衆議院

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第10号 平成17年3月25日(金曜日)

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平成十七年三月二十五日(金曜日)

    午前十一時四十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      菅原 一秀君    中山 泰秀君

      西村 康稔君    原田 令嗣君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      水島 広子君    横路 孝弘君

      米澤  隆君    若井 康彦君

      高木美智代君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 鈴木 直和君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          上村 隆史君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     加藤 勝信君

  河野 太郎君     西村 康稔君

  城島 正光君     若井 康彦君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     井上 信治君

  西村 康稔君     河野 太郎君

  若井 康彦君     城島 正光君

    ―――――――――――――

三月二十五日

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外一名提出、第百五十九回国会衆法第一六号)

は委員会の許可を得て撤回された。

同日

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四七九号)

 同(石井郁子君紹介)(第四八〇号)

 同(石毛えい子君紹介)(第四八一号)

 同(泉健太君紹介)(第四八二号)

 同(小林千代美君紹介)(第四八三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四八五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四八六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四八八号)

 同(藤田一枝君紹介)(第四八九号)

 同(三井辨雄君紹介)(第四九〇号)

 同(山口富男君紹介)(第四九一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四九二号)

 同(山井和則君紹介)(第五〇三号)

 同(阿部知子君紹介)(第五八六号)

 HAM及びHTLV―1ウイルス感染症の対策強化に関する請願(御法川信英君紹介)(第四九三号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第五〇六号)

 同(大島敦君紹介)(第六〇三号)

 同(古屋範子君紹介)(第六一四号)

 同(渡辺周君紹介)(第六一五号)

 ホームレス対策予算確保に関する請願(北橋健治君紹介)(第四九四号)

 同(古川元久君紹介)(第五九五号)

 臓器の移植に関する法律の改正及び臓器移植の普及に関する請願(横光克彦君紹介)(第四九五号)

 同(園田博之君紹介)(第五〇一号)

 同(高木美智代君紹介)(第五〇二号)

 同(小野晋也君紹介)(第五〇八号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第五〇九号)

 同(森英介君紹介)(第五一〇号)

 同(古川元久君紹介)(第五九七号)

 同(古屋範子君紹介)(第六一六号)

 同(中村正三郎君紹介)(第六五九号)

 介護保険の改悪反対、改善に関する請願(石毛えい子君紹介)(第五〇〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第五八五号)

 同(石毛えい子君紹介)(第五九六号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(桝屋敬悟君紹介)(第五〇五号)

 保育・学童保育・子育て支援施策の拡充等に関する請願(桝屋敬悟君紹介)(第五〇七号)

 同(大島敦君紹介)(第六〇四号)

 医療・年金制度の大改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五四一号)

 同(石井郁子君紹介)(第五四二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五四三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五四四号)

 同(志位和夫君紹介)(第五四五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五四六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五四七号)

 同(山口富男君紹介)(第五四八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五四九号)

 建設労働者の労働条件改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五五〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第五五一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五五二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五五三号)

 同(志位和夫君紹介)(第五五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五五六号)

 同(山口富男君紹介)(第五五七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五五八号)

 国民が安心して暮らせる年金改革に関する請願(石井郁子君紹介)(第五五九号)

 国民の命と暮らしの保障に関する請願(吉井英勝君紹介)(第五六〇号)

 在宅酸素療法の健康保険適用と生活保護者の一時扶助支給に関する請願(山口富男君紹介)(第五六一号)

 社会保障制度拡充に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五六二号)

 カネミ油症被害者の抜本的な恒久救済対策の完全実施に関する請願(松野信夫君紹介)(第五六三号)

 最低保障年金制度の創設に関する請願(山口富男君紹介)(第五六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第六四九号)

 利用者負担の大幅増など介護保険改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五六六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六五〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第六五一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六五二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六五三号)

 同(志位和夫君紹介)(第六五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六五六号)

 同(山口富男君紹介)(第六五七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六五八号)

 パーキンソン病根本治療研究促進に関する請願(西村智奈美君紹介)(第五九四号)

 同(橋本清仁君紹介)(第六一七号)

 安心できる介護制度など社会保障の拡充に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六四四号)

 精神障害者通院医療費公費負担制度に関する請願(志位和夫君紹介)(第六四五号)

 年金改悪と大増税反対、社会保障の拡大に関する請願(山口富男君紹介)(第六四六号)

 年金法の実施中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第六四七号)

 医療費窓口負担の軽減、介護保険の改善に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)(参議院送付)

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外一名提出、第百五十九回国会衆法第一六号)の撤回許可に関する件

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房長鈴木直和君、労働基準局長青木豊君、職業安定局長青木功君、職業能力開発局長上村隆史君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 本日は、公共職業安定所の設置に関する承認を求める件につきまして御質問をいたします。時間がありませんので、すぐ本題に入りたいと思います。

 ハローワークの廃止基準及び設置基準はどのようになっているのでしょうか。どういったときに廃止し、どういった場合に新設するのか、その基準をお示しいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 公共職業安定所の設置それから廃止の基準という問題でございますが、公共職業安定所の設置につきましては、求人と求職がうまく結合できるように、一つの地域労働市場を形成している、そういった地域ごとに設置するということを基本としております。また、利用者であります求人者、求職者が利便性等のサービスが享受できるような配置、そういったことを考えながら設置をしております。

 また同時に、廃止の問題でございますが、廃止に当たっては、行政改革大綱等に基づきまして組織運営の効率化を進めることを基本としながら、設置の場合と同様に、雇用機会や労働力人口の変化に伴う地域労働市場の変化に対応すること、それから、利用者数、交通事情等の地域の実情を踏まえつつ、利用者サービスに著しい支障が生じないようにすること、そういったことを踏まえながら総合的に勘案して対象を選定しております。

内山委員 それでは、具体的に、越谷にハローワークを新設することとした具体的な理由をお願い申し上げます。

鈴木政府参考人 越谷市に職安を設置する理由でございますが、埼玉県の東部地域におきましては、首都圏のベッドタウンということで人口が著しく急増しております。この地域を管轄する草加の公共職業安定所におきましては、業務量が急増しておりまして、これをそのまま放置しますと利用者サービスあるいは業務遂行に支障を来しかねない、そういう状況にございます。

 それから同時に、越谷地域におきましては、人口の増加に伴って小売業それからサービス業等が大きく発達をしてきております。これらの産業における労働力需要も拡大しておりまして、越谷市を中心とした地域労働市場が形成されているというふうに考えております。

 こういった状況を踏まえまして、現行の草加の公共職業安定所の管轄を二分しまして、越谷市に公共職業安定所を設置するものでございます。

内山委員 現在のハローワーク草加はどのぐらいの利用者がいて、また、そのうち、越谷ができますとどの程度利用されると見込んでおられるのでしょうか。お願いをいたします。

鈴木政府参考人 現在、草加の公共職業安定所では、年間約三万五千人の方が新たな求職者として利用していただいているところでございます。

 今回新設を予定しております越谷公共職業安定所、これにつきまして管轄区域ごとの労働力人口の比率で考えますと、恐らく一万六千人ぐらいの方が越谷の公共職業安定所を利用するのではないかというふうに見込んでおります。

内山委員 一万六千人程度の新規求職者の利用者があるということでございますね。

 新しくつくるわけでありますから、既存のところとまたいろいろ一工夫も二工夫も工夫が必要かと思うんですが、求職者の方々に対して適切にサービスの提供というものを、何か考えられているものがございますでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘のように、求職者が利用しやすいような環境を整備することが基本的に重要と考えております。

 今般の越谷公共職業安定所の設置に当たりましては、個室となる相談ブースといったものを設けたり、それから、窓口で相談される方が隣とかあるいは後ろの方を気にしないで済むように、窓口ごとに半円形のつい立てを設ける、そういったことを行いまして、プライバシー等に配慮をしているところでございます。

内山委員 次に、視点をちょっと変えまして、ハローワークにおける業務運営の効率化ということについてお尋ねをしたいと思います。

 ハローワークの設置はただでできるわけではありませんので、その必要性や効率性をしっかり見きわめなければならないわけであります。ハローワーク草加の場合、職員数は三十一名、相談員は五十二名、これで管内人口の約八十三万人に対応している、やっているわけでありますけれども、この八十三名の要員で業務に支障が本当に生じているんだろうかと非常に疑問を感じるわけであります。

 草加の隣の千葉県の松戸にございますハローワーク管内、これと比較をしますと、管内人口、職員数、相談員数、雇用保険受給者数、求職者数、事業者数とも草加をすべて大きく上回っております。草加のように職員数を超える相談員の配置でさらに一カ所新設をしなければならないという、その原因をお尋ねしたいと思います。

鈴木政府参考人 越谷の公共職業安定所、これから新設の予定でございますが、それについては必要な職員等を配置することにしております。

 それから、今相談員の話がございましたが、相談員については、従来、越谷地域に拠点がなかったものですから、そういったことも踏まえて越谷地域の方に相談員を配置しておりました。ただ、今回の公共職業安定所の新設が成れば、そこら辺も総合的に見直していきたいと考えております。

 それから、松戸管内と草加管内のお話がございました。

 確かに、松戸管内は、人口もふえておりますし、業務量も高いという実態がございます。ただ、新設の場合、やはり一つの地域労働市場として形成されているかどうか。それから、松戸の場合には庁舎の移転を行いまして、非常に利用しやすいところに庁舎を移転いたしました。そういったことを総合的に踏まえて、新たな職安の新設がいいのか、あるいはそういった利便性を高めながらそこの機能を高めるのがいいのか、そこら辺はその置かれた地域の実情を踏まえて今後検討していきたいと考えております。

内山委員 ただいまの説明にありましたとおり、利便性ということを考えれば、何も新設をしなくても、利便性のいいところに移転をするということでもいいんじゃないでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘のように、交通事情、交通アクセス等の観点も踏まえて利便性が十分に確保されるということでありますれば、その公共職業安定所自体の拡充、強化ということも一つの選択肢という観点は当然ございます。

 ただ、今回の草加と越谷の関係を見ますと、地域の労働市場がそれぞれ別個に形成されていく、それから、これから越谷地域で大規模な住宅地の造成等も計画されていて人口の急増が見込まれる、そういったことも総合的に判断して、今回の越谷公共職業安定所の新設ということを決めた次第でございます。

内山委員 ただいま説明がありましたとおり、職員とそれから相談員というのがいるわけでありますけれども、私の調査で、相談員という肩書というのは、職名の違う職種の相談員がたしか二十種類ぐらいあるんだろうと思います。肩書によって、しかも給与、謝金がまちまちである、低いものと高いものとでは月額に相当の差があるということを聞いています。

 相談員の任期が一年契約で、嘱託身分から考えて、この差額の大きさというのは差別に近いようなものがあると考えますが、仕事そのものに密度の大きさ、違いというのがあるとは思わないんですけれども、いかがでしょうか、その辺。

鈴木政府参考人 相談員の謝金等については、今手元に持ち合わせておりませんが、そういった相談員の種類ごとに、その仕事の実態等を踏まえ、予算要求して決めておるところでございます。

内山委員 実際、現場を見ていただきたいと思うんですけれども、非常に暇をもてあましている相談員の方が結構いらっしゃる。そういうものをうまく活用すれば、何も新設をする必要は私は全くないと思うんですよ。しかも、賃金に対しても謝金に対しても非常にばらつきがある。スキルの差というのはほとんどないような形です。

 そして、その相談員の選定経過というのも、これはそれぞれの安定所ごとに決めがあるのかもしれませんが、スキルの高い人ほど更新ができない、古株が何度も何度も更新をしている、こういう実態を御存じでしょうか、青木局長。

青木(功)政府参考人 職業相談員等の皆さんのお尋ね、先生からのお話もあるものでございますけれども、一年更新ということで続いていることが通常でございます。そこで、今お話しのように、なかなか入れかわりができない事情もあるのではないかというお話でございますが、それぞれのハローワークにおきまして、的確に御相談をしながら、順次適当な方に交代をお願いしているというのが実情でございます。

 ただ、個々の方々について見ますと、長くなっている方もおられるかもしれません。手元には特に資料がございませんが。

内山委員 たしか五年以上というのは更新できないようなことを聞いております。しかも、それを五年を超えて更新されている実態があると思います。これはぜひ局長、早急に全国の安定所を調べて、更新の実態、後で報告をいただきたいと思うんですが。

青木(功)政府参考人 全国調べまして、終了し次第御報告申し上げたいと存じます。

内山委員 それでは、越谷の人員体制、特に相談員の数と種類というのをお願いいたします。

鈴木政府参考人 越谷公共職業安定所の人員の体制でございますが、現在、職員については十七名の職員を配置して、職業紹介あるいは雇用保険等の業務を行うこととしております。この職員については、公共職業安定所間において定員の再配置を行いながら人員を確保していきたいと考えております。

 それから、相談員でございますが、相談員につきましては、越谷所は十八名の相談員を配置したいと考えております。

 なお、従来、越谷地域に職安がなかったものですから、ワークプラザこしがやというところに相談員を二十二名配置しておりました。これについては、埼玉県全体の業務動向を見ながら、これをどう配置していくかについては今後検討していきたいと思っております。

内山委員 そうしますと、今回は、越谷の方では、配置の転換か何かで持ってくるということですか、新規に採用するということではなく。

鈴木政府参考人 新規に採用ということではなくて、各公共職業安定所間の人員の再配置ということで、草加の公共職業安定所それから近隣の職安含めて再配置を行って、十七名を確保したいと考えております。

内山委員 職員もそうですけれども、相談員も、採用に当たっての何か基準というようなものはありますか。何かコネで採用されるなんということがあってはならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

青木(功)政府参考人 お答え申し上げます。

 職業相談員は、現在はすべて公募で採用させていただいております。つまり、ハローワークでハローワークの求人を出すことになりまして、いわゆるインターネットでの公開等も行って、かなり広い範囲から選考させていただいております。

内山委員 それでは、今度は、ハローワーク設置に係る経費のことについてお尋ねをしたいと思います。

 設置には、庁舎の借料とかコンピューターの導入とかいろいろ費用がかかると思いますが、具体的にどのぐらいかかりますでしょうか。

鈴木政府参考人 越谷公共職業安定所の設置に当たっての費用というお話ですが、現在金額的にはっきりしておりますのは、借料等ははっきりしております。

 今回の新設に当たりまして、利用者の利便性等を考慮しつつ庁舎の整備を検討しておりましたが、越谷市から、以前、東京電力越谷営業所というのがありまして、これは現在、越谷市が所有する建物になっております。その建物の一階及び二階が利用できるというお話がございましたので、これを借り受けて、ここに職業安定所を設置するということにしております。この賃貸借料につきましては、越谷市に対して年間およそ二千五百万円支払う予定にしております。

内山委員 コンピューターのトータルシステムとか、いろいろ情報の検索の機械があると思いますが、そういった費用はどうなりますか。

鈴木政府参考人 現在、コンピューターの設置費用等については、ちょっと今手元に資料を持っておりませんが、いずれにしても、自己検索装置なり、それからいろいろな雇用情報のシステム関係の機器は設置する予定にしております。

内山委員 総体的な数値というのは持っていないんでしょうか。適用課に行けばトータルシステムのコンピューターがありますね。それから、求人情報の検索の機械、四十台をたしか入れるはずですね。その辺の費用はどうなっていますか。

鈴木政府参考人 施設整備に係る経費でございますが、施設整備費それから備品整備費、そういったものを全体合わせて、約六千万円でございます。

内山委員 これは、コンピューターのすべて、什器や備品等をすべて含む金額ですか。

鈴木政府参考人 今御指摘のありましたOA機器等も含めた施設整備費、これが約四千九十五万円でございます。そのほか、事務机とかそういった備品の整備費が千九百四十二万円ということで、御指摘の方は施設整備経費の中で整備を考えております。

内山委員 年間二千五百万円の家賃を払い、そして機材、OA機器等を六千万円かけて新たに新設する。

 これは国税ですよね。やはり大変な税金がかかっているということを、これはもう皆さん確認しなければならないわけでありまして、特に、旧東京電力越谷営業所の建物を借りて庁舎をつくる。地元では何か、少し私も行って調べてみたんですけれども、行政と大手企業の癒着を危惧する声というのも一部聞かれまして、民間の賃貸ビルでなく何で東京電力の跡地に新設をしたんだろうと非常に疑問を持っているんですが、お願いをいたします。

鈴木政府参考人 今の御指摘につきましては、先ほど私が申し上げたのは、以前に東京電力越谷営業所であった建物、これは今は市の所有でございます。現在、市が所有していまして、そこの一階、二階が使える。それから、市としてもいろいろな雇用関係の対策をやりたいということで、そういった施設もそこにあるということで、ここは適切ではないかということで、市とも相談しながらここを借り受けることにした次第でございます。

内山委員 さて、越谷の件はいろいろと今御説明をいただきました。

 資料で配付をしましたので見ていただきたいと思うんですが、埼玉県と隣接をしております千葉県の松戸安定所が、丸がついているところがございます。ハローワーク草加と隣接をしておりまして、ハローワーク松戸は、管轄地域は松戸市、流山市、柏市、我孫子市、沼南町の四市一町で、管内人口が百十三万八千二百八十一人、労働力人口というのは人口の約半分と見積もりますと六十万人に達するだろう、該当するだろう、こう思われるわけです。ハローワーク草加よりも労働力人口は二十万人近く多いんじゃないか。

 もう一枚の資料を見ていただきたいんですけれども、これはハローワーク草加と松戸を比較した資料があります。新規求職申し込み件数、新規求人数、月間有効求職者数、月間有効求人数、それから紹介件数、これはすべて草加より松戸の数字の方が多いんですね。

 要するに、現在、草加を二分割するよりも、松戸の方が求職者、それから新規申し込み、有効求人数、紹介件数、そして労働者人口は二十万人も多い。これを、松戸よりも先に草加を分割しているというこの整合性について。

鈴木政府参考人 松戸の公共職業安定所の管轄する地域については、今御指摘がありました。管内の労働力人口約六十六万、そして人口百十万人となっておりまして、御指摘のとおりの数字でございまして、また、労働力人口も増加をしております。

 ただ、職安の設置につきましては、先ほども申し上げたとおり、一つの地域労働市場圏を形成している地域ごとに設置をしていくということを基本としております。また、求人者、求職者の利便性等のサービス、そういったものを配慮しながら考えております。

 今、松戸の公共職業安定所の管轄を二分して新たな安定所を新設、そういったことをすべきではないかという御指摘がありましたが、先ほども簡単に申し上げましたように、松戸の公共職業安定所は本年一月に交通アクセスのいい場所に庁舎を移転したばかりでございます。ですから、地域労働市場圏が形成されているか、あるいはそういった移転によってもサービスに著しい支障が出ているか、そういったことを検証しながら検討することが必要だというふうに考えております。

内山委員 いや、松戸だって決して利便性のいいところじゃありませんよ。野田に出張所がありますけれども、柏市、流山市、我孫子市、こういうところからいきますと、逆に草加を二分する正当性が、やはりこういう松戸を見ますと全く否定されてしまう。なぜ松戸より、またほかの、恐らく首都圏でも草加管轄よりも上回っている地域があろうかと思いますけれども、なぜ草加が優先されるのか、非常に私には理解できないところであります。

 私も実は社会保険労務士として現場におりますから、安定所がどこにできる、政治的な綱引きがあるということは重々承知しています。でも、国民の利便性を高めるという目的のために新しく開設する、しかしそれは名ばかりであって、実は、新しく開設をしますと、そこには所長さんが必要ですね、それから次長さんが必要です。官職のポストが、今ポスト不足ですよね、ポストが新たにできる。やはりこういう自分たちのポスト不足解消のために、こういう国費六千万円もかけ、年間二千五百万円の家賃を使ってやっているんじゃないかな、こんなふうに見えてしようがないんですけれども、大臣、どうでしょうか。その辺の優先順位とか何か、ひとつお考えがありましたら。

鈴木政府参考人 その前に、事実の問題だけお答え申し上げますが、今回、越谷の公共職業安定所を設置したいというふうに考えております。ただ、これはスクラップ・アンド・ビルドということで、それ以外では五カ所の廃止ないし降格といいますか、出張所から分室に降格するとかそういったことをやって、そういったスクラップ・アンド・ビルドの中でこの越谷公共職業安定所の設置をお願いしたいというものでございます。

尾辻国務大臣 今お話ございましたけれども、いやしくもポストをつくるために職業安定所を新しく設置するなどというのは、これはもうもってのほかだと考えます。

 したがいまして、先ほど来御答弁申し上げておりますように、また、先生からもお話ございましたように、あくまでも新しく設置するのであれば、それは求人者や求職者の皆さんの利便性を上げるものでなきゃいかぬと思っていますし、それから、一つの地域労働市場を形成している地域ごとにという、この基本を守っていくべきだと考えます。

内山委員 ハローワーク越谷というのは、ことしの、要するに今月の三十一日がオープンですよね。今ここで承認の審議をしているわけですけれども、何かまるで事後承認のようなことなんじゃないか。

 要するに、三月三十一日にオープンするということは十六年度の予算を執行するからということだろうと推測するわけですけれども、本来であれば、年度の初め、四月一日とかそういう日にちの方が切りがいいんだろうと思うんですけれども、ただ、ここで今月の三十一日に新たな安定所を設置しますよ、しかもそれはもう全部事前に場所も物もできていて、国会軽視じゃないかと非常に私は思うんですけれども、こういうのがいつも通例なんでしょうか。大臣、どうでしょうか。

 この流れを、これからここで承認を受けて準備にかかるというのではなく、今月、もう三十一日に、来週ですよね、オープンするというのをここで承認するという、何か国会軽視のような気がしてならないんですが、まず大臣にお答えをいただきたいんですけれども。

鈴木政府参考人 御指摘の問題、私どもも真剣に受けとめたいと思っております。

 ただ、逆の面からいいますと、庁舎を決めるのに結構時間がかかります。その中で、庁舎の位置も、それから庁舎がいつごろ決まるのかという時期も決まらないということでは、これ自体審議がなかなかできないという側面もあるのではないかということで、従来から、ある程度そういったことが固まった段階でお願いしているというのが実態でございます。

尾辻国務大臣 今お答え申し上げましたように、確かに準備のこととかというのはあるんだろうと思いますが、とはいえ、御指摘のように、こんなに急にお願いするというのは、これまた国会に対して失礼なことと言われればそのとおりでありますと申し上げざるを得ない面もございますので、今後気をつけていきたいと存じます。

内山委員 政官癒着、やはり根回しが与党の皆さんとできているから、こういう形でぎりぎりの段階で承認ということになるんだろうと思うんですが。私はまだ議員になって日が浅いものですから、こういう時間的なもので国の重要な施設ができてくるというのは、やはり非常にいかがなものかなと。また、疑ってかかれば、本当に利便性というよりも、みずからのポストをつくるために行っているんじゃないかな、こう国民から見られてもしようがないんじゃないかなと私は思います。

 きょうは残念ながら時間が三十分しかありませんので、これで質問を終わりたいと思いますが、これからも、来年あたりもハローワークの開設もあろうかと思いますので、できればもっともっと早く承認の案件を出していただきたい、こう申し上げて、私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 きょう議題になっておりますこの承認案件ですけれども、埼玉県の草加公共職業安定所を分割して越谷に新たに新設するというものですが、この管轄地域の実情については先ほど鈴木官房長から説明がありました。私も、その実情からいきまして、新たな分割、新設というのは当然の措置だというふうに考えます。

 もともと公共職業安定所というのは、失業者や求職者に対して求人の開拓それから適職の紹介という二つの使命、役割を持っているわけですけれども、今大変雇用失業情勢が深刻です。確かに完全失業率は五%台から四・七%というふうに若干下がりましたけれども、事態は変わっていません。それだけに、公共職業安定所の果たすべき役割というのは大変大きなものがあるというふうに思うんです。

 初めに尾辻大臣に、この際ですから改めて求めておきたいんですが、今回は承認案件という形ですけれども、職安の職員の確保も含めまして、職安行政、労働行政全体の充実を、今の雇用失業状況の深刻な事態から見ましても充実させていただきたいということをまず最初に尾辻大臣に求めたいと思います。

尾辻国務大臣 確かに雇用情勢といいますのは、やや改善はいたしておりますけれども、依然として厳しい状況にあることはお話しのとおりでございます。そうした中でもございますから、私ども、この職業安定事業についてはしっかりと努力してまいる必要があると考えております。

山口(富)委員 それで、職安をめぐってなんですが、ここ数年、職安や監督署で働く職員の方々から国会に請願が出ております。雇用・失業情勢の深刻化に対応するための労働行政体制の整備に関する請願というものなんですが、これは、ここ数年毎年のように出ております。この中身は、今職安に参りますと、求職者があふれているんですが、なかなか職がない、適切なものも見つからないということで、どうしてもその対応を強めるために、職員の確保、充実を含めて労働行政の整備をやらなきゃいけないということで、これは当然の要求ですから、本委員会でも昨年全会一致で採択して内閣に送付したわけです。

 そこで確認しておきたいんですけれども、この五年間、職安職員はどのように変化しているか、示してください。

鈴木政府参考人 公共職業安定所の定員でございますが、都道府県労働局が発足した平成十二年度の時点では一万二千七百六十六人でございました。その後、この定員は減少してきておりまして、平成十六年度には一万二千二百三十五人ということで、この間、五百三十一名減少しております。

山口(富)委員 五百三十一名の減員だという報告がありましたけれども、先ほど紹介した請願は、衆議院だけではなくて参議院でも採択されています。いわば両院から内閣に送られたものです。にもかかわらず、一方で雇用情勢の深刻化があるわけですけれども、実際には、職安行政をめぐりまして連続的に削減されているということからいくと、これは、請願を採択した両院に対する、きょうは先ほどから問題になっておりますが、国会に対する軽視と言われても仕方がないんじゃないか。

 大臣に確認したいんですが、職安を含めまして労働行政の問題で、拡充整備で一体どういう努力をしてきたのか、今後どうするつもりなのか、それを答えてください。官房長じゃなくて大臣にお願いします。では、その後大臣に。

鈴木政府参考人 最初に指摘のございました請願の関係についてお話ししたいと思います。

 個々の求職者に対してきめ細かな職業相談、職業紹介を行う、これが極めて重要だというふうに認識しております。そういう観点から、このことに係る請願につきましても、国会で採択されていることについて真摯に受けとめております。

 私どもとしては、この間、増員の確保ということで積極的に努力をしてまいりました。ただ、残念ながら、それが定員削減に追いついていないということで、先ほど申し上げたような状況になっております。

 ただ、いずれにしても、財政状況、定員事情が厳しい中で、いろいろな工夫を凝らしながら業務展開をし、求職者、求人者に支障が生じるようなことのないよう、サービスに努めてまいりたいと考えております。

山口(富)委員 では、大臣にお尋ねしますけれども、今鈴木官房長の方から請願にかかわる話がありました。この請願の処理に当たって政府はどういう態度表明をしたのか。こういうふうに述べております。「これまでも必要な増員に努めてきたところであるが、今後とも労働行政に対する国民の負託にこたえるべく、厳しい国家財政及び定員事情の許す範囲内で適正な措置を講ずる」という態度なんです。

 では、そこで大臣に聞きますけれども、一体現状が、必要な増員に努めてきたもの、その反映なのか、五百数十人削っておいて。それからもう一つ、こういう職安職員の減員というのは、減らしていることは適正な措置なのか。どう考えるんですか。

尾辻国務大臣 今官房長も申し上げましたけれども、まず、請願については私どもも真摯に受けとめておるところでございます。

 そこで、財政の許す範囲、また定員事情の許す範囲で業務運営が効果的、効率的にできるように工夫をしてまいってきたつもりでございます。

 ただ、大きく定員削減計画がございます。全体の削減計画があります。そこでまずマイナスになるものですから、そのマイナスの中でまたふやすんですけれども、ふやすべきところは私たちはふやしますけれども、大きくマイナスしてプラスさせる、このプラスマイナスの関係で、どうしても先生御指摘のような減少が生じてしまうところは確かにございます。ただ、私どもは、そうした大きな削減計画の中で適正な配置になるようにという、ふやすべきところはふやすべく努力をしておるということは申し上げたいと存じます。

山口(富)委員 請願を真摯に受けとめるということですから、これは職安を含めまして必要な定員の確保、増員も図ってほしいということですので、これを真摯に受けとめて行政を進めていただきたいと思うんです。

 きょうは、もう一点ただしておきたいことがあるんです。

 昨年の十一月ですけれども、日本経済団体連合会が政府に規制改革をめぐって要望を出しました。この中では労働時間の規制緩和なども取り上げられているんですけれども、その直後の十二月十四日に、ここに持ってまいりましたが、経営労働政策委員会報告、毎年出されていますけれども、これが出されました。

 実は、私はこれを読みまして大変驚きました。特に、第六という節に「労働法・労働行政への対応」というくだりがあるんですね。ちょっと関連部分を読み上げてみますと、これの五十一ページなんですけれども、「とりわけ労働時間をめぐる労働監督行政については、ここ数年、これまで労使による取り決めをもとに企業ごとになんら問題なく対応がなされてきた事項についてまで、突如として指針や通達を根拠に、労使での取り組み経緯や職場慣行などを斟酌することなく、企業に対する指導監督を強化するといった例が多く指摘されている。」そして、ここに注までつけまして、具体的に厚生労働省の通達を引用している。そして、「この通達のもとに、企業の実態を無視したかのような指導がなされている。」ということまで強弁しております。

 私は労働基準局長に聞きたいんですけれども、あなたはこの報告書を読んだのか、そしてこのくだりについてどういう感想をお持ちなのか、示していただきたい。

青木(豊)政府参考人 私も、その報告が出された直後に読みました。この経団連報告で、今お読みになりました労働基準行政に対する指摘につきましては、私としては、そのほか、その前後もありますけれども、事実に基づかないものであるというふうに認識しております。

 むしろ、私としては、監督署から指摘を受けた企業においては、その指摘を契機として、労使の信頼関係がつくられているかとか、あるいはそういったことなどを、きちんと冷静な判断のもとで、自分の企業のあり方というものを見直すということを期待しているわけであります。

 そういう意味で、そういう報告が出ましたので、私としては今後とも、従来同様、事業主に対しまして、労働時間を初めとする労働基準法関係法令の適切な運営のためにしっかりと労務管理、人事管理をしていただきたいということで、私どもとしても適正な対応をしていきたいというふうに思っているところであります。

山口(富)委員 今、局長の方から、これは事実に基づかない報告だという厳しい指摘がありました。私は、事実に基づかないという点で二点はっきりさせておきたいと思うんです。

 この報告書がやり玉に上げている通達というのは、二〇〇一年四月六日のいわゆる四六通達なんです。サービス残業解消通達というふうに言われておりますが、これは法律違反の企業犯罪であるサービス残業をなくしていくためにとられた当然の通達なんですね。私自身もしばしば委員会でこの通達を取り上げてまいりましたけれども、日本共産党は一九七六年以来この問題を一貫して取り上げて、総理自身も繰り返し、サービス残業というのは法違反なんだというふうに言ってきたところなんです。

 今国会でも、郵政公社や道路公団をめぐってサービス残業が、尾辻大臣が答弁もされていますけれども、大問題になってきたわけですね。社会問題です。こういうものに対してどうするのかということでつくられた通達なんですけれども、もともとは、これは二〇〇一年四月の話ですが、その前年に、経済団体の代表も加わる中央労働基準審議会、ここで労働時間短縮の建議が出された。その中にサービス残業の解消がうたわれていて、それを踏まえて翌年の四月六日の通達になった、こういう経過なんですけれども、この報告書はあたかも突如としてあらわれたかのように言っていますが、ここは事実と全く違いますね。

青木(豊)政府参考人 まさにこのお取り上げになった通達については、平成十二年ごろに、最高裁の判決でありますとか地裁の判決で長時間労働による過労死が認定をされまして、大きく取り上げられて社会問題化をいたしました。そういうことで、私どもとしてもそうでありますし、労使ともにやはり危機感を持ちまして、今御紹介がありましたけれども、中央労働基準審議会でも議論がなされて建議がなされた。そういった流れの上でおっしゃるような通達が出されたということでございます。おっしゃるとおりであります。

山口(富)委員 それで、もう一点、事実に反する点なんですけれども、経済団体の代表がいる場でずっと経過がつくられてきたわけですから、いわばそういう経過を承知の上でこういう報告書を出しているんですね。しかも、これは労使の自治に反するものだと言っているんですよ。もちろん職場においては労使の自治というのはあるわけで、それは尊重しなきゃいけませんけれども、その場合も当然公法が前提になってくるわけですね。私は、この四六通達については労働基準法の厳格な解釈に基づいて出され運用されているものだというふうに理解しておりますが、この経団連の報告書が指摘しているような、この通達に基づく労働監督行政が労使自治を侵害したことがあるのかと。この報告書によると、阻害要因だと言っているわけですね。

 局長に確認しておきますが、四六通達が出されて四年間、一体、この通達に基づく労働監督行政で、あなた方は労使の自治を侵害したことがあるんですか。

青木(豊)政府参考人 労働基準法でも、労働条件の決定、これは労使が話し合って決める、労使自治で決めるということで、基本的にはそれは尊重されるべきだということになっているわけでありますし、私どもも基本的にはそういう態度でおるわけであります。

 しかし、最低基準を定める労働基準関係法令に抵触することがあってはならないのは当然でありまして、そういう意味で、こういった法律違反というようなことで労使自治が損なわれるというようなことは、私は聞いたことがありませんし、いまだ承知をしておりません。

山口(富)委員 そうなんです、あるはずがないんです。あったら、これは国政上の大問題になりますから。

 今私が指摘してまいりましたように、この通達がつくられてきた背景に対する事実認定の誤り、それから、これがもたらした効果が労使の自治を侵害したものだということに対する事実認定の誤り、私は、この二つの誤りからいっても、この報告書が示している中身というのは日本の労働監督行政にとって深刻な問題を投げかけているというふうに思うんです。

 もともと、これを見ますと、盛んにグローバル化ということが強調されております。しかし、今世界では、労働時間の規制を含めまして国際標準があるわけですね。これはよく国際騎士道と言われていますけれども、そういう国際騎士道に基づいて自分の企業のあり方を点検することもなく、一気に労働監督行政の方にやいばを向けるというのは、私はこれはゆゆしき事態だと思うんです。

 では、何でここまで踏み込んだのかというと、その理由はここに書いてあるんですね。労働時間の規制をできるだけ外したいというんです。具体的にはどういうふうになっているかというと、事務や設計部門などのいわゆるホワイトカラー労働者について労働時間規制の外に置くホワイトカラーエグゼンプション、この導入を強く主張している。しかし、今日本の労働者は、正規常用をとってみても、大体年間総実労働時間で二千時間を超えています。これは政府の、厚労省の毎月勤労統計、いわゆる毎勤統計はサービス残業が入ってきません。その数字でも二千時間を超えているわけですから、もしこの労働時間の規制を外すようなことになったら一体どういうことが起こるのか。私は目に見えていると思うんです。

 それだけに、これは国として日本経団連に対して物申すべきだ、けしからぬと。局長、いかがですか。

青木(豊)政府参考人 この日本経団連報告に対しましては、私どもとしては、速やかに日本経団連に対しまして文書によって申し入れを行いました。先ほど私が申し上げましたように、これは事実に基づかないものであるとかいう指摘をさせていただいたところであります。

 その後、日本経団連から、こういった私どもの今るる申し上げておりますような考え方を十分に御理解をいただきまして、また、この経営労働委員会報告というのは経営者の皆さん方にとってはかなりの影響力があるというふうに私は思っておりましたので、日本経団連が地方の自分の組織に対しましてこの報告をもとにいろいろ説明をしていくという手順があるようでありますので、その際に、私どもの考えているところ、十分理解していただいたところをきちんと説明をするという回答をいただいているところであります。

山口(富)委員 大臣、これは大臣の責任にかかわる問題だと思います。今の基準局長の答弁ですと、一応物を申したということですけれども、これは大臣としても、きちんと誤りは正してもらう、そして、とにかく私は、労働基準監督行政に対して、これははっきり言いましてはねつけるような主張ですから、日本経団連おごるなかれということをきちんと大臣として言うべきだと思うんですが、いかがですか。

尾辻国務大臣 今御答弁申し上げましたように、私どももこのことに関しましては厚生労働省の考え方を申し入れて、そしてまた、経団連側も地方組織にその趣旨を伝える旨の回答をいたしておりますから、これがきっちり行われるか、回答どおりにやってくれるかどうかというのをまず見たいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、労働時間の適正な管理というのは、これは労働基準法上の当然の義務でありますから、私どもはしっかり見守ってまいります。

山口(富)委員 最後になりますが、文書で申し入れているのであれば、当委員会に提出していただきたい。そして、その文書に基づいてきちんとした対応がとられていない、そういうふうに認定するならば、当委員会に日本経団連を参考人として呼んできちんとした審議をすべきだ、このことも申し上げて、私の質問を終わります。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先ほど来、お二人の委員から、職業安定所の新たな設置にかかわりまして、その政策の透明性、公平性について、さらに厚生労働省としてきっちりとしたデータを提示していただいた上で今後は充実を図っていただきたいというお話がございました。とりわけ、今、雇用情勢も厳しく、働くこと自体がさまざまに、権利として保障されない、憲法二十七条、労働は権利であり義務であるという二十七条の本当の中身が揺らいでいる折と思いますから、ぜひ労働行政、とりわけ職業を得ていく過程における職業安定所の役割ということをさらに厚生労働省として充実させていただきたいと思います。

 そうした前提に立ちまして、私は、例えば人口がふえた、新たな産業圏ができ上がった等々の問題、この問題が一方にある、それと同時に、一九九〇年代後半から、とりわけ働き方の多様化という形で言われますが、実際には非正規雇用の増大、多様化か流動化かあるいは不安定化か、いろいろな言い方はされると思いますが、労働の現場が変わっている、働く人たちの置かれた状態が変わっている。そうした中で、ハローワークが就職支援、再就職支援を含めていろいろな取り組みをなさっているわけですが、この変遷する労働雇用環境の中でハローワークとして新たにどのような機能をつけ加えてこられたか、また、今後つけ加えるべく、もちろん人だけではなくその人が持つ機能の面もございますので、その点に関しての御答弁をお願いいたします。

青木(功)政府参考人 ハローワークの活動でございますけれども、先生御案内のとおり、長い歴史の中で、仕事さえあればいいという時代から、今先生お触れになりましたように、求職者の方々の意識が多様化する、それから仕事の現場の方も多様化するということになっております。そういった意味で、同じ仕組みで同じマインドで求職者の方と御相談をするという上で、さらにそれに付加した知識、識見というものが必要になってきた時代になると思います。

 例えば、なかなか就職をしてくれない若い人たちであるとか、あるいは求人状況が厳しい高齢者の方、あるいは家庭から職場に再参入しようとする主婦の方とか、それぞれ異なった思いというものがあるわけでございます。こういった方に適切に御相談をする、そして、外部労働市場のことも十分勉強して御相談をする、こういう体制が必要になってきておりまして、そういったことが職員に求められております。また、それに加えて、さまざまな民間の専門家の方を活用して職員のコーディネートのもとで御相談をするというふうな体制に変わってきている部分もございます。

阿部委員 昨日御説明をいただきました折に、そのような新たに付加した知識がハローワークにも必要であるということで、例えば就職支援ナビゲーター、再就職プランナー、あるいは若者ジョブサポーター、いろいろな名前はつくわけですが、おっしゃったようにその一つ一つが本当に大切と思いますけれども、現状では、そのようなことに能力やキャリアをお持ちの外部の力をかりておる。私は、非常にそれはそれとしていいことであるのですが、本来は、その相談に当たる個々のハローワークの職員が、将来的には自分の能力としてそういうものを加味してより本当に必要とされるサービスを提供するようになれないと、逆の意味で、ハローワークは何をやっておるのか、定員ばかり無用にふやしてと。あるいは、定員削減の中でどんどん数が減らされていき、しかし、それは働く者にとってもいいことではないと思うのです。

 そういう点で、実は、ハローワーク自身の今後の職員の教育のあり方、ここも私は、数だけでなくて重要と思っておりますが、厚生労働大臣としてどのような人材育成策をお考えなのか。省内の労働大学などでの研修もおありだということですが、私は、さっき御紹介したように、今、いろいろな名前の外部のキャリアの人をお招きして、逆に言うと、ハローワークの職員にオン・ザ・ジョブ・トレーニングをしていただいて、本当にそういう意味でそういう能力をみずからが身につけていただくということもとても大事で、それが、かつてのような、一つの就職先を首になり、こちらに御紹介するということだけではなかなか済まない現場職員の、一つは能力を上げ、フラストレーションを少しでも低めて、一番いい仕事をしていただくために不可欠と思いますが、お考えを伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 お話しのように、求職者の皆さんの御相談というのも大変多様化しておる今日でございます。したがいまして、そういう多様化した御相談に的確に対応しようと思いますと、相談に乗る側の専門性も高めていかなきゃならない、これもお話しのとおりでございます。したがって、専門家の力もかりていますけれども、しかし、当然、職員の資質の向上を図って自分たちで対応できるようにしなきゃいけない、このことは大変重要なことでございます。

 今どういうことをやっているかというお尋ねでございますけれども、労働政策研究・研修機構を通じまして、職員の専門能力を高めますために、職員の方もいろいろな経験の段階がございますから、その職員の行政経験のステージに応じまして、必要となる面接相談技法でありますとか、職業適性検査の活用等に係る知識、技能の付与を行いまして、特に中堅職員に対しましては、キャリアコンサルタントを養成するための研修を今行っておるところでございます。

 こうしたさまざまな努力をいたしておりますが、今後とも、職員が求職者に対して専門的できめ細かな個別相談援助や業務全体の統括を的確かつ効率的に行うことができるように、職員の資質向上に意を尽くしてまいります。

阿部委員 本当にそういうことが必要であるから職員の数の充実も図っていかなければならないというようなことが国民的にも納得される形に私はぜひしていただきたいし、それがひいては国民自身の利益につながっていくと思います。

 引き続いて、私は、若者の就労支援政策、二点にわたってお伺いしたいと思います。

 この間の雇用の流動化によって、実はその影響は各年代に及んでおるわけですが、しかし、一番大きな影響をこうむっているのは、私は若年層に強い影響を及ぼしていると思います。例えば、十五歳から三十四歳の年齢のフリーターと呼ばれるパート、アルバイト、そして内閣府の統計ではここに派遣や請負など非正規雇用全部入れますが、そうすると、四百十七万人がそういう流動する雇用形態の中で働いておるという、著しい数だと私は思います。

 そして、そうしたいわゆる常用雇用ではない若者の支援に向けまして、厚生労働省でも幾つかのお取り組みをなさっておると思いますが、私は、やはり政策というのは、鉄は熱いうちに打てではありませんが、このときにこういう政策を打てば、若者が常用雇用に向けてみずからの能力も高め、インセンティブも高め、目標に到達するというふうなことになると思うので、きょうは、厚生労働省の施策の中で、YESプログラム、こういうリーフレットもできておるのですが、このプログラムについてお伺いしたいと思います。

 YESというのは、ユース・エンプロイアビリティー・サポート、このごろ、さっき言いましたようにナビゲーター、サポーター、何とかという横文字ばかり多いのですが、若者に向けてはYESというのはいい売りかと思います。

 このYESプログラムは、いわゆる厚生労働省お墨つき認定書というのを、幾つかの、例えば自己表現能力とか面接能力、あるいは読み書きそろばん、基礎能力等々について受講をいたしまして、あなたはこれで受講済みですよ、ぽんという認定書をいただくコースで、去年の秋から実際に始まっており、四十七人が認定書をいただいた。またその人たちが本当に認定書を持って厚生労働省お墨つきで就職できるかどうかはこれからまだのところではあるのですが、実は、このYESプログラムの対象が、現在では、主には高校卒業あるいはそれ以降の大学、専門学校生などの教育の中であわせてこのYESプログラムを取り入れて、その人たちがより仕事に結びつきやすい方策をとるという計画がこのYESプログラムでございます。

 私は、特に高校生、今、例えば、十年前高卒の求職者数は百七十六万人くらいあったものが、二十二万人と求職もぐっと減る。一方で、高校から大学に進学する人もふえているわけですが、逆に、高校が終わった段階できちんと職業にインセンティブが持たれる、あるいは面接に行ってもそれなりの対応ができる、自己表現ができる、すごく重要なことだと思っております。

 そこで、担当の厚生労働省の部局にお伺いいたします。

 従来であれば、高校は学校教育で文部科学省、そこから出て、果たして、労働市場にというか、そこから一歩出ると今度は、失業状態であれ、職が決まらない状態であれ、求職中であれ、厚生労働省管轄というふうになってまいりますが、ぜひこのYESプログラムは高校教育の中にも積極的に取り入れていただいて、高校生たちも受講が進むような取り組みを図られてはいかがかと思いますけれども、御答弁をお願いいたします。

上村政府参考人 先生御指摘のYESプログラム、日本語では若年者就職基礎能力支援事業という言葉になっておりますけれども、これは、今先生からお話がありましたように、企業が若年者に対して求めている能力の内容、それからそれを身につけるための目標を若い人たちに示しまして、その修得を公表する仕組みとして昨秋からスタートしたものでございます。

 この制度につきましては、高校生にとっても極めて有意義ではないかというふうに思っておりまして、現在、一般的にはハローワークや経済団体等を通じまして先ほどのこのパンフレット等を配布するなどして周知をしておりますけれども、高校生ということにつきまして、都道府県の教育委員会などを通じましてパンフレットを配布するなどすることにしております。

 引き続き、文部科学省とも連携をとりながら周知を図っていき、活用されるようにしていきたいというふうに思っております。

阿部委員 私は、若者の就労支援はぜひ縦割りを排して、本当に国として総力を挙げて政策的に取り組んでいただきたいと思っております。

 世に言う七五三現象で、中学卒業されると三年くらいしか職が続かず、高校だと五年、大学は七年と。今若者は全体に流動化しておるわけですが、そうした職業が続かなくなるというときにも、かなりそれ以前の職業教育のあり方が十分トレーニングされていなくて、電話応対一つ、人への表現一つ、さまざまな問題を現状で若者は抱えておりますので、私は、さらに大臣にもお取り組みをお願い申し上げます。

 最後に、いわゆるニートの問題に移らせていただきます。

 このニートという言葉が国会内の審議で出てまいりましたのは、たしか二〇〇四年の二月段階で、民主党の水島広子さんが予算委員会で坂口厚生労働大臣と河村文部科学大臣にお尋ねになって、そのとき河村文科大臣も坂口大臣も、つまびらかには存じておりませんが、そういう御指摘があって今後しっかり勉強したいという御答弁をいただきました。

 ニート、今では新聞紙上にも出るようになりましたし、教育課程におらず、また就職活動もしておらず、トレーニングにも乗っかっていないという状態の若者をいいます。特にイギリスでこの問題が出た場合は、十六から十八歳という中学卒業後高校段階でいる子で、中途退学したような子供たちが一九九九年で十六万人いて、国として問題だということで俎上に上ってきたわけです。

 我が国は、この一年間、このニート問題について国会の場に提示されて以降どのような取り組みをしてきたかということで考えてみますと、私は、実は厚生労働省だけの問題ではございませんが、やはりかなりの部分、働く若者の自立支援、働いていけるということが自立の根幹ですので、そういうことに向けて、残念ですがまだまだ厚生労働省としても対策が少ないように思っております。

 せんだって、内閣府の統計では八十五万人というニートの数を出しました。これは、就職を働きかけていない子とそういう意思のない子ということです。ここもまた二段階には一応分けられるのですが、就職する気はあっても働きかけていない子と、はなから就職する気がない子で半々に分けていくわけです。

 私は、ニート対策というのは、やはりきっちりその子の、その若者のプロフィールをつかんだ上できめ細やかに政策立案していかないと、きっちりと、本当に手間暇がかかるわけです。就職、働く気もない、あるいは本当にそれを求めていないという段階の子から、どうやって自立に結びつけていくのか。

 ここで、尾辻厚生労働大臣に伺いますが、内閣府でも統計を再調査し直しておられる段階であり、今後厚生労働省として、このニートの若者たちに向けた政策としてどのようなことをお考えであるか、あるいはまた他省庁との連携をどのようにおとりになるのか、この点をお願いいたします。

尾辻国務大臣 まず、答えから申し上げますけれども、今私どもはニート対策として若者自立塾を考えております。これは、ニートと呼ばれる人たちに一定期間合宿生活をしてもらって、ぜひそうした中でお互いに話し合いをしたりしていただいて、働く意欲だとか、もっと言いますと人生に対する頑張ろうというような気持ちを沸き立たせていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。あるいは、ヤングジョブスポットでありますとかハローワークでの働きかけとか、いろいろいたしております。

 そういうことをいたしておりますけれども、私がきょうこの機会に、お尋ねでもございますからぜひ申し上げたいと思いますのは、今私どもが考えております若者自立塾、これは既にやっていただいておるような方々もおられるんです。そういう皆さんとお話し申し上げたり、そういうところにいるニートと俗に言われている若い人たちと話をしたりいたしまして強く思いますことは、私どもはニートと一言で言いますけれども、ニートと呼ばれる若者たちもそれぞれなんですね。そしてまた、それぞれにいろんな悩みを抱えています。これはヤングハローワークに行ってもそう思うんです。ヤングハローワークでいろんな相談事業に乗っていますけれども、一番何が多いかというと、心理カウンセリングが一番多いんですね。

 そういうことを思いますと、私は、この問題というのは非常に重要な今日本の抱えている問題だと思いますから、私どもだけでなくて、そして単に就職を手伝ってあげようという立場だけではなくて、若い人たちの将来をみんなで考えてあげようというような立場から、政府全体で、そして各省連携をとりながらやっていかなきゃいけないと思いますし、それと、マンツーマンできめ細かにやっていかないと、ちょっと一くくりで何かしようなんというものではとても解決しない問題だと思っております。

 きょう先生に御指摘いただいたことは大変重要な問題だと考えております。

阿部委員 ぜひそのようなお取り組みをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 以上で本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

鴨下委員長 この際、お諮りいたします。

 第百五十九回国会、熊代昭彦君外一名提出、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

鴨下委員長 次に、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から簡単に御説明申し上げます。

 本案は、医療の高度化及び検査の機械化、情報化等の進展に伴い、業として臨床検査を行う者の質を担保し、検査の正確性を確保するための措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、法律の題名を臨床検査技師等に関する法律に改めるものとすること。

 第二に、臨床検査技師の定義については、医師または歯科医師の指示のもとに各種検査を行うことを業とする者に改めるものとすること。

 第三に、臨床検査技師の名称を用いて行う生理学的検査については、厚生労働省令で定めるものとすること。

 第四に、衛生検査技師の資格は、廃止するものとし、衛生検査技師の免許を受けている者については、業務を継続して行うことができることとする等の経過措置を設けるものとすること。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

鴨下委員長 次に、内閣提出、介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 介護保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

尾辻国務大臣 ただいま議題となりました介護保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 介護保険制度につきましては、本年で施行から五年を迎えるところですが、サービスの利用者数が施行当初の二倍を超えるなど、制度として国民の間に順調に定着しつつあります。一方で、サービスの利用の伸びに伴い、給付費も急速に増大しており、今後、高齢化が一層進展する我が国において、制度の持続可能性を確保していくことが喫緊の課題となっております。

 このような中で、介護保険制度が将来にわたり国民生活の安心を支え続けられるよう、また、認知症の高齢者の増加等の新たな課題に対応できる制度となるよう、制度全般にわたる改革を行うこととした次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、予防給付の対象者、内容、マネジメント体制の見直しを行うことなどにより介護保険制度を予防重視型のシステムへ転換することとしております。

 第二に、在宅と施設の間の利用者負担の不均衡の是正等の観点から、介護保険施設等における居住費及び食費を保険給付外とするとともに、低所得者の施設利用が困難となることのないよう、所得に応じた新たな給付を行うこととしております。

 第三に、認知症の高齢者の増加等に対応し、身近な生活圏域単位での新たなサービス体系を確立するため、都道府県知事が事業者の指定等を行うこれまでのサービス体系に加え、市町村長が事業者を指定し、指導監督等を行うことができる地域密着型サービスを創設することとしております。

 第四に、サービスの質の確保・向上を図るため、介護サービス事業者等の指定等について更新制を設けるとともに、介護サービス事業者について情報の公表を義務づけることとしております。

 以上のほか、認定調査を委託できる者の範囲の見直し等要介護認定の見直し、「痴呆」の用語の見直し、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し等の所要の改正を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き、平成十八年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

鴨下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時散会


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