衆議院

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第2号 平成14年2月27日(水曜日)

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平成十四年二月二十七日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 森  英介君
   理事 鴨下 一郎君 理事 鈴木 俊一君
   理事 長勢 甚遠君 理事 野田 聖子君
   理事 釘宮  磐君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君
      岡下 信子君    上川 陽子君
      木村 義雄君    北村 誠吾君
      後藤田正純君    佐藤  勉君
      自見庄三郎君    田村 憲久君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      棚橋 泰文君    西川 京子君
      林 省之介君    松島みどり君
      三ッ林隆志君    宮澤 洋一君
      谷津 義男君    吉野 正芳君
      家西  悟君    大島  敦君
      加藤 公一君    鍵田 節哉君
      金田 誠一君    五島 正規君
      三井 辨雄君    水島 広子君
      江田 康幸君    桝屋 敬悟君
      樋高  剛君    小沢 和秋君
      木島日出夫君    阿部 知子君
      中川 智子君    川田 悦子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   農林水産大臣政務官    宮腰 光寛君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            日比  徹君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局長
   )            澤田陽太郎君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
森委員長 これより会議を開きます。
 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、医薬局長宮島彰君、労働基準局長日比徹君、職業安定局長澤田陽太郎君、雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、社会・援護局障害保健福祉部長高原亮治君、老健局長堤修三君及び保険局長大塚義治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
森委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。
吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。質問をさせていただきます。
 まず最初に、医療制度改革についてお尋ねいたします。
 戦後、全くの焼け野原から世界第二の経済大国をつくった。私にとってはおやじやおふくろの世代でありますけれども、どうしてそんなに働くことができたのか。これはやはり、働いて病気になっても安心がある、そういう安心のもとがあるから夜も寝ないで働くことができたと私は思っております。この日本をすばらしい経済大国にした原動力のもとは、やはり、いつでもどこでも保険証一枚で世界一の医療が受けられる、そういう国民皆保険制度があったからこそ私たち国民は安心してこの日本の国づくりをできたんだというふうに私は理解をしております。
 そのすばらしい制度が今揺らごうとしております。制度への信頼という部分を考えますと、財政的な安定というものがやはり私は必要なのかなという思いがする。例えば銀行、今不良債権の処理で銀行が大変でありますけれども、自己資本比率という銀行の健全性を見る尺度がございます。これもやはり、財政的な基盤を持っているかどうかというところに私たち国民が信頼を置くか置かないかという、そして信頼を置くことができれば、そこに安心というところがあって、そこで安心して活動できるわけであります。
 そんなところをとらえて今度の医療保険の制度を見てみると、今議論の中では、少し小さな視点で、赤字にならないんだから三割負担を求める必要はないのではないか、また、十五年四月一日に三割負担を明記するべきではないのではないか、もっとやるべきことがあるのではないかという議論がございます。
 それはそれで、そこの視点を狭くして見れば納得できる議論だと思いますけれども、もっと視点を高くして、自転車操業の制度と、きちんとした財政的な基盤を持った制度とを比べてみて、国民がどっちに信頼を置くか。信頼を置くことで安心をかち取ることができるわけでありますので、そういうもっと高い観点から、この抜本改革、負担の問題というものも私は考えていく必要があるのではないかと思っております。
 そういう意味で、十五年四月一日、法律に明記をして三割負担をしていくというこのことは、国民に安心を与える、そして待ったなし、もうこれ以上先送りはしないという決意のあらわれというふうに私は考えるわけでありますけれども、地元に帰っていろいろ地元の声を聞いてみても、みんな、やはり先送りはだめだ、少々の負担があっても健全な制度にしてほしいという意見が大半でございました。
 これについて、大臣の御所見、そして医療制度抜本改革に対する決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
坂口国務大臣 吉野先生から今お話をいただきましたように、日本の医療制度は、トータルで見ました場合に、世界じゅうから、大変うまくいっている立派な制度であるというふうに評価をされているというふうに私も思っております。とりわけ、少子高齢化というふうに日本は大変心配をいたしておりますけれども、これだけいわゆる高齢社会をつくることをできたのも、やはりこの医療制度があったればこそというふうに思っている次第でございます。
 今御指摘をいただきましたように、この医療制度、今まで、順調にという言葉は当たらないかもしれませんけれども、何はともあれ、日本の中で、どこでもだれでも、診療に携わっていただく、あるいは診療を受けていただくことができる制度が続いてきたわけでございますが、ここにまいりまして、少子高齢化が非常に急速な勢いで進んできたということもございますが、やはり保険制度が財政的にかなり厳しい状況になってきていることだけは間違いのない事実でございます。
 したがいまして、このままで進んでいきますと、やはり保険制度がほころびるといったことがございます。国保につきましては、御承知のとおり、各市町村におきまして大変な御苦労をかけておりますし、その中にかなりな一般財源からの投入も行っていただいているところでございますが、国保だけではなくて政管健保におきましても、もうこのままでいきますとこの一年間の間にマイナスに転換をしてしまうというような状況にあるわけでございますので、この際に皆さん方の御理解を得て、そして安定した制度をここに確立していくということが急務ではないかというふうに思っている次第でございます。
 そうした中で、三割の負担ということもお願いを申し上げて、そして保険料だけに余り偏らないように今していくことが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
 ぜひそうした形で大きな立場から御議論をいただきまして、そして、この医療保険制度の改正に対しまして、より御理解をいただければありがたいというふうに思っております。
吉野委員 先週の土曜日、朝刊を見ましてびっくりしました。新聞の見出しは、政管健保の民営化という大きな見出しで書かれていました。すぐ地元の方から電話も来ましたし、私の国政報告会で皆さんにこの問題についていろいろ意見も聞いてみました。全員です、全員、不安だ、心配だ、大丈夫なのかなと。これは、民営化というイメージが示されていないですから、それぞれ皆さん自分でイメージを持った中での不安というものを私に訴えたわけでありますけれども。
 政管健保というのは対象が中小企業、私の会社も中小企業ですし、三千七百万人の国民を担っております。そういう意味で、保険者が国であるという、ここに先ほど私が申しました制度の安心感というものがあると思うんですけれども、この政管健保の民営化、なども含めてというふうに要綱には書いてありますけれども、大臣のイメージをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
坂口国務大臣 先ほど申しましたように、現在の医療制度、とりわけ財政的な面からの取り組みも大事でございますが、やはり制度疲労を来している部分もございまして、抜本改革というふうに言われて久しいわけでございますが、抜本改革も行っていかなければならないというふうに思っております。
 その中の一つで一番やはり大きいのは、保険者が五千を超える数で林立していると申しますか、分立をしているわけでございます。
 国保の三千三百を初めといたしまして、多くの保険者がある。その中で一つにまとまっておりますのは政管健保でございまして、これは、一つにまとまっておりますがゆえに大変いい面も私はあるというふうに思っております。
 しかし、国保のように、余りにも分化されておりますがゆえにいろいろの問題がありますから、ここを、統合あるいは一元化と申しておりますけれども、まあ一元化までいかなくても、ある程度、県単位ぐらいなところで統合をしていくことがやはり避けられないというふうに思います。そうしないと、もう国保の方は、四七%が無職者と申しますか、職のない人がそれだけふえてきておりますと、やはり小さな町村単位ではなかなか無理になってくるというふうに思っています。
 一方、そうした統合化を進めていきますときに、現在の政管健保それから組合健保、これらと国保との問題をどうしていくかという大きな問題が生じてくるというふうに思います。いわゆる地域保険と職域保険をどうするかという問題が生じてまいります。そうした中で、この政管健保につきましても、これからどのようにしていくかということは、その保険の統合化、一元化の中でどうしてもやはり考えていかなければならない問題であるというふうに思っておりました。
 そうした中で、自民党さんの社労部会の方からお示しをいただきました中に政管健保の民営化というお話もあったわけでございますが、大局的な立場に立てば、そうした保険の統合、一元化の中の一環としてこの問題も見ていくべきだというふうに思っている次第でございます。
 国保の方は非常に、先ほど申しましたように小さ過ぎる。これは何とかもう少ししていかなければならない。大きければ大きいだけでいいかといえば、一つでありますがゆえにそこにデメリットも存在する。こうした問題を総合的にどうしていくかということになるだろうというふうに思っていますし、これまでずっとそうしたことをやるやると言いながらやってこなかったわけでございますので、平成十四年度、この一年間をかけて、いわゆる関係する皆さん方にもお入りをいただき、あるいはまたその道の権威の皆さん方にもお入りをいただいて、そして、この医療保険制度をどうしていくかという大筋の合意を得たいというふうに思っております。
 平成十五年の四月一日、三割の御負担をお願いをします前に、そうした大局的な方向性というものは、もうこういうふうでいかせていただきたいということを国民の皆さん方にお示しをすることが大事ではないかと思っておりまして、その中の一環としてこの問題も取り組ませていただきたいというふうに思っている次第でございます。
 今のところそれ以上のことを申し上げることはでき得ませんけれども、そうした考え方の中でいきたいというふうに考えております。
吉野委員 今のお話の中で、五千近くある保険者の一元化というお話であります。
 まさに効率のいい制度というものをつくっていかなければならないわけでありますけれども、保険者の一元化の中で健保と国保を一つにまとめるというと、健保の場合は、サラリーマンの負担があって、会社が二分の一、折半です。国保は、農家の方々、自営業者の方々が保険料を納める。いわゆる財布が二つあるんですけれども、一元化というと、財布だけを一つにして、いわゆる保険料負担というものはそのままでいく。
 まあ言葉は当たっているかどうかわかりませんけれども、一国二制度的なそんな形で、財布だけ一つにして、給付はもう一本化でやっていくようなイメージなのか。それとも、保険料も給付も全く一本化したような一元化。そうした場合、後者の場合は、社会保険という機能の中には所得の再配分という役割も担っていると思いますので、所得の捕捉という、そんな点も考えると、なかなか国民全部の所得を捕捉して一律な保険料をということが、どうしても私わかりませんので、その辺少し突っ込んで大臣の御見解をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 御指摘をいただきましたように、これは医療保険制度だけにとどまりませず、やはり税制にも関連をしてくることでございまして、税の捕捉といったことも大きな問題になってくるわけでございますので、なかなか、一元化というのは言うはやすくして現実には難しいところもあるということは、私も十分に承知をしているつもりでございます。
 そして、それは本当に制度として一本にするのか。制度は二つなり三つなり、それを残しておきながら財政上の融合を図っていくのか。そうしたいろいろのいき方があるだろうというふうに思いますし、また、これらの制度を現在の延長線上で、その一元化というようなところまではいかないけれども、しかし統合化をまず進めていくというところで、一段落、落ちつけるといういき方もあるだろうというふうに思っております。
 まさしくそうしたところをこれからのこの一年間に御議論いただきまして、できるだけ早い時期にその方向性というものをお示しできればというふうに思っている次第でございます。
吉野委員 次に、介護保険をちょっとお尋ねしたいんですけれども、十五年を目指して、今、十四年はそこの辺の見直しを進めていくということなんですけれども、もう介護保険ができて二年近くたちます。
 私の知り合いの特養、この間行ってまいりました。そこでこういうお話を聞いてきたんです。
 多様な利用者のニーズが出てきた。例えば、保険で介護度三なら三、五なら五の方が、ここまでは保険を使える、だけれどもショートステイとかデイサービスにもっと行きたい、それは自己負担で構わないというニーズが利用者の方からあっても、施設側としてそれは受けられないんだ、そういう指導が役所の方からなされている。ですから、その規制緩和といいますか、そういう指導をなくしてほしいというお話を伺いました。
 私も、今までの措置から今度は契約という形になりましたので、多くのビジネスチャンスがあろうかと思います。ですから、今度は契約でありますので、そこの施設に入ってサービスが悪ければ出ればいいわけで、別なサービスのいい施設に行けばいいわけでありまして、契約という概念になれば、いわゆる市場原理というもの、もうイコール市場原理が働くような、そんな行政指導をしていただきたいと思うんですけれども、その辺についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
堤政府参考人 介護保険制度では、今先生から具体例の御紹介がございましたように、介護保険の対象にならなくて全額自費であっても、介護保険に加えて利用する、これは認めております。ですから、それはできないということではないのでありますけれども、例えばデイサービスであれば、利用者何人に対してどれぐらいの介護職員を配置すべしというふうな基準をつくっておりまして、最低基準として何人以上の職員の配置をお願いするということにしております。
 これは、利用者に対して何人ぐらいの職員かという比率でお示しをしておりますので、利用者が予想よりも非常に多い、それに対してお世話をする職員の数が全然変わらないということになりますと、利用される方全体に対して、言ってみればケアのレベルダウンが起こってしまうということでございますので、この最低基準をお守りいただいた上で、そういう自己負担で利用される方も含めて使っていただく。その際に、その最低基準を遵守しながら、ケアの中身で適正な競争を行って、サービスの質を高めていただきたいというふうに考えております。
吉野委員 まさにそこなんですけれども、そこに幅がないんです。市場原理を働かせるだけの幅がない、ぴったり。申し込んでも、役所の方の指導で、施設側では、いわゆるプラスアルファのデイサービス、特にデイサービスとショートステイなんですけれども、この辺の利用ができないというところがありますので、少し実態の調査を願いたいと思います。
 その人員配置の問題ですけれども、今、国は、特養の場合ユニットケアを全部進めていると思います。私の行ったところも、ユニットケアを国で推奨する前につくられた施設なんですけれども、現実にユニットケアをやっているところです。今、基準は三対一、利用者が三、スタッフが一という形で全体で見ていますけれども、やはり、重度の方々の多い施設と、軽度の方々の多い施設であっても三対一という基準で今役所は指導していると思うんですけれども、もっときめ細かい配置ができないものかというふうに私はお願いをしたいと思います。
 私の行ったところでは、十三年度は二・五対一でやっています。これでも満足するサービスが提供できないということで、十四年度は二対一のスタッフで、職員をふやして対応しようとしております。特に重度の方々は二十対十一、二対一よりも多い二十対十一、痴呆等の場合はそこまで職員をふやしてきめ細かい対応をこれからしようとしているわけですけれども、そういうきめ細かい人員の配置をもう少ししていただきたいということについて、御検討をお願い申し上げます。
堤政府参考人 今御指摘の特別養護老人ホームにつきましては、平成十四年度から、従来の四人部屋主体のホームから、全室個室、ユニットケアという新しいタイプの特養に少しずつ転換をしていこうということで推進することにしております。
 新型特養の場合には、従来の相部屋の特養と比べまして、施設の構造とかあるいはケアの方法が変わってまいります。大きく変わることになると思いますが、例えば、食事をとる場所と居室というのが非常に隣接をしておるといったようなこともございまして、そういう意味では職員の負担がかえって楽になる、こういう面もございますので、まず、新型特養全体の人員配置基準につきましては、現在の三対一という基準を基本としながら、実はこれは十五年四月からの新しい介護報酬をどうするかということにも絡みますので、審議会で今議論をお願いしている段階でございます。
 それから、先生御指摘のように、施設の中で重い方、軽い方、いろいろあるだろう、そういうきめ細かな人員配置ということでございますけれども、施設の中では、ユニットケアであろうとなかろうと、やはり施設によっては要介護四、五、重い人が多いところも軽い人が多いところもいろいろございますし、そういう方をどのような形でまとめて、あるいは分散して処遇しているか、いろいろございます。
 そこで、私どもは、全体としての人員配置基準、現在でいえば三対一以上というこの基準の枠内で、それぞれの施設で実態に応じて対応していただいた方がいいのではないか。国として、こういうケースは何対一、ここの部分は何対一というふうに細かくあれこれ細目を決めるのは、かえって、施設のいろいろな自由なケア、処遇ということについてなじまないのではないかというふうに考えておりまして、全体としての基準をお守りいただき、その範囲内でいろいろと御工夫をいただいたらというふうに考えております。
吉野委員 今の答弁の中で、ユニットケアは逆に人手が減るというところはちょっと私納得できませんので、もう既にユニットケアをやっているところがございますから、実態調査をお願いします。
 私の知っているところは、ユニットケアですから、食事を、そこの広場で、みそ汁もよそり、おかずもよそり、御飯もよそって、家庭と同じ形で出しています。食堂というか厨房で全部セットにして、はい食べてください、こうやっているんじゃなくて、それぞれアイデアを考えてやっているので、ユニットケア、イコール人手が減るというところの認識は、いま少し調査を願いたいと思います。
 では次に、時間がありませんので、雇用対策に参ります。
 高校生の就職率です。私、福島県なんですけれども、県内全体で一月末現在六九%です。福島県の中で一番不況風が吹いているのが、私のいわき市というところです。これは日本全国一広い面積を持つ市ですけれども、三十六万の東北第二の都会なんですけれども、日本一面積が広いものですから、全くの田舎でありまして、倒産がいっぱいあります。
 ことしの二月一日、今月の一日です、創業一七〇〇年です、三百年続いた、しにせ中のしにせが、二月一日に破産をしてしまいました。去年の暮れには、私たちの町でたった一つしかないデパートです、百年続きました、大黒屋といいますけれども、宝くじが当たるので、毎年一等が当たるので、東京からも買いに来る方々がたくさんいました、それも自己破産をしてしまいました。
 こんな形で、今不景気でありますから、企業もリストラをしておりまして、なかなか就職という部分ができません。
 それで、まず高校生。まず、社会に初めて出る若い方々が、社会人としての自覚というものをやはり最初の就職でつくらねばならないと私は思います。社会人としての自覚。それは、自分のやっている仕事を通して、社会におれはこれだけ貢献しているんだ、そういう自覚。税金を払うこと、納税することによって、国民としての義務を果たしているんだ、そういう自覚。また、社会保険システム、これは相互共助という概念、社会保険という概念で、私たちは、そこの一員として保険料を負担し、この日本の国を支えているんだ、そういう自覚というものを、まず最初に就職をしたときに持つのが社会人の第一歩だと私は思っております。
 そういう意味で、高校生の失業者、最初から、卒業したわ、失業だという、この形だけは絶対に避けねばならないというふうに思っています。
 各県、残業をやめて、ワークシェアリングと称して、浮いた残業代で高校生を、福島県は約五百名、五億円の予算で五百名、県庁のアルバイトという形で採用していますけれども、この高校生の就職問題についてどういう施策があるのか、しているのか、お聞かせを願いたいと思います。
澤田政府参考人 高校卒業生の就職問題に関しまして、基本的な認識は今御指摘のとおりだと思います。全国的な状況を申し上げますと、昨年の十二月末現在で、高校卒業者の内定率が六七・八%と過去最低になっております。
 こうした状況は何としても今後三月末に向けて改善していきたいということで、文部科学省ともども努力しておりますが、具体的には、一月の末に主要経済団体のトップの方々に集まっていただきまして、厚生労働大臣から直接、採用枠拡大の要請をいたしました。
 これにあわせまして、職業安定機関を挙げまして、学卒専任の求人開拓相談員というものがおりますので、これを活用し、高卒者向けの求人開拓に全力を挙げております。そして、緊急措置といたしまして、高校に職業安定所の職員あるいは相談員が出向きまして、まだ内定をとっていない高校生に対しまして職業相談を行いまして、その後もフォローアップをするという態勢をとりました。そして、各職業安定所では、合同就職面接会というものを頻繁に現在開催して、マッチングの強化を図っております。
 そういう形をとりましても、なお三月の卒業時点で就職に至らないという方が出た場合には、十三年度の第一次補正で若年失業者トライアル雇用制度というものを措置していただきました。これは、学卒未就職者あるいは既に失業になってしまった若い方々に対しまして、企業に最長三月ほどトライアル雇用をしていただきます。その間に職業的な知識、経験、態度等々を積んで、両者が合意すれば、その後の常用雇用につなげるという制度であります。本来四月から実施する形になりますが、これも、この三月時点で未就職の方には、前倒しで三月から適用して、少しでも常用就職化のチャンスを広げたいというふうに思っております。
 こうしたことを最大限やりまして、今御指摘のように、一人でも多くの高校卒業者が就職できるように引き続き努力をさせていただきたいと思います。
吉野委員 最後に、緊急地域雇用特別交付金、これは昨年の暮れ、雇用対策で決まりました。この間の朝日新聞に、和歌山県が、四十二億交付金をいただいたうち、二十億を森林整備に使うというような社説も載っかっておりました。
 全国でもユニークないろいろな事例があろうかと思います。その辺のユニークな事例をお聞かせ願いたいと思います。
狩野副大臣 もう既に予算額三千五百億円は全額都道府県に交付しておりますけれども、既に事業が開始されております。
 ユニークな事業内容と言われますけれども、私の地元茨城県は、環境分野ということで、偕楽園において観梅期間中の公園内の環境美化を行う作業員の配置とか、それから吉野委員のお地元である福島県では、教育・文化分野で、遺跡から出土した遺物の分類、復元等を行う整理作業員の配置をしております。それからまた福祉・保育分野ということで、これは香川県の例でございますけれども、延長保育等を実施する子育て支援者の配置ということで、それぞれ各市町村でいろいろな考えを創出してやっております。
 これからまた地域のニーズに応じた新規雇用の創出がされることを期待したいと思います。
吉野委員 ありがとうございました。
 通告して質問できなかった失礼をおわび申し上げ、質問を終わります。
森委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。
 物を言う場所でこれほど気持ちが変わるかと思うぐらい、私は複雑な思いでありますが、委員各位やあるいは大臣、新しい副大臣、宮路副大臣、狩野副大臣の皆様に感謝を申し上げながら、心新たに、またしっかり委員の一人として審議に参加させていただきたいと思います。
 本当に大臣、今、医療制度は最後の山であろうと思っております。日々、御苦労がおありだと思いますが、頑張っていただきたいと思います。気にはなるところでありますが、私どもの党としては、しっかり法案ができた上で議論をさせていただきたい、このように思っているところであります。
 本日は、先日の大臣所信に対しまして、二つのテーマで議論をさせていただきたいと思います。一つは障害者施策と介護保険の問題、それからもう一点は長期入院患者の特定療養費化の問題、この二つをさせていただきたいと思います。
 最初が、順番を変えまして、介護保険制度と身体障害者福祉施策について、十分ほど議論をさせていただきたいと思います。
 最初に、介護保険が導入されまして大分時間もたちましたけれども、導入されるまでは障害者の車いすの交付は身体障害者福祉法で行われておりましたが、介護保険が入りまして、六十五歳以上の高齢者と、それから若年の障害者で十五の特定疾病の方については、身体障害者福祉法ではなくて、介護保険の方が優先をする。介護保険の福祉用具の貸与として実施をされるということになりました。
 大変気になるところでありますが、介護保険制度導入によりまして、身体障害者福祉法サイドの補装具の交付の状況はどうなっているのか。まず、状況をお示しいただきたいと思います。
高原政府参考人 介護保険制度によります福祉用具として貸与される用具と共通する種目は、御指摘のとおり、車いす、電動車いす、歩行器及び歩行補助つえの四種目でございます。
 介護保険制度導入前後の補装具交付状況につきまして御説明いたしますと、車いすにつきましては、十一年度が七万六百九十九件が、十二年度が三万一千二百十二件というふうになっておりまして、この差が介護保険のレンタルの方に移行したというふうに考えられるのではないかと思っております。
桝屋委員 ありがとうございます。
 今、部長の方からお示しをいただきました。七万という数字が三万ぐらいになった、四割強ですか、半数以下になった。多分、これは大人の制度の、手動の車いすの状況ではないかと思っております。電動車いすあたりはなおやはり障害者施策での方が多いんじゃないかと私は推定をしておるのでありますが。そうした状況の中で、結構なのでありますが、半分ぐらい、半分以下になった。
 介護保険優先で適用されているケースの中に、介護保険というのはどうしても、レンタルでありますし、それから画一的になってしまうわけでありまして、どうも体に合わない、あるいは体位の保持に好ましくないという状況もあるという話も聞いておりまして、そういうお訴えをするんだけれどもなかなか現場の窓口で対応してもらえないという声も聞いているわけであります。
 介護保険制度、レンタルで、なおかつ画一的な車いすだということがありますので、本人の身体状況等に適合していないケースも出てきているんじゃないか。これは随分議論されておりますが、こうした問題に対してどのような対応をされておられるのか、伺いたいと思います。
高原政府参考人 介護保険制度で貸与される車いすは、標準的な既製品である場合が多く、障害者の中にはそのような既製品では身体の状況に適合しない場合があるということは御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、オーダーメードにより個別に製作する必要があると判断される方においては、引き続き補装具給付制度において交付されることとなっております。これは、平成十二年三月二十四日の介護保険制度と障害者施策との適用関係通知に明記させていただいております。
桝屋委員 今、部長から――部長、もうよろしいですよ。大体お聞きしたいことは確認できました。ありがとうございます。
 今お話をいただきました、介護保険サイドとそれから障害者福祉サイドで、必要なものについては、介護保険優先とはいいながら身体障害者福祉の世界で対応するということが基本的には全国の市町村には通知をされているわけでありますが、しかし、実態としては、先ほど私が申し上げたような極めて切実な問題があるのではないかと思っております。
 私は、原因には、きょうはもうお尋ねしません、指摘にだけさせていただきたいと思いますが、介護保険のケアマネジャー、この方々にも責任があるし、それからもっと言いますと、身体障害者福祉を担当しております市町村の福祉司さん、さらには身体障害者更生相談所の皆さん方、こうした方々にもっと頑張ってもらわなきゃならぬというふうに私は思っております。
 おまえ、そこまで声を大きくして言うんだったら、副大臣のときにちゃんとやっておけばよかったじゃないか、こういうおしかりも受けるのでありますが、何せ一年一カ月でありまして、もう三年ぐらいやれば徹底もできたわけでありますが、今なお徹底できない部分があります。
 というのは、ケアマネジャーにそこまで言うのも酷な部分もあります。必死な思いでこの二年間、ケアマネジャーの皆さんは夜も寝ないで準備をされてきた、仕事をされている、こういうこともある。しかし、そろそろ落ちついたわけでありまして、私は、必要なケースについては、障害者福祉という原点がおざなりにならないように、ぜひとも取り組みをお願いしたい。
 そういう意味では、批判をするばかりではなくて私は提案をしたいのですが、これは通告しておりませんが、例えば介護保険の現場、ケアマネジャーさんにとっても、あるいは身体障害者の担当者、これは市町村に担当者がいらっしゃるわけでありますが、こちらは転勤でころころかわるということもあるわけでありまして、共通の車いす選定マニュアルのようなものをぜひ現場でおつくりいただいて、先ほどの平成十二年四月の通知等も十分入れていただいて、やはり制度の趣旨というものを十分生かされる形で、現場において多くのケアマネジャーさんや、あるいはケアマネジャーさんに比べるとはるかに数の少ない障害者の担当者の皆さんが共通のマニュアルで仕事ができるような、そんな努力もお願いをしたいというふうに思うわけであります。これは私個人の提言でありますが。
 いずれにしても、介護保険と障害者福祉、この間で障害者のサービスが決して画一的、一様のサービスにならないように、特段のお取り組みをお願いしたいと思いますが、これは新しい宮路副大臣に、御決意を込めて、お伺いしたいと思います。
宮路副大臣 今、桝屋先生から大変貴重なアドバイスを賜り、御指摘をいただいたものと思っております。
 これまでも、いろいろな行政において、役所が縦割りであること、その縦割りであることが連携をとかく欠いて、そしてスムーズな、サービスを受ける側に立った親身なサービスの提供というのはとかく欠けがちであるというようなこともいろいろなところで指摘されておるわけでありますけれども、この問題についても同じような局面、つまり、身体障害者に対する福祉サービスを担当する部門と介護サービスを担当する部門における連携のやはり欠如と申しましょうか、そういったところも今のお話を聞いておりますと確かにあるのかなという気がいたしてなりません。
 したがって、御指摘の点、しっかりと踏まえまして、私どもとしても、今の御提案もまた貴重な御提案としてしっかりと念頭に置かせていただきながら、一定のマニュアルといったようなものも含めてその対策を検討し、そしてそれをつくって、実際にそういったものを担っていただく地方自治体の方にもそういうものを示しながら、桝屋先生の意をしっかりと体して努力をしてまいりたい、改善に努めてまいりたいと思っておりますので、これからもどうぞよろしく御指導のほどを賜りたいと思います。
桝屋委員 御丁寧な御答弁をありがとうございました。ぜひともお取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、長期療養の入院基本料等の特定療養費化の問題について議論をさせていただきたいと思います。
 これはもう予算委員会でも随分議論があったようでありますが、長期入院に係る保険給付の範囲の見直しによりまして、どの程度の患者がその対象になるのか、あるいは、これは経過措置もあるようでありますが、では、介護保険ではどのような対応、どの程度受け皿として介護保険サイドが準備できるのかなどなどが大きな問題であろうかと思っております。
 二十五日の予算委員会を聞いておりましたら、入院患者の四割、五万人、こういう数字も具体的に出ておりました。そうした大きな動きについて、これも宮路副大臣にお答えをいただきたいと思います。
宮路副大臣 このたびの診療報酬改定におきまして、いわゆる長期入院の方で、福祉施設や在宅によってその対応が可能であるけれども患者側の事情によりましてなお入院を余儀なくされている、そういった方々についての調査でありますが、これは幾つかあるわけでありますけれども、それによりますと、大体六カ月を超えて長期入院されている方々の四割ぐらいがそういった事情にあるというふうな結果になっておりますので、これを前提に試算をいたしますと、おおむね五万人程度かなというような、そういう数字になるわけであります。
 そこで、介護と医療とを機能分担するという観点からの今回の診療報酬改定でございますので、そういった方々を今後介護で受けるといたしまして、その受ける体制といたしましては、特別養護老人ホーム、そして介護老人保健施設、グループホームといったような関連施設においてこういった方々の受け入れをということで対応してまいりたい、こういったことを考えておる次第であります。
桝屋委員 今、副大臣が御答弁になりました介護サイドでの受け皿づくりということは、まさにこれから介護保険の第二期の事業計画を策定いたします市町村にとりましては、極めて大きなテーマだろうというふうに思っているわけであります。
 その話はちょっと後回しにさせていただいて、今話が出ました介護保険制度との関係で考えますと、経過措置があるというのはそれはもう結構なことでありますし、ぜひそうしなきゃならぬというふうに思っているのでありますが、もう一つの問題は、特定療養費制度の対象除外となる患者がどういうふうに整理をされるのかということであります。今、副大臣の方から、本当に医療が必要な方はという御説明もありましたけれども、そこを具体的にどう整理するのかということが大事だろうと思っております。
 先日の予算委員会の局長答弁を聞いておりまして、社会的入院という表現をされながら、精神病床あるいは結核病床、難病患者、人工呼吸器装着者等については継続して医療を給付するという、やはり継続して、これは特定療養費化するのではなくて、医療を給付しなきゃならぬ、こういう具体的なお話があったわけでありますが、この考え方ですね。これから、診療報酬改定、これは大臣告示で行われるのだろうと思いますが、それから具体的に、この対象除外患者、これをどのように決めて、決まっていくのか。この辺の御説明をいただきたいと思います。
大塚政府参考人 今回の診療報酬改定におきまして、ただいまの長期入院に係る特定療養費化という制度、取り扱いを導入するわけでございますけれども、その中で、引き続き入院が必要な方につきましては特定療養費化の対象の除外をするということになるわけでございます。
 具体的に申しますと、今回の診療報酬改定に関連する告示の中で、厚生労働大臣が定める状態にある者という形で、具体的な幾つかの事項を列記したいと考えております。これを、おおむね三月中旬ぐらいに、告示を準備しております。
 さらに申しますと、具体的な告示の事項を幾つか例示をするということになりますけれども、それだけですべて実態に即した取り扱いになることが懸念をされることもございますから、それぞれの項目にいわば準じた方についてもこの特定療養費の対象から除外する措置を講じなければならないと考えておりまして、これにつきましては、さらに専門家や臨床の現場の方々の御意見をよくお聞きをいたしまして、どういうケースがそうした一定の状況、事項に準ずる扱いとしてよろしいかということを協議してまいりたいと考えております。
 その最終的な整理は、おおむね本年夏を目途に整理をいたしたい、こんな考え方で作業を進めているところでございます。
桝屋委員 ありがとうございます。今の御説明では、今回、三月中旬ぐらいに、診療報酬改定とは別に、今の対象除外患者については、やはりこれも大臣告示で例示をする。そして、恐らくその例示は、この前の局長答弁がありましたように、精神、結核、あるいは難病患者、人工呼吸器装着者などなどが並ぶんだろう。そして、今の御説明では、最後に、その他前各号に準ずる状態にある者という、最後の落としどころといいますか、整理をする。では、その準ずるというのはどういうものかということは、またこれは議論があるんだろう。恐らく、協議をして夏ごろ整理をするとおっしゃったわけでありますが、これは専門家の先生やそういう方々と御相談をされるんだろうと思います。
 その前に、準じたというこの最後の項目の前にでは何が並ぶのかということも気になるわけで、先般の予算委員会の質疑を聞いておりましたら、現行の老人の場合の九十日以上の入院の逓減制ですか、これが現にあるわけでありまして、あれが視野に入って局長が御答弁されているのかなと。あの項目は私の記憶では十二項目であったんではないか。この前も議論がありましたが、この十二項目が想定をされているのかなというふうに思うんですが、この十二項目に、一番下に、その他前各号に準ずる者、こういう整理になるというふうに私は理解しておってよろしいんでしょうか。
大塚政府参考人 ただいまお話がございましたように、現在の診療報酬におきまして、一般病棟の場合に、三カ月、九十日を超えて入院している高齢者の方々につきまして、原則的にはいわゆるマルメ、包括した点数で算定するということになるわけでございますが、その例外が御指摘の十二項目ということになるわけでございます。
 現在の診療報酬における取り扱いは、いわば出来高的な算定をするか、それとも包括的な算定をするか、どちらが適当かという観点からの整理でございますから、今回の措置とその趣旨あるいは性格において必ずしも一致はいたしませんけれども、現在挙がっております十二項目が十分参考になるというふうには考えております。
 ただ、ただいま申し上げました趣旨からいたしますと、もう少し精査をいたしまして、若干の入りくりが必要かなと。さらに、先ほど申し上げましたように、これに準ずる者ということも当然加える考えでございまして、その準ずる者の範囲につきましては、繰り返しになりますけれども、専門家の御意見、現場の御意見を聞きまして、もう少し時間をかけて精査をするという考え方でございます。
桝屋委員 今の局長のお答えは、今の老人の九十日を超えての入院基本料の包括化については、これは、今の出来高払いの医療を包括化する、そういう着眼点であって、今回の六カ月以上の長期入院の特定療養費化、この考え方と、この適用除外、対象除外と必ずしも一致するものではない、しかし大いに参考になるものであろう、こういう御説明であったかと思います。
 私はこの十二項目を見ておりまして、今の局長の答弁では、必ずしも一致ではない、出入りがあるんではないかという御答弁でありましたけれども、私はそのまま適用してもいいのではないか、こう思っているのであります。
 例えば、私、現場で、人工透析の皆さんからも、今回、人工透析も時間区分が一本化されるというようなことがあって現場は大変心配をされておられますが、その方々も、例えば長期入院の取り扱いについても同じことになるのではないか、自分たちはこの特定療養費化の対象になるんじゃないか、こういう危惧もされている。
 しかし、今の老人の九十日を見ておりますと、人工腎臓は入っているわけでありまして、これは十二項目の中の一つ、人工透析、人工腎臓、これはこのまま告示の中に入ってくるのかなというふうにも思うんですが、今聞いてもお答えできないかもしれませんが、考え方でも結構です、いや入るんではなかろうかというようなことでも結構ですし、御教示いただければと思います。
大塚政府参考人 率直に申し上げまして、人工透析を実施されている患者の方々につきましては特定療養費の対象除外とするということを前提に検討しておりますし、そういう結論にいたしたい、こう考えているところでございます。
桝屋委員 ありがとうございます。
 これは告示の内容をしっかり我々も見守っていきたいと思いますが、今のような御答弁になりますと、十二項目、それぞれ入ってくるのかな。リハビリテーションなんかというのは恐らく議論の対象で今おやりになっているんだろうと思いますが、厚生省を離れました私としてはこの場で申し上げるしかないわけでありまして、ぜひともこれをしっかりと念頭に入れて御議論をいただきたいというふうに思います。
 今回の措置は、先ほどからお話がありましたように、入院医療の必要性は低いにもかかわらず患者側の事情によりまして長期にわたり入院している、いわゆる社会的入院に対応するものでありまして、仮にも、患者側の事情によって長期入院している者の範囲を超えて、入院医療の必要性のある者が結果として医療機関を追い出されるというような事態があってはならないというふうに思います。
 そういう意味では、最初に副大臣に御答弁をいただきましたけれども、現行の老人の今御説明がありました包括化のその基準から見ても、四割、五万人というのは、あの基準から見ても、私は、下手をしたら九割ぐらいになるのではないか、九割、十一万という数字になりはしないかということを大変心配しております。
 最初に四割、五万という数字をいただきましたけれども、これは個別に告示で今から整理してみて、八月まで、結果的にふたをあけたら九割、十一万であったということは、局長、ないでしょうね。お答えをいただきたいと思います。
大塚政府参考人 先ほど副大臣から五万人という数字を申し上げましたけれども、これも御案内のとおり、長期入院患者に関します調査結果から、臨床現場から見ますと在宅や福祉施設で対応できる方々の比率ということで数字が出てまいりました。これが一つの現状だろうということで五万人ということを申し上げたわけでございますし、また一方、入院が必要な方々につきましては特定療養費の対象から除外をするという考え方でございますから、考え方としては本来ほぼ重なる必要があろうかと思っております。
 その具体的な取り扱いにつきましては、先ほど来申し上げていますように、これから少し精査をする事項が数多くございますので、いやしくも入院医療が必要でありながら結果においていわゆる追い出しというような不幸な事例が生じないように、そうした仕組みを十分慎重に考えてまいりたいと考えております。
桝屋委員 ありがとうございます。
 この問題については、きょうは時間がないからできませんが、介護保険でどう整理をしていくのかということも一方では極めて大事な問題であります。また機会を得て議論をさせていただきたいと思いますが。
 大臣は先日の予算委員会の質疑で、この点について、今回の仕組みというのは医師が認めれば病院にいてもいいと。まあ病院にいてもいいといいますか、医師が認めれば病院にいる。福祉施設で対応するのがふさわしいという方については、これは特定療養費化をするというような趣旨の御答弁をされました。この大臣のお言葉は国民の立場から見ると極めてわかりやすい表現でありまして、この大臣の言葉を聞いて多くの国民の皆さんが安心をされたのではないかというふうにも思うわけであります。
 大臣、これから受け皿づくりの介護保険での基盤整備、介護の基盤整備ということもございます。そうした点も踏まえて、この問題に対する大臣の御所見を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
坂口国務大臣 先ほどから御議論がありますように、今までから、逓減制といいますか、一カ月、三カ月、六カ月ということで、だんだんと保険点数が少なくなってくるというふうなことがあったわけでございますので、それぞれの時点で、入院しておみえになる皆さん方は、病院から退院をしてほしいというお話を伺って、そして、さあどうするかというので大変お困りになっていた。それはもう、今までからそういうことがあったわけでございます。
 今回それを、三カ月とかいうのはなくして六カ月ということにして、しかし、その時点で医師の方が、これは介護の方あるいはまた老健の方、もうそうしたどちらかといえば福祉のニュアンスが大きくなってきましたよという御判断があれば、それはそのときに、その皆さん方についてはそうした新しい方への転換をお考えいただくことになるのではないかというふうに、原則的には私はそう考えているわけでございます。
 さはさりながら、その内容について、余り漠としたものであってはいけないというので、局長の方はより具体的に、より細かくいろいろなことを考えているのだろうというふうに思いますけれども、しかし、そこの割り切りのところで、担当医が、いや、これはやはり医療として今後も継続をすべきであるというふうに判断をしたときには、その医師の判断というものが大変重要になるのではないかというふうに私は思っている次第でございます。
 その辺のところを、もう少し混乱のないように整理したいというふうに思っておりますので、ひとつお待ちをいただきたいと存じます。
桝屋委員 ありがとうございます。まさに大臣がおっしゃった点でありまして、医療が必要な方、お医者さんの判断というものは大事であろうと思っております。
 そういう意味では、先ほどから局長が答弁されております三カ月の例として、私はリハビリあたりを出しましたけれども、これは、まさに大臣が今おっしゃったドクターの判断ということについては、現場においてさまざまに、取り扱いとして苦しい、判断が苦しくなるケースもあるのではないか。その辺はぜひとも患者の立場ということでお考えをいただきたい。
 私は例えで申し上げますが、仮にも四割、五万という数字が、九割、十一万という数字になるのであれば、そこは改めてその数字を整理、説明しなければならぬ、そういう調査も厚生労働省側にあるのではないかというふうに私は思っておりまして、どうぞ、そんなお取り組みをお願いしたいと思います。
 きょうはありがとうございました。以上でございます。
森委員長 次に、釘宮磐君。
釘宮委員 民主党の釘宮磐でございます。
 まず、坂口大臣にお伺いをしたいと思います。
 昨日、自民党の厚生労働部会が、小泉総理がこだわってきたサラリーマンの窓口三割負担を含む医療制度改革関連法を了承したということだそうであります。
 この結論を見てみますと、三割負担の時期を法案明記することを絶対譲れない小泉さんと、一方で抜本改革の先送りをしたい自民党厚生族議員のメンツをともに保つ、そういう決着になったように私は受けとめるわけであります。要は、小泉さんは名をとって、族議員は実をとった。三割負担の法案明記と抜本改革の骨抜き、そういう構図ではないかというふうに思うわけです。
 特に、この手法は道路公団の民営化の際の決着と極めて似ているわけでありまして、これは、小泉さんが道路公団の民営化にこだわって、族議員は、道路族は償還期限を三十年から五十年に延ばしたわけであります。結局、この法案は、国民負担だけがふえて抜本改革は先送りするという典型的な法案になってしまったというふうに思うのです。
 そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、本当にこんなことで改革ができると大臣はお思いなんでしょうか。特に大臣は、九七年当時、法案審議の際に野党に身を置いておりましたね。負担のみが残った苦々しさを一番御存じのはずであります。大臣のお考えをまず聞かせてください。
坂口国務大臣 医療制度改革につきまして、いろいろと御心配をいただいておりますことに、まずお礼を申し上げたいと存じます。
 さて、今回のこの医療制度改革につきましては、二つの大きな視点がございます。その一つは、やはり、現在の財政状況等から勘案いたしまして、どのように将来ともに安定した保険制度を確立していくかという問題がございますし、もう一つは、長い間の医療制度の中で弊害の出てまいりました部分を抜本的に改革するかという点と、二つあるというふうに思っております。
 順序といたしましては、やはり抜本改革を先に行って、それから自己負担なり保険料の引き上げということがあるということが、私は順序としては大事だというふうに思っているわけでございます。
 小泉総理との間におきましても、小泉総理もその順番には変わりがないわけでありまして、坂口君、そうしてほしいと。抜本改革をやって、そしてその後、三割負担なりあるいは保険料の負担というものの引き上げというふうにしてほしいと。
 ただ、若干違いましたのは、私の方は、抜本改革の顔を見てから、明確にした上で、その上で三割自己負担というものを決めてはどうですかということでありましたが、総理の方はそうではなくて、三割という日程をきちっと先に決めておいて、そしてそれまでに抜本改革をやり抜くということの方がいいではないかと。その一点だけが違ったわけでございますが、総理がそうおっしゃるのにはそれだけの背景がありまして、前回の健保法の改正のときにそういう話があって先送りになったということがあるものですから、どうしても先におしりのところを決めておきたいということがあったのだというふうに思っております。
釘宮委員 坂口大臣、私はそうは思わないのです。要するに小泉さんは、三割負担にこだわったのは、田中外務大臣を更迭して支持率が下がったんですよ。下がったから、今度これで譲ったらこれまた支持率がさらに下がるだろうという思いがあってこだわったのですよ。
 私は、正直言って、厚生族議員の肩を持つわけではありませんけれども、今回は厚生族議員が言っている方が筋が通っている、しかし、どうもその筋が通っている裏にあるのが今回の決着だと思うのです。
 要するに、ここに合意案というのがあるのですが、ほとんど、こんなものができるかどうか。私はそのことを、本当にこれで坂口さんがうんと言ったのかどうかということに、本当に疑問を感じるのですね。
 総理は昨日の結果を見て、最終的には協力してくれたでしょう、抵抗勢力は協力勢力になるよい見本ですよと。これは国民をばかにしていますよ。これは全く、協力したなんというものではない。要するに、この法案をほとんど骨抜きにしちゃったと言っても過言ではないというふうに私は思うのです。
 このことについては、公明、保守両党が、余りにもこの抜本改革の内容が後退し過ぎているというようなことでの不満を示しているというふうにお聞きしておりますけれども、大臣、大臣は公明党であります。どういう思いを今持っておられるのか、このまま本当にこの合意案でいくのかどうか、聞かせてください。
坂口国務大臣 詳しく言おうと思うと長くなるものですから、簡単に申し上げますが、三割自己負担を実現するから支持率が上がるとは私は到底思えません。これは、僕はそんなことはない、それは総理の何回か厚生大臣をおやりになりました経験から来た言葉であるというふうに私は思っています。
 その抜本改革の中身でございますが、大きな問題は、先ほどから議論になっております一つは、いわゆる保険体制、五千を超えます保険者に分立しております、これをどう統合化するかという問題が一つ。あえて統合化ということにとどめておきたいと思います。
 それからもう一つは、現在の診療報酬体系の基本のあり方。この診療報酬体系の基本をもう少し明確にしなければならない。現在のこの点数は、次から次へと屋上屋を重ねているものですから、国民の皆さん方から見れば当然でございますし、ある程度の知識を持った者でも、なかなか、この点数が高くてこの点数がなぜ低いのかということが明確にわからない。その辺のところは、私は基本を明確にしなければならないというふうに思っています。
 その二つが中心で、ほかのこともいろいろございます。それは、社会保険病院をどうするかとかそうした問題もございますし、いろいろございますけれども、その二つが私は中心の課題であり、もう一つ加えれば、いつも言われております老人医療というものを今後どう位置づけるかという問題がある。
 これらの二つなり三つなりの問題を、この一年間の間に、全部これで、もう来年の四月一日までに全部終わりましたとは私はいかないと思う。だけれども、何年の間にこれをどういう方向でやりますという方向性は明確に示さなければならないというふうに思っておりまして、それは何年時間をかけたらできるというものでもありませんから、この一年をかけたら私は十分やれるのではないかと思っている次第でございます。
釘宮委員 小泉総理が三割負担を主張することが支持率が上がらないという話をしましたけれども、要するにあの人は、抵抗勢力というものをつくって、そこに一つの対立の構図をつくって、そして抵抗勢力を抑えるということによって支持率を上げてきたという構図を私は指摘しているんですよ。
 ですから、なぜ三割に上げれば構造改革が進むのか、こんな理論なんて全く成り立たないじゃないですか。構造改革をやるということが前提になってこそ、この議論というのは成り立つ、私はそういうふうに思いますよ。
 そこで、坂口大臣にお伺いしたいんですけれども、二月の十二日の予算委員会で、坂口大臣は、我が党の岡田議員の質問の中で、これは政府内での合意ができた翌日ですね。
 きのうの合意の中で、法律の中に書かれるということですけれども、例えば、医療保険制度の体系のあり方とか、あるいは、新しい高齢者医療制度の創設とか診療報酬体系の見直しというようなものについて基本方針を策定するということを附則に書く、こういうことなんですが、基本方針を策定するということと実際にやるということは別ですよね。本当にこれで十四年度中に、つまり来年度、通常国会に、ここに挙げた三項目についての具体的な法案が出るということを、約束されますか。
という質問に対して、大臣は、
 それはやります。私が責任を持ってやりたいというふうに思っております。省内にプロジェクトをそれぞれつくりますけれども、全体を含めまして、そして私が本部長になって前線指揮をやりたいというふうに思っています。
  今お挙げになりました三つの課題、それに加えまして、社会保険病院の今後の統廃合の問題、それから年金、医療、介護、雇用等の徴収の一元化の問題、それから社会保険庁の今後のあり方の問題等につきましては、ことしの八月までにその決着をつける。
  全責任を持ってやりたいと思っております。
こういうふうに答弁なさっていますね。
 今回のいわゆる合意事項、これがほとんど三年ないし五年先の決着を言っているんですね。大臣は、ここでは、とにかく十四年度中に、つまり来年通常国会にはその三項目について具体的な法案を出すということを明言しているんですけれども、この発言と今は変わっていませんか。
坂口国務大臣 岡田議員の御質問に私がお答えしたときだと思いますが、それは平成十五年のものの中に顔を出すということを申し上げたというふうに思っています。十四年度の予算はもうでき上がっているわけでありますから、この中に入れるということは不可能な話でございますので、十五年度の予算の中にその顔を出す。
 岡田議員の方から、全部そこで出せるか、こういうふうに切り込まれましたから、中には、それは全部その中で明細に、詳細にそれを書くということは不可能なものもあるでしょう。しかし、その方向性は私は出せると思う、そして、何年かかってそれを実現するということは出せると思います、そこは責任を持ってやらせていただきますということを申し上げた。
 あと、六つあります中で、残りの三つにつきましては、八月までに結論を出します。
 と申しますのは、その中で、年金、医療、介護、雇用の徴収の一元化等の問題につきましては、実はもう昨年から省内でかなりやってまいりまして、そして、かなりな結論も出てきているわけでございますので、これらの問題は、私は間違いなく来年の予算にそれが反映できるような形にできるだろうというふうに思っております。
 そのほかの、社会保険病院の統廃合の問題でありますとか、あるいはまた社会保険庁の今後のあり方、IT化によりますこのあり方といったようなものにつきましても、これは早く、夏までに、八月までに決着をつけたいというふうに思っている次第でございます。
釘宮委員 私は、ここで大臣と、言った言わない、そういう議論をするためにここにいるわけじゃありません。
 要するに、医療の抜本改革という言葉は、もうそれこそ言い古された言葉ですよ。九七年もそうだった、二〇〇〇年までにやるんだと言って。今回、もう本当に退路を断ってやるんだということで、小泉さんはあえて三割負担というような、国民にあえて負担を先に言ってしまう、そういう気持ちはわかりますよ。気持ちはわかるんだけれども、その気持ちと裏腹に、この合意事項を初め今度法案として出てくるであろう附則に盛り込む部分が、どうも我々から見ると、これがほとんどまた先になったらなし崩し的になっちゃうんじゃないかなという危惧を持つんですよ。
 私は、坂口大臣は、ハンセン病、またヤコブ病の問題についても、大臣だからできたというふうに思っているんですよ。だから、ここでやはり大臣には頑張ってもらいたいんですよ。
 特に私は、田中前外相が、いわゆるNGOの問題について、政府見解を棒をのむような思いで認めた。私は、その気持ちの中にあったのは、やはり政権を守るということが先にあったんだろうと思うんですね。しかし、結果的に彼女は今やめさせられて、更迭されて、あのときにもっと言っておけばよかったという思いがあると思うんです。
 私は、そういう意味では、坂口大臣が今本当のことをやはり言うべきだと思うんですね。それをやらないと、この国は本当につぶれてしまいますよ。私はそのことを強く申し上げておきたいと思います。この問題は、いずれ、いよいよ法案が出てきてからじっくりこの委員会でやりたいと思いますので、大臣、それまでにぜひお覚悟を決めていただきたいというふうに思うわけであります。
 次に、児童虐待の問題についてお伺いをしたいと思うんです。
 私は、この問題、これまで何度かこの委員会で指摘をしてまいりました。今月の二十四日にまたまた、さいたま市で二歳の子供が両親の暴行で死亡した事件が発生している。児童虐待というのはとどまるところを知らない、そんな感がするわけですが、年間にかなりの数の子供が犠牲になっている。
 こういう状況を、まず大臣、簡単で結構ですから、その受けとめ方を、どういうふうに受けとめられておるか、お聞かせください。
坂口国務大臣 御指摘のように、近年、児童虐待が深刻な問題になってきておりますし、そしてふえておりますことも御指摘のとおりでございます。まことに残念なことだというふうに思いますし、ニュースを聞きますごとに心が痛むわけでございます。子供の心身の成長や人格の形成に大きな影響を与えますし、そして、その子供たちに影響を与えるだけではなくて、その子供たちが大きくなって今度親になりましたときに、またその子供にその影響が与えられる、こういう二重の問題が存在をいたしておりますので、これは大変厳しい課題だというふうに私も思っている次第でございます。
 ここを何とかこれは直さなければなりませんが、こうした児童虐待が起こってまいりますのにはそれなりの理由があって、幾つかの原因が複合的にやはり重なっているんだろうというふうに私は思います。前回も委員からいろいろと御指摘をいただいたところでございまして、だから、そうした問題を複合的にやはり直していかないといけないんだろうというふうに思いますが、ここは厚生労働省がもちろん中心になってやらなければならない課題でございますけれども、地方自治体とも、あるいは民間のレベルともよく手をつながせていただいて、そしてこれをやはり乗り越えていかなければならないというふうに思っております。
 一つは、どうしたら子供たちがそういうことにならないようにできるかという予防の立場の問題と、そして今度は、できてしまった後、その子たちをどう保護するかという問題と、双方あるだろうというふうに思っておりまして、ぜひこれから、より真剣に取り組んでいきたいというふうに思いますが、ここはまたひとつ、委員のいろいろの御指導をいただきたいと思っております。
釘宮委員 これまでたびたび指摘をしてまいりまして、特に児童相談所の機能、これを強化しなきゃだめだということで申し上げてまいりまして、率直なところ、努力の跡が成果として上がってきていると私は評価したいと思うんです。
 特に、私が指摘した地元大分は、中央児相の所長が、従来一般職が来ていたのが精神科のお医者さんがなって、もう本当にさま変わりをしました。結局、そのことによって今何が起こってきたかというと、要するに、児相は頼りになるということになったものですから、警察や学校からどんどんいろいろなケースが持ち込まれてくる。
 ここで、私も今週、児相の一時保護所に行ったんですけれども、今、いわゆる緊急措置児童が七人も入っているんですね。今まではほとんど機能していなかったものですから、いつもあいていたんですけれども、これが七名も今入って、しかも、私が行ったときは、前の日に十三歳の女の子が暴れて、夜、ガラスを割って、それをテープで張ってありましたけれども、もう大変だと思うんですね。
 私は、そういう意味では、今、児相が変わりつつあるんだけれども、しかし、それに追いついていっていない。そして、それは例えば人員配置の問題だとか設備の問題とか、そういうところに非常に大きな問題を残していると思うんですね。これは自治体によって相当のばらつきがあるようですけれども、厚生労働省として一つのマニュアルをつくって、児童相談所のいわゆる人員配置の問題、一時保護所の人員配置の問題、こういうような問題をぜひ指導していただきたいと思うんですが、局長、どうですか。
岩田政府参考人 先生には、児童虐待の問題に日ごろから大変御心配いただき、御指導いただき、ありがとうございます。
 ただいまお尋ねの児童相談所の職員の体制、一時保護所の整備についてでございますが、児童相談所で児童虐待の問題にかかわる専門職として児童福祉司がございまして、この児童福祉司の不足が言われております。私どもも、都道府県に対しまして、児童福祉司の増員をするようにお願いしているわけでございます。
 国としても、地方財政措置につきまして、算定基礎となる児童福祉司の人数の増員を総務省の方と力を合わせてやってまいっておりまして、平成十二年度には一名、十三年度には二名増員されました。そして、十四年度の地方交付税法改正案におきまして児童福祉司をさらに二名増員していただくということで、合計二十一名、標準的な地方自治団体についてでございますが、そういう形で、私どもも児童福祉司の増員の自治体に対する後押しをしっかりやっていきたいというふうに思っております。
 一時保護所についても、今お預かりする子供さんがふえておりまして、スペースの問題、そして職員の数の問題、いろいろ課題があるのは御指摘のとおりでございます。十三年度におきましては、一時保護所の生活環境を改善するということで、補助の基準面積の大幅な改善を行いましたし、また、虐待を受けた子供たちの心理的なケアは専門職が当たるということが大事でございますので、そういうことができる心理の専門職の配置も十三年度の予算で行いました。
 さらには、十四年度予算におきまして、一定規模以上の一時保護所について、虐待を受けた子供たちにマンツーマン、個別に対応できるような、そういう主任児童指導員も配置できるような予算措置を講じているところでございます。
 いずれにいたしましても、おっしゃるように、児童相談所、一時保護所の体制、ハード面と職員の数、職員の専門性、本当に努力していかないといけないと思っております。
釘宮委員 これ、大臣にも特にお考えをいただきたいと思うんですね。少子化で子供が減っているというのに、この国では子供を本当に粗末にしていると思うんですね。だって、これだけの虐待という事例がもう日々新聞報道をにぎわしているのに、それに対して行政が、いわゆる子供たちを助けるという、そういうところの行政そのものの対応が私は本当に生ぬるいと思うんですよ。もっともっとやるべきだと思いますよ。
 特に、もう時間がありませんから私は要望にとどめておきますが、例えば養護施設、これは今、実際に虐待を受けた子供が一時保護所から送致されてくる。養護施設というのはまだ戦後を引きずっているんですよね。要するに、三食の食事と、服を着せて、親がわりになれればよかった時代。そういう戦後をまだ引きずっているものですから、結局、その人員配置も全く変わっていないんですね。今来る子供はどうかといえば、これはもう大変ですよね、ほとんど心に傷を持った子供が入ってくるわけですよ。しかし、その子供を処遇すべき職員の配置数というのは従来と全く変わっていない。もうこれではどうにもならない。
 まして、もっと専門的に必要でありますから、いわゆる情短施設ですね、情緒障害の短期治療施設、これも早くつくってもらわなきゃならないけれども、いまだに、まだ全県にできていない。やっと緒についたばかりだというような状況ですよ。児相の役割も、全県下に二つか三つぐらいしかないわけですから、これじゃもう対応できない。だから児童家庭支援センターをつくろう、これもまだまだ少ない。なぜもっとこういうのに予算をどんどんつけないんですか。私は、公共事業をやるよりも、まずここをやるべきだと思いますよ。
 そういう意味で、大臣、これもやはり坂口大臣だから私はこれだけお願いをしたいと思うんですよ。その点、きょう私は質問を随分たくさん持ってきたんですけれども、どうしてももう一つ質問をしなきゃならぬのがあるので、大臣、一言だけ決意を聞かせてください。
坂口国務大臣 今まで、子供は親が育てるもの、そうした慣習の中で日本は参りました。しかし、社会全体で子供を守らなければならない時代が来たことだけは、紛れもない事実であります。そういう大きな転換に差しかかっている。だから、今御指摘をいただきましたことをやはり守っていかなければならない、そういうふうに変えていかなければならないと私も思っております。
釘宮委員 岩田局長、今あれだけ大臣が言ってくれたんですから、これはもう私も族議員になって頑張りますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 それから、委員長、ちょっと少ないようなんですが、私の質問だからいないんですか。
 それでは次の質問に移りますが、不妊治療に対する保険適用について質問をしたいと思うんです。
 先ほども申し上げましたように、出生率がついに一・三六という状況にまで落ち込んでしまいまして、さきの人口問題研究所の人口推計では、二〇五〇年には一億人近くに人口が減っていくということであります。
 そういう中で、政府は、保育所の待機児童ゼロ作戦や放課後児童クラブの拡充、こういうことを実施しながら、何とか女性に子供を産んでもらおうという環境づくりをしているんですが、私は、ここでもう一つ考えていただきたいのは、子供を産みたくてもなかなか授からない、そういう不妊症の夫婦が今どんどんふえてきている。大臣はお医者さんですから、そのことは私が言うまでもないと思うんです。原因は、環境ホルモンや公害とかストレス、食生活の変化、さらには結婚年齢の上昇など、さまざまな要因があるというふうに言われていますね。
 それで、私は、もう時間がありませんから少し質問をはしょりたいと思うんですが、今、体外受精を初めとする不妊治療というものに対して、成功率が非常に低いとか、それから安全性に問題があるとか、そういうふうなことを一つの理由として保険適用をこれまで見送ってきているわけですね。
 私は、そこできょう申し上げたいのは、今、体外受精治療というのが年に六万九千件ぐらいあるんです。その結果、約一万二千人の子供が誕生しているんですね。これは平成十一年度の出生児数の約一%に相当するんですよ。これが全部私費なんですね。一回当たり三十万から五十万ということなんですよ。少なくとも、子供が少ない、産んでもらおうにもなかなか産んでくれないわけですね。だけれども、産みたい、しかしそれは私費でやれ。これでは、私は国策としてこれでいいのかなという思いを持つんですよ。その点についてお聞かせください。
大塚政府参考人 お話がございましたように、母体の異常など、いわば疾病と判断できるようなケースにつきましては不妊治療の保険適用があるわけでございますが、お話しの人工授精あるいは体外受精、これは、既に先生からお話がございましたように、安全性あるいは倫理、ある意味では社会的合意と申しましょうか、そうした件でなお課題を持っているということで、現在、保険給付の対象とはしておりません。
 今後、慎重に検討する必要があろうと思いますけれども、こうした問題がクリアできるかどうか、我々としてはなかなか難しい課題だと考えております。
釘宮委員 今の局長の答弁というのは、不妊治療が、クローンや代理母、また提供卵とか提供精子とか、要するにマスコミで派手に取り上げられている問題を想定して言っているんですよ。そうじゃなくて、こういうので子供が欲しいなんと言っている人は四%にしか満たない。本当に、いわゆる体外受精というものを目指してやられている。
 それで、成功率が低いと言っていますけれども、実は体外受精で産まれてくる子供というのは、大体、今、成功率は一八%。一般の正常な夫婦でも一回の排卵で妊娠する確率というのは、一八から三〇パーぐらいしかないわけですよ。ということは、お金がないものですから、三十万、五十万といったらなかなかそれは大変ですよ、だから途中でやめちゃうんですよ、みんなが。だから成功率が低いというふうになっているんですね。
 だから、そういう意味からすれば、それなりに保険適用を認めてあげれば、これはできるじゃないですか。しかも、自治体がもう始めているんですよ。ぜひ、大臣、この問題を前向きに考えていただきたいと思うんです。
 それで、今、体外受精が年間に約七万件行われているんですね。一件当たり五十万とした場合、わずか三百五十億円ですよ。三百五十億円で一万二千人の子供が産まれてくるんですよ。諫早湾干拓をやったって何も出てこないじゃないですか。なぜ政府はそういうところにお金を使わないんですか。
 私は、そういう意味で、今我々が問われているものは、やはり政治の決断だというふうに思いますよ。そして、先を見据えた政治だと思う。そういう政治をやらないから、国民が政治に対して不信感を持つんですよ。もっと説得力のあることをやっていかなきゃいけない、そういうふうに思うんです。
 最後に、大臣。
坂口国務大臣 この問題は、日本の保険制度全般にかかわる問題だと私は思っています。現在の日本の保険は、名前は健康保険ですけれども、疾病保険になっている。したがって、出産というのは病気ではない、そういう物の考え方に立脚をしている。ですから、もともと出産というのは健康なことであって、それは病気ではないんだという考え方なものですから、その延長線上でこういう問題が、不妊治療などの問題につきましても、それはその範疇に入れるという考え方が私は根底にあるというふうに思っています。
 したがいまして、全体のいわゆる診療報酬体系の見直しという大きなエリアの中で、そして何を基本としていくかというところの論議の中で私は整理をしていきたいと思っております。
釘宮委員 疾病という観点でいえばこれが入らないということなんですけれども、例えば人工透析や心臓カテーテル医療というようなものは、ある意味ではこれは特殊治療に私は入ると思うんですけれども、子供ができないという一つの現象というのは、そういう医療の対象、治療の対象になるというふうに私は思うんですね。そこは、一つの理解の仕方によって、解釈の仕方によって変わってくるというふうに私は思います。
 少なくとも、この不妊治療というものは、今、保険適用というものを本当に望んでいる人が多数おりますし、また、それがどんどんふえてきているという現状を考えたとき、それと、予算の問題とその成果、そういうようなものを考えて、私はぜひ今後ともこの問題に取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
森委員長 次に、山井和則君。
山井委員 坂口大臣、これから三十分間の限られた時間ですが、大臣にお答えをいただく場面も多いかと思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
 本日は、先ほど桝屋議員からも御指摘がありましたように、長期入院の患者の方々の診療報酬を下げて特定療養費化する、その問題に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 まず冒頭に、坂口大臣、この「タケノコ医者」の本、拝読させていただきました。本当に感激いたしましたし、本当に、坂口大臣の結婚式の目前にお母様が亡くなられたところも読んで私も涙も出ましたし、また差別なき医療というこの思い、非常に感銘を受けましたし、そればかりでなく、この本の中で、介護問題についても当初から坂口大臣が非常に熱心に取り組んでおられた、そういうことにも感動いたしました。
 そんな大臣に対して、最初に一つ話を聞いていただきたいのですが、先日、私、お葬式に行ってまいりました。私の知り合いの方のお母さんが亡くなられたわけですけれども、半年間ある病院に入院をされていて、心臓病も患っておられましたが、まさに今問題になっているような社会的入院の割合が濃いんではないかということで、退院を迫られました。娘さんは、家でもう十分に介護はできない、かつ、近所にあいている老人ホームもない、老人保健施設も満杯だということで、泣いて入院を延ばしてほしいということを懇願されました。しかし、もう半年も来たからということで退院されまして、車で三、四十分離れた、行ったこともない老人保健施設に行って、一カ月足らずでお亡くなりになられました。その方のお葬式に行ってまいりました。
 その老人保健施設の方の話を聞いても、やはり非常に気を使われるおばあさんだったので、新しい環境に十分なじめなかったのかもしれないということもおっしゃっておられました。娘さんも非常にショックを受けられて、あのまま病院に残っているか、あるいは、少なくとも近所の施設があいていてそこにおれたら、こんなに死期は早まっていなかったんじゃないかということをおっしゃっておられました。そういう意味では、遠く離れた施設に送られて、そのお母さんも、もしかしたら、人生もはやこれまでと観念されたのではないかなというような気も私はいたします。
 今回の、半年以上の長期入院の患者さんへの診療報酬を下げて退院を促す、そういうことで、まさに今回と同じような患者さんのたらい回しや患者さんの死期を早めることになりはしないかというふうに私は非常に心配を持っているのですが、そのことについて、大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 先ほども少しお話をさせていただきましたけれども、今までから、三カ月とか半年というその区切り区切りにおきまして、いわゆる逓減制と申しますか、保険点数の逓減制がございまして、今お話がございましたように、まだそこで治療を受けたいというふうに思われている皆さん方もその病院を出ていただかなければならないというケースがたくさんあったことも事実でございます。
 それに比べて今回の措置がどうなのか、これから検証する必要があるというふうに思っておりますが、しかし、今御指摘のように、その病院は出る、そこの先生がこれはもういわゆる医学的なことは大体これで終わった、あとは福祉面が大事だというふうに言われるようなケースの場合に、その周辺でそれを受けてもらえるようなところがなくてはいけないわけであります。
 したがいまして、それに対しましては、第二次の施設整備をやることになっておりまして、ことしあたりもかなりの老健施設あるいは特養等が建つわけでございますが、今まで一時抑えておりましたその辺のところを、もう一遍ここを拡大して、そしてそれぞれの市町村で高齢者の今後の計算、前にしてもらったものは大分違ってきていると思いますから、新しい計算の中で、それができるようにしていかなければならない。
 その経過措置というものも考えていかなければならないだろうというふうに思いますが、できるだけ早くそれぞれの地域でそうした施設をつくっていく。中には、そこまでいかなくても、ケアハウスみたいな形でもいい人もあるでしょう。そうしたものも含めまして、足りないというふうにならないように私たちも努力をしなければならないと思っているわけでございます。
山井委員 前向きな答弁ありがとうございます。今回の五万人ぐらいが社会的入院ではないかという、もとになった資料をきょうはお配りをさせていただいております。これは大臣に見ていただきたいのですが、一つ確認をしたいことがあります。
 今大臣は、受け入れ体制として特別養護老人ホームやケアハウスを早急に整備していきたいという御答弁をされましたが、この資料を見ていただきましても、要は、「受け入れ条件が整えば退院可能」という調査になっております。ということは、受け入れ条件が整わなければ、この方々も退院は不可能というふうに理解していいのですね。大臣いかが思われますでしょうか。――大臣にお願いします。いや、常識的に考えていただいたらいいのです。大臣にお願いします、これは重要なところですから。これは一般のアンケートですから、それほど難しい話じゃないです。
坂口国務大臣 私も、このペーパーは初めて見たわけでございますが、「受け入れ条件が整えば退院可能」というふうになっておりますから、これは今御指摘のように、受け入れ条件が整ったら退院できますよという数字だと思います。
山井委員 ということは、受け入れ条件が整わなければ退院できないということを大臣も認めていただいたわけですけれども、そこで、宮路副大臣にお伺いしたいと思います。
 先ほど大臣から、早急にこういう施設整備などを急ぎたいということでしたが、五万人分、こういう対象者が平成十六年の四月までには出てくるという資料を二枚目にもつけておりますが、それに向かって、平成十六年四月までに五万人の上乗せ分が、受け皿が間に合うのかどうか、どのように基盤整備を考えておられるのか、副大臣、よろしくお願いいたします。
宮路副大臣 今御指摘の、いわゆる介護サービスの基盤整備ということになろうかと思いますが、それにつきましては、介護保険事業計画でありますが、現在の計画を平成十五年度からの実施に向けて見直すことといたしておるわけでありまして、その中では、保険料水準にも十分考慮しながら必要なサービスを展開していくということで、見直しを行うということになっておるわけであります。
 したがいまして、その中で、今御指摘のありました五万人というふうに推定されておる数字でありますけれども、こういったことを十分念頭に置きながら、先ほど大臣もお話しされましたけれども、特別養護老人ホームやあるいは介護老人保健施設、グループホーム等のそういったいわゆる介護基盤の整備についても、その五万人といったことも当然前提に置きながら、計画の見直しに反映をさせていくということで取り組んでいっていただきたい、このように私どもとしては期待しておりますし、また、そのように指導もしてまいりたいと思っているところであります。
山井委員 ちょっと余りにも抽象的な話なんで、念頭に置きながらではなくて、平成十六年の四月には、五万人の対象者がもう社会的入院と認定されて自己負担がアップするわけですから、平成十六年の四月までにその五万人分の受け皿はつくる計画はあるのかないのか、お答えください。
宮路副大臣 今その点が、これからまさに医療と介護の方でしっかりと連携をとりながら、それぞれの地域でやる。まずは地域の方で連携をとりながら、具体的にどういうぐあいにその発生が見込まれていくことになるのか、そこをしっかりと我々としては踏まえながら、そして可能な限り、これからも引き続き入院をしていただかなきゃならない方、それは先ほどから大臣からお話し申し上げているとおりやっていただく、そうでない方については在宅なりあるいは介護施設で受け入れていただく、こういうことになるわけでありまして、そこのところは連携をとりながらきちっとした対応を図ってまいるように、そして計画にも反映していくようにしてまいりたい、こう思っておるところであります。
山井委員 改めて聞きます。受け皿は五万人分が対象者になるんでしょう。その受け皿をつくる計画はあるんですか、ないんですかと聞いているわけです。
宮路副大臣 そういうことを前提にして今の介護の計画もつくってきておりますし、これからも、先ほど申し上げたように見直しの中でちゃんとやってまいりたい、こういうふうに思っておるところであります。
山井委員 ということは、平成十六年四月までに五万人分の受け皿はできるということですね。今それを約束されるんですね、前提とするということは。ということは、その前提が壊れたら、五万人の対象という、この診療報酬の改定自体をおくらせるということでいいんですね、前提ですから。
坂口国務大臣 平成十三年度の二次補正におきましても、特別養護老人ホームとして一万四千人分、それから介護老人保健施設として一万二千人分、ケアハウスといたしまして一千人分等々、それから短期入所生活介護としまして四千人分等々、こうしたものを補正予算でやっておりまして、それで、十四年度予算におきましても、特別養護老人ホーム一万三千人、老健施設で七千人、ケアハウスで三千七百人等々、これらの問題もやっているわけでございます。短期入所生活介護というようなのは、かなり、四千人分、五千人分というふうにしてやるということに今予算化されているわけでございまして、五万人になるかどうか、これは合計していないからちょっとあれでございますけれども、かなり急速にこれをつくるということで今進んでいることだけは間違いございません。
山井委員 それは余りにも漠然とした話で、最初に大臣が受け入れ体制が十分でなかったら退院できないということをおっしゃったわけですから、その受け入れ体制が十分、新たに、社会的入院等、対象とされる五万人について十分ですかということをお聞きしているわけです。
 ということは、その受け入れ体制が十分でなくて、その五万人分の部分が不十分であったら、この措置自体はおくらせるということになるんですか。
坂口国務大臣 今具体的に申しましたように、十三年度の二次補正と十四年度の予算で、これで大体四万五千人ぐらいにはなる、これで具体的に。ですから、かなりな急ピッチでこれは進めているということでございます。
山井委員 いや、答弁になっていないと思います。
 今おっしゃった四万五千は、今特別養護老人ホームや老人保健施設が足りないからふやしているわけであって、この診療報酬改定の長期入院の適正化の部分とは関係ないわけですから。
 それで、もう一つお聞きしたいんですけれども、こういう長期入院患者の方がなぜ退院できないのか。受け入れ体制があったら退院できるというわけですから、どんな受け入れ条件が整えば退院可能なのか、そういう調査はされているんですか。
宮路副大臣 長期入院をしておられる方のうちの約四割が、先ほどから申し上げているとおり、福祉施設や在宅によって対応できるという結果を承知しているところでありますが、具体的に、退院をするに当たってどういうところまでが必要なのかといった個々の実態については、なお十分な把握は必ずしもしていないところでありますけれども、今後さらにその辺は私どもとしても実情の把握に努めてまいりたい、こんなふうに思っているところであります。
山井委員 今の答弁はおかしいんじゃないですか。これから受け入れ条件の整備を至急行うと言いながら、どういう条件が整えば退院できるかどうかはまだ調べていないので、これから調べていくと。やっていることが逆じゃないですか。
 まず、どういうことがあれば退院できるかということを調べて、その上で、これこれこういう計画を立てて、受け皿も安心だから、診療報酬を改定して、社会的入院の方も安心して退院してくださいというのが政策の順位だと思うんですけれども、そういう調査すら行っていない。それで出ろというのはおかしいんじゃないでしょうか。
 大臣、こういう調査を行っていただきたいんですが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 調査も必要だとは思いますけれども、もう少し整理をしなきゃなりませんが、現在、それではそういうことは全然行われていないのかといえば、現在の状況の中では、三カ月、五カ月というところで保険点数が逓減されまして、そして、最初、委員も挙げられましたように、もう現実にそういう人たちが病院を出ていってもらわなければならないような環境が今既にあるわけですね。そうしたことはぐあいが悪いので、それに対して何かもう少し違った方法がないか。
 中には自分の方から、少し財源的に自分の方が自己負担をすれば置いてもらえるかと言う方も中にはあるわけでありまして、そうした人たちに対します道をここにつくった。一五%ということになれば、それは額にしたら大体五万円ぐらいになる。老健ですとかあるいは特養ですとかというところになればそれ相応のやはり負担もあるわけでございますので、その辺のところのお願いをして、そして病院に入っていただける方はいただくという道もつくろうということでございます。
 一遍に五万円というのも無理でありますから、経過措置をとって、その三分の一ぐらいな負担で推移をしていただくようにしてはどうかといったようなことも考えているわけでございます。
 また、この法案を通していただいて、もし仮にことしの四月からということになりましても、今までに入っておみえになる皆さん方につきましては、これは適用をしない。これから四月以降にお入りになる皆さん方が六カ月ということになりますと、四月からプラス六カ月の時期にその問題が起こるわけでございます。そうしたこともございますから、四月一日からすべてそういうふうに始めるということではございません。そうした経過措置もとりながら、その中で、そのかわり、先ほど申しましたように、この補正でも、そしてこの今年度予算でもやっているわけでございますので、できるだけ早くその環境を整えたい、こういうことでございます。
 御指摘になりましたそういう調査等につきましても、それは当然のことながら、できる限りやっていきたいと思っております。
山井委員 今、できるだけ早くということですけれども、私は違うと思うんですね。その基盤整備、受け皿ができたら退院できる準備が整うわけですから。診療報酬の改定は四月一日から始まるわけですよね、先にそれを決めて三年後になっても受け皿がないということでは、本当にますますたらい回しや路頭に迷うお年寄りがふえると思います。
 それで、このことについてですけれども、要は、逓減制をなくしていくということで、たらい回しをなくそうという方向になってきているわけですよね。逆にまた今回のことでたらい回しがふえてしまうという問題点があるわけです。
 それで、この資料の中で二ページ目を見ていただきますと、「入院医療の必要性は低いが、患者側の事情により長期にわたり入院している患者」というふうに定義されているのですね。「患者側の事情」といっても、私、老人ホームが満員だとか、老人保健施設も満員だということもあると思うのですけれども、大臣、この書き方は失礼じゃないですか。もし老人ホームが足りない、老人保健施設が満員だということであれば、患者さんはそちらに移りたいと思っているけれども介護基盤が整備されていないという介護側の事情じゃないですか。「患者側の事情」というのは、ちょっと無責任な言い方だと私は思いますよ、公的な責任を放棄して。介護保険というのは、権利として介護サービスを利用できるというのが介護保険なわけですから。いかがですか。
坂口国務大臣 そこは、退院される皆さん方の中には、自宅にお帰りになる方もあるわけです。そうでしょう。すべてが施設における介護をお受けになるわけではないわけですね、特養や老健施設にお入りになるわけではない。おうちにお帰りになる方もあるわけですから。
 だから、病院の方が、病気としてはこの方はもう大体この辺で一つの区切りがついた、後は福祉なり御家庭なりでどうぞひとつ今後の看病をしてください、療養をしてください、こういうことになりましたときに、在宅介護の制度もだんだんと充実をしてきているわけでありますから、それを御利用いただくというのも大変大事なことでございまして、やはりできるだけ御家庭でおとりをいただく、そして、家庭におきますところの在宅介護をお受けいただくというようなことも加味をしていかなければならないと私は思っております。
山井委員 大臣、今の発言、在宅で介護されている方あるいは御家族が入院されている御家族が聞かれたら、怒られると私は思いますよ。みんな在宅で介護できたらしたいのですよ。サービスが十分じゃないとか、老人ホームがいっぱいだとか、いろいろな理由で在宅で介護できない方が多いから、こういう社会的入院の問題というのがあるわけですよね。
 今の発言でいけば、介護基盤の整備は余りしなくていい、長期入院が終わった方は自宅で面倒を見ればいいということにもなりかねないのですけれども、改めてお伺いをしたいのですけれども、この五万人の社会的入院と認定される方々の受け皿はつくられるわけですよね、大臣。
坂口国務大臣 それは、つくるのはつくるというふうに申し上げているわけです。しかし、つくりますけれども、中には在宅介護の方もおありになるではないですかと。私は、全部その方が在宅介護だと申し上げているわけではなくて、中にはそういう方もお見えになるでしょうということを申し上げているわけで、何も失礼なことを申し上げているとは思いません。
山井委員 今の状況は、厚生労働省の中でも、保険局は、医療費を削減しないとだめだから長期入院のお年寄りを出していく、これで医療費は下がるわと考えているわけです。老健局の側にとったら、そうはいっても施設やケアハウスがそんなすぐにできるか、予算がないじゃないかと言っているわけですね。両方それぞれの言い分があるわけですよ。そのはざまに落ち込んで、お年寄りは家にも帰れない、施設も満員だ、老人保健施設に行ったらたらい回しにされることもある。このままいったら、こういう改定が行われたら、ますますお年寄りが、冒頭に私が申し上げたお葬式の話のように、たらい回しに遭ったり、あるいは家庭が介護で共倒れになったりすることになるのではないでしょうか。
 そういう意味では、基盤整備ができるまでこの経過措置を延ばす、平成十九年末までかかったら五万人の基盤整備ができるのなら十九年まで延ばす、そういうふうに柔軟に対応すべきではないでしょうか。もしできないとしたら、なぜ三年で区切ってしまうのか、今回の診療報酬の長期入院に関する下げを。そのことを大臣、御答弁願いたいと思います。
坂口国務大臣 ですから、私たちも柔軟に対応したいというふうに思っているわけです。
 先ほども申しましたとおり、この制度が四月一日から実施をされたといたしましても、現実問題として、この四月の段階で入院をしておみえになる人にはこれは適用しないわけでありますから。よろしゅうございますか。ですから、適用するのは、四月一日以降に入院をされた皆さん方に適用するわけですから、それは、そうすると六カ月後ということになります。四月プラス六カ月ということになります。四月一日にたとえ入院をされたとしてもそうなるわけです。
 そして、確かに、そうすると秋ごろには、あるいは年末には、そうした皆さん方もあるわけでございますから、その皆さん方に一遍に一五%の自己負担というのは大変ですから、その三分の一ぐらいでとどまっていただく方があれば、それは御辛抱をいただきましょう、こういうことにしているわけです。それもできないという方は、優先的に特養や、あるいは老健施設というものにお入りをいただくように。
 ですから、それまでにかなりたくさんできてくるでしょう。去年の補正でもうお金は出ているわけで、今一生懸命あちこちでもう建っている、つち音が高く鳴っているところもあるわけでございますから、かなりそこはふえてくるというふうに思っております。
 ことしの予算におきましても、さらに積んでいるわけでございますから、それで、先ほど挙げましたように、全体として四万四、五千にはなるわけでございますから、今までのことを思いますと、これはかなり急ピッチな取り組みであるというふうに思っております。
 そして、先ほど申しましたように、中には御家庭にお帰りになる方もあるではないですかということを申し上げているわけでございまして、だから、だからといって五万人を減らすつもりはございません。
 そして、これからまた調査をやり直しますから、その中で、高齢者がもっとふえて、地域によっては、もっともっとやはり特養や老健施設が必要だというところも出てくるかもしれません。そういうふうなところには優先的にこれからやっていただくようにして、そして対応していきたいというふうに思っているわけでございます。
山井委員 大臣が今おっしゃってくださったように、まさに調査をし直して、やはり老人ホームが足りない、受け皿がこれでは不十分だということであれば、柔軟にこの整備計画をさらに上積みしていただきたいと思います。
 この点は、受け皿がどうなっているのかということは、福島議員や桝屋議員も、まさに公明党さんが一番、長期入院の後の診療報酬下げの危機感、たらい回しにならないようにということを熱心に取り組んでおられる問題であると思います。
 そこで、先ほど五万円という話が出ましたが、これは五万円におさまらないと私は思うのですね、特定療養費になるわけですから。下手に五万円と言うと、新聞にも出ていますけれども、誤解を招くと私は思います。
 今回、何人かの病院の院長先生に聞いたら、十万から十五万取る病院もふえてくるのと違うかな、診療報酬も下がったから、取れるところから取ることになるやろう、払えない人だったら、出てもらったら、ほかに患者さんはいっぱいいるんだしということをおっしゃっておられました。
 大臣、これを本当に五万円と言い切れるのですか。青天井ではないのですか。青天井にならないための上限はこれぐらいまでということを、やはり厚生労働省さんが決められる必要性があるんじゃないですか。この本にありますように、大臣は差別なき医療とおっしゃっておられるわけですから、お金がある人は病院にとどまれますよでは大臣の理念にも反すると思います。
 大臣、答弁をお願いします。
宮路副大臣 今の、特定療養費化の際の給付水準でありますけれども、この点は御指摘のあったような、そういう負担の極端な増加、そういったことのないようにということにも十分これは配慮しながらやっておるわけであります。
 それで、具体的には、平成十二年まで診療報酬の中でありました、旧入院環境料というものがあったわけでありますが、その水準、百六十五点だったということでありますけれども、そういったことの評価。そしてまた、入院中の患者さんが外泊した場合の取り扱い、そういったものを勘案しながら設定したところでありまして、それによりますと、この前提では先ほどお話があったような月四、五万円の負担ということになるんじゃないかなというふうに考えておるわけであります。
 なお、今お話がありましたように、青天井になりはしないかという御心配でありますが、そういった御指摘が当たることのないように、私ども、これは基本的には医療機関と患者さんとの契約によって負担の額は決まるわけでありますが、御指摘のような、そういった青天井といったようなことにならないように、一定の目安というものを今後私ども示して、そしてそういう事態の回避というものを目指してまいりたい、このように思っているところであります。
山井委員 今おっしゃったように、青天井にならないようにしてください。
 最後に一点だけお伺いして終わりますが、大臣のこの本を読ませていただいて、差別なき医療を目指して、私はすばらしい言葉だと思います。しかし、これから二十一世紀の時代、大臣にもう一つぜひともお願いしたいのは、だれもが医療にかかれる、安心して必要な医療にかかれる社会をつくると同様に、差別なき介護を目指していただきたい。だれもが安心して必要な介護を受けられる、施設が必要ならば施設に入れる、在宅で見たいならばそのサービスを受けられる、それを権利として受けられて、家族も共倒れしないように、女性の方にも過重な負担が行かないように介護保険ができたわけですね。そういう意味では、ぜひとも大臣には、差別なき医療を目指して、同時に差別なき介護を目指してこれから取り組んでいただきたいと思います。
 そのことについて、最後にお願いいたします。
坂口国務大臣 目標とするのは、当然のことながら、差別なき医療であり差別なき介護でありますから、その目標に向かって着実に前進できるようにしていきたいと思っております。
山井委員 以上で終わります。ありがとうございました。
森委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。五島正規君。
五島委員 民主党の五島でございます。
 厚生労働委員会では久しぶりに質問させていただきますが、まず、大変な問題はたくさんあるわけでございますが、今回、健康保険制度の改定問題に絡みまして、与党の中においても大変混乱があったようでございます。
 先週の日曜日、フジテレビで、坂口大臣は非常にわかりやすくこの間の状況を解説なさっていたと思いますが、先日の予算委員会の月曜日の審議の中で、どうも、小泉さんも医療制度は社会保障の重要な一部であるとおっしゃり、そして坂口厚生労働大臣もまたそのようにおっしゃっていました。何となく、社会保障という言葉でこの非常に重要な意見の違いを国民の目からは覆い隠そうとしているようでございますが、この点についてもう一度明確にお答えいただきたいと思います。
 といいますのは、この間、小泉政権が発足以来、経済財政諮問会議あるいは総合規制改革会議等の議論を見てみますと、医療については、基本的に市場経済に任すが、しかし、ナショナルミニマムとして一定の水準は社会保障で維持しろという意見と、従来、皆保険制度のもとにおいて行われてきたように、医療制度全体を社会保障制度のもとに置いていけという意見に分かれてきているように思われます。
 厚生労働大臣としては、この医療制度あるいは医療保険制度、これについて、ナショナルミニマムとして国民に提供される医療、その一部、あるいは一部の人に対して社会保障として提供されればよいとお考えなのか、この医療制度全般、保険制度全般が社会保障制度の重要な一部であるというふうにお考えなのか、まずそこのところをお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 社会保障の中におきまして、医療保険制度は重要で中心的な役割を果たしているというふうに思いますし、そして、市場経済にゆだねるというような話がないことはないわけでございますけれども、私は、社会保障の中の社会保険を中心にしながら、市場機能をそこに導入するという程度にそれはとどめるべきであるというふうに思っております。
五島委員 坂口大臣のそのお考えはよく理解できるわけですが、そうした基本的な考えについて、小泉内閣の中においては意思が統一されているのでございましょうか。お伺いします。
坂口国務大臣 そこは、私は、総理のお考えもそんなに違わないのではないかというふうに思っております。
 ただ、総理の場合には、社会保障の中の社会保険というものを重視いたしますが、しかし一定の自己負担というものも、これはやはり容認をしなければならないというお考えでありますけれども、しかし、社会保険が重要であるという位置づけは変わっていないというふうに思っております。
五島委員 そこのところ、非常に言葉を選んでのお話でございますが、従来、医療というものにつきましては、医療保険制度というものにおいて運営され、そしてその一部について自己負担というものがあるという考え方で来たわけでございます。そこのところがこれから先どのように変わっていくのかということで、国民は大変不安を持っているというふうに思われます。
 先ほど厚生労働大臣は、今回の与党でお決めになっております三割負担の問題につきまして、抜本改革の筋道を一年以内に出していくということを前提にこの三割負担を明記するというお話でございました。九七年以後、ここまで何の方向も出せていない。一年間の間にそれが果たして出せていくのだろうかとだれもが疑問に思うところだと思います。
 とりわけ、先般、予算委員会におきまして、厚生労働大臣は、この抜本改革の中の非常に重要な部分として、老人医療の問題あるいは医療保険の一元化の問題についてお話がございました。この保険の一元化の問題につきましては改めてお伺いいたしますが、老人医療一つとりましても、これまで、突き抜け方式であるとかあるいは拠出方式であるとかあるいは独立方式であるとか、さまざまな議論が繰り返されてまいりましたが、現在、意見がどういう方向で収れんしようとしているのか、全く見えません。果たして、こうした坂口大臣自身が認識しておられる重要な点について、この一年以内にこの方向性がまとまるということはお約束いただけるのでしょうか。お伺いいたします。
坂口国務大臣 前回のこの改革案が出ましたときには、自社さ政権の中で検討をされまして、そのときの内容も私十分に拝見をしたところでございます。抜本改革というふうに言いますと漠然といたしておりますが、したがって私は、抜本改革という言い方をできるだけせずに、その内容を列挙しているわけでございます。
 先ほど御指摘になりましたように、一つは保険制度の統合化であり、一つは診療報酬の体系の基本的な問題、こうした問題を列挙いたしまして、そしてこの一年間の間に決定したいというふうに思っているわけでございます。
 本当にできるのかというお話でございますが、私は、診療報酬の基本的なものに対する考え方は、これはかなり議論をしないといけないだろう、余り今までそこが議論されていなかったというふうに思っておりますが、老人医療、高齢者医療の問題につきましては、議論は出尽くしている、どれを選択するかという問題になっている。
 また一方の統合化の問題も、それほど多くの考え方があるわけではなくて、どれを選択するかというところにあるわけで、議論は出尽くしている問題がかなり多い。あとはどう選択するか、どれを選ぶかという決断の問題であろうというふうに思っております。
 したがいまして、一年間という期間があれば、私はでき得るというふうに思っておりますし、先ほどからお話がございますように、平成十五年四月一日三割自己負担という、それまでにやれという、私は総理から退路を断たれたわけであります。退路を断って、そしてその間に決定をしろということを言われたわけでありますから、私はその間にやる以外にないというふうに思っています。やれというふうに言われたわけでありますから、ここはもう徹底してやる以外にございません。まさか、ズボンのすそを踏まれるようなことはない、こう思っております。
五島委員 できるだけ、短パンぐらいで行動していただかないと恐らく踏まれるのではないかと思っておりますが、老人医療の問題につきましても、確かに意見は出尽くしています。その中のどれかに収れんしないというのは、それぞれに非常に問題点がある、そこがクリアできないためになかなか議論が一本に集約できない。えいやとどれか一つ選べばそれで問題解決するということではないだろう。そのことを考えると、大変困難な問題、果たして国民が一年以内にこの問題を解決できると考えるかといえば、恐らくだれもが考えていない。そこにますますの不安をかき立てているだろうというふうに思います。
 また、大臣は保険の一元化とおっしゃっているけれども、例えば国保についてもっと統合していくんだとか、あるいは政管健保を分割するんだとか民営化するんだとかいうふうにおっしゃっている。
 これは大臣のイメージで結構ですが、保険の一元化という場合に、例えば老人保健もこうした保険と一元化していくのかどうか。今、組合健保、船員保険そして政管健保、国保がございます。そのほかに共済がございます。これらをすべて一元化して分割していくのか。あるいは、まさか最も経営内容の悪い国保と政管健保、最近経営の悪い企業同士を合併させることがはやっているようでございますが、まさか国保と政管健保だけを統合すればいいとお考えになっているとは思わないわけですが、一体、イメージとして大臣のおっしゃっておられる保険の一元化のイメージは何であるのか、これをお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 これはこれから御議論をいただくところでございますから、私が余り先走ってもいけないというふうに思いますけれども、私個人の考え方を言えというふうに言われれば、私の考え方といたしましては、これは地域保険とやはり職域保険それぞれにおいて適正規模にしていくということが大事であろうというふうに思います。まず、それが第一歩であろうと思います。
 したがいまして、国保の場合には、これを都道府県単位にするのか、あるいはもう少し小さくして、言葉の表現がいいかどうかはわかりませんけれども、現在の小選挙区単位ぐらいにして全国三百ぐらいにするのか、その考え方はいろいろあるだろうというふうに思いますが、そういう方向に持っていく必要があるんだろう。
 それから、健康保険の方は今自主的におやりをいただいているわけでございますけれども、例えば大きい一つの企業があって、そして下請企業がある。下請企業までは一緒にやってもいいことになっておりますが、孫請は今までだめだとか、あるいは都道府県をまたいでいてはだめだとかというようなことがあったわけで、その辺のところは乗り越えてそして一緒にやってもいいよという方向に持っていけば、これもかなり幾つかにまとまってくるのではないかというふうに思っております。
 問題は、一つにまとまっております社会保険、政府管掌健康保険の方を一体どうするかという大きなテーマになるだろうと思います。私は、それが民間であれ財団であれ、一つというのも余り競争原理が働かなさ過ぎる、したがって、ある程度の適正規模になった方がいいのではないかという気がいたしますけれども、これはこれからの御議論でございます。そうした方向に今持っていくということでございましょう。
 そして、高齢者医療についてのお尋ねでございましたが、私は、高齢者医療の場合には、突き抜け型を選ぶのか、あるいは独立型を選ぶのか、そうしたこともあると思いますが、一番根っこのところにありますのは、やはり財政的に保険をどこまでにして、そして一般財源をどこまで入れるのかという問題が一つ大きなテーマである。むしろ私は、こちらの方が大きいのではないかというふうに思っております。この辺のところを、一般財源をどう入れるかということは、これは税制にかかわってくる話でございますので、ここはなかなか難しいわけでございますけれども、大体こういうふうな方向でいくと。年金、医療、介護をここの横並びで見てそういう考え方をまとめることはでき得るというふうに思っている次第でございます。
五島委員 今のお話を聞いていますと、国保は国保として統合していく、医療保険単位なのかあるいは県単位なのかは別として統合していく、それから、健保組合に対しては規制を緩めてもっと広域にもできるようにしていく、この辺は割と理解がしやすい内容です。そして、政管健保について、保険者機能の全くないこの保険について、何らかの形で保険者機能を持たせていく、これもわからない話ではありません。
 ただ、問題は、だからとして本当に政管健保や国保、一体なぜ政管健保や国保が非常に赤字が大きいか、その問題を考えた場合に、これらが抱えている問題の解決にならないことは大臣よく御理解のはずです。健康弱者や経済弱者がどんどんところてんのように国保へ追い出されていく、あるいは中小零細の所得の低い労働者が政管健保に集中している、そういう状況の中において、そういうふうな国保の統合なり政管健保の分割をしてみても、基本的に財政の問題としての解決はつかないということは御理解されているはずです。
 その辺を一体どういうふうに安心を与えていくのかという課題について、そうしたことを含めて、年内に御意見、基本的な改革の方向というものを出していただける、そのように十四年度内に出していただけるというふうに考えてよろしゅうございますか。
坂口国務大臣 国保の場合には、一般財源から、約五〇%でございますか、入っておりますし、そして政管健保の場合には一三%入っておりますし、それから組合健保の方は自主独立をしてやっていただいている、こういうことになっておりますが、先ほど申しましたように、組合健保の方も、都道府県の壁を越え、あるいは下請、孫請といったことを乗り越えて、そして統合していただくということになれば、今まですべて政管健保に所属をしておりましたものがある程度はそちらの方で面倒を見ていただくということもあるでしょう。
 そして、そうはいいましても、国保と政管健保が非常に厳しい状況にあることには間違いがないわけでございますが、それらの点に対しまして、現在投入しております財政的な問題を、それが、例えば政管健保がどういう形になるにしろ、現在の状況が、環境が大きく変わらない限り、一三%なら一三%、投入をいたしております一般財源を、これを変えるというつもりは私はございません。ここは投入をしながら、そして適正規模にしていく。
 政管健保の方は、一本でやっておりますから、事務費そのものは非常に効率的にやっております。これは評価すべきだというふうに私は思っております。これを都道府県なりなんなりの大きさにすれば、事務費の方はこれは今よりもむしろふえることも覚悟しなければなりません。しかし、一方において、一本であるがゆえに今度はいろいろの医療に対するチェック機能というものが十分に働いていないというマイナス面も私はあると思います。
 そうしたことを加味していくならば、少なくとも現在のような状況で私は維持できるんではないかというふうに思っておりますが、これらの問題をひっくるめて、もう一度、議論はされ尽くされてはおりますけれども、専門家の御意見もお聞きをしながら、しかし、もう意見を聞くというよりも、これはまとめるということをやはりやっていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
五島委員 この一年間で、大臣が言われたことについて、基本的な方向を出すというお約束ではなくて、できるはずだ論で終わってしまっていること、大変残念でございます。そういう状況の中で、果たして、先行して三割負担という問題を出していくということに対して、私は到底国民の合意は得られないだろうと思っています。
 そこで、この三割の問題につきましても少しお伺いしたいわけですが、今回、患者負担を三割にされる。当然、入院についても三割負担となってまいります。御案内のように、現在、高額療養費に対する償還払い制度を導入されておりまして、現状においては、たしか月額六万七千五百円ということになっています。この高額療養費というものが存在する限り、現在、本人、家族、二割の入院時の自己負担であったとしても、この高額療養費の額の方が低いというのが通常でございます。
 これを三割にしてみても、実際に保険財政の改善にはつながらない。それをあえて入院も三割負担にするということは、今後、入院患者についてのこの高額療養費の償還限度額というものを次々と三割になるまで引き上げていくんだ、そういう方向性をお示しになったものであるのかどうか、その点はどうなんですか。
坂口国務大臣 そんなことは考えておりません。
 いずれにいたしましても、現在の政管健保を中心にいたしまして、健保の方も財政的には非常に厳しくなってきた、現在のままでいけば平成十四年度いっぱいはなかなかもたない、これが終わりました段階のところで恐らく赤字になるだろう、こういう状況にあるわけでありますので、今回この改正をお願い申し上げたところでございますが、これは先ほどから申しておりますように、医療保険の統合、一元化という言葉は用いていいかどうかわかりませんけれども、統合をしていくということになってまいりますと、どういう形で統合するかはこれからにゆだねられるわけでありますが、そういうことになってまいりますと、やはり供給の面におきましても、あるいは保険の自己負担の問題にいたしましても、一つの、これこそ統一をしておくことの方が大事ではないかというふうに思っております。
 したがいまして、今回、三割負担のお願いを申し上げるわけでございますが、今御指摘いただきましたように、入院の場合には、三割負担といいましても高額療養費があるわけでありますから、頭打ちがあってそうはならない。しかし、ここを、三割負担はこれからも変えないけれども、この頭打ちのところを、これをどんどんふやしていくのではないかというお話だろうというふうに思いますが、三割自己負担という物の考え方は、少なくとも、トータルとしてそれを超えないということであろうというふうに思っております。
 したがいまして、この部分を、上限をだんだんと外していくという考え方を持っておるわけでは決してございません。そこは節度を持ってやっていかなければなりませんし、そして医療保険、いわゆる社会保障としての医療保険でありますから、外来等である程度お支払いをいただくことは、御負担をいただくことはやむを得ないことでありますけれども、しかし、多くの費用が要ります、多くの医療費がかさみますところの入院につきましては一つの高額療養費という限度額を持ってやっていくというのは、当然のことながら、その性格からいたしましても私は必要なことだと思っております。
五島委員 お話しになっていることと、やろうとしていることが矛盾しているんですね。
 もし高額療養費制度を残していくということであれば、これまでも健保家族の方々は入院については二割負担でやっている。入院と外来との負担率の乖離というのは、これまでもあったわけであります。今回、すべてを三割負担に統合してしまうんだという根拠はどこにあるんでしょうか。きょう局長もお見えですが、その資料要求はしていませんけれども、現実問題、では三割負担にしたからといって保険財政に一体どれだけの影響があるのか。ほとんどゼロに近いものである。それを、なぜここであえて強引に、とても国民が容認していない三割負担に、入院までやろうとしているのか。
 今大臣は、高額療養費の重要性についてはお話しになりました。そのお話はそのとおりです。しかし、これまでも、この高額療養費の償還払いのところについては、所得の問題等々の問題を入れていじってまいりました。その限度額は三割まで、厚生省が自由につつける部分をつくるということでしょう。これは、やはりその高額療養費制度というものの意味を本当に大きくねじ曲げようとしているのじゃないかというふうに思われるわけですが、なぜ今の時点で入院についても三割負担にしなければいけないか、その根拠についてお伺いします。これは局長からでも結構です。
大塚政府参考人 三割負担の導入の必要性につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたし、基本的には、制度あるいは世代を通じまして、わかりやすい、公平な負担の仕組みにしていこうということでございます。
 お尋ねの中に財政効果のお話がございましたので、今あらあらの試算ということでお許しをいただきたいのでございますけれども、例えば平成十五年度から五年程度をとりまして単年度平均をいたしました、そういう前提でございますが、三割負担を導入いたしますと、患者負担として財政へ影響が出てまいりますし、同時に医療費にも、全体の縮減にもつながる。両方合わせますと、平成十五年度から十九年度、単年度平均で八千億強、八千三百億程度というのが試算でございます。これが全体でございます。そのうち、これも一定の前提を置かざるを得ませんけれども、入院の影響が約千二百億、そのほかが外来。外来の方のウエートが大きいことは当然でございますけれども、計数上の試算としてはそういうことでございます。
 こうしたことも勘案いたしまして、先ほど申し上げましたような、制度全体を通じたわかりやすい給付体系にということで三割負担の導入を提案する、法案の中に盛り込む、そういう考え方をいたしておるところでございます。
五島委員 何かどさくさに紛れてとんでもないことをするねというふうに言いたくなるような内容でございます。
 時間もございませんので、今回の診療報酬の改定の問題についても少し御質問をしたいと思います。
 先ほど来、副大臣の方も大変混乱しておられるのじゃないかと思われるような答弁が続いてまいりました。六カ月を超える療養型病床の患者さんに対して、その人々に対しては三年間で五%、一〇%、一五%、診療報酬をカットしていく、落としていく、そのかわり、そこは特定療養費化をするとおっしゃっているのですね。
 特定療養費というものは青天井にしないようにしますなんというようなことをおっしゃっているけれども、まさに市場経済に任すということです。だから、特定療養費にしてしまって、その限度額を決めるなんというようなことはできないはずです。事実、ここ数年の間に新しくした老人病院の経営者の中から、私も早速聞きました。もうこれから先は六カ月超えの患者さんを集めないといけないねと。現実に出ているわけですよ。介護保険ができる前に、東京周辺で、お世話料の名目で何ぼ取られていましたか。三十万、四十万はざらでしたよ。
 そういうふうな形で、比較的裕福なお年寄りを対象にして自己負担を、自己負担といいますか、特定療養費というような名目で取っていく。劣悪な老人病院はそういうことができないとすると、環境が余りよくないところは八五%で我慢していかれるのでしょう。
 先ほど、施設の問題についての議論がございました。絶対数の問題がございました。そうであれば、長期療養で、本当に医療ではなくて介護が必要なお年寄りに対してなら、なぜ介護療養型に切りかえさせていかないのか。介護療養型自身が、まだ当初の計画どおりにいっていません。介護療養型に切りかえさせていく、そういうことがまず当然考えられる話です。
 介護療養型に切りかえていくと介護保険料が大変だというお話もございます。医療費が大変か、介護保険料が大変かという問題でございまして、おのずから違ってまいります。
 第二の問題として、この問題に対しては、かつて老健施設等々は継続入所六カ月ぐらいということで、できるだけ一たん在宅に戻して再度という対応をとらせてまいりました。ところが、厚生省の方は、この問題、老健施設も、あるいは介護療養型も、ついの住みかでよいよとお決めになったのは皆さん方です。そして、ついの住みかにしてしまってベッドが回転しない。結果として、老人病院において、あるいは療養型病床において、皆さん方が言うところのいわゆる社会的入院というのがふえていって、そして、それに対しては特定療養費化させていく。
 一体これは、先ほど一番最初に大臣に確認いたしましたけれども、社会保障の枠の中において処理をするのか、あるいは市場経済に社会保障部分を補てんしていくのか、その問題とも絡んでくる重要な問題だと思います。なぜこのような診療報酬改定をやられたのか、お伺いしたいと思います。
大塚政府参考人 先ほど来の案件でございますので、重なるところはお許しいただきたいと思うわけでございますけれども、高齢者の、特に長期入院の方々に対する、どういう医療あるいは介護サービスが適当かという基本論に立って議論すべき問題だろうと思いますが、一方では歴史的な経緯もございまして、介護と医療制度との役割分担が、少なくとも過去においてはなかなかうまく連携がとれてまいりませんでした。
 今回の改定の考え方は、介護と医療の機能分化をより進めようということでございます。その中には、おっしゃいましたように、介護療養型への転換の促進という手法ももちろんあろうかと思います。私どももさらに現状の把握をいたしまして、必要に応じて介護療養型への転換も進めていかなければならないと思っておりますが、今回の提案を実施しようとしております考え方は、一方では、そういう適切な医療ないしは介護の提供と同時に、現実問題として入院を継続せざるを得ないという状況があることも否定できませんから、その両者の調整をどう図るかという観点もございます。
 その方法論といたしまして、特定療養費と一定の御負担をお願いする、こういうケースも一つのいわばメニューの選択、広い意味ではそういう方法論としてあり得るだろうということで、基本的には医療と介護の機能分化、関連施設の整備ということで進めてまいりますが、その一つの幅の中での選択肢、こんなふうな考え方で、私どもは今回の特定療養費化の制度を考えているわけでございます。
五島委員 いろいろと言いわけされましたが、先ほど来から問題になっています特定療養費というのは青天井ですね。これは間違いない。そこのところをはっきり確認していただきたい。
 しかも、入院基本料というのは、昔言うところの入院料ではないんですよね。看護料、介護料あるいは治療費、そういうふうなものを包括したものが入院基本料ですね。そして、そこのところを特定療養費化、すなわち自由診療化するわけですよね、間違いないですね。
 果たして、そのようなことをやらないとならない、ほかに手がなかったのか、なぜ特定療養費というとんでもない方向を導入しようとしたのか、そこのところについて、今の御答弁では全く答弁になっていないと思います。なぜ特定療養費にするのか。なぜ、例えば極端な話、五%、一〇%、一五%診療報酬カットしますよという手段もあったはずです。それをそうせずに特定療養費にした根拠についてお答えください。
大塚政府参考人 考え方の前に、特定療養費として給付をする水準、逆に申しますと、患者、御利用者の御負担の考え方でございますけれども、入院基本料の約八五%と言っておるわけでございますが、裏を返して、裏といいましょうか逆に申し上げますと、かつて、おっしゃいましたように、看護料あるいは入院環境料などございましたが、この昔の、前の制度の中の入院環境料相当、平たく申しますと部屋代に近い性格を持ったもの。あるいは、先ほども副大臣から御答弁申し上げましたが、入院中の患者さんが外泊した場合に、いわば部屋のキープ料というような考え方で一定の水準の支払いをいたします。こうしたことを考え合わせますと、現在の入院基本料の約一五%程度に相当する。したがって、一種、部屋代と言っては言い過ぎかもしれませんが、そういった形での御負担をお願いできるかなというのが一つでございます。
 と同時に、これはおっしゃいますように、法律的な、あるいは制度的な上限を設定する性格のものではございませんから、厳密な、一律に負担を抑えるという方法はとれませんけれども、当然のことながら、この改革、改正の趣旨をきちんと各関係者にお示しいたしまして、妥当な水準の負担になるように、これは私ども十分留意をしてまいりたいと思っております。
 それから、最後になりますけれども、こうした特定療養費という仕組みを利用したのはなぜかというお話でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、入院をしていただいて入院に必要な給付をするという形が、本来でありますとなじまない、あるいは医療保険の考え方からいたしますと極めて限界があるというケースでございますから、これにつきましては、一種、特別の給付という形での特定療養費制度、これを活用するのが最も考え方として整理ができるだろうということでございまして、現在の特定療養費という制度を活用いたしまして、先ほど申し上げましたような、実態に即した選択肢の一つということを考えたということでございます。
五島委員 私の時間がなくなってしまいまして、今の答弁、到底納得できません。
 また、今回の診療報酬の改定の中でも重要な問題がございますので、これを御指摘させていただきまして質問を譲りたいと思いますが、今回の診療報酬の中身を見てみますと、どう考えても公的病院を何とか生き残らすためのむだな努力をしておられる。
 例えば、手術に対しても、一定の症例のある施設基準を設けて云々というのがございます。確かに、手術の症例の集積は大事です。しかしながら、スペシャルホスピタルというのはスペシャリストとセットに置いて議論されるべきもの。
 この間出てまいりました多くの医療過誤が大病院において発生したという事実を考えても、若い医師たちの研修の場の中において行われてきている、そういう手術。いかにその病院が過去において多くの症例を集めておろうとも、その担当する医師の資格を全然問題にせずに診療報酬上三〇%の格差を設けた、これは大変問題があるんじゃないか。これはやはり、当然医師に対してもきちっとそういうふうな制度を導入すべきだっただろうと思います。
 まだ幾つかございますが、後ほど家西議員からも質問があると思いますが、透析患者に対して、八五%が今は四時間透析、四時間ないし五時間透析になっているからいいよと。多くの透析の現場においては、患者さんからは、五時間透析、六時間透析でないと調子が悪い、ショックが起こる、そういう声がある。そこのところに対して、非常に重症な心疾患がある場合とか、そういうふうな形は除いて、それを四時間透析に持っていこうとしている。果たして、治療の中における命の問題、患者さんの人権の問題をどう扱っているのか、そのことを今回の診療報酬の改定で思わざるを得ません。
 この点につきましては、家西議員からの質問もあると思いますので、譲りまして、私の質問を終わります。
森委員長 次に、家西悟君。
 どうぞ、着席のままで結構でございます。
家西委員 民主党・無所属クラブの家西悟です。座らせていただいて質問させていただくことをお許しいただきたいと思います。
 まず冒頭、昨年の十一月七日に身体障害者に対するホームヘルプサービスについて、地方自治体において障害者の実態掌握がなされていないためにサービスを受けることができない障害者が放置されている実態を私は指摘したと思います。そのときに大臣の方から、実態掌握をさせると答弁いただいたわけですけれども、その結果はいかがだったんでしょうか。
 それと、あわせてお伺いしたい点があります。地方自治法には、地方自治法二百四十五条の五に、地方自治体の事務処理の施行が法令に違反していることが明らかに公益を害するときは、違反の是正や改善のために必要な措置を講ずることができるとありますが、この件について、地方事務が著しく怠っているようなときは、こうした措置を含めて用意する検討はされているんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
高原政府参考人 身体障害者ホームヘルプサービス事業が広く利用され、適切に運営されるためには広報活動が極めて重要でありまして、通知によりまして、本制度の目的及び利用方法等について、広報紙を利用することはもとより、地域住民が理解しやすいように工夫されたチラシ、パンフレット等、適切、有効な広報活動を積極的に行うよう指導しております。
 また、本事業の実施に当たって、対象者の実態把握が極めて重要であることから、平成十四年一月十六日の全国厚生労働関係部局長会議におきまして、プライバシーに十分配慮の上、対象者の実態把握を的確に行い、適切にサービスが提供できるよう、改めてサービスの提供体制の充実について指導したところであります。
 また、それに加えまして、三月五日に開催予定にしております障害保健福祉主管課長会議におきましても、再度指導の徹底を図ることとしております。
 しかしながら、今後とも国として、ホームヘルプサービスを含め、障害者に対します福祉サービスの充実につきまして強力に地方公共団体を指導していくことは当然でありますが、こうしたサービスは、市町村がみずから整備すべき基礎的なサービスであるという考え方から自治事務とされております。お尋ねの地方自治法第二百四十五条の五第二項の是正の要求は、必ずしも現況では適当ではなく、まずはその福祉サービスの充実について市町村の一層の理解を深めてまいりたいと考えております。
家西委員 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、やはり本来受けられるべき障害を持つ方がホームヘルプサービスを受けられないような状況に至っては困るということだと私は思っております。そのために実態掌握をしっかりとやっていただきたい。だけれども、その実態を掌握するためには、プライバシーの問題等々ありまして、全員を確実に網羅するというのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、広報を通じ、またいろいろな機会を通じながら、徹底を図っていただきますようお願い申し上げたい。そして、権利をしっかりと守っていただけますように、障害者の権利としてホームヘルプサービスを受けられるんだということを周知もしていただければと思います。
 続きまして、先ほど五島委員の方から申し上げました、透析の時間に関する包括化について質問をしたいと思います。
 厚生労働相は中医協に対して医療診療報酬改定の主要項目を示され、その中で、透析実施時間に関する点数の段階的措置を廃止するという今回の動きに対して、患者団体は非常に不安を感じております。透析時間が長ければ長いほど生命予後がよいということは学会での定説となっていますし、そういうことは明らかであるというふうにも言われているわけですけれども、なぜ今回、この三段階ではなく、一括的にやられるのか。その点についてお伺いしたいと思います。
大塚政府参考人 今回の診療報酬改定におきまして、おっしゃいますように、人工透析時間の区分を廃止いたしまして一括化をした。私どもといたしましては、もちろん、時間による評価というものを廃止するわけでございますけれども、一種の包括化、マルメに類する措置というふうに考えております。
 その背景といたしましては、透析に関する医学あるいは医術の進歩によりまして、透析時間の短縮化あるいは標準化ということが進んできたというふうに認識をしておりまして、そうした背景に基づきまして見直しをしたわけでございます。
 なお、念のために申し上げますと、障害などによりまして長時間の透析を必要とする方につきましては、これは加算が御案内のように設けられております。その加算の範囲を拡大するといったような措置もあわせて講じているところでございます。
家西委員 加算というのは、あくまでも障害者の加算とかそういうことだけじゃなかったんですか。それとも、時間的に加算をしていくんですか。これは、今回は、四時間未満であろうと五時間以上であろうと、点数でいうと千九百六十点というのがされていて、それに障害者加算というのが別途あって百二十点をつけられるということだけじゃないんですか。時間を超えた場合も加算していくんですか。その点はどうなんでしょうか。
大塚政府参考人 お話ございましたように、時間に応じてということではなくて、対象者によりまして一日につき百二十点を加算する、そういう仕組みでございます。
家西委員 その対象者というのはどういう人をいうんですか。要するに、長ければ長いほどいいということは言われているということは御存じだと思います。そして、先進国のアメリカでさえ、透析時間は大体三時間以下が包括化されている。そして、世界で最も予後が悪い国である。そして、最も長い、生命予後がいい国、それはフランスである。それは透析時間が一人当たり八時間である。八時間からかけて透析をするために、よって生命予後が非常によいというふうに言われているわけですけれども、なぜ、今回そういうふうにするのか。先ほど私は質問で、なぜやったのか。今回、医学的にも科学的にも、新たな透析の膜ができたとか、何らかの形があって時間を包括化できるんだ、短縮化していくんだということを前提で言われているんでしょうか。そうじゃなくて、これ、単純に考えると、一つの透析器を八時間使えば一日かかる、それを四時間以内におさめれば一日に二人、三人を一つの透析器で使える。要するに、点数は下がっても、病院の総収益は上がるということじゃないんでしょうか。そういうふうにならないんですか。
 本来、生命を維持するためにやっているものを、こういうふうに一般的に一体化して、一元的な医療費に変えていくというのは、私は非常に問題があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 もちろん、それぞれの患者の方々の疾病の状況に応じまして、当然のことながら透析時間も変わるものだと思います。それはそれぞれの医療現場での御判断によらざるを得ないわけでございますけれども、診療報酬上のお支払いといたしましては、現に、九〇%近い比率の方の場合は四時間あるいは五時間以下というのが現状でございますので、そのあたりを念頭に置きまして、お支払いするのは、いわば包括的に、一つの人工透析治療につきまして一定の点数をお支払いする、こういう仕組みに変えたということでございます。
 それから、どういう対象者に加算があるか、これは御案内かと思いますけれども、障害の方々、あるいは糖尿病の患者さん、常時低血圧症の方々などがございますし、今回追加をしようと考えておりますのは、人工呼吸器を使用中の患者さんでありますとか妊婦の方、あるいは十二歳以下の乳幼児、こういう方にも加算の対象を拡大しよう、こう考えているところでございます。
家西委員 多くが一般的に短くなってきているからということを御説明いただいていますけれども、一九八五年診療報酬改定のときに五時間以上の区分が廃止されて、四時間未満と四時間以上に変えられたわけですよね。そして、その後、生命予後が非常に悪いというか、余り予後がよくないということで、九六年に五時間以上の診療報酬が復活しているわけですよね。そして、三段階に今まで分けてきたのに、どうして今回やっているのかということを聞いているんですよ。
大塚政府参考人 これは御質問の趣旨に直接お答えすることになるかどうかわかりませんけれども、私の今の御質問を受けての感じでは、どういう医療を提供すべきかという問題と、診療報酬上どういうお支払いの仕方が妥当か、こういうことだろうと思います。
 御質問の趣旨は、まさに実績に応じて必要に、必要といいましょうか、極端に申しますと、実際に行われる人工透析の時間に応じてお支払いをすべきだという、その方が適当だという御意見かと思いますし、私どもの方としては、お支払いの仕方といたしましては、もちろん、医療そのものの必要性は、それぞれの患者の方々の状況に応じて医師が的確に判断して実施すべきだと思いますけれども、診療報酬上のお支払いの仕方としては、九割を超える実例が四時間、五時間以内でございますので、これは、包括した形でお支払いをしても医療現場に混乱を生じることはなかろう、こういう前提での診療報酬上の支払い方として今回見直しをした、こういうのが私どもの考え方でございます。
家西委員 いや、それは診療報酬であって、だけれども、それだったら患者の視点に立っていないんじゃないでしょうか。
 ここに日本透析医学会のデータがあります。透析時間が長ければ長いほど生命の予後が高い、健康でいられる、短くなるほど死亡率が高くなるというのは、学会でも発表されているわけでしょう。
 要するに、こういうことを今回医療改革でやるというのは、三方一両損ではなくて、患者に二両も三両も負担させようというやり方じゃないんでしょうか。本当の医療というものをやるおつもりがあるんでしょうか。患者の命を削ってでも要するに財政をパンクさせないという、それだけの目的じゃないんでしょうか。これは全くおかしい話じゃないんでしょうか。逆に、これをやっていけば透析の患者さんたちはどんどんどんどんふえてくる。
 しかも、今回、食事加算も廃止している。きのう聞き取りをしたときには、なぜ食事加算を廃止するんですかというふうに質問したときに、厚労の方は、おなかが減るから出していたんですと。ばかなことを言うなということを私は言いました。食事療法というものがあるから、健康を維持するため、血糖値を下げないとか、いろいろな理由で食事加算が今まで認められていたはずだ。にもかかわらず、今回廃止するということは、生命に危険性を及ぼす可能性があることをあなたたちは承知の上でやるんでしょうか。お答えください。
大塚政府参考人 ただいまの食事に関連する問題も、私どもといたしましては、これも、診療報酬上どういうような形でお支払いをするかということと関連する問題だろうと思っております。
 もちろん、治療の必要上、人工透析医療の必要上、腎臓食などの治療食が必要だということになりますと、これはお医者さんの判断で提供されるわけでございますが、今回の整理の中でいいますと、お示しの点数の中に含まれる、そういう形で包括化をされて対応していただくということになります。
 なお、ちなみに、確かに医療機関にとりまして、そういう意味では実質的な診療報酬の引き下げと申しましょうか、厳しい点数配分になることは理解できるところでございますけれども、御案内のように、厳しい保険財政、それからそれぞれの立場で御協力いただくということから、今回、かつてない幅の診療報酬の改定、特に診療報酬本体につきましては、医療全体といたしまして、削減、引き下げをお願いしているところでございまして、なかなか診療報酬点数自体を引き上げるということにはなりませんけれども、例えば必要な食事でありますとか、長時間、医療上治療が必要な場合には、この包括点数の中で対応をしていただく、それが私どもの考え方でございますし、また、当然のことながら、この改正によります実施状況、その影響などにつきましては、私ども、きちんとフォローをしてまいる、そういうつもりで臨んでいるところでございます。
家西委員 私が語気を強くして申し上げるのは、命がかかっているからです。何も、食事代を出していただきたいとか、そういう話をしているんじゃない。透析をすることによって、その人たちは、健康な生活を維持できる、透析をしながらでも生きていけるんだということを期待しながら、そして、ひいては将来において新たな治療法ができてき、人工腎臓なりそういうものができてくる日を夢見てお過ごしになっている。そういう人たちのためにも、こういうものをつぶさないでいただきたい。そして、生きる希望を与えてあげるのが一つではないんでしょうか。今回、医療改革とかいうことの中で、これは非常に大きい問題ではないのかなと私は思います。
 そして、点数がそういうふうになれば必然的に、ローテーション、サイクルを早くしたい、これは病院経営として当たり前です。一日に一人しかやらない診療報酬しかもらえないよりも、短くて、二人、三人やった方が病院経営は助かるんだというのは、これは必然的な流れじゃないでしょうか。そういうことを御理解の上で、点数をきっちりと査定するなり、また補てんするなりのことをやらない限り、患者は死ねと言わんばかりのやり方ではないのかというふうに私は思えてなりません。
 ぜひともそういったところに目を向けていただきたい、それをいま一度強く申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、院内感染対策についてお伺いしたいと思います。
 ことし、世田谷の伊藤脳神経外科病院に、セラチア菌による感染事故による問題がありました。そして、ガイドラインを厚労として今作成中であるというようなことをお伺いし、昨日いただきました。こういうようなものが二週間前にできた、そして今つくっているというようなこともあわせてお伺いしているわけですけれども、具体的にお伺いできればと思います。
宮島政府参考人 院内感染対策につきましては、医療機関を監督する立場にある都道府県等に対しまして、MRSAあるいはセラチア菌等の個々の感染症に対する注意喚起と各種ガイドライン等をこれまで通知してまいりました。しかしながら、最近、こうしたものに加えまして、医療の現場におけるさまざまな微生物による院内感染に横断的に対応するため、総合的かつ科学的根拠に基づいた指針というものが新たに求められているところでございます。
 そのような経緯を踏まえまして、平成十二年度から平成十四年度の三年間にわたりまして、厚生科学研究事業の研究班の専門家の方々によりまして検討がなされまして、平成十三年十二月に開催されました院内感染対策委員会におきまして、今お示しの総合的ガイドラインの素案が提出されました。これは、今もごらんいただきましたような本として出版されておるところでございます。
 今後、この素案につきまして各方面からのコメント等をいただきますとともに、院内感染対策委員会においてさらに議論を深めるということを続けまして、最終的には、平成十四年度末までには、総合的ガイドラインとして策定を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
家西委員 ぜひとも、こういったガイドラインをきっちりとつくっていただきたい。私は患者としてよく思います。なぜならば、自分がHIVポジティブである以上、いろいろな局面で院内感染の恐ろしさを感じる場面にも直面します。それは、医療従事者を守るだけではなくて、患者を守るということも念頭に置いていただきたい。
 そして、この中にもいろいろなことが書いてあるわけですけれども、私は、自分自身の体験上よく見るのは、感染、どんな病気を持っているかわからない段階でグローブをつけずに採血をするシーンをよく病院で見かけます。これは逆じゃないのか。どんな病気を持っているかわからないからこそ、そのときにこそグローブが必要、ゴムの手袋をして採血をする。そして、この人は感染症は持っていないということがはっきりわかった段階で手袋を外すのは、これは一つかもしれない、作業がしにくいとかいろいろな点があるから。だけれども、今いろいろな状況を見ていると、逆をおやりのところが多いように思えてならないし、ひいてはこちらにも新たな感染症をいただくような結果にもなりかねないから、これはぜひともきっちりとしたものをつくって周知徹底を図っていただきたいというふうに御要請申し上げたいと思います。
 続きまして、時間が余りありませんので、薬害ヤコブ訴訟についてお伺いしたいと思います。
 先週の二十二日、東京地方裁判所が和解勧告を出されたようにお伺いしております。そして、一昨日、原告団はそれを受け入れる方向でいるという旨の報道もあります。
 大臣、この件について、和解するということでよろしいんでしょうか。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
坂口国務大臣 ヤコブ訴訟につきましては、今御指摘をいただきましたとおり、先般、東京地裁並びに大津地裁からの和解条件をお示しいただいたところでございます。その裁判所の御趣旨を最大限尊重いたしまして、そして和解に向けての努力を今しているところでございます。
 そんなに長い時間を要するわけではございません。恐らくもう四、五日のことだと思いますけれども、早く決着をつけさせていただきたいと思っているところでございます。
家西委員 ぜひとも、大臣、原告の思い、また家族の思いをしっかりと受けとめていただいていると思いますけれども、早期に解決いただきますよう御尽力いただきますよう、心よりお願い申し上げたい。そして、再発防止、そういったものについても、大臣、陣頭指揮をしっかりとおとりいただきますよう、心よりお願い申し上げたいと思います。
 続いて、薬事法の改正に伴っての血液新法についてお伺いしたいと思います。
 これも薬害エイズのある種の集大成だと思っております。その中での救済についてお伺いしたいと思うわけですけれども、採血者、献血者について何らかの事故が起きたときに救済はどのようにお考えになっておられるのか。この点について、しっかりと御答弁いただければありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
坂口国務大臣 血液製剤を含みますところのいわゆる生物由来製品によります健康被害の救済問題につきましては、現在、研究会において、年度内の最終報告書の取りまとめに向けて精力的な議論を重ねているところでございます。
 今お話ございましたように、保存血液及び血漿製剤等々につきましては法律的な裏づけというものも必要でございますので、今国会に提出をさせていただきたいというふうに思っております。また、血液製剤の国内自給を推進していくためにも、安心して献血をしていただける体制を整備しなければならないというふうに思っております。
 献血につきましては、これはもう閣議決定だけで昭和三十九年から今日まで来たわけでございまして、何ら法的な根拠なしに来たわけでございます。これだけ献血の運動も大きくなり、国内における保存血液を満たすというところまで来たわけでございますから、法整備が必要であるというふうに思っております。
 献血時に生じます可能性のある健康被害につきましては、適切な補償の仕組みをとることができますように、日本赤十字社並びに患者の皆さん方との懇談も続けているところでございまして、十分皆さん方におこたえのできるようにしていきたいというふうに思っております。
家西委員 ぜひともそのように、私も努力していきたいと思いますし、それと同時に、今回、新法の中でいろいろな議論がされていると思うわけですけれども、一つは安全監視委員会の問題、これは私は大きな問題ではないかというふうに思います。危機管理の問題、ひいては、それと同時にラベル表示という問題、原産国、そして献血なのか非献血なのかというようなラベル表示はぜひともやっていただきたい。でないと、血液製剤を使われるドクター自体もわからないと思います。どこからこの血液が、血液製剤が来ているのか、献血なのか非献血なのかということが、わからないと思います。そういったラベル表示もきっちりやるべきだというふうにも思いますし、国内自給をぜひとも推進していただきたいと思います。
 それとあわせて、次に、バイエル社のリコンビナント製剤の供給不足に至っているという点が、私たち血友病患者にとっては大きな問題と受けとめております。ある説には、本年の末には供給がかなりの量、単位数が足らなくなるのではないか、数字的には二千六百万単位ぐらい足らなくなるんじゃないかというようなことが一説では言われているわけですけれども、これを回避するためにどのような措置を講じていくのか、またどのように対処していくのかについて、お尋ねしたいと思います。
宮島政府参考人 昨年三月にバイエル薬品の遺伝子組み換え型血液凝固第8因子製剤、いわゆるリコンビナント製剤の輸入が停止いたしまして、今日まで不安定な供給状態が続いているというところでございます。
 この間、第8因子製剤の安定的な供給を確保するため、関係各社から報告を求めまして、在庫状況や需給見通しにつきまして検討した上、必要な原料血漿を確保するため、成分献血を推進するとともに、各社に対しまして第8因子製剤の最大限の生産増及び輸入増を要請してきたところでございまして、これまで必要な供給量を確保してきたというふうに思っております。
 今後の対応につきましては、まず、平成十三年十二月末現在の実績値をもとに、各社から出されました平成十四年一月以降の見込み量に基づきまして推計いたしますと、現在約三カ月ぐらいの在庫でございますけれども、本年末時点におきましては、在庫量は最大約六カ月まで回復するというふうに考えております。
 しかしながら、これまでの供給実績が不安定であったということにかんがみまして、審議会の検討結果も踏まえ、本年二月一日にバイエル薬品に対しましては、当面の間、約六カ月の在庫を維持するように指導しますとともに、国内製造業者に対しましても、引き続き最大限の増産を要請しております。さらに、原料血漿を確保するため、成分献血の推進を引き続き積極的に呼びかける、こうした対策を行っているところでございます。
 今後とも、引き続き需給状況を注意深く把握し、供給不足を起こすことがないよう、きめ細かく適切な対策をとってまいりたいというふうに考えております。
家西委員 ぜひともそのようにお願いしたいと思います。一つは、血液製剤がなくなると血友病患者にとっても命にかかわる問題にも直結します。そういった点をどうぞ考えた上で配慮していただければありがたいと思いますし、今回のバイエルのような事態のときに大慌てするようなことのないような自給計画、そして推進していくためにも、血液新法というか、薬事法の改正というよりも、私は血液基本法をつくって血液事業をやるべきではないかというふうにも思いますし、それとあわせて、その中に救済の問題、献血をする方また血液製剤を受ける方、輸血を受ける方が安心して医療を受けられる医療を確立することが大事ではないでしょうか。
 それと同時に、今回の腎臓透析の患者さん、私は、経済論理だけでやるんではなくて、抜本的医療改革をすること、すなわち命を守りながらいかに今後保険財政を守っていくかと。むだを抑制するということを考えながら、改革を必死になってお互いに考えていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日はありがとうございました。
森委員長 次に、水島広子さん。
水島委員 民主党の水島広子でございます。私は、坂口厚生労働大臣の所信のうち、特に子供に関することについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、小児医療についてでございます。
 日本の小児医療が危機的な状況にあるということは、二〇〇〇年の衆議院本会議でも私は指摘をさせていただきました。本日は、その中でも特に小児科医について質問をさせていただきたいと思います。
 地域の基幹病院の小児科医の数は、三から五名のところが多く、そのスタッフで二十四時間三百六十五日診療を求められております。連日小児科当直を置いているところでは、一人が月の半分を当直しているということになるわけですけれども、基幹病院の小児科医がこのような過労状態にあるということを大臣は御存じでしょうか。
    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
坂口国務大臣 小児科医がいかに厳しい環境の中にあるかということにつきましては、おおむね、総論的にはわかっておりますが、個々の病院についてどうである、こうであるというところまで私もわかっているわけではございません。ただ、私自身も小児科をやっておりましたので、それがいかに厳しいかということの内容につきましてはわかっているつもりでございます。
 例えば大きい病院、大学を初めとします病院におきましても、実際それは、当直をしなくても、当直の番ではありませんけれども、しかし、子供の重症の患者が入院をいたしましたら、当直の先生は別におりましてもやはり当直をしていかなければならないといったようなことがずっと続くわけでありまして、かなり、自分の若いころを振り返ってみましても過労の連続であったなという気持ちはしているわけでございまして、そのことは現在もそう大きく変わっているわけではないんだろう、想像にかたくございません。
水島委員 そしてさらに、大臣が現職の小児科医をやっておられたころに比べますと、恐らくますます少子化も進み、子育て支援としての小児科医の機能も大きくなっているのではないかと思っております。厚生科学研究費の一九九九年度の研究報告書を見ましても、今、既に小児科医療、特に小児救急が破綻寸前ではないかというような、そんな像も浮かび上がってくるわけでございます。
 今の基幹病院の小児科医のことにつきましても、これは現場の方たちにお伺いいたしましても、やはり採算によってスタッフの割り振りが行われる病院の中では、どうしても小児科医の数は三名から五名程度にならざるを得ないということがございまして、その人数で何とか毎日小児科を当直させようとすれば、当然一人が大体月の半分、過労状況になる。
 大臣も当然御存じだと思いますけれども、医者の場合は、当直をしましても、特に小児科は夜間の診療数が多いので、一晩じゅう働いても次の日もまた通常勤務ということになりますので、非常な過労状況にあるわけでございます。このような状況のもと、働き盛りなのに急性心筋梗塞になってしまったり、また過労死すらする小児科医もいるわけです。また、燃え尽きてしまって小児科医をやめてしまう人もいます。現に、私の友人も燃え尽きてしまって、小児科医を続けていくことができなくなってしまいました。
 このような状態、特に基幹病院の小児科医というところに着目をいたしまして、このような状況を大臣はどのようにして改善していかれるおつもりでしょうか。その道筋をお示しいただきたいと思います。
宮路副大臣 御指摘の最近の小児科医の状況でございますが、数的に申し上げますと、主たる診療科が小児科である医師の数といいますものは、ここ数年とってみましても五、六%ふえているということでございまして、お医者さんの数の上では減少しているわけではないわけであります。
 しかしながら、小児科医の高齢化の問題、あるいはビル診療の増加等によりまして、特に休日、夜間における小児医療の供給体制といいますものが大変脆弱化をしている。その結果、地域の基幹的な病院などの小児科医にさまざまな負担が集中しておりまして、御指摘のような大変厳しい現状にあることは認識をしておるわけであります。
 そこで、その医療体制の整備のことでありますけれども、御指摘がありましたように、安心して子供を産み、健やかに育てる基礎になるものでありまして、少子化対策という点でもこの問題は大変大切な問題であるわけであります。したがって、厚生労働省といたしましても、小児医療、周産期医療等の先端的な役割を担うナショナルセンターでありますところの国立成育医療センターの開設を近々やる、こういうことにいたしておりますし、また、小児の救急医療体制の整備につきましては、全国的な整備をこれは相当強化していくということで、今その点、予算の面でも大変力を入れて取り組んでおるところであります。
 また、このたびの診療報酬改定におきましても、小児医療に関する診療報酬上の重点的な評価をするということで、その点、必要な配慮を行うということにいたしておりますし、また、平成十四年度予算におきましては、一億円もの調査費をとりまして、小児科若手医師などの育成に関する調査研究を積極的にやっていこう、こういったことで、総合的にもろもろの対策を講じて御指摘のような事態の解消に一生懸命取り組んでいきたい、このように考えておる次第であります。
水島委員 恐らく、今のような対策では、それが実を結ぶまでの間にすべての小児科医が燃え尽きてしまうか亡くなってしまうか、そんなふうになってしまうのではないかと思っております。きょう、あすどうしようと思っているような方も実際に多くいらっしゃいますので、私は、これは抜本的な改革を政治主導で行わなければならないと思っております。
 今のナショナルセンターにつきましては、二〇〇〇年の七月にも同じ御答弁をいただいているわけですけれども、そのような国で一つというような考えではなく、また、今回診療報酬で配慮をいただいておりますけれども、結局、診療報酬というのは上げれば上がるほど今度は親側の負担もふえてしまう。そうしますと、今子供の虐待問題も大きい問題ですけれども、こんなにお金がかかるんだったら十分な医療を受けさせられないじゃないかというようなことにもまたなっていってしまうわけでございますので、これはちょっと診療報酬でどうこうしていこうというレベルを超えているのではないかとも思っております。
 また、第一線で働いている小児科医たちは、もうこれ以上幾らお金を積まれても自分はこれ以上働けないというような状況にございますので、本当に制度としての抜本的な改革が必要であると思います。
 私は、そのためには、やはり第一線で二十四時間診療を担っている小児科医の数が限られている以上は、その方たちをきちんと集めて、例えばアメリカやカナダに見られるような小児病院をきちんと整備していくことが必要だと思いますし、その小児病院で、救急医療からまた保健、地域医療、保育、学校保健、福祉などもすべてを総合して扱っていけるようなものをきちんと各地域につくっていくことが必要ではないかと思っております。
 今現在、日本にございます子供病院というのはなぜか救急医療をしないという構造になっておりますので、私は、そのあたりのことも含めてきちんと政治主導で考えていかなければ、この問題はいつまでたっても解決しない。先ほどおっしゃったようなことが、もしかしたら今現在の学生に対する教育が実を結ぶかもしれないけれども、そのときまでに日本の小児科救急の現場というのは惨たんたる様子になってしまうのではないかと本当に真剣に危惧をしておりますので、ぜひその道筋を具体的にお示しいただければと思っております。
 これにつきましてはまた今後も質問をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひ、すべての英知を結集してすばらしい道筋を描いていただけますように、そして希望する人たちが安心して子供を産み、育てられるような、そして何といってもそれ以上に、子供の人権の問題といたしまして、当たり前の質のよい医療を日本でもちゃんと受けていけるように、子供の権利をしっかりと守っていただきたいと思っております。
 何かコメントがございましたら、よろしくお願いいたします。
宮路副大臣 先ほど、現在取り組んでおる、あるいはこれから取り組もうとしていることについて申し上げさせていただきましたが、まだまだそんなものでは当面の大変な事態にもまどろっこしい、そういうようなお話でありましたが、おっしゃるように、限られた資源であります小児科医の効率的な配置ということもまた含めまして、先ほどのような対策の中でもそういったこともあわせて考えて、御期待に沿うべく努力をしてまいりたいと思っております。
水島委員 ありがとうございます。力強いお言葉をいただけたと思っております。
 さて次に、児童扶養手当についてお伺いしたいと思います。
 政府は、児童扶養手当の削減を含む母子家庭等対策を見直す法案を今国会に提出する予定であるということでございますけれども、この件につきまして、もちろんあちこちで今、問題であるということが指摘をされております。それに対して政府は盛んに、児童扶養手当の削減のみではない、総合的な自立施策であるということを主張されるわけでございます。
 母子家庭の母親の就労支援施策あるいは養育費の取り立て施策が功を奏せば、結果として児童扶養手当の受給者は減ると思うわけですけれども、今回、他の施策の効果もあらわれないうちに児童扶養手当の削減を提案されるというのは、一体どういう考えに基づくものなのでしょうか。大臣、お願いします。
坂口国務大臣 今御指摘になりましたように、この児童扶養手当の問題につきましては、多くの御議論をいただいているところでございます。
 確かに、児童扶養手当の問題と他の例えば福祉的な側面あるいはまた雇用の問題等、幅広いわけでございますが、今まで、どちらかと申しますと、児童扶養手当という手当のところに集中してきたと申しますか、そこを中心にして今日までやってきた。しかし、自立をしていただいて、やはり母子家庭でありますからどうしても自立をしていただかなければならないわけでありますので、総合的にやはり見ていかなければいけないという立場は、私も、そこは当然のこれは成り行きではないかというふうに思っています。
 ただ、そうは申しましても、そう簡単にそれではこの人たちの雇用がふえるのか、あるいはまたその人たちの前進ができるのか。そうしたことは私もあるというふうに思っておりますので、ここはかなりきめ細やかな政策というものがやはり大事になってくるというふうに考えている次第でございます。
水島委員 現場の難しさということをまたこれから指摘をさせていただいて、質問を続けたいと思っておりますけれども、ただ、今の御答弁の中で、結局いつもと同じような御答弁だったなと思うんですけれども、総合的な施策である、今まで手当にのみ比重が置かれ過ぎていた、だから今度は総合的に考えていく、手当を削減するといってもそれは難しいからきめ細やかな配慮が必要であるということなんですけれども、何で最初に手当の話が出てきてしまうんでしょうか。きょうは、ぜひそこのところをお伺いしたいと思ったんですけれども。
坂口国務大臣 手当の問題だけを先に出しているわけではなくて、並行して、トータルで出しているわけですね。だから、一緒にこれは進めていこうということを申し上げているわけで、手当の問題だけを先に出しているわけでは決してございません。
水島委員 私も別に先に手当のことを出していると言っているのじゃなくて、手当は本当は後でいいのじゃないか。それも、別にこういうことを言わなくても、後に自立支援施策がちゃんと実を結べば手当を受ける必要のない人がふえるわけですから、何も手当の制度をいじる必要はないのではないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
坂口国務大臣 ここは雇用の問題というのが一番大事だというふうに私は思っております。母子家庭のお母さん方がどのように働いていただくかということが一番大事な問題。
 恐らく母子家庭のお母さんというのは、自立心ということにおきましては他のお母さん方よりももう一つ積極的なお考えをお持ちだろうというふうに私は思うのです。いいところがあったらぜひ働きたい、そして他の家庭に負けないようにやっていきたいという強い御意思をお持ちだと思います。私は、そのお母さん方におこたえをするのが一番ではないか。そして、児童扶養手当という形で出すこともあるいは大事かもしれませんけれども、そのことよりも、やはり自立をしていただける環境を整えるということが大変大事な問題である。
 それは、一方において、もう少し率直に言えば、母子家庭の御家庭というのが大変な勢いでふえていっていることも事実でございます。ですから、現在のような状況でいきますと、この扶養手当の方が、受ける人がどんどんふえてくるものですから、そうすると、結果的には、やはりその皆さん方に、扶養手当ということだけに絞って、そこが削減されてくるということが起こってくる可能性がある。したがいまして、そうした問題も含めまして、このお母さん方が自立をしていただけるということを中心にして、総合的に今のうちに見直しをしておいた方が将来御安心をいただけるのではないかというふうに思っています。
 ただ、そうはいいましても、それをどうやっていくかということは、かなりこれは具体的に、そしてそのお母さん方の状況に合ったように考えていかなければなりませんから、ここは他の分野よりも、例えば雇用なら雇用の問題におきましても、他の雇用の問題よりもここはかなり手厚く、きめ細かく手を差し伸べていかないといけないというふうに思っています。
    〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
水島委員 今の大臣の御答弁は矛盾したところもありましたけれども、母子家庭は自立をしたがっているんだということはちゃんと押さえられておりますし、結局予算が足りなくなるのじゃないかというような本音も述べていただけたわけです。
 いずれにしても、結局私の質問に対する答弁にはなっていなかったなと思いますけれども、自立支援施策を推進することによって将来的には予算も必要な枠内におさまってくるんじゃないかという、大臣は多分そういうことをおっしゃりたいのでしょうし、今回最初に児童扶養手当に手をつけようとこれを提案されたというのは、多分大臣の御本心に反することなんじゃないか。だからこれほど答弁が、何だかあっちに行ったりこっちに行ったりということになってしまうのじゃないかなと今改めて思っております。
 そのように非常に人格者であられる大臣に、さらに質問を続けさせていただきたいのですが、二月二十日の朝日新聞によりますと、政府・与党の見直し案骨子として、児童扶養手当の受給期間を五年間とし、以後は一定の割合で減額する。総額抑制により手当受給額が現在より減額される母子家庭のために、無利子の貸付金制度を創設し、償還条件の緩和や減免をするなどの内容を含むものが報道されております。この報道内容は正しいのでしょうか。大臣、お願いします。
坂口国務大臣 現在、最終的なまとめに入っているわけでございまして、多くの御議論があることは事実でございます。したがいまして、この新聞に載っておりますことがすべて間違いであると私は申し上げているわけではございません。こうした御意見もあることは十分承知をいたしておりますが、しかし、これで全部固まったというわけでも実はございません。こういう御意見もあるということでございます。
 したがいまして、今後、三歳未満の児童を監護していく立場や、それから障害、疾病を有する場合など、自立が困難な母子家庭に十分配慮しまして、この手当の受給期間と手当額との関係について見直すことを検討しているということでございます。
 いずれにいたしましても、その具体的な内容につきましては、今ここで、こういうふうにしましたとちょっとお答えできる段階でないものですから、まことに残念でございますけれども、こうしたことも議論の一つになっているということは事実でございます。
水島委員 この児童扶養手当については、一九九八年に所得制限の強化を柱とする制度改正が行われているわけでございますけれども、まず、その結果を今回どのように総括をして、今回の新たな制度改正に結びつけられたのかを最初にお聞かせいただきたいと思います。これは大臣にお願いします。
坂口国務大臣 児童扶養手当制度の平成十年の見直しにおきましては、必要度の高い世帯への給付の重点化を図ります観点から、所得制限額を四百七万八千円から三百万円に引き下げたものでございます。最高四百七万円でありましたものを三百万円にしたわけでございます。
 この所得制限の見直しの結果、母子家庭の中でも比較的所得の高い者で児童扶養手当の支給が停止される者が生じてきた。これは当然のことだと思うのですけれども、所得の高い人の中には児童扶養手当の支給が停止される人が生まれてきました。そしてまた、これらの人は結果的に、各自治体の母子世帯に対します各種単独事業というものがあったわけですが、そうしますと、その単独事業が受けられなくなってしまった。少し所得が高いがために児童手当の中からカットされましたので、それぞれの地方自治体におきましてやっておりますことも受けられなくなってしまった、こういう一つの欠点と申しますか、そういう結果が生じてきたということでございます。
 このため、今回の見直しに当たりましては、関係団体から、現在受給している者が所得制限の見直しに伴って手当を受給できなくなることがないように配慮してほしいという強い御要望がございました。これを十分に踏まえて対応しているところでございます。これらの点に十分配慮していきたいというふうに思っている次第でございます。
水島委員 ぜひ十分な御配慮をお願いしたいと思います。
 そして、今回の見直し案についての質問を続けさせていただきますが、まず、五年で減額することの根拠を伺いたいと思います。なぜ五という数字が導き出されてくるのでしょうか。
坂口国務大臣 現在、児童扶養手当制度につきましては、離婚などによります生活の激変を緩和いたしまして、自立を促進する制度に改める方向で検討を進めているわけでありますが、三歳未満の児童につきましては、障害ですとか、あるいは疾病を有する場合など、自立が困難な母子家庭に十分配慮をしていかなければならないというふうに思っております。
 一応、五年ということになっておりますが、これにつきましては、現在までの統計から見まして一つの目安になるのではないか。今までの過去のいろいろのデータを見ますと、大体五年ということが平均値でございますので、この平均値をとった、こういうことでございます。
水島委員 恐らく大臣も統計学を過去に学ばれたのではないかと思いますけれども、平均値が五に近いからといって五年で減額するというのは、私は何かもう論理的に破綻しているように思うのですけれども、平均値というのは、その結果としての平均値で、また中央値でもないわけですので、なぜそういうことをおっしゃるのか、何度お伺いしてもよくわからないのです。そもそも激変緩和ということであれば、何年かたてば落ちつくのでしょうから、また先ほどと同じ趣旨になりますけれども、それは自動的にまた離脱していかれるんじゃないかなとも思っております。
 今、統計という言葉も出ましたので、もう一度その統計について大臣に、大臣として頭の中でどういうふうにこの件を御理解されているのかをちょっと整理して教えていただきたいんですけれども。
坂口国務大臣 それほど明確に整理されているわけでは実はありませんが、今申しましたように、生活の激変を緩和していくための期間を考えます場合には、現在の平均受給期間、これはやはり一つの目安になるだろうというふうに思っています。今までどれぐらいの長さの期間に受給をしておみえになって、そしてもうその受給期間が切れたかというのは、今後の大きな一つの目安になるというふうに思っております。
 だから、そういう意味で、それが大体五年ですので五年というのを一応掲げておる、こういうことでございます。
水島委員 つまり、おっしゃりたいのは、大体の人が平均で五年で離脱するわけだから、あなたも五年以上もらうというのはおかしいんですよということを言いたいということなんでしょうか、母子家庭のお母さんに対して。
坂口国務大臣 そこまで言うつもりはございませんけれども、平均をとれば大体この辺になっている。大体この辺の皆さん方がこれで五年以内ということになっておりますので、一応五年というこの数字を出した、こういうことでございます。
水島委員 何となく日本のあしき横並び社会の一端が見えたような気がするんですけれども、大体皆さんこうなんですからぜひというような言い方が、本当に個々人の事情を抱えている方たちにとってどれほどの衝撃を持つかということを、大臣だったら御理解くださると思いますし、また、今のようなことをおっしゃられてしまうと、五年以上たってもだらだらともらい続けている人というのは、そもそもどこかおかしいんじゃないか、自立の意欲がないんじゃないかとか、そんな偏見を持って現に見られているというような話も伺っております。
 ですから、大体五年だからというのであれば、今だって大体五年で皆さん抜け出されているんだったらそれでいいじゃないかと思うんですけれども、何でここで、五年で減額することで何を期待されているのかがどうもよくわからないんですけれども、もし大臣おわかりだったら教えていただきたいんですが。でも、時間が余りないので、大臣がお答えくださらないんだったら先に行かせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、減額支給になるとしてもきめ細やかな配慮をしてくださるという先ほどの御答弁でございましたけれども、これはいつまでもらえるということは決まっているんでしょうか。
坂口国務大臣 その辺のところも今議論を、最終議論をしているところでございますので、もうしばらくお待ちいただきたい。
水島委員 いつまでもらえるかということを考えるときには、全体の予算がこのくらいだからということで決めるのではなくて、当然、個々の家庭の生活状況に着目していただけるんでしょうか。
岩田政府参考人 今の児童扶養手当の制度では、子供が十八歳に達した年度の年度末まで、もちろん所得制限がございますから、その所得制限をオーバーした方はもらえませんけれども、そうでなければ十八歳に達した年度の年度末ということになっております。
 今回、先ほど大臣が何回も答弁されましたように、自立を促進するという、その仕組みを児童扶養手当の中にも入れたいというふうに思っておりまして、受給の期間と額とをどういう形で整理できるかということを今まさに検討中でございますが、先生もおっしゃいましたように、努力しても自立ができない、そういう状況に置かれている方もいらっしゃると思いますから、そのあたりは注意深く十分配慮していかなければいけないというふうに思っております。
 雇用対策や子育て両立支援対策、ここの部分は思い切って、やれることはもうすべてやってみたいというふうに思っておりますが、児童扶養手当を合理化する部分については、その合理化自体も自立促進型の合理化をしたいというふうに思っておりますけれども、痛みを伴われる方については、本当に慎重に、きめ細かな配慮をしながらやってまいりたいと思っております。
水島委員 ぜひそういうふうにお願いします。
 また、今回、無利子貸付金制度というものがまた提案される見通しだということですけれども、実は一九九八年改正のときにも貸付金制度がつくられておりますが、実際にそれを利用した人は、全体の、その対象となる方の一%にすぎなかったというようなことも伺っております。
 やはりお金を借りるということは抵抗があることだと思うんですけれども、また、返済の見通しに対して不安を感じることも大きいと思います。今回、この償還の減免ということも考えられているということなんですけれども、この条件を、またその手続をどのように考えられているんでしょうか。
坂口国務大臣 今回のこの見直しの中で、母子福祉資金貸付制度をつくろうとしているわけでございますが、無利子の児童扶養資金の貸し付けを行いまして、制度改正に伴う激変緩和を図りたいというふうに思っています。
 この貸し付けの償還免除のあり方につきましては、母子家庭に対する施策を総合的に見直します中で検討しているところでございまして、これももう少しお時間をちょうだいしたいというふうに思いますが、平成十年度の見直しにつきましては、受給者のうちで比較的所得の高い人を対象にしたものですから、先ほどお話がございましたとおり、全体で一%ぐらいしかそれをお受けになる方がいなかったということでございますので、その辺のところは十分配慮していきたいと思っております。
水島委員 ぜひまたこの面でもきめ細やかな御配慮を、また、償還率に対する不安のある自治体では、やはりどうしても減免の条件に関して敷居を高くしてしまうということが当然の原理として働くと思いますので、この減免のことを考えられますときには、地方自治体の窓口に対する配慮もぜひお願いをいたしたいと思っております。
 さて次に、DV法との関連で質問させていただきたいと思います。
 昨年の秋からいわゆるDV法が施行されているわけですけれども、このDV、ドメスティック・バイオレンスの被害者であっても、経済的に自立できないために逃げられないという人も少なくないわけです。男女共同参画審議会の答申におきましても、経済的に自立することが困難であるということが被害を相談しない主な理由として挙げられております。
 DV離婚に踏み切った方で、児童扶養手当がもらえると思ったから離婚に踏み切ったと言っている人もいるわけですけれども、今回の法改正によってDV離婚のハードルがまた高くなる、矛盾した施策になるとはお考えにならないでしょうか。
坂口国務大臣 確かに、このDVのときには普通の方と違う側面も私はあるというふうに思っております。
 母子家庭になられるということにつきましては変わらないわけでございまして、同じことでございますけれども、しかし、お父さんであった方、御主人であった方に対しての、扶養の、その取り立てといったようなことにつきましてはなかなか難しくなる可能性があるということは、私は当然起こり得るのではないかというふうに思っているわけでございますが、そうしたことを十分配慮しながら、これから就労支援でありますとか養育費の問題、あるいは経済的支援政策といったようなものをやっていかないといけない。
 ですから、DVのときには、普通の母子家庭の問題プラス特殊事情というものも考慮しながら、ここはやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
水島委員 ぜひその特殊事情は十分に御考慮いただきたいと思うんですけれども、今おっしゃった就労支援でもございますが、母子家庭の母をパートで雇っている経営者を対象にした常用雇用転換奨励金というものが提案されておりますが、この効果も極めて疑問でございます。
 市民団体、母子家庭共和国が、経営者を対象に行っている途中のアンケート調査がございますけれども、そこでは、シングルマザーは子供の病気で急に仕事を休まれるなどのリスクを考えると採用しにくいというのが現状で、三十万円程度でリスクのある人を採用できないという声や、意味がない、魅力がないという声が大半になっておりまして、非常にこの奨励金は評判が悪いということになっております。
 大臣は、こんな奨励金、三十万円程度のものが、本当に母子家庭の常用雇用策として効果があるとお考えになっているんでしょうか。
坂口国務大臣 これは社会全体で、例えば障害者の皆さん方を雇用するということも同じでございますけれども、母子家庭の皆さん方も雇用をしていかなければならないという、社会全体の支えるという気持ちをやはりつくり上げていかなければならないというふうに私は思います。
 そうしたものを一方でつくりながら、そしてその中で、パートで、そこで初めから正社員というわけにはいかない部分もあるわけでありますから、まずパートで最初働いていただいて、そこから、それを正社員にどう持っていくかということに対して手を差し伸べるといったことがやはり大事ではないかというふうに思います。最初からもう正社員になっていただく方は、それは申し上げることはないわけでございますけれども、初めから正社員というわけにはいかない、そうした受け入れ側の事情もありますので、その辺のことは十分に考えながらやっていかないといけないというふうに思っております。
水島委員 今は、母子家庭の人を雇わなければと思いながらも、そうじゃない人もこれだけ失業している時代でございまして、なぜこの時期にこんなものが出てくるんだろうかというのは、また改めて疑問に思っているところでございます。
 また、今の御答弁、まずはパートからというような趣旨の御答弁をいただいてしまったんですけれども、私はちょっと、その三十万円という金額の設定ですとか、そういった制度についてお伺いしたいと思ったんですけれども、ぜひ、これについてはもう少し説得力のある支援策を御提案いただきたいと思っております。
 時間も迫ってまいりましたので進んでまいりますけれども、しんぐるまざあず・ふぉーらむの緊急アンケート調査によりますと、十八歳未満の子供を育てている母子家庭の母親のうち、生活意欲をなくしたりすることがあると答えた人が八七%、死にたいと思うことがあると答えた人が二六%にも及んでおります。まず、大臣はこのような母子家庭の方たちの実態を御存じであるかということをお伺いしたいんです。
 親がうつになると、子供に十分な愛情や関心を抱くことができなくなり、子供の精神的発育に悪影響を及ぼすことが学術的にも知られております。実際に、しんぐるまざあず・ふぉーらむの同じアンケートで、生活意欲をなくしたりすることがあると答えた人のうち、子供に当たってしまうと答えた人が四四%もいるわけでございます。また、うつになると就労意欲もなくしてしまいます。私は、母子家庭の母親を追い詰めないことが子供のためにも重要なことだと思っております。
 大臣も御同意いただけると思いますが、ちょっと、その母子家庭の母親を追い詰めないということについて、大臣の決意表明をぜひ伺わせていただきたいと思っております。
坂口国務大臣 こうしてアンケート調査を、結果を見せていただきますと、確かにそうなっております。ただ、百八十三名という、少し回答の数が少ないことは気になりますけれども、しかし、おおむねこういうお気持ちでおみえになるのだろう、こういうときもあるのだろうというふうに思っているわけでございます。
 こちらの方が調査をいたしました母子家庭の母への就業支援に関する調査結果というのが、これは日本労働研究機構のものでございますが、ございます。これを見ましても、母子家庭の母が、苦しい、やや苦しいというのが、普通の世帯に比較をいたしましてかなり高いことは事実でございます。苦しいというふうにお答えになっている方が、母子家庭では三〇%、そして普通の御家庭におきましては約二〇%ということでございますから、一〇%の差がございます。
 こういう差がありますことは当然考え得ることでございますので、こうした状況にあります皆さんであらばこそ、総合的にこの人たちにやはり手を差し伸べていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
水島委員 今の、総合的に手を差し伸べるという、その決意表明と受け取らせていただきますけれども、先日、これは二月二十日の公明新聞が、コピーがここにございますが、ここで、公明党の議員の皆様、きょういらっしゃる方たちも、大臣に、母子家庭にきめ細かな配慮をということで申し入れをされたという記事が一面トップに載っております。
 大変結構な申し入れだと思いますが、そもそも厚生労働省のトップが公明党から出られているわけですから、こうやって一度出てから後で申し入れというような形をとるのではなくて、最初に出てくる政府案からして、ああ、さすが公明党の大臣がつくられたものだなと思わせられるようなものをぜひ出していただければと思いました。
 さて、最後に一つ、障害児保育について、残りの時間でお伺いさせていただきます。
 母子家庭の自立ということにも多少はかかわってまいりますけれども、障害児保育については、日本ではまだまだ多くの課題がございます。私は、障害を持つ子も持たない子も、日ごろから自然にともに育つことが本質的なノーマライゼーションの実現につながると思っております。
 障害児保育の現状は、地域の保育園に入所できるかどうかの決定権は自治体側にあるという構造になっておりますけれども、ノーマライゼーションの精神からも、また子供の権利という観点からも、本来、入所を選択する権利は子供と保護者の側にあるべきで、希望するすべての障害児が地域の保育園に入所できるようにしていくことが目標だと思いますけれども、この点について大臣が賛成されるかどうかをお伺いしたいと思います。
 また、現行では、障害児保育対策事業の対象となりますのは、集団保育が可能で日々通所できる者であり、特別児童扶養手当の支給対象児である者と規定されております。集団保育が可能という条件のとらえ方は自治体によってばらついており、消極的な自治体では、集団保育可能のレベルを大変高く設定してしまうわけです。また、特別児童扶養手当の支給対象児という条件は、保育者の加配を考える上では狭過ぎるのではないかとも思っております。
 より多くの障害児が障害を持たない子供とともに地域で保育を受けられるようにしていくためには、どちらの条件も見直していく必要があると思いますけれども、先ほどの質問とあわせまして、最後に大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
坂口国務大臣 ここは、御指摘をいただきましたように、やはり障害児の御家庭よりも、地方自治体の方が受け入れができるかどうかというところにどうしてもウエートがかかってしまう。それは御指摘をいただくとおりだというふうに私も思っております。
 ただ、障害者もいろいろでございまして、障害児もいろいろでございますから、障害児によりましては、それに対応いたしまして、人手もそれに対して整備をしなければならない。設備もでございますけれども、人の面でも配慮をしなければならない。そういうことになりましたときに、障害児を多く受け入れるということになりますとそれだけの人も用意をしなければならないというようなことから、やはり、その障害の内容によりましては、地方自治体の方もそこをいろいろ御相談申し上げて、いろいろ御無理なことをお願い申し上げることもあるのではないかというふうに、率直にそう思っております。
 その辺のところは、やはり地方自治体だけにゆだねるというのではなくて、県自身もあるいは国の方も、そうした場合にどうするかというようなことにもう少し協力をしてやっていくというふうな体制が必要かもしれませんし、障害者のお父さんやお母さんにつきましても、その程度によりましてはいろいろと御協力をいただかなければならないこともあるのではないかというふうに思う次第でございます。
水島委員 障害を持つ子も持たない子もともに保育を受ける権利があるのは当然だというような立場からの御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 ぜひまた自治体と協力していただきまして、すべての子供が、自分が希望をすれば地域の保育園で保育を受けられるような環境の整備に向けて御努力いただけますようにお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
森委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。委員の皆様方に感謝申し上げます。
 きょうは、食品の安全、今危機的状況にあるということで、食べ物の安全、安心について議論をさせていただきたいと思います。
 きょうは外務省から、そして農水省からも、幹部の方にお忙しい中をお越しいただきまして、どうもありがとうございます。
 まず、昨年末、いわゆる牛海綿状脳症の一頭目が発見をされました。それからもう早くも半年、もう六カ月が経過をしているにもかかわらず、消費者の不安、国民の不安は一向におさまっておりません。また、牛肉消費が落ち込んでおります。その背景には、やはり国内での感染の実態や感染原因が明らかにされていない、また、情報開示、行政の姿勢のあり方に問題があるというふうにまず申し上げさせていただきたいと思います。
 早急にBSEの感染実態、原因を明らかにいたしまして、消費者の不安を解消することが急務である。まずその中で考えなくてはいけないのは、今最も感染率が高いと考えられております廃用牛またへい死牛の検査が必要であると考えます。
 今市場に出回っておりますいわゆる食用に供する牛肉につきましては、全頭検査が行われているのは御案内のとおりでありますけれども、今原因を究明するということをおっしゃっておいででありますけれども、実は言っていることとやっていることが違うじゃないか。なぜならば、この原因究明にはやはり廃用牛とへい死牛の検査が欠かせないわけです。実際、ヨーロッパでも、いわゆる原因究明のために、きちんと廃用牛そしてへい死牛の検査を行っているわけであります。
 やはり、新たな感染の発見があった場合の消費の落ち込みが不安であるということがもし背景にあるとしたのであれば、それは明らかに情報隠しでありまして、また、これまでも指摘されてきた行政の隠ぺい体質そのものではないかと私は考えるわけであります。早期に感染実態、感染ルートの解明を行って国民の前に明らかにいたしまして、不安の根源を断ち切る必要があると思います。
 へい死牛については、確かに検査が難しいという事情があるのもよく理解をしておりますけれども、こういうときだからこそ、行政は責任を持ってその解明に努力をしなくちゃいけない。また、現在滞留しております廃用牛は、既にもう五万頭を超えているとも言われております。いわゆる生産者への支援もきちんと行いながら、廃用牛の出荷を正常な形に戻して、検査を行う必要があると考えるわけであります。
 ここで農水省さんに伺いたいと思いますけれども、先ほど申しましたへい死牛についてであります。
 いわゆる病気や骨折などで屠畜場以外の場所で死亡した牛につきましては、検査をどのように進めようとしているのか。原因究明が叫ばれております昨今、最も感染率が高いと考えられるへい死牛の全頭検査が必要であるというふうに私は考えております。去年の十月以来、二十四カ月齢以上の死亡牛四千五百頭について調査する計画を進めているということでありますけれども、現在の状況はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
宮腰大臣政務官 お答え申し上げます。
 農林水産省といたしましては、BSEの発生を踏まえまして、速やかにサーベイランス体制を強化することといたしまして、十月十八日にBSE検査対応マニュアルを策定いたしまして、BSEを疑う症状や中枢神経症状を示す生きた牛や、中枢神経症状を示して死亡した牛約五千頭に加えまして、二十四カ月齢以上の死亡牛のうち症状を示していない牛につきましても年間四千五百頭の検査の、合計約一万頭を対象として、BSE検査を行うこととしたところであります。
 BSEの原因を究明するとともに、我が国における発生を早期に根絶するためにも、死亡牛の検査等による農場段階における感染牛の摘発が有効であると考えておりまして、今後とも二十四カ月齢以上の死亡牛についての検査体制の一層の強化について取り組むこととしております。
 しかしながら、現行の死亡牛のサーベイランス体制を一万頭規模の検査からさらに強化するためには、死亡牛の輸送方法、死亡牛からの検体の採取、検査体制、死亡牛の検査終了までの取り扱いなど一連の検査システムのあり方、死亡牛の最終処分方法等の検討を進める必要があります。また、これらの検査システム等の体制を整備するためには、各都道府県の実情に応じた予算、人員等の確保が必要となっております。
 特に、人員の確保につきましては、これは国家試験を合格した獣医師さんを配置しなければならない。その獣医師さんにつきましても、一定の経験なり訓練を積んだ獣医師さんでなければいけないということで、この人員の確保が、早急に多くを確保するということが極めて困難でありまして、このため、現在、各都道府県と検討、調整を行っているところであります。
 全頭検査につきまして、このような理由でありますが、できるだけ多くできるだけ早くという気持ちでこれからもやっていきたいと思っております。
 なお、この四千五百頭の検査につきましては、今年度中には四十二都道府県で整備される予定でありますけれども、引き続いて一日も早く検査頭数をふやしていけるように頑張っていきたいというふうに考えております。
樋高委員 今、日本人の食生活が変わるぐらいの危機的状況にあるんです。そんな中で、今の、設備がどうだとか人がどうだとか、もちろん、やる、やると一生懸命言っているのはわかるんですけれども、まだまだ実態がとても追いついていない。今これだけ信頼がなくなってきているわけですから、やはりここで、もう本当に思い切って国民に見える形で、あそこまで国がやっているんだったら大丈夫だというふうに自信を持ってできるように、しっかりと努力をしていただきたいと思います。
 これは、きょうの新聞の投書の欄にありました。北海道で酪農業を営まれている方であります。「狂牛病発覚恐れ「廃棄」される牛」ということであります。
 出荷すればBSEの検査を受けなければならない。このため農家側では、BSEの検査を受けなくて済むように、元気な牛でも、病気の牛や死んだ牛などを処分する処理施設へ出すケースが少なくない。処理施設のない地域では、牛を安楽死させて土に埋めているという話も一部では出てきていると。こんな事実なんですよ。
 最も今求められているのは、やはり、BSEが国内でも発生した原因の究明。それにはまず感染状況を正確に把握することが不可欠であるというふうにこの酪農家の方はおっしゃっています。そして、自分自身で酪農を営みながら、わかっているんですよね、感染のリスクが高い牛ほど廃棄処分に回る傾向があるということでありますから、やはりへい死牛そして廃用牛、しっかりと検査を行っていただきたいと。
 BSEが発生する可能性がある死亡牛の全頭検査に向けまして、家畜伝染予防法の改正も踏まえた上で、きちっと原因究明に向けて全力で取り組んでいただきたい。それと同時に、深刻な畜産農家の現状を踏まえて、国が中心となってしっかりと責任を持っていただきたいというふうに考えております。
 次に、この食品の安全に関連いたしまして、縦割り行政について議論をさせていただきたいと思います。
 ヨーロッパの諸国では、BSEの対応に批判を受けた、それは今から十年、十数年前でありますけれども、これを背景にいたしまして、食品安全に関する法制度、行政組織の整備が抜本的に進められてきておりますのは御案内のとおりであります。特に、消費者の健康あるいは食品の安全を優先したシステムへの転換が図られているということであります。
 一方、日本では、BSEの対応でも、もう半年、六カ月もたったにもかかわらず、いわゆる農水省と厚労省の縦割り行政によって対策が後手後手に回っている。その印象は今国民がみんな、国民の意識として浸透しているわけでありまして、その失った信頼を取り戻すのは容易じゃないんです。本当に腹をくくって、しっかりと国が責任を持って取り組んでいかなくてはいけない。
 食品は農場から食卓まで一元的に管理される必要があると私は思っておりますけれども、縦割り行政の弊害をなくすために、最終消費者の食品の安全確保という観点から運用や行政組織の見直しが必要だと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、農林水産省と厚生労働省、それぞれの分野を担当しているわけでございまして、このBSEにつきましては一致協力をして、そしてそこにすき間のないようにしていかなければならないことは当然でございます。
 今いろいろと御議論をしていただいておりまして、間もなく結論が出るということでございますが、新しい組織をどうつくるかといったようなことも御議論をしていただいているように聞いております。ぜひ、そこで出されましたことを私たちも謙虚に受けとめて、そして新しい体制づくりをしたいというふうに思っております。
 ただ、我々厚生労働省の側から言わせていただきますと、やはりそれをやりますときに、例えば、省と省との違いというだけではなくて、あるいは局と局との違いといったようなこともこれは考えていかなければならないわけで、ややもいたしますと、局が違いますと、大変ですねというような感じに隣の局はなってしまう。それであってはならないというふうに思っておりますし、その辺のところを意思疎通が十分にできるように、いわゆる仕事の内容そのものが、組織も大事でございますけれども、仕事の内容そのものがお互いに融合してやっていけるようにしていかないといけないというふうに思っております。
 そうしたことで、例えば厚生労働省の一部の部局をただ単に移すというだけでは私は済まない、同じことを繰り返す可能性がありますから、そこは注意をしてやらないといけないというふうに思っている次第でございます。
樋高委員 農水省さん、いかがお考えでしょうか。
宮腰大臣政務官 今、厚生労働大臣がおっしゃったように、両省で調査検討委員会をつくって、畜産・食品衛生行政の一元的な改革を目指して、組織の問題も含めて、抜本的な食の安全と安心を確保するシステムづくりについて検討している最中でありますが、坂口大臣の方からもおっしゃったとおり、組織も大事であるけれども、仕事の中身が問題である。省の中でも隣の局と局の問題もあるというふうに、おっしゃったとおりであります。
 例えば、具体的な仕事の内容、中身といたしまして、ことしの三月末まで、牛に耳標をつける、十けたの個体識別番号をつけて耳標をつけるということを進めておりますが、今先生おっしゃったように、農場から食卓まで一元的に個体識別番号を管理いたしまして、生産者それから屠畜場、流通それから店先、あるいは食卓まで、一つの番号ですべてトレースができるというような仕組みをつくっていくことによって消費者の信頼を回復するという、一つ一つのそういう仕事の積み重ねが重要ではないかというふうに思っておりまして、努力をしていきたいと思っております。
樋高委員 ヨーロッパの例も私自身、個人的に研究をいたしてみました。一口に食品安全庁とか行政機構の一元化と言っても、そのあり方は各国によってまちまちでありましたけれども、共通しておりますのは、やはり消費者の健康と安全性を確保するということを主目的としているということでありました。また、欧米では、今日的な食品の安全確保のための社会システムとして、いわゆる一つの考え方なんですけれども、リスク・アナリシス・システムの採用が進んでいるということであります。
 日本においては、いわゆる形だけつくるということではだめなわけであります。先ほどの話にもありましたけれども、やはり中身の伴った、食べ物が安心して食べられる仕組みづくり、そのためにはどういうシステムを構築していったらいいのかということをきちっと議論をしていただきたいと思います。
 一方で、行政組織の改革については、実効性のない形だけの食品安全庁をつくるのであれば、産業振興と安全管理の行政機関を分離する考え方もあるというふうにおっしゃる方がいるぐらいでありまして、いつまで検討を続けるんだということであります。これについてどのように考えるか。
 また、新しい行政機構論議は、消費者も参加をいたしまして、国民的な議論を十分に行っていく、早急に、スピーディーに検討を行っていく必要があるというふうに考えますけれども、坂口大臣、いかがお考えでしょうか。
宮路副大臣 行政面のことにつきましては、先ほど坂口大臣から、そして宮腰農林水産大臣政務官からお話があったとおりでございますので、リスクアナリシスのことについて、ちょっと私ども厚生労働省としての考え方をお話しさせていただきたいと思います。
 リスクアナリシスは、そもそも、食品の摂取における健康面でのリスクを最小限にするということを目的として、第一段階はまずリスク評価、そして次の段階がそのリスク評価を踏まえたリスク管理、そしてそのリスク分析全体、リスクアナリシス全体の過程を通じて幅広い関係者との間で情報や意見を相互に交換するリスクコミュニケーション、この三つのプロセスから成っていると理解いたしております。
 そして、現在、厚生労働省として食品衛生法に基づいて食品衛生上の食品に対するチェックをやっておるわけでありますが、基本的にはやはりリスク分析をそれぞれ踏まえた対応をしているものというふうに理解をいたしております。
 まず、リスク評価につきましては、薬事・食品衛生審議会の部会や調査会におきまして、農薬だとかあるいは動物用医薬品だとか添加物だとか、そういったものが持っております健康に対するリスクについての科学的な評価を行っておるところでありますし、そしてまた、リスク管理という面では、その評価を受けて食品衛生法上の基準を策定いたしまして、その基準にのっとって地方自治体の保健所等において食品衛生の監視を行っておるということであります。
 そして、三段階目のリスクコミュニケーションでありますが、この点につきましても、先ほど申し上げた基準の策定段階におきまして、審議会での議論を原則公開といたしておりますが、それとあわせて、平成十一年から閣議決定に基づいてスタートいたしておりますパブリックコメント等の手続につきましても、広く国民にこれを通じて意見を求めるといったようなことをやっておるわけであります。
 先生御指摘のように、国民の食の安全に関する関心はとみに高まっておるわけでありますので、引き続きリスク分析の考え方に沿った施策をこれからも推進して、国民の食の安全や安心の確保に最善を尽くしていきたい、このように考えているところであります。
樋高委員 リスクアナリシスという話が出ましたので、そちらの方にちょっと飛びますけれども、いわゆる消費者が参画をして透明な政策決定プロセスに転換するためには、やはりリスクアナリシスを日本の食品安全行政に組み込む必要があるというふうに考えます。
 いわゆる食品の国際規格をつくりますコーデックス委員会では、九九年に、今日的な食品安全問題に対応するために必要な制度として、食品の安全問題に関する国内法規を設けるに当たってはリスクアナリストの原則を組み入れることを加盟国に勧告している。先ほど副大臣から話がありましたとおり、三要素から成り立っているということであります。これにつきましては欧米では既に当たり前の手続になっておりまして、二〇〇二年に策定されますEU統一食品法では、食品政策の土台にリスクアナリシスを置くと明文化されているわけであります。
 これについて坂口大臣に改めて伺いますが、EUの一般食品法や食品安全庁の考え方でも、リスクアナリシスの趣旨が法的に位置づけられているというふうに聞きます。日本では、特にリスクコミュニケーションの仕組みが組み込まれていない。そのために、行政の情報公開への信頼性がない、政策決定の過程も不透明であるということであります。狂牛病への対応で失った信頼を取り戻すためにも、日本の食品安全に関する法制度の考え方を抜本的に改める時期に来ているのではないか。つまり、意識改革を行う必要があるのではないかと思います。
 日本においても、食品衛生法などにおいて、このリスクアナリシス、こうしたシステムを法に明示するなど食品衛生法の抜本的改正が必要であると考えますけれども、坂口大臣、いかがお考えになりますか。
宮路副大臣 先ほど、リスクコミュニケーションのことについてもお話を申し上げさせていただいたところでありますが、我が国でもパブリックコメントを求めて、こういった基準、食品衛生法上の基準を作成する上においても、その他、行政手続で広くパブリックコメントを求めて、そして国民の皆さんから意見を聴取して、そしてそれを反映させて、こうした法令の改正にしましても手続の制定にしましても努めているということでありますので、我が国としても日々これは前進をしているというふうに思っておるところであります。
 御指摘のように、最近、特に食の安全性に対する関心の高まりというのは、これまでに、かつてなかったような高まりを見せているというふうに承知をいたしておりますので、食品衛生法の改正について、前の国会でも請願の採択もされているところでございますが、ああいったところにも、そういうような消費者の皆さんの意見をもっともっと聴取した形で、消費者の立場に立った食品衛生行政というものをやってくれ、そういう趣旨だというふうに思っておりますので、御指摘の点をよく踏まえながら今後さらに努力を尽くしていきたい、かように思っておる次第であります。
樋高委員 日々前進しているとおっしゃいましたけれども、後退しているんじゃないでしょうか。今これだけ激変する世界情勢、そして食の安全をめぐって状況が変わっている中にあって、国の変化するスピードの方が遅いんですよ。真剣さがちょっと足りないと思います。
 新しい行政機構だけではなくて、食品衛生法など現在の個別法律、個別別個のそれぞれの法律も、消費者、国民の健康、また食品の安全性確保が優先されるべきでありまして、そのための抜本的な法改正を早急に行う必要があるというふうに考えます。
 農水省さんと厚労省さんにお伺いいたしますけれども、農業基本法にかわるいわゆる食料・農業・農村基本法でも、そうした理念は極めて希薄であると指摘せざるを得ないわけであります。また、食品衛生法などでも同様に、個別法でのそうした目的を達成するための行政の責務規定があいまいであるというふうに言わざるを得ない。行政の責任を法に明示することが必要ではないかと考えます。それぞれ、いかがお考えになりますでしょうか。
宮腰大臣政務官 食料・農業・農村基本法は、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興の四つの基本理念に基づき構成されております。
 このうち、食料の安定供給の確保に関する施策の一つとして、法第十六条第一項におきまして、「国は、食料の安全性の確保及び品質の改善を図るとともに、消費者の合理的な選択に資するため、食品の衛生管理及び品質管理の高度化、食品の表示の適正化その他必要な施策を講ずるものとする。」と規定をいたしておりまして、単に農林水産省のみならず、政府一体となった食品の安全性の確保に関する国の責務が既に明示をされております。
 BSEの発生を踏まえまして、基本法にうたわれております食品の安全性の確保の重要性を改めて肝に銘じ、決意を持って取り組んでまいりたいというふうに考えております。
坂口国務大臣 委員からは、前国会のときにも、この食品衛生法の問題について御発言をいただいたことを記憶いたしております。
 そのときにも申し上げたと思うんですが、その第一条には、今さら申し上げるまでもなく、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。」こういうふうに書かれているわけでありまして、かなり明確に国がやらなければならないことを私はここには書かれているというふうに思っているわけでございます。
 前回も、食品の安全性という端的なその言葉が入っていないではないかという御指摘があったというふうに記憶をいたしております。この「衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与する」というのは、まさしく食品の安全性ということを私はうたっているというふうに理解をいたしておりますが、ここはしかし、その言い方ではいけないとか、いろいろな御意見もあるわけでございまして、我々もこれから十分に検討をしたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、食の安全性ということについて、どう前進をすることができるかということが一番大事なことでございますので、その食の安全性につきまして、大きく前進できるように私たちも十分配慮をしていかなければならないというふうに思っております。
樋高委員 前回、大臣にこの食品衛生法改正についても議論をさせていただきまして、それを覚えておいていただきましてありがとうございました。
 やはりきちっと言葉として法律文の中に明示をするということは、私、すごく細かい話なのかもしれませんけれども、重要なことである。いろいろな解釈によって、どうにでも一つの文章の中からいろいろな解釈が生まれてくるということは、私は、ちょっとおかしいんじゃないか。特に今、これだけある意味で大きな社会問題となっております食の安全に関して、むしろ今こそ、大臣、リーダーシップをとって、むしろ信頼を回復するチャンスであるというふうに私は思うわけでありますから、もちろんこういうことがもう二度とあってはならないわけなんですけれども、むしろこの機会に、思い切って、本当に国民、市民が安心して、毎日口にするものでありますから、ぜひとも、安全、安心、その二文字をひとつ食品行政の中に入れていただきたいと強く要望させていただきます。
 民間でも大変な努力をしています。例えばですが、これは国内のスーパーさんなんですけれども、国内産牛肉の生産者や与えた飼料など詳細な履歴情報を、いわゆる牛肉の売場に設置したパソコン端末で、買い物をするお客さんに情報開示する、お肉の安心確認システムというのを構築して、試験導入をなさったということであります。
 つまり、陳列棚に飾ってあるお肉、そのお肉に何か番号が書いてあるんだそうですけれども、その番号をすぐ横にある端末でたたけば、これはどこの産地の牛肉であるかという履歴情報が明らかになるということが示されているわけで、民間でも今これだけ努力しているわけであります。
 このことにつきましては、宮腰政務官も視察に行かれたと言っておりますけれども、ぜひそれを、今これだけ民間でも大変な努力をしているわけでありますから、国としても率先して信頼回復のために努めていただきたいと思います。
 次に、いわゆる中国産野菜から多くの残留農薬が検出されたという問題につきまして、議論させていただきたいと思います。外務副大臣、大変にお待たせいたしました。
 最近、スーパーそして小売店で、たくさんの中国からの輸入野菜が売られておりますのが目につきます。そんな中で、去年の十一月一日付の中国の人民日報、そして十二月十日付中国青年報に、中国国内で流通している野菜の五割近くに国内基準を上回る残留農薬が検出されたという記事が衝撃的に掲載をされたわけであります。
 この報道につきまして、外務省として、事実確認、そしてその考え、今後の対応につきましてどのように考えておりますでしょうか。
植竹副大臣 今委員御質問の中国の報道によりますと、中国国内市場を流通しております野菜の中から農薬の不適切な使用によって基準値を上回る残留農薬が出た、そういう報道でございますが、これは外務省としても承知しております。
 そこで、外務省としましては、現地の大使館を通じまして、中国側にその内容につきまして照会しました結果、中国国内の露店などの自由市場で流通しているそういう野菜については、問題を認めた上で、国内で残留農薬の監督及び検査を強化していること、その一方で、国外で販売される輸出用農産物につきましては厳格な生産管理や検査措置を講じている、そういう回答を得ております。
 いずれにいたしましても、外務省としましては、日中間の話し合いなどを通じまして、輸入食品の安全性確保に万全を確保するために、関係省庁と緊密に情報交換を行いながら、政府部内の連携強化を進めてまいりたいと考えております。
樋高委員 外務省として事実を確認したということであります。それが露店で売られていたということでのお話でありましたけれども、実際そこにもう食品としてあるということは、いつ日本に持ち込まれても、ある意味ではおかしくない。
 もちろん、今副大臣がおっしゃったとおり、現地の農場をきちっと指導したり、商社さんを通じて、また行政を通じて確かにいろいろな監督もしているのかもしれませんけれども、野菜というのは物すごく膨大な量になります。それを、実際問題、水際で全部チェックは不可能なわけでありますから、どこで混入しているかわからない。そこに、ここ日本においても食べ物に対する不信感、疑わしい気持ちが生まれてきてしまうわけでありますから、そこのところをきちっと、厚労省さんとも連携をとって対策を打っていただきたいと思うのであります。
 中国青年報、その報道の一週間後、十二月十七日には、いわゆる毒菜、毒菜というのは残留農薬に汚染された野菜のことだそうですけれども、香港などで使われている総称ということでありますが、毒菜による中毒患者が中国国内で年間十万人、年間で十万人にも上るというすさまじい記事が掲載されております。これにつきましての事実確認、そしてその対応はいかがお考えでしょうか。
植竹副大臣 今の十万人の中毒の件でございますが、とにかく、中国におきましては毎年二十数万トン、千以上の種類の農薬が使用されている。そういう中からでございますので、十万人以上の数字に達しているということは無理もないかと思っております。
 そこで、昨年十二月十七日付の中国青年報におきまして、今申し上げましたような残留農薬あるいは化学添加物による中毒がそのように十万人に達しているということが言われている、それは私どもも承知しております。
 さらに、先ほど中国側に照会いたしました結果、野菜の残留農薬による中毒発生の事実を認める一方ではありますが、十万人というその数字の中には農薬を散布する作業における事故なども含まれているのじゃないかということの回答もございました。
 いずれにいたしましても、こういうような日中間の話し合いなどを通じまして、輸入食品の安全性ということは万全を期することが大切でありまして、その点は、先ほど申し上げましたように各省庁と連携をとりながら、あるいは水際においてでも検疫強化とか、そういうものをより強化してまいりたいと考えております。
樋高委員 十万人、もちろんマスコミの話ですから、それが本当に根拠あるものかどうかわかりませんけれども、外務省としても、ほぼそれに近いことを把握なさっているということであります。
 この話を受けまして、厚労省さんに伺いますけれども、中国国内で流通している野菜の五割近くに残留農薬が検出されたということが事実でありました。日本に輸入されてくる中国からの野菜に残留農薬が含まれている可能性がかなり高いのじゃないかと思います。それについていかがお考えか。
 そして、輸入する野菜の膨大な量を考えたときに、検査体制が十分であるとは思えないわけであります。具体的に、先月一月にも、いわゆる強化月間ということで、中国からの輸入野菜については特別に検査の体制をしいたそうでありますけれども、それが大っぴらにわかっているわけでありますから、その間に毒菜が入ってこないのは当たり前でありまして、どれぐらいの体制で検査を行って、どれぐらいの基準を超えた違反があったのか。また、検査体制はそれで万全なんでしょうか。お伺いいたします。
坂口国務大臣 本年の一月を中国産の野菜検査強化月間といたしまして、この間、輸入届け出のありましたものすべてにつきまして検査を実施いたしました。その結果、二千五百十五件中、大葉、パクチョイ、ニラ、サイシン、ケール、ブロッコリー、この九件におきまして食品衛生法の違反が認められました。
 厚生労働省では、この全数検査を二月の十八日まで延長して実施いたしましたが、その後、違反が認められた野菜につきましては、全届け出に対しまして、なお検査を続行いたしております。
 その他の野菜につきましても、モニタリング検査の実施率を通常よりも高く設定いたしまして、通常五%ぐらいでございますが、それを最高五〇%まで高めまして検査を継続しているところでございます。
 検査体制のお話をいただいたわけでございますが、これで足りているとはなかなか言いがたい数字でございますけれども、全国三十一カ所の検疫所に二百六十四名の食品衛生監視員を配置いたしております。平成十二年度の野菜の輸入届け出件数は十一万件でありますから、そのうち九千件の検査をいたしております。百四十九件の食品衛生法の違反品につきましては、廃棄等の措置を講じたところでございます。
 横浜及び神戸の検疫所に輸入食品・検疫検査センターを設置いたしまして、残留農薬等の高度な分析検査業務を集中的に行っております。届け出審査の電算化によりまして業務の効率化も図っているところでございますが、過去この十年間の間で九十九名の増員をいたしておりまして、来年におきましても四名の増員をいたしておりますが、限られた人数の中で最大限の効果を上げなければならないというのが実情でございます。
樋高委員 これは食品分析センターが検査した結果なのでありますけれども、例えばゴボウ、これは発がん性農薬が基準値の三・四五倍検出された。堂々と輸入されている。港でのチェックがいかに緩やかで素通りであるかということであります。この発がん性農薬、塩素系殺虫剤なんだそうでありますけれども、日本では使用が禁止されているものが堂々と検出をされているわけであります。
 また、中国にある空港では、農薬をたくさん使って増産をしようということが、一部で内々スローガンとして掲げられている、そういう報道まであります。これは農薬を多用しているあらわれであります。これは国民の健康にとって大変重大な事態であると考えます。
 私が厚労省さんからいただいた数字でありますけれども、例えば中国産野菜の輸入及び検査実績、去年の一月から十一月までの数字でありますけれども、約三万二千件の件数に対して、そのうち検査したのが約四千件、つまり一二・二%であります。今、日本国内で、中国から入ってくる野菜、中国に限らずでありますけれども、一〇〇%全部検査されている、だから安心だと思っている方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと私は思います。中国から入ってくる野菜の一二%しか実は検査されていない、そしてその中で、検査された中での違反件数が約百件、つまり四十件に一件は違反でひっかかっているというのが現状であります。こういった体制をやはりしっかりと変えていかなくてはいけないと私は思うわけであります。
 いずれにいたしましても、食品の安全の問題をめぐりましては、日本人の食生活をめぐって今危機的状況にある、この緊張感が足りないというふうに私は思うわけであります。やはり国が責任を持って食の安全を保証する。今、あれだけ大きな事件が起きてもう半年もたっている。ことしの夏ごろには、BSEの問題が発生してから一年を迎えるのもすぐだと思います。それまでに、いわゆる食品の安全、安心、きちっと国が責任を持って担保していただきたいと思います。
 その中で、自由党では、先日、小沢一郎党首を団長にいたしまして、東京中央卸売市場食肉市場を視察してまいりました。そこで聞こえてきましたのは、関係者の余りにも悲痛な叫び声でありました。
 やはり食料は人間が生活していく上で必要不可欠なものでありまして、国は国民に対し、将来にわたって安全な食料を安定的に供給する責務があると思います。そのためにも、日本の食料自給率アップも大切な問題でもありますし、当然生産者の皆様にも安心して農業、酪農を営んでいただけるような環境を整備することも大切であります。
 生産者、そして消費者、双方にとって安心で安全な食料供給体制をつくるべく、今後とも真の構造改革、日本一新を目指して努力いたしますことをお誓い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
森委員長 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 日本共産党の小沢和秋でございます。
 まず、ヤコブ病訴訟の和解についてお尋ねをいたします。
 去る二月二十二日、大津、東京両裁判所は、薬害ヤコブ病訴訟についての和解案を示しました。この案は、原告全員について企業だけでなく国にも一定の負担を求めました。八七年六月以前は国に一切責任はないとのこれまでの国の主張は、明確に否定されました。
 つい先ほど、私は、ヤコブ病訴訟原告、弁護団の皆さんと懇談をいたしました。その席でこもごも言われたことは、第一に、大臣の全被害者を救済したいとの発言が本当であるなら直ちに和解案を受け入れてほしい、第二に、国として全被害者に謝罪してほしい、第三に、再発防止のため薬事法改正などを行ってほしいの三点でありました。
 私も全く同感でありますが、以上の原告たちの訴えに対し、現時点で大臣がどうこたえられるか伺いたい。
坂口国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたが、今回、東京地裁並びに大津地裁におきまして、裁判所から和解の内容が示されたところでございます。それに対しまして、最大限、裁判所から示されました条件を尊重させていただく、そういう気持ちで今鋭意努力をしているところでございます。そんなに時間をかけないで結論を出したいというふうに思っている次第でございます。
 それから、もう一点につきましては、今国会にもこの法案の提出をいたしまして、そしてこういう問題が二度と起こらないようにひとつ取り組んでいきたいと考えているところでございます。
小沢(和)委員 次に、NTTのリストラ問題についてお伺いをいたします。
 NTTのリストラは、全国の多くの職場で行われている中でも最大級のものであり、そのやり方も極めて巧妙、悪質という点で、我が党として重大な関心を持って、繰り返して質問をしてまいりました。
 中でも、固定電話部門を担当するNTT東日本、西日本では、昨年末から、五十一歳以上の社員五万五千人全員を無理やり一たん退職させ、賃金を三割引き下げて外注子会社に再雇用するというむちゃくちゃなリストラを強行しております。
 五十過ぎといえば、住宅ローンや子供の教育費などで一番生活が大変な時期であります。だれもが三割の賃下げなど絶対のめないはずだと思います。ところが、驚くべきことに、対象者の九十数%は、既にこの退職を承諾する旨の雇用形態選択通知書を提出したと聞いております。自由な選択が保障されている状況のもとでは到底考えられない結果だと思います。
 我が党は、この退職が強迫としか言いようのない強制によって推し進められていることを何回も暴露し、そういうやり方を違法とする最高裁判決も示して、その是正を要求してまいりました。これに対し、総理を初め各大臣は、最高裁判決を踏まえて適切に処理されるものと承知しているなどと繰り返しただけでありました。
 結局、政府はNTTに対し何の指導もしなかったのではないのか。我が党の要求に対しどう対応されたのか、まず大臣にお尋ねをいたします。
坂口国務大臣 このNTTのお話は何度か聞かせていただきました。
 このNTTのお話を伺いますたびに、なぜそうなのか、なぜ小沢先生初めこの国会の場で御指摘になるにもかかわらず、組合の中でどうしてそれが問題にならないのか、そこを大変私は不思議に思うわけであります。
 NTTに確認をいたしましたところ、労働者本人の意思を尊重しているというふうに言いますし、あるいは組合の同意を得ているということも言っているわけでございます。組合の方からは、何らそのお話がない。そしてまた、労働委員会でありますとか、あるいは個別紛争委員会でありますとか、こうしたところにそれが提訴されているというお話も伺っていない。国会にだけこれが出てくるわけでございますので、その辺のところを私たち、そういうことがあるのならば、組合がなぜ違反だと、私たちが言ったことは違反だというふうにおっしゃらないのかということが、我々としては非常に不可解に思うわけでございます。
 その辺のところを聞かせていただければ大変ありがたいと思います。
小沢(和)委員 その辺のことは後で一言触れたいと思いますが、次の質問は、私が調べてみて、なるほど、政府が動かないはずだと思ったんです。NTTにそういうむちゃなリストラをやるようにハッパをかけているのが、ほかならぬ政府自身だとわかったからであります。
 総務省の鍋倉総合通信基盤局長からNTTの宮津社長にあてた平成十三年十月二十六日付の指示文書に、「業務のアウトソーシング会社への移行などの「構造改革措置」については、具体的にどれだけ経費削減及び収支改善の効果が現れるかが重要であり、経営の効率化・合理化という所期の目的が真に達成されることとなるように努められたい。また、かかる貴社の経営の効率化が事業計画に及ぼす影響についても、別途速やかに説明ありたい」と書かれております。
 総務省にお尋ねしますが、国がNTTにリストラを進めるように指示をしたことは明らかではないでしょうか。
鍋倉政府参考人 お答えいたします。
 昨年の十月二十五日にNTTが公表いたしました自主的な実施計画において示された経営効率化施策につきましては、その六カ月前、昨年の四月でございますけれども、四月の十六日に、NTTが自主的に取り組むこととしてみずから公表いたしましたNTTグループ三カ年経営計画に沿った内容でございまして、今回のNTTの経営効率化の施策は、NTTがみずからの意思として行ったものでございます。先生御指摘の、この自主的な実施計画に対して、NTTにその進捗状況の報告を、これは一年後でございますけれども、求めたのは、NTTが自主的な経営判断で決定した内容を尊重しまして、その着実かつ速やかな実施に努めることを期待したものでございます。
 なお、言わずもがなでございますが、労働条件等については、基本的に労使間の問題でございまして、NTTの経営の自主性を尊重しまして、政府として介入すべきものではないというふうに認識をいたしております。
小沢(和)委員 今、自主的なものというお話がありましたけれども、それは自主的な形をとっているでしょうけれども、それをしっかりやりなさい、後で報告しなさい、こういうふうに言っているということは、これは自主的でも何でもないということを申し上げておきたいと思うんです。
 それで、実際上、そういうような政府からの指示を受けた直後から、NTTはアウトソーシング会社への労働者の猛烈な追い出しを始めているわけであります。
 しかも、やり方が巧妙、悪質です。初めはこの転籍をのませるため、ごく漠然とした形で労働条件を示しただけでした。社長通達の形で、勤務地が同一県内であること、月例給与が一五ないし三〇%低下するが、その一部に激変緩和措置をとること、最長六十五歳まで雇用される可能性があることという程度の漠然とした条件だけが示されました。
 この程度で労働条件を明示したと言えるのか。これ自体が、労働条件の明示を求める労働基準法第十五条に違反しているのではないか。お尋ねをします。
日比政府参考人 ただいまお尋ねの点でございますが、先ほど大臣から趣旨として申し上げましたように、こういう事柄につきまして、労使間で十分協議の上、そのやり方等も適切なやり方を御選択されておるというように聞いておるところでございます。
小沢(和)委員 いや、だから、私は、これは法律的に見てどうかという見解をお尋ねしているわけですよ。労使間で話し合いをしたかどうかといって尋ねているんじゃないんです。
日比政府参考人 労働条件明示の問題でございますが、いわゆる転籍というのは、ある企業から、その企業との関係では雇用関係を終了し、他の企業へ行く。そして、同意が要るといいますのは、雇用契約を結ぶのは一身専属的な権利でございますので、他社に就職するという事柄については本人以外契約の当事者たり得ない、そういう意味で同意がなければ契約が結べない。
 ところで、労働条件の明示の問題でございますが、いわゆる転籍につきまして、転籍という事柄を実施しようとする企業におきまして、いわゆるあっせん行為といいますか、そういうことを行うのだろうと思います。労働基準法で労働条件の明示を求めておりますのは、雇い入れをしようとする企業が現に雇用契約を結ぶに当たり、労働条件の明示を求めるというのがその趣旨でございます。
小沢(和)委員 このことについては、先ほどから、組合の中で問題にならなかったのかというお話です。私も詳しいことは聞いておりませんけれども、これは組合の中で大問題になって、たしかNTT労組もスト権を確立したりして対処をしたというふうな経過も聞いたことがあります。
 それで、私が特に問題にしたいのは、大部分の労働者から雇用形態選択通知書という事実上の退職願を半強制的に出させた。そして、こういう言い方で今ごろになってアウトソーシング会社の内容を明らかにし始めたわけであります。これがもう想像を絶するとんでもないものです。
 これは、私が地元福岡で入手した資料でありますが、例えば営業系OS北部九州地域会社は、平成十四年六十八億円、平成十五年七十二億円、平成十六年六十八億円の赤字を出すことになっております。それを、新しい事業分野を拡大し、さらに人減らしを進めることによって黒字に転換する計画になっている。これまでの仕事の延長と言える新しい分野もあるんですが、お弁当屋さん、各種イベント受託、一番びっくりするのは、トム・クリーニング、何と墓地、お墓の清掃管理のことだというんです。こういうところに行かせるという。御丁寧なことに、社内では、さらに新しい事業のアイデア募集もやっている。その上、発足時の四千六十三名を三千二百八十五名に減らしていく。新しい会社に移っても、今後三年で七百八十七名が首を切られたり次の孫会社などに追い出されることになっているんです。
 多くの労働者は、この不況の中では五十歳を過ぎれば再就職は難しくなり、賃金が大幅に下がっても、これまでの仕事をそのまま続けられるのならと、泣く泣くこの選択をしたのだと思います。そうしたら、何と思いも寄らなかった弁当屋をやれ、墓掃除に行け、こういう話。その上、二、三年のうちにまた別の会社に追い出されるかもしれない、こういうようなことになってきました。
 こんな重大な将来計画を退職願を取り上げるまでは伏せておいて今になって出すというのは、全くのだまし討ちではありませんか。私は、いろいろなひどいリストラ、転籍など見てきましたけれども、どこでも少なくとも転籍先や労働条件は初めから明示されておりました。後になって思いも寄らぬ転籍先などを明らかにされる、こんなやり方は今まで見たことがありません。
 もともと、今回のリストラでは、NTT東日本、西日本にそのまま残るという選択肢もありました。そんなことだったらNTTにそのまま残るという人も多数いるはずだと思うのです。こういう善意の労働者をだましたやり方は、単に労働条件明示の義務に違反するだけでなく、この退職の意思表示を無効にしなければならないほどの重大な問題だと思いますけれども、大臣、いかがですか。
坂口国務大臣 いろいろNTTの現場のお話を今お聞きしているわけですが、先ほども申しましたように、それほどいろいろのことが起こっているとするならば、組合がその中に入って、組合との間でいろいろの協定を結ばれて、これが実施に移っているにもかかわらず、その組合の方がなぜそこを御指摘にならないのかということを非常に私は不思議に思うわけでございます。
 また、さまざまな紛争の処理機関もあるわけでございますから、そうしたところで、ひとつ、何かがありましたら申し出をいただくというのも一つの方法ではないかというふうに思っております。
 ケースとして、今御指摘になりましたようなケースが事実あったとすれば、それは普通なかなか考えられないようなケースがあるようにも思うわけでございますけれども、そうしたことを組合の方もよく検討されて、そして我々の方に御提示をいただくことができればというふうに思っております。
小沢(和)委員 組合の問題にならないのが不思議だというふうなお話が先ほどから繰り返されているんですが、私さっきも言いましたように、組合の中でも大問題になっていろいろ取り組まれた経過があるというふうに私自身聞いております。ただ、それは、もっと私たち、頑張ってもらって、今私が問題にしているようなことも労使間でもやっていただきたいと思っているけれども、しかしこれは、労使間は労使間としてそういうことをやってほしいけれども、これが法律的に見てどうなのか、政府もほっとけないケースじゃないのかという点で、私はさっきから問題にしているわけです。
 私の聞くところでは、現にこの話を聞いて、NTTに残りたい、通知書を返してくれと言い出している人があちこちに出始めているというんです。民法第九十六条にも「詐欺又ハ強迫ニ因ル意思表示ハ之ヲ取消スコトヲ得」とあります。少なくとも、もう一度、すべての情報、選択材料を明らかにした上で、労働者に選択し直させるべきケースではないでしょうか。
日比政府参考人 ただいま民法との関係でのお話がございました。これにつきましては、私ども、民法上の問題につきまして、行政機関としてどのようにお答えすべきか、やや迷う点でございますが、いずれにいたしましても、これは、委員御案内のとおり、その昔、労働三法といえば、労働組合法、労働関係調整法、そして労働基準法。全体として見ますと、やはり労使間で十分協議をし、それが調うということであればそれを尊重する。特に労働関係調整法におきましても、労使間の自主的な紛争の解決と。そういうようなこと、全体まとめて考えますと、やはり労使間で十分協議の上行われているものと私ども聞いておりますので、御指摘の手続などにつきましても、その協議の中でとられているものと。
 したがいまして、行政当局といたしましてとかくのことを申し上げるのはいかがかというふうに思っております。
小沢(和)委員 だから、さっきから言っていますように、私も労使間で第一義的にはこういう問題は解決してもらいたいと思います。しかし、現に解決されていないということで、私たちのところにいろいろ話を持ってこられておる。
 そして、さっきは言いませんでしたけれども、NTTの中には、あなた方御存じのとおり、NTT労組という組合だけでなく、通信産業労組ですか、そういう組合もある。その皆さんは、そのことを大いに取り上げて、今問題にしておられるわけです。だから、私どもは、そういうことは、訴えられている以上、そして特に法律的に見ても問題じゃないかということを言われる以上、これは問題にしなきゃならぬと思う。
 さっきから私は言っていますように、初めは漠然としたことを言って半ば強制的に説得して、ほとんどの人から退職願をとってしまった。退職願をとってしまってから、お墓の掃除やら、弁当屋さんだのイベント屋だの、そういうのをやってもらうんですよ、もっとあなた方やめてもらうんですよと。三割賃下げをのんだら六十五まで働けるというなら、これはしようがないか、泣く泣くそういう決断をして、それで働けるかと思ったら、そういう話。
 これは、民法九十六条で言う詐欺として取り消せるケースに当たらないですか。私は当たると思うんですが、どうですか。
日比政府参考人 民法につきましては、私ども、解釈を述べるべき立場にないと思っております。
小沢(和)委員 結局、あなた方はこういうようなことについて、厚生労働省として働く人たちの生活や権利を守るという立場に立たないことになりかねないということを私は警告しておきたいと思うんです。
 今、新しい会社に行かず、六十歳までNTT本体に残りたいというふうに言う人も出てきていると言いましたけれども、実際には、そういう選択をしようとしたときには、会社がおどし半分の猛烈な説得工作をしたと聞いております。そういう中で、この選択をした人には今後報復として一切仕事を与えないとか、島流しのような遠隔地への単身強制配転などが懸念されます。特に、闘う労組として知られる、今もちょっと名前を出しました通信産業労組員などに対する組合差別や、思想、信条による差別が懸念される。
 この際はっきりさせなければならないことは、労働基準法第三条、均等待遇の原則、労働組合法第七条、不当労働行為の禁止などにより、こういう労働者差別は禁止されているということであります。これは、今度はあなた方が所管している法律のはずですけれども、こういう立場に立つならば、NTTに残る選択をした労働者にもきちんとした仕事を保障する、遠隔地への単身赴任などを強要しないように指導するということをここで約束していただけませんか。
日比政府参考人 御指摘の件、転籍につきましては、労働者の同意が必要、これはもう明らかでございまして、同意がなかったからといって、つまりもとに戻ったりといういろいろなケースだろうと思いますが、そういう場合に嫌がらせなどが行われること、これはあってはならないことは当然のことだと考えております。
 なお、そのような事案につきまして個別紛争が生じまして、申し出がございますれば、私から申し上げるのももう釈迦に説法で恐縮でございますが、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律、先般成立させていただきまして、その運用に当たっておりますので、そういう仕組みの御利用等をお勧めしたいというふうに思っております。
小沢(和)委員 NTTは民営化されましたが、その最大の株主は国であり、今でも四六%の株を保有しております。NTTは、実質的には現在も準国有企業だと言ってよい状態ですし、政府の意思を強く反映できる企業であります。今回のように、その立場を悪用してNTTにリストラを押しつけるようなことは、我々は認めるわけにはいきません。むしろ、私は、政府がNTTの最大の株主としてやるべきことは、NTTグループの経営者の経営責任を強く追及することだと申し上げたい。
 今回の大リストラの一つの背景として、NTTグループの海外投資の失敗が指摘されております。NTTドコモは、資本参加したオランダの携帯電話大手のKPNモバイルの企業価値下落で、九月中間決算で二千六百二十七億円の株式評価損を計上しております。また、NTTコミュニケーションズも、一昨年買収した米国のデータ通信会社ヴェリオの業績悪化で四千九百八十億円の評価損を計上しております。
 国内での売上高が伸びているのに、海外でこのように巨額の赤字を発生させ、グループの経営が赤字に転落したということでそのしりぬぐいに大リストラを強行するなど、到底許されないことであります。これについて、NTTグループの宮津社長は、みずからの役員報酬を二割減額する程度のことでお茶を濁し、今後も経営者として居座り続けようとしておりますが、本当は、こういう無能、無責任な経営者こそ真っ先にやめさせるべきではないでしょうか。
 最大の株主として、政府は宮津社長の経営者としての責任をどうとらせるのか、伺いたい。総務省はいかがですか。
鍋倉政府参考人 総務省としましては、あくまでもNTTの経営の自主性を尊重しているところでございまして、経営責任等についてコメントする立場にはないというふうに認識をいたしております。
 ただ、NTTの健全な財政状況が維持され、安定的なサービスが確保されることは重要なことだというふうに考えておりまして、経営効率化の推進を通じまして、中長期的な経営安定が図られ、活力ある事業展開が行われるよう、今後の取り組みを見守ってまいりたいというふうに思っております。
小沢(和)委員 冗談じゃないと思うんですよ。海外投資で両方、今私は二つ言ったが、七千六百億円、損をしているんですよ。最大の株主である国として、自主性を尊重しますからといって、こういうことを放置するんですか。どうですか。
鍋倉政府参考人 政府が三分の一保有の義務のある株というものは、経営に口を出すという趣旨からではございませんで、立法の趣旨から申し上げますと、これは、NTTといういわば国の一番のキャリアであるということで、これが変な企業に乗っ取られたり、あるいは合併させられたりということを防ぐために三分の一の株を保有しているというのが立法趣旨でございまして、この株の株主として経営に口を出すということはないものでございます。
小沢(和)委員 そんなことで、七千六百億円も損をしたということについて、見守っておきますなんというようなのんきなことを言っておられる状況じゃない。そうしておいて労働者に対しては、何の責任もないのに、さっきから申し上げているような過酷なリストラをあなたたちがやれという指示を出す。こんなことは私は絶対に許せないということをここで申し上げておきます。
 次にお尋ねをしたいのは、銀行などのサービス残業の問題であります。
 我が党はこれまで主に製造業関係の職場でのサービス残業を問題にしてまいりましたが、実際には、むしろ非製造業、特に金融機関、中でも銀行で多いのではないかと思います。
 この点で、私は先日、都内の幾つかの大銀行の人たちにサービス残業の実態を聞かせてもらいました。どこもサービス残業はもう全く当たり前みたいに行われている。この点では、銀行は無法地帯と言ってよい状況であります。
 特に訴えられましたのは、金融庁の不良債権の査定があるときは、二週間くらい、休日出勤も含め、ほとんど毎晩十二時くらいまで残業するが、そういう月でも、百数十時間のうちつけ出せるのは五十時間くらい、ふだんは七、八十時間の残業のうち二、三十時間しかつけ出せないという。
 その人たちが盛んに四つのサービス残業と言うので、聞いてみて驚きました。
 第一は、閉店後の通常の残業であります。第二は、夜だけでは間に合わないので、最近は、朝八時四十分始業なのに八時までには行員の七割が出勤し、仕事を始めているというのです。第三は、昼も一時間休みのはずが三十分くらいで、あとは働いているというのです。第四は、当然のように休日出勤。代休の日も透明人間となって、透明人間という意味は、休みで職場にいないはずだから透明人間ということになっているんだと思うのですが、別室でまた仕事。ついに奥さんと家庭内離婚状態という人も出ているというんです。そのことを書いた職場新聞の見出しは、「助けてくれ」だった。
 本当に、こういうような銀行の状態を放置しておいてよいのかどうか。都市銀行の四大グループだけで二万八千人の人減らしがどんどん進められ、こういうむちゃくちゃなサービス残業を日常的にやらなければ仕事を処理できない体制になっております。
 このように、上司からの命令がなくても、残業なしでは業務が絶対に処理できないようになっている場合には、いわゆる黙示の指示があったものとして、当然すべての残業時間に対して手当を支払う責任が銀行にあるのではないかと思いますが、いかがですか。
日比政府参考人 残業手当の基礎となるもともとの残業の問題でございますが、業務命令に基づき仕事をしたという場合でございます。
 その場合に、具体的に何時までこれこれの仕事をということにとどまらず、結果として、これこれの仕事をと言われたときに、例えば、それが通常の労働時間の外にはみ出さなければできないというふうな場合には、何時まで残業をせよというものがなくても、これは業務命令であり、残業となり、手当の問題が生ずるものと一般的に考えておるところでございます。
小沢(和)委員 初めて私が納得できるような答弁をしていただけました。
 こんなサービス残業がどうしてまかり通るのか。その主な原因は、自主申告というやり方にあります。四・六通達では、会社に勤務時間を管理する責任があるとしながら、条件つきで自主申告を認めております。これでは本当の改善はできないのです。
 多くの銀行では、残業の申告は鉛筆で書かせているというんです。意味がわかりますでしょう。自分でごく控え目に書いた数字をまた上司などが書き直すことがあるから、鉛筆で書いて出すというんですね。これは大抵の職場がそうなんですよ。自主申告では、それくらい残業時間の改ざんが横行しているのです。
 自主申告などやめても、銀行のように最新の事務管理が徹底して行われているところでは、一人一人の労働者の始業、終業を把握することに何の問題もありません。全員がICカードを持ち、それを入れなければ機械が動き出さないし、終了時にはそれを取り出しているわけであります。何時何分何秒にどういう作業をしたか、秒単位で記録されております。銀行が一人一人の始業、終業を把握することに何の困難もありません。こういう職場でも自主申告を認めることは、政府が本気ではサービス残業を根絶しようとは思っておりませんと天下に声明するようなものではないかと思うのです。
 だから、ぜひここで、銀行の勤務時間管理の抜本改善、とりわけ、今申し上げた自主申告をやめさせるように、きっぱりと指導するということを言明していただきたいが、いかがでしょう。
坂口国務大臣 サービス残業の問題がいろいろの形で問題になっていることは事実でございますし、私たちもこのサービス残業をできるだけなくしていきたいというふうに思っているわけでございます。
 昨年にも通達を出しましたし、そしてその後、各企業がそれを十分に理解してくれるように企業に対する説得も続けてまいりました。そして現在、それぞれの企業に対しましても私たち調査も続けているわけでございますが、今御指摘になりました銀行業界もその中の一つだろうというふうに思っております。
 銀行業界の中のあり方につきまして、例えば今御指摘になりましたパソコンの利用時間によって決めるのはどうか、こういうお話だというふうに思うのですが、しかし、パソコンを使います時間、例えば帰ります最後のところまでパソコンをつけておくのか、終わったらもうその前に早く切ってしまうのか、それぞれ銀行によっても若干それは違うだろうというふうに思いますししますから、それだけで見るというのもなかなか難しいんではないか。
 したがいまして、このサービス残業の問題は、一番原則的には、やはり何と申しましても、タイムカードがやはり一番中心ではないかというふうに、そこは私も思っております。しかし、業種によっては自主申告というのもやらなきゃならないところも、それはゼロではないだろう、あるだろうというふうに思っております。
小沢(和)委員 私も銀行にタイムカードをつけてくれれば一番いいと思うのですけれども、そういうものを設備投資を新たにしなくても、少なくともパソコンを使っている時間というのはぱっとすぐ出るから、それに会社へ入って着がえをしてとかいうような時間をプラスすれば、もうおのずと大体の時間は出ますよという一つの提案をしたわけです。ぜひ御検討いただきたい。
 今から約十年前に、我が党が銀行のサービス残業の実態を国会で暴露し、その是正を要求したことが一つのきっかけになりまして、大銀行の本店などを一斉に立入調査し、一定の改善をさせたことがあります。残念ながら、最近は全くもとに戻った、むしろその当時以上にひどくなっております。
 政府が全国のあらゆる職場からサービス残業を根絶する断固たる決意を示す意味でも、自主申告の原則禁止とあわせて、再び銀行への一斉立入調査を行い、集中的な監督指導を行うなど特別の対応を求めたいと思いますが、この点、大臣いかがでしょうか。
坂口国務大臣 各企業ともサービス残業というものをやはりなくしていくために検査をいたしております。銀行だけというわけにいきませんけれども、ほかのところもやっているわけで、銀行もその中の一つに含まれているというふうに思っています。
小沢(和)委員 私が特に銀行を重視するのは、日本の資本主義のいわば心臓部といいますか、頂点といいますか、ここを一罰百戒という意味ででもぜひ重視していただきたいということであります。
 質問の終わりに、管理職の時間外賃金の支払いについても確認しておきたいと思います。
 今回の銀行関係の調査だけでなく、先月、私は住友金属の調査にも行ったのですが、そのときもそうだったのですが、大抵の人が管理職になると幾ら残業しても時間外賃金は一切支払われないと思い込んでおります。だから、多くの管理職が一円の手当ももらわず深夜まで働いておりますが、私に言わせると、これはさっき言った四つの残業に、もう一つ加えた五つ目のサービス残業ということになるんじゃないかと思うのです。
 私の記憶では、労働基準法第四十一条では、残業が夜十時過ぎになった場合は、管理職もその深夜勤務分について割り増し賃金が支払われると承知しておるのですが、この点について確認していただきたいと思いますが、簡潔なお答えをお願いします。
日比政府参考人 労働基準法第四十一条の規定の解釈の問題でございます。
 いろいろな御意見もあるようでございますけれども、行政の解釈としては、この五十有余年、いわゆる管理監督者について、深夜業に関しては割り増し賃金の支払いが必要ということで解釈をしてきておるところでございます。
小沢(和)委員 私は、きょうはそのほかにも、携帯電話の中継鉄塔の問題などについても質問を通告しておりましたが、残念ながら時間が来てしまいましたので、これで終わりにします。ありがとうございました。
森委員長 次に、中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 まず最初に、二月二十二日に、薬害ヤコブ病の和解案が東京、大津両地裁から提示されました。昨晩、原告がこの和解案を受け入れると。その受け入れるに至った経緯はたくさんの議論があって、しかし、やはりこの和解案をしっかり受けとめて、そして二度と薬害を繰り返さない、そのような一つの大きなあかしとしていきたいという思いを先ほど直接原告の方々からお伺いいたしました。
 この問題に関しては、坂口大臣、終始毅然として、十一月二十二日の裁判所の所見以来、そのような態度に本当に徹して頑張っていらしたことに対して、心から敬意を表したいと思います。
 そして、最終的なこの和解に対して、国はしっかり受けとめていただきたいと思いますし、二度と繰り返さないために、その責任と謝罪、そして何よりも再発防止のための諸施策にしっかりと取り組んでいただきたいということをまず冒頭にお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 きょう、私は、このように薬害問題に、私も議員になりましてから、この薬害ヤコブ病の問題は翌年から取り組んでまいりました。たくさんの方々の御協力もありながら、でも、最初はたった一人で、また中川さんヤコブをやるのということを言われながら、でも、きっとこれはたくさんの方々がしっかりと受けとめ、原告と闘っていってくださるだろうということを信じて、ここまでたどり着いたという思いが非常にいたします。
 同時に、なくしていきたいもう一つの問題は医療ミスです。理不尽な死、なぜ家族が死んでしまったのだろうか、どうしても納得ができない。本当に、人事を尽くして天命を待つということではなく、初歩的なミスで子供やまた夫や妻や兄弟が亡くなった、その遺族というのはどんな気持ちだろうと思います。今回、やはり医療制度の問題を議論するならば、医療ミスをなくしていくということにしっかりと厚生労働省は取り組んでいただきたいと思います。
 この問題で、私はきょうはぜひとも取り上げたいのは、昨年の三月、平柳明香ちゃん、当時十二歳の少女でした。これから人生を生きていく、たくさんの夢を持っていただろうに、なぜこのような無念な死を遂げなければいけなかったかということに対して、一つ一つ厚生労働省のお考え、そして対応を伺いたいと思います。
 この平柳明香ちゃんの医療ミスというのは、非常に単純なミスで、人工心肺の装置の操作ミスで亡くなりました。ところが、特定機能病院というのが全国に八十二医療機関があるわけですけれども、いろいろな形での診療報酬などの優遇制度を受けている病院ですが、東京女子医大は、この医療ミスを隠ぺいしようとした。そして隠ぺい工作がなされて、内部告発によって世に明らかになりました。また、安全管理委員会というところに対して報告もされず、そして終始一貫して、これに対しては事実を公表しようともしませんし、遺族に対しては通り一遍の謝罪であります。
 こういうことはあちこちにあるのではないか、それに対して行政監督というのがどのように行われているかということに対して、しっかりした御答弁をいただきたいと思います。
 まず、この女子医大に安全管理委員会ができましてから毎月行われている同委員会で、これまで議論されたアクシデント、インシデントは何件あるのか。その中で、死亡なり重篤な結果を招いたものはあったかどうか、簡潔な御答弁をお願いします。
宮島政府参考人 昨年十一月の東京女子医科大学病院に対する立入検査の結果と、その後の同病院から聴取した結果を御報告いたしますと、平成十二年六月から本年一月までの間に同病院の安全管理委員会に報告されたアクシデント及びインシデントの数は、千六百七十件となっております。
 また、同病院に確認したところ、この千六百七十件のうち、患者が重篤な状態に至ったものが四件あったということでございます。
中川(智)委員 その重篤な結果を起こした四件について、厚生労働省に報告はありましたでしょうか。
宮島政府参考人 この四件につきましてその概要を確認しましたところ、一つは、腰部の脊柱管狭窄症の手術を行った後、肺塞栓症により呼吸停止を起こしたケースが一つ。それから二番目は、胸腺がんの手術を行ったものの、がんが心臓に癒着しており剥離できなかったため、いわゆる心臓破裂を起こしたケースが一つ。それから三番目は、結腸がんの手術の後、挿管チューブを抜管、つまり抜いた後、しばらくして呼吸停止となったケース。それから四番目は、検査時に検査台より転落し、腰椎圧迫骨折となったケース。この四件というふうに確認しております。
中川(智)委員 それでは、今回の平柳明香ちゃんの事件に関しましては、厚生労働省はいつ知りましたか。そしてその後、どのような対処をなさいましたか。
宮島政府参考人 厚生労働省といたしましては、都道府県に対しまして、その管下の医療機関におきまして発生しました事故と考えられるケースにつきましては、任意の報告を今求めているということをしております。本件の東京女子医科大学に関する報告は、残念ながら、そういった報告は受けていなかったところでございます。
 昨年末、この事故がいわゆる発覚いたしまして、本年一月九日に、私どもとしては再度追加的な立入検査を行いまして、一月二十三日付で改善計画の提出を指導したという経過をたどっております。
中川(智)委員 その改善計画というのは、しっかりしたものとして厚生省に手渡されているのでしょうか。
宮島政府参考人 一月二十三日付で改善計画の提出を指導いたしまして、一カ月後の二月二十二日が一応当初の締め切りでございましたけれども、事前に、その原案を持ってきた際に中身をチェックいたしましたところ、大変不十分な点がございましたので、再度出し直しをお願いいたしまして、本日、その提出があったというふうに思っております。その中身は私はまだ読んでおりません。
中川(智)委員 そうしたら、これは当初、安全管理委員会に報告されていなかったわけですね。ですから、内部告発とか、さまざまな報道を見ますと、確実に隠ぺいしようとしていたという経過は明らかです。そして操作ミス、お医者様が、その技術者は子供の手術場にきっちりと立ち会っていなかった、そして三種類ある心肺の器具に関しても、その種類別さえわかっていなかったという初歩的なものなんですが、厚生労働省は、安全管理委員会にもこれを報告もされず、そして証拠を隠ぺいしようとしたということに対して、東京女子医大に今後どのような形で今回のこのケースに対して対処されようとしていますか。
宮島政府参考人 このケースにつきましては、先ほど申しましたように、一月九日に立入検査を行いました後も、同病院の管理者である病院長から適宜報告を受け取ってまいりました。その過程で、今お話しにもなったような事実関係を同病院長に対して説明を求めておりますけれども、同病院長からは、担当医師に対する刑事告訴を受けて警察が捜査を行っており、カルテ等も押収されていることから、いわゆる御指摘のありましたようなカルテの改ざんなり隠ぺい、こういったものの事実関係の調査は今困難な状態にあるというような説明を受けているところでございます。
 厚生労働省としましては、先ほど申しましたように、本日改善計画が出されるということでございますので、その中身をチェックいたしまして、それに基づいて適正な体制がきちっと確立されるように引き続き指導を行っていきたいというふうに思っております。
中川(智)委員 やはり適正な指導とか、もう医療ミスというのは頻発していて、今回も、親の方から、それはおかしいんじゃないかという疑問、そしてきっちりした内部資料。
 報道によりますと、隠ぺいというのは、明らかにカルテの改ざん、瞳孔の広さを七から四に書きかえたという、はっきりした証拠も幾つも出ていて、そして報告を待って指定病院を取り消すとかというのは、分科会の方で、社会保障審議会の方でやりますね。そこにしっかりかかって、そこで対応を決めるというふうな形になっていると思うんですけれども、厚生労働省は、その分科会というのをやって、この東京女子医大の問題はそこに諮る、そのような形で進めていくんですか。
坂口国務大臣 二月の二十八日ですから、あすになりますが、特定機能病院の承認を取り消すかどうかに関しましては、社会保障審議会の医療分科会をあす開催することになっておりまして、病院長から、事故の概要でありますとか、安全管理体制の確保状況などにつきまして聴取をいたしました上、結論を出すということになっております。
中川(智)委員 国民から見ますと、どうして医療ミスというのがこんなに頻繁に起こるのか。そして、私どもは、やはりそれは氷山の一角だという認識をしております。
 氷山の一角と申しますのは、この明香ちゃんの場合は、お父さんがお医者さんであった、そして何かおかしいということに気がついた、そしてそれに対して具体的な疑問を病院などに言うことができますが、普通は、患者は、いろいろとお医者さんの方から説明を受けたら、何だか納得はできないけれども、やはりその言葉とか、カルテもきっちり見せない、組織的な証拠隠しとかそういうものだったら、どうやっても、それに対して立証を被害者の方からできないわけなんです。裁判を起こすというのはとても勇気が要って、お金も要るし、亡くなったことだけでももうパニックになって、そして裁判を起こすということ、そして病院側とそのような形で、おかしいじゃないかということで渡り合うということもできない。
 こういうときに、はっきりわかったときに、その病院に対してしっかりと指導をして、医療ミスというのをこの世の中から基本的にはなくすという姿勢で厚生労働行政がしっかりとした対応をしていくということが、私たちが一番望んでいる質の向上につながっていくと思います。
 今回も、遺族も病院に要望して実現しなかったのは、ミス隠しがなぜ行われたのか、そこの説明が一切ありません。やはり厚生労働省として、カルテの改ざんと事故の隠ぺいがなぜ行われたかというのを徹底的に病院に調査をさせ、そして病院長からも、そして当事者ですね、当事者からの意見聴取ということもしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 当然のことながら、こういう事態になりましたことについて、詳しい事情を聴取したいというふうに思っております。
 また、この病院に対しまして、いろいろこちらから意見を言う、指導をするということも当然やらなければならないというふうに思いますが、やはりそれだけではなくて、医療ミスというものがなぜ次から次へと起こるのか、その原因究明ということも大事でございまして、昨年来、省内におきましてもプロジェクトをつくりまして、そうした研究にも当たっているところでございますし、また医療従事者の皆さん方にもお入りをいただいて、どういうことからそれが起こりやすいか、さまざまな角度から検討をしていただいているところでございます。
 それらを十分に踏まえて、そして、ただ単に指導をするというだけではなくて、医療ミスが起こりやすい原因というものを幾つかやはりチェックをしながら、マニュアルのようなものもつくって各医療機関にも配付をするといったようなことをやっていかないといけない、そういうふうに思っております。
中川(智)委員 そのような取り組みは非常に大事だと思いますが、同時に、このような悪質な形で証拠隠ぺいをしようとして、カルテ改ざんもして、そしてやはりその後も適切な情報公開もしないというような悪質な医療機関、特にこの東京女子医大は損害賠償訴訟、東京地裁だけで提訴されているのが一番多いんですね。十七件、ナンバーワンです。ここに対して、これもまた、心臓移植ができる、臓器移植ができる全国で三つの病院の中に入っていて、ここに行けば本当に病気を治してくれる。今も子供たちがたくさん手術を待っていますよ。だから、こんなことがあった病院に関しては指定病院を取り消すとか、そのような厳罰で臨まないと、ああ、どうせ守ってくれるというか、厳しくされないんだからということで、平気で厚生行政が、厚生労働省がなめられている、そのあかしだと思うんです。しっかりとした態度で臨んでいっていただきたいし、特にこの東京女子医大の悪質なケースに関しましては、指定病院のそのお墨つきというのを剥奪するぐらいの、取り消しする、それが大事だと思います。
 横浜市大は、これに対しては自主返納をしました。あと、いろいろ医療ミスを起こした八十二の医療機関に関しては、ほとんどは経過観察、このような形で、指定病院を取り消すということは一度もこの分科会でやられていません。そのような形がやはり、ずさんな医療ミス、それを起こす原因になると私は思いますので、強く今後はしっかりと監視していきますので、どのような形で厚生労働省が指導監督を強化するか、そのような医療ミスを起こした機関に対してしっかりとした態度で臨むかというのは、今後も引き続いて見て質問をしていきたいと思います。
 いま一つやはりおかしいなと思いますのは、医道審、これはリピーターのそういうお医者さんの医師免許剥奪とかそのようなものを決める医道審と、いま一つは、あした開かれる社会保障審議会医療分科会、この二つだけがチェックするシステムになっているんですが、ここのメンバー、また後できっちりとどのような経歴をお持ちの方かというのは資料としてちょうだいしたいと思いますが、ほとんどが厚生労働省のOBであるか、お医者様の、今大学教授になっていらっしゃるかというメンバーで構成されていて、医道審では堀田力さんだけ、そして医療分科会の方は水野肇さんだけが第三者として参加されています。
 やはりここには弁護士も入れ、そしてそのような当事者、今医療ミスをチェックするようなNGOがたくさん活動しています。自分の子供が殺された、自分の兄弟が殺された、そんな中でNGOの活動もあります。ぜひとも第三者を入れた、そのようなバランスのとれたチェック機関をつくるべきだと思いますが、最後に大臣の御答弁をいただいて、終わります。
坂口国務大臣 御指摘、十分に理解できるところもありますから、これはもう適正な陣容で臨まなければならないと思っております。
中川(智)委員 ありがとうございます。
 ぜひとも私たちに透明性を高めていただいて、医療ミスが起こった原因、そして今後それが繰り返されないような施策を厚生労働省に強く求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
森委員長 次に、阿部知子さん。
阿部委員 同じく社会民主党の阿部知子です。
 私、午前中、財務金融委員会におりましたために、重複した質問があるかもしれませんので、もし既に出た質問でしたらお許しください。
 関西医科大学における研修医の過労死認定について伺います。
 さきに、昨年八月、大阪地裁の堺支部が、いわゆる研修医の労働に対して労働者性を認定するという形で、御遺族に対して遺族共済年金や未払い賃金を支払うことを命じました。実は、この亡くなられた森さんという研修医の場合に、時給百五十円換算で働いておりまして、未払い賃金も合わせて八千万円近くだったと思いますが、そのような裁定がおりました。それに引き続いて今回は、この研修医の過労死を認定し、約一億三千五百万円の損害賠償の支払いを命ずる大阪地裁の判決でございました。
 まず冒頭坂口厚生労働大臣に、この判決についての御感想を伺いたいと存じます。
坂口国務大臣 今回の判決は、今御指摘になりましたとおり、関西医大で研修をされておりました研修医の死亡につきまして、過重な長時間労働による過労死を認定したものと承知をいたしております。亡くなられた研修医の方に改めて哀悼の意をささげたいと思います。
 厚生労働省におきましては、平成十六年の四月から、インターン制度を廃止以降三十五年ぶりでございますけれども、大きな改革をして、卒後の臨床研修の必修化を行うこととしておりまして、現在、研修医の処遇をどうするかといったことにつきまして検討を進めているところでございます。
阿部委員 この地裁判決に関しまして関西医大の方の見解、新聞紙上等の報道によるものですが、例えば、研修医の身分は大学院生に近く、給与というよりも奨学金を支給しておるんだというふうな認識に立っておるわけです。
 ちなみに、先ほど中川委員が取り上げました東京女子医大、ここで研修中の研修医は医療練師と呼ばれておりますが、月の医療練師としての給与はお幾らか、坂口厚生労働大臣御存じでしょうか。ごめんなさい、急で。予告ありません。
坂口国務大臣 申しわけありませんが、存じません。
阿部委員 二万五千円でございます、月に。
 そして労働、まあ拘束時間あるいは研修時間と申してもよろしゅうございますが、例えばこの森大仁君の場合には月に二百六十時間から三百時間、これは、普通、実労働で百六十時間というのを二倍に上回る拘束並びに実労働時間をしておりました。こうした一番若くて体力もある方たちが、逆にこのような長時間労働の中、低賃金の中働きながら、この方は過労死なさいました。
 そこで、坂口厚生労働大臣並びに担当部署にお伺いいたしますが、今、平成十六年度の研修医の義務化ということを控えて、こうした研修医の労働研修実態、賃金あるいは大学当局とのいろいろな師弟関係、指示命令関係についての実態について、厚生労働省としてはどのように把握しておられるか、お答えをお願いします。
篠崎政府参考人 研修医の労働実態等の把握についてでございますが、私ども、臨床研修病院及び大学附属病院における処遇の実態ということに関しまして、昨年八月に、文部科学省とともに、臨床研修病院四百七十六病院、大学附属病院百三十一病院を対象として調査を実施したところでございます。
 調査結果につきましては、現在取りまとめ中のところもございますので、一部でございますが御披露いたしますと、例えば臨床研修病院での一月当たりの研修医の日直及び当直の回数でいいますと、日直は一・一回、当直は二・六回となっております。また、一週間当たりの平均勤務日数で申しますと、これは臨床研修病院と大学附属病院がありますが、臨床研修病院の方は約五・二日、大学附属病院の方はこれも同じ約五・二日でございます。
 また、給与につきましては、臨床研修病院の場合には、平均でございますが月額約二十八万七千円、大学附属病院の場合は月額約十五万五千円等となっておりまして、まだ取りまとめ中でございますので、最終結果、まとまりましたら御報告をさせていただきたいと思っております。
阿部委員 調査方法について、一つお願いがございます。
 実は私も臨床研修指定病院の院長をやっておりましたが、今御報告のように、軒並み、臨床研修指定病院の方が研修医への手当はきちんとしております。そして、特に劣悪であるのは、私学の大学病院でございます。これを例えば大学関連とならしますと、国立病院と私学の差が消えてしまいます。先ほど申しました一番安いところ、東京女子医大二万五千円から、私学の場合は平均十万から十五万にわたらない額で長時間労働をしております。
 そして、並びにでございますが、大学は当然師弟関係、上下の関係の中でとり行われているところで、大学当局に労働実態を聞いてもなかなか実像は出てまいりません。ここで研修医そのものにアプローチして労働実態を把握していただかないと、なかなか本来の姿が浮かんできません。実は、私は大学で十年以上研修医の指導にもかかわってまいりましたが、例えば私が聞いても言わないことすらあると思います。
 やはり、研修医という当事者たちに直に聞けるような、直に調べられるような、というのは、坂口厚生労働大臣よく御存じですが、自分の当直日でなくても、患者さんが重症化すれば当然残っていなくてはならない。また、私は、残るような医者を指導したいとも思います。
 そうした中で、実際の労働時間、実際の拘束時間がどうなっておるかということが一番大切な点でございます。恐らく、先ほどの篠崎局長のお答えの中では、大学にアンケートを投げて返ってくる形にしかなっておらないと思います。この点について、とりあえずは御報告を受けますが、真実の姿が浮かぶようにしていただかないと、先ほどの関西医大の例でも、大学院生と同じような身分と認識しておると。大学院生は学びながらですから、ある意味で自分でその時間、自由裁量がきくものでございます。しかしながら、臨床というのは、相手の状態に合わせて自分も拘束される。やはりそこの違いは非常に大きいものでございます。
 この辺があいまいにされて、研修が義務化されたときに、やはり非常にいびつな形になると思っておりますし、私自身は、後でも申しますが、大学で、特に特定機能病院等々で多発する医療ミスの一環にこうした研修医の不安定、低賃金、そして本当に上下、上意下達方式のさまざまな大学の弊害が大きく横たわっておると思いますので、試しに大学当局に聞いたアンケートと研修医に聞いたアンケートの差をお出しになるくらいの御見識を求めますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
篠崎政府参考人 今の調査結果がまとまったらまた御報告いたしますが、昨年の七月に、東京の私立医科大学一つ、臨床研修病院一つから、それぞれ研修生の方から御意見も伺っております。
 また、先ほど大臣から御答弁がありましたように、平成十六年、三十五年ぶりの大改革でございまして、その中で一番大きな問題は処遇の問題であろうというふうに考えておりますので、その辺もあわせて、今後しっかりと、その実態を見きわめながら、処遇も含めて立派な研修制度に仕上げていきたいと考えております。
阿部委員 そうした厚生労働省の認識は極めて大切な方向性と思いますし、ですから、せめて一つ一つとか言わないで、多くの条件の違いのある研修医の実態そのものを把握しようという意気込みでやっていただきたいですが、再度坂口厚生労働大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 十分に検討させていただきます。
阿部委員 ありがとうございます。
 次に、過労死認定について伺わせていただきます。
 昨年の十二月ですか、過労死の労災認定基準が改正されました。大変によい方向への改正ですし、厚労省の御努力を評価するものですが、改正の主な点は、いわゆる長時間の過重労働を六カ月にさかのぼって、特に脳血管系の病変について認めていこうと。森大仁さんも心臓の突然死でございましたし、それから、多く係争中のものも、特に脳血管障害あるいは心筋梗塞並びに心臓の突然死などは、これまでの一週間という期限で見たのでは必ずしも過労死という形の認定がされなくても、さかのぼること六カ月、その長時間労働あるいはストレス、さまざまな精神的な状態を考えると過労死認定されるものもあるということで、極めてよい改正と思っております。
 そして、その改正に基づいて、例えば裁判で係争中の事例についても、例えば中央労働基準監督署の方の判断で、ついせんだっても光文社の事件、二十四歳の若者の死が、裁判で係争中ながらも、労働基準局の方で取り下げて、改めて労災認定されるという事例も起きております。そのほかに、長野の伊那においても、労働基準局の見直しにおいて、やはり二十六歳の青年の突然死を労災認定なさいました。
 この前向きな改正後、労働基準局として前回の判断を見直して前向きに再認定なさったような事例はこれまで何件ございますでしょうか。
日比政府参考人 現時点で申し上げますと、八件につきまして、原処分を原処分庁でやり直ししたところでございます。
阿部委員 何度も申しますが、これは大変によい改正点でございますので、現在、去年の十二月にこの改正がなされた八件というのは前向きな数値と思いますし、さらに進めていただきたいですが、実は今、労働基準監督局というところを通り越してと申しますか、その後、労働局審査官並びに労働保険審査会にまで上っておる事例が百七十二件ございます。
 これについては、もちろん労働基準監督局が判断し、労災ではないという形で次々に送られていったもので、裁判という係争にはまだ至っていない事例が百七十二件。そして、私の申し上げました労働保険審査会というのは独立機関でございますから、厚生労働省として、労働基準監督局の処分の見直しということとはやや趣を異にいたしますが、せっかくできたこのよい改正について、現在百七十二件、ケースによっては三年、四年とこの審査会で滞っておるものもございます。
 こうしたものについて、厚生労働大臣の御配慮において、新たな認定基準というものが活用されるようにぜひとも御配慮をいただきたいと思いますが、御見解をよろしくお願いいたします。
坂口国務大臣 今お話しいただきましたように、百七十二件という、現在、労働保険審査会で進行中のものがございます。
 この百七十二件につきましては、先ほどからお話がございますとおり、新しい基準をつくったわけでございますので、新基準に従いましての見直しを今速やかにお願いをしているところでございまして、現在まだ全部出そろっておりません。したがいまして、もう少し時間がかかるというふうに思いますが、現在、新しい認定基準を踏まえましての処理が進められているものというふうに思っております。
阿部委員 いつも誠意のある御答弁をありがとうございます。
 最後に、先ほど水島委員のお尋ねの小児医療について。
 実は、私も坂口厚生労働大臣も小児科医の出身でございます。私は、議員になる直前まで小児科の臨床医として働いておりました。その臨床医の私から見まして、現在小児科医が足りない、特に小児の入院できる病棟が、この十年、特にとりわけこの五年、急速な勢いで非常に減少しておるという実感を持っておりますが、小児の入院病棟の推移について厚生労働省は何か数値をお持ちか否か、お教えください。
篠崎政府参考人 済みません。今ちょっと手元に持ち合わせておりません。
阿部委員 申しわけございませんが、これはお手元にないばかりでなく、調査がないのでございます。
 と申しますのは、今回、私は、小児医療について、特に救急医療について幾ばくかのお金がついたことは前向きに評価したいのですが、果たしてこの受け皿になれるようなハードとソフトがあるか、極めて不安でございます。
 ハードとは何か、小児科病棟でございます。ソフトとは何か、小児科医でございます。それも、とりわけ常勤の、常時そこに勤務している小児科医、夜間の診療、病棟診療も担える小児科医がどれくらいおるか。これは先ほどの御答弁でもございましたが、小児科医の数は減っておらないが、ビル診や高齢化が進んで、私も高齢化のうちかもしれませんが、夜間は確かになかなかきつうございます。
 そこに幾らお金をつけられても、結局のところ、大変恐縮ですが、ありていに言えば、アルバイトの小児科医師に頼むしかない事態がここに発生いたします。そして、このアルバイトの当直医師とは、先ほどの東京女子医大、二万五千円で研修しておる医師である場合が多々現実にございます。
 私は、今回のこの予算措置、二次医療圏で特定の病院を定めて、二つの二次医療圏を合わせて小児科後方ベッドに予算をつけよう、小児科ベッドに予算をつけようということですが、そうされるのであれば、二次医療圏に現実にどれくらいベッドがあるか、まずお調べがあって当然と思いますが、いかがでしょうか。
篠崎政府参考人 その点につきましては、厚生科学研究で研究者の方もお願いしておりますが、早急に、二次医療圏ごとの小児救急医療の実態あるいは医療資源のことにつきまして、調査を今現在継続中でございます。
阿部委員 先ほどの水島委員の御意見では、例えば小児病院的なセンター病院をつくって、そこに小児科医を配置したらどうか。実は、これは三次医療圏でございます。一番、初診して、どこか入院に送りたいなというのが二次でございます。今ないのは二次でございます。三次はまだよろしゅうございます。
 そして、三次では十人から二十人の小児科医を抱えているところもございますが、一番身近な二次医療圏の問題が危機に瀕しておるということを重く受けとめていただきまして、そして、あわせてでございますが、これは研修教育のあり方ともかかわってまいりますが、私が小児科医として思いましたのは、夜間を小児科医だけで毎日救急を診ると、死んでしまいます、本当に。やはり内科のお医者様も、もっと言えば、医療にかかわるすべての研修の初期段階で、小児科医師としての、もちろん専門ではございません、研修内容をそこに組み込んでいただくようなやり方をしないと、少子化時代には、専門の小児科医だけでは一次診療を担えない事態がやってきております。
 そこで、重ねて申し上げますが、きちんとした研修医の身分保障をして、そして、研修内容の中に小児医療を組み込み、産科医療を組み込み、当たり前に専門分化してしまった今の医療体系を見直していただけますようにお願い申し上げまして、一言、坂口厚生労働大臣の御意見を伺いまして、終わらせていただきます。
坂口国務大臣 研修医の中で、すべての人が小児科をある程度マスターしてくれれば一番いいわけでございますが、なかなか現実問題としてそうもいかないだろうというふうには思いますが、せめて内科系の先生方だけでも、小児科というものについてのある程度の知識をお持ちいただくということが大変大事ではないかというふうに思います。その皆さん方に、そうしたことが実現できますように、研修医制度というものを考えていきたいというふうに思っております。そうしたことから、できるだけ子供たちを守るということをやっていきたいというふうに思います。
阿部委員 どうもありがとうございました。
森委員長 次に、川田悦子さん。
川田委員 最後の登板ですので、よろしくお願いします。無所属の川田悦子です。
 私はきょう、時間も少ないですので、血液事業にかかわる問題について質問させていただきたいと思います。
 その前に、私は委員会での質問がほとんどありませんので、きょうの質疑を聞いて若干感想と、大臣の答弁をお願いしたいと思います。それは、水島議員の、母子家庭への手当の問題です。
 私は、まず現実から出発するということが大事なのではないかと思います。今、大変な不況です。私も先日、横浜の関内から歩いて十分ほどの職安に行ってきました。そうしましたら、その日初めて失業になって職安を訪れるという人が、一日でですよ、三百人から五百人です。私は夕方行ったんですけれども、一日に訪れる失業者は八百人です。大変な状況の中です。
 私は、今厚生労働省が進めている、小泉内閣が進めている労働政策、雇用の流動化、これは、まさに失業者をたくさんつくり出す政策なのではないかと思いますけれども、こういう中で母子家庭への手当を打ち切るというのは、大変非情なやり方だと思います。それは打ち切るのではないという言い方をしていますけれども、期限を決めたり、本当にひどいやり方をやってくるわけですから、とても許せないと思います。
 日本では男女の賃金が、先進国の中でも類を見ないほどひどい状態です。男性と女性で比べて五〇%という状況です。こういう中で母子家庭の手当を減らすということは、とても許せないという思いでいます。
 それと、先ほど樋高さんの方の質問がありました。そのときに農水省の方からお答えがあって、獣医がいないため、人員がいないため検査ができないというお答えでした。そのことと、きょう週刊誌にも載っていましたけれども、デパートや大手スーパーでは、食品の表示の問題ですけれども、ラベルが張りかえられている、でたらめな表示が行われている、そして日付の改ざんも行われているということが載っていました。
 日常的に食品衛生監視というのは保健所がやっているわけですけれども、今保健所は統廃合されています。どんどん削られているわけです。そういう中で、私たちが本当に食への信頼を取り戻していく、そのためには、食品衛生監視員というのをふやしていかなきゃいけないと思います。先ほど樋高委員の方からも、横浜、神戸での検疫の話もありましたけれども、そういう現場で一生懸命働いている専門家の人たち、そういう人たちがどんどん減らされてきているわけです。
 私は、行政改革は必要かもしれませんけれども、私たちの生活にとって大事なところ、そういうところの人員を減らすというのはとても許しがたいものだと思います。実際にどんどんスリムにしていった結果、何かあったときには人員がいないから態勢がとれない、こういう状況になっているわけです。備えあれば憂いなしと小泉首相は言い続けていますけれども、まさに、こういうところにきちんとした人員を配置していく、このことこそが今重要なのではないかと思います。
 三月に検討調査委員会でまとめの報告を出すということですけれども、その中にきちんと、この食品衛生監視員の数をふやすとか、検疫の人員をふやしていくということを考えてほしいんですけれども、そのことについて一言御答弁をいただきたいと思います。
坂口国務大臣 たくさん言っていただきましたけれども、では、最後の一言だけでよろしゅうございますか。
 全体としては、そんなに多くはないですけれども、少しずつふやしていっているわけです。決して、この十年を見ましても、減らしてはいないんです。ことしも四名またふやしているわけですが、全体から見ればこれは非常に少ない人数ですから、これによって、例えば外国から入ってまいりますものを全部調査するということはなかなか不可能な状況であることは事実でございます。
 しかし、先ほど申しましたように徹底的に、中国から入りますものにつきましては一カ月間全部調査をしたりもしておりますので、そうした方法も取り入れながら、効率的にひとつやれるようにしたいというふうに思いますし、今後も、特に人間の命にかかわりますところにつきましては人員を削減しないように、私たちも要求をしていきたいと思っております。
川田委員 ありがとうございます。
 食品衛生監視員については、今どのぐらいの数がいるか、後で調べてお答えしていただきたいと思います。
 次に、血液事業にかかわる問題について質問したいと思います。
 実は、一月三十日に議員のヒアリングがありまして、厚生省が資料を出してきてくださったわけですけれども、その資料四の中に、主な血液事業の経緯ということが書いてありました。そこにさまざま、今まで日本でどういう経過をたどってきたのかということが書いてあるんですけれども、そこの中に、一九七五年のWHOの、無償献血を基本として各国の血液事業を推進すべきということが載っているんです。同じ時期に日本では、大変有名ないわゆる血問研の提言というのがあったわけですけれども、この血液問題研究会の提言が抜けているんですね。
 この血液問題研究会の提言のことについては、大臣は御存じでしょうか。
坂口国務大臣 ちょっと今、済みません。今おっしゃったことがどういうことなのかということを、もう少し言っていただけませんか、わかりやすく。
川田委員 実はこれは、WHOでも、国内で自給をすべきだ、献血で賄うべきだということを勧告しているわけですけれども、同じ時期に我が国でも画期的な提言が出されているわけです。それは、献血自給を法制化すべきという内容なんです。
 その中には、これが研究会の提言ですけれども、こういうところがあるんですね。
 生血と言われる新鮮血液を含めて、全血製剤、血液成分製剤、血漿分画製剤のすべての血液製剤にまで拡大し、その製造に必要な血液はすべて献血によって確保するという原則を確立すべきであると考える。
 さらに、血液研究の緊急性について次のように提言しています。
 血漿分画製剤等の開発は、主に民間製薬企業にゆだねられてきた。本研究会は、我が国の血液製剤の研究開発を西欧諸国の水準まで高め、基礎、臨床並びにその応用など一貫して進める総合研究体制の確立こそ第一の方策であるとの結論に達した。
 そして、血液製剤開発のために国立血液研究総合センターの構想を提言しているんですね。
 この血液研究総合センターの構想の中身なんですけれども、それは、研究資料の収集と活用を容易にする情報管理部門を含む研究センターを中核とし、診療センター、研修センターを付設し、これらが有機的に機能し合うための事務部門を置く総合センターであるというふうにしているんです。
 非常にすばらしい提言なんですけれども、これがこの前の資料から抜けていました。
 その直後に、日本では勧告や提言と全く逆のことが行われたわけです。それはどういうことか。
 そこからは御存じだと思いますけれども、七八年に日本はアメリカの売血を輸入してきました。どんどん輸入していったんです。勧告や提言が出ているにもかかわらずですよ。そして、凝固因子製剤については、九〇%までアメリカから依存するという形になったわけです。その結果、日本では血友病患者のエイズ感染がありました。血友病患者、二千人近い人たちが感染させられたわけです。そして現在、既に血友病患者は五百二十人以上が亡くなっているんです。日本の血液行政のミスで、五百二十以上の人が命を奪われたんです。
 その後、血友病患者、被害者の人たちは、差別や偏見がつくられる中でも裁判を闘ってきて、和解が成立したわけです。そのとき国は責任を認めました。
 今回、その上に立って新しい法律をつくるということですけれども、その法律の中身ですけれども、私は、今回示された内容には納得できません。それは、国の包括的、全面的責任がうたわれていないからです。それと、目的のところにきちんと血液自給の原則がうたってありません。
 なぜ血友病患者がこのような被害に遭ったのか。七五年に提言もあり、WHOの勧告もあるにもかかわらず、日本の政府は非常に恐ろしいことをやってきたわけです。その反省に立つならば、今回できる法律というのはきちんとしたことをうたわなければならないと思います。ドイツでは既に輸血法ができています。二十五年以上たって新しく法律をつくるというならば、私はそのことがとても大事なのではないかと思います。
 御見解をお聞きしたいと思います。
坂口国務大臣 今の御意見、せっかくの御意見でございますが、私はいささか意見を異にいたしております。
 今お示しになりましたような過去のいろいろのことも踏まえながら、今回のこの法律をつくっている。そこの法律をつくるにいたしましては、患者の代表の皆さん方ともよくお話を申し上げ、そしてなかなか一致しない点もあったわけでございますけれども、双方ともいろいろお力添えをいただいて、そしてようやくまとめ上げたものでございますし、この中には、やはり国としての責任というものも私はその中にうたい込んでいると思っております。
川田委員 いや、これは被害者の人たちは納得しているわけではありません。今回の所信表明の中にも、関係者との合意のもとで法律をつくるというふうになっていますけれども、今大臣そのように答弁なさいましたけれども、被害者の人たちがこのような内容では納得していないんです。
 一度この審議会が開店休業のような状態になって、急にここでばたばたとこの血液事業法が出てきましたけれども、被害者の中には、このままいけば形骸化してなかなかできないのではないかということで、焦りの気持ちが出てきている人もいることは確かですけれども、多くの被害者の人たちは、このような内容では納得できないんです。
 そのことをきちんと、私は、大臣に対して、もう一度答弁していただきたいと思います。
坂口国務大臣 先ほども申しましたとおり、献血に関しましては、昭和三十九年ですから、閣議決定があるだけで今日まで来ているわけです。何の法律もないわけです。このままで進んでしまったら、またしばらくの間、私は、法律というものができないでいってしまう。だから、ここまで合意ができたわけでありますから、この合意のもとに、私は、この法律を出させていただきたいと思っております。
川田委員 そのことについてはちょっと私は納得できません。そのことをちょっと、また後で、大臣とは原告団の方で交渉したりして直接話をしたいと思います。
 次に、リコンビナント製剤の問題について質問いたします。
 先ほど家西委員の方からも御質問がありましたけれども、昨年、大変な状態になりまして、リコンビナント製品が入ってこないということでパニックになるような状態だったわけです。日赤に備蓄があったということで何とか免れたわけですけれども、このリコンビナント製剤と日赤由来の血液製剤に対してきちんとした供給調整を行わないと大変な状況になっていくのではないかということを、昨年の事件が教えてくれていると思います。
 きちんと国が一定したルールをつくるということが大事なのではないかと思いますので、そのことについて御回答していただきたいと思います。
宮島政府参考人 御指摘のように、昨年三月にバイエル薬品のいわゆるリコンビナント製剤の輸入が停止いたしまして、いわゆる第8因子製剤の供給が不安定な状態になったわけであります。
 それ以後、私どもといたしましては、日赤初め関係各社から、いわゆる供給状況についての報告を受け、また、需給をにらみながら、需給バランスがとれるように、生産の増なり輸入増を最大限要請してきたということでございます。
 こういう形で、現在におきましては指導という形で、そういった需給バランスを何とか確保するという形で、各社に対して指導しながらやってきておりますけれども、今大臣から申し上げました今度考えています新しい法律の枠組みでは、これはきちっと、国の需給計画という形で、まさに法律に基づいた枠組みをつくってやっていけるという形が今後期待されているのではないかというふうに考えております。
川田委員 市場の原理に任せてしまうと、リコンビナントがどんどん入ってくるという状況で、それは自給率がずっと低下してきているわけですから、きちんとした一定のルールをつくっていただきたいと思います。よろしいですか。
宮島政府参考人 それは、今の新しい法的な枠組みの中でも、やはりこの需給問題というのは一つの大きなポイントになっていますし、それを見ながら、需給計画で国内自給をどうやって進めていくかというのが法律の中でも大変重要な事項になっているというふうに承知しております。
森委員長 川田さん、申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力を。
川田委員 はい、これで終わりにします。
 一言、C型肝炎についてぜひお聞きしたいんですけれども、今、毎年三万人以上がC型肝炎で、肝硬変、肝がんで亡くなっているわけですけれども、現在推定で二百万から三百万人いるのではないかと言われています。ほとんどが医原性であります。十四年度予算で検査費が計上されているわけですけれども、五年間で四十歳以上すべての検査をするということで、昨年、家西さんもそのことについては委員会でも質問し、そのことが実際具体化されてきたわけです。
 このC型肝炎というのは、早期発見、早期治療というのがとても重要になってくるわけですけれども、検査をしただけでは、実際にインターフェロンという有効な治療方法があるにもかかわらず、やれないのでは、大変問題になってくるわけです。
 実は、きのう厚生労働省の方からパンフレットをいただいたんですけれども、この中に、大変、C型肝炎については治療について明るい見通しが立ってきたというふうに書いてあります。「C型肝炎理解のための手引」には、インターフェロンの治療については、治療費や通院の治療を受ける者の経済的、労力的負担もあることから、十分な説明と同意のもとで投与されるべきですというふうなことを書いてあります。さらに、患者は二割負担ということで書かれているんですね、治療に際しては。
 ところが、このインターフェロンというのは、大変高額だということも認め、そして患者の二割負担、今度医療保険制度が変わりますと、三割負担ということです。現実に国の行政のミスでC型肝炎にかかっているにもかかわらず、実際に薬があっても使えない。こういう状況では、私たちはこのまま黙って見過ごすわけにはいかないのではないかと思うのです。
 きちんと国は責任を持って公費で負担して治療に当たるべきではないかと思いますけれども、そのことについて御見解を伺わせていただきたいと思います。
森委員長 もう時間が過ぎておりますから。
川田委員 最後、これで終わります。
坂口国務大臣 C型肝炎につきましては、これは国としての責任もあるところもございますけれども、全部が全部そうではございませんで、いわゆる献血によって起こっております、いわゆる血清肝炎等の時代からのものもあるわけでございますから、それらにつきましては少し趣を異にすると私は思っております。
 そして、このインターフェロンの使用に関しましては、保険診療におきます投与期間等の制限を廃止したところでございまして、今までそうしたいろいろの条件がありましたのを、今回廃止をさせていただきました。前進だと思っております。
川田委員 どうもありがとうございました。
森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十分散会


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