衆議院

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第9号 平成16年4月7日(水曜日)

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平成十六年四月七日(水曜日)

    午前十時六分開議

 出席委員

   委員長 衛藤 晟一君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 福島  豊君

      安倍 晋三君    井上 信治君

      石崎  岳君    加藤 勝信君

      上川 陽子君    木村  勉君

      木村 義雄君    佐藤  勉君

      菅原 一秀君    田中 英夫君

      竹本 直一君    棚橋 泰文君

      中西 一善君    中山 泰秀君

      能勢 和子君    平田 耕一君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      三原 朝彦君    吉野 正芳君

      冬柴 鐵三君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  薄井 康紀君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  木村  勉君     安倍 晋三君

  原田 令嗣君     田中 英夫君

  桝屋 敬悟君     冬柴 鐵三君

同日

 辞任         補欠選任

  安倍 晋三君     木村  勉君

  田中 英夫君     佐藤  勉君

  冬柴 鐵三君     桝屋 敬悟君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     原田 令嗣君

    ―――――――――――――

四月五日

 労働組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第八八号)

 社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第九三号)

 社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第九四号)

同日

 安全で行き届いた医療・看護に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一二九〇号)

 同(池田元久君紹介)(第一三〇九号)

 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(梶山弘志君紹介)(第一二九一号)

 同(城内実君紹介)(第一二九二号)

 同(下村博文君紹介)(第一二九三号)

 同(仲野博子君紹介)(第一二九四号)

 同(長島昭久君紹介)(第一三一〇号)

 同(山下貴史君紹介)(第一三一一号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第一三一八号)

 同(櫻田義孝君紹介)(第一三一九号)

 同(田中和徳君紹介)(第一三二〇号)

 同(山本拓君紹介)(第一三二一号)

 同(漆原良夫君紹介)(第一三三一号)

 同(高木毅君紹介)(第一三三二号)

 同(若泉征三君紹介)(第一三三三号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一三三八号)

 同(瓦力君紹介)(第一三三九号)

 同(木村隆秀君紹介)(第一三四〇号)

 同(高木毅君紹介)(第一三四一号)

 同(瓦力君紹介)(第一三四六号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一三四七号)

 青年の雇用に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一二九五号)

 パートタイム労働法の抜本的改正等に関する請願(岩國哲人君紹介)(第一二九六号)

 臓器移植の普及に関する請願(遠藤武彦君紹介)(第一二九七号)

 同(中山泰秀君紹介)(第一三二二号)

 同(甘利明君紹介)(第一三四二号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第一三四三号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一三五六号)

 同(五島正規君紹介)(第一四四八号)

 JR被保険者の厚生年金保険料率格差是正に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一二九八号)

 同(小平忠正君紹介)(第一二九九号)

 同(長安豊君紹介)(第一三〇〇号)

 同(吉田治君紹介)(第一三〇一号)

 同(前原誠司君紹介)(第一三一二号)

 同(中井洽君紹介)(第一三二四号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一三二五号)

 同(松本剛明君紹介)(第一三二六号)

 同(稲見哲男君紹介)(第一三三四号)

 同(五島正規君紹介)(第一四五一号)

 マッサージ診療報酬の適正な引き上げに関する請願(肥田美代子君紹介)(第一三〇八号)

 同(増子輝彦君紹介)(第一三三五号)

 同(五島正規君紹介)(第一四五三号)

 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質向上に関する請願(土肥隆一君紹介)(第一三二三号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第一三四四号)

 同(石田真敏君紹介)(第一三五七号)

 同(遠藤利明君紹介)(第一三五八号)

 同(高木義明君紹介)(第一三五九号)

 同(橋本清仁君紹介)(第一四五〇号)

 失業対策と季節労働者対策の拡充に関する請願(山下貴史君紹介)(第一三五五号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第一四五四号)

 子供の人身売買を処罰するために必要な児童福祉法改正案の成立に関する請願(丸谷佳織君紹介)(第一三六七号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一三六八号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(石田祝稔君紹介)(第一三六九号)

 同(遠藤武彦君紹介)(第一三七〇号)

 同(大前繁雄君紹介)(第一三七一号)

 同(太田昭宏君紹介)(第一三七二号)

 同(岡田克也君紹介)(第一三七三号)

 同(奥村展三君紹介)(第一三七四号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第一三七五号)

 同(梶原康弘君紹介)(第一三七六号)

 同(金子恭之君紹介)(第一三七七号)

 同(上川陽子君紹介)(第一三七八号)

 同(川内博史君紹介)(第一三七九号)

 同(木村義雄君紹介)(第一三八〇号)

 同(倉田雅年君紹介)(第一三八一号)

 同(小坂憲次君紹介)(第一三八二号)

 同(五島正規君紹介)(第一三八三号)

 同(高村正彦君紹介)(第一三八四号)

 同(今野東君紹介)(第一三八五号)

 同(近藤基彦君紹介)(第一三八六号)

 同(左藤章君紹介)(第一三八七号)

 同(佐藤信二君紹介)(第一三八八号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第一三八九号)

 同(坂本剛二君紹介)(第一三九〇号)

 同(城島正光君紹介)(第一三九一号)

 同(鈴木俊一君紹介)(第一三九二号)

 同(園田康博君紹介)(第一三九三号)

 同(高木美智代君紹介)(第一三九四号)

 同(高木義明君紹介)(第一三九五号)

 同(竹下亘君紹介)(第一三九六号)

 同(武山百合子君紹介)(第一三九七号)

 同(橘康太郎君紹介)(第一三九八号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第一三九九号)

 同(谷本龍哉君紹介)(第一四〇〇号)

 同(寺田学君紹介)(第一四〇一号)

 同(中井洽君紹介)(第一四〇二号)

 同(中川正春君紹介)(第一四〇三号)

 同(中野正志君紹介)(第一四〇四号)

 同(中村哲治君紹介)(第一四〇五号)

 同(中山成彬君紹介)(第一四〇六号)

 同(中山泰秀君紹介)(第一四〇七号)

 同(西村明宏君紹介)(第一四〇八号)

 同(西村康稔君紹介)(第一四〇九号)

 同(根本匠君紹介)(第一四一〇号)

 同(能勢和子君紹介)(第一四一一号)

 同(橋本清仁君紹介)(第一四一二号)

 同(樋高剛君紹介)(第一四一三号)

 同(平井卓也君紹介)(第一四一四号)

 同(福島豊君紹介)(第一四一五号)

 同(冬柴鐵三君紹介)(第一四一六号)

 同(保利耕輔君紹介)(第一四一七号)

 同(細川律夫君紹介)(第一四一八号)

 同(牧野聖修君紹介)(第一四一九号)

 同(松下忠洋君紹介)(第一四二〇号)

 同(松島みどり君紹介)(第一四二一号)

 同(松本龍君紹介)(第一四二二号)

 同(御法川信英君紹介)(第一四二三号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第一四二四号)

 同(村井仁君紹介)(第一四二五号)

 同(村田吉隆君紹介)(第一四二六号)

 同(望月義夫君紹介)(第一四二七号)

 同(森田一君紹介)(第一四二八号)

 同(谷津義男君紹介)(第一四二九号)

 同(山本公一君紹介)(第一四三〇号)

 同(山本拓君紹介)(第一四三一号)

 同(吉田泉君紹介)(第一四三二号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一四三三号)

 同(米澤隆君紹介)(第一四三四号)

 最低保障年金制度創設等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四三五号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四三六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四三七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四三八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四四一号)

 同(山口富男君紹介)(第一四四二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一四四三号)

 社会保障制度拡充等に関する請願(石井郁子君紹介)(第一四四四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四四五号)

 有期雇用労働者に育児介護休業法の適用に関する請願(石井郁子君紹介)(第一四四六号)

 国立病院に働く職員の雇用継続に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一四四七号)

 育児・介護休業法の整備等に関する請願(山口富男君紹介)(第一四四九号)

 育児・介護休業法の改正に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一四五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提出第三一号)

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省年金局長吉武民樹君、社会保険庁運営部長薄井康紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。

安倍委員 自由民主党の安倍晋三であります。

 年金制度改革について質問したいと思います。

 その前に、一言申し上げておかなければなりません。それは、この議場内の十八の空席についてであります。

 昨年の総選挙において、国民の皆さんは、国民の生活を守るために、また、より向上させるために、そして子供たちの未来のために、しっかりと国会で有権者を代表して議論してもらいたい、そして、どの候補者がその一票を託すに足るか、思いを込めて一票を投じられたのだろう、こう思うわけであります。

 我々国会議員の大きな責任は、その国民の負託にこたえて、本会議場において、そしてまた委員会室において、しっかりと議論をしていくことであります。そして、国民の目の前で、何が問題であるのか、何を変えていくべきかを明らかにする、それが私たちの責任であり、義務でもあります。街頭で演説をしたり、あるいはテレビの討論会でしゃべる、これは国会議員以外にもできるわけであります。我々にしか与えられていない権利は、この議場で議論することであります。であるからこそ、私たちにとって重い責任として、しっかりとした議論をこの委員会室で進めていくことではないだろうか、こう思うわけであります。

 私たちは、国民の生活に最も結びついた、そして将来の安心である年金制度の改革を議論する、この通常国会の大きなテーマでもあるわけであります。我々与党はそれぞれ党議決定をし、そして政府はこの年金改革関連法案を提出しているわけであります。そして、きょうから国民の目の前で我々はしっかりとした議論を進めていきたい、こう考えています。

 ドアは開かれているわけであります。民主党の十七名の委員の皆さん、そして社民党の一名の委員の皆さんに、ぜひとも速やかにこの委員会室に戻って、その責任を果たしていただきたい、こう思います。それが国民の望みであり、昨年彼らに一票を投じた多くの、何十万という有権者の願いであり要求である、このように思うわけであります。

 それでは、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 今回の年金制度の改革は、どのような体制のもとにおいても給付と負担の均衡を図り、しっかりとした持続可能な年金制度をつくっていくための抜本的な改革である、こう思います。今まで、五年毎に年金再計算を行い、そして、そのたびに給付と負担を変えて、法案の改正を行ってきたわけであります。当初の出生率の予測がそのたびごとに下回ってきたということもあります。そうしたことが年金制度に対する安心感を毀損させてきたというのが事実ではないだろうか、こう思います。

 今回の抜本改革におきまして、我々は、出生率と密接なかかわりのある労働力人口、そして平均寿命の余命を数値化したものをマクロスライドとして、そうした変化に自動的に対応できる持続可能な制度に改革を行ったものであります。

 もし、今この改革を行わなければ、前回の改革によって保険料の凍結を行っているその結果、年金財政は赤字基調になっておりますし、このまま放置をいたしておりますと、厚生年金は二〇二一年に、そして国民年金は二〇一七年に積立金が枯渇する、こういうことになってしまうわけであります。我々は、責任ある政党としてこの状況を放置するわけにはいかない、こう決断し、この抜本的な改革に取り組み、そして成案を得て党議決定に至ったということでございます。

 こうした年金制度の改革について言えば、いろいろな設計がある、いろいろな考え方があるのは当然であります。私たちの党内での議論の中におきましても、基礎年金部分はすべて税で賄った方がいいんではないかという議論があったのも事実でございます。民主党が出している案もややそれに近い案ではないだろうか、最低保障年金の部分をすべて税で賄う、こういう形にしています。

 この仕組みは一見わかりやすそうに見えるわけでありますが、果たして本当にいいのだろうか、このように思うわけでありまして、そしてその結果、与党の案として、政府案としては、基礎年金の部分の二分の一を税金を入れる、国庫で負担する、そのように最終的に決定をしたわけであります。

 民主党が考えているようにすべて税金で賄うということにしたときに、私は、大きな不公平が生じるのではないだろうか、こう思うわけであります。二十から年金受給に至るまで営々と四十年以上年金をまじめに払い続けた人たち、そしてまたもうすぐ年金をもらおうとしている人たち、この皆さんは、ずっとまじめにこつこつと年金を払い、そしてその年金制度、保険制度の対価として給付を受ける、こういうことになるわけであります。

 しかし、将来この部分を全額税にする、保険料を免除するという形にしたときには、民主党案はそれを消費税で賄う、こういうことであります。ということになりますと、今まで営々と、ずっとまじめにこつこつ払ってきて年金をもらっている人たちも、またこれからもらおうとする人たちも、この保険料を払わなくていい人たちのために、消費税という形でその人たちも負担をしなければならない、こういうことになるわけであります。

 年金制度というのは、五十年、百年という長いスパンでの制度でありますから、当然その中での多少の不公平は出てくるわけでありますが、これは耐えられない不公平ではないだろうか、その結果、年金制度に対する信頼感は失われ、崩壊につながっていく、私はこのように考えるわけであります。

 政府の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

坂口国務大臣 安倍幹事長に御質問をいただきまして、大変恐縮に存じます。

 ただいまお話ございましたように、年金は負担と給付からでき上がっているわけでございますし、現在の年金制度は、負担につきましてはそれぞれの人がその能力に応じて負担をする、そして、給付の方はできるだけ公平に給付を行う、そうした形ででき上がっているわけであります。負担を少なくともその能力に応じて行うということが原理原則になっているわけでありまして、これは現在の年金の哲学と言ってもいいというふうに私も思っております。

 今御指摘をいただきましたように、この基礎年金すべて、あるいはまたその多くであったといたしましても、それを税制で置きかえるということになりますと、先ほど御指摘をいただきましたような不公平というものが生じてくることは、私もそのとおりだというふうに思っております。

 やはり、年金制度、今後もこの制度を維持しなければならないわけでございますし、この少子高齢化の中でそれをつくり上げていかなければならないわけでございますから、お若い皆さん方には、あるいはまた次の次の世代の皆さん方には応分の御負担をいただかなければならないことは事実でございますけれども、しかし、負担と給付、お互いが支え合うというこの制度があって初めて継続できるものというふうに思っている次第でございます。

安倍委員 基礎年金の給付費について言えば、来年度は十六・八兆円であります。しかし、その後、老齢人口はふえ続けるわけでありまして、二〇二五年には二十七・二兆円に達する、こういうことになってくるわけであります。

 一方、民主党案について言えば、民主党案は現行の保険料はそのまま据え置く、一三・五八%は据え置いていくということであります。そして、それと同時に、大体給付は現役世代の五〇%ぐらいは出せるんではないだろうか、こういうことを言っています。

 今、大体四人で一人の年金受給者を支えているという仕組みが、二〇二五年には二人で一人になっていくわけであります。それを考えていけば、それはとても無理だろうというのはだれが考えてもわかることだ、こう思うわけでございます。現行程度の保険料率を維持して所得比例年金に充てる場合には、中低所得者層にかなりの彼らが言っている最低保障年金、つまりすべて税で賄う給付をしなければ当然現行の給付は維持できないということになれば、彼らが言っているように三%程度消費税を上げることで済むとはとても思えないわけであります。

 しかも、さらに彼らは、移行期には現行制度による給付を行っていくということを言っております。その間の足りない分は国庫で、税金で持つ、こう言っているわけでありますから、当然さらにそれは消費税に上乗せをしなければいけない話であって、これは相当の消費税率につながっていく、このように私は思うわけであります。

 まさに彼らは、選挙を目の前にしているので、保険料率はそのままにしていく、あるいは給付はやっていくということを言っているにすぎない、全く絵にかいたもち以前の案ではないだろうか、こう私は思うわけであります。

 民主党は、年金のいわゆる一元化についての総理の御発言について質問をした際の総理の答弁が気に食わないといって、今審議に残念ながら加わっていないわけであります。与党と野党という関係の中で、いつも総理が野党の質問に対して彼らの気に入る答弁ができるとは限らないわけでありまして、であるからこそ、与野党に分かれていて、そしてその中で議論を進めていく、それが議会ではないだろうか、こう思うわけであります。

 この年金の一元化について議論を少し整理していきたい、こう思うわけでございまして、今まで年金一元化はどのように進められてきたのか、そしてまた、今後どのように進めていくことが決まっているかについて、お伺いをしたいと思います。

坂口国務大臣 年金の一元化という言葉は言われて久しいわけでございますが、一元化の中身につきましては、その時々、やはり意味合いも違っていたというふうに思います。

 昭和五十九年でございますか、閣議決定がされまして、その中で年金の一元化という言葉が使われておりますが、これは、いわゆる被用者保険、すなわちサラリーマンの入っておる厚生年金を初めとした共済年金その他の職域年金の一元化を言ったものでありまして、現在の国民年金を含めた一元化ではなかったというふうに思っております。私も読み直しましたけれども、そういうふうに、被用者年金でございます。

 以後、サラリーマンの報酬に比例しました二階部分につきまして、共済年金の給付設計を厚生年金と同じように見直しを行いましたり、あるいはまた、就業構造の変化でありますとか制度の成熟化に対応した制度の安定化と公平化を図るために、財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るといったようなことをやってまいりました。

 さらに、御承知のとおり、旧国鉄、たばこ産業、そしてNTT、これらの分野が厚生年金と合併されたと申しますか同じになったわけでありまして、こうしたことが逐一されてまいったところでございます。

 そして、平成十三年の閣議決定がございまして、これは、被用者年金制度の統一的な枠組みの形成を図るためのさらなる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図る、こういうことを述べておりまして、とりわけ現在の共済年金、それも国の共済、そして地方の共済、そうした財政的な問題をどういうふうに一元化していくかといったようなことにつきまして進められているのが現状でございます。

 そうした中で、国民年金を含めました一元化というのは、今回私は初めて出てきたのではないかというふうに思っております。もともと、サラリーマンと自営業者の皆さん方というのは大きな違いがございます。一番大きな違いは、何と申しましても、定年制があるのとないのと、それが大きな違いでございますし、もう一つ、所得がいつも変化する。サラリーマンはそんなに大きな変化はないのが普通でございますけれども、自営業者の場合には年々歳々変化をするといったことがございまして、そうしたものを、同じ年金制度の中でそれを実現できるかどうかということは、非常に難しい点だというふうに思っている次第でございます。

安倍委員 今の大臣の御答弁によりますと、年金制度の一元化というのは、そもそも二階建ての制度を前提に進めてきたわけであって、一階部分の基礎年金については、これは基礎年金という形で一元化されたと言ってもいいと思います。そして、二階の部分については、いわゆる被用者保険について一元化を進めてきた、こういうことなんだろうと思います。しかし、この被用者保険の部分と国民年金は、そもそも成り立ちも違うわけでありますし、被保険者の業態も違うわけでありますから、ここは前提としてこなかったというのが政府の立場であった、こういうことだと思います。

 しかし、総理は、やはり常に年金制度というのはベストなものを目指さなければならない、その中では、いろいろな可能性を求めて何がベストかを考える、また検討するべきであるという中にあって、年金の一元化ということも当然考えなければならないということをおっしゃったんだろう、それは当然ある問題意識なんだろう、私はこう思うわけであります。

 私は個人的には、国民年金と被用者保険を果たして一つにするのがいいんだろうかという感じはあります。その中で、これを一つにする際の問題点、そしてまた、もし問題点を乗り越えて一つにしたときのメリットはどういうものがあるのかどうかということについて、政府にお伺いをしたいと思います。

坂口国務大臣 一元化をするというふうにいいましたときに、一元化の姿形もさまざまあるんだろうと思います。日本経団連の皆さん方がおっしゃっておりますように、いわゆる基礎年金は一律にして、そして二階部分は民営化をするというような一元化も中にはあるわけでございますので、一元化のやり方というのもさまざまあるんだろうというふうに思っております。

 ただ、民主党が御指摘になっておりますような一元化をしていこうというふうに思いますと、どうしましても、自営業者の皆さん方の所得把握というものがきちんとできるということが大前提になるというふうに思います。この所得把握というものができなければいけないわけでございますので、これは納税者番号制か何かを導入して所得を把握していくということが多分行われなければならないんだろうと思いますし、納税者番号を導入いたしましても、キャピタルゲインやそうしたものを把握することはでき得ましても、全体像を把握することはなかなか至難のわざではないかと思いますが、一応、そういう問題点がございます。

 それからもう一つ、自営業者の皆さん方に保険料を出していただきますときに、それは売り上げの額から出していただくのか、あるいはそこから経費を引いた所得から出していただくのか、あるいは課税所得から出していただくのか、そうしたこともこれから問題になるのではないかというふうに思います。サラリーマンでありますと、給与からそのまま保険料が掛けられておりますので、それと同じようにするということになりますと、売り上げそのものに対して掛けるということになりますし、これはなかなか大変なことだと思っております。そうした問題点がございます。

 それから、個人単位にするのかどうかということについては、明確ではございませんけれども、いわゆるスウェーデン方式、スウェーデンがやっておりますのは個人単位になっているわけでございまして、個人単位にするということになれば、女性の賃金、男女格差というものを今後どういうふうに直していくかといったような問題も大きな課題に上ってくるのではないかというふうに思う次第でございます。

安倍委員 今後さらに年金制度の検討というのは当然続けていくべきなんだろう、こう思うわけであります。しかし、今回の年金制度は、我々自信を持って国民の皆様に提示できる抜本的な改革である、こう思うわけであります。次には介護保険制度の改革があり、そして次には医療保険制度の改革がある、こう思うわけでありまして、こうした社会保障制度の改革全体をにらんで、給付と負担のバランスがどうあるべきか、あるいは高齢者への給付額はどれぐらいが適切かどうか、あるいは高齢者への給付とそしてまた子供たちへの給付、児童への給付とのバランスがどうあるべきかということもやはり今後考えていかなければならないんだろう、こう思うわけであります。

 いずれ、今回の年金制度改革を織り込んだ社会保障全体の給付と負担の見通しが示されるというふうに聞いているわけでありますが、今回の年金制度改革によって社会保障全体の国民負担はどの程度になるのかということについて、お伺いをしたいと思います。

坂口国務大臣 社会保障全体の給付と負担の見通しでございますが、これは平成十四年一月に行われました人口推計を踏まえまして平成十四年の五月に策定したものでございますが、それによりますと、二〇二五年の社会保障に係ります負担は、対国民所得比で三二・五%というふうになっております。今回、この年金制度の改正で年金の保険料の上限を一八%台に落としましたので、これで二%ぐらい減るというふうに計算をいたしておりまして、現在のところ、全体で三〇%、対国民所得比で三〇%程度というふうに見込んでいるところでございます。

 今後の医療費の動向、とりわけ高齢者医療の動向、さらに介護の動向等によりまして、この値に多少の違いは出てくるかと思いますけれども、介護とそれから医療との間の整合性、特に、そこに重なりがある部分はなくしていかなければならないというふうに思っておりますし、また、年金とそして介護あるいは医療との関係につきましても、そこで整理をしなければならないところは整理をしていくということで、我々も今後の社会保障全体に穴があいているようなことがないように、あるいはまた重なりがないように、そうしたことに十分な注意をしながらやっていかなければならないというふうに思っているところでございます。

安倍委員 年金制度に対する不安の中の一つは、未納者が増加をしているということであります。よく、マスコミにおいて、またあるいは野党の皆さんが、未納者が四割もいる、事実上崩壊しているではないか、こんなことを報道したり、また主張しているわけであります。確かに、未納者の増加というのは重大な問題であるというふうに思います。

 しかし、この未納者の問題でありますが、保険料を払っておられない方々の中には二種類あるということは、意外と国民の皆様も御存じないのではないかというふうに思います。それは、一つのカテゴリーは、本来年金保険料を払わなければならないのに払っていない方々、そしてもう一つは、所得が低いということによって払いたくても払えないという方々であります。

 いわゆる免除者の方々と未納者、二つの分類になるわけでありまして、この未納者の皆さん、江角マキコさんなんかがその一つの例なんだろうと思うわけでありますが、こういう皆さんについては、払っていない分については年金がもらえないわけであります。そして、あるとき気持ちを入れかえて払おうと思っても、これは二年しかさかのぼることができないということになります。

 一方、所得が低いために払いたくても払えない方々について言えば、これは払えるようになれば十年間さかのぼって払うことができますし、そしてまた、国費が入っている部分、現在でいえば三分の一については三分の一だけもらうことができます。将来二分の一に上げていけば二分の一ということになるんだろう、こう思います。

 未納者の数は現在三百二十七万人、そして免除者の数は、これは大分ふえまして、四百七十五万人ということであります。この未納者が増加、またあるいは現在のこの状況が年金制度の崩壊につながるかのごとくの議論があるわけでありますが、実際に果たしてこの未納者の増加は年金財政にどの程度影響を与えるのか、お伺いをしたいと思います。

坂口国務大臣 もし具体的な数字が必要でございましたら局長の方から少し答弁をさせますが、今お話ございましたとおり、国民年金の未納者の問題は払えない人と払わない人と両方あるわけでありまして、いわゆる払わない人に対してどうしていくか。

 今御指摘のように、三百数十万人の人たちがいるわけでございまして、その人たちをどうするかという問題でございますが、未納者が存在することによりまして、短期的に見ますと、これは、厚生年金制度でありますとか共済年金制度が負担する基礎年金拠出金というのが割高になるということはあるというふうに思いますが、しかし、長い目で見ますと、払わなかった人には、これはもう年金を払わないわけでございますから、今度は給付の面でそこに不必要な部分ができてくると申しますか、払わなかった人には払わないということで、そこで財源が浮いてくる。結局のところはプラスマイナスなくなるわけでございます。

 もし影響するとすれば、それはいわゆる積立金で、そこで調整をしていくわけでございますので、一時的に積立金が若干減って、いわゆる積立金の運用益というものに若干影響を与えるということはあるんだろうと思っておりますが、しかし、結果としては御迷惑をかけないということになるというふうに理解をいたしております。

安倍委員 いずれにいたしましても、この未納者の問題を殊さら誇大に宣伝をして、いたずらに保険制度への不安をあおり立てるべきではない、こう思うわけであります。しかし、江角さんのケースでもわかったように、十分にやはり本人に通知をする、あるいはしっかりと催促をするということは必要ではないだろうか、こう思うわけであります。

 時間が参りました。重ねまして、民主党の十七名の委員の皆さん、そして社民党の方に、速やかにこの議場に戻って一緒に議論をしていただきたい、このようにお願いをいたしまして、私の質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。

衛藤委員長 次に、長勢甚遠君。

長勢委員 自民党の長勢甚遠でございます。

 ようやく年金改革法案の審議に入ることができました。まことに残念なことは、民主党、社民党の皆さんが御欠席だということであります。

 野党は、先ほど幹事長からもお話がございましたが、みずからが法案が出せないでいるということを理由にして政府案の審議を拒否する、まして、みずから本会議に出ながら、それが気に食わないといって本会議のやり直しを求めるなどなど、全く単に法案の審議を引き延ばすだけのことでございまして、選挙目当ての行動と言わざるを得ない。国民が最も関心を持っておるこの問題について審議をボイコットするというのは、責任政党としてなすべきことではないと考えます。

 我々としてもこの場で堂々ときちんとした審議をしたかったわけでございますが、といって、こういう理不尽な行動のために審議に入れないということは許されないことでございますので、このような形で審議をすることになりました。まことに残念でございますが、民主党、社民党の皆さんの猛省を望むところでございます。

 民主党さんが法案をいつ出されるのか、もうすぐという話も聞きますが、ぜひ出してもらって、この場で堂々と議論をしたい、我々は手ぐすねを引いて待っておるのであります。ここできちんとした議論をすれば、我々の政府案が真にこれからの国民のためになるものであるということを明確にすることができるわけでありますので、我々は断固としてこの成立のために全力を挙げる、この決意をまず申し上げたいと思います。

 伝えられておる野党案と称するものには、幹事長もお触れになりましたけれども、まことにたくさんの問題があるわけでありますから、実は私もここでこのことをただしたかったのではございますけれども、まだ出ておりません。そこで、きょうは、政府案について国民の皆さんに理解が若干不足をしておる、あるいは誤解もあると思いますので、政府案について国民の皆さんが十分に理解をいただけるように、そのことを念頭に置いて御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、どういうわけかといいますか、年金は皆さん大変関心を持っておられるわけでありますが、政府案に対しては必ずしも評判がよろしくない、批判がたくさんある、これが現実と言ってもいいかもしれません。また、そういうふうに考える、また感ずる方々がおられるというのは、何といっても、だれでも保険料が上がったり給付が下がったりするのは嫌でありますから、そう思うのは自然といえば自然であります。

 そういう中で、夏には参議院選挙もあるわけで、これだけ批判があるにもかかわらず、また、参議院選挙に不利ではないかと言われておるにもかかわらず、この法案は断固として成立を図らなきゃならぬ、こういうふうにお考えになっておるその理由、これは何で日本のためになるのか、この決意をひとつまず最初にお伺いしたいと思います。

森副大臣 坂口大臣が参議院本会議に出席のために、私の方から御答弁をさせていただきます。

 釈迦に説法でございますけれども、少子高齢化が想像を絶するスピードで進行しております。この年金制度を今のままほうっておきますと、二〇三〇年代になりますと最終的な保険料水準が、厚生年金で二六%、国民年金で二万九千五百円という高水準になります。こういったことで、将来世代の負担が大変大きいものとなりますので、制度を持続可能なものとする改革が現時点において喫緊の課題となっております。

 これまでにも随時改正を重ねてきたわけでございますけれども、人口、経済状況の変化があるたびに給付内容などに変化がありましたので、こういったことも、国民の年金制度に対する不安を招来する一因になったのではないかというふうに考えております。

 今回の法案は、こうしたことから、五年ごとに改正するのではなく、まず、負担については最終的な保険料を明示する、また、給付については人口や経済の変動に応じて給付を自動的に調整しながら下限を定める、また、基礎年金の国庫負担を引き上げることなどを内容としたものでございまして、いろいろな御意見があることは十分承知をしておりますけれども、何より、こういった状況を踏まえまして、少子高齢化の進行の中でも持続可能な年金制度に改正いたしますために、今回この法案を通していただくことが私どもの国民に対する責任であるというふうに考えております。

 どうか、長勢理事初め委員各位、また各党各会派の十分な御審議の上での御理解を心から御期待、お願いを申し上げる次第でございます。

長勢委員 お話のとおり、年金はもう破綻に瀕しておるわけで、待ったなしであります。にもかかわらず、野党は断固廃案と称しておるわけでありまして、廃案になったらこれはどういうことになるのかということを大変危惧するものであります。

 伝えられる民主党案によりますと、この民主党案なるものは、今回年金制度を改革するという案ではない、五年間かけて、国会に調査会のようなものをつくって検討して、それから改革を進める、こういう、いわゆる改革法案ではなくて改革推進法案というふうに伝えられております。ということは、逆に言うと、廃案にして五年間は何もしないという改革先送りの案であると言わざるを得ません。

 ということになると、今副大臣から、今やらなきゃどうするんだ、そのために命がけでやっているんだという力強いお言葉があったわけでありますが、これを五年間このままにしておいたら、当面、保険料は上がらない、年金額も下がらないということにはなるのかもしれませんが、それでどういうことになるのかということを、ひとつ明確におっしゃっていただきたいと思うんですね。

 五年間何もしなくても破綻が全然進まない、五年後にやっても、仮に保険料を上げる、給付を下げるとしても今と同じだというんだったら、何も慌てることはないということになっちゃうんですが、私は、そんなばかなことはあるわけはないと。どんどんどんどん破綻が進んで、五年後に直そうと思うと、もっとえらいことをしなきゃならぬ、こういうことになったらどうしてくれるんだという思いなんです。

 このまま五年間ほっぽっておく、廃案にするということはどういうことになるのか、ひとつ明確に御答弁いただきたいと思います。

森副大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、仮に五年間改正を先送りいたしました場合、保険料据え置き、現行給付水準を維持することとなりますから、改正案の収支見通しに比べ、保険料収入は減少し、年金給付は増加いたしますので、年金財政の実質的な赤字幅が大幅に拡大いたします。平成二十年度、すなわち二〇〇八年度の厚生年金の積立金は、改正案の約百五十六兆円から百四十九兆円、すなわち七兆円減少する見込みとなります。

 また、年金財政の均衡を図るためには、改正案の収支見通しと比べた財政悪化の影響分を、さらに保険料を引き上げるか、その上に給付水準の調整を行うかによって吸収する必要が生じますので、いずれにしても、将来の世代に負担を先送りすることにつながります。

 また、つけ加えまして、民主党案では、平成二十一年度に新制度が発足するまでの間、先ほど委員から御指摘があったとおり、現行制度を続けることになっているようでございますので、ただいま申し上げた財政悪化と同じことが生じることになりまして、制度体系をどのようにその時点で変えたとしても、この悪影響は残ることになります。

長勢委員 わかりやすく言うと、民主党のお考えは、年金の不良債権をさらにさらに大きくしたい、こういうことになるということだろうと思うんですね。これは早急にこの改正案を通してこういうことを防がなきゃならぬ、そういう決意を新たにいたします。

 ところが、この年金の議論は非常にわかりにくいんですね。大変複雑でありますし、それから、それぞれの方々がいろいろな事情の中でこの制度に加入されておられますので、どの話が自分に関係あるのかないのか、よくわからない。まして、政府のお話も、マスコミの報道も、いろいろなテレビその他の議論も、大変立派な術語がたくさん出てきまして、何の話をされているのかよく理解できない。私も、地元でいろいろな話をしていまして、きょうもテレビでそういう討論会があったけれども何の話かわかったかと聞きましたら、何言っているのかよくわからなかったという人がほとんどであります。これは非常に残念なことであります。

 そういうことなものですから、逆にいろいろ、大筋とは直接関係のない、ミクロの話が大手を振ってまかり通る。もちろん、そういう問題、制度そのものに絡むいろいろな不合理はあります。例えば、先ほどお話のあった未納の問題だとか、あるいは保険料のむだ遣いの話だとか、いろいろな問題があるわけで、これは直さなきゃならぬところでありますけれども、そのことにかまけて、本当の大筋の話ができなくなっている。木を見て森を見ずの議論になっているということは、これからの日本の将来を考える上で非常に困ったことであります。ぜひ、国民の皆さんにもう少しわかりやすく、それぞれの身になった議論、話というものができるように、政府も努めていただきたいと思うんです。

 私も、正直言って余りわかっていない人間の一人でありますので、恥ずかしいのでございますが、ひとつ基本的なところからお聞かせをいただきたいと思います。

 何がわからないといったって、大体自分が、例えば保険料が上がるだの下がるだのと言っているけれども、これはおれの話なのか人の話なのかさえよくわからないんですね。年金といっても、言葉だけでも、私が知っているだけでも、まあほかにもあるかもしれませんが、基礎年金という言葉があったり、国民年金という言葉があったり、厚生年金という言葉があったりする。では、おれはどの話を聞けばいいのか、どれが関係ないのかあるのか。人の話について文句ばかり言っていて、本当に考えてみたら自分には関係なかったというのではどうもならないわけでありますから、まず、この三つだけでもわかりやすく、私でもわかるように教えてもらえないでしょうかね。年金局長、お願いします。

吉武政府参考人 その前の御質問、先ほど副大臣が御答弁申し上げました、今回の政府案と違いまして、保険料を五年間さらに凍結するということで、簡単に影響を申し上げますと、標準世帯のケースで、将来の厚生年金の新規裁定の給付水準、いわゆるサラリーマンの方ですけれども、五〇・二%が、二・五%ほど低下いたしまして四七・七%になるだろうというふうに考えられます。

 それから、将来の保険料率でございますが、最初の引き上げがおくれますので、最終保険料が逆に上がりまして、給付水準を下げないとすれば保険料は上がりまして、一八・三%が一九・三%ぐらいに、約一%程度の影響が出るだろうということで、先生がおっしゃるとおり、この五年間のどういう政策をとっていただくかというのは、将来の姿に非常に大きな影響を与えるということだろうと思います。

 それから、今お尋ねの件でございますが、先生がおっしゃるように、非常にわかりやすく御説明できるかあれでございますが、一つは、年金のいわゆる集団の単位で申し上げますと、いわゆる国民年金に属していただいている方は、自営業の方、あるいはその自営業の方の奥様でありますとか家内従事者の方、この方が基本でございますが、その中に短時間労働者の方なども入っておりますし、現在の時点で申し上げますと、従業員規模の非常に小さな民間サラリーマンの方も入っておられます。ただ、国民年金は、基本的には自営業の方を基本に置いて設計をいたしております。

 それとは別に財政単位で申し上げますと、民間のサラリーマンの方につきましては、厚生年金というところで保険集団を組んでいただいています。このほかに国家公務員、地方公務員それから現在私学という形で、いわゆる公務員年金の分野がございます。

 それから、給付の基本で申し上げますと、この三つの制度につきましては、六十年の制度改正によりまして、基礎年金という形で、基礎的な給付は共通の水準で給付をしようという形になっております。したがいまして、自営業の方、民間サラリーマンの方、公務員にとりまして、基礎年金は完全に共通の給付でございます。

 これに加えまして、民間の厚生年金の方につきましては、いわゆる報酬比例年金というのがございまして、二階建ての年金があるという形でございます。さらに、公務員年金につきましては、いわゆる職域部分というのがございまして、三階建てになっているというのが現状の姿でございます。

 それで、なぜこういう形で分かれておるかということでございます。

 先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、サラリーマンで申し上げますと、通常は退職することによって稼得の手段をほぼ喪失するということを想定いたしております。したがいまして、従前の賃金あるいは従前の収入に対してどういう年金水準を考えるかということでサラリーマンの年金水準を考えていくということになるだろうというふうに思っています。

 それから、自営業の方は、先ほど来お話がございますが、実際に、では、どういう所得を持っておられるかということはなかなか把握しがたい。しかし、では、自営業の方の所得を収入だけで把握するということは、これは事業をやっておられるわけでありますので、外形標準課税的なことになりますので、収入に応じて保険料を払っていただくというのも非常に無理だろうということだろうと思います。

 国民年金制度の創設以来、いわゆる所得比例の保険料を自営業の方にお願いできないかということはずっと検討がされておりますが、これもなかなかできないということで、自営業の方につきましては、定額の保険料負担をしていただき、先ほど申し上げました共通の基礎年金を給付する、こういう仕組みになっているというのが大まかなところでございます。

 説明が非常にわかりにくくて申しわけございませんが、そういう形でございます。

長勢委員 大変わかりやすかったんですけれども、自営業の方、店をやっておられる方々と農家の方々等々は、勤め人はたくさんもらえていいなという声をどこへ行っても聞くわけですね。これは国民の通常よく聞かれる不満であります。

 何でこんなことになっているのかと今るる御説明があったわけでございますが、簡単に言うと、サラリーマンは給料に応じて保険料を取られる、これは厚生年金というんだ、そこに入ってもらう。自営業の方々は定額で入ってもらう、これは国民年金、国民年金の人は定額の国民年金しかもらえない。それと、国民年金見合いのものを基礎年金といって、厚生年金に入った人は、サラリーマンの方々は、やめたときはその分にプラス自分の保険料に応じた分がもらえる。これだけの違いなんですね。

 これは、何でこうせざるを得ないのかということを、これは先ほどもお話しになった一元化の話でありますが、やはり皆さんに理解しておいてもらわないと、何か上がったの下がったのといって、だれが上がったのやら、だれが下がったのやらという中で、どうしても自分が下がるのは嫌ですから、あいつがうまくやっているという話に目が行くのは仕方がないんですけれども、それを直すときは大変なことになるということも理解した上で、やはりこの年金改革というのは国民の理解を得るようにしていただきたいものだと思っております。

 今回の改正は、そういう中で、これから少子高齢化が進む中で、将来とも安定的に持続可能なものにする、このための改革でありますからどうしても必要なわけでございますけれども、たくさんの不満が聞かれます。これは、現在年金をもらっている人と、それから今保険料を払っている人とでは、方向が違うわけですね。それぞれの思いで不満を言っておられるわけでありますから、それぞれに対応した説明というか、御理解をいただく必要があると思います。

 まず、現在年金をもらっている人たちの不満というか不安というのは、今度の改正があれば、これからどんどん将来自分のもらう年金が引き下げられていくんじゃないかという不安をお持ちであります。そしてまた、今回、年金課税を強化するということもありますので、ますます年金の額が実質的に目減りをしていくんじゃないかという不安をお持ちなわけであります。これにぜひお答えをいただきたいと思うんです。

 まず、将来、今年金をもらっているけれども、自民党政府に任せておくとどんどん減らされるという悪宣伝が行われておるわけでありますが、そんなことはないというふうに聞いております。ただ、私がそんなことはないんだよと言ってもだれも信用してくれませんので、ひとつここで、何で今もらっている人たちは減っていかないのか。何か新聞によると、これから将来受給額は一五%減らすんだというのがでかでか載っていると、自分のもどんどん減っていくんだなとみんな思っちゃうわけで、そういうこととの関係も含めて、今後、今もらっている人たちの額というのは減るのか減らないのか、どうなっていくのかというのを少し具体的に説明をしていただきたいと思います。

吉武政府参考人 現在のこの改正前の制度で申し上げますと、これから年金を受給される方の年金額につきましては、賃金の上昇に応じて年金額を決定するという形になっております。それから、平成十一年の改正をしていただきまして、現在年金を受給しておられる方につきましては物価の上昇に応じて年金額を改定するという形にしております。

 それで、今回の最大のテーマであります給付と負担の安定を図ろうという考え方でございますが、先ほどの標準的なケースを申し上げますと、約二十年かけまして、二〇二三年ぐらいまで、今の基本的な考え方につきまして、被保険者の方の数がこれから減少してまいりますし、それから、二〇五〇年にかけて平均寿命が延びてまいります。この二つの要素は年金財政にとって不安定な要素でございますので、この二つの要素につきまして、今申し上げました現役の方で申し上げれば、一人当たりの賃金が上昇する要素からこの要素を引かせていただいて、賃金の上昇に応じて伸びる年金を少し抑制させていただいて、年金額の改定をさせていただこうというものでございます。

 それから、既に年金をいただいている方につきましても、これからの後輩である現役につきまして、そういう形で、いわば少し我慢をしていただいて全体の安定のために貢献をしていただくということでございますので、既に年金をいただいている方につきましても、物価の上昇から今申し上げたような率を引かせていただいて、抑え目の改定をさせていただくという形でございます。

 ただ、現在もらっている年金額は減るということはございません。これは、物価がマイナスになった場合を除きまして、現在受け取っておられる年金が減るということは行わないというのが今回の基本的な考え方でございます。

長勢委員 全体の難しい話はいいんですけれども、大事なことなんでしょうけれども、具体的には、下がらないということですね。

吉武政府参考人 物価がマイナスになるとき以外は下がりません。基本的に年金額は下がりません。

長勢委員 その次に、今度、年金に課税が強化をされるというふうに聞いておるわけでございますが、そうなると、実質的には年金額が減るというか引き下げられるということになるということだと思います。まあ、これは高齢世代と若い人たちの負担もあるわけでありますから、それなりに所得のある方等々については若干の我慢をしていただかなきゃならぬわけでありますが、これが逆に大変に老後生活に不安を与えるという宣伝もされておるわけであります。

 そういうことはあってはならないわけでありますので、そういうことになっておるのかどうか。大体、どういう方々にこれから税金が、年金課税が強化をされるのか、少しこれも具体的に説明をしていただきたいと思います。

 また、年金については、日本では、大ざっぱに言って保険料は非課税、つまり保険料を払えばその分は非課税、年金をもらえばそのもらった分も非課税というのが大筋の現行制度でありますけれども、世界じゅうではどっちも非課税というのは珍しい話で、どっちかでは税金をいただくというのが税の世界でも公平だと思うんですけれども、世界では年金に対する課税というのはどういうことになっておるのかも、あわせてお答えをいただきたいと思います。

吉武政府参考人 先生の最初のお尋ねでございますが、いわゆるモデル年金世帯の方、世帯全体のモデル年金額は年額二百八十三万円でございますが、今回の税制の見直しで年金額二百八十五万円までは課税をされないということになっております。したがいまして、モデル年金で生活をしておられる方については、所得税は引き続き課税をされないという形でございます。

 課税がされますのは、それより高い年金をもらっておられる方でございまして、基本的には、これは企業年金なんかも入ってございますので、先ほどの例えば公務員年金で三階建ての年金をもらっている人でありますとか、あるいは企業年金をもらっているような方について課税がされるということでございます。

 その課税で申し上げますと、例えば、世帯の合計収入が年金で三百三十万ぐらいの方につきましては、これまでは非課税でございますが、年金課税の見直しによりまして約三万三千円の課税になります。同じ三百三十万につきまして、現役の給与所得者世帯で申しますと、八万三千円の御負担でございますので、年金が高い方に御負担をお願いいたしますが、なお現役の方に比べます所得税の負担水準というのは緩和した形で、徐々に負担を、課税を引き上げさせていただくというのが今回の改正でございます。

 それから、年金税制につきましては、先生おっしゃるとおりでございます。

 例えば、アメリカの社会保障年金で申し上げますと、サラリーマンの方が御自分で負担していただいています保険料につきましては、日本と違いましてこれは非課税でございませんで、課税がされます。そのかわり、アメリカの年金給付では、ここの部分については課税がされない、入り口で課税がされますので出口で課税がされないという形でございます。

 日本の場合には、基本的には入り口で非課税でございます。事業主さんも非課税、それからサラリーマンの方の御本人も非課税でございまして、出口では基本的には課税対象でございますが、先ほど申しましたように、課税をされない方が相当数おられるという形でございます。

 そういう形で申し上げますと、外国では、アメリカはちょっと特別な例でございまして、基本的には拠出時は非課税というのが一般的でございまして、給付時には課税をしていこうというのが大体一般的な姿でございます。

長勢委員 先ほど言いましたように、それなりに生活ができる方には、若い方々も負担をしておられるわけですから、わかりやすく言うと、給料の額と年金の額が一緒のときに、若い方々が給料から取られる税金と、同じ額の年金をもらっているお年寄りが払う税金とが、若い人が高いというのではなかなか難しいことになりますので、そこら辺はひとつみんなで考えていこうじゃないかということは、私は大事なことだと思うんですね。

 そういう意味で、今回そういうことも配慮しながら、老後生活に不安のないようにというふうに配慮されたと思うんですね。それをもうちょっとわかりやすく言えないのかね。

吉武政府参考人 ちょっと額のことだけ申し上げましてあれでございますが、要するに、年金課税の基本的なところで申し上げますと、いわゆる公的年金控除ということで控除をさせていただきます。それにつきましては、六十五歳未満の方は五十万円、六十五歳以上の方は百万円という控除でございます。この六十五歳以上の方の控除につきまして、百万円から五十万円という形で、六十五歳以下の年金受給者の方と同じにさせていただいているわけです。

 しかし、それでは非常に急激な引き下げになりますので、いわゆる最低保障額ということで、この額以下はすべて控除するという額を設けておりまして、これが六十五歳未満の方は現在七十万、それから六十五歳以上の方は百四十万でございますが、これを七十万から百二十万という形でございます。したがいまして、六十五歳以上の方につきましては、六十五歳未満の方に対してなお控除額を大きくいたしまして、それで控除額の少し減少をさせていただきますが、それを百四十万から百二十万という形で非常に緩やかに減少させていただくということで対応いたしております。

 ちなみに、六十五歳未満の方の所得税の負担につきましては現役のサラリーマンの方の負担とほぼ同様な形になっておりまして、そのことによりまして、先ほど私が申し上げましたように、現役のサラリーマンの方よりも年金額が相当高い方であっても負担はなお緩和する形で今回の税制の改正をやらせていただいているという形でございます。ちょうど、現行とそれから通常のサラリーマンの方の間に緩和する状態を設けて、それで、モデル年金を中心として、いわば余り高くない年金で生活していただいている方については、この所得税あるいは住民税の御負担はお願いをしないというのが今回の税制改正の基本でございます。

長勢委員 この委員会の場は、いろいろな役割があると思うんですけれども、この議論を通じて国民の方々にわかってもらうというのも一つの大きな役割だと思います。今のお話は、国民の方々、聞いておわかりになった方がどれだけおられるか若干不安に思うわけで、それじゃせっかくこんないい法案を出しながら何にもならないわけで、ひとつぜひ、副大臣、政務官もおいででございますから、役所の方々を御指導いただきたいと思いますし、もし必要なら指導料をいただければ私も指導させていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、こういうふうに、現在もらっておいでになる方々、まあ御苦労はいただくわけでありますが、それほど大きな不安はないようにしてあるというふうに一応考えるわけであります。むしろ、今回の改正で問題というか大変なのは、今年金の保険料を払っている現役世代の方々、これが保険料がどんどん上がっていく、あるいは将来の給付水準が下がる、この方々が大変なんだな、その人たちの問題としてもっと大きいんじゃないかと思っております。

 そうはいいながら、年金はしょせん、いろいろな言い方があるとしても、負担と給付のつじつまが合わなければ制度は成り立たない。負担は税金と保険料でありますから、この引き上げ、そして給付の引き下げということは避けられない問題であります。それだけに、現役世代の方々についても、できる限り不満、不安のないようにしてあげなければなりません。

 現役世代の方々にとって、不安というのは、これで本当に将来年金はもらえるのか、もらえないんじゃないかという不安があります。また、現在もらっておられる世代の方々との不公平についてはやはり不満がある、これも事実でありますので、ここら辺をわかってもらうようにしなきゃならぬと思います。

 今回の改革によって百年間は大丈夫なんだ、絶対もらえるんだ、こう政府はおっしゃっておられるわけで、そのとおりだと思いますけれども、残念ながら、国民の方々は、本当かねと、必ずしも十分信用しておるという段階には至っていないというのが本当ではないでしょうか。やはり、これだけは、ただ大丈夫だ、大丈夫だと言っていたってなかなか信用してもらえない、今までの実績がありますから信用されないわけで、ここはひとつ、百年間大丈夫だというのを明確に、具体的に説明して、国民の方々もわかるように、安心させてやっていただきたいと思います。

森副大臣 今回の年金制度改正案のポイントは、先ほども申し上げましたとおり、まず、五年ごとに給付と負担を見直すのではなくて、将来の負担が過大とならないように極力抑制しながら、一方で、将来の負担の上限と給付の下限を法律上明らかにしております。また、急速な少子高齢化が進行する中で、年金を支える力と給付のバランスをとることができる仕組みに転換をいたします。また、課題でありました基礎年金の国庫負担割合についても、引き上げの道筋をお示ししております。こういったことによりまして、年金制度が将来にわたって高齢者の生活の基本的部分を支えるという役割を果たすことのできる持続可能な制度設計ができたというふうに自負をしておりまして、今回の改革は大変大きな意義があると思います。

 その結果として、現在生まれた子供がほぼ受給を終える二一〇〇年までの約百年間の財政バランスをとることといたしておりまして、将来推計人口の中位推計や、実質賃金上昇率が二〇〇九年度以降年率一・一%など、一定の人口や経済などの前提のもとでは、将来の保険料を一八・三%に固定いたしまして、社会全体の年金を支える力に応じて年金額を改定する新しい仕組みとなっておりますので、調整後の給付水準は、平成三十五年度、すなわち二〇二三年度以降五〇・二%を確保でき、給付水準の下限とした五〇%を上回る見通しとなっておりまして、以上をもちまして、百年後でも絶対大丈夫ということを申し上げます。

長勢委員 これからの、少子化なりそういういろいろなファクターのそれなりに慎重な水準を推計して、それに合わせて今回の改正をやれば、そういう事態が生じても百年間は大丈夫なように設計をしてある、こういうことでありますね。(森副大臣「そうです」と呼ぶ)もうちょっと力強く言っていただけませんかね。

森副大臣 そのとおりでございます。

長勢委員 そこで、年金をもらえるのはもう絶対心配がないということで安心はしましたが、その条件の一つは、将来、年金水準は五割になるよということだろうと思います。

 五割になるというのは、どういう形で五割になっていくのでしょうか、仕組みとして。ある日突然、これからもらう人はいつから五割になっていくんでしょうか。今現在もらっている人たちはどういう形で年金額が算定されておって、それの水準が六割近くということでありますが、将来五割になるというのは計算の仕組みが変わるんでしょうか。

 五割になるのは、どういう形でいつから五割になるのか、あるいはその真ん中に、五五%程度までにしておけばいいじゃないかという意見もありますが、五五%の水準になるのはいつごろになるのか、わかったら教えてください。

吉武政府参考人 今先生お話ございました五割ということは、先ほども申し上げました、いわゆる民間のサラリーマンの方、基礎年金と報酬比例年金を受けておられる方、モデルケースといいますか、その方のケースでございます。

 この年金額の計算でございますが、基礎年金の額、それから報酬比例年金につきましては、例えば四十年間加入をされますと、標準報酬の月額に対しまして、ずっと二十から三十、四十、五十という形で月給を受けておられるわけですけれども、その月給の価値を現在の価値に直します。例えば、二十年前の初任給が十万であったとすれば、現在の初任給が例えば二十万ということであれば二十万というふうに置き直しまして、それの平均額を出しまして、これに対しまして二八・五%相当の給付がされるというのが報酬比例年金でございます。そういう形で、サラリーマンの、奥様が専業主婦の方のモデルが現在五九・二%ということでございます。

 この年金の給付を、例えば新たに五年後に受けられる方につきましては、五年後にまた賃金が上がりますので、賃金の上昇に応じて年金の給付を考えるというのが基本でございます。

 その形で今は五九・二%の水準を設定するということでございますが、先ほど申し上げました、賃金によって上げることにつきまして、実際に支え手となっておられます現役の方々の数が減少してまいりますので、例えば名目賃金が二・一%上昇をいたしましたときに、その支える方の減少分、これから平均〇・六%ぐらいというふうに見通しておりますが、例えば〇・六%を引かせていただいて、それで一・五%ということになります。さらに、平均寿命が延びてまいりますので、平均寿命の延び率も引かせていただきまして、これは〇・三というふうに見ておりまして、それで一・二%という形で、賃金の引き上げに応じた年金額の改定を少し抑制ぎみにさせていただこうというのが今回の考え方でございます。

 したがいまして、だんだん新規裁定の現役の平均賃金に対する比率が下がってくるということでございますが、それは、名目年金額そのものは上がっていく中で抑制をさせていただくという仕組みでございます。

 それから、先生お尋ねございました五五%でございますが、二〇一二年が今の標準的なケースで五五・四%というふうに見ておりまして、二〇一三年度に五五より下がってくるという形でございます。そして、想定しておりますのは、二〇二三年度に五〇・二%ということになりまして、この後は五〇・二%という形でずっと安定的に維持ができるというのが標準的な試算の見通しでございます。

長勢委員 西暦に弱いものですから、何年後かよく計算できないんですけれども、この法律が通ったら、同じ水準で退職した人が、去年退職した人の年金額は六割だったけれども来年からは五割になるというわけではないということですね。毎年その水準が、今度、五九から八、七、四と下がっていって、五五%になるであろうのは二〇一二年ですか、五〇%になるのは大分先だ、こういうことなんですね。

吉武政府参考人 先ほどの標準的なケースで申し上げますと、去年退職した方に対しまして、賃金が二・一%上がりますと、ことし退職した方は、いわゆる厚生年金で新規裁定で受けられる年金額は二・一%上がります。そこを一・二%にさせていただくというのが今回の案でございますので、去年新規裁定を受けた方よりも一・二%上がるという形になります。

 それから、その状態が、先ほど西暦で申し上げましたけれども、平成三十五年、二〇二三年まで調整をさせていただくという形でございますが、現役の平均賃金に対する比率がだんだん下がってくるということでございまして、先輩の年金受給者に対しまして、次の年に受けられる年金受給者の年金額そのものは上がってまいりますが、現役も上がってまいりますので、現役との比率が五〇・二%まで徐々に比率としては下がってくるということでございます。年金額そのものは上がりますし、年金額の引き上げについては、先行する世代より後の世代の方が高い年金額になる、そういう改定でございます。

 それから、もう一点つけ加えさせていただきますと、この二十年間の調整をいたしまして、先ほどの百年間では均衡状態になりますので、二〇二三年以降は、本来の賃金スライドあるいは物価スライドに戻させていただくという形でございます。

 そういう意味で、この二十年間、給付と負担の調整について御理解を得て、ここで安定化を図っていただくことによって、二〇二三年以降の年金の受給を受ける方、これは今の年齢で申し上げると大体四十歳から以下ぐらいの方、この方たちは、給与に対する比率は下がりますけれども、本来の改定に戻るという形でございます。そういうことを四十代から上の方、あるいは今年金を受給している方に御理解をいただいて、将来の四十歳以下の世代の安定のためにまた御努力していただくというのが、今回の調整の基本的な考えでございます。

長勢委員 何か言いわけを含めたような答弁ぶりなものですから、かえって不安を持つ人が出てくることも起こりますから、気をつけて答弁いただきたいと思います。

 賃金が上がっていくから、前よりも下がる給付になることはないんだよ、ただ、給付率だけを少し下げていって、あるところまで行ったらもとへ戻すから御心配なく、こういう御答弁だったと思います。そういうことを少し皆さんにわかっていただかないと、五割五割と書かれると、来年になった後、だっと落ちるかと、みんなそう思って誤解されても困ると思うんです。

 それから、世間では、モデル世帯というんですか、モデル世帯で計算をして五割だということだから、モデル世帯というのは何だといったら、四十年間サラリーマンで働いていた御主人と四十年間専業主婦をずっとやっておった奥さんの世帯をモデル世帯というんだと。そうすると、一遍も就職もしないで一生涯過ごした奥さんのおる家庭というのはどれだけあるんだ、そんなものは参考にならないんだ、つまり、五割を確保される世帯というのは少ないんだという宣伝がまことしやかに行われておるんです。

 確かに、もうこういう時代ですから、四十年間全く御家庭におられるという方は少なくなったと思うんですね。しかし、そういう世帯を前提にこれは議論しているんですか。今のモデル世帯の言う専業主婦というのはどういう方のことを言っているんですか。

吉武政府参考人 今のモデル世帯を考えますと、通常で申し上げますと、御夫婦で、男性は老齢基礎年金を受給される、それから女性は老齢基礎年金を受給される、それから、男性は先ほど申し上げました民間のサラリーマンの報酬比例年金を受給されるという世帯でございます。

 これは、必ずしも四十年間女性が専業主婦であるということではございません。例えば、若いときに学校を出て自営業で働いておられた方、その方とサラリーマンが結婚されたケース。あるいは、学校を出て仕事をされずに、例えば家庭を手伝っておられた方、こういう方につきましては報酬比例年金はございませんので、こういう方に対して、サラリーマンの方と結婚されて年金を受給になられると、今言ったようなケースに該当いたします。

 それで、非常にこういう方が少ないんではないかというお話があるわけでございますが、現状で申し上げますと、男性の今申し上げました厚生年金の報酬比例年金をもらっておられる方で、かなりの長い期間加入されている方に対しまして、女性が報酬比例年金をもらっておられない方の比率が、現状で約五一%でございます。したがいまして、今の年金受給者の中で申し上げますと、今申し上げましたように、女性がいわゆるサラリーマンに支給される報酬比例年金をもらわないで基礎年金だけの方が五一%でございます。それから、私ども、先ほどの二〇二五年の推計で申し上げますと、この時点では、確かに、もちろん女性も働く方がふえてまいりますので、低下してまいりますが、それでも四二%の方はこれに該当するだろうというふうに推計をいたしております。

 ですから、そういう意味で、こういう方が非常に少数になって、年金のことを考えるときに考慮する必要がないという状態では決してございませんし、年金の受給というのは、三十年、四十年拠出の後に受給という形になってまいりますので、したがいまして、例えば、今働いておられる方がだんだん共稼ぎの方が多いという問題は、これはずっと先の将来の年金の受給に姿は与えますけれども、同時に、やはり年金の給付としてどう考えていくかというときに、このモデルというのは重要な意味を持っているというふうに思っております。

長勢委員 今局長おっしゃるモデル世帯というのは、受給世帯のうちのどれくらいの割合になるんですか。そして、その方々には五割を確保するということであれば、モデル世帯以外の世帯にはどういうことになるんですか。

吉武政府参考人 今申し上げました、男子の年金受給者のうちの約五一%ぐらいの方が、いわゆる専業主婦モデルに相当する年金給付を受けておられると思います。それから、将来は、この方は四二%ぐらいという形でございます。

 それで、モデル世帯以外の世帯でございますが、これはいろいろ世帯はございますけれども、典型的に御議論になります、四十年間ずっと男性も女性も仕事をされたという世帯でございまして、現在の厚生年金の男性の平均賃金、女性の平均賃金をずっと受けられた方という想定を申し上げますと、確かに所得代替率は五〇・二%より低いわけでございまして、三九・三%というふうになってまいります。しかし一方で、現在の物価の購買力に対応しました年金額、現在の価値での年金額を申し上げますと、専業主婦世帯の場合には、御夫婦で二十三万七千円でございます。これに対しまして、今の共働き世帯の場合には、御夫婦で三十万六千円でございます。

 ですから、所得が非常に高いので、所得に対する比率は五〇・二%から四割に下がってひどいではないかという御議論があるわけでございますが、これはもともと基礎年金制度の設計の中でそういうことを考えておるわけでございまして、給与の高い人はより世代間で貢献をしていただいて、基礎年金に対する拠出のいわゆる貢献の度合いが高いわけでございますので、基礎年金はある意味で定額の給付でございますから、そこは給与の低い方にとっては基礎年金の価値は高い。それから、給与の高い方にとっては基礎年金の価値は少し低くなるということでございますので、今申し上げました収入に対する比率は三八・九%でございますが、御夫婦の年金額は三十万六千円になるという形でございます。したがいまして、お一人で申し上げれば十五万ぐらいという形でございまして、年金額は上がっていくという形でございます。

 そこを年金の給付設計でどう考えるかということでございますが、今の基礎年金と民間サラリーマンの報酬比例年金の考え方は今の考え方でございまして、むしろ、給与が中ぐらいの方、あるいは給与が中ぐらいより若干低い方に対して所得代替率は高めて、それから給与の高い方については所得代替率を低めて、そのことによって、ある意味での再配分を行おうというのがこの考えでございます。

 当然、非常に収入の多い共稼ぎ世帯の方は所得に対する比率は下がってくるということ、ただ、お一人当たりの年金額はもちろん上がる、高いということでございます。

長勢委員 専業主婦モデルというと、何か専業主婦という言葉に殊さらに意味を持たせて批判をする雰囲気がありますので、かえって誤解を与えると思うんですね。今の説明はわかりましたが、少し言葉をかえてなさった方がいいんじゃないか、このように思います。

 それから、保険料の引き上げがいろいろ話題になっておるわけであります。具体的な中身は法案に書いてありますから、ここで特に御質問はいたしませんけれども、毎年〇・三五四%引き上げる、こういうことでありますが、なかなか、率で言われるとよくわからないんですね。一万円ずつ毎年上がっていくんだといっても、聞きようによっては、毎月一万円ずつ上がるのかと誤解する人もおって、そうすると、月になるというのかどうなのか。これは、具体的な実額でいくと、毎年どれくらいの負担になっていくんですか。

吉武政府参考人 実額で申し上げますと、現在、男子の厚生年金の現役の方の月収の平均が三十六万円でございます。この方に対応して申し上げますと、御本人の負担で月額六百円の引き上げをお願いするという形になる。なお、これとは別に、もちろん事業主負担として六百円の負担を事業主にしていただきますが、御本人の負担としては月額六百円の負担をお願いするという形でございます。

長勢委員 そうすると、そういう方はこれから、この法案が通れば、ことし月六百円上がる、来年はそれにまた六百円上がる、こういう仕組みになるということですか。

 それで、最終的にサラリーマンの方々の保険料率は一八・三〇で上限だ、これがうたい文句になっておるわけでありますが、一八・三〇でとまるというのは、どういう仕組みでとまるんですか、どこで担保されているんですか。

森副大臣 今、どこでとまるかというお尋ねでございますけれども、これは、将来の現役世代の負担が過大とならないように極力抑制しつつ、保険料の上限を法律で規定して固定することにいたしたわけでございますけれども、こういった制度を成り立たせるために、少子化の進行など社会経済の状況の変化には、給付水準を年金を支える社会全体の力に応じて調整する仕組みを導入することにより対応していくものでございます。

 この一八・三〇%という最終保険料率の水準は、公的年金としてのふさわしい給付水準の下限として五〇%を確保できるように定めたものでございます。この一八・三〇%という最終保険料率のもとで、五〇%の給付水準が確保できますように、制度の適切な運営に努めるとともに、次世代支援対策や、経済の回復、またさらに成長に向けまして全力を挙げて取り組むことが重要であるというふうに考えております。

長勢委員 自分の選挙区の方々とお話ししていましても、年金制度が大変だということは皆さんもう十分理解されておって、そういう中で、保険料が上がっていくということもある種やむを得ないという感覚、理解は深まっておると思うんですけれども、一方で、皆さん方の専門用語でいくと賦課制度というんですか、とにかく、今皆さんが払っている保険料は自分がもらうんじゃなくて今もらっている人に払われる、自分が年金をもらうのは次の人の払う保険料になる、こういうことがよくわかっていない方もおられるわけで、したがって、自分が払った保険料がちゃんと自分がもらえるんだろうと思っている人もたくさんおられる。

 こういうことはやはり少しきちんと説明をしていかなきゃなりませんし、逆に、今もらっている人たちは、本来払うべき保険料を十分払う制度になっていなかったおかげで、その分の保険料もこれからは自分らが払わなきゃならぬ、こういうことについての不満も世代間の不公平としてたくさん聞かれるわけであります。

 そういう不満について、やはり何らかの説明をするなりお答えをしていかなきゃいけない。そんなことに我々の保険料が使われるくらいならやめたという話にもなりかねないわけでありますから、そこらについて、国民の皆さんにどういうお話をすればいいのか、教えていただきたいと思います。

森副大臣 今御指摘のとおり、我が国の年金制度は賦課方式がとられておりますけれども、これは、そもそも制度発足時には積立方式の考え方で運用されていたものでございますけれども、その後の経済社会の変動に対応して、徐々に賦課方式の要素を強めて今日に至っております。これは、我が国のみならず、主要各国の公的年金制度に共通したことでございます。

 あらかじめ予測のできない社会経済の変化に対応して老後の生活の基本的な部分を保障し続けることは、世代を超えて支え合う、いわゆる世代間扶養の仕組みによって初めてできることであるというふうに考えます。したがって、この方式でもって、将来にわたってこの制度を守り育てていかなければならないと考えているところでございます。

 この世代間扶養の仕組みでは、今御指摘のとおり、世代間の不公平が生まれるんじゃないかという指摘もありますけれども、昔の人は、同居や仕送りで、年とった両親の生活を私的に支えていた人が多かったわけでございますけれども、今日ではそれが公的年金に置きかわっていること、また、少子化と長寿化の進行によって現役世代にかかる扶養負担が高まっていること、さらに、昔に比べて生活水準が向上して実質的な保険料負担能力が高まっていることなどの要素を考え合わせることが必要で、年金制度における負担と給付との関係のみで世代間の公平性を論ずることはできないというふうに考えております。

 一方、自分が払った保険料が高齢になったときに返ってくる積立方式とすることにつきましては、積立金を積み立てて、それを運用して、その範囲において給付を行うこととなるわけでございますけれども、これは市場リスクの変動を大きく受けることになるとともに、賃金や物価の上昇といった遠い将来の生活水準に対応した給付を保障することは難しいんじゃないかというふうに考えます。また、賦課方式からの移行の際には、現役世代が高齢者世帯の年金とみずからの年金の両方を負担しなきゃならないという、いわゆる二重の負担が生じるという過渡期の問題もございます。

 こういったさまざまな観点から考えますと、積立方式というのは現実的な選択肢にはならないというふうに考えているところでございます。

長勢委員 時間が参りましたが、厚生労働大臣がお見えになりましたので、一問だけ質問させていただきたいと思います。

 この法案については、るる今お答えをいただきました。何としてでも、国民の御理解をいただいて、今国会で成立を図るべきだと改めて思っております。

 その上に立ってでございますが、一つ、この後我々が考えなきゃいけないのは、制度とは別に、年金の空洞化の問題だと思います。一つは、学生の皆さんのような未納の問題がありますが、もう一つあわせて、企業の方が、厚生年金逃れというような形での雇用のあり方というものが進んでおるということが言われております。これは、年金制度はもちろん、産業経済にとってもゆゆしき問題だと私は思いますので、厚生労働大臣、労働問題も雇用問題も担当なさっておられますので、そういう点からもぜひひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 もう一つは、年金問題を今議論しておるわけでございますが、一昨年は医療問題を議論いたしました。来年は介護保険を議論するということになるわけでありますけれども、それぞれ別個に議論してまいりますので、給付と負担、また税というものが全体としてどうなるのかということが大変わかりにくくなっておる。このことがまた、企業にとっても個人にとっても不安の原因になっておると思うんです。

 やはり、社会保障制度全体を総合的に見直して一つの姿というものを模索していくということが求められているのではないかと思いますので、ぜひ、個人にとっても企業にとっても、制度としても全体の姿が見えるようにするようにこれから議論していただきたいと思いますが、それについての御見解を伺いたいと思います。

 そして、社会保障制度について、あるいは福祉について、敗戦後一貫してその規模の拡大、充実ということが進められてまいりました。そのことは大変よかったと思いますけれども、その結果というかその流れの中で、家族とか地域とかというものがどんどん外部化をされて、そのことがまた社会保障や福祉の拡大ということの原因になる、こういう悪循環に陥っているような気がしてなりません。こういう公的保障に依存をする社会、個人、家庭というものが果たしていい社会なのかということをやはり見直すべき時期に来ておるのではないかと思います。

 そういうことを含めて、今申しました家族や地域の役割強化、あるいは雇用といったものを含めた全般的な社会保障、社会福祉、これを持った社会をどうつくっていくかということをぜひこれからも議論していきたいと思っておりますので、大臣の御見解があればお伺いをさせていただきたいと思います。

坂口国務大臣 中座をいたしまして、申しわけありませんでした。

 さて、今、大きな問題を三ついただきました。一番最初の未納、そして、未納の問題だけではなくて、企業におきます保険料逃れと申しますか、そうしたこともこれは起こっているというお話がございまして、現実問題として存在するんだろうというふうに私も思っております。

 これは、現在の経済状況とも非常に密接に結びついているというふうには思いますけれども、やはり制度というものに信頼を取り戻さなければ、皆さん方も、より優先的に保険料の納付ということをしていただけないと思っております。したがいまして、ここは単純明快な姿をお示しして、そして皆さん方の信頼をかち得たいというふうに思っております。

 あらゆる努力をしなければならないというふうに思いますし、また、これは二番目の問題にも連なるわけでございますけれども、企業におきましても、年金は年金、医療は医療、介護は介護と、それぞれ別々の枠組みで、それぞれだんだんとふえていくのではやはり負担し切れないということもございますので、これは全体として、一体どう、企業にお願いするべきものはどこをお願いするのか、そして、ただ企業にお願いするだけではなくて、国民全体で負担をしていただかなければならないところはどこなのか、そうした整理をこれからしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

 この社会保障全体につきましては、今朝も安倍幹事長にも申し上げたところでございますが、現在予測いたしております二〇二五年ごろ、対国民所得比で約三〇%という数字を申し上げたわけでございます。中身につきまして、以前は、年金、医療、介護は五、三、二の割合というふうに言ってきたわけでございますが、現状を見ましたときに、高齢者医療の伸びが非常に大きいということもございまして、割合としては、四、四、二ぐらいな割合になるのではないかと私は今のところ予測をしているわけでございます。

 そうしたことを踏まえて、これから、それは保険料で、あるいはまた税で全体としてどれだけ国民の皆さん方にお願いをしていかなければならないものなのか、国全体としての姿と、それから、代表的な勤労者世帯にそれを当てはめたら一体どうなるのかといったようなことを明確にお示しをしなければならない時期に来ているのではないかというふうに思っている次第でございます。

 最後に、大変大きい問題でございますが、確かに社会保障は規模を拡大してまいりました。そして、核家族化がだんだんと進んでまいりました。核家族化のいいところもあるんでしょうけれども、マイナス面も起こってきていることも事実でございます。三世代で住んでいたころには起こらなかったことが現在起こっているということも多々出ておりますし、やはり世代間の支え合い、それは、ただ単に国全体ではなくて、それぞれの家庭だとか地域におきましての問題でもあるわけでございまして、それらのことについても、もう一度目を向けるときが来ているのではないかという気がいたします。

 先ほど、参議院で児童虐待防止の法案が通過したところでございますけれども、そうした、密室と申しますか、核家族化され、だれも見ていないところでいろいろのことが起こってくるというような事態を考えましても、これはもう少し、やはりお互いに目の届く範囲内でどうお互いに助け合っていくかというようなことを見直すべき時期に来ているという御指摘は、私もそのとおりではないかと思っている次第でございます。

 ひとつ、いろいろと御議論をいただきまして、社会保障をよりよき方向に持っていくように努力をしたいと考えているところでございます。

長勢委員 この法律案の成立に向けて同僚議員ともどもに全力を挙げることを重ねて決意を表明して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治でございます。

 本日、私も、この厚生労働委員会では初質問でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、冒頭、私の方からも、民主党あるいは社民党の委員の方々が本委員会を欠席されているということで、大変残念に思うと遺憾の意を表したいと思います。

 やはり、国会議員の一番の責務というのは、国会の場できちんと国政にかかわる課題について議論をする、そしてそれを国民の方々に理解をいただいて、そして国家のあり方というものを決定していく、これが一番の責務だと思っておりますので、その責任を放棄する、これは国民に対する背信行為ではないかと深い憂慮を私も感じておるところであります。そういった意味で、こういった対応が政治に対する不信、そしてまた、さらには年金に対する不信というものを助長してしまわないかと大変心配なところであります。

 年金に関しては、政治の方がきちんと将来も持続可能な制度設計を行って、それを国民の方々に理解をしていただく、そして、協力をしてもらってきちんと年金制度に参加してもらうということが私は一番大切な課題だと思っております。しかし、これは国民の側からすると、やはり年金制度自体が複雑でよくわからない、あるいは、本当にこれからもきちんと持続していって、そして将来的にも自分たちも給付を受けることができるのかとか、いろいろな不信感があるところであります。

 特に、そういった意味で今一番の問題というのは、年金の未納の問題だというふうに私は考えております。ですから、本日、私は、この年金の未納の問題について少し掘り下げて質問をさせていただきたいと思います。

 現在、国民年金の未納者が三百二十七万人、これは、未加入者の六十三万人と合わせると三百九十万人という大変な数に上るところであります。これは、納付率でいいますと六二・八%ですから、よく言われる未納の率が四割であるということであります。こういった未納者が多いということで、本当にこんな状態でこれから年金は存続していくのかということで、これはさらなる年金への不信というものにつながりますので、何としてもこれを払拭して、そして納付率を上げていくことが大変大事だというふうに思っております。

 ちまたでは、年金がこれから将来破綻してしまう、あるいは将来年金をもらえないんじゃないか、私の年金が危ないとか、年金官僚にだまされるなとか、大変刺激的な週刊誌の報道なども毎週のようにされております。しかし、私は、これは誤解が非常に多い部分を占めているのではないかと思っております。

 そういった意味で、この未納問題をこれから解決していかなければいけない。では、未納問題を考えるときに何が大切なのかというと、なぜ国民の方々は納付をしないのか、これを考えることが大変大事だと思います。

 その中には二つありまして、納付したくてもできないという方々、このような方々に関しては、支払い猶予制度あるいは免除制度といったものをこれからも拡充していって、適正な制度を創設していただくということでありますけれども、もう一つの部分は、納付をしたくない、納付しようと思えばできるんだけれどもしたくないという方です。むしろ、こちらの方が私は大変な問題だと思っております。

 ただ、この納付したくないというのにも実は私は二種類あると思っておりまして、一つは、年金に対する理解が余りない、年金への不理解ということだと思います。もう一つは、年金への不信だと思っております。

 確かに、私たち若い世代から見ますと、少ない可処分所得の中で将来のために年金の保険料を納付するというのはなかなか考えにくいといいますか、難しい感覚だとは思うんです。今、雇用の関係でも、いわゆるフリーターがふえている。これはやはり、自分の将来設計というものを自分なりになかなか考えることができない、ですから、将来の安定した雇用よりも今の自由な雇用形態を選択してしまうという方が多いということだと思います。ですから、こういった方々、典型的ですけれども、そういった方々が本当に自分の将来設計を考えて老後のために年金の保険料を払っていくことができるのか、これは大変難しい問題だと思うんですね。ですから、これを、もう本当に非常な危機感を持って取り組んでもらいたいというふうに思っております。

 データでいきますと、実際に、平成十四年の国民年金被保険者実態調査、これによりますと、未納者の方々の二割は、老後の生活設計については考えていない、考えなくてもいいんだというような答えをしております。こんなことでいいのだろうかという大変な危機感であります。先般、例の江角マキコさんの問題もありました。これはやはり、本人が余り制度のことを御理解していないということが根幹の問題だと思っております。

 しかし、他方で、年金を納付しなければ、当然のことながら将来給付を受けることができない、これで本当に困ることはないのかということがあると思います。ですから、そういったことに対処すべく、政府の方としてはきちんと、年金に対する理解を深めるためにPRを、広報活動をよくやっていただきたい。

 そういった意味で、年金支払いというのは法律上の義務でありますから、一人一人がそのことをどのように認識するのか、それを促進するための広報手法について、大臣の考える方法についてお答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 未納問題、確かに大きい問題であることは、私も十分に認識をしているつもりでございます。

 今お話ございましたように、全体で約八百九十万人、その中で、払えない人が、学生さんも含めてでございますけれども、約五百万人、そして払わない人が三百九十万人、こういう割り振りだろうというふうに思っております。したがいまして、私たちとしては、やはりこの三百九十万人の人たちに対してどうするかということを考えていかなければならない。これはやはり、この人たちは必ずしも経済的に困っておみえになる方ではない、そういう人たちもたくさんおみえになるわけでございますから、年金に対するPR不足もありますし、不信感もあるんだろうと率直に私も認めなければいけないというふうに思っております。

 ただ、いろいろの情報があって、間違った情報を信じている皆さん方もおみえになることは事実でございます。したがって、我々もいろいろの方法でこれをPRしていかなければなりませんけれども、ただ単に、年金に入りましょう、入らなければ将来こうなりますと言うだけでは、私は、なかなか皆さん方を説得することは難しいという気もするわけであります。

 したがって、もう少し突っ込んで、それでは、もし年金をなくしたら我々の周辺は一体どうなるかということを皆さんに真剣に考えていただくということをスタートにした方がいいというふうに私は思っております。自分の周辺で、もし自分の親に年金がないということになったら一体自分はどうしなければならないのか、また、自分が将来年金がないということになったら何をしなければならないのか、そのことをそれぞれによくお考えいただければ、この年金制度というのが大変ありがたい制度だということは理解をしていただけるようになるのではないかというふうに思っております。

 そうした議論を全国津々浦々で、いろいろのところでしていただいて、そして、かんかんがくがくの議論をしていただきながら、そこで理解をしていただくようにしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。そうしたことをこれからどう積み重ねていくか。ただ、一年、二年の話ではないと思いますし、そうしたお入りになっていない皆さん方に強制加入をするというだけではなくて、年金は大事なんだという、その根っこのところを理解していただくようにしていかなければいけないというふうに考えている次第でございます。

井上(信)委員 まさに、私も、大臣のおっしゃるとおり、これから本当に国民的な議論というものを広範囲にやっていかなければいけないと思います。そういった意味では、きちんと民主党さんあるいは社民党さんもこの場に出てきて、議論を活性化しなければいけないというふうに私も思います。

 そういった意味で、年金の知識に関しては誤解も大変多いという大臣の御答弁もいただきましたけれども、その中で典型的なのは、実は年金の未納者の方々、これは、きちんと納付している方々と比べて、所得分布についてはほとんど大差がない。数%しか、大差がない。ですから、むしろ、経済的に困惑しているというのではなくて、納めたくないから納めないという方だと思うんですけれども、その中で、未納者の中でもその約二割は民間の個人年金には入っているということで、これはゆゆしき問題かなというふうに思っております。

 通常考えれば、三分の一、今度は二分の一になります国庫負担が国民年金にはあるわけです。あるいは、厚生年金であれば使用者負担もある。そういった中で、単に積み立てのみの民間の個人年金よりもよっぽど公的年金の方が有利である、将来もきちんと給付が受けられるということであるのに、これが理解されていないのかなというふうに思います。

 この点について、お考えをお聞かせいただきたく思います。

坂口国務大臣 私の友人にも実は入っていないのがおりまして、それで、どうして入っていないの、こういうふうに言いましたら、これは、生命保険の方が来て、いや、もう国の年金なんか入っていたって将来はもらえないんだよ、入っても入らなくてもいいのよ、もうそんなのやめて、私のこちらへ入ってもらったらいいのよ、こういう話だったというわけであります。

 私は、生命保険の勧誘の方々は全部が全部そんなことを言ってみえるというふうには思っておりませんし、それはきちんとやっていただいているんだろうと思いますけれども、中にはそうおっしゃる方もあったりして、そうしますと、その人はすぐそれを信じてしまって、ああ、そうか、おれの払っている年金は将来はもらえるかもらえないのかわからないのか、やめてもいいのか、その人はそういうふうにすぐ思い込んでしまったと。やはり払わなきゃいけないんですかと私に問い返すわけでありまして、そうしたことがあちらこちらでささやかれるということになりますと、だんだん、入らなくてもいいんだというような話が蔓延してしまうということになってしまう。

 やはり、国の方はちゃんとしなきゃならぬのだというふうに言うんですけれども、手数が少ないものですから、どうしてもそれが隅々になかなか行き渡らない。ポスターをつくったじゃないですか、あるいはパンフレットをつくったじゃないですかと言うわけですけれども、それは見る気持ちがあって初めて見てくれるわけでありますしいたしますから、どれほどたくさんパンフレットをつくって、年代別のパンフレットまでつくって、お金をかけてやっておりましても、なかなか隅々にそれが行き渡らない。そのことよりも、そういう言葉が一言言われるとその方を信じてしまうという、そうしたことがかなりあることだけは事実だと思っております。

 ここをどう打開するかということになるんだというふうに思いますが、年金についていろいろお話をしていただく方をボランティアで今つくっておりまして、それぞれの地域で御活躍をいただくようになっております。本当のボランティアでございますから、皆さん方に大変御迷惑をかけるというふうに思うんですが、そうした方を何人もつくって、そして、それぞれの井戸端会議であろうと、あるいはまたそれぞれの老人会であろうと、若い皆さん方の集まりだろうと、そうしたところで、本当のことをそこで語っていただける方をたくさんつくっていくということが一番大事ではないか。

 人というのは、あの人に言われたらそれは私は信じる、そういうところがございまして、選挙でも、あの人に言われたから私は入れるという人があるわけでありますから、その言ってくださる人というのが私は大事だというふうに思っておりまして、そうした意味で、ぜひ、そうした多くの知識を持った皆さん方にボランティアになっていただいて、本当のことを語っていただけるようにするのが一番私は効果的ではないかというふうに思っている次第でございます。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 年金に対する広報も積極的にやっていただけるということで、これをますます努めていただくようお願いをいたしたいと思います。

 そしてまた、年金を仮に皆様方に本当に深く十分に理解していただいたとしても、しかし、今度は、では年金に対する不信感というものをきちんと払拭できるか、これが次の点であります。

 そういう意味では、今回、持続可能な、二一〇〇年にもきちんと存続していける制度ということで政府・与党案が出てまいりましたけれども、しかし他方では、本当に大丈夫なのか、また五年後に見直しをして今決めたことも全部変わってしまうのではないか、そうすると本当に自分が老後になったときにはもらえないんじゃないかということがちまたでは言われておりますけれども、本当にこの改革案できちんと年金不信を払拭できるんだということを、強い決意をぜひ表明していただきたいと思います。

坂口国務大臣 いろいろなことを申し上げたとしても、やはり一番大事なのは、年金制度そのものが確固たるものになっているかどうかということに最終的には尽きてくるということだろうというふうに思います。

 今まで不信を買いました中の一つに、これは全部ではありませんけれども、その中の一つに、五年ごとの見直しをしてきて、五年ごとに違う結果が出て、いつもいつも変わっていくということに対する不信というのも確かに大きかったことは事実でございます。それを今度は、そうした五年ごとに変えていくということではなくて、もうずっと、二十五年、五十年、百年というふうに先を見て、そこまで計算をしながら、どういうふうな制度をつくっていけば大丈夫かということを立案したものでございまして、そうした意味では、五年ごとに見直していくということとは、この今回の案はかなり前進をしているというふうに私は思っております。

 もちろん、いろいろの前提条件を置いての話でございますから、そのことが実現をしていかなければならないことでございますけれども、その前提条件として大きいのは、やはり経済の動向と、もう一つは少子化問題、この二つだろうというふうに思っております。

 経済の方につきましては、実質賃金上昇率が少なくとも一・一ぐらいは年々歳々実現をしていくような経済状況というものをつくっていかないといけないということでございまして、これは、内閣府等が出しておりますような今後の資料等も十分に拝見させていただいて、そうした中で定めたものでございますし、決して無理な内容ではないというふうに思っております。

 もう一つの方のいわゆる出生率、合計特殊出生率の方は、二〇五〇年に一・三九という数字を挙げているわけでありまして、むしろ皆さん方の中には、その方が難しいのではないか、こう御指摘をいただく向きもあるわけでございます。しかし、先日も本会議で私申し上げましたとおり、この一・三九が難しいようなことでは、年金が崩壊するのではなくて、その前に日本の社会が崩壊しかねないと私は考えております。一・一というようなことになりますと、今世紀末四千六百万人ぐらいの日本の人口になるという推定でございますから、これは大変なことになるというふうに思います。

 したがいまして、今回掲げました年金制度の前提条件、経済問題と少子化、この大きな柱の二つについては、国の方が責任を持ってこの政策を実現していくという、国民の皆さん方に対するお約束の印だと私は思っております。いかなる政府が生まれましょうと、これだけは守っていきますということをお約束申し上げたことだというふうに理解をしているところでございます。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 次に、未納者に対しての具体的、直接的な施策を伺いたいと思います。

 政府の中で、国民年金特別対策本部を設置して、そして、今後五年で納付率八〇%という目標を打ち立てられておりますけれども、これは、六二・八から大変な向上ですよ。本当にこれだけの目標を達成することができるのか、そして、そのためにはどういった施策を考えておられるのかについて、御説明をいただきたいと思います。

薄井政府参考人 国民年金の未納者対策ということでございますけれども、先ほど来出ておりますように、まずは若いころからの年金教育なり、あるいは年金広報ということを通じまして、きちんと自主的に保険料を納めていただく、こういう状況づくりというのが必要になってまいろうかと思っております。それから、保険料を納めやすい環境づくりという観点から申し上げますと、今年度からコンビニエンスストアでの保険料納付も開始する、こういったことも取り組んでいるところでございます。

 残念ながら未納になっておられる方につきましては、これは地道な努力ということになるわけでございますけれども、今、年六回催告状というものを出させていただいておりますし、あるいは電話による納付督励、あるいは戸別訪問によります納付督励ということをやらせていただいております。さらに、十五年度からは、十分な所得がありながら保険料を納付しない、他へも悪影響を与えかねないような方につきましては、強制徴収を実施するということで取り組ませていただいているところでございます。

 さらに、今回の制度改正の中でも、例えばフリーター対策といいましょうか、二十代の方につきましての新しい納付猶予制度をつくるであるとか、あるいは保険料の免除につきまして多段階での免除制度を設けるであるとか、あるいは年金制度の理解を深めるためのポイント制の導入、こういったことを盛り込んでいるところでございまして、これらの制度面の対応も含めまして納付率の向上につなげてまいりたい、かように考えているところでございます。

井上(信)委員 これは、ぜひともこの未納対策というものを、今おっしゃった制度の促進を図っていただきたいと思います。これは、目標を八〇%ということでやっておられますけれども、本来一〇〇%であるべきでありますから、さらに高い目標に向かって頑張っていただきたい。

 そういった意味では、今御紹介もありましたけれども、強制徴収の件でございます。

 これは、昨年より、九千件の悪質な場合を取り上げて、そのうち五百件程度ですか、強制徴収を行ったということですけれども、これの現状のもう少し詳細な御説明と、これからその強制徴収をどのようにやっていくのか。私は、まだまだこの程度ではだめだ、きちんとこれは範を示す、そうでないと、やはりまじめに払っている納付者の方々が不公平感を抱いてしまう、これは大変な問題ですから、ここをきちんとやっていただきたいと思っております。御見解をお聞かせください。

薄井政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、十分な所得がありながらたび重なる納付督励によりましても理解が得られない方、こういった方を対象に強制徴収ということで取り組むことにいたしたところでございますが、昨年の十一月時点で、今お話ございましたように、全国で一万人程度の方を対象に最終催告状というものを出させていただきました。

 ここからが一連の流れの始まりということでございますけれども、その後、さまざまな形でアプローチをいたしまして納付督励を行いまして、納付のお約束があった方は抜くわけでございますけれども、その上でも保険料納付しようとされない、そういう方を対象に督促状を送らせていただく、それが今お話ございました約五百件、こういうことでございます。

 その上で、お送りしますと、今度はそこで納めていただく方もおられるわけでございまして、そうでない方につきましては最終的に差し押さえに至る強制徴収、こういう流れになるわけでございます。

 今回の強制徴収の状況でございますけれども、現在、全国の社会保険事務所で、資産調査等もやりながら、督促状を送付してもなお納付しない方を対象に順次差し押さえなどを実施しているところでございまして、現時点でまだ進行形でございますので、実施状況という形での取りまとめには至っていないわけでございますけれども、今後、状況を取りまとめました上で、さらに、十六年度以降につきましてもそれを踏まえまして効率的な実施ができるように努めてまいりたい、かように考えております。

井上(信)委員 引き続き、さらなる強制徴収の徹底を図っていただきたいと思います。

 それから、実際の徴収事務についてでありますけれども、これは平成十四年度に七〇・九%から六二・八%にと八・一%納付率が下がっている。これの大きな原因は、地方分権一括法においてその事務が市町村の機関委任事務から国の事務に変わったということで、未納率も上がってしまったということが一つの原因だと思われます。

 これは、考え方として、年金というのは国家全体の制度で、そして統一的にやっていくという、これはわかるんですけれども、その結果として納付率が下がってしまったということであれば、これは少し何らかの対策をきちんと考えなければいけないと思うんですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

薄井政府参考人 平成十四年度の国民年金保険料、これは現年度の納付率でございますが、お話ございましたように、六二・八%と前年から八・一ポイント下がっているわけでございます。

 これは、納付月数ということで見ますと一億三千六百万月強ということで、十三年度と大きくは、若干減っておるんですけれども、そういう数字でございまして、大きく落ち込んだ先ほど申し上げました八・一ポイントの落ち込みの大きな原因は、今申し上げましたように、納付月数はそれほど下がっていないんですが、免除基準の見直しというのを十四年度に行いまして、そのことによりまして納付をするべき月数が大きくふえたということで、分母の方がふえたことによる要因というのも相当程度ございます。これが八・一ポイント下がったところの約半分ぐらいと見込んでいるところでございます。

 ただ、御指摘ございましたように、市町村から国に保険料収納事務が移管されたことの影響ということも、これは当然あろうかと思っております。先ほど申し上げましたような未納者に対します地道な納付督励なり、あるいはさまざまな取り組みを国として当然やっていくわけでございますが、一方で、こういう仕事を進めていく上におきましては、実際に市町村にも、口座振替の促進であるとか、あるいは保険料納付を呼びかけるための広報であるとか、集合徴収の実施などについての協力、こういった一種の市町村への協力連携ということをお願いさせていただいているところでございまして、今後とも市町村の協力というものも得ながら納付率の向上に努力してまいりたい、かように考えております。

井上(信)委員 それから、年金に対する不信ということでは、いろいろと、年金の積立金の運用が累積損失が大分出ているとか、あるいはグリーンピアの問題、こういった問題も非常に指摘されておりまして、そういう運用自体に対しても不信感を持っているので、なかなか国民が信頼してくれないという話もございます。

 とにかく、そういった多くの問題に対して、今回年金制度の抜本改革というものをきちんと今国会で通していただいて、そして、来年以降の介護保険あるいは医療保険の改革もありますし、社会福祉全体としてこの日本という国がどのようなビジョンを描いて、そしてそれを国民に理解して協力してもらえるかということを一番の課題として、これから取り組んでいただきたいと思います。

 大変ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

衛藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 国会にお送りをいただきまして、委員会での初めての質問でございますが、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 冒頭、国民の最重要法案とも言われますこの年金改革法案の審議につきまして、御案内のとおり、一部野党が出席をしていないということはまことにもって残念のきわみであります。本会議での答弁がもし不服であるとするならば、だからこそ、この委員会において、付託された委員会におきまして徹底審議をすることこそが国会議員の役割であり、また対案を示して堂々と論戦をすることこそが憲政の常道ではないか、このように感ずるところであります。

 あたかも学校で生徒が宿題を出されて、まだ宿題ができていないから、あるいは宿題の出し方が気に食わないといって学校を休むようなものでございまして、私もよく宿題を忘れて廊下に立っておりましたけれども、こうした姿勢こそが国民に今問われているのではないか、こう思っているところでございます。

 ましてや、昨年の選挙以来もう五カ月がたつ中で、今回の与党案に対して対案を出して、その上で、修正もなく附帯決議もない、強行採決をするかのごとくの状況であればこれまでも審議拒否はあったことでありますけれども、全くもって今の姿勢には感心しないものであります。

 御案内のとおり、衆議院の一日の開会の運営費、何と一億七千七百万にも及んでいる、これだけの国民の税金を使っていながら審議に応じないということは全くもって国民の信頼を損なうものと確信をいたします。

 先ほど来、安倍幹事長あるいは長勢委員からもお話がありましたが、けさの朝刊でしか知り得ないわけでありますけれども、民主党の対案につきまして一言申し上げるならば、保険料率は現在の一三・五八%を維持して、最低保障年金を賄うためのいわゆる年金目的消費税を三%とする、こういう財政構成の中で、一方、給付水準については我々の政府案と同様の五〇%というような案を示しておりまして、果たして、どうしてこの案で年金制度というものが維持できるんだろうか、一八・三%まで引き上げないともしかしたら五〇%さえ維持できないという試算がある中で、この一三・五%でどうやって五〇%を維持するんだろうか、極めて素朴な疑問を持つわけであります。いわゆる民主党の言う最低保障年金の水準を、言ってみれば今の基礎年金六万六千円と言われておりますが、この水準をかなり上回るものにしないととてもその土台というものがしっかりしないわけでありまして、ということは、すなわちこれは全部税金投入ということは、民主党が示している三%という消費税ではとても追っつかない、多分倍以上の消費税でもなければだめなんではないか。こういった中で、一体いつまでこの対案として出しているもので国民のための年金制度の維持ができるのかどうか、あるいは二〇〇九年まで五年間は我々の与党案でいいのかどうか、こういったことも質問したいんですが、おりませんので、次回、同僚議員からの質問があろうかと思いますので、本題に入りたいと思います。

 さて、年金につきまして、過去、五年ごとの見直しをしてきたわけでございますが、今日ほどこの議論が沸騰し、そしてまた国民の耳目が集中しているときはないと思っております。そして、だからこそ、私どもは国民にかわって議するさむらい、代議士という言葉が使われますが、選挙があってもなくても、参議院がどうであってもと言うと言い過ぎでありますが、選挙目当てで是としたり非としたりする論議ではなくて、やはり骨太に、国民のための年金制度の維持、安定化というものを求めていくことが、まず冒頭、大事だ、こう思っているところであります。

 私は、ちょうど、一九六二年生まれでございまして、四十二歳になりますけれども、国民年金がスタートしたのが一九六一年。当時の平均寿命を見てみますと、男性が六十六歳、女性が七十歳でございました。しかし、今日それが、男性が八十二歳、そして女性が八十七歳とそれぞれ十六歳、十七歳と平均寿命が世界一の速さで延びてきたわけでございますが、御案内のとおり、年金給付の規模も今や四十二兆円という、国の一般歳出の規模にも匹敵する状況にも至っているわけであります。これが、現在の見通しでいきますと、あと二十年たちますと、約倍の八十四兆円にも膨れ上がる、いわばことしの国家予算並みの規模となるわけでございまして、今後、年金だけではございません、医療にしても介護保険にいたしましても、社会保障全体の中でこの年金問題をしっかりと明らかにしていくことが大切だろうと思っております。

 もっとも、これは世界一の長寿化、そしてまた世界一速いスピードで少子化が進んでいる、長寿化が進んでいるということでありますけれども、年金給付がスタートしたときのように、規模がある程度小さくて、しかも右肩上がりの高度成長の時代であればいざ知らず、今日の国家予算規模という、いわば国民経済を直撃するかのごとくの大きなボリュームに至っている中で、だからこそこの年金制度あるいはその運営のあり方については極めて健全なものが求められていると言わざるを得ないわけであります。

 そして、同時に、はっきり言って、この年金制度に対しても不信感がきわまっていることも現実の状況であります。過分にマスコミ報道等の、あるいはいろいろな方の御意見が先行してしまって、この年金の本来の姿というものがなかなか国民にお知らせをされていない、こういった経過もあるわけでございまして、ややもすれば給付と保険料が、この数値だけが先行してしまっている、あるいは本来の年金の存在理由、哲学というものがなかなか示されていない、あるいは国民に貫徹、理解されていないということもあるのではないかと思っております。

 私も、実は私ごとの経験でございますが、父親が十年前に人の会社の保証人になりまして、自宅も会社も全部失ってしまったという経験がございます。しかし、ある日突然年金の給付のはがきが届いたとき、本当に両親は涙して喜んでおりました。

 公的年金の、遺族年金やあるいは障害年金を含め、こうした年金制度の、国民生活を網羅している、そういう部分についてももっともっと理解をしていただくPRが欠けているんではないか、こう思っておるところでございますが、改めて、この改革法案を出されました坂口厚生労働大臣に覚悟のほどをお伺いしたいと存じます。

坂口国務大臣 切々とこの年金問題の重要性につきまして今お話をいただきまして、ごもっとも、本当におっしゃるとおりだというふうに思いながら私も聞かせていただいていたところでございます。

 年金制度につきましては、どんな姿形にしましても、プラス面、マイナス面があることは、これは否定できない事実でございまして、いろいろ意見を言おうと思いますと、いろいろの意見があることも事実でございます。現在の制度、これが一〇〇%、これ以外にないかといえば、それは、将来におきましては、また若干手直しをするということもあるんだろうというふうに思っておりますが、当面考えられる案として、今日まで、現在の案というのは、もう数次にわたっていろいろな角度から検討をし、先輩の皆さん方もいろいろの議論をしていただいて、たどり着いたのが現在の案でございます。これは、そうした多くの皆さん方の議論の結晶でございまして、こうした議論の上に成り立っております現在の案というのは、よくよく考えてみれば、非常に説得力のある案だというふうに私は理解をいたしております。

 基礎年金の部分におきましては、自営業者の皆さん方の一号保険と、そしてサラリーマンの皆さん方の二号保険、そうした案がこれで一体化されまして、一元化をされております。その上に立って、サラリーマンの皆さん方の二階の部分をつくってきた、これは一つの知恵であったというふうに私は思っております。

 そうした中で今日を迎えているわけでございますし、御指摘のように、年金に対するやはり信頼を取り戻していかなければなりません。透明性、あるいはまた透明な姿の中で、そして皆さん方に理解をしていただけるように努めなきゃならないというふうに思っている次第でございます。

 こうして皆さん方に与党間でもいろいろと御協力をいただき、御議論をいただいて出していただきました案でございますので、ぜひ国民の皆さん全体にも御理解をいただきたいというふうに思っている次第でございます。

菅原委員 ただいま大臣から、年金の信頼を取り戻すためにあらゆる努力をする、こうした御答弁がございました。年金の不信というものがきわまる中で、この年金不信を払拭するためには、やはり給付以外の保険料投入という問題も一つございます。

 御案内のとおり、平成十四年度末の累計でいいますと、年金の保険料、約三百七十兆円という数値が示されております。このうちで、実は五・六兆円の大変なお金が年金給付以外に使われたということがさきの予算委員会でも明らかになったことは御案内のとおりでございまして、一般、我々国民の意識とすれば、年金保険料は年金の給付に当然使われてしかるべきである、こういった自然の思いがあるわけでございまして、ところが、この五・六兆円というお金が、グリーンピアや被保険者の住宅融資、あるいは年金福祉施設の整備等に使われていたことも明確になっておりまして、実際問題、その内訳についてお示しをいただければと思います。

薄井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十四年度までに年金の給付費以外に支出されました五・六兆円の内訳についてのお尋ねでございます。

 一つは、被保険者等の福祉の向上を目的とした事業といたしまして、幾つかの事業に使われております。第一点目が、大規模年金保養基地、いわゆるグリーンピアの関係でございまして、これが約〇・三兆円ということでございます。それから、被保険者住宅融資の利子補給等が約一・九兆円ということでございます。それから、年金の福祉施設事業の関係が約一・四兆円ということでございます。それから、被保険者サービスのための年金相談やシステム経費等の経費が約一・四兆円ということでございます。それから、義肢、装具等の支給等の委託費の関係が約〇・二兆円ということでございます。以上が、被保険者等の福祉の向上を目的とした事業に使われた経費ということでございます。

 このほか、今、国の厳しい財政状況を踏まえまして、平成十年度以降、財政構造改革法を受けまして、年金事務費の一部に保険料財源を充てる特別措置がとられているわけでございますが、その関係が約〇・四兆円、こういう数字になっているところでございます。

菅原委員 当然、その五兆六千億円の中には、年金制度あるいは事務的なことで必要最低限の経費もあったと思いますけれども、実際問題、このグリーンピア、あるいは住宅、福祉施設等々、被保険者の福祉の向上を図ることを目的として年金保険料が使われてきた、事業に投じられてきたというその経緯については、それぞれ把握、理解をしておりまして、特に厚生年金病院のように、過疎地域においてどうしても欠かせない医療機関であったり、あるいはそれこそ夜間医療という大変重要な役割を果たしている側面も当然あろうか、こんなふうに認識をいたしているところでございます。

 しかしながら、事業を開始した当時、多分昭和五十年前後だったと思うんですけれども、やはり今日に至って年金財政が極めて窮迫化して、そしてまた国民のニーズそのものもやはり変化をしてきた。こうした状況の中で、当然、平成十七年度までに例えばグリーンピアは廃止をするという閣議決定も既にしているわけでございまして、中でも、今申し上げたこのグリーンピアを例にとりますと、十七年度までに廃止をしていく、そして既に七カ所ばかり、いわば運営停止をしているというふうにお聞きもいたしております。

 あわせまして、そもそも、なぜこのグリーンピアなるものをつくったのかという当時の状況というものについて、お示しをいただければと思います。

吉武政府参考人 昭和三十六年に国民年金がスタートをいたしまして皆年金体制が整ったわけでございますが、当時は、まだ年金の給付が本格化をしておりませんでしたので、積立金が年々蓄積されるという状態でございます。その当時、旧大蔵省の資金運用部へ特別会計の積立金は全額預託するということがございまして、そういう意味で、広い意味で、年金の積立金の、資金運用部における財政投融資の原資になるわけでございますが、その使途について、基本的な議論がされておりました。

 その中で、いわゆる還元融資枠というものを設定いたしまして、特に年金の積立金につきましては、例えば福祉でありますとか、あるいは民生でありますとか、あるいは医療でありますとか、そういう国民生活に関連の深い分野に投入すべきではないか、例えば産業の発展でありますとかそういう分野とは違って、そこに投入すべきだということでございまして、その中で、年金の被保険者の方あるいは年金の受給者に対するそういう施策についても、あわせて行うべきだという議論が片方でございました。

 そういう意味で、被保険者の立場から、年金積立金の運用につきましては、年金資金を長期間拠出していただきますので、被保険者あるいは受給者に対して福祉還元すべきであるという審議会の意見でございますとか国会の附帯決議を昭和三十年代から四十年代にかけて受けておるわけでございます。

 これにプラスいたしまして、当時、余暇施設がまだ十分でなかったという中で、被保険者あるいは受給者の方にできるだけ低廉な料金で利用できるようなということで、昭和四十七年にグリーンピアの構想が発表されまして、昭和四十八年に厚生年金保険法、国民年金法、年金福祉事業団法等の改正が行われまして、いわゆる福祉施設事業として位置づけられた上で開始されたという事情があろうというふうに考えております。

菅原委員 被保険者のための福祉の向上等々、当時の今日的状況があったという御説明でありますが、ずばり、グリーンピアの利用者数、四千二百万四千二百万という音が喧伝をされておるわけでございますが、全体の被保険者数の累積数と今おっしゃった四千二百万、被保険者数累積を分母にしますと、利用率、もう御存じだと思いますが、たった三%なんですね。全被保険者の利用率が三%ということは、これは民間だったら全くもって経営陣一掃のような状況でありまして、もちろん、自治体に運営を任せておった、あるいは、当時自治体からの要望等でこうしたグリーンピアが次々と建設をされた等々、いろいろな経過はよく把握をいたしておりますけれども、やはり、この年金改革法案の論議の中で、今後、別の形をとったとしても、このような轍を踏まない、やはり民間の経営感覚というものを十二分に組み込む、そういう方向性が必要ではないか。これは意見だけ申し上げておきます。

 そして、その運営の赤字のトータルがどれくらいかということと、あわせて、その赤字分について、いわゆる私たちの年金の保険料がまた使われているんではないかという声も一部ありますが、これは事実でしょうか。

吉武政府参考人 平成十四年度末現在でございますが、十三カ所のグリーンピアのうち、累積で黒字のところが六基地でございます。それから赤字のところが七基地でございます。それで、平成十四年度までの運営の累積収支でございますが、グリーンピア全体で八億一千八百万円の赤字となってございます。

 このグリーンピアの運営につきましては、設立当初から、現在の年金資金運用基金、当時の年金福祉事業団でございますが、運営を地方公共団体あるいは公益法人に委託をいたしまして、運営費については独立採算で行っております。このために、運営収支が赤字になった場合でも運営委託先が負担をするというルールとなっておりまして、年金財源から補てんすることは行っておりません。

菅原委員 今その前段として申し上げましたように、やはり今後にこの教訓を生かしていくということが極めて大事だと思っています。一方で、厚生年金会館あるいはサンピア等々、現在二百六十五カ所あります年金福祉施設につきましても、やはり民間の基準に照らしますと、そのうちの九七%が赤字であるという極めて厳しい状況が呈されております。

 これまで投じられた年金保険料、先ほどのお話、御説明ありましたように、一・四兆円という大きな保険料が投入をされているわけでございますけれども、これにつきましても、実は我が自民党の年金制度調査会における、ちょうど衛藤委員長が座長をされておりますが、年金資金運用・福祉施設改革推進ワーキンググループにおきまして、この二月の取りまとめの中で、この二百六十五カ所をすべて全廃すべきである、そしてまた、向こう五年、六年間にわたって全廃という方針を出したわけでございますが、翌日の新聞を見ますと、それについて政府側も大変積極的な、前向きな姿勢の論調のお話をしていたように記憶しておりますけれども、この点につきまして、今後の方向性をお示しいただければと思います。

坂口国務大臣 福祉施設につきましては、御指摘のようにいろいろ問題点がございますので、すべてを整理の対象とし、そしてすべてを見直していきたいというふうに思っております。すぐに手放すべきものは何か、そして民間に移譲すべきものは何か、廃止をすべきものは何か、そうしたことを早く結論を出さなければならないというふうに思っております。

 先ほどもお話ございましたとおり、最初ごろは、いわゆる福祉還元ということが非常に言われまして、私がちょうど国会に最初にお邪魔しましたときに、五十年の前でございました、その当時、五十年前後というのは、これはもう与野党ともに、福祉還元というのは非常に皆さんの一致した意見でございまして、そうしたことで次々とこうした施設がつくられてきたというふうに思っております。

 しかし、年金財政が厳しくなりまして、潮目は変わったと言わなければならないというふうに思います。これからの役所にとりまして一番大事なことは、国会でいろいろ御審議をいただき、国会の附帯決議にもつけていただいてできたものであったとしても、潮目が変わったときにどうそれをとらえて改革をしていくかという、そのことが一番私は大事だというふうに反省をしているわけでございまして、これからもそうしたことがあるだろうというふうに思いますので、厚生労働省の職員に対しましては、そうした潮目の変化というものに敏感に対応しなければならないということを今申しているところでございます。

菅原委員 病院にいたしましても、それぞれの施設あるいはスポーツセンターにいたしましても、やはり財政面あるいは運営面あるいは利用面、もろもろ含めて検証をしっかりしていただいて、しかるべき明確な、具体的な道筋というものを、役所を挙げてリーダーシップを発揮していただきたい、こう要望しておきます。

 それから、やはりこの年金の不信感の払拭という意味におきましては、先般の予算委員会でも再三議論がございましたが、年金の積立金の運用について触れておかなければいけないと思っております。

 将来の年金の給付が足りなくなる、あるいはそのための担保、補てんという当初の目的があったというわけでございますけれども、ところが、御案内のとおり、昨年度、平成十四年度末には六兆円の累積損失が出されているわけでございまして、翌平成十五年度第三・四半期においては三・五兆円の黒字を出した。言ってみれば、それは、黒字を出すことがあるんだから赤字のときもあってしかるべきだというような論調があるとすれば、これは戒めなければいけないと思います。

 六兆円という、一丁、二丁、三丁、豆腐じゃないので、六兆円という数字を例えば一万円札で換算しますと、大体一億円で一メーターと言われていますが、言ってみれば六十キロぐらいの距離に及ぶ大変な一万円札の長さになるわけでありまして、六十キロということは、フルマラソンを走ってまたハーフマラソンを走るくらいの距離の金額、これをいわば国債あるいは国内の株式投資等々、それぞれそのときの経済状況あるいはあらゆる金融状況の変化等々、背景はあるわけでございますけれども、やはり国民の貴重な年金の保険料でありますから、この辺をもしっかりと安定的なものにしていかなければ、やはりこの年金不信の一因になってしまうのではないか、こう指摘をしておきたいと思っております。

 そして、そのためにやはりこれまでも専門家によるいろいろな手だてが構築をされてきたと思うんですが、より一層確実、そしてまた効率的に運用がされる専門家集団の創設について、そしてまた、やはり年金の積立金という、いわば国民の年金のとらの子を運用する目的あるいは方法、あるいは年金財政との相関というものについて、しっかりと国民の皆様に情報提示、情報公開というものをしていく必要があるのではないか。独立行政法人に生まれ変わる中で、この辺についてしっかりとした姿勢を冒頭お示ししていただきたいと思います。

坂口国務大臣 年金の積立金の運用につきましてのお話がございました。

 結論から先に申し上げておきますと、独立行政法人を設立いたしまして、そこで今後運用をしていきたいというふうに思っております。

 現在のところはまだ財務省、すなわち財投の方にお預けしてあります額の方がうんと大きいわけでございますからこの運用額はまだ少ないわけでございますが、将来これが全額返ってまいりまして、百四十数兆、もう少しまたこれが大きくなる可能性はあるわけでございます。そうしましたときに、その運用、これを透明性を高めて、そしていかに効率よく運用をするかということが問われるわけでございまして、ここは専門家の皆さん方にお集まりをいただいて、そしてこれは専門家の中のどなたかをこの独立行政法人の理事長としてお迎えをしてやっていくということが望ましいというふうに思っております。現在のように、全体の計画そのものもその中で今度はお立てをいただくということにしたいというふうに思っております。

 現在、六兆円ほどの赤字になっていることは事実でございますが、その中で、二つに分けて、平成十一二年までのいわゆる資金運用事業、今までそうした中で財投から金利をつけてもらって借りて運用してきた時期と、それから、もう直接にすべてを運用する平成十三年、十四年といった時期とはかなり違うというふうに思っております。

 以前の一・七兆円につきましては、これは利子分が少し足らなかったということでありまして、決して年金の元を減らしたわけではございません。お借りをしてきた向こうに五・一%利息をつけて返したものですから、そこに、こちらの方の、借りて運用した方には一・七兆円の赤字が残った、こういうことでございます。しかし、十三、十四年につきましては、これはこちらの方で運用をして赤字が出たものでございまして、四・三兆円あるわけでございます。

 幸いにいたしまして、平成十五年から株価の上昇が起こりまして、現在のところこの十三年、十四年においてマイナスになりました分は取り返しておりまして、さらにプラスの方向で現在進行中でございますけれども、しかし、いかに一年間に四兆円、五兆円という金がプラスになったとしましても、これはまたそういう逆の場合も今度はあり得るわけでございますので、今後のあり方というものにつきましては、十分な配慮とそして国民の皆さん方の御理解が必要だというふうに思っております。

 御指摘のように、その両面をしっかりできるような体制を確立するように努めたいと考えているところでございます。

菅原委員 さらなる御努力をお願いしたいと思います。

 最後に、やはり国民の皆様の、この年金について今議論真っただ中でございますけれども、どうしても、年金制度の安定化あるいは維持ということについて、ややもすれば痛みを伴う論議でございます。そういう中で、やはり私どもみずからも、議員年金、この問題については国民の皆様から大変多くのお声がございます。やはり、国民負担割合が七割に達している点、あるいは十年の在職で一生もらえるという点、あるいは他年金との併給がある点、あるいは一年在職が延びるごとに約八万円の加算がされる点等々、大変国民の皆様の不満というものも出てきているわけでありますけれども、やはり私は、はっきり、ずばりこの議員年金は廃止すべきだと個人的には思っております。

 きょうの朝刊にも小泉総理がそうしたお話をされておりましたけれども、これは当然ここでの議論ではないわけであります。これはもう重々承知をしての発言でございますけれども、今回、御案内のとおり、議長のもとで第三者機関を設けて議論をすることが相決定をいたしておりまして、こういった国民の年金について議論するときだからこそ、隗から始めよという姿勢というものを私ども政治家は示していく、こういう必要があると思っております。

 大臣については御答弁はきょうは結構でございますが、個人としての御意見があれば承りたいと思います、政治家個人としての。

坂口国務大臣 今お話をいただきましたように、議員年金につきましては厚生労働省の所管でないことは御指摘のとおりでございまして、現在、国会内において議長さんのもとにいろいろと御議論をいただいているというふうに思っております。

 私は、議員といえども、やはり年金制度というものはあった方がいいと私個人は考えております。しかし、現在の制度でいいかということになれば、それはやはり改革をして、国民の皆さん方に御理解をいただけるような形、そうしたものにやはり改正をしなきゃいけないというのが私の個人的な意見でございます。

菅原委員 どうもありがとうございました。

衛藤委員長 次に、冬柴鐵三君。

冬柴委員 公明党の冬柴鐵三でございます。

 きょうは、お許しを得て、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私も一言。この場に野党第一党である、また政権をかわるんだということを日ごろ言っていられる政党が欠席をしていられる、まことにけしからぬ、このように私は思います。

 理由として挙げていられることでございますけれども、四月一日の本会議における総理の答弁が気に入らない、そういうことを言っていられるようでございます。もちろん私もそのときには本会議場におりましたが、その総理答弁が終わるときに、壇上に対し場内担当者、すなわち議運の人が駆け寄ってそれについて協議したという跡はありません。しかも、それは、今は離党していられますけれども、民主党から選ばれた、国会で選ばれた副議長が、本日の質疑はこれにて終了いたします、そして、本日は散会しますという閉会宣言をきちっとしていられるわけであります。これは責問権の放棄と位置づけられまして、二度とそういうことを蒸し返すことは許されないというのは議会の常道でございます。

 また、二つ目に、先ほどの議員もおっしゃいましたけれども、そのように答弁が不足であるということであれば、この委員会に総理の出席を求めて、正々堂々とそのことを論じて、そしてその結果、国民に判断をしていただく、これが常道であろうと私は思うわけであります。

 しかしながら、出てきていられないということの真意はそんなところにあるんじゃなしに、対案が出せないから来ておられないんじゃないのか。対案をもし出されたら出てくるんじゃないでしょうか。そうなれば、これは党利党略でありまして、対案を出さないということを国民の目から隠ぺいするためにこのようなことをやっていられるとするならば、この人たちに政権を任すわけにいかない、私はそのようにも思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、近く対案が出てくるようでございますけれども、先ほどもおっしゃいましたように、昨年マニフェスト選挙であるというふうに言われて、その中にこの年金改革を言われたその政党が、いざまとめになると全然まとまらない。つい一週間以内の著名な日刊紙では、中でばらばらの議論がされているというようなことまで聞きますと、一体あのマニフェストというのはどういうつもりでお使いになって、そして国民に約束されたんだろうということを疑わざるを得ないわけでございます。

 そしてまた、我々は選挙が終わりまして、年末、予算編成のときに、本当に夜を徹してこの年金についての与党合意をまとめて、そして二月十日にはこの衆議院に閣法として提案をしているわけでございます。それも、それまでに、早く出せ早く出せということを言われました。我々は提案しているけれども、きょうは四月七日でございまして、もうはや二カ月の日が経過をいたしております。しかし、いまだに出ないということは、本当に一体政権担当能力があるのかと言われれば、ないと言わざるを得ないのではないか、私はそこまで極論をしたいわけであります。

 それはさておきまして、今まで聞こえてきている民主党案というものについて、何点か政府の考え方もお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。

 民主党案と、それから、政府案の大きな違い、いろいろありますけれども、最も大きな違いというのは、政府案の中では、いわゆる所得比例年金の部分について、加入を強制されるのはいわゆる被用者、サラリーマンであるという点でございまして、民主党案では、それ以外に、現行法上第一号被保険者と言われる一群の人々があります、自営業者あるいは農林水産業者というような人たちでございますけれども、そのような人たちも二十歳以上の人で所得があればすべて、二十歳以下でも例えばフリーターのように所得がある人はいわゆる所得比例の年金に加入を強制するという、その点に大きな違いがあるように思われるわけでございます。

 そこで、政府にお伺いしたいんですけれども、現行法あるいは今回の改正の中でも、一号被保険者、すなわち自営業者と、二号被保険者、いわゆるサラリーマン、これには民間に雇用される人も国、地方に雇用される人も含みますけれども、そのような人たちと処遇を別にするということ、これは昭和三十六年に国民皆年金制度を創設して以来今日まで、四十数年ずっと維持されてきたわけでございます。それには実質的な理由があろうと思いますから、民主党案と違う、一部の人に所得比例年金を強制し、一部の人にはそれを強制しないということについての理由を御説明いただきたいと思います。

吉武政府参考人 第二号被保険者の方、サラリーマンの方につきましては、保険料率ということで御負担をいただいておるわけでございます。それで、一三・五八%の所得比例年金保険料の支払い、これを仮に自営業の方に求めるというふうに考えてまいりまして、サラリーマンの方の場合の標準報酬月額の最高額が今、月額六十二万円でございます。この六十二万円を年収換算いたしますと月額で八十万六千円で、仮に自営業の方が八十万六千円の月額所得を持っておられるということにいたしまして、これに一三・五%の保険料をいただきますと十・九万円ということになりまして、現在の国民年金保険料一万三千三百円の八・二倍という形になってまいります。

 それから、標準報酬月額が最低の方が九万八千円でございます。これはサラリーマンでも九万八千円の給与の方がおられまして、その方のボーナスも含みました月額換算は十二万七千円となりまして、この方の保険料は一万七千円でございます。これに対しまして、現在の国民年金保険料は一万三千三百円でございますので、標準報酬月額が最低の方でも一・三倍となるという形でございます。

 サラリーマンの場合には、ここについて事業主に半分負担をしていただくという形で半分になるわけでございますが、自営業の方の場合には、事業を御自分でやっておられ、そして御自分で働いておられるという立場でございますから、そういう意味で、事業主とサラリーマンの立場を両方お持ちになるという形になります。そういう意味で、厚生年金の保険料に匹敵するような形での所得比例保険料の自営業の方の負担というのはなかなか大変な問題があるだろうというふうに私どもは考えております。

冬柴委員 早速各論に入られたか、ちょっとわかりにくいんですけれども。

 私が聞かんとしたのは、昭和三十六年以来今日まで四十数年を超える期間、なぜ我が国では自営業の方とサラリーマンの方とを区別して制度が組み立てられてきた、こういうことについてどういう理由かということを聞いたわけでございますが。

 今の答弁の中からうかがえるように、一つは、サラリーマンの場合には、会社あるいは国、地方、雇用主が、残業すれば、その残業時間と、それに割り増し賃金まで計算して支払った金額というものが一銭一円も逃さず非常に明瞭になるという、所得の捕捉が確実であって、その精度も非常に高い、そういう面が一つあると思うんですね。そして、税は源泉で徴収される、保険料につきましてもそうですが、源泉で徴収される、確実に納められるというのが、二号被保険者という一群の人々だろうと思うわけでございます。

 ところが、一号という方は、自営業者等といいますけれども、これはもう一々申し上げますと、そこの商店街を歩いていたら、ほとんどが一号被保険者ですね。お肉屋さん、魚屋さん、八百屋さん、豆腐屋さん、薬屋さん、そしてまた文具屋さんもあります。酒屋さんもあります。お好み焼き、たこ焼き屋もあります。パーマ屋さんも散髪屋さんもあります。食堂や飲み屋さんもあります。洋服屋さん、和服屋さん、洋品雑貨も、またパチンコ屋さんもあるんでしょう。また、大工さん、左官もそうです。そしてまた、お百姓さん、農業経営者ですね。それからまた、林業者も、また漁師さん、漁業者も、そういう人たちも全部一号被保険者じゃないですか。

 そういう人たちの所得というものは、すべて自分で売り上げとか費用というものを計算して、年度末に申請をして、自主申告をして、そして税金を計算する、そしてそれを納める、そういう大きな違いが一号と二号ではあると思うんですね。その一号の人に対して、今政府は、収入、所得の多寡にかかわらず、何十万所得があってもいいから、一万三千三百円を納めてもらえれば老齢年金として、将来高齢に達すれば、それの一・七倍は返します、額にすれば六万六千円というものを保険としてお支払いします。こういうことによってバランスをとっているわけであって、一銭一厘所得を捕捉する、そういうことができない以上、そういう形をとっているんだろうと思う。

 また、そういうことで、国民の間でも、こういう今たくさん挙げました、お肉屋さん、魚屋さん、八百屋さん、そういう人たちは、一々幾らもうかったかということを詳細に報告したりいろいろするよりは、この一万三千三百円だけ納めておけば、高齢に達して、低いけれども夫婦で十三万二千円ほど受け取ることができる、その制度でいいんだ、そういう国民の間の合意が成立して、今日に至っているんじゃないでしょうか。

 それを民主党の場合は、そういうことは一切なしにして、魚屋さんも肉屋さんもパーマ屋さんも全部、大工さんも農林漁業の人たちも、所得を全部捕捉しますという。一円単位で捕捉しないとこれは不公平ですよ。全部捕捉した上、それに対して一三・五八%の保険料を納めていただきますということになるんじゃないでしょうか。その点、確認してください。私の理解でいいですか。

吉武政府参考人 国民年金を昭和三十六年に制定いたしました際に、今先生お尋ねの御議論がございまして、それ以来ずっと所得比例保険料については議論が積み重ねられておるわけですが、なかなか実現が難しい。その原因は、先生おっしゃるとおりだろうと思います。

 それで、最近の、例えば御夫婦の年金受給世帯の典型的な平均値を申し上げますと、ずっと自営業であった方につきましては、年金が大体百五十万でございます。これに対しまして、いろいろ事業を、なだらかに引退をしておられますので、事業収入等が約二百四十万ございまして、トータルで三百九十万でございます。これに対しまして、サラリーマンの御夫婦の場合には、年金が約三百万でございまして、そのほかの収入は百十万でございまして、両方足し合わせますと、サラリーマンが四百十万、自営業の方は三百九十万という形でございます。

 そういう老後の収入の構造でありますとか、現役の時代から、どういう形で老後に、御自分の仕事と年金とを組み合わせていかれるかというところは相当違いがございまして、そういう意味で、自営業の方に所得比例保険料を導入し所得比例給付をするというのは非常に、おっしゃるとおり、自営業の方の御希望なりお考えも十分聞きながら議論をする必要がある事項だろうというふうに思っております。

冬柴委員 ですから、サラリーマンとこのような自営業とを一元化して一律にしてしまって、そしてそれを、その人の好みとか意見とかは抜きにして所得比例年金に組み込んでしまう、強制加入になるわけでございますから。そういうことについて、私はやはり、相当な時間と議論が必要ではないのかというふうに思うわけであります。

 まず、そのような、私が挙げたようなお百姓さん、漁師さん、あるいは魚屋さん、八百屋さんという人たちの所得をサラリーマンの所得と同じ精度で把握するというのは、どんな制度の導入を必要としますか。

坂口国務大臣 先ほどからお話しいただいておりますように、自営業者の皆さんの特徴というのは、一つは定年制が存在しない、サラリーマンとの大きな違いだというふうに思います。

 もう一つは、所得が年々歳々と申しますか、あるいはまた月々と申しますか、非常に変化が大きいわけでありまして、先月よかったから今月もいいかといえば、そうもいかない。平均値でいくとしましても、昨年はある程度よかったけれども、ことしは悪いとか、あるいはまた、逆の場合も起こり得るということで、非常に変化があるというのが自営業者の皆さんの所得の特徴だというふうに私は思います。

 そこをどのように把握をし、そしてどのような保険料を掛けさせてもらうかということは、なかなか難しい話であることだけは間違いがありません。この皆さん方の所得を把握するためには、納税者番号制等を導入して、そして皆さん方の所得というものを把握させていただく。納税者番号といえども、全部把握することができるかどうかわかりませんけれども、ある程度は把握ができるというふうに思います。そういうことができるかどうかということが一つでございます。

 それから、これはきょう午前中にもお答えをしたことでございますが、その所得に対して保険料を掛けますときに、それは売り上げに対して掛けるのかどうかということでございます。サラリーマンでございますと、給与に対してもうすぐ保険料を掛けているわけでありますから、それと同じ形でいくということになれば、これは売り上げに対して掛けるということになります。それとも、そこから経費を引いた所得に対して掛けるのか、あるいは課税所得に対して掛けるのかというようなこともこれは議論の対象になりますし、ここをどうするかということは甚だ難しい議論になります。

 ですから、ここをサラリーマンと同じようにするのかということを、あるいはまた、これは別扱いにするのかといったようなことも議論をしなければならないことであるというふうに思っております。

 ほかにもいろいろあろうかというふうに思いますけれども、主なものを挙げれば、そういうことではないかというふうに思っております。

冬柴委員 もう一つ、先ほど年金局長から答弁がありましたけれども、自営業の場合には使用者という方がいられません。サラリーマン、被用者の場合には使用人という人がいられるわけでありまして、これは各国どこでも、民主党がお手本にされたというスウェーデンでも、現在一八・九一%ですか、というような高率の所得比例年金保険料率がそんなことになっているようですけれども、そのうち、労働者の方は七%負担しているだけ。そして、使用者の方は一一・九一、約一二%を負担している、そういう実態があるようでございますが、そういう問題を踏まえながら、では自営業者はどれだけ負担しているのかというと、どうも全部、一八・九一を負担しているようでございます。どういうふうな分母でこういうものが掛け合わされるのか、私はつまびらかにすることはできませんけれども、よく納得しているなという感じがしますね。

 日本で、今の商店街を歩いて、民主党が言っている案のように、あなた方の所得は全部捕捉しますよ、そしてそれに一三・五八%を、金額の多寡にかかわらずその率で掛け合わせたものを納めていただきますよということを言った場合、大変なパニックが起こるんじゃないでしょうか。しかも、民主党案には、手に入れますと、社会保険庁と税務署を合体して、保険料は税金の徴収と同じようにやるということまで言っていられます。そうすると徴収が強化できるとこれは書いてありますから。そうすると、その大きな、今おっしゃったように八倍にもなる、今の一万三千三百円を基礎に考えた場合に八倍にもなるような保険料を、加入を強制された上に、払わなければ要するに税務署が来るわけですから、これは滞納処分。滞納処分ということになりますと、もちろん差し押さえ、競売ということになります。

 こういうことがみんな、例えば商店連盟とか商工会とか商工会議所とかいう、そういう人たちを代表する団体がたくさんありますけれども、民主党はやはりそういうところも十分聞かれて、納得を得た上でやっていられるのかどうか、私は本当に疑問を感ずるわけであります。何か自営業者いじめの内容になるのと違うかな、相当なパニックが起こるんじゃないかなということを私は予想いたします。

 その上に、あとまだもうちょっと時間がありますからお聞きしたいんですけれども、民主党は最低保障年金制度というものをおつくりになる、そしてそれは、その財源は年金目的消費税をもって充てる、こういうふうに言っていられると思うわけでございます。民主党案がきちっと出ていないときに仮定して言うわけにはいきませんけれども、一定の前提を置いて試算してみた場合、一体この消費税率は何%必要と推計できるかお示しをいただきたいと思うのですが、いかがですか。

吉武政府参考人 民主党案はまだ検討中のようでございますが、いずれ示されるんではないかと思いますが、その設計の基本のところはなかなか不明のために、最低保障年金の財源の規模について試算は非常に難しい状態でございますが、最低保障年金の財源とちょっと目を変えまして、現行の保険料水準を変えない、一三・五八%、それから、政府案と同程度の給付水準はこれはいわば守るといいますか、そういうことで考えますと、まず、政府案におきましては、国庫負担を基礎年金二分の一に引き上げていただくということでございますので、ここは民主党案では歳出の削減によるという御主張でございますが、ここを仮に消費税に換算して申しますと一%強だろうというふうに、三分の一から二分の一のところは一%強、消費税に相当するとすれば一%強だろうということになります。

 それから、政府案で申し上げますと、厚生年金の保険料率を一八・三%まで引き上げさせていただく、そして標準的なケースで所得代替率五〇・二%を確保したい、こういうことでございますが、仮に厚生年金保険料を現行の一三・五八のまま据え置きまして、同程度の給付水準を確保するということになりますと、保険料の上げられないところが財源が足りなくなりますので、これを別途用意する必要があるだろう。そういう意味で計算をいたしますと、この差額分は、保険料率が上限に達します二〇一七年度において八・四兆円程度というふうに見込まれまして、年金目的消費税に換算すると三%弱だろうというふうに考えられます。

 さらに、このほかにも、今の申し上げたところは厚生年金の一三・五八%と一八・三%との差を消費税換算したものでございますが、厚生年金の被保険者数は四千二百万人でございまして、これ以外にも共済年金、あるいは、今回の案にございますが、いわゆる第一号の方についても同じようなことを適用いたしますと、公的年金の加入者は七千万人でございまして、四千二百万人だけではなくて七千万人の影響をどう考えるかという問題が出てくるだろうというふうに思っております。

 仮にこれを比例的に四千二百万人分の七千万人ということで先ほど申しました二・八%に掛けまして、それから先ほどの二分の一の一%強を足し合わせますと、六%程度という形でございます。むしろ、一三・五八%に据え置くという方から計算を申しますと、そういう足りない財源といいますか、が出てくるだろうということであります。

冬柴委員 そうすると、現行の消費税五%の上にこの年金目的消費税なるものが約六%ないと、おっしゃっているような、いろいろ仮定はありますけれども、実行できないのではないか。民主党は三%というようなことを言っていられるようですけれども、到底それでは賄い切れないということが明らかになったように思うわけであります。

 これを入れた場合に、問題が三つあると思います。

 一つは、高齢者で、もう保険料を全部払い終わって、今いただいている人にまで、もう一回保険料の支払いを、消費税という形で二重払いを強制するということで、これは高齢者いじめ、老人いじめじゃないかなという感じがいたします。一つです。

 もう一つは、一号被保険者、先ほどの八百屋さんとか魚屋さんですけれども、こういう人たちが、所得比例年金で物すごく上がっている上に、まだこの上に消費税まで、六%といったら大変なことですけれども、もう一回それまで負担させられるということになると、これも大変な負担になるんではないか。今の状態と比べたときに、二〇〇九年からとおっしゃっている、あと五年たてばもうえらいことになるということが予想されるわけでありまして、本当にそれは受け入れられるんだろうかということを非常に危惧いたします。十分にこれから議論をそういう点でしていかなきゃならないと思っております。

 そして、来年は介護保険についてどうするかということも決めなきゃなりませんし、それからまた、再来年には新しい高齢者の医療制度ということで制度をつくっていかなきゃならない。これにも多くの国費を投入しなきゃならないことになるんではないかというふうに思うわけでございますが、年金だけに今概算されたような六%も投入するということになってくると、これは私は、日本も今でこそ五%、三%から始まって五%になって、大変世界で比較しても低い率の消費税だということで言われていましたけれども、あっという間にこれが十数%、二〇%近くになるのではないかということを非常に危惧するわけでございます。

 最後に坂口厚生大臣、こういう国民負担というもの、税と、そしてまた保険料というようなものが国民所得の中に占める割合というものが非常に五〇%に近づいてくるし、こういうやり方をすればそれを超えてしまうおそれまで出てくるのではないかと思いますが、福祉関係でございますので、大臣の御所見を伺いながら、私の質問は終わらせていただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

坂口国務大臣 民主党さんの案につきましては、正式に提出をされました段階でまた詳しくお聞きをして、それに対して我々の意見というものを申し上げさせていただきたいと思っております。

 いずれの制度にいたしましてもプラス面、マイナス面があることは事実でございますけれども、大きな改革を行えば行うほど大変現実とは異なるわけでございますから、これはいろいろの議論をしなければならないことだけは間違いのない事実だというふうに思っております。

 さて、今後の問題でございますが、全体で対国民所得比で三〇%ぐらいは社会保障に必要だというふうに思っております。その中で、今後の伸びとして一番大きいのは何かといえば、やはり高齢者医療の伸びが一番大きくなる可能性がございまして、五対三対二という年金、医療、介護の割合を今まで厚生労働省は言ってまいりましたが、そこは四対四対二ぐらいに修正をしなければならないかもしれないというふうに今議論をしているところでございます。

 そういうふうになってまいりますと、これからの財政、限られた財源でございますから、それを非常に大事に使っていかなければなりません。消費税につきましても将来お願いをしなきゃならないときがこれはあるというふうに私も思っておりますが、この消費税というものの使い方につきましても、年金、医療、介護、そうしたことがあることを十分に念頭に置いて、そして使わなければいけないというふうに考えているところでございます。

冬柴委員 ちょっともう一つだけ、一言だけ、済みません。

 この年金制度というのは、世界最高の長寿社会を迎えている日本におきまして、長い老後のみずからの安心した老後、そして健やかな老後というものを担保するためには、国が公的年金というものをきちっと組み立てなければだれもできない話でございます。子供もしてくれませんし、また、みずからも老後のことを、そんな蓄えることもできないと思うわけでございます。

 そのような意味で、今回の、少なくとも現役世代の五〇・二%というものを将来ともに保障するということを国の威信をかけて決めるということは非常に大きなことだと私は思います。まさにこれこそ抜本改革だというふうに思うわけでございますから、この法案成立に向けて我々も頑張ってまいることをお誓いして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

衛藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日、初めてこの厚生労働委員会で質問をさせていただきます。冬柴幹事長の後で多少緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、今回の年金制度改革関連法案の最大の特徴は、何といっても年金制度で最も大事な将来の給付と負担を明示した点にあると思います。これまでの年金改革は、五年ごとの財政計算のたびに給付や負担を見直してまいりました。本来であれば、改革が積み重なる中で公的年金の基盤は強くなっていくべきであると考えますが、なかなかそのような方向には向かわず、国民の年金不安は高まってきているという側面もございます。また、我が国の年金制度は世界でも例を見ない急速な少子高齢化の進行により大きな危機に直面するという事態を迎え、このままでは際限ない保険料の上昇、また給付の切り下げが避けられず、国民の年金不安の大きな要因となっております。

 こうした不安や不信を取り除くためには、年金に対して正面から向き合い、問題を発見し、解決の方策を導くことが必要でございます。その点、今回提案されております年金制度改革法案は、公的年金制度を持続可能で安定的なものにする内容となっており、私たち国民の安心につながる改正であると考えます。

 将来にわたって年金制度を維持できる抜本改革は、まさに待ったなしであります。徹底討議の中で一日も早く年金改革の社会的合意を形成するためにも、民主党は審議の場にすぐ参加すべきであり、国民の前で正々堂々と論議すべきであると最初に申し上げておきたいと思います。

 そこで、今回の制度改革がもし行われなかった場合、将来の給付と負担はどうなるか、まずこの点についてお伺いをいたします。

吉武政府参考人 制度改革をいたしませんで、現行制度を維持いたしますので、給付は下がらないということになります。その場合の保険料率でございますが、厚生年金で申しますと、毎年〇・三五四%ずつ保険料を引き上げるということで試算をいたしますと、国庫負担三分の一の場合で平成五十年、二〇三八年度に二五・九%でございます。それから、国庫負担二分の一の場合に平成四十二年、二〇三〇年度に二二・八%という形でございまして、いずれも二〇%を相当超える水準となってまいります。

 それから、国民年金について申し上げますと、今回の改正案では、毎年二百八十円という少し小幅に引き上げをさせていただくという案を提案させていただいておりますが、二百八十円の引き上げで現行制度を維持いたしますと、平成三十五年、二〇二三年に積立金が枯渇をいたしまして、一定の保険料水準で財政の均衡を図ることができなくなってまいります。完全な賦課になりますので、必要な費用を毎年保険料を引き上げて賄うという形になりまして、年金制度としてはもう長期的な安定は図れないという状態になってまいります。

 仮に、毎年の保険料の引き上げ幅を六百円という形にいたしました場合で申し上げますと、国庫負担三分の一の場合で平成四十三年、二〇三一年度に二万九千五百円、国庫負担二分の一の場合に平成二十九年、二〇一七年度に二万七百円という相当高い水準の保険料になってまいります。

古屋(範)委員 かなり厳しい数字であるという御答弁でございます。

 今回提案の年金制度改革法案には、我が公明党が訴えた年金改革プランの内容が大きく盛り込まれております。例えば、厚生年金の給付では、働いたときの平均収入の五〇%以上を確保するとしておりましたが、改革案にも、現役世代の平均的収入の五〇%を上回る給付水準を維持しつつ、年金を支える力と給付との均衡がとれる仕組みとすると明記をされました。

 また、課題であった基礎年金の国庫負担割合の引き上げの道筋を示し、さらに保険料についても上限を設けるなど、将来の給付と負担を明確にしたもので、年金制度の根幹にかかわる問題について見直しが行われることになりました。これは、まさに文字どおり国民に安心を与える大改革案であると考えておりますが、坂口大臣の御認識をお伺いいたします。

坂口国務大臣 年金と申しますのは、これは継続こそ命だというふうに思っております。継続のできないものでありましては、どんな立派なものをつくりましても、それは価値がありません。将来にわたって継続されて初めて値打ちのあるものでございます。

 したがいまして、今回のこの改正案、一方におきましては、ある程度保険料を今後も負担をしていただかなければなりません。一八・三〇%という上限をつくりましたけれども、それまでは徐々に上がっていくわけでありますし、今度は、受けていただきます年金の額は五〇・二という、五〇%を確保しましたけれども、現在の五九%から見ると徐々に下がっていかざるを得ません。一定の保険料と一定の年金額、両方をにらみながら、そして皆さん方に御理解を得なければならないわけでございます。

 保険料は低い方がいい、年金額は高い方がいい、そう思われる皆さん方からすれば、それは逆の方向を向いているではないかという御批判もあるわけでございますが、少子高齢社会という社会の中で継続をさせていくという大前提の中で考えれば、やむを得ない今回のこの法律でありまして、これを行う以外に方法はないとかたく信じているところでございます。

 そうしたことを国民の皆さん方にもよく御理解をいただいて、ぜひともこの案を成立させていただきたいというふうに思っている次第でございます。

古屋(範)委員 まさに継続と安心の今回の年金改革案というふうに御答弁で受けとめた次第でございます。

 本日、質問者、女性は私一人でございますので、これから女性と年金をテーマに質問を行ってまいります。

 今回の法案の特徴の一つは、女性の年金が大きく前進したことにあります。女性の年金が語られるとき、サラリーマンの妻である専業主婦がなぜ得をするのかと、専業主婦の保険料免除をめぐって、とかく女性同士の対立になりがちでありました。私は、そのような女性同士の対立ではなく、広く女性全体、また社会全体の問題としてとらえ、だれが、どのような生き方を選んだとしても、制度は中立であり、そして一人でも生きられる年金制度であることが望ましいのではないかというふうに考えます。

 女性の年金問題について、私たち公明党は、世帯単位から個人の単位へと、年金制度の転換を進めることを政策に掲げております。働き方の多様化、社会進出をする女性がこれほどふえた時代、またライフスタイルの変化、シングルを通す女性も多いですし、また離婚も増加をしている。このようなライフスタイルの変化に対し、老後に安心感の持てる制度にするためには、世帯単位での給付ではなく、国民一人一人が制度の支え手となり、個人が尊重される明確なビジョンを持つことができる制度が確立されるべきというふうに思います。そのような観点から、私は、世帯単位から個人単位への転換を図ることが重要であると考えます。

 女性と年金のあり方も含めまして、坂口大臣の御所見をお伺いいたします。

坂口国務大臣 個人単位か、それとも世帯単位かというところは、いろいろ御意見のあるところでございます。

 現在は、国民年金の方は個人単位になっておりますし、いわゆる職域年金の方は世帯単位になっております。また、国民健康保険を見ますと、これは世帯単位になっております。それから、先ほど忘れましたけれども、介護保険は、これは個人単位になっている。

 したがいまして、これからの社会保障全体を考えていきますときに、さまざまな面を持っているわけでありまして、やはりそれぞれにその機能を果たしているのが現状でございます。

 こうした問題を今後どういうふうに整理をしていくのかということは、私は、大事な論点の一つだというふうに思っておりますので、いろいろ御議論をいただきたいというふうに思っておりますが、例えば医療保険などを個人単位というふうにいいますと、それはなかなか難しいんだろう、お子さんの問題もありますし、配偶者の皆さんの問題もあってなかなか難しいんだろう。そういうことになりますと、医療保険の方は世帯単位で、では年金は個人単位にするのかといったような話もありますし、やはり世帯単位というものをより大事にしていかなきゃならないという考え方もあるわけでございますので、ここはよく議論を尽くさなければならないところだというふうに私は思っております。

 年金の場合に、もし仮に個人単位の方向に向けていくということになりますと、その前にいろいろ考えなければならないことがあります。一つは、男女の賃金格差などを一体どうしていくのか。もし個人単位になって、賃金格差が現状のままでありますと、女性の年金は常に低いということになってしまいます。そうしたことも今後整理をしていかなければならない問題でございまして、この年金制度だけの中で考えるよりも、もう少し幅広い、さまざまな制度との関係におきましても議論を尽くさなければならないことだというふうに思っている次第でございます。

古屋(範)委員 幅広い、制度全体を考えながらのこれからの議論が必要だという御答弁であったかと思います。

 今回の本法案の中で、女性と年金の問題について、特に注目すべきことは、離婚時に厚生年金を分割できる新たな制度の導入が盛り込まれたことでございます。これは今回の改革の目玉の一つであり、また公明党がマニフェストの中で実現を約束していたものでもございます。

 そこで、まず、離婚時の年金分割の仕組みについて御説明をお願いいたします。

吉武政府参考人 離婚時の年金分割、今回御提案を申し上げておりますのは、二つございます。

 一つは、第三号被保険者の期間に係ります厚生年金の分割制度でございます。この場合は、その事由は、離婚をされた場合、あるいは離婚とほぼ同等で分割を適用することが必要な事情がある、家庭がいわば一緒に住まれる状態じゃないということでございますので、例えば行方不明なんかを想定しております。それから、第二点目でございますが、これは第三号被保険者の方の請求によって決まるということでございます。ですから、第三号被保険者の方が分割は請求しないということであれば、それは分割にはならない。それから、今回の改正法の分割の規定の施行後の期間について適用する、過去についてはさかのぼらないという点でございます。その結果としまして、配偶者の厚生年金の標準報酬の記録、例えば、三十年間平均給与で三十万で勤めておられたというこの記録は半分その配偶者の方に分割をされる、記録が分割をされるということでございまして、年金額を分割するということとは違います。

 それから、第二点でございますが、離婚した場合に、当事者間の合意、通常は協議離婚でございますので、当事者間の合意あるいは裁判所の決定がありました場合に、この場合には、共働きのそれぞれの期間でございますとか、今申し上げました第三号分割の法律の施行前の期間についても、当事者の合意を基本としながら、必要な場合には裁判所の決定を加味いたしまして、二分の一を上限として、やはり標準報酬記録を分割できるということでございます。

 標準報酬記録を分割できるという仕組みにしておりますのは、年金額の分割でございますと、例えば、配偶者が亡くなられるとそのことによって年金額は支給がなくなりますので、配偶者の年金の権利が消失をしますと、離婚された場合にも、その方のもう一方の配偶者が現実に年金を受け取ることができないということでございまして、御自分の年金の記録の中にそれを入れていただいて、例えば、御自分が老齢年金の支給開始年齢になれば、その時点以降これの支給を受ける、そういう仕組みにしてございます。

古屋(範)委員 女性は男性に比べて平均寿命が長く、これは予測によりますと、さらにさらに平均寿命が延びていくようでありますけれども、さらに核家族化の影響や中高年夫婦の離婚の急増など、女性が人生の最後を単身で過ごすというケースが非常に多くなっております。離婚時に厚生年金を分割できるということは、女性の老後に新たなセーフティーネットが張られ、生活保障が前進するという大きな意義があるというふうに考えます。

 一部には、この制度によって離婚が奨励されるのではないかという意見もございますけれども、そうではないというふうに考えております。離婚時に限って夫婦間の所得分割を認めていた当時、ドイツでは、離婚されることを恐れる夫たちが妻に対する理解を一段と深め、従来と比べて家事も積極的に分担をし、家庭を大事にするようになったという話も聞いております。

 また、法案には、厚生年金の分割に際して、基本的な認識として、「被扶養配偶者が共同して負担したものである」、すなわち、配偶者を持つサラリーマンが負担した保険料は夫婦が共同して負担したものであると明記をされています。

 これは、サラリーマンの夫に扶養されている専業主婦の妻に今までなかった年金受給権を明確に規定した大変画期的なことであり、有識者の検討会では、女性自身の貢献が実る年金制度にとの提案が取り入れられたものであると考えます。さらに、内助の功を社会的に認めるものであり、専業主婦の方々からも、家事や育児の貢献を認めてもらえるとの声も伺っております。

 まさに、年金制度の中で女性の地位向上が大きく前進し、個人単位の方向へと確かな一歩を踏み出した画期的な制度であると認識をしております。この点につきまして、坂口大臣の御所見をお伺いいたします。

坂口国務大臣 そういうふうに認識していただいて大変ありがたいというふうに思っているわけでございますが、余り離婚時の話を大きく言いますと、私などは何となく離婚を奨励するのではないかというふうにとりがちでございまして、小さな声で言うておるわけでございますけれども、やはり立場が違い、年齢が違うとかなりとり方も違うなと思って先ほどから聞かせていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、家庭におみえになります奥様に対しましてそれなりの評価をしていくということは大変大事なことでございますし、年金の上におきましても、そういうことはやはりしていかなければいけないというふうに考えている次第でございます。そうした点を踏まえて、これから先、年金の問題をさらに検討していきたいと考えております。

古屋(範)委員 先ほど御答弁いただきましたように、離婚時の厚生年金を分割できる制度の導入は、私は、大きな前進だというふうに評価をしておりますが、離婚しない場合の年金分割についてさらに検討し、実現すべき課題と考えております。この離婚しない場合の年金分割こそ、女性の尊厳、自立にとって不可欠な要件と言えます。

 大臣、この問題について大いに検討されながら、政府・与党の協議においてまとまらなかったというふうに聞いておりますけれども、将来、ぜひとも実現をしていただきたいというふうに考えております。大臣に、この点について御所見をお伺い申し上げます。

坂口国務大臣 企業を定年退職されて、そしていよいよこれからいい老後を送りたいという夫婦にとりまして、先ほどは離婚の話でございましたけれども、今度は円満な家庭の話でございますから、それは円満にそれからいっていただくわけでございます。

 そのときに、それでも年金を二つに割るかどうかというのはいろいろ議論のあるところでございますが、割ってふえるのだったらいいんですけれども、割ったところでふえるわけではないわけでございますので、そこは気分の問題と申しますか、気持ちの上ではそういうふうにしたいという女性からの御意見があることは私も十分にお聞きをいたしておりますけれども、いずれにしましても、奥様にはほとんど財布を渡しているわけでありますから、二つに割ると言いましても、二つに割るどころではなくて、全部渡しているわけでございますので、そこまで言うかどうかということは今後の課題であると私は思っております。

 ちょっと歯切れが悪うございますけれども、お許しください。

古屋(範)委員 最大限努力をされた御答弁かというふうに思っておりますが、次に、第三号被保険者、いわゆるサラリーマンの妻の届け出の特例についてお伺いいたします。

 今回の改正案の中で、第三号被保険者として届け出を忘れた人たちの救済策が図られたことは、大臣の英断のたまものであるというふうに思います。年金空白期間が生じてしまった人は少なくとも十九万人いるとも言われており、この方々は無年金になるおそれがあります。

 私は、以前より、紙一枚の届け出を出すと生涯通算で千六百万から千八百万円の基礎年金を受給することができる人と、その届け出を忘れて無年金になる人との不公平は是正すべきと考えておりました。ですから、無年金者を出さないためにも、第三号被保険者としての要件を満たしていることが確認されるのであれば、いつでも過去にさかのぼって認定するとした今回の措置は大いにアピールすべきであると思います。

 厚生労働省に、この特例の詳細についてわかりやすい御説明をお願いいたします。

吉武政府参考人 第三号被保険者の方は、御自分自身で保険料負担は行っておられませんが、その配偶者も含めまして、第二号被保険者全体で負担をしていただき、そのことによりまして基礎年金の給付が支給される。

 そういう意味で、第三号被保険者であるかどうかという届け出につきましては、通常の被保険者は保険料納付をしていただくのと同じような機能を持っておりますので、通常の保険料納付の消滅時効は二年でございますので、おくれて届け出がありましたときには二年まではさかのぼることができるというのが現行の仕組みでございます。

 ただ、例えば、生命保険会社なんかでも幾つかの事例が生じましたけれども、御自分が生命保険会社に勤めておられて、御本人が厚生年金、健康保険の適用があるということ自体を認識されていなくて、会社側がそういう手続をとっておられた。それで、その後、実は第二号までは事業所の確定で確定をいたしますけれども、やめられた後に第三号被保険者の届け出が必要でございまして、それができなかったというような事例がございます。

 それで、平成十四年の四月以降は、それまで市町村に届け出をお願いいたしておりましたものを、事業主の御協力を得まして事業主に届け出をしていただいて、それを社会保険事務所に提出していただくというふうにいたしました。これは、健康保険の被扶養者と、それから厚生年金の第三号被保険者というのは基本的に同じ状態の方でございますので、健康保険の扶養者の届け出は通常出されますので、それと同時に第三号被保険者の届け出をやろうということで、よっぽどの例外がない限り、基本的には届け出漏れが生じない体制をつくっております。こういう体制ができたことにかんがみまして、過去の届け出漏れにつきましても、第三号被保険者であったということを客観的に証明していただければ、さかのぼって保険料納付済み期間とすることにしたところでございます。

 今後の問題でございますが、非常にまれな事例でございますけれども、事業主を通じて届け出がありますので基本的には漏れがないはずですが、非常に極端なことを申し上げれば、その配偶者の方が事業所にきちんと届け出をされなかったというような、そういうケースも考えられないことはありませんので、そのことについて、第三号被保険者の責任に帰することができないやむを得ない事由がある場合には、今後につきましても、今申し上げましたような、さかのぼりの届け出は恒常的にすることができるという状態の改正を提案申し上げております。

古屋(範)委員 大変にありがたい救済策であるというふうに思います。

 次に、今回の年金制度改革法案に対するマスコミ報道、また、私の周りでもさまざまな意見が寄せられております。

 例えば、給付水準五〇%以上の確保と年金の下限が明記されたことについて、五〇%の確保は将来の合計特殊出生率が一・三九で推移するということが前提となっております。過去の推計からしてもこれは楽観的過ぎるという意見もございます。

 確かに、出生率を上げることは大変に困難であると思います。私の周りでも、働きながら子育てをしている方が大変に苦労をされております。そのためには、子育て支援策をさらに充実し、大きく推進していくことが重要となってまいります。

 今回の改正案の中で、その一つとして、次世代育成支援拡充の観点から、子育て世帯について、現在の一歳までの育児休業中の保険料免除制度の取り扱いを三歳まで拡充する、また、勤務時間を短くするなどして働いている場合、子供が生まれる前の賃金に基づき給付額を算定するなど、子育て世帯に対する配慮が拡充されることになっておりますが、さらなる対策の充実を図るべきと考えております。

 そこで、少子化対策につきまして、今回の保険料免除の取り扱いでも、育児休業期間であるないにかかわらず、子育て期間中の一定の間の年金保険料を免除する制度を拡充する、また、年金資金を活用した教育資金の貸し付けなど、子育ては社会全体で支えるべきとの観点から、このような幅広い支援策を考えるべきではないかと思いますけれども、この点について大臣の御所見をお伺いいたします。

坂口国務大臣 確かに、今後の合計特殊出生率一・三九というのが維持されるのかどうか、多くの皆さんが、難しいんではないかということを言われる方がございます。

 しかし、結婚された方が二人ずつ、平均して二人お子さんをお産みいただくということになりますと、それで一・五でございます。したがって、本来一・五ぐらいを目指していかなければならないんですけれども、それを少し控え目に見まして一・三九という現在のいわゆる統計の中位をとらせていただいているところでございまして、少子化対策なるものも十分に行いながら、一・三九というこの出生率は何とか維持をするように努力しなければならないというふうに思っております。これは、維持をできなければ年金が崩壊する前に日本社会が崩壊してくるというのが私の持論でございまして、そうした意味で、ぜひともこの数字は維持をするようにしたいというふうに思っております。

 今、いろいろと少子化対策についての御意見をいただきましたが、今回も三歳までということで一歩前進をさせていただきました。

 この奨学金等の問題は、現在やっております奨学金等との整合性の問題もございますし、他の制度との整合性も図りながら考えていかなければならない問題でございますので、すべてが年金の中でやらなければならないということではないだろうというふうに思っております。全体として少子化対策が前進をしていきますようにさらに努力をしなければならないという決意は持っておりますので、その中でどの分野で何を行うべきかということを明確にしたいというふうに思っているところでございます。

古屋(範)委員 女性と年金をテーマに質問してまいりました。

 最後の質問になりますけれども、女性と年金の基本的な問題は、女性が受給する年金額の低さにあると思います。被保険者期間が二十年以上である男女を比較すると、受給額に大きな格差があります。女性は、勤めていても、子育てのためにやめざるを得なくなる例が依然として多いため、厚生年金の加入期間も短く、また、男女間の賃金格差も大きいというふうに思います。この問題を年金の問題として認識し、今後さらに女性の生き方が多様化した時代に合った年金制度を構築すべきであると思います。

 また、最後になりますが、やはりこうした年金に関しまして、子供のころからの年金教育、学校を卒業し、仕事をして、どのように年金を納め、納税をし、そして仕事をやめてから、どのような人生設計でもって生涯を送っていくかというような教育が必要ではないかというふうに思っております。まさにそのような個々の生き方の集積が一つの国を形づくるというふうに考えるわけでございますけれども、坂口大臣の二月の小泉内閣メールマガジン「ほんねとーく」の中で、どのような年金をつくるかは、どのような国づくりをするかということであり、近い将来日本に訪れる少子高齢化社会をどのように乗り切るかが問われていることになる、このような一文がございます。この大臣の描かれる日本の将来のあるべき姿について、最後に御質問をいたします。

坂口国務大臣 時間が参っておりますから、もう簡単に申し上げさせていただきたいと思いますが、年金制度を成立させることができ得るかどうか、それはその周辺の政策をどう実現していくか、大きく言えば日本の国づくりをどういうふうにしていくかということとセットの話であるということを申し上げたわけでございます。

 その中で特に重要なことは、やはり、女性だけではありません、女性を含めたすべての人の働き方というものをどのようにしていくかということは少子化社会にとりまして非常に大事な問題でございますので、働き方をどのようにこれからしていったらいいか、これは企業にだけお願いをするというのではなくて国全体で考えていかなければならない問題であるということを中心に述べた次第でございまして、そういう覚悟でこれからもやっていきたいと思っております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 次に、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の質疑に入ることといたしておりましたが、質疑者の通告が得られません。質疑者の通告を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員に対し、質疑者の通告を要請いたしましたが、質疑者の通告が得られません。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時四十三分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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