衆議院

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第4号 平成15年3月19日(水曜日)

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平成十五年三月十九日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 中山 成彬君
   理事 熊代 昭彦君 理事 長勢 甚遠君
   理事 野田 聖子君 理事 宮腰 光寛君
   理事 鍵田 節哉君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 武山百合子君
      浅野 勝人君    岡下 信子君
      後藤田正純君    左藤  章君
      佐藤  勉君    田村 憲久君
      高木  毅君    竹下  亘君
      棚橋 泰文君    西川 京子君
      林 省之介君    原田 義昭君
      平井 卓也君    松島みどり君
      三ッ林隆志君    水野 賢一君
      宮澤 洋一君    森  英介君
      谷津 義男君    山本 明彦君
      山本 幸三君    吉田 幸弘君
      渡辺 具能君    家西  悟君
      大石 正光君    大島  敦君
      加藤 公一君    五島 正規君
      城島 正光君    中川 正春君
      三井 辨雄君    水島 広子君
      江田 康幸君    桝屋 敬悟君
      佐藤 公治君    小沢 和秋君
      山口 富男君    阿部 知子君
      金子 哲夫君    山谷えり子君
      川田 悦子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 原田 親仁君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           河村 博江君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  真野  章君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十九日
 辞任         補欠選任
  奥谷  通君     原田 義昭君
  松島みどり君     山本 明彦君
  森  英介君     浅野 勝人君
  谷津 義男君     水野 賢一君
  吉野 正芳君     左藤  章君
  釘宮  磐君     中川 正春君
同日
 辞任         補欠選任
  浅野 勝人君     森  英介君
  左藤  章君     林 省之介君
  原田 義昭君     奥谷  通君
  水野 賢一君     谷津 義男君
  山本 明彦君     松島みどり君
  中川 正春君     釘宮  磐君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     高木  毅君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     吉野 正芳君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
 平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――
中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官原田親仁君、厚生労働省健康局長高原亮治君、社会・援護局長河村博江君、保険局長真野章君及び年金局長吉武民樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
中山委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。
大島(敦)委員 おはようございます。民主党の大島敦でございます。
 それでは、ことしの四月一日からの年金額の改定に関する法律案につきまして御質問させていただきます。
 これまで、年金を下げたことはございますでしょうか。
木村副大臣 おはようございます。
 これまでに年金を引き下げたことがあるかという御質問でございますが、これまでに年金を引き下げたことはございません。
大島(敦)委員 今回は物価スライド、今の国民年金法ですと完全物価スライドですから、前の年の一月から十二月までの消費者物価指数によって翌年の四月一日から完全に物価スライドさせるという、この完全物価スライドを適用するということと理解しております。
 それでは、物価スライドの導入の経緯について御説明していただければ幸いです。
吉武政府参考人 御説明申し上げます。
 物価スライド制につきましては、経済が変動いたしますので、その中で年金額の実質的価値を維持する観点から、昭和四十八年の年金制度改正におきまして、消費者物価が五%を超えて変動しました場合に、その上昇しまたは低下した比率を基準として年金額を改定する仕組みとして導入されたものでございます。
 その後、平成元年の制度改正におきまして、今申しました五%の枠を取り外しまして、物価の変動に応じまして、その上昇しまたは低下した比率を基準として翌年四月以降の年金額を改定することとなったものでございます。
大島(敦)委員 物価スライドということで、物価が上がれば年金も上げ、物価が下がれば年金も下げるということなんですけれども、物価スライドの導入時点において、その背景として、今のようなデフレ、物価が下がるということが想定されてなかったのではないかと思うんですけれども、その点についてどう考えればよろしいでしょうか。
吉武政府参考人 ただいま御説明申し上げましたように、法律上の規定といたしましては物価が上がった場合、下がった場合、いずれも改定するという形で規定をされておりますので、法律としては下がった場合に下げるということも想定をいたしておりましたが、四十八年当時の状況を申し上げますと、いわゆるオイルショック、ドルショックの時期でございますので、むしろ物価が非常に上昇するという時代背景があったんだろうというふうに考えております。
大島(敦)委員 物価スライドについては、物価が上がることは想定されていても、物価が下がることはそれほど想定されてなかったと考えます。したがいまして、去年、そしておととしも、年金を下げることについては大分抵抗があって、国会としては、下げなかった判断をしてきたと考えております。
 それでは、どうしてことしだけ年金を下げるのか、御説明してください。
坂口国務大臣 確かに、この制度ができますときには、インフレに対する思いが強かったというふうに思いますし、デフレということはなかなか想定しにくい時期であったことは今委員が御指摘になったとおりでございます。
 三年間にわたりまして引き下げを凍結、凍結と申しますか、引き下げを行わなかったわけでございますが、これは、そのときの社会経済情勢等も勘案をいたしまして、そうした方がいいだろうと。また、これほどデフレがさらに進んでいくということが想定しにくかったということもあったというふうに思います。
 しかし、十四年度に入りましたころから、いわゆる保険料を納めていただいております若い皆さん方の賃金が低下をし始めたということがございます。保険料を納めていただく若い皆さん方が賃金の低下を辛抱していただいているにもかかわらず、それによって支えられている年金の方が、物価の低下に対しましてそのままにしておくというのもいかがなものかという議論が出てまいったわけでありまして、そうした世代間の問題も考慮して、ここまで参りますと、ことしの分につきまして、ことしの分といいますか、平成十四年の物価低下に対します値だけは低下させてもらうのが妥当ではないかという結論に達したところでございます。
大島(敦)委員 ただいまの坂口大臣の御答弁ですと、平成十三年の後半から昨年、平成十四年の給与所得というのは、対前年比で初めて最近下がった、したがいまして、給与所得者、そしてそれに支えられている年金の受給者のバランスを考えれば、年金も下げても納得感があるのかなという御答弁であったと思います。しかしながら、給与所得者の給与の性格と、老後の生活費としての年金というのは、性格が若干違うのではないかなと私は考えます。
 それでは、もしも下げた場合なんですけれども、今回は〇・九%下げると聞いておりますけれども、給付額を据え置いた場合との差額はどれくらいか、御説明ください。
木村副大臣 御質問の所要額の差額の件でございますが、年金と諸手当を合わせまして、給付費ベースで約三千二百億円、国庫負担ベースでは約四百五十億円でございます。
大島(敦)委員 もう一つ、下げた場合の一世帯当たりの影響なんですけれども、モデルケースで御説明ください。
吉武政府参考人 マイナス〇・九%で改定を行いました場合の年金額への影響でございますが、基礎年金六万七千円をそれぞれ受給しておられる夫婦お二人の世帯の場合に、月額で千二百円でございます。それから、厚生年金の標準的な年金額約二十三万八千円を受給しておられます御夫婦二人の世帯の場合に、月額で二千百三十三円でございます。
大島(敦)委員 今のデフレ下においての三千二百億円の所得減になるわけです。年金の生活者というのは、この三千二百億円は、貯蓄に回るよりも、ほとんどが消費に回る金額であると考えます。
 ただいま政府の方から、一世帯当たり、国民年金ですと一千二百円、毎月、そして厚生年金ですと二千百円程度、毎月年金額が下がるというお話がございました。一千二百円という金額なんですけれども、少ないようですけれども、国民年金だけで生活している家庭にとっては十円、百円という金額が大きな金額でございます。今国民年金を頼りにして生活している人にとっては厳しい生活を強いられるのではないのかなと私は考えております。
 そこのところのバランスなんですけれども、国民年金をいただいている方の実感値、そして厚生年金をいただいている方のこの二千百円程度という実感値、そこの痛みについて坂口大臣はどうお考えになっているのでしょうか。お気持ちをお聞かせいただければ幸いです。
坂口国務大臣 今お話がございましたとおり、それが千五百円であれ二千円であれ、減ることに変わりはないではないかという御意見だろうというふうに思いますが、物価がその分下がっているわけでありますから、物価から見れば私は中立だと思うわけでございます。
 この三年、これで四年になりますか、全体で見れば、全体で二・六ないし七%の下落ということになるわけでございますが、その中で、ことし分だけ〇・九、昨年の分だけ〇・九ということの引き下げにさせていただくということでございますので、年金生活をしておみえになります皆さん方からすれば、物価がどうであれ、やはり下がることに対して抵抗感をお持ちになることは、それは当然だというふうに私も思っておりますが、しかし、先ほども申しましたように、世代間の助け合いによって成り立っております年金でございますから、そこはどうぞ御理解をいただきたいというのが私の思いでございます。
大島(敦)委員 昨年の十月から老人医療費の見直しを行っております。この間、地元の歯医者さんとお話をしましたら、昨年の十月からの老人医療費の見直しで相当厳しくなっているというお話を伺いました。これまで定額制だったものが定率制になって、同じ医療を受けるだけの自分の資金が、手持ちの現金がないということで、厳しくなっているというお話を聞いております。坂口大臣のところにもそのような声は入っていらっしゃると思います。
 確かに、給与所得者も所得が下がったんだから、それに支えられている年金生活者の年金額も下げるというのは理論としては合っていると思うんですけれども、納得感はあるかもしれません。しかしながら、昨年の十月から老人の方たちにとっては非常に厳しい政策を国としてはお願いしているわけですから、ここのところ、下げるという合理性があるかどうかについて、もう一度坂口大臣のお考えをお聞かせください。
坂口国務大臣 今お話しございましたとおり、昨年十月から定率制にさせていただいたということがございまして、その数字が出てまいりまして十月の状況等を拝見いたしますと、今までに比較をいたしますと、やはり受診日数というものがかなり少なくなってきている。十月と十一月で、対前年同期比で二・八%の減になっております。十月だけでございますと三・三ぐらいのマイナスでございまして、十一月に少し回復をいたしております。
 この状況を見ますと、高齢者に対して行ったわけでございますが、高齢者だけではなくて若年者も十月に減っているということでございまして、それがどういうことで対象となる高齢者だけではなくて若年者にまで及んだのかということも少し分析をしなきゃならないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、九月におきましては、いわゆる駆け込み受診というのがあって、十月にうんと下がって、十一月に少し回復をしてというような状況でございますので、ここのところにつきましては、あと一、二カ月ぐらい、全体として三、四カ月を見れば大体その傾向がわかるのではないかというふうに思っておりますので、もう少し今後の動きというものに注目をいたしているところでございます。
 こうしたことで御負担をいただいておりますことが今後の医療にどう影響をしていくのかということもよく考えていかなければならないことでございますから、引き続きまして、ここは医療全体の中でも十分に考えていかなければならないことになるのか、あるいはならないのかといったことも十分に考えていかなきゃならないというふうに思っております。
 そうした中におきまして今回のこの年金の問題があることも十分承知をいたしております。やはり社会保障というものは、年金は年金、医療は医療という、別々に考えるのではなくて、トータルでどう考えていくかということになるんだろうというふうに思いますから、そうした配慮も十分にしていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
大島(敦)委員 ただいま坂口大臣から、年金の見直しというのは、医療の問題とか介護の問題とか全体的な枠組みの中で考えるべきだというようなお話がございました。私もそのとおりであると思います。
 そして今回、坂口大臣の地元で、坂口大臣の支持者の方、多くの方が年金をいただいていると思います。その坂口大臣の支持者の方で、ことしの四月一日から年金が上がることを知っていらっしゃる方は多いとお考えなのか、あるいはそれほど多くないのかな、そこのところをお聞かせください。
坂口国務大臣 いろいろのお手紙をいただいたりいたしております。やはり下がるのは困るというお手紙もあれば、まあしかし、〇・九%で抑えてもらったから、まずまずまあよかった、やはり若い人のことも考えなきゃならないという手紙もありますし、いろいろの反応があることは事実でございますので、反応があるということは、皆さん方もこの〇・九%、若干下がるということについては、かなり御存じをいただいていてお手紙をいただくものというふうに思っているわけでございます。
 ただし、お手紙をいただくのは一部の人でありますから、すべての人がそのことを御存じかどうかということはよくわかりませんけれども、何度かマスコミにも出てまいりましたし、また意識的に取り上げておりますテレビ等もあるわけでございますので、皆さん方にはかなり浸透してきているのではないかというふうに思っておりますけれども、そこはこちらも、どこまで浸透しているのかということをちゃんと調べたわけではございません。けれども、私の感じとしましては、皆さん方も、この下がるということに対してはかなり御存じいただいているのではないかというふうに思っております。
大島(敦)委員 年金を今受給されている方、四月一日から下がることを知っていらっしゃる方もいらっしゃいます、知っていらっしゃらない方も多いと思います。今回、この三月にこの法案を通して、翌月の四月一日から年金が下がる。受け取った年金の明細を見たときに、下がっていると、初めてそこで気がつく方というのは、生活に対してその千二百円、国民年金、非常に厳しい金額なんです。ですから、国としては、今回四月一日から下げるのが本当に正しいかどうかという判断もあったと私は思います、デフレなんですから。また、ここで三千二百億円分消費を落とすことが今の日本の経済にとって正しいかどうかという判断も必要だと思います。
 もう一つは、もしも下げるとしても、三月に決めて四月一日から下げるというのは厳し過ぎるのかなという気持ちがするんです。そこには三カ月なり六カ月なり、ある程度周知をする期間があって、それから下がるんでしたら、生活の準備もできますからうまく移行できるかもしれない。ですから、この激変に対して国としてどういう取り組みをされるのか、あるいはそういうお気持ちがあるのか、最後にお聞かせください。
吉武政府参考人 私の方から事務の進め方をちょっと御説明申し上げたいと思います。
 四月にお亡くなりになったような方につきましては四月に即時に年金を支払うケースがございますけれども、二カ月に一回年金を支給いたしますので、通常で申しますと、六月に支給をいたします。
 それで、年金額が変わりますので、年金額の改定通知書というのを必ず受給者の方へお届けすることになっておりまして、その中で今回の特例スライドの趣旨をお伝えして、受給者の方に少し早目に届けて、それから実際に年金額の振り込みが行われる、こういう手続を考えております。
大島(敦)委員 それでは一応六月からということなんですけれども、二カ月しかないというのはちょっと短過ぎると考えております。ですから、そこのところを十分御配慮していただいて対策をとっていただければ幸いでございます。
 私の質問を終わります。ありがとうございました。
中山委員長 次に、鍵田節哉君。
鍵田委員 民主党・無所属クラブの鍵田でございます。よろしくお願いをいたします。
 同僚の大島議員に引き続きまして、年金の特例法案につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 過去三年間、特例措置ということで凍結をしてまいったわけでございますが、今回は、財務省ともいろいろ交渉していただいて、御苦労いただいて、昨年度分の〇・九%のみ引き下げるという結論を得たということでございまして、一定の、評価まではようできませんが、一定の理解といいますか、そういうことにつきましてはそういうことだということで、申し上げておきたいというふうに思います。
 確かに、現役世代の負担とのバランスを考えるということも年金問題を考える場合の一つの重要な要素であるというふうにも思いますけれども、やはり年金の信頼性ということが一番重要でございまして、それらを考えていくといたしますならば、むしろ、平成十二年の年金改正のときの附則の二条で明記されました国庫負担の二分の一に向けての努力がされるべきではなかろうか。それらにつきまして、現在、厚労省としてどのように検討され、また、努力をされておられるのかということにつきまして、お聞きをしたいと思います。
坂口国務大臣 年金の改革につきましては、ことし一年間皆さん方に御議論をいただいて、そして、来年の通常国会においてさらに法案として御議論をいただきたい、そういうふうに思っている次第でございます。昨年末、年金の厚生労働省の考え方、そして今後の選択肢、そうしたものもお示しを申し上げて、ことし御議論をいただきますその一助にしていただきたいというふうに思って発表させていただいたところでございます。
 その中で、一番大きい問題は、やはり、将来の年金の形をどうするかということもございますが、今お話しいただきましたように、基礎年金のところの国庫負担をどうするかというところが大きな課題になることは間違いございません。既にこの問題は、もう二分の一に引き上げるというふうに前回の改正のときに決定をしていただいて、附則で法律にも書いていただいているわけでございますから、我々の立場といたしましては、どういたしましても三分の一から二分の一に引き上げをしてもらいたい、また、すべての計算も二分の一に引き上げをしてもらうということを前提にして考えているものでございますから、そこは何とか乗り切りをさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
 しかし、その附則の中にもございますとおり、やはりそれに見合うべき財源を確保してということになっているわけでございますので、どういう財源を確保し、そして基礎年金の三分の一から二分の一を実現するかというところが一番問題になるというふうに思っております。これは税制全般の今後の検討にもよるわけでございまして、社会保障の中だけの話ではないというふうに思っております。
 しかし、そうした税制、それから年金の将来像、そうしたことも決める中で、この問題はぜひ決着をしたい、そして、税制等におきましてもそのことを十分配慮をしていただきたいということを今申し上げているところでございます。
鍵田委員 十六年の改定に向けまして、大臣が、この基礎年金の二分の一に向けてのかたい決意を今表明をされたのではないかというふうに拝察をいたします。この期待をいたしまして、大幅な内閣改造がありましても、ぜひとも大臣に残っていただいて、この実現のために努力をしていただかなくちゃならぬのじゃないかというふうに思っておる次第でございます。
 それでは次に、昨年のこの法案の審議のときに、我が党の金田誠一議員が大臣に御質問させていただきました内容につきまして、大臣の方から大変率直に、非常に低額年金の受給者がたくさんおられるということは余り御存じなかったというふうなお答えをいただきまして、また、それらの人たちに対しても何らかの配慮をしなくてはならないなと、昨年の場合は凍結法案でございましたからそういうことで済んだわけでございますけれども、今回は引き下げということになるわけでございます。一万円以下の年金、二万円、三万円というふうな低額の年金の方も国民年金の場合にはたくさんいらっしゃるわけでございます。昨年の場合でも、八万八千九百九人いらっしゃるというふうなことでございました。そういう中で、大臣としましては、心情的に申しますならば、一万円から二万円の皆さん方に、物価が下落したからといって、これで下げますよということはなかなか言いにくい話であるというふうな答弁をなさっていらっしゃるわけでございますけれども、それらにつきまして、今回の〇・九%の引き下げという法案の中身の中で、こういう低額の受給者に対して何らかの措置をとられているのかどうか、それらにつきましてお答えをいただきたいと思います。
坂口国務大臣 先ほども大島議員にお答えをしたところでございますが、三年間物価下落がございましたが、しかし、年金の方は据え置きを続けさせていただきました。それはやはり、年金の中でも少ない年金の皆さん方に対する配慮といったものを続けてきたというふうに思っております。
 しかし、そうはいいますものの、四年目に入って、そして物価下落だけではなくて、その年金を支えていただいております若い勤労者の皆さん方の賃金がやはり下がってきている。若い皆さん方が賃金の下がる中で御苦労をしていただいて、そしてその中でまた保険料を、自分たちの将来もあるとはいいながら支えていただいている、そういう状況の中でございますので、ここまで参りますと、年金生活者の皆さん方にも応分のお願いをやはり申し上げなければならないということに立ち至ったということでございます。
 全体としましては、四年分まとめて下げられないかという御意見もあったわけでございますが、それは、一年一年皆さん方に法案を出させていただいて御議論をいただいてきたことでございますから、まとめて全部下げるというようなことはでき得ない話でございます。したがいまして、昨年一年分の〇・九%の下落ということでひとつ御理解を得たいというようなことで最終まとめをしたところでございます。
 どうぞ、そういうことでございまして、特段、年金の低額の皆さん方に特別の配慮というものをいたしてはおりませんけれども、幅を〇・九%に縮めるということによってその皆さん方にもおこたえをしたいというような気持ちで決定したところでございます。
鍵田委員 私としましては何とも評価のしようがないわけでございまして、これ以上の言葉もないわけでございますが、やはりもう少し、そういう低額の受給者の皆さんに対して何らかの措置がとられなかったのかということを非常に残念に思っておりますが、時間の関係もありますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 きょう、健康局長は来ていただいておりますか。――若干法案から離れるんですが。大臣がお医者さんでもございますので、ほとんどは大臣からお答えいただいても、結構だというより、大臣の方がありがたいと思うんですが。
 今急速にアジアを中心にしまして伝染をしておりますなぞの肺炎の問題について、これは緊急性がございますので、若干事実関係をお尋ねしたいというふうに思います。
 何か病原菌もまだ確定されておらないということで、重症急性呼吸器症候群、SARSというふうな言い方をされておるようでございます。WHOが三月十五日現在で報告されているところでは、インドネシアとかカナダ、シンガポール、タイ、中国、フィリピン、ベトナム、香港というようなところで今伝染をしておる、こう言われておるんですが、そのほか、地域的には中国の幾つかの都市または台湾などでも広がってきつつあります。これが十二日の日のCNNで大変センセーショナルに報道をされたと私も友人のお医者さんから聞かされておるわけでございますが、実は、この問題につきまして日本のメディアなどは、この前の日曜、夕刊が休みということもございましたので、月曜日まではほとんど報道もされておらなかった状況でございます。何か、航空機を使って移動した人がそれぞれ行き先で入院をされて、そこの病院がまた職員を中心にその病気が伝染をされておるというような実態があるやに聞いておるわけでございます。
 そういうことで、十二日にCNNでそういう報道があったということでありますが、日本の例えば厚生労働省にWHOからどんな連絡が来て、そして、日本でどのような対応策をいつどのような時点でとられてきたのかというようなことの事実関係につきまして、お答えをいただきたいというふうに思います。
木村副大臣 御指摘の重症急性呼吸器症候群、SARSにつきましては、三月十二日に、WHOによりホームページ上で最初の発表が行われました。厚生労働省といたしましては、直ちに、同日付で、都道府県等に対しまして、国内医療機関への情報提供及び患者情報の提供を求めるよう通知し、日本医師会にも情報提供をしたところでございます。
 翌十三日には、検疫所より、出入国ロビーにて海外渡航者に対し情報提供を開始いたしまして、また報道機関からの照会にも対応したところでございます。
 十四日以降も、WHOの追加情報に基づきまして、国内の医療機関に対し、具体的な患者の報告基準を示すとともに、万一そのような患者を診察した場合には個室対応等の院内感染防止措置を求めるよう適切な対応を求めているところでございます。あわせて、国民の不安解消と海外渡航の安全のため、厚生労働省ホームページや報道機関等を通じまして情報提供に現在努めているところでございます。
 以上でございます。
鍵田委員 メディアの報道なども、最初にWHOあたりから発表されてから時間が経過をしておった。マスコミによってあおり立てて、何か国民に不安を募らせるというふうなことは決してよいことではないかもわかりませんが、しかし、やはり国民の皆さんに一日も早く、こういうふうな病気が蔓延してきておる、そういうことで緊急に何らかの対策を立てるというふうな意味では、新聞やラジオ、テレビなどのメディアを通じて知らせるということが非常に大切なのではないかというふうに思うわけですけれども、どうも日曜日あたりでもそういう報道はほとんどなかった、月曜日になってから初めて報道されておるという実態がございます。
 そういうことについて、若干対応がやはりおくれておるのではないか、遅かったのではないかという印象を私も持っておりまして、その友人の医師からも、日本のこういう対応については非常に遅いじゃないかというおしかりをいただいた次第でございます。
 そういうことで、きょうお尋ねしたわけでございますが、また、一部のメディアの報道では、国内の軽度な影響が想定されて個別の対応を必要とする場合にとられるレベル2に指定したというようなことが書かれておったり、それから、こういう病気に対して対応できるのは全国で十二医療機関しかないし、二十二床しかベッドがないというようなことでございます。
 けさの報道によりましても、香港なりシンガポールあたりではかなりの数の重症者がおられるという報道がされておるわけでございまして、こういうことで十分対応できるのかどうかということにつきましてお答えをいただきたいと思います。
坂口国務大臣 先ほど木村副大臣から答弁のありましたとおりでございますが、このSARSにつきましては万全の体制をとらなければならないというふうに思っている次第でございます。
 今お話のございましたように、施設がちゃんとしているところはどうかというお話でございまして、これは今、感染しております状況を見ておりますと、地域的に大きくばっとインフルエンザのように広がってくるというよりも、その人の、何と申しますか、接触している人たち、その周辺、だから家庭内とかあるいは病院、そういうところで広がっているわけでございます。したがって、そういう患者が入院しますと、医師とか看護師さんとか、そうしたところにばっと広がっていくというようなことで、広がり方は、どちらかと申しますと、飛沫感染という言葉がございますが、話をするときに唾液が飛び散る、そういうことによって感染する、よく昔、結核で申しましたけれども、そういう感染でどうも周辺に広がっているという気がするわけでございます。
 WHOは、陰圧室と申しまして、部屋の空気が外へ出ないように陰圧にして、外からは入ってきても、その部屋の空気が外へ出ないようにする陰圧室というのがございますが、そういう設備のあるところ、それから手洗い等を備えた個室、独立した換気システムを持つ部屋、そうしたことを挙げているわけでございます。その陰圧室というようなものを持ったところというのはそうたくさんあるわけではございませんで、日本国じゅう二十二ベッドしか存在しないということでございまして、そういうところでなければならないというわけではございませんけれども、周辺に広めないというためにはそういうところが望ましいということを言っているわけでございます。
 全国で二十二ベッドしかないというようなことでは対応できませんから、それに適したと申しますか、適応できる体制というのは、普通の部屋でもこれはとれないことはないというふうに思っておりますので、それに準じた対応をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
鍵田委員 大臣に専門的なお答えをいただいておる間に時間が来てしまったのですが、WHOを通じてこういう対策は各地でとられるわけですが、実はまだこれに加盟していない国があるんですね。私、ちょっと心配になりましたので、問い合わせてみましたら、台湾でも二名の死者が出たという報道が現地でもされておるということのようでございます。WTOなどには入っているのですが、WHOには、どうも中国の圧力などがあって入っておらないということのようでございます。
 やはり世界の人々の健康というものを考えた場合に、そういう病気が発生した場合に、今は航空機などを通じて瞬時に世界じゅうに広がる、その病原菌が蔓延するわけでございまして、こういう漏れがあるということのないような体制が必要なのではないか。そういう意味では、日本としましても、WHOに台湾が加盟できるか、または、それと同様の扱いがとれるような対策が必要なのではないか。こういうことについて、特に、隣の国といいますか地域でもございますので、ぜひとも御配慮をいただきたいということをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
中山委員長 次に、武山百合子君。
武山委員 自由党の武山百合子です。
 まずこの法案なんですけれども、これまで物価スライドを凍結することを進めてきたのは政府であるということをまず言っておきたいと思います。
 過去の物価スライド凍結法案も政府が提出してきた、そして今回は十四年分の下落を適用するというわけですけれども、なぜ今回適用されるのかという説明がやはりまだ足りないと思います。そして、過去の物価スライド凍結法案も政府が提出してきて、今回だけ、十四年分だけ適用する、これもまた説明が不十分である。こうしたものは、国民から見ましたら、政府の行き当たりばったりの方針ではないか、年金に対する信頼はやはり下がる一方だと思います。そして、年金財政そのものがお手盛りではないかとやはり言わざるを得ないと思います。これは一つ指摘しておきたいと思います。
 それで、実際に年金の額が、いわゆる高齢者がもらう年金の額というものが下がるわけですけれども、これは、下がりましたらやはり消費にマイナス影響を与えると思うのですよね。大臣は、消費にマイナス影響を与えるということに対して、どう思いますでしょうか。
坂口国務大臣 前半のお話、これを決めたのも決めないのも政府ではなかったかというお話でございますが、それはそのとおりでございます。
 先ほどからお話し申し上げておりますように、三年間は社会経済状況等もございまして凍結をしてまいりました。しかし、その時点におきましてはまだ若年者の皆さん方の賃金が低下するというところまでは至っていなかったわけでございます。平成十三年後半ぐらいから、徐々にでございますけれども、若い皆さん方の、すなわち保険料を納めていただく皆さん方の賃金が下がってきた。そうした中で、その皆さん方に支えられている年金の受給者の皆さん方にもひとつ応分の御理解をいただきたいということで、今年におきましては平成十四年分に限りましてお願いをしたということでございます。
 これが消費にどう影響をするかということでございますが、物価が下がっているわけでございますから、物価に対しては私は中立だというふうに思っております。したがいまして、それにより消費が今まで以上に低下するということではないんだろうというふうに思っている次第でございます。
武山委員 若年層の賃金が下がるということで、これに対応したということです。これは、やはり見通しが甘かったんじゃないでしょうか。それに対する見通しはどうなんでしょうか。
坂口国務大臣 これは、景気全体の問題でございますから、年金そのものの見通しということではないというふうに思います。経済全体の動向からいきますと、そういう状況になってきているということでございますので、年金の方は前々から物価の動向等によって上げ下げをするということを決めていたわけでございますので、そうした中で今回決めさせていただいたということでございます。
 ですから、年金そのものの見通しということではなくて、経済そのものの動向の影響を受けている。経済の動向について予測がつかなかったのかというお問いでありましたならば、それはそうだというふうに申し上げる以外にございません。
武山委員 そうしますと、やはり経済の動向の見通しも甘いし、その結果、年金に影響したということですよね。そうしましたら、それはもう前々からある程度、突然になるのではなくて、徐々に見通しが悪くなっているというわけですから、なぜ今回この十四年分だけにこだわったのか、その説明をしていただきたいと思います。
木村副大臣 武山先生の御指摘の点でございますが、そもそもは、物価スライドという装置が年金に組み込まれているわけであります。それで、一番の年金の破壊システムというのはインフレなんですよ。だから、物価スライドという条項は、このインフレの破壊に対して、一番年金を守る、いわば生命維持装置につながるわけであります。
 ところが、御指摘のように、予想外のデフレが随分進行していった。当初は、先生の御指摘のとおりのところもあるわけでございますけれども、やはり、高齢者の方々の購買力の維持等、そういうところを考えて、できるだけ据え置きに努めてきたわけでございますけれども、ある意味では予想以上のデフレの進行に対して、先ほどから大臣が何回も御答弁申し上げておりますように、若年者、年金を支える側がこれ以上負担をするのはなかなか、やはり大変厳しいものがあるだろうと。それからもう一つは、この払ってしまった額というのは、本来、払わなければ将来に向けてとっておける、年金を将来においても持続させる、ある意味での原資であります。原資を先に払ってしまうということに対して、やはりもうこの辺が限界かなというところで、そのちょうど調和をとったのが今回の〇・九%の措置だと、私はこのように考えているような次第でございます。
武山委員 なぜことし分だけなのかということで、例えば財務省は、過去分すべてと主張していたわけですね。それで最後まで引き下げ率というのはもめたわけですけれども。
 今原資の話が出ましたけれども、年金財政でグリーンピア、ああいうものをつくりましたね。そして、それが損をしました。年金積立金の株の運用も失敗して、もうこういう状態だったら、年金の運営自体がお手盛りじゃないかと、やはり国民は思うわけですよ。
 そうしますと、じゃ、平成元年、自動物価スライド方式というものをなぜ導入したんですか。この導入したときの理由を述べていただきたいと思います。
木村副大臣 なぜ物価スライドを導入したかといいますと、先ほど私が説明しましたように、年金の一番の敵は、パブリックエネミーナンバーワンというんですが、インフレなんです。インフレは年金を破壊するんですよ、年金のシステムを。ですから、これに対する唯一の生命維持装置は物価スライドなんです。
 ところが、今回は、たまたまデフレがつながった。インフレの場合には、後追いなんです。ところが、デフレは逆なんですよ、物価の方が先に下がるんです。それで、その後を追って、その下がった分に見合って、これはここまで下がったので、じゃ、ここまで下げようかということになるので。インフレの方は追いついていけないんですが、これは後追いですから。私は、この点は違いがあるだろう、こういうふうに思っておるような次第でございます。
 なぜこの制度をつくったかというと、まさに年金を維持するための一番の生命維持装置がこの物価スライド条項であるわけであります。
武山委員 それでしたら、〇・三%、平成十一年、そのときになぜ〇・三%下げなかったんですか。ことし〇・九で、三倍になるわけですよ。〇・三と〇・九、三倍のその差というのは、結局五割増しということになりますよね、〇・三の三倍になりますから。そうしますと、消費に対するマイナス影響というのは物すごく受けると思うんですよ。
 それで、私も六十五歳になったら年金をもらうわけですけれども、今の私の場合でしたら二万五千円しかもらえないという計算らしいんですよね、計算していただいたら。二万五千円だというんですね。(発言する者あり)私が払っていないからだと皆さん言っておりますけれども。もちろんそれはそうなんですけれども。でも、平均して六万円ちょっとです。それだけで生活できると思いますか。そういうことも考えないといけないと思うんですよ。平均六万七千円で生活できると思いますか。
 じゃ、平成十一年のときに〇・三%をなぜ下げなかったんですか。ことしになって、三倍にしたときになぜ下げるんですか。
木村副大臣 そもそも物価スライド条項を守っていけば、先生がおっしゃるとおり、〇・三%下げにゃいけなかったわけでありますが、政府がこれをなぜ下げなかったかというのは、先ほどから何回も申し上げておりますように、やはり、高齢者の方々の収入とかのいろいろな配慮をしたわけであります。ただ、そのときに、支える側の賃金の方もこれほど下がるとは当時は予測していなかった面もあるのではないかな、私はこのように思うわけです。
 ところが、現在になりますと、おっしゃるとおり、先生の言われているとおり、もし〇・三から下げ始めますと、もう既に二兆数千億円の、二兆円近くの引き下げをトータルとして行わなければいけなかったわけであります。しかし、今回は、これはまだ三千億円でおさめているわけでございまして、その点は高齢者の方々にずっと配慮し続けてきた。
 ただし、もう現役の賃金が相当下がっておる今の段階においては、もうこれ以上現役の方々に御負担をおかけするのも限界に来たという判断から、今回はその調整をいたしまして、〇・九というところで折り合ったというか調整をさせていただいた、こういうようなところでございます。
武山委員 そうしますと、物価スライドの過去の凍結分は、どういうふうにして今後調整するんですか。
木村副大臣 これは、今回の法案の中にもそのようなことを、調整条項を書いておりまして、もし今後また物価が上がってまいりましたときには、先ほど申しましたように、今度はスライド条項が働きまして年金額を上げるわけでありますけれども、その上げ方を調整するというところで取り返そうというようなことがこの法案の中に埋め込まれているわけでございます。
武山委員 では、この下げなかったことによる財政の影響をどういうふうにして考えるんですか。
木村副大臣 下げなかったことによる影響というのは――下げなかったというのは、つまり先に払っちゃったわけですよ。先に払った分は、年金を将来払う分において恐らく影響が出てくるわけであります。だから、そこは、今申し上げましたように、もし物価が上がったときにそこは調整をさせていただこう、こういう仕組みになっているわけでございます。
武山委員 そうしますと、これから財政再計算で反映させていくという今のお話ですけれども、じゃ、どのように反映させていくのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。
木村副大臣 ですから、何回も申し上げておるんですが、物価が上がりまして年金額を上げるときに、その上げ方を調整させていただく、先に払ってしまった分が上手に取り戻せるように、徐々にその中で上げる幅を調整させていただく。上げる幅の中で、さっき言った、先に払ってしまった分を調整させていただくということになるわけであります。
武山委員 それで、常に国民から見ますとお手盛りじゃないかと思うわけですよ、都合のいいお手盛りじゃないかと。基本的に原理原則をきちっと示していただきたいと思うんですよね。
木村副大臣 確かに先生のおっしゃるとおり、原理原則は、物価スライド条項をそのまま守っておれば、ある意味で原理原則だと、こう思うわけであります。ですから、その中で、経済情勢とか高齢者への配慮とか、そういうことから、たまたまずっとこの三年間にわたりまして据え置きをしてきた、こういうところが問題であるというような指摘が、それは先生がされるのは、それはそれで理屈のあるところでございます。
 ただ、やはりいろいろな政策的な配慮もしていかなきゃいけない、今回はその調整の中での結果であろう、このように思っているような次第でございます。
武山委員 それでは、〇・九%に決まるまでの経緯はどういう状態だったんですか。
木村副大臣 ですから、ずっと、〇・三、〇・七、〇・七と下がって、一・七下がってきたわけですね。そして、今年になってまた〇・九下がりそうだと。もしこれを、このまま法律を通さないということになりますと、合計してマイナス二・六%。これを今年、一気に二・六%下げるということは、これは今までいろいろな議論がありましたけれども、高齢者への配慮、また景気への影響、そういうことが十分に考えられるわけでございます。そこで、今年度の改定はこの物価下落率の〇・九%の分だけ適用させていただく、こういう経緯になったわけでございます。
武山委員 三年分先送りして、一兆円の負担の先送りになると言っておりましたけれども、過去三年間の据え置きで、給付費のベースで九千八百八十億円の先送りとなっているわけです。ところが、今回〇・九%で四百十五億円が、厚生年金、国民年金、国庫負担が浮くという計算になっておりますけれども、これに対してどう判断しますでしょうか。
木村副大臣 その分だけ浮くという意味は、先生がおっしゃるのは、それはちょっと……。
 済みません、もう一回。浮くという意味はどういうことですか。
武山委員 〇・九%で、厚生年金と国民年金が四百十五億円、浮くわけですよね。負担分を先送りして、浮いてくるわけですよね、〇・九%に対して。
木村副大臣 四百十五億円の数字は、もし〇・九%マイナス改定をすると、国庫負担は四百十五億円、こういうことでございまして、この分、給付費が減るということを言っているわけでございますね。それがどういう御質問なのか……。
武山委員 今回〇・九%下げることによって、全体の、四百十五億円の国民年金それから厚生年金の国庫負担が浮くわけです。だから負担しなくていいということですよね。
木村副大臣 先生が言っているところは、そもそも、もし今回法律を通さないと、マイナス二・六、下げなければいけないわけでございます。ところが、今回〇・九に下げたので、その分でいきますと四百十五億円を負担しなければいけない、こういうことでございます。これを、一・七%の特例措置を講じると七百八十四億円になるわけであります。
 だから、先生が言っている場合は、全部下げた場合と、今〇・九%下げた場合ですが、〇・九を下げたということは、本来は二・六下げるんですから、それに対しては、その分だけ、こちらから出さなければいけないわけですね。マイナス二・六下げなければいけない、本来であれば。ところが、今回は特例によって〇・九に抑えた。そうすると、一・七分をだれかが負担しなければいけないわけです、本来であれば。
武山委員 それで、〇・九に視点を置きます。
 今回、〇・九%下げるということですね。下げたことによって、四百十五億円、国庫負担を使わなくていいということなんですよ。負担が浮くということなんですよ。
木村副大臣 支給額が減ることに対する浮く分ということですね。(武山委員「はい、浮くということです」と呼ぶ)それはそういうことでございますね。
武山委員 それでは、なぜ浮かせるような、〇・九%というふうにするのかということなんですよね。それで、なぜことしだけなのかということなんですよね。これまでずうっと凍結してきて、なぜことしなのかということなんですよ。
 若年層の賃金が下がった下がったと言いますが、それはずっと下がってきているんですよ。それで、なぜことしかということに対してやはり納得がいかない。納得がいく説明をしていただきたいということなんですよ。
木村副大臣 まず、若年層の給与が減ったのが十三年でございまして、十一年、十二年はプラスでございます。十三年、十四年と若年層の給与が下がってきているわけであります。ですから、若年層の給与がずっと下がってきたというわけではございません。
武山委員 でも、先ほど大臣はそう答えたんですよ。
 それで、政府はこれまで十一年から三年間ずっと凍結の方針を続けてきたのに、ことしだけなぜやりますかというわけですよ。ですから、全く行き当たりばったりの財政運営ではないかということを言いたいんです。
坂口国務大臣 先ほど私が申し上げましたのは、若年者の賃金が下がってまいりましたのは平成十三年の後半からでございます、平成十三年の後半から。したがいまして、それまでは賃金の下がるところまでは行っていなかった。賃金が下がるということは、支えていただいている皆さん方の賃金が下がるということでありますから、そのお若い皆さん方の支えによって成り立っております年金、そして、その年金を受けていただいている高齢者の皆さん方にもひとつ応分の御負担をお願いする以外にない、こういうことになったということでございます。物価は今までから、なるほどこの三年間、この四年間、ずっと下がってきておりますけれども、平成十三年後半、すなわち一年間丸々でいきますと十四年以降に賃金まで下がってきた、こういうことでございますから、そこは今までの分とこことは全然違うということを申し上げているわけであります。
武山委員 大臣がそう答えますと、じゃ、イタチごっこになりますけれども、なぜ平成十一年から下げなかったのかということにやはりなっちゃいますよね。これはいつになっても堂々めぐりですので、ここでやめますけれども。
 それでは、財務省は過去分すべてと主張してきたというんですね。この過去分すべて。〇・三から〇・九までの間。過去分すべてを、やはり引き下げ率でもめたというんですね。それでは、そのもめた話の内容をぜひお話ししていただきたいと思います。
木村副大臣 ですから、これは何回も申し上げておるわけでございますけれども、やはり高齢者の方々への配慮、それから景気への影響、この辺を考慮して最終的に調整をさせていただいたということでございます。
武山委員 じゃ、財務省はそこは考慮しないで主張したということなんですか。
木村副大臣 武山先生も御承知のように、財務省というのは、いつも出し渋るというのは、これは有名な話でございまして、何でも下げればいいというところがなきにしもあらずでございますので、その辺は先生も御理解いただけるんじゃないかなと、こう思うわけでありますが。
武山委員 省庁よりも立法府はその上に立っているわけですから、その立法府の中の政府の閣僚の一人なわけですから、財務省に負けたらだめじゃないですか。
 それで、私がそこで何を言いたいかといいますと、この年金財政で、結局損をしていますよね。年金積立金の、株や、いわゆる運用に失敗しているわけですよね。これは実際に、本当にそうなんですか。
木村副大臣 確かに御説のように、株式運用で約二兆円ぐらいの損失、評価損が出ているようでございます。
武山委員 じゃ、そういう責任をとらないで国民に責任を押しつけているということになるじゃないですか、年金を下げるということは。それに対してどう思いますか。
木村副大臣 運用の問題と今回の物価スライド条項の問題とは、私はやはり意味が違うと思うんです。
 先ほどから何回も申し上げているように、物価スライド条項というのは、これはインフレに対する、年金制度を維持する生命維持装置なんです。これがたまたまデフレのときにも働いている。しかし、さっきから何回も言いますけれども、インフレは後になるんです、インフレは追っかけなきゃいけないんですよ。ところが今度は、デフレの場合は、物価の方が先に下がっていっている。だから、デフレの方は、実質購買力の観点から見ますと、影響はやはり少ないんです。もしインフレで、どんどんどんどん上がっていって、それに年金が追いつかない場合には、それはまさに年金制度の崩壊につながってくるわけであります。それと今の運用の問題とは――これは運用の中身、ポートフォリオをどうするかということに尽きるわけでございまして、これは片っ方ではいろいろの政策的な配慮が言われているわけでございまして、こういう、今のように株価が下落する中では、年金の株式運用というのはいろいろなことが言われます。一方では、先生の言われるように、これは問題だと。しかし、もしここで株式運用から全部手を引けば確かに損失は生じない、しかし、それはまた、発表した途端に株式の大暴落につながるとか、いろいろな問題点があるわけでございまして、これはなかなか、この運用の話というのは、現在のような、こういうようなところでは難しい点があるわけでございまして、ここはもう少し慎重を要するのかと思っております。
 それで、何回も申しますけれども、運用の話とこの物価スライド条項の話とは、私はやはり、基本的には分けて考えるべきだなと、このように思っております。
武山委員 でも、年金の原資は、縦に考えるんじゃなくて、横全体で年金全体を見るというのが政府の役割だと思うんですよ。縦で、こうだ、こっちは年金、それから、その運用の方は違うと。国民にはそんな細かいところわからないですよ。ですから、それは、やはり責任を果たすという意味では全体を見なきゃいけないわけですから。年金の原資を使って運用に失敗しているわけですから。確かに運用と物価スライドの方は細かく言えば違いますけれども、全体を目配りしているのは政府の方なわけですから、それは逃げ口上だと思いますよ。ですから、そちらの責任も、こちらも、全体を見て物事というのは進めるということですので、それはもう、あっちはあっち、こっちはこっちだから責任がないということは言えないと思います。
 ですから、年金全体の中で見るということだと思いますけれども。ですから、そこの失敗の方もあるから、国民から見ると、お手盛りで責任もとってないじゃないかということになってしまうんですよ。ですから、そういう方向で、そこの部分はどのように説明できますでしょうか。年金は年金、年金の運用は運用、それで、原資は原資で、違うんだということじゃ説明いかないと思います。
坂口国務大臣 年金資金の運用の問題につきましては、これはいろいろ御議論のあるところでございます。しかし、この年金資金の運用をどうしていくかということはなかなか難しい問題でございます。というのは、今株価が下がっておりますから、この時点で見ますと、これは損失が出ているということになるわけでありますが、株価が上昇局面になりましたら、その分またプラスになるわけでございます。ですから、一時的な断面で見るということはなかなか難しいと思います。このいわゆる積立金をどう運用していくというのは、年金というのは非常に息の長いものでございますから、もう少し長い目で見て、それがプラスかマイナスかということを見ないといけないのではないかというふうに思います。
 また、このいわゆる積立金の運用につきましては、一つのものに偏らずに、さまざまな商品で支えていく。すなわち、どの時点でも相殺されてそれがプラスになるような組み合わせというのは何かということでやられているわけでございますが、現在のように急激に株価が下がるというような局面でいきますと大変下がるというふうになりますけれども、これはまた、株の話でございますから、上がるときもあるわけでございます。そうしたら、そのときには回復するわけでございますので、一つの断面だけで見るということはでき得ないというふうに思っております。
 それからもう一つ、先ほど建物の話等が出ました。確かにこの建物の話があることは事実でございますが、これはかつての高度経済成長時代におきましては、各都道府県や市町村から、年金資金によりますところのそうした施設というものに対して強い要望があったことも事実でございます。我々も議員になりました当初は、そういう都道府県や市町村からの大変な陳情があったということも事実でございまして、しかし、これも時代が変わってこういう状況になってまいりますと、それは要らないんではないかという話に変わってきた。その当時はそういうことはなかったということでございます。
武山委員 話が年金資金の運用の方の話になりましたけれども、それで、もう少しそこの部分でお話を聞きたいと思います。
 責任というものを国が、ただ口でだけで、何も責任は結果的にはとらないわけですよね。それは、国民にツケが来るわけですよ、現実的に、お金がないということで。税収が減る。それから、国民に年金で給付する分が、このように、お金がないからということで、国民に全部ツケが回るわけですけれども。
 最近あちこちで、この年金資金でつくった施設が投げ売りされているわけですね。物すごい安い金額で、あちこちで投げ売りされているわけですね。もうテレビでセンセーショナルに報道されておりますので、いや応なく、そういうものが断片的にしか入ってこないわけですよね。ですから、その断片的にというのは、確かに問題があると思います。
 そういう意味で、きちっと説明責任をやはり政府は果たすべきだと思うんですよね、きちっと。その説明責任の部分をきちっと報道が取り上げて、説明する、それしか今国民にないわけですから。その点に対して、大臣はどう思っていますでしょうか。
木村副大臣 その前に、何カ所も投げ売りされているというところは年金の部分じゃございませんで、年金の部分はグリーンピア一カ所だけでございますので、ちょっとその部分だけ、お話しさせていただきます。
武山委員 大臣にちょっと聞きたいと思います。最後の質問なんですけれども。
 年金では今は一つということで、それではそれは私の間違いですので、それは失礼いたしました。
 厚生年金以外で、郵便貯金だとか財投で建てたりするものですね。例えば、中野の駅の、あそこに大きな建物がありますね、サンプラザ。あれも問題があるというんですね。あれは厚生労働省と関係ないんですか。
木村副大臣 厚生労働省ではありますけれども、年金の方ではございません。
武山委員 そのいわゆる投げ売りですね、そこの部分に対して、ちょっとお答えを大臣から聞きたいと思います。
坂口国務大臣 先ほども少し触れましたように、過去におきましては、そうした建物に対する強い要望があったことは事実でございます。そうした中で、とりわけ厚生労働省、当時は労働省、厚生省でございましたけれども、そうしたものを建てますときには、大きい企業はそれなりに自分たちでつくり上げていくことができますけれども、中小企業はそうしたものを一つ一つつくることができ得ない。ですから、中小企業の皆さん方にできるだけ割安で利用をしていただけるものをつくるというのが一つの方針だったわけでございます。そうした中で、多くのものがつくり上げられてまいりました。
 しかし、今日のこういう状況になってまいりますと、民間の企業を圧迫するではないか、民間の同じような営業を圧迫するではないかという話になりまして、国がかかわるそういう施設というのはなくしていこうということになりまして、現在、平成十七年度という期限が切られておりまして、それまでに決着をつけるということになったわけでございます。
 これは、年金と関係のない雇用保険の方の問題につきまして、さまざまな御議論をいただいているところでございますが、私たちは、今までそうした雇用保険等でつくりましたものにつきましても、その建物あるいはまた施設がつくられた趣旨というものが今後も生かされていくということが大事だというふうに思っています。雇用保険の場合には、ほとんどの場合市町村が土地を持っていて、その上に、建てさせていただいているというか、つくっているわけでございまして、中には運営そのものも市町村がおやりになっているものもあるわけでございます。そうした中でございますから、そこはひとつ、今まで御利用いただいた、そのことが今後も続けて利用していただけるということを大前提にして考えている。その場合に、市町村としてはできるだけ、もうそれは無料で提供してくれとか、そういうお話も率直に言ってあるわけでございます。そうした中で、その建物が現在どれだけの価値があるかというようなことも十分に判断をしていただいて、そして行っているというのが現状でございます。
武山委員 中野駅のサンプラザなんですけれども、何か、公益法人が運営していて、そして、たしか百五十人ぐらいそこに雇われている方がいる。今までは、その公益法人自体が、待っていれば仕事が入ってきた。ところが、仕事がどんどんどんどん減ってしまって、待っていては仕事が入ってこなくなったということで、運営ができなくなったと聞いておるんですよね。そういうふうにして、公益法人が何の努力もしないで待っていた時代から、今、自分たちで努力をしないと仕事が入ってこない時代に入ってきているわけですよね。それでやっていけない。人件費の高騰、運営費が高いということで、中野区に払い下げになるというお話を聞いております。これは雇用保険の方だと思いますけれども。
 そういうふうにして、公的ないわゆる公益法人が物すごい損失を抱えている。こういう問題も厚生労働省にあるわけですから、資金の運用という面で、年金の原資の運用に対してもきょう質問いたしましたけれども、全体をやはり厚生労働省がきちっとチェックしていくということは絶対にやっていただきたいと思います。それで、またそこで責任をきちっと果たすということだと思います。
 終わります。
中山委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三分開議
中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山口富男君。
山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。
 今回の年金給付額の改定案は、厚生年金、国民年金などの給付額、それから障害児福祉手当、原爆被害者への医療特別手当など十種類の手当関係の支給について、昨年の消費者物価の下落分〇・九%を差し引くということになっております。
 まず、この措置によって生まれる財政への影響額、給付などの減額のことですけれども、十二カ月の満年度ベースで、厚生年金と国民年金、それから共済年金、そして手当関係、この三つのくくりについて、給付ベース、国庫負担ベースでそれぞれ示していただきたいと思います。
吉武政府参考人 平成十五年度におきまして、平成十四年の消費者物価下落分のマイナス〇・九%のみで改定を行う場合と、仮に額を据え置いた場合との所要額の差額について申し上げますと、満年度ベースで、給付ベースでは、厚生年金、国民年金、それから共済年金、全体の年金で約三千七百十億円でございます。それから、手当につきましては約三十億円でございます。それから、国庫負担ベースで申し上げますと、今申し上げました年金で約五百二十億円、手当で約三十億円となっております。
山口(富)委員 今説明がありましたように、給付ベースで三千七百四十億円の減額になる。これは国庫負担ベースで五百四十億円。既に年金を受け取っている方々にとっては、この物価スライド制が設けられて初めての減額、しかも相当の規模のものになるという自体、重大な措置になるというふうに思います。
 もう一つ確認しておきたいのは、この減額措置の対象となる給付者数はどのぐらいのものなのかということなんですが、この点もお願いします。
吉武政府参考人 年金で申し上げますと、基礎年金と報酬比例年金を、お一人で二つの年金を受けておられる方、重複をいたしますので、その重複を除きまして、受給権者数で申し上げますと約二千九百五十万人の方々でございます。
 それから、手当の受給者の方々につきましては、この場合には、手当を二つ受給しておられる方もおられるわけですけれども、その重複を含みました延べ数で約百三十四万人の方々でございます。
山口(富)委員 そうしますと、両方を受けている方がいらっしゃるとしても、三千万を超えるということになると思うのです。
 それで、政府はこの間、物価スライドについて凍結をする理由として、坂口大臣自身が、社会経済情勢を考慮してということを繰り返し述べてこられました。今回の措置に当たって、この社会経済情勢についてはどのような検討がなされたのか、坂口大臣からお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 過去三回にわたりまして凍結をいたしました。そのときに、社会経済情勢も勘案をしてということで行ってきたところでございます。その三年間分で一・七%でございます。
 しかし、午前中にも議論をいたしましたとおり、掛金をしていただきます若年者の皆さん方の賃金が下がってまいりました。そのことを考えますと、支えていただいている皆さん方にいろいろ御苦労をいただいているわけでありますから、年金を受給していただいております皆さん方につきましても、応分の御負担をいただかざるを得ないというのがこの最終の結論でございます。
 初めの三カ年間は、若年者の賃金の低下までは至っていなかった。しかし、その賃金の低下ということが新しい要素として加わってきた。そのことが今までの三年間と今度とりました内容との違いでございます。
山口(富)委員 私は、社会経済情勢についてのどういう検討をなされたのかという話を聞きましたが、少なくとも、経済問題で見る限り、前向きな変化は一つもありません。今坂口大臣が強調されたのは、一方で、将来世代の問題で、給与が下がっていることを重く見たということです。
 しかし、給与が下がったと言いますが、これは実際には、この二年間の小泉内閣の一連の経済の失政によって生まれた給与の減額だというふうに見ざるを得ないと思うんですね。
 といいますのも、内閣は構造改革という名前で、痛みに耐えよ、痛みに耐えよと言ってきたわけですから、その一つのあらわれが給与の減額になってあらわれた。だったら、そういう政策の結果生まれたような給与の減額という問題を、今度は年金を実際に受けている方々への給付の削減、この理由にするというようなことは全く理屈が通らないと思うんです。
 それで私、もう一つこの問題でお尋ねしたいんですけれども、先ほど年金局長の方から、手当関係の方で、百三十四万人の受給者の方がいらっしゃるというお話がありました。今度の関係で、手当でいいますと、障害児の扶養家庭や母子家庭への手当、それから被爆者への援護の諸手当、こういう社会的弱者と言われる方々への手当も横並びで軒並み減額されるんですね。
 一体これは、この多くは、先ほど冒頭で数字が言われましたけれども、手当については、給付ベースで三十億、国庫負担ベースで同じく三十億、ほとんど国の負担でやってきたという手当なんですから、この部分にとってみたら、給与が下がったことは全く理由にならないんじゃないですか、この人たちの手当を下げること自身が。この点どうなんでしょうか。
吉武政府参考人 今先生おっしゃいましたいわゆる福祉的な手当につきましては、実は、かつては手当額の改定につきましては政策的な改定という形で、予算で決定をするという形であったわけでございますけれども、年金が完全物価スライドに移行いたしまして、これに合わせまして手当類につきましても、実質価値の維持ということで、年金と同様に物価スライドをしようという形になっておりますので、そういう意味で、この物価スライドの考え方につきましては、その改正以降は年金と軌を一にして、実質価値の維持をしよう、こういう考え方になっているんだろうというふうに理解をいたしております。
山口(富)委員 それは何の理由にも、答弁にもなりませんよ。今の法律の仕組みがそうなっているということを年金局長はおっしゃっただけなんです。
 私が言っているのは、坂口大臣が、今度の検討に当たっては給与を受けている方々のその金額が下がっているところを重視したんだとおっしゃるから、だったらそれと無関係の諸手当についてはどうなっているんだということを聞いているんですから、坂口大臣から答えていただきたいと思います。
坂口国務大臣 物価が下がるということ、それに対しまして年金が下がるというのは、これは物価に対しましては中立でございますから、私は、影響というのはそんなに少ないというふうに思っております。
 それから、それ以外のものにつきましてもお話がございましたけれども、一応この年金に準じてということになっているわけでございますし、物価が下がっているわけでございますから、この皆さん方に対しましても、物価下落分が少なくなりましても、これは経済的には中立の立場だというふうに思っております。
山口(富)委員 いや、これは厚生労働を担当している方として、この手当を受けている方々の実態と大変かけ離れた答弁だったというふうに思うんです。とても公正中立とは思えません。
 例えば障害者関係の方ですと、障害児福祉手当、その目的は何か。「重度障害児に対して、その障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより重度障害児の福祉の向上を図る。」もう全部そういう形で、それぞれの手当の目的が書かれているわけです。
 ですから、その人たちに減額するんだったら、その目的に照らしてこの減額措置がどういう影響を及ぼすのか、そのことの説明のない限り、この問題は前に進めちゃいけないと思うんですが、その点、もう一回お願いいたします。
坂口国務大臣 それぞれの手当にはそれぞれの目的があることは御指摘のとおりだというふうに思いますが、いずれにいたしましても、その皆さん方が生活をしていただくのにどう対応していくかということでありまして、全体の物価が下がっているということは、それに対するこの引き下げがありましても、それは中立だということを申し上げているわけであります。
山口(富)委員 今の物価の下がりというのは、これだけ不況で暮らし向きが悪い中で、物価が下がっている分、何とか生活のやりくりができるというその条件なんです。そのことを削減するような条件に見ていくようなのは、とても私は中立じゃないと思います。
 もう一つ、実態的な話が出ましたから確認しておきますが、内閣府の調査で、高齢者の方々は収入源の八五%を公的年金に頼っているというのが実態なようです。それで、厚生年金と国民年金の老齢年金の平均額について示していただきたいと思います。
吉武政府参考人 平成十三年度末の厚生年金の老齢年金、これはいわゆる基礎年金部分と報酬比例部分を両方加えたものでございますが、その平均年金額は約十七万六千円となっております。それから、国民年金の老齢年金の平均年金額は約五万二千円でございますけれども、基礎年金の受給者の方だけで申し上げますと約五万五千円となっております。
山口(富)委員 今平均の年金額が出ましたけれども、総務省の家計調査の方を見ますと、今、昨年ですけれども、高齢者の夫婦世帯の一カ月の平均支出、これは私先ほど問い合わせしたんですが、一番新しいところで二十五万四千四百一円だというんです。この二十五万四千四百一円という生活実態から見ても、それだけ支出が求められるという生活実態から見ても、今、厚生年金で十七万六千円、それから国民年金で五万二千円という報告がありましたけれども、これは年金の水準として、ここに頼っている高齢者世帯にとっては極めて低い水準だというふうに私は思うんです。
 しかも、社会保険庁の事業年報によりますと、これはより事態は深刻でして、厚生年金の場合、男女の平均ですが、月の額が十万未満の方、一六・三%、女性では四五%を超えているんですね。もう半数近い。それから国民年金に至っては、男女の平均で月額四万未満が二八・七%、四人にお一人です。それから、女性の方で四一%。
 こういう方々に、今度の場合、昨年の秋の医療費の値上げの問題、それから介護の保険にかかわる一連の負担増がありますから、こういうものがかかってくると、やはり年金に頼って暮らしていらっしゃる高齢者世帯に非常に大きな負担がかかってくると思うんですが、坂口大臣はこの点での認識をどういうふうにお持ちですか。
坂口国務大臣 年金の平均的な額というのは、先ほど局長が答弁をした額になっているというふうに思います。
 多くの皆さん方が、年金を中心にしながら生活をしておみえになる皆さんもおみえでございますし、その年金を一部として、今までの蓄えで生活をしておみえになる方もございますし、また、その他収入を得ておみえになる皆さん方もあるわけでございます。そうした中で生活をしていただいているものというふうに思います。二十五万円ぐらいの数字を挙げられたということは、その差の額につきましては、他のところからそれが使用されているものというふうに考えざるを得ません。
 そうした中で、厳しい時代でございますから、皆さんにもいろいろと御迷惑をかけますけれども、しかし、その厳しい中であればこそ、お互いに助け合わなければならない。厳しい中であればこそ、若年者の皆さん方もそれなりに御苦労をしていただいているわけでありますから、年金をもらっていただいております皆さん方に対しましても、やはり応分の御負担はいただかざるを得ない、それがこの福祉と社会保障というものだというふうに思っております。
山口(富)委員 私は、坂口大臣の社会保障に対する考え方は間違っていると思います。
 日本の憲法は、国が最低限の生活を国民の皆さんが維持できるように保障するということを社会保障の原点にしているんです。それを、これだけ経済状態が悪くて、給付の問題、それから負担の問題はありますが、支え手の問題を考えたときに、両方に痛みを分かち合ってもらわなければいけないということになったら、国の責任はどこに求めることになるんですか。国民の皆さんにとって、今のような話というのは、私は全く通用しない話だと思うんです。
 それで、平均値の話になってしまいましたけれども、大枠で見たときに、高齢者の皆さんが一月にかかる平均が大体二十五万と。ところが、その額を年金だけで支えられないというところにこの難しさ、悩みが生まれてくるわけですね。その点は坂口大臣もお認めになりました。でしたらその点をどうするのかということなんですけれども、実際には、国民の皆さんは、財布のひもを締めるという形でそこの差を埋めようとなさっているんですね。
 例えば、これは日銀の調査ですけれども、生活意識に関するアンケート調査、これは年に何回か行われておりますが、一番新しいところで昨年十一月のものですけれども、今支出を減らしていると答えた方が四四・六%で半数近いんですが、その理由として、これは複数回答ですけれども、「年金や社会保険の給付が少なくなるとの不安から」というのが五八・五%、しかも、これは最近三回の調査の中でふえ続けているんです。
 つまり、年金の問題について言いますと、まだ減らしていない先から、これは減らされる危険があるというだけで、その不安から支出を詰めていくということが実際に起こっているわけですから、こうなってきますと、今度の年金減額という問題は、これは暮らしにとっても大変だし、日本の経済でいえば、その六割は個人消費で、家計が担っているわけですから、そこを冷え込ませるということになってきます。この点での認識は、坂口大臣、どうお持ちですか。
坂口国務大臣 やはり社会保障に対する共産党さんと私たちとの考え方の違いだと思うんですね。共産党の場合は国家保障の立場をとっておみえになる。我々の考えております社会保障は、自立と連帯の上に成り立っていると考えている。そこに大きな違いがあるわけであります。
 今後、年金のことに対していろいろ御不安を国民の皆さんがお持ちいただいている、それは私もそうかなというふうに思うわけです。
 それはなぜかといえば、今後の人口構成を見ました場合に、高齢者がふえて若年者が減っていくという中で、年金が厳しくなってくるのではないかというふうにお思いになるというのは、それは自然なお気持ちだろうというふうに思っております。そこを私たちは、制度として、若い皆さん方にも納得をしていただき、高齢者の人にも、高齢者と申しますか、今後高齢者になる皆さんにも納得をしていただける制度をどうつくり上げていくかということを今真剣に考えているところでありますし、皆さん方にも御議論をいただいて、ことしの末にはその制度をつくり上げていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
山口(富)委員 社会保障の考え方の違いは、はっきり申し上げれば、憲法に対する考え方の違いだと思います。
 それから、大臣が今おっしゃいましたように、ことし一年かけて年金の制度設計については議論するわけですから、この点は大いに議論したいと思いますし、私は、今度の問題について言いますと、年金をどうするのかという議論をこれからやろうというやさきにまず減額してしまうというわけですから、おかしな話だと申し上げたいと思うんです。
 それから、国民の目から見て納得できないもう一つの点は、現実には、年金積立金の運用によって、一方で多額の穴をあけていることですよね。この点での責任はどういうふうに果たしていくおつもりなんですか。
木村副大臣 午前中の委員会でも申し上げたのでございますけれども、今回の物価スライド条項を含めましてのこの〇・九%の話と年金資金の運用の話というのは、おのずからこれは相違があるものでございまして、そもそもこの年金資金の運用に関しましては、年金の中身を、ポートフォリオということでそれぞれの組み込み方を決めているわけでございます。その範囲内で株式を組み込むシステムになっているわけでありますけれども、現下のこういう株式の低落傾向の中にあってこれは損失が生じたものでありまして、この辺を今後どのように運用の仕方を改善していくかというのは、今お話が出ましたけれども、やはり次期の再計算における制度改正の中でもこれは当然真剣に検討されるべきものだ、このように思っているような次第でございます。
山口(富)委員 結局、年金の減額について真っ当な理由はないということだと思うんです。私は、今の経済状況からいっても暮らしの実態からいっても、年金の削減じゃなくて増額が必要であって、国民の生活を安定させるための政府の努力が必要だ、このことを申し上げて、質問を終わります。
中山委員長 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 戦没者等の妻及び父母等に対しては引き続いて特別給付金を支給しようという今回の法案は、当然の措置だと思いますし、賛成をいたします。
 この機会に、一昨年から私が何回も取り上げてまいりましたシベリア抑留者に対する未払い賃金の問題についてお尋ねをいたします。
 昨年の十一月二十二日、シベリア抑留者たちが寒空をついて国会前で未払い賃金の支払いを求めて座り込みを行い、マスコミから大きな注目を集めました。大臣は、昨年、このときの私の質問に対し、外務省等ともこの問題について検討すると約束していただきました。まず、その検討の結果をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 議員御指摘のとおり、昨年の三月の二十日の当委員会におきまして、議員から、シベリア抑留者の抑留中の未払い賃金に関しまして、ロシア政府が発行した労働証明書に基づき、日本政府が未払い賃金を支払うべきではないかということについて、外務省に御質問がございました。
 その際に、議員が日本政府が支払うべきだとする根拠として取り上げられました文書について、外務省の答弁に議員が納得されなかったことから、私が、外務省も含め検討させてほしいと申し上げたところでございます。
 その後も、議員から当委員会において再度質問があったところでありますが、昨年十一月に、私のところに直接外務省の担当者に来ていただきまして、そして話をお伺いし、懇談をしたところでございます。
 その内容につきましては、既に御承知のことと思いますが、端的に申し上げれば、ロシア政府が発行した労働証明書に基づいて我が国が抑留者に対して労働賃金を支払う国際法上の義務はないということでございました。委員のところにもその旨のお話をしてほしいということを申し上げたところでございます。
 いずれにいたしましても、政府としては、この労働賃金の未払い問題を含めたシベリア抑留者の補償問題につきましては、昭和五十九年の戦後処理問題懇談会報告書において結論が出ているということでございます。
小沢(和)委員 私は、ぜひ大臣にこの写真を見ていただきたいと思って、パネルを用意いたしました。これは、本年一月二十三日の週刊文春のグラビアに掲載されたものであります。きょうは、週刊文春と、これを写したカメラマンの宮嶋茂樹さんの御好意によってお借りをいたしました。
 これは、一月十二日に、ロシアを訪問した小泉首相が、零下二十五度の酷寒の中で、ハバロフスクにあるシベリア抑留中の死亡者の慰霊碑に向かって、防寒帽やコートを脱ぎ捨てて石段にひざまずき、礼拝をしているところであります。撮影した宮嶋さんは、「驚いたわ。ペットボトルも凍るわ、手袋はめてても手がかじかむわのごっつい寒さのなかで、遠山の金さんばりにバッとコートを脱ぎだしたからな」と状況を語っております。
 この写真を見て、多くの国民は、総理ともなれば御苦労なことだと思ったかもしれませんが、シベリア抑留者たちは、亡くなった戦友にはこういうパフォーマンスをしながら、生きている我々の声を聞かないというのは全くペテンじゃないかとかんかんになっております。私もそのとおりだと思うんです。
 大臣は、こういう怒りの声をどう受けとめられるのか。あなたは閣僚の一員として、小泉首相に対してこの機会に、最高裁判所も、新たな立法措置を講ずれば支払うことができるというふうに言っている、シベリア抑留者への未払い賃金問題をそういう形で根本的に解決する考え方がないかどうかということをお尋ねします。
坂口国務大臣 議員が御指摘になりましたのは、平成九年の最高裁判決の判決理由中にあります、シベリア抑留者に対して労働賃金を支払うためには、総合的政策判断の上に立った立法措置を講ずることを必要とするという記述をもっておっしゃっているんだろうというふうに思っているところでございます。
 しかし、これは、国がシベリア抑留者に対する労働賃金を支払うためには、総合的政策判断の上に立った立法措置を必要とするものであり、南方地域の捕虜に労働賃金が支払われたことをもって、憲法第十四条第一項に基づき労働賃金の支払いを請求することはできない、正確に読めばこういうことを言っているわけでありまして、憲法に書いてあることをもって支払うべきだと言うことはできないということを最高裁は言っているものというふうに私は思います。
小沢(和)委員 いや、最高裁の判決についてあなたに解説してくれと言ったんじゃないんですよ。そういう立法措置をすれば支払うことができると最高裁が言っているんだが、あなたはそういうことを総理に進言する意思はないかということをお尋ねしたんです。そういう意思はないわけですか。
坂口国務大臣 ですから、最高裁の言葉を引用されましたから、的確にそこは読んでもらわなければいけないと思いましたから申し上げたわけであります。(小沢(和)委員「だから、あなたの意思はどうですかと聞いているんです」と呼ぶ)ですから、そういう判決も下っているわけでありますので、それは、総理に申し上げても、なかなか難しいことだと言わざるを得ない。
小沢(和)委員 私は、シベリア抑留者の未払い賃金問題について、一昨年から本委員会で四回にわたって質問を重ねてまいりました。
 敗戦直後、ソ連軍により日本の将兵、軍属、約七十万人がシベリアに強制連行され、酷寒の地で鉄道建設などの重労働に長期間従事させられ、約六万人が死亡し、ついに帰国することができませんでした。私は、このような国際法を無視したソ連の暴挙を絶対許すことはできませんが、日本政府の対応についても全く納得することができません。
 私が今回、外交史料館からいただいた一連の資料で、海外からの復員者に対する賃金支払いの仕組みがどうつくられていったか、およそのことがわかりました。
 まず、四六年五月七日、ちょうど復員が始まった時期でありますが、連合軍総司令部から日本政府への覚書で、復員者の取り扱い、特に海外の労働賃金について、日本側が支払うことが示されました。当時、既に、捕虜の所属国、この場合でいえば日本政府が、労働証明書を持ち帰った者に賃金を支払うことが国際的慣習法として成立しており、日本政府もそれに従うことになったわけであります。
 これに基づいて、同年五月二十七日付文書で、日本政府がGHQに対し、グアム島からの復員者に対する賃金を支払うための書類を示すよう求めております。この文書がきょう配付しております資料の二枚目のものであります。これに対して、六月十三日、GHQは捕虜個々人の賃金額を示し、支払いを許可しております。
 こういう流れの中で、翌四七年三月十八日、日本政府からGHQに提出されたのが資料の一枚目の文書であります。先ほど述べました四六年五月七日付の文書では、ソ連の極東地域、つまりシベリアなどからの復員者にもこの賃金支払いの仕組みの適用が予定されていたのに、実際には話が進んでいなかったので、GHQに対し、ソ連からの復員者に労働証明書を持ち帰らせてくれれば日本政府は賃金を支払うので、ぜひ持ち帰らせるように尽力してほしいと要請しております。
 昨年もこの文書を当委員会で配付しましたが、こういう流れの中でこの文書が出たことは間違いありませんか。
原田政府参考人 ただいま委員御指摘の文書は、一九四七年三月十八日付で、旧日本軍人及び軍属が戦時捕虜として抑留の間にためた金銭及び私物が没収された場合に、ソ連当局が個々に正式の受領証を発行すべきであることなどの措置をとるよう、連合軍最高司令官総司令部、GHQが尽力すること、また、引揚者がその受領証を持ち帰った場合に、日本政府はソ連政府にかわってその受領証に対して支払うこと、そして、その支払い金額はソ連領土ないしソ連管理地区からの物品の将来の輸入及びその他の目的のため引き当てるとの提案について、ソ連当局の承認を取りつけることを要請したものでございます。
 しかしながら、この要請がGHQによりソ連側に伝えられたか否かという点を含め、GHQによりいかに取り扱われたかは明らかでございませんで、結果として、この要請のあるような了解が関係国間で成立したとは承知しておりません。また、引揚者がその受領証を持ち帰った事実も確認されておりません。
小沢(和)委員 私は、昨年、この文書で示された、労働証明書を持ち帰れば日本政府が支払うという意思表示は、その後どこでも取り消されておらず、したがって今日でも有効ではないかと外務省にお尋ねをしました。四回もお尋ねしたが、答弁で繰り返して言われたことは、賃金支払いを行う国際法上の義務はないということでありました。これは故意に答弁をそらしたとしか思われません。
 私は、そんな国際慣習法がどうとかいうようなことを聞いたわけじゃないのです。きょうもそのことについてまたはっきりしないようなことを言っておられるので、重ねてお尋ねしますけれども、日本政府が、当時、労働証明書を持ち帰らせれば賃金は支払うという意思をソ連政府に表明したことの効力は、今でも有効なものとして続いているのではないか、もしそれが無効になったというのなら、いつ、何によって無効になったのか、お尋ねします。
原田政府参考人 先ほど申し上げましたように、四七年三月十八日付のGHQあての文書というのは、ソ連政府が出した受領証を持ち帰った場合に、日本政府がソ連政府にかわって支払う、そのかわり、その支払い金額はソ連領土ないしソ連管理地区からの物品の将来の輸入及びその他の目的のために引き当てるとの提案について、ソ連当局の承認を取りつけるということを要請したものでございます。
 今委員御質問された御指摘の文書の有効性の問題でございますが、そのあて先である連合軍最高司令官総司令部による日本の占領は、サンフランシスコ平和条約が一九五二年四月二十八日に発効し、我が国の完全の主権が承認されることによって終了しました。その意味で、御指摘のGHQあての文書による提案は、平和条約の発効によって意味を失い、無効になったものと考えられます。
小沢(和)委員 講和条約は、あなたも御存じのとおり、ソ連は参加していないのですよ。そのソ連に対して日本政府が行った意思表示があの講和条約によって意味がなくなったようなことを言うのは、これは私は全くこじつけでしかないと言わざるを得ません。
 昨年の答弁の中で、今も出ましたけれども、GHQに提出して以後はどうなったかわからないという話がありましたが、これについても新しい事実がわかりました。
 配付したもう一つの資料、四枚目だったと思いますけれども、ロシア政府の公文書局長ピホーヤ氏から当時の大内啓伍厚生大臣にあてた、日本人捕虜に対する労働証明書交付の件との九三年九月二日付の文書です。ピホーヤ氏からの書面には、ロシア連邦政府命令により三万人以上の元捕虜に労働証明書を交付したことを述べ、東南アジアから帰還した旧日本軍捕虜に関しては、この問題が既に事実上解決を見ていることからいっても、我々は日本国政府の対応と措置を期待すると述べております。
 ところで、注目していただきたいのは、これに今私が問題にしている四七年三月十八日付文書が附属文書の四番目として添付されていることであります。これは、当然のことながら、ソ連政府がこの文書を受け取っており、ロシア政府がこの文書を今日も有効なものとみなしているということのあらわれではありませんか。そうでなければ、こういう重要な文書の中にわざわざ入れるはずがないと思うんですが、いかがですか。
原田政府参考人 御指摘の文書は、国家公文書館が個人の要請に従って労働証明書を発給することを通知するとともに、南方からの日本人捕虜と同様の措置を我が国政府に期待するとの趣旨の記述を含むものであります。
 これに対しまして、平成六年六月には、日本政府から先方に対して文書をもって、抑留者に対して労働証明書を発給するか否かは第一義的には抑留国であるロシアの問題であって、我が国が本証明書に基づき抑留者に対して労働賃金の支払いを行う国際法上の義務を負うことはないと考えるとの立場を明らかにしています。
 さらに、平成六年十月、ロシア外務省から、ロシア連邦政府の決定に従い、個人の要請に基づき、抑留されていた期間の労働証明書を交付していることを通報するとの口上書が接到いたし、そのときあわせて、ロシア外務省から、この通報は単に労働証明書を交付しているとの事実を伝達するだけで、それ以外のいかなる意図もなく、ロシア側として我が国から何ら新たな措置を求むものではないとの説明がなされました。
 これに対して、我が方からは、既に申し上げました我が国の政府の基本的立場を説明するとともに、この立場に何ら変更がないということを口上書で返事をした次第でございます。
小沢(和)委員 いや、私がお尋ねしたことには、あなたは全然答えていないですよ。
 私がお尋ねしたのは、当時の大内厚生大臣に対してロシア政府が出した文書の中に、この文書が附属文書として添えられているということは、今もこの文書が有効なものだということをロシア政府が考えてこれを添えたんじゃないのかと聞いているんですよ。どうなんですか。
原田政府参考人 このロシア公文書館の総長がどういう意図を持ってそのGHQあての覚書を添付したかは承知しておりませんけれども、ロシア外務省の公式な立場は、先ほども申し上げましたように、労働証明書を単に交付しているとの事実を伝達するだけで、それ以外のいかなる意図もなく、ロシア側として我が国に何らの新たな措置を求むものではないという説明がなされております。
小沢(和)委員 もう時間が来たようですから、あと結論的なことを私申し上げて終わりたいと思うんですけれども、最高裁判所の判決さえ、これらの人々の訴えを退けながらも、南方からの復員者に賃金が支払われたのに、自分たちが支払われていないということに不平等感を持つのは当然だと同情を示しております。
 大臣に申し上げたいんですが、こういう苦労を重ねてきたシベリア抑留者に対し、平和祈念事業というようなことでわずか十万円支給しただけで、戦後処理は終わったなどというような態度をとり続けることは到底私は認めることはできません。未払い賃金の支払い問題を本当に解決するためには、ぜひ日本政府が誠意を示していただかなきゃならないと思います。既に平均年齢が八十歳を超えた抑留者をこれ以上待たせるわけにはまいりません。
 ですから、私、最後に委員長にもお願いしたいんですが、当委員会としても、先頭に立ってこの問題を解決するために、政府がやる気がないというのであれば、当委員会が立法することもできるわけですから、ぜひそういうことについて協議の機会をつくっていただきたい。そのことを委員長にお願いをして、私の質問を終わります。
中山委員長 次に、金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。
 まず最初に、年金の物価スライド問題について、ちょっとお伺いをしたいと思います。
 この間、二〇〇〇年度、二〇〇一年度、二〇〇二年度もいずれも、消費者物価指数は対前年度比でそれぞれ〇・三、〇・七、〇・七のマイナスであったわけですけれども、その間政府は、厳しい現下の社会経済状況にかんがみて、物価スライド凍結法案を提出しているということでこれまで対処されたと思います。
 このたび、今度は対応しようということですけれども、まず最初にお伺いしたいんですけれども、これまで三年間、大変厳しい経済状況ということを言われたわけですけれども、一体、その根拠になっていた経済状況というのは、今むしろ悪化したというふうに見るべきだというふうに考えるんですけれども、その辺の情勢の認識について、どのような認識を持っておられるか、まずお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 全体の経済状況につきましては、その当時も下降曲線にあったわけでございますし、現在もなお回復に至っていないということは御指摘のとおりというふうに思っております。そういう中で、物価の下落が続いてきていることも事実でございます。
 この物価の下落は、ただ単にデフレというだけではなくて、グローバル経済化と申しますか、そうした中における物価の下落もかなり含まれているというふうに思っております。したがいまして、我々の生活の中で、購買することができる価値というものはかなり変化を来していることは事実でございます。
 そうした中でございますけれども、最初の三年間におきましては、とにかくこの社会経済状況の中で、ぎりぎりのところでございましたけれども、思いとどまってきたということでございます。しかし、何度も先ほどから申し上げておりますように、現在、この年金を支えていただいている人たちの賃金が低下をしてくるという事態に立ち至れば、それはもう、そうとばかりは言っていられないということになったわけでございまして、その辺のところは御理解をいただきたいと思っております。
金子(哲)委員 この社会経済情勢ということは、必ずしも物価の問題だけでなくて、例えば医療費の負担増の問題だとか、そういうもろもろの、また特に高齢者の場合は、昨年の十月、既に医療費負担がふえたわけですけれども、増額したわけですけれども、そういう問題も含めた社会経済情勢を認識しなければならないというふうに思うんですけれども、その点についてはどうでしょう。
木村副大臣 委員ももう十分御理解いただいていると思いますけれども、まず、なぜ物価スライド条項が必要であるかというそもそもの議論というのは、やはり私は重要なことだと思うんですよ。
 これは午前中の御議論でも申し上げたのでございますけれども、年金の最大の敵はインフレなんです。物価の変動で、物価の上昇なんです。ですから、この物価の上昇に年金額が追いつけないとなると、これは年金の崩壊や家庭の崩壊につながってくるわけでありますから、そのための物価スライド条項というのが存在をしているということは十分に御理解をいただけると思います。
 その中で、今回こういうたまたま戦後未曾有のデフレの状況になったわけでありますけれども、このデフレというのは、インフレと違いまして、この物価スライド条項はデフレにおいては後追いなんです。インフレは、インフレの方が先に進んじゃうんです。だから、年金額を上げてもなかなか追いつかないという状況があるんですが、今度のデフレの場合は先に物価が下がっていますから、年金額は後追いでこれは下げるというような、こういうシステムになっているわけですので、そこは、この物価スライド条項の、年金を受け取る側にとってのある意味でのいいところ、いいところというのはちょっと簡単な言い方ですけれども、そういう点があるわけです。
 そういう中で、社会経済情勢のお話でありますけれども、これは、それぞれの制度設計のときに、医療の問題やそれぞれのときに、それぞれの所得の方々に応じた措置を講じているわけでありまして、例えば今度の高齢者の負担におきましても、上限を、特に所得の低い方々には八千円の限度額を設ける等の措置を講じているわけでございます。
 社会経済情勢もそれぞれもちろんございますけれども、医療は医療、その他のそういう制度それぞれについてそういうような措置を講じているということを御理解いただければな、このように思えてならないわけであります。
金子(哲)委員 私がなぜそうしつこく質問しているかというと、過去三年間凍結するときには、その理由として、社会的な状況というものが、厳しい社会経済情勢というものがあるということの中でやられたわけで、今度はスライド制を導入するということについて、その認識が変わったのかどうか。もし厳しいということは認識されるのであれば、それでは、過去三回のときにはこの厳しい情勢ということを認識して凍結をされたのにということの方が誤りがあったんではないですか。
 今おっしゃったことのいろいろの理由は、いろいろなことを対策を立てておられることは、それはいいですよ。基本的な考え方ですよ。考え方の問題について、その問題を指摘している。その点についてだけ、短くお願いします。
木村副大臣 そこは午前中の議論でもお話し申し上げたんですが、三年間の中で、平成十三年から特に、担っている、支払っている側の若年世代の賃金が低下をし始め、それが十四年度も続いている、これがやはり一番大きな問題点の、御指摘の点の一つでございます。
金子(哲)委員 十分に納得できるわけではありませんが、ちょっと次の質問をしたいと思います。
 物価スライドをするとしても、すべての年金部分すべてにスライドをするのがいいのかどうかというのは私は問題があると思うんですよ。やはり基礎年金と言われる、いわば生活の最低の、支えていくような基礎年金部分については考慮するというようなことがあってもいいと思うんですけれども、その点についての考え方はどうでしょうか。
木村副大臣 基礎年金部分と厚生年金部分との議論というのは、これはずうっとあるんです。
 それで、今度、平成十六年度、要するに来年度の年金改定の議論があるわけでございますから、その中におきまして、基礎年金部分をどうしていくか、また上乗せ部分をどうしていくかというのは当然議論のあるところであろう、私はそのように思っております。
金子(哲)委員 ぜひ、そのことはその中で抜本的に検討してほしいと思うんですよ。やはり基礎年金部分がセーフティーネットの要素を持っているだけに、そのことを考えてみますと、そこをどう扱うのか。先ほど、若年者の賃金の減少ということをおっしゃいました。また、ある意味では、年金を、今掛金を払っている人たちの立場という問題もあると思いますけれども、そういうことを言っても、その意味では、やはり基礎的なものをどう支えていくかという大事な柱がこれからなければならない。
 それからもう一つは、やはり物価の問題だけでなくて社会保障制度の問題ですね。先ほど医療費の問題も話をしましたけれども、今度は四月から介護保険料の問題も出てきます。そういったもろもろの問題が出てくることをやはり全体として考慮していくようなことが、これからの年金の、ただ単純に物価スライドだけでいいのかという問題があると思うんですけれども、その点について、大きな検討課題だと思うんですが、お考えはどうですか。
木村副大臣 当然、それは議論として重要な点であろうと私自身も思っております。
金子(哲)委員 特にその中で、国民年金の問題についてちょっとお伺いしたいんですけれども、これは受給者はどれぐらいで、平均的な受給額はどれぐらいになっていますでしょうか。
吉武政府参考人 六十年改正によりまして基礎年金が導入されておりますので、ちょっと複雑な形になっておりますが、昭和六十年改正前の旧国民年金法に基づく老齢年金受給者、これはいわゆる自営業の方でございます。それから、六十年改正後の老齢基礎年金受給者を合わせて、平成十三年度末で約千六百九十三万人でございますが、そのうちの八百万人ぐらいは、いわゆる報酬比例年金を持っておられる被用者の方々も含まれておるわけです。
金子(哲)委員 平均受給額はどれぐらいですか。
吉武政府参考人 今申し上げましたようなことでありますとか、あるいは、六十年改正前で申し上げますと、今、いわゆる三号の問題が次の年金制度改正の非常に大きな議論になっておりますが、六十年改正前は実は任意加入でございまして、例えば三年加入されたら三年分の年金が出るというような仕組みでございましたが、そういうこともございまして、トータルの平均年金額は五万二千円でございますが、基礎年金の受給者の方で申し上げますと上がってきておりまして、約五万五千円という形になっております。
金子(哲)委員 そうしますと、もちろん自営業とかいろいろな方たちもいらっしゃいますから、一律に申し上げることはできない状況ですけれども、五万五千円ぐらいの年金ということになりますと、かなりの部分が老後の生活のウエートに占める割合になると思うんですけれども、そういう低額の年金受給者に対しても、一律にこういう問題が物価スライドでかかってくるという問題についてはどのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 確かに年金額にも大きな差がございますし、基礎年金だけの、いわゆる国民年金だけの方と、それから厚生年金のある方とは、それはおのずから違うというふうに思っております。年金には、それなりにまた過去の歴史がありますから、一概に論ずることもなかなかできにくいということだと思います。
 これからの年金を考えますときには、そうした過去のこともありますけれども、トータルでどういうふうに年金というものを位置づけていくか、我々の基礎的な生活ができるということをそこに求めるのかどうかといったようなこともこれからの大きな議論だろうというふうに思っておりますが、現在の、この年金のばらつきがあります中ではありますけれども、しかし、物価の上昇あるいは下落によりまして起こりますところの物価スライドは、そうしたことを区別することなく、全体的にそれは考えているということでございます。年金が多い少ないは別にいたしまして、そのときの物価というものとを比較して検討しましたときに、それは中立的な立場になるということを先ほどから何度も申し上げているわけでございます。
金子(哲)委員 いずれにしても、国民年金については、高齢者の基礎的な支出を支えるような水準に達しなければならないというふうに考えておりますけれども、そういう意味では、それらがそういう意味を十分に補足しなければ、公的年金としての意味を持たないという形になるわけですから、やはり私は、これからすべての人に対して、先ほども申し上げましたけれども、セーフティーネットとしての役割を持つ基礎年金ということをぜひ今後の検討の中で考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それで、次に、特別給付金支給の問題についてちょっとお伺いをしたいんですけれども、何度も何度も繰り返しこれは継続の処理がされているようですから、国会の中では論議があったかもわかりませんけれども、この特別給付金支給の最初のときに提案されている中身というのは、こういうことを書かれているんですよね。
 「これまででき得る限りの措置を講じてきたところであります。」例えばいろいろな遺族年金、恩給法等で。「しかしながら、これらの遺族の方々のうちでも、戦没者等の妻であった方々につきましては、一心同体ともいうべき夫を失ったという大きな心の痛手を受けつつ今日に至ったという特別の事情があると考えられます。従いまして、この際、このような戦没者等の妻の精神的痛苦に対しまして、国としても何らかの形において慰謝することが必要であるものと考え、これらの方々に特別給付金を支給することといたしますため、ここに、この法案を提案することといたした次第であります。」と提案理由の説明があるんですよ。
 これを素直に読みますと、大体慰謝のために払われた、長い間の精神的痛苦に対して国も何らかの形において慰謝することは必要であるということで特別給付金を出したということですよね、この提案ですと。大体、特別給付金で慰謝をするというのは、私は、一度そういうことを措置するというのが普通の考え方だと思うんですけれども、それが繰り返し繰り返しやられるというのは、そもそもの給付金の意味からいうとおかしいのではないか、いかがなものかと思うんですが、どうでしょうか。
河村政府参考人 おっしゃいますように、この特別給付金というのは、さきの大戦で夫や子供を戦争公務によりまして亡くす、そういう特別な事情に置かれた妻あるいは父母の精神的痛苦に対して国として慰謝するために支給するものでございます。
 今回、この戦没者の妻あるいは父母に対して支給していた国債が最終償還を迎えることになりましたために、国としてその精神的痛苦に対して引き続き慰謝するということにいたしまして、特別給付金を継続して給付するわけでございます。
 なお、創設当初の議論ということでございますけれども、こうした精神的痛苦を慰謝する方法につきましては、当初いろいろな議論がございました。恩給や援護年金のかさ上げなどによって支給するという考え方もございましたし、いろいろありましたけれども、最終的には現在のような形の十年償還の国債により支給するということになったわけでございまして、当初から一回限りということを必ずしも前提としたわけではなかった。昭和四十七年の一回目の最終償還時に、政府部内に学識者七人によります検討会というのを設けて検討していただきまして、その検討会の結論でございますが、こうした特別措置は今後とも引き続き講ぜられる必要がある旨の報告がなされたわけでございまして、以後十年ごとに継続されてきておるというのが現状でございます。
金子(哲)委員 説明を受けましたけれども、やはりこういう慰謝というようなものは一回限りで、もし必要ならば、恩給とかいろいろあるわけですから、必要なものはそこできっちりとやるというのが本筋であって、毎回毎回、十年に一回国債を発行して、十年償還の国債でやるというのは、それが本当の慰謝になるんですか、慰めに。そういうことにならないんじゃないですか。
 私はなぜこの問題を取り上げるかというと、結局そういう形で軍人軍属にかかわる問題については手厚くいろいろ措置をしているわけですよ、恩給問題も含めて。慰謝のものが何回も何回も、二十年も三十年も繰り返しやられるようなことは、私は全然納得できないですよ、その考え方が。そうであれば、別の考え方に立つのであれば、別の考え方に立つようにすればいいと私は思っております。
 それで、それに対比して、例えば被爆者援護法ができたときに特別葬祭給付金という制度が設けられました。これは大体、先ほどの特別給付金でも遺族の方に対して支払われているわけですよね、当たり前のことですけれども、亡くなられた方の妻である遺族の方に。特別葬祭給付金も遺族に支払う制度という形はとっているんですけれども、本来、亡くなった人に対して、原爆で死亡された人に対して特別の葬祭給付金を払うという意味を持っていたんです。
 ところが、実際に支払われる方法というのは、受け手の側が、受給者が被爆者でなければならないという制約があるために、例えば、ある家族で、爆心地の中心にいて、児童疎開で田舎に行っていた。例えば、戦争で軍隊に徴用されていて外地に行っていた。その間に家族はすべて原爆で亡くなった。ところが、帰られた方は被爆者でない。そうすると、受給資格がないんですよね。家族すべて失って原爆孤児になったとしても、この人は、特別葬祭給付金というものを受給する資格がないために、今もって葬祭料というものを受け取ることができないんですよね。
 一方では、そういうことが慰謝という名前で繰り返し繰り返し、もう数十年にわたって支給されて、片方では、すべての家族を失っても、それに対して、自分が被爆者でないという理由だけで特別葬祭給付金支給ができない、そういう矛盾、大きな問題があると思いますけれども、健康局長、ぜひその点についてお伺いしたいと思います。
高原政府参考人 特別葬祭給付金でございますが、これは委員御案内のとおり、四十四年から特別被爆者について、その後また一般の被爆者について葬祭料が設けられたわけでございますが、それ以前にお亡くなりになった方に対しまして、平成七年に、被爆後五十年を迎えて、原爆死没者の方々の苦難をともに経験した遺族であって、御自身も被爆者として、いわば二重の特別の犠牲を払われた方々に対し、生存被爆者対策の一環として、国による特別の関心を表明し、生存被爆者の精神的苦痛を和らげるものとして、現行の被爆者援護法制定時に創設されたものでございます。
 これは、すべての原爆死没者の遺族に対して給付を行う場合と、それから一般戦災による死没者の遺族との間の均衡をとることや、被爆者対策が、原爆放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊な被害であることを踏まえ、生存被爆者対策という現行制度の根幹を変更しない範囲内で実施するとされたものでございます。
金子(哲)委員 今お話があったように、本来ならば、弔意といいますか慰謝の気持ちがあるのであれば、私はやはり、家族を亡くした人、とりわけすべての家族を亡くした人たちに対して、被爆者であってもなくても、同じ痛苦を味わってきているわけですから、そういうものを措置していくというのがむしろ援護法の基本的な精神の中にあるというふうに思っておりますので、そのことだけ申し上げておきたいと思います。
 それで、残りの時間で、そのこととあわせて、在外被爆者問題で少しお伺いしたいと思います。
 三月一日から、在外被爆者に援護法のほんの一部ですけれども適用するということで、本質的な問題はちょっといろいろ意見がありますけれども、それはとりあえずおいて、また時間をとってやりたいと思いますけれども、今度の施行の中で、いわばこれまで手帳を持っていた人たちがすべて有効であるということと、それから、これまで手当の申請をした人で受給できなかった人たちに遡及して支払いをするということですけれども、このことに対して、今国は一生懸命周知しようとされておりますけれども、これは大体、手当を遡及して支払うべき対象者は、今把握されているのは何人でしょうか。
高原政府参考人 三月十八日時点におきまして、六百五十名でございます。
金子(哲)委員 そうしますと、六百五十名の方が一応、これもいろいろ意見はあるにしても、支払いの対象になっているということになりますと、これに完全に支払わなきゃいけないですよね。そうすると、今やられているような取り組みでこの六百五十名の方にきちっと周知し、できるんでしょうか。どうなんでしょうか。
 それと、このことについて周知するというのは、当然のこととして、これは通達などを見ますと都道府県にもかなり要請をしておりますが、基本的には、海外にいらっしゃるという国際的な問題になりますから、国が責任を持たなきゃいけない。厚生労働省が責任を持って六百五十人の人たちを何らかの形で探し出して、亡くなっていらっしゃる方もあるかもわかりませんから、遺族に対しての支給もこの中でうたわれているわけですから、そういうことについて六百五十名の皆さんに対してはきちっと渡るように国が責任を持つべきだと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
高原政府参考人 委員御指摘のように、二月二十六日に各都道府県市に対しまして、QアンドAをホームページに掲載するように依頼したわけでございます。翌日、また各国の被爆者協会に対しまして、協会会員へ広報周知を依頼しております。韓国、ブラジル、米国等でございます。それから、外務省の領事移住部に対しまして、各在外公館における広報周知を依頼しております。
 今後また、海外向け政府広報により、現地の新聞、広報誌を通じまして広報したい。また、海外日系人協会というのもあるそうでございますので、日系人についてはそういうふうな方法をとりたいと思います。基本的に全力を尽くして周知に努めたいと考えております。
金子(哲)委員 重ねて伺いますけれども、できれば大臣に答弁をお願いしたいんですけれども、これはやはり少なくとも六百五十名については国が責任を持って、探し出すという言い方は適当でないかもわかりませんけれども、探して支払いをするために最大限国が責任を持つということでいいでしょうか。
坂口国務大臣 できる限りの努力をしたいというふうに思っております。
金子(哲)委員 この六百五十名の方というのは、手当を遡及して支払う方については割合といろいろ調べられて調査をされて、都道府県の協力も得られて、六百五十名と今おっしゃった数字が出ているように、具体的な固有名詞は挙がっていると思います。しかし、そのほかに、被爆者手帳を海外にあって取得されている、六百五十名以外で多くの人たちがいらっしゃるわけですね。これは推定で二千名を超えるという数字もいろいろ言われておりますけれども、定かでない数字であります。
 しかし、今回の法制で、ここのところ、私は論議があるところですけれども、日本に来れば、例えば手当の申請をやれば支給するというようなことで変わってきたということを、この六百五十名以外の方にも、やはり新たな被爆者援護法の運用に変わったんだということを最大限周知しなければならないというふうに思うんですけれども、その点についても改めてお伺いしたいと思います。
高原政府参考人 新たに被爆者健康手帳の交付申請を希望されている方や、手帳は取得しているが手当の申請がなされていない、この方々に対しましては、現在、いわゆる五億円事業、今回の予算で七・五億に増加しておりますが、その事業の対象にしておるところでございます。こういうものも含めまして、今回の取り扱いを周知する必要があると考えておりますのは委員御指摘のとおりでございまして、ただいま、重複になりますので申し上げませんが、在外公館や各種協会等々を通じまして徹底させてまいりたいと考えております。
金子(哲)委員 ぜひそのことをお願いしたいと思います。四月には各国の被爆者協会の代表が日本に訪問される予定になっておりますので、私どもは、直接、大臣初めお会いできるようにぜひお願いしたいと思いますけれども、その際にも、そういう協力をしていただかなきゃいけないということがありますから、ぜひともお会いをしていただきたいというふうに、直接そういう団体の方にも要請をしていただきたいと思います。
 もう時間がありませんので最後の質問ですけれども、今局長もお話があった渡日事業、昨年の六月からスタートした渡日事業が、特に最近こういう新たな制度に変わった、十二月十八日の上告断念を受けて変わったということで、特に広島市などには、例えば手帳の取得の希望が四百件ぐらい寄せられているというようなことを聞いておりますし、渡日治療の希望も多いというふうに聞いております。
 そこで、とにかく、先ほども話がありましたように高齢という問題もあり、一日も早くそのことをきっちりとすることが重要だと思います。そういう意味では、これまで昨年の六月時点で考えられていた渡日治療に訪れられるであろう数等を考えてみますと、今ちょっと、異常と言いませんけれども、集中的な状況になっております。そういう意味でいいますと、自治体でも広げることの努力もされておりますけれども、当面そういう自治体の対処については、いろいろな制約もあるでしょう、予算の使い方については。いろいろ制約はあると思いますけれども、やはり現地が動きやすい体制、そしてできるだけ速やかにそういう人たちの要望が処理できるような体制をとっていただくということ、その点について、短くて結構ですけれども、ぜひ考え方をお聞かせいただきたいと思います。
高原政府参考人 確かに、広島市につきましては、御指摘のように三月十一日現在で三百九十六件と、平常の業務が五百八十三件でございますので、かなり多いなという印象を受けております。ただ、四県市の中でそういう数字が出ているのは広島市だけでございまして、私どもとしては、四県市にかなり平等に散らばるかなと思っていたんですが、ちょっとそこら辺のところが今後どうなるか推移を見てまいりたいと思います。
 それから、十四年度から十五年度に向けての事務職員、相談員の補助対象の雇い上げ人数でございますが、四県市ともに、事務職員につきましては二人を十五年度にいたしましては六人、つまり三倍、相談員につきましては一人を三人、これも三倍でございます。これも、平等がいいのかどうか、今後の推移を見なければならないと思いますが、そういう形で現在の予算案をお願いしております。
金子(哲)委員 では、時間になりました。終わります。
中山委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 残り十分のお時間をいただきまして、きょうは、戦没者の遺骨収集並びにその後の埋葬問題について私の質問をさせていただきたいと思いますが、冒頭、現在のこの審議の場も、アメリカがせんだってイラクへの武力攻撃を現実的には宣戦布告に近い形で開始する、そのことをとめることすらできない非力な政治家としての自分たちという、非常に重苦しい気持ちで私は本日の質問をさせていただこうと思います。恐らく坂口厚生労働大臣も同じ気持ちかと思います。
 なぜ無益な殺りくが繰り返されていくのか。本当に二十一世紀になって、愚かな人間のなすわざと思いますが、その愚かさが、あるいはまた勇ましさによって覆い隠されて真の戦争の悲惨がわかりづらくなってしまったゆえではないかと思いますので、私は、議員になりましてからのこの三年間ずっと、日本での戦没者、とりわけ海外戦没者、ある方たちはシベリアの凍土の中で、またある方たちは南方のジャングルの中で、飢えや、本当に勇ましい戦闘とは関係のないところで餓死したり傷ついて亡くなっていった方たち、そしてその方たちの遺骨が現在もまだ百十六万、未帰還でございます。
 冒頭、質問予告してございませんが、坂口厚生労働大臣にお伺いいたしますが、海外戦没者二百四十万人のうち、戦後五十八年たちましてまだ半数がこの国に帰っておられないという状態で、この予算案等々を拝見いたしますと、既に可決したものと思いますが、ことしは戦没者の遺骨収集作業というものも、収集箇所も九カ所、昨年が十六カ所がことしが九カ所となっておりますし、だんだんに規模が縮小されておる。そして、まだ百万体以上の遺骨が残っておられる。私は、実はことしの夏、遺骨収集に出向かせていただこうと思っておりますが、今のままのやり方では、恐らく、永久にここに帰ってこられない方たちがたくさん出るように思います。
 坂口厚生労働大臣に、まず、この遺骨収集ということに関して、現状の進捗状況、そして、まだまだ到達しない目標ということに関して、これからの御決意、お考えのほどを冒頭お願い申し上げます。
坂口国務大臣 遺骨収集に対しまして、阿部議員が非常に熱心にお取り組みをいただいておりますことに感謝を申し上げたいと思います。
 この遺骨収集の状況を見てみますと、国によりましてはかなり進んで、あるいはまたほとんど進んだというところもございますし、国によりまして全く進んでいないという状況もあるわけでございます。
 これから先、この遺骨収集、なお熱心に取り組んでいかなければならないというふうに思っておりますが、私は、今までこの遺骨収集のできなかった国、現在もできていない国、そことどう交渉をするか、そしてこれは、五十年以上、五十八年でございますか、もう経過をしているわけでありますから、少なくともこの際、過去のさまざまなことはもうかなぐり捨てて、どうかひとつそうしたことに応じてほしいという申し入れをやはりちゃんとして、外交的に決着をつけなければいけないというふうに思っている次第でございます。そのことが済まない限り、多くの皆さん方の遺骨を日本に迎え入れることができ得ない段階に来ているというふうに思っております。
阿部委員 さすが大臣の御見識と思いますし、本当にそのように努力していただきたい。
 私が昨日要求いたしました資料でも、平成十二年度、十三年度、十四年度と遺骨収集の数は、平成十二年度千三百三十九柱、十三年度二千七百十柱、十四年度二千五百三十柱と、ややふえておる。ただし、これは旧ソ連方面が現実に遺骨収集されるようになったということを受けてであって、南方方面だけを見ますれば、十二年度六百三十三、十三年度四百三十九、十四年度二百十九と、だんだん減ってきております。
 南方方面は、特に、かつての日本の行った戦争時のさまざまな問題についての謝罪も含めた外交的な意思表明というものがなければこれ以上遺骨収集が進まない、あるいは、遺骨の傷みがひどくて、ジャングルの中を分け入って遺骨を収集してくることがなかなかできないという双方の問題がございますので、ぜひとも政府として総体を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 では、予定された質問に入らせていただきます。
 これまで、そうやって遺骨収集を重ねてきて収集された遺骨の中で、九一年以降、収集した遺骨を御遺族に返せたものが三百九十六柱あると言われております。ソ連方面が多く百六十四、モンゴル二百十六、南方十六ですが、実は、御一体として遺骨収集してきましても、御遺族にお引き取り手がない、あるいは何らかの御事情でお引き取りを拒否される、あるいは定かに名前が確定できない場合は、個別に収集した御遺骨も、もう一度全部のほかの骨と一緒くたになって処理されてきておりました。
 私は、それが余りに個の尊厳を脅かすということで昨年も質問いたしまして、とりあえず個体として収集されたものは個体として置くという御答弁で、厚生省がお預かりいただいているものと思いますが、この個として預かられた御遺骨を今後どのようなやり方で埋葬していかれましょうか。また一緒くたにブレンドなさるか、それとも、個は個として、引き取り手がない状態であってもそれなりの収集、埋葬をなさるのか、その一点をお願いいたします。
坂口国務大臣 結論から先に申し上げますと、個体性を維持したまま納骨する方法につきまして現在検討しているところでございます。
 しかし、お名前もわからないし、どうすることもできない遺骨も多いわけであります。そうしたところは今まで合体をして納骨させていただいたということもあるわけでございますが、今後、できる限り個体性を維持していくということを中心にしながらやっていきたいというふうに思っているところでございます。
阿部委員 名前がわかったかわからないかで、その方の個人の尊厳が異なるわけではないと思います。特に、お名前がわからない、あるいはわかっても遺族に引き取り手がない方が、これまで、何度も申しますが、ブレンドされてまいりましたので、個体性を、きちんと分けられるものは個体として埋葬していただくことを重ねてお願い申し上げたいと思います。
 引き続いて、時間との関係がございますので、DNA鑑定の件に移させていただこうかと思いますが、これまで、個体として収集されてきて、しかるべくDNAが鑑定されればお名前がわかる、あるいは御遺族がわかるという方があるやもしれないことについて、DNA鑑定をどうするかということをこれもお願い申し上げていましたが、担当局の方から現在の進捗状況を教えてください。
河村政府参考人 平成十一年度の遺骨収集から、個別あるいはこれに準ずるような形で埋葬されている場合には、遺骨の一部を検体として未焼骨のまま持ち帰っておりまして、現在までのところ五千五百六十三柱の検体を厚生省において保管しておるということでございます。
 戦没者遺骨のDNA鑑定につきましては、これまで有識者による検討会を開催いたしまして、技術的あるいは倫理的な問題につきまして鋭意検討を行ってきておりまして、もうそれが最終局面に入っております。年度内には、つまり今月中には報告を取りまとめることができる状況になってきておるというのが今の状況でございます。
 それから、そうした場合に、埋葬者名簿等から推定できます関係御遺族に対しましては、これまでも遺骨収集の実施あるいはその結果のお知らせを行っておるわけでございまして、このDNAの鑑定の実施、これは十五年度に入ってからということになると思いますが、その実施についても、改めて関係御遺族に対してお知らせを行うなどの適切な周知に努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
阿部委員 御遺族も年々御高齢化しておりますし、歯の一かけあるいは小指の一本からでも今はDNA鑑定できる時代でございますから、早急な周知徹底と、そしてなお、私は、どのような小骨であれ、もしもそれが一人のものとわかれば、すべて個として埋葬していただきたい、そのための墓地のあり方ということも検討いただきたいと、これは坂口厚生大臣にお願い申し上げて、本日の質問を終わります。ありがとうございました。
中山委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
 午後四時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時一分開議
中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 引き続き、内閣提出、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案の両案を議題といたします。
 両案に対する質疑は、先刻終了いたしております。
 まず、内閣提出、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
中山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
中山委員長 次に、内閣提出、平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、山口富男君外一名から、日本共産党提案による修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山口富男君。
    ―――――――――――――
 平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。
 私は、政府提出の平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案に対する修正案について、提出者を代表して、趣旨及び理由を御説明いたします。
 この修正案は、過去三年間実施してきた物価スライドの特例措置を二〇〇三年度についても継続して行い、物価下落の影響を年金給付額に反映させない措置をとるものです。
 もともと我が国の年金額は、平均で、国民年金で五万二千円、厚生年金では十七万六千円、女性の場合は男性の半分程度という低い水準であります。物価が下がったといっても、年金生活者の生活の苦しさに変わりはありません。
 超低金利のもとで、かけがえのない利子所得も減額しています。さらに、昨年十月からの高齢者医療の負担増、四月からの介護保険料の引き上げなど、もはや限界を超えています。年金額の削減ではなく、増額こそ実現すべきであり、年金給付の削減に連動して、母子家庭や障害者、被爆者など社会的弱者に対する諸手当の減額などはすべきではありません。
 何とぞ、慎重御審議の上、御可決くださいますようお願い申し上げまして、趣旨の説明といたします。
中山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。
坂口国務大臣 平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案に対する修正案については、政府としては反対であります。
    ―――――――――――――
中山委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。小沢和秋君。
小沢(和)委員 日本共産党を代表して、政府提出の平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案について反対の討論を行います。
 二〇〇三年度の物価スライドの凍結解除で年金給付が〇・九%引き下げられれば、厚生年金などの給付総額で三千七百億円の削減となり、年金に依存する多くの高齢者の生活を直撃することになります。しかも、その影響は将来まで及ぶもので、被害は甚大であります。さらに、児童扶養手当や障害者関係手当、被爆者関係手当など、十種類の諸手当に連動し、三十億円の給付が削減されることは許しがたいものであります。
 この数年、消費税増税、医療費負担増、介護保険の保険料、利用料負担などが年金生活者に重くのしかかっています。さらに、昨年十月からの高齢者医療の負担増で外来患者を中心に受診抑制も広がっています。四月からは介護保険料の引き上げも予定されています。その上に、この年金給付の減額が加われば、年金受給者の生活にとって耐えがたい打撃となることは明らかではありませんか。政府が先頭に立って高齢者負担をふやしておきながら、物価が下がったから年金を下げるとは、余りに厚かましい言い分であります。
 物価スライド制は、七三年の石油ショックの際に、物価高騰による年金の実質減額を防止する仕組みとして導入されたもので、年金額の目減りをさせない、年金生活者の生活水準を維持することがその趣旨であります。今求められるのは、年金給付の削減ではなく、年金を増額することであります。
 このような立場から、我が党は、年金額を現行のまま据え置く修正案を提出いたしました。むだな公共事業費などを思い切って削減し、暮らし、福祉へ重点的に予算を配分することが経済の安定にとっても不可欠であることを強く主張して、修正案賛成、原案反対の討論といたします。(拍手)
中山委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
中山委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、山口富男君外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
中山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
中山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
中山委員長 この際、本案に対し、熊代昭彦君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。水島広子君。
水島委員 水島広子でございます。
 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
  高齢者の生活は、消費者物価のみではなく、医療や介護など福祉のあり方に大きく左右されるということに鑑み、年金のみの議論にとどまることなく、医療、介護、税制全般について高齢者が生活上の安心を得られるよう必要な措置を講ずること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
中山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
中山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。
坂口国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
中山委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十分散会


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