衆議院

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第22号 平成16年6月11日(金曜日)

会議録本文へ
平成十六年六月十一日(金曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 衛藤 晟一君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 城島 正光君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      石崎  岳君    加藤 勝信君

      上川 陽子君    木村  勉君

      木村 義雄君    城内  実君

      菅原 一秀君    竹本 直一君

      棚橋 泰文君    中西 一善君

      中山 泰秀君    能勢 和子君

      萩生田光一君    原田 令嗣君

      平田 耕一君    福井  照君

      松島みどり君    三ッ林隆志君

      三原 朝彦君    吉野 正芳君

      青木  愛君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      海江田万里君    小宮山泰子君

      五島 正規君    園田 康博君

      高井 美穂君    中根 康浩君

      永田 寿康君    橋本 清仁君

      樋高  剛君    藤田 一枝君

      増子 輝彦君    松野 信夫君

      水島 広子君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳永  保君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       上田  茂君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       恒川 謙司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     萩生田光一君

  福井  照君     松島みどり君

  五島 正規君     高井 美穂君

  藤田 一枝君     松野 信夫君

  増子 輝彦君     永田 寿康君

同日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     城内  実君

  松島みどり君     福井  照君

  高井 美穂君     五島 正規君

  永田 寿康君     増子 輝彦君

  松野 信夫君     藤田 一枝君

同日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     井上 信治君

    ―――――――――――――

六月十一日

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(水島広子君外五名提出、衆法第九号)

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外一名提出、衆法第一六号)

 労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出、衆法第二八号)

 国民年金法の一部を改正する法律案(長勢甚遠君外三名提出、衆法第五〇号)

 無年金障害者に対する障害福祉年金の支給に関する法律案(泉房穂君外二名提出、衆法第五二号)

 特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律案(大野功統君外五名提出、衆法第五八号)

同月十日

 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四五六号)

 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(仲村正治君紹介)(第三四五七号)

 同(永岡洋治君紹介)(第三四五八号)

 同(大島理森君紹介)(第三五六五号)

 同(大畠章宏君紹介)(第三六五二号)

 同(西川京子君紹介)(第三六五三号)

 同(福島豊君紹介)(第三六五四号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第三六五五号)

 同(大谷信盛君紹介)(第三七三五号)

 同(亀井久興君紹介)(第三七三六号)

 同(原口一博君紹介)(第三七三七号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三七三八号)

 同(今津寛君紹介)(第三八五一号)

 同(鮫島宗明君紹介)(第三八五二号)

 健保三割負担を二割に戻すなど患者負担の軽減に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四五九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四六一号)

 臓器移植の普及に関する請願(松岡利勝君紹介)(第三四六二号)

 同(大畠章宏君紹介)(第三六五六号)

 同(西川京子君紹介)(第三六五七号)

 同(青木愛君紹介)(第三七四九号)

 同(原口一博君紹介)(第三七五〇号)

 JR被保険者の厚生年金保険料率格差是正に関する請願(樽床伸二君紹介)(第三四六三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(宮腰光寛君紹介)(第三四六四号)

 同(枝野幸男君紹介)(第三五六九号)

 同(水野賢一君紹介)(第三五七〇号)

 同(山名靖英君紹介)(第三五七一号)

 同(山本有二君紹介)(第三五七二号)

 同(西川京子君紹介)(第三六五八号)

 同(塩谷立君紹介)(第三七五二号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(阿部知子君紹介)(第三四六五号)

 同(岩屋毅君紹介)(第三四六六号)

 同(小野寺五典君紹介)(第三四六七号)

 同(左藤章君紹介)(第三四六八号)

 同(樽床伸二君紹介)(第三四六九号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三四七〇号)

 同(水島広子君紹介)(第三四七一号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第三四七二号)

 同(室井邦彦君紹介)(第三四七三号)

 同(山口富男君紹介)(第三四七四号)

 同(赤松正雄君紹介)(第三五七四号)

 同(枝野幸男君紹介)(第三五七五号)

 同(神崎武法君紹介)(第三五七六号)

 同(城内実君紹介)(第三五七七号)

 同(五島正規君紹介)(第三五七八号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第三五七九号)

 同(佐藤錬君紹介)(第三五八〇号)

 同(田端正広君紹介)(第三五八一号)

 同(原田令嗣君紹介)(第三五八二号)

 同(平沢勝栄君紹介)(第三五八三号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三五八四号)

 同(山名靖英君紹介)(第三五八五号)

 同(山本有二君紹介)(第三五八六号)

 同(荒井聰君紹介)(第三六五九号)

 同(枝野幸男君紹介)(第三六六〇号)

 同(鴨下一郎君紹介)(第三六六一号)

 同(北川知克君紹介)(第三六六二号)

 同(古賀潤一郎君紹介)(第三六六三号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第三六六四号)

 同(田端正広君紹介)(第三六六五号)

 同(富田茂之君紹介)(第三六六六号)

 同(西川京子君紹介)(第三六六七号)

 同(原田義昭君紹介)(第三六六八号)

 同(松本大輔君紹介)(第三六六九号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三六七〇号)

 同(柳本卓治君紹介)(第三六七一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七五三号)

 同(井上喜一君紹介)(第三七五四号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七五五号)

 同(衛藤征士郎君紹介)(第三七五六号)

 同(大野功統君紹介)(第三七五七号)

 同(吉良州司君紹介)(第三七五八号)

 同(小杉隆君紹介)(第三七五九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七六〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七六一号)

 同(佐藤信二君紹介)(第三七六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七六四号)

 同(塩谷立君紹介)(第三七六五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七六六号)

 同(武部勤君紹介)(第三七六七号)

 同(野田佳彦君紹介)(第三七六八号)

 同(萩生田光一君紹介)(第三七六九号)

 同(山口富男君紹介)(第三七七〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七七一号)

 同(渡部恒三君紹介)(第三七七二号)

 同(逢沢一郎君紹介)(第三八五三号)

 同(川崎二郎君紹介)(第三八五四号)

 同(田嶋要君紹介)(第三八五五号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第三八五六号)

 同(村越祐民君紹介)(第三八五七号)

 同外二件(八代英太君紹介)(第三八五八号)

 総合的な肝疾患対策の拡充等に関する請願(水島広子君紹介)(第三四七五号)

 同(古屋範子君紹介)(第三五八七号)

 同(北川知克君紹介)(第三七七四号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第三七七五号)

 同(菅原一秀君紹介)(第三八六八号)

 てんかんを持つ人の医療と福祉の向上に関する請願(大島敦君紹介)(第三四七六号)

 同(水島広子君紹介)(第三四七七号)

 同(古屋範子君紹介)(第三五八八号)

 同(古川元久君紹介)(第三七七六号)

 雇用・失業情勢の深刻化に対応するための労働行政体制の整備に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四七八号)

 同(大島敦君紹介)(第三四七九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三四八〇号)

 同(園田康博君紹介)(第三四八一号)

 同(増子輝彦君紹介)(第三四八二号)

 同(水島広子君紹介)(第三四八三号)

 同(山口富男君紹介)(第三四八四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三四八五号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第三六七二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七七七号)

 同(中根康浩君紹介)(第三八六九号)

 高齢者のホームづくりに関する請願(水島広子君紹介)(第三四八六号)

 同(山口富男君紹介)(第三四八七号)

 同(内山晃君紹介)(第三五八九号)

 総合的難病対策の早期確立等に関する請願(青木愛君紹介)(第三四八八号)

 同(岩崎忠夫君紹介)(第三四八九号)

 同(岩屋毅君紹介)(第三四九〇号)

 同(大島敦君紹介)(第三四九一号)

 同(小林千代美君紹介)(第三四九二号)

 同(左藤章君紹介)(第三四九三号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第三四九四号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第三四九五号)

 同(下条みつ君紹介)(第三四九六号)

 同(園田康博君紹介)(第三四九七号)

 同(土肥隆一君紹介)(第三四九八号)

 同(仲村正治君紹介)(第三四九九号)

 同(西博義君紹介)(第三五〇〇号)

 同(西村智奈美君紹介)(第三五〇一号)

 同(能勢和子君紹介)(第三五〇二号)

 同(羽田孜君紹介)(第三五〇三号)

 同(藤村修君紹介)(第三五〇四号)

 同(保利耕輔君紹介)(第三五〇五号)

 同(前原誠司君紹介)(第三五〇六号)

 同(増子輝彦君紹介)(第三五〇七号)

 同(水島広子君紹介)(第三五〇八号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第三五〇九号)

 同(村井仁君紹介)(第三五一〇号)

 同(山下貴史君紹介)(第三五一一号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第三五九〇号)

 同(荒井聰君紹介)(第三五九一号)

 同(泉房穂君紹介)(第三五九二号)

 同(内山晃君紹介)(第三五九三号)

 同(大前繁雄君紹介)(第三五九四号)

 同(木村勉君紹介)(第三五九五号)

 同(小平忠正君紹介)(第三五九六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第三五九七号)

 同(五島正規君紹介)(第三五九八号)

 同(後藤茂之君紹介)(第三五九九号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第三六〇〇号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第三六〇一号)

 同(鈴木俊一君紹介)(第三六〇二号)

 同(田中慶秋君紹介)(第三六〇三号)

 同(田中英夫君紹介)(第三六〇四号)

 同(田端正広君紹介)(第三六〇五号)

 同(中村哲治君紹介)(第三六〇六号)

 同(西野あきら君紹介)(第三六〇七号)

 同(西村真悟君紹介)(第三六〇八号)

 同(原田令嗣君紹介)(第三六〇九号)

 同(古屋範子君紹介)(第三六一〇号)

 同(堀込征雄君紹介)(第三六一一号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第三六一二号)

 同(横路孝弘君紹介)(第三六一三号)

 同(井上信治君紹介)(第三六七四号)

 同(石井啓一君紹介)(第三六七五号)

 同(石田真敏君紹介)(第三六七六号)

 同(江藤拓君紹介)(第三六七七号)

 同(尾身幸次君紹介)(第三六七八号)

 同(加藤勝信君紹介)(第三六七九号)

 同(金田誠一君紹介)(第三六八〇号)

 同(小林千代美君紹介)(第三六八一号)

 同(近藤洋介君紹介)(第三六八二号)

 同(達増拓也君紹介)(第三六八三号)

 同(筒井信隆君紹介)(第三六八四号)

 同(寺田学君紹介)(第三六八五号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第三六八六号)

 同(原田義昭君紹介)(第三六八七号)

 同(福島豊君紹介)(第三六八八号)

 同(松本大輔君紹介)(第三六八九号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第三六九〇号)

 同(柳本卓治君紹介)(第三六九一号)

 同(横光克彦君紹介)(第三六九二号)

 同(渡辺具能君紹介)(第三六九三号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七七八号)

 同(石崎岳君紹介)(第三七七九号)

 同(今津寛君紹介)(第三七八〇号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第三七八一号)

 同(河合正智君紹介)(第三七八二号)

 同(吉良州司君紹介)(第三七八三号)

 同(北川知克君紹介)(第三七八四号)

 同(熊代昭彦君紹介)(第三七八五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七八六号)

 同(七条明君紹介)(第三七八七号)

 同(竹下亘君紹介)(第三七八八号)

 同(武部勤君紹介)(第三七八九号)

 同(谷本龍哉君紹介)(第三七九〇号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第三七九一号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第三七九二号)

 同(二階俊博君紹介)(第三七九三号)

 同(原口一博君紹介)(第三七九四号)

 同(福井照君紹介)(第三七九五号)

 同(古川元久君紹介)(第三七九六号)

 同(山口富男君紹介)(第三七九七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七九八号)

 同(渡部恒三君紹介)(第三七九九号)

 同(遠藤利明君紹介)(第三八七〇号)

 同(金田英行君紹介)(第三八七一号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三八七二号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三八七三号)

 同(城島正光君紹介)(第三八七四号)

 同(菅原一秀君紹介)(第三八七五号)

 同(土井たか子君紹介)(第三八七六号)

 同(中山泰秀君紹介)(第三八七七号)

 同(樋高剛君紹介)(第三八七八号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第三八七九号)

 同(吉田泉君紹介)(第三八八〇号)

 保険によるよい歯科医療の実現に関する請願(水島広子君紹介)(第三五一二号)

 医療費負担の軽減、介護保険の抜本的改善に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三五五八号)

 建設国保の育成・強化に関する請願(志位和夫君紹介)(第三五五九号)

 社会保障制度の拡充に関する請願(石井郁子君紹介)(第三五六〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三五六一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五六二号)

 同(山口富男君紹介)(第三五六三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三五六四号)

 同(石井郁子君紹介)(第三八八一号)

 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質向上に関する請願(枝野幸男君紹介)(第三五六六号)

 同(山名靖英君紹介)(第三五六七号)

 同(衛藤征士郎君紹介)(第三七五一号)

 マッサージ診療報酬の適正な引き上げに関する請願(古屋範子君紹介)(第三五六八号)

 介護・福祉・医療制度の拡充、障害者・家族の費用負担の軽減等に関する請願(古屋範子君紹介)(第三五七三号)

 戦没者の遺骨と遺品の返還に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三六七三号)

 青年の雇用に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三七三九号)

 保育・学童保育施策に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七四〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七四二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七四三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七四四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七四五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七四六号)

 同(山口富男君紹介)(第三七四七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七四八号)

 患者負担の軽減と社会保障充実等に関する請願(肥田美代子君紹介)(第三七七三号)

 安心して子どもを生み育てられる社会に関する請願(石井郁子君紹介)(第三八四四号)

 医療費負担の軽減、介護保険の抜本的な改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八四五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八四六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八四七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三八四八号)

 トンネルじん肺根絶に関する請願(山口富男君紹介)(第三八四九号)

 乳幼児医療費無料制度の確立と保育所の充実に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三八五〇号)

 第二十八期中央労働委員会労働者委員の公正な任命に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八五九号)

 同(石井郁子君紹介)(第三八六〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八六一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三八六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八六五号)

 同(山口富男君紹介)(第三八六六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三八六七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人医薬基盤研究所法案(内閣提出第九五号)(参議院送付)

 結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)(参議院送付)

 薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出第九七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、独立行政法人医薬基盤研究所法案、結核予防法の一部を改正する法律案及び薬剤師法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として、文部科学省大臣官房審議官徳永保君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官上田茂君、医政局長岩尾總一郎君、健康局長田中慶司君、医薬食品局長阿曽沼慎司君、労働基準局安全衛生部長恒川謙司君、職業安定局長青木功君、年金局長吉武民樹君、政策統括官水田邦雄君、以上の方々の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川知克君。

北川委員 自由民主党の北川知克でございます。

 まず、今回の独立行政法人医薬基盤研究所法案についての質問に入ります前に、委員長におかれましては、今国会、さまざまなことがありまして、大変御苦労をいただきましたことを、まずもって敬意を表する次第であります。

 そして、先日の厚生労働省の出生率に及ぶ人口数値予測の相違等、それから、年金問題等々で、社会保険庁、情報の漏れ等が今国会であったように思われます。こういう点を猛省しながら、今後、厚生労働に全力で取り組んでいただくことをお願いする次第であります。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今般設立予定の医薬基盤研究所でありますけれども、最先端の生命科学の研究を推進し、我が国における画期的な新薬の開発をバックアップするという機能を担うものであると心得ておりますが、この中で、ゲノム科学、そしてたんぱく質科学の研究については、海外でも積極的に今取り組みが進められているところであります。

 いわゆるゲノム創薬をめぐる研究開発は、国際的な規模で競争が激化をしているところでありますけれども、こういう状況の中で、製薬企業の年間の研究開発費を見てみますと、世界の大手メーカーなどは約三十億から五十億ドルをかけられておる。対しまして、我が国は最大手のメーカーにおいても十億ドル前後であります。そして、その他の大手の国内メーカーにおきましても一けた台というような、こういう世界における製薬業界の現状があるわけでありまして、こういう点も踏まえながら、我が国におきましても、医薬品産業の国際競争力を強化し、ひいては、我々日本の国民の皆様方に有効で安全な医薬品を提供していくためには、やはり民間ではなく、国を挙げてこのような問題に取り組んでいく必要性があろうと思っております。

 そこで、今回の医薬基盤研究所が、その機能を十分に発揮しながら、期待される役割を果たしていくために取り組んでいただきたいと思っております。そういう点について、二、三お伺いをしたいと思っております。そして、確認をしていきたいと思っております。

 まず、研究の推進体制についてであります。

 この医薬基盤研究所は、大阪を拠点としている中小の製薬企業がたくさんありますけれども、その大阪において発足をされるわけであります。官民挙げてのバイオサイエンスの研究を進めていく、こういう点にも重要でありますし、地の利を生かして、地元の大阪、今申し上げましたように、中小の製薬会社が非常に多いものでありますから、こういうものが一体となって、この基盤研究所で一つのグループとしてこのような研究開発に取り組んでいけるのかどうか。

 こういう点も踏まえながら、今後の地元の企業、そして研究機関との連携につきまして、どのようにお考えをされているのか、この点をお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

森副大臣 医薬産業分野は、我が国のこれからの産業分野の中で極めて大きな期待が寄せられている分野でございます。今委員御指摘のとおり、医薬の研究開発につきましては、大変大きな金額がかかることもございますし、また、世界に伍してやっていくためには、産官学一体となって、挙げてその取り組みを進めていくことが肝要だろうというふうに考えております。

 医薬基盤研究所が主たる機能を置きます、北川委員の御出身地でもある大阪府は、まさに製薬産業のメッカでございまして、この研究所の近くには、大阪大学や国立循環器病センターなど、大変すぐれた研究機関が立地しているわけでございます。そういった環境の中で、産学官の連携を図りながら研究を進めていくことが極めて実現しやすい、恵まれた立地条件にあるわけでございますし、地元の企業や大学などの参画を得て、積極的に共同研究を推進していくことが望ましいと考えております。

 このように、バイオケミストリーあるいはライフサイエンス研究を活性化し、我が国全体の画期的な医薬品などの開発の促進、ひいては国民保健の向上につなげていければというふうに念じているところでございます。

北川委員 ありがとうございます。今後ともそのようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 そして、もう一点でありますけれども、私は、今回のこの研究を進めていく上におきまして非常に危惧をされる点、それは、中での研究成果の情報の漏えいをどのように防いでいくかということであります。

 今回、この研究所との契約の中で、国内の製薬会社はもちろんでありますけれども、海外の製薬会社等とも契約をされるということであります。海外との交流によって幅広い研究がなされることは大変結構なことでありますけれども、しかし、情報の漏えいというものがあった場合にどのようになっていくのかということであります。

 この研究所の研究が特許に結びつくような成果が得られること、そして、この中において、共同研究者が対価を目当てにして外部に情報を漏えいするようなことがあってはならないと思っております。そうすることによって、研究所の信用が失墜するだけでなく、我が国の製薬産業の国際競争力を強化するという研究所の本来の目的が達成できなくなるのではないかなと思っております。

 この機関において、大きな視点に立って、国は異なれど地球は一つというような感覚で、少々の情報の漏えいで、世界の人類に寄与をするんだということであればいいんですけれども、我が国は自由主義経済の中で動いておりまして、やはり我が国の国益というものを守ることが重要であろうと思っております。

 その中で、情報漏えいを防止するために共同研究者に対してどのような措置を講じることとしているのか、研究所の役職員に関する守秘義務の内容とあわせて、今回の規定ではこの共同研究者に対しての規定がないものでありますから、その点をぜひお聞かせ願えれば、そして確認をできればと思っております。よろしくお願いします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 医薬基盤研究所の役職員につきましては、法案において、在職中だけでなく退職後についても、職務上知り得た秘密について守秘義務を課すとともに、違反した場合は懲役を含む罰則を適用することとしております。

 また、企業等の共同研究者につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、法案上、守秘義務等は位置づけておりませんが、共同研究契約において守秘義務を明確に位置づけるとともに、違反があった場合には損害賠償請求等により厳正に対処することにより、情報漏えいの防止を図っていく考えでございます。

 いずれにいたしましても、医薬基盤研究所におきましては、最先端のゲノム科学等の研究を実施することから、情報漏えいの防止は重要な問題であるというふうに認識しておりまして、情報管理の徹底に十分配慮してまいりたいというふうに考えております。

北川委員 ありがとうございます。しっかりとこの問題に取り組んでいただきたいと思います。

 こういう情報の漏えい等々については、刑法の百三十三条や百三十四条、そして不正競争防止法等で、物が対象になってこの法律というのはあるものでありますけれども、しかし、やはりその研究所におきまして、きちっとした契約内容の中でこのような情報管理を徹底していただく、そして、万が一そのような問題が生じたときには迅速に対応していただきたいと思っております。

 産学官の共同研究は、この医薬基盤研究所だけでなく、我が国の今独立行政法人化をされておりますさまざまな国の機関にも共通をする点であろうと思っております。その意味でも、この医薬基盤研究所は国民の生命、健康にかかわる研究を行っているわけでありますから、率先垂範して万全の対策をぜひ今後講じていただきたいと思っております。

 この点を踏まえながら、最後に森副大臣の方からも御答弁をいただければありがたいと存じます。

森副大臣 今委員から御指摘がありましたように、共同研究、民間との共同研究あるいは海外との共同研究というのは、これはまさに不可欠の研究体制であるというふうに思います。

 しかしながら、その際、共同研究でもって実りある成果を上げるとともに、情報管理をしっかりするということは極めて大事なポイントでございまして、共同研究契約を締結するに当たっては、参加する企業及びその研究者の秘密保持義務に関する規定については、特に十分な吟味をすることが必要であろうと考えております。

 いずれにしても、医薬基盤研究所が、産学官の連携のもとに共同研究を積極的に推進し、また大阪のシンボルとしてその役割を十分に果たしていくことができるよう、遺漏なく対応するようにいたしたいと考えます。

北川委員 ありがとうございました。ぜひそのように取り組んでいただきたいと思います。

 今国会も終盤になりまして、与党の委員の方々、そして野党の委員の方々にも、この委員会、さまざまなことがありましたけれども、大過なくきょうまで進んでまいりました。よろしく今後とも御指導をお願いいたしますとともに、御慰労を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 次に、中根康浩君。

中根委員 おはようございます。民主党の中根康浩と申します。

 きょうは独立行政法人医薬基盤研究所法案というものについて質問させていただく予定でございますけれども、まず、そこの法案本体に入る前に、一言二言申し上げておかなければならないことがあります。

 六月八日の児童手当法についての私の質問につきまして、実は六月十日付の公明新聞さんの「記者メモ」という欄があるんですけれども、ここにいろいろ書いてあります。民主党の児童手当に対する姿勢についても言及されているわけですが、私たち民主党が児童手当の拡充自体に反対したかのように書かれていることや、公明党の成果になるだけだから嫉妬心で反発している、こういうようなくだりがあるわけなんですが、こういったことにつきましては大いなる曲解であるということを確認しておかなければいけません。

 民主党といたしましては、あのときの私の前の質問者の水島議員がはっきりと訴えていたんですけれども、児童手当を子供手当として、子育て支援、次世代育成支援の一つの柱としてきちんと考えているということ。抜本的に……(発言する者あり)

 大臣は間もなく来るんですか。――大臣が来られなかったら、また改めて機会をつくってもらうということで、大臣はそのうち来られるんだろうというふうに聞いておりますので。

 児童手当については、抜本的に拡充して、義務教育終了年齢まで食費、被服費を賄える水準まで考えている、しかも所得制限なしでということであります。

 二〇〇三年の出生率が、新聞報道等でも騒がれておりますけれども、一・二九にまで落ち込んでしまった。こういった事態も踏まえて、税金を使ってこういう施策を行っていくわけですので、一つ一つの政策に対する事後の検証というものがやはり非常に大切であるというようなことを紹介させていただいたんですね、水島議員は。そして、今回の政府が出された改正案は不十分である、中途半端であって、民主党案を採用すべきである、だから政府案には反対だという論理の展開をさせていただいたということを確認させていただいて、公明新聞さんの記事が少し言葉足らずではないかなというようなことを御指摘申し上げつつ、まずこのことについて言及しておきたいと思います。

 それから、法案に入る前に、もう一つ、ちょうど大臣が入ってまいりましたけれども、例の選択エージェンシーの件なんですけれども、ついに尾尻社長が逮捕されました。これは、尾尻さんに対しては贈賄容疑がかかっています。収賄側はというと、厚生労働省の総務課広報室長補佐の森隆行氏。逮捕容疑事実としては、森氏が、社会保険庁の石川社会保険事務局の保険課長だった平成十五年二月と、厚労省へ戻ってからの同年四月に、選択エージェンシーにテレビコマーシャルなどの業務を発注した見返りに、尾尻社長から百万円以上のわいろを受け取ったというものです。

 森氏は、平成十三年四月から十五年三月まで石川にいたわけなんですけれども、森さんがいた間だけ随意契約、これは問題になりましたけれども、随意契約により選択エージェンシーと石川社会保険事務局との取引があったというわけなんですね。

 私の手元にある資料でも、例えば、これは選択エージェンシーと石川社会保険事務局との取引を記した「選択」側の資料なんですけれども、「A得意先」石川社会保険事務局。「B件名」国民年金納付督励テレビCM。「C数量」一式。「D売上額」五百七十一万二千円。「E外注先」「F外注額」、モンタージュ百四十万円、テレビ金沢百十九万円、北陸スタッフ三十万円。「G外注額計」二百八十九万円。「H利益」二百八十二万二千円。「選択」の仕事というのはいつもそうなんですけれども、利益率がべらぼうに高いんです。こういう資料が手元にあるわけなんですけれども。

 森さんは、石川へ行く前は厚生労働省の保険局の国民健康保険課の庶務係長だったわけです。このポストというのは、今までの議論を振り返ってみますと、この委員会でも明らかになっているように、例の国保中央会の便利手帳などの監修料を五千万円以上受け取っている窓口になっていた、そしてそれをプールしていたポストなんですね。この選択エージェンシーと厚生労働省の保険局との、いわばいかがわしいとも言える関係や路線を初めにといいますか確定させたのが、この森さんだとも言われています。

 さらに、二〇〇三年、平成十五年の十一月二十日十九時四十九分付の森さんから尾尻社長へのEメールをプリントアウトしたものが実はここにあるんですけれども、ちょっと読んでみますと、送信者は森隆行となっていますね。あて先OJ、OJというのは尾尻社長の個人会社なんですけれども、尾尻和紀。送信日時は二〇〇三年十一月二十日十九時四十九分。件名「遅くなりました」とあります。本文は、

 返信が遅くなりました

 スポンサーは「全国産業人能力開発団体連合会」(年間)

       「日立製作所」(二十一日に相談することになっています)

       「三共」?

       「NTT―D」(来週相談する予定)

       「厚生年金事業振興団」?

       etc

 「竹田案」は拠出ベースは良く整理されていますが、将来の給付がこの案で確実に保証できるかというところを検証中です

 いずれのテーマももう少し時間を下さい

何のことを意味しているのかよくわかりませんけれども、いずれにしても、推測されるところは、森さんが選択エージェンシーのスポンサー探しのような仕事を役所のパソコンを使って行っているのではないかというようなことが推測されるようなEメールのやりとりになっているわけなんですね。まさに、言葉は悪いかもしれませんけれども、ずぶずぶの関係というような感じが、この森さんとお役所の間にあったと言ってもいいのではないでしょうか。

 今国会では、厚労省や社会保険庁の怪しい業務について幾つか指摘させていただいておりますけれども、例えばカワグチ技研。この選択エージェンシーでも、そのほかに、癒しと安らぎの環境フォーラムというものがありましたね。それから、障害者スポーツ協会の日本パラリンピック株式会社の問題も指摘をしてまいりましたけれども、いずれにしても、問題の元凶は、税金も含めて保険料のむだ遣いに対する鈍感さとか、それから監修料というものの存在、それから契約のあり方が、随意契約ということが本当に頻繁にというか、ほとんどそういうふうになっているというふうに考えさせてもらっています。

 例えば、細かい話、簡単に直せるところから直していってもらいたいんですけれども、選択出版が出している「選択」という情報誌があるんですけれども、これを多くの省庁が定期購読しているわけなんですね。例えば平成十五年、ざっと読み上げてみますと、内閣官房が十三冊、内閣法制局二冊、人事院四冊、内閣府二十二冊、宮内庁一冊、公正取引委員会二冊、警察庁二十六冊、防衛庁五十六冊、金融庁三冊、総務省十八冊、それから法務省が四十二冊、外務省四十一冊、財務省三十七冊、文部科学省三十冊、厚生労働省は意外とこういった関係からすると少なくて十一冊、農林水産省が四冊、経済産業省が五十八冊、国土交通省が四十冊、環境省が一冊。平成十五年だけでも、毎月計四百十一冊ずつこの情報誌「選択」を購入している。

 このこと自体が全部いけないというわけじゃないんですけれども、こういう問題になったときぐらいは、一回この「選択」との関係をきちんと整理する、断ち切るというようなことも必要であろうというふうに思いますので、まず、こういったできるところから関係を是正していっていただきたい。

 それから、この「選択」の問題につきましては、もしかしたら、以前も指摘しましたけれども、これから政治家の名前とか元秘書というような名前とか、これは既に、企画費というものを受け取っているということはもう事実としてあるわけですから、そういった方面へ事件として発展していく、進展していく、疑惑が深まっていくということもあり得るわけなんです。

 そういった新しい展開を見せたこの選択エージェンシーの汚職問題について、改めてきょうもう一度、大臣、御見解をお伺いできたらと思います。

坂口国務大臣 少しおくれて参りまして、申しわけありません。

 委員からは、今回のみならず前回にも、あるいはその前にも、エージェンシーの問題につきましてさまざまな御指摘を受けておりますし、御指摘をいただく内容というのはまことに当然なことというふうに私も受けとめているわけでございます。

 したがいまして、その随意契約なるものが根幹になっていて、あらゆる問題に発展をしてきている、あるいはまた使途の問題でありますとかそうした問題が起こってきている。そういうことを考えますと、根っこのところは、その随意契約を正さなければならない、もう原則禁止ということにしなければならない。これは社会保険庁のみならず厚生労働省全体に言えることでございますので、そういうふうにしたいというふうに思っておりまして、既に役所には言ったところでございます。

 また、今回、新しい段階に来ておりますので、本省のみならず出先のあり方につきましても考えていかなければなりません。石川の場合におきましては、石川だけの特別なものをつくっているといったこととも関係をしているのではないかという気がいたします。

 したがいまして、全国、都道府県の出先で、特別に何かつくりかえて別なものをつくったりしているのは一体どこなのか、それに対してどういう契約をしているのかといったことを少し徹底的に調べて、また御報告を申し上げたいというふうに思っております。

中根委員 いつも誠実な御答弁をいただく大臣のことでございますので、この場においては信頼をさせていただいて、ぜひ、そういった問題の早期究明といいますか真実をまず明らかにして、その上で、もう二度と、二度とと言いながらも何度も同じようなことが繰り返されてきているのが現実なんですけれども、二度と繰り返されないようにということを、綱紀粛正といいますか、ぜひよろしくお願いします。

 また、今の御答弁にはありませんでしたけれども、監修料というもののあり方が本当に今のままでいいのか。例えば、民主党の議員さんの中にもお役人出身の方がいらっしゃって、何とか小六法というものを、毎年ほとんど変わらないんだけれども、少しだけ変えて監修料をたくさんもらったことがあって、あれはおいしかったなんて言っている方も実はいらっしゃるんですけれども、そういった、それは違法ではなくて合法的にということでもあるわけなんでしょうけれども、本当にそういうことで公務員として職務に専念している姿と言えるのかどうか。むしろそちらの方を当てにして、昼間の仕事がおろそかになって、早くうちへ帰って監修料をもらうことの方が、そっちの方が、売上高の一割とかということも明らかになっていますけれども、本当に楽してもうけられるというようなことにもつながるわけですので、この監修料の話。

 それから、さっき具体的に申し上げました情報誌「選択」の定期購読、こういったものについても、本当に必要以上のものが定期購読されているんじゃないかということも考えられますので、そういったこともぜひ、小さいことですけれども、よろしくお願い申し上げます。

 それで、この独立行政法人医薬基盤研究所法案について触れてまいりたいと思っていますけれども、まず、私といたしましては、この研究所を独立行政法人という制度にした、形態にしたということについてお尋ねをしたいと思います。

 この第二条で、「独立行政法人通則法の定めるところにより設立される」というふうに書いてあるんですけれども、独立行政法人ということになれば、三年から五年の中期目標を立てる、そしてそれをもとにした年度計画をつくる、そしてまた、管理費等については一割から二割の経費の削減を目指していくというようなことがテーマとして課されるわけなんですけれども、こういった医薬品あるいは医療用具の研究開発というものは、本当に僕は素人なものですから何もわからないんですけれども、恐らく三年とか五年とかということではなくて、非常に中長期の期間にわたって開発されていく、そういう時間を要するというようなことも考えられると思います。

 この独立行政法人というのは、まずは厚労省の内部での評価委員会のチェック、それから総務省のチェックということで、その成果や評価というものがダブルチェックされていくわけなんですけれども、そういった中期的な目標、三年とか五年とかということ、あるいは経費を削減していかなきゃいけないということ、そういった独立行政法人というものに課せられている使命と、それからこの基盤研の目標としている、役割としている研究開発ということが、うまくマッチしていかなきゃいけないということなんです。

 そういったところに独立行政法人としたことによって支障があってはいけないというふうに思いますけれども、その辺の、独立行政法人としたことによるメリットとかデメリットとか、あるいは気をつけていかなきゃいけないこととか、そういったことを御説明いただければありがたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 独立行政法人制度においては、中期目標を主務大臣が法人に指示し、法人はこれに基づき中期計画を作成することとなっており、また、業務運営についても効率化に取り組むべきこととされておりますので、業務の成果を求められること、あるいは経費の節減を進めなければならない、こういった厳しさがあるものというふうに考えております。

 しかしながら、その一方で、自律性を持って業績志向型の業務運営を行うことが可能となるものでありまして、みずからの判断で時勢に応じた研究の推進ですとかあるいは重点化、また柔軟な研究体制の構築、また産学官の連携による研究の推進など、このようなことを進めていけるものというふうに考えております。

 なお、ただいま先生、中長期的な御指摘もございましたが、中期目標の設定に当たりましては、基盤的研究を行うというこの研究所の目的にかんがみ、中長期的な展望に立った目標の設定を行うことが適当というふうに考えているところでございます。

中根委員 続きまして、この法案の第七条関係なんですけれども、役員として理事長及び監事二人を置く、理事一人を置くというようなことがあるわけなんですけれども、こういった役員の人選に当たりまして、例えば製薬会社との癒着が疑われるような人選は、これはもってのほかということになりますし、天下りも適当でないと思いますし、また、こういった世界によくうわさされるような大学の学閥とか、そういった特定の人間関係によって役員が人選されるということもふさわしいものではないというふうに思っております。

 この基盤研が本当に役割をきちんと果たしていくのにだれが適当であるかというようなこと、それからまた、そういった役員の方々の報酬とか退職金とか、こういったものについても、独立行政法人についてはラスパイレス指数というようなものも意識していくというようなことも以前聞いたことがありますけれども、こういった人事的なことについて、今わかる範囲でお教えいただければと思います。

上田政府参考人 医薬基盤研究所は、ゲノム科学あるいはたんぱく質科学等を活用した研究開発等を推進することにより、画期的な新薬等の研究開発にかかわる基盤整備を図っていくものでありますので、業務推進の観点からは、このような研究分野に精通していることが求められております。と同時に、法人の組織運営の観点からは、組織運営の効率化あるいは職員の管理等の経営的手腕も求められているところでございます。

 したがいまして、基盤研が行う業務に造詣が深く、また経営的手腕にもすぐれた方が理事長として最もふさわしい人材であるというふうに考えておりまして、こうした人材を今後幅広く求めてまいりたいというふうに考えております。

中根委員 続きまして、十四条の関係なんですけれども、これは十四条だけではないと思いますが、今回の独立行政法人が特定型ではなくて非公務員型で設定をされるということで、非公務員ということになりますと、雇用の不安定化というものがやはり心配になってくるわけだし、ひいては、そのことが研究業務の安定的継続の支障になってはいけないとも思うわけだし、そういった雇用のことについて、働く人たちの不安をきちんと解消していくことが大切だと思っています。

 また、業者との癒着というようなことをせずに、公正中立に研究開発業務を行ってほしい。今までの話にもあったように、公務員の方でもなかなか癒着を自制する、自粛するというのが難しい現状にあって、非公務員型ということになると、こういうなかなか国民のあるいは国会の目の行き届きにくい分野でいろいろな不正が行われるというようなことも心配としてあるわけでございますので、そういった点にもきちんと配慮してほしいというふうに思いますけれども、今回の職員の身分が非公務員型であるということについて御見解を。

 それから、あわせて、後ろの方に、これは二十一条にありますけれども、国家公務員宿舎法の規定が適用されないということになると、大阪とかつくばとか北海道とか、この関係、いろいろあるんですけれども、転勤したときに住まいはどうなるかということについても御説明ください。

上田政府参考人 二つの御質問をいただきましたが、まず、非公務員型ですが、そういった雇用の問題についての御質問にお答えしたいと思います。

 独立行政法人への移行に当たりましては、これまで維持されてきた職員の雇用の安定及び良好な労働関係に配慮することが必要というふうに考えております。

 まず、医薬基盤研究所の設立に際しましては、移管対象となる職員については、法律上、医薬基盤研究所の職員となることとされておりまして、雇用の継続が図られることとなっております。

 また、移行後の法人運営に当たりましては、法人と職員の間で十分協議の上、職員が安心して業務に邁進できるよう、労使間の信頼関係の醸成に取り組んでいくこととなるものというふうに考えております。

 次に、宿舎の関係でございますが、職務に専念していただくためには、勤務労働条件を整えることが極めて重要であり、役職員の住居の問題についても鋭意取り組むこととしております。

 具体的には、政府から基盤研に対し国家公務員宿舎を現物出資し、基盤研職員が利用できるようにする、あるいは基盤研において民間アパート等の借り上げを行い職員に貸与する、あるいは民間アパート等を借りる職員に対して住居手当の支給を行うといった、このようなさまざまな方策が考えられているところでございます。

 今後、基盤研に引き継がれる職員について、現在の国家公務員宿舎の利用状況、あるいは今後の宿舎への入居希望、こういうことを勘案し、適切に対処していく考えでございます。

中根委員 続きまして、第十五条の関係なんですけれども、基礎的研究を委託していくということなんですけれども、この委託先の決定の手続、それから受託した受託先における成果に対する評価、あるいは委託の決定について、例えばこのことについてはまた随意契約とか入札とかということがあるのか、どういうふうな形で委託先を決定していくのか、そういったことをお教えいただければと思います。

 それから、十五条の二ということで、希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療用具に関する試験研究という部分について、若干触れさせていただきたいと思います。

 これは参議院先議の法案だったものですから、参議院において、我が党の山本議員とのやりとりの中で、この基盤研の審議機関にも薬害被害者が参画するということが確認されたということは、非常に意義のあることだというふうに思っております。

 私といたしましては、この法案の第十五条の二に関しまして、いわゆる血液製剤というものが希少医薬品という認識の上に立って御質問申し上げていきたいと思うんですけれども、外国からの輸入というものに頼るのではなくて、安全性を高めるために、そしてまた安定的に国内自給を確保していくためにということが必要だと思っております。

 そういった意味で、我が国において輸血用血液製剤のすべてを供給し、血漿分画製剤の製造販売、あるいは、原料血漿、つまりは献血血液の企業への販売を行っているのが日本赤十字社だというふうに聞いています。この日赤が、世界で最新の安全技術を開発し、輸血医療の安全性を図り、そしてまた、我が国の国民が安心して使用できる血液製剤を今後も供給してくれるのかどうか、そしてまた、公益的医薬品ともいえる血液製剤の研究開発振興をだれが責任を持って行っていくかという問題があると思います。

 現在も、希少血液製剤の多くは米国由来の売血に依存しておりまして、昨年施行された安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律でも明記された血液製剤の国内自給体制の確保というものに、これからもっともっと力を入れていかなきゃいけないんですけれども、日本赤十字社としては今後どのような責任を果たすのか、あるいは果たす気があるのか。具体的には、希少血液製剤の開発、供給をする気があるのかないのか。そしてまた、今度の独立行政法人基盤研とのどういう連携を図っていくのかという問題。

 そしてまた、いろいろな輸血感染問題を受けて、この日赤の組織改革を進めていこうとしておられるわけなんですけれども、こうした日赤の国策的な役割をいわばグローバルな視点で執行する体制が、その意思が、政府としてあるいは日赤としてあるのかないのかというような問題について、まとめてお尋ねを申し上げておきたいと思います。

 この点につきましては、平成八年の五月八日に行われた衆議院の厚生委員会、これは我が党の、きょうもいらっしゃる五島先生なんかも出席して質問されておられるんですけれども、この中で、今の坂口大臣、当時の坂口委員さんが、本当に明快な質問をしてやりとりをしておられるわけで、こういった血液製剤、血液行政については坂口大臣は造詣が深いというふうに推察といいますか、本当に尊敬申し上げる次第でございますけれども、そういった、日赤に絡んでの血液製剤の国内自給ということについて、まとめてお答えをいただければと思います。

坂口国務大臣 血液の問題につきましては、赤十字が一手引き受けと申しますか、ここで献血の問題は全部やってもらっているわけでありますから、やはり赤十字が中心になって、保存血液なり血液製剤の材料を確保していくということをやってもらうということが大事だ、これ以外にないというふうに思っているわけであります。

 したがいまして、保存血液だけではなくて血液製剤の材料につきましても、外国に頼るのではなくて国内でそれが供給できるような体制をどうつくるかというのが、血液新法ができましたときの最大の柱の一つであったというふうに思っております。ぜひ質量ともに確保できる体制を赤十字にもお願いしたいし、これは国の方もしっかりやらなければいけないというふうに思っております。

 赤十字の方におきましては、それが血液製剤であれ、あるいは保存血液であれ、もう少し質を高めて、ことしも起こりましたようなエイズのウイルスでありますとか、あるいはC型肝炎のウイルスでありますとか、そうしたものがすり抜けていくようなことのないようにどうするかということについて検討をしてもらっているところでございますし、ことしから来年にかけまして、段階的にでございますけれども、新しい体制に臨むということを既に聞いているところでございます。

 そうした中でございますので、何か聞くところによりますと、赤十字の方も赤十字全体の中の新しい体制を決めたいということのようでございます。その中で、私は、赤十字の中でやはり血液部門の比重というのはかなり高まっているというふうに思いますので、格上げをすると言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、この問題につきましては、赤十字の中でのウエートを大きくして責任ある体制をつくっていただく、赤十字の中でひとつ責任を持ってすべてをおやりいただけるような体制をお願いしたいというふうに思っている次第でございます。

岩尾政府参考人 先生の御質問の前半の部分、委託研究のプロセスでございますが、現在、これについては医薬品医療機器総合機構で行っております。来年の四月にこの基盤研究所ができましたらば、同じような方式で研究の評価等々をやっていきたいと思います。

 具体的には、外部の委員会を現在設けているということ、それから委託先の選定、それから評価については二段階評価をしているということでございます。同じようなプロセスで、中立かつ公正な選定に努めてまいりたいというふうに考えております。

中根委員 では、いろいろ御答弁ありがとうございました。これで本日は終了させていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 三井辨雄君。

三井委員 民主党の三井辨雄でございます。

 まず、冒頭に申し上げておかなくてはならない問題でございますが、四月一日から約二カ月とちょっとの間でございますけれども、年金問題を審議してまいりました。次から次と、出生率の問題、先ほど中根議員からもございましたように、一・二九と大幅にまた狂いが出てきた、あるいは国民年金の収納率が五〇%ということとか、あるいはモデル世帯の五〇%の給付も切ってしまう。まさにこれは、私たちはことごとく政府の年金法案に対しましては反対してきたわけでございますけれども、どこだかの自動車会社の欠陥商品を売ったような、まさにリコール隠しのようなこういう法案というのは許されない、私たちはこういうぐあいに思っているわけでございます。

 また、この中で私はあえて大臣の答弁は求めませんが、ある老人クラブの川柳の中にも「年金に安・近・短の旅学び」という川柳がございましたが、まさにこういうことに象徴されているんではないかなというぐあいに私は思う次第でございます。

 いずれにしましても、今度の参議院選挙ですべてが国民の審判を受けるわけでございますので、この法案については、今までの審議の中でということでございますので、私はあえてこの答弁を求めません。

 そこで、本日議題となっております薬剤師法の改正案についてお尋ねしたいと思います。

 この法案については、参議院先議ということで、参議院で熱心な議論をされてきたわけでございますけれども、私も、質問時間が限られておりますので、これからの薬学を学ぼう、あるいは薬剤師として国民のために医療に貢献をしようという皆さんの励みになるような質問をしてまいりたいなと思っております。私も、きょうはちょっと熱と風邪で多少お聞き苦しいかと思いますけれども、まさに薬を飲み飲み、きょうは質問させていただいております。

 しかし、この薬剤師法については、私も当選以来、文部科学委員会でも常にこの必要性を訴えて質問させていただきました。特に、この間というのは道のりは決して平たんではなくて、今の医学の進歩、薬学の進歩という中で六年制の必要性を訴えてきたわけでございますけれども、この道のりは、まさに三十数年間議論をされてきた、やっとここでまた各委員の皆さんに御審議をしていただけるということに、私も感慨深いものがあるわけでございます。

 そこで、この三十年来の中で、総合規制改革会議の中で、利便性や自己責任の名のもとに、一般小売店での販売ですとかあるいは規制緩和をせよという要求が、これは大臣初め反対をされてきたわけでございますけれども、さまざまな問題がございました。逆に言うと、こういうことがばねになりまして今回この六年制という、医療のリスクマネジャーとして、こういう逆境をばねにしてきたのかなと思っている次第でございます。

 そこで、先ほど申し上げましたように、薬剤師も医療のリスクを補完するという意味で、現在薬剤師が、大変新しい新薬、特に最近、分子標的薬、例えば慢性骨髄性白血病の治療薬のグリベックであるとか、あるいは乳がんの治療薬のハーセプチンとか、今問題になっていますイレッサの問題とか、分子標的薬というのはまさに夢の薬でありつつも、なおかつ使い方によっては間違いも出るというような、これにはやはり薬剤師が大いにかかわっていく必要があるだろうなと私も思っている次第でございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、六年制の薬学教育において、今後の薬学の充実には実務実習ということが非常に大事だと私は思っております。ぜひとも、質の高い薬剤師を輩出する意味でも、やはりこの実務実習というのは欠かせないと思っております。また、今日の医療のまさに質の向上に結びつくような薬剤師を輩出していただきたい。

 そこで、大臣に、この六年制の導入によりどのような医療が実現するのか、あるいは大臣としてはどのような展望をお持ちなのか、お答え願いたいと思います。

坂口国務大臣 薬剤師さんの学校の六年制の問題につきましては、今お話ありましたように、言われてから久しいわけでございます。今回、これがようやくまとまりまして、そしてこの法案の御審議をいただく段階になったことを、私も大変喜んでおります一人でございます。

 医師の方の医学教育の中で薬学というものに時間がとられているかといえば、そんなにとっていないと思うんですね、現在も。これは、余りにも学ばなければならない範囲が広いものですから、そんなに時間はとれないということだと思います。しかし、実際の臨床医学の中におきましては、薬剤の占める割合というのは非常に高いわけでございます。

 薬剤師さんに今までもそれなりの役割を果たしていただいてまいりましたが、最近のようにゲノム医学でありますとか新しい先端医療がだんだんとふえてまいりました中で、薬剤師さんは薬学についての知識は十分お持ちをいただいておりましたけれども、やはり医学全体のことについてどこまで修めていただいているかということになりますと、今までそこには多少不安な面があったのではないかというふうに思います。

 今回、これが六年制になって、もちろん薬学そのものについての質も深めていただくことになると思いますが、もう少し総論的に、やはり医学そのものにつきましての知識と申しますか、そうしたものも身につけていただくことになれば、私は非常にレベルの高い薬剤師さんが誕生するというふうに思っております。

 そうした薬剤師さんに対しまして、医療現場におきまして、より大きな働きをしていただく体制をつくり上げていかなければならないというふうに思います。現在も、既に病院におきましてはチーム医療に参加をしていただいて、そしてその中で、患者さんの状態でありますとか血中濃度によりまして薬をどういう程度にすべきか、あるいはまた注射をどのぐらいにすべきだといったようなことについて医師にアドバイスをするといったようなことが一部で行われておりますけれども、こうしたことがもっと大きくなって、そして全体の治療の中で大きな役割を果たしていただくようにしなければならないというふうに思います。

 これから、六年制の教育の中で誕生された皆さん方に対しまして、ただ単に六年制にしたというだけではなくて、その皆さん方が働いていただきます場の改革、今までの継続ではなくて、新しいそういう卒業生に対して、どういう仕事を、どういう場を与えていくかといったことも変えていかなければならない、あわせて必要なことだというふうに思っている次第でございまして、厚生労働省の担当課に対しましても、そうしたことを念頭に置いてひとつやってほしいということを先日来言っているところでございます。

三井委員 まさに大臣がただいま御答弁いただきましたように、質の高い医療を提供できる薬剤師ということ、医療全般も知ることが大事だということで、私も薬剤師議員でございますが、私の経験からも、やはり医療全般を知るということを非常に必要性を感じてこれまで来たわけでございます。

 まさに今大臣がおっしゃいましたように、薬にかかわる医療事故というのは、もう既に統計にございますように、六割以上が薬にかかわる医療事故。単純事故も多いですし、あるいは薬の取り違え、そういうものが多発しているわけでございます。

 現在の四年制でございますけれども、二週間程度の実務実習が行われているわけでございます。先日、実務実習に参加した学生の感想文の中で、「薬剤師という職業の実感」と題した文章がございます、これは摂南大学と近畿大学からでしょうか、これを読ませていただいたんですが、まさに、薬剤師というのはただ単に調剤するものだけだ、こういうぐらいな認識だったということもおっしゃっているわけですね。薬を、ただ医師からの処方せんを調剤するだけが薬剤師だという感覚とか、あるいは地域とか社会にもっともっと貢献できる、あるいは介護の経験もしました、病院薬剤師の仕事を実務実習してまいりました。非常に、皆さんの声を聞きますと、新しい体験やら、あるいは驚きやら、不安も持ちつつも実務実習された学生さんが、まさに問題点も素直に提起をしていただいているわけでございます。

 その中で、私は特にここでもっと感じたことは、三週間の実務実習であったけれども、もっと実習時間を長くしてほしい。

 そこで、今度の改正では、薬局あるいは病院において長期実務実習が最低でも六カ月間行われるわけでございますけれども、ここで一つ心配されるのが法的な縛りでございます。

 実務実習の際の調剤行為についてとか、あるいは薬学生が行う実務実習の範囲については、調剤に関する薬剤師法の規定、あるいは守秘義務に関する刑法上の規定があるわけでございまして、例えば薬剤師法十九条には、「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。」あるいは刑法百三十四条によりますと、「正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と規定されているわけでございます。

 これから、実務実習の中において安心して薬学生が学べる、そしてできるという、こういう法律がある限りはどのように厚生労働省としては検討されるのか、あるいは準備をされているのか、お伺いしたいと思います。

阿曽沼政府参考人 お答えをいたします。

 実習についてのお尋ねでございますけれども、薬剤師法の第十九条におきましては、御指摘のように、薬剤師でなければ販売あるいは授与の目的で調剤してはならないという規定がございます。御指摘のように、薬剤師免許を持たない薬学生でございますので、実際、実務実習において調剤行為を行うといった場合には、この規定とのかかわりが問題になるわけでございます。

 私どもといたしましては、指導に当たります薬剤師による指導監督がきちんと行われる、それから学生が十分に事前に知識、技能、態度を修得する、それから指導に当たる薬剤師の確認のもとで実習生が行う行為について修正が可能だということであれば、違法性はないものというふうに考えております。

 それから、学生が十分に知識、技能、態度を修得しているかどうかということを確認いたしますために、大学の間で共用試験を導入するということも聞いておりますので、そういう意味では一定のレベルは確保されるのではないかと思っております。

 また、もう一つのお尋ねの刑法の関係でございますけれども、刑法百三十四条の守秘義務の関係でございますが、これも、この規定につきましては、薬学生に対して守秘義務の重要性を十分に教示をする、それから、その重要性を理解した者に限りまして実務実習を認めるということであれば、指導薬剤師が業務上知り得た情報に基づき薬学生を指導するということには正当な理由があると考えておりまして、違法性はないものというふうに考えております。

三井委員 今御答弁いただきましたように、薬学生に本当に安心して実務実習に励んでいただくためにも、万一の場合には、必ずしっかりとした体制がとれるようにお願い申し上げたいと思います。

 さらに、この実務実習の体制を総合的に整えていく上で、文部科学省では大学の指導教官の養成をぜひ図っていただきたい。それから二番目といたしましては、各大学においての責任ある実務実習を実施していただく。また三番目には、病院、薬局等においては実習の受け入れ、指導に協力していただくことが大変重要である。この三点を私はお願い申し上げたいと思うわけでございます。

 特に、今、実務実習の指導をする指導薬剤師というのは非常に重要だと思っておりますので、この養成をどうしていくのか。また、薬学生を預かるその任務と責任というのは大変重いものがあると思いますけれども、今、調剤の実務実習における法的な問題については御答弁いただきましたけれども、今後、それでは実際にどのような方策をとっていかれるのか、お尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

阿曽沼政府参考人 指導薬剤師の養成の問題でございますけれども、薬学教育六年制が導入をされますと、そういう意味で、病院、薬局での実務実習で学生の指導に当たります薬剤師というのは大変重要になってまいります。

 したがいまして、平成十六年度から、指導薬剤師の実務実習の実施検討事業というのを行っておりまして、具体的に申し上げますと、実務実習において学生を指導する指導薬剤師養成のためのプログラムの検討、それから、実務実習を受け入れる施設が満たすべき受け入れ体制に関する自主的な基準について、既に検討を開始しております。

 厚生労働省といたしましては、十七年度以降、六年制の薬学教育において実務実習が始まるまでの間に、このプログラムに従いまして指導薬剤師の養成を進めまして、実務実習が本当に充実したものになるように努めていきたいというふうに考えております。

三井委員 今御答弁いただきましたように、指導薬剤師の重要性というのは本当に必要だと思いますし、この養成につきましては、カリキュラム等を組みながら、ぜひともしっかりとやっていただきたいことをお願い申し上げたいと思います。

 次に、専門薬剤師についてお尋ねしたいと思います。

 質の高い薬剤師ということを私も大いに期待するわけでございますけれども、今後、医療の高度化に伴って、例えば抗がん剤ですとかあるいは糖尿病だとか、それぞれの重篤な患者さんや、あるいは特定疾患に対応できるような特化した薬剤師を育てていくこともまた重要になってくると私は思っておるわけでございます。

 そこで、薬剤師の特定領域の専門性を高めていくということが必要だと考えておりますけれども、厚生労働省としてはどのようにお考えか、お答え願いたいと思います。

阿曽沼政府参考人 御指摘のように、厚生労働省といたしましても、特定領域の専門性を向上させるということは大変重要であるというふうに思っておりまして、そういう意味で、薬剤師さんにつきましても、日本病院薬剤師会におきまして、最近では、がん薬物療法専門薬剤師の認定を十七年度から開始されるということも聞いております。そういう各団体の取り組みが進められることも大事であると思っております。

 私ども厚生労働省といたしましても、薬剤師の卒後研修をどういう形で充実させていくかというのが大きな課題であると思っておりまして、その中で特定の分野の専門性を高めるということも必要であろうということを考えておりまして、その方策について、今後具体的に検討していきたいというふうに思っております。

三井委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そこで、既存の薬剤師の資質向上について、何点か御質問させていただきたいと思います。

 六年制の導入によりまして、薬剤師の資質は当然向上していくだろうと思っているわけでございますけれども、今御答弁いただきましたように、薬剤師の特定領域の専門性を高めていく、医療全体に非常に私はプラスになっていくだろうと。また、ぜひこれを、今お話ございましたように、積極的に取り組むことはもちろんでございますけれども、現在、薬局ですとか薬店、調剤薬局、あるいは服薬指導の現場で頑張っている既存の薬剤師さんの資質の向上という点についても、極めて私は重要であると考えているわけでございます。

 冒頭で分子標的薬のことを話しましたが、新薬もまさにどんどんどんどん開発が進んでいるわけでございますけれども、さらにジェネリックと称する医薬品の積極的な、私はこれは医療費の削減という立場からも使用を進めていかなければならないと思っておりますし、また、病院等医療機関の病棟薬剤師が薬歴管理をする、あるいは服薬指導を行うということ、あるいは注射薬の薬剤もしっかりと管理していくということが必要だと思っております。

 また、地域の医薬分業も進んでいるわけでございますけれども、昨年末のデータでは、処方せんの受取率も高いところでは七十数%という、これは特に秋田ですとか神奈川ではもう七三%とか七一%と非常に高い率を示しているわけでございますけれども、全国平均でも五四%。そういう意味では年々非常に増加していっているわけでございますけれども、こうした状況を迎えてくると、やはり、かかりつけ薬局というのが私は患者さんのニーズとして必要になってくるだろうと思っております。

 私の手元にも、薬局薬剤師の店頭での事例報告ということで資料を送っていただきましたが、実際に、副作用を未然に防いだとか、あるいは、軽医療の範疇を超えているような判断をし医師に受診することを勧めた例ですとか、あるいはOTCの取り扱いも含めて、日々患者さんと向き合う努力を重ねている様子が手にとるようにわかるわけでございますけれども、まさに、こういう交通整理をなさっている、あるいは服薬指導をなさっているという報告も来ているわけでございます。

 こうした現場で活躍する薬剤師さんにより一層頑張っていただく意味でも、卒後教育としまして薬剤師の生涯研修のあり方が問われてくると思うわけでございます。今後、六年制卒業者と既存の薬剤師の間のレベルの格差を生じないようにしていくためにも、厚生労働省には、薬剤師を所管する立場から、しっかりとした支援のもとに資質の向上の対策を講じていただきたいと考えますが、いかがでございますでしょうか。

阿曽沼政府参考人 御指摘のように、薬学教育六年制の導入に加えまして、今既に働いておられる既存の薬剤師さんの資質の向上に努力をするということは大変重要であるというふうに思っております。

 厚生労働省といたしましても、これまで生涯教育という形で、薬剤師業務全般について幅広い基本的な研修を行うための実務研修事業を平成九年度から行ってまいりました。また、関係団体におきましてもそういう資質の向上を図るための取り組みも行われております。さらに、最近では、各大学におきまして、公開講座の拡充、あるいは生涯学習推進のためのセンターの設置など、文部省サイドでもいろいろな取り組みが進められているというふうに承知をいたしております。

 今後の取り扱いでございますけれども、薬学教育の六年制が導入されるわけでございますので、それに伴いまして、私どもとしては医学、薬学の進歩に応じました最先端の知識をできるだけ習得する、さらに、経験の浅い薬剤師さんに対して資質の向上をできるだけ早く図っていく、それから、先ほどもお話ございました特定領域の専門性の高い薬剤業務の体得を進めるといったようなことで、薬剤師の研修の改善充実について具体的に検討していきたいというふうに思っております。

三井委員 まさに、かかりつけ薬局の必要性というものを御答弁いただいたわけでございますけれども、最近、これは例えば、私も食品衛生法の改正のときに質問させていただきましたけれども、これは商品名を挙げていいのかどうかわかりませんが、アガリスク、もともとカビでありますから、これによって急性肝炎になったという症例が随分出ているということも聞いておるわけでございます。こういうぐあいに、健康食品ですとかあるいはプロポリスを飲んで同じような症状が出たとか劇症肝炎に至ったとか、健康食品といえども、やはりこれから現場の薬剤師さんがしっかりと健康食品にも関して指導をなさる、薬だけでなくてそういうことも重要かなと思っております。

 最近ではいろいろな、通販等でダイエット商品ですとかそういうものが出ておりますけれども、そういう中で、やはり厚生労働省としてはこの実態も、これは質問にございませんが、キノコ類、カビによる劇症肝炎、急性肝炎が急増しているということも、実は私の息子も医者でございますけれども、私も注意されまして、余り健康食品は飲まない方がいい、消化器をやっていまして随分そういう患者が来るんだということを言っていましたので、ぜひともこれは改めて実態調査をする必要があるのかなということをお願い申し上げたいと思います。

 最後になりますが、やはりこれからの薬剤師は、生涯にわたって研修をしていく、そしてそういう中で新しい技術そして医療全体を考え、あるいは地域の薬局薬剤師さんにおいては地域としっかり密着した健康管理をしていくということが大事だと思っているわけでございます。

 先日、NHKのクローズアップ現代で「納得のがん治療を目指せ」と題して、先ほど大臣からもございましたが、カルテのオンライン化とチーム医療に基づくがん治療のあり方が紹介されておりました。病状や治療に関する情報が電子カルテ化されて、医師とか看護師とかすべてのスタッフがいつでも見られるようになっているわけでございます。そして、主治医制度もこれは廃止してある、そしてスタッフが、全員が対等な立場から治療について議論を交わすというものでありました。

 私も、党の薬学教育制度問題ワーキングチームで、六年制に向けた現地調査の一環として東大の附属病院に調査に行ってきたわけでございますけれども、まさにこの中で、チーム医療の最先端を行っているなということを痛感しました。

 と申しますのは、特にICUとかCCUでは、それぞれ、医師、看護師さん、そして薬剤師さんとまさに一体になって、現場の意見も承ってきたわけでございますけれども、それぞれ病棟の中に無菌室がありまして、その中で点滴注射薬等をつくっている、混注をしている、まさに理想的だな。また、患者さんにはバーコードをつけていただいて、間違いのないように、事故の発生しないように、ああいうチーム医療ができたらなと。人、物、金といいますけれども、これにはやはりお金もかかるんでしょう。

 ですけれども、それぞれ現場の声を聞きますと、ドクターはまさに薬のことは薬剤師さんにお任せできる、そして私は医者として本来の診療に携わることができる、また、現場の看護師長さんに聞きますと、私たちも本来の看護師の仕事ができる、そういう意味では、まさに一体になったチーム医療ということはすばらしいことだということをおっしゃっていました。

 また、薬剤師さんにも聞きましたら、逆に私は厳しい質問をしましたが、肩身の狭い思いをしないですかということを申しましたら、いいえ、すべて薬のことは御相談いただいている、まさに連携を図りながら患者を診ることができるということでは私たちも非常に、そういう意味ではこういうチーム医療をぜひ目指していきたいということをおっしゃっていたわけでございます。

 このように、これから、スタッフが全員一体となったチーム医療ということが必要になってくると思うわけでございます。そういう意味合いからも、質の高い薬剤師を輩出していくということでは、やはり六年制というのは必要であろうか、こういうぐあいに私は一貫してきたわけでございます。

 関係者の間にも、先ほど申し上げましたように、三十年前から、いろいろ私も会議にも出させていただきましたけれども、議論が遅々として進まない。これは縦割り行政の弊害でしょう。文部科学委員会、そして厚生労働省では早くから六年制をお訴えになっていましたけれども、文部科学省では、この六年制はいろいろな学校教育の問題点、観点からも非常に難しいという大変な高いハードルでありましたが、この結果、ここにやっと日の目を見ることができたのかなと。これには特に医師でもあります坂口厚生労働大臣の大変な御尽力があったか、こういうぐあいに思うわけでございます。

 最後になりますが、坂口大臣の最後の御見解をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

坂口国務大臣 今議員がるるお述べになりましたように、病院の中におきます地位向上、そして連携をした医療というものが大事でありますと同時に、地域におきましても、御指摘のとおり、非常に大事だというふうに思っております。

 だんだんと薬の種類も多くなってまいりましたし、同じ効果を持ちながら、そして違う種類の薬がある。一般の国民の皆さん方には、それはどれがいいのかということもわかりにくいわけでございますし、また、その人その人の持っております病気によりまして、どれを選んだらいいのかということもわかりにくい。中には医師もなかなかわかりにくいというような問題もあろうかというふうに思っております。

 まさしく地域における健康の手助けと申しますか、アドバイザーとしての役割も私は非常に大きいというふうに思っておりますので、この際に、地域で活躍をしていただいております皆さん方にも、また新しい立場から、生涯教育と申しますか、新しくまた教育も受けていただきまして、新しく卒業される皆さんとの格差のないようにしていくことも、これから大事ではないかというふうに思っている次第でございます。

三井委員 どうもありがとうございました。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

衛藤委員長 五島正規君。

五島委員 本日、私は幾つかの質問を用意してきたわけですが、私自身の質問の前に、一昨日新聞で、平成十五年の出生率が一・二九になったという報道がされました。このことについてまずお伺いしたいと思うんです。

 マスコミの報道によりますと、平成十五年の出生率が一・二九になったというこのマスコミの報道は、厚生省からの記者発表ではなくて、情報が先に漏れたんだというふうにも言われています。当初はこれをいつ発表する予定だったのか、お伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 昨日も参議院の委員会でお答えをしたところでございますが、昨日は、参議院におきましてはいわゆる児童手当の問題もかかっているわけで、新しく出ましたら、本来ならばそうした委員会において、いち早くそこで御報告を申し上げるのが私は筋だというふうに思っております。しかし、私も知らないうちに何か新聞の紙面に躍って出るというようなことで、まことに遺憾なことだというふうに思っておりまして、きのうもそのことを申し上げたところでございます。

 年金改革のときからいろいろの御質問もあったわけでございますしいたしますし、一方で大臣にまだできませんというふうに言わせておいて、一方においてマスコミに流しているようなことで一体どうするんだ、それはもう公務員としての基礎にかかわる問題である、いかに優秀な人材であったとしても、その基本的なことをわきまえずにどうするんだと、怒り狂ったわけでございますけれども。

 まあ、私が怒るというのではなくて、大臣に言わなかったからどうのこうのではなくて、本来ならば、それは一番先に国会に、そして関係者、国会に報告すべきもの、そしてマスコミの皆さん方がそれをお聞きいただくもの、その手順でなければならないと私は思っております。

 そうした意味で、まだ詰めなきゃならない点もあったというふうに聞いておりますけれども、そうした中で、先に出てしまうということで、まことに遺憾であり、皆さん方にも御迷惑をかけた、そういうふうに思っている次第でございます。

五島委員 今の大臣のお話では、大臣は本当に知らなかったんだとおっしゃっているんだと思います。事実、一週間前、参議院におきまして大臣は、平成十五年は前年度と同じように一・三二にとどまるだろうという見通しをお話しになっている。そのときにこの情報を知らなかったということを、この場においては一応信用して議論をしたいと思うわけです。

 問題は、では、その一・二九という数字が飛び出してきたときに、大臣はショックをお受けになりましたか。私は全くショックを受けませんでした。なぜならば、平成十四年に出されたデータの中において、精密に見ていくならば、最低値である一・一に限りなくどんどんどんどん近づいていっているという数字が、既に平成十四年のときに明らかになっていたじゃないですか。それを厚生労働省は、国民に対して、データを加工してごまかして、この情報を提供していっている。

 これは、きのう、インターネットから厚生省の情報統計部のデータをコピーしたものです。これは何かといいますと、出生率が過去どういうふうな状況にあるかというのを、自治体を単位にして山をとっている。これで見るならば、ピークは一・四〇から一・四九であり、一・三〇から三九の間に行くということについて、この数字だけ見れば何とか納得できる数なんですね。

 ところが、これは人口千名の村も、あるいは人口が百万近い自治体も一つとして計算して、地方自治体の数でもってこういう数値をわざわざつくって、そしてごまかしていっている。

 現実問題、その中身を見ていけば、既に平成十四年の段階で、例えば出生率が一・〇以下のところ、大都市ばかりですよね。東京の渋谷の〇・七五から始まって、東京では十五の区市が一・〇以下になっているし、京都、大阪、兵庫、愛知、名古屋あるいは広島や北海道といったような都市部を中心としては軒並み一・〇。

 ところが、出生率の高いのは、沖縄の多良間村の、千三百三十一名の村の出生率三・一四を初めとして、島嶼部を中心とした人口の少ない、すなわち出産適齢期の女性がほとんどその地域の中で結婚して残っておられる、それ以外はほとんど都市に出てしまっているというところの出生率が高く出てきている、それが三十ある。

 こういう状況の中で、低位推計が大都市を中心とした傾向に沿うて予想されている以上、低位推計に近づいていくことは当たり前。大臣がおっしゃたように平成十四年と十五年が同じであると考える方が私はおかしかったんだと思っています。

 この問題は、この前の年金議論の中においてもした議論でございます。しかし、私は、これから先の日本の経済にとっても、とりわけ社会保障についても、この出生問題あるいは高齢化問題、これをどうするのかということを抜きにして、負担の議論だけで年金制度がもつわけがないと。例えば合計特殊出生率が一・一を割るような状態になって、厚生省は年金についての制度設計ができますか、後ほど答えてください。できるはずがないんです。それは、だれが考えてもできるはずがない。

 とすれば、そうした問題を含めてこの数字を見た場合に、厚生労働省は、少子化の問題、まさに厚労省マターの問題だったけれども、ほとんど十分な対応ができてきていない。そうしたものに対してどう対応していくのか、そのことを通じて年金制度をどう安定させていくのか、社会保障制度を安定させていくのかという議論がされなければいけない。ところが、それをすることができないから、国民に対していいかげんなデータを出して、ええかげんなデータを出しているうちに自分自身まで頭の中がそのええかげんなデータに占められて、自分で自分をだましているという典型的な例が今回だったのではないかと思います。

 その点について大臣のお考えと、この一・二九という数字に基づいて、今後限りなく一・一に近づいていくだろうという状況の中で成立いたしました年金法に基づく今後の試算見通し、保険料の給付あるいは保険料の引き上げ、そうしたものについての給付の手直しをしなければならないのかどうなのか、その点についてお伺いいたします。

坂口国務大臣 ここは専門家の皆さん方のところでございますから、じっくり考えていかなければいけないし、そして数字を見ていかなければいけないというふうに思っております。

 確かに、昨年の値が一・二九という数字になっておりまして、言うならば瞬間風速みたいなところを見ているわけでございます。

 昨日も、私、家に帰りましてから、今までの厚生白書をずっと繰り返し見てきたわけでございますが、今回発表した内容を見ましても、三十五歳から三十九歳、三十五、三十六、三十七、三十八、三十九、この五歳の年齢の人たちが今までに若いときからずっと産んできた数というのは一・五五なんです。もう一つ上の、四十歳から四十四歳までの人のを見ますと一・八一なんです。だから、三十五歳から三十九歳というのは最近はまだ産む方がかなりございます、三十五歳以降に出産される方は多いですから、この一・五五という数字は現在のものですが、まだ上へ上がるんだろうというふうに思っています。

 問題は、三十歳前半の皆さんそれから二十歳後半の皆さん方が三十五から三十九になられたときに現在の一・五五の数字が一体継続できるのかどうかということになるんだというふうに思っています。残念なるかな、現在晩婚化が進み、そしてもう一方におきましては、結婚されても子供を産まない人たちというのが前回の調査でもふえてきているという事実があるわけであります。この二つの延長線上で物を考えますと、ここは若干減少することを見越さなければならない状況に現在なっている。したがいまして、こういうことを前提としていわゆる五十年先の一・三九という数字を出しているわけでございますが、だからこれは今よりも落ちていくという数字でございます。

 ここを三九以上にする、そのためにどういう対策が必要かということを今真剣にもう一度考えなきゃいけない。先般もここでお答えを申し上げましたとおり、それを考えますときに、やはりどういう政策が一番効率的なのかといったことの科学的解明がここに必要だというふうに思っております。スウェーデンその他のところへ行って私も勉強させていただきましたけれども、それらのところが、いわゆる政策なるもの、この政策を実行すればこれだけの改善が見られるということを数値で示して、そして取りかかりをやっているということでございます。私はやはりそこを見ていかなければいけないのではないかというふうに考えておりまして、これはきょう慌ててあした改善するわけの話ではございませんから、じっくりと腰を落ちつけて、そうした積み重ねの中でやっていく以外にないというふうに今思っている次第でございます。

五島委員 大臣は、平成十五年の一・二九を瞬間風速とおっしゃいましたけれども、実はこの瞬間風速というのは、まだこれからより激しいあらしが吹いてくる前の風であって、必ずしもこれが、政府の中位推計で予測したように、急激にあの数字に戻ってくるという根拠は全くないわけですね。むしろ、大都市化が進み、そして大都市における少子化で出生率が一・〇を割っているという状況から見れば、そういうふうな楽観的な数字は出てまいりません。ただ、この問題をここでやっていますと、私が質問したい内容ができませんので。

 ともかく、この一・二九という数字が出てきた。そして、厚労省のといいますか、人口研の出しております数字の中の低位推計に常に出生率が近づいていっているという状況の中で、長期的に一・一という数字があるわけですから、その数字に近づいたとき、あるいは近づきつつある状況の中において、この間お出しになった年金の給付あるいは保険料がどういうふうに変わってくるのか、その再計算した数字をぜひ出していただきたいと思います。

 また、今回の問題につきましても、私自身は大臣が激怒したということで、了解しますが、もし厚労省の官僚が、国会が終わるまでこうした重要なデータを隠してみて、それで国民にとってどうなるんだ、自分の責任がそれで逃れられると思っているのか。年金のデータとして出てきた状況とその後の状況の悪化というものに今の厚労省の職員は対応する能力がないということをこういう情報の隠ぺいという形で示しているだけだ、そういうふうに思います。

 その点についても、大臣の方からも、こうした新たな状況に対応してどういうふうに制度が変わっていくかということの試算を急がせるように御指示をいただいて、今国会中にこのデータを出していただけるというふうにお願いしたいと思いますし、万一データがこの国会中に出ないとしても、速やかにこのデータを公表していただくように要請したいと思いますが、お願いできますか。

坂口国務大臣 一番最初、厚生労働省の試案として出しました。そのときには一・一も計算してございます、最低一・一。そのときに、出しましたときには、保険料は最高二〇%まで上がるという前提の上の話でございましたから、それが一八・三〇になったわけでありますから、そこはそんなに難しいことではないというふうに思っておりますから、それはそれで検討を一遍したいというふうに思います。

五島委員 大臣おっしゃるとおりで、一・一まで予想せざるを得ぬとなれば、二〇%まで上げていかざるを得ないという数字になるんだろうというふうに思います。しかしながら、与党の案ではそうはなっていない。ということは、既にこの一・二九という数字が出たこと自身は、先日成立いたしました年金法案が出発の前に破綻したということを証明しているんだということだろう。そういう意味においては、既に一年間で〇・〇三ポイント落ちてきている。この流れの速さというもののもとにおいて、そこのところをもう一度計算し直し、そして国民に示すべきである、そのことをお約束いただきたいというふうに思います。(発言する者あり)まあ、後ほどまとめて答弁をしてください。

 次に、私自身の質問の方にも入らせていただきます。

 今回の年金法案の改正の中で、附則の中に書き込まれたままほとんど議論のされていない点がございます。これは、今回の年金制度の改定の中においても過去債務をどうするかという問題、その問題とも関連する内容でございますので、お伺いしたいと思います。これはJR職員の厚生年金の保険料率の問題でございます。

 旧国鉄共済と厚生年金が統合して以後JRに採用された労働者が、既に十年間に近づいてきています。この人たちは旧国鉄共済の積み立て不足を負担させられて、保険料率は現在一五・六九%払っています。そして、他の厚生年金の加入者に対しては二・一一%を余分に負担しているわけです。本来であれば、これは今年の十月の年金再計算時に調整できるというふうにしていたわけですが、そのことが結果的にされないまま今日まで来ていることについては御承知のとおりです。

 また、この年金再計算以後JRから分離独立しているJRバスの職員は他の企業の厚生年金と同じ保険料率を払っておりますが、このJRの年金の統合以前からあったJRバスの職員も、やはり一五・六九%の保険料を払っている。

 それだけではありません。今日、JRには多数の一年未満のいわゆるパート労働者あるいは契約社員が入っています。この人たちも一五・六九%の保険料率を払わされている。

 御承知のように、厚生年金は標準報酬に対して年金額が給付されますから、高い保険料を払っているからといって、受け取るときに、そのことによってより多くの保険料をもらうわけではありません。まさにペナルティーとしてそれを払っています。

 このことについて、どう考えても、パートの人まで高い保険料率を払っている、こういうふうなことは極めて不合理であり、しかも、これはある意味においては、保険の原理といいますか、高い保険料を払っても年金給付は全然戻ってこないということは、これはもう保険原理からも逸脱している内容だろうというふうに思うわけですが、その点についてどのように解釈しておられるのか。

 しかも、旧国鉄共済に入っておられた方は、過去にその国鉄共済に入っておられても、厚生年金に加入して以後は一切三階建てがなくなって、厚生年金の給付しかもらえない。すなわち、過去債務は切って捨てました。これはその当時の統合の経過の中で出てきたわけですが、そういうふうな乱暴な処理もされたまま、なおかつペナルティーが、その企業に新たに入った人に押しかぶさっていっている。これは本当に問題がある制度だろうと思っております。これらの問題についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

森副大臣 釈迦に説法でございますけれども、JR共済は平成九年四月から厚生年金保険制度へ統合されたわけでございます。それに至るまでにJR共済は大変窮屈な状況になってきまして、統合前の期間分の給付に要する費用につきましては、もちろん、旧JR共済から積立金を移換した上で、JRの被保険者の保険料の一部を充てることは当然でございますけれども、それに加えまして、不足する分について各被用者年金制度がそれぞれから財政支援をすることといたしたわけであります。

 その際、各被用者年金制度からの大きな財政支援を長期にわたって受けるということを考慮いたしまして、ペナルティーというよりも、それまでの旧JR共済の保険料率をそのまま維持して、厚生年金の保険料が時間の経過とともにそれに追っついてくるまではそのままで維持していただくということにいたしたわけでございまして、当初のようなスライドでいけば平成十六年ごろには追っついていたはずだったわけでございますけれども、いろいろな経済状況でもってそれが一時的に凍結されたりして、今回、制度改正によって小刻みに、段階的に上がって、大体平成二十一年度ごろには追いつくという見通しになったわけでございます。

 それ以降に入った人まで高い保険料を負担するのはいささか気の毒じゃないかという御質問だと思いますけれども、これはやはり一つの制度の中の支え合いでございますので、それはやはり同じように負担をしていただくということは仕方のないことであろうというふうに考えております。

五島委員 森さんは簡単に、仕方のないことだろうとおっしゃるんだけれども、確かに、統合前に旧国鉄共済に入っておられた方々が、統合された段階で、おっしゃるように他の被用者保険からも協力しているという状況の中でああいう決着をつけたという経過はあります。しかし、全く国鉄共済時代に責任のない新たな労働者が、自分の将来の保険給付への影響なしに二・一一%の余分の保険料を払わされているというのは、これはもうペナルティー以外の何物でもない。

 また、国鉄バスというものがその当時からありました。本州に国鉄バスがありました。本州の国鉄バスも旧国鉄共済でしたから、その制度のもとにおいてなっている。ところが、そのときに、日本テレコムも旧国鉄共済の対象ですから、一五・六九%の保険料を払わなければいけなかった。いつの間にか日本テレコムも、それから後、企業の資本がいろいろなところから入って、違うようになっていますね。また、年金統合後、旧JRグループから独立した北海道や九州や四国のバスは、他の産業と同じ保険料率になっている。ペナルティーというにしても何か非常に、旧国鉄といっても今はもう彼らは国鉄を知らないんです、JRなんです。その中で、そういうふうな措置で、その人たちだけに負担が余分に求められる。ましてパートの人にまで、JR各社が過去において約束しているからおまえ保険料をようけ払えよというシステムというものはどう考えても公正さに欠けるし、保険料をたくさん納めたことによって将来の給付がふえるというのならまだ話は別。そうではないシステムですから、これはペナルティーでしかないんじゃないですか。これはちょっと、やむを得ませんねという、その答弁では私は納得できない。どうですか。

森副大臣 今お話のあった、例えば日本テレコムなんかにつきましては、確かにこの制度に編入されたときは同じ取り扱いであったわけでございますけれども、その後、いろいろ会社のありようが変わって、新たな会社になったために別な扱いになったわけでございます。

 また、同じ法人の事業所に就労する人が違う体系になるということはいささかおかしいわけで、確かに、それから後に就労した人がそういう若干高い保険料を払うのはいかがなものかという御疑問もある意味で理解できるところでございますけれども、しかし、そうなりますと、一体それを、JR共済の過去債務をそれぞれ負担したほかの厚生年金など各制度の被保険者に対して、むしろまた説明のつかないことになるというふうに私は考えます。そういった意味で、これは、同じ法人の事業所である以上、やはり同じ体系の保険料を負担していただくというのは、私は極めて当然のことではないかというふうに認識をしております。

五島委員 私は、日本テレコムの場合は、他の資本が参入したことによって、その参入した資本に対する配慮からああいうふうになったんだろうと思っています。普通であれば、政府保有のJRの株式を売却したら当然そうすべきなんだろうと思っております。そのことにつきまして、これは、森副大臣の説明というのは、JRが当時旧国鉄共済についてそのように約束したんだから、JRに雇われたやつはしようがないんだというへ理屈で、それでは厚生年金という制度からいってもおかしいだろう。

 少なくとも、過去の債務に対して、過去債務を投げ捨てて、しかも高い保険料を払っているけれども、やはり、旧国鉄共済に入っていた人たちの問題と、全くそれ以後、ましてパートや何か、あるいはたまたま――これは九州のJRバスとそれから東北地方のJRバスが合併したらどうなるんですかね。恐らく、そうなれば、他の産業の厚生年金並みの保険料に変わらざるを得ないんでしょうね。

 そういうふうな、同じJRバスの中においてもそういう大変不公平な取り扱いになっていることに対して、政府がこの是正に向けて汗をかくということをぜひお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。常識で考えて、確かに企業としてはそうですけれども、同じ、仕事を働いている労働者がパートで入っていって、なぜ厚生年金は高い年金料を払わないといけないのか、これは労働者の立場に立って考えてみたら、思うということについて御理解いただけませんか。

坂口国務大臣 おっしゃることは、よく私も聞きながら、なるほどそういうこともあるかと思いながら、今聞いていたわけでございます。

 私も、国鉄共済の、過去の問題からずっとかかわってきました。というのは、大蔵委員会に所属しておる期間が長かったものですから、そのときから、何回も何回もこの国鉄共済の問題が出てまいりまして、このままでいけばこれは破綻してしまうな、破綻するのにどうするんですかといって、余り言うものですから、旧社会党の皆さんから、おまえさん余り言うなよといってしかられたことがございますけれども。

 確かにそういう状態がずっと続いてまいりまして、厚生年金の方と合併をいたしましたときにもいろいろの議論のあったこともよく知っております。

 それで、中を見て、今先生いろいろ、おかしいじゃないかということをおっしゃるわけですが、現在も、厚生年金それから共済、地共済、そこから今も年間千四百億ずつ出しているんですね。これは平成五十一年までずっと続いて、千四百億ずつ毎年お手伝いしていくというのが一方においてあるわけです。一方においてそういうふうにしますから、ひとつ旧国鉄、JRの皆さんも、これは少し一般のあれよりも高いけれども、しかしそこは勘弁をしてくださいという折り合いでスタートした話でございます。

 ですから、そこのところを、しかし、先生おっしゃるように、若い人が入ってきて、過去を知らない、旧国鉄のことを知らない本当のJRの職員が出てきたというので、その人たちに、それはそんなのおかしいじゃないかというお話もありますが、しかし、それならば、こちらの方の、厚生年金の方も新しい人たちがふえてきておるわけでありまして、その皆さん方も共同で今バックアップをしているという状況が続いている。その辺のところも、これは、合計してどう考えるかということになるんだろうというふうに思っております。いろいろの検討はしていかなきゃならないというふうに思いますが、そういう大枠の状況の中での話だということは御理解をいただきたいと思います。

 ちょっと局長の方から。

吉武政府参考人 今大臣がお話しされましたとおり、平成九年の四月に統合いたしております。九年四月以降の新しい期間については、これは全体でプールをしまして負担をしようということ。最大の問題は、今五島先生がおっしゃいましたのは、九年四月以前の、かつてのJR共済時代の確定した給付でございまして、そのうちの物価スライドで再評価をする部分以外につきましては、これは積立金の移換をやっていただこうということで、二十年年賦ということで現在もまだ利子つきで積立金の移換をしていただいております。

 それに、従前の期間分につきましては、もちろん、かつてJR共済で働いておられた方、それから事業主の保険料負担がございまして、ここで充てていただく。そのとき、その保険料率が厚生年金より高かったものですから、まずそれで自助努力をしていただく。これでも足りませんので、実は各制度からの支援措置をやっておりまして、ここにつきまして、厚生年金の民間サラリーマンの方、あるいは国家公務員、地方公務員の共済の公務員、それから私学共済、それから最近厚生年金に統合いたしましたけれども、経営状況が非常に厳しい状態でありました農林年金、農協の職員の方々もこれは皆支援をしようということでございます。

 その支援をする輪の中には、先ほど大臣がおっしゃいましたように、ことし民間の企業に入られたサラリーマンも負担をしていただくということでございますので、先生のお気持ちはよくわかりますが、全体の支援がそういう仕組みで合意ができて現在の仕組みになっておりますので、その中でJRの若い方だけを特別に扱うというのはなかなか難しいんではないかというふうに思います。関係者の理解を得ることが非常に難しいだろうというふうに思います。

五島委員 最後に。この問題については、厚生年金に加入しているわけで、医療保険なんかのように健保組合に加入しているわけではないんですよね。若いJRの労働者やパートの人たちは厚生年金に加入して、たまたま就労の場がJRであったということによって高い年金料を払わなければいけないということについてのこの不合理性を申し上げているわけです。

 確かに、旧国鉄共済そのものの支援というのは全被用者でやっているということは事実で、そんなことはわかっている。したがって、それを支援するということについてはやぶさかでないけれども、保険料率という形でJRの職員にだけこういう二・一一%余分に負わすということがいつまで続くのだ、パートの人までそれをやっていくことはどうなんだ、合併後に分離したところについては他産業並みにしておきながら、合併以前のところは高い保険料率をとっていく、これもおかしいじゃないかということを申し上げています。

 時間がありませんので、この問題は、引き続きまた、次の国会でもぜひ議論したいと思います。

 次に、薬剤師法の問題について御質問をしたいと思います。

 先ほど三井議員の方から多くの点を指摘されました。私は、基本的に薬剤師法の改正で教育年限を六年に延長することは賛成です。

 二つ質問しておきたいと思うんですが、この制度によりますと、平成二十二年及び平成二十三年は薬剤師が生まれないことになります。そのことによる影響というものはどう考えているのか、その対策はあるのですかということが一つです。

 もう一つは、修学年数の延長に伴って、薬剤師業務というものを見直すのですか、見直さないのですか。先ほどの話ですと、調剤調剤と言われているけれども、今は院内調剤をしている医療機関なんてほとんどないんだろうと思います。そういう意味でいうと、一体この修学年数を延長して薬剤師業務は変化するんですかというこの二点について質問したいと思うんです。

 それと関連いたしまして、二十二年、二十三年に薬剤師がいなくなることの影響というものを軽視しておいた場合に、どういう問題が起こるだろうか。

 実は、今年度から医師の場合も二年間の研修制度が発足しました。当然、医師に対して二年間の研修を義務化するということについては我々も賛成。その限りにおいて賛成であって、だけれども、そのことによってどういう影響が出るかということについての対策は極めて不十分だと思う。事実、研修医制度が起こったときに、大学病院というのは非常にうぬぼれだけが高くて能力がない、だから、研修医の大半は大学病院で研修をするだろうと、厚生省と一緒ですよ、だろうと考えていた。

 ところが、実際に選ばせてみると、大学病院で研修する医者というのは少なかった、本当に少なかった。新卒の医師が大学を選択しなかったことによって、大学における医療、教育研究じゃなくて、医療行為が不足してきた。だから、大学が、皆さん方はどうお考えか知らぬけれども、医療機関の中では医局から医師派遣という言葉は昔から使われている、医局から派遣してもらった医者が医局の命令で大学に引き揚げられて、そしてこれは新卒医でも何でもない、もう既に実地経験のある医者が大学病院に引き揚げられて、そして地方の自治体病院や地方の民間の病院に医師不足が起こった。これがこの春起こってきたことで、大臣もよく知っておられる話。

 これについては、前も言いましたけれども、大学の医局って一体何なんだろうか。医師の派遣業務をやっているのなら、労働者派遣業法を変えて、派遣業者になってもらわなきゃ困る。そうでも何でもない状態で、引き揚げさせられる医者も、嫌々ながら、何となく。医長クラスの医者がどんどんと大学へ引き揚げられていって、地方で医療の穴をあけていっている、こういうふうなことが結果的には起こってしまったんです。

 だから、二十二年、二十三年、この二年間、薬剤師が出ないことで、薬剤師の総数とそれに対する薬剤師の需給関係だけで物を見ていったのでは、大変な混乱がまた起こる可能性があるわけですよ。その辺についてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 幾つもの問題、お話がございましたが、平成二十二年、二十三年に卒業する人が減るではないか、これはもう確かに、御指摘のとおり、減るわけですね。それまで大体、二十一年ぐらいまでは八千人、一万人、二十一年もだんだんふえてきていますので、一万人ぐらいの方が卒業になる。しかし、二十二年、二十三年には、それはちょっとおくれた人もおれば、国家試験に通らなかった人もありますから、ゼロではない。しかし、せいぜい十分の一、千名あるかないかぐらいの程度だというふうに思います。そういたしますと、二十二、二十三のところが、確かにそこが少なくなるということはあり得る、これは。これに対してどうするかということは考えておかなければいけない。

 先ほどお話がございましたように、医師の研修制度と同じように、そこをどうするかということを考えておかないと大きな問題を生ずるということはもう御指摘のとおりでございまして、それは、それに対する対応を今からしっかり立てるということをやっていかなければいけないというふうに思います。

 正直申しまして、今そこができ上がっているわけじゃございません。御指摘いただきましたとおり、そこはちゃんとやっていきたいというふうに思います。

 それからもう一つは、六年制にして、大体やることが変わるのか、今と一緒のことをやるのかという話でございまして、これはやはり変わらないことには六年制に延長した意味がないと私は思っております。

 現在、病院におきましても、病棟においていろいろの輸液が行われたりしますのも、看護師さんが全部その混合等はやっているわけでありまして、そして、そこにいろいろ間違いが起こったりもしているわけです。薬剤師さんになったら全然間違いが起こらないかといえば、それはそんなこともないんでしょうけれども、しかし、やはりそこで専門家が、こういうふうにやっていいのかどうか、患者さんの病状に合わせてこの選択がいいのかどうかということについて、やはりある程度、豊富な知識を持った人として医師にいろいろの意見は言えるというふうに少ししないといけないんだろうというふうに思っております。医師の領域と薬剤師さんの領域との問題はございますが、そこは専門的な立場からの対応というのがあってしかるべきというふうに思っております。

 先ほど三井議員からのお話にもございましたとおり、ただ処方せんに合わせて薬剤を処方するだけというのではこれはいけないわけでありまして、どういう薬品を選択するかといったようなことにつきましても御意見をやはり出してもらう、それを伺うということにしていかなければいけないというふうに思っております。

 いわゆる医局の問題は、もう申し上げるまでもなく、今そうした混乱が起こっておりますが、しかし、この問題は、前にここに加藤議員がおみえになりましたときに実は何度か御指摘を受けまして、私がメルマガに書きましたところに端を発して、いわゆる大学から派遣されるというのは本人の意思がそこで尊重されているのかどうか、行けと言われたら何でも行かなきゃならないのか、それだったらそれはもう法律違反ではないかといったような御質問があったところでございまして、ここは、各大学に対しましても、そこのところについての注意と申しますか、そうしたことも、これは文部科学省ともあわせてやっていただいているところでございまして、アンケート調査等を見ますと本人の意思を尊重しますというふうに皆書いていただいてありますから、これはしていただけるのかなという気もしますけれども。

 五島先生の時代はどうか知りませんけれども、私の時代では、行けと言われたら、あしたからでも行かねばならないというのが、その時代の風習でございましたから、それはえらい、もう個人の意思も何もあったものではなかった時代に卒業しました私と現在とでは少し違うのかなというふうに思っておりますけれども、しかし、そうしたことは、これは改めていかなければならないことでありますので、今後しっかりやっていきたいというふうに思っております。

五島委員 二つの点についてだけ改めて補足して質問します。

 薬剤師の業務の問題ですが、これから薬剤師業務というのも、オーダーメード医療みたいな、そういう治療も入ってまいります。また、現実問題、病院薬剤師の業務というのは服薬指導だけではないんですね。薬によっては、その患者さんの血中濃度を管理していったり、随分とそういうふうな仕事も入ってくる。また、輸血部の仕事について、今薬剤師は本当に関与しにくいシステムになっています。臨床検査技師はやれるけれども薬剤師はできない。かつては薬剤師も臨床検査技師の資格を取れる状態になっていましたが、今、そうはなっていません。そうなってきますと、本当に、病院における薬剤師に求められている仕事、それがやれないということも数多くあるわけですね。

 そういう意味では、文科省の方がカリキュラムをおつくりになるんでしょうが、やはり薬剤師に対する業務の見直しを厚労省としてきちっと出して、そして、それをやはり文科省に伝える中で六年間の研修カリキュラムをつくってもらわないといけないのだろうと思いますので、その点についてぜひお願いしたい。これはお願いですが、ぜひお願いしたいと思っています。

 それからもう一つは、これはすぐに解決する問題ではありませんが、医局の問題なんです。

 前に話をしていたのは、医療機関に対する医師の派遣の問題でいろいろ議論がございました。今回はもっとすさまじいんですね。ある病院で医長なり副医長で勤務している人に対して、医局から突然命令で、帰ってこいと言われて帰ってきた。これは今の労働関係で見るならば、その医者と医局とで雇用契約が交わされていて、そこからの任期つきの派遣でない限りあり得ない話。これからは、地方自治体やあるいは医療機関が医師と契約をするときに、本人と契約をすればいいのか医局と契約を結べばいいのかわからなくなってくる。医局と契約をするようなシステムに今なっていないけれども、現実問題そうなっている。

 先生おっしゃったように、私と先生とは、私もインターン世代ですから、それほど大きく違わない。何か、おまえ帰ってこいいうて帰ってきたら、あしたからあっちに行けと言われた経験はいっぱいありますし、私は自分の給与を医療機関から直接もらわずに医局を通じてもらったことも何回もあります、昔ですよ。そういうでたらめな時代ですよ。そんな時代は終わったと思っていたんですよ。ところが今回のあの騒動です。

 きちっとした自治体病院、そういうふうなところから医長クラスがどんどん引き抜かれて、それも、ほとんど余裕がない。一月以内ぐらいで、引き抜かれて、帰れと言われて帰っていっている。

 これから見ると、日本の医局制度というのは、もうとてつもなくおかしくなっている。しかも、医師から支持されていないから、若い卒業者が研修医にならなかったんです。研修医に対して給料を出さないということも含めて、今の大学病院というのはいかに若い医者から支持されていないかというのは、このことからもわかる。

 これに対してきちっと、文部科学省も含めて、医師と医療機関との契約、あるいは、地方自治体との職員としての契約の中に医局というものが入ってくることに対して、どのような形で処理するのか、今法律上どうなっているのか。やめた医者に対して地方自治体が、それこそペナルティーを科すことができるのかどうかということも含めて、御答弁願いたいと思うんです。

徳永政府参考人 お答え申し上げます。

 医局による人事というようなことについては、さまざま今まで御批判があったことは十分承知をしておりますし、先年の国会の委員会の審議におきましても先生から直接御指摘をいただいたところでございます。

 私どもといたしましては、大学が地域の中で中核的な医療機関であるということの中で、人材の育成なりあるいは研究、あるいはまたそういう人材を紹介するという意味で大変期待があるということも承知をしております。

 ただ、そういう中で、やはり医局が主体となって医師を紹介しているということがさまざま……(五島委員「引き揚げのことを言っているんです」と呼ぶ)

 引き揚げのことにつきましては、先に御答弁いたしましたけれども、私どもの方で実態調査をいたしました。その中でも、十四年度におきましても、大学病院の一万七千三百人ぐらいの転出入のうち地域医療機関から大学病院に異動したものが千七百件ございまして、このうち後任の補充が行われたのが三百五十件あったわけでございます。そういう三百五十件の分析におきましては、なかなか後任の補充の要請がなかったというものも百五十件ございますし、あるいはまた、後任の補充の要請があったけれどもなかなか御本人の意思と合致をしなかったということも百六十七件ございます。

 私どもといたしましても、新しく……(五島委員「引き揚げはどういう権限で行われたか聞いているんですよ」と呼ぶ)そういう中で、現在では、各大学におきまして、大学の方といたしましてもそれぞれ医療体制をきちんと整えることもございます。また同時に、地域の中でどういう形で医療を提供していくかということもございます。それにつきましては、既に厚生労働省、そして総務省、私ども一緒になりましてこれからの地域医療のあり方につきましての一応の指針をお示ししまして、大学、そして大学病院、それから地域の医療行政当局、あるいは医療機関、そういったものが協議をして新しいやり方を考えていただきたいということをそれぞれお願いしているところでございます。

 お聞きしますと、既に、例えば東北地区では、中核病院と大学病院の間で一定の連携をして、そしてその中核病院から各地の病院の方にお医者さんをあっせん、紹介をしていくというような新しい取り組みも行われております。

 私どもといたしましては、さまざま御批判、御指摘、問題点、現在においてございますけれども、ぜひ、それぞれの地域の実情を踏まえて、大学と、そして医療行政当局、医療機関の間でそういった話し合いが行われまして、適切な医療提供が行えるようにしていきたいと思っております。

 また、医局の紹介ということにつきましては、もう既に大学全体として医師を紹介するという方向で転換をしておりまして、昨年十一月段階でございますけれども、既に十二大学におきまして、医局単位での紹介を取りやめて、大学単位に切りかえているという状況でございます。

五島委員 聞いていないことをごちゃごちゃ、時間をつぶされちゃ困る。

 私の聞いているのは、今回は派遣の話じゃない。働いている労働者、この場合医師ですが、医師を引き揚げるということが、一体、大学という機能のどういう権限において許されるのか。就職は、自分のところの卒業生に対して就職をあっせんするということはあるだろう。引き揚げということまでが文科省の責任でやれるんですか。一体、厚生労働省、どうしているんですか。

 厚生労働省の見解として、一たん就労した人に対して、本人の意思によらずに、第三者の命令によって引き揚げができるのかどうか。もし本人に対して、おまえ、そこはやめてこちらへ移れという圧力を第三者がかけた場合、それは認められるのかどうか、どうなんですか。

青木政府参考人 今の先生御指摘のケースの中で、明らかに支配従属下にあるとみなされる状況のもとで、今度はこっちに来なさいということで、就職あっせんが行われたとすれば、それは職業安定法で禁止されておりますいわゆる労働者供給事業に該当するケースのおそれがございます。

五島委員 この問題について文科省の方が中途半端にかばっていたら、医局というもの、大学病院の機能というものがおかしくなってくるんです。もう独法になったんです。だから、労働者派遣をするなら労働者派遣事業をとってもいいんだけれども、やはりそこで働く医師が責任を持って自分の選択ができる。

 あるいは、各医療機関、特に私は大臣にお願いしておきたいんですけれども、国立病院なんかがせっかく百四十の独法法人になった。医局を頼って医師を採用するということをやめて、全国公募でもって医師を確保していくという方向に切りかえて、大学というのはあくまで教育と研究という機能を中心とした場として、卒業する若い医者がその方向へ行っている以上はその方向で整理すべきであると考えます。時間がありませんので、次の問題の答弁の中で御返事いただければ大臣にお願いしたいと思います。

 時間がありませんので、最後に一つだけお伺いしておきます。結核予防法の一部改正です。

 私は、BCGの接種を幼児期に一斉にやるという、そのことはいいことだと思っています。その段階でツ反が要るかどうかということについても、要らぬのだろう、BCGを全部打てばいいというふうに思っています。

 問題は、かつて我々が医者になったころは、BCGの効果、持続期間というのは、ロンドンでのWHOの調査で二十年と言われていましたが、今は十五年ぐらいと言われています。かつての日本においては、BCG免疫を持っている間に自然感染をして生涯免疫を取得できる、こういう前提のもとでBCGは効果があった。今は、このBCGの接種がもし一歳児、二歳児、三歳児ぐらいまでに完了するとしますと、大体十八歳ぐらいにはこのBCG免疫が切れてしまう。その段階までに自然感染するほどの状況に現在日本があるのかどうか。ちょっとそのデータはないんですよね。

 そうしますと、結核というのは日本にとって決して無視していいような疾病ではないんですが、接触者健診とかなんとか言っていますけれども、十八歳ぐらいからの結核の危険性の一番高い世代、その世代における結核予防のシステムというものが、そういう濃厚に接触した人を保健所がピックアップしてチェックするということだけで本当にいいのだろうか。そこのところに、BCG免疫が切れた段階における予防システムというものを何らかの形で再構築しておかないと危ないのではないか。再度BCGを打ってみてもBCGの追加免疫は余り期待できないと言われている以上は別のシステムが必要なんだろうなと思っているわけですが、その辺について、坂口大臣はどうお考えか、お伺いしたいと思います。

田中政府参考人 BCGの御質問に対してお答え申し上げます。

 BCGは、主に乳幼児期におきます結核性の髄膜炎あるいは粟粒結核等の重症結核の発病、重症化防止のために実施されております。これは学問的にも非常に有効だというふうに言われております。ただ、それ以降の問題につきましては、国際的に見ても、接触者健診などによりまして早期発見、早期治療に努めることの方が選択肢としてはいいのではないかというふうに考えられているところでございます。

 そこで、早期発見の観点ということで、結核の感染の疑いのある者に対しまして、確実に健康診断を実施できますように、定期外の健康診断の実施の強化を図るとともに、定期の健康診断につきましても対象者のリスクに応じた実施を可能としまして、重点的な健康診断の実施を確保することとしているところでございます。

坂口国務大臣 今のところは、私も余り免疫のところは詳しくわかりませんので、ひとつ検討させていただきたいというふうに思いますが、その前の医局の問題は、これは文部科学省ともよく相談させていただいてやりますが、やはりそれは、自分の意思で決めているかと言われれば、それは問いかければアンケートにはそういうふうに言いますけれども、やはりそうせざるを得ない雰囲気というのは今もなお残っているんだろうと率直に私はそう思っております。

 しかし、これは地域住民の健康にかかわる話でございますから、ただ単に大学病院とかあるいは旧国立病院あたりが自分たちでどうこうという話だけではなくて、地域医療にかかわる話でございますので、かなり事は深刻でございます。先ほど御提言をいただきましたことも含めて検討したいというふうに思います。

五島委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、結核問題というのは決して終わっていません。そして、自分たちできちっと責任が持てないから外国ではどうのというふうな話というのは、日本の厚生労働省ですからやめていただきたい。

 これまで日本において結核体制というのは理想的に進み、乳幼児結核とともに青少年の結核も激減したという先輩たちの努力というものがあるわけで、それを新たな形でどう構築するかというのが、果たして接触者健診だけでいいのかどうかという問題は大事な問題だと思いますので、また改めての機会で議論させていただきたいと思います。これで終わります。

衛藤委員長 山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 きょうは、法案質疑に入る前に坂口大臣に一点お尋ねしておきますが、それは、きょうも問題になっております、昨日発表されました二〇〇三年の出生率が年金関連法の想定を下回る一・二九であったという発表なんです。

 これは発表にかかわる経過にも問題があったわけですけれども、坂口大臣に私がお尋ねしたいのは、一・二九という、この発表の持つ重大な意味合いなんですね。これは年金制度の根幹にかかわるような、そういう意味を持つ内容である、そういう認識をお持ちかどうか、この点をまず尋ねておきます。

坂口国務大臣 人口統計でございますから、これはそのときそのときの状況も影響して変化し得るというふうに私は思っております。

 これは、もう御承知のとおり、言わずもがなでございますけれども、息の長い中でどうしていくかの話でございますから、今回の発表が少し下がったから、そしてこれで一年でどうこうというわけにはいかない。今後の問題を含めて、これは少子化対策も含めて少し息の長い施策としてやっていくべき問題だというふうに私は認識をいたしております。

山口(富)委員 これはそう劇的な変化を期待できるような数字じゃないんです。私は、長いスパンで見るということになるんであったら、今度の年金関連法とのかかわりでいいましたら、その実施を見送って、きちんとした数値に基づく、そしてまた試算も含めまして、再討議をきちんとやるべきだ、きょうはそのことをまず最初に求めておきたいと思います。

 さて、法案ですが、まず、私は医薬基盤研究所法案についてお尋ねしたいんです。

 きょうは厚生労働省にまとめていただいた資料をお配りしたんですが、この一枚目の二のところに出てきます今度の研究所というのは、大きく言いますと三つの業務内容を持つ。一つが基盤研究業務関係、それから生物資源研究業務関係、もう一つが研究開発振興業務というふうになっているので、この三つのそれぞれについて質問したいと思うんです。

 まず、生物資源研究にかかわる問題なんですけれども、今回、国立感染症研究所から遺伝子バンクが移管されるわけです、業務が。それで、この遺伝子バンクについてホームページなどで調べますと、結局、多くの研究を通じて生み出される培養細胞を性質を変えないで長期間保存する、そして必要な情報の管理をしながら求めに応じて研究者にも提供していく、そういう業務を担っている非常に大事な体制だと聞きました。

 そして、二〇〇三年の例のSARSのときに、この未知のウイルスを特定するために、一体どのような細胞で増殖するのかということを特定する必要があったわけですけれども、その際に、多くの細胞を日常的にやはりストックしておく体制が必要であるということがああいう形で証明されたと言われています。SARSの場合は、結局猿の腎臓由来の細胞であるということがわかって、例のコロナウイルスというものがわかったわけですけれども、実は国立感染症の遺伝子バンクでも同じように、特定できる細胞を今も保管しているというふうに聞きました。

 私、大臣に確認したいんですが、この遺伝子バンクの業務が今度の研究所に移管される、そういうことになりますと、研究の体制ですとか雇用の安定ですとか、また研究の条件、こういうものの継続性が大事になってくるわけですけれども、この点はきちんと確保される、そういうことなんですね。これは基本ですから、大臣にお願いいたします。

坂口国務大臣 そこは御指摘のとおりと思います。人がかわって急にできることではありません。現在までの蓄積というものが非常に大事、そういうふうに思っております。

山口(富)委員 これまでの研究の蓄積、継続性が非常に大事な分野ですので、私は、雇用の安定の問題もきちんと含めて、この点での体制を確保するということに万全の態勢をとって臨んでいただきたい、これを求めておきたいと思います。

 次に、基盤研究にかかわる業務なんですけれども、配付資料の二枚目をごらんいただきたいんです。それで、現在進んでいるこの分野での二つの共同研究があります。一つがトキシコゲノムにかかわる共同研究と、もう一点が疾患関連たんぱく質解析研究というものなんです。

 これは厚生労働省がまとめた資料ですけれども、これを見ますと、トキシコゲノムの方では共同研究企業は十七社。エーザイ、大塚製薬、小野薬品工業と並んでおります。そして、予算額でいうと、国側の資金が約六・四億円、企業側の資金が約五・四億円。研究体制では、国が八名、民間側二十六名というふうになっています。疾患関連たんぱく質解析研究の方は二十二社が参加していて、これも大塚製薬等々並んでおります。ここでも予算額は、国が五・五、企業側が五・五億円出している。研究体制では、国側二名、民間側が二十三名ということなんです。ここでも一目瞭然なように、研究体制という点でとりますと、これは、国は資金は出しておりますが、明らかに民間企業ベース、しかも、ここに名前をそろえているトキシコゲノムの十七社、たんぱく質解析の二十二社というのは、いずれも製薬会社の大手を中心としているわけですね。

 私は確認しておきたいんですけれども、国の税金を使って支えられる、当然単独の企業でできない研究というのはありますから、それを国側が支援するという場合は起こり得ます。しかし、その場合も、国の資金を支えにして行っている研究なわけですから、それがそのまま特定の企業の利益のみに使われるようなあり方はうまくない、これは当たり前のことです。今度の場合、この共同研究も当然新しい研究所に移されていくわけですけれども、そういう担保は一体どういう形でとるのか、これを示していただきたいと思います。

坂口国務大臣 具体的なことまで今決めているわけではございませんけれども、今お話がございましたように、公共性と、それから、それぞれの企業から出資をしていただいている分、両方あるわけであります。したがいまして、出資をしていただいている皆さん方に対して、全然優位性がないというわけにもいかないと思うんです。ですから、出資をしてもらっているその企業に対しまして、共同研究をしてもらったそれなりの評価をしながら、しかし、その皆さん方にだけその果実と申しますか結果を配分するというのではいけない、公共性があります限り、そこはやはり全体に公開をしていかなければならない。

 そこが両面ございますので、そこの手順と申しますか内容の基準と申しますか、そうしたところを明確にしていきたいというふうに思っております。御指摘のとおり、そこのところは両面ございますので、踏まえていきたいと思います。

山口(富)委員 そうしますと、今の段階で研究成果の公表ですとか研究内容の評価の問題ですとか、これは何らかの基準なり、こういう形になるということは、明らかになっている点はあるんですか。簡単で結構ですから。

岩尾政府参考人 現在、これらは厚生科学研究費というもので研究費補助が出ておりますので、結果については報告書あるいは評価委員会で評価されているということでございます。

山口(富)委員 この評価の中身なんですけれども、それは継続的に、いわば一定期間、そのプロジェクトが終わったところでやるのか、中間的にやるのか、その点はどうなっているんですか。

岩尾政府参考人 数年にわたる研究でございますし、現在のところは、研究費が単年度単年度で出ているということなので、年度ごとに一応の評価はされているというふうに理解をしております。

山口(富)委員 先ほど坂口大臣が、この研究にかかわって、公共性の問題を指摘されました。そして、一定の研究費を企業側も負担しているから、それに見合う、両面の見方が大事だという話をされたんですが。

 それで、私はもう一つお尋ねしたいんですけれども、この研究開発の振興業務にかかわって、バイ・ドール委託というものが行われます。それで、このバイ・ドール委託というのは、実は一〇〇%国が研究資金を出すわけですけれども、そして、その委託をした結果どうなるかというと、研究成果による特許権は企業に一〇〇%出されるということになっています。

 私はここで確認しておきたいんですけれども、その委託費用というものが今一体どのぐらいの規模になると予測されているのか、それから、委託費の使い方や委託費に見合う研究内容がどういう形で国民の側に還元されるのか、このことを示していただきたい。

岩尾政府参考人 バイ・ドール委託の件ですが、先ほど先生のお配りした資料のような基盤研究の結果、何か開発の種があると思ったときに、それぞれの企業が自分の得意な分野としてそれを開発したいというときに莫大なお金がかかるということで、このような研究開発型の予算、バイ・ドール委託の研究費をつくったところでございます。

 先ほど言った選定その他については、先ほどの質問にも答えて、厳正にやります。それで、実際にどのようなものが出てくるのかというのは、まさに基盤的な研究のシーズがどの程度出てきているかということによりますので、現時点ではどの程度上がってくるかということは申し上げられませんが、少なくとも制度上はそのようなものを、何とかその花を咲かせようということで、このような制度を持っておりますので、出てきた時点でまた検討していきたいというふうに思っております。

山口(富)委員 何事につけ厳正な審査をするというのは当たり前の話なんですよ。私が問題にしましたのは、公共性の面でも委託費の面でも一〇〇%国がいわば支えているわけですから、そういうものがきちんと国民の皆さんに還元されるような方向をとるべきだという提起をしているんです。

 今、総合機構の中期目標を見ましても、このバイ・ドール方式による研究成果の活用促進というものが盛り込まれておりますが、私は、この点では、特定の企業の利益にとどまるのではなくて、国民にとっての必要な開発業務を含めまして、成果、利益が国民に還元されるようにする、その仕組みと情報の公開が不可欠であるということを重ねて指摘しておきたいと思います。

 それからもう一点、結核予防法にかかわって坂口大臣にお尋ねしておきたいんですが、結核医療の場合、結核病床がなくなると結核を診るお医者さんまでいなくなっちゃうという事態が起きております。その結果、結核を見つけるのがおくれて感染拡大の原因になったということも指摘されたことがありますけれども、私が調べましたところ、今大学病院の四分の三、四つに三つは結核病床がない、結核専門医が育たないという指摘を受けたんですけれども、それだけに、この分野で果たすべき国の役割、国立病院・療養所の果たす役割というのは非常に大きいと思います。

 それで、国は、これまで結核の受け入れ可能な国立病院・療養所というのは各都道府県に最低一つは設けるんだという方針だったはずなんですけれども、これは引き続き堅持されて具体化されていくんですね。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

坂口国務大臣 そこはそのようにしたいというふうに思っております。現在のところ、平成十五年一月の段階で、全国では約一万四千床ございます。利用率は四五%ということでございますが、これはもう御指摘のように偏りがあってはいけませんので、偏りのないようにしなきゃいけないというふうに思います。

 病床として行わずに、例えば普通病棟の中にも特別な施設を持ったものをつくって、感染を広げないような施設をつくるといったようなこともいたしまして、例えば精神科などでも結核にかかった方もおみえになりますから対応しますとか、あるいは結核もあるしほかの病気もあるしという方もございますので、そうした人に対します対応も行っていくというようなことが今後取り組みとして必要ではないかというふうに思っておりますので、そうしたこともあわせて行っていきたいというふうに思っております。

山口(富)委員 その点は、引き続き結核医療が全都道府県できちんと行われるように仕事をしていただきたいと思うんです。

 最後に、薬剤師法なんですけれども、私はこれは、四年から六年に大学の期間が延長されるというのは賛成なんですが、それに伴って、これは文部科学省の仕事だけではなくて、二年の延長に伴い、学生の側にとっても教える側にとっても、それからまた、それを支える家族の側にとってもいろいろな問題が起きると思いますので、これは奨学金の拡充なども含めまして、きちんと文部科学省と厚生労働省、相談し合いながらこの体制をとっていただきたい。そのことを最後に求めておきたいんですが、時間があれば坂口大臣の答弁を求めます。

坂口国務大臣 文部科学省とよく相談してやらせていただきます。

 医学部や歯学部なども六年制でございまして、それに対応いたしておりますので、この薬学部におきましても同様、対応したいと思っております。

山口(富)委員 終わります。

北川委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 この国会は、特に厚生労働委員会は、年金を中心に論議されてまいりまして、強行採決も含んで今日に至っております。

 私は、冒頭、こうした年金問題を論ずるに当たって、いわゆる基礎となる実態あるいはそのことをあらわす数値ということについて、国会の論議の場にそういう実際の数値がきっちりと出されてこなかったということが、国民から見ても、また審議を深めるにおいても極めて大きなマイナスであったと思います。

 きょう問題になっております一・二九問題も、坂口大臣に特にお尋ね申し上げたいのですが、大臣は、厚生労働省の方がこのデータを、委員会あるいは国会審議の場にではなく、先にメディアに報告をしたということを、極めて心外に思うというお話でありましたが、私もそこは同感です。

 この一・二九という数値は、私は実は小児科医で、子供の生まれることをこうやって数値であらわしていく風土というのを大変に忌み嫌いますけれども、しかし、この間の年金のさまざまな試算が、出生率と賃金上昇率、そして物価、この三つを指標として、それに基づいて行った限りにおいては、やはり現時点での修正をきっちりと出しておく必要があると思うのです。

 一・二九というのは、大臣は瞬間風速というふうにもとらえられるかもしれないというニュアンスのことをおっしゃいましたが、大臣は疫学も学んでいらっしゃいますが、この予測の中で二〇〇七年に一・三〇になるという予測推計に基づいて立てたものが一・二九であった場合に、たった一ポイントでも、その一ポイントの開きが大きい場合には、それは統計数理学的にも修正をしなければいけない、有意差が大き過ぎるデータだと私は思います。

 その有意差が大き過ぎる、推計と余りにも離れてしまったこの現実は、実は低位推計を用いた推計を一年先取りしています。低位推計では、次は一・二七に減少していきます。一・二九という数値が出て、そのことも踏まえての推計の修正なり、推計ですから可能性も含まれますけれども、その修正について幾つかの可能性があるということも含めて、この国会中に必ず数値で出していただきたいと思います。これは国会への責任であると思います。

 もう来週には会期が終わります。百年安心の年金プランと言われたこのプランの足元が揺らいでしまっては、国民的不幸であります。大臣のその権限で、厚生省の統計情報部に、例えばこれがひのえうま等々の、特に子供を産むことが抑制されやすい年であれば一・二九も、カーブの減少が少なくても、私はあり得ると思いますが、そうした条件がない中で破格に落ちております。こうして落ちたことの意味と、そういう修正カーブをつくった上で年金論議をやり直すべきだと思いますので、少なくとも、厚生労働省としてきっちりと論議に足るデータを会期中にお出しいただくように大臣から関係方面に働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 阿部議員は、よくもうすべてを御存じの上での御発言でございますが、統計的にどういう傾向になっていくかということを、やはりこれは一年だけの数字で、これでどうこうと言うわけにはいかないというふうに思います。これは少し傾向を見て、変えなきゃならないということならばそれは変えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 今回出ました数字が下がりました要因としましては、二〇〇〇年あるいは二〇〇一年にかなり結婚される方が多かった、いわゆる世紀の転換期ということがございまして、そこに合わせて結婚する人が多かった、二〇〇二年には結婚する方の数が減ったということが大きな要因として挙げられております。

 したがいまして、そうしたときでもございますので、御指摘される御趣旨は私もよく理解をいたしますけれども、私は、一年だけでもうその方向を変えるというのではなくて、やはりそこは傾向性というものを見定めて議論をしなければいけないというふうに思っておる次第でございまして、もう少しここは拝見をさせていただきたいというふうに思います。

阿部委員 では、大臣に伺います。来年も低下した場合、例えば一・二七であった場合に、見直しに入られますか。

坂口国務大臣 来年のお話までなかなかできないわけでございますが、そうした傾向がずっと続いていくということであれば、それはやはり見直しというものが必要になるでしょうし、そういうふうにならないためにどういう政策を打つべきかということもやらなければならないし、両方あるだろうというふうに思っております。

阿部委員 私は、今回の年金論議のもとデータにこれを使っていなければ、今大臣がおっしゃったような御答弁もそうだと思うのです。でも、今回の年金試算はすべて、さっき申しました三つの指標で始まっております。もしも来年その数値が一・二七であれば、低位推計の数値どおりを一年早めて進んでいるわけです。これは、私はこの手法が間違っておると思っておりますが、この手法を用いた限り、この手法で論議してきた限りは、やはり見直しに入るべきだと思います。

 大臣、再度で恐縮です。これは国民的関心事です。もしも来年、集計して下がったら低位推計どおりの数値になりますが、五〇%を割りますが、そのときには今の法律はストップしますか。

坂口国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、ここは少し傾向を見ないとわからないというふうに私は思います。その傾向を拝見した上で考えるということになるというふうに思っております。

阿部委員 大臣らしからぬ御答弁ですが、これは、傾向を見るということがいつまで続くのかということを今私は答弁していただきたいわけです。これは、私の気持ちだけではなくて、国民のみんながこのプランが本当に安心であるかどうかを注目しているからであります。

 大臣にこれ以上お聞きしてもいい御答弁が出ないのであれば、私は、来年度の数値が、本来はこの一点でも先ほど言いましたように開きが大き過ぎる、二〇〇七年の一・三〇を今も割っているわけです。そして、割るに当然の背景が私はあると思います。しかし、今のような御答弁であれば、もう一点。

 この間、新新エンゼルプランで、子供たちが生まれて以降の保育問題やさまざまな子供サポートの体制が整っておりますが、今なぜ出生率が下がるのかというところは手をつけられておりません。女性たちの働き方がますます非正規雇用や派遣社員等々の不安定雇用に移る中で、そうしたパート、アルバイト、非正規雇用の方々の二十歳代後半の結婚される率がいわゆる正規社員より低いという研究データが既に出ております。私は、この審議中でも、今回の法案の保険料率のアップがますます企業に非正規雇用をふやす方向にインセンティブを働かせるだろうということを懸念して、もともとの根幹を制度設計した方がよいという提案をいたしましたが、大臣へのお願いは、今、正規雇用と非正規雇用という形で働いている若い女性たちの出産にかかわるデータ、例えば、結婚されているか、子供さんを幾つで産まれるか、それから収入もそうです、これをきちんと国として集計していただく、このお約束をいただけますか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

坂口国務大臣 そこはどうしてもやらなきゃならない基礎的なデータだというふうに思いますから、整理をさせていただきたい、やらせていただきたいと思います。

阿部委員 ありがとうございます。

 引き続いて、本日の法案に関してですが、独立行政法人医薬基盤研究所、これは実は大臣の御尽力で、このたび、研究機関とそれから一方での規制、いろいろな安全面の規制をかける機関を別々にして、より研究機関は研究機関としての独自性を高めていこうという、御采配ででき上がったものと思います。その意味で基本的には賛成をいたしておりますが、一つ、大変に懸念されることがあります。

 大臣は、二〇〇一年の十一月に、中絶した胎児からとられたヒト細胞が競売にかかり一億六千万で競り落とされた事件、覚えておいでだと思います。私は、この間のさまざまな厚生労働省の審議会の中でも、中絶胎児について、いわば解禁といいますか、その利用も含めて進めるという答申の向きにも傾くという報道も出ております中、ヒトの体に由来するものについて、今後ますます、研究としても、あるいは商品開発としても、その分野というのはある意味での大きなシェアとなってくると思われますが、しかし、そうしたことが進んでいく一方で、そのことにかかわる倫理規範というものが国民との間にわかりやすい形で示されていない。

 例えばフランスでは、人間からとられた生体について、いわゆる生命倫理法的に、それは胎児から骨の一片に至るまで、そのことを用いることへの国民的合意と規範と処罰というものが体系化されております。研究所の内々で内向きにやれば、例えばこの体細胞あるいは卵子は自分のもので、自分に属すると思う研究者が持ち出し、競売にかけるというようなことも生じてまいります。

 大臣がぜひとも内閣の中でリーダーシップをとって、このヒト由来のさまざまな細胞について国としての大きな規範づくり、いわゆる生命倫理法と私は言っておりますが、省庁を超えて、文科や内閣や厚生労働管轄だと言っていないで、大枠の、ヒトの体の利用に関するきちんとした倫理的な規範がかかるような取り組みをしていただきたいですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 そこは非常に大事なところだというふうに私も思います。

 一つは、ヒト由来のものを使いますときに、その提供していただいた方との間のこれはお話し合いと申しますか、説明、理解を得るということが一つは大変大事なこと。今度は、もう一つ、それを利用いたしますときに、それが生命倫理上正しい研究のあり方であるかどうかということがもう一つの大きな問題点というふうに思っております。

 今もお話がございましたように、その後半の、生命倫理としてそれが正しい扱い方であるかどうかということにつきましては、これは省庁を超えて、それこそ全体で決定をしていかなければならないことでございますから、御指摘の点を十分に踏まえてやっていきたいというふうに思います。

阿部委員 ありがとうございます。

 最後に一点、お願いいたします。

 先ほどの中根委員の御質疑にもありましたが、いわゆる日赤の組織改革の件でございます。

 これは、この間、六千四百本にも及ぶ汚染血液がきちんと遡及調査をされずに、日赤の業務として、安全性に極めて問題が多いというところから、血液事業を、ある種、日赤の部門の中で独立させ、独立ではないですね、一つの事業本部を設けてやろうという組織改革が進んでおるやに伺っております。

 そして、この血液ということについては、当然、血友病の患者さんを初めとして、安全性について非常に疑義があり、今回の日赤の組織改編についても、自分たちの見えないところで、あるいは、もちろん組織的には関与できませんが、情報を開示されないところで日赤の組織改編が進み、特に都道府県の血液センターは従来の日赤の直轄、先生がおられた三重のセンターもそうですが、そういう関係でここに血液事業本部ができた場合に、果たして責任体制がどうなるのか。

 そして、六月十五日に、いわゆる血液事業部会というのが開かれて、そこの中でも、患者代表にこの日赤の組織改編をぜひとも説明していただきたいという声が上がっております。恐縮ですが、この二点だけお願いいたします。

坂口国務大臣 中根議員にもお答えを申し上げましたとおり、赤十字全体の中でこの血液事業を行っていかなければならない。その赤十字の中におきますウエートは、今までよりも高くなってきている。赤十字として、質、量ともにすぐれた血液をそこに提供する。保存血液であれ、血液製剤であれ、そうしたものの財源を賄えるような体制をどうつくり上げていくかという大きな命題を持っているというふうに思っております。

 赤十字の方からまだ具体的なことを聞いておりませんけれども、この血液事業の機能強化を行いたいというお話でございまして、その機能強化に見合った体制をつくりたいということでございますから、その意味ではいいことだというふうに私は思っておりますが、御指摘のように、赤十字が血液事業から逃げるというようなことがみじんもあってはならないというふうに思っております。

 赤十字挙げて、やはりこの血液事業には今後とも取り組んでいかなければなりませんし、その体制の中で充実をさせてもらいたいというふうに私は熱望しているところでございます。

阿部委員 ありがとうございます。

 私のお願いしたのは、患者さんへの情報公開という点も含めてですので、よろしくお願い申し上げます。終わります。

衛藤委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 まず、内閣提出、参議院送付、独立行政法人医薬基盤研究所法案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党を代表して、独立行政法人医薬基盤研究所法案に反対の立場から討論いたします。

 本法案は、医薬品医療機器総合機構の創設に当たって、副作用被害の救済業務などと基本的性格を異にする医薬品、医療機器の研究開発振興業務が同一法人で行われることに対する厳しい批判を受け、研究開発振興業務を分離し、これに国立試験研究機関の一部を統合することで、新たな独立行政法人を設置するものです。

 医薬基盤研究所は、医薬品開発のための基盤的研究や研究開発振興を目的とし、研究成果を産業界へ速やかに移転することなどを掲げています。非公務員型に移行するのも、国立の研究機関の制約を取り払い、その機能を製薬企業の国際競争力強化に役立てるためです。

 こうしたもとでは、採算性が重視されることで短期的なプロジェクト優先の研究体制が生まれるなど、そこで働く研究者、職員の雇用の不安定化が進みかねません。製薬大企業と行政との人的、財政的結合が定着し、公的な機関としての中立性、公平性、継続性が形骸化する危険があります。

 さらに、国の研究機関の役割として重視されるべき長期的な基礎的研究が採算性の名のもとでおろそかにされ、将来の研究開発事業の基盤を危うくすることさえ懸念されます。

 国立の医薬品などの研究機関のあり方は、真に国民の健康と医療に必要で役立つ業務を国の責任で行い、成果を国民に返す体制にすべきであります。

 以上の諸点を指摘し、本法案に対する反対の討論といたします。

衛藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、独立行政法人医薬基盤研究所法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、本案に対し、鴨下一郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。福島豊君。

福島委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人医薬基盤研究所法案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。

 一 ヒトゲノム研究、プロテオーム研究などの基盤研究や遺伝子治療、テーラーメイド治療等最先端の医療技術の開発について、世界最高レベルの水準を目標とし、国家プロジェクトとして、国内の諸機関の連携のもと、戦略的かつ重点的に進める体制を構築するとともに、研究推進のために必要な措置を講じるよう努めること。

 二 研究の実施に当たっては、医薬基盤研究所に移管・統合される各機能の有機的・一体的な運営に努めるとともに、民間企業、大学、他の研究機関との「産学官の連携」を積極的に推進すること。また、研究成果の十分な活用・普及を図るため、知的財産権の取り扱いの明確化や情報管理の徹底を図ること。

 三 医薬基盤研究所の役員の選任に当たっては、研究所に期待されている機能・役割を責任を持って遂行できるような当該分野に造詣の深い有意な人材を幅広く起用する等十分配慮すること。

 四 患者数が少なく、研究開発投資の回収が困難である希少疾病用医薬品等の研究開発支援の充実強化を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 次に、内閣提出、参議院送付、結核予防法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、結核予防法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、本案に対し、鴨下一郎君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。鴨下一郎君。

鴨下委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    結核予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。

 一 国内外における結核に関する情報の収集・分析等を行い、最新の知見に基づき、国民、医師その他の医療従事者をはじめとする関係者に対し積極的に情報提供を行いながら、適切な結核対策を展開するとともに、国際的な協力・支援の一層の推進を図ること。

   なお、結核の集団感染が小集団化・多様化していることを踏まえ、関係者に対し、正しい知識の普及啓発及び健康診断の徹底に努めること。

 二 結核患者の治療成功率の向上へ向けて、医師等に対する結核の標準治療法の一層の周知や研修の充実に取り組むとともに、医療機関、保健所等の連携・協力の下に、DOTSを推進し、結核患者の治療継続を積極的に支援すること。

 三 結核患者の高齢化、合併症や多剤耐性結核など専門的かつ多様な医療が必要とされる患者の増加に対応するため、結核医療について、診断方法、治療技術等の医療の進歩も踏まえ、入院の期間やその適正な手続きの整備、結核病床の機能など入院治療のあり方や、予防内服の位置付け、実施基準の策定など発病前治療のあり方に関し、患者に適切な医療を提供するという観点からの検討を進めること。

 四 乳児期における結核性髄膜炎や粟粒結核等の重症結核発病を防止するため、乳児期のBCG接種の重要性について、国民その他関係者の理解を深めるとともに、接種機会の拡大、未接種者に対する勧奨などに努め、確実に接種を受けられる体制の確保に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 ただいま全会派共同いたしましての附帯決議をちょうだいいたしました。その御趣旨を十分に尊重いたしまして、今後、努力をしてまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 次に、内閣提出、参議院送付、薬剤師法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、薬剤師法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、本案に対し、鴨下一郎君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。三井辨雄君。

三井委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    薬剤師法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、安全・安心な医療の担い手にふさわしい質の高い薬剤師を養成するという今回の法改正の趣旨にかんがみ、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 六年制の薬学教育における長期実務実習の充実を図るため、病院、薬局等の実習受入施設における受入体制を確保するとともに、実務実習の指導に当たる十分な資質を備えた指導薬剤師を早急に養成すること。

 二 薬剤師国家試験受験資格の経過措置(旧四年制卒業者及び新四年制卒業後修士課程を修了した者)については、受験者が混乱しないよう、関係方面に対する周知徹底に努めること。

 三 新制度移行前の四年制の薬学教育を履修して薬剤師となった者(既存の薬剤師)についても、近年の医療技術の高度化、医薬品の適正使用の推進等の社会的要請にこたえるため、生涯にわたる卒後教育の一環として実務研修の充実・改善を図ること。

 四 医療の担い手としての薬剤師の資質の向上を図るための取組と併せて、患者からの信頼が得られるよう、薬剤師免許の取消し等の行政処分を厳正かつ公正に行うための仕組みについて検討を行うこと。

 五 地域における医薬品の適正使用を進めるため、面としての医薬分業の推進及び「かかりつけ薬局」の普及を図るとともに、利用者の積極的な活用が図られるよう、情報の提供、啓発等に努めること。

 六 医療機関等における医薬品に関連した医療事故を防止するため、薬剤師による薬歴管理を通じた服薬指導の充実及び注射薬など病棟における薬剤管理の促進を図る等、医療機関における薬剤師の役割の明確化及びそのための環境整備を進めるとともに、製品情報のコード表示化、データベース化、医療機関等における情報通信技術の活用等の事故防止策の普及を進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十七分散会


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