衆議院

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第1号 平成16年8月4日(水曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成十六年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 衛藤 晟一君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 城島 正光君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      井上 信治君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      木村  勉君    木村 義雄君

      菅原 一秀君    竹本 直一君

      棚橋 泰文君    中西 一善君

      中山 泰秀君    能勢 和子君

      原田 令嗣君    平田 耕一君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      三原 朝彦君    吉野 正芳君

      青木  愛君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      海江田万里君    小宮山泰子君

      五島 正規君    園田 康博君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      樋高  剛君    藤田 一枝君

      増子 輝彦君    水島 広子君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

平成十六年八月四日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 衛藤 晟一君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 城島 正光君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      井上 信治君    石崎  岳君

      宇野  治君    大野 功統君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      上川 陽子君    木村  勉君

      左藤  章君    菅原 一秀君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      棚橋 泰文君    中西 一善君

      中山 泰秀君    西村 明宏君

      能勢 和子君    萩生田光一君

      原田 令嗣君    平田 耕一君

      福井  照君    松島みどり君

      三ッ林隆志君    三原 朝彦君

      森岡 正宏君    山口 泰明君

      吉野 正芳君    青木  愛君

      泉  房穂君    大島  敦君

      海江田万里君    小宮山泰子君

      五島 正規君    島田  久君

      神風 英男君    園田 康博君

      樽井 良和君    辻   惠君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      藤田 一枝君    馬淵 澄夫君

      増子 輝彦君    松木 謙公君

      水島 広子君    村井 宗明君

      室井 邦彦君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           海江田万里君

   議員           古川 元久君

   議員           枝野 幸男君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         福井 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        恒川 謙司君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     宇野  治君

  木村 義雄君     大野 功統君

  棚橋 泰文君     山口 泰明君

  能勢 和子君     左藤  章君

  三ッ林隆志君     萩生田光一君

  吉野 正芳君     森岡 正宏君

  内山  晃君     室井 邦彦君

  樋高  剛君     松木 謙公君

  増子 輝彦君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     井上 信治君

  大野 功統君     大前 繁雄君

  左藤  章君     能勢 和子君

  萩生田光一君     西村 明宏君

  森岡 正宏君     竹下  亘君

  山口 泰明君     棚橋 泰文君

  馬淵 澄夫君     増子 輝彦君

  松木 謙公君     村井 宗明君

  室井 邦彦君     島田  久君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     木村 義雄君

  竹下  亘君     吉野 正芳君

  西村 明宏君     松島みどり君

  島田  久君     樽井 良和君

  村井 宗明君     樋高  剛君

同日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     三ッ林隆志君

  樽井 良和君     辻   惠君

同日

 辞任         補欠選任

  辻   惠君     神風 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  神風 英男君     内山  晃君

    ―――――――――――――

七月三十日

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(水島広子君外五名提出、第百五十九回国会衆法第九号)

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外一名提出、第百五十九回国会衆法第一六号)

 労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出、第百五十九回国会衆法第二八号)

 独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案(小坂憲次君外四名提出、第百五十九回国会衆法第四五号)

 国民年金法の一部を改正する法律案(長勢甚遠君外三名提出、第百五十九回国会衆法第五〇号)

 無年金障害者に対する障害福祉年金の支給に関する法律案(泉房穂君外二名提出、第百五十九回国会衆法第五二号)

 特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律案(大野功統君外五名提出、第百五十九回国会衆法第五八号)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(水島広子君外五名提出、第百五十九回国会衆法第五九号)

 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十九回国会閣法第三四号)

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十九回国会閣法第三五号)

 労働組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十九回国会閣法第八八号)

八月二日

 国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案(岡田克也君外十名提出、衆法第一号)

同月四日

 年金法の実施中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二号)

 同(石井郁子君紹介)(第三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五号)

 同(志位和夫君紹介)(第六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八号)

 同(山口富男君紹介)(第九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇号)

 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(北村直人君紹介)(第二二号)

 同(白保台一君紹介)(第四五号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(江崎鐵磨君紹介)(第二三号)

 同(岩永峯一君紹介)(第四六号)

 同(白保台一君紹介)(第四七号)

 同(田嶋要君紹介)(第四八号)

 同(松野頼久君紹介)(第四九号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(江崎鐵磨君紹介)(第二四号)

 同(岩永峯一君紹介)(第五〇号)

 医療費負担の軽減、改悪年金法の実施中止等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四〇号)

 改悪年金法の実施を中止し、国民が安心できる年金制度をつくることに関する請願(山口富男君紹介)(第四一号)

 患者負担の軽減と社会保障充実に関する請願(石井郁子君紹介)(第四二号)

 社会保障制度の拡充等に関する請願(達増拓也君紹介)(第四三号)

 総合的難病対策の早期確立に関する請願(岩永峯一君紹介)(第四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案(岡田克也君外十名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働関係の基本施策に関する事項

 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項

 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項

以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

衛藤委員長 次に、岡田克也君外十名提出、国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨説明を聴取いたします。海江田万里君。

    ―――――――――――――

 国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

海江田議員 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ提出の国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について、提出者を代表し、その趣旨を御説明いたします。

 さきの通常国会で政府・与党の提案した年金改正法を審議していた時点で、各種世論調査では、国民の六割から七割がこの法律を成立させるべきではないと答えていました。にもかかわらず、与党は、この民意を無視し、衆参両院で異例の強行採決を行い、数の力で強引に法律を成立させました。与党による民意を踏みにじったこうした国会運営の結果、選挙中の世論調査では、この法律を評価しないと答える人が与党支持者でも半数を超えました。

 そして、この民意は選挙結果で改めて明確に示されました。年金問題が最大の争点となったさきの参議院選挙で、与党は改選過半数を割り込み、自民党は第一党の座を滑り落ちるなど、国民は明らかに年金改正法案にノーを突きつけたのであります。

 言うまでもありませんが、我が国の主権者は国民です。国民の総意が国の方向性を定め、社会のあり方を規定するのです。とりわけ年金のように国民生活に密接に関連する問題について、選挙による投票という形で民意が明らかに示されたのですから、国会がこれに従うのは当然であります。憲法において国権の最高機関と定められた国会の権威は、民意を代表するがゆえの権威であって、国民から乖離した国会に権威はありません。我々民主党は、民意に基づいて政治を行う責任ある政党として、選挙で国民に約束したとおり、年金改正法を廃止すべくこの法案を提出したところであります。

 年金改正法が成立した後に厚生労働省が発表した二〇〇三年の合計特殊出生率は一・二九と過去最低を更新し、法律の想定を下回っています。少子化がこのまま続けば、改正法で政府が国民に約束した給付水準は守ることができません。政府・与党は、将来にわたって負担と給付をバランスさせたから抜本改革だと主張してきました。しかし、改正法は既に実現不可能であり、もはや従来の負担増、給付減の繰り返しにしかすぎません。それを抜本改革として、何の反省もなく実施に移すのは余りにも無責任ではないでしょうか。

 改正法は、形式上も法律の体をなしていません。民主党議員の指摘をきっかけに、年金改正法には四十カ所もの過誤があることが判明いたしました。法律は国民の権利や義務を規定するものであり、その主体や要件などは明確であることが求められます。一つの法案の中に四十カ所もの過誤があれば、どのような要件で年金がもらえるのか、どのような要件で罰則が科せられるのか不明確になります。これはまさしく欠陥法以外の何物でもありません。改正年金法は形式的にも破綻をしているのであります。

 法律として形式的にも実質的にも破綻している、このような法律を廃止せずして国会は立法機関とは言えません。参議院選挙で示された民意は、年金を一から議論し直すことであったのは明らかであります。これは与野党の違いを超えた受けとめ方ではないでしょうか。それならば、なぜ政府・与党はみずから改正法を撤回しないのか、なぜいともたやすく民意を踏みにじるのか、私たちには全く理解ができないところであります。

 この欠陥法をこのまま放置しておくと、あと二ヶ月後には厚生年金保険料の引き上げが始まります。来年度からは給付額の実質的な切り下げも始まります。このような欠陥法で国民の権利を奪い、負担を増加させることは認められるべきものではありません。一刻も早くこの法律を廃止し、議論を一からやり直すべきであります。

 以上の問題意識に立ち、国民の年金制度に対する信頼を一刻も早く回復するために、我々民主党はこの法律案を提出する次第であります。

 以下、この法律案の概要を申し上げます。

 第一に、先般の通常国会で成立した国民年金法等の一部を改正する法律及び年金積立金管理運用独立行政法人法を廃止いたします。また、平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律を改正し、国民年金事業における事務費の国庫負担の特例に関する措置等に係る規定を削除します。

 第二に、基礎年金に係る国庫負担率を、歳出の抜本的な見直しを通じて、平成二十年度末までにその割合を二分の一とするものといたします。

 第三に、平成十八年度末までに社会保険庁を廃止するものとし、公的年金制度における保険料及び国税の効率的な徴収を行うため、公的年金制度における保険料及び国税を徴収するための新たな行政機関を設置するものといたします。

 第四に、年金官僚のむだ遣いの温床となっている福祉施設に係る規定を削除いたします。

 第五に、改正法に盛り込まれていた事項のうち、改正が適当であり、かつ施行時期が近いものについては、改めて所要の改正を行うこととしています。三十歳未満の第一号被保険者に係る納付特例制度及び第三号被保険者の届け出の特例等に関する改正、在職老齢年金制度の改正、育児をする被保険者に対する配慮措置の拡充、企業年金等に対する改正等がこれに当たります。

 最後に、抜本改革への道筋について、附則に公的年金制度の一元化のための検討等についての条項を設けました。この法案では、三党合意に基づいて衆議院で修正可決した部分も廃止となります。しかし、我々民主党は、与野党協議を否定しているわけではなく、むしろ公的年金制度の一元化を実現するために速やかに取り組みたいと考えております。そのために、修正部分をそのまま生かした上で、その期限を平成十八年度中と明記いたしました。また、国会議員互助年金制度についても、公的年金制度の一元化が実施されるまでに廃止することとしております。

 以上が、この法律案の概要でございます。

 年金改革の最大の目的は、年金制度に対する国民の信頼を取り戻すことにあります。参議院選挙で民意が示された以上、制度そのものの抜本的な改革に取り組み、国民の失われた信頼を回復し、持続可能な新しい年金制度の創設を目指すべきであります。そのためにも、民意に従い、さきの国会で数に物を言わせて強引に成立させた年金改正法を廃止し、議論をゼロからやり直すことを内容とするこの法案に対する御理解を賜るようお願い申し上げまして、趣旨説明を終わらせていただきます。

衛藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房総括審議官福井和夫君、大臣官房審議官岡島敦子君、大臣官房統計情報部長恒川謙司君、医政局長岩尾總一郎君、保険局長水田邦雄君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁運営部長青柳親房君におのおの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統君。

大野(功)委員 おはようございます。自由民主党の大野功統でございます。

 民主党提案の年金改正法廃止法案、拝見いたしまして、まず、私の率直な感想を申し上げたいと思います。

 まず第一に、この廃止法は国民の皆様に何を訴えようとしているのか。

 今、海江田先生の提案理由説明の中で、民意に沿わないじゃないか、こういう話がありました。でも、日本の将来の安定のためには、政治責任というのは、あるいは民意に沿わなくてもやらなきゃいけないことは絶対やらなきゃいけない、こういう問題があると思います。

 第二に、もし廃止をするならば……(発言する者あり)静かに聞いてください。廃止をするならば、責任ある政党の立場、態度として、やはり対案を具体的に説明しなければならないと思います。対案を示さないで、単に廃止法案というだけでは、私は余りにも無責任だと思います。

 それからもう一つ。三番目として、何といっても、せっかく廃止すると言いながら、中に何項目も生き返らせているんですね、復活させている。何だか政治の姿勢が中途半端ですね。これは中途半端法案としか言いようがありません。

 それから、一番現実的な問題として、年金というのは、やはり理念があって、それを支える財政問題があるんです。年金財政というものを余り書いていらっしゃらない、振り返っていらっしゃらない。せいぜい書いてあるのは、第二条で、歳出の抜本的見直しを通じて、別に法律で定めるところにより、基礎年金国庫負担分を二分の一に引き上げましょう、この程度であります。その財源も明確じゃない。これは本当に非現実的な廃止法案だな、こんな感想でございます。

 そこで、今、ドラマチックともいえるほどのスピードで少子高齢化が進んでおります。この少子高齢化社会の中で、やはり負担と給付をきちっと見直して、公的負担の割合も見直して、それを新しく描き直す、これが物すごく大事なことであります。そうしないと、年金というのはまず破産する。今のままほっておきますと、改正前に戻してしまいますと、年金というのは、厚生年金だけで申し上げますけれども、十七年間で破産してしまう。もし仮に給付をこのままにしておく、給付の水準を維持するとすれば、保険料は二六%に上げなきゃいけない。そして、そういう問題を含めて、一日も早く改正していかなきゃならないんです。だから、我々はこういう問題に政治の責任として真剣に真っ正面から取り組んだわけですね。そこで、一三・五八%の厚生年金保険料を一八・三%にいたしました。一八・三%というのは、申し上げますが、国際的に見て決して高い水準ではありません。

 今、海江田さんの提案理由の中で、負担が上がる給付が下がる、だから反対だ、これはそのとおりであります。これも余り民意にそぐわない点であるかもしれません。しかしながら、やらなきゃどうしようもない、これが政治の責任なんですよ。そこで……(発言する者あり)そんなことをやっていたら、改革は何のためやったか。年金制度を将来にわたって支えるために改革しているんです。それをもとへ戻すということは、改革のスタートラインへ戻ってしまう。しかも、単に改革のスタートラインに戻るのみならず、なぜ改革をしなければならないか、この原点に戻ってしまうんですよ。そういう点を含めて、私は、この廃止法案というのは、反対のための反対法案、年金破産法案、こう言わざるを得ないと思います。そういう点、いかがお考えなのか。

 まさに少子高齢化というのは、今、改革待ったなしなんですよ。一日でもこれをおくらすと、この解決はますます難しくなってくる、こういう問題をどうするんだろうか。改革の時期については、附則第二条一項で十八年と書いてあったと思いますが、十八年、それから二分の一引き上げは二十年、残念ながらこれしか書いていないんですね。全体、いつ改革をやるのか、これすら書いていない。

 そういう意味で、どうかまず改革のねらい、それから、年金改正法の対案なき廃止法案は無責任ではないか。それからもう一つは、待ったなしの年金改革、本当に一日でも待てないんですよ、きょうやらなきゃいけない、この点をどうお考えになるか、お答えください。

海江田議員 種々お尋ねがありましたけれども、先ほども趣旨の説明のところで申し上げましたけれども、この年金の問題につきましては、民意があっても、あるときは政治判断でそれと別のことをやらなければいけないというようなお話もありましたけれども、まさにせんだっての選挙の争点は、これはやはり年金の問題であったわけでございますし、それから、本当に国民生活に密接に関係のございます、影響の出てまいりますこの種の問題には謙虚に民意に耳を傾けるということがやはりまず政治の基本的な姿勢として私は必要なんではないだろうかというふうに考えるわけでございます。

 私どもは、参議院の選挙でも、今度この選挙で私どもが多数を占めることができましたら必ず年金の廃止法案を国会に提出するということをお約束しまして、そして、先ほどもお話をしましたけれども、参議院の選挙の結果は、昨日の参議院の答弁などを聞いておりますと、小泉総理は、勝ってはいないなどというおかしなことをおっしゃっておりますが、これはもう明らかに第一党の座は選挙で――選挙においては負けたわけでございますから、やはりそういうことを踏まえて、私どもは今まさに、年金をゼロから、もう一回改革の原点に立ち戻って議論をしてほしいという、その声にこたえてこの法案を提出したところでございます。

 それから、抜本改革案がないじゃないだろうかということをお話しいただきましたけれども、これはもう、大野委員はこの厚生労働委員の本当に重鎮でございますが、記憶にまだ新しいと思いますけれども、ついせんだっての、参議院の選挙前の通常国会で、民主党は、その抜本的な改革案であります、高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案というものを提出しております。これを私どもはこの委員会で十分な時間をかけてじっくりと議論をお願いしたいということを申し出たにもかかわらず、極めて短時間のうちに、しかも政府の与党案を強行採決するという形で、この私どもの年金の抜本的な改革案について十分に議論をする機会をお与えいただけなかったということは、むしろ皆様方の問題ではないだろうか、そのように思っているところでございます。

 それから、最後の、この待ったなしの年金改革をいつやるのかということでございますが、これは、法案の附則第二条三項に、「公的年金制度の一元化を実施できるようにするために、必要な整備を平成十八年度中に行うものとする。」としてございますので、抜本改革は十九年度よりスタートをするということでございます。

 以上でございます。

大野(功)委員 幾つかの問題点がありますけれども、後、それぞれ触れてまいります。

 まず、十分な審議時間がない。

 これは、申し上げたいんですが、今回の衆議院の委員会での審議というのは三十六時間やっているわけでございます。それで、十一年の年金改革では二十八時間三十分ということで、多くの時間を割いておるわけでございます。(発言する者あり)そういう意味も込めて、きちっと審議はしている、私はこういうことが言えると思います。

 それから、抜本改革というのは、もう既に廃案になりましたけれども、示したことはあるじゃないか、こういうことであります。

 それではお伺いしますが、最低保障年金というのはどうなっているんでしょうか。最低保障年金という理念をお持ちでありながら、この法二条では基礎年金国庫負担について二分の一と、理念と相矛盾するようなことをおっしゃっていますけれども、そこはどういうふうに解釈したらいいんでしょうか。

海江田議員 委員会での審議の時間については、先ほども先生の方から三十六時間という話がありましたけれども、政府案については十七時間だというような事実もございます。

 それから、今お尋ねの二点目の最低保障年金の問題と、それからこの今回の法案に盛り込んでございます基礎年金の国庫負担の二分の一でございますが、私どもは、一元化をしまして、本当にしっかりとした、年金の本来あるべき姿の中では、最低保障年金ということを考えておりまして、この理念というのは今も捨て去っているものではありません。ますますこの最低保障年金というものをしっかりしたものにしなければいけないということで、はっきりとした民主党の中の意見の一致を見ているところでございます。そこへ移る過程で、今ございます基礎年金をとりあえず二分の一にしようということ、このことを申し上げているわけでございまして、将来的に、これはしっかりと一元化をして、その中で、最低保障年金というものをすべての国民に対して、どんな働き方をしていようがすべての国民に対して、最低これだけの年金は保障するよという制度を決めているところでございます。

大野(功)委員 一元化の問題、後ほどまたじっくりと質問をさせていただきますけれども、一つは附則第二条でございます。附則第二条第一項、第二項。あの前国会で修正案が出されました。もちろん民主党の皆様は本体は反対でございますけれども、修正案には賛成をなさいました。この修正案と全く同じ文言が今回の附則二条一項、二項で書いてあるわけでございます。

 ところが、何に対して見直しするのかということになりますと、改正された法に対して見直しするのと、大もとの法律に対して見直しするのでは、意味合いが違ってまいります。もちろん今回の修正案というのは大もとの法律について見直しするというふうに理解いたしますけれども。そうすると、「必要な見直し」というふうな表現を使っておられるんですね。大もとの法律というのは見直しは絶対不可欠なんですよ。改革していませんからね。必ず改革していかなきゃいけない。それに対して必要な見直しというのはいかなる意味を持つんだろうか。改正した後の本文に対してはもちろん必要な見直しで結構でございますが、同じ文言を使っているというのは何となく改革の意図が出てこないな、こんな感じでございますが、そこはどういうふうに解釈したらいいんですか。

海江田議員 大野先生が何を本当におっしゃりたいのか、はっきりいたしませんが。

 私どもは、やはり三党合意の中でお約束をしたことはこれまでも誠実に守っているつもりでございますし、その精神を最大限生かしていこうということで、私どもが合意をした中身については、附則という形で、修正ではございませんで、附則ということで、その中に盛り込んでいるということでございますので、三党合意につきましてはいろいろな御議論もございますけれども、私どもは、私どもの方が約束をしたことは誠実に守っていこうという立場でございますので、今これがなかなか機能していないということにつきましては、むしろ与党の側に責任があるのではないだろうか。

 あそこで約束をしましたですね。まず、委員会で決議をやろうということも、私どもの方はこの委員会の決議の案文を提示したわけでございますが、それに対する答えというものは現在出ていない。答えがないということは拒否だろうということなんですが、では、それにかわるものは何なのかということも出てきていないわけでございますから、その意味において、私どもは三党合意の誠意を、私どものできる範囲で最大限誠実にということで、附則という形で、合意した点については我々の法案の中に盛り込んでいるということでございます。

大野(功)委員 私の質問には答えてくださらなかったのでありますけれども、海江田先生の、約束したことはなるべく守っていこう、このことは大変いいお言葉だと思っております。

 いろいろな改正、廃止法案、見させていただきまして、別の角度から申し上げますと、附則二条の一項、二項を見て、本当にうれしく思いました。これは、三党で合意して修正案を出したそのとおり書いてあるんですね。だから、これまで何となく、三党合意というのは守ってくれるんだろうか、くれないんだろうか、不安に思っていましたけれども、今のお話を聞いて大変、三党合意は守ってくれるんだな、こんな喜びがわいてまいりましたけれども、海江田先生、そこはどういうふうに――三党合意、お守りくださるんですね。

海江田議員 先ほどもお話を申し上げましたけれども、私どもはまず、あの三党合意の中に、当委員会で決議をやろうということを書いているわけでございます、合意しているわけでございますが、その決議につきまして、私どもは、こういう形で決議をしてはどうだろうかという案をお示しいたしました。それに対して、結果的には拒否ということだろうと思いますが、その後の御返事をいただいておりませんで、そして、拒否であるのなら、では与党の側としてはこういう案がありますよというようなこともこれはお示しをいただかないまま、それこそ参議院での強行採決ということになりまして、その意味では、まず、あそこで守られたことのお互いの信頼関係というものが私どもは今崩れているというふうに思っておりますので、やはりその信頼関係を、例えば今回私どもが提案をしておりますこの廃止法案を皆さん方も御賛同いただきまして、これを通していただくことによって、その意味ではこの信頼関係が生じてまいりますので、そういうことになれば、私どもは着実に、しっかりと、この三党合意の線に沿ってお話し合いも進めていくことができる、このように考えているところでございます。

大野(功)委員 三党合意につきましては、廃止法案を通せと言っておられるようでございますが、この廃止法案は絶対通すわけにいきません。それは今るる説明してきたとおりでございます。

 そこで、問題は、この年金問題に取り組む政治の姿勢、政治の責任、このことについてちょっと議論させていただきたいな。

 確かに、年金改革というのは、マスコミの世論調査を見て、不利な数字が出ているな、しかし、これは私はやむを得ないのかな、このように思っております。何さま少子高齢化の中でやる改革でありますから、負担は上がる、給付は下がる、世代間のバトルも起こってくる、こういう問題が生じてまいります。このことは世論調査の中でも、なぜ反対かという場合に、それぞれ一〇%ぐらいずつ、負担が上がるから反対よ、給付が下がるから反対ですよ、こういうふうに出ております。しかし、これを乗り越えていかないと、将来長続きする年金ができていかない。そういう意味で、やらなきゃいけないことはやっていく、これが先ほど申し上げたとおりの政治の責任であり、我々がやらなきゃいけないことであると思っています。そのために、十分に国会で審議をして、中身を審議してですよ、それで国民の皆様に、改正法の趣旨がどういうところにあるのか、改正法の内容がどういうところにあるのか、これを御説明申し上げなきゃいけない。

 ところが、反対理由の中で、今申し上げましたように、賛成、反対、これは五月十七日の某新聞の世論調査でありますけれども、賛成が一〇%、反対が三七%、そして、法案の中身がよくわからない、こういうお答えが四六%あるんですね。我々国会議員として、政治家として、この法案の中身をもっともっと議論していったらよかったのになと、こんな反省は残っております。ところが、問題は未納三兄弟とか未納問題ばかり、あるいは総理の答弁の答弁ぶりが悪い、人生いろいろと言ったとか、そういう問題ばかりであります。

 先ほど後出しの議論が出たと思いますが、例えば五〇%の給付。これは新規裁定の場合、標準世帯についてでありますけれども、五〇%と言っている。それが、年を経るにつれてこれが減ってくる。こういう問題は後から説明したではないかと、あのときどなたかが怒っていらっしゃったように思い出しますけれども。そういう問題も、これは平成十二年の年金改革のときに既に採用している、ビルトインされているんですよ、今の年金法案に。だから、恐らく、厚労省の肩を持つわけじゃありませんけれども、厚労省はそこは十分おわかりのこととして説明しなかったのかな、こういう問題であるかもしれません。

 いずれにしても、先ほども問題になりました、例えば法文ミスとか出生率の一・二九後出しとか、こういう問題は反省しなきゃいけない、これはそのとおりであります。問題は、きちっと国民に制度の中身を理解してもらうような議論ができたか、私はそこが大いに反省すべき点だと思っております。

 アメリカで聞いた話でありますけれども、政治家が年金問題にタッチをするということは地下鉄の第三レールにさわるようなものだと。第三レールというのは、地下鉄銀座線、丸ノ内線でいいますと、線が二本走っています。その向こう側にもう一つ、電気をとるための線路が走っているんです。そこから電気をとって地下鉄の電車が動いている。ところが、年金電車がだんだん人数が多くなって重くなって、今の銀座線でありますと六百ボルトの電流が走っていますけれども、六百ボルトの電圧ではもう年金電車が走れない。だから、政治家としては、年金電車を走らすために絶対にこの第三レールを改修していかなきゃいけない。

 そういう意味で、やらなきゃいけないことというのはそういうことなんですよ。電圧を上げる、電気の流れをよくする、これを政治家がやらなきゃいけない。しかし、アメリカで言うのは、そういうことをやると感電するおそれがある、こんなことを言って笑っておりましたけれども、国民の支持がなくてもやらなきゃいけないことはやらなきゃいけないんです。責任ある政党として年金改革は絶対やらなきゃいけない。

 参議院選挙でこの第三レールに自民党はさわりまして感電したのかもしれません。傷がついたのかもしれません。しかし、責任ある政党として、この傷は国民の将来の安心感をお届けするために光栄と勇気ある傷である、私はこのように思っているところでございます。これを小泉内閣がやったわけであります。与党がやったわけであります。このことは御理解をいただきたい。

 そして、民主党は、どうも一元化を中心として改革ということを叫んでおられますけれども、何ら負担と給付の、これまでもですよ、負担と給付の水準をきちっと示しておられません。そういうふうに負担と給付、先ほど申し上げました世論調査でも負担と給付の問題で反対しているということも出ておりました。この負担と給付をきちっと示して、痛みを伴う年金改革、なぜ痛みを伴うか、くどいようですが少子高齢化であります、そういうことをきちっと示していく勇気をお持ちになるべきではないでしょうか。

古川(元)議員 今大野議員の方から感電したというお話がございました。勇気をというお話がございましたが、そこまで自信があるのであったら、この選挙でも国民の民意というものを理解しておられないんでしたら、これは衆議院を解散されて、そして国民に信を問われればいいと思います。そこで感電しても、国民がこれを認めたということであれば、それは今のような言い方もあるかもしれませんが、明らかに今回の参議院選挙の結果というのは、この選挙は年金選挙と言われるほど年金が争点になって、明確な意思表示がされたわけであります。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

 私ども民主党は、とりあえずこの年金改正法については一たん白紙に戻して、本当の一からの議論をしようということを選挙で訴えました。それが国民の皆さん方に理解をされたから、私どもこうした結果を得させていただいたんだというふうに思っております。

 そういう意味では、私どもが今回この法案を提案したのは、まさに民主主義の基本であります選挙に基づく民意に従って行動する、それが民主主義国家における政治家の役割ではないでしょうか。国民がわかっていなくてもやらなきゃいけないことはやらなきゃいけないんだというのは、民主主義じゃない国においてはそういうことがあるかもしれませんが、民主主義国家においては、やはりまず国民の民意に立った行動をとるというのが政治家の大原則ではないかというふうに思います。

 そういう中で、この年金問題について申し上げますと、年金制度というものは国民の信頼がなければ成り立たないものであります。委員も御承知のように、別に大野委員がすべての負担をしていただけるわけじゃありません。国民の皆さん方が、すべての義務のある人たちが保険料負担をしなければ、この制度はどんなに机の上で数字が合っても、それは信頼がされなければそんな制度には保険料を掛け込まない、だからこそ今、国民年金においては未納、未加入が四割というような状況が起きているわけであります。

 そういうところから考えますと、どうしたら年金制度に対する信頼を構築できるか、まさに今回の抜本改革の議論というものは、そういう国民の信頼が回復できるかどうかというところにポイントがあったんだと思います。そして、国民の信頼を回復するためには、そもそもの制度の問題と、そしてその制度の中での負担と給付の問題、実はこの二つの側面から考えなければいけないというふうに私たちは考えておりました。

 政府・与党の方が提案をされたあの改正法は、制度には全く手をつけておりません。現行制度、ほとんどの多くの国民が不公平感や不信感を持っています。職業によって保険料もばらばら、そして給付もばらばら、そして世代間での不公平も拡大していく、そういう制度そのものに対して不信感がある中で、その中での数字上の負担と給付のつじつま合わせをやったからといって、それは到底、制度に対する信頼が回復できるものではありません。

 まずは、制度がすべての国民にとって納得のできる、公平だと思えるような、そういう制度にするということを、そういう制度を提案することこそが抜本改革のまず第一歩であるはずであります。その点に手をつけずに、不信感を招いている現行制度をそのまま維持するためにはどうしたらいいかという形で負担と給付の関係に手をつけた、それが政府・与党案ではなかったでしょうか。それが不信感を招き、また、そこで示した数字も、私どもに具体的な数字がないというふうに御批判をされましたけれども、政府・与党から提案をされた数字は確かに具体的な数字ではありました。しかし、そもそもその数字自体が違っていたわけでありますから、数字が違っていて、違う数字を前提に、この数字で合っているのではないかと、そういうことを言って国民にごまかす、まやかしを与えたことが、まさにこういう選挙結果を生んだわけであります。

 そういう意味では、きちんとした客観的なそういう数字というものが示されなければならない。その正確な情報のもとでの負担と給付の議論が行われなければならない。私どもは、そういう数字がきちんと出てきていない、そういうまやかしの数字のもとに我が党の具体的な細かいところまで計算しようとしても、それは無理だというふうに申し上げたわけであります。

 そしてまた、私どもが計算をするには十分な資料というものが政府の方から提案をされておりませんでした。そこについては、我が党の議員が資料要求やあるいは国会の質問の中で要求をして、ようやく最近になって出てまいりましたけれども、政府から出された数字は、計算の前提になったものは、データが四千ページを超えるものがコピーで渡されました。私どもそれを計算しようとしますと、すべてその数字をインプットする作業をしなければいけません。まさにこれは嫌がらせをやっているとしか思えないんじゃないかというふうに思います。

 本当に、同じデータで負担と給付についてきちんとした計算をして議論をしようというのであれば、そういうデータを公開するのであれば、それは磁気情報という形で提供する、それが当たり前の姿ではないでしょうか。一々、わざわざ四千ページを超えるその数字をまたインプットしなければいけない、そういうことをやっている。民主主義国家においては、もちろん政策の中身も大事でありますけれども、その政策が決まるに至る政策決定のプロセスというものも極めて大事であります。

 そういう意味で、これまでの一連の政府の行ってきた年金改革の行動というものは、内容においても、そしてプロセスにおいても、到底国民の信頼を得られるものでない。だからこそ、私どもは、これは一たん白紙に戻して一から議論をやり直そう、そういうふうに主張しているわけでございます。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

大野(功)委員 まず古川議員にお願い申し上げます。演説会を聞きに来ているわけじゃございませんので、なるべくピンポイントに、簡潔にお答えくださいますようお願い申し上げます。

 まず、民意の問題でございます。

 民意の問題といいますと、思い出してみますと、消費税のときも第三レールにさわったようなことかもしれません。しかし、その消費税が、今や年金財源としても考えなきゃいけないんじゃないか、こういうような世の中になってきております。そういうことを考えれば、我々がやらなきゃいけないことは、日本の将来を見据えて、日本の国民の皆様に、将来は安心なんだ、こういうことを確保するためにやっていかなきゃいけないな。

 さらに、御存じのとおり、先ほども申し上げましたけれども、この賛成、反対の中で、中身がよくわからない、こういう方々がかなりいらっしゃる、四六%もいらっしゃる、こういうことをどう考えるかという問題がポイントなんです。だから、もっともっとやらなきゃいけないことを説明すべき、このことをよろしく御理解いただきたいと思います。

 それから、制度なのかそれを支える財政の問題なのか、こういう問題で、制度が先だ、こういうことをおっしゃいました。しかし、制度を幾ら一元化したって、これは年金の給付が上がるわけじゃありません、年金の保険料が下がるわけじゃありません。そういう別々のことをおっしゃっているんだと思いますけれども、制度ですべて解決するような、バラ色の夢を売るようなことをおっしゃるのは、私は反対でございます。(発言する者あり)一元化をやるべきだ、先にやるべきだとおっしゃっているから言っているんです。

 そういう意味で、古川議員のおっしゃったことは、財政といっても、まず数字が変わっていくじゃないか、こういうことをおっしゃいました。一・二九の出生率の話をおっしゃっているのかなとも思います。だけれども、年金の世界の将来の見通しというのはバーチャルな世界なんです。仮置きの世界なんです。例えば、今回の年金法につきましても、物価の上昇は例えば一%、賃金の上昇率は二・一%、運用益の利回りは三・二%、こういうふうな全く仮置きの世界でやっているわけですね。だからそれが変わってくるというのはあり得ることであります。しかしながら、それが大きく変わった場合はもちろん問題でありますけれども、一時的に一・二九という問題をどう考えるか、こういう問題がある、そうでなければ年金の将来なんか考えることできませんよ。そのことをどう考えるか、こういう問題が残るわけであります。

 次に、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、この改正法を全部廃止しろとおっしゃっていながら、適当に何か項目を生き返らせている、このことについて御質問申し上げたいと思います。

 言ってみれば、どういう基準で復活させた、生き返らせたのかな。先ほど申し上げました、改革の姿勢としては中途半端である、そして何のためにこの項目だけとったのか。年金というのは、思想、理念があってそれをどういうふうにとらえていくかという問題であります。そういう意味で、例えば二、三例を挙げます。

 在職老齢年金につきましては、六十歳代前半の一律二割支給カット廃止、これは生き返らせております。七十歳以上の給付調整、これは廃止したままになっております。しかし、在職老齢者全体としてどう考えるか、この議論が先にあるべきじゃないですか。それから、女性と年金問題、これもきちっと議論してやらなきゃいけない。第三号被保険者の届け出の特例というのは復活させておりますけれども、離婚時の厚生年金分割の問題は廃止したままになっております。女性と年金という問題の議論もないように思われます。それから、個人年金情報の定期的な通知、こういう問題があります。この問題は、いかなる年金制度のもとでも実務上大変大事な、被保険者にとりましては本当に大事な問題であります。これは廃止したままになっている。

 一体どういう基準で民主党の皆様は、こういう何というかつまみ食いをされているのか。どうも、個人年金情報の提供につきましては、社会保険庁という悪いやつがやるから反対だ、こんなことをおっしゃりたいのかもしれませんけれども。私は、廃止とか生き返らす、そのこと自体が、根本に戻って白紙から出直すんだ、こういうこともおっしゃる、一方においてこういうこと、つまみ食いをやっておられるわけですね。そうすると、目映りのいいものだけ人気取りでおやりになるのかな、あるいは、白紙撤回といいながら、これは色つき撤回だな、こんな感じもするわけでございますが、どういう基準でこういうことをなさったのか。ちょっと、簡単で結構です、御説明ください。

古川(元)議員 今の御質問にお答えする前に、一点だけ。

 数字が少々変わる、そのこと自体は大きな問題でないかのような御発言がございましたけれども、さきに成立した改正法の中には、給付の下限を法律で規定しているんですね。法律で規定するということの意味合い、それは当然大野議員もよくおわかりだと思います。法律で規定するその数字は、まさに出生率のほんのちょっとした変化によっても、そういう数字は守れない状況なんです。

 ですから、そうやって考えますと、そもそもそういう非常に変動性が大きい数字を前提にしながら、負担と給付、両方固定するような、それを法律の中で規定するような、そこにそもそもあの政府・与党案の問題があったんじゃないでしょうか。多分、ここにお集まりの方々もよくその部分はおわかりになっていらっしゃると思いますけれども、保険料を固定して給付の方まで固定をする、その中で変動要因が起きてくる。どうしてこのことを法律で規定できるのか。その点の問題については一番よく大野委員がおわかりだと思いますから、その点が私どもはおかしいというふうに言っているわけであります。

 今のお話でございますけれども、これも私どもは、今回すべて一たん廃止する、そういうまさにパフォーマンスのような形でやるということも可能ではありましたけれども、私どもは、責任ある政党として、問題のある部分についてはこれは廃止して議論をし直そう、しかし、年金制度の改革というものは、私どもも今回の法案で十九年度から新しい制度をスタートさせようということを申し述べておりますけれども、しかし、新しい制度がスタートするにしても、現行制度のもとで保険料を払い込んだ人については、その分については現行制度のもとでの給付を行っていく。ですから、現行制度のそれを手直ししていく部分も当然必要なわけであります。

 かつ、今回成立させられた政府の改正法の中でも、実は施行期日がかなり遅いものがあるんです。今言われたポイント制のような話は、まだかなり先の話になっています。ですからそういう、施行期日が遅いものについては、今の時点ではこれは復活をさせない。施行期日が早いものについて、そして、抜本改革の新しい制度とは別に、この段階で、現行制度がだんだんと新制度へと変わっていくその移行過程の中でも一歩でも改善していく、そういうことで、評価すべき部分について、施行期日が早いものについてはこの法律の中で復活をさせていただいた、そういうことでございます。

大野(功)委員 まず前段の、給付の下限を決めているじゃないか、だから数字が変わると困るんだ、こういうお話でございます。

 見通しをつくる場合には、必ず仮定を、仮置きの数字を置かなきゃいけない。その問題につきましては、給付ができなくなったらどうするんだということであります。そのときこそ、下限と上限を決めているんだから、皆様議論して、例えば今、基礎年金の国庫負担は二分の一とするということでありますが、それを三分の二にする、四分の三にする。全部してしまいますと、これは税方式になってしまいます。ですから、これは、税の問題を議論していけばいい、こういう問題でありますが、今のところは、出生率を踏まえまして、これは長続きする制度として設定しているわけです。一・三九という数字が……(発言する者あり)これは私の個人的見解でございますけれども。個人的見解ですよ。これは、そんなのはまだ議論していませんよ。だけれども、長続きさせる制度として設計するためには……(発言する者あり)よく聞いてください、設計するためには、将来の出生率の見通し、それからインフレ率、賃金の上昇率、運用益の利回り、これを仮置きしておかなければ将来の設計はできませんよ。それを、数字が変わるから――変わるって、下がる、悪い方へ行くことばかりおっしゃって、いい方へ行ったらどうするんですか。そういう可能性だってあるんですよ。

 それから、次に。

 一元化という理念をお持ちでございます。そこで、女性の問題ですが、一元化というのは、夫婦単位で考えるのと、それと個人単位で考える年金制度に区分けて言いますと、一元化というのはやはり個人単位の話になっていくんですね。それを、第三号被保険者の届け出についての特例という、夫婦単位で考えておられる、そこに理念の矛盾があるのではないでしょうか。

 もう一つの問題の、ポイント制というのは、これは政府案でも将来の問題だから、今回は廃止とか採用とか言っていないんだとおっしゃいますけれども、これもやはり理念の問題ですよ。いいことをやりましょうという問題。そういう思想とか態度の問題を放棄して、極めて実務的に、先の話だからというと、どうも、理念を優先するよりも実務を優先されているな、こんな感じでなりません。

 それでは、年金赤字の問題を質問したいんですが、一元化の問題について、トピックを変えさせていただきます。

 一元化というのは、もう言うまでもありません、実務面で極めて難しい問題があります。一元化をやっている国も世界じゅうではたくさんはありません。アメリカ、スウェーデン、カナダでございます。

 そこで、思想としては、一元化は多様化する人生あるいは公平という意味で大変わかりやすいということはあるかもしれません。だけれども、実務で非常に難しい。所得把握が難しいということはだれしもわかっていることでございます。

 そこでお伺いしますが、八百屋さんの所得をどうやって把握されますか。

枝野議員 自営業者の方の所得把握の問題については、さきの通常国会の中でも何度かお尋ねありまして、何度も御説明を申し上げております。確かにサラリーマンの皆さんの方が所得把握がより容易であるという客観的な事実はあると思います。しかしながら、いろいろな収入の形態によって所得の把握の仕方、あるいはそれによって把握のやりやすさというものに差があったとしても、しかし現実問題として、より公平な制度になるような努力をしながら、実際に所得把握を皆さんの政府もしていらっしゃるわけです。

 つまり、例えば、所得税という制度は、自営業者の方にもサラリーマンの方にも同じ税率で所得税をかけていらっしゃるのは今の自民党政府です。自営業者の方の所得把握ができないというのであるならば、所得税という制度をかけていること自体が矛盾をする。そのことにどうお答えになるのかお答えいただかないと今の質問には答えようがありません。

大野(功)委員 問題をそらされてしまっておりますが。

 要するに、自営業者の、あるいは第一号被保険者の数は全体で二千二百万人います、その中で七百万人しか国税庁で所得を把握していないんです。そういう意味で、それは調査をもっともっとやれば、あとの千五百万人の中から少し、七百万人の所得税徴収の対象になってくる人がいるかもしれません。これは所得把握が物すごく難しいからなんですよ。その所得把握をどうするんですかというのが私の質問なんです。

枝野議員 我々は、より公平に所得把握をするために、納税者番号制度の導入というのを我が党の対案の中に組み込んでおります。そういうことをすることによって、現行の、今の政府が所得把握も十分にできていないのに所得税をかけているというむちゃくちゃなことを御自身でお認めになっていることよりも、ずうっと公平に、税についても年金の負担についても皆さんに負担をしていただく、政権交代をすればこういう制度になる、こういうことであります。

大野(功)委員 納税者番号を導入いたしますと八百屋さんの収入がわかるというような趣旨に理解いたしました。

 そういたしますと、奥様方が八百屋さんへ行きまして大根を一本買います。そうすると、八百屋さんは納税者番号のついた領収書を奥さんに渡す、そしてその奥様はその領収書を税務署へ送る、こういうことができますかね。とてもじゃないけれども、できませんよ。納税者番号制度の本来の目的というのは、これは特に金融資産所得を把握していく、こういうことであります。所得の把握という意味じゃ、これは今申し上げましたように大変難しい。

 もちろん、自営業者の中でも小規模の、例えばメーカーの方、仕入れ先が限定されている、販売先が限定されている、こういう方々の場合は、その仕入れ先あるいは販売先からそういう証明書をとることができますから、これはある程度いけると思います。さらに、今もう事実やっておりますけれども、例えば顧問料を各方面から、数社からもらっている、これはもう既に今でも把握しておりますけれども、そういう場合に、納税者番号制度を導入すれば簡単にできる。しかし、自営業者の中で、八百屋さんとか小売屋さん、これは本当に所得の把握は難しいわけであります。そのことを御指摘申し上げて、次に。

 一元化の問題というのは――さまざまなライフスタイルに応じた年金をつくっていく、これは私、大賛成なんですよ。これも個人的でございます。大賛成なんです。だけれども、実務的に難しい、こういう問題がある。

 そこで、一つだけ。一元化の道のりへ到達する一里塚の問題として、例えばパートタイマーの方々について、年金保険料をどうするか、こういう問題があるんですね。我々もパートタイマーの保険料問題は随分議論いたしました。だけれども、パートタイマーで働いていらっしゃる奥様方からは、我々がパートタイムで働いているのは、疲れて帰ってくる御主人さんに夕食の食卓にビール一本つけたいんだ、育ち盛りのかわいいお子さん方にやはりおかずを一品余分につけたいんだ、こういうお話を聞くと、もうちょっとこれは議論してやらなきゃいけないな、こういうことで、パートタイムの年金保険料の問題については、将来の検討すべき課題として我々の場合は残してあるわけでございます。

 パートタイムの問題、これもさまざまなライフスタイルに応じてどういうふうに年金を処理していくか、この重要な課題であります。このパートタイマーの年金保険料の問題についてはどういうふうにお考えでございますか。

枝野議員 まず、先ほどの納税者番号制度について、若干誤解をしておられるようですので申し上げておきたいと思います。

 私ども、納税者番号制度ですべての問題がクリアできて、一〇〇%、例えばサラリーマンの方と同じような所得把握ができるだなんということは申し上げておりません。ただ、例えば納税者番号制度、それをどの程度細かく適用するかという、その技術的な話は、それこそ三党協議の場で、一元化という前提で協議に入っていただけるなら、そこで詰めればいい話でありますし、それから、消費税についても、消費税をしっかりと把握するためにより制度改革が必要であると言われていますので、消費税とそれから所得把握のところを、特に売り上げの部分などについては技術的にはいろいろなやり方があるわけでありまして、そんな枝葉末節なところで一元化の話が前に進んでいけない――そもそもが、所得把握のやりやすさには差があるけれども、それでも所得税をちゃんとお願いしているじゃないかという、その根本的なところに全くお答えができていないというか主張ができていない、そのことをしっかりとお認めになるべきではないだろうか。所得把握ができないから年金の一元化ができないという御主張であるならば、所得税という制度をやめなければ自己矛盾であると繰り返し申し上げておきたいというふうに思っております。

 それから、パートタイマーの皆さんの年金の保険料の問題は、まさに政府案の欠陥のポイントであるというふうに思っています。つまり、今の制度では、パートやアルバイト、非典型雇用である場合には厚生年金に加入しなくてもいい。そして、そうした中で、保険料がどんどんどんどん毎年上がっていく。そして、特に現在のような経済状況の中ではさらにそれが加速をいたしますが、それは、雇用主、企業側からすれば、できるだけ社会保険料負担を少なくするために非典型雇用へとシフトをさせていく、こういうことがどんどん加速をしていく。

 もちろん、御本人の選択で非典型雇用を選択されている方もいらっしゃいます。ですから、非典型雇用がすべて悪くて正規雇用の方がいいと言うつもりはありません。しかしながら、余りにも雇用の形態が流動化をし過ぎて、不安定な非典型雇用に、本人の意図とは違って、そういう先しか雇用先がないというような状況が制度によって加速をされていくということは、ますます社会に対する不安、将来に対する不安というものを加速させていって、そして経済にも悪い影響を与える。

 さらに言えば、政府の計算をしている国民年金や厚生年金の将来像というのは、現状の正規雇用、非典型雇用、無業者等の割合を基本的には前提としていますが、こういう形でパート、アルバイトならば上がり続けていく保険料負担から逃れられるという制度を織り込んでしまったら、そもそもその前提になっている正規雇用者、厚生年金加入者の率がどんどん下がっていく、少子化以上のスピードで下がっていく、こういうことになって、結局計算が成り立たなくなっていく、こういう矛盾を抱えているわけであります。

 したがって、私たちは、典型雇用であるのか、パート、アルバイトなどの非典型雇用であるのかということにかかわらず、いわゆる雇用労働者であるならば一元化された同じ年金制度に入って二分の一は雇い主の方に負担をしていただく、こういう制度の中に入っていただいて、パートで雇おうが正規社員で雇おうが同じ人件費を負担しているならば同じ社会保険料負担になるという形にする、ただし、そのかわり、政府案のように、社会保険料負担をどんどん上げていくことで個人の保険料負担も大変だけれども企業の側の保険料負担も上がっていく、こういうことにはならないようにしていく、こういうことを我々は対案として示しているわけであります。

 その上でも、もちろん、いわゆる課税最低限をどの辺に置くかというような議論と同じように、そうはいっても、例えば一回限りのアルバイトに一々、今の厚生年金と同じような形で、企業、雇い主負担二分の一で全部一元化された年金制度の雇用主負担をかけるのかどうか、こういう話はもちろん出てくると思います。しかし、まさにそれこそ技術的な問題であって、そこは政治的に、まさに我々が申し上げているとおり、一元化に向けて自民党の中の議論の整理がまとまりましたら今のような技術的な話は十分協議をさせていただきたいので、一刻も早く三党協議に入れるように、自民党の中の一元化に向けた議論を整理していただきたいというふうに思っております。

大野(功)委員 まず、パートタイマーの問題でございます。

 雇用形態、企業の雇い方の問題と関連する、それはそのとおりだと思います。しかし、私が問うているのは、そういう奥様方の声が非常に強かった、枝野さんはそういう奥様方の民意に反するようなことを直ちにやれと言うのかどうか。これから一緒になってそういう問題は検討していかなきゃいけないけれども、民意はそういうふうなことですよ、だから我々は将来の課題に残しているんですよと、こういうことを申し上げているわけであります。

 それから、一元化の問題ですが、所得把握ができないから所得税なんかやめてしまえみたいなふうに聞こえましたけれども、こんな……(発言する者あり)では、まあいいですよ。所得税との関連では、所得税には課税最低限があるんですね。その課税最低限の下の方は、これは把握していませんというのは国税の立場です。しかし、年金の立場というのは、どんなに収入が少なくてもパートタイマーの皆さんから年金保険料をいただくという問題なんですよ。だから、その点をきちっとしなけりゃどうしようもないでしょう。背番号制度を導入したからといって、この所得把握、課税最低限以下の人の――課税最低限以上の人は、二千二百万人の一号被保険者の中で七百万人ときちっと把握していますよ。しかし、以下の人は把握できない。そこをどうするんだということを八百屋さんの例で御説明申し上げたのでありますが、まあ、そこのところはなかなか御理解いただけないようでございますが。

 背番号制度というものは、いわば総合課税のもとで課税をいかに公平にやっていくか、ここに重点があるわけであります。金融資産所得をどうしていくのか。固定資産所得というのは、アパートの家賃というのは一人一人から証拠をもらうわけにもいかないということがあってなかなか難しいのでありますけれども、私が申し上げたいのは、背番号制度を導入したら一元化問題がすべてバラ色に解決するような誤解があると困るなと、ここの問題でございます。

 それで、私は、きょうは年金の……(発言する者あり)もちろん、こういう一元化の問題については、きちっと、私の発言から私たちの一元化に対する取り組みというのはわかっていただいたと思います。(発言する者あり)

 それでは、繰り返して申し上げます。一元化というのは、ライフスタイルに対応した年金制度として極めて大事なことだと思います。公平な年金としても大事なことと思います。しかしながら、実務面で極めて難しい問題があるということを、反対して言っているんじゃないですよ、実務面で難しい問題があるので、これを解決しなければどうしようもないじゃないですかということを申し上げているわけでございまして、それは私見で言いますと、私もいろいろな私見を持っていますが、それは今後お互いに協議していく、こういうことでいいと思います。

 それから、きょうは年金赤字のことをうんと質問したかったのでありますが、時間が来てしまいましたので、年金赤字の問題につきましては同僚議員にすべてお任せをするといたしまして、最後に申し上げたい。それは、前国会での議論は、我々は、制度面もいろいろ改善しましたけれども、給付と負担を中心に現実的な法律をつくりました。しかしながら、民主党の方は、一元化ということ、あるいは最低保障年金という税方式の話を組み入れる話をしておられました。

 その中で、民主党の方は給付と負担という姿がはっきり出てこない、こういうことだと思いますけれども、政府・与党案というのは、社会保険方式、これはもう世界的にあまねく普遍的な思想ですよ、こういう思想のもとで、一八・三という、世界の常識でいうと極めて常識的な、世界的に見れば決して高くない水準であることをもう一度繰り返して申し上げたいと思います。

 最後に、こういう一元化とかあるいは給付と負担とか、こういう問題、抜本改革と称してそれぞれが言い合っていたんですね。だけれども、私は、抜本改革というのはもっともっとお互いに話し合う、本当の抜本改革というのは、やはり家族政策とか少子化対策とか、家族愛あるいは人間愛をはぐくんでいく教育の問題とか、本当に幅広い視野から党派を超えて議論していく、これが抜本改革じゃないかな、こういうふうに思う次第でございます。

 最後に、今まで申し上げましたとおり、全体でおわかりいただけたと思いますが、廃止をすると、もう赤字が、直ちに破産するようなことになります。一元化の問題は、今の改正法の中でやっていける問題なんですね。ですから、どうぞ、この廃止法案に自民党として絶対反対、委員長にお願いしますが、廃止法案を直ちに廃止してくださいますようお願い申し上げます。

 また、三党合意に沿った協議を即刻開始してもらいたい。社会保障全体の中で一元化を含めた議論をやっていくことが重要でございます。その中で、一元化を含めた年金問題をお互いに十分協議していこうではありませんか。

 しかしながら、さらに大事なことは、年金だけではなくて、今申し上げましたような家族制度あるいは少子化対策、こういう問題を、本当に幅広い視野から、日本の将来のために、我々の、国民の皆様の将来の安心感のために、政治の役割というのは、やはり安心を皆様にお届けする出前持ちのような気持ちでやっていくべきではないか、そのためには党派を超えていろいろな議論をしていかなきゃいけないんじゃないか、このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 次に、宮澤洋一君。

宮澤委員 宮澤洋一でございます。

 さきの国会でも、二度ほど、古川先生、枝野先生と随分討論をさせていただきましたけれども、引き続き、きょうは廃止法案について、反対の立場からいろいろ質問をさせていただきたいと思っております。

 先ほど海江田先生の提案理由を聞いておりまして、私は、実は政府案という電話帳みたいなものを前国会の途中で全部、最初から最後まで読み通したんですけれども、正直言って、間違いの箇所は一カ所も発見できませんでした。大変難しい法律だなというのが実感でありましたけれども、海江田先生、これはまさに提案理由の責任者として提案理由説明をされたわけですから、この厚いのを全部読まれてどういう印象でございましたか。読まれましたでしょう、これ。

海江田議員 どういう印象ですかということですか。本当に随分大変な分量の法律案でございましたけれども、印象を一言で申し上げれば、本当に抜本的な改革といいますか、国民が今求めている改革とは随分ほど遠いことになっておるんじゃないかなと、そんなような印象でございます。

宮澤委員 正直言いまして、条文を読んでいるだけでは、政府案が何だということは、木をずっと追っているようなところがあって、なかなかわからないというのが私の印象だったわけですけれども、海江田先生は全部読まれて、それがぱっとわかられるというのは、やはりさすがだなというのが今の御答弁の印象でございます。

 失礼ですけれども、何時間ぐらいかかられましたか。

海江田議員 トータルでということは、本当に、委員会にも、どういうふうに言えばいいんでしょうか、トータル何時間というのはすぐに思い出しませんね。何でそういうことを聞くのか意味がわからない。

宮澤委員 この質問はこの辺にさせていただきますけれども。

 前回、民主党の法案、高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案、大変いい名前があって、中身は薄いんですが、じっくり読ませていただきました。前回の国会の中で、いろいろマスコミやテレビで民主党案というものが発表されているけれども、どうもこの条文を読んでもなかなかそのイメージが浮いてこない、実は何も書いていないところが大部分であるといった意味で、蜃気楼法案とか、絵にかいたもちということはよく言うけれども、かいてあるのはもちどころではなくて、もちをつくるための道具である、絵にかいたきねとうす法案というようなことを申し上げたわけであります。

 今回また提出された法案、今度はずっと厚くなったわけでありますけれども、読ませていただきましたが、率直な印象、厚くなったけれども、当然のごとく、中身は五十歩百歩だけれども、正直言って、前国会の法案の方が中身があったな、やはり責任野党としてそれなりに案を出してこられたな、今回はどうしたんだろうというのが正直な気持ちであります。

 そこで、先ほど大野先生の質問の中で、この附則のところで今後の進め方が書いてある中で、海江田先生の方から、十八年度中に法律も含めて必要な整備を行って抜本改革は十九年度から実施する、こういう御答弁がありましたが、これはそのとおりでよろしいわけですね。

海江田議員 そのとおりでございます。

宮澤委員 そうしますと、実は、前国会の法律には、「平成二十年度末までに年金制度改革を行う」、こういうようなことが書いてあって、少し時間が長かった。ですから、五年近くあったわけで、今度は二年半というものの中で法律をつくって、それを成立させるまでやりたい、こういう意思表示だろうと思うんですね。そうすると、中身が実は今回は何もないわけであります。

 先ほどのお話ですと、抜本改革といったものを前国会に提出しているから自分たちの意見は出している、こういうお話だったわけですが、これは実は継続審議にもなっておらず、廃案になっているわけですね。何でこの法律を出してこられなかったんですか。

古川(元)議員 国会を延長していただけるのであれば、いつでも提案いたします。

 そもそも、私どもは一カ月以上の会期を要求してまいって、しっかりと議論しましょうということで言っておりました。私どもは、そのまず第一段階として、さきの選挙で示された民意を受けてこの廃止法案を提案したわけでございます。与党の方で会期を一カ月なり延長していただくということであれば、また直ちに私どもの案を提案させていただきたいと思います。

宮澤委員 ちょっと御答弁が飛び過ぎているような気がするんですが、廃止するだけではなくて次の制度を二年半かけてつくる、こういうところまで、附則であるけれども、法律になっているわけですね。それならば一日なりの審議でいいけれども、前の中身、少し議論もしておりますけれども、これならば一カ月かかる、こういうことなんですか。

枝野議員 今の古川議員からの答弁と違う側面から御説明申し上げたいというふうに思います。

 私どもは、この附則のところにも書いておりますとおり、また、与党の皆さんもそのことはさきの国会でその部分に限っては合意をしていますとおり、一元化を含めた本当の抜本改革については与野党で協議をしましょうということを言っているわけですね。その与野党で協議をするための民主党の案は何なのかと言われれば、それはきちっとさきの通常国会でも出している、しっかりとした一元化に向けた考え方というのはもう示されているわけであります。したがって、抜本改革を進めていく手順として、国民からも信任を受けていないこうした法律は一たん白紙に戻した上で、そして与野党間で協議をして、進めていくに当たっては、先に法律案まで出してしまうという形よりも、これを一たん白紙に戻した上で、協議の場で、我が党の案はもう既に出ているわけですから、自民党から一元化に向けてこういう一元化をしたいんだということを示していただければ、そこで与野党協議をして、まとまるかどうかわかりませんが、まとまったら一致したものを出せばいいし、まとまらなかったという段階でそれぞれの案を出して、そこで議論をすればいい、こういうことになるかというふうに思います。

 しかも、それに加えて、たった一週間の会期のところでああした本格的な抜本改革案を出して議論をするというのは、とてもじゃないですけれども、この国会の一週間の会期の中では到底不可能であるということは初めから目に見えている話でありますので、それこそこの国会が我々の要求どおりしっかり時間をとった期間で行われるのであるならば、まず白紙法案を成立させた後で、さあ抜本改革の案について自民党からも案を出していただいて、我が党の通常国会で出した案とそこで議論をする場がつくれるということになりますが、一週間ではさすがに廃止法案を成立させた上で両党の抜本改革案を議論するような時間がないのは初めから見えていますので、私たちはそうしたパフォーマンスに走るようなことはしなかった、こういうことであります。

宮澤委員 なかなか納得できる答弁ではないんですけれども。要するに、前回の案はいつでも出せるけれども審議に時間がかかる、こういうことですが、少なくともこの国会の場では間違いなく前回廃案になって、今回提案されていないということだけ事実としてあるわけであります。

 私は、私がもしも民主党だったらというのも変な話ですけれども、前回の案にそれなりの修正を加えて、国会で成立した修正案的な与野党協議といったものをくっつけて出すことこそ、まさに、先ほど海江田先生もたしかおっしゃったと思いますけれども、この参議院選挙で年金廃止ということを訴えてきた、だから出すんだというのと同様に、少なくとも、民主党のマニフェストを拝見していますと、例えば一元化であるとか、また最低保障年金であるとかいうことは主張されているわけでありますから、そういうものもあわせて出してくる、それはそんなに法律的に大変困難なことではないんだろうと思うんですけれども、何で廃止法案だけ出てきたんですか。

枝野議員 先ほど大野委員からのお話の中でも、政府案が国民に十分理解されていなかったと。そのことは、私は、一義的にはきちっとそれを伝えるべき政府・与党の責任であるというふうに思いますが、国会できちっとした議論をさらにしたかったという思いは我々にもあります。そうした意味から、今の御質問は全く意味不明というか残念というか、我が党が対案を持っていないというのであるならば、対案も持っていないのに廃止法案だけ出すのはけしからぬじゃないかという話で、これは実質的な議論だというふうに思います。

 私どもは、少なくとも、それは皆さんから見れば不十分かもしれませんけれども、きちっとした対案はもう、さきの通常国会でも示していますし、参議院選挙の中でもマニフェストでしっかりとお約束をさせていただいているわけであります。それを形式的に法案という形で出すのか出さないのかという話がどこで本質的な年金改革の議論とつながるのか、全く私には理解ができません。まさに、今から野党になったときのための揚げ足取りの練習をしておられるのであれば、十分トレーニングしていただきたいというふうに思いますが、私どもとしては、先ほど申しましたとおり、廃止法案をまず通して廃止をした上で、そしてしっかりと、抜本的な改革については両党から案を出すなり、三党協議、与野党協議の場で議論をするなりということをすればいいということですので、あえて今の段階で同時に法案という形式で出す必要がないというふうに思っているだけであります。

宮澤委員 なぜそういう質問をするかわからないと、こうおっしゃったんですけれども、当然わかられているんだと思うんですけれども。

 要するに、今といいますか、政府案の前の状況でありますけれども、そういう中で、まさに年金の給付と負担というのがバランスしていない、毎年五兆円近い赤が出ているという中で、いろいろ政府も努力して案をつくったわけであります。要するに、廃止だけして、次の制度がいつできるかということは大変大事なことなわけでありますね。それが長く時間がかかればかかるほど、まさに給付と負担のアンバランスがそのまま続いて、大変なツケを後世に残すということは十分枝野先生も御理解した上の答弁だろうと思うんです。

 そういう中で、なるべく早く物を決める、早く進めるということは当然民主党もおわかりだろうと思っていますから、そうであるならば、自分たちの案ぐらい、もう出した出したと言うんじゃなくて、国会は一会期ごとで決まっているわけですから、そういうふうに出されるのが筋だったんじゃないですかという質問なんです。おわかりになりますですね。

枝野議員 確かに、私どもも、このままずるずるいけば年金財政は大変なことになって、その分の足りないお金を将来補おうとすれば大変なことになるということは十分理解をしております。したがって、できるだけ早く抜本改革をして、収支のバランスが早くとれるように、それは将来にわたっての収支のバランスがとれるようにしなければならないというふうに思っています。

 ですから、私どもは、通常国会で出した対案でも、きちっと、消費税、少なくとも三%値上げが必要であるということを示して、それは選挙のときにも、非常につらいことでありましたけれども、きちっと国民の皆さんにもそのことをお示しして、一部の野党の皆さんからそのことを攻撃されましたけれども、しかし、その上で、国民の皆さんの御支持をいただいて、この参議院選挙を戦ったわけであります。

 そして、そうした消費税の値上げも含めて、抜本改革をずるずるとやってはいけないから、さきの通常国会の政府案に対する修正条項に加えて、その期限を「十八年度中に」と明確に切って、まずこの国会で、国民から信任を受けていないこの法律を一たん白紙に戻した上で、十八年度中に抜本改革の法律をつくって、そして十九年からスタートさせようということを、後ろをしっかりと切っているわけであります。

 しかも、実は政府案でも、十月から実際に値上げはスタートしても、赤字がなくなるわけでは全くありません。それは、政府案は、ずるずるずるずる保険料を上げていくというやり方でありますので、当初の二、三年というのは政府案でも赤字は残るということでありまして、ですから、一年、二年というところのおくれというものは十分に消費税三%という抜本的なところに手をつければ取り返すことができる、ただし、もちろん、これは五年十年と先送りをしたら大変なことになりますが、そのことは、あえて今回の附則の中に「十八年度中」と期限を明記しているわけであります。

宮澤委員 今回は、二年半という、まさに法律をつくって実施、開始まで二年半という後ろを切られた、こういう話であります。

 もともとの民主党案は五年近い年限というものを予定されていた。そして、三党合意は、いつ実施ということは随時実施ですけれども、十九年三月、三年半後を目途に結論を得てというふうになっているわけです。要するに、当初の民主党は五年で実施する、そして三党合意は三年半かけて結論を得よう、それで随時実施。今回は、二年半で実施まで行く。相当自信があると思われるんですが、どういうプロセスでそこまで持っていこう、こういう感じなんですか、海江田先生。

海江田議員 先ほどからこもごもお答えしておりますけれども、私どもはやはり三党合意というものを、条件が整えば、むしろ与党の皆さん方の方が本当に三党合意に対して誠実な対応をしていただければ、これをやはりしっかり守っていこうという考え方ですから、その意味で、三党合意に書かれておりました中身を附則の中に盛り込んだということでございまして、そこはひとつぜひ御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。

宮澤委員 私の質問は、三党合意がどうだということではなくて、三党合意では三年半後までにいろいろ結論を出そうという話を、二年半ということになりますと、法律をつくって通過させるのに通常であれば一年かかるということになれば、恐らく一年半ぐらいで結論を出さなきゃいけない、こういうことでありますよね。三年半が一年半に短くなる。そういう短縮化ができるのか。逆に言えば、こういう交渉事であれば、我々は妥協する用意があるんですみたいな話なのかもしれないし。その辺の、二年半という大変短い期間を区切られた自信のほど、どういうスケジュールを想定されているのか、そこを伺いたいんです。

古川(元)議員 三党合意の中でも、十九年三月をめどに結論を得るというふうに書いてあるんですね。そこの読み方のところだと思いますが、これは、十九年三月ということは十八年度ということです。

 今、宮澤議員は、法案ができてから一年はかかるという話でありました。今いみじくも言われたわけでありますけれども、一年もかかる、そういう抜本改革だというのであれば、そういう言い方をされるのであれば、なぜ今回の政府案、本当にわずかな審議で強行採決をされたのか、その点について私は極めて疑問に思います。

 抜本改革だというふうに出された案を、五年前の改正と比べて少し審議時間が、そもそも我々の案の審議時間もありますから、そういうものを省けば短いわけでありますけれども、それで通してしまう。まさに今の御発言そのものに、今回のプロセス、政府案を強行採決させたプロセスに問題があるということをまず御指摘させていただきたいと思います。

 そして、その上で、三党合意に基づく協議というのは与野党が入っているのであります。しかも、御存じのように、国会の中に小委員会も設けてと、まさに結論を得ていくその過程はすべてこの国会の中で、オープンな場で議論をしてやっていくというわけでありますから、政府が単独で出すような法案であれば、それはまた国会の中での議論に一年かかるかもしれませんけれども、国会の小委員会の中で議論をしていって、この十八年の三月までに結論を得る、これは国民の年金制度に対する抜本改革を求める強い声にこたえるためにも、私どもは努力をして、それまでに法律まで仕上げる、そういう覚悟を示すということこそがまた、今回の選挙で示された民意にこたえることになるのではないでしょうか。

宮澤委員 少しすれ違いの答弁だと思いますけれども。

 私は、一般的に言って、法律を作成する過程から国会の審議をする過程というので一年ぐらいかかるものですと、こういうことを申し上げたわけです。それを短くするとかなんとかというのであれば、要は年限だけとりあえず元気よく区切ってみたけれども、では具体的にそこに持ち込む、どういうプロセスにしようという考えがあるわけではない、もうともかく与党も協力してやろうじゃないかと、こういう意気込みで出した、こういうふうに理解をしていく以外にないなという気がいたします。

 それで、その関係で言いますと、スウェーデン方式なのかどうかというようなことを民主党案について私は前国会でも問わせていただいて、なかなか四の五のという答弁で、きっちりした答弁をいただかなかったわけでありますけれども、スウェーデンをいろいろ勉強されたということはおっしゃっていましたけれども、スウェーデンにおいて、議会において年金の議論が始まって、長い議論を経て実施されたわけですけれども、どの程度かかったかということは当然調べて、御存じですよね。

古川(元)議員 大体七年程度かかったというふうに認識をしております。

宮澤委員 七年と言いますけれども、実施までは八年、七年ちょっとですな。九一年十一月、九九年一月実施ということで。

 外国が遅いからというような声が今ありましたけれども、人口の規模でいいますと、国民的合意が必要だ。まあ、人口じゃないとおっしゃるかもしれないけれども。それは、十数倍の国民が我が国にはいるわけであります。

 そういう中で、スウェーデンにおいて七年ちょっとかかっているということはわかった上で、ともかく二年半でできる、こうおっしゃるわけですな。

古川(元)議員 宮澤委員は年金の抜本改革をやる熱意がないんでしょうか。私どもは、今の国民の年金制度に対するこの不信感の高まり、それに対して政治がきちんとこたえていくためには、幾ら厳しくても、やはりそこは努力をしていく、やっていかなきゃいけない、そういうまさに決意を示すことこそ、そしてそこに向かって実行していくことこそ大事なことだというふうに思っています。

 そして、スウェーデンで七年かかったからというお話がありますけれども、外国でどれだけかかったからうちはどれだけだという、外国と比べてどうだという、日本もそろそろそういう時代はやはり卒業しなきゃいけないんじゃないでしょうか。特に私どもは、高齢化社会という中で、世界の中でも一番先頭を走っていくわけでありますから、まさにそういう意味では、私どもが先頭に立って新しい高齢化社会における社会保障の姿を示していく、そのプロセスにおいても迅速な形でそういう結果を出していくということを示していく、そのことが日本の政治に対する、そして日本に対する国際的な信用を高める上でも私は必要なことだというふうに思っております。

宮澤委員 まさに先生のおっしゃるとおり、政治家が夢を語ることは大変大事なことであります。ただし、夢だけ語っているのでは政治家じゃないわけです。これをどうやって実現するかということも、やはり、我々は政治家でありますから考えなければいけない。そういう中で、どう考えているかということについて、ともかくやる気なんです、情熱があるんです、私はあります、こういうお話だったような気がいたします。

 外国のまねばかりといいますか、外国で何年かかったからというようなことは言わないでほしいというお話だったわけですが、もともとスウェーデン方式というものがいろいろな意味で検討されてきたということは、前回もおっしゃったわけですし、また、消費税の関係でいえば、戻し税、カナダ方式というような話もされたようでありますから、そうした意味でいうと、外国をかなり研究されているし、お好きなのかなと思って例を引かせていただいたんだけれども、これだけはまねをしないという話であります。なかなか具体的なプロセスというものは一切お答えいただけないままここまで来てしまった。

 少し前回の国会の話と重なるかもしれませんけれども、具体的な問題、海江田先生がおっしゃったように、具体的な案としては前回出した改革法案の中に全部書いてあります、こういうお話をされたわけで、この辺について質問をさせていただくと同時に、まさに、こういう問題が、先ほど言ったように、十九年度実施する、十八年度末までに法律を通すということが本当にできるのかどうか。私、大変疑問に思っているものですから、そういう観点から少し御質問をさせていただきます。

 先ほど大野先生から納税者番号の話が、少し質問がありました。そういう中で、いろいろやりとりがありましたけれども、私が前国会で質問をさせていただきまして、その中で納税者背番号制については、たしか五十嵐先生からの御答弁だったと思いますけれども、いわゆる金融取引だけではなくて、物の売り買い、商行為、商取引といったものについてもどうするかということを含めて検討したいという御答弁をいただきましたけれども、そこは変わっていないわけでございますね。

古川(元)議員 まず、この点については、自民党としての納税者番号についての意見を、私ども、岡田代表も求めているわけでありまして、ぜひそこの点についても教えていただきたいと思いますけれども、私たちは納税者番号のあり方については、それはいろいろな可能性を含めて検討していけばいいというふうに思っております。(発言する者あり)

宮澤委員 自民党はどうするかという声がこの辺から出ていますけれども、ともかく、これはまさに民主党案の審議であります。廃案の審議であり、廃案と言ったけれども、その後ろには前国会に提出した抜本改革法案があるということで私は質問させていただいているわけでありますけれども、ともかく、前回のときはまだ五年近くあるなという段階で納番の話をしたわけですが、今回はまさに十八年度末までに、民主党の希望としてはですよ、我々がどう言うかは別にして、希望としては十八年度末までに新たな納税者背番号制を導入するわけですな。

古川(元)議員 それはそのとおりです。

宮澤委員 そうなると、自民党がどう考えているというよりは、当然その具体策が――納番制度導入というのは大変なことですよ、これ。まさにプライバシーの話等があって、グリーンカードが一回成立したけれども実行できなかったとか、議論をすると大変プライバシーの話等々が出てくるわけであります。

 そういう中で、まさに十八年度末までに新たな納税者背番号制度を導入するとなると、それはこれから検討するじゃ済まされないんじゃないですか。何かあるんじゃないですか。

古川(元)議員 当然、私ども党内でいろいろな議論をしております。金融取引以外にも資産性取引や源泉徴収義務者から受け取る給与などについて付番して行っていくとか、また、事業上の取引についても一定の割合の中でどこまで付番するか、そういうことの議論はしております。それは宮澤委員もよく御承知だと思いますけれども、税についての最終的な、細かいところについては、納税者番号については、よほどいろいろな意味で、プライバシーも含めて慎重にやっていかなければいけません。

 ですから、私どもは、そこのところについては納税者番号を導入するということははっきり決めた上で、じゃ、その中身について、具体的などこまでの取引についてそういう納税者番号を要求する取引にするかということについては、いろいろな今検討をしている、党内でもやっております。多分そこは自民党の中でもやっておられると思いますが、その中で、最終的に期限がちゃんと決まっている中で結論を出すということは、私は十分に可能だと思っております。

宮澤委員 十九年度から実施するということになりますと、中身の話を今おっしゃったわけですが、これは大変国民生活に関係する部分ですから、具体的に言うと、例えば周知期間というのはどの程度要ると思っていますか。

古川(元)議員 周知期間というふうによく言われますけれども、これは消費税などの免税点の引き下げ等もありますが、そこの部分については、これは半年なり一年なり、それはいろいろな決め方があると思います。私は、そこは実務的に、最終的に決めればいい問題だというふうに思っております。

宮澤委員 私は、こういう話であれば、どんなに短くても一年という周知期間は当たり前だろうと思うんですが。

 十九年度から実施するとおっしゃるから聞くんですけれども、周知期間を一年とったとして、そうすると、二年半あるから一年半で制度をつくって合意しなきゃいけないですな、これは。そういうことですな。

枝野議員 先ほど来申し上げておりますが、こんなところで与党の皆さんが、揚げ足取りみたいな、重箱の隅をつついた議論をしてどうするんですか。

 つまり、例えばですよ、十九年の四月から年金の抜本改革をして、そこからは一元化をするとしても、例えば納番制度については、例えばですよ、納番制度のスタートだけ周知期間が余計に必要だから半年一年おくれるということが仮にあったとしても、それは選択肢として十分可能なわけでありまして、そうしたことは実務的に、まさにこれは、率直に申し上げて、我々単独では抜本改革を、少なくとも皆さんが勇気を持ってすぐにでも解散していただかない限りはできないわけですから、与野党で協議をして一致した場合に十九年四月スタートができるという話ですから。まあ、自民党の場合は納税者番号制度についても、少なくとも私が議員になる前のころから納番制、納番制という議論をしながら、いつになっても結論は出せないわ、一元化についても、私が議員になった最初のときの年金改革のとき以来十年間言い続けていますけれども、一元化について結論を出せないわ、そういう自民党のペースに引きずられておくれることは、ちょっと心配をいたしておりますが、そこは自民党の皆さんも、必要性についてはしっかりと認識をしておられるようですから、きちっとした議論をすれば、十九年に本質的な部分はスタートさせることは十分に可能であって、あとは、技術的なところについてはいろいろな応用をすればいいし、まさにそういうところは与野党で折り合える話じゃないか、こういうふうに申し上げておきます。

宮澤委員 よく私への答弁で、前回もそうだったんですが、重箱の隅とか、枝葉末節とかおっしゃるわけですが、前回のことでいえば、最低保障年金というのは何なんだという質問をさせていただきました。

 何条でしたかね、たしか十条に最低保障年金という定義的なものがあって、一項と二項とどっちの内容が最低保障年金なんですかということを質問させていただいたら、枝野先生は、そのどっちということではなくて、条全体で読むんですという。たしか先生は弁護士さんだったよなと思ったんですが、一項でもなく二項でもなく条全体だという御答弁をいただいてちょっと唖然としたところはあるわけですけれども。そのときは、最低保障年金というのは、まさに民主党案の二つの柱の一つだから、私は、きっちり詰めた議論はされているだろうと思ってしたわけです。

 今回は何で実施時期云々という実効性について伺っているかといえば、前回通した政府案というもの、政府の新しい制度というものが十月から実施に移されなければ、それだけ、少なくとも保険料、一年、二年は大したことないというような話もあったけれども、保険料は実力よりは安いし、年金の給付も実力よりは多いという状況が次の案がまとまるまで続いてしまう。

 そういう案を出されているわけだから、当然のごとく、情熱だ情熱だと、気合いだとおっしゃるけれども、それなりの案を出しているんであれば、二年半である程度めどがつくという自信があってやられているんだろうということで、例えば、一番難しい点は、まさにもともとの案でも十六条でありましたか、それまでにいろいろ制度を整備しておかなきゃいけないというところで、納税者背番号ということをおっしゃっているから、それはもうさらに年限を縮めて、まさに意気込みで来られたんだったらば、どの程度のことを考えているかということを当然我々は聞きたいし、当然考えているものだと思っていましたよ、それは、周知期間が何だとか。

 まさに、納税者番号という大変議論のあるところを、今いろいろ御答弁を聞いていて、ぶちまけた話、解散がない限り我々の案が通らないというようなことをちらっとおっしゃったような気がいたしましたし、今回についても……(発言する者あり)そういう意見もありますけれども、与党、野党の委員の数を考えれば、ともかく、だめもとで出すか、とりあえずそういう姿勢を示すか、そういうようなことだったんだろうと思うんですね。

 それで、消費税については、また長勢委員の方から質問があると思いますけれども、例えば、社保庁を十八年末ですか、廃止をする、国税庁と統合するということがきっちり書かれておるわけですけれども、これはどういうスケジュールを考えられているんですか。

衛藤委員長 今の質問に答えてください、どうぞ。質問に答えてください。質問に答えてくださいと言っているんです。(発言する者あり)別に討論会じゃないんだから、ここは。

 では、枝野幸男君、どうぞ。

枝野議員 もしあれでしたら、ここで時計をとめて議事録を精査していただいてもいいんですが、私たちの案が通らないなどと私は言っていません。

 三党合意は自民党にも責任があるわけですから、つまり自民党も一元化に向けた案を一刻も早く出していただいて、それぞれの議論をして、そして与野党で三党合意に基づいて一致をしないと。で、一致をさせても、その三党合意の中でも、十九年三月までには合意を得て、物事を進めるということになっているわけでありますから、与党の側も一元化を含めた少なくとも抜本改革について十九年三月までにまとめるということは、与党の側も約束をしている話ですよ。

 そのことを前提にしてお話を進めていただかないと、自分たちは全く関係ないような話で、確かに我々はよりできるだけ前倒しをして、合意だけではなくて、スタートをさせようということを申し上げておりますから、そこについてより厳しくなったのは間違いありません。しかし、三党合意で十九年の三月までに合意をして前へ進めましょうということを合意しているのは、自民党も合意をしているんです。

 にもかかわらず、一元化に向けたそのテクニカルな、周知期間をどうするかとか、そういうテクニカルな部分以前の一元化に向けて、どういう方向でどうするのかということについて、全く党内で議論もなければ、党内ばらばら、いろんなことを言っているような状況で議論に入れない原因をつくっているのは自由民主党じゃないですか。そのことを棚に上げておいて、枝葉末節なところをどうなるんだという話を聞かれても、じゃ、自民党はどうするんですか、一元化、やるんですか、やらないんですか、国民年金、入れるんですか、入れないんですか、入れるということを前提にしなければ話は前に進まないわけですから、そこをちゃんと党議として決めて持ってきていただきたい。

衛藤委員長 質問に答えてください。答弁をしてください。答弁をしてください。――答弁をしてください。答えてください。――答弁してください。質問に答えてください。(発言する者あり)それはあなた方があれするんじゃないんだよ。質問に答えてくださいと言っているんです。(発言する者あり)質問に答えていないよ。質問に答えてくださいと言っているんです。――質問に答えてください。

 宮澤委員。

宮澤委員 今、枝葉末節なことは答えない、こうおっしゃったわけですが、私の質問は、社保庁と国税庁を十八年末までにどういうスケジュールで統合するんだと言ったら、某党の筆頭理事は、そんな枝葉な末節は答える必要がないという答弁でいいんだ、こういうふうにおっしゃったわけで、それでよろしいわけですな。(発言する者あり)

衛藤委員長 答えていないじゃない。答えてください。

 枝野幸男君。

枝野議員 ちゃんと答えているつもりでありますけれども。

 私どもは、三党合意で一元化を含めた抜本改革については、与野党で協議をして、この委員会にも小委員会をつくって物事を進めていくというふうに、そのことについては我々は約束をしっかり守っていきたいというふうに思っています。

 そして、私どもは、社会保険庁を廃止して、そしてこういった徴収事務については国税庁と一元化をするという大きな方向を示しています。その大きな方向について、じゃ、与党の皆さんは賛成なのか反対なのか。反対だ、問題点があるとすればどこに問題点があるのかという話が出てきて初めてそこから先のテクニカルな話になっていくのであって、その根本的なところ以前の、一元化の話のところ自体についてそもそも党内がまとまっていない状況の皆さんから、まず、じゃ、皆さんは一元化に向けたプロセス、どういう問題があるのか。プロセスということであれば簡単です。まずこの廃止法案をこの国会で成立させていただいて、そして直ちに臨時国会を召集していただいて、臨時国会には私どもの通常国会で出した対案を提出いたします。それを臨時国会で十月ぐらいに成立させていただければ、そこから半年ぐらいをかけて、その施行に向けた具体的な法律を国会に出すということはできますので、通常国会で民主党提案の年金改正法を自民党と公明党の皆さんに賛成していただければ、通常国会で来年にも成立をさせることができる、一元化はできます。

宮澤委員 いずれにしても、いろいろおっしゃったけれども、例えば、具体的な話で社保庁と国税庁の話、これはここまで来ている、二年半、ともかく与党の合意があれば何でもできる、こうおっしゃるわけですけれども、前回の国会で三党合意という形でなされたのは、政府案というものが国会では成立する、その場には出てこられなかったけれども物理的抵抗はしなかった、そして反対をされた、そして修正案には賛成をされたというところから始まっていて、まさに与党のそれなりの考えというものがおわかりの上で、ある程度やられている。それで、一元化という話について三党合意というものがあって、この中身の読み方について言えば、またいろいろな読み方がそれぞれあるという中での話だろうと思いますが。ただ、ともかく今回、今審議しているのは、まさに民主党が提案された法案でありますから、その中身について私が、ともかく附則で二年半と書いてある、あなたたち協力したらできるんだから、おれたち何も考えていないよというわけにはいかないんじゃないか。(発言する者あり)だから、社会保険庁と国税庁のまさに徴収事務の一元化については、社保庁をどうやって廃止して一元化をするのか、では社保庁のその他の業務はどうするのか、当然考えられていると思っているから伺っているんですが、まさにささいなことである、こういうお話であったので、それは恐らく考えられていないんだなということしか私には理解できないわけであります。

 かなり時間がたってきてしまったものですから、それは例えば……(枝野議員「プロセスって聞いたんでしょう、あなたは。中身って聞いていないでしょう、プロセスって聞いたんでしょう」と呼ぶ)

 静かにさせてください。

衛藤委員長 静かにしてください。

宮澤委員 提案者を静かにさせてください。

衛藤委員長 提出者は静かにしてください。提出者はちゃんと質疑に答えてください。

宮澤委員 例えば……(発言する者あり)

衛藤委員長 静かにしてくださいよ。(発言する者あり)答えていなかったじゃないですか、先ほどは。

宮澤委員 質問の途中であります。まだ質問していませんから、私。

衛藤委員長 発言を続けてください。

 静かにしてください。

宮澤委員 相続税、贈与税のあり方とか、最低保障年金についても、また、例えば被保険者というものをどう考えているのかとか……(発言する者あり)

衛藤委員長 ちょっと静かにしてください。

宮澤委員 また、例えば自営業者の保険料についても、前国会では、自営業者の保険料というのは、これはまさに雇用者負担がないということで、保険料をサラリーマンと同じだけ払って年金が二分の一になるのか、倍払うのか、いろいろまだその辺は決めていませんという御答弁があったけれども、この辺も実は、その後これだけたっているわけですから、こんな大事なところは恐らく具体的に考えられているんだろうと思うんですけれども、そこをまさに民主党としてはどう考えられているか。では、これだけ質問いたします。

古川(元)議員 先ほどの社会保険庁の廃止の話でございますけれども、私どもは今、要するに保険料の徴収業務の部分については、これはもう社会保険庁を廃止する中で、国税庁と統合して新しく歳入庁をつくって、そこで徴収業務については行おう、また、社会保障給付、これは別に年金だけじゃなくていろいろなほかの給付もあります、生活保護とかそういうのがありますけれども、この給付のあり方についても、ここの部分についてはやはり整理をしていく、そういう議論をやはりやっていかなきゃいけないんじゃないか。これは三党合意の中でも社会保障全体というお話、それは与党も乗られた話であります。ですから、そういうところでちゃんとこの徴収部分と給付業務、これを分けて、そして徴収部分についてはもうこれは国税庁と統合してやっていくということで私どもは考えております。

 そして、今のお話の、何でしたっけ。(宮澤委員「自営業者」と呼ぶ)自営業者のですね。この点につきましては、前の国会の中でも議論をさせていただきましたけれども、私どもはこの自営業者の負担の部分、どういうふうに考えていくのか。自営業者の皆さん方は、サラリーマンと違いまして会社負担分がないという部分があるわけでありますね。ですから、ここの部分については、私どもは、今のところの考え方としては、会社負担分のない部分、ここの部分をどうするのか、基本的にはその部分も所得に応じて負担をしていただくという形で考えていけばいいというふうに示させていただいております。

 ただ、ここの部分についても、最終的な姿については、せっかく一元化された新しい制度の姿のところについては、この国会に設けられる小委員会の中で決めようというふうに言っているわけでありますから、そこのところで、その最終的なあり方についてはみんなで話をして決めればいいというふうに思っています。

宮澤委員 例えば、今の話でいいますと、これは別に私の持論ではございませんけれども、医療の方の国民健康保険というのは、雇い主がいないという理由で半分国が持つわけですね。そういうことは考えられていないんですね。

古川(元)議員 基本的には考えておりません。

宮澤委員 ちょっと余計な質問をいたしましたけれども。

 それで、今いろいろ質問をさせていただきましたけれども、正直申し上げまして、前国会でまさに五年という期限で新しい制度をつくろうという民主党案を出されたわけですが、今回は二年半という期限になってきている。なぜ短縮できるのか、どうやって短縮できるのかということについては余り具体的なお話はなかったし、また、与党次第ですというところが随分あったわけでございますけれども、なかなか短期間で合意ができない、例えば一元化という話は三党合意に載っておりますが、その中身について今後やはり詰めていかなければいけないわけでありますし、一方、最低保障年金というもう一つの柱について言えば、我々自民党は税方式には反対でありますから、そうしたところをどうしていくのかというようなところとか、まさに相当これは時間がかかるんだろう。ここに書いてあるように、二年や二年半でできる話ではないんだろうという印象を大変強くいたしました。

 こうなってくると、最初から申し上げているように、では、まさにここで政府の案を廃案にしてしまったときには大変な年金の給付と負担のアンバランスが長く続く。これは大変大きな数字なわけであります。まさにこのままの制度を例えば五年そのまま放置する、新しい制度が六年後から動くということになりますと、八兆円ぐらいの積立金が減るし、これがいろいろな意味で意見の調整がつかない、十年放置していると七十兆円という数字になるわけであります。厚生年金はこのままいきますと二一年度、国民年金は一七年度で積立金がゼロ。もちろん二分の一負担に引き上げるということになりますと若干遅くはなりますけれども、いずれにしてもそう遠くないときに積立金がゼロ、こういう状況があるわけですが、この点についてはどういうふうに考えられているんですか。ともかく、与党が合意してくれれば、ともかく二年半でできるんだから、そこまででやれば大した痛みにはならない、そういうことなんですか。

枝野議員 おっしゃっていることが本当によくわからないんですけれども、自民党の皆さんも公明党の皆さんも合意をされた三党合意でも、一元化を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行い、平成十九年三月をめどに結論を得て、随時実施する。つまり、十九年三月までには中身の結論は出て、実施していくということになっているわけですね。

 我々が前倒しをしているとすれば、その十九年三月までに結論を得るというところを、十九年三月までに必要な整備を行うというところの違いであって、半分に短くするとかそういうレベルの話じゃ全然ありません。しかも、「随時実施を図るものとする。」ということで、できるだけ早くやろうというのは三党合意の中にも趣旨は入り込んでいるわけでありまして、そこは決して不可能なことを申し上げているわけではない。

 そして、我々の、必要な整備を十八年度中に行うというのは、十九年から一元化新制度をスタートさせるということでありますけれども、あとは技術的な問題として、先ほど申し上げましたけれども、ある部分については経過措置が、当然全体としての経過措置としては、旧制度に基づく給付というのは旧制度によって保険料を納めた人が生きている限りはずっと続いていくわけでありますから、何十年という経過措置が続いていくわけでありまして、その十九年からスタートする中に経過措置的に、例えば納税者番号制度について周知期間がもしもうちょっと必要であるということであるならば、そういうところは幾らでも技術的にできる部分でありますので、それはもしこの十九年四月スタートということが不可能であるということであるならば、それを自民党の皆さんがそうおっしゃるのであるならば、自民党の側から、三党合意、これはできないということをおっしゃっているようなものだというふうにしか受けとめられないのであります。

 そして、その上で、確かに今の年金財政の状況を延々と先送りをしていくことはできません。できるだけ早くやっていくことがまさに必要であるからこそ、できるだけ前倒しをするべきであります。

 そして、繰り返し申し上げますけれども、政府案が通ったからといって年金財政の単年度赤字がことしからあるいは来年から黒字になるわけではありません。政府案であったとしても当面は赤字という状態が続いていきます。そして、我々が申し上げているとおり、消費税でその分を補うというやり方をして、しかもスタートから消費税三%程度はお願いをするというようなやり方をすれば、逆により早い段階で財政のバランスはより健全化をするというのは、これは通常国会でもお話しをさせていただいているとおりでありますので、もちろん、これをまたずるずる五年、十年と、今までの自民党がやってきたような先送り策で物事を進めていったらとんでもないことになりますけれども、我々のこの年金廃止法案のスケジュールに基づいて進めていけば、それはむしろ政府案よりも財政をしっかりと健全化することができる、こういうふうに考えております。

宮澤委員 私もよくわからなかったんですが、答弁、延々お話しをいただいたわけです。

 例えば、一元化ということについて、これから三党合意に基づいて議論はするにしても、一元化という議論をするときに、公的年金の一元化ということになりますと、いわゆる一号被保険者について報酬比例年金が必要なのかどうか、こういう議論がまずあるはずだと思うんですね。報酬比例年金が一号被保険者に必要なのか必要でないか、こういう議論をまずしなければいけない。

 そして、必要だということになってから、ではどうやって統合するんだ、一元化するんだということになるわけですけれども、まず、一号被保険者に所得比例年金が必要か。恐らく、サラリーマンだった人が自営業になるとか会社を起こす、ある意味では下請仕事をするといったときにどうだという話で受け皿が必要だというところはある一方で、多数の自営業者の方たちから、おれたちにもその報酬比例年金をつくってくれという声は、正直言うと、私は余り聞いたことがないんですけれども、そういう話はあるんですか。

海江田議員 これは、私もその意味では、議員互助年金に入っていますけれども、根っこのところは、公的年金は国民年金でございますが、やはり国民年金基金に入っておりまして、これはいわば企業年金に近いものですが、やはり私なんかは個人的に、本当にこの国民年金基金がいわば報酬比例の年金にかわればいいということを感じておりますし、そのように考えている商工自営の方は私の周辺ではたくさんいるということはお話ししておきます。

宮澤委員 私の周りにはいなくて海江田先生の周りにいらっしゃるということで、これ以上は水かけ論なわけですけれども。ともかく、自営業者の方から報酬に応じて保険料をいただく、またその一方で年金制度をつくる、そういうことについて、まさに民意がどうかというところは、先ほどから民意、民意というお話がありましたけれども、相当幅広く聞かないと、無理やりに押しつけるわけにはいかない話でありますから、当然そういうことにはそれなりに時間がかかるんだろう。

 では、報酬比例年金が必要だということになって、まさに民主党案は、必要だから最初から統合しますよ、一括でやりますよ、こういう話なわけですけれども、その結果、前回もいろいろ御答弁いただきましたけれども、新たに報酬比例年金に加入することになる、対象となる一号被保険者が払う報酬比例保険料というものは、当面は、その大部分はサラリーマンの方たちの給付に充てられる、こういう問題点があるわけですね。

 これは古川先生だと思いましたけれども、みなし確定拠出型で、本人が払った分は大体わかるんだというような話がありましたけれども、これも、本人が幾ら払ったかわかるにしても、その分をもらえるわけじゃないわけですよね、当然のことながら。幾ら払った、六十五までに亡くなってしまったから、ではその分があるかといったら、これはなくなるわけでありますし、積立金で全額積み立てておく必要はないだろうというのはそのとおりかもしれないけれども、では、新たに報酬比例保険料を払うようになった人からすると、どうもおれが今払っている保険料は、年々積み上がっていなくて、これは自分と関係ないサラリーマンの人の年金の給付に既に充てられているんだというようなところは、かなりいろいろ議論を呼ぶ話だろうと私は思うんです。

 それで、実際問題として、自営業者、一号被保険者に報酬比例年金を導入するということになっても、恐らく、年金制度というのは四十年かけないと平年度化しないというようなこともあるわけですから、それなりにもう別の制度としてとりあえず走らせておいて、どこか安定した時点で統合するというのが本当は一番実際的だろうと思うんですけれども、その点、どう考えられますか。

古川(元)議員 御質問の趣旨がよく理解できていないところがございますけれども、私、今宮澤委員のお話を聞いていますと、やはりどうも視点が違うのじゃないのかなというふうに感じています。

 というのは、私どもは現行制度にかわって新しい制度をつくり上げようと。新しい制度というのは、今のように職業によってばらばらの制度じゃなくて、すべての人がひとしく共通に参加する、そういう一元化された、今と比べれば一元化、今の制度をばらばらと見れば一元化された制度をつくろうということでさきの民主党案を示させていただいた。

 そこに、現行制度、移行過程の中では四十年間を考えていますけれども、その中では現行制度で給付をする部分と新制度で給付をする部分、ですから、新制度で払い込んだ保険料については、先ほどみなしというお話がありましたけれども、個々人で、払い込んだ人から見れば、きちんとそこの部分は積み上がっていっているわけです。そこは、何かお金が使われているというお話がありましたけれども、要は、運営主体として財政のところでそのお金をある意味でどう運用するかという話のところであるわけなんです。

 それはもう釈迦に説法だと思いますが、それを積み立てておいて、今のように社会保険庁の職員の給料やそういうところに回したりするのか、あるいは株や債券に投資するのか、それとも、そこの時点で入ってきた保険料の部分のまさに現ナマについてはその時点の年金給付に充てて、入ってきた、まさに私どもはきちんとそのレコードは残そうと思っていますけれども、それを支払うべきときには、そのときに入ってくる保険料のところできちんとレコードに残っている部分についてはお支払いをするという形でやりますから、今の宮澤委員の言われた新しい制度で振り込んだお金が旧制度の方の支払いに使われるからそれは理解が得られないんじゃないかというのは、私は極めて理解に苦しむところでありまして、そこは財政的な問題として、運営する政府の、当局の方の問題であって、保険を掛けている、そして年金の保険料を掛けている者からすれば、自分の分はちゃんとレコードに残って、それは将来の年金給付として返ってくる、そういうことを私どもはきちんと担保できるというふうに思っています。

宮澤委員 払った保険料のレコードが個人単位で残っている、こういうことを今おっしゃったわけですか。

古川(元)議員 そのとおりです。

宮澤委員 それは当たり前のことでして、今だって、払った保険料のレコードは残っているわけですよね、個人単位で残っているわけですね。

 それで、レコードが残っているということと、次に、それを間違いなくお払いするといっても、では、六十五以上でなくてももらえるんですか、その前に亡くなった方でも。

古川(元)議員 ちょっと質問の趣旨がよくわかりませんので、もう一回御説明いただけますでしょうか。

宮澤委員 要するに、六十五までいないと受給権が生じないというのが現行制度ですね。その部分を、そのレコードが残っているということと、自分のお金だということではないわけですよね、それは。自分のお金ではない。もちろん、理屈としてレコードは残っているけれども、自分のお金ではないわけでしょう。

 それで、では、その裏側にきっちり積み立ててあるかというと、それはいろんな運用がありますよと、その部分を保証するものというのは、今の制度とどこが違ってくるんですか。まさに支払いを、六十五以上になったときに年金をもらう、その支払いを、レコードが残っている、それは間違いなく保証しますよ、こういうところの保証は、具体的には何なんですか。

古川(元)議員 年金制度ですから、もう御承知だと思いますが、別に、貯金ではないんです。そこが貯金とは違うところでありまして、ためたからといって、その分が、六十五歳になったら、おれは一括で掛けた分返してほしいということで、そこで返ってくるわけじゃありません。これはやはり年金制度でありますから、その時点で、私どもは、年金受給が決まった開始時点での、その年齢の平均余命で掛け込んだ保険料プラスみなし利回りをプラスしたものを割って、そしてその方の年金の受給額を決める、それで、その分が受け取れるようにする。

 ですから、平均余命を生きられた方については、そこについては、掛けた分とプラスみなし利回りがちゃんと返ってくる、そういう仕組みになるというふうに認識しております。

宮澤委員 今の制度とどこが違うのかなというのは正直思ったんですけれども、皆さんおわかりになられているなら、私は相当頭が悪いなという気がいたしました。

 もう時間が参りましたので、これで質問は終わりにさせていただきますけれども、まさに私は、大変、前回の方がよほどいい案を出されて、今度の国会の廃止法案は責任政党としては無責任な案だなという気がしております。

 三党合意についても随分おっしゃったわけですが、三党合意というのは、今の年金の給付と負担の状況というものを見て、それを少し手直しして、走りながら一元化等々を考えていこう、こういうのが三党合意だったと思います。今回提案されたのは、まさに走るのはやめて、ともかく給付も下げない、保険料も上げない、国民からすれば当面よさそうな、ともかく立ちどまって、そして考えようじゃないか、与党も乗ってくれという、大変無責任な案だということを指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

衛藤委員長 長勢甚遠君。

長勢委員 この年金改革をめぐって、前国会以来、与野党で対立が続いておるわけでございます。

 前国会での審議はいろいろな経過がありました。しかし、その中で私は、最も重要なポイントは、自民党、公明党、民主党三党で合意が行われた、そして改革法案が衆議院を通過したということであったのではないかと。国民もその時点で、この年金に関する議論が与野党間で決着がついた、次の段階に移っていくということで安堵をされたと私は思っております。

 ところが、それにもかかわらず、その後、民主党の方で方針が大きく変わった。しかも、今回は廃止法案を、せっかく成立した法律の廃止法案を提出されるということになっておるわけでありますから、どうなっているんだと、国民は大変な驚きと戸惑いを覚えておられると思います。このような混乱がいつまで続くんだと不安を感じられますし、政治に対しても不信を持っておられるというふうに私は思っております。

 国民の中に年金に関するいろいろな不信がございます。これは我々もそう思っています。ぜひ、こういうものを払拭するためにも、三党合意に立ち戻って、与野党協力をして、より現実的な、建設的な方向での議論を行うべきである、このように思っておりますので、こういう観点から確認をし、また、質問させていただきたいと思います。

 まず、事実を確認させていただきますが、前国会の年金改革法の衆議院審議におきまして、五月六日に三党合意が成立をし、それに基づいて五月十一日の本会議は整然と開会をされ、民主党の賛成のもとに、法案修正が行われ、本会議での採決は粛々と行われ、可決をされた、これが事実であります。

 これは、民主党は政府案には賛成はできないというお立場ではございましたけれども、年金財政の破綻を防止する上で年金改革は待ったなしである、こういう理解に立って、社会保障制度全体の一体的見直しを早急に行う、こういう三党合意を行うことを条件として、政府案を廃案に追い込むとの方針を転換されて、政府案の成立を容認するということにされたものというべきであります。(発言する者あり)

 これは国会における常識でありますし、民主主義のもとでの議会のあり方として当然のことであります。だからこそ、民主党さんは政府案の採決のための本会議に出席し、修正案に賛成されたものと理解をしておりますが、このことに間違いございませんか。

海江田議員 長勢議員は十分おわかりになって発言をしているんだろうと思いますけれども、私どもは、先ほど場外からの発言がございましたけれども、改めてはっきりさせておきますのは、これは、政府提案の法案本体に対してははっきりと反対をしたということでございますから、この本体に対してあたかも賛成をしたというようなことを、三党合意を受け入れたところでそういうような党の決定をしたというふうにとられるのは、全くのこれは間違いでございます。

 そして、もちろん私どもは、修正案については、その修正について私ども意見を申し述べた次第でございますから、これに賛成をしまして、そして、先ほどもお話をしましたけれども、この修正案に盛り込まれた中身も十分しんしゃくをして、そして今回の廃止法案の中にわざわざ「附則」という項目を設けまして、そこの中ではっきり書いたということでございます。

 それから、先ほどからお話をしておりますが、あくまでも私どもは、やはりこの三党合意をしっかりと守っていく、お互いの信頼関係が必要なんじゃないだろうかと。先ほどお話のありました衆議院の本会議の採決は私どもも粛々と議場に出席をいたしましたが、例えば、その後の参議院の審議のあり方ですとか、あるいは衆議院の当委員会での決議案に対する与党のとりました態度ですとか、こういうものは、政党間の合意を形づくっていく、その信義をぶち壊すものになる、こういうような認識でおります。

長勢委員 原案に民主党さんが御反対であったということは、私も今申し上げたとおりであります。何も賛成されたと言ったわけじゃありません。ただ、修正案に賛成をして、本会議に出席をして、採決に粛々と応じておられた、これは国会では、少なくとも、賛成でなくても成立をすることについては政党として容認をするということは常識じゃないですか。そのことを私は言っておる。

 かつ、参議院の態度のことをおっしゃいましたけれども……(発言する者あり)常識じゃないですか、そんなことは。当たり前ですよ。国民はそのようにみんな受けとめていますよ。

 かつ、参議院の混乱のことをおっしゃいましたが、これはその後の民主党さんの態度が原因じゃないですか。この三党合意を全く踏みにじるような対応があったからこういうことになったのであって、そのことを我々に言われるいわれは全くありません。私はそのように思います。

 具体的に、先ほどおっしゃいましたけれども、三党合意では、国会で法案を修正すること、委員会決議を行うこと、社会保障制度全体の一体的見直しを検討するために小委員会を設置すること、そして与野党の協議機関を設置することということが明記されておるわけであります。

 この委員会決議はすぐにやろうという約束だった。私どもは皆さん方に提案をしております。(古川(元)議員「こっちも提案したじゃないか」と呼ぶ)それは、私はそれを受けて提案していますよ。何の答えもないじゃないですか。私は与党の筆頭理事としてお伺いしましたよ。それはお答えは来ていません。その事情は聞かせてもらわなきゃいかぬ。

 かくして、その後、与党が……(発言する者あり)具体的にそうしておるわけですから……(発言する者あり)

衛藤委員長 御静粛に。

長勢委員 では、そのことを確認してください。(発言する者あり)

衛藤委員長 長勢甚遠君。

 御静粛に。

長勢委員 さっき、海江田先生は、御党が委員会決議について提案を提示したとおっしゃいましたね。(枝野議員「しましたよ」と呼ぶ)そうですね。それに対して私も回答したじゃないですか。(発言する者あり)いや、平行線になっていることはわかりますよ。

枝野議員 委員長にお願い申し上げますが、今、この委員会の理事間での協議の経緯について、事実関係について意見が食い違っておりますから、休憩して理事会を開いていただいて整理していただかないと、答弁のしようがありません。

長勢委員 誤解を与えた点があったらおわびいたしますが、筆頭同士で、野党から御提案があって、私が与党の筆頭理事として別の提案を与党としてさせていただきました。それについて、それは受け入れられないという回答があった後、再度、何度もどうしようかというお話がありましたが、しかるべく回答はなかったというのが事実であります。(発言する者あり)平行線というか、返事がないんだもの、だめだと言うだけだもの。何ら別の対案が出されたわけではありません。

衛藤委員長 議事を進行してください。

長勢委員 いずれにしても、先ほど来お伺いしておりますと、この三党合意を守るというか、これを実現していくということについての姿勢が、私は民主党からは正直言って今まで受けとめていません。

 もう一度、改めて、本来、三党合意が行われ、法案修正も行われた段階で、委員会決議が行われ、そしてしかるべく与野党協議機関も設置されるべきところ、今日まで進んでいない。私は野党に責任があると思っていますが、これについての御見解を伺います。

枝野議員 まず、先ほどの大変重大な発言について指摘をしておかなければいけないと思いますけれども、野党が採決に出席をしたら、それはその法案について成立するのはやむなしということの意思表示になるということ、これは自民党あるいは与党の見解として受けとめさせていただいてよろしいんですね。

 そうすると、これから、私は党の役員をしておりますときも、いわゆる審議拒否というようなやり方は可能な限りやるべきではない、よほど与党がめちゃくちゃなことをやったときにしか許されるべきではないということをずっと言い続けてきて、民主党としてはそういう考え方でずっとやってきているつもりでありますが、与党の皆さんがそういう御認識だとすれば、我々が成立を容認しない法案には本会議に出てくるな、そういうことをおっしゃったということでありまして、それはどういうことなんでしょうか。

 それから、修正案に賛成をしたからといって、原案についての成立を賛成したりとか容認したりということになってしまうんでしょうか。そうしたら、修正部分と本案との採決を、わざわざ採決は別にやっておるんです。我々は、修正部分については賛成していますが、修正部分を除く原案には堂々と反対をしているのであって、修正部分を含んだ全体についての採決をするのが国会のルールではありません。修正部分を先にそこだけ採決をしているのでありまして、そして、一体となってしまったらそれは容認できないから参議院では反対をするつもりでおりましたが、反対の意思表示をする場すら与党の皆さんは打ち切ったというのが経緯でございます。

 その上で、我々の三党合意に対する姿勢でございますけれども、我々としては、本当に与党の皆さんが、この文言どおり真摯に社会保障制度全体の見直しについて議論を進めていこうという姿勢であるならば、私ども自体はむしろウエルカムでありまして、ぜひそうさせていただきたいと思っておりますが、まずその前提となるべき、前提となるべきというか、この合意の中でお互いに約束していることを時系列的に言えば、まずは委員会での決議を行うというのが時系列的に最初に来る合意であります。この部分のところで、筆頭間で御協議はされたようではありますけれども、残念ながら合意に至っていない。ですから、次のステップに進めないのは当たり前じゃないですか。委員会決議というまず入り口、時系列的に最初にやるべきところで合意ができていないのに、二つ目、三つ目に行けるはずないじゃないですか。

 ですから、長勢筆頭は、筆頭として、より、さらにこの委員会決議を進めるための努力をもっともっと進める当事者じゃありませんか。その当事者の方が人ごとみたいにそういう言い方をしていて、物事が進むわけがない。まさに与党の側の誠意のなさである。

 さらに言えば、実質的な問題としても、与党の中の一元化に向けた議論が全く整理されていなくて、我々はだれと何を協議したらいいんですか。出てきた方は何か勝手なことを言ってもそれは個人的見解ですと言って、党に持ち帰ったら党が違いましたと。これでは政党間協議をする意味がないわけです。政党間協議をするならば、大きな方向性について党内をまとめていただいて、あるいは全権白紙委任の代表選手を送り込んでいただくか、どちらかを決めていただかなければなりませんが、我々の認識する限り、自由民主党が一元化について具体的な大きな方向性について議論をしたという話すら聞いていない。全く白紙の状態で、個人的な意見を党を代表して言ってこられるような場に出ていったって、こちらとしたって、そんなものには対応のしようがないじゃないですか。

 まず党内で大きな方向を決めていただいて、そして、こういう方向で、あるいはこの部分は代表選手の裁量の幅だとか、そういうことを党内で整理していただいて初めて議論ができる。当たり前のことじゃないですか。

長勢委員 枝野先生と直接議論をしておりませんから若干誤解もあるようですけれども、私どもの方は、いいですか、決議案について提案をしました。もちろん、今まとまっていません。しかし、私どもが提案したことについて、具体的にここを直すとか直さないとかどうするとかという協議をする姿勢が何もない。私が出したものに対して、催促はしていますよ、それ以上のことをどうせいというんですか。私は、そのことについて、意見が違うからというだけで……(発言する者あり)いやいや、違いますよ。意見が合わないから私に責任があると言われたって困ると言っているんだよ。

 それから、さらに、一元化についていろいろありましたが、あの三党合意をした時点で、我が党が皆さんのように一元化についてのきちんとした案を持っていなかったことは事実であります。そのことを前提にしてあの合意がなされたんじゃないですか。しかし我々は、皆さん方の御主張もあり、一元化についてもちゃんと議論をしようということで合意をしたわけでありますから、早急に協議機関を設けて、その中で論点を整理して議論していくというのが筋じゃないですか。それを、きちんとしたものを持っていないからおまえらに責任があるというのは、言いがかりとしか言いようがない。

 私は、ぜひ、そういうことであれば、皆さん方が積極的にやろうということであれば、協議機関の設置を早急にまとめて、我々も代表を出して議論させていただきたい。それでよろしいんですね。

枝野議員 いいですか、この一元化という話については、そもそも自民党の中の議論と発言がこの間一貫して混乱をしていて、我々は何を相手にしていいか。少なくとも一貫して出てきているわけですよ。自由民主党総裁である小泉総理大臣がテレビで、テレビというのはいわば事実上公式の場ですよ、そこで国民年金も含めた一元化が望ましいというようなことを一度は発言しておきながら、国会に出てきて私が質問をすると、むにゃむにゃむにゃとわけのわからない答弁になってしまう、こういうことを繰り返してきているわけですよ。ですから、ちゃんと代表権限を持った代表選手が出てきて、党を代表して物を進めていただくというような状況の構造がなければ、協議会に出てきて意見を聞きました、意見を議論しました、党に持ち帰ったらやっぱり違います、こんなことをされたのでは困るわけですよ、大事な問題ですから。

 ですから、そういうところについて、残念ながら、そういった混乱した状況以降、党内で議論を整理したというお話は全く聞いていません。何かやっているんですか。何かまとまったんですか。何か整理したんですか。全くしていないじゃないですか。

 そういう状況の中で議論に入りようがないじゃないですかという実質的な問題と、そして、先ほど来申し上げているとおり、そもそもこの三党合意というもの、これに基づくお互いの義務の一番スタートには、委員会決議というのがある。委員会決議ができたら、次の段階として協議会ができたり小委員会ができたりするわけですが、その委員会決議が、それは先生の御主張かもしれませんが、私は理事でもありませんから、そこらあたりの事実関係にもめごとがあるのでしたら、休憩して理事間で協議をして整理をしていただかないと、答弁のしようがないんだと申し上げているんです。

長勢委員 委員会決議から始まるんだという筋道はそのとおりだと思います。ですから、今、残念ながら私どもが提示したものについてきちんとした議論が進んでいないのは事実でありますから、これは至急詰めるようにしたいと思います。(発言する者あり)だから、城島さんとの中でけんかするつもりはありませんが、ぜひ御党もそれを進めてもらいたいと思います。

 それから、協議の仕方について、おっしゃるように、両党が案があって、それを持ち寄って協議をするというのもいいやり方であると思いますけれども、いろいろなやり方があるんじゃないでしょうか。やはり、まず協議機関をつくって、その中でいろいろな意見を聞いて、その上で持ち帰って、きちんとした整理をして、最終的に協議を調えるというのもよくある話であります。

 私は、そういう意味で、我が党はそこまでの議論が前国会では進んでいなかった部分がありますけれども、その協議を進める中でやるという方針で今臨んでおるわけですから、ぜひひとつ一緒に、何か案を持ってこなきゃだめだというのではなくて、建設的な協議を進めるようにしてもらいたいと思います。

枝野議員 別に私は、もしあれだったら議事録を精査していただいてもいいですが、案を持ってこいとまでは言っていないつもりですよ。党内の議論を整理してくださいということを言っているんですよ。

 つまり、過去があるわけですよ。今からゼロのところからスタートさせるんじゃなくて、つまり、我々としての案は国会にも出して、皆さんからいろいろ御質問をいただいています。御質問をいただいたところで、では、自民党はここのところは反対なんだなとか、ここのところにこう問題があるのかなというようなところのある程度の整理は、できているところはできているし、かといって、一方では、質問者によって全然逆方向のことの質問もあるわけですよ。党としてどういう方向が望ましいと思っているのかという整理がなされていないし、自民党総裁の発言は、あっち行ったりこっち行ったり、この間ぶれ続けているわけだ。

 こういう前提に基づいて協議をスタートさせるわけでありますから、ちゃんとそれは言ったことを整理してきていただかないと、少なくとも前例が幾つもあるわけですから。総理が言ったこと、テレビで言ったことですから、それを前提に議論を進めたら、そうしたら全然違うことを後で言い出す、こういう前例があるわけですから、相互の信頼に基づいた協議をしようと思ったら、案までは御準備できないかもしれません、こちらほどしっかりとした議論をしてきたわけじゃないかもしれない、でも、議論の整理ぐらいしていただかないといけないというふうに思います。

 それで、繰り返しますが、民主党としては、少なくともこういう委員会決議をやるべきだという案は党としてまとめて、委員会決議について、城島筆頭に持っていただいて、協議をしていただく。そういうことを進めていただいたら、これは私も、理事ではありませんでしたけれども、当時は政調会長でしたから、その中身について決裁しておりますから知っておりますが、では、その後のやりとり、どこでどうなっているのかということで、こちら側に、提案者にいろいろ言われても困りますので、理事間で協議をしていただいて、そこを整理していただかないと。

 私の理解している限りでは、こちら側は真摯に提案をしている、そちらの意見もあるけれども、そこから先の協議については残念ながら前に進んでいない、こういう客観的な状況だけは理解している。それが決着がつかなければ次のステップに進めないのは当たり前のことじゃないかということを申し上げているんです。

長勢委員 前向きにやるということですから、それはぜひ、事実関係は先ほど合意したとおりですから、そのとおりですから、ひとつこれを進めて、委員会決議がちゃんとできるように、また今後の協議が進むようにお取り組みをしていただける、このように理解をいたします。

 いずれにしても、五月六日に三党合意が行われ、五月十一日に本会議で採決が行われる。その後、三党合意に基づく進み方が変わってしまった。参議院ではああいう結果になりました。参議院選挙もああいう形で与野党で議論することになりました。

 私は、国民の皆さんは、どうしてこういう、急に変わったんだろうというのは率直な思いだと思うんです。これは、まさに参議院選挙を目当てにした方針の転換であったのであり、その間に起こったことは、三党合意に幹事長としてサインされた岡田代表の責任も重いと思います。このことについてもひとつ御見解を承りたいと思います。何で三党合意に対する姿勢が、単に自民党がおかしいというだけの理由なんですか。違うでしょう。

枝野議員 三党合意に対する態度、姿勢というのは、我が党は変わっておりません。我が党としては、あの修正部分、三党合意の部分、つまり、社会保障制度の将来の抜本的な見直しについて与野党で協議をしましょう、それに先立って委員会決議をやりましょう、あの合意をしたことについては、我々は全く異存はありませんし、それを進めていきたいというふうに申し上げておりますが、その信頼関係を壊されたのは与党じゃないですか。

 何で参議院の委員会審議で、引退された西川きよし議員などの審議を約束して、総理まで出てきて準備をしていたのに、その審議を一方的に打ち切って採決しなきゃいけなかったんですか。何であと二時間、三時間待てなかったんですか。そういう信頼関係を損なうようなことをしたから、参議院の本会議には出ていけなくなった。

 これは、いわゆる審議拒否はするべきではないという私の個人的な見解からしても、あそこまでやられたら、その国会手続の瑕疵についてはしっかりとした抗議の姿勢を示さざるを得ないというのは当然のことでありまして、我々としては、何ら、一貫して変わっておりません。

 我々、今でもあの三党合意で合意をした中身については真摯に考えて、我々とそうしていただけるならありがたいと思っていますので、その協議ができるような信頼関係と、まずその入り口である委員会決議と、しっかりとまとめていただければ協議に入っていくのはやぶさかではない、こういうことです。

長勢委員 この三党合意は、当然、与党である我々自民党、公明党が参加しておるわけです。ということは、政府案を提出している我々が合意をしているということは、この原案を、政府案を、成立を前提にして三党合意が行われているのは、だれが考えても常識であります。

 したがいまして、今回の廃止法案の中で、三党合意に基づく修正と同様の条文が盛り込まれておりますけれども、これは政府案が成立をしない、廃止をするということを前提にした条文でありますから、全く意味が違う、このように思います。どう思いますか。

枝野議員 今の先生の御主張が自由民主党としての公式見解であるならば、三党合意は錯誤無効だということになります。錯誤による無効です、お互いに考えている前提が違っているんですから。(発言する者あり)いや、私たちだって対案を出していたんですから、その論法であるならば、対案を出している我々と合意をするのでしたら、対案の成立を前提にしてこの署名をされたんですか、自由民主党は。違いますでしょう。

 当然のことながら、お互いに対案を出して、目の前の改革部分については意見が違っているということを前提にして、だけれども、それ以外、そこから先の部分についてはこうしようということであって、お互いに自分たちの法案が成立することを前提にしてこの合意はできているんですよ。

 もしも先生のおっしゃるとおり、これが政府案の成立を前提にしてでき上がっている三党合意だという理解であるならば、そういう三党合意には我々は合意をしていません。

長勢委員 それはへ理屈だと思います。三党合意の中で殊さらに、一元化を含めたと、皆さん方の提案されていることを十分しんしゃくして書いておるんじゃないですか。そのことはぜひひとつ国民の皆さんには十分に知っておいていただきたいと思います。

 今、枝野先生が、では、あれは錯誤に基づいた三党合意だったという御主張でございますか。

枝野議員 へ理屈はどちらなのかというふうに申し上げたいんですけれども、ぜひ後で理事会協議をしていただいて、今のは議事録から削除していただきたいとまずお願いをしておきたいというふうに思います。

 もしも政府案の成立を前提として合意をするのであるならば、それをほのめかすような文章は何らかの形で入るものですよ、こういう合意には。お互いの、政府案そして民主党案について全く何もなしに三党合意をしているというのは、そのこととは別にして、だけれども、国会が混乱している中ではちょっと先のことについてできることは合意しましょうね、こういう話なのでありまして、それは一方的に与党の側が勝手な思い込みで勘違いをしていた、その勘違いに基づいて自由民主党はサインをされた、こういう理解で私どもは受け取らざるを得ませんし、そういう勘違いは、残念ですけれども、お気の毒ですが我々とは違いますね、こういうことになる。

 三党合意の前提となる認識事実は、そうすると、今のが自民党の公式見解だとすると、明らかにもともと違っているわけですから、そうすると、残念ながら、我々はここに書いてあるとおりの三党合意は守りたいと思いますが、そういう前提がついているということであれば、それは客観的事実と違いますから、それに基づく協議はやりたくてもできないですね。

長勢委員 そういう考えに基づいて廃止法案を出しておられるんだと思います。ですから、やはり民主党さんのこういう姿勢が与野党間の不信感を生んでおる、私はそのように思いますね。今、いわゆる社会保障制度全体の一体的見直しというのは国民の声であります。ぜひ、こういう不信感をなくして、この廃止法案は撤回をしていただいて、三党合意に基づく協議を進められることを強く要請するものであります。

 次の問題、質問に移らさせていただきますけれども、先ほど御提案理由の説明がありました。廃止法案は、参議院選挙において保険料引き上げに対する国民の反発が民主党の勝利の原因である、その国民の声にこたえてこれをとめるということがこの法案の骨子のように伺いました。今回の参議院選挙、どっちが勝ったかについてはいろいろ議論もあるようでありますけれども、我が党としても謙虚に受けとめられるべきであるというふうに思っております。

 しかし、年金について、国民の率直なお気持ちというのはどういうものだろうということをそんたくいたしますと、だれも保険料が上がる、また給付水準が下がるというのはおもしろくない、不愉快だというのは当然であります。同時に、こういう年金の財政状況が大変深刻である、少子高齢化の中で深刻である、それに対処していかなきゃならぬ、それが緊急に必要である、そのために負担増あるいは給付減ということもある程度考えなきゃならぬということに対して、それなりに理解をされておるのが私は大多数だと思います。

 ただ、そうはいっても、やはりもうちょっと何かいい方法があるんじゃないかとか、あるいは今までの責任のとり方がもうちょっと何かあるんじゃないかとか、国会審議をもうちょっときちんとできなかったのかというようなことがあって、改革法について賛成とはちょっと言いにくいなというのが、そういう気分でおられるのが率直な国民の姿ではないか。

 しかし、だからといって、だからこれを廃止してもらいたいという、あるいは保険料を何が何でも上げちゃ困るという話なのかということは、先ほど来、民意、民意とおっしゃいますけれども、本当の民意というのがどこにあるかということも、我々は責任を持って判断すべきことだろうと私は思います。

 この廃止法案の後の姿も明確にした中でやるということであればいいですけれども、今、先ほど来議論ありますように、どうするかということは全く不明確であります。むしろ、ここで国民がますます混乱をする、この後どうなるかわからない、こういう事態になることはよくないわけでありまして、ぜひ国民の声というものをひとつもう一度、民意、民意とおっしゃいますけれども、ここは我々、先ほど来お話がありますが、若干の食い違いもありますけれども、三党合意に基づく協議はきちんとやるということを前提にして、今の政府改革法案の中できちんとやるということをやっていくのが一番いいんじゃないか、国民が一番安心されるんじゃないか、このように思いますが、いかがでございましょうか。

海江田議員 三党合意についてはまた後で議論しますが、やはり選挙の結果の民意というものは、私どもは、先ほど来お話をしておりますように、この年金改革法を一たん白紙に戻してもう一回議論をしてくれというのが私どもは民意だというふうに思っているわけですよ。

 ですから、そのためにこの法案を出したわけですから、もし、そうでない、これが民意なんだということがおわかりになっておられるのでしたら、今度の選挙の結果を踏まえて、これが民意だよということがあったら、そちらからお示しをいただかなければ、私どもはそれに対して議論することができないわけですから。何が民意なんですか。

長勢委員 白紙に戻せ、あるいは保険料を上げるなという意見があるということは、全く否定はいたしておりません。しかし、それが全体の大きな割合を占めておるのかといえば、先ほど申しましたように……(発言する者あり)世論調査でそのように言っているじゃないですか、みんなそう言っているんです。白紙に戻せというのは、NHKの調査でも三八%ということでありました。大多数という数字じゃないじゃないですか。

 私は、必ずしも、むしろ年金をこのままにしておいていいのかという議論が圧倒的に多いわけで、白紙に戻す必要は全くない、むしろこれを踏まえた次の段階をきちんとやっていくことが一番国民の年金に対する不信をなくす道であると思いますが、どうですか。

海江田議員 今、手元に選挙後のそれぞれの新聞社がやりました世論調査がございます。七月の十四日朝日、七月の十九日産経、七月十九日毎日、七月二十一日読売でございますが、朝日、産経、毎日、白紙に戻すべきというのはそれぞれ七〇%を超えております。戻すべきではないというのは、わずか一一%、それから一八%、一四%ということで、やはり白紙に戻すべきというのが少なくとも世論調査。

 それから、私どもは選挙をやっておりまして肌で感じます。それから選挙の結果もございます。こういうのを勘案しますと、まず白紙に戻すべきだというのが世論だというふうに考えておるところでございます。

長勢委員 世論調査は、このままでいいか、白紙に戻すか、二者択一でいけばそちらが若干多いというのはわかりますけれども、それだけで民意という解釈が本当に正確かということは、やはり政治家の責任として考えるべきだと思います。その点は我々は、国民の皆さんのそんたくをして民意を反映した審議をすべきだ、このように思っておることを申し上げます。むしろ、民意、民意といって独自の解釈でおっしゃることは、選挙に勝った、勝ったというおごりの法案だと言わざるを得ないと思います。

 それから、先ほど古川先生でしたか、年金改革は制度改革の問題と財政の問題、二つ一緒にやらなきゃいかぬというお話がありまして、そのとおりだと思います。

 今回の改革法案は、制度体系を直すということになれば、御案内のように、二本立ての問題、二階建ての問題、賦課方式かあるいは積立方式かとか税方式か、いろいろな問題がございます。民主党さんが、その制度体系を見直す、つまり二本立てをやめる、一元化をするという方向での御議論をされていることに敬意を表します。

 しかし、今回の改革法案はその点に触れていない、大きく踏み込んでいないことは事実であります。これからその議論もしていかなきゃならぬ。しかし、これとて与党の中でそういう議論を踏まえた結果として、当面のというか、今回の改正はこういう方向性を見出したわけであります。

 そこで、しかし一方で、逆に言えば、皆さんのおっしゃっている一元化といっても、それによって財政が健全化されるものでなければならないことは言うまでもないところであります。

 前国会で枝野先生あるいは古川先生からも御答弁がございましたが、これは皆さんのお考えとして改革推進法案で示された内容でございますけれども、保険料率は上げない、また給付は下げないという方針であるということに現在も変わりありませんね。

古川(元)議員 長勢委員から大変率直なお話が出たというふうに思います。

 そもそも今回の年金改革の議論がこれほど混迷をした最大の原因は、与党がさきの総選挙で、この二〇〇四年度中に抜本改革を行う、百年安心プランの年金改革を実行する、その代物がこの政府案だ、与党案だといって出されてきたことに根本的な原因があることを、もう一度御認識をいただきたいと思います。

 今、いみじくも長勢議員は、そういう抜本改革や百年安心じゃなくて、当面の財政的な、そこの手当てをするものとして出したんだというふうに言われました。実は、この年金の議論、最初からそうやっておっしゃっていただければ、坂口大臣が、これは抜本じゃなくて根本だとか、そういう何かわけのわからない御答弁もありましたけれども、何度聞いても――私自身も、これは一番最初の議論でもたしか聞きました。これは当面の暫定的な、財政的な措置だということであれば、そこのところで議論に乗るのは、またこれは話は別です。

 これを、抜本改革だ、百年の安心だ、これから保険料は十四年間どんどんどんどん引き上げ続けます、百年間はもうこれで安定するんです、そういうまやかしを言われるから、それで、これがマニフェストでお約束をした抜本改革だ、百年安心のプランだと言われるから、それは中身が違うんじゃないですかということで私たちは申し上げてきたわけなんですね。ですから、今長勢委員が言われたように、最初から、当面の数年間の財政的なところをどうするか、そこのところで手当てをお互い考えようじゃないかということであれば、私どもはまた別の対応が当然あったんだと思います。

 そして、私どもが考える抜本改革というのは、まさに新しい制度をつくる。制度に対する信頼を回復するためには、もう現行制度に切り張りをしたようなものではなくて、新しい制度をつくることが必要なんだ。その制度として、あの民主党案というものを提案させていただいた。その中で、今過度に保険料に依存している、そしてこれからも保険料を上げていこう、そういう仕組みが、今の国民負担の中での保険料負担に過度に依存している、そういう中でも好ましいのかどうか。

 そしてまた、現行の年金制度の中で、年金の保険料部分と税金とがいわば水割りされていて、税の役割と保険料の役割が不明確になっている部分、その部分がそのままでいいんだろうか。むしろここは、税の部分と保険料の役割をきちんと明確に分けて、そして給付を守る部分、必要な部分については、保険料の部分は変動があっても、そこの部分は税できちんと支えることによって、税と保険料と足した形で給付を守っていこう、そういう形を示させていただいたわけであります。

 そしてまた、給付は守るにしても、私どもは、この年金改革を行えば、所得把握も含めて、当然抜本的な税制改革も行っていかなければいけない、年金目的消費税の導入というものも提案をさせていただいております。抜本的な税制改革を行う中では、これは消費税の問題だけでなくて、所得税の年金控除のあり方、そういうものも踏まえて、高齢者の皆さん方、年金給付は、受けるところは受けて、そしてその受けた額に応じて、所得が多い人については、年金以外にも所得があって多い人については、ここはまた所得税という形で、また税という形でお支払いをいただく、そういうトータルな形の中で考えていけばいいんじゃないか。

 ですから、年金の中でいえば、今言われたように、この状況の中でいえば、保険料はこの段階で、このレベルでとどめて、そして給付も、そこについては基本的にはお支払いをするという形の中で、あとは税も含めた考え方をしようということで提案をさせていただいたわけでございます。

長勢委員 先ほど言いましたように、抜本改革という言葉は、何かというと、神学論争です。だから、私が言ったのは、財政破綻をとめるということと制度体系を直すということと、二つあるでしょうと。

 政府が提案をしているのは、ちょっと私の言葉が間違った点はおわびをしますが、百年間、今、積立金があるわけですから、それを利用しながら、消費税もふやすことも考える、税もふやすことも考える、二分の一負担にするわけですから。それから、保険料も上げる、給付の調整をさせていただく。これで、百六十兆円の積立金があるからこそ、比較的緩やかな保険料の引き上げ、かつ、給付の調整をする中で、百年間もてる体系につくろうというのが今回の改革案だった。ここに、制度体系の見直しというか、その部分が今回やられていないというのは事実だと思います。しかし、これを今からやらなきゃならぬというのが我々の義務だと思います。

 しかし、一方で、民主党さんの言われる一元化をやって、結果、国民の負担が物すごく多くなるということであれば、何のための制度体系の見直しであるかわからないということもあり得るわけですから、そのことを一緒に考えていかなきゃならぬ問題だと思うんです。

 そこで、皆さん方は、給付は下げない、保険料は上げない、その分は年金目的消費税ということになるんだと理解をしておるんですが、この負担がどういうことになるかということが一番の国民の関心事だと思う。

 マニフェストによりますと、これは三%というふうに記されておるように思いますが、そのとおりですね。

古川(元)議員 私どもは、最初の段階では、三%の消費税で二十年は大体もつというふうに計算をしております。(発言する者あり)

長勢委員 二十年以降はどうなるんですか。

古川(元)議員 済みません、三十年の間違いでございますけれども、私どもは、そんな百年先の話とか、そういうことまで、到底それは今の段階で申し上げることはできないというふうに思っています。ですから、その段階で、またその状況を見て、これはきちんと国民の皆さんにも説明をさせていただきたい。

 私どもは、今回の選挙の中でも、国民の皆さんは、きちんと信頼できる制度であれば、決して負担することを嫌がっているわけではないというふうに思っています。ですから、今回も私自身、いろいろなところの選挙の応援に行っても、民主党案になったらお得になりますよということを言っているわけではない。私どもは、これ以上の保険料による引き上げ、そういう形で働いている世代を中心に負担を求めるというやり方よりは、広く世代間で支える消費税という形で年金制度を支えていく、その方が好ましいのではないか、そういう形で公平な負担の仕方というものを提案させていただいているんだ、そういう御説明をさせていただいてまいりました。私は、それに対して多くの方々の御理解はいただけたというふうに思っています。

 そういう意味では、別に私ども民主党は、得になるからとか、そういうことで言っているわけではなくて、今よりも公平な制度の中で、そして信頼できる制度をつくる中で、その制度に対しては負担もきちんとお願いをさせていただくということを申し上げております。

長勢委員 皆さん方のお考えはそうであるんでしょうから、私は別にそのことを今言っておるんじゃなくて、事実関係として、三%というお考えですねということを申し上げておる。

 ただ、前国会でも議論になりましたけれども、今回、保険料の引き上げをやめるということになれば、厚生年金保険料についていえば一三・五八から一八・三へと四・七二%上げることになっているわけですから、その分がなくなる。これは、消費税に換算すると約三%程度となります。これに国民年金、共済年金分を含めると、全体で約五%消費税を引き上げる必要が出てくる。さらに、今回の廃止法案ではマクロ経済スライドをやめることになりますから、給付の伸びを抑えないことになりますので、それによる財源不足を保険料率換算でやりますと約三・三%、これを消費税率で換算すると約二%ということになりますので、これに国民年金、共済年金分のはね返りを考えますと、消費税率は約三%、合計すると約八%の消費税率を新たに課すということが必要になってくるというふうに思います。

 さらに、民主党さんの御主張によれば、いろいろ政府の試算がおかしいということであれば、もっともっとその分をカバーするための税率を上げなきゃならぬということが起こり得ると思います。

 こういう年金目的消費税率、三%で財政が均衡するというのは現実には無理なんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。

古川(元)議員 長勢委員そういうふうに言われるのですが、そもそもその試算した具体的なデータを示していただかないと、それが正しいとも何とも、私ども申し上げられません。

長勢委員 私の持ち時間があと十分しかありませんので、この議論を今きちんとやる時間がございませんが、少なくとも、三%で今後うまくやっていけるんだという話は、国民はだれも信用していないと思います。そういうことになれば、保険料は引き上げないということですから、消費税を大幅に上げるか、あるいは財政負担のどっちか、これを国民に迫ることになる、このことを私は申し上げておきたいと思います。

 それから、別の問題に移ります。

 以上、三党合意と消費税率の問題を申し上げましたけれども、個別にいろいろな問題も抱えておるような気がします。

 今回、厚生年金基金の問題ですけれども、改正法では、厚生年金基金の免除保険料率の凍結を解除して、厚生年金基金の給付に必要な保険料率とするための引き上げをするということにしております。今度の廃止法案では免除保険料率の凍結が延長されますので、厚生年金基金は、年間約三千億円の収入が確保できなくなる。

 御案内のとおり、年金基金は非常に今財政が困難な状況でありますので、この免除保険料の凍結というのは緊急の必要があるということで、強く皆さんが大きな声を出しておるところであります。これも廃止するという法案になっておると思いますが、どうお考えでしょうか。

古川(元)議員 御指摘のように、厚生年金基金が大変厳しい状況にあるということは私どもも承知をしております。ただ、それを改善するための免除保険料の凍結解除というのが、これが本当の抜本的な改革になるというふうには私どもは考えておりません。

 私どもは、これは根本的なところがちょっと違うと思うんですが、十八年度中に新しい制度というものを決めて、十九年からスタートしようと言っているわけであります。そういう新しい制度をつくり上げる中で、この問題についても解決をしていくべきではないか。むしろ、今、この三階建ての部分についてだけ、免除保険料の凍結解除が行われるという形で小手先のことをやるのでは、これはかえって混乱を招く、そういうことにもなるのではないかということで、今回は廃止という形の措置をとらせていただきました。

長勢委員 将来の改革に合わせて行うべきだという御主張だと思いますが、しかし、年金基金に関しては、もう緊急に必要なんじゃないでしょうか。その間も待てないということですか。

古川(元)議員 そこの部分が、具体的に、私どもはこれは、先ほどから繰り返して申し上げておりますけれども、十八年度までに決めて、十九年からスタートしようということでありますから、その部分、一日も早く、急いでやるべきところはやっていく。それこそ、十八年度中にというふうに言っておりますけれども、早目にもし何かやれる部分があれば、そういう部分については早く実施する、法律として実施するということも十分、私は、この廃止法案を通していただいて、そのもとできちんと協議する場ができれば、そういうことについては前向きに私どもも協議にも応じていきたいというふうに思っております。

長勢委員 ある基金の方とお会いしたときに、今度は凍結が解除になるので大変よかったとおっしゃったので、いや、民主党さんが今それをやめる法案を出しておられるんですと。大変がっかりされておられましたが、ぜひひとつ、そういうことも理解をしていただく法案であったら我々も賛成しやすかったなと思うんですけれども、よろしくお願いします。

 それから、社会保険庁に関する部分についても、さっきも若干触れられたかもしれませんが、我が党も、社会保険庁の見直しというのは精力的に進めるべきだと考えております。

 ただ、今回、社会保険庁は廃止をする、そして新たな徴収機関の整備について別に法律で定めるということでありますけれども、そうなると、社会保険庁が行ってきた給付や相談などの年金関係の業務、あるいは、政管健保で社会保険庁長官名で行っておる健康保険被保険者証の発行などの業務については全く規定が置かれていないわけですけれども、こういう形で廃止をするということに問題はないのでしょうか。

古川(元)議員 私どもは、社会保険庁については、今、徴収と給付、両方やっているわけでありますけれども、その徴収された保険料が不透明な形でいろいろなものに流用されたりむだ遣いをされている、こういう実態を考えますと、しかもまた四割の未納、未加入があるということを考えると、この徴収部分については、これは国税庁と統合して歳入庁をつくって、そこが一元的に徴収をする、そういう徴収機関を国の機関として設けるべきだというふうに考えています。そして、給付の部分につきましては、私ども、例えば生活保護給付なども含めて、給付についても、社会保障全体の見直しの中で別に新たな組織というものを考えていくべきではないかというふうに考えています。

 そして、今、政府管掌健康保険のお話がございましたけれども、この問題は、医療保険の抜本改革がずっと先送りされてまいりました。九七年に今の総理が厚生大臣のときに、抜本改革を二〇〇〇年に行うからという条件のもとに、サラリーマンの自己負担を一割上げて、そして二〇〇〇年が二〇〇二年に先延ばしされて、総理になられたときにやられた医療制度改革という名のもとの改正では、これまた抜本改革は先送りをされて、自己負担だけが二割から三割に上がりました。

 私ども、実は、今回の年金でも、保険料引き上げをとりあえずやろうという政府・与党の言い方というのは、この医療保険の改革のやり方を見ておりますと、とにかくまずは負担のところ、当面の財政的なつじつま合わせだけはやらせてほしいというところで、結局、抜本改革を先送り先送りする、そういうことの繰り返しになってきている。

 まさに、そういうことを考えますと、こういう抜本改革を先送りしないためには、財政的に厳しいからこそ、一日も早く抜本改革を実現しよう、そういう環境をつくっていかなきゃいけない。そういう意味でも、私ども、この廃止法案は提案をさせていただいているわけであります。

 そういう意味からいいますと、この医療保険について、二〇〇六年にやるということについては、ここはもう逃げられない話だと私は思っておりますので、その中で政府管掌保険のあり方について、民主党もこの点については都道府県単位に統合するということを中心に検討しております。

 そういう中で、では、この業務についてどこが担当するのか。それは、社会保険庁を廃止して、歳入庁と、そして給付業務を行う新たな組織を考える、そういう中で含めて私どもは検討していけばいいというふうに考えております。

長勢委員 それでは、国税庁との統合の歳入庁をつくることとは別途に、別のそういう組織をつくるということですか。

古川(元)議員 これは、社会保障制度全体の見直しの中で、給付業務を行う、そういうものについては何らかの組織体系というものを考えていかなければいけないというふうに思っております。

長勢委員 そのことは法案ではすっぽり抜けておると思いますね。歳入庁のための法案はつくるということは書いてありますが、社会保険庁は廃止する、この部分については別に法律をつくるということがありますけれども、この部分は抜けていますから、それは私は欠陥法案だと思います。

 それから、先ほど三党合意についていろいろ議論をいたしましたが、当委員会にも経団連、連合の方々にもお見えいただいて、御意見を伺いました。年金の破綻を防ぐということが緊急であるということが一つと、それ以上に、保険料水準を上げること、そのものにというよりも率について若干反論がありましたけれども、上げること自体を全部だめと言っておられるわけではなかったと思います。

 かつ、それよりも、年金で保険料が上がる、あるいは、皆さんのように年金のための消費税が上がる、これを一つ一つ考えていくと、次は、これから医療だとか介護などの議論もしていかなきゃならなくなる、少子高齢化の中で。一つ一つ足していったときにどういう姿になるのか。保険料も上がる、全体として保険料がどうなるか、全体としての消費税を含めた税の投入分がどうなるか、これが個人にとっても企業にとっても負担でありますから、この全体の姿が見えないままに議論をやっていかれたのでは困るというのが、しかも、そのことを何よりも早くやってもらいたいというのがお話であったと思うんです。

 ということは、逆に言えば、全体としてこういう大まかな議論ができて、その割り振りが、一つの制度には消費税、一つの制度には保険料ということもあると思いますが、それが決まった中で、その枠内での制度の設計をどうしていくかという議論をするという枠組みも、これから考えていかなきゃならぬ問題だと思うんです。

 もちろん、そのことを御理解の上で三党合意ができたわけでございますから、ぜひひとつ、先ほど申しましたが、三党合意をひとつ粛々と、与野党協力して建設的な議論をしていきたいと思いますが、今私が申し上げました枠組みについて、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

海江田議員 また三党合意についてのことでございますが、私どもは、先ほど来お話をしておりますとおり、今回のこの廃止法案の附則にも、私どもが与党との話し合いの中で合意が得られた部分はしっかりと生かしているわけでございますから、その意味においては、この三党合意というものは大切にしていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。

 ただ、先ほど長勢委員から、三党合意について長勢委員のお考えを聞かせていただきましたが、はっきり申し上げまして、私ども答弁席に並んでいる者はびっくりしたというような状況があるわけでございます。

 そういうようなお考えのもとで三党合意、三党合意ということでは大分隔たりがありますので、その際にも答弁をさせていただきましたけれども、まず、やはりあそこで約束をしております、三党合意の一丁目一番地ですね、まずこの委員会でしっかりとした決議をやっていくということが大事でございますので、委員も与党の側の筆頭理事をおやりになっているということでございますので、ぜひこれまで以上に、私どもがしっかりと十分納得のできるような決議の取りまとめに御尽力をいただきたいというふうに思うわけでございます。

長勢委員 私は、先ほどの三党合意の議論を蒸し返そうと思ったのではなくて、年金について、保険料を引き上げない、年金目的消費税をこれだけにするという議論を決めていくというやり方で、全体としての見直しという話が、そうすると、次はまた医療はどうなる、介護はどうなるという話になっていくわけですから、そういう視点だけではなくて全体としての視点をやろうというのが三党合意の視点であったと思うので、それについていかがお考えかということをお聞きいたしたかったわけでございます。

 時間が来ましたが、今、決議についてお話がありましたけれども、これを私にというか自民党に言われても、私は皆さんにも同じことを強く申し上げたいと思います。

 以上をもって質問を終わります。

衛藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。五島正規君。

五島委員 民主党の五島でございます。

 いかなる混乱があったとしても、つい一カ月前の国会において通った法案に対して、その廃止法案を求めるということは、極めて異例の状態であるという状況を認識しています。でありながらも、なおかつ、この廃止法案を求めざるを得ない理由というのは、午前中、与党の議員の我が党の提案に対する質問の中でも、与党の皆さんもよくわかっておられるなという感じがいたしております。

 一つは、あのような形で成立した法案について、国民が明確にノーと言っているということが何よりも大きいことだろうと思っています。

 しかも、その内容について、先ほど長勢与党筆頭理事からも御指摘ございましたけれども、給付を引き下げ、保険料を引き上げるということ、そのことに対してもちろん国民が喜んでいるわけではないけれども、しかし、年金制度を本当に継続的に維持する、そういうことについて国民は必ずしもノーと言っていないんではないかという御指摘でしたが、実はそうではなくて、国民が、今回成立いたしましたこの年金法、これにおいても、将来本当に安定して年金の制度が維持できるかどうか大変不安に思っている。そのことが今回の、現在の国民のこの成立した法案に対する批判であったと思っております。

 私は、こうした国民の視点というのは至極もっともであると考えているわけでございますが、この点について、厚生省、厚生労働大臣に対して幾つかの点について問いただしていきたいと思っております。

 一つは、成立いたしましたこの法案、先ほどのお話では上限と下限を決めたとおっしゃっておりますが、マクロ経済スライドというのは必ずしも下限を決めたことにはならないんだろうと思っておりますが、上限については一八・三%と決めております。

 そして、この一八・三%で保険料の上限を決めていった場合、給付についてどうなるのかという前国会における質疑の中において、大臣は、例えば、退職時の五〇%ではないんだと。大臣の答弁を速記録で見ますと、「我々が五〇%を維持するというふうに言っておりましたのは、それは、年金を受ける人の、若いときにその人が受け取った平均の手取りの五〇%、こういうことを言っている」わけでございます、こういうふうにおっしゃっています。すなわち、給付はいわゆる平均所得の五〇%はお支払いするというふうに受け取れる答弁を国会においてされてまいりました。

 しかし、事実の問題としてはそうはなっていないという事実が次々と明らかになり、国民は大変、今回あそこまで強行採決をし、混乱して成立した法案が、本当に安定的な、当初政府がおっしゃったように百年ももつような制度ではないのではないかということに対する御批判を強めているというふうに考えます。

 そこで、まず一点ですが、法案の審議の中で、平成十五年度の合計特殊出生率を一・三二というふうに予測した数字をもとに、この法案の説明がなされました。しかし、それは結果において一・二九であった、〇・〇三ポイント低かったわけでございます。

 大臣はこのことを指して瞬間風速というお言葉も使われたわけでございますが、これが瞬間風速という形で軽視していいものであるかどうか。例えば、これも前国会におきまして私自身が質問させていただきました。この点について大臣は、人口問題につきまして、ここは御指摘のとおりというふうに率直に思いますと、この問題が極めて重要な問題なんだというふうにも認識を示されたわけです。

 この〇・〇三予想よりも下がったという数字は、私は、予測されていなかった瞬間風速と言える内容ではなかったというふうに、各データを見ると思わざるを得ません。

 すなわち、厚生省の中におきましても、いわゆる低位推計に基づく出生率をもとにして保険料率を計算されて、二〇%の保険料率ということも言われたはずです。ところが、この二〇%という数字がいつの間にか最高一八・三%というふうに変わったわけです。そして、その根拠として使われたのが中位推計でございました。

 中位推計で見ますと、例えばこの出生率の低下というのは、少なくても平成十九年には出生率が増加するという前提で描かれた図でございます。低位推計の方はどうか。これを見ますと、大体〇・〇二五、あるいはそれ以下の出生率の低下というものが続くと考えた数字でございます。

 今日の時点に立って考えた場合、どちらの数字を軸にして将来設計を見ていくべきかということを考えた場合、到底、この中位推計を軸にして百年間安心のというような制度がつくれるはずがない。そのことは厚生労働省はわかっておられたんだと思います。これがなぜ一八・三という数字になったのか。

 盛んにマスコミでも、審議の中では隠されていた数字であるという指摘があります。私は、そのことを隠していたか隠していなかったかという、そういう水かけ論になる議論をする必要はございません、するつもりもありません。しかし、結果として、この一・二九という数字、この数字が予測の範囲の外であったというのであれば、人口研のこの数値、あるいは生命表の低位推計というものは、頭から厚生労働省は無視をしておられるという責任問題になってまいります。

 なぜ、最高限度のところを一八・三%に定めたのか。ここには何らかの、科学的根拠でない、政治的な判断のもとにおいてこの一八・三%が先に決まり、それに合わせて現状の出生率の数字を合わせて将来を甘く見積もった、現状を甘く見積もったのではないかというふうに思わざるを得ません。

 その点について、どうお考えなのか、どうであったのか、御答弁をお願いします。

坂口国務大臣 前回の御質問でも、この合計特殊出生率のお話を五島議員からお伺いしたところでございます。

 前回にもお答え申し上げたかもわかりませんけれども、今後この合計特殊出生率がどうなっていくかということにつきましては、これは、これからの政策をどう積み上げていくかということと非常に大きな関連のあることだというふうに思っております。

 先般の年金制度をつくりましたときの前提といたしましては、確かに、この合計特殊出生率がこれからどうなっていくかということと、それからもう一つは実質賃金上昇率がどうなっていくか、この二つが大きな目標と申しますか、一つの目標を定めて、それに向かっていかなければならないということであったわけでございます。

 確かに、一・三二から一・二九に下がったことも事実でございますが、では、これからこれが下がり続けていくのかどうかということは、私は、国民の皆さん方のお考えにもよりますけれども、国としての政策というものも、これも大変大きな影響を与えることは言うまでもないというふうに思います。

 前回にもお答え申し上げたわけでありますけれども、いわゆるコーホートで見ました場合に、三十五から三十九歳の女性の場合には一・五五になっているわけであります。四十歳代は一・八から一・九ぐらいになっているわけでございます。そういたしますと、現在の三十歳代前半の皆さん、あるいはまた二十歳代の皆さん方にどういう政策をしていくかということによってこれは将来決まってくるわけでありますので、このお若い皆さん方に対する対策をどうするかによって、将来はかなり大きく違ってくるというふうに思います。

 今一・二九になりましたから、これからも下がり続けていくんだという前提をとることも、これはいかがなものかというふうに私は思います。ここをどう改革していくかということについて、政策的にどう積み上げるかということをより科学的に示しながら、そしてそれに対する政策を取り上げていくということが大事ではないかというふうに思っておる次第でございます。

五島委員 相変わらず大変甘いお話をされて、そしてなおかつ、コーホートによる計算という、これはきのうも厚生労働省の統計局の方の御説明を聞いて、こういう数字をごまかして問題が解決すればいいがなと思ったところです。

 確かに、現状のコーホートで見るならば、三十五歳から三十九歳の方々の合計特殊出生率は一・五五になっています。しかし、この合計特殊出生率というのは、現在の三十五歳から三十九歳の方が何人お子さんをお産みになったかということで出した数字でございます。したがって、そのほかの環境が極めて変わらないときであれば、こういうふうな集団の検討も可能だと思います。これは統計の問題だと思います。

 しかし、今、少子化の特徴として、生涯独身の男女がふえ、そして晩婚化がますます進んできているという状況が、将来の少子化をさらに推し進めるのではないかというふうに言われているわけでございます。事実、そういうふうなことを前提として人口研のデータも出ている。あるいは、より具体的に言えば、大都市東京都の出生率、渋谷の〇・七五を初めとして、二十三区軒並み一・〇を割っているという状況が生まれています。三十五歳から三十九歳に現在おられる方々が仮に一・五五であったからといって、これが出生率が実は言われているほど落ち込んでいないということにはなりません。

 各年代を見てみますと、出生率がふえている世代というのはどこなのか。これは生の数字になりますが、十五歳から十九歳の間にお産みになる子供さんの数、これは昭和四十八年以来ずっと伸びてきています。すなわち、極めて若年でお子さんを産まれる方がふえてきているのは事実ですが、これの母数は多くありません。一方で、例えば四十代になってお産みになる方々の数もふえてきています。すなわち、極めて後期になってお産みになる数と、極めて若年の世代のお子さんを産まれる数がふえてきている。しかし、二十代から三十五歳までの女性の出生率というのは、過去を見ましても、現在まだ三十五歳になるまでの方々を見ましても、すべてが落ち込んでいるわけです。

 したがって、コーホートというものに依存して考えた場合に、そのほかの条件が全く同じでなければ検討できない。こうした落ち込みが何なのか。これは言うまでもなく、先ほども指摘しましたように、また大臣よくわかっておられるように、極めて晩婚化が進んできていることと、それからもう一つは生涯独身の人がふえてきていること、これが最大の理由。もちろん、結婚されて、お一人しか産まず、二人産めるところを一人の人というのもあると思います。しかしながら、数字の上で出てくる一番大きな問題はそこの問題。そこのところでコーホートの数字を使って物を言うということは、結局これは、国民一般にはなじみのない言葉を使っての言葉のごまかしになってしまう。

 やはり率直に、低位推計と中位推計の違いは何なのか。低位推計は今後も、その低下の数字が正確であるかどうかは変動があるでしょう、しかし、今後もずっと出生率が一定期間続いて減っていくということを言っているし、中位推計はあと三、四年すれば出生率が上がっていく、こういう数字を出しているわけです。

 もし厚生労働省が、この中位推計に近い形でもって人口問題を維持しないと二〇三五年ぐらいには大変になるという認識を共有されているのであれば、先ほどからもおっしゃっておりました年金といったような問題の危機に対しては、ここのところに対してどういう政策を用意するかということは、実は一番大きな問題です。

 確かに、子育てを支援するためのさまざまな制度、施策については、我々も協力して法案を成立してまいりました。しかし、にもかかわらず、やはり独身化、未婚化あるいは結婚の高齢化、そういうものはどんどん続いています。生殖補助機能を何ぼ強化したとしても、三十代後半で出産された方々の出産数が二人、三人となるわけがございません。

 そういうことを考えた場合に、本当に、前国会において、一八・三%をマックスとする保険料、そして五〇%の現役時代の給付というふうなことが守られるはずがないということは、私は、国民だれもが知っている、感じている。そこのところに政府にごまかしがある。事実、すぐ一・三二が一・二九になったじゃないか。その漠とした不安が事実として証明された。そのことによる国民の怒りが今ある。それがこの法案、成立したところの法案をノーと言っている。だから我々も、この法案を一たん白紙撤回をしてやり直すべきだと主張する根拠が生まれてくるんだというふうに思っています。

 その点について、大臣、どうお考えでしょうか。

坂口国務大臣 前国会におきます年金制度の改正といいますのは、これはもう今御指摘のとおり、少子高齢社会にどう対応するか、その一点に尽きると私も思っております。

 今御指摘になりました少子化の問題につきましては、何も私は決して楽観をしているわけではございません。現在の社会状況あるいはまた労働環境、そうしたものを今のような状況にずっと続けていくならば、それはまだ下がり続けていくのかもしれない。そこは私も委員と決して意見を異にしているわけではありませんで、私もそう思っているわけであります。

 しかし、現在、子育てをできない人の中には、そういう環境の変化があればもう一人産みますと言ってくださる方もあることは事実でありますから、その皆さん方にどう対応できるような環境をつくり上げていくかということがより大事だということを、先ほどから申し上げているわけでございます。そうしたことが今後できるかどうかということによって、かなり大きな変化が生まれてくるのではないかというふうに私は思います。

 もちろん、先ほどから御指摘をいただきますように、私は結婚をしないとか、私は子供を産まないとか、そういうふうに強い意思をお持ちになっている皆さん方がおみえになることもよく承知をいたしておりますが、しかし、すべての人がそうではないということを私は申し上げているわけでありまして、そうしたことを前提にしてこれからの年金制度を確立していきますためには、やはり少子高齢社会、とりわけ少子化対策というものが非常に大きな役割を果たすということは、紛れもない事実だというふうに思っております。

 そうした前提を置いて、私たちはそれに対する政策をこれから続けていかなければならない。これは、どんな政府ができ上がりましても、どの党が政権をとられましても、この少子化対策というのは非常に大きな対策になるだろうというふうに思っております。

 ここができるかどうかに一にかかっているわけでございますけれども、我々は、一八・三%という上限で成り立つような社会というものをどうつくり上げていくか。それは少子化も影響いたしますし、経済の動向も大きく影響するわけでございます。経済がよくなれば、パーセントは上がらなくても財政的には非常に豊かになるということもあるわけでございますから、そのようなことも含めて今後我々は対応していかなければならない。それは私も、御指摘のとおりそう思っているわけでございます。

五島委員 それでは、例えば、もちろん、経済が改善して財政状況がよくなる、あるいは何らかの理由で急激に出生率が回復するということがあったときにもう一度見直すというのは、それは結構なことだと思います。しかし、そうではなくて、逆に、平成十五年度で起こったような少子化の進行が今年度あるいは来年度も続いて政府の見通しが外れた場合は、この一八・三%という数字は守れないことになりますね。そうなった場合でも、一八・三%の枠の中において、いわゆるマクロ経済スライドで、より給付率をどんどん落としていくという形でやっていかれるのか、それとも、ここ数年間の出生率が変わらなければ、一八・三%と決めたこの保険料率の見直しもされるのか、その点についてお伺いします。

坂口国務大臣 出生率というのは中期的に見なければ、一年あるいは二年だけでどうこうということはでき得ないと私は思っております。もう少し中期的に見て、その変化がどうなっていくのかということの見定めというものが大事ではないかというふうに思います。

 財政的には五年ごとの見直しをすることになっておるわけでありますから、そうしたときにあわせてこの問題もやはり見直しをするということは大事ではないかというふうに思いますけれども、しかし、それにあわせて、どういう対策を打っていくかということをあわせてこれは行っていかないといけない。これから先、五年、十年、そうした中期的な展望の中でこれを考えていかなければいけないというふうに思います。

五島委員 五年後には見直すというような言い方をされるならば、今回の改革は抜本改革ではないということを証明してしまう。国民としては、今回改正された内容で安心は得られないということになってしまうと思います。そういう意味においては、政府としては、現行のシステムのもとにおいて本当に年金制度が継続的に続けていけるかどうかというのが、何とかしてうまくいって出生率が改善して景気がよくなったらいくかもわかりませんよと国民に言っているようなものでございまして、こんな無責任なことはないだろうと思います。

 もう一点質問をさせていただきたいんですが、これも前回私は質問いたしまして、この点については御答弁を明快にいただいておりませんが、例えば、今回の年金の改定法案の中で、保険料の収納率をどうお考えなのか。

 現状においては、平均して六割台という話ですが、都道府県によっては三割台まで落ちているところもある。先ほど、午前中の議論の中で、民主党案は税と一体化するような形での徴収の話をしておりました。それに対して自民党の方からは、この徴収はどうされるのかということについて、現在の法案の中でもはっきりしていないんですね。

 強制徴収という言葉も出てまいります。しかし、現実に、五割近い人しか保険料を払っていない都道府県において、強制徴収というものが本当にできるのかどうか。だれがするのか。

 大野議員の説明によりますと、低所得の人たちから保険料を取るのは手間暇かかってコストに合わない、だから、そういう低所得の人たちについての調査もしていない、国税庁はやっていないんだとおっしゃいました。事実そうだろうと思います。そういうふうな、国税庁でさえ手をつけられていないようなこと、これを社会保険庁ができるんでしょうか。

 これを都道府県の責任に押しつけてみたとしても、今の現状からいっても、とてもそれができない。できないから、結果においてこういう未納者の状態になっていることを考えた場合、一体これはどうされる予定か。政府の案では、たしか約八〇%の保険料の徴収を前提として計算されているはずです。現状から八〇%まで徴収率を引き上げるということについて、具体的にどのような手段をお考えなのか、お伺いしたいと思います。

青柳政府参考人 ただいま五島委員の方から、八〇%という目標をどのように実現していくのかというお尋ねがございました。

 もとより、保険料を払っていただくべき方に保険料を払っていただくということが、国民年金のみならず公的年金の基本でございます。したがって、より納めやすい仕組みを工夫させていただくとともに、厚生労働省及び社会保険庁が一体となって、この収納対策を強力に進めることが必要というふうに考えております。

 このため、平成十五年度に、本省及び地方社会保険事務局に国民年金特別対策本部を設置いたしました。この本省の本部長は厚生労働大臣でございます。この本部の中で、当面の達成すべき目標として、給付率を平成十九年度に八〇%に回復させるという目標を設定して、その対策を実施しているところでございます。

 今後の具体的な対策につきましては、基本的な収納対策を充実強化していく方法といたしまして、年金制度の理解を促し、自主的な納付を促進するための教育、広報、口座振替利用の勧奨等を引き続き着実に実施させていただきます。また、未納者に対しましては、催告状の送付、電話及び戸別訪問による納付督励等を実施させていただきます。

 さらに、十分な所得または資産を有しながら保険料を納付せず、他の被保険者の納付意欲に悪影響を与えかねない方に対しましては、平成十六年十月から取得が可能となりますいわゆる所得情報を活用いたしまして、より一層効率的に強制徴収を実施してまいりたいと考えております。

 また、今回の制度改正によりまして講じていただきましたさまざまな収納対策を講じるという観点から、多段階免除制度の導入、あるいは若年者に対します納付猶予制度の創設、口座振替の割引制度の導入による口座振替の促進、さきの国会で成立いたしました法改正事項、これらを着実に実施を図ってまいりまして、目標の実現に向けて徹底して収納対策に取り組んでまいりたいと考えております。

五島委員 与党の方も、今の話を聞いていて、ああよかったと思っている方はおられないんだと思いますよ。

 ただ、今お話しの中で非常に重要なことがございます。午前中の議論と関連するわけですが、所得状況を把握して、そして納付率を上げていく、この所得状況をどうつかまえるのかということで、大野議員との間においても論争があったんだと思います。基本的に、そこのところをどうするのかということが目に見えないまま、今のお話ですと、機構の中でこれからもっと納付率を上げるためにお金を使いますということをおっしゃっているだけの話であって、そのことで、現在三割台まで保険の納付率が落ちている県を含めてこれが八〇%になる、そういうような楽観的なことをお考えになる方はおられないだろうと思います。

 結局、一番大事なところについては何一つ具体化していないんです。そういう意味では、民主党案がこの法案について廃案を求める大きな根拠であるということを申し上げまして、私の質問を終わります。

衛藤委員長 中根康浩君。

中根委員 民主党の中根康浩でございます。

 与党席がちょっと空席が目立つものですから、なかなか力を込めてという感じになりませんけれども、精いっぱい頑張って質問をさせていただきたいと思います。

 まさに午前中の議論にもありましたように、参議院選挙の結果にあらわれた民意を具体化することが、我々国会に課せられた、まさに今最大の責務であると思っています。与野党問わず、私たちすべての国会議員は、参議院選挙やあるいは日常活動を通じて、国民からのメッセージを鋭敏に感じ取っているはずです。

 例えば、年金問題については、保険料を引き上げたりあるいは給付を下げたりして家計や経済あるいは雇用にダメージを与える前に、やらなくてはならないことがあると指摘されていることも、民意の一つであろうかと考えています。年金制度が立ち行かなくなるのを少子高齢社会のせいだけにする前に、今までどれぐらい保険料がむだ遣いをされ、流用されてきたかを改めてきちんと検証し、それらを少しずつでも解消していくことも、今、国会に課せられた仕事の一つ、政府に課せられた仕事の一つであろうと考えさせていただいています。

 国民は、保険料は給付に使われていると信じてまいりましたが、社会保険庁の事務費に使われていたり、あるいは不必要な福祉事業に使われていたり、こういった仕組みを是正する意味でも、民主党は、今回、厚生年金法の七十九条、あるいは国民年金法の七十四条の廃止を求めさせていただいているところでございます。

 こういったことを踏まえて、まず、国会においてデビュー戦になっていただけるものと思っておりますけれども、新長官、民間の経営感覚が期待されて就任されたわけでありますけれども、今、この社会保険庁の流用、むだ遣い、あるいは支給ミス、こういったことを、就任されてからこれまでの期間にどのように感じられて、社会保険庁改革、声高に叫ばれているわけでありますけれども、どんな決意で臨まれていくかをお尋ねしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

村瀬政府参考人 社会保険庁長官に就任させていただきました村瀬でございます。よろしくお願い申し上げます。

 私の決意につきまして、これから述べさせていただきたいと思います。

 まず、社会保険庁の役割でございますけれども、保険者といたしまして適正かつ安定的に事業を運営すること、それから事務を適切に実施すること、これが役割だと思っております。そのためには、国民の立場に立ちまして、透明性を確保し、事務の効率化を図りながら、結果としまして社会保険事業に対し国民の理解と信頼を得る、これが役割だろうと思っております。

 したがいまして、社会保険庁の改革につきましては、国民の皆様からの信頼の回復を基本的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。

 では、具体的に何をどうしていくのかという課題でございますけれども、現在、五点を考えております。一点は保険料の徴収の問題でございます。それから二点目は利用者サービスの向上の問題、三点目はオンラインシステムの見直しの問題、四点目は予算執行上の透明性とコストの圧縮の問題でございます。それから五点目が個人情報保護の問題、この五点を中心に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 取り組みの具体的な展開につきましては、既に内閣官房長官のもとに、社会保険庁の在り方に関する有識者会議が設立されておりまして、そこの御意見を参考にしながら、また、今後私のもとに設置を考えております、お願いをしようとしております顧問の皆様の意見、それから運営評議会の皆様の意見、それから、五つの課題のうち、民間からの人材登用を含めまして、先ほど申し上げました保険料の徴収、それからサービスの向上、オンラインの見直しにつきましては、専任のプロジェクトリーダーを民間からいただいた上でやっていこうということで、今、経団連にお願いをしている最中でございます。また、予算執行の問題、個人情報の問題につきましては、アドバイザリースタッフという形で御協力を仰ぐ予定にしてございます。

 どちらにしましても、民間のさまざまな皆様方の協力を得ながら具体的な改善を進めていきたい、このような決意でございます。

 では、改革の実施に当たってどういう方向感でいくのかということでございますけれども、一つは、やはりスピードが極めて重要だというふうに考えておりまして、早期に実施できるものから着実に実行していきたいと思っております。

 また一方、一万七千五百人の社会保険庁の職員がいるわけでございまして、この職員の気持ちも大切にしていきたい。やはり、みずから変わろう、みずから変わっていく、これが極めて大切だというふうに考えておりまして、中からの改革をしっかり私の力でやっていきたい、このように考えております。

 また一方、これを実行するに当たりましてはコミュニケーションが非常に大事だと思っておりまして、私自身が積極的に事務所まで行きまして、第一線と意見交換をしていきたい、このようにも考えております。

 最後になりますけれども、国民に感謝をされる、また利用者、お客様からも感謝をされる、そして職員が仕事に対して喜びを感じる、こういう組織に生まれ変われば、私が民間から社会保険庁長官になった成功になるのではなかろうか、こういうつもりでしっかり仕事をしていきたいというふうに思っています。

 したがいまして、厳しい道のりだと思いますけれども、引き受けさせていただいた以上は一生懸命改革に努めまして、取り組みにつきましては結果を出したい、こういう決意でございます。

 以上でございます。

中根委員 ありがとうございました。

 ありがとうございましたとお礼を申し上げますけれども、しかし、今の新長官の読み上げられた文章が、御自分でおつくりになられたものであるならばそれはそれでいいわけなんですけれども、何となく、こちらから見させていただいて、聞かさせていただいて、事務方がつくられたものを、棒読みとは言いませんけれども、朗読したというような雰囲気もしますし、どうも、これからの本当に困難な道のりであるこの社会保険庁改革に取り組むにしては、少し迫力が欠けているんじゃないかというような気もいたします。

 きょう初めてお会いするばかりで、雲の上のような社会保険庁の長官に対して失礼なことばかり申し上げてもいけませんので、改めて、これからの、本当にリーダーシップをきちんと発揮した力強い社会保険庁改革を、総花的な今の御説明ではなくて、本当に一つ一つ具体的に実行していくという決意で取り組んでいっていただきますことを御期待申し上げます。

 国会で問題意識を持ってきちんと取り組めば、やはり是正されていくべきことはいくこともあるんだということを一つ実感させていただいたことがあります。

 前国会で問題意識を持たせていただいた、障害者スポーツ協会の中の日本パラリンピック委員会と、それから、このパラリンピック委員会の委員長と同級生の人が社長をやっていた日本パラリンピック株式会社の適切とは言えない関係を、この厚生労働委員会やあるいは決算行政監視委員会で指摘させていただきましたところ、そこでお約束をしていただきましたように、七月の末日までに、その関係を具体的に是正していただくことはできました。障害者スポーツ協会の北郷会長にも、改めてこの場でお礼を申し上げなければいけないのかもしれません。

 そこで、話をかえまして、とりあえず、最近話題になっていることをまた具体的に取り上げていきたいと思っています。

 八月の一日の朝日新聞に報道されていることですけれども、厚生労働省の国民健康保険課職員に対して、二〇〇〇年から二〇〇三年までの四年間だけでも一億八千万円の監修料というものが支払われていた。この監修料というものは、選択エージェンシーの問題で話題になったばかりでありますけれども、そのうちの五千数百万円は、厚生労働省の外郭団体の国民健康保険中央会が、コクホ中央研究所あるいは厚生問題研究会という二カ所を経由して、「コクホPLAZA」という医療保険制度などに関する広報冊子の監修料名目で、職員約二十名に支払われていたようであります。この「コクホPLAZA」というものの製作は、厚生労働省から、二〇〇〇年には三億九千万円、二〇〇二年には七億三千万円が補助金として支払われているようであります。

 ここまでのところ、事実関係を確認したいと思いますけれども、このとおりでよろしいでしょうか。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 事実関係につきましては、おおむね委員御指摘のとおりであろうかと思っております。

中根委員 補助事業で監修料が支払われているとすれば、補助金が職員の財布に最終的に還流をしたということになるわけで、うがった見方をすれば、初めからそのことを目当てにして補助事業を出していたということにも疑われかねないような状況だと思います。

 そうでないとするならば、具体的に、どの職員が、どんな監修業務を、どのくらい時間をかけて、その監修業務は、場所はどこで行い、幾らの監修料をそれぞれ受け取ったか、あるいは、「コクホPLAZA」という印刷物はどこで最終的に印刷をされたか、それぞれについて説明をしていただきたいと思います。(発言する者あり)

水田政府参考人 個々の職員がどのような係をしたかにつきまして、あるいはどのような金額を受け取ったか、これにつきましては、ただいま調査中でございます。

 ただ、委員が先ほど申されました、補助金が関係して国民に誤解を招くような監修料、こういうものにつきましては、選択エージェンシーの問題を契機といたしまして一切受け取らない方針にしておりまして、今回御指摘を受けましたパンフレットあるいはシステムにつきましても、現在は監修料を受け取っていないところでございます。

中根委員 今調査中ということでありますので、いつごろ調査がまとまって、私どもこの厚生労働委員会に御報告をいただけるか、今、ある程度示していただくことはできますか。(発言する者あり)

水田政府参考人 この調査につきましては、現在着手をしたところでございまして、今のところ、いつまでにということを申し上げられる段階ではございません。

中根委員 今我が党の理事さんの方から声が出ているように、来週には閉中審査ということも予定されているわけでありますので、すべてとは言いませんけれども、来週の火曜日ぐらいまでの時点に、その時点で中間報告をぜひお示しいただきたいと思います。

 国保中央会といえば、実は、さっき、是正していただいてお礼を言ったばかりなんですけれども、元社会保険庁長官の北郷勲夫さん、またここで名前を出さなければいけませんけれども、この理事長を務めているということは、もう皆さん御案内のとおりなんです。

 厚生労働省からもこの国保中央会には、二〇〇〇年に百四億円、二〇〇一年に三十四億円――言っておきますけれども、何億、何億という言葉がいっぱい出てくるんですよね。それを与党の筆頭理事は枝葉末節、枝葉末節と。自分が質問することは大事なことだということを言って、人が質問していることは、何十億円という額のことを言っているのに、枝葉末節、枝葉末節というふうにおっしゃるんですよね。本当に考え違いも甚だしいと思うんですけれどもね。(発言する者あり)ほっておきますけれどもね。

 二〇〇一年に三十四億円、二〇〇二年に三十九億円もの委託料が支払われています。

 ここで出てくるコクホ中央研究所というもの、あるいは厚生問題研究会というものについては、私は初耳でしたので、取り急ぎ、昨日、同僚の山井議員と、とりあえずコクホ中央研究所というものについて少し調べさせていただきました。

 法務局へ行って謄本をとってみますと、商号は、これが有限会社であったんですね、有限会社コクホ中央研究所。住所は、現在、東京都千代田区平河町二丁目五番五号全国旅館会館内。設立は、平成十二年七月七日。目的は、「国民健康保険その他社会保険に関する次の事業の請負」ということでいろいろ書いてあります。資本金は三百万円。

 それで、役員欄を見ると、取締役に舩橋光俊さんという名前がありました。実は私、この舩橋光俊さんという名前を見ても、聞いても、何も感じませんでした。ところが、同僚の先輩の山井議員は、すかさず、この人知っていると。この人、厚生省の偉いさんだよと指摘をしていただきました。

 それで、若干プロフィールを取り寄せさせていただきましたところ、昭和四十四年に厚生省に入省、五十九年官房企画官、後、総理府へ出向し云々とありまして、平成六年九月には、例の、我が党の長妻議員が糾弾をいたしております、ゴルフボールを保険料で買っているという社会保険大学校の校長にも就任をされておられるわけであります。この会社設立が平成十二年の七月ですね。それで、舩橋さんは十二年から十五年までこの有限会社の役員に御就任をされておられたと思います。

 もう一方の経歴を見させてもらうと、十二年から十五年の間は、この方、国民健康保険中央会の常務理事もやっておられるわけなんですね。

 ですから、話を整理しますと、舩橋さんが常務理事をやっている国保中央会が監修料を職員さんに最終的に出すわけなんですけれども、舩橋さんが取締役をやっている有限会社を経由して職員さんに渡っているということなんですね。これはとても何か問題があると思いませんか、この事実関係。いかがでしょうか。

水田政府参考人 実は、先ほど、今回の事件の詳細につきまして調査をしているところであるということを申し上げましたけれども、これにあわせまして、国保中央会等に対しましても調査を行いまして、結果に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えておるところでございます。このコクホ中央研究所というのが一体どういう意図で設けられたものであるのか、この点もあわせてつまびらかにしたい、このように考えております。

中根委員 この舩橋さんが退任された後、取締役に就任されたのが、これはカドタ悦司さんと読むのか、モンデンさんと読むという話もありますけれども、門田悦司さん、この方も全く同じなんですね。国保中央会の事務局長をお務めであって、そして、この有限会社コクホ中央研究所というところの取締役に就任されておられる。

 監修料の、監修料というのはそもそもいかがわしいものだと思いますけれども、あえて可として話をすれば、監修料を支出している人が、一たん自分が支出して、こっちでボールを投げておいて、こっちで受けとめて、それで職員さんに支払っている、こういう構図は非常に何か不可思議な、なぜこんなことをするのかなという、本当に不自然な感じがするんですよね。こういったこともぜひ改めるということを前提に、きちんと調査して報告をいただきたいと思います。

 このほかにも、問題視されている個々の監修料について伺いたいところではありますけれども、時間にも限りがありますので、後日、後刻ということに譲るといたしまして、少しまた話題をかえていきたいと思います。

 話題をかえる前に、幾つかやはり確認をしなければいけませんでした。

 具体的な個々の監修料のいろいろな流れについては、改めて来週の委員会等で具体的に、我が党も含めて、これは与党の方々もぜひ問題意識を持っていただきたいと思います。一緒になって、厚生労働委員会一体となっていろいろ事実関係を明らかにして、是正すべきは是正するということで進めていくように期待したいと思います。

 この監修料というものの一般的なことについてお尋ねをしていきたいと思いますけれども、公務員の方が監修料を受け取るような、いわゆる私どもから見れば副業、サイドビジネス、アルバイト、こういったことを行うことが、本業の職務専念義務というものに対して妨げになっていないか。

 本当に、何百万円もの監修料をもらうということであれば、やはりこれは、前にも言いましたけれども、その職場でやっちゃうのかもしれませんが、そんなことはあり得ないと思いますけれども、早くおうちへ帰って、どこか場所を変えてそのことに取り組んだ方が所得がたくさんふえていくということになるし、あるいは、何百万円ももらえるような能力を、余力がそこにあるならば、さらに一層本業の方に御精励をいただいた方がいいんじゃないかということにもなるわけであります。

 それから、監修業務を行うに際して、やはり、今申し上げたんですが、場所とか時間とか、公務との関係で厳正な区別がなかなか実際にはしにくいんではないかということ。

 あるいは、税務申告はきちんとしているかどうか。

 さらには、出版物なんかについてはそうだというふうにいろいろ教えていただきましたけれども、売り上げの一〇%というのが果たして本当に相場として妥当かどうかということ。

 あるいは、補助事業で監修料というのは、まさに本来業務であって、監修料をもらうために補助しているというふうにも受け取られかねないわけでありますので、こういったことは悪い慣習として改めていくということ。

 監修料は、本当に監修業務を行った本人が受け取って、本人以外に、どこかにプールしたりして官官接待とかいろいろなことに使われることはないかどうかということ。

 あるいは、報告の義務のない係長以下の人が受け取って、実際にはその上司が一緒に使っていたりすることはないかということ。

 百歩譲ってこの監修料は可としても、ここから先は、監修料を受け取った職員すべてを公開の対象にすべきではないかということ。

 この幾つかの点について、ずっと今、箇条書き的に申し上げさせていただきましたけれども、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 多くの質問をいただきましたが、先ほど局長の方からも答弁をしましたとおり、選択エージェンシーからスタートいたしまして今日に及んでいるわけでございます。

 ことしの四月からは、補助金等に関係いたします監修料は一切行わないということでスタートいたしておりますが、過去にさかのぼりますと、今御指摘をいただきましたように、いろいろなものがあるということがわかってまいりました。その調査を、厚生省の辻審議官を長といたしましてスタートしておるところでございます。早く結論を出すように努力したいというふうに思っております。

 今お話がございました中に、一つは、公務員の監修料受領につきまして、本来の業務に支障がなかったかどうかといったようなお話もございました。

 確かに、この監修作業が勤務時間外にちゃんと行われているのか、それとも勤務時間内に行われているのかというような問題もあるというふうに思います。この辺につきましてもよく調査をしなければいけないというふうに思いますし、それよりも、社会通念としてそれが妥当な額であるかどうかといったようなことも調べなければいけませんし、また、監修料をもらうべきものであるかどうかという、その一番根っこのところを明確にしなければいけないというふうに思っているところでございます。これらのことにつきましてしっかりと調べたいと思います。

 それから、売り上げの一〇%というお話もございましたが、こうしたいわゆる一般社会におきます一つの相場観と申しますか、そうしたものと、それから、公務員がかかわりますものと同じでいいのかどうかという問題もございますし、そこは違うのではないかと私も思っているわけでございまして、その辺のところも明確にしなければいけないというふうに思っております。出版物等に関します監修料につきましては、安易な収入であるという印象を与えるようなことがあってはいけないというふうに思っております。

 そうしたことを全部一つ一つチェックしながら、今回の、過去の例につきましての検討は進めていかなければならないというふうに思っておるところでございます。

 また、プールのお話もございましたけれども、そうして全体でプールして使っていたかどうかというようなことにつきましても、チェックをしたいというふうに思っております。

中根委員 最後のプールの話とか、あるいは、本当に監修業務を行った本人が個人所得として受け取って、ほかの人に使わせることがないようにしているかどうかということについては、前国会においても我が党の水島議員が、本当はきょう議論をする前に、前国会のうちに、いろいろと御報告をいただきたいということでお願いをさせていただいた事項でもございますので、改めてそういったことも念頭に置いて調査をしていただきたいと思います。

 僕が世間知らずだったのかもしれませんけれども、公務員の方が監修料というようなものを受け取っているというようなことは、実は全然知りませんでした。最近、地元で友人なんかに、県庁に勤めている、あるいは市町村役場に勤めている知り合い、知人等に、こういった種類のものが君たちあるのとか、あなたたちあるのと聞いたりしますと、そういうものは僕たちにはないねということなんです。

 それは、中央省庁の方々は優秀だから、そういったことでもお金が取れるということであろうと思いますけれども、本当にそういった仕事がしたいのであれば、そういった仕事の職種に転職をされればいいわけであって、一方で、やはり肩書とか立場とかということを利用してお金をもらっているということだと思います。本来の監修というものが行われていればいいですよ。実態は知らぬから知らぬからとおっしゃっていますけれども、とにかくその実態を知ったら、きっと国民が怒るような実態があらわれてくるんだろうと思います。

 自民党の方々は、そういった裏話をいっぱい知っていますからね。知っていて見過ごしていらっしゃるということだと思いますので、実態を知らない我々が、あえてこうやって追及していくしかないなと。知っていらっしゃる方が何もしないということであれば、我々がさせていただくしかないということだというふうに言わざるを得ないと思います。

 続き物のようなことになりますけれども、カワグチ技研と社会保険庁の取引、やはり取引がどう考えても、改めて参議院選挙をやりながら思い起こしてみても不透明で、会計法違反の疑いがあると思うんですね。保険料を使って、このカワグチ技研を初めとしてですけれども、一つ具体的な例として取り上げているだけなんですが、制度を痛めつけてきて、今までも申し上げたようないろいろな流用、むだ遣い、不正取引、こういったものが我が国の年金制度を損なってきたということもやはり否めない事実なわけで、そういったことに、今、こうやって年金制度改革論議をしなければならない必要性が生じてきたということもありますので、改めて取り上げさせていただきたいと思います。

 私の質問主意書、実は今回、この国会でも質問主意書を投げておるんですけれども、なかなかすぐには、答弁が返ってくる前に、きょう、この機会を与えていただいたわけなんです。その中でも質問させていただいておりますけれども、平成十一年度から印刷システム、パピアートというものをリース契約したり、あるいは、平成十四年度、十五年度に金銭登録機を購入した株式会社カワグチ技研の川崎社長。以前に、この川崎社長と同じ、同姓の川崎何がしという方と何か特別な関係があって、特殊な取引が行われたんじゃないかというふうな想定もさせていただきました。

 この川崎社長の奥様、川崎千尋さんという方なんですけれども、この奥様が元厚生省及び社会保険庁の職員であったこと、あるいは、この奥様は、川崎千尋さんは、カワグチ技研の社長の奥さんというだけじゃなくて、このカワグチ技研の兄貴分的な会社のニチネン企画という、年金関係のたくさんの仕事をしている、社会保険庁からたくさん仕事をもらっている会社の社長、代表取締役でもあるわけなんですけれども、こういった事実は、皆さん御存じだったんでしょうか。

青柳政府参考人 幾つかお尋ねがございますが、まず、カワグチ技研の代表取締役である川崎氏の妻が旧厚生省及び社会保険庁の職員であったことにつきましては、社会保険庁の契約担当職員の中にはその事実を承知していた者が存在することは確認しております。

 それから、先生のお尋ねの中で、カワグチ技研とニチネン企画の関係ということでございました。

 私ども、御承知のように、ニチネン企画については、昔から社会保険庁でさまざまな契約を、さまざまなものを購入したり、あるいは印刷したりをするということで実施しているということは周知のことでございますし、今さら隠すようなものではないかと存じます。

 しかし、そのニチネン企画とカワグチ技研がどういう関係であったかということを、例えば契約の段階でどこまで認識しておったかということについては、必ずしも明確な認識を持っておらなかったようであるというふうに私どもは承知しております。

中根委員 知らないわけはないんですよね。

 川崎千尋さんというのは旧姓鈴本千尋さんとおっしゃいまして、川崎義幸さんとは、川崎義幸さんが前の奥様と離婚された後、昭和六十一年の七月に再婚されておられる。その昭和六十一年の三月に社会保険庁を退官したのが、旧姓鈴本千尋さん。

 それで、鈴本千尋さんの経歴というか、職場関係を見てみますと、昭和四十九年には国民健康保険課に事務官としておられた。このときの課長さんは、あの有名な下村健さんであるということですね。それから、昭和五十年には、鈴本さんはやはり国民健康保険課におられる。最近話題になっている国民健康保険課におられるんですよね。それから、昭和五十一年にはやはり国民健康保険課。それから、昭和五十二年には国民健康保険課。だから、この年金とか国保とか、こういった監修料とか、あるいはいろいろなことをよくわかっていらっしゃるんだと思うんですけれども、監修料というか。

 それから、昭和五十三年には国民健康保険課。昭和五十四年には総務課に移りましたね、鈴本さん。総務課に移って、このときの課長さんが下村健さんです。それから、昭和五十五年にはやはり総務課にいらっしゃいますね、事務官として。そのときの課長さんは下村健さん。そのときの課長補佐に、真野章さんという名前も出てきておりますね。それから、昭和五十六年には、今度は社会保険庁の経理課に移られまして、事務官として。そのときの課長さんは、さっきから名前を出している北郷勲夫さん。

 それから、昭和五十七年にはやはり社会保険庁の経理課にいらっしゃいます。課長さんはかわって、岸本さんという方。五十八年には、やはり社会保険庁の経理課で事務官としていらっしゃって、このときの課長さんは、ここが本当は欲しいんですけれども、欲しいというと言い方がおかしいですが、川崎幸雄さんですよね。川崎幸雄さんです。義幸さんじゃありませんよ、幸雄さん。それから、昭和五十九年にはやはり経理課にいらっしゃって、課長さんが川崎幸雄さんで、事務官として鈴本千尋さんがいらっしゃる。

 この五十九年には、お近くというふうに見ていいのかどうかわかりませんが、社会保険庁の業務第一課というところに森隆行さんという名前も出てきましたね。森隆行さん、御存じですか。あの選択エージェンシーの問題で捕まっちゃった人ですね。それから昭和六十年、やはり事務官として経理課にいらっしゃる。やはりここにも、お近くに森隆行さんがいらっしゃいましたね。

 このように、鈴本さんの御経歴を拝見させていただくと、本当に今を時めくような、厚生労働省あるいは社会保険庁の偉くなった方ばかりと一緒にお仕事をしておられるわけなんですね。これは、こういうことがあると、いいことがあるのかなというふうに思いますね。

 それから、カワグチとニチネンなんですけれども、実はきのう、山井議員と一緒に、貿易センタービルにあるはずのカワグチ技研を訪問してまいりました。しかし、もぬけの殻でした。近所の人に聞いてみたら、何週間か前に引っ越したような気配があると。それで、貿易センタービルの管理業務をしているところに行きましたら、何も引っ越したとかなんとかということは聞いていない、賃貸借契約は依然として続いているということでした。

 これは不思議ですね。今どこで業務をしていらっしゃるんでしょうか。逃げちゃったんでしょうか。今話題になっていて、何か危険を感じて逃亡していらっしゃるんでしょうかね。

 ニチネン企画の方にも行ってまいりました。ニチネン企画、先ほど御説明があったとおり、旧来から社会保険庁と多額の契約取引をしている会社。私ども、やはりいろいろと調査をさせていただきたいと思って訪ねさせていただいたんですけれども、ドアのところに、一切取材、面談お断りと書いてあって、インターホン越しに、しようがないからインターホン越しでもいいから何か話を聞きたいと思って、聞こうと思ったんですけれども、一切お答えできません、何もお答えできません、何もお答えできません、社会保険庁に聞いてくださいということだったものですから、社会保険庁にきょう聞くしかないのかなということなんですよね。

 それで、もう一つ、ついでだと思いまして、代々木上原にある川崎夫妻の御自宅も視察をさせていただきました。しばらくおうちに帰っている形跡はありませんね。カワグチ技研といい、ニチネン企画といい、川崎夫妻といい、何かおかしい。どこからか、何かからか逃げ回っているような気がしております。

 この辺のところはこういった私の感想にとどめさせていただきますけれども、このカワグチ技研と最初の取引だった平成十一年の印刷システム、パピアート、七月の末日で、つい先日ですよね、慌ててといいますか、急に契約が打ち切られています。

 このパピアートというもの、もともとその契約に至った経緯からして不自然な点があって、それで全国に配置をされたんですけれども、ほとんど使われていないという実態も、私、質問主意書でも明らかにさせていただいたところであります。

 二十二カ所では、年間印刷枚数はゼロでしたね。四割以上のところが五十枚以下という極めて使用頻度の少ないものがこのパピアートというものだったわけなんですが、それを無理やり五年間、六年間契約をし続けてきて、指摘をというか少し問題意識を持たせていただいたら、何か、ずっと有効なものだ、有効なものだとおっしゃってきたのに、七月末日で急に契約を取りやめてしまった、その理由は何か。あるいは、カワグチ技研との契約はこれで打ち切られたわけなんですけれども、では、全国に配置されたパピアートのあの物体はこれからどうなっていくのか。

 ちょっと時間がありませんので、簡潔にお願いいたします。

青柳政府参考人 まず、七月末で契約を打ち切った理由についてお答えいたします。

 もともと、十六年度におきますパピアートの契約につきましては、御承知の平成十二年十二月の行政改革大綱によりまして、政府全体の方針として、平成十五年度までに、行政手続を原則としてインターネットを利用したペーパーレスで行えます電子政府の基盤を構築する、こういう方針が決定されておりましたので、これを踏まえて見直すというふうに考えたところでございます。

 その結果、ただいま委員の方から御指摘がございましたように、七月末で契約を終了したわけでございますが、市町村あるいは社会保険事務局、社会保険事務所におきます使用状況等を具体的に調査いたしました結果も踏まえまして、今後、このパピアートを用いなくとも、汎用性のパソコンの活用等で対応可能であるという判断を最終的にさせていただいたものでございます。

 また、もう一点のお尋ねでございます。

 そういったパピアートを今後どういうように取り扱うのかというお尋ねでございますが、七月三十一日をもって契約終了となりましたので、現在、社会保険事務所に設置している四百三十五台及び市町村に設置しております九百七十二台につきましては、速やかにカワグチ技研が引き取るということにしております。

中根委員 多分、引き取ることもできないんじゃないかなと思いますけれども。

 それから、社会保険庁の新しい長官、民間の経営感覚で、そういった一つ一つの判断をこれからは素早く的確にしていっていただきたいと思います。ちょっとやはり、漫然とこの契約は続き過ぎた。もともと、カワグチ技研が設立されたのは平成十年で、その約一年後にパピアートのリース契約が行われているという、今までもお話ししてきました一連の経緯からいっても、必要性があるからと思って導入されたわけじゃなくて、そもそもカワグチ技研というものが、パピアートを全国に導入するためにつくられた会社であるとやはり疑わざるを得ないというふうに私どもは思っています。

 しかも、その経緯が、皆さん、思い起こしてみてくださいよ。平成十一年の六月に日刊工業新聞だか何かに紹介されて、それが社会保険庁の職員の目に偶然とまって、一発で随意契約で、保険料財源で、保険料財源でですよ、十一年から十五年で、この五年間で二十三億円ほどもという、まさに離れわざを展開しておるわけでありまして、しかも、当初の契約とそれから実際に納めた契約台数が違ったということになれば、五億五千万円もその差額を、損失補てんといいますか、差額を補てんしているわけですね。全くいかがわしさがぬぐい切れない。

 しかも、前にも紹介したとおり、カワグチ技研の社員というのは名刺も持っていないという会社なんですよ。名刺も使わない会社が、何の営業努力もせず、全国にこういった、パピアートだけじゃない、それから金銭登録機、これも配置をすることができたというこの関係に、やはりだれが聞いてもおかしいと、いかがわしさを感じるのは私どもだけじゃないというふうに思っています。

 だから、さっき指摘させていただきましたように、川崎千尋さん、元職員だったということの人間関係をうまく利用して、何か強い政治力とか口ききとか、そういったものが行われていたとか、接待が行われていたとか、監修料が多額に支払われていたんじゃないかとか、そういったことを邪推せざるを得ない関係にあると思わせていただいておりますけれども、本当にこの辺のところは、引き続きしっかりと調査してもらって、明らかにしていただきたいと思います。

 まさに、国会的には、会計法違反というような観点ででもこの随意契約はやはりちょっと問題意識を持ってもらいたいし、まず入札を行い、ほかの参加者がなかった場合に初めて随意契約が許されるのであって、その証拠に、坂口大臣がこれからは随意契約はなるべくなくしていってということをおっしゃったことの一つの具体的なあらわれかもしれませんけれども、今、新たに六百六十五台の金銭登録機が八月十日に入札というか開札されるということで、入札にかけられているんですね。

 これが本年の六月十八日の官報にあります。金銭登録機六百六十五台、(3)に調達案件の仕様等は仕様書によるということになっております。納入期限は平成十六年の十一月五日、入札、開札の日時及び場所は、平成十六年八月十日午後二時、社会保険庁の恵比寿の分室、会議室Aということになっています。

 前回は、各社会保険事務所ごとに随意契約で購入したら、たまたま全国一律カワグチ技研になっちゃったということなんですけれども、今回は入札にした。いろいろと姿勢を改めていただいて、変えていただいたということならばそれはそれでいいんですけれども、前回は、では、やはり間違っていたということでとらえさせてもらってよろしいでしょうか。

 ここはもう一回、ちょっと長官に答えてもらってください。感覚的な、直観的な答弁で結構ですので。

村瀬政府参考人 まず、八月十日の調達の関係でございますけれども、本件につきましては、大臣からお話がありましたように、随契であっても競争入札するものについてはすべて競争入札の方へ持っていけという御指示に基づきまして実施した案件でございます。

 先ほど私の方で申し上げましたのは、予算執行の透明性とコストの圧縮というお話を申し上げましたけれども、本件につきましては現在細部を詰めている最中でございますけれども、基本的には、調達委員会みたいなものを庁内にしっかりつくりまして、その中で、一定以上案件のものにつきましては、すべてそこの目を通した上で調達をしていくという形で制度化したいというふうに考えております。

 その案件等につきましては、一般の民間企業並びに最近話題になっております郵政公社さん等でも既に実施されておりますので、そういうものを使いながらしっかりやっていくということで決意を述べさせていただきます。

中根委員 もう時間がありませんので、最後に申し上げて終わりますけれども、この金銭登録機の方なんですけれども、金銭登録機の導入時の担当部長は磯部文雄さんという方、それから、国民年金事業室というところが直接の担当者なんですが、佐々木満さんという方、一度これらの方々に事情を伺いたいと思っていますので、理事会で協議をしていただきたいということと、それから、最後に一つだけ申し上げます。

 先ほど五島議員が、収納対策しっかりやりなさい、本当にできるのかということだったんですけれども、国民年金推進員の方、この金銭登録機を持って仕事をしている人なんですけれども、二〇〇二年度の例でいうと、大体千九百人ほどの人に約三十五億円の保険料財源で給料が払われているんですよ。三十五億円使って徴収できたのは五十六億円なんですね。この費用対効果をどう考えるか。例えば私の地元の愛知県なんかは最低で、一万円の給料に対して四千円しか徴収できていないという実績があらわれているわけなんですね。

 こういったことも含めて、金銭登録機、国民年金推進員のあり方を含めて、収納対策ということにも改めて考え直してもらいたいこともたくさんあるということも指摘をさせていただいて、予定していたことの半分ぐらいしかできなかったんですけれども、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵澄夫でございます。

 きょう、この厚生労働委員会にて質疑をさせていただきますが、さきの通常国会で、与党の提出の年金法案、強行採決となりましたが、私は、かつてこの場所で、その法案提出者としての資質を問うということを質疑をさせていただきました。そして、御存じのように年金法案は成立をし、その強行採決の現場を眺める多くの国民が年金に対して不安を持ち、不満を持ち、その結果が参議院選挙の結果となってあらわれた。そして、この臨時国会が開かれる中で、私たちは、その争点として最も重要な年金の問題、廃案法案を提出する、また十分な議論を行う、また、イラクの多国籍軍への派遣の問題、これも国会での十分な議論がない、こうした二つの問題に対して十分な議論を行わねばならないと訴えてまいりました。

 そしてもう一つは、この参院選が終わった後にも次々と明らかになる政治と金の問題や政治家と金の問題、これは私がかつてこの場所で、法案提出者の資質、この部分についてお聞きをしたことでもありますが、きょうもこれに関して、国会議員の責務として、国会の現場でそのことを明らかにすべきではないか、こう訴えをさせていただきます。

 三十日以上の会期の要求をしたにもかかわらず八日間という短い会期の中で、予算委員会の要求にもおこたえいただけない中で、この厚生労働委員会でこそ明らかにしていかねばならないことがあると私は思っております。

 まず、四月の十四日に私自身がこの場でお尋ねをさせていただいたのは、日歯連、日歯、この問題でございます。この日歯の問題に対して、四月十四日、この厚生労働委員会で質疑をさせていただきました。

 これは、歯科衛生士の養成学校修業年限の延長にかかわる政治家の働きかけと、そして献金の関連の話、それをこの場で一時間の質疑をさせていただいたわけでありますが、坂口大臣やまた森副大臣から御答弁をいただく中で、十分に国民の皆さん方にその関係性の中で明らかにされたとは言えない御答弁だった。

 そして、その晩であります。四月の十四日、私が一時間の質疑をさせていただいたその晩に、何とその日歯の会長、臼田会長と、そして内田常務理事、このお二人が逮捕される。そして同時に逮捕されましたのは、先ほど来から名前も出ております下村元社会保険庁長官・中医協委員、さらには加藤連合副会長・中医協委員、こうした方々の贈収賄という形で事件として顕在化をいたしました。

 この日歯問題がこの四月十四日の逮捕をもってまず事件として顕在化をしていく。次から次へと発覚していくさまざまな疑惑、やがてそれは政界に波及するかどうかということが大きな焦点となっていきました。

 そして、参院選後、皆さんも御存じのとおり、選挙期間中というものは一切そうした政界にかかわるような報道が慎まれるようです。参議院選挙が終わった後に報道されましたのは、自民党の前衆議院議員吉田幸弘氏。吉田幸弘衆議院議員が、これは当時議員だったころの献金の還流疑惑ということで、業務上横領ということでの逮捕として、さらに事件としてこれも表に出てまいりました。

 こうしたさまざまな政治家の名前が取りざたされる中で、政治と金の問題、政治家と金の問題、古くて新しい問題ではあります。古くから言われながらも、しかし、次から次へとあらわれるこの問題について、かつては、リクルート事件も含め、政界の浄化ということを皆さん方が国会の大先輩としてやってこられたにもかかわらず、相も変わらず発生するこの問題について、こうして事件としてあらわれてきた。

 まずこれにつきまして、私が御質問させていただいたときにはまだそのような形で顕在化しておりませんでしたが、坂口厚生大臣、まず政治家として、そしてこの日歯問題、所管をされる大臣として、確かに日本歯科医師会と日本歯科医師連盟、それぞれ公益法人と政治団体という差があるかもしれませんが、それに関連することとして、事件として顕在化したことに対して、まず大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

坂口国務大臣 日歯連を中心といたしますさまざまな事件が起こってまいりましたことは、まことに残念なことであり、我々もここは重く受けとめなければならないというふうに思っております。とりわけ中医協に関します贈収賄事件につきましては、その感をさらに強くするところでございます。

 この中医協に関しますことにつきましては、中医協の改革も含めて、これから行わなければならないというふうに思っているところでございまして、中医協の中におきましても現在いろいろとお話しいただいているところでございますし、また、これから、中医協の内部だけではなくて、有識者の皆さん方の御意見もお聞きをしていかなければならないというふうに思っております。

 少し長期的な話といたしましては、この中医協の中ですべて決着、解決をいたしております診療報酬体系のあり方そのものにつきましても今後検討をしていかなければいけない、すべてを中医協にゆだねるというようなことではいけないというふうに思っているところでございます。

 政治家と金の問題につきましては、御指摘のとおり、ただしていかなければならないというふうに思っております。

馬淵委員 今のお話は、この事件の具体的な中医協のことについてお話しいただいているわけですが、政治家と金の問題、これもただしていかねばならない。ただ、私はそこで、もう一つ大事な視点、これをお伺いしたいと思います。

 今般の問題は、たびたびこの国会で、さきの通常国会でも取り上げられた日歯の問題としてお伺いをしてまいりました、いわゆる公益法人である日本歯科医師会と、そして政治団体である日本歯科医師連盟、この一体性の問題であります。

 この一体性はだれが疑うこともない事実ではないか。現実には、臼田会長が逮捕された後に、日本歯科医師会は理事の皆さん方が総辞職をされている。そして新たに人事がなされたわけでありますが、大臣はかつての答弁の中で、こうしたものは峻別をしていかねばならない、そうした通達も行ってきた、これは医師会に対してですが、行ってこられた、こういうふうにお答えをいただいています。

 峻別をしなければならないと言いながらも、現実に一体化のままであった、そしてそれを放置なさってきたがゆえにこうした事件に発展する、そしてまだまだこの先に事件として発展する可能性がある。この温床をつくってきたということに対しての責任を大臣はお感じになられませんか。

 その峻別すべきだということも、通達を出されたというお話であり、また申し入れ等も行っていくというふうに御答弁をされています。再度の申し入れを、これは果たしてされたんでしょうか。そして、それに対して、例えば組織を明確に分け、人事も明確に分け、さらには事務所の所在地も、こうしたことをきちっとしたガイドラインで提示させるような取り組みをされているんでしょうか。

 結局は、私が申し上げたいのは、一体化しているものを看過して、そして、こうして事件にならなければいいという体質が、厚生労働省の中で、責任官庁として本来あってはならない体質があるのではないかということ、これを大臣に問いたださせていただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

坂口国務大臣 四月の時点でございましたか、この委員会におきましてもそうした御指摘があったところでございます。

 平成十六年の四月二十七日に、各都道府県に対しまして、不適切な事例の有無の調査、いわゆる公益法人と政治連盟とが明確に区別されているかどうかといったことについてでございますが、不適切な事例があった場合には公益法人に対して改善指導を行うよう依頼をしたところでございます。

 順次、今その報告を受けているところでございまして、八月末を最終にいたしておりまして、今月の末には全都道府県におきます調査の結果がまとまるものと思っているところでございます。

馬淵委員 御指導されたということで、八月末にはその最終の報告がなされるということでありますが、結局、本当に明確な、その一体性を排除する、政治と金の問題がいわゆるずぶずぶの状態で行われること、こうした温床を排除すること、これを明確な姿勢として示していただき、その結果として、八月の末の報告並びにその行動をまた御報告いただけたらと思います。

 大臣が今お答えをいただいた、こうした政治献金の疑惑、あるいは政治家への波及の問題、実はその後、徐々に出てまいりました。先ほど私が申し上げたのはあくまで前職の方々でありましたが、政界への波及の中で注目されるのは現職の議員への波及です。この現職議員への波及という部分では、前回の通常国会でも何点かの質疑があったようであります。

 これも五月五日の朝日新聞で出てまいりました話でありますが、ちょうど中医協の問題にあったかかりつけ医の診療報酬改定絡みで、当時厚生労働省の政務官であった佐藤勉議員が、その職務権限のある中で、診療報酬改定に対しての勉強会の立ち上げを、いわゆる古賀勉強会、これは自民党古賀誠元幹事長が中心となってやられた古賀勉強会の立ち上げということで働きかけたのではないかという新聞報道に対して、これについての御回答が幾つかされております。そしてそれはどういうものかというと、その当時の議事録を見ますと、内部調査を行われた、内部調査を行った結果、どうも中身は医療全般あるいは歯科医療全般の話をした、こういうふうにお答えになっている。そしてその中でいうと、フリートーキングだったんだ、こんな内部調査の結果をお答えになられています。

 さて、こうした勉強会が行われ、職務権限のある政務官が省内の歯科医師資格を持つ技官を集めた勉強会の中で、診療報酬改定についての働きかけが行われたのではないかという報道があって、いや、そんなことはしておりませんという内部調査の結果だったということでありますが、果たしてこの内部調査が、本当にそのとおりだとうのみにできるような内容であったかというところに私は問題があると思っています。

 一つは、その勉強会にかかわった現職の議員の方々、この六名の議員の方々に、その勉強会の立ち上げの直前、十一月の一日であります、平成十三年の十一月一日、一斉に百万円ずつの献金がなされています。これは、日本歯科医師連盟の中の収支報告書にはっきりと書かれている。一斉に百万円が配られて、献金をされて、しかも、この十三年の献金を受けた議員の中で、佐藤政務官、現職で職務権限もあったその議員と、そして鈴木議員、お二方は、三年近くたったことしの二月、ようやく、あちこちの報道でさまざまな問題となってきた日歯疑惑が登場してくる中で、ことしの二月に収支報告の訂正を上げられている。このお金を受け取った中で、そうした形でやって訂正をされている。いわゆるやみ献金と言われるような、そう思われてもいたし方ないような行動をされている。

 この献金がある中で、私は再度申し上げたいのは、内部調査は甘くはないですか。内部調査といって、いや、省内で集まってちょっと話をしました、歯科医療全般です。そのために、この報道にありますのは、数回の下打ち合わせをされているんですよ。そして、軌を一にしたこの一斉の献金。内部調査は甘くはないですか。フリートーキングに終始しましたというような報道、このお答えが、本当に省内で、先ほど大臣おっしゃった政治家と金の問題に関しては明確にしていかねばならないということについて、そのお考えに基づく指示のもとの内部調査の結果でありますか。

 その点に関しまして、大臣、お答えいただけませんでしょうか。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の古賀議員との意見交換会につきまして、当時の保険局の担当者に確認いたしましたところ、平成十三年の暮れごろに、当時の佐藤政務官から、歯科保健医療担当者と話をしたいという要請がありまして、当時の保険局及び医政局の関係者が出席したとのことでございました。

 ただ、その会議の内容は、今先生お話しのとおりでございまして、歯科に係るフリートーキングでございましたということで、個別具体的な要請を受けた記憶はないということでございます。

 まさにその担当者に聞き取り調査をしたところ、そういう答えが返ってきたということでございまして、その後、新たな情報はございません。

馬淵委員 私はちょっと大臣にお伺いしたいんですよ。

 こうした動きがあったときに、所管の政治家として、大臣として、所管のその責任者として、それは何かあってもおかしくないなと普通は考えられるんじゃないですか。そしてそれについて、これは再度内部調査を、さきの通常国会でこれは要求されて調査したという結果なんですよ、それを聞いて、ああ、そうですか、ただ単にそのような形でやったんですねと、大臣はそれをそのとおり受けとめられたんですか。

 この委員会の場で、国民の皆さん、いっぱい見ておられますよ、きょうは。きょうは、このことに対して、政治家と金に対して、厚生労働省所管の大臣、政治家としてどのようなお考えかを、一生懸命国民が注目していますよ。今のような説明を受けて、その調査よくやったなと、大臣、お答えになられたんですか。ぜひこのことについて。

 そしてもう一点。今申し上げたように、厚生労働省の政務官であった、当時これは現職の政務官、その職務権限もある方が、これは請託を受けたかもしれないと言われるような状況の中でお金を受け取っていた、日歯連から百万円ものお金を受け取っていたにもかかわらず、三年近く放置して、訂正で終わっている。これは単なる勘違いだったんじゃないかと大臣もお感じでしょうか。

 ぜひこの二点につきまして、大臣の御所見をお伺いします。

坂口国務大臣 自民党のそうした話し合いの場で何が話し合われたかということにつきましては、そこに出席をした皆さん方の御意見をお伺いする以外にないわけでございます。したがいまして、出席をされた皆さん方から、そのときにどういうお話し合いであったかということにつきましては、担当官がお聞きをしているわけでございまして、その結論が先ほど申し上げたような内容でございます。

 そうした話し合いが行われた、全体的なお話し合いがあった。私が聞いておりますところによれば、そうしたお話し合いは、会は確かにできまして、そしてその中でそうしたお話し合いが、全体としてのお話し合いがあった。しかし、そこでより具体的な、これをどうしよう、こうしようというところの話まではされていなかったというのが、お聞きをした最終結論でございました。

 政治献金等の問題は、これはなかなか我々の立場で一々チェックするわけにはまいりませんし、そうした委員会の中でどういうお話し合いがあったかということの調査、それは先ほど申し上げたとおりでございます。

馬淵委員 では、大臣に改めてお聞きしますよ。

 今も私申し上げたように、そうした担当官からお聞きしたことしかないと。それはそうでしょう。でも、私が申し上げているのは、この六名の方々がこうした献金を受け取って、そして記載もされなかった、それは個別のことだというふうに今お答えになられますが、そうではなくて、このような状況をどう大臣は政治家としてお感じになられるかとお聞きしているんです。単なる勘違いだったんじゃないかというお考えなのか、どのようにお感じになられているのか、それをお伺いしています。

坂口国務大臣 政治献金を受けられた皆さんは政治献金を適切に処理をしなければならないわけでございまして、そういう意味で、適切に処理をされていた皆さんもおみえになるというふうに私は聞いております。もしなかったとすれば、それをなかったということを気づかれて、後ほど訂正をされたんだろうというふうに思っておるわけであります。

 いずれにいたしましても、適正に処理をしなければならないということだけは間違いのない事実だと思っております。

馬淵委員 これはやはり単なる勘違いとかそういう話で済む問題じゃなくて、これを適正に処理したからいいという話ならば、すべて後で訂正すれば済む話なんですよ。しかも、これは職務権限がある方々が動いているわけですよね。そこはそれこそ口裏合わせをされたらわからない、そこでいろいろなプレッシャーがかかったら物も言えない状況がある、これは我々の同僚の永田議員もそういうふうにお尋ねをしています。そんな中で、監督責任者であるならば、そこにどのようなプレッシャーがかかったかということを取り除きながら真実を明らかにしていくというお努めが必要なんじゃないですか。そのような姿勢をなぜ大臣は示されないのか。私は、そこが非常に不思議でならないし、残念でならない。

 そして、少し違った観点でお伺いしますよ。

 献金の問題はそれぞれ政治家にとって大事な問題でもありますから、政治家個人の理念、信念に基づいたところというのがあるかもしれません。また、御自身の事務所の運営の問題とかいろいろあるのかもしれませんが、これは一つ違った観点でお伺いします。

 大臣、大臣はいろいろなこれまでの長い政治家の経験の中で、そして三年半近くに及ぶ大臣の御経験の中で、いろいろな方に御支援をされて、それこそ政治活動を続けてこられたと思います。私なんぞはまだ一年生議員、一年にも満たないそれこそ下っ端の議員ではありますが、本当に皆さん方の浄財、ありがたいものです。

 この献金、いろいろな形でお受けのことだと思いますが、大臣は、直接献金というものを手渡しでお受けになられたことというのはおありですか。

坂口国務大臣 直接受け取ったことはございません。

 大体、事務所と申しますか私の後援団体、後援会の団体、あるいは政党支部というのがございますけれども、政党支部にお振り込みをいただくというのがほとんどでございます。

馬淵委員 それは本当に一番透明性が確保される方法だと思いますね。直接手渡しで受領ということというのはなかなか少ないのかもしれません。

 ただ、私なんぞは、御支援いただく個人の方々から、それこそ財布から千円出してというような寄附のあり方、そういったお金を受け取ることもかつて経験したことがあります。本当にありがたいと感じますが、大臣は、直接手渡しで受領されたことはない、今こういうお答えでございました。直接お渡しされたものというのは、これは本当にわずかばかりの金額、これは多寡を言うわけではありませんが、それでもありがたいものです。これは忘れることはありません。

 では、大臣、これは直接お受けになったことはないということですから難しいかもしれませんが、それでもお聞きをします。

 寄附をしますよと言っていただいた支持者、後援者の方々が、直接その場でお渡ししたのじゃないけれども、事務所に振り込まれるなりそういった形をされる、そういった言明をしていただいた方々のそのお気持ちを受けとめて、ありがとうございますという言葉を多分返されると思うんですが、それについて、忘れてしまったということは御経験ありますでしょうか。

坂口国務大臣 多くの皆さんですから、現在そのすべての方を覚えているかと言われれば、それは現在すべての人を覚えているわけではございませんが、しかし、献金をしていただければ、その時点におきましては心からのお礼を申し上げているということでございます。

馬淵委員 そうですね。いただいて、それをそのまま忘れてしまうなどということは、いただいた行為に対してこんな失礼なことはない、通常あり得ない話だと私は思っています。大臣も、直接現金でお受け取りになったことはないというお話でしたが、そのような行為をしていただいた方に対しては、それはもう十何年の政治活動、もっと長かったですね、申しわけございません、長い政治活動の中で、もう忘れてしまったということはあるかもしれないが、その時々の気持ちとしては、この方はこういう御厚情をいただいた、これは忘れることは決してない、私もそういうふうに思います。

 さて、そうした献金をいただいてありがたく思う、このなかなか忘れることのない献金でありますが、これを直接受け取ることはなかったといいながらも、そのときにはありがたく思って、そう簡単には忘れることはない、私もそのように思うわけであります。

 さて、現金を受け取ることもなかったとおっしゃる大臣でございますが、では、小切手で献金をお受け取りになる、これも先ほどのと重複するのかもしれませんが、お伺いします。小切手でお受け取りになったことというのはありますか。

坂口国務大臣 ございません。

 小切手等で政治献金をしていただくケースというのは私の場合にはほとんどございませんで、大体現金でお振り込みをいただく。それも、そんなに多くの額ではありませんから、月々に割ってお振り込みをいただくというのがほとんどでございますので、そうした小切手でということはございません。

馬淵委員 私も小切手で受け取ったことはないんですよ。振り込みも本当にわずかばかり、こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、そういったお気持ちの中で、それぞれ皆さん方が本当にその浄財をいただいている。

 その中で、この小切手を受け取るという経験、なかなか私も少ないと思うんですが、一億円という小切手を受け取られたとしたら、どのようにお感じになるでしょうか。大臣、お答えください。

坂口国務大臣 もらったことがございませんので、答えられません。

馬淵委員 そうですね。私ももらったことはないんですけれども、そのような金額の寄附をいただいたらどう感じるかということについては、私も自分の気持ちに問いただして答えることができます。大臣、それはおできになりませんか。お答え願えますか。

坂口国務大臣 どういう御趣旨かよくわかりませんけれども、一億円やろうと言われましたら、私はそういう経験が今までありませんから、それは大変な驚きです。そんなに私はいただくことはできません、こういうことを申し上げるだろうと思います。

馬淵委員 本当に、そういった金額を受け取ることというのはなかなかないし、そんなたくさんはいただけないというお言葉すら出てくる、これは大変大臣の姿勢を示すものだと思います。

 しかし、一億円の小切手をお受け取りになって、そして忘れてしまったという方もいらっしゃるようです。これが、先ほど申し上げた、実は現職議員への波及ということで参議院選挙後に大々的に報じられたのが、橋本龍太郎元総理への日歯連からの献金でございます。先ほど来繰り返し申し上げている、日歯、日歯連が政治家にどのようにかかわっているか、今国民が注目しているんですね。その注目の中で、次々と明らかになる中で、政界への波及、やがてはそれが現職議員にどのように波及していくのか注目の中で、七月の十五日です、これは各紙で取り上げられました。七月十五日読売新聞、それから全紙ですね、これは上がっています。

 今手元にある新聞の記事でいいますと、七月十五日に、橋本龍太郎元総理の派閥とされる平成研究会に一億円の入金を認めたと。これが実に二〇〇一年の七月三日付ということですから、これも三年余り前の話であります。それが、改めて入金がされていたにもかかわらず、記載がされていなかった。これを十四日付で収支報告書を訂正するという形で処理されたと報道されています。

 一億円もの大金を受け取って、そして、献金として本来なら適正に処理をされなければならないにもかかわらず、三年間放置のまま、この日歯連の疑惑の中で逮捕者が出て次々に明らかになる中の一つの献金の事実として出てきた一億円献金、これが収支報告書に記載されなかったということはどういうことか。政治資金規正法の虚偽記載に当たるのではないかということで、これも東京地検特捜部が、その資金の経過、献金の経過、経緯などを一生懸命に探っている、こういった報道がなされています。

 この一億円の献金を受けた橋本龍太郎元総理、そして平成研究会、このことに対して、当然ながら国民は一斉に目を向けました。新聞も連日の報道です。この報道の中で、私たち民主党は、仲間とともに、橋本龍太郎元総理に対しては刑事告発をいたしております。

 こうした流れの中で、大臣がともに行動されている公明党の幹事長、冬柴幹事長はこうしたコメントを述べられています。七月三十日の時点でございますが、「国民の目線に立ったときに、特定の業界からの献金としては非常に巨額と思わざるを得ない。」これは一億円のことです。そして、「政治家個人への企業団体献金を禁止することからはじめ、一貫して「政治とカネ」、特に「政治家とカネ」について、きれいにしていかなければ政治に対する信頼を失うという考えできた。」と冬柴幹事長は述べておられます。

 このコメントは、公明党が常に政治浄化を訴えて、庶民に近い金銭感覚で政治を行うということを訴えてこられた、そのあらわれであると私自身はお伺いをしているわけでありますが、坂口大臣、私も受け取ったことはありませんが、こうした一億円、大臣も今、そんなお金は受け取れないとおっしゃっていましたが、こうして現に、日歯、日歯連から一億円という献金を受け取られたこのことについて、しかもそれが、記載をされていない、俗に言うやみ献金として扱われたのではないかという国民の目が注目している中で、大臣はこれについてどのようにお考えでしょうか。御所見を願います。

坂口国務大臣 橋本派の日歯連からの政治献金に関しましては、私は事実関係を知っているわけではございません、承知しておりませんが、いずれにいたしましても、政治資金につきましては、政治資金規正法にのっとりまして適正に処理をされるべきものであるというふうに思っております。

馬淵委員 いや、それはもうだれもがわかっていることですよ。政治資金規正法にそのように記載されているわけですから、これは適正に処理をしなければならないんです。

 今国民が、なぜこの臨時国会で我々が三十日以上の会期を求めて、それを後押しするような、つまりあの参議院選挙での私たちの大きな躍進は、我々の行動を後押しするような国民の声がある、その後ろに何があるのか。政治と金の問題をはっきりとさせてくれという声ではないですか。

 私が申し上げたいのは、大臣、規正法の問題をどのように解釈するかなどということではないんですよ。連立与党の一翼を担う、その公明党を代表して、小泉内閣の重要閣僚でもある厚生労働大臣の責を担う坂口大臣のはっきりとした所見を、国民の皆さんにちゃんと伝えていただきたい。

 そして、日歯、日歯連、先ほど申し上げたように、これは一体性で動いてしまっているから事件化しているんですよ。その事件化の果てに、こうした巨額のやみ献金と言われるような事実が発覚している。これに対して厚生労働大臣が、大事な大事な役割を担っている小泉内閣の閣僚として、一言この場ではっきりと申し上げられるべきではないですかと私はお尋ねしているんです。どうか御所見をお願いします。

坂口国務大臣 公益法人の場合と、それから、今お話にございました政治連盟の場合とは、これはもう全く別でございますから、峻別をしなければならないというふうに思っております。

 それが政治連盟から行われたものなのかどうかということも私にはよくわかりません。しかし、我々の感覚と申しますか、私の感覚からいたしますと、我々はそうした大きな金に遭遇したことがないわけでありますので、そうした私たちの感覚からするならば、大変大きな額だというふうに思わざるを得ません。そういうお金がありますれば、それは適正に処理をされなければいけないというふうに思います。

馬淵委員 いや、それを聞いているんじゃないんですよ。適正に処理しなければならないのは、もうだれもがわかっているんですよ。国民の皆さんも、政治家が適正に処理をしていないなんて夢にも思いませんよ。いや、実はわかっているから政治不信が起きているのかもしれないんです。

 私がお尋ねをしたいのは、先ほども申し上げたように、一体不可分になってしまっているんですよ、日歯と日歯連が。峻別しなきゃならぬのはわかっているけれども、一体不可分になってしまっているから、このように事件化しているんじゃないですか。事件化している現実を国民は見ていて、そして、さらにそこから発せられるやみ献金のことに対して、所管大臣が、この内閣の重要な閣僚を占められる連立与党の代表としての大臣が、どういう見解を示されるかということを国民が見ているんですよ。このことをこの国会で明らかにしないで、なぜ国会議員の責務を果たしていると言えるんですか、おかしいじゃないですかと私は申し上げている。ぜひ大臣、御所見をお願いします。

坂口国務大臣 そこは先ほど申し上げたとおりでございまして、公益法人の医師会なりあるいは歯科医師会といったものと、それから政治連盟とは、これは峻別をしなきゃいけない、厳しくそこは分離をするような体制をとらなければいけないということを前国会でも申し上げて、そして、先ほど申し上げましたように、四月の二十七日にもう一度各都道府県に調査を命じたところでございまして、そうした中で、今後そうしたことが明確になっていくようにしていかなければいけないというふうに思っております。

 この問題は、そうした公益法人と政治連盟というものとの峻別の問題と、それから、それだけではなくて、渡しますところの団体とそれから政治家の問題、その両方の問題を私ははらんでいるというふうに思っておりますから、両方とも正していかなければいけないというふうに考える次第でございます。

馬淵委員 お答えいただけないなあと今思います。

 大臣はいつも厚生労働行政に真摯に一生懸命に取り組んで、前向きな御回答をいただくといったことを私も先輩議員からお伺いをしていたんですが、事この問題に関しては非常に歯切れが悪いなと思います。

 では、時間も余りありませんので、少し別の観点のお話をさせていただきます。

 大臣はかねて、御自身の政治家としての立場とお金に関しても、これも本当にきちっとした形で対応をしていきたいということを常々おっしゃっておられます。

 新聞報道の中には、一部大臣の名前が取りざたされたものがございました。七月十八日付で、坂口厚生労働大臣に二千万円という新聞報道がなされておりましたが、これはもう明確に否定をされておられます。

 そして、大臣は御自身の答弁の中で、私は議事録も読ませていただいて、まさにこれは坂口クリーン宣言ともいうべき宣言だなと感じておるわけです。

 例えば、平成十三年十一月七日、厚生労働委員会で、山井議員の質問に対しては、「いわゆる政治連盟からの献金につきましては、少なくとも私は、この大臣に就任中はどんな形であれ受けないということを決定しているところでございます。」このように明言されておられる。

 また、いわゆる政治資金というものも、これについては、ことし二月十六日の予算委員会で、これは中津川議員の質問に対しても、「いわゆる歯科医師からの政治資金という形では、私は今までいただいたことはございません。」こう言明されていらっしゃる。

 御自身はどういう形でということについては、同じくこれも、ことしの予算委員会の三月四日で議事録の中にございますように、「どんな団体であれ、一カ所から多くの皆さん方にお願いをするということはいけませんので、二万円のパーティーであれば十枚分、二十万以上はちょうだいをしないということで制限いたしております。」このようにおっしゃっておられます。

 確かに、なるほど、日歯連の収支報告書なんかを見ますと、大臣は、東京と地元のパーティーで二十万円分のパーティー券を御購入いただいた、そして百万円の献金があった。あれ、おかしいな、大臣、言っていることと違うぞと私見ましたところ、ちゃんと六十万円は返却されているといった事実がこの収支報告書を見ても出てまいります。

 事ほどさように、大臣は政治と金については非常にクリーンな考え方でいらっしゃいますが、そのお考え方についてはお変わりはございませんですか。

坂口国務大臣 その考え方に変わりはございませんし、一部、私に対しましての記事が出たことも事実でございますが、全く事実無根でございまして、そうしたことはございません。したがいまして、現在、刑事告訴、民事告訴を同時に行っているところでございまして、断じてそういうことはございません。

馬淵委員 今、はっきりとした大臣のお答えをいただきました。明確な答弁をいただいております。

 さて、そうした御答弁の中でありますが、実は、本日発売の週刊文春に、二十八ページ、これは週刊紙の報道でございますが、こちらに大臣の記事が記載されております。「坂口厚相「隠し弟」と愛知日歯連からの「迂回献金」」この記事、迂回献金、このようにやゆされております。

 つまり、大臣は、いかなる団体からの資金も受けない、このような形で言明をされている。しかし、この記事の中では、愛知県医師連盟が、「二〇〇三年十月に公明党愛知県本部を通じて、坂口力さん宛てに二百万円、政治資金としてお渡しいたしました。これは政治資金収支報告書にも記載しております。日付については、坂口さんに渡った日付と、こちらが(県本部)に送った日付と違ってくると思いますので、県本部のほうにお問い合わせ下さい」こう言明をされていると報道されております。

 さて、迂回献金という、この話は、実は日歯連の疑惑の中で繰り返し繰り返し出てくる話なんですよ。直接渡さずに政治団体を通して渡していく、このような迂回献金、ほかにもあります。残念ながら、小泉内閣の重要閣僚のお一人である石原大臣に対しても、国民政治協会、それを通して自民党本部、さらには東京都第八区石原支部への四千万円の献金迂回、これが指摘をされています。

 このような状況の中で、大臣、まず御自身のこの記事についてのお答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 突然の記事でございましたから、私も驚いたわけでございます。

 愛知県本部あるいは三重県本部等に問い合わせましたところ、昨年の選挙前でございますけれども、各種団体から献金をいただいたことは事実でございます。それが私に渡っているということは全くございません。そうした私に渡したという事実は、その医師会の先生方もそういうことは言っていないということでございます。

 ただ、私は、今まで、三重県にはいわゆる後援会を持っておりましたけれども、愛知県には後援会を持っておりませんでした。昨年の選挙のときに初めて後援会をつくりました。それで、その後援会が、選挙が終わりましてから後、動き始めたことは事実でございます。その動き始めました後援会に対しまして、愛知県の公明党の方から、最初の運転資金と申しますか運用資金と申しますか、初期の段階の運用資金として何がしかのお金をそこに振り込んでいただいたことは事実でございますが、しかし、そのことと迂回献金とは全く関係のないことでございますので、そう私はあえて申し上げておきたいと思います。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

馬淵委員 後援会で運転資金が要るということ、これは同じですよね、政治活動として使われるわけですから。どのような使い道があろうと、お受け取りにならないということとこれは矛盾するのではないか。

 このことに関しては、この秋に収支報告書が公開されるようです。それをもって明らかになると思いますが、今大臣がおっしゃったこと、これは最初に言われたことと矛盾している、このように私は思います。

 そして、もう時間もありませんので、最後に、今までの話の流れでいいますと、事件化となったこの日歯、日歯連問題、そして所管官庁である厚生労働省がこれに対して何ら施策を施せなかったということにかんがみて、この厚生労働委員会では、こうした疑惑を明らかにしていくということの責務があるということから、今勾留中ではありますが、日歯会長の臼田貞夫氏、そして内田元常務理事、ともに元職でございますが、このお二人の参考人招致と、そしてさらに、一億円の献金、このやみ献金を受け取ったとされる橋本元総理、並びに、その受け取った席に同席されたとされる青木参議院議員、野中前衆議院議員、そして橋本派平成研究会会計責任者であります滝川氏、この六名の方々、それぞれにおきまして参考人招致を求めます。

衛藤委員長 理事会で協議をいたします。

馬淵委員 それでは、時間となりました。この問題に関しては、繰り返し申し上げますが、厚生労働省の責務として、しっかりと国民にお伝えをする責任があるということを改めてお伝え申し上げ、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 次に、福島豊君。

福島委員 大臣、また、民主党の答弁者の皆様、大変御苦労さまでございます。

 先ほど来、通常国会におきます年金改革法案についての議論、そしてまた、その後の参議院選挙の結果等々についてはいろいろな議論があるわけであります。私自身、参議院の選挙期間中、何万という方とお会いをし、また何十回となくお話をさせていただきました。未納の問題でありますとか、そしてまた社会保険庁の問題でありますとか、さまざまな問題がこの年金法案の審議の過程で噴出をしましたので、大変厳しい御意見をちょうだいしたことも事実であります。率直にこうした御意見については受けとめていかなければいけないというふうに私は思いました。

 ただ一方では、年金改革についてきちっと御説明をする、なぜ必要なのかということをきちっと御説明する。私は、みずからお話しさせていただいた機会の折には十分に理解をしていただけた、そのように実感をいたしております。

 世論調査というものをどう受けとめるかということはなかなか難しい問題であります。お答えになるお一人お一人の方がどういう御説明をいただいているのか、さまざまであろうというふうに私は思っております。世論調査で確かに厳しい御意見があるということも事実であります。その事実に対してどう向かい合うか、このことが大事である。法律を撤回するというのが民主党の御主張でありますけれども、そうではなくて、十分に説明責任というものを果たしている、ここに私は政府の責任がある、そしてまた与党の責任がある、そのように思っております。

 今の時代は大変政治のかじ取りが難しい時代になってきたと私は思っております。少子高齢化の中でさまざまな改革を進めていかなければいけない。これは痛みを伴う改革であります。しかしながら、安定した制度の再構築のためには、改革は必要不可欠であります。

 明年は介護保険制度の改革をしなければなりません。そしてまた、再来年は医療保険制度の改革であります。いずれも、決して容易ではない改革であると思っております。しかしながら、安定した制度をつくるために我々公明党も頑張っていかなければいけない、そのように思っております。

 そして、その過程の中で国民に対しての十分な説明責任というものも果たさなければいけないし、また、三党合意についてはさまざまに見解の相違があるようでありますけれども、通常国会におきましてなされた三党合意というのは、こうした社会保障制度にかかわる問題について、与野党を超えて、法案が出てからということではなくて、議論を深めることが必要だ、そんなようなことを私は思っております。

 法案についてお尋ねする前に、政府の立場として坂口大臣からいろいろとお聞きをしたいと思っておりますが、まず初めに今回の年金改革、先ほどから世論調査の結果等々さまざまに御指摘があるわけでありますけれども、大臣として、国民の皆様に対してどのようなメッセージを改めてこのタイミングで発せられるのか、お聞きをいたしたいと思います。

坂口国務大臣 前国会におきます年金改革におきまして皆さん方にお願いを申し上げましたのは、それは少子高齢社会においてどう対応をしていくのか、その一点から出た議論であったというふうに思っております。

 国民の多くの皆さんも、少子高齢社会がこれから到来をするということはよく御理解をいただいているところだというふうに思っております。しかし、その少子化を含めた影響が本当に出てくるのは、今から二十年ないし三十年先のことでございますから、なかなか我々が考えておりましたことを率直に御理解いただき得ない部分もあったというふうに私は反省をいたしているところでございます。

 こうした中で、これからの年金制度、年金だけではなくて医療、介護、あるいはまた生活保護、あるいは障害者の問題等々、社会保障全体につきましてどのように考えていくのか。負担をしていただきます国民の側の財布は一つでございますから、国の側としても、その辺のところを一つに絞って、そして負担と給付はどうあるべきかという議論をこれから進めていかなければならないんだろうというふうに思っております。

 そうした中で、年金に対しましては、保険料を中心にいたしまして私たちは案を御提示申し上げてまいりましたけれども、それだけではなくて、そこに税からも一体どれだけ負担ができるのかといったことについての議論がいま少し残されているのではないかというふうに私は思っておりますので、それらのことも踏まえて、これからどのようなことが大事かという議論を重ねていかなければならない、そういう時期を迎えているというふうに思っている次第でございます。

福島委員 先ほど村瀬社会保険庁長官が御出席になりまして、決意をあらわされました。社会保険庁の問題、先ほども中根委員からの御指摘もありましたけれども、いろいろと御指摘を受ければ受けるほど、根深いものがあるのかなというような思いもいたします。これを機会に本当に抜本的な改革というものを実現しなければ、社会保険というある意味では大切な社会のツールだ、インフラだと私は思っておりますけれども、そういうものに対しての信頼まで失ってしまうのでは元も子もないというふうに私は思います。新長官のもとで改革を進めていかれる大臣の御見解、また御決意をお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 先ほど申しましたように、これから進めていかなければならない大きな道筋ということは先ほど申し上げたとおりだというふうに思っております。

 そうした中で、年金制度につきましては、先ほど申しましたように、負担と給付のあり方、その負担を一体どこまで皆さん方にお願いをするかということは、それは、保険料としてどれだけお願いをするか、税としてどれだけお願いをするかということについてさらに突っ込んだ議論というのがこれから必要になってくるであろうというふうに思っております。

 したがいまして、ことしの暮れにかけましては介護の問題が大きな問題になり、来年の国会におきましては介護の国会になることは間違いないというふうに思いますが、介護の問題を論じますときには医療制度をどうするかということも念頭に置いて決めなければならない問題でございますから、まさしくこの年金、医療、介護を一体にしながら議論を進めていくという、そういう重要な時期を迎えているというふうに思っておりまして、それに対する考え方をこれからまとめていくということではないかというふうに思います。

福島委員 介護保険制度、そしてまた医療保険制度についての改革に取り組んでいかなければならないということであります。

 今回の年金改革を通じて、私は考えたことがあります。それは、よらしむべし、知らしむべからず、こういう言葉がありますけれども、かつての我が国の国家経営といいますか、よらしむべし、知らしむべからず的なところがあったのではないかというような気がいたします。社会保険そのものもビスマルクが国家を統治するために一つの方法論として導入したわけでありますけれども、さまざまな法律にしましても、でき上がってしまったものを国会に出して、そしてそれを一定の期間で成立をさせる。それまでの過程で審議会とかいろいろとあるんですけれども、なかなか国民からは見えにくいというのがやはりあるんだろうな、私は率直に言ってそう思いました。

 そういうプロセスの中でどう国民の皆様に理解をしていただくのか。国会に法案が出てからということだけの話ではない、それは一連の流れなんだろう。

 それはまさに、これはすばらしいものだから、国民の皆さん大丈夫ですよ、信頼してくださいよと、こういうようなことだけでは済まない部分がある。それは、痛みを伴う改革だからなんですね。高度経済成長の中で自然にパイが広がっていくという時代であればそれもよかったんですけれども、どのような改革をしてもそれなりに国民にとってもプラスがある。これからは世代間の公平、負担をどう調整していくのかとか、さまざまな意味で痛みのあるものに取り組まなければいけない。

 となりますと、そこに至るプロセスというものをどう考えるか。今までと同じようにやっていたのではいかぬというのが、実は私の率直な実感であります。よらしむべし、知らしむべからずではないです。まず知らしむべしだ、その後皆で決定しよう、こういうことにならなきゃいかぬのだろうというふうに私は思っております。

 そういう意味で、介護保険制度の改革にしましても、明年までのプロセス、これを政府がどう取り組むのか、ここのところが極めて大事だと思いますが、この点について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 そこは物事を議論していく手順の問題だというふうに思います。

 確かに今までとこの内容も変わってまいりましたし、そして、より深く国民の皆さん方に御理解をいただかなければ前に進みにくいという側面が生じてきていることも御指摘のとおりというふうに思います。そうした意味で、これから介護であれ、年金であれ、医療であれ、進めてまいりますときに、やはり我々の側でどうこの議論をするか、国会の中でどう議論をしていただくかということも大事でございますが、国民の皆さん方との意見交換といったものもどう広く行っていくかといったことも大事でございます。そうしたことを相まって行っていく中で、そして一つの案をまとめていくというその御主張、私もそのとおりだというふうに思いますので、今後、やはり物事の進め方というものにつきましては、そうした考え方も十分に配慮をしてやっていく必要があるというふうに私も思っております。

福島委員 しかしながら、単に世論に従って判断するということではない、ここのところが私は大事だというふうに思っております。

 といいますのは、世論に従うというだけであれば、代議制の意義というものはどこにあるのか。とりわけ社会保障の問題というのは、大変難しい技術的な問題があるわけであります。財政の問題もあります。そしてまた、将来にわたっての変化の問題もあります。ただ、現在だけの問題ではありません。そういうことを総合的に考える。そこのところで私は代議制の意義というものが出てくる、政治家が決断しなければならない場面というものが出てくる、そのように思っております。

 ただ、そのプロセスで三党合意というものもあります。三党合意というものは私は決してほごにされるべきものではない、むしろこれを十分活用していただくべきものではないかというふうに思っております。

 そしてまた、最後に、一点大臣に。

 社会保障に関する懇談会、これは総理のもとでスタートしたわけであります。これは、経済界、そしてまた労働界から連合も参加をいたしております。ある意味で幅広い国民のコンセンサス形成の場がそこにできたということが言えるのではないかというふうに思っておりますが、この懇談会に参加する閣僚の一人として、今後の取り組みについてお聞きをしたいと思います。

坂口国務大臣 社会保障に関する懇談会は官房長官のもとに置かれまして、そして先日、第一回が開かれたところでございます。労働界、経済界、そして学者の皆さん方にお集まりをいただいて、それぞれのお立場からの基本的なお話を第一回に聞いたところでございます。いつまでにこの結論を出すべきか、そしてまた、この懇談会の性格、位置づけというものは一体どういうものか、皆さん方からも御意見が出たところでございます。

 この社会保障のあり方というものをもう少し広い角度から、社会保障の中だけではなくて、それを取り巻きます環境も含めてどう議論をするかということが大事ではないかということで、おおよその意見は一致したというふうに思っております。これからいろいろ議論は長く続くとは思いますけれども、とにかくことしの暮れまでに一応いろいろの側面を検討して、最終的な結論には至らないけれども、中間的なと申しますか、総論的なと申しますか、そうした一つの意見集約ができればという御意見があったことも事実でございますし、そうしたことも念頭に置きながらこれからこの会議は進められていくものというふうに思っております。

 次は九月の上旬に開催予定になっておりまして、ここでは連合の笹森会長が自分の考え方、私案というものを発表していただいて、そのことを中心にしながら、そこでお互いにまた議論をしよう、こういったことに今なっておるところでございます。

福島委員 次に、提出法案についてお尋ねをしたいと思います。

 先ほどもいろいろと議論があったわけでありますが、先般提出された民主党の法案よりは若干前倒しをされているわけでありますけれども、先ほどからの議論では、具体的にどのようにそれを進めていくのかということが明確に示されてはいないと感じざるを得ないわけであります。本年も五兆円の赤字という状態でありますので、赤字垂れ流し法案だというふうに言わざるを得ない部分がある。

 そしてまた、前回の法案では一定のビジョンといいますか、示されていたと私は思います。先ほどのお話ですと、審議の時間が少ないからそれは出せませんでした、こういう話でありますけれども、むしろ私は、今回の法案、また再度出し直して、継続審議を求めるということの方がはるかに私は政党としての一貫性があったのではないか、そんなような思いもいたしております。

 幾つかの復活事項もあるわけでありますけれども、それは実際実施する時期、タイミングによって入れたものと入れないものがあるというような御指摘等、そしてまた政策的な整合性のあるものとないものというような答弁があったと思いますが、この点についても、後でまたお尋ねいたしますが、つまみ食いというような感じがせざるを得ません。

 ですから、端的に言いますと、三党合意、これをどうするかというのが民主党にとっても多分私は大変大きなことなんだろうと思いますけれども、我が党にとっても大変大切でありますが、三党合意をほごにするためにこの法案を出されたんじゃないか、そんな思いがしてならないわけであります。

 そして、具体的なことをお尋ねしますと、社会保険庁を十八年度までに廃止をする、こういうふうに明確に条文に定められております。その手続をどうするのか。条文にそのまま従えば、十八年度中に社会保険庁の職員は他の組織に移行しなければ年度末に廃止するということにはならない。となりますと、十八年度中に移行させようと思えば、十七年には法案を出して成立させなきゃいけない。となると、十六年、少なくとも今のタイミングで、どういうふうにするのかという具体的な姿が見えなければ、法案の出しようなんというのはない。

 先ほどの御説明ですと、医療保険の問題、これは結構大きいわけです。政府管掌健康保険、これをどうするのか、こういうふうに質問されたときに、医療保険制度の改革がある、それにあわせて政管健保の分割の話がある、こういう話でありましたけれども、これは十九年です。順番が違います。

 ですから、先ほども欠陥法案だという話がありましたけれども、その個別の項目、社会保険庁の廃止ということでも、これは一つの政策論として、決して最初からだめだとかなんとかという話ではありませんけれども、きちっと条文に書かれるのであれば、具体的にそれができるのかできないのか説明できるぐらいの中身でなければ欠陥法案だと言われても仕方がない、私はそう思いますけれども、いかがですか。

海江田議員 福島委員の質問、かなり多岐にわたりましたので、私からまず先に概略お話をさせていただきます。

 福島委員がおっしゃっておられました、これからの時代はやはり十分な説明責任を果たさなければいけないということは、全くそのとおりだろうと思います。ただ、その十分な説明責任を果たさなければいけないということと、私ども、やはりこの国会で皆さん方がこの改正年金法案の審議に当たってどういうことを実際にやってきたかということは十分わかっておるつもりでございますから、そういうことと照らし合わせると、おっしゃるような、十分説明責任を果たさなければいけないということが本当にどういうふうに具体的な行動の中で行われたのかということについては、やはり大きなクエスチョンマークをつけざるを得ない。

 私どもは衆議院議員でございますから、昨年の秋に総選挙がございました。私どもは、この抜本的な年金の改革案をマニフェストという形で、その衆議院の選挙に当たりまして国民に明らかにしてきたところでございます。皆さん方もマニフェストをつくりましたけれども、政府の案というのは衆議院の選挙のところでは全く固まっておりませんで、衆議院の選挙が終わってから、今度国会で議論をしました案が年が明けてから出てきたわけでございます。

 そして、年が明けてから、ことしは参議院の選挙がありましたから、そこへ向けて、一気呵成にといいますか、一瀉千里にと申しますか、しゃにむに、それこそおっしゃるような十分な説明責任、本当に国民に痛みを伴うような内容がやはり私どもの中には入っております。皆さん方の中にも若干入っているかもしれません。そういうような段階でございますから、やはり十分な説明責任を果たさなければいけないのにもかかわらず、そういうことをやはり行ってこなかったのではないだろうかということ、このことは本当に、全く私どもも国会に籍を置く一員としてざんきにたえないところでございます。

 この三党合意のことにつきましても、私どもはできる範囲でこれを十分尊重しなければいけない。とりわけ、私どもが主張してきました三党合意の中の、今回特に私どものこの廃止案の中で附則というところに盛り込んであるところは、やはり私どもの、この一元化に向けて早く準備をしていかなければいけないということを書いてきているわけでございますから、その意味では、三党合意につきましても、私どもは私どものできる範囲で誠心誠意この法案の中に盛り込んだところでございます。

 それから、社会保険庁の問題等につきましては、先ほどもお話をしたところでございますが、やはりどうしても、この年金の一元化の方が前倒しになりましたから、その分こちらの方も前倒しで急いで、これはまさに国会の中で十分な議論をしていく中から、決してそこの、社会保険庁で働いている方たちの生首を飛ばすとかいうことではなしに、先ほどもお話がありましたけれども、それぞれの都道府県のところで医療の問題と一緒にこれはしっかりと行政をやっていくというような形で整理をしていきたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 海江田先生とはさきの国会では議論ができませんでしたので、若干順番を変えてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、一元化の話がありました。

 先ほども一元化のお話がありましたが、私は、年金改革に関して、縦軸と横軸があるとずっと言ってまいりました。縦軸は給付と負担の関係の調整の話だ、横軸は制度論の話である。縦軸の話は、横軸の話を幾らしても、やらない限りは全体的な改革にはならない。年金を支える大事な要素というのは、給付をどうするか、そして負担をどうするか、そして制度論ですよ。

 給付の問題、これは、私は前も思ったんですが、民主党案は既裁定年金には手をつけない、これは大前提です。今回のこの廃止法案も、マクロ経済スライド廃止と中に入っております。既裁定年金には手をつけない、これが首尾一貫した主張なのかなと思っておるわけでありますけれども、今回の政府案、いろいろな御批判がありますけれども、大切なのは、この既裁定年金をどう調整していくのか。過去債務の問題も、繰り返し民主党の先生方から御指摘もありましたけれども、四百五十兆どうするんですかと。要するに、みずからが納めた保険料とみずからが受ける給付と非常に大きな差がついているというのが今の年金の、既裁定年金の実態であります。ですから、四百五十兆なんです。ここを調整しなければ、将来世代に負担がよりつけ送りされる、これは当然のことであります。

 ですから、ここのところをどうするのか。一番痛いんです、ここのところは。それについて明確な意見がない、一元化すればこの問題は解決するんですか。どういう考えか、お示しください。それを消費税でやるという話ですけれども、消費税というのは、サラリーマンOBの今の既裁定年金を守るために国民全体が負担する、こういう話がどうして成り立つんだ。その点についてお答えください。

古川(元)議員 福島先生も、先ほどの穏やかな表情から一転、前の国会に戻ったかのような激しい表情になりましたけれども、多分こういう建設的な議論をやるためには、穏やかにお互い話をされていた方がいいんじゃないかなと。

 先ほど来からのお話がございました、よらしむべし、知らしむべからずということがいけなかった、そういうのではいけないというのは私も全く同じ考えで、ぜひそういう議論をしていきたいと思っているわけでありますけれども、そういう意味では、先ほどの福島委員のお話を聞いておりますと、あの今成立している政府案を、抜本改革だ、百年安心プランだと言ったことを、これは率直に反省をしておられるかなというふうに思いますので、ぜひその点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

 まさにその抜本改革、百年安心というのは、今の福島委員のお話でいえば、縦軸と横軸、両方を示して初めて抜本改革のはずなんですね。そういう意味でいいますと、今回の政府・与党の、さきの国会で成立しました法案というのは、負担と給付の部分について、制度については午前中の議論でも大体明らかになって、いらっしゃらなくなっちゃいましたけれども、長勢理事も、いや、制度の話には手をつけなかったという率直なお話をされたわけでありまして、そういう意味でそこの部分は抜けていたわけであります。やはりそういう意味では、そこの部分の議論というものも含めてきちんとやらなきゃいけないんじゃないか。

 また、年金の場合は、今回、この三党合意の中でも、社会保障全体、また私どもの抜本改革案の中でも、税も含めてというお話をさせていただいています。そういうもの全体トータルに含めてやはり考えていかなきゃいけないだろう。その考えることを十九年の三月末、これは十八年度末ということであります。そこまでに結論を出そうということは、三党で合意をした話であります。ですから、そこに基づいて、その三党合意に基づいて、そういうものもトータルとして含めて、私ども考えようと言っているわけですね。

 既裁定の年金の問題につきましては、年金の中で受給調整をする、そういう考え方もあります。また、年金で給付するものは給付をして、その分、それは所得が年金だけでも非常に多いとか、あるいは年金とほかの所得を合わせて所得が多い場合には、そこはまた所得税という形でお返しをしていただく、そういう考え方もあるわけであります。いわば、年金給付とその分で、年金給付そのものを減らすのか、あるいは所得税の年金控除などと、そういうところの控除全体を見直す中で、高齢者の、年金受給者の負担というものをトータルで見ていくことが必要だろう。

 私どもはそこについては、そもそももらう前から、年金給付、前に約束していたものそのものを、もらう前からカットするというよりも、私どもは、これはきちんと約束したものはお支払いをした上で、しかし負担能力のある方々については、これはまた税という形で負担をしていただくという形が好ましいのではないか、そういうことをお示しさせていただいているわけであります。

 私どもは、そういう中でその考え方を、議論を提示させていただいておりますけれども、そこについても、そこはきちんと三党合意という中で皆さん方が誠意をもって、ちゃんと皆さんの考え方もお示しをした上で、協議に乗っていただけるというのであれば、私どもは喜んでそうしたことをやっていきたいというふうに思っております。

福島委員 百年安心プランということについて、先ほどからも御批判がありますが、年金制度改革で百年間の数字を示したことというのは今まででないわけであります。なぜ数字が今回示せることになったのかといえば、それは保険料の上限も決める、そしてその中で調整をしている、そして積立金というものを見直ししている、ある意味で三位一体の改革をそこに導入しているわけであります。

 この数字を示す、このことが一番大事であります。その前提となる数字はいろいろと違うじゃないかと。それは確かに、合計特殊出生率、これもどういうふうにトレンドがなるかわかりません。逆に言うと、経済だってどうなるかわからないんです。今の経済成長率、非常に低い。だんだんよくなってきていますけれども、それを前提として計算していいのか。戦後五十年の過去を振り返ってみれば、またこれも違う。

 ですから、いい面においても悪い面においても変化があるよと。そこのところで数字を置いて計算をする。計算をするということは、百年間しっかりバランスがとれる。先ほども、制度も大切だ、だけれども、こちらの給付と負担の調整だけじゃないかという話がありましたけれども、そんなことはありません。給付と負担というのは、財政そのものでありますから、財政が安定しなければ、どのような制度を仕組んだって、それは一元化しようが何しようが、それぞれ破綻するわけであります。ここのところがあって初めて制度論がある。ですから、今回廃止法案を出すというのは、そこのところがナンセンスだと私は思っております。(発言する者あり)私がまだ質問していますから。

 そして、その上で、幾つかまた御質問しなければならない具体的な項目があります。先ほども、復活項目というのは極めて恣意的だという話がありました。例えば、障害基礎年金の併給調整の緩和措置も廃止する、こういうことになっているわけであります。これは、障害者が努力して、就労し、みずから保険料を納めた場合であっても、賃金が低かったり、働くことができた期間が短かった場合には、老齢年金が障害基礎年金の額に達しない、そういうことが起こると、結局、障害基礎年金を選ぶしかない、そういうことで、みずから納めた保険料が掛け捨てとなるというようなことで、今回是正をしよう、これは障害者の方々の長年の要望であったわけであります。これは実施が十八年の四月です。十八年というのは、実は新しい制度をスタートさせるのは十九年ということでありますから、当然これは取り入れていいのかなと私は思っておったわけでありますけれども、なぜこれをやめるのか。障害者の方々の長年の要望というのが、初めて今回二つの年金を合わせるという考え方になった。

 それはどこのところから出てきているんですか。ちょっと説明してください。

古川(元)議員 私どもは、先ほどから、恣意的恣意的にというふうに言われておりますけれども、基本的に、今回の廃止法案をまとめるに当たりましては、私どもなりの基準をつくって、今回復活させるもの、そしてこの法案では復活させないものというふうに仕分けをさせていただきました。

 その復活させるものというのは、平成十七年の十月以前に施行になるものについては、これは復活をさせる。それ以降のものについては、それは一日も早くぜひまた臨時国会を召集していただいて、その中で、私ども、抜本改革、十九年度からスタートする、新しい制度をスタートするについても、それまでの措置としてきちんと合意できるものについては、どんどんとやっていくということもやればいいと思います。今のお話で、この併給調整の緩和措置については十八年の四月ということでありますから、そこまではまだ時間があるわけでありますから、そこについては私どもはその中で十分に手当てができる。

 ですから、今回の法案の中では、とにかく私どもはこの選挙の結果を踏まえて、民意というものについて考え方がどうも違うようでありますけれども、私どもは今回の選挙の民意というものは、今の時点では、十月からの施行というものをそのまま認めるのではなくて、一たんここで白紙に戻して一から議論をするということが民意であるということを踏まえて、この段階で私どもは一定の基準をつくって、そこで必要なものについてはお示しをした、そのほかについては、必要なものについては、次の臨時国会も含めて、私どもきちんと手当てをする、そういう準備はしていきたいというふうに思っております。

福島委員 今、るる御説明があって、新しい制度の議論の中で取り入れるものは取り入れたらいいと。

 ただ、この法案が欠陥だと言うのは、既裁定年金は残すと最初から説明している。例えば女性の年金分割の問題、これも廃止項目に入っていますよ。既裁定年金ですよ、分割されるものは、ほとんどは。そういうものは、新しい制度ができるとかできないとか、そういう話とは全く関係ないんです。既裁定年金の問題があるから、必要なものは残しておかなきゃいけないんです。そういうこともきちっと検討していない、だから欠陥法案だと私は言わざるを得ない、そういうふうに申し上げているわけであります。

 質問時間を超過しましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 日本共産党は、政府の提出しました年金関連法につきましては、これが保険料の引き上げと給付水準を長期にわたって引き下げていく、それを国民に押しつけるものであり、これは年金の空洞化を進め、憲法に明記された国民の生存権まで侵す、そういうものだという批判をしてまいりました。さらに、政府が説明しました保険料の固定の問題やモデル給付の問題で、五〇%を確保するという当初の説明が大変なごまかしに満ちていたということも示して廃案を要求してまいりました。

 そして、参議院選挙を経て、きょうも午前中からの質疑で問題になっておりますが、世論調査を見ましても、例えば朝日新聞の七月十四日付ですが、白紙に戻した方がよいという方が七九%、毎日新聞の七月十九日付で、法律をつくり直すべきだ、これが七八%。ほかの新聞でもいずれも同様の、八割前後の方が、これは出直しなさいという声を上げていらっしゃいます。

 私は、今、年金関連法につきましては、白紙に戻して議論をやり直すというところに国民の世論の大多数の一致があると思います。ですから、今度の臨時国会でも、期間は短くなってしまったわけですけれども、この国民の声にどうこたえるのかというのが立法府としての最大のテーマであるというふうに思います。

 そこで初めに、私、この国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案、この提出者の民主党にお聞きしたいんですが、この法案の最大の眼目は、政府の年金関連法について、これを一たん廃止して、そして議論をやり直すというところに最大の眼目があるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

海江田議員 さようでございます。

 先ほど委員が引用しました新聞社の世論調査、私ども、午前中の質疑で引用させていただきましたが、今、国会がこういう形で開かれましたが、大変短い期間だ、このまま放置をしますと、今度の法案は、この十月一日から、特に厚生年金の保険料の値上げという形で、しかも、その値上げというのは向こう十四年間ということになってくるわけでございますから、これは、やはりひとまず白紙に戻すということが私どもは喫緊の課題だというふうに考えまして、とにかく、今のこの改正年金法を廃止するということに大きな眼目を置きました廃止法案を提出したところでございます。

山口(富)委員 今答弁がありましたが、この改悪年金法を一たん廃止にするというその一点で、私どもはこの方向に賛成であります。

 同時に、この法案では、附則の第二条一項に次のような部分があります。「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとする。」これは、別途の、別建ての法案化が必要になる内容ですけれども、しかし、きょうの説明でも、内容としましては、五月の自民党、公明党、民主党の三党合意による法案修正の中身がそのまま持ち込まれたものだというふうに思います。私は、五月の本委員会の質疑でも、これは消費税の導入に道を開くことになるということを厳しく指摘してまいりました。消費税は、やはり立場の弱い方々に大変重い負担を強いることになりますし、現時点で国民の中に、年金等を含めまして社会保障の財源に消費税を入れていくというところでの合意はいまだありません。

 その上、この附則では、第二条の第三項に「公的年金制度の一元化を実施できるようにするために、必要な整備を平成十八年度中に行うものとする。」というふうにあります。この点につきましても、二〇〇六年度末までに実施するということになりますと、私は、自営業者への影響なども含めまして、必要な検討や議論というものがなされていない、そういう問題があるということをこの民主党の提案の法案については指摘をして、次に進みたいというふうに思います。

 それで、年金制度で大変大切なのは、結局、息の長い制度ですから、国民の皆さんの信頼をどれだけ得られるのかというのがやはり非常に大事なところになると思います。ところが、改悪年金法が成立して以降、やはり国民の皆さんに対して不信と不安を生み出すような事態が相次いで起こっている。この点について、坂口大臣にまずお尋ねしたいと思うんです。

 きょう持ってまいりましたのは、年金局が出している「「持続可能」で「安心」の年金制度とするために」という、今度の年金関連法のポイントを示した広報、いわばPRのパンフレットです。

 成立以降、ここには二枚の追加資料というものが挟み込まれるようになりました。その第一は、十一ページに挟まれているんですけれども、これを見ますと、従来、国民年金について、一万六千九百円で固定するという説明があったわけですけれども、追加資料では「その額は」、「その額」というのは賦課される保険料額のことなんですけれども、「その額は今後の賃金上昇の状況に応じて変化するものである。」という説明が加わっています。つまり、賃金上昇に応じて、とにかく保険料の額は、国民年金の場合変わっていくんだということを説明したものなんですけれども、厚労省側の国民年金にかかわる保険料月額の資料を見ますと、名目額で、長期的に賃金が二・一%上昇する場合に、二〇一七年度は二万八百六十円になる、二〇二七年度は二万五千六百八十円、二〇三七年度は三万一千六百十円になるというふうにされています。

 となりますと、坂口大臣に確認しておきたいんですが、この追加資料でいう、賃金上昇に応じて変化するというのは、国民年金の保険料は上がりますよ、固定するのでなくて、そういうことでよろしいんですね。

渡辺政府参考人 パンフレットの件でございますので、私から一言御説明申し上げます。

 一点目の、国民年金保険料の推移に関する資料、このパンフレットの十一ページにありましたことに関連してでございます。

 もともとの資料、この追加資料の前にも、御承知のように、保険料は十六年度価格である、こういうふうに表示しておりましたが、さまざまな場面でさらに説明は行っておりましたけれども、いろいろな御指摘もいただく中で、今お話のございました追加資料を挟み込んでいるわけでございます。

 もともと法律案の段階から、この保険料の固定方式というのは十六年度価格であるということを法文上も明記しており、それぞれの十六年度価格に保険料改定率を乗じて得た額を毎年度の保険料とするという法文を御審議いただいていたわけでございます。

 今回御指摘ございました追加資料におきましては、「その額は今後の賃金上昇の状況に応じて変化するものである。」というくだりを含めた、より丁寧な記述を追加したものをパンフレットに追加した、こういうことでございます。

 この保険料改定率というのは、法文上も、ここでいう賃金上昇率というものを用いて保険料改定率とするということを明記しているところでございます。

山口(富)委員 ですから、私が言いましたように、賃金上昇に応じて、これは固定されるどころか、上がるということじゃないですか。

 しかも、あなたは書いてあると言いましたけれども、これははっきりわかるんですが、ほとんど見えないんですよ、小さい活字で。あなた御自身、そうでしょう。「注」で、かなり離さないと私だって見えません。「保険料は、平成十六年度価格である。」、小さく書いてある。全然活字の大きさが違うんです。

 私は、このこと一つとってみましても、この追加資料というものは、単なる説明の追加でなくて、政府が、法文上書いてあるとおっしゃいますけれども、実際上、国会の審議の中ではあたかも固定されるように言ってきたわけですから、そういうことがあるから国民はやり直せと言っている、その声をきちんと聞くべきだということを強調したいと思います。

 もう一点は、追加資料の、これは十六ページに挟み込まれている資料なんです。これなんですけれども、厚生年金についていいますと、モデル世帯は五〇%確保という問題で、これは当初だけで、年金をもらい始めた六十五歳以降は現役世代の所得に対する比率は下がっていくことになります、こういうふうに説明しています。

 この点は五月初めに新聞が報道しまして、参議院段階で一層明確になった内容ですけれども、私が厚生労働省から取り寄せました資料、「厚生年金の年金月額の見通し」というものがあるんですが、この中で、たまたま私の生まれと同じ一九五四年生まれの方がどうなるのかという資料があるので、これを説明しますと、一九五四年生まれの方は、最初に年金をもらう二〇一九年というのは五一・七%から出発するんですけれども、二〇二四年、二〇二九年、五年ごとの数字を示していきますと、出発は五一・七%ですが、続いて四七・六、四五・二、四二・七、そして四〇・四、こういう形で、五割どころか四割にがくんと落ちていくんですね。

 先ほど年金局長が説明したので、私は改めて坂口大臣にお尋ねしておきますけれども、この追加資料というのは、追加説明というのは、現役世代の所得に対する比率は下がっていくということを明確にお認めになったということでよろしいんですね。

坂口国務大臣 これは参議院でもお答えをしたことでございますが、今後の物価の上昇と賃金の上昇がどうなっていくかということだと思います。もう少し言えば、賃金の上昇と物価の上昇をパラレルにしていくのか、それとも、物価の上昇よりも賃金の上昇の方が高い、そういう社会をつくっていこうとしているのか、それぞれの考え方だというふうに思います。

 今御指摘になりました、六十五歳のときの例えば五〇%なら五〇%、その次の段階で十年先、二十年先がどうなっていくのかということは、六十五歳以降、賃金と物価の上昇率が一緒であれば、それは同じようにパラレルにいくわけであります。

 しかし、私たちは、物価の上昇よりも賃金の上昇の方が高い社会の方がいいのではないか、そういうふうに考えております。したがって、年金の方は物価の上昇とともに上昇をしていきます、しかし若い人の賃金はそれよりも少しずつ高いところに行く方がいいのではないかというふうに思っておりますから、十年後、二十年後のそのときそのときの若い人の賃金と比較をすれば、もらっている人たちの率というのは下がっていくということになる。私はそういう社会の方が望ましいというふうに思っている次第でございます。

山口(富)委員 私は、ちょっと大臣としてはそれは居直り的な発言だと思いますね。

 私が問いましたのは、当初政府側は、モデル世帯では五〇%確保する、それから保険料についても、上げるけれども上限がある、固定するという話だったんですが、このパンフレットの追加資料の二枚はいずれも、この説明が、追加の説明どころか、当初の政府の説明と違っていたんだということの何よりの証明だと私は思います。それが世論調査にあらわれた、八割の方々がこれを白紙に戻して出直しなさいという声になっている、いわば厚生労働省側からの追加説明みたいなものです。そういうものだということを重ねて指摘しておきたい。

 そのほかにも、この成立後、出生率のデータ隠しの問題ですとか、それから四十カ所に上る条文ミスの問題ですとか、さまざまな問題が起こりました。

 私、特にこの条文ミスの問題では、この担当者に聞いたんですけれども、これは、改めるところばかりに目が行ったために、全体の整合性を図る時間的余裕がなかったんだという話でした。これは確かに、法文上の点検ではそういうふうになったんでしょう。ところが、立法府にそれが来たときにどうなったのかというと、その徹底的な審議をやるんじゃなくて、結局最後は強行採決ということで、十分な審議も保証しないでやり通したというのがこの年金の改悪法の実態だった、やり方の内容だったというふうに思います。

 その点で、私は、臨時国会に当たりまして、改めてこの改悪年金法については、白紙に戻して国民の民意に沿う形での議論をやり直す、このことを重ねて求めまして、質問を終わります。

衛藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 さきの国会での年金審議を通じまして、私自身、そして私の党といたしましても、やはり現実をしっかりと見た上で、新しい時代に見合う年金のプログラムをつくるべきだということを主張してまいりました。この現実をしっかり見てというところが一切捨象されたまま、与党の強硬な国会運営、そして、その結果さまざまにこの参議院選挙で国民から上げられた、この年金の改革法決して認められないという声にのっとって、きょうの審議が始まっております。

 私は、冒頭、きょうの委員会に、この間、七月段階で厚生省が出された二つの資料を皆さんに提示させていただきまして、何が私どもの審議の中で見落とされ、何が間違った結論を導いたのかということについて、坂口大臣と政治のレベルでお話をしたいと思います。

 まず、皆さんのお手元に配らせていただいた資料の一枚目、これは、七月に社会保険庁がお出しになりました、国民年金の加入、納付状況ということをめぐる資料でございます。

 発表自体は、いわゆる納付率を八割に改善するためにどのような進捗状況にあるかということを、特に六三・四%とやや収納率がよくなったということを言いたいがための資料ではありますが、しかしながら、よくよく読んでみると、一番この間の審議で深刻であった国民年金の空洞化、あわせて厚生年金の空洞化、いわゆる空洞化問題の実態が浮かび上がってまいります。

 私は、そもそも年金問題、例えば、一・二九ショックと言われて少子化問題の方にフォーカスが当てられます。小児科の医師ですから十分深刻に受けとめておりますが、この間の審議でむしろ足りなかったのは、少子高齢社会は既に七〇年代の半ばから始まっており、そのことに見合う政策の転換がないまま、今、働き方自身が大きな崩壊現象を起こしているという、働き方に見合った改革がないということだと思います。

 この一枚目の紙、ここには、第一号被保険者、従来であれば自営業者等と言われた方たちの実態、私が繰り返しさきの審議の折に指摘させていただきましたが、このことをめぐってさらに新たな事実がわかってくることがありますので、これを取り上げさせていただきます。

 まず、加入者数ですが、二千二百四十万人と、前年度に比べて三万人増加、これはこの間一貫した風潮でございます。厚生年金加入者は減り、国民年金加入者はふえてくる、二千二百四十万人となっております。

 そして、この二千二百四十万人のうち、例えば全額、半額、あるいは学生ゆえの免除者を除きますと、いわゆる保険料を負担しなければいけないところの方の数は、一番下のグラフにもございますが、一千八百一万人となっております。二千二百四十万人中一千八百一万人、逆に言うと、四百四十万人余りは、一号被保険者でありながら、保険料の納付の主体にはそもそもなっておらない。そして、この一千八百一万人のうちの納付率が六三・四%ということでございます。

 一千八百一万人の六三・四%が納付いたしますと約五一%にしかならない。どういうことかというと、一千八百一万人に〇・六三四、納付率を掛けますと一千百四十二万人にしかならない。二千二百四十万人のうち、逆にフルに納めたと換算した場合には、半数、五一%しか満額を納めていないという状況が国民年金であると言いかえることもできると思います。

 まず、大臣に、国民年金の被保険者がこのような実態になっている空洞化は、幾ら社会保険庁が徴収方法で努力されても、もともとこういう実態に対する処方せんになっておらないと何度も指摘してまいりました。やはり事態は極めて深刻で、逆に、一千万人以上の方が保険料を納められないか納めていないかという状態に近いということだと思います。それゆえに、保険料方式でやることがかなわないであろうという認識を持たないと、この空洞化問題が解決してこないと思いますが、冒頭に大臣のお考えを伺います。

坂口国務大臣 確かに、御指摘をいただきましたとおり、この免除者でありますとか学生納付特例者が増加していることは事実でございます。こうした事実があります反面、反面と申しますか、これが今回の一つの大きな上昇要因になっておりますが、そのほかにも、転職者等の納付状況が改善したこともあるわけでございます。

 そうしたことがありますけれども、しかし、今お話がございましたように、免除者だとか学生納付特例者が多いことも事実でございまして、これらの問題を今後どう改善をしていくかということは、ただ年金制度の中だけでこれは改善できない側面があるというふうに思っております。これは経済全体でしっかり支えていかなきゃならない側面も実はあるわけでございます。

 また、この免除制度だとか学生納付特例制度を設けて、ここの中に今入っていただいておりますけれども、この人たちが常に免除制度の中におみえになるかといえば、そうではなくて、納付者に変わっていただくケースも非常に多いわけでございますから、この問題につきましては、そうした納付者に変わっていただけるような全体の体制をどう確立をしていくかということとセットの話ではないかというふうに私は思います。

 阿部先生が計算をしていただきましたこの数字は、この計算式を用います限りこのとおりの計算になるんだろうというふうに思います。

阿部委員 私が指摘したいのは、二千二百四十万人中、実質半数しかきちんと納められないという実態を見て、さらにさらに深刻な実態がもう一枚の図にあると思います。

 これは、第一号被保険者の年齢構成の推移でございます。私も、さきの審議中こういうデータが出ていたのかもしれませんが、気がつきませんで、専ら一号被保険者の中で自営業者が多いか無職が多いかあるいは五人以下の事業所などの方が多いかなどで私はデータを出していただいておりましたが、ここで明らかになったものは、一号被保険者のうち、二十歳代、三十歳代の方が何と五〇%になってしまっている。若い世代ほど国民年金の一号になっているという、国にとって、未来にとって極めて深刻なデータが二枚目の図でございます。

 二十歳代は、例えば、学生を強制加入にいたしましてからふえておりますが、その年次とて既に平成三年あるいは平成七年、そのときに手帳を送るという形でふやしましたので、昨今のふえはそのときのものではございません。二〇〇〇年に入りましてから、平成の十一、十二、十三、十四、十五と、どんどんどんどん四十歳以下の方が国民年金の加入者の半数を占めてきているという実態は、先ほど大臣がおっしゃいました、これからの経済の状況等を全体的に改善していかなければならないんだということも一方では事実でございますが、しかし、この年金制度を考えるに当たって、就労しておれば本来は厚生年金に入る可能性、入りたい気持ちの強い若者たちが、小泉さんのように、人生いろいろ会社もいろいろ社員もいろいろといっても、入れてもらえない。この若い世代、二十代、三十代で半分になってしまった。これは、私は極めて深刻と思いますが、この実態、大臣はどのようにお考えでしょう。

坂口国務大臣 この表を拝見いたしますと、これで、二十代と三十代、二十代はそんなにふえているということはないんですね、若干減りぎみでございますが、三十代のところがふえている。御指摘をいただくところとしては、この三十代がふえているというのが、これが自営業者が非常にふえるとか、そういう意味でふえてきているのならば、私は一つの傾向だというふうに思いますけれども、現在のところ、自営業者というのが総数としてはどんどん減ってきているという中でありますから、そうした中にあって、この三十代のところが非常にふえてきているということは、やはりこれは社会経済動向というものを反映しているというふうに私は思わざるを得ません。したがいまして、こうしたことの要因というものをやはり分析をしていかなければいけませんが、私は、直観的に感じますのは、現在の経済動向というものが反映されているというふうに思わざるを得ないのであります。

阿部委員 もともと、年金審議の柱の一つに多様な働き方ということがあり、そして、持続可能性ということが年金の改革の中で挙げられたテーマでございました。

 多様な働き方というのは、聞こえはよろしゅうございますが、しかし、その方たちが全部国民年金にいっているような働き方である。私は、今回の年金改革は、実はパートの加入問題こそ真っ先に手当てされねばならない。これでもう一千万人近くでございます。二十歳代、三十歳代の国民年金加入者、一番下にございます七百十九万と四百四十六万、単純計算いたしましても一千二百万人。これだけの若者が一号被保険者になっている。本当に深刻ですし、これに手当てがしていないような法案は、空洞化の現実を、あるいは社会に進んでいる今の四十歳以下の若者の現実を全く私は勘案していない法案だと思います。その意味でも、一回廃止して、ぜひきちんと現状を見詰めた論議をしていただきたいと私は思います。

 そして、大臣にはお願いがございます。

 先ほど、いわゆる三党合意ということにも関連いたしますが、官房長官が社会保障制度審議会を開催されておる、これは行政の、行政府のやり方としてよろしゅうございましょう。しかし、立法府がやるべきことは、こうした変化、社会の変化、働き方の変化にどういう哲学と考え方を持って年金の改革をするかでございます。私の所属します政党は三党には入っておりませんが、しかし、そのためには、私は国会こそ、直接に利害に関係がない立場から、未来像を、理念を語り、哲学を語ることが今一番大事な時期になっております。

 例えば連合という労働者の代表、あるいは経団連という一つの企業家の代表、そういう方たちの意見も一方でもちろん聞く必要があると思いますが、例えばオレンジレターを初めとする改革の中でスウェーデンがやったことは、立法府が、直接利害関係がなく、しかし未来像をきっちり語ろうと、それは非常に重要な、政治の意思でございます。

 先ほどから、政治と献金、業界団体の動き、いろいろなことが論議されておりますが、私どもは一度はそういうものからフリーになり、実態を見て、そして未来の見識を示す場こそ国会だと思いますが、大臣のお考え、最後にお願いいたします。

坂口国務大臣 今述べられましたところは、まさしくそのとおりと私も思います。御指摘になったとおりだと思います。

 前回の国会におきましても、いわゆる三党合意のときにも述べられておりますけれども、衆議院、参議院におきますこの委員会に小委員会をつくって、そして、その中で各党に入っていただいて議論をするというような場をつくってはどうかという御提案もその中にはあるわけでございます。

 ぜひ社民党の皆さん方もお入りをいただいて御意見をいただくような場ができればと、私はそう思っている次第でございます。

 全体の、総論的なことをおっしゃいましたことにつきましては、私も同感でございます。

阿部委員 現実を見てしっかりした審議をこそ、国会が国民が望む姿になる一歩だと思います。

 質問を終わらせていただきます。

衛藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規程により、内閣の意見を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 衆議院議員岡田克也君外十名提出の国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案につきましては、政府としては反対でございます。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。北川知克君。

北川委員 私は、自由民主党及び公明党を代表して、民主党の提案によります国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案等について反対の討論を行います。

 反対の理由の第一は、本法律案が、将来の展望なくして年金改正法を廃止しようとする無責任なものであるという点であります。

 本法律案では、年金改正法を廃止した後の新しい年金制度について、どのような理念に基づき、どのような体系とし、いつから実施するのかなど、そのあり方に全く触れておりません。新しい年金制度の姿を示すことなく年金改正法を廃止する本法律案は、いたずらに国民を惑わせるものであります。

 反対の第二の理由は、本法律案が、いいところ取り、つまみ食いの法律案であるという点であります。

 本法律案では、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げについて、政府・与党の方針よりも一年繰り上げ、平成二十年度までに行うこととしておりますが、その財源については歳出の抜本的見直しとあるだけで、何ら具体的に示されておりません。

 また、本法律案で復活される事項は、給付増や負担減につながるものばかりで、その選択の思想も財源も示されておりません。

 反対の理由の第三は、本法律案が年金財政について何ら配慮していない無責任なものであるという点であります。

 本法律案は、給付と負担について何らの見直しも行わず、ただ年金改正法を廃止するものです。現行制度を放置すれば、毎年約五兆円近くもの赤字が発生し、平成二十九年度には国民年金の、平成三十三年度には厚生年金の積立金がそれぞれ底をつき、年金の支払いができなくなります。

 本法律案では、基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げることとされておりますが、その一方で年金課税の見直しによる国庫負担の引き上げを廃止するという矛盾した内容となっております。

 また、前国会における民主党案では、年金目的消費税の創設が提案されていましたが、本法律案では全く示されておりません。

 このように、本法律案は、どのような制度であっても必要な給付と負担の均衡を確保するための見直しを放棄した現実性のないものと言わざるを得ません。

 反対の理由の第四は、本法律案において、年金制度の一元化への具体的な道筋が何ら示されていない点であります。

 本法律案では、年金制度一元化の期限だけは示されていますが、前国会における民主党案で提案されていた所得比例年金の体系、あるいは納税者番号制などの所得把握の仕組みには全く触れておりません。

 さらに、本法律案では、保険料の徴収機関の廃止及び統合のみが示され、給付のための記録管理や政府管掌健康保険などの運営管理を行う機関が全くなくなり、被保険者証の発行や医療費の支払いが不可能となり、医療に大混乱を引き起こすおそれも心配されるような極めてずさんな欠陥法案であります。

 一昨日の本会議におきましても、民主党の岡田代表みずからが「国民は、少子高齢化時代において、保険料が上がること、あるいは年金給付がある程度削減されることは、ある程度やむを得ないことだと納得していると思います。」と明言されております。

 しかしながら、その民主党が提出しているこの廃止法案は、今後の年金制度の姿を何ら示さず、保険料を引き上げないという無責任な内容であり、持続可能な制度をつくってほしいという国民の声にこたえるものとはなっておりません。

 本法律案は、数々の矛盾や欠陥を抱えた、初めから否決されることを前提にしたパフォーマンス法案であると言わざるを得ず、責任与党としては到底これを看過することはできません。

 このような理由から、私は、国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案に強く反対を表明するものであり、これをもちまして私の討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

衛藤委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案に賛成の立場で討論を行います。

 さきの国会で成立した年金改革関連法は、制度の抜本的な改革が盛り込まれておりません。百年もつ、百年安心とうたわれた改正法案は、既に持続可能な制度ではありません。

 一つは、国民年金の納付率の引き上げ、抜本的に改革されておりません。

 もう一つは、厚生年金の保険料の負担増に対する労使からの理解、これにも至っておりません。

 特に、先ほど我が党の五島議員から指摘されました合計特殊出生率の一・二九、これは政府の想定外であり、法律で約束した給付と負担の根幹が崩れています。改正法は現実不可能なのです。

 そして、政府の年金改革関連法は強行採決で可決されております。自信があって皆さんは提出をしたにもかかわらず、四十カ所もの誤りがありました。本当に政府・与党内において議員の皆さんが年金改革関連法案についての議論を行ったとは私は考えておりません。自信がないまま、ただ二つのこだわり、一つは、百年安心というキャッチフレーズへのこだわりと、もう一つは、何が何でも第百五十九回国会で通すという、この二つのこだわりで可決した法案であると考えております。

 政府の年金改革関連法、そして社会保険庁等を初めとする制度運用に対して、今国民は強い不信感を持っております。

 先ほど、我が党の岡田代表のお話がございました。今国民は、しっかりと議論して、納得できる年金制度であれば給付の削減あるいは負担の増を受け入れようとしております。だからこそ、一連の年金改革関連法を一たん廃止して、年金改革について一から議論することは私たちの義務と考えます。

 年金制度に対する国民の信頼を回復し、持続可能な年金制度をつくるためにも、本法案の成立が不可欠です。今回の法律案において、民主党の抜本改革について本質部分に絞り込み、その上で、公的年金制度の一元化を実現するために附則部分をそのまま生かして、国民の一から議論し直せとの声を尊重し、広範な議論の場を用意しております。

 当委員会の議会人としての見識を信じ、本法案が成立することを心から願いまして、私の賛成討論を終了いたします。

 どうもありがとうございました。(拍手)

衛藤委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党を代表して、民主党提出の国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について賛成の討論を行います。

 さきの国会で成立した政府提出の年金関連法は、保険料の引き上げと給付削減を長期にわたって国民に強いるものであり、年金受給者と国民の将来に重大な不安を与えるものです。しかも、政府が説明してきた保険料固定方式や給付水準五割確保がごまかしであったことも明らかになりました。

 日本共産党は、このような保険料引き上げと給付削減の押しつけは、年金の空洞化を進め、憲法の生存権の保障を侵害するものであると厳しく指摘し、廃案を要求してきました。

 さらに、給付と負担の前提となる出生率データの公表がおくれたこと、四十カ所にわたる条文のミスが明らかになったことなど一連の重大な事態は、年金と政治に対する国民の信頼を大きく傷つけるものとなりました。参議院選挙後の世論調査で国民の八割が改悪年金法を白紙に戻せの声を上げているのも、年金法の内容はもちろんのこと、このようなごまかしと国民を無視した政治への厳しい批判のゆえであります。

 国民世論を真剣に受けとめるならば、改悪年金法を白紙に戻し、真に安心できる年金制度に向けたやり直しを行うことこそ、立法府に求められているものです。

 民主党提出の法案は、改悪年金法の廃案を基本に置いたものであり、その点で賛成するものです。

 同時に、別途の立法化が必要とはいえ、本法案の附則には、消費税の導入に道を開く、三党合意に基づく規定がそのまま盛り込まれています。また、公的年金制度の一元化についても、自営業者への深刻な影響などの議論がほとんどなされていないままに、二〇〇六年度末までに必要な措置をとるとするなど、同意できない点があることも指摘するものです。

 以上を申し述べまして、賛成の討論といたします。(拍手)

衛藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、岡田克也さん外が提案している国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案に対する賛成の立場から討論を行います。

 第百五十九国会に政府から提案され、与党による衆参両院での審議打ち切り、強行採決によって無理やり成立させられた年金改正法は、今後十四年間ひたすら負担増と給付減を繰り返すもので、国民の働く場や暮らしを破壊するもの以外の何物でもありません。また、例えば、厚生年金受給額は現役世代の平均収入の五〇%確保とか、国民年金保険料は一万六千九百円での頭打ちとかいう当初の説明が全くのまやかしであることも審議の中で明らかになりました。

 年金積立金も株式運用の六兆円にも及ぶ損失、グリーンピアの放漫経営、社会保険庁による保険料流用問題の責任にほっかぶりしてきたことは、まじめに保険料を納めてきた国民への背信行為であると言わざるを得ません。

 二十一世紀にふさわしい公的年金制度を構築するためには、まず年金改革法を廃止することからスタートする以外ありません。

 数多いほころびをごまかすために国会で強行採決した後に二〇〇三年の合計特殊出生率を発表するというような、厚生労働省のこそくな対応に見られるようなデータ隠しや後出しをやめ、すべてのデータをまずきちんと公開し、今こそ国民的な議論をつくるべきと考えます。

 国民の年金に対する不信感、怒りは今や頂点に達しています。もし年金改革法をこのまま実行していくならば、さらに怒りが高まるだけでなく、同法が著しく楽観的な予測の上に成り立っているために数年を経ずして破綻し、既に進行している空洞化がさらに一層深刻になることは、火を見るより明らかです。

 年金制度に対する信頼回復を図る第一歩を踏み出すためにも、当委員会で年金改革法を廃止する法案を可決すべきであることを最後に申し述べて、私の賛成討論を終わりたいと思います。(拍手)

衛藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより採決に入ります。

 岡田克也君外十名提出、国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十分散会


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