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第15号 平成15年5月16日(金曜日)

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平成十五年五月十六日(金曜日)
    午前九時四分開議
 出席委員
   委員長 中山 成彬君
   理事 熊代 昭彦君 理事 長勢 甚遠君
   理事 野田 聖子君 理事 宮腰 光寛君
   理事 鍵田 節哉君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 武山百合子君
      岡下 信子君    小西  理君
      佐藤  勉君    田村 憲久君
      竹下  亘君    棚橋 泰文君
      西川 京子君    原田 義昭君
      平井 卓也君    松島みどり君
      三ッ林隆志君    宮澤 洋一君
      森  英介君    谷津 義男君
      山本 幸三君    吉田 幸弘君
      吉野 正芳君    渡辺 具能君
      家西  悟君    石毛えい子君
      大島  敦君    加藤 公一君
      五島 正規君    城島 正光君
      三井 辨雄君    水島 広子君
      江田 康幸君    桝屋 敬悟君
      佐藤 公治君    小沢 和秋君
      山口 富男君    阿部 知子君
      金子 哲夫君    山谷えり子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           木谷 雅人君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            松崎  朗君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局長
   )            戸苅 利和君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君
   政府参考人
   (林野庁林政部長)    小西 孝蔵君
   参考人
   (社団法人日本経済団体連
   合会国民生活本部副本部長
   )            松井 博志君
   参考人
   (日本労働組合総連合会総
   合労働局長)       龍井 葉二君
   参考人
   (弁護士)
   (NPO派遣労働ネットワ
   ーク理事長)       中野 麻美君
   参考人
   (民主法律協会派遣労働研
   究会)          綱本  守君
   参考人
   (労働組合東京ユニオン書
   記長)          関根秀一郎君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  奥谷  通君     原田 義昭君
  後藤田正純君     小西  理君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     後藤田正純君
  原田 義昭君     奥谷  通君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)


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     ――――◇―――――
中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官木谷雅人君、厚生労働省労働基準局長松崎朗君、職業安定局長戸苅利和君、雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、年金局長吉武民樹君及び林野庁林政部長小西孝蔵君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口富男君。
山口(富)委員 おはようございます。日本共産党の山口富男です。
 きょうは静かな立ち上がりのようなんですけれども。
 私は、今回の労働者派遣法につきましては、対象期間の延長の問題でも対象業務が広がる問題でも、雇用の不安定化、流動化をもたらす重大な問題がある、それから、職安法については、特に兼業禁止の問題について重大な問題があるというふうに考えております。
 それで、きょうは幾つかの問題に絞ってまずお聞きしたいんですが、政府はこれまで、労働者派遣事業について、これが臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策だというふうに位置づけまして、常用雇用を代替させる直接手段にこれがならないようにいろいろな制限を加えて厳密に運用するというふうにしてまいりました。坂口大臣も、今国会でも、今回の改正案においてもこの点に変更はないというふうに答弁されています。
 そこで、改めて坂口大臣に確認したいんですが、この労働者派遣事業についての臨時的、一時的という位置づけは一体どういう意味があるのか、まずお尋ねしたいと思います。
坂口国務大臣 最近、働く皆さん方の働き方というのも非常に多様になってまいりましたし、また、御要望も多様になってきたというふうに思っております。
 我々が若かったころのことを思いますと、我々のときには常用雇用というのが当然であって、それオンリーだという考え方が非常に強かったわけでございますが、最近は、時間的にも、こういう時間帯で働いて、そして余暇は自分のやりたいことをやりたいというような方もございますし、また、曜日につきましても、何曜日と何曜日は休んでこうしたことをやりたい、それ以外のところはしっかり働きたいというような方もございます。また、期間につきましても、こういう期間で働きたいというような方もあったりいたしまして、そうした方のお話を聞きますと、非常に働き方も多様化してきたなというふうに私は思っているわけでございます。
 そういう期間でありますとか職場を選んでいきたいという、いわゆる働く側のニーズというものも確かに出てきていることは事実でございます。
 また、雇う側の方にとりましても、いわゆる昔から季節労働者という言葉がございますけれども、季節的に非常に多くの皆さん方に働いてもらいたいというようなこともあったりいたします。あるいはまた、急に人がいなくなって補充をしなきゃならないというようなこと、一時的に労働者の皆さん方がお休みになって、その間を埋めなきゃならないというようなこともあったりいたしまして、その間働いてもらって、そして、常用の人が出てまいりましたときにはその方に引き取っていただくというような、そうしたことも必要になってくる。言ってみれば、臨時的、一時的というくくり方でくくれる範囲ではないかというふうに思っております。
 双方のそうした要望もあって、この労働者派遣というものは位置づけられているというふうに私は考えている次第でございます。
山口(富)委員 ニーズの問題は後ほどまた議論になると思います。
 働き方の多様化という指摘がございましたけれども、いずれにしましても、臨時的、一時的というとらえ方の基本は、常用雇用について、これを守るというのが基本の立場だというふうに理解しております。
 今度の改正案の検討に当たりましては、当然、九九年以降の改正派遣法の施行の状況についてよく吟味する必要があるわけです。
 それで、お配りしております配付の資料をごらんいただきたいんですが、一つは東京都の派遣労働に関する実態調査二〇〇二年、これが入っております。それから、厚生労働省が調査しまして労政審に提出しております資料から幾つか引用してあるわけです。
 まず、東京都の調査なんですけれども、これは二つの特徴がありまして、一つは、今回四回目の調査で、調査自体に継続性があるんですね。それからもう一つは、東京都の場合に、派遣の事業所の数でいきますと、大体全国の三割ぐらいがここに集中しておりまして、全国的な趨勢を見る上でもなかなか重要な資料だと思うんです。
 この中で、まず資料一をお読みいただきたいんですけれども、派遣労働者を受け入れる前の状況が、「正社員がその業務を担当していた」というのが七三・二%。それから、派遣労働を利用した理由の第一が、引き続き「従業員数の抑制」、これが三三・二%になっているという数字が出ております。それから、資料三なんですけれども、これは厚生労働省の調査ですけれども、派遣労働者が行っている業務の前任者は常用労働者だった、これが六九・九%。それから、その前任者が今どうなっているのかということで、事前事後も含めまして、やめているというのが三割を超えております。
 こういう実態を見ますと、現実には常用雇用の代替が派遣労働によって生まれているというふうに考えるべきだと思うんですが、この点いかがでしょうか。
戸苅政府参考人 ネガティブリスト化を前回の法改正でいたしました際に、派遣については、臨時的、一時的な労働力の需給調整の手段である、したがって常用雇用との調和が図られるような形でネガティブリスト化しようということで取り組んでまいりました。
 この表でございますが、確かに、私どもの調査でも、それから東京都の調査でも、派遣労働者の方が今ついている業務の前任者というのは正社員の方が七割ぐらいを占めているということでありますが、お配りいただいた資料を使って説明申し上げて恐縮なんですけれども、例えば資料の四で見ますと、一つは、左から二つ目でございますが、「同じ事業所で同じ業務を担当している」という方が一九・六%おられるわけであります。これは、ある意味では、業務量がふえたということで、業務量増に対応しようということかなというふうにもまた思いますし、それから場合によったら、育児休業をとられたというふうなことで、その代替要員ということもあり得るのかなと思います。
 それから、これは先生の先ほどのお話とちょっと私ども見解を異にするところでありますけれども、右から三番目の、「派遣受入れ前に辞めてしまった」という方が二六%おられますが、これはいろいろなケースはあると思いますけれども、多くは恐らくやめられたためにその欠員補充のために派遣を導入したということではないかなと、こういうふうにも思っていまして、左側が、「派遣の受入れを期に辞めてもらった」というのは四・一%でありますので、そういった意味では、純粋に常用雇用と派遣が入れかわったという意味ではこの四・一%なのかな、こういうふうにも思います。
 それから、資料の五でございますが、今申し上げたようなことを裏づけるような格好になってしまうのかなと思いますが、資料の五は、どうして派遣労働者を受け入れたのかということでございます。これは私どもの派遣先に対する調査でありますけれども、左から二つ目が、「一時的・季節的な業務量の増大に対処するため」というのが二四・四、それから「通常業務の一時的な補充のため」というのが二〇・二、それから欠員補充等のためにというのが四五・一、このあたりでございますので、これは複数回答でありますから、これを全部足し上げると九割を超えてしまうわけでありますけれども、こういったことから考えると、私どもとしては、派遣が基本的には臨時的、一時的な業務についているということではないか、こういうふうに思っています。
山口(富)委員 私が指摘した点について、規模の多少は別にしても、こういう代替雇用が部分的に起こっているというのはお認めになりました。それから、私が資料四とあえて五を加えましたのも、今局長がお話しになったような見方がありますから、あえて加えたんです。
 しかし、この資料五にいたしましても、「常用労働者の数を抑制するため」というのが二六・〇%なんですね。しかも、コストが割安というのが三七%ございますから、この資料五を見ても、やはり一つの趨勢としては、常用雇用に対して派遣の方を入れていくという傾向が生まれているのは間違いないと思うんです。
 それから、最新の厚生労働省が発表しております労働者派遣事業の事業報告を見ましても、派遣労働者の数は九七年から二〇〇一年で倍増しているんですね、約百七十五万人。この時期に、正社員の、正規の職員、従業員がどれだけ変化したかといいますと、三千八百万から三千五百万に減少しているんです。
 このこと一つとってみましても、私は、実態として常用雇用を守れていないということをきちんと見なければいけないと思うんです。ですから、今必要なのは、臨時的、一時的という対策をきちんととりながら厳格にこれを運用させる、行政としてはその立場に立った監督指導をきちんと行うということが必要なはずなんです。
 その立場から、以下、改正案についてただしていきたいと思うんです。
 まず第一に、九九年の大規模な改正があったわけですけれども、その際に、労働者派遣が常用雇用の代替として使われないように、二十六業種以外については派遣の期間を原則一年にしたわけですね。今回、この原則一年を見直しまして、派遣可能期間として三年までの派遣を認めることになるという提起なんですけれども、九九年の段階では常用雇用代替の防止として位置づけた期間が何で今回あえて三年に延長されるのか、これについてお尋ねしたいと思います。
戸苅政府参考人 一つは、従来は、専門的な技術なり能力といいますか、知識なりを持っていた方、それから特別な雇用管理を必要とする、これは、例えばビルメンテナンスのように、通常の勤務時間を外れた早朝ですとかあるいは五時以降ですとか、そういった形で働く方、そういった人たちについては常用雇用との代替というものの心配が少ないということでやっていたわけでありますが、その後の経済情勢あるいは企業活動の変化それから労働者のニーズの変化、そういったものに応じて、多様な選択肢を労働者にも用意し、それから企業の柔軟な企業活動にも対応できる労働力需給調整システムを整備しようということでネガティブリスト化をしたわけであります。
 その際、今お話しのように、常用雇用との調和という観点から一年の期間制限を設けたわけでありますが、その後既に何年かたっているということで、一つは、派遣労働者の方の御意見それから派遣先の意見、こういったものを昨年の六月の調査で見ますと、派遣労働者の方についても、例えば「わからない」とか「どちらでもよい」とか、こういった方を除いて全体の割合を見ますと、派遣期間を延長すべしあるいは派遣期間の制限は撤廃すべしという意見が今、どちらでもいい、わからないという人を除きますと六割ぐらいを占めている。それから、派遣先の調査でも、「受入れ期間が一年間では短すぎる」というのが五七・七%を占めている。こういった実態でありまして、臨時的、一時的であるといっても、業務の処理に一年を超える期間を要するケースというのは少なくないというふうに私ども一つ判断したということであります。
 それからもう一つは、やはり何といっても、派遣法というか、派遣制度のネガティブリスト化というのは派遣制度自身にとっても大変な変革であったわけでありまして、そういった意味で、我々としても慎重に一年の期間制限ということでスタートしたところでありますけれども、派遣業務も社会に定着しているということ、それも臨時的、一時的という形での定着が進んでいるというあたりを判断いたしまして、現実に対応すべく最大三年ということで、労働者の意見を聞きながら最大三年ということで今回御提案申し上げているところであります。
山口(富)委員 企業のニーズとしてはそういう指摘もあるかもしれません。しかし、働いている方のニーズというのは、今局長がおっしゃった、資料六に使われた資料を引用いたしましたけれども、私は全く読み違っていると思うんですね。
 今の説明ですと、資料六で、一年の派遣期間の制限について「どちらでもよい」「わからない」を除くと六割が賛成だという話でしたね。
 問題は、じゃ、このどちらでもよい、わからないと言っている人はどういう人たちかということなんです。その資料が、次の資料七。
 一体、派遣労働者が派遣先の一年の受け入れ期間の制限を知っているかどうか。何と、知らない人が五七・一%ですよ。半数以上の人が一年の制限期間を知らないんですから、これはわからないと答えるに決まっているんです。
 ですから、その部分を除いたら多数が望んでいるという見方は、これは間違っておりまして、じゃ、派遣労働者が何を望んでいるかといいますと、資料の八から九。
 資料九でいいますと、「できれば正社員として働きたい」が三七・二%。そして、実際の派遣労働について言うと、七割の方が今の派遣労働は不安であるという気持ちを示しているんですね。
 さらに、資料十でも、これは厚生労働省の調査ですけれども、派遣労働者の二五・八%が「できるだけ早い時期に正社員として働きたい」、それから「家庭の条件が整えば正社員として働きたい」というのが一〇・七。これだけの規模の人が正社員を望んでいる。これが基本の、行政の側から見て押さえるべき大事な点なんです。
 しかも、現行法からいきましても、四十条の三からいきまして、派遣期間を延ばしたいというふうに派遣先が考えるなら、派遣労働者を常用雇用に変えるというのが筋ではないんですか。
戸苅政府参考人 これまでの議論というのが、派遣か常用雇用かというような議論になっているわけでありますが、私どもとしては、企業をめぐる国際情勢、あるいは企業間競争が非常に激しくなっている、そういった中で、企業が非常に先を見通しにくいというのが今の時代だろうと思います。また、大臣がいつも申されているように、時代が変わればまた状況が変わってくるんだろうと思いますが、そういったことの中でどういうことが起きているかといいますと、先ほど先生がおっしゃったように、労働力調査等を見ましても、正規の職員数というのが、前回の派遣法の改正前と最近の状況を比べると、やはり二百万人強減っている。
 一方で、ふえたものは、何がふえているのかといいますと、派遣は十七万人ぐらいふえているのでありますが、パート、アルバイトあるいは契約社員、こういった方が百八十万人ぐらいふえているということで、派遣もふえているんですけれども、やはりパート、アルバイト、契約社員といった多様な働き方をされる方がふえているということだろうと思います。
 そういった中で、確かに先生がおっしゃるように、常用雇用につくということを望んでおられる方がおられるのは、これは間違いないことで、我々としては、やはり常用雇用につかれる方の就職をいかに確保するか、それから、常用雇用につけるように就業条件等をどうやって整備していくのか、あるいは、育児休業等をどうやって整備していくのか。それはありますけれども、ただ一方には、やはり企業のニーズということになりますと、今のように先の見通しにくい、あるいは経済変動の激しい時代の中で常用労働者を雇って、本当に定年まで雇用を確保し切れるのかというふうな状況もあるんだろうと思います。
 それから一方で、先ほど大臣が申し上げたように、働く方の中にもさまざまな働き方をしたい、いろいろな事情で、場所を選び、あるいは働く日にち、働く時間を選び、あるいは残業のない働き方をしたい、そういうような方々もおられるわけで、そういった意味で、我々としては、常用雇用だけを目指した労働力の需給調整のシステムの整備ということではなくて、いろいろなニーズにそれぞれ的確にこたえられるようなシステムを整備していこうというふうに考えていまして、そういった中で、派遣について、これはちょっと先生とは意見が相違するようでありますけれども、我々としては、労働者のニーズ、企業のニーズ、双方のニーズを踏まえて、一年から三年に延長したい、こういうふうに考えております。
山口(富)委員 答弁はできるだけ簡潔にお願いします。
 今、両者のニーズだとおっしゃいましたけれども、派遣期間の延長についていいますと、一年から三年といいますが、これは派遣先と派遣元の関係なんです。派遣労働者が一年から三年に、そのまま勤める期間が延びるというような仕組みじゃないんですね。
 しかも、今起こっている問題で重大なのは、資料の十一なんですけれども、これは東京都の調査でも厚生労働省の調査でも同じ結果が出ておりますが、個々の派遣労働者の契約期間は短くなっているんです。今、「六カ月未満」が、六七・二%から、東京都の調査では、以前の調査の七四・四%へと七・二%ふえている、短い部分が。それから「六カ月以上」というのは三二・七%から二五・六%に七・一%減っているというのが今の実態なんですね。ですから、私は、局長がおっしゃった、今度の期間延長というのは労使双方のニーズにこたえるというのは全くの欺瞞だというふうに思うのです。
 それで問題になりますのは、だったら、改正案で言っております派遣可能期間について、派遣先がこれを考えるという建前なんですけれども、一体派遣先は何を基準にして、この三年間の期間延長というものを、臨時的、一時的な措置というふうに判断するんですか。
戸苅政府参考人 基本的には、例えば欠員が生じてしまった、それから、急に仕事の注文を受けて業務量が急にふえた、あるいは、今まで取り組んでいなかった全く新しい仕事が来たが、それがその後もずっと続く仕事なのかどうかわからない、そういった事態のときに派遣を導入しよう、こういうふうに考えるのだろうと思います。
 その場合に、その業務を行うのに必要な期間は一体一年なのか、あるいは二年なのか、三年なのか、四年なのか、こういうことになるわけで、我々としては、それが三年以内であれば派遣で受け入れを可能にしよう、三年を超えるような場合は、それは派遣は認めないという格好でいこう、こういうふうに考えているわけでありまして、そういった意味で、その派遣を導入しようとする業務を処理するのにどのくらいの期間を要するのかということであります。それをやる場合に、現場に精通している労働者の意見を過半数代表の組合に集約してもらって、その意見も聞いて決定する、こういうシステムを考えております。
山口(富)委員 今、当該期間の問題について労働者の意見を聞くというお話がありました。
 そこで確認しておきたいのですが、一体、意見を聞くというのは、派遣期間をこれだけ延ばしますよという点について意見を聞くのか、それとも同意あるいは賛成を求めるのか、それから、派遣期間だけじゃなくて、派遣労働者の数も含めて、業種も含めて、そういう総合的な判断を求めるのか。この聞くという中身というのは何なんですか。
戸苅政府参考人 法律上は、今申し上げましたように、臨時的、一時的な業務に派遣を受け入れるのに必要な期間あるいは適切な期間というのがどのくらいかということについての意見を聞くということでありまして、派遣を受け入れる、あるいは派遣をどのくらいの期間受け入れるということについては、これはもう最終的には経営判断ということになりますので、我々としては同意というところまではいかない、意見を聞くということだろうと思います。
 ただ、そこは労使関係でありますから、基本的には労使関係の中で、事業主がそこをどれだけ踏まえるのか、こういうことになるんだろうと思います。
山口(富)委員 今の局長の答弁ですと、結局経営者側、派遣先任せということになる答弁だと思うのです。
 そこで、資料の十二をごらんいただきたいのですが、東京都の調査で、派遣先企業の規模は千人以上が四三・九%と、今、派遣労働者の多くは大手の企業に派遣されているということだと思うのですね。しかも、今この日本では、その大手の企業が一番、解雇、リストラを進めているわけです。ですから、これを派遣先任せにしてしまいましたら、いわば臨時的、一時的という、常用雇用との調和を図るというふうに先ほど答弁ありましたけれども、そういう考え方が基本に置かれるかどうか甚だ危うい分野ですね。
 ですから、私、派遣先が期間を変更する際のガイドラインなり判断の基準をつくらなければ、派遣先任せになってしまうというふうに思うのですが、この点はどういう検討をされていますか。
戸苅政府参考人 私どもとしては、法律に規定いたします派遣期間についての過半数代表の意見というものが確実に行われるようにということについて、これは何らかの工夫をする必要はあるだろう、こう考えています。あとはもう、正直申し上げて、使用者が過半数代表の意見をどこまで尊重するか、こういうことで、そこは労使関係の中でということになるんだろうと思います。
山口(富)委員 雇用問題というのは、労使関係の判断に任せられないから、行政が関与していくんですよ。
 それで、今いろいろ言われましたけれども、例えば、実際にリストラが起きている現場で、リストラをやってしまった企業に対しては一定期間派遣労働を認めないとか、そういう対策を含めた検討というのはなさっていないんですか。
戸苅政府参考人 一つは、リストラを行った直後に、まだその業務が残っているということで派遣労働を受け入れるということになりますと、恐らく、そういうことについての解雇というのが今の解雇の法理の中で可能なのかどうかということが一つあるんじゃないかと思います。
 それからもう一つは、もうその業務は終わってしまう、その業務がない、あるいは大幅に縮小するために解雇をする、あるいは配置転換等によるリストラをする、ところが、その後に思わぬことで業務がぽんと入ってきてしまったというふうなことで、ただ、その業務も一時的に入った注文だけだということであると、パートタイム労働者を雇うか派遣労働者を受け入れるか、そういうふうな判断になってしまうんだろうと思うんです。
 問題は、確かに先生おっしゃるように、そういった場合に安易に派遣を受け入れることができるというふうなことになったときに、安易なリストラが行われるということを促進するんじゃないかというふうな御意見というか御懸念はあるんだろうと思うので、そのあたりについて労使間できっちり、派遣を受け入れるということが合理的な理由によるとか、リストラをやったときには想定されていなかった事態が生じたので派遣を受け入れるんだというふうなことになるとか、そういったようなことで、労使間できちんとその合理的な解決が行われるようなことが望ましいんじゃないか、こういうふうには思っています。
山口(富)委員 懸念があるというふうにお認めになるんでしたら、それに向けた対応をきちっと行政はとるべきだと思うんです。
 きょうの答弁を聞きまして、私は、派遣期間の延長については、これをなすべき合理的理由は一切ないし、これが臨時的、一時的なものにとどまるという保証もないというふうに思います。
 続いて尋ねたいんですが、九九年の改正で、第四十条の三に、当該同一の業務に継続して一年従事した派遣労働者であって、希望される方は遅滞なく雇い入れるように派遣先の方は努めなければならないという規定が盛り込まれたわけですけれども、これに基づいて遅滞なく雇い入れるように努めなければならないというふうに定めて以降、一体この努力規定というのはどの程度力を発揮したのか、その点、お尋ねします。
戸苅政府参考人 これにつきましては、一つは、今先生お話しの雇い入れの努力義務規定でありますけれども、これは、一年間丸々同じ労働者が同じ業務に派遣を続けていた場合に、さらに一年を超えて当該業務を行おうという場合は、その当該労働者を雇い入れるように努力しろ、こういうふうな規定でありまして、そういった意味では、そう頻繁に起こるケースではないんだろうというふうには思います。
 ただ、私の方も、六月の調査によりますと、一年の派遣期間の制限の対象となる業務を行った事業所のうち、派遣元の調査でありますけれども、三割ぐらいは一年後に常用雇用に移行したケースがある、こう答えているということであります。
山口(富)委員 三割ぐらいというのは上の方にまとめた数字で、二割台ということでしょう。(戸苅政府参考人「二九・八%であります」と呼ぶ)それで、これは物の見方としては、実際にはこの努力規定がその程度しか力を発揮していないと見るべきだというふうに思うんです。
 それで、これは重ねて坂口大臣にお尋ねしたいんですが、資料の十三、それから十四をごらんいただきたいんですけれども、優先雇用についてなんです。
 この優先雇用の努力義務の認知で、これを知らないという派遣先が四二・八%、それから派遣労働者に至っては七〇・八%。七割を超える方がこの制度を知らないというんですから、これは、私は、この新しい、九九年に改正された派遣法の周知徹底という点で大変問題がある状態だというふうに思うんですが、この点について、坂口大臣の見解を求めたいと思います。
坂口国務大臣 新しいこういう事業に参加をされる人たちは、自分たちが参加をする事業が、どういう法律にのっとって、どういうふうに決められているかということは、やはりよくわかってもらわないといけない。それはこの事業を行う人たちの責任だと思うんですね。
 しかし、そうとばかりは言っておれない。実際によくわかっていない人が多いということになれば、行政指導というものも徹底しなければならない、こういうことかと思います。
山口(富)委員 その行政指導の徹底にかかわって、次の問題に移りたいんですが。
 今、長期の不況のもとで、実際上雇用というのは買い手市場になっているんですね。それだけに、派遣労働者の就業条件というのはさまざまな問題が生まれている。特に派遣労働者は女性が多いですから、母性保護の問題も含めまして、我々が考えなきゃいけない問題は多々あると思うんです。
 それで、この派遣法の中では、厚生労働大臣は、法令に違反した派遣元に対して改善命令が出せますし、改善しなければ必要な措置をとれる。それから、四十八条で指導、助言、これに従わない場合は四十九条の二で公表する旨が定められております。
 それで、最近の、わかるところで結構なんですけれども、労働者派遣事業をめぐって、派遣元や派遣先への改善命令、それから指導、助言、これがどれだけ出されているのか、確認したいと思います。
戸苅政府参考人 まず、派遣元でございます。
 これは平成十三年度一年間の指導監督件数でありますが、派遣元には四千九十六件の指導に行っております。そのうち、法令違反等がある、あるいは適切でない実態が認められるということで、文書で指導したものは百三十三件でございます。
 それから、派遣先に対する指導監督件数でありますが、これは九百五十三件でございまして、そのうち、文書による指導件数は五件ということであります。
山口(富)委員 どうもこの改善の手だてがほとんど口頭、文書はほとんどなくて口頭であるということらしいんですが、このうち、定期指導で意見をつけたものはどのぐらいあるんですか。
戸苅政府参考人 ちょっと定期指導の件数と臨時、臨検指導といいますか、臨検監督といいますか、そこをちょっと区分けしてとっていないものですから、申しわけないんですけれども、そこはわからないということです。
山口(富)委員 それが今の指導監督の現状だと思うんです。
 それで、お配りしました資料の最後のところに、労働者派遣事業及び民営職業紹介事業に関する行政評価・監視結果という、総務省の北海道管区行政評価局が昨年の三月二十八日に出した文書を資料として提出しております。
 それで、当然厚生労働省は把握していると思うんですが、総務省が管区別に二〇〇一年の十二月から二〇〇二年の八月にかけて同様の行政監察を行ったわけですね。その結果、改善の所見を発表しております。私が総務省に問い合わせた範囲では、行われた調査は、北海道、青森、宮城、茨城、広島、香川、徳島、愛媛、福岡の九県になっております。厚生労働省は当然その内容を熟知していると思うんですけれども、この指摘された点についてどう評価されているのか、お尋ねします。
戸苅政府参考人 今先生が御指摘のように、地方の行政評価局によります行政評価・監視が行われたわけであります。
 一つは、より効果的な定期指導をしろ、こういうことがあります。それから、指導する場合は、今、文書指導件数が百何件と、こう申し上げましたが、原則として文書で指導しろ、こういうふうなことを言われております。それから、改善状況もちゃんと報告させろ、こういうようなことを言われております。
 そういった意味で、正直申し上げて、御指摘のとおり、派遣事業者に対する指導監督の取り組み方、それから具体的な指導改善のやり方、このあたりについては、やはり我々もより工夫をし、それから改善をすべき点がまだ多々ある、こう受けとめています。
山口(富)委員 一番肝心なのは、法令自体がきちんと守られていない、それから指導の問題でいいますと、定期指導の中身が大変お粗末だ。局長は百件と言いましたけれども、派遣先については五件しか文書指導が全国でないんですから。
 それで、私は、きょう委員にお届けしました北海道の調査結果だけ見ましても、極めて驚くべき実態があるというふうに思います。
 この北海道の、二ページ目なんですが、まず派遣元事業主について言いますと、何と調査した八三・三%が労働者派遣法それからいわゆる指針等に定める事項を遵守していない。それから、派遣先も同じような結果でして、八五%の事業者が労働者派遣法それから指針に定めた事項を遵守していない。八割を超える事業主が法令に反しているわけですから、極めて深刻な実態がここにあるというふうに思うんです。
 それからもう一つは、今局長もいみじくもおっしゃいましたけれども、定期指導の中身なんです。例えば、これは二枚目のところなんですが、一番最後の丸印のところで、派遣元事業主三十事業者について調べてみるとということで、総務省の方の調査では要改善事項が認められた十の事業所のうち七つの事業所で定期指導では指導事項がない、それから、指導事項がある二つの事業所については改善事項が指導されていない。しかも、定期指導で指導事項があったものが当局、当局というのは総務省ですけれども、調査時点でも未改善ということなんですね。これは、派遣先についても同様の結果が示されております。
 そこからくる結論として、改善の所見が出されているのはこういう結果なんですね。定期指導ですけれども、「原則として文書による指導を行うこと。また、指導事項の改善状況を派遣元事業主に報告させるなどにより、定期指導の実効性を確保すること。」これは極めて当たり前のことが指摘されているというふうに思うんです。
 それで、お配りはしていないのですが、そのほかの調査でもほぼ同様の指摘がなされております。
 例えば、これは徳島の調査なんですけれども、徳島の調査では、十八の派遣元事業主の調査を行ったところすべての事業所において不適切な事例があった、しかもこれは定められている十六の事項の延べ七十五だ。結論として、適正にこの十六事項を履行している業者は一人もいないというのがこの結果なんです。それを指導していないというわけですね。
 それから、愛媛、ここではこう言っています。「基本的に口頭指導を行っており、指導後の改善状況について確認が行われていない、」ですから、恐らく定期指導をしてここに問題があると言っても、その後どうなったのか、何もやっていないんですよ、手だては。「派遣先事業所に対する実地指導について記録が残されていない」、こういう点での改善を求めております。
 私は、大体職安の定期指導というのは、原則的に、ある重点を定めまして力を注いでやる調査だと思うんですけれども、それに対する厳しい改善の所見だ。少なくともここに込められている定期指導については、文書指導を行え、それから行った項目についてはきちんとフォローアップして改善を確かめなさいと。このぐらいのことは、法改正にかかわりなく直ちにやるべきだと思うんですが、この点、いかがですか。
戸苅政府参考人 これは、おっしゃるとおりであります。正直言って、私どもの監督体制が不十分ということだろうと思います。
 一つは、やはりハローワーク単位でやるということにどうも体制的な限界があるのじゃないかというふうに私ども思っていまして、そういった意味で、むしろ派遣にしても職業紹介にしても、職員の専門性を高めて、都道府県の労働局に指導監督を一元化するといったようなことで、より内容の、密度の濃い、それから効率的な指導監督体制をつくっていかぬといかぬと思っています。
 正直言って、体制が派遣事業者の増大に追いつかずに来ているということを行政評価局の方から厳しく指摘されたと受けとめていまして、とにかく、各ハローワークに対しましては、これを受けとめてきちんとした監督指導を徹底するようにということは、これは去年の三月にいただいた指摘でありますので、既にやっておりますけれども、さらに、これから先、経済社会構造の変化に伴って派遣がさらに増大することも想定されますし、特に製造業派遣導入ということでありますので、指導監督体制をきちんと再構築するということで取り組みたいと思っています。
山口(富)委員 坂口大臣、局長の方は十分答えられませんので、もう一度確認いたしますが、この改善所見で出されております定期指導については、きちんと文書指導を行え、そして行った改善の要求についてはそれが直ったかどうかのフォローアップをきちんとしなさい、この二点については直ちに着手していただきたいのですが、この点、いかがですか。
坂口国務大臣 それは、そのようにぜひしていきたいと思います。
 今局長から話がありましたように、登録業者というのは大変な勢いでふえているんですね。私も、先日数字を聞いてびっくりしたわけです、そんなにふえているのかといってびっくりしたんですが。したがいまして、それだけふえてきていることに対する対応ができていないということだろうと思います。したがって、そこは都道府県の労働局を中心にして体制を立て直してやるということでありますので、私も、それは一つの方法ではないかというふうに思っております。
 その中で、すべてを文書でというわけにもいきませんけれども、重要な部分につきましてはやはり文書できちっと皆さんに示さなければいけない、そして守ってもらわなければならない、そういうふうに思っております。
山口(富)委員 大体、先ほどの話ですと、まとまっている改善した件数の問題でも、その内訳がきちんとされていないようですから、まずそこから改めていただきたいというふうに思います。
 それから、各県の労働局に一元化するとうまくいくような話がありましたけれども、現実には総務省の調査でも、労働局に対する意見として今私が申し述べたようなことが指摘されているんですね。
 といいますのは、派遣労働にかかわる問題というのは、職安行政それから労働基準の行政にもかかわりますし、社会保険にもかかわる、さまざまな問題が生まれているわけです。ですから、これは総合的な力を、連携した力を発揮しなければいけないし、ましてや、私は、今職安行政では、現場は大変だと思うんですね、やるべき仕事が多いのに人が足りませんから。そういう点で、人数をふやすことも含めて考えていただきたいのですが、この点、いかがですか。
戸苅政府参考人 正直言って、業務の効率化、集中化ということだけではやはり十分でないとは思います。
 先生がおっしゃるように、体制をどういうふうに今拡充していくかということも重要なことでありまして、そういった意味で、毎年毎年職員の増員には真剣に取り組んでいるところでありますけれども、何分厳しい行財政事情だということで、なかなか十分な増員が実現できずにいるというのが今の状況であります。
 今のお話もございます、そういった意味で、我々としては、職員の増員、それから、職員で対応しかねる部分、あるいは職員で対応しなくてもできるような部分、そういった部分について、職員以外の活用ということも含めて、とにかく、業務の効率化とあわせて体制の整備ということにも取り組んでいかぬといかぬと思います。
 それから、今お話しのとおり、基準行政との連携というのも、これも非常に重要でありまして、そういった観点も踏まえて、労働局の方でやっていこう、こういうふうに考えているところでございます。
山口(富)委員 関連して、次に、労働者派遣事業適正運営協力員の現状についてただしたいと思います。
 この協力員の制度というのは、八六年に当時の労働省がつくったようですけれども、九八年の中央職業安定審議会の建議の中で、こういう制度の活用が必要で、法律に明記するようにという建議がありまして、九九年十二月の法改正で、現行法では五十三条に、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、民間の協力体制の一環として設けられたものです。これは、都道府県の労働局長が推薦をして、厚生労働大臣が委嘱するものなんですけれども、法的な権限はありませんが、派遣事業にかかわる必要な相談援助、専門的助言を行える、しかも、法令違反があった場合は、行政の側にきちんと連絡して実態を把握するということになっております。
 これは、もともと、労働者派遣事業の運営において適正化を確保するために期待されて設置されたものなんですが、今、全国に何人協力員がいるのか、それから、協力員の会議の開催状況について報告いただきたいと思います。
戸苅政府参考人 適正運営協力員の方は、全国で九百三十二名でございます。
 それから、適正運営協力員の会議につきましては、平成十三年度で申し上げますと、合計で四十七回、こういうことでございます。
山口(富)委員 平成十三年度で合計四十七回ということなんですが、これは、運営の方で、年二回以上開くことになっております。平均して一回ということは、一回も開いていない県があると思うんですが、一体、どこの県が開いていないんですか。
戸苅政府参考人 開いていない県が九県ほどございます。
山口(富)委員 ですから、それはどこなんですか。
戸苅政府参考人 青森、秋田、山形、新潟、長野、京都、奈良、それから大分、沖縄、こういったところであります。
山口(富)委員 職業安定局長の通達ですか、労働者派遣事業関係業務取扱要領というのがありますけれども、これによりますと、協力員制度について十分な周知を行うこと、各県の労働局は協力員会議を年二回以上開催すること、名簿の掲示と閲覧、必要な情報提供など、五点定めております。
 私も各県を調査したんですけれども、私の調査でも、対応は極めてまちまちで、ホームページで協力員の制度を紹介して名簿を出しているところもありますし、会議を一切やっていないというようなところもありました。
 これは、法律事項が制度として守られていないという驚くべきことだと思うんですが、あわせて、私が驚きますのは、お配りしております資料の十五番から十七番をごらんいただきたいんですけれども、大体、派遣元で知らないというところが五九・五%、それから派遣先は八七・四、労働者に至ってはもう九五・七%ですから、ほとんどの方が知らないという事態だというふうに思うのです。これが厚生労働省の言う周知徹底の程度かというように思うんですが、この点、どうされるおつもりなんですか。
戸苅政府参考人 適正運営協力員につきましては、派遣制度が創設され、その後、派遣事業者もふえ、派遣労働者の方もふえているという中で、先ほど来議論になっております行政による対応ということではなくて、もう少しソフトな形での苦情の処理あるいは相談、助言、こういったことを労使の方に協力を依頼して行っていただこう、こういうふうなことで始まったわけであります。
 前回、ネガティブリスト化したときに、ネガティブリスト化により派遣の事業者あるいは派遣労働者がふえてくるだろう、そういうことで、派遣の適正運営協力員の方の果たしていただける役割が大きくなるだろうということで、法律にも位置づけ、通達もさらに整備したところでありますが、今、確かに、御指摘のとおり、適正運営協力員会議を一回も開いていない県が九県ほどある、さらに、一回しか開いていないところに至ってはそれ以上ある、こういう状況であります。なかなかお願いした方の日程がとれないとか、いろいろなことを現地は言うわけでありますけれども、こういったものは言いわけにもなるわけじゃありませんので、このあたりは、きちんと行うように徹底していきたいと思います。
 それからもう一つは、派遣労働者の方に、派遣の適正運営協力員という制度があるんだということを知っていただくことが非常に重要だろうというふうに思います。そういった意味で、現在は、周知用のポスターを関係方面に配って、派遣会社に張り出してもらうとか、いろいろなことをやっています。それから、先生がおっしゃるように、インターネットのホームページで流しているというのがあります。
 とにかく、もっと充実しよう、こう思っています。
山口(富)委員 もう時間になりましたから、最後に、坂口大臣に、これは法律事項ですからはっきりさせていただきたいんですが、資料の一番最後にあります北海道の調査を見ますと、平成十一年度から十三年度の相談及び助言の実績は皆無なんです、この制度は。これが実態なんですから、この改善を直ちに始めていただきたい、このことを最後に答弁願いたいと思います。
坂口国務大臣 徹底させるようにしたいと思います。
山口(富)委員 ありがとうございました。
中山委員長 次に、金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。
 派遣法の法案審議に入る前に、この委員会の状況で質疑をすることは難しいんではないかと思いますけれども、委員会は成立しているでしょうか。委員会は成立していますか。
中山委員長 どうぞ、金子哲夫君。
金子(哲)委員 きょうは、成立していないと思うので、私は質疑を打ち切ってもいいんですけれども、ただ、参考人の方をお呼びしておりますので、せっかくお見えになっている方、忙しい中お見えになっておりますから、質疑を続行したいと思います。
 委員の皆さんお忙しいということはよくわかりますけれども、重要な法案だ、急いでやろうということをおっしゃっていることもあるわけですから、その点については、最初に申し上げておきたいと思います。
 それで、改めてお伺いをしたいと思いますけれども、派遣労働というのは、大臣、これは一九八五年の労働者派遣法成立後、この臨時的、一時的なものに限るというということは、今回の改正でも、この基本的な考え方は変わっていないということでしょうか。
坂口国務大臣 先ほども少し御答弁申し上げましたとおり、臨時的、一時的という範囲の中で我々も考えている次第でございます。
金子(哲)委員 私は、本来、派遣労働はそうであるべきだと、しかし、九九年の改正派遣労働法が施行されて以降の状況を見てみますと、実態としては、派遣は臨時的、一時的なものでなくなっているような状況になっているんじゃないか。
 本来なら、今回派遣法として提案されるべきものは、そのような拡大をした派遣労働現場の実態に対応した、派遣労働者の労働条件にかかわる問題とか契約にかかわる問題だとか、これまでに出てきているそういった問題に対して、派遣労働者の問題をどう保護していくのかという観点に立った派遣労働法の改正でなければならないにもかかわらず、そういう問題が全く今回の改正では提起をされずに、ただいたずらに派遣労働市場を拡大するという方向に流れているんではないかというふうに思うんですけれども、大臣、後ほどまた具体的なことを質疑したいと思いますけれども、今、九九年の改正派遣労働法の施行以降、三年余りたっておりますけれども、この間における派遣労働の実態、派遣労働現場の実態というのは、それ以前と比べて大きな変化が起きている、しかも、大変さまざまなトラブルや問題が起きているということに対する認識はお持ちでしょうか。
坂口国務大臣 派遣業という新しい事業、そしてそこに働く人たちの多様化というものも絡んできているということは先ほど申し上げたとおりでございます。
 さまざまな働き方をしたいというふうに思っておみえになる皆さん方が予想以上にいる。その中には、自分が本当にやりたいことが別にあって、そしてそのことをやり遂げるために、臨時的、一時的な働き方で、そしてそこで生活費を多少稼ぎながら、自分の本来のやりたいことをやりたい、こういうふうに思っておみえになる皆さん方もある。非常にさまざまだというふうに思っているわけでございますが、御指摘のように、中には、常用雇用になりたいけれども、現在常用雇用がないから、こういう派遣業の中で一時しのぎをしているという皆さん方もおみえになることも事実でございます。
 こうした問題は経済状況が改善をされない限り私はなかなか難しいんだろうというふうに思っておりますが、そういう意味で、経済の状況というものの改善がなされれば、現在の状況というのは大きな転換をするだろう。だから、派遣業そのものに対します環境というのも大きく変化をするだろうというふうに思っております。現在起こっております派遣業を取り巻きますさまざまな問題というのは、現在の経済状況の中でそれを反映して起こっている問題だというふうに認識をいたしておりまして、ここをどう改善していくかということとこれはセットの話であるというふうに思っている次第でございます。
金子(哲)委員 今お話しになったのは、労働市場の状況の中で派遣労働が必要かどうかという論議は行われてまいりまして、労働者の意識が多様化したというようなお話がありましたが、私が申し上げたのは、この三年間における、派遣労働者、実際に派遣労働で働いていらっしゃる皆さんの労働現場における状況、そこで起こっている問題ということについてどのような認識をお持ちかということをお伺いしているわけです。
 つまり、大幅に派遣対象が広がったことによって人員もふえた。そして、先ほどの質疑にありましたように、そのことによって派遣業者もふえた、派遣先もふえた。その中には、派遣法そのものを認識もしないような経営者、事業主がふえているわけです。そういう中で、実際に労働現場で何が起きているかということを、あれほどの勧告をしなければならないほどの実態が起きていることに対して、私はこれは法令に基づいて文書で指導するということも重要だと思いますけれども、本来ならば、この改正を行うときには、そうしたことで起こった問題に対してどう歯どめをかけていくかという視点も改正の中に出てこなければ。そこが抜け落ちて今回の改正なものですから、事業主の状況だけだということになっていくんじゃないでしょうか。
 後で申し上げたいと思いますけれども、実際には、例えば時間外労働など当たり前だ、こういう状況、実態が派遣現場では今あるわけですよ。そして、そういうことが例えば出産休暇もとれない、そうであればもう働き続けることはできない状況、育児休業もとれない状況。
 今、派遣労働者、百八十万近い労働者が派遣労働現場にいる中で、そういう現実的な問題が起きていることに対してどれぐらい認識をお持ちかということを、私はもう一度厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 現場で起こっておりますさまざまな問題につきましては、私もその都度聞いているところでございますし、また、私自身もその関係者と会合いたしますときに、そうした問題も出るわけでありまして、全部が全部わかっているわけではございませんけれども、多くの例を知っているつもりでございます。
 問題は、先ほども御意見ありましたように、これだけ派遣業のいわゆる登録をする人たちがふえてまいりますと、その人たちがちゃんとやっているかどうかということの指導監督が徹底されているかどうかということになってくるわけですね。
 やらなければならないことは決まっているわけでありますし、守らなければならないことも決まっているわけでありますから、それに従ってやらなければいけない。そのことがなされているかどうかということをどう我々の方としても指導監督をするかということだというふうに思いますから、先ほどから出ておりますように、なかなかそこに現在まで追いついていかなかった点もありますけれども、局長からも答弁いたしましたように、都道府県単位のところで労働局を中心にしてもう一度この体制を組み直していく。これは労働行政の中でさまざまな分野に関係をしておりますから、さまざまな分野の協力も得ながら、しかしそこには、やります以上、そこにこちらの側の人的な配置というものも必要でございますので、そうした問題をどうしていくかということを立て直しをやりたいというふうに思っているところでございます。
金子(哲)委員 また後ほどの論議の中でも、局長含めて、ぜひ見解をお伺いしたいと思います。
 さて、まず第一にお伺いしたいのが、臨時的、一時的なもの。
 先ほど来論議がずっと出ておりますけれども、先ほどの質疑の局長の答弁を聞いておりますと、人を減らしたけれども、後で急に仕事が入ったからそこに派遣するようなことがあるというような理屈も成り立つようなお話がございましたけれども、私はそういう論理というのは余りにも無責任過ぎると思うんですよ。そうであれば、リストラを自由に行っておいて、経営者の側はいろいろ理由はつくものですから、そして派遣労働に切りかえるということは自由にできると思うんですよ。
 今リストラが盛んに行われていて、もうこれは御承知のとおりで、厚生労働省だってそのことで大変な状況だと我々も思うんですけれども、ほとんどの理由は経営の状況の問題でリストラが行われているわけですよ。もし本当に一時的、臨時的な措置ということであれば、常用雇用をリストラをした後にすぐに派遣労働が受け入れられるというような実態というのは、これはやはり歯どめをかけるべきだ。代替をさせないということであれば、少なくともそこの点については明確にすべきだと思うんですけれども、その点についてのお考えは。
戸苅政府参考人 経営者というか、使用者にとって労働者の雇用をいかに維持するかというのは、これは経営者の責務あるいは経営上の大きな課題ということで、大半の事業主は本当に経営上やむを得ずリストラをやっているということではないかというふうに思っています。
 ただ、今御指摘のとおり、リストラをやって、その後また安易に派遣を受け入れる、それだったらリストラをやらずに正規の雇用者を維持すればいいじゃないか、こういう御議論だと思いますが、いろいろなケースが場面場面であるんだろうと思います。そういった意味で、やはり、今お話しのとおり、リストラをして、その後派遣を受け入れるといったようなときは、やはり労使の当事者の一方たる労働者側が納得できるような形というか、工夫というか、やはりそういったものは必要なんだろうというふうに思います。
 ただ、いろいろな形というかいろいろな事態が想定されるものですから、こういったものを国が、法律によるのであれ、あるいは通達によるのであれ、強制するということは、これはちょっと無理ではないかというふうに思っています。
金子(哲)委員 どうして無理なんですか。一時的、臨時的なものであれば、少なくとも常用雇用の代替を許さないということぐらいは明確にすることは当たり前のことじゃないでしょうか。派遣労働法の精神からいって、一時的、臨時的なものであって、通常に行われる常用雇用がやってきたような作業をそういうことでやるということではないということであれば、当然、必要なくなったわけだから解雇、リストラをするわけですから、そこに対して派遣労働を積んでいくということは通常あり得ないことじゃないですか。
 ヨーロッパでは当たり前のこととしてそういう制度をとられているわけでしょう。例えば経済的理由による解雇を実施した場合には、同一ポストへの派遣労働者の活用は、イタリアでは十二カ月間、フランスでは六カ月間、こういう禁止規定を持って、つまりそういう派遣労働に代替をするようなことを安易に許してはならないということを国が明確に基本的な考え方としてそれを打ち出していく。
 労使の話し合いにゆだねるということでありますけれども、労使労使といいますと、労働組合がしっかりあってということを我々は想像するわけですけれども、今の現場の状況は、組織率、この前もお話ししたように、厚生労働省が一番御存じのように、もう二割近くの組織率の状況の中でこういうことが起きている。どこで歯どめがきくんですか。やはりこれは国が、簡単にリストラをして派遣労働に切りかえることはできないんですよ、それはやはり一定期間置かなきゃだめですよということを指導して明確にしておくことは、私は極めてこれからの派遣労働――派遣労働が、この法案が通れば製造現場にも三年間もできる。三年間も派遣労働を受け入れるようなことまで認めて、一方では、常用雇用を切ることは自由だと。自由だとは言いませんが、切ったと。そしてそれを派遣労働にかえることが可能なようなシステムを残してはならないと思うんですよ。
 改めてお伺いします。
戸苅政府参考人 リストラをする際に、当該リストラをする業務の業務量がリストラの規模に対応していなくて、まだそれほどのリストラをしなくてもいいほどの業務量が残っていて、それに対して派遣を受け入れるということは、これはあってはならぬことだろう、こういうふうに思います。このあたりは、正直言って、そういった状況で解雇をするということ自体が許されるのかどうかという問題だろうと思います。
 私が申し上げているのは、むしろ、そういったことはやらないという中で、ぎりぎりの解雇をした。ただ、その後予測外の仕事が一時的に入ってきたといった場合に、では常用労働者を雇ってその業務をやるかといっても、その業務がなくなったときにまたその労働者の雇用問題というのが出てきてしまう。そうなると、その際、やはり、有期の労働者を雇うか派遣労働者を受け入れるか、こういう議論になるのではないかというふうに思っていまして、そういったやむを得ない場合についてまで一律に禁止するということが日本で果たして適当なのか。
 日本の場合は、先日来いろいろ議論がございますが、やはり長期雇用というシステムが基本なわけであります。そういった中でそれを禁止するという、そういった前提の中で長期雇用でといっても無理な状況について、派遣を禁止するというふうなことはちょっと法律的に無理ではないか、こういうことを申し上げたので、事業主が経営判断を非常に安易に行って、リストラした後、急に仕事がふえたら、そのときは有期雇用を雇うか派遣を雇えばいいや、こういった安易なことが行われないようにするための歯どめという意味で、やはり労使間のルールというものをきちんとやってもらうということが重要なのかな、こういうふうに申し上げているわけであります。
金子(哲)委員 だから、原則すべてを一律に禁止できないかもわからないですよ、おっしゃるとおり。今局長が言われるのは、特異な例をおっしゃっているわけです、新たな急な仕事が入ったと。そういうものは特例で認めればいいんですよ。今までの法律の中でも、原則禁止だけれども特例で認めた例は幾らでもあるわけでしょう。そうであれば、派遣労働は、一定期間は原則的にはそれはだめですよと、少なくとも半年間ぐらいは。
 例えば、派遣労働でも、一年で切れた、三カ月間置きなさい、こういうことを言ってきたわけでしょう。それと同じことがなぜ常用雇用のときは言えないんですか。しかも、常用雇用をリストラしてまで派遣労働に切りかえるときには、一定の期間はそんな安易なことにつながるようなことは許されませんよということを明示するというのは、それぐらいのことはあってもいいんじゃないですか。しかも、先ほど申し上げたように、製造業、そして三年間。期間も延長する、部門もふえる。製造業なども入ってくるということになれば、そういうことが往々にして出てくる。だから、原則としてこの期間はだめですと。今おっしゃったように、経営の状況はどうだなんという判断を一体だれがやるんですか。
 特例はあるかもわかりません。その原則が不明確なままに逆のことを今局長はおっしゃっているわけですよ、こんなことがあるから一律禁止できないと。それは反対なんですよ。原則的に禁止をして、こういう場合にはやむを得ず認めるというのが本来の考え方じゃないですか。局長がおっしゃっているように、安易にやってはならないというならば、むしろそのことを明確にしておく、これだけ今回の派遣労働法で期間も対象者も拡大していくのであれば、それぐらいの最低の歯どめはやるべきだというふうに重ねて思いますけれども。
戸苅政府参考人 御意見は非常によくわかるのでありますが、ただ、現在の経済状況、それから企業活動の実態ということを申し上げると、正直言って、状況というのは日々大きく変わるというのが実情だろうと思います。特に、中国あるいはロシア、そういったところが市場経済システムの中に参入してきたという中で、非常に厳しい国際経済競争も行われているというふうなことを考えたときに、法律なりで強制的に一律にそういったことをやるということは、恐らくコンセンサスが得られないんじゃないかというふうに思っています。
 それから、もう一言つけ加えさせていただきますと、製造業の派遣については、今回派遣を導入するということもあり、いろいろなことも起こるだろうということも想定しまして、三年間は派遣期間を一年にというふうに考えているところでありますので、そういった中で労使間で何か工夫をいただけるようなことを我々としても考えていく必要はあるだろう、こう思っています。
金子(哲)委員 私は局長の答弁に全く納得できないですよ。
 今の局長の答弁をずっと聞いていましたら、職業安定局長としての答弁だろうかと。企業が言っている論理そのものじゃないですか。企業の御都合で、これだけの経済状況だから、労働者は自由に使いたい。経団連の法人会員約一千社を対象にしてのうち三百七社から回答があったと。対象従業員百八十万人、平均従業員五千八百七十一人で、約九割の企業が派遣労働者を使用している。その理由が、約八割、人員整理が比較的容易。五七%が人件費の削減。
 つまり、今おっしゃったことは、リストラを行って常用雇用を減らしてやりたいという企業が思っている意図を、まさにその言葉のとおりで職業安定局長はおっしゃったわけです。だからこそ、無法とは言いませんけれども、今そういう論理がまかり通っていくことに対して歯どめをかけていくのが職業安定局の仕事じゃないですか。そこで企業と同じ論理で、仕方がないんだとおっしゃったら、労働者はどこに行って相談するんですか。
 労使の話し合いがあるといったって、話し合いだけでしょう。労働者の反対があったらそれをとめるというようなこともどこにも書いていないじゃないですか。結局のところは、経営者側の一方的な意図によってやられる、やりたい放題。そのことを、今のような厚生労働省の局長の答弁だったら、これはもう企業は、こういう理由ですと言えば何でもできるということじゃないですか。
 それは、労働状況が今大変なことはよくわかりますよ。だけれども、常用雇用への道を閉ざしていくようなことに、その労働市場の不安定化をさらに増進することに手を貸していく、一貫して今国会の三つの法案に流れておりますけれども、いずれもそのとおりの法案だということを私は指摘しております。今のような論理だったら、私はあえてもう一度申し上げますけれども、だからこそ原則的な期間の歯どめが必要だというふうに思うんです。だから、真にやむを得ないときに、その禁止期間の中にあっても派遣労働者を雇用できるという方向を今この中で示すことが、安易な派遣労働者への転換を阻止することになると私は思うんですけれども、その点、どうですか。
戸苅政府参考人 正直言って雇用というのは、国が終戦直後のような状況で失対事業をやったときは別にいたしまして、やはり雇用需要があっての雇用機会というのが基本だろうと思います。そういった意味で、民間の雇用需要、それと労働力の需要と供給の中で、労働市場のメカニズムで働き方が決まり、あるいは労働条件が決まりというのが日本の経済社会システムなんだろう、こういうふうに思っています。
 ただ、我々も、常用雇用を望んでいる方々に有期雇用をやれとか登録型の派遣をやれとか、こう言っているわけではないわけでありまして、我々も全力で、その常用雇用の機会を民間でつくっていただいたり、あるいはミスマッチを解消するための能力開発をしたり職業紹介をしたり、こういうことで取り組んでおるわけでありますけれども、今の労働市場の実態から申し上げると、やはり有期の雇用なりあるいは派遣なりアルバイトなり、いろいろな需要があるということであります。
 では、需要と供給がミスマッチならミスマッチのままほっておけばいいのかというと、ほっておいた場合にどうなるかというと、失業者が出、あるいは企業活動に支障が生じてますます企業活動が縮小していく、こういうことであります。そういったことを考えると、我々としては、供給側にも先ほど来申し上げているように派遣という働き方をしたいという方も多いわけでありますから、需要と供給の適切な結合、スピーディーな結合ということをどうやって目指していくのかという観点からいろいろな制度改革に取り組んでいる、こういうことであります。
金子(哲)委員 これだけで論議を終わるわけにいきませんけれども。
 それはもちろん、職業安定局が新しい雇用をつくり、そして失業者に対して再就職をできるように努力されていること、それを否定しているわけじゃないわけですよ。ただ、今のようなリストラがどんどん進んでいく中で、これをどうとめていくか。これが促進になるようなことになっていくわけですから、先ほど言ったように、企業の今の論理があるわけですから、結果としてはそのことにつながっていく。
 局長、ではもう一つだけお伺いしますけれども、派遣労働がそんなに安定した労働実態だというふうには認識されていないですよね。
戸苅政府参考人 派遣についての評価というのは、それは人さまざまだと思います。
 確かに、先生おっしゃるように、派遣のデメリットとして、派遣期間が終わってしまったら次の派遣の機会が確保できるのかという意味で、やはり不安定な面があることは否定できないと思います。
 ただ、一方で、一つは派遣のメリットというのは、やはりいろいろな事情で、働く場所あるいは働く時間あるいは自分の専門性を生かしたいということに強い希望を持っている労働者の方には非常に適したシステムであるという面もありますし、それから、絶対量として常用雇用の機会が少ない、労働条件を、一定程度の労働条件以上という希望に合うものが少ないということであれば、あるいは自分の専門性が生かせる機会が少ないということであれば、生かせる短い機会をいろいろつないでいくということによって結果として一定期間の雇用あるいは長い期間の雇用が実現するというやり方も今やあるのではないかというふうに思います。これはワークシェアリングということではありませんけれども、いろいろな雇用機会をつないでいってということもあると思います。
 そういった意味で、派遣というものをそういった使い方をするということで働いておられる方もおるわけであります。複数の派遣会社に登録をしておいて、一つの派遣機会が終わったら次の派遣機会へということでやっている方もおるわけで、そこはいろいろなシステムを我々としては用意しておいて、労働者の方なり事業主の方なりがそれを上手に使っていただく、そのときに労働者の保護がきちんと守れるようにしていく、ルール違反がないようにしていくというのが我々の仕事ではないかというふうに思っております。
金子(哲)委員 次に、ちょっと質問したいんですけれども。
 ぜひ教えていただきたいことも含めてお尋ねしますけれども、派遣労働の場合は、派遣元との雇用関係ということですよね、労働者との雇用関係は。そうしてまいりますと、さまざまな労働問題にかかわる、いわば時間外労働だとかそういった問題は、どこが監督責任があるんでしょうか。
戸苅政府参考人 派遣契約に基づき、あるいは雇用契約に基づいて、あるいは就業規則に基づいて派遣労働者が働いているわけであります。それが、労働基準法に関する部分は別でありますが、派遣法に違反するという場合は、これはハローワークなりでやる。あるいは都道府県労働局でありますが。それが労働基準法なり労働安全衛生法なり、そういったものに違反しているということであれば、これは監督署ということになると思います。
金子(哲)委員 いや、そういう労働省の内部の問題ではなくて、派遣先と派遣元との関係でお尋ねしたいんですけれども、時間外労働を命ずるときは、どちらが命ずるようになっていますか。
松崎政府参考人 具体的な時間外労働の指示は派遣先でございます。
金子(哲)委員 三六協定はどこが結ぶんでしょうか。
松崎政府参考人 三六協定は、本来の事業主であります派遣元と、派遣元の派遣労働者の間でございます。
金子(哲)委員 そうしますと、派遣先の責任というのは、どこまでが派遣先の責任になるんでしょうか。労働案件にかかわる問題について、例えば時間外労働、サービス残業とかそういった問題が発生した場合には、どこの責任になるんでしょうか。
松崎政府参考人 時間外労働を例に挙げてちょっと御説明させていただきますと、まず最初に、先ほど申し上げましたように、派遣元におきまして、派遣元と派遣労働者の代表との間で三六協定を結ぶ必要がございます、時間外労働をさせようとする場合には。そういった三六協定の存在を前提にいたしまして、派遣先と派遣元との間で派遣契約がございます。派遣契約の中で、多分、三六協定の範囲内で残業を必要に応じて命じてもいいという派遣契約になろうかと思います。その派遣契約に基づいて、派遣先が、具体的に、必要が生じた場合に、三六協定の範囲内、言いかえれば、通常の場合でありますと、派遣契約の範囲内ということは三六協定の範囲内になるわけでございますけれども、その範囲内で時間外労働、休日労働を命じることができるということになります。これが正常な姿でございます。
 したがいまして、時間外労働、基準法に違反するといったような場合、そういった場合、いろいろなパターンがございますけれども、例えば、三六協定がなくて、派遣元におきまして三六協定が結ばれていないのに派遣先において時間外労働をさせられたといった場合、こういった場合を例にとって申し上げますと、これは基準法違反になるわけでございますけれども、労働者派遣法にいろいろその適用に関する特例の規定がございまして、まず第一義的には、時間外労働をさせた派遣先、先ほど時間外労働の命令というのは派遣先と申し上げましたけれども、三六協定がないのに時間外労働をさせたということになりますと、派遣先と派遣元の関係はさておき、労働基準法の関係でいいますと、派遣先が労働基準法違反ということになります。
 また、三六協定がなくて、いわゆる賃金不払い残業ということになるわけでございますけれども、そういった問題につきましては、賃金の支払い義務者である派遣元が割り増し賃金を払わなければならないという責任が生じてくるというふうに、労働者派遣法におきまして、労働基準法の適用関係についてこういった具体的な特例というものが決められてございます。
金子(哲)委員 重ねてお伺いしますけれども、時間外労働を派遣先が命じた後、それを超えて仕事をしているケースの場合には、それを帰るように指示するのは派遣先が責任を持ってやるべき行為でしょうか。
松崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、具体的な時間外労働も含めました労働時間管理は派遣先の責務でございますから、おっしゃるとおりでございます。
金子(哲)委員 そうしますと、時間外労働が非常に長期間にわたって行われた場合に発生する、例えば過労死など、労働災害が発生したときはどちらが責任を持つんでしょうか。
松崎政府参考人 労働災害につきましては、これは基準法の使用者の責任というものを保険で補っているときは労災保険でございます。したがいまして、実際に労災事故が起こった場合、こういった場合につきましては派遣元の責任ということになります。
金子(哲)委員 その辺は本当にそうなるんですか。法律上はそうでしょうけれども。
 先ほど私が重ねて聞いたのは、時間外の指令を出すのは派遣先ですよね、やってくれやってくれというのは。三六協定は派遣元にあるけれども、派遣先が時間外労働を命ずることができるわけですよね。しかし、もし仮にその時間外労働によって労働者が不幸にして過労死とか病気になった場合、今度はその責任は派遣元にあるわけですか。そういうことを今おっしゃったわけですよね。
 たしか、それはそうなっていると思いますよ、理屈上からいうと。しかし、現実の問題として、そんなことが実際許されるんでしょうかね。そんな理屈が立つんでしょうか。時間外労働を長時間に命じた企業は全く責任は持たずに、全くその労働時間を管理していない派遣元が責任を負うんだというようなことで、実際にそういうことの処理ができますか。
松崎政府参考人 先ほどお答え申し上げましたのは、労災保険の適用の関係でございました。したがいまして、労災保険というのは使用者でございます派遣元が入っているわけでございますから、労災の事故が起こった場合の労災保険の適用なり補償というのは、派遣元の責任において、保険の中で行われるということを申し上げたわけでございます。
 今先生から御質問のございましたように、実際、派遣先において長時間労働とか過重の労働が行われた場合の責任はどうかということがございますけれども、これは、労働時間管理につきまして、例えば過労死防止のための労働時間管理対策といったものを私ども指導しておりますけれども、こういったものはまさに派遣先、労働時間管理をしております派遣先を厳格に指導しているというところでございます。
金子(哲)委員 ではもう一つお伺いしますけれども、労働安全などにかかわる問題に関しての責任、例えば作業現場が部屋が暗過ぎるとか、そういった問題に対しては、派遣先に対してその派遣労働者は要望することができますか。
松崎政府参考人 これは労働安全衛生法上の問題かと思いますけれども、労働安全衛生法の各条文の適用につきましても、この労働者派遣法の中に特例が設けてございます。例えば、今先生がおっしゃったような、作業現場、実際の就業現場の話につきましては、派遣先の責任ということになっております。したがいまして、派遣先がそういった実際の就業現場の安全衛生については全面的に責任を負うということになります。
金子(哲)委員 その際、そういうことを申し入れたことによって、解雇につながるようなこと、次の更新が行われないようなことはあってはならないと思うんです。その点については、確認ですけれども。そういうことはあってはならない、当然のことなんですけれども。
松崎政府参考人 直接のお答えにはならぬと思いますけれども、労働基準法上に、監督官へ申告を行った場合の不利益取り扱いの禁止というのがございます。こういったものにつきましても、これは派遣先、派遣元ともに責任を負うことになっておりますので、そういった中で、そういうものに該当すれば、基準法違反ということになろうかと思います。
金子(哲)委員 だけれども、実際に、今現場ではそういうことが起きているわけですよ。しかも、直接的にそうではなくても、今一年を三年に延ばす話が出ていますけれども、実際の契約期間は今どんどん短期になっているわけですね。一カ月とか三カ月の契約。そしてそれを更新していく。そして実際上は、もしそういうことが起これば、先ほど時間外労働の話も聞いたんですけれども、時間外を余りやらない、やりたくないということになれば、次の更新のときにはそのことによって更新をされないというようなことが、つまり、常用雇用の場合はそれを理由にして解雇できないということになっておりますけれども、派遣労働の場合には、三年間に延長されたからといって三年間の延長ではなくて、三カ月とか一カ月の短期の契約を更新していくことになる。その更新が行われるかどうかという問題が出てくるわけですね。
 そのときに、そういった当たり前のことを要求しても、当たり前のことを要求したことが、実際上は、次の更新に影響するというようなことが現実にこれは起きてくるわけですよね。そういう問題が実は今派遣労働の現場の中では大変な問題になっているわけです。
 私が最初に申し上げたのは、制度としての枠組みと同時に、派遣労働者の現場における労働条件というものをどう保障していくのか。ということは、派遣労働が不安定雇用とかいろいろなことが言われたとしても、現実にこれだけの皆さんが働いていらっしゃる中で、その派遣労働者が、おっしゃるとおり例えば労働基準法で時間外労働だって本人の同意なくしてはできないわけですから拒否できるわけですけれども、その当たり前のことが、派遣労働といういわば変則的な雇用関係及び使用関係の中にある状況の中で起きてくる問題に対して、どのように認識をし、そして、そういう問題をどう保護していくかというような実態が、実はこの法案の中に出てきていないということを申し上げたいわけです。
 最初、派遣労働がスタートしたころには、おっしゃったとおり、確かにこういう働き方をしたいという人たちで、また時間外もほとんどなかったということだったと思うんですけれども、九九年以降は、そうではないとおっしゃるわけですけれども、常用雇用労働者の代替的な役割として派遣労働者が事実上その職場の中にいる。ある職場へ行けば、同じ仕事をしているけれども半数以上派遣労働者だというような職場は、今ざらになってきているわけです。
 ところが、常用雇用の労働者と派遣労働者では、そこらについて物すごく差があるわけですよ。形式的には差がないようにつくられているかもわからないけれども、実態としては、契約の更新の打ち切りという形で労働契約を打ち切られていくということになっていく。
 時間外を、たまたまきょうは都合が悪い、やりたくない、もしくは、私たちの職場は、派遣労働者の現場はこうじゃないか、正規職員と比べればこれだけ環境が悪いじゃないかというようなことを言ったために、したがって、そういう雇用不安を抱えたままで意見が言えないというようなことに対して、もっと派遣先に対して責任を負わすという問題がこの問題とセットでどこかで出てこなければ。今回の期間延長とか製造業部門にかかわる問題とか、それが全く見えてきていないわけですよ。今やるべきことはそこの措置ということ。今問えば、そういうふうにおっしゃいますけれども。
 実際に、過労死したときに、派遣元が掛けていた労災保険から出るというのは、それはどこから出るかという話であって、そういう過労死に追い込んだ責任は派遣先にあるわけでしょう、実態上としては。しかも仮に三年も延長したら、ほぼ常用雇用と同じような状況で働くことになれば、実際上はもう派遣先に雇用されていると同じような状態になっていくわけですよね。にもかかわらず、その派遣先の責任というものが、実際上は雇用関係はうちにはないんだということで逃げて、逃げるという表現は悪いかもわかりませんけれども、責任を持たないということに対して、この際、派遣先、派遣元のすべてが責任を持つという関係を法律の中でやはり明確にしていかなければ、私は延長することも製造業に派遣することも反対ですけれども、しかし、実態上として進むとしたら、そこに手をかけなければ派遣労働者の権利は守られない。
 しかも、先ほど言いましたように、リストラによって、いわば派遣労働者の場合に市場はふえている、逆に言えば。そういう中で、実態上は、三年に延ばしても半年とか三カ月の繰り返しになっているわけですから。しかも、賃金もどんどん下がっているわけでしょう。そのことに対して、厚生労働省としてはどのようにこれから検討されようとしているか、お答えいただきたいと思います。
戸苅政府参考人 派遣労働者に対する使用者責任、あるいは雇用主としての責任、このあたりを明確にしようということで、労働者派遣法を制定したという経緯だと思います。それ以前、実は業務処理請負業者というのが違法状態というか黙認されるような形で実際上行われていた。アメリカでもやっているから、あるいはヨーロッパでもやっているから日本でもやろうということで、ある意味ではざる法になっていた。そこをきちんと整備して、使用者責任と雇用者責任、それぞれ派遣元と派遣先にきちんと区分けして責任の所在を明確にしようということでやったのが派遣法だと思います。
 そういった意味で、両方に責任を負わすというのも一つの考え方なんですけれども、かえって無責任体制にならないかというのが、個人的にはというか私としては心配だというふうに思います。
 それから、先ほど来の先生のお話は、全くそのとおりだと思います。そういう意味で、現在は、派遣先の指針におきまして、派遣労働者から苦情の申し出を受けたことを理由として、その派遣労働者に対して不利益な取り扱いをしてはならない、こういう規定があります。
 今おっしゃったように、例えば合理的な理由なしに苦情の申し出を理由として派遣の中途打ち切りですとか、あるいは派遣の更新をしないとか、そういうのは不利益取り扱いに当たるということをやはり我々も明確にしていかぬといかぬなというふうに思いますので、そこは何らかの対応をするように検討したいと思います。
金子(哲)委員 最後に一つだけ確認でお伺いしたいんですけれども、今度、職業安定法の三十三条の四、いわゆる兼業禁止規定が削除されるという改正案が提案されておりますけれども、現行では、飲食店だとか料理店、旅館業、古物商、質屋、貸金業、両替業などができないということになっておりましたけれども、これは全く無制限になるんでしょうか。
 例えば貸金業などというのは、今御承知のように厳しい取り立てが行われておりますけれども、その際、聞くところによれば、例えば臓器を売ってでも払えとか言ったとか言わないとかいうような悪質な業者もいるということがあるわけですけれども、こういう貸金業者など、今の現状を考えてみますと、こういうところにやれば、これによって実質上派遣労働をやって、自分で抱えてそれをすべてピンはねするというようなことにつながりかねないことになると思うんですけれども、この禁止規定を削除して、これらすべてができるようにするんでしょうか。それとも、一定にどこかで歯どめがかかるように措置をされるんでしょうか。
戸苅政府参考人 今回の兼業禁止規定見直しは、ILOの第四十二号勧告がILOにおいて撤回されたということを踏まえて行うものであります。
 しかし、貸金業等においては、先生のおっしゃるようなことは我々も懸念しているところでありまして、そういった意味で、個々の紹介業の許可基準の中に、そういう悪質な業者、それによって労働者の中間搾取、強制労働等が出てしまう懸念のあるところ、こういったものをどう排除するかということについては、これは許可基準の中できちんと対応していくということでやりたいというふうに思っています。
 いずれにしても、それぞれ業所管官庁によります許可という制度のもとでその事業を行っているということでありますので、そういった中で職業紹介の許可をどう絞り込んでいくかということでありますけれども、御懸念の点は我々も同じ懸念を持っております。そういった意味で、許可基準をきちんと定めていくという中で、弊害の起きないように対応していきたいと思っています。
金子(哲)委員 時間が来ましたので、終わります。
    ―――――――――――――
中山委員長 次に、本案審査のため、本日、参考人として、社団法人日本経済団体連合会国民生活本部副本部長松井博志君、日本労働組合総連合会総合労働局長龍井葉二君、弁護士・NPO派遣労働ネットワーク理事長中野麻美君、民主法律協会派遣労働研究会綱本守君、労働組合東京ユニオン書記長関根秀一郎君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際は委員長の許可を受けることとなっております。
 それでは、まず松井参考人にお願いいたします。
松井参考人 おはようございます。日本経団連の松井と申します。
 本日は、このように重要な審議の場面に私ども産業界の意見を述べさせていただく機会をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございます。
 また、先生方におかれましては、先般、大変短い期間ではありましたけれども、大変重要な雇用保険法の改正法案、無事、予定どおり施行できるように御尽力賜りましたこと、厚く御礼申し上げたいと思います。
 雇用保険の問題というのは、いわば雇用情勢のセーフティーネットみたいなものでございますけれども、今回御議論、御審議賜ります派遣法、職業安定法は、失業をより少なくするまた別の仕組みと考えております。私ども、前段いろいろるる申し上げるつもりももうございません、先生方、先刻御承知のことだと思っておりますので。
 そこで、まず基本的な考え方を申し上げますれば、今厳しい雇用情勢の中におきましては、人材派遣並びに職業紹介の持つ労働力需給のマッチング機能は、雇用創出に当たって大変有効な仕組みであると私どもとしては理解しております。
 そのシステムを利用する企業としましては、生産性の向上並びに目まぐるしく動きます環境変化への対応、さらには創造性あふれる企業組織づくりに向け極めて有効である、そういう中にありまして、国際競争力、国内産業においては競争力の維持に努めているものと理解しております。
 他方、派遣並びに民間の職業紹介という仕組みにつきましては、働く方々にとりましても、多様なニーズ、そういうものに対応するものと理解しておりますので、そのものにかかわります制度につきましては、私どもは、選択肢を広げるという観点から、規制はできる限り撤廃をしていただきたいとまた考えております。
 そういう理由から、私ども日本経団連といたしましては、審議会並びに規制改革要望の中で、原則諸規制は撤廃をする、必要な規制のみ残す、そして選択の自由を拡大すべきと主張してまいったわけであります。
 とりわけ派遣法につきましては、派遣期間制限の問題あるいは派遣対象業務の制限、事業許可制、事前面接の禁止など諸規制を早期に撤廃し、派遣を利用する企業、派遣スタッフ並びに派遣会社それぞれが理解しやすい制度に改める必要があると主張してまいりました。
 職業安定法につきましては、規制はかなり撤廃はされてきたと理解しておりますけれども、私どもは、さまざまなニーズに対応する観点から、手数料規制のより柔軟な対応、年収要件の引き下げ、緩和などを主張してまいってきた次第であります。
 今回の改正法案について評価を申し上げたいと思います。
 まず、規制改革の方向として、私どもとしては一歩前進と考えております。雇用情勢が厳しい中、労働力需給のマッチング機能を高めるこれら民間を活用する制度については、やはり速やかに実施していただくよう、先生方には御尽力を賜りたいと考えております。
 しかしながら、それはあくまでも一歩前進ということにすぎないと私どもとしては考えております。したがいまして、すべての改正内容が私どもが求めてまいりましたものと一致しているわけではございません。したがいまして、今後、より規制改革を進めていただき、将来的には、利用するすべての方々がより理解しやすく、満足できるような法律改正を望みたいと思います。
 一言つけ加えて申し上げますれば、今回の改正はその将来に向けての一歩前進と考えておりますので、改正後に実務上円滑に活用できるような仕組みを、特に労働者派遣法の改正内容については求めてまいりたいと思います。その観点から、これ以上複雑化しないように、私どもとしては御配慮をお願いしたいと考えております。
 改正派遣法案につきましては、たび重なる改正の結果、現行法よりもさらに内容が複雑化しております。したがいまして、これ以上の規制がつけ加えられますと、円滑な実施、運用ができなくなりかねないと私どもとしては危惧しておる次第でございます。
 とりわけ、派遣期間の延長に伴う派遣先の過半数労働者代表への意見聴取の義務という新たな規制は、私どもとしましては、仮に、これが一年から三年への延長という規制緩和の代替措置としてとられているということは十分理解しておりますけれども、企業の機動的な運営をする場合には、場合によっては円滑な制度運用を困難にしかねないと考えている次第でございます。
 さらには、今回、製造工程について解禁をしてくださるような動きになっておりますけれども、そこが一年に限定されるということ、これは皆様方、先生方の御尽力によりまして、前回の改正派遣法におきまして、いわゆるネガティブリスト化への転換が行われたわけではありますけれども、その利用の実態を見ますと、なかなか一年制限というものの場合には利用が進んでいないということがございます。そこで、やはり利用する企業あるいは派遣スタッフにとっても利用しにくい点があると言わざるを得ないと考えております。
 派遣で働きたいという人が派遣で継続していくための道も、今回の改正派遣法案の中では盛り込まれていないと私どもとしては理解しておるわけでございます。
 したがいまして、今後とも先生方におかれましては規制改革をより一層進めていただき、将来的には利用しやすい、繰り返し申し上げますけれども、そのような形でお願いしたいと思います。
 最後に一言つけ加えさせていただきます。
 今、この委員会でいろいろな形での議論が行われている中、さらには派遣業界におきましての一部の人材派遣会社と政治家とのかかわりの問題につきましては、私どもとしては真摯に受けとめております。
 当然のことながら、日本経団連としましては、企業活動の基本は、社会と市場との信頼と共感から生まれると考えております。法律違反などによってそれが損なわれるとすれば、その産業の発展はあり得ないと考えております。
 そういうことから、私どもの傘下の人材派遣協会におきましては、この問題の重要性にかんがみ、私ども日本経団連が昨年改定いたしました企業行動憲章をもとに日本人材派遣協会憲章を制定して、会員企業の行動を律するというような対応をとることになっております。私ども日本経団連としても、協力し合って、派遣業の、あるいは民営職業紹介事業のさらなる発展に努めていく所存でございます。
 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
中山委員長 どうもありがとうございました。
 次に、龍井参考人にお願いいたします。
龍井参考人 おはようございます。御紹介いただきました、連合の龍井でございます。きょうは、この重大な局面で発言の機会をいただいたことに、まず感謝申し上げたいと思います。限られた時間ですので、ちょっとはしょるところがあるかもしれませんが、私ども働く側から見て、今回の改正あるいは派遣労働そのものが持っている問題点について、幾つか御指摘をさせていただきたいと思います。
 御承知のように、労働者派遣法というのは非常に不幸な生い立ちで始まりました。八〇年代半ば、いわゆる職安法違反という違法行為が蔓延しておった、横行しておった。それを結局、実態を追認する、つまり実態にルールの方を合わせてしまおうと、言ってみれば、いろいろ大義名分はつけられますけれども、そういう違法の追認というところから始まった。それで、基本的に、雇用関係、使用関係ということを通じて起こる問題の、特に労働者保護の視点ということが不十分なまま、何回かの改正の論議の中でも、私は、実態追認の流れで来たというふうに認識をしております。
 しかし、それにも増して、今回の改正の提案はかなりひどい。一言で申し上げますと、昨日もこの場で城島議員が、この総合規制改革会議の問題の御指摘をされていたようですが、やはり出発点が人材ビジネスのニーズ、そして派遣先、使う側のニーズ。これはもう端的に申し上げまして、今の厳しい競争を乗り切るためには、まさになりふり構わず。人件費コスト削減という言葉がありますけれども、人件費ですらない。まさに物件費で、物扱いにし、いつでも切れる、そういう仕事、雇用をもっと広げよう。まさに、私どもからすれば、なりふり構わぬ今の人事の、あるいは経営のあり方がそのまま反映している。しかも、そのニーズが本当にそのまま法案の中身として出されてきた。率直に申し上げて、労働者保護をつかさどるべき厚生労働省の提案の法律とは到底思えない内容になっております。
 今、何が起きているか。幾つかございます。
 一つは、冒頭に申し上げた、不幸な成り立ちで生まれた法律、実はそれ自体が遵守されていない。きょうは詳しく述べる時間がございません。総務省の監察でも、そうした事例は具体的にるる触れられております。そして、契約内容も守られていない。お手元の配付の資料で、十九ページに、途中の契約打ち切りがあったかという、これは連合が行った調査ですけれども、登録型では二六・四%の人がそういう経験をしているというふうに答えられております。言ってみれば、冒頭に申し上げました、雇用関係、使用関係が分かれることからくる基本的な問題が、結局、何ら解決されていない。
 本来ならば、雇用契約というものは労使対等で労働条件を決めていく、それが原則でございます。ところが、私どもに相談に参る方の発言を聞いていれば、とにかく自分の名前を明かす、あるいは派遣先の名前を明かすこと自体が、もう退職を覚悟しなければ、つまり、文句を言ったら次の仕事が回ってこないという、絶対的な力関係に置かれている。よほどスキルの高い人、ごく一部の方は多分個人事業主的な交渉が可能でしょうけれども、大多数の登録型の方はそうではない。基本的なベースが保障されていないというのが今の派遣労働の実態なわけです。
 そして三つ目に、今、松井さんからもニーズという言葉が使われました。今回の法案がまとめられる民事部会の議論でも、これはニーズがあるからだと。使用者側、業界のニーズは先ほど申し上げました。じゃ、働く方のニーズは何なんだろう。
 私は、これはいろいろなアンケートをとって、かなりミスリードされているのは、もちろん私どもの調査でも、派遣で働きたいという方はいらっしゃいます。ただ、これは、二十六ページをごらんになっていただくとわかりますように、ずっと派遣でとおっしゃる方は全体のわずか五・六%。つまり、正社員で働こうとしてもその仕事がない、あるいは、今の不払い残業も横行しているような、超長時間残業が強いられる正社員じゃ嫌だと。言ってみれば、超長時間残業か、不安定雇用か、非典型雇用かという負の選択肢の中で辛うじて選んでいるものが、ニーズと語られてしまっている。
 そして派遣期間の問題でもニーズということが指摘をされます。当然、有期契約労働者は、派遣に限りません、少しでも長く働き続けたいと、だれでもそう答えますよ。ただ、そのことと、派遣あるいは有期契約の上限期間の延長とはおよそ関係がありません。今でも、上限期間一年というときに、じゃ実際の契約はどうなっているか。三カ月、六カ月、ぶつ切りですよ。上限期間を延長したことが雇用期間の安定につながるか、何の保障もないわけです。むしろ、いつでも切れるという、働く側ではなくて使用者側の選択肢だけを拡大する、そういう内容になっているというのは極めて重大な問題だと思っています。
 ですから、それが、私ども働く側、もうちょっと譲って、労使双方にとっての選択肢となるための基盤が今求められている。つまり、もっと端的に言えば、派遣労働というのが、今の日本の働き方、例えばヨーロッパのようにジョブ、職務概念がないことによって、どんなに業務限定をしても仕事の中身はぐしゃぐしゃにされてしまう。あるいは、労働条件についても、このジョブであれば最低こうだというルールもないまま、今、派遣労働というのが行われている中で、本来、派遣労働というのが成り立つべきインフラ、ルールというのが整備されないままだというのが私どもの基本的認識です。
 ですから、今回の改正というか改悪というか、論議のときに私どもが一番お願いしたいのは、今何が起きていて、そのために、そこで起きている問題を解決するために何が必要なのか、どういうルールが必要なのかという、それが本来の法律改正で求められていることだと思います。
 しかし、これも冒頭で御指摘しましたように、総合規制改革会議あるいは人材ビジネスの、先に改革ありき、先に緩和ありきというところから議論がスタートをし、実は分科会、審議会の中でもそうしたそもそも論の議論というのがされないまま、言ってみれば労働者保護措置というのがほぼ皆無なまま、ここに至っている。私は非常にゆゆしき事態だと思っていますし、職安行政を初めとする労働行政のあり方そのものが根幹から問われているというふうに考えています。
 そして、もう一つの問題は、そもそも、いろいろな派遣法のルールを積み重ねる中で、正社員代替の防止ということが言われてきました。今何が起きているか。露骨な代替です。
 一つ例を申し上げます。一個相談があったのは、某大手の銀行で、あるセクションで女性の正社員の方二人が配転になった。相談のあった方は、もともとそこにおられた派遣の方。その正社員二人分の仕事を、派遣の方はやっているんですね。つまり、置きかえではなくて、今いる派遣の人にその職務が回される、任される。当然、労働条件は極めて低い。そして残業が物すごい。これがもうほとんど、例外ではなくて、むしろ私は主流になりつつあるんじゃないかというふうに思っています。
 ですから、私どもは別に、正社員利害とかなんとかということで申し上げているのではなくて、そもそも日本の雇用システムが築き上げてきた、例えば労使協議、対等に協議をするというのは、労使協議を通じてです。あるいは労働条件の底支えをしていく、そういうものの適用除外のものがどんどんふえる。言ってみれば非典型がふえる。その重要な柱として今回のものが位置づけられようとしている。つまり、トータルとして今三〇%から、ひょっとしたら四〇%になるかもしれない非典型雇用に対して、どういう枠はめをしていくのか、どういうルールをつくるかということが本来ここで議論していただきたいことなのに、繰り返し申し上げますように、その視点がないのではないかというのが率直な問題でございます。
 そういう意味で、やはりそれが労使双方にとっての選択肢になるためには、既に建議で書かれていますような、専門業務についてはきちっと特定をする、そして、臨時的、一時的業務、まさにテンポラリーワークでございますから、これがむやみに長期化しないようなその条件整備をきちっとする、それはもう法律に明記していただきたいと私は思っています。
 したがって、それが繰り返されるような雇用についてはきちっと期間の定めのない雇用にしていく、そして違法派遣の場合には派遣先に対する責任をきちっとかぶせていくといったそもそも論の論議から今しなければ、今のなし崩しの不安定雇用――雇用がふえればいいとは思いません。雇用の質です。良好な雇用機会です。そのための整備というものをぜひお願いしたい。
 時間が参りましたので、個々の論点は御質問のところで触れられればと思っています。
 ありがとうございました。(拍手)
中山委員長 どうもありがとうございました。
 次に、中野参考人にお願いいたします。
中野参考人 派遣労働ネットワークは、設立してからもう十二年になります。この十二年の間、私たちは派遣労働と向き合ってまいりましたけれども、その歴史はまさに違法派遣の拡大の歴史でした。これにどういう対抗策を講じることができるのか、法を守った派遣をどう運用していくことができるのか、これは派遣労働ネットワークの最大の課題でございました。
 ところが、これに関するきちんとした枠組みを整備しないまま、今回、規制緩和が行われます。とりわけ、製造ラインそれから医療の一部に、適用除外業務を外して、緩和をして、派遣を導入していくということになっておりますけれども、果たして違法派遣をこれで直すことができるのかどうかということについては極めて疑問です。
 なぜならば、派遣を違法に導入する、そういう派遣先のニーズというものがあるわけですけれども、このニーズをもって実際に派遣労働者を活用したという、法を犯して活用したという、派遣先に対する責任というものが何ら定められていないからであります。
 現行法では、臨時的、一時的派遣について、期間の制限を超えた場合に派遣先に対して雇用責任を負わせるという枠組みがありますけれども、しかし、対象業務を超えた違法派遣、あるいは許可、届け出を受けない派遣元事業主からの派遣を受け入れた派遣先に対しては、雇用責任は全く講じられていないわけであります。
 こういったところから、業務の点で違法派遣が拡大してきた、それをどのようにして規制するのかということが真摯に議論されなければならなかったわけでありますけれども、そのことの議論が不足したまま今回の規制緩和が行われたということについては、大変残念だというふうにまず申し上げたいと思います。
 そのような不十分な枠組みを持ちながら、今回の改正によって常用代替が大きく進むのではないかというふうに派遣労働ネットワークとして非常に危惧している点を二、三指摘させていただきたいと思います。
 まず第一に、法案には掲げられておりませんけれども、二十六業務の派遣につきまして、複合業務を容認するという姿勢であります。
 一割程度の附帯業務量があれば、複合業務として、二十六業務として期間の制限のないまま活用していくということになりますが、しかし、一割というものをはかる物差しというものが確立されておりません。実際に、ジョブを中心として労働契約関係が成立していない日本の社会の中で、この業務について一割というのは、一体どこではかっていくのかというのは極めて疑問であります。
 こういったあいまいな概念しか持ち合わせないという我が国において、一割程度の附帯業務であれば、それは複合業務として派遣を無期限に許容していく。これはまさに常用代替を促進させられる一つの突破口になるだろう、そんなふうに懸念をしております。
 それから、特定日派遣というふうに言われるものであります。
 通常の労働者よりも相当程度短い日数で特定の日に業務が発生するという場合には、これもまた期間の制限なく許されるというわけでありますけれども、単なる業務繁忙として恒常的に活用されるという危険があり、あるいは、先ほどのような人員整理の後にこの種のタイプの派遣が活用されるというおそれも出てまいります。
 業務単位の規制であるということをきちんと貫かれるのか、人単位の規制ではないという原則をまず明確にする必要がありますでしょうし、業務の発生する範囲を、具体的に、例示も含めて限界づけることができるのかどうかということは国会の中でもきちんと論議をしていただきたいところだというふうに思います。
 そして、繁忙目的、人員削減とともに導入する場合を除外できるのか、これも注目しておりますし、当該業務が当該日以外には発生しないということもきちんと保証されなければならないところであります。
 そして、厚生労働大臣が定めるとしております通常の労働者の所定労働日数に比して相当程度少ない日数というのは何をいうのか、通常の労働者とは一体どういう労働者であるのか、相当程度少ない日数というのは一体何日であるのか、また発生する業務とはどの範囲でどう特定するのかといったことについて、常用代替を促進しない枠組みというものを議論していただきたい、そんなふうに思う次第です。
 それから第三番目に、新業務による臨時的、一時的派遣の期間制限緩和であります。
 この一年というのは、臨時的、一時的な性格を有するということで定められた前回の法改正の経過があるわけですけれども、これを超えたときには、臨時的、一時的な活用であるという基本的な性格をもはや逸脱することになるのではないかと疑われるわけです。
 その性格を当該事業場の都合次第で決めていくということが今回の法改正の中身であろうかと思いますが、しかし、そこを労使が話し合って、その事情が客観的に存在すると認められるのであれば派遣を容認していく、こういう枠組みになっているわけですから、労使のこの議論というものを実質的に担保するということが極めて重要なことであったはずです。それを、改正法は、協定という形ではなく、意見聴取という形で足りるとしたわけですけれども、これについては再考の必要があるというふうに考えております。
 意見聴取というものを維持するとすれば、少なくとも、労働者派遣によって対応が必要とされる業務や時間帯、あるいは事業主が当該労働者派遣の受け入れを必要とする事由とは一体何なのか、そして当該事由から合理的に考えられる活用の期間、その根拠、当該派遣業務にあてられる派遣労働者の就業条件というものは書面によって明示し、そして意見を聞くというルールが確立されなければならないはずです。そして、意見聴取をなしたことを証明するために過半数代表の意見を書面に記載するとか、そういった措置が講じられているかどうかということが大きく問われるところだろうと思います。
 それから、四番目です。紹介予定派遣、紹介手数料の規制緩和について一言申し上げさせていただきたいと思います。
 最近の紹介予定派遣をめぐるトラブルというのは、直接採用かあるいは紹介予定派遣であるのか、それとも派遣であるのかということを全く不明瞭にしたまま紹介が行われるというケースが非常に多いということです。
 改正法では紹介予定派遣であることの明示義務が定められておりますけれども、これは、そもそも書面によることを要しないとされております。そうしますと、就業条件明示書、法の三十四条による明示書の交付を事前に確実に行うということが求められるわけですが、その担保については改正法の中では何ら触れられておりません。
 また、特定禁止の例外を紹介予定派遣については行うということですが、この特定禁止に関する定めは、派遣が派遣関係であるための本質的な要請を規定したものであり、派遣先による差別的な取り扱いを排除するための極めて重要な規定であったわけです。それを紹介予定派遣について外すということについては、派遣労働ネットワークは大きく注目をしております。
 もしこの措置がとられるのであれば、派遣先に対してあらゆる差別を禁止する、そして派遣労働者の個人情報を保護するということも含めて全面的に責任を負っていただけるような規定の整備というものを求めたいと思います。
 さらに、紹介手数料を労働者から徴収することを許容するというのは、ILO百八十一号条約に違反することであります。
 紹介予定派遣の世界に、紹介手数料を有料でということで、労働者から費用を徴収していくということが広がった場合に、私たちは、労働者が本当に公正に職にアクセスすることができる権利が保障されるのかどうか、極めて重大な問題を持っていると思います。
 そして、派遣労働者の権利保障に向けた課題について、最後に一言申し上げさせていただきたいと思います。
 派遣労働においては、雇用の不安定化、低賃金化、過重労働化が顕著に進んでおります。ある大手派遣会社が無料キャンペーンを実施したということを問題にしてまいりましたけれども、競争原理が裸で通用する中で、スタッフを無料で提供していきますというキャンペーンが行われ、そうした中で低賃金化が進んでおります。
 こういう事態を受けて、この法改正に当たっては、派遣労働者に対する均等待遇原則の適用が不可欠である、こういうように訴えてまいりましたけれども、この点についてもぜひ議論をしていただきたい、こういうふうに思います。
 最後に、期間制限緩和を行い、一年から三年までの期間を許容していくというのであれば、現在に至るまで、私どもの派遣スタッフに対して育児・介護休業の権利が法律上保障されてこなかった、その規制は撤廃されるべきだというふうに考えます。もし、このように期間制限緩和をするというのであれば、育児・介護休業法の、有期の定めを置いて雇用される労働者には休業の権利は認めないとされているその条項を削除することができるのかどうかということもあわせて、課題として提起したいと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
中山委員長 どうもありがとうございました。
 次に、綱本参考人にお願いいたします。
綱本参考人 綱本守でございます。
 私は、民主法律協会の派遣研究会で派遣労働者の相談活動に取り組んでおります。民主法律協会の紹介は、この本の百二十一ページに載せてありますので、ぜひ御参考ください。
 民主法律協会は、大阪を中心に活動しています学者、弁護士、労働組合などで構成されている、全国でも例を見ないユニークな団体であります。私は、労働組合出身で、派遣関係でいえば、いわば派遣先労働者として、四十数年にわたって労働組合活動に従事しました。そして、職安法四十四条違反、いわゆる偽装請負の改善闘争に取り組んでまいりました。派遣法ができてからは、派遣労働者の権利擁護と労働組合づくりにも取り組んでまいりました。
 時間の関係上、派遣労働者の擁護と、派遣先常用雇用の代替を促進させない、このような観点に絞って陳述をいたします。法案の細部については、資料にお渡ししています民主法律協会の意見書を御参考くださいますようお願いいたします。
 派遣法ができましてから十七年間、派遣労働者の悩みの相談の第一は、労働基準法の基本的な権利である年次有給休暇や生理休暇、あるいは出産休暇などの取得が大変困難であるということです。これらの権利を取得すると、契約を更新してもらえないことが多いからであります。妊娠したことが知れると契約更新を拒否された、このような訴えが寄せられています。
 また、派遣が長く続いておった中で、もうそろそろベースアップをしてほしい、このように派遣元に話したところ、しばらくして派遣元から、次の契約更新はしない、このような通告を受けた女性が相談に来ております。
 生活に一番直結している相談は、派遣契約が中途で解約された、あるいは契約更新を拒否された、このようなものであります。
 派遣が企業のリストラに利用された例もあります。資料でお渡ししております「派遣を用いた解雇の二つの例」、このような図面をお渡ししておりますけれども。
 Aの例は、三カ月ないし六カ月の短期繰り返し契約で働いていたところ、一斉に、A社の大株主がつくっている派遣会社に全員を移籍させ、そこから六カ月契約の派遣労働者としてもとの職場で働かせる例であります。この派遣が二年目を迎えたころに、全員に契約解除、解雇が言い渡されました。有志たちが集まって労働組合を結成し、何とか解雇を食いとめ、もとどおり派遣先労働者の地位をかち取った例であります。
 Bの例は、B社の大阪支社で五年間働いておりました、直接雇用ですが、業務委託という名称で働いてきたBさんが、B社がこの業務委託制度を廃止して、Bさんと同じように全国で働く人たちを、B社がグループ内の会社として東京でつくった派遣会社へ移籍させられ、労働の場は従来どおりの場です。ですから、大阪から見れば典型的な遠隔地派遣であります。これが十一年間続いたころ、東京本社で働くおよそ六十人の人たちに解雇が言い渡されました。これを知ったBさんが相談に来られて、この実態が明らかになった次第であります。結果は、労働組合に加入して、そして、職安の指導と労働組合のバックアップで、派遣先正規の労働者として解決することができました。
 これらの例は、たまたま労働組合とかかわりが持てたことが解決につながったわけですが、派遣労働者の多くは労働組合に加入できず、労働協約の適用もなく、孤立させられて働いているのが実情であります。
 派遣先常用労働者からの相談例の特徴は、あなた一人やめれば派遣を二人入れることができる、やめないのならもっと働いてくださいと、労働強化を押しつけられる例があります。あるいは、派遣先労働組合が、一緒に職場で働く派遣労働者のことについて団体交渉を申し込んだら、別会社の労働者だから団交の義務はない、こういって団交を拒否された例があります。
 派遣は、もともと職安法が禁じた労働者供給事業、あるいは労働基準法が禁止している中間搾取を、一定の要件を満たすことを条件に、これら法律の例外として認められたもので、常用雇用の代替を促進させない、このように伝えられてまいりました。その要件の主な柱は、派遣対象業務と派遣期間を定めることでございましたが、既に、たびたびの改正で、派遣業務は拡大され、派遣期間も延ばされてまいりました。今回の改正においても、さらにこれを推し進める内容であると申し上げて差し支えないと思います。
 今の派遣法は、派遣事業のための法律という、事業法の性格が極めて大きく、労働者の権利擁護には欠けております。ですから、今必要なことは、派遣労働者を保護すること、そして、常用雇用の代替をさせない、この歯どめをかけることであると思います。この二つの歯どめは、あるいは擁護は労働者の基本的な権利を守る、この二つのことは日本全体の労働者の権利を擁護することにつながると確信をいたしております。そのためには、最低限、次の四つの保障が必要であると私は思います。
 第一は、派遣先均等待遇を保障することであります。
 派遣労働者の賃金は、派遣契約の中では派遣料金となり、派遣元と派遣先の商取引の要素の一つになります。派遣先では、派遣料金は人件費ではなく、手数料や消耗品などと同じ経費として見られています。このような仕組みでは、派遣労働者の賃金が、派遣先によるダンピングの対象になってまいります。このダンピングを防止するのは、派遣先均等待遇を保障する以外にありません。これは、労働の基本原則である同一労働、同一待遇にも合致するものであります。
 第二番目には、派遣先雇用を保障することであります。
 派遣先常用雇用の代替を促進させないためには、定められた派遣期間を過ぎた派遣労働者を派遣先に直接雇用させる歯どめをつくる以外にないと考えます。前回改正でできました、いわゆる就業場所ごとの同一業務の一年限定派遣は、今回の改正では三年までの長期派遣になっています。それだけ派遣先常用雇用労働者の代替を進めるわけです。
 一方、派遣先労働者の立場から見ますと、派遣契約が切れて、なれた人が突然いなくなり、また一から別の派遣労働者と仕事をするよりは、このままの対人関係で仕事を続けたい、こう思うのは当然のことであります。派遣期間を超えた労働者、この派遣に派遣先直接雇用のみなし規定を設けることは、派遣労働者と派遣先常用雇用労働者の双方の権利を守ることにもなると考えます。
 第三には、派遣先と派遣元による連帯責任を義務づけることであります。
 派遣は、使用と雇用を例外的に分離したシステムです。ですから、派遣先と派遣元が連帯して派遣労働者に責任を持たなければならない必然性があると思います。賃金や保険について、派遣先と派遣元が連帯して責任を持つ、その義務を義務づける、これが派遣労働が正常労働の例外として許される最低限の取り決めではないかと考えます。
 最後に、第四番目ですが、派遣労働者の労働組合活動の権利を保障することであります。
 派遣先や派遣元で派遣労働者が団結する権利をどうして保障するのか、現行派遣法は全くその保障がないと言って過言ではありません。私は、労働組合活動を通じて、派遣労働者が労働組合をつくり、派遣先と団体交渉する権利の確立に努めてまいりました。
 一九九五年二月に出された朝日放送最高裁判決は、派遣労働者の団交権としてよく知られております。ここに判決文がありますけれども、十四ページ中ほどですが、この判決の内容ですが、被上告人がみずから決定することのできる労働条件、被上告人、派遣先がみずから決定することのできる労働条件の改善を求める部分については、被上告人が、派遣先が正当な理由がなく団体交渉を拒否することは許されず、これを拒否した被上告人、派遣先の行為は、労働組合法七条二号の不当労働行為を構成するものというべきである、このような判決が下されています。
 御存じのように、派遣法制定の段階では、派遣労働者の派遣先団体交渉権は、立法府が司法判断に任せる、こう言って責任逃れをした経緯があります。過去の汚名を返上する意味においても、派遣労働者の労働組合活動の権利をぜひ法律に明記をしていただきたい、そう思います。
 以上、論点を絞って述べさせていただきましたけれども、派遣労働者の保護と派遣先常用雇用の代替を促進させないこと、この二つは相反するものではありません。他国の例も紹介されておりますけれども、日本は大変おくれております。ぜひとも、日本の労働者全体の権利を擁護する観点から法改正に臨んでいただきますよう切にお願いをいたします。
 意見陳述の機会を与えていただきまして感謝いたします。ありがとうございました。(拍手)
中山委員長 どうもありがとうございました。
 次に、関根参考人にお願いいたします。
関根参考人 東京ユニオンの関根でございます。
 私は、日ごろ派遣労働者からの相談や派遣労働者との意見交換などを行っておりますので、派遣労働者の実態を中心にお話をさせていただきたいというふうに思います。
 本来、労働者派遣法は、派遣労働者の権利を確立すること、もう一つはいかに常用労働者の代替にならないようにするかという観点から改正されるべきですが、残念ながら、今回の改正案は、派遣労働者の権利については放置したまま、常用代替を促進してしまうような形で規制緩和が行われるということについては非常に残念に思っております。
 先ほどからの意見の中にも、例えば、一年の期間制限というのは利用がしにくいというような御意見もございましたけれども、これは、要は、常用代替として活用するに際しては利用がしにくいかもしれませんけれども、一年以内でという非常に短い期間で、先ほどからありましたような臨時的、一時的な派遣ということで使う分には一年で十分だというふうに考えます。
 しかしながら、現在、派遣労働というのは、コストが安い労働力、あるいは首切りやすい労働力として拡大されている、要は、使用者の側にとって使い勝手のよい労働力として拡大されていることは非常に残念です。
 私の方から、派遣労働の実態として、現在、派遣で働く方を象徴するような相談事例を二つ用意させていただきました。
 まず一つ目の相談事例ですが、派遣労働者Kさんという方からの相談です。
 派遣会社A社、これは皆さんも御存じの大手派遣会社です。ここからクレジット会社に派遣されておりました。業務は滞納者への督促業務。業務の名前はいろいろと、OAクラークとかテレマーケティングというふうに書かれておりましたけれども、実際の業務は督促業務ですので、臨時的、一時的派遣に該当するものだと思われます。
 一九九五年の十一月一日から派遣を開始いたしました。それから約六年三カ月にわたって同じ派遣先で就労することとなりました。
 最初、働き始めたころは、三カ月契約の更新として働きました。二ページの就業条件通知書にございますけれども、一九九五年の、派遣期間のところですね、九五年十一月一日から一月三十一日という三カ月契約、これを更新していくという形で働き始めました。
 ところが、三ページ目にございますけれども、一九九九年四月一日からの契約は一カ月更新という形に切りかえられました。今まで三カ月更新をずっと繰り返してきたんですが、その後、一カ月の更新で、結果として、体を壊して休むようになるまで、六年三カ月も働いたということなんです。契約書は物すごく厚くなってしまうほど枚数がたくさん出ています。
 そんなことまでして派遣会社がこのKさんの契約を一カ月更新という短い契約にしているのは、要は、いつでも首を切れるようにしておくという観点からしているにすぎません。契約書を毎月出すという面倒な手続を経ても、使用者にとっては、いつでも首を切れるようにしておくということの方がメリットがあるということなのかもしれません。
 Kさんは、二〇〇二年二月十九日、体調不良で病院に行き、反応性抑うつ状態というふうに診断されました。五ページにございますけれども、これは、派遣会社は一般的に半月単位で給料を締めて支払っているんですが、これは二〇〇二年一月下期のタイムシートです。半月で百二十時間もの労働時間働いていると。実際のところ、Kさんは、十二日間、休日なしの連続勤務、あるいは毎夜の残業、深夜に及ぶ残業、あるいは毎日何百件も電話をかけなければならないというような過酷なノルマを課されながら、もしかしたら次の更新で切られてしまうかもしれないという不安から、押しつけられたノルマをこなすために非常に過酷な労働を強いられ、結果として過労状態で倒れてしまうという状態になりました。二〇〇二年三月二日からは休職ということになったわけです。
 私ども、このケースにつきましては、ユニオンとして、この派遣会社と交渉して、実質上、期間の定めのない雇用契約であるということを確認し、その後、昨年の十一月に、Kさんは別の派遣先に復職するという形で解決をいたしました。
 Kさんは、九八年から以降は、一切時給も上がっておりません。しかし、もし時給のことも交渉してしまったら、首を切られてしまうんじゃないか、更新をしてもらえないんじゃないかという不安から、一切交渉さえできない状態が続いていたというものです。
 次に、相談事例の二ですが、これは派遣労働者のOさんという方からの相談です。
 これもやはり大手の派遣会社B社から電機メーカーに派遣されておりました。業務は携帯電話のテスティング業務。携帯電話を新規につくったときに、バグがないかということをテスティングするという業務でした。彼女の場合も非常に残業の多い仕事で、深夜まで働いておりました。
 二〇〇二年、昨年の一月二十一日に、体調が悪いことから病院に行ったところ、妊娠をしているということがわかりました。出産予定日は八月二十七日であるというふうに聞かされました。それから十日ほどして、一月三十一日に派遣先の指揮命令者に妊娠したことを伝えました。ところが、それから一週間後、二月七日には、派遣会社から解雇の通告をされてしまいました。彼女の現在の契約は三月三十一日までだったんですが、四月以降も更新を予定するというものでした。ところが、二月の末で切りますよということになったわけです。
 その後、派遣会社の担当者とOさんとの間でメールでのやりとりをしております。六ページ以降にその内容が掲載されております。
 二月八日には、派遣会社の担当者からOさんにこうしたメールが送られています。「妊娠して体調が悪い人材を継続的に雇用できないということです。」これは派遣先がそういうふうに言っているということなんです。しかし、Oさんは、若干のつわりはあったものの、診断書ももらって、デスクワークは問題ないというふうな医師の診断も受けております。にもかかわらず、とにかく派遣先はもうきょうにでも契約を打ち切りたいとの意向ですというようなメールが来ました。
 さらに、同じ日に、七ページにありますけれども、お仕事の継続についてはお客様たる派遣先がやめてほしいというのであればそれは受けざるを得ません、お金の出所は派遣先ですし、ビジネスとしてはそういうものです、同じ男としては面倒を見る自信がないのに子供を妊娠させたりは私はいたしませんというようなメールが送られてきました。これは、Oさんの配偶者の方がフリーターとして働いていた、もちろん彼は定職につきたかったんですが、非自発的なフリーターとして働いていて、経済的に非常に不安定であったことから、Oさんが収入を得ていないととても子供を産めないという状況だったわけです。
 さらに、八ページ、これはOさんから派遣会社に送ったメールです。彼女は、経済的不安と解雇の通告から、これはもう子供を産むことは経済的にできないという判断から、中絶を考えておりました。「今月一杯というメールをいただき、あれこれ考えました。」「体等の現実は、あと一週間以内に結論を出し、最悪の場合、翌週には手術を手配しなければなりません。」これは中絶をせざるを得ないということを打ったメールです。
 九ページには、派遣会社からの返事が来ておりますけれども、中ほどは、もう中絶は仕方ないですねということで「きちんと身体を戻してそれからお仕事すれば良いと思われます。」という内容のメールが派遣会社から送られてきました。
 さらに、十ページです。派遣会社は最終的にこういうことを言っています。契約の延長ですが、派遣先から二月末までと返事が来てしまいました、よいお返事ができず申しわけございません、やはり、妊娠という言葉は即やめてくださいとなってしまうケースがほとんどです、通常、就業先が嫌でやめたいスタッフがやめる口実としてよく使う手段が妊娠しました発言です、妊娠しましたと言われてしまうと、就業先としては続けさせようにも続けさせられないという判断が非常にございますというような内容。
 つまり、これは派遣会社として特殊な対応をしているわけではありません。残念ながら、ほとんどの派遣会社において、あるいは派遣労働の現場において、妊娠を告げた途端に解雇になってしまうというのは、ほとんど通例のように行われております。
 規制改革会議等では、フレキシブルな働き方である、したがって、仕事と出産、育児が両立できる働き方として派遣労働を拡大するというような趣旨の報告がなされておりますけれども、現実には、全く育児休業等はとれない、出産、育児と両立できない働き方に現状はなってしまっています。
 彼女は、その後、交渉で育児休業をとることを認めさせました。そして、解雇も撤回されましたけれども、現在は職場復帰でまた難関となっております。つまり、子供を保育園に預けるということになると、残業ができないということから、それがネックになって仕事の紹介ができないというような状態になっているわけです。
 余暇を利用しての働き方として派遣労働が位置づけられているようですが、現実には、残業ができないとほとんど仕事ができないというのが現在の派遣労働の実態でございます。ぜひ、派遣労働者の権利を向上するという趣旨の派遣法の改正を行っていただきたいというふうに思います。
 以上です。(拍手)
中山委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
中山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。
田村委員 自由民主党の田村憲久でございます。
 ただいま大変参考になる御意見を賜りました。まずもって心から御礼を申し上げたいと思います。時間の方が大変押しておりますので、お答えの方をできれば簡潔にお願いいたしたいわけであります。
 まず、今回の両法でありますが、特に労働者派遣法、これに関しましては、一つは働き方が多様化してきた、こういう理由があろうと思います。
 もう一つは、日本という国、労使は比較的良好な関係で今までそれぞれ進んできておったと思うわけであります。雇用者側、雇用主側も、できれば終身雇用といいますか、常用雇用の形で労働者を雇いたい、こういう意識はあるんだと思うんですが、それが、現在の経済状況でありますとか、また経済の構造といってはなんでありますけれども、消費構造の変化等々で、要は、多様化するニーズにこたえていくためには、繁閑という意味でいろいろな事業というものにめり張りをつけていかなきゃならない、こういうような状況のもとにおいて、やはり派遣というものに大変期待をかける、こういう現状があるんであろうと思います。
 そういう意味では、一方で、長期雇用慣行といいますか常用雇用、こういうものがこれによって置きかわっていくということに関しては、やはり我々も危惧を持たなきゃならないわけでありますけれども、このようなニーズのもとで、今回この改正法で、さらに期間延長でありますとか業務の拡大、製造業等々もとりあえず一年でありますけれども、派遣というものが認められていくわけであります。
 まずは、松井参考人にお聞きいたしたいわけでありますけれども、この派遣法、今回の改正によって緩和される規制において、今回、これを用いる、この改正によって派遣者をさらにより一層活用する、これと、一方での、常用雇用を守る、今までの長期雇用慣行を守るというようなものをどのように調和させていかれるおつもりであるのか、これがまず第一点であります。
 それから、あわせてお聞きいたしますけれども、特に製造業というものに対して今回このような形で導入といいますか範囲が広がったわけでありますけれども、この製造業というものに関しての派遣労働をどのような形でお使いになっていかれるつもり、日本経団連としてはお考えをお持ちであるのか。
 それからもう一点は、まだまだ不十分だという意見が先ほど少しあられたわけでありますけれども、あわせて、派遣労働者の面から見て、どのような点が不十分であるのか。
 この点、三点あわせてお答えいただきますようお願いいたします。
松井参考人 三点御質問があったかと思います。
 まず、いわゆる日本における長期雇用慣行と、派遣の期間が長期化することに伴う常用雇用の代替というものをどのように考えるかということでございます。
 私ども日本経団連、その前身であります日経連におきましては、一九九五年に新日本的経営というものの中で、雇用形態を大きく三つに分けて提起をさせていただいております。一つ目は柔軟型の雇用、二つ目が高度能力活用型のタイプ、三つ目といたしましては長期能力蓄積型というタイプを提起させていただいております。この三つ目のものがいわゆる正社員、長期雇用が保証されているエリアだと思っております。
 私どもといたしましては、長期雇用慣行が全くなくなるというようなことは一切考えておりません。企業のさまざまな経営活動の中で、長期的に従業員を雇い続け、そこで能力を発揮していただいて、その中で経営活動を進めていく、これは最も重要なところだと理解しております。
 しかしながら、先生が今御指摘くださいましたように、昨今の経営環境の変動は大変厳しいものがございます。そういたしますと、まず、さまざまな変動要因に対して簡単に対応していく、柔軟に対応していくような、柔軟型の雇用というものも必要になっております。それは、例えばパートタイマーあるいは契約社員、あるいは派遣もそのような形になろうかと思います。さらには専門能力活用型ということで、新たな血を入れて新しいニーズに対応していく、そういう方々も必要かと思います。その中にも、契約社員あるいは専門性の高い派遣社員の方もいらっしゃるのではないかと思っております。
 したがいまして、今回、改正される派遣の期間が長期化することが仮に行われたとしましても、それがすべての長期雇用をなくしていくということには至らない、しかしながら、やはりその部分は当然従来よりは少なくなっていく。今、日本の企業は、ぎりぎりの競争の中で生き残ろうとしております。そういう点をぜひ御理解賜りたいと思っております。
 二点目の御質問については、製造業に対する解禁の問題かと思います。
 製造工程につきましては、私どもとしまして、非常に専門性の高いもの、あるいはそうでないもの、いろいろあると思っております。生産量の増減あるいは業務の繁閑への対応としてはぜひ派遣で対応をお願いしたいと思っております。他方、技術伝承のために技術のある人を受け入れる、そういう仕組みも考えられると思っております。特に中小企業などにおきましては、大企業における定年退職者を新製品開発などで活用したいという意見も見えております。
 従業員サイドから考えていただければ、なぜ製造工程で働いていた方は派遣で働けないのか、そういう御疑問も私どもの方には寄せていただいていることも事実でございます。もちろん、製造工程におきます特有の安全衛生の面については、より御配慮をいただいて、現行法の厳格な適用を進めていただくことは重要かと思っております。
 三点目には、不十分な点ということで申し上げますれば、まず、今回の派遣法につきまして、長期化する、長期化した後の問題といたしまして、派遣先への雇用の道というものは開かれたと思っております。それは私ども、派遣先、派遣スタッフのニーズが合致すれば大変好ましいことと理解しております。
 しかしながら、問題なのは、派遣で続けたいという方につきましてそういう道が開かれているかといいますと、自由化された業務についてはその道はない。派遣を続けたい方の中には、家庭の事情が許せば、できれば正社員で働きたい、そういう方も相当多くいらっしゃいます。それは厚生労働省の調査にも出ております。そのような方が、例えば最長三年で家庭の事情が許すようなものになるのか、私どもはまず疑問と感じております。
 それからもう一つ、対象業務の禁止の問題でありますけれども、今、製造工程について解禁ということでお願いをしておる次第でありますけれども、例えば医療関係業務につきまして、チーム医療という観点から非常に難しいという御指摘は民需部会の中のヒアリングでも受けております。そこでよく言われておりますことは、事前の特定ができないからチーム医療が貫徹しないというようなヒアリングも聞いております。私きょう唯一民需部会の人間として、ヒアリングの中で、あそこの場面で余り議論がなされていなかったということは思っておりません。そういう点についても、今行われている禁止業務が本当に禁止すべきものかということには疑問を感じております。
 港湾運送業務につきましても、さまざまなコンテナ化が進んでおります。そういうことからしますと、現実に禁止すべきかどうかというのは、より議論をしていただければと思う次第であります。
 以上です。長くなりました。申しわけございません。
田村委員 実は、これから派遣労働ということを考えますと、今いろいろとお話がありましたとおり、派遣労働者の職場環境でありますとかまた労働条件、いろいろな意味で基本的なルールをつくらなきゃいけない部分というのは、私も問題意識を持っております。
 その点、実はいろいろお聞きをしたかったんですけれども、この後本会議がございまして、私の時間、残しておるんですが、本会議に間に合わなくなりますので、これにて終わらせていただきたいと思います。大変申しわけございませんでした。
中山委員長 次に、鍵田節哉君。
鍵田委員 民主党の鍵田でございます。
 皆様方には貴重な御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。
 ただ、お聞きをしておりまして、特に松井参考人の御意見につきまして、大変私は驚いておるわけでございます。今回の改正というのは、いわゆる規制緩和、派遣業においてはもう極限状態まで緩和をされているんじゃないかというふうに私は思っておったのでありますけれども、いや、まだ単なる一歩にしかすぎないのだというふうな御意見でございまして、これは一体何を考えておられるのかということで大変な危惧をしておるわけでございます。
 他の参考人の皆様からは、このまま法改正がされますと常用代替がさらに進行するのではなかろうかという大変大きな危惧を持たれておるという印象で聞かせていただきました。
 そこで、松井参考人の方は、企業行動憲章に基づいて派遣業の健全な発展をということをおっしゃっておるわけでございますけれども、最近も前厚生労働委員長が派遣業者との癒着で逮捕されておることは事実でございますし、また他の派遣業者におきましても一部の政治家との癒着というふうな話が出てきております。そういう面からいたしますと、この企業行動憲章に基づいてという話が、どこまで信用させていただいたらいいのかということが非常に疑問があるわけでございます。
 そういうことで、常用雇用の代替が進むのではないかという懸念を主張されております龍井参考人なり中野参考人にお聞きをしたいわけでございます。
 ことしは、一年を超える臨時的、一時的の判断を派遣先にゆだねる、そういう改正になっておるわけでございますし、その乱用防止策として、派遣先過半数の労働組合なりまたは労働者代表の意見聴取義務というのが課せられておるわけでございますけれども、実際に職場の代表の見解というものが何か法的拘束力は持たないのではないかというふうに私は思うわけでございます。
 そういう観点からしますと、乱用防止の効果というものはほとんど期待ができない、むしろ労使で意見が異なった場合には使用者の意見に基づいて措置がされるという懸念がされるわけでございますけれども、その辺について龍井参考人としてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
龍井参考人 先生御指摘のように、私どもも、もう限界まで柔軟化が進んでしまっているのではないかという認識を持っています。
 結局、現状でも同じ職務の繰り返し更新が野放しにされてしまっているということについて、実は何の歯どめもないわけですね。それで、先ほどもちょっと触れましたように、職務、業務といっても、やはりこれは厳密な、欧米的なジョブでないわけですから、その職務というものについてどれだけ必要性があるのか、期間の合理性があるのか、それを今回は職場の労使にゆだねようということでスキームがつくられたわけですけれども、これも先生御指摘のように、もしもそこで一致しなかったという場合、どうなるか。これは今のスキームでいったら、これは一方的に押し切られるだけ。聞きましたよ、聞きおきましたよ、それ以上ものが全然今回の法案から見えてこないわけです。
 したがいまして、最低限、労使の協議を義務づける、そしてきちんと、労使確認について、その内容について点検をしていくということは最低限必要だというように考えております。
鍵田委員 続きまして、製造業の現場のことでございますけれども。
 特に、物づくりに対しての派遣の解禁という問題がございますけれども、偽装請負が蔓延しておるという参考人の御意見もございましたし、現に、現場からはそういうふうな声が多く寄せられておるところでございます。労働災害の多発化でございますとか、労働基準法が適用されておらないというような問題、さらには、労働条件も大変劣悪であるというような多くの問題が起きておるわけでございますけれども、現時点において製造業に派遣を解禁するということはさらに拡大をしていくものと考えておるわけでございますけれども、現場における具体的な状況を踏まえまして、龍井参考人の見解をお聞かせいただきたいと思います。
龍井参考人 この問題も、冒頭にちょっと触れました実態追認、起きてしまっていることを枠をはめて追認していこうという、その不幸な歴史にさらに輪をかけることが起きるんじゃないかというのが最大の懸念です。
 今、いわゆる製造現場でも、パート労働から逆に請負、外注というシフトがかなり進んでいて、実は私ども自身がその実態の把握というのがなかなか容易でないというのがございます。恐らく、労使関係も成立していないところで、経営者の、本社の方もそれはわからないんじゃないか、そのぐらいにぐちゃぐちゃになっている、事が進んでいると思われます。特に、これが、御指摘のように安全衛生、それから安全衛生教育を含めて、基本的な、先ほどインフラと申し上げましたけれども、条件整備がないままで行われている。
 しかも、製造現場では、もっと複雑なのは、そこに今度はパート労働が絡み、あるいは外国人、日系人の労働者の働き方もそこに加わってくるということで、本当にこれがモザイク模様になっていてわからないというのが実態でございますので、私ども労働組合サイドでも何度かそこでの相談、今相談対応での組合結成なんかもやっておりますけれども、一つは、やはり国としてもきちんと実態調査を行っていただき、これも、今申し上げたような、モザイク模様全体にかかるような実態調査をやっていただいた上で新たな施策を早急に立てていただきたい。
 それからもう一つは、この問題に関しては前々から、請負と派遣、これは御指摘の製造業だけではなくて、自治体の個人請負のようなものに至るまで、契約労働といっていいのか、偽装個人契約といっていいのか、何とも言いがたいものがどんどんふえてきている。やはりそこに、単なるガイドラインだけではなくて、今起きている違反ですら取り締まれないわけですから、今回もしもこうなった場合には、職安行政と基準行政が連携をして、どういう具体的な取り締まりあるいは違反摘発をやっていけるのか。今までの職安行政での違反取り締まりというのが決定的におくれているというところを、この際、この問題を契機にそういう体制をきちっとつくっていただくということが大前提だというふうに私は考えております。
鍵田委員 ありがとうございます。
 それでは、中野参考人に。
 先ほどの意見陳述の中で、派遣の現場で起こっておりますいろいろな問題についての事例のお話もいただきました。大変参考になったわけでございますけれども、現実に、派遣労働者にとりまして短期間の派遣契約の更新を重ねていくという実態がございますが、このことが雇用の安定には全くつながらないという現状にあるわけでございます。
 今回の改正案でも、期間の短期化、更新の繰り返しという問題の対策が全くなされておらないというような状況の中で、実際に、雇用の安定、こういうふうな面で、派遣期間と労働契約期間、これの違いなどにつきましても大きな違いがあるわけでございますが、これらを一致させていく上において、現場の状況などから考えまして、どのような御意見をお持ちなのか、お聞きをしたいと思います。
中野参考人 御存じのとおり、労働者派遣を規制緩和するという場合に、派遣労働者の雇用の安定のために、一年から三年、期間を規制緩和するんだという、そういう声が唱えられました。しかし、現実には、一方で派遣労働者の雇用契約期間というのは短期化に短期化を重ねているという実態がありまして、先ほどの例のように、勤務を継続すれば継続するほど期間は短期化する、こういう状態にあるわけです。もし本当にこの法改正が派遣労働者の雇用の安定につながるという保証をとるということであるとすれば、私は、労働者派遣期間と派遣労働期間とを一致させるという、そういうきちんとした枠組みを確立すべきだというふうに思いますし、派遣労働者の派遣労働契約期間を設定する場合に、それ相応の合理的な根拠というものを求めるべきだというふうに思います。
 そうした点で、現行法改正案は、努力義務ということでありますけれども、きちんとした措置義務程度にはその法的な枠組みを改善していく必要があるというふうに考えております。
鍵田委員 ありがとうございます。
 本来ならまだお聞きをしたいこともいろいろあるんですけれども、時間の関係もございますので、これで終わりたいと思います。
中山委員長 次に、佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 本日は大変貴重な御意見をいただき、また、こういう忙しい中、時間をいただきましたことを心から御礼を申し上げたいと思います。
 今いろいろとお話を聞いておりまして、聞きたいことは山のようにございますが、私も本会議の関係で、時間をできる限り短縮させていただきたいと思います。
 お話を聞いている中で、龍井参考人のお話、全くそのとおりだと僕は思います。やはりこれは、この法案だけではなくて政治全体が、それではどこに問題があるのかきちっと明確にし、どういうビジョンを立て、その方向性でどういった改革をしていくのか、こういったことが明確でないまま、物事が場当たり的に進んでいる。これは厚生労働委員会だけではなくて、もう内閣、政治全体が今そんな状況で走り出しているのかなという気がいたします。
 そういう中でも、今回の法案が、これは与党の賛成によって通ってしまうのかなというふうにも思いながら、きちっきちっと押さえていかなきゃいけない、そう思うわけでございますけれども。
 その部分の中で、改正法案で第四十条の二の第三項で、現行の一年の期間制限のかかる業務については、一年を超え三年までの範囲で派遣を可能とし、あらかじめ事業主はその期間を定めることとしている、こんなことがございます。その期間を超えてなお業務が続いた場合に、第四十条の四で、派遣先は当該派遣労働者に対し、雇用契約を申し込みをしなければならないとしてあるわけでございます。
 これは前向きに考えれば、雇用契約の申し込み、常用雇用ということになっていくというふうに前向きにとらえられるんですけれども、逆に言えば、それがまた逆に打ち切りということになってくる可能性がある。私は、経営者でちょっと悪い部分を考えて、うまく使ってやろうかと思えば、もう派遣ということに関しては三年前で打ちどめだ、前に進むんではなくて、逆に後ろに進んでしまう歯どめになる可能性もあるのかなという気もいたします。
 そういう意味でも、派遣労働者の直接雇用化を促進させるとしているんですが、この雇用申し込み義務づけだけで、期間制限違反に対する実効性が確保されているものだというふうには私は思い切れない部分があるんですけれども、龍井参考人の御意見をちょっとお伺いいたしたいかと思います。
龍井参考人 私どもも、契約期間が一定の上限を超えた場合に、期間の定めのない雇用としてみなすべきだということは、連合のそもそもの要求として提起をしているんですが、今回のは、それとまた質が違うんですね。さらにそこで新たに常用雇用を雇おうとする場合はと、そういう限定があります。ですから、それがなければ、その期間を超えただけでは何の担保にもならない。しかも、では、申し込みをしなかったらどうなるのか、それもない。
 したがって、余りにも業界の都合だけを並べて、一見何かここだけいかにも労働者保護措置っぽく見えるんですが、私は、全くそういう担保にはなっていない。先ほどの意見聴取と同じで、やはりここはそれを何らかの形で、一定の期間を超えた場合には派遣先の雇用責任として明確にするというものがない限り、御指摘の担保にはならないというふうに判断をしております。
佐藤(公)委員 確かに、その辺がちょっとあいまいというか、無責任な状況にあると私たちも考えている部分があります。
 続きまして、先ほど中野参考人の方からもお話がございました。これはもう一つ龍井参考人にお聞きしたいんですけれども、今回の改正でも、基本的に、労働者派遣法の位置づけは、臨時的、一時的な労働力の需給調整の対策としておるんですけれども、専門的業務二十六業務については、現行の三年ルールを廃止し、無期限に使えるようにしているんですけれども、この点に関して、中野参考人から先ほどるる説明がございました。龍井参考人、どうお思いになりますでしょうか。
龍井参考人 これもある程度そもそも論になって恐縮なんですが、この間の不幸な歴史と先ほど申し上げた中で対象業務が広がってきました。まず、これが本当に業務と人が一致するようなものになっているかどうか、それが本当に、自分で交渉できる、労働条件について、集団的な交渉がなくてもある程度上限設定ができるという意味での専門的業務になっているかどうか、私は、これはもう一回洗い直しをすべきだと考えています。つまり、今の二十六がオーケーで、拡大がだめよというのではなくて、今の二十六そのものが、本当に今までの歴史を踏まえ、実態を踏まえた上で、それにたえるものかどうなのか。
 一例を申し上げれば、ファイリングなどというものは、私どもの相談なんかの業務では、もう何でもあり。ほかのもそういうわけじゃないですが、特徴的に申し上げれば。幾つかそういうものの業務自体の洗い直しをする時期に来ているというふうに判断しております。
佐藤(公)委員 まさにその辺の現状というものをちゃんと把握し切れていない状態で法案ができ上がっているのかなというふうに私も思う部分があります。
 続いて、ちょっと松井参考人にお聞きしたいんですけれども。
 私たちも規制の撤廃ということを訴えてきております。しかし、先ほど松井参考人のお話ですと、規制の撤廃、緩和というようなことでの話。私たちは、規制の撤廃とか緩和というのは、ある意味で表裏一体の形で規制の強化ということがあり得ると思います。そして、弱者に対する配慮ということもきちっと考えていくべきだと思います。そういうところを考えた場合には、まさに中野参考人等々ほかの方々からもお話がございました派遣先の規制というもの、処罰というものももっと厳しくしていかなきゃいけない。ここら辺の規制の部分、強化すべき点ということがあり得る。これは、また経営者の責任でもあると思います。
 この点が一点と、それに関連して、先ほどからのお話の中では、やはり制度的に使いやすい形で複雑化、派遣者に対してはいろいろとありますが、経営者もやはり同じように変わっていかなきゃいけない、この法律を使っていくについてはより注意をしていかなきゃいけない部分、この二点に関して、簡単に御説明願えたらありがたいと思います。
松井参考人 先生御指摘のとおりだと思っております。
 まず、私ども経営者、あるいは経営者だけでなくて、この法律が複雑であるというそのものが、守られにくくなってきているという認識をしております。その意味から、本来、専門的業務あるいは自由化された業務につきまして一本化をするよう主張してまいりました。そういうことによりまして、より、使う側、使われる側、現場での混乱が起きなくなると主張してきたわけであります。もちろん、法律は守られるべきものと思っております。守られるためには、それなりにやはりある程度理解しやすいものが必要かと考えております。
 保護が必要なのは、そういった形で、今回の形でも十分保護は強化されてきたと認識しております。
 以上です。
佐藤(公)委員 もう最後にしたいと思いますけれども、中野参考人がいらっしゃらなくなっちゃったんで、委員長、よろしいですか。
 もう最後です、簡単に質問します。
 私も、派遣の方々が周りにたくさんいらっしゃって、このたび、いろいろなお話を聞いてみまして、いろいろな話をしていったら、やはり派遣の方々というのは、結局、最後は、どうせ私、派遣だから、こういうことに落ちついちゃう部分があると思います。これは当然、それを私たちが変えていかなきゃいけない、よりよくしなきゃいけないとは思いますけれども、派遣されている方々も意識改革が必要と思います。そういう啓蒙もしていかなきゃいけないんだと思います。
 そういうことにちょっと御意見をと思ったんですけれども、時間もないので、これにて失礼をさせていただき、申しわけございませんが、あとの方々、聞きたいことがあったんですけれども、済みません、これにて失礼させていただきたいわけであります。
 中野参考人、走って戻ってきてもらったのに、申しわけございませんでした。
 以上です。
中山委員長 次に、山口富男君。
山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。
 きょうは、参考人の皆さんから意見を表明いただきまして、ありがとうございました。
 派遣労働の実態や今度の改正案の問題点、それからまた使用者側のニーズについてもよく話していただけたと思うんです。
 まず、私、綱本参考人にお尋ねしたいんですが、参考人から配付していただいた資料のことなんですけれども、この資料の一番最後に三枚の図表がついておりまして、日本の派遣法とイタリア、韓国の比較があるんですが、この資料によってどういうことが、特に日本の派遣法のどういう問題が明らかになるのか、ちょっとお話しいただきたいと思います。
綱本参考人 これが日本の派遣法、私のだけちょっと色をつけてみました。こうして法文を、派遣の三面関係、派遣元、派遣先、派遣労働者、この三者に分けまして、それぞれ法文を分けますと、中ほどに集中する条文が労働者の権利だというふうに理解ができるわけですね。
 例えば、日本の派遣法では労働者のところにあります三十二条の二項、これは派遣労働者になるについての同意権、あるいはこの派遣契約の上に書いていますが、二十四条、争議中の職場への派遣禁止、職安法二十条の準用ですね。こういう形で、この中ほどに集中する項目が労働者の権利に役に立つんだということがあります。
 イタリアの派遣法もこうして分解をします。そうしましたら、労働者の権利が随分ここに盛られているということがわかります。例えば、労働者の方の下に書いていますけれども、派遣延長を拒否する権利だとか、派遣先福利厚生サービスを受ける権利、あるいは派遣先での団結権、団体行動権、派遣先従業員集会への参加の権利、あるいは派遣元で集会を開く特別の権利。
 この特別の権利と皆さんお聞きになって、どういうふうにお考えになるか。私は、日ごろ、派遣労働者の皆さんと一緒に話をしていまして、よくわかります。派遣というのは、派遣元からいろいろな派遣先へ働きに出かけるわけですから、派遣元で彼らが集会を開く、そうするときに、大変な労力が要るわけです。ですから、派遣元で集会を開く特別の権利を保障している、こういうふうに理解することができます。
 あるいは、派遣先での規制ですけれども、十条の二、派遣違反、すなわち、派遣契約の書面がない場合は直ちに派遣先採用とみなす、派遣期間に関係なしに、違法派遣は派遣先直接従業員だとみなす、こういう規定もありますね。あるいは、派遣期間を超える十日間は二〇%割り増しの賃金を払わなければならない、そしてそれ以上は派遣先直接従業員とみなす、こういう規定があります。
 ですから、こう分けてみましたら、随分、日本の法律にない利点といいますか、労働者を保護するところがありますね。私、特徴的に思いますのは、イタリア法の労働者の五条の五、職業訓練を受ける義務というふうになっているんです。ここで初めて労働者に義務というような言葉が出てきました。職業訓練を受けなさいよ、これを義務づけますよということなんですね。裏返せば、職業訓練を受ける権利があるというふうに私は理解をしています。ここまで徹底して派遣労働者の保護をしているということが読み取れると思います。先ほど陳述の中で話をしました派遣先、派遣元の連帯責任、この左端の一条の五fという項目、この一連の項目がそうなんです。派遣労働者の報酬及び保険料、給付金など、これは派遣元と派遣先が連帯して責任を持たなければいけない、こういうふうになっております。このことが読み取れると思います。
 韓国においても同じように、派遣先に派遣二年以上は直接雇用とみなすということが派遣先の義務として書かれております。あるいは、労働者にとっても、派遣期間の延長の同意権、最大一年である、トータルで二年のためにここで打ち切りますよ、私は打ち切っていいですよ、こういうふうに権利を保障している、こういうことになると思います。韓国においても、派遣先、派遣元の連帯責任というのは、左端に出ておりますけれども、派遣先均等待遇の義務、これを派遣元と派遣先に連帯責任として負わせている、このように読み取れます。
 以上です。
山口(富)委員 どうもありがとうございました。
 今の派遣法の問題でいいますと、一つは派遣先、派遣元が派遣法を遵守していない。先ほど連合の方でしたか、総務省の行監を使いまして、遵守が非常に悪いというお話をされましたけれども、北海道ですと八割が守っていないとか、ほかのところでも五割とか六割という数が出てきております。その上、厚生労働省にかかわる行政の監督が弱いものですから、派遣労働をめぐって現行法のもとでもいろいろ深刻な事態が起きていると思うんです。
 それで、綱本参考人にもう一点尋ねますけれども、派遣一一〇番というのをおやりだと。この中身を見ますと派遣一一九番じゃないかと思えるような中身もあるんですが、行政の側の対応が弱いですから、皆さんが自主的に電子メールや電話でこういう相談を受けるという作業が非常に大事になると思うんですけれども、この派遣一一〇番を通じまして、今の派遣労働をめぐる問題でどういう点をお気づきなのか、幾つか示していただきたいと思います。
綱本参考人 お配りしました資料の中の「「派遣一一〇番」メール相談の結果」ということで示しておりますけれども、私たちが始めまして、電子メールによる相談は、脇田先生のところのホームページに既に二十五万件のアクセスが行われております。その後、電話相談を入れまして、あるいは電話相談の結果、じかに相談をする、こういう形で、毎月定例を決めまして、相談活動に応じております。
 その中の結果はここでごらんになったらわかりますけれども、ちょうど八十四ページのところで、ひどくは、派遣先の都合による中途解約、更新拒絶、やはりこういうふうな状態が出ております。そのうち、結婚や妊娠を理由とするもの、これが七件、このような状況があります。あるいは、この八十三ページのところを見ていただければわかりますけれども、何月に相談が一番多いか。三月なんです。といいますのは、三月末日に契約を切られる、これが大変だということで、三月に派遣の相談が集中してまいります。こういうような実態が今明らかになっております。
 私たちは、そのメール相談以外に、じかに相談をして、さらにまた電話で、あるいは取り組みとして、行政闘争だとか行政の職安に訴えるとかそういう形でやっておりますけれども、とてもこたえ切れないというふうに考えています。大変な事態になっているということだけははっきりしていると思います。
 以上です。
山口(富)委員 続いて中野参考人にお尋ねしますけれども、先ほど、派遣労働をめぐって、過重労働と低賃金化が進んでいる、それだけに均等待遇の原則が重要だというお話がありました。
 派遣労働者の場合、女性労働者が大変多いですね。そういう目からごらんになって、派遣労働の抱える問題点についてお考えがあれば示していただきたいと思います。
中野参考人 現在の統計データですけれども、派遣労働者の賃金の男女比を見てみますと、これは厚生労働省がとったデータでありますが、私の資料の中にありますが、男性を一〇〇として、通常の一般の労働者の男女間の賃金比較が六五・三であるのに対しまして、派遣の場合には女性の場合五三・六ポイントでしかない。そういった意味で、技能本位に働くというふうに言われているこの世界の中で、男女の賃金格差が通常の一般よりもさらに大きいということに私どもは非常に注目をしています。
 これは、派遣というものが派遣先のニーズ、すなわち、従来の女性に対する差別的な雇用管理を引き継ぐ形で派遣労働が活用されてきているということの反映ではないのかというふうに考えておりまして、この分野に性による差別的な取り扱いを禁止していくという特別な担保というものが最も重要な政策課題になるというふうに考えております。
 また、この分野で見ますと、容姿であるとか若さであるとか年齢、そして障害の有無にかかわるような事由によって選別をされているという実態も引き続き大きく問題になっておりまして、これらの障害者差別それから年齢差別というものを禁止する、そして、そのような取り扱いをしないという意味で、派遣先に対してきちんとした義務づけを行っていくという法制度の整備というのは、規制緩和が進められる時代であればこそ極めて重要な法整備の課題ではないか、そういうふうに考えております。
山口(富)委員 最後になりますが、龍井参考人にお尋ねしたいんですが、私、この間、東京都の派遣労働の実態調査の報告を受けに東京都に参ったんですけれども、そのときにちょっと驚きましたのは、今、若い人の大学卒業者の問題で、第二新卒という言葉が生まれている。大学を卒業してじかには就職できずに、派遣労働を経験したり有期の契約を経験したり、いろいろな契約をしてもう一回、第二の新卒時代があるんだというような話もあったんです。
 そういう若年雇用とのかかわりで、派遣労働が現実に抱えている問題、どういう問題があるのか、ちょっと時間がもうないんですが、最後に示していただければと思います。
龍井参考人 そのお話で私が今思い出したのは、昨年、CIETTという、派遣業界の世界大会がございまして、私もパネラーで出席したんですが、アメリカの方、ドイツの方、そしてその事務局の方、印象深かったのは、派遣労働をブリッジという言葉で使われていたんです。つまり、あくまで期間の定めのない雇用に行くための橋渡しにすぎない。したがって、逆に言うと、まさに若年雇用のジョブサーチ型のものとしてそもそも限定して位置づけられている。今日本で起きているようないろいろな、そこまで派遣という形が広がっているということは考えられていないんですよね。
 ですから、今、二重の意味で考えています。つまり、だからジョブサーチ型がいいということを申し上げたいんじゃなくて、冒頭に申し上げたそういう位置づけが、マトリックスがきちんと定められていない。したがって、今の日本の働き方であれば、この人たちがまともな職につく保証はないまま、まさに御指摘のように新卒派遣というのが広がってしまっている。しかも、それがもっと深刻なのは、人材育成、能力開発という機会からも疎外され、場合によったら社会保障からも疎外され、そうした世の中の持っている雇用システムから疎外されたままの人たちが何年もいく。これはほかの有期にも関連いたしますけれども、私は、将来に大変な禍根を残す問題になるであろうという危惧を持っております。
山口(富)委員 どうもありがとうございました。
中山委員長 次に、金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。五人の参考人の皆さんには、意見陳述、ありがとうございました。
 最初に、関根参考人にお伺いしたいんですけれども、きょうは二つの事例をお話しになりました。私も質問の中でちょっと申し上げましたけれども、皆さんの中には、常々、さまざまな問題で派遣元、派遣先の連帯責任ということを言われております。これからこの法案が通りました場合には、三年ということになると、もう実質上、常用雇用と変わらない状況になるというふうに私も思いますから、そうしますと、派遣先との関係が圧倒的に支配するということになると思います。
 その点が余りにも明確になっていないと思いますけれども、その連帯責任ということについて、特に今後派遣先がもっと責任を負うべき問題と考えられる点について、幾つかあれば御指摘いただきたいと思います。
関根参考人 先ほど申し上げた中で、非常に派遣労働者が派遣先で長時間労働を強いられているというような状態について報告させていただきましたけれども、現在、派遣労働者は派遣元での三六協定が適用されるという形になっているんです。したがって、派遣先の職場の実態にかかわらず、協定された時間外労働の時間が一律に派遣労働者に適用されてしまう。場合によっては、派遣先が締結している三六協定時間よりも派遣元で締結している時間の方が長いがために、派遣先での正社員以上に長時間にわたって働かされるというケースも少なくありません。
 先ほどの事例一のケースでいいますと、Kさんという派遣労働者の方は、派遣先で毎日残業をしていると正社員の方は早く帰っていくということがございました。何でそんな早く帰れるんですかという話を聞いたところ、いや、うちの組合で、三六協定でこれ以上やっちゃいけないことになっているから私らは帰るんだというようなことを言われたということで、何で私たちはそういった部分で守られていかないんだということを訴えていらっしゃいました。そういった意味でも、派遣先の責任というのは非常に大きいだろうというふうに思います。
 それから、安全衛生については、当然現在でもそういった面であるわけなんですが、例えば、製造業等が解禁になったときに労災保険の保険料の問題はどうなるのか、事故に遭っても保険料率がアップしないということから、派遣先における安全教育等が非常にいいかげんになっていく可能性があるんじゃないかというようなことも危惧しております。
金子(哲)委員 中野参考人にお伺いしたいんですけれども。
 今もちょっとお話が出ましたけれども、派遣労働による均等待遇の問題がいろいろ言われております。私どもも、本来どのような労働でも均等待遇でなければならないと思います。派遣労働において、まず賃金の問題が一番だというふうに思いますけれども、そのほかで、今急いでこれだけはやはり均等待遇を保障していかなきゃいけない、こういうことぐらいは最低、派遣先で同じように扱われなければならないというような点について、幾つかあれば御指摘いただきたいと思います。
中野参考人 賃金の問題が一番大きいんですけれども、均等待遇保障というのは、同じ職場で働いている同じ人間ではないのかというところから出発する。そういった意味では、今回の改正法案の中で、福利厚生施設について、均等待遇、均衡ある処遇に関する規定を盛り込んでいただいたというのは大変大きな進歩だというふうに思います。ただし、これは努力義務にすぎないということと、もう一つは、やはりその職場で働くに当たって必要な技能を身につけていくという教育訓練、これに関する均等待遇をきちんと保障していくということが非常に大きいということです。
 それからもう一つは、派遣先の方で労働法上の責任を持っております労働時間、先ほどのような時間外の問題で、派遣先の社員と派遣スタッフとの間で非常に大きな格差があるわけですけれども、こういったことについても、やはり均等待遇保障ということが極めて重要ではないのかと。つまり、ローテーションを組んだりとか勤務時間について一定の指揮命令をする、その指揮命令権の行使について均等に指揮命令をしていくようにということを義務づけるということは十分可能なのではないかというふうに思います。
 それから、賃金が非常に厳しいダンピングに遭っているという、派遣料金そのものの問題があるわけですけれども、こういったことについても、派遣先に対して通常の労働者と同一の業務で働く派遣労働者の賃金水準に考慮するようにという、配慮するようにという、少なくともこういった規定というものは盛り込んでしかるべきなのではないかというふうに思います。
金子(哲)委員 関根参考人にもう一度お伺いしたいんですけれども。
 私は、きょうのいろいろ論議、委員会の論議が始まっておりますけれども、いわば派遣先におけるさまざまな問題と同時に、もう一つは派遣元との契約関係、登録制であるとか常用制であるとかいう問題が実はかなり大きな問題ではないかというふうに思っております。
 これからそれだけ派遣現場が広がるということは、特に登録制のような制度の場合には、一方的に契約を打ち切られた場合には、それはもう後は収入の道は全くない。常用で派遣元との関係があれば一定の保障はされていくということになりますけれども、今の派遣業界の状況では、例えば、登録でスタートしても、一定期間長期にわたってその会社から派遣労働で派遣されたような場合には、その派遣元との関係で常用雇用になっていくとかいうふうな関係というのはある程度ルール化されているんでしょうか。
関根参考人 先ほど申し上げた事例の一つ目がございましたけれども、登録型で働いて、一カ月契約の更新で六年三カ月働いてもそのまま打ち切りということになってしまうというのが現実でして、常用型に切りかえるというようなことは全くルール化されていません。現実問題としては、先ほど報告したように、ユニオンとして交渉して、派遣会社と期間の定めのない雇用契約であるという確認をかち取るという形で常用型というのにしたわけですけれども、実際にはなかなかそういったルールはないというのが現状です。
 実際のところ、登録型という働き方が乱用されているというふうにしか言いようがないんだろうと思います。一カ月契約で更新していくということが働いている側にとっていかに大きな不安を抱えることになるのかというのは、皆さんも御想像いただけるんじゃないかというふうに思います。
 またもう一つ、先ほどの二番目の事例で報告しましたように、登録型で期間を定めて働いているということのために、出産して育児休業をとるということも現実的には全くできない。現在、ほとんどすべての派遣会社が派遣労働者は育児休業の対象にならないということで、妊娠を告げた直後に解雇あるいは契約満了をもって打ち切りということにしてしまっているというのが現状です。
 実際に先ほどの報告でも出産を一たんはあきらめかけたということがございましたし、現実に、現在派遣労働者で働いている方から、育児休業をとりたい、あるいは派遣会社から育児休業を断られたので出産をあきらめざるを得ないというような相談が寄せられておりますけれども、こういった登録型あるいは非常に短期雇用の蔓延によって少子化にさえ拍車をかけかねないのではないかというふうに危惧しております。
金子(哲)委員 龍井参考人にお伺いしたいんですけれども、今回製造業に対して解禁をするということになりますけれども、ここの中で一番大きな問題だとお考えになっていることがありましたら、御指摘いただきたいと思います。
龍井参考人 一番大きいのは、やはり安全面とそれからいわゆる技能形成の問題だと思います。
 製造現場といっても、今はオートメ化あるいはME化によって、現場の色彩も大分違うわけですけれども、一般的に考える場合、とにかくそこでのまさに人を特定したチームワークというものがなければ、安全衛生、そして、技能と申しましても、これは決して高度熟練技能ではなくて、まさに、勘と、ある程度一致したチームワークのようなものがなければ、そこでの活動というのは展開されない。それは実は正社員の世界でもそうなわけですね。それが、私ども、幾つか相談の中でお聞きしているところでは、本当に日々変わったりというようなこともあったりする事例も聞いておりますので、やはりそこでどれだけ、先ほど申し上げましたような、教育も含めて、しかもそこで一定のチームワーク関係が維持されていくという一番基本のベースが何がしかの形で保証されなければ、これはとても、今でさえ建設あるいは製造業の一部については多発をしているわけでございますので、その懸念は払拭されないというふうに考えております。
金子(哲)委員 松井参考人にお伺いしたいんですけれども、私もきょうの委員会でも質疑をしたんですけれども、この法案というのは、一時的、臨時的な労働者を派遣する事業、一時的、臨時的ということが強調されて、そのための法案だということになっておりますが、きょうは、ほかの四人の参考人の方は、三年もやれば一時的、臨時的なものではないんじゃないかという疑問の声が上がっておりますけれども、私もそのように思うんですけれども、松井参考人としてはそのことについてどのようにお考えでしょうか。
松井参考人 私、前回の派遣法改正のときにもその仕事を担当しておりました。その位置づけそのものについて私どもは必ずしも賛成してこなかったということがございます。さらに、三年が臨時的、一時的かというと、非常に難しいとは存じますけれども、企業経営、変動が激しい中、なかなか二年先、三年先を見通すのは非常に厳しい状況がございます。その意味で、弾力的な扱いをしていただくことについては私ども大変ありがたく思っております。
 以上です。
金子(哲)委員 どうも、私ども、この法案を提案された方と、実際に臨んでいらっしゃる方と、思いは全然違うということが、きょう今参考人の発言でお聞かせいただきました。
 最後に、綱本参考人に、もう時間が残り少ないのでお伺いしたいと思いますけれども、労働組合をつくるということで努力されているということでありますけれども、それは、派遣先での労働組合を結成されようとしているのか、もしくは派遣元での組合の結成ということ、それから、もう既に派遣元では組合はどれぐらいの状況かがあればということと、実際にそういう労働組合をつくったときに起こってきた問題、例えば使用者側との関係の中で起こったような問題があれば、簡単にお答えいただければと思います。
綱本参考人 まず、後の方の事例ですけれども、労働組合をつくって、それが公然化しますと、派遣先から派遣労働者の入れかえが起こる、これがやはりまず第一に大きな被害があります。労働組合活動に対する派遣先のそういう不当労働行為的な攻撃といいますか、そういうことがあります。
 それから、労働組合のつくりの形態ですけれども、業種別で労働組合をつくる、個人加盟で労働組合をつくったり、地域的につくる、あるいは、派遣先労働組合に入ってもいいよ、そういう派遣先の労働組合の規約を改正されているところもあります。
 さまざまでありますけれども、私が申し上げたいのは、派遣先労働者と派遣労働者が団結しなければ、派遣先、直接雇用ですね、この雇用のことも実現しないのではないかというふうに考えています。いろいろな手続がありますけれども、実はもう当該派遣先を退職した後に、派遣先に直接雇用の期待だけ残して本人は失職しているわけですね、そういう事例があるわけです。ですから、派遣先労働組合がそのことを監視しなければいけないと思いますので、ぜひ、派遣労働者と派遣先労働者の団結をできるように法案を審議していただきたいと思います。
 以上です。
金子(哲)委員 ありがとうございました。
中山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十六分開議
中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、内閣提出、職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。五島正規君。
五島委員 大変タイトな日程なため、議員の皆様方も昼食もしていないと思いますので、まだ出席は少ないようですが、私も腹が減っておりますので早く終わらせたいということで、入らせていただきます。
 この職安法、労働者派遣法の改正問題の議論をする前に、一点、大臣にお伺いしたいことがございます。それは、年金制度の問題でございます。
 一九九七年の四月に、鉄道共済年金と厚生年金が統合されました。共済年金の対象者は支援措置が行われていることもありまして、保険料の統一はその際に行われず、年金としては統合いたしましたが、格差がついたまま据え置かれました。当時の議論におきましては、年金局長は、段階的に格差を小さくして、平成十六年、すなわち二〇〇四年には格差をなくすると答弁しています。
 その後、厚生年金につきましては引き上げが凍結されてきたという経過がございまして、結果として、現在、その当時のままの状態が続いているわけでございますが、JRになってから入社した労働者が、七年分、大変ふえてきています。そうした方々に対して、こうした格差をこのまま放置しておいてよいかどうかという問題がございます。
 大臣はかねがね、医療保険の一本化、統合の問題もお話しになっているわけでございますが、給付面、制度面、財政面での統合を果たしたとしても、それぞれのこうした社会保険の保険の負担ということについて、その仕組みやあるいはその負担額において格差を持っています。そうしたものを放置したままではなかなか一元化というのは難しいという例が、この例でも見られるのではないかというように思うわけでございます。
 大臣としては、この鉄道共済年金の統合に伴うところのJRの人々に対する年金格差の問題、平均いたしまして年間で約七万円ぐらいの格差でJRの労働者は余分に年金料を払っているわけでございますが、どうされるおつもりなのか。また、今は年金改革の中においてさまざまな制度のシステムの変更が議論されておりますが、当然、こうした給付の統一化に伴うところの負担の不均衡という問題が解消された上でなければ、そういうことはできるはずがないと思うわけでございますが、この問題を具体的にどのように処理されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
吉武政府参考人 私の方から、ちょっと経過を御説明申し上げたいと思います。
 先生御案内のとおりでございますが、平成九年四月にJR共済を統合いたしております。このときに、平成九年三月までの統合前の期間に対する給付がございますので、そのうちの物価スライドそれから賃金再評価をいたしません生賃金に対する給付につきましては、一兆二千百億円の積立金の移管を受けるということでございまして、これは現在も二十年分割で移管をしていただいているところでございます。
 さらに、再評価、物価スライド、この部分をどうするかということでございます。
 当時の基本的な考え方といたしましては、JRの会社に引き続きお勤めいただく方が、今度は厚生年金で保険料を支払っていただきますので、最優先は、この保険料で充当しようということでございます。NTTの場合にはその形で充当ができたわけでございますが、当時、JR、JTはそれだけでは足りませんので、例えば国家公務員共済でございますとか、あるいは私学共済でございますとか、あるいは地方公務員共済でございますとか、あるいは厚生年金の、それ以外の方々のトータルの負担によりまして、平成八年から十三年までで申し上げますと、年額千六百億、これを約四十年間続けまして負担の穴埋めをしようという形で対応をいたしております。
 その際に、JRの方々の被保険者の保険料率につきましては、当時の保険料率二〇・〇九%で、厚生年金の保険料率が追いつくまでの間据え置くという方針で決定をされております。先ほどお話がございました、当時の衆議院厚生委員会におきまして当時の近藤年金局長からお答えを申し上げておりますが、そのときのお答えを申し上げますと、仮に平成六年の財政再計算におきます将来の保険料率の引き上げ見通しで想定をいたしますと、平成十六年には厚生年金の保険料率が追いつく見通しであるということをお答え申し上げています。
 ただ、今お話ございましたとおり、平成十二年の年金改正で保険料率引き上げが凍結をされておりますので、当時の見通しより保険料率が追いつく時期はおくれる形になっております。
 ただ、これによりまして、もともと想定をしておりましたJRの被保険者の方々の保険料でまず埋めるところということは、そのことによって直接過大な負担ということにはなっておるわけではございません。
 それから、全体の厚生年金の保険料率とのバランスの問題につきましては、もう御案内のとおり、十六年の年金改正の中で、厚生年金の保険料率をどう考えていくかという非常に大きな問題でございますので、今後、年金制度改革全体の中で、国民の理解をできるだけ得ながら検討を進めていく課題であろうというふうに考えております。
坂口国務大臣 今局長から答弁をしたとおりでございますが、JR共済、過去のいろいろな問題を持っておられたことを記憶いたしております。それを厚生年金と一緒にするというときに、過去の問題をどう解決していくかということで、JRの皆さんにお願いすべきことはお願いをするというので、あの当時お話がまとまったというふうに思っております。
 しかし、来年は年金改正の年でございますから、そのときにはこの問題もあわせて決着をできるように努力をしたいと思っております。
五島委員 今、大臣は、来年の年金改正の中でこの問題にも手をつけていただけるという返事をいただきましたので、ぜひそのようにしていただきたいと思いますが、局長の御答弁によりますと、基本的にあの当時の仕組みというものが続いているわけです。それ自身は、JRに入った職員は、他の企業に勤めている人に比べて、同じ賃金の場合に年間七万円近く年金料をたくさん払うというシステムがあの当時できた。だから、過大な負担を求めているわけでないというのは当たらないだろうと思います。
 そもそも、なぜJTやJRがそうした積立金不足を起こしたのかという問題、これはやはり国鉄という状況の中においてそうした引き当て制度というものをきちっとやってこなかった、あるいはそうしたものを無視した年金の給付というものをやってきたということのツケでございまして、それを社会全体として穴埋めするということを前提にしながらも、その後、JRに働く人たちに対しては、一定の期間を限って余分に負担してもらうというのが趣旨です。この余分に負担してもらうという時期がこれ以上無制限に放置されるということは大変問題だということを申し上げたわけでございまして、ぜひ今大臣おっしゃったように、次期改定時において、この問題についての十分な御議論をしていただけるようにお願いしておきます。
 それでは、今回の派遣法の問題に入らせていただきたいと思います。
 今回のこの職安法あるいは派遣法の改定は、雇用情勢の悪化の中で、経営者にとっては、必要な労働者の確保とその選択の手段を拡大する、そういう意味にとってメリットがある。あるいは、企業経営が非常に厳しくて、デフレが進行する中において、国際競争という意味から、コストを削減していく上において人件費に手をつけざるを得ないという状況の中において、こうしたメリットがある。さらには、さまざまな産業構造が変化する中で、新たな部分に対してそうしたものを導入していく、そうした試行的分野の労働力確保としてこういう制度があることがメリットがある。すなわち、経営サイド、サプライサイドにおいてメリットがあるということについてはよく理解できます。
 問題は、労働者に関する問題ですから、一方的に経営者のメリットがあるよということだけでその制度を制定しようというのには問題がある。この新たな制度、特に今回の場合は製造業への派遣の拡大ですが、一番大きい問題だと思いますが、そうしたことによって労働者にとってどのようなメリットがあるのか、その点について大臣にお伺いしたいと思います。端的にお答えください。
坂口国務大臣 五島議員もよくおわかりをいただいて発言をしていただいているというふうに思いますが、現在のようなこういう状況、経済状況でございますので、その中で雇用問題をどうしていくかということが今大きな問題になっているわけでございます。したがいまして、この経済状況が変化をすれば、私は、この派遣業なるものの中身も大きく変化をするだろうというふうに思っております。
 現在のように、働く先がなかなか見つかりにくいような状況の中におきましては、確かに、少しでも安い賃金でというふうに経営者の方が思うことは、それは私も否定いたしません。それはあるだろうというふうに思いますし、また、労働者側も、自分で働く場所を探すということになりますとなかなかないけれども、しかし、この派遣業の中に入ることによって当面の働く場所を得ることができるということもあるだろう。派遣業の皆さん方の中には、そうしたところで生涯いくつもりはなくて、やはり常用雇用の中に入っていきたいという願望を強くお持ちの皆さんがおみえであることもよく承知をいたしております。
 この経済状況の回復が行われれば、そのときにその皆さん方の願望もかなえられるものというふうに私は思っている次第でございますが、それまでの間、経営者の側もあるいは労働者の側も、一つのつなぎとしてお考えをいただくというような意味では、両方ともメリットのある話ではないかというふうに私は思っている次第でございます。
 いろいろの立場、見方によりまして、この問題のよしあしというのは評価が分かれるであろうということは私もわかりますけれども、しかし、働く側の皆さん方にとって、これは全然メリットのない話ではないと私は思っております。
 それは、一つは、そういうふうに常用雇用に行きたいけれども行けないという皆さん方もおみえでございます。これはその皆さん方のためにもなり得ると思いますし、それから、そういう働き方を好まない、すなわち、別の仕事をやりたい、その別の仕事をやるために、一定の時間の中で働きたい、そしてそこで収入を得て、将来別のことをやりたいというふうに思っておみえになる皆さん方も比較的たくさんおみえになることに私は最近驚いているわけでございますが、そういう皆さん方のためにもこれは使用されるものというふうに思っている次第でございます。
五島委員 午前中の同僚議員からも、資料を示しての質問がございましたけれども、現実には、非常に企業経営が圧迫していく中で、リストラが先行し、そこの中で労働力不足を生じたところに対しては派遣労働で賄っていくというふうなのがあの数字などにも読み取れなければおかしいと思います。
 そういう状況の中において、今大臣おっしゃいました派遣労働というのは、この不況の中でその経費削減のためやむを得ないものとして、労働者に従来に比べて非常に不利な労働条件を押しつけるものとして認めていこうと言っているのか、あるいは今大臣が言われましたように、働き方、自分の生きざまに対する多様性の中で、この派遣労働という形の仕事のありよう、そうしたものも社会の中においてひとつ定着させようとして今回の法の改正を出しておられるのか、この点が聞いていてよくわからないわけですね、本音はどっちなんだと。
 もし今大臣が最後の方に述べられましたように、さまざまな働き方というものを望んでいる人たちがふえている、だからそういう人たちに対してそういうふうなチャンス、選択肢をふやすんだとおっしゃるのであれば、今回の法改正の中で、派遣労働ということに伴って起こってくる労働者保護という面からの非常に不利な部分、その部分を改善するという内容は少しは盛り込まれていてしかるべきだと思うんですが、私はそれが盛り込まれているように思えない。
 そういうことを盛り込まないままに、そういうふうなこともありますからというのを状況説明でおっしゃっているだけだとすれば、これは、今の不況の責任をことごとく労働者に押しつけようということであって、基本的には、我が国の労働者の権利というものを大幅に狭めていく、生活の水準を引き下げていく、そういうことがよりやりやすくなる選択肢をふやしたんだということと受け取られても仕方がないと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
坂口国務大臣 私は、先ほど申しましたのは、いろいろの生き方があるだろう、したがって、常用雇用に本当は行きたいんだけれども、当面のしのぎをするという人たちもおみえになれば、全くそうではない、もともとこういう生き方の方が自分の考え方に合っているんだというふうに思われる方もある。私は、さまざまだろうというふうに思っております。
 現在の派遣業の状況を見ますと、労働者に非常に不利ではないかというお話がございます。その中にも、いろいろのいわゆる権利、働く人の権利の問題もありますし、それから賃金の問題も含まれているというふうに思います。
 権利の問題は、これは整理をしていかなければならないというふうに思っておりますが、賃金の問題は、これは需要と供給の関係で決まってくることでございますから、私は、景気が回復をした段階におきましては、派遣業なるものは、かなり厳しい環境の中でそれをやり遂げなければならないようになるんだろう。そうなりますと、一般の常用雇用を選択される企業が非常にふえてまいりまして、そして、派遣業で派遣をしてという形をとってされる方というのは、そこに申し込まれる方はかなり減ってくるのではないかと思いますし、現在とは全く環境は変わってくるのではないかというふうに思っております。むしろ、派遣業で雇うことの方が賃金が高いということも起こり得るのではないかというふうに私は考えております。
 そうした時々の状況によって変化をするというふうに思いますが、午前中にもいろいろ御議論ありましたように、権利義務の問題につきましては、これはやはり、派遣業なるものをつくりました以上、派遣業を行う事業者とそして労働者の問題につきましては整理をし、そして、同じように働く人としてマイナス面がないように、そこは私たちも考えていかなければならないと思っている次第でございます。
五島委員 確かに、所得、賃金の問題も大きな問題でございます。ただ、賃金の問題というのは、派遣元の企業との雇用関係ということですから、その問題を今私は申し上げるつもりはありません。
 しかし、少なくとも労働者としての権利の問題、そこの問題については、この制度は改悪にならない、あるいはこれまでの派遣業に比べると改善になるんだという点が示されていて初めて、この法の改正という名前での検討にふさわしい内容であろうというふうに思うわけですが、今の大臣のお話を聞いても、一体どこが労働者にとってメリットになるのか。失業者がふえてきている、その中で常用労働者として雇う企業は少ない、派遣という形で雇いたいという企業はある、だからそこで雇用の場が生まれる、そういうふうな現状説明の中で、それは企業のニーズの中でこの制度をつくったとおっしゃっているのと同じようにしか聞こえません。
 そこで、少し具体的にお伺いしたいと思いますが、例えば、派遣先の企業は随意に派遣元の企業に対して派遣労働者の変更を申し込むことは許されていますか。もしそれが、派遣先の企業から交代を求めることができるとしたら、特にそのことを理由として派遣元の企業は当該労働者の雇用を終了することは認められますか。お答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕
戸苅政府参考人 現行の派遣法のもとでは、派遣労働者をどの労働者にするのかというのは、これは派遣元、派遣会社側が決めるということになっています。派遣先の求める技能、知識、経験、そういったものにふさわしい派遣労働者を派遣元が決めて派遣先に派遣する、こういうことになっています。
 今先生おっしゃるように、派遣先が具体的に、この労働者を派遣してくれ、あるいは派遣されてきた労働者が気に入らないからかえてくれと言うことは、これは派遣労働者を派遣先が特定するという行為になります。これは派遣法の二十六条第七項違反、これで禁止しておりますので、これの違反ということになるということであります。
 派遣元は、そういった行為を求められた場合には、これは応じる義務はないということも当然でありますけれども、現在、派遣元が講ずべき措置に関する指針におきまして、派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為に派遣元は協力してはいかぬ、こういうことになっていますので、派遣元がそれに応じたということになりますと、これは派遣元も指針の違反ということになるわけであります。
 ただ、派遣元の方が、派遣先の求める知識なり技術なり、要するに、業務をきちんとこなせない、こなす能力がない労働者を間違って派遣してしまった、こういった場合には労働者を差しかえるというのはやむを得ないわけでありますが、そういった場合を除きますと、仮に派遣先が強行して派遣契約を打ち切ってしまうといった場合には、これは派遣先の責めによる派遣の停止でありますから、事前の予告ですとか、あるいは予告しない場合の少なくとも三十日以上の賃金相当額の損害賠償ですとか、そういったことが派遣先の指針で必要になってくるということであります。
 それから、派遣元が能力を見誤って適切でない労働者を派遣してしまったといった場合でも、これは派遣契約でなくて、派遣元と派遣労働者の間で雇用契約が結ばれていますから、雇用契約の方はまだ生きているわけでありますので、派遣元としては、当然のことながら、別の派遣先を開拓して別の派遣契約を結び、そこにその労働者を派遣して雇用を確保する必要が出てくる、こういうことだと思っています。
五島委員 派遣先が、派遣された労働者に対して、一定の業務技術に関する水準その他を理由として派遣労働者の交代を求めるということはよくあることです。その場合に、今のお話のように、結果的には安易に派遣労働者の交代というのはやられているということを我々も見聞きするわけですが、この点については、監督局の方はそうしたことについて厳密にチェックをしておられるのですか。
 あわせてお伺いしますが、派遣労働者の技能水準というのは、派遣先が責任を持つのか、派遣元が持つのか。基本的にはこれは派遣元が責任を持つことになっているはずです。しかし現実に、製造業等に労働者を導入する場合、日本のこれまでの技能の教育からいって、オン・ザ・ジョブ・スタディーといいますか、そういう現場の中における教育というものが非常に中心的でした。これを派遣元がやるとしたら、果たしてどのような形でやるように指導しておられるのか、お伺いしたいと思います。
戸苅政府参考人 現実に今委員の御指摘のような事態が生じた場合には、安定所に申告をしていただければ、そこで安定所の方が派遣元あるいは派遣先に必要な指導をする。派遣先についてはそれ以上の強硬的な措置というのは困難でありますけれども、派遣元に対しては必要な対応という手段がいろいろございますので、とにかくそういった事態をもとに戻すようにというような対応は、基本的にハローワークできちんと行うということであろうというふうに思います。
 それから、そういったことを申告してきた場合に、不利益取り扱いを派遣労働者にしないようにということについては、これは派遣元、派遣先それぞれの指針で明示しておりますので、それに違反すればまた必要な指導を加えていく、こういうことだろうと思っています。
 それから、技能水準の向上につきましては、基本的な考え方は、委員のおっしゃるとおり、雇用主であります派遣元事業主がその派遣労働者の教育訓練の機会の確保をするというのが当然のことであります。
 ただ、派遣先につきましても、実際にその派遣労働者が働いている就業の場は派遣先でありますことから、派遣労働者の適正な就業確保という観点から、派遣先の講ずべき措置に関する指針におきまして、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければいかぬという旨を現在でも定めております。
 今回、派遣制度の見直し、派遣法の改正という中で、労働政策審議会で御議論いただいたわけでありますが、そういった中で、派遣元事業主が行う教育訓練それから派遣労働者の自発的な能力開発、これについて派遣先が協力すべき旨につきまして、派遣先が講ずべき措置に関する指針に追加してこれも明記したいというふうに考えております。
五島委員 これまでは派遣労働の中に製造業は除かれていました。この製造業に派遣労働というものを入れていこうとすると、通常でいえば、その生産ラインの中で非常に特殊な部分あるいは非常に新しい部分、さまざまなところを考えられますが、いわゆるその企業の中で熟達した労働者がたくさんいないところ、そういうところが派遣労働の対象になっていくのかなと思われます。
 そして、そこの中においてそういう労働者が仕事をする場合、通常の企業でもやはり半年、一年間のオン・ザ・ジョブ・スタディーは必要なんですね。これは、派遣元がそれもできるのか、そのときどうするのかという取り決めが全然ないままに解禁するわけですよ。
 結果的に、そうなってくると、これまでIT問題とか、特にコンピューター関係なんかの問題は、特殊にプログラマーとかそういうふうな部分については、専門職については、企業の中で教育できない、そういうふうな問題がありまして、そういうふうな部分が、こうした職種について仕事をしたという人もたくさんいたわけですけれども、一般製造業の中に派遣が入っていきますと、必ずそこのところは問題になってくるだろう。
 そして、その中で、十人の労働者が入ってきた中で、三人はまあまあ仕事ができるよ、あとの七人はこの分野は全く素人だねとなれば、当然変更を求めますね。だって、派遣先の方は、どういう職種に派遣してくれ、その技能に対して出せと言うわけですから、それを出してきて、全然教育しないと使えないとなれば、当然それは変更を求めますね。その場合はその労働者はどうなるわけですか。派遣元はその労働者の雇用をたとえ登録であろうと何であろうと続けて、そして別のところに就労をあっせんする義務を明確に負うわけですか。
 また、そういう教育については、例えば派遣元が費用を持って、派遣先の企業の中でオン・ザ・ジョブ・スタディーを依頼するのですか。それは何にも書かれていないわけですが、どうなんですか。
戸苅政府参考人 基本的には、派遣契約を締結する際に派遣元と派遣先で、どういった業務なのかということを、これから特に製造業の派遣ということが認められました場合には、業務の熟練度あるいは業務の範囲、こういったものがかなり重要な事項になりますので、そのあたりを詳細に派遣元事業主と派遣先で打ち合わせをして、きちんとした派遣契約を結び、その上で派遣を実施するということが基本だろう、こういうふうに思っています。
 そうした中でも、ただ、今先生おっしゃるように、来てみたら、何だ、全然技能が足りないじゃないか、こういうことで、これではとても派遣として受け入れられない、こういうケースがあるわけであります。
 そういったケースは、登録型派遣労働者でありましても、派遣をする際には、雇用契約を派遣元事業主と派遣労働者の間で結んだ上で派遣をする、こういうことになっています。そういった意味で、雇用契約期間中であれば、当然、派遣元の事業主が雇用の責任があるわけでありますから、仕事がなくても賃金を払うとか、あるいはこれが事業主の責任であるということであれば、基準法にのっとって必要な賃金を払うとか、あるいは、先ほど申し上げましたように、早急に派遣先を開拓してそこに派遣する、こういうことが派遣元事業主に求められてくるということだろうと思います。
 それから、教育訓練につきましては、基本的に派遣元の責任があるということでありますが、派遣元には、OJTをやろうと思っても、そんな製造業の機械設備なんかないわけでありますから、派遣元の責任でやるといっても、それは、派遣先に訓練の委託費を払って、派遣先で訓練をやってもらうということは当然あり得ることだろうというふうに思います。
五島委員 話をしていくと、そういうことが必要なんだということになるわけですが、それが現実の派遣労働の中で制度としてきちっと確立できているのかどうかが問題なんですね。現実には、そういうふうなところまできちっと今現在できているとは到底思えない。
 では、これを実施するに当たって、これを制度的にきちっと整備していくということについては、この法律だけではだめですよね。一体どうされるのかということをお伺いしているわけですが、ぜひお答えいただきたいと思います。
 あわせて、この派遣労働の議論をする場合に、話は大きくなるわけですが、今回も建設等は派遣労働から省かれています。それから、先ほど午前中にもお話がありましたが、医療の部分も一部を除いて派遣労働の対象から省かれています。
 しかし、その中身を見てみた場合に、建設の場合には、もう既に常識になっているように、いわゆる労務提供型の請負は随分ありますよね。派遣労働ではないけれども、孫請かひ孫請ぐらいで、そこで働く労務者だけを持ってきてもらう、そういうふうな請負業というのはたくさんある。これがこれまでこの業界の中にはたくさんあって、今の非常に厳しい経済状況の中で、元請から順番に下請のコストが縮小されて、今非常に劣悪な条件で仕事をやっている労務提供型の請負業者はたくさんあります。
 先日、高知でできましたある大手のスーパーの場合、労働者を大阪から毎日往復させて連れてきました。高知の賃金よりも大阪の方が安いからという形で、労務者を大阪から日帰りで連れてきていました。
 そういうふうなこともあるように、今、本当に何でもありの世界になって、その中での受け入れ方という問題が絡んできている。人材派遣業というものと、それから労務提供型の請負業との関係というのは一体どうなっているのか。私は、何ぼ読んでみてもそことの違いは、何か皆さん方が、建設はだめですよ、何々がだめですよと言っているかわりに、そういう分野には全部入ってきている。医療機関だってあるでしょう。
 例えば検査。臨床検査屋さんが病院の中に入ってきて、そのまま仕事をしている。業務はそこの病院から出てきた臨床検査の仕事しかやっていない。何か厚生省の方から、検査器具は病院のものを使っていては問題だと言われると、今度はリース料として、リース料をそこが負担する形にして、病院の側がそのリース料を含めた委託契約をやっているというふうなことで、これは鴨下副大臣なんてよく知っておられる話だ。
 そういうふうな、本当にだめですよと言っているのは、何でそこはだめになるのか。これまでの人材派遣のいわゆる請負業、その業種があるから、そこの権益を侵してはならないから排除されているのかな。これでは、本当にサプライサイドだけの利害を調整している法律じゃないかと思わざるを得ないんですが、その辺も含めてお答えください。
戸苅政府参考人 一つは、教育訓練につきまして、派遣先が派遣元事業主に協力すべきということにつきましては、派遣先の指針にその旨を明記したい、こういうふうに考えています。
 それから、今の請負と派遣の違いということでありますけれども、これは、請負と派遣の区分基準というものがございます。これによりますと、一つは、業務の遂行方法についての指示、これは請負元といいますか請負業者がみずから行うということで、就業先の工場なりあるいは今医療現場なのかもしれませんが、そういったところの人が行うということにはならない。それから業務遂行の評価、これも当然請負会社の方が行うということだろうと思います。それから、労働時間の管理、指示、こういったものも当然請負会社が行う。それから、機械ですとか設備ですとか機材ですとか、こういったものも請負会社の方で用意する。
 ただ、大規模な設備を要する場合、それから原材料も自己で調達するということでなくて、なかなか調達も非効率的だという場合、これは、やり方としては、機械の借料を発注元の方に払う、原材料も実費をきちんと払うということで、業務上の指揮命令、それから労働者の管理、評価、それから原材料、機械、設備の費用負担、こういったものも全部請負側が行うというのが請負だろうと思います。
 そういった意味で、現在、製造業等でよく見られます業務請負業者がございますが、こういった場合に我々指導しておりますのは、そういった区分基準にきちんと合って適正な請負になるようにという指導をしているわけであります。
 そう考えますと、例えば生産ラインの中に発注元の労働者と請負会社の労働者が混在しているような場合、こういった場合はもう派遣にならないということで、正直言って、派遣法違反か職業安定法違反だろうと我々は思っています。ただ、そうはいっても、現実にそういった事態が相当進行しているということでありまして、我々としてはむしろ、今回製造業に派遣を導入するということによって適正な請負に直す。適正な請負に直せなければ、適正な派遣という格好にして、労働者の方も守り、きちんとルール化するということが正しいのではないかというふうに思って、今回、製造業の派遣を導入しよう、こういうふうに考えております。
五島委員 委員会では本音の話をしてもらわないと、そういう現実には存在しない話をしてもらっても仕方がない。
 建設業にしたって、今、元請が仕事を受けて仕事をしていく場合に、現場監督のところでクリティカルパスをきちっとつくって、一日でどこまでやるかということの管理を元請そのものの責任においてやって、その中で下請の人たちが働いているし、そして、機材その他についても、そういうふうなものを持つのではなくて、労務提供のための下請業者というのはたくさんいるじゃないですか。そういうことを知った上で、そんなものは守られない。
 病院の中でもそうですよ。病院の中に事務所から人が派遣されてきている。請負だと言ってみても、検査の検体を出すのは医療機関ですよね。その検体をどのような形で処理するかというのについて、一々検査屋さんの方でやるのであれば、何も病院の中に派遣してもらわなくたっていいんです。検査屋さんへ送ればいいんです。やはり緊急時の対応という形で、医療機関の指揮命令が直ちに貫徹できるというメリットを感じて、病院の中に検査屋さんが事務所を借りて置いているという形態をとっているわけですよね。
 指揮命令系統は全く別だなんて、そんなことはあり得ない話なんだ。そういうふうな状況がずっと続いていながら、そうしたものには今回も手をつけていない。手をつけていないということであって、この問題の議論はまた別のときにしますが、そういうふうなサプライサイドの利害の問題については実によく調整しておられるね、だけれども、労働者の権利の問題については全くこれには反映していないではないですか、そういうことを申し上げておきます。
 もう一つそれに関連してお聞きしておきますが、派遣された労働者が登録労働者の場合に、当然、仕事に行く以上は、政管健保あるいは厚生年金、雇用保険、労災保険に加入していないといけないだろうと思います。
 しかし、現実には国民保険で仕事をしているというケースも見受けられる。また、言いかえれば、健康保険に入っていない、健康保険に入っていないから厚生年金にも入っていないというケースです。
 今、パート労働者の年金への加入、社会保険への加入も推し進められようとしていますけれども、こうした社会保険というものについては、当然、雇用元が責任を持って加入し、そして、派遣先の企業はこうした社会保険がそろっているということを確認することをやはり義務づけるべきだろうと思います。中にはひどいところがあって、保険料の事業主負担を労働者に負担させているというとんでもない例もたまにあるようです。そうしたことは絶対ないように対策が必要だと思われるわけですが、この点についていかがお考えですか。
戸苅政府参考人 社会・労働保険の適用の問題でありますけれども、これにつきましては、労働者派遣法三十五条等によりまして、派遣元事業主は、労働者派遣を行う際には、派遣労働者の社会・労働保険の被保険者資格取得届の提出の有無、それから、まだ提出していないという場合にはその理由、これを派遣先に通知せねばいかぬ、こういうことにいたしております。それから、派遣先につきましては、派遣先の講ずべき措置に関する指針におきまして、派遣元事業主から今申し上げた通知が来るわけでありますから、それをチェックして、労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者につきましては、加入している場合に受け入れるべし、こういうふうにしているところでございます。
 ただ、現実を申し上げると、そこはまだ徹底していないということでございまして、今回、そのあたりをさらに徹底させようということで、さっき申し上げましたように、まだ取得届を出されていない労働者については、その理由をもっと具体的に記入させよう、現在申請中であるとか、あるいは申請準備中でいつまでに申請予定であるとか、こういったことをきちんと記入させまして、そのうち出すからというふうに思っていたということで言い逃れのきかないように、きちんと対応できるような体制にしたいというふうに考えています。
五島委員 この問題は非常に大事な問題でありますし、そして、当然、派遣元と派遣先との派遣契約の料金の中には、こうした必要な社会保険料というのは含まれていると解するのが当然であって、それは入っていないということであれば、これはとんでもない話であるということでございますから、ここのところはきちっと、そういうことがないように責任を持っていただきたいというふうに思います。
 さらに、今までの質問と非常に関連するわけですが、私は、今回のこの法律というのが、いわゆる規制緩和の一環ということで進められようとしているわけですが、しかし、本当に社会的に必要な適切な分野に派遣労働が導入されようとしているのかどうか、これは大変疑わしいなと思っているわけです。例えば、先ほどの建設業もそうでございますが、製造業の解禁ということで、林業の伐採に対しても、今回、派遣労働が解禁ということになっています。
 ところで、平成十一年度に、いわゆる植林、植えつけといいますが、そういうふうなものを除きまして、下刈り、間伐、枝打ち等々の造林作業に対しては派遣労働は解禁となった。今回、いわゆる用材として使う丸太の伐採作業、これも解禁ということにしたわけでございます。
 ところで、平成十一年に造林作業には派遣労働は解禁となっていますが、以後、その造林作業に派遣労働者が入った、使われたというケースはございますか。
小西政府参考人 先生お尋ねの、派遣労働者の林業分野での受け入れ実績についてでございますが、都道府県また林業団体への照会等によりまして林野庁で把握している限りにおきましては、派遣業務の対象となっている下刈り、除伐等について派遣労働者を受け入れた事業体の事例は承知しておりません。
五島委員 そうなんですね。実績ゼロなんですよ、平成十一年からこちらの間。そこの部分を、製造業だからということで今度は丸太製材、いわゆる伐採作業も解禁した。これは一体何なんだろうか。
 結局、言いかえれば、そこのところは、解禁してみても、何となく農林分野に対してのこうした規制改革も進んでいるという格好づけやないですか。実態には全然影響はないんです。実態に影響はないから構わないかといえば、実はこれはとんでもない問題を内包していると思います。
 こんな分野に解禁するよりは、もっと積極的に漁業や農業や、あるいは今回のBSEの問題がありますが、そういう短期集中的にやらなければいけない業務体、そういうふうなものに対するこうした労働者の導入ということが当然考えられてしかるべきだと思うわけですが、一体どういう必要性とどういう展望で伐採労働に派遣労働者の導入を進めようとしているのか、お伺いします。
戸苅政府参考人 労働者派遣制度につきましては、法制定当初は、常用労働者との調和という観点から、専門的な知識、技術を必要とするような分野、それからビルメンテナンス等の作業のように特別な雇用管理を必要とする分野、こういった分野に限って行うといういわばポジティブリスト方式で行っていたわけであります。
 その後、労働者派遣事業も定着してきた、それから、先ほど来いろいろ御議論いただいておりますけれども、労働者の方の働き方のニーズも随分変わってきた、それから企業活動の実情というものも変わってきたという中で、ポジティブリストからネガティブリストに切りかえまして、派遣を行うことが適当でない業務として、港湾運送業務、これにつきましては、実は港湾労働法におきまして別の派遣システムが導入されているということでございますし、それから建設につきましては、これは従来から強制労働あるいは中間搾取等が行われ、しかも重層下請形態という中での需給調整が行われているというふうなことがあるということ、それから警備業務、これは請負でやるということが警備業法上必要だ、こう規定されているというふうなこと等々、こういった業務については法律上派遣を行えないということにして、それ以外の業務は、派遣を行おうと思う場合は派遣を行えるようにしたというのが前回の法改正であるわけであります。
 そういった中で、製造業については、やはり世の中に与える影響が非常に大きいということで、激変緩和的に附則で、省令に基づきしばらくの間行わないということでこれまで来たということで、林業の中で、製造業にも該当する、あるいは同一労働者において製造業の業務と林業の業務が混在しているというふうな場合については、これは先ほど申し上げた暫定措置に当たるということでこれまで行えなかったわけですが、今回、製造業の派遣を行うということになったものですから、そういったものについても、今回、林業の一部の分野が派遣が行えるようになるということでございます。
 先生がおっしゃるように、必要もないのになぜ認めるんだということでございますが、我々としては、派遣という形態を広く認め、派遣を行うことに弊害の大きいものというか、あるいは法律上派遣はまずいんだというふうに決まっているもの、それ以外については、ネガティブリストに入れずに派遣を行えるシステムにしたということでございます。
五島委員 それでは、それと関連してお伺いします。
 林業の中で、植林や植えつけ、あるいは木の苗木の育成、この部分は派遣から外されていますよね。なぜこれは外されているんですか。
戸苅政府参考人 これは、林業の業務の実態というものを私ども勉強させていただきました。そういった中で、造林作業であります中の地ごしらえの業務については、建設現場における整地業務と作業内容が同様の業務であるということ、それから植栽の業務については土地の改変が行われるということで、いずれも建設業務に該当するということで、要するに、林業と建設業務、これが併存しているということで、建設業務を禁止しているので、混在している場合は禁止、こういうことで禁止になっている、こういうことであります。
五島委員 そんな漫画みたいなことを言いなさんなよ。なぜ植林が建設労働と類似するんですか。あんなものは、穴を掘る機械が一つありまして、それで穴をあけたところに苗木を植えて、そしてやっていくわけですから、林業労働の中でも女性も一番たくさん働いているところだし、私がやっても、まあまあ、余り急な山でなければできるところ。なぜそこが建設労働なんですか。穴を、土を掘ったら建設労働なんですか。
 それだったら、例えば、農業分野は構わないということになっていると思いますが、農村でビニールハウスを建てかえるのに、あるいはそれを張りかえるのに、これを派遣労働者に依頼するということがあったら、これは違法ですか。
戸苅政府参考人 これは正直言って、個々の局面局面で判断するということになると思います。そういった意味で、今お話しのビニールハウスをつくるときの様態がどうなるのかというふうなことで、個々のケースに応じて、建設業に当たるあるいは土木の作業に当たるということではないか。
 いずれにしても、このあたりについては、所管官庁ともよく相談し、業務の実情を勘案して決めている、こういうことであります。
五島委員 検討して決めているとは到底思えない。実績ゼロのところで、林業労働では、植林作業は外すけれども、伐採労働とかあるいは造林業というまずそういうことが起こらないところは解禁する。そして、その根拠として、何か土を掘るから建設業だ、そういう漫画みたいな理屈を持ってきておられる。そんないいかげんなところで、ところどころもうつじつまが合わなくなって、ほころびが出ているのがこの法律だと思うんですね。
 この問題についても、もうお聞きの議員の皆さん方もおわかりになったと思いますが、恐らくこれは厚労と農水が一緒になって、何か規制改革会議か何かから言われて、つじつまを合わせるためにどこか出さなければいかぬわという形で出して、農水では被害が一番ないのはここだなということで取り入れたとしか思いようがない、これは法律の中身じゃないですから。だから、実施の段階でこのようなばかげたことがないように、きちっと整理していただきたいと思います。
 そして、私がこの問題を取り上げたのは、こういうくだらない答弁とくだらない議論をするためではありません。今回、この法律の中で製造業に解禁することによって、これまでに比べますと、派遣労働者の労災事故が増加するだろうということは容易に考えられます。その例として、建設業に並んで罹災率の高いのは林業なものですから、例をとってみました。
 今回の制度のもとで労災保険はどうなるかといいますと、派遣元の企業は当然労災保険は加入しなければいけない。そうですね。派遣元が労災保険に入る。そして、保険料率というのがございます。これは各職種によって保険料率が違っている。ビルメンなんかのところですと千分の六ぐらいの保険料率、林業はかつては造林と伐採とで随分と違いました。伐採の場合は千分の百四十とかいう数字でしたが、今は林業一本になって千分の五十九です。すなわち、給料の約六%は労災保険料として払わなければいけません。
 ところで、派遣会社が三十人のビルメンの職員を抱え、なおかつそこにおいて林業労働に従事する人間を十人抱えたとします。保険料率は、四分の三を占めておりますから、ビルメンの保険料率でよかったはずですね。林業労働する人の保険料率も千分の六でよろしゅうございますね。
松崎政府参考人 労災保険の保険料率の決め方でございますけれども、これは派遣に限らず、一般の事業場でも同じでございまして、一つの事業場においていろいろな業種を行っているといった場合、その事業場全体で見まして何が主たる事業かということによって一括して保険料率の業種を決め、それでもって、それに応じた保険料率を適用しているということになります。
 したがいまして、今おっしゃいました実例でいいますと、主たる事業というものがビルメンであれば、ビルメンの保険料率が派遣元に適用されるということになります。
五島委員 ですから、林業労働であれば千分の五十九の保険料率を払わなければいけないけれども、そういう派遣業で、実績ゼロの林業だけを対象にした派遣業者が出てくるとは考えられないわけですね。そうだとすると、派遣業者は、そうした部分を少しやるという形で数名の人を雇うということになってくるわけですから、保険料率としては、例えば森林組合の労働者なんかに比べると、賃金の五%ぐらい保険料は安くて済むということですよ。それが間違っていたら間違っていると言ってください。
 そして、万一派遣労働者が労災事故に遭遇した場合、その労働者に払われる労災保険の給付というのは、これまた非常に複雑になってきます。従来であれば、その仕事に過去三カ月以上働いておれば、賃金の日額は過去九十日間の平均賃金ということでもって計算されていました。そして、短期に、すなわちその仕事について一週間とか二週間とかという間で働いた労働者に対しては、その就労の実日数で割って平均賃金を出す。あるいは、場合によっては、土日もなしに働いたということであれば、所得の七分の六をもって平均日額として計算するというやり方です。
 ところが、この場合は、例えば林業の仕事もないからということで、ビルメンの仕事に従事している。そして、伐採の仕事が入りましたという形で伐採の方に仕事場を移された。移されて二週間目に転落事故を起こした、あるいは、最近ですとハチに刺されて大変なことになるということが多いわけですが、そういうふうな事故が起こった。その場合の日額の計算は、その人が過去において全く林業と関係のない仕事をしていたときの賃金を含めた平均賃金になると思います。
 恐らく、所得からいえば、ビルメンの仕事と伐採の賃金といったら、二倍あるいは二・五倍ぐらいの格差があるのが常識です。その場合の賃金の計算というのは非常に複雑なやり方になる。複雑といいますか、結果としては、労働者としては納得できない計算の仕方になってくる。これは一体なぜこんなに労災保険の原則をねじ曲げるようなシステムをこの中に入れているのかわからない。製造業の場合は多かれ少なかれこういう問題が起こってくる。これについてはどういうふうに整理しておられますか。
松崎政府参考人 この労災給付の日額の関係でございますけれども、これは今おっしゃいましたように労働基準法の方に決めがございまして、労災保険の給付基礎日額、これは基準法に基づいて、基準法の平均賃金というのがベースになっております。この平均賃金の決め方は、おっしゃいましたように、原則は事故発生前三カ月間をベースにして決めております。これが三カ月に満たない場合には雇い入れ後の期間ということで、具体的には就労した期間というふうになっておるわけでございます。
 この考え方につきましては、この平均賃金の考え方でございますけれども、これは、今の事故のように、こういう算定の事由が発生した時点におきます労働者の方の通常の生活賃金というものを算定するといった考え方によるものでございます。したがいまして、過去三カ月なりということで決めておるわけでございまして、これは、派遣であろうと、また一般の企業におきましても、途中で賃金額が大幅に変わったといった場合であっても共通の取り扱いでございます。
五島委員 共通の取り扱いと言われましたが、では、派遣労働と関係なしに林業労働についてお伺いしますが、例えば農業をやっておられた、自営で農業をしておられた。その方が伐採労働に、山主さんあるいは森林組合の労務班に雇われて仕事をした。その場合の一月目にけがをした。賃金の計算は、そういう農業収入を含めて計算していますか。あるいは、道路の補修工事に行っていた。そして、その仕事が終わった。終わって二週間か三週間して新たに林業労働についた。その前の賃金を計算して九十日で割っていますか、林業労働に関して。お答えください。
松崎政府参考人 労災保険はあくまでも労働者の生活扶助といったものを観点に置いているわけでございますので、労働者が自営とか、そういったところについてはカウントされないのは法律上当然でございます。
五島委員 だから、その場合は、現在の計算は、日額の計算はどうしているんですか。まじめに答えなさいよ。
松崎政府参考人 これは、先ほど冒頭に申し上げましたように、労働基準法の特例の中にありますように、三カ月に満たない場合には、三カ月に雇用期間がない場合には、当該働いた期間というものをベースにして決めておるということでございます。
五島委員 だから、労働者の生活、所得、そういうふうなものを勘案して決めているというよりも、その職種についたことによって起こってくるところの損失額というものを規定して計算しているわけですよ。
 ですから、局長はきちっと答えるのを嫌がるわけだけれども、少なくとも、これまでの状況でいえば、農業をしていた人がたまたま林業労働について事故を起こした場合は、林業就労時によって得た賃金をもとにして、それを実労日数で計算するか、土日もなしに働いた場合は七分の六でもって日額を決定するというやり方にしておられた。これが他の仕事でもそうですよ、仕事が違えば。だって、保険に関してはメリット性の遡及というのがあるわけで、事故が起こったところに対してその保険料率は変わってくるわけですから。これが原則なんですよ。
 ところが、今回のこの制度の中でやっていくと、林業労働者あるいは製造業の人たちが、下手にビルメンや何かをやっているそういうふうなところで就労して、そこから派遣されてくる。労災保険料というのは事業主が払うわけですよ。事業主としては保険料が少なくなる。そのかわり、けがをした場合は、通常にもらえる、すなわちその仕事についたときに得ている賃金と関係のない以前の賃金、所得というものを計算するということで、非常に少ないものになってしまう。
 これが労災保険にとって全く何の矛盾もないものだということが言えるんですか。この場合に、少なくとも制度とは大きく変わるじゃないですか。大臣でも副大臣でもいいですが、どうお考えですか。
松崎政府参考人 労災保険の保険料率といいますのは、先ほど申し上げましたように、業種によって決めておるわけでございますけれども、これは一つの事業場におきましてもいろいろな複数の業種の事業があった場合がございます。これは、もちろん考え方としましては、一つの事業場におきましてもそれぞれの事業ごとに算定して合算するという方式もあるかもしれませんけれども、そういったことは非常に事務的にもむだが多いということで、労使の納得を得た上で、一括方式というもので保険料率は決めておるわけでございます。
 また、保険給付の方につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には直前の生活といったものをベースにして補償するということから、過去三カ月間の賃金の平均であります平均賃金の日額といったものをベースにして保険給付を決めておるというものでございまして、この保険料率と保険給付の平均賃金日額の多寡といったものは、直接的には関係がないというふうに考えております。
五島委員 保険料率と日額とが直接関係あるとは言っていないんですよ。
 日額というのは当然その人の所得なんです。所得がベースなんです。その所得が、林業労働と例えばビルメンなんかのように非常に格差がある場合に、保険料率というのはビルメンのときの保険料率、安い保険料率であったかわりに、そういうところは事故の発生率も少ない。林業労働というのは非常に災害が多いところ、重大事故が多いところ、知ってのとおりです。そういうところにおいて事故を起こした場合、当然、賃金が高いために給付額もふえてくる。ところが、今回の制度は、別だといいながら、実際、その労働者がその前に全く林業と違う仕事をやっていた場合は、それも平均して計算するという制度にしておられる。
 では、現状はどうかといえば、現状は、別の企業ではあるけれども、生活するためにさまざまな仕事をしていたとしても、林業労働としてそこで仕事をしたときの所得というものをベースにして、保険給付、保険から給付される日額の基礎値として出している。変わるじゃないですかと言っているんです。
松崎政府参考人 この補償の、保険給付の額といいますか、給付の日額でございますけれども、これは、今おっしゃいましたように、安いビルメンをやっておって高い林業で事故が起こった場合ということを言われましたけれども、この逆の場合もあり得るわけでございまして、これは派遣に限らずに一般の事業場におきましても、業種が違ったことによって賃金の額が大幅に変わったといった場合でも、同じ一つの労働契約の中でずっと勤めているという場合においては同じ取り扱いをしております。
五島委員 時間がありませんので、ばかげたこんな議論をするのはやめますけれども、それであれば、もし派遣業者から仕事をした場合、事故が起こった場合はこうですよ、今までのような保険の給付はもらえませんよ、そのかわり事業主にとっては保険料は安くなりますねということを皆さんに十分伝えておくことですね。絶対にこんな分野において派遣の業務というものは成立しなくなるだろうと思います。
 一時間半の時間をもらいましたけれども、もうあとわずかになりましたので、次に進みます。
 今、医療に対する派遣というのは原則禁止になっています。この問題に関連するわけですが、前回、一般質問ででも大臣に御質問申し上げましたいわゆる医局の問題です。
 これまで、医局が医師の就労について関連病院の就労をあっせんしてきた。これは職業紹介ということで整理されていました。しかし、今回、新たな研修医制度の導入に関連いたしまして、医局が一たん紹介、あっせんし、そこで働いている、医療機関で働いている医師に対して一方的に勤務先の変更をやった、これが自治体病院だけでも約四分の一が医師引き揚げを経験と言われた今年の全国自治体病院協議会での調査の結果です。
 そうすると、あっせん機関、有料であれ無料であれ、職業紹介機関が紹介した先の医者から、今のところ嫌や、どこかええとこないかという就職あっせんの依頼があれば別ですが、自分があっせんした先に職業安定機関の方が電話して、おまえさん、そこよりもこちらの方がいいと思うから、こちらへ移れというふうなことを言うことは認められるんですか。
鴨下副大臣 厚生労働省としてまず整理的に申し上げますと、職業紹介事業においては、職業紹介事業者は、求職者を一たんある求人者に紹介し、求職者と求人者の雇用関係が成立すれば、その時点で求職者や求人者との関係は終了するものであります。
 職業紹介は、あくまでも求職者の自由な意思のもとに雇用関係の成立のあっせんを行うというような前提がありますから、一たんあっせんした労働者を、その意思にかかわらず、一方的に職業紹介事業者が勤務場所を変更させるというようなことはできないわけでありますし、先生今御指摘のようなケースについては、仮にそういうようなことが労働者の意思にかかわらずという前提を置けば、職業安定法との関係で問題が起こる、こういうふうな解釈でございます。
五島委員 そうしますと、医局がやっている現在の機能というのは、どういうふうに厚労省はお考えになるか。また、きょうは文科省からも来ていただいておりますが、文科省は、大学の医局が医師を関連病院に紹介していっている、あるいは移動させていっている、これは一体どういうふうなことで合法的であるとして認めておられるのか、お伺いします。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 大学病院は、それぞれの地域におきまして、医療関係人材を養成するとともに、中核的な医療機関としての役割を果たすことが求められておりまして、その一環として、従来より地域の医療機関からの要請に応じて医師を紹介してきているということでございます。
 いわゆる医局による医師の派遣につきましては、特に職業安定法との関係についての疑義というものが指摘をされましたことから、平成十四年十月四日に出されました厚生労働省職業安定局長の通知におきまして、医師への指示、命令により関連病院に就職させるというようなことは、支配従属関係のもとで就職のあっせんを行ったとみなされる疑いが強く、これを反復継続的に遂行している場合は労働者供給事業に該当するおそれが強いという旨の見解が示されておりまして、文部科学省といたしましては、既にこの見解について医学部、歯学部を置く各国公私立大学に通知し、周知を図ったところでございます。
 我が省といたしましては、大学病院における医師紹介は、医師本人と当該医療機関との双方の了解のもとに行われているというふうに認識をしておりまして、したがって、職業安定法が禁止する労働者供給事業には当たらないというふうに認識をしているわけでございますが、今後とも、厚生労働省と連携をとりながら、いやしくも職業安定法等関係法令に違反することのないよう注意を促し、指導をしてまいりたいと考えております。
五島委員 そういうふうな通達を流したとしても、見事に全国の大学からそれが無視されたということですね。これは自治体病院協議会が三月の十日に自治体病院協議会に参加している千二十四の病院を対象にして調査をしているわけですが、そのうち六百八十四の病院の回答、それによりますと、全体の中において百六十九の病院が今回の研修医制度の改定に伴っての医師の引き揚げがあった。
 こういうふうな事実を見ていった場合に、まさにこれは労働者の供給事業をやっていると言われても仕方がない。あなたが禁止している、通達していると言うことは見事に無視されておるんですよ、大学から。一体、文科省というのは国立大学に対して、国立大学以外もそうなんですが、どういうふうに対応しているんだと思わざるを得ないわけです。
 しかも、これの状況から見ますと、これは有償か無償かという問題とも関係してきます。
 医局という概念が往々にして大学に附属したものというふうに受け取られるわけですが、医局というのは大学の構成ですか。医局に属している医者、すなわち移動対象になっている医者は、大学という組織とは何の関係もない人がほとんどですね。強いて言えば、単に同窓生ぐらいのものです。私学のことはおいておきましょう。国立大学にとって、医学部の各教室にしても国の機関です。国の機関が公務員でない人に対してそういう支配従属的な人事をやっている、これについてどういうふうにお考えなのか。
 さらには、時間もありませんのであわせてお聞きしますが、二つお伺いします。
 例えば、新しい病院あるいは大きな国公立病院、ポストがあきますと、通常、医学部の大学間において激しい競争が起こるのが通常です。とり合い。場合によっては、教授会ぐるみでもって、ジッツ争いといいますが、とり合いをする。これは教授会の議題になったりする。教授会というのは、少なくとも国立病院の場合は、国の大学を運営する中での公的な組織ですが、それがそういうことを議題にしているじゃないか。そうすると、医局というものを文部省としてはどのように位置づけておられるのか。
 それの関係の中で、大学の医局というのは、やはり紹介先の医療機関から研究費の寄附を受けていることは少なくない。しかも、研究費の寄附というのは、今大学の教授に対してそれが払われるわけでもありません。あるいは、医局と称される教室に直接お金を入れるということでもありません。これは実態がありませんから、そんなことをすれば税務対象になり、監査の対象になります。違法になる可能性があります。一たん大学に入るんですね。大学が受け入れ口です。
 大学というのは国の機関です。国の機関が委託研究とか委任経理の名称でもって派遣先の医療機関からお金を受け入れる。そして、その中の一割とか二割とかを、ひどいところは三割も取っているという例も聞かぬでもないんですが、本部経費、事務経費と称して大学事務局が、悪く言えばピンはね、よく言えば経費を控除している。残りをそれぞれの教室、医師を派遣して寄附をもらった教室が使う費用に大学の方がそれを経費として支出を認めるという制度であります。
 これは、文部省の科研のお金とかあるいは厚生科学のお金であれば、私は、国と国との関係ですから、そういうことは大いにあり得ていいと思うんです。だけれども、このお金というものが、委任経理、委託研究というけれども、中身は医師を派遣してもらったことに対する謝礼と限りなく一緒なんですよ。それによって我が国の大学の医学部というのは運営されているという実態があるんですよ。そうすると、どうもこの医局制度というものは有料の労働者あっせん事業をやっているとしか、供給事業をやっているんじゃないかとしか思いようがないんです。
 文科省の方にお願いしていますが、今、国立大学だけで結構ですが、各大学が医師の派遣先からどの程度の寄附を受け取られるのか、大学単位、教室単位で、資料としてそこを教えていただきたいと思います。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 何点か御質問ございました。
 まず、医局というものをどうとらえるかということでございますが、大学附属病院のいわゆる医局は、法令上あるいは予算上位置づけられた組織ではなく、先生も御指摘のように、その組織及び態様はさまざまでございますが、その機能といたしましては、研究と診療を円滑に進めるため、学部の講座と病院の診療科を一体的に運営するとか、学会や研究会を通じた新しい医療技術の開発普及を図るとか、さらには、先ほど来お話しになっております地域医療機関からの医師の紹介要請への対応などがあるというふうな実態であると承知をしております。
 しかしながら、地域医療機関からの医師の紹介要請への対応につきましては、医局の意向による不透明な人事が行われているなどの批判もございます。そこで、現在、例えば弘前大学など、幾つかの大学におきましては、地域医療機関からの医師の紹介要請への対応窓口を例えば医学部長に一本化いたしまして、紹介の要請を受けた場合、学部内に置かれた委員会で審査、審議するというふうな方式が導入されていると聞いておりまして、今後、ほかの大学病院におきましても、そのような人事に関する透明性を高める工夫が必要であろうというふうに思っておるところでございます。
 それから、大学病院からの地域病院への医師の紹介について、医師がいわゆる引き揚げられている、あるいは先ほど、意に反して移動させられているというふうな御指摘がございました。
 私ども、報道等、関係方面からのそういう指摘もございますので、大学病院に事情の確認を幾つかしておるところでございますが、その限りでは、その事情といたしましては、医師本人の労働希望条件と医療機関側の雇用条件が合致しないこと、あるいは地域の医療機関の診療体制が十分希望に合致していない、そして一人の医師への精神的、体力的な負担が大きいというふうな理由によりまして、医師本人がその地域の医療機関での勤務を希望しないため、紹介が困難となっている例が多いというふうなことを聞いておるわけでございます。
 しかしながら、この国立大学における、地域の医療供給体制における大学病院に対する期待は大きいことから、あくまでも、これは先ほど申しましたように、医師本人と当該医療機関の双方の了解のもとにということでございますが、積極的に協力するように促してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、寄附金のお話がございました。
 国立大学の学術研究に対する寄附につきましては、奨学寄附金として一たん国庫に納入した後、当該大学の長に交付いたしまして、委任経理金として、学長の管理のもとに、寄附者の意思に沿った経理を行うこととされているところでございます。
 この奨学寄附金の受け入れに当たりましては、私どももきちっとルールを定めているところでございまして、各大学におきましては、審査機関を設置するなどいたしまして、寄附者の意思、寄附の条件等を総合的に勘案し、大学において受け入れることが適切かどうかを十分審査した上で、学長がその受け入れについて判断することとしているところでございます。
 奨学寄附金の中には医療機関からのものもあるわけでございますが、その受け入れにつきましてもこのような手続を経て行われているところでございまして、国立大学における学術研究に資するものとして適切に受け入れ、管理、執行が行われているものというふうに認識をいたしております。
 したがいまして、一方で大学病院における各種医療機関に対する医師の紹介につきましては、もう何度も申し上げておりますように、これは別途医師本人と医療機関との双方の了解のもとに行われているというふうに認識をいたしておりまして、有料の職業あっせん業務に該当するというふうなものではないと考えております。
 それから、先ほどの実態の調査ということにつきましては、現時点では私ども、まだその資料が手元にございませんが、御指摘を踏まえまして、可能な限りで調査をいたしまして、また御報告をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
五島委員 文科省というのは随分と白々しい話をするところなんだなと若干あきれております。実態としてそんなに今回の医師の移動が言われるようなものでなかったということについては、もう周知の事実です。そのことは、大臣も副大臣も内心ではよく御承知のこと。官僚というのは、みんなが知っていることをよくもこういうふうに言えるんだなと思って、あきれました。もうこの話、文科省を呼んでするのをやめます。
 また改めてこの問題は取り上げさせてもらいますが、最後に一つだけ、非常に大きな疑問点があります。
 実は、パート派遣の場合、今回の法律の中で、土日勤務のための派遣を解禁されます。これはさまざまな問題があると思うんですが、そうなった場合に、ダブルジョブの解禁になってくるんではないか。それから、その労働者の労働時間管理はどうなるんだろうか。
 すなわち、土曜日、日曜日だけの仕事、当然、今のように時間外も減ってくる、賃金も減ってくるとすると、土日の仕事をしたい、そういうパート派遣の労働者が存在することはよく理解できる。だけれども、その人たちが土日の勤務だけで生活できるとは思えない。ですから、常用労働者であったり、あるいは自営をやっている人たちが土日にそういうふうなパート派遣になることは当然あり得る。そうすると、このダブルジョブの問題や、その労働者の労働時間の問題、ひいては労働安全衛生の問題ということに絡めて大きな問題になるかと思いますが、その辺はどうお考えですか。
松崎政府参考人 自営を外しました労働者で、通常労働者であって土日にまた派遣されるといった場合についてお答え申し上げますが、これは、おっしゃるとおり、非常に大きな問題と考えています。
 ただ、今御案内のように、現在の労働基準法なんかにおきましては、後の事業主が責任を負うということになっておりまして、現実には合わない格好になっております。したがいまして、これから私ども厚生労働省におきましても、これはいろいろな多様な働き方、こういったものを進めていく上でどういう基盤整備が必要なのかといったことについては検討しておりまして、その一環として、今おっしゃいました労働時間管理をどうしていくのか、またあるいはダブルジョブの場合も、労災事故が起こった場合一体どちらの事故になるのかといった問題、こういったものについて検討しているというのが現状でございます。
    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕
五島委員 時間が参りましたので終わりますが、最後の話を聞きましても、労働者保護ということについては全部これから考えるみたいな話、そして専らサプライサイドのニーズだけを重視してこの法律ができているということがよくわかりました。労働省が経営省になってしまったのかなというふうに思っておりますが、こうした労働者保護の問題というものをいいかげんにしてしまうと、日本という国は本当にしんからおかしな国になってしまうということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
中山委員長 次に、武山百合子君。
武山委員 自由党の武山百合子です。
 早速、派遣法の改正について、数日前から、おとといの質問の続きをしたいと思います。
 まず、今回の法律の改正の中身のところでございますけれども、適用対象業務として物の製造業が解禁という形になるわけですけれども、今まで請負でかなりの方がやっていたと思うんですね。派遣にならなかったので、請負という形でかなりやっているんじゃないかといろいろちまたでお話を聞いております。そうしますと、物の製造について今度解禁になるということで、派遣先での安全の問題、労災の補償だとか賠償責任だとか、いろいろな問題がそれと付随してついてくると思うんですね。
 そうしますと、請負と派遣というのはどう違うんでしょうか、ぜひ御説明していただきたいと思います。
鴨下副大臣 今先生おっしゃっているように、例えば、請負の中でも偽装の請負をするというようなことで、物の製造の業務への労働者派遣が禁止されている今の段階ですけれども、請負といいつつも、多種多様な業務を処理する過程において、ある意味で不適正な形態で業務が処理されているのではないか、こういうような指摘も多々あるわけであります。
 物の製造の業務への労働者の派遣がある意味で可能になると、製造現場において、請負と派遣を明確に区分して、業務処理の必要性に応じて、労働者派遣は労働者派遣として、そして請負は請負としてそれぞれ適正に行われる、こういうようなことの言ってみれば区分がより明確になる、そういうようなことが実際には可能になる、さらに、当局としてはその旨の指導が非常にしやすくなる、こういうようなことから、ある意味で、請負の中でも問題になっております偽装請負等の解消も図ることができるようになる、こういうふうに考えているところであります。
武山委員 そうなりますと、単純に、請負というのはどういうものなんですか。派遣というものはどういうものなんですか。この区分をぜひわかりやすく御説明していただきたい。
鴨下副大臣 請負契約は、注文主が請負業者に対しまして請負契約をするわけでありますけれども、その請負業者が雇用関係を持った労働者と雇用契約を結ぶわけでありまして、注文主と労働者の間の指揮命令系統はないというのが請負契約であります。さらに、派遣事業における労働者派遣契約というのは、これは派遣先と派遣元そして労働者との関係においては、派遣先と労働者の間に指揮命令関係がある。このところが、言ってみれば請負契約と労働者派遣契約の最も明確な差異というふうに言えると思います。
武山委員 そうしますと、仕事の内容はほとんど変わらないと思うんですね。言葉上の問題で、中身はほとんど一緒だ。何か日本語の遊びみたいに聞こえるんですよ。
 では、どっちの方が簡単に雇いやすく、どちらの方が安い賃金で雇えるかと当然経営者は考えると思うんですよ。そうしますと、このたび解禁するということになりますと、中身は一緒ですので、なるべく安い賃金で、簡単に首を切れて、そして何回も何回も雇えた方がいいと、今景気悪いですから、当然経営者は考えると思うんですね。
 そこにいろいろな問題が出てくると思うんですけれども、中身は一緒で言葉上違うだけだ、契約の仕方もちょっと書式上違う程度だ、そうしましたら大いに悪用も、今、何か正しいことをするよりも、悪用する人の方がもうかって、そして利用のしやすい、そういうシステムになっているというふうに口々に人々は言っているわけなんですね。ですから、国がこういう法律改正をするときには、きちっと責任を明確にして、そしてわかりやすい就業の形態というものをつくっていくのが国のリーダーシップじゃないかと思うんですね。
 それで、もう派遣業務化にどんどんなっていくと思うんですよ。安くて、いつでも首が切れて、そして反復更新すると、当然だれだって考えると思うんですよ。そこにどんな明確な責任分担をつけて、そしてその労働環境を、少なくともいわゆる賠償責任とか労災の補償だとか、そういうものを考えてするのか、その辺をもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
鴨下副大臣 今回の法案の改正に当たっては、先生おっしゃるように、さまざまな問題について、それぞれのお立場、特に求職、仕事を求めている方、それから派遣労働者を含めたさまざまな関係者に対して、ヒアリングや実態調査をしてきたわけでありますけれども、さらに、それを労働政策審議会における検討に当たっての材料として改正法案はつくってきたわけであります。
 中身についても申し上げますと、労使双方の主張をさまざまな形で取り入れたわけでありまして、例えば一つは、職業紹介事業や一般労働者派遣事業の許可制については、これは使用者側より、原則自由にすべき、こういうようなこともあったんですが、許可制を原則として維持する、こういうようなことでもありましたし、派遣期間の制限につきましては、使用者側より、期間の限定は不要、こういうような意見もあったわけでありますけれども、派遣期間の制限を維持した方がいいだろう、こういうような判断であったわけです。
 また、今先生御指摘のような観点から、労働者側の意見を踏まえまして、例えば、一定の場合、派遣先に派遣労働者への雇用契約の申し込みを義務づける、こういうようなことなどをしまして、先ほどから御議論がありますように、ただただ企業側の使い勝手のいいような改正だというような御指摘もあったわけでありますけれども、さまざまな観点から今回の改正に至った、こういうようなことでございます。
武山委員 さまざまな観点で、さまざまな視点を全部取り入れた法制というふうに何か聞こえますけれども、そうすると、お化けのような法制で、何でもありというふうにも聞こえるんですよ、何でもありというふうに。
 そうしますと、何か柱がなくなったような、そういうふうに聞こえるんですけれども、それでは、その中では安全性に対する責任とか労災の補償だとか賠償責任なんというのはどのように考えておるんでしょうか。
鴨下副大臣 先ほどの五島委員からの御質問にもさまざまなそういう点がございましたけれども、言ってみれば派遣労働者に関する社会保障、特に労働保険、そして社会保険等につきましては、これはもう一義的に派遣元が負うわけでありまして、これに関しては、全く今まで同様に労働者は保護される、こういうようなことでございます。
武山委員 途中で来たものですから、二重になるかと思いますけれども、そうしますと、労災補償の方はどうでしょうか。あと、安全管理責任という点、二点では。
鴨下副大臣 労災の補償につきましては、これは派遣元が負います。また、労働安全に関しては派遣先が負う、こういうような整理でございます。
武山委員 そうしますと、物の製造の分野は、そういう形で、いわゆる社会保障の方はきちっとつくというふうに理解してよろしいんですね。
 今、最近私聞いた話なんですけれども、もう本当に時間の切り売りで、派遣先にかなりの人が働いているというんです。それで、短期間で、一週間働く場合も、一カ月働く場合も、二、三日もあるというんです。期限でいえば、一日から一年、半年、本当にもう数限りなく、多種多様な期限もあり、職種もある。そういう中で、もうお金で選ぶというわけですね。常用雇用が見つからないので、派遣先を選ぶ。
 そうしますと、お話を聞いていると、若い人がそういうところに就職しているわけなんですけれども、そうなりますと、社会の構造上、社会保障を考えますと、年金やら医療保険なんか本当にどうなるのかなと、大きな問題だと思うんですよ。
 そういう方々は、いただく賃金が大変少ないわけですよね。そうしますと、納めているのか納めていないのか、そういう実態も知りたいと思うんですよ。というのは、年金だけじゃなくて、それは医療の方ですね、医療保険ですね。お互いに支え合った、現役世代、働く人が退職した人を支え合う、これがもう半分ぐらい崩れてきていると思うんですよね。将来、そういうものに対してどうするのか。それで、お金の払えるときだけ払って、払えなくなったら払わないというのも現にあると思うんですね。
 それから、国民健康保険は市町村でやっていますよね。今、市町村では非常に保険料の収入が減ってきていると聞いています。そういうものに対してまず国はどの程度実態を押さえておるのか、知っておるのか、将来どうなるのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
鴨下副大臣 幾つかの御質問が複合的にありますけれども、まず派遣が、特に三日とか一週間とか一月とか、そういうふうに言ってみれば典型的なテンポラリーな仕事というようなことで、特に若年者のキャリアをアップしていくというようなことについて懸念があるのではないか、こういうようなお話もありました。
 確かに、そういうような意味においては、さまざまな事業、特に若年者がキャリアを身につけていくというような意味においては、できるだけ長い期間同じ仕事について、最終的にはそれが自分のライフワークになる、こういうようなことが望ましいんだろうというふうに思います。
 ただ、先ほど大臣も答弁申し上げましたように、それぞれ労働者にとっても、ライフスタイルに合わせた多様な働き方というものを求めているというようなこともございますので、その中で御自分の人生設計の中から派遣をどういうふうに利用するのか、そしてその後にその派遣をばねにさらに自分のキャリアアップ、スキルアップをしていく、こういうようなことがあればさらに望ましいんだろうというふうに思います。
 また、派遣労働者の社会・労働保険の適用状況はどうなっているんだ、こういうような話がありましたけれども、これは平成十四年の六月に行われました総合的実態調査によりますと、派遣労働者全体で、雇用保険については八七・五%、そして自己名義の健康保険については八三・七%、自己名義の厚生年金については八一・一%が加入している、こういうような結果が得られておりまして、すべてこの三者につきましても年次を追って見ますと、加入率は継続して増加傾向にある、こういうようなことで、おおむねの方々が、そういう意味で、社会を支えるためにそれぞれ御負担をいただいている、こういうようなことなんだろうというふうに思います。
武山委員 私、おとといの質問の中で、派遣労働者というのはどのくらいいるのかという質問をしたときに、たしか百三十万人ぐらいと言ったと思うんですよね。その中の八十数%というふうに解釈してよろしいんですか。
鴨下副大臣 そのトータル、全体の調査をやっているわけではありませんで、これはアンケートによるサンプリング調査での結果でありますから、大体正確なところなんだろうというふうに思っております。
武山委員 そうしますと、そのサンプリング全体の数はどのくらいなんでしょうか。それを知ることによって、このパーセンテージがどのくらいの量のパーセンテージなのか。これだけ見ると、低いとは思えないんですけれども、でも、百人しかやっていないサンプリングなのか、五万人やったのか百万人やったのかで随分違うと思うんですよね。
鴨下副大臣 母集団の数は一万五千でありまして、そして有効回答数は三千四百六十でございます。そういう調査ということです。
武山委員 これは三千何人の人しか納めていないということですから、これもまた視点をどこに置くかというので随分見方は違ってきますよね。
 でも、数字だけ見ると、はてなと思いますよね。国民健康保険が大体八十数%ですので、そのくらいだというふうな感じですけれども、実際のサンプリングの数が三千四百といいますと、それは多いとは言えない、少ないと言えると思うんですよね。
 それはそれとして、先ほど、多種多様な職の形態を選ぶようになった、それで、この派遣も希望に応じてということだったと思うんですよね。そういう希望も出てきた、希望者がいると。それに対しての答えを、こういう社会。
 ただ、希望者はみんな常用雇用を希望しているんですよ。だれも一カ月だ三カ月だ、何年かで移りたいという人は、それはほとんどの日本国民であれば希望は少ないと思うんですよ。ないから問題なんですね。
 そうしますと、やはり一時的、臨時的というのは当然その言葉どおりだと思うんですよね。でも、社会はないために、母屋じゃなくて軒下だったものが母屋みたいにビジネスがふえていって、今派遣の人が物すごく多いというわけなんですよね。そうなりますと、先ほどのいわゆる年金とか医療保険とかというのは大問題になるはずなんですよ。たったの三千何人が八十何%だからという、その言葉の陰に隠れた大変なこれからの国の財政出動というものを考えた場合に、その彼らが五十代、六十代になったときは大変な問題になると思うんですよね。
 その辺は、私、これはぜひ大臣にお聞きしたいと思うんです。これはもう大きな問題だと思うんですよね。どんどんどんどん派遣の人口がふえていって、そして安定している人もいれば安定していない人もいる。それで、安定していない人の方がけた違いに多いわけですよ。それは、ないからなわけですね。ないから短期でいくわけですよね。
 聞くところによると、美名のもとで高額を取っているという人は本当に一握りだと聞いております、年間数千万とか取る、いわゆる三年から五年になった特別な技術力を持った非常に職能の高い人というのは。でも、その他大勢は本当に安い月給で、時間の切り売りで、確かに一時的、臨時的だと聞いておるわけなんですね。これは将来物すごい問題になる。
 私、これは大臣に聞きたいと思うんです。鴨下副大臣がお答えしたいようなんですが、私、これは大臣に聞きたいと思う。なぜかというと、年金、医療、これは将来の大きな、今その年金改革だ、医療保険の問題だという、医療の分野も改革しなきゃいけないということで、国がどういう方向にこういうものも考えていくのか、私、ぜひ答えていただきたいと思います。
鴨下副大臣 ちょっとその前に、武山委員は、派遣の方々が全員が常用雇用を求めているようなことをおっしゃっているわけですけれども、これは、派遣の方々の調査をしましたところ、「今後も派遣労働者として続けたい」という方が約二九・七%、そして「できるだけ早い時期に正社員として働きたい」という方が二五・八%、「家庭の条件が整えば正社員として働きたい」という方が一〇・七%、「いろいろな働き方をしたい」、こういうような方が一五・八%ということで、先ほど申し上げましたように、ある意味でやはりさまざまなニーズはあるということは、私たちは受けとめなければいけないんだろうというふうに思いますが、ただ、その中でも、やむにやまれぬ状況で派遣労働者として働かざるを得ない、こういう方々もいるというようなことは、私たちはもう十分に理解をしているところであります。
坂口国務大臣 先ほど御答弁を申し上げたときに先生おみえになったかどうかちょっとわからなかったんですが、御指摘をいただくように、常用雇用になりたい、常用雇用がないために一時的に派遣業に籍を置いているという方も、これは御指摘のとおりあるというふうに思っています。
 しかし、そうではなくて、ほかにやりたいという目的があって、例えば時間的な設定でありますとか曜日でありますとか、そうしたことの設定の中で働き、そして残りの時間はほかの自分のやりたいことをやる、こういうタイプの皆さん方もおみえになったりいたしまして、非常に多様化していることは間違いがございません。ですから、派遣業の中もそうしたことでさまざまでございます。
 社会保障の問題でございますが、社会保障の中で、特に、緊急に体が悪くなるというようなことで一番問題になりますのは医療でございますが、医療の方につきましては、これは派遣業の皆さん方全体で健保をつくっていただきました。
 そのときに、どこかに、AならAという会社に派遣をされていた、そして、その方が仕事を終わって次にBという会社に派遣をされるという場合に、翌日から続けばそれはいいわけでありますけれども、中には、例えば半月とか一カ月とかというような期間があくことがございます。そうしましたときに、Aという企業に勤めておみえになりますときには、これは健保組合でございますが、そこが終わりまして次のBという企業に働きますまでの間一カ月あいたとしますと、これは国保になるわけでございます。
 ですから、今まで、健保であったり、国保に変わって、また健保に変わってというようなことをやられていた。それでは余りにも皆さん方に負担をかけ過ぎるというので、総体で健保組合をつくっていただきまして、そして、その期間が非常に短い場合には、これはいわゆる派遣元の企業がそこのところをひとつ御負担もいただくし、また、御本人も御負担をいただかなきゃならないわけでございますが、御負担をいただくということで、健保組合をつくらせていただいたということでございます。
 それから、年金の方は、厚生年金にお入りをいただくということで、今企業に勤めておみえになりますところは厚生年金ということになっているところでございます。健保をつくりましたのと同じように、若干のブランクがありましても、年金もそういうふうな継続をしていけるような体制にできないかと今検討しているところでございまして、引き続きそういうふうな形にしたいというふうに思っているところでございます。
武山委員 多種多様なニーズがあるということですけれども、それは最もわかり切ったことなんですよね。
 一番問題なのは、中学を卒業したり高校を卒業したりした方が職を得ないで卒業してしまう、以前も質問いたしました、それも大問題なんですね。今度、大学を卒業して就職のない方、これはみんな常用雇用を希望しているんですよ。やはりちゃんとした、少なくとも長く勤めたいというわけですよね。それがないというところに問題があって、それがないために派遣の方に行くというのも、かなりの人がいるわけですよね。それから、多種多様なというのは、子育てを終わった方も、時間の関係で多種多様な派遣業を選ぶということもあると思う。でも、基本的には常用雇用を希望したいわけですよ。
 ところが、ないというところに問題があって、多種多様な形態をしたいというのは、若い人は希望しているかどうかというと、それはまたアンケートをとったわけではありませんからわかりませんけれども、少なくとも、そういう方々は長く勤めたいと思っておるわけですよ。みんな、短期で、テンポラリーで勤めたいという方は、子育てを終わったとか、一時的にしか仕事ができないとか、そういう方々なんですよね。本当に仕事をしたい方というのは、やはり常用雇用で長く勤めたい、少なくとも一時的、臨時的じゃないものを求めているわけですよね。
 ですから、多種多様といっても、選択肢が多種多様なものになってしまって、そこから選ばなきゃいけないということもあるわけですよ。それは、常用雇用がないためにそういうふうになっている。ハローワークに行って職を探してもないから、ですから人材派遣会社に行く。仕方なく行っているというところに問題点があるということを私は言いたいと思うんですよね。
 それで、今、派遣業に行くと仕事はあるということで、結局そこのニーズがどんどん膨らんで、それで多種多様な問題も出てきて、それに対して、今回、いろいろな法改正が行われたり、間口を広げたり、責任体制をチェックしたりということで今議論しているわけですよね。ですから、基本的な線というのは、その多種多様な希望というよりも、若い人の、常用雇用を求めているその人たちに対するきちっとした職の安定というものが、やはり私は最も言いたいところなんです。
 ですから、多種多様の、時間的に一時的、臨時的という、それを求めている人とはまた別なことを私は今聞きたかったんですけれども、それに対する見解はいかがでしょう。
坂口国務大臣 若い皆さん方の問題は、これはまた別な問題だというふうに思っております。
 特に、高等学校を卒業された皆さん方の就職先が、一時に比べますと非常に減ってきております。例えば、いわゆる何々工業というような工業学校等はかなりたくさんあるんですね。私たちの地元で聞きましても、工業学校なんかは一〇〇%もう決まっております。しかし、そうではない高等学校、普通科などを卒業されて、そして進学をされずに就職したいというふうに思われるようなところ、この辺のところがかなり残ったりしているわけでございます。
 いつかも御答弁申し上げましたけれども、それは、雇います方が即戦力になるような人を雇いたいということが非常にございまして、大学でございますとか短大、専門学校等を卒業された人を雇いたいということがございます。そして、それ以外の一般的な仕事というのはパートの人でいいということで、半分はパートにとられ、半分は大学や短大にとられということで、高等学校を卒業された皆さん方のところが少なくなっているというようなことがございます。
 そういう事情を十分に踏まえて、高等学校の就職のあり方というようなことにつきましては、高等学校の教育のあり方も含めてこれは見直していかないと、今後大きな問題になるというふうに思っておりますので、文部科学省ともその辺のお話し合いをし、また、経済産業省ともお話をいたしまして、その若い皆さん方の雇用の問題を今取り組んでいるところでございまして、間もなく結論を出したいと思っているところでございます。
 そうした皆さん方の問題が一方でございますけれども、派遣業というのは、御指摘になりましたように、今、長期に勤めたいけれどもないという方も私は率直に言ってあるというふうに思っておりますが、そうでない働き方を求めている人たちもあることも事実でございますので、こういう景気の停滞しているときでございますから、さまざまな働き方をつくるということによってその皆さん方に対応をしたいというふうに思っております。
 先ほど、派遣業とそれから請負業のお話も出ましたけれども、それじゃ、請負業の皆さん方は高賃金で働いているかといえば、決してそうではございませんで、例えば自動車産業などに働いている、その中に入っている請負業の企業というのはたくさんあるわけでございます。中小企業でそこへ入っている皆さん方は、決して高賃金で働いているわけではない、そしてその命令系統も明確ではない、そういうことがございまして、そういうことを考えますと、派遣業の方がより明確になる、そういうふうに私たちは思っている次第でございます。
武山委員 時間が参りましたので、また来週の水曜日、議論したいと思います。終わります。
中山委員長 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 政府はこれまで派遣労働者を、自分の専門を生かし、多様で自由な働き方をしている人々のように宣伝してまいりました。しかし、これまで多くの委員が強調しましたように、派遣労働者の大部分は、常用労働を希望しながら、それにつくことができないために、やむなく派遣労働者になっているのが実態であります。厚生労働省の調査でも、派遣契約期間は、三カ月未満が七一・八%、六カ月未満までになりますと九〇・五%、大部分という不安定な状況にあり、賃金も、年収二百四十七万円程度という低賃金に苦しんでおります。
 大臣にお尋ねしたいんですが、これを、自分の専門を生かし、多様で自由な働き方をしている労働者と言えるでしょうか。
坂口国務大臣 先ほどから御答弁を申し上げておりますように、働き方につきましては、常用雇用になりたいけれども、やはり常用雇用がないのでひとまず派遣業を選ぶという皆さんがおみえであることを私も否定いたしません。そういう皆さん方がおみえになることは事実でございます。しかし、そうではない方もおみえになるということを先ほどから何度か申し上げているところでございます。
 賃金のことにつきましても、例えば、派遣業にもよりますけれども、派遣業の中で、賃金、それから派遣元が負担をいたします社会保障費等々を考えましたときに、中小企業等と比較をいたしましたときに、必ずしも派遣業のところが低いということではないと思います。パート労働等で働いておみえになります皆さん方のことを思いますと、派遣業の方がうんと賃金は高いわけでございます。派遣業の中にもさまざまでございまして、特殊な技術をお持ちになっているような皆さん方は、これは一般の常用雇用をされている皆さん方と変わりのない賃金になっているところでございます。
 したがいまして、これもけさ申し上げたところでございますが、経済の動向が変わり、そして多くの企業が雇用者を求める、常用雇用を求めるというような状況になる、需要と供給の関係が変わってきましたときには、私は派遣業の賃金というものもうんと変わってくるというふうに思っているところでございます。したがいまして、全体の経済動向というものによって派遣業の中身は大きく変化をするという実態ではないかというふうに思っております。
小沢(和)委員 派遣労働者には、常用を希望している人もいるし、そうでない人もいるというお話なんですけれども、いろいろな人がいることは事実でしょうけれども、その中で圧倒的な多数が、常用を希望しながらなれないでいる人たちなんだということをさっきから各委員が言っているんだと思います。
 私は、一九八五年、労働者派遣法が制定された当時、社会労働委員として、この法案の審議に直接参加をいたしました。当時から政府は、派遣労働が、自分の専門を生かし、多様で自由な働き方をする新しい労働形態であるかのごとく主張いたしました。当時は、派遣の対象になる業種が十三に限られ、パソコンソフトの開発とか機械設計などと、職種を並べられると一応もっともらしく見えました。賃金などの労働条件も、今も大臣言われた、かなり高い水準の人もいますよというのは、この人たちの中に確かにいました。
 しかし、それが一九九六年に二十六業種に拡大され、さらに九九年には、建設、港湾、警備を除き、原則としてあらゆる職場への派遣が可能になって、状況が一変いたしました。特に、九六年以降六年間に、派遣労働者は総数七十二万人から百七十五万人へと二・四倍に激増しましたが、逆にその地位は、使い捨てできる低賃金労働者として急落いたしました。我が党は、最初の法案審議のときから、労働者派遣事業は、戦前の人入れ稼業、労働者供給事業の復活になると指摘をしてまいりましたが、現実はまさにそのとおりになっております。
 今考えてみれば、正社員を減らして、自由に派遣労働者やパート、臨時などに切りかえる道を開いたことが、企業のリストラを促進し、企業には大きな利益を与えたが、労働政策としてはこれは根本的に誤っていたのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
坂口国務大臣 そこは、せっかくの小沢議員の御発言でございますけれども、若干私は違うのではないかというふうに思っております。
 働き方は非常にさまざまでございますから、先ほどおっしゃいましたように、できれば常用雇用がいいというふうにおっしゃる中には、現在もう既に自分は常用雇用の態勢にあるんだけれども、しかし常用雇用がないのでやむを得ず派遣業に来ているという方もおみえでございますけれども、そうではなくて、自分自身の態勢が、環境が常用雇用できない状況なので、私は今派遣業に来ているという人も中にはあるわけであります。だから、自分の環境が整ったときには常用雇用に行きたいけれども、今はその環境にないという方がおみえになる。
 例えば、お子さんを出産されて間もないような皆さん方は、それは本当はお子さんが大きくなれば常用雇用に行きたいんだけれども、今はその環境にない、だから少し時間的なゆとりのあるような働き方がしたい、そういうことを派遣業にお願いしてするというふうなことにもなっているわけであります。
 したがいまして、派遣業の中の賃金にいたしましても、どこと比較をするかによりましてこれはうんと違ってまいります。大きい大企業と比較をいたしましたときには、確かに低いというふうに私は思います。
 しかし、これは企業もさまざまでございますから、そうした企業の比較対照の問題もあるというふうに私は思いますし、中には、これが大多数と私は申しません、何割かということはあるというふうに思いますが、金額だけで私たちは働くわけではない、多少金額が少なくても自分としての生き方を求めたいという方も非常に最近多くなっていることに、むしろ私は驚きを持っているわけでありまして、いろいろの方とお会いをしてお話をしましたときに、そうおっしゃる方がかなりおみえになる。そうした皆さん方はこうした働き方を選んでおみえになるということもあるわけでございますから、働き方は多様化してきているというふうに私は申し上げたわけでございます。
小沢(和)委員 常用労働者をパートや派遣などの非常用労働者に置きかえる動きは、現に急速に進んでおります。八七年に常用は全雇用労働者数の八四・〇%でしたが、九九年にはそれが七二・〇%へと一二%も下がっております。非常用は、同じ十二年間に一六・〇%から二七・五%へと、同じだけふえております。これは資料がやや古いので、九九年からの三年間でさらにこの傾向が進んでいるはずであります。
 派遣だけでなく、パートや臨時などを含め、これだけ不安定雇用、低賃金労働者がふえていても、労働者を保護する立場の厚生労働省としては、今の経済情勢のもとでは仕方がないという立場なんでしょうか。常用をこれ以上減らさないために、我が党は解雇規制法をつくれなどと歯どめを提案しておりますが、そういうことを真剣に検討すべき時期ではないのか。大臣は、この問題についてどうお考えですか。
坂口国務大臣 きょうも午前中に議論がありました中で、解雇をして、リストラを行って、そして派遣業を多くしていくというお話がございました。この派遣業の問題、だから派遣業はだめだという話に議論は結びついていくわけでございますが、その前に、解雇をして、そして派遣業にかえるというのは、それはいわゆる解雇理由の問題に結びついてくるわけでありまして、まさしく今議員が御指摘になりましたように、それは解雇理由として成立するかどうかの問題がございます。解雇理由の問題だと私は思います。
 だから、これはまたこの後の法案の中で解雇理由の問題を御議論いただくわけでございますから、そこでまたしっかり御議論をいただきたいというふうに思いますが、派遣業にかえたいからリストラを行うというのは、それは解雇理由としては少しおかしいんではないかというふうに私は思うわけでありまして、そこのところは整理をしてお考えいただかなければならないのではないかというふうに思っております。
 きょう局長も答弁いたしましたように、現在の状況からして、世界経済の動向からして、リストラをやむなくしなければならないというふうにしてリストラをしました企業が、一年なり二年なりしましたら思いがけない仕事が入ってくるということだって、それは経済のことでございますからあり得ると私は思います、一時的な大きい仕事。そのときに派遣業の皆さん方にお願いをするということだって、それはあり得るだろう。
 労働者の側の、働く人たちの側から見ましても、現在の状況の中で常用雇用というのがなかなか求めがたいということがございまして、まず常用雇用を求める前に、一時的ではありますけれども、遊んでいてはいけないから、派遣業でひとつ一時をしのいで、その中でいいところがあったら常用雇用の方に転換をしてもらいたいという方もあるわけでございまして、それはそれでそういう皆さん方を御支援申し上げていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
小沢(和)委員 この問題、論争し出せば幾らでも出てくるんですけれども、ちょっと先へ行きたいと思います。
 それで、九九年に、坂井前厚生労働委員長が労働政務次官当時に、派遣法の対象業種を一挙に原則自由化する大改正が行われました。それから労働者派遣事業の急成長が始まったわけであります。彼が今回逮捕、起訴される原因になった日本マンパワー社からの巨額の政治献金は、そのために働いたお礼だったのではないかというふうに私どもも見ております。私は、自民党の労働族と言われる議員の当時の政治献金を調べてみましたが、やはり派遣会社や関係団体からのものがあちこちに見られました。我々は今、木村義雄議員の柔道整復師の療養費請求での口きき疑惑などを追及しておりますが、業界と議員の癒着がこの派遣法をめぐっても見られると思います。
 こういう癒着をあらゆる方面で断ち切らない限り、本当に清潔な国民本位の政治は行われません。今回の改正も、全く業界の要求をそのまま法案化したようなひどい内容でありますが、大臣は、今回の改正についてはそういう疑惑とは一切関係ないとここで保証できますか。
坂口国務大臣 坂井議員の問題は大変残念な出来事であったと私も思っているわけでございますが、今回の改正がそうしたこととは全く関係ないと断言したいというふうに私は思っております。
 坂井議員に対しましてのいわゆる派遣業を行っております会社からの献金があったことは事実のようでございますが、そうしたことがなぜ行われたかは、これは個別の話でございまして、今回のこの派遣の問題は、これは現在の経済状況の中で多くの皆さん方が少しでも働いていただく場をつくるという、できるだけ自由な、できるだけ多くの機会を提供するというところから出しているものでございまして、派遣業を別に推進しているというものではございません。
 したがいまして、先ほどから何度も申し上げておりますように、経済の動向に変化が起これば、雇用の流れも大きく変わるであろう、派遣業の中で労働を続ける人の数は減るだろうというふうに私は思っている次第でございます。
小沢(和)委員 さて、九九年に対象業務を原則自由化したときに歯どめとして持ち出されたのが、派遣期間を登録型一年、専門型三年とする制限でありました。派遣はあくまで一時的、臨時的業務に限る、そうすれば、正社員がやっている恒常的業務に入り込んで、正社員を追い出すことにはならないということでした。
 しかし、最近の調査では、今派遣労働者がやっている業務はその前は正社員がやっていたというものが七三・二%にも達しております。このような期間の制限が何の歯どめにもならなかったということは、この結果を見れば明らかではありませんか。
戸苅政府参考人 これは数字をどう見るかということだろうと思います。確かに、パート、アルバイト、臨時から派遣に業務の担当者が切りかわったというよりも、先生おっしゃるように、常用労働者からかわった方が七割近くいるというのは事実でありますが、私どもの去年六月に行いました調査によりますと、派遣の受け入れを機にやめてもらったという事業所は四・一%でございます。むしろ、同じ業務を担当しているという事業所が一九・六%ありまして、こういうのは、多分恐らく一時的に業務量がふえたので、一時的な業務量増に対応したということだろうと思いますし、それから派遣受け入れ前にその常用労働者がやめてしまったというのが二六%ありまして、これは欠員補充ということだろうというふうにも思います。
 そういった意味で、先生がおっしゃるように、全く効果がないんじゃないかということではないのではないかというふうに思っております。
小沢(和)委員 今、やめさせたのは四%程度だったというようなことを言っておられるけれども、しかし、問題なのは、正社員がやっていた仕事を、派遣労働者が大部分そこに入って、その仕事を奪っているということでしょう。だから、そこに働いていた人たちが会社の中で別の仕事に移ったからといって、その仕事は派遣労働者に奪われたということについてはいささかも変わりがないのじゃないですか。私は、そういうことは反論にならないということを申し上げておきたいと思うのです。
 それで、今回の改正では、そのわずかな歯どめとされた派遣期間を登録型で三年に延長し、専門型では期限そのものをなくしてしまう。こうしておいて、派遣の対象を一時的、臨時的な業務にすることに変わりはないと言われても、これはだれも信じられないと思います。三年は、多くの職場で正社員を配置がえする目安となる一つの期間でありまして、派遣労働者を受け入れて、正社員のかわりとして恒常的な業務に習熟させ、やり上げさせるのに十分な期間であります。まして専門型は期限をなくすのですから、一時的、臨時的業務に限るという理屈はおよそ成り立ちません。
 今回の改正は、前回形だけつけた制約さえも取り払って、派遣を野放しにしようということになるのではありませんか。正社員を派遣などに切りかえる速度はこれを機に一層加速し、派遣労働者は今後さらに急増するのではないかと思いますが、どれぐらいの人数が増加するか、どう見込んでおられますか。
戸苅政府参考人 今回、一年から三年に延長するに当たりまして、この期間制限の徹底をさらに図ろうということで、期間制限に抵触する日以降は労働者派遣を行わない旨の派遣元事業主から派遣先あるいは派遣労働者への事前通知を導入するということにいたしました。それから、派遣先が派遣期間の制限を超えて派遣労働者を使用しようとする場合には、その派遣労働者への雇用契約の申し込みを義務づけるという規定も設けたところであります。こういったことで、従来以上に常用雇用の代替を促すことがないように十分な措置を講じたというふうに考えております。
 それから、もう一点の質問でございます。
 これは大変難しい質問で、正直申し上げて、今雇用形態が非常に多様化しているという中で、派遣という形でふえるのか、有期雇用でふえるのか、アルバイト、契約社員、いろいろな格好でふえるのか、いろいろな要素がある中で、それを全部織り込んで予測するというのは困難でございます。そういった意味で、一定の前提を置いて大まかな試算をいたしますと、常用換算して二十万人程度だろう、こう思っています。
小沢(和)委員 私にとって大変ショックだったのは、東京都が昨年まとめた派遣労働者の実態調査の結果であります。九八年に四五・三%だった六カ月未満の短期派遣契約が〇二年には五〇・六%、逆に、六カ月以上の契約が四七・三%から四一・二%へと、これは大幅に減っております。時間当たり賃金は、その五年間に千七百三十三円から千四百三十二円へと三百一円も下がっておる。不況と派遣労働者の急増で契約期間はますます短くなり、賃金はますます下がっている。
 大臣は、今回の法改正でも正社員の派遣への切りかえが急に進むことはないというようなことを答弁しておられますが、労働条件の悪化についてはどう思われますか。
坂口国務大臣 派遣業をおやりになります皆さん方は大変な勢いで今ふえているわけでございます。一口に派遣業と申しましても、非常に立派な歴史もある、そして大きな派遣業から、本当にそれこそ中小零細企業と申しますか、そうした派遣業の方も実はございまして、そうした中でどういうことが行われているかということによってもこれは非常に違ってくるというふうに私は思います。
 最近、そうした中小の派遣業の皆さん方もふえましたから、全体として平均値で見ますと、雇用期間あるいはまた時間当たりの賃金というのが下がってきているのではないかという気がいたします。
 ただ、これは派遣業だけではなくて、パートあるいは全体の常用雇用の場合を見ましても、賃金は最近、停滞と申しますか、減少ぎみでございます。これは、現在のこのデフレ経済の中でそうしたことが起こっているわけでございますから、私は、全体として見なければならないというふうに思っておりますが、これも、先ほどから申し上げますように、経済の動向が変わればそうしたことも変化をしていく。これは派遣業という行き方が悪いからそういうことが起こるということではなくて、現在の経済の動向を反映しているというふうに見るべきではないかというふうに思っている次第でございます。
小沢(和)委員 こういうような状況に置かれておりますから、派遣労働者が少しでも契約期間を延ばして雇用を安定させてほしいと切実に願うのは当然だと思います。しかし、そういう願いにこたえるつもりで派遣期間を一年から三年に延ばしたというのなら、私は、これは全く役に立たないのではないかと思います。
 派遣元と派遣先で一年間の派遣契約をしても、実際には労働者は三カ月とかそれ以下で契約している者が多い。だから、午前中の参考人の発言の中でも中野参考人も提案しておりましたが、少しでも契約期間を延ばすために、せめて、派遣元と派遣先が一年契約なら、派遣する労働者とも一年契約を結ぶように指導する、こういう考え方はありませんか。
戸苅政府参考人 今回の派遣法の見直しに当たりましては、派遣労働者の方の中にやはり派遣期間を長くしてほしいという要望もあり、そのあたりも踏まえた上での改正であります。そういった意味で、我々としても、先生おっしゃるように、派遣労働者の方の雇用をなるべく長期間安定した格好で維持するということは重要なことだろうというふうに思っています。
 ただ、正直言って、派遣労働者の方の希望もさまざまであるとか、あるいは派遣元事業主にとっていろいろ派遣の予定があるとか、いろいろなことがありますので、一律に規制するというのはなかなか困難な面がありますけれども、今後、この改正法案が成立いたしまして、運用に向けてのいろいろな作業をする中で、おっしゃるように、派遣先と派遣元の事業主が派遣契約を結ぶに当たりまして、あるいは派遣労働者との雇用契約を結ぶに当たりまして、派遣労働者の雇用の安定を確保するように配慮するということは重要なことだろうと思いますので、その点、何らかの工夫をするように検討したいと思っています。
小沢(和)委員 今回の改正の中にも、派遣労働者の受け入れを一時的、臨時的業務に限る歯どめになり得るものがあると思います。
 その一つは、一年を超える派遣を受け入れる場合は、その職場の過半数労働者の代表にその期間を通知し、意見を聞くという手続であります。これをただ意見を聞けばよいということで済ませるのではなく、事実上協議で合意が成立してから受け入れるように指導すれば、大いに歯どめの意味を持ってくると思いますが、いかがですか。
戸苅政府参考人 意見聴取の質問ということですか。(小沢(和)委員「はい」と呼ぶ)
 過半数代表の意見聴取につきましては、派遣先の事業主が臨時的、一時的な業務の処理にどの程度の期間を要するのかということを的確に判断するために、現場の実情に詳しい労働者の方の意見を的確に集約し得る過半数代表の意見を聞こう、こういうことでございまして、基本的には、派遣労働者をどういう業務に受け入れる、どの期間受け入れるというのは、経営判断、経営責任の問題だろうというふうに思いまして、そういった意味で、意見を聞くというふうなことで法律上構成させていただいているということでありまして、あとは、それぞれの企業あるいは事業所におきます労使の信頼関係の中で、話し合いが必要な場合には話し合いをしていただく、こういうことではないかと思っています。
小沢(和)委員 この問題は、午前中の我が党の山口委員の質問でも取り上げられましたし、これまでに多くの委員が質問しております。これに対する局長の答弁は、今も言われたように、聞いた意見をどの程度尊重するかは結局経営者の判断だということであります。これでは、実際上、単なる手続として聞くだけに終わってしまうのではないでしょうか。しかも、この程度の手続さえ、先ほど日経連の松井参考人は、手続が複雑だと不満を述べておりました。よほど厚労省が真剣に労働者の声を聞く指導をしなければ、全く形式的な手続になってしまうのではないかと思いますが、いかがですか。
戸苅政府参考人 我々としては、これは単なる手続ということではなくて、臨時的、一時的な業務としての労働者派遣事業というものの適正な運用の根幹にかかわる問題だろうというふうに思っております。そういった意味で、意見聴取が的確に、かつ確実に行われるようにというための手だてについて、法律が成立いたしましたらそのあたりも十分検討いたしまして、また、今の御意見のように、審議会にかけぬといかぬということはあるんですけれども、とにかく、確実に、かつ適切に行われるように対応してまいりたいと考えています。
小沢(和)委員 時間が来ましたので、きょうはこれで終わります。
中山委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 一昨日に引き続きまして、職業安定法並びに労働者派遣法の改正案についての二回り目の審議が行われておりますが、一巡をいたしまして、私も拝聴いたしながら、やはり随分、御提案の側とそれから私ども野党と申しますか、中には与党の皆さんの中にも一部おいでだと思いますけれども、今回の法改正が、果たして本当に労働者の方たちが安定して自分たちが働くことを権利として受けとめられていくことになるのか。うたいは職業安定法ですが、私は職業不安定法だなと思って聞いておりましたが、逆にこの法律、派遣がまた長引くことによって、あるいは職業安定法の一部が改正されることによって、働く権利という本来は固有のとてもすばらしい権利が切り刻まれていくような形になっていくのかというところの大きな見解の相違があるように思います。
 坂口大臣の御答弁をずっと拝聴しながら、景気がよくなれば、こういう景気循環の中だから、派遣労働ということも逆に、時には買い手市場にもなるし、売り手側、働く側が賃金、労働条件も含めて十分に活用し切れていないということもある、私は大臣の言葉をそういうふうに理解いたしましたが、そういう側面と、いま一方、そうした面がなきにしもあらずですが、だがしかし、そういう景気が浮上し、世の中がもう少し労働者の労働条件がよくなったとしても、いま一方、私は、やはり法律というものは、働くことについて社会がどう考えるかという規範を定めるものであると思っております。
 その観点から、まず冒頭、質問通告をしてございませんが、午前中、我が党の金子議員が質問いたしましたことに関連して、坂口厚生大臣に御答弁をいただきたいことがございます。
 職業安定法の三十三条の四というのがございまして、今回の法改正でこれの削除の問題が出てきております。既に金子議員が御紹介したかと思いますが、「料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。」という法律が今回削除されます。
 大臣にお伺いいたしたいのですが、逆に、そもそもなぜこういう法律があったとお考えでありましょうか。この法律のあった意味は何でございましょうか。現在もありますが、そこは大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
中山委員長 戸苅職業安定局長。
阿部委員 申しわけありません、戸苅さんのお返事は存じておりますので、金子議員が午前中質疑いたしましたので、大臣がグロスに、大まかにとってこの法律は何のためにあったと思われますかを、印象で結構です。私も言われて読んで、これは何のための法律かなと最初考えましたので、お願いいたします。
坂口国務大臣 私も、古着屋ですとか質屋の話まで十分に存じませんので、今初めて聞く話でございますから、満足にお答えができるかどうかわかりませんけれども、職業安定法三十三条の四でございますか、兼業の禁止規定というのがございまして、一九三三年に採択をされましたILO勧告におきまして、「個人及企業にして、直接に又は仲介者を通じて飲食店、旅館、古着店、質店又は両替店の経営の如き業務より利益を得るものは、職業紹介に従事することを禁止せらるべし。」こういうことになっているわけでございます。これは、昨年のILO総会におきまして撤回されたところでございますが、我が国の社会状況の変化も踏まえまして、今回、この兼業禁止規定というものを削除することにいたしました。
 職業紹介事業の許可基準におきましては、申請者が事業を適正に遂行することができる能力を担保するということがあるわけでありまして、そうしたことを中心にして、「不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。」というような要件が入れられている。そうしたことを考慮に入れて、今回この決定がなされたということではないかというふうに思います。
阿部委員 私も、数ある法改正を一つ一つ勉強しながら、この法律はこういう意味でできていたのかということを改めて知るということが、国会に来て、当然、立法府ですから多いわけですが、この法律、先ほど、旅館業、飲食店業、古物商、質屋さん、金貸し業、両替業等が職業紹介事業を行うことができないということの理由といいますか意味づけは、東京高裁の昭和二十九年の九月十五日判決に書いてございまして、実はこれらの職種では、人身売買的事態の発生等、社会的、一般的弊害があることがあると。ですから、昔は、旅館で人身売買、売買春が行われたり、あるいは料理店もそのようなこともあったということにかんがみて、職業紹介事業を併設しない方がよろしかろう、それが社会的、一般的弊害があるおそれということで設けられた一項なんだと思うんです。
 私が先ほど申しましたように、労働市場とそれから経済動向は動くことがありますが、働くことということについての社会規範というものは、ある程度共通認識を持っていかないと非常に問題が多いということで、午前中、我が党の金子議員が、現時点において、特に金貸し業といいますかサラ金業者の方が、一方で職業紹介事業を併設されますと、ここにお金を貸した相手がいて、その方からお金を返していただくために、あなたにこの仕事を紹介しましょう、あなたはここで働いてください、そして私にお金を返してくださいという形で、その方の労働力を担保にとって仕事を紹介したという形態をとって、実はぐるぐる回すということも生じ得る。
 今、金子議員が例に引いたかどうかわかりませんが、サラ金でお金を借りると、目の玉を売れとか腎臓を売れとか、そういう脅迫まがいのことも実に起こっておりまして、私は、現下の社会情勢で、この金貸し業とそれから職業紹介業というのが並立する図を考えると、ちょっとぞっとするのであります。
 午前中にいただいた戸苅局長の御答弁では、ちょっと抽象的でどうするのかなと思ったけれども、この紹介業を許可する際に基準を厳しくするという御答弁でしたが、許可をする際に基準を厳しくするとは、例えば、一方でお金を貸しているような業者の方には、紹介業をその方が申請していらしたら、他と違うダブルスタンダードあるいは隠れたスタンダードを使うということなのか。何か、この基準を厳しくするとお答えになった中身について、今度は局長にお願いします。
戸苅政府参考人 おっしゃるとおり、人身売買、中間搾取、強制労働というのが戦前に、職業安定法が制定される前に、今議論になっております飲食店、旅館、質屋、両替、そういったところでとかく行われていたということで、ILOの勧告もありということでやったところでありますが、時代も変化し、ILOの勧告も撤回されたということで、今回の法改正の一環として、兼業禁止規定を解除したということであります。
 ただ、正直言って、私個人的にも、貸金業を他の業種と同じような扱いでやって、本当に求職者の方の安全が確保できるのかというのは、かなり懸念をしていると言わざるを得ないわけでありまして、そういった意味で、一つは、許可する際に、許可基準として、これは所管の省庁あるいは都道府県知事の登録ということがありますので、まず、登録せずに貸金業をやっているような業者には許可を与えない。
 それからもう一つは、今おっしゃったように、恐らく、許可を与えるときの附帯的条件みたいなものを場合によったら検討できるんじゃないかとも思っていまして、今おっしゃったことも一つの検討材料になるかなと思います。確かに、貸金業の事業主が職業紹介をやって、それを回収のための手段にするというのも、一歩間違うと非常に危ない面もないわけでもないと思いますので、場合によったら許可の際の附帯要件として、労働者の安全が図られないというかそれが損なわれるような行為、例えば、金を貸している人に職業紹介し、それをピンはねは当然できないわけであります。基準法二十四条で直接払いになっていますから、そういうことはないとは思いますが、何か問題が起きそうなことがあるかどうか少し研究してみて、場合によったら附帯的な要件をつけた上で許可するとか、いずれにしても、求職者の方の安全が、保護がきちんと図れるような工夫は必ずしてまいりたい、こう考えております。
阿部委員 我が国の金融の現状と申しますのは、銀行がうまく機能しない、そのかわり駅前はサラ金、やみ金ばかりと異様な国になっているわけですから、この一条、一項を、この三十三条の四を抜く前に、今戸苅さんがおっしゃったようなことも本当に真剣に検討していただきたいと思います。それくらい、働くということは、きちんと社会がその方の労働権を守っていくという覚悟がないと、現代はやれない時代だと私は思います。
 さらにもう一点つけ加えさせていただければ、今は一応許可制という形をとるものでも、将来、届け出制にだんだん規制緩和されていきますから、そうすると手もつけようもなくなりますから、一つ一つ慎重に臨んでいただきたいと思います。
 もう一点、同じような質問がございます。
 今回、二〇〇二年の十二月二十六日に労働政策審議会の建議の中で出されたことですが、いわゆる職業紹介をして、紹介をされた求職者からの手数料の徴収の件でございます。
 現在、手数料を取れる方たちは限られていまして、年収千二百万円以上で、なおかつ科学技術者、経営管理者だということですが、この建議によれば、さらにこれを、例えば年収額を引き下げる、あるいは科学技術者、経営管理者の枠を広げるというふうな方向の御報告がございます。この件も、ILOの百八十一号条約に照らせば、本来手数料は取ってはならぬという原則ではございますが、一部緩和したのだと思いますが、この件についても、私はやはり、さっき申しましたように、今、売り手市場ではなくて買い手市場の中で、職を求める必死な気持ちというのはみんなが持っているわけです。
 そこで、これが成功したらあなたからも手数料をもらいます、紹介した先からも紹介された本人からもということで、ダブルにどんどん紹介業というものがなってくる。これは非常に危険な一歩と私は思っていますが、この点について歯どめ的なものをお考えであるのか否か、戸苅局長にお伺いします。
戸苅政府参考人 求職者本人からの手数料を職業紹介業者が取るということにつきましては、我が国が批准しておりますILOの百八十一号条約、民間職業紹介事業所に関する条約がございますが、この中で、労働者からいかなる手数料または経費についてもその全部または一部を徴収してはならない、こうなっていまして、要するに、労働者からの手数料は取ったらいかぬ、これが基本になっております。
 その上で、労働者の利益のために、かつ代表的な労使団体と協議した上で、特定の種類の労働者及び民間の職業紹介事業者が提供する特定の種類のサービスについて例外を認めることができる、こういうふうになっています。要するに、御本人が、こういうところが非常に希望である、私は非常に高度な能力を持っている、あるいは特異な能力を持っているのでこういう人をぜひ探してほしい、探すのにやはりいろいろ経費もかかるでしょうから、その分は払いますというふうなケースがこの場合に当たるんだろうと思います。
 そういった意味で、現在認めているのは、モデルの方、それから年収が千二百万円以上の経営管理者、科学技術者に限るということでやっております。
 これを今回どうするのかといいますと、実は、この千二百万円を決めたときは、当時、去年の二月ですけれども、去年の二月段階で部長級の方々の年収を調べたら千二百万円だったので、それでやってみたんですが、どうも実情は、部長級の方でも、失業して部長として再就職するということになると、年収が六百万から七百万、こういった実情のようでありますので、その実情も踏まえて見直そうというふうに思っています。そういったところが今の考え方です。
阿部委員 この件については、要するに、地すべり的拡大をしていく可能性があるので、やはり労働団体ときちんとお話しいただきたいのと、管理職は大体労働団体にはいれておりませんから、管理職ユニオンとかいろいろありますから、情報を収集されて、きちんとした歯どめをつくっていただきたいと思います。
 あとは、今回の派遣法の改正で、派遣期間の三年までの延長という形をとり、逆にそのかわりに、簡単に言うと、三年たったらしかるべく派遣先がその労働者を雇うようにという申し入れを派遣元がしなくてはいけないということになっておりますが、いろいろな状況が考えられますが、三年たって仕事が一つ終わったと思われた。けれども、また同じ職種で同じように派遣をお願いすることは、一体間が何カ月あったら可能なのですか。
戸苅政府参考人 現在でも、ネガティブリストでやっております通常の派遣につきましては、同一の業務に一年以上継続して派遣してはならぬ、こういうことになっているわけですけれども、これの運用につきまして、直前の派遣の終了の期間とそれから今これから受け入れようとする期間との間が三カ月を超えない場合はだめです、こう言っていまして、三カ月超、こういうことになっております。今回もこれと同じ基準で運用をしたい、こういうふうに考えています。
阿部委員 非常にはっきり申しますと、とにかく三年派遣をお願いして、三カ月クーリングしたらまた三年でいいんだよという三・三ルールで事が進むのではないかという懸念も強く持ちます。
 そう思われる理由は、これは厚生労働省がおとりになったアンケートでも、東京都がおとりになったアンケートでも、最初に書面で示された派遣労働の契約の内容と実際の労働が異なる場合が間々ならずある、二六%くらいと申しておりまして、この異なった労働であった場合、例えば、三・三ルールにのっとらなくても、次はちょっとだけ名目を変えてまた派遣にお願いするという形で、やはり常用化がさらに遠くなるという懸念が私は強いわけです。
 では、それを少しでも是正していくために何ができるだろうかと考えてみましたときに、今派遣労働で働く方たちが、本当に書面で約束したどおりの仕事についているか、あるいは派遣先できちんとした労働環境にあるかどうかをチェックする部署が、いわゆる通常の労働ですと労働基準局等である場合が普通の雇用関係では多うございますけれども、この派遣労働については職業安定局預かりになっているがために、労働基準局との連携ということがなかなか現実になされていないと私は見たわけです。
 きょう山口委員がお示しくださいました資料、人の資料を使って恐縮ですが、大変よくできていましたので、ちょっとだけまた盗用いたしますが、山口委員のお示しくださった資料の一番最後が、職業安定所において、さまざまな事業所に定期指導を強化し、徹底することによって、職業紹介事業のきちんとした、派遣労働の中身もきちんとやってもらおうということではあるのですが、平成十一年度から十三年度の相談及び助言の実績は皆無と中ほどに書いてございます。
 これは、時間の関係で、坂口大臣に直にお願いしたいのですが、厚生労働行政が職業安定局と労働基準局と部署をたがえていることによって、逆に、この派遣労働の全体的な、本来的な、適正な、大臣が評価する、その人が働きたいやり方で、自分の好きな職種を自分の望む方法で、なるべくそれに沿うような方向に少しでも改善するために、労働基準局との連携ということを今後どのようにお考えになるのか、この一点をお願いいたします。
坂口国務大臣 確かに、そこは気をつけていかなきゃならないところですね。
 今までハローワーク等でこの派遣業の問題を扱ってまいったりいたしておりますが、そちらの方は非常に忙しいものでございますから、十分にここが見られてこなかったというようなこともございまして、それで、今回、この派遣業のことをどこが中心になって今後見ていったらいいのかということで、都道府県の労働局を中心にして、今言っていただきましたように、労働関係全般のことをそこで見ていこう、それならば、この安定局、基準局の問題もすべてそこで見られるではないかということで、そういう形にしていきたいというふうに思っております。
 ただ、そこで問題になりますのは、それでは、そこにそれだけの人がいるかということでございまして、その見る人をどう確保していくかという問題がその次にはもう一つあるわけでございますので、我々そこに少し知恵を絞らなければならない。そして、この派遣業なるものが適正に行われていることを明確にしなければならない、そんなふうに思っている次第でございます。
阿部委員 ぜひとも、人員とその組織的な連携も含めて、大きなテーマと思いますので、大臣に御尽力いただきたいです。
 最後の質問をお願いいたします。
 きょう午前中の参考人のお話の中にもありましたが、派遣期間が一年から三年と延長することによって、特に派遣労働は、若年の女性、若年というかな、二十代、三十代の女性が非常に多い比率でおられて、ちょうど出産適齢期と申しますか出産年齢にかかります。今までの育児休業法ですと、期限の定めのある労働者あるいは派遣の方については法律的に除外されている部分もありますが、この間、指導指針等々で、育児休業法の、なるべくとれるような方向への指導も一部なされているやに伺っています。
 これは担当部局で今後、三年に延長するということは、その中で当然、妊娠されたり出産されたり、きょう事例が挙げられておりましたが、妊娠したら暗に中絶をほのめかすようなことを言われるような事態というのも現実にはある中で、やはり女性が産み育てていける社会というのは非常に大事と思いますから、今回、この派遣法の改正に伴って、出産、育児休業にかかわる保障は、どのように改善、あるいはとりやすく、あるいは何らかのよい方向が検討されているのかどうか、お願いいたします。
岩田政府参考人 育児休業制度は、子供が産まれて子供を育てるということで仕事をやめざるを得ないといったような状況にならないように、雇用の継続を図ることを目的とした制度でございます。したがいまして、雇用の期間が一定の期間にあらかじめ限られているような期間雇用者は、その対象とすることはなじまないということで、育児・介護休業法におきまして、期間雇用者は育児休業の対象から除外をされているわけでございます。これが法律の規定です。
 一方、労働契約の形式を見ますと期間を定めた期間雇用者であっても、その契約が更新されて、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になるというような場合もございまして、こういった場合には育児休業の対象になるというふうに解釈をされております。
 それでは、期間雇用者であっても育児休業の対象となるのはどのような場合についてかということでございますが、そういった判断に当たって留意すべき事項を、十三年の秋の臨時国会で成立いたしました育児・介護休業法の改正の施行の一環といたしまして、指針を定めてお示しをしているところでございます。
 この指針はどういう考え方に基づいているかということなんですが、有期労働契約の雇いどめについての可否が争われた過去の判例がありますけれども、それらの判例を勉強いたしますと、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約と認められるか否かについては、例えば、業務の内容といいましょうか、業務が恒常的であるかどうかとか、契約の更新の回数ですとか、更新の手続のやり方など、幾つかの点を勘案して判例において判断されているということがございますので、そういったようなことも踏まえまして、この育児・介護休業法の運用の基準として指針で示したものでございます。
 いずれにいたしましても、今先生がおっしゃったようなことも含めまして、関係の法制改正もございましたけれども、育児休業制度の今後のあり方につきましては、この四月から労働政策審議会において検討を開始したばかりでございます。今後は、その結果も見ながら、育児休業制度がより実際に使っていただけるような制度になるように検討してまいりたいというふうに考えております。
阿部委員 昨日、部屋で質問取りいたしましたときに、一体この派遣労働者の中でどのくらいの方が育児休業制度を御利用であるか、実数とか御存じですかと私も伺ったわけです。期間の定めなきと同様にみなされるというところがあれば、今でもとれている方はおありなのですが、しかし、担当部局は、数値としてはなかなか把握しておらぬと。先ほど申しましたように、ほとんどが女性の労働者でございますし、やはり担当部局がきちんと現状を調査して、よりとりやすくするためには何をすればよいのかということをきちんとヒアリングをしていただくなり、改正点を本当に具体的に詰めていただきたいと思います。
 世の中は少子化対策ということで、対策としては大騒ぎいたしますが、実は、毎日働いていることの中にそれを阻害する要因が、私は特にこの派遣労働の場合はあると思いますので、担当部署の御尽力を期待するものであります。
 以上で私の質問を終わります。
中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十一分散会


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