衆議院

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第15号 平成14年5月29日(水曜日)

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平成十四年五月二十九日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 森  英介君
   理事 鴨下 一郎君 理事 鈴木 俊一君
   理事 長勢 甚遠君 理事 野田 聖子君
   理事 釘宮  磐君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君
      岡下 信子君    上川 陽子君
      木村 義雄君    北村 誠吾君
      後藤田正純君    佐藤  勉君
      自見庄三郎君    田村 憲久君
      高木  毅君    竹下  亘君
      竹本 直一君    棚橋 泰文君
      西川 京子君    林 省之介君
      松島みどり君    松野 博一君
      三ッ林隆志君    宮澤 洋一君
      谷津 義男君    山口 泰明君
      吉野 正芳君    家西  悟君
      大島  敦君    加藤 公一君
      鍵田 節哉君    金田 誠一君
      五島 正規君    仙谷 由人君
      土肥 隆一君    三井 辨雄君
      水島 広子君    江田 康幸君
      桝屋 敬悟君    樋高  剛君
      小沢 和秋君    佐々木憲昭君
      瀬古由起子君    阿部 知子君
      中川 智子君    野田  毅君
    …………………………………
   議員           山井 和則君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局参事官
   )            田口 義明君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           清水  潔君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十九日
 辞任         補欠選任
  佐藤  勉君     山口 泰明君
  三ッ林隆志君     松野 博一君
  宮澤 洋一君     高木  毅君
  五島 正規君     仙谷 由人君
  小沢 和秋君     佐々木憲昭君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     宮澤 洋一君
  松野 博一君     三ッ林隆志君
  山口 泰明君     佐藤  勉君
  仙谷 由人君     五島 正規君
  佐々木憲昭君     小沢 和秋君
    ―――――――――――――
五月二十三日
 患者負担引き上げ中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三二四一号)
 同(不破哲三君紹介)(第三二四二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三二四三号)
 同(山口富男君紹介)(第三二四四号)
 同(今川正美君紹介)(第三二八六号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第三三六四号)
 同(石井郁子君紹介)(第三三六五号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三三六六号)
 同(大幡基夫君紹介)(第三三六七号)
 同(大森猛君紹介)(第三三六八号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三三六九号)
 同(児玉健次君紹介)(第三三七〇号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三三七一号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三三七二号)
 同(志位和夫君紹介)(第三三七三号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三三七四号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三三七五号)
 同(中林よし子君紹介)(第三三七六号)
 同(春名直章君紹介)(第三三七七号)
 同(不破哲三君紹介)(第三三七八号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三三七九号)
 同(松本善明君紹介)(第三三八〇号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三三八一号)
 同(山口富男君紹介)(第三三八二号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三三八三号)
 安全で行き届いた看護の実現に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三二四五号)
 同(重野安正君紹介)(第三二八九号)
 同(中川智子君紹介)(第三二九〇号)
 移行教育の早期実現と看護制度一本化に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三二四六号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げ中止に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三二四七号)
 同(大森猛君紹介)(第三二四八号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三二四九号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三二五〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第三二五一号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三二五二号)
 同(山口富男君紹介)(第三二五三号)
 同(水島広子君紹介)(第三二九一号)
 同(後藤茂之君紹介)(第三三二九号)
 同(首藤信彦君紹介)(第三三三〇号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第三三九一号)
 同(児玉健次君紹介)(第三三九二号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第三三九三号)
 同(志位和夫君紹介)(第三三九四号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三三九五号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三三九六号)
 同(中林よし子君紹介)(第三三九七号)
 同(春名直章君紹介)(第三三九八号)
 同(不破哲三君紹介)(第三三九九号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(川内博史君紹介)(第三二五四号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第三二九三号)
 安心の医療制度への抜本改革、負担増反対に関する請願(井上和雄君紹介)(第三二五五号)
 同(家西悟君紹介)(第三二五六号)
 同(小沢鋭仁君紹介)(第三二五七号)
 同(金子哲夫君紹介)(第三二五八号)
 同(金田誠一君紹介)(第三二五九号)
 同(鎌田さゆり君紹介)(第三二六〇号)
 同(川内博史君紹介)(第三二六一号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第三二六二号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第三二六三号)
 同(佐藤敬夫君紹介)(第三二六四号)
 同(鈴木康友君紹介)(第三二六五号)
 同(中川正春君紹介)(第三二六六号)
 同(鳩山由紀夫君紹介)(第三二六七号)
 同(日野市朗君紹介)(第三二六八号)
 同(前田雄吉君紹介)(第三二六九号)
 同(牧義夫君紹介)(第三二七〇号)
 同(松野頼久君紹介)(第三二七一号)
 同(横路孝弘君紹介)(第三二七二号)
 同(井上和雄君紹介)(第三二九七号)
 同(金子哲夫君紹介)(第三二九八号)
 同(川内博史君紹介)(第三二九九号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第三三〇〇号)
 同(古川元久君紹介)(第三三〇一号)
 同(前田雄吉君紹介)(第三三〇二号)
 同(松野頼久君紹介)(第三三〇三号)
 同(横路孝弘君紹介)(第三三〇四号)
 同(石毛えい子君紹介)(第三三三五号)
 同(生方幸夫君紹介)(第三三三六号)
 同(熊谷弘君紹介)(第三三三七号)
 同(石毛えい子君紹介)(第三四一一号)
 同(生方幸夫君紹介)(第三四一二号)
 同(大石正光君紹介)(第三四一三号)
 同(熊谷弘君紹介)(第三四一四号)
 非喫煙者健康保護法制定に関する請願(東門美津子君紹介)(第三二七三号)
 同(横光克彦君紹介)(第三三四〇号)
 同(阿部知子君紹介)(第三四一七号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第三四一八号)
 児童扶養手当の抑制案撤回に関する請願(中川智子君紹介)(第三二八七号)
 同(水島広子君紹介)(第三二八八号)
 同(石毛えい子君紹介)(第三三二七号)
 同(中川智子君紹介)(第三三二八号)
 同(川田悦子君紹介)(第三三八七号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げなどの中止に関する請願(山元勉君紹介)(第三二九二号)
 同(生方幸夫君紹介)(第三三三一号)
 同(川端達夫君紹介)(第三三三二号)
 同(中川正春君紹介)(第三三三三号)
 同(石井郁子君紹介)(第三四〇〇号)
 同(生方幸夫君紹介)(第三四〇一号)
 同(大幡基夫君紹介)(第三四〇二号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三四〇三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三四〇四号)
 同(細野豪志君紹介)(第三四〇五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三四〇六号)
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(奥田建君紹介)(第三二九四号)
 同(北橋健治君紹介)(第三二九五号)
 同(古川元久君紹介)(第三二九六号)
 同(熊谷弘君紹介)(第三三三四号)
 同(渡辺周君紹介)(第三四〇九号)
 医療制度改革反対に関する請願(中川智子君紹介)(第三三〇五号)
 助産師の養成に関する請願(中川智子君紹介)(第三三〇六号)
 同(中川智子君紹介)(第三三三八号)
 同(山内惠子君紹介)(第三三三九号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第三四一五号)
 同(山内惠子君紹介)(第三四一六号)
 介護保険制度の緊急改善に関する請願(中林よし子君紹介)(第三三八四号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三三八五号)
 医療費負担引き上げの中止に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三三八六号)
 健保・共済本人三割負担等の患者負担引き上げ中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三八八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三三八九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三三九〇号)
 国民医療及び建設国保組合の改善に関する請願(植田至紀君紹介)(第三四〇七号)
 同(山内惠子君紹介)(第三四〇八号)
 働くルールの確立に関する請願(木島日出夫君紹介)(第三四一〇号)
同月二十九日
 健保本人三割負担、高齢者窓口負担などの患者負担引き上げ中止に関する請願(五島正規君紹介)(第三四五二号)
 訪問歯科診療の要件緩和に関する請願(山田敏雅君紹介)(第三四五三号)
 患者負担引き上げ中止に関する請願(大森猛君紹介)(第三四五四号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三四五五号)
 同(志位和夫君紹介)(第三四五六号)
 同(春名直章君紹介)(第三四五七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三四五八号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三四八八号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三五一一号)
 同(松本善明君紹介)(第三五一二号)
 同(筒井信隆君紹介)(第三五六八号)
 同(石井一君紹介)(第三五九五号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三五九六号)
 同(児玉健次君紹介)(第三五九七号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三五九八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三五九九号)
 同(中林よし子君紹介)(第三六〇〇号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三六〇一号)
 同(保坂展人君紹介)(第三六〇二号)
 社会保障を拡充し、将来への安心と生活の安定に関する請願(大森猛君紹介)(第三四五九号)
 同(志位和夫君紹介)(第三四六〇号)
 医療費負担引き上げの中止に関する請願(大森猛君紹介)(第三四六一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三四六二号)
 同(志位和夫君紹介)(第三四六三号)
 医療改悪反対、国民健康保険・介護保険制度の拡充に関する請願(大森猛君紹介)(第三四六四号)
 同(志位和夫君紹介)(第三四六五号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げ中止に関する請願(木島日出夫君紹介)(第三四六六号)
 同(山口富男君紹介)(第三四六七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三四六八号)
 同(大森猛君紹介)(第三四九〇号)
 同(不破哲三君紹介)(第三四九一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三五一四号)
 同(松本善明君紹介)(第三五一五号)
 同(水島広子君紹介)(第三五一六号)
 同(永井英慈君紹介)(第三五七二号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三六一三号)
 同(大森猛君紹介)(第三六一四号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三六一五号)
 同(児玉健次君紹介)(第三六一六号)
 同(志位和夫君紹介)(第三六一七号)
 同(中林よし子君紹介)(第三六一八号)
 同(春名直章君紹介)(第三六一九号)
 同(不破哲三君紹介)(第三六二〇号)
 同(前原誠司君紹介)(第三六二一号)
 同(松本善明君紹介)(第三六二二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三六二三号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げなどの中止に関する請願(大森猛君紹介)(第三四六九号)
 同(志位和夫君紹介)(第三四七〇号)
 同(渡辺周君紹介)(第三四九二号)
 同(植田至紀君紹介)(第三五一九号)
 同(島聡君紹介)(第三五二〇号)
 同(前田雄吉君紹介)(第三五二一号)
 同(松本剛明君紹介)(第三五二二号)
 同(山谷えり子君紹介)(第三五二三号)
 同(一川保夫君紹介)(第三五七四号)
 同(桑原豊君紹介)(第三五七五号)
 同(近藤昭一君紹介)(第三五七六号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三六二六号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三六二七号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(森田健作君紹介)(第三四七一号)
 同(七条明君紹介)(第三五二四号)
 同(森田一君紹介)(第三五二五号)
 同(筒井信隆君紹介)(第三五七七号)
 国民医療及び建設国保組合の改善に関する請願(五島正規君紹介)(第三四七二号)
 同(日森文尋君紹介)(第三四七三号)
 同(大島令子君紹介)(第三四九三号)
 同(大森猛君紹介)(第三四九四号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三四九五号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三四九六号)
 同(重野安正君紹介)(第三五二六号)
 同(中西績介君紹介)(第三五七八号)
 同(金子哲夫君紹介)(第三六二八号)
 安心の医療制度への抜本改革、負担増反対に関する請願(大石正光君紹介)(第三四七四号)
 同(安住淳君紹介)(第三四九七号)
 同(安住淳君紹介)(第三五二八号)
 同(大島敦君紹介)(第三五二九号)
 同(津川祥吾君紹介)(第三五三〇号)
 同(渡辺周君紹介)(第三五三一号)
 同(津川祥吾君紹介)(第三五八一号)
 同(渡辺周君紹介)(第三五八二号)
 同(渡辺周君紹介)(第三六三五号)
 介護、医療、年金制度の拡充に関する請願(山口富男君紹介)(第三四八九号)
 同(大森猛君紹介)(第三六〇六号)
 医療費値上げ反対、医療費制度の充実に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三四九八号)
 児童扶養手当の抑制案撤回に関する請願(水島広子君紹介)(第三五一三号)
 国民負担増なしに安心できる医療保険制度の拡充に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五一七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三五一八号)
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(東門美津子君紹介)(第三五二七号)
 同(鍵田節哉君紹介)(第三五七九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三六二九号)
 同(水島広子君紹介)(第三六三〇号)
 助産師の養成に関する請願(水島広子君紹介)(第三五三二号)
 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質向上に関する請願(岩屋毅君紹介)(第三五六九号)
 移行教育の早期実現と看護制度一本化に関する請願(筒井信隆君紹介)(第三五七〇号)
 同(保坂展人君紹介)(第三六一二号)
 安全で行き届いた看護実現に関する請願(筒井信隆君紹介)(第三五七一号)
 国民の医療と国立病院・療養所の充実・強化に関する請願(筒井信隆君紹介)(第三五七三号)
 患者負担引き上げの中止に関する請願(一川保夫君紹介)(第三五八〇号)
 大規模なリストラ反対、雇用を守ることに関する請願(児玉健次君紹介)(第三五九四号)
 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(大森猛君紹介)(第三六〇三号)
 介護保険制度の緊急改善に関する請願(志位和夫君紹介)(第三六〇四号)
 社会保障拡充に関する請願(山口泰明君紹介)(第三六〇五号)
 健保・共済本人三割負担等の患者負担引き上げ中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三六〇七号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三六〇八号)
 同(児玉健次君紹介)(第三六〇九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三六一〇号)
 安全で行き届いた看護の実現に関する請願(保坂展人君紹介)(第三六一一号)
 健保本人三割負担等の患者負担引き上げ中止に関する請願(不破哲三君紹介)(第三六二四号)
 同(山口富男君紹介)(第三六二五号)
 働くルールの確立に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三六三一号)
 同(大森猛君紹介)(第三六三二号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三六三三号)
 同(志位和夫君紹介)(第三六三四号)
 医療費負担増計画の撤回に関する請願(児玉健次君紹介)(第三六三六号)
 准看護師の養成停止と移行教育の早期実現に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第三六三七号)
 非喫煙者健康保護法制定に関する請願(金子哲夫君紹介)(第三六三八号)
 同(保坂展人君紹介)(第三六三九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
 健康増進法案(内閣提出第四七号)
 医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案(山井和則君外三名提出、衆法第一一号)
 健康保険法等の一部を改正する法律案(五島正規君外三名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――
森委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案、山井和則君外三名提出、医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案及び五島正規君外三名提出、健康保険法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官坂篤郎君、金融庁総務企画局参事官田口義明君、文部科学省大臣官房審議官清水潔君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、健康局長下田智久君、医薬局長宮島彰君及び保険局長大塚義治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
森委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。
大島(敦)委員 おはようございます。民主党の大島敦でございます。
 きょうは、健康保険法の改正案の審議をさせていただきます。
 日本の健康保険制度というのは、私、世界で一番だと思っていまして、健康保険証があれば日本じゅうどこでも一定の診療が受けられる、この健康保険制度がありますから、私たちはどんなに生活が苦しくても最低限の安心感は持てる、これが日本の健康保険制度。そして、WHOの保健システムの評価の結果でも、世界で一番到達度が高い制度だと言われております。
 まずは、私の立場としては、現在の国民皆保険を守らなければいけないという立場から質問をさせていただきます。
 一番最初に伺いたいのは、健康保険制度のほかに、いろいろな保険外の診療を受けたときの診療として自由診療あるいは混合診療があると思うんですけれども、田村政務官の方から、この診療について具体的に伺えればありがたいんですけれども。
田村大臣政務官 おはようございます。
 ただいま先生からいただきました御質問でございますけれども、自由診療というのは、もう御承知だと思いますけれども保険外の診療でありまして、保険を利用しない診療、言うなれば美容整形のようなものが自由診療に当たろうかと思います。
 それから、混合診療でありますけれども、一連の診療行為の中で、医療保険を利用する部分と、それから自由診療、利用しない部分が併用しておるような、そういうような診療を混合診療と言うのであろう、このように思うわけであります。ただ、これは、現状の我が国におきましては、やはり医療の基本的な部分というものにこういうものが導入されてきますと、安全性の問題も出てくるでありましょうし、また気づかない間に患者の方の負担というものが大きくなっている、そういう可能性もあるものでありますから、基本的に、現状においては、このような形になった場合にはどちらも、つまり、本来保険からおりる、給付される部分も保険で給付しないというふうに今しております。
 それからもう一つは、特定療養費というものがございまして、これもよく似たものじゃないかという話なんですが、基本的に、医療の基本的な部分、コアの部分に関してはこれは適用しないということでありますから、例えば予約をする、今度新しく入った予約をする部分のものであったりとか、それから差額ベッドであったりとか、こういうものが特定療養費というふうな形で今仕分けをさせていただいております。
 以上でございます。
大島(敦)委員 そうしますと、日本の医療の中においては、健康保険の対象になっている医療、プラス、健康保険の医療に足されるもの、例えば差額ベッドとかあるいは高度先進医療とか、これが特定療養費と言われている部分、もう一つが、自由診療というのは、全くそれとは別に、例えば今政務官がおっしゃいました美容整形とか、最初の診断から治療まで全く別体系で個人的にお金をお支払いするのが自由診療だ、そういう理解でよろしいでしょうか。
 そうしますと、私、いろいろと今回、この審議に臨むに当たりましていろいろな方面から情報をとったところ、民間の生命保険会社で新しい商品が開発されて、結構、非常に今インパクトがある商品だと言われているのを見まして、ちょっと調べてみました。それについて、きょう金融庁から田口参事官にこちらの方まで足を運んでいただいておりますので、どのようなものが今民間の生命保険会社で商品として出ているのか、そこのところを教えていただければ幸いです。
田口政府参考人 お答えいたします。
 民間の保険会社が販売している自由診療保険と称するものでございますが、がんの治療にかかった医療費を支払うための医療保険でございまして、例えば、商品名として、自由診療保険メディコムと称しているものがございます。この保険商品は、通常公的保険が適用されません治療や薬剤に対しましても、保険金が全額支払われる仕組みとなっております。
大島(敦)委員 田口参事官に確認なんですけれども、今の商品というのは、例えば保険会社と民間の病院が契約を結びまして、その契約者、保険契約者が民間の病院で、がんにかかって治療を受けるといったときには、その治療費及び薬剤費、そして入院費について全額保険会社がこちらの病院の方にお支払いするという理解でよろしいでしょうか。
田口政府参考人 そのとおりでございます。
大島(敦)委員 先ほど田村政務官は、美容整形のようなものが自由診療だと例を挙げられたんですけれども、今の医療ですと大分さま変わりしていまして、がんのように特定の療養に関して、今までですと、入院した一日当たり一万円とか、そういう費用しかお支払いしなかったんですけれども、今の民間の生命保険会社はそうではなくて、その医療全体に対してお金をお支払いする、その治療費をお支払いする、そういう時代になっているわけなんです。
 そうしますと、今回は、これは対象はがんという一つの疾病でございました。一般的な、幅広い入院治療に関して、あるいは手術に関して、治療に関して、診察に関して、そういう保険を民間生命保険会社が金融庁の方に申請を上げた場合に、認可するんでしょうか。
田口政府参考人 お答えいたします。
 まず、保険会社の商品認可でございますが、一般的に申しますと、例えば、契約者間の公平性が損なわれていないかでありますとか、商品内容が公序良俗に反するものでないか、あるいは保険料が合理的かつ妥当なものであるかといった諸点につきまして、私ども金融庁におきましては審査を行っているところでございます。
 お尋ねの自由診療保険メディコムのような例の認可に当たりましても、これらの諸点について審査を行っているところでございます。
大島(敦)委員 そうしますと、がん、特定の疾病に限らないで、例えば今、健康保険が対象としているような疾病に関して、その全部を民間の生命保険会社が給付の対象とするような保険商品をつくった場合に、金融庁の方は粛々と申請に対して審査をして、公序良俗、よっぽどひどい商品あるいは保険数理にかなわない商品でなければ認可をする、そういう理解でよろしいでしょうか。
田口政府参考人 お答えいたします。
 先ほど一般論として申し上げたとおり、保険商品の認可申請がなされました場合には、当局といたしましては、保険料が合理的かつ妥当なものであるかどうかといったような観点を含めまして、法令に基づいた審査を行いまして、問題がないと認められる場合には認可するということになっております。
 お尋ねのような保険商品の認可申請がありました場合にも、このような観点から審査を行いまして、特段の問題がなければ認可することというふうになるかと考えております。
大島(敦)委員 今の健康保険制度というのはなぜ抜本的な改革が必要かというのは、ここのところにあるかと思うんです。抜本的な改革をしないと、民間の知恵でゆがんだ形で新しい保険商品が出てきて、民間の方がゆがんだ形で大きくなって、抜本的改正あるいは国民皆保険というのが根底から崩れる、そういう動きが今始まっていると私は考えます。
 ところで、ちょっと視点を変えるんですけれども、例えば保険の費用というのは年齢によって異なります。若ければ非常に安いし、七十を超えると高くなってくる。そこのところについて、年間一人当たり、例えば二十代あるいは七十歳代以上でどのくらい医療費がかかっているのか、教えていただければありがたいんですけれども。
大塚政府参考人 国民の一人当たり医療費は、おっしゃいますように年齢によりまして、全般的には加齢に伴いまして一人当たりの平均的な医療費は上がるという傾向がございます。
 現在、七十歳以上とそれ以下の人たちとを比べてみますと、平成十二年度の見込み値、推計値で比較すると、お年寄りの場合、一人当たり平均、一人当たりで割った数字でございますけれども、年間七十三万八千円、七十歳以下の方々の平均が年間十五万二千円ということでございますから、約五倍弱、高齢者の方が平均的に見ますと医療費がかかっている、こういう状況にございます。
大島(敦)委員 坂口厚生労働大臣の方にちょっと御確認したいんですけれども、今回の審議を聞いておりまして、保険料、特に政府管掌健康保険の保険料あるいは組合健保の保険料というのは、大体今八・五%ぐらい前後だと思います。それは、今後値上げしたとしても一〇%ぐらいがマックス、上限値なのかなという御発言がありましたし、今回の改正案を読みますと、七割の給付に関してはずっと維持していくというような御発言がございました。それに関しては、私の理解でよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 保険料にいたしましても、それから自己負担にいたしましても、できるだけ抑制されることが望ましいというふうには思いますけれども、現在の人口動態を見ましたときに、将来を含めて考えますと、一つのやはり上限というのは存在するだろう。それは、先ほど御指摘をいただきましたような数字が大体私は上限ではないか。それぐらいでないと、やはりこの皆保険制度というものを維持していくことができないのではないだろうか。
 私も委員と同じように、この皆保険制度が将来ともに維持されるということを前提にして、すべての医療制度というのはつくり上げていくべきだというふうに考えております。
大島(敦)委員 そうしますと、保険料に関しては一〇%、給付に関しては七割を維持するということ。しかしながら、今の団塊の世代、よく言われておりますように、高齢化が進みますと、今三十兆円の医療の予算というのか医療の費用というのが、今後十年、二十年、三十年たつと非常に大きくなってくるかと思うんですけれども、その辺、そのところの中位推計、あるいは長期的にどうなるかという、概算で結構なんですけれども、数字を教えていただければ幸いでございます。
田村大臣政務官 二〇二五年に、中長期的に医療費がどうなっているかでありますけれども、過去五年間の一人当たりの医療費の伸びというものを大体基礎にして計算いたしますと約七十兆円、老人医療費はそのうちの三十四兆円ですか、こういう形になるように推計いたしております。
大島(敦)委員 非常にこれは矛盾というのかな、抜本的な改正というのはそこのところにあるかと思います。一〇%、七割給付というところを維持するとすれば、今三十兆だったものが七十兆、十年後にも十兆円から十五兆円ぐらいふえる予測がございます。
 そうすると、対策としては二つか三つだと思うんです。先ほど、一〇%をさらに上げるのか、上げられないとすれば、七割を下げるのか、七割を下げる中に、高額療養費だったかと思うんですけれども、今七割なんですけれども、前回、坂口厚生労働大臣も非常に詳しく御説明していただきました。高額療養費がありまして、今六万三千六百円、改正されると七万二千三百円になりまして、これも非常にいい制度でございまして、七割とはいっても、三割負担だったとしても二割負担だったとしても、ある一定の限度を超えれば、百万円、二百万円、三百万円の入院治療費がかかったとしても、七万円台でおさまるということだと思うんです。
 そうすると、この中身をそろそろ議論しなくてはいけないのかなと。この三十兆円が七十兆円にふえている過程の中で、どこを削るのか、どういう割り切りを入れるのか。非常に生命倫理がかかってくるんですけれども、それが抜本的な議論の、要は端緒というのか、議論をしなければいけないことだと思うんですけれども、その点について、坂口厚生労働大臣、どういう方向で議論していけばいいのか、教えていただければ幸いです。
坂口国務大臣 大変基本的な御質問だというふうに思いますが、これから人口動態が変化をしていきまして、高齢者がだんだんふえてくるという中で、それを一体どう賄っていくかということだろうと思うんです。
 一つは、保険の立場からいいますと、これから先、高齢者やあるいは女性の皆さん方もできるだけ働いていただくようにして、そして、いわゆる支える側の人数をやはり減らさないような対策というのが基本的には必要なんだろうと思うんです。これは医療以前の問題でございますが、これは経済動向も非常に影響してまいりますけれども、そこをやはり熱心にやっていかなければならないということだろうというふうに思っています。
 そういったことを行いながら、それでもなおかつ高齢者がふえてくることだけは間違いがございませんし、そして、その分医療費が増加をすることも間違いないというふうに思います。ですから、支え手をふやしたといたしましても、必要な分がふえてくるわけでありますから、そこを一体何で賄うかということになってまいります。
 そこで考え得ることは、最初に申しました、高齢者のいわゆる働いていただく場所をふやして、できるだけ高齢者の方も支える側に回っていただくということをやったといたしましても、なおかつふえてくるだろうというふうに思いますから、そこは、そうしますと、税で賄うか、保険料で賄うか、自己負担で賄うかということにならざるを得ない。
 したがいまして、その割り振りをどうするかということになってくるだろうというふうに思っておりますが、自己負担の方は、先ほど申しましたように、三割というのが一つの限界ではないかというふうに思いますし、それ以上ふやすわけにはいかない。そういたしますと、あとは保険料かそれとも税かということになってくるわけでございますが、保険料の方もまだ一〇%というのにはかなり今から余力があると思います。また、働く人の数がふえれば、それだけまたここに余力が大きくなるだろうというふうに思いますから、まだ余力はございますが、やはりそれだけでもなおかつ足りないということになってくれば、これから先の、特に高齢者医療に対する税負担、いわゆる国庫負担の割合というのは当然のことながらふえざるを得ない。
 現在の、今回御提案を申し上げておるように、これを通していただいたとしましても、一兆円が七千億ぐらいに減るだけでございます、年間のふえ方が。六千億ないし七千億ぐらいの額が年々歳々ふえていくわけでございますから、これは高齢者の医療費を半分国が負担するということにいたしましても、それだけでも国の負担はかなりふえていくわけでございますが、そこはしかし、国の方もしっかりと支えていただく以外にないのであろうというふうに思っております。
 大枠のことを申し上げているわけでございますが、そうした中で、今先生が御指摘になりましたような民間の問題だとか、いろいろのバラエティーに富んだことは考え得るのであろうというふうに思いますけれども、基本のところは、そこへ絞りながら、そして公的皆保険制度というものをやはり堅持する、ここは揺るがないという形に私はしていかないといけないのではないかというふうに思っております。
大島(敦)委員 大臣の御決意は非常によくわかります。しかしながら、今回の制度の改定によって、例えば政府管掌健康保険が黒字化するのは向こう三年間。四年目、五年目は赤字で、トータル五年間を通してプラマイ・ゼロというのが今回の改定の内容でございまして、その後、もう一度、五年ごとの改定をしなければいけないのかなと思うのですけれども、そこのところが今国民が非常に不安を感じているところだと思うのです。十年後、二十年後、三十年後、今、私は四十代ですけれども、二十年後の健康保険制度がどうなっているのか教えてくれというのが今の抜本的な改正だと思うのです。
 例えば、振って申しわけないのですけれども、田村政務官に伺いたいんだけれども、今の三十兆が、二十五年後、先ほどのお話だと七十兆になるのですけれども、それは今の給付の内容を維持して可能かどうかというところをちょっと率直に伺いたいのですけれども、よろしくお願いします。
田村大臣政務官 大変難しい御質問をいただいたのですが、今大臣がおっしゃられましたように、例えば、今言いましたように、七十兆という大きさになってきたときに、現状のままでは厳しいというのは事実でありまして、だからこそ保険料を一〇%まで上げる、将来的には一〇%も上がるだろうという話があります。それからまた、働く側というお話によれば、少子化も何とかしなきゃならないという話なんでしょうけれども、少子化はそんなに早く結論が出ませんから、回答が出てこない話でありますから、これはそう簡単な話じゃない。それからもう一点、言われたとおり、税という問題も考えなきゃならない。どういう形になるかわかりませんけれども、国庫からさらにふやすということも一つの選択の方法であろう。
 と同時に、今先生おっしゃられましたとおり、保険でカバーできる内容、給付の内容といいますか、これをどうするんだという議論も当然のごとく一つ入ってくるのであろうとは思います。事実、今回の法律でも、附則の方にそのような内容のことがありまして、保険で給付できる内容をもう一度慎重に見直してみようと。ただ、そこは慎重でなきゃいけないのは、もしここでコアになる本当に必要な部分を下手に外してしまえば、これは国民にとっては皆保険制度の中においての医療の低下になりますから、サービスの低下、これは、果たして、余り過度に進んだときに、実は皆保険制度自体が壊れてしまう可能性もあるわけでありまして、そう簡単な話ではないと思います。
 ですから、基本的には、やはり保険料とそれから国庫という中においてどうしていくのかという議論になってくるのであろうな、私はこのように思います。
大島(敦)委員 本来であれば、大臣そして田村政務官がおっしゃられたとおり、老人医療については税金で賄えたらいいにこしたことはないのですけれども、御承知のとおり、日本の財政というのは非常に厳しいものですから、どこまで税金を投入できるかというのも非常に疑わしいと思うのです。
 そうすると、今まで言われているさまざまな意見を、私も今回勉強させていただくと、もう公的医療の対象をある程度限定した方がいいのではないかという議論が一方ではあるのです。御承知のとおり、日本の疾病の内容も相当大きく変わってきていますし、やはり医療というのは日々高度化していきますから、多分診察の内容あるいは治療の仕方も、お金がかかっていくというのも今後あり得るわけなものですから、今の、例えば三十が七十兆円になるというのも、現状の医療を一定の水準に置いて、これ以上進歩しないよという前提だと思うのです。
 そうすると、これからの、国が、政府が議論する中で、ここのところを、そこまで踏み込んで議論するのか、そうじゃなくて、ここ五年間プラマイ・ゼロなんだからこの辺は議論しないで済ませて次の世代に送るのか、そういうところはやはり政治の決断だと思うのです。抜本的な改革を政治がやるということは、例えば、竹下内閣のときに消費税を導入して、皆さん非常に選挙が厳しいのはわかって消費税を導入して、次の選挙で政権与党は結構厳しくなるわけです、これが抜本的な改革かなと私は思っているんです。
 ですから、医療制度における抜本的な改革というのも、要は私たち政治が責任を持って、非常に厳しいことを国民に言う、強いるというわけじゃないのですけれども、納得してもらうということが抜本的な改革だなと思っていまして、今回の法律の内容を見ていただくと、七割に上げるあるいは総報酬制にするとかあるのですけれども、まだ抜本的な改革について踏み込みが足らないのではないかなと私は考えているのですけれども、大臣の、具体的にそこまで踏み込んで議論する必要があるのかどうかというところを伺わせていただければありがたいと思います。
坂口国務大臣 先ほどちょっと言い落としましたけれども、七十兆円になっていく、また保険料も上がっていく、その基本、前提としましては、いわゆる名目賃金上昇率を二〇〇七年までは一・〇、そしてそれ以降は二・五%というふうに一つのそういう前提を置いて計算をしているということでございまして、これは、前提の置き方によりまして随分また値も変わってくるだろうというふうに思いますが、そういう前提であることを申し上げておきたいと思います。
 それともう一つ、先ほど私、言い忘れましたのは、これはいわゆる医療の供給体制の側の問題もあると思います。ここにつきましても、今全国各地域で懸命な努力を医療従事者はしていただいているわけでございますから、そのことに感謝を申し上げなければなりませんが、しかし、むだな面があれば、これは省いていかないといけないわけで、ここに対しましてはしっかりと目をみはっていかなければならないだろうというふうに思っております。
 それで、今先生が御指摘になりましたように、やはり抜本改革というのは、一つは長期的に見ていかなきゃいけないという御議論は私もそのとおりだと思います。とりわけ人口動態というのはもう長期的にこれは展望できる話でございまして、十年先、二十年先にもし現状のままでいくとすればどうなるかということは明らかになるわけでありますから、そのことが一番基本になることでございますので、私は、そういう意味では十年先、二十年先を展望して立てやすい分野だというふうに思っています。ですから、少なくとも二〇二〇年なり二五年ぐらいなところまでは見込んで、そしてやはり考えていかないといけないだろうというふうに思っています。
 今やろうとしている、私が主張しております抜本改革といいますのは、どちらかといえば、財政的な面ももちろんございますけれども、現在行われている制度の中でむだがあることをどうできるだけ省いていくか、一つ。
 それからもう一つは、簡潔明瞭な、だれにもわかりやすい制度にどうしていくかということだろうというふうに思っております。
 むだを省くという面からいきますと、五千を超えます保険者があって、やはりこのままでいいとは思いませんし、そして、それに対しましては、かなりな事務費がかかっていることも事実でございますから、もう少し整理統合化をしていく必要がある。だから、医療以外のところの分野をいかにしてむだを省いて、そしてそれを医療の側に回すかという努力が一つ必要ではないかというふうに思っています。
 もう一つは、診療報酬体系につきましては、これは長く、もうずっと戦前から続いてきたものでございまして、昭和十七年からでございますか、その辺から続いてきたものでございますので、幾つも積み上げてきているものですから、非常にわかりにくくなっている。ですから、ここはもう少し明確に、皆さん方が、なるほどこれは確かに保険点数が高いのは無理はない、これは低いのは当然だというふうにおわかりいただけるような形にしていかないといけないというふうに思っています。
 例えば、このことに対してはコストがどれだけかかるか、あるいはまた時間がこの治療に対してはどれだけかかるか、あるいは病気の難易度と申しますか、そうしたものを、例えばの話でございますけれども、一つの物差しとして、そしてはっきりとさせていくといったようなことも一方におきまして私はしていくべきだというふうに思っています。
 ただ、今行おうとしております抜本改正というのは、それを行えば財政的に非常に楽になるか、それで財政がよくなるかというのは、これは少し別の話でございまして、医療制度としての簡潔性、そしてわかりやすさ、あるいはまたむだを省く、そうしたことを中心にしてここは改革をしていくべきものであって、それでもなおかつふえてくる分をどうするかというのは別途また私はある話だというふうに思っています。
 別途、この財政が非常に人口動態の変化によって厳しくなっていく、ここは本当に全力を挙げて取り組まなきゃならない問題でございますが、政府の中の経済財政諮問会議等も含めてでございますけれども、やはり経済成長と医療費の上昇というものがパラレルにいくようにしてほしいという話がございますけれども、私はそこはそうはいかない。いかに経済的に厳しい状況であっても、病気がそれにつれてなくなるということはないわけでありますから、ここは経済動向とは別に医療費というのはやはりかかるわけでありますから、そこはよく理解をしてもらわないと困るということを今申し上げているわけでございまして、私は、国庫負担も当然のことながらこれはふえていく、そこは国としても覚悟をしてやらないといけないのではないか。とりわけ医療と年金につきましては、それは国としても、一番生活の基本になるところでございますから、やはり覚悟をしてもらわなければならない、覚悟しなければならないというふうに思っている次第でございます。
 意を尽くせないところございますから、また御質問いただいたときにお答えさせていただきたいと思います。
大島(敦)委員 今の大臣の答弁ですと、今回の法改正に伴う各メニュー、こういうふうに二年後、三年後に方向づけますよというのは、抜本的な改革とはいっても、それはあくまで財政を大きく組みかえるのではなくて、今の足元の医療を健全化するという方向の改革だ、そういう理解でよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 そのようにお受け取りいただいて結構でございますし、もう一つ加えれば、治療を受ける側からのいわゆる医療の質をどう上げていくかという問題もその抜本改革の中には入っている、そこも当然のことながらやらなければならないというふうに思っておりますが、そのことがいわゆる財政を健全化させていく、財政をより安定化させていくということと直接的にはなかなか結びつきにくい、影響は与えますけれども、直接それによってよくなるということはなかなか難しいと思っております。
大島(敦)委員 今回の改正案、読ませていただきまして、私もメーカーで、ずっと工場で合理化を進めてきた人間でして、合理化というのは限りがあるんです。コストが半分になるわけじゃなくて、一割、二割というのが限界なんです。ですから、今回のこの制度をずっと目を通させていただいて、抜本的な改革とはいっても、十年後、二十年後まで見通した改革ではないなと私は感じたものですから質問させていただきました。
 そうしますと、この医療制度の抜本的な改革、財政をどうするかというのは、この厚生労働、私たちのマター、私たちの課題ではなくて、内閣全体としての課題として今後議論していく、そういう理解でよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 もちろんここが中心の場所でございますから、今後の医療のあり方をどうするかということにつきましては、この委員会で中心にいろいろの御議論をいただかなければならないというふうに思いますけれども、それを実行していきますためには、この委員会以外のこともかかわってくる、各省庁にまたがることがあるということも事実でございまして、そういう意味では内閣全体でこの医療制度の問題、年金制度の問題、どうあるべきかということはやはり考えていただかないといけない。
 その考えていただくときに、経済の成長に合わせて医療の動向も決めてほしいというようなことを言われても、それはできませんということを私は申し上げているわけでありまして、やはりそういう意味ではこの委員会から、先生方からいろいろの御質疑をいただいて、そうした声をやはりより大きく、医療というものはかくあるべきだ、こうなければならないんだという声をいかに大きく広げるかということが、全体にとりまして大変大事なことだというふうに私は思っております。
大島(敦)委員 政府全体の方向というのは、私は余りいい方向ではないと思っておりまして、昨年この場で審議させていただいた確定拠出年金法、この一条に、私いまだにこだわっているんですけれども、「自己の責任において運用の指図を行い、」という文言がございまして、厚生労働省として、この文言が入った法律をつくるというのは、大きく方針転換したのかなと私は考えているんです。この「自己の責任において」、あなたの責任ですよと。そうすると、医療制度も、自己の責任においてやってくださいというような文言が入った法律が今後出てくるおそれもあるなと思って、ちょっと気にして私は質問しているわけなんです。
 その中で、例えば、ことしの三月の二十九日に閣議決定された規制改革推進三カ年計画というのがございまして、この中ですと、「公的保険診療と保険外診療の併用による医療サービスの提供など公的医療保険の対象範囲の見直し」ということを掲げておりまして、私が危惧している、もう政府、内閣としては、今の健康保険制度、皆保険というのは早晩行き詰まるから、そろそろ見直した方がいいのではないのかなという方向をずっと昨年から打ち出しているように思えてならないんですけれども、その辺のところはどう考えればよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 そういう考え方の方がないとは私は申しません。そういうお考えの方も、私はおみえになるというふうに思います。
 しかし、全体で議論をしていく中で、この医療というものを考えましたときに、それはいわゆる経済的な意味での効率だけを求めていけば医療は破綻をしてしまいます。やはり医療の質をどう上げるかということを一方で考えながらやっていかないといけないわけでありますから、一般的な経済の中でのいわゆる効率性というものだけで議論をすることはでき得ないというふうに思っています。
 そうした意味で、公的な皆保険制度というのは、最も重要な役割を今まで果たしてまいりましたし、これからも果たすのではないかというふうに思います。
 先ほど、がん保険のお話などが少し出ましたけれども、これは、がんという非常に限られたリスクのものに対する商品でありますから成り立つというふうに私は思いますけれども、医療全体を一つの、どんな病気であっても成り立つような保険というのは、この公的保険以上のものができるわけはないと思っております。
 そうした意味で、私は、そうした特殊な病気についての保険というのは、これは自由経済の中の話でございますから、出てくる可能性というのはあるとは思いますけれども、それは全く部分的な話であって、全体、トータルでこの医療というものを見ていくときには、公的保険以外にないと思っております。
大島(敦)委員 私も坂口厚生労働大臣と同じ立場なんですけれども、ただ、先ほどの、公的医療保険にかわるような民間の保険はできないというお話なんですけれども、これは民間の保険の場合ですと、リスク、個人に対するリスクというのをすべてはじいているわけなんです。例えば、年齢によるリスク、高くなれば病気をする、あるいは、病気にかかっている方がいらっしゃればそのリスクを見るということになっておりまして、これは田村政務官の方からお答えいただいたんですけれども、七十歳を超えた医療費は七十万円を超えている、それ以下は平均的には十五万円ぐらいであるということで、五倍ぐらい違うわけですから、例えば若い人たちだけに限った医療保険、健康保険にかわり得る保険というのは、先ほどの田口参事官、金融庁からのお答えにもありましたとおり、つくることは可能なんです、これは。
 ですから、坂口厚生労働大臣が医療負担は一〇%ですよというのは、僕は非常に重い言葉だと思っているんです。今の三十代、四十代の方にお話しすると、保険料、そろそろ払いたくないなというのに気づき始めているんですよ。年間に二十万、三十万、四十万払っていて、自分は使わないわけですから、本来であれば世代間扶養でお支払いしなくちゃいけないんだけれども、ローンがきつくなって、子供もどんどん大きくなってくる、給与は余り上がらないとなってくると、この保険制度に対する揺らぎが起こってくるんです。そうすると、では公的保険には入らない。例えば今の国民年金の収納率、要は納めていただく率は非常に低くなっているわけですから、この医療保険制度についてもそういうリスクというのはあるかなという危惧は持っているんです。
 ですから、今私が問題提起させていただいているのは、抜本的にしっかりとしたものをつくっておかないと、民間がこのマーケット、この医療制度の矛盾をついてさまざまなものを提供してくる。それで、この厚生労働委員会ですと、非常にこういう議論というのはなじみやすいんですけれども、財務金融委員会に行ったら全然違う、どんどん自由にやらせろというような発言が出てくると、非常にゆがんだ形で、金融商品としてどんどん伸びてくるような危惧があるわけなんです。
 ですから、自由診療、混合診療についても、僕は、本来であれば、保険制度ですべての医療が見られた方がいいとは思うんですけれども、先ほどの抜本的な改革、さらに抜本的な、本当の抜本的な改革の議論の中では、ここのところは触れなければいけないし、私たちとしては、この自由診療、混合診療に関しては慎重に対応しなければいけないという思いは強いんです。これを外したときには、さらにこの日本という国が乾いた国になると思うんです。この保険証を持っているからどうにか、貧乏だけれども、生活は厳しいんだけれどもやってこれるという安心感がなくなって、ただでさえ、今所得格差が開いているわけなんです。
 それで、所得格差の話をしますと、日本は戦後、給与所得者がふえてきているんです。今の働いている人の八三%ぐらいが給与所得者なんです。アメリカはどうかというと、戦後ずっとサラリーマンがふえてきたんですけれども、今減りつつあるんです。経済が新しく生まれ変わるタイミングでは、自営業の人がふえてくるんです。そうすると、今の政府管掌健康保険とか組合健保の保険に入っている加入者の人たちが、被保険者の人が減ってきて、国保の方に移る時代が、その経済発展、これから日本が大きく産業構造が変わってくると、あるなと私は考えるんです。
 そうすると、政府管掌ですと非常にいいわけですよ、それは源泉徴収で納めますから、収納率も九八とか九九%ぐらいです。国保の収納率は九一%ぐらいしかないわけなんです。もちろん、お話を伺うと、国保でも、払わなかったら強制執行とかいろいろな手だてがあるから、必ず保険料は徴収できるとはいっても、この制度の矛盾を国民が感じたときに、非常に揺らぎが起きる。そして、民間の会社、外資系も含めて、このマーケットに対して非常に大きな今注力をしていて、ビジネスの機会があると思っているんです。
 ですから、この速度を急がないと、僕は、非常にゆがんだ形で、私たちの制度に対する安心感が失われると考えております。そこのところ、厚生労働大臣はどうお考えでしょうか。
坂口国務大臣 これからサラリーマンよりもいわゆる自営の皆さん方がふえてくるという御主張は、私も全くそのとおりと思います。そういう方向に行くのではないかというふうに私も思っております。
 それはひとつ横に置いておきまして、これから先の医療全体の進み方を見ましたときに、今御指摘をいただきましたような点というのは一番大きな問題になってくるわけですが、そうすると、若いときにはもっと安い掛金で保険ができる、だからそれに入る。しかし、年をとりますとふえてきます。年をとったら公的保険に入るというようなことにもしもなってくるとすれば、これは公的医療保険制度は成り立たないわけであります。
 私はやはり、お若い皆さん方も、今はそんなにかからないけれども、しかし将来は自分も年をとっていくんだからそれは厳しいときがある。もう少し複眼的な見方でお考えをいただけるんだろうというふうに思っておりますが、もし仮に、お若い皆さん方が、いや、それはもう安い方がいいんだ、いわゆるリスクの確率からいえば、確率論でいけば、もっと安い保険料で私的な保険ができるんだというようなことになってまいりまして、そこに多くの方が傾かれるというようなことになってくるとすれば、それはこの皆保険制度というのは危機的な状況になってまいりますから、そうなりますと、そこはもう保険よりもいわゆる税の世界に傾かざるを得ないということにならざるを得ないというふうに思っておりますが、今私はそこまで心配はいたしておりません。
大島(敦)委員 ありがとうございました。
 国民皆保険を守るためには、先ほどの、今回の法改正ですと抜本的な改革とはいってもそれは抜本的よりも今の制度を多少よくするのが今の改革でして、本来であれば僕はこの場で抜本的な改革、十年後、二十年後、しっかり今の二十代、三十代、四十代、五十代の人たちが納得できる改革の議論をこの場でしたいと思いますので、次回の方に話は移して、今回の私の質問は終了させていただきます。ありがとうございました。
森委員長 次に、山井和則君。
山井委員 今回まで過去十九時間ぐらい、この健康保険法の一部改正の議論をしてまいりました。しかし、負担がふえること以外には、医療サービスがどのように向上するのかということについてはほとんど答弁がございませんし、また、国民が一番知りたいと思っている抜本改革についての答弁もございません。
 前回の質問で、私は、三割負担を初めとする負担増が景気に悪影響を与える、抜本改革なきこういう負担増は許せないということを質問しましたが、坂口大臣からは、心理的なもので景気に影響があるともないとも言えないというような答弁でございました。
 今回まで抜本改革が先送りにされてきて、そして本当に不況が深刻なときに、このようなまさに必要な改革をしないまま患者の負担増だけを行って、良心的な医療を行おうとしている医療者さえ追い詰めようとしているような小手先の財政対策のこの法案には大きな問題があると思っております。
 そこで、本日は三つの点に絞って質問をしたいと思っております。
 まず、この抜本改革の一つの大きな柱は、前回の質問でも申し上げましたように、医療情報の開示であると私は思います。推計によりますと、二万人以上の方が医療事故、医療過誤でお亡くなりになっているというような推定もございます。
 また二点目は、歯科の訪問診療について、これも予防重視、高齢社会においてこれから重視していかねばならない訪問診療というものが逆に大きく制限を受けて、現場は大混乱をしているという現実がございます。
 三つ目は、今回の改正案の中にも老人医療費の伸びの適正化ということがうたわれておりますが、その中で、半年以上の長期入院の社会的入院患者の退院を促進するという流れも軌を一にしたものであると思いますが、それに伴う受け皿の整備がどうなっているのか、このようなことについて質問をしていきたいと思います。
 まず、前回の質問で十分な答弁が得られませんでした医療情報の開示について、坂口大臣にお伺いしたいと思います。
 私たち民主党は、今回、患者の権利法案を提出しておりまして、そもそも医療というのは患者を中心に医師と患者との共同作業で行われるべきものだと考えております。それは単に患者の選択肢をふやすということではなく、支払い明細書すなわちレセプトを患者がチェックすることは、不正請求、過剰請求、検査漬け、薬漬けの防止になり、医療の質の向上とむだな医療費を削減する一石二鳥の効果があると考えております。
 政府は、三割負担にしないと医療改革は進まないと言っておられますが、病気で苦しむ患者という最も弱い立場の人々に痛みを強いる前に、医療情報の開示によって過剰、不正な請求というものを減らす努力をするということが必要だと思います。その意味では、医療情報の開示なくして医療制度の抜本改革なしだと考えます。つきましては、坂口大臣にお伺いします。
 今回のこの法案の附則の中で書かれております医療情報の提供、開示ということについて、どう考えておられるのか。見ますと、いつまでに何をするのかここに全く書いてありません。これで、抜本改革をしますから三割負担をお願いしますと言われても、納得できるはずはございません。具体的にどのようなことをいつまでにしようと考えておられるのか、答弁をお願いします。
坂口国務大臣 前回にも、情報の開示の問題につきまして御質問をいただきました。私も、この情報開示につきましては着々と進めていかなければならない、そして、先ほど御指摘になりましたように、医療あるいは医療機関と、そして患者との間の信頼関係の中でこれは明確にしていかなければならないというふうに思っております。
 医療の開示の問題もいろいろあると思います。いわゆるカルテなどの開示の問題もございますし、それから医療全体に対する開示、この病院は今までどういう患者さんを多く扱ってきたとか、どういう成果を上げてきたとか、そうしたことの開示の問題もあるというふうに思います。
 医師の専門性でありますとか、今までの手術の件数でありますとか、そうしたことのいわゆる広告が今まではできなかったわけですけれども、これは広告をできるようにいたしまして、そして、医療機関の広告規制の緩和、これはもう行ったところでございますが、これらのことにつきましてももう少しまたさらに拡大をしていかなければならないというふうに思いますし、インターネットを通じました公的機関による情報提供の充実というものも可能にいたしております。
 ですから、今までいわゆる広告の形で出せなかったものもインターネットではこれをお出しいただけるわけでございますし、かなりここは変わってきたというふうに思います。例えば、診療科目の問題等につきましても、今正式には認められておりませんけれども、しかし、我が病院はこういうことを中心にやっておりますといったようなことは書いていただけるわけでございますしいたしますから、そこはかなり変わってきているというふうに思います。
 それから、根拠に基づく医療、いわゆるEBMと言われております分野につきましても、最新の医学情報を患者の皆さんにもそれから医療機関の皆さん方にもおわかりをいただけるようにするといったことで、今ベースの整理をいたしておりまして、でき次第、ある程度できましたらそれを公開していく、次にまた公開していくということでしていきたいと思います。ことしのうちにこれはかなり進むことは事実でございますし、皆さん方にお示しをすることができるというふうに思っております。
 また、いわゆる日本医療機能評価機構がございますけれども、平成十八年度末までには二千の病院の受審を目標にしまして、これをふやしていきます。十八年度末までに二千以上にしていきます。こういったことを一方でやっていきたいというふうに思っています。
 それからもう一つ、カルテのお話、先般もあったわけでございますが、これは、前回も、ひとつ検討会をつくってやったらどうかというお話でございましたが、いろいろ相談をいたしまして、これは検討会をつくるようにいたします。つくって、そしてこれもそんなに長くかかっていてはいけませんから、専門家の御意見も聞きながら早く結論を出すようにしたいというふうに思っている次第でございます。
山井委員 前回、検討会の設置をお願いしたいということに対して、検討会をつくるという答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 御存じのように、これは、五年前から三年前にかけて検討会と審議会をつくって、公開のもとに、カルテ開示を法制化するかどうかという大きな議論が行われて、最終的には自主的に三年間やってみようということになって、そしてその三年が今年度の末で終わるわけです。ぜひともお願いしたいのは、やはりこれは、医療現場、また患者さんの立場、医療事故の問題がこれだけ深刻な医療への不信の原因となっているわけですから、オープンな形で、できるだけ早急に検討会を立ち上げていただきたいと思います。
 もう一つお聞きして恐縮なんですが、大体いつごろから検討会を立ち上げるか、大体のめどで結構ですので、来年三月末には結論を出すわけですから、大体いつごろからでしょうか。
坂口国務大臣 一、二カ月というふうに言っておりますけれども、まあまあ、一カ月ぐらいの間に何とか立ち上げるようにしたいと思います。
山井委員 ありがとうございます。
 やはりこういう検討会、もちろん公開の形になると思うんですけれども、マスコミの方や患者団体の方、いろいろな方の声を含めて、本当に国民全体の議論で、まさに医療制度の抜本改革の一つの大きな柱として、情報開示、カルテ開示、そして次にお願いしますレセプト開示の法制化の問題にも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、レセプトの遺族への開示について。
 これも前回の質問の続きなんですが、現状では、社会保険庁のマニュアルによって、御遺族が開示請求をすると、この御遺族がレセプトの開示請求をされましたよということを医療機関に通知することになっているわけです。
 しかし、前回、内閣府の小川参事官からも答弁をいただきましたように、遺族の方がレセプト開示を請求したということは個人情報なわけですから、それを本人の承諾を得ずに勝手に医療機関に通知するというのは、やはり本人の了解が要るのではないかという趣旨の答弁が、個人情報保護法案を担当されている内閣府の小川参事官からもございました。
 そういう意味では、まさに防衛庁のリストの問題も今回出ておりますけれども、その請求をしたという情報はやはり御遺族の方は病院側に知ってほしくないケースも多いわけですから、このような社会保険庁のマニュアル、すなわち、遺族からのレセプトの開示請求があったということを病院側に無条件に通知するというこのマニュアル、やはりこれは改正すべきではないでしょうか。いかがですか。
坂口国務大臣 ここはなかなか難しいところもあるというふうに思いますが、保険者に義務づけておるわけではないんですね。必ずしもそれを医療機関に全部報告しなきゃならないということでも……(山井委員「でも、適当であるとマニュアルに入っておるわけですから」と呼ぶ)適当であるというのは、何が何でもしろという意味ではないわけでありますから……(山井委員「いや、マニュアルにそう書いていたら、普通やります」と呼ぶ)
 そこはいろいろの解釈の仕方があるというふうに私は思いますけれども、しかし、もとをただせば、レセプトというのは病院がおつくりになったものでございますし、そして保険者の方に提出をされたものでございますから、そのことは、そのレセプトに書かれておりますことがすべてかといえば、そこは一番必要最小限度のことがそのレセプトには書いてあると私は思うんですね。ですから、もし仮に訴訟か何かのことがあって、そして本当のことを、もっと詳しいことが知りたいということであれば、私は、それこそカルテなりなんなりを見ていただくとかいうことにならざるを得ないんではないかと思います。
 したがいまして、いずれにいたしましても、それは医療機関との間で話をしなければならないことでありますから、保険者が医療機関にそのことをもう言わなくてもいいというふうに決める必要もない、私はそう思っています。これは、そういうふうにあったということを言ったから問題が起こるのではないと思っておりまして、より詳しいことを知っていただくためにはやはり医療機関に言っていただく以外にないわけでありますから、そこは、その中に書かれておりますような文言で、必ずしも何が何でもそうしろというふうには書いていないというふうに御理解をしていただければいいかと思います。
山井委員 御遺族が亡くなった患者さんのレセプトを開示請求するというのは、やはりそれなりの不満なり疑問があってのことだと思います。それで、やはり多くの場合、御遺族は、そういう請求をしたということは、医療機関に不信を持ったとも受け取られかねないわけですから、病院にそういうことを知ってもらったら不都合があると思われる方も多いわけですよね。
 そういう請求したという事実、つまりこれは個人情報です。そういう個人情報を、本人、その御遺族の承諾なくして、了解なくして医療側に提供するということは、やはり問題があるんではないでしょうか。やはり御遺族の承諾というのを得るべきだとは考えられませんか。それが今回の個人情報保護法案の趣旨だと私は思うんですが、坂口大臣、いかが思われますでしょうか。御本人たちが嫌がっても医療側にはこれは勝手に通知していいんだと大臣思われますか。
坂口国務大臣 私は、もう一つ、そこは医療機関と患者さんの間の風通しというものをやはりよくしなければならない。医療機関におきましても、これからは、そういう開示を求められれば必ずそれをお示しして説明をする、やはりそういう関係にしていかないといけない。ただ保険者のところに尋ねて云々ということではなくて、そこはやはり医療機関と患者さんの間の関係というものをよりもっとクリアな形にするということの方が私は大事だというふうに思っておりまして、そのことにもっと積極的になりたいという気が私はいたしております。
山井委員 この情報開示の問題は、ポイントは、大きな覚悟を持たないと情報開示を請求できないというようなことであっては、今まさにおっしゃったように風通しのいい関係にならないと思います。そういう意味では、できるだけそのハードルを下げてもらうように、これからも私もこの問題を要望していきたいと思います。
 そして、諸外国ではこのような医療側の了解を得てレセプトを開示している例というのはないんではないかと思いまして、このことを前回質問しましたら、今調査中ということでありました。このことに関しては改めて早急に調査してくださるということですので、諸外国の例を調査してまた報告してくださいということを言いまして、時間の関係上、次の訪問歯科診療の話に移らせていただきたいと思います。
 そもそも、この医療制度改革の中でも、歯科というものは今までから医科に比べて非常に軽視されてきたと思います。しかし、歯科はこれからの高齢社会でますます重要になってまいります。歯のかみ合わせや口腔ケア、こういうものをしっかりすることによって、寝たきりだったお年寄りが物が食べられるようになって歩き出したケースとか、また、かみ合わせや口腔ケアがきっちりうまくいっていなかったばかりに痴呆症状が進んだとか、歯がしっかりしていると脳に刺激が行って痴呆症状の予防や進行の悪化を遅くすることもできるということがわかっています。
 そういう意味では、高齢社会において、こういう老人に対する歯科医療が最も重要で、その中でも、今回問題になっております訪問歯科診療というのは、そういう寝たきりや痴呆症などの本当に歯医者さんに行きづらい方、私も今までから在宅の寝たきりの御家庭とか百軒以上回っていますけれども、本当にもう入れ歯も入っていない、それが原因で病状が悪化しているというケースも多かったわけですね。それに対して、こういう訪問歯科診療が広がってきたおかげでおいしいものが食べられるようになったとか、多くの患者さんが喜んでおられたわけです。
 にもかかわらず、この四月の診療報酬の改定で、そういう訪問診療が大幅に制限をされるようになりました。私たち民主党も、歯科医療改革三つの視点ということで、これからは予防歯科が非常に重要だということも言っておりますし、訪問診療の重要性も訴えていたわけであります。このことに関しては、不適切な訪問診療の事例があったということなんですが、田村政務官、どのような不適切な事例があったのか、そのことをお答えいただければと思います。
田村大臣政務官 レセプトの方は今調べておりますが、早急に先生にまた御報告に上がりたいと思います。
 それから、歯科訪問診療の件でございますけれども、我々も、歯科訪問診療、これは大切なものであるというふうに認識をいたしております。
 ただ今回は、通院が可能である、つまり他の医療機関に通院をしておられる方がこれを受けておられるというのが、レセプト等からわかってまいりました。これは、具体的にというよりは、幾つかのところからそういう事例が多数挙がってまいってきておりまして、本来は、要するに、医療機関に独自で行けない方に対して、訪問歯科診療という形で診療を受けていただこうということでこのような制度を今導入しておるものでありますから、そういう意味からいたしますと、これは適当でないということで、中医協の方とも議論をさせていただきまして、このような他の医療機関に定期的に通える方に関しては、これには当たらないというふうにさせていただく、こういうふうなことでございます。
    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
山井委員 そのように行き過ぎた事例があった。それは、元気でぴんぴんされている方が訪問診療を受けて訪問診療の点数がつくというのは私もおかしいと思いますが、先週の日曜日、私も地元の歯医者さんの「歯のひろば」というのに行かせてもらって歯医者さんの話を聞いたら、私が質問するまでもなく、山井さん、何とかしてくれ、せっかく訪問診療でこれからの高齢社会に向かってお年寄りの歯のことをやっていこうと思ったら、今回のことで非常に難しくなったと。
 その難しくなったというのが、今、田村政務官も答弁してくださいましたけれども、完璧に元気で通院されている方ならば、もうだめなわけですね。ところが、グレーゾーンの方が非常に多いわけです。
 きょうも資料をつけさせてもらいましたけれども、例えば一番目、問い一というのが、この2の見開きのところにありますけれども、医科の疾患に対する治療のために保険医療機関へ通院している患者についての歯科訪問診療料の取り扱いはいかがかという問いですね。これは五月一日に保険局医療課がこの問題について出した事務連絡でありますけれども、これについては、答えは、「通院困難な患者が緊急の治療、検査等のため病院等での治療を必要とし、医療機関に搬送されたような場合など、医療機関で外来診療を受けた場合であっても、歯科訪問診療の対象となる場合もあり、通院困難であるか否かは、必要に応じ個々の症例毎に適正に判断していくものである。」こうなっているわけですね。
 もう一つわかりやすいのが、次のページの問い五です。歯科訪問診療の対象となる通院が困難な者、何をもって通院が困難な者と定義するかは、どのような状態が該当するのか。これも、結論を見ますと、「通院困難であるか否かは、必要に応じ個々の症例毎に適正に判断していくものである。」と。
 問題は、ではだれが適正に判断するのかということなんですが、坂口大臣、これは当然、歯科医師の歯医者さんが判断すると理解してよろしいですか。
坂口国務大臣 書いた人に聞いているわけじゃございませんけれども、常識的に読めば、私はそういうことだと思います。
山井委員 まさにそうですよね。歯医者さんが行かれているわけで、第三者が行っているわけではないですから。そこで、そういう意味ではやはり、もちろん完全に元気な人に訪問歯科診療の点数をつけるのは私もおかしいと思いますが、現場のお医者さんにある程度の判断の余地を当然与えていただきたい。歯医者さんたちが心配しているのは、オーケーと判断したけれどもレセプトで後ではねられたとか、一回一回判断に苦しまれるわけですね。地域によってその判断の差があってもなりませんし。
 そこで、問題の問い四なんですね。医科の医療機関に自力または家族等の付き添いにより定期的に通院している通院可能な患者に対しては、訪問診療の対象とならないか。そうしたら、答えは、そのとおりとなっているわけです。
 ところが、これも、きれいに百かゼロの話ではなくて、例えば、内科のお医者さんは歩いて五分のところにあった、ところが、歯医者さんは二、三十分かかる。だから、歯医者さんは訪問治療を受けないとだめだけれども、目の前にある内科のお医者さんには月に一遍行っていますよとか、あるいは、どうしても耳鼻科の診察が必要になった。歯医者さんは体が不自由なお年寄りの家に来てくれたけれども、耳鼻科は絶対来てくれないから、もう痛くて仕方がないから耳鼻科にかかった。そうしたら、これも訪問診療点数ペケになるのか。それとか、最初訪問診療に行ったときは通院していなかったけれども、途中で風邪を引いて、やむにやまれず通院せざるを得なくなったとか、いろいろなケースがあるわけですね。
 そこをやはり、ある程度もう現場の歯科医師さんの判断に任せるという形にしないと、実質上、これもだめ、あれもだめということで、三月まで訪問診療を受けて、いい歯を持って寝たきりから脱しようとされていた方も、訪問診療がストップするということになりかねなくて、今はっきり言って医療現場は大混乱しています。
 そこで、坂口大臣、改めてお伺いしたいのですが、そういういろいろなグレーなケース、それに関しては、もちろん元気でぴんぴん歩いているケースは絶対だめとしても、この方にはやはり訪問診療が必要だ、そう何度も頻繁に歯医者さんには来られないという方に関しては、訪問歯科診療というものを点数上も認めるということでよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 歯科医師という非常に常識のある皆さん方ですから、常識的にやっていただければいいと思うのですね。今おっしゃったように、近くの病院にはついていってもらったけれども、歯医者さんは遠くて行けないというケースもあれば、病院は遠いけれども、歯医者さんは隣にあるというケースもあるわけでありまして、遠い病院へ行っているのに隣の歯医者さんには往診してもらうというのも、これもちょっと常識的でありませんしいたしますから、その辺は常識を持って、歯医者さんが医学的に判断をしていただくということだろうと思います。
山井委員 私も、坂口大臣がおっしゃるとおりだと思います。常識でもって本当にそこは判断していくということで、逆に行き過ぎたケースがあれば、やはり厳しく、それは点数にならないということを指摘するのは当然のことであると思いますが、今回の通知によって不必要に、不必要にというか、今までから訪問歯科診療を利用されていた要介護の高齢者の方々の歯科診療が制限されないようにぜひしていただきたいと思っております。
 次に、老人医療費の……(発言する者あり)ちょっとストップします。傍聴席の方が人が多いようですが。
    〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
森委員長 山井君、続けてください。
山井委員 では、続けさせていただきます。
 老人医療費の伸び率の適正化、その中の一環で、冒頭にも申し上げましたように、長期の社会的入院の患者の退院促進という方針のもとに、半年以上の長期入院の患者さんの自己負担の特定療養費化というところが四月一日の診療報酬の改定で出てきたわけです。このことは、今後の高齢者の医療をどう日本でやっていくかということにも非常に重要な関係が出てくると思います。
 一つは、この抜本改革の中で、老人医療費の伸びを適正化していく中で、医療を受ける権利が損なわれて、高齢者が病院から追い出されてたらい回しに遭って死期が早まるということがあってはならないということ、また、そのためには介護基盤の整備をせねばならないということ、それともう一つは、老人医療費の伸びを適正化するために安易に医療保険適用の療養型病床をそのまま介護保険に持っていったら済むという問題ではないと思うわけです。
 その意味で、老人医療費の伸びの適正化ということが高齢患者の不利益にならないように、以下、質問をさせていただきます。
 まず、政務官にお伺いしたいのですが、診療報酬改定により、半年以上の長期入院で社会的入院と判定された患者は特定療養費の対象になったわけですが、その受け皿の整備、介護保険施設の整備はどうなっていますか。平成十九年までの介護基盤整備計画の参酌標準などについてお答えください。
田村大臣政務官 今先生からいただいた御質問でありますけれども、介護保険施設等の参酌標準を設定するに当たってということでありまして、基本的な部分では、前提といたしまして、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、それから介護療養型の医療施設ということで、三・二%ぐらいの伸びを見込んでおる。それプラス、グループホームとそれから指定を受けたケアハウス、これは施設といいますか在宅の世界の話でありますが、しかし、施設という意味からしますと、これが約〇・三%。合わせて、合計三・五%ということでございます。
 これをもとにといいますか、あくまでも参考でありますけれども、基本的には、先生がいつもおっしゃっておられます、では今回、特定療養費化して五万人出てくるんだね、出てきた人たちの受け皿はそれで大丈夫なんですかという議論も含めまして、地方自治体がそれぞれ第二期介護保険事業計画というものを立てていただきまして、当然そういう方々が多いところもあれば、病院から出てくる方々が少ないところもございますし、それぞれ地域によってニーズが違うと思うのです。そういうものを積み重ねた上で全体としての計画が出てくるということになろうと思いますから、あくまでも、この三・二、三・五という数字は参考といいますか、このような形で一応、参酌標準として、国といたしましては標準としては出しておりますが、最終的には、各自治体が必要な分に応じて計画を積み重ねてきた数字になってきたものと調整をして結論を出す、答えを出してくる。答えといいますか、計画を立てるという話になってこようと思います。
山井委員 六十五歳以上の高齢者人口のうちの三・二%を、介護保険施設、整備するということなんですが、ここに、なぜ三・二%なのかという、参酌標準の考え方についてという資料を厚生労働省さんからいただきました。
 それによると、今、田村政務官が答弁してくださいましたように、こういう長期入院の患者が、今回の特定療養費化の影響もあって退院されるであろうという方が五万人、それと平成十四年度末における施設利用者見込み数が六十八万人、あわせて七十三万人で、今の六十五歳以上の人口は二千三百万人、これで割ると約三・二%になるということなんですね。
 しかし、私は、この計算はおかしいと思うのです。なぜならば、今、六十八万人分、介護保険施設を利用されているということにすぎないのであって、御存じのように多くの方が待機されているわけですよね。待機されている方を置いておいて、今入っている人の上に病院から退院される方の数をプラスしても、要は、老人ホームに入れない、老人保健施設でたらい回しになっていたりもするという今の状況は改善されないということになってしまうわけですね、この三・二%だけでは。もうちょっと上乗せしないと。そこは田村政務官、いかがでしょうか。
田村大臣政務官 先生おっしゃられる意味もよくわかります。ただ、基本的に介護保険制度というものは、御承知のとおり、もう先生には言わずもがななんですけれども、在宅ということ、居宅ということを基本に置いておるといいますか、そういう制度でありまして、もちろん何でもかんでも施設に送り込めばいいという話じゃないんです。
 ですから、そういう意味からいたしますと、我が省といいますか、想定した中において、やはりこれぐらいの数の方が基本的に施設に、施設サービスの方に行っていただくべきなんであろうというような、理想といいますか、我が省の試算した数字を含めて、それが実態六十八という数字とほぼ一致しておるという考え方で現状あるものでありますから、このような形で、六十八プラス五万の新たに出てくる方々をとりあえず施設としての基準として、あくまでも標準といいますか、我が省が示す参酌標準としてお出しをさせていただく。
 ただ、今も言いましたとおり、それぞれ地方から、そうはいってもと、いろいろなものが出てくると思います。出てきたものを、もちろんそれをすべて我が省として受け入れるわけにいきませんので、もう一度、仮に総計の数字が我々が示した数字よりも大きくなってきた場合には、一体どういうような状況でそうなったのか、また各自治体等々にいろいろと調査をさせていただいて、適当であるかどうであるかということは一応確認いたしますけれども、その上で、最終の計画というものは一番適しているものを出すという話でございまして、あくまでもこれは、標準というのはすべてではないということだけは御理解をいただきたいと思います。
山井委員 私がこのような質問をする理由は、本当に、老人医療費の伸びの適正化という議論は、やはりその受け皿となる介護保険施設の整備とセットでないと成り立たないと思うからなんですね。
 それで、ここにも書いてありますように、施設利用者見込み数が六十八万人であって、施設を必要とする人の数というのは、やはり厚生労働省さんは推定をされておられないわけです。
 坂口大臣にお伺いしたいんですが、今の特別養護老人ホームの待機者の現状、このことについてどう認識しておられるのか。今はもう特別養護老人ホームや介護保険施設は十分足りているという認識なのか、それが全然足りないという認識なのかによって、この三・二%が正しいのかどうかという議論は全然変わってくるわけです。ここは非常に重要な認識だと思います。現状認識で足りているのか足りていないのか、そのことについて、坂口大臣、答弁をお願いいたします。
坂口国務大臣 計算の仕方によって随分ここは違うと思うんです。これはうちの方の出している一つの案。中には、それほどもないと言う人もあるんですよ。
 というのは、各都道府県等で待機をしていただいている人に対して、もう一遍確認の手紙等を出しているところもあるんです。そうしますと、この一、二年は要りませんとか、前出しましたけれども今のところはよろしいとか、そういう人も中にはあったりして、必ずしも今出ている数字がそのまま現在必要な数字でないというようなデータの出ておるところもございますので、一概にちょっと言いにくいんですけれども。
 しかし、いずれにいたしましても、国としては、入りたいけれども入れないという人がたくさんおみえになるというような状況を続けることは決して好ましいことではありませんから、早く対応できるようにしなきゃならないことだけは間違いないと思っています。
山井委員 足るか足らないかというはっきりとした答弁はないわけです。
 例えば、私が持っております名古屋市からの資料では、名古屋市では大体特養の定員が三千七百人。三千七百人に対して一万四千四百四十五人、ほぼ四倍待っておられるわけですね。しかし、大臣おっしゃったように、その中には重複して三つ四つ申し込んでおられる方や、緊急度の低い、今困っていないけれどもということで申し込んでおられる人もおられます。そういう人を除いて名古屋市が低目に見積もっても、二千人は緊急度が高い人が待っておられる。
 それで、年間三千七百人の定員に対して、こんな計算はそう簡単にできませんが、一年間に一割の方がかわられると考えても、単純に、三百七十で二千を割るわけですから、五年間ぐらい待たないとだめだ、緊急度が高い人も。しかし、大臣、五年待たなくていいんですね。なぜかというと、五年待っている間にお亡くなりになってしまわれる方が多いわけです。やはりこういう現状を前提にしてこれからの施設整備をしていくというのは、私は間違っていると思います。
 それで、きょうの資料の5を見てください。名古屋市の資料でありますけれども、抜粋をしました。
 現在どこにいる方が特別養護老人ホームに申し込んでいるか。まず、老人保健施設で待っている人が四〇%もいるわけですね。五人に二人が老人保健施設を特別養護老人ホームの待合室として使っているわけです。まさに今問題になっていますように、一般病院や診療所に関しても、十人に一人は、今すぐでも移りたいけれども特別養護老人ホームがあかないからといって病院で待っているわけです。
 それと次の、申し込み理由ですね。この申し込み理由も、一番多いのは、状態が重くなり在宅生活が難しくなったためというのが三八%ですけれども、次に多いのが、老人ホーム入所までに時間がかかると聞いているため、将来に備えて申し込んだものというのが三人に一人以上いるわけです。
 つまり、みんながもう老人ホームはすぐに入れないという不安を持っているから、早く申し込まざるを得ないという悪循環になっているわけです。やはりこれから整備計画を立てるのならば、本当に困ったときに申し込んだらそれほど待たずに入れるというような安心感こそ必要ではないでしょうか。
 それとともにかわいそうなのが、この3です。現在入所、入院している施設等へ入所、入院するとき、老人ホームへ申し込んでおくように言われたため。つまり、病院に入院するときや老人保健施設に入る段階で、老人ホームに申し込んでもらわないと入所させませんと言われているわけですね。まさにこれはたらい回しじゃないですか。お年寄り本人にとったら、老人保健施設に入った、病院に入った、でもここもまた出される。自分のついの住みかに一日も早く行きたいというのが高齢の患者の方の心情だと私は思っております。
 坂口大臣も御存じのように、私も二十年間老人福祉をやってまいりましたし、坂口大臣も老人保健施設で勤務されていたと聞きますが、お年寄りの痴呆症状や寝たきり症状を悪化させるのは簡単なんです。本人の意に沿わない、急に病院を変えたり老人ホームを変えたり、これはトランスファーショックと言われておりますが、環境を急に変えれば症状が悪化して早く亡くなるようになるわけですね。そういうことをやっている現状というのがこのデータで出てきているのではないでしょうか。
 また、次の6というページを見てみましても、今入所中の施設から半年から一年たって特養に申し込んでおられる方が一番多い。
 それと、いつごろ入所したいかというその次の問い十三では、今すぐにでも入所したいという方が三八%。5は、入所中の施設、病院から退所、退院を求められたら入りたいと言われている方が五人に一人。
 そして、どういうときに申し込みを取り下げるかという条件では、2にありますように、特別養護老人ホームの整備が進んで、待機者がいなくなり、必要なときに入所できるようになったら申し込まないでおく。
 大臣、このような待機者の現状に関してどう思われますか。これで今の特別養護老人ホームの現状は足りているという認識ですか。
坂口国務大臣 介護保険の問題ができましたときに、一番中心は在宅介護、ここをどうふやしていくかということに知恵を絞ろうということでこの問題はスタートしたわけですね。私は、その考え方は間違いではなくて正しかったというふうに思っているわけです。
 しかし、最近、どちらかといえば在宅介護よりも施設に入りたいというふうに、御本人が思われるのか家族が思われるのかはわかりませんけれども、そういう傾向が強くなってきていることも事実でございます。
 そこを一体どうしていくのかということだろうと思うんです。在宅介護よりも施設介護をふやしていくということになれば、それ相応の経費がかかりますし、それは介護保険料にはね返ってくるわけでありますから、そこをどうするかというのはみんなで相談をして決めていかなきゃならない問題だというふうに私は思います。
 それで、どうしてもやはり施設に入りたいという方が多かったと。今ちょうど、第二期の調査で調べているところ、第二期介護保険事業計画の策定に向けまして各市町村に今お問い合わせをしまして、まとめてもらっている最中でございます。もう既に出てきているところもございます。そうしたところで、介護保険施設、あるいはまた特養も含めてでございますけれども、施設に入りたいということをおっしゃる方が非常に多いということになれば、やはりそういうことを中心にしてもう一度考え直さなきゃいけないと私は思います。
 病院というところは、これは永遠の住みかではないわけで、遠からずここは出なきゃならない場所であることだけは間違いないわけです。もう終生、病院でというのは、それだけ医療を受けなきゃならないような人であれば別でございますけれども、そうでない限りは、病院というところはいつの日か退院できるというのが、どの人にとりましても一番いいこと、幸せなことだと思うわけです。
 ただ、後の受け皿の問題だというのは先生の御指摘のとおりでありまして、そこをどうしていくかということについて、皆の傾向として、やはりこれは施設で、もう家庭よりも施設だという傾向が非常に強まってくるということになれば、そういうふうな方向にこれは方向を変えなきゃならない。そのかわりに、その財源が必要になってくる、どうするかというような問題も出てくるわけですけれども。
 私は、したがいまして、この第二期介護保険事業計画の結果というものを非常に重視いたしております。その結論によりましては、すべてのことを考え直すということもしなければならないと私は思っております。
山井委員 坂口大臣おっしゃるように、介護保険の理念は在宅重視であるということは、私も全く同感であります。しかし、介護保険がスタートして二年たってから、私も質問でも何回も取り上げておりますが、在宅で介護保険を利用しやすいような介護保険の見直しという方向性は、まだ厚生労働省さんからは聞かせてもらってはおりません。そういう中でこういう施設志向が高まっているわけですから、大臣、お願いですが、ぜひとも、在宅で介護保険で生活できるようにどうしていったらいいのかというやはり抜本改革の案を、介護保険に対しても私は思い切った案を出さないと、施設志向はとまらないと思います。
 そして、まさに、こういう受け皿が不十分でたらい回しが日常化しているというこの現状を置いて、老人医療費の伸びの適正化というときに、安易に病院から出すことを私はしないでほしいと思います。
 もう一つ、この特別養護老人ホームなど介護保険施設の受け皿の問題、質のことについてお伺いしたいんですが、介護保険後、常勤の職員さんが減って、非常勤の職員さんがふえたという現状がございます。そのような特別養護老人ホームや介護保険施設での雇用形態の変化、労働条件の変化ということに関して、厚生労働省はどのように把握しておられますか。坂口大臣、お願いします。
田村大臣政務官 御指摘の点、介護保険施設の介護職員の雇用形態についてでありますけれども、常勤と非常勤の割合は、制度施行後と前とで比較いたしますと、やや非常勤職員の割合が増加しておるということであります。それから、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設については、ほとんど変化はないということであります。
 全体としての調査を実は昨年の十月に行いまして、四月に発表したんですが、全体のスケールといいますか、大体二十分の一ぐらいの調査しかしていないものですから、はっきり申し上げまして、実態として詳しくはわかり切っていないところがございます。そこで、新たな調査を現在させていただいておりまして、秋ぐらいには結果を出したいと思っておるわけでありますけれども、その限られた情報の中でお話をさせていただきますと、全体的に見まして、今お話しさせていただいたんですが、賃金等々も、これは常勤しかわかりません。非常勤の方は正直言ってこれからの調査の中で、非常勤の方はどうかということはこれからという話でお許しいただきたいんですが、常勤に関しては、さほど差はない、今現状さほど差はないというふうに我が省といたしてはとらえさせていただいております。
 いずれにいたしましても、勤務の状況が変わったという形でサービスが低下をいたしたということは、これは大変な話になりますので、低下しないように、これからもしっかりとその点は注視してまいりたいと思っておりますが、同時に、低下せずに賃金が下がったという話になりますと、今度、働く方々に過剰な負担が生じますが、そこら辺は、診療報酬上でもし何らかの問題があって給与が下がったという話になれば、そこはまた勘案をさせていただいて、いろいろな措置をしたいと思いますが、そこはなかなかまだ現状がわかっておりません。診療報酬がどうだから報酬がどうだというところまで出ておりませんので、引き続き、その部分も含めていろいろと調査をさせていただきたいというふうに思っております。
山井委員 この7のグラフ、きのうつくったグラフなんですが、見ていただきたいんですけれども、例えば、平成九年から平成十二年まで、特別養護老人ホームはどんどんふえております。ところが、平成十一年から十二年まで、介護保険が導入されるときのこの常勤職員の数というのはほとんどふえていないんですね。
 つまり、このグラフを見てもわかりますように、介護保険というのは、別名パート促進法と言われるように、常勤職員さんをどんどん非常勤にかえていく。そして、介護保険で経営が厳しくなるから、常勤を減らして非常勤をふやさないと経営が成り立たないぞというような、そういう風潮になったわけです。
 それから、その次の8の資料を見ていただけますか。ちょっと字が小さいんですけれども、ここで、今、田村政務官もおっしゃった、先日発表になった概況調査の結果ですけれども、これはちょっと字が小さくて見にくいですけれども、何が言いたいかというと、特別養護老人ホームの利益率が、平成十一年にはマイナス五・六%だったのが、今回の調査では一三・一%に利益がアップしているんですね。利益がアップしている反面、人件費、給与費というところが非常にダウンをしていっている、そういうことがあるわけですね。千四百三十万円から千二百六十一万円というふうに、月々これはダウンしていっているということがわかるわけです。
 だから、このこと一つ見ても、介護保険によって特別養護老人ホームは人件費を下げて利益をふやしていったということです。こういうことを、どうしても起こりがちですけれども、厚生労働省さんとしては、その質のチェック、放置されてきたのか。最初の議論で申しましたように、これから病院からどんどん重度な高齢の患者さんを、まさに老人医療費の伸びの適正化のために出されていくわけですよね。そういうときには、今まで以上に質の高い多くの人手で介護保険施設でお世話しなければならないときに、その一方では、介護保険施設の非常勤はふえて、ケアの質は下がっているのではないか、そういうふうな危惧が持たれるわけです。
 このあたりについて、きっちりこれからも、そういうことがないように、今もう一度詳しい調査をされているそうですけれども、田村政務官、非常勤の方の調査はよくわからないとおっしゃいましたけれども、まさに非常勤の方がふえているわけですから、そこをやっていただきたいと思います。
 それともう一つ重要なのは、老人医療費の伸びを適正化するために、医療保険適用の療養型病床を介護保険に安易に移すのは問題があると考えます。なぜならば、医療保険適用の療養型病床が介護保険に安易に転換すると、介護保険料が大幅にアップするということがあるわけですから。
 このことに関しては、例えば、ある市町村が、三千円の保険料が三千三百円になるぐらいかなと思っていたら、急に大きな療養型病床が二つ介護保険に来たら、どんとはね上がってしまうわけですね。大きく計算が狂うわけですから、事前に市町村の了解を得るべきではないかということが一つ。
 それともう一つ、今回社会的入院を減らすという坂口大臣の趣旨でありますけれども、医療保険適用の療養型病床が介護保険適用に変わったからといっても、社会的入院がなくなったことには何にもならないんですね。
 社会的入院の何が悪いかというと、本来入院治療が必要でない方が病院のような環境に長居するのは、医療費にとっても本人にとってもよくないですよというのが社会的入院を減らす意味なわけですから、その病院がそのまま介護保険適用の療養型病床になったって、それは数字上で老人医療費が減って介護保険費がふえるというだけで、何ら本人にとっては社会的入院の解消になっていないわけです。
 そういう意味では、もし医療保険適用の療養型病床が介護保険適用に変わる場合では、やはり介護保険というのは、生活の場で介護を受けるというのが理念なわけですから、その生活の場と呼ぶにふさわしい療養環境も整備することとセットでないと、医療保険適用の療養型病床は介護保険に移れないようにする、それが私は筋だと思います。坂口大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 総論として御主張になっていることは私も十分理解できることでありますし、私もそのとおりだというふうに思います。
 療養型から介護型の病床にどんどんふやしていくということになれば、それは地域の介護保険事業全体に対して大きな影響を与えることはもう御指摘のとおりだというふうに思いますので、療養型の病床から介護型の病床にふやすということにつきましては、これはやはり、よくその地域地域で検討していってもらわなければいけないわけでありますから、当然のことながら都道府県がその指定を行うわけでございますしいたしますので、そこはきちんと見させていただかなければならないというふうに思っております。
 もう一つのお話は、居住面積のお話でしたでしょうか。
 今、療養型の病床ですと六・四平米ですが、老健が八・〇、それから特養が一人当たりですけれども十・六四、こうなっておりまして、療養型病床の方は非常に少ないわけですね。ですから、これから先の一つの最終の住みかとするというお気持ちの方々に対しましては、小さな限られた面積のところで入院をしていただいているというよりも、特養の方は十・六四ですから、少なくともそのぐらいの大きさの中で、そして生活が十分にできるように、そういう体制を整えていかなければならないんだろうというふうに思っています。
 ですから、このことは、こういうところを選んでいただけるようにできるかどうかということにかかってくるわけでありますね。御自宅で最終をお迎えになるか、それともこういう施設を選ばれるかという問題になってくるわけでありますから、その選択によりましてそれに見合ったようにしていかなけりゃならないというのは、当然御指摘のとおりだと私も思っております。
 いずれにいたしましても、いろいろの施設ができ上がってまいりまして、選択肢はかなり広がってきているというふうに思います。ただ、病院というところは、医療を受ける必要があればともかくとして、そうでない限りは、最後までそこに住んでいる場所ではないということだけは私は事実だろうと思いますから、それ以外のところでどういうところを選択していただけるかということを十分にお聞きをしながら、こちらも整備をしていかないといけないというふうに思っております。
山井委員 坂口大臣、後半の答弁はそういう生活環境に配慮するような方向に変えるということで理解できるんですが、前半の方の、もう一度お伺いしたいんですが、医療保険適用の療養型病床が介護保険に移行するときに、市町村の保険料が非常にアップしますよね。このことに関しては市町村にとっては大問題なので、やはりそういう移行をするときには事前に市町村の了解を得るべきではないか、計画が大きく狂うわけですから、ということについてはいかがでしょうか。
 なぜこういうことを聞くかといいますと、まさにこれから在宅福祉をますます充実させていく上で、ケアマネジャーさんの介護報酬を上げないとだめだとか、今低いホームヘルパーさんの家事援助の報酬を上げないとだめだとか、そういう議論をしていくときに、介護報酬の議論をすると、どうしても介護報酬全体と介護保険料がアップするという議論になります。そのときに、本来ふやすべきホームヘルパーさんやケアマネジャーさんにお金が行くのではなくて、医療保険から移ってきた療養型病床によって介護保険料がどんと上がってしまったら、何のための三年後の介護保険の見直しかわからなくなってしまうわけですね。悪い言い方になると、老人医療費の伸びを適正化するためのしりぬぐいを介護保険にやらせるだけのことになってしまうんですが、そのあたり、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 後半お触れになりましたところは私もそのとおりと思うんですが、いわゆる保険そのもの、介護保険そのものは市町村になっておりますけれども、そういう施設をつくる、療養型のベッドをどうするか、あるいは介護型のベッドをどうするかというその辺のところは、決めますのが県単位になっておるわけですね。そこが若干違うということがありますけれども、これは県の方と市町村とでよく連絡をして、これは県の方が受け付けますけれども、県の方は市町村ともよく連絡をしてもらうように配慮いたします。
山井委員 そのあたり密に連絡をとって、本当に市町村が嫌がっているのに無理やり来て保険料が上がってしまった、それでほかの介護サービスが充実できなくなったということがないようにしていただきたいと思います。
 きょう質問させていただきましたけれども、自己負担はこれからアップしていく、情報開示についてはまだまだ。レセプトのこと、カルテのこと、もっと本腰を入れて、まさに検討会でやる中で、やはり抜本改革を厚生労働省はやったな、自己負担のアップだけではなくて医療の質の向上をやったなということをぜひともやっていただかなければならないと思いますし、しかも予防重視や在宅の方向にしっかりと向けていく、そういう改革をやってもらいたいと思います。
 最初にも申し上げましたが、今回のサラリーマン自己負担の三割アップ、あるいは高齢者の自己負担のアップ、あるいは保険料のアップ、そういうことによってトータル二兆円ぐらいのアップになるだろう。これは本当に、今の景気の回復をおくらせる深刻な問題になってしまうと思います。最後に改めてお伺いしたいんですが、今回のこのような負担増は景気に対して悪影響をやはり与えると思います。坂口大臣、景気と今回の三割負担を初めとする負担増の関係について、率直な答弁をお願いします。
坂口国務大臣 経済のことでございますから、いろいろの心理的な影響を受けることは事実だというふうに思いますが、しかし現在、国民の皆さん方が一番思っておみえになりますのは、現在どうかということではなくて、将来ともに安定した制度ができるかどうかということを一番懸念しておみえになると私は思っております。したがいまして、将来ともに安心できる制度を確立するということをここにお約束ができるかどうかということが一番私は論点だと思っている次第でございます。
山井委員 まさに、今の答弁にありましたように、それは負担増というよりは、やはり抜本改革をしっかりやっていくということだと思います。審議、きょうで二十時間以上させてもらっておりますが、その抜本改革の姿勢というものが、まだまだ私たちは納得することができません。もっともっと時間をかけて慎重審議をして、抜本改革の姿が見えないのであれば負担増も見送る、そのような姿勢をお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
森委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。仙谷由人君。
仙谷委員 民主党の仙谷でございます。
 きょうは、この厚生委員会で質問をさせていただくのは初めてでございますけれども、健康保険法等の一部を改正する法律案、そしてこの法律案に関連する事項について、一時間いただいておりますので、質問をいたします。
 実は、一九九七年春、やはり同様に健康保険法の一部を改正する法律案が出ました。お年寄りの薬剤費のカウントの仕方といいましょうか、自己負担のあり方についてが主でございましたでしょうか。それから薬価差益の問題等々出まして、当時の大きくなる前の民主党でございましたので、私も、自民党の山崎政調会長、あるいは当時の連立政権を組んでいらっしゃった社会民主党の及川さんなどなどと、随分頻繁に協議をいたしたことを覚えております。
 その過程で、私どもは、医療の抜本改革というものを、当時の政治レベルでは、これが言葉の上だけであったと言えば言い過ぎになるかもわかりませんが、合意をしながら、余りにもこそくな健康保険法の改正に堕落をしてしまっているのではないかということで、途中で協議からおりて、与党三党、当時の自社さで医療保険制度改革協議会というふうなものをつくられるということで、老人の薬剤費の負担を決めるということになっていったわけでございます。そのことを思い出すわけでございます。
 厚生大臣は当時は野党でいらっしゃいましたので、この抜本改革議論というものをどういうふうにごらんになっていらっしゃったのか知る由もないわけでございますが、抜本改革、抜本改革ということで、いろいろなことが決められました。
 与党の医療保険制度改革協議会の確認というのを改めて掘り起こして拝見しますと、抜本改革ができるまでは「新たな患者負担増を生じせしめないよう最大限努力する。」とか、あるいは、書き方によっては、「医療保険制度の新たな患者負担のあり方については、この抜本改革の成果を見極めつつ、検討する。」患者負担の方は検討するという表現で、抜本改革は九七年あるいは九八年から出発進行をさせて実践していくのだというふうな意味のことがうたわれたわけでございます。
 ところが九七年は、結局、抜本改革が緒についたのかどうかわかりませんけれども、依然として我々にはそういうものは見えてこない。さらに、平成十一年、これは九九年でございましょうか、合意がされて、またまた健康保険法上の被保険者の負担がふえる。あるいは、今度の健康保険法改正で、またまた御老人を初め、あるいは今回の場合には、現役世代といいましょうか、何か医療保険の協議の中で若人、若人と言われますけれども、この人たちの負担がふえるという事態に立ち至っておるわけでございますけれども、この抜本改革なるものは結局どうなってしまったのか。あるいは、やろうとした抜本改革というのは何であって、どこまでできて、何ができていないのか。この点は、厚生労働省としては、どういうふうに総括をされていらっしゃるんでしょうか。
大塚政府参考人 平成九年の健保法改正の実施に先立ちまして、お話ございましたように、当時の与党の医療保険制度改革協議会が「二十一世紀の国民医療」という題で、いわば今後の医療改革の方向を四つの柱でお示しになりました。四つの柱と申しますのは、診療報酬体系の見直し、薬価制度の改革、医療提供体制の見直し、そして高齢者医療制度の改革、こういった柱でございました。
 この御提案を踏まえまして、私どもとしましては、その柱に沿って改革を着実に進めてきたという認識に立っておるわけでございます。
 例えば、薬価制度につきましては参照価格制度という議論がございましたけれども、大変大きな議論を踏まえまして、参照価格制度そのものを導入するには至りませんでした。結論として、これを断念いたしまして、薬価制度の見直しを進めまして、現に、薬剤比率という観点から見ましても、当時三〇%というような水準で、かつて三〇%という水準が、欧米並みの二〇%程度、特に外来でございますが、下がってきておりますし、薬価差と言われた、最大の課題と言われたのも大きく減少をしておるわけでございます。
 診療報酬につきましても、いわゆる包括化の推進、特に高齢者の慢性期医療を中心に包括化の推進、あるいは機能分担といったようなことを随時進めてきておりますし、医療提供体制につきましても、医療法を改正いたしまして、一般病床と療養病床の区分を法律上の制度として導入する。さらには、実施は今後でございますけれども、医療関係者の資質の向上を図るための医師、歯科医師の臨床研修の必修化といったようなことも法制化されているわけでございます。
 高齢者制度につきましては、その後、患者負担の見直し、一割負担の導入といった改正もございましたけれども、高齢者医療制度の全体のあり方につきましては、御案内のとおり、極めて関係者の間でさまざまな御意見がございまして、意見の一定の集約を、一つにまとめるというところには至っておりませんで、今回の改革案におきましても、基本的な枠組みは現在の老人保健制度を活用しながら、今後の高齢社会に向かった見直しを、かなり大胆な内容を含めまして見直しをしているところでございます。
 こうした改革を今日に至るまで進めてまいりましたが、その後の社会経済の大きな変化もございます。大変厳しい医療保険財政に直面をいたしておりまして、今回の改革を御提案をしているわけでございますが、さらに高齢化のピーク時に向かって、医療保険制度を持続可能な、安定的な制度にするためのさまざまな改革に引き続き取り組む、特に期限を切って取り組むということにしているところでございます。
仙谷委員 厚生労働省によりますと、抜本改革が徐々にではあるけれども相当進みつつあるんだと言わんばかりに聞こえないわけではないわけでありますが、国民的な観点といいますか、あるいは与野党を問わず、そうは見ていないというのが実情だろうと思うんですね。現に、平成十四年の三月八日、医療制度改革推進本部というのをわざわざ設置をされて、チームを四つつくられておるというところから見ると、これは絵にかいたもちはあるのか。先ほどおっしゃられたように、高齢者医療の問題、あるいは診療報酬体系、あるいは医師の臨床研修等々の問題についても、三十年来の課題をこれからうまくやっていくのにはどうしたらいいのかということについての私は確定的な答えが出ていない、そういうふうに思います。
 つまり、総括という意味でいえば、なぜこの五年間、無意味とは言いませんが、ほとんど抜本改革と称する、つまり改革ができなかったのか、どこに原因があるのか、その原因をえぐり取らなければ改革はできないんだという真剣な取り組みが厚生省としても、あるいはもっと言えば与党がそういう観点からの取り組みをしてこなかったんじゃないか、医療を取り巻く各業界との微温的なおつき合いを続けることの方が大事だと言わんばかりの態度に終始した結果、失われた五年というものをつくり出したんではないかというふうに感じられてならないわけであります。
 つまり、端的に言いますと、事ここに至らしめた原因、悪いやつはだれだという観点からいいますと、大臣、だれがこれは悪かったんでしょう。国民が悪かったんでしょうか、それとも厚生省の官僚機構が妨害をしたんでしょうか、それとも日本医師会が悪かったんでしょうか、健保団体が悪かったんでしょうか、あるいは政治家が能力に欠けていたんでしょうか、どうですか。大臣、どういう感想をお持ちですか。
坂口国務大臣 先ほどお話ありましたように、九七年当時は私、野党でございまして、好きなことをと言うとしかられますけれども、思ったことを申し上げていたわけでございますが、きょうは仙谷先輩に今度はいろいろと御忠告をいただく番になったわけでございます。
 今仙谷先生もだれのせいだということをおっしゃいましたが、小泉総理も、おれがあれだけ抜本改革をやれと言ったのになぜやらなんだといって怒られますし、今私がこの場におらせていただくのですから、私がおしかりを受けること以外にないわけでございますけれども、しかし、よくよく考えてみますのに、この抜本改革、我々が思っている改革なるものと、やはり官僚の皆さんが思っている改革なるものと、若干中身が私は違うような気がいたします。
 それで、いわゆる政治家が言いますところの抜本改革、思い切った変革というものは、やはり政治家が手を染めてやる以外にないというふうに私は思います。そこができなかった理由のすべてでは決してございません。官僚の皆さんは皆さんとして一生懸命やってきたわけでございますし、官僚の皆さん方から見た改革というのをやってきたわけでございますが、我々のやろうとする改革というものとは少し違ったということだろうと思うんです。
 したがいまして、今回は政治家みずからがやる以外にない、こういうふうに思っている次第でございます。
仙谷委員 私はこのたび胃がんにかかりまして、胃の全摘手術というのを受けました。初めて医療保険を本格的に使わせていただいた。社会人になってから一生懸命、余り大した保険組合ではありませんけれども、国保の組合に加入をしておりましたけれども、ほとんど医療保険の恩恵にあずかったことがなかったわけでありますが、今度は四十四日間の入院治療ということで、医療保険の支払いを受け、三割の自己負担をし、そしていろいろ、このごろは数値が送られてきますので、それも自分で分析を、分析というほどのことはありませんが、見ておりました。そうしますと、結局、私は、なるほどさすがに日本はWHOの健康到達度総合順位一位とか国民皆保険制度、よくできている、それはやはりありがたいものだな、一遍大病をしますとそう思います。
 先ほどの質問で、テレビを見ていましたら、大島さんが、若い人が病気をしないんだから、もう健康保険、公的保険に入るのをやめようかと思っている人が多くなってきたというお話もされていましたけれども、そういう考え方の方もいらっしゃるかもわかりませんが、しかし、保険というのは使わないときが一番幸せなときだというのが保険の意味でありますから、いざというときに役に立っていただける保険があって、そしてしかるべき自己負担があるというのも、これも首肯できるというふうに思うわけでございます。
 ただ、にもかかわらず、なぜ日本の今の多くの国民の方々が医療保険制度及びみずからが受ける医療についてこれだけの不満と不安を持っているのか……(発言する者あり)あるいは、あおるやつがいるだけではなくて、私ががんになったことを公表しますと、いろいろなお訴えが参ります。これはメールだけではない。電話から手紙からいろいろなお訴えが参る。拝見しますと、なるほどなと思われるようなお訴えも相当多いわけですね。
 現に医療提供体制の改革のところでも、厚生労働省自身が提起されておるように、三分診療ですか、三時間待ちの三分診療、あるいはひどいところだと八時間待って一分診療のところもある。つまり、病院へ行くことによって病気になりに行くようなものだというふうな話がちまたに広がる、こういう状況も一方ではございますし、医療保険自身の問題についても、なぜかちょびちょびと、ちょっとずつ被保険者の負担やあるいは患者負担をふやしながら、一向に、安心のシステムになるよりは、毎年毎年新聞を、保険財政破綻近しとか、破綻の記事が堂々と出る。これの繰り返しになっておるわけですね。
 私は、今坂口大臣おっしゃられたように、やはり政治の側がちゃんとした明確な意思を持って、この国民皆保険を維持しながら、国民がもう少し安心して、あるいは不安のない、そしてでき得れば、最適の医療を受け得る体制をどうして構築できないのか、一つ一つその原因にメスを入れていくということがこの五年でも必要だったんだろうと思うんですね。
 ところが、容易にそれが進まなかったということについて、これは与野党を問わずと言うと我々も何か責任あるように、自虐的になってしまうわけですが、そこまで自虐的に私はなる必要はない。つまり、この間ずっと与党で居続けて、毎回毎回、二年ごとか一年半ごとに立派な紙をお書きになったけれども、現実的なシステム変更につながらなかった。これを与党の皆さん方に肝に銘じてほしいと思うんですね。
 このことができなかった責任というのは実は非常に大きくて、そろそろ与党をおかわりにならないと、関連の業界とか関連の人々との関係が断ち切れないから改革ができないというのであれば、与党をおやめいただかないと、日本の医療、そして医療保険制度自身が崩壊をしてしまう、こういう論理立てになってしまうんじゃないかと思うんですね。
 これは、坂口大臣はお医者さんでもございますのでよくおわかりになっておると思いますけれども、実際問題、この間の、ただ抜本改革をうたう立派な書面をつくるだけで、そして微調整というよりも、患者負担あるいは保険組合負担を先行させて、悪く言えば、ふろ屋の息子が食い逃げをしたみたいな話なんですよ。ユウだけで、えさだけとって逃げたみたいな話がこの五年間続けてきた。このことについては、今後はこういうやり方はしないということをひとつ決意として示していただきたいんですが、いかがですか。
坂口国務大臣 決意は何度かここで申し上げているわけでございますが、抜本改革と言いましたときにも、その中身はそれぞれお思いになっていることが違う場合も正直言ってございます。十人十色と言った方がいいかもしれません。さまざまでございますけれども。しかし、九七年にお挙げになりました四項目、これは私も拝見いたしましたけれども、立派な、その改革をしなきゃならない点の四項目であったというふうに私も思っております。
 そうした中で、保険、診療報酬の見直しでございますとか、あるいは医療保険の見直しでございますとか、あるいは薬剤費を含めまして医薬、医薬と申しますか、薬品、製薬その他を含めました医薬品の問題等々、それにもう一つ、高齢者医療、これらはいずれも大事な問題でありまして、正直申しまして、これは先送りしてはいけません。
 しかし、これをやったから財政が楽になるともこれは言えないわけでありまして、財政が厳しいことはなおかつそれでも残る。しかし、矛盾のあるところ、そしてむだのあるところ、それは極力排除をするということがまず今大事でございますし、公正に、どの人から見ていただいても、なるほど、これはよくわかると言っていただける簡潔明瞭な制度につくり上げていくということは、もうこの時期を逸してはできないという気もするわけでございまして、全力を挙げてそれに取り組む決意でございます。
仙谷委員 力強い決意をいただきました。
 負担あるいは保険財政の方は、私は、よりといいましょうか、もともと現在の不安の体系であるかのように感じられている医療の提供体系を初めとする諸問題が解決するんだという見通しが、あるいはそれが実行に移されるということになれば、国民の多くの皆さん方はもう少し負担してもやむを得ないんだというお気持ちになられるんじゃないかということを、患者になってみまして初めてわかります。
 つまり、患者になってみますと、夜中じゅう走り回る看護婦さんを見たり、あるいは看護婦さんより今度は安い月給で二十四時間働いているレジデントと称する人を見たりすると、これは大変な矛盾だなと思うと同時に、この人たちの労働条件というか健康保持とか、あるいは過ちのないような医療をしてもらうためにもう少し我々が負担をしなければいけないとすれば、それは合理的に算出されるのであれば、それはしようがないじゃないかという気持ちにもならないわけではないというか、これはだれでもなると思うんですね。
 そういう意味では、日本の医療現場で働いている方々の御苦労たるや、これはなってみないとわからないと思いますけれども、大変なものであります。ところが、大変な矛盾に満ちた中でなさっている。
 そしてまた、医療の改革というのは、もう少し厚生省も、政治の側も、患者の意見をうまく、吸い上げると言うと語弊がございますけれども、聞く何らかの方策を考えませんと、何かひとりよがりで、保険財政だけが確立したら改革ができたんだみたいな話にはもちろん何の意味もないことにもなりますし、要するに、患者のための医療、その医療が公平に、かつ公正に、あまねく国民に行き渡るための保険財政ということは、どうしてもその原点だけは忘れてもらっては困るわけですね。
 ところが、この間のやはり医療改革の問題も、口では、あるいは文章ではいろいろなことを言いましたけれども、まだまだ患者本位のといいましょうか、患者のことをそれほど重視したことになっていなかったんじゃないか。その反省は重要なんだと思います。
 そこで、医療提供体制の改革について、カルテが開示されなければならない、あるいはインフォームド・コンセントが実施されなければならない、あるいは治療については医師と患者さんが共同で決定できるような仕組みとか、そういう資質をお医者さんの方にも持ってもらわなきゃならないというふうな話とか、医療機関をちゃんと第三者的に評価するというふうな仕組みが必要なんだというふうなことが言われてまいりましたけれども、こういう問題については厚生省の方から見ておりまして本当にどこまで進んできたのか、進んでいるのか、そういう点についてはいかがでございますか。
篠崎政府参考人 今先生御指摘のように、インフォームド・コンセントを通じて患者と医師の信頼関係のもとに患者の選択を尊重した医療を提供していくということは、今後の医療提供体制の改革を進める上で大変重要な課題であるというふうに考えております。
 こうしたことを踏まえまして、カルテなどの診療情報の開示につきましては、現在、医療現場において、これを普及定着させるための環境整備を推進しております。
 その結果、直近の調査によりますと、カルテにかわる文書の提供なども含めますと、約九割の病院が患者本人に対する診療情報の提供を行っているというような調査結果が出ているところでございます。
 今後とも、患者側の意識にも着目しつつ、診療情報の開示状況の把握あるいは評価を行いながら、患者の視点を尊重した医療提供体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 また、もう一つ御指摘がございました医療機関の評価の仕組みのことでございますけれども、日本医療機能評価機構、これは第三者機関でございますが、これによる医療機関の評価につきましては、国民に対する医療機関情報の提供の充実という観点からも極めて重要であると考えております。医療機関の評価の受審数、審査を、評価を受ける数を促進する必要があるというふうに考えております。
 平成十四年五月二十日現在でありますが、六百七十八の病院に対して既に認定を行っております。また、昨年の六月には、患者の安全の確保などの観点、病院に対する社会的な要請などを踏まえまして新たな評価項目を設けるなど、評価内容の充実にも努めているところでございます。
 さらに、平成十三年度から、この評価機構の認定を受けた旨の広告を病院の方でやることが可能となりました。また、これを受けまして、この評価機構におきまして個別の認定医療機関の評価結果の公表などについて検討が行われておりまして、評価結果の公開が一層進むものと考えております。
 また、今後五年ぐらいのタームでございますが、十八年度末に二千の病院の受審を目標といたしておりまして、私どもといたしましても、この目標が達成できますように、この機構に対して適切な支援に努めてまいりたいと考えております。
仙谷委員 監督官庁なのか指導官庁なのかわかりませんが、厚生省から見ると、何か物事がうまく進んでいるように見えるかもわかりませんが、しかし、依然として、患者及び患者の家族と医療機関の距離というのは多分そんなに縮まっていない。つまり、カルテの開示にしても、パーセンテージでいうとこれだけ開示されているというふうなことをおっしゃるわけでありますが、なかなかカルテを、例えばコピーを下さいというふうなことも言いがたい。もう少し一工夫がないと、いかんともしがたい。
 それから、今、次の問題でまた提起をしますが、インフォームド・コンセントというふうに言ったときに、この前提たる標準的な治療の問題がやはりクリアされないと、これはなかなか本来的な意味でのインフォームド・コンセントにならないと私は最近いろいろな人に教えられて感じているところでございまして、どうぞひとつ、患者から見たときに医療の現状、医療提供体制が改革をされているのかということをぜひ絶えず、検討といいましょうか、検証をしていただきたいと思います。
 そこで、次の問題に入ります。
 厚生労働省は、ことしの厚生労働白書というのを拝見いたしますと、「医療提供体制の見直し」というところで、「世界の標準と比較した場合、平均在院日数が長く、病床数が多いことなどにより、病床当たりの医療従事者数が少ないなどといった課題が指摘されており、医療の質や効率性を高めていく必要がある。」と総論的にお書きになった上で、EBMを推進するんだと。EBMという言葉も、私もほとんど気がつかないというか、わからなかったわけでありますけれども、エビデンス・ベースド・メディシンというんですか、何か、根拠に基づく医療ということがこれからは大事なんだということを言っていらっしゃるようでございます。
 厚生省がお出しになった資料でございましょうか、これを拝見しますと、「EBMの推進」というところに「優先十疾患ガイドラインは十三年度中に完成」、こういうふうに、十三年度ですから平成十四年三月三十一日までということでありますが、これはガイドラインが十三年度中に優先十疾患について完成したということなんでしょうか。特に、この優先十疾患と、ガイドラインが完成しておるものについてお答えをいただければと思いますが、いかがですか。
田村大臣政務官 優先十疾患のガイドラインに関してでき上がっておるのかというお話でございますけれども、十疾患に関してのガイドラインという形では、ほぼでき上がってきております。プラス、十三年度より肺がん、乳がん、胃がん、三疾患に関しましてもガイドラインの作成を今支援しておりまして、本年度中には完成をするというような予定でございます。
 そういう意味では、ガイドラインというものをつくって、そしてそれを各医療機関にとっては参考といいますか、最新の根拠に基づいた医療というものがどういうものであるかというものをアクセスしていただいて、参考にしていただいて、そしてその上で最善の医療を提供いただくという意味合いでございまして、先生がおっしゃられましたとおり、今、十二年度開始分で十三年度までに完成部分が、言われたとおり十疾患、白内障でありますとか、クモ膜下出血でありますとか、腰痛症でありますとか、アレルギー性鼻炎等々、でき上がってきておるということでございます。
仙谷委員 田村政務官に、それではちょっと嫌みな質問ですが、お伺いするんですが、このEBMの反対語はどういう言葉になりますか。反対語、EBMとは違う、EBMと対立する概念というのはどういうことになりますか。
田村大臣政務官 対立する概念ですか。根拠に基づかない医療ということでございますね。
 要するに、何をもって対立と言われるのかよくわからないんですけれども。
仙谷委員 それは、根拠に基づく治療の反対は根拠に基づかない治療ということになるわけですが、日本では、やはり専門家の間では、私の治療とか、私の処方とか、経験と勘、それから、お医者さんの自由裁量によって行われてきた医療を多分EBMの対立概念というふうにとらえるんだろうと私は思いますね。
 もっと重要なことは、このガイドラインというのが、私もきょう持ってきておりますけれども、要するに、患者の方もこのガイドラインが理解できるような状態に置いてやらないと、お医者さんだけがガイドラインを持っていて、それも全く、今の状態よりは意味があるといえば意味があると思いますが、それでは先ほど申し上げたインフォームド・コンセントに余り役立たない、こういうことになるんじゃないかと私は思うんですね。
 つまり、あるお医者さんの診断、治療行為が標準的じゃない、ガイドラインと違うということを患者がわかったときに、どうして私の場合はこう違うんですかと。違ったってそれはいいんですよ、病気は個性がありますから。だけれども、それに対してお医者さんの方が、これはこういう理由で、あなたの場合はこうだからここを変えてみたとか、ここがこう違うんだ、だからこうしましょうという話がまさにインフォームド・コンセントの中身にならないといかぬのじゃないかと思うんですよ。
 だから、今、十三年度中に完成する、こうおっしゃったガイドラインがまだ三月三十一日までにできていないからどうのこうのということを私は言いたいのではなくて、これはまさに患者側にも周知徹底されるべき課題として、まだまだこれから作業量としては相当あるのではないか。学会だけではなくて、そして開業医の先生方だけではなくて、まさに患者さんあるいは患者の家族の方に周知徹底できるかどうかということが一番大事なことで、そのことが多分医療費の問題にもつながっていくんじゃないかというふうに考えます。
 そんなことでございますので、何か、今どんどんでき上がりつつあってということで余り油断をされないで、各医学会というのは科ごとに何か百鬼夜行、魑魅魍魎みたいな感じも、私から見ると、患者から見るとそういうところがございますので、そこはうまく支援をし、あるいは助成をするということを厚生省の方にはぜひやっていただきたいと思います。
 ところで、EBMの関係でちょっと聞いておきたいことがございます。
 実は、高いお金を出して、メルクマニュアルを買いました。「カレント・メディカル・ダイアグノーシス・アンド・トリートメント」というのも買いました。これは、国際社会というか世界先進国では、標準治療について記載をされているということなんですが、厚生大臣ももちろん御存じですね。
坂口国務大臣 今おっしゃったこと、十分にちょっとわかりにくかったんですが、いわゆるEBMというものを完成させていくというのは、日本では今までなかった、今度、初めてじゃないかと思うんですね、そういう整備の仕方というのは。
 ただし、その道その道の医学会、学会等で発表になりましたようなものを中心にして、それぞれの疾病のまとめというのは大体できてきていたと思います。
 ところが、これは、大学による違いというのはこれまたございまして、昔からよく東大系と京大系といいまして、手術の仕方から使います器具まで全部違ったというような時代もあったわけでございまして、しかし、最近は、かなりそれがミックスされてきまして、統一されてきているというふうに思いますけれども、そこに出ておりますものがそういうEBMという考え方のもとに本当に整理をされているかどうかは、私ちょっとわかりません。それはそこまではいっていないのではないかというふうに、率直にそう思っております。
仙谷委員 メルクマニュアルというのは五年ごとに改定をされるそうです。これは一九九九年のようですが。それから、こちらは毎年こういうのが発行されるようです。
 それで、両方ともこれは、治療方法、臨床試験あるいは治療成績調査で十分に裏づけられたものを記載してあると。いわば、先進国では世界的な標準の治療方法あるいは診断方法が書かれている。ここに貫かれているのは、まず第一番目に患者さんの便益を考えて書かれておるんだというふうに言われております。
 ところが、こういうマニュアルあるいは標準書というものを、日本のお医者さんの中に知らない人が相当いらっしゃる。あるいは、これ、英語です、もともとは英語ですから、読まない人も相当いらっしゃる。大学でも臨床課程でも余り教えないということが言われておりまして、知っている人と知らない人では相当、治療あるいはその前段階の診断についてばらつきがある、ばらつきが出てくるというふうに言われております。
 さて、そこで、厚生省は余りお認めになりたがらないんでしょうけれども、このメルクマニュアルの中に「汎用薬の商品名」と書いてあります、こう書いてあります。それで、この「汎用薬の商品名」で、つまり汎用薬ですからよく使うということですね、これ、日本で製造承認あるいは薬事法上の承認を受けていない薬品がどのぐらいあるか、御存じですか。どなたでも結構です。
田村大臣政務官 率直に言って、わかりません。といいますのは、何をもって標準というのかという問題がある。
 今先生がおっしゃったのは、それに載っておる話でございますか、それに載っておる話。
 我が省といたしましては、それはアメリカで広く重用されておるものであろうというふうに認識しておりまして、これも先生既に我が省の方からそんな話をお聞きいただいておるのかもわかりませんけれども、我が省といたしまして、EBMにおきましては、もちろんそれも全く無視するわけではありませんが、我が国において有効性が認められるような根拠に基づく医療とはどういうものであるかということでございますので、それ全体に関しては、どれが承認を我が国でしていないものがあるかというもの全体に関しては把握をいたしておりません。
仙谷委員 田村政務官に聞いたのがまずかったと思います。つまり、そういうお答えをされるのを外国人が聞いていたら、この国は特異な国だな、これはもう救いようがないというふうに思われることになるようです、聞きますと。
 やはりこのメルクマニュアルに載っているような汎用薬というのは、ごく普通にこの薬品が使える状態になっていないと、お医者さんは、いろいろな病気を受け付けたときに直ちに対応することができない。現に今骨粗鬆症の関係あるいは脳卒中で、三時間以内にこの薬を使えばいいんだけれどもというようなことが未承認になっておりますから、心あるというか、世界標準治療を知っているお医者さんは、何でこんなものが承認されていないんだろうかということで悩んでいるという話が入ってまいりました。
 私が、メルクマニュアルの「汎用薬の商品名」の中に入っておるもののうちで、要するに日本語で書いていないもの、つまり日本で承認されていない薬を数えますと、百六十あります。百六十、未承認。
 それからさらに、こちらの方はすべての病気についてちょっと調べるいとまがなかったんですが、がんの、いわゆる抗がん剤、がんに対する標準治療薬及び二次薬、この「カレント・メディカル・ダイアグノーシス・アンド・トリートメント」のここに載っております、がんに対する標準治療薬並びに二次薬、これを計算しますと、日本では未承認が五十七、日本では適用外、つまり保険適用に、その病名については使ってはならないというか、使えるようになっていない、つまりインチキで使うしかないとか、そういうことになっておるのが百三十。合計百八十七の薬品が使えない、こういう事態になっておるんですね。
 多分、厚生省の医政局あるいは医薬局でしょうか、お聞きになると、少なくとも、先進国では標準治療に使われる標準的な薬であるということは、これはお認めにならざるを得ないと思うんですね。ただ、日本で承認されていないというだけだと思うんですよ。局長、どちらかの局長、いかがですか。
宮島政府参考人 御指摘の、いわゆる世界的に標準薬というものをどうとらえるかというのは大変難しいわけでございまして、例えば高血圧の治療なんかにおきましても、日本ではカルシウム拮抗薬が主体ですけれども、アメリカでは降圧利尿薬が主体に使われるという、そういった治療のやり方の違い等もございますけれども、先ほど御指摘のメルクマニュアル等につきましても、この中には、まだ治験中の薬が入っていますとか、あるいは既に肝障害などの副作用によって使用がされなくなった薬もまじっているというようなこともありますので、すべてが標準薬としてとらえるかどうかという問題もございます。
 いずれにしましても、御指摘のように、我が国の医療を進める上でやはりどうしても必要である、しかしながらいまだ未承認という薬につきましては、私どもとしては、できるだけそういうものについては学会等の要望も聞きながら、できるだけ企業からの申請を促し優先審査を行うというような対応をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
仙谷委員 これだけの経済成長を遂げて成熟した国家になっておるわけでございますけれども、要するに、この豊かな国の人々が、本来先進国の人民といいますか国民といいますか市民として受けるべき現時点での、ほかの先進国であれば受けられる恩恵といいましょうかあるいは利益を受けることができないという事態だ、そんな批評をする方もいらっしゃるんですね。
 さて、続いて、同様の話をまだお伺いするのですが、これは先ほどのEBMに基づいた診療ガイドラインの優先十疾患の中には入っていないわけですが、抗がん剤適正使用のガイドラインというのが平成十年からつくられつつあるというふうに聞いておりますが、これはどこか、この抗がん剤適正使用のガイドラインというのはどうなっておるのか御存じでしょうか。
田村大臣政務官 御指摘の抗がん剤適正使用のためのガイドラインでございますけれども、臨床の場における抗がん剤の適正使用でありますとか抗がん剤の安全等々、そういうものを勘案する観点から、平成十年から十二年にかけまして、日本臨床腫瘍学会及び日本癌治療学会のもとで作成を委託させていただいているところであります。
 今もお話し申し上げましたとおり、内容は、抗がん剤の安全で有効な使用に関する情報の収集、提供を行うことでありますとか、まさにこの適正使用のガイドラインを作成する、今の話でありますけれども、また、学会員に対する情報提供を行うことでありますけれども、やはり専門家の方々がいろいろと議論をいただいておるわけでありますけれども、この分野、非常に日進月歩の分野でもございまして、いろいろと専門家の中で意見がございましてなかなか一致しないという部分が多うございます。そこで、現時点においてはまだ取りまとめられていないというのが現状でございます。
 そうはいいましても、やはり本ガイドラインというものが抗がん剤使用においては重要なよりどころになることだけは事実でございますので、早く取りまとめていただくよう御依頼をさせていただいております。
 同時に、これができますれば、先生おっしゃられましたとおり、それぞれの学会、それから実際問題治療をされる医師等々、うまくこれを御利用いただけるような連携を整備していく必要があろう、そのように思っております。
仙谷委員 私は、まだ抗がん剤を使うような状況に立ち至っていない、あるいは病気の種類が違うということでございますけれども、この優先十疾患というものの中に、何で抗がん剤適正使用のガイドライン、つまりがんの化学療法、薬物療法と言われておるようなところが入っていないのか、もう全く理解できないんですね。
 実は、どうもこの二カ月ぐらい話を厚生労働省から聞いておりますと、このEBMに基づく医療の推進としての優先十疾患ガイドライン作成と、この抗がん剤適正使用ガイドラインをつくろうとした部局が違う、全然関係なしに行われているということがだんだんわかってまいりました。
 それはいいのでありますが、どの病気が優先するのかということは一概にそのガイドライン作成についても言えないのかもわかりませんけれども、しかし、どうも、がん患者になって、いろいろながんの方々からお話を聞いたり、いろいろなお訴えをされますと、この日本の薬物療法、化学療法、抗がん剤療法というものは、先進国に比べてこれまた十年おくれた、失われた十年をやってしまったということのようなんですね。これは、がんセンターのトップクラスの方々も私に認めていらっしゃいました。抗がん剤というのは非常に悪評の方が高くて、あれはいい細胞も殺すから余り使わぬ方がいいという、この常識が日本の中で流布しているんですね。
 ところが、この十年間の研究と臨床試験と診療の進歩というのは著しくて、抗がん剤はそんなものじゃないというのを、つまり、うまく使えばというのが入るわけですが、そんなものじゃないというのが、やや、最近、新聞を見ておりましても、かの朝日新聞の論調も、抗がん剤というのは危ないというふうに十年ぐらい前に書いたのが、つい最近の新聞では、抗がん剤も使いようによっては非常にいいんだという記事に変わりました。
 アメリカのNCIですか、ナショナル・キャンサー・インスティチュートが年間五千億円かけてがん制圧戦略を進める、その相当部分が抗がん剤治療である、あるいは抗がん剤治療法の、あるいは新薬抗がん剤の研究開発であるということを見ても、これは余り素人的偏見で抗がん剤について見るのは間違っているのかなと私も考え出しているわけであります。
 抗がん剤適正使用のガイドライン、これはまだもちろん厚生省にも提出されていませんし、学会でも認知をされていないということでありますけれども、いずれにしても、ここまでできてまいりました。できてきたガイドラインの中身を見てみますと、またこの中で八十幾つも日本で未承認の薬がある。つまり、厚生省が委託してつくってもらおうとしたガイドライン、学会の現時点でのトップクラスの人たちがつくろうとしたガイドライン、その中で八十以上も未承認や未適用がある。
 現に、ちょっとのぞかせてもらうと、こう書いてあるんです。なお、このガイドラインは、「世界的視野でエビデンスを求めて作成した本ガイドライン」なんだけれども、その「本ガイドラインでは、推奨される抗がん剤を保険医療で使用できない場合が多く認められる」、こう書いてある。
 つまり、せっかくこれ、厚生省に頼まれてつくったんだけれども、保険医療では使用できない場合が多く認められる。つまり、ガイドラインをつくってもそのとおりの治療ができないということになるわけでございます。私は、がんというものを少々見聞きしまして、その種のことが余りにも多いということを感じました。
 がんの診断について、昨日も、PETという、何かポジトロンエミッション断層撮影とかなんとか、非常に早期にわかるんだそうであります。それが、一九八九年ですか、東北大学で開発されたのに、日本では保険適用されずに、アメリカでは一九九八年にもう既に保険適用されているとか、何かせっかく日本のお医者さんやその種の人たちが努力しても全然相手にもされなかった。
 私はそれを聞こうとしたら、きょう朝、厚生省の方から、いや、ことしから診療報酬体系に、つまりそれは保険適用もされることになりました、こういう話であります。ところが、細かい話でありますけれども、本当はこれはいわゆるお年寄りの痴呆症状の早期発見のためにも使った方がいいと言われておるのでありますが、それが適用対象の病名から外れているというふうなこともございます。
 私は、厚生省、どうもこの間お話を聞いていますと、保険局と医政局と医薬局ですか、この所管の中で、薬物療法あるいはガイドライン等々についてはどうも余り統一されていないんじゃないか。つまり、患者にとって何が必要かということよりも、みずからの縄張り意識で、それはこうだから許されないとか許すとか、そんな議論の方が優先しているんじゃないかという気がします。そこのところは厚生大臣にぜひ改めていただきたいと思います。
 それから、先般からお願いしてございます抗がん剤について、FDAやアメリカその他の先進国では承認されている薬で、例えば患者が使いたいというふうに思ったときに、それを個人で輸入して、日本の場合には、それを使うと保険適用が一切されなくなってしまう、その他の治療行為も保険適用がされなくなってしまう。これについて何とかならぬものですか。
 つまり、承認をしていただくのが一番いいわけでありますが、あるいは保険を適用していただくのが一番いいわけでありますが、それが直ちにできないとしても、がんの薬物療法、化学療法を受けておる人たちから見れば、一刻も早く何とかしてほしい。そのことによって生活の質がよくなったり、生命の期間をちょっとでも延ばしてほしいというのは、これは家族の願いなんですね。
 それで、どこにでもある、効くか効かないか全くわからない薬じゃなくて、先ほどから問題になっておる、一応先進国ではEBMの中で、あるいはガイドラインの中で、あるいはこういう標準治療の中で認められている薬が使えない、勝手に使っていただいたらすべての健康保険は適用にならない、この不都合な事態は何とかならないかということをお願いしてあったわけですが、この点、大臣、いかがでございますか。
坂口国務大臣 先般もそのお話を聞かせていただきましたし、私も、何とかしなきゃならないというふうに思っていたところでございます。
 日本で認められていない薬を購入して、それを使う分だけ通用しないというならともかくとして、すべての医療行為が保険の適用にならないというのでは、これは余りにもひど過ぎるというふうに思っておりまして、至急そこは認められるようにしたいというふうに思っているところでございます。早くやるようにしたいと思っております。
仙谷委員 これは、特定療養費制度を使って、今坂口大臣がおっしゃられたような方向で処理をしていただくという話なんですが、実は、医薬局の方はそうしたいと。ところが保険局の方は、これは個人輸入の場合でも、患者が勝手に飲むとかなんとかはいいんだけれども、例えば点滴薬の場合には医師の行為が介在する、その場合は混合診療になるからこれは許されないということをおっしゃっておるようで、我々のところに返ってくる回答も、それぞれが違うんですね。これをぜひ大臣の政治決断で善処をしていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
森委員長 次に、家西悟君。
 どうぞ御着席のままで結構でございます。
家西委員 民主党・無所属クラブの家西悟です。座ったままで質問させていただくことを冒頭お許しいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それで、まず冒頭に御質問申し上げたいのは、昨日までに質問通告ができませんでしたけれども、緊急事態ですので、あえて質問させていただくよう、昼までに政府の方へ、厚労省の方には通告をさせていただきましたので、答えられる範囲で結構ですのでお答えいただければと思いますので、よろしくお願いします。
 埼玉県深谷市の診療所で、点滴を行う際に、輸液セットを複数の患者に用いてC型肝炎に感染したというような院内感染が、きのうまでに報告されています。そして、十数名の方が既に確実に、その診療所の点滴のセットを回し打ちというか、使い回しをされたために感染したという事実が報道されています。
 ここにちょっとその新聞なりマスコミ報道の記載がありますので、読ませていただきますと、患者共通して感染の深谷市の診療所で、点滴を行う際、薬剤を注入するチューブ、点滴セットを複数の患者に用いたことが、二十八日、県内の調べでわかった。そして、新たに五人の患者が感染の報告がある。そして、その診療所に勤めていた看護師が調査委員会に対して証言して、点滴で薬剤が余ると、針だけを交換して、チューブとボトルをそのまま使って、ほかの患者に使用していた。そして、院長もそれを認めているというようなことを報道されています。
 このことについて、厚生省としてどのようにお考えなのか。また私は、これは医師法、医療法、感染症予防法にも反すると思いますけれども、大臣、血液の専門家でありドクターであられる大臣の方から、この件についてどのように今お考えなのか、率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。
宮島政府参考人 まず、私の方から事実経過を最初にちょっと御説明申し上げたいというふうに思います。
 埼玉県深谷市で起こりましたC型肝炎の集団感染につきましては、四月の二十二日、病院から深谷保健所にC型肝炎の届け出がございました。県は、四月二十五日に感染症予防対策会議の設置をいたしまして、厚生省にもその旨の連絡がございました。その翌日四月二十六日、早速、保健所で急性C型肝炎の調査委員会を設置いたしまして、第一回をすぐに開催しております。その後、五月七日に第二回の調査委員会が開かれまして、六名の発症者が共通の医療機関を受診したことが判明したわけでございます。
 これを受けまして、早速、県におきましては、当該医療機関のそれまでの受診者約千五百名につきまして、血液検査を行うということを決めて実行したわけでございます。その結果が五月の二十八日に一応判明いたしまして、千四百四十一名中、三十三名の肝炎抗体の陽性が出たということで、うち五名が、この問題になっています医院の受診者であるということが判明しております。
 この間、厚生労働省といたしましては、国立感染研究所の専門家を派遣いたしまして、この調査委員会とともに、実地調査のいろいろな支援を行って原因究明に当たっているところでございます。今後も、引き続き情報の収集に努めますとともに、今回の事例を踏まえまして、各都道府県等に対しましても、注意喚起を行うような指導をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
坂口国務大臣 事実関係につきましては、私まだ余り詳しくは存じませんけれども、一般的に言えば、薬でありますとか、あるいは注射液、輸液、そうしたものは、一人に一つの製品を使うというのがもう原則だと思いますから、一つのものを幾つにも分けて使うということは、それは針をかえているということではあるようでございますけれども、先ほどのお話だとそういうことのようでございますが、しかし、同じ液を幾つにも分けて幾人もの人に使うということは、これはやはり不潔になる可能性が非常に多いわけでございますから、避けなければならないことだと思っております。事実関係をよく調べまして、厳正に対処したいと思っております。
家西委員 冷静に対応していただきたいと思いますけれども、私は、今回のこの件、注射管においても、シリンダー、注射器も、八六年ぐらいでしたか、厚生省は通達を出していますね。ディスポに、一人に一回しか使うなというような通達。そして、針に関してはもっと早くに、使い回しはしてはならないという通達をお出しになっていると思います。そういったことを知っているはずなんですよ、この診療所は。そしてこの方は、院長自身も、今回の件、この事件に関しては認めておいでになる。これは医者として言語道断であるし、感染予防対策というか、感染予防という行為からは完全に逸脱している行為だと私は思います。
 それと同時に、今回レセプトの不正請求はされているのかどうかもあわせて調査をすべきじゃないでしょうか。要するに、点滴セット代、そしてその輸液、何を使われたのかわかりませんけれども。
 これは大きな総合病院じゃありませんね、診療所です。ということは、それほど重篤な患者さんがそこへ行ったわけじゃないんですよね、診療を受けられたわけじゃない。ちょっと熱が出たとか、風邪引いたみたいですというようなところで診療を受けて、C型肝炎という重篤な障害をこうむった、病気をもらった。これは言語道断であるし、医師として許されるべき行為ではないと私は思う。
 そして、感染した人たちは、十五年から二十年という時間をかけて、ひいては肝硬変、肝がんへと移行する可能性がある、この重い十字架を背負わされたという事実を、厚生労働省はやはりしっかりと調査をすべきだと思いますけれども、いかがですか。政府参考人でも結構です。
坂口国務大臣 いずれにいたしましても、事実関係を明確にしなければなりません。事実関係をまず明確にいたしまして、厳然とした対処をしたいと思います。
家西委員 では、事実関係がはっきりした場合には、それなりの処遇を含めて、医師免許も剥奪するぐらいのお考えで臨まれるというふうにとらえていいんでしょうか。
 それとあわせて、業務上過失傷害にも当たると私は思います。刑事的責任についてもお考えになるお考えはありますか。その辺について、事実関係がはっきりした段階ではそうするということも含めて、御答弁いただければと思います。
坂口国務大臣 いずれにしましても、事実関係をまず調べるのが大事でございますから、そういうふうにしたいと思っております。その暁において、それがどういうことであったかということは、その事実に基づいて決定されることでありますから、まず事実関係を明確にするということが大事だというふうに思います。
家西委員 早急に事実関係を調査いただいて、しっかりとした対応をとっていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それと、直接ではありませんけれども、健保法の改正の質問に入る前に、もう一点御質問をしたいと思います。
 先天性低フィブリノゲン血症の患者さんについて使われるフィブリノゲンについて、三菱ウェルファーマが、このたび、一民間企業で今後供給することは不可能的な発言をしています。それについて患者団体からは、そのようなことのないようにしてほしい、そして供給をしていただきたいというようなことを強く切望されている状況があります。このことについてどのようにお考えなのか。
 ましてや、三菱ウェルファーマという会社は、旧ミドリ十字と合併していった会社ですよね。そして、負の遺産を含めて、合併することをお認めになられた。そして今回、マスコミ報道において、フィブリノゲン製剤によってC型肝炎に感染したという事実を踏まえて追及された結果、全国で四十三人おられる低フィブリノゲン血症の患者さんたちに対しての、本来供給されるべき血液製剤までやめてしまおうという、この企業姿勢というものについて、私は非常に問題があると思っています。
 この点について、政府として、厚生労働省としてどのように対処されるのか、御答弁いただきますようお願い申し上げます。
坂口国務大臣 フィブリノゲン製剤につきましては、いろいろのことが言われているわけでございますが、いずれにいたしましても、この製剤が安全なものでなければならないことは論をまちません。したがいまして、過去におきますこのフィブリノゲンの問題とこれからの問題と、両方あるというふうに思っております。
 過去のものにつきまして、C型肝炎等の媒体になっていたかどうかということについての徹底的な究明と、そして、これから先、このフィブリノゲン製剤を必要とする人たちに対してどうその製剤を供給するかということ、これは分けて少し考えなければいけないというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、患者さん方がこの製剤がなくて治療が受けられないというようなことがないようにしなければならないわけでありますから、そういうことがないように、ひとつしっかりと監視をしていきたいというふうに思っております。
家西委員 ぜひともそのようにお願い申し上げたいと思います。
 低フィブリノゲン血症の方々というものは、私の血友病とは基本的に違うのかもしれないけれども、症状的には全く似たような症状だと思います。関節内出血を起こす、そして凝固が正常に行われない等々の問題があるんだろうと思います。そして、内出血を起こしたときの激痛というのもは、筆舌に尽くしがたいぐらいつらいです、痛いです、正直言って。そして、日常生活もままならない状況に陥る。このようなときに、フィブリノゲンというものは重要である。そして、我々にとっても血液製剤というものは重要である。こういうようなものが安全に、安定的に供給されることは、もう本当にお願い申し上げたいし、努力をと申し上げたいと思います。
 それとあわせて、大臣、このフィブリノゲン製剤において、一部のマスコミで、C型肝炎が入っていたというのが確認されたという報道がなされています。こういうことについて、政府として事実関係について調査をするおつもりはあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
坂口国務大臣 過去のことでございますから、どこまでこれが究明できるかはわかりませんけれども、しかし、もしこのフィブリノゲンを中心にいたしましてC型肝炎が拡大をしたということであるならば、当然のことながら、これは究明をしなければならないというふうに思っております。
 また、個々の輸血においても肝炎の発生が起こるわけでございますから、何千人という人の血液を集めてつくる血液製剤から肝炎が発生することは、十分にこれは考え得ることでございますから、やはりそのことは、多くの血液を使った血液製剤であればあるほど気をつけていかなければならないし、そのことを我々はこれからも注意をしていかなきゃならないと思っております。
家西委員 そのとおりでありますけれども、一つは、フィブリノゲンでいえば、界面活性剤による不活化処理、そして加熱処理等々行われています。そして、日赤の全血においてはNAT検査も導入されているわけですよね。日本の国内で使用されている血液、また原料として使われる血液からのC型肝炎の感染の拡大は、基本的にはあり得ないというような状況になってきているんだろうと私は思いますけれども、やはり慎重に慎重を期して、今大臣がおっしゃられるとおりで、ワンロット、一つの製剤をつくる、一つのロットをつくるときに、二千五百人とか二万人とかの血液を一つにまぜてつくるというようなことがある以上、これは慎重に製造工程を経なければならないし、ましてや、そういう検査、新たな、未知、既知のウイルス等々にも対応できるような体制を確立することは大事だと思います。
 そして、過去の問題だというふうに切り捨てるのではなくて、過去の問題を大事にしながら、それを反省し、そして今後に使っていく、対応していくということもあわせて教訓として使わない限りだめなんじゃないか。そして、一部のマスコミや一部の人たちが騒ぐからといって供給していた製剤をやめてしまおうというのは、製薬企業として倫理が薄いんじゃないか、欠落しているんじゃないかという思いも私にはあります。
 そういうことのないよう、一たん製造認可をするということは、安全なものを安定的に供給するというのが大原則であるということ。そして、こういうような負の遺産を抱えた企業であるところと合併するということも承知の上でやった以上は、その企業の責任において、今後もしっかりと、患者さんたちのために、また国民の生命、健康維持のために努力するということの姿勢を曲げてはならないし、ましてやそれをお願いするような立場であってはならない。厚生労働省としては、それをしっかりと指導していく立場であっていただきたいと思います。
 私の、これは要望というか、お願いです。もし、それに対して政府として御答弁いただけるんなら、決意のほどをお聞かせいただければありがたいと思います。
    〔委員長退席、野田(聖)委員長代理着席〕
坂口国務大臣 C型肝炎のビールスが発見されて、そして、それが検査によって明確になりましたのが、まだ十年たつかたたないかでございますし、先ほどおっしゃいましたような、いわゆるNAT検査という検査方法が導入されましてから、まだ二、三年というふうに思います。
 現在におきましては、もう完璧にと言っていいほど、もうこれは完璧にと言っていいと思うんですが、A型、B型、C型それぞれの肝炎ウイルスを排除できますし、エイズウイルスも排除することができ得るということになっておりますから、現在は既に立派な製剤ができるというふうに思っておりますけれども、過去に、そういうふうな検査がなかなかなかった時代に製品ができまして、そして、それを利用された皆さん方の中に血清肝炎に罹患された方々がお見えになるということも事実でございまして、そうしたことにつきましても、我々、全力を挙げて取り組んでいかなければならないと思っている次第でございます。
家西委員 それでは、本題の方に入りたいと思います。
 「医療制度改革について」という厚生労働省がお出しのこのパンフレットがありますね。これの冒頭を見ますと、中段のところに、保険財政が逼迫しているということを言われている内容がありますけれども、「国民健康保険は、年間三千億円の赤字です。」と。それと今回の健保法の改正で三割負担との関係って、何があるんですか。これはあくまでも国保の話でしょう、年間三千億円というのは。
大塚政府参考人 今回御提案を申し上げております医療制度改革、幅広うございますけれども、あえて申し上げれば、三割負担の問題と国民健康保険の財政赤字と、直接的な関係はございません。
 この一ページは、「医療制度改革の背景」という表題がつけてございまして、全体といたしまして、ただいま置かれております医療保険制度全般の状況を網羅的に、概括的にお示しをしたものでございます。被用者保険制度の運営も大変厳しゅうございますけれども、当然のことながら、財政基盤の脆弱な国民健康保険制度、これもまたその運営に非常に困難を来しておるわけでございまして、両方の要素、それぞれの保険者が大変厳しいということを申し上げたかったわけでございます。
 と同時に、改革の内容におきましても、今回の御提案している制度改革の中に国民健康保険の基盤強化のメニューも入れてございますので、そういう意味で、ここは総括的な医療制度改革の背景ということでお示しをしたページでございます。
家西委員 だったら、そういう説明をすべきじゃないですか。これだと、保険財政が圧迫していますよ、国民の皆さん、年間三千億円の赤字があるんですよということをあたかも説明しながら、実は実はで、違う内容である。そして、三割負担することは公平な負担だと言いつつも、実は違うやり方をやっているんじゃないんですか。
 私は、これは納得がいかない。なぜ、これ、色まで変えて説明をしているんですか、真ん中で。冒頭ですよ、これ。こんなペテン的なやり方は許されるんでしょうか。全然納得がいかない。なぜ三割負担なのか、もう全然わからない。そして、今、直接的に関係はありませんと御答弁いただいたわけですよね。意味が通じない。なぜこんなパンフレットをつくったんですか。
大塚政府参考人 今回のパンフレットをお読みいただきまして、まことにありがたいと思うんでございますが、目次をごらんいただきますと、私どもの全体のイメージ、これがわかりやすく、よくできたパンフレットかどうかはおくといたしまして、ごらんのように「医療制度改革の背景」、全体としての背景をまず御説明してございます。そして、今回の「医療制度改革の全体像」というのが次にございます。この全体像の中は、もちろんその中に三割負担の問題もございますけれども、ごらんいただきますように、保健医療システムの改革から、診療報酬の改革も含め、もちろん国保に関する改革も含めまして、これが全体像である、それからその骨格がこうであるというのが次に続いてまいります。
 御指摘の三割負担の問題は五ページ、今度はそれぞれの各論に入ってまいりまして、制度改正の財政的な影響などを踏まえた後で、給付の統一的な見直し、こういう考え方の中で三割負担の問題を御紹介する、また高齢者の負担の見直しということを御紹介するということで、今日の医療保険制度が抱えますバックグラウンドから、また全体の制度改革の考え方から、そして各論へ、こういうふうな組み立てでつくってみたものでございます。
 もし説得力が不十分だという点があるとすれば、これは私どもの力不足でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国民健康保険制度の三千億円の赤字と被用者保険における三割負担の導入と、直接的な、制度改革の、国保のために三割負担、そういうことではございません。それはおっしゃるとおりでございますが、繰り返しになりますけれども、パンフレットの性格はただいま申し上げたようなことでございます。
家西委員 それでは、五年前、一九九七年四月二十五日、当委員会において、私は医療費の自己負担について、当時、国保が三割、健保本人が二割負担にすることについて、その整合性についてどのようにお考えですかということを質問しました。それに対し、高木政府委員は、医療保険制度の保険集団をどう考えていくか、公平公正な負担の中でこの給付率というものを考えていくことになったというような趣旨を言われています。
 つまり、五年前は、二割と三割の二つの負担の型があることも公平公正な負担であるというふうに考えていますと。しかし、今回、三割に負担を統一することが、わかりやすく、公平な給付だと言われているわけです。これは一体、五年でどうしてこういうふうに状況が変わってきているんですか。五年前は、二割と三割の二つの給付でも公平公正な負担だというふうに言っていたんですよ、当委員会で。御答弁いただいているんですよ。それが、五年後には三割にすることが公平公正な負担だというふうに変わっている。一体何なんだというふうに思えてなりません。
大塚政府参考人 ただいま御紹介がございましたように、一九九七年の四月の当委員会、当時厚生委員会でございますが、におきまして、お話しのような当時政府委員答弁があったことは事実でございますが、私ども、決して今おっしゃったことが違っていると言うつもりはございませんけれども、議事録を読みましても、医療保険制度における負担のあり方は二割か三割かという議論があるけれども、国保は三割だけれども、これからその辺のところをどうしていくか、これは、医療保険制度の保険集団というものをどう考えるか、そういった中で考えていかなければならない。ただし、ただしと書いてはございませんが、今回の改正、つまり平成九年の改正でございますが、今回の改正におきましては、健保につきましては、現行制度が本則二割になっておるから、二割にしていただくということを御提案した。こういう答弁になっているわけでございます。
 この医療保険におきます負担割合をどうするか。もちろんそのときの財政状況も勘案しながら考えなければなりませんし、将来を見込んで考えなければなりませんが、この健保法の御議論、御審議があった後に、先ほど来お話が出ております抜本改革というものを進めるという作業に取りかかれという御指示がございまして、この後、当時の厚生省といたしましても、厚生省としての考え方をまとめる作業をいたしました。
 これは当時厚生省試案という形で公表いたしまして、その後、それも一つの材料にしていただきまして、政府・与党協議会における御議論ということになったわけでございますが、御参考までに、当時の、平成九年、一九九七年のときの厚生省試案の中におきまして、この保険給付の割合につきましては、一つの案ではございませんで、A案、B案というふうにいたしましたけれども、そのA案の中では三割程度の定率一部負担ということを厚生省試案としては盛り込んでございます。
 したがいまして、当時も、将来に向けては三割程度の負担というのは避けられないかなという気持ちがあったことはあるわけでございます。それは、ただいま申し上げましたように、将来に向けての改革の一つの案として、当時厚生省試案の中でその案をお示しをしたことが経緯としてはございます。
    〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕
家西委員 今言われたとおり、私は、当時からこれは想定していたんじゃないのか、将来三割負担にすることを想定していたんじゃないかと思えてなりません。そして、このときにそういう質問をしたわけです。そうしたら、二割でも公正公平な負担だというふうに言われていた。そして、五年前にもうこういうことは厚生省として当然想定しながらやっていた。ただし、一割をいきなり三割にしたんでは国民や多くの方々の理解を得られない、だからこそ二割を先にしておいて、言葉は悪いですけれども、ある程度ほとぼりが冷めた段階で三割にするということは、もうその時点から想定しながらこれはプログラムが組まれていたんじゃないんでしょうか。違うんでしょうか。
大塚政府参考人 ただいま経緯を申し上げましたけれども、プログラムが組まれていたということはございません。それはございません。
 ただいま申し上げましたことの繰り返しになりますが、九年改正につきましてさまざまな御議論がございまして、その後、九年改正法の施行に先立って、これから先の方向をどう見つけるかという議論になったわけでございますが、そのときに、厚生省としても一つの考え方をまとめろという御指示もございました。健保法の施行に間に合う、ほぼ軌を一にいたしまして、すなわち健保法御審議のすぐ後でございますけれども、将来をにらみますと、今後高齢化も進展することを考えますと、いつからということは書いてございませんけれども、三割程度の定率一部負担というのを案として、考え方としてお示しした。順序からいいますとそういうことでございまして、一定のプログラムに沿った一連の作業ということではございません。
家西委員 いや、そういうお考えであったら、これは年々上がっていくんですよね。そして、経済状況が五年前と違うというふうにお考えになって言われているのかもしれないけれども、何も三割にしなくたっていいんじゃないですか。二割五分という方法だってあったんではないか、考えようによったらですよ。どうして一割ずつ上がっていくのか。
 そうすると、高齢少子化云々等々を今御発言になられましたけれども、せんだって大臣も、日本民族が滅亡するというような御発言もあったようにマスコミ報道でお聞きしましたけれども、子供が少なくなってくる、そしてこういう現役世代やそういった人たちを支える、将来的に厳しくなる状況であるということを考えたときにはというようなことを言われていくのならば、この負担率というものは必然的に四割、五割というふうに変わっていくんじゃないんですか。
 これは世界的に見ても異例なやり方じゃないんでしょうか、私はそう思えてならないんですけれども、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 九七年にどういう答弁がありましたのか、そこは私、ちょっとわかりませんけれども、今回の問題におきましては、いわゆる保険の統合、一元化を一つ目指すという、抜本改革の一つの大きな方針がございます。一元化というのはなかなか難しい、でも統合化は進めていかなければならない。そうした中で、それぞれの保険の条件というものを一元化していくということは当然考えなければならないことでございます。
 また、このままでいけば四割、五割に進んでいくのではないかというお話でございますが、やはり公的保険を、しかも皆保険を維持していくということを考えますと、おのずからそこには限界があるというふうに先日来私は申し上げているわけでございます。
 ただ、これから高齢化が進んでいきますときに、きょう午前中にも議論がありましたときに、それでは、それは何によって埋めていくかということが当然あるわけでございます。保険料で埋めるのか、それとも税で埋めるのか、自己負担で埋めるのかということがあるわけでございますが、国民皆保険を維持していきますためには、私は、三割というのは一つの限界だというふうに思っております。
 それでは、その足らないものを何で埋めるかということは当然起こってくる議論でございまして、それは今後の議論、後世の議論にまたなければならない部分も私はあるというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、この制度を、この医療保険制度が今日まで続いてまいりましたので、これによって日本の医療は世界から本当に立派な制度だというふうにうらやまれるような制度に今日までなってきたというふうに思っているわけでございます。
 ただ、国内的に見れば、それはいろいろの御批判のあることもよく承知をいたしておりますけれども、世界からは日本の医療制度が非常にすぐれているというふうに主張されておりますのは、やはり皆保険制度あらばこそのことだというふうに思っておりまして、これを維持していくという立場からどうしていくかということを今後やはり考えていかなければならないと思っている次第でございます。
家西委員 この保険制度を維持していくことというふうにおっしゃいますけれども、それとあわせて、三歳未満の乳幼児の問題等々も八割給付というようなことも言われているわけですけれども、この問題についても私はどうなのかなと。将来的に担う子供たちへの給付というものは、ある程度国が負担を考えていくべきではないかというふうにも思えます。
 それと、どうしてもお伺いしたい点があります。もう時間が残り少ないので、ちょっと質問を飛ばさせていただくところもあろうかと思いますので、御了承のほどお願い申し上げます。
 まず、高額療養費。六万三千六百円から七万二千三百円、どうしてこの金額が出てきたんでしょうか。
大塚政府参考人 高額療養費制度は、定率負担が原則でありながら、過度な家計負担を防ぐという点で大変重要な役割を担っておると考えております。
 制度創設時にまでさかのぼりますと、昭和四十八年でございますけれども、当時は平均的な月収の二分の一程度というところからスタートをいたしました。その後、据え置きその他の経過がございまして、徐々にその率が下がってきておりました。
 現状を申しますと、政府管掌健康保険の例で申し上げれば、月収の、平均的な方の収入の二二%という水準でございます。これもしばらく事実上据え置きに近い水準になってきたということもございますので、負担のバランスということを考えますと、そうは申しましても過度な負担をお願いするわけにまいりませんから、政府管掌健康保険の被保険者の例をとりまして、月収の、平均的な標準報酬の四分の一、二五%ということを水準にして決めたわけでございます。
 なお、長期的に例えば入院をするということになりますと、高額な負担が続きますから、こうした場合につきましては、年に換算いたしまして、年収の二カ月分でおさまるように、この二つのメルクマールで基本的な数字をはじいたということでございます。
 その数字が、現行六万三千六百円、改正案といたしまして七万二千三百円という数字でございます。
家西委員 それでは、二年前だったと思います、海外での医療費の保険を給付するというようなことが改正されたと思いますけれども、その事実を私は多くの国民の方々は知らないと思います。
 なぜならば、せんだって、ノースウエスト航空の広報というか、そういうものを見ましたときに、ある日本人の方が海外でシュノーケリング、要するに水中眼鏡の横に管をつけて潜るというようなことを離島でされて、おぼれられた。そして、そのときに、傷害保険というか民間の保険に一切入っておられなかった。まさか自分がそういうふうになるとは思わなかったと。そして、おぼれられて緊急輸送され、治療を受けた。当然、予定日には帰れないから飛行機はキャンセル、正規で飛行機をとった。ホテルは延泊になった。そして、その請求された総額が、日本にお帰りになってからの請求額が約二千万だったと。皆さん、どうぞそういうような保険にはお入りいただきますようにというようなことが書かれています。
 しかし、前回、二年前に改正されて、海外旅行で使えるということをこの人が知っていた場合、緊急輸送で使われた、これは離島ですので飛行機かヘリコプターか何かを使われたんだろうと思います、そして医療費等々を使ったということを考えても、最高額である六万三千六百円の金額を支払う、あとは航空運賃を支払う、ホテルの延泊費用を払うだけでいいんじゃないんですか。これは、知らないがためにこの人は約二千万円の出費をしてしまったということにならないでしょうか。
大塚政府参考人 今お示しございましたように、平成十三年の一月から国民健康保険においても海外療養費制度というのを導入いたしました。既に実績も、被用者保険ほどではございませんけれども、約七百件。まだ制度をスタート……(家西委員「七百件いかないですよ、六百四十六件でしょう。多く言わない」と呼ぶ)はい。国保組合も含めまして七百件でございますが、半年の実績でございます。
 それで、こうした例がございますから、今お話しのように、海外で医療を受けるという状況にあった、場合によりましては緊急輸送を受けたということは、これは療養費でございますから保険者が審査をしてお支払いするということになりますけれども、細かい状況は、必ずしも事実関係はわからないにいたしましても、一般論で申しますと、保険者に御請求いただければお支払いできたケースではなかろうか、一般論としてはそういう感じを受けるわけでございます。
家西委員 時間が来ましたので終わりますけれども、こういったことを、今多くの傍聴者の方もおいでですけれども、どれほどの人が知っているんでしょうか。改正されたことをほとんどの方は知らないのじゃないんですか。
 PRの仕方が非常に悪いんじゃないでしょうか。パンフレットをお配りしているとかいろいろ言われますけれども、成田や関西国際空港のターミナル、また旅行会社でこういうのを、ここここへ旅行に行きたいというふうに言ったときに、いざ何かが起こったときには医療保険は適用されますよというような広報は、私はこの間聞いたことがありません。また、ポスターも見たこともありません。広報の仕方が非常に悪いのではないでしょうか。ただ単に国民に負担だけを押しつけるようなまねはやめて、こういう制度に変えたというのならば、それをしっかりと広報すべきです。
 そして、今も七百件余りというふうに言われていますけれども、私がせんだって資料をいただいたときには六百四十六件の方というふうにしか言われていない。これは簡単に言うと約六百五十件という方ですね。五十も多くの数字を言われる。都合のいいところは大きく言う、都合が悪くなったら少なく言うような答弁の仕方は、今後やめていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
森委員長 次に、佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党、佐藤公治でございます。
 また、前回の委員会から引き続き、いろいろな議論をさせていただきたいと思います。
 私も早く法案の中身に関して議論したいと思うんですけれども、その前で、どうしてもやはり大臣のお考えになられているところがわからない。一体全体、ここ五、六年の間に何が起こったのか、何があったのか。また、そこにある基本となる理念、哲学というものがわからない。結局、そこにあるのは不信感です。これは僕だけじゃないと思います。国民全体が不信感を今抱いている、そんなことを私は感じます。
 きょうの午前中からの質疑を聞いておりましても、もうこの質疑の答弁に関してでもわからないことがまた出てきている。例えば、仙谷委員からの質問の冒頭での内容、なぜ五年間、この間この抜本改革ができなかったか、その理由をというようなもの、総括というもの。私の方は、総理もしくは大臣からの御答弁をいただいているのは、政治的意思がなかった、政権の枠組みが変わった、いろいろなしがらみがあった、だからできなかったというようなお話で受けていた。しかし、きょうのお話では、そういう答弁があったというふうには私は思えなかった。
 また、ここで不思議なことをおっしゃられたのは、官僚の改革と政治家の改革が違っていたのではと。ですから今回は政治の、政治家による改革をしていくということをおっしゃられました。何か、この前言ったこととその前言っていることときょう言っていること、まさに前回の委員会でも言いました、考えていることと言っていることとやっていることが、何か食い違いが非常に多いように私は思える。
 そういったことを積み重ねていけば、なおさら不信感というものはどんどん膨れ上がるというふうに思いますけれども、大臣、きょうの仙谷先生のお話の中で官僚の改革と政治家の改革は違ったのではという部分は、どこがどう違っていたとお思いになられるんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 官僚の皆さん方は、やはり毎年毎年の予算を組んでいかなければなりません。予算を組むということが至上命令になっておりますから、どういたしましても、やはりより具体的にと申しますか、非常に実務的な改革になってしまう。しかし、政治家の方が改革をするというときには、もう少し大枠の改革を志している。そこがやはり私は違うと思うんです。
 だから、きょうここで局長からも答弁がありましたけれども、やはりいろいろのことがこの二、三年行われていることも事実であります。しかし、非常に実務的な改革であったというふうに私は思います。そうしたことではなくて、もう少し枠の大きい改革をしていく。その辺のところをやはり政治家は目指しますから、政治家が目指しているところとやはりそこは若干違ってくるというふうに私は思っているわけで、そういうことをきょうは申し上げたわけでございます。先日来申し上げておりますことと、何ら違ったことを申し上げたつもりはございません。
佐藤(公)委員 だとすれば、一九九七年、その当時小泉厚生大臣でありましたけれども、では、そのときの提案をしていた、また考えようとしていた、またある程度たたき台で出てきたものの改革というのは、あの時点で小泉総理がやろうと思っていたのは官僚的改革ということになるんでしょうか。いかがでしょうか。
坂口国務大臣 きょう、仙谷委員にも申しましたとおり、あの当時、四項目の大きい改革が掲げられておりました。これは、私は大きい改革だと思っております。これができておりましたら今騒ぐことはなかったわけでございますが、そうした改革は、部分的にはなるほどできている部分もございますけれども、そうした大きな改革ではなかった。その中の非常に実務的な改革がなされてきたというふうに私は感じております。
佐藤(公)委員 ちょっと僕もよくわからなくなってきたんですけれども、当時の改革案の中、小泉厚生大臣がおっしゃられている改革の中で、負担率の問題で、三割で、大病院に関しては五割なんということも出ていたと思います。何かもうその時点から非常にその場しのぎの負担のあり方というものが、いろいろな意味で帳じり合わせ的になっていたように思えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 前の家西委員の御質問とも関連をいたすわけでございますが、平成九年の健保法の改正で、特に患者負担のあり方をめぐりましてさまざまな御議論がございました。
 一つの論点は、薬剤の負担の問題でございましたが、今回これを解消する案を御提案しているところでございますけれども、それと同時に、患者負担のあり方というのをどう考えるかというのが一つの論点の中心でございました。法案としては成立をいたしまして、その先、これから先を考えてどういう方向を考えるべきかという議論になった際に、当時の厚生省としてのお考えを求められたということがございます。当時、小泉厚生大臣でございました。
 全体的な、幅広い内容ではございますが、そのうちの患者負担につきましては、将来を見通すと、いつとは書いてございませんけれども、やはり三割負担ということを考えざるを得ない、また、医療機関の相互間の機能分担を図るという観点から、大胆な提案というふうに当時も言われた案でございますけれども、五割負担ということも提案の中に入っております。
 そういう形で、当時の、次に向けての長期的な方向としてどういうことが考えられるかという中での、また、全体的な改革の内容の中のいわば一部という形で負担の問題、重要ではございますが、そういう位置づけで御提案をした経過でございます。
佐藤(公)委員 僕は、大臣がおっしゃられた官僚的改革というのは、まんざら外れていないと思うんです。今もその官僚的改革が帳じり合わせのように続いている、こんなふうに思うんですね。やはり、大臣は政治的決断でされたという部分もあるかもしれませんけれども、まだまだ官僚的改革というような中での今議論がされているのかなという気がいたします。
 この枠を取り払って、大きく大胆に改革をしていただきたい。それを前提に、それがきちんと提示される、ある程度実行される、その上で負担というものが行われる、あるべきだというのが、これはもう毎回委員会で言っていることであり、それが筋じゃないかということでございます。
 先ほどの仙谷委員の中で、また大臣がおっしゃられた中で揚げ足をとって申しわけございません。この時期を逸したらもうできないと思う、こういう御発言、御答弁があったんですけれども、これは何でこの時期を逸しちゃったらできないのか。
 私が思うに、いつも大臣がおっしゃられている、大臣は、もうこの先どれぐらいになるかわからない、自分としてできるのはもうこれが最後のチャンスだとお思いになられている部分があるのか。さもなければ、ふと政治的なことを思うと、この時期を逃すと、衆議院はもう丸二年を超える、選挙がこの先いつあってもおかしくない、財政破綻を来す、そうなったらこれが最後のチャンスだ、この次の国会もしくは次の通常国会になったら、選挙を目の前にして負担増ができないというような思いを持たれているのかなと思いながらここで聞かせていただいたんですけれども、大臣、この時期を逸したらもうできないというのは、どういう思いでおっしゃられたのか、教えてくださいませ。
坂口国務大臣 これは、現在の医療制度全体を考えましたときに、やはり制度を改革するのにはそのチャンスというものがあると私は思うのです。時を逸するとそれはできないということがあるというふうに私は思います。
 この時期を逸してしまいますと、後、この医療制度が本当に混沌とした中に落ち込んでいってしまう。そうした中で、抜本改革というものが非常にもうできにくくなってしまうんではないか。今のうちならば、現在の皆保険制度を維持しながら抜本改革を実現することができ得る。そういう意味で、私は、非常に今はチャンスではないかというふうに思っているわけでございます。
 これから先、このままでどんどん落ち込んでいって、もう抜本改革なんというようなことを言ったってどうにもこうにもならなくなってしまってからやっていてもいけない、早く手を打つべきだ、そういう意味で、チャンスだということを私は申し上げた。
佐藤(公)委員 そう思っているのは大臣か与党さんか厚生労働省さんだけであって、国民はそうは思っていないと僕は思うんですね。
 実際問題、やはりこの骨太の方針にも書かれている、大臣もいつもおっしゃる、これは前の委員会でも言いました、国民の理解を得てとか納得していただいてとか透明性とか、いろいろなことを、いいことをおっしゃってくださっているのに、もう自分のひとりよがりのように、これは今しかない、ここでやらなきゃしようがないと。国民は、何にもわからないまま進められている、そんな思いを持っていると思います。僕は、その意識とやり方はちょっと違うというか、間違いだと思います。そこは絶対に変えていただきたい。
 私がこういったことをいつもいつも委員会の最初に確認をしながらやると、なかなか内容に進めません。少し内容に入らせていただいて、この内容も、まだまだ哲学的な部分、基本理念の部分を大臣とすり合わせたいと思っているんです。
 まずその一点としては、大臣にとって医療とは何か。
 広辞苑を引いたような答えではなくて、やはりそこには、本当に坂口大臣はそちらの、お医者さん、医療関係に深く精通されている、その思いもあると思います。また、学生のころ医者を目指した、志したものもあると思います。そういった、医療とは何か。すごく大きいこと、でも僕は大事なこと。これはほかのことをずっと見ていくと、大臣なり、政務官もそうですけれども、副大臣も、医療というものをどう考えているのか、ここにすごく大切さ、疑問を感じる部分というのが、この先ずっと議論していく間に出てくるんです。
 ここでひとつ、医療というものがどうあるべきかというのを、基本的な考え方、理念、哲学的なものになるかもしれませんが、大臣のお考えを聞かせていただけたらありがたいとも思います。
坂口国務大臣 どうもいつも先生から難題を押しつけられて、私が一方的にしゃべるようなことになってしまいますが、私は、やはり健康で幸福に暮らしていくというのが人生にとりまして一番大事なことでございます。
 したがいまして、健康で暮らしていけるようにするためにどうするかということがスタートラインというふうに思っておりまして、そうした意味で、私は、病気というのはその次の課題であって、まずは健康であるということが大事。病気を予防していく、病気にならないような健康な体をどうして維持していくかということがやはり医療のスタートだろうというふうに私は思っておりますし、その信念で今日まで参りました。
佐藤(公)委員 政務官、まだまだこれからいろいろと大変な道のりがあるかと思いますけれども、そういう中で本当に、政務官、医療とはどうあるべきかなんというのを考えられたことがあり、またそこに思いを持たれている部分があったらお話しくださいませ。
田村大臣政務官 今大臣がおっしゃられたとおりだと思うんですが、結局、健康とか生命とか、ある意味では一番困ったときに医療というものと接する、そういう意味では困ったときに一番頼るべきものであって、私は、ここに算術というものが余り入ってきちゃいけないんだろうと思うんです。
 そこはやはりお医者さんと患者との信頼関係にのっとって、要は、困っている、気持ち的にも非常に弱っているそういう人たちをお医者さんがどのようにケアしてあげるか、あげると言うとあれかもわかりませんけれども、するかという部分であろうと思いますので、私は、そういう考えというか概念というものが必ず必要なんであろうな、そのように思います。
佐藤(公)委員 よくわかるようなわからないような、でも、とても大事なことも言っていることは事実なんです。だとするのであれば、大臣、政務官、今の医療というものがやはり、経済を何か医療に押しつけている。これはある意味で、採算性やいろいろなことがあるから当然だと思います。経済的なこと、これを常に考えた医療というものが、今私が見ている限り、これは大事なことです、大事なことですけれども、経済を医療に押しつけているような気がする。
 でも、今のお話を聞いている中では、逆に、医療に経済がある程度合わせていくというか、これは天井がなくなっちゃってどれぐらいになっちゃうかわからない、拡大しちゃう部分もあるかもしれませんが、やはり基本的な考え方というのは、経済に合わせた医療じゃなくて、医療に合わせた経済というものを考えていくことの方が、お二方の考え方なりなんなりからすれば自然なような気がするんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 経済抜きにして論じることはできないことは当然でありますけれども、しかし、経済がいいから悪いから、それによって医療制度が大きくぶれるということはあってはならない。全体として影響は受けますけれども、経済のぶれに合わせて、並行して医療制度がぶれるということはあってはならない。そういうふうにやはり医療制度というのは構築をしていくべきだ。なぜなら、医療というのはそれほど我々の生活にとって中心的なことだからだ、そう思っております。
佐藤(公)委員 私の言っている経済というのは、全体の経済ということもありますけれども、やはり診療報酬とは別に、一つ一つ、薬や物の値段ということも含めた上で全体の経済という考え方を言ったつもりでございます。その経済という中で、これは骨太の方針の中に出てくることなんですけれども、まさに今、これは読んでおわかりのとおり、「経済成長率を大きく上回って急速に増加している。」結局、経済成長率というのが非常に低い、もしくはマイナスになっている。
 これは結局、経済というのは生き物であり、いろいろなことがあるということはわかっているつもりでございます。ただし、実際、経済をきちんと安定成長させていく、その政策に関しては、与党として、やはり政策失敗というものが今まで幾つかあったのではないか。つまり、経済の自分たちの政策において失敗したことを何か国民に押しつけている。自分たちの失敗したことは棚の上に上げる、その責任もとらないまま、経済における成長率というか経済の状況が悪くなることに関しての政策失敗に関して、何か国民に押しつけているような気がするんですけれども、大臣、いかがお考えになりますでしょうか。
坂口国務大臣 どういうことをおっしゃっているのか、ちょっとわかりにくいですが、経済の流れの中で医療を考えますときに、経済が成長しているから医療も成長させていいとか、経済の状況が悪いからそれに合わせて医療も縮小すべきであるという考え方には私はくみしないということを先ほどから申し上げているわけでございます。
 だから、そのことと今御指摘になったこととが同じことなのか違うことなのか、ちょっとよくわからなかったものですから、それだけお答えをさせていただきたいと思います。
佐藤(公)委員 わかりにくかったかもしれませんけれども、つまるところ、経済の状態が悪いということ、これは現状だれしもが認めるところだと思います。では、これがこういうふうになった経済状況という責任は政府にはないのですかということです。失政もしくは政策の失敗があったんじゃないですか、そういうことをやはり内閣においてどう責任をとっていかれるんですかということを言いたかったんですけれども、それはもう幾ら言ってもしようがありませんので、次に移らせていただきます。これに関しての議論をずっとしていると、本当に平行線になってしまいます。これはもうお互いさまなところがあるかもしれませんけれども。
 では、きょうまた仙谷委員がおっしゃられましたEBMのことに関しての話に私も少し入らせていただけたらありがたいと思います。
 骨太の方針にも、根拠に基づく医療、EBMに関しての推進ということが書いてあり、各委員会や代表質疑等においても、EBMということが強く御答弁の中に出ているわけでございますけれども、きょうも仙谷委員からのお話の中で、ここに骨太の方針に書いてあります「EBMを推進し、国民が理解し納得できる医療サービスの標準化を行う。」
 この標準化ということに関して、実際、標準化をするに際しては、まさに縦割り行政だとか情報の集約また蓄積というものをきちんとした上で標準化というものができる、されていくべきだと思いますけれども、まず、この標準化ということに関して、いかに今後行政の内部または情報の集約とか蓄積とかいうことも含めてお考えになられてやっていくつもりなのか、御答弁をお願いします。
篠崎政府参考人 御指摘の医療における標準化を進めるためには、最新の医学情報を蓄積して、そしてそれを集約化していくことが大変重要であると考えております。
 具体的に申し上げますと、医学文献などを国際的に収集しておりますコクラン・ライブラリー、これはイギリスでございますが、あるいはMEDLINE、これはアメリカの方でございますが、そういうところで集積しておりますデータベースを積極的に活用したいと思っております。
 また、それらの蓄積された医学情報を今度は集約化をいたしまして、診療ガイドラインの作成を、これは学会が中心になっておやりになるものでございますが、厚生労働省として支援をしてまいりたいと思っております。
 また、インターネットなどを活用いたしまして、質の高い最新医学情報を速やかに医療の現場そしてまた国民に提供するデータベースも整備をしていきたいと考えております。
 今後とも、EBMの推進などを通じまして医療の質の向上を図って、国民が納得できる医療の提供に努めてまいりたいと考えております。
佐藤(公)委員 今御答弁を聞いていると、さも本当にもっともらしい御答弁なんですけれども、やはりその中には、本当にお医者さん側、また厚生労働省さん側、患者さん側、いろいろな分野での情報なり、また先ほどの縦割りの問題、いろいろなこともあったかもしれません。いろいろなことがあった上で考えていかなきゃいけないと思いますけれども、もうちょっと現場レベルで考えた場合に、やはり、お医者さん側とか患者さん側、厚生労働省さん側、いろいろな立場のことがありますので、そういうものをきちんと集約し、蓄積をしながらやっていっていただくことは、これも当たり前のことだと思います。
 そういう中で、EBMというのがとかく、きょうも先ほどの話からしますと、十人十色といった問題の中で、EBMというのが逆に、この考え方はこの考え方で僕は大事だと思います、大事だと思いますけれども、ややもすれば押しつけということになってしまう。仙谷委員もそのことを言いたかった部分もあったかと思います。押しつけになってしまうのではないかという心配、危惧をしている部分がありますが、その辺のあたり、大臣、どうお考えになられるのか。また、その辺をどう注意してやっていくべきだと思われるのか。いかがでしょうか。
田村大臣政務官 今もEBMの重要性というのはお話がありましたけれども、最新医療というものを標準化した中において、より質の高い医療というものをどう共有できるかという意味では、この根拠に基づいた医療というものは大変重要であろう。それは、先生も共通認識をお持ちいただいておるんだと思います。ただ、言われるように、もしそれが押しつけになって、こういうものだからこれをやらなきゃいけませんよという話になっちゃいますと、アメリカのマネージドケアみたいになっちゃうんですかね。そういう意味では、それによって診療報酬も決まっちゃうみたいな話になってくると、そこはまたいろいろな問題が生じる。
 先ほど仙谷先生が、EBMの反対は何だという話がありましたけれども、勘に基づくというのはいいかどうかわかりませんけれども、経験に基づく医療というのは当然あるわけで、こういうEBMで上がってきたデータをもとに、それぞれのお医者様が、自分の経験はもちろんあられると思います。それから、患者と相対でやっておられますから、患者の状況というのも一番おわかりだと思うんです。ですから、そういうものはあくまでデータといたしまして、今こういう最新的な治療方法があるよということを念頭に置いていただきながら、最もいい治療方法というものを患者の方と御相談いただきながら実行していただくというふうに我々は思ってこの制度を整備しております。押しつけということになるとやはり大きな問題があろうと思いますので、その点は、押しつけにならないようにこれからも慎重に進めていきたい、このように思っております。
佐藤(公)委員 本当に押しつけにならないがためにも、やはり情報の集約とか蓄積、ここをきちんといろいろな分野の形でやっていくというのが大事だと思います。
 また次になりますけれども、私は、この骨太の方針に沿って今ずっと質問をさせていただいております。これは、改革の部分とダブる部分もありますけれども、もう最後の質問になるかと思いますけれども、情報提供の拡充とか広告規制の緩和ということが盛り込まれております、情報提供の充実、拡充、また、広告規制の緩和。
 広告の方はいろいろな規制がありますからまだわかりやすい部分もあると思いますけれども、やはりこの情報提供の拡充というような部分で、情報というものが、その信頼性や安全性や安心性の担保、保証というものが、ある程度第三者機関を通じたものを含めて考えていかないと、インターネットや何か等を通じた情報の混乱、はんらん、また、患者さん、国民、消費者の人たちが、その情報がどこまでが正しくてどこまでが間違っていて、どれだけ信頼性が高いのか、その山のような情報の中で非常に混乱をするおそれがあるように思える部分があります。
 ここら辺の情報の提供の信頼とか安全、安心の担保、海外では第三者機関でのオフィシャルマーク等がある。そういうことを含めて、今後、この辺の体制というのをどういうふうに考え、またどうしていくべきなのか、お答え願えればありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
田村大臣政務官 情報の開示といいますか、いかに情報を提供していくか、広げていくかというのは、先ほど来いろいろな先生方が必要であろうということでこれはもう異論がないんだと思うんですが、おっしゃられますとおり、やはりその信頼性というのは医療を受ける方々にとってみれば大変重要な話であります。基本的には、例えば日本医療機能評価機構において、先ほどもお話ございましたけれども、今、個別に認定医療機関の評価等々やられておられますが、これに関しては日本医療機能評価機構が開示されますから、そういう意味では、調べたところが開示するという話でありますから、非常に信頼性というものは高いんであろうと思います。
 それから、社会福祉・医療事業団等の公的機関によるインターネットを通じた情報開示というのも、これもある意味では、公的機関がどうなのかという問題はありますけれども、インターネットを通じて情報自体を提供するには恣意的な部分は入ってこないんだと思うんですが、例えば広告なんかに関しましても、今回かなり広告の緩和をいたしましたが、その内容に虚偽があれば当然そこには大変な不信が生まれますし、それが、例えばこれから情報をどんどん開示していく中において、そういう部分まで、つまり、例えば医療機関側みずからが開示する情報まで載せるという話になりますと、それは、医療機関が誠実にそのような情報を流していただいておるかという問題にもなります。
 ただ、広告のことに関して言いますれば、罰則がございますから、懲役が例えば六カ月以下、三十万円以下の罰金でありますとか、こういうような医療法上の罰則がありますから、そういう部分である程度は担保していけると思いますが、ただ、おっしゃられましたとおり、情報の質自体の精度というものに対して、そういう公に開示できるような場に載せる場合には、やはり内容をしっかり吟味していかないと、患者の方々に、もしくはこれから医療機関でサービスを受けられる方々に大変な不信を招く結果になろうと思いますので、その点は我が省といたしましても注意をしていきたいというふうに思っております。
佐藤(公)委員 本当に、食の安全じゃないですけれども、情報の安全ということを、またこれも考えていかなきゃいけないと思います。
 もう最後ということで終わりにしますけれども、大臣、どうかこの国会でこの法案を通そうというお考えを何とか考え直していただくことを切にお願い申し上げまして、きょうの質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
森委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。自由党は若手二人コンビということで、引き続いて私やらせていただきたいと思います。
 きょうの議論を伺っておりまして、医療制度改革ということでありますが、やはり結局は信頼関係だと私は思うんです。その信頼が崩れた時点で、どういうビジョンであろうと、どういう改革案であろうと、今回のは改革の名にとても値しない、ただ単なる数字合わせ、医療制度改悪という言葉で私は言っておりますけれども、結局、医療というのは、人間の、人様の体、健康、最も日常生活の根本にかかわる問題でありますから、また、医療行為というのは、やはり医療をする側、そして患者さんはされる側、そこには、やはりそのお医者さんを信頼してかかるわけでありますから、この制度を考えるときに、やはり信頼関係がなくちゃいけない。
 では、何が悪いのかなということを考えたときに、やはり情報開示と説明責任、アカウンタビリティーという部分、それは別に厚生労働省に限ったことではないんですけれども、やはり国民との信頼関係、意識のギャップがあると思うんです。その考え方、ブランクをいかに埋めていくかという努力がまず大前提としてない限り、仮にどんなに立派な政策だとしてもそれは支持されないんじゃないかというふうに考えさせられたわけであります。
 さて、まず、医薬品の産業ビジョンにつきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回のこの医療制度改革は、先般厚労省さんの方で出された医薬品産業ビジョンともまた密接に連携をする、リンクをしているわけでありますけれども、前々回の委員会で私はお尋ねをいたしました。そのときに、厚生省と労働省が一緒になったんだから、厚生省だけの考え方で医薬品ビジョンを出しちゃだめですよ、要は、厚生省と労働省、つまり労働省の方の考え方もきちっとくみされた形でビジョンを出さなくちゃいけないというふうに申し上げたわけであります。
 そんな中にあって、大臣は、大変前向きな力強い御答弁をいただきました。日本経済をリードするのが医薬品産業であって、その医薬品産業は、日本の国の中で大きく育つことを目指していかなくちゃいけない、ひいては日本の雇用を非常に大きく生む産業の一つである、また、雇用創出という面からいきましても、この医薬品産業というのは大変大きな役割を果たすものであるというふうにお話しをいただきました。
 それでは、具体的にお尋ねいたしますが、どのように、そしてどのような段取りで雇用をふやしていかれるお考えなのか、この医薬品産業ビジョンの中でもっとはっきりと打ち出していくべきであるというふうに私は考えるわけです。あの文書の中には、あくまで、医薬品産業を伸ばすことによって、ひいては労働力をふやすということに資するという程度にしか書かれていないから、それはおかしいというふうな論点で申し上げたんですけれども、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 今御指摘をいただきました医薬品産業ビジョンでございますが、これを出しましたのには幾つかの理由がございますけれども、日本におきます最近の医薬品業界の状況というのは、少し停滞をしていると申しますか、優秀な薬が出てきていない、この数年間を振り返っていきましても一種類あるかないかというぐらい、世界的に高く評価されるような薬が非常に少なくなってきている。
 御承知のとおり、この分野は、ゲノムでございますとか、新しい分野でもございますしいたしますので、ここで世界諸国からおくれるようなことがあってはいけません。ここにもう少し力を入れてやっていかなければならないと思いますし、それは製薬業界だけにお任せをしているのではなくて、やはり研究所でありますとか大学でありますとか、そうしたところとの連係プレーでありますとか、あるいはまた、政府も研究等につきましてはできるだけのバックアップをしなければならない。そうした中におきまして、今までの既存の企業が成長するというだけではなくて、新しいベンチャー企業をそこでどう育成するかということが一番大事になってくるというふうに思っております。
 ベンチャー企業をここでつくり上げることができましたならば、そこに雇用というものも十分にそれはついてくるわけでございまして、そうした意味で、先般来、この医薬品産業ビジョンというものの案をお示しをして、そして、各界の御意見を今聞いているところでございます。大学の先生方の御意見も今お聞きをいたしておりますが、そうした中で、どのようにしていけばこの連係プレーをしていくことができるか。例えば、ある製薬会社の中で一つのことを目指して研究をしたんだけれども、しかし、そこが目指す方向にうまくいかなかったというので、途中で眠っているような研究結果もある。しかし、他の分野にそれを応用しようということになると、それが非常に生きてくることもある。そうしたものをもう少しみんなで出し合って、そして、新しいものをそこから育てるということにもう少しならないだろうか、連係プレーがうまくいかないだろうかといったようなことも、その中の課題の一つでございます。
 ぜひ、そうした意味から、日本の中のリーディング産業にひとつしていきたいというふうに思っている次第でございます。
樋高委員 大臣、大変済みませんが、お答えになっておりませんで、要するに、どのように雇用を生み出していくかということを申し上げているわけであります。
 産官学の連係プレー、それはもう当然大切であります。しかしながら、ビジョンというからには期限を切って、そして途中の数値目標をつくって、そして目標を掲げ、途中で点検をして、それに向かって、今回は二〇一〇年というのを一つのターゲットにしているということで、それは、今まで役所がそういうふうに期限を切った上で一つのビジョンを出すということはなかったわけですから、私はすばらしいことだというふうに素直に評価を申し上げたわけでありますけれども、やはり旧厚生省と旧労働省の間に溝があったという部分の中で、やはりさまざまな政策上も連携がされてこなかった。
 だから今回、昨年から厚生省と労働省さんが一緒になったので、今回は、そこで、例えば働く方々、もしくは周りの方々も含めた形で旧厚生省と労働省がしっかりとお互いに意見をうまい形で積み上げて医薬品産業を伸ばす、その後に雇用がついてくるものでもなくて、車の両輪として両方きれいに回るように、ビジョンをしっかりとつくっていただきたいという思いで申し上げているわけであります。
 要するに、先般も大臣、どなたかの答弁で、旧厚生省の中でも、局ごと、もしくは課ごとに、まだまだちょっと縦割りの感が否めないというような言い回し、遠回し遠回しではありますけれども、あったわけであります。もちろん、努力しているとは思いますけれども、やはり、なぜ役所を今それぞれ一緒にして行革をしているのかということも考えた上で、そういったビジョン、政策も発表していただきたいという思いがあるのでありますが、大臣、その後、厚生省と労働省、溝は埋まりましたでしょうか。
坂口国務大臣 そこは、いわゆる企業をどう育てるかということなくして雇用は生まれてこないわけですね。先に雇用があるわけではありません。現在までの企業でお勤めの皆さん方の問題は、それはそれとしてありますけれども、それ以上に、新しい雇用を生み出していくということのためには、やはり新しい企業をそこに育成をしていく以外にないと思っております。
 ですから、企業を育てていきますために、育てたいんだけれども、どうしていいかわからない人もいるわけですね。自分たちはお金も用意しました、しかし、こういうことをやりたいんだけれども、ここから先、どういうふうに、だれに手伝ってもらったらいいのかわからないという人も中にはいる。あるいは、こういうアイデアを持っているんだけれども、しかし財源がないという人たちもそこには存在するわけで、そうした方々の御意見を十分に聞きながら、そして、それのできる人たちを集合していく、ひとつ御紹介をしていくといったようなことも、我々のこの新しい雇用を生み出すために最も大事なことだというふうに今考えておりまして、そこに力を入れることなしに雇用の拡大はない、こう実は思っているわけでございます。
 東京都におきましても、そうした新しい、そういうことを試みをしようとする皆さん方に、いろいろの勉強の機会あるいはまたそういう人の紹介、あるいはまたどういう手順でこのことを詰めていったらいいかということのお手伝いをするといったようなことも含めて、そうしたサポートセンターというのをつくりまして、皆さん方にひとつ御利用をいただくということに今いたしております。そうしたところが雇用に大きく結びついていくというふうに私は思っております。
樋高委員 産官学の連携ということも言葉としてよく聞きますけれども、私、この言葉を文部科学委員会の方でもずっといろいろな議論も聞いておりましても、どうも空虚にしか聞こえない、かけ声だけで終わっちゃっているような気がしてならないわけなんです。外国の例を見ますと、産官学ですから、産業と国もしくは州政府というのですかね、もしくは、あと学校、大学等の研究機関、物すごい連係プレーをとって、物すごく効率的に、まあそれは薬に限らずの話ですけれども連携をとって成果を出しているのです。だけれども、今の日本の産官学、一生懸命、言葉は先行しているけれども、中身が全然追いついていないような気がして、調べれば調べるほど、まだまだ努力が足りないというふうに私は思うわけであります。
 先ほど、雇用の話そして企業を育てるという話もありましたけれども、やはり一番大きなポイントの一つになってくるのが、この産官学の連携、そしていかに英知を結集するか、そしていかに効率よく新しいものを生み出していくかということが私は重要であると思いますけれども、では、この製薬に関しまして、産官学の連携でどういった成果を出されて、そして今後の課題はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 まだこれからのところもあるわけでございますが、確かに産官学、その中で特に、官は別にいたしましても、いわゆる大学や研究所といった学問の世界と、そして産業界というものは、今までどちらかといえば、これは一緒になってやることに対する弊害が出たものですから、これを分離する方向、大学というところは、そういう製薬会社を初めとして、そういう産業界と一緒にやることは、これはだめだというので、分けてきた時代があったわけですね。その名残と申しますか、そういうことがまだ残っている嫌いもなきにしもあらず。最近、しかし、そうではなくて、そこが連携を密にして新しいことをやっていかなければならないということに変わってまいりましたから、これは新しいルールのもとに、これから産官学の連携のもとに進めていかなければならないというふうに思います。
 どんなのがあるかという具体的な例を挙げるほど具体的な問題を私はまだつかんでおりませんけれども、しかし最近は、かなり大学の研究が製薬会社等にも提供され、そして研究所におきますもののアイデアがそこで生かされ始めているというふうに聞いておりますから、間もなくその成果が出てくるものというふうに私は信じておる次第でございます。
樋高委員 話題をがらっと変えまして、食品の安全、私のライフワークであります。政務官、お待たせいたしました。
 食品の期限、品質保持期限、賞味期限について、今、選挙区を回っておりますときによく言われるのが、特に御家庭の主婦の方から言われます、品質保持期限、賞味期限、どう意味が違うのかとよく言われます。なぜですか。
田村大臣政務官 品質保持期限と賞味期限の違いは何だというお話だと思うのですけれども、品質保持期限は、食品に起因する衛生上の危害の発生を防止する目的から、要は、食品衛生法上にこう書かれております。定められた方法で保存した場合、食品または添加物のすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示すこととされている、こういうふうになっております。
 一方、賞味期限というのは何かといいますと、JAS法において、「保存方法に従って保存された場合に、その製品として期待されるすべての品質特性を十分保持しうると認められる期限」を示す、こうなっておるのですが、小泉さんを総理大臣と呼ぶのと首相と呼ぶのと、同じとは言いませんけれども、実質的には一緒でございまして、片方が書いてあれば両方の法律はクリアできる、そういう形でございまして、物は一緒でございます。
樋高委員 なぜ、同じ意味なのに言葉はわざわざ別々にして、そのまま放置しているのですか。
田村大臣政務官 法律の成り立ちであろうと思うわけでありますけれども、これに関しては、どうするかという議論を政府の方でも始めておるということでございますので、その議論をしっかりと我々としても見守らせていただきながら、新しい方向になっていくのだろうと思いますけれども、おっしゃられるとおり、私も各地域回っておりますと、非常に紛らわしいというような御意見をいただいておりますので、紛らわしくないように仕分けをしていくべきであると思っております。
樋高委員 おかしいと思います。やはり、こういうふうに同じ意味なのにわざわざ違う言葉で言っている。いわゆる厚生労働省管轄食品衛生法、そちらでは品質保持期限、農水省JAS法、そちらでは賞味期限、これは全然わけわからないですよ。こういう基本的なところからまず入っていかなくちゃいけないと思うのです。
 確かに、両省の役所の方々から、私、歴史的な経過も事細かく御指導いただきました。それはわかった、でも、何で今わざわざ、必然性がどこにあるんだ。まさしくこれが縦割りの弊害の典型的な例なんですよ。ここを直していかなくちゃいけない、ここにメスを入れるのが構造改革なんですよ。やはりここの部分をしっかり直していかなくちゃいけないのです。
 今いろいろな新たな食品安全行政を目指すということで議論をなさっているという話でありますけれども、大臣に伺いますが、こういった身近なところからきちんと変えていく、わかりやすくしていくという視点が私はないといけないというふうに思いますけれども、いかがお考えでありますでしょうか。
坂口国務大臣 そこはそのとおりというふうに思っておりますので、できる限りそういうふうに変えていきたいと思っております。
樋高委員 大臣、いつまでに変えられる御予定ですか。
坂口国務大臣 食品衛生法の見直しをこれからやるわけでございますから、その中で検討していきたいというふうに思っております。
樋高委員 いつも、こういう議論をしたときに、期限を迫っても、具体的にはおっしゃってくださらない。もちろん、大臣は、もしかしたら腹の中では、やはり早くやるべきだし、例えば半年以内、三カ月以内、一年以内という目標もあるのかもしれませんけれども、こういうことをスピーディーにきちっとわかりやすくやること、それが普通の感覚だと思うのですけれども、それをやはり大臣、この委員会の場で思い切って言ってしまって、そしてリーダーシップを持ってやっていただきたいと思うのでありますが、では、大臣、個人的にこのことについて、いつまでにやられる、個人的な努力目標で結構です。どうぞおっしゃってください。
坂口国務大臣 食品衛生法の改正は、遅くとも来年の通常国会に出さなければならないわけでありますから、その内容の見直しはことしじゅうに決定をしなければなりません。そういう意味では、ことしじゅうに決着をつけるということでございます。
樋高委員 先ほどの医療の話じゃありませんけれども、やはり、食べ物も国が責任を持って、安全、安心な食べ物であるということを管理する責務がある、国がそのことを保障せずして、見た目じゃわからないんです。例えば、中国から本当に、残留農薬基準違反の野菜が今どんどん入ってきています。それを今、市民や国民は知らないで、本当に生でどんどん食べているんです。それが、すぐに症状として出てくるならまだわかるかもしれませんけれども、五年、十年、二十年と蓄積していって、また環境ホルモンという問題にも発展していくわけでありますから、やはり食品の安全の問題はしっかりと国として取り組んでいただきたいというふうに思います。私も責任を持って取り組んでまいります。
 きょうは、ありがとうございました。
森委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、国民医療費の負担のあり方について、坂口大臣にお伺いをしたいと思います。
 提案されている法案は、サラリーマン本人の窓口負担を三割にする、あるいはボーナスからの保険料徴収を月給並みに強化する。国民、患者に大変な負担をもたらすものになっているわけであります。小泉総理は三方一両損ということを主張しました。三方というのは、保険料を負担する国民、窓口で負担する患者、それに医療機関でありますが、坂口大臣にお伺いしますけれども、負担を求める先としては、坂口大臣自身もこれしかないという認識なんでしょうか。
坂口国務大臣 医療費を納めていただいておりますその財源を見れば、これは税でお納めをいただくか、あるいは保険料でお願いをするか、さもなくば個人負担でお願いをするか、その三つでありますから、いずれにいたしましても、結果としてはそのどこかからお願いをせざるを得ない。今回の場合には、保険の方でもお願いをし、あるいは自己負担の方でもお願いをしている、こういうことではないかというふうに思います。
佐々木(憲)委員 今、保険料か国庫負担か自己負担か、三者の構成、その割合、バランスが大事であると。そうすると、三方一両損というのは国庫負担がその中には入っていない、こういうことになりますね。そういうことになると思うのですが、いかがでしょう。
坂口国務大臣 私が申しました中には国庫負担も入っておりますが、それは国庫負担を今後ふやしていくということで入ってくるというふうに思いますが、総理がおっしゃったのは、そういう見方ではなくて、もう少し違った立場から三方一両損というふうにおっしゃったというふうに思っております。
佐々木(憲)委員 つまり、国庫負担が入っていないというのが三方一両損であって、そうすると坂口大臣は、保険料、国庫負担、自己負担、こういう三者構成をおっしゃいました。それなら、今回提案されているものの中に、なぜ国庫負担だけを外したのか、その理由を説明していただきたい。
坂口国務大臣 これは国庫負担も入っているんですね。これから高齢者医療を、現在三分の一になっておりますのを二分の一に引き上げていく。これは、六十五歳以上にするわけですけれども、五年間の間にこれを二分の一に引き上げていく、国からの負担も多くしていく、こういうことをその中に含めているわけでございます。
佐々木(憲)委員 しかし、今度の法案は、将来の問題ではなくて、国民の負担を直接大幅にふやすという国民負担増、これが中心的な柱になっているわけであります。
 小沢和秋議員が先日この委員会で指摘したように、合わせて一兆数千億円国民負担がふえる、大変なものであります。これは冷え込んでいる消費をますます冷え込ませるということになるわけで、これに対して国民各層から大変な反対の声が上がっております。当然だと思うのです。請願もたくさん寄せられております。請願の紹介議員は野党だけではありません、与党の公明党の議員や自民党の議員も紹介議員になっておられるわけであります。請願署名の数は既に二千五百万人を超えております。大変な数なんです。
 また、反対の意見書を国に提出した地方自治体は、既に五百七十五の議会に上っております。意見書をまとめ上げた自治体が過半数を超えた県、これは、青森、岩手、福島、長野、岡山、沖縄、こういう状態でありまして、全国的に、国民負担をこれだけふやすことに対する反対の声、批判の声というのは大変なうねりになっております。
 坂口大臣はこの国民の怒りをどのようにお感じでしょうか。
坂口国務大臣 医療保険の問題を考えてまいりますときに、一割よりも二割、二割よりも三割というふうに上がってまいりますと、それに対して反対が多くなってくることは十分に承知をいたしております。
 しかし、現在の皆保険制度というこの保険制度を将来ともに維持していく、今後何十年というふうに、私たちの子供や孫の時代にまでこれを維持していくためには、やはり現在お願いをすべきことはお願いをし、改めるところは改めていかなければ、私はこの制度は維持できないというふうに思います。将来ともに維持をしていくためには、今皆さん方からおしかりを受けましても、これはお願いすべきところはお願いをしていきたいというふうに思っております。
 医療機関に対しましても、今まで医療機関で保険点数を下げたことはございませんでしたけれども、今回は下げさせていただいて、そして医療機関にもお願いをする、そして御負担をいただく皆さん方にもお願いをする。しかしながら、お願いはいたしますけれども、軽い病気、それにはやはり三割の負担をお願いしますけれども、上限が設けられておりますから、大きい病気になれば、重い病気になれば、やはりそれなりに負担は軽くなっていく。保険制度というものの働きが正確にそこに残っているというふうに私は思っている次第でございます。
佐々木(憲)委員 皆保険を維持するとおっしゃいますけれども、一割負担、二割負担、三割負担、無限にこれが続いていけば、皆保険そのものが崩壊するんですよ。展望が出てこないんです。
 坂口さんは公明党から大臣になっておられますが、五年前の一九九八年、参議院選挙のときの公明の参院選挙に臨む重点政策というのがございます。これはコピーですけれども、公明新聞、九八年五月十一日付ですが、この中でどういうふうに書いておられるかというと、「医療費の新たな患者負担増に反対します。」こういうふうに書いておられる。
 たしか坂口さんはこの時点では政審会長だったと思うんですが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 政審会長であったかどうかはちょっと忘れましたけれども、あるいはそういうふうなことになっていたかもしれません。
 その当時の医療改革を行っている中身の中には、あるいはそういう文言があったかもしれません。
佐々木(憲)委員 つまり、坂口さんがおつくりになった政策なんですね。
 私も、坂口さんと、九八年当時は金融国会で、金融問題特別委員会で野党席で並んでおりましたが、あのときはたしか政審会長だったと思っておりますが。つまり、新たな患者負担増に反対だったというのがその時点の坂口大臣の姿勢だったわけであります。
 九八年五月十日付の公明新聞にはこういうふうに書かれているんですね。当時は橋本政権ですが、「今後さらに医療保険制度や年金制度を改定して国民の負担を増やす計画をめじろ押しに進めようとしています。」「この不況の中で、国民の生活は、老後の年金はもらえるのか、医療の負担はどこまで上がるのか、十分な介護が保障されるのか、など大きな不安に覆われています。」こういうふうに公明新聞では、この重点政策の中で書いているわけですね。
 ところが、現在、坂口大臣は、新たな患者負担増、三割負担を推進する、こういう立場に立っているわけであります。大臣になったら、自分自身が言ってきた、主張してきたこと、これを変えるということになりますと、つまり、国民の負担はどうでもいい、こういう立場に立ったということになるわけですが、いかがでしょう。
坂口国務大臣 国民の負担をできるだけ軽くしなければならないことは、私は今も変わっておりません。
 しかし、現状からいきますと、そうは言っておれない状況になってきている。一つは高齢者が非常に多くなった、これもございますし、それから現在の経済動向もございますから、そうした中で現在の保険というものが行き詰まってきている。政管健保もしかり、そして組合健保の多くもしかり。そうしたことで、保険自体が行き詰まってきているということになるならば、それはやはり御負担をいただく以外にない。
 しかし、すべてそれを保険やあるいは自己負担だけではいけなくて、そして、国庫負担の中からもそれはお願いをしていかなければならない。そうした中でこの医療保険を維持していく以外に方法がないわけであります。
 だから、そこをどうするかということでございまして、それを維持していきますためには、その三者の間の割り振りというものを考えていく以外にないということでございます。
佐々木(憲)委員 三者の間の割り振りでも、国庫負担は比率からいいますと低下をしてきて、結局は、国民、保険料、患者あるいは医療機関、こういうところにどんどんどんどん負担をふやしてきているわけですね。こういう方向しかない、果たしてそうなんでしょうか。
 公明新聞の当時の、「公明は高齢社会にこう対応します」。坂口さんの政策にはこう書いているんですよ。
 「取りやすいところから取る」方式の患者負担増で医療費の帳じりを合わせたい考えが明らかです。
  公明は、医療費の新たな患者負担増には断じて反対です。このため、やはり行政改革や公共事業見直しを断行して税金のムダ遣いをなくし、この財源を活用して、高齢社会に対応した医療制度改革を実現する考えです。
きちっとこういう方向を出しているじゃないですか。
 我々だって、この主張は、今は立場は違いますけれども、この書かれていることは賛成なんですよ。あなた方が、坂口さんが、こうすればできる、こう主張していたわけでありますから、もう行き詰まっていて出口がないから全部国民負担だ、そんな、大臣になったら自民党と全く同じことを主張するような、これは幾ら考えてもおかしいと思いませんか。
 やはり公共事業見直し、あるいは腐敗、汚職問題を含めて、そういう行革の実行、この辺にメスを入れるようなことをやらないと財源も出てこない。やればできるということだと思うんです。あのときから何年もたっていないですよ、時間は。
 こういうやり方をすればできると言っているんですから、何でこういう方向を選択しないんですか。
坂口国務大臣 だから今やっているんですよ。
 医療制度そのものにつきましても、むだがないように大改革をやっていかないといけない。現在五千になんなんとする保険者をこのままにしておきましたら、その事務費だけでも大変なことですよ。ですから、ここを少なくしていって、そして統合化を図っていく。あるいはまた、我々の厚生労働省の関係をしております社会保険病院等の問題でございますとか、そうした規制改革、これを徹底的にやっていかなければならないというふうに思っているんです。
 だから、そのほかのことにつきましても、行政改革、今断行中でございます。そういうふうにしながら、そこで財源を見つけ出してやっていかなければ、やっていく方法はあり得ない。経済がいいときはそれはいいですよ。だけれども、現在のような経済状況の中で、これからもそう大きな経済成長が認められないという状況になってくれば、そういう方法しかないんですよ。
佐々木(憲)委員 全く答弁になっていないですね。経済がいいときはいい、九八年と今はどう違うんですか。九八年のときには大変な事態だったじゃないですか。あのときは日本経済が本当に沈没するかどうかと。金融危機が生まれ、大きな銀行は倒産し、証券会社もつぶれるという状況なんですよ。そういうときに出した公明の政策は、こうすればできる、財源はできると言っていたじゃないですか。
 あなたが今やっていることは全然逆で、国民の負担はふやすと。あのときは、国民負担増は反対ですと言っていたんですよ、反対と言っていたのに、今度は、どんどんふやしますと。全く逆の方向じゃないですか。
 大体そういう姿勢が、本当に私はあきれ返りますけれども、全く百八十度違う。負担増に反対、負担増どうぞ、これは百八十度違う。これは明らかですね。これはお認めになりますね。
坂口国務大臣 大きな方向性は変わっておりません。
 これは、我々がこの医療制度を、どうこれを維持していくかということを中心に考えなければなりません。皆さんはこの現状をどうクリアするかということだけしかお考えになっていないけれども、現状だけではなくて、将来に向けて、将来もこの保険制度を維持して、この制度を私たちの子供や孫の時代にまでこれを通用するようにしていこうと思えば、それなりのことをやはり考えていかなければならないわけでありまして、いかにしてそこで皆の負担を少なくしながらやっていくかという、その制度改革、あるいはまたむだの改革等も一緒に行いながら、今必死にやっているわけで、それは全然その当時の基本的な考え方というのは私は変わっておりません。
佐々木(憲)委員 基本的な考え方が百八十度違うんですよ。負担をさせないというのと負担をさせるというのは、百八十度違うじゃないですか。そうでしょう。こんなの、だれが見たってはっきりしているんですよ、これは。
 将来の方向は、国がきちっと責任を持つ、そういう方向で財源も出すようにしていかないと支えられないというのが我々の展望で、公明だってそう言っていたじゃないですか。そういう方向を出すべきだというのが国民世論なんですから、国民に負担をどんどんかぶせることだけが政策じゃないですよ。
 では、具体的に、それでは三者構成、保険料、患者負担、国庫負担、この割合はどうだったか、少し数字を検証してみましょう。
 まず、国庫負担の国民医療費に占める割合、二十年前の数字と今の数字を出してください、保険局長。
大塚政府参考人 二十年前と最近、直近の数字ですと、制度そのものが大きく変わっておりますから、数字にそれぞれの意味が、同じレベルでは議論できないと思いますが、数字のお尋ねでございますから計数を申し上げます。
 一九七九年、二十年前ですからそうなりますが、国民医療費に占める国庫負担の割合は三〇・一%でございます。最直近ですと、十一年でございますが二四・九%。
 単純に数字を出しますと、そういう計数でございます。
佐々木(憲)委員 国庫負担はマイナス五・二ポイント、大幅に減っているわけであります。
 では、国民負担のうち、保険料負担割合はどうでしょうか。特に、被保険者負担はどうか。同じ時期、比較してください。
大塚政府参考人 いわゆる保険料負担で申し上げますと、総額で申し上げますと、同じ時期にでございますが、五三・〇%が、平成十一年度五二・五%でございます。
佐々木(憲)委員 被保険者負担の部分だけ言ってください。
大塚政府参考人 恐れ入ります、国保、健保それぞれ、これは全体なものですから、数字が正確に直ちに出ませんけれども、極めて大ざっぱに申しますと、大ざっぱでございますけれども、保険料負担のうちの半分、被用者保険では半分、それから、国保はそのままでございますから、これらのうちの何%かは、ただいまちょっと被保険者負担だけでは数字を持ち合わせておりません。
佐々木(憲)委員 では、私の方から言いますと、被保険者負担は二八・九%だったんです。これが九九年では三〇%にふえております。
 では、窓口負担、患者負担の比率、これはどうなっていますか。
大塚政府参考人 いわゆる患者負担でございますけれども、一一・四%が二十年前でございます。平成十一年度一四・六%でございます。
佐々木(憲)委員 結局、国庫負担は、全体の中で三〇・一%から二四・九%、つまり国の責任はどんどんどんどん縮小して、そしてその反面で国民の負担がどんどんふえてきた、国民と患者負担合わせて四〇・三から四四・六、大変なふえ方であります。
 では、もう少し具体的にお聞きしましょう。
 老人医療の場合はどうか。有料化された一九八三年度から今日までの間に、国庫負担率、これはどのように変化していますか。
大塚政府参考人 お尋ねの趣旨は、制度的な、老人医療制度に対する負担の割合というのは変わっておらないわけですから、おっしゃいますのは、例えば国民健康保険あるいは健康保険からの拠出金に対する補助、あるいは国庫負担を含めてという趣旨でございましょうか。(佐々木(憲)委員「そうです」と呼ぶ)
 そういう前提で御答弁申し上げますと、これも本当に制度が大きく変わっておりますから、単純な比較というわけにはまいりませんけれども、数字だけで申し上げますと、昭和五十八年度、これが実質的に老人保健制度が動き出した時期でございますが、国庫負担の割合が四四・九%でございます。これは、最直近の予算ベースで申し上げますと、平成十四年度予算ベースで三一・五%でございます。
佐々木(憲)委員 結局、この老人医療費に占める国の負担も、四四・九から三一・五、大幅にこれも減っているわけですね。つまり、国の出すべき部分が後退しているわけですから、その足りない分を、あるいは、全体として高齢化が進む、その部分の負担をすべて国民にかぶせていく、こういうやり方をこれまでしてきたということが明らかであります。
 では、政府管掌健康保険、政管健保の場合はどうでしょう。
 一九八〇年度から二〇〇〇年度の間に、給付費に占める国庫負担、これは何%から何%になっていますか。
大塚政府参考人 一九八〇年、昭和五十五年でございますが、昭和五十六年の数字を、恐縮ですが、ほとんど変わっておらないと思いますので申し上げますと、国庫補助率、当時、五十六年度から固定をいたしましたので、一六・四%の給付費に対する補助率でございます。
 今日におきましては、その後の改正がございまして、いわゆる現役世代の給付費に対する国庫負担は、現在の制度で一三・〇%、ただし、老人保健拠出金に対する補助は一六・四%と変わっておりません。
佐々木(憲)委員 政管健保に国庫負担が導入された八〇年ですね、一九八〇年。このとき、国庫負担率についてはどのような決められ方をしていましたでしょうか。
大塚政府参考人 少しさかのぼった経緯になるわけでございますけれども、さらにさかのぼりますと、かつて定額補助といった時代があるわけでございますけれども、昭和四十八年に保険給付費の定率の一〇%の国庫補助というのが一つございます。
 それから、保険料の引き上げに際しては国庫補助率を引き上げるという、いわゆる連動制というのが当時導入をされまして、保険料率を一%引き上げる際には国庫補助率を〇・八%引き上げるというのが、昭和四十八年から五十五年までの基本的な枠組みでございました。
 五十六年に一六・四%と、先ほど申し上げましたが、国庫補助の仕組み、補助率を固定して以降、今日に至っておりますが、これも先ほど申し上げましたけれども、現役世代に対する補助率につきましては、平成四年に見直しをいたしまして、一六・四%を一三%。
 大筋はそういう経過をたどって今日に至っております。
佐々木(憲)委員 私は、導入されたときにどういう決められ方をしたかということを聞いたわけですが、そのときは一六・四%から二〇%の範囲内にする、しかし当分の間は一六・四%で出発する、これは法律で決まっていたわけでしょう。最低限の負担として決められたのが一六・四%なんですよ。それを九二年に今言ったように一三%に減らした。
 当時、山下大臣は平成四年三月十日、こういう答弁をしているんです。万一財政状況が悪化した場合の措置については、その事態に応じまして国庫負担の復元について検討させていただく、つまり、一六・四%から二〇%の間国庫負担でやりますよ、こういう約束をしていながら、そしてまた、一六・四%で出発をして、大変な状況になればそれを引き上げます、国庫負担をふやします、こういうふうに答弁をしていたわけですね。
 ところが、一三%に大きく減らしてしまった。つまりこれは、八〇年当時の法定事項を大きく逸脱した、いわば約束違反だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 おっしゃいますように、政府管掌健康保険に対する国庫補助の率は、その時々に応じて、先ほども申し上げましたが変遷をたどってきております。
 そもそも政管健保にどのような趣旨で国庫補助をするかということになるわけでございますけれども、我が国の国民皆保険制度を維持していくために、国保それから被用者保険では政管がそれぞれ一種の受け皿になっておりますし、また現実にも、加入者の実態から見まして一種の財政力格差が生じるおそれがあるということで、国保及び被用者保険につきましては、政管に一定の国庫補助を導入する。
 したがいまして、それぞれのバランスを考える、制度の推移を考えながら検討する必要があるわけでございますが、今日各制度とも大変厳しい状況、これは先ほど来お話が出ておるとおりでございまして、現状の政管健保の補助率を政管のみに限って引き上げるということは非常に困難な状況である、またバランスを失するのではないかという考え方でございます。
佐々木(憲)委員 政管のみ引き上げるという言い方をしましたけれども、全部引き下げているんですよ。全部引き下げていることが問題なんですよ。そうでしょう。つまり、国が本来もっと責任を持って高齢化社会に向けて国庫負担をふやしていく、そういうことをしないと保険財政そのものもやっていけない、これが今の状況なんです。それを、こちらも減らした、だから政管健保もあわせて減らす、それでバランスがとれるというんですが、そんな国民負担ばかりふやして何のバランスですか。国庫負担の方はどんどんどんどん軽くなって、責任を放棄している。
 坂口大臣、お伺いしますが、今ずっと数字を紹介していただきましたが、この間、国民医療費に占める国の比率というのが低下をして、そして国民の負担の側は、保険料なりあるいは窓口負担、こういうものがどんどんふえてきた。これはバランスが崩れているというふうにお思いになりませんか。
坂口国務大臣 今、議論はパーセントでされておりますけれども、しかし、現実の額そのものはどんどんとふえてきておるわけです。だから、どんどんとふえてきているという現実を見てほしいと思うんです。パーセントとすれば、それは全体の高齢者のパーセントがふえてくるんですから、だから、それに合わせてそのパーセントをふやしていくということになれば、これは大変な医療に対する額になってしまう。
 だからそこは、全体の予算のバランスがあるわけですから、全体の額はふやしていくけれども、高齢者の増加に従って、それに対して全体のパーセントとしては下がってくる、それはしかしやむを得ないことだと思うんですね。世の中は医療だけじゃないんですから、年金もあればほかのことも、介護もあるし全体があるわけですから。額としてはふやしている、それは間違いありません。
佐々木(憲)委員 年金だって、国民の負担がふえる、国の責任は放棄する。医療だってそういうことをやってきたんじゃないですか。額がふえるのは当たり前ですよ、高齢化社会なんだから。全体としてふえていくんです。ふえていくときに、国がしっかりとそれを支えるということをやらなきゃ、何のための国家財政ですか。何のための政治なんですか。
 今振り返ってみても、一九九七年九月から、サラリーマンの医療費本人負担はそれまでの一割から二割にふやした。当時は高齢者の負担もふやされた。また、政管健保の保険料も引き上げられた。もうあのときは総額二兆円の負担増です。消費税率も引き上げられた。九兆円の負担増。消費大不況になったじゃないですか。さらに一昨年、二〇〇〇年十一月には、自民党、公明党など政権与党は、高齢患者などに一層負担を求める健康保険法の改悪を行いました。その上に今回の大改悪なんですよ。
 厚生労働省は、三割負担による受診抑制で医療費を約三千八百億円減らせる、これは二〇〇三年度そう見込んでいるらしいんだけれども、こんなやり方は国際的に見ても極めて異常ですよ。一体、窓口負担をふやすことで医療費を抑制している国というのは世界にありますか。あったら挙げてください。
大塚政府参考人 医療費を抑制するために窓口負担を上げるというのは、私どももそれを目的と考えているつもりは毛頭ございませんが、諸外国におきましても、増加する医療費にどう対応するかというのは、我が国のみならず先進諸国共通の悩みであり、課題であると私どもは認識しております。
 それぞれ、国によりまして制度、歴史が違いますからいろいろとございますけれども、例えばドイツ。ドイツは比較的一部負担、患者負担が少ない国として知られておりますけれども、ドイツにおきましても、九三年あるいは九四年に入院時の一部負担金の引き上げを連続して行っておりますし、フランスにおきましても、やはり同じように、入院時の一部負担金、これは定額でございますが、これを引き上げる。九三年、九五年と引き上げを行っておりますし、外来時の自己負担、これは九五年に三割、三〇%に引き上げるといった例がございます。
 その目的、効果、ねらい、それぞれの国によってではございますけれども、受診抑制をねらっての患者負担、これは我が国も含めてそれを考えておるわけではございません。
佐々木(憲)委員 あなた方がそういう報告書を出しているんですよ。今回の三割負担が実現すれば受診抑制につながって医療費を三千八百億円減らせるんだと、自分たちで言っているじゃないですか。こんなことをやっている国は世界にないですよ。
 イギリスの事例についてお聞きをしたいんですが、イギリスでは、政府が全額を負担している国民医療制度、NHSの予算について、今どんな方針を出していますか。
大塚政府参考人 イギリスにおきましても、ここのところさまざまな改革が実行されておりますけれども、イギリスの国民医療制度、いわゆるナショナル・ヘルス・サービスでございますけれども、長年にわたります投資不足ということが言われておりまして、設備あるいはマンパワーの不足が深刻だと。具体的には、患者さんたちの入院あるいは外来も含めて、一種の長期間待機が恒常化しているという深刻な問題があると言われております。
 本年四月、イギリス政府は、予算の演説におきまして、二〇〇二年度から二〇〇七年度の五年間、医療費予算を、これはナショナル・ヘルス・サービスですからまさに税で負担をしているわけでございますけれども、毎年実質七・四%増を目指すということを方針として掲げております。
 当然、この場合には財源が問題になるわけでございまして、英国政府は、この予算増のための必要財源を確保するために、国民保険料、これは国民保険、年金その他の総合的な保険の財政の方の保険料でございますが、そちらに財源を求め、二〇〇三年四月から事業主、被用者それぞれ一%の保険料率の引き上げをする、こういう大変厳しい財源対策も含めまして、医療費予算の増額を図る。
 その最大のねらいというのは、先ほど申し上げましたけれども、待機期間の解消あるいは縮小ということにあるようでございまして、外来につきましては二〇〇五年末までに三カ月待ちを目標、入院は六カ月待ち、それ以下という意味でございますが、そういった目標を幾つか立てまして、NHS改革を進めようとしているというふうに聞いております。
佐々木(憲)委員 つまり、イギリスでは、来年度予算で公共支出計画というものを出しておりますが、五年間で予算を実質で四三%増額する。そのために、毎年実質で七・四%増、日本円にして現在の十二兆円の予算を十九兆円に高めようとしているわけです。これによって、GDP比で七・七%にすぎなかった医療支出を三年後に八・四%、五年後に九・四%にまで拡大して、EU諸国の現在の平均八%を上回る水準にしようとしている。大変力強い宣言をしているわけです。
 ところが日本では、国庫負担を減らし続ける、国民負担、患者負担はふえ続ける。大体、国庫負担を減らして国民、患者負担をどんどんふやしていく、こんな国というのはほとんど例がない。イギリスのように、本来なら国がもっと責任を持つ……
森委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、結論を急いでください。
佐々木(憲)委員 そういう方向に転換をするということが私は必要だと思います。国庫負担をもとの水準に戻せば、十分これは国民負担なしで、今回の法案など出さなくてもやっていけるということを指摘して、時間が参りましたので、以上で終わります。
森委員長 次に、瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、残された時間、人工透析患者の問題に絞って質問いたします。
 厚労省は、人工透析にかかわる診療報酬を実施時間による区分をやめて一律といたしました。その結果、厚労省の調査でも、透析一日につき四時間以上五時間未満が八割と言われる患者さんの診療報酬は大幅に引き下げられました。
 そこでお聞きしたいと思うんですが、このほど厚労省の研究班が、アンケートによる人工透析の医療事故の内容を明らかにいたしました。この研究の報告書がこれでございます。それで、事故件数は年間二万一千件余で、うち三百七十二件は患者の生命を脅かす重大事故だったと報告しています。
 回答は調査対象の約半数で、研究班は、実際に一年間に約八百五十件の重大な事故が起きたと推定できるとしております。他の事故を含めますと、約四万八千人が何らかの事故に遭ったことになり、これは、全国の透析患者約二十万人ですけれども、そのほぼ四人に一人に当たるという状況なんですね。血管に空気が入り二名が死亡、注射針が抜けて大量出血九十四件もあります。水分調整を誤り脱水症状が五十件ある。患者の透析条件の設定ミスは何と五千四百四十二件もありました。私は、この結果は大変衝撃的な事態だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
下田政府参考人 ただいま御指摘の厚生科学研究、これは平成十二年度に実施をいたしておりまして、透析医療事故の実態調査と事故対策マニュアルの策定に関する研究というもので行ってございます。委員御指摘のように、透析に関する医療事故は、年間約四万八千件起きているというふうに推計をいたしております。
 厚生労働省といたしましては、この事実を重く受けとめておりまして、この研究によってつくりました事故対策防止マニュアル、これを都道府県の主管課長会議あるいは日本透析医会を通じまして、都道府県及び約三千ございます透析医療施設に周知徹底を図っております。また、透析療法にかかわる医療従事者を対象といたしまして事故防止のための研修会を実施いたしておりまして、こうした機会を通じまして、関係者と一体となりまして透析医療の安全性の確保に努めておるところでございます。
瀬古委員 マニュアルをつくられたということも私も存じております。そして、マニュアルを渡したんだけれども、それが実効性のあるものになるのかどうかという問題なんですね。例えば、このマニュアルでは、事故防止のためにはどういうことが書かれているかといいますと、透析開始と返血に当たっては二名以上で行うこととして、看護婦やテクニシャン等の人材確保が必須条件であることを訴えております。
 ところが、実際にこのアンケートを調べてみますと、一名しか配置していないという医療機関は六〇%を占めております。その上、今回、診療報酬の引き下げが行われた。医療現場では、今どうなっているかということなんですね。もう看護婦の数を削減しないと、この診療報酬の引き下げではやっていけない、こういう状態に今なっているわけですね。そうすれば、このマニュアルと全く逆行する、こういう事態が今生まれているわけです。
 一体、こんな研究結果が出たのに厚労省は何を考えているんだ。患者さんの命がかかっているんです。私は、少なくともこの部分については診療報酬の再改定を直ちに行うべきだと思うんですが、大臣に伺いたいと思うんですが、いかがでしょう。
坂口国務大臣 確かに、千九百六十点というふうになりまして、今まで四時間未満のところは千六百三十点、四時間から五時間が二千百十点、五時間以上が二千二百十点というふうにばらつきがありましたのを、まとめて千九百六十点というふうにしたことは事実でございますが、しかし、こういうふうになりましたから、これで職員の人を置けなくなったというのは、少し言い方が大げさじゃないでしょうかね。私は、そんなことはないと思います。
 確かに、この分野で医療事故がかなり多発しているということも事実でございますが、医療事故というのは、保険点数が多少でも減ったからこれは増加するというものではなくて、医療事故の起こる原因というのはほかにさまざまあるわけですね。それは、機械器具等の状況等も私はあると思うんです。もう少しやはり事故の起こらないようなものをつくっていかないといけないというふうに思っておりますが、そうしたこともございまして、ただ単に保険点数が十点下がったからどうだという話では決してないと私は思っております。
瀬古委員 今回、時間のばらつきがあったものを一つにまとめて、四時間以上五時間未満も四時間未満も五時間以上も千九百六十点にした。しかし、四時間以上五時間未満という方は今まで二千百十点だったんですが、この部分が八割を占めるんですね。それが千九百六十点になりますから、全体に大幅に引き下がったわけです。確かに、事故をなくすためには、いろいろ機械をどう入れるかとか、どういう安全性に気をつけるかという問題はあります。しかし、医療の現場は、それはもう坂口大臣、十分御存じだと思うんですが、やはり人手の問題というのは重要だと思うんですね。
 私が、実は国立病院の問題で、人工呼吸器が外れて亡くなった患者さんが出たときに、この問題も問題にいたしました。そこで厚労省は、ことし三月二十六日に提出された木島日出夫、小沢和秋議員の質問主意書に対してどういう対応をしたかというと、臨床工学技士の配置を平成十三年度末で五十二名配置した、今後とも必要な人員の確保に努めてまいりたい、このように答弁しているんですね。やはり事故をなくすためには人手が必要だと、はっきりあなたたちは今までやってきているんですよ。そして私は、少なくともこの事態、今答弁がありましたように、四万八千人の方が何らかの事故があった、重大な事故が推定されるというなら、それは、診療報酬を引き下げるというよりは、やはりもっと厚くするというのが当たり前じゃないですか。これを引き下げるなんというのはとんでもないことです。
 それから、時間がございませんので、もう一つの問題を言います。
 さらに重大なことは、外来で透析中の食事加算が今回廃止されたことなんですね。この食事加算の廃止で、患者または医療機関の新たな負担は、私が計算しますと、大体、一日加算分六百三十円なんですが、一週間に三回透析の患者が四分の三、二回の患者が四分の一として、十二カ月、二十万人の透析患者として計算すると、何と年間で百八十億円も患者もしくは医療機関が負担しなきゃならない、こういう仕組みになっているんです。私は、これは本当に大きな負担だと思うんです。
 病院の食事というのは医療に大変深く結びついているわけですね。透析食は治療食だということは当然だれでも医療関係者なら知っているわけで、そして、厚労省も、二〇〇〇年三月十七日に出した保険局医療課長通知では、人工腎臓実施中における食事の提供は治療の一環として行われるもの、このように通知を出されているわけです。ところが、ことし、二〇〇二年三月八日の課長通知では、療養の一環として行われた食事以外の食事の提供は患者から実費徴収ができるといたしました。
 今まで透析中の食事は治療食だというのに、突然それ以外の、療養の一環として行われた食事以外の食事は取ってもいいよなどという立場は、今までの透析中の食事は治療食だという立場を放棄されたんでしょうか。
大塚政府参考人 平成十二年の通知を引用されたわけでございますけれども、おっしゃいますように食事に関連した通知を発出しておりますが、これは当然といえば当然のことでございますけれども、当時、食事につきましては加算が可能な制度でございました、食事加算ということで。その算定要件を示したわけでございまして、当然のことながら、食事加算を算定するためには治療の一環でなければならず、当然それは治療食である必要があるということをお示ししたわけでございます。
 今回、先ほどのお話にも出ておりますように、点数を一種の包括化したわけでございますが、それに合わせまして、食事について、これは従来と考え方を変えたわけではございませんけれども、食事の、丸めた、包括化をした関係からいたしまして、治療食の一環として御提供いただく必要があるならば、治療の一環でございますから、その包括の中で整理をし、それ以外のいわば通常の食事ということでございますと、これはいわゆる保険給付とは別物でございますから、患者の自己負担ということはありますけれども、その背景には、全体に透析時間の短縮が進んできたということで、かつての食事の位置づけというのとまた変わってきているという背景もございますが、要は、診療報酬の見直し、特に包括化との関連で整理をしたということでございます。
瀬古委員 診療報酬の中に食事も含めちゃったわけでしょう。そうすると、医療機関は、全体の透析の診療報酬は引き下がった上に、食事もその中に入っていますよといったら、では、もう食事を出さないか、食事を出すならどうやって患者から取るかということしか考えられないでしょう。あなたが言うように、わざわざ通知を出した、食事以外の食事ならいいですよと。今まで透析中の患者さんに、食事以外の食事なんて出たことがあるんですか。あったら言ってください、どうぞ。
大塚政府参考人 保険給付の対象外のことですから、計数をつかんでいるわけではございません。したがって、具体的な現状を承知しているわけではございません。
瀬古委員 とんでもないですよ。現状を、食事以外の食事が出たかどうかもはっきりわかっていないのに、何でこんな通知を出したんだということなんですね。はっきりしていますよ、目的は。要するに、診療報酬が下げられてとてもやっていけない。しかし、四時間、五時間透析をやったら、とても体力がもたないわけです、食事が要るんです。そうしたら、その食事をどうやって出すのか。食事以外の食事ですからいただきますよという道をわざわざ通達であなたたちは出して、金は患者から取れと言っているのと同じじゃないですか。こんなひどい通達があるでしょうか。
 それで、結局どうなったか。この通達で、今、各透析医療機関の食事代の徴収の実態が全国腎臓病患者連絡協議会に寄せられている。それを見るとどうか。一食当たり六百三十円程度が平均で、八百円のところが、今どんどん、今まで食事代が要らなかったのがみんな取られるようになっている。月七千五百円から一万円程度の負担になっている。要するに、大半の医療機関が食事代を取るようになったんですね。結局、今でも苦しい生活の透析患者にさらに負担を強いるものだと思うんです。
 私は、透析中の食事加算を本当にもとに戻すべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 食事、つまり治療食、治療の一環ということであれば、これまでは食事加算という形で、今後は、包括化をいたしましたので包括点数の中で処理をしていただく、こういう整理でございます。
 したがいまして、通常の食事というのは、先ほど実態を知っているかというお話がございましたけれども、その実態は、先ほど申しましたように、保険給付外でございますから詳細はわかりませんけれども、通常の食事であれば、これはその他のケースでも当事者間のお約束で支払いを受けるというふうにするのが通常でございますし、今回、明確にそういう整理をしたということでございます。
瀬古委員 あなたたち、今、透析患者さんがどういう食事をしているかということだって調べていないわけでしょう。でも、医療機関に聞けばはっきりしていますよ、みんな治療食を出しているんです。四月一日から突然通常の食事を出しているわけじゃないんですよ。全部有料になっているんですよ。こんなひどい切り捨てがあるでしょうか。
 私は、実は、この透析医療事故の報告書を読んで本当に胸がえぐられる思いがしたんです。五人の亡くなった患者さんの中に、みずから死を選んだと思われる大量出血死の患者さんがあったことです。
 大臣、あなたが医師なら、本当に、生涯透析の治療を受けなきゃならない患者と家族の生活不安がどんなに大きいかというのはおわかりでしょう。その上、長時間の透析で人手がない、毎日事故が起きるんじゃないかという心配をする患者さんの本当に命綱の治療食まで負担させる、本当に許せないと思います。私は、大臣に、あなたに人間の血が通っているなら、こんな残酷なことをやるべきじゃないですよ、本当に。直ちに診療報酬の見直しを求めたいと思うんですが、最後に大臣の見解を伺いたいと思います。
森委員長 申し合わせの時間が既に過ぎておりますので、結論を急いでください。
瀬古委員 大臣、最後に。
坂口国務大臣 透析の問題は、やはりこれだけ医療費の全体を引き下げてもらったんですから、一部はやはり御辛抱いただかなきゃならないと私は思うんですね。
 その透析に対するさまざまな事故の問題は、これは事故の問題として一遍検討しなきゃならない問題だというふうに思っています。ただ単に保険点数の問題ではないと私は思っております。
瀬古委員 終わります。
森委員長 次に、中川智子君。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。先日のこの委員会で医療事故の問題を取り上げましたが、最後の質問に対して、委員長がつれなく、時間ですということで、答弁をいただけなかったので、その問題から入りたいと思います。
 現在も、その負担に見合う医療の質がきっちり確保されているかといったら、されていないという認識がやはり非常に強いわけなんですけれども、医療というのは国民の信頼を得ることが基本です。お金だけをがばがば取って、助かる命が見殺しにされている状況、この医療過誤の問題だけはやはり国としてしっかり取り組んでいくということの前提として、情報公開、その情報を私たちが、医療消費者が得るということが前提だと思います。
 前回の私の質問で、損保会社。民間医療機関の情報というのは、今は自治体に自発的に届けるということだけで把握をしております。年間百件などという、うそみたいに少ない件数です。そこで、いろいろ考えまして、民間の損保会社が把握している、医賠責によって支払われた、その保険の、支払い保険の総額を出してほしいとお願いいたしました。
 これは、厚生労働省として、この情報をとるおつもりがおありでしょうか。また、それに対する努力というのはなさいましたでしょうか。
坂口国務大臣 この医療過誤の問題につきましては、これはあらゆる角度から取り組んでいかなきゃならないことだけはもう事実でありまして、一つでも減らしていかなきゃならない。それにはあらゆることを、いろいろのことをやらなきゃならないわけでありまして、これは、医療機関におきます一定の安全管理体制の問題もあると思いますし、あるいは、薬ですとか医療機器等の使いやすさといったようなもの、あるいはよく似たものがあるといったようなこと、そうしたことも注意をして取り組んでいかなきゃならないことだというふうに思っております。先般、いろいろのことをお答えしていると思いますが、医療安全に対する教育研修の充実でありますとか、あるいはいろいろの相談窓口をつくるとかいったようなことにつきましても、今取り組んでいるところでございます。
 それから、先日御提案になりました、各損害保険会社から聞いてはどうかというお話がございまして、私も、あのときに、なるほどな、一つのアイデアかなと思ってお聞きをしていたわけでございますが、個々の案件をとるということは、契約者であります医療機関等との信義則等の問題もあって、情報はなかなか出しにくいというのが損害保険会社の御意見だそうでございます。
 全体としてはなかなか難しいが、トータルの数字というのは出ないのかなと今、トータルの数字ですね、個々のだれだれさんの件というふうには出なくても、トータルでは出ないのかなという気が私も今ちょっとしているわけでございますが、もう少しまた検討させていただきたいと思います。
中川(智)委員 今、大臣、損保会社と医療機関との契約で、信義則ということをおっしゃいました。しかし、交通事故の場合の自賠責などは事故数などもすべて公開しているわけで、医療事故で死亡する人は、ある報道によりますと年間二万五千人くらいということで、交通事故で死亡する方の約二倍ということも言われています。医賠責保険だけが信義則を理由に公開できないというのは、私は、この壁というのは乗り越えられるのではないかと思います。
 医師免許というのは職業選択の自由の憲法二十二条によって、契約については憲法二十九条の財産権で、公共の福祉の制限を受けている。いわゆる信義則によって公開できないという壁を打ち破るには、公共の福祉に供するということであって、個別にそれを裏打ちできる法律、法律によってそれが出せないということでの取り決めではないと思います。公共の福祉というのは国民全体の幸せのことでありますが、憲法が、国民全体の幸福のためには基本的人権もそこで縛ることもあり得るということで制限しています。
 このことを踏まえた上で、今大臣おっしゃってくださったように、どうにか、私も個別のケースとは言っていません、全体で何件くらい、保険金総額で幾らくらい、幾らというものでやはり医療事故実態というのをまず把握しなければ、その実態さえわからないのに医療事故をなくしていく第一歩を踏み出すのは、非常に困難だと思います。
 今、もう一つ、大臣が検討するということに踏み込んで、今の医療事故の実態を把握するのに損保会社に出してもらうということの取り組み、もう一歩努力していただきたいのと、もしもそれ以外にとれる方法、事故実態を知る方法があるならば、それはどういうことが考えられるかということをお教えください。
    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
坂口国務大臣 私も、ほかにどんな方法があるか今わかっているわけではございませんが、何かほかに方法がないか、それも含めて、この全体像が把握できる方法を一遍検討します。
中川(智)委員 これは、何も難しいことではないと思いますので、できれば次に私が質問するぐらいまでにきっちりと、できるかできないか、できる方向でどう頑張っているかということをお教えいただけますか。大臣、よろしいでしょうか。
坂口国務大臣 余り早くしないでください。少々時間を下さい。あしたまたやるからと言われましてもなかなかできませんので、少し時間を下さい。そんなに長い時間ではないと思います。
中川(智)委員 よろしくお願いいたします。
 次に、私は、無年金障害者の方々の問題について質問したいんですが、なぜこれを質問するかと申しますと、やはり保険料が払える最低限度の生活保障、これは、国はしっかりとやるべきだし、国の責任ですべきだと思います。
 今、障害を持ちながらなおかつ無年金状態に置かれていらっしゃる方は、学生無年金、主婦の方の無年金の問題、そして在日の無年金の方がいらっしゃいます。
 先日、ハンセン病元患者の方々の追悼式が、坂口大臣も御臨席の上行われました。ハンセン病の解決に向けてたくさんの話し合いを重ねて、ようやく大臣の御英断、リーダーシップのもとに、この一年がたちました。その大きな契機になったのが、国の訴訟断念であり、坂口大臣でした。大臣が、本当に辞表を胸に、国は訴訟を断念すべきとの判断を下されました。本当に深い敬意を持っております。
 また、今回も、無年金障害者の問題に関しましては、ずっとこの間、厚生労働省の、言葉は悪いですが、たらい回しという状況の中で、全く解決が図られない。そればかりか、前にも進んでいない。相変わらず、取り残され、見捨てられた状況に置かれています。この状態を打破するためにも、しっかりと取り組んでいただきたいと思うのですが、五月二十一日の参議院の厚生労働委員会において、大臣は、私の案を今国会中に出したいという旨の発言をされました。無年金障害者の解決をうたいました障害者プランの最終年ということもありまして、大臣のその言葉につながったのだと私は高く評価しております。
 大臣、この間の御答弁は、ただ単に無年金障害者という表現をされましたが、無年金に陥った状況、原因、さまざまございます。私は、どのようなケースの方も、障害を持っていながらなおかつ無年金というのは、本当に生存権そのものさえ保障されない状態に置かれている、これはもう言葉にできない状況である。御本人、家族のその苦しさというのは大変なことだと、想像にかたくないわけです。
 しかし、その中でも、きょう質問させていただきます在日の無年金の方々は、制度に入りたくとも全く入ることができなかった人たちの問題です。国が加入を拒み続けた方々です。それを大臣は御存じかどうかと考えます。在日外国人、在韓国・朝鮮人の障害者の方と、そして高齢者の方です。難民条約批准によりまして、外国人にも初めて国民年金加入の道が開かれたわけなんですが、そのときとられるべき措置がとられなかったことによって生まれた無年金の方々です。
 沖縄や小笠原は、本土復帰の際に、無年金にならないように経過措置がとられました。さまざまな政党、もう全党にわたって、きっちりとした経過措置がとられるようにということで、難民条約批准の一九八二年から二十年も経過していますが、いまだにその状態が変わりません。――わかりました。では宮路副大臣、聞いておいてくださいね。
 在日の無年金状態に置かれている人たちは、今、高齢者は七十五歳以上で、障害者の方々は四十歳以上になっています。親子で無年金という状態が生まれてきています。前置きが長いのですが、やはりここの制度、なぜ無年金状態になったかということを知っていただきたいという思いで説明をさせていただいています。
 年金制度という社会保障、障害者問題と在日の方々の問題をどうお考えになるのかということを伺いたいのです。これはやはり、裁判でも言われていますように、政治的な解決、それ以外にないというふうに私は思いますし、諸外国では、定住外国人に対して社会保障上差別をしてはならないというのがもはや常識です。大臣が帰っていらっしゃってからで結構です。ちょっとこの間、猶予をいただけませんか、速記を……。
宮路副大臣 それでは、大臣がちょっと席を外されましたので、私の方からかわって御答弁申し上げさせていただきますが、先般来、中川委員の御指摘に対しましても、それから参議院で行われた質疑の際もそうでありましたが、今国会の終了までに大臣として案を示したいというお話を、御答弁を大臣の方からされておられるわけであります。
 障害者の方が無年金となった理由については、今中川先生からるるお話がありましたようにいろいろなケースがあるわけでありまして、したがって、それらが、社会保険方式の制度のもとで、そういったそれぞれの方がどのような事情で無年金となったかを十分分析をさせていただいて、そしてそれを踏まえて、基本的には、現に障害者となられて年金を受給していない方々にどのように対応することが必要かという観点から、この問題については目下、総合的にいろいろと検討をさせていただいている、そういう段階でございます。
中川(智)委員 それでは、今の御答弁ですと、無年金状態に置かれている方すべて、無年金の障害者の方々に対しての一定のきっちりした案を出されるという、そのようにとらえてよろしいのでしょうか。
坂口国務大臣 失礼しました。
 今、副大臣から御答弁をさせていただいたとおりでございまして、全部がそれができるかどうかは別にしまして、全体をにらんで検討させていただきます。
中川(智)委員 今、国では一切それに対しての、無年金の方々に対しての手当てというのはなされていないんですが、約七百の自治体で、在日外国人障害者、高齢者への特別給付金制度が行われています。これは御存じだと思います。私が住んでおります兵庫県では、県下全市町がこれを実施しております。大阪、北海道、滋賀、鳥取、島根県においても全市町村で実施されています。給付金額には差がありますが、ほぼ同じ制度内容でございます。在日外国人以外には、国外で障害を負って日本に帰国した方も一部含みますが、対象者はほとんど在日の方です。
 なぜ自治体が取り組んでいるのかと申しますと、これを放置できない現実があるからなんです。無年金状態に置かれている方を放置できない現実があり、市町村がそれに対してきっちりと取り組んでいる。でも、これは本来、国でやってほしいということで、毎年のように全国知事会、全国市町村会などから、本来国で解決すべきという要望が上がってきています。また、日本弁護士連合会からは、一九九四年に、これは憲法違反だ、国際人権規約違反との意見書も上がっています。まさに、国の立法不作為が問われている、そのように考えます。
 この十数年の間、この国会の場でも、私ども社民党、そして大臣の所属なさっている公明党、そして民主党、共産党、各党からこの問題がしっかりと取り上げられています。民団、総連の方々も粘り強く国に要望をされています。そして、一九九四年には四十万人にも上る署名も出されています。私は、やはり特別立法などに盛り込んでいくこと、坂口大臣が大臣であるときに一定の案をきっちりお示しいただいて、そしてその後にきっちり、だれがなっても、大臣のやっていくという姿勢に対して忠実に解決を図っていく、その今国会にぜひともしていただきたいと思いますが、その案を出されるということ、そして解決をしていくという決意のほどを一言お伺いしたいと思います。
    〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
坂口国務大臣 お約束しましたとおり、検討させていただきたいというふうに思っておりますし、その結果は皆さんにもお伝えをしたいと思っております。
中川(智)委員 よろしくお願いいたします。
 次に私、健保法の、この三割、サラリーマンの――大臣、そんなつらそうなお顔をしないでください。私は、五年前を思い出すと、そんなお顔をしなくても大臣の心は手にとるようにわかります。
 けさも、タクシーに乗ってこの国会まで駆けつけてまいりましたが、この三月以降ますます景気が悪くなったということを実感されると。私は、タクシーの運転手さんというのは、本当に景気とかさまざまなものに一番敏感な職種であろうかと思います。タクシーの中で勉強させていただくこと、たくさんありますが、景気の底入れなどというのはうそだ、本当にああいうことをよく言えるなということをおっしゃっていまして、一生懸命一カ月働いて、水揚げというのが大体五十万だそうです。その五〇%がお給料だそうです、二十五万円。そこからさまざまなものを引かれて、手取りは二十万。その二十万円で暮らしているとおっしゃいました。私は、それぐらいの手取り額で一カ月家族が暮らしていらっしゃる方が圧倒的に今多い現実があると思います。
 ここに、私の夫の会社の、私の夫の給料明細じゃないんですが、同じ会社の、大企業の中堅サラリーマンで四十八歳の、私の友人の家庭です、この給与明細のメモがあります。男性の方で、勤続三十年、子供は四人。三人の予定だったんですが、三回目が双子でしたので、四人いらっしゃって、そして、奥さんは看護婦さんだったんですが、子育てをするのに、保育所の問題などがあり、どうしてもやめざるを得ず、専業主婦をしています。
 給与明細の額面は五十三万四千八百四十八円。やはり多い方なんです、額面これだけ。そして、この中から、所得税一万七百円、地方税一万四千五百円、健康保険料一万六千九百六十円、介護保険料二千七百五十六円、厚生年金保険料四万六千二百四十二円、雇用保険料三千二百九円、家のローン五万五千円。手取り額は三十三万六千六百三十四円、約二十万引かれます。それで、食費、光熱費、教育費、さまざまなものを、一家六人、一カ月これで暮らしていきます。
 このサラリーマンの御本人、お小遣いは三万円。でも、散髪、歯医者、そして、会社の帰りに紙おむつを買ってきてねと言われたら請求できない、そういうふうにおっしゃって、お小遣いもほとんど生活費に消えていく現実だそうです。ゴルフなどやれない。行けませんよ、三万円のお小遣いで。プールなどにたまに行くぐらいということです。
 ここで大臣、サラリーマンの三割負担ということは、この人たちが、ちょっと調子が悪いときに、初期治療に行けない、我慢をしてしまうんです、これぐらいは我慢しようと。もしもがんか何かだったら、行くか、怖いから行かない。余り休みもとれませんし、平日は。大体、休暇をとらないと今は病院に行けないですから、救急車で運ばれない限り。
 そういう状況の中で、大臣、私は思うんです。社民党は、五年前は閣外協力で、大臣の席には座っていませんでした。でも、このときは、一割から二割のとき、一緒に乗っかってしまいましたが、でも、二〇〇〇年に抜本改革をする、そのことがあって、そのことの決意があって、この負担増をお願いしました。是々非々でやっていかねばいけないし、あのとき、その一年後に与党を離脱したんです。政権政党、特に公明党が大臣のそこの場にいらっしゃるということは、やはりこの健康保険法を野党と一緒に廃案にするぐらいの気持ちで、今回のこの負担増は、抜本改革をしていない、だまし討ち、裏切りだと私は思います。
 大臣、先ほどのサラリーマンの手取りとかタクシーの運転手さんのそういう実態、現実を今お聞きくださって、サラリーマンの三割負担がどれほど重いかということに対しての御感想をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 それぞれが、大変苦しい中で皆さんが生活をしておみえになることは、十分に存じております。そうした中で、医療というものをみんなが受けられるようにしていくためにはどうしたらいいかということを考えなければなりません。みんなが医療を受けられるようにしていきますためには、やはりそれ相応の御負担を、苦しいけれども御負担をしていただかなければならない、そうしたことから今回お願いをしているわけでございます。
 今までは二割でございましたけれども、御本人の場合にも三割にしていただかなければならないということになりますから、全体としてどれだけの負担がふえるかは、これは、お体の悪い人、お元気な人、それぞれ違いますから一概には言えませんけれども、御家族だけではなくて御本人にも三割をお願いしなければならないということは、それは心苦しいことではありますけれども、しかし、初めに申しましたように、この医療制度を維持していきますためには、これは皆さんに御辛抱をいただかなければならないことでございます。
 例えば、その中で、なってはならないことでございますけれども、お子さんが大きな病気をされるといったようなことになりましたときに、もしこの保険なかりせば大変なことになるわけでありまして、この保険ありますがゆえに、それは自己負担も若干かかりますけれども、しかし、払い得る範囲の中において医療が受けられるということになるわけでありますから、大変大事な医療保険であるというふうに思っております。どうぞ、そうした意味で、ひとつ大局的な立場からこの医療制度というものをごらんいただきたいというふうに私は思っております。
 全体として、この抜本改革というものを、できていない、現在でき上がっていないことも事実でございますが、皆さん方の自社さ政権のときにお挙げになりました四項目というのは、本当に貴重な四項目だというふうに思っております。それらの点を、おくれておりますけれども、それを仕上げるということだけはお約束を申し上げたいと思うわけでございます。
中川(智)委員 大臣、財政が逼迫して初めて必死で改革というのに取り組めると私は経験で思うんですね。やはり、錬金術のように、財政に不安がなくなってそれから改革というのは、私は、これはだまし討ちのような気がする。大臣らしからぬ答弁で、非常に残念です。
 続きまして、民主党御提案の患者の権利法に対して、何点か質問をさせていただきます。
 政府・与党は、医療制度改革と称しまして、今申し上げたように、健保本人、医療費の三割負担を初めとして、負担増中心の健保法案を出しているわけですが、肝心の抜本改革というのは、法案附則に項目を並べているだけであって、実現性は非常に疑わしいと思っております。
 提案者に伺いますが、医療制度改革というのを具体的にどのように進めるべきかということについて、まず一点、御答弁をお願いいたします。
山井議員 民主党に対する御質問、ありがとうございます。
 時間の関係もありますので要点のみ述べさせていただきますが、医療は、患者を中心に、医師と患者との共同作業で行われるべきものです。したがって、抜本改革を行う際のキーワードは、情報の公開と市民の主体的参加と考えます。患者を医療の受け手だけではなく消費者という観点からもとらえ、医療に関する情報の開示と第三者評価、そして患者の理解と選択を促すことで医療の質を向上させるような制度改革を目指すべきだと思います。
 実際、医療情報の提供をしたくても、制度が整っていないため、時間的余裕がなく、十分に対応できないという医療者も多いと伺っております。仕組みさえきちんと整備されれば、よい医療を追求する患者と医療者との利益は一致すると私たちは考えております。この患者の権利法案の制定をきっかけに、真に日本に必要とされている医療制度改革を実現していきたいと考えております。
中川(智)委員 では、続きまして、医療事故が非常に多発しております。また、後を絶たない診療報酬の不正請求などによって、国民の医療に対する信頼は著しく低下しています。
 民主党の患者の権利法案によりますと、カルテ開示や医療機関情報の公開など、従来ブラックボックスとされてきた医療分野の透明性を高める内容となっているように思います。このような体制整備が医療改革にどのように結びついていくのか、わかりやすく説明をしていただきたいと思います。
山井議員 お答えいたします。
 私ども提案の患者の権利法案によって医療情報が開示されることのメリットは、単に患者の選択肢をふやすことにとどまりません。支払い明細書、すなわちレセプトを患者がチェックすることは、不正請求、過剰請求、検査漬け、薬漬けの防止になり、医療の質の向上とともに、むだな医療費を削減する一石二鳥の効果があると考えています。
 今回、政府は、今の中川議員の質問にもありましたように、三割負担にしないと医療改革は進まないと言っておられますが、病気で苦しむ患者という最も弱い立場の人々に痛みを押しつける前に、医療情報の開示によってむだな医療費を削減することこそ先決です。不正請求、過剰請求の削減は、もう一方では、本当に必要な医療や良心的な医療機関にその分十分な医療費を回すことにもつながります。医療情報の開示なくして医療改革なしと考えております。
中川(智)委員 では、提案者に最後の質問ですが、私も、医療事故というのをなくするために、やはり一丸となって、厚生労働省も、国会にいる人間としても、頑張っていきたいと思っていますが、医療事故対策として具体的にどのような対策が盛り込まれているのでしょうか、御説明をお願いします。
山井議員 民主党の患者の権利法案では、医療機関は、医療事故の防止に関する具体的な指針を策定する、医療従事者の研修など必要な体制整備に努めるとしています。
 また、一定規模以上の医療機関については、中立性を確保した委員構成による医療適正化委員会を設置するものとしております。ここでは、医療事故や医療事故防止対策についての調査等を行うこととします。
 さらには、医療機関の開設者に対して、患者の生命にかかわるなど重大な事故が発生したときの都道府県知事等への報告を義務づけております。
 重要なことは、医療事故という不幸な事態の再発をいかに防止していくか、同じ過ちを二度と繰り返さない体制をしっかりと整えることだと思います。また、医療事故にかかわるさまざまな情報を隠ぺいしてしまうのではなく、医療提供者と家族を含む患者サイドとで情報を共有化し、信頼関係のもとで対応する姿勢が大切だと考えております。
中川(智)委員 御答弁ありがとうございました。
 今回の健保法改悪に関しましては、野党四党で反対という形で一生懸命闘いたいのですが、有事法制も、ぜひとも野党第一党として、関連三法案、反対していきましょう。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 次は、医療事故と、本当に助かる命が助からない制度やシステム、さまざまな不備によって助からない、もう一つ私が非常に心を痛め、どうにかならないかなと思っているものに、救急医療体制の問題がございます。
 結局、救急車で運ばれても、病院のたらい回しとかで、その間に命を落とされる方、手おくれになる方がございますし、また、運ばれた患者はほとんど指定できませんので、運ばれた病院にその専門医がいなかったり、非常に長い時間待たされて手おくれになって命を落とすということ、また重大な後遺症を残すということがございます。
 もともと今の、初期、二次、三次の救急医療体制というのは、交通事故を想定しての制度づくりだったというふうに聞いておりますが、現在は、統計的にいいましても、交通事故よりも、急病、いわゆる心筋梗塞、脳卒中、そのような疾病による救急が交通事故の三倍ぐらいになっているわけです。
 そこで、質問いたしますけれども、厚生省の研究班、厚生省循環器病研究委託費による研究の平成九年度の課題、循環器疾患における救急医療に関する研究が、大阪府の北摂地域で急性心筋梗塞患者の救急医療の現状を調査したところ、三次救急病院に運ばれた患者の院内死亡率は五%だったのに、二次救急病院に運ばれた患者の院内死亡率は一八%あったという報告がありました。どちらに運ばれるかによって、助かる命と助からない命がある。運、不運だけでは決して片づけられない重大なことだと思います。
 先ほど申しましたように、現実には、救急車で運ばれる患者というのは病院を選べません。慶応大学病院の救急部の調査では、同部に運ばれて心筋梗塞と診断された患者の約一五%は、胸の痛みなどの典型的な初期症状を示さなかったというデータがあります。こうした患者は、病院に行ってさまざまな検査をして初めて心筋梗塞と診断されます。
 こういうデータが示しますように、初期症状で重症度を見きわめて完全に振り分けることというのは非常に困難だ。救急隊員も、どっちに運ぼうか、二次に運ぼうか、三次に運ぼうかでとても悩むという直接の声を聞いております。医師ですら誤診する場合があるのですから、救急隊員が初期症状で搬送先を判断する今の体制というのは、搬送先の選択を誤る危険性が常に内在していると思うのですが、これに関してはどのようにお考えか、御答弁をお願いします。
篠崎政府参考人 ただいま先生から、二次救急とそれから救命救急センター等の三次救急の差について御質問でございますが、二次救急につきましては、おおむね二次医療圏に一カ所、休日、夜間、入院を要する救急患者の受け入れを輪番制により行うというような形で整備をしております。一方、三次救急の方は、二次医療圏を超えて、人口百万人程度の地域をカバーして、生命の危機に瀕した重篤な患者を二十四時間、三百六十五日受け入れるというような形で、現在百六十三カ所ほど整備がされているわけであります。
 このような救急医療体制は、今御指摘もございましたように、昭和四十年代後半からいわゆるたらい回しのことが大きな社会問題になりまして、昭和五十二年度からこのような整備をして現在に至っているということでございます。
 御指摘の救急医療体制のあり方、もっと充実をすべきではないかという御指摘だと思いますが、私どもも、大臣を本部長といたします医療制度改革推進本部の大変重要な検討項目の一つというふうに認識をしております。また現在、救急救命士の業務のあり方などに関する検討会というのを既にスタートいたしておりますが、そこにおきましても、救急救命士の業務範囲のことだけではなくて、救急医療全体のことについても御議論をいただくということにいたしております。
 私どもといたしましては、これらの検討結果を踏まえて、各地域における救急医療体制のより一層の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
中川(智)委員 検討項目ということで、さまざまな検討を加え、このようなたらい回しとか、そのような制度の不備というより、制度そのものによって助かる命が助からないということに対してはしっかりと取り組んでいくというお話だったと思うんです。
 私のきょうの質問は、一つには提案というのも含まれているわけですけれども、一つの例ですが、大阪府内の公立病院で、一昨年、みぞおちの痛みなどを訴えて救急車で運ばれた男性が、尿路結石と診断されて、帰宅する途中で急性大動脈乖離で死亡するというケースがありました。この病院は二次救急病院、当直していたのは一年目の研修医でした。この病院の説明では、三次病院で手術できれば助かったかもしれないというふうにおっしゃっています。
 研修医にも任せないと維持できない現在の救急体制というのはおかしいと思いますし、厚労省は、心筋梗塞と脳卒中対策として、二次病院と三次病院にCCUやSCUをふやす政策というのを現在進められているというふうに伺っていますが、当直に当たる医師も不足していく中で、二次病院に、言葉は悪いですが、小手先で三次にちょっと近いような、そのような器具を置いてそのかわりをさせるということではなくて、やはり三次病院の施設というのを充実させて、急病患者は原則として、カナダのトロントとか諸外国でも、今東京でもER作戦というのでしょうか、そういうふうな形で実験的に行われていますが、三次病院に基本的に運んで、それから、軽い人は二次、一次というふうに運んでいくというように、制度そのものを後ろからやっていけばいいのでないかと思うんですが、そのようなこともあわせて検討課題に入っているということでよろしいんでしょうか。
篠崎政府参考人 先ほど申し上げましたように、二次の基本的な考え方は、休日、夜間の、つまりほかの医療機関があいていないときにというのが前提であります。それから、三次救急の方というのは重篤な患者さんをということでできておるわけでございますが、御指摘のように、私どもといたしましては、二次医療圏単位で必要な救急医療体制が整うようにということを考えておりまして、今先生御指摘のとおり、私どもの立ち上げました検討会におきましても、その点も含めて御検討いただこうというふうに考えております。
中川(智)委員 重複する形になるかもしれませんけれども、たくさんの提案がございまして、私は三島の救命救急センターの森田所長のモデル提言というものに非常に関心を持ちまして、この間勉強をしたわけですけれども、三次救急病院に初期救急施設を併設して、すべての救急患者を受け入れる体制、今私がちょっと申しましたような形の提言というのをされているんですね。予想される多数の患者は、併設の初期救急施設で重症度を医師が見きわめ、重症患者はそのまま三次で、そして救急じゃない人は二次へというものです。
 重症の患者ほど治療開始が遅くなるという。現在は、形としては、最初から三次にぱっと行けばいいんですが、そこの段階で夜間の救急。特に都市部は、私の住んでいる宝塚市というのも二十万ちょっとの人口なんですが、二次に運ばれることがほとんどなんですけれども、やはり結構、たらい回しとか。そういうのはどこの責任になるかなと思うんですが、ほとんどが泣き寝入り。運が悪かった、やはりあそこの病院に行ってちょうだいと言えばよかったということで、家族がその十字架を背負いながら、その後苦しい生活をしていらっしゃるというのが現実なんですね。
 ですから、重症の患者ほど治療開始が遅くなるという現在とは逆に、転送するのは軽症の患者となって、重症患者ほど早く治療が始まるということでメリットが大きい。これから医師の研修義務というのが行われるわけですが、あらゆる患者が運ばれてくるこうした病院は救急医療について学ぶ場としても最適ではないかということをおっしゃっています。
 この構想を実現する考えというのは、やはり検討会の中にぜひとも、この資料をまた後ほどお渡しいたしますので、ぜひとも考えていただきたいと思うんですが、東京都は現在、先ほど申しましたように、救命救急センターのある都立病院に、初期、二次救急に対応する救急診療部門を設置して、すべての救急患者を受け入れる東京ER構想というのをやっています。国としてはこの制度というのは御存じかどうかということと、そして、まず大都市圏、三次病院の多い大都市圏などから始めていくということを提案したいのですが、これに関して局長のお考えというのを伺って、質問を終わります。
篠崎政府参考人 ただいま先生御指摘のように、特に心臓血管疾患等の急を要するといいますか、一分一秒を争うような疾患の治療の場合には、御案内のように、まずは救急現場での一般住民といいますか、バイスタンダーと呼んでおりますが、その周りにいる人の心肺蘇生をいかに早くするかというのが大変重要でございまして、最初の一分以内で九十数%でございますが、五分を過ぎると二五%以下に蘇生率が下がってしまうということでございます。そういう現場の、これは一般住民を含んだ救急対応措置の普及が大変大事でありますし、また、今度、搬送途上の救急救命士を中心とした救急医療の充実も大変大事でございます。その後、また、運ばれていく救急医療機関におきましては、ただいま御指摘の二次救急あるいは三次救急を含めて充実をしなければならないと考えております。
 いずれにいたしましても、現在、都市あるいは地域によって救急医療体制に若干差があることは事実でございますので、東京都の例等も参考にしながら、先ほど申し上げました検討会において十分議論をさせていただきたいと考えております。
中川(智)委員 局長、今、たらい回しなどで搬送途中で亡くなった方とか、そういう方はどこが責任を持つんでしょう。
篠崎政府参考人 これは、そういう、もし事故ということになって、あるいは訴訟ということになれば、それは個別によって、だれが一番その責任があったかということになろうかと思いますが、一概にどこがということはなかなか申し上げられないと思いますが。
中川(智)委員 では、また継続して頑張りますので、今のような答弁じゃないのをしっかりお願いします。ありがとうございました。
森委員長 次回は、来る三十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十九分散会


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