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第1号 平成17年2月16日(水曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成十七年一月二十一日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      中西 一善君    中山 泰秀君

      原田 令嗣君    福井  照君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      吉野 正芳君    渡辺 具能君

      石毛えい子君    泉  健太君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    小宮山泰子君

      城島 正光君    園田 康博君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      藤田 一枝君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

平成十七年二月十六日(水曜日)

    正午開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    木村 義雄君

      小西  理君    河野 太郎君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      中山 泰秀君    原田 令嗣君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      水島 広子君    横路 孝弘君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十四日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     泉  房穂君

二月十六日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     柴山 昌彦君

  山口 富男君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     上川 陽子君

  高橋千鶴子君     山口 富男君

    ―――――――――――――

一月二十一日

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外一名提出、第百五十九回国会衆法第一六号)

 労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出、第百五十九回国会衆法第二八号)

 国民年金法の一部を改正する法律案(長勢甚遠君外三名提出、第百五十九回国会衆法第五〇号)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(水島広子君外五名提出、第百五十九回国会衆法第五九号)

 高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案(仙谷由人君外七名提出、第百六十一回国会衆法第一二号)

二月十日

 年金法の実施中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四号)

 同(石井郁子君紹介)(第五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七号)

 同(志位和夫君紹介)(第八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇号)

 同(山口富男君紹介)(第一一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一二号)

 利用者負担の大幅増など介護保険の改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九号)

 同(山口富男君紹介)(第二〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二一号)

 カネミ油症被害者の抜本的な恒久救済対策の完全実施に関する請願(泉房穂君紹介)(第四七号)

 HAM及びHTLV―1ウイルス感染症の対策強化に関する請願(江田康幸君紹介)(第四八号)

 同(阿部知子君紹介)(第六五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六六号)

 同(荒井聰君紹介)(第六七号)

 同(大村秀章君紹介)(第六八号)

 同(小西理君紹介)(第六九号)

 同(園田康博君紹介)(第七〇号)

 同(高木義明君紹介)(第七一号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第七二号)

 同(楢崎欣弥君紹介)(第七三号)

 同(松木謙公君紹介)(第七四号)

 同(松野信夫君紹介)(第七五号)

 同(松本龍君紹介)(第七六号)

 同(山井和則君紹介)(第七七号)

 同(吉野正芳君紹介)(第七八号)

 同(石毛えい子君紹介)(第九三号)

 同(泉健太君紹介)(第九四号)

 同(川内博史君紹介)(第九五号)

 同(木村義雄君紹介)(第九六号)

 同(近藤基彦君紹介)(第九七号)

 同(城島正光君紹介)(第九八号)

 同(田中慶秋君紹介)(第九九号)

 同(武正公一君紹介)(第一〇〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一〇一号)

 同(東門美津子君紹介)(第一〇二号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一〇三号)

 同(藤田一枝君紹介)(第一〇四号)

 同(松野頼久君紹介)(第一〇五号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第一〇六号)

 同(保岡興治君紹介)(第一〇七号)

 同(小林千代美君紹介)(第一一四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一一五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一一六号)

 同(中山泰秀君紹介)(第一一七号)

 同(宮路和明君紹介)(第一一八号)

 同(泉房穂君紹介)(第一三六号)

 同(河野太郎君紹介)(第一三七号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第一三八号)

 同(白保台一君紹介)(第一三九号)

 同(原田令嗣君紹介)(第一四〇号)

 同(東順治君紹介)(第一四一号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一四二号)

 保育・学童保育・子育て支援施策の拡充等に関する請願(小林千代美君紹介)(第四九号)

 同(古賀一成君紹介)(第五〇号)

 同(土井たか子君紹介)(第五一号)

 同(阿部知子君紹介)(第七九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第八一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第八四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八六号)

 同(武山百合子君紹介)(第八七号)

 同(山口富男君紹介)(第八八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八九号)

 同(川内博史君紹介)(第一〇八号)

 同(田嶋要君紹介)(第一〇九号)

 同(東門美津子君紹介)(第一一〇号)

 同(長島昭久君紹介)(第一一九号)

 ホームレス対策予算確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六号)

 同(石井郁子君紹介)(第五七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六二号)

 同(山口富男君紹介)(第六三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六四号)

 同(石毛えい子君紹介)(第一二〇号)

 同(泉健太君紹介)(第一二一号)

 同(小林千代美君紹介)(第一二二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一二三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二四号)

 同(中川治君紹介)(第一二五号)

 同(藤村修君紹介)(第一二六号)

 同(松野信夫君紹介)(第一二七号)

 同(山井和則君紹介)(第一二八号)

 同(阿久津幸彦君紹介)(第一四三号)

 同(稲見哲男君紹介)(第一四四号)

 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一四五号)

 同(津川祥吾君紹介)(第一四六号)

 同(中村哲治君紹介)(第一四七号)

 同(三日月大造君紹介)(第一四八号)

 医療費負担の軽減、介護保険の改善に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一三二号)

 医療費窓口負担の軽減、介護保険の改善に関する請願(藤村修君紹介)(第一三三号)

 同(細川律夫君紹介)(第一三四号)

 同(松崎哲久君紹介)(第一三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働関係の基本施策に関する事項

 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項

 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項

以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

鴨下委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、厚生労働大臣から所信を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 厚生労働委員会の御審議に先立ち、厚生労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 厚生労働行政の使命は、国民の抱く不安を払拭し、国民生活に安心と活力をもたらす礎を築いていくことにあります。急速な少子高齢化の進行や厳しい財政状況の中で、持続可能で安定的な社会保障制度を構築するために不断の改革を実施するとともに、少子化の流れを変えるための各般の対策に取り組んでいく必要があります。あわせて、国民の雇用や健康の問題などにも取り組んでいく必要があります。我が国の未来に明るい希望が持てる社会の実現のため、全力を尽くしてまいる決意であります。

 また、昨年来、厚生労働省及び社会保険庁におきましてたび重なる不祥事が発生しましたことにつきまして、この場をおかりして、改めて国民の皆様におわび申し上げます。国民生活に密着した厚生労働行政に携わる職員は、特に一人一人が自覚を持って身を律しなければなりません。今後も、私自身が陣頭指揮をとり、真に国民の信頼を回復できるよう努めてまいります。

 社会保障制度につきましては、内閣官房長官のもとに設置された社会保障の在り方に関する懇談会において、公的年金制度の一元化を含め、一体的な見直しの御論議をいただいているところでありますが、今後は、さらに、与野党間においても立場を超えて議論を進めていただければと考えております。私としては、それらの議論の結果を踏まえつつ検討を進め、自立支援と予防をキーワードに、引き続き、国民が安心して暮らすことができる社会保障制度の構築に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

 介護保険制度につきましては、高齢化が急速に進む中で、将来にわたって国民生活の安心を支える制度であり続けるよう、制度の持続可能性の維持、明るく活力ある超高齢社会の構築、社会保障の総合化を基本的視点として、予防重視型システムへの転換、施設給付の見直し、新たなサービス体系の確立、サービスの質の確保・向上、負担のあり方、制度運営の見直し等を内容とする介護保険法等の一部を改正する法律案を提出したところです。

 医療保険制度につきましては、将来にわたり国民皆保険を守っていくため、国民健康保険制度の医療費適正化と保険運営の広域化を進め、その安定化を図るため都道府県負担の導入を図ることとしています。今回の国民健康保険制度の基盤、体力の強化を第一歩として、一昨年策定した改革の基本方針に基づき、改革の具体的な内容を検討してまいります。

 医療提供体制につきましては、良質で効率的な医療サービスの提供の実現に向け、引き続き改革の議論を行ってまいります。また、総合的な医療安全対策の推進、小児を含めた救急医療体制の整備等に取り組んでまいります。

 年金制度につきましては、昨年の改正により、制度自体は経済と調和のとれた持続可能なものに見直すことができたと考えております。今後は、医療、介護などを含めた社会保障制度全体について、税や保険料等の負担と給付のあり方を含め一体的見直しを図っていく中で、年金制度についてもこれとの整合性を図りつつ、年金一元化を含めた見直しについて議論を進めてまいります。

 なお、年金保険料等の二重負担の防止などを目的とする日仏、日ベルギー社会保障協定を実施するため、厚生年金保険法等の特例等を定める法案を今国会に提出いたします。

 社会保障政策は、国民の安心と生活の安定を支えるため、地方の権限と責任を拡大するといういわゆる三位一体の改革を踏まえつつ、国と地方が適切に役割分担しながら円滑に実施することが重要であります。また、税制改革に伴い、基礎年金の国庫負担割合の三分の一から二分の一への引き上げに向けて、所要の措置を講じる必要があります。このため、国民健康保険における都道府県負担の導入等による国庫負担の見直し、国庫補助負担金の廃止及び交付金の創設、平成十七年度における基礎年金国庫負担の引き上げ等を行うための法案を提出したところです。

 生活保護につきましては、今後とも最後のセーフティーネットとしての機能を果たすことが重要であり、単なる経済的な給付に加え、効果的な自立・就労支援を実施する制度に転換し、自立支援プログラムを導入する等、本年四月から順次見直しを実施する予定であります。

 社会保険庁につきましては、さまざまな指摘がなされており、信頼を回復しなければなりません。このため、内閣官房長官のもとに置かれた有識者会議の議論を踏まえ、緊急対応プログラムに基づく業務改革を進めているところであり、組織のあり方についても、あらゆる議論を例外としない幅広い議論をお願いしているところであります。既に、現行の社会保険庁の存続を前提としないことなどを基本的な視点として、新しい組織のグランドデザインを三月中にまとめるとの方針が示されているところであり、その結果を尊重し、五月の最終的な取りまとめの結果を踏まえ、組織の抜本的な改革を断行してまいります。

 また、昨年の与党合意を踏まえ、年金の福祉施設等の整理を行う独立行政法人を設置するための法案を今国会に提出し、五年を目途に廃止、売却を進めてまいります。

 障害者施策につきましては、障害者が地域で自立しながら安心して暮らせるよう、保健福祉施策及び雇用施策の改革に取り組んでまいります。

 とりわけ保健福祉施策につきましては、身体障害、知的障害、精神障害と障害の種別ごとにサービス提供の仕組みが分かれている現状を改め、市町村が一元的に福祉サービスを提供する仕組みを創設するとともに、利用者負担の見直しや国の財政責任の明確化などを通じて制度の安定化を図るため、障害者自立支援法案を提出したところです。

 同時に、雇用施策につきましては、障害者が社会の支え手の一人として誇りを持って自立できるような環境を整備するため、精神障害者に対する雇用対策の強化、多様な形態による就業機会の拡大等を内容とする障害者雇用促進法の改正法案を提出したところです。

 少子化の流れを変えるためには、子供の育ちや子育てを社会全体でしっかりと応援していくという考え方が重要です。このため、少子化社会対策大綱を踏まえ、昨年末に子ども・子育て応援プランを策定し、従来の待機児童ゼロ作戦に加え、若者の自立や働き方の見直し、児童虐待防止対策など、幅の広い分野で今後五年間に重点的、計画的に講ずる施策と目標を掲げるとともに、おおむね十年後を展望した目指すべき社会の姿を提示し、その実現に向けて各般にわたる施策を着実に実施していくこととしております。新たなプランは、地方公共団体の行動計画を踏まえた初めてのプランであり、企業における子育て支援の取り組みと力を合わせながら少子化対策に取り組んでまいります。

 また、子供の虐待死という大変痛ましい事件が相次ぐ中、このような悲劇が繰り返されることがないよう、昨年成立した改正児童福祉法に基づき、本年四月から児童相談に関する体制の充実を図るなど、すべての子供が心身ともに健全に成長できるよう努めてまいります。

 なお、児童扶養手当等の額が特例措置によりかさ上げされていることについて、その段階的な解消を図るため、平成十七年度以降の手当額の改定方法を定めるための法案を提出したところです。

 雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、完全失業率が低下傾向にあり、有効求人倍率が上昇傾向にあるなど、改善が進んでいるところであります。しかしながら、特に若年者を中心にミスマッチが依然として大きく、また雇用情勢には地域差が見られるところであります。

 このため、若年者雇用につきましては、働いておらず教育も訓練も受けていないニートと呼ばれる若年者の増加に対応するため、新たに、働く意欲や能力を高める総合的な対策として、若者の人間力を高めるための国民運動の推進や若者自立塾の創設など、若者人間力強化プロジェクトを推進します。また、引き続き若者自立・挑戦プランを着実に推進し、働く意欲のある若年者の雇用を支援してまいります。

 雇用情勢の地域差を解消するため、市町村等が提案した雇用対策事業の中から、コンテスト方式により雇用創造効果の高いものを選抜し委託する事業を行うなど、地域に密着した雇用対策を推進してまいります。

 建設労働者対策につきましては、建設業における新たな労働力需給調整システムを創設すること等を内容とする建設労働者雇用改善法の改正案を提出したところです。

 重大災害の頻発、過労死の増加など、労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化しております。事業場における安全衛生の確保に向けた事業者の自主的な取り組みの促進、通勤災害保護制度の拡充、個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間の設定改善の促進などを行うため、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案を今国会に提出いたします。

 このほか、社会保険労務士が個別労働関係紛争に関する裁判外紛争解決手続について当事者の代理を行うことができるようにすること等を内容とする社会保険労務士法改正法案を今国会に提出いたします。

 本年から重点的に展開する十カ年の健康フロンティア戦略に基づき、国民の健康寿命を二年程度延ばすことを目標に、働き盛り、女性、高齢者の国民各層を対象に、重要性の高い生活習慣病対策、介護予防対策を進めるとともに、それらを支える科学技術の振興を図ってまいります。

 感染症対策につきましては、動物由来感染症の対策に万全を期するとともに、新型インフルエンザへの備えやアジアを初めとする国際協力につきましても積極的に取り組んでまいります。また、C型肝炎対策につきましては、検査や治療体制等の一層の充実を図るため、新たに専門家等による検討の場を設け、本年夏ごろまでに検討結果を取りまとめてまいります。

 花粉症対策につきましては、正しい情報に基づく予防や早期治療のさらなる徹底を進めてまいります。

 今月に入り、国内における最初の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症例が確定されました。発症原因の調査を進めるとともに、国民に対して正しい知識の普及を行うなど適切に対応してまいります。

 食の安全につきましては、BSE対策を初め、引き続き国民の関心は高いものとなっており、食品のリスク管理を担う厚生労働省としましては、関係省庁との連携のもとに、食品の安全性の確保に全力を尽くしてまいります。

 薬事制度につきましては、本年四月に施行される改正薬事法の着実な施行に努めるとともに、医薬品の安全対策、血液事業の推進等に引き続き取り組んでまいります。

 援護行政につきましては、戦没者の遺骨収集や慰霊事業、戦傷病者や中国残留邦人等に対する支援の充実などに努めてまいります。また、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金を来年度以降も継続して支給するための法案を提出したところです。

 昨年は、多くの台風、豪雨や新潟県中越地震など、災害による被害が相次ぎました。引き続き、復旧復興支援に取り組み、被災者が一日も早く安心して暮らせるように努めてまいります。

 以上、御説明申し上げましたが、今国会において厚生労働省が提出した法案及び提出予定法案につきましては、一日も早い成立をお願いいたします。

 厚生労働行政には、このほかにも多くの課題が山積しております。私は、これら諸課題の解決に向けて全力を尽くしてまいりますので、委員長を初め、皆様方の一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

鴨下委員長 次に、平成十七年度厚生労働省関係予算の概要について説明を聴取いたします。衛藤厚生労働副大臣。

衛藤副大臣 厚生労働副大臣の衛藤でございます。西副大臣並びに森岡、藤井両政務官とともに尾辻大臣を支え、鴨下委員長を初め、委員各位の御理解と御協力を得ながら、厚生労働行政の推進に邁進してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 お手元の資料に基づきまして、平成十七年度厚生労働省関係予算案の概要について御説明申し上げます。

 まず、平成十七年度厚生労働省所管一般会計予算の規模は、総額二十兆八千百七十八億円、対前年度六千二百六十八億円、三・一%の増加となっております。

 次に、予算の主要施策について御説明申し上げます。

 資料の五枚目からが予算のポイントでありますが、三位一体改革につきまして、国民健康保険の都道府県負担の導入や地方向け補助負担金の移譲、地方の創意工夫や裁量性を高めるための交付金化等を行うこととするとともに、介護保険制度の構築など所要の項目を掲げております。

 次に、各分野の内容につきましては、第一は、二十ページから二十三ページにかけての、生涯にわたり元気で活動的に生活できる明るく活力ある社会の構築であります。国民の健康寿命を延ばすことを目標に、働き盛り、女性、高齢者といった国民各層を対象に、生活習慣病対策と介護予防を推進するとともに、それらを支える科学技術の振興を図るため、健康フロンティア戦略を推進してまいります。

 第二は、二十四ページから二十八ページにかけての、次世代育成支援対策のさらなる推進であります。少子化の流れを変えるための次世代育成支援対策を強力に推進してまいります。このため、地域における子育て支援対策や児童虐待防止対策の充実、待機児童の解消に向けた取り組みを引き続き推進するとともに、子育て生活に配慮した働き方の改革を推進してまいります。

 第三は、二十九ページから三十二ページにかけての、若年者を中心とした人間力強化の推進であります。働く意欲が不十分な若年者、無業者の増加など新たな課題に対応するための若年者の雇用対策として、若者人間力強化プロジェクト等を推進するとともに、再就職を促進するために企業ニーズ等に対応した職業能力開発等を推進してまいります。

 第四は、三十三ページから三十五ページにかけての、雇用のミスマッチの縮小のための雇用対策の推進であります。雇用のミスマッチや地域差の見られる雇用失業情勢等に対応するため、地域の雇用創造に向けた取り組みに対する支援、官民が連携した効果的な職業紹介の推進などの雇用対策を進めてまいります。

 第五は、三十六ページから四十ページにかけての、高齢者が生きがいを持ち安心して暮らせる社会の実現であります。持続可能な介護保険制度を構築するため、予防重視型システムへの転換、施設給付の見直し、新たなサービス体系の確立など見直しを行うとともに、サービス提供体制の整備や質の向上等を図ってまいります。

 あわせて、高年齢者等の雇用就業対策について、六十五歳までの雇用機会の確保等を図ってまいります。

 また、年金制度については、持続可能な制度へと見直した昨年の改正で定められた基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げに向け、国庫負担上乗せの措置を講じることとしております。

 なお、年金事務費については、国の財政が極めて厳しい状況にあることを踏まえ、効率化を図るとともに、保険料負担の対象となる事務費の範囲を明確にした上で、特例措置を継続することとしております。

 第六は、四十一ページから四十四ページにかけての、障害者の自立支援の推進と生活保護制度の適正な実施であります。障害者施策につきましては、地域における自立生活の支援のための制度改革、精神障害者の保健福祉施策の充実、障害者の雇用及び職業能力開発の推進を図るとともに、年金を受給していない障害者への特別給付金の支給を行うこととしております。

 さらに、生活保護制度の適正な実施を図るため、生活保護受給者の自立・就労を支援するための施策を推進してまいります。

 第七は、四十五ページから四十六ページにかけての、安心、安全な職場づくりと公正かつ多様な働き方の実現であります。重大な労働災害の発生防止や賃金不払い残業の解消など、だれもが安心して安全に働ける環境づくりを推進するとともに、公正かつ多様な働き方を実現できる環境の整備を図ってまいります。

 第八は、四十七ページから五十ページにかけての、安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進であります。医療安全対策、救急医療の充実など、安心で質の高い医療提供体制の構築を図るとともに、感染症及び疾病対策を推進してまいります。

 第九は、五十一ページから五十五ページにかけての、国民の安全のための施策の推進であります。重篤副作用の早期発見等の予測・予防型安全対策の推進、医療機器審査の充実、血液対策の推進など、医薬品、医療機器の安全対策を推進するとともに、食品添加物の安全性確認や残留農薬基準の策定、輸入食品、健康食品の安全対策の強化など、食品安全対策を推進してまいります。

 あわせて、医薬品、医療機器産業の国際競争力の強化、健康危機管理体制の強化を図ってまいります。

 以上のほか、五十六ページから五十八ページでは、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際活動の展開、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給を初めとする戦傷病者、戦没者遺族や中国残留邦人などの援護対策、原爆被爆者対策、生活衛生関係営業の振興策、ホームレスの自立支援等の諸施策を推進してまいります。

 以上、主な内容につきまして御説明しましたが、お手元の資料のうち、特別会計予算案の概要につきましては、説明を省略させていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

鴨下委員長 以上で大臣の所信表明並びに平成十七年度厚生労働省関係予算の概要についての説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


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