衆議院

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第14号 平成14年5月22日(水曜日)

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平成十四年五月二十二日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 森  英介君
   理事 鴨下 一郎君 理事 鈴木 俊一君
   理事 長勢 甚遠君 理事 野田 聖子君
   理事 釘宮  磐君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君
      岡下 信子君    上川 陽子君
      木村 義雄君    北村 誠吾君
      小西  理君    佐藤  勉君
      自見庄三郎君    田村 憲久君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      棚橋 泰文君    谷本 龍哉君
      西川 京子君    林 省之介君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      宮澤 洋一君    谷津 義男君
      山本 明彦君    吉野 正芳君
      家西  悟君    大島  敦君
      加藤 公一君    鍵田 節哉君
      金田 誠一君    五島 正規君
      津川 祥吾君    土肥 隆一君
      三井 辨雄君    水島 広子君
      江田 康幸君    桝屋 敬悟君
      樋高  剛君    小沢 和秋君
      瀬古由起子君    阿部 知子君
      金子 哲夫君    中川 智子君
      野田  毅君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 重和君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  冨岡  悟君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     谷本 龍哉君
  吉野 正芳君     山本 明彦君
  三井 辨雄君     津川 祥吾君
  中川 智子君     金子 哲夫君
同日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     後藤田正純君
  山本 明彦君     小西  理君
  津川 祥吾君     三井 辨雄君
  金子 哲夫君     中川 智子君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     吉野 正芳君
    ―――――――――――――
五月二十一日
 医療の国民負担増反対に関する請願(矢島恒夫君紹介)(第三〇四七号)
 医療費値上げ反対、医療費制度の充実に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三〇四八号)
 同(山口富男君紹介)(第三〇四九号)
 介護保険と国民健康保険の改善に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第三〇五〇号)
 非喫煙者健康保護法制定に関する請願(今川正美君紹介)(第三〇五一号)
 同(植田至紀君紹介)(第三〇五二号)
 同(大島令子君紹介)(第三〇五三号)
 同(中西績介君紹介)(第三〇五四号)
 同(原陽子君紹介)(第三〇五五号)
 同(日森文尋君紹介)(第三〇五六号)
 同(山内惠子君紹介)(第三〇五七号)
 患者負担引き上げ中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇五八号)
 同(石井郁子君紹介)(第三〇五九号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三〇六〇号)
 同(大幡基夫君紹介)(第三〇六一号)
 同(大森猛君紹介)(第三〇六二号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三〇六三号)
 同(児玉健次君紹介)(第三〇六四号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三〇六五号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇六六号)
 同(志位和夫君紹介)(第三〇六七号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇六八号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三〇六九号)
 同(中西績介君紹介)(第三〇七〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第三〇七一号)
 同(春名直章君紹介)(第三〇七二号)
 同(不破哲三君紹介)(第三〇七三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三〇七四号)
 同(松本善明君紹介)(第三〇七五号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三〇七六号)
 同(山口富男君紹介)(第三〇七七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三〇七八号)
 社会保障を拡充し、将来への安心と生活の安定に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三〇七九号)
 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(中林よし子君紹介)(第三〇八〇号)
 介護保険制度の緊急改善に関する請願(中林よし子君紹介)(第三〇八一号)
 医療費負担引き上げの中止に関する請願(中林よし子君紹介)(第三〇八二号)
 児童扶養手当抑制案の撤回に関する請願(石毛えい子君紹介)(第三〇八三号)
 介護、医療、年金制度の拡充に関する請願(山口富男君紹介)(第三〇八四号)
 公的年金制度を改革し最低保障年金制度の創設に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三〇八五号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇八六号)
 医療改悪反対、国民健康保険・介護保険制度の拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇八七号)
 同(石井郁子君紹介)(第三〇八八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三〇八九号)
 同(大幡基夫君紹介)(第三〇九〇号)
 同(大森猛君紹介)(第三〇九一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三〇九二号)
 同(児玉健次君紹介)(第三〇九三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三〇九四号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇九五号)
 同(志位和夫君紹介)(第三〇九六号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇九七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三〇九八号)
 同(中林よし子君紹介)(第三〇九九号)
 同(春名直章君紹介)(第三一〇〇号)
 同(不破哲三君紹介)(第三一〇一号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三一〇二号)
 同(松本善明君紹介)(第三一〇三号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三一〇四号)
 同(山口富男君紹介)(第三一〇五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三一〇六号)
 年金制度の改善、安心して暮らせる老後の保障に関する請願(木島日出夫君紹介)(第三一〇七号)
 健保・共済本人三割負担等の患者負担引き上げ中止に関する請願(木島日出夫君紹介)(第三一〇八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三一〇九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三一一〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第三一一一号)
 同(不破哲三君紹介)(第三一一二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三一一三号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三一一四号)
 安全で行き届いた看護の実現に関する請願(中西績介君紹介)(第三一一五号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げ中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一一六号)
 同(家西悟君紹介)(第三一一七号)
 同(石井郁子君紹介)(第三一一八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三一一九号)
 同(大幡基夫君紹介)(第三一二〇号)
 同(大森猛君紹介)(第三一二一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三一二二号)
 同(児玉健次君紹介)(第三一二三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三一二四号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三一二五号)
 同(志位和夫君紹介)(第三一二六号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三一二七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三一二八号)
 同(中林よし子君紹介)(第三一二九号)
 同(春名直章君紹介)(第三一三〇号)
 同(不破哲三君紹介)(第三一三一号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三一三二号)
 同(松本善明君紹介)(第三一三三号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三一三四号)
 同(山口富男君紹介)(第三一三五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三一三六号)
 医療への国庫負担を増やし、患者負担引き上げの中止に関する請願(中林よし子君紹介)(第三一三七号)
 健保本人三割負担等の患者負担引き上げ中止に関する請願(不破哲三君紹介)(第三一三八号)
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(都築譲君紹介)(第三一三九号)
 障害者の介護・福祉制度の利用における親・家族負担の撤廃に関する請願(家西悟君紹介)(第三一四〇号)
 安心の医療制度への抜本改革、負担増反対に関する請願(家西悟君紹介)(第三一四一号)
 同(小沢鋭仁君紹介)(第三一四二号)
 同(金子哲夫君紹介)(第三一四三号)
 同(金田誠一君紹介)(第三一四四号)
 同(鎌田さゆり君紹介)(第三一四五号)
 同(川端達夫君紹介)(第三一四六号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第三一四七号)
 同(小林憲司君紹介)(第三一四八号)
 同(佐藤敬夫君紹介)(第三一四九号)
 同(鈴木康友君紹介)(第三一五〇号)
 同(土肥隆一君紹介)(第三一五一号)
 同(日野市朗君紹介)(第三一五二号)
 同(平岡秀夫君紹介)(第三一五三号)
 同(古川元久君紹介)(第三一五四号)
 同(牧義夫君紹介)(第三一五五号)
 同(水島広子君紹介)(第三一五六号)
 准看護師の養成停止と移行教育の早期実現に関する請願(金田誠一君紹介)(第三一五七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
 健康増進法案(内閣提出第四七号)
 医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案(山井和則君外三名提出、衆法第一一号)
 健康保険法等の一部を改正する法律案(五島正規君外三名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――
森委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案、山井和則君外三名提出、医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案及び五島正規君外三名提出、健康保険法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官佐藤重和君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、健康局長下田智久君、老健局長堤修三君、保険局長大塚義治君及び社会保険庁運営部長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
森委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍵田節哉君。
鍵田委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの鍵田でございます。本日のトップバッターを務めさせていただきます。
 本日は、健康保険法の一部改正案並びに関連法案、さらには民主党提出の関連二法案、これらにつきましての質問に入らせていただくわけでございますが、この法案の審議に入る前に、恐らく大臣のところにもたくさんの関係団体から多くの要望なり要請が参っておるのではないかというふうに思いますけれども、私のところにも、あらゆる団体から、この健康保険法の一部改正案についての要望がございます。しかし、その大部分、というより全部と言ってもいいぐらいの内容は、この法案を何とか廃案にして出し直しをしてほしい、こういう要望でございます。この法案を何とか通してほしいというふうな内容の要望は全くないと言っても過言ではございません。
 もちろん、一般的に、どんな法案でもそうでございますけれども、国民の負担を強いるような、保険料を引き上げるとか、またはその他の負担を強いるような内容を持った法案については余り評判がよくない、それは当然のことだと思います。人情としてそのことはわかるわけですけれども、ちょっと今回の場合には、それらとは全然違った様相を持っておるということが言えるのではないかというふうに私は受け取っております。
 それは何かといいますと、この法案の審議に入りましてから、既にきょうで四回目になるのですか、前三回の審議をお聞きしておりましても、その中身につきまして、例えば保険料の負担の問題、さらには医療費の一部負担の問題、そういうことにつきまして、その負担のあり方が高いとか低いとか、合理的であるとか合理的でないとかというふうな議論はほとんど聞こえないわけでございまして、その議論のやり方というのを見ておりますと、九七年の改正のときに、当時厚生大臣であった現小泉総理が、二〇〇〇年までには医療の提供体制や保険者の財政の逼迫している現状の打開なりを抜本的に改革して、国民に安心と安全とを与える、そういう改革を実現するのだと強調をされまして、そして、衆参の審議の中で、そのことが中心になって、この法案を最終的には強行的に通過をさせたという経過があるわけでございます。
 それから五年経過をしたわけでありますけれども、その今日、この抜本改革というものはほとんど手つかずのままで今日の一部改正案が提出されておる。このことに対しての国民の大きな怒りと不安がこのような審議になっておるのではないかというふうに思うわけでございます。これは政府の公約違反であり、国民への裏切り行為と言える内容でございまして、こういうことをもう許せないというのが国民世論でありまして、それを背景にした今回の審議になっておるわけでございます。
 聖域なき構造改革という美名のもとに国民の負担だけを強いる今回の改正案をもし強行するようなことがあるとするならば、もう現在の与党に対して許すことができない、そういう国民の大きな怒りがうねりとなって今出てきておると言えると思います。
 私は、坂口大臣の御就任以来の、ハンセン病問題やヤコブ病問題でとってこられた業績というのは、厚生労働省にとりましても歴史に残る業績ではなかったかというふうに高く評価をしておりますし、今までの厚生大臣や労働大臣とは一味も二味も違った大臣だなというふうに見させていただいておったわけでございますけれども、今回のこの法案の取り扱いにつきましては、残念ながら、その評価を大きく変えざるを得ない、こういうことだと思っております。
 私は、九七年の改正のときには坂口大臣と同じ新進党に所属しておりました一員として、若干お聞きをしたいというふうに思います。
 あの九七年改正のときには、私たち新進党は言うまでもなく政府案に対して反対をいたしました。あのときの衆議院厚生委員会における反対討論は、新進党解党後に大臣と同じく公明党に移られた大口議員でございましたけれども、その中にはこのような言葉がございます。
 「今回の改正案というものは、」これは九七年の当時のことでありますけれども、「医療保険の構造改革について明確な方向を全く示しておりません。良質な医療の提供、医療制度の適切な効率化、薬価差、新薬シフト、高薬価シフトの解消、世代間の公平、高齢者医療の改革等、このような構造的な抜本改革を先送りして、国民負担増を求めるものであります。」「こういう負担増を何の理念もないままに、何のビジョンもないままに課する、こんなことは到底許されるわけがございません。」「これはその場しのぎの負担増の内容であり、三年後再び財政危機に陥り患者にツケを回すことになる、そういう点で抜本改革なしの一時的な財政対策は許されない、こう断言するものでございます。」ということを言われておるわけでございます。
 このときのそうした新進党の法案への対応につきましては、党の政調での議論を踏まえて決定したものでございまして、大臣は当時、政調会長代理という要職にありました。まさにこうした決定を行った責任者の一人であったはずでございます。今読み上げました討論の内容は、まさに現在の状況そのものであり、卓見であったと思うのですが、ところが、今回は政府の一員としてこのような法案を提起しておられます。このことが私も国民の多くも納得できないところでございます。
 大臣は、中川議員の質問で先日も御答弁をされました。中川議員は当時は与党として提案者側にあったわけでありますし、坂口大臣は野党として反対の立場で討論をされたわけでございます。九七年改正では政府案を批判していたのに、今回は三割負担を大臣として提案したことについて尋ねられましたが、時代が変わったとか、あのときにはこれほどまでの出生率の低下が予測できなかったというふうな答弁をなさいました。
 しかし、この答弁にも私は不満を持つわけでございます。時代が変わったと言われましても、どうも、あのときは野党だったんだ、今回は与党なんだということを言っておられるように私には聞こえるわけでございまして、そのような場当たり的な発言をされるとするならば、国民の政治への信頼をますます損なうものになりかねません。
 出生率の低下につきましても、大臣が、当時は新進党の一員として、この中の議論において、自民党の政権が続いたままでは出生率が現在のように低下の一途をたどるということは、党内では共通の認識であったはずでございます。ですから、当時新進党に大臣とともに所属しておった私の立場としましては、全く大臣らしくない答弁と言わざるを得ません。
 なぜ九七年改正においては政府案に猛反対した大臣が今回このような提案をなさっているのかということについて、国民の皆さんにわかるように、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 鍵田先生から、古い議事録も参照の上でいろいろと御質問をいただきました。
 私も今まで、過去におきましては確かに、抜本改革なくして医療制度改革なし、こういうことを言ってきたわけでありまして、先ほど出ましたように、九七年のときには、今読んでみますと、しつこく厚生大臣に言っているな、こんなに言わなくてもよかったのになと今思うぐらいしつこく現在の小泉総理に実は言っているわけであります。新幹線に乗れと言われても、西に行くのか東に行くのかわからずに乗れと言われても乗れない、こう私はそのときに言っておりまして、少し言い過ぎたかなと今思っているわけでございますけれども、しかし、私も率直に申しまして、抜本改革をやはりやらなきゃならない、それを抜きにしてこの医療制度改革はあり得ないということにつきましては、今も全くその思いは変わっておりません。
 ただ、昨年のちょうど今ごろからでございましたか、医療制度改革をやらなきゃならない、それで勉強を始めましたときに、当面の制度改革と抜本改革と両方ある、今までもそういうことを言ってきたんだから、今度はぜひともそれを両方とも同じに出さないといけないという思いのもとにいろいろの検討を重ねてまいりました。
 しかし、抜本改革の方は、私が思っておりましたほどうまく進まなかった。進まなかったといいますのは、これは先日も申しましたけれども、抜本改革であればあるほど、いわゆる医療制度だけの問題ではなくて、他の省庁にまたがりますさまざまな問題が出てくる。そういたしますと、他の省庁のいろいろの合意も得ていかなければならない、あるいはまた、与党内なら与党内の合意も得ていかなきゃならない。さまざまな意見のあります中をまとめていかなきゃならないということがあるものですから、どうしてもここがやはり一歩おくれてくるわけですね。
 しかし、去年の暮れにようやくにして、政府のいわゆる決議におきましても、あるいはまた与党内の決議におきましても、抜本改革をここに同じにやらなければならないということはそこで明確に書きまして、そして、その中に、何と何を抜本改革としてやらなければならないかということはそこに明確に書くことができる、これは今までになかったことだというふうに私は思っております。
 ただ、保険の一元化、統合化を目指す、あるいはまた診療報酬体系の基本を明確にする、あるいはまた国民の皆さん方から見てのいわゆる医療の質を高めるといったようなことについて、その内容をもう少し具体的なものを示さなければならないのであろうというふうに思っていたわけでございますが、そこは、私の思いだけをそこに率直に述べるのならばそれはできますけれども、そうはいかない、全体の合意を得ていかなければならないということで、やはり一歩少しおくれた。
 しかし、当面の課題というのは、その年その年の予算に関係してくることでございますから、どうしても予算に間に合うように一歩一歩進めていかなければならないということがあって、率直に言って、私自身も言っておりましたが、しかし、思うようにその抜本改革の方が進まなかったことは事実でございますけれども、来年の四月一日、三割の自己負担あるいはまた保険料の引き上げといったこととあわせてその抜本改革の第一歩が踏み出せるように、来年の四月一日にはこれを合わせるようにしたい、こういうふうに実は思っているわけでございます。今、大車輪をかけましてこれを進めているところでございます。
 そうした内容でございますが、今回の医療保険制度につきまして、多くの皆さん方からなかなか現時点で見れば御理解をいただけない面も多いだろう、率直に言って私もそう思っております、現在だけ見れば。
 しかし、医療制度は長くこれから先も続くわけでありますから、私たちの子供の時代、孫の時代に今の医療保険制度が存続し得る、そうして、その中で現在と同じように将来の子供や孫たちの時代も医療が十分に行っていける体制をつくっていこうと思えば、現在の皆さん方もある程度御納得をいただかなければならない問題がある。現在だけを見ればそれはなかなか理解できないというふうにおしかりを受けることは覚悟の上で、しかし、政治というのは、そこは覚悟の上で、将来を見てやはりやらなければならないものだというふうに思っている次第でございます。
 そうした気持ちを胸に秘めながら、今この議論をさせていただいているわけでございまして、今御指摘になりました抜本改革につきましても、もう少しまたこの方向性というものを明らかにしていきたいというふうに思いますし、我々の考え方は議論をしていただいております中におきましても一歩一歩明確にして、こういう方向で抜本改革を進めさせていただきたいということを明らかにしていきたいと思っているところでございます。
鍵田委員 大臣は九七年から現在の大臣に御就任になったわけではございませんで、昨年からでございますから、大臣だけを責めるということは酷なことかという気もしないではないんですけれども、今、責任者としてこれを提出されておるわけでありますから、やはり矢面に立っていただかなくてはならないわけでございます。
 そして、まだ前回の改正からほとんど時間がたっておらないということであればなんですけれども、当時、二〇〇〇年までには抜本改革をしますと公約をされたわけです、当時の厚生大臣が。それが、もう既に五年経過をしておるわけでありますけれども、一向に抜本改革らしきものが見えてこない。そして、今回の改正案で負担を強いておるわけでございます。
 そして、何か一見スケジュール的なものらしきものが附則の中に盛られておるわけでございまして、いろいろ改革のカテゴリーによりましては時間の差をつけて取り組むんだ、こう言われておるようでありますけれども、私は、五年間かけてほとんど手がつかなかったものが今回それらの日程で本当にそういうことができるのかどうかということにつきまして、本当に疑問を感じます。これは、私だけじゃない、国民の皆さん全部が、いわゆる厚生労働省や与党の責任者に対しての責任を問うておるわけでありますし、信頼をしておらないというところだというふうに思うわけでございます。
 そういうことからしまして、今までなぜそれが、五年間も経過して、大臣はまだ就任されてから二年もなっておらないというふうに思いますけれども、なぜこういうことが五年間も放置されてきたのか、なぜできなかったのかということ。やはりもっと根本的にこれを追及して、そして次の抜本改革につなげていかなくてはならないわけでございますけれども、なぜそれができなかったのかということにつきましての言及がございません。これらにつきまして、明確なお答えをいただきたいと思います。
坂口国務大臣 それはもう、一言で言えば、なかなか合意ができなかったということです。単純明快な話でございまして、医療制度の将来につきましては、それほどいろいろの御意見がある。それも、それぞれの御意見を持った人たちがたくさんおみえになって、そしてなかなか合意が難しかったということに私は尽きると思います。
 これは各党の中でもそうなんです。私の党でも、医療制度につきましてはさまざまな意見がある。五人いれば五人ともその意見が違うほど、いろいろの意見があるわけであります。鍵田先生のところの党の中にも、私はいろいろの御意見があるだろうと思うのですね。これはなかなか、聞いておりましても、大分違うなと思いながら聞かせていただくこともあるわけでございまして、これはかなり違うわけです。
 それを一つに決めるということになりますと、それはいろいろの御意見があって、そこが一番決めにくかった最大の理由だというふうに私は思いますけれども、しかし、そこは乗り越えなきゃならないときを迎えている。
 だから、私が申し上げておるのは、それはいろいろの御意見があるでしょう、だから、ことしならことしの医療制度の改革を進めようと思えば、いろいろの反対意見がある。賛成してくださる人もたくさんあるんですよ。ありますけれども、賛成する人は黙っている。しかし、反対する人の声はどうしても大きくなる。それは、いつも私はそうだと思うのですね。だから、それは私はやむを得ないというふうに思いますし、やはり反対する人は堂々とその御意見をいただくことが、これはまたいいことだというふうにも思っておりますから、私は、それはそれで大変大事なことだというふうに思っております。
 医療制度というのは、それぞれがお互いに、自分のことにかかわっておりますだけに、さまざまな御意見をお持ちになっている。しかし、医療制度を考えていきますときに、現在だけではなくて将来のこともよく見て、そしてこれを決めなきゃならないということだけは事実でございます。また、それぞれの立場、現在置かれておりますそれぞれの立場が、自分たちだけではなくて、日本全体の人々が公平に行われるということを中心にして考えていかなければならないだろうというふうにも思うわけでございます。
 ですから、多くの皆さん方の御意見をお聞きして、またいろいろの御質問をちょうだいする中におきましても、立派な御意見があれば、それは私も十分に耳を傾けなきゃならないというふうに思っているわけでございますが、そうしたことも十分にわきまえながら医療制度改革というものを進めていかなければならない。
 ただ単に少子化だけのことを私は思っているわけではございません。もちろん、少子化も急速に進んできたことも事実でございます。このことも大きな影響を与えますが、それだけではありません。現在の経済動向、これも今まで予測しなかったような経済状況になってきていることも事実でございますし、こうしたことも考えていかなければなりません。これらのことを総合的に考え、そして、いろいろの意見はありますけれども、ここで集約しなければならないときが来た、蛮勇を振るわなきゃならないときが来た、こう実は思っている次第でございます。
鍵田委員 今の大臣の御答弁ですと、合意ができなかった、したがって今日までそのままで推移してきたというふうにおっしゃったわけでございますけれども、では、今までどうして合意ができなかったのか、そして、今回の改正の中ではどうしてそれが実現できるというふうに思っておられるのか。
 今までと仕組みが違うんであればいいんですが、同じ内容で今回も議論をしていったって、結局は結論が出ないということになるわけでございまして、結局は負担だけが先行して、抜本改革は一年たっても二年たっても実現しないということになってくると私は思うんですけれども、今回はどうして改革が実現するというふうに考えておられるのか。それぞれのコンテンツごとに、どういうふうにお考えになっているのか、具体的なスケジュールに基づいてひとつ御説明をいただきたいと思います。これは大臣でなくても、保険局でも結構です。両方からでもお答えいただければと思います。
坂口国務大臣 今まで何もやらなかったかといえば、そうではなかったわけでありまして、現在までも改革は幾つかやってきていることは事実です。これは、薬事の改革もございましたし、あるいはいわゆる薬価差の問題もございましたし、あるいは診療報酬の包括化の問題等も取り入れてきたりとか、部分的にはあったと私は思うんです。これは、部分的ではありますけれども、やってきたことはやっているわけで、ただし、大がかりな改革に至らなかった、こういうことだろうと私は思うんですね。
 大がかりな改革を今度こそやらなきゃならないというふうに私が思いますのは、それは、だんだんと時代がたってまいりまして、その一九九七年当時も、やらなきゃならないということはもうわかっておりましたし、一日も早い方がよかったに違いないというふうに私は思うんですが、だんだんと日がたつにつれまして、やらなきゃならないという必要性というものがどんどんと高まってきた。それは、一つには高齢化の問題、いわゆる少子高齢化の問題が一つはあるし、もう一つは経済の問題もある。このままでほっておけないという状況に立ち至ってきたことも事実でございます。
 ですから、ここは、少々の違いがあるどうのこうのということは言っておれない。それを乗り越えなきゃならない。だから、乗り越えるためには、いろいろのことを言われるでしょう、いろいろの非難がごうごうと起こるでしょう、しかし、起こりましても、その中で一つの結論を得ていかなければならない。その火中のクリを拾わなければならないときが来たと思っているわけでございます。
鍵田委員 大臣のお覚悟といいますか、今のお考えはそのとおりだというふうに思います。
 しかし、九七年改正のときに、小泉厚生大臣もそういうふうにおっしゃったけれども、結局はできなかったわけでございます。状況が変わった、そのまま抜本改革なしで済ましておくわけにはいかない、そこまで追い詰められておるという状況の認識もございましたけれども、しかしそれだけでは本当に実現するかどうかはわからない。
 ですから、そこまで追い詰められているんであれば、むしろそちらの方を優先して取り組むべきではないか。負担だけを上げるということを優先するのではなしに、むしろそちらの改革の方を優先するというぐらいのお覚悟がなければ、これは実現しないのではないかというふうに私は思います。
 もう一度御意見をいただきたいと思います。
坂口国務大臣 だから、そこを今一生懸命になってやっているわけでありまして、決して先送りをしようと思っているわけではございません。先送りはしない、そういう決意のもとで今やっているわけでございます。
 いわゆる予算にかかわりますことと抜本改革のこととは多少違うと僕は思うんですね。だから、予算にかかわりますことはかかわりますことでお願いをしながらも、しかし抜本改革はもういっときも待てないという気持ちで我々やっていることも事実でございまして、どうぞひとつ見ていてください、今度は先送りをするということは断じてありません。これは必ずやり切りますから、どうぞひとつ、そこは御信頼をいただいて、ごらんいただきたいと思います。
鍵田委員 それでは、大臣も、それからその後ろに並んでおられる局長さんも、抜本改革ができるまでは責任を持ってやられるということですか。それまでに内閣改造でかわるとか、それから人事異動で局長がかわるとか、そのときは、いや、もう私はかわったんですから知りません、わかりませんということになるんではないでしょうか。
 私は、大臣、大変御苦労いただいて、本当に我々の倍以上の働きをされておるんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。本当に、いつも同僚議員と、これはもう大臣どこまで体がもつんだろうかと御心配をしておるぐらいでございまして、そういうことからいたしますと、抜本改革が実現するまでやられるとなったら、これは本当に健康まで害されるんじゃないかというふうにも思うわけでございまして。
 責任を持ってやられるという今の御覚悟は私はよくわかりました。しかし、御覚悟だけでできるわけじゃございません。体力ももつかどうかということもありますし、それから、それだけの体制をつくって本当に改革のための取り組みができるのかということになりますと、単に出口がもう迫ってきているから何とかしなきゃならぬという環境だけの問題ではこれはできないわけでございまして、やはりそれをやっていく体制をどのようにつくろうとしておるのか。
 私は、今のところ、具体的な改革に取り組む内容につきまして何らお話をお聞きしたわけではございませんで、御覚悟だけをお聞きしておるわけでございますから、それらの内容について、局長さんでも結構ですから、具体的にひとつ述べていただいて、では、それならこういうことで安心してお任せできるなというようなところがあれば示していただきたいというふうに思います。
坂口国務大臣 先日もお答えいたしましたとおり、生あるものには限りあるわけでございますから、それはもういつまでもつかわかりませんし、ましてや役職などというのは、もう一つこれはわからないものでございますから、いつまでこれは続くかわからないわけでございます。
 しかし、そうはいいますものの、手がけた者の責任もあるわけでございますから、私が在任させていただいております間に私の考え方はまとめたいというふうに思っている次第でございます。しかし、どうそれを国会の中で実現をしていただくのか、これは国会の中の議論の話でございますからそこまで私が申し上げるわけにはいきませんけれども、私の抜本改革に対する考え方は、私の任期中に明確にお示しを申し上げたいと思っているところでございます。
 そして、それを中心にして、もちろん与党の中でも、それに対して、いろいろの御批判もあるでしょうし、いろいろとそれは御意見もあるでしょう。そしてまた、この国会の中におきましては、それぞれの党がまたそれぞれの御意見があると思いますから、それはたたき台にしていただく以外にはないわけでございます。
 しかし、そこは、今やらせていただこうと思う物の考え方というものは、やはり明確に示さないとその後に進まないというふうに思っておりますので、私はそのようにしたいと思っている次第でございます。
鍵田委員 私は、そういう御覚悟というのはよくわかりましたので、それはそれでそれ以上お聞きすることはないんですが、要は中身を、この五年間でできなかったことをこれから一年なり二年なりでどのようにやっていこうとするのかということの具体的な取り組みについてお聞きをしておるわけでありますが、このことについては全く何のお答えもございません。局長からでも、何かあれば出してください。
大塚政府参考人 ただいま大臣から申し上げましたとおり、大臣、大変強い決意でこの問題に取り組んでおられるわけでございます。当然私どもも、大臣の御指示を受けながら、大変難しい問題ではございますけれども、省を挙げてこの課題に、何とか解決に向けての作業を進めなければならないと思っております。
 大臣みずから本部長となりまして、既に三月に省内に、全部局と言っていいほどの範囲をカバーいたします医療制度改革推進本部というのを立ち上げました。
 この推進本部は、四つのチームを形成いたしております。例えば、医療制度の体系に関するチーム、これは高齢者医療制度の問題あるいは保険者の再編統合の問題などを扱うチーム。診療報酬の課題を検討するチーム。体系の見直しに関するチーム。社会保険病院その他社会保険庁の業務に関連するチーム。そして、医療提供体制の改革に関するチーム。四つのチームを立ち上げまして、いずれもそれぞれ大臣から個別の指示を受けながら、今鋭意検討を進めているところでございます。
 大臣の強い御指示のもとで、当然のことながらではございますけれども、我々も一丸となって、この課題に懸命に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
鍵田委員 まあ同じようなお答えでして、単なる決意にしかすぎないわけでございます。このことは、もう当然私としましては納得できるような御答弁ではないわけでございますが、まだまだこれから審議も続いていきますから、順次それらにつきましてはお聞きをしていきたいと思いますが、若干それにも関連をしてお聞きをしたいというふうに思います。
 今回の改正案によりますと、自己負担がふえるということになるわけでございまして、患者の負担が現行の二割から三割にふえるということであります。この負担の、自己負担率というものが、それぞれの国によりましてかなり違いがありますけれども、日本は断トツでトップでございますし、その他の先進諸国におきましても一〇%を切っておるところがほとんどでありますけれども、日本は一七%ぐらいの数字になっておるわけでございまして、本当にもう患者にとりましては、三方一両損という小泉総理の言葉がありますけれども、一方三両損と言ってもいいような内容でございます。
 また、保険料の負担にいたしましても、ある団体で試算をされた数字を見ていきますと、標準的な世帯で、年間で四万四千円ぐらいの保険料のアップがあるということでございます。
 大臣、労働問題にもお詳しいわけでございますけれども、ことしの春闘の状況などを見てまいりましても、定昇すら確保できないというような状況があるわけでございまして、そういう中にあって、これだけの患者の一部負担、さらには保険料の負担増というふうなことを改革に先んじてやられるということは、やはり、治療を受ける側にとりましては、少々しんどくても病院に行くのは遠慮しようかということにもなります。また、負担の方もどこかからこれを捻出しなくてはならないわけで、ほとんど給料から差っ引きされるわけでありますから、それについてどこかから捻出をして、節約をしなくてはならないわけでございまして、そういう意味では、本当に勤労者の家計なり一般庶民の家計を直撃するわけでございます。そういうことに関してどのようにお考えになるのか。
 このことについては、やはり、個人消費が低迷する中で、このことによってさらに個人消費も低迷してくるのではなかろうか。それが景気の回復にも大きく影響をするということが前回までの審議の中でも議論がございましたし、私もそのことについては真剣に心配をしておる一人でございます。
 九七年といえば、消費税の引き上げもありましたし、そして特別減税も廃止をされる、そして医療費も、医療費というより保険料の引き上げもあったり一部負担も引き上げになるということで、九兆円ほどの国民への負担を強いたわけでありますけれども、その結果、百何十兆円という税金を投入して景気対策をやりましたけれども、しかし、全く、現在いまだに日本の経済の体質というものはそれほどよくなっておるとは思えません。
 そういうことを考えますと、あの当時の総理大臣は万死に値すると言っても過言ではないのではないでしょうか。毎年何万人という自殺者が出る。これも、もちろん病気だとかそういうもので亡くなられる方もありますけれども、倒産とか失業とか、今まで自分が一生懸命築いてきた人生を大きくこの不況のために狂わされて、そして挫折感を感じて自殺する人も多くいるわけであります。また、大都会ではホームレスが多数存在しておる現状を見たときに、こういう負担を抜本改革に先行してやるということにつきまして政府としてどのようにお考えになるのかということについて、お答えをいただきたいと思います。
坂口国務大臣 医療の問題は、その財源は、これはもう保険料と税と自己負担以外にないわけであります。その三つのうちのどこからどのように出していただくかということにそれはなるわけでございまして、その割り振りの問題でございます。そして、もう一方におきましては、この医療費がどんどんどんどん上がるということについて、これはもう高齢化によってやむを得ないものもあるというふうに私は思っておりますが、しかし、それ以上に上がる部分につきましては、これは医療の世界におきましても倹約をしていただくところはしていただかざるを得ないというふうに私は思います。
 しかし、医療の方で倹約をしていただくということをいいましても、余りにも、だからといってここをどんどん切り詰めていくということになりますと、いわゆる医療の質が問われてくるわけでありまして、この医療というのは財政上の問題もあります、財政上の効率化の問題もありますが、あわせて医療の質、医療の効率といったものもあるわけでございまして、その双方が成り立たなければならないわけでございますから、そこを見合いながら、この医療のむだを省くという問題はやっていかなければならないというふうに思っております。
 そういたしますと、そこは効率化をするというふうにいたしましても、この負担をしていただきます方は、税か、保険か、そしてあるいは自己負担かということに、その三つに要約されてくるわけでございます。
 私は、皆保険制度というのがずっと日本はとられてきて、これは世界に冠たるものであるというふうに思っておりますし、これが今日までの日本の医療を特徴づけてまいりましたし、支えてきたというふうに思いますから、これからもこの皆保険制度というものは堅持をしていかなければならない、これは一番大事なことだというふうに思っております。社会保障にとりまして、これは非常に大事なことだというふうに思っているわけでございます。
 この社会保障を堅持するという意味から、この医療保険制度を、皆保険制度を堅持するという中にあって、そして、高齢化の問題ならば高齢化の問題に対しまして、どれだけ国庫負担をすることにするのか、自己負担をお願いするかということになるわけでございます。
 確かに今回三割自己負担をお願いいたしておりますが、先日も申しましたとおり、それは、軽い病気、例えば風邪を引いたとか、そうした軽い病気におきましては三割になりますけれども、入院をされまして手術をお受けになる、例えば虫垂炎で手術をお受けになるということになりますと、これは二・五割ぐらいになってまいりますし、そして、例えば胃がんで手術をお受けになるというような方の値を見ますと、これはもう〇・五割、五%ぐらいになってくるというふうに、重い病気であればあるほどそのパーセントは下がってくる。これはこの保険制度の持っております非常にいいところだというふうに思うわけであります。
 全体としては、三割自己負担というふうに言っておりますが、いわゆる上限が設けられておりますから、トータルで見ますと一七、八%ぐらいのところ、その辺のところに私はなるのではないかというふうに思います。これはもう高齢者も全部入れての話ですよ、入れますと大体そのぐらいになるのではないかというふうに思っております。
 それは、三割よりも二割、二割よりも一割、少なければ少ないにこしたことはないわけでございますけれども、しかし、全体として厳しい中で、医療に対しまして多くの費用がかかることも事実でございますし、新しいまた医療技術が開発をされてまいりますから、新しい医療技術が開発をされてまいりますと、その分また医療費がかさむことも事実でございます。
 こうしたことを考えますと、私たちが今まで以上に長く生きることができ、活躍することができるような社会をつくっていくということになれば、応分のやはり負担というものを私たちの社会はしなければなりません。どうそれを分かち合うか、税で行うか、保険料で行うか、自己負担で行うかということでございますが、先日も申しましたとおり、やはり三割というのは一つの限界ではございますけれども、私は、お許しをいただかなければならない限界であるというふうに思っております。
 トータルとしては三割でございますけれども、しかし、上限がございますから、医療費全般、日本全体の医療費で見ますと、一七、八%ぐらいの自己負担をお願いしなければならない。やはりそれはお願いをしなければならないというのが私の立場でありまして、ぜひそこは、私は、御理解をいただきたいと思っている次第でございます。
鍵田委員 その負担の問題につきましては、幾らがいいのかということにつきましての議論というものを、やはり、もう少し国民的ないろいろな議論の上で決められるということがあってもいいのではないか。もちろん、立場立場によっていろいろな意見はあるでしょう、賛否分かれると思いますけれども、しかし、こういうことが公にもっと議論があってなされるべきであるにもかかわらず、今度の三割負担ということにつきましてのそういう議論というものは余り今まで聞かれなかったのが、唐突に出てきたような気もいたします。それらの問題についての、どういういきさつでそうなったのかということがまず一点。
 さらには、三割が究極の負担だというような大臣のお答えを先日来お聞きしておるわけでありますけれども、では、三割負担というものが今後とも変わらないという保証というものはどこにあるのか。一割負担のときもそういうことでやられたのではないか、二割負担のときもそうであったように思いますし、究極とまでは言われなかったかもわかりませんが、このぐらいの負担をしていただければということで来ておるのではないか。今回もまた三割負担でそういうお答えをいただいておるということになるとするならば、次の三割五分負担なり四割負担というのは絶対ないのか、そこのところが国民の皆さんにとっては大変不安があるわけでございます。
 もっと、やはり、ちゃんと国民的な議論の上で、また合意の上で負担というものを決めていく、そういう制度的なものもあって決められるんならともかくとして、そのときの政権が恣意的に財政事情だけを考えてこういう負担の率を変えてくるというようなことが今後も起こってくるのではないかという不安感、こういうものが非常に強いわけでございます。
 そういう意味では、抜本改革が先にあって、こういう、医療のあり方についての今後の検討の仕方についても、やはり改革があって初めて安心してそこにゆだねられるということにもなるわけでありまして、それらの考え方につきましてお聞きをしたいと思います。
坂口国務大臣 この三割負担の問題につきましては、これはもう前回のときに、健保におきましても御家族におきましては三割の自己負担が実現をしているわけでございますし、また、国保におきましてはこれまでから三割ということがあるわけでございます。いよいよこれから、保険の統合、一元化を目指していかなければならないわけでございますし、そうした立場からいきましても、健保の御本人につきましてもお願いすべきところはお願いをしなければならないということだろうというふうに思っております。
 ですから、今唐突に三割問題が起こってきたといいますよりも、もうその周辺におきましては、既に御家族にも三割をお願いしてきたということでございますから、厳しい状況になってくればやはり御本人に対しましてもお願いをしなければならないということに私はなってこざるを得ないというふうに思っています。
 しかし、そうは申しましても、先ほど申しますように、ここには上限があるわけでございますから、トータルで見ましたときには三割には達しない、一七%、あるいはせいぜい一八%ぐらいの負担率になっているということでございますので、ここはひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
 そして、それではその三割、いつもそう言っているけれども、将来これは大丈夫なのかというお話でございますが、この考え方、やはり保険制度を維持しますためには自己負担というのは三割、上限のついた三割というのはもうこれは一つの限界だというふうに先日も申したと思いますが、私そういうふうに思っておりますし、そのことは、今回の抜本改革の中にその考え方を組み込んでいく。ここに、附則に書いてあるだけではなくて、今後の、将来の抜本改革の中にその考え方を組み込んでいくということを私はしなければならないというふうに思っているわけであります。そういたしましたら、今日だけではなくて将来もそのことを維持していけるのではないかというふうに思います。
 ただ、そうは申しましても、将来の、これから十年先、二十年先の議員の皆さん方が、前にはそういうふうに決めてあるけれどもそれはまた改めなきゃならぬというふうにその時点でお考えになる場合には、それはその時点でのお考えでございますから、それを拘束するわけにはまいりませんけれども、現在の考え方として、医療制度の抜本改革を行うというその立場からいきますと、その中に組み込んでいくということが私はこれは欠かすことのできない大事な点だというふうに思っている次第でございます。
鍵田委員 今の大臣のお考えでは、三割負担が一つの究極、保険制度としては究極だというふうにおっしゃっておられるわけでございますが、しかし、ほかの法律もそうでありますけれども、そのときの為政者の考え方でまた改正というふうなことが出てくる可能性というものも全くないわけではございません。
 そういう意味では、三割負担というものが絶対に保証されるということは、それこそ保証はないわけでございますから、そういう意味での不安ということも非常に国民の皆さんの中にはあるんではないか。段階的に今までここまで上がってきたわけでありますから、それらにつきましての保証もないままで、さらに抜本改革も先送りになるということになりますと、さらに不安が倍増するということにもなるわけでございまして、これらにつきましても、私は非常に懸念を表明せざるを得ないというふうに思っております。
 本日は、本当は十五、六問質問をさせていただきたいと思ったんですが、三分の一ぐらいしかお聞きすることができませんでした。特に、最初の部分で、ほとんど私が納得のできるお答えをいただいておらないというふうに思っておりますから、今後、またさらにお聞きをする機会をぜひともつくっていただきたい。
 時間的にはもうほとんどありませんので、最後に、抜本改革の一つの取り組みの中で保険者の統合という問題が出ております。
 私は、この保険者の統合という問題につきましては、単なる破綻した銀行をある程度健全な銀行が救済するというような形でのそういう統合であっても、余り大した本来の医療制度の抜本改革につながってこないんではないかというふうにも思っておるわけでございます。
 この保険者の統合問題につきまして、具体的なお考え、それはどのような効果があるというふうに思っておられるのかということをお聞きして、最後の質問にしたいと思います。
坂口国務大臣 この保険者の統合の問題につきましては、これは、一つは社会保障としての医療保険を考えましたときに、余りにもばらばらになり、そして、その保険者の間で大きな格差があるということは、私は問題だというふうに思います。そうした意味で、これはある程度の大きさにならなければなりませんし、そして、できれば、一つの、一定の給付と負担の率の中でこれはできるのが大変大事だというふうに思っている次第でございます。
 例えば、健保におきましても、いわゆる三千人未満の健保というのは四五・六%あるわけですね、三千人以下。また、市町村国保におきましても三千人未満のが三六・九%ある。これは、こういう小さないわゆる保険者で、そして維持するということは、甚だ私は難しいと思うんですね。特に、市町村の場合には、三六・何%の三千人以下のようなところは大体過疎地ですよ。過疎地で高齢者が非常に多い。そうしたところで、これはもう私は無理だと思う。ですから、統合化をしていく。
 一つの考え方でございますが、県単位なら県単位にこの国保を統合していく。あるいはまた、政管健保は一つになっておりますから、一つというのもまた問題ありますから、これは県単位ぐらいに分割をしていく、例えばの話ですよ。そういう考え方で私は整理をすべきだというふうに思っています。
 組合健保をどうするかということでございますが、それは小さいは小さいなりに成立をしておることも事実でございますが、しかし、組合健保もこれだけ小さなものは、今後のことを、財政上のことを考えますと、私は、統合していかないとむだも多くなる。それぞれが皆事務費を抱えておみえになるわけでありますから、むだも多くなる。ですから、医療を健全化していきますためには、その周辺におきますむだも省いていかなければなりません。むだを省いていきますためには、この統合ということが大事ではないかというふうに思います。
 健保におきましても、今まで、都道府県の範囲を超えるともうできないとか、あるいは子会社はできますけれども孫会社はできないとか、さまざまなことがございましたが、そうしたところはひとつ切り離して、そうして、できるだけ統合化の方向に進めていって、そして、より健全な医療制度ができるようにしていくべきだと私は考えている次第でございます。
鍵田委員 さらにもっと議論を深めたいところでございます。今のお考えにつきましても、新進党当時から、市町村合併なんかの問題はそういうことも含めて考えておったところでございますので、今後さらに議論を深めたいというふうに思いますが、当時のときにも、やはり抜本改革とセットでこの法律案を通してほしいと、九七年のときに旧の公明党の大口議員がおっしゃっておられたわけでございます。
 そういうことを考えますと、今回もぜひともこれを取り下げて抜本改革とセットでやっていただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
森委員長 次に、土肥隆一君。
土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。
 まず、少し細かい話から入りたいと思いますけれども、十四年度の医療関係予算を見ますと自然増が五千五百億円、これは財源はどういうふうに調達なさったんですか。
大塚政府参考人 昨年の概算要求時点で、医療費のいわば、おっしゃいましたような当然増と申しますか、見込みが五千五百億。しかしながら、大変厳しい財政事情の中で国庫予算が大変深刻な状況にありまして、いわゆるシーリングが定められましたときに、厚生労働省全体といたしまして約三千億円の削減が必要、医療費について申しますと、五千五百億円の当然増を二千八百億円程度の削減が必要だということになったわけでございます。
 お尋ねの、どういうふうに手当てをしたかということについて申し上げれば、二千八百億円の縮減額のうち約一千八百億円は、診療報酬改定、二・七%のマイナス改定をいたしました。それにより一千八百億円の国庫の当初見込みよりの減。それから、今回の一連の制度改革、さまざまございますけれども、全体といたして約一千億円の減。これによりまして、約二千八百億円の国庫負担の縮減を手当てしたということでございます。
土肥委員 このシーリングあるいはこの処理案を聞いておりますと、橋本政権時代の厳しいシーリングを思い出すんでありますけれども、あの当時、私、印象的に残っているのは、各保健所に勤務している保健婦さんを病院に派遣して、長期入院のお年寄りに対して退院を促進するというので、何か数百億円安くなるんだというような話を聞いたときに、涙が出る思いがしたんでございますけれども。今回もやはり、小泉デフレ政策、緊縮予算政策によって、厚生労働省はもう待ったなし、待ったなしの診療報酬を引き下げて一千八百億円調達なさった。
 あと、もろもろとおっしゃいますけれども、例えばどういうことでございましょうか。
大塚政府参考人 もろもろと申し上げましたのは、今回の制度改正による国庫負担の平成十四年度、おおむね半年分でございますが、それをひっくるめて一千億と申し上げたわけでございますけれども、大きく分けまして、高齢者医療制度関係の見直しがございます。
 この制度改正の内容も、一部負担、いわゆる一割負担の徹底でありますとか、一定所得以上の方には二割負担をお願いするとか、また、拠出金に関連いたしましても、健保と国保の持ち合い方の見直しでありますとか、そういった内容が含まれるわけでございます。一方では、もちろん低所得者対策の拡充あるいは公費の重点化といったプラスの要素もございますが、差し引きをします。
 一般制度の関係におきましても、自己負担限度額の見直しでありますとか、乳幼児につきましては給付率を八割にするといったような、プラス、マイナス、両方ございますけれども、それらをすべて足し合わせたものが一千億ということで申し上げたわけでございます。
    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
土肥委員 私は、今回の平成十四年度の医療会計及び今回出されましたいわゆる医療制度改革についての、しかもこれがやがて抜本改正に向かうだろうという説明を聞きながら、結局やっていることはつじつま合わせにすぎない。シーリングがかかって、せっぱ詰まって自然増をどう補うかということをやって、そしてその行き先に、一体、抜本改正がどう実現されるのかということを見ていくときに、これはなかなか実現しない状況だろうというふうに考えております。
 それで、一つずつ詰めてまいりたいと思いますが、ことし初めて薬価の改定と診療報酬の引き下げが行われたわけですね。二・七%のうち、一・三%が診療報酬、薬価は一・四%、この計算根拠はどういうところから出たんでしょうか。
大塚政府参考人 診療報酬全体の水準、診療報酬の改定率につきましては、例年、年末の予算編成までの間、関係審議会でももろもろの御審議をいただきますけれども、昨年の例で申しますと、今回の制度改正との関連で、政府・与党社会保障改革協議会におきまして、医療制度改革大綱というのを定めまして、その過程でも、賃金、物価の動向あるいは昨今の経済動向、保険財政の状況等を踏まえまして、引き下げの方向で検討するという大きな方向が昨年秋に出されていたということもございます。そうした背景もございまして、年末の予算編成に具体的な改定率が決まったわけでございますが、一・三%の引き下げでございます。
 これは、具体的な改定率の根拠あるいはその水準と申しますのはおおむね賃金、物価、医療費の構成要素は人件費あるいはその他の物件費ということになるわけでございますが、賃金、物価の動向にほぼ見合った水準、つまり賃金も下がり、物価も下がっている状況でございますので、その水準を診療報酬に置き直しますと、おおむね一・三%というのが一つでございます。
 それから、薬価の方でございますが、これは一・四%と言っておりますけれども、内訳をさらに申し上げますと、薬価で一・三%、それから医療材料というのが、若干でございますが、〇・一%、合わせまして一・四%でございます。
 薬価の方の三角一・四%、一・四%引き下げでございますけれども、これは一つは、市場実勢価格に基づきまして、下がっていることが多いわけでございますから、それを引き下げる。ほかに、後発品のある先発品につきましては、今回、思い切った、平均五%の引き下げをいたしました。医療材料価格につきましても、市場実勢価格による引き下げのほかに、内外価格差の是正といった観点からの政策的な改定を行いまして、これらを合わせますと一・四%、こういう数字でございます。
土肥委員 私は政治決着だろうと思っているんですが、今局長の話だと、極めて合理的な、賃金や物価や経済情勢をきちっと測定して出したということでございます。そうであるならば、今後とも、日本の、日本国の、この国の経済情勢や物価その他も含めた日本人の生活実態に合わせて、診療報酬は合理的に、自動的に変化するというふうに考えていいんでしょうか。
大塚政府参考人 医療費を構成する要素は御案内のとおりさまざまでございます。その背景には、もちろん医学そのものの進歩あるいは医療機器その他の改善といったようなこともございますから、機械的にというわけにはまいらないわけでございますが、最終的には総合的な判断ということになりますけれども、当然のことながら、経済の動向、特に賃金、物価の動向というのは重要な指標にならざるを得ないというふうに考えております。
 ただ、最終的には、保険財政の状況もございましょうし、その時々の医療水準、どういうふうに確保するかという政策的な配慮も当然必要でございますので、最終的には総合的な判断ということになろうかと思います。
土肥委員 ことしは診療側に一千八百億円泣いてもらったわけですね。これは、泣いてもらったから次はお返ししますというような話じゃ困るわけでありまして、診療報酬体系は、議論すればさまざまなことをしなきゃいけないわけでありますけれども、こういう今回のような非常に合理的な、統計的な手段で診療報酬が決まるというならば、それは大変結構だと思うんです。ですから、これを今後も続け得るのか、これは一体どうなのかということでございます。
 今の局長の話だと、もろもろのことを考えてということはわかりますけれども、診療報酬に初めて手をつけたという意味においては、これは私は非常に注目をしなきゃならない、こういうふうに思っております。
 薬価についてもそうであります。薬価は、いつも問題になっておりますが、一体医療費に占める薬価の割合は何%ぐらいが、いわば製造メーカーを含めて、あるいは開発費も含めて、診療報酬に反映させていくわけですけれども、大体何%ぐらいが、薬価の占める割合がいいというふうに考えておられますか。
大塚政府参考人 薬価のシェアの絶対的な、合理的な水準というのは、これはなかなか難しゅうございます。これもそれぞれの国におきます医療のあり方と関連するわけでございますから、具体的な数字で目標値を決めるわけにはまいりませんけれども、傾向で申しますと、御案内のとおり、かつて日本の薬剤比率というのは医療費の中の三割と言われておりました。さまざまな改革を経まして、今日におきましては全体として約二割というところにまで下がってきておりますし、薬剤費そのものの総額といいましょうか実額も、むしろ減るというような状況になってまいりました。
 特に、薬剤比率、諸外国と比べてみますと、なかなか入院は実は諸外国との比較は困難でございますけれども、外来薬剤比率というふうにとってみますと、既にフランスを下回っておりますし、イギリスと同程度、ドイツ、アメリカよりはまだ高い水準でございますが、いわば諸外国並みにほぼなってきたという状況にございます。
 今後とも、しかしながら、例えば後発品の使用促進をすることによる合理化といったような政策課題もございますから、そうした取り組みを通じて、さらに薬価の適正化、ひいては薬剤比率の合理的な配分ということに努力をしてまいりたいと考えております。
土肥委員 まさにキーワードは合理的でございまして、したがいまして、今後の抜本改革は、診療報酬及び薬価は、合理的に、その都度の経済情勢に合わせて改定をするということを確認させていただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。
坂口国務大臣 診療報酬につきましては、これも抜本改革の中の大きな柱の一つに実は挙げているわけでございますが、私は、診療報酬につきましては、どういうふうに診療報酬を定めるかという基本、いわゆる尺度になるものを明確にしておくべきだというふうに思っています。
 例えば、疾病の重い軽いでありますとか、あるいはまた診療に要します時間でありますとか、例えばの話でございますが、そうした幾つかの物差しを明確にしておいて、そしてそれに合わせて決めるというふうにしておかないといけないというふうに私は思います。
 そういたしますと、これはおのずから、皆さん方がごらんをいただいて、この病気に対して、この検査に対して、この診断に対して、なぜ高かったのかということが明確におわかりをいただくことができるわけでありますから、そこが今まで明確でなかったために、多くの皆さん方は診療報酬に対して不信を持たれる点が多かったというふうに私は思っています。ここをまず明確にするということが大事。
 さて、今先生が御指摘になりましたように、そのときそのときの経済動向をどう反映させるかというのは、これは一つ、また別途の問題としてなかなか難しい問題をはらんでいるというふうに私は思います。全体として、この診療報酬の中のどこにどういう点数を配分するかという問題と、それから、全体の経済の中で医療全体が置かれております財政状況の中で全体をどうしなければならないかという、別のもう一つの話があるというふうに私は思っている次第でございまして、そこはその都度ある程度のことを加味しなきゃならないことは起こり得るというふうに思っています。
土肥委員 医療問題は、医院、病院、大病院、中小病院ありますけれども、あるいは国民の側も含めて、やはり経済の中の一つの営みなんですね。ところが、診療報酬できちっと保障されていますから、その範囲でやっていればお医者さんは別に困らない。一・四%、一・三%下がったからといって、何か仄聞するところによりますと、医師会側は直ちに法律を改正してもとへ戻せなんということを聞いておるわけでございますけれども、これはずっと政治決着でやってきたという事実の中で、今回のこの厚生労働省の決断は、私は高く評価しているんですよ。やはり医者も日本経済の中の、医療も経済の中の一つの行為であって、ここから出てくるのは国民総生産に反映しているわけでありますから、そういうことを考えると、今大臣がおっしゃったように分けてというのは、私は納得いきません。だけれども、ここで医療政策の議論をしてもしようがないので、私、反論だけ申し上げさせていただきまして、次に進ませていただきたいと思います。
 ですから、今回の事実から、ことしの医療政策から見ると、やはりこれからの抜本改革は経済情勢に応じて合理的に判断した診療報酬額が出るんだなということを期待しつつ、しかもきっちりと見守っていきたいというふうに考えております。
 もう一つ、シーリングをどうするかということ、五千五百億円の自然増をどうするかというときに、これは十月からでございますけれどもサラリーマンの自己負担を二割から三割にした。サラリーマンは同時に総報酬制を導入する、ボーナスにも保険料をかける、この急激な負担増を強いてきたわけでございまして、サラリーマン本人は、健康に暮らしている人なんかを例に挙げれば、ほとんど健康に暮らしていらっしゃるわけですけれども、なぜだか知らないけれども高齢者医療のために二割が三割、そして総報酬にしましても全部高齢者の方へ持っていかれる。これは、組合健康保険の組合員の皆さんとも話していると、現役のために何もなっていないのに負担だけふやしていくということになると、いわば自分の父親や母親あるいは祖父母の、おじいちゃんおばあちゃんのために出していると考えればいいけれども、一体、老人医療費はこれから先どうなるんですかということでございます。
 この負担増について、現役の皆さんに対する配慮がやはり足りない。あるいは説明が足りない。私に言わせれば、特にこの自然増の負担をどうするか、自然増をどう配分するかというときの役所の側の苦肉の策として出てきたと言ってもいいのではないかと思うんですが、反論がありますか。
大塚政府参考人 今日の状況におきまして、さらにはこれからのさらに高齢化が進むという状況の中で、どのような形にせよ、高齢者の医療費が医療保険財政における極めて大きなプレッシャーといいましょうか負担増の要因になっていることは間違いございません。
 したがいまして、その処理がかねて課題である、制度改正の課題の論点の最大のものの一つであるということもおっしゃるとおりだと思いますが、結局、そういうような状況の中で、現役世代と申しましょうか、高齢者と若い世代のバランスをどう考えるか。あるいは各制度ごと、縦と横の関係になぞらえれば、年齢、世代ごとのバランスをとる、それから横では各制度ごとのバランスをとる、こういった形で公平に負担をお願いする、支えていただくという発想が重要だろうと思っております。
 したがいまして、一つには、今回の改正におきましては、御案内のとおりでございますけれども、高齢者医療費につきましても拠出金の増ということが非常に大きなプレッシャーでございますから、患者一部負担につきましても一割徹底ということをお願いいたしますし、また現役に遜色のない収入のある方については二割負担もお願いをする。さらには公費負担も五割に引き上げまして、年齢も七十五歳に引き上げるという形で、拠出金のいわば圧縮、圧縮というと表現が適当かどうかわかりませんけれども、軽減を図るということを一つの大きな柱にいたしております。
 その上で今度は、横のといいましょうか、各制度間のバランスということを考えますと、若い世代の給付率につきましても、国保その他の、あるいは被用者の家族の外来もそうでございますが、三割負担をお願いしているわけでございますから、世代間あるいは制度間のバランスをとる意味から三割負担をお願いする。そして、総報酬もそうでございますけれども、さまざまな保険者がある中で、この公平感という意味で、かねて御指摘がございました。したがいまして、公平な負担という意味で総報酬制を導入する。
 全体の高齢化が進展する中で、医療保険の運営というのが大変難しいことはおっしゃるとおりでございますが、何とか国民皆保険を守っていくためには、各制度、世代を通じてバランスのとれた公平な負担にしていく、そういう考えで今回の制度改正を組み立てた、そういうつもりでございまして、反論とおっしゃいましたけれども、私どもの考え方はそういう考え方に立ったもの、反論にならないかもしれませんけれども、私どもの趣旨を御説明させていただきました。
土肥委員 負担増を求めるときには丁寧にやるということでございます。最大の丁寧さというのは将来像を、つまり抜本改革をきちっと示して、これで医療制度は乗り切れますということを示して、それにはこういう負担増をお願いできますかというふうな丁寧な出し方をするべきだと私は思うのであります。それを飛び越して、いきなりばさっとやってくる。
 私は、サラリーマンの皆さん、なめられているんじゃないかなと。例えば老人医療費の六割はサラリーマン、現役世代が負担しているんですね。もう既にお年寄りの医療の六割を負担している現役、そして年金の負担も賦課方式ですから精いっぱい出す。介護保険の、四十歳以上ではありますけれども、それに応じる。そして子育てをし、家族を養っていく。これではサラリーマンの皆さん、踏んだりけったりでございまして、せめてどこかで、サラリーマンの皆さん、こういう特典がありますよみたいなものでも示さない限り、取れるところから取るという従来の国のやり方について、こういう事実を国民が知ったときに、サラリーマンの皆さんが真剣に知ったときには相当な政治不信を生むというふうに考えておりますし、第一、少々病気の兆候が見えても医療にかからないというようなことが起こるのではないかというふうに大変心配しております。
 もっと丁寧にやっていただく、丁寧こそそれは抜本改革なんですよ。医療はこうだ。この前の人口動態の発表では、年金がまた三割だ。医療は今度も三割、医療にかかったときでございますけれども。その上に保険料がかかってくる。そういうさまざまな負担増をどこに求めるかというのは、やはり丁寧さ、説明をきちっとするということが大事だというふうに考えます。
 ですから、私は、今からでも遅くないから、医療だけでもいいから将来像をきちっとサラリーマンに示す、三割負担、総報酬制を受け入れる現役世代に示すということが必要だと思います。
 次に、高齢者でありますけれども、七十歳から七十五歳に対象が引き上げられました。これも私は、つけ焼き刃的だな、行き当たりばったりだなと思うのであります。
 老人の医療費が上がる。そして健康保険財政が逼迫してくる。この老人保健拠出金の問題ですね。各保険者は軒並み全部赤字です。サラリーマンの組合健康保険などは、もう吐き出して吐き出して、法定の積立金以外は全部吐き出して、いよいよ破産状態に陥りますよ。破産状態に陥って、では政管健保に行きなさいといえば、政管健保がもう既に破綻しているというような中で、老人の年齢、高齢者の年齢を七十歳から七十五歳に変えたというのはいかにも安直な、医療改革と言えるんでしょうか。
 私に言わせれば、この七十五歳、七十歳から七十五歳に逃げ込んで、そして負担を軽くしよう、老人医療の負担を軽くしようということにすぎないんじゃないかというふうに思うのでございますが、こういう意見についていかがでしょうか。
大塚政府参考人 高齢者医療のあり方を議論する場合に、従来もそうでございますけれども、この対象年齢をどうするかというのはやはり常に議論の対象でございました。特に高齢化が進展してまいります場合に従来と同じような発想でいいのかということは、実は最近出てきた話ではございませんで、議論のたびにその対象年齢というのはどうするかということは課題であったわけでございます。
 ちなみに、昭和五十六年に法律ができまして、五十八年から動き出しました現在の老人保健制度でございますけれども、当時の試算あるいは資料を見ますと、今日で申しますと、たまたまということになるといえばそうなんでございますけれども、平均余命の進展でありますとか、もろもろの社会経済の変化で、今日の七十五歳の層、後期高齢者ということでございますけれども、後期高齢者の層と当時の七十歳以上の層というのがほぼニアリーイコールというようなデータもございます。
 全体といたしまして社会全体が高齢化をしていくわけでございますから、高齢者医療制度の対象をどう考えるかというときに、これは今日突如として出てきたわけではございません。常に議論になっていたということをまず申し上げたいと存じます。
 それから、これを財政面、保険財政面からいいますと、おっしゃいますように、老人拠出金の圧縮、先ほど申し上げましたけれども、軽減ということにつながるわけでございまして、ただ、私どもは、七十五歳に引き上げるだけではなくて、公費もそこに重点化しようということで公費の五割負担ということもあわせて実現をするわけでございますので、単に七十五歳に引き上げるだけというつもりではございません。
 いずれにいたしましても、全体のグランドデザインの中で、やはりこの後期高齢者への重点化というのは、今後の制度を考える場合においても、また今日の状況におきましても、避けて通れない選択肢だと私どもは考えております。
土肥委員 この新人口推計を見ますと、平均寿命、男子は八十・九五歳、女性が八十九・二二歳。この次は八十歳に引き上げるんじゃないですか。八十歳以上がお年寄りです、あとは現役世代と一緒に支える側に回ってくださいというようなことになりかねない話でございまして、それで七十五歳以上に上げて公費五割入れましたというのは、それは、パイを小さくして、その中に五割入れるというのは楽な話です。
 ですから、そういう年齢構成を今までずっとやってきたとおっしゃいますけれども、要するに今や高齢者世代と、若人と言いましたね、よく厚生省が使うのは若人なんですけれども、現役世代とのいわば負担と給付の抗争だ、負担する側のことを考えてあげなさいというような話だったんですね。その負担が厳しいから子供も産まないとか、それはほかの理由もいろいろあるというふうに最近は分析が変わってきております、厚生省も変わっておりますけれども。
 要は、高齢者医療というのを考えるときに、もう要するに負担が大きくなればなるだけ年齢を上げていくというような考え方だと、一体高齢者というのは何なのとか、あるいは高齢者の医療というのは何なのかということを根本的に考え直さないと、もう七十五歳までは全部支える側だと言えば、これはもう六十歳、六十五歳で定年退職した後十年はとにかく働きなさい、そして支える側に回りなさいというようなドライブがかかるだろうというふうに思うのでありますけれども、今後もこの高齢者の年齢というのは動くんでしょうか。
大塚政府参考人 今回初めてと申しましょうか、新しく七十五歳、後期高齢者というようなことで提案をしたわけですから、その先のことを議論する段階ではないと思いますが、後期高齢者という概念は、御案内のように、何も日本だけの発想ではございませんで、少なくとも今の時点では国際的にも一つの、さまざまな論議をするためのメルクマールでございますから、そこがそう簡単に動くとは私どもは思っておりません。
 ただ、先ほどの御答弁申し上げましたこととちょっと一点補足をさせていただきますと、今回の改正案につきましては、いわゆる患者負担という観点から見ますと、御案内のとおりでございますけれども、七十歳以上というような切り口にいたしております。皆、各保険者、現役世代でいわば平等に分担をする、支えるという制度の対象として、七十五歳、後期高齢者、公費の重点的な充当もそこに絞った、こういうことでございますので、補足をさせていただきます。
土肥委員 こうなってくると、私どもは老人会で話をするときなんかも、七十五歳以上の人はちょっと手を挙げてくださいと言うとぱらぱらいらっしゃるわけですね。それ以下となるともう圧倒的に多いわけでございますけれども。七十五歳以上になりますと、大体もう老人会に出てこれない世代でございまして、言ってみれば、医療で手厚くはしますけれども余り長生きなさらないでというふうにも私は聞こえるわけでございまして、これからの高齢者医療を考えるときに、こういう手法もあったんだなということを思い出すと、これまた次の抜本改定、抜本改革はどうするんですかといったときに、余り希望が持てない、こういう手法をずっととっていくんだろうなというふうにやや批判的に見るわけでございます。
 したがって、先ほどから私どもの委員が抜本改革を一体どうするんだという話を繰り返しやっておりますけれども、どうも先行きが暗いと私は考えております。よほど徹底した議論をしていかなければならない。
 もう一つ、いつも大臣もおっしゃる一元化論でございますね。これは大臣に回答していただきたいんですけれども。
 一元化すればすべてはうまくいく、市町村国保の一元化、これを県に持っていくだとか、あるいは国がやっている保険の一元化、政府管掌保険でいえば民営化なんということも言われておりますけれども、私は、国であれあるいは地方行政であれ、行政が保険者であるところの健康保険というのはいわば合理化も効率化もできない。
 そして、では民間はどうかというと組合健保があるわけでありますけれども、これも法律でぎりぎりに締め上げまして、組合の設置から財政内容への介入とか、これは国民健康保険法、今回の法律の中にももう既にあるわけでございますけれども、民間の活力とか工夫とかいうものがこの医療保険の世界ではほとんど機能していない。つまり、これは国営の、あるいは行政の健康保険制度、こういう印象を強くするわけでありますが、一元化というのは一体どういう効果があるのか。
 むしろ、私たち国民はいろいろな健康保険組合を持っていて、自分の健康は自分で守ろう、そして自分の組合の健保財政は自分たちで守ろうというところの、身近なところでの健康や保険に対する、あるいは病気に対する理解、それがなければ、一元化すると、ああ、国がやってくれる、ああ、市町村がやってくれる、もうどうでもいいやというような、自分のことを自分で考えない。そして今度は、健康日本21ですか、今度は国がかりで、体操をしましょう、何か七十項目ぐらいあるんですか、食べ物はこういうものを食べてくださいと。そういうことをやらざるを得ないような日本の国民の生活というのは、私は非常に不幸だと思うんですよ。
 もっと医療を身近なところに持ってくるべきものを、一元化すれば、ますます大きく行政が管理するわけです。こういう状況で、一元化でいいのかということを、やはり根本的に抜本改正でもやらなきゃいけないと思うんですが、大臣の御意見をどうぞ。
坂口国務大臣 一元化のお話を申し上げます前に、抜本改革のことを少し触れておかなきゃいけないというふうに思うんですが、私は、制度としての抜本改革をやったら財政的にそれで非常に楽になるとも、率直に言って思っておりません。むだを省かなきゃならない。だから、現在の制度の中でむだがあればむだを省くというのは、抜本改革のその一つだというふうに思います。そして、負担と給付をどの制度の間にも公平にしていくということがもう一つ大事なことだというふうに思っておりますが、そうしたことを念頭に置いてこれは抜本改革をするわけでありますが、むだを省くといいましても、全部、それでその費用が半分で済むというようなことは全くない話でありますから、私は、医療財政の厳しさというのは、今後も、抜本改革を行いましても続くものだというふうに思っています。
 その厳しい中で、先ほど申しましたように、これは保険と税と自己負担でございますから、そこでどういう割合でお持ちをいただくかという話になってくるということだろうというふうに思っています。
 お若い皆さん方からすれば、それは若い皆さん方を中心にしました保険から見ますと、たくさん高齢者のために出さなければならない、それはつらい、非常につらい立場だというふうに、率直に言って私もそう思いますが、お互いに、これは年をとらない人はいないですね。この中におる人も、四、五十年たちましたらみんな七、八十になるわけでありまして、これは将来のことを思いますと、それはやはり、その次の若い皆さん方にお世話にならなきゃならないわけでありますから、そこは私は、社会保障制度というのはそういうものだと思うんですね。保険制度というのはそういうものだと思うんです。そこは私は御理解をいただきたいというふうに思うんです。
 それを言っていましたら言うことを忘れてしまいましたが、最後、何でしたか。
土肥委員 身近なところで自分の健康を考えるのが、そして、保険制度も考えないで、他人任せの健康制度じゃだめですよ、こう言っているわけです。
坂口国務大臣 我々の身近な医療というのは、それはそのとおりというふうに私も思いますし、身近な問題として考えていかなければならない。
 ただ、医療というのは、皆さん方から見れば、これほど身近なものは本当はないわけでありまして、皆さん方も、身近なものというふうにお考えになっておりますから非常に大きな関心をお持ちいただいているんだろうというふうに思っています。身近な問題でありますがゆえに皆さん方の御理解を得なければならないという御趣旨だろうというふうに思いますが、そこは私も、それはそういうふうにしなきゃいけないというふうに率直にそう思っております。それがゆえにここでこれだけの御議論をいただいているということも言えるわけでございますので、身近な医療というものは、どなたから見ていただきましても公平でなければならない、そしてむだを省いて、お互いにこれならば納得できるという形にしなければならない、それはもう御指摘のとおりだと私も思っております。
土肥委員 ですから、大臣のおっしゃるとおりなんです。だけれども、身近になっていないですね。国民健康保険というのは、三割払えば、あと七割はただだと思っていらっしゃる人もいるわけですね。これは身近でも何でもないわけです。両手に抱えるぐらいビニール袋に薬を入れて病院を出ていかれる方もみえるわけでございまして、そういうことを見ると、どうも行政任せの医療制度ではなかなか身近にならない、そういう意味での身近にならない。
 それから……(発言する者あり)そのとおり、そのとおり。したがって、いろいろなものを要求するときに、身近になっていないから開示しないんですよ。自分たちの属する健康保険組合があれば、これは健康保険組合をもっと自由化して、活性化して、自分たちで自分たちの会社の、あるいは組合員の健康は守るぐらいの生きがいを持ってやっていただかないと、今のような法体系じゃ無理ですね。だから、抜本改正というのは、長くひっくるめて全部行政がやって、いいことにはならないというのが私の主張でございます。
 何か御意見、はい、どうぞ。
坂口国務大臣 保険制度につきましての一本化を私は主張いたしておりますけれども、その一元化というのは、率直に、言うはやすくして、なかなか一度にそれはできる話ではないということも十分に思っておりますけれども、ベクトルの方向性として一元化ということを私は言っているわけでございます。
 まずはしかし、その前に統合化というのが図られなければならない。先ほどから議論をいたしておりますように、ある程度、私は、これは統合化を進めていかないと、それこそむだが多くなりますし、いけない。ただし、いわゆる保険のあり方というものについて、国が、これはこうしてはいけません、ああしてはいけませんということを、余りそれをがんじがらめに縛ってしまうということは、これはよくないことでありまして、保険者の意思というものが働きやすいようにしなければならないというふうに思いますし、保険者がやはり努力をされるところがなければならないというふうに思うわけです。そこは、今までの保険者というものから、もう少しやはり変えていかなければならないというふうに私も思っております。
土肥委員 これはちょっと、なかなかかみ合わないんでございますが、本音を言えば、なるべく地域保険あるいは組合保険、健保組合などを活性化させるような意味では、区分けした方がいい、変な統合はしない方がいい。市町村国保の場合、いろいろありますけれども、それも、国保組合の自主性を失わしめるような統合化はやめた方がいい。
 これは介護保険がそうです。市町村別に、その市町村の住民のことは市町村で考えてくださいと決めたこの介護保険が、広域化といって責任分散をしまして、首長さんが、自分たちの政治の結論として介護保険がうまくいっていないなんて言われるのは嫌だから、みんなでいけばいいといって、福岡県なんかは百の市町村が集まって広域化の組合をつくるなんということになりますと、一体、この市町村の生活はだれが責任を持つのかといったときに、その責任が分散するということでございまして、市町村国保にいたしましても、安易な統合化はしない方がいい。その地域住民の健康はその地域で守っていくにはどうしたらいいかという知恵を出す場面を備えておかなきゃならない、このように思うわけでございます。
 さて、今度、私は非常に気になる政策が出ておるわけでございます。老人医療費の伸びの抑制のために指針を設ける、こう言うんです。ああ、いよいよ来たなという感じですね。要するに、医療の抑制効果を求めて、さまざまな政策を国でつくり、それを都道府県、市町村にやらせるということでございましょう。
 社会保障審議会医療保険部会の資料に、老人医療費の伸び率管理制度の導入という言葉があるんですね。これの言いかえだろうというふうに思うのですが、この指針とは一体何を目指しているのでしょうか。
大塚政府参考人 お尋ねの指針の件につきましては、御承知のように、多少議論の経緯がございます。昨年の九月に厚生労働省試案を、医療制度改革に関する試案を公表したわけでございますが、その時点におきます案としては、いわゆる伸び率管理制度、これも俗称ではございますけれども、そう呼ばれるものを提案いたしました。一定の目標を設定いたしまして、結果的に老人医療費が目標を超えた場合には、事後的にではございますけれども、診療報酬の支払い額で調整するという案でございました。これにつきましては、大変御議論があったというよりも、厳しい御批判を多くちょうだいしたわけでございます。例えて申しますと、医療の質をかえって損なう、あるいは、強制的な、行政による一方的な措置であるといったような議論がございまして、厳しい御批判を賜りました。
 ただし、老人医療費が高齢者の伸びに、高齢化に伴ってふえる分、これはもう避けられないわけでございますけれども、現実にはそれをかなり超えて伸びておりますから、今後の医療保険財政あるいは安定的な運営をするためには、老人医療費の伸びというものをできるだけマイルドなものにしていくということが必要だ、重要だということにつきましては共通の認識がございまして、また、あると思っております。
 今回、指針という形で法案に提案をさせていただいておりますけれども、この指針は、老人医療費につきまして、言ってみれば金額で調整するというようなことではございませんで、国と都道府県と市町村が、それぞれの役割に応じまして高齢者の医療費の適正化のために努力をする、国はそのための一種のガイドライン、指針を定めて、市町村、都道府県の御協力を仰ぐ、こういう趣旨でございます。
 老人医療の場合には、老人医療の周辺と申しましょうか、介護でありますとか健康づくりでありますとか、もちろん医療提供体制全般の問題にも絡まりますし、地域における取り組みというのはやはり重要で、それが、老人の医療を確保しながら、老人医療の適正化といいましょうか、伸びを適正なものにしていく一番重要な、なおかつ王道と申しましょうか、正攻法ではないかということで、こうした指針を定めて、言ってみれば関係者挙げて努力をしよう、こういう趣旨でございます。
土肥委員 それだったらやめておいた方がいいですね。そんなマイルドな高齢者医療の抑制なんというのはできないわけでございまして、はっきり伸び率管理制度を導入するんだ、そして、予算、総額を決めて、それ以上出たものは全部医療機関に負担してもらうというふうに言ったらどうですか。
大塚政府参考人 先ほどの御答弁の中で申し上げましたけれども、いろいろな議論がございましたわけでございます。そうした経過を踏まえてでございますけれども、私どもとしては、やはりむだではなくて、迂遠のようでも、こうした努力の積み重ねが基本であることは、従来からそう思っておりました。そのための努力をしてこなかったわけではないつもりでございますけれども、それを、法令に基づく一種の仕組みとしてさらに取り組もうということでございまして、必要なものだというふうに私どもは考えているところでございます。
土肥委員 抜本改正というのはこういうところまで考えているんだなということがわかったということでございます。
 最後に、今度の法案、特に附則なんかを見ますと、社会保険病院とか社会保険庁にさまざまな対策が出てきているわけですね。何か、社会保険庁あるいは社会保険病院が非常に効率化も能率も悪くて、医療機関としてていをなしてないみたいな感じに受け取られるんですが、一体、何が問題で、そしてどういうふうに、どういうところに改善点があるのか、あるいは将来の社会保険病院はどうするのか、あるいは社会保険庁自体をどうするのか、お聞きしたいと思います。
冨岡政府参考人 まず、社会保険病院からお答えいたします。
 社会保険病院につきましては、保険者たる政府が行う保健福祉事業の一環として設置されておりまして、現在、全国で五十四の病院が設置されております。それぞれの地域の病院や診療所と連携のもとに、公的な病院の一つとして、それぞれの役割を果たしております。
 運営につきましては、公益法人、自治体等に委託しているところでございますが、独立採算を原則としておりまして、平成十二年度決算におきましては、全体として黒字決算となっております。
 今回の健保法改正案を取りまとめるに当たりましては、政管健保が厳しい財政状況にある中で、保険料や一部負担の増をお願いしていることから、政管健保の保険料を財源として整備されている社会保険病院のあり方の見直しが求められたところでございます。
 このため、法案の附則におきまして、おおむね二年を目途に、具体的内容、手順及び年次計画を明らかにし、所要の措置を講ずるとされておりますが、現在、厚生労働大臣を本部長といたします医療制度改革推進本部におきまして、社会保険病院につきましては、公的病院の一つとして今後どんな役割を果たしていったらいいのか、それから病院整備財源、これを今後どうやっていったらいいのか、それから病院経営の効率化を進めるにはどうしたらいいか、こういった観点から、現在、検討を進めております。
 続きまして、社会保険庁の業務運営の効率化、合理化につきましてでございますが、現在、社会保険業務につきましては、高齢化の進展、それから制度がいろいろ多岐にわたってきておりますということから、年金につきましての具体的な照会、年金相談といった業務が大幅に増大してきております。それとともに、厳しい保険財政が続くことが見込まれる中で、医療費の適正化、保険料の収納確保など、保険者としての運営責任を引き続き果たしていくために、一層の合理化、効率化を進めることが大変重要なことだと認識しております。
 従来より、IT化の推進、事務の集約化、例えばレセプト点検につきまして集約して効率を上げるといったこと、それから、業務の外注化の推進、こういった業務運営の効率化、合理化を推進してまいりましたが、こういったことを踏まえまして、今後さらに、事務処理面の見直し、さらなる情報技術の活用、業務運営の効率化、事務の合理化、こういったことにつきまして、現在、具体的な検討を進めているところでございます。
 以上でございます。
土肥委員 ありがとうございました。
 社会保険病院は既に地域医療の重要な担い手でありますが、その状況についてもっと詳しくお聞きしたいところでございますが、きょうはやめます。
 社会保険庁の業務、あるいは診療報酬支払基金あるいは国民健康保険連合会の事務形態などについてもお聞きしたいところでございますけれども、きょうは、まずはここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。
森委員長 次に、五島正規君。
五島委員 予定していた質問はあるわけでございますが、その前に、先ほど、我が党の鍵田議員に対する大臣の御答弁を私聞いていて、非常に正直な大臣であるなということと同時に、若干唖然としたわけでございます。
 当面、財政の問題での課題が緊迫している。今回出されてきているこういう健康保険法の改正の流れが、現時点では国民の理解は得られないだろうと考えている。しかし、抜本改革で将来の見通しを出すことによって安定した制度をつくっていきたい。ただし、今のところはまだそれはできていない。なぜこれまで五年間もかかってできてこなかったか。意見の一致がなかったから。
 この御答弁は、全く間違いでないとは思います。間違いないとは思いますが、これで果たして、この委員会においてこの法案を通していいとお思いなんでしょうか。
 やはり、抜本改革で将来の見通しを出すということ、そのこととセットじゃないといけないという大臣の思い入れが非常ににじみ出ておりながら、現状において大臣がそのようにならない。恐らく、与党の中におけるというか、経過からいうならば、官邸筋の強引な圧力の中でこういうふうなとんでもない仕儀になってしまったんだということをおっしゃりたいんだろうというふうに思います。
 この中にはいろいろな問題がございますが、やはり基本的に、いかに抜本改革とセットの中において議論すべきかということについては、実はこの委員会では本質的には合意しているんではないか、それができないということはおかしいんではないかというふうに思います。そのことについて、まず大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 五島委員からの御質問を、必ずしも私、御指摘いただいていることが十分に理解できているかどうかちょっと不安なんですけれども、一つは、この委員会の中で合意のできていること、それはある程度合意のできておることもあるというふうに私思いますが、合意のできてないところもあるというふうに思います。
 抜本改革が必要なことはもう私も十分にわかっておりますし、それは皆さんにも申し上げているところでございますが、先ほどから申しておりますように、この抜本改革ができたら、財政事情が急転直下それでよくなるというわけでは決してない、そこは御理解をいただきたいと思うんですね。
 だから、むだを省きますとかそういうところは徹底的にやれるような抜本改革にしなければならないというふうに私は思っておりますけれども、しかし、抜本改革ができたからそれで財政状況がよくなるということはあり得ない、厳しい状況が続くことは間違いがないわけでありまして、その厳しい状況をどう打開していくかということの一端をこの国会でお示しをして、皆さん方の御理解を得たいというふうに思っているわけでございますから、抜本改革を当然やらなきゃならない。
 抜本改革をやらなきゃならない、その基本になりますところは、先ほどもちょっと触れましたけれども、むだをなくするということと、給付と負担をどの制度の間にも公正なものにするということ、そして、皆さん方がごらんをいただいてわかりやすい簡潔な制度にしなきゃならないといったようなことを中心にして、この抜本改革を私は進めていくんだろうというふうに思うんです。
 そういう改革を一方において進めながら、しかしそれをやってものしかかってくる少子高齢社会の中でのこの医療の財源をどうしていくかということは、別途これはまた率直に考えていかなきゃならない問題だということを御理解いただきたい、私はそう思っております。
五島委員 私も、抜本改革は財政問題を改善するというものとは別の問題だろうということについてはよく理解をしています。しかし、その抜本改革の中において、まさに大臣もおっしゃっているように、将来的にもどのようにこの医療制度の問題が安定的にできていくのか、その安心というものの担保がないままに負担増だけが出てくるということに対して申し上げたわけでございます。
 そこで、具体的な問題に入っていきたいと思います。
 例えば、今回の診療報酬の改定によって、医療費の引き下げが一・三%、薬価の引き下げで一・四%ということで、平成十四年度の医療費の引き下げが七千四百億あるだろうというふうに予測されています。そして、患者の負担が千二百億減るということで、給付費が六千二百億減るんだということが、今回の診療報酬の改定、薬価の改定の中で厚生省の方から計算が出されています。
 それに対して、平成十四年度の制度の改正が実施されたとしても、半年分での医療費の削減分は一千億、患者の負担は九百億ふえる、トータルで給付の方は一千九百億の削減になるよ、こういうふうにおっしゃっているわけで、圧倒的に診療報酬の改定による影響の方が財政的には大きい、これははっきりしています。
 しかも、今回の診療報酬の改定、どうしたか。何か先ほど大塚局長、非常に根拠を持ってつくられたようなお話でございますが、現実問題として、ではこの診療報酬の個々の改正というものの結果は、医療の中において一・三%であったのかどうか、一・三%という数字になるのかどうか。また、その中には自然増というものがどうなっているのか、さまざまな問題がございます。医療機関の中においては、今回の診療報酬の引き下げというのは十分に二けた台になるという声も強うございますし、そして医療機関の中からは、こうした状況の中において、来年度改めて診療報酬の改定をやれという声すら上がっています。
 今日の時点においてはどの程度の削減効果があったかというのを実数で見ることは困難だと思います。しかしながら、これが、例えば年末あたりになってこの引き下げ効果が当初の予定よりも大きいということになった場合に、このような診療報酬の再改定を考えておられるのか、それとも、その場ではそういうことは考えずに別の財源として使うというふうにお考えなのかが一つ。
 もう一つは、厚生省自身も、今回の診療報酬の引き下げが予定されている分よりかなり大きな影響があるということは、内々においては感じておられるんだろう。七千四百億の削減が今回あった、十五年度はそれがなくなりますから、予定ですと、制度改正の、せいぜいのところ五千四百億ぐらいしかないということから考えれば、診療報酬の引き下げをやった経過の中において、抜本改革に合わせてこの制度を検討するということについて、財源的には可能なんではないかというふうに考えているんですが、その点についてどうお考えになるのか、この二点についてお伺いします。
大塚政府参考人 診療報酬の関係でございますけれども、先ほどの御質問とも関連するわけでございますが、診療報酬の全体としての改定率は、年末の予算のときに賃金あるいは物価の動向などを勘案して決めるわけでございますが、今回でトータルとして二・七%でございます。その数字をもとにいたしまして、実際には個々の点数の改定、見直し作業をいたしまして、それぞれのデータをもとにいたしまして各医療行為の頻度などウエート計算をいたしまして、トータルといたしまして所定の、所定のと申しますのは、今回、診療報酬本体で申しますれば一・三%、いわゆる三角の一・三%になるように配分決定をするという作業をいたすわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、今回の改定、全体として初のマイナス改定でございますから、厳しいということは否定できないと思いますけれども、特定の診療科に特段の影響が偏るというようなことのないようにさまざまな配慮もしておりますし、医療機関の経営に想定をした状況を超えるような事態が生じるとは、正直申し上げて現時点で考えておらないわけでございます。医療費の実績、動向は、これは当然のことながらよく見きわめ、フォローをしていかなければなりませんけれども、現時点においては、そうした予想を上回るような深刻な影響があるというふうには考えておらないところであります。
 それから、診療報酬改定あるいは制度改正などによる財政影響でございますけれども、診療報酬改定は、財政影響を算定します場合に当然、当該年度の影響というふうに算定をいたしますし、特に、今回、制度改正の方は、例えば高齢者医療制度を中心に五年をかけて順次実施していくというような性格のものもございます。したがいまして、単年度の影響が集積されて、五年後に全体としての制度改正の財政影響が出るということで、そこは診療報酬改定と必ずしも同じようには議論できないわけでございまして、それぞれの性格に応じまして所要の額を算定しているということでございます。
 今回の診療報酬改定も、それから制度改正も、全体といたしましては医療費の縮減にも通ずるわけでございまして、今後のさまざまな制度の運営上、一つの大きなてこ入れの材料になる、安定化のための要因になるというふうに考えておるところでございます。
五島委員 通り一遍の御回答なんですが、現実問題として、細かく、今回の健康保険法の改正を見送ることによって、制度改定による例えば保険者の負担増の分という部分がなくなってまいりますので、私はこの御答弁には納得できません。ただ、時間が非常に限られておりますので、次に進めていきます。
 あわせて、例えば来年度、仮にこの制度改正がやられたとした場合に、制度改正の影響というのは五千四百億あるというふうに試算しておられます。そして、患者の負担が四千三百億ふえる、結果として給付費が九千七百億減るんだ、こういうふうにおっしゃっているわけでございます。この患者の負担増というものをどんどん大きくすることによる受診抑制で五千四百億、そして、負担の増というふうな形を続けていった場合に、本当に医療費の抑制になるのか、あるいは保険給付費の抑制になるのか。
 これは先ほど土肥議員が質問していた内容でございますが、今日の医療費の増大の最大の要因は自然増と言われる部分でございます。では、自然増というのは何に原因しているのか。
 医療の高度化によって医療費が上がってくるという部分があるというふうによく言われるわけでございますが、その部分は極めて限られている部分である。それから、受診回数が非常にふえている。確かに、老人の受診回数は現役世代に比べて多いことは事実です。しかし、これも年々、受診頻度といいますか、これは減ってきているのは事実です。にもかかわらず、この自然増が大きい。
 私は、そこに、受診の抑制、あるいは必要な受診がされないことによって、あるいは医療によるメディカルコントロールが十分にできないことによって、高齢社会の中で非常に重症化してきている患者さんがふえてきていること、これもまた事実だ。とりわけ生活習慣病をとってみた場合に、脳卒中を起こしてから医療にかかられる、心筋梗塞を起こしてから医療にかかられる。あるいは糖尿病についても、必要な医療のコントロールに入らなければいけない状態でも六割ぐらいの人たちしか入っていない。結果において、毎年一万人の透析患者がふえたり、あるいは足の切断の手術をしなければいけなかったり等々の状態が起こってきています。
 こうした重症化、特に高齢化の中において重症化させることによって起こってくるところの自然増、ここのところはどの程度あると考えておられるのか。当然、自然増を抑制しようということである以上は、自然増の要因をお考えになっていると思います。その辺はどうなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
大塚政府参考人 医療費の自然増と言われるものが医療費の増加の中に占めるウエートは結構高いわけで、これは御指摘のとおりでございます。
 この分析につきましてはさまざまな試みをいたしておりますが、何せその要因が大変複雑でございますから、なかなかクリアに説明をし切るということはできない状況でございますが、計数でわかる範囲で申し上げますと、まず、もちろん人口の高齢化というのがございます。これは別にいたしまして、一人当たりの医療費、医療費の単価に当たる部分で見ますと、受診行動の面から申しますと、受診率は傾向としては増加傾向を続けております。しかし、その一方で、月当たりの回数はむしろ減少傾向であります。受診行動に関するこの二つの指標を仮に並べてみますと、相殺されるような感じでございます。
 そういたしますと、一人当たり医療費の大宗を占めますのは一日当たり単価ということになるわけでございます。医療費の一日当たり単価というのが計数から出てくる問題でございます。つまり、受診行動に関する部分がやや相殺される感じでございます。したがいまして、自然増の大宗は、やはり一日当たり単価に集約されてくる。
 それが何によるかということになるわけでございますが、やはりそうなりますと、単価の部分でございますから、医学の進歩によります医療内容の変化、その中には医薬品の高度化というようなこともございましょうし、それから、検査が大変普及しあるいは高度化するという傾向も当然如実でございますから、こうした点がかなり寄与しているというふうには考えておりますけれども、それ以上計数的に分析をし得るという段階には至っておらないわけでございます。
 可能な限り私どももさらにさまざまな調査研究を進めてまいりたいと考えております。
五島委員 肝心の一番大きなところがきちっと整理されていないということが明らかになりました。
 確かに、おっしゃるように、一月当たりの受診回数は減少傾向にある、しかし、一回当たりの受診コストが上がってきている。しかし、一回当たりの受診費用というのは、診療報酬の改定その他の要素を見てみても、同じような疾病であった場合に、それほど上がる要因はない。あるとすれば、今御指摘あったように、薬剤とか一部の検査。検査についても下がってきています。
 それでは何なのか。結果的に重症化なんです。とりわけ、現役世代において今日必要な医学的なコントロールを受けることが極めて困難になってきている。だから、退職されて初めてかかられて、非常に重症化している、そういうケースが非常にふえています。
 私自身のところでの経験ででも、例えば、今、サラリーマンの方が、ともかく、近くの医療機関の診療時間が朝の八時半から五時までしかない、受診できない。土曜日、日曜日診療しているところへ行かざるを得ないけれども、そういうところは大きな病院であって大変なんだ。今、勤務時間中に医者にかかりたいから時間休をくれと言ったら、いつ首になるかわからないと言っています。
 まさに今の非常に厳しい経済状況も反映いたしまして、現役世代の人たちは必要な医療のコントロールを受けていない。だから、現役世代の保険料というのは余り上がらずに、老人医療ばかり上がっているわけですよ。それが結果的に非常に重症化させてきている。しかも、退職されてから第二の就職をされた六十代の前半の人たちには、非常にそういう傾向が強うございます。
 結果として、そういうふうな要因をきちっと分析して、日本の医療制度の中において、より人の健康生活という意味において効率的な体制が本当にできているかどうかということの検討が必要なんだ。そのことなしにしては、自然増の抑制というのは私はできない。それを患者の負担増だけによって、そのことによって経済的に受診抑制を進めるということによって総額の医療費の抑制になるということは、私は、到底考えられないし、とんでもないことだというふうに考えています。
 このことについて改めて御答弁を求めていますと質問ができなくなりますから、次へ進みます。
 また、今回の診療報酬の改定等の中で、非常に特異的に重症の患者さんや難病の患者さんのことは全く配慮されていないのかな、ほうり捨てられているなと思う部分があります。
 一つは、例えばALSの患者さんなんかの問題。今回、人工呼吸器のレンタル料が、リース料が安くなっているからということで引き下げられました。
 今、ALSの患者さん、在宅で人工呼吸器を使って治療している人が非常に多い。ALSの患者が在宅で治療できるぐらいですから、かなりのところまでは在宅で治療できるはずです。しかし、在宅で治療を受けておられるALSの患者さん、本当に満足に治療を受けているのか。大体、何年か主治医であった開業医の先生も、私はもう二年診た、三年診た、主治医の変更をしてくれぬだろうかと患者さんの方にお願いするというケースもあると聞いています。
 そして、ALSなんという病気は疾病の集積性はありません。したがって、山間部やそういうところにおいて在宅で治療しておられる方々も多い。そういうところでは、全然呼吸器のレンタル料なんて下がっていない。それも一律に抑制して、ますます困難な状況に追い込んでいる。
 では、今回のようにやっていくのであれば、例えばALSの患者さん、人工呼吸器をつけたまま二十年を超えて現役としてやっておられる方もおられる。そういう状況の中でなぜ、ALSの患者さんに対する人工呼吸器は福祉機器として貸与することを方法として当然検討があってもいいんじゃないか、そういうこともされないままに大変な心配を与えている。
 また、こういうふうな制度の中で、医療にかかるということについての負担が非常にふえてくるということになってきますと、参議院において大臣は、救急救命士が人工呼吸器をつけることについて、挿管することについて前向きの御答弁をされたようでございますが、そこをお考えであるならば、例えばALSの患者さんを在宅で診ておられる場合、多くの場合、看護婦さんが二十四時間つくわけにはいきません、ヘルパーさんです。では、ヘルパーさんが喀たんの吸引をすることを認めるのかどうか。今の医療法ではだめですね。では、一体どうするのか。全部違法の行為の中でその患者の命を守っている、それは厚生省知らないよということで通るのかどうか。
 こういうふうな大きな制度の改革、あるいは診療報酬の改定をする場合に、そのことによって特に特定の厳しい環境に置かれている患者さんに大きな生命にかかわるような被害が集中することがないかどうか、そのことを考えてやるのが当たり前だと思うのです。もしそういうケースがあるとするならば、その方々に対して一つの対応策をとるべきであろう。
 そういう意味でいえば、ALSに限りませんが、特定の疾患に対しては、前回、先々週の水曜日にも申し上げましたが、例えば症状の重症度に分けた包括化、DRGみたいなものを、全疾患ができ上がるまで待つのではなく対応していくとか、そういうことも含めて対応策があるだろう、そういうふうなことをやっていくべきことが必要ではないかというふうに考えます。この点については本来局長の御答弁でもいいわけですが、医師である大臣、その辺どうお考えか、お伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 ALSの患者さんなどにつきましては、それは私も今御指摘のとおりだろうというふうに思います。こういう御苦労をなすっている、そして、ただ一時的ではなくて半永久的に御苦労をなすっている皆さん方に対しましては、それなりのことをやはりきちっとしなきゃいけないというふうに私も思います。至らざるところありましたら、改正をしたいというふうに思います。
 包括的な医療をどうするかということにつきましては、これはこれからの大きな課題の一つでございまして、やはりそれぞれの疾病につきまして包括医療のあり方というものを今進めているわけでございまして、かなり疾病によりましてはでき上がってきております。それらの問題を中心にして、一日も早くほとんどの病気につきましてそれをつくり上げていきたいというふうに思っておりますし、早くそれを実現したいというふうに思っている次第でございます。
五島委員 次に、これも先々週の水曜日にも申し上げて、政務官との間においてお話をいただいたのですが納得できない点でございますが、いわゆる六カ月超えの、医療療養型病室に入っている患者さん。三月間だけ介護療養型へ移れば、またリフレッシュさせて医療療養型へ移す。なぜそういうことが必要なのか。私は、社会的入院であるとするならば、その必要はないではないかというふうに考えています。
 問題は、この点についてまず堤老健局長にぜひお伺いしたいと思うのですが、この医療療養型に入っている患者さん、その患者さんが介護療養型へ移るということになった場合は、当然、介護判定が必要である。これは、ケアマネジャーによってした上で、判定委員会で判定される必要があるだろう。それは当然必要なんだろう。
 次に、介護で、介護保険の適用として介護の施設に入っている人が、医療のサイドに移さなければならないというのはどうなっているのか。例えば老健施設や特養や介護療養型病棟へ入っている患者さんは、それぞれの施設長なり院長の任意の判断によっていつでも医療の療養型へ移しても構わないとなっているのかどうか。
 介護保険と医療保険との問題です。その辺は、老健局はどうお考えなのかをお伺いしたいと思います。
堤政府参考人 介護保険の施設の中の老人保健施設あるいは介護保険適用の療養病床、これは、老健施設は医師が管理者となっております医療提供施設でありますし、療養病床はまさに病院として、医療機関として医師が責任を負う、こういう体制になっております。
 そこに入っておられるのはもちろん要介護認定を受けた方でありますけれども、その施設あるいは病院の医療の提供能力の範囲を超えるような事態に入所、入院されている方が症状が悪化をするということになりましたら、それぞれ、よりふさわしい本来の医療保険の病院等に移っていただく。これは、その施設、病院の医師たる管理者の当然の判断として行われるということでございます。
五島委員 極めて当然のことです。
 したがいまして、六カ月を超えた方が社会的入院ではないかということで介護療養型の方に移されて、そして介護療養型へ移されて三月たった時点において、その患者さんが、改めて医療が必要である、すなわち介護の療養型ではだめであるという根拠を持って医療のサイドへ移ってくることは当然あるだろう。
 これは、現行の制度で、そんなこと、三カ月と言わず一カ月だって必要なんです。それを、三月入れればリフレッシュするということの根拠にはそれはなりませんよ。それは、明らかに病状が何らかの形で、介護の施設に置いたのでは無理だという根拠においてしか移れないはずです。
 もし、この問題が、介護の療養型病床が少な過ぎるから、そして、在宅に戻すにも戻せないお年寄りが多過ぎるからということであるならば、それはもう、あとは診療報酬の問題とそれから介護体制の問題。医療療養型病床を介護療養型病床に転換してもらうなり、あるいは診療報酬においてそことの整合性をとったものにしていくなり、対応策はあるはずです。なぜ、一たん介護判定して介護療養型病床でやっている人を、そのまま、何の前提状況もないままに、三月たてば医療療養型病床に移す、その場合はリフレッシュできますよと。
 このことについて、堤老健局長と大塚保険局長、一体、これについてどういうふうに両者の間で話し合いがついたのか、お答えください。
大塚政府参考人 先ほど老健局長からも御答弁申し上げましたし、先生からの御指摘のとおりでございますけれども、介護療養型病床に移られた方が、医療上必要が生じて医療機関に戻る、これは当然のことでございます。その点において、私どもと、当然のことではございますけれども、関連部局と何のそごもございません。
 結局、今回の御質問の趣旨は、三カ月でリフレッシュするというような、間があきますその趣旨は何かということに尽きるんだろうと思うのでございますが、ちょっともとに戻るようで恐縮でございますけれども、かつて、いわゆる社会的入院、これは最初は一般病床から始まった議論でございますけれども、この関連の中でたらい回し論が出てまいりました一つの背景には、いわゆる逓減制、診療報酬の逓減制という仕組みがたらい回しを助長しているのではないかという御議論がございました。今回、御案内のとおりでございますけれども、療養型病床につきましては、そうした逓減制を廃止いたしました。したがって、そういった形でのたらい回しを、それを少なくとも助長するような仕組みは解除したと考えているわけでございます。
 今回のいわゆる三カ月間介護型に入った場合の取り扱いのことは、私どもはこう考えておりますが、同一疾病で複数の医療機関を継続して経由する場合に、これは通算をいたします。これもたらい回しの防止にむしろつながるものというふうに我々は設計をしたつもりでございます。
 そうした場合に、介護型の療養病床に入られる方もございます。そういう前提で考えますと、原則は通算をいたしますが、三カ月あきますと、通常ですと、同一疾病で、一種のたらい回しというような形で三カ月を経過するというようなことは通例的にも考えられないというので、ひとつ、三カ月たてば、いわば大部分、少なくとも、レアケースはないとは言えませんけれども、新たな疾病が生じるとか別途の疾病になるか、それが通例考えられるケースだろうということで、そういう意味では、あえて通算をいたしませんという趣旨の規定でございますから。私どもは、それがたらい回しにつながるというのは、全体としては、何とかたらい回しと言われるようなケースを防止しようという発想で組み立てたものでございますから、御指摘の点が、もちろんフォローはしなきゃいかぬと思いますけれども、我々の発想からいたしますと、ちょっと、たらい回しを助長する仕組みというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
五島委員 二回目ですから同じことに余り時間をかけるつもりはなかったんですけれども、これが在宅なり他の施設にお入りになっているという場合、それは私も大塚局長の言うことはわからないわけではない。しかし、同一医療機関の中において、介護保険適用の療養型病床と医療保険の療養型病床がある。そして、医療保険適用型の病床に入っている患者さんを三月間だけ介護療養型病床へ移して、そうすれば、リフレッシュで、診療報酬の逓減なしにまた医療療養型病床へ移せるというのが今回の内容ですよね。これは一番たらい回しが起こるんじゃないですか。同一病院の中において、保険の間におけるたらい回しじゃないですか。
 そんなことなら、なぜそうするのか。介護療養型病床が圧倒的に不足しているのならふやせばいいし、特養や老健施設が足らないのなら、それはふやすしかないんじゃないですか。あるいは、そういうふうなことが緊急に対応できないとすれば、医療療養型病床でやったとしても、診療報酬上、介護療養型病床と同じような診療点数を決めて、あの特定療養費扱いとか、そういうとんでもないことを言わずに、きちっと整理すれば済んだことじゃないですか。これは医療費を抑制するどころか、逆に医療費をふやしながら、しかも原則をおかしくしているんですよ。こんなことをしながら、なぜ負担増を求めないといけないのか。
 再度、何か言い分がございましたら、大塚局長ばかり聞いてもしようがないので、堤老健局長の立場からも、この際に、介護判定についてはどういうふうに考えておられるのか、その点について、介護認定についてはどういうふうにされるのかということも含めて、お答えいただきたいと思います。
堤政府参考人 介護認定については、十五年四月から、新しい一次判定のソフトをつくって、痴呆の認定などの精度を上げようということでやっております。
 それと、今先生の御質問の中に、介護の基盤整備、介護の施設の整備、受け皿整備というお話がございましたけれども、それにつきましては、この医療病床等に六カ月を超えて入院をされておられる方の約四割が、福祉施設とか、福祉施設というのは特養、老健含むわけでありますが、そういう施設や在宅で対応可能ということでありますので、この四割という数字をもとに計算いたしますと、大体五万人程度。
 そこで、今、私ども、これはやはり施設を整備するということで、一定の計画、時間もかかりますので、国としては、五万人程度は福祉施設や在宅でも対応可能と言われるこの実態を踏まえまして、こういう方々を介護サービスで受け入れることができるようにということで、各自治体が平成十五年からの実施に向けて今策定の準備をしております第二期事業計画をつくる際の国の参酌標準、施設整備の参酌標準というのを示しておりますが、そこに、この長期入院の患者の部分を上乗せして計画的に整備をしてくださいということで、お示しをしたわけでございます。
 一応、これにのっとって各自治体で計画を進めていただくということになりますし、国としても、各自治体の計画がまとまれば、ゴールドプラン21を見直して、それに沿って自治体の取り組みを支援していきたいというふうに考えております。
五島委員 国民の負担に関係する問題で、そういういいかげんなことで悠長な話をしながら、負担増だけが先行するというのは、僕は納得されるはずがないと思います。
 ただ、時間がありませんので次の問題へ行きますが、先ほど土肥隆一議員から、何か医師である私としては、そんなことないぞと言いたくなるような御質問もあったわけですが、実は、これも前回も触れたわけですが、医療のIT化についてさまざま出ています。例えば、前回申しました電子カルテの問題、電子レセプトの問題について計画が出されています。
 ただ問題は、例えば、電子カルテの導入というのは、やはり数億かかりますよね。このコストは医療機関が、別に診療報酬で担保されているわけでも何でもありません、負担しなければいけません。しかも、今の電子カルテというのは、それぞれ帯に短したすきに長しというのを図に書いたようなものがありまして、どこの電子カルテのシステムを見ても、それぞれの医療機関にとってきちっとフィットしているものとはなかなかいかない。それから、どれかを導入したとしても、かなりそれの修理に金がかかる。こうしたものを導入していく。
 確かに、情報の開示、医療情報の開示ということを考えた場合、電子カルテというのは非常に大事な部分だろうと思います。ただ、それにはさまざまなインフラの整備が必要でしょう。電子カルテを導入していく、もしそうであれば、やはり基本的なソフトの開発を、つくって、そして、今は電子カルテなんて第一番目、二番目、三番目、大体五、六番目ぐらいになってきますと十分の一ぐらいの値段で導入できるというのは常識ですから、やはりその幾つかのモデル的な電子カルテというもののシステムを厚生省自身が発注されて、それを医療機関に売っていくなりなんなり、そういう形で導入のコストを削減する。補助金を出せばいいということじゃなくて、そういうふうな対応が必要だろう。
 また、レセプトの電算化につきましても、各院内における電算化はもうほとんど進んでいる。そうだとすると、これをまず支払基金の中において、これも申し上げましたが、レセプト審査の自動化、どこまでやるのか。高額の非常に問題があるところだけは引き出して審査に通すとしても、基本的にここまではもう機械審査でするとかいうふうなソフトの開発をどうするのか。
 そういうことが全然できない現状のままで、平成十六年度までにとか十八年度までにIT化しますと言っても、それは全く役に立たないもの、あるいはほとんど役に立たないものを医療機関に負担を押しつけるだけではないかと思うわけですが、その辺について、簡単に御答弁をお願いしたいと思います。
篠崎政府参考人 今、先生御指摘のように、電子カルテを導入する際の高額な費用が普及の障害になっていくのではないか、あるいはなっているのではないかという御指摘については、私どもも同じ認識を持っております。
 そこで、今まででございますが、平成十二年度、十三年度の補正予算ですとか、あるいは施設整備事業に電子カルテの導入の補助を行ってまいりました。また、今年度、十四年度には、電子カルテによる地域連携モデル事業などの普及を図りたいと思っておりまして、さまざまな施策は講じているところでございます。また、医療用語あるいはコードの標準化など、電子カルテの基盤整備を進めていく必要も感じておりまして、そういうところの事業も進めております。さらには、このIT化につきましては、コストが普及とともに低減するというようなこともございますので、産業界に対しても電子カルテ導入のコストの低減化を働きかけるなど、普及に努めているところでございます。
 ただいま先生御指摘の統一的なソフトの開発などにつきましては、これらの施策の普及あるいはそういう動向を見ながら、慎重に検討させていただきたいと考えております。
五島委員 そういうふうなものができない場合に、何か電子カルテだけを導入しろ、導入しろということでむだな経費を使わす必要はないだろうと思っておりますし、また、レセプトにつきましても、これをオンライン化するということであれば、当然セキュリティーの問題、情報のセキュリティーの問題が大事です。それは優先でやるのか。もしインターネットでやるとすれば、そのセキュリティーをどうするのか。こうした問題をやはり厚生省自身が責任を持ってきちっと対応すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 最後になりますが、時間がございませんので、これは大臣に、健康増進法についてちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
 伝染病が国民の健康の上で非常に大きかった時代、あるいは産業現場において労働災害や業務上疾病の対策が中心であった時代、その時代における健康管理、安全というのは、私は上からのそういう運動、対策で効果は出たと思います。しかし、今日の疾病状況、生活習慣病。職場においては、その生活習慣病を持ちながら一定の医学的な措置を含めたコントロールのもとで社会的には健康人として働いている労働者がふえてきている。あるいはメンタルヘルス上の問題や自殺といったような問題、そうした問題をたくさん抱えている。そういう時代における健康増進、健康管理あるいは疾病予防、そういうふうなものの対策というものが、上からの対策で果たして効果があるだろうか。
 私、日本の公衆衛生活動というのは、やはり、伝染病対策に出発をして、上からの対策でしかない。その名残をいつまでたっても断ち切れないなという思いを持っています。まさに、これからのそういう問題は、住民参加あるいは労働者参加の安全衛生活動というものが基礎になって、ボトムアップによって健康増進をしていくための活動ができてくる、そして、疾病予防の健康増進活動から、疾病コントロールによる社会的健康生活を確保していく、そういう時代にふさわしいシステムが必要なんではないかというふうに考えています。
 そういう意味で、もう一度この健康増進法の問題を見ていった場合に、健康21等の基礎となっておりますモントリオール宣言なんかを踏まえながらも、やはり、この健康増進活動というのは、何々はいけません、何々はどうでしょうか、こういうことをしてはいけませんという、上からの指導の体制の中でこの健康増進を確保できるという発想から出ていないように思われるわけですが、その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。これは、きょうは労働の方からはお見えになっていないようですが、特に職域の問題においてそうした問題を含めた対応が必要だと思っています。大臣の御意見をお伺いします。
坂口国務大臣 この増進法につきましては、今御指摘になりましたことは私も同感でありまして、いわゆる疾病構造がかなり変わってまいりました。大変変わってまいりまして、そして、生活習慣病みたいな慢性の疾患が中心になってきたわけでありますから、これはそれぞれ個々人が中心になって御努力をいただかなきゃならない、それぞれの家庭において御努力をいただかなきゃならない、そういう疾病構造になってきているというふうに私も思います。
 したがって、個々に皆さん方がそういう御努力をしていただくようにしなければならないわけでございますが、しかし、それならば国や都道府県はもう手をこまねいて見ていていいかと言えば、そうではなくて、やはり、そういうふうに皆さん方が、個々の皆さん方が御努力をいただきやすいような環境をどうつくっていくかということに努力をしなければならないというふうに思っております。
 家庭だけではなくて、労働職場というものもあるわけでございますから、労働職場におきましても、今までの、ただ単に健康管理、いわゆる今までの健康診断等をやっておればそれで済むというわけではありません。職場におきましても、お互いにどういう運動を取り入れていくとか、あるいはまたどういう食生活をしていくかといったようなことにつきましても、職場職場でそれはやはりおやりをいただかなければなりませんし、それに対します国としてバックアップをすべきものは何かということを考えていかなければならない、そういうふうに思っております。
五島委員 私は、そういうふうな法律になっているように実は思いません。
 問題は、例えば職域の中においても、かつての安全衛生から、例えば、本人の持っている疾病がその就労によって悪化することがないような使用者の安全配慮というものを、義務とするかどうかは別といたしましても、そういうことが実行できるような職場というもの、それをやはり労使の間で、きちっと安全衛生委員会なんかで話ができるというふうなことが一つは大事でしょう。
 また、地域におきましても、例えば日本にはCDCがないわけですが、感染症を中心としたCDC機能、つまりそうした疾病の監視システムというものを確立させていく。これを保健所の機能から切り離して、今日の時代にふさわしい、そういうふうなものをやっていくとともに、健康相談業務や安全衛生の地域における相談業務、そういうふうなものを保健所から分離して、保健所のそういうふうなものこそ、まさに地域の中できちっとやっていく。そういうふうなことが、実は今、システムの上において必要なんだろう。
 そうでない限りは、今回の健康増進法というのは、前も申しましたが、栄養改善法の焼き直しであって、本当の意味で今日において必要なものであるとは思えないということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
森委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十四分開議
森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。金田誠一君。
金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。前回、五月八日に質問をさせていただきましたが、それに引き続いて、今回、再度質問をさせていただきたいと思います。
 まず、前回申し上げましたことをかいつまんで整理をさせていただきたいと思います。
 総論として、我が国における構造改革の方向について、小泉総理や竹中平蔵大臣の進めている改革は、新保守主義の考え方により市場原理最優先のアメリカ型を目指すものである。しかし、この考え方は、ヨーロッパでは既に清算された時代おくれの路線であり、日本人の国民性からしても、本来目指すべき方向は生活の質に重点を置いたヨーロッパ型生活大国への道である、このように主張をいたしました。
 これに対して大臣からは、日本にふさわしい改革は日本型であるという趣旨の答弁があったと思うわけでございますが、その中身についてはまた機会を改めて掘り下げさせていただきたい、こう思います。
 また、医療保険制度の構造改革の方向、これについては、先進諸国の潮流は大きく分けてアメリカ型とヨーロッパ型があり、アメリカ型は選択すべきではないこと、さらに、ヨーロッパ型には税方式と社会保険方式があり、ドイツを中心とする社会保険方式がモデルになり得る、こう主張をいたしました。その上で、我が国とドイツの制度の比較を行い、社会保険方式を貫く基本理念を私なりに提示をさせていただきました。
 その後、大臣には、エージズムを排除する考え方、リスク構造調整の考え方について、塩野谷祐一先生の論文を恐らくお読みいただいたんではないかなと思うわけでございまして、感謝を申し上げたいと思います。
 また、保険者の役割が重要であるということについては、総論としては共通認識に立つことができた、こう受けとめております。今回、その中身について、さらに認識が共通することを期待いたしたいと思います。
 以上のような総論を踏まえ、各論にわたっては、具体的に三項目の提案をいたしました。
 第一は、いわゆる突き抜け方式、継続加入方式の採用でございます。第二は、保険者間のリスク構造調整の導入。そして第三は、マネージドコンペティション、社会保険という管理された制度の枠内における競争原理の導入でございます。
 いわゆる突き抜け方式の採用は、エージズムの排除という考え方に基づくものであり、高齢者を国保に集中させないことにより、リスク構造調整の導入と相まって、拠出金方式による老人保健制度の廃止が可能となります。リスク構造調整の導入は、社会保険方式において保険者が分立している場合は当然に導入されるべきものであって、医療保険制度の抜本改革、構造改革の最重点の一つになるべきものでございます。
 マネージドコンペティションについては、社会保険方式のヨーロッパにおいては、アメリカのマネージドケアと異なる形で競争原理が導入されており、失敗したアメリカ型のつまみ食いのようなことはするべきではない旨を指摘したところでございます。
 以上が、前回、五月八日の質問で申し上げました概要でございます。
 それに引き続いて、今回は、次の四項目について私の考えを申し上げながら、大臣に質問をしたいと考えております。
 その第一は、保険者の再編成について。第二は、患者一部負担のあり方について。第三は、中でも高齢者の患者一部負担のあり方について。そして第四は、社会保険の中の税の役割について。以上、四項目でございます。
 本来であれば、前回の三項目、今回の四項目などは、私の提案どおりになるかどうかはともかくとしても、政府として一定の考え方がまとめられて、この場に提案されるべきものであったと思います。
 ところが、今回の法案はそれを全く抜きにして、老人保健法の対象を七十歳から七十五歳に引き上げるなど、前回も申し上げましたが、まさに朝三暮四にすぎません。このような法案は速やかに撤回するか廃案にされるべきものであり、今必要なことは、本来の抜本改革、構造改革の議論でございます。そうした立場から、以下、順次質問をいたしたいと思います。
 まず第一点目は、保険者、保険集団の再編成についてでございます。
 前回の質問で提案した三項目の改革は、いずれも保険者が重要な役割を担うものとなることから、それに対応する保険者、保険集団の再編が必要となります。
 その場合の基本的な考え方としては、次の二点があると思います。競争原理、マネージドコンペティションを導入する場合、国や自治体が直接保険者であることは想定し得ないわけでございます。国が保険者になって競争原理なんというのは、国家権力を行使するということになるわけでございますから、これはおよそ想定し得ない。また、社会保険方式をとる諸外国においても、そうした例はおよそないと思うわけでございます。したがって、保険者は民営を基本とする、これが第一でございます。
 第二は、突き抜け方式の採用、リスク構造調整の導入、マネージドコンペティションの導入を行うに当たっては、適正な保険者の規模というものがあると思うわけでございます。したがって、統合や分割により、現在五千数百と言われている保険者数を十分の一程度、数百のレベルに再編成する必要があると考えます。
 こうした考え方について、大臣のお考えをまず伺いたいと思います。
坂口国務大臣 先日御質問いただきましたときに、塩野谷先生の論文を御引用になりまして、いろいろと展開をしていただきました。私も、そのときにこの論文をお読みしていなかったものでございますから、以後、論文をちょうだいいたしまして、そして読ませていただいたところでございます。読ませていただきました感想といたしましては、総論として申しますならば、大変理解できる内容であったというふうに思っている次第でございます。
 ただいまもいろいろの観点からの御質問があったわけでございますが、まず第一番目の、保険者をこれからどのように統合化をしていくのかという御質問であったというふうに思いますが、一応、現在五千を少し超える保険者があるわけでございまして、それを十分の一程度、五百程度というお話でございました。
 私も保険の統合化ということを主張いたしておりますが、現在、どこまでというところまで煮詰め切っていないところでございますけれども、今御主張になりました十分の一、五百というのは、一つの目標として大変参考になる御意見だというふうに聞かせていただいたところでございます。
 これから我々といたしましても、そうしたことを早急に煮詰めていかなければなりませんし、まず何年かかって大体どれぐらいの目標でということを決めなければならないというふうに思いますが、そのときに大変参考にさせていただける御意見であったというふうに思う次第でございます。
金田(誠)委員 もう一点、この保険者の再編成につきまして、民営が基本ではないか。政府管掌、あるいは国保は自治体管掌でございますが、こういう国家権力あるいは自治体権力がマネージドコンペティションの舞台に参入するなんということは、およそ本来あり得ないことではないか。諸外国においても、公権力がそのまま保険者になっているという例はない。保険者の役割を重視していただけるとすれば民営が基本である。この考え方について、いかがでしょう。
坂口国務大臣 政府管掌健康保険におきましては、大きい企業等で働いておみえになる皆さん方は組合健保にお入りになっているわけでございますが、そうでない皆さん方を中心にいたしまして、政管健保として、これは、国の方が行っている、国が保険者となりまして、全国一本という仕組みで運営をしているわけでございます。
 また、国民健康保険におきましては、市町村が実施主体として運営をしているところでございまして、そのために保険者の数は多数に上っているということでございます。これを今後どうしていくか、保険者というものを民間ベースにすべて整えることができるかということは、いろいろの角度から検討しなきゃならないというふうに思いますが、私もできる限りは民営化が望ましいというふうには思います。
 しかし、国保の場合など、今まで市町村がやっておりましたものを、さてうまく民営化ということにいくかどうか、これはよく検討しなきゃならないだろうというふうに思いますし、政管健保の方は、どちらかといえば国がやってはおりましたけれども、しかし民間の企業の皆さん方の保険でございますから、今後考え方は、民間の範囲の中でも、それは私は選択肢としてはあり得るだろうというふうに思っているわけでございます。
 問題は国保だというふうに思いますし、国保をどうするかということは非常に難しい問題でございますから、今御指摘いただきましたように、すべて民営化ということで私はここでお答えをさせていただくことはでき得ませんけれども、今後十分にそうしたことも検討に値するとは思っている次第でございます。
金田(誠)委員 それでは、具体的に聞かせていただきたいと思います。
 保険者の再編成の考え方について、私なりの提案を申し上げたいと思います。
 政府管掌保険、これは民営化が大原則だと思うわけでございます。労使の自治ということを基本にして、組合健保化するということでございます。保険者の分立という考え方に基づいて、原則として都道府県単位に分割をする、政府管掌保険は分割・民営、これが基本ではなかろうかと思うわけでございます。
 国保について、大臣はこれが一番心配とおっしゃったわけでございますが、規模の適正化という観点からして、三千二百数十の自治体がそれぞれ保険者なんというのは、およそ保険原理になじまない、考えにくい状態だと思うわけでございます。
 したがいまして、規模の適正化という観点からして、原則として都道府県単位に統合、国保組合化、これが一番なじむのではないかなと。現実に国保組合として運営されているところもあるわけでございますから、国保組合化はいかがか。あるいは独立行政法人化、あるいは公益法人化等々あろうかと思いますが、いずれにしても国保は統合・民営、これしかないのではないかと思うわけでございます。
 さらに、組合健保でございます。公務員共済などもこれに準ずると思うわけでございますが、このような、政管については分割・民営、国保については統合・民営、こういう流れがはっきりしてくれば、必然的に適正規模に向けた統廃合が図られてくるということを期待したいと思いますし、そういう誘導措置は十分に可能ではないか、こう思います。
 その場合、全国規模で一本になって統合される組合健保、こういう組合健保もあれば、都道府県単位、地域単位で統合されていくというものもあろうかと思いますが、いずれにしても、自主性を尊重する、これが組合健保などについては基本原則ではなかろうか、こう思います。
 前回の質問で申し上げたんですが、保険者機能をきちんとつくり上げていく、その保険者同士のリスク構造調整をやる、保険者同士がその優劣を競い合うマネージドコンペティション、さらに、将来的には、被保険者が保険者を選択できるシステム、こういうものもモラルハザードを防止しながら考えていく。ここが非常にポイントになるわけでございます。
 この保険者の再編成というのは、ただ単に再編成すればいいというものではない、そういう目的があって、理念があって再編成をするものだということを、ぜひ大臣御理解をいただいて、今の私の提案に対する御見解を伺えればありがたいと思います。
坂口国務大臣 国保につきましては、午前中にも申しましたように、三千人以下のところがもう三十数%になっているわけでありますので、そういう小さな保険者ではなかなかこれから維持できないのではないかという気もいたしますし、統合化を目指すべきだというふうに思っております。
 さて、そのときに、その大きさをどうするかというのは、これまたいろいろの議論があるところでございますが、その中の選択肢の一つとして、今御指摘をいただきましたように、私は都道府県単位というのも一つの選択肢だというふうに思っておりますし、その中でも有力な選択肢の一つだと思っているわけでございます。
 しかし、同じ都道府県と申しましても、東京都のように非常に大きなところがございます。こうしたところが果たして一つでいいのかどうかという議論は起こってくるだろうというふうに私は思っております。小さな県も一つ、東京都のような大きなものも一つということでいいのかどうかというような議論は起こってくるだろうというふうに思っておりますが、まあ、大きさとしましては、都道府県というのは、一つの選択肢、有力な選択肢ではないかというふうに私も思っております。
 それで、もう一つの方の、政府管掌健康保険の方でございますけれども、これは午前中にもいろいろ御議論ありましたとおりでありまして、なかなか分割をすること自体に反対の御意見も、正直なところあるわけでございます。ですから、一足飛びにこれを、その大きさをどれぐらいというのを今申し上げるのは、少し先走り過ぎではないかという気もいたしますが、しかし、政管健保は全国一律になっておりまして、全国一律になっておりますがゆえに事務費は非常に少ない事務費で今運営されていることだけは間違いない。組合健保全体の事務費の額あるいは国保全体のそれに要します事務費の額と比較をいたしましたときに、政管健保は一つでありますがゆえに非常に効率的であることは間違いないと私は思います。
 しかし、それでは、一本であることが望ましいかといえば、いろいろ御議論の出ておりますように、一本であるがゆえに競争原理が働かないといったところがございまして、もう少しやはり競争原理が働くようにした方がいいのではないかという御意見があることも、よく承知をいたしております。
 私も、少し競争原理が働くようにした方がいいのではないかというふうに思っておりますが、では、その大きさをどの単位にするかということにつきましては、まだ私も結論を出すところまで至っておりません。まあ、八つか九つかの、いわゆる大きい地域別がいいのではないかという御主張もございますし、今お話のございましたような都道府県がいいのではないかというような御主張もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、御参考にさせていただきながら、私もこれから詰めを行いたいと思っております。
金田(誠)委員 大臣、誠意ある御答弁をいただいたと思うわけでございますが、実は今回のこの国会の場というのは、本来であれば、そういう保険者のあり方なども含めて法案が提案をされて、それが私の言ったとおりの法案かどうかは別にしましても、そういう抜本改革の議論をする場でなかったでしょうか。既に制度企画部会などではこうした議論が再三繰り返されていた。それが一年、二年ほど前にどこか横に置かれて、そしてこういう形になってきているわけでございます。
 それで、今、附則の中にいろいろなことがうたい込まれて、一年程度の間には方向づけをすると。もう決断の時期なんだという今国会であるとすれば、今、大臣、大変親切に御答弁はいただいたと思うわけでございますが、そういう考え方もある、こういう考え方もある、しかしこういう反対もあり、こういう考え方もある、いずれにしても参考にしますでは、これは議論になっていかないのではないでしょうか。
 私は、保険者の再編成と申し上げた場合、全体の構造改革として、抜本改革として、一方の当事者である保険者の果たす役割が中核に据えられなければならない、そこが非常に重視されなければならない、その中で、保険者同士の競争原理もあるでしょうし、医療提供側との緊張関係をつくっていく、その当事者としてふさわしい規模、そして運営形態、官か民かということも含めて、そういう構造があるのではないかと。
 前回もこれはもう申し上げていることでございますけれども、その上に立って、例えば具体的にはということで問題提起をしているつもりでございます。この物の考え方自体、大臣まだ、大臣として整理できない状態でしょうか。保険者機能はどうあるべきなのか、その場合には官なのか民なのか、規模としてはどの程度なのか。
 フランスなどは非常に少ないようでございますし、ドイツなどでは二百数十とか、東ドイツを入れると今度はもっと多いんでしょうか、四百とかなるんでしょうか。いずれにしても、多くてもそのぐらいです。だからこそ、リスク構造調整なども、技術的にも割と可能になってくるんでしょう。
 きちんとした保険者機能を持って、被保険者の代弁者として、医療提供側に対して医療費の適正化あるいは医療の質の向上、こういうことが当事者としてきちっと担い得るものになるのではないでしょうか。
 構造改革という観点から保険者の再編成ということで問題提起をいたしているものですから、もう少し忌憚のないところ、私の考えが違うなら違うで結構でございます、そういう忌憚のないところをお聞かせいただけませんでしょうか。
坂口国務大臣 決して違っておりませんし、方向性は私もそのとおりというふうに実は思っているわけでございます。したがいまして、現在、五千に分立をいたしております保険者を統合化していく、これはどうしてもやらなければならないことだというふうに思っているわけであります。
 目標を、どの程度のことを目標にして、何年かけてやるかといったようなことにつきましては、現在鋭意やっているところでございますが、先ほどお示しになりました、十分の一というのを一つの目標にしてはどうかというお話でございましたから、私は、非常に参考になる御意見だということを申し上げたわけでございます。
 また、国保あるいはまた政管健保といった、今まで国の方があるいはまた地方自治体がやっておりましたものを民営化していくということにつきましても、競争原理を働かそうとすればやはり民営化が好ましいというふうに、私も率直にそう思っているわけでございます。
 そうした意味で、民営化もいろいろでございまして、最近のように、独立行政法人のような形もございますし、さまざまな形の民営化というのもあるわけでございますから、その度合いというのも、これはいろいろあるというふうに私は思いますけれども、今までの健康保険組合といったのも一つの、それはもうそういう方向に来ていたわけでございますから、いろいろの色合いはございますけれども、競争原理を働かそうとすれば、やはりそうした選択というのはとっていくべきだというふうに私は思っておりますが、そこのところは、しかし最終の詰めをこれからやらなければならないところであるということは、ひとつ御理解をいただきたいというふうに思っております。
金田(誠)委員 わかりました。考え方としては共通をするんだなということで受けとめさせていただきます。
 私も、例えば東京都のような大きいところ、あるいは島根、鳥取のようなところ、これがどちらも一県一単位でいいのかというと、これはいろいろなバリエーションがあってしかるべきだと思っております。
 しかしながら、政管については全国一本、こういう中で、運営主体は国でございますから、これが保険者機能を発揮しようものならまた大変なことになるでしょうし、対等な競争要件にならないわけでございます。したがって、今は、申しわけないのですが、ほとんど保険者機能らしい機能は発揮をしておらない。
 表面的に見た事務費、そのスケールメリットというんでしょうかね、それが働くのかどうなのか、私は余り定かでございません。常識的に考えると、スケールメリットが働くと思うわけでございますが、国が主体ということになりますと、大きいことは必ずしもいいことになっているのかどうなのか。つぶさに内容を比較しながら判断をしなければ、今大臣の御答弁、にわかにそのとおりだなという賛同はしかねるわけでございます。
 問題は、そういうスケールメリットよりも何よりも、事務費が多少高い低いよりも、保険者間の、保険者同士の競争関係、あるいは医療機関との緊張関係、これが保険者機能の重視ということでは最も大きなポイントになるという観点からの問題指摘でございますから、ぜひそうした点をお考えいただきたいもの、こう思うわけでございます。
 それでは、次の項目に移らせていただきます。次は、患者負担のあり方についてということでお尋ねをいたします。
 患者負担をどのレベルに設定するか、逆に言うと、保険によるシェアをどのレベルにするかということは、その人の哲学があらわれる、こう思うわけでございます。
 報道によれば、小泉総理は、患者負担を二割から三割に引き上げることが構造改革だと考えているようでございます。その理由は何なのか。保険ではなくて自己負担にすることが改革だと言っているようでございますけれども、私にはこの意味が余りよく理解できないわけでございますが、この理由は何なのか。大臣、もし御存じであればお聞かせをいただきたいと思います。
坂口国務大臣 総理も、三割、高ければ高いほどいいというふうに思っておみえになるわけでは決してありません。
 医療費が高騰いたします中で、いかに抑制をいたしましても、この医療費がふえてくることは避けられない、高齢化のことを考えますと避けることはでき得ません。その中で、そういたしますと、いわゆる保険料を引き上げるか、それとも自己負担をふやすかといった選択に今迫られるわけでありまして、現在の若い皆さん方のことを考えましたときに、今までにもかなり御負担をいただいているわけでございますから、この保険料をこれ以上余り大きくここだけで引き上げていく、保険料だけを引き上げていくということはやはり避けなければならないということを御主張になっているんだというふうに思います。そういたしますと、自己負担にお願いをする以外にないということだろうというふうに思います。
 ただし、自己負担につきましては、三割ではありますけれども、既にもう三割のところも今まであるわけでございますし、御家族のところも三割御負担をいただいているわけでございますから、既にこの三割というのはあったわけでございます。御本人を三割お願いをするわけでございますが、しかし、個々人が軽い病気におかかりになりますときにはそれは三割だけれども、トータルでこれを見ましたときには二割以下に抑えられているということで、社会保障としての原理は十分に働いているという御主張ではないかというふうに私は受け取っております。
金田(誠)委員 保険料か自己負担かどっちかしかないわけですね。その場合に、自己負担をどのレベルにするのか、保険料をどのレベルにするのか、諸外国ではどういう形になっているのか、それらを勘案しながら最終決断をしていくもの、こう思うわけでございます。
 そうした中で、三割に自己負担を上げることを小泉さんは選択をされた。新聞報道などでは、随分こだわっておられたようでございますね。この意味は何なのか。今の御説明では十分理解しかねますものですから、それらを解明するという観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 私は、患者負担がなぜ必要かといえば、患者と医療提供側の双方にとってモラルハザードを防止するということが最大の理由であろうと思います。ただだとなれば、薬を処方する方にしても、多少念のためとかということで処方するかもしれません。あるいは、病院にかかる方にしてみても、ただだとなれば、これはまた多少念のためということもあるかもしれません。そういうことで、ぜひとも必要なものに絞って医療サービスの購入をするという観点からすれば一定の負担は必要だ、私はこう思っております。
 しかし、それは高ければいいとかというものではなくて、モラルハザードを防止するということのためにどのレベルが適正なのかという観点で考えればいいんではないのか、こう思うわけでございます。
 そうであれば、モラルハザードの防止を実効あるものにする負担割合というのは、私は、エージズムの考え方をとらないという大前提で申し上げるとすれば、高齢者も現役世代もともに一割負担程度、こういう形で十分ではないのか。それは、医療費総額に対しては一割以下、高額療養費その他で一割以下に、大臣おっしゃるように、なるわけですね。
 このレベルというのは、ドイツが今六%と言われておりますけれども、そのレベルぐらいかなと。その程度でいいのではないか。それ以上自己負担にかぶせる必要はないのではないか。モラルハザードを防止するということが最大の目的であって、これしか目的がないと言ってもいいくらいの重要な要素だとすれば、ドイツ並みの自己負担、これでいいんだと私は思うんですが、いかがでしょう。
坂口国務大臣 ここは、保険料でいくか、あるいはある程度自己負担をお願いするかという、これはもう選択の問題だと思うのですね。確かにドイツは六%ぐらいだったというふうに思いますが、しかし保険料の方は一四%ぐらいだったというふうに思いますね。今度我々が皆さん方にお願いをしておるのは、八・二%ぐらいお願いをしたいというふうに思っているわけですが、ここがドイツの方は一四%を保険料では負担をしているわけですね。
 そういうふうに、それだけの保険料は負担をしても病気になったときの自己負担は減らした方がいいのか、それとも、それぞれが健康管理には気をつけていただいているわけですから、それでもなおかつ病気になられたときにそれ相応のやはり御負担はいただく、軽い病気のときにはどうか三割出してくださいよ、そのかわり、重い病気になったらそれは一割でも結構ですよ、あるいは〇・五%でも結構ですよという形にした方がいいのか。これは、私は選択の問題だと思うわけです。
 現在の八・二%でもなかなか、保険料として毎月々そんなに病気もしないのになぜ払わなきゃならないのという御意見もあるわけですね、お若い皆さん方。だから、その辺のところをどの選択をするかということでございまして、私たちは、軽い病気は三割、これはもう申しわけないが三割、しかし、重い病気はその上限がありますから、うんと割合は下がりますというのは、いわゆる社会保障、社会保険のリスクの分散という立場からして、これは私は、一つの選択ではないか、この選択はそんなに間違っていないのではないか。しかも、現在だけではなくて将来の皆さん方のことも考慮に入れれば、ひとつ現在の皆さん方にも御理解をいただかなければならない部分があるのではないか、そんなふうに実は思っている次第でございます。
金田(誠)委員 大臣の答弁は誤解を招くと思います。
 確かに、ドイツの保険料負担は総報酬制で一三・八、約一四%だと思います。これに対して日本の保険料、今は標準報酬制でございますが、総報酬制に直すと七・五%。一四と七・五ですから、かなり違うということを大臣は引き合いに出されたということでございますが、ドイツはGDPに占める医療費の割合が一〇・六%、日本は七・六%、ここでもうはっきり違うわけでございます。それと、ドイツは医療費の中に公費を入れていない、保険だけでやっている国でございます。日本は公費負担というものがあるという中で、ドイツの保険料が高く出てきているわけでございます。
 その数字を挙げられて、私が言っているようにドイツ並みの自己負担にすれば、あたかも保険料もドイツ並みになるように聞こえるわけですよ、大臣の御答弁ですと。そういうおっしゃり方というのは誤解を招くのではないか。そもそも医療費が高い、そして公費というのを全く入れずにやるとこんなふうになっているということでございます。
 したがって、今考えるべきことは、今、自己負担三割にするという形の中で保険料負担を考えているわけですけれども、その自己負担を二割のまま、あるいは一割に落としたら、その場合、日本の保険料負担はどうなるのか。それに対して、二割負担、三割負担ということで上げていくのがいいのか悪いのか。そういう数字を示して答弁をしていただかないと、ドイツの一四%というものを出してもらうと全く誤解を招くということを指摘しておきたいと思います。
 そこで、私が今大臣に聞きましたのは、ドイツ並みの保険料負担がいいか悪いかということを聞いたわけではなくて、自己負担の目的はモラルハザードを防止するということではないですか、それにとって必要なのは、ドイツ並みの自己負担があればモラルハザードの防止は可能ではないですかということを私はお聞きしたわけでございます。数字については、この一四というのを根拠にしてやりとりしても意味がないと思いますので、これについてはちょっと横に置いておきたいと思います。
坂口国務大臣 自己負担というものがモラルハザードを防止するというその御趣旨、その側面も私は否定いたしません。それはあるだろうというふうに思いますが、しかし、私はその前に、社会保障の一つの考え方として、お互いにリスクの分散はいたしますけれども、しかし、リスクに直面をいたしましたときには、個人もある程度は負担をするという前提の社会保障制度というのでなければ、これはやはり、お互いにそれこそ努力もしないということもあり得る。これは、自分は病気をしないでおこうという努力も必要でありまして、そのためにはやはり、自己負担というのもある程度はやむを得ない。全体としてのモラルハザードをおっしゃいましたけれども、私は、そういう意味でのモラルハザードもあるというふうに思っております。
 そのときに、それは二割がいいのか三割がいいのかということは議論があるところだというふうに思いますし、財政事情も私は影響するだろうというふうに思いますけれども、しかしその中で、すべての病気に対して二割負担とか三割負担というのはやはり避けなければならない。風邪を引いたのと、がんになって手術をするのと同じにはならない。がんになって手術をするというようなときには、それは一割も困りますから〇・五%ぐらいで勘弁してくださいよということにやはりしなければいけない。しかし、軽い病気のときにはやはり負担をしますというふうにして、そしてやっていかないと、医療保険というのは維持できないのではないか。三割、二割という議論はあることは私も十分にわかりますけれども、社会保障のあり方として私はそうあらねばならないというふうに思っている次第であります。
金田(誠)委員 大臣の御答弁ともちょっと思えないですが、個人負担をある程度のレベルにしておかないと、健康管理だとかそういう面で努力をしなくなると。これは、人間ってそんなものでしょうか。二割負担を三割負担にすれば病気にならないように努力するかというと、大臣、もし後でこれはちょっと言い過ぎたなと思われたら訂正していただきたいですし、そうでもないと思うのなら訂正されなくても結構ですが、私は非常に残念でございます。
 そういう大臣の話もありましたが、私は、小泉総理は実は違うことを考えているのではないかなというふうに思っているんですよ、大臣とは違うことを。今出てきているのは三割負担、それから前から出てきているのが、高額療養費を引き上げるというのはもうずっとやってきましたよね。私は、高額療養費を上げるというのは邪道だと思っているんです。ましてや所得によってこれを変えるなんというのはとんでもない。所得によって、高い人は保険料も高いわけですからこれはとんでもないと思っているんですが、やられていることは、三割負担、高額療養費の引き上げ、そして今度は特定療養費の拡大。それも、先端医療だとかこれはまだ保険に取り入れるのは難しい、その分を特定療養費というのはわかるんですが、お年寄りが六カ月入院したら特定療養費だとか、五島先生の方も午前中その辺を指摘されておりましたけれども、こういう形で、要は自己負担の大幅な引き上げという方向に向かっている。モラルハザードの防止なんということ以外に目的があるとしか思えないんです。
 ましてや、大臣がおっしゃるように、ある程度負担をしてもらえば病気にならないように頑張るだろうなんということを小泉さんが考えているとは到底思えない。私が推測する小泉さんの目的は何だといえば、私はこう思っているんですよ。小泉さんは、社会保険の守備範囲を縮小するということが一つ。こうなりますと、社会保険の守備範囲が狭くなると、その残った部分をカバーする民間保険、この商品が開発されますよ。それで民間のビジネスチャンスを生み出そう、こういうのが一つ小泉さんの目的。竹中平蔵さんとか経済財政諮問会議、大臣も結構やり合っておられましたけれども、あの方々が考えているのではないか。これが一つ。
 二つ目は、同じくこれによって事業主負担を軽減する。大臣、保険でシェアする部分を少なくしていくと事業主負担が減るわけですよ。個人負担は全部個人ですから、事業主負担というのはないでしょう。これで事業主負担を軽減しようというのが二つ目。
 さらに、できることなら受診抑制効果をねらう。この受診抑制効果というのは後で結局高いものにつくと私は思っているんですけれども、小泉さんが考えているのはこの三つではないですか。大臣が言っていることと違うのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
坂口国務大臣 私も、総理の心の中をのぞいてきたわけじゃございませんから、そう見てきたようなことは申せませんけれども、私が申し上げましたことで大体間違いないというふうに私は思っています。総理も、三回にわたりまして厚生大臣をお務めになったわけでございますから、皆保険制度を維持しなければならないということは百も承知の方でございます。
 したがいまして、経済財政諮問会議は、それはいろいろな御意見をおっしゃるだろうというふうに思いますし、既におっしゃっていると私も思っております。しかし、そのことをそっくりそのまま受けて総理がお考えになっているとは私は思っておりません。現在我々が進めようといたしておりますのは、皆保険制度はあくまでも堅持をする、将来ともに堅持をする。将来ともに堅持をしたいがゆえに、現在、何をどう変えるべきかということを議論しているということでございまして、もし万が一にも総理が御指摘のようなことを考えておみえになったといたしましても、我々は、この皆保険制度は守りたいと思っているところでございます。
金田(誠)委員 大臣、皆保険制度を守ることと自己負担をふやすこととは、何もイコールでも何でもないんですよ。大臣がさっきおっしゃったように選択の問題なんですよ。保険料部分でシェアをしていくか、自己負担部分で出すか、どっちにしたって出すわけでしょう。そして、自己負担をどの程度にセットするかは、モラルハザードの防止ということでいいんですよ。それを、あえて今のような三割負担、高額療養費の引き上げ、特定療養費の拡大、こういうことをやっていっているということは、どうおっしゃろうが、実際今申し上げた社会保険の守備範囲の縮小、事業主負担の軽減、受診抑制効果、これしかないということを再度申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、次の質問でございますが、経済効率の面からいえば、社会保険一本でリスクをシェアする方が、さまざまな自助努力を組み合わせるよりも効率が高いというふうに私は思います。そういう観点の論文等もあると思います。万が一の病気に備えて個人負担分を自己責任でやっていく。これは、将来病気になるかどうかもわからないわけですから、最悪の事態に備えなきゃならない。必然的に、預金も高いものを蓄えておかなきゃならない。民間保険に入るにしても、どういう病気になるかわからないわけですから、ということで効率よくないんですよ。
 こういう論文の一節なんですが、旧来、社会保障というものは、公平性の観点からの制度であり、市場経済の効率性とは対立するものとしてとらえられてきたが、近年ではイギリスなどを中心に、特に情報の非対称性から帰結する市場の失敗に着目し、そうした市場の失敗を是正するシステムとして、つまり効率性の観点からの社会保障の意義を論ずる傾向が強くなっているということです。
 これは、常識で考えたってそうですよ。自己負担をどんどん拡大していって、病気になったら特定療養費だ、高額療養費だ、こういう仕組みをつくっていけばいくほど、自己防衛しなきゃならないわけですよ。それよりも社会保険一本でシェアするのとどっちが効率いいと思いますか。常識的に考えてもそうだ。この効率性の観点ということでの検討なんかはきちんとされているんでしょうか。
坂口国務大臣 そこは私は、少し異論がありますね。自己負担を少なくして、そして、すべて保険料で見ていくということにした方が効率性がいいとは私は思いませんね。やはりある程度の自己負担があるということの方が、緊張感があり、その方がより効率的になるというふうに私は思います。その辺のところの効率性という問題、これは経済効率だけの面からのお話だろうというふうに思いますが、それは、経済効率の問題も医療の場合には確かに考えなければならない。それで、経済効率の問題は、私は、ある程度自己負担をすることの方が経済効率はあるというふうに思います。
 しかし、もう一つ医療の面で考えなければならないのは、医療の質、医療そのものの効率をよくしていかないといけないということでございますから、その点を考えますと、しかし、この自己負担というのにもおのずから限界があるというふうに私は思っております。したがいまして、それは一つの、三割を限界だというふうに申しておりますのは、そういう意味から申し上げているわけでありまして、この二つの効率をうまくかみ合わせていかないといけないというふうに思っております。
金田(誠)委員 あと一問、だめですか。済みません。
 大臣、私は、自己負担を全くやめろなんというのは全く言っていない。例えば、一割自己負担と三割自己負担とどっちがどう効率的なのか。具体的に数字の問題として、きちんと検討していただきたいということを申し上げたわけでございます。
 中途半端になりましたが、時間が参りましたので、これで終わります。
森委員長 次に、佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 本日は、前回、前々回の委員会の引き続きということでの質疑をさせていただくつもりでおりますが、きょう午前中からこの委員会の質疑をずっと聞いていまして、非常に疑問に思ったことが幾つかございます。私も、まだ一回生ということで、まだまだ未熟なところ、またわからないところがございます。大臣、副大臣、政務官、先輩議員として、私にいろいろと教えていただけたらありがたく、お願いいたしたいかと思います。
 まず最初に、これは金田委員からもございました。まさに保険者機能ということでの問題提起があった。でも、そこに問題提起の根底には、やはりこの委員会や議会の運営の仕方の問題点を私は強く先ほど感じました。多分この法案、多分というよりも、間違いなくこの法案を成立させるべく、大臣、副大臣、政務官は御覚悟を持って、腹を持ってこの委員会に臨んでおられると思いますけれども、大臣にまず最初にお聞きしたいのは、今国会中にこの法案を成立させるつもりでやられているのかどうか、お答えください。
坂口国務大臣 決定をしていただくのは議会であり委員会でございますけれども、提案者の立場といたしましたら、出します以上は、それは当然のことながら、国会の期間の中に御審議をいただき、そして御賛成をいただけるようにしたい、そういう決意で出すのは当然でございます。
佐藤(公)委員 だとするんであれば、私がこの委員会、議会のあり方で非常に疑問に思っていることは、この法案を仕切り直し、またおろす、やめる、最悪の場合というか、修正ということも含めたことをするには、大臣自身、どういった環境、どういった条件、どういった前提があったら、考えるお気持ちを持っていただけるのか。具体的にわかれば、お答えを願えればありがたいと思います。
 ただ、このほかにも、もう一つ答え方があります。どんな条件であろうが、どんな前提であろうが、国民がみんな反対しようが、私はこれを通しますと。つまり、どんなことを委員会で言い合おうが、どんなことを話し合っても、これは通しますと。つまり、最終的な期限切れという時間的問題を除いては、これは考え直すつもりはありませんとおっしゃられるのも一つの答えだと思います。大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 先ほども申しましたとおり、提案をさせていただきます以上は、それだけの自信を持って臨んでいるつもりでおります。
 したがいまして、この提案をさせていただくに当たりまして、それは自己負担をふやさせていただく、あるいはまた、保険料をふやさせていただく、あるいはまた、医療機関に対しましては診療報酬の引き下げをお願いするということでございますから、現在の皆さん方から見れば、だれも喜んでいただけない法律であろうということは十分に存じ上げながら、しかし、日本の将来を考えましたときに、私たちの子供や孫の時代のこともあわせて考えましたときに、現在行わなければならない法律であるという決意のもとに、ここに出させていただいているわけでございます。
 したがいまして、現在の皆さん方からいろいろの御批判がたとえあったとしても、将来これならば安心だという、将来も見てそのことを御理解いただける人があるとするならば、それは私は、ひとつ賛同をしていただけるのではないかと思っている次第でございます。
佐藤(公)委員 今のお答えを、ここの皆さん、委員の方々が聞いて、だれも納得できないと僕は思います。将来におけるビジョン、目的、目標、青写真、そして、国のためになる、国民のためになる、ひとりよがりの御答弁のように私は感じます。
 もう一度聞きます。
 どういった環境、どういった前提があれば、大臣、この法案をおろしていただく、もしくは大胆な修正をしていただけるのか、その具体的なことをお答え願えればありがたいと思います。今の御答弁ですと、もうどんなことがあっても、話し合ったって、これは時間切れということ以外、それ以外はこの法律は廃案もしくはなくなるということはありませんよというふうに私は受け取れますけれども、まさにそれでよろしいんでしょうか。
坂口国務大臣 それは、提案をしている私でございますから、それだけの自信を持って提案をしていなければ何にもならないわけであります。何のためにここにおるかわからないわけでありまして、そういう意味で、この法案は、現在の皆さん方にとりましてはいろいろの御批判はあるかもしれない、それは値上げになるんですから御批判はあるかもしれないですが、医療の将来を考えましたときに、この少子高齢化社会の中での医療制度を考えましたときに、私は、最後には御理解をいただけるものと思っているわけでございます。
佐藤(公)委員 きょう、傍聴者の方々もいらっしゃいますので、よく聞いてください。
 こういうことなんです。だれが何と言っても私がここで言いたいことは、議会の運営のあり方ということも皆さんに問題提起をしているわけです。私たちが、だれが見たってこれはおかしいじゃないかと思う部分というのはみんな認めているはずです。一九九七年のときの厚生委員会からの経緯、経過、おかしいことがこれだけ出ているのに、まだそれでも、直す気持ち、おろすつもり、そういったところの余地はないというふうに突っぱねられているんですよ。僕は、やはりこの委員会のあり方も、また国会のあり方も、私たち政治家がもっと考え直さなきゃいけない部分だとも思います。
 私は、そういう気持ちでまた引き続き質問させていただきますが、先ほど大臣も少子高齢化ということをおっしゃいました。私、マスコミ、メディア、テレビを見たり新聞を見たりする中で、二点の点、こういう事実が本当にあったのかどうか、大臣に確認をさせていただきたい。
 まず第一点は、残業対策ということにおける大臣のお考えの中で、残業対策、早く家に帰れるということで、これが少子高齢化、少子化に歯どめをかける一つの要素であるという御発言があったということが一つ、もう一つは、このまま、年金再計算、いろいろなことが出ておりました、民族の滅亡だ、滅亡するということをおっしゃったこと、この二点は事実でしょうか。
坂口国務大臣 事実でございます。
 まず第一点の問題は、やはり少子化対策というのはお金をかければできるというだけではありません。これは、保育所の問題でございますとか、さまざまな問題の解決を、制度の改正をやらなければならないというふうに私は思いますが、それだけではいけないので、いわゆる日本人の生活のあり方というものをもう少し考えていかなければならない。今のように、もうとにかく働き続けて、これは仕事中毒だというふうに言われるような状況の中で生活ができるというのでは、これは、子供を産み育てるということはできないだろうというふうに私は思います。
 したがって、もう少しゆとりを持って、みんなが早く家に帰る、仕事を終わってもなかなか家に帰らぬのもおりますけれども、それは別にいたしまして、とにかく早く家に帰る、そして家庭の人になるということがまずこの少子化対策として基本的なことだと私は思っております。
 そうした意味で、私は、この厚生労働省も、十時になっても十二時になっても電気が消えないというようなことではいけない、時間外労働というものの取り締まりをしているこの省が、みずからがやはり手本を示さなければならない、もっと効率的に仕事をしなければならないということを私は提案したわけでありまして、そのことが各省庁に広がっていきますことを私は期待しているわけでございます。それが一つ。
 それから、もう一つ、現在の合計特殊出生率は、もう低位で見ましたら一・一になってきておる、東京都は一・〇に近づいてきております。これで計算をしていきますと、理論的には日本民族は滅亡することになってしまうと私は思います。計算もいろいろでございますけれども、ある人が計算しましたら、千五百年先には日本人は二人になると計算した人がおるそうでございまして、そんな計算もあるぐらいでございますから、それは、この現在の合計特殊出生率が一・〇に近づいていくということは日本民族の滅亡に結びつくと私は考えておりまして、そう申し上げた次第でございます。
佐藤(公)委員 民族の滅亡というのは大変な事態です、大変な事態。
 私が言いたいことは、この残業のこと、これも大事なことかもしれません。民族滅亡、本当に大きな問題。私が大臣に言いたいことは、考えていることとやっていることと言っていることが何かすべて違うような、つまり、民族滅亡という本当に大きな問題というふうに意識をお持ちになるのであれば、抜本改革、まさに先ほどおっしゃられたように、その仕組み自体、生活そのものを変えていくぐらいの大問題だということですよ。もしもそれだけの御発言と意識を持たれるのであれば、今回のこんなようなことはないと僕は思いますね。
 やはりそれだけの抜本的な改革を、たとえ一年、まさに大臣も一九九七年の委員会でもおっしゃいました、二カ月、三カ月おくれたからといってそんな支障はないと思いますというふうに大臣は委員の立場でおっしゃいました。たとえ一年、二年借金しても、民族が滅びるか滅びることがないか、こういった状況の大きな問題点、問題意識だとすれば、まずはやはり抜本改革をきちんとしていくべき、これが筋論だと思います。
 こういったことを一つ一つ見ていると、本当に政府に対して、今、与党に対して、政治家としてだけじゃなくて国民の一人として、やはりますます不信感を抱くのは当然だと私は思うんですね。
 少子化もしくは少子高齢化という問題点においてなんですけれども、私は、この件に関して、大変申しわけございません、少子化に関して大臣、副大臣にお聞きするつもりは毛頭ございません、やはりこれからの時代、そして私たちの時代を担うべく、そしてまさに当事者本人であられる政務官。
 この少子化ということに関して、今の大臣の御発言、本当に今の日本全体の問題点、これは、本当にまじめに聞いてください。自分たち、同じ世代ということでございます、若い人間が一体全体なぜ子供を持たないのか、持とうとしないのか、また、持てないというケース、私は、そのケースかと思います、そういうケースがございます。そういうことの意見や問題点をどのようにとらえて、どのようにお考えになられているのか、これはわかりやすい言葉で話をしていただきたい。きょう、傍聴人の方もたくさんいらっしゃる。例えば政務官の同じ世代の人間がなぜ子供を持てないのか、率直な意見ですよね、教育費の問題、経済的な問題、家庭の問題、住宅の問題、親との問題、そしてわがままの問題、心の問題、ゆとりの問題、いろいろとあると思います。率直に政務官の言葉で、感じるままで話をしてみてください。
田村大臣政務官 御指名ありがとうございます。
 同じ世代でございまして、私は、先生の年下、後輩に当たるわけでありますから、そういう意味では、最も子供を産む世代に近いのかなと思うわけでありますけれども、いろいろな考え方といいますか見方によって少子化の問題をとらえることができると思うんです。もっとも、地球規模でいいますと、年間七、八千万人ぐらいふえているんですかね、人口が。そういう状況ですから、エントロピーの増大という言い方をすれば、減るところがあってもいいんじゃないか、この地球では人類がもたないよ、こういう議論もあろうと思います。
 しかし、事国家という立場を考えますと、我々は、日本国に帰属しておる国民の皆様方のために何をするか、将来どのようにしていくか、それが我々の仕事でありますから、そういう見方をすれば、やはり少子化というのは大変な問題であるんであろう。今先生おっしゃられましたとおり、医療の問題も大変ですし、年金もそうでありましょうし、いや、経済自体の状態がこのままじゃもたないよ、いやいや、社会自体が成り立たないじゃないか、活力を失っちゃう、いろいろな議論があると思います。まさに、少子化の中において将来どうなるんだと大変不安があるんです。
 ところが、日本の国というのは、やはり今まで、お年寄りには非常にお金を使ってきたけれども、子供たちにはそれほど、言われているほど使ってないねという部分がありまして、これはいろいろな要因があると思うんですが、今まで少子化に対して、いろいろな数字は出ているんですけれども、我々も含めて、国民全体の意識も、将来自分たちの体が悪くなったときにどうしてくれるんだという方に意識がどうしても行っていた。ところが、事ここに至ってきて、だんだん国民の皆さんの意識も、いや、これは日本の国、それだけじゃなくて、子供たちが減っちゃったら、実は面倒を見てくれる、いや、もっと言うと、この国の将来を託する人たちがいなくなっちゃうんだから大変だねという意識に今変わりつつあるんだと思うんです。
 そういう意味からいたしますと、今まで使っていた税金の配分というものが、だんだんにではありますけれども、高齢者と、それ以上にとは言いませんけれども、同じようなところまで、少子化対策といいますか、子供たちにお金を使う、そういう方向に徐々になってくるんだろう、いや、そうしていかなきゃならない、私自身はそのような思いを持っておりますし、多分国民の皆さんもそういう意識をお持ちであるんであろうな、今持ちつつあられるんであろうな、そんなことも感じるんです。
 しかしながら、それだけではございませんで、例えば教育、これを考えても、お金だけの問題じゃないと思うんです。非常に子供を産むのが不安だという部分も一つある。環境ホルモンという議論があります。この間も、コルボーン博士に来ていただきました。今、生殖機能に異常を来している子供たちが世界じゅうにふえている、こういう話を聞くと、今度、我々は、子供はつくりたいけれども、もし自分の子供たちに何かあったらどうなるんだろうという、漠然とした不安がある。すると、子供を産むのをちゅうちょしちゃおうかなと思うような、全員じゃありませんけれども、親も若者も出てくるんであろう。
 そういうことを総体的に考えたときに、どこに比重を置くのか。これから我が国、まあ、我が国だけじゃだめなんでしょうけれども、世界と協調しながら、どこに比重を置きながら次の政治の課題というものを見出していくのかと。今その転換点に来ておるんだと思うわけでありまして、もちろん高齢化の問題、いろいろな問題、必要でありますけれども、その根本にこの少子化という問題が、世界的に先進国は今少子化が進んでおります、そういう意味では大きな課題になっておりますから、協調しながらこのような問題には対処してまいりたいと思っておりますし、政治課題の最重要部分にこれからこれはなってきておりますし、私もそのつもりで取り組んでいきたい、こんなふうに思っております。
佐藤(公)委員 政務官、本当にいいお考えであり、視点だと僕は思います。傍聴席の皆さん方、そう思いませんか。僕は思います。すごく大事な部分である。ただ、問題は、そういういい考えを持っても、できているか、できていないか。なぜできないんですか。僕はできているとは思いません。なぜ、それだけのいいお考えを持っている部分があるにもかかわらず、できないんでしょうか。政務官。
田村大臣政務官 今申し上げましたとおり、転換点に来ているんだと思います。いろいろな利害がそこにはぶつかり合う。政治のいろいろな政策といいますか、それが変わるときに、例えば医療制度を抜本改革、抜本改革とは何ぞやという議論をしますと、それだけで多分何時間か時間がたつんだと思うんですが、何かを変えようとすれば、それまでのシステムの中で運営していたものを変えるわけでありますから、利害がぶつかり合う。例えば、税金というものは限られていますから、それを例えば少子化対策といいますか、子育ての方に使おうという話になれば、どこかが切られていく、そういう話にもなってくる。そこをどう利害を調整していくか、今その状況であるんだと思います。(発言する者あり)
 政権がかわればそれが実現するとは思いません。政治を運営する政治家の意識が変わってこなきゃいけないんだと思いますから、そういう意識の政治家ばかりになれば多分変わるんであろうと私は思います。
佐藤(公)委員 やろうと思えばできるんですよ。できる。それは、今回の医療制度の改革だって、果たして本当にこれでいいのかどうか、政務官は疑問に思われているんじゃないかなというふうに私は思います。やはり、間違っているものは間違っていますよ。
 今回の医療制度の改革だって、一九九七年からのやり方を見たって、内容にしたって、やはり僕はおかしい。多分政務官もそう思っているんだと思います。「医療制度改革について」なんて、こうパンフレットがありますけれども、医療制度改革についてじゃないですよ。このパンフレットは、医療制度帳じり合わせについて、もしくは医療制度変更についてのパンフレットです。
 先ほど、政務官のお話を聞いて、傍聴席の方からは、いや、わからない、そんなことないとちょっと言われた方もいらっしゃると思いますけれども、僕ら若いのが安心して暮らせるような社会ができれば、お年寄りの方々が安心して暮らせるのは僕らがつくります。そのつもりで僕ら若いのが頑張ってやっていかなきゃいけない。
 その若い連中の環境整備、やはりこういったものを早く整えなきゃいけないのに、環境ホルモンのことだって後手後手ですよ。予算配分だって、いつまでたっても若い人たちが教育費のことを含めて苦労している状況を一刻も早く変えてあげることです。環境を整備して、あとは、個々における、おのおのにおける意識、その人がどう考えているのか、それがやはり中心的に持ってこなきゃいけない部分だと思いますが、私たちは環境整備を一刻も早くしなきゃいけないと思います。
 そこで、大臣、お尋ねいたします。
 私は、狂牛病、BSEのときも言葉にやたらこだわりましたけれども、今、抜本改革、抜本改革とたくさん叫ばれております。でも、これをもう一回冷静に見たときに、聞いたときに、抜本改革というのは一体全体、大臣が思われている部分の範囲とレベルというのは、どれぐらいまでを考えられているのか。今までの質疑の中で、どうしてもわからなくなってきています。一体全体、その抜本改革というのはどこまでの範囲を抜本改革というのか。まさにここに書いてある程度であるのであれば、私は、まさに帳じり合わせ、変更であって、抜本なんてつく改革なんというのは恐れ多いんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 けさからも私の意見を既に申し上げたところでございますが、抜本改革というのは、何も、抜本改革をすればそれで財政事情がよくなるというものではないと私は思っております。
 抜本改革はなぜやらなきゃならないかといえば、一つは、やはりむだをこの際に排除しなきゃならない。むだを排除したら、それだけで現在の医療保険制度が、医療財政がよくなるほど医療財政というのは小さくないわけであります。しかし、私はやらなきゃならない。たとえそれが三千億であろうと、五千億であろうと、一兆円であろうと、そんなにたくさんは出ないというふうに思いますけれども、一兆円以下だというふうに思いますけれども、この改革によって、そしてむだなところは省かなければならない。
 それから、いろいろの保険がございます、制度がございます。そして、その中には、所得の多い人もあれば少ない人もあるし、若い人もあれば高齢者の皆さんもある。その皆さん方が、負担と給付の両面から見て、それが公正になった制度であるかどうかということをもう一度今見直す必要がありはしないか。特に、少子高齢化社会でありますから、その少子高齢化社会の中でどうすれば公正になるかといったことを見直していかなければなりません。
 あわせて、現在の制度は余りにも複雑になり過ぎている、多くの人が見てもわかりにくい、そうした点を考えますと、簡潔明瞭な制度にやはり心がけてつくり上げていかなければならない。そうしたことを中心にして、医療制度改革というものを進めていかなきゃならないというふうに私は思っております。
 そして、結果として、そこからむだを省いて、できるだけ効率のいいものにやはりしていかなきゃならないというふうに思いますが、しかし、それには限界がある。したがって、それは、抜本改革は改革として進めながら、一方におきまして、財政的なものも考慮に入れながら今回提出をいたしまして、そして、皆さん方に御審議をいただいているような制度もやっていかなければならない。同じにスタートをいたしましても、この制度は早くできますが、抜本改革にはやはり少し時間がかかるということでございまして、現在そこを継続してやっているところであります。
 やがて、この問題は決着をつけまして、そして、来年、四月一日に実施に移していただきます前に、抜本改革なるものも皆さん方に御提示をできるというふうに思っている次第でございます。
佐藤(公)委員 僕は、本当に大臣のお答えに対しては納得がいきません。まさに今のこの内閣が中心としている骨太の方針というのがございますよね、骨太の方針。これにも医療制度、社会保障制度に関してのことが書かれております。この中で、わかりやすく、そして信頼を国民の皆さん方に持っていただくことがとても大事だということが書かれております、医療や社会保障制度。でも、これをやる前に、わかりやすく、そして信頼ができるような政治をまず取り戻すことが僕はとても大事なことだと思います。こういう部分からすると、まさに考えていることと言っていることとやっていることが何かすごくばらばらのような気がする、場当たり的に議論をしている、そんな気がいたします。
 ところで、ちょっと先ほどの少子化の問題のことに関してなんですけれども、これは事前通告しておりません、こんな委員会があるのかどうか、年齢で区切った委員会というのはあるんでしょうか。年齢で区切った審議会とか協議会とか委員会というのは厚生労働省の中であるんでしょうか。記憶がありますか。つまり、三十なら三十、四十までとか、そういう年齢で区切った協議会とか審議会というのはあるんでしょうか。
坂口国務大臣 少子化対策の委員会をつくっておりますが、そのメンバーは極力若い人を、三十代の皆さん方を中心にしてやろうというので、中にはちょっと出ておる人もおりますけれども、しかし、若い皆さん方にお集まりをいただいてやっていることは事実でございます。
佐藤(公)委員 政務官は、その委員会や何かのことを御存じですか、どんな議論があるのか。
田村大臣政務官 二回目はちょっと委員会で出席できなかったんですが、一回目の会には私も出席をさせていただきまして、非常な斬新な意見を皆様方からいただきました。
佐藤(公)委員 斬新な意見の中で今覚えていらっしゃることを、一点、二点、あったらちょっとお答えください。
田村大臣政務官 私が云々じゃなくて、その委員の中から出ておられた意見ですか。幾つか出ておったんですけれども、例えば、やはり子育てをするのにいろいろな不安がある、そういうものを解消するために地域のネットワークでやっておられる団体の方々がおられまして、そういう部分が、やはり少子化の中で子供たちをなかなか育てられない、親にとっては非常に心の部分で負担になっている部分ですので、そういう部分を何か解消するようなものを考えていかなきゃならぬですとか、あと、やはり子供をつくれつくれと政府が言ったって、もちろんそれは個人の自由という部分がありますから、考え方ですから、そこもやはり尊重してもらわなきゃいけませんというような御意見もあったように思います。
 いろいろな御意見がございました。
佐藤(公)委員 一応極力若い方で委員は構成されているということでございますけれども、政務官を中心に、年齢である程度区切ったプロジェクトチーム、小委員会をつくって、本当に真剣に、民族が滅びる、それぐらいの重大なことであるのであれば、それぐらいの考えを持って、どうか大臣、政務官にフルに動いていただいて、少子化問題に対して取り組んで、そして、全省庁縦割りじゃない、横で動かしてもらうこと、これは切にお願いします。
 また、次回に委員会におきまして――どうぞ。
田村大臣政務官 今のお話でありますけれども、とにかく日本の国が将来に希望がないから子供をつくれなくなってきているというような御意見もございまして、そこら辺も踏まえて、一生懸命その委員会を中心に少子化対策の方を考えさせていただきたいと思っております。
 ありがとうございました。
佐藤(公)委員 私は、大臣の先ほどの答弁等、納得がいきません。
 済みません。事前通告したことが一つも聞けなくて申しわけございません。これにて私、終わります。
    〔委員長退席、福島委員長代理着席〕
福島委員長代理 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。自由党は、若手コンビ二人でやってまいります。よろしくお願いいたします。
 きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。まず、先ほど佐藤議員の話にありましたけれども、よく骨太の方針、骨太の方針と、形容詞を、骨太のとつけるのは、これは自分で言うのはおかしいんじゃないかと私は思うんですね。それは、何かある人が、おれは格好いい人間なんだ、おれはすばらしい人間なんだと周りに言っているような気がして、周りの人が評価する、そのための形容詞ではないかと私は思うんでありますけれども、ちょっときょうはそんな疑問からスタートをさせていただきました。
 まず、医療制度改革の前に、ノモンハン事件についてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
 このノモンハン事件、一九三九年、いわゆる満州国とモンゴル国境のノモンハン付近で起きた日本と旧ソ連との軍事衝突の事件であります。これは、日本軍は第二十三師団というところが壊滅をいたしまして、約一万七千人の方々の死傷者を出したという事件であります。
 政府の歴史認識についてお尋ねをさせていただきますけれども、このノモンハンの取り組みにつきましては、例えば、ここにちょっと冊子を持ってまいりました。写真がありますけれども、ちょっと遠くで見えないかもしれませんが。昨年の八月には、第十三回目のノモンハン事件の現地慰霊を行うために、永井団長さん、また木島副団長さんを中心に種々陳情を展開しているところでありますけれども、今まで幾度も、例えばですが、大本山成田山新勝寺の皆様方にも、現地慰霊法要まで御尽力をいただいたと聞いております。
 私は、昨年来、関係者の皆様方にいろいろとお話を伺いまして、現在、厚労省の担当者の方と協議を進めているところでありますけれども、きょうは御遺族代表の方もこちらに、遠方からもお見えになっております。国のために命を落とされた御遺族の方をがっかりさせないように、心を込めた、しっかりとした御答弁をお願いさせていただきたいと思います。
 このノモンハン事件についてでありますけれども、まず、これはそもそも事件であったのか、あるいは事件ではなくて戦争ではなかったか。戦争であったんではないかと認識なさっている方が私は多くいるように感じますし、事件という言葉を使っておりますけれども、ほとんどの方が、これは戦争の一部であるというふうに認識をしております。国として正式に調査をなさったのか、そして、調査をなされていればどのような結果であったか、また、調査をしていないのであれば、今後調査する予定があるのか、伺いたいと思います。
狩野副大臣 お答えいたします。
 ノモンハン事件は、当時の満州国とモンゴルの国境線についての見解の相違により勃発したものと承知しております。日本軍は、約八千名が戦死したとされているものと承知しております。
 なお、厚生労働省は、さきの大戦に起因する戦没者遺族の援護や海外戦没者の遺骨収集等を行っているものでありまして、お尋ねにお答えする立場にないことを御理解いただきたいと思います。
樋高委員 それでは、また別の視点からちょっとお尋ねをいたしますけれども、こういった事件があったということについては認識をなさっておいでですか。
狩野副大臣 事件があったことは認識いたしております。
樋高委員 では、事件であったか戦争であったか、その認識を抜きにいたしまして、やはり私は慰霊碑を建立すべきであるというふうに思いますけれども、そのことについてどう考えますか。
坂口国務大臣 ノモンハン事件で亡くなられました方は、先ほどお話ございましたように、八千人に上っているわけでございますが、昨年の九月に、民間団体から確度の高い遺骨情報の提供がございました。そして、いわゆる遺骨収集の実施によりまして、昨年の十月に、現在のモンゴル抑留中死亡者の慰霊碑の竣工追悼式がございまして、前の副大臣でございました南野副大臣がそこに出席をし、そして、モンゴル政府に対する申し入れも行ったところでございます。同政府からも、全面的に協力する旨の回答をもらっております。
 このような回答を踏まえまして、平成十四年度におきましては、遺骨収集の可能性を調査するために、現地の遺骨の残存状況等について事前調査を行うことになっております。ことし予算化されておりますし、ことし、現地に赴きまして状況を調べることになっております。
樋高委員 しっかりと調査をお願いいたしたいと思いますし、それをきちっと公開していただきたいというふうに思います。慰霊碑建立、最善である、建立をすべきであるというふうに考えます。
 また、もう一点だけ、恐れ入りますが、遺族の方々が現地に定期的に参りまして遺骨の収集等を行っておりますけれども、やはり旅費の支給、支弁等々をしっかりと私はやるべきであるというふうに思いますけれども、そのことにつきまして、いかがお考えになりますか。
狩野副大臣 政府におきましては、すべての遺骨を収集することが困難なことから、政府の行う遺骨収集を補完し、旧主要戦域となった地域等において戦没者を慰霊するため、関係遺族を対象に慰霊巡拝を行っております。民間の慰霊団につきましては、遺族以外の方を含み、またそれぞれのお考えに基づいて行われているものですので、国として補助を行ってはおりません。政府が行う慰霊巡拝に参加する御遺族に対しましては、渡航費用等の三分の一相当を補助しております。
 なお、政府といたしましては、ノモンハン事件にかかわる戦没者についても、遺骨収集の実施状況を踏まえ、今般、必要と認められた場合には慰霊巡拝を行うことも検討してまいりたいと思っております。
樋高委員 例えば三分の一補助をしているという話でありますけれども、まず、そういったこと一つ一つを検証していただきまして、役所として、厚労省としてしっかりとバックアップをしていただきたいということを強く要請させていただきたいと思います。
 今回の医療制度改革、私は、本当に改革というには到底値しないというふうに思っておりますけれども、健康増進法の方からお尋ねをさせていただきたいと思います。
 この健康増進法の中で、いわゆる食品の表示、栄養表示につきまして、今までは、現行の栄養改善法という法律がありまして、この法に基づいていわゆる成分表示がなされてきたわけでありますけれども、その規定を今回健康増進法で引き継ぐということのようであります。
 いわゆる表示違反を行った場合は、今までは、必要な表示をしなさいよという指示をする、そして指示に従わなかった場合はそのことを公表するということで、罰則は今まで設けていなかった、いわゆる社会的制裁という内容にとどまっていたわけでありますけれども、今回、この改正によりまして、いわゆる表示違反に対しましては勧告をし、そして勧告に従わない場合は改善命令を出し、そして改善命令に従わない場合は罰金を科すというふうに変えたわけであります。その変えた意義、目的、そして表示違反がこれで本当になくなるのかということを、まず基本的な認識としてお尋ねさせていただきたいと思います。
坂口国務大臣 今御指摘をいただきましたように、現行の栄養改善法では、栄養表示基準違反がありました場合に、栄養表示基準に従いまして必要な表示をすべき旨の指示を行いまして、その指示に従わない場合にはその旨を公表できるということにしていたわけでございますが、今回の健康増進法におきましては、必要な表示を行う旨の勧告を行い、その勧告にかかわります措置が行われない場合には適正な表示を行うように改善命令を行いまして、この命令に従わない場合には罰金を科すことにしたということでございます。
 ここは厳しくしたわけでございますので、それはそれなりの効果はあるだろうというふうには思っておりますけれども、ただ、これだけを変えたからというので違反がなくなるとも思っておりません。もっと総合的な対策を進めていかなければならないというふうに思いますし、違反を犯すようなところは厳しく対処をすると同時に、もっと幅広いPR活動も必要でございますし、そして業界そのものに対する指導監督も強化しなければならないと思っているところでございます。
樋高委員 食品の表示に関しては、昨年来、またその前にもありましたけれども、本当に信頼が地に落ちているということでありまして、今回こういうふうに改正をするということを形としてしたのではないかと私は思うのであります。
 今までも、要するに、食品衛生法なりJAS法なり、こういったいわゆる勧告、改善命令、罰金というふうにうたってはいても、実は実効性が全然上がっていない。過去に今までどれだけ事例があったのかと役所の方にお伺いしましたらば、いや、もうほとんどないんですよと。勧告から改善命令から罰金まで、半年から二年も三年もかけているうちに、その商品がどんどん必要なくなってしまう、そういったのが実態なのだそうでありまして、結局これも形だけにすぎないんじゃないかというふうに思うわけであります。
 そもそも、この勧告、改善命令、罰金というふうに三つのプロセスを踏むということは、今までもそうなんですけれども、スピーディーに行われていないということによって、結局何にも成果を上げてこなかったというのが私の実感であり、調査した結果なんでありますけれども、いかがお考えになりますか。
坂口国務大臣 食品衛生法につきましてはこれから改正をしようというふうに思っておりますし、そちらの方がどちらかといえば主体になるわけでございます。
 これは、農林水産省や公取等とも連携する問題でございますので、そうしたJAS法等々の連携も密にしていかなければならないというふうに思っておりますが、今度はかなり厳しくチェックをするということになるだろうと思いますし、厚生労働省だけではなくて、内閣府にそうしたことを中心に取り組むところもできるわけでございますから、今後、今までのようなことが繰り返されないようにしていかなければならないというふうに思っているところでございます。
樋高委員 私は何が言いたいかといいますと、今までも実効性が上がってこなかったのをそのまま今回の健康増進法でも組み込んでいるということは、そもそも、もうやる気がないんじゃないか。そもそも今まで効果が上がってこなかったことを、そのまままねして、今回の食品栄養表示についてはそのまま同じようにやろうとしているだけでありますから、結局、旧来の発想から何にも変わっていないのですよ。ということは、今回のは本当に改革に値しない、そもそもやる気が本当にあるのかということを私はまず御指摘させていただきたいと思います。
 そして、新聞でも明らかになったわけでありますけれども、実は、ミスタードーナツさんで、禁止されている添加物、未認可の食品添加物を使用して販売した。食品衛生法で使用が認められていない酸化防止剤、TBHQというのだそうですけれども、肉まんなんだそうです、おまんじゅうでありますけれども、いわゆる未認可の食品添加物を使用して販売をしていた。その数が、千三百個ではなくて千三百万個であります。しかも、一年半前から隠ぺいされていた。大変な事実が明らかになったわけです。
 これは、明らかに厚労省としての監督責任を私は問わざるを得ないわけであります。しかも、今回のは、その事実が発覚をしてからも販売をしていた、販売を再開していたということでありますけれども、このことについて、厚労省としてどのように対処をしていくのか、そしてどのようにお考えか、伺いたいと思います。
宮路副大臣 今御指摘の点は、先般、農林水産省の方に、ダスキンが販売した飲茶「大肉まん」に、法定外の添加物である、今委員おっしゃったようなTBHQが使用されていたという旨の情報提供がありまして、同省から我が方に連絡があったわけであります。
 そこで、我が省としては、直ちに、ダスキン本社、これは大阪府の吹田にあるわけでありますが、を所轄する大阪府に調査を指示しましたところ、その品物は、平成十二年三月から中国において製造を開始して、そして同年十一月末にダスキンとしてTBHQを使用している旨の情報を入手しておった、その後、同年十二月十三日からTBHQ非含有の原料に切りかえた、そういう報告を大阪府の方から受けたわけであります。
 昨日、大阪府は、さらにダスキン本社から報告書の提出等を受けまして、処分等に係る検討を今行っておるわけでございまして、現在販売しております当該製品の安全性、それからTBHQを含有したその製品の販売数量等について詳細な回答を求めている、今そういう状況であります。
 この問題は、食品衛生法による監督権限、一義的には大阪府にあるわけでございますので、今大阪府の方でそういう対処を行っているということでございまして、その結果をまた踏まえて、厚生労働省としても、もしそうであるとすれば大変ゆゆしい事態でありますので、今後厳正な対処をしてまいりたいということを考えておるところであります。
樋高委員 こういった事件が起きたときに、スピーディーにいかに対応するかということが私は重要であると思います。もちろん今大阪府さんの方で調べていただいているということでありますけれども、正直言いまして私もこの肉まんを食べたんですよ、一年半前に。千三百万個ですから、私、大変多くの人数の人が食べていると思うんですよね。
 結局、国がやはりこういった食べ物の安全、食品の安全というのは責任を持ってきちっと監督していただかないことには、やはり私、知らず知らずに、これは一年半前の話ですけれども、どんどんまた社会不安を招く、本当に大変な問題になっていってしまう。ひいては、食品の安全の、いわゆるただでさえ地に落ちている信頼がますます地に落ちてしまう。本当にもうさまざまな、役所の方でも今後の食品安全行政をどうするかということで今議論なさっているのもよくわかってはおりますけれども、やはりこういった足元、きちっと対応をいかに危機管理としてできるかどうかというのは私は重要だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 きょうはお時間をいただきまして、ありがとうございました。
    ―――――――――――――
福島委員長代理 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長真野章君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
福島委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
福島委員長代理 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 まず冒頭、昨日の有事法制関連三法案の審議におきます与党側の一方的な地方公聴会の開催の採択に至る過程に強く異議を申し立てたいと思います。
 やはり、本日、佐藤公治委員のここでの御発言にもございましたが、この国会の場は、出された法案について審議を尽くすということにおいて国民に責任が果たされる場でございます。最初からもうもともと提案どおりでこれでいくんだというのをごり押しと申しまして、それでは実は多様な意見あるいは多様な立場にある人の本当の幸せないしは人権、生命を守れないということを私は冒頭申しておきたいと思います。
 そしてもう一つ、私がきょう急に援護局に参考人としてこの場に御出席をお願いいたしましたのは、やはり非常にだまし討ちに等しい御遺骨の取り扱いがあったことをこの場でただしたいと思っております。
 私は機会あるごとに、千鳥ケ淵での、かつての大戦でお亡くなりになった方たちの遺骨収集とその納骨、あるいは収集された遺骨の取り扱いについて、今なお極めて人道的な見地から問題が多いということを指摘してまいりましたが、実は来週の月曜日の千鳥ケ淵での納骨慰霊祭を踏まえて、先週の金曜日でしたか、急遽、焼骨、集めてきたものを四百十数体、今度は一緒にまとめて再焼骨を先週の土日に行うということで、私の方からあらかじめ再焼骨に関しては御連絡をいただきたいと繰り返し繰り返し繰り返し担当部局にお願いしていたにもかかわらず、何の御連絡もなく、また、月曜日には納骨を済ませたというふうな後手の、後々の御報告でありました。
 私はせめて、みとる人がない遺骨については、焼骨の際にだれかが立ち会うことくらい人間としての当たり前の送り方だと思います。そういうことすらされないこの政府が、今の有事法制関連三法案といって、国民の生命や財産にかかわる保護規定を全く据え置きにしたまま同じ過ちを繰り返していこうとする事態に対して、心底怒りを持っております。
 この間の事態について、冒頭、法案審議とは全く関係ないかに見えますが、国民の生命や人権を守るということが政治の責務であるという観点から、援護局からしかるべき御答弁を賜りたいと思います。
    〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
真野政府参考人 本年度の千鳥ケ淵戦没者墓苑拝礼式は、来週二十七日に予定をいたしております。この準備作業といたしまして、五月十九日の夕方、納骨室をあけるということを行いました。二十日の墓苑の開苑前に、厚生労働省の社会・援護局の外事室の室長補佐以下六名が納骨を行いました。
 また、焼骨の時期でありますとかそういうことを教えてほしい、立ち会いたいということが先生からお話がありましたことは十分承知をいたしておりますが、それにつきまして、焼骨につきましては御遺族以外の方の立ち会いというのは普通考えられてはいない、また、この準備作業もいわば遺族にかわって行うということで、公開をいたしていないということから、立ち会い並びにこの納骨に当たっての立ち会いということは私どもとしては御遠慮願いたいというふうにお答えを申し上げていたところでございまして、二十日の日に四百十柱をおおさめした状況でございます。
阿部委員 だれにそのようなことを決める権利がおありでしょうか。御遺族はどなたかわからないのです。御遺族がわかれば、これは無縁の仏とはならないわけです。そして、政治にかかわる者が、政治の責任で、国が起こした戦争の責任に対して、私たちがしかるべきおわびなり礼を尽くしたいというのが政治家としての私の願いであります。行政府がそのようなことを勝手に判断なさる権限もなければ、お立場にもないということです。そして、それでは、遺骨収集に加わってきた、どの方の御遺族かは判明しません、南方方面で亡くなり、その方々の広い意味での御遺族の方々も、いつ納骨されるかを教えてほしいとおっしゃっていたはずです。あなたよりは近いはずです、その人たちの方が。そういうことを一切無視して、国民の声を無視して人の死を取り扱う、本当に無礼きわまりないと思います。
 私はこの場でこんなに大きな声を上げたくはない。しかし、政治に一人の人間の生き死にへの思いがなくなったときには、私たちがこの場でやっていることは何の意味も持たなくなります。それを官僚の本当にさめた、冷たい態度と申します。人の生き死にに対してそのような形であるということを、私は次の質問がありますので、あなたの御答弁を待つ前に、一方的に言い置きまして、本来の質問に入らせていただきます。
 私はきょう前半、骨太と言われます論議をぜひとも坂口厚生労働大臣とお願いしたいと思っております。
 先ほど佐藤公治委員が、これからの子供を産む世代のお話がございましたが、私は、ちょうどその高齢者と言われるピークの、一番多い年齢を構成いたします団塊の世代でございます。それゆえ、我が身のこととして、そしてある意味ではまた、若い人たちに過度の負担をかけずに済むにはどのような形に今この医療制度改革をしておくことが将来的な展望によって立つかという、その視点からの御質問を申し上げたいと思います。
 私は、本日の各委員のお話を聞きながら、私であれば、本来の中心的な論議は、当たり前のことですが、医療費を本当の意味でまず抑制すべきというような論が真っ先に来べきかどうかということに大きな疑問を持っているという点を、まず一点指摘したいと思います。
 もちろん、坂口厚生労働大臣もおっしゃるように、むだは省かなくてはいけません。合理化すべきところも合理化されるべきです。また、しかるべき負担もあってよろしゅうございます。
 ただ、大前提といたしまして、果たしてこの間、特に一九九九年以降、医療費の抑制まずありきという形でどんどん患者負担を増している現状が、基本的人権、生存権にも反する事態になっているということをかんがみた上で、本当の意味の改革を展望していただきたいと思うものです。
 まず、資料の一ページをごらんいただきたいと思います。
 お手元に配付しました一ページ目には、先進国における医療費対GDP比、よく取り上げられる事例ですので御存じだと思いますが、マクロな経済で見れば、日本の医療費は、先進国中、イギリスに次ぐ低対GDP比を示しておる。また、一人当たり、購買力平価に基づく換算をいたしましても、決して日本の医療費は高いということには値しない。
 もちろん、何度も申しますが、むだはございますが、これまでの厚生行政というのは、ある意味で、人間の医療、生命にかかわる部分をそれなりのおもんぱかりでやってこられたものの結果がここの数値であると思います。ですから、物事を考えるときに、いたずらにまず抑制、まず削減という形でやっていけば大きな弊害が起こる。
 次の二ページ目をごらんいただきたいと思いますが、二ページ目には、GDP比と医療費というのを縦横の相関図にとってございます。
 この図におきましても、日本は、対GDP比、ほぼ平行して医療費も上っていくわけですが、アメリカやドイツ、フランスに比してGDP比に対する医療費の割合は少なく、かつ、昨今問題になっております六十五歳以上、これからはまた高齢者年齢どんどん上げられていきますが、とりあえず問題となっておりました高齢者人口の六十五歳で仕切りましたときのグラフで、六十五歳以上人口比と医療費の対GDP比を縦にとりました場合は、米国、ドイツ、フランスなどよりもはるかに日本は効率よく高齢期の医療も賄っておるというのが下の図でございます。
 そして、こうした基本認識を持ちながら、さはさりながら、先ほど申しました、私たちのような団塊世代が大挙して高齢期に突入していくときに当たって何を考えねばならないかということで、質問の一点目をさせていただきます。
 私も坂口厚生労働大臣も医療分野で仕事をしておりました。そして、医療という仕事は非常に労働集約型、どういうことかというと、人の手によって成り立つ分野であり、医業収益の中に人件費比率をとりますと、平均して五割は人件費にかかわる部分でございます。国公立病院ではこれは六割、民間病院、私が運営しておりました民間病院では四割にしないと逆に設備投資や次のいろいろな仕事ができないということで、民間病院では、ある意味で賃金を抑えながらでも、人を減らしながらでも、何とか黒を出す采配をしてまいりました。
 そして、この間、日本の医療制度の中で、マクロに見ればある程度以上達成しながら、ミクロに見た場合に、先日お示ししましたように、やはり非常に医療ミスが多いという、医療の質の問題が国民の大きな不安と不満の対象になっておりますが、私から見れば、アメリカの五分の一、あるいは欧米の三から四分の一の、さまざまなコメディカルも含めた医療の人員でやっております中では、当然人手不足がミスにつながってくる場合が多々あると思います。
 ある看護婦さんたち、国立の病院に勤める看護婦さんたち約三千人余にアンケートをとられた中で、いわゆるナースコール、看護婦さんを呼ぶ声が、自分の作業途中でナースコールによってみずからの作業が中断されたことがあるとする看護婦さん九一%、一年間にニアミス経験のある看護婦さん七七%、医療事故の不安は常に解消されないとお答えになる看護婦さん八六%というデータが出ており、最も改善が必要なことは増員であるというお答えが八一、夜勤体制の強化が五六%、私は現場のやむにやまれぬ切実な声がここに反映されておると思います。
 そして、本会議でもお願いいたしましたが、坂口厚生大臣には、ぜひとも、この間で、医療には医療の質とそして患者さんの生命の安全のためにしかるべき人員が絶対必要である、それが原点であり、その後に、そのことをいかなるコストで行っていくかという段階、プライオリティー、物事の考え方の手順をきっちりとお示しいただき、この審議をリードしていただきたいと思いますが、一点、御答弁をお願いいたします。
坂口国務大臣 日本の医療費が、対GDP比で世界の中で非常に低い位置にあると申しますか、よく言えば効率的にやっているということが言えるわけでございますが、対GDP比で低い値にあることは御指摘のとおりでございます。
 それで、医療は、いつも言っておりますように、ただ財政的に効率よくやっておればいいということだけではなくて、そこで医療の質がちゃんと守られているかどうかということが一方で必要でございますから、その双方からやはり見ていくことが大事だというふうに私も思っている次第でございます。
 そうしたことを考えますと、やはり医療従事者なるものをある程度確保しなければ質の高い医療というのができないことは、御指摘のとおりだというふうに思います。
 日本の医療費をどう抑制していくかということが今までからもやられてきたわけでございますが、今回の制度改革におきましても、これでもなおかつ一年間に約七千億ぐらいはふえていくというふうに思います。一兆円近かったのが七千億ぐらいに減りはいたしますけれども、なおかつこれからふえ続けていくということになるわけでございまして、現状からいきますと、対GDP比で今までは割に低い位置にありましたけれども、この数年の間にかなり上位に上がってくるということも考えなければならないというふうに思います。
 今まで医療費を抑制いたしますときに、診療報酬の面からそれをチェックするといったようなことを中心にやってきたわけでございますが、私は、これは必ずしもそういうふうにしようと思ってなったわけではありませんが、日本は医療の中での制約、薬品の使い方が非常に多かったということもあって、一度に多くの薬品を処方しない。三日ずつとか、あるいは慢性でも一週間とか、非常に短かな期間しか処方をさせないようにしてきた。そのことは、薬をたくさん使わないということでは効果を発揮してきたわけでございますが、しかし、病院を忙しくした。一週間先に来ていい人を、三日後に来いというわけでございますから、大変病院そのものを忙しくしたという、一方において弊害を生んだというふうに思っております。
 したがいまして、もう少し間隔を置いて外来を訪れる、あるいは病院を訪れるということで済む場合には、そうした間隔をとることも考慮に入れながら、診療報酬でどうこうではなくて、本当に正しい医療のあり方を中心にしながら、より落ちついた医療が行えるように今後していかなければならないというふうに思います。
 したがって、現在の対GDP比での予算を確保しながら、その中で、より少ない患者さんを相手にして、より効率よく対応をするということにしていけば、人をそんなにたくさんふやさなくてもやっていけるということになるのではないか。そんな努力も一方でしながら、それでもなおかつ足らないときには、特に看護婦さん等につきましては必要な人数はやはり確保していかなきゃならないだろう、質はそういうふうに維持をしていかなきゃならないだろうというふうに思っている次第でございます。
阿部委員 薬剤の投薬日数制限のお話を冒頭お答えいただきましたが、そのほかにも私は、看護婦さんの二人夜勤体制、あるいは、せんだって問題にしました臨床工学士の不在ゆえに看護婦業務の増大、あるいは患者の高齢化、痴呆が加わるなどなど、煩雑な業務が非常にふえている現状というものを私自身もデータとして持っておりますし、引き続き大臣と審議を重ねながら、本当の意味の人間的な医療の方向を模索したいと思っております。
 引き続き、御質問をお願い申し上げます。
 今、日本の老人医療費の中で、一番安いところが長野県、高いところが、この間首位を北海道と福岡県が交代いたしました。この高齢者医療費、私は、実はいろいろな多面的な社会的な要因があって、医療はある意味で必要不可欠的に高くかからざるを得ないという側面もあるということをもう一点指摘したいために、後半の資料の説明、質問に入らせていただきます。
 私の用意いたしました資料の三には、高齢者医療費が日本一高くなったところの福岡県のデータが、高齢者の独居率と一人当たりの老人医療費という形でお示ししてあります。ここで福岡はカーブの上方にございますが、この高齢者独居率というのは、六十五歳以上の御世帯で高齢者だけでお住まいの比率と医療費をとりました。
 ここで明らかなことは、やはり日本においては、御高齢者が御高齢者だけで、あるいはお一人で住まわなくてはいけない状態、それがひいては入院の医療を多くせざるを得ない状態に反映するということの一点です。そして、ここからは、ぜひとも、それでは入院をただ単に抑制すればいいんだという答えではなくて、この御高齢者たちの住まいの問題をきちんと解決していただきたい。これは山井委員がよく御質問の点ではありますが。医療というのはある一側面であって、そこの抑制抑制だけを伴ってやったのでは答えにならないということで、次の四ページには六十五歳以上の御高齢者の医療費の集計がございますが、御承知おきのように、入院医療費が高いところは当然高く出てまいります。
 そして、では入院しなければいいのか、させなければいいのかということについて、資料の五ページ目、福岡のデータに限りますが、この上段、表の二の三の三には、確かに福岡県は長野県に比して病床数は多い。しかしながら、この歴史を繰っていくと、実は、その下には結核病床数がございますが、かねてより福岡では結核の罹患率が高く、長野県より結核病床も多くあった。そして、次の六ページ目では、その後、筑豊の炭鉱産業の衰退に伴って精神的な疾患もふえ、精神病床数もふえていったというのが六ページの上段の図でございます。
 医療は、その時々の社会、経済条件を反映し、そこに病人を生み、必要とする施策が生じてまいります。その下には失業率のグラフがございますが、ここには小沢先生もおられますが、福岡は全国よりも失業平均が高いところでもございます。そして、次のページ、七ページで見ていただきますと、今では悪性新生物というものが福岡で他より高く出ております。
 ですから、日本全国を一概に並べて、医療費が高い低い、老人が何だかんだと言う前に、まずその地域の分析、背景の分析、必要な手だての分析をしていただいて、その総和が医療費として換算される方式をとっていただきたいと思います。
 図の最後の八も同じでございます。ここには医療費の福岡県内のマップがございますが、大牟田、筑豊、かつての炭鉱地域で働かれた方々が高齢期を迎えました。その結果、高く算定され、都市部の福岡周辺もそうでございます。一方、過疎の山間部は低く出ておりますが、これがいいことかどうかは、必要な医療機関すらないということになってございます。
 私が一方的にしゃべって恐縮ですが、私は、坂口厚生労働大臣には、ある意味でこの医療の論争の軸を変えていただける方と、かねがね本当に、これはお世辞でも何でもなく本心から期待しております。これからは本当に大変な時期ではありますが、人間が幸せに生きるための一つの手段が医療でございますので、その辺を勘案し、地域差をよく見ていただく。
 そして、私は、坂口厚生労働大臣が地域保険に一本化していこうということは、その意味では正しい御指摘だと思います。地域の現状を見て、医療の保険の仕組みもよりそれを反映できるようにしていくということで、冒頭、金田委員とはお話がございましたが、あえて重ねて私は、政府管掌保険も地域への一本化、あえて言えば、国民健保、政府管掌保険、組合保険も地域保険への、遠い将来、一本化を考えた方が、私たちが高齢化を迎えるときにはよろしいと考えておりますが、長期的なお見通しについて、ぜひ御先見を一言お聞かせいただきまして、終わらせていただきます。
坂口国務大臣 貴重ないろいろのデータを見せていただきまして、ありがとうございました。我々、ただ表面だけの数字を見まして、長野県と福岡との差ばかりを言っているわけでございますが、こうしていろいろのデータを拝見いたしますと、福岡が医療費が高くなっているそれなりの理由というものがやはり幾つかあるということが、これでよくわかります。統計的なデータを見ますときに、ただ単に表面に出てまいりましたものだけではなくて、やはり具体的に細かく見ていくことが大事だということを御提起いただいたものというふうに思いまして、感謝申し上げたいと思います。
 医療保険制度につきましては、今朝来いろいろと議論を重ねてきたところでございますが、統合化をやはり目指していく。そして、方向としては一元化の方向というふうに言っておりますが、一本にというのはなかなか難しいと思いますし、また余り一本にしてしまいましては競争原理も働かないわけでございますから、財政調整でありますとか、あるいは保険の内容を、保険の名前を一本化していくということはたとえあったとしましても、やはり幾つかに分類をして、そしてそれぞれの地域ごとの競争というものがやはり大事だろうというふうに思っている次第でございます。
 今お話をいただきましたように、都道府県単位ぐらいなところで一つまとめていくというのは、私は有力な方向性の一つというふうに考えております。そこへ組合健保も何もかも一緒にできるかどうかは、なかなか難しい面もあると私は思いますから、これから議論を要するというふうに思いますけれども、やはりできるところからそうしたことをしていくことは大事なことではないかと思っている次第でございます。
阿部委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。
森委員長 次に、金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。阿部委員に引き続きまして、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 私は、先週の五月十四日から十六日にかけて、韓国の原爆被害者協会の代表の皆さん二十二名が訪日をされまして、坂口大臣にも、大変お忙しい中、時間をとっていただいて、お会いをしていただきましたけれども、外務副大臣や衆議院副議長、参議院議長、また各党のそれぞれの代表の皆さんなどにもさまざまな要望活動をされました。そのことにつきまして幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の十二月に、在外被爆者問題の検討会の一定の結論が出て、大臣の記者会見での発表があり、それを受けて在外被爆者に対する当面の施策ということで、具体的には六月の一日から実施に移されるということになっております。最初にお伺いしたいんですけれども、その在外被爆者の支援策が発表されて以降、特にこの一、二カ月、厚生労働省なりまたは広島県なりに対して在外被爆者の各団体から、この厚生労働省がまとめた施策に対してさまざまな要望なり意見が出ているというふうに聞いておりますけれども、その状況とその主な内容についてまず教えていただきたいと思います。
坂口国務大臣 在外被爆者の問題につきましては、それぞれの国からいろいろの御意見が寄せられているところでございまして、各国の被爆者団体からは、総じて申しますと、被爆者援護法の適用の問題と医療費に対する支援金の援助等の要望が寄せられているというふうに聞いておるわけでございまして、ただ、各国によりましてそのアクセントの違いはございます。
 例えば、米国の被爆者協会の方は、現地被爆者の実態調査をやってほしいというのがまず第一番に今来ております。それから、日本の被爆者と同じように被爆者援護法を海外の被爆者にも適用してほしい、こういうことが続いておりますけれども、第一番には実態調査というのが来ております。
 それから、在ブラジルの被爆者協会におきましては、当地の日本・ブラジル友好病院において被爆者が健診、治療を受けられるようにすることというのがまず第一に来ておりまして、その費用に関して原爆被爆者基金を設けることというのがその次に来ております。
 それから、韓国の方は、もう既に御承知のとおりでございまして、在外被爆者が日本に居住している被爆者と等しく原爆被爆者援護法の適用を受けられるようにしてほしいということと、それから、医療基金が継続できるよう九十億円を追加支援してほしい、この二つが主であるというふうに聞いております。
 こうしたことを中心にしまして、さまざまな意見が寄せられているというふうに聞いているところでございます。
金子(哲)委員 今大臣の方からかなり丁寧に御回答いただきましたけれども、結局のところ、今の在外被爆者各組織から上がってきた要望というのは、このたび厚生労働省が行われようとしている、いわば渡日を中心とする手帳取得、治療も含めて、日本に来られれば何とかしますよという政策に対して、これでは、今の状況ではそれを受けとめることはできないということが主じゃないでしょうか。
 大臣は今、現地の調査をしてほしいということを読み上げて言われまして、そのとおりであります。なぜそのことが出てきたかといえば、今度の、例えばアメリカのもので、その前段がありまして、これは言わないつもりでしたけれども、「海外被爆者への支援策には本当に落胆しました。あの「検討会」はなんだったと疑問です。」というところで、それは、余りにも厚生労働省が出された施策というものが、在外、海外の被爆者にとっては現実離れしているというか、具体的な被爆者の要望と余りにもかけ離れている、実際にやろうとしてもほとんど実現が、実行はできない内容だということを実は提起しているのではないでしょうか。その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 その皆さん方のお気持ちというのはよく理解をしているつもりでおります。皆さん方の御要望と、そして厚生労働省が今年度予算で決めましたものとの間には乖離があるということはよくわかっているつもりでございまして、今後、各国によりまして別々の施策をするということはなかなかこれは難しいだろうというふうに思いますが、最大公約数を求めながら、どういうふうにしていくかということをこれから検討しなければならないというふうに思っております。
 アメリカはアメリカとしてのやり方、ブラジルはブラジルとしてのやり方、韓国は韓国、あるいは北朝鮮がどうなるかわかりませんけれども北朝鮮と、別々のことを別々の方法でやるということはなかなか難しいだろう。同じ法律の中でやる話でございますから、在外被爆者として、やはり一つの方法でどう対応するかということが大事だというふうに思っているところでございます。
金子(哲)委員 先に大臣がお触れになりましたので、では、その点についてお話をしたいと思いますけれども、大臣は、この間、韓国の被害者協会の方たちがお見えになったとき、お会いになられたとき、被爆者はどこにいても被爆者だということを繰り返しお話しになりました。私も同席させていただきましたけれども。
 私は、そうおっしゃるのであれば、一番大事なことは、要求の中にありますように、援護法を国内も国外も同じように適用してほしいという限りにおいて、被爆者はどこにいても被爆者だという言葉が適用されるのであって、今大臣が言われるように、国内と国外は別にしておいて、国外だけはばらばらであってはならないという理屈はちょっと違うと思うんですよ。
 私はまず、前提として、在外被爆者にも援護法を適用すべきだということを常々申し上げておりますので、そのことを前提にしながら、しかし当面それができないとしたらということで前に進ませていただきますけれども、そうであるとしたら、在外被爆者に対して、国情も違い、そしてこれまでの在外被爆者に対する、例えば南米、北米、韓国、それぞれ違う施策をやってきたわけですよね、現実的に。厚生労働省が中心となって、都道府県、広島、長崎の両県市を中心にして。そうしてまいりますと、そういう現実的な違いがあるけれども、ことしからはそういうことを全部チャラにして外国は全部同じにしますよという理屈は、私はそれは通らないというふうに思うんですよ。その点はどうですか。
坂口国務大臣 そこまで議論を進めることはちょっと早いと実は思っております、私が申し上げたのも少し舌足らずであったかもしれませんけれども。まだ日本の国内と国外とを別々にしようということが決まったわけでも決してないわけでありますから、そのことも含めてこれから決めなきゃならないわけで、もしも国内と国外とを別々にするという場合には、外国それぞれ別々のことをするというわけにはいかない。
 あるいはまた韓国の方は、私は、韓国、北朝鮮の皆さん方と、それからアメリカ、ブラジルとは、若干違う面もあると率直にそう思っているわけです。というのは、韓国の皆さん方は強制的に日本に連行してきたというような歴史的なものもございますし、それから、アメリカそれからブラジルの皆さん方の多くは、今度はまた、同じ日本人、現在もなおかつ日本人である、そういう方がたくさんおみえになるという問題もあるというふうに思っておりまして、これらの問題を同一に考えるか、日本の国から外におみえになる人は全部同じに考えるかどうかという問題もあるというふうに思っておりますが、それらのことを含めて、これから決めていかなければならないわけであります。
 ですから、日本の国の中と外とを区別するかどうかという問題につきましては、もう御承知のように、地裁におきましても、広島地裁の結果と大阪地裁が出しました結果とは全く別の判決になっていたといったようなこともございまして、これらのことも十分勘案しながらやはり最終的に決めていかなければならないだろう。
 また、この問題は、日本における法律がどこまでその権限が及ぶものかといった法体系全体にも影響を及ぼす問題でございますので、そうしたことも十分勘案しながら、しかし、被爆者は被爆者、そのことには変わりがないということを忘れずにやっていかなきゃならない、こういうことでございます。
金子(哲)委員 そうしますと、今大臣のお話の中では、重要な点が、先ほどの答弁と二つあると思います。
 一つは、今おっしゃいました中には、国内と在外との問題については差をつけるということの結論はまだ出していないんだというお話だったんですけれども、それはおっしゃったとおりに私も理解をして、そういう方向で、差がなくなるようにやられるというふうに私は理解をさせていただきたいと思います。
 もう一つは、今度の、六月から施行されようとする施策も十分なものではないんだと。これは何度もいろいろなところでおっしゃっておりますけれども、当面、あのときは時間がなくてとりあえずやったんだということであれば、とにかく二つの問題があると思うんです。国内と国外を同等にすることにまずきちっと結論を出されるのかどうかという問題と、それと同時に、それは一体いつ出るのかという問題があります。それから、例えばその間はどうするかという問題があると思います。
 私はそのことについて、先ほども言いましたように、援護法をぜひ適用してほしいという、大臣が、そういうことも今まだ検討の段階だということですから、ぜひそのことを、いい方向で結論を出していただきたいということをまず申し上げながら、しかし、当面する具体的な問題もありますので、その点について次に触れていきたいと思います。
 一つは、先ほど言われました、私は、戦前の、被爆に至るまでの過去の歴史の問題もありますけれども、それと同時に、先ほども言いましたけれども、この間とられてきた援護施策の差というもの、これがあると思うんです。南米、北米の場合は、健診に行かれて、もし渡日の治療が必要な場合には渡日治療をしていただく、例えば南米であれば年間三名というふうなことがあったと思うんです。しかし、今、韓国の場合には、いろいろな政治的なことがありました、その中で、四十億円の基金というものを赤十字を通じて出した。そして、その四十億円の基金に基づいて、韓国にいらっしゃる被爆者の皆さんの医療費用の補助を行うということをやってこられたわけですね。それは、現地において医療を受ける際の全額ではないかもわからないけれども、補助をするという制度ですから、南米と韓国とでは、もう大臣はよく御承知のとおり、全く違うわけです、今までのやり方が。であるならば、そのことに対して、将来どうするかというのは非常に重要だと思うわけですね。
 そうしてみますと、韓国の場合は、四十億円という基金を積んで、その基金によって被爆者に対して援助を行ってきた。そうすると、この約十年近くの間、その基金に基づいて、在外被爆者、韓国の被爆者の皆さんからの援護法適用という要求からは十分ではなかったにしても、一定の当時の役割を果たしたということになってくると思うんですね。そうしてみますと、その十年間は、その四十億円の基金に基づいて在外被爆者の皆さんが生活をされてきたという歴史的な事実があるわけですね。
 そして、この間の要求の中の多くは、援護法を適用してほしいということと、もう一つ大事な要求は、この四十億円が二〇〇四年には既にもう枯渇の状況を迎えている、この問題はどうしてくれるんですかという要求が出てきているわけですね。枯渇をすればたちまち大変なことになるということになってくるわけですけれども、そのことについてはこれから検討していただけるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
坂口国務大臣 日本の被爆者と、諸外国にお住まいになっている方とを同じにしていくのは、それは、いわゆる、同じ法律の中で一緒にしておくということを決めたわけではなくて、できるだけ諸外国の人たちのことも被爆者として忘れませんよということを申し上げているわけで、同じにするということを申し上げたわけではないので、それは、しかし、そこも含めてこれから決めます、決める範疇の中に入っている、こういうことを申し上げたわけでございます。
 あわせまして、この四十億の話でございますが、これは日本が出したことには間違いないわけで、盧泰愚大統領が日本におみえになりまして、その当時の海部総理のときにその話がまとまって、ODAの中からそれがなされたということでございまして、日本から出たことは事実でございますけれども、いわゆる在外被爆者の問題ということにして、そして、いわゆる厚生労働省の一つの施策としてそれがなされたというほど明確ではないと私は思っているわけです。
 ただ、ここの、しかし、四十億出たことは事実でございまして、その使い方についてどういう取り決めがあったかということにつきましても、これは、その当時の日本の側の受け取り方と韓国の受け取り方との間には若干違いもあったというふうに聞いているところでございます。これらの問題もございますから、いわゆるこれの延長線上をどうするかということでは多分なくなっていると私は思うんです。もうODAもなくなっておりますしいたしますから、このODA云々の話ではないというふうに思っています。
 ただ、皆さん方が、どういう形であったかは別にいたしまして、その四十億なら四十億という金が出たんだから、それが枯渇しつつある、だから何とかしてほしいと、皆さん方の御要望としては私はそれはわかる話でございますから、先日もお聞きをしたわけでございますが、だからそれを今後どうするかということは、韓国だけの話ではございません、アメリカの話もあるしブラジルの話もありますから、そうしたところともできるだけ格差のないような形で我々は物を考えていかなければならないだろうというふうに思っているということを先日も申し上げたわけでございます。
金子(哲)委員 ODAということを強調されてお話しになりますけれども、ODAですけれども、しかし目的は、在韓の被爆者対策に使うということで目的がはっきりして、たまたま出どころはODAであったにすぎないわけですよ。それは、前から韓国の被爆者から要求が出ていて、いろいろな国内法上の制約もあるということもあって、ODAという形でやるということで最終的には両首脳の間で結論が出たということであって、あくまでも目的は在韓被爆者の医療支援ということで出されたことは間違いないわけで、その目的のお金が枯渇していくということになれば、当然のこととして、次のことを考えるということは当たり前のことじゃないでしょうか。
 きょう外務省に来ていただいたのは、実は、この間お伺いしたとき、外務副大臣にお会いしたら、これは厚生労働省のお話ですと。厚生労働省へ行けば、あれはODAだから外務省ですという話になるから。だから、両方来ていただいて話をしなければならないので、きょう来ていただいているので、まさにこの問題は、私は、厚生労働省の問題であって、たまたま韓国との関係の中で交渉するとすれば最終的には外務省も出ていただかなければならないけれども、基本的に考えるべきは厚生労働省として考えるべきことだ。
 そして、重ねて申し上げますけれども、今、確かに、同じようにということをおっしゃいますけれども、それはやはり、先ほども、何度も言いますけれども、現実的に違うし、四十億円というものを韓国の被爆者の医療支援ということで出した限りは、それがもし枯渇をするとしたらどうするかということは、それはそれとして考えるのは当然じゃないでしょうか。その上でどうなるかは別ですよ、要求の金額どおりにいくかどうかは別にしても、そういうことが枯渇したときに発生する問題について、どうしたらいいかということを考えるのは当たり前じゃないか、考えていただきたいということを申し上げているんですが、その点について、どうですか。大臣。では外務省、短く。両方お願いします。
佐藤政府参考人 それでは、外務省の方からお答えをさせていただきます。
 ただいまお話がございました四十億円のいわゆる在韓被爆者への拠出金でございますけれども、先ほど大臣の方からも答弁がございましたとおり、一九九〇年に海部総理から盧泰愚大統領に対して、いわば友好と協力の象徴ということで、経済協力の一環、先ほど来お話が出ておりますとおり、形式的にはODAカウントということで実施をされてきたということがございます。
 そして、本件この拠出金が枯渇しつつあるということは、日本政府、私ども外務省としても承知をしておるわけでございまして、また、私ども外務省も関係者の方々からお話を、現地の大使館でも、それから先日も私どもの杉浦副大臣が訪日団の方々からもお話を伺ったということでございます。この問題については、これまで、そうした経緯とか背景というものもいろいろあるわけでございますが、我が国の在外被爆者支援の取り組みの全体の中で検討していくべき問題だというふうに考えております。
 先ほど来お話がありますとおり、また、その背景としては、当時は韓国がODAカウントの対象国であったのが今はそうでないといったような事情の変化もあるわけでございます。いずれにせよ、こういう基金が在韓被爆者の方々の支援ということで設けられてこれまで活用されてきたということはあるわけでございますが、こうしたものをこれからどういう形で考えていくのかということは、先ほどの、全体の取り組みの中で考えていくべき問題だろうと考えております。私どもとしても、引き続き、韓国政府あるいは大韓赤十字社との間で相談をしていくべき問題だというふうに考えております。
坂口国務大臣 お聞きいただいたとおりでございます。過去のそういういろいろのものをのみ込んだ上で今後のことを考えていかなきゃならないというふうに思っておりますが、例えば、来年度予算でどうするかということを考えるということになれば、八月が一つの区切りでございますから、それまでにどうするかということの結論を出さなきゃならないということになるわけでございまして、そんなに与えられた時間が長いとは思っておりません。そうした限られた時間の中で、決めるべきことは決めていかなければならないというふうに思っているところでございます。
金子(哲)委員 ぜひ、そういう深刻な状況だということを念頭に置いて考えていただきたいと思います。
 最後に一つ御質問いたしますけれども、北朝鮮の被爆者の問題です。
 今度の四月の赤十字会談の中で、北朝鮮側から被爆者問題について触れられたということでありますけれども、その内容についてお聞きをしたいということ。時間がありませんのでまとめて申し上げますけれども、もう一つは、北朝鮮の被爆者協会から具体的な要求というものが出てきたことがあるのか、あるとすればその内容はどうかということ。最後に大臣にですけれども、今回の渡日ということになりますと、国交のない北朝鮮の場合は実際上ほとんどその適用が難しいということになってまいりまして、現実的にはほとんど役割を果たさないということになると思いますけれども、大臣、三月末に実際には北朝鮮側とお会いしたいという希望を持たれていたのがいろいろな事情で中止になっておりますが、最後に、ぜひお会いしていただきたいという要望。その三つの点で外務省からもお聞きをしたいと思います。
佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。
 まず、日朝の赤十字会談における本件の扱いでございますが、四月に日朝の赤十字同士の会談が行われまして、私自身も政府を代表して出席をさせていただいたわけでございますが、この被爆者支援の問題につきましては、北朝鮮側から、現在日本としてどういう検討が行われていますか、施策の状況はどういう状況ですかということについて先方の方から提起がございまして、日本側の方からそれに対して現状を説明したということでございます。その際、具体的な要請等は行われなかったということでございます。
 それから、これまでに北朝鮮側から具体的な要望があったかどうかという御質問でございますが、昨年三月に政府で、厚生労働省それから私ども外務省合同で被爆者の実態調査団というものを出しまして、私自身もその団でも参ったわけでございますが、その際は、北朝鮮に参りましてその被爆者の方々の実態を調査するということで、主として、先方のさまざまな報告を聴取し、いろいろな関係の施設を視察するということをいたしたわけでございます。そうしたやりとりの中で、先方の方から具体的な希望の表明があったということでございます。
 どういうやりとりがあったかということについては、具体的な希望の表明ということは伺ったということはございます。他方で、北朝鮮をめぐって御承知のとおりいろいろな問題がございますし、それから、国交がないという状況がございますので、いろいろ御希望いただいても、なかなか正直なところ検討するのも難しいというものもございます。
 大体の状況は以上のとおりでございます。
坂口国務大臣 一言だけ。赤十字の方からは、あす、ちょうどお越しをいただいて話を伺うことになっておりまして、まだ今のところ赤十字の方から私の方は聞いておりません。あすお伺いをすることになっておるということでございますので、御理解いただきたいと思います。
金子(哲)委員 時間になりまして、終わりますけれども、特に人道的な立場からぜひとも在外被爆者の問題がもっと前進するように、強く要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
森委員長 次に、瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。きょうは、私、診療報酬問題についてお聞きいたします。
 三方一両損、医療機関にも痛みをと、政府はこの四月から医療機関に支払われる診療報酬を全体で二・七%のマイナス、本体部分で初めて一・三%のマイナスの改定をいたしました。この診療報酬の引き下げは、医療機関への打撃はもちろんですけれども、治療や入院に必要な医療費を削り、患者にも重大な負担を強いることになりました。
 具体的にお聞きいたします。今回、診療報酬を引き下げて医療機関の経営を縛り、病院は堂々と患者を病院から追い出すか、もしくは退院できない患者からは保険外負担を取っていいですよというのが特定療養費の大幅な拡大、入院六カ月を超えた長期入院者の問題でございます。これは、入院が百八十日を超える患者は、原則として入院医療の必要性は低いとして、医療保険から病院への支払いのうち入院基本料を段階的に一五%までカットする。このカット分の患者負担は月額五万円程度であると言われています。つまり、六カ月を超えた長期入院患者がこの負担を払えなければ、病院から出ていってもらう、在宅や介護施設へ誘導するというものです。社会的入院の解消が理由だというふうに言われております。
 そこで、お聞きいたしますけれども、厚労省が社会的入院患者と言う場合には、どういう人たちを指しているんでしょうか。
大塚政府参考人 いわゆる社会的入院に関する議論は随分前からあるわけでございます。その時点時点で議論の対象も少しずつ変わっておりますけれども、かつては、いわゆる一般病床に長期に入院されておられる、医療上の必要性は低いというケースが問題となりまた課題となったわけでございますが、こういった課題につきましては、現在の療養病床、当時の療養型病床群制度の導入でありますとか、あるいは介護保険制度の導入という形で大幅な改善が図られてきていると思っております。
 今日課題となっておりますのは、療養病床が主たる課題でございますけれども、長期に入院をされている方々で、医療上の必要性は必ずしも高くない。具体的に申し上げますと、その時点で福祉施設あるいは在宅でお暮らしいただける状態であるけれども、医療上の必要以外の条件あるいは状況のために退院ができない方々、こういう方々を、俗な言葉でございますけれども、社会的入院というふうに呼ばれることがあるわけでございます。
 したがいまして、もう一回整理をいたしますと、社会的入院患者と言われるケースは、入院医療の必要性が低いにもかかわらず長期にわたり入院しておられる方々ということを念頭に置いた対策ということになるわけでございます。
瀬古委員 社会的入院というと、その時々で変わっていくと。最初は一般病床、そして今は療養病床で、この次はどういうふうになっていくのかというのが大変心配なんですけれども。
 入院医療の必要性が低い。どんな社会的な入院の理由で、今日的な社会的な入院の理由でこの人たちはいつまでも病院に居続けると考えているんですか。
田村大臣政務官 今、社会的入院という方々の定義に関しては局長からお話があったと思うわけでありますけれども、要は、こういうふうに、入院医療の必要性が比較的少ない方々であって、理由といたしましては、例えば、家庭の御事情がいろいろあられて、そういう中において在宅での療養が非常に難しい方々でありますとか、また、介護保険施設等々の入所待ちをされてこういうところに入院をされておられる方、こういう方々も、社会的入院の一つの理由であろうというふうに認識いたしております。
瀬古委員 家族が引き取れない、または介護保険施設で、待っていらっしゃる、そういう方々の場合は、本人が望んで入院をしていらっしゃるという状況ではないわけですね。社会的な入院というのは、患者さんの都合でないという部分がかなり占めていると思うんです。その多くは、家族の引き取りが困難な状況の方が多い、この点はお認めになりますでしょうか。
田村大臣政務官 すべてがそうではないでありましょうし、またいろいろな理由が、家族が引き取れないという理由もあられると思いますので、それは、どれがいたし方がないのかというのは、それぞれの理由によって色分けというのはあろうと思いますけれども。
瀬古委員 病院に長期で入院されている方々が家庭での介護がなかなか困難だと。こういう問題については、これは、実は昨年の十二月十日に開会された社会保障審議会の介護給付費分科会、ここで言われているんですが、「入院医療の必要性が低い長期入院患者のうち退院の可能性が高い者について、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、グループホーム等にて受け入れることを考慮するものとする」、このように提案が実はされているんですね。ですから、施設が必要だ、大半は家庭よりは施設入所が必要な人たちだというのは、そのときの議論でも出されていると私は思うんです。
 それからまた、家庭に帰る場合でも、すぐ帰れないという場合もございます。リハビリをしながら帰る、老人保健施設など、そういう一定の施設を通過してまた家庭に戻る。こういう場合もあると思うんですね。
 ですから、この社会的入院として病院に今いる患者さんたちが家庭に帰る場合に、今家庭の状況はどうなっているのか、今施設の状況は一体どうなっているのか、すぐ帰れるのかどうか、こういう問題についてはきちんと調査をして、そして今回提案されるというのが当然だというふうに思うんですけれども、そのような、例えば特養ホームの待機者がどうなっているのか、こういった調査などはされたんでしょうか。調査をされているとすれば、どのような内容で調査をされているのか。厚労省は、退院しても間違いなく療養生活が安全に安心して送れる、こういう保証はありますよとはっきり胸張って言えるのか。その点についてお答えいただきたいと思います。
坂口国務大臣 これは、それぞれの御家庭によりまして随分条件は違うというふうに思いますが、六カ月入院というのは、これは病気としましては大変長い入院だというふうに思うわけです。六カ月入院してもなおかつ治療が必要だと判断されますところにまで帰ってくれということを言っているわけではなくて、もう病院の治療は大体これで終わりました、後は老健施設なりあるいはケアハウスなり、そうした別なところで十分ですよというふうに言われている人たちに対してどうするかの話でありまして、まずは、第一義的には、やはり御家族が、ではどうするかということを決めていただかなきゃならないと私は思うんですね。全部が全部、病院がその行き先々までお世話をするというのではなくて、御家庭においてまず、できればそれはもう引き取ろう、こういうことにしていただくのが一番いいというふうに私は思うんですが、そして、そこから後は、いわゆる在宅介護をどういうふうに受けていただくかということになってくるわけです。
 しかし、それが難しい、それがそうはなかなかいかない、例えば、もう二カ月なり三カ月は老健施設なりなんなりで一遍段階を踏んでからでなければ家庭に帰れないといったところにつきましては、それは病院も、六カ月がすぐ、ある日突然に来るわけではないわけでありますから、六カ月という大体の目安があるわけでございますから、病院から、それは老健施設の紹介もしてくれることもあるでしょう。それから、各個人でしていただかなきゃならないこともあるでしょう。そこはケース・バイ・ケースだというふうに思いますけれども、そうしたところを選択していただくというのが次のことだというふうに思うわけです。
 そうはいいますものの、地域によりまして、老健施設でありますとかケアハウスでありますとか、そうしたところが多いところ少ないところ、それは当然あるというふうに私は思いますので、少ないところにつきましては、急いでその地域にそうした施設をふやしていくように全力を挙げたいというふうに思っている次第でございます。
瀬古委員 今大臣は、ケース・バイ・ケースと言われたんですね。確かに、ケース・バイ・ケースもございます。しかし、制度として、もう六カ月以上の患者さんは、出ていくか金払うか、どっちかの選択をせざるを得ないわけですね。そういう場合には、少なくともちゃんと、行く先が大丈夫かというようにやった上で、さあ、どちらにしますか、選んでくださいねというふうに言うのが普通の行政のあり方でしょう。
 だから、私が聞いているのは、こんな制度をつくる前に、今六カ月以上入院されている方が帰ったらどういう状態に置かれるのかということをきちっと調査した上で今回提案されているんですかと聞いているんです。いかがですか。
坂口国務大臣 それは、そこまで、病院なら病院に、その先をどうするかというところまで明確にしろと言うのは無理だというふうに私は思います。
 やはり、それぞれの御家庭におきましてもお考えをいただかなければならない問題だというふうに思いますし、そうした、それでもなおかつ足りないところにどうするかということは、それは、国と申しますか都道府県あるいは市町村も御相談に乗らせていただかなければならないだろうというふうに思いますが、ただし、入る場所がないというのでは、これはいかんともしがたいわけでありますから、そこは急いで準備をしなければならないというふうに思っておりまして、そこは急いでやるつもりでおります。おりますが、しかし、ある程度そこは入院なすっている皆さん方も御理解をいただかなければならない。そして、入院をなすっている皆さん方が、できれば御家庭に帰りたいと言っていただくときには御家庭に帰れるように、やはり御家族も配慮をしていただかないといけない、こういうことを思っております。
瀬古委員 これから入るところのない人は、急いでつくると言うんだけれども、本来で言えば、入れるところ、戻れるところをきちっとつくった上でさあどうしますかと言わないで、これからつくると言って、今もう、すぐ追い出しちゃうわけでしょう。こんなひどいやり方はないと私は思うんですよ。
 実際には、本来なら、今六カ月以上入院されているという方は、今まで三カ月の入院でこれまた病院を出ていってくれと言われても、頑張って頑張って三カ月何とかクリアして、よその病院に移って、ようやくここに来たらまた六カ月した、さあ出ていくか、それとも金払うかどっちかだ、こういう選択に迫られるわけですよ。
 私は、行政というものは、本当に国民のために考えるものだったら、本来、きちっと今の置かれている人たちの状況を調べた上で、これなら大丈夫だ、そうやって提案するのが当たり前じゃないですか。まだこれからつくりますよなんという、こんなことでほうり出されたら一体どうなるんでしょうか。いかがですか。
坂口国務大臣 いや、もう準備はかなり進んでいるわけでございますし、この制度が導入されますのは十五年の四月一日ですよ。現実問題として、完全に実施されますのは平成十六年の四月一日からです。
 したがいまして、それまでにはちゃんといたしますということを申し上げているわけで、もう平成十四年度の予算におきましてもかなりたくさんそうした予算は組んでいるわけでございますし、昨年の補正予算につきましても組んだところでございますし、そこは今着々と準備が進められているわけでございますしいたしますから、それはそんなに御心配をいただくようなことはないようにしたいというふうに思っているわけですから、どうぞひとつ御理解ください。
瀬古委員 特養ホームの待機者は今、介護保険制度が実施されて、実際には二、三倍になったと言われております。在宅介護の費用負担が余りにも高いと、在宅を重視するという介護保険の趣旨に逆らって、もう逆さまになって、施設志向というのが今出てきているんですね。
 大臣が出身の三重県ではどうか。約五千人の定員の特養施設で、しっかり名寄せして重複を除いた待機者が三千九百三十九人もいらっしゃるわけです。百人規模の特養ホーム、今つくっても四十カ所、三重県につくらなきゃならないぐらい、特養ホームで今待っていらっしゃるわけですよ。何年待つかわからない、こういう状態でしょう。
 現行ゴールドプラン21、この特別養護老人ホームの整備量は、二〇〇二年で三五・七万人、目標年次の二〇〇四年では三十六万です。わずか四千ふえるだけなんです。三重県一県分しかないんですよ、待っている人の。どうするんですか。
 現在、定員の三倍を超える待機者がいる。ダブりを除いても相当数になる。三十六万自身が、もともと目標自身が物すごく低く抑えられているんですね。介護の老人保健施設も一・一万人分でもう目標は達してしまう。宣伝されているケアハウスも五千四百人分ふやせばもう終わり。ゴールドプラン21の目標を達成したとしても全く不十分です。そして、介護の療養型医療施設の計画達成率は六割という状態だ。今後二年間でこれだけ、もともと目標は低いのに、さらにこの整備がおくれている。こういう状況で、本当に受け皿整備が完全に進む、そういう保証があるなんという、こういうことがどうして言えるんでしょうか。いかがですか。
田村大臣政務官 先生、いろいろと、確かに待機者がおられるということをおっしゃられましたけれども、確かに数字の上ではいろいろなことを言われておるんですが、例えば複数の施設に申し込まれておられる方々がおられたりとか、また、それ以外にも、例えばすぐに必要じゃなくても先に申し込もうという方々がおられたりとか、いろいろな数字の結果として、そういう数字が言われてきております。
 今、新しい介護の計画というものを各自治体でおつくりをいただいておりますけれども、この新しく十五年度から実施に向かってつくっておられる計画の中において、果たして本当にプライオリティーの高い方々をどういうふうに配分していくべきなのかということも含めて、一番いい方法を今模索をさせていただいておりますので、なるべく本当に真に必要な方々が介護施設に入れるようにというふうにしていく中で、そういう問題を何とかクリアをしていきたいというふうに思っております。
瀬古委員 田村さんの出身の地域の三重県でも、ちゃんと名前を寄せて、それで人数がもうあと四十カ所も直ちにつくらなきゃならないぐらいの、そういう状況だと言っているんです。
 もうしっかり、今出ていったら本当に路頭に迷う、こういう状況で、みんな、あと三年待ちの特養ホーム、四年待ちの特養ホームといって、今現在、施設に入っていない、自宅にいる人たちも、もう本当に首を長くして待っていらっしゃるわけですよ。その上で、六カ月以上入院している人がどっと出ていったらどうなるんでしょうか。本当に考えてもすさまじいことになると思うんですね。
 そこで、私は、まあ、やむを得ず金を払わないかぬかという問題になると、これまた深刻なんですよ。現在でも、入院いたしますと、毎月の支出というのは、保険の自己負担分がございます。それに、食事代、ベッド代の保険外負担は、今六万円から十万円、入院したらかかると言われているんです。さらに、これから自己負担を五万円しなきゃならぬ。保険外負担の五万円を払えない人は、結局病院から出ざるを得ないんですね。
 そして、私がお聞きしたんですが、名古屋市内の四百床近い病院の院長さんは、今六カ月以上入院している患者さんが医療費に加えて十万円も払えるような人はほとんどいない、今まで差額ベッドを取らないでここまで頑張ってきたのにとうとう保険外負担を取らざるを得ない、それが払えない人は出ていかざるを得ない、これが本当に医療かということを言っていらっしゃいました。
 結局、病院から出るに出られない。そして、受け皿も十分整っていない中で、社会的な入院だといって、現実的と称して、お金を出せば引き続いて病院に入れておいてやるぞと。こんなひどい話、私はないと思うんですね。
 長引きそうな患者は入院前に、お医者さんの言うには、選別すると言われるんですよ、在宅でこの人を引き取れるかな、自己負担できるかなと。だから、患者さんを診る前には、その体をまず診るというより懐ぐあいはどうかなというふうに、お医者さんも本当に良心が痛んでしまうと。こういう状況なんですね。
 愛知県の医師会の会長の大輪次郎さんはこのように言っていらっしゃいました。まじめに患者に尽くす赤ひげ診療ほど行き詰まり、算術にたけた病院ばかりが生き残る、これが果たして改革と呼べるのか、このように直言されているんですね。
 今回の改定で、じゃ本当に医療が必要がない患者さんばかりなのかというと、これも今大きな問題になってきています。
 今回の改定で、最も医療が必要な患者さんも排除される、そういうおそれがあるというふうに病院の先生たちは指摘されています。例えば、床ずれ、唾液や食べ物が気管に入って起こる誤嚥性の肺炎、がん末期で抗がん剤を使わずにモルヒネで痛みを和らげている患者、気管切開をしている患者、心臓に近い静脈に高カロリーの輸液を点滴する中心静脈栄養注射をしている患者などは対象にならないんじゃないかと、大変先生たちから心配の声が出ています。
 また、私は、坂口大臣はお医者さんですからよく御存じだと思うんですが、患者さんの症状というのは、リアルタイムで、ある意味で、現場でその都度その都度判断しなきゃならないという問題は出てくると思うんですね。そういう意味では、一片の通知だけでこの病気とこの病気だけはいいなんというようなやり方ではなくて、やはり、担当医による医療上の必要性が判断される場合、こういうものもきちんと加えてその体制を整えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 私らだけではなくて、先生も三重県ですから、まあ三重県の話が出たわけでございますが。
 いわゆる、医療費を下げてはならない、長い間入院している人たちを早く帰してはならない、そうすると、これは医療費は上がるわけですね、当然のことながら。だけれども、当然のことながら医療費は上がる、しかし負担は上げてはならない、こうおっしゃるわけですから、これはそんな手品はなかなかできないわけですね。どんどんと、長い間、その本人が帰れるところまで、帰ると言うまで病院には置いておいてください、そして、診療報酬を下げてはいけませんよ、医療費が上がりますけれども、保険料は上げてはいけません、自己負担をふやしてはいけませんと言われましても、これはなかなか、それに合うような医療制度というのはどこの国にも存在をいたしませんし、日本の国でもそれはでき得ません。
 したがいまして、どこかでお願いをしなきゃならないわけですね。日本の国の中で、なぜ日本の国の医療が高いかといえば、一つには、やはり入院期間が長いわけですよ、日本は。この日本の入院期間の長いのを一体どうするかという話もあるわけです。現在も既に逓減制をとられているわけですから、現在だって、三カ月、六カ月が参りましたら出てくださいと言う病院はたくさんあるわけですね。今までは、病院がその分だけ負担していかなきゃならぬわけですからこれは大変なわけですよ、病院としましては。
 だから、これから先そうなるんではなくて、現在までも既にそういうふうになっているわけですから、これから急にそんなことが起こるというわけでは決してありません。それは少しおっしゃり方が違うというふうに私は思っています。
 ただ、そうは言いますものの、それぞれの地域において、この老健でありますとか特養でありますとかケアハウスというものの格差が余りにも大き過ぎてはいけないから、それは格差のないようにしていかなければならないというふうに思うわけです。
 しかし、家庭における在宅介護というのがこれで始まったわけでございますしいたしますから、この在宅介護は、もう今さら言うまでもなく、できるだけ家庭の中で介護をしていきましょう、みんなが、自分たちだけではなくて社会のそうした制度も利用しながら在宅介護をしていきましょうという制度ができているわけですから、できるだけ御家庭でひとつ在宅介護を受けていただくようにしなければならない。子供さんがたくさんいてもだれも見ませんというのは、それは私は、やはりそういう社会に日本の国をしてしまってはいけないと思うんですね。在宅介護をしながら、そしてやはり親は見ていくという日本をつくって、初めて日本は健全な社会になっていくのではないでしょうか。
瀬古委員 まず、医療費が上がるのはそれも困るなどという話がありますが、大体、もともと国は、医療についてはどんどんその費用を減らしてきたんです、国の負担分を、国庫負担を。だから、あなたたちにはそういうことを言う資格は本来ないんですね、本来で言えば。
 そして、今、入院している患者さんたちが六カ月もなるというのは、戻れない理由というのは、あなたたちが社会的な理由だと言われたように、介護の施設がない、介護をやれる体制がない。子供が見るべきだと言ったって、子供が働いている場合だってありますでしょう。老人世帯だってありますよ。ひとり暮らしの家庭がうんと多くなっている。
 だから介護保険施設をつくったと言うけれども、在宅の介護で今の介護保険施設、十分できないわけですよ。それで、みんなが施設に行った、施設はみんな待っている、実際に入れない、こういう状態があるからこそ、今、六カ月以上長期の入院になって、病院にいなくてもいいという人だって、ちゃんと介護の施設なりそういうものを、在宅でちゃんと見れるような体制をつくりなさいと。つくってから、さあどうぞ、皆さんどれか選んでくださいというならいいんだけれども、全く選択の余地のないところへほうり出す。そして、国は医療全体の費用をどんどん削ってくる。こういうやり方では、本当に国民の福祉や医療がどんどん壊れてしまうと思うんですね。
 そして、今私が言った質問について、本来の必要な医療まで壊されてしまうんじゃないかという不安があるんですが、それについてはいかがですか。
大塚政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、いわゆる長期入院、社会的入院と言われる問題について、どのような方法でこれを処理するかというかねての議論でございまして、今回突然という話ではございませんが、お尋ねの趣旨は、この今回の対策の主要な課題は、医療が必要ではない長期入院の方々ということでございますから、逆に申しますと、医療上の必要があるという方につきましては、適切な整備をいたしまして、入院ができるように、継続して入院ができるようにしなきゃならぬわけでございまして、一つには、既に告示をいたしまして、一定の疾患あるいは状態にある方につきましてはこの特定療養費の対象外となる、そういう疾患あるいは状態につきまして告示をしてあります。
 しかしながら、それだけで十分かというと、もう少し医療の現場、医療の実態をよく承知をいたしまして、既に告示をいたしました状態あるいは疾患に準ずる方々というものも定めなければならないと思っております。これにつきましては、この後、専門家あるいは臨床の現場の方々の御意見をよくお聞きをいたしまして、本年夏を目途にその対象範囲を定めたい、こういうふうに考えておるところでございます。
瀬古委員 では次に、二百床以上の病院の再診料についてお聞きしたいと思います。
 今回、二百床以上の病院における再診が新たに特定療養費化されました。既に二百床以上の病院の初診料は特定療養費化されているわけですけれども、さらに、患者に対して文書で近所の医師などを紹介した場合は、それ以降の再診料を取る、こういうものでございます。
 これは、もう大きな病院には診察に行くな、こういうことではないのかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 限られた医療資源、つまり医療機関などでございますが、これらが適切な機能分担をして全体として効率的な医療、良質な医療を提供していくということは、これはもう重要な課題でございまして、これまでもさまざまな方策を通じてその促進を図ってきておるわけでございますけれども、ただいまお尋ねの二百床以上の病院の再診料のいわば特定療養費の組み合わせ、これにつきましても同様の発想に立つものでございます。
 これもお話ございましたけれども、初診についてもう既に導入をされておる制度でございますけれども、今回は再診につきまして、一定の条件のもとに、一定の条件を満たせばいわゆる特定療養費という形で再診料について、患者の選択に応じて医療機関が費用を徴収することができるということにしたわけでございます。
 その条件と申しますのは、一つには、他の医療機関をきちんと紹介をする、紹介をする用意がある、その医療機関の具体的な医療機関名、それから、その回ではなくて次回以降の特別の料金の具体的な金額、こういったものを文書により説明を行い、それを患者さんが了解をした場合、これは特定の一定の金額をちょうだいできるという仕組みでございます。
 したがいまして、二百床以上の病院を引き続き受診することを妨げるものではございませんし、具体的なケースといたしましては、病院の受診を受けた方々が、一定の治療を終えて、あとは地域の近い、身近な例えば診療所などで受診ができる、こういうネットワークの中で治療を受けていただくということが、患者にとってもまた医療機関の全体のシステムにとっても適当というようなケースを想定してこんな仕組みを導入したわけでございまして、全体としては、医療機関の機能分担を促進するというために必要な措置というふうに考えております。
瀬古委員 私は、自分が重い病気になったときのことを考えたときに、例えば、生死を分けるような手術をしてもらった病院とその先生にずっと診てもらいたいということだってあるわけです。そういう場合に、定期検診を受けたり再診で診てもらうということは当然なんですね。
 大体、そもそも特定療養費という考え方なんですけれども、そのうち選定療養というのは、特別の療養環境、差額ベッドや歯科材料などで、直接医療にかかるというところよりは医療周辺部分だ、こういうふうに今まで説明されてきました。現在、その場合には、保険外負担の分野が認められているわけです。これは、あくまでも患者の求めに応じて、患者の同意を得て、合理的な範囲内でならば特別の料金を徴収できるというものなんですね。
 患者が求めもしない、そして同意もしていないのに、そして、そのことで、もうここには来てくれるな、ほかに行ってくださいなどといって、実際には患者と医療機関の関係が大変気まずくなるようなことになる、こういう、特定療養費というのは患者医療本体の周辺部分に限定するというふうに今まで答弁をされてきたのに、実際には、再診なんというのは医療そのものの本体に踏み込むわけですね。
 これは、特定療養費の考え方というのは変わったんでしょうか。いかがですか。
大塚政府参考人 特定療養費の基本的な考え方が変わったとは私どもは考えておりません。
 お話ございました医療の周辺部分という表現が適当かどうかございますけれども、基本的には、患者の同意あるいは選択、あるいは患者の多様なニーズ、先進的な医療、一つではくくれませんけれども、幾つかの要素の中で、本当に、本質的に必要な医療、これは当然公的な医療保険でございますから保険給付として対象にいたしますけれども、幾つかの、例えば患者の選択にゆだねるもの、あるいは先進的な医療との組み合わせといったような柱の中で特定療養費制度というのを運用していく考えでございまして、今回の改定におきましてもその基本的な考えは何ら変えておらないつもりでございます。
瀬古委員 六カ月以上の入院基本料の問題や再診料というのは、私は、医療本体そのものだと思うんですよ。入院とか退院とか再診、これは患者にとって選択できない分野なんです。これが医療周辺部分だというふうにいいますと、これからこの本体部分に、医療周辺部分だといって、どんどんそういうものが入ってきて患者さんの自己負担をふやしていく、こういうところに踏み込んでいくんじゃないか、そういう心配はもう十分あるんです。
 どうして、こんな再診だとか入退院の、そして入院の基本料などが、選択できる、特定療養費、特定のこういう療養費制度の一環なんだということが言えるんでしょうか。むしろ、私は、今まで厚労省としては、こういう特定療養費、差額ベッド代なども、本来なら本当にそれが差額ベッド代を新たに個人負担で取るものなのかどうかというような疑問もいっぱいあります。しかし、少なくとも、こういうものについてはだんだん少なくしていく、解消していくという方向があったんじゃないかと思うんですね。
 ところが、いよいよ本体部分にまでどんどん踏み込んでいったら、これも特定療養費、これも特定療養費といって、本当に、例えば、今、国民に三割の負担を押しつけるといって、事実上四割、五割、こういうものになってくるんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 ただいまの例えば二百床以上の今回の再診料の件でございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、医療機関が連携をいたしまして、言ってみれば、どちらの医療機関でその後の受診、あるいはケアをするか、これを患者の選択にゆだねるという仕組みでございまして、全体としての効率性と患者の選択というのを組み合わせる方法といたしまして特定療養費という仕組みが活用できるわけでございます。
 私どもは、一面においては慎重に考えなければなりませんけれども、大変医療に関するニーズというのは多様化してきております。その傾向がますます強まっている中で、この特定療養費制度、患者のニーズと公的保険の適切な組み合わせという仕組みは非常に貴重な、重要な仕組みだと思っておりまして、一面では慎重に考える必要がございますけれども、これを弾力的に、有効に活用するという方向は、私どもとしては、これから先もよく検討し活用していきたいというふうに考えているところでございます。
瀬古委員 病院から出ると実際に受け皿もなく、出ていけない、こういう人たちや、それから、この病院でずっと診てもらいたいという人たちに対して、これはニーズだからといってそれで特別料金を押しつける、こんなのニーズでも何でもないですよ。今までやってきたことを、特定療養費、これはもうあなたたちの選択なんだといって個人負担を押しつける、その額もすさまじい額なんですよね。
 私は、こんな国民負担のやり方を今回取り込んだというやり方は、国民にも知らされていない、病院に入院したら突然そういうふうな状態になっていく、それから、外来で最新の大きい病院に行った場合には、突然下さいといって要求される、こういう、全然国民にも知らされていない、国会でも論議されていないのに、もう四月から突然こんなことをやるわけでしょう。私は本当にやり方の上では問題だと思うんです。
 時間がないので最後になると思うんですが、歯科診療の問題について伺います。
 中医協の、診療報酬改定の前年に実施され、改定作業の前提とされる医療経済実態調査を見ても、歯科の個人診療所は九三年の調査以降連続して悪化しております。相次ぐ患者負担の増大による受診抑制が原因と言われております。
 厚労省は今まで歯科の在宅治療を推進してきたんです。ところが、突然、今回、方向転換をして、厚労省は通知を出して、その月に一回でも他の医科病院に通院した患者は訪問診療を認めない、こういう状態のために、一部の歯科医が今もう訪問診療から撤退せざるを得ないという状態に陥っています。
 今まで、寝たきりでも在宅治療を通じて体調をきちっと確保する、自立できるようになるまで、回復するまで本当に苦労されてきたお医者さんがいっぱいいらっしゃいます。
 日本口腔ケア研究会の会長の鈴木俊夫先生に私はお会いしたんですけれども、歯は生きる力だ、住民からとても喜ばれていて、そして今まで厚生省、厚労省が頑張ってくれといってやってきたのに、突然はしごを外された、このように怒っていらっしゃいます。
 十三年前から訪問診療に力を入れてきた熊本の緒方先生、歯医者さんなんですが、車いすの障害者の皆さんにも、そういう体の不自由な患者さんにも訪問診療をして喜ばれている。ところが、今回、厚労省が出してきた基準でいくと、月大体平均八十人ぐらい患者さんがいるんだそうですが、今回、改定で対象になるのはもう二人しかいなくなってしまう、こういう状態だというんですね。ほとんどの患者さんが通院できる状態ではない、口の中の健康を守るという歯科医師としての誇りと、人の役に立っているという喜びでここまでやってきたのにと、本当に悔しがっておられるんです。
 今、歯科の診療を規制する前に、もっと在宅医療を積極的に進める努力をすべきだ、佐賀県の医師会なども、要請が厚労大臣のところにも来ていると思うんですが、少なくとも、現在献身的に行われている歯科の在宅医療を後退するなんてとんでもない、積極的に進める、これを国の施策としてやることは当然ではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 歯科診療そのものの重要性といいましょうか、特に高齢者などに対します重要度、これはもちろん否定するものでございませんし、歯科診療の充実というのは全体として重要な課題だと考えておりますけれども、お話しのいわゆる訪問歯科診療につきましては、これまでのさまざまな御意見を通じまして、言ってみれば訪問歯科診療の、何といいましょうか、安易に点数を申請する、逆に言いますと、必要度が低いにもかかわらず訪問診療という形で請求が行われるというようなケースについての御指摘もございました。したがいまして、関係審議会でもいろいろ御議論をいただきまして、今回の診療報酬改定におきまして、いわば算定制限、考え方を明確にいたしました。
 具体的には、例えばということで、通常の医科の医療機関などに一方では通院をされている、一方歯科では訪問診療を受ける。これはやはりおかしいだろうということで、医科の診療機関などに通院している場合については、訪問歯科診療については算定できないという通知を出しました。
 しかしながら、一つの例示というつもりで通知をいたしたわけでございますが、さまざまな御意見あるいはお問い合わせがございましたので、その後、あわせまして、基本的にはいろいろなケースがございますから個々の症例ごとに適正に判断すべきでございまして、幾つかの事例などを含めまして、疑義解釈の通知で重ねて御連絡をいたしているところでございます。
瀬古委員 一部、いろいろ問題があったと。しかし、全体の歯科医がもう訪問診療をやめたくなってしまう、もうやれなくなってしまう、こういうやり方は私は問題だと思うのです。
 そういう点で、少なくとも、今までやられてきた訪問診療をうんと前進させる、よし、引き続き頑張るぞと言えるような、そういう今回の対応をしなきゃならないと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。大臣。
坂口国務大臣 今までの経緯もあったことでしょうから、そのことは十分にわきまえてこれはやっていかなきゃならないというふうに思いますので、私も、細かいことはちょっとよくわかりませんが、よく、一遍検討したいと思います。
瀬古委員 訪問で歯科診療をやる、そういう方が、例えば突然風邪で熱を出した、そして家族によって医科のお医者さんに運ばれる。そういう場合は歯科の訪問診療は請求できない。こんなことをやったら、実際には、訪問診療でやっている人で、この人はこの一カ月でどこか病院に通うだろうかなんて考えながら一々判断して歯科の訪問診療に行かなきゃいかぬ、こんなばかなことはないと思うのですね。そういう意味では、少なくとも今までの在宅の歯科診療を前進させるという立場でぜひやっていただきたいと思うのです。
 今お話がありましたように、全国から今それで批判が殺到しているわけですね。そして、現場はもう毎日毎日、あなたは残念ながら訪問診療しませんといって障害者の人に言わざるを得ない。本当に患者さんががっくりきているという状況があるわけですよ。
 そこで、厚労省は慌てて疑義解釈というのを出されたわけですね。そうすると、これがわかりづらいのですね。今局長が言われたように、必要に応じて個々の症例ごとに適正に判断していく、こういうふうに、こればかり書いているのです。これを繰り返し言われているのですね。しかし、現場の医師からいえば、だれがいつどう適正に判断するのか全然わからない、レセプトを出してから、そしてこれはだめですよなんて言われたら、本当に医療をやる意欲というか、なくなってしまうわけですね。
 ですから、こうしてこういう通達といいますか、やる意欲をなくしてしまうような通達はぜひ撤回していただいて、少なくとも現場の医師の判断をよく尊重して、そしてやはりもっともっと訪問診療の制度を前進させていく、こういうことでやる必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 訪問歯科診療の趣旨は、要は、通院による歯科治療が困難な方につきましては、これは訪問という形で歯科治療をするということになるわけでございますから、その趣旨に沿って、一つには、やはり公的な保険でございますから一定のルールが必要でございまして、そのルールが余りにも乱れるというのは、これまた公的な制度としては適正、適当ではございませんので、きちんとしたルールを守っていただくというのが一つ。
 他方では、しかしながら、さまざまなケースがございますから、一々細かく、これはどう、これはこうというような形を余り詳細に行政が判断することは現実的でもございませんし、また適当でもございませんから、どうしても、個々具体的なケースは個々に適正に判断してくれ、こういう部分が残らざるを得ないわけでございます。
 一義的には現場においての判断ということが尊重されるべきだと考えますが、とにかく合理的な、適正なルールに沿って運用をしていくということを基本にいたしたいと考えております。
瀬古委員 ぜひ、機械的にやるのではなくて、基本的には多くの歯医者さんは、何とかして、現場を訪問して、寝たきりだった人も、歯が元気になるということは本当に体も健康になっていくということで、本当に苦労されているわけですよ。それを、余りにも乱れているみたいな、そういう言い方で全部歯医者さんをくくってしまうようなやり方は、実際にはそういうふうに思っていらっしゃらないかもしれないけれども、こういう通達を出せば当然そういうふうになっていくわけです。それがひとり歩きしていくわけですね。
 ですから、この通達は撤回して、今の現場の先生の判断、医師の判断できちんと訪問歯科診療が進む方向でぜひ検討すべきだと思うのですが、いかがですか、最後。
大塚政府参考人 ただいま申し上げましたような趣旨で私どもも考えておりますけれども、今回の通達が疑義解釈も重ねて御理解いただければ、私どもの趣旨自体を御理解いただけると思っておりまして、通達を撤回する考えは、そういう意味でございません。
瀬古委員 時間が参りましたが、私は、やはりこういう制度の改定の場合は、本当にもっともっと現場の患者さんや現場の医療関係者の意見もよく聞いて考えなきゃならないと思うのです。
 実際に、皆さんがやったことによって事態は深刻になっている。現在でも、今病院、医療機関が三割が赤字だと言われている、倒産や廃業も起きている、こういう医療機関が今生き残ろうとすれば、病院は人を減らす、患者負担をふやす、医療内容に重大な影響が出るんです。
森委員長 申し合わせの時間を過ぎておりますので、結論を急いでください。
瀬古委員 そういう意味では、今回の診療報酬の改定が、国庫負担の削減が目的だ、医療機関や患者負担の押しつけであることはもう明らかです。
 理由も十分合理性がない、こういう診療報酬は直ちに再改定をやると同時に、この健保法は廃案にすべきだということを主張して、私の質問といたします。
森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時八分散会


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