衆議院

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第4号 平成17年3月9日(水曜日)

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平成十七年三月九日(水曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    宇野  治君

      大前 繁雄君    奥野 信亮君

      川上 義博君    木村 義雄君

      小西  理君    河野 太郎君

      左藤  章君    菅原 一秀君

      高木  毅君    寺田  稔君

      中西 一善君    原田 令嗣君

      福井  照君    松島みどり君

      松野 博一君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    渡辺 具能君

      石毛えい子君    泉  健太君

      泉  房穂君    内山  晃君

      大島  敦君    小林千代美君

      城島 正光君    園田 康博君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      藤田 一枝君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)       大槻 勝啓君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)   伍藤 忠春君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)       小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)   塩田 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     宇野  治君

  石崎  岳君     松野 博一君

  上川 陽子君     寺田  稔君

  菅原 一秀君     大前 繁雄君

  中山 泰秀君     奥野 信亮君

  三ッ林隆志君     高木  毅君

  吉野 正芳君     松島みどり君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     井上 信治君

  大前 繁雄君     菅原 一秀君

  奥野 信亮君     川上 義博君

  高木  毅君     三ッ林隆志君

  寺田  稔君     左藤  章君

  松島みどり君     吉野 正芳君

  松野 博一君     石崎  岳君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     中山 泰秀君

  左藤  章君     上川 陽子君

    ―――――――――――――

三月九日

 介護保険の改悪反対、改善に関する請願(石毛えい子君紹介)(第三一三号)

 利用者負担の大幅増など介護保険の改悪反対に関する請願(小林憲司君紹介)(第三一四号)

 同(松木謙公君紹介)(第三四五号)

 カネミ油症被害者の抜本的な恒久救済対策の完全実施に関する請願(石毛えい子君紹介)(第三一五号)

 同(佐藤謙一郎君紹介)(第三一六号)

 同(小林千代美君紹介)(第三三九号)

 同(高木義明君紹介)(第三四六号)

 同(津村啓介君紹介)(第三四七号)

 同(菊田まきこ君紹介)(第三八二号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第三八九号)

 医療費負担の軽減、介護保険の改善に関する請願(小林憲司君紹介)(第三一七号)

 臓器の移植に関する法律の改正及び臓器移植の普及に関する請願(青木愛君紹介)(第三二二号)

 同(江田康幸君紹介)(第三二三号)

 同(川内博史君紹介)(第三二四号)

 同(河村たかし君紹介)(第三二五号)

 同(小坂憲次君紹介)(第三二六号)

 同(左藤章君紹介)(第三二七号)

 同(自見庄三郎君紹介)(第三二八号)

 同(園田康博君紹介)(第三二九号)

 同(樋高剛君紹介)(第三三〇号)

 同(福島豊君紹介)(第三三一号)

 同(増子輝彦君紹介)(第三三二号)

 同(松本龍君紹介)(第三三三号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第三三四号)

 同(谷津義男君紹介)(第三三五号)

 同(保岡興治君紹介)(第三三六号)

 同(山口俊一君紹介)(第三三七号)

 同(吉野正芳君紹介)(第三三八号)

 同(泉健太君紹介)(第三五〇号)

 同(江崎洋一郎君紹介)(第三五一号)

 同(加藤公一君紹介)(第三五二号)

 同(北川知克君紹介)(第三五三号)

 同(五島正規君紹介)(第三五四号)

 同(高村正彦君紹介)(第三五五号)

 同(園田康博君紹介)(第三五六号)

 同(達増拓也君紹介)(第三五七号)

 同(中村哲治君紹介)(第三五八号)

 同(藤田一枝君紹介)(第三五九号)

 同(松宮勲君紹介)(第三六〇号)

 同(三原朝彦君紹介)(第三六一号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三六二号)

 同(尾身幸次君紹介)(第三八三号)

 同(木村太郎君紹介)(第三八四号)

 同(佐藤勉君紹介)(第三八五号)

 同(城島正光君紹介)(第三八六号)

 同(中山太郎君紹介)(第三八七号)

 同(福井照君紹介)(第三八八号)

 同(上川陽子君紹介)(第三九〇号)

 同(北村誠吾君紹介)(第三九一号)

 同(田村憲久君紹介)(第三九二号)

 同(武山百合子君紹介)(第三九三号)

 同(中山泰秀君紹介)(第三九四号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第三九五号)

 同(原田令嗣君紹介)(第三九六号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第三九七号)

 同(岩屋毅君紹介)(第四〇〇号)

 同(遠藤武彦君紹介)(第四〇一号)

 同(河村建夫君紹介)(第四〇二号)

 同(土肥隆一君紹介)(第四〇三号)

 同(平井卓也君紹介)(第四〇四号)

 同(竹本直一君紹介)(第四〇八号)

 同(加藤勝信君紹介)(第四一三号)

 同(野田毅君紹介)(第四一四号)

 同(伴野豊君紹介)(第四一五号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第四一六号)

 同(甘利明君紹介)(第四五五号)

 同(津島雄二君紹介)(第四五六号)

 同(村井仁君紹介)(第四五七号)

 HAM及びHTLV―1ウイルス感染症の対策強化に関する請願(福島豊君紹介)(第三四〇号)

 同(五島正規君紹介)(第三四八号)

 医療費窓口負担の軽減、介護保険の改善に関する請願(下条みつ君紹介)(第三四一号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第三四二号)

 保育・学童保育・子育て支援施策の拡充等に関する請願(五島正規君紹介)(第三四九号)

 障害者自立支援法案の廃案に関する請願(中村哲治君紹介)(第三九八号)

 人工内耳に関する請願(田村憲久君紹介)(第三九九号)

 改革年金法廃止、最低保障年金制度の実現に関する請願(山口富男君紹介)(第四二七号)

 介護保険制度の改悪反対、改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四二八号)

 同(石井郁子君紹介)(第四二九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四三〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四三一号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四三三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四三四号)

 同(山口富男君紹介)(第四三五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四三六号)

 パート・派遣など非正規労働者への均等待遇に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四三七号)

 同(石井郁子君紹介)(第四三八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四三九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四四〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第四四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四四三号)

 同(山口富男君紹介)(第四四四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四四五号)

 利用者負担の大幅増など介護保険改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四六号)

 同(石井郁子君紹介)(第四四七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四四八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四四九号)

 同(志位和夫君紹介)(第四五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四五一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四五二号)

 同(山口富男君紹介)(第四五三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出第一四号)

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 介護保険法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案及び児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官大槻勝啓君、健康局長田中慶司君、雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、社会・援護局長小島比登志君、社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、年金局長渡辺芳樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則です。

 二十分という限られた時間ですが、特に、私は、児童扶養手当に関して質問をさせていただきたいと思います。

 今までからこの児童扶養手当や母子世帯のことを私は国会でも取り上げておりますが、学生時代、母子生活支援施設で私ずっとボランティア活動をしておりました。やはり母子家庭の方の就労というのは非常に厳しいものがありまして、要は、自分で生計を立てていかねばならない、しかし、子供が熱を出したりするということが当然あるわけですね。そんなときには、本当にそういう、休みがちだという理由だけで解雇されてしまったり、そういうこともあるわけであります。

 私の母親も小さいときに父親を亡くしました。また、私の妻も小さいときに父親を亡くしました。そんな関係で、つくづくそういうことを通じても感じるのは、やはり子供の進学の問題にもかかわってくるわけなんですよね。なかなか女手一つで子供の教育費を稼ぐということも難しくなってくるわけです。そういう意味で、私、最初に申し上げたいのは、これはお母さんだけの問題でなくて、この児童扶養手当の問題というのは、子供の一生を左右する非常に重要な問題であると思います。

 そんな中で、きょう、資料をお配りさせていただきました。この東京新聞の記事にもありますように、平均年収が、結局、一般世帯の平均年収が五百八十九万円であるにもかかわらず、母子家庭の平均年収は二百十二万円であるという非常に厳しい状態となっております。

 最初に尾辻厚生労働大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう状況を見ると、今回の法案の物価スライド云々というよりも、この児童扶養手当そのものをもっとやはり引き上げる必要があるのではないか。最初から非常にストレートな質問をしますが、そういう現状認識を私は持っておるわけですが、尾辻大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今先生もお話しになりましたが、私も母子家庭で育ちました。したがいまして、母子家庭の苦しさというのはよく承知をいたしておるつもりであります。そしてまた、きょうお示しになりました資料を見せていただいても、最近また母子家庭の厳しさというのが、むしろ厳しい方に移っているなという、このことも改めて見せていただいたところでございます。

 その中で、児童扶養手当をどうするのかというお話でございますけれども、この児童扶養手当、今日、そうした、お父さんと生計を同じくしていない子供たちの家庭の生活の安定と自立の促進を図るため、こういう目的になっておりますし、また、他の社会保障施策と相まってその役割を果たしてもらおう、こういう位置づけになっておりますので、そうした位置づけ、目的を考えながら、今後どうするかということを考えていかなきゃならぬと思っております。

山井委員 なかなか明確な答弁ではございませんでしたが、今の答弁の中にも、母子世帯の自立を促すということがありました。

 そこで、衛藤副大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、前回の母子寡婦福祉法の改正のときにも就労支援というのが大きなキーワードになっておりましたけれども、この母子家庭への就労支援策の現状と成果、それと、もう一つの質問もセットでさせていただきますと、それとともに、この資料にもありますように、結局、正規雇用が減って非正規雇用、つまりパートがふえているわけであります。要は、平成十年では五〇%が常用雇用であったんですが、平成十五年では三九%というふうになっているわけですね。

 そこで衛藤副大臣にあわせてお伺いしたいんですが、常用雇用をふやすためにどのような方策をとっているのか、このことについてもお伺いしたいと思います。

衛藤副大臣 御案内のとおり、離婚の急増等、母子家庭を取り巻く状況の変化に対応するために、平成十四年十一月に母子及び寡婦福祉法を改正いたしまして、平成十五年度から、子育て・生活支援とそれから就業支援、養育費の確保、経済的支援等、自立に向けた支援を総合的に展開しているところでございます。

 特に、就業支援につきましては、母子家庭等就業・自立支援センター事業を平成十六年度において全国六十八カ所で実施をいたしました。平成十五年度に比較しますと、八千人の相談から二万八千人、そして就業実績も七百六十人から二千七百人というぐあいにふえているところでございます。

 また、母子家庭の職業能力開発を支援するために、教育訓練講座を受講した場合に受講料の一部を支援する自立支援教育訓練給付金事業を全国の三百十五の自治体で実施してまいりまして、千三百七十六人が受講を修了いたしております。

 また、高等技能訓練促進事業といたしまして、看護師さん等の国家資格を取得するために修業する場合、その事業を実施いたしておりますが、これも、全国二百五十九自治体で七百五十六人というぐあいに給付を受けておりまして、実績としては、十五年、十六年を比較いたしましても、やっと着実に上がろうとしているということは言えるのではなかろうかというふうに思っております。

 また、仰せのとおり、パート雇用に対しては、非常に多いわけでございますが、これは不思議なことに、いろいろな事業を実施いたしましても、大体、母子家庭の率とそれから就業支援をした率がほとんど同じでございまして、いろいろな資料が出ておりましても、そういう意味で、パート雇用を常用雇用にどういうぐあいにするかということは大きな課題でございます。

 そういう中で、私ども、今、就業の支援に対する特別措置法が平成十五年八月から施行されておるところでございまして、これは議員立法でつくられたところでございますので、その趣旨を受けて今懸命に頑張っているところでございます。それで、OJT実施後、三十万円を事業主に対して支給するという常用雇用転換奨励金事業や、特定求職者雇用開発助成金等を支給して、常用雇用に向けてインセンティブを与えようとして頑張っているところでございます。

 以上でございます。

山井委員 次に、尾辻大臣にお伺いしたいんですが、今衛藤副大臣から、さまざまな就労支援策を講じているというお話がございました。

 そして、前回の母子寡婦福祉法の改正のときには、こういう就労支援とかを講じるから、そのかわり児童扶養手当を一部減額したい、そういう法律であったわけなんですね。ところが、では、その法律が通って、今衛藤副大臣がおっしゃったような就労支援策を講じてその効果が出ているかどうか、これが今最大のポイントであると思います。

 そこで、私がお配りしておりますこの「母子世帯の母の現状について」という資料を見ていただきたいと思います。これは昨日厚生労働省につくっていただきました。

 まず就業率。平成五年の八七%から、平成十年の八四・九%、そして平成十五年の八三%というふうに、就業率は下がっていっているわけですね。かつ、今衛藤副大臣の答弁にもありましたように、ポイントとなる常用雇用に関しては、平成十年の五〇・七%から平成十五年の三九・二%へというふうに、またこれも大幅にダウンしております。

 当然、それに伴って、平均収入額も二百二十九万円から二百十二万円にダウン。

 そして、母子世帯のお母さんの失業率は八・五%から八・九%にアップ。

 生活保護の受給率は一〇・二%ですが、現場の方に聞くと、この一〇%と同じかそれ以上の方が、生活保護を受けずにそれ以下の生活をされている現状もあるという話も聞いております。

 また、この五番目、ここも非常に重要なわけですけれども、母子寡婦福祉法の改正の中で養育費をしっかりと取れる制度にするということにしたわけですけれども、実際、法が施行されてからも、養育費の受給率というのは、これは逆に二〇・八%から一七・七%にダウンしているわけです。

 つまり、尾辻大臣も冒頭におっしゃいましたように、母子世帯を取り巻く現状というのは軒並み厳しくなっているということなんですね。

 ここで、私、尾辻大臣にお伺いしたいのが、前回の母子寡婦福祉法のときには、こういう母子世帯の状況や就労支援の策がどのようにうまくいっているかということを勘案しながら、受給期間が五年を超える場合の手当の一部支給停止を行うということになっているわけです。この趣旨は、要は、就労支援や就業率がアップしなかったらなかなか一部支給停止というのはやはりできない、当然、就労率が上がって、仕事につけるようになって、それも常勤につけるようになったら児童扶養手当は下げましょうという話だったと思うんですけれども、今の現状を少なくとも見ていると、逆に悪くなっているわけですね。

 そういう意味では、やはりこの現状では一部支給停止というのは私は行うべきではないと思うんですが、尾辻大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今お話しのとおりに、十四年の制度改正時の附帯決議で、法施行後における子育て・生活支援策、就労支援策、養育費確保策、経済的支援策等の進展状況及び離婚の状況などを十分踏まえてその後のことを考えろ、こういうふうに述べられております。

 そこで、今お話しのとおりでございまして、もっと申し上げますと、就労支援で私どもがやっております母子家庭等就業・自立支援センター事業、これの実施率が七一・六%でございます。あるいは自立支援教育訓練給付が、実施率、これは四一・〇%にしかすぎません。あるいはまた高等技能訓練促進費も三三・七%と低い数字でございます。

 したがいまして、私どもがまずしなきゃならないことは、母子家庭の就業、自立に向けた支援の、今申し上げたようなことのさらなる充実、活用をやらなきゃいけない、そして実績を積み上げていくことに全力を挙げたいと考えております。

 そして、お話のことにつきましては平成二十年度からの話でございますから、今、まず我々は全力を挙げたい、そしてその実績を見て二十年度からのことは、附帯決議にあるように、考えていかなきゃならぬ、こう考えております。

山井委員 まさにそこが大事なところで、この一部停止というのは平成二十年度からの話でありますから、繰り返しになりますが、やはり、今後推移を見ていって、母子家庭を取り巻く現状が厳しくなっていったらそういう一部支給停止は行わないということで、ぜひとも考えていただきたいと思います。

 残された時間、数分でありますので、児童養護施設のことをちょっとお伺いしたいと思います。

 といいますのは、昨年末に尾辻厚生労働大臣、さまざまな事情で家庭にいられない、あるいは虐待された子供たちの児童養護施設等、グループホームを訪問されたということを聞きまして、また、そこで食事も一緒にお子さんたちとされたというふうに聞きました。本当にそういう現場を回ってこういう子供たちのことをしっかりと踏まえていただけるのはありがたいことだと思っているんですが、まず、その児童養護施設等、そういう小規模のグループホームに行かれた御感想をお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 先生よりのお話もございましたので、私もそうした子供たちのところに行ってみました。

 そして、まず感じましたことは、恐らく虐待などで非常に傷ついておるのでありましょうけれども、そして大人への信頼感も失った子供たちなんでしょうけれども、私に対して実に明るく、そして物おじもせずに接してくれたことを大変うれしく思いました。また、職員の皆さんの熱い思い、子供たちにかける思いというのも感じたところでございます。

 そうした中で、グループホームにも行きました。やはりそれは、先生いつも言っておられるように、よりグループホームの方が家庭的な感じがするのはもう当然でございまして、自分の家といった感覚で生活しているということは強く感じたところでございます。

山井委員 大規模な五十人、百人の児童養護施設よりも、そういう虐待などで心が傷ついたお子さんたちにとっては、やはり家庭的なグループホームの方がいいのではないか、そういうことを尾辻大臣も感じていただけたのはありがたいんですけれども。

 例えば、皆さんにも知っていただこうと思って、こういうグループホーム。(写真を示す)民家じゃないかと。まさにそうなんですね。こういう民家なわけです。それで、その中のこういう個室で暮らしているわけなんですけれども、大規模な児童養護施設になると、どうしても四人部屋とかのこういう部屋になってしまう。

 そこで、尾辻大臣もそういうふうに思っていただいた割には、非常に申しわけありませんが、厚生労働省の政策がそれと違う方向に進んでいるというふうに私は言わざるを得ないと思います。

 三枚目の資料にもありますが、平成十六年十二月二十四日の少子化社会対策会議決定の中では、目標が、真ん中に「施設の小規模化の推進」ということで、二百九十九カ所が八百四十五カ所になっているんですね。

 何を言いたいかというと、その前年の目標では、大規模ではない小規模のグループホームを百カ所にふやすという単独の目標があったんです。ところが、ことし、それが消えてしまって、後退していっているわけなんですよね。やはりここは、改めてグループホームを、先ほど尾辻大臣も行って家庭的でよかったと評価されるのであれば、施設内のグループホームというのはやはりユニットケアにすぎないわけですから、単独型のグループホームというものを数値目標を入れて整備すべきではないかということ。

 時間にも限りがありますので、もう一つ加えてお聞きしますと、ではこれをどうやったらふやしていけるかということに関しては、古くなった大規模施設を改築するときに、例えば五十人規模の児童養護施設でしたら三十は残す、今までの児童養護施設で新築する。でも、残り二十人分は五人規模のグループホームを四つする。そうしたらトータル五十で変わりませんよね。こういう改築の仕方も当然あっていいと思うんですよね。

 ところが、今の厚生労働省の制度では、こういうやり方では運営費がきっちりグループホームに出ないということになっております。このことに関しても、ぜひともこういう改築の際には、その定員の数の分、グループホームに分けてもそのグループホームの運営費がしっかり出ていくというふうにして推進を図っていただきたいと思います。尾辻大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 大きく、小規模化するということについてはおっしゃるとおりでありまして、私どももぜひ進めたいというふうに考えております。

 ただ、今先生が言っておられるのは、小規模の施設、単独のものと、大きな施設の中の一部といったらどうなのかわかりませんが、その先にある小規模の施設という、このどっちがという話でございます。

 私どもは、大きく小規模化を進めたいために、今のところ、この二つを余り区別せずに、どっちであれ小規模化が進むことがいいということで進めておるということを御理解いただきたいと思うんです。そして、余りこんなときに金目の話をしてもと思いますけれども、率直な話をさせていただくと、どうしてもそこの差ができるというようなこともあるものですから、大きく進めるために、今私どもが申し上げているようなことをまずお願いしているというところでございます。

山井委員 そこなんですが、くしくも尾辻大臣の口からも金目のということが出ました。わかりやすく言うと、グループホーム単独型がいいのはわかっているけれどもお金がかかるという趣旨ではないかと思うんですが、私もこのことを、正直言って過去三年間、毎年実は取り上げております。

 なぜこだわっているのかというと、尾辻大臣も行かれてわかるかと思いますが、やはり、大規模な施設と民家のグループホームというのは、虐待などで心傷ついた子供たちにとって居心地が全然違うんです。半年、一年じゃないんですよ、そこに十年、十五年暮らすんです。

 ある施設を出た女の子が、大規模な施設を出て自立した後結婚して、残念ながら離婚をされました。その女の子の話を聞いたことがあるんですけれども、なぜ結婚生活がうまくいかなかったかというと、自分は家庭というものがわからなかった、三歳のときからずっと大規模な施設にいた、家庭というものがわからなかったからいい家庭が築けなかったと言っているんですね。虐待やそういうことで傷ついて、さらに家庭というものを十分に知らずに育った、やはりこれは、私は社会の責任だと思うんですね。

 それと、大きな施設よりも子供にとってはグループホームの方がいいということは、グループホームの子供も断言していますし、また、職員の方も明らかにいいということを断言しているんですね。やはり、そういう傷ついた子供たちに社会が温かく手を差し伸べるという意味でも、多少それは高くつくかもしれないけれども、このことはきっちり数値目標をつくって、単独型のグループホームなり、改築の際にグループホームがふえるようにやっていっていただきたいと思います。

 例えば、ある大きな施設とグループホームがあるところでは、大きな施設の中からグループホームに子供が移った、そうしたら、その大きな施設の子供はグループホームを訪問することを禁止しているんですよ。何でか御存じですか。大きな施設の子供がグループホームを訪問したら、そっちの方が居心地がいいとわかってしまう。そうしたら、何で私はそっちへ行けないのということで、やはり納得いかない。だから、その施設では絶対にグループホームには大規模な施設の子供を行かせないようにしているわけなんですよね。

 最後になりますけれども、世界の先進国で、虐待された子供を十年も十五年も大規模な施設に入れて育てている国はないんです。日本しかないんです。そういう転換を厚生労働省も、目標値をつくって進めようとされていたわけですから、ぜひともその方向性を今後も堅持していただきたいと思います。

 もう時間が来ましたので、これで終わりにいたします。よろしくお願いします。

鴨下委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 泉健太です。

 きょうは、本当に我々民主党、二十分ずつという大変短い時間の質問ですので、手っ取り早くになりますが、お伺いをしたいと思います。

 きょうは、戦没者の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部ということと児童扶養手当ということですけれども、通告はしていなかったんですが、実はちょっと、この数日、大変虐待のニュースが数多く流れていることを、恐らく大臣ももう御存じかというふうに思います。これは、児童虐待防止法がこうして議員立法で動く以前のものも含めて、今やはり、昔のお医者さんの資料やあるいは警察の資料をもう一回ひっくり返して見てみると、実はこれは虐待だったんじゃないかというケースも含めて出てきていると思うんですね。

 そういった意味で、やはり、それぞれに命があり、それぞれに大切な体があってのさまざまなこういった児童虐待、過去にもう忘れ去られたものもあるかもしれないと私は思っています。そういった意味では、できましたら厚生労働省の方から各児童相談所の方に、過去の調査をもう一回できないものかどうかということを、ぜひ今後御検討いただきたいというふうにも思っております。

 そしてまた、もう一つは、もし、ある一定の時期にそれなりの数の虐待事件が頻発をしているという状況がある、あるいはそういった傾向が見られるようであれば、例えば厚生労働省なりの非常事態宣言のようなものをぜひとも検討していただけないのかなというふうにも思っております。

 まず、この二点についてちょっとお伺いをしたいと思います。

尾辻国務大臣 この前の法律改正で、児童虐待、必ず届け出てくださいね、報告してくださいねということを決めました。そんなことがあるのかどうかということはわかりませんけれども、確かにこのところまた児童虐待に対する社会の関心も深まってきて、社会全体で子供を守ろうという雰囲気ができてきたこと、私は、そういう意味では、子供たちをみんなで守ろうということはすばらしいことだというふうに思っておるところでございます。

 そうした中で、さらに子供たちを守るためにどうするかということでございますが、今御指摘の件は、児童部会のもとに児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会が設置されておりますので、こうしたところでまたぜひ検討をしてもらおうと思います。

泉(健)委員 今の質問は、ちょっと通告の時間もなかったものですから、あくまでそういった検討をしてくださればというふうに思っておりますので、どうかお願いいたします。

 もう一度言いますが、各児童相談所におけるもう少し長い過去を振り返った中での虐待の、もちろん現場の現在の対応でもいっぱいいっぱいなんですけれども、できましたら過去をさかのぼってのそういった調査もぜひ御認識をいただきたいということと、非常事態宣言というものも時には厚生労働省、大臣が出す可能性もあるんだというふうには、ぜひ考えておいていただきたいと思います。

 本題に移りたいと思います。

 まず一つは、特別弔慰金の関係です。

 我々も、基本的にはこの特別弔慰金というものは、その性質上からして反対ではございません。むしろ、戦後六十年という大変大きな節目の中で、我々自身ももう一度平和に対する認識を新たにしなければならないというふうに思っております。

 実は、二〇〇〇年の初頭ぐらいには、国会議員、例えば衆議院でいうと、戦前生まれの方々が大体三分の二だったんですね。戦後生まれが百八十八人で三分の一だったわけです。それが、この二回の選挙を経て、現在、実は戦後生まれがもう三分の二になっているんですね。戦前生まれの国会議員が三分の一ということで、大分そういった意味でも、国会議員の中でも意識、認識がやはり変わってきているのではないのかなというふうに思います。

 そういった中で、戦争の大変な苦しみを味わった御家族、御遺族の皆様に弔慰金をお渡しするということはとうとい事業だというふうに私も思っておりますが、これはずっとこれまで、十年、十年という節目の中で期限を切って、この政策について論じているわけです。

 前回の給付の際、これは平成十一年のときに、新規に対象者になった方々への給付ということでなされているわけですけれども、このときに、弔慰金の意義、目的について、政府としては、これは遺族の状況ですとか、あるいはそのときの国民の全般的な考え方を把握して検討するというふうに答弁をなされているわけですが、今回のこの弔慰金の給付について、政府としてはどのように遺族の状況を見、また国民の全般的な考えというものを判断しての給付になったのか、御説明をいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 お話しのように、この特別弔慰金というのは、戦後四十年だとか五十年だとか六十年だとか、そういった区切りのところで支給されてきたわけでございますが、ことしはまた戦後六十周年ということで、改めて特別弔慰金を継続しようということに決めたわけでございます。

 お話しのように、十年前の平成七年以降の経済情勢の変化や遺族の心情も含めて検討するということになっておりましたので、検討をいたしまして、やはり、今日の我が国の平和と繁栄の礎となった戦没者等のとうとい犠牲に思いをいたし、これらの方々の遺族に対し国として弔慰の意を表することが必要と考え、したがって、考え方が変わらなかったということになるわけでありますが、以前と同じ考え方のもとに特別弔慰金を継続支給するということにしたわけでございます

泉(健)委員 何らか、この予算を作成する中で財務省の方からはいろいろと御注文があったというふうに聞いておりますけれども、その点、例えば財務省の方からは、予算を削るべきだとか、あるいは対象者を変えるべきだというお話はございましたか。

尾辻国務大臣 それほど個別な話があったわけではございませんけれども、戦後六十年、どうなんだろうねという話はないわけではございませんでした。しかし、六十年たったからといって別に遺族の悲しみが消えるわけでもないし、国のために犠牲になった方々に対して国が弔慰をするというのは当然国としてやるべき行為だというふうに我々は申し上げ、そのとおりになったところでございます。

泉(健)委員 こういったものですから、私、もうこれ以上はお話はしませんけれども、国民の全般的な考え方という中で、私自身も、平和ですとかあるいは戦後処理というものに対しては非常に強い関心を持っております。

 もちろん戦争体験の人間ではありませんけれども、なるべく多くの先人の方々の御労苦というものをお伺いし、またそれを追体験させていただくことによって、少しでもその苦しみというものを次の世代にまた伝えていきたいという思いを持っておりますが、やはりこの弔慰金については、国民全般的な考え方というものは最近余り聞かれなくなっているんじゃないのかなということも懸念をしているところであります。それぞれ関連する諸団体もございますから、一義的にはそちらの方からお声を聞かれるということになるとは思うんですけれども、そういった内部だけの話よりも、さらにこれからは国民全般の考え方というものを少し酌み取る御努力をしていただきたいということも考えております。

 そういったことで、今後、次の支給ということもまた、これは平成十七年以降、期限が来ればまた今後もという話にはなると思うんですけれども、その辺の現時点での厚生労働省の見解として、今後もこの給付、私は、ある意味、もし性質というか命の重さは変わらないということであったり、あるいは戦争で亡くなられた方々の補償というものは必ずやらなければならないということであれば、こういった途切れ途切れ、毎度毎度検討するということではなくして、しっかりと最後まで面倒を見るんだということを宣言してもいいというふうに思うわけです。その辺の厚生労働省の方針は現在どうなっていますでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、冒頭言われましたことについて申し上げますと、私も、先生が区別された戦後生まれ、戦前生まれの区別でいきますと、戦前生まれでございます。そして、戦争の苦しみを、父も戦死しておりますから、よく知っておる一人であります。

 そういう立場で申し上げますと、確かに、もう戦争が風化したのかなという思いを最近しないでもありません。ですから、私たちがやはりそうしたことをきっちり伝えていかなきゃいけないんだということを改めて思いますということを、まず申し上げたところであります。

 その中で、では次の特別弔慰金という話になりますと、これは十年償還の国債ですから十年続くわけでありますから、今度は十年後の話であります。これはもうそのときの、今先生お話しになっておられるような社会情勢の変化だとか遺族の心情だとか、そんなことを勘案して決めることになるだろうというふうに考えます。

泉(健)委員 ちょっと時間もありませんので、この質問は後で中根議員も触れますのでそちらの方に譲りたいと思いますが、引き続き、これは私が当事者でやってもきましたけれども、戦没者の遺骨収集についてお伺いをしたいと思います。

 昨日というか一昨日ぐらいに、私のところにもはがきが届きました。私がかつて所属をしていましたJYMA、日本青年遺骨収集団が現在厚生労働省の派遣で硫黄島へ行っております。そこから、硫黄島からはがきが来まして、今回は二十柱の御遺骨を収骨することができたというような、その結果の報告が来ております。

 この遺骨収集については、これまでも多くの国会議員の方々が取り組みをされて質問もされてきたわけですけれども、私も当事者としてこれまで数度各国に派遣をさせていただきまして、まだまだ日本における遺骨収集の取り組みというものはどうもエンジンがかかっていないなという気がしてならないわけです。

 その理由をいろいろと調べてみました。一つは、やはり遺骨収集そのものの立法がないということですね。法律の根拠がないということが挙げられると思います。

 大臣は、昨年の秋ぐらいの国会の中で、大臣に在任中に何とか筋道をつけたいというふうにおっしゃられましたが、それから半年を経過し、ある意味、再任をされれば別ですが、任期は刻々と短くなってきている中で、今後のスケジュール、あるいは現段階のそういった取り組みの状況がどうなっているか、お聞かせいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、先生御自身が日本青年遺骨収集団として何回も遺骨収集に行っていただきましたことに、感謝を申し上げたいと思います。

 私も、それこそ何回も遺骨収集にみずから行っておりますから、現場、現状というのはよく承知をいたしております。そうした中で、遺骨収集、お答え申し上げましたように、私も大臣をさせていただいたのですから、きっちり道筋だけはつけておきたいというふうに考えております。

 その中で、立法化ということも、いろいろ御指摘もありますから考えてみたんですけれども、一体どういう立法を考えるか、あるいは今日の状況の中で立法化して遺骨収集がさらに進んでいくかといったようなことについて考えてみますと、どうかなという思いも率直にはしておるところでございます。したがって、立法化の話はちょっとおいておきたいと思います。

 ただ、大きくは南方の話とそれからシベリアの話がありますから、この両方に分けて、まず南方の方は、だんだん情報が少なくなっている。そこで、今厚生労働省として考えておりますのは、今までは、遺骨収集に行ったそのついでと言うと悪いですが、そのときにさらなる調査などをしておりましたけれども、今度は、調査のための専門のチームを出して、そして南方の方の状況をよくまず調査して、情報と現状の把握をきっちりやってみよう、まずそこから始めようというふうに考えております。

泉(健)委員 そこで、それこそ調査官を出し、そして本格的な収集団ということになるわけですけれども、現在、この実施要綱というものを見ますと、遺骨収集事業に参加をする団体として、もちろん厚生労働省があり、ほかの省庁あるいは地方公共団体があり、民間団体ということで三つ挙げられております。一つが日本遺族会であります。もう一つが、いわゆる戦友会という形での慰霊事業協力団体連合会ということになっております。もう一つが、私たちが所属をしていました特定非営利活動法人JYMAということで、三団体が構成をしてこの派遣団に参加をさせていただいているわけです。

 そこに対して補助をいただいているわけですけれども、それぞれやはりこの構成団体の趣旨というものがあると思うんですね。遺族会であれば、やはり御遺族だということで、慰霊の意味ももちろん含まれているでしょうし、やはり親族あるいはそういった方々の遺骨を収集したいという思いもあると思います。あるいは、戦友であれば、これはしっかりとした情報も持ち、非常に現地、現場の状況がわかるということもありますし、もちろん慰霊の意味も込められていると思います。

 そういう中で、この特定非営利活動法人のJYMAというのは、青年遺骨収集団ということで活動をさせていただいてきました。そして、もちろん平和を次の世代に語り継ぐということもありますし、実質的な収集における現場での力作業、本当に土木作業的なことをされるわけですから、そういったことで本当に一生懸命汗を流して、スコップを使い、穴に潜りということをする実動部隊だというふうに我々は認識をしているわけなんですね。

 そういったことで思っているんですが、実はこの数年の派遣状況を見てみますと、例えば平成十六年の硫黄島派遣でいいますと、厚生労働省からは十名、そしてJYMAから二名。あるいはフィリピンだと、厚生労働省から六名、遺族会と戦友会から五名ずつ、JYMAが二名。要は、戦友会や遺族会の皆さんが高齢化をしていく中で、より現地で収骨を一生懸命結果を残していきたいという中で考えると、この実動部隊たるJYMAの若者の数というのが非常に少ないのかなという気がしております。昨年一年間を通しても、JYMAが出した人数というのは十九名です、一年間通して各地に行ったのが十九名ですね。それに対して、遺族会は四十七名、戦友会が二十四名、厚生労働省は五十六名参加をしているということで考えると、この遺骨収集、各地に参加をしているわけですが、どこに力点を入れているのかということも多少お考えをいただきたいと思うんですね。

 このJYMAの役割をどう考えておられるのか。そして私自身は、提言としては、もっとこの人数をしっかりふやして、そして収集もこれからシベリア、モンゴルの地域は大規模収集ということも考えられる状況ですから、それこそ実動部隊がいなければならないというふうにも思っております。その意味で、このJYMAの役割についてお伺いをしたいと思います。

尾辻国務大臣 私は申し上げましたように何回も遺骨収集に参りましたけれども、そのたびにJYMAの皆さんも御一緒でありました。そして、必死で作業していただいた若い皆さんに、改めて感謝も申し上げたいと思います。

 したがいまして、こうした皆さんのお力がなければ、今お話しのように、遺族会といっても、戦友会といっても、年をとってきましたから、現地でのそんなに厳しい作業なんというのはできなくなってきておりますから、ますますこうした皆さんのお力が必要になってくる。今後ともぜひよろしくお願いしますということを申し上げたいと存じます。

泉(健)委員 そこで、さらに言えば、それぞれ各遺族会、戦友会、JYMAには旅費の補助というものがなされているわけです。もちろんそれは多額の費用を要する海外の派遣ですので、一部補助ということで、もちろん自己負担分もあるわけですけれども、例えばJYMAなんかでいけば、もちろん参加者が参加をする分には旅費はつくわけですけれども、いわゆる人材の募集、そういったものにもやはり多額の費用と手間を要しているわけですが、そういったことには今全く助成というものがなされていなくて、組織を維持する上では非常に大変な思いをしているわけです。

 もちろん、NPO法人ですから何か収益事業をしているということではありません中で、募集というものをどうやってやっていくのかということでいえば、これまでは旅費だけを各団体に補助していたかと思うんですが、今後は、例えば募集ですとかあるいは団体の維持運営ということについても、ある程度御協力をいただくことができないのかなということについて、御提案を申し上げたいというふうに思っております。そういったことについて御検討いただく御用意はございますでしょうか。

尾辻国務大臣 長いこと、この遺骨収集に行っていただく皆さんの補助というのは三分の二でございました。しかし、やっと十分の十にできたところでございます。そうした意味では、行っていただく皆さんへの御負担が少しでも軽くなったなというふうには考えておりますけれども、今お話しのような、では若い皆さんに声をかけるというところについて、政府の予算を出してこなかったことは事実でございます。

 今後、しかし、お話しのようなこともありますから、その辺のところがどういうことができるか、よく検討してみたいと考えます。

泉(健)委員 これはお金をかけなくても、例えば厚生労働省のホームページで募集をし、そこで集まってきた方々をJYMAが、例えば御遺骨の部位すべて名称を覚えて、そしてどういった場合にそれを一体、一柱と確定するのかということまで全部我々は勉強して派遣をするわけです。現地の戦史もすべて学んで派遣をされるということですから、例えば厚生労働省が募集をして、そしてそれをJYMAに渡して、そこで研修を受けて派遣をするという方法もあると思うんですね。これは、例えばホームページで一つ募集項目をつくれば、さほどお金を使う必要もないわけですから、そういったこともぜひ考えていただきたいと思います。

 そしてまた、若者がこういった旧戦地に赴いて、現地の今、そして過去を知るということは、非常に教育的な意味も効果が大きいというふうに私は思っておりますので、この拡充ということ、あるいは後世に伝えていくということも含めて、ぜひ今後とも御検討いただきたいと思います。

 質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、中根康浩君。

中根委員 中根康浩です。

 我が党には、泉健太議員のように本当にいろいろな活動をされておられる優秀な人材がたくさんいらっしゃるのだなと、改めて今痛感したところなんですが、特別弔慰金についてお尋ねをしながら、厚生労働省あるいは大臣のお考えをお尋ねしてまいりたいというふうに思います。

 重ならないようにしていきたいと思いますけれども、ただいま泉議員とのやりとりの中で、大臣が、戦後六十年たったからといって悲しみがなくなるわけではないというふうに御発言をされました。まさにそのとおりで、むしろ戦後六十年という節目を迎えて悲しみが新たになっている、そんなような思いがいたしているところでございます。

 最近いろいろなところで話題になっていますけれども、ちょうどあしたが東京大空襲の六十周年という日を迎えるようであります。資料でも配付をさせていただいておると思いますけれども、各地でいろいろなイベントが行われておりまして、私もテレビ朝日で行われております東京大空襲展というところに行ってまいりました。

 そこで、記憶あるいは伝聞をもとにして描かれた絵を拝見させていただいて、こういった画集といいますか、本を買ってきたんですけれども、これを見ますと、言問橋が炎上して家族全員を亡くした狩野さんという方の絵と、そして文章が書いてあるんですね。

 それまで一緒だった家族とはぐれてしまった。呼吸も苦しく、雨のようにふりそそぐ火の粉の熱さに耐えかね、隅田川に飛び込んだ。私は、橋下の石段に割り込んで入り、そこで燃えあがる言問橋を見あげた。橋上は燃えあがり、人々は欄干にはりついていた。

  夜が明けると、橋の下に生き残った者が二十人ほど集まったが、ほかはすべて焼死か水死していた。

  私はここで一家六人を亡くした。しかし、本当の苦労はそれからだった。戦災孤児というハンデのもと、何十年ものあいだ、故なくして侮りを受け、社会の底辺にしがみついて生きなければならなかった。一体誰が、どんな形でその責を負うのか。願くば、戦争を知らない世代の人々が、このような地獄を再び味わうことのないように祈るのみだ。

というふうに手記を書いておられます。

 今、こういったような形で、戦後六十周年あるいは東京大空襲六十周年、そういったもので戦争のむごさやあるいは平和の大切さを再認識すべきだ、戦争の体験を風化させるべきではない、語り継ぐべきである、そういったことが重要視されておる、そういったことの大切さが改めて再認識されなければならない時期に来ているというふうに思わせていただいております。

 もう一つ、東京駅のホテルのギャラリーで行われているのが、この「無言館 遺された絵画展」というものでした。この無言館というのは、東京芸大の学生さんが戦争に召集されていった、その学生のときにかいていた、勉強していた絵、これが、まだまだ学生ですので未完成のものが多いわけですけれども、そういったものを仲間が集めて、無言館という施設で保存をしているというものなんですけれども、これもちょっとだけ紹介をさせていただきます。

 特別弔慰金の議論の中で、その特別弔慰金を支給する対象が、今七〇%以上の方が兄弟姉妹になっているわけなんですけれども、やはり兄弟姉妹の方の思いというのも本当に悲痛なものがあるんですよね。

 中川さんという方が戦争に行ったんですね。「お姉さん 生きて還ったらぼくをパリに行かせてくれますか」というやりとりが最後のやりとりだった。出征するほんの少し前、珍しく勝吉が居ずまいを正して私のところにやってきて、お姉さん、一つ頼み事があるんですと。「何なの?ときくと、もし自分が戦争から生きて還ってきたらもういちど絵の勉強をやりなおしたい、生きて還ったらぼくをパリに行かせてくれますか、といって真剣な眼で私をみつめるんです。私はもちろん行かせてやるとも、だからどんなことをしてでも生きて還っておいで、といってやりました。」という思い出とともに、絵が展示をされておりました。

 やはり、戦争の体験を語り継いでいくということ、あるいは英霊の顕彰はこれからも引き続き行っていくということ、戦没者の遺族に対する国としての責任を果たしていくということの大切さを、こういったことからも痛感させていただきました。

 昭和館というところにも行ってまいりました。昭和というのは、第二次世界大戦、太平洋戦争がクローズアップされがちなんですけれども、その前には、ささやかな幸せを享受できるといいますか、そういう穏やかな時期もあって、そして戦争に突入して、戦後の苦しい時期があって、高度経済成長があってという、まさに激動の時代だったということなんですけれども、昭和館というところでもパンフレット、これなんですが、当然、大臣や厚労省の皆さんは一度は行かれたことはあると思います。ここでもやはり、英霊に対する顕彰の大切さ、こういったものを感じさせていただいた次第でございます。

 それに、今、郵政の民営化というものが話題になっていますけれども、昭和館には、特に軍事郵便、戦地とのやりとりをした郵便物というか、はがきとかお手紙がたくさん飾ってあったんです。もし民営化されて、そして、もし、もし、日本が戦争になってしまったら、民営化された、まあ今はメールとかありますから違うのかもしれませんけれども、その軍事郵便というかそういったものが、どういうふうにきちんと行われていくのかなというようなことも改めてちょっと感じながら、見学をしてきたんです。

 そこで、特別弔慰金のことなんですけれども、特別弔慰金、兄弟姉妹、あるいは、おい、めい、こういった方々に支給をされるということなんですけれども、遺族会の方にちょっと聞いてまいりました。

 遺族会の方に、この特別弔慰金のことについて何か意見はお持ちですか、御要望はありますかというふうに聞きましたら、兄弟姉妹で、例えば一番上のお兄さんがいて、弟と妹がいて、三人兄弟で特別弔慰金を受け取っていた。一番上のお兄さんが亡くなった。戦没者の、英霊のお墓、あるいは仏壇なら仏壇は、そのお兄さんとその奥さんがお世話をしていた。それで、お兄さんが亡くなると、その弟と妹がその特別弔慰金を受け取ることになるわけなんですけれども、別に冷たいというわけじゃないんですが、例えば、弟と妹は日常的にはどこかよそに行って、僕は愛知県ですので、東京や大阪に行って仕事をしたりお嫁に行ったりしている。そういったときに、お兄さんが亡くなった場合に、今まで仏壇やお墓のお世話をしていたそのお兄さんのお嫁さん、奥さんは、そういう弔慰金を受け取ることができない。ここが非常に心情的に忍びないという御意見を承ってまいりました。

 ここにきちんと特別弔慰金が行き渡るように、支給されるように、今回はちょっと無理かもしれませんが、今後、そういった形で検討されることについてはいかがお考えでしょうか、御見解をお聞かせください。

尾辻国務大臣 この特別弔慰金ができましたときに、これは関係者の間では有名な大臣答弁がございまして、何と言ったかというと、祭祀料であって祭祀料でありません、こういう答弁をしております。

 これはどういうことを言ったかといいますと、遺族の、私もその一人でありますけれども、どうしても国に対して、祭祀料として欲しかった、もう少し言葉をかえて言うと、花代、線香代みたいな形で、国のために死んでいった人たちの花代、線香代を出してくださいよと言いたかったんですけれども、これはだんだん検討していきますと、どうしてもそうして出すと憲法との関係が出てきて、触れるおそれがあるということで、祭祀料として出せない。それで、国としてもやはりそういう気持ちはあるわけですから、では国が出せる形は何かというと、特別弔慰金という、国が弔意をあらわすお金だということで、特別弔慰金としてこの制度ができたという経緯がございます。

 その経緯の中で、では、だれが受給者になるかということになりますと、祭祀料でありませんので、今お話しいただいたようなことを基準にせずに、やはり亡くなった方に近い、血のつながりが近い順番で順番をつけて、その一番近い方に受給してもらうという制度にどうしてもなっておるというところがあるわけでございます。

 今お話しになったことはいつも我々も聞く話なんですが、そういう経緯があるものですから、今申し上げたようなことで、今の制度にしてあるということでございます。

中根委員 ありがとうございます。

 続きまして、その特別弔慰金のことについてなんですが、さっき泉議員も触れましたけれども、これは六十周年だから今回も支給するということなんですけれども、戦争は二度と起こしてはならない、その悲惨さは語り継いでいく、英霊に対する顕彰は未来永劫あるべきだというような考え方からすれば、十年ごとというよりも、やはり戦没者の方がいらっしゃる間はきちんと国として責任を持っていくということを、改めてこの機会にお願いしておきたいと思います。

 それから、来年度予算の中に、戦傷病者等の労苦継承事業ということがありますけれども、これが五億九千五百万円。今までの御説明の中で、平成十三年度から検討が始まっていて、またどこかに資料館のようなものをつくるというように聞いておりますけれども、東京にはこういう昭和館がある、西の方に行くと広島に原爆祈念館があって、戦争のことを伝え、語り継いでいるということですので、この資料館をつくるに当たっては、ぜひ日本の真ん中で、セントレア国際空港もできて、いろいろな意味で整備されている名古屋近辺に設置をしていただけないかという要望も含めて、この事業のことについて教えてください。

小島政府参考人 先生今御指摘の戦傷病者等労苦継承事業でございますが、戦傷病者の方あるいはその妻が体験した戦中戦後の労苦を後世代に伝えることを目的とした事業でございまして、平成十七年度秋ごろを目途に、収集、蓄積いたしました資料の展示を中心として事業を開始するということになっております。

 これは、実際にはこの事業は傷痍軍人会に委託をするということでございまして、どこにどういうふうな施設をつくるかというのは今検討をしている最中であるということでございます。

中根委員 昭和館のことについて戻りますけれども、昭和館は遺族会にその運営を委託しているということで、貴重な資料が展示されてあって、本当に、僕が行ったときにも小学生が総合学習の一環として来ておりましたけれども、その運営体制なんです。

 これは知識経験を持った人が当たるということでいえば望ましいと思われるのかもしれませんけれども、この館長さんの花輪さんという方は元厚生省の援護局長ですね。それから、事務局長の池口さんという方は前厚生労働省社会・援護局の業務課長。総務部長の山内さんという方は前厚生労働省社会・援護局の援護課審査室長ということで、昭和館の主要な運営メンバーがいわゆる厚生労働省からの、援護局からの天下りというようなことを言っては失礼かもしれませんけれども、そういうようにも見受けられるようになっているわけであります。

 こういったところが、専門知識を生かすということであれば許されるのかもしれませんけれども、天下りの指定席というような形になっていかないように、ぜひ気をつけていただきたいと思いますけれども、そのあたりについて御見解をお聞かせいただけないでしょうか。

小島政府参考人 昭和館は財団法人日本遺族会に運営を委託しておりまして、今御指摘の厚生省OBにつきましても、日本遺族会が適材適所を判断した上、職員として採用されているというふうに承知しております。

 なおまた、国が設置する施設でございますから、公正中立的な運営が図られるよう、厚生労働省に有識者から成る昭和館運営有識者会議を、また、遺族会には第三者による昭和館運営専門委員会を設置しておりまして、その意見を聞きながら、公正中立な運営が図られるよう、さらに努力してまいりたいというふうに考えております。

中根委員 話題をかえます。

 大臣に政治姿勢を伺いたいということなんですけれども、お手元に配付した資料にありますように、日経新聞の二月十六日付の記事の中に、経済財政諮問会議の中で、民間議員の方は、社会保障費を抑制するために名目成長率以内にとどめる案を提言した、それに対して、大臣は、機械的な管理は不適切であると言って毅然として反論をしていただいたという経緯があります。

 私も大臣のお考えが妥当だというふうに思います。必要な予算は必要なものとしてきちんとつけていく、その一方でむだなものは削っていく、そういうことであるべきであって、そういったことの中でセーフティーネットをきちんとつくっていくということであって、一律的な削減とか財政論が優先する中での抑制ということは、やはりあってはならないというふうに思っております。

 今、もう時間がありませんので、質問だけまとめて申し上げますけれども、この二月十六日の時点から現在に至るまで、大臣のお考えは、今後も含めてお変わりなく厚生労働行政を牽引していただけるものかどうかということが一つ。

 それから、無年金障害者の問題です。

 無年金障害者、お手元に配付をした資料で投稿がありますけれども、これは、なぜこの人が無年金障害者になってしまったかといえば、当時、大学生は任意加入の時代でした。任意加入の時代でしたので、入らなくてもいいというふうに市役所で言われた。しかし、この大学生は夜間の大学生だった。夜間の大学生は実は強制加入であったのですね。

 昼間の大学生は任意加入、夜間の大学生は強制加入、果たしてどれほどの国民がこの区別をきちんと峻別をして年金に向き合っていたか。あるいは、役所の方としても、そういったことに対する丁寧な説明が行われていたかどうか。そういったことを考えれば、夜間の学生だったために未加入ではなくて未納だ、したがって、ことしの四月から行われる特定給付金の対象にもならない、まさに本当に小さな穴にはまり込んでしまったケースの無年金障害者なんですね。

 これはもう分科会でも実は質問いたしましたので、大臣から見解を伺うというよりも、こういったケースもあるということを自民党や公明党の先生方にも御認識いただいて、今後の無年金障害者の救済法案の方にぜひ盛り込んでいただきたい、生かしていただきたいという思いで、今取り上げさせていただいておるわけでございます。

 それから、最後の質問なんですけれども、カリタスの家の虐待の実態について資料を添付させていただいたと思いますが、これはぜひ御一読をいただければと思いますけれども、障害者虐待についてもきちんと実効性ある防止策を、抑止策を講じていかなければいけないという、本当にぎりぎりの状況になっていると思います。

 そして、まず、今できること、特に大きな予算をかけなくても、法律をつくらなくても、まず、今できることを行うべきだ。以前に、山井議員が児童虐待のことについて、コンビニをその一つの拠点としてうまく使って虐待防止を呼びかけるべきだということをおっしゃったら、早速対応していただいたという経緯もありますので、今、さまざまな施設で、ポスターを一枚つくって、あなたが今行っている、教育とかしつけとかという名目で行っているその行為は虐待ではありませんか、虐待になっていませんかという呼びかけというか、自己チェックを促す、そういったポスターを一枚その施設に張っておくことによって、大きな抑止力になるかもしれないというふうな期待を込めて、そういうことをまず第一歩、取り組んでもらうことはできないかということをお願いしたいと思いますが、それぞれお答えをいただければと思います。

尾辻国務大臣 まず、お触れいただきました日本経済新聞の記事でございますが、そのとおりでございまして、そして、ここに書いてある私の考え方は今も一切変わっておりません。今後ともこの考え方で頑張っていこう、こういうふうに考えております。

 それから、虐待防止の中で具体的な一つ御提案をいただきました。大変貴重な御提言をいただいたところでございますので、これはもう早速、有識者の意見も聞いて、対応するように事務方に検討をさせます。

 お答え申し上げます。

中根委員 ありがとうございます。

 本当によかったです。虐待をする人というのは、小さいころ、被虐待、虐待の被害に遭っていたというケースが多いとも言われています。だから、虐待の悪循環といいますか、虐待の連鎖というものをこの世で断ち切っていくためにも、ぜひ必要なことを必要なタイミングで行っていただけますようにお願い申し上げ、本日の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 まず、児童扶養手当の額等の特例法についてお尋ねしますが、今度の法律は二項から成っておりますけれども、この二項の読みかえの中身についてただしておきたいと思います。

 これを見ますと、今年四月以降について、物価指数が上がっても、特例措置によって一・七%分がかさ上げされているという現状からいって、これが解消するまでは、児童扶養手当、特別児童扶養手当、それから原爆諸手当関係など、十に及ぶ各種手当額は上げない、そして物価指数が下落した場合にはこれを減額する、こういう読みかえであるということに間違いありませんね。

伍藤政府参考人 児童扶養手当等の各種手当の手当額につきましては、いわゆる物価スライド制がとられております。今回の法案の趣旨でございますが、平成十二年度以降物価が初めて下がったわけでありますが、その際に、毎年度、特例法を出して、物価の下落にもかかわらず据え置くという措置を講じてまいりました。現在、それが累積して一・七%かさ上げされた状態になっております。

 今回の法律案は、この一・七%のかさ上げされた特例措置につきまして、来年度以降、物価が上昇した際には手当額を据え置いて、それから、物価が下落した年にはその下落した分だけ下げるという措置を講じまして、徐々に一・七%分の特例措置を、かさ上げ分を解消していこう、こういうことで、御質問のとおりだと思います。

山口(富)委員 大臣は、この法案の提案理由の説明の際に、この一・七%分については「手当受給者の生活に配慮した段階的な解消を図る」、こういうふうに述べられましたけれども、その中身というのは、一・七%あるけれども、これを一遍に解消すると大変だから段階的にということだけであって、生活に対する配慮というのはもともとない仕組みなんです。物価が上がっても手当は上げないが、物価が下がったら減額する、そういう仕組みなんです。

 では、確認しますけれども、この仕組みの対象人員、一体どの程度の人たちがこの仕組みのもとに置かれるのか、示していただきたい。

伍藤政府参考人 今回の特例法の対象者数でございますが、今回は、児童扶養手当を初めといたしまして、障害者の関係それから原爆の被爆者の関係、合わせて十の手当が対象になります。個別には申し上げませんが、それを累計して、十手当の総計で約百四十六万人が対象になるということでございます。

山口(富)委員 十の手当で大体百四十六万人だというお話がありましたが、この十の手当というのはそれぞれに全部設置の目的が違うんですね。

 例えば、受給者約八十七万人の児童扶養手当は、両親の離婚等により父と生計を同じくしていない児童の健やかな成長のため、生活の安定と自立の促進を目的として支給する手当だ。手当額についても、生活の安定と自立の促進に見合っているかどうかの検討が求められるわけです。ところが、これをやらずに自動的に改定する、減額するというやり方は、私はこの児童扶養手当の目的に全くかなっていないやり方だと思うんです。

 しかも、障害者や原爆症対応の各種手当についても、それぞれの目的があるわけですね。人数の多い、受給者の多い二つを挙げてみますけれども、十六万人を超える特別児童扶養手当、これは、障害を有する児童について手当を支給することにより、これらの児童の福祉の増進を図ること。それから、二十三万人を超える原爆関係の健康管理手当、これは、放射能との関連性を完全に否定し切れない疾病にかかっているため、日常十分に健康上の注意を行う必要があり、そのために必要な出費に充てるというふうになっているんです。

 このように、手当をつくった目的も違う、それを受給されている方々の生活の実態も違う、こういうものをいわば十本丸めた特例法で対応する、こういうことになりましたら、これは大臣に答えていただきたいんですけれども、一体、各種の手当を設けた、それが手当の目的どおりに見合った行政が行われているかどうなのか、そういう点検がどうしてできるのか。ここには、私は、政治の責任の後退はあるけれども、これを果たす仕組みというのは弱くなってしまうじゃないか、そういうふうに思うんですが、大臣はどうやってこの行政の責任を果たすおつもりなんですか。

尾辻国務大臣 お話しのように、今度のお願いしておることでは十の手当が対象になっております。そして、その十の手当は、それぞれに目的がございます。

 ただ、その共通しておるところが、物価スライド制をとっておるということでございます。このことについての御議論はいろいろおありでしょうが、まず物価スライド制をとっているということが共通しておる。そして、その物価スライド制に係る部分でありますから、この際一括して十の手当を特例法で措置をさせていただきたい、特例法と同じように全手当を一括して対象とした、こういうことでございます。

山口(富)委員 ですから、私が申し上げているのは、そういう枠組みをつくったときに、政治の責任、その各種手当を設けた目的に見合う行政が行われているかどうかということが点検できなくなるじゃないかというふうに聞いているんです。

尾辻国務大臣 お答え申し上げておりますのは、ちょっとすれ違っているのかもしれませんけれども、十の手当とも全部物価スライド制をとっている、その物価スライド制に係る部分の話であるから一括してお願いをしておるということでございます。

山口(富)委員 物価スライド制については私ども反対ですけれども、少なくともこの間は、特例措置をとったことも含めまして、毎国会で大問題になってきたわけですね。ところが、今度は手当額そのものも政令にゆだねてしまうんですよ、一たんこの仕組みをつくったら。そうしましたら、今の経済状況というのはなかなか先行きがよくわかりませんから、一体この一・七%のかさ上げ分の解消が、段階的といっても、どれだけかかるかもわからないんですね。そういう仕組みをつくり上げることは、やはり本来の目的からいってうまくないということを私は申し上げているんです。

 さて、私、話をもう一つ進めますけれども、実はこの同じ委員会の部屋で、以前母子寡婦法の改正というのがありまして、これで、それまでの支給が十八歳の年度末というものだったんですけれども、これが支給開始五年後には半減するという法案の参考人質疑があったんですね。そのときに、たしか五人の方がお見えになったんですけれども、とにかく母子世帯への命綱を削らないでくれという声が軒並み出てきたことを私は今も本当に強く思い出すんです。

 厚生労働省に確認しておきたいんですが、厚生労働省が例えば五年ごとにやっております全国母子世帯等調査、それから毎年度やっている国民生活基礎調査、こういうのを見ましても、今の母子世帯の生活実態が大変苦しい状況にあるというのは私は間違いないと思うんですけれども、そういう認識は厚生労働省としてやはりきちんと持っているんですね。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

伍藤政府参考人 母子家庭の状況でございますが、先ほど来いろいろ御議論がありますように、平成十五年度で母子家庭百二十三万人と、五年前の調査から二十七万人増加しておるということで、母子家庭の数そのものがふえておるということが顕著な傾向でございます。その生活状況でございますが、平均の年間収入あるいは常用雇用割合、これが五年前の調査からかなり減少しておるということも事実でございます。

 ちなみに、数字を申し上げますと、平均年間収入が、十年度の二百二十九万から十五年度調査では二百十二万円になっておる。それから、就業割合が、前回八四・九%でありましたが、八三%。そのうち常用雇用、これも先ほど議論がございましたが、五〇・七%から三九・二%に低下をしておる。こういった厳しい状況になっておるということは私どもも十分認識をしております。

 ただ、この数年、母子家庭の自立、前回の法改正時の議論もそうでありましたが、できるだけ自立を支援といいますか、自立を高めていく、今こういう政策を中心に展開しておるところでありますが、こういった現実の数字はきちっと受けとめていろいろ考えなきゃいかぬというふうに思っております。

山口(富)委員 今局長から幾つか数字が挙がりましたけれども、それは母子世帯をとっての数字なんですが、一般世帯と比較しますとこの深刻さがよりはっきり浮き彫りになると思うんです。

 今、収入が約二百十二万だという話がありましたけれども、これは、国民生活基礎調査とのかかわりで見ますと、一般世帯の四割以下なんですね。しかも、失業率が高くて、就業していてもパート、臨時が多いということで、厚生労働省の調査を見ましても、一人親で困っていることのトップに挙がるのが家計の四三・七%、それから仕事が二二・五%。これだけ、厳しいという話がありましたけれども、ここから私は話を進めなきゃいけないと思うんです。そういう厳しい生活実態を見ますと、今問題になるのは、やはり児童扶養手当額がそもそも低くて、支援が弱過ぎる、ここのところをどう改善するのかというのが私は政治のかなめだと思うんです。

 大臣にお尋ねしますけれども、こういう厳しい生活実態からいきまして、今、母子世帯への総合的な支援の充実をきちんと図る時期だというふうに思うんですが、この点はいかがですか。

尾辻国務大臣 先ほど来お話しいただいておりますように、母子家庭につきましてはその数がふえております。そして、そればかりじゃありませんで、生活状況も厳しい状況にあると認識をしております。そのように私どもも認識をしておるということをまず申し上げます。

 そこで、私どもが考えるべきは、まず、先ほど来これも申し上げておりますけれども、自立に向けた支援をさらに進める必要がある。そして、そのために母子家庭の自立支援策というのを幾つもやってきておりますが、先ほどこれは数字まで申し上げましたけれども、必ずしも充実しておる、その支援策がうまく進んでおると言えない状況にございます。

 ですから、今先生お話しのように、そうした手当も、その手当だけではなくて全体の施策の中で母子家庭を支援しなきゃいけない、こう考えておりますから、最後に先生がおっしゃった全体で考えていくべきだということに対しては、私どもも全くそのように考えております。

山口(富)委員 今、支援策が必ずしもうまくいっていないというお話がありました。それだけに、手当額を含めました総合的な支援が必要だというお話だったんですけれども、そういう認識をお持ちなら、今度のようなやり方は、やはり社会的弱者や障害を持っている方、原爆被爆者の方々に対する、約百四十六万人ですから、私は政治の冷たい仕打ちになってしまうというふうに思いまして、この点はやはり認めることはできないということを申し上げておきたいと思います。

 さて、続いて、特別弔慰金支給法の改正案について尋ねますが、ことしは戦争が終わって六十年ということで、振り返ってみますと、軍人軍属に限らず、動員学徒、徴用工、一般市民を初めとして、全国で三百十万と言われておりますが、大変な戦争犠牲者が生まれました。これは、アジアに目を転ずれば、どれだけの惨禍をもたらしたのか、間違った侵略戦争だったのかということは、私、戦後六十年に改めてきちんと思いをいたすべきだと思うんですが、今度の改正案は、未曾有の戦争被害への国としての、先ほど、犠牲者への弔意のあらわれだ、国としてのあらわれなんだという話がありましたけれども、そういうものとして私は改正に賛成なんです。

 それで、問題になってきますのは、一つは、戦後六十年という節目で考えたときに、戦争被害者あるいは戦争犠牲者というのは軍人軍属に限らないわけですね。例えば、いわゆるサハリン、樺太などで棄民政策がとられたということで批判を受けたりします。大臣の基本的認識をお尋ねしますけれども、戦後六十年に際しまして、戦争犠牲をめぐる問題で政治が取り組むべき課題ですとか解決が求められる課題というのは、今回の改正の提案に限らず広くあるんだという認識を持っているかどうか、それをまず確認しておきたいと思います。

尾辻国務大臣 戦後六十年たって、やらなきゃならない戦後処理、まだまだ多く残っておる、こういうふうに私も認識をいたしております。

山口(富)委員 今、戦後処理にかかわる多くの課題が残っているというお話がありました。

 きょう私が一点お尋ねしたいのは、その中に、いわゆるシベリアやモンゴルにかかわる抑留者の問題があるということなんです。シベリア等に抑留された元日本兵は、ポツダム宣言に反して、スターリンの弾圧、抑圧政治による犠牲者なわけですね。いまだにこの人たちには、戦争の犠牲を受けたにもかかわらず、抑留中の強制労働にかかわる賃金さえ払われていない。

 大臣にお聞きしますけれども、先ほど質疑の中で、遺骨収集の問題で、南方地域とシベリア地域、それぞれについてきちんと考えなきゃいけないというお話がありましたけれども、そのお話からいきますと、南方戦線の場合は、帰国したり復員したときに、連合国側が発行した労働証明書に基づいて日本政府が賃金を払ったわけです。ところが、シベリアの場合は、その後いろいろ経過はありましたけれども、最終的に旧ソ連やロシアが労働証明書を発行するようになりましたが、それにもかかわらず賃金が支払われていない。こういう現状に対して、当事者の皆さんがこれを何とか解決してくれということを繰り返し要請してきているわけですね。最高裁の判決を見ましても、総合的政策判断の上に立法措置を講ずる必要があるということを述べているわけですけれども、高齢化した抑留者の皆さんが次々と世を去っておりますから、そういう時期だけに、関係者が、名称はどうあれ、何らかの政治的対応を求めています。

 そこで、大臣に、戦後六十年という大きな節目に当たって、シベリア、モンゴル抑留について一体どういう事情や問題があったのか、改めて調査をするなり対策の部屋を設けるなり、そういうことを含めて真剣に考えるべき時期にあるというふうに思うんですが、この点いかがですか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

尾辻国務大臣 まず、私も、シベリアの抑留された皆さんの墓地、それから遺骨収集にも行っております。本当に、現地に行きますと、よくぞこんなところでと思いますし、こんなところで冬を迎えたら何人生き残れるんだろうと思います。したがって、もう皆さんの御労苦というのは十分しのばれるわけでございます。

 したがって、そのことについて、一体どういうことであったのかということを改めて検証してみる必要というのは、必要なことだと思っております。どんなことができるか、今突然のお尋ねでございますので、よく事務方と相談してみたいというふうに考えます。

山口(富)委員 私は、この質問内容については昨日通告しておりますから、突然の質問ではありません。しかし、大臣が何ができるか考えたいということですから、真剣な対応を重ねて求めておきたいというふうに思うんです。

 確かに、あの抑留では、約六十万とも五十数万とも言われますけれども、一割の方が亡くなったんですね。戦争状態を考えましたら、一割の兵士が命を落とすというのは壊滅的な打撃ですよ。そのぐらいの苦難を味わっているわけですから、ぜひ実態に応じた政治の対応をしっかりやっていただきたいと思います。

 さて、最後になりますが、厚生労働行政にかかわって一点確認しておきたいんですけれども、先日、ハンセン病問題で検証会議の最終報告書が出されました。大臣は直接それを受け取られたわけですけれども、この最終報告書のかなめというのは、ああいう未曾有の人権弾圧、人権抑圧に対して、二度とこういう過ちを犯さないという、再発防止という点にあったと思うんです。

 それで、大臣に、一点は、この報告書をどう受けとめ生かすという立場に立っているのかということをお尋ねしたいのと、もう一点は、再発防止とのかかわりで九項目の提言がありますが、その中でも、立法化などへのロードマップ委員会の設置が求められています。ここに患者さんや元患者さんを含めた第三者委員会を早急に立ち上げていくことが必要である。この二点について大臣の所見を求めます。

尾辻国務大臣 まず、先ほど突然のお尋ねでありましたということを申し上げたことはおわびを申し上げます。シベリアのことでお聞きいただくというのは承知しておりましたが、最後の部分だけがちょっと私が念頭になかったものですから、ついそういう言い方をいたしましたことをおわびを申し上げたいと思います。

 そこで、ハンセン病の最終報告でございます。私も大変これは重い最終報告書だと思いましたから、委員会を失礼して、特にお許しをいただいて委員会をちょっと抜けさせていただいて、私みずからいただいてまいりました。大変、そういう意味で極めて重い最終報告書をいただいた、まずそういうふうに考えております。

 そして、再発防止といいますか、もう二度とこんなことがあってはいけないという貴重な御提言をいただいておりますから、まずこれを尊重しなきゃいけないというふうに考えますし、それから、今後の政策の立案だとか実行に生かしていかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。

 そして、先生言われました検討会の設置でございますけれども、これは言われておりますから設置をいたします。ただ、今私どもが考えておりますのは、十七年度内を目途にという、ちょっと時間がかかり過ぎるんじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、いろいろ検討すべきことや調整することがあろうかと思うものですから、今私どもがお約束できるのは、十七年度内にはつくりますということを申し上げたいと存じます。

山口(富)委員 真剣な、早急な対応を求めて、質問を終わります。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 冒頭、今日かかりました二法案のうち、戦没者の御遺族等に関する弔慰金の問題は、長く平和の問題をこの二十一世紀も我が国の国民の多くが心にとどめ、非戦の国として生きていくための一つの国からの国民へのメッセージと私は思っておりますので、基本的には賛成をいたしたいと思います。

 そして、本日の質疑の中で、特に、泉健太さんもお取り上げくださいましたが、私も従来から、また尾辻大臣もずっとこのことで御尽力いただいております御遺骨、これは御遺骨と言うよりは御遺体と私はあえて言いたいと思いますが、この収集問題については、やはり国がそれをきっちり行うものであるという覚悟を示した文章がどこにも、実は法律の中にもないし、全く国会でもない。決議が一つございますが、これも国民感情を考えてということで、亡くなっていかれた方への国の責任ということがございません。私は、その意味からも、やはり特別立法ということを望みますし、先ほどの大臣と泉さんとの質疑を伺いながら、もう一点。

 私は、せんだってビアクに行かせていただいたというお話もいたしましたが、これは外務省と連携を深くして、特に、例えば私の行きましたビアクでは、もうその住民がどこに、だれの、日本人のとおぼしき御遺骨があることは十分知っておって、そして、そのためには外務省がインドネシア政府と交渉したりといういろいろな手続が必要で、まして、私は、既に例えば土に、まあ、わからなくなった御遺骨もおありでしょう、その場合に、例えば、現状、そこでずっとその御遺骨が眠られるということも考えた場合に、その地域に対して、例えばビアクに対して、今一番マラリアが多くて、たくさんの乳幼児、あるいは死亡原因の一位になっていることに対して、日本政府がどんな援助やどんな未来像を共有できるかという提案までも含めて、これはODAの問題にもかかわってきますが、トータルに施策しないと、日本のかつてと未来が続いていかない。

 そして、亡くなった方も、恐らく、日々波の音を聞きながら、あるいは子供たちの喧騒を聞きながら、でもそこでもし眠らざるを得ないとしたら、そこの地域が戦争というものから平和に向けて、未来に向けて発展してくれることを何よりも願っているのは、実は戦没者の皆さんであると思います。

 それゆえに、戦後六十年の今日、やはり国としての姿勢、内閣、政府を挙げての姿勢、あるいは立法の意思というものを明確に示していただきたいと思います。

 重ねての答弁になりますが、私は、大臣の誠意と思いを非常に共有したいと思います。ただ、それが全体の、国会の意思、あるいは内閣の意思となるようなお取り組みについて、それは特別立法も含めてですが、再度お考えを伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、国のために亡くなった方の御遺骨を、今先生は御遺体という表現をなさいましたけれども、御遺体、御遺骨を国の責任でちゃんと日本にお連れするということは、これは当然国家の責任だと思います。そこのところは明確にしたいと思いますし、また、改めて明確にする方法が何であるかということはもう一度考えさせていただきたい、こういうふうに思います。

 そして、今先生が幾つかおっしゃった中で、一点また申し上げたいことは、今、遺骨収集だけじゃなくて、慰霊巡拝に出かけます。そのときに、今やっております慰霊巡拝の一つには、友好親善という、友好親善慰霊巡拝という言葉がついております。まさに先生のお気持ちの、友好親善をやりながら慰霊巡拝をしたいという思いでございますので、ぜひそうした精神を生かしながら今後進めていきたいというふうに考えます。

阿部委員 例えば、ちなみにですが、慰霊碑のすぐ後ろに御遺骨が、ほんの三十センチのところに埋まっていたりいたします。本当に、他の国から見れば、日本というのはどんな国だろうと思われかねないなと私は実は、吉田茂首相の書かれた碑の文字の後ろ側から出てきた御遺骨、やぶの中から、それを拝見しながら思った次第です。

 本当に、今大臣がおっしゃったように、日本がこれからアジアの国と生きていくその中身において、この御遺骨の問題もきっちりと解決していただきたいと心からお願い申し上げます。

 引き続いて、ことしは戦後六十年であると同時に、被爆六十年でございます。いわゆる日本人の被爆者の問題以外にも、在外被爆者、日本で被爆されて、その後、韓国やアメリカやブラジルにお住まいの、あるいはお帰りになった被爆者の問題のうち、いわゆる被爆者健康手帳や手当や、あるいは亡くなったときの葬祭料の支給については全部都道府県がその手続をしなければいけない体系に被爆者援護法ではなってございまして、その関係もあって、葬祭料が韓国で亡くなられた在日であられた韓国人の方について支給されず、そのことで長崎地裁に残された奥様が裁判を起こされたことがございました。

 昨日判決が出て、長崎地裁は、被爆者はどこにいても被爆者、そして、現在の司法判断では、被爆者援護法の趣旨や立法経緯、立法者の意思から判断すれば、在外被爆者にも同等な援護内容を実施すべきであるという判決が相次いでおります。

 残念ながら、厚生省は都度控訴しておられるわけですが、私は、さきの坂口厚生労働大臣が、例えば、被爆者の方で韓国にお住まいの方が韓国内で医療を受けられるように、これは、やはり私は一つの、現在ある法の抜け落ちた部分をどうやってより人間的なものに補てんしていくかということで非常にすぐれた判断と思って、心からこれも感謝申し上げるものなのですが、今回、尾辻大臣にぜひお願いしたいのは、皆さん御高齢で、特に寝たきり状態という実態が、例えば在韓の一千人以上に及ぶ被爆者の中にもう既に三十二名と、これはその団体から伺いましたが、あるというお話も聞いてございます。

 ぜひとも、来たくても来られない、寝たきりの方を連れてくるわけにもいかない、そして亡くなっても葬祭料もお渡しできないという状態について、せめて実態を積極的に把握し、もし法がそれを直に救援できないのであれば、何らかの人間的措置を考えていただくという二点にわたってお考えを伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 この在外被爆者の方々への支援につきましては、だんだんだんだんいろいろなことをやってきたということはもう先生御案内のとおりでございますから、改めて申し上げません。

 それから、訴訟が起こったのは、国外で亡くなられた在外被爆者の葬祭料でございますけれども、これは、従来政府が言ってまいりましたのは、被爆者援護法の支給対象とはならないということを言ってきたんですが、昨日の判決は、そのことを認めずといいますか、葬祭料を払うべきだという判断でございました。

 こうした中でのお話でございますけれども、まず、確かに、在外の被爆者の皆さん方に手当を差し上げますというようなことも言っておりますし、日本まで来ていただけば、その手続をしてください、それで差し上げます、また、日本に来られるに当たって一緒に来られる方が必要であれば、その方の旅費も出しますと言っておりますために、かなりの方が来ておられることは事実です。

 しかし、まだそういう来られる方というのは元気だから来られるわけで、先生お話しのように、寝たきりになって来られませんという方はどうするのという問題は確かに残っていると私も思っております。

 そうした方々、改めてどういう状態におありか、どのぐらいおられるかとか、いろいろなことをまた私どもは考えながら、このことを、さらに何ができるんだろうということを検討すべきだと思っておりますので、検討いたしますということだけはお約束を申し上げます。

阿部委員 日本の行政が人間的なものになるために、ぜひ御尽力をいただきたいと思います。

 後半を、児童扶養手当等の物価スライドに関する案件に向けさせていただきます。

 皆さんのお手元に資料として配らせていただきましたものの、まず三枚目をごらんいただきたいと思います。これは三月二日の毎日新聞の記事でございますが、簡略にまとめて言えば、この十年、いわゆる先進国と言われる国々でも、貧困層に分類される子供の数がふえておるという記事でございます。日本も、OECD諸国の中で、三十カ国のうちデータをとれた二十四カ国についていうと、かなり、中より下に位置するような、いわゆる貧困層が多い、一四・三%ということです。貧困層をどういう定義にしたかというと、国民の普通の世帯の五〇%に満たない世帯にいる子供を貧困層といたしました。

 私は、実は、月曜日と土曜日、小児科医をやっておりますが、その窓口でも御家庭が透けて見えて、最近苦しい御家庭が多いなというのが実感でございます。そこにこの調査がございましたので、確かに私の毎日の実感はそのことを裏づけておるなと思いましたが、さて、尾辻大臣にあっては、このユニセフ統計、あるいは厚生労働省としてこのような把握をしておられるかどうか、まず一問お願いいたします。

尾辻国務大臣 先生の御指摘で、正直に申します、この数字は初めて見ました。したがいまして、調査の詳細というのを承知しておるわけではございませんけれども、国民生活基礎調査によりますと、厳しい経済情勢を反映いたしまして、児童のいる世帯の一世帯当たり平均所得金額は、平成五年の七百四十五・六万円から、平成十四年には七百二・七万円と六%減少をしております。全世帯の一世帯当たり平均所得金額についても、平成五年の六百五十七・五万円から、平成十四年には五百八十九・三万円と約一〇%の減少となっておりまして、児童がいるいないにかかわらず、かなり厳しい状況になっておるということは私どもも認識をいたしております。

阿部委員 御高齢者にあっても、おひとり暮らしがふえたり、低年金、無年金問題もございますから、確かに日本全体、家計も苦しく、暮らしが苦しいという状況はある中で、しかしながら、我が国は今、少子高齢社会を迎えて、このことをどうやって越えていくか。特に少子化対策と称されるものがこれからの政策の重要課題になってくるという認識は、尾辻大臣も深くおありだと思います。

 私がお配りしました資料の一枚目には、先ほど申しましたユニセフのデータで、日本が貧困層統計一四・三%でOECD諸国の半ば、そして二枚目をあけていただきますと、これはちょっと英文でもありわかりづらいのですが、例えば北欧のデンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンなどでは、もしも税金による再配分、あるいは手当等によって子供への再配分が行われなかったとすると、貧困率を計算すれば、おのおの一一・八や一八・一になる、ところが、児童手当やさまざまな施策によって、子供を抱えた家庭の貧困率を軽減させておるという図でございます。残念ながらこの中に日本のデータはございませんが、例えばアメリカ等々ですと、ほとんど施策がないために、全体の施策、税の再配分を除く前でも二六・六で、それがあったとしても二一・九%と非常に貧困層が多いという集計ですし、逆に、北欧諸国は手当が手厚いために、子供を持つ家庭あるいは子供への給付が高いということでございます。

 ちなみに、日本の社会保障費全体も、OECD諸国中十七番目でしょうか。そして、かつ、子供対大人の給付を簡単に言わせていただくと、十七分の一だったように思います。

 まだまだ全体が苦しいのはよく承知しております。しかし、子供は次世代、子供は未来、子供は社会を私たちが次に渡していくための社会の財産と思います。大臣にあっては、この任期中にぜひ、子供施策、あるいは子育て、子育ち施策について、このユニセフ統計もよく勘案していただきまして、さらに充実させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 先生のただいまの御指摘というのは、このところよく御指摘いただくものでございます。大きく言って、子供に対する社会保障の給付とお年寄りに対する社会保障の給付、これが余りにも格差が大きいではないかということでございます。このことは私どもも御指摘いただいておるとおりだと認識いたしておりますから、このバランスというのをどういうふうにとるのか、もう一遍よく考えてみる必要があると思います。

阿部委員 その前に、OECD諸国の中でも社会保障給付は決して日本は高い方ではございませんので、御高齢者にしわ寄せして子供をよくしなさいと言っているわけではなくて、全体、この社会状況を見直していただければと思います。

 そして、母子世帯の統計に移らせていただきますが、実は、母子世帯の調査結果報告をいただきまして、そこで拝見いたしましたが、ちなみに、この母子世帯の平均収入は、平成九年が一般世帯に対して三四・八、平成十四年が三六・〇。いわゆるユニセフ統計でいえば貧困に全部入ってしまう、普通の世帯の五〇%行かないという集計であります。

 にもかかわらずと言わせていただきたいのは、その要約の中で、少しよくなった、一般世帯の比率よりはちょっとよくなったというような表現があって、これは実は、一つは母子世帯全体が日本の場合は平均してしまえば貧困世帯に入るんだという認識が薄い、ないんじゃないかという危惧と同時に、私は、やはり、こういう集計は有子世帯と一つは比べていただきたい。子育て中の世帯と比べて、母子世帯、母子で子育てすることがいかに大変であるか。

 ちなみに、有子世帯、お子さんをお持ちの世帯と比べた場合に、平成九年と平成十五年のデータをお示しいただきたいと思います。

伍藤政府参考人 全国の母子世帯等調査でございますが、データとしては、平均年間収入が前回調査に比べて母子世帯の所得が減っておる、こういうことでありますが、これを発表する際に、最近の経済情勢全体もありますから、そういったことの中で見るという意味で、一般世帯と比較した数字もあわせてお示しをしておるということでございます。

 ちなみに、御指摘のありました、一般世帯ではなくて有子世帯、児童のいる世帯との比較ではどうかということであります。児童のいる世帯の所得を一〇〇とした場合の数字でございますが、前回の平成九年が母子世帯は二九・九となっておりますが、これが平成十四年は三〇・二というふうになっております。これは母子世帯全体の平均収入でございます。

阿部委員 簡単に、切り詰めて言えば三割弱しかもらっていないということと考えなくちゃいけない。真剣に受けとめていかないと、私は、今百二十万世帯以上になった母子世帯の本当の救済というか支援にはならないと思います。

 最後に、時間との関係で一問伺いたいと思いますが、その方たちは、先ほど来御指摘のように、お母さんたちはほとんどが今非正規雇用になっております。母子世帯全体をとっても、お仕事のない方もおられますが、仕事についている方の中の、さっきは六割以上がパート、アルバイト、非正規雇用と。そうしますと、長期的に見た年金の問題がここに発生してまいると思います。

 例えば国民年金、お支払いができない、あるいは減免措置を受ければ、ただでも六万六千幾らの年金のフル額が、もっと少ない額、私どもの行いましたシミュレーションで、三十歳で母子家庭におなりになって、パート、アルバイト、派遣等々で働かれて、いざ年金受給のときどうなるかというと、三万円から四万円にしか行かないのではないかというシミュレーションもございます。この母子家庭の年金問題、いわゆるこれから論議されますでしょう年金問題の中にあっても特に私は重要と思いますが、厚生労働省としての施策をお伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 いわゆる国民年金、基礎年金というものの平均受給額は、五万二千円とも五万九千円とも、いろいろなとり方がございますが、言われております。実際、支給ができる二十五年ぎりぎりで四万円強ということですが、御指摘のように免除の期間が長いというようなことになりますと、もう少し低い額になっていくということがあると思います。

 短時間労働者に対する厚生年金の適用のあり方を見直すことは重要な課題だと認識しております。さきの法改正におきまして、短時間労働者に対する厚生年金保険法の適用については、被用者としての年金保障を充実する観点及び企業間における負担の公平を図る観点から、さまざまな配慮事項を記述いただいた上で、企業及び被用者の雇用形態の選択にできる限り中立的な仕組みとなるよう、総合的に検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるものとする、非常に充実した検討規定を創設していただいておると理解をしております。検討をしていかなければいけないという問題だというふうに重く受けとめております。

阿部委員 ぜひ早急に進めていただきたいのと、次回の母子家庭調査では、子供たちの進学問題でお母さんがどのようにお考えかということも問うていただきたい。やはり調査はメッセージでもあると思います。子供たちに十分教育を受けさせたいというアンケートが出たら、それを保障できるというような温かい母子家庭施策であってほしいとお願いして、質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十二分休憩

     ――――◇―――――

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案及び児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律案の両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 まず、内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 次に、内閣提出、児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党を代表して、児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律案について、反対の討論を行います。

 本法案は、本年四月以降、児童扶養手当など十の諸手当について、これまで特例措置でかさ上げされてきた一・七%分について、今後は、このかさ上げが解消されるまでは、物価が上がっても手当の増額はしない、物価が下がれば減額するというものです。

 児童扶養手当とは、児童の健やかな成長のために、母子家庭の生活の安定と自立の促進に資するものです。今日、母子家庭の平均所得は、諸手当を含めて二百十二万円と、一般家庭の四割以下です。就業でも不安定雇用が拡大しています。しかも、収入に占める児童扶養手当など社会保障給付費の割合は、〇二年度の一三・二%から、〇三年度には一一・四%へと低下しています。

 こうした現状から見て、生活の安定と自立にふさわしい手当額を確保することこそ、この分野で求められる課題です。

 ところが、この間、児童扶養手当は、十八歳未満までの支給から、支給後五年間で半減する支給削減が行われ、母子家庭の命の綱は弱められてきました。支給制限や不十分な手当額の現状を改め、支援の充実を図るべきです。

 まして、目的も生活実態も違う、障害者や原爆被爆者にかかわる各種手当を連動させ、減額することは、社会的弱者に対する極めて機械的で思いやりのない対応と言わなければなりません。

 以上の諸点を指摘し、反対討論といたします。

鴨下委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

鴨下委員長 次に、内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び介護保険法施行法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案

 介護保険法施行法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

尾辻国務大臣 ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 政府においては、平成十七年度予算編成の基本方針を閣議決定し、国と地方に関する三位一体の改革を推進することにより、地方の権限と責任を大幅に拡大し、真に住民に必要な行政サービスを地方がみずからの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国、地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図ることとしております。

 また、昨年成立した年金制度改正法においては、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げることとし、これに向けて今年度に続き平成十七年度においても、所要の税制上の措置を講じた上で、国庫負担を適切な水準へ引き上げるものとされたところであります。

 この法律案は、かかる政府の方針等を受け、国民健康保険の国庫負担率の見直し、基礎年金に対する国庫負担の引き上げ、国庫補助金等の廃止及び交付金の創設等の措置を講ずるものであります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、国民健康保険における保険給付等に要する費用に対する国庫負担を見直し、都道府県負担を導入することとしております。

 第二は、基礎年金の給付に要する費用について、平成十七年度において、国庫は、現行の三分の一及び千分の十一に加え、各制度を通じて千百一億円を負担することとしております。

 第三は、養護老人ホームへの入所措置等に要する費用、幼児の健康診査に要する費用等について国庫負担の対象外とすることとしております。

 第四は、市町村または都道府県の創意工夫を生かした介護・福祉サービス基盤の整備や次世代育成支援対策に資する子育て支援事業、施設整備等の実施を支援するための交付金をそれぞれ創設することとしております。

 なお、この法律の施行期日は、平成十七年四月一日としております。

 次に、介護保険法施行法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 介護保険法の施行の日前に市町村の措置により特別養護老人ホームに入所した低所得者について経過的に講じられている利用者負担の軽減措置は、平成十七年三月三十一日限りで失効することとなっております。

 しかしながら、本軽減措置の対象者が依然として多数に上ることから、本軽減措置の終了によってこれらの者の施設利用の継続が困難となることのないよう、本軽減措置を延長することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 介護保険法の施行の日前に市町村の措置により特別養護老人ホームに入所した低所得者について経過的に講じられている利用者負担に関する軽減措置について、有効期限を五年間延長することとしております。

 なお、この法律の施行期日は、平成十七年四月一日としております。

 以上、二法案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

鴨下委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会


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