衆議院

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第24号 平成14年7月10日(水曜日)

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平成十四年七月十日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 森  英介君
   理事 鴨下 一郎君 理事 鈴木 俊一君
   理事 長勢 甚遠君 理事 野田 聖子君
   理事 釘宮  磐君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君
      岡下 信子君    上川 陽子君
      木村 義雄君    北村 誠吾君
      後藤田正純君    佐藤  勉君
      自見庄三郎君    田村 憲久君
      竹本 直一君    棚橋 泰文君
      西川 京子君    菱田 嘉明君
      堀之内久男君    松島みどり君
      三ッ林隆志君    宮澤 洋一君
      谷津 義男君    吉野 正芳君
      家西  悟君    大島  敦君
      加藤 公一君    鍵田 節哉君
      金田 誠一君    五島 正規君
      土肥 隆一君    三井 辨雄君
      水島 広子君    江田 康幸君
      桝屋 敬悟君    樋高  剛君
      小沢 和秋君    瀬古由起子君
      藤木 洋子君    阿部 知子君
      中川 智子君    川田 悦子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   農林水産大臣政務官    岩永 浩美君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月五日
 辞任         補欠選任
  桝屋 敬悟君     東  順治君
同日
 辞任         補欠選任
  東  順治君     桝屋 敬悟君
同月九日
 辞任         補欠選任
  竹下  亘君     岩倉 博文君
同日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     竹下  亘君
同月十日
 辞任         補欠選任
  竹下  亘君     菱田 嘉明君
  瀬古由起子君     藤木 洋子君
同日
 辞任         補欠選任
  菱田 嘉明君     竹下  亘君
  藤木 洋子君     瀬古由起子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第八五号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
森委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長工藤智規君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、健康局長下田智久君及び医薬局長宮島彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
森委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。
三ッ林委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の三ッ林隆志でございます。
 今回の薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案の見直しのポイントの中に、医療機器に係る安全対策の抜本的な見直しとして、医療機器のリスクに応じたクラス分類制度の導入や医療機器に係る治験制度等の充実が挙げられております。これらの安全対策を講じることは非常に重要なことで、医薬品ならばより副作用が少なく、また、医療機器ならばより安全で侵襲の少ないものが開発されなければなりません。
 そこで、医薬品や医療機器の研究開発についてですが、我が国の製薬産業や医療機器産業がよりよいものをつくり、国際的な競争力を持ち、海外にも積極的に展開していくためには研究開発が重要と考えております。
 例えば、ナノテクを使ったカプセル型の内視鏡がイスラエルで開発されたことが昨年非常に話題になりまして、本来、このような先端技術を駆使した製品、特に内視鏡関係ともなりますと、世界に先駆けて我が国で開発されるべきではないかと考えた方も多かったとは思います。そして昨年の暮れには、情報ではありますけれども、国内のメーカーでイスラエル製のものよりもよりすぐれたカプセル型の内視鏡を開発しており、実用化も近いとの発表がありました。現在、臨床試験を行っていると聞いておりますけれども、患者さんにとってきつい、また苦しい検査というイメージの内視鏡検査を一変させるかもしれない医療機器なわけです。海外メーカーにそれがやや先行されていることは今のところ否めません。
 近年、承認審査体制の整備充実等により、審査期間の短縮等、承認審査の迅速化は図られておりますけれども、たとえ承認審査期間が短縮されましても、そもそも承認申請に至るまでの研究開発の段階で欧米企業に立ちおくれていたのでは、結果的に、市場に製品を供給する時点では欧米企業に先行されることになってしまいます。これからの製薬産業や医療機器産業が、世界に率先してよりよい製品をつくり、国際的競争力を高めるためにも、基礎研究から治験に至るまでの研究開発を促進すべきではないかと思うのですが、対応につきお聞きします。
篠崎政府参考人 先生御指摘のとおりと思っております。
 医薬品産業の、基礎研究から治験に至るまでの研究開発などの強化を図ることは、極めて重要なことであると認識をいたしております。このため、医薬品産業の国際競争力の強化と国際的に魅力ある創薬環境の実現を目指しまして、本年四月に医薬品産業ビジョン案を公表いたしまして、国として各般にわたる支援策をアクションプランとして御提示申し上げたところでございます。
 具体的に三つほど挙げさせていただきますと、まず、疾患群ごとに、治験実施機関が相互に連携して効率的な治験の実施を図るための大規模治験ネットワークの創設を考えております。また、国立試験研究機関などの研究成果を実用化するために、その技術移転機関の設置を考えております。さらには、産学官連携の推進に向けまして、医薬基盤技術研究施設の新たな設置を考えております。
 このような施策を盛り込んでいるところでございますが、ただいま関係者の御意見を幅広くお聞きしているところでございまして、これらを踏まえながら、この四月に発表いたしました医薬品産業ビジョンを最終的に取りまとめた上で、今後、アクションプランの着実な実現を推進していきたい、このように考えております。
三ッ林委員 ただいまアクションプランとして三つほど挙げていただきましたけれども、その中でも治験というのが、私も大学にいたときには患者さんにお願いして対応いただくのに大変苦労したというふうな記憶がありまして、ぜひとも、治験についてもなるべく国内で推し進められるような対応というものをとっていただきたいと思っております。
 次に、生物由来製品に関する安全確保対策の充実とともに、今回の法改正の柱の一つに、市販後の安全対策の充実と承認・許可制度の見直しが挙げられており、製造業と元売業に分けて、元売業においては市場責任と市販後安全対策をより一層充実するとされております。そして、厚生労働省は後発品の使用を促進するよう働きかけておりますけれども、そのためには、医療関係者に対する安全性情報の提供や副作用情報の収集等といった市販後の安全対策が後発品メーカーでも必要不可欠と思うのです。
 従来は、新薬開発メーカーが、副作用情報の収集を初め医療関係者等への安全情報の提供などといった市販後安全対策の中心を担っておりまして、それなりのコストもかけてきているわけですが、後発品メーカーは、製品によっては短期間で製造をやめてしまうということも間々ありまして、余り積極的ではなかったと思われます。そして、それが後発品に対しての信頼感が余り持たれない一因とも考えられるのですが、厚生労働省として後発品の使用の促進を図るためにも、今回の薬事法改正において、後発品メーカーは副作用情報の収集等の市販後安全対策をしっかりやる体制になるのか、お聞きいたします。
宮路副大臣 先般の提案理由説明の際に大臣からも御説明申し上げましたとおり、今回の薬事法改正におきましては、医薬品等の承認・許可制度に関して、従来の製造業の許可制度を再編して、市販後の安全管理体制が整備されていること等を要件とする製造販売業の許可制を導入するということが一つの大きな柱になっておるところでございます。
 具体的には、市販後安全対策部門を設置すること、そしてまたその部門を管理する責任者を配置すること、さらにまた市販後安全対策業務にかかわる手順書を作成することを元売業に求めることといたしておるわけでありまして、その結果、新薬または後発品製造企業のいかんにかかわらず市販後安全対策の取り組みを抜本的に強化する、こういうことにいたしておるわけであります。
 したがって、後発品の元売業につきましても、御指摘の副作用情報の収集あるいは提供といったことを含めて市販後の安全対策をしっかりとやっていくように、私どもとしても遺憾のなきよう指導を期してまいりたい、こういうふうに思っておるところであります。
三ッ林委員 薬というものは、一度市販されますと、患者さんによってかなり長期間使われたりすることがある製品になりますので、ぜひとも、後発品のメーカーにおいても十分な安全対策、また市販後の情報収集等も続けていただけるように、指導をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、現在の多岐にわたる各種の血液製剤が、人の体の一部である血液を原料として製造されるものであることを考えますと、血液製剤の国内自給を達成することは安全性確保の面からも極めて重要であり、ぜひとも達成されなければならないと思っております。
 厚生労働省も、平成九年の血液行政の在り方に関する懇談会報告書を踏まえて、平成二十年までに国内自給を達成するという目標を立てて取り組んでいると聞いております。
 しかしながら、平成十三年において、アルブミン製剤の自給率は三三・八%、グロブリン製剤については自給率八〇・六%と、国内自給の達成に向けて残すところあと六年でありますけれども、まだまだ道半ばであると思わざるを得ません。
 そこで、血液製剤の国内自給が法案に明記されておりますけれども、実際に達成できるのか、大臣の御決意も含めて伺わせていただきます。
坂口国務大臣 おはようございます。
 血液製剤につきましては、国際的な立場から見ましても、また倫理性に見ましても、やはり、それぞれの国が自分の国内ですべて賄うというのが原則だというふうに思っております。そういう意味で、現在、いわゆる輸血用の血液につきまして、あるいはまた血液凝固製剤等につきましては、国内で自給ができるという見通しが大体ついておりますし、現在そのようになってきているというふうに思っております。
 ただ、血漿分画製剤までこれができるといいんですが、血漿分画製剤のところは外国にまだゆだねなければならない、血液を外国にお願いをしなきゃならないという状況にあるわけでありまして、一日も早く、血漿分画製剤も国内の献血で賄えるようにならなければならないというふうに思っております。
 そのためには、どういたしましても、国内において、国民の皆さんに献血に御協力をいただかなければならないわけでございます。最近、献血者の数が若干減少ぎみになっている、とりわけ若い皆さん方の献血が少なくなってきているというようなことも聞かれるわけでございまして、もう少し積極的に国民の皆さん方にお願いを申し上げなければならないというふうに思っております。
 そのためには、国はもちろんのこと、各都道府県におきましても献血推進計画というものをしっかり立てていただいて、そして、国の隅々まで献血思想というものを徹底していただかなければならないというふうに思いますし、今回の法律によりまして、そのことを心を新たにして頑張らなければならないと思っている次第でございます。
三ッ林委員 ありがとうございます。
 アルブミンはなかなか自給率が低いのですけれども、リコンビナント製剤の開発も進められると聞いておりますので、ぜひともその開発に対してもいろいろ御指導をいただければと思っております。
 そして、ただいまの大臣のお答えのように、善意に基づく献血を全国的に推進するということは非常に重要なことでありますが、血液を原料として用いる血液製剤の特性として、現在判明している血液を介した感染症等を予防することはできるといたしましても、未知の感染症発生の危険性を完全に排除することはできないという問題があります。また、化学合成品とは異なり、生産に一定期間を要することなどの制約もあります。
 そこで、血液製剤の一層の安全性を確保し、また供給の安定化に資するために、今後、人工血液の研究開発を促進すべきではないかと思っておるんですけれども、現在の開発状況、またその支援策等につきお聞かせください。
宮島政府参考人 人工血液の研究開発につきましては、一つは、血液製剤を介した感染等の危険性を低減できるということ、二つ目には、速やかな増産等により安定供給の確保に資することができる、それから三点目には、貴重な献血への依存を低減できることなどの利点が指摘されております。こういう形から、人工血液の研究開発を促進させるため、今、政府としても研究支援を行っているところでございます。
 具体的には、厚生科学研究で、平成五年から人工血液の研究開発の支援をやっておりまして、平成十四年度におきましては、人工赤血球あるいは人工血小板、人工免疫グロブリン等の開発の研究を今行っているところでございます。
 ただ、人工血液の研究開発を進めるに当たりまして、他方、現時点では、研究開発をやっていくためには、輸血に使用されなかった献血血液が研究のために使用される場合が多いわけでありますけれども、その適正な利用が確保されるという必要があること。それから二番目には、長期使用による安全性への影響について、きちんと検証をしていかなきゃいけないこと。それから三点目には、人工血液が実用化されたといたしましても、血液由来製剤を含めて、血液製剤全体の安定供給が確保されるということに十分配慮する必要があろうかというふうに思っております。したがいまして、こういった事情を踏まえながら研究開発を慎重に進めていく必要があろうというふうに思っております。
 これらを総合的に考慮した上で、有効性、安全性が確認された人工血液の製品化が促進されますよう、研究開発の促進を今後とも図ってまいりたいというふうに思っております。
三ッ林委員 人工の血液の中でも、特に血小板というのは、血液疾患で入院している患者さんに対して使われることが多いですし、また、その血小板製剤が病院にたどり着いて実際に使えるようになるまで、夕方であるとか夜間になったりすることを経験したところでありまして、安全な人工血小板というものができれば、かなり多くの患者さんに対して朗報となるのではないかと思いますので、ぜひとも今後とも進めていただくようにお願い申し上げます。
 そして、国内自給を達成するための献血の推進に関してですが、先ほど大臣のお話にも、減っているというふうなお話がありましたが、昭和六十年に約八百七十万を数えた献血者数は、その後減少を続けて、平成十三年には五百七十七万となっております。
 人間一人一人の血液は、たとえ血液型が同じでありましても、いろいろな成分がまざってできているために個人個人で微妙に異なっておりまして、それを患者さんに輸血するということは、感染症のリスクや、発熱、発疹などの副作用の可能性を高めることが知られております。
 これらの問題も考慮して、限られた献血者からの献血を効率的に利用するとともに、血液製剤の安全性を高めるためには、四百ミリリットル献血や成分献血を一層推進するなど、献血推進に当たっての取り組み方法が極めて重要と思われますが、今後、国内自給の達成に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、お聞きします。
宮島政府参考人 今回の改正案におきましては、御指摘の国内自給の原則を基本理念として明確に規定しておるところでございます。
 この国内自給の達成を目指すために、現在のところは、平成九年に取りまとめられました血液行政の在り方に関する懇談会の報告書におきまして、平成二十年時点において、原料血漿百五十万リットルを確保することによってほぼ国内自給が達成されるという、いわゆる目標が一つ設定されております。これまで、この目標に向けて段階的にあるいは計画的に原料血漿の確保に努めてまいりまして、各年度の目標量は現在までのところ一応達成してきておるところでございます。
 しかしながら、今後、いわゆる少子高齢化等を踏まえまして、特に若い方の献血が減少しているということを踏まえますと、委員御指摘のように、従来の二百ミリリットルから、四百ミリリットルあるいは成分献血に重点を移していくということも、非常に重要なことかというふうに思っております。
 今回の改正におきましては、こういった国内自給を進めていくために国において基本方針を定めますが、そこにおいては血液製剤の中期的な需給見通しを定めることとしておりますが、先ほどの平成九年に一応策定いたしました目標につきましても、その前提が幾つか大分変わってきております。
 例えば、輸血用血液製剤が当初予定したよりもかなり少なくなっているとか、あるいはアルブミンについて、リコンビナントがある程度出てくるという前提でしたが、まだそれが開発されていないといったようなこともございますので、そういった前提条件の違いも含めて、改めて今後の中期的な需給見通しを定めることにしたいというふうに思っております。
 これに基づきまして、国の献血推進計画や採血事業者の献血受け入れ計画において毎年度の献血確保量を定めるという形で、国内自給達成に向けて進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
三ッ林委員 ありがとうございます。
 続きまして、生物由来製品についての質問に移らせていただきます。
 生物由来製品については、未知の感染因子を有している可能性が否定できない場合があることや、血液製剤のように不特定多数の人から採取された血液から製造された場合に感染因子混入のリスクが高いこと、また、感染因子の不活化処理等に限界がある場合があることなどから、患者に使用した場合にあっては、将来何らかの感染症等が生じた場合の遡及調査が可能な体制をとる必要があるとされております。すなわち、将来的に感染症などが発生した場合に、どの患者にどのロットの製剤が使用されているかを確認し、必要な検査や治療を当該患者に対して行うことが被害の拡大防止には重要であり、記録を残しておかなければならないわけです。
 血液製剤を初めとした生物由来製品に関する使用記録の保存に当たっては、薬事法で義務づけられる生物由来製剤管理簿のみならず、病院の中では実際にはカルテも同時に保存する必要が出てくることが間々あると思います。そして、保存期間が長期にわたる場合、また医療機関によっては保管スペースや管理が大きな負担となることも考えられますが、薬事法での義務づけに関してどのように考えているのか、お尋ねいたします。
宮島政府参考人 今般の薬事法で定めておりますいわゆる生物由来製品、特に特定生物由来製品につきましては、いわゆる感染のリスクというのが完全には排除できないものがございます。したがいまして、こういった特定生物由来製品の使用後に万が一感染症被害が発生した場合には、いわゆる遡及調査によりまして当該製品の投与等が行われた患者を確実に特定して、当該患者に対して検査、治療等の措置を適切に行う必要性がある、こういうことから、今回の法改正等においては、患者への使用記録の保管を義務づけることにしておるところでございます。
 この患者への使用記録の作成、保存につきましては、これを行う主体を医療機関という形にしております。
 この理由といたしましては、一つは、いわゆる製造販売業者サイドにおいて記録の作成、保存をするということになりますと、患者の同意を得ることが非常に難しいという点がございます。それから二番目には、感染症の発生時の対処は、基本的には医師と患者との間で直接なされるということ。それから三点目には、医師には守秘義務があり、患者のプライバシーが保持されることから、医療機関がいわゆる患者への使用記録を作成、保存するということが適当であると考えまして、今回の法案に位置づけたものでございます。
 先生御指摘の、医療機関の負担についての点でございますけれども、血液製剤につきましては、行政指導により、既に平成九年から医療機関において使用記録の保管が実施され、ほぼ定着していっているところでございます。また、今回、血液製剤以外の特定生物由来製品についても、基本的には、これまでやってまいりました血液製剤における実施方法をベースに検討していきたいというふうに考えておりますので、したがいまして、現状と比較して過大な負担になることはないのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、今後、いわゆるペーパーでの作成、保存という形から、最近IT技術も大分進んでまいりましたので、そういったITの活用を進めるということなどによりまして、より効率的な記録、情報の保管管理等を進めていくということによって、医療機関側の負担軽減に努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
三ッ林委員 ぜひとも、今後はデジタルデータというふうなことでの保管も可能となるという形で進めていただければと思います。
 次に、参議院の方の附帯決議にもありましたけれども、C型肝炎のことについてお聞きします。
 私の友人で、産婦人科をやっておりましてC型肝炎にかかりまして、肝硬変が進んで肝移植を行いましたけれども、非常に残念ながら二年ほど前に亡くなった方がいます。どのような経路で感染したかというのは不明なわけですけれども、産婦人科というふうな仕事柄、フィブリノゲン製剤が何らかの形で関与していた可能性があるのではないかと考えられております。
 このC型肝炎の感染問題に見られるように、生物由来製品については、安全対策を講じたとしても未知の部分がある可能性が否定できない場合もあることから、これらの製品に対する安全確保対策のみならず、患者の救済策の確立も重要と思います。
 そこで、フィブリノゲンによるC型肝炎等についての実態調査を速やかに取りまとめるとともに、再発防止策や救済策を速やかに検討すべきではないでしょうか。大臣にお聞きいたします。
坂口国務大臣 C型肝炎の問題につきましては、フィブリノゲン製剤初め、かつてはいわゆる血液製剤全般からいろいろ問題になったところでございます。しかし、最近は、輸血用の血液につきましては、非常に進んだ検査法によりまして、B型肝炎、C型肝炎の血液を排除することができるようになってまいりまして、これはもう大変喜ばしいことだというふうに思っておりますが、過去におきますフィブリノゲン製剤等によります患者さんが現在なお存在していることは事実でございます。
 この事実解明をやらなければいけませんので、厚生省の省内におきます調査、それから、あらゆる資料の調査、海外におけるこれらの問題に対します調査等を現在進めているところでございます。二十年ほど前にさかのぼる話もございまして、大変古い話でございますので、その調査に多少手間取っておりますけれども、できるだけ早くまとめたいというふうに思っております。
 それから、再発防止についてでございますけれども、これは平成八年以降、審査官を倍増いたしまして、承認審査体制の強化を行っているところでございます。
 C型肝炎に対します、患者さんが早く発見されて、そして早く適切な治療が受けられるようにしなければならないわけでございますので、いわゆる老人保健事業におきますC型肝炎検査というものをことしから充実させているところでございます。いわゆる節目節目の検診だけではなくて、過去にそういう手術を受けたとか、あるいはフィブリノゲンを使ったとか、血液製剤を使ったというような経験者につきましては、その節目だけではなくて、お申し出をいただきましたら、その皆さん方も検査をするということにいたしております。早く発見をして、早く治療するという体制を整えたいというふうに思います。
 それからもう一つは、発見されましても、その皆さん方を治療する治療方法が確立されていなければならないわけでございますので、厚生労働科学研究費を大幅に増額いたしまして、そして肝がん等の予防でありますとか、治療方法の研究に今邁進しているところでございます。本年二月には、保険検診によりますところのインターフェロンの投与期間の制限を廃止いたしましたり、そうしたことも行いまして、肝炎が発見された皆さん方に対します対応を進めているところでございます。
 新しい薬品等もかなり最近出てきたようでございますので、優秀なそういう薬が出てまいりましたならば、一刻も早く日本にも輸入をして対応したいというふうに考えているところでございます。
三ッ林委員 患者さんの中にはかなり病状が進んでいる方もいらっしゃると思いますので、ぜひとも早急に対策等を進めていただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
森委員長 次に、江田康幸君。
江田委員 公明党の江田康幸でございます。
 本日は、薬事法並びに採供法の改正に関して質問をさせていただきます。
 今回の薬事法改正は、特に生物由来製品に関する安全性の確保、強化、これが課題と認識しております。私も長年、バイオテクノロジー技術を駆使しました遺伝子組み換え技術や細胞工学、そういったバイオテクノロジーを駆使した新薬の研究開発に携わってきた専門家の一人として、今回の薬事法並びに採供法の改正に関しては以前より注目をしておりました。
 この生物由来製品というのは、二十一世紀のバイオの時代におきまして、新しい医療の可能性を担う重要な治療法を提供するものとしての可能性も秘めておりまして、それらの安全性が確保されて、過去の健康被害の教訓を生かして、国民の信頼にこたえるものとして健全に進展するものとすることが重要かと思います。
 生物由来製品の規制が整備されていることは、国民の安全確保はもとより、製品の安全性には常に未知のリスクが伴うわけでございますから、新たな先端的な製品を開発する者にとっても、この制度的な明確化と万が一の場合の補償システムが開発のインセンティブになるものと考えます。感染症被害救済というのは、患者における不幸な事態への対応と同時に、新薬を開発する側、すなわち開発者にとっても必要な仕組みでございます。
 そこで質問でございますが、参議院の附帯決議によりまして、生物由来製品の感染症被害救済制度についても検討することとされたところでございますが、政府は速やかにこの救済制度の設立に取り組むべきと考えますが、その時期など見通しはいかがか、坂口厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 血液製剤のみならず、生物由来製品というのがだんだんと発達をしてまいりまして、その数等もふえてまいりました。しかし、生物由来製品というのは、非常に効果があるものでありましても、生物からとりました以上、さまざまなウイルスその他のものによりまして汚染をされている可能性というのは当然考えられるわけでございますから、その副作用、それによります二次的な疾病の発生というものを極力ないようにしなければ、極力ないといいますか、そこは完全に遮断をしなければならないわけでございます。
 そのために、やはり先ほどお話しいただきましたように、参議院の修正におきましても、生物由来製品の感染症被害救済制度というものを検討するようにつけ加えて修正をしていただいたわけでございます。
 この法案と一緒にこれが出すことができればベストだったわけでございますけれども、ことし三月に審議会等の議論も出していただきまして、それらを踏まえて今その検討を続けているところでございまして、関係者の皆さん方の御意見というものも今お伺いをしているところでございます。したがいまして、来年三月になりますか、二月になりますか、いわゆる来春の国会におきまして提出をさせていただいて、御審議をいただきたいというふうに考えているところでございます。
 皆さん方から御理解をいただけるような内容のものにしたいと考えているところでございます。
江田委員 ありがとうございます。来年の通常国会でしょうか、そこでの提出ということを前向きな御答弁としていただいたことになりますが、それでよろしいですかね。とにかく、この制度、すなわち従来の制度では適用とならないそういう方々が生物由来製品による被害救済制度を受けられるような、この新たな救済制度を速やかに設立していただきたいということを強く要望しておきます。
 次の質問でございますが、近年、再生医療に対する関心が高まってきております。研究開発が進展している状況でもございますが、アメリカにおきましては、医療機関の委託を受けまして、患者の軟骨ですね、そういうものを培養したり、また、それを患者に戻すような業態や、皮膚の培養などを行ってそれを患者に使っていく、そういうビジネスもここ数年発展してきているわけでございます。
 私も今回、神戸市のやっている再生医療を中心とした医療産業都市構想というものを視察させていただきましたが、ここにおきましては、基礎研究であるところを担う発生・再生科学総合研究センターと、そこから出てきた技術を早速に臨床応用していく先端医療センター、さらにはこれを産業化していくといいますか、市販のものにしていくというベンチャー、また国内外の企業が応用する、そういう三者一体の医療産業都市というのが着々とつくられているというところを見させていただきました。十年後には再生医療がこの日本において普通に使われていく、先はそう遠くないということを非常に感じた次第でございます。
 しかしながら、この生物由来の技術におきましては、感染症のリスクが伴うということはもはや今までの経験の中で明らかでありまして、安全性の確保の対策は急務でございます。薬事法は、このような再生医療の中で登場するビジネスも視野に置いていると考えられます。
 乾燥硬膜の過去の事例も踏まえて、生物由来の医薬品、医療機器に使用される細胞、組織の安全性確保のために、医療機器か医薬品かにかかわらず、共通の安全性、倫理性の基準を設けるべきであります。乾燥硬膜のような、医薬品、医療機器の製造に用いられるヒト由来の材料についての安全性、採取行為の適切性や無償提供などの倫理性、これらをどのように確保するおつもりか、政府参考人にお伺いいたします。
宮島政府参考人 人からの細胞組織原材料の採取における安全性の確保につきましては、現行の薬事法第四十二条に基づき、細胞組織医薬品及び細胞組織医療用具に関する基準を定めまして、ドナースクリーニング等の安全確保措置の実施された原材料の使用を義務づけてきたところでございます。
 人からの原材料の倫理性の確保につきましては、世界医学会の改定ヘルシンキ宣言、あるいは平成十三年三月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示によります「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に準拠した通知を私どもも発出しておりまして、いわゆるインフォームド・コンセント、あるいは倫理委員会の設置、原材料の無償提供等の倫理的配慮がなされたことが確認された原材料の使用を指導してきたところでございます。
 今回の改正に伴いまして、生物由来製品に指定したものを対象に原材料に関する法第四十二条に基づく基準を整備することとしておりまして、ドナースクリーニングに係る安全性及び倫理性の確保に関しまして、この基準の中で明確化し、一層の安全対策の強化を図ることも予定しております。その中で、進展している国内外のヒト由来組織に関する安全性、倫理性に関する動向に留意しながら引き続き対応してまいりたいというふうに思っております。
江田委員 それにまたかかわる質問でございますが、再生医療に関しましては、先ほども申しましたように、新規のベンチャー企業等の参入もふえてくることがこれは予想されるわけでございますが、これらが健全に育成されるように、承認申請等にかかわる治験相談等の相談体制、これを整備するなど積極的な取り組みが必要かと思いますが、これについてはどうでしょうか。
宮島政府参考人 新しい製品の研究開発に意欲的ないわゆるベンチャー企業等によります承認申請においての治験の実施が円滑に進みますように、現在、医薬品のみが対象になっております申請前の治験相談、これの枠組みを拡大いたしまして、医療機器もこの対象とするということを考えたいと思っています。
 また、重要性の高い医薬品、医療機器については、開発段階から優先的に治験相談ができるように、制度の運用についても見直しを検討していきたいというふうに思っております。これによりまして、薬事制度に適合し、健全な研究開発の実施に寄与することができるのではないかというふうに考えております。
 しかしながら、こういった制度の導入には再生医療に関する専門的能力のある審査官の確保などが必要でございまして、今般、審査組織の統合を予定しておりますところの新しい独立行政法人のもとでの審査組織の充実強化とあわせて検討してまいりたいというふうに思っております。
江田委員 さらには、これにもかかわる問題でございますが、医薬品の承認審査についてでございます。
 国民が医療に必要とする医薬品が使用できるようにすること、その有効性、安全性の確保というのは薬事行政の至上命題である。世界じゅうで使用できる医薬品が、国際的に見まして日本のみおくれるというようなことは、患者にとっては大きなマイナスでございます。最近におきましても、海外で承認されている抗がん剤等の使用が日本ではまだ認められないというようなお訴えもいただいているわけでございますが、これまでの厚生労働省は、この承認審査の事務処理期間の短縮などの取り組みを行ってきていることは、私は評価できると思います。
 そこで質問でございますが、医療上特に必要性の高い医薬品等につきましては、例えばそれは、がんの特効薬とか新薬とかそういうようなものがございますが、申請から承認までの審査期間の短縮のみならず、特に時間のかかる開発から承認申請までの時間を短縮することが急務でありまして、これについてどのように取り組むのか、政府参考人にお伺いいたします。
宮島政府参考人 現行の薬事法におきましても、いわゆる希少疾病用医薬品等を対象とします優先審査制度というのがございまして、申請時に申請内容を判断し、医療上特に必要性が高いと認められる医薬品等につきましては優先的に審査を行ってきているところでございます。
 この制度は、承認申請後に優先審査品目を指定しているものでございますけれども、今後、この制度のより一層の活性化を図りますために、審査を行う医薬品医療機器センターと、治験相談を行っております医薬品機構、これを今般統合いたしまして新しい独立行政法人を設立することとしております。
 これを契機としまして、いわゆる開発段階から治験相談、それから承認審査に至るまで、一貫した体制というものを構築したいというふうに思っております。その中で、医療上特に重要性の高い医薬品等につきましては、開発段階から優先的に治験相談ができる制度の運用を検討していきたいというふうに思っております。
 このような審査・相談制度を運用するためにも、先ほどもちょっと触れましたように、やはりそうした専門的な能力のある審査官を確保していく、あるいは業務の効率化、迅速化を進めていくというために組織の充実強化が必要でございますので、今般の新しい独立行政法人のもとでの審査組織の充実強化という形での対応を考えてまいりたいというふうに思っております。
江田委員 わかりました。
 特に今までが、なぜに開発が日本の場合おくれているかと申しますと、その審査段階の一本化というのもございませんでした。特に我々、我々と申しますか、過去でございますが私も開発に携わってきましたが、その場合に、新薬を開発しようとすると、治験前相談というのはその臨床試験の後期において受けていく、そしてそれを審査する機関がまたそこの相談をするところとは別であるというふうな別建て制度がございました。そこで治験をやり直すとかそういうようなことがあって、そういう開発期間が長くかかるというようなこともあったわけでございます。
 したがって、今回、独立法人等で審査機関、相談機関が一本化される、また、その相談体制も、フェーズ1とか非常に治験の早い段階から適切な治験の制度を相談できるというシステムを、アメリカのように、これはアメリカではIND体制とかファストトラック制度とか言われているものでございますが、そういうような制度をこの日本でも確立するということを、今回の薬事法の改正等ではそれが期待されるわけでございます。
 このことについて私は高く評価しますし、今後、アメリカのように、また欧米のように、特に必要とされるそういう薬が早く患者さんの手元に届くということがこれによって大きく期待されることとなりますので、どうぞ積極的な取り組みをよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
 さらに治験の問題について御質問をさせていただきます。
 今回の薬事法の改正で、医師が主導して行う臨床研究型治験というのを取り入れるということで、これは非常に前向きな改革だなと私は評価している次第でございます。
 しかし、医師の行う治験による成果が医薬品等の承認という形で患者さんの手元に届く、広く患者さんに有効な、また安全な薬が使われるというような形で具現化しなくては、真の意味での医薬品のアクセスの改善にはつながらないわけでございます。また、薬物を提供する産業側にとっても、それは医薬品にならない中途半端なものになっていく可能性があります。
 そこで質問でございますが、医師主導の治験におきましてそれが適切に行われるためのルールが必要であることを踏まえまして、医師主導の治験が、安全性に配慮しつつ、科学的かつ倫理的に行われるためにどのような措置を講ずるのか、これを一点お伺いします。
 また、続きまして二点目でございますが、この医師主導の治験において、がん等の医療上必要な医薬品の治験等の実施も期待されるところでありまして、製薬企業が必ずしも費用負担をするものとは限らないことから、このような治験に対して国としての研究費等の支援を行うべきと考えますが、これについていかがでしょうか。
宮島政府参考人 現在の医薬品、医療機器の臨床試験、いわゆる治験におきましては、その結果が承認申請の資料として用いられるということから、被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとにその科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的としまして、臨床試験の実施の基準、いわゆるGCPが定められているところでございます。
 今回の薬事法改正案におきましては、臨床研究の一部を治験の対象に取り込みますいわゆる医師主導の治験について、新しい制度を設けることとしております。この医師主導の治験について、その結果が医薬品、医療機器の承認申請の資料としても用いることができるということから、同様に被験者の保護及び試験成績の科学的な質と信頼性を確保する必要があるというふうに認識しております。
 このため、本法律案の施行時においては、現行のGCPを参考にいたしまして、関係者の御意見なども伺いながら、速やかに医師主導の治験につきましてもこれの実施の基準を作成することを考えたいと思っております。この基準を徹底することによりまして、医師主導の治験が、安全、科学的かつ倫理的に施行されるよう配慮していきたいというふうに思っております。
篠崎政府参考人 後段の先生の御質問の費用負担のところでございますが、先月六月に、大学病院や製薬企業などの有識者による検討会を設けたところでありまして、具体的な検討を開始したところでございます。
 今後、検討会の御意見などを踏まえまして、先ほど申し上げました大規模治験ネットワークの実施に向けた役割ですとか、あるいは、ただいま先生御指摘の費用負担、費用の分担などについても検討していただきまして、国としての必要な支援を考えてまいりたいと思っております。
江田委員 ありがとうございます。
 だんだん時間もなくなってきましたが、ぜひこれは大臣にお伺いしたいと思っております。
 治験における制度的な基盤を充実させることにおきまして、改正法、この薬事法の改正というのは、今のように、非常に評価できるものでございます。実際の治験の現状は、しかし実際は、これまでは、遅い、高い、質がよくない、こういう三拍子そろった批判がこの日本の治験制度に対してはなされてきたところでございます。
 そこで、質問でございますが、国内で開発された医薬品が海外に逃げていくのではなくて、日本国民がまずその便益を享受できるものにするという目的から、医療機関における臨床試験の体制整備を行う必要があると思います。これにどのように具体的に取り組まれるか。今までの質問とも重なるかもしれませんが、大臣、よろしくお願いします。
坂口国務大臣 確かに、日本の中の治験のあり方というのはいろいろの御指摘がございまして、私の知っている先生方も、新しい薬を開発したんだけれども、日本においてはこれは遅いからというので、アメリカに行きまして、アメリカで、向こうで薬をつくって、そして対応するというようなことを話を聞きますと、せっかく日本の学者の人たちが立派な薬をつくりましても、海外でまず最初にその治験を受けて、向こうで許可を得るということになってしまうと大変残念だなというふうに思っております一人でございます。
 国内におきます治験の停滞は、患者にとりまして、国内治験がおくれることにより最先端医療へのアクセスがおくれるということ、それから、国内製薬産業にとりましては、研究開発力が低下をしまして企業の衰退とか雇用の減少を引き起こすということ、あるいはまた、医療機関や医師等にとりましては技術水準の向上がおくれる、こうしたマイナス面があるというふうに思っております。
 それで、治験の迅速化と質の向上を図りまして、国際競争力のある治験環境、これを実現させますためには、大規模治験ネットワークの創設と治験コーディネーターの養成の拡充、この二つに力点を置きたいというふうに思っております。
 先日もがんセンターの皆さん方のお話を聞いたりもしたわけでございますが、そういたしますと、やはり患者さんの団体がリードして治験者を集めたりということが諸外国で行われますけれども、日本ではそういう形態になかなかなっていないといったようなこともあるというお話も聞いたわけでございます。
 もう治験の数も日本とアメリカとでは一けた違う。日本が百名なら向こうが一千名、こういうことになってしまうというようなお話を聞きましたので、大規模な治験ネットワークの創設というものにひとつ注意をして、ここを充実していきたいというふうに思っている次第でございます。
 それから、コーディネーターの皆さん方の養成というのも、これも大変大事なことでございまして、この増員も図っていきたいというふうに思っている次第でございます。
江田委員 今まで薬事法の件について御質問させていただきましたが、今も大臣がおっしゃられましたように、特に臨床試験の体制の整備、これが、やはり患者さんの必要とする薬を安全に有効にお手元に届けるという意味では非常に重要でございまして、それで早く患者さんが使えるようになる。
 その場合の、今大臣がおっしゃいましたように、大規模治験への支援、ネットワークを整備していくということと、治験コーディネーターを育成してその質を高めていく、これは私も非常に大事なことで、薬事法の今回の改正につきましてはかなり政府はよくやられている、そういうふうに、専門分野をやっておりましたので、そのように思う次第でございます。
 時間がなくなってしまいましたので、最後の一問になるかと思いますが、これは今回の薬事法と直接かかわることはないかもしれませんが、一つ確認をさせていただきます。それは、医薬品販売に関する規制緩和の考え方についてでございます。
 内閣府の総合規制改革会議におきまして、一般用医薬品を薬剤師などの専門家のいないスーパーやコンビニで販売できるよう規制緩和を一層促進すべきだとの議論がなされております。
 確かに、不要な規制を緩和することは経済を活性化するとともに消費者の利便性にもつながる、そういうふうに思われますが、医薬品というのは、人の命、健康に直結するものでございまして、これを安易に扱ってはならないと思うわけでございます。
 国民の健康を守って、安心して服薬してもらうためには、たとえ一般用医薬品であっても、薬剤師などの専門的な知識、経験を有する者のアドバイスのもと、薬局や薬店において適正な販売が行われることが必要であると考えます。私は薬剤師ではございませんので、これは族的な質問をしているわけではございません。そのように思うわけでございます、公正に。
 そこで、質問でございますが、一般用医薬品を一般小売店で販売するなど、医薬品販売に関する規制緩和というものは、患者の安全や権利を安易にこれは考えているのではないかと思いますが、厚生労働省の見解をお聞きしておきたいと思います。
坂口国務大臣 薬につきましては、これは大変、健康を維持しあるいは増進させるために必要なものでありますと同時に、これまた使い方が難しい。そしてまた、使い方を誤りますと健康を害するということもあるわけでございますし、今御指摘になりましたような副作用の問題もあるわけでございます。
 したがいまして、一般小売店で医薬品を販売することは認められないというふうに従来厚生労働省としては主張してきたところでございますけれども、最近になりまして、規制改革推進三カ年計画なるものが改定されまして、そこで、しかしそうは言うけれども、その中で、副作用が非常に問題になるとかというような本格的な治療薬ではなくて、もう少し一般的に認められるものは認めてもいいのではないか、こういう御意見が出ていることも事実でございます。
 したがいまして、この規制改革推進三カ年計画におきましては、「一定の基準に合致し、かつ保健衛生上比較的危険が少ないと専門家等の評価を得たものについて、一般小売店で販売できるよう、見直しを引き続き行う。」こういうふうに言われているわけでございまして、こういうふうなことを厚生労働省に対しましてもこれは指示されたわけでございますので、我々といたしましても、こういう考え方のもとに、もう一度整理をして、そして何がいいかといったようなことをよく検討して、慎重に対応をしていきたいというふうに思っているところでございます。
江田委員 今おっしゃいましたように、一定の基準に従って十五製品群が、これは平成十一年の三月三十一日で規制緩和がなされて、スーパー等で売られているものでございます。そのときに、厚生労働省も、この十五製品以外にそんなに多くそういうものが、一定の基準を満たした、副作用の非常に低いものでというようなものがあるのかというと、そうでもないということもお聞きしております。
 ですから、こういう経済主導的な考え方に左右されることなく、やはり医薬品というのは人の健康、生命に直結するものですから、そこら辺をしっかりと御判断の上、それに対応していただきたいと思いますし、我々もまた応援してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上で終わります。
森委員長 次に、土肥隆一君。
土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。
 きょうは、血液事業に絞って質問したいと思っております。
 昭和三十一年、一九五六年六月決められました採血及び供血あつせん業取締法というのができたわけでございまして、すさまじい名前だというふうに思うのであります。当時の世相をあらわしているのでございましょう。売血が横行している中でさまざまな血液が利用される、そういう状況を勘案して、政府も、献血の推進でありますとか、特に一九七五年はWHOの血液及び血液製剤に関する決議がありまして、いよいよ検討を迫られるという状況でございました。
 そして、いろいろとございますけれども、平成元年になりまして、一九八九年九月でありますけれども、新血液事業推進検討委員会が第一次報告を出しております。少し時間がかかり過ぎたんじゃないかなと。その間にエイズの問題もございました、薬害エイズの問題もございました。そして、さまざまな、厚生省、今で言う厚生労働省絡みのヤコブ病でありますとか、そういうものも出てまいりました。
 歴史は変わりまして、二〇〇〇年になりまして、中央薬事審議会が制度改正特別部会をつくりまして、報告書を出しました。それに基づいて今回の大幅なこの血液事業に関する法律の改正が行われたわけでございます。
 この法案を見てまいりますと、なかなか画期的な法案だと私も思います。それはそれで評価しながら、いろいろと問題点が残っているのではないかというふうに考えまして、きょうはその点について申し上げたいと思うのであります。
 今回の薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案は、要するに、血液にかかわるもの、血液製剤も含めて、国内自給を図ろうということでございまして、この国内自給という四文字が光っております。
 しかし、果たしてできるのかなという、このことを考えますときに、例えば、第三条で、血液製剤の献血による国内自給の達成ということになっております。献血による国内自給の達成。献血であります。採血でもなければ売血でもない、献血。ということは、国民が本当に心からいい仕事だと、特に血液の問題については国民全体で維持していこうという、大変これは崇高な動機がなければできないわけでございます。そこで、四条では、献血による国内自給の達成をしっかりと基本理念にのっとってやると。あるいは、九条では、基本理念として献血による国内自給を達成するんだということでございまして、意気込みは大変結構でございます。
 じゃ、この献血を一手に引き受ける事業者はだれであるかというと、日本赤十字社でございます。この一社にすべて寄りかかってやらざるを得ない基本理念であり、目的であり、国の責務であるわけであります。
 一体、日本の献血状態がどうなっているかということを少しデータで見ますと、厚生労働省がつくってくれました「献血者数及び献血量の推移」というのを見てまいりますと、昭和六十年をピークにいたしまして、どんどん減っているわけですね。ピーク時で、これは千単位ですから二百万ですか、リッターを超えていたんですけれども、今では百五十万リッターまで落ちております。しかも、二百ミリリッター献血者数から四百ミリに切りかえましたから、四百ミリ依存が非常にふえておりますね。それから、成分採血というのもいたしまして、これは供血側、国民の側は比較的楽な分でございますから、成分採血も相当ふえております。
 最も興味を引くのは、過去五年にわたって献血の経験のある人は、六十四歳から六十九歳まで採血してよろしいということになったわけですね。私も採血しなきゃいけない、こう思っておりますが。
 とにかく、いろいろな手を使ってやらなきゃいけないこの献血、採血事業というのは、これはなかなか大変なことだなというふうに思うのであります。国の理想はいいです。それを追っかけるこの採血側の苦労を少し考えないと、とてもじゃないけれども完全国内自給というのは難しいんじゃないかというのが、私の基本的な視点でございます。
 そういうことを考えてまいりますと、なるべく我々はもう国がかりでやらなきゃいけないこの採血事業でありますから、私ども、この採血事業者であります日赤をどう認識するかということだろうというふうに思っております。
 そうした中で、今回法改正が行われたわけでありますけれども、その崇高な国内自給の目的と、それから、現実の採血事業者との間の問題点、あるいはその詰めといいましょうか、これを達成するにはどうしたらいいかというふうな事業者とのいわば合意というものがどの程度できているのか、まずお聞きしたいと思います。
宮島政府参考人 今御指摘ございましたように、今回の改正法案の中におきましては、いわゆる国内自給を基本理念に置きまして、この国内自給達成のために、いわゆる献血を推進していくということを掲げているわけでございます。
 改正法案におきましては、この献血を推進していくためには、国、それから都道府県、いわゆる地方公共団体、さらにはいわゆる日本赤十字社という採血事業者、各関係者がそれぞれ責務を果たしていくということを規定しておるわけでございます。特に国におきましては、この改正案におきましては、基本方針、それから献血推進計画を国が責任を持って定めるということにしておりますし、これに基づきまして、いわゆる採血事業者におきましては献血受け入れ計画を定めるというふうになっております。
 また、採血事業者が献血受け入れ計画を作成するに当たりましては、その地域との連携が大変重要でございますので、あらかじめ都道府県の意見を聞きながら、スムーズに献血受け入れができるような体制をつくっていくということを入れております。また、都道府県の側におきましても、採血事業者による献血の受け入れが円滑に実施されるよう、都道府県献血推進計画というものを定めることにしております。
 こういった形で、国や都道府県あるいは地方公共団体、さらには採血事業者という関係者がそれぞれの役割を担いながら、相互に十分連携を図って進めていくという形で、国を挙げての献血推進を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
土肥委員 特に事業者との話し合いについてはもう少し触れていただきたいと思うのでありますけれども、もう一つは地方自治体の話をなさいました。
 なるほど、都道府県、市町村は、献血受け入れ計画を実施するためには「必要な協力を行わなければならない。」こうされております。「必要な協力」というような抽象的な言い方では、私は市町村がどの程度協力してくれるか疑問に思うとともに、やはり市町村においても、主体的な献血の協力を促すような義務を課さなきゃならないんじゃないかというふうに考えます。
 そうしないと、事業者が幾ら頑張りましても、市町村によっては、非常に冷たいところ、あるいは積極的なところ、いろいろあるやに聞いておりますけれども、当該の地方自治体の献血推進計画というようなものはどうしてつくらなかったのか。それは、むしろ地方に任せるということかもしれませんけれども、もう少し地方の義務を課さないと、これは国家的な自給体制にはなかなか届かないと思うのでありますが、その点、いかがでしょうか。
宮島政府参考人 現在におきましても、いわゆる日本赤十字社が献血推進するに当たりまして、都道府県、市町村、地方公共団体がいろいろな形で支援事業を行っております。
 地域の協力組織をつくっていくとか、あるいは広報活動を展開していくとか、そういう形でさまざまな事業を現在も展開しているわけでございますけれども、今回の法案におきましては、そういったものを、都道府県におきましては献血推進計画という形で一つのきちんとした法律に基づく計画を策定していただくというふうにしております。
 この計画は当然公表されるものでございますので、都道府県はこの献血推進計画で定めましたいわゆる献血を円滑に進めていくためのいろいろな事業をやはり県の責任を持って進めていくということが、法律上も明確になっていくということでございますので、従来、事実上いろいろやられていたものが、より法律上の位置づけを明確にし、かつ都道府県も責任を持って実施するという体制ができていくものというふうに思っております。
土肥委員 地方の協力が計画的に得られるんだということでございますから、大変結構でございますけれども、ところが、実際、献血の現場を、私も町に出ましたらよく訪ねてみるわけです。例えば、バス型になっている献血車がございますですね。ああいうものとか、あるいは、その前で職員が一生懸命大声を出して呼びかけております。
 この採血の場所をめぐって、私が聞いておりますところによれば、例えばどうしても道交法規定に触れるような場所でやりたい、そこが一番人通りが多いからということでございますけれども、何か警察が、県警がうるさく言いまして、メガホンやマイクは騒音防止条例か何かにかかるからだめだとか、私ども政治家はしょっちゅう騒音防止条例にひっかかるようなことをやっているわけでございますけれども。そういうふうな口出しをするとか、何か占有料金を警察が取るというような話は本当でしょうか。こういう、いわば献血車がやってきて献血をするときに、いろいろな条例があるのはわかりますけれども、何か少し協力が足りないんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺の実態はどうでしょうか。
宮島政府参考人 献血を全国的に進めるに当たりまして、厚生労働省は、毎年、都道府県や日本赤十字社と愛の献血助け合い運動という形でその実施を行っておりますけれども、その実施に当たりましては、関係各省庁に対して理解、協力を求めるなど、献血についての取り組みの充実を図ってきているところでございます。
 今、いろいろ道路の使用の問題あるいは手数料の問題等の御指摘ございましたけれども、私どもで一応調べた限りにおきましては、平成十三年度におきまして、移動採血車の道路使用に当たりまして、年間約千七百カ所で許可を受けておるということでありますが、そのうち、おおむね半数強が許可不要という形になっております。それから、残りの半数強が許可料が無料という形になっておりますし、また、今御指摘のあったメガホンやマイクについてでありますけれども、おおむね、通常使用できる範囲のものは問題なくやられているというふうに認識しております。
 なお、この道路使用の手数料等は、各都道府県の条例で定められておるということでございますので、都道府県によっては、その定め方がいろいろあるようでございますし、また免除の規定も持っておるというところがあるようでございます。
 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、今後、いわゆる採血事業者において献血受け入れ計画をつくって献血を進めていく場合に、事前に都道府県の意見を聞いて、よくすり合わせを行って、献血が円滑に推進するような措置を講じていくということ、さらに、都道府県の側におきましても、都道府県の献血推進計画というものをきちんと策定し、これは当然公表されるわけでありますので、そういった中で、今御指摘のような問題に対する解決策も盛り込みながら、円滑な献血を推進していくという体制が、この法律上、その仕組みがきちんとしたことによって、より進められていくのではないかというふうに思っているところでございます。
土肥委員 警察が、条例に基づくとはいえ、占有料を取っているというようなことは私は存じませんでして、そうすると、私有地だとか、あるいは駅の、例えば私鉄の、あるいはJRでもいいんですけれども、私有地なども占拠したら占有料を払っているわけですね。ちょっと通告していない質問ですが、答えられたら答えてください。
宮島政府参考人 ちょっと再度そのあたりを御説明しますと、いわゆる道路使用の手数料につきましては、基本的には各都道府県の条例で定めるということでありまして、その定め方は都道府県によっていろいろあるようでございます。
 それで、一応、平成十三年度についてのいわゆる移動採血車の道路使用についての状況を調査した限りにおきましては、年間約千七百カ所で許可を受けておりますけれども、そのうち、おおむね半数強が許可が不要という取り扱いになっておりますし、残りの半数強も許可料が無料ということでありますので、都道府県によっては、許可が要らないとか、あるいは手数料も無料という取り扱いをやっているところがあるということでございます。
 したがいまして、その点につきましては、今後、献血受け入れ計画を採血事業者でつくり、それについては、先ほど言いました、事前によく都道府県とすり合わせをして、円滑な献血が推進できるような措置をとっていく。また、都道府県側においても、当然、それを支援していくために、献血推進計画を策定していくということでありますので、そこで十分な連携協力が行われれば、必要な措置というものがきちんと確保できていけるのではないかというふうに思っておるところでございます。
    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
土肥委員 ぜひその辺は都道府県に徹底していただかないと、協力を得られていない、妨害されているんじゃないかというような感じすらするわけでございます。
 採血に当たって、採血所の管理等の非常に厳しい規制がございますですね。厚生労働大臣が定める運営管理及び構造設備に関する基本に適合した採血所において採血しなければならない。採血の基準に適合しないときは、改善または業務の停止を命ずることができるということになっております。
 この採血所の定義をもう一遍教えていただきたいと思います。
宮島政府参考人 今回の改正法案の第十三条におきまして、採血所の定義がございます。「血液製剤等の原料とする目的で、業として、人体から採血しようとする者は、採血を行う場所(以下「採血所」という。)ごとに、」「厚生労働大臣の許可を受けなければならない。」という規定になっております。
土肥委員 いや、法文上はそうなんですよ。だけれども、採血所というのは何ですかと聞いているわけです。
宮島政府参考人 したがいまして、血液製剤等の原料とする目的で、業として、人体から採血を行う場所ということになると思います。
土肥委員 それ以上の規制も何もないんですね。広さとか場所とか、その場所の設置だとか、そういう規制はないんですね。
宮島政府参考人 採血所につきましては、いわゆる被採血者の健康の保護、安全あるいは衛生を保持するということから、一定の設備等の基準を設けて、それを遵守していただくということを考えております。
土肥委員 献血ルームという言葉を聞くんですけれども、これは何ですか。
宮島政府参考人 採血所に当たると考えます。
土肥委員 そうですか。
 私は町をよく歩きますけれども、何か目立たないところに、おっというような、ビルの陰の方にとか、あるいは何かビルの三階ぐらいのところにあったりして、市民が余り目につかないところにあるんじゃないかと思うんですね。それから、もっとたくさんつくらないと、移動車が来ているときだけであるとか、わざわざ血液センターに行くとかいうことも面倒な話でございまして、極端な言い方をすると、コンビニがあるように採血所があるというのが望ましいというふうに思うのであります。
 この辺は、もし献血ルームの規定がなければ、いろいろなところに移動献血の部屋がある、移動でも、二十四時間あけておく必要はないわけで、適宜適時にずっと回って、そこに採血する人がいる、そしてそこに献血ルームという大きな看板が上がっていて、ああ、こういうところに身近にあるんだなというぐらいのことをしないと、移動献血車でも私は非常に限界があると思うんですね。
 そういう点で、今後、採血の場所を数多く設けるべきだというふうに考えておりますが、その点はどうでしょうか。
坂口国務大臣 まことに、先生、本当に急所をついた質問をしていただいて、感謝いたしております。
 私は、その昔、そうしたことで随分苦労した一人でございますので、今御指摘をいただきましたような、車の置き場所でありますとか、献血ルームをどこにつくるかということについて、大変苦労をいたしました。
 献血ルーム等を、いいところを借りようと思うと、当然のことながら金が高い。しかし、これは赤十字が中心にやるわけでありますから、赤十字はもともとそんなに金のあるところじゃありませんので、なかなかいいところを借りられないわけなんですね。それで赤十字という名前がついているのかどうかわかりませんけれども、全くないんですね、金は。だから、いいところが借りられない。ですから、本当に、ビルのあいているところをこそっと借りてやっているという。だから、献血者がそこへ行っていただくまでに本当に暇がかかるわけで、どこでやっているのかわからないというようなところでやらざるを得ない。
 ですから、しかし、今まで法律もなかった。閣議決定一本で今日まで、これ、よくぞ来たと思うんですが、そうしたことがあって、今回この法律を通していただくことができれば、法律もここでできるわけでございますので、やはりそれ相応の金もかけないと、ただ血液を集めろ、集めろと言っただけでは集まらない。これは、本当になかなかやってもらえないものでございます。
 これは、県が言ったらいいか。県がどれほど言ってみても、これは、そんな言い方をしちゃ悪いですけれども、やはりお役所仕事はお役所仕事でございまして、それ以上、推進協議会をつくってもらったからといって、献血者がふえるわけではないんですね。
 だから、そこは、本当に熱心なボランティアの皆さん方がおみえになって一生懸命おやりをいただいた経験がございますが、そういう皆さん方にお願いをしながら、やはり場所もちゃんとし、そしてまた献血を街頭でやるときには、街頭でもちゃんと場所をやらせてもらえるようにするというようなことも、それは当然のことながらやはり考えていかないと、本当に、八百万、九百万という献血者を確保することはなかなか難しいというふうに、私も率直にそう思っております。
 非常に苦労しましただけに、先生の御質問、大変ありがたく思いまして、私の出番じゃなかったんですけれども、ちょっと出てまいった次第でございます。
土肥委員 大変、経験に基づく、骨身にしみた答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 ですから、市町村がもっと協力すべきだと思うんですね。いろいろな場所を持っていると思うんですよ、自治体は。そういうところを無償で借りて、返してくれというときには返したっていいじゃないですか。いろいろなところにいろいろな物件を持っているものですよ。
 それから、同時に、国民にも献血ルームをつくりたいから協力してくれないかと言えば、空きビルもあるでしょうし、そういう工夫や努力をすれば確保できるのでありまして、それをだれがするか、日赤がやるわけですけれども、したがって、日赤の皆さんの御苦労はわかるし、予算もないんだというふうに大臣はおっしゃいましたので、なかなか難しいんですが、金をかけなくても知恵を出すというぐらいの取り組みを市町村にしっかりやってもらって、意識を高めてもらわないと、私は、一千万人の献血者を目標とするというようなことは到底及ばない話ではないかというふうに思っております。
 私は、これはちょっと冗談で言うんですけれども、自民党さんの本部の垂れ幕に、相変わらず小泉首相が腕まくりで立っていらっしゃいますけれども、あそこに、献血するように注射を、献血の機械をぶら下げて、献血をしようじゃないかというくらいの発想で国民に呼びかけていただきたい。自民党の議員の皆さん、腕まくりをせっかくしたんですから、献血しているところの姿をぜひつくっていただきたい、提案していただきたい、こう思っております。政府ではございませんで、自民党の側に提案をさせていただきたいというふうに思っております。
 つまり、何を言いたいかというと、もっと総理大臣が前に出て、そして、六十九歳までできるんですから、大いにやるという姿勢を示してほしいというふうに思っております。
 次に移ります。
 献血事業の中で、平成九年に、血液行政の在り方に関する懇談会の報告書がございます。これによりますと、エイズの検査を保健所でしましょうということでございますが、一体、保健所においてエイズの検査は今どういうふうになっているのか。エイズの患者さんの推定数と、それから検査においでになる皆さんとの差がないのか。
 日赤などに聞いてみますと、最近は、献血にやってくる若い人はエイズ検査を目的にやってくるというふうに聞いておりまして、日赤も大変だなと思うわけでございますけれども、善意の献血というよりは、自分の健康診断のために。健康診断のためでも献血はいいと思うのでありますが、相当ふえているのではないかというふうな話も聞いております。この血液行政のあり方の中で、今申し上げました献血を通してエイズの検査をするというような状況を、厚生労働省はどういうふうに認識していらっしゃいますか。
宮島政府参考人 献血に来られる方々につきまして、献血者の中でHIV抗体検査の結果陽性と判定される方の割合が年々増加しているという傾向はございます。しかしながら、国民全体におきますエイズ患者、HIV感染者数の増加に比べればかなり低いレベルにありますので、検査目的の献血がふえているということは一概には言うことはできないのではないかと思っております。
 検査目的の献血により得られます血液につきましては、いわゆるウイルス等に感染している可能性が高いというふうに考えられ、特に感染直後でありますと、ウイルス等の病原体を検出できない、いわゆるウインドー期にある場合には病原体が血液に混入する危険を伴うということで、望ましくないというふうに言われております。このため、検査目的の献血を遠慮していただくということで、これまでポスター等いろいろな広報手段を通じましてそういう呼びかけをしておりますし、献血時の問診におきましても検査目的の献血でないことを確認して、引き続き検査目的の献血が適切でないことを周知徹底していきたいと思っています。
 なお、HIV検査を希望する者は、御指摘のように保健所において無料で検査を受けられますので、そういうこともあわせて周知しているというところでございます。
土肥委員 エイズウイルスを検査したいという若者がおれば、それは結構な話でございまして、保健所に行ってくれればいいんですけれども、おててつないで保健所にエイズの検査に行こうなんという若者は余りいないというふうに思うのですね。どうも保健所というのは行きにくい場所でもありますし。
 これはやはり、エイズ予防についての施策も必要でありますから、なるべくエイズ検査も受けやすい雰囲気というものを設置しなきゃいけないわけでございまして、あながち献血を通じてというのも、何かわからないでもないというふうに思うわけでございます。ですから、気楽に行けるエイズ検査の提供、場所の提供、機会の提供というのもやはりつくらなきゃならないなというふうに感じておりますが、きょうはそのテーマはこのくらいにしまして、次に移りたいというふうに思います。
 今、最も盛んなのは血液製剤でございます。血液製剤の話をしますと、献血という崇高な善意で始まったものが、やがてこれは医薬品というふうに扱われて、そして商売として、極端に言えば商売として流通が始まる。この血液製剤の話を国民に余りすると、自分の献血というのは一体何なんだろうという話になりかねないので、この辺はきっちりと、インフォームド・コンセントといいましょうか、国民に対する理解を求めておかなければならないというふうに私は強く思っております。
 今、血液製剤の状況はどうなっているかというと、何しろ自国内の血液によって原料を提供するわけでございますから、日本赤十字社が、自分のところでも血液製剤をつくりますけれども、同時に業界に、日本では三社あると聞いております、三菱ウェルファーマそれから化血研それから日薬、この三社に血液を提供いたしまして、そして、例えば第8因子でありますとか第9因子製剤、グロブリン製剤、アンチトロンビン3というんですか、それからアルブミン製剤、こういうふうに民間の製造業者に流れてまいりますね。
 平成八年の血液製剤の自給見通しというのを厚生労働省につくっていただいておりますが、日赤が採血いたしまして、自分でと申しましょうか、国内献血由来血漿分画製剤、難しい名前ですけれども、をつくりますが、その民間業者は、海外の血液を使って、そして血漿分画製剤を、日赤のも使いますけれども、大幅に使っております。民間業者が扱う分は二百三十万リットル、国内から供給を受けたものが七十万リットル、そして日赤自身は自分でつくる血液製剤は百十五万リットル、圧倒的に血液製剤は民間業者が担っているわけでございます。
 こういう状況を今回の法改正でも改善しようという考えのようでございまして、海外血液が相変わらず入っているということと、それから、分画製剤でございますからいろいろな危険は相当低いのでございましょうけれども、国内血をもって日本の血液行政は行うんだというときに、海外由来のものとそれから国内のものとがまざって提供されているわけでございまして、将来こういう状況を厚生労働省としてはどういうふうに誘導していこうとしているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
宮島政府参考人 今お話がございましたように、献血は日本赤十字社が今一手にやっておりまして、そこで集められました献血をいわゆる原料血漿といたしまして血液製剤がつくられるということでありますが、先ほどから話がございますように、国内の献血で集められました原料血漿だけでは必要な血液製剤をつくるための量が不足しているということで、結果として、外国からの原料血漿あるいは外国からの血液製剤を輸入して対応せざるを得ないというのが現在の状況だというふうに思います。
 したがいまして、冒頭にもお話ありましたように、いわゆる国内自給を目指すということで、最終的には、国内の献血で得られた血液による原料血漿を使った血液製剤にこれを置きかえていくということで、いわゆる国内自給を基本理念に掲げ、それを達成するために基本方針なり需給計画を定めて取り組んでいこうというのが今回の法律の骨格部分というふうになっているわけでございます。
    〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
土肥委員 ですから、一千万人分の献血量が必要だというのが根拠になっているわけでございますね。一千万人分をどう達成するかというのは非常に難しいな、重い課題だな、こういうふうに思います。私も、何らかの協力をしなきゃならない、国会議員としての協力をしなきゃならないというふうには思います。
 しかし、血液製剤というものの需要がどんどん高まる中で、国内血漿分画製剤で間に合うのかということになりますと、いろいろ議論があるんじゃないかというふうに思っております。
 それで、やはり厚生労働省がおつくりになりました「原料血漿配分システムの概要について」というのがございまして、「配分システムを新たな法的枠組みに位置付けるに際し、以下の点を法的に明確化」すると。その一つは、「標準価格」というものを決めるというんですね。それは、「採血業者の採血関係業務に要する費用を勘案して定める」。それから「「標準価格」及び「配分量」のほか、代替医薬品を含めた血液製剤全体の需給見込みについて、審議会に諮問して定める」。もう一つは、「血液製剤の製造実績等について、製造業者が報告する義務を課す」というふうになっております。
 ここでいわば標準価格を決めて市場原理を廃止するということになるわけでございますし、私は、血液事業に関してはそれもいたし方ないなというふうに思います。何しろ、輸入が相変わらず多いし、厚生大臣による血液製剤需給計画もつくられております。そして、法文上は大変な意気込みで、結構でございます。それくらいの意気込みでやらないと、一千万人献血というのはなかなか難しい話だというふうに考えております。
 しかし、標準価格を踏まえた価格による原料血漿の提供というときに、結局は採血業者、採血事業者がこの現場に当たるわけでございまして、今の血漿分画製剤メーカー三社と日本赤十字社、この間で、価格を決めたり、あるいは、標準価格でございますけれども、標準価格を踏まえた価格による原料血漿の提供というふうな、こういう合意はできているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
宮島政府参考人 現在、いわゆる血漿分画製剤のための原料血漿につきましては、日赤から各血液製剤のメーカーに配分されるという形をとっておりますが、この際には、いわゆる日本赤十字社と厚生労働省、それから血液製剤のメーカーの団体であります日本血液製剤協会、この三者で協議をいたしまして、譲渡価格なり配分量を三者の合意で決めているというのが現在の状況でございます。
 しかしながら、こういったやり方が、価格の決定でありますとか、あるいは配分量の決定過程が大変不透明だという指摘が前々からございました。いわゆる国民の皆様の善意の、無償の献血から得られる原料血漿をこういう不透明な形で配分するのはいかがかという問題が指摘されておったわけでございます。
 したがいまして、今回の法改正におきましては、まさに献血をいただく国民の皆さんの方に理解を得るためにも、その原料である血漿の配分過程を明らかにし、透明性を確保するというのが大きなねらいの一つでございます。このため、原料血漿を配分する際の標準価格や配分量、これは審議会の意見を聞きながら国の需給計画の中において明記していく。もちろん、これは公開の審議会で行いますし、その需給計画は公表されるものでございます。
 そういう形で、いわゆる原料血漿が製造業者にどういった価格で、どういう配分量が配分されていくのかという点につきまして、世の中、国民の皆さんに明らかにしていくという形を今回法律の中に仕組みとして入れているわけでございまして、これによりまして、現在のやり方に比べますと格段に透明性が向上をしていくものというふうに思っているところでございます。
土肥委員 統制経済じゃございませんから、やはりそこには市場的な力関係が出てくるというふうに私は思います。幾ら国でこの値段でやれといったって、なかなかそうはいかない部分が出てくるんじゃないか。
 「血漿分画製剤の市場の状況」というのをやはり厚生労働省からいただいておりますけれども、日赤は圧倒的に負けているんですね。
 例えば、アルブミン製剤のシェアでいきますと、日赤は四、五%でございましょうか、圧倒的にバクスターでありますとかバイエルでありますとかがシェアを握っております。グロブリン製剤を見ますと、もう日赤は参加していない。これには日薬も化血研も頑張っておるようでございますけれども、圧倒的なのはやはりUCBでありますとかウェルファイドでありますとかという業界がシェアを握っている。第8因子の製剤のシェアなんかを言いますと、これは遺伝子組み換え製剤も含むと書いてありますが、ここは日赤がやや頑張っておりますけれども、日赤は三〇%ぐらいでしょうか、やはり圧倒的にバイエル、バクスター、こういう状況なんですね。
 これは、やはり何で日赤が負けているのかということを聞きたいところでございますが、ちょっとこれは通告しておりませんが、感想で結構ですからお答えください。
宮島政府参考人 日赤がということよりも、日赤も含めまして、やはり日本の三社のメーカーの製造能力といいますか、これが我が国の需要をすべて満たすまでの製造能力を現段階では有していないということだろうというふうに思います。
 したがいまして、これも今回の改正法の基本に戻りますけれども、国内自給を進めていくという観点から、国内献血由来の血液を原料血漿とする血液製剤のウエートを高めていくという過程で、日本赤十字及び国内メーカーの生産のウエートを上げていくという形の方向を追求していくということではないかというふうに思います。
土肥委員 結局、物を売るときに負けるというのは、値段が高いか販売力がないかということでございまして、これはなかなか、統制価格をつくってもそううまくいくものじゃないなというふうに私は思っております。
 急な質問ですけれども、大臣、この血液製剤についての御感想をお聞きしたいと思います。
坂口国務大臣 これは、もう赤十字が商売が下手だということの一つに尽きると私は思っています。元日本赤十字職員が言うんですから間違いございません。
 これは、やはり、それ相応の製品をつくりますのに値段がかかる、しかし、他の専門の業界のところに比べますと、効率的にようつくらない。人はちゃんと全部置く、そしてきちっとしたものをつくる、それは大事なことなんですけれども、しかし効率的にようやらないものですから、どうしても値段が高くなってしまう。それで、ほかの業界の皆さん方は、ほかの薬と抱き合わせで、そして安くお売りになるといったようなこともあるわけで、そうするとそれについていけないわけでありまして、買います方は安い方がいいに決まっておるものでございますから、それは、赤十字の方の生産はいたしましても、いつもそれが残ってしまう、こういうことになるのだろうというふうに思います。
 ですから、製造は赤十字にもやらせてもいいと思うのですけれども、その販売まで赤十字にやらせておったのでは、これは私は、うまくいかない、そこはもう切り離したらどうかなという気もしないでもありません。製造はちゃんとやらすということはいいと思うのですけれども、そんな、商売のできない者に商売させておったって、これは話にならないと思っております。赤十字の人が聞いていましたら怒るだろうと思いますけれども、そう思っております。
土肥委員 大変率直な御意見をいただきました。私は言わぬでよかったと思っておりますが。
 やはり日本赤十字社も血液事業をやっているわけですから、献血とはいいながら、それなりの努力をしていただかないと、それではもう価格統制するんですよといった場合に、では日赤が販売量がふえてよかったというような話にはならないと思うんですね。民間業者はそれでは何なんだという話にもなりかねないことでございますので、その辺は、厚生労働省も含めて、日赤の分画製剤のあり方について大いに議論をしていただきたい、こういうふうに思います。
 さて、最後になりますが、危機管理の一つの考え方として、血液あるいは分画製剤などがどういうふうに常時保管されたり、あるいは備蓄されたりしているのかということをお聞きしたいと思うのであります。
 私は神戸でございますので、阪神・淡路大震災を経験いたしまして、約六千四百名の方が亡くなり、十万人ぐらいの方が傷害、けがをなさったわけでございます。あのときを思い起こしますと、診療所あるいは病院全体がつぶれてしまっているというところもございましたし、それから水も出ない、電気もとまりましたので、もちろんガスもとまったわけでありまして、お医者さんがいて、輸血をしなきゃならないというような状況で、かなり頑張ってもらったというふうに聞いております。日本赤十字さんも、聞いてみますと、当日の朝、もう既に、特に関西地方では神戸に血液を輸送するという体制をおとりになったようでございまして、幸いなことに足りなくなったというふうな話は私も聞いておりません。
 しかし、医薬品をめぐる震災地の話はいろいろ問題が出てまいりまして、それはもう、これから一つ一つ取り上げておかなきゃならないのでありますけれども、例えば、私がお世話したロサンゼルスから医療団がやってまいりました、看護婦さん、医者など。彼らは重装備でございまして、どこでも寝られます、だからどこでも行きますと言うのであります。それから、水も飛行機で運んで、何トンと持っているのですね。これはもうびっくりしました。
 ところが、神戸市の国際部と交渉しましたら、人手がありませんと言うのですね。私に受け入れてくださいと言うので、私、関空に着いて、船で神戸に来て、ところが、港が全部壊れていますから、でこぼこの道をたどって、そして彼らを迎えて、一人一人タクシーに分乗させて神戸市役所に行ったわけでございます。ところが、外国人の医療団でありますから、治療はできない、こう言うわけですね。治療してはならない、こう言うわけです。ですから、何なんですかと言われて、私も大いに戸惑ったわけでございまして、海外の捜索犬、犬ですね、あれもそうであります。移動しちゃいけない、動物検疫をまだやっていないからだめだ、こう言うわけですね。私は、そのときに、何という国だろうというふうに思いました。
 ですから、その他、海外から来た医療チームというのは、医療法でありますとか、いろいろなものに触れるから、人間をさわってはならない。それでもやはり入るというので、お元気ですかとか言って、血圧をはかるとか、脈をとるというふうなことはやらせてもらったようでございますけれども、そういうことを経験しましたときに、日赤はかなりの応援体制をとっていただいたようでございまして、大変ありがたいと思うのであります。
 昨年の九月十一日のニューヨーク・テロで、非常に有名なFDA、アメリカ食品医薬品局は、緊急に膨大な輸血用血液を用意したというのですね。そして、その内容についても、やや問題のある血液も必要だ、人間を救うために必要だということで緊急に調達したというわけでございます。
 日本では、この血液行政に絡んで、医薬品もそうでありますけれども、今危機管理体制の中でどういう政策をとっていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
宮島政府参考人 今御指摘の危機管理の関係でございますけれども、私どもとしましても、昨年、輸入している血液製剤の一部が、突如、輸出側の会社の都合によりましてとまって、医療現場に大変不安をもたらしたような事態がございまして、この危機管理の重要性を痛感した次第でございますが、その際に、急遽、私どもとしましては、日本赤十字社なりメーカーあるいは関係者と協議をいたしまして、国内生産を増強するという形と、あるいは成分献血する等の呼びかけを強める、これは大臣も先頭に立ってやっていただきましたけれども、そういう対応を急遽行ったわけでございますが、今回の法案の中では、そういったことも踏まえまして、こういったいわゆる緊急の事態にも備えるために、血液事業部会、これは、薬事・食品衛生審議会の中にあります血液事業部会の中に運営委員会というのを常設の機関として設けることを予定しております。この運営委員会には血液製剤を使用する患者代表の方にも参加していただくこととしておりますけれども、この運営委員会におきまして、恒常的に血液事業につきまして定期的な評価といいますか、いわゆるチェック、確認をしていく。そこに、さらに、今お話のあったような緊急事態が起こった場合には、機動的に開催し、安全性等に関する情報を速やかに共有、評価する、そういう体制、システムを、きちっとこの際置きたいというふうに思っておるところでございます。
 昨年の、例のときは、一応実行上そういう形を急遽とったわけでありますけれども、今回は、いわゆる常設の体制、機関としてそういう形をとって、こういう危機管理に対応していきたいというふうに思っているところでございます。
土肥委員 血液の供給と、それから、これだけ流通している分画製剤の供給というものをいつも考えておかなきゃならないというふうに思うのであります。特に、血友病の患者さん、大体三千名ぐらいいらっしゃるのですけれども、この第8因子製剤が欠くことができないわけでございまして、そういう方への供給体制などなど必要ではないかというふうに思っております。
 こういう緊急事態における対応は、結局日赤さんがやるわけでございますが、日赤さんとの間でそういう話し合いはしていらっしゃるのでしょうか。
宮島政府参考人 もちろん、日赤におきましても献血を集めることをやっていただいていますし、さらに血液製剤の製造の一部も担っていただいていますので、当然日赤ともそういう対応についての話を行いますし、さらに、いわゆる血液製剤を行っています各メーカーにおきましても、必要な増産をお願いする等の対応をお願いするという形で、こういった緊急事態を乗り切るという形の対応をとっているところでございます。
土肥委員 どうもありがとうございました。
 時間が参りましたのでこれで終わりますが、一つ待望の国家体制ができたということでございますので、これはやはり国、地方を挙げて、そして血液の、献血によるということでございますから、国民挙げての運動にしなきゃならないと思うわけでございます。
 どうもありがとうございました。
森委員長 次に、三井辨雄君。
三井委員 民主党・無所属クラブの三井辨雄でございます。
 今回のこの薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法を改正することになった一つの背景といたしまして、HIVあるいはヤコブ病などの反省に立って行ったという側面もあると思うわけでございます。そのコンセプトを理解できますし、また、このような改正がなされることは非常に意味のあることだと考えております。
 ところで、けさの、これは読売新聞でございましょうか、実は私は朝見たわけでございますが、「薬害肝炎「六割発症」学会報告」、こういう記事が報道されております。これはフィブリノゲンによる薬害肝炎でございますが、一九八四年に既に輸血学会で発表されているわけでございますね、これが医療現場や当時の厚生省の薬事行政に生かされていなかったという報道がされているわけでございます。
 今回の改正に伴って、ぜひこういう点をきちっと踏まえていただいて、薬事行政においてはしっかり取り組んでいただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。
 さらに、今回の改正をより実効あるものとしていくために、今後これをどのように運営していくのか、あるいはまた医薬品等の審査体制の充実、それにかかわる人材の育成、そしてまた周辺環境をどのように整備していくのか、大変重要になってくると私は思います。
 私も、たびたび申し上げておりますが、薬剤師出身でございますので、また病院経験もございます。患者さんと触れ合うこともたくさん多くございました。医療の提供に当たっては、やはり患者さんの安心そして安全が確保されることが第一であると私は考えております。また、本来、病気を治し、人の健康を守るべき役割を担うのは、やはり医薬品によることが多いと思います。しかし、不幸にして副作用などの被害に遭われた方々に対する救済がどのように行われていくのかというのが大変重要なポイントになってくると私は思うわけでございます。今回、そのような観点から質問をさせていただきたいと思います。
 今回の薬事法改正のポイントの一つといたしまして、承認・許可制度の見直しがございます。
 現行の薬事法によれば、医薬品を例にとりますと、品目の承認と業の許可という厳しいハードルを越えたものだけが国内の医療現場で使うことができるわけでございます。医薬品は患者さんの体に直接入るものが多くあるわけでございますから、それらを安全に使用されることが私は絶対的に必要である。その承認に当たっては、先ほどそれぞれの委員の皆さんから御質問がございました、有効性とともに安全性が担保されるような厳格な審査をされなければならないと思います。そしてまた、その医薬品が迅速に患者さんに提供されることも必要であろうかと思います。
 より有効で安全な医薬品が迅速に医療現場に提供され、使用されることができるように、医薬品や医療機器の承認・許可制度の審査体制を今後どのように整備していかれるのかが、ますます重要になってくると私は考えるわけでございます。
 そこで、質問でございますが、今回の改正によります承認・許可制度の見直しの考え方を御説明いただくとともに、どのような見直しが行われたのか御説明いただきたいと思います。政府参考人で結構でございます。
宮島政府参考人 今回の改正におきましては、現行の承認・許可制度の見直しというのが一つの大きなポイントになっております。
 その背景といたしましては、医薬品等を提供する企業におきまして、提供する製品の有効性、安全性、品質についての検証、管理というものに加えまして、市販後に重大な副作用が発生した際にどのような対応をとっていくかという、いわゆる市販後の安全対策、危機管理体制の構築というのが昨今非常に重視されるようになってきたということがございます。
 それからまた、最近におきまして、いわゆる製薬、医薬品等を提供する企業の経営形態といたしまして、製造の一部を外部に委託したりあるいは分社化等の経営をとるという企業形態の多様化というのが見られますし、さらに、企業活動のグローバル化に伴いまして、欧米と我が国との医薬品についての制度、システム等をそろえていく、調和させていくという必要性も高まってきているという背景があるわけでございます。
 こういった背景を踏まえまして、今回、承認・許可制度の見直しを行うということで、その内容は、現行の製造業、現行法におきまして製造業というのは医薬品を製造しそれを市場に提供していくという一連の行為がセットになっている形になっておりますが、今回の改正案におきましては、現行の製造業のうち、いわゆる製造部分というのと、製造された製品を市場へ出すいわゆる元売行為というものを分離いたしまして、元売業につきまして新たに許可制度を設けたということでございます。その結果といたしまして、製造につきまして、完全にアウトソーシングを自由化することが可能になるということでございます。
 しかし、あわせまして、先ほどの安全対策の重要性にかんがみまして、いわゆる元売業の許可要件といたしまして、品質管理及び市販後安全管理体制の整備を明確に位置づけるということにしております。
 これによりまして、企業の活力を十分に生かせる医薬品、医療機器等の提供体制の確保ができますとともに、安全体制の充実強化が一層図られるということで、この両面の課題を解決するという目的を持ちまして今回の改正を行っているということでございます。
三井委員 今御答弁いただきましたように、確かに事業の活性化、その反面、やはり安全管理ということに特に重きを置いていただきたいな、こういうぐあいに私は思うところでございます。
 また、有効で安全な新規の医薬品、あるいは医療機器等による、これを早く国民に届けるためにも、国において医薬品や医療機器に関する専門的能力を持った人材をさらに育成強化すべきでないかと考えますが、厚生労働省のお考えをお聞きしたいと思います。政務官で結構でございます。
田村大臣政務官 先生の御指摘いただきました点、大変重要な点であると厚生労働省の方も考えております。
 審査体制の強化でありますけれども、平成八年の改正期におきまして、この増員をどう図っていくかということで、その後、平成九年から計画的に増員を図ってきております。ちなみに、平成七年に九十九名でございました審査担当員が、平成九年には百七十二名、平成十三年には二百四十一名というふうに増員いたしてきております。もちろん、FDA等々と比べますとまだまだ足らないわけでありますけれども、当面、早く五割増を実現していきたいな、こんなふうに考えております。
 それから、審査機関の方でございますが、よく出ます昨年十二月の特殊法人の整理合理化計画等も踏まえまして、例えば現在審査をしております医薬品医療機器審査センター、それから医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構及び医療機器センターを統合いたしまして独立行政機関といたしまして、ここで新たに審査をしていこう。ただ、これに関しましては、設立に当たりましては、おっしゃられましたとおり、より一層の安全性それから審査の迅速性といいますか、これをどう実現していくか、これは大変重要な点であろうと思います。
 増員の部分もあるわけでありますけれども、同時に、能力を有している人をどうやって整備していくかという部分から考えますと、例えばバイオ、ゲノム等々、非常に先端的な製品が出てきております。この専門知識を有している、これは大変重要な点であろうと思います。
 それから、迅速性という点がございましたけれども、がん治療等々、非常に薬等々に関しましても早く承認が欲しいという部分もございまして、これをどうやって迅速化していくか、この点も非常に重要な部分であろうと思います。
 それから、今回の制度改革といいますか、この法律の中でも非常に重要な部分でありますけれども、高リスクの医療機器等審査の充実というものを、めり張りをつける中でどう進めていくか、これも大変重要な部分であろうと思います。
 それから、先ほど局長からもお話ございましたけれども、市販後の安全対策、この点を考えますと、情報収集それから調査、提供能力といいますか、こういうものをやはり整備しなきゃならない、こういう観点。非常に専門的な能力を有している人材をどう育てていくか、どう充実していくか、この点、おっしゃられますとおり非常に重要な点であろうと思いますので、これからも順次これを準備していくように努めてまいりたい、このように思っております。
三井委員 大変御丁寧な御答弁、ありがとうございます。
 今政務官おっしゃられましたが、この教育、本当に専門官を、能力のある、特にバイオ、ゲノムという面では大変重要な教育という問題が必要になってくると思います。これはぜひ強力に推し進めていただきたいと思いますし、今の人員配置ではとても難しい、私はこういうぐあいに思っております。どうか、より一層増員の強化にお努め願いたい、こういうぐあいに思うところでございます。
 ここで、先ほどから申し上げておりますように、医療現場に目を向けてみますと、例えば、先ほども江田議員がおっしゃっていました、海外で使用されているにもかかわらず、国内では制度上使用することができない。すなわち、国内ではまだ承認されていない医薬品だけれども、その薬を使わなければ治療法がないという医薬品が多々あるわけでございますね。
 このような場合に、患者さんや医療現場の方々は、何としてもその医薬品を使いたい、そして本当にわらをもつかむ思いでいろいろな情報を得ながら、この気持ちにやはり私はこたえるべきじゃないかなと思う次第でございます。また、その医薬品を使用することができないケースも聞いております。ですから、これはもう一歩踏み込んで、こういう医薬品は、先ほど大臣が御答弁されていましたけれども、より迅速にこういう薬を早く取り入れる必要があるんじゃないかな、こういう問題を指摘していきたいと思います。
 昨年、私のところへ、慢性骨髄性白血病の薬、これはグリベックという販売名でございますが、この審査状況を調べてほしいという患者さんの御家族から依頼がありました。慢性骨髄性白血病の治療法は移植しかないと言われているわけでございますが、この患者さんは御高齢の方でございまして、御存じのとおり年齢制限が骨髄移植にはあるわけでございます。こういう受けられないケース。あるいは、この薬は、欧米では既にグリベックなんかは高い評価を得ているわけでございますが、先ほど大臣が御答弁されましたように、優先審査をより通りをよくして、患者さんに安心してお使いいただくような方策をとっていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。
 このような患者さんの、医療現場の声にこたえるためにも質問させていただきたいのですが、治療薬がそれ以外にないというような必要性あるいは重要性の特に高い医薬品については、現在でも優先的に審査されている例があるわけでございますけれども、医薬品の承認審査をより早く効率的に行っていくためにも、制度的に、体系的に仕組みを検討していくべきではないかと私は考えますが、厚生労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
宮島政府参考人 今御指摘の、医薬品の承認審査をより迅速、効率的に行うという問題についてでございますけれども、平成十二年四月以降に申請されました新医薬品につきましては、現在、申請から承認までの標準的事務処理期間を定めておりますが、これを一応十二カ月と設定しております。平成十二年の新しい医薬品区分の標準的事務処理期間の実際の実態の中央値を見てみますと、約八カ月まで短縮してきておるところでございまして、現在の段階におきましては、欧米と比べましても遜色ないレベルまではかなり来ているのではないかというふうに思っているところでございます。
 なお一層承認審査の迅速化、効率化を図るというために、一つは、今お話ございましたように、外国におきますいろいろな臨床データ等も相互受け入れするという形で、そのあたりのデータの省略ができる形をとることによって審査をスピードアップしていくという形とか、あるいは、今回の法改正にも入れておりますけれども、原薬のデータ等を直接審査機関に登録できる仕組みであるいわゆるマスターファイル制度というのを今回入れておりますが、これによりまして、現在ですと申請時に一々原薬のデータをすべて添付するということになっておりますけれども、このマスターファイル制度に登録されていればそういったデータの添付を省略できるという形のものも入れております。
 さらに、現在、承認申請は都道府県経由で事務進達されておりますけれども、都道府県経由を廃止いたしまして直接国へ申請するというような形をとりまして、事務の効率化を一層図るということも入れているところでございます。
 それから、先ほどお話にもありましたように、医療上特に必要性が高い医薬品、医療機器につきましては、優先審査制度というのがございますけれども、今後とも、その運用を見直して、必要な医薬品が早く承認されるよう、事務処理期間の短縮化を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、先ほどお話ございましたように、今般、関係の審査機関を統合いたしまして新しい独立行政法人をつくることにしておりますけれども、そういった中でも、先端的な製品や必要性の高い医薬品についての審査をより重点化していくという形で、審査承認業務の一貫的かつ効率的な実施のできる体系的な仕組みを構築してまいりたいというふうに思っているところでございます。
三井委員 まさに優先審査というのは、先ほど私が申し上げましたように、大変重要だと思いますので、より迅速にお願い申し上げたいと思います。
 そこで、被害者救済等について私が思うところをお話し申し上げたいのですが、医薬品とか医療機器というのは、有効性というよい面も持っている一方、副作用という大変悪い面も必ず持ち合わせているわけでございます。まさに、薬はよく毒だと言われますが、やはりそれなりの副作用が伴うということは既に御承知のことと思います。
 実際に調剤業務に私も携わった経験から申し上げますと、医薬品や医療機器にそのような面があることは私も十分承知しております。しかしながら、不幸にして医薬品によって健康被害に遭われた方たちが、運が悪かったということだけで片づけるわけにはいかないと思うのですね。例えばスモンの患者さんがそうであります。
 スモンは、昭和三十年代から全国各地で発生しました。一時はウイルス感染説ですとか風土病でないかということも言われてきたわけでございます。その後、整腸剤のキノホルムが原因であるということが突きとめられました。脊髄の麻痺あるいは神経障害というスモン特有の症状が残り、それに対する治療法はいまだに確立されていないわけでございます。
 スモンは、医薬品副作用被害救済制度が創設される前に生じた健康被害のため、この救済制度が適用されずに来たわけでございますが、和解による一時金や健康管理手当等の給付のほかに、これまで、難病対策の一環として、特定疾患治療研究事業ということにより、医療費の自己負担分について公費負担を行うなどの患者救済が行われてきております。
 しかし、最近、この特定疾患治療研究事業が発足してから三十年になるわけでございますけれども、既に一定の治療法が確立した特定疾患であるためにという研究報告が出されているわけでございます。厚生労働省によると、難病対策委員会でその見直しが行われるということを聞いているわけでございますが、このことによって、患者さんの皆さんが大変な危機感を抱いているわけでございます。
 そこで、この難病対策委員会における検討状況というのはどのようになっているのか、また見直しはどのように行われたのか、まず政府参考人に御説明いただきたいと思います。
下田政府参考人 患者数が比較的少なく、病気の原因がよくわからない、治療方法がない、また日常生活におきまして長期にわたって支障があるといったような要件を満たしたもの、これをいわゆる難病というふうに言っておりますけれども、こうした難病に対しまして特定疾患治療研究事業というものを実施しているところでございます。
 この事業は、そうした疾病の原因究明及び治療方法の確立といったことを目指しておりますけれども、あわせまして、患者の医療費の負担軽減を図ることを目的としまして、現在四十五疾患を対象として医療費の公費負担を行っております。
 この事業は、委員御指摘のように、事業発足以来三十年が経過したということでございまして、その間、医療技術が進歩する、あるいは研究が進みまして原因がある程度わかってきた、一定の治療方法が確立しているものも出てきた、そういったように、難病を取り巻いております環境も大きく変化をしてきているというふうに考えておるところでございます。
 このため、昨年の九月に難病対策委員会を設置いたしまして、今日の医療水準に照らした特定疾患治療研究事業のあり方につきまして、幅広い観点から御検討をいただいている最中でございます。
 この委員会、これまで六回議論を重ねてきておりまして、現在、第七回目を近々に開きたいということで、準備を進めている最中でございます。
三井委員 もう少しやはり患者さんの立場に立って、今七回目を開催されるということでございますけれども、この検討委員会についての内容をまたお聞かせ願えればと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、このスモンの患者さんたちの中には、やはり御自身が下半身不随の、麻痺の重度の障害になりながら、松葉づえをつきながら、あるいは車いすで、寝たきりの患者さんへの訪問活動を続け、また励ましている方もいらっしゃるわけです。少しでも治療の助けになるようにと神経内科患者対策基金をつくり、治療研究開発やケアについての援助も行っておるわけでございます。私は、本当に頭の下がるような活動を続けているんだなと。
 その患者さんたちがとても心配しているのは、スモンが過去の薬害として忘れられてしまうのではないか、また、若年発症の患者さんたちが見捨てられてしまうのではないかという危機感を持っていらっしゃるということなんですね。
 そこで、大臣、このスモンは過去の薬害ではありません。今でも二千九百四十七人、約三千人近い患者さんが存在しているわけでございます。橋本厚生大臣から始まって、歴代の大臣が約束してまいりました。国は、スモンについて、患者団体との約束や経緯を踏まえて、これまでどおりに恒久対策を継続して、スモン患者さんへの医療費の公費負担などの対策を維持していく必要が私はあると思うんです。ここで大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
坂口国務大臣 結論から先に申し上げますと、厚生労働省といたしましては、これまでの経緯を十分に尊重いたしまして、このスモン患者の方々に対する現行の施策というものを決して後退させることはありません。これまでどおり継続をしていきたいというふうに思っております。
 ただ、先ほど局長からも答弁がございましたとおり、特定疾患治療研究事業というものに対する見直しというのはいろいろの方面から指摘をされているところでございまして、この見直しは今後継続をして専門家の皆さん方にお願いをしなければならないだろうというふうに思っておりますが、その中におきますスモンの位置づけというものがどうなるにしろ、今まで継続してまいりましたこの患者、元患者でありました皆さん方、この副作用を受けられました皆さん方に対する施策というものは決して後退させることはありませんので、御理解をいただきたいと思います。
三井委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、このほかにも、この委員会でもいろいろ議論されたと思うんですが、参議院で取り上げられましたSJS、スティーブンス・ジョンソン症候群という、医薬品による副作用だと言われておりますが、私はSJSがどのような症状を引き起こしているのかというのも実はビデオでも拝見しました。また、患者団体の皆さんにもお会いしました。
 そのビデオを見たときに、薬の副作用によってこんなひどいケロイド状になって、口にも湿疹ができ、口の中にもできる。そして、もうその状態を見たときに、やはり一般薬でもそういう症状が出てしまう、あるいは処方薬でも出てしまう。食べ物でもよくありますように、非常に、先ほど申し上げましたように、薬というのは使い方によっては毒にもなりますし、大変な、私は患者団体の皆さんにお会いしたときに、特に目に症状が出られているんですね。涙が、要するに目が乾いてしまって、常に目薬を放せない、目薬を差していなきゃならない、こういう状況にあるわけでございます。
 私、そういう患者さんとお会いしたときに、やはりいろいろ原因はたくさんあると思うんですが、これ、年齢に関係なく発症しているということはあるわけですね。よくお聞きしますと、百万人に一人とかあるいは特異体質だとかと言われておるわけでございますけれども、しかし、前回大臣もたしか御答弁されたと思うんですが、この実態についてはまだまだわからない。どれぐらいの患者さんがいるのかもわからない。
 その後、こういう医薬品によるSJSの現状についてどのように実態調査されて、あるいはどのように対応されているのか、御説明いただきたいと思います。
宮島政府参考人 御指摘のスティーブンス・ジョンソン症候群につきましては、抗生物質製剤あるいは解熱鎮痛剤、抗てんかん薬等の医療用医薬品のほかに、いわゆる総合感冒剤等の一般用医薬品においても起こり得る副作用として知られているところでございます。
 この医薬品によって引き起こされるスティーブンス・ジョンソン症候群につきましては、その発症頻度は人口百万人当たり年間一人ないし六人とされておりますし、また、その多くは治癒するというふうに言われております。ただ、一方で、角膜に障害が残ったり、場合によっては死亡に至るということもあるというふうに言われております。医療機関、薬局または製薬企業等からの報告を受けております副作用の発生の状況で見てみますと、年間約二百件程度の発生が報告されているというところでございます。
 このスティーブンス・ジョンソン症候群につきましては、これまで報告された副作用報告をもとに、個々の医薬品に対しまして添付文書の改訂を指示して、医療関係者に対する注意喚起を行っておるところでございます。
 それから、医療機関、薬局向けのいわゆる医薬品安全性情報誌、これにおきましてスティーブンス・ジョンソン症候群に対する記事を掲載して、医療関係者に広く情報提供、注意喚起をしておりまして、最近では平成十二年、それから平成十四年においてこの情報誌において情報提供を行ったという対応を行ってきているところでございます。
三井委員 このスティーブンス・ジョンソン症候群というのは私も今まで知らなかった病気でございまして、こんなにひどい症状になるのかなということを実は思ったわけでございます。
 これから、医薬品がどんどん開発されている中で、あるいは医療が高度化になる中で、私はもっとそういう患者さんがふえるのではないかという気がするわけでございますね。ですから、この治療法あるいは今後の対策については、ぜひともやはり積極的に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 そこで、今薬局、薬店で販売されている一般用医薬品や、あるいは処方薬も含めまして、健康被害が、今のスティーブンス・ジョンソン症候群だとか以外に、そのほか多くの健康被害が出ているわけでございますね。それはもう、そのときの体調にもよります。あるいは持って生まれた特異体質もあります。そういう中で、やはり私が申し上げたいのは、こういう副作用が生じる。それにはやはり薬剤師がもっと専門化していく必要があるだろう。
 そして、きょうは後ほど岸田副大臣にもおいでいただいておりますが、よりここで薬剤師の資質を上げる必要がある。先ほど江田議員も質問されておりましたが、やはりこういう薬剤師の指導があって――それでなくても今スーパーやあるいはコンビニでビタミン剤が売られている。あるいは規制をすべきということで議論がなされて、先ほど大臣も御答弁されておりましたが、規制改革三カ年計画の改定において、医薬品について一般小売店でも販売できるよう見直しを引き続き行うという閣議決定がなされているわけでございます。
 しかし、国民の健康を守るべき厚生労働省は、このような総合規制改革会議の動きをなぜ許したのかということを強く実は私は質問したいのであります。
 この会議には医療の専門家は一人も入っていないんですね、このメンバー表を見ましたら。これは経済学者ですとか経済人ばかりですよ。こういう方たちが入って、こういう制度を規制緩和していくというのは、今申し上げましたような薬害の問題がいろいろ取りざたされている中で、コンビニやスーパーで、もしかしたらビタミン剤のとり過ぎによっていろいろな弊害も起きると私は聞いております。副作用があると聞いております。
 やはり私は、これからもっと、薬剤師なりが、専門家が服薬指導する、あるいは処方監査する、情報提供する中で、こういう副作用が起きるんだということをぜひ御認識いただきたいのと、ぜひこの中で、今後とも医薬品に関する規制緩和、厚生労働省は、この総合規制改革会議、これをさらに、このメンバーを見たときに、私は非常に情けない、何度も申し上げますけれども非常に疑問を感じますし、厚生労働省としては今後どのように進められていくのか、お聞きしたいと思います。
宮島政府参考人 医薬品は、薬局の開設者や薬事法に基づく医薬品の販売業の許可を得た者でなければ販売できないこととされておりまして、一般小売店においては医薬品を販売することはできないということになっております。
 なお、医薬部外品につきましては、作用が緩和であり、薬剤師等の専門家による情報提供の必要性が低いことから、一般小売店でも販売できるというふうになっているところでございます。
 今御指摘の医薬品販売に関する規制緩和につきましては、厚生労働省といたしましては、医薬品は国民の健康や生命に直接かかわるものでございますし、また過量使用や副作用のおそれもあるということから、専門的知識を有する薬剤師等の管理のもとで使用されるべきであり、一般小売店で医薬品を販売することは認められないことを一貫して申し上げているところでございます。
 医薬品と医薬部外品の範囲につきましては、平成十一年三月に、中央薬事審議会における医学的、薬学的観点から十分な御審議をいただきまして、いわゆるビタミン含有保健剤でありますとか外皮消毒剤等の十五の製品群、約三百品目につきまして、医薬品のカテゴリーから医薬部外品のカテゴリーに移行したという経過がございます。
 ただ、このときに、すべての医薬品についての審議を一応行っていただきましてそういう措置をとったところでございますので、現時点において直ちに医薬部外品へさらに移行する検討対象となり得るものがあるとは思っておりませんけれども、平成十四年三月二十九日の閣議決定におきましては、「一定の基準に合致し、かつ保健衛生上比較的危険が少ないと専門家等の評価を得たものについて、一般小売店で販売できるよう、見直しを引き続き行う。」ということで、さきに行いました専門家の意見を踏まえて、医薬品から医薬部外品に移行できるものがあるとすれば、そういったものの見直しを引き続き対応していくということでございます。
 厚生労働省といたしましては、医薬品販売における範囲の見直しに当たっては、当然、専門家の意見を十分に聞き、今後とも国民の安全を第一に、医薬品が適切に国民に提供され、安易に取り扱われることがないように取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。
三井委員 その専門家というのは、今私が申し上げましたように、総合規制改革会議には専門家はいらっしゃらないんですよね。ここの会議の場というのは出たこともありませんし、私は今メンバー表だけいただきましたけれども、専門家というのは、どこで専門家にお聞きになるんですか。
宮島政府参考人 今私が専門家と申し上げましたのは、さきの平成十一年三月に、いわゆる中央薬事審議会で御審議いただきまして、約十五製品群を医薬品から医薬部外品に移した際に、いわゆる審議会における専門家の御意見を聞いてそういう措置をとったということで、そういう意味での専門家ということで、規制緩和会議の専門家と言っているわけではございません。
三井委員 ぜひこの問題につきましては慎重に取り扱っていただきたい。これ以上拡大することのないように、カテゴリー三百六十五品目を医薬部外品になさったということでございますけれども、比較的副作用の少ない、あるいは害のないということの判断でよろしいんでしょうか。
 これはやはり、今申し上げましたように、何で起きるかわからないんですね。例えばそのときの体調によって、私は風邪薬を飲んだとしても、そのときは何ともなかったんです。しかし、体調の悪いときには私も湿疹が出たことがありますし。そのように、今まさに薬剤師なり専門家の指導を受けながらでもそういう副作用が起きるんだ。それは、スーパーやコンビニ、ただ市場経済だけの中で、経済活動でないんだということを私は申し上げたいと思うんですよ。より専門家がやはりこういう服薬指導をしていくということを重視いただきたいとお願い申し上げたいと思います。
 さらに私はここでお伺いしたいのは、先ほども申し上げましたけれども、薬品の有効性という面がある一方、必ず副作用という、あわせ持つ、もろ刃の剣というんでしょうか、がある。だからこそ、医薬品の安易な緩和を行うべきでないということを私は思うわけでございます。できれば私は絶対に行うべきでないと考えているわけでございますので、今後も引き続き監視させていただきたいと思う次第でございます。
 次に、医薬品等に起因する健康被害のうち、先ほど申し上げましたHIV、ヤコブ病のような、人の血液や硬膜など、いわゆる生物由来製品でございますが、これに起因するものについてお尋ねいたします。
 ヤコブ病については、大臣の大変なリーダーシップにより和解に至ったところでございます。これはこの委員会でも随分いろいろ議論されましたが、この貴重な教訓を踏まえて、やはりきちんとした制度的な手当てをしていく必要があるのではなかろうかと思うわけでございます。
 特に、今回の改正においてのポイントの一つといたしまして生物由来製品の安全確保が挙げられているわけでございますけれども、その第一点としましては、記録の保存を義務づける、そして第二点といたしましては、感染症の報告制度を導入する、このような安全性の確保のための取り組みがなされているわけでございます。これは一定の前進であるなと私は評価しているところでございます。
 しかしながら、この生物由来製品は、一方では感染性の因子が含まれているという可能性も否定できないわけですね。また、感染因子の不活化処理などにもやはり限界があると思うんですよ。こういう意味では、やはり化学合成された一般の医薬品以上に、以上にですよ、健康被害の発生が今後も危惧されるわけでございます。
 万一の場合、この生物由来製品による健康被害を受けた場合の被害者救済についてしっかりと考えておく必要があるのでなかろうかなと思います。先ほど私がお示ししましたように、きょうの読売新聞に出ておりますように、今後二度とこういう被害が出ないように、やはりしっかりと被害者救済については考えていく必要があろうかと思います。
 そこで、この生物由来製品に起因する被害者対策についてどのようにまた整備されていくのか、あるいは今後の方針やスケジュールについてお聞かせ願いたいと思います。
宮島政府参考人 生物由来製品によります感染等の健康被害の救済問題につきましては、本年三月に研究会の報告書が取りまとめられたところでございます。現在、この報告書を踏まえまして、新たな制度を創設することについていろいろ準備、検討を進めておりますが、特に、拠出金を負担していただくことになります関係企業の団体等とも理解、協力を得るということでの協議も行っておりますし、さらに、制度を具体化するための実務的な検討システム等についても今詰めておるところでございます。
 また一方で、この感染被害の救済制度におきましては、その対象製品は、今回の改正後の薬事法に基づく生物由来製品を一応対象とする予定にしておりますので、改正後の薬事法に基づく生物由来製品の指定でありますとか、関係記録の作成あるいは保存、こういったものが着実に施行されていくことも、新たな救済制度をつくっていく重要な前提になろうかというふうに考えているところでございます。
 いずれにしましても、関係者の合意を得つつ、来年の通常国会を目途としまして関係の法律案を提出できるよう最大限努力していきたいと思っております。
三井委員 将来に禍根を残さない形で、ぜひとも被害者救済についてはしっかりとお考えいただきたいと思います。
 ここで、薬学教育の六年制について質問申し上げたいと思います。
 今回の薬事法改正により、制度的な安全対策の強化が講じられたと私は思います。再三申し上げておりますが、今回の改正がより実効性のあるものとなるためには、やはり薬事関連業務に携わるマンパワーの充実が必要であろうかと思います。それには、先ほども申し上げましたように、人材の育成が何よりも重要でありますし、また、私の経験から申し上げましても、医療や医薬品の生産あるいは流通の場における薬の専門家としての薬剤師の役割というのは、非常に重要なものであると思うんです。
 今回の薬事法の改正においても、医薬品の製造卸業者については、先ほど政府参考人からも御答弁いただきましたように、出荷前の品質管理から製造販売等の安全管理に至るまで一貫して行うという体制を構築することが求められているわけでございます。
 また、生物由来製品の安全確保対策を充実させるために、特定生物由来製品について、医療現場における薬剤師は、医師と同様に、この有効性ですとか、あるいは安全性の情報を、患者さんに適切な説明をすることが義務づけられると思うんですね。
 このような法改正の目的を達成する意味においても、これから、むしろ薬剤師の、先ほども申し上げましたように、しつこいようですけれども、資質が問われるということだと思うんです。薬剤師自身も、やはり自己研さんをもっと積まなければならない。あるいは、資質の向上を目指す必要が当然あるわけでございますから、行政も、薬剤師の資質を向上させるような環境整備ということを行うことがやはり重要でなかろうかな、私はこういうぐあいに考えるわけでございます。
 厚生労働省といたしましても、薬剤師の資質を向上させるためさまざまな取り組みを行っていると思いますが、そこでお尋ねします。厚生労働省は、薬剤師問題検討会を設置されたわけでございますが、薬剤師の国家試験の受験資格の見直しを検討するということでありますが、どのような方向で検討を進めているんでしょうか。
田村大臣政務官 先生おっしゃられますとおり、薬剤師さんに求められているもの、また期待というのはだんだん大きくなってきておるんであろうと我々も認識いたしております。
 特にバイオ、ゲノム、先ほどもお話ししましたけれども、そういうように、ゲノム創薬だとかバイオテクノロジーというものは進展が非常に激しくて、そして、それに関連する製品が出てまいりますと、当然のごとく、高度な知識でありますとか、また技術の習得、さらには独創的な発想といいますか、そういうものも求められてくるんであろう。特にこれは製薬会社等々の薬剤師さんであられるわけでありますけれども。
 同時に、医薬分業等々で、一般の薬剤師さんに関しましても、それこそ保健医療の世界においても非常にそのウエートというものが大きくなってきておられる。そういうことを考えますと、適切に有効性でありますとか安全性を説明する能力、そういうものも必要であろうと思います。そういう意味では、非常に高度な知識を有したりとか、また、よき医療人といいますか、そういうような能力、資質というものも非常に求められてくる。
 そこで、薬剤師国家試験の受験資格の見直し、また、先ほど先生言われました教育課程、これに対しての見直しというものを、おっしゃられますとおり、薬剤師問題検討会で検討させていただいております。本年六月にも開催をしておるところでございまして、これからも定期的に本検討会を開催しまして、より求められているものにおこたえできるような、そんな能力をお持ちいただけるような形に変えてまいりたい。
 六年というお話もいただいておりますけれども、我が省としてもそういうような形で、試験の方の内容も含めて、六年に対応したといいますか、そういう部分もいろいろと勘案しながら、よりよい方向に検討を進めてまいりたい、このように今議論をさせていただいておる最中でございます。
三井委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 そこで、きょう文部科学省から岸田副大臣においでいただいておりますが、先日も私は七月三日に文部科学省で質問させていただきましたときに、副大臣には質問する機会がございませんでしたが、きょうしっかりと質問させていただきたいと思います。
 先ほど私がるる質問をした中で、やはり教育というのは非常に大事だということを先般申し上げたと思うんですが、それにはやはり国立大学、国立大学の附属病院の存在というのは非常に大きいんだということを申し上げました。そこで、きょうは六年制について、今お話し申し上げましたように、再度申し上げますけれども、薬剤師の資質の向上を図るためには大学における薬学教育の六年制が非常に重要だ、極めて重要だと私は前回五月十七日にこの厚生労働委員会で質問させていただきました。
 そのときに、池坊政務官より、日本の薬学教育が海外と比較して著しく劣っているとは考えられないということを御答弁いただきました。また、六年制を実現するためには、カリキュラムのあり方、実習環境の整備、学生の実習における法的許容範囲の明確化などの検討が先である、また、年限の延長の検討には大学院の修士課程や専門職大学院の活用を考慮するという、かなり慎重な答弁も政府参考人からもいただきました。
 しかしながら、そのときの文部科学省の政府参考人、工藤局長によれば、現状の薬学教育においては実習などの臨床教育が必ずしも十分に行われていないという答弁もあったんです。
 これは、諸外国の例を、今お渡ししましたが、この資料を見ていただけばわかると思うんですが、実務実習なしで薬剤師になれるのは日本だけなんですね。これは、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ。標準年齢が二十二歳で薬剤師になれるというのは日本だけなんです。
 もう一つ私はここで、資料をいただいたのはある大学の教授なんですが、ここに、今、例えば東南アジアにおいても、今韓国も六年制を取り入れているんですね、アメリカは当然六年制以上でありますけれども。
 ですから、この池坊政務官に御答弁いただいた、著しく劣っていないということにはならないんじゃないかなというぐあいに私は思うんです。
 ちょっと済みません、資料がどこか行きましたので、この表だけごらんになっていただいてもわかると思うんですが、今まさに薬事法の改正あるいは生物由来製品に関し、非常に薬剤師の存在というのは大事になってくる、こういうふうに思っております。しかしながら、六年制の問題も十年来の課題であるわけでございますね。そのためにも、やはりこれは、薬学の六年制というのはぜひとも必要である、こういうぐあいに私は考えているわけでございます。
 ここにインドネシアの例もございますが、インドネシアの場合ですと、例えば日本で薬剤師の資格を取っても、自分の国では薬剤師として働けないんですね。ですから、さらにヨーロッパなどに留学して薬剤師の資格を取るという実例もあるわけです。これは本当に日本の薬学教育が海外の教育と比較して遜色がないと言えるのか、私は甚だ疑問だと思うわけでございます。
 また、六年制実現のためにカリキュラムのあり方を検討することが必要だと考えますし、また実習環境あるいは学生の法的許容範囲などは、六年制という方向性が確立されてからでも私は決して遅くないと思うんですね。それと、少なくとも、今後の薬剤師に何が求められているのか。国民の健康を支える、医薬品の専門家として、あるいは医療事故や薬害を未然に防ぐためのリスクマネジャーとして、そのためにカリキュラムをどう組むべきかということは、薬学教育の方向性を六年にするかどうかでおのずと決まってくると私は思うわけでございます。
 そこで、お尋ねいたします。
 私は、今申し上げましたように、文部科学省は薬学教育六年制実現に対してかなり慎重だと思われるんです。それで、薬学教育の六年制の実現についてどのように考えておられるのか、また、何が解決すればこの六年制の方向を決めることができるのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
岸田副大臣 今、先生御指摘になられましたように、医療の高度化、あるいは社会の複雑化、またこの大きな変化の中で、薬剤師の役割、ますます高まっていると認識しております。ですから、薬剤師養成あるいは薬学教育というものの充実、これは文部科学省におきましても大変重要な課題であるというふうに考えております。
 その中にあって、御案内のように、ことし一月に、各関係者において、この解決すべき課題について整理、確認が行われたところであります。それを受けまして、各関係者、今努力を続けているところですが、文部科学省におきましても、先月六月、そして今月七月、来月八月、三カ月にわたりまして、全国の薬科大学に対しましてヒアリングを行っております。それで、このヒアリングを終えてから、省内において検討会を立ち上げるというスケジュールをこれから考えているところであります。
 その中で、何を解決したらいいかという御質問ですが、先生自身、今質問の中で御指摘をされました、カリキュラムのあり方について詰めなければいけない、これは当然のことでありますが、加えて、長期実務実習のための環境整備、これも一つの課題でありましょうし、その際に、学生の免許取得前の実習における薬剤師法上の許容範囲の明確化、これも課題だと思っております。こうしたものを検討会において解決し、そして具体的な成果につなげていく、そのように考えているところであります。
 十年来の議論だという御指摘がありましたが、私も、この問題につきましては十年、スタートをどの時点からということによって計算は違ってくるでしょうが、少なくとも十年以上の議論が続いていると認識しております。
 この十年以上の議論というもの、その議論を続けている間に実態の方が先に進んでしまって、後から議論が追っかけていくというようなこともあったやに聞いております。どうも時代のスピードに追いついていないのではないかと私自身感じているところであります。
 先ほど言いましたようなスケジュールの中で、ぜひ関係者が一層の努力をして結論に結びつけなければいけない、そのように認識しております。
三井委員 ぜひ、副大臣、期待しておりますので。今スケジュールについてもお聞きしました、なお一層早く、先ほどお示ししましたように諸外国から比べても非常におくれていると思うんですね。特に今回の先ほど申し上げました薬事法の改正、顔の見える薬剤師、服薬指導、処方監査、情報提供、こういうことにはより薬剤師の資質が大事だと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、もう一問質問させていただきたいんですが、この薬学教育六年制の実施について、文部科学省がリーダーシップをとり積極的に進めるべきと私は考えておりますが、高等教育としての薬学教育における六年制の導入については、副大臣に、政治家としてどういうぐあいにお考えになるか、もう一度御質問したいと思います。
岸田副大臣 政治家としてとの御質問でございますが、まず、私自身の思いとして、感想として、先ほど申し上げました、この議論自体がどうも時代のスピードについていっていないということを感じております。このことは重く受けとめて、これからの議論のスピードに反映させなければいけないと考えております。
 薬事教育、薬剤師養成の充実、このことの重要性を考えるときに、また、今、日本の国の高等教育が大きく論じられているところであります。国立大学改革を初め、産学連携あるいは大学の再編等、高等教育自身が今問われているときであります。そのこととあわせて、しっかりとした議論を行い、先ほど申し上げましたような論点につきまして早急に結論を出すべく関係者は努力をしていかなければいけないと考えています。
三井委員 どうもありがとうございました。
 最後の質問にさせていただきます。今回、薬事法とともに抜本的に見直されます採供法についてお尋ねしたいと思います。
 この採供法は長年の懸案事項でありましたし、さまざまな関係者の思いがある中で、法案をまとめるに当たって大変御苦労があったろうと私は察する次第でございます。しかし、今回の法案はあくまでもこれはスタートであって、これから法律をもとに、新たな、さまざまな対策を講じていかなければならないといった意見も聞かれるわけでございます。
 そういった中で、採供法を大臣のリーダーシップでおまとめになり国会提出の審議まで来られたことについては、私も多大な敬意を表したいと思います。特に、医師でもあられます大臣に対して、今回の採供法改正案の提出までに至った経緯、これに対する大臣の思い、今後の取り組みに向けての御決意をお聞かせ願いたいと思います。
坂口国務大臣 三十九年に閣議決定をされましたこの献血の問題が、その当時から法整備、法律化をしてほしいという多くの人の要望があって、今日に至りました。少し時間がかかり過ぎたなという気はいたしておりますけれども、しかし、関係者の皆さん方が本当に御努力をいただきまして、そして何度も何度もお話し合いを重ねていただいて、ようやくここに合意をしていただくことができ得た。これは皆さん方の御努力のたまものであると感謝をしている次第でございます。
 先ほどから御議論をいただいておりますように、この問題は大変大事な問題でございますし、これは、人が自分の体の一部を他の人に提供し合うという、まことにとうとい崇高な運動であることも間違いがございません。これにまさる運動はないと私も思っている一人でございまして、そうした意味で、これからこの献血運動がさらに拡大をし、そして、日本の国内におきます血液は日本の国内で賄うことができ得るという体制を一日も早く確立をしなければならないというふうに思っている次第でございます。
 関係者に対しまして、心からお礼を申し上げたいと存じます。
三井委員 どうもありがとうございました。
 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
森委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十五分開議
森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。家西悟君。
 どうぞ着席のままで結構でございます。
家西委員 それでは、民主党・無所属クラブの家西悟です。
 この薬事法の改正に伴っての供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案というものについては、私にとっても大きな問題であります。何とか日本国内で献血による血液製剤をということを訴えてきて、私、はや二十年になります。
 そして、坂口大臣も、このJMSという、冊子というか本なんですけれども、読ませていただきました。インタビューに答えておいでです。血液特別号ということで、ここにこういうふうに書かれている資料があるわけですけれども、これをずっと読ませていただいて、昭和四十年、大学を卒業されて以来、日赤の方で献血センターで献血運動に邁進されてこられたとか、いろいろな思い出を語られている部分も拝読させていただきました。吸血鬼と呼ばれた七年間とかいろいろなことを言われているわけですけれども。
 そして、先ほど来、るる各委員からもお話がありますとおり、この血液事業法の改正というものは私も非常に時間がかかったというふうに思っております。
 まず、昭和二十三年に梅毒の感染事故等から始まり、そして一九六四年、昭和三十九年、ライシャワー大使の事件。そして黄色い血液というふうに言われて追放キャンペーン等々が行われ、そして一九七五年の血問研等々あったわけですけれども、今日までどうしてこれほどおくれたのか、それについてどのようにお考えなのか、なぜ今日までこれほどの時間を要してしまったというふうにお考えになられているのか。その辺、大臣の方からお答えいただければありがたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 まず、この法案をつくるに当たりまして、そしてこれができ上がるまでの間に、委員から大変な御努力をいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。
 この、いわゆる血液事業法と言ってもいいと思うんですが、この法律を早くつくりたいというお気持ちはそれぞれの立場で前々からあったわけでございますが、やはり、患者の代表の皆さん方、それから血液事業を行っておみえになります皆さん方、それから国、都道府県あるいは市町村といった公の立場の皆さん、そうしたそれぞれの立場の中でなかなか意見の一致を見ることができ得なかった。それが最大の問題であったというふうに思っております。
 しかし、そうした長い経過を踏まえまして、そしてその中ではHIVの発生等の問題もございまして、これは単なる閣議決定だけではなくてやはり法律として明確にしておかなければならないという皆さん方の強い思いが募ってきたことも事実だというふうに思います。
 それで、平成十二年末に中央薬事審議会の特別部会の報告書がまとめられました。これは、かなり皆さん方に議論をしていただいて、そして一歩前に進んだ形のものをまとめていただいたというふうに思っておりますが、しかし、なおかつそれでも、それぞれ三者と申しますか、それぞれの立場の皆さん方の御意見の相違が埋まらなかったということでございました。しかし、昨年来、大変な御努力をいただいて、そうした違いをしかし乗り越えて一つの法律をつくろうということで御努力をいただいたわけでございまして、その結果としてここにまとまったというふうに思っている次第でございます。
 長い期間であり、難産ではありましたけれども、生まれました以上、立派にこれは育てなければならない、そんなふうに思っております。
家西委員 難産と言われましたけれども、難産でも難産過ぎたんじゃないでしょうか。私はそう思います。
 そして、先ほど申し上げましたこの冊子の中で大臣もお触れになっておられます。昭和三十九年の閣議決定というものがあったというふうなことを言われていて、当時血液に関しては法律一つなかった、そして、閣議決定というだけではどうしようもないんだというようなことも、発言がここに記載されております。これは大臣の発言です。
 そして、その後というものを単純に計算しても、昭和三十九年ということは、三十八年間という時間を要してきたというふうに思えてなりません。難産というよりも、もうこれは難産どころじゃなくて、大変な、生命に危機を及ぼすぐらいの問題であったというふうに思えてなりません。
 そして、その間に、先ほど大臣からもお触れいただいた薬害エイズの問題、そして、今ではフィブリノゲンを初めとした血液製剤の問題、C型肝炎の問題ということが大きくクローズアップしてきたわけですけれども、今後、この法律というものをいかにいいもの、よりよいものにしていくための努力というものもあわせてしていただかないといけないと思います。
 過去のことばかりを言っていてもまた仕方がないというところは理解はしますけれども、過去の清算もあわせてやらないといけないんじゃないでしょうか。負の遺産と申しましょうか、そういうものも同時にやらないと、私は、解決していかないんだろうというふうに思います。
 そして、質問を少し変えさせていただきますけれども、参議院において、法案の修正で、第四条の「国の責務」について、国内自給のために、献血にかかわる教育、啓発、適正使用のための措置を講ずることを規定されましたけれども、厚生労働省として、どのような教育、啓発を行おうとしているのか。また、自治体のみならず、文部科学省や関係省庁、そして日赤などに対してどのような協力を求めていこうというふうにお考えなのか。その辺について明確に御答弁いただければありがたいと思います。
宮島政府参考人 今御指摘のように、献血を進めていくためには国民の皆様方の理解及び協力がぜひとも必要でございまして、そのために必要な教育及び啓発を進めるべきと、そういう御指摘を受けたわけでございます。
 昭和三十九年八月、先ほど来御指摘のように、閣議決定に基づきまして一応国として献血の組織化等を図ってまいったところでありますけれども、その後、愛の献血、血液助け合い運動等を実施するに当たりまして、政府としましても関係省庁に対し理解、協力を求める等、政府としての取り組みの充実を図っています。
 特に、今御指摘になった、文部科学省とも連携を図りまして、学生用の啓発資料を配付するなどの工夫を行って、いわゆる教育の場におきましても理解、協力を得る工夫を行ってきたところでございます。
 また、平成十一年度より、都道府県、市町村、日本赤十字社、ボランティア団体等の代表者による献血推進運動中央連絡協議会を設置いたしまして、献血を推進していくためのいろいろな課題について協議を行い、これに対応しているところでございます。
 今回の改正案の中におきましても、国が基本方針及び献血推進計画を策定し、採血事業者が献血受け入れ計画をそれぞれ定めるということになっていますが、そういった中で、御指摘の教育、啓発、こういった問題にもさらに具体的な措置を盛り込むよう検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
家西委員 それでは、あわせてお伺いしたいと思います。
 今回のこの法案ですけれども、四月五日に法案提出されているわけですけれども、たしか四月十八日付で文部科学省の方から、国立病院、大学ですか、大学病院の薬剤部また血液輸血部においての人員削減等の通達を出されたように私記憶しておるわけですけれども、これは符合しないんじゃないか。
 啓蒙啓発、教育をしていこう、そして適正使用を図ろうという法律を四月の五日に閣議決定されて国会へ提出されているはずなのにかかわらず、文部科学省の方はその後に、そういったところの薬剤部やまた輸血部の削減、輸血部に関しては人員削減については別というようなこともお聞きしているわけですけれども、符合しないのではないか。この点について、厚労としてはどのようにお考えになられているんでしょうか。
宮島政府参考人 血液製剤のいわゆる適正使用を進めていくということは大変重要な問題であると認識しておりますし、私どもとしましても、血液製剤の使用実態調査なり、あるいは適正使用に関するガイドラインの見直し等によりまして、適正使用の推進に努めてきたところでございます。
 こうした考えに照らしまして、国立大学病院は輸血療法を日常的に行っている医療機関でもございますので、輸血部門を設置して血液製剤の適正使用に努めることが必要であるということを「輸血療法の実施に関する指針」の中でも私どもとしては示しているところでございます。
 今御指摘の点でございますけれども、国立大学医学部附属病院長会議の「医療提供機能強化を目指したマネジメント改革について」という提言を受けまして、平成十四年四月十八日付で文部科学省高等教育局医学教育課長通知が発出されたところでございますけれども、私どもから同省にこの通知の真意を照会したところ、この通知が輸血部門の廃止を意図したものではないというふうに回答されているところでございます。
 また、文部科学省では、輸血部門の重要性にかんがみ、すべての国立大学医学部附属病院に輸血部を設置し、専任の医師及び検査技師を配置しているというふうに私どもも承知しているところでございます。
家西委員 そのようなあれではないというようなことでしょうけれども、実際あの文書を読むと、そうじゃないんじゃないかと思えてなりません。
 そして、血液の使用量の多い病院というのは、えてして大学病院が多いですよね。そういうところでそういうような通達を出されると、担当者というものは、当然、これは人員削減をしなきゃならないんだというふうにお考えになるのが私は必然的な行為ではないのかというふうに思えてなりません。そして、東京で、たしか、これは記憶でしかありません、東京女子医科大学とかを初めとした大学病院で血液、血液製剤の使用量が多いというような表を見た覚えがあります。
 そういうようなことを考えると、あの通達と今回の法律というものが非常に符合もしなかったんじゃないか。そして、そういう連絡体制というものはとれていたんでしょうか、省庁同士の。でなければ、ああいう通達がどうして出たんでしょうか。
 四月五日に、先ほどから言いますけれども、この法案は提出されているわけですね、国会に。しかし、四月十八日にはそういう通達を文部科学省として出している。これは全然納得いかないし、理解もできない。相反しまくっているじゃないか、言っていることとやっていることが違うじゃないかというふうに指摘をしなきゃならないし、厚生労働省としてそういうような実態をいつお気づきになられて、いつそういうふうな問い合わせをされたのか。その辺はどうなんでしょうか。具体的に教えてください。
宮島政府参考人 四月の十八日に文部科学省の医学教育課長の通知が出されたわけでございますけれども、その際に、先生の御指摘のように、輸血部の廃止を意図したものではないかということも取りざたされたために、私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、これまで、「輸血療法の実施に関する指針」等、ガイドラインにおいては、いわゆる国立大学病院等日常的に輸血療法を行っている医療機関については輸血部門を設置して適正使用に努めるということをきちんと示していることもございますので、同省に対してその通知の真意を問い合わせたということでございます。
 同省からは、廃止を意図したものではないという一応明確な返答を得ておりますけれども、ただ、今後これがどういうふうに推移していくかというのを我々はきちんと見守って、輸血部門の重要性というものも引き続き文部科学省に訴えていきたいというふうに思っておるところでございます。
家西委員 それでは、自治体等に対してはどのような、今後の体制ですね、自給体制を整えていく上で責任はどういうふうにやられるのか、また日赤に対してどのように協力を求めていくのか、具体的に教えてください。
 ただ、年間献血量がこれだけ要るからこれだけとってこいみたいな話をされるのか。そうじゃなくて、具体的に、自治体に対して協力要請はこういう形で行います、そのための予算はこうしますとか、日赤に対してそのための何か補助的なものをするとか、何かそういうものが具体的にあるんでしょうか。
 それこそ、国内自給だ、国内自給だというふうに騒ぐのは、やっていくのはいいんですよ、これは。だけれども、現実問題として、それだけの量がとれないとか、とるためにどのような措置を講じようと思っておいでなのか。それを実質集めてくるのは日赤です。その日赤に対してどういうような形で協力をしていくのか。そういうような要請や話し合いの場というものは、しっかりともう既に構築されているんでしょうか。その辺、御答弁いただけますか。
宮島政府参考人 今回の改正案におきましては、まず、国においていわゆる基本方針を作成するということになっております。この基本方針の中では、まさにその中心となりますのは、いわゆる国内自給を目指して施策を推進していくということで、その際に、当然、中長期的ないわゆる需給の見通しというものをまずはっきりとさせていく必要があろうかと思っております。
 これにつきましては、平成九年に一応懇談会等で出されました報告に基づきますものが現在ございますけれども、その前提条件が今いろいろ変化しておりますので、これは改めて、新しい状況下で、その中長期的な需要見通し、需給見通しというものをきちっとまず整理していかなければいけないと思っておるところでございます。
 それに基づきまして、今度は各年度ごとに具体的な、いわゆる献血推進計画というものを国の方で策定していくわけでございますけれども、それによって、当該年度におきますところの必要な確保すべき献血量、それから当該年度で見込まれる需要量、こういったもののバランスを当該年度ごとに調整を図りながら進めていくということになります。
 また、採血事業者の方においては、それに伴って献血受け入れ計画というのもつくっていただくことになるわけでありますけれども、これも、国の方でつくりました献血推進計画で示されたいわゆる確保目標量をベースに、具体的に献血を受け入れていくための計画をつくっていただくということです。
 それをつくる際には、法律の中にもございますように、事前に都道府県等といわゆる協議を行いまして、具体的に各地域においてそれを進めていく際の展開の仕方等を決めていくということです。それに応じて、都道府県も献血推進計画というものをつくるという仕組みになっているところでございます。
 それを具体的にどう進めるかというのはこれから、新しい仕組みでございますので、またそういうものを整理していく段取り等もこれから整理していかなきゃいけませんし、また、御指摘のような具体的なものをどう決めていくかというのもこれからの課題だというふうに思っておりますけれども、そういう仕組みが円滑に進むように、できるだけ実効の上がるものを整理していきたいというふうに思っているところでございます。
家西委員 これからというお話ですけれども、それでは、この法律というのは、制定されて、絵にかいたもちになりませんか。
 これからそういう自給体制を整えていくとかいうお話でしたね、今の御答弁だと。ということは、これは施行された後というものは現状維持だと。輸入に依存していくんだという体制は、今すぐできないから徐々に徐々に上げていくんだということで、いいんだと。
 普通、こういう法律を出されて決まった後というものは、これが法律を施行された後からやるんじゃなくて、その前に、こういう計画で、これぐらいのスパンで需給計画というものを立てていこう、そして、そのために必要な予算措置はこうだとか、そして、日赤が確保すべき献血量というものは何万リッターとか何万単位とかいうような形になってきたときに、とってこいよという話ではなくて、とるための手段として、採血車はどれぐらいが必要なんだろうかとか、きょうも午前中に土肥隆一委員の方からも指摘があったように、採血所をもっとふやすとかいろいろな形の措置もとっていかない限り、高齢少子化という時代において、こんなものは絵にかいたもちになってしまわないのでしょうか。
 結局、四十年余りの時間をかけて法律はできたけれども、中身は何にも変わらないじゃないかということにはならないと言い切れるのでしょうか。その辺、どうなんでしょう。
宮島政府参考人 先ほど私は、この新しい改正法に基づきます献血を推進していくための国、都道府県あるいは採血事業者におきますところの役割なり、そういうシステムについて御説明したわけでありますが、ただ現実には、現在におきましても、先ほどちょっと触れましたが、平成九年に一応まとめられました、いわゆる平成二十年を目標に国内自給を達成するというものをベースに置きまして、現実的にも、計画的な献血確保量を毎年関係者と協議して定め、それを確保すべくいろいろな献血推進事業を現実に現在も展開しているわけでございます。
 これは、都道府県におきましても、それについてのいろいろな支援事業も現実に現在やっておりますし、そういう意味では、全く中身が何もないということではなくて、現在においてもそういったものが現実に行われておる。それを、今回、法律に基づくきちんとした計画なり方針として形づくって、それぞれの責任を明確にして推進していこうという枠組みとしていこうということでございます。
 それから、この改正法は、今御審議いただいているわけでございますけれども、これは成立すれば、私どもとしては速やかに、いろいろな方針なり計画をつくる場合、この法律にもありますように審議会の意見等も聞きながら整理していくという形になりますので、速やかにそういった作業に着手いたしますし、これは公布の日から一年以内に施行ということになっておりますので、施行に間に合うように、いろいろな準備を急速に進めていきたいというふうに思っているところでございます。
家西委員 それでは、具体的にもう一点お伺いしたいと思います。
 需給計画というか自給体制というものを考えたときには、現在では血液製剤の製造において化血研など一部民間企業に依存している部分があると思うんですけれども、国内自給を目標としたときに、日赤の千歳工場だけでは私は不十分じゃないかと思えてなりません。そうしたことについて、もう少し、千歳工場のようなものを国として日赤と協議しながらつくる、またそういうような助成をしていくとかいうような計画というものは、もう既にお立てになっておいでなんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
宮島政府参考人 先ほど申し上げましたように、まず一番ベースになりますのが、当然、基本方針で定められます中長期的な需給見通し、これをまずきちっと整理して、それをベースにいたしまして、それを実現していくために、供給サイドにおきましては、日本赤十字社及び民間の各製造業者がその生産をどこまで高めていくかという道筋を整理していくということになろうかと思います。
 そういう意味では、日本赤十字社はそういった製造部門についての一つの中心になるものでありますけれども、あわせて関係の民間メーカーもその生産能力を高めていくということも必要だと思いますので、その組み合わせをどういう形でやっていくかということにつきましても、いわゆる審議会等の関係の専門家の先生方の御意見も伺いながら整理していきたいというふうに思っているところでございます。
家西委員 民間企業の協力を得ながらということはわかるんですけれども、やはり私は、今回の国内自給ということを考えたときには、一つは日赤が中心となってやるべきだろう。そうすると千歳だけでは数は足らないでしょうし、やはり製造できるキャパというか量というものは必然的に決まってくるわけですから、もう少し考えなきゃいけない。
 それと、何か不測の事態等々が起こったときに、千歳がだめだというふうになったときに、それこそ大変な問題も起こる。ですから、分散して持っておくというのも一つの考えではないのかというふうにも思いますし、余裕を持って生産体制をつくっておくというのも一つではないんでしょうか。
 それと同時に、技術革新の問題もあろうかと思います。
 例えば、モノクローナル抗体製法、Mと言われるものとかについても、もう既に何年たつんでしょうか、結構な時間がたってきていて、外資のメーカーなんかは、ヒト由来ではなくリコンビナント、遺伝子組み換えというような形でどんどん切りかえていっているわけですけれども、そういったこともあわせて、日赤を含めて協議していく場というものはお考えにならないんでしょうか。
 例えば、日赤さんは、ヒト由来、血液由来であってヒト由来のものしか扱わないから、そういうようなものには手は出さないんだ、出せないんだというお話になるのか、それとも、いや、もう国内自給という形で考える以上はそういった技術革新も含めてやっていかないといけないというようなお考えはないんでしょうか。
 例えば、これはやっていくうちに、二十年、三十年たったときに、もっとリコンビナントやそういったものの安全性が確立していったときに、海外から見たら、日本はいまだにヒト由来の製剤を使っているんですか、時代錯誤も甚だしいというようなことにならないのかなという危惧も一方あるわけですね。そういうようなことについてはどのようにお考えになられているのか、その辺、もしありましたら、御答弁いただければ。
宮島政府参考人 今の技術開発の関連におきまして、特にリコンビナントの製剤が御指摘いただいておりますけれども、これについては、まさに昨年、いわゆる輸入のリコンビナントの供給がストップして、医療の場において大変不安が高まったという、ある意味で苦い経験を我々持っているわけでございます。
 その際、やはりその実態を見ますと、このリコンビナントが現在一〇〇%輸入されているということは一つ大きな問題であるというふうに我々も認識しておりまして、特に、凝固第8因子が、一時は自給率一〇〇%までいったものが、その後、リコンビナントの出現によりまして現実の実質的な自給率がどんどん下がってきているということで、非常に外国依存度が高いという状況が、昨年度の輸入のストップということで現実の危機として露呈したということでございます。
 それで、私どもとしましては、やはりそういうものについても一定の国内における生産というものを確保していかなきゃいけないというふうに思っていますが、このケースでいいますと、いわゆるロイヤルティーとかそういう問題もございますので、解決しなきゃいけない問題はありますけれども、やはりそういうもののバランスといいますかも考えていかなきゃいけない。
 それから、あと、アルブミンにつきましては、いわゆるリコンビナントが現在ないわけでありますけれども、これも現在国内メーカーでかなり精力的に研究開発が進められておりまして、かなり製品化に近いレベルまで来ているというふうに聞いております。
 そういう意味では、日本赤十字社並びに各メーカーの研究開発に対する意思といいますか、そういうものを尊重しながら、日本におきますところのこういった血液製剤の研究開発をどう進めていくかということにもあわせて取り組んでいく必要があるかというふうに思っているところでございます。
家西委員 少し議論がかみ合っていないと私今思えたんですけれども、私の質問は、世界水準から見て技術がおくれるようなことは起きませんかと。日赤は血液しか扱わないから、ヒト由来の血液しか扱わないから、そういう方面でしかやらないんだというふうになっていく場合もあるんじゃないでしょうか、そのときはどうするんですか、そういうようなことがないようにさせるとかいうようなことはやるんでしょうかという質問をしたつもりなんです。
宮島政府参考人 今ちょっとお話にもありました、例えばアルブミンのいわゆる遺伝子組み換え製品につきましては、これはまだ世界的にもない製品ですし、むしろ日本のメーカーがかなり技術開発といいますか研究開発を進めて製品化に近いところまで来ていますので、そういう意味では、日本のそういった血液製剤についての技術が世界に比べて劣っている状況にあるということではないというふうに私どもは認識しております。
家西委員 わかりました。ちょっと意味が違うのかなというふうにも思う部分もあるのですけれども。
 それでは、もう一つ問題になっているのは、米国の血漿たんぱく製剤協会などが言われている問題で、今回この法律が制定することによって、国内自給はWTOに反する、自由貿易体制を揺るがすという議論があるというふうに私は聞いていますけれども、厚生労働省として、その点についていかがお考えなんでしょうか。これはWTOに反していないというふうにお考えをお持ちなんでしょうか。その辺、大臣の方から御答弁いただけますでしょうか。
坂口国務大臣 結論から申し上げますと、違反していないと思っております。
 血液製剤は、先ほどから御議論がありますように、国際的に見ましても、それぞれの国がそれぞれの国でやはり生産をしている。日本におきましても、やはり国際的公平性の観点から、日本でその製造をしていく、その血液を集めていくということをやっていかないといけないというふうに思っております。献血を原則としました国内自給を目指す方向で、これは多くの国がそういう方針になっておりますし、日本だけがそういう方針になっているわけではないというふうに思っております。
 したがいまして、海外製品についての需要がある場合にまで一方的に輸入を排除するということは、これは考えられませんし、法案の内容はWTOに違反はしていない。
 そして、自由貿易の世界でありますから、外国からのものを完全にシャットアウトするということはなかなか難しいというふうに思いますけれども、しかし、ここはもう安全性の面からいきましても、国内の献血により国内の製品を堅持していくという立場でやっていくべきだというふうに思っております。
家西委員 私もそのとおりだと思います。
 なぜならば、一九七五年の五月に、WHOにおいて、無償献血を基本とする国営の血液事業を推進すべきとの勧告が加盟国に対して行われたという歴史もあるわけです。そういうことを考えたときに、WTOとWHOの勧告、どちらが重いのかというふうに考えたときに、私は、人の生命にかかわる問題である以上、WHOの勧告の方が優先するというふうにとらえます。
 そして、ここでもう一度改めてお聞きしたいというか、もし仮にWTO違反であると提訴されるというようなことが起こったときに、政府として対決するという御決意はあるんでしょうか。捕鯨問題で、あれは農林水産になるんでしょうか、水産庁になるんでしょうか、IWCの総会等で激しくやっています。あれぐらいの決意でやるという御決意があるのかどうか、その辺について、大臣、もしよかったら御答弁いただけますでしょうか。
坂口国務大臣 先ほど申しましたように、これは、諸外国におきましても自国で血液は供給するというのが原則になっておりますし、そういうことは起こらないというふうに思いますが、もしそういうようなことが起こったといたしましても、毅然として対処したいと思っております。
家西委員 ありがとうございます。非常に心強く思いますし、私も当然そうなれば支援はしたい。
 なぜならば、今まで血栓止血学会やいろいろな場において、吸血鬼日本というふうに非難をこうむってきたのが我々日本です。そして、私は患者として、血液を使う側として、その吸血鬼の一人かという思いで非常に歯がゆい思いをしてきた。どうして日本で国内輸血、献血によってやっていただけないんだろうか、世界の三分の一とか大半の血液を日本に使っている現状、こういうような問題を改正していかない限りだめだというふうに思ってきた者の一人として、今の大臣の御答弁というものを本当に心強く思うし、それは当然支援をしたいし、支持したい。
 そして、もう一点申し上げるとしたら、この体制は、先ほどからるる申し上げているように、絵にかいたもちにだけはしないでいただきたいというふうな思いでいます。
 しかしながら、一〇〇%国内自給というのはやはり難しいだろう。希少薬の問題等々の問題があろうかと思います。そういった問題等を踏まえて、例外措置というものは当然必要だろうというふうに思うわけですけれども、逆に、その例外措置がどんどん大きくなっていって、最終的には国内自給というのは看板だけ、実態は違う、輸入に依存している体制は何ら変わりないというようなことは起こらないというふうに言っていただけるんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
宮島政府参考人 政府としては、昭和三十九年の閣議決定以来、血液製剤について国内自給、国内で献血で行われたものによって国内自給を目指すというのは、まさに政府の方針として一貫して昭和三十九年以来堅持しているものでございますし、現在におきましても、先ほど申し上げました平成九年に一応つくりました平成二十年に国内自給を達成するという目標をベースに、今、計画的にそれに向けて献血を進めてまいっておりますし、今までのところは大体計画どおりの確保を着実に行ってきているところでございます。
 それが今度は、いわゆる法律に基づく枠組み、システムになるわけでありますので、まさに、国、都道府県、採血業者、関係者がそれぞれきちんと責任を持ってさらに進めていけば、国内自給という目標、基本理念の達成に向けて強力に推進できていけるものというふうに思っております。
 今御指摘のいわゆる希少製剤等につきましては、これは日本国内でそれをつくろうと思っても現実的につくれないというような非常に特殊性のあるものでございますので、そういうものにつきましては、やはりある程度例外的に輸入を行うということはせざるを得ないというふうに思っておりますけれども、基本的に、やはり国内自給という大方針といいますか、政府の方針は堅持して、その達成に向けて政策を進めていくということだろうと思います。
家西委員 では、第二十五条、需給計画についてお伺いしたいと思いますけれども、需給計画を定めたり変更するときは、あらかじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聞くことを定めておられますけれども、需給計画の決定は、事実上は薬食審で行われるのか、それとも厚生労働大臣の判断で決まるのか、どちらなんでしょうか。
宮島政府参考人 御指摘のように、改正案におきましては、需給計画の策定に当たって厚生労働大臣は薬事・食品衛生審議会の意見を聞くこととされております。しかし、この審議会の意見を聞いた上で需給計画について決定を行うのは、あくまでも厚生労働大臣であるということであります。
家西委員 それでは、原料血漿の配分後に、製造業者は血漿の利用状況をどのような形で厚生労働大臣に報告されることになっているんでしょうか。
 例えば、もう少し具体的に申し上げると、需給計画というか配分計画を立てられて、そして民間企業等に製造分という形でお渡しになられますよね。それと、単位数、何万単位というような形で上がってきたときに、私は歩どまりが出ると思うんですよね、歩どまり。要するに、一〇〇%の原料で一〇〇できるかというと、そうはできないですよね。もっと単純に言うと、スープでもつくっていたら、蒸発もするし、いろいろな状況があって、ふえるということはなくて、逆に減っていくというようなこともあるということも含めて、そういうような供給配分というような形で出されて、それと符合するというようなことは、これは大臣に報告されるんでしょうか、いかがなんでしょうか。
宮島政府参考人 需給計画におきましては、まさに血液製剤の安定供給を確保するという目的で計画を策定するわけでございますが、その中で、当然一方において需要というものを、これは当然医療機関なりいわゆる使用しているユーザー側の需要というのを調査して、その当該年度の需要量というものをまず設定いたします。
 それから、一方におきまして、供給量につきましては、日本赤十字社なり各国内メーカー、さらに輸入業者、こういうところからそれまでの実績等をベースにどれだけの供給量が見込めるかというあたりをデータを出していただきまして、それらを突合して適切な需給バランスのとれた需給計画というのを策定していくわけでございます。
 したがいまして、当然、日本赤十字社から原料血漿を各メーカーに配分して血液製剤をつくっていただくわけでございますけれども、この需給計画がきちんと計画どおり進んでいるのかどうかというのは、定期的にこれはチェックしていかなきゃいけませんので、当然、製造メーカーがその原料血漿、配分を受けたものを原料として、どれだけの血液製剤の製造を行ったかという量、先ほどまたおっしゃった、いわゆる製造工程の収率といいますか、そういったものも含めまして、その実績を報告してもらうということになります。
 もし、その報告を受けたものが計画と少しずれがあるということであれば、またそこで改善なり修正の指導をしていくということが必要になってまいりますので、それは定期的に実績報告を受けてチェックしていくということになると思います。
家西委員 それでは、需給計画を策定する上で、需給計画をつくられる審議会というか委員会のメンバーから日赤を外されているというふうにも今の段階でお聞きしておるわけですけれども、その理由は何なのでしょうか。一民間企業という理由でそういうふうにされているのか、それは一体なぜそういうふうになっているのか、その辺、具体的に御答弁いただけますでしょうか。
宮島政府参考人 私どもの所管しております医薬品食品審議会の運営に当たりましては、基本的には、審議内容と直接利害関係を有する組織に属する者を正式の委員に含めないということにしておりまして、これによりまして委員の中立性を確保し、これにより公正な審議を確立することとしているところでございます。
 日本赤十字社につきましては、献血の受け入れという事業を行っているという面ではいわゆる採血事業者の一つでありますし、また輸血用の血液製剤や血漿分画製剤の製造を行っているという面では製造業者の一つでございますので、したがいまして、先ほど申しました現在の審議会におきますところのルールに照らしまして、正式の委員にするという形は困難かと思っております。
 しかしながら、需給計画の策定について、日本赤十字社は非常に重要な関係者でございますので、私どもとしては、参考委員として参加していただき、実質的に十分審議に加わっていただくということを考えているところでございます。
家西委員 正規委員ではないけれども、自主的に参加して発言はしていただくということととらえていいんでしょうか。採決権はないということなんでしょうか。いかがでしょう、御答弁ください。
宮島政府参考人 さらにつけ加えて申しますと、日本赤十字社からは今後、いわゆる収支予算なり決算、あるいは事業報告、こういうものも提出していただきまして、これは当然審議会等においてもその状況について議論いただくということもございますので、そういう意味では、正規の委員になるというのは先ほど言ったような理由で困難かと思いますが、非常に重要な関係者であることは間違いございませんので、参考委員という形で、今おっしゃったように、言うなれば採決権のない実質的な委員ということになると思いますけれども、審議には実質的には十分加わって、御意見をいただくということを考えております。
家西委員 本来、私は、正規委員でもいいんじゃないかという思いがあります。
 なぜならば、需給計画を立てて実際に血液を採血される業に当たられる当事者である以上、ここの御意見というものは無視はできない。そして、これぐらいの量だったらできるとか、こういう設備が整えばできるとかいろいろな条件をお出しになられて、それは本当に重要な意見だと思います。そこが正規委員にならずにやろうというのはやはり無理があるんじゃないかなというふうに思えてならないし、ましてや、日赤というのは一民間企業、利益団体等々という発想自体が私はおかしいんじゃないかというふうにも思えます。なぜならば、日本で採血業を行えるのは日赤一つ。そして、日赤法という法律のもとに置かれているわけでしょう。そういうような、経済主義でやっているわけではないところの日本赤十字社という位置づけというふうに考えていくと、単なる利益追求型の企業というふうに考えるのはちょっと筋が違うんじゃないかなというふうに思えています。
 ですからこそ、本来は正規委員としてとらえていくべきではないでしょうかというふうに、これは私の考えというか、もしそれを尊重いただけるのなら、そういうふうなことも含めて今後検討していただければ幸いかと思います。
 それともう一つは、質問を変えます、時間がもう余りありませんので、安全監視体制についてお伺いしたいと思います。
 参議院における附帯決議において、薬事・食品衛生審議会血液事業部会に患者代表を加えること、リコンビナント製剤の安全性確保に関する必要な調査審議を求めますというようなことは、私もこれは重要な役割を期待されていると思いますけれども、こういうような問題があるのにかかわらず、なぜ大臣の直属ではないんでしょうか。この辺はいかがなんでしょうか。
宮島政府参考人 薬事・食品衛生審議会は、厚生労働大臣の諮問答申機関として設置されております。その中に、血液製剤の供給、安全性の確保及び適正使用の推進に関し必要な事項を調査審議する機関として血液事業部会が設置され、今回、運営委員会もこの中に置くことが予定されているところでございます。
 審議会におきましては、厚生労働大臣からの諮問を受け、部会等における審議を経て、審議会としての決定を行い、厚生労働大臣へ直接意見具申するということになっておるところでございますので、そういう意味では、厚生労働大臣と直接結びついた審議会というふうに理解してよろしいかと思います。
家西委員 いや、ですけれども、安全監視体制という位置づけは非常に低いように私は思えてならないんですよね。これは医薬安全局長マターじゃないんですか、この安全監視体制というのは、報告等々は。もし不測の事態が起こったときには対応できるんでしょうか。局をまたぐような話等々が起こったときには、それは対応できるというふうにお考えなんでしょうか。いかがでしょう。
宮島政府参考人 この薬事・食品衛生審議会は、御指摘のように薬事、食品もございますけれども、薬事に関する事項を審議することでございますけれども、例えば、血液製剤につきましての安全性上、いわゆる私ども医薬局だけで対応し切れない大きな問題等が起こった場合には、現在、厚生労働省の中には厚生労働省健康危機管理調整会議という形で危機管理体制ができておりまして、これは全省各局参加し、いわゆる感染研究所なりそういう研究機関も全部入っておりまして、そういう横断的な健康危機管理体制ができておりますので、いわゆる医薬局にとどまらず全省的な体制が必要というふうなケースにつきましては、この厚生労働省健康危機管理調整会議に上げまして、全省的な対応を検討するということになると思います。
家西委員 それで対応できるというのは、私は非常に不安に思えてならないし、安全監視体制というものが今回この法律の本来一番大事な部分だろうというふうにとらえてきました。そして、超党派の血液研究議員連盟という形でも提言をさせていただいたりとかいろいろな形で、この安全監視体制というものが非常に重要である、ここをないがしろにしてやることはよくないということは再三にわたって申し上げてきたわけですけれども、それでやっていけるというふうにお考えということには、ちょっとどうなのかなという不安を若干覚えております。
宮島政府参考人 確かに、御指摘のように、新しいシステムといいますか体制でございますので、それがうまく機能するかどうかという御心配の向きは理解できますけれども、実は参議院の方でも、その点は一つ重要な課題でございまして、参議院の修正におきまして、附則におきまして、いわゆる安全確保体制のあり方について、一応、施行後三年以内に見直しを行って、必要があればまた見直しの措置を行うという規定も入っておるところでございます。
家西委員 参議院の方でもそういうふうにされたわけですけれども、本来私は、これは法に明記すべきだった、安全監視体制というものはしっかりと書いておくべきだったというふうに思います。
 それと、感染症に関する情報収集についてお伺いしたいと思います。
 未知のウイルスや変異たんぱくなどの情報提供体制は、CDCなどはもちろんのこと、世界各国から集めなければならないと私は思いますけれども、その体制は十分であると信じてよろしいんでしょうか。例えば、vCJDの問題。今まで各委員からも御指摘がありました未知のウイルス等々の問題。しかしながら、vCJDという新たな問題が出てきています。こういうようなものの情報収集というものは、CDC及び世界各国のそういうような機関を通じて収集していく、そしてそれは、安全監視体制や、そういうところに報告を逐次していくということは言い切れるんでしょうか。
 今までのように、知りませんでした、MMWRに載っているでしょうというふうに言っても、そんな当時の資料を見た覚えはありませんというようなことがないようにしていただきたいと思うんですけれども、その辺はいかがでしょう。
宮島政府参考人 厚生労働省の情報収集体制といたしましては、これまで、医薬品や医療用具による感染症が疑われる症例の報告を薬事法上、企業に対して義務づけているという措置をとっておりますし、いわゆる国際的に見ましても、WHOの医薬品副作用モニタリング制度等を通じまして、諸外国当局との連携体制の確保に今現在努めているところでございます。
 また、医薬品、医療用具等の関連性が疑われる健康危険情報につきましては、医薬局にかかわらず、省内の他部局あるいは国立感染症研究所あるいは国立医薬品食品衛生研究所において情報を把握した場合におきましても、先ほど申し上げましたように、厚生労働省の健康危機管理基本指針に基づきまして、全省的な連絡連携体制を今確保しているところでございます。
 このようにして得られた情報をもとに、医薬局としては、医薬品、医療用具等の使用による感染症の発生、拡大につながるおそれがある場合には、医薬品等健康危機管理実施要領というのをつくっておりまして、これに基づきまして販売停止や製品回収等の必要な措置を講じているところでございます。
 さらに、今回の改正におきましては、生物由来製品について感染症定期報告というのを新しく導入しておりまして、この中で国内外の文献情報等について報告を求めることを考えております。また、感染症定期報告なり副作用報告あるいは回収報告は、医薬品食品審議会にもあわせて報告するということになっておるところでございます。
家西委員 時間がもうさほどありませんので、申しわけないんですけれども、質問を若干抜かさせていただいたりとかしている部分も、御答弁を用意いただいていながらできない部分もあったかと思いますけれども、最後というか、残りの時間で何点かお聞きしたいと思います。
 一つは、フィブリノゲンの問題。昨日も厚労として発表されましたよね。一九六〇年代の問題と、八〇年代、胸部心臓外科学会ですか、の方の発表で、輸血だけを使っての肝炎の発生率が三%、フィブリノゲン等の血液製剤を使って感染している人たちが五十何%あるとか。そして、一九七七年十二月、日本母性保護医協会、現在の産婦人科医会がつくったパンフレットで、出産時の出血をとめるために同製剤を常備薬として常備しておけというような指導をされたという実態がわかってきたというようなことも言われています。
 その辺について、その調査というものは再度早急に、再発防止を求める観点から調査を徹底的に行うべきであろうし、それは一体いつぐらいにどういうふうに終わらすのかを含めて御答弁いただきたい。
 それと同時に、医薬品救済機構法について改正されるというようなことをしきりに、来年度の、十五年度の通常国会で提出したいというふうに言われていますけれども、これは公約としてとらえていいのかどうなのかということ。
 出します、出しますと言いつつ、血液事業法も何年かかっていますか。こういったことを考えたときに、つくります、出しますというお言葉だけではなかなか信用できないので、ここで確実に医薬品救済機構法は改正するということの、法律の提出は必ず来年の通常国会には出すんだという決意等を含めて御答弁いただきたい。
 それともう一点、献血者の健康被害、それに対しての救済も含めて御検討いただけるのかどうかについて御答弁いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
宮島政府参考人 フィブリノゲン製剤の投与によりますC型肝炎が発生している問題につきましては、事実関係を明らかにするため、現在、省内の調査、それから省内にあります資料の調査、それから海外調査等を進めておりまして、去る五月三十一日には、その中間段階の成果として、いわゆる旧薬務局職員のアンケート調査の概要なり、あるいは医薬局の行政文書の中でフィブリノゲン製剤の用語が含まれているものの公表、それから報告命令を出しました三菱ウェルファーマ社からの回答等を公表したところでございます。
 今御指摘のものにつきましては、昨日、フィブリノゲン製剤とC型肝炎の発生との関係に係る知見の変遷等に関する調査のため、日本産科婦人科学会を初めとする六つの学会等に調査を依頼し、回答を得て、それを公表したところでございます。
 昨日の公表した中身につきましては、これからその内容を精査しなきゃいけないというふうに思っておりますけれども、フィブリノゲン製剤の使用例がございますが、ただ、その多くは、同時に大量の輸血との併用例もございますので、フィブリノゲン製剤と肝炎発生との因果関係については、もう少しよく精査しないと不明な点があろうかというふうに思っています。
 いずれにしましても、よくこれらの資料を分析いたしまして、最終的にはそういったものをまとめて、また改めて公表したいというふうに思っておるところでございます。
 それから、いわゆる感染症以外の救済制度につきましては、これは繰り返し、次の通常国会に法律案を提出するということを言っておりますし、これは大臣も直接その旨を言明されておりますので、私どもとしても、それに向けて最大限準備を進め、ぜひ出したいというふうに思っているところでございます。
 それから、いわゆる献血者の健康被害に対する救済につきましては、これはいわゆる採血事業者である日本赤十字社が基本的に実施することになると思いますけれども、今後、日本赤十字社と十分協議しながら、適切な補償の仕組みとなるよう、国として必要な支援もあわせて検討していくということを今進めているところでございます。
家西委員 私の質疑時間は終わりましたのでこれで終わりますけれども、どうぞ、仏彫って魂入れずというような形にならないように、この法律、大事にしていただきますよう、運営していただきますよう心よりお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
森委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 きょうもお時間をいただきまして、どうもありがとうございました。
 きょうは薬事法改正ということでありますけれども、その前に若干、私のライフワークであります、いつもの定番でありますけれども、食品の安全の問題について取り上げさせていただきたいと思います。
 いわゆる、薬品の関係もそうですけれども、食べ物もやはり口に入るものである。やはりそれが安全、そして安心をして口に入れられるという体制を構築するということは、これはもう国に課せられた最も大きなテーマの一つであるというふうに私は思うわけでありますけれども、昨今に至りましては、さまざまな表示の問題、またBSEの事件、また集団食中毒の事件もあれば、本当に毎年のように食の安全をめぐってさまざまな問題が起きているわけでありまして、本当にやはり、私、一番問題だと思いますのは、食べ物にしても、見た目で、それが安全なものか、それとも安全でないものかが判断できないんです。やはりこの判断が難しいというところが大きな問題でありまして、そんな中にあって、ちょっとそういう前提のもとで質問させていただきたいと思いますが、輸入加工野菜についてであります。
 いわゆる残留農薬の基準でありますけれども、最近は、冷凍野菜というのが、ある意味で、外国から輸入される際に、ことしの例えば春先までは、日本の今までの仕組みでは検査を行っていなかったわけです。春までは、冷凍された加工野菜というのはそのままフリーパスでどんどん入ってきていた、これが実情なんです。
 それから、例えば生産者の方も、仮に農薬をどっぷりかけている、殺虫剤をかけている、有害物質が含まれている野菜を日本に入れようと思ったら、ある意味で冷凍したり加工してから入れるということも商社の間では言われている、これはもう有名な話でありまして、だからこそさまざまなところから指摘されて、この春先には役所として検査を始めたということも伺っておりますけれども、冷凍食品などのいわゆる加工輸入野菜、加工輸入食品といいましょうか、残留農薬検査、今どの程度行っているのか、どの程度まずなされているのか、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
田村大臣政務官 先生から先般からもこの中国野菜の件、輸入野菜の件、御質問をいただいておりますが、この冷凍食品等の輸入加工野菜についてでございますけれども、おっしゃられましたとおり、三月に中国冷凍野菜から残留農薬が検出されたという報道がなされまして、それを踏まえて、三月二十日より、分析技術が確立した十八品目に関してでありますけれども、下ゆで冷凍野菜に対しての輸入届け出の約一〇%を輸入時にモニタリング検査をしておりました。
 結果、やはりかなり残留農薬の基準を超えるものが出てまいったものでありますから、直ちに輸入の届け出のあった全量を検査するということに切りかえまして、結果、クロルピリホス等の検査を輸入者に求め、違反でないことが確認されたものだけを輸入しておるというような現状でございます。ちなみに、現在は八検体ほどやらさせていただいておるというような形になっております。検体数をふやしました。
 それから、冷凍セロリに関しましても実は基準値を超えるクロルピリホスが検出されたことから、こちらに関しましても今全届け出検査をいたしておる。事実関係を申し上げれば、こういうことでございます。
樋高委員 そうした事実関係でありますけれども、先ほど報道がなされたという話がありましたけれども、報道がなされてから対応をするその行政のあり方が私は問題だというふうに申し上げているわけです。要するに、何か事が起きてから、トラブルが起きてから、事件が起きてから対応する、そうじゃなくて、起きると予想されるであろう、危機管理という部分なのかもしれませんけれども、事前に手を打っていく。例えば、医学の分野でいえば予防医学という分野なんでしょうか、こういったことが必要なんじゃないかということを申し上げているわけであります。
 今、先ほどの話にもありましたけれども、中国からのホウレンソウの冷凍野菜についても、けさの朝日新聞一面にも大きく報道をされておりまして、以前にも坂口大臣と議論させていただいて、大臣はいろいろと、本当にいろいろな思いを酌み取っていただいて、いずれ食品衛生法を改正しようじゃないかと言って、しかも、そういうふうにさまざまな違反、残留農薬違反が繰り返される国については、一つ一つ検査をするわけにもいかないので、やはりそういったところは一つの規制、総量規制と申しましょうか、やっていこうじゃないかという見解を示されたわけであります。けさのこの新聞は、それは今国会中にもやろうじゃないか、またペースを速めたという中でありますけれども、その中国からの輸入野菜で加工食品のいわゆる残留農薬違反が発見されたという話でありますけれども、もう少し詳しく、現在の状況と所見につきまして、政務官、もう一回お願いいたします。
田村大臣政務官 先生おっしゃられますことは本当にそのとおりでございまして、そういうような予防といいますか、報道されてからでは遅いというのは我々も反省をいたしております。
 それから、これまた事実関係だけ申し上げる形になるのでありますけれども、先ほど来言っておりますとおり、三月二十日の輸入時のモニタリング検査以降どういう状況かといいますと、四月二十二日、有機燐系の農薬のパラチオンというものが中国産の冷凍野菜から出てまいりました。五月十四日、やはり同じく有機燐系の農薬の、これは先ほど言いましたクロルピリホス、さらに二十一日には有機塩素系農薬のディルドリンというふうに、次々に基準を超える残留が発見されております。特にクロルピリホスに係る残留農薬に関しまして、継続的にそのようなものが入ってきておるわけでありまして、こういうような状況を踏まえた上で、先ほど来申し上げておりますとおり、全量といいますか、全届け出の検査を、検体数をふやした上で実施いたしておるというような形でございます。
 五月十四日、二十日及び六月の六日に、在京の中国大使館の方にも、このことに関しましては、適切に残留農薬の防止対策がとられていない野菜に関しましては我が国には輸出をしないようにという要請は一応はいたしておるわけであります。
 一方、国内に流通しております中国産の冷凍野菜でありますけれども、これに関しては、自治体でありますとか輸入業者等々に対して、流通、販売前に自主検査を実施するようにお願いをいたしております。どうしても、入った中においても、以前の検査でいきますと漏れちゃうものがございまして、その結果、流通しておる中においてもやはり農薬基準を超えるものがございまして、自主的に回収等が行われておるという形であります。
 ちなみに、先ほどの検疫時での違反の件数でありますけれども、本年一月四日から七月の五日までの中国産の冷凍野菜の輸入時の検査において、冷凍のホウレンソウが四十一件、それからセロリの方が一件の違反というふうになっております。
 あと、自治体の方でありますけれども、自治体に関しましては、違反件数の方が、三月十九日以前の輸入分に関しては十四件、それから三月二十日から四月二十一日までが三件、二十二日以降というのが、四月二十二日以降でありますけれども一件というふうになっておるような状況でございます。
 いずれにいたしましても、残留農薬の輸出業者のリストを中国政府の方には提示をさせていただいておりまして、中国側には、輸出前にとにかく検査をして、そういうものは出さないようにというような要請をさせていただいておるところでありますし、また、今月初めに中国の担当官が来られましたものでありますから、その担当官にも重ねて要請をさせていただいておるような次第であります。
樋高委員 大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。
 今の話を聞いていただいて、私、結局今、例えば以前は一〇%のモニタリングから今は全量検査にしている。それは適切な措置であったと思うんでありますけれども、先ほど政務官の話のように、そこでは一部しか本当に検査しないものですから、そこから漏れてしまって市場に実際に流通してしまっているケースもあるわけですから、やはりそういった対策をきちんととっていかなくちゃいけない、例えば恒常的な検査も視野にも入れなくてはいけないというふうにも思うんでありますけれども、こういった外国から、今日本は本当に食品、本来私は日本国内の食料自給率を上げなくちゃいけないという考え方なのではありますが、今は外国から食品、多く、野菜なんかは外国産に頼っているというのが実情でありますので、そんな中にあって、やはりこういった安全、安心な食べ物を日本国内に流通させるために、厚生労働省はすごく責任が重いというふうに私は思うんでありますが、大臣の御所見というか対策、お話をいただきたいと思います。
坂口国務大臣 御指摘のとおり、私もそれは責任が非常に重いというふうに思っているわけでございますが、体制そのものが、現在のところ、現在のこれだけ多くの輸入品がありますものを対象としてやっていくだけの体制になっていないというふうに、率直にそう思っております。二百八十人ばかりの人間で検査をしているわけでありますから、これだけ多くのものが入ってまいりますのを全部なかなか検査し切れないという状況にあるというふうに思います。
 そこで、それぞれの業界の皆さん方が輸入をされますときに、それぞれが責任を持って、やはりその内容について検討をしていただくというようなことももう少し取り入れをさせていただいて、皆さん方にお願いすべきところはお願いをし、そして、我々厚生労働省の方の検査は重点的に行うといったようなことも大事なのではないかというふうに思っております。
 そうした現実的な対応にあわせまして、法改正というものにつきましても行わなければならない。今国会中にもというようなお話もございまして、残されましたところ非常に少ない間でございますけれども、いろいろ御相談を申し上げて、そしてできればそういうふうにしたいというふうに思っているところでございます。
 できればといいますよりも、もう自由民主党の方からも、昨日、ぜひ今国会中にというようなお申し入れをいただいたところでございますし、委員からも、先般来、もうそうした御意見を何回かにわたりましていただいておりますので、限られた日程の中ではございますけれども、できればそういうふうにしたいというふうに思っている次第でございます。
樋高委員 これは一つの党の話ではなくて、全党、本当に全部の先生方、議員の、ある意味では思いというか、国民の願いという部分であると思いますし、しっかりと対策を打っていかなくちゃいけないと思うんであります。
 それと同時に、今、大臣の御答弁の中で一点気になったのは、どうしても予算的な部分で人数が限られている、三百人弱だということ、今、実情のようでありますけれども、実態として、仮に、本当に、本来口にしてはいけないいわゆる残留農薬基準違反の食品が日本国内に流通してしまったときに、人数が少なかったからという言いわけは通用しないんです。これが事実でありますので、では、その中でどういうふうに緊急的に対策を打っていくかということをぜひしっかりと考えていただきたいというふうに思います。
 きょうは、農水省の岩永政務官にお忙しい中お越しをいただいております。ありがとうございます。
 関連なのでありますが、いわゆる表示についてであります。輸入加工食品の表示制度には、原料産地の表示、品目によって義務づけられたり義務づけられていなかったり、さまざまなものがあると伺っておりますけれども、どの程度原料産地の表示が実態としてなされているのか、まずお話をいただきたいと思います。
岩永大臣政務官 加工食品の原産地表示については、これまで、梅干し、ラッキョウ漬けなどについては平成十三年十月から、アジの開きやウナギのかば焼きといった水産加工品四品目については本年の二月から、それから、農産物の漬物については本年四月から、削りぶしについては本年の六月から、その主な原料の原産地表示を義務づけてまいりました。また、冷凍野菜についても、原産地の表示義務づけに向けてJASの調査会、総会での審議を終え、現在、品質表示基準の制定の手続を進めております。
 今後、その他の品目についても、消費者ニーズあるいは検証可能性などを踏まえて、個別品目ごとに精査をして、原料原産地表示の対象品目を順次拡大をしていく方向で検討をいたしております。
 なお、これらの品目の原産地の表示については、パンフレットの作成、配布などにより制度の普及啓発に努めてまいりましたけれども、七月下旬からは順次、農林水産省の消費技術センターを中心にして実施を確認することにしており、不適正な表示がなされている場合には、今回成立をしたJAS法に基づき、厳正に今後対処していきたいと考えております。
樋高委員 いわゆる外国から入った食品の表示についてでありますけれども、いろいろな週刊誌でも書かれたり、また、それぞれの先生方も地元で尋ねられることもあるかもしれませんけれども、どうしても一点、ちょっと腑に落ちないというか納得できないことがある。
 それは、要するに、外国で加工された食品が日本に入ってきます。例えば枝豆。今、これから暑くなって、ビールがおいしい。それで枝豆を食べます。その枝豆が、下ゆで、簡単にゆでる作業を外国でやって、それがでっかい箱に入って、ロットで日本に入ってきて、日本国内でパッケージングをする、小分けをする。そうしたら、それは日本の国産になってしまうということはどうもおかしいんじゃないか。
 要するに、最後の加工だけが日本国内で行われる、それが国産になってしまうということはおかしいんじゃないかという指摘があるのでありますけれども、そもそも、しかも、下ゆでしたからといって、例えばそこにどっぷりかかっている殺虫剤なり農薬が落ちるわけじゃないわけでありまして、この指摘についてはどのように考えておりますでしょうか。
岩永大臣政務官 国際ルールであるコーデックスの包装食品表示の一般の規格において、食品の性質を変えるような加工が加えられた場合には、加工が行われた国を原産地として今までやってきています。JAS法においても、この考え方にのっとって、外国で食品の性質を変えるような最終加工が行われ、あるいは国内で、先ほど御指摘をいただいたように、小分けの包装のみを行った場合には、輸入品として最終加工を行った国を原産国として表示する義務を課しております。このような輸入品について、原産国の表示が行われていない場合には、JAS法違反として、法に基づく指示の対象となります。
 今後とも、輸入加工食品を含めて、食品の表示の適正化に努めてまいりたいと思います。
樋高委員 どうもありがとうございました。
 それでは、薬事法の関連なんでありますけれども、今回の改正点の大きな一つでありますが、治験の切り口から入ってまいりたいと思います。
 まず、届け出前の治験制度の導入につきまして、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 今回の改正によりまして、治験対象の薬ですとか器具を使うことが緊急やむを得ない場合として、省令で事前に定めるケース内にあっては、治験開始後三十日以内に届け出を行えば、治験届提出前に治験を行うことができますよということが含まれているのであります。しかしながら、また、こういう制度ができることによる安易な利用を回避するためには、やはり届け出前治験制度について、真に、本当に緊急にやむを得ない場合に限る必要がある、これは当たり前の話であります。
 このため、いわゆる未承認薬が無原則に使用されることがないように条件を限定するなど、厳格な要件を満たさなければ治験を開始することはできないというふうに思うのであります。治験の実施により副作用などが発生した場合は、直ちに厚労大臣に報告するなどを義務づけて、治験の中止命令など必要な措置を講ずるとしておりますけれども、この要件とはいかなるものなのか、まず確認しておきたいと思います。
坂口国務大臣 治験につきましては、平成八年でございましたか、改正を行いまして、厳格化をしたところでございますが、今回、重篤な疾患に罹患をしまして他に代替できる治療方法がないため生命の危機がある場合等について、特例的に、重篤な疾患に苦しむ患者の方々に治療の可能性を提供できる枠組みが必要、こういう指摘がございました。それで、今回の改正案におきまして、治験制度の見直しを図ることにしたわけでございます。
 しかし、今御指摘のように、こういうふうにしたからといってそれが余りにも安易に使われ過ぎるということになりますと、果たしてそれに対する副作用というものに対しては一体どうなのかという問題があるわけでございます。
 この特例的な取り扱いの実施に当たりましては、被験者の保護でありますとか安全性の確保を損なわないようにしなければならないわけでありまして、これは一つは、緊急やむを得ない場合に限る、未承認薬を無原則に使用されることのないよう、条件をきちっとつけるといったことをしたいというふうに思っております。また、当然のことではございますけれども、被験者に対しますインフォームド・コンセントが必ず行われるということは当然でございます。
 これらの問題につきまして、専門家の皆さん方に検討をひとつしていただいて、そしてどういう条件のときにこれをつけるか、つけるかというか、どういう条件をつけて、そして認めるかといったことを明らかにしたいというふうに考えております。
樋高委員 やはりここ、要件の部分、私はすごく重要な部分だと思います。しっかりと精査をお願いいたしたいと思います。
 今回、この薬事法の中で、まず、医療機器に係る安全対策の抜本見直しという部分から入ってまいりたいというふうに思います。
 まず、大臣に冒頭、もう一度お尋ねさせていただきますけれども、そもそも何で今回安全対策をいわゆる大々的に、抜本的に見直そうということに、そもそも論でありますけれども、なぜそういうことに至ったのか、今回なぜこういった改正を、医療機器の分野でありますけれども行おうということになったのか、まずお話をちょうだいしたいと思います。
坂口国務大臣 医療機器にいたしましても、あるいは医療器具にいたしましても、最近非常に多様化されてまいりましたし、これまで考えられなかったようなものがその中に含まれるようにもなってまいりました。
 そうしたことを考えますと、これからそれらを使用するに当たりまして、使用方法もさることながら、そのもの自体に対して、身体に悪い影響を与えるというようなことがあってはならないわけでございます、身体の中に埋め込んでしまうようなものもございますし。そうしたことを考えますと、やはりこの安全性というものをより厳しくしていかなければならない、そういう立場に立ちまして、今回この問題の見直しに踏み切ったところでございます。
樋高委員 今回、高度管理医療機器の審査のあり方についてお尋ねをしたいのでありますが、医療機器を今回三つのクラスに分けました。高度管理医療機器、いわゆる普通の管理医療機器、また一般医療機器に分類をされたわけでありまして、国としてはリスクの高い高度管理医療機器について承認審査を行うということでありますけれども、今後、国として、高度管理医療機器の承認審査の充実をどのように図っていくというふうに方針としてお持ちでしょうか。
坂口国務大臣 先ほど申しましたように、医療機器の中には、メス、ピンセットのたぐいから、あるいは画像診断装置、あるいはまたペースメーカー、さまざまなものが含まれているわけでございまして、今回の改正におきましては、最近におきます医療機器の高度化の状況を踏まえまして、人体に対するリスクに応じた重点的、効率的な規制を構築することが大事。それで、医療機器に係る安全対策を抜本的に見直すということにしたわけでございます。
 具体的には、医療機器をリスクに応じまして三分類をいたしまして、従来国の承認を必要としていた医療機器のうち、比較的リスクの低いものにつきましては国の承認を不要とし、公正中立な第三者認証機関による認証を義務づける仕組みとしたところでございます。これにより、国は比較的リスクの高い医療機器の承認審査に人的資源を重点的に投入することができるというふうに考えております。
 なお、昨年の十二月の特殊法人等の整理合理化計画の閣議決定に基づきまして、今後、審査関係業務を一元的に実施する新たな独立行政法人を設置することといたしております。
 その際には、高度化します医療機器の実態を踏まえまして、専門的能力を有する審査官を今よりもさらに多く確保するなど、審査体制の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
樋高委員 政務官にお尋ねをいたします。
 今回、一方で、今大臣の答弁にもありましたけれども、第三者の認証制度を取り入れるということになったわけでありますけれども、法人の方の認定認証機関の認定要件についてでありますが、その要件は一定の知識経験を有する者が要件ということで条件として入っておりますけれども、どのような知識経験を有している者をそもそも想定しているのか。何か、言葉として知識経験を有する者と書いてあるとすごく安心するんですけれども、そうじゃなくて、具体的にどういうことなのか。知識経験を有する者の数が一定以上必要というふうにもうたわれておりますけれども、では、どの程度の人数を想定しているのか、お尋ねをいたします。
田村大臣政務官 第三者認証機関の審査能力というものを確保するのがやはり重要であるということでございまして、言われましたとおり、厚生省令の方で、認証業務を行う審査員に関しては、医療機器の品目ごとに定められる技術上の基準への適合性認証の業務を適切に行うために必要な専門的な知識を持っておる者、そしてその人数は、業務の量に応じて適切な数が確保されること、これを認定の要件と定めた上で、国が個別にその適格性というものを診断していく。
 人数に関しても、よくわからぬじゃないかという話になるんだと思うんですが、十七年四月スタートまでの間にこれをまとめてまいりたい。特に来年の春ごろには案を出させていただきたいと思っておりますので、どうか御理解いただきますようお願いいたします。
樋高委員 政務官みずからおっしゃったように、極めて抽象的な話でありますけれども、もちろんそういう、個別個別、一件一件で違いがあるということも理解できるわけでありますから、そこの部分は来春に向けてきちんと検証をして精査をしていただきたいというふうに思います。
 同じく認定認証機関については、制度上、さまざまな形態の法人などの参入が可能となっておりますけれども、それぞれの法人について経理的基礎が具体的にうたわれているわけです。つまり、安定して運営を行うことができるようにということで、経営基盤というか、経営上しっかりと安定が求められるという意味で、今回、経理的基礎が必要であるというふうにうたわれているとは思うのでありますけれども、具体的にそれぞれの法人につきましてどのような基礎が必要だということなんでしょうか。
田村大臣政務官 基準適合性認証の業務の質を確保するという観点から、やはり第三者認証機関が継続的に、また業務を適切に行えるような経営基盤といいますか財政基盤が必要であろうというふうなことからこういうような項目が入っておるわけでありますけれども、財産目録や貸借対照表や事業計画書、収支予算書、こういうようなものに基づいて、承認するものによっても違うと思うんですね。例えば認証する機器がどういうものかによっても、それは範囲に応じて財政上の安定性というのは変わってくるんだと思うんですが、経営資源を有する機関、的確にそういうものが審査できるのか、認証できるのかというものを、経営資源を有する機関かどうかについて個別的にそれは判断を、すべてを認証するわけではないわけでありまして、それぞれの機器によって違うという部分もございますので、ですから、それは個別対応で、財政上それが経理的な基礎を持っているか持っていないかということを判断してまいるということになろうと思います。
樋高委員 仮に認定認証機関が法人ということだって、公平さを確保するために規定が設けられるというふうになると思いますけれども、今のは経理的な側面でありましたけれども、今回、例えばどのような役員また法人の構成員の構成が、フェアな、公平な基準適合性認証業務の実施に影響を及ぼすというふうにお考えでしょうか。
田村大臣政務官 やはり基準適合性認証業務の公平性と公正さということを考えますと、承認を申請する製造販売業者、こういう者はまずその中に入っちゃいけないんであろう。それから、当該製造販売業者と利害関係のあるような者、例えばそういう者が第三者認証機関の役員であったりとか株主、こういうような場合などもそれはだめなんである。利益が相反するといいますか、そういう者に関しては、やはりこういうものの中には入っていただくのは適当でないというふうに考えております。
樋高委員 やはりそこの部分をこういう審議を通じて答弁としてきちっと残しておかないと、後でまた、どうにでも解釈できるような状況になったときにまた困ってしまいますので、こういう質問をさせていただいております。
 また、具体的な例なんですけれども、認証認定業務に、医療機器に関する専門家が多くいらっしゃる医療機器メーカーなどが仮に子会社をつくって、その子会社が認定業務を行うというようなことも想定し得なくもないんです。その医療機器のメーカーさんはいわゆる専門家をたくさん抱えていらっしゃるわけですから、そこがみずから自分の子会社をつくって参入をする、求めるということも十分想定し得るわけでありまして、そのような法人というのは認定認証機関となることができるのだろうかという疑問点なのでありますが、いかがでしょうか。
田村大臣政務官 特定の医療機器メーカーの子会社というお話がございましたけれども、個別によって違う部分はあると思いますが、基本的にはやはり、先ほどの答弁と同じような意味合いで、利益が相反する可能性がございますので、そのような認証業務の公正さ、公平さに支障を及ぼすようなことが認められるそういう者に関しては、第三者の認証機関としては認定を与えることは不適切であろう、このように考えます。
樋高委員 不適切というよりも、それはだめだという理解でよろしゅうございますか。ひとつ御答弁をお願いします。
田村大臣政務官 公平、公正さが失われるという観点からいえば、それはだめであるということであろうと思います。
樋高委員 いわゆる認証業務というのは、やはりフェアでなくてはいけないというふうに思います。つまり、公正に行うことが絶対条件である。間違いのないように、厚労省としてしっかりと、この運用の部分というか監督をしっかり行っていただきたいというふうに思います。
 それで、今度は認定業務の方法の部分なのでありますけれども、厚労大臣が定める基準に適合する方法によって審査が行われるわけであります。しかしながら、具体的な審査方法がまだちょっとはっきりはしていないんじゃないかと私は思うのでありますが、認定認証機関による審査は一体どのような形で行われるのか、また、現行の医療機器に係る製造承認審査等、いわゆる現行の、今行われているやり方とどこが違うのかという御答弁をいただきたいと思います。
田村大臣政務官 現行では、例えばリスクの低い後発医療機器の承認審査に関しましては、既存の承認医療機器との同一性というものを対比しながら、その申請者が提出した資料に基づいて、書面のみで個別に審査をしていく、評価をする方法を行っているわけでありますけれども、今回の制度、新しく第三者認証機関というものができてまいりますと、国が、医療機器の項目ごとといいますか品目ごとに技術上の基準を定めて指定した低リスク医療機器については、申請者が提出した資料に基づいて、第三者認証機関が、例えば技術上の基準への適合性であったりとか製造所の品質管理基準の適合性について、書面のみではなくて実地に確認をするという部分で、大きく違う部分であると思います。
 それから、現行制度との大きな違いでありますけれども、もう一つはその基準の問題でありますが、国際整合性を踏まえた基準に基づいた客観的、定型的な審査を行うということと、それから、今も言いましたけれども、書面で行っていたというのをこれからは実地で審査も行うことができるようにしたという部分でございます。
    〔委員長退席、野田(聖)委員長代理着席〕
樋高委員 いわゆる認証審査の、今度は期間、国として認証機関における認証審査期間の短縮に向けた取り組みをどのように行っていこうというふうに考えていらっしゃるのか、これによってどの程度早くなるのか、具体的にビジョンをお示しいただきたいというふうに思います。
田村大臣政務官 第三者認証制度でございますので、その認証期間といいますのは、基本的にはその第三者認証機関という第三者の機関がお決めになることでございまして、合理的な範囲内で期間というものを定められるんだと思うんです。ですから、これを国が一律に審査期間をいつまでと言うのはなかなか難しいところがあるわけであります。
 ただ、後退してしまいまして異様にこれが不合理に長くなってしまいますと、やはり大変な迷惑をかけるという部分がございますので、その点に関しては、遅滞なく審査を行うべきもので当然ありまして、例えば手数料等々の滞納なんかがございまして合理的な承認自体をおくらせる理由がなければ、これは、著しく遅滞した場合に対しては国としてそれに対して指導を行う。
 ちなみに、今までの後発医療機器の新規申請、大体四カ月ぐらいなんですね。ですから、そういうようなものに合わせて、それよりも著しく遅いという話になれば、国がこれに対しては指導していくという形になると思います。
樋高委員 四カ月という話でありましたけれども、むしろ、これによって国の方は、いわゆる高度医療機器の方に全力を傾注、人的資源等々を傾注できるわけでありますし、また一方で認証機関をつくるわけですから、早くならなくちゃいけないと思うんですよね。
 全体で仮に平均が四カ月としても、これはやはり国として、ビジョン、大体目標としてそんな四カ月よりも著しく延びるようであるならば、それは国として好ましくないから指導するというようなことではなくて、今回何のために薬事法を改正したかというと、そういったスピードを上げたりとか、また、いろいろな国際環境の中で日本の医薬品産業をきちんと育てていかなくちゃいけないとか、国民の健康を確保しなくちゃいけないとか、さまざまな総合的なことを考えてやるわけですから、これによって改善されなくては、例えばそういう期間の方も短くならなくちゃ意味がないというふうに思うのであります。
 平均四カ月という話でありますが、政務官、それをやはり半分の二カ月ぐらいにする、こういう方向でどうでしょうか。
田村大臣政務官 どうでしょうかと言われましても、なかなか難しい問題があるんですが、基本的には、先生おっしゃられますとおり、少ない人数でやっておりました部分に関して、リスクの非常に低いとまでは言いませんけれども重くないものに関しては第三者認証機関にお任せするわけでありますから、これから第三者認証機関、手を挙げられるところといろいろとお話をさせていただきながら、なるべく適切な期間でこれを認証いただくようにお話し合いをさせていただきたいというふうに思っております。
樋高委員 時間が少なくなってまいりましたので、最後の一問を大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。
 医療機器関連なのでありますけれども、いわゆる販売業者等の遵守事項についてなのであります。一般消費者へのいわゆる適正使用情報提供については、すべての医療機器の販売業、賃貸業において努力義務が予定をされております。一般消費者への製品の情報提供、今、情報公開の流れ、全体の世の中の潮流にありますけれども、やはりこういったところでも、販売業者さんでも製品の情報をきちんとお伝えすることが私は重要であると思いますけれども、なぜこれが努力義務で終わっているのかということがよくわからないのでありますが、御説明をいただきたいと思います。
坂口国務大臣 例えば電気マッサージ器でありますとか、こうした家庭用の医療機器を購入した人がその医療機器を安全かつ効果的に使用しますためには、その医療機器についての正しい情報が購入者に対して提供されている必要があるというふうに思います。
 製品の添付文書には、使用方法でありますとか、使用あるいは取り扱い上の注意等の記載はもう義務づけているわけであります。製造販売業者に対しましては、消費者の窓口を設置しまして、消費者の問い合わせに対する適切な対応をできるようにこれは指導をいたしております。一義的にはそういうふうに今義務づけておりますから、買う人に対してそのことを十分に説明するといったことは当然でございまして、それは行われるものというふうに思っているわけでございます。
 基本的には、これらの措置によりまして、この家庭用医療機器の一般消費者への情報提供を徹底させるというのが一つのねらいでございます。
 さらに念入りに、販売業者等におきましても、製造販売業者から提供されます情報を適切に一般消費者にこれが伝わるように、製品情報の提供に関する努力義務として規定したものでございます。努力義務にしたからいいかげんでいいということを考えているわけではございませんで、これは、一般使用者に対しましてそれを正しく伝えなければならないというところからしたところでございます。
樋高委員 そういうことであるならば、別に努力という二文字を取っちゃって義務にしちゃってもいいのじゃないか、その方がわかりやすいんじゃないかというふうに私は思いますけれども。
 まだまだ、この法律案、まだいろいろな分野があります。また機会がありましたら続き、続編をやらせていただきたいというふうに思っております。
 きょうはありがとうございました。
野田(聖)委員長代理 次に、小沢和秋さん。
小沢(和)委員 日本共産党の小沢和秋でございます。
 今回の法改正は、売血による血液を原料とした輸入血液凝固製剤のために多くの血友病患者をエイズにかからせた悲劇などから教訓を学び、二度とこういう問題を起こさせないための改正が中心だと思います。
 今後、我が国では、必要な血液は国内で献血によって自給すること、その血液の安全性を徹底的にチェックしてから輸血や血液製剤に使用することなどを大原則とする、国はそれを計画的に推進する責任を負うことになる、参議院での修正でこのことが一層明瞭になった、こういう私の認識で間違いないでしょうか。
坂口国務大臣 大筋におきまして御指摘のとおりというふうに思っております。いずれにいたしましても、日本におきます献血の血液によりまして、そして血液製剤、保存血液すべてが賄われるということが一番望ましいわけでございます。そうしなければならないというふうに決意を固めて、この法律をつくったところでございます。
 ただ、そうはいいますものの、これはなかなか皆さん方にそれを賄っていただく、献血をしていただくことが大変でございますから、そこはかなり一生懸命、熱心にこれは取り組まないと、せっかく法律はつくりましたけれども献血者の数がふえないということになってしまう可能性がありますので、十分にそこを配慮しなければならないと思っておるところでございます。
小沢(和)委員 厚生労働省にお尋ねすると、国内自給体制の確立のためには、平成二十年に向け毎年七万リットルずつ献血量をふやす必要があるが、それは着実に前進していると言われます。
 しかし、実際の献血状況を見てみますと、先ほどからの質問にも出ておりますように、献血者は昭和六十年の八百七十万人をピークに減少を続け、平成十三年には五百七十八万人にまで落ち込んでおります。四百ミリリットル採血や成分献血を取り入れ、一人当たりの採血量をふやすように努めておりますが、それでも平成四年の二百十七万リットルから落ち込み、平成十二年にはようやく百九十二万リットルという状態であります。
 これでどうして自給体制が着実に進んでいると言えるのか、むしろ後退しているのではないでしょうか。
宮島政府参考人 御指摘の平成九年の血液行政の在り方に関する懇談会の報告書では、平成二十年時点で原料血漿百五十万リットルを確保することにより、国内自給が達成されると推計しております。また、そのためには、年間延べ一千万人の献血血液が必要であるとされているところでございます。
 現在までのところの推移を見ますと、御指摘のように献血者は減少してきておりまして、最近においては六百万人を割り込むという状況になってきておりますが、ただ、献血の内容といたしましては、従来の二百ミリリットルから四百ミリリットル、あるいは成分献血へ大幅にシフトしてきておりますので、献血量全体としては、若干減少しておりますが、ほぼ横ばいに近い形で推移してきておるということでございます。そういう意味では、国内自給の達成に必要な原料血漿は、現在までのところ計画的に、おおむね順調に推移しているんではないかというふうに考えております。
 しかし、平成九年の達成目標を立てました時期と比較いたしますと、現在は血液製剤の適正使用が平成九年の予想をしていたものよりも大変よく進んで、言うならば使用量が大幅に減少してきているということがございます。そういった推計の前提条件がかなり変化してきておりますので、これまでの実績に照らして改めて検証する必要があるというふうに考えておるところでございます。これら直近の状況を踏まえ、現在、国内自給の達成に必要な原料血漿の考え方について見直しを行っているところであります。
 いずれにしましても、確実に国内自給を達成できるよう、さらに計画的な取り組みに努めてまいりたいというふうに思っております。
小沢(和)委員 日赤や献血推進ボランティア団体などの訴えを聞きますと、国がこれまでどれだけ真剣に献血量をふやすための努力をしてきたのか、疑わざるを得ません。
 これもさっき出た話ですけれども、献血車を繁華街や歩行者天国の道路上などにとめようとすれば、ほかの車両と全く同じように、道交法の道路使用許可を警察で受け、手数料を払わなければなりません。何の配慮もしていただけないというところが多いというんです。献血を呼びかけるポスターを電柱に張ることも、ビラやマイクでの呼びかけも禁止をされている。JR駅前広場への駐車もなかなか認められない。
 献血する人をふやそうとするなら、こういう初歩的なことをまず改善すべきではありませんか。
宮島政府参考人 献血の推進につきましては、先ほども申し上げましたけれども、愛の血液助け合い運動など実施をしておりますし、平成十一年度より都道府県、市町村それから日本赤十字、ボランティア団体等の代表者による献血推進運動中央連絡協議会を設置して、献血推進に当たってきているところでございます。
 今回の改正法案におきましては、国におきまして基本方針を定め、さらに毎年度、献血推進計画をつくる。それから都道府県におきましても都道府県の献血推進計画をつくり、採血事業者においても献血受け入れ計画をそれぞれ定めるという形を入れておるところでございます。
 現実には、それぞれ、国におきましても、都道府県あるいは採血事業者においても、これまでも献血推進のためいろいろな事業を実際やってきておるわけでございますが、今回の法的枠組みにより、それがいわゆる法律に基づく計画という形で、ある意味で世の中に対して明示的に中身を示して進めていくということでございます。
 御指摘の、献血車両の駐車場所等のいろいろな問題が現場でいろいろあるわけでございますけれども、これにつきましても、採血事業者が献血受け入れ計画をつくる際に、事前に都道府県等の意見を聞いて、事前にそういった問題についての調整を図って、その解決策を踏まえて、それぞれ、献血受け入れ計画あるいは都道府県における献血推進計画をつくるという形で、これは世の中に公表されますので、したがって、都道府県なりがそれに対してどういった中身の事業を行うかということがより明らかにされた上で実行されていくということになるというふうに思います。
小沢(和)委員 だから、実際に今私が挙げたように、献血を妨げるようなことがいろいろあるわけですよ。だから、そこを改善するかと聞いているんです。そこを端的に言ってください。
宮島政府参考人 ですから、そういった現場において、御指摘のあったような駐車場所等の、いわゆる実行上の問題につきましては、採血事業者が、先ほど言いましたように、献血受け入れ計画をつくる際に、事前に都道府県等の意見を聞いて、いわゆる実行についての調整を図るということになっておりますので、そういった場で具体的にそういった問題提起をしていただいて、その解決策について、都道府県それから採血事業者等の間で話し合って、それをそれぞれの献血受け入れ計画なり推進計画に盛り込んで実行を果たしていくという形がより明確な形で整理されていくんではないかというふうに思っているところでございます。
小沢(和)委員 どうも国が積極的にそういう問題を解決するために先頭に立って頑張るという姿勢が、私には聞こえませんね。
 先に行きますけれども、輸血用血液は当然のことながら今一〇〇%自給になっておりますが、問題は血漿分画製剤だと思います。免疫グロブリンは、国内分が量、比率とも伸び、平成十三年には八〇%の自給率になっております。これは一応めどがついたと言えるかもしれません。しかし、アルブミンは、輸入製剤が毎年減少し、相対的には国内分の比率が上がっているといっても、平成十三年にはまだ三三・八%にとどまっております。製造量そのものは横ばいです。これで自給のめどが立ったとは言えないのではないでしょうか。
 平成九年に作成された血液製剤の自給見通しでは、平成二十年には七十五万リットルの遺伝子組み換え製剤を見込んでおりますが、これは、それまでには組み換え製剤を国産で量産化できる、これを含めると自給できる、こういうことですか。
宮島政府参考人 御指摘のように、平成十三年度におきまして、アルブミン製剤の自給率は三三・八%、グロブリン製剤の自給率は八〇・六%でございます。ただ、いずれも自給率は年々高まっている傾向にはございます。
 御指摘の、特に自給率の低いアルブミン製剤につきましては、一つは、これまでの適正使用対策によりまして、アルブミン製剤のガイドラインを昭和六十一年に出しましたけれども、その前年の昭和六十年と比較しまして、平成十三年におきましてはその使用量がほぼ半減するレベルまで減少してきております。
 それから二点目には、平成二十年におきますアルブミン製剤の国内自給の達成のために、先ほど出ました平成九年の推計に基づきまして、現在、毎年度、原料血漿の増加を確保してきているということでございます。
 それから三点目には、いわゆる遺伝子組み換え技術を用いたアルブミン製剤、これにつきましては、現在、メーカーの方において研究開発を行っておりまして、近い将来、市場供給の実現が見込まれるということでございます。
 こういうことから、今後も国内自給率について改善の方向で動いていくというふうに見込まれるところでございます。
 いずれにしましても、平成九年に立てましたいわゆる国内自給の目標につきましては、その前提条件が現在相当変わってきておりますので、改めて国内自給の達成に必要な原料血漿の考え方について見直しを行いまして、確実に国内自給を達成できるように、さらに計画的な取り組みに努めてまいりたいというふうに思います。
小沢(和)委員 血液製剤の中で一番の問題は、あの血友病患者をエイズにかからせた血液凝固第8因子製剤だと思います。当局の説明では、平成六年以後、国内で一〇〇%の自給を達成したと言います。しかし、これでもう大丈夫ということになったんでしょうか。
 確かに、輸入の血液製剤は、平成四年の日赤での第8因子製剤の製造開始以後、ストップしております。しかし、その直後から、新たに開発された遺伝子組み換えの第8因子製剤の輸入が始まり、これが年々物すごい勢いで伸び、平成十二年には第8因子製剤全体の六六・二%を占めるまでになっております。これに押しまくられて、平成八年には一億二千七百六十七万単位だった国内製造の血液凝固製剤は、平成十二年には生産量七千六百六十五万単位、率にして三三・八%まで追い込まれている。これがどうして自給達成と言えるのか。自給率が大幅に下がっていると見るのが常識ではないでしょうか。
宮島政府参考人 御指摘のように、血液凝固第8因子製剤につきましては、いわゆる国内の献血由来の原料血漿を使用したいわゆる凝固第8因子製剤につきましては、平成六年に一応一〇〇%を達成しているわけでございます。
 ただし、その後、今御指摘の、いわゆる遺伝子組み換え製剤という新しいタイプの血液製剤が出現いたしまして、これのシェアがその後非常に大きくなってきておるという新しい問題が出ておるということでございます。この遺伝子組み換え製剤につきましては現在すべて一〇〇%輸入に頼っているということで、したがいまして、結果的に、いわゆる国産と輸入品との関係で見ます自給率というものが非常に下がっているという状況にあるわけでございます。
 しかしながら、やはり外国への依存というのが非常に高い状況ですと、昨年、輸入がストップして大変医療現場に不安が起こった……(小沢(和)委員「まだそんなことは聞いていないよ」と呼ぶ)そんなこともありますので、そういったことのないように、今後、この遺伝子組み換え製剤についても国内製造品の対応を検討していくというふうな形での需給バランスも検討していく必要があろうかというふうに思っております。
    〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕
小沢(和)委員 今、局長が、まだ私が聞いていない、平成十三年に組み換え第8因子製剤が輸入がストップするという大問題が起こったことに触れられましたけれども、この日本への輸出第一位を占めていたバイエル社が、突然、輸出できないというふうに通告してきた。当時、バイエル社で何が起こってこういうふうな輸出停止をしたのか、そのとき政府は、現地に直ちに調査団を派遣して、徹底した原因究明を行ったのか、お尋ねします。
宮島政府参考人 御指摘のバイエル薬品が輸入しております遺伝子組み換え第8因子製剤、いわゆるコージネイトの件につきましては、平成十三年三月、米国バイエル社の製造所からの製品の出荷が一時停止したという事態が起こりました。これは、米国FDAの査察を契機に、米国バイエル社の製造所において製造工程の微生物管理等、製造管理、品質管理のいわゆるGMP関係の問題が判明したことが原因となっておりまして、この問題についての検討、改善されるまでの間、同製造所の製造、出荷が一時停止、遅延されたというふうに聞いております。その後、これらの問題について順次改善対策が講じられまして、これに合わせて製品の出荷が再開されたということでございます。
 なお、厚生労働省といたしましては、当時、バイエル薬品から逐次情報を聴取するとともに、米国FDAへ査察結果等についての情報提供を求めるという形で米国製造所の状況、問題等の把握を行って、対応の検討を行ってきたという経過でございます。
小沢(和)委員 要するに、当時、こういう重大事態が起こったのに、政府は調査団を派遣しなかったんでしょう。私が聞いているのでは、確かに厚生労働省から人は行ったけれども、ユーザー向けのその会社の説明会に同席したにすぎないというふうに聞いております。これが国民の生命と健康を預かる政府の態度かと私は大いに疑問に思わざるを得ません。もし必要量を確保できなければ、また血友病の人々の生命にもかかわる深刻な事態を引き起こしかねなかった。幸い、日赤が貯留保管していた血漿を活用して大増産に励んだ結果、乗り切ることができたわけであります。
 今回のこういう経験からも、他国からの輸入に依存することの危険が改めて明らかになったと思います。この経験から、政府がどのような教訓を学んだのか。国内での血液製剤の自給体制を確立するためには、輸血までは日赤が一元的に管理していても、血漿分画製剤については、他の民間企業も参入し、その上、これに大量の輸入製品が自由に入り込み、ダンピング競争を引き起こしている状況を放置してはならないと思うんです。
 この際、国の責任を明確にし、献血から血漿分画製剤に至るまで一元的に管理する体制をつくるべきではないか。これなしには、必要な血液や血漿分画製剤の自給、いざというときの危機への対応、その安全の確保を一体のものとして推し進めることができないのではないでしょうか。
宮島政府参考人 血液製剤の供給につきましては、一つは、いわゆる人体の一部である血液を原料とするということですので、むだなく効率的にきちんと使用される必要がある。それから、製造にやはり一定の期間を要しますので、不足したからといって急に増産するということも難しい面があるわけでございます。そういう意味では、こういった血液製剤の特性を踏まえ、計画的に需給のバランスをとっていくということが非常に大切になってまいります。
 特に、御指摘の、昨年のリコンビナントの米国からの輸入が一時停止したということによって、大変供給が不安定したという問題も踏まえまして、今回の改正法案におきましては、血液製剤の安定的な供給というのを基本理念にきちんと定めました。それから、それを実行するために、医療需要に見合う量の血漿分画製剤の供給について、毎年度、需給計画を策定するということをシステムとして取り組んでおるところでございます。血液製剤の供給状況を逐次把握して、必要に応じ早期に対応方策を講ずるということを組み込んでおるところでございます。製造または輸入の実績が、この策定されました需給計画に照らして著しく適正を欠くというものがあった場合には、当該の製造、輸入業者に対して是正の勧告を行うというような措置も盛り込んでいるところでございます。
 こうした仕組みにより、国も積極的に関与して、血漿分画製剤の計画的な安定供給を確保していきたいというふうに思っておるところでございます。
小沢(和)委員 これまでに大量の血漿分画製剤や遺伝子組み換え製剤が輸入されていることを指摘してまいりましたが、今でも血漿そのものが輸入されていると聞いております。年間何万リットル輸入されているか、アメリカからの輸入といえば売血ではないのか、一体何に使うのか、どうしても輸入しなければならない理由は何か、お尋ねします。
宮島政府参考人 輸入量は今ちょっと調べておりますので、後ほどお答えしたいと思いますけれども、いわゆる有償採血による血漿の輸入が現在においてもあるわけでございます。
 その安全性確保のためには、いわゆる血液の採血国のいかんにかかわらず、現時点での最新のウイルス検査法でありますNAT検査、いわゆる遺伝子核酸増幅検査というものを義務化しておりまして、現時点での科学的水準……(小沢(和)委員「そんなこと聞いてないでしょう。何万リットル輸入されているかとかいうことを聞いたんですよ」と呼ぶ)それは今ちょっとお答えしますけれども、そういう形で、安全性の確保は国内物と同等のレベルでやっておるということでございます。
小沢(和)委員 聞いたことに答えてないじゃないか。
宮島政府参考人 平成十三年の輸入血漿量は三・三万リットルで、すべてアメリカから輸入しているということです。
小沢(和)委員 私、三つも四つも聞いたんですよ。アメリカからの輸入といえば売血ではないのか、一体何に使うのか、どうしても輸入しなければならない理由は何か。まだあと三つ残っています。
宮島政府参考人 先ほど、平成十三年の輸入血漿量は約三・三万リットルと申し上げましたが、そのうち約三万リットルは、アルブミン製剤及びグロブリン製剤に使っております。それから残りの〇・三万リットルは、乾燥抗D人免疫グロブリン、いわゆる希少性の血液製剤でございますけれども、これに使用しているということです。
 それから、輸入血漿は、いわゆる有料採血によって得られたものであるということです。
小沢(和)委員 有料採血なんてわかりにくいことを言うけれども、要するに売血でしょう。私が深刻な不安を感ずるのは、その安全性です。
 国内では献血を受ける段階から厳しい検査が行われ、これまでにもALTなど八項目の抗原・抗体検査などが行われてきました。それに加え、日赤は平成十一年からNAT検査を始め、B型、C型両肝炎とエイズウイルスをほぼ完全にストップできる状態になっておりますが、この血漿や輸入製剤はどうなのか。献血より売血の方がはるかに危険度が高いというのが常識ですが、アメリカの抗原・抗体検査は日本より四項目も少ないと聞いておる。より危険度の高いものを、より簡単な検査で通し、血漿や輸入血液製剤の安全性に政府は責任を持てるのか。国内製剤と同じか、それ以上の安全チェックをしなければ輸入を認めないというのが当然ではありませんか。
宮島政府参考人 ちょっと先ほどもお答えいたしましたけれども、いわゆる輸入血漿、輸入された血漿につきましても、先ほどお話のあった、日赤が現在やっておりますいわゆるNAT検査、遺伝子核酸増幅検査という、現時点におきまして最新のウイルス検査法を義務化してその安全性の確保を行っているということでありますので、基本的には、国内血漿と同じレベルでの一応安全確保対策は行っているということであります。
小沢(和)委員 日本は八項目検査をやっているのに、アメリカはそれより四項目も少ない、半分しかやっていない、こういうようなことで同等だというふうに言えるのか、私は大いに疑問だということを言っておきたいと思うんです。
 次の質問ですが、今、アメリカの製薬メーカーは日本国内で、組み換え製剤の方が安くて安全と言って売りまくっております。
 一方、日赤に聞いてみると、先ほど述べたNAT検査を経てようやく原料血漿と認められ、それからさらに六カ月保管し、その間に新たな汚染などの情報がないと初めて製造作業を行う。その後、さらに安全チェックのための国家検定などに二カ月かかり、ようやく製品になる。これに対して、組み換え製剤はアメリカ国内でどれだけの安全チェックが行われているのか、それを示してください。
宮島政府参考人 いわゆる遺伝子組み換え製剤につきましては、製造工程におきます製造管理、品質管理等によりまして一定の品質の確保が可能であるという考え方から、薬事法に基づく医薬品及び医薬部外品の輸入販売管理及び品質管理規則、GMPIにより、輸入販売業者に対し、海外製造所の製造管理、品質管理体制の確認、輸入製品の試験検査等を義務づけて品質確保を図ってきているところでございます。
 なお、今回の薬事法改正におきましては、外国製造所に対する書面または実地調査を行うことが法的にも可能となりましたので、輸入製剤に対する品質、安全性の確認体制が現状よりも一層強化できるものというふうに考えております。
小沢(和)委員 結局、日本は、アメリカの国内でのチェックを信頼して、我が国としての国家検定などは一切なしで、この組み換え製剤を普通の医薬品としてフリーパスで輸入しているということなんじゃないでしょうか。
 私は、この遺伝子組み換え第8因子製剤については、これが血液からの製剤に比べてより安全と言えるのかどうか、大きな疑問を持っております。これが遺伝子組み換え製品だから、ヒト由来のウイルスと関係がないというふうに言われますけれども、この製剤の成分の大部分は売血でつくった血液製剤であるアルブミンというではありませんか。これでどうしてヒト由来でないと言えるのでしょうか。その上、ハムスターの細胞にヒトの第8因子を植えつけ、培養液にはヒトや牛のたんぱくを使い、精製にネズミの抗体を使う。むしろ、ヒトの血液製剤以上に安全性という点では十分なチェックが必要なものではないんですか。
宮島政府参考人 遺伝子組み換え製剤につきましては、ヒト血液の原料血漿を使うものと違いまして、いわゆる添加剤等に血液製剤を一部使うということがございます。しかし、原料としましては、今御指摘のように、いわゆる動物等の細胞を遺伝子を組み換えて培養して、ふやして製品化するという過程をとっておりますので、生物由来製品であることは間違いございませんし、したがいまして、リスクについてもきちんと客観的に評価して、必要な安全対策をやる必要があるというふうに我々も認識しております。
小沢(和)委員 今回の法改正を期に、今後次々につくられるであろう遺伝子組み換え製剤については、すべて、少なくとも特定生物由来製品に指定して、血液製剤並みあるいはそれ以上の十分なチェックを行うこととするというふうに聞いていますけれども、そうでしょうか。
宮島政府参考人 今回の薬事法に定めます生物由来製品及び特定生物由来製品につきまして、具体的にどの品目がそれに該当するかにつきましては、医薬品食品審議会の専門家の皆さん方の御審議によって一品目ずつそのリスクを評価していただいた上で指定していくという形になるところでございます。
 現在輸入されています遺伝子組み換え製剤につきましても、そういったところで客観的にリスクを評価して分類されていくということですが、現在輸入している遺伝子組み換え製剤につきましては、基本的には血液製剤と同じリスクというふうに見込まれますので、特定生物由来製品になるというふうに見込まれております。
小沢(和)委員 私は、現在の最高の技術で製造したものであっても、第8因子の血液製剤、遺伝子組み換え製剤とも未知の危険があり得るし、絶対安全とは言えないと思います。患者には、医師からこの状況を十分説明し、このような治療を受けるかどうか、また、どの製剤で治療するかを選ばせる、これがインフォームド・コンセントだと思うんです。ところが、多くの病院ではこういう説明を行っていない。そして、組み換え製剤しか置いておらず、選択の余地がないというところもかなりあると聞いております。
 こういう状況を改善するように指導すべきではありませんか。
宮島政府参考人 血液製剤につきましては、申すまでもなく、国民の善意による献血が原料として使われておりますし、また一方、感染症等のリスクを完全に排除できない面もありますので、患者が使用する際には、これらについて十分理解していただくということが望ましいわけでございます。
 現在、医療一般につきましては、医療法に基づきまして、医師等医療関係者は、医療の提供に当たり、適切な説明を、患者の理解を得るように努めなければならないという一般的な、いわゆるインフォームド・コンセントの規定がございますが、今回の薬事法改正案におきましては、これに加えまして、血液製剤を含む特定生物由来製品について、その原材料に起因する感染症のリスクを踏まえ、医師等医療関係者は、その製品を投与される患者に対して、安全性、有効性、代替性等について十分な説明を行い、理解を得るように努めなければならないという規定を追加して規定しているところでございます。
 また、特定生物由来製品であることなどに関する表示も義務づけることとしており、これらの措置によりまして、患者みずからの選択による使用が可能になってくるものというふうに考えております。
小沢(和)委員 私は、安全に多くの不安を感じさせる組み換えの第8因子製剤の輸入を野放しにし、安くて安全などと宣伝して売りまくるのを許していることを到底納得できません。これには、何か政治的な背景があるのではないかと疑わざるを得ません。
 そこで大臣にお尋ねしたいんですが、あなたは、ことし二月、DSA社、ダイナミック・ストラテジー・エイジャという会社のセーデルという人物に会ったことがあるのではありませんか。どのような用件だったんでしょうか。
坂口国務大臣 本年の二月の二十日に、欧米の血漿分画製剤メーカーにより構成されております血漿たんぱく製剤協会、PPTAというんだそうですけれども、そのボルト理事長を初め数名の方が大臣室を訪れられました。事実でございます。恐らく、お見えになりましたのは、日本の中で、厚生労働省として血液法案をまとめて出すらしいということの情報のもとにお見えになったものと、私は理解をいたしました。
 それで、そのときに先方がおっしゃったことを今私の記憶をたどってみますと、血液製剤の安全性というものについて、我々も十分にその努力をしているといったようなことをお話しになったというふうに思います。
 私の方からは、今回、血液製剤に対します、国内でそれを賄うという法案を提出いたします、日本の国の中の必要な血液製剤は日本で賄うという大前提のもとに我々はやりたいと思うということを、その皆さん方にお話をしたというふうに思っております。
小沢(和)委員 重ねてお尋ねしますが、自給を促進したいというふうに大臣がおっしゃったときに、いわば締め出される側になるPPTAの側は、ああそうですかといって帰ったんでしょうか。
坂口国務大臣 それに対して、何ら反論とか、こういうふうにしてほしいというお話はございませんでした。
小沢(和)委員 今大臣が触れられた外国の血液製剤の業界団体、PPTAが発行する「ザ・ソース」という広報誌のコピーを、私はいただきました。これには、PPTAから日本でのロビー活動を依頼されたDSA社の、特にセーデル氏を中心とした、日本の政治家、官僚等への働きかけの実態がレポートされております。これによると、セーデル氏は、一九九〇年から九三年にかけて、自由民主党の政策特別顧問を務めた経験のあるロビイストだということになっております。
 ちなみに、DSA社のホームページから検索した履歴によりますと、セーデル氏は、アメリカの諜報機関CIAの上級分析官を務めたエージェントでもあります。
 セーデル氏は、PPTA加盟業者の製品のシェアを拡大するために、日本国内でつい最近も盛大なセミナーを開催し、坂口大臣初め多くの政治家や官僚に対し盛んなロビー活動を展開したと述べられております。セーデル氏は、みずからのレポートで、こうした努力の結果、PPTA加盟業者の製品のシェアは半分近くまで占めるに至ったと、成果を誇っております。
 大臣に対しても、セーデル氏は、安くて安全と売り込むようなことを言ったのではないのでしょうか。こういう政界や官界への工作の結果として、安全性に対する保証という点で大いに疑問のある組み換え製剤の輸入が野放しにされるというようなことは、絶対ないと言い切れますか。
坂口国務大臣 まず、そこは、日本の国の中ですべて必要な血漿分画製剤をつくるということが大前提でありまして、それができないのに、ほかから輸入することをとやかく言っても、私は始まらない。だから、まずこれは献血量をふやして、日本の国の中でそれが一〇〇%賄えるようにすることが大前提であるというふうに思っております。
 したがいまして、そういうふうにしたいという前提のもとに今回のこの法律を出すわけでありますから、それができないのに外国からは全部だめだと言っておりましたら、日本の患者の皆さん方は大変困惑されるわけでありますので、まず、日本の国の中で、実績としてぜひ一〇〇%できるような体制を一日も早く確立することだと考えております。
小沢(和)委員 重ねてその点でお尋ねしますけれども、今私が問題にしているのは組み換え製剤なんですよね。これを猛烈に売り込まれて、今国内の血液製剤の方がどんどん押しまくられてきている。そういう状態を一〇〇%自給の状態だなどと美化している向きもあるけれども、これは、実態としては押しまくられて、実際に日本の国内で血液製剤で供給できる能力があるのに、それも発揮できないような状況になっている。こういう状況でいいのかということが私が一番言いたい点です。その点いかがでしょう。
坂口国務大臣 このリコンビナントがどれだけ安全なものなのかということにつきまして、私は十分な科学的データを持ち合わせておりません。したがいまして、私は、血液製剤によってすべて賄う方がいいと考えております一人でございます。
 現在、そうしたリコンビナントを使用の皆さん方もおみえでございますし、また、中にはそちらの方が安全だという人もおみえになるようでございますけれども、私は、日本の国内におきます血液は、エイズはもとより、C型、B型、それぞれの肝炎につきましても、完全にと言っていいほどチェックのできる体制ができ上がったわけでありますし、そうした中でつくられます血液血漿製剤というものが最も安全ではないかというふうに思っておりますので、そうしたものが一日も早くすべての患者さんに対しまして提供できる体制をつくることこそ大事であると思っております。
小沢(和)委員 終わります。
森委員長 次に、中川智子君。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 薬事法の中身に入る前に、一点だけ質問をさせていただきます。これは医療事故の問題です。
 東京女子医大の医師の逮捕など、いろいろな形で医療事故の問題がさまざまな中身を持って、この委員会でも質問がされ、そして、やはり一件でも少なくするために、限りなくゼロにしていくために頑張っていかなければと思っております。
 その関連で、年間の医療事故の件数や支払い保険金総額等、プライバシーに配慮した範囲でも、個別の商品ごとのものは保険会社に出させるのは非常に難しい、民間の医療事故の実態把握をまずすべきではないかと。これに関して保険会社から情報をとり、それを医療事故をなくしていくためにしっかりと厚生労働省として把握するべきではないかという質問に対して、このような答弁がありました。
 しかし、先週の日曜日、七月七日でございますが、報道で、医賠責保険の保険会社が、医療事故に基づく保険金の支払い記録など、事故データを日本麻酔科学会に提出したという報道がありました。
 アメリカにおきましては、アメリカの麻酔学会は一九八四年から、このような保険会社の保険金支払い記録に基づく事故調査をクローズド・クレームズ・スタディー、解決済み紛争調査と呼びまして、事故実態を調査しております。その結果、一九七〇年代には麻酔事故での死亡、脳障害が五六%を占めていたものが、一九九〇年代には三二%まで減ったという実績があります。
 このような実績を踏まえて、日本麻酔科学会は、麻酔関連の医療事故について原因を調査し、結果を会員に公表して再発防止を図る制度をつくるために、保険会社にデータを要請しました。保険会社も、当初は厚労省の要請に対する回答と同じく、保険金支払い審査以外の目的でデータ利用はできないということで拒否を続けておりましたが、学会側が、医療事故の原因究明と再発防止のためには絶対にこれが必要なんだということで何度も訴えた結果、保険会社がこれにこたえました。
 麻酔科学会でこれほどの努力をして保険会社にデータを出させたわけですから、医療事故全体をつかむことが緊急の課題であるときに、厚生労働省としては、いま一たび、実態把握のために保険会社へのデータ提出を要望していただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
坂口国務大臣 先日のこの委員会で中川議員からこのお話がありまして、それで、これも間もなくのことでございますが、毎日新聞でございましたか、見ましたところ、この麻酔科学会の話が出ておりまして、あれあれと思って、実は一遍問い合わせをしてもらいたいということを言ったわけでございます。
 そういたしますと、向こうの方から回答が参りまして、三点ございまして、一つは、日本麻酔科学会が契約の当事者であるというのが一つでございます。それから二番目には、事故事例にかかわる会員の了解が得られていると。その学会の会員の了解が得られている。三番目には、当該事故データの使用目的が、事故の発生原因の究明等、症例研究に限定されている。この三つのことから、関係損害保険会社から日本麻酔科学会に事故データを提供した、こういうことでございます。
 再度、政府の方に対しましてもこの情報提供をひとつしてほしいということを申し上げたんですけれども、それに対しましては、契約者である医療機関等との信義則等の問題もあり、個別の情報のみならず、総数についても情報は出せないと、冷たい返事でございました。
 それで、ここからわかりましたことは、国の方が直接聞いてもなかなか出されないということであれば、この麻酔科学会のように、それぞれの当事者であるところがそのデータをお聞きいただければこれは出るということがわかるわけでございますから、それらを総合して、どれだけあるかということを判断するというのが、回りくどいですけれども、一つの道ではないかというふうに今思っている次第でございます。
中川(智)委員 ただいまの大臣の御説明で私もわかりました。やはり厚労省としては、では契約者側の方への説得、そしてそこでの実態把握を厚労省の方に報告していただくという形、遠回りでも結構ですから、結果大事ということで、ぜひとも今後ともの御努力をお願いいたしたいと思います。
 続きまして、今回の薬事法の問題ですが、私自身、長い間、薬害ヤコブ病の問題に関しまして、患者、家族、そして遺族の方々と闘う。私にとっても、文字どおり国会の中で闘うという形で頑張ってまいりました。
 本当にすごい私の闘いの、涙ながらに訴えたことなどもございまして、坂口大臣の心に響き、そして官僚の皆さんも、ともに解決していこうという気持ちになっていただいて、三月二十五日に確認書を交わし、本当に皆様が喜ばれる日を迎えることができました。
 HIV、そして薬害ヤコブ病、たくさんの犠牲者を出しました。皆さんの願いは、経済的な、金銭的な、そのようなものではなく、これほどまでに痛ましいことはもう二度と繰り返さないでほしいという思いでした。この苦しみはもう自分たちだけで最後にしてほしい、そんな思いでの闘いでした。
 ですから、今回この薬事法の改正が、多くの方々の犠牲の上に一歩前進であることを心から祈っておりますし、そのような中身になっているかどうかということでの御審議が続いているわけでございます。
 まず第一点目ですが、医療用具のクラス分類について伺いたいと思います。
 医療用具は四段階に分類されていますけれども、現時点では歯科用合金がクラス二に分類されています。この歯科用合金は、今アトピー性皮膚炎の原因の一つではないかという危険性が指摘されているわけです。大臣はこの分類に関しまして、現在までの審議の中の御答弁で、細心の注意を払ってとか、刻々と変化することに対応されるということでございました。大切なのは、このように予防原則を適用できる事例が出ている場合の迅速な対応です。疑わしきものは使わず、それを、きっちりとした科学的なデータがあってからでは遅いということを、さまざまな薬害の中で私たちは学んでまいりました。
 大臣がおっしゃいました細心の注意というのは、このような場合、今の歯科用合金の場合にきっちり反映されるべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか、御答弁をお願いいたします。田村政務官でお願いいたします。
田村大臣政務官 先生おっしゃられましたとおり、今回の改正におきまして、ピンセット、メス、ペースメーカー、画像診断装置等々、いろいろある医療機器を分類した。先生がおっしゃられました歯科用合金、アマルガムでございますけれども、これに関しましては、おっしゃられたとおり、今クラス二という部分にこれは分類をされております。
 今回の改正を踏まえた医療機器の具体的な分類なんですが、これは国際的な動向を踏まえながら、改めて薬事・食品衛生審議会の専門家の方々の御意見をいただいた上で、人体に対する接触部位、それから接触時間、さらには予想されるふぐあい等々を勘案した上でクラス分けをさせていただいたわけであります。
 今回、そういう意味では、先生御指摘のものでございますアマルガムでございますけれども、例えば、国際医療機器規制整合化会合、こういうところでもやはり同等の分類に実は分類されておりましたりとか、それから、我が省が自主的に行っております厚生科学研究補助金アレルギー総合研究事業等々におきましても、まだアマルガム自体がアトピー性の、先生、科学的実証データが云々というお話がありましたけれども、まだ科学的実証データがないんです。
 ただ、この制度に関しましては、ふぐあいや、また感染症のおそれがある場合に関しましては、その発生した状況等々を勘案いたしまして、再度、薬事・食品衛生審議会の方の意見を聞いた上で分類し直すことができます。それで、医療機器メーカーでありますとか医療機関等々からそういうふぐあいの報告があった上でそういう議論になってこようと思いますので、先生おっしゃられたことがそういうことでございますれば、多分そういうようなルートを通じて見直しという形になってこようと思います。
中川(智)委員 今の御答弁でしたらば、こちらの方である程度研究なり調査なりをして、国の方でそのような形で吸い上げるというよりも、こちらのメーカーなり実際の医療機関の方からの、片っ方からのものなんですか。こちらで、今アトピー性皮膚炎との因果関係なり、原因の一つではないかと疑われていることに対しての調査体制、研究体制というのは国の方できっちりとつくっていくというようなお考えはあるんですか。
田村大臣政務官 今申し上げましたけれども、厚生科学研究補助金におけるアレルギー総合研究事業等々では、まだ実際問題、アマルガムのアトピーに対する影響というものが確認されておりません。ただ、それとは別にいたしまして、それぞれの現場でそういうものに対してどうもふぐあいがある、おかしいというような、そういう話が上がってまいりますれば、それはそれで、またこちらの審議会の専門家と話し合いをさせていただいた上でどうするかという議論になるという話でございます。
中川(智)委員 私自身は、やはり先ほど申しましたように、予防原則に基づきまして、少しでもそのような報告がありましたならば、これは高度管理医療機器の方に分類すべきだという意見としてそれは申し上げておきますので、ぜひとも綿密にきっちりした、ふぐあいというのがどういうイメージかよくわかりませんけれども、少しでもそのような形でありましたらば、先取りをして高度管理医療機器の方への分類、しっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただきます。
 続きまして、製造販売承認制度なんですが、ヤコブの場合は、ライオデュラが本当に医療用具ということで、治験のデータなども添付されずに、たった九枚のペーパーで二カ月ちょっとで承認された。一九七三年にもっときっちりという思いがみんなに強かったわけでございますし、あの承認がずさんであったばかりにあの悲劇が生まれたということを私は確信しております。
 今回の承認制度導入について一点伺いますが、いわゆる下請ができるようになります。これは元売業者が下請の全責任を負うというふうに私は理解しております。そして、厚生労働大臣、都道府県知事が、承認時あるいは定期的に査察を行うという仕組みになるということですが、これは定期的にというのはどの程度の期間を考えていらっしゃるのか、そこをお答えいただきたいと思います。
宮島政府参考人 今回の改正薬事法におきましては、製造所における製造管理、品質管理の状況につきまして、品目ごとに、その承認時のほかに、承認取得後三年を下らない政令で定める期間を経過するごとに、書面調査または実地調査を行うことというふうに規定されております。この政令で定める期間につきましては、政令の制定に当たり具体的に検討するということになりますけれども、現在の実態としましては、業許可更新での調査実態といったものを踏まえまして、五年の期間を政令で定めるということを今検討しているところでございます。
 ただ、一応現実には五年に一回の言うなれば定期的な査察のほかに、いわゆる随時、製品の特性なりリスクの程度、過去の調査実績などを勘案いたしまして、必要に応じて立入検査等もやっておりますので、実態としてはそれよりもう少し短い期間のサイクルで調査を行っているという状況でございます。
中川(智)委員 五年とか三年を下らないということで、あとはさまざまな情報などに基づいての立入検査やその他の行動ということになると思いますが、三年を下らないというのも非常に具体的ではありませんし、五年というのは長いというふうな印象でございますが、それに対していかがでしょう。もう一度お願いします。
宮島政府参考人 この三年を下らない政令で定める期間というのは、一応法律の条文上そういう規定になっております。つまり、三年を超える期間で定めるということでありますけれども、具体的にその期間はどうするかというのは政令で定めるということで、現在行っております調査の実態等を踏まえますと、今検討しているのは、一応五年というものを中心にその期間を検討しているということでございます。
中川(智)委員 臨機応変にやはりしっかりしたその後のチェックというのが大切だと思いますし、私は一年ごとぐらいでいいんではないかと思いますが、そこは政令にゆだねるというところで議論をしっかりしていただきたいと思います。
 これに関連しまして、この下請を可能にする制度というのは多国籍企業の参入を可能にする制度だと理解しておりますけれども、これをチェックするのは元売業者だと考えますが、そこがそのような理解でいいのかどうか。
 そしていま一つは、この元売業者が人材、設備のないペーパーカンパニーであるということの可能性も出てくるわけです。厚労省としては、人材、設備のチェックというのは具体的にどのようになさるおつもりでしょうか。
宮島政府参考人 今回の薬事法改正におきましては、いわゆる市販後の安全対策というものをより一層重視するという観点からの改正を行っておりまして、したがいまして、いわゆる元売業者が市販後の安全対策について基本的に全責任を負うという形になっております。
 これに伴いまして、いわゆる製造業者はある意味では純粋な製造業の部分に純化するわけでありまして、その製造業者につきましては、従来どおり、いわゆる基準適合性を確認の上、製造業の許可というものを与えておりますし、海外製造業者につきましては、これは新しく認定という形でその中身をチェックした上で行うということになっております。
 それで、一方で元売業者の方でございますけれども、元売行為を行う製造販売業者につきましては、いわゆる品質管理体制から市販後の安全管理体制までをきちんと整備することがその許可要件になっておりまして、具体的には、そういった市販後安全管理なり品質管理を行う専門のセクションをきちんと持っている、それから、そういったものを担当する管理責任者がきちんと置かれているということをチェックした上で許可を行うということになっておるわけでございます。
 したがいまして、いわゆるペーパーカンパニーという形のものは、まずあり得ないというふうに思っております。
中川(智)委員 ペーパーカンパニーのようなものはあり得ないというふうに思っているということで、現実はそういうものができるかもしれないという危険を含んだものだと思いますし、ここの部分は省令に盛り込んでいくわけですけれども、省令がしっかりしなければ、規制を緩めただけの、なかった方がよかった法案に、規定になってしまったら大変だと考えております。
 省令の部分に、ぜひとも、人材、設備のチェック項目を細かくしっかりとつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
宮島政府参考人 今回の薬事法の改正におきましても、法律におきましては、いわゆる医薬品等の承認や製造販売の許可など基本的な骨格となる事項を法律で規定しているというところでございます。したがいまして、製造所等の構造整備や医薬品等の承認に係る各種の基準等技術的な内容につきましては、これは科学技術の進歩等に応じて迅速に対応していく必要もありますので、いわゆる省令に委任して規定していくという形になっておるところでございます。
 省令の制定につきましては、重要な事項については、当然、審議会の専門家の意見を聞くという形をとりまして、今回の法改正の趣旨や国会で御審議いただいた趣旨を踏まえまして、適切な運用がされるように十分配慮していきたいというふうに思っております。
中川(智)委員 続きまして、特に生物由来製品のことで伺います。
 製造過程における安全性の確保について責任技術者を置くということになっておりますが、この責任技術者の資格と人数、どのような資格を持って、そしてどれぐらいの人数を置くかということは、もう既に決まっておりますでしょうか。
田村大臣政務官 生物由来製品の製造に関して、言われるとおり、管理者の資格要件と人数、これについてどういうものかというお話であったと思うんです。
 従来より、生物学的製剤等の医薬品の製造に関しましては、製造所ごとに医師もしくは細菌学的知識を有する、そういう者を製造管理者として置かなければならないというふうにしていたところでありますけれども、今般のこの薬事法改正に当たって、生物由来製品たる医薬品でありますとか医療機器、そういうものに対する製造に関しても、現行の生物学的製剤等々と同等に、医師及び細菌学的知識を有する者というような製造管理者を置くというような要件にしたわけであります。
 それで、人数に関してですけれども、基本的には製造所、製造施設ごとなんですが、ただ、もちろん区分の異なる製品をつくる場合がございますので、そういう場合には、同時に製造する場合にはそれなりの人数が要る。そういう場合を除けば、一施設に一人というような形になるわけでございます。
中川(智)委員 ヤコブのいわゆるライオデュラの日本の輸入元でありましたビー・エス・エス社は、電気工事の技士だったわけですね。全く細菌学の知識も何もない、資格は持っているけれども電気工事の資格だったというようなことがございました。しっかりした専門知識を有する人、そして、それなりの規模のところには人数もしっかり置いてということがかなめだと思っておりますので、ぜひともそこの部分に関しては、しっかりしたチェックと、その後の、しっかりそれを、そのときにだれかの名前を借りて置いているように見せかけるということではなくて、実体を伴うものとなるようにぜひともお願いいたします。
 続きまして、ドナー選択のところに移らせていただきますけれども、これはドイツのB・ブラウン社が、行き倒れの死体などからも硬膜をとって、そしてやみルートを使って売っていた。ドナー選択ができないという理由で、アメリカでは、ライオデュラは輸入承認が国はされなかったわけなんですけれども、特に海外でそのような生物由来の製品をつくりましたときに、ドナー選択が全く不可能に近い状況に置かれます。ドナー選択さえきっちりやっていればということもヤコブでの教訓だと思います。
 そこで、ドナーの特定やドナーセレクション、ルックバック体制について、これも違反した場合には、承認や営業許可の取り消しなどのいわゆる制裁措置というものを省令に規定すること、これがとても大事だと思いますが、これに関してはどのようにお考えでしょうか。
田村大臣政務官 先生おっしゃられますとおり、この生物由来製品というのは、感染症の伝播リスクというのは非常に高うございますので、言われましたドナー選択の問題、これは基準の整備でございますとか、それから製造過程も、普通の製造工程管理規則以上に付加的により重くしたといいますか、そういうような整備。それから、感染症の定期報告制度による市販後の情報収集、こういうもの、それから遡及調査、こういうものを含めてこれは実施していかなければならないわけであります。
 こういうものを違反した企業等々をどうするかという話なんですが、廃棄、回収命令から改善命令も、事によっては業務停止、許可の取り消しというところまで厳しい対処をさせていただく。
 同時に、最近の経済情勢に照らして、十分な抑止効果といいますか、そういうものを上げるために罰金を引き上げさせていただきまして、どれぐらいがいいかという議論はあるんですが、一億円以下の法人重課というような、そういうものを導入させていただこうと。この生物由来のものに関しましては、法人重課を適用させていただきますから、今申し上げましたとおり、罰金一億円以下ということでございまして、かなり厳しい、そういう対応をさせていただこうと思っております。
中川(智)委員 今のお答えでは、承認や営業許可の取り消しというよりは、一億円ぐらいのきつい罰金。でも、あくどいことをやってもうけたりしたら、お金なんかはたくさんあるわけですね。
 ですから、お金ではなくて、お金も一定の歯どめにはなるかもしれませんが、これもヤコブの教訓ですけれども、国は回収命令を出しましたが、それに対する事後のチェックが一切なかった。そして、回収命令をしても使い続けたということで、あのヤコブの悲劇は生まれたわけですね。ここをしっかりと厳しいものにしておかなければ、再び私は繰り返すと思います。
 罰金のみではなく、承認や営業許可の取り消しはお考えになっているのかどうか、もう一度御答弁をお願いいたします。
田村大臣政務官 先ほども申し上げましたけれども、業務停止命令それから許可の取り消しも含めて、厳しい対応をさせていただきますので。
中川(智)委員 わかりました。よろしくお願いします。それと、公表というか、それは基本だと思います。
 そして、これはまたヤコブの一つの大きな、今でも、現在なお進行中の問題でありますけれども、記録の保存の問題です。
 先日の医薬局長の御答弁では、ドナー記録の保存については原則十年というお答えがあったと思います。しかし、薬害ヤコブ病では、硬膜移植では、最長というか、もっと長いかもしれませんが、十八年の潜伏期間を経て発症されたという方がいらっしゃいます。角膜移植では、三十年もの長い年月を経て発症しております。このような現実がありながら、なお原則十年というのは短過ぎると考えます。
 記録がないのは、発症してからの責任の所在が明らかになりません。これは大臣もよく御存じのはずです。ヤコブ病裁判でも、当初はこの記録がないということで、国も企業も責任を回避しようといたしました。また同じような状況が繰り返されてはなりませんので、ドイツでしたか、六十年の保存ということがございます。私は、これは、このような問題は永久保存というのが原則だと思いますけれども、十年では短過ぎる。これに対してどのようにお答えでしょうか。
坂口国務大臣 原料記録の保存期間につきましては、潜伏期間が長い未知の感染症への対応といったような観点から、御指摘のように、十年よりも長い期間にすべきだという御意見をいただいております。
 参議院の附帯決議におきましても、生物由来製品にかかわる記録の保存期間については、「諸外国の例も参照しつつ、十分な期間を定めること。」こういうふうにされたところでございます。
 具体的な保存期間につきまして省令で定めることにいたしておりますが、国際的な動向でありますとかこの委員会における御審議、そうしたことも踏まえ、そして審議会の意見も聞くことになっておりますが、これらすべてを踏まえて、そして適切な期間を決めさせていただきたいというふうに思っております。委員会の質疑を十分に生かさせていただきたいと思っております。
中川(智)委員 そうしたら、附帯決議にもございましたが、具体的な年数が書いてありませんでした。大臣は、そのような審議会、さまざまな方々の意見を聞くというのが基本ということはよくわかりますけれども、大臣としては、大体どれぐらいの年数をしっかりとらなければいけないと現時点ではお思いでしょうか。
坂口国務大臣 どれが一番適切かということを私今ここで言えるほど知識がありませんが、必要にして十分な時間をとりたい、そう思っております。
中川(智)委員 私は永久保存をすべきだと思いますが、少なくとも海外の例にも見習って六十年、これぐらいはしっかりと保存すべきだということを申し上げます。
 最後に、もう一点だけ質問をいたしますが、ヤコブ病の御遺族や御家族の方、そしてこの裁判にかかわられた弁護士さんや市民の方々が、ついせんだって、ヤコブ病のサポートネットワークという組織を立ち上げました。さまざまな、ヤコブ病が、ライオデュラを移植されたけれども、自分は発症するのではないかという不安に対してのケアですとか、また、現在入院加療の北海道のヒロ君や、何人かの方々が闘病中です、その方々を支えていく。そしてまた、このような薬害に対して自分たちが学んできたこと、経験してきたことを、そのサポートネットワークによっていろいろな方々に情報なりを伝えていこうということで、立ち上げました。
 私は、このサポートネットワークに対して、もう少し国もしっかりとお手伝いをしていただきたいというお願いが一点。
 そして、サーベイランスのことでもう一点最後に、短い御答弁で結構ですが、お願いをしたいんですが、厚生労働省がサーベイランス委員会でライオデュラを移植されてヤコブ病になった方を把握はしているんですが、医療機関からその方にお知らせすればいいということで、国としてヤコブ病であるということを知らせていない方がございます。
 これは、この間テレビでも、ヤコブ病のことで、移植されたけれども発症していない、その不安で本当に大変な思いをしていらっしゃる方が、いろいろお話ししていらっしゃいました。その方は、自分がヤコブ病になるかもしれない、ライオデュラを移植されたかどうかということを確認するのは、すごく悩んで、一年悩んだんだけれども、実際知ってみれば、心の準備、家族にきっちり話して、このような状態になったときには、ヤコブ病かもわからないから、こういうふうにしてほしいという話ができるということを話していらっしゃいました。
 それは、急激に痴呆状態が進んで、もう全く無言無動になって、植物人間になってしまう。治療法もない。確実に死に至る。そのときにしっかりと、もしかしたらこうなるかもしれないということで準備をさまざましておくことができた、自分は知ってよかったというふうにお話しになっていました。
 国として、裁判もあのような形で和解になったのですから、このライオデュラを移植された方に、ヤコブ病のこのことを、事実をしっかりと責任を持って知らせるべきだと。私が以前質問したときはまだ和解になっていませんでしたが、今は状況が変わっております。
 ネットワークについては要望だけで結構です。サーベイランスのこの知らせるということについての御答弁をいただいて、質問を終わります。
宮島政府参考人 サポートネットワークにつきましては、和解のときの確認書において支援をお約束していますので、今、サポートネットワークに参加されている方々とよく御相談しながら、積極的に対応していきたいと思っています。
 それから、いわゆるヤコブ病患者、家族に対しますいわゆる情報提供につきましては、従来から、医師と患者、家族の信頼関係の中で行われるのが望ましいということで、報告を行った医療機関から患者、家族へ適切な情報提供がなされるよう、調査実施要領等でお示ししているところでございますが、去る七月五日に開催されました厚生科学審議会クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会におきましても、報告を行った医療機関から患者、家族へ説明することを再度要請する書簡を送付することとされました。
 これを受けまして、厚生労働省におきましては、今後、速やかに各医療機関に書簡を送付することにより、患者、家族への情報提供がなされるように努めてまいりたいというふうに思っております。
中川(智)委員 それについては、ではまた、きっちり時間があるときに質問いたします。
 終わります。
森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会


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