衆議院

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第9号 平成14年11月22日(金曜日)

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平成十四年十一月二十二日(金曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 坂井 隆憲君
   理事 熊代 昭彦君 理事 長勢 甚遠君
   理事 野田 聖子君 理事 宮腰 光寛君
   理事 釘宮  磐君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 武山百合子君
      岩倉 博文君    岡下 信子君
      奥谷  通君    後藤田正純君
      佐藤  勉君    田村 憲久君
      竹下  亘君    棚橋 泰文君
      西川 京子君    平井 卓也君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      宮澤 洋一君    森  英介君
      山本 幸三君    吉田 幸弘君
      吉野 正芳君    渡辺 具能君
      家西  悟君    石毛えい子君
      大島  敦君    鍵田 節哉君
      金田 誠一君    五島 正規君
      土肥 隆一君    永田 寿康君
      三井 辨雄君    水島 広子君
      江田 康幸君    桝屋 敬悟君
      佐藤 公治君    小沢 和秋君
      山口 富男君    阿部 知子君
      中川 智子君    川田 悦子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局国立病
   院部長)         冨岡  悟君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  小島比登志君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局労
   災補償部長)       高橋  満君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  真野  章君
   政府参考人
   (厚生労働省政策統括官) 水田 邦雄君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  磯部 文雄君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十二日
 辞任         補欠選任
  宮澤 洋一君     岩倉 博文君
  三井 辨雄君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     宮澤 洋一君
  永田 寿康君     三井 辨雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人国立病院機構法案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第八三号)


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     ――――◇―――――
坂井委員長 これより会議を開きます。
 第百五十四回国会、内閣提出、独立行政法人国立病院機構法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長高原亮治君、健康局国立病院部長冨岡悟君、医薬局長小島比登志君、労働基準局労災補償部長高橋満君、保険局長真野章君、政策統括官水田邦雄君及び社会保険庁運営部長磯部文雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田誠一君。
金田(誠)委員 おはようございます。民主党の金田誠一でございます。ちょっと風邪ぎみでございまして、聞き取りにくいかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 まず第一点目は、賃金職員の雇用についてお尋ねをしたいと思います。
 国立病院・療養所の独立行政法人移行に関して最大の課題は、いわゆる賃金職員、この方々の雇用の継続確保、この問題であると考えるわけでございます。
 いわゆる賃金職員は、病院運営上も必要不可欠な人材であるにもかかわらず、国家公務員の総定員法の枠によって正規職員として採用されず、形式的には期限つき任用とされてきたところでございます。しかし、その実態は、看護職など医療職(三)表や(二)表相当職の職員は比較的短い期間で正規職員に任用されてきているところであります。一方、行政職(一)表や(二)表、あるいは福祉職相当職、こういう職員は、平均在職年数で十年以上、長ければ二十年以上にわたって雇用契約が繰り返されてきているわけでございます。
 賃金職員のこのような実態を考えれば、独立行政法人移行に当たっては、政府の責任において雇用の継続を確保することが重要であると考えるところでございまして、この点、ぜひ大臣の御決意を伺いたいと思うわけでございます。
坂口国務大臣 先日のこの委員会におきましてもいろいろ議論になったところでございますが、賃金職員というのは、それぞれの理由があって、そして期限も定められて雇用されている人たちでございます。そして今後、この独法がどういう方向に進んでいくのかということにかなり影響されるであろうというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、平成十五年の十月には新しい法人のいわゆる理事長というものが決まる。その理事長のもとで、全国の病院がどういう政策医療を、政策医療については今後また議論があるようでございますが、どういう展開をしていくかということをお決めになる、その方針によってそれぞれの地域のことが決まっていく、こういうことになるのだろうというふうに思っております。
 したがいまして、その方針に従って今後のことは決まるわけでございますので、私がここで明確にこうするどうするということは言えないわけでございますが、現在と同じような仕事が今後も続行されるということになれば、それは、現在それなりの理由があっておみえになるわけでございますから、そこは法人の方が適切に判断をされるだろうというふうに思っております。
金田(誠)委員 大臣にはまた改めてお尋ねをしたいと思いますけれども、国立病院部長にこの際、数字のことを先に伺っておきたいと思います。
 賃金職員の雇用に関する見通しということでございますけれども、まず、独法化の対象となる賃金職員の人員は何名になるかが一つでございます。その方々に係る人件費総額、平成十四年度予算では幾らになっているかということが二つ目。
 この方々について、独法に引き継がれる人員と引き継がれない人員、それぞれどのように見通しておられるか。全く皆目見当もつきませんということではよもやないと思いますけれども、その見通しを含めてお聞かせをいただきたいと思います。
冨岡政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの賃金職員の数につきましては、平成十四年十月一日現在におきまして、国立病院・療養所で七千五百七十三人でございます。この方々に係ります人件費の総額でございますが、十三年度の決算ベースで三百四十九億円となっております。
 それから次に、後段のお尋ねでございますが、独立行政法人に引き継がれる人員、そうでない人員の見通しというお尋ねでございましたが、賃金職員は年度当初に日々雇用の任用期間を定めた職員として雇用しているものでありまして、制度上、翌年度の雇用が予定されているものではございません。
 大臣が申し上げましたように、法律成立後、施行以降でございます平成十五年十月時点で指名される法人の長となるべき者が、十六年四月以降の業務や経営の全体を見渡す中で、いろいろな観点から精査されてこの方針を決めていくものでありまして、現時点におきましては、お尋ねの数といったものにつきましては見通しがつかないものでございます。
金田(誠)委員 七千五百七十三人の方々は、今、大変心配をされていると思うわけでございます。生身の人間でございますから、これから独法に移行するに当たって、賃金職員の方々も含めて、本当に一丸となって全く新たな状況に対処できる、その意欲を持っていただかなければならない。そのためには、一生懸命働けば雇用もきちんと確保されるということが、人間であれば、そういう条件が整わなければ、どうなるかわからぬでは困るんじゃないですか。
 独法になった時点から頑張ればいいなんという話ではなくて、あと一年半ですよ、この期間どういう形でその新たな状況に臨むのか。打って一丸となって事に当たるという状況を早期につくる、私は、このことが今最も求められていると思うわけでございます。大臣に申し上げるのはもう釈迦に説法だと思いつつ今申し上げているところでございます。
 さらに、賃金職員の実態でございますが、一番人数が多いのは医療(三)表、看護婦さんのところが四千四十二名と伺っています。あるいは、行政職(二)表、看護助手、この方々が二千二百五名。トータル七千五百七十三ということですから、この医療職(三)表と行政職(二)表が大半を占める、こう言ってもいいと思うわけでございます。
 その平均給与がどうなっているかといいますと、看護婦さんで年間三百万ちょっと、三百二万四千円と伺っております。看護婦さんとしては非常に低い状態だと。三百万ちょっとですよ。看護助手の方々など、行政職(二)表、平均で二百三十三万二千円。勤続十年だそうです、平均年齢四十五・四歳、それで二百三十三万二千円、これでずっと頑張ってこられたわけですよ。
 大臣、万が一、一番弱い立場の方々、制度的にも形式的に言えば期限つき任用という方々、こういう弱いところにしわ寄せをするということはあってはならない、私はこう思うわけでございます。
 先ほど来のお話でも、新理事長が就任すればということでございますが、可決されたとして、本法が施行されるのが来年の十月、一年弱あるわけですね、そこで新理事長が就任する。あと一年このままの状態というのはひどいではないですか。さらに、新理事長が就任して独法移行が平成十六年の四月一日、施行後わずか半年ですよ。その半年の間に身の振り方が決められて、さあ、次どうするなんてことを半年でやれといったって、今の雇用情勢でできるわけもない。
 したがって、この賃金職員の雇用の継続を具体的にどのように確保するかという労使の協議、これは独法移行を待つのではなく、法案成立後できるだけ早く開始される必要があると思うわけでございます。このことは、一九九九年十一月二十四日の衆議院行革特、ここにおいて、当時の続総務庁長官が、法人の成立前に関係者が事実上の交渉を行うことも可能であるという旨の答弁をしているところでもございます。
 繰り返しますが、賃金職員の方々が大変心配をなさっておられる。このことは病院運営上も決していいことではないわけでございますから、ぜひひとつ、法案成立後、早急に労使協議を開始していただいて、この心配を早期に払拭していただきたい、こう思うわけでございますが、大臣、いかがでございましょう。
坂口国務大臣 原則論を先ほど申し上げたわけでございますが、原則論を言わせていただければ、新しい長になるべき人が決まって、各地域の病院をどういうふうにしていくかということをお決めになって、そして人的配置の問題がそこで起こってくるということでございましょう。ですから、その原則を踏まえていかざるを得ないということを申し上げたわけでございます。しかし、早く話を決めていかなければならないのは御指摘のとおりでありまして、できるだけ早くそれは決めていかなければならないというふうに思っております。
 したがいまして、労使協議をどうするかにつきましても、法人の責任において処理されるべき事柄ではございますが、良好な労使関係を維持していくということは大変大事なことでございますし、そうした観点からいたしまして、職員団体と必要な話し合いが行われていくものというふうに思っておりますし、それは非常に大事なことだと思っている次第でございます。
金田(誠)委員 私の指摘を受けとめていただいた、大臣、このように解釈してよろしゅうございますでしょうか。
 平均給与についても、例えば二百三十万の方々など、これは仮に引き継がなかったとしても、全くこの一人当たりの人件費が減るわけではない。必要な労働力でございますから、何らかの形でアウトソーシングするにしても、それなりの経費というものはかかっていく。非常に低い経費から見ると、どれほどの節減になるものか、それらも定かではないわけでございます。
 決して高くはない、極めて低い賃金で使われている方々、そういうことであれば、アウトソーシングを仮に将来するにしても、それは定年退職もございましょうし、職種がえもございましょうし、いろいろな手だてを講じながら、まずは、旧来、期限つき採用といえども引き継いできた、こういう形が残るようにしていただきたいということを強く御要請申し上げておきたいと思います。
 大臣、労使協議の方はそういう理解で受けとめましたが、よろしいでしょうか。
坂口国務大臣 同じことを申し上げて恐縮でございますが、新理事長さんが決まりまして、そして、今後のそれぞれの病院をどうしていくか、やはり地域によって特徴も持たしていかなきゃならない。
 先般来御議論もございましたように、例えば小児医療というものがその地域で非常に少ない、どうしてもやはりそこでは小児医療をもっと充実させていかなきゃならないということになれば、それはそこを拡大していくということをやらなければなりませんし、そのときには、賃金職員ではなくて、正規の職員をふやさなきゃならない。変わらぬ方もございましょう、しかしまた、その逆のことも起こる可能性というのもあるわけでございますので、今ここで私はなかなかお答えしにくい問題でございますが、トータルでそうしたことを検討の課題に入れて、この新しい法人がおやりになるだろうというふうに思っております。
 しかし、先ほど申しましたように、良好な労使関係というのを継続していくということは大変大事なことでございますから、そこはよくお話し合いをしていくということだろうと思います。
金田(誠)委員 新理事長が決まる前に労使協定書みたいなものをつくって判こを押せと言っているわけではないわけです。そういう最終コンクリートになるのは新理事長のもとで仮に判こを押すにしても、それまでの積み上げ。
 新法人移行までにもう一年半ないわけですよ。そういう中で十分協議がされて意思疎通が図られて、新理事長が来れば一定の時期にその協定書に判こを押せるような、そういう予備的な事実上の労使協議というものがずっと積み重なっていかないと、新理事長が来るまでほったらかすなんということにはならぬわけでございますから、この行革特の答弁もあるわけでございますから、そういう形で対処していただける。どの程度までどうするかは、それはもう双方で決めればいいことですけれども、物の考え方としては、私の考え方は理解できるということでよろしいですよね。
坂口国務大臣 御指摘になっているところは私も理解をしているつもりでございますが、理解はしていますが、私の権限として今言えないところがありますから私も遠回しなことを言っているわけであります。
 したがいまして、そこはしかし、新しい人が、その責任者が決まってどうするかというところから本当のところはスタートでありますから、その前にいろいろなことをお話し合いをするということも大事かもしれませんが、しかし、しましても、その新しい人の方針が、いや、こうするんだということでまた逆になりましたら、それは水の泡になるわけでありますので、そこのところを私は申し上げているわけでありまして、まずは、やはり中心になる人、そしてその人がどういう方針でやっていくかということが定まることが先ということであります。
 だから、こちらの方も、しゃくし定規なことを申し上げているわけではなくて、相談に乗ってやっていくわけでありますから、そこは以心伝心と申しますか、理解をしていただく以外にない。
金田(誠)委員 これはさらっと終わるつもりでおりましたのですが。まだ質問項目、結構残っておるものですから次に進みたいわけなんでございますけれども、新理事長を、もう拘束してしまって、コンクリートにしろと言っているわけではないわけです。
 いろいろ、業務の実態とか、どういう立場で考えていただけるのかとか、そういう意思疎通がないと、これはもう生身の人間の扱いとして、あと半年になってからという話ではないでしょう。その事前の、新理事長が決まるまで、法人の立ち上げ以前にも事実上の交渉を行うことは可能だと。コンクリートにするという意味ではなくて、そういう労使の協議の中からお互い理解を深めるということは当然必要なわけでございまして、それはいいでしょうね。
坂口国務大臣 現在も、労使と申しますか、職員組合の皆さん方とはいろいろのお話し合いをそれぞれの地域でしているんだと思うんですね。そうした中でお話をしていただくということは、当然それはあり得ることだと思っております。
金田(誠)委員 時間が過ぎてまいりますので、私の考え方については御理解をいただいたものと判断をさせていただいて、次に進ませていただきます。
 恐らく時間が足りなくなりそうなものですから、二点目の政策医療についてというのを後回しにいたしまして、三点目の独法移行後の業務運営についてというところに入らせていただきます。
 独法移行により考えられる利点は、規模のメリットを生かすということだと思います。百四十四施設、四万四千人と大変な規模でございます。
 衆議院調査局の資料によりますと、平成十四年度予算の医薬品等購入費は、千九百五十一億円、全体経費の二三・六%に上っております。二千億弱でございます。これを独法本部が一括契約するだけでも相当の削減が見込まれると思うわけでございます。本部一括契約というシステムになるのかどうか。副大臣、いかがでしょう。
木村副大臣 おはようございます。
 ただいま金田先生御指摘の点につきましては、その一括購入システムで、購入価格の低下の程度、また輸送コスト、それから緊急時の対応の点、そういうメリットもあればデメリットもあると思うので、その辺の検討を十分にしていかなきゃいけないなというふうなことはあり得ると思うんです。
 いずれにいたしましても、独立行政法人においても、経費の節減ということを踏まえながら、さまざまな観点から研究される必要がある、このように考えております。
金田(誠)委員 副大臣らしくもない答弁で、かなり失望をしたところでございます。もう先般来、親方日の丸ではだめなんだ、新しい感覚でやっていくんだとおっしゃっているわけでございますから、この程度はもう初歩の初歩、第一歩のまず第一歩だと思うわけでございますが、明快な答弁が得られないということは、これは将来思いやられるなというような気が今いたしたところでございます。
 部長に伺いたいと思いますが、現在では、国立病院の医薬品等購入費は、民間に比較して相当高額であるというふうに聞いております。医療機器などは、民間では国立の半値で買っているという話も仄聞をしております。どの程度の価格差があると認識をしておられますでしょうか。
冨岡政府参考人 まず、医薬品の方でございますが、直近の平成十三年度の購入について申し上げますと、国立病院・療養所は、対薬価比で九四・四%の購入となっております。
 同じ時期につきまして、全国と比べてみますと、平成十三年度の九月取引分の薬価調査によりますと、全国の平均乖離率は約七・一%となっておりまして、この十三年度の調査では、国立病院・療養所の方が平均よりも一・五ポイント高く買っているという結果が出ております。もちろん、これは入札の結果でございますが。
 それから、医療機器でございますが、十三年度の、ある意味で代表的な大きな機械でありますMRI一・五テスラというレベルのものにつきまして調べてみましたところ、ほぼ八割引きで買っております。購入につきましては……(金田(誠)委員「間違いじゃないの、八割引き」と呼ぶ)八割引きです。(金田(誠)委員「じゃ、二割で買っているわけ」と呼ぶ)二割で買っているということでございます。
 医薬品につきましても、私ども、やはり安く買いたいわけでございまして、近隣の民間の医療機関その他の医療機関に情報をお聞きしたり、いろいろそういった努力をしておりますが、なかなか実際の購入価格を教えてもらえないとか、努力はしているんですが、薬につきましては先ほどのような結果が現状でございます。
金田(誠)委員 大臣、約二千億買っているわけですね、医療機械、医薬品。これは今まで各病院ごとに買っていたというふうに伺って、実はびっくりしたわけでございます。二千億買うのと二億、三億買うのとでは、もう当然、違って当たり前だと思うわけでございます。大きな卸などは全国展開しているわけでございますから、そういう中では、輸送の問題なんというのは恐らく問題にならない。どこの巨大な病院チェーンでも、細かいものまでは別にしたと仮にしても、大まかなものはもうほとんど本部で調達をする。したがって、相当な価格差というものを見込んでやっているというのが常識のようでございます。
 これは、大臣、いかがでしょう。原則、本部一括調達という形の中で、例えば、約二千億の調達でございますから、一割下げることができたとしても二百億、賃金職員の給料、相当出てくるわけでございます。そういう経営努力をしていただければ、賃金職員の処遇などさほど難しいことではないと思うわけでございますが、今後に当たって、こういうシステムに、大臣、考えていただけますでしょうか。
坂口国務大臣 先日も木村副大臣から、親方日の丸であってはならないというお話のあったところでございまして、そうした立場から、これから今後のことをやっていただかなければならないわけでありまして、そういうトータルとしての考え方のもとに立って、新しい理事者がおやりになるだろうというふうに思っております。
 薬をどういうふうにしたらいいとか、機械器具をどういうふうにしたらいいとかというのは、新しい人たちがお決めになることだと思いますし、それに従いたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、特有な部門を受け持たれるところなどにつきまして、やはり独自にやらなきゃならないというところもあるのかもしれないし、そこは私がここで一律的に申し上げることはできませんけれども、あなたのおっしゃる御趣旨は私も十分理解しております。
金田(誠)委員 これから新たな体制をつくられるのが大臣なわけですよね。ぜひ、こういうノウハウに精通した人事体制などをとっていただいて、これは改めてまた最後に質問させていただきますけれども、今までは規模のメリットを恐らく生かし切れていなかった、ほとんど生かしてこなかったと推察をするわけでございます。したがって、この巨大な一つの病院チェーンとしてのメリットを生かし得るような、そんな人事なども、これは大臣の責任でございますから、新たな人が考えるということではなくて、どういう人をそこに据えるかというのがまず第一歩の判断でございますから、ぜひお考えをいただきたいと思います。
 次に、独法化の利点の第二でございますが、私が考えますところ、個々の施設による独自性の発揮ということがあると思うわけでございます。そういうことからしますと、本来ならば、独法は単一の独法ではなくて幾つかの法人に分けて設立をすべきだったと私は思うわけでございますが、たとえ単一法人であっても、できる限り個々の施設の独自性が発揮できる仕組みとすべきと考えるわけでございます。
 法案の第十四条では、施設ごとに財務諸表を作成するとされているわけでございますが、それだけでは、およそ余り意味のないことだと思うわけでございます。一般会計からの受け入れを事前に、年度の始まる前に各施設に配分をする、その上で施設ごとの独立採算制というふうにすべきだと考えますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
坂口国務大臣 各施設が施設ごとに財務諸表を作成して、そして評価委員会の評価を受けることになっておりますし、外部に向けた説明責任も持っているというふうに思います。みずから財政面にも責任を負う形で病院経営を行うことになるわけでありますから、施設のサービスの向上でありますとか業務の効率性につきまして、主体的に取り組むことが可能であるし、そうしてもらわなければならないわけでございます。
 したがいまして、御指摘のように、運営費の交付金を配賦した上で、それぞれの施設に経営努力をお願いするということになります。各施設が財政運営につきまして自覚を持って取り組むような仕組みを検討する必要があるわけでございまして、そこがこれからの最大の課題になるというふうに思っています。
 財政運営の手法につきましては、法人全体の財政運営のあり方の中で法人について検討されるというふうに思いますけれども、しかし、我々もそこは十分に見守っていかなければならない、我々にもその責任がある、そういうふうに思っております。
金田(誠)委員 各施設が独立採算をとらなければ、独法全体としても独法の独立採算はとれないということになるわけですから、各施設ごとに、どうしても補てんしなければならない施設にはあらかじめ補てん額を決めて、その中で採算をとっていただく。当たり前といえば当たり前のことでございますから、ぜひ、そうした形でお願いをしたいと思うわけでございます。
 そこで、この独立採算制を各施設がとるためには、各施設ごとにさまざまな創意工夫、そしてその責任を負える仕組みをつくらなければならない。自己決定、自己責任という仕組みをつくらなければならないと思うわけでございます。
 旧来の国立病院の中では、仮に、人数を多少ふやして、診療報酬の点数もワンランク上の点数をもらえるようにということをした方がプラスになるとわかっていても、病院長の権限ではそれができなかったという仕組みがあるわけですね。
 新たな機械を入れて、その分野の患者さん、地域のニーズがある、それを入れれば必ず採算は確保できるとなっても、新たな機械も、国立病院部から財務省の折衝まで制約されていたという状況ですよ。創意工夫しようにもできない仕組みがあった。手足を縛られてプールに投げ込まれて、ほら泳げと言われているようなものが旧来の状態だったと思うわけでございます。今度は、手足をきちんと解放して、泳ぎたければ幾らでも泳げるように、しかしその結果については責任を当然負うという仕組みにしなければならないと思うわけでございます。
 具体的には、最低でも二点必要でございます。副院長、事務長以下すべての病院内の人事について、院長の責任にすること。さらに、予算の編成と執行権について、同じく各病院長の責任ということで、原則として施設長の権限を拡大する、施設長の権限にする。これは、施設長としては当然のことだと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 結論から先に申し上げますと、施設長の権限というのはかなり大きくなるわけであります。組織や人事につきまして、この施設長の意向が反映するようなシステムを設けるということは当然だというふうに思っております。
 しかし、施設というのは自分のところの中だけのことを考えていたらいいかといえば、全体の法人としての方針もあるわけでありますから、そのこともよく踏まえてやっていただかなければならないということはあり得る。施設が中期計画や年度計画を策定して実行することにつきましては、それはよく踏まえていただかなきゃなりません。しかし、その中で、施設長の意向というものは十分に尊重できる体制にしたい、そういうことでございます。
金田(誠)委員 旧来の国立病院の時代の任命権の一覧表をいただきましたが、事務長、事務部長、課長、これは大臣が任命するんだそうです。あるいは看護部長、総看護師長、これも大臣。あるいは事務長補佐、課長補佐、班長、係長までは地方厚生局長。医療(三)表の副看護部長、副総看護師長、看護師長というところも地方厚生局長。施設長が任命できるのは主任と一般職員だけですね。
 ほとんど、役職についている者は地方厚生局長以上で任命されてきた。人事と財務が施設長の一番の腕の発揮の仕方ができるところですから、これではもう何もできないわけですね。こういうことが大幅に見直しになって、場合によっては本省と協議するという人事も一つ二つはあるんでしょうけれども、原則もう施設長の権限で責任を持ってやるということになると思っていてよろしいでしょうか。
冨岡政府参考人 まず、事務的な点について御説明申し上げます。
 先生御指摘の点は、現在の国の機関としての任命権について詳細に挙げておられましたが、国の施設であります現在におきましては大臣が任命権を持っておるわけでございますが、それが委任されるという形で、地方厚生局長なり病院長に委任されている。それぞれのある職によりまして、それが別々になっておるということでございます。
 先生御指摘の点につきまして大臣がお答えいたした点でありますが、これは、独法移行後は理事長が任命するということになります。そういうことになりますが、それを大臣が委任しておりますようにどこに委任するかという問題は、これからの組織運営の検討課題であるものでございますが、大臣が御説明いたしましたように、組織、人事につきまして、施設長、院長先生の意向が反映するようなシステムを設けて、意欲が増すようにする。それから、予算等の計画につきましても、施設が中期計画、年度計画を策定しましてその意欲のもとにできるようにする、そのようなシステムの導入が今後の意欲を増した施設運営で必要ではないかということで、検討課題であろうかということでございます。
金田(誠)委員 私の申し上げていることを大臣はかなり御理解いただいたニュアンスで私は受けとめましたけれども、部長の方はどこまで理解されているのかなとちょっと不安に感じながら聞いておりました。
 自己決定、自己責任、それぞれ施設ごとに独算でやってもらう、そのためには権限も与えるという明快な、それがもう独法の本旨ではないですか。独法化するというのはそういうことだと私は思っておるわけでございますけれども、どうも旧来型の役所の発想から抜け切れていないようなニュアンスを受けましたので、それであっては困りますということを、この際強く申し上げておきたいと思うわけでございます。
 次に、本部経費の負担についてという項目で質問をしたいと思います。
 当然のことながら、独法の本部経費は、各施設の収益を中心に賄われるべきでございます。安易に税に頼るべきものではない、当然のことでございます。これはどこの病院チェーンでも当然のことですが、大臣は基本的にどうお考えでございましょうか。
坂口国務大臣 本部経費というものをどういう形で見ていくか。例えば、赤十字や済生会のような形にしていくのかどうかということでございます。
 これらのことも、今後少し試行錯誤を重ねながら決定していかなきゃならないというふうに思いますが、少なくともスタートの段階のところでは、これは国が見ることになっているわけでございます。それは、全体としての注文もつけなければならない、厚生労働大臣が、中期目標なるものも定めて、中期計画も立てて、こういうふうにしてほしいということを言わなきゃならないということもあって、そして、最初は中心部の人たちに対しましては公のもとで、こういうことになっているわけでございます。
 しかし、今後は、いろいろの試行錯誤を加えて検討されていくべき課題だというふうに私は思っております。
金田(誠)委員 国立病院の独法の機構の本部は、それぞれの現場、施設を運営するためにあるということでございますから、その費用は、言うならば、それぞれの法人ごとに事務を扱うよりも本部で一括扱った方が、効率的な事務を本部が扱うという考え方だと思うんですよ。例えば、さっき申し上げた物資の調達、そういうものは、個々で扱うより本部で一括扱えば、一割下げられれば二百億になるわけですから、二割下げられれば四百億、そういう中から経費を捻出してやっていくというのが私は当然だと思うわけでございまして、今後の課題なんということではおよそないだろうと思うわけでございます。
 今回は指摘をさせていただいて、ぜひひとつ、そういう形で検討をしていただきたい。当然のことだと思うわけでございまして、よろしくお願いしたいと思います。
 ちなみに、部長に伺っておきたいと思うんですが、このいわゆる本部経費に現在相当するような経費、これは、本省と地方局、それぞれどのくらいずつの負担になっているものでしょうか。あるいは、本部の要員というものに相当する人員は、本省と地方局、それぞれどの程度になっておりますでしょうか。
冨岡政府参考人 お尋ねの点につきましては、一般会計職員に係ります人件費など必ずしも明確に特定することができないために、本当に正確な予算額をお示しすることはなかなか難しいわけでございますが、ちなみに申し上げますと、地方厚生局の一般会計予算額につきましては、職員全員の人件費を含めた金額をもとに算出いたしますと、平成十四年度予算におきまして、地方厚生局経費が約六十四億円、本省経費が八億円の計七十二億円程度となっております。
 また、人につきましては、国立病院・療養所の業務に関します人員につきましては、本省で百十四人、地方厚生局で二百八十一人となっております。
 これらの本省、地方厚生局の人件費などに係る特別会計歳出額の財源につきましては、その全額が一般会計繰り入れの対象となっております。
 以上でございます。
金田(誠)委員 いわゆる本部経費は税で賄われていたということだと思います。
 地方局の人員が極めて大きいと私は思うわけでございます。これから病院長の権限というものを拡大する、そして本部一括でやれるものは本部一括でまとめるということからしますと、私は、地方局などは不要になるのではないか。もうほとんど東京と地方、それぞれの病院とが直で結ばれるというシステムにまずするということを大原則にして、できるだけスリムな管理体制というものを考えていただきたいと思うわけでございまして、今まで、この点余り、恐らくお考えになかったのかなと。したがって、経費の振り分けも、明快な振り分けが今のところできておらないようでございます。
 ぜひひとつ、これは当然のことだと思いますので、お考えをいただきたい、御要望を申し上げておきたいと思います。
 次に、独法の立ち上げから運営、これにかかわる体制についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。
 独法化の成否は、来年十月の法施行までの期間、この一年弱に何をやるかということに大きくかかってくると思うわけでございます。そのためには、民間病院の経験豊かな人材というものが独法の準備事務局に相当数配置される必要があると思うわけでございます。さらにまた、立ち上げた法人を運営するにも、必要なのは民間病院の経営ノウハウであると思うわけでございます。したがって、独法準備事務局には、民間の病院経営に精通した人材を相当数直ちに採用する必要があると思うわけでございますが、大臣、どうでしょう。
坂口国務大臣 民間のノウハウを取り入れなければならないという御指摘は、私もそのとおりだというふうに思います。したがいまして、民間のノウハウを十分に取り入れ、そしてそれに対応できる人材を集めることはやはり大事でございます。すべてそこで、天下りの人たちでやっていけるかといえば、そんなことはできるわけがありませんから、そこは、御指摘のように、十分にノウハウを持った人たちを配置するということは大事だというふうに思っております。
金田(誠)委員 大変前向きに受けとめていただきました。
 今の状態では、国家公務員としての方々が準備事務局をやっているわけでございます。今度採用するのは、法人がまだ立ち上がっておらないわけでございますから、その辺の手続は難しいものがあるのかなと。法人としての採用も今のところは恐らく難しい、これは推測でございますが。したがって、大臣のお考え、御決意を実際、事務的に、実務の段階に移して対応していただくというのは多少知恵の要るところだと思うわけでございますが、これは部長、どんなことでやれますか。
冨岡政府参考人 基本的な考え方につきましてはただいま大臣御答弁申し上げたとおりでございますが、実務的な現状を申し上げますと、現在、外部の会計事務所等の専門的な機関に、委託と申しましょうか依頼と申しましょうか、そういうことで、いろいろなノウハウを吸収するというふうな事業を準備として進めております。それから、こういうことに限らず、いろいろな手段を通じまして経営改革のための努力をし、いろいろな手法を学んでいく必要があるし、それを職員に浸透させていくということが非常に重要なことかと思っております。
 ただ、実務的なことを申し上げると、まことに恐縮な点なんですが、現時点におきまして採用するということにつきましては、定員との関係がありまして、いろいろな難しい問題があるという点はございます。
金田(誠)委員 私もそう思うわけでございます。しかしこれは、独法の立ち上げは一年後なわけですから、立ち上がったらあと半年しかないわけでございますから、今からもうあと一年半の仕事が非常に重要なわけですね。
 どういうシステムをつくるか、物資の調達についても本部一括にするとどうなるのかというのは、今までさまざまな民間のそうした病院を経営してきた、そういう人材を登用するということしかないと思うんですよ。勉強会をやって勉強しましたという話じゃない。その裏も裏も、さらに裏までいろいろなものがあるわけでしょう、この種経営というのは。
 皆さんも今まではお役所、今もお役所ですけれども、そういう立場でやってきたわけです。例えて言うならば、旧ソ連邦からアメリカに変わるようなものですよ。それはやはり、直接的なそういう人材を雇い入れて、そこで一緒に物事を回していくしかないんじゃないですか。
 大臣は総論として決意のほどはおっしゃっていただきましたが、それが、実際採用して、そういう事務局の中に組み入れられて動いていくというその裏づけは、部長、何かないような話じゃないですか。ちょっとおっしゃっていることが違うんじゃないですか。
冨岡政府参考人 いろいろノウハウを吸収するための、いろいろ情報の収集から始めまして、本当のところどうなっているとか、民間の人にお伺いするとか、やはりそういう努力を、私どもとしても努めております。
 それから、そういった方々にお願いするなり、参集するなり、委託するなりして、研究会とか検討会とか詰めていく上で、そういう御参加を得ながらという点についても十分考えてまいりたいと思っております。
金田(誠)委員 そういうことになりますと、結局は、話はわかるけれども採用はできない、勉強会とか業務委託とか、その程度の話にしかなりませんよとおっしゃるわけですか。大臣、そういうことなんですか。
坂口国務大臣 そこはノウハウを持った人を必ず入れますから。そこは明確にしておきたいと思います。
金田(誠)委員 わかりました。よろしくお願いしたいと思います。
 理事長予定者についても、そういう業務に精通した方々、巨大病院チェーンではどういう仕組みでやっているのか、薬などは薬価調査の数字しかさっき出なかったでしょう。そんなの出したってしようがないわけですよね。薬価調査の数字なんというのは、どういうことで出しているか、皆さんおわかりのとおりの出し方で出しているわけです。しかし、本当はどうだというのがわからなければ、話にも何にもならないわけでしょう。
 ぜひひとつ、そういう経営ノウハウを取り入れた経営体質、やはりきちんとした経営していける体質をつくっていただいて、その一方では、弱い者にしわ寄せがいったりしないように、経費を生み出すところはきちっと生み出していただいて、弱い方々についてはきちっと対応していく、この原則でやっていただきたいと思うわけでございます。
 それでは、飛ばしました政策医療について、多少時間がございますので、恐らく途中までの話になるかもしれませんが、質問させていただきたいと思います。
 政策医療とは何か、この定義について法的な根拠をお示しいただきたいと思います。
坂口国務大臣 法的な根拠というお話でございますが、今回のこの独立行政法人国立病院機構法案におきまして、機構の目的規定、第三条でございますが、目的規定の中で、機構が担うべき医療としまして、「国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、国の医療政策として機構が担うべきもの」、こう記されているわけでありまして、この、国の医療政策として担うべきものというのは、これは中期目標だというふうに思います。したがいまして、そこをどうつくるかということが最も重要な問題になってくるということでございます。法律的に言えば、今読んだところがその中心だというふうに思います。
金田(誠)委員 実は、質問を通して私が明らかにしたかったことは、政策医療というものが明確な根拠がないんではないかということを申し上げたかったわけでございます。
 今の第三条も「国の医療政策として機構が担うべきもの」、ということは、国の医療政策として機構が担うべきもの、機構が担うべきものが政策医療なんだということになれば、民間が現在担っているものの中には政策医療というものはないんだという話になるわけですね。ところが、先般来の審議の中では、大臣は、国だけでやれるものではありません、民間から自治体病院からいろいろ協力しながら全体の仕組みをつくっていくんですという話になっている。
 これは、政策医療というのは、いろいろな医療の中で、この機構が担うものを政策医療と言っている、医療の質だとか内容とかに着目した概念ではなくて、実施の主体が機構であれば政策医療なんだ、こんな話なんですか。
坂口国務大臣 そこは少し違うと私は思っております。
 今御指摘になりましたように、民間の病院でありましても、地方自治体の病院でありましても、一般に政策医療をやっていただいておるところは、私はあるというふうに思っております。この独法が行います政策医療というのは、その中でどこに力点を置くかという、私はそのアクセントのつけ方だと思うわけですね。
 だから、一般の病院もおやりいただいていますけれども、それは、さまざまな中でその一部として取り組んでいただいている。しかし、今度独法が行います政策医療は、そこにかなり力点を置いた、そこを中心とした医療というものを行っていくということになるんだろうというふうに思いまして、それは、単なる診療の中身だけの話ではなくて、そうしたトータルとしてそういうところを中心にやっていくということになる、そこが違うと私は思います。
 ですから、政策医療という、何となく固有名詞化しておりますけれども、そういう固有名詞があるわけではありませんで、もう少しそれは内容の広いものだというふうに理解をいたしております。
金田(誠)委員 大臣、一般にも政策医療というものがやられているんだということになりますと、この独法法の第三条では、その一部、独法が行う政策医療というものしかここでは定義されておらない。国の医療政策として機構が行うべきものということになっている。しかし、これだけではないわけですよね、政策医療相当のものということになりますと。しかし、それを規定するものは何もない。
 時間がなくなりましたのではしょりますが、私は、政策医療と言った場合、健康保険だけで対応できないもの、何らかの形で公的資金を健康保険の外から投入しなければならないもの、本来、それが政策医療というものになるんじゃないでしょうか。
 機構が行っているから政策医療なのではなくて、機構が行おうが、自治体病院が行おうが、健康保険だけではやっていけない、例えば過疎地であるとか、ずっと話が出ている小児救急であるとか、そういうものに着目して政策医療というものが本来あるべきだ。そこに対して国費が投入されていく。機構でやっていれば機構には投入されていく、あるいは自治体がやっていれば自治体にも投入されていく、そういうものがなければならない。
 したがって、それは機構法に決められるものではなくて、医療法とか、健康保険の枠によらないものについて国がどういう手だてをとるか。今でも救急だとか過疎地の医療などは一定の基準でやっていますよね、そういうたぐいできちんとした定義づけがされて、それをどこまで国がバックアップしていくのかという仕組みをつくる。それは、独法がやろうが、民間がやろうが、自治体病院がやろうが、一定の基準で手当てをしていくんだ。民間も独法も自治体も、いわゆるイコールフッティングという形で政策医療をそれぞれ担っていく。独法が担った方がいい地域は独法が担えばいいわけですし、自治体病院がやった方がいいところは自治体病院がやっていく。
 そういう国の支出を伴う医療、これらについて、改めて概念構成をきちっとして、そこに法律体系をつくっていく。私は医療法の枠組みの中でこれが可能なのかなと思っているんですが、本来そういう考え方になるべきものではないでしょうか。それが、機構の行う医療であるというふうにしたのは、旧国立病院の時代に一般会計から繰り入れをする根拠を政策医療に求めたということしか求めようがなかったからこういう体系になったのであって、本来は違うと。この辺、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 僻地の問題でありますとか、小児医療の問題でありますとか、あるいは救急医療の問題でありますとか、そうした問題につきましては、一般病院もいろいろとこれは御活躍をいただいているところでありますし、そこは委員の御指摘のとおりというふうに思います。
 そうした中で、これは委員もお挙げになったわけでありますが、特にやはり、難病でありますとか先進医療でありますとか、そうした採算ベースになかなか乗りにくいようなところというのはあるわけでありまして、そうしたところに独法の場合には中心になるということは当然考え得るわけであります。
 しかし、独法の場合にそれだけしかやらないかといえばそうではなくて、ほかの分野もやらなければならない。しかし、そうした分野にアクセントのついた医療がそこで行われるということにこれはなるだろうというふうに思っております。
 そうしたことを明確に決めるのは、中期目標の中で明確にしなければならないというふうに思っておりますから、私たちも責任は重大であると思っております。
金田(誠)委員 この政策医療、ちょっと時間の関係できちんと質問できませんでしたので、また改めて機会を設けて質問させていただきたいと思います。
 終わります。
坂井委員長 次に、五島正規君。
五島委員 今の最後の大臣と金田委員とのやりとりを聞いていまして、私もちょっと政策医療のところから少し入って、もう一度ただしておきたいと思いました。
 政策医療というのはその時代時代において当然変わってくるわけでしょうが、ここで問題なのは、国が国営において、あるいは今回もこの独法という、税も払わない、そしてさまざまな形でもって逆に税からそこに投入しなければならないその医療は何なのかということだろうと思います。
 今御議論のあったお話に沿って議論するとするならば、現在ある病院が、その地域の中において、本当に税を投入しなければいけない医療をどこまでやっているのかという検討をしなければいけないことになってまいります。
 私はまた、不採算医療というふうな分野だけが国営の病院がやらなければいけない医療であるとも考えていません。もちろん、さまざまなところでやられている医療の中においても、政策的により高度な医療をモデル的にやっていくという機能も持っているんだろうと思う。
 例えば、単なる救急医療をやるのであれば民間でできます。しかし、基本的に高度の救急医療、それが全国に一カ所とか二カ所とかいうことでは足りない。そうしたものをどう整備していくのかというのも一つの政策医療でしょう。あるいは、現在発生はしていないけれども、新たな感染症、あるいは化学物質によるテロ事件、もっと間違いなく起こってくるだろう大震災の場合の感染症。
 あの神戸の大震災、冬であったから被害が少なかった。あるいは、もし真夏に起こっておればどうなっただろうかということについては、医師である大臣、容易に御想像つくと思います。あれがもし夏に起こっていたら、どれだけの感染者が発生しただろうか、それに対応できる機能を我が国は持っていただろうかと考えているところです。当然、大臣としてもそのことはお考えだろう。
 そうしたものに備える機能、すなわち国の安全のために必要なそういう医療機関としての役割、そういうものを整備していく、それの軸になるのも、やはり整備していかなければならない政策医療なんだろう。
 言いかえれば、国民がその医療機関に対して、診療報酬だけではなくて税を特殊に投入していかなければいけない、そういう医療が国においてなされているかどうか、そこが大きな問題なんだろう。それを抜きにした抽象的な政策医療というのはその時代時代で出てきますし、それは、先ほども大臣がお答えになっておられたように、民間の医療機関でできることの方が大半だろう、あるいは地方自治体の病院でもできる、当たり前だと思います。
 そういうふうな部分を国立病院がやらなくていいと言っているわけではない。国立病院がそうした本当に必要な、税を投入しなければいけないような医療をするについても、医療というのは漸進的なものだ、したがって、それを取り巻く総合的な医療体制を整備するというのは当たり前です。
 そういう内容として私は政策医療をとらえているわけですが、ちょっと金田先生の質問に便乗させてもらう質問になりましたが、最初に、大臣、その辺についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 今お話しになりました税の投入をしなければならないような医療、それを政策医療というふうに大ぐくりではありますけれども方向づけをする、こういうお話だというふうに思いますが、それは結果として私もそういうことになるんだろうと思います。
 同じ救急医療にいたしましても、高度の救急医療のできる場所がそんなにたくさんあるわけではございません。そういたしますと、それぞれの地域で足りないということになれば、それぞれの地域で高度の救急医療をやる場所をつくっていかなければならないわけでありますから、ぜひそれは、そういう政策医療として位置づけられる、それに対しましては、単なる診療報酬だけでは賄い切れない部分もありますから、支援をするということになるんだろうというふうに、そこは私もそう思います。
 しかし、現在の国立病院にいたしましても、これからの独法になりました病院にいたしましても、いわゆる地域としての医療というものも担っていかなきゃならないわけでありますから、いわゆる政策医療だけを行えばそれで足りるというわけではない。そこが両面相まってやらなければならないわけでありますけれども、その中で、しかし、特別に、今御指摘になりましたようなことも含めて中心的に、ここの病院にはこういうことをやっている、やはりこのことについてはこの病院に皆行くんだというふうに言われるだけの能力というものを持った病院をつくり上げていくということだろうというふうに思っておりまして、委員が御指摘になりましたことを、おおむね私もそのとおりというふうに思います。
五島委員 恐らく、本音のところでの国の行わなければいけない本来の医療機関の役割というものについて、大臣と私との間にそれほど大きな違いはないんだろうと思っています。
 しかしながら、例えば、この間いろいろと問題になっております例えば小児医療の問題。小児医療についても、例えば重心の問題から小児救急の問題までさまざまな問題ございますが、厚生労働省に国立が行っている小児医療についてどうなのかというのをいただきますと、輪番に参加しているとか小児科に医者が二人いるとかいうところも含めて全部、小児の政策医療を担っているというデータが出てくる。
 何を言っているんだと。そんなものは国がやっている小児の政策医療じゃない。基本的に、小児救急ができる病院は全国でも数えるほどしかない。そういうふうなものは今民間でなかなかできない。もちろん、小児の救急医療をやるというのは、小児麻酔科から小児外科までそろえてやっていって、それで医療経営が成り立つものではないけれども、絶対必要なものだ。
 そういうふうなものをどういうふうに整備していくか。それを独法の中で整備されるということであれば、私は大賛成。だけれども、現在ある国立病院並びに国立療養所の中で小児科を持っているところをずらっと並べてみて、これで小児医療についての政策医療をやっていますということでは、何を言っているんですか、そんなものは別に国がやらなくても、その程度ならどこでもやっていますよという話になってしまうということだろうと思っています。その点については御答弁を求めません。
 それで、私は、少し別の観点から一昨日の質問の続きをさせていただきたいと思います。
 冨岡部長にまずお伺いしたいと思うんですが、先日も、今回の独法への移行の中で、職員の身分の引き継ぎ問題についてお伺いしましたが、何か明確な御答弁がございませんでした。この機構法案の中には、「職員の引継ぎ等」ということできちっと書いておりまして、「機構の成立の際現に厚生労働省の部局又は機関で政令で定めるものの職員である者は、厚生労働大臣が指名する者を除き、別に辞令を発せられない限り、機構の成立の日において、機構の相当の職員となるものとする。」こうなっていますね。これは明らかに身分の継承を言っているんではないでしょうか。すなわち、独立行政法人に移行する段階においては、職員の身分は一たん独法法人にそのまま引き継がれるという内容を指していると思うわけですが、いかがですか。
冨岡政府参考人 ただいま御指摘の法案の附則第二条におきます解釈について、お答え申し上げます。
 この条文の趣旨は、「相当の職員」とは、国の組織の改廃に伴いまして、本人の意に反する降任及び免職が行われないよう、承継前後の官職の職務内容、役職等が必ずしも同一である必要はございませんが、その前後の官職の中身である職務と責任が客観的に対応するものにつきましては承継する、そのような趣旨の規定でございます。
五島委員 承継されるということになった場合に、その承継の具体的な範囲の問題です。言いかえれば、その承継というのは、今、国立病院部という形で各国立病院全体がある。その枠の中での承継なのか、各病院の中における承継なのか、そこのところが問題になってまいります。
 今国立病院部の中における病院職員の数、総数何人いるのかわかりません。私は知りません。しかし、それが総体として、全体として承継されるという意味を指しているのか。各病院単位においてそれは承継されるものということなんでしょうか。どうなんでしょうか。
冨岡政府参考人 「機構の成立の際現に厚生労働省の部局又は機関で政令で定めるものの職員である者は、厚生労働大臣が指名する者を除き、別に辞令を発せられない限り、機構の成立の日において、機構の相当の職員となる」ということでございまして、それぞれの病院の職員も、また厚生労働省の部局の職員につきましても、特にこういった除外されない者については機構に承継されるということでございます。(五島委員「それは各病院に承継されるわけですか」と呼ぶ)それぞれの対応する職において承継されるということでございます。
五島委員 実態は別として、国立病院の職員については、医療職あるいは看護職あるいは技能職という形で職種が決まっているはずです。だから、そういうものとして承継されるのか。例えば、国立大阪病院の何々というふうな形で承継されるという意味なのか。そこのところを聞いているわけです。
冨岡政府参考人 特に辞令が出る者以外の者につきましては、法的にはこの法人の職員として承継されるということでございます。
五島委員 したがいまして、全体的、包括的承継ということになってまいります。
 この承継される段階において、現在の労働条件、賃金、勤務形態、あるいは退職金規程、こういうものはこの承継の内容に入るのでしょうか。
冨岡政府参考人 ただいま御指摘の法人の給与基準といったものにつきましては、法人みずからが定めることになっておりまして、新たなものに移行することになります。
五島委員 いや、もちろん、国立病院から独法法人に移行するわけですから、そこは独法法人としての給与体系をお定めになるのは当然でしょう。しかし、独法法人の給与体系というのは、それぞれの職員の果たしてきた能率、そういうふうなものを見て賃金は決定される。すなわち、これは公務員型とそうでないものとで分かれるわけですが、公務員型の場合は、職員が発揮した能率が給与の判断、そして公務員型でない場合は、その職員の勤務成績が考慮すべきものというふうに言われています。
 したがって、それは新しい給与体系で引き継がれるにしても、こうしたものは独法に入ってからの賃金体系、あるいはそういうふうなものの決定には当然使われてくるんでしょうが、身分が移管される段階における賃金形態というのはどうなるのか。もっとわかりやすく言えば、それぞれの病院単位で身分が承継される、そして、それぞれのこれまでの国立病院の段階における、病院のいわゆる民間で言う経営状況を加味して、そこで新たに決定されるということにはならずに、現状のままを一たん引き継いで、その上でこれを見ていきましょうということなのか。それとも、全く新たな給与体系をつくり上げて、その枠の中で、いわゆる職責だけは引き継ぎますということなのか。それを聞いているわけです。
冨岡政府参考人 制度的には、法人が給与の基準を定めるわけでございまして、その基準に移行するわけでございますが、制度的な意味としては、現在の、現給と申しましょうか、それを保障するという制度的な趣旨ではございません。
 ただし、新たな給与体系の創設といったことにつきましては、現行の給与体系との比較という点におきまして変更があった場合には、合理的な理由といったものが必要になるものと考えております。
五島委員 その合理的な根拠と考えられるものは何でしょうか。
冨岡政府参考人 職務は同等であるわけでございますので、給与基準におきまして差が生じた場合には、それについての合理的な理由が必要であるということでございます。
五島委員 何か、今の話を聞いていますと、国家公務員の中で同じような技能と同じような給与等級をもらっておりながら給与に差がある、そういうことが起こり得るのかどうかわかりませんがという御返事のように聞こえますが、そんなばかなことはないんだろうと思います。
 問題は、基本的に、どう考えてみても、職員の身分を継承するときには、新しい労働条件あるいは勤務形態、賃金形態、退職金規程というものをつくり上げて、そこに移行することについて労使が合意している場合か、あるいは、そうでなければ、現状をそのまま移管させた後において、いわゆる独立行政法人の趣旨に基づいて、その実績を勘案しながら給与その他の労働条件を変えていくか、二つに一つしかないだろうと思うんですね。どちらをとろうとしておられるのか、ちょっと明確に、いろいろ読まなくてもいいですから、そこのところだけ、最初か後かだけ答えてください。
冨岡政府参考人 独立行政法人移行後の勤務時間、給与等の労働条件につきましては、法人の運営等を勘案しつつ法人みずから定めるべきものとされておりますが、これら労働条件の骨格が整いました段階におきまして、良好な労使関係を維持する関係から、職員団体と必要な話し合いが行われていくものと考えております。
五島委員 そして、そこで決められたそういう労働条件において、独法出発のときから新たに始まる、そう考えていいわけですね。
冨岡政府参考人 御指摘のとおりでございます。
五島委員 そうしますと、これまでの、それぞれの国立病院、国立療養所、さまざまなそういう経営の違いがございました。経営結果の違いがありました。そういうものは配慮されないということですね。
冨岡政府参考人 新たな給与体系が始まってからの結果と申しましょうか、実績等が考慮されるものと考えられます。
五島委員 今の部長の話で、どのようにお考えかというのが大体わかってまいりました。すなわち、独法法人本部がそうした労働条件や賃金や勤務形態、退職金を決定する、そしてそれぞれそこで移管した後において、いわゆる特定独立行政法人の制度に沿って、それぞれの職員の勤務能率を勘案した形での賃金が決定されていく、すなわち、そういう労働条件の決定権は独法本部が全面的に持つんだということに論理上なると思いますが、そう考えて間違いないですね。
冨岡政府参考人 独法本部が決めることでございますが、これにつきましては団体交渉事項でございます。
五島委員 次に、この特定独立行政法人においては、整理的解雇というのはあり得るのでしょうか、どうでしょうか。
冨岡政府参考人 この法人におきましては、国家公務員の身分を有しておりますので、特段の公務員法に定める事情がない限り身分は保障されるものでございます。
五島委員 そうしますと、これはどうなるんでしょうか。
 今、各国立病院、国立療養所の経営収支を出していただきますと、例えば、ナショナルセンターを中心とした基幹病院といいますか、いわゆる国立病院の中の非常にアクティブにやっているところ、人件費率が四〇%ぐらいまででやっています。一方において、残念ながら、人件費率が六〇%をはるかに超えているという病院も療養所の中にあります。
 そういう人件費の構造の中で、賃金は一応独法全体で決めてやっていく、そしてその人員構造の中でやりなさいと言えば、それはどうなるんですかね。民間からどれだけ経営のプロを連れてきたって、無理なところは無理ですよね。そういうことを考えておられるんですか。
冨岡政府参考人 御指摘のように、それぞれの病院、療養所によりまして、運営内容を見てみますと、人件費比率がかなり違っていたり、全般的には療養所が病院よりも一〇ポイントぐらいは高いという傾向がございます。
 これは、やはり実施いたしております政策医療の中身、これの違いによるものが、そういう面が大きいかと思われますけれども、そういった点につきましては、運営費交付金といったものはそういう趣旨で交付されるというものでありまして、そういったものにつきましては、そういうことも含めて経営なり成果を勘案していくということになろうかと思います。
 単純に、いろいろな人件費比率が高いとか低いとか、そういうことのみで評価するということにはならないと考えております。
五島委員 人件費率が高くても低くてもそれで評価することにならないと言うけれども、独法になれば完全独立採算制なんでしょう。そして、もちろん、それに対して法的な資金が交付金の形で入ってくる。それは、人件費率の高いところでは経営が成り立たないからそこへ穴埋めするんだということじゃ、何のために独法に移すかわからぬじゃないですか。
 この間も大臣おっしゃったように、政策医療をより振興していく上において必要なお金として、当然国が交付金を出していくべきだと私は思っています。しかし、国立療養所の中で、人件費率が高い、それじゃ経営が成り立たないだろうからそこにお金をつぎ込んでいくということじゃ、現状は一つも変わらないじゃないですか。
 また、人件費率が六五%の病院で、人件費が六五%でも構わないや、経営は合うよという医療はあり得るのか。私は、重心なんかの一部においてはそういうのがあるのかもわからないと思っています。しかしながら、一般医療において、人件費率が六〇%を超えて、いかに一切の税金を払わないとはいえ、これからは施設の償却もやっていかれる。この前のお話では、運営資金についても回転資金についても、病院債を発行したり市中銀行から借り入れてやっていくんだ、すなわち有利の借金がついてくる。
 後ほどお話ししますが、さらには、今後移譲する病院についても、従業員については、移譲するときに減資するのは当たり前なんです。減資した段階で、今立て直す、新しい、それに必要な経費、それが独法にそのまま借金として残っていく、それも返していかなければいけない。
 そういう状況の中で、民間病院と違って、これらの病院においては人件費が六〇%を超えて経営が成り立つと。それは国立病院部長としては、何ぼ国だからといっても、余りにも経営感覚がなさ過ぎるお話ですよ。その辺について、もう一度ちょっと丁寧なお話をお伺いしたいと思います。
冨岡政府参考人 先生の御指摘は、経営努力をやはり徹底的に行うべきである、今も含めて国の経営する病院においてという趣旨というふうに感じたわけでございますけれども。先ほど御説明申し上げましたのは非常に説明不足だったと思いますけれども、結果として足りなかったということから、その赤字を、特に考えもなしに、政策医療だから補てんするということではなくて、こういった医療にはこれぐらいやはり経営的に交付金を投入する必要がある、そういった統一的な考え方に基づきまして、あらかじめそういうことを組み込んだ上で、努力した上でそういった結果として評価されることになる、そのように考えております。
五島委員 どうも議論の歯車が合っていないようです。
 時間が非常に押してきましたので、この問題については、できればさらに議論する場をつくっていただきたいと思いますが、もう一つ大事な問題に行きます。
 私は、今回、この特定独立行政法人に移管することによって、いわゆる労使の間においての紛争というのが旧国鉄並みに頻発する可能性があるんだろうというふうに思っています。
 その理由は、一つは、団体交渉の範囲というのは、賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項、昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項、労働の安全、衛生及び災害補償に関する事項、前三号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項が団体交渉の事項になっていて、そして、国営企業の管理及び運営に関する事項は団体交渉の対象外、こうなっています。いわゆる管理的運営事項という部分に入ります。
 国鉄のように決まり切った仕事をしているところですら、この問題で労使紛争が頻発し、大変混乱いたしました。例えば、今、国立病院の中で、看護婦さん、検査技師さんあるいはボイラーの主任の方や、いろいろおられます。医者以外にたくさんおられます。その病院の医療収支が非常に悪い、経営状況が悪い、人件費率は六七%にも達している、その責任がそうした職員の責務に帰せられない、帰せられるのかという問題が、医療というのは必ず起こってくる。
 院長がかわり、各科の部長がかわるたびに、その医師の専門性によって診療内容がころっと変わってしまう。結果として、その先生の、医師の専門のところで新たな患者の編成をしていくか、それでなかったら、本当は専門外だけれども、そこの病院や療養所に通ってこられる患者さんに対して、通常の医師としての常識の範囲の中での医療しかやらない、やれない、その結果経営が悪くなる。そういうことが国立病院でもたくさんありましたね。
 今統廃合されましたけれども、私どもが見に行って、そして統合してもらった病院の中に、たしか、小さな病院だったけれども、リハビリテーションの専門病院だった。PTが一人もいない。先生は、泌尿器科のお年を召した先生がどこかからリクルートされてこられた。それでは医療法に違反するからというので、某地方医務局の医者が応援に行っていた。それで国立病院として、元療養所ですが、やっていて、そして、ここはどういう機能を果たしていますかと言うと、リハビリテーションという政策医療をやっていますと当時の厚生省は言っていた。
 今は、そこまでひどいところはかなり整理されました。しかしながら、そういうふうな医療の体制によって医療の経営というのは変わってくる。そうすると、職員が、それぞれの病院の中におけるいわゆる経営実績が反映されてみずからの賃金が決定されてくるという形になってくると、必ずそこのところに対して、私が労働組合の組合員だったら、そこのところをまずしっかりしてもうかるようにしてくれと言うだろう。しかしもう一方において、そこのところは政策医療としての機能というものを担ってもらわないといけない面もあります。そこのところは、しっかりと国が交付金を出して手当てをするということも必要でしょう。
 そういうふうな内容からいうと、この管理的運営事項という表現というものは、やはりこの独法が移行するまでの間において、どういう項目が管理的運営事項であり、そこの瑕疵によって病院の経営が困難に至った場合、だれがどのように責任をとるのかということを明確にしておかないと、私は労使紛争の勃発になると思います。
 その辺について、部長にお伺いするのも酷なんですが、副大臣、何かお話ししたそうにしておられますが、御意見あれば。
木村副大臣 やはり、私はもう前々から、一昨日ですか、申し上げましたように、ここは本当に意欲ですね。もちろんこれは、現場で、最前線で働いている方々だけではなくて、病院の方の管理部門に当たっている方々も含めまして、やはりここで意識改革してほしいなと。
 それで、もう組織が変わったんだ、新しい病院を築くんだと。そして、例として適当かどうかはともかくとしまして、やはり、ああJRは変わったと、あのような感じで、変わりました、こう言われるような病院になるように、ぜひ皆さんにそれぞれ取り組んでいただきたい。私は、これが一番肝心なことではないか。意識改革というのを強調させていただきたい、このように思っております。
五島委員 どうも副大臣にお願いしたのは失敗だったようです。
 ただ、私の申し上げたいことは、本来なら、これを特定独立行政法人ではなくて独立行政法人にきちっと移行して、労使の間の交渉の中で、お互いがうまくいかなければ自分たち飯食えないよという切迫感の中でやった方が、こういうのはうまくいくんだろうと思っています。しかし、これは特定行政法人ということになりまして、その間、そのことによっての大変な混乱が逆に生じるんではないかと私は心配しています。
 さらに、それとの関連の中で、この独立行政法人の本部、先ほどでは、ここがすべての管理運営権を実際上掌握されるようですが、ここのところの人員はどれぐらいを予想し、その経費はどうするのか。もちろん、独法も経営ですから、これは独法の職員ですね。当たり前です。この独法の職員の、職員といいますか本部の経費というのは、民間であれば各病院の売り上げの何%の拠出とかいう形でやるわけですが、どういうふうな形でこの費用を捻出されるのか。
 それからさらに、この独法本部の職員の人件費の経過、通常、この独法の本則に基づいた賃金の決定システムでいえば、職員が発揮した能率がその人の収入として反映されるというシステムです。そうすると、独法の職員としては、トータルな独法本部が黒字になってふえていけば、その能率を発揮したことになり、そしてトータルな経費が減少していく、あるいは赤字に転落していくと、能率を発揮していないことになって、賃金を下げざるを得ないというシステムになっています。
 そういう意味でいえば、各病院の職員との関係でいうと、大変な敵対関係にその職員はなっていくんでしょうが、一体、この本部の職員の経費あるいは経費の捻出方法、人員はどのようにお考えなんでしょうか。
冨岡政府参考人 現在、国立病院・療養所の本部的な機構といたしましては、本省の国立病院部と、それから地方厚生局がございます。このうち本省につきましては、現在の国立病院部の組織からナショナルセンターとハンセン病療養所の管理業務が国に残りますので、これに要する組織、人員は残るわけでございます。
 それから、地方厚生局について言いますと、国立病院・療養所を担当……(五島委員「トータルで何人ぐらいになるの」と呼ぶ)トータルで、現在、国立病院部には百十四名、地方厚生局には二百八十一名、三百九十五人おります。そういう人間をそれぞれの担当に振り分けるということになります。
 それで、その人件費をどう賄うかという点につきましては、具体的には、平成十六年度予算の中で具体的な検討がなされるということになりますが、では現在どうかというと、一般会計なり特会への繰り入れの中で賄われているという現状でございます。
 それからもう一つの大きなお尋ねの、本部職員の実績の評価みたいなことについてどうかというお尋ねがございましたが、基本的には、これは評価自身はどうするかということについては法人がお決めになるということでございますので、今私がどうのこうの、なかなか申し上げにくいわけでございますが、強いて申し上げますと、そういった評価といったものは、法人全体の業績、それからそれぞれの個人の業績と申しましょうか、そういったものがミックスされた上で評価されるのが通例ではなかろうかというふうに感じております。
 以上でございます。
五島委員 異動する場所はわかりましたが、予算が決まらないととおっしゃるんですが、今はそうでしょうけれども、独法ができた段階では、当然、この独法本部の職員は独法の職員ですね。ですから、いわゆる公務員としての身分で行くわけではないはずですね。いや、公務員の身分はそうですが、いわゆる独法会計の中での職員に当然なるはずですね。まさか、国がそうした政策医療を推進するに当たって必要なそういう交付金を出すわけですが、その交付金の中から独法本部の職員の人件費を差っ引いて、その残りを各病院にばらまくなんてばかなことはしないんでしょうし、ただ、今の国立大学なんかを見ていますと、そういうこともあり得るのかなと心配しているんですが。
 やはり独法本部というのは、本部全体の中からその経費が捻出されてくるのが当たり前なんで、その職員の給料だけは別扱いということになったら、そんなもの職員は信用しませんよ。そこのところは、間違いなく独法本部全体の中の経費の中で捻出させる方法になるでしょうね。そこだけお伺いします。
冨岡政府参考人 法人本部の職員も病院、療養所の職員も、同じように法人の職員でございます。そういったことで、本部の職員もその法人の職員そのものということになります。先ほど申し上げましたのは、現在、では現実的に同じような機能を担っている人間がどういうふうな財源負担になっているかということを申し上げました。
 それで、あと独法に移った場合の全体のあり方については、独法の財政運営なり交付金なりを検討する中で具体的に定められていくということでございます。
五島委員 具体的にそれも独法任せということなんですが、基本的な枠組みだけはきちっとして、そして独法本部がまさに別格扱いということで、高給を取り、経営が悪くなってもその人たちの給与だけが高いところで保障されるという、これまであった特殊法人のような形になったとしたら、大変な問題になるだろう。大変な問題というのは、これも独法に移ってしまいますと、国会の中での審議が届かなくなります。あとはすべて労使の間の問題になってきます。大混乱が起こるだろう。そのことも申し上げておきます。
 もう一つ、移行の中で大事な問題がございます。現在は、退職金制度は、公務員ですから現状のまま引き続いていきます。現状で国立病院の職員の退職金の積み立て、総額で何千億になるのか、正確には私は承知しておりませんが、やはり数千億になることは間違いない。
 この退職金の積み立ては、そのまま独法本部に継承されていくのか。また、退職金制度というのは、御承知のように、退職時の賃金に対してそれぞれの係数を掛けたものが退職金として支払われます。独法に移管しますと、賃金というのは現在の公務員の年功序列型から離れていくことになります。したがいまして、当然、賃金が何年かのうちに大幅に下がるということもあり得る。私は、賃金問題について、現状の公務員の賃金制度がいいとも思っていませんが、少なくともそういう問題が起こってきます。
 例えば、現在月給を四十万もらっておられる方が退職するときに三十万になってしまった。三十年働いてきた人が、今もらえば、公務員の退職金は僕はもらったことがありませんので知りませんが、仮に三十カ月として千二百万とします。それが、三十五年働いたけれども月給が三十万になった、そして三十五カ月掛けるということになりますと、現在もらう退職金よりもさらに就労を続けた結果の退職金が減ってしまいます。それは、これまでの退職金に対しての権利というものがここで大きく変わることになりますね。その辺はどうされるのか。
 すなわち、現在の退職金の、通常の給与であれば積立金があって、それが移管のときにそのまま移行されていく。それに今後は退職金積み立てをやっていくわけでしょう。その辺はどうなるのか、お伺いします。
冨岡政府参考人 現在、公務員の制度のもとでは、いわゆる退職引当金といったものは引き当てていないと申しましょうか、積み立てておりません。独立行政法人になりますと、今度これをどうするかという問題が出てまいります。
 また、退職金の金額につきましては、給与の一部ということで、これも法人が定めるということになりますが、その基準についてはそういうことになりますが、先ほど申し上げましたように、これは労使交渉事項ということになります。
五島委員 公務員というのは非常に特殊な世界におられるんですね。退職金の引き当てを全然してないよと。それを引き継いで、何十年も経過した労働者を引き継いで、今度はその退職金をさかのぼって独法が払って、それで採算は合うんですか、企業経営は成り立つんですか。そんなことができる経営者がおったら私はぜひお目にかかりたい。そんなことができるんですか。
 それは、退職金は新しい独法でお決めになるでしょう。だけれども、これまでの当然の、退職金の引き当てというのは、公務員制度の中であるから引き当てをしていなかったとしても、それに相当する部分が退職金引き当てのあれとして独法に移らないと経営は成り立たないでしょう。どうなんですか。
冨岡政府参考人 先ほどの説明の中で、退職金の率につきましては公務員と同じものでございます。訂正させていただきます。
 それからあと、ただいまお尋ねの点でございますが、運営費交付金につきましては平成十六年度予算の中で決定されることとなっておりますが、退職金引き当てにかかる引当金につきましては、どう引き当てるかということにつきましては、運営費交付金の検討状況を踏まえて対応することになっております。
 独立行政法人会計基準におきましては、例えば、運営費交付金により退職手当に充てるべき財源措置が明らかにされている場合には退職手当に係る引当金は計上しないとされております。承継いたします資産総額、総負債額が現段階では確定できませんのでコメントできないわけでございますが、過去勤務分の退職引当金は貸借対照表上、負債の項目に計上されます。そういうことで、それを計上いたしますと、その分財務状況が悪化するということになります。
五島委員 帳面の書き方を言っているわけじゃないんですよ。
 今も負債の総額が決定していないとおっしゃっている。恐らく一兆円にはいかないにしても数千億の負債をお持ちになるのだろう。そして、その資金繰りについては、市中銀行並びに病院債を発行して賄うと言っている。それで本当に平然としておられるのが不思議なので、私は、それで本当にこの病院、百四十四の病院を抱え込んでやっていけるのか、日本の銀行よりもはるかにもっと悪いのじゃないかなという感じがします。
 そのままで移管をしてみて、そしてその次にどうするかというのは、今のような話では、極めて近い将来に出てくることは間違いないですね。そういうふうな状況まで来ているとしたら、基本的に独法に移していくことは私自身は了解しているわけですが、なぜそれを公務員型にして労働三権についての制約を与え、そして多くの問題については未定のまま、そして常識的な経営原資についていうと大変とんでもないという状況の中で、本当にこれでいいのだろうか、今とどう変わるのだろうかということを思わざるを得ません。
 時間がありませんので、最後に大臣にお伺いしますが、先ほども申しましたが、政策医療というのは、今日、限られた高度の先駆的医療の普及のためのパイロット事業は別として、一般論としては、やはり政策医療のネットワークの作成というものの中で、そのネットワークの中には民間も場合によっては入ってもらうということを含めてやっていかざるを得ないだろう。
 政策医療のネットワークをどうつくっていくかというのは、先ほど金田議員も指摘になっておられましたけれども、これはまさに厚生労働省の責任だろう。そして、この厚生労働省が出した政策ネットワークの中で、独法の中で独自にそれぞれの医療機関がどういう分野を担っていくかということをお決めになって、そしてそれぞれの役割を果たしていく。これは、単に各病院の手挙げ方式という無責任なものではなくて、やはり地域的な配置もありますから、当然、独法本部としてそれぞれの病院の機能を十分に掌握した上で、独法本部でそうしたネットワークをつくっていかざるを得ないんだろうと思っています。
 そうした場合に、結局、医師の人事権ですね。そういうふうな役割を果たしていくためには、こうした部門を担わすに必要なそういう医師の確保と配置、人事異動、こうしたものを一括的に独法本部が持たないとできないんだろう。確かに、これまでの厚生労働省の話を聞いていますと、それぞれの院長さんに権限を持たせて、医者も自由にふやしてもいいよ、そのかわり採算を上げてくれよというふうな方法でやるとおっしゃっているのですが、どうもそうではないような気がする。むしろ中核的な国立病院を中心として、全部の独法法人にやれとは言いませんが、基幹的な病院については、やはり医師の全国公募、そして医師の配置に対して当然異動があるよという形での人事権を独法本部がお握りになる。その上で必要なそういう配置を独法本部がやっていかないとできないのじゃないか。
 まして、先ほども指摘いたしましたが、医師である大臣は御理解いただけると思いますが、何ぼ職員が熱心にやったとしても、医者の数が少ないと、医療経営を採算とれと言ったってとれるはずがないです。重症の患者を連れてきて、そしてまさか、医者がおらぬけれどもかかってくれ、そんなばかなことができるはずがない。医者がこれまでは小児科の専門がいた、小児科にかかってきた、今度の先生は、小児科は、同じ大学から来ているんだけれども、アレルギーしか興味がないんでほかのは全然診ないよ、これじゃ困るわけですよ。
 だから、そういう意味において、やはりそれぞれの病院の機能に応じた形の医師の配置、役割についての配置については、そこまで独法本部が労働条件についても決定権をお持ちなら、そういう役割についての責任をお持ちになるべきだ。そのためには、医師の確保の問題あるいは配置の問題、責任をとっていただかないと、そうしたことの結果起こってくる病院の経営状況を残った病院職員の労働条件、賃金に押しつけるというのは極めて不当であると思うわけですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 そこは今お聞かせをいただきまして、御指摘のとおりだと私も思います。それで、全国から公募するということが適切かどうかわかりませんけれども、しかし、それも有力な一つの方法ではないかというふうに私は思います。
 AならAという病院についてはこういう政策医療を中心にしてやってほしいということを決めました以上、院長先生がかわったら次には全然違うことをやっているというのでは話にならないわけでございますから、継続性がやはりそこになければならない。同じような方向でも、参りました医師によりましてその中でまたいわゆる興味が異なる、興味が異なると言うと変ですが、違うところを中心にやるというようなことで継続性がなくなってしまうということは非常に混乱を招くことになるわけでありますし、そのことはその病院の経営状態にも大きな影響を与えることでありますから、そこは独法本部ができますときに明確に今後やっていけるような体制をつくらなければならないというふうに私も思う次第でございます。
五島委員 もう時間がないわけですが、最後に労災病院と社会保険病院との関係について、一つだけお伺いしておきます。
 どう考えても、社会保険病院、厚生年金病院は、保険ができ上がったときのいわゆる医療供給の整備という目的はもう達成している。そして、それぞれの病院の状況を見ると、特別に大きな政策的な医療をやっているというよりも、普通の地域の医療としての役割を果たしておられ、そして経営は、いいところもあれば非常に悪いところもある。しかも、これらの病院については、今回の独立行政法人と違って国有財産としてつくられますから、財産が国の国有財産として残るために、償却はない、税金も払わない、大変問題があると思います。
 私は、現在もこれは民間の公益法人に委嘱しておられるわけですが、これはもう完全に民間の公益法人に移管してしまう、そして、財団で運営されるなり、特定医療法人になっていただくなり、そういうふうな形をとっていくべきだと思います。
 また、労災病院につきましても、一部の労災医療を主体にやっておられる病院を除きましては、やはりそうした形で完全民営化という方向をやるべきだと思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 これは、社会保険病院それから労災病院ともに、あるべき姿をもう一度考え直さなければいけないというので、今検討に入っているところでございます。
 御承知のように、つくりましたときにはそれなりの理由があったというふうに思いますが、中には任務を終えたところもあります。統廃合を行うことも含めて、これはやっていきたいというふうに思っている次第でございます。
五島委員 終わります。
坂井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。三井辨雄君。
三井委員 民主党の三井辨雄でございます。
 釘宮先生と私が質問するせいか、野党席はさっぱりいませんけれども、余り興味ないのかもしれませんが、しっかり頑張ります。
 まず、今回の機構法案の課題でございますが、私は、財政、特に経営の改善の観点からぜひお尋ねしたいと思います。
 今回の独立行政法人への移行に当たりまして、現在の国立病院の資産そして負債の状況は、まず正確に把握することが大前提だ、こういうぐあいに私は思っているわけでございます。国立病院の特別会計、ナショナルセンターを除きまして、国立病院が承継する債務は、先ほど五島委員からもございましたが、具体的にどのぐらいの額になるのか、まずお聞かせ願いたい。さらに、この債務、今後どのような償還をなさるおつもりなのか、お見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
冨岡政府参考人 国立病院機構が設立時に承継する債務額につきましては、その時点で確定するということでございまして、現時点では必ずしも確定的なものではございませんが、あえて現段階におきます試算を申し上げますと、約八千四百億円程度になる見込みでございます。これは、施設整備に要する資金としての借り入れでございまして、いわゆる短期の運営赤字のための借り入れとかそういったものではございません。
 この借入金につきまして、元金は診療収入で償還しております。利息分につきましては、これまで一般会計からの繰り入れで償還することとしておりまして、これまで確実に償還してまいりました。これを引き継ぐわけでございます。平成十五年度をピークに、独法移行後は徐々に減少していくものと見込まれております。
三井委員 私も病院経営に携わっておりますけれども、これぐらいの、八千何百億という金額で、例えば私がこれを引き受けろと言われても、到底引き受けられるような債務じゃございませんね。
 資料にございますように、収支状況を見ますと、一般会計から一千二百二十二億ですか、診療収入が七千九百十六億。これを見ましても、そのほかに歳出を見ても八〇・七%という構成比でございますね。
 まさに、むだな税金が投入されているということしか、国立病院だからこういうことができたと私は思うんですけれども、木村副大臣がおっしゃるように、民間病院であれば銀行から借りて返さなきゃならない。そして、銀行の審査を受けるのに、まさに今銀行は貸し渋り、貸しはがしという中では、大変厳しい状況にあると思うんですね。
 私は、今までの国立病院の体制を振り返ってみますと、旧国立病院に対してですね、まず管理体制がなっていなかったんじゃないだろうか。具体的に申し上げますけれども、特に今までの国立病院長の危機意識、まさしく先日副大臣がおっしゃったように、親方日の丸という言葉はいいかどうかわかりませんけれども、まさにそういう中で、危機意識も全くないというように私は感じております。
 これから特殊法人に移行する中で、一つのどんぶりの器のとり合いであれば、例えば民間と競争できる分野、あるいは政策医療の中の高度医療、あるいは教育部分ということで、しっかりとすみ分けをする必要があると私は思うんですね。こういうことをやはり今回の特殊法人に大いに私は期待したいと思うわけでございます。
 それと、今御答弁いただきましたように、これからはやはり、患者さん、特に慢性疾患を抱かれた患者さんなんかは、この独立行政法人化ということに対しては、まさに特効薬の処方だと思うんですね。
 さらに、中期計画も見せていただきました。この中で、体質改善を図るといった構造をとられるということは出ておりますけれども、三年、五年で百四十四の病院がすべて、どういう見方をされるかわかりませんが、百四十四の病院がそれぞれ、大臣も答弁なさったように、適当な人材を入れて、民間からも経営意識を持った方を理事長に迎えられる。まさにそれは私は正解だと思うんです。
 この後、釘宮委員からもたびたび御質問ありますけれども、国立病院の例えば建てかえ工事ですとかそういうときに、初めにイニシアルコストがあって、それからランニングコストがあるんだという大前提にやはり立たなければ、これは特殊法人になっても難しいだろうな、私はこういうぐあいに思うわけでございます。まさに、組織管理ということもしっかりすべきだと思いますし、今後、独立行政法人に移行される場合に、今回、PFI等も検討されているようでございますけれども、移行した後どのように対応していくおつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
冨岡政府参考人 独立行政法人移行後の施設整備におきます建設コストの引き下げ、こういったことは極めて重要な課題と考えております。発注方法の工夫、整備計画におきまして、これまでよりも、面積や単価、こういったものをさらに精査いたしまして、コスト縮減の観点から積極的に検討していく必要があるものと思っております。
 御指摘のPFIにつきましては、PFIによる施設整備等につきましては独立行政法人移行後の有力な手法の一つと考えているところでございます。既に平成十三年度からPFI導入検討調査を行っておりまして、平成十六年度の独立行政法人化を見据えたPFI事業の実現の可能性について、現在、モデルケースを設定いたしまして調査検討を進めているところでございます。
 今後、こういった取り組みについては積極的に取り組みたい、かように考えております。
三井委員 本当にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 先般も副大臣がおっしゃっていました、イニシアルコストとランニングコストの部分で、やはり設備投資の中で民間のノウハウを導入するという中で、具体的に、これは副大臣に答弁要求しておりませんけれども、今後、例えば、今までの経営の中で、複式簿記方式にする。今までは、僕は見ていて、これはもう大福帳だと思うんですね、大福帳。これでは赤字になるのは当たり前なんです。
 この件について、副大臣に一言コメントをお願いしたいと思います。
木村副大臣 法人化後は、委員御指摘のように、企業会計手法を取り入れた、複式簿記等の手法を取り入れた財務諸表等をもちろん設定していくわけでございまして、そして、なぜそれをするかというと、やはり民間の病院との経営の比較ができる。私は、この辺が非常に前向きな取り組みへの大変大事な要素ではないか、このように思っているようなわけでございまして、先生が民間の医療法人を経営されているという今お話がございましたけれども、まさにそういう民間の意欲が、民間のそういう手法が新しい法人においてしっかりと取り入れられる、そのための有力な手法の一つである、このように思っております。
三井委員 ぜひ、本当に期待するしかないと思うんです。
 そこで、今回は、法人化に際していろいろ改善点、ここに何項目か、たくさんございます。あるいはアウトソーシング、あるいはレセプトの外注とか、いろいろありますけれども、私は、薬の立場で申し上げますと、今の、要するにゾロ品と称するジェネリック、これは、国立病院のデータでも出ておりますけれども、本当に使われ方が少ないんですね。今、日本全体でも使われているのはたった一二%程度なんですよ。アメリカ、イギリスあたりですと、約五〇%近い。
 こういう経営全体を見たときに、例えば薬も、これは医療費が増大する中で、やはり医療費の削減につながるようなこともしながら収益を上げていくということも大事だと思うんですね。
 いわゆる後発品の使い方というのは、国立病院では、見させていただきますと二年前では〇・七%、幾らか前進しているんですが、今五・三%なんです。今、日本全体では一二%ですけれども、本当に少ないんですね。今後これをやはりもっと積極的に、今度、独立行政法人の中ではぜひ使うべきだと私は思っております。
 それと、アウトソーシングの部分で申し上げたいのは、例えばレセプト請求。これは文部科学省にも私、質問させていただきましたけれども、このレセプトの請求が、非常に未請求が多いんですね、おくれているのが多いんです。東大病院だけでも十億ぐらいあるということを、私が質問したときに答弁いただきました。そうしますと、四十二ある大学病院を単純計算しますと、四百二十億ぐらいの未請求があるわけですよ。まあ、国立病院については私はきょうはお聞きしませんけれども。
 このレセプト請求、委託業務するのであれば、その管理、チェック体制をしっかりと、任せるのではなくて請求事務をきちっとされるということ、これがやはり健全な経営につながると思うんですね。
 あと、例えば美装関係もそうです。あるいは給食もそうかもしれません。寝具もそうかもしれません。これはやはり、きちっと細かくチェックをすることが必要ではないか、私はこういうぐあいに思っております。
 ぜひその辺も、やはり民間のノウハウを入れるのであれば、それについて、副大臣、御答弁がございましたら、よろしくお願いいたします。
木村副大臣 積極的に民間の手法等を活用してまいりたい、このように思っております。
三井委員 ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 もう一点、時間もございませんので、遊休地の利用について質問させていただきたいと思います。
 跡地利用ですが、その跡地に、まさにこれを見ますと、市町村あるいは地方自治体ですか、地方公共団体、地方公共団体以外、国立病院等の資産の減額譲渡という特例措置法がございます。この中に、今、地方公共団体だってすべて赤字ですから買えるわけがないんですね。そうしますと、団体以外を見ますと、日赤、済生会、厚生連等とございます。ここを僕はもう少し緩和してもいいんじゃないか。
 例えば北海道の例で申し上げますと、登別というところがございます。大変いいお湯が出るんです。この跡地は、登別市でもその後の運用はできない。結局更地にしてしまう。この緩和を、例えば医療法人、普通の一般の医療法人でもいいです、企業でもいいです、そこをやはり緩和して、資産、債務を譲渡するのであれば、むだな資産を持たずに、それをきちっと運用できるような企業に譲渡できるような緩和をすべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
冨岡政府参考人 再編成によりまして、土地なりそういった跡地が出たといった場合につきましては、病院として職員が移るということで移譲する場合には、法律に非常に大きな割引制度等ありますけれども、そうじゃないといった場合につきましては、現在、地元の自治体の活用の御要望といったものにつきましては十分相談させていただきまして、長年地元で活躍させていただいたものですから、そういうところとまず優先的に相談させていただきまして、その資産の活用について御相談に乗っているところでございます。
三井委員 それでは、そこで活用できない場合はどうするんですか、その後も。
冨岡政府参考人 病院事業として使用しない土地につきましては、通常の資産という形になるわけでございますが、これは国立病院特別会計の一種の財産でありまして、大変経営状況の厳しい中、私どももこれを活用しながら経営に役立てているところでございます。
 そういったことから、実は大変貴重な資産でもありまして、そういった面で、私どもとしては経営全体のために活用させていただいているというところでございます。(三井委員「経営全体の活用にならないじゃないですか、それは。あくまでも死んだ土地になっているじゃないですか。生かされていないじゃないですか、それは」と呼ぶ)そういったことで、御希望と、処分するというふうな、これはもう使う見込みが余り考えられないといったものにつきましては譲渡ということもしておりますが、基本的には、そういった場合には競争入札という形でさせていただくことになっております。
三井委員 今、競争入札というお言葉を初めて聞きましたけれども、じゃ、この事例は今までございますか。
冨岡政府参考人 私ども、決して余裕のある財政じゃありませんものですから、未利用地につきましては処分するという方針で対応してきておりまして、そういったものについては競争入札で売却をいたしております。
三井委員 私が申し上げるのは、余裕がないから、ですから、むだな資産を持たずに運用できるんであれば、今のこの地方公共団体以外の、例えばその跡地のそれぞれメリットがあります、特徴があります。例えば温泉があるところであれば、老人保健施設なり、あるいはそういういろいろな施設をつくるなり、民間で運用できる部分もあるじゃないですか、そういうことを私は申し上げているんです。もう一度お願いします。
冨岡政府参考人 そういう利用ということで我々の持っている土地を譲り受けたいといった場合には、そういったことで譲渡するということでございますが、やはり、国有財産の処分ということでございまして、価格の公平を期するという点もありまして競争入札という形をとっているところでございます。
三井委員 時間もございませんので終了ということでございますけれども、ぜひ、この辺の規制を撤廃していただいて、そして、この資産をやはり民間で運用できるような形にしていただきたいということを最後にお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
坂井委員長 次に、釘宮磐君。
釘宮委員 きょうで二日目でありまして、いろいろと議論が進んでいる中で、今の三井委員は、みずからが民間病院を経営しているわけでありまして、先ほどから三井さんの話を聞いていますと、なかなか説得力があるなというふうに思います。今回の独法法、移行への一番大きなねらいはそこにあるわけでありまして、ぜひ生かしていただきたいというふうに思います。
 独法法の審議に入る前に一つだけお聞きをいたしたいわけでありますが、それは、もう私がこれまでも何度もこの委員会で取り上げてまいりました不妊治療に対する保険適用の問題であります。
 これは、これまで大臣から前向きな答弁をもらい、しかも十一月一日には、大臣の答弁の中で、一般財源からの支出はなかなか難しい状況だが、保険の中でぜひとも実現をさせていきたい、そして最後には、必ずその方向でひとつおこたえのできるようにしていきたいというふうに大臣から答弁がなされているところであります。最近、各報道紙にもこの問題が取り上げられておりまして、そういう意味では、一つの大きな問題提起をしたというふうに思っておるところであります。
 坂口大臣、先般、大臣の記者会見の中で、出産一時金のような形で考えられないかというような報道がなされておるようであります。これは、ちょっと私は趣旨が違うんではないか。要するに、子供に恵まれない人たち、いわば何らかの理由で子供ができない、その治療費の助成であって、生まれた人だけに支給するのでは全く意味が違ってくるんではないかなというふうに思うんです。
 この後の質問も、時間が余りありませんので、大臣には、今後、この問題についてどういうふうに取り組んでいかれるおつもりなのか、ぜひとも前向きな答弁をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 不妊治療につきましては、前回にもお答えを申し上げたとおりでございますが、ぜひ進めていくように努力をしたいというふうに思っております。事務方の方にも、しっかりやるように叱咤激励をしているところでございます。
 一時金の話は、これはいわゆるお金の出し方の問題でございまして、出産のときは、出産しましたときに、今、二十万でしたか、三十万だかちょっと、二十万だと思いますけれども、出すようにいたしておりますが、出し方としてああいう形で出せないかということを言っているわけで、いわゆる出産一時金の中から出すということを言っているわけではありません。保険の中からの出し方の話を私はしているわけでございまして、出産一時金の中から出すということを言っているわけではありません。
釘宮委員 いや、多分それはそうだと思うんですが、私は、生まれてきた人に対して出すんではなくて、そこに挑戦をする、チャレンジする人たちにどういうふうな形で助成できるかという意味からすると、若干趣旨が違うんじゃないかな。例えば、非常に高いと言われる不妊治療費を、治療する人をふやすことによってより安い料金で受けさせて、子供が生まれた場合に、成功報酬的なもので医療機関に支払うというようなことも、これは一つ考えられるんじゃないかなというふうにも思うわけです。
 いずれにしましても、保険適用ということになるとさまざまな問題がこれはあるわけで、クリアするのに相当時間がかかるんじゃないか。大変首を長くして待っておられる、最近の報道等で期待を持たれている方も多いようでありますが、そうであるならば、いわゆる少子化対策プラスワンの中でもうたわれておるわけで、一般財源として風穴をまずあけるということも、ぜひ大臣にはお考えをいただきたいな。このことについては要望にとどめておきたいと思います。
 さて、独法法について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、私は、今回、何ゆえ独立行政法人にするのか、そこのところが明確にしておかなければならない点だというふうに思うんですね。さまざまな議論がなされてまいりました。コスト意識を喚起するとか、いわゆる民間の感覚を導入してやるだとか、いろいろなことをこれから研究していかなきゃならないというふうに思うんですね。
 木村副大臣は、先日の答弁の中で、民間病院は、建物も自前でつくって立派に診療報酬の中でやっているじゃないか、国立病院は、建物や医療器具は別途与えられた中で、親方日の丸的な感覚でコスト意識がないというようなことを言われておりました。私は、じゃ、国立病院というのがそういう形ですべて賄えるのであれば、これはもう全部民間にしちゃえばいいわけですね。
 だから、そういう意味で、今回の独立行政法人化にするということと、いわゆる親方日の丸というところの意味の整理を若干、木村副大臣に聞かせていただきたいと思います。
木村副大臣 今御指摘のありました点でございますが、独立行政法人化後は、やはり経営管理というのが一層重要になるわけでございます。
 まず、委員御指摘のとおり、なぜ独立行政法人かというと、私はやはり一番ポイントは、そうはいってもこれは公務員型に残す、その点はやはり任務があるわけですね。
 それは、難病もさることながら、危機管理という大切な面を持っている。何回も言いますけれども、地震だとか、ペルー大使館の問題ですとか、あるいは、災害は忘れたころにやってくるといいますけれども、どんなことが起こるかわからない。そういういざというときに、まさに採算を度外視してやらなきゃいけないわけでございますけれども、さはさりながら、やはり委員が御指摘になったコスト意識、そういうのも重要だろう、こういうふうに思っているわけでございまして、こういう中で独立行政法人化後は経営管理が一層重要になるわけでございます。
 そこで、例えば各施設においては月次決算を行い、部門ごとの非効率、不採算なる状況も把握、分析しながら、民間病院の運営も十分参考にし、それで幅広くこれからもこの経営というのにまた取り組んでいかなきゃいけない。その中で、皆さんの御指摘でございますけれども、例えば、アウトソーシングの活用ですとか、あるいは窓口業務なんか、このごろ大きな病院では機械を導入しているところもございます。こういう事務機械化なんかにも十分取り組みまして、スリム化等にも取り組み、まさにそれは結局政策医療の遂行に役立つんだ、私は、こういう点が重要じゃないかな、このように思っているような次第でございます。
釘宮委員 言わんとすることはわかるんですが、少し整理をさせていただきたいと思うのは、今回独法へ移行する百四十四の施設がありますね。この中には、今副大臣が言われるように、不採算医療を着実に担いながら真の政策医療を推進していく本来の部門と、将来これはもう民営化にしてもよいというものも、さらには廃止をしてもいいんではないかというようなものも、私はこの百四十四の中には当然これから出てくると思うんですね。また出てこなきゃいけないと思うんですが、そういうものを整理していくために何年間か見なきゃいけないと思うんですが、その点はどうなんですか。
木村副大臣 御承知のように、大臣が中期目標を立てまして、中期計画を立てるわけですね。それで、独法後、その中期計画に従いまして、外部によります業績評価も勘案しながら、結局、中期計画、これは五年であります、この中期計画終了後に、この点を見ながら、今までのところも勘案しながら、議員がおっしゃられた、あるいは再度の再編が必要なところまで来れば、当然そのことが検討の課題になるわけでございます。
釘宮委員 何年ぐらいをめどにしているんですか。
木村副大臣 第一回目の中期目標の終了は五年ですから、五年が一つのメルクマールになると思います。
釘宮委員 私は、今回、特にコスト意識の喚起という点について非常に注目をしているわけですね。やはり、これから病院をそれぞれの立場で独立採算でやる、そこに費用対効果というものが評価をされていくということになるわけで、そうなれば、例えば外部に委託ができるようなものは、これは外部に委託していくというようなことをやりながらスリム化をしていく、これぐらいのことをやはりきちっと担保しておかなきゃいけないんじゃないかな、このように思うんです。
 そこで、午前中の金田委員の質問にもありましたけれども、独法化の目的の中に、やはり今言うように、いかにコスト削減のための努力をするかが求められているというふうに私も思うわけで、そういう意味では、これからそのコスト面について若干質問をさせていただきたいと思うんです。
 今回私は、国立病院の問題については談合問題で相当厳しくこれまでも指摘をさせてもらいました。コストの面で木村副大臣は親方日の丸だと言っているけれども、私は、親方日の丸は厚生労働省じゃないか、厚生労働省そのものが親方日の丸であって、そこのところをまず今回のこの独法法の中では戒めていただきたいというふうに思うんです。
 そこでお伺いしますけれども、建物を建てますね。その場合に長期借り入れというものが起こるわけですが、この借入金を返済するのは各病院ごとの会計でするんですか。
冨岡政府参考人 施設整備に伴います債務につきましては、資金を借り入れた、整備いたしましたそれぞれの施設が責任を持って負担することが基本でございます。これが基本でございますが、現在の国病特会と同等の償還確実性を確保する観点から、機構が法人としてすべてを承継し、償還義務を負うものでございます。
 各病院におきましては、毎年度、貸借対照表、損益計算書等の財務諸表を作成することによりまして、その負債の状況を個別に明らかにいたしまして、さらには、各病院等の経営改善の状況等について、それぞれ個々に外部有識者から成る評価委員会の評価を受けて公開することといたしております。こういう透明な運営をすることによりまして、施設の経営意識が増すよう努めてまいりたい、かように考えております。
釘宮委員 要するに、私がここでなぜそういうことを聞くかといいますと、これから病院ごとに貸借対照表、そして損益計算書等が出てきて、その上でどれだけ努力をしてきたかということが結果として評価されるわけですね。そうなってくることをまず前提として、建物を建てたり、それから大規模な営繕工事をやるとかいうようなこと、さらには高額の医療機器を買う、こういう場合に発注をするのは一体どこですか。
冨岡政府参考人 現状におきましては、発注、病院建設等の入札行為そのものにつきましては支出負担行為担当官であります各病院の事務部長、再編成整備の施設につきましては当該地方厚生局長が行っておりますが、大規模整備の入札、執行につきましては本省で行っております。
釘宮委員 いやいや、本省で行っていますというんじゃなくて、今後どういうふうにするんですかと聞いているんです。
冨岡政府参考人 今後のこういった事務のあり方につきましては、先ほど御指摘いただきましたように、私どもとしては、透明性の確保といった点からさまざまな対応を講じたところでございますが、今後、独立行政法人におきましてそのような透明性を確保した事務処理を具体的にどのように行うかにつきましては、法人の業務の事務処理規程等を定める中で検討してまいりたいと思っております。
釘宮委員 検討するでは、我々この議論を経て賛否を決めたいと思うんですが、検討するという項目が余りにも多過ぎるんですよね。
 私がなぜこのことにこだわるかといいますと、それぞれの病院で責任を持って採算をきちっと評価していくよといいながら、例えば病院建設だとか、それから大規模な営繕工事とか、また高額の医療機器、そういうふうなものを購入する際には、これは従来は、例えば国立病院部の営繕班なるものが行ってきたわけですよ。実は、私に言わせれば、この人たちにほとんどコスト感覚がないですよ。
 副大臣、私は、今回、十の国立病院が入札をして、その結果、大臣が白紙撤回をして、その後出てきた入札結果、これはこの前私はこの委員会でもお示ししたんですけれども、前とほとんど変わらないという状況ですよ。ですから、そういう人たちにコスト意識が全くないのに、現場にはコスト意識を持て、評価をするぞ、こんな理不尽な話はないというふうに思うんですよ。副大臣、どうですか。
    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕
木村副大臣 今のような御指摘の点を踏まえて、今回どういうような仕組みをつくっていくか、鋭意真剣に検討してまいりたいと思っています。
釘宮委員 何か紋切り調の答弁しかない。それでは私は納得できないね。特に私は、長期借入金を行って、当該施設の経営責任者は、本来だと、より安く、よりよいものをつくるというための努力をすると思うんですよ。であれば、この後、工事の入札あたりは現場でやらせる、それぐらいでなければ無理だと私は思いますし、まして、国立病院部の営繕班がまた病院機構の中に入っていって、そして今までと同じような状況をつくったのでは、現場はたまったものじゃないと思いますが、その点どうですか。
木村副大臣 実は先ほど、PFI手法の導入の話が出ておりました。PFI手法の導入というのはどういうことかといいますと、いわゆるバリュー・フォー・マネーの算定でありまして、どういう方式でもってその事業を行うか、一番効率のいいものを検討していこう、こういう発想なんですね。
 ですから、これからの例えば改築とか増築とかそういうものの中で、PFI手法の導入というのは委員が御指摘の点に、期待にこたえる一つの有力な手法じゃないかな、こういうように私は思っておるわけでございまして、そういう手法を通じますと、だれが、ある程度の人たちが担おうが、バリュー・フォー・マネーが出てくる、つまり効率のいい施設整備ができてくる。私はそういう点が大事だと思うんです。
 その中で、これからやるときに、金融ですね、要するに融資を受けるわけですね。融資を受けるときに、恐らくこれは、病院債とか何かというのは金融機関が絡むわけですよ。そうすると、金融機関だって、漫然としたところに貸せませんから、金融の方も、今度は融資という観点から審査というのが出てきて、その両面から、効率のいい施設整備の手法を取り入れていかなきゃいけない、こういうふうに私は思っております。
釘宮委員 いや、今回の中に、国からの予算の投入というのはちゃんとうたっているじゃないですか。要するに、最後はそこのところに逃げ込んじゃう可能性があるわけですよ。
 実際私は、今回一番問題にしたいのは、コスト意識、コスト意識と現場に言いながら、結局、例えば大きな部分を占める工事とかまた医療機器とか、そういうようなものが、従来の親方日の丸的な厚生労働省の体質の中でやられるとすれば、この矛盾がいずれこの独立行政法人を形骸化させてしまう、そういうふうに思うんですよ。そこを私はまず一番指摘したいわけです。
 例えば、今回の談合疑惑については、坂口大臣が先般、業者の談合については、実態が明確でない以上、入札結果を尊重しなければならない、その判断から再入札の結果で契約をしたということであります。私は、これは再入札の結果が、私が指摘したように同様の業者によって落札されたというこの情況証拠がありながら契約を結んだということに大変遺憾に思うわけであります。
 ここで忘れてならないのは、建設にかかる費用が国民のとうとい税金だということ、そこをやはり私は決して忘れてはならないと思うんですね。そこの部分が全くこのまま放置されたまま独法法をやって、コストだコストだと言ったって、これはもうほとんど意味をなさないというふうに思います。
 特に、今回の問題について、厚労省の幹部がこういうことを言っているんですね。我々は一生懸命そういうことが起こらないようにしているけれども、業者が勝手に談合してしまえば我々はどうすることもできない、こういうことなんですよ。こんなばかな話がありますか。私はこれはどうしようもないという思いを持つということは、自分のお金じゃないからそういうことが言えるんですよ。
 民間であれば自分がお金を調達しなきゃならないわけですから、そうなったときに、自分のお金を出すという立場にある人に、この建物の入札なり物品購入をきちっとやらせるということをここで担保してもらわなきゃ困る。ですから、そういう意味で、私は、営繕班というのはもう既にその役割は終わったというふうに思います。
 このままもし営繕班が残って、また独立行政法人の機構本部の中に入っていって、今までと同じように、地方厚生局も含めてわずか百人ぐらいの人間の中で高額な工事を一手に仕切れば、また同じことが起きますよ。そして、そこはほとんどコスト意識もないまま親方日の丸で、そして現場は職員から何からぎゅうぎゅうやられる、そこに医療の質が下がっていく。そうなったら、ほとんど今回の独立行政法人そのものの意義というのはなくなってしまうというふうに思うんです。坂口大臣、どうですか。
木村副大臣 坂口大臣にもお答えいただくかもしれませんが、私から。
 今回、先ほどから私も言っておるんですが、独立行政法人になった以上、意識改革をしてほしい、こう言ったわけですね。(発言する者あり)いや、まさにそうです。だから、それは先ほどの答弁にありましたように、現場の方々にも意識改革をしていただくんですが、管理者の方々にも意識改革をしていただくというのは、私は午前中の中でもお話をさせていただきました。そういう観点から、恐らく営繕部の方々も、独法に際しましては、今度はやはり意識改革をしていただけるだろう。
 例えば、この間こういうことがありました。ある公的病院で一床当たり何と五千万円の建物をつくっているんですよ。一床当たり五千万円ですよ。ホテルのような建設コストです。一方で、医療福祉事業団がありますね。この基準単価、幾らで貸しているの、基準単価一床当たり幾らかと私は尋ねたんです。何と一千二百万円ですよ。これだけ差があるんですから。だから、委員御指摘の点、ごもっともな点もあるんです。
 だから私は、そういう医療福祉事業団の一千二百万の基準単価、これは安過ぎるんじゃないかという私もちょっと観点もあったんですが、しかしながら、これだけ差がある。このギャップはやはり埋める、官民格差を是正するのは当然の話でありまして、官の高コスト構造の是正の中においてはそれは当然あってしかるべき話だ、このように思っております。
坂口国務大臣 今副大臣からも答弁がありましたが、やはりコスト意識というものを十分に持ってやらなければいけないことだけは間違いないわけでありまして、委員が御指摘になりますその主張というものをできるだけ生かしていくようにしないといけないというふうに思います。
 談合というのは、いわゆる業者も絡んでの話でございまして、これはなかなかそのからくりが我々には見えにくいところがあるわけでございますから、いずれにいたしましても、それが起こる起こらないの前に、どういうコスト意識を持って主体者が臨むか、施行する者が臨むかということが一番大事だというふうに私は思っております。
 したがいまして、独立行政法人になりましたときに、そのことを一番忘れないように、そのことが一番実行できるような体制にしていくということで今後煮詰めを行っていきたいと思います。
釘宮委員 私は、今回の談合の問題で、国立病院部に談合防止のための対策強化を求めてきましたけれども、結局三回にわたって出てきているんですね。それは、私が、これじゃだめだ、これじゃだめだ、こういうことが起こっているじゃないかと言って、三回にわたって出てきている。例えば、OBの再就職はこれを認めないとか、それから、営繕部の職員の人事異動を他省庁も含めてやれとか、こういう滞留化しないようにということについても、なぜこういう問題が最初から出てこないかということなんですよ。
 私は、今一番ここで問題にしたいのは、結局政治がもっと主導をとらなきゃだめですよ。木村さん、木村さん自身が、あれだけコスト意識コスト意識と言っているわけですよ、親方日の丸じゃないかと言っているわけだ。その親方日の丸をやっておるのは、まさにあなたが所管している厚生労働省じゃないですか。そこのところを私はきょう特に申し上げたいわけです。
 ここに、いわゆる「営繕職員の利害関係企業への再就職のあっせんの厳禁」となっています。これは、しかし、「あっせんの厳禁」じゃなくて、まず私は、利害関係企業への就職は認めないというふうになぜ言えないのか。「あっせんの厳禁」とか、それから、「OBによる営業活動への対応の禁止及びその旨のOB在籍企業への周知」。これは、実際問題、こういうことを小出し小出しにしてこなきゃならないということ自体をぜひ反省をしてもらいたいというふうに私は思いますので、その点は私の方から特に強調しておきたいと思います。
 時間がありませんので、コスト意識の問題についていま一つの観点で、役員について私は聞きたいと思うんです。
 先日、大臣は、質疑の中で、独法化によって国立病院や診療所の医療がよくなると断言できるかという委員からの質問に対して、よくも悪くも理事長次第というような答弁を繰り返しておられました。
 そこで、お伺いしますが、国立病院機構に理事長、副理事長以下理事を含めて配置されるわけですけれども、これは厚生省の天下りの受け皿になりはしないかという気がするんですが、大臣、ここの点はどうですか。
坂口国務大臣 この独立行政法人の理事長、副理事長というのは、私は、これは大変難しいポジションだと思うんですね。
 全国で百四十四という大きな病院を抱えてこれは経営をしていかなきゃならないわけですね。経営感覚のない人では、これはできないわけです。一方、午前中からも議論がありますように、これは組合との団体交渉もやらなきゃいけないわけですね。それをやり得る人物でなければならないわけですね。だから、あらゆる角度から見まして、そして医療にも通じていなきゃならない、経営にも通じていなきゃならない。これはなかなか、だれなとできる話ではない、日本国じゅう広しといえ、そう多くおみえになるわけではないと私は思います。
 そうした中でこれをやっていける人を探すわけですから、厚生労働省の中で探してそういう人がいるかということであれば、これは、いないと言った方が適切だ、私はそう思っております。
釘宮委員 今の大臣の答弁は非常に重いと思いますよ。
 私は、正直言って、経営感覚を求めるということをこれまでも大臣はたびたび言われておりますね、副大臣も言われておりますが。その中で、官庁簿記ということがよく出されました。その官庁簿記というのはコスト感覚に無縁であるということも話されています。この官庁簿記でコスト感覚に無縁だった官僚OBが就任して、いきなり意識改革を求めるというのは、これは無理だと思いますよ。だから、今の大臣の答弁は私が考えていることと全く同じでありますから、これは、どういう人を登用するのかということについてはぜひ注目をしたいというふうに思います。
 それから、あわせて、理事長、副理事長の任期は四年となっていますね。再任に対する規定がないんですよ。私は、少なくとも、こういう四年という任期だけを限っているというのは、どうも天下りポストとしての輪番制を想定しているんではないかというように思えるんですね。本来、経営者としてすぐれ、業績を残した人、確かになかなかそういう人というのはいないという話を今しました。もし、そういう人を四年になったらもうぽいするというような、そんなことにはならないと思うんですね。
 私は、そういう意味では、立派な人はやはり再任をされることがあってもよいのではないかというふうに思いますし、一方では、その経営の結果、結果が出せないという場合には解任をすることもあっていいんではないかというふうに思いますが、その点どうですか。
坂口国務大臣 それはそのとおり、私もそう思います。
釘宮委員 いずれ、私が申し上げたかったのは、腰かけ的な役員のもとでは良質な病院経営は望めないということでありまして、当然ながら、役員にもその責任というものをしっかりと受けとめてもらわなければいけないというふうに思うわけです。
 そこで、理事長、副理事長、理事の報酬についてはどの辺を水準に考えているのか、ちょっと聞かせてください。
冨岡政府参考人 先ほど来御議論がありますように、この法人の理事長さんの職務といったものは、非常に重く厳しいものがあるものと考えております。
 この理事長及び副理事長を初めとする国立病院機構の役員の報酬につきましては、法人において今後具体的に検討するということになりますけれども、百四十四施設、事業規模約九千億円の大規模な事業体を適切に運営しなければならないことを勘案し、また、適切な人が就任し得るような額を設定するものになると思いますが、金額については、現段階では、幾らというふうな考え方はなかなか、まだこれからの検討事項だと思っております。
釘宮委員 今ここで幾らということは言えないんでしょうけれども、私は、例えば社会福祉・医療事業団の理事長が、これは厚生労働省の事務次官経験者が行くポストになっているようですけれども、平成十三年度で二千五百八十七万六千百二十四円、我々国会議員よりも大分高いわけです。そういう意味では、その金額が高いか安いかというのは、その仕事の内容によると思うんですね。
 だから、私が今言うように、これだけの規模のものを管理し、しかも国民から立派にやっているという評価を受けるような、そういう経営をした人であれば、私は二千五百万円出しても三千万円出してもいいんだろうというふうに思いますが、今までのように、ただ天下りポストとして、輪番で四年間そこに座っただけで二千五百万が約束されて、しかも四年がたったらまた千五百万の退職金をもらうなんというのは、これはもう全くもって許せない話だというふうに思いますね。
 ですから、民間人を、これぐらいのお金を用意しても来てくれないというのだったらさらに出してもいい、それぐらいの感覚でぜひやっていただきたいというふうに思います。
 時間が参りましたので、最後に私はこのことをお願いしたいと思うんですが、これから、現場の病院長、これは先ほど金田委員の質問の中では、やはり当該病院の、当該施設の最高責任者ということになるわけで、その人たちがしっかりと結果責任を問われるわけですね。そうなると、今の病院長の給与が大体千二百万ぐらいというふうに私はお聞きをしているんですが、これはいかにも安過ぎるんじゃないか。
 もちろん私は、これから裁量権というものが相当広げられていかないと、この病院長は、結果責任をとらされるとすれば、大変かわいそうだと思います。ですから、人事面だとか予算の執行面だとか、そういう面についてしっかりと裁量権を与えて、そしてその結果責任を評価しながら賃金を、給与を決めていくというようなことを考えるべきではないかというふうに思うんですが、大臣、どうですか。
坂口国務大臣 各施設の施設長さんというのは、それぞれ独自の、いろいろのお考えを持った人、そしてまた医療につきましてもすぐれた人でなければならないと思いますし、それから職員の皆さん方からも信頼を得るような人でなければならないことは事実でございます。そうした人に対してどう報いるかということは、これから大事な、大きな問題になりますが、ただ、おっしゃるように、一律でいいかといえば、それはそれ相応、やはり仕事次第ということになってくるだろうというふうに私は思っております。
 また、同じ機関といいましても、大きい小さいもございますし、小さなのも大きいのも同じというわけにもいかない。百ベッドのも一千ベッドの院長も同じというのではないだろうというふうに思っておりまして、そこは我々も十分に考えていかなければならない、こう思っております。
宮腰委員長代理 次に、大島敦君。
大島(敦)委員 民主党の大島です。
 数字の確認の方からさせていただきます。国立病院の一般会計からの受入金、受入額は年間幾らか、また累計でこれまでどのくらい積み上がっているでしょうか。
冨岡政府参考人 ただいまの御質問は累計ということでございましたが、今資料がしっかりあります昭和三十八年度から平成十四年度までの年々の合計額を足し上げますと、四兆二千三百四十九億円でございます。
大島(敦)委員 直近の一般会計からの繰入額の予算額及び、今まで傾向として受入額はふえているのか減っているのか、御説明をお願いします。
冨岡政府参考人 これまで、最近の傾向を申し上げますと、一番繰入額が多かったのは、平成六年度の二千五百八十八億円でございます。実は、平成のこのころ非常に経営状態が悪化いたしまして、この額までなりまして、繰入率が、この二千五百八十八億のときには、率にしまして二四・九五%でございました。
 その後、これを契機に経営改善に取り組みまして、かなりの効果を生み出しております。そういうことで、毎年毎年この繰入額は数百億とかいった単位で減らす努力を続けまして、平成十四年度には千二百二十二億になっております。率にしますと一一・九二%というふうに、ピーク時に比べまして、額、率ともに半分以下ということになっております。
大島(敦)委員 ピークが平成六年の二千五百八十八億円、そして平成十四年度ですと一千二百二十二億円ということで、半減しております。この理由について、もう少し詳細に説明していただければ幸いです。
冨岡政府参考人 平成四年度までに、国立病院・療養所の財政状況は悪化の一途をたどりました。そこで、当時の管理当局といたしまして大変な危機意識を持って、経営改善に平成五年度から本格的に取り組んだところでございます。
 その中身といたしましては、収入に見合った支出を原則とした事業計画を導入する、計画的に支出、収入を計画した。それから、収入につきましては、増方向ということで収入上増収が図られるような医療内容の改善のためのいろいろな基準の取得といったものに努めた。それから、支出につきましては、経費削減ということでいろいろな経費を切り詰めた。この両面から経営改善に努めました。それから、当時、平成四、五年ごろ実は大きな問題となりました賃金職員の適正化、それから再編成の推進による診療部門の人員体制の強化、こういったことを実施してまいりました。
 このような取り組みを行うことにより、結果としまして、経営状況はどん底を急回復いたしまして、一般会計からの繰入額が、先ほど申し上げたように減少してきたものでございます。
大島(敦)委員 坂口厚生労働大臣に伺いたいんですけれども、今回の独立行政法人国立病院機構を新たに設置するということは、ただいま部長の方から御指摘がありました一般会計繰入予算額、これは半減しておりまして、ということは、経営努力をすれば、私たちの国の、国民の税金を使う額が半分になってしまった。さらに、この独立行政法人にすることによって、今一千二百二十二億円がさらに少なくなって、国民の負担を減らしていく、そういう考え方でよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 これは一遍スタートしてみないと余り大きなことも申し上げることはできませんが、しかし、それは減らしていく、そういう心構えでいかないといけない、そういうふうに思っています。
大島(敦)委員 国立病院・療養所の借入金の残高は、現在お幾らでしょうか。
冨岡政府参考人 現在、施設整備費に要した借入金の額が八千四百億円でございます。
大島(敦)委員 今の借り入れの残高が八千四百億円。そして、これまで御指摘ございましたとおり、足元で一千二百二十二億円を一般会計から繰り入れております。そして今、これまで一般会計の繰り入れの累計額は四兆円以上に上っておりまして、かつ、これまでの国立病院というのは、税制面においては一切非課税だったと考えております。
 どうして一兆円まで、今ですと独立行政法人に分けた場合には八千四百億円までふえてしまったのか、その理由をお伝えいただければありがたいんですけれども。
冨岡政府参考人 国立病院・療養所の整備につきましては、借入金で整備し、それを返済していくという財政方式をとっております。
 最近再編成を進めてきておりますが、その再編成を進める中では、例えば統合といった場合には、二つの施設を一つにまとめるわけでございますので、病棟を追加する工事が必要であるとか、それからまた、二つを一つにするために一つの新たな病院を建設する必要があったということで、最近では再編成ということでかなりの投資額が必要だったという点がございます。
大島(敦)委員 今のは答えになっていないと思うんですけれども。恐らく、繰り入れ、借入金の残高がふえてしまったのは、もちろん政策医療的な採算に乗らない医療を行ったということとともに、経営努力が足りなかったと私は理解しております。
 それでは、借入金の返済計画はどうなっているんでしょうか。
冨岡政府参考人 現在、元本につきましては診療収入で返済し、利息分につきましては一般会計からの繰り入れで償還いたしておりまして、これまで確実に償還いたしてきております。この償還額、平成十五年度に七百八十七億円、これは元本と利息込みでございますが、これをピークとして徐々に減少していくものと考えられております。
大島(敦)委員 この八千四百億円をいつまでに全額償還するんでしょうか。
冨岡政府参考人 この償還につきましては、現時点までの整備のものについて償還という、何年かかけて償還するということになりますが、現時点までのものにつきましては平成四十年度までに完済するということになります。
大島(敦)委員 現在八千四百億円の残高については、平成四十年度までに返済していくと。これから施設を整備していくと借り入れ等を起こしますから、この八千四百億円が多分大きく減ることは難しいかなと考えております。
 それでは、ちょっと論点を変えまして、先ほどの一般会計からの繰入予算額の一千二百二十二億円なんですけれども、一般会計からの繰り入れの充当先というのは、今回独立行政法人にした場合に明確化するんでしょうか。
冨岡政府参考人 運営費交付金につきましては、政策医療の実施状況に見合った適正なものにする必要があると考えております。その使途につきましても、明確化していく必要があるものと考えております。
 このため、運営費交付金の交付基準を明確化していくとともに、施設ごとに財務諸表を作成し、損益計算上、各施設に運営費交付金がどの程度投入されたかを明らかにし、施設の政策医療の実施状況とあわせて外部の評価を受けるというふうに明確化してまいりたいと思っております。
大島(敦)委員 そうしますと、この運営費交付金、これは今までの一般会計からの繰入予算、これは呼び方が変わりまして運営費交付金になりますけれども、この運営費交付金については、先ほどの政策医療分野に特定して使っていく、政策医療分野だけに充当していく、そういう理解でよろしいでしょうか。
冨岡政府参考人 基本的な考え方といたしましては、政策医療に係るものというふうに考えております。
大島(敦)委員 そうしますと、先ほど午前中五島委員の方からの指摘があったんですけれども、今四万四千人いる、これから、四万四千人の職員だと思うんですけれども、四万四千人の職員の方の退職金の引き当て、いわば退職金債務の合計というのは大体計算してあるんでしょうか。
冨岡政府参考人 現在、繰り入れの基準といたしましては、退職金については繰り入れ対象ということで整理されております。これは、政策医療を支える基盤としての人に要する費用ということの考え方でございます。
 今後これをどうするかにつきましては、交付金の基準をどうするかということで、今後検討してまいりたいと考えております。
大島(敦)委員 今の答弁ですと、従業員、職員の方の退職金の引き当てについては、運営費交付金の中から充当するというように理解できるんですけれども、そういう理解でよろしいんですか。
冨岡政府参考人 運営費交付金をどのような考え方でということについては、平成十六年度予算ということで運営費交付金が決まっていくわけでございまして、検討してまいりたい、検討するということにしております。
大島(敦)委員 今回の八千四百億円、そして職員の方の退職金の引き当てがまだ明確に見積もられていない、そして独立行政法人にした場合、先ほど厚生労働大臣の方から御指摘がありましたとおり、今回の独立行政法人を運営するのは非常に難しいと考えております。
 今まで、当委員会で、厚生労働関係ですと幾つかの独立行政法人ができております。例えば、職業能力開発機構とか各種研究機関が独立行政法人になっております。しかしながら、この独立行政法人というのは競争がないわけなんです。ほかの人たちと競争がない独立行政法人ですから、恐らくその理事長の給与は二千五百万円ぐらいでも高いかもしれない。
 しかしながら、今回のこの独立行政法人は、政策医療をやるとしても、地域においては民間の病院と競争しなければいけない、これは大臣よく御承知と思います。それを採算ベースに持っていって、かつ、先ほどの運営費交付金の額を減らしていくというのは至難のわざだと思います。
 そしてもう一つ、五島委員の方から御指摘がありました、職員の労働組合との関係もございます。今回の、団体交渉をする、個別に労働紛争の問題もございまして、非常に難しいところを渡っていかなければいけないのが今回の理事長だと思います。
 この理事長が、例えば、今回は独立行政法人ですけれども、よく民営化の議論の中でJRの話が出ます。でも、JRというのは競争がないわけなんです。線路があるだけですから競争がないのです。ですから、民営化としては非常に楽な民営化なんです。委員長、ちょっと首をかしげていらっしゃいますけれども、経営として考えれば、今回のこの独立行政法人を立ち上げて採算に乗せていくというのは、相当の努力と体力が必要であるかと考えております。
 先ほど釘宮委員から、この理事長の給与についての、要は報酬についての御指摘がございました。三千万円ぐらいでも適切ではないのかという御指摘がございました。私も同じ立場をとっておりまして、三千万円でも仕事の仕方によっては足りないと思うのです。八千億円という今の借入金を減らしていくとすれば、そして設備投資をしていきながら、これを新しく設備投資をする分も含めて返済できるとすれば、その分だけ国民の税負担が減るわけですから、報酬体系の中に成功報酬のような考え方、ボーナスのような考え方を入れるべきだと私は考えるのですけれども、いかがでしょうか。
冨岡政府参考人 通則法五十二条におきましては、「特定独立行政法人の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。」という規定がございます。御指摘のような規定がございまして、こういった規定を踏まえまして決定するということになろうかと思っております。
大島(敦)委員 今回の独立行政法人国立病院機構ですと、多分二つの考え方があって、一つは、今までどおり国立病院が維持されて、国の方の税金が一たん運営費交付金としていろいろな理屈をつけながらこちらの機構の方に投入されていくという考え方、これは経営努力をしなくてもどうにかもつという考え方になります。
 もう一つは、この運営費交付金を締めるべきだと思うのです。運営費交付金に関しては一定の管理レベルが必要かと思うのです。今の一千二百二十二億円、それをゼロに持っていく、それ以外の経費についてはこの機構の方で稼いでもらった方がよろしいかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
冨岡政府参考人 運営費交付金につきましては、先ほど申し上げましたように、これから具体的に検討していくことになるというふうに申し上げているところでございますが、いずれにしましても、法人として経営改善を進めることは当然のことだと思っておりますが、国立病院機構が担うべき医療、政策医療を着実に実施するために必要な運営費交付金は確保すべきものと考えております。
大島(敦)委員 これは、たびたびこの場で議論のあった政策医療がどの分野かということが大切になってくるのですけれども、大臣、今後細目を詰めるに当たっては、この政策医療について個別に別枠で細かく管理できるようにしてほしいと考えます。
 この運営費交付金が政策医療の分野に充当される。政策医療というのは、伺ったところによりますと、不採算医療というのですか、診療報酬だけでは採算がとれない医療分野にまず充てていくという考え方を伺っております。この分野をしっかり特定させるということがこの機構に対しての経営改善を強力に進めるということだと私は理解しております。
 この点につきまして、大臣は政策医療についての細目を細かく規定していくおつもりがあるかどうか、お聞かせください。
坂口国務大臣 具体的な話まで私、するわけにはまいりませんが、おおむね、今御指摘になりましたように、政策医療というものを行うためには一体どれだけかかるものなのか、いわゆるその評価というものを具体的にこれは詰めておかないといけないというふうに思っております。
 すべて同じというわけにはいかない。そこは、政策医療としてどれだけかかるものなのか、どういう政策医療のときにはどれだけかかるものなのか、やはり基準を明確にしておかなければならないと思っております。
大島(敦)委員 ありがとうございます。政策医療について基準を明らかにして、しっかりと管理できるようにするという御答弁でしたので、ありがとうございます。
 そして、診療報酬というのが今回も下げられました。今後も恐らく下がるおそれもあります。その中でこの国立病院機構がしっかりと採算に乗っていくというのは、人件費の問題もございました。
 先ほどの公務員という待遇、独立行政法人を、独法の独立行政法人ではなくて、もっと自由度を与えた方が本来であれば正しい姿とは思うのですけれども、今回は、この独立行政法人に関しては、おもりをつけたまま理事長あるいは経営陣が全力で走れと言われているように私は考えます。
 ですから、今後、独立行政法人のあり方について見直す、五年、ある程度期間を経た段階で、国としては今回の機構の見直しをお考えになっているかどうか、お聞かせいただければ幸いです。
冨岡政府参考人 先ほど副大臣の方からお答えがありましたように、五年の中期計画が終了しました時点で外部からの評価を受けまして、所管の厚生労働大臣がその組織のあり方、施設のあり方を含めて見直すという制度になっております。
大島(敦)委員 もう一つは、先日も質問させていただきました評価委員会なんですけれども、今回の評価委員会というのは、規定上、常勤ではなくて非常勤であると聞いております。非常勤の評価委員会、その最大限の委員の人数は三十人だと聞いております。そして三十人が幾つかの所管の独立行政法人を評価するという話を聞いております。
 本当にこの三十人で評価できる自信があるのかどうか、評価できると考えているのかどうか、大臣のお考えをお聞かせいただければ幸いです。
坂口国務大臣 後でまた細かなことがあれば答えさせますが、人数はともかくといたしまして、例えば、月に一遍か二遍やるというようなことではなかなかいけないだろうな。ですから、今むしろおっしゃいましたように、毎日専属で出てきているのではなくて、そして時々お願いをして寄っていただくというようなことで果たしていくかどうか。これはやってみないとわかりませんけれども、百四十四という多くの病院に対しましてさまざまなことを評価していかなきゃならないということになってまいりますと、かなりな時間も要するようになってくる。
 そこをどうしていくかということは残されておりますので、私は、人数はともかくとして、かなりそれを評価してもらわなきゃならない、そのことに要する時間は多い、だからそこはできるかどうかということだと思います。
大島(敦)委員 私たち立法府の機能というのはシステムを議論するのが役目であると思いまして、私も、KSDとかSSKとか、幾つかの不正について追及したことはあるんですけれども、そういう不正が起きないシステムをこの立法府、法律としてつくっていくのが私たちの仕事であると私は考えております。
 今回のこの機構を見ますと、計画をつくるのが厚生労働省、運営主体も、大臣の答弁の中で厚生労働省のOBの方ですとなかなか理事長は難しいよという御発言がありましたので安心はしているんですけれども、こちらの機構も多分同じ方たち、評価する人たちが非常勤の、どちらかといえば素人の人たちが評価するということで、本当にこれがチェックできるかどうかという不安がございます。
 本来であれば、問題設定するのは国の方でいいかもしれない、運営については恐らく民間あるいは専門家の集団、それを評価する人たちについては、今の非常勤ではなくて常勤あるいは第三者機関の方、あるいは厚生労働省から離れた内閣府の方とか、ほかの省庁の方が人選された方がしっかり評価された方がよりよい目標管理ができるかと私は考えております。
 今後そのようにしていく、これはもう政令なりあるいは法律を改正しなければいけない問題なんですけれども、そのような問題意識を持たれているのかどうかということをお聞かせいただければ幸いです。
坂口国務大臣 評価委員の人選も今後やり直さなければいけないというふうに思っておりますし、それに適した評価委員というのはどういう人なのか、いろいろの角度から考えてこの人選をしなければならないというふうに思っております。
 先ほども申しましたように、人選をしてその人たちに評価をしていただきますときに、余りにも多くの病院でございますし、それらをチェックしていくのにどれだけの時間帯が必要なものなのかということによって専任にするかどうかということも決まってくるだろうというふうに思います。
 ただ、今までの例からいきますと、立派な人に来てもらおうと思えば思うほど専任ということになかなかなりにくいという傾向がございます。専任にしようと思いますと、私はこれこれの仕事を持っています、それはできません、月に幾日間かのお手伝いならばできますというふうに言っていただく方がございまして、専任の場合の人選がほかの分野におきましても実は非常に難しいわけでございます。そうしたこともございますので、そうしたことも兼ねて、今後どうしていくか、早急に煮詰めたいと思っております。
大島(敦)委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
宮腰委員長代理 次に、武山百合子君。
武山委員 自由党の武山百合子です。
 まず冒頭に、皆さんに資料を配付させていただきました。いわゆるジェネリック、後発品と先発品がありますね。日本では後発品の薬のことですね。この医薬品を使用すれば薬剤費を大幅に削減できますということで、ちょっと皆さんに資料を出させていただきました。
 この資料を見ますと、薬剤費が年間六・一兆円、特許の切れた医薬品ということで二・四四兆円、特許のある医薬品ということで三・六六兆円ということで、実際にこの医薬品を使いましたら半分削減できるという表でございます。
 二枚目をあけていただきたいと思います。これは一錠当たりの薬価比較ということで、実際に本当にこれだけ差額があるんですね。新薬と先発品と後発品ということで差額が書いてあります。
 そして、三枚目もぜひ見ていただきたいと思います。例えば、老人保険ですと先発品と後発品で差額が六千九百三十円、そして健保の二割負担ですと三万五千七百七十円、健保の家族国保ですと四万二千七百円ということで、ここでちょっと計算してあります。
 そして、四枚目もちょっと見ていただきたいと思います。
 このように、先発品と後発品の差額が非常にあるということを皆さんにお知らせするために、これを皆さんに配付させていただきました。
 五枚目も比較ということで出させていただきました。
 それから六枚目ですけれども、主なジェネリック医薬品市場ということで、世界の市場はドイツ、イギリス、アメリカという形で、日本の市場がいかに小さいかという表でございます。
 それで、資料の七枚目は去年の世界大手の医薬品売り上げの上位一位から三十一位までということで、日本は十五位に武田薬品が入っております。
 それから、資料八の方ですね。これは後発品メーカーの売上高比較ということで、世界のトップということで、日本は本当に少ないという現実がございます。
 それから、資料九の方は、医薬品貿易金額の推移ということで、日本はやはり輸入がほとんどで、輸出は本当に少ないという現実があります。
 それから、最後に十枚目。これは、海外では日本のオリジナルの新薬が極めて少ないという比較でございます。
 これは二〇〇一年の比較ですけれども、これについて、ぜひ厚生省にお尋ねしたいと思います。
 まず、このような状況の原因ですね。私たち国民は、後発品と先発品ということで、後発品という薬があることをまずほとんどの人が知らされていないんじゃないかなと思います。この情報がきちっと行っていないということを、もちろん坂口大臣はジェネリックについて御存じだと思いますけれども、国民は高い薬と安い薬があることなどほとんど知らされていないと思います。特に、患者にはこういう薬があるということを周知徹底させる政策も必要ではないかと思います。最近の医療費の高騰に対する積極的な抑制策になるのではないかと思います。国民へもっとオープンに情報提供することが必要ではないかと思いますけれども、大臣、この点についていかがでしょうか。
    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕
坂口国務大臣 ことしの医療制度改革のときにもこのジェネリックのお話をたくさんしていただいたわけでございます。
 確かに、すべてをジェネリックの方にかえていくということになれば、かなりの金額がそこで浮くことだけはもう紛れもない事実でございまして、医療機関に対しましても、極力ジェネリックを使ってほしいということを主張しているところでございます。とりわけ、大学病院でございますとか国立病院でございますとか、そういうところのジェネリックの使用量が非常に少ないわけでございまして、そういう大きいところで、あるいはまた中心になります病院のところでもう少し使ってもらえないかということを言っているわけでございます。
 そういうふうに申し上げているわけでございますが、やはり先発品に対するこだわりがございまして、大きい病院に行けば行くほどそのこだわりが大きいと言っても言い過ぎでないというふうに私は思いますが、かなりこだわりがあって、どうしてもこの先発品を使いたい、有名な銘柄を使いたいというような気持ちが多いものでございますから、なかなか国立病院におきましても、笛吹けど踊らずというところが正直言ってございます。
 そうはいいますものの、ここをもう少し調剤薬局のところで何とかしてもらえることはできないか。医師の側が、この薬でなければならない、例えばビタミンのB1ならB1ですね、この銘柄でなければならないというふうに指定される場合には、それはやむを得ないわけでございますけれども、例えば、処方せんにビタミンB1と書いて、そして銘柄は自由に出してくださいということになれば、違う銘柄が使われる可能性が起こってくる。調剤薬局のところでの選択の幅を広げるということになれば、かなりそこは違ってくるだろうというふうに思っておりまして、そういうことができないかという提案もしたりしているところでございます。
 これは、私は、診療報酬も影響しているというふうに思っております。今回の医療制度改革の中で診療報酬も見直しが行われましたが、その中で、ジェネリックに対する評価が少し、余り多くはございませんけれども、少し高目の評価がされたところでございます。ジェネリックを使用しましたときの診療報酬に対する点数を少し上げたわけでございまして、それによりましてかなりジェネリックの使用量が最近ふえてきているということは聞くわけでございまして、その製薬会社の皆さん方のお話を聞きましても、大変忙しくなったということを言っているわけでございます。
 そうしたことが少し行われれば、私は、もっとここが使用されるのではないかというふうに思っておりまして、御指摘の点は、そうしたことによって医療費が節減できるではないかという御指摘は、私はそのとおりだというふうに思っております。
武山委員 欧米では、本当に日常的に今使われているということで、医療費の抑制に本当に貢献しているわけですね。日本も明らかに、今大臣がおっしゃったように、これを使えば医療費が削減できるというのはもう事実なんですよね。それで、効き目は一緒であるという。ですから、具体的な何か対策をやはり考えるべきじゃないかと思うんですよね。
 それで、医者任せ、医者の言うことはすべて、はあっと聞くという国民性で、医者の指示どおりに、やはり、医者の言うことが一番という、本当にそういう意識であることはもう事実だと思うんですよね。ですから、医者自身の意識改革も含めて、これは、大臣、今お話の中でそういうお話をしたということですけれども、いつごろからそういう話を始めたんでしょうか。
坂口国務大臣 見直しの話は、もうかなり前から実は出ているわけでございます。国立病院等に対して、そういう見直しをしてほしいということは通達も出ているわけでございます。しかし、通達は出ておりますけれども、現実にそれが、そういうふうに大きな変化はしてきていなかったというのが現在までの状況でございます。
 今、効用のお話も出ましたが、人によりますと、同じB1といっても、後発品を使うとやはりその効果というものが変わると言う人も中にはいるわけなんですね。そこが一番つらいところでございまして、それが違うのでやはり先発品をというふうに言われる専門家もおみえになるということも事実でございますが、しかし、何が何でも常にそれでなけりゃならないかといえば、私はそうではないんだろうというふうに思っておりまして、もう少し幅広くやはりお使いをいただけないだろうか。
 それから、これは製薬メーカー側の問題もございまして、それで、いわゆる後発品の製薬メーカーの方が、この効果なら効果には変わりがありません、我々はこういう経過でこの薬をつくりましたといったようなことのPRも、もう少ししないといけない。大学病院や大きい病院の専門家のお話を聞きますと、後発のところは全然PRに来たことがない、それで我々も、もう少し、使うにも、信頼していいのかどうかわからないというようなお声もあったりいたしまして、その辺のあり方、経営のあり方にも影響されているというふうに私は思っているところでございます。しかし、もろもろのことを総合的に取り入れながら、もう少し日本でも使われるようにした方がいいと思っています。
武山委員 今後、どのような具体的な促進策があるのか、考えていただきたいと思います。それで、今の答弁で終わっちゃったら、やはりほとんど変わりないと思うんですよね。実際に、具体的に促進策を考えないと、一歩踏み出せないと思います。
 私、今質問しながら、母の薬漬けのことを思い出したんですけれども、整形外科の病院で、足の痛みを、疲労骨折の痛みどめの薬か何かもらっているときに、やはり、ある病院ではもう本当に効く薬を出してくれて、ある病院ではもうずうっと薬漬けにしていたような状態があったんですよね。
 ですから、そういう薬漬けにするには、効き目の薄いものを使って、そして長期間、すなわち薬漬けにして、それで、薬剤でその病院はもうけよう、そういう発想じゃないかと思うんですよね。ですから、効き目があるのを本当に高くてもちゃんと使っていただければ、患者にとっては、あ、これで効いたんだと納得いくんですけれども、効き目がなくて、ずうっと薬漬けにしているというのもあるわけなんですよね。
 今のお話は、大学病院の医者の、ちょっとした、よくわからない、こっちの方が効くんじゃないか、それも確かに、微々たるもので、あるかもしれません。ですから、そういうのもデータをとっていただいて、でも、現に欧米ではこれだけ使っていて、医療費の抑制になっているというのは事実でありますので、ぜひ具体策を考えていただきたいと思います。
 先ほどの答弁よりも一歩踏み出した具体策を、大臣、ぜひ考えていただきたいと思いますので、現実に抑制できるということは事実でございますので、ぜひ、もう一歩踏み込んだ御答弁を聞きたいと思います。
木村副大臣 ひとつ先生にも御理解いただきたい点はあるんですが、まず、医師に処方権があるんですが、このごろ、御承知のように、医薬分業が随分進んできております。これは相当な進歩ですね。ですから、医師側も、薬でもってもうけるという点は、私は、過去に比べれば相当改善してきていると。なぜならば、薬剤比率、先生の資料では六兆円ということで、これはつまり、国民医療費三十兆円のうちの二割でございますが、昔はこれは三割だったんです。
 ところが、だんだんだんだん、それはどういうふうに変わってきたかというと、昔はずうっと、今までは、差益でもって、それを還元することによって医師の診療報酬にかえてきたという歴史的な経緯があるわけです。しかし、もうこれはRイコール二で打ちどめになった。つまり、医師は、薬代でもって、その差益でもって経営を立てていくという時代はもう終わったんです。そこはまず認識をしていただいて、そこで、医薬分業が今進んできている中で、今度は、言ってみれば、そこはほとんどが、薬と医療の現場、医師の方々は分かれてきたという、この医薬分業という現実を見ていただきたいのが一つでございます。
 それからもう一つは、私は、さっき言った、PRの話が出ましたけれども、アメリカでPRはどういうPRをしているかといったら、これは、メーカーや何かがどんどんどんどんPRしているんですよ。だから、そこを国でやれというのは、ちょっと、何となく、アメリカの現実を見ると大分かけ離れて、ここはもう、アメリカの現実というのは、もうメーカーがばんばんばんばんやって、その結果、昔はアメリカは一割だと言われていたのが、薬の比率が、医療費に占める割合がどんどんどんどん今上がってきている、こういう現実もあるわけでございます。
 それからもう一つは、先ほど調剤薬局の話が出ましたけれども、この間、調剤薬局の話を聞くところによりますと、メーカー品の方の、やはり先発品の方が、包装とか何かでも、非常に小さな単位で包装してくれて、大変扱いやすいというんです。ところが、ゾロはバルクでぼんとくるまれて、確かに、処方せんが来まして一包をやっておくと、あとの多くの、何割かの部分がそのまま使われずに期限切れになってしまう可能性が非常に多いので、ですから、ゾロのメーカー側のいろいろな対応の方もむしろまだ遅いんじゃないかなと。
 ですから、そういうことを考えますと、単なる、先生が言う国の政策、厚生省の政策を期待していただくのも、これは当然かもしれませんけれども、やはり供給側にもこれは問題がある点、ここを十分に御理解をいただき、もう少しそこは、むしろ先生の馬力でもって突っ込んでいただいたら、こういうふうに思うわけであります。
武山委員 でも、結局、医療全般で見ますと、税金を使うことになっているんですよね。ですから、税金をいかに抑制するかという立場から、それはメーカーの責任にしても無理だと思いますよ。やはり、国民の責任と同時に政府の責任でもあると思いますよ。そういう情報が得られなければ選択肢がないわけですから、それで、その全体は税金の中から賄っているわけですから、それは、国が最も政策として誘導すべきことだと思います。
 メーカーの努力ももちろんすべきですけれども、でも、医療費の抑制、削減という意味では、今、高齢化社会の真っただ中ですので、それはどんどん上がっていくわけですから、医療費の削減という意味では、やはり政府が具体的な促進策というのは考えるべきだと思います。包装紙とかそういうのは枝葉、末梢の議論であって、薬の一個一個の包み方とかそういうのは、当然、促進されていけば、そういういい方に向かっていくのは当たり前だと思いますので、まず国としてやっていただきたいと思います。
 それから、幾ら患者のため、国のためといっても、薬の処方権のある医師あるいは調剤権のあるいわゆる薬剤師に新薬ほどの経済的メリットがなければ、このジェネリックの使用は促進されないと思うんですよね。医療機関にとって、特許の切れた新薬より、いわゆる後発品、このジェネリック医薬品を採用する方がメリットが出るということは、もう必要と考えられているわけですよ、今実際に。だけれども、実際はそういうふうに動いていない。
 そして、ことし四月より、医薬分業先、つまり院外処方に対して、いわゆるジェネリック医薬品を使用した場合、多少のインセンティブがつくようになったというわけですね。そして、注射剤や入院患者への投薬を含む院内処方に対してどうしてインセンティブをつけないのかというふうに聞かれているんですよね。これはなぜでしょうか。
木村副大臣 先ほども申し上げましたように、全体として、院外処方を今政府の政策として進めているわけです。それで、院外処方、つまり医薬分業が随分進んできた。その観点から、今までの流れの延長上に私はそこはあると思います。
武山委員 結局、院内処方にインセンティブがつくことによってこれは促進されると思うんですよね。それは、先ほど大臣がおっしゃったように、大学病院だとか大きいところに言ったと。それで、大きいところが院内処方をしているわけなんですよ。ですから、院内で使っているところにインセンティブをつけるようにしたらいかがですかと聞いているんです。
木村副大臣 大病院は、院外処方の方に相当転換してきております。先生、これはお調べいただいたら、大病院ほど院外処方に積極的に取り組んできております。
武山委員 いえ、実際に私、慶応病院に行っておりますけれども、慶応病院の中で薬をいただきますよ。ですから、ケース・バイ・ケースだと思います。それは当たらないと思います。今、私、慶応病院に通院しておりますけれども、中で薬をいただきますよ。ですから、場所によって、それはシフトは国の方はそういうふうにしたと言いますけれども、実際はそういうふうに運用されていないという実態もあるということですよね。
木村副大臣 確かに、余りにも院外処方の方に政府が力を入れ過ぎているのかなという、その辺も含めて、今の先生の御指摘、どのようなものになるか研究してまいりたいと思っております。
武山委員 いや、今、簡単なことだと思いますよ。大病院、大きなところに、ぜひこういうものを使っていただきたいと大臣が通達で出した。しかし、実際はお医者さんが余り使っていない。ですから、院内処方に、実際は大きな病院で院内処方は行われているんですよ。そういうところにインセンティブを与えたらどうですか、その方が近道じゃないですかと言っているんです。それに対する答えを聞いているんです。
木村副大臣 先ほどから言っておりますように、全体的な流れとしては、医薬分業で院外処方の方に非常に進めているわけではございますが、院内につきましては、特に入院医療に関しましては包括化という方向で今推進をしておる、こういうことでございます。
武山委員 実際には、院内でも、外来ですね、一般診療、通院している方も院内で処方を受けているんです。私自身もその一人です。ですから、そこに、実際に今通達が行っているということですので、もっとインセンティブを与えたらいかがですかと。外は外でまたやればいいことなんですよね。私のポイントは、院内のことを言っているんです。たまたま行った病院の院内処方について、インセンティブを与えたらいかがですかと聞いているんです。
坂口国務大臣 今木村副大臣から話がありましたように、大学病院でありますとかそうした大きい病院の方は、包括医療を今後進めていただくことになるわけです。包括医療といいますと、一つの例えば高血圧症なら高血圧症、それに対します医療費というものの一定限度を決めておきまして、そして、その範囲の中でお願いをするということになるわけであります。
 そういたしますと、高いお薬を使うかあるいは後発品を使うかということの選択は、その中でも行われるようになるだろうというふうに思っておりますから、そうしたことの中で、後発品が現在よりもより多く使われる事態になるだろうというふうに私は思っております。
武山委員 ですから、そうしますと、欧米並みにこのジェネリックを使うためには抜本的な改革がやはり必要だと思うんですよね。
 例えば、アメリカの自由価格制度やドイツの参照価格制度といったものが必要と考えられると思うんですよ。日本においては、二〇〇〇年に旧厚生省案の日本型参照価格制度が導入されようとしたわけですけれども、これは今後再検討する必要があるのでしょうか。日本における参照価格制度、これに対して再検討しますか。
木村副大臣 自由診療とかそういうのは、今お話しのように、先生の目的は、医療費を下げていくという目的でございますね。(武山委員「そうです」と呼ぶ)
 自由価格とか参照価格というのは、これがどういうわけだか、結局のところ、医療費の高騰を招いているという現実があるんです。特にアメリカなんかでは、先ほど言いましたように、メーカーの力なんかが大変強くなってきているわけですね。そうすると、価格の決定権をメーカー側が握るという現実がありまして、当初は一〇%ぐらいに抑えられていた、それが、だんだんだんだんメーカー側が力を持つことによって薬の価格が上がってきた。日本は三割から二割に減った。向こうは一割から二割をうかがうようになっている。ここは、先生がおっしゃった自由価格制や参照価格制度を導入するとそういう事態が予想されるんです。それで、ここら辺も十分に検討していただきたい。
 それから、参照価格制度の場合の問題点というのは、この参照価格制度というのは、高い薬の負担、この差を最終的には患者さんに担っていただくということなんです。だから、せっかく今できるだけ、この医療費がどんどんどんどん高くなっていく中で、またぞろ患者さんにもっともっと薬の負担をふやすのかという問題が出てまいりますので、私は、この参照価格制度の復活はあり得ない、このように思っております。
武山委員 薬ですけれども、欧米はこんなに日本ほど薬漬けになっていないですよ、まず。薬は、ほとんどもう一般的に、効くときは一回二回でも物すごく効く薬なんですよ。それで値段が安いんです。日本とは比べ物にならないくらい安いんです。ですから、その価格を知った上で議論をしないと、それは何とも言えないと思うんですよね。
 日本国民は知っていますか、欧米の価格が例えば抗生物質一つ幾らとか。物すごく安いんですよ、アメリカの場合。日本と比べ物にならないくらい安いんですよ。そういう中で薬漬けじゃないんですよ。医者に行くと一回百ドル、一万円以上取られるわけですよ。そして、そこで処方せんをもらいますので、その処方せんというのは大体本当に安いんですよ。行ってもらう薬、行かないとくれない薬、それが物すごく安いんですよ。もう五ドル、十ドルなんですよ。ですから、価格が日本と全く違うんですよね。ですから、その価格の基本が違った上で議論はできないと思います。
木村副大臣 先生はアメリカにおいでて大分御苦労されたような話も、私、承っておるわけでございますけれども、先生がおっしゃるような面もあるかもしれません。しかし、今のアメリカの方向性というのは、だんだんだんだん強力なメーカーがあらわれてきて、そこが価格の主導権を握りつつあるわけであります。今言ったように、だんだんだんだん医療費に占める薬の割合が非常に高くなってきているというような現実もあるわけであります。
 ですから、それから、これは日本の話になるわけでございますけれども、例えば、今、さっき言いましたように、医薬分業が進んできております。そうすると、このごろバイイングパワーの方よりも今度はセリングパワーの方の力がふえてきた。例えば、問屋さんあたり、卸の方が再編成がほとんどでき上がった状態で、このごろは一般の医療機関や調剤薬局と卸との力関係がだんだんだんだん逆転をしてきているという現状もあるようなことも承っておるわけでございまして、それぞれ、やはり薬というのは、非常にその場その場の、先生がおっしゃった自由な価格制度というのは非常に乱高下を私は来す可能性があるんではないか。
 そういう中で、日本というのはまだまだ上手な形でこの辺を歴史的な趨勢でもって下げてきた、私はその評価はすべきではないかな、このように思っております。
武山委員 何しろ日本はすぐ薬を出す、それで薬漬けになっている、それはもう現実的なんですよ。欧米と比べたら薬の量が物すごく多いんですよ。ですから、その現実は現実として、それからその薬の値段も安いんですよね。それで、日本は薬漬けで薬の値段も高い、ですから、医療費の高騰の、そのコスト高になっている一部分でもある。
 ですから、こういうふうな同じ効用の薬でしたらやはり安い方を選択できる、そういう選択肢を、情報を提供して選択できる、そういう方向にやはり持っていっていただきたいと思います。その点についてはどうでしょうか。
坂口国務大臣 今木村副大臣から話がありましたように、アメリカと日本とのシステムは若干違うと思うんですね。
 トータルで見ればどうかといえば、アメリカの医療費の方がうんと高くなっているわけですね。これは、日本の医療費の方がうんと安いわけですね。その中の、その全体のトータルの中における医薬品の割合というものはあるでしょう。アメリカの方が、トータルで見れば医療費の方がアメリカの方が高い、その中における医薬品の割合は少ない。日本の方が、医療費そのもののトータルで見ると医療費そのものは低い、しかしその中における医薬品の割合が今まで高かった、これは確かにあった。
 だけれども、最近そこのところも、今お話ありましたように、二〇%ぐらいに下がってきておりまして、それほど諸外国と、日本が高過ぎるという状況ではない状態へとだんだん近づきつつあるということも事実でございまして、そうしたことも念頭に置きながら、しかし、その中でジェネリックをどのようにより多く割合をふやしていくかということは、ここは知恵を絞らなければならない、そう思っております。
武山委員 今のお話、本当に大臣のおっしゃる、ほとんどそうだと思いますけれども、例えば日本の場合、移植や何かが進んでいないんですよね、私、臓器移植を進めている一人ですけれども。例えば移植や何かはアメリカでは日常的に行われているものですから、全体の医療費というのは物すごく高いわけですよね。
 私も交通事故で本当に、七年前事故に遭いまして、二週間入院しただけで一千万かかっているわけですよね。動脈が切れて、それで非常に、二つ、こちらのチームとこちらのチームと七時間やりまして、そのくらい医療費が高いわけなんです。でも、命が助かったものですから、それはお金に換算できないくらい、今この世に生きているものですから。
 ですから、そういう高度医療に対する医療費というのは物すごい高いわけですから、やはり、一つ一つの値段が出てみて、それで比較というものはしなきゃいけないのであって、薬も徐々に徐々に近づいてきたとはいえ、薬の値段も、そこが言葉のあやで、国民に情報が知らされない中で徐々に徐々に近づいてきましたと言われますと、やはりそうかなと信じちゃうわけですよね。ですから、そこはちゃんと、アメリカの薬で例えば風邪薬はこのくらいの値段、抗生物質のこういうものはこういう値段、そういうリストが出た上で近づいてきたというふうに説明を受けたら、そうかなと思いますけれども、それが本当に近づいていたら思いますけれども、言葉だけでは何とも言えないと思うんですよね。
 ですから、対比するときは総合的にやはり対比しないと両方の違いがわからないものですから、そういう意味の対比表というのはやはり厚生省も出すべきだと思いますので、ぜひそういうジェネリック、この医薬品を、ちょうどきょうの議論の中心にして今議論しましたけれども、そういう部分でも対比していただける、そういう統計というものをぜひとって、欧米の薬と日本の薬がどれだけ差があるか、どれだけ縮まったのか、そういう統計をぜひとっていただきたいと思います。
 そういう統計にとってはどうでしょうか、それから、それを情報公開していただきたいと思います。
坂口国務大臣 既に幾つかとっておると思いますし、足らなければこれからもとりたいと思いますし、もちろん、それをとりましたら公開をしたいというふうに思っております。
武山委員 それでは、国立病院の中身の方に移りたいと思います。
 こちらの方で、政策医療の中で、各施設の独自性について、各国立病院、地域によって、療養所、その地域の医療も、一般診療もしながらやっていくわけですけれども、その独自性についてどこまで認めるのか。国立病院・療養所の独自性ですね、そこをどのように、どこまで独自性を発揮していくのか、その政策医療の中の独自性について詳しく御説明いただきたいと思います。
木村副大臣 もちろん、独法化後により一層政策医療に取り組んでいくのは当然でございまして、地域によってはいろいろやはりさまざまな先生御指摘のような違いがあるであろう、このように思います。そしてまた、場所によっては、他の医療機関というものがない場合には、そういうやはり地域の医療を担うという、今言った政策医療だけではなくて、一般医療の面でも、新しい法人、またそこの一つ一つの病院が当然担っていかなきゃいけないわけでございまして、そこは一昨日も先生に申し上げたとおりでございます。
 一般的に申し上げれば、そうはいっても、もちろん民間で受け皿があれば民間にゆだねるところはゆだねてまいりたい、このように思っておりますが、これから、先生がおっしゃるような、どこまでやれるかというのは、まさにこれは、今度の法人はそれなりの裁量を与えておられるわけでありますし、その病院病院も当然そこの病院として独自性を発揮して、特色を発揮して、地域に溶け込んでいく、これはもう当然の任務である、私はそのように思っております。
武山委員 そうしますと、院長の権限というのはどこまであるんでしょうか。権限、裁量権、それは独自性とどう結びつけて、どこまで、すべて権限が一〇〇%持てるんですか。施設に対しても政策医療に対しても、その独自性はどこまで認めるんでしょうか。
坂口国務大臣 それぞれの病院の政策医療というものの方針が決まるだろうというふうに思います。この病院は難病なら難病に力点を置いてやっていくということになるだろう。その難病にかけてはこの病院が他の追随を許さないというようなレベルにそこを上げていくというようなことが大事だと思うんですが、しかし、その病院はそれでは難病だけやっておればいいかといえば、ほかの科もそれはやらなきゃならない。そこに患者さんがお見えになります以上、それを拒否することはできない。さまざまな科の皆さん方がお見えになれば、一般医療としてそれは行っていくということはやっていかざるを得ないと思います。
 その中で、そこの施設長と申しますか院長が、どうそこを配分していくか。政策医療におけるところに精力をどこまで割いて、そして残りは一般医療としてやるのか。それとも、近辺の病院との間の連携をするということであれば、近辺の病院に対しまして、そうしたことはひとつお願いをしたい、うちの方は政策医療というものを中心にしてやっていきたいというような方針をお決めになれば、その連係プレーというのもまた可能になってくるのではないかというふうに思っておりますから、その病院のあり方というもの、あるいはまた経営のあり方等々も含めて、そこは勘案をしていただかなければならないのだろうというふうに思います。
 もちろん、政策医療でありますから、それに対しまして国からの助成というものも当然あるでしょう。しかし、すべてがそこでできるかといえば、それはやはり一般診療の中での採算ベースに乗せていただいて、そして支援をしていただかなきゃならない部分もあるというふうに思っております。
 ですから、経営上の問題と独自性とを絡めてそこはお考えをいただく以外にないのではないかというふうに思います。
武山委員 そうしますと、病院長の権限、裁量権というのは、もう病院長にその地域のあらゆること、今おっしゃったようなこと、権限が十分持てるというふうにこちら解釈してよろしいんでしょうか。
木村副大臣 もちろん、病院長がやりたいという意向にできるだけ沿うのは当然でありますけれども、やはり全体の中のネットワークの一つという観点もあるわけですね。
 例えば、有事が起こった場合に、いや、おれたちはここで今一生懸命やっているからだめだよ、こういうことは許されないわけでありまして、有事が起こった場合、全体のネットワークの中での任務というのは当然あるわけでございますから、一〇〇%施設の院長とかに権限が移譲されているわけではありませんけれども、もちろんそれなりの権限と責任を持って施設運営に当たるというのは当然でございますけれども、あくまでもやはり全体のルールの中には入っていただくということになるわけであります。
武山委員 そうしますと、今までの病院長とどう違うんでしょうか。
 副大臣、今までの病院長とどう違うんですか。どう大きく変わるんですか。
木村副大臣 今まではやはり相当、私は前から何回も申し上げておりますように、狭い殻に閉じこもっていた。そこを、今度はネットワークとしてまず活躍をしていただかなきゃいけないわけでございますし、さらにその上に、恐らく独立行政法人としての点をお聞きだろうと思っておりますから、私は、そこは一定の権限を付与するのは当然であります。
 そこは、まさに今大臣が出していただきます中期目標、それから中期計画の中で、どういう役割を具体的に担っていただくのか、これからその辺の細部をしっかりと詰める必要があるんだ、このように思っております。
武山委員 全国規模のネットワークということでこの調査室の資料にも書いてありますけれども、そのネットワーク、どういうふうな青写真のネットワークを描いているんでしょうか。ブロックごと、ブロックをつくってそれを一つのネットワークにするのか。どういうふうなネットワークを全国規模で考えておるんでしょうか。
木村副大臣 私が聞いておりますのは、六ブロックをつくるということを聞いております。
武山委員 そうしますと、六ブロックができて、それをどのように国民は使えるんでしょうか、そのネットワークを。国民のためにはどのように使えるんでしょうか。
木村副大臣 済みませんが、ちょっと訂正させていただきます。
 私が勘違いしたみたいで、八ブロックだそうでございまして、北海道、東北、関東信越、東海北陸、近畿、中国、四国、九州、このような八ブロックを今のところ検討しておるようでございます。
 それと、もう一つは……。
武山委員 要は、そのネットワークを国民はどのように利用できますかと質問したんです。
木村副大臣 それぞれの病院において、やはり私は強弱や得手不得手があると思うんですね、それぞれの地域の病院において。例えば、どこどこの病院に行ったけれども、ここよりは、この病気だったらふさわしいところがあると。例えば、紹介とか何かでもって、病院群の中でのそれにふさわしい病院を紹介していくとか、あるいはそこからお医者さんに来てもらうとか、例えば手術するときに、関連の中で特にすばらしい先生がおられた場合には来ていただくとか、いろいろな連携の仕方はあると思います。
武山委員 そうすると、医療の現場で使うネットワークなのか、患者が実際に使えるネットワークなのか、両方のミックスだと思いますが、ちょっと青写真がよく描けないんですよね。もう少し詳しく、そのネットワークをどのように国民が利用できるのか、国民がネットワークから受ける恩恵は何なのか。
木村副大臣 基本的には、まずやはり医療のネットワークでなければいけないと思うんですね。そして、例えば国立がんセンターという日本の中では一番トップクラスの医療機関がある、また、地域には百四十四これからあるわけでありますけれども、その中で、例えば遠隔診断でもって高度な、今はやりの通信回線でもって画像を送ったりなんかしながら、それにふさわしい医者がいた場合にはそちらで診断をしてもらうとか、私はそういうネットワークも可能ではないか、もっと、そういうのをどんどん積極的に活用していかなきゃいけないんじゃないかと。もちろん、患者を中心としたネットワークがあってしかるべきだ、このように思っております。
武山委員 医療現場の医療機関同士のネットワークは、もう直で、いわゆるインターネットで引いていけばわかるわけですけれども、患者の側から知りたい情報を知れるのか、お医者さんとお話しできるのか。どのような、医者がある病院に来て、国立療養所や病院の近くに住んでいる人がそこの施設を使うと思うんですよね。そこに行って、それでそのお医者さんを、得意な、例えば肝臓病の得意な先生がそこまで来てやるとか、そういうイメージなのか、先ほどのイメージが全然わからないんですよね。
木村副大臣 先生の考えているのも当然考えられるべきイメージであります。
武山委員 いえ、自分がわからないから聞いたんです。わからないから聞いているのに、国民にぜひこういうネットワークでやるということを御説明していただきたいと思うんです。これは政府の法案なんですから、政府が国民のためにつくった法案なわけですから、どういう青写真でこのネットワークができて、国民にとってこういう使い勝手がありますよということを説明していただきたいんです。
木村副大臣 今、政策医療のネットワークということで、例えば国立がんセンターがございます。それから、一つには国立循環器病センターがございます。また、精神・神経センターもございます。それから、成育医療センターもございます。こういう病院とそれぞれの地域病院が、今言ったように先生が考えているような形で連携をとらせていただいて、地域にあっても地方にあっても最先端の医療が受けられるような、私はそういうシステムがこれからは取り入れられるべきだ、また、そうしていく計画であります。
武山委員 インターネットが今どんどんどんどん使われておるわけですけれども、国民がそれを利用して、自分が本当に双方向で率直な医療の情報が交換できる、そういうふうに解釈してよろしいわけですね。
木村副大臣 お説のとおりであります。
 それから、ちょっとまたもう一回なんですが、先ほど六ブロックから八ブロックになりましたけれども、最終的にはやはり六ブロックになるそうでございます。現状が八ブロックで、これが六ブロックに将来なるそうです。
武山委員 何が真実なんですか。六だ八だ、八だ六だと。何が……
木村副大臣 六が真実であります。
武山委員 副大臣、しっかりしてください。
 それで、まず一番大切なことをちょっと聞きたいと思います。
 業務運営の効率化を徹底的に進めるということなんですけれども、これは患者主体の医療、情報開示、安全確保とか良質な医療、そういう医療を国民は求めておるわけですけれども、この業務運営の効率化を徹底的に図ることによって、今、病院へ行きますと三分、四分診療の一、二時間待ちなんてざらなんですよ、こういうものは解消されるんでしょうか。
木村副大臣 予約のシステム等を導入して当然解消されるべき一つの課題だと思っております。
武山委員 でも、百人も来ていましたら大変な予約のシステムですよ。ですから、そういうところもぜひ考えていただきたいと思います。
 クリニック制、ホームドクターですね、ホームドクターのところで本当に簡単な病気は診ていただいて、シリアスな病気を国立病院とか療養所、地域の医療の中心地で診てもらえるような、そういう発想だったら理解できるのですけれども、もし百人も来たらどうなりますか。
木村副大臣 もちろん病診連携や病病連携も行ってまいりたいと思っています。
 それから、国立病院、特に療養所の方に外来の方がいっときに百人も来ていただけるという状況はまことに望ましい状況でありますが、今はまだそういうようなことは余り聞いておりませんけれども。
武山委員 でも、これからどうなるかわからないと思うんですね、本気にやり出したら。国民は期待していると思うんですね。そのくらい期待のできる国立病院をつくるくらいの意気込みがなかったら、それはやっていけないんじゃないですか。本当に希望のない、そのような希望のない出発点だったら先の見通しなんて本当におぼつかないと思います。
 ですから、そのくらいの意欲のある、百人くらい待たせるくらいの意欲のある院長先生が病院を権限と裁量権でやっていくということだと思うんですね。病院長自身がどんなふうにして、いわゆる人事権、だれが病院長は決めるのでしょうか。
坂口国務大臣 病院も、国立病院、総合国立病院とそれからいわゆる療養所とは大分趣を異にいたしますから、総合的な病院でありましたら多くの外来の皆さん方もお見えになることは事実でございます。
 その多くお見えになりますときにそこをどうするかというのはなかなか難しい問題でありまして、非常にいい先生と申しますか期待感の大きい先生がおみえになればなるほど多くの皆さん方がお見えになる、多くの皆さんがお見えになりますと、そうすると一人一人の時間が短くなるという痛しかゆしのことがどこでも起こるわけでありますから、そこをどうしていくかというのは、先ほど木村副大臣が答えましたように、時間を決めて、あなたの時間は大体これぐらいにしてくださいよ、特別な緊急の人以外はこういうふうにしてくださいよというようなのも一つの考え方だと思うんです。そうしませんと、これは入り切れない。だから、その場合には、予約が遅くなりますと、きょうはもういっぱいですからあすにしてくださいよというような話にもなりかねない。その辺のところをどうしていくかということが大事になるだろうというふうに私は思っております。
 先ほどからお話がございますように、院長が決まりましたら、院長が事務長やあるいは婦長さんといったような方々については主体的にお決めをいただく、もちろん御相談をいただくのでしょうけれども、主体的にお決めをいただくというふうに思っております。
武山委員 終わります。
坂井委員長 次に、山口富男君。
山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。一昨日に続きまして、国立病院機構法案について質問してまいりたいと思います。
 私は、一昨日、今度の国立病院や療養所の独法化は国が本来責任を果たすべき公的医療の分野で大きな後退を引き起こす危険性があるということを、二つの面から示しました。
 その一つは、厚生労働省が「中期計画のイメージ」という文書の中で示している、診療報酬を除いたら最も大きな財源になる運営費交付金が効率化の名前のもとで毎年度圧縮されるという方向が示されていること、このことからして、結核対策を初めとした不採算部門が後退する危険があるという問題です。それからもう一つは、今度の独法化でこの機構が出発するときに、診療報酬を大きく上回る八千四百億円もの負債を抱えての出発になる、これは公的医療の業務を圧迫しかねない。この二つの問題を指摘いたしました。
 きょうは、引き続きまして、看護体制の問題を中心にお尋ねしたいと思います。
 国立病院や療養所の看護、特に夜勤なんかがそうだと思いますが、ほかの医療機関に比べて随分おくれているということは広く知られた問題です。それで、まず坂口大臣にお尋ねしたいんですが、坂口大臣は昨年十二月五日の本委員会で、看護体制、特に夜勤の看護体制のおくれについて、このように述べていらっしゃいます。
 「確かに、国立病院・療養所の看護婦というのは、基準は満たしておりますけれども、他の自治体病院でありますとか赤十字などに比較をいたしますと、少ないことだけは間違いがないわけであります。とりわけ、国立病院・療養所は重症の患者さんが非常に多いわけでございますので、私も、率直に申しまして、現場は大変だろうというふうに思っております。」結論として、できる限りこの問題では看護師さんを確保してまいりたい、「できる限り確保に努めてまいりたい」、こういうふうにお述べになっています。
 それで、お尋ねしたいんですけれども、国立病院・療養所の夜勤の体制のこのおくれは、独法化のもとでは一体どのように改善されていくというふうにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 今までの国立病院等におきましては、全体の人員、定数がございまして、その中で行われておりましたために、現実問題として平均以上に多くの皆さん方がお見えになったりいたしますときに、大変御苦労をしていただいただろうというふうに思っております。それは、やはり平均値で物を見ていますから、非常に厳しいところ、そして厳しくないところというのは出てきていただろうというふうに私は思うんです。
 今度、独法化になりました場合には、これは院長を初めといたしまして幹部の皆さん方のところにかなり自由権がゆだねられるわけでございますから、自分の病院の行おうとしている方向性、もちろん独法の本部から、おたくの病院はこういうふうにしてほしいというような要請も多分来るでしょう、そうしたことも踏まえながら、自分の病院としてはどうしたらいいかということをお考えいただく。そして、そこには裁量権も存在するということでございますから、そこでお考えをいただければ、私は、今までのようなことよりも前進をするというふうに理解をいたしております。
山口(富)委員 今までよりも前進するだろうという見通しをお述べになりました。
 それで、通則法によりますと中期目標は主務大臣である厚生労働大臣が示すわけですけれども、看護体制のおくれの改善というのは国の言う政策医療の充実にとっても基本をなす問題の一つだということは否定できないと思いますが、この看護体制のおくれの改善というものは、通則法で言います中期目標、二十九条二項の三号「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」、これに当たるんですか。
冨岡政府参考人 中期目標の具体的な中身につきましては、今後鋭意検討いたしまして、適当な、サービスの向上につながるような適切な目標を設定してまいりたい、そういうことになっております。
山口(富)委員 何か全く聞いていることに答えていないので、これは責任ある答弁、国立病院部長にはできないでしょうから、坂口大臣、お願いします。
坂口国務大臣 看護師の体制というのは病院にとりましては非常に重要な部分でありますから、いわゆる重要な医療方針というものを立てました場合に、AならAという病院に対しましてはどういう政策医療をお願いするかということを決めるわけでありますから、その政策医療の内容によりまして、やはり看護体制というのも重要なテーマだというふうに私は思いますから、そこはその内容に応じた看護体制というものをやはりつくっていかないといけない。
 今までの看護体制というのはベッド数によってやっていたわけですけれども、必ずしもベッド数だけではなくて、やはり入退院の期間というものも大きな要因になってくる。例えば、同じベッド数でありましても、平均三十日入院をしておみえになりました場合と、二十日で退院される場合とでは、忙しさというのはうんと違うというふうに思いますし、そうしたことも加味をいたしまして決めなければならないというふうに思いますが、そこまで具体的なことを中央の法人で決めるのか、それともそこはそれぞれの病院で決めていただくのかというような振り分けというのは、これはしておかないといけないというふうに思っています。
山口(富)委員 看護体制の改善が重要なテーマであるという点はお認めになりました。
 それで、具体的にお尋ねしたいんですが、ことしの三月に小沢和秋議員らが、国立病院・療養所における看護師配置に関する質問主意書というものを提出いたしました。この中で、政府の答弁書では、看護師の二人配置の夜勤体制は、国立大学附属病院では三八・三%、そして国立病院では八三・八%と、国立間をとってみてもこれだけ大きな格差があるということを答弁書で認められております。
 私、厚生労働省に、国立間だけじゃなくて民間との対比はどうなんだというふうにお聞きしましたら、どうも統計数値がないようですので、きょうは委員会に配付資料として、これは日本医療労働組合連合会がつくっている資料なんですけれども、労働組合傘下という条件のもとですが、全国的な趨勢はここにあらわれていると思います。といいますのも、日本看護協会がやっております調査とほぼ数値は重なっておりますので。
 これを見ますと、国立病院でいきますと、二〇〇一年で、準夜勤・三交代病棟が、二人体制が七三・九%。これに対して、日赤、健保、労災病院などは二〇〇一年で二二・九%、逆に三人体制が六三%である。そして、深夜勤・三交代病棟の方をとりますと、国立病院は、二人体制が八一・六。これに対して、民間が三二・九。ここにも大変大きな格差があると思うんです。
 これが実態なんですから、先ほどの大臣の答弁からいきましても、現在のこの実態を変えていくというのは、独法化に至るまでの間も含めて行政の側の責任になると思いますけれども、この点は、独法の出発がこれから一年半先になりますから、国としてはどう対処していくおつもりなんですか。
坂口国務大臣 この表を拝見いたしますと、「民間病院」というところに日赤、健保、労災病院がなっておるわけで、多分、日赤とか健保とか労災病院というのは公的な病院だろうと私は思うんですね。民間病院と言うのはいささかふさわしくないだろうというふうに思います。
 民間病院はもっとなかなか厳しくやっているんだということはあるだろうというふうに私思っておりますが、それでは国立病院がこれで十分なのかどうかという話になれば、それはかなりぎりぎりのところで御努力をいただいているんだろうというふうに思っております。しかし、これも国立病院によりけりでありまして、非常に重症の病人を多くお持ちのところと、そうでない療養所のようなところでは、これはかなり状況は違うだろうというふうに思っております。
山口(富)委員 この「民間病院」について、そういう御意見が出るでしょうから、私、これは日赤、健保、労災病院に当たると、中身をきちんと示しております。それで、公的病院だというふうに大臣おっしゃいましたけれども、国の場合は、国はこういう分野ではやはり規範的な役割を果たすわけですから、当然、数値をきちんと改善するという仕事が大事になると思うんです。
 この点で、私、極めて憂慮しておりますのは、一昨日、本委員会にも資料で提出いたしました、厚生労働省の事務局がつくっている「中期計画のイメージ」というものの中に、「人事に関する計画」として「アウトソーシングの推進等による職員数等の抑制」、このことがはっきりうたわれているわけです。
 一方でこういう職員数の抑制をうたいながら、これでどうやって看護体制の改善が図られるのか、このことをお答え願いたいと思います。
冨岡政府参考人 ただいまの御指摘の資料につきましては、中期計画、これは先ほど申し上げましたように、今後具体的にどのような中身にするかを詰めてまいるものでございますが、法令に基づきまして、また先行している独法の例なんかを見ながら、今、イメージとしてつくるとすればこういうことになりますという例として書いてあるということでございまして、そういうものとして作成した資料でございます。
 その中で、その他として「人事に関する計画」ということで、御指摘のような「アウトソーシングの推進等による職員数等の抑制」ということが書かれてございますが、これにつきましては、こういったことができるとか、こういうことがふさわしい、そういったものについての話ということでございます。
山口(富)委員 少なくとも、イメージであるということはお認めになりました。しかも、これは、イメージにとどまらないんですね。
 私は、一昨日の国立病院部長の答弁を聞いて、あなたは議事録を読んでいないんじゃないかというふうに指摘いたしました。それはなぜかといいますと、この「中期計画のイメージ」を議論した懇談会の中で、事務局の発言として議事録にちゃんと収録されているんです。何と言っているのか。民営化なり地方公共団体への移管なり廃止なりで人間は減らしていきます、こういうふうに、あなた、はっきり言っているじゃないですか。
 これでどうやって看護体制を充実するんですか。もう一回答弁してください。
坂口国務大臣 今、事務局から答弁をいたしましたアウトソーシングの話は、アウトソーシングのできる分野があればそこはアウトソーシングにするという話でありまして、看護師さんをアウトソーシングにするというふうに言っているわけではないんですね。看護師さんの分野をアウトソーシングは、なかなかできないと私は思うんですよ。それは御指摘のとおりと、私は率直にそう思います。
 これはやはり御自身の、御自身のといいますか、その病院の独自の職員の皆さんでなければ責任を持っておやりいただくことができないわけでありますから、そういうことを言っているわけではないということを、ひとつ理解をしていただきたい。
山口(富)委員 残念ながら、私は、そのようには理解できません。といいますのも、きちんと書いてあるんです、この表に。どう書いてあるかというと、「アウトソーシングの推進等による職員数等の抑制」と、ちゃんと幅広で「等」が含まれているんです。この中にあらゆる要素が盛り込まれる危険性があるということを、この場でも指摘しておかなければならないと思います。
 私は、結局、看護体制の改善、夜勤の体制の改善の問題も、独法化のもとで何ら保障がないということが、きょうお聞きして明らかになったというふうに思います。やはりこうしたもとでは、国立病院・療養所の独法化というのは、結局、国民と患者の皆さん、働いている方々に痛みを押しつけることになる。このことを厳しく指摘しまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
坂井委員長 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 今回の法案で、結核、筋ジストロフィー、重症心身障害など十九分野の政策医療を担当する国立病院・療養所、百四十四カ所を特定独立行政法人化するというのですが、これには根本的な疑問があります。
 独立行政法人になれば、中期目標を大臣が定め、法人の理事長は、その目標に沿って中期計画を作成しなければなりません。その後は、毎年、その計画に従って、評価委員会から、効率や運営改善の状況を追求されます。さらに、中期計画が終わった段階で実績を評価され、大臣は、事業の継続の必要性や組織のあり方まで検討し、必要な措置をとらなければならなくなります。
 政策医療というのは、民間では引き受け手が余りない不採算部門を手厚い体制で医療、看護していくために、国民医療の不可欠の一部として国が担当しているものであります。大臣、こういう部門を、効率を最大の目標とするような手法で経営しようとすることが、そもそも、間違いではありませんか。
坂口国務大臣 国立病院というところは、これから独法化をされましても、やはり多くの国民がなかなか受けることのできないような医療、そうしたものを中心にしてやっていく必要があるというふうに思います。そういう意味では、これは政策医療でありますから、採算性の面で非常に難しいものもあることは十分に私たちも認めているわけでありまして、そのために、政策医療に対しましてはどうするかということを決めるわけであります。
 しかし、そうはいいますものの、病院の経営としてできる限り成り立つようにしていただくということは、これは当然の話でありまして、今までそこがあいまいであったではなかったか、そういう批判を、きょうも午前中から受けたわけであります。
 私たちは、そこは明確にして、国民の皆さん方におこたえをするためには、一方におきましては、いわゆる医療の内容において、一般の病院ではなかなか受けられないようなそうした医療をそこで行いますのと同時に、できる限りそこは採算も考えてその負託にこたえていくということでなければ、もし仮に、そこで多くの赤字が出るということを続けて、それを容認するということを続けていけば、またそれは国からその分を埋めなければならない。国が埋めるということは、国民の皆さん方にそれだけ税としてお納めをいただかなければならない。結局のところは国民に回ってくるわけでありますから、そこは効率的な運用をしていただくというのは、いかなる診療の内容であったといたしましても、私は、守っていただかなければならないことだと思っております。
小沢(和)委員 独立法人化すれば、これらの国立病院は、企業会計方式で収支を計算するようになります。
 今年度の国立病院特別会計を見ますと、既に借入金が九千四百三十六億円に達しております。それに、今年度新たに七百九十七億円借り入れ、それでも足りず、一般会計から千二百二十二億円継ぎ足してもらっておる。これがナショナルセンターなどと独法化する部分に分かれるわけですけれども、独法化部分だけに限れば、財政状況はさらに厳しいと思われます。それにさらに企業会計方式の採用で年間数百億円の減価償却費を積み立てるようになれば、財政状況はもう一段厳しくなる。
 午前中は、民間企業では当たり前の退職金の積み立ても全然なしでスタートするという問題も指摘をされました。一昨日は、答弁の中で、親方日の丸の意識を改革する必要があるということが何回も言われましたが、大臣は、独立法人化して職員の意識改革をすれば、こういう財政構造の政策医療がたちまち採算がとれるように変わっていくというふうにお考えなんでしょうか。
坂口国務大臣 それは先ほど申しましたように、政策医療を行うということは、採算ベースに乗りにくいところをやっていただくわけでありますから、その分につきましては国の方も配慮をしなければならない。それは一方にありますが、しかし、そうはいいますものの、この独立性というもの、そこを重視していただいて、極力採算ベースに乗るような御努力もいただかないといけない。
 そこを、いや、これは政策医療をやっているんだから、国が当然、皆出してしまうものだというふうになってしまいますと、そこはルーズになってしまう。現在の国立病院がすべてそうだとは申しませんけれども、私は、非常にルーズになってしまうと思います。
 したがって、そこは、現在よりもより効率的に、そして病院経営というものにも配慮をしていただくということは当然だということを申し上げているわけでございます。
小沢(和)委員 私は、政策医療部門もできるだけ効率的に運営すべきだということに何ら異を唱えているわけではありません。そういう努力を前提としても、政策医療部門は今後も、実際的な見通しとしては、収支が相償うようになるということはほとんど考えられないのではないでしょうか。しかし、国が政策医療から手を引くということは、私は、あり得ないと思うんです。
 だから、大臣に重ねてお尋ねしますが、今後も国が長期に政策医療を担当していく以外にない、この分野はそういう分野だということについては確認していただきたいと思いますが、いかがですか。
坂口国務大臣 政策医療をやっていただくということに変わりはございません。しかし、先ほど申しましたように、効率化、そしてまた経営ということにも御努力をいただかなければならない。政策医療をやっているから、それはどれだけかかってもいいというようなことでは決してない。そこはそれ相応に効率化を図っていただいて、経営上も考えていただかなければならないということを私は申し上げている。私も、無理なことを申し上げておるわけではない。
小沢(和)委員 独立法人化によって、その管理機構が新たにつくられ、管理者として、理事長一名、副理事長一名、常勤理事五名、非常勤理事八名が新たに任命されます。しかし、国が直営する高度医療センターやハンセン療養所なども存続するので、これを管理する現在の国立病院部もほとんど今のまま存続することになるのではないでしょうか。そうすると、両方合わせれば、役員などの人数は、スリム化するどころか、大幅に増加するのではないか。実際に、新旧二つの管理機構で何人ふえるか。
 これだけむだを省くと大騒ぎしている一方で、天下りなどのポストが大幅にふえるということは許されないんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
冨岡政府参考人 国立病院・療養所が独立行政法人化になることによりまして、一方では、ナショナルセンター及びハンセン療養所は現在のままでございます。そういうことになりまして、国立病院・療養所、独立行政法人機構全体を管理する機能が必要になります。一方では、国立病院部の現在の一部の機能、ナショナルセンターとハンセン病を担当する機能、そこは残るわけでございます。そういうことで、現在の国立病院部自体のそういった人はその機能に分かれることになります。一方では、地方厚生局、ここにも、病院を管理する部署、人がおります。(小沢(和)委員「それはわかっている。要するに、それでどれぐらいの人数がふえるかと聞いているんです」と呼ぶ)
 そういうことで、国の組織、それから独立行政法人の組織、この具体的な中身につきましては、平成十六年度予算要求の中で具体的に検討し、そういうことにしておりますけれども、いずれにしましても、今回の趣旨に沿いまして、組織のスリム化といった観点は重要でありまして、そういうふうな方向で検討してまいりたいと思っております。
小沢(和)委員 現在の国立病院部は、私はそんなに小さくならないと思うんですよね。そこへ新たにこの機構ができて、理事長以下これだけの役員ができるということになれば、これは相当にそういう役員や管理職は大きな数になるんじゃないですか。だから、相当ふえるでしょう。どうですか。
冨岡政府参考人 そのほかに、地方局といったものについても全体としての再編ということになりまして、そして、組織全体としてどのように拡大しないで両方の組織を適切に運営できる組織にするかという観点から、スリム化のこういった観点を踏まえまして、来年度要求の中で具体化を図りたい、かように考えております。
小沢(和)委員 だから、管理機構が二つできちゃうわけでしょう。だから、今までに比べたら、少なくともトップの方というのは倍ぐらいの数になるんじゃないですか。
 大臣、そういう計算にしかならぬと思うんですが、どうですか。それでいいんですか。
坂口国務大臣 それはスリム化するんですよ。部長は言いにくいから僕が言いますけれども、それはする。それはしないと、そんな頭でっかちになっちゃだめですよ。だから、国の方は、独法の中心がやる分については仕事なくなるんですから。
 それは減らす。それはもう明確にしないといけない、そう思っています。
小沢(和)委員 私が計算したら、どう考えても減りようがないんですけれども、しかし、減ると、ここまで言い切られたんですから見守ることにしましょう。
 次ですが、政策医療に特化した病院といっても、その地域に存在する以上、地域住民の期待にこたえる一般外来や救急医療などを一切やらないなどということはできないと思います。これまではすべての国立病院などがそれをやってきました。しかし、一昨日の答弁では、近くに民間の病院があればこれをやめるという態度が表明されました。これは私は重大な答弁だと思うんです。
 地域医療を放棄し、地域住民と何の結びつきも持たないようになった病院は、政策医療の病院であっても、長期的にはその地域で存続、発展できないのではないでしょうか。大臣は、外来や救急をやめるという方針を再検討すべきではありませんか。
木村副大臣 先ほどから何回もお話しさせていただいているんですけれども、中期計画の後、五年後にこの見直しの機会がある、また、それからその後も何回かあるんではないか、このように思っておりますけれども、基本的にもちろん、政策医療を担っていただくところは、当然でありますけれども効率化も考えていかなきゃいけない。そのときに、どうしても効率の悪いところとかいうのが出てくるかもしれないわけでございまして、そこで、もし民間で担い手がいるということであれば、当然そこは、どうしようもない場合には当然検討の対象にしていかなきゃいけない、私はこう思うわけでございます。
 まさにそこは、外部の業績評価というのもあるわけでございますから、その辺のことも踏まえて、先生がおっしゃった、懸念されているかもしれませんけれども、民間で引き受け手があれば、それはあってしかるべきだなと私は思っております。
小沢(和)委員 だから、それは副大臣の個人的な意見なのか、それとも政府として、もう民間の引き受け手があればこういう外来や救急は切っていくという方針なのか、どっちですか。
木村副大臣 私は、直ちに切れとか、五年たったらすぐ切れなんというのは言っておりません。
 先ほど言ったように、中期目標があって、中期計画があって、それを達成した中で、その計画の後に、五年後のところで外部評価というのがあるわけで、その中で、これはどうしても存続できないなというようなものが出てくれば、それは民間で受け手があれば受けてもらうこともあり得ますよ、こう言っているわけでありまして、一生懸命やって、地域医療に貢献し、また効率化も図っていただいている限りにおいては、私は、そこは当然評価されるべきものだと思っています。
 ただ、何度も言いますけれども、どうしようもないものがあらわれたら、それは当然のことだ、このように思っております。
小沢(和)委員 先ほどの山口議員への答弁を聞いても、職員の増員がほとんど進んでおりません。改めて私からも、もっと真剣な増員の努力を要求しておきたいと思います。
 ところで、増員の一番の障害になってきたのが、国立病院にも総定員法が適用されているということであります。患者の世話をする看護師などの定員が初めから最低の必要な配置さえできないように定められ、その不足を補うために賃金職員などという制度が生み出されました。だから、賃金職員は、職場では正規の職員と全く同じように三交代を含むフルタイムで働いております。賃金職員というと臨時の補助的仕事をしているととられがちですが、全く違う。中には職場の責任者を務めている賃金職員もおります。この人々を合わせても、他の病院より要員の配置が少ないのが実態であります。
 今回、独立法人化される部分は総定員法の適用対象から外れるので、その規制がなくなる。大臣、この機会を生かして、不当な賃金職員制度はもう廃止をして、全員を正式に職員として採用すべきではありませんか。
坂口国務大臣 一昨日も御答弁を申し上げましたけれども、原則論からいえば、これは法人が生まれまして法人がお決めになることでありますから、私が差し出がましくどうこうと言うわけにはまいらないわけでございます。
 しかし、原則論を申し上げれば、これからそれぞれの特徴ある病院をつくっていただくわけでございますので、病院によりましては、今まで賃金職員なら賃金職員という立場におみえになりました方々も正規に雇っていただくところもそれはあるだろうと私は思います。しかしまた、その病院の内容によりましては、逆に今までの定数を減らすというところも出てくるかもしれない。そこは新しい病院のあり方によって決まってくる問題でありますから、そこのところまで私が今一律に物を言うことができないということを昨日も申し上げたところでございます。
小沢(和)委員 独立法人化する明後年四月一日に在籍する職員は、全員が新しい機構に移籍するわけであります。このことは、附則第二条で「別に辞令を発せられない限り、機構の成立の日において、機構の相当の職員となるものとする。」とあるので、私は疑問の余地がないと思いますが、確認していただきたいと思います。
冨岡政府参考人 附則二条の趣旨は、定員職員については、特に特別の辞令が発せられない限り、身分が引き継がれるということでございます。
小沢(和)委員 問題は賃金職員だと思うんです。
 賃金職員は、毎年三月三十日もしくは三十一日、一日だけ任用が中断されてまいりました。これは、昭和三十六年二月二十八日に「定員外職員の常勤化の防止について」という閣議決定が行われたためであります。しかし、賃金職員は、総定員法のため正式に採用されなかっただけで、実態は、先ほどから述べておりますように常勤職員そのもので、すべて不可欠の病院業務である看護、検査、調理、院内保育などを担っている人々であります。
 確認の意味でお尋ねしたいんですが、今賃金職員として働いている中に、病院業務に不可欠でない人が一人でもおりましょうか。
冨岡政府参考人 私ども、再編成を進める中で、いろいろな工夫をしながら職員配置等にもいろいろ努めてきたところでございますが、ただいまの御質問で、不要な職員と申しましょうか、そういう職員を抱えておるのかという点につきましては、私ども、賃金職員につきましては、毎年毎年必要数を勘案いたしまして、日々雇用で、期限つきで、一年以内というお約束で雇用しているところでございます。
小沢(和)委員 いや、そんな雇用の形態を聞いているんじゃないんです。病院業務に不可欠な人ばかりじゃないかと聞いているんです。今はどの病院も相次ぐリストラで、ぎりぎりの人員で動いているわけでありまして、賃金職員が一人でもいなければ、途端に病院の運営に差し支えているというのが実情だと思います。
 一昨日、大臣は、半年とか一年の短期間働いている人が多いように言われたと思いますが、実際は、大部分は何年も働いているんです。八千人近い賃金職員のうち、三千人近くは五年以上働いております。二十年以上働いている人が三百人以上おります。
 くどいようですが、閣議決定に縛られて短期間勤務の形になっているだけのことで、実態は常勤職員と何も変わりはありません。だから、例年どおり三月三十日もしくは三十一日に任用を中断した、四月一日にこれまでの賃金職員にかえて新機構がだれでも勝手に任用してよいというようなことには絶対にならないはずだと思うんです。
 これまでの賃金職員も、他の正規職員と同じように、全員引き続いて採用するのが当然ではありませんか。
冨岡政府参考人 ただいま、長年勤務している賃金職員がいるという御指摘がございましたが、こういう方につきましても、毎年毎年雇用は中断されておりまして、一年以内というお約束で任用されているものでございます。
 なお、附則二条の解釈につきましては、国立病院・療養所における賃金職員は、今申しましたように、年度当初に、日々雇用の任用期間を定めた職員として雇用しているものでありまして、制度上、翌年度の雇用が予定されているものではございません。独立行政法人移行後についても当然雇用されるというものではなく、法人が平成十六年四月以降の業務や経営の全体を見渡す中で、その責任において、いろいろな観点から十分に精査いたしまして検討すべきものと考えております。
 以上でございます。
小沢(和)委員 毎年任用を中断しているから短期だなどとあなたは言われたけれども、それはあくまで常勤化を防止するためにということで政府がわざわざとっている措置でしょう。そんなのは本当に形式であって、実態はずっと続けてやってもらっている、やってもらわなければ仕事が動いていっていない、これが実情だということをさっきから言っているんです。
 多くの賃金職員が今一番心配しているのは、この機会に一部の職場が丸ごと外部の業者に委託化され、仕事を失うのではないかということです。そういうことはしない、全員を引き続き採用するということをここで明言していただきたいが、いかがですか。
冨岡政府参考人 先ほど申し上げました回答と重なるようでまことに恐縮でございますが、平成十六年四月以降の業務や経営の全体を見渡す中で、その責任において、いろいろな観点から十分に精査されまして検討すべきものと考えているところでございます。
小沢(和)委員 こういう職員の任用、賃金、労働時間などは、労働組合が新しい機構と交渉する最も重要なテーマだと思います。独立法人化に伴って、労働組合は、団体交渉権、労働協約締結権などを得ます。当然、当局も、これまでに比べれば幅広い問題で交渉に応じなければならなくなります。
 これまでの交渉の実態を聞くと、二交代制実施のような労働条件に直接つながる問題も、管理運営事項だと交渉を拒否して、一方的に実施しておる。現場でも、休憩室の拡張くらいのことを、予算を伴うから権限外などと交渉に応じない。こんなことはこれからは通りません。特に、業務の委託化は、その職場で働く者にとっては死活にかかわる重大問題であります。
 今後は、そういうことを計画する場合は必ず団体交渉を行わなければならないということを政府は承知しているか、この点をお尋ねしておきます。
冨岡政府参考人 団体交渉の対象事項としては、現在は、国家公務員法によりまして、管理運営事項は団体交渉の対象とならないこととされております。
 独立行政法人移行後は、特定独立行政法人ということで、国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律が適用されまして、この第八条の定めによりまして、管理運営事項は団体交渉の対象とならないということは同様でございます。
小沢(和)委員 まるで今までと変わりがないみたいなことを言うけれども、業務を委託化すれば、賃金職員は即失業するわけです。正規の職員にとっても、配置転換や職種変更に直結する。こういう重大な労働条件の変更が交渉の対象になることは、今あなたが挙げた法律からもはっきりしているじゃないですか。だから、その大もとにある業務委託も交渉するのが当然だと私は言っているんです。
 私は民間の労働組合の専従役員を長くした経験を持っておりますけれども、そういうところでは、そういうようなことについて交渉するのはもう常識だった。当局が従来の感覚で労使関係を処理しようと思ったら必ずうまくいかないんじゃないですか。
冨岡政府参考人 いかなる事項が団体交渉事項に属するかにつきましては、個々の具体的な事案に即して使用者側として判断し、仮にこの判断が労働組合との争いになった場合には、最終的には中央労働委員会または裁判所が判断することになります。この点につきましては、ILO条約勧告適用専門家委員会から政府あての意見への回答の中でも、日本政府として今のような考え方を回答しているところでございます。
小沢(和)委員 文句があったら中労委に持っていけというような話をしているけれども、そんな感覚でやったら、もう絶対に労使の関係はうまくいかなくなりますよ。私、さっきから言っているように、配置転換などというのを交渉をやるということはこの法律の中でもはっきりしているわけでしょうが。
 その点は指摘をして、先に行きます。
 実際の移行後の交渉は、来年十月、理事長などが任命されてからということでは、わずか半年しか期間がありません。実質的には、他の準備は法案成立後どんどん始まる。一番重要な労使の交渉がおくれるようなことがあってはならないと思います。一昨日の大臣答弁では、賃金職員問題は新たに任命される理事長が決めると自分は逃げの姿勢でしたけれども、そんなことは許されないと私は思う。
 賃金職員の雇用不安をきちんと解決するめどをつけて理事長にバトンタッチをすること、これが大臣の責任ではありませんか。
坂口国務大臣 新しい法人の理事長は、約半年前に大体決まるわけであります。十六年の四月一日からスタートするということになれば、その前の年の十月一日には大体理事長は決まるわけです。決まりましたら、その間、半年あるわけでありますから、正式の理事長予定者のその人に今後どういうふうにしていくかということを考えていただく、そして、それぞれの病院のあり方についても検討を加えていただく、こういうことになると思うんですね。
 だから、決して丸投げするわけでも何でもありませんし、そういう経過を経て、そして決定をされていくものということを私は一昨日申し上げたわけでありまして、事実、そういう経緯を踏んでいるだろうというふうに思います。
 円滑な労使関係というのは私は大事だというふうに思いますけれども、だからといって何でも聞くような経営者であってもこれはならぬと思うんですね。そこは毅然たる態度をとって、そして、国民のためになる病院をつくってもらわなければいけないというふうに思っています。ですから、国鉄の例を挙げて申しわけございませんけれども、以前のような、そういうことになってくるというようなことになれば、これは私は重大な問題だというふうに思いますし、そこはお互いに節度を持ってお願いしたいというふうに思っている次第でございます。
小沢(和)委員 来年の十月に制度が始まるからもうそれで十分なような話ですけれども、私はそうはいかないと思う。こういう重大問題を抱えていなくても、先に独法化したところの実情を聞くと、残業についての三六協定は発足後一カ月してから、就業規則は半年たってからようやく労働基準監督署に届け出た、だからそれまでは協約も規則も何もなしで働いていたという、あきれるような違法な状態が、この厚生労働省の関係の独立行政法人の中にあるんですよ。
 まして、国立病院機構は大きな組織で、実務的にもはるかに大変だと思うんです。だから、独立行政法人通則法の審議のときに、続総務庁長官は、「法人の成立時に速やかに労働協約が締結できるよう、成立前に関係者が事実上の交渉を行うことも可能」と答弁しております。
 大臣、この答弁のとおり、法人成立前から交渉を始めるべきではありませんか。大臣、どうですか。
坂口国務大臣 それは事前の、いろいろそれまでの打ち合わせというのはあると思いますけれども、正式なのは、正式に始まってからでないとそれはできないと思うんですね。ですから、そこは御理解をいただいて、しかし、内々話のできることはしていくということになるだろうと思います。
 私も赤十字に籍を置いておりまして、団体交渉は何度かやったことがあるんです。私は、組合のそれこそお話も聞きましたし、オルグとやらの話も聞いたことがあるわけであります。六月、十二月になると、ちょうちょうはっしとやらなければならなかった。時にはうまくいかなくなったこともあった。そのときに、私はその支部長に、行き詰まったらどうするかと。もう行き詰まったらつぶしてしまえ、こう言われた。そんな病院も何も、国民の皆に役に立たないものは置いておく必要はない、それはもう、それが行き詰まることがあればつぶせ、こういうふうに私は言われたことが今でも忘れられずにいる。一言だけ言っておきたいと思います。
小沢(和)委員 続総務庁長官の答弁は、「成立前に関係者が事実上の交渉を行うことも可能」、こう言っているんです。今あなたは、事前の打ち合わせぐらいのことはできるでしょうと言われたけれども、これは、事実上の交渉を行うということとは大分違うと思うんですね。あくまで当時の続長官は、事実上の交渉を行うということは可能だと答弁している。その点、これを忠実に実行するということをお答えいただきたい。
坂口国務大臣 現在も、職員組合の皆さん方の代表がおみえになって、そしてこれはやっているわけですね。ですから、実際問題として、独立行政法人が始まりますまでは、その組合員の皆さん方、いわゆる職員組合の皆さん方との現在のこの体制の中でのお話し合いというものは当然続いていくというふうに思いますけれども、独立行政法人としての正式な話は、それは正式にできてからだということを私は申し上げているわけであります。
 したがって、その前の段階におきましての職員組合との話は、それは現在の体制の中の話であろうということを申し上げているわけです。
小沢(和)委員 いや、この答弁は、今の体制の中での話を言っているんじゃないんですよ。成立前であっても関係者が事実上の交渉を行うことは可能と。その発足後のことについて、続長官はそう言っているんですよ。
 その点、大臣はこれを守るのか、あなたはこれを守らないというのか、どっちなんですか。いや、だめだ、大臣の答弁。
坂口国務大臣 それは、新しい独立行政法人の理事長になられる方も、正式に、きょうからお願いしますということを書いたものを渡さなければ、その前になかなかできるということはできないだろう。しかし、それはその後にも、厚生労働省が中心になって引き継ぎをやっていくわけでありますから、その引き継ぎをしますまでの間は、これは国の方としても責任のある話ですから、それは話によるでしょう。だけれども、新しい理事長は四月一日からの話にしてくださいよということを申し上げておるので、何も無理なことを言っているわけではない、甚だ常識的なことを申し上げているということでございます。
小沢(和)委員 納得できませんけれども、時間が来たから、終わります。
坂井委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 きょうは花の金曜日で、まして連休を控えての貴重なお時間を、坂口厚生労働大臣初め各委員の皆様も大変遅くまで御苦労さまです。私が最後の五十分をちょうだいして質疑をいたしますが、この間、約二日間にわたって論じられてきました国立病院の独立行政法人化、問題が多々これあり、本当にこれでいいのかなと思いながら、でも、せっかく審議しているのですから一つなりともいいことが実現するように願いながら、きょうの論議に入らせていただこうと思います。
 私は、きょうは主には保育所の問題、特に国立病院に併設されております保育所問題について質疑をさせていただこうかと思います。と申しますのも、実は、私も二十数年前、世田谷にございます国立小児病院に就職いたしますときに、自分でそこを就職の場所に選んだ第一の条件は、院内保育があるというその一点でございました。二人の幼い子を抱えて小児科医として続けられるかどうかぎりぎり瀬戸際のところで、子供たちの面倒を見ておりました母が救急車のたらい回し七カ所されました末に亡くなりまして、私ももうはたと本当にお先真っ暗になったときに、小児科医をやめて子育てに専念するか、あるいは、一つでも保育所のあるところを見つけて続けるかといったときに、現実にそこにあったのが世田谷の国立小児病院でした。
 その意味からも、ずっと私が問題にしております小児科医の本当に減少。それで、小児科医の多くが実は女性でございます。女性が働き続けるということを今は男女共同参画社会というとても美しい言葉で語りますが、実際にそのことを支えていくために本当に何ができるのか、一つでもかち取れるものがあれば、私とて頑張って、皆さんのお時間をちょうだいした意味があると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、保育行政全般についてお伺いをいたしますが、現在、国の集計上、待機児童は何名となっておりますでしょうか。
冨岡政府参考人 私が今手元にしております資料によりますと、十四年四月一日現在で二万五千四百四十七人というふうになっております。
阿部委員 申しわけありませんが御答弁をいただく部署ではございませんので、御存じでお答えいただきましたと思いますが、せっかくですから御答弁はしかるべき担当部署からきちんとお願いいたします。一回一回の審議、本当にみんな真剣でありますから。私がこの数値を伺うにはわけがございますので。
 ことしの新基準では二万五千四百四十七人でございました。では、旧基準、旧来の基準を用いますと、保育所待機児童は何名でございましょうか。きちんと担当部署からお願いいたします。私は国立病院部の部長に聞いておるのではございません。児童家庭局ですか、お願いいたします。
坂井委員長 本日は、児童家庭局は政府参考人としての要請がありませんので、出席しておりません。
阿部委員 わかりました。
 それでは、この点をぜひ明確にしていただきたいですが、旧定義では三万九千八百八十一人です。この新旧の定義の差は何であるか。これはグロースな、大きな質問ですので、木村副大臣でも結構ですし坂口大臣でも結構ですから、御答弁をいただきます。
坂口国務大臣 この差は、これは無認可保育所に入っている人たちを含めている、いないによる差だというふうに思います。
阿部委員 さすが大臣でございます。
 いわゆる無認可と一概にちょっとくくれない部分もございますが、実はこの間の国の統計処理で一挙に一万五千人の児童が待機ではなくなりました。私は、小泉首相の進めておられる待機児童ゼロ作戦というのは賛成ですけれども、定義だけ変えて数を減らすのはいかがなものかと思うのです。その実態がこの国立病院の保育所においても明らかになるので、私はあえて、ちょっと意地が悪くてきちんと通告もせず恐縮でしたが、聞かせていただきました。
 そこで、国立病院の担当からお願いいたしますが、現在、国立病院に併設の保育所には何人の子供たちがおられますでしょう。これはまさに部局ですから、お願いいたします。
冨岡政府参考人 平成十四年五月一日現在で、国立病院・療養所の施設内保育所の児童数は二千五百五十四人となっております。
阿部委員 国立病院には百四十四カ所の保育所が併設され、今御答弁にありました二千五百五十四人の子供たちがそこで日々を暮らしておりますが、この子供たちは新基準では待機児童に入りますか、それともカウント外ですか。担当部署にお願いします。
冨岡政府参考人 カウント外になるものと考えます。
阿部委員 先ほど来小沢委員が盛んに問題にしております非正規雇用の職員の雇いどめ問題とも関連いたしますが、今、保育所の保母さんたちは皆さん非正規職員です。そして、この非正規職員の雇用問題について、ここでは、次の法人が考えるんだからわからぬ、答弁できぬ、きちんと継承できるかどうかもよくわからぬというふうな御答弁が続いておりますが、果たしてこの百四十四カ所、二千五百五十四人の子供たちの次、これからどうなるのか、このことについて私はきちんとした御答弁をきょうはいただきたいと思います。
 実は、この子供たちは、院内保育所がなくなってしまった場合には、本当の意味で、保育を現在受けながらどこにも行くところがなくなってしまう、あるいは確定されない子供たちでございます。この子供たちの実数、そして、国立病院部の部長は、一体何人の非正規雇用の皆さんがこの子たちを支えているか、御答弁をいただきたいと思います。
冨岡政府参考人 保育士さんの数、御指摘のように賃金職員でございますが、保育士、保育助手、その他の方、合わせまして合計五百六十人でございます。
阿部委員 非正規としております職員がそれだけで、独自にその各病院の中の運営委員会で同じように非常勤で子供たちを保育してくださっている方が約三百五十四名、まあ一、二名は違うかもしれませんが、実際にはそれだけの職員で子供たちを見ておるわけです。
 そこで、先ほどの小沢委員の御質疑に私もまた引き取らせていただいて移りますが、実は、二〇〇〇年のILO総会への条約勧告適用専門家委員会報告の中に、百号条約関係というのがございまして、これは、女性を長期間臨時雇いでとめ置くことがいわゆる賃金レベルの問題も含めて不可避的に男女の差を拡大するということで、国立病院が、百号条約の定める義務に照らして、職員需要に合わせて雇用慣行を調整し、いわゆる同一賃金同一価値労働に基づいて賃金なり身分なりを保障できるようにすべきだという勧告ですが、これについては部長は御存じでしょうか。
冨岡政府参考人 今御指摘の点につきまして、私、今現在初めて御指摘を受けましたので、勉強いたします。
阿部委員 とても本当に正直な御答弁で、その意味で評価いたしますが、だがしかし、それではやはり担当部局の長として、本当に私は不安でなりません。
 実は、二十年間も賃金職員で保母さんをやっている方がおられるわけです。そして、これは、国立病院が国立病院であるときに既に改善され、正規雇用に振りかえられるべきものであったと思いますが、それすら努力されず、このまま新しい法人に丸投げ、次は勝手にやりなさい、こういう形では、いわゆる不良債権や負債を押しつけて、人的にもお金の上でも本当に困難を背負い込ませてやっていくことになると思います。そうでなければ、このお金のかかる保育の分野を切り捨てるしかなくなっていきます。しかしながら、それは小泉首相の望む待機児童ゼロ作戦には合わないと思います。
 数の上でごまかすんじゃなくて、本当にここにいる二千五百五十四人の子供たち、そしてその働くお父さん、お母さんが安心して働ける、あるいは地域の子供たちもそこで預かれる体制にするためには、私はやはりいろいろな創意と工夫が必要だと思います。
 その前提には、現在、私が申し上げました、御存じなかったような勧告についてもきちんと把握していただいて、本当に、どういう働く条件で働く人々を支えていくかということをまず御認識いただきたいと思いますが、御存じないものは追及しても仕方ありませんので、少し坂口大臣に大枠、大仕切りの御答弁をいただきたいと思いますので、同じ問題で移らせていただきます。
 実はこのことは、独立行政法人化に伴って採算性、効率性が求められたときに、私がいつも指摘しますように小児科診療の高コスト、もう何といっても高コストです。どんなに経営努力しようと、ひっくり返ろうと、本当にそれは仕方ありません。子供を育てるとはそういうことです。コストよく、効率よく育てるわけなんかいかない。手間暇もかかる、勝手なときに熱も出す、だれかに見てもらわなくちゃやれない。その子供たちの、小児科の存続の問題も、保育所の存続の問題も、実は極めて国策上、国の政策上重要と私は思いますので、その御認識をまず坂口厚生労働大臣にお願いいたします。
坂口国務大臣 小児医療につきましては、御指摘のようになかなか採算ベースに乗らない課題であるということに私も同意いたします。とりわけその中でも小児救急、先生がいつもお取り上げになります小児救急などの場合は、特別にまたこれは不採算でありますから、こういう問題も政策医療の中に私は当然入ってくるというふうに思っております。
 それから、保育所の問題でございますが、私も十分に存じているわけではございませんけれども、共済組合等でおやりをいただいている保育所もかなりあるというふうに思っております。これは国家公務員共済法にのっとっているのかどうか、共済組合でおやりいただいているのがかなりあるというふうに思っております。
 今後、独立行政法人になりましたときに、公務員型でございますから、共済組合にはそのままずっとお入りをいただくのではないかというふうに今思いますけれども、これはもう一度ちょっと調べなければわかりませんが、そう私は思います。そういたしますと、今までの共済組合でおやりをいただいておりますような保育所はそのまま継続をしていただけるということになるのではないか、そういうふうに思っています。
阿部委員 大体の大臣の御認識どおりでありますが、私が指摘したいのは、そうやって長年共済組合方式でやってきても、やはりなかなかそこの職員を常勤化して手当てすることができないような経営実態であった。
 そして、私は、国のエンゼルプランというものをずっと眺めてみますと、ここにこれだけの、百四十四カ所の国立病院に併設された保育所がありながら、そしておまけにその横に小児科もありながら、これらをもっと前向きに活用できるための何か利用できる助成策があるかとずっとこれも眺めてみますと、実際、現実のエンゼルプランの中にもなかなかございません。と申しますのも、これが無認可という形をとり、そしてこれまでは共済組合の併設型で、国の支援事業はほとんど賃金職員のみという形で配置されてきた中では、本当の意味で盤石の基盤をもって次に拡充していくための措置がなかなかとれないという現状でございます。
 ちなみに、私が申しました、百五十八カ所の小児科があり百四十四カ所の保育所があるということは、今厚生労働省がいろいろに考えておられる病児保育とかもそこでは実践し得るようなインフラがあるということでございます。
 私は、どういう形で支援してくださいというところまで明確に申せませんけれども、現実に国の責任ということも含めて、保育、子供をはぐくむ責任ということも含めて、何らかの安定的な方向に、もちろんここで大臣が、独立行政法人のなさることですから御命令はできないことも存じております。ただし、この保育の存続ということについて、国がいろいろな意味で配慮、今後もきちんと行っていくということの御答弁をいただければ何よりと思います。
坂口国務大臣 保育の問題につきましては、今御指摘になりましたように、病院を初めといたしまして、いわゆる職場における保育というのが最近ふえてきておりますし、それはまた結構なことだというふうに思っております。
 この職場におきます保育というものを、できる限り正規の保育所にできないかということが検討課題に今なってきております。私は、保育所なるもののいろいろの基準というものがありますけれども、若干そこは緩めてでも、現在職場におきます保育所というものを正規の保育所に引き上げる努力をするということが大事だというふうに思っておりまして、そうした議論も今始まっているというふうに私は認識をいたしております。
 したがいまして、これはその病院の中の保育所の形態にもよりますけれども、ある程度そこは保育所それぞれの病院におきましてもお考えをいただきますれば、私は、正規の保育所に格付できるようになる可能性というのは十分にあるというふうに思っている次第でございます。
阿部委員 本当に実のある御答弁で、深く感謝します。
 理由は、この二千五百五十四人の子は集計からも省かれて、そして保育所が存続できないとなると、本当に、まあ職があるわけじゃないから路頭に迷うとは言いませんが、即行き先の迷う子供たちでもあります。お母さんやお父さんの仕事のためにも、そして何よりも子供たちのやはり育つ日々のためにも、今大臣がおっしゃったような多様な検討と援助を引き続いてお願いしたいと思います。
 二問目は、私はこれまで、国立病院は地域中核病院としても大事なんだというお話の方ばかりをしてきましたが、実は、本当の意味でセンター化された、センター病院としての役割もこれは担っていくものだと思います。
 そこで、そういう視点に立ったときに、私の勤めておりました世田谷の国立小児病院は、この四月から、隣の大蔵病院というところと合併して国立成育医療センターととてもすばらしい名前になりました。すばらしい名前になったとき、実は、去るも地獄、残るも地獄というようなことが起こりました。
 どういうことかというと、世田谷区で、いわゆる夜間の小児医療をここはある種実際には担っておられましたし、都立母子保健院というところと合わせて一挙に二つ大きな病院がごそっとなくなり、移動してしまったので、世田谷区では非常に住民が困っているという問題もございますが、これは残る地獄の方です。去っていったというか出ていった方の旧国立小児病院でも、やはりいろいろな労働条件の問題で非常に大変な思いを看護婦さんがしていると私は思いますので、私自身も勤めた経験から、ぜひともこのことも少し勘案していただきたいと思い、幾つかの数値を申し述べさせていただこうと思います。
 今度の新たな国立成育医療センターでは、いわゆる、よく用いられますところの百ベッド当たりの看護婦数というのが、旧小児病院時代は八十七・七人、成育医療センターになりましたら、これが七十一・〇人と減少しておりますが、この事実を担当の部長は御存じでありましょうか。
冨岡政府参考人 御指摘の点につきまして、成育医療センターが統合によりましてできたわけでございますが、実は、ある意味では病院の新設オープンとか統合といった場合には、いろいろな患者さんの数とか職員さんの数といった関係では、余り、変動と申しましょうか、いろいろ通常の巡航運転に入ったときとは違う状態が生じるものでございます。
 実は、病床数も小児病院のときよりもかなりふえまして、専門的な病床が五百床ということでございますが、まだオープンしたばかりで、なかなか現実には病床が埋まっていないといった点もございます。一方では、小児病院の方は四月に、事実上年度末で閉まるということでございますが、看護師さんの採用といった面で、中には就職されましてもすぐやめる方が一定数見込まれるとかいうことで、少し許容される範囲で雇ったりするとかいった点もありまして、必ずしも比較が難しいという点があるようでございます。
 そういう非常に変動と申しましょうか、ある意味では変革期での、なかなか比較しにくい時期の問題と思っております。
阿部委員 今の御答弁がきちんと労働条件等を勘案した上での御答弁であれば、私も、まだこっちもつくりかけだし、ちょっと少な目なんですよというふうにとれますが、旧国立小児病院に行った患者さんたちは、ほとんど横へ水平移動しており、それに見合う看護婦数がむしろ減っておるという実態ですから、もう少し実態をこれもよく把握をしていただいての御答弁をいただきたいと思います。そして、でも、今の御答弁を聞く限り、これからはふやすんだというふうにも聞こえますので、ぜひとも充実の方向に進めてほしいと思います。
 と申しますのも、私が旧小児病院に勤務時代もそうでしたが、国立の小児病院といえども看護婦数は少のうございました。そして、夜間は看護婦さんたちは、本当にけなげですが、赤ちゃんを、患者さんを背中に背負って、信じられないような格好で看護しておられました。あるいは赤ちゃんにミルクを上げるときに、ベッドに置いたまま哺乳瓶だけを置きたくないから、抱き上げて、本当に手間暇かけて小児医療というのは行われるものでございます。
 そして、他の設置主体の小児病院と比べますと、国立の小児病院は、圧倒的に看護婦数が平均いたしまして少のうございます。例えば、私の友人が副院長をしておりました長野の県立こども病院などは、百床当たりの看護婦数百三十一・八人。今度の国立成育医療センターが八十七・六、断トツ少ないのです。
 今これを言っても細かいデータがないと言われると思いますから、きちんとこれから、他の設置主体よりも国立のセンターの看護婦数が少ないんだということを、その視点から見ていただいて、必要な配置に向けて部署としての御検討をお願いしたいと思いますが、確認の答弁をお願いいたします。
    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕
冨岡政府参考人 成育医療センターにつきましては、私どもとして病床の性格上非常に手厚い看護体制をしいているものと思っております。小児病院のころと比較いたしましても、看護体制自体は決して見劣るというものじゃなくて、新しく充実した病棟といったものもございます。それは御案内のことかと思っております。
 それで、先ほど申し上げましたが、五百床規模のかなり高度で近代的な病床を用意したわけでございますが、なかなか五百ということにはまいらないわけでございまして、ちなみに、最近の時点で勘定しますと、入院患者百人当たり百十七人の看護師さんということで、そういう面でも決して見劣りするとか機能的に不十分というものではないんではないのかと思っております。
阿部委員 いただきました数値ですから、お答えいたしますが、例えば群馬県立小児医療センターが看護婦さんが百二十三・五人。やはり本当の意味で、まだ充実したというふうにおっしゃるにはゴールは遠いと思いますし、成育センターですから未熟児、新生児もどんどん搬送されてまいりますし、ぜひ今後本当に必要な看護婦数の確保に向けて検討をよろしくお願い申し上げます。
 引き続いて、国立病院関係はこれで一段落させていただきまして、診療報酬改定について伺います。
 さきの数回さかのぼる委員会で、いわゆる診療報酬改定が、手術件数の多寡、多い少ないによって、特に高度な手術については、例えばひざの骨頭の置換、ひざの関節の手術ですね、これが、三人以上お医者様がいて患者さんが五十人以上の場合を例に出させていただきますが、これだとフル、満額の診療報酬。ところが、これが、五十人を欠けお医者様が三人いないと減額されるという診療報酬体系になりました。
 私は、この体系が導入されたときに、これではお医者さんの数ばかり多くて、それはたくさんいれば件数も多くなりますから、でもお一人当たりの手術件数は少ないかもしれないし、何せ大病院優遇、中小病院切り捨てになるのではないかということを質問いたしまして、当時の担当局長から、しかるべく診療報酬改定を見直していくという御答弁をいただきましたが、どのように改善されたかの御答弁をお願いいたします。
    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕
真野政府参考人 ことしの四月の診療報酬改定におきまして、先生御指摘のような対応を行ったところでございますが、ことしの五月時点で、手術の施設基準の届け出状況を見ますと、施設基準の要件を満たす保険医療機関数に偏りが見られたというようなこともございまして、中医協における議論を踏まえまして、ことしの十月から、これまでの手術のグループ数、これを減らすということによりまして、症例数の要件を緩和する。それから、先生御指摘の症例数でございますが、症例数の要件の六〇%を満たしており、さらに専門医が手術を行った場合には、手術料の減額は行わないというようなことの見直しを行っております。
阿部委員 今御答弁いただきましたように、例えば、ひざなんかは日常的に痛むところで、地域にある中核病院でも、手術件数五十にいかなくても、ある程度習熟した先生がおられて指導をなさる場合には、それもきちんとした診療報酬にしようと。当然なされるべき改正でしたし、特に今後このような件数によって多寡を決めていこうとする場合には、ぜひとも実態、実際を見ていただきたい。
 と申しますのは、これまで、例えば昨年の秋出ました厚生省の医療提供体制の見直しという中でも、いつも指摘させていただきますが、地域の中核病院がどんな役割を果たしているか。日常的に、でもそこになくては困って、手術も、遠くまで行ってはおじいちゃん、おばあちゃんは通えないわけです。ひざの手術なんかしてもらって、例えば一日がかりで往復するようなところに、その後が通えません。そういう実態がありますので、今一番厚生労働行政の中で、特に厚生行政の中で必要なのは、私は医療提供体制とその質だと思っております。
 質の方は医療ミスの問題で、きょうは珍しく私にしては触れませんけれども、診療報酬体系によって提供体制が大きく変わっていきますので、そういう点をぜひとも御勘案いただいて、今後の政策に生かしていただきたいと思います。
 では、この点については終わらせていただきまして、引き続いて臓器移植問題に入らせていただこうかと思います。
 臓器移植の法施行後、一応は三年以降に見直しをしなくてはならないということで、昨日も議連、生命倫理議連、あるいは私が加入しております脳死を人の死としない議員の会などでもいろいろな論議が上がっておりますが、私は多様な見直し点が必要になってくるかと思います。
 特にマスメディア上論じられますのは十五歳以下をどうするこうするというお話ですが、私はいろいろな意味で反対でございますが、でも、それをのけたとしても、このような救急医療体制でそんな論議をしているのは笑止千万と申しわけないけれども思いますが、きょうはその点でもまたありません。
 いわゆる臓器の適正な、そしてフェアなレシピエントへの配分をめぐって、臓器移植ネットワークという仕組みが社団法人ででき上がりましたが、実は、この社団法人臓器移植ネットワークは、毎年毎年、いわゆる決算収支報告が四年続けておくれまして、私が先回もこの委員会でも取り上げまして、やはり非常に重大で、公明正大なことが行われなければいけないところが、いろいろに会計上問題あるのではやっていけないじゃないか、この点についてどういう指導をしておるんだということを伺いました。
 これは同僚議員の山口わか子さんが、決算行政監視委員会でも、こんなに毎年決算報告がおくれるのであれば文書できちんと指導しなさいということを言い、御答弁でもそうしますということをいただきましたが、果たしてどのようになりましたでしょうか。お願いします。
高原政府参考人 御質問の日本臓器移植ネットワークに対します文書による勧告でございますが、平成十四年八月二十九日付で改善勧告書を発出しております。
 内容といたしましては、一、会員の状況ということと、御指摘の会計処理については、公益法人会計基準に基づき処理する体制を整えつつあるものと判断できるが、国庫補助金による事業を行っている公益法人として、引き続き公益法人会計基準に基づく処理がなされるとともに、国庫補助金の交付要綱に基づく適正な処理を行われたい旨の指示を行ったところであります。
阿部委員 いただきました資料によりますと、そのほかにも、例えば、きちんと会員登録をするとか、微に入り細にわたりの御指導でございますので、一応この委員会でも取り上げさせていただいて、きちんと実施していただいたということを評価しながら、でも、それが四年も五年もじゃなくて、やはり社団法人、公益法人のあり方ですから、今後もきちんとやっていただきたいと思います。
 そして同様に、これもその折に取り上げさせていただきましたが、いわゆる脳死臓器移植、これまで二十二例が実施されましたが、その中でも四例目になります大阪府の千里救命センターの事例では、日弁連、日本弁護士連合会の人権監視委員会から人権侵害の疑いがあるという勧告が出されました。
 これは、国の検証委員会では、まあいいんじゃないか、幾つかの問題はあるがいいんじゃないかという指摘に終わっていた事例を、日弁連が、人権という観点から見た場合に、何度も何度も脳死判定を繰り返して患者さんに負担をかけた、家族にやはり心配をかけたなどなどいろいろなことがあって、勧告が出されております。
 その後の経緯と、移植対策室としての対応をお伺いしたいと思います。
高原政府参考人 御指摘の勧告書につきましては、四月十七日に御質問いただいた際、脳死下での臓器提供事例に関する一つの指摘として検証会議にも報告し、議論していただきたいとお答えしたところでございます。これを受けまして、六月二十一日に行われた検証会議において、資料として配付し、御報告を行っております。
 当日の検証会議におきましては、勧告書と、勧告を受けた事例を検証した臓器移植専門委員会報告書をあわせて検討したわけでございますが、報告書の内容について特段の問題は指摘されませんでした。
 なお、その専門委員会の報告書でございますが、御指摘の件につきましては、当該医療施設では、施設の言う臨床的脳死判定を治療方針決定の参考とするために行っており、その内容は無呼吸テストを含んでおり、指針に示す臨床的脳死判断の方法とは異なる、その結果、無呼吸テストの回数が多くなったことからも、必ずしも適切とは言えない、そういうコメントを、脳死判定等に係る医学的評価に関する作業班からいただいておるところでございます。
阿部委員 私が問題としたいのは、必ずしも適切と言えないと言われた場合に、そのことを受けて臓器対策室がどう動いたかということなのです。
 日弁連の人権侵害勧告を受けて、受けた当初は、この千里救命センターは、自分たちのマニュアルだからいいじゃないかと言っておられました。しかしながら、その後何回かの検討で、この間、七月の一日でしたか、今までの臨床的マニュアルを変えました。これは、実は、移植対策室が指導して変えたのではなくて、日弁連が人権勧告して変わっております。
 移植対策室というものに期待されるものは、やはり国民が安心して本当に、例えば脳死状態になったとき、きちんと治療されて、そしてドナーとなりたい意思があった方が提供されるということを法が定めたわけで、検証会議で問題があるという、あるいはこれこれの問題であるということがどう指導に生かされたかというところが一番問題と思いますが、その点はいかがですか。
高原政府参考人 一つには、いわゆる検証結果につきまして、臓器提供施設も知り得る状態にはなっておったわけでございます。これは委員御案内のとおりだと思いますが、今回の御指摘も踏まえまして、今後においては検証の結果を臓器提供施設に必ず連絡するということについて検討してまいりたいと考えております。
阿部委員 本当に、それが当然の対応だと思います。それでなければ、何のために検証会議をやっているのか意味が出ませんので、必ずそのようにお願い申します。
 と申しますのも、実はこのケースも含めて、人権救済の申し立てが相次いでおります。既に四件出ております。
 そして、去る十一月十二日に実施された和歌山県立医大の事例でも、実はこれは法的脳死判定に入ってから、あ、脳波があった、やり直し、もといとなりました。でも、これはやはり、法的脳死判定というのを、あ、脳波があった、やり直す、そして、やり直そうというあと三時間余りは何ら治療らしい治療もされず、三時間たって、しっかり脳死になったかな、もう一回やってみようという事例だと報告されております。
 今後の検証会議にかけられることと思いますが、今局長のお答えになりましたように、やはりきちんとした検証会議が行われ、それを返していける体制を、この件についても、検証会議の結果をお待ちしますから、よろしくお願いいたします。
高原政府参考人 ただいま、脳死と判定されたドナーとなった方が第一回の判定の際に脳波があったというふうな御認識でございますが、私どもは、その可能性を全く否定するものではありませんが、かなりアーティファクトであった可能性もある。それから、その終了後、きちんと体の保護というふうなことは行われておりますし、いずれにいたしましても、ただいま委員御指摘のとおり、今後、検証会議において、脳死判定や救命医療の状況、そういったものにつきまして検証してまいりたいと考えておりますし、それを知らせたいと思っております。
阿部委員 実は最近は、脳死臓器移植の事例は、患者さんのプライバシーということでほとんど新聞報道もその内容に至ってはなされず、逆に言えば、それだけ検証会議の役割が大きくなっているんだと思います。そういう自覚に基づいて、今もし高原局長がおっしゃったようであれば、それはそれでまた安心の一つのデータになるかもしれませんし、逆にアーティファクトか、人工的かどうかという微妙なものを脳死近隣の状態になるとチェックしていかなければなりません。まだきっと局長のところにも検証会議に足るデータが上がっていないと思いますから、私もそれを待って、また御答弁をいただきたいと思います。
 あわせてもう一つ。いわゆる臓器移植によって移植を受けた側、レシピエントの皆さんはどうお暮らしか、どうお過ごしかということでお伺いいたします。
 実は、私どもが把握しているだけでも、これまで八名の方が移植後に亡くなっておられます。もちろん、余命六カ月とか言われた御病気ですから、もとの御病気の進展ぐあいもおありかと思いますが、このレシピエントサイドの検証というのは果たしてどのように今後取り組まれますでしょう。
 と申しますのも、検証会議では、ドナーの方たちの問題はまだ俎上に上りますが、ある程度、二十二例の方が貴重な臓器を提供され、それを受けられたレシピエントサイドの情報というのは国民には閉ざされたままでございます。今後、移植対策室でどのような検討を行っていかれるのか、この点についてお願いいたします。
高原政府参考人 脳死移植を受けたレシピエントの予後につきましては、日本臓器移植ネットワークにおきまして、生存率ないしは生着率について把握しております。厚生労働省といたしましても、ネットワークよりその報告を受けております。臓器移植の実施状況に関する国会報告の中にも生存率等の移植結果について盛り込むなど、広く一般に公表しておるところでございます。
 例えば、二年生存率で見ますと、心臓は一〇〇%、肺は七二・九%、肝臓は八一・九%、腎臓は九三・三%が生存率でございます。生着率は当然これまた違ってまいりますが、例えばそのような報告をしております。
 脳死下におきます移植事例につきましては、欧米においては一般的な医療として定着しておりまして、そうした治験を踏まえて、どのようなレシピエントがいいのかということで、現在も患者の移植適応の評価の中身として行っているところでございます。しかしながら、我が国におきましては、まだ症例数が少ないこともありまして、予後の詳細な分析等は行っていない状況でございます。今後、事例の集積を踏まえ、関係学会等の動きも見ながら、そういった研究の必要性について検討してまいりたいと考えております。
阿部委員 何でもそうですが、技術というものは、それが定着するまでの間、一番いろいろな問題が起こるものです。その意味でも、集積を、症例を重ねてというマスの見方をすると同時に、一例一例きちんと、でき得る限りのフォローはしていただきたいと思います。
 と申しますのも、日本では心臓移植後のいわゆるバイオプシー、心筋バイオプシーといって、心筋の傷みぐあいを診る回数が、学会報告に上げられた論文を見ましても、圧倒的に欧米よりも多い回数でございます。一回一回レシピエントに負担でもありますので、やはり移植医療の質をきちんと移植対策室としても把握しておく必要が、今後の国民の判断にも響いてくると思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、インフルエンザの予防接種シーズンを迎えまして、予防接種のことについてお伺いいたします。
 実は、日本で使用されておりますほとんどのワクチンの中には、ワクチンが細菌汚染から守られるために水銀化合物が入っております。この件につきましては、既に平成十三年の十月段階で、衆議院では家西委員、参議院では朝日俊弘委員だったと思いますが、我が国のワクチンの中で、特に水銀、ほとんどのものに含まれておりますし、アメリカでのいろいろな予防接種委員会の勧告等は既に、やめなさい、とめなさい、なしにしなさいという報告が上がっておる折から、日本としてはどのように対処すべきか、それを抜くような方向で、水銀を使わない方向にしてはどうかという御意見の提示がありました。
 この一年の経過を踏まえて、進捗状況をお願いいたします。
小島政府参考人 ワクチンに保存剤として添加されておりますチメロサールの問題でございますが、先生御指摘のように、十一年当時、アメリカ、ヨーロッパの議論を踏まえまして、我が国といたしましても、製造業者に対し、チメロサールの使用を中止または削減を検討するよう指導したところでございます。あわせて、ワクチンからチメロサールを抜く等の一部変更承認申請がなされれば、承認審査を迅速に行う旨示したところでございます。
 お尋ねのインフルエンザワクチンに含まれているチメロサールの量につきましては、その後、平成十四年一月に北里研究所が製造するチメロサールを使用しない製品が既に承認をされました。また、他社の品目につきましても、従来の製品に比べまして十分の一から二十分の一に、添加されておりますチメロサールの量が削減されてきているというのが実情でございます。
阿部委員 恐縮ですが、最後に大臣に一つお願いいたします。
 削減の努力は認めますし、ただし、やはりフリー、なしにしていただきたい。こうしたものへの感受性と申しますのは個体差がありますので、そして、反復して使用されるインフルエンザワクチンなども今フリーのものもでき上がってきているというお話ですから、全般の指導を、使わないという方向にこれは誘導していただきたい。理由は、自閉症等の発生もあるというふうに疫学的には言われておりますが、それがあるかないかわからないときは予防原則に基づいて使わない方向にというのがこれからの厚生行政の基本と思いますので、最後に一言、よろしくお願いします。
坂口国務大臣 よく検討いたします。
阿部委員 ありがとうございます。
坂井委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時九分散会


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