、ハンセン病問題の検証会議について一言お尋ねをします。

 第一に、ようやくハンセンの検証会議が始まると思ったら、その枠組みなど運営方法について紛糾しております。大変残念です。きょうは時間がないので紛糾の中身は聞きませんが、せっかく関係者の努力でここまで来たのですから、さらに話し合いを続け、だれもが納得する運営方法を決め、一日も早く軌道に乗せていただきたい。大臣にそのための努力を約束していただきたいが、いかがでしょうか。

 第二に、私は、この検証会議では、我が国でなぜかくも長期にわたり患者の隔離絶滅政策を転換することができなかったのか、その政策決定過程に踏み込んだ歴史的検証、第二に、患者の徹底した隔離と差別、偏見の植えつけに重大な役割を果たした無らい県運動などについての十分な検証等が主なテーマになると思いますが、大臣のお考えはどうでしょうか。

 第三に、このような歴史的検証を十分に行うためには、本省内にある資料、全国の療養所等に保管されている資料の公開はもちろん、他の省庁や地方自治体にも最大限に資料の提供を求めるべきではないでしょうか。

 以上、会議の運営、テーマ、資料の公開の三点について簡潔にお答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 たくさん言っていただきましたので、十分答えられるかどうかはわかりませんが、今まで懸案になっておりました問題、次々と処理をしていただいたことを感謝いたしております。

 あと残っておりますのが、この検証会議の問題でございます。謝罪広告の問題もございますけれども、一番大きいのはこの検証問題というふうに思っているわけでありまして、この検証をどうしていくかということにつきましては話し合いをこれから進めさせていただいて、そして、先ほど御指摘になりましたような、今までの医学的な背景、社会的な背景、あるいは療養所における措置の問題、それから、らい予防法などの法令等が適切であったかどうかといったようなこと、先ほど御指摘になりましたようなことも含めて私は検証されるものと思っております。それは、医学的に、あるいは社会的に検証されるものというふうに思っております。

 資料につきましても、当然のことながら、厚生労働省にありますものは、それは皆さん方に全部公開をすることになるというふうに思いますし、そして、都道府県、市町村の問題は、これはもう我々がこうしろ、ああしろと言うわけにはなかなかいかないわけでございますが、そこに必要なものがあるならば御要請を申し上げるということになるだろうというふうに思っております。

小沢(和)委員 次に、今年八月三十一日、国連社会権規約委員会が採択した日本政府への勧告についてお尋ねをいたします。

 一つは、日本政府が過大な労働時間を容認していることに重大な懸念を表明し、労働時間を削減するために必要な立法上及び行政上の措置をとることを勧告したことであります。

 もう一つは、労働者は四十五歳以降、十分な補償なしに、給与を削減され、あるいは解雇されるおそれがあることに懸念を表明し、日本政府に対し、四十五歳を超える労働者がもとの給与水準及び雇用の安定を維持することを確保するための措置をとることを勧告したことであります。

 二つとも、日本政府に対し具体的な措置をとるよう勧告していることに留意していただきたいんです。

 この点について我が党の志位委員長が党首討論で質問したのに対し、小泉総理は、政府としては労使の話し合いを援助していくと言うにとどまりました。これでは政府がどういう具体的措置をとるのかわかりません。

 この機会に重ねて、厚生労働大臣としてこれをどう受けとめ、政府として勧告にこたえるためにどういう具体的措置をとるのか、お尋ねをいたします。

坂口国務大臣 勧告が出ましたことはよく存じております。

 御指摘のこの勧告につきましては、我が国が批准しております国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約に関するものでございます。国連の関係委員会が示したものでございまして、法的拘束力はありませんけれども、我が国政府がこの規約に関しまして今後着実に実現に努力をしていく、努めていくべき目標を示されたものというふうに理解をいたしております。

 厚生省といたしまして、あるいはまた政府といたしましては、労働時間の削減につきましては、目標としております年間総労働時間千八百時間、この達成、定着に向けまして、年次有給休暇の取得の促進、あるいはまた所定外労働の削減に重点を置きまして、今後とも労働時間短縮に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、中高年齢者の雇用の安定につきましては、企業の賃金制度の整備改善に資するため、労使当事者におきまして相談援助を行いますとともに、雇用調整助成金の活用等によりまして企業の雇用維持に対する支援等も今までどおり、あるいは今まで以上にまた行っていきたいというふうに思っております。離職を余儀なくされております労働者に対します事業主による再就職支援の促進等につきましても、失業なき労働移動に対する支援などを行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

 今後とも、この勧告の趣旨を踏まえまして、これらの施策の適正な運用、充実に努めてまいりたいと思っております。

小沢(和)委員 私は、日本政府が国連の一つの委員会から公式に「過大な労働時間を容認していることに重大な懸念を表明する。」と言われたのは重大なことだと思います。これは、一九八八年に年間総実労働時間千八百時間という目標を国際公約として掲げ、およそ五年で実現することを閣議決定しながら、それを四度も変更し、いまだに達成していないことへの厳しい批判であります。

 政府の発表でも、一九九三年からは労働時間は横ばい状態になっております。三十人以上常用労働者がいる事業所では、九三年の年間総労働時間二千十時間が昨年でようやく二千四時間、七年で六時間減っているにすぎません。所定外労働時間は、百四十八時間から百六十三時間へと逆に十五時間もふえております。特に、一昨年から昨年にかけての一年間に年間総労働時間は二十時間もふえております。これでは国際的批判が高まるのは当然であります。

 ところが、この国連の勧告を受けて以後政府が具体的に行った措置は、私が承知している限りではただ一つ、十月二十四日の所定外労働削減要綱の改定だけであります。しかし、率直に言って、これがどれだけの実効を期待できるのか。こんな何の強制力もない文書を幾らか手直ししてみたところで、千八百時間を達成できないのではないでしょうか。本当に国連の勧告を実現しようというのであれば、少なくとも労働基準法三十六条を改正し、労使が合意さえすれば幾らでも残業できるという仕組みそのものを抜本的に変えるべきではないでしょうか。

南野副大臣 先生のお尋ねでございますが、十分なお答えができるかどうかということでございます。

 政府目標でございます年間総労働実働時間が千八百時間、これを達成するということにつきましては、先般改定されました、先生が先ほど申されました所定外労働削減要綱の周知啓発を初めといたしまして、本年三月には廃止期限を延長した時間短縮促進法に基づく各種助成措置などを実施していく、遅くとも平成十七年度末までには達成できるように努力しようというのが我々のスタンスでございます。

小沢(和)委員 だから、今までもそういうスタンスでやってきたと言うんだけれども、さっぱり進んでいない。だからもっと抜本的に、私は労働基準法三十六条の見直しなどを考える必要があるということを申し上げているわけであります。

 次に行きたいんですが、もう一つ、一部の新聞で、政府の総合規制改革会議がその最終案で、派遣労働について、対象業務や派遣期間の制限についてはこれを原則撤廃することが望ましいと取りまとめたと報じられていることについてお尋ねをいたします。

 私は、先週の当委員会で、四十五歳以上の労働者に限り派遣期間を今の一年間から三年間に延長することは、次の法改正で全体の派遣期間を三年間に延長するステップになるのではないか、派遣労働のあり方全体を見直すことは、今禁止されている製造業などへの派遣も全面的に自由化してしまうことにつながるのではないかとお尋ねをしましたが、早くもそれが現実のものになろうとしている感じがいたします。

 大臣の先週の答弁は、まだ見直しの方向は定まっていないという趣旨だったと思いますが、総合規制改革会議がこういう方向を打ち出したのであれば、労働政策審議会の審議、検討の方向もこれに従うということになるのではないでしょうか。

南野副大臣 現在行われております労働者派遣制度全体の見直しということにつきましては、現時点でその方向性を決めているものではないというふうに思っております。その検討に当たりましては、平成十一年度の改正労働者派遣法、これの施行状況や今回の特例措置の実施状況を可能な限り把握、検証するとともに、労働関係者の意見なども十分お伺いいたしながら検討を進めていくということでございますので、どうぞ先生の御意見をよろしくお願いしたいと思っております。

小沢(和)委員 いや、だから、私がお尋ねしたのは、政府の総合規制改革会議というのは、厚生労働省の労働政策審議会よりもいわば上にあるというか、リーダーシップを持っている会議じゃないかと私は思うのです。ここでそういう方向が打ち出されるということになると、それに従って方向が決まってくるんじゃないかとお尋ねしているんですが、もう一度お尋ねします。

坂口国務大臣 それは、影響を受けると私も率直にそう思います。影響を受けると思います。

 この派遣の問題は、御指摘になりますような、一方において心配もしなければならないわけでございますが、日本の現在の雇用状況全体から見ました場合に、必要な面もまた生まれてきていることも事実でございます。

 例えば、育児休業でありますとか、あるいは介護休業でありますとか、そうしたことを例にとりましても、そうした皆さん方が、そういう休みをとっていただこうということになって、そしてまた、その休業をおやめになってもとに復帰をしていただこうということになれば、その間はだれかがやはりつながなければならないわけでございます。

 特に、大きい企業ならばこれはよろしいんでしょうけれども、中小の小さな企業におきましては、一人欠けますとそのままというわけにはいきませんから、その間をやはりだれかに交代をして勤めていただかなければならないわけでございますから、そうした点につきましては、やはりこの派遣業というものが非常に大きな役割を果たしてくるようになるのではないかというふうに私は思っております。

 したがいまして、育児休業等が三年間なら三年間というようなことにだんだんと広がっていけばいくほど、こちらの方もそれは考えていかなければならない側面もあるというふうに思っている次第でございます。

 したがいまして、そのことが勤労者の労働というものにどういう影響を与えるかということについてはこれから十分配慮をしていかなければなりませんけれども、そうした必要性につきましても、これから配慮をしながらやはり取り組んでいかなければならないというふうに私は考えております。

小沢(和)委員 総合規制改革会議は、同時に解雇ルールについても、企業が採用しやすい環境の整備や再就職の促進に資すると、解雇手続の明確化を打ち出したと報じられております。小泉首相が、解雇しやすくすれば企業はもっと人を雇うことができると発言していることから考えると、これは、解雇をしやすくする手続法をつくるということではないのでしょうか。大臣は、これもこの方向で今後の検討を進めることになるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。

 派遣の対象業務を自由化し、派遣期間を三年に延長したり解雇しやすくすれば、企業はもっと人を雇うというのは全く逆だと私は思います。派遣労働者を入れやすくなれば、企業はそれだけ正規社員である常用労働者を減らし、派遣労働者に置きかえようとする、解雇しやすくなればどんどん首を切る、それだけのことではないのでしょうか。こういう見直しが本当に雇用の拡大、増加につながるという万人を納得させる証明ができるのかどうか、お尋ねします。

坂口国務大臣 解雇ルールについてでございますが、これは前回もここで御答弁を申し上げましたけれども、決して解雇をしやすいような解雇ルールをつくるというようなつもりはさらさらございません。この解雇ルールにつきましては、労働者の皆さん方が安心してお勤めをいただくためには、やはり解雇のルールというものが明確になっていないとしていただけないのではないかというふうに私は思っている次第でございます。

 現在、高等裁判所の判決等もございますけれども、しかし、これは立法府、行政府として、やはりそうしたルールを一つつくるということが非常に大事ではないかというふうに私は思っている次第でございまして、そうした意味で、皆さん方の御意見も十分拝聴しながら、そしてまた労使の御意見も十分に拝聴しながらこれは決めてまいりますけれども、決して解雇しやすいようにするための法律をつくるというようなことをさらさら考えてはおりません。

 それからもう一つ、派遣につきましては、先ほど御答弁を申し上げたとおりでありまして、大変多様化をしてまいりましたし、それから日本の経済の置かれております立場、非常にグローバルな中におきます日本経済の立場等を考えましたとき、企業の置かれている立場等を考えましたときに、やはりそこは多様化をせざるを得ない。そうしなければ日本の企業は全部諸外国に出ていってしまうといったようなことも総合的に勘案しながら、我々は取り組んでいかなければならないと思っている次第でございます。

小沢(和)委員 これを最後の質問にしたいと思うんですが、真剣に雇用を守ろうとするのであれば、国がその立場に立ち、解雇を規制する法律をつくり、企業にも社会的責任を果たさせる以外にないと思います。

 現に、EUに参加している諸国では、リストラが大問題になるたびに解雇規制の法制が強化されております。今ドイツでも経済が減速しておりますが、そういう中でシュレーダー首相は、二十一日、ドイツを代表する航空会社ルフトハンザが乗客減を理由として四千人の解雇計画を一方的に発表したことを厳しく批判いたしました。シュレーダー首相は、政府の介入でフォルクスワーゲンの労使が新生産ライン建設に新たに失業者を五千人雇用することで合意した例を挙げ、企業には雇用を守る責任があると、各企業に景気悪化をリストラの口実にしないよう求めております。

 今政府に求められているのは、こういう断固たる雇用を守る姿勢ではないのか、また、こうしてこそ景気の後退にもストップをかけることができるのではないか。最後に、大臣に重ねてお尋ねします。

坂口国務大臣 先ほど申しましたように、企業が現在の国際化をいたしました社会の中で置かれている立場ということも理解をしなければならないというふうに思っておりますが、しかし、今委員が御指摘になりましたように、それならば解雇はどんどんやってもいいのかといえば、それは、大きい企業であればあるほど、やはり社会的責任というのは大きいと私も考えております一人でございます。

 したがいまして、企業としての再構築というものもやらなければならないというふうに思いますが、しかし、再構築をやる中で、また新しい企業等をつくるというようなことも行いながら、やはりできる限り従業員の解雇というものを避ける、そういう努力もまたするのが経営者の責任ではないかというふうに私は思っております。

 したがいまして、ただ単に、現在行っております企業の内容が非常に厳しくなってきたからというだけの理由で、やはり一方的に解雇をするといったようなことが拡大してはいけない、私も、そこは社会的責任が十分あるという認識を持っております一人でございます。

小沢(和)委員 終わります。

鈴木委員長 金子哲夫君。

金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子でございます。

 質問の通告をいたしておりませんけれども、実は、昨日韓国の方から電話が入りまして、先般、私ども韓国を訪問した際お会いをしました被爆者の皆さんからのお電話でありました。大臣が設置をされた在外被爆者の問題に関する検討会も十二月にいよいよ最終時期を迎えておりますけれども、私どもが十月に韓国を訪問した際にも、韓国の被爆者の皆さんの非常に強い要望というものが伝えられましたし、特にこの数年、もう毎年毎年亡くなっていかれる方の数が増大をしているという状況もお話を伺ってまいりましたし、そして、特に郭さんの裁判以降、厚生労働大臣、坂口大臣が非常にこの問題を何とかしなければいけないという思いで前向きな発言をされていることに対しても、韓国の国内では、非常に期待を持ってこの今の日本の状況というものを見ていらっしゃるわけです。

 私たち自身が行きましても、広島の話が出、長崎の話が出、その地名を聞き、そして、この五十数年間、いわば日本に生まれ育って日本語しか知らないまま帰国した大変な苦難の生活の状況とか、そして、私は、被爆者にある意味共通するものですけれども、被爆者の皆さんの病気というのは、身体的なものだけでなくて精神的なものを含めまして、非常に苦痛が多い中で過ごしてこられたことに対して、やはり共通して言われたことは、一九四五年の八月十五日まで、まさに日本人と同じということで、朝鮮半島から日本に渡り、仕事をし、被爆を受け、それはそれまですべてが日本人と同じという扱いを受けていながら、一九四五年の八月十五日を境にして、韓国人、朝鮮人ということの扱いになって、日本人とは違うということでこの被爆者問題も扱われていることに対して、全く理解ができないというか、なぜこんなことになるんだろうかということを、もう行く先々でお話を伺ってまいりました。

 そして、昨日も電話が直接入りまして、息子さんの健康状態も含めて、今もう、先日私どもが行ったときに、本当はもっともっと話がしたかったんだけれども時間がなくて直接話すことができなかったという思いで、昨日も電話をいただきました。

 そうした中で、いよいよ十二月ということで、一応十二月末までには結論をということで今検討会が進められておりますけれども、また、先般は韓国の保健福祉部からも担当の係官の方がお見えになって、厚生労働省との話し合いもされたと伺っておりますけれども、改めまして、このもう日にちもない、また時間的にも余り長くない被爆者の皆さんにとって待ち望んでいらっしゃる援護法の適用という、在外被爆者の皆さんに対する援護法の適用について大臣の決意なり考えを改めてお聞かせをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 在外被爆者の問題につきましては、今、研究会で、諸先生方にお集まりをいただきまして、あらゆる角度からの御議論をいただいているところでございます。十二月にはその最終案をお取りまとめいただけるというふうにお聞きをしているところでございます。

 今委員が御指摘になりましたように、先般、韓国から課長さんがお見えをいただきまして、私もお会いをさせていただきました。そして、私の方の課長と直接にさまざまな問題についてお話し合いをしたということも聞いているところでございます。

 歴史的な経緯はここで申し上げる時間的ゆとりがありませんけれども、在外被爆者の皆さん方にもやはりそれなりの責任というものを日本が果たさなければならないということだけは、私は率直にそう思っております一人でございます。

 さあ、それをどういう形にするか。韓国の皆さん方だけではなくて、北朝鮮の皆さん方もおみえになる、アメリカにもおみえになる、ブラジルにもおみえになる。それぞれ国情がまた違うわけでございまして、こうした皆さん方を一つにくくって対応できるのかどうか、それともそれぞれの国に対して対応するのかどうか、そうしたことも含めて今御議論をいただいているやに聞いているわけでございます。

 私も、最近ほかのいろいろ、さまざまなことがございまして、この問題の今の進行状況をちょっと今十分に聞いておりませんけれども、もう月が変わりますので、変わりましたら、詳しく一度聞きまして、そしてその先生方の御主張というものも十分拝聴しながら、最終的な結論を得たいというふうに思っている次第でございます。

金子(哲)委員 この問題については、大臣に対してもいろいろと要望、申し入れも既に何度かさせていただいておりますので、趣旨についてはもう大臣もよく御承知のとおりでありますし、今お話がありましたように、在外被爆者を今のままで置いてはならないというのはもう大臣もそのお考えのようでありますし、私たちとしては、やはり援護法を適用するという道が一番いいというふうに思っておりますけれども、その点についてぜひ委員会で結論が出るようにということを望んでおります。

 ぜひ大臣に、いよいよ十二月十日が次の委員会というふうに私ども日程を伺っておりますけれども、大変忙しい日程ということは承知しておりますが、このままいけば国会も七日で閉会ということになりますので、ぜひもう一番重要な段階を迎えているこの委員会に大臣御自身御出席をいただいて、やはり今お話のあったような思いも含めて最終的な結論に大臣の思いが伝わるようにぜひしていただきたいと思いますけれども、その点についてぜひ大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 日程的にその日がどうかということをちょっと私も今ここで御答弁をすることができ得ない状況でございますけれども、いずれにいたしましても、その委員会の先生方の御意見というものを私も十分お聞きをしたいと思いますし、また私の意見も言わせていただきたいと思っているところでございます。

金子(哲)委員 ぜひいい結論が出る方向で大臣の力を発揮していただきますように要望して、この問題についての質問を終わりたいと思います。

 それでは、先回の質問の際にも若干お伺いしておりますが、今回の法案の中の職業訓練の問題について実はお伺いをしたいというふうに思っております。

 最近リクルートが調査をした資料によりますと、大体前の職場に就職が決まるというのが半数ぐらい、つまりは、一般職であれば一般職の方にというような形で就職状況があって、まさに転職をするというのが非常に難しいということがこの調査の結果を見てみますとわかるように思います。そうしてみますと、職業訓練のあり方、充実ということを先般も申し上げましたけれども、非常に重要になってくるというふうに思うわけであります。

 そこで、今回一年コースというものがつくられるということになっておりますけれども、そのコースの今想定をされている中身、またどれぐらいの規模でこの一年コースというものが今検討されているのか、お尋ねをしたいと思います。

酒井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘のように、離職された方に対する引き合いといいますか、そういう状況を見ておりますと、かなり高度な能力をお持ちの方を期待されるというような傾向がございます。

 そんなことも頭に入れまして、大学等において訓練コース、一年物というものを考えておるわけでございまして、規模といたしましては、大学、大学院を使って行うもののトータルといたしましては一万人くらいを目指したいということなんでございますけれども、そのうち、一年コースにつきましては、いろいろ新たにコース設定を行うということで、今大学関係者等と相談をしております。

 できるだけ実態のニーズに合うようなものをやっていきたいと思っておりますが、具体のイメージといたしましては、一例といたしましては、例えばホワイトカラーでかなり職歴もおありになる、しかしながらリストラに遭った。ただ、そういう方でさらに一層の能力、技能を身につけていただいて企業家の右腕人材になるとか、あるいは同じことが技能系でもあり得ると思いますけれども、そういうようなことも考えておるところでございます。大学、大学院以外に職業訓練大学校においてもそういうことを取り組んでいきたいというふうに思っております。

 具体の一年物の規模は、そういうことの結果、決めていきたいというふうに思っているところでございます。

金子(哲)委員 今努力されているということはよくわかりますし、新しいコースをつくるということですが、ちょっと余り全体の幅が、今大学、大学院とかが中心のようにおっしゃっておりましたけれども、例えば、これは難しいかもわかりませんけれども、ポリテクセンターなども今半年コースだけが最長というような状況になっていて、そういったものも含めて活用する一万人という、今希望的観測で一万人じゃないかと、私は言われてみても全然具体性がないものですから思うわけですけれども、一年、一年の二年間の訓練給付ができるんだというふうなことをおっしゃってみても、一万人程度の規模では、全くそれは本当に焼け石に水のごとき政策としか受け取れないわけですね。

 そうしてみますと、その辺のことについてもっと努力をしていただかないと、何か非常にいいことをやっているようなことを言ったって、一万人も、それも実際にどうなるかわからない状況では心もとない気がするのですけれども、その点についてはどうですか。

酒井政府参考人 ただいまは、通しで一年物のことを申し上げました。

 先生先ほど御指摘のように、異業種から転換される方につきましても、これは今先生がおっしゃったポリテクセンターを中心に六カ月物、これは毎年毎年六カ月コースはふやしてきております。現在は、平成十三年度で八万人と、以前は四万人を切る状態だったのがそこまで来ております。

 それから、異業種からの転換ということでは、むしろ複数の受講、六カ月にあるいは三カ月の委託訓練、さらにほかの組み合わせもあると思いますが、皆さんの職歴等を踏まえまして、これに柔軟にこたえていけるような体制ということで、来年度はトータルとしては総数で九十万人ぐらいのことを考えておりまして、今のは一つ一つの内訳の話でございますが、できる限り御本人たちの御都合、職歴、適性、そういうものを考えて一人でも多く結びつけていき得るような職業訓練に努めていきたいというふうに思っております。

金子(哲)委員 ぜひ、この職業訓練についてはさらに充実を図っていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、これは二十四日の毎日新聞にも掲載されておりますけれども、これから社員を減らす企業は六割もあるということが企業アンケートによって出されております。結局のところ、いろいろ離職者に対する雇用対策をやったとしても、これからどんどん出てくるリストラによって離職者がふえていく状況にありますと、一向に雇用状況というのは改善をしないというふうに私は思うのです。この委員会でもいろいろ意見がこれまでも出ていたと思うのですけれども、大手が、しかもこれから金融機関もリストラをどんどんやるということが当たり前かのごとく進んでいっていること自体が雇用状況を悪化さすし、さらに雇用不安による生活不安、ひいては不況の長引きということもあるわけですね。

 そうしてみますと、そして実態を見てみますと、本当にリストラに際して企業が企業努力というものをやったのかということが全く、私はほとんど目に見えてこないと思うのですね。とにかく決算で赤字が出ればリストラをやればいいという、そういうことが日本の企業の中に進んでいっているのじゃないか。

 結局、そこのところの、出口と言ったら変ですけれども、離職者をどう抑えるかということに対して、厚生労働省が企業を含めてもっと積極的な役割をしてそこに力を入れるということの方が重要ではないか。解雇のルールをどうこうするというよりも、企業の努力がどれだけやられているかという検証をやっていかない限り、もっと必要なように思うのですけれども、その点について、どのようにこのリストラ、大リストラをやっている企業の企業努力というものを評価されているのでしょうか。

坂口国務大臣 委員が御指摘のように、出口のところではなくて入り口のところをもう少し努力をしろという話は、そのとおりというふうに私も思うのです。

 ただ、入り口のところの話は、経済の動向というものが一番根っこにある、根っこと申しますか、一番の入り口にあるというふうに思っておりまして、経済の回復をさせるということが一番の大事なことでございますが、もちろんその中で企業は企業としての社会的役割というものもありますから、ただ単に経済動向だけで雇用の問題を考えるということはやはり差し控えていただきたい。全体の社会的役割というものも果たしていただきたいというふうに私も思いますし、そうしたこともお願いもしなければならないというふうに思いますが、しかし、企業も生存競争に勝っていかなければならないわけでございますから、その辺のところも我々は十分に考えなければいけない。

 それは、やはり一番の入り口のところは経済をどうするかということでございますので、それにつきまして、これは厚生労働省だけの範囲のことではございませんけれども、やはり最大限の努力をしなければならないというふうに思っている次第でございます。

金子(哲)委員 企業も生き残らなければなりませんけれども、労働者とその家族も生き残らなければならない。毎年三万人を超える自殺者が出て、しかも中高年の自殺者が一〇%も増大するような社会は、これは異常なんですよ。

 企業の生き残りも必要だけれども、まず働く人、とりわけ厚生労働省にとっては働く人の生活と命を守ることほど重要ですから、ぜひ、大型のリストラ計画を発表する企業に対しては、やはり直接事情を含めて聞いて、リストラ計画を抑える努力をするような申し入れ等も含めて厚生労働大臣にはやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、派遣労働の問題についてお伺いをしたいと思います。

 これは端的にお答えをいただきたいと思いますが、今回の雇用対策として、派遣労働、四十五歳以上の一年から三年に延長ということですが、これで雇用は一体幾らふえると予想されているのでしょうか。

澤田政府参考人 派遣労働につく方の数は景気動向にかなり影響されますので、数量的に予測することは大変難しい状況にありますが、私どもが現在派遣業から労働者を受け入れている派遣先企業にアンケート調査をした結果をベースに予測をいたしますと、大体五万人程度の雇用拡大が見込まれると思っております。

金子(哲)委員 全体として今三百万を超える失業者の中で五万人。私はそういうことで拡大するとは思っておりませんけれども。

 先ほども質問がありましたけれども、この派遣労働の延長というものが、結局のところ、派遣労働がもともと一年間で規制をされていた事情というのは、これは不安定労働をなくすということが一番の重要な案件だったわけですね。

 それで、先ほどの質問の中で厚生労働大臣も、派遣労働、企業のいろいろな雇用状況の中で必要だということをおっしゃっておりましたけれども、私はあえて申し上げたいと思いますけれども、日本の企業の場合には、一応の終身雇用等常用雇用を基本にして、そこに企業と労働者の関係があって初めて日本型の企業の経済発展があったと思うのですよ。

 今のやりようを見ると、どんどん、中高年の一番働き盛りの、そして優秀な頭脳のところを希望退職を募集する。そして、結果、企業としては本当は必要な人材の方が先にリストラに、希望退職に応じて出ていく。そして、そういう人たちを派遣労働でもし賄うとしたら、私は、日本の企業のありようとして、将来にわたってむしろ日本の企業の活力を、一時的にこの雇用状況の問題についてはいいかもわからないけれども、企業総体の活力を将来にわたって、世界と競争していくときに何が日本の企業にとって世界にまさる優秀なところがあるかといったら、やはり、日本における企業と労働者の雇用関係にあったものを崩していくということは、将来にわたって日本企業そのものの発展に大きな阻害をもたらすことになるし、労働者自身が雇用不安を抱えたままで、一生懸命働くような状況にならない。

 そういう不安定雇用を拡大するような派遣労働の期間延長ということについてはやるべきでないということを申し上げて、質問を終わります。

鈴木委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、内閣提出、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に対し、小沢和秋君外一名から、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。木島日出夫君。

    ―――――――――――――

 経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。

 私は、提出者を代表して、政府提出の臨時特例措置法案の一部を削除する修正案の趣旨及び理由を御説明いたします。

 修正の趣旨は、法律案中、中高年労働者の派遣期間を三年に延長する特例措置を削除するというものです。以下、その理由を申し上げます。

 今日の失業情勢は、完全失業率五・三%、完全失業者三百五十七万人と、史上最悪の事態で推移しております。その最大の要因は、倒産等による失業の増大とともに、大企業が進めているリストラ、人減らしが野放しになっていることであります。その人減らしの手口の中心は、中高年の常用労働者をパート労働者や派遣労働者など低賃金で不安定な労働者に置きかえ、労働者を企業の都合に合わせて自由に増減できる体制を急速に進めていることです。

 しかるに、本法案は、三年間の特例とはいえ、中高年の雇用が厳しいことに便乗して、派遣期間を、現行一年から、中高年に限り三年まで延長するとしております。しかし、この特例措置で中高年齢者の雇用の創出につながる根拠は何ら示されておらず、しかも、特例期間の失効前に契約を結べば、この措置は六年間の長きにわたって機能することになり、一般の派遣を一年に限った現行派遣法による代替防止措置が骨抜きにされてしまいます。

 また、経営者団体や派遣業界は、派遣期間の撤廃、物の製造への派遣の解禁などを掲げ、派遣法全体の改悪、見直しを求めております。政府案によって派遣期間の特例を許すならば、その流れの突破口を開くものになることは明らかです。

 以上、派遣期間の延長は、中高年の雇用の機会の創出どころか、逆に失業の増大につながるおそれすらあるのです。

 何とぞ、慎重御審議の上、御可決くださいますことをお願い申し上げ、趣旨の説明といたします。(拍手)

鈴木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、城島正光君外四名提出、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 ただいまの民主党の御提案によります雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案につきましては、政府といたしましては残念ながら反対でございます。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。

木島委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の臨時特例措置法案に反対、民主党提出法案に賛成の討論を行います。

 政府案に反対する第一の理由は、本法案が数十万にも及ぶ新たな失業者を生み出すと政府自身も認める不良債権の早期処理とセットになって出されていること、しかも失業者をふやさない施策は何ら講じられていないだけでなく、逆に本法案は失業が大量に生まれることを前提にさえしているのであります。雇用に責任を負う政府が中小企業の倒産をふやし、もう一方では、電機、通信、自動車など大企業が、企業存続に差し迫った事情がないのに、転籍や希望退職の名前で事実上の大量の整理解雇を進めることを野放しにする。これでは史上最悪の雇用情勢をさらに深刻にするだけであります。

 第二の理由は、中高年労働者に限った派遣期間の三年間の延長の特例措置を設け、派遣制度の改悪を行うこととしていることであります。

 この特例措置では、四十五歳を超える派遣労働者は派遣期間を三年間、失効前に契約を行えば最長六年間まで派遣労働ができることになり、現行の一般派遣の期間を一年とした常用労働者の代替を防止する措置が骨抜きにされ、派遣労働者保護の要件が崩されることになります。到底雇用対策につながるものではありません。

 今回の三年間の期間延長は、経済界が求める派遣期間の一層の緩和、撤廃、物の製造業務への派遣の解禁などの突破口となるおそれのあるものです。だからこそ、本法案に対する労働政策審議会の労働者側代表の意見でも「時限の措置であるとしても、制度の基本にかかわる労働者派遣期間の延長を、常用代替の防止策など雇用の安定や労働者保護を担保する措置なしに行うことについては賛成しがたい」と主張したのであります。労働組合、労働者がこぞって反対している措置を緊急雇用対策の名前で行うことは許されません。

 第三に、雇用保険、船員保険、中小企業労働力確保法の特例は、雇用情勢の本格的な改善につながらないものであります。最長二年間とする雇用保険法の訓練延長給付は、今回の特例でも四十五歳以上の望む者すべてが対象となるわけではなく、ごく一部を対象としたものにすぎません。また、職業訓練を受け入れる条件整備も極めて不十分であります。

 以上、本法案は、雇用情勢の改善どころか、新たな失業者の増大を前提とし、事実上の整理解雇を野放しにしたままで、派遣法の原則をゆがめ、不安定雇用をさらに増大しようとするもので、到底賛成するわけにはいきません。

 なお、民主党案については、抜本的な対策とは言えないものの、雇用保険財政確保の措置等、緊急かつ必要な施策を行うものと判断できることから、賛成の立場を表明するものであります。

 以上、日本共産党は、労働者の雇用を守るために、引き続き解雇規制法の制定を初め雇用の安定のために全力を挙げることを表明し、反対の討論といたします。(拍手)

鈴木委員長 中川智子君。

中川(智)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、政府が提案している雇用対策臨時特別法案また民主党案に対し、反対討論を行います。

 反対理由は、大きく四点あります。

 まず、現在の最大の政策課題は、積極的な雇用安定創出策の展開による、先の見える安心社会をつくることではないでしょうか。政策と財政は、積極的な雇用の安定、創出のために総動員されるべきものであるはずです。にもかかわらず、十人に一人とも言われている大失業時代を迎えようとしている今このときに、その場しのぎのこの法案は、危機的な雇用失業状態の改善に向けた決意の疑わしい全く不十分なものです。

 反対の理由の第二点は、雇用分野に関して、小泉総理が声高に強調される構造改革が反映されているとはとても思えないということが挙げられます。

 マクロの景気回復を果たすための牽引車は、国民が安心できる生活保障の積み上げにほかなりません。そのため、社民党は、国民の生活再建に直結する施策を最優先すべきだとワークシェアリングと時短を強く求めてきました。ワークシェアリングは、政府の後追いの雇用対策で痛みを強いられてきた人々に、同一価値労働同一賃金などを含むすべての権利及び労働条件の均等待遇原則によって実現するものであり、これらの推進こそが国民が安心できる生活保障となるのです。消費の活性化は、これらの施策により、結果として経済基盤の強化をもたらすと考えます。政府の後追いの雇用政策で痛みを強いられてきた人々の生活再建こそが最優先課題ではないでしょうか。

 次に、確かに今回の政府の雇用対策には、自営業者への生活資金の貸し付けや学卒未就職者に対するトライアル雇用制度の創出など、社民党がかねてより求めてきた趣旨の施策も盛り込まれてはいます。しかし、失業給付にかかわる訓練延長給付の積極適用は、社民党が九八年から求めていたにもかかわらず、結局、具体策の示されないまま、絵にかいたもちに終わる公算が大きいと言わざるを得ません。これが反対理由の第三点です。

 そして、最後になりますが、中高年者に対する派遣期間の延長について、今後これが一般化されないという歯どめ措置に関して、なぜ明確に確認できる答弁がいただけなかったのでしょうか。現局面における期間延長は正規雇用の代替機能としての側面が強く、これが一般化されるなら、不安定な低賃金労働者層の増大による消費の停滞がもたらされ、日本社会はますます沈没していくことは必至です。

 以上のように、改善の方向を誤っている小泉改革をこのまま実行するならば、結果として個人最終消費低迷は一層膠着し、結果もたらされる税収不足は特例公債に頼らざるを得ないことになるでしょう。社民党としては、これには断固反対せざるを得ません。

 また、根拠の不明瞭な民主党案に対しても残念ながら反対を表明し、私の反対討論を終わります。

 以上です。(拍手)

鈴木委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより採決に入ります。

 まず、城島正光君外四名提出、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案について採決いたします。

 まず、小沢和秋君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、本案に対し、吉田幸弘君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。加藤公一君。

加藤(公)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 現下の厳しい雇用状況のもとで特に厳しい状況にある中高年齢者の雇用機会の確保・安定のため、募集・採用における年齢制限の緩和に向けた取組みを強化・徹底するとともに、求人開拓の強化・促進に努めるに当たり、求人内容について職務の遂行に必要な適性、能力等の程度の明確化を図ること。

 二 中高年齢者の能力ミスマッチを解消し雇用の機会確保・就職の促進を図るため、人材ニーズ等に即した多様な訓練機会の確保を図るとともに、職業安定機関と能力開発機関の連携を一層緊密化するよう努めること。また、雇用の維持・創出のため、多様な働き方やワークシェアリングに関する労使関係者の合意形成に向けた取組みに積極的に協力するとともに、それらの実現のための条件整備に努めること。

 三 労働者派遣制度全体の見直しについては、我が国の労働力需給調整機能全体の強化、多様な雇用機会の確保を図るため、平成十一年の改正労働者派遣法及び今回の中高年齢者の派遣期間の臨時特例措置について、その施行状況を確実に把握、検証し、雇用の安定と労働者保護の観点に立って総合的な検討を行い、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

鈴木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、第百五十一回国会、熊代昭彦君外四名提出、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。熊代昭彦君。

    ―――――――――――――

 建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

熊代議員 ただいま議題になりました建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 本改正案は、この間のビルメンテナンス事業者の業態分化の動向を踏まえ、ビルメンテナンス事業者登録制度における登録業種及び要件の見直しを行い、もって建築物における衛生的環境を確保するためのこの事業者登録制度の一層の活用を図るものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、この法律に基づく登録を受けることができる事業として、建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業及び建築物の排水管の清掃を行う事業の二つを新たに加えることであります。

 第二に、現行の登録業種のうち、建築物環境衛生一般管理業の業務に空気環境の調整などを加え、建築物環境衛生総合管理業と名称を変更することであります。

 第三に、この登録を受けるための基準に、厚生労働省令で定める事項を加えることであります。

 この登録制度は名称独占であって、これらの改正は規制の強化につながるものではないことを申し添えます。

 なお、この法律の施行日は、平成十四年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

鈴木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十分散会




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