衆議院

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第12号 平成17年4月1日(金曜日)

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平成十七年四月一日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      中山 泰秀君    原田 令嗣君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      藤田 一枝君    本多 平直君

      水島 広子君    横路 孝弘君

      米澤  隆君    高木美智代君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山名 靖英君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  橋本 清仁君     本多 平直君

  高木美智代君     山名 靖英君

同日

 辞任         補欠選任

  本多 平直君     橋本 清仁君

  山名 靖英君     高木美智代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局労災補償部長森山寛君、社会・援護局長小島比登志君、老健局長中村秀一君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅原一秀君。

菅原委員 おはようございます。自民党の菅原一秀でございます。

 きょうは、東京も開花宣言をいたしまして、またきょうから新年度ということで、いつになく尾辻大臣のお顔色もよろしく見えるわけでございますが、ぜひ新たな気持ちで私も臨んでまいりたい、こんなふうに思っているところであります。

 まず、きょうの介護保険法等の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただくわけでございますが、今回の介護保険制度改革には実にさまざまな論点があると思っております。とりわけ、今回の最大の課題は、やはり世界一の長寿国になった我が国の二〇一五年問題、そして二〇二五年問題、この問題にどのように対応していくかということであると考えております。

 今から十年後の二〇一五年にはいわゆる団塊の世代が六十五歳に達して、さらにその十年後、二〇二五年には、介護ニーズが高まるいわゆる後期高齢期、七十五歳以上に団塊の世代が達するわけでございます。社会保障給付費全体で見ましても、現在の八十六兆円から二〇一五年には百五兆円、また、二〇二五年には百五十二兆円というような推測も出されておりまして、とりわけ介護給付費につきましては、二〇一五年には約十二兆円、二〇二五年には十九兆円と、金額や割合から見れば年金、医療よりも小さいわけですが、伸び率は約四倍と極めて大きいということが指摘をされているわけであります。

 そもそも介護保険創設時におきましては、家族の介護負担は本当に軽減されるんだろうか、あるいは、保険あってサービスなしといった状況になるんではないかというようなさまざまな懸念があったわけでございますが、この五年間の状況を見ますと、サービス利用者は当初の百五十万人から約三百二十万人へと倍増しまして、介護認定者も昨年の九月には四百万人を超えている。

 こうした中で、各種世論調査でも、介護保険制度について、幾つかの課題はあるもののその評価は年々高まってきている、そして国民の老後生活を支える基礎的なシステムとしても定着しつつある、こういうふうにとらえているわけであります。それゆえに、我が国の高齢化が最後の急な上り坂を駆け上がり、これからの十年、二十年を展望した場合に、この介護保険制度をいかにして持続可能なものにしていくかということが、今回の最大の課題であるというふうに考えております。

 しかし、そのために、給付と負担のバランスをいかにとるかということに重点を置き過ぎて、木を見て森を見ず、すなわち制度を見て介護を見ないというようなことにならないように、ぜひこの制度の理念の確立というものに努めていただきたい。

 また、介護保険の財源は保険料と公費によって支えられているわけでございますが、保険料については六十五歳以上の高齢者も負担をしております。したがって、サービスを受ける高齢者の視点だけではなくて、保険料を払う高齢者の視点、これも忘れてはならない、こう考えておりまして、例えば、これからは第一号被保険者に限って、払い始めて五年とか十年たって健康であれば一部還元をするような、そんな工夫もお考えをいただければどうかなと。

 こんな思いの中で、まず初めに、これまでの五年間の介護保険制度についての総括、そしてまたこの改革の基本姿勢、方向性について大臣からお示しをいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 既に今のお話の中でお述べいただいたことも多うございますけれども、改めて私の考え方として申し上げたいと存じます。

 介護保険制度でございますけれども、創設時にはサービス基盤の確立を初めいろいろな課題も多うございましたけれども、お話しいただきましたように、サービスの利用は倍増いたしましたし、また世論調査等におきましても年々評価が高まっておりまして、本制度は我が国の高齢期を支える制度としてしっかり定着してきたと考えております。

 しかし、その一方で費用は急速に増大をしておりますので、今後十年、二十年先を見据えて制度の持続可能性を確保していくことが必要でございますし、そのためには、皆で支え合う部分とみずから備えるべき部分とのバランスにも配慮しながら、給付の効率化、重点化を進めるとともに、認知症高齢者やひとり暮らし高齢者の増加などという新しい問題もまた出てきておりますから、そうした課題にも適切に対応していくことが必要だと考えておるところでございます。

 今回の制度改革におきましては、こうした視点に立って制度全般にわたる見直しを行うことといたしておりますけれども、具体的には、軽度の方を対象としたサービスをより介護予防に効果的なものに見直すなど、予防重視型システムへの転換を図ること、それから、在宅と施設との利用者負担の不均衡の是正等の観点から、介護保険施設入所者の居住費、食費の負担の見直しを行うこと、それから、認知症やひとり暮らしの高齢者を身近な地域で支えるための新たなサービス体系の確立や介護サービス情報の公表など、サービスの質の向上を図ることなどの改革に取り組むことといたしております。

菅原委員 今、大臣から御答弁いただきましたが、この五年間の足跡は多としながらも、私は、本来介護というものはやはり家族がやるものという基本哲学は忘れてはいかぬ。これは、言ってみれば日本の家族のあり方という問題にも深くかかわっているわけでございまして、その上で、家族の負担軽減のために社会が介護を支援していくという考え方が基本的なところではないかな、このことを指摘しておきたいと思っております。

 さて、介護保険は、施行後の五年間はサービス利用の拡大をもたらした反面、一方では、保険料を払っているんだから給付サービスは使わにゃ損という、いわばモラルハザードを利用者の側にも、あるいは事業者の側にももたらしてしまった、こういう側面があるのもこれまた事実でございます。さらに、この五年間はサービス基盤の確立が最優先されたために、民間を主として多様な事業者を参入させて、サービス拡大へのアクセルを踏んできた。ややもすれば踏み過ぎてしまって、何でもかんでも介護保険というような結果に今なっているのではないか、こうとらえております。

 例えば、本来地域のボランティアが担ってきた慈善的な支援や援助も、全部今日ではこの介護保険に組み込まれてしまって、そういう善意というものが失われつつあるという現実もあります。その意味で、介護保険制度を持続可能とすることのためには、給付全体を見直し、徹底してむだを省いて、そして効率化すべきところ、重点化すべきところ、めり張りをつけた見直しというものを期待してやまないわけであります。

 給付の効率化という観点からは、今回の見直しで大臣からもお話がありました。また、さきの我が党の大村理事からも代表質問でただしておりますように、介護予防の推進とホテルコストの見直し、この二つの柱についてはただしていると同時に、今後のこの委員会でも我が党からも議論があると思いますので、私はきょう、若干違った角度から、増大した給付のスリム化、効率化、重点化という点についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、要介護認定でありまして、介護保険は、医療保険制度と異なって、サービス利用に当たりまして、まず要介護認定が必要となっているわけでありますが、私は、かねてから党の厚生労働部会などで、要介護認定のあり方そのものが基本的に見直しが必要じゃないか、こんなふうに指摘をしてまいりました。

 よく、介護認定といいますと、要支援から要介護五までのところに、自分がどこに認定されるんだろうか、あるいはどのレベルの割合が一番高いんだろうか、こういったことが関心の的になるわけでありますが、それでは一体、介護認定の申請をした被保険者のうちで、大体全体で何%が要支援あるいは要介護となるかという視点、これは意外と欠けているんではないか、こう思っております。

 私、調べましたらば、被保険者が認定申請をすれば、これまで約五年間、ほぼ一〇〇%近い方が認定を受けている。本当にびっくりしたわけでございます。そこで、この認定率ということにつきまして、申請をすればほぼ全員が認定を受けているという今の実態について、例えばある方が、認定されてから、あれ、先々の予約のつもりで申請したのになんという人も出てきているありさまでありまして、このようなことが要支援者を急増させてきた要因になっているんではないか、こんなふうにとらえております。

 このことについてどのようにお考えでいらっしゃるか、また、これまで、今言った視点については意外と取り組みがなされてこなかったような気がしますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 委員から、要介護認定の申請、それに伴う認定該当率が非常に高いこと、またそういうことについての論議いかん、こういうことではないかと思います。

 要介護認定につきましては、コンピューターによる一次判定と介護認定審査会の二次判定を経て決定する仕組みとなっておりまして、これは全国的に統一したルールで、各市町村でやっていただいております。

 今の認定の該当率の問題でございますが、要介護認定を申請された方で、要支援、要介護一から五までの認定を受けた割合は、全国的に見てほとんど一致しておりまして、申請者のうちの約九九%になっております。

 どうしてこういうふうに高いのかということでございますが、これは、我が国の介護保険制度が、例えばドイツと比べますと、ドイツは中重度の方に限定しておりますが、できるだけ広くということが制度創設当時議論されまして、要支援、要介護一などの方々も広く制度の対象としている。こういうことから、非該当の方が極めて少ないという状況になっていると認識いたしております。

 今回の制度見直し、これは社会保障審議会介護保険部会でも議論されましたが、その検討の過程におきましても、市町村の代表の委員の方から、要支援などの軽度の者はそもそも制度の対象外とすべきではないか、そういう議論も提出されております。

 いろいろ議論を重ねたわけでございますが、こうした方々を保険給付の対象から外して、いわば放置してしまうということは、かえってその後の状況の悪化を招き、重度の要介護者を増加させることになるのではないか、こういう議論もございまして、今回の見直しにおきましては、大臣の方からも最初に申し上げましたとおり、軽度者の問題につきましては予防重視型システムに変えていく、こういうことで対応をしたいと考えているところでございます。

 こういう見直しによる重度化の防止等によりまして、介護保険財政においても結果的には相当の財政効果を見込んでいるところでございます。

菅原委員 今局長からドイツの例が出されましたが、ドイツは確かに中度、重度の方を中心として認定をされているわけですけれども、それも聞くところによると、全体で四割程度、極めて絞った形になっている。日本の場合は、老老介護とか介護地獄とか、要介護者を介護する方が一生懸命介護して、それこそ精根尽き果てるまで、あるいはそれによって介護者がみずから命を絶つような、本当に悲惨な状況。あるいは、先ほど申し上げたように、予約していただけみたいな感覚、あるいは保険は使わなきゃ損だというような、そういう方々も、非常に間口を広く、保険制度がすべてを網羅してしまっている。

 このスタートの時点が果たして、そういう当時の論議があったとは聞いておりますが、やはりこれはもう一度、プリミティブな問題として考え直していかなければいけない。とりわけ、先ほど言った二〇一五年、二〇二五年の課題が目前に来ているわけですから、やはりこの根幹的な問題についてさらに議論を深めていただきたいと思いますし、私も取り組んでいきたい、こう思っています。

 次に、介護サービスにかかわる事業者についてお尋ねをしますが、介護保険は在宅サービスを中心に多様な事業者が参入してきたわけでありまして、このことがサービスの拡大と多様化をもたらして、地域経済の活性化、あるいは雇用の拡大ということをもたらした点では非常に評価ができる、こう思っております。

 しかしながら、非常に課題も多いわけでありまして、先ほど申し上げた認定率の問題にしましても、いわゆる事業者による利用者の掘り起こしの問題、あるいは、最近では、事業者の中に、三十六億五千万円もする十二人乗りのジェット機を購入するという大変羽ぶりのよい会社も出ていることが報道で出ておりました。まさかジェット機でホームヘルパーを派遣するということではないと思うんですけれども、このような、非常に、ややもすれば、介護保険料がそういう部分に使われているのかなと指摘をされかねない状況にも至っている。会社は経費を使うのは自由でありますから、しかし、そういう現実の状況。

 あるいは、不正事業者も大変増加をしていることは論をまたないわけでありまして、個人情報の漏えいやホームヘルプサービスの架空請求や不正請求、そして保険者である自治体から返還を求められた総額も、介護保険が発足してから五年間で百二十億円を超えているという大変ゆゆしき状況、さらには、介護虐待という言葉が社会化するほどに介護従事者による虐待の増加、こういった問題が後を絶たないわけであります。

 さらには、そのような不祥事を起こして取り消しをされた業者が、例えば東京で登録していたのを今度は埼玉県で申請するとこれが通ってしまったり、あるいは、ほかの名義で登録した場合に自治体側、保険者側からその業者を排除できない、こういうような法律の明確化がされていないという事態、こういったことについても厳しく改正を求めなければいけない、こう思っているわけでありますけれども、厚労省として、不正事業者の実態をどのように把握して、今回の改革、見直しで、事業者規制のあり方について取り組んでいくのか、このことをお尋ねしたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 委員から具体的な御指摘がありましたように、いろいろな事例が上がってきております。そもそも、介護保険制度が発足しましたときには、さまざまな事業主体に参入をしていただく、民間の方はもちろんですが、そういうことによって利用者の選択それから事業者の競争ということでサービスの質を確保したい、こんな仕組みを導入したわけでございますけれども、施行後の状況を見ますと、架空請求それから無資格者によるサービスの提供、そんなことが、悪質な事例も見られまして、不正請求それから指定の取り消しなどもふえてきているのが現状でございます。例えば、平成十五年度では不正請求それから過誤の請求等で五十六億円という実態もございます。それから、平成十二年から昨年末までの累計で取り消し事業者が二百八十七事業所という実態もございます。

 御指摘のとおり、不正な業者を排除して、良質な事業者が利用者に選択されるような仕組みを整備するということは大変重要なことだというふうに考えておりまして、このたび、事業者の指定に六年ごとの更新制を設ける。それから、指定の欠格事由に、先ほど御指摘がありましたように、申請者の取り消しの履歴などを追加しまして、過去に取り消しをされた事業者の役員が別のところで指定申請をするということにつきましては、これは指定を受けられない、こういうことをはっきりさせる。それから、すべての事業者に対して情報の公表を義務づける等のことについての見直しを考えているところでございます。

菅原委員 あくまでも介護サービスというのは保険料そしてまた税金といった公的な財源に支えられているわけでありますので、一つの市場とした場合、この介護市場でルール違反を犯した者に関してはきっちり排除する仕組みというものを確立していただきたい、今御答弁されたことを実地でしっかり取り組んでいただきたい、こう思っております。

 次に、介護保険におけるケアマネジメントの問題についてお尋ねをしたい、こう思っております。

 この五年間でケアマネジャーは約三十万人が養成されまして、現在八万五千人。大変、量の確保はできてきたのかな、こう思っております。しかしながら、実態として、ケアマネジメントの事業者の九割が介護サービスの事業所と併設をされている、こういう実態。本来、公平中立というものが求められるケアマネジメントなのでありますが、実態としては、自分の会社のサービスをケアプランに組み込んだり、そういったことが給付の肥大化につながっている、こういったことも明らかになってまいりました。

 また、ケアマネジャーの資格というものを取得していても、個人によって当然力量やあるいは資質において差があるわけでありまして、この資格試験の合格の後の研修というものを調べてみましたらば、意外や実地研修じゃなくてケアプランの作成そのものに労力をとっているような、こういう実態もあるわけでありまして、こうした課題についてどういうふうに今現状を分析して、今回の取り組みで見直しを行おうとしているのか。時間がなくなってまいりましたので、簡潔にお願いいたします。

西副大臣 お答えいたします。

 先ほど御指摘のように、自社のサービスをケアプランに位置づける傾向があるという御指摘がありましたけれども、この点につきましても、今回、軽度者に対するマネジメントにつきましては、市町村の責任のもとで、公正中立的な地域包括支援センターにおいて一元的に介護予防マネジメントとして実施する、こういうことにしております。それから、ケアマネジャーの資質を高めるために五年ごとの資格の更新制を導入する、そして研修も義務づける。

 それから、居宅介護支援事業者に所属するケアマネジャーの届け出を義務づけて、そしてマネジャーごとにケアプランの内容を評価できるように、だれがマネジメントをしたかということをきっちり評価できるようにする。それから、一人当たりのケアマネジャーの担当する利用者の人数は、今五十人が標準というふうになっておりますが、もう少し少なくして、きっちりケアマネジメントができる人数に見直す等のことをやりたいというふうに思っております。

菅原委員 今後、報酬の問題なんかもありますので、さらなる取り組みをお願いしたい、こう思っております。

 次に、介護と医療の関係についてお尋ねをしたいと思っております。

 大変な高齢社会、高齢者人口の急増によって、特に今までの痴呆症、現認知症の高齢者が、現在百五十万人から、これから十年変わると二百五十万人に増加するという推計が出されております。

 これまで、我が国の高齢者介護といえば、どちらかというと身体介護中心であったわけですが、この認知症の存在、医療が進展したと同時に、逆にこの認知症がクローズアップされてきた、こういう問題。こういう視点をとらえながら、一方でサービス体系のあり方について考えてみますと、介護保険創設当時から、この医療と介護というのは非常に重要な論点でもあったわけであります。

 社会保障改革という点からしても、今回の介護保険の見直し、来年は医療制度改革が予定をされておりますが、制度面のみならずやはりサービス面において、医療と介護をめぐる課題について、特に最近、病院がいっぱいになって社会的入院じゃなくて社会的退院というものが余儀なくされて、早期退院を余儀なくされている方々が、結局は在宅で、重度の医療ニーズを持ちながら、同時に介護ニーズとあわせ持っているわけでありますけれども、こういった方々が在宅で家族が訪問看護をしながら介護している。

 実際、私も、八年前に父が他界しましたが、最後、がんで、退院した後寝たきりで介護をした経験があるゆえに、肌身にしみてこのことを感じているわけですけれども、例えば、家族が介護に疲れて日中預かってくれる場所、こういった面では、介護についてはデイサービス等がありますが、医療ニーズの部分については極めてこたえられていない。そういう中で、このニーズに対して医療保険と介護保険のつなぎ、これをいかに円滑にしていくかということが大変大事だと思っております。

 しかしながら、今回の法案をずっと頭から最後まで見ておりますと、その点が非常に明確になっていない。こうした在宅の重度の方々のニーズに対してどうやって対応していくのか。来年には介護報酬と診療報酬の見直しが四月に同時に行われるわけですから、その役割分担と連携についてぜひしっかりやっていただきたいと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 先ほど、委員御自身で経験されましたように、介護と医療との関連というのはこれから大変重要な課題になってくると思います。ターミナルケアそれから難病の皆さんなど医療ニーズの高い重度の方に対する在宅サービスの充実、それから介護サービスと医療サービスとの連携強化の必要性などが今提起をされておりまして、今後、こうした課題の解決に向けてしっかりと対応していきたいと思っております。

菅原委員 いわば、この介護と医療の部分、つなぎの部分は、極めてファジーな部分でありますので、実態として被保険者あるいは要介護者、その家族が一番求めている部分でもありますので、ぜひさらなる研さんを積んでいただきたい、こう思っております。

 最後にお尋ねをしますのは、今回の見直しで法案の附則として検討事項にとどまった、いわゆる被保険者、受給者の範囲についてでございますが、この問題は、昨今障害者の支援費制度との関連で論じられていることが多いわけですが、そもそも介護保険創設当時から、ドイツのようなゼロ歳から全国民を対象とした制度にするのか、議論になった問題でもあります。

 我が党の中でも、この支援費制度については、私なんかは税で見るべきだとずばり発言をしております。しかしながら、いやいやそれは介護保険との統合が大事だ、こういう意見もありまして、意見の分かれている、論議の詰めなければいけないところだ、こう思っていますが、再来年、平成十九年には消費税の結論を出さなければいけない。給付と負担のあり方、財源のあり方、社会保障一体の見直しと極めて密接に関連をする課題でありまして、そういった中で今回の附則の規定が置かれたもの、こういうふうに理解をしております。

 一方で、今まで、きょうのこの質問でもお尋ねしたように、介護保険制度そのものの持続可能性をという観点から、財政問題、また、今回の見直しでよりよい制度に発展させていかなければならないという使命があるわけでありまして、同様にこれは障害者施策についても同じようなことが言えるのではないか、こう思っております。

 いわば、こうした努力なしに、単に財源が苦しくなった、お互いの家計が厳しいから結婚して一緒にやっていこうやというのでは、本来的な趣旨も損なわれてしまう、あるいは保険料を負担する国民の側からしても納得を得られない、こういうことを思うわけであります。

 そういった中で、今回、障害者自立支援法案、これも提案される予定になっておりますが、この被保険者、受給者の範囲の見直しについてどう検討を行うか、基本的な現時点でのお考えと、今後のスケジュールについてお示しをいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 お話しいただいておりますように、被保険者、受給者の範囲というのは、これはもう制度創設のときから大きな課題でございましたし、両論あるところでございます。被保険者、受給者の範囲を拡大して普遍的な制度とすべきだという御意見があります一方では、それに対して慎重な御意見もございます。そのために、今回の法案では附則において検討規定が置かれることになったわけでございます。

 この問題につきましては、国民の皆さんの合意形成がどうしても必要でございますから、今後、給付や負担のあり方など社会保障全般にわたる議論が行われる中で、介護保険制度を普遍的な制度とすべきかどうかについて、これは精力的な検討を行わなきゃならぬと思っておりますが、最終的には平成二十一年度を目途として所要の措置を講ずることとしたいと考えております。

菅原委員 ありがとうございます。

 介護保険は、スタートして丸五年、ある意味では、一生懸命試行錯誤を繰り返しながらやってこられた。ある意味ではまだまだ発展途上の制度である。しかし、世界一の長寿国になった日本が、ドイツを超えて本当に介護保険制度の真のモデルとなり得るように、不断の努力をお願いしたい。

 と同時に、大臣を初め厚生労働省におかれましては、国民各世代に対して、この制度のあり方を理解して、また納得してもらえるように、いわゆるアカウンタビリティーを発揮していただきたい。このことを最後に要望して、質問を終わります。

鴨下委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 いよいよ介護保険の見直しの法案について審議が始まったわけであります。制度発足当時から深い関心を持って見守ってまいりました私としては感慨無量でありまして、大臣も随分介護保険制度については制度導入時からお取り組みをされているやに聞いておりまして、きょうは今回の見直しの最初の議論でありますが、おつき合いをいただきたいと思います。

 今、同僚議員から、今回の見直し、これから先を見通して、時代背景などを考慮しながら議論をされました。私も、制度発足からこの五年間、私は当時新進党でしたから、この法案には反対をした一人であります。何とも言えない苦しみがあったことを今覚えております。

 きょう、そのときにいらっしゃった同僚の議員が何人いらっしゃるのかなと思いながら、反対をした立場もありますから、それだけに関心を持って見てきたわけでありますが、正直言って、よくぞここまで来たな、この五年間、介護保険制度はよくぞここまで国民社会の中に定着をしたな、こういうふうに感じているわけであります。その間における我が国の市町村あるいは都道府県あるいは厚生労働省の皆さん方、お役人の皆さん方のお取り組みや、さらには民間事業者、ケアマネやヘルパーさんや施設の職員の皆さん方の大変な尽力、努力に改めて私は敬意を表しながら議論を進めたい、こう思っているわけであります。

 きょうは最初の議論でありますから、総論として何点か議論をしてみたい、こう思っております。

 最初に、今回の見直しの大きなポイントが、介護予防重視型システム、介護予防ということを特段に重点化していこう、こういうことであります。

 こういう議論をしますと、マスコミやいろいろな方々から、給付の切り捨てであるとか、軽度者のサービスが切り捨てられるという懸念ももちろんあるわけでありますが、平成元年に消費税が導入されて、ゴールドプランが策定をされました。そして、その後、介護保険制度が二〇〇〇年、平成十二年に導入をされた、そして五年たったというこの流れから考えますと、私は、ある意味では、この一連の流れ、ゴールドプランから介護保険の導入、これは国民、社会挙げて、日本の国が、介護という問題を全国民で考えようという、まさに介護に関する国民運動ではなかったのか、こう振り返って感じるわけであります。

 と申しますのは、ゴールドプランが策定されましたときに、在宅サービスの緊急整備というようなことが現場で行われまして、私はそのときに現場にいた一人でありますが、特に当時は苦労したわけであります。ヘルパーさんも昔は家庭奉仕員と言われている時代でありまして、緊急整備ということで、厚生本省から、ぜひサービスを拡充してもらいたい、こういう要請もあったわけでありますが、これがなかなかふえない。ヘルパーの利用が本当にふえないというのは随分苦労した経験があります。

 あるいは、ショートステイにしても少々ではふえなかったわけでありまして、平成元年、二年、三年あたりの当時の現場を知る人にとっては、まさにこの介護保険五年間、居宅サービスだけでも利用者が百二十万台から二百三十万、倍に近い利用者がふえている、こういう時代を考えますと、本当に私は感慨無量ではないかな、こう思っております。

 ただ、この五年間、やはりそれだけ利用者がふえてくると、今度は逆に、介護保険の導入のときもあったのでありますが、やがて総量規制の時代が来るのではないか。みんなで利用しましょう、こう国民運動を起こしても、やがて今度は、いやいや、そうはいっても財政がついていかないよ、こういう議論も出てくる。そのときには総量規制ということもあるのではないかというようなことも、実は制度導入時に議論したことも覚えているわけであります。

 今回は、介護予防、介護ということを国民全体で考える運動をやってきたけれども、五年間やってみて介護の前の介護予防ということがやはり大事なんだなということで、今回の見直しに当たっては、来年の四月からということよりも、二年、三年、あるいは五年、十年、先ほど二〇一五年あるいは二〇二五年という話がありましたが、これから先を見通して介護予防に重点化していこう、まさに介護予防というものを、予防というものを今度は国民運動としてやっていくんだという今回の見直しではないかなと、私は一人で位置づけているわけであります。

 ただ、やり方が逆ではなかったのかなと。本当であれば、介護予防から始めて、そして介護ということなのかなと思ったり、しかし、それではなかなか運動として定着しない、国民の中に介護というものがなかなか定着しなかったのではないかな、こう思ったりしているわけでありますが、そんな私のひとり言に対して、大臣、どういうふうにお感じになるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 御自身振り返ってのお話もございましたから、改めて申し上げたいと存じます。

 日本という国が、他国に類を見ない急速な高齢化が進展をいたしました。そうした中で、介護というのが国民の老後に対する大きな不安にもなりましたし、先ほどのお話の中にも出てまいりましたけれども、介護地獄というような状況もございました。

 そうした中で、一九九〇年といいますと、先生御自身は山口県庁におられて今のお話だと思うんですが、このときにスタートいたしましたゴールドプランでありますとか寝たきり老人ゼロ作戦、あるいはその後、今度は九七年になりまして、ゴールドプランがさらに新ゴールドプランになりました。そうしたことなどを踏まえて、介護問題に国全体で取り組んできて、そして一つの到達点が二〇〇〇年の介護保険制度であった、こう考えるわけでございます。

 定着はしてまいりましたけれども、五年を経まして、サービス基盤の整備は大きく前進はいたしましたけれども、これまた先生のお話の中にありましたけれども、十年後の二〇一五年、いわゆる団塊の世代の皆さんが高齢期に到達する。さらに、二〇二五年には後期高齢者が二千万人を超えるといったようなことがございます。こうした超高齢社会ということを考えますと、どうしても、先生にお触れいただいたような、可能な限り自立した生活を可能にするという、お年寄りの皆さんにそうしていただくという重要な国民的な課題が出てきたわけでございます。

 したがいまして、今回の改革は、このような観点に立ちまして、予防を重視したシステムへの転換を図り、介護から一歩進めて、国全体で介護予防に取り組んでいこうとするものでございます。

桝屋委員 今大臣からもお話がありましたが、介護保険を五年間やってみて、いよいよ次の段階として予防重視型のシステムへということは、制度の変遷としてどうしても避けて通れない課題だろう、私はこう思っております。

 そこで、二〇〇〇年のときに、介護保険導入のときに、私は、いろいろな仕掛けがあったのでありますが、非常によかったなと思っているのは、一つはホームヘルパーの養成研修。当時、介護保険の前からだったと思いますが、一級、二級、三級という養成。介護保険では、ホームヘルパーさんの仕事、介護の現場で働いていただくには、国家資格ではなくていわゆる認定講習ということで、三級であれば九十時間、二級であれば百八十時間、一級であれば三百六十時間、この養成研修を受けて、そして、研修を修了した人には修了証書を出します、そういう方々が介護保険の現場で介護の仕事、サービスに携わっていただく。

 そして、多くの方は、私もその養成研修のスタートに立ち会った一人でありますが、修了された方が全部ヘルパーになるかというと、そうではない。しかし、少なくとも、介護というものを真剣に考えていただく最大のチャンスになったわけでありまして、やはり三級、二級、一級と段階的に研修が進むということもあったのでしょう、私は、多くの方が受講していただいて、まさにケアリングソサエティーといいましょうか、介護を本当に社会全体で考える大きな戦略になったんではないか。

 それともう一つは、やはりケアマネジャーさん、居宅支援専門員さん、こういう専門家集団を養成してきた。こうしたことが介護を国民全体で考える運動の中で大きな力になったんではないか、私はこういうふうに思っております。

 今回の見直しは介護予防ということでありますから、では、どういう仕掛けでいくのか。介護予防って、大臣、市町村を回ってみて思うのは、簡単なことではないなと。特に、要支援とか要介護一の方の、認定された方で重度化を防ぐという、これは比較的対象は何とかなると思うんですけれども、いわゆる自立と認定された方で、このまま放置しておくと要支援なり要介護になる、おばあちゃん、あなたはこのままいきますと間違いなく要介護ですよ、きょうから来て、一、二、一、二、訓練を受けなさい、こうするのは並大抵のことではないだろうと思うんですね。市町村の中でそういうデータをきちっとそろえなきゃなりませんし、そういう方々にみずからの意欲を持って取り組んでいただく、そういう国民運動をこれから進めていかなきゃいかぬ。ここは私は大変な作業だろう。市町村でそういう体制をつくり上げるというのは大変に困難な作業ではないか。

 したがって、二、三年かけて準備をしましょう、こういうことのようでありますが、介護保険導入時に、例えばホームヘルパー三級、二級、一級というような仕掛けがあった、あるいはケアマネジャーというような専門家集団の育成があった。今度は、やはり介護予防は、地域の中でお年寄りの皆さんが、高齢者の皆さんが、ぜひみずからの意思で喜んで介護予防のサービスを受けたい、こう思う雰囲気をつくるには、やはり何らかの起爆剤が要るのではないか、いろいろな知恵を出さなきゃいかぬのではないか、私はこう思っておるのでありますが、何か、これでいくんだというようなお知恵があるのかどうか。やはり地域の中でそうしたグループをつくっていくということも大事だろうと思いますし、今のヘルスの事業あたりといかにタイアップしていくのか。

 いずれにしても、介護予防というものを国民全体で取り組める、この風土づくりをどうやって進めていくのか、何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 予防の進め方でございますが、今委員の方からヘルス事業というようなお話もありましたが、ただいま私どもがやっておりますヘルス事業の見直しの検討会などでも強調されていますことは、住民の方が主体的に取り組んでいただかないと、お役所の方から呼びかける、あるいはお役所がおぜん立てするということだけではうまくいかないのではないかというふうに言われております。したがいまして、私ども、今度の介護予防の話も、公的なサービスということだけではなく、介護予防に向けた自主的な取り組みが地域で進むことが大事だと思っております。

 このために、自主的な地域住民活動の支援に取り組むこと、これは地域支援事業により実施したいということで、法案の中でその地域支援事業を位置づけております。また、ボランティアによるサービスなどさまざまな力の活用を図りたいと思っておりまして、そういったことの企画、マネジメントは地域包括支援センターでやってまいりたい、こういうふうに考えているところですが、いずれにしても、支援を必要とする地域の高齢者の方々に、さまざまな活動によって介護予防のサービスが行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

桝屋委員 今、中村局長の顔を見ながら、改めて介護保険導入時を思い出しているわけであります。本当に私も、介護保険、国民で介護を考えるというので、例えばヘルパーさんにユニホームをつくってみたり、あるいはロゴマークをつくってみたり、いろいろな苦労をして、これはみんなで使っていただくものだ、この風土を醸成するのに随分苦労したことを覚えているわけであります。

 予防となりますと、私、現場で何人かの方と話をし、あるいは介護現場の方々とも、専門家と言われる方々とも話をいたしましたが、やはり異口同音に聞こえてくるのは、それは代議士、九十のばあちゃんに筋トレはないだろうと。あるいは、もうお年寄りの皆さんに、今から栄養の指導や口腔ケアや筋力トレーニングや、そんなのできますかという意識がまだ多くの方に、私は、大部分の市町村の担当者や介護現場の中にある風土ではないかと思うんですね。そこをやはり払拭する、誤解を払拭していくということは大変な運動量が必要なんだろう、私はこう思っております。ぜひ知恵を出していただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 こういう認識のもとに、私ども公明党も、与党の一員として、早くから、介護予防十カ年戦略、あるいは与党の中で健康フロンティア戦略などを策定し、先ほど御説明がありました市町村の支援事業の仕掛けの前段階として、与党の一員として懸命に取り組みを進めさせていただいたわけでありますが、今回の介護保険の改正の中で、いわゆる政策目標として、介護予防についてどういう数値目標をされているのか。五%から一〇%というような数字がよく見えるのでありますが、そこを国民の皆さんにわかりやすく御説明いただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険で要介護認定に該当された軽度の方々で、新予防給付の対象になる方々に対しましては、対象者の一〇%の方について要介護状態の悪化の防止ができる、いわば十人にお一人にまず効果を上げよう、そういう目標を立てております。

 また、要介護認定に該当されていない、あるいは要介護認定に手を挙げておられない、いわば自立の方々、これは六十五歳以上の高齢者の大部分の方になるわけですが、そういった方々の中でいわばハイリスクの方、五%くらいと考えておりますが、その方々を対象といたしまして地域支援事業を実施したいと考えておりますが、その対象者の二割について効果が上がる、要支援、要介護状態になることの防止をまず上げていきたい、そこを目標値として、一つの政策目標として市町村で介護予防対策に取り組んでいただくようお願いをしているところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 きょうは最初の議論でありますが、私は、今回の見直し、介護予防重視型のシステムということについては、既存のサービスを切り捨てる、既存のサービスを整理するということではなくて、新たに介護予防の作業を介護保険の本体の中でやっていこう、こういう改革なんだ、このようにぜひとも国民の皆さんに御説明をいただきたいというお願いをしておきたいと思います。

 それからもう一つ、介護保険の大きな要素でありました市町村を中心とする事業立て、いわゆる市町村中心主義。介護保険は、それまでにも増して市町村が中心になって事業を進めるんだ、こういうことで、導入時は、なかなか理解のいかない首長さん方を集めてトップセミナーなんかもやりながら、本当に苦労しながらやってきたわけでありまして、その結果、市町村を中心に、もちろん広域でやられているところもありますけれども、市町村、首長さんのその思いというものは、やはり首長さんの責任で介護のサービスはやっていくんだ、こういうことは私は定着してきたと思っておりますが、認定の業務や財政運営について広域でやられているという事例もたくさんありまして、いわば市町村合併の切り口とも言われたわけであります。

 そんな市町村中心主義の運営をやってきて、しかし、今現場を見ますと、厳然とした市町村格差が出てきているのも事実であります。例えば、一号被保険者一人当たりの給付費で見ましても、私は、トップレベルの市町村とそれから全く逆の低い市町村と、相当格差があるのではないか。この格差というのはどのぐらいの差になっているのかということを、ちょっと端的にお示しをいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年度、六十五歳以上の方一人当たりの介護保険給付費、これは年間二十万七千円が全国平均でございます。

 全国で一番高いところは沖縄県の与那国町で年間四十二万八千円、一番低いところは千葉県の下総町で九万六千円でございまして、その格差は四・五倍でございます。都道府県で申し上げますと、沖縄県が二十七万八千円で最も高く、最も低いのが茨城県で十六万円で、格差は一・七倍でございます。

 与那国町の場合は、小さな町でございまして、そこに施設などがあるということで、非常に割高になっているという特別な事情もございますが、総じて言えば、市町村の大きさなどが同じと仮定しますと、格差が何で出るかというと、サービス利用の格差でございまして、特に施設のサービス利用が大きいと給付費が高いというのが一般的な傾向でございます。

桝屋委員 本当は、在宅サービスでどのぐらい差があるのかということも、また機会を見つけてお示しをいただきたいと思います。

 今、四倍という数字をお示しいただきました。平均的に見ても、今の例は極端かもしれませんが、やはり倍半分の差があるというのはいっぱいあるだろうと思うんですね。

 それで、A町とB町を比較して、A町の方が倍のサービス料を出している、ではA町の町民の方が幸せで逆は不幸せかというと、必ずしもそうでもないんだろうなと思いながら、これは医療費の地域格差と同じような議論になるかもしれませんが、こうした市町村格差に対して、首長さんの中には、腹を決めて住民と話をして、我が町はサービスをいっぱい出しますよ、しかし保険料も高いですよ、いいですねと腹を決められてやられているところと、逆に、腹の決め方も、もう保険料はこれ以上は無理だから、サービスはそのかわり我慢してくださいよ、こうやってお話しされている首長さんもあるかもしれません。

 こうした格差に対して、国としては、厚生労働省としては、どう総括をされ、これから見直しの作業でありますが、今後この格差をどうされようとしているのか、お考えがあれば、きょう副大臣おられますが、お聞きしたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 まず、市町村がそれぞれの地域住民のニーズにこたえてサービスを提供する、これが原則でございまして、そんな意味では、保険料の設定も含めて市町村に任されているということが基本でございます。

 しかし、さはさりながら、高齢者の人口比率が高いところ、それから被保険者の所得水準が違うとかいろいろなケースがございますので、必ずしも市町村の責任だけでない部分で格差が生じるというケースがあります。

 そんなことがないように、まず国として、必要な財政調整、これは余り大きなパーセンテージじゃございません、五%の範囲の中で行っている、これが一つでございます。

 それからもう一つは、先ほど若干局長から話がありましたけれども、小規模なところはできるだけ広域にすることによって効率化を図っていく、こういうことも努力をしているところでございます。

 それと、市町村で給付と負担の水準が異なるというのは、これはある意味では地域住民の選択の結果ということは言えるんですけれども、先ほども若干局長から触れました、施設サービスの比率が高いところは、やはりそういう意味では保険料もそれに応じて高くなっていくというのが、これははっきりした傾向がありまして、この点についても、今回も在宅ケアをできるだけ推進していくことによってその流れを少しでも変えていこう、こういうことでございまして、もう一つ、施設給付の見直し、給付についても見直しすることによって、この際、ホテルコストなんかの議論がこれからお願いするわけですけれども、施設と在宅の公平性の確保も図りたい、こんな考えです。

 このことによって、市町村の給付、保険料の格差をできるだけ縮小していく方向にしていきたいというふうに考えているところでございます。

桝屋委員 市町村格差については、私は、個人の見解でありますが、介護保険が始まった以上、ある程度差がついても、制度のまさに本質でありますから、これはやむを得ないことだろうと思っております。

 ただし、やはり余りの差、それから、今副大臣から御説明がありました、その要因の多くは施設の整備の状況だ、こういうことでありますから、そこはやはりある程度国が調整作業をせざるを得ない。介護保険はまだそういう段階ではないか。したがって、三位一体の改革で、施設整備あたりはもうみんな地方に補助金を渡せ、こういう議論もありましたけれども、今の状況では、交付金化して、国の調整ということはやはりまだ必要な段階ではないのかな、私もこう思ったりしているわけであります。

 そこで、時間がなくなりましたからもう一題だけ議論をしたいんですが、在宅重視という方向性と、それから、今副大臣がお答えになりました施設整備の問題。

 介護保険を今日までやってきて、在宅重視という基本的方向性を打ち出されましたが、現場はなかなかそうはいっていない。やはり施設のニーズは依然として高いものがあり、施設をつくってもすぐいっぱいになるという状況がある。待機者があふれている。あふれているという言い方が適当かどうかですが、多くの待機者がいらっしゃる。これも事実であります。

 介護保険五年を振り返ってみますと、制度導入のときに、今、西副大臣がおっしゃったホテルコスト、介護保険が始まるまでは措置の時代でありました。措置ですから応能負担でありまして、収入の高い家庭にあっては相当高い入所者負担金を取られておりました。中には全額負担というコースもあったりして、サラリーマンの家庭でおばあちゃんやおじいちゃんを施設に入れると、これはもう負担が耐えられないというのがまさに措置の時代ではなかったかと私は思っております。

 介護保険を始めるときに、今ここに局長さんもいらっしゃいますが、声を大に言われたのは、施設はみんなだれもが利用しやすくなりますよ、リーズナブルな料金になって利用しやすくなるんだ、こう言われたわけであります。端的に言いますと、応能負担から応益負担になったということで非常に利用しやすくなったわけでありますが、今になってみて、高齢者の在宅生活と施設生活、この経済的負担を考えると大きなアンバランスがある、やはりこれは放置できないからホテルコストを負担していただこうと。

 このホテルコストの負担は、端的に言うと、いただいている年金はみずからの介護のために使ってくださいね、こういう方向じゃないかと私は思っておりますが、しかし、介護保険が始まるときは、これから施設の利用料も安くなりますよ、利用しやすくなるんですよというのがまさに売りだったんです。私も精いっぱい、反対はしましたけれども、多くの国民の皆さんにそういう説明をしてきた。

 今回はまたホテルコスト、いわゆる利用料がふえるということでありまして、ここは行ったり来たりで、大臣、どう国民に説明をされるのか。ここはやはりきちっと、我が党にとってもここは大きな問題でして、十分国民の理解をいただかなきゃならないだろう、その努力をしなきゃならぬ、こう思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 このことももう既にお述べいただいたとおりでございます。

 制度の創設前は応能負担でございました。したがって、一定以上の所得を有する方々には相当額の負担があって、これは特別養護老人ホームを利用しにくい面があった。それで、制度を導入して、今度は応益負担になりましたから、所得にかかわらず利用がしやすくなったということを申し上げました。そういう意味で、公平な制度にしたと思います。

 ただ、では今度の措置は何だ、こういうことでございますけれども、今度の措置は、在宅の方と施設の方との間の利用者の負担の公平性の観点、やはりここも無視できないので、そういう観点から今度の施設給付の範囲の見直しを行うことにさせていただいているところでございます。

 したがって、応益負担に変えたという基本は変えておりませんので、ぜひそういうふうに御理解いただきたい。すなわち、在宅と施設との間の利用者の皆さんの公平を図ったものだ、ぜひこういうふうに御理解いただきたいと存じます。

桝屋委員 大臣の御説明は、言葉としては理解できるのでありますが、これを国民の皆さんに今から理解をしていただかなきゃならないわけでありまして、今の大臣の説明からいきますと、介護保険を五年やってみて、やはり在宅と施設ではえらい違いだ、在宅にいるより施設へ入った方が安上がりじゃないかとみんな施設に行っちゃう、だから施設の方の負担をふやす、こういうことになるわけでありまして、ここがすっと国民の皆さんに理解していただけるかどうか。

 私どももここは知恵を絞りたいと思いますが、確かに在宅生活と施設生活とのアンバランスを是正するということは必要なことでありますが、ここは、年金制度とあわせて、国民の皆さんにどう理解していただくのか、ここは本当に知恵を絞り、説明責任を我々与党の一員としても果たしていかなきゃいかぬな、こう思っている次第であります。この審議の中で、いい知恵が出ればまたお示しをしたい、こう思っておるところでございます。

 時間が参りましたので、次から詳細について、もう登場させていただけないかもしれませんが、小さい内容もぜひ議論をしたい、こう思っております。きょうはありがとうございました。

北川委員長代理 次に、石毛えい子君。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 いよいよ本日から介護保険法改正案につきまして委員会審議に入ることになりますけれども、二〇〇〇年の四月にスタートする前、介護保険の制定時、こういうことが大きな論点になっておりましたことを改めて思い起こしております。

 主に二つ、介護保険制定に向けて実態的な認識があったかと思います。一つは、先ほど来、各委員の発言にも触れられていたと思いますけれども、家族の介護が大変な状況にあったということ、そのことは介護を受ける方の人格、人権にもかかわるというような状況があったということ、ですから、何とか介護を社会の営みとしていく必要がある、介護を社会化していく必要がある、こういう事実認識があったというふうに思います。

 それから、もう一つ大きな論点になりましたのは、社会的入院を解消する、いわゆる老人病院で大変悲惨な、それこそ人間の尊厳を損なうというような状況すら間々あるという状況で、こういう社会的入院を解消していく。実態認識としてはこの二つが大きかったかなと。

 そして、介護保険の立法趣旨、今申し上げました実態認識と、それから介護保険が実現すべき原理といいましょうか、そのことはたしか、高齢者介護・自立支援システム研究会が、介護保険を制度化していくいわばシーズといいますか種になったというふうに私は思っているわけでございますけれども、その中で固められてきた考え方といいますのは、介護を受ける方、介護を必要とする方の自己決定を尊重する、その理念に立って自立を支援する、こうしたことが社会意識として、あるいは介護を貫く理念として確立してくる、こういう中身を伴って介護保険制度の創設に至ったものというふうに記憶をしております。

 先ほど桝屋議員からも、制定時には当時の新進党は反対されたという披瀝もございました。反対の理由はいろいろあったかと思いますけれども、いろいろなことが加味されて、この法律の制定にはたしか三国会にわたったかな、そういう記憶もございます。それは、見方を変えれば、それだけいろいろな角度から、あるいは各ディメンションから質疑を尽くされてきて制定に至ったというふうにとらえてもいいのかと思います。

 そうしたことを思い起こしながら、立法趣旨を思い起こしながら、これからまさに、介護保険制定時にも、この保険制度が機能していって、そして役立つそのまさにピークの時期というのはいつかといえば、これは団塊の世代の皆さんが高齢期に入っていく、あるいは後期高齢期を迎えていく二〇一〇年、一五年、二〇年、二五年、そのときに本当に安心して暮らせる社会をつくっていこう、そういうプログラムを念頭に置きつつ制度がつくられ、制度が運営されてきたというふうに、繰り返しになりますが、確認をしておきたいと思います。

 そうしたことを念頭に置きまして、これからいただきました時間の中で質問をさせていただきたいと思います。

 質問に入ります前に、先ほど菅原委員への中村局長のドイツの介護保険に触れられましたその発言で、私はちょっと気にかかりますので、そのことについて申し上げて、それから質問に入りたいと思います。

 この間、私たち民主党の介護保険のワーキングチームにレクチャーに来られる厚生労働省の方も時々おっしゃるんですけれども、ドイツの介護保険は中重度の介護を必要とする方が対象だというふうに言われます。それはそのとおりなんですが、ですけれども、ドイツの介護保険は、介護をめぐってこの一つの法律で機能しているわけではなくて、ベースにといいますかすそ野に連邦社会扶助法があって、そこがいわば日本でいえば要支援とか要介護一とかそこのあたりをカバーして、そして両方一体になって動いているわけですので、そこはきちっとちゃんと言っていただきたい。

 アナウンスメントが、ドイツの介護保険は中重度だから日本の介護保険も中重度でよくて、本来、要支援、要介護一は対象外としてもいいんだけれども、そうもいかないので、今度は予防給付にするんだというやに世の中には響きますということです。

 それで、先ほど、余りこういうことを私は詰めていくという気持ちもないんですけれども、審議会ではそこを外してもいいじゃないかという意見もあったというふうに局長はおっしゃられたと思います。たしか二〇〇四の骨太方針の中にもそういうことが書かれていたような記憶がございますけれども、そこを大臣が軽度者は予防給付でというふうにおっしゃられたと先ほど伺いました。

 そこのところはそれでとどめますけれども、ぜひドイツをおっしゃるときにはトータルでおっしゃっていただきたい。そうじゃないと、アナウンスメントが聞く人によってばらばらになってしまうというのはいかがかなと思いましたので、質問に入ります前に申し上げさせていただきました。

 それでは質問に入ります。

 まず最初に、前提となる事柄であるかとも思いますけれども、今回の改正法案を、前回制定の法律の附則の見直しということとかかわってとらえれば、被保険者、受給者の拡大をどうするかということがまず大きな論点、争点であったかと思います。この中身は繰り返しませんけれども、三月二十二日の衆議院本会議での民主党の橋本委員ほか、他の委員の質問に対しまして、小泉総理また尾辻大臣の御答弁は、社会保障全体の議論を行う中でというふうに御答弁していらっしゃいます。議事録を読み返しましてもそういうふうに記載されてございます。

 そこで、今回は、委員会審議に入りましたので、社会保障全体の議論を行うということの、その議論のなされる場や組織をどのようにお考えになっていらっしゃるかということ、それから議論のポイントは何であるかというふうに今押さえておられるか、このようなことを御答弁いただきたいと思います。

 私の認識している限り、一つは、内閣府の方に設けられております経済財政諮問会議ともかかわりますでしょうし、社会保障制度懇談会でしたでしょうか、それともかかわりますでしょうし、それから、いつぞや尾辻大臣は厚生労働省内にも社会保障制度についての検討の場を設けたというふうにおっしゃられたと思いますので、そのあたりで、具体的にどこでどのような議論がされていくかということをまずお尋ねしたいと思います。

尾辻国務大臣 先日来申し上げております協議の場について、具体的にどういう場であるかというお尋ねでございます。

 これは、まずは、このたび、与野党の間でも協議の進め方について今調整が進められておりますから、こうしたものも私どもは当然尊重しなきゃならないと思っております。まずこれが一つあります。

 それから、お話ございましたように、政府においては、官房長官が主宰いたします社会保障の在り方に関する懇談会が持たれておりまして、これは、医療、年金、介護、すべてでありますが、社会保障制度全般について議論が行われておる、こういうまず基本的なものがございます。

 省内に場を設けると申し上げましたのは、あれはむしろ、事務局として、いろいろな御議論がある、その事務局的な受け皿をつくっておこうという意味でございますので、私が申し上げましたことはそのように御理解いただければと思います。

 そうした大きな動きがある状況を踏まえまして、具体的に被保険者、受給者の範囲に関する制度設計上の御議論をしていただくということは、当然、そうした大きな社会保障全体に対する御議論の中での整合性を図りつつ進めていかなきゃならないわけでございますけれども、まず、今私どもとして考えておりますのは、学識経験者や制度の費用負担者をメンバーとする新たな検討の場を設けたいと考えております。この検討の場は、例えばでございます、例えばという言葉でお聞きいただいておきたいと思いますけれども、社会保障審議会における新たな部会を設けることであるとか、あるいはまた大臣や局長等の私的諮問機関を設けることなどを考えておりまして、こうした中からひとつ場を設けたいというふうに考えておるところでございます。

 その協議の場でどういうポイントで議論するかということでありますけれども、これは、今までポイントはある意味で整理されておると思いますが、改めて申し上げますと、若年要介護者を給付対象とする意義、それから保険料負担をする者の範囲や負担の水準など、被保険者、受給者の範囲を拡大する場合の給付と負担のあり方、こうしたものを御議論いただきたいというふうに考えておるところでございます。

石毛委員 最後の議論のポイントというところは、これまでの審議会の両論併記のあたりでも触れられていることですので、改めての御指摘は、それではいかがかなというのが私の思いでございます。その論点を詰めていくために何をやっていくのかというところまで踏み込んで御答弁いただきたかったと思います。

 次の質問ですけれども、今回の介護保険の方の改正法案の中の一つの大きなポイントは、介護予防という概念で提起をされて、制度設計をしようとされています。介護予防です。介護を得ないで自立をする、つづめて言えばそういう目的概念。支援費制度の方の自立支援は、介護を前提として、つまり介護をサポートすることによって自立するということで、介護保険の方はなるべく介護は必要ないように、自立支援法の方は必要な介護はきちっと活用して自立をする、これはちょっと、二つの制度を並べると、立法趣旨が合わないのではないかと思いますけれども、そこのあたりはどういうふうに認識されて、どういう方向でとらえていくのかということを端的におっしゃってください。

尾辻国務大臣 介護保険制度におきましても、それから障害者自立支援法案におきましても、高齢者の皆さんでありますとか障害者の有する能力等に応じて、自己決定に基づき、先ほどこれは先生御自身もお述べいただきましたけれども、まさに自己決定に基づき自立した生活を送ることができるよう必要な支援をしていくという点で、まず全く考え方は同じだと考えます。

 その中で、高齢者につきましては、できるだけ要介護状態にしないこと、また軽度の方々を重度にしないことが重要でございますから、このため、今回の制度改正において介護予防を重視したシステムの構築を図っております。介護予防ということを言っておるわけでございます。

 一方、障害者の皆さんでありますけれども、とりわけ若い障害者の方々について言いますと、既に障害により一定の生活上の困難さがあることに着目をいたしますと、介護のみならず就労も含めた社会参加が進むような支援を図ること、まさにここの部分を自立と言っておるわけでございまして、その支援が必要だと考えております。したがいまして、あえて申し上げますと、障害者にとって、介護の必要な状態を予防するという考え方というのは、これは基本的になじまないと考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、高齢者それから障害者が、それぞれの有する能力を生かしながら、住みなれた地域で安心して暮らす社会の構築が重要であると考えておるところでございます。

石毛委員 大変問題を含んだ御答弁をいただいたと思います。

 後半、障害者の方に関しましては、就労の部分がまさに自立というふうに大臣はおっしゃられたとお聞きしました。就労ももちろん自立ですけれども、自分の意思であるいは自分の思いでどういう生活をつくっていくかということが自立の一番のベースでありまして、もう時間がありませんからこれ以上議論を交わすつもりはありませんけれども。

 支援費制度とそれから高齢者介護保険をこれからどうしていくのかというのは、いろいろ議論があると思いますけれども、十分に認識を深めていただきたいということと、それから、先ほど大臣が、省内に受け皿的な事務局をつくるとおっしゃっていました。その構成メンバーとして費用の負担者とおっしゃられていましたけれども、サービスを利用する当事者の方の意見がきちっと意味を持つ程度の構成内容として、当事者の参加ということもぜひお受けとめください。

 それから、その際に情報開示をぜひともお願いしたいと思います。今回の改正法案では二〇〇九年までの検討プロセスというふうになっていますけれども、当事者参加あるいは情報開示をきちっとしていくということを大臣に約束いただきたいんですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、新しい組織に、考えております検討の場に費用負担者もメンバーとするということは申し上げましたけれども、ここの部分については今お話しいただいたような趣旨で私どもも考えておりますので、そのとおりに考えさせていただきますということを申し上げました。

 それから、先ほど少し誤解があるような言い方をしたかなと思いますので、改めて申し上げておきたいと思いますけれども、就労だけが自立だというつもりで申し上げたつもりはございません。先生お話しいただきましたように、就労も一つの自立でございますけれども、障害を持った皆さん方がまさに自己決定できる環境のもとで自立した生活を送っていただく、そのことがまさに自立でございますので、改めて申し上げておきたいと存じます。

石毛委員 御答弁の中で、費用の負担者には構成メンバーとして参加をしていただくということの、この費用でございますけれども、私が申し上げたいのは、費用負担ということになれば、保険料負担を代表する者ということになろうかと思いますが、介護サービスを利用する当事者、市民の参加をきちっと位置づけていただきたい、利用者参加をきちっと位置づけていただきたい、このことを申し上げたわけでございます。もう一度御答弁ください。

尾辻国務大臣 御指摘の趣旨を踏まえまして私どもも対応させていただきます。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

石毛委員 ぜひ、発言が意味をなすぐらいの構成メンバーとして利用者参加を位置づけていただきたいと要望いたします。

 次でございますけれども、今回の改正法案の大きなポイントが、給付の効率化、重点化ということに置かれております。

 私は、介護保険制定時に厚生労働省が出されました、これは老人保健福祉審議会で出されました資料ですけれども、「介護保険制度における高齢者介護費用の推計(粗い試算)」というのがございまして、これは平成十二年、二〇〇〇年度の推計値が、ケースA、B、Cあるんですけれども、一番高い数値が、これは単価の伸びを何%にするかで何通りもあるんですが、細かいことは省略をいたしまして、一番低い二%の伸びということで、二〇〇〇年度のケースAでは四・六兆円。それから、今回の改正案で出されておりますこの金額と比較をしたいわけですけれども、平成十七年度、わかりやすいように二〇〇〇年法と申し上げます、二〇〇〇年法のときには、平成十七年度、六・四兆円で、今回の改正法案では五・五兆円で、「現行制度のまま推移した場合」という金額は、二〇〇〇年の推計より下回っております。同じように、金額は省略いたしますが、平成十七年度につきましても、平成二十二年度につきましても、金額は二〇〇〇年の推計値よりも今回改正法案の予測値の方が低いわけでございます。

 ですから、私は、あえて今回それほど給付の効率化、重点化ということを焦点化しなくてもあるいはよかったのではないか、そういう感覚もするわけですけれども、二〇〇〇年のままでいけば伸びた金額よりは、あるいは伸びると予測した金額よりは伸びないんだという、この相違についてどのように認識されるでしょうか。そこをお伺いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が引用されました財政試算は、平成八年に老人保健福祉審議会で、八年当時の推計でございます。今委員から御指摘がありましたように、経済指標など、どういう伸び方を見込むかということで相当変わってきております。平成八年当時を考えてみますと、その後さまざまな経済の危機的な状況もございましたので、そういった意味での将来推計と、今日、足元とはかなり違っているということがございます。

 介護保険の総費用については、委員の御指摘ございましたように、平成十七年度では六・八兆円を見込んでおります。制度立案時においては、さまざまな前提を置いた上で、平成十七年度の総費用を七兆円程度と推計しておりますので、そういった意味で金額的に、そういう経済要素の変動はございますが、全体的に推計と大きく異なっているものではない、金額的にはそういう状況にございます。

 しかしながら、推計と違っている点も相当ございまして、例えば要介護者の数につきましては、制度立案時には平成二十二年時点で四百万人程度と推計しておりますけれども、御案内のとおり、要支援、要介護一といった軽度の方が大幅な増加をしておりますので、既に平成十六年十月末時点において四百四万人になっているなど、部分部分を見れば当時の予想と異なる面もございます。

 委員の方から、それほど、給付費について、伸びをできるだけ小さなものにするということが今回の法改正の一つの柱になっているわけですが、そういうふうにしなくてもよかったのではないかということがございましたが、むしろ介護保険部会、審議会などでは、特に市町村、都道府県の代表の委員から、これ以上の給付の増加、年一〇%を超える給付費の増加は耐えがたいものがあり、制度の持続可能性が非常に懸念される、こういうことから、今回法律でお出ししております改正案を提出しているところでございます。

石毛委員 今回の法改正におきまして、この介護給付の効率化、重点化の焦点として、新予防給付の部分と、それからいわゆるホテルコストの部分へ収れんしたのはなぜなのでしょうか。その理由をお聞かせください。

尾辻国務大臣 今回の介護保険制度の見直しにつきましては、まず費用が急速に増大しておりますので、今も話題になっておりましたけれども、このままでは保険料の大幅な引き上げが避けられない、こういう見通しの中で、将来にわたって持続可能な制度にしなきゃいけない、その可能性を確保していくということを大きな観点にいたしまして、そこでサービスの質の向上を図りつつ、給付の効率化、重点化に取り組むことが重要な課題だ、こう申し上げておるところであります。

 そこで、まず一番の課題として私どもが申し上げておりますのが、制度の施行状況を踏まえ、軽度の方を対象としたサービスをより介護予防に効果的なものに見直すなど、予防重視型システムへの転換を図ること、これは、今局長も申し上げておりますけれども、特に、この五年間見て、やはり軽度の方々のところの介護を要する方、この方の数が非常にふえているということを見ての今回の改革でございます。

 それからもう一点、在宅と施設の利用者負担の公平の確保などの観点から、介護保険施設入所者の負担の見直し、よく言われるホテルコストということを言ったわけでございます。これはもう申し上げたように、何回も申し上げておりますけれども、在宅、施設の両利用者間の公平性の確保ということでございます。

 ただ、では、これだけかということではございませんで、大きな問題として、これもいろいろ御議論いただいております、先生方の御意見の中に出てまいりますケアマネジャーの問題であるとか、あるいは、そうしたことから起こる過度の掘り起こしにつながる不適正な申請代行や要介護認定調査の適正化など、今後の必要な効率化、重点化と適正化ということには取り組んでまいらなきゃならないと考えておるところでございます。

石毛委員 軽度者がふえていると言われておりますけれども、軽度者が早くサービスの利用に結びついて、そして軽度であるというその段階を持続させることができれば、軽度者の掘り起こしは必ずしもマイナスだというふうに断定はし切れないのではないかというふうに思います。

 お尋ねしたいのですけれども、例えば給付費を節約していこう、これを本当に節約する必要があるかどうかというのは、まさに社会保障制度それぞれの論の相関の中で決めていくことが大事であって、介護保険を先行して節約ばかりを追求するというのはいかがかと私は思いますけれども、御答弁を前提にいたしまして、節約ということをまず念頭に置いた場合に、例えば、入所三施設の中で絶対数としては少ないですけれども、この五年間で増加率の一番多いのは介護療養型の入所施設だと思います。

 介護療養型の入所施設は、一人当たり介護給付費が約四十二万円だと思います。要介護五で在宅の場合は三十七万円弱。この差額は五万円あるわけですから、在宅の五の三十七万円弱を例えば四十万円に上げて在宅を可能にしていくというようなことですとか、それから、余りこの間、私、統計をちゃんと拝見するチャンスが少ないのですけれども、恐らくこの五年間でふえたサービスは、有料老人ホームで介護保険適用のこれがとてもふえているんじゃないかと思いますから、そういうものをどういうふうに見るかというようなこと、給付費をそうしたところから比較検討されたのでしょうか。これは質問通告してありませんけれども、されたのでしょうかどうかということですので、簡単に御答弁いただけると思います。

 それから、もう一つ、先ほどの前段の他の委員の質問に対して、サービス利用の格差が二倍弱あるとか、入所施設が多いところが高いとかといろいろあったわけです。ここの地域分析をきちっとすれば、もう少し給付費は節約できるといいますか、合理化できるというふうにも言えるかと思いますけれども、要するに、私は、なぜこの二つに収れんされたのかということとあわせて、ほかはどういう検討をされたのかということをお聞きしたいわけです。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険は、平成十二年度、三・六兆円でスタートいたしまして、十七年度、今年度でございますが、六・八兆円と一・九倍になっております。

 介護保険がスタートいたしましたときは施設の割合が高く、二兆四千億くらいであったと思います。今、施設の方は三兆四千億、ちょうど半分でございますので、この間一兆円ふえましたけれども、在宅の方は一兆二千億から三兆四千億ということで、二兆円以上ふえている。つまり、増加率で申し上げますと、施設の増加率よりも在宅の増加率が高い。

 在宅の中で軽度の方と中重度の方がおられますけれども、政策の優先順位として、要介護になっても在宅で暮らし続けるといった場合、やはり中重度の方の在宅については相当の配慮が必要でありますし、施設志向が強い中で、できる限り在宅で支える基盤を整備していくということになりますと、中重度に資源を投入すべきだというふうに考えました。

 そういたしますと、伸びているところのかなりの要因が在宅の方の利用者数の増、そのところは軽度者の利用が多い、こういう分析で、一つの政策の目標としては軽度者の方の対策、また軽度者の方は、中重度になることを予防するということで介護保険財政にも寄与するわけでございますので、そこをターゲットの優先順位にしたというのが一点目でございます。

 二点目は、中重度の方を比べてみますと、施設の給付費は平均しますと一月三十万円くらい、これに対して在宅の給付費は十五万円くらいということで、施設の給付費が非常に在宅に比べると割高である。そういった場合、保険料を出している方と保険料を使って介護を受けておられる方の中で、どちらに優先順位があるか、あるいはどのくらい我慢していただけるかということを考えますと、在宅と施設の実質的な利用者負担ということを考えますと施設の方が割安であるということから、一つは施設給付の見直しということも提案しているということでございます。

 それぞれのサービスについてどういう増加状況にあるかということなども分析いたしておりますが、確かに、介護保険導入当初、介護療養型施設の増加は著しかったわけでございますが、今日、例えば平成十六年十月を見ますと、介護療養型施設サービスの伸び率は対前年同月比〇・〇%で、ほとんど伸びておりません。むしろ、特別養護老人ホームや老人保健施設は対前年同月比五・七%、五・六%というふうに伸びている状況でございまして、介護三施設のあり方はもちろん課題でございます。委員御指摘のとおり、介護三施設の中では介護療養施設が一月当たりの単価は高いということで、そこをどう考えるかという問題はありますが、そういうことなども議論していかなければならないと思っております。

 一端を御紹介いたしましたけれども、我々、それぞれのサービスのシェアなり伸びなり、そういうことも考えながら作業を進めてきており、また、そういう資料につきましては審議会等でも提出をさせていただいているところでございます。

石毛委員 特養は、介護給付費とすれば三施設の中では一番低い金額だと思いますけれども、特養設置の補助金等を考えれば、総費用は必ずしも低くならないでしょうというようなこともあるわけですし、それから、現在、特養待機者の方が、どこにいらっしゃるかということともかかわりますけれども、大変たくさんいらっしゃる、まさにこの介護保険の一つの照準であります団塊の世代の方たちが具体的に介護を必要とするという、その膨大な段階になっていくときに、入所施設というのはやはり必要な存在なんだろうというふうに思います。

 であれば、入所施設を二〇一〇年に向けてどのようにしていくのか、そして、そのときの三施設の関係はどうなのか、それから、その入所施設と在宅で中度、重度の方が暮らし続けるためにはどのようなサービス体系のあり方がいいか、そして、今回の課題になっております予防給付によって、その予防給付は本当に中重度への移行がどれだけ防げるのかという、それぞれのステージといいましょうか、それについての分析をきちっと出していただいて、そして二つに焦点を絞るというんだったらまだ理解ができないわけでもないですけれども、ほかの部分が明確に、クリアに説明されていないで、この二つで納得しろと言われても、到底納得できないわけです。

 今局長がおっしゃられました、入所施設の側がどんなふうに変わるか、入所施設について在宅と施設の公平というのは、この観点はそれはそれであると思いますし、それから、家族の方にすれば入っていただきたいと思っているという現象も私は理解をしますけれども、そのことと、それから、入所施設の必要性をこれからどう見て、そしてどのように計画をしていって、そこで費用がどれぐらいに膨張をしていくのか、そのときにそこは節約できるのかできないのかというようなことをきっちりと説明していただかないと、ちょっと全体像が見えないということで、今出されていない入所施設に関するデータ、これを、例えば在宅と代替した場合にコストが幾らぐらい減少になるのかというようなことを分析されて審議会でも説明されているやに局長は御答弁になられましたので、その資料をこの委員会に提出していただきたいと思いますけれども、委員長、お諮りいただけますでしょうか。

鴨下委員長 後刻理事会で協議をいたします。

石毛委員 ぜひ全貌がわかる資料、データを明らかにしていただきたいと思います。

 それでは、具体的な質問に入っていきたいと思いますけれども、まず、新予防給付に関しましてよくわからない点を確認的に質問していきたいと思います。

 説明によりますと、現行の要支援と要介護一の認定が、新しく要支援一と、それから要介護一の一部を除く要支援二に変わるということですけれども、認定基準はどのように変わっていくのでしょうか。それから、確認したいところですけれども、この認定の基準の内容の変更によって、現行の制度で認定されていた方が認定から外れていくということはないんでしょうか。つまり、外されていくということ、地域支援事業の該当になっていくということはないんでしょうか。そのことをお尋ねします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 このたび、予防給付、これは現行制度でも要支援の方に対する給付は予防給付となっているわけでございますが、これを全面的に改める、こういう意味で、私ども新予防給付と称させていただいております。その新予防給付の対象者の件が今の要介護認定と絡みますので、その御説明をさせていただきます。

 現行の要支援や要介護一の軽度の要介護者の方々のうち、その心身の状態の維持、改善可能性を見まして、明確な基準に基づいて要介護認定の審査判定をし新予防給付の対象者を決めていただこう、こういうふうに考えております。

 具体的には、現行の要介護認定基準の考え方によりまして、認定審査会において現行の要支援から要介護一から五までの評価をまず行いまして、現行の要支援に当たる方を要支援一と判定いたします。現行の要介護一に該当する方々の中から、心身の状態が安定していない方、あるいは認知症等により新予防給付の利用について適切な理解が困難な方々を除いた方を要支援の二と判定する手法をとりたいと考えております。

 以上の要支援一とか要支援二の判定は、コンピューターのプログラムに基づきます第一次判定で、そこまでまず判定結果を出そうと考えております。それに基づきまして、現在も第二次判定は市町村の認定審査会で審査していただいておりますが、その認定審査会でチェックをする。また、そのときには主治医意見書に基づいてチェックをするということになりますので、第二次判定をやっていただく、こういう考え方をとっております。

 今現在、要支援や要介護の一の判定をされている方がそのまま非該当になることはないなということでございますが、今申し上げましたようなシステムから申し上げますと、もちろん現在の要支援、要介護一の方の程度が変われば別でございますが、今該当している方につきましては、その方々が非該当になるということはございません。

石毛委員 今回の法改正案の中で、さまざまな資料が出されておりますけれども、その一つとして「介護予防についてのQ&A」というのが老健局から二〇〇四年十二月に出されております。その中の要支援一、二の方への介護予防サービスとして、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」老計第一〇号、これは二〇〇〇年三月のものですけれども、ここに持ってきておりますが、この中の身体介護に分類されている、自立生活支援のための見守り的援助が上げられております。つまり、これまでは要介護者への身体介護として上げられていたものが、今度は要支援一、二の方の見守り介護の方に移っているということです。

 このことに関連して何点かお尋ねしたいと思いますけれども、まず、改正法案になりまして、訪問介護は要支援の介護の部分の方と、要介護、現行でいえば二以上の方になるわけですけれども、その方々にこの見守り介護はこれからも続けられますかということの確認が一つです。通じていますよね。それが一つです。

 それから、要支援一、二は見守り的援助に移行するということになるのですね。この場合、身体介護ではなくなるということですか、報酬単価はどのように考えられるのですかということです。つまり、今までは身体介護で考えられていたものが、今度はどういう位置づけになっていくんだというようなことをお聞きしているわけです。

中村政府参考人 大変専門的で細かい御質問で、委員の方からわかっているかという……(石毛委員「通じていますねと言ったんです」と呼ぶ)通じているかという御指摘がございましたけれども、精いっぱい通じているという前提でお答えを申し上げたいと思います。

 今の委員の御指摘は、ただいま対象者を御説明申し上げました新予防給付に関する、今度はそういう新予防給付の対象者になった場合にどういう予防が行われるのか、どういうメニューが適用されるのか、そういう御質問だと思います。また、その際、今度は新予防給付ではなくて、今の介護給付について訪問介護に何か変更があるのかということについての御質問のように思いました。

 私がよく通じなかった点は、変更するものではない介護給付について、どうして委員の方が見守り介護ということについて御懸念になっているかということがちょっとよくわからなかったものですから、その点がよく通じなかった点でございます。

 私ども、二つのことを二つのレベルで議論をしておりますので、まずそのことを申し上げます。

 先ほど来委員からも御指摘がございましたように、介護保険制度、五年間の実績を踏まえて、あらゆる点で見直しをしていかなければならないと思っております。システムの見直し、法制度の見直しは今回法律改正で御提案申し上げておりますが、実際のサービスは、もちろん法律で定義などは書いてございますが、実際のサービスの見直しは介護報酬や基準の見直しの中で対応されることになると思います。

 その際、介護保険部会の意見書でも、既存のサービスについてもさまざま見直しが必要である、こういうことが提起されておりますので、訪問介護に限らず、今介護保険で使われているサービスについて、今度の報酬改定、基準改定の際に、より効率的でより良質なサービスになるよう見直しは行わなければならないと思っております。その際、見守り介護がどうしてそこで議論になるのかわかりませんけれども、見守り介護についても、委員の御指摘でございますので、検討はそれではさせていただきたいと思います。

 それで、第二番目のレベルとしては、その話ではなくて、これは介護サービス全体について見直しをするという中で取り上げていくことになるわけでございます。それでは新予防給付のサービスはどうなるかということでございますが、これは、訪問介護に限らず、既存のサービスにつきまして、生活機能の維持向上の観点から、内容や提供方法、それからだらだらとやらないということも指摘されておりますので、提供期間等の見直しをしたい、こういうふうに考えております。その見直しの中で、介護予防に効果のある訪問介護はどういうものかということを直していきたいというふうに考えております。

 したがいまして、見守り介護という御指摘ですが、それがどういう介護報酬に設定されるか。今委員が、身体介護か生活援助かということをこだわっておられるのは、生活援助の報酬は低く、それから身体介護の報酬が高いので、その報酬が移されると訪問介護者の方には収入減になる、こういうことを心配されてお聞きになっているというふうに私は解釈いたしました。

 そのレベルの議論は、これから社会保障審議会の介護給付費分科会の方で実際の報酬の議論などはさせていただきますので、その際、見守り介護ということの必要性、これは新予防給付の中で見守り介護が必要なのかどうなのか、その見守り介護ということが必要であるとして、どういう報酬設定をするのか、あるいはその見守り介護とか、今申し上げている身体介護、生活援助という区分自体が適切なことなのかどうか、それも含めて見直しをしてまいりたいと考えております。(発言する者あり)

石毛委員 でも、余りこれで時間を使いたくないんですが、介護予防Q&Aの中の事例で、「本人の「可能性」を見つけ、できる限り能力を引き出すサービスを提供します。」の例示のところの「利用者の安全確認等をしつつ、一緒に手助けしながら調理する。」等々というのは、老計一〇号に上げられている身体介護の一の六の自立支援、見守り的介護というのとまさに同じ内容なんです。

 ですから、私がお尋ねしましたのは、要支援一、要支援二の新しいサービスは、この見守り介護と、それから新しい介護予防サービスとしての例の話題多い筋トレ等とが中心になって、この見守り介護は身体介護と位置づけられているんですから、要介護二、三、四、五の皆さん全体に身体介護、見守り介護として継続されていくのですねという、この確認をしたわけです。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、新予防給付の身体介護が筋トレ中心という委員の御発言がありましたが、筋トレ中心かどうか、そこは委員がそうおっしゃっているだけで、私どものもしパンフレットをそういうふうに言われるのであれば、そういうことはございませんので、そこをまず御理解いただきたいと。

 それから、介護予防の、今先ほど御説明しかけましたのは、新予防給付でどういうサービスが使われるかという御説明をし、既存のサービスについても否定されるものではなく、むしろ、既存のサービスについても見直しの上、先ほど申し上げましたように実施すると申し上げました。

 さらに、介護予防で効果がある、こういうふうにされております運動器の機能向上でございますとか、口腔ケアとか栄養改善、こういったものについてもメニューとして入れるということを考えているということを申し上げましたが、その新しいメニューが既存のメニューよりも優先されるとか、そういうことは申し上げておりませんので、もしそこの辺、対立的に考え、あるいは優先度を考えておられるのであれば、そこは誤解ではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 そういった中で、訪問介護について、見守り的介護ということを新予防給付の対象としていくのかということでございますが、そのときに、私がすっぱり申し上げ切れておりませんのは、これは、今石毛委員は、この身体介護というのは、私どもの通知、老計一〇号で分類すればここのところに当たるのですねというふうにおっしゃっておりますけれども、私ども、訪問介護については、これからサービスの見直し、これは新予防給付の見直しということではなく、訪問介護そのものの見直しとして、そもそも身体介護や生活援助、こういう現行の区分でよいのかどうか、そういうことについても今検討しているところでございまして、できれば行為別、機能別に再編して、基準、報酬の設定をしていきたいと。

 これは、介護保険部会の意見書にも書かれているところでございます。そういう方向で考えておりますので、委員の方から、今の通知の、ここの通知の部分に当たるから、これがそのまま十八年四月も生き残って、そういうふうに適用されるかと言われると、ちょっとそこのところは保留をさせていただきたい、こういうことでございます。

石毛委員 その点につきましては、また同僚委員が後ほどの質問で重ねていくと思いますので、これ以上は質問を重ねないということにいたします。

 新しく要支援一、二になる該当者の中で、新しい介護予防サービス、運動器による機能向上等々に該当する人は何割程度と見込まれるのでしょうか。

 それから、その方たちは百何十万人になるんでしょうか、その方たちが新しい介護予防サービスはやりたくないというふうに拒否をした場合に、老計一〇号の、言い方がどう変わるかは別にしまして、自立支援的な見守り援助、調理ができるように一緒に調理をするとか等々の、そういう援助というのを選択することはできますか。

中村政府参考人 こういうふうに申し上げると、また何もわかっていないんじゃないかというふうに反論されるかもしれませんけれども、今石毛委員の方は、今例えば要介護一の方が百三十万人日本におられますけれども、そのときに、例えば訪問介護を使う人は何人と見込むか、そういう御質問のように私は考えます、それから、通所介護は何人だと見込むのかと。それは、適切な問いではないのではないかというふうに思います。

 介護保険においては、これは釈迦に説法みたいな話ですが、自立を支援する観点から、利用者やさまざまな専門家がサービス内容について検討し、最も適切なサービスの組み合わせを利用者の同意を得ながら確定することが、サービス利用の基本でございます。

 その結果、例えば、要介護一の方ですと、現在で申し上げますと、ほぼ半数の方が訪問介護を使っておられるとか、四割くらいの方が通所サービスを使っておられるとか、二割の方が通所リハを使っているとか、これはその方々のケアプランで、ケアマネジャーさんと利用者の方々が協議しながら決めていくということになるわけでございます。

 私ども、運動器の機能向上や口腔機能低下予防、栄養改善というのは介護予防に効果がある、したがって介護予防のサービスとして介護保険で位置づけていきたいというふうに考えておりますが、その対象となる人を何割程度見込むかということについては、利用者にとって最も適切なケアプランの内容、それは個人の特性を組み合わせたマネジメントを通じて多様なサービスを組み合わせて決定されるものでありますので、訪問介護並みに使われれば五割程度になるかもしれませんというようなことは申し上げられるかもしれませんが、それでは余りにあいまいな話でございますので、一概に申し上げることは困難でございます。

石毛委員 局長、要するに、高齢期にあって介護が必要かどうか、あるいは介護と言わないで支援と言うようにするのか、そこの区別はちょっとおきまして、何らかのサポートを必要とするようになる人が認定を受ける。認定を受けて、その認定で、新しい方式によれば要支援一、要支援二というふうに認定される。その認定される人は、さっき局長は七十九項目のスクリーニング、これに加えて、恐らく主管課長会議で出している説明資料ですと何項目か加わっていくんだと思います。それに加わって、要支援一、二が決められて、そして第二次の判定の審査会で、介護予防の効果があるかどうかという人を見きわめるわけでしょう。そこまでは違わないですよね。見きわめるわけですよね。

 そうしたら、見きわめたら、見きわめた中でどのぐらいの人がこの新しいつけ加わる介護予防サービス、つまり、運動器機能の等々というその新しい機能サービスが該当するというふうに見込まれる人がそれを拒否できますか。それを拒否した場合に、その要支援一、二の人は、いわば今までの老計一〇号で見守り的サービスという、そのサービスを使いたいといった場合に使うことができますか。つまり、新しい予防介護サービスには、訪問介護に関していえば、見守り的な介護と、それから後で生活支援も確認したいと思いますけれども、見守り的介護と、新しいつけ加わる今紹介されている三つの介護とがあるわけで、その新しい三つの介護は嫌だといった場合に見守り的介護は使えるんですねという、この質問をしているのに何が不適切なんですか。

中村政府参考人 後段の方の御質問の部分を申し上げたわけではありませんで、どの程度の対象者の見込みというお話がございましたので申し上げました。

 それで、新予防給付、これは介護予防給付もそうでございますが、御本人の選択を基本に、それを専門家の方が支えるということでございます。予防はまさに意欲がなければできませんので、やりたくないということであれば、拒否できるというあれですけれども、ケアマネジャーさんとの御相談、専門家との相談になると思いますが、嫌なことをさせられるということは、基本は自由社会でございますので、ないというふうに思っております。

 したがって、見守りサービスが使えるかということですが、それは我々の制度設計にも絡みますけれども、メニューに入っておれば、訪問介護であれ通所介護であれ、メニューに入っており、また介護予防のプランとして適切であれば、これは地域包括支援センターの方でケアプランチェックをさせていただきますけれども、そこのチェックで適切であれば、そういったことは利用が可能であると思います。

石毛委員 二つ申し上げたいと思います。

 一つは、今の適切であればということですけれども、適切であるかどうかの判断は、アドバイスは受けるでしょうし、サポートは受けるでしょうけれども、それが適切であるかどうかを判断するのは本人じゃないですか。自己決定、選択ができるということは、そういうことじゃないですかということが一つ。

 それから、どういうケアプランになるかが相談の上じゃなければ確定できないので、新しい介護予防サービスに該当する人が何割ぐらいかは言えないというふうに言われたんですけれども、でも、先ほど局長は、やれば十人に一人は効果は出ると言われたんですから、政策を遂行する上で、どのぐらいの人がやるというふうに見込んで、そのうちの効果が出る人が十人に一人で、だとすれば、あとの人は見守り的サービスになるかどうかというような、そうした推計値といいますか、その青写真は描いているはずでしょう。それがわかりませんという答弁はないんじゃないですか。ということで、後はもう任せます。後の人たち、みんな頑張ってやると思います。もう先に行かないと時間がないということで。

 あと、これを見ますと気になるんですよ。これもいただいた資料ですけれども、足腰の弱ってきているような人は例外的に、例えば調理を行うとか掃除を行うとかと、「例外的に」と書いてあるんですけれども、これは例外じゃないでしょう。例外ではないでしょう。だって、骨密度が低くて、もしかしたら骨折によるリスクが高い人で、そして、おふろの掃除は大変とか、布団を干すのは大変とかという人は例外の話じゃなくて、そういう状態にある人なんだから、その人に対して、また老計一〇号言いますけれども、老計一〇号の生活援助をされるのは当然の話であって、例外ではないでしょう。

 だから、私は余り新しい運動機能を全面否定するつもりもありませんから、そこがメニューに入って、それから見守り的援助もメニューに入って、そしておふろの掃除とか布団を干したりとか、上げおろしとか、そういうのもメニューに入って、そして利用者の必要に応じてサービスがきちっと組み合わされるというのが大事なことであって、どれを削るか削らないかという話ではないでしょうということを。だから、例外的にと、これは私はどうしてこだわるかといいましたら、通知をこれから出していくときにこの言葉が使われたら困るんですよ。困るので、私は確認をしたい。

 そしてもう一つ、あわせてです。特に介護予防訪問介護に関して言えば、高齢期のうつ状態にある方にとっては訪問介護はとても重要です。そうした場合に、いわゆる老計一〇号にある、どういうふうに組み立てるかはいいです、組み立て方は任せますけれども、老計一〇号にある生活援助というのは受けられるんですね。この確認をさせてください。

中村政府参考人 まず、要支援に該当するうつ状態の方については新予防給付の対象になりますので、新予防給付のルールのもとで、ほかの新予防給付の対象者と同じように扱われるということで、うつの方であるからどうこうということはございません。

 それから、例外的にというお話が出ましたけれども、何の例外かというと、原則として行わないというのが前段にございますので、「原則行わない。」としていることに対して行う場合のことを書いたので「例外的」と書いてありますが、その例外的という言葉がまずいということであれば、工夫はさせていただきます。

 それでは、行わないと言っているのはどういうことを行わないと言っているかということでございますが、身体機能的に日常生活はほぼ自立しているレベルの方が、御自身ができるにもかかわらず、現在やっていないからといって、訪問介護の方がかわりに家事を漫然と行うような家事代行については行わない、これを原則にすると申し上げております。

 行う場合、例外かどうかは別として、行うものはどういうことかと申し上げますと、まさに利用者の方の心身の状況、生活機能の低下の原因とか将来の改善可能性などを見た上で、改善可能性がある場合に、そのために必要なサービスを適切に利用することを前提に、個別の必要性を判断して、また同居家族とか代替サービスが利用できるかできないか、そういったことを考えながら、利用者の身体状況の変化を見ながら必要な範囲内で自立支援を促す手段や方法によって定期的に成果を見ながら行うものに限ってやってまいりたい、こういう意味で例外的と申し上げているわけでございます。

石毛委員 限ってやってまいりたいということは、やらないということもあるということですね、答弁は。

 それで、今局長がおっしゃった答弁だったらば、これは、今までのことだって、ケアマネジメントをきちっとする、あるいは訪問介護員その他の職員との連携の仕方をきちっとする、絶えず見直しをするということの中で解決できる話で、それをわざわざここに出してこなければならないというのは何なんですか。

 それで、あと、確認させてください。これは三月二十一日版の読売新聞ですけれども、「予防サービスを受けたくない場合は。」ということで、「嫌なら無理に利用する必要はありません。ただし、代わりに介護サービスを受けることもできません。」これはミスリードですよね、かわりにというのは。

 これも、介護サービスというのもややこしいんですね。予防の介護サービスと介護サービスがありますので、この介護サービスはどっちを言っているのかもよくわかりませんけれども、先ほど来の局長の御答弁でしたらば、運動機能等々の新しいサービスを使うのを選ばなかったらば、見守り的なサービスとか、その人が必要だったら生活援助としてのサービスも利用できるのだから、かわりにサービスを受けることもできませんというこの記事は、ミスリードですよね。

中村政府参考人 ちょっと、新聞の記事の件については、私ども、ミスリードかどうかということについて、新聞の記事のお話ですから、答弁を求められても、私どもはちょっと困ります。

 まず、先ほど来申し上げておりますように、介護保険は、現在の制度でも介護給付と予防給付がございます。今の制度でも、予防給付の方は介護給付は受けられないわけです。そういう制度になっています。たまたま今の予防給付と介護給付とメニューが一緒だから、みんな同じことをやっているというふうに考えられておりますけれども、制度的には予防給付の方は介護給付が受けられません。

 そういう意味では、新予防給付、先ほど申し上げましたように、現行の要支援の方、それから現行の要介護一の方の中でスクリーニングされた一部の方、これが新しく要支援二になりますが、その方々は新予防給付の対象者ですから、介護給付は受けられません。ですから、新予防給付の中でどういうメニューがあるかということですが、再三申し上げておりますように、訪問介護、そういう既存サービスを再編成し、内容も変え、方法も変え、提供期間などについても見直した上で、新予防給付にするということでございます。

 先ほど来、もっと申し上げますと、老計一〇号、老計一〇号と言われておりますが、それは介護給付の訪問介護の基準でありますので、予防給付の議論をするときには、新老計一〇号というのをつくらなきゃならない、一一号になるのか一二号になるかあれですが、例えばそういったことでございますので、そういうふうに理解していただくとわかっていただきやすいのではないかと思います。

 それから、新しい三つのメニューを追加する、どうしても委員の方のおっしゃり方は、このメニューが拒否したらこっちのメニューというふうに段階的におっしゃいますのであれですけれども、私どもは、そのメニューはみんな並列してありますので、並列の中からどのメニューをとるかということは、もちろん専門家のアドバイスをよく踏まえていただきたいとは思いますが、利用者の自由なので、これが断るからこっちが使えるとか、そういう二者択一のものではないということを申し上げたいと思います。

石毛委員 そうしたら、表現変えていただけませんか、この図の。だって、介護予防サービスは、介護予防訪問介護になっているんですよ。これで介護サービスと例えば新聞などが書いてしまえば、局長がおっしゃったように、局長は、上の居宅サービスの、この介護給付としての介護サービス以外はそうは言わないとおっしゃった意味だと思いますけれども、下の介護予防給付も介護予防訪問介護と書いてあって、この訪問介護の介護サービスだと思う、これは、普通に暮らしている人たちは、どっちを言っているのかわからないと思うのは当然じゃないですか。全部表現をもう一回精査して、きちっとわかりやすい表現に変えてください。私は結構知っている、情報はある方かなと思ったって、言葉を使う、選ぶときに、どれを使えばと。これは要望です。

 それで、もう一回確認です。ですから、要するに、要支援一とスクリーニングされた要支援二の方は、並列でいいですよ、並列でいいですから、必ずサービスを使うことはできるという、例外的に、期限を限定して、目標を設定してというようなこともQ&Aに書いてありますけれども、必ずサービスを利用できる、その認識でいいですね。

 それから、ケアプランは自分でもつくれる、自分でつくれるという理解でいいですね。これは、後半は新しくつけ加えた質問です。

中村政府参考人 お持ちの資料がわかりにくいということで、そこの点は、御指摘を踏まえて、また御相談させて、改善の努力をしたいと思います。

 要支援一、要支援二に該当した方は、介護予防サービス、対象者の方は介護予防サービスは受けられるわけですから、受けることができます。

 私どもが例外的に行うとか行わないとか今議論になっていますことは、問題のある家事代行についてはお認めすることはできない、こういうことを言っているわけです。では、問題のない家事代行は何かということの条件を「例外的に」と書かせていただきましたが、例外的にということが不適切であれば、サービスの対象となる、家事代行的なサービスのあり方につきましてはこういう条件のもとで対象とする、そういうふうに述べさせていただきます。

 また、ケアプラン、自分でつくれるかというお話でございますが、今の制度でも自己作成のケアプランは認められておりますので、ケアプランを御自分でつくっていただくことは認められます。その場合、しかし、地域包括支援センターでケアマネジメントのチェックをいたしますので、御自分でつくったケアプランもその地域包括支援センターで専門的な観点からチェックは受けていただくことになろうかと思います。

石毛委員 時間が本当になくなってしまいましたけれども、通所介護施設と食費負担の関係についてお尋ねいたします。

 今の通所介護には、三十九単位ですか、体制加算ということで、調理コストなどを中心にした加算がついているんですけれども、これが廃止されるということですが、その廃止される三十九点分、これは、例えば、一部は栄養管理などとして保険給付の中に含まれるということになるのでしょうか。だから、保険給付にオンされていくということになるんでしょうか。それとも、三十九点は全部自己負担に変わっていくということになるんでしょうか。その確認をさせてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま議論になっておりますのは、施設給付の見直しで、食費、居住費……(石毛委員「もう省略してくださって、ずばっと言ってくださればいいです」と呼ぶ)栄養管理コストについては、利用者に対する栄養食事サービスを適切に評価する観点から、引き続き保険給付の対象とすることといたしております。

石毛委員 もう一つ。そうしますと、体制加算としての三十九点というのは廃止をされて、それは原則的に利用者の自己負担になっていくということですね。

中村政府参考人 保険の給付外に食費コストは出しますので、保険給付の対象外になります。

 ただ、それは、したがって加算の三十九単位ということはそういう意味で廃止になりますが、それがそのまま利用者負担になるかどうか、そこのところはまさに、施設と利用者との契約なり、施設と利用者、施設の料金設定の問題になりますので、一〇〇%そのまま負担になるかどうかの問題はございます。

石毛委員 それだったら、そちらが説明資料として出してきたこの資料の現行と改正後の書き方はもうちょっとちゃんとしてくださいということと、それから、訪問介護あるいは介護予防訪問介護の場合は、どういう場合に実施するかどうかは別にして、調理コストは報酬単価に含まれているわけです、改正しても。今度の、通所サービスの場合には自己負担になるというのは、これは論理的整合性が合わないんじゃないですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 元来、介護保険は自立支援ということを目的にしておりまして、訪問介護も、そのような観点から入浴、排せつ等の介護、それから掃除、買い物等の援助など、さまざまなサービスを提供すべきものでありまして、単純に調理を代行するということは本来の趣旨からかんがみて不適切なサービスであるというように考えております。

 今回の見直しにおいて、訪問介護サービスについてはサービス内容や提供方法などを見直すこととしておりますので、御指摘の訪問介護の調理のコストを介護保険で負担するということは、通所介護で調理コストが自己負担になることと整合性がとれないのではないか、こんな御指摘もございますので、その点も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

石毛委員 三十九点が利用者負担に転嫁されるということになれば利用抑制が生じると思いますけれども、どういうふうにお考えになりますか。

 それから、通所サービスが経営努力で吸収できるかどうか。その場合に、私の知っているところでは、かなり膨大な金額の収入減になるということですので、経営採算がとれなくなるのではないか、そういうことが懸念されますけれども、どのように受けとめておられるのでしょうか。利用抑制が起こっても仕方がないというふうに思っているんでしょうか。

西副大臣 この制度は、保険料と公費という国民のいわば負担により支えられている制度でございます。そんな意味で、もちろん高齢者の方々にも負担いただいているということでございますので、保険料の急激な上昇をできるだけ抑えて持続可能な制度にしていく、こういうことは大変大事なことであり、そのために、給付の効率化、重点化を行っていくということは不断に求められていることだというふうに考えております。

 今回のお尋ねの食事の提供の加算分が利用者に転嫁されるということに関しましては、具体的な額は、先ほど局長から話いたしましたように、今度は個々の施設と利用者の間での契約で定まってくるということになりますが、一食当たり四百円程度の現在の報酬上の取り扱いでございます。その額は決して過重なものではないというふうに考えておりまして、そんな意味では、今回の食費負担の見直しというのが、利用者の通所介護や介護予防通所介護の利用に大きな影響をすぐに与えるというものではないというふうに考えております。したがいまして、今回の見直しによって、事業者がその運営が極端に困難になるというふうには考えていないところでございます。

石毛委員 御理解が違うのかなと一瞬思ったんですけれども、現在の通所でも、食事に関しては食材料費は自己負担でそれが四百円か五百円程度ということで、これに体制加算が大体三十九点、地域によって若干違いますけれども、都会地の場合、四百円ぐらいが加算されると九百円ぐらいの自己負担になってくるわけで、それに一割負担を加えますと、これが、そちらが出してきた金額で、要支援、要介護一―二、三―五で、三から五の方、五の方は余り通所に行っていらっしゃらないけれども、三の方はかなり行っていらっしゃる。そうしますと、千六百円に食材料費ということになりますと、一回二千円ぐらいになるわけです。二千円ぐらいになると、恐らく利用抑制が生じてくるのではないか。

 そうしますと、私のよく知っている通所介護の皆さんは、これは介護予防ではなくて介護増進になるのではないか、そういう御意見がございます。今まで、入所施設のホテルコスト、これも議論したいところなんですけれども、もう時間がありませんから省略しますが、もしかしたら、これによって介護保険の財源節約ができる部分と、将来的に介護の必要性が増すのとのプラスマイナスを計算したら、どれだけの効果があるかわからないと言っても私は言い過ぎではないと思います。通所施設の方は、そういうふうに現におっしゃっています。

 四百円ぐらいだったらばそれは通所施設の財源運営の中で吸収できるやにおっしゃいましたけれども、吸収できるかどうかというのは、これから介護報酬の設定の分科会できちっと検証しながら決めていっていただけるんでしょうか。そのことの確認をお願いします。

中村政府参考人 介護給付費分科会の方で介護報酬の議論はさせていただきますが、事業者の経営実態、それから利用者の利用状況、そういったことなどを踏まえながら行いますので、今御指摘のような経営上の懸念というようなことについても、よく考えて審議していただきたいと思っております。

石毛委員 これは入所施設についてもそうだと思いますけれども、その負担の水準の決め方、あるいは、経済的な利用者の方の負担能力と、あわせて保険外負担を求める金額水準の相関、私はこれは十分検証され尽くしていないように思います。もう時間がなくなりましたので一方的な発言になりますけれども。

 それで、これから先、介護保険サービスの利用者がこの負担を理由に減っていくということになりますと、介護サービスへのアクセスはしにくくなって、それだけ要介護がふえていくということになります。ですから、今回の法改正でコストを削減して、数年後団塊の世代の方たちが来るときには、もしかしたら給付費用はもっと増大に転じているかもしれない。かもしれないとしか今申し上げようがありませんけれども、そうしたことをきちっとデータとして開示していただいて、納得できるような審議をお願いしたい、十分に時間を尽くしていただきたい、これを申し上げまして、質問をすごく残しましたけれども、次回に回させていただくということで、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 この際、暫時休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十九分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。五島正規君。

五島委員 午前中に引き続きまして質疑をさせていただきます民主党の五島でございます。

 今回、介護保険法の改正の中で、新たに介護予防という言葉が出てまいりました。この介護予防という言葉は一般的には何となく理解できる話なんですが、厚生省が出されてきている内容を見てみますと、かなり介護予防という言語が、余り厳密ではなく、さまざまな使われ方をしているように思います。特に、介護一あるいは要支援を三分割して七分割で介護保険の保険を給付するのかなと思えば、もう一方において、介護状態にならない人に対しても市町村が介護予防をやっていくというふうにもなっています。

 基本的に私自身の意見の論点を明らかにしておきたいと思うわけですが、従来、予防というのは、ヘルス事業の中において極めて大きな役割を持っていました。その場合は、疾病予防という観点からこの予防という言葉が使われてまいりました。しかし、国民の健康状態の、あるいは疾病構造の変化の中で、介護状態になることを予防するということ、そのことが予防の概念の中に入ってきたことは、私は評価したいと思っています。かつてのような感染症の予防や生活習慣病の予防だけでなく、この高齢社会の中において介護になることを予防していく、そういうふうな概念を取り入れて今後の公衆衛生行政をやっていくことは大事な問題であり、そのことについての異論はありません。

 問題は、介護予防といった場合、予防である以上は基本的にはヘルスの活動であるべきだ、保健活動であるべきだろうというふうに思っています。

 一方、要支援あるいは介護の一に対して今回取り入れられた措置というのは、中身を見てみますと、より介護状況が進行するのをいかに防ぐか、あるいはそれを改善させて自立の状態に改善していくかというところに軸足を置いた形の中で、要支援、介護一の問題を、同じく介護予防という名前でもって取り入れられようとしています。これは、非常に言葉の概念の混乱をもたらしてきている一つの大きな問題だろうというふうに思います。

 基本的に、介護というのは医療ではありませんので、ある介護状態になった人に対して、その人たちを人としての尊厳性を守らせるために社会全体が支援していく、それを保険でやっていこうというのが介護保険の理念であったと思います。しかし、要支援や介護一の人たちに対しては、一定のサービスを提供することによって再び自立の状態に戻すことができるのだ、そういうふうな観点を取り入れられることは、私は別に間違ってはいないんだろうというふうに思っています。

 しかし、基本的には、それは今までの用語でいうならば、生活リハビリとかそういうふうな概念でとらえられるべき内容である。そういう意味からいえば、要支援や介護一の人たち、そこを三分割して、さらに、どのようなサービスメニューを提供することにより、その介護の状態を悪化することを防ぎ、あるいは自立させるかというふうなサービスメニューを提供されるという形で今回の介護法が変わっていくということであれば、それはそれで概念としては極めて納得できることではないかと私は思っています。

 もう一方において、介護予防という概念が一体どういう関係にそこにあるのか。厚生省の方のこれまでの説明を聞いていますと、介護の状態になっていない人に対して介護予防を地方自治体がやっていくんだというふうなお話です。私は、そういうふうなところにとらわれる必要はない。一たん自立できるようになった人であったとしても、例えば、介護一で一定の生活リハが進んで、そして生活的に自立ができるようになった人であっても、当然それは介護予防としてそのサービスが提供されるべきだ。

 それは、ちょうど、ほかの疾病でいえば、糖尿病、高血圧、そういうふうなものに対するヘルスサービスの中でコントロールできている人たち、あるいは投薬によってそれをコントロールしている人たちが、さらにヘルスサービスを受けることができるのと同じように、やはり予防、ヘルスというのは、具体的な個別のサービスを超えた、より広い広範囲なものであるべきだというふうに私は思っています。

 そういう意味で勝手に解釈をした上で、今回の法案を議論していきたいと思います。考え方が違うのであれば、後ほど反論をちょうだいしたいと思いますが。

 私は、介護保険をつくるときに、きょう海外に行っておられますが、衛藤副大臣と一緒に当時八十九回のプロジェクトチームをやりまして、その責任者の一人を担ってまいりました。その中でさまざまな議論をしてきたことが、ここに来て明らかになった問題の一つだろうと思います。

 一つは、介護保険制度ができて、制度ではないけれども社会に存在した介護予防の機能というものは、強まったのか、弱まったのか。

 たくさんのデイサービスセンターができ上がり、あるいはさまざまなグループホームができ、そういう意味でのインフラは整備されました。その一方で、介護保険ができるときには、全国至るところでゲートボールのクラブがございました。これは、今から考えてみた場合に、高齢者にとってこれほど理想的な介護予防はなかっただろうと思っています。

 事実、今でも、私の住んでおります高知市に今回合併いたしました、ある人口千数百名のもと村ですが、その地域においては、中学生と一体となったグラウンドゴルフが非常に盛んです。関節や何かを痛められてギブスをいっぱいつけておられるお年寄りが、一緒になってそこへ出てきてグラウンドゴルフをしておられます。非常に坂道の多いところですから、ひざを痛める人も多いわけですが、にもかかわらず、グラウンドゴルフに週二回、三回出てきてやっておられます。村は何をしているかといえば、村は中学校の校庭をこのグラウンドゴルフに開放しているだけ。そして、中学生と一緒になることについての推奨、宣伝はやっておられます。だけれども、そのことによって、この村は非常に理想的な状況で高齢者対策が進んできていると思っています。

 そうした、あの時代にあった、お年寄りが自分たちが中心になってやっていた介護状況になることを予防する機能、こうしたものは介護保険ができ上がってどうなったのか。

 もう一つは、そういう個別のゲートボールとかそういう問題だけではなくて、そうすることを通じて高齢者のコミュニティーができていました。実は今、介護の問題で一番深刻な問題は、高齢者のコミュニティーが崩壊している。介護を本当にきちっとやっていこうとした場合には、やはり、社会としてのコミュニティー、とりわけ高齢者のコミュニティーがない、それがつぶれてしまった、つぶれてしまったことをよしとして、人為的に、あるいは技術を通じて、あるいは施設を通じてしか擬似的にそれをつくることができないとすれば、私は、介護保険というのは、早晩、今の老人医療費と同じように十兆円を超えていくだろう。実は、介護予防の一番大事な問題はその問題ではないか。いかにして高齢者のコミュニティーを再構築するのか。

 その中で、カラオケであれグラウンドゴルフであれ、お年寄りが積極的に参加できるような、そういうふうなものがどうできるのか、それが実は介護予防の一つの前提でないといけないし、そんなものは、やはり基礎自治体が中心になってやってもらわないとできないこと。霞が関からやりなさいと言ってできるものではないだろうと思います。

 そういう意味では、今回出されております市町村の介護予防と言われる活動の中心は、高齢者のコミュニティーをどう再構築するか、そこのところが一つは理念として明確でないとだめなのではないかというふうに思います。

 時間がありませんので続けて申しますが、二つ目の問題としては、高齢期になっての介護の状態を防止しようとしたら、高齢期になっての対策だけで介護予防になるのかという問題です。

 ヘルスの問題というのは、お腹の中に人が命をともしたときから死ぬまでが一貫して提供されるのが理想的です。具体的な例を申しますと、先ほども同僚の議員から指摘がありましたが、例えば高齢期になって骨粗鬆症になる。七十歳を超えた人に骨粗鬆症だからといってサプリメントを飲ませてみても、効くはずがないんですね。ではどうするか。妊娠時、出産時、授乳期に対してそうしたことがきちっと指導できている、そういうヘルスの継続性の中でそれは防ぐことができる。さまざまないわゆる生活習慣病、それの予防とつなげることによって、高齢期のそうした多くの介護状況を予防することができる。

 そういう意味においては、ヘルスの問題として、介護保険が云々ではなくて、生涯の予防活動の一環として、介護状態になるということをどう防いでいくかということがヘルス事業の中心に上げられなければいけない。厚生省の中では老健局があり保険局がありと分かれているかもわからないけれども、人間の生活としてみれば、それがいかに一貫しているかということが大事。それが介護予防のもう一つの大事な問題。

 三つ目の問題は、高齢期特有の問題は確かにあります。例えば、二十日間お年寄りがベッドに寝ておれば、間違いなく廃用性の障害を起こすでしょう。それは、四肢の筋肉の衰えだけではなく、間違いなく心筋の、すなわち心臓の筋肉の弱化をももたらしてきます。そういうふうな人に対して一定の機能訓練を与えていく、当然です。

 そうであれば、高齢者が病気でもって寝ついた、入院したというときには、まさに入院管理料なりそういうふうなものの中に、そういう、皆さん方の好きな言葉で言えば筋トレなんですが、筋トレというのはどうもうちの党の中でも非常に評判が悪いので余り使いたくないんですけれども、そういう一定の筋力の回復の運動をし、心筋の、筋力の回復をさせていく。それから退院させていく。せっかく、医療療養型にしても介護療養型にしても、病棟の中に食堂もつくり、リハビリの一定のスペースもつくらせているわけです。とすれば、そのことをきちっと医療の中で義務づけていく。

 これもまた一つのヘルスの問題として一貫性を持ってやっていただければ、余りうれしがって筋トレ筋トレといって騒ぐ必要はない。ただ、高齢者にとって、負荷を余りかけない形で筋肉を一定トレーニングしていく、あるいはそういう運動をしていくことがいいことは間違いないわけで、それはそれでやればいいけれども、もっとそういうふうな問題があるでしょう。

 一方において、まだ介護予防の中において技術的に解明されていない、これからエビデンスをまとめて、どういうものがいいかというものを整理しないといけない部分があります。それが認知障害であったり、あるいは高齢期のうつの問題であったりするだろうと思います。こういうふうなものに対してはどのような形で対応するのがいいかというのを、わかったような顔をするのではなくて、やはり厚生省が中心になってエビデンスを集めていく、そのエビデンスをきちっと整理した形でそれぞれのところに提供していく、そういうふうな作業がやはり現状における予防活動としてあるんだろう。

 まずそこのところをきちっと整理するということから私は介護予防の問題は入るべきだと思うんですが、この問題につきましては、局長でも大臣でも結構ですが、御答弁いただけたらありがたいです。

尾辻国務大臣 御専門のお立場から大変核心をついたお話をいただきました。

 私どもも、これまで健康な六十五歳を目指してと言ってまいりましたけれども、これだけ長寿化が進んでまいりますから、これからは活動的な八十五歳を目指すことが課題、こういう表現も最近使っておりまして、そういう認識でございます。

 そうした中で、幾つかの大変重要なことを述べていただきました。

 まず一点目に、高齢者コミュニティーを再生させなきゃいかぬというようなお話でございました。これは、全く仰せのとおりだというふうに私どもも思います。高齢者やその御家族、さらには国民全体が介護予防の必要性や趣旨について十分理解をしていただきながら、それぞれの地域において介護予防に向けた自主的な取り組みが継続的に進んでいかなきゃならない、そういうふうに私どもも考えております。

 今回の見直しの中では、そのことに関して申し上げますと、地域において継続的な介護予防に取り組むための受け皿づくりなどの自主的な地域住民活動の支援に取り組む、地域支援事業と言っておりますが、こうしたことの実施、それからさらに、ボランティアによるサービスなどの地域資源の活用を図ること、こうしたことで地域の高齢者へのさまざまなサービスが行われるように取り組んでまいりたい、私どももそう考えておりますということをまず申し上げました。

 それから、二点目の御指摘として、若いときからのヘルス事業といいますか、何も年とってからじゃなくて、若いときからの介護予防という視点が必要だろうというふうな御指摘もいただきました。これもそのとおりだと思います。国民一人一人の生涯を通じた課題として、介護保険分野にとどまらず、医療や保健事業分野も含めた分野横断的な施策の基本理念として掲げていく必要がある、今のお話を伺いながら改めて思ったところでございます。

 それから、その他の御指摘として、老人に対する機能訓練のお話でありますとか、さらに、エビデンスを集めて、認知症あるいはうつ病に対する施策もきっちりとっていけという御指摘でございましたが、お話などを伺いながら、そしてまた御指導などもいただきながら、そのように進めさせていただきたいと存じます。

五島委員 私の主張を認めていただいたので、これ以上この問題は触れませんが、同時に、そうなりますと、現在の要支援、介護の一の人たちに対して提供される介護保険からのサービスというのは、介護予防、そういう言い方ではなくて、どういうふうなサービスのメニューが提供されるのか、どういうふうなサービスはむしろ自立の回復にとってはマイナスになるからやらないのか、これをはっきりさせないといけない。

 実は、この介護保険をつくるときに、非常に、きょうおられる議員の中にも御批判もありました。そういうことをするとモラルハザードが起こるのではないか、あるいは、家政婦さん、お手伝いさんを保険でおまえらは提供しようとしているのかという批判もございました。委員長もあの当時おられましたので、そういう意見が非常にあったのは御承知のとおりだと思います。

 そうではないんだということで、人が人としての尊厳をどうしても維持できないということに対しては、やはり第三者がきちっと支えないといけないし、それから、その人たちが自立できる可能性がある以上は、その自立性を引き出すということが結論だったと思うんですね。そういうことができるためのインフラの整備はこの保険制度を確立する上で国がやりましょうという話でやったけれども、でき上がってみたのは、建物に対する補助金ぐらいなもので、そういう具体的なことについては余り進まなかった。

 例えば、あのときから私は主張していたわけですが、介護の要支援とか介護一の人たち、その人たちにこそ優先的に住宅改良を提供して、そして、お家の中で自立できるように先にやるべきだろう。あるいは、高齢期でひとり住まいの方、あるいはそうじゃない方、違いがあります。その人の状況によっては、先ほども指摘がございましたが、例えば浴室のお掃除であったり、そういう非常に困難を伴うような、要支援の人にとってはかえって転倒、骨折の危険のあるようなものに対しては、それは支援せざるを得ないだろう。すなわち、相手のケースの状況によって支援の内容を決めていくということが約束事であった。

 ところが、やはり本人の選択で、そして本人からヘルパーさんに対する直接要求をほとんどチェックされることがないままに放置されてきた結果として、私は、限りなくお手伝いさんに近い状況が現実に存在しているし、また、多くの事業者の参入が介護のマンパワーを豊富化させたのは事実ですが、同時に、業者の方からは、そういうふうな掘り起こしと、そういうふうなサービスの提供をふやしてきたのも事実だろうと思っています。

 やはり、今回の問題について、新たに要支援、介護一の人に対するサービスメニューをつくるのであれば、そういう個別の人の状態に応じて必要なサービス、頭から家事サービスはやりませんとか、あるいは住宅改良はやりませんとか、福祉器具は提供しない、そんなことを言う必要はない。私は、例えば、基本的に独立歩行ができる人に対して電動の車いすを提供している、要支援や介護の一の人に電動の車いすを提供している、あるいはギャジベッドが提供されている、大変問題だと思う。だけれども、人のいるところまで仮に一キロ歩いていかないといけない、そうでないと自立できないようなお年寄りに対しては、私は電動車いすを与えてもいいだろうと思っています。

 そういうふうなきめの細かいケアプランができていないところが、実は今回の問題の中心じゃないかと思うわけですが、どのようにお考えでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のありました問題、基本的に、真に必要な状況の方に対して適切なサービスが届けられるべきであるということについては、そのとおりだと思います。

 二つ例がございましたので、少し私どもの取り組みも御紹介をさせていただきますと、まず、福祉用具や住宅改修についてでございますが、御指摘のとおり、利用者の状態に合った福祉用具が適切に利用されることが自立支援のために不可欠である、こういうふうに考えております。

 また、今若干の不適正な事例の御紹介もございましたので、昨年六月から、ケアマネジャーの方がケアプランに福祉用具を位置づける場合のガイドラインなどの策定や周知もさせていただき、利用の適正化にも取り組んでおります。

 さらに、今回の見直しでは、利用者の方の個別性を重視する観点から、こういう福祉用具や住宅改修についても、作業療法士、理学療法士などの指定職の方が関与をして、さまざまなリハビリテーションのサービスと組み合わせて福祉用具の適切な利用を図るなど、福祉用具の提供プロセスの見直し、住宅改修の利用のプロセスの見直しなどを行わせていただいてやってまいりたいと思います。そういった意味で、介護予防の対象者の方に福祉用具や住宅改修が提供されないというわけではございませんので、委員御指摘のとおりだと思います。

 それから、おふろ掃除のお話などありましたけれども、まさに利用者の個別の心身の状況を見た上で、本当にサービスが必要な場合については、いろいろもちろん要件などは、その適切性を判定するためのプロセスは踏ませていただきますけれども、必要な援助について自立支援の観点から見直しを行う、それに対して適切なケアプランのチェックなどをしていく。こういうことによって、委員の御指摘のような状態が到来するように我々も努力してまいりたい、こういうふうに考えております。

五島委員 このあたりの問題はくれぐれも用心していただきたいわけですが、福祉用具の貸与業者、あるいは住宅改良の業者、あるいはヘルパーの派遣会社、ふえてまいりました。そうしますと、企業の方は、例えば、車いすを貸与します、こういう手続をすればいいんですよと言われてくると、非常にふえてしまう。

 やはりそこのところは、現在、例えばギャジベッドはあるけれどもギャジベッドでないベッドの貸し付けはないとか、そういうふうなものを早急に見直していただいて、そして、その方の状態の中で、私は要支援や介護の一にギャジベッドなんか使うはずがないと思っていますが、そういうふうなものを廃止するかどうかされますと、そのほかの障害を持っているような方の中には必要な場合もあるわけですから、そこはきちっとケアマネのところでケアプランの中に取り込まれるような仕組み。

 ケアマネの技能の水準を引き上げる、あるいはその権威を高める、そういうふうなことが今実は必要なので、やはり、どうしても膨大な業者の力に負けてしまうことがないような対策がないと、この問題を、結果として必要なものが必要な人に当たらない。たとえ少数であってもそういう人もいる、その人たちには必要なサービスが提供できないということにならないための努力を、やはり厚生省ももっとやってほしいということを申し上げておきたいと思います。

 そして、今まで申し上げてまいりましたそういう状況の中で、私は、今回、地域包括支援センターの位置づけについて、私自身がよく理解できません。

 ヘルスの問題全体として介護予防をやっていく。これは、これからのヘルス事業全体の中に取り込むべき課題である。そして、保健の問題は、都道府県においては保健所、もちろん政令都市においては保健所がありますが、そうでない町村においては町村が保健事業というのはそれぞれやっていっている。

 もっとも、最近では、保健事業がいつの間にか健診事業と置きかえられています。健診というのは、保健事業の出発点の一部であったとしても、保健事業の終着点であることは絶対にありません。病気を掘り起こすだけです。かつての結核の時代であれば、早期発見が保健そのものの大きな切り口になりました。今はそうではありません。

 だから、保健事業というのは、そこでどのように、その人の健康を維持するために必要なデータや知識やあるいは生活習慣の変更なり、そういうふうなものが提供できるか。それがないと、今の時代の保健事業とは言えません。それが保健事業全体にとってみてどこまでできているのか非常に疑わしいわけですが、これを介護予防ということを入れて活性化させようというのは大いに結構。それであれば、そういう事業は、何も地域包括支援センターなんか言わなくたって、そういうところでそういう活動をしてもらえばいい。

 もう一方で、先ほどからのお話があるわけですが、地域包括支援センターがケアマネのかわりにケアプランをつくる、こういう、すなわち行政が対人サービスをするということを意味しているとすれば、これは非常にコストもかかるし、効率も悪い。なぜそんなことをするんだ、する必要はないのではないか、民間でいいんだろう。

 では、何が今までの中で足りなかったのか。それは、まさに今話が出てきたように、それぞれのケアプランなりあるいはサービスの提供なり、そういうふうなものに対する保険者としての自治体のチェック機能がない。私は、今一番必要なのは、そのチェック機能、監視機能だろうと思うんですよ。チェック機能、監視機能を強化する。今全国で、在介センターだけでも、たしか八千もの在宅介護支援センターがある。一体何ぼが機能しているんだ。どこが本当にきちっとした仕事を提供できているのか。市町村でそれをチェックしているところはどれだけあるんだ。そういうふうなことをきちっと、単に出てきたケアプランのチェックだけではなくて、業者の問題もそうです、そういうふうなものを保険者の立場に立ってチェックする機能、これはやはり保険者である市町村が持つのは当たり前だろう。そういう機能を在介センターに持たすということであれば、名前はともかくそういう機能は必要だと思う。

 一体、今回の地域包括支援センターの機能といいますか目的はどこにあるのか、そこをちょっと明確にお答えいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターの基本的な考え方でございますが、先ほど来御議論に出ておりますように、制度施行後、要支援、要介護一といった軽度者の方が大幅に増加し、また給付も増大しております。この背景といたしまして、いわゆる事業者による掘り起こしが見られること、また、ケアマネジャーさんの所属する事業所のサービスへの偏り、いわゆる自社サービスへの偏りのあること、また、先ほど委員冒頭にお話ございましたように、市町村があらゆることを介護保険にゆだねる傾向があり、市町村が担う保健福祉施策全体が弱体化している、こういったことなどが指摘されております。

 こうした状況を改善するために、事業者による掘り起こしを防止すること、市町村が本来担うべき、介護保険はその一部でございますけれども、ソーシャルワーク機能を強化すること、それから、市町村が取り組んでいるさまざまな事業を介護予防の観点から見直すことなどを目的といたしまして、今回、介護保険法に地域支援事業を創設し、その事業を実施する機関といたしまして、拠点といたしまして、地域包括支援センターを置くこととしたものでございます。

 委員から、ケアプランなどつくったりするのかというお話がございましたけれども、個々のケアプランの作成ということではございませんで、まさに御指摘ございましたように、保険者としての市町村が、支援困難ケースへの対応など個々のケアマネジャーの支援をするとか、ケアプランのチェックを行うとか、介護予防事業のマネジメント、この介護予防事業のマネジメントと申しますのは非該当の方々のマネジメントですけれども、そういったことを考えております。

 そういった意味では、市町村のヘルス、保健事業担当部局がこういうことをこれまで担当してきたという委員の御指摘もそのとおりでございまして、したがいまして、地域包括支援センターとこの市町村のヘルス部局が一体的に活動をしていただく、あるいは、ヘルス事業を担当してきた保健師さんを地域包括支援センターの方に配置するなどの方法もあろうかと思います。そういったさまざまなやり方でもって、その部分については対応をしていただきたいと考えております。

五島委員 それだったらわざわざこんな名称をつけなくても構わないし、ヘルス事業の中できちっとやりなさいということでいいだろうし、ましてや、保険者としての機能のチェックをやれということでいいわけで、地域包括支援センターというのをわざわざ法律を変えてまで名前を載せないといけない根拠は本当にあるのかなという気がするわけです。

 それはおいておきまして、これまでの議論の中で、これまで介護予防という形で言ってきた内容も含めまして、過去のこれまでのやってきた公衆衛生活動、医療、そういうものを総括して、新たな法律をつくらないといけないのか、これまでの中でネグレクトされてきたり、あるいは不十分であった部分を強化したらいいのか、そこのところがやはり大きな問題なんだろうと思います。

 もう一度申し上げますが、いわゆる筋トレを中心とした筋力の回復、これは当然必要でしょう。問題は、筋力が回復してみても、ほっておけば三月もするともとへ戻ります。そうしますと、それの受け皿として、やはり地域全体の中で、筋肉が回復した人たちが引き続き体力を維持できるような、そういう高齢者のコミュニティーがあり、その中に入っていただくということがないと、これは本当に効果が上がらない。そういう意味では、そういうふうなものとの一環の中のものとして見ていかないといけないし、では、そこはどこが担うのかといえば、筋トレそのものについていえば、デイサービスセンターとか、あるいは各医療機関の中で退院したときにさせるとか、いろいろなやり方があるんだろう。そんなものは、私は、何で改めてやっていかないといけないのか。

 例えば、デイサービスセンターへ行って、お年寄りを座らせて、歌を一緒に歌いましょう、飯を食べましょう、一日じゅう座らせているのは本当にデイサービスセンターなのか。そのことを考えたら、デイサービスセンターなんかは基本的にそういう機能を持ってもらうことが前提のはずです。あのスペースからいったって、そういうことが前提であのスペースがつくられている。そうであれば、何も、そういうところできちっとやってくれと言えばいいわけで、新たなサービスの提供でも何でもなくて、これまでネグられていたサービスをきちっとやりなさいという話だろう。

 あるいは、口腔衛生の問題にいたしましても、確かに、そしゃく機能障害というのは高齢者にとっては深刻な問題、場合によっては生死にもかかわる問題です。だけれども、その一方において、そしゃく障害の大きな問題が入れ歯のふぐあい。お年寄りというのは、一たん入れ歯をつくっても、その調整をしないと歯肉の萎縮によってすぐ合わなくなってしまう。その調整が全然されていない、それが大半の原因です。

 だけれども、一方では、すべての特別養護老人ホームも、老人保健施設も、嘱託歯科医というのは置くことが義務づけられている。義務づけられているけれども、その歯科医の先生のそういうふうな診察なり技術の提供を受けさせていない。そういうふうなところを一つ一つ見ていけば、別に、これもまた新たな法律をつくらないといけないものなのかどうなのか、大変疑問に思うところであります。

 そこの点は、恐らく局長も先ほどからの話からいえば意見の対立はないんだろうけれども、そういうふうな不十分さというものを、これは何も法律の中にわざわざ書かなくたって、これまでの制度の中できちっと処理させるような方法を、省を横断させた形でぜひ取り込んでもらう。それが、やはり介護の問題に取り組む厚生労働省としての姿勢を示すことだろうと思うわけですが、いかがでございましょうか。

中村政府参考人 ただいま介護予防事業、それから全体的な保健、ヘルス事業との関係についてのお話がございました。今回、私ども提案させていただいておりますのは、委員の整理で申し上げますと、確かに、高齢者に対して機能訓練とか、そういった意味で、高齢期において介護予防の視点からやる意味も否定できないであろう、そういうお話がございました。

 私どもは、他方、委員が御指摘されますように、若いときからの生涯を通じた健康づくりも大事だと思っており、高齢期だけで対応できるものではない。そういった意味では、私どもの提案では介護予防と言わせていただいておりますが、高齢期の介護予防対策と生涯を通ずる健康づくり対策、とりわけ生活習慣病予防というのがこれからの予防事業の二つの柱になるというふうに考えております。

 従来、六十五歳以上の高齢者の方々に対します介護予防的な施策は、さまざまな補助事業や老人保健事業などで行われてまいりましたけれども、相互の連関、マネジメントの分裂、そういったことがございまして、不十分であるということでございますので、今回、六十五歳以上について介護予防事業をつくらせていただいたところでございます。

 なお、今、四十歳からやっております老人保健事業の今後のあり方も問われておりますし、四十歳からで生涯を通ずる健康づくりとして適切かという問題もございます。また、医療制度の見直しの中で、生活習慣病予防を重点としていかなければならないということもございますので、この点につきましては、老人保健事業の見直しも含めまして、十八年度に向けて成案を得たいというふうに考えておりまして、省内、部局横断的にここは検討させていただいて、また御提案をさせていただきたいと思っております。

五島委員 ヘルス事業については一体的に運営しないといけない。ただ、財源の問題は、確かに今局長言われたように、そうなんだろう。個別にとってみれば本当にむだなこともやっているわけですが、老人保健事業からもそのお金を出していく、介護保険からも出していく、あるいは国保その他からも出していく、一般財源からも出していくということでやっていかざるを得ないというのは、現実的にはよく理解できる。だけれども、それの運用がばらばらに、それぞれの縦割りでやられたのではつながらないわけで、そこのところは市町村のところで一元化して使えるように、ぜひお願いをしたいと思います。

 このあたりの問題は省全体をつなげた大事な問題ですから、大臣、一言お願いします。

尾辻国務大臣 いろいろ御指摘をいただいております。

 私どもが今考えておりますことは、そうした御指摘の視点ということで、本年から十年間の戦略として、生活習慣病対策の推進と介護予防の推進、この二つを柱といたします健康フロンティア戦略を推進することにいたしております。ここで今御指摘いただいているようなことを含めて整理をしたいというふうに考えておるところでございます。

五島委員 ここまでのところは、厚生省のこれまでのお話なんかの混乱と、あるいはそれから生まれてきた誤解の問題であろうと思っているわけですが、次の二点の問題につきましては、かなり深刻な矛盾点だろうと思っています。

 一つは、利用者負担の問題。

 一般論として言えば、今、さまざまな個人負担につきまして、医療の場合は応益負担で自己負担が決められています。そして、さまざまな福祉施策の中においては応能負担で自己負担が決められています。介護保険は応能と応益とをミックスするというシステムになっておりまして、それがどの水準が適切かという問題は大いに議論のあるところでございますが、そのこと自身については私は文句を言うつもりはない。

 ただ、そこまではいいわけですが、今回、施設の関係の問題、特に今介護保険財政との関係の中で、十月から、いわゆる三施設における利用につきまして食事が介護保険から外されました。介護保険の外へ出ました。そして、ホテルコストがお年寄りから取られることになりました。この問題をどう見るのか。

 一方で、医療療養型というのがあります。病院の中には、医療法の中で介護療養型と医療療養型と二つあります。どちらもその療養環境には全く差がありません。人員の配置の基準もほとんどありません。一方、医療療養型は、そのまま、従来どおり、食費も含めて医療保険から給付されます。介護療養型は、介護保険から外されますから自己負担となってまいります。そこには、同じような療養環境にありながら大変な不公平が生まれてきます。一体この問題をどうするのかということが一つ。

 もう一つは、そのことの過程の中で、ホテルコストと称するものが取られることになりました。所得水準との問題ですが、年間二百六十数万以上の所得のある人からはホテルコストとしてかなり取られることになりました。一方で、現在見てみますと、現在の介護療養型病床だけ見ましても、かなり、市町村立の病院から日赤やなんかまで含めて、介護療養型病床でも差額ベッドが高いところは一万円、そして二人部屋でも差額ベッド料を取っています。それが今回の介護保険の適用によってできなくなります。皆さんから一定の金額、特に所得の少ない人からは取りませんが、一定の所得があれば一日二千円ぐらいまででしたかの差額ベッド料が取られることになります。自己負担がふえてきます。

 これは、ある意味においては、現状から見ますと非常な抑制効果、抑制効果と言えばちょっと誤解があるかもわかりませんが、現実に一万円以上の差額ベッド料を払っているところが四百三十五カ所もありますし、それから、二人部屋でも一万以上取っているところが百五もありますし、そういう意味においては、かなり高額の差額ベッド料を介護療養型病床でも取っています。一方、これが上限がかかってきますが、医療療養型は変わりません。そういう非常な混乱が起こってくる。これは、医療法の枠の中に介護保険と医療保険と、両方を同じように保険給付をしながら、しかも医療機関は自由にそこの間の選択ができるという制度になっています。

 そうしますと、介護保険から医療保険の方に流れてしまう。患者さんからいえば、自己負担がふえるんだから、同じ状況なら医療保険にしてくれというところが出てくるだろう。あるいは、病院の側からしても、差額ベッドに規制がかかるのなら、介護療養型から医療療養型へ持っていきたいというふうなところが出てくるだろう。そうすると、いわゆる逆流現象が起こってきます。この問題についてはどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

水田政府参考人 介護療養病床と医療の療養病床の間の患者の負担をめぐる問題について幾つか質問がございました。順次お答え申し上げていきたいと思います。

 まず一点目の御質問は、介護保険の見直しにおいて、食費、居住費が保険給付から外れることによりまして、介護療養病床の入院患者においては負担が変更になる、この結果において、同じ施設の中で病床によって負担が生ずるという御指摘がございました。

 他方、医療療養病床におきましては、現在でも介護療養病床とは違う措置がとられておりまして、例えば百八十日を超える入院につきましては費用徴収がされるということがございます。また、おむつ代に係る実費負担もあるということがございまして、見直し後の介護療養病床の入所者の負担に比べて医療療養病床の入所者の負担が低くなるとは一概に言えないものと考えてございまして、実際の負担についてよく見きわめていく必要があるものと考えてございます。

 それから、差額ベッドの設定についてもお話ございましたけれども、これも、御承知のとおり、妥当な範囲で個々の医療機関の判断にゆだねられているものでございまして、今回の介護保険における措置によりまして差額ベッド代がどのように変化するか、減るものかどうか、これも一概には言えないものと考えてございます。

 それから三点目に、今回の措置によりまして、むしろ、病院側の意向として介護病床から医療病床への転換が発生するのではないか、こういう御指摘があったわけでございますけれども、まず、先ほどの費用負担の格差に伴う影響ということにつきまして、実態をよく見きわめる必要があると思っております。

 それから、今回の見直しに伴いまして、患者の状態にそぐわない形での病床転換が行われないように、既に都道府県を通じまして次の二点を周知してございます。すなわち、安易な病床転換は患者に対する継続的な療養の確保の観点から適当でない旨、また、二点目といたしまして、介護保険事業計画に定める入所定員総数との関係で、一たん介護療養病床の指定を辞退いたしまして医療療養病床へと転換いたしますと、介護療養病床の再指定が困難となることが予想されるということを周知しているところでございます。

 いずれにいたしましても、このような病床の転換の有無、その状況というものをよく把握した上で、適切に対処していきたいと思っております。

五島委員 再指定が困難になるというおどしは、どういう根拠でもってそういう通達を出されたんですか。これは医療法によって両方ともある病床でありまして、多くのところは、そういう高齢者の医療をやっておられるところは、医療療養型と介護療養型とフィフティー・フィフティーぐらいでやっておられるところが多い。

 その中で、確かに、介護療養型から医療療養型へ一たん返ったものをまた介護へ返りたいといっても返しませんよというのは、一つの、どういいますか、威圧行為ではあるかもわからないけれども、それは一体どういう根拠でもってそういうことが言えるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険事業計画というものが定められておりまして、その計画で施設の定員総数を定めております。超過地域などにつきましては、都道府県知事が、超過している場合にこういう介護三施設の指定をしないことができるという規定がございます。今、各地域で施設整備の枠が非常にいっぱいになってきておりまして、施設整備希望者が多いというような状況がございますので、ある段階で、今御指摘のような、介護病床から医療病床へ転換がなされた場合、次の希望者が指定されてしまうということがありますので、医療病床に転換された方がまた介護療養病床に戻ってくるというのは、そういう地域においては指定が困難になることも予想される、こういうことでございます。

五島委員 確かに、ベッドの問題はあると思うんですね。

 しかし、これは、三施設については、病床数だけでいうならば、厚生労働省は五、三、二の比率でやっていきたいと。すなわち、特別養護老人ホームを五、介護老人保健施設を三、そして介護療養病床を二という割合でこの施設を位置づけてこられた経過があったと思います。

 そして、それは平成十五年の段階で、いわゆる特別養護老人ホームが三十四万六千、そして介護老人保健施設が二十六万九千、約二十七万、そして、介護療養型病床がいわゆる痴呆療養病棟を含めまして十三万九千ですから約十四万。ちょうど今現在が五、三、二のベッド数だけの比率です。

 先ほどから、かなり、そうなったときには、自分たちの汗のかき方が足らなかったことを棚に上げて、おどしでやっていこうとおっしゃるわけです。

 一方で、特別養護老人ホームの方は、一月間の平均的な介護療養費というのは三十二万八千円。そして、介護老人保健施設は、現状において平均的に約三十三万七千二百円、約一万円ぐらい高いんですかね、三十三万七千二百円。それに対して、介護療養型病床は四十五万八千円。そして、医療療養型病床を一月に合わせて平均的に計算してみますと約四十八万円。

 介護療養型から特別養護老人ホームやあるいは医療療養型施設に転換させるのなら介護保険料はかなり楽になってくるわけですが、介護療養型病床から医療療養型へ流れ込ませて、そして、返しませんよと言えば、確かに、介護保険の方はその減った分だけ少なくなるんでしょうが、老人医療の方では、四十五万円が四十八万円になるわけで、三万も老人医療費がふえてしまう。

 これは、老健局が言うのなら、えらい勝手なことを言うねというので笑って済ませられるけれども、保険局の方がそんなことを言われると、そんなに老人医療費というのは余っているんですか、潤沢なんですか、どうなんですか。

水田政府参考人 医療保険財政が潤沢だということを申し上げているわけではなくて、安易な病床転換についてはこういう問題があるということを指摘されたもの、このように理解しております。

五島委員 私は、食費を介護の方から外していったけれども、業界団体の反対のより強い医療には手がつかなかったというのが本音のところだろうから、そういうふうに謝られたらいいんだろうと思うんですね。

 だけれども、実は、食事の問題というのは、これは介護保険全体の問題とも関連いたしまして、厚生省が汗をかいてこなかったところの一つなんですよ。

 先ほどの話に戻りますが、ヘルパーさんが食事の支援のために入ります。大体三食分つくられまして、一日に二時間の介護時間を要します。二千四百円ですね。二時間でやったら大体二千四百円。施設や病院の食事代というのは大体千九百円、これは材料費込みです。それに比べたら、ヘルパーさんが一軒一軒飯をつくるのがいかに高いものか。材料費や光熱費を抜きにして二千四百円要るんです。

 また、同じような問題が医療の部分でも、入院患者さんと在宅の患者さんとの間で起こってきます。糖尿病の患者さん、腎透析の患者さん、かつては、在宅で食事療法をすることが非常に困難な時代、食事も医療の一環であるということで取ってまいりました。

 今、腎透析をしておられる患者さんの圧倒的多数は、入院ではなくて、在宅でおられて、通院で腎透析をしておられます。糖尿病の患者さんは言うまでもありません。だけれども、そういう患者さんたちが自分たちのお家の中で食事のコントロールをすることに大変な苦労をしておられることは事実です。それをどのように対応するかということを厚生省がきちっと、厚生省がといいますが、国がシステムとして対応してきておれば、この問題がここへ来て負担の問題云々という議論にならない。

 それは高齢者だけじゃなくて、実は医療の問題も一緒なんです。多くの患者食というものを病院でつくる。そして、医療法の中に、病院は厨房施設を持つことが必須義務になっている。言いかえれば、院内給食が原則なんです、今の法律は。だからといって、そこの病院が外来の患者さんに対して食事を提供しているところはないです。そうだとしたら、おのずから対応策ははっきりしてくるやないですか、お年寄りの問題もセットにして。

 例えば厚生省には、私の先輩も天下ったことがあるので余り言いたくないけれども、外郭団体の中には食品関係の団体もあります。何か妙な健康食品やとかサプリメントやとかいうのばかりやっています。あんなものやめさせてしまって、むしろ積極的に、業界に対して、高齢者用の豊富なチルド食品や、あるいは糖尿食、あるいは腎臓食、それも患者さんの好みに応じられるように幾つかの品をつくって、千二百カロリー、千四百カロリー、千六百カロリー、千八百カロリー、それぞれのカロリー表記ができた、そういう一品ごとじゃなくて一食ごとのチルド食品ができ上がれば、こうした問題は随分安くて解決できる。

 そういうふうなことに取り組むということはとっくにやられていなければならないわけですが、そういうことは全部民間任せで、国の方が誘導してこなかった。そして、この食事が問題になるたびに、食事代は家でも食べるからだ、いやいや、家で食べると言うけれども、患者食、食事は治療の一環なんだ、では治療を必要な患者さんが在宅ならどうするんだという話は抜きにしたままの議論が続いてきているわけです。

 いかに安くてそういうふうなものが手に入るか。この本題である介護保険でいうならば、高齢者のチルド食品が五十種類ぐらいあれば、一週間分をゆうパックで配達してもらえば、チン言わせれば飯食えるわけです。事実できるんです。二千四百円要らないんです。そういうふうな社会全体のインフラづくりというのも、高齢社会が進む上で大事なことなんです。そういうことをきちっとやらないままに、保険から外すか外さないかという議論になってくると、それは混乱が起こるのは当たり前だと思います。

 それについて、ここまで踏み切られた以上、これは保険局だとかなんとかの問題ではなくて、厚生労働省だけの問題でもない。やはり、経産省やそういうところも協力して、いろいろな業界団体の中において、そうした形で食事の問題が、在宅で必要なものが手に入るようなシステム、そういう市場をつくってもらう。

 その市場をつくるということは、諸外国はそうですよね、ヨーロッパ、有名なスウェーデンでもいいです。スウェーデンでは、食事をつくる時間というのは非常に少なくて済んでいるんですよ。日本は二時間かかっているんですよ。その違いは食生活の違いで今まで日本人は済ませてきた。だけれども、今は技術的に日本人の嗜好に合わせた形でそういうものがつくれる時代に入ってきた。ヘルパーさんが十回行くお金があれば電子レンジが買えるんです、今。そういう時代に入ってきた。

 そういうことを含めた対策がないままに、私は、今回の食事の問題、介護保険から外れる、医療保険からは外れない。当然、病院の中において、介護療養型病床から医療療養型病床へと逆流現象が起こるだろう。それならどうしますか。それなら、介護療養型から医療療養型に移れば、法律には根拠はないけれども、無理を言うてでも、何かおどしかけたら言うことを聞くと思っているのか、そんなおどしが通るほど甘くないだろうと私は思っています。

 それについて、大臣、どうお考えですか。

尾辻国務大臣 この問題の冒頭で、先生、大変深刻な問題であるというふうに表現をされました。私どもも、この問題というのは極めて大きな、そして重要な課題であるということは認識をいたしております。そしてまた、これに対してどういうふうに対応すべきかということも考えてまいりました。

 そこで、私どもが考えておりますことを率直に申し上げますと、これは大きな問題でありますから、どのような対応が適切なのか、どうしてもやはり次期診療報酬改定というのが一つの節目になると思っておりますから、そこでの対応を含めて検討しなきゃならないと思ってまいりましたということは、率直に私どもがそう考えておるということを申し上げました。

 そして、きょうのお話を伺っておりまして、単にホテルコストをどうするかという、介護保険と医療保険との間の整合性をどうするかというようなことだけじゃなくて、御指摘いただきましたのは、もっと大局的に大きくこの問題をとらえて考えるべきだという御指摘は極めて、きょう聞かせていただいて、ありがたい御指摘だと思いますので、改めてそうしたことまで含めて私ども検討して、申し上げましたように、次期診療報酬改定の対応を含めて、必ず検討をさせていただきたいというふうに存じます。

五島委員 次期診療報酬の改定のときに、これは中医協マターになるんでしょうが、ぜひこの辺の矛盾を解消するようにしていただきたいと思います。

 次に、一番大きな問題なんですが、介護の普遍性の問題。

 今回、社会保障審議会の介護保険部会の報告書を読ませていただきましても、かなり徹底した議論が行われているようでございます。今回、法案を見てみますと、平成二十一年に向けて検討を加えた上で措置をすると。玉虫色といえば玉虫色、まさかこの話は、拡大をしないということを言うためにこんな文章を入れるわけがないから、拡大という方向性を限りなく踏まえておっしゃっているんだろうなとは思いながらも、この問題は非常に大事な問題だと思います。

 実にこれは、介護保険ができるときからの大きな問題でした。介護が必要な人たちに対してどうしていくのか。それを高齢者だけにとりあえず絞った。だけれども、もっと若い人たちで必要な人たちがいる。障害を持った人たちもいる。それをどうするのかという議論はありながらも、とりあえず、加齢によって起こってくるこうした膨大な高齢期の障害に対して介護保険制度が成り立ちました。しかし、ここへ来て、この問題をどうするかという時期になってきたと思います。

 ただ、私は、介護保険部会での報告書を読ませていただきまして、保険の負担者と給付対象者が年齢が一緒でないといけない、この議論は、これまで社会保障制度の中でなかった議論だと思います。例えば医療保険の場合でも、子供は保険料を直接払っているわけではありません。そういう意味においては、一体どの年代で保険を支え、その給付はどういう範囲を給付するかというのは、別々に議論すべき内容だと思っています。それがどうも混同した形で議論されたところが一番まずかっただろうと思っているわけです。

 ただ、きょうはもうあと私の時間も余りありませんので、この問題だけででも私は一時間ぐらいやりたいので、きょうは余りこれ以上触れませんけれども、大臣自身が、法案はそういう表現ですからその表現の枠の中であるにしても、基本的に、検討して拡大の方向に進みたいと考えておられるのか、検討の上、できることなら拡大をさせたくないとお考えなのか、それをまずお伺いします。

尾辻国務大臣 この問題、ごまかしてお答えしてもまずいと思いますから、私どもが今度の法案を提出しておる、そしてそれは附則に書いてある、法案を提出させていただいておる立場で言うと、建前でお答えすると、その附則に書いてあるとおりですとしか言いようがないわけでございますが、ただ、この法案提出に至りますまでに、私どもが普遍化という言葉で私どもの思いをずっと述べさせていただいてまいりました。その思いが込められておるということまでは、極めて率直に申し上げたいと存じます。

五島委員 大変勇気のある御答弁でございまして、高く評価をしたいと思います。ぜひ与党の皆さんもこの大臣を支持していただきたいとお願いをいたしておきます。

 私は、この問題についてはまた最終段階で質問させていただくこともあるかと思いますが、どういうふうな保険のシステムとどういう給付の対象にするかという問題は、これからいろいろあるとしても、やはり介護を、必要なものを普遍化していくということを前提にやっていかなければいけないし、その前提があって初めて、先ほども言いましたが、いわゆる介護の状態を予防するためには、やはり全世代にわたってのヘルス事業の中でその介護予防というのが位置づけられなければいけないという考え方も一貫性を持ち得るんだというふうに思っておりますので、申し上げておきたいと思います。

 次に、これも大事な問題なんですが、ヘルパーさんが大変ふえてきています。今、全国のヘルパーさんの中で、いろいろな事業所あるいは社会福祉施設等々で働いておられます、登録ヘルパーさんも含めて、常用のヘルパーさんの比率は何%ぐらいでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ホームヘルパーは約二十六万おりますけれども、常用という意味では二割程度ではなかったかと思います。もし数字を調べまして誤っておりましたら、後ほど訂正させていただきます。

五島委員 私もそのような数字だというふうに承知しております。言いかえれば、八割の人たちがパート労働者で働いておられるわけです。これはかなり深刻な問題。やはり、パート労働にどんどん変わっていっている、あるいはパート労働としてしか雇用されていない状態というのは、この大事な仕事を進めていく上においては私は不安定な問題だろうと思っています。

 一方で、この職種に働いているヘルパーさんの仕事というのは、やはりお年寄りを抱えたりしないといけませんので、お一人で四十キロ、五十キロのお人を抱えることがあるわけですね。

 僕は来ぬでもいいと言ったんですけれども、労働関係の方が来ておりますので聞きますが、女性の労働者に対して四、五十キロの重量を持たすことは構いませんか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 労災保険につきましては、先生御案内のように、適用事業場に使用される労働者すべてに適用されるわけでございまして、今おっしゃいましたような介護問題につきましては、そういう方々のお相手をするということでそういう問題等もおありと思いますけれども、そういう実態があるということを踏まえまして、労災保険等につきまして適用について考えてまいりたいというふうに考えております。

五島委員 聞いていないことを答えたんですが、確かに、パート労働者であったとしても、介護労働者は全員が労災の加入である。なぜなら、労災保険というのは人件費に対して労災保険料がかかってくるからということで、労災の加入であることは事実です。

 だけれども、問題は、例えば連合の調査を読ませてもらいますと、福祉施設に働いている人たち、ヘルパーさんは、腰痛と肩凝り、肩が痛い、腕が痛いという訴えが異常に高い。すなわち、実はこの多くは女性なんですが、男性も今ふえていますけれども、三十キロを超えて重量物を女性労働者に持たすというのは労安衛法の違反だったと思いますね。だけれども、現実問題としてこれは二人でやることができないから、一人でやっているわけです。それだけに、この人たちに対して、各事業所はできるだけ重量の軽減の措置もとるように指導する必要があるだろうし、それ以上に、やはり常用化の方向性というものを出さないといけないんだろうと思っています。

 ただ、現実問題としてはそれがそう簡単にいっていないのもよく理解している。

 今回の介護保険法の改正の中に、何か知らぬけれども、どさくさに紛れた形で社会福祉法人の退職共済に対する国庫補助の削減が盛り込まれています。これもまた、調べたところによりますと、社会福祉施設においてもどんどんとパートがふえていっている。この社会福祉法人の国庫補助を見てみますと、これは国家公務員に準じておりますから、二十五年間勤務すると退職金が一千万を超えている。民間と比べたら極めて高い退職共済。

 だけれども、現実問題を見てみますと、この社会福祉施設で働いている労働者の平均的な勤続年数は五年ぐらいだ。五年ぐらいですと国家公務員は非常に低いんですね。だから、あの国家公務員共済の二十五年超えて一千万、その三分の二を国が補助しますというのは、あれは恐らく施設長さんとかごく一部の人だけを意識に置いてやっておられるのかなと思うんですが、問題は、ほとんど五年以内で退職される、そういう現場の人たちが、この退職共済もなくなればますますパート化に置きかえられていくんじゃないか、そういう心配をいたします。

 そういう意味では、今回の、三分の二の措置を一挙にずばっと切って、これまでの人は一千万を超える退職金を既得権の擁護の上で払いますという、その措置が本当に正しいのかどうか。今後考えるとしたら、やはりこういう社会福祉施設において働く人たちがせめて常用化できるように、せめて五年とか八年とか十年ぐらいまでの退職金はもらえるように。それを事業主が出さないといけないとなれば、ますますパート化になると思うんですね。その辺はどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

小島政府参考人 お答えいたします。

 先生ただいま御指摘になりました退職手当共済制度は、社会福祉法人が経営する施設等で働く職員に対しまして、国家公務員に準じた退職給付を行うというものでありまして、その財源は、経営者が支払う掛金、これが三分の一相当でございまして、国と都道府県が合わせて三分の二の公的助成を行っております。これは、施設の任意加入の制度でございます。

 今回の改正は、平成十三年十二月に特殊法人等整理合理化計画というものの閣議決定が行われたところでございまして、その中で、「平成十七年を目途に行われる介護保険制度の見直しに合わせ、介護保険における民間とのイコールフッティングの観点から、助成の在り方を見直す。」という閣議決定が行われまして、その決定に基づきまして、今回法律改正を御提案させていただいているということでございます。

 この中で、高齢者関係の施設等につきましては公的助成を廃止するということにしておりますが、その際、できる限り多くの社会福祉法人が引き続き加入しやすい安定的な制度となるよう、関係審議会の意見も踏まえまして、既に加入している職員については退職時まで現在の助成を継続するといった経過措置を講ずるとともに、公的助成の廃止対象施設について、将来的に掛金負担が増大することも踏まえまして、ただいま御指摘になりました給付水準を一割カットということにしております。

 介護サービス事業者の現状を見ますと、事業者総数に占めます社会福祉法人の割合は、平成十六年八月現在で一五・二%となっておりまして、社会福祉法人以外の医療法人、NPO法人あるいは営利法人等、多様な経営主体が参入している状況にございます。

 このような多様な経営主体の間の公平という観点から見ますと、やはり、社会福祉法人のみに将来にわたって退職手当の公的助成を一部であっても維持することは、なかなか納得が得られないのではないかというふうに考えておるところでございます。

五島委員 私は、別に社会福祉施設がそれほどすぐれた施設とは思わないけれども、厚生省はこれが地域福祉の拠点だと言っているんですよね。その拠点が、今もお話しになったように、二十五年以上勤続する人、そういう人については、今回若干の減額をするといっても、これからも八百万を超す退職金を二十五年で出しますよ、だけれども、これからは新しい人については一文も助成はしません、それは事業者がそれぞれ勝手に退職金を積み立ててくださいと。

 社会福祉施設の経営はそんなにいいんですか。そんなものは言うだけの話で、結局、それができればできるほど事業主は他の民間の施設と同じようにパート化に置きかえていくということは、火を見るより明らかじゃないですか。それなら、なぜその三分の二の補助を、ずっと突き抜け方式でやるのじゃなくて、定額の補助とか、さまざまな方法があるだろうと思います。しかも、きょうはこの場では申しませんが、社会福祉施設と名のつくところを全部一緒にやるわけはないんですね。これは老人の施設だけのはずです。

 そういうふうなことをいろいろやっておりながら、今は非常にふえていっている高齢者介護の福祉施設に対してはパート化を推し進めていくような政策をとっていて、本当にいいのかという問題でございます。

 これについては、ここで押し問答してもきょうはこれ以上の答弁は出そうもありませんので、この質疑が終わるまでに再度ぜひ聞かせていただきたい、ぜひ検討していただきたいとお願いします。

 もう時間が参りましたので、最後の質問に行きます。

 先ほどから言いましたように、この介護保険の保険制度は、介護予防について介護保険からも一定のお金を出しますよという意味が一つ。それからあとは、利用料の変更をやりますよ、そして二十一年に向けて普遍化について検討しますよ、そして退職金については三分の二補助を、これまでの人には高額の退職金共済の補助をするけれども、次からはゼロですよという、これぐらいしかないんですね。非常に粗っぽい法案だと思います。

 この粗っぽさの結果として、この法案には、たしか百六十でしたね、政省令が必要になります。私は、それは法律の中にすべて書き込めとは言わない、政令も省令に任す部分もあるだろうと思うんだけれども、こんな簡単な法律で百六十の政省令はないだろうと思うんですね。どうお考えですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の方から、今回の介護保険法等の一部を改正する法律案について柱を御紹介いただきましたが、ただいま委員に触れていただいたもののほか、地域密着型サービスを創設するとか、サービスの質の向上を図るためサービス事業者の方に対する事後規制をきちんとしていくこと、あるいはケアマネジャーの方の資質の向上を図るためのさまざまな制度的見直しを行うこと、それから保険者である市町村の方々からさまざまな御要望をいただいております。これは、保険者としての機能を果たすことができるように、そういったこともございまして、簡単な法律というお言葉をちょうだいしましたけれども、かなり広範にわたって改正をいたしております。

 細部につきましては、御指摘いただきましたように、政省令など下位法令にゆだねる部分が多い部分もございます。また、それらの事項の中には、介護報酬や基準のように関係者の調整が必要な事項も多く含まれております。

 今後、法律を御可決いただきましたらそういった政省令、基準の作成作業などに入りますけれども、作成に当たっては公正、透明なプロセスのもとで作業を進めてまいりたいと考えております。

五島委員 時間が参りましたので余り押し問答しませんけれども、一昨日、我が党の内山さんから出ていました、ピップエレキバンを売るのにも政省令に任した途端に、あれは省令でしたね、省令の中で認可が必要なんだ、資格が必要なんだと。政省令に任すと何をするかわからぬなというのがやはり今世間の相場なんですね。政省令に任してほしいという気持ちはわかるけれども、それはやはり今までのものの中ででも、さまざまなガイドラインを整備したり、地方自治体と協力することによってできることもあるんですよ。それを非常に粗っぽい筋書きだけを法律で書いて、その細目はすべて政省令に任すというのは、私はやはりおかしいと。

 そのことを申し上げまして、私の時間が参りましたので終わりますが、必ずもう一度、再質問の時間をちょうだいできますようにお願いします。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 介護保険の法改正ですけれども、これは介護保険法の発足に当たって義務づけられた五年の制度見直しということになります。それだけに、実態を踏まえた見直しが必要になるわけですけれども、介護予防の重視の問題ですとか、介護保険を安定的なものにするというのは当然の課題です。となりますと、問題はその中身になるわけです。

 私は、この間の本会議の質疑でも、今度の政府の提案の法改正というのは、サービスの抑制になる問題、負担増になる問題がある、それから、いろいろな施設の待機者の問題を解消できる方途ができ上がっていない、しかも、介護労働者に対しては非常に冷たい仕打ちが組み込まれているという点を指摘いたしました。

 実際、今いろいろな世論調査を見ますと、現状でも、それが十分、不十分、評価は別にいたしましても、問題があるサービスがもっと下がっちゃうんじゃないかという不安、負担がふえるという不安は本当に大きなものがあります。

 きょうは一回目ですから、私は特にこの法改正で柱になっております予防重視型システムへの転換、このうちの新予防給付の導入とその内容についてただしてまいりたいと思います。

 まず初めに大臣にお伺いいたしますが、今回、この新予防給付を導入した理由は何か、示してください。

尾辻国務大臣 先ほど来の御議論の中でも各先生方述べておられるわけでございますけれども、介護保険法というのは、元来、自立支援を目的としております。これはもうお互いの共通した認識でございます。改めてですけれども、要支援者に対する予防給付、これもこの観点から定められておるということをまず申し上げたいと存じます。

 それから、今冒頭でお話しいただきましたように、私どもが五年前に介護保険という新しい制度、我が国にとって新しい制度をつくりました。そのときに、率直に言って、やってみなきゃわからぬこともあるから、とにかくまずやってみて、そして五年間きっちりとその間の検証をした上で見直そうということを法律の中でもうたって、その五年後が来たから今回見直そうということでございます。改めて申し上げるまでもないところであります。

 この五年間を振り返ってみまして、一つ言えることは、軽度者の増加が著しいこと、この数がうんとふえている。これは数字でも明確に出ております。それから、要介護状態となった原因疾患等から見ますと、改善可能性が高いにもかかわらず、必ずしも効果が上がっていないという点が見られること。

 それから、今後のことでありますけれども、十年から二十年の間に、高齢者の数というのは、これはまだまだ増加が続きますし、そうした方々を要介護状態にしないこと、あるいは要介護状態になられても、それが重度にならないことということを考えることが重要である。

 これらのことをいろいろ考えますと、自立支援、冒頭申し上げたこの介護保険法でそもそも目的としております自立支援ということを徹底を図るために、まず、申し上げた軽度者の増加が著しいということなどに着目をいたしまして、その軽度者に対する予防給付のあり方ということを全面的に見直すということを考えて、そのことを新予防給付というふうにした、こういうことでございます。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

山口(富)委員 今お話しの軽度者の問題ですが、今の区分でいきますと要支援、要介護一の皆さんです。それで、昨日、厚労省の方に、よく厚労省は軽度者の介護の状態がなかなか改善されていないということを今度の新予防給付の導入の一つの理由に挙げているので、一体その根拠は何なのか示してくれと言いましたら、やはりいつも示される同じ資料を持ってきたんですね。それは、島根県の松江関係の状態を分析した資料なんですけれども、私、ここにそれを持ってまいりました。

 厚労省はこの中である一つの資料だけを使うんですけれども、ここにあるグラフなんですが、各区分がありまして、要介護状態が改善されたのか、維持されたのか、悪化したのかというものなんですね。

 ところが、この日本医師会総合政策研究機構、いわゆる日医総研の分析を読んでまいりますと、別の見方が出てくるんですね。一つは、軽度の方の場合は、施設に比べ在宅の方が状態は維持できているという指摘なんです。しかも、この表と並んで次のページにその表が入っているんです。ところが、政府はわざわざこの資料を使うときに、施設と在宅の区分というものを入れて分析しているのに、それを外したもので悪化している悪化しているということを繰り返すんですね。おかしいじゃないか。

 しかも、この方はなかなかいいことをおっしゃっているんです。こうおっしゃるんですね。分析した結果、ケアマネジメントは、介護保険施行に伴って導入されたものであり、手探り状態から始まった、だから、まだこれらを支援するための学問的裏づけも十分とは言えない状況にあると。つまり、事態をもっときちんと分析しましょうということなんですね。

 それで、私、きょう理事会の了解を得まして、皆さんのお手元に資料を何点かお届けしております。この一枚目を見ていただきたいんですが、これは厚生労働省が発表しているものですけれども、二〇〇二年度と二〇〇三年度で、現在の区分に応じて介護状態が改善したか、維持されたか、重度化したかということを示した資料です。これを見ますと、要介護一のところに注目していきますと、一番現状が維持されている。これが実態じゃないか。

 しかも、これは施設と在宅の方が一緒になっている資料なんです。私は、日医総研の分析もありますから、厚労省にこの同じ資料で在宅と施設を区分けした資料を出していただきたい、そしてきょうの質問に間に合わせていただきたいと言ったんですが、間に合っておりません。大臣にお願いしたいんですが、これは大事な点ですから、ぜひ資料を出していただきたい。

尾辻国務大臣 今出せるか出せないかということを確認いたしましたが、努力すると言っておりますから、努力をさせていただきます。(山口(富)委員「出させるんですね」と呼ぶ)出す方向で努力をいたします。

山口(富)委員 これは、私は今の状態についてどう評価するかということで、五年目の見直しですから、実態を正しくとらえることが大事なんですね。その基礎資料が余りにも貧弱なんです。しかも、繰り返し利用されているこの日医総研のデータが、部分的にしか使われていない。そういう趣旨の研究じゃない。なぜかというと、これは次の質問にかかわってくるわけですが、いわば家事代行型の訪問介護を縮小しちゃおうという理由づけになっているからなんですよ。そんなことは御本人が言っていないというわけだから。

 私は、今大臣が答弁されましたから、必ずこの審議の過程で資料を早急に出していただきたい。もうあるんですから、後は打ち出すだけなんですよ。それさえやらないというのは、私は国会軽視だと思いますね。

 次に、新予防給付の内容について見ていきたいんです。この資料の二枚目なんですけれども、下側の資料に「保険給付と要介護状態区分のイメージ」という図があります。これを見ますと、新たな予防給付になる方が要支援一、要支援二ということで、今の要支援の方と要介護一の方からそこに入っていくという図があります。

 そこで、大臣に、これは本当に大事な点なので示していただきたいんですが、現状でも相当数の方が、大体二百万を超える方が今の要支援、要介護一のところにいらっしゃるわけですね。そうすると、新予防給付に移る方は一体どの程度、何人ぐらいになるんですか。これを示してほしい。

尾辻国務大臣 すなわち、新しい区分で要支援一、二になる方々の数をお尋ねということでございます。

 まず、申し上げましたように、この要支援二になる方というのは、現行の要介護一の方のうちから、心身の状態が安定していない方や、認知症等により新予防給付の利用に係る適切な理解が困難な方を除くということでございます。そういう方がではどのぐらいおられるかというふうに推計をいたしますと、現行の要介護一の方のうち、およそ二割から三割程度の方がそういう方だというふうに推測をいたしております。

 その推測で計算をいたしますと、まず、要支援の方、この方が六十六万人おられます。介護一の方が今百三十万人であります。その方々のうちの二割から三割の方が外されるということですから、逆に七割から八割の方がそうなるという計算をいたします。そうしますと、百三十万人に〇・八、〇・七をそれぞれ掛けますと九十万人から百万人という答えになりますので、六十六万人とその数字を足しますと、おおよそですが、百五十万人から百六十万人の方々が対象になるというふうに推計をいたしているところでございます。

山口(富)委員 午前中の質疑ではそこのところを明確に答えられなかったんですけれども、今の大臣の答弁で百五十万から百六十万人規模になるということでした。これは大変な規模ですね。

 今、私たちの部屋にも全国からこの介護保険問題では心配だという声がたくさん寄せられている。その背景にあるのは、今出ましたように、新予防給付だけでも百数十万の方にかかわる問題だからなんだということだと思うんです。

 それで、続いて資料三、次のページをごらんいただきたいんですが、要支援者が受けるサービスに既存サービスと新たなサービスの二つがあるんですけれども、きょうはまず既存サービスについて聞きたいんです。

 今、既存サービスを見ますと、一番利用が多くて、世論調査をやりますと、ホームヘルプサービス、訪問介護を一番充実させてくれという声が必ず一番多くなってきます。この中に、既存のサービスについては内容、提供方法、提供期間等を見直すということになるわけですが、わざわざ訪問介護だけは印がついておりまして、「単に生活機能を低下させるような家事代行型の訪問介護については、原則行わない」、こうなっています。

 そこで、資料の次のページ、四を見ていただきたいんです。

 これは民医連がやりました全国的な、かなり大規模な介護の実態調査なんですけれども、この中に、二枚めくっていただいて六ページ目なんですが、「援助の内容」というところがあります。これを見ますと、今、訪問介護で援助の内容として大変生活を支えている援助は何かということで出てくるのは、調理、洗濯、掃除、買い物、ごみ出し、ずっと並んでおりますが、一体これらは全部家事代行型になるのか。そうすると、こうした調理や洗濯、掃除、買い物、ごみ出しなどで、一体厚労省が掲げている「原則行わない」としているものは何なのかを具体的に示していただきたい。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、家事援助が議論になっております。これは、十五年四月の介護報酬の改定で、生活援助、こういう形で今は位置づけられておりまして、身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助であり、利用者が単身、家族が障害、疾病などのために、本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行われるものをいうというふうに定義されております。

 また、生活援助は、本人の代行的なサービスとして位置づけることができ、仮に介護等を要する状態が解消されたとしたなら、本人が自身で行うことが基本となる行為である、こういう行為で現在も行われているわけでございますので、現行の制度でも、もし同居家族の方がおられ、その方ができるというような場合には、生活援助は認められないサービス、こういうふうになっております。

 今回、新予防給付で今委員の御指摘がありました、生活機能を低下させる家事援助については原則的に行わない、例外的に行う必要がある場合でも、個別性を重視した明確な目標設定のもとで、必要性を厳格に見直し、期間や提供方法を限定したいというふうに考えておりますので、どういうものが当たるかということにつきましては、今家事代行的に行われています家事援助につきまして、ただいま私が申し上げました生活機能を低下させるような家事援助というものがあるといたしますと、その部分については原則行わないということになるわけでございます。

 そこで、生活機能を低下させる家事代行とは何かということになりますけれども、そこのところは専門家にきちんとアセスメントをしていただく、そこがまさにケアプランをつくるところになるわけですが、利用者の方ができるにもかかわらず、今していないからといってヘルパーがかわりに洗濯や掃除、調理等を漫然と行う家事代行、こういったものについてはきちんと見直しをしていきたいと考えております。

山口(富)委員 そうしますと、局長、今の区分けで、生活介護が入るということでしたけれども、身体介護も入ってくるんですか。

中村政府参考人 要支援、要介護一の方、要介護一の方の中から新予防給付の対象の方がスクリーニングされる。その数については推計といたしまして大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、例えば、現在の要介護一の方の中に、身体機能の問題から現に身体介護を受けておられるという方もございますので、今私どもが申し上げております家事援助、あと家事代行というところに身体介護は含まれないと。(山口(富)委員「含まれない」と呼ぶ)はい。

山口(富)委員 そうしますと、百五十万から百六十万人の方が、いわば非常に大事な、介護の支えにしていらっしゃる訪問介護の問題で、見直すと言っているわけですけれども、今の局長の答弁ですと、それは現状でいうと生活介護の部分だ、しかしそれをどう中身として見直していくかというのはこれから考えますよということなんでしょう。これから考えるんでしょう。いつ結論が出るんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが申し上げておりますのは、もちろんこれから既存サービスの、どのように内容、提供方法、提供期間等ということについて、今基本的な考え方は申し上げましたけれども、そういう考え方に基づきまして、具体的には、最終的には介護報酬の設定なり基準の設定、こういうことになるわけでございますが、それが第一点。

 それから、実際問題としては、そういうふうに要支援一、要支援二の方が定まったとして、その方々にどういうサービス提供がされるかということは、まさにケアプランを、介護予防のプランをつくる方々がアセスメントをし、利用者の方と話し合って、またサービス提供者の方々と話し合ってそれが設定されていくという形になりますので、最終的には、実際にその方々がケアプランを作成してもらって、サービスを受けるときにそれが確定するという形になります。

山口(富)委員 だから、いつなのか。ガイドラインを示すわけでしょう。

 先ほど五島委員からも指摘がありましたけれども、これだけあるんですね、法律が。これはいろいろ入っていますけれども。介護予防サービスというのは第八条の二に定められているんです。その中で、私が今質問しましたのは介護予防訪問介護、今度全部が頭に介護予防というのがついちゃいましたけれども、それ一カ所なんです。あとは全部中身は省令以下に落とされちゃうんです。おかしい、これは。これだけの大きな制度改正をやろうとしているその一番の見直しになっている中身がいまだに示せない。

 局長の私的研究会なるものがありまして、介護予防サービス開発小委員会というのがあるんですよ。これは小委員会で、その前にもう一つ親の委員会があるんですが、それを読みましても、なかなか難しいんだと、これは。実際に生活している方の一人一人の状態が違うわけでしょう。ですから、その方にとって大事になっている訪問介護の中身は何なのかという見きわめがなかなか難しいんですね。みんな知恵を集めなきゃだめだという報告を出しているんですよ。ここにもガイドラインをつくるというようなことが出ておりますけれども、私は、局長が、けさの審議の中でも随分、議員に対して質問が不適切だとか驚くべき答弁をしたので、ぜひ適切に答弁願いたいんですが、専門性があるというんだから、局長は一番専門性があるでしょう。だったら具体的に教えていただきたい。

 少し戻りまして、この資料のまず四ページ目で、「利用者の現状 ひとり暮らしの世帯」の声が書かれております。この中に、三人目の方で、要支援、七十二歳女性という方がいらっしゃいます。この方は、心疾患があり、本人が家事を行うと発作が起きて入院が必要となる状況になるため、家事の援助が必要な状況です、家事援助サービスが制限されると入院が頻繁となり、在宅生活の維持が困難になってくると思われます、こう語っていらっしゃいます。

 次のページを繰っていただいて、利用者の真ん中の声なんですが、要支援、八十一歳女性というところがあります。この方は、寝たきりの夫と二人暮らしで、疲れやすくて日常どうしても伏せがちだと言っていらっしゃいます。家事、介護とも負担になっており、サービスを使いながら何とか在宅生活を維持していると。

 では、こういう二つの具体例の場合は、今度の見直しで何が見直されるんですか、局長。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 こういう数行のプロフィールを出しておられるわけですが、委員御案内のとおり、要介護認定のデータももっと豊富でございますし、それからケアマネジャーさんたちがつくる作業のワークシートも、たくさんのワークシートを使って、そういったニーズなり、それから目標なり決めて、期間を決めて決めるわけでございますから、まさにそういう専門家の方々が集まって決めるというのが一般論でございますので、この事例を示されてどうかというのは、まさに先ほどお話が出ていましたけれども、霞が関ですべて決められないというのと同じように、そういう問題でございます。

 また、一つだけ言わせていただきますと……(山口(富)委員「いいです、必要ない」と呼ぶ)

山口(富)委員 あなたが、なぜこれで物を言えないかといったら、ガイドラインがないからですよ。今度の訪問介護でどうするかということがきちんと固まっていないから、幾つか例を挙げたって言えるはずがないんだ。それを、きょうの午前中の答弁でもそうだけれども、あたかも質問している側の方に問題があるかのように言う、そういう答弁はやめてもらいたい。

 私がこの問題で今度の制度改正にかかわって非常に大事だと思いますのは、きょうお配りしている資料の軽度者の在宅生活の実態が大変だからなんですね。例えば、資料の四ページ目を見ますと、今、家族構成でいうと軽度者の在宅生活の四割がひとり暮らしなんですよ。そして、老老世帯が四分の一。七割が女性で、七十五歳以上の後期高齢者が四分の三。

 しかも、きょうお届けした資料の一番最後を見ていただきたいんですが、これは厚労省の資料を私が少し数字をはじき出したものなんですけれども、要支援、要介護一の皆さんの年齢のところに注目していただきたいんですが、実態としては圧倒的に女性が多いわけですけれども、女性の場合、七十代、八十代、九十代まで本当に皆さん方が言っている軽度とおっしゃるところに集中しているんですね。それだけに、悲鳴なんですよ、私が今読み上げたような声は。自分の生活実態からいって、どうなっちゃうんだろうかと。現実にこういう声があるから、見直す見直すというその中身は何なのだと。原則行わないというたがまではめようというのだから。

 では、改めて、一体この問題について、この審議中に出せるのかどうなのか、それをはっきり答えていただきたい。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私が申し上げましたのは、例えばどういうサービスになるか、どういう基準になるか、そういったことについては介護報酬なり介護基準で定まるわけでございまして、例えば訪問介護の生活援助についてという基準がございますが、これは、平成十二年の四月一日に介護保険法が施行されましたけれども、この告示が出ましたのは十二年の二月十日でございますし、生活援助についてのさまざまな、きょう午前中にも話が出ました老計第一〇号課長通知というのは、平成十二年三月十七日に出ております。

 私どもは、別に遅く出るのを好んでそういうことをするわけではございませんが、介護報酬の改定については審議にも時間がかかりますし、介護報酬が決まり、基準が決まり、実施の通知が出るというのはかなり遅くなる、そういうことを申し上げているわけでございまして、考え方をクリアにし、御説明を申し上げることについて拒否をするとかおくらせるとか、そういうことはございません。

山口(富)委員 大臣に答えていただきたいんですが、百五十万の規模の方々にたがをはめるんですよ、原則行わないというのだから。その中身を示せと言うと、これからどのぐらいかかるかはっきりしませんが時間がかかると言う。しかし、この法案の審議の新予防給付の一番大事なところじゃないですか。それさえ示さないで、我々は何を審議するというんですか、大臣。

尾辻国務大臣 局長が再三答弁申し上げておりますのは、法律でありますから、そしてまた大変、今回の改革もそれぞれの評価はおありだと思いますけれども、やはりどうしても広範にわたっておりますので、まず法律としての考え方を申し上げておるということでございます。

 その中で、基本的な考え方として、これは先ほどの五島先生のお話の中にもございましたけれども、これまでの五年間の中でのホームヘルパーさんたちのあり方についてこういう面があるんじゃないか、その御指摘もある。そうしたことも踏まえて、まず大きく考え方をお示ししている。

 しかし、だからといって必要なサービスをしないということなどを申し上げているところは全くないわけでございますから、最後にケアプランをつくられるときに、それぞれ、こういうプランの中でこのサービスこのサービスと決まっていけば、そのサービスが必ず行われる。したがって、さっき局長が申し上げた、最終的に申し上げると、最後のケアプランのところで答えが出ますというふうに申し上げておるわけでございます。

山口(富)委員 結局残るのは、国民にとっては、介護利用者にとっては、抑制され減らされる、削られる、原則行わない、それだけが残って、中身が示されない、こんな審議のやり方はない。

 私は、きょうは時間がなくなってきましたから、最後に一点だけ指摘しておきますが、先ほど要介護者、軽度の方の問題で、百五十万から百六十万というお話がありました。今、国はこの介護マネジメントを地域包括支援センターで行うというふうに言っているんですけれども、仮にそれが全国で五千カ所つくられるとして、もし百五十万ということになりますと、お一人当たり三百人ですよ、プランを考えなきゃいけないのは。先ほど西副大臣は大体五十人以下にするんだということを言っていましたが、訪問介護の中身が危ないだけじゃない、それが実態として、実際にきちんとしたプランがつくられるかどうか、その保証さえないのが、今政府が提案しているこの介護保険法の改正なんです。

 私は、この点では引き続き、負担の問題、働いている労働者の問題、それから福祉施設の問題、さまざまな問題を取り上げてまいることを申し上げて、きょうの質問を、一回目ですから、終わることにします。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 週末の本当に遅い時間まで、皆さんの審議、御苦労さまです。

 そして、各委員の御質疑を聞きながら、あるいはまた厚生労働省側の御答弁を聞きながら、私は、この介護保険法案を審議するに足る状況にない、データがないということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 そして、中村老健局長にまず明確にしていただきたいことがございます。中村老健局長も、この部署の責任者であれば、「介護保険かわらばん」、こういう色刷りのものが各自治体に配られているのを御承知おきかと思います。まず一点、御存じですか。お願いします。

中村政府参考人 それは私どもの介護保険課の方で作成しておるもので、存じております。

阿部委員 では、これについては責任ある立場であるということを確認した上で、月に一回ないし二月に一回出ております、二〇〇四年九月版でございます。

 ここに、先ほどから山口委員のお取り上げの日医総研の川越先生のデータ、しかし、これは今、この間盛んに厚生省が大好きで使っている、要介護一あるいは要支援の方は一番悪化度が速い、すぐ悪くなっちゃう、だから予防給付にしようという根拠を示したグラフでございます。

 お持ちすればよかったですけれども、読ませていただきますが、要支援の方では四八・九%が重度化し、要介護一では三四・八%の方が重度化するという、いわば半分くらい悪くなっちゃうのが要支援、三分の一以上悪くなっちゃうのが要介護一、だからここの部分のサービスのあり方が問題なんだという論議の初めになった、これが証拠の品でございます。

 それに比べまして、先ほど、人のデータを使って恐縮ですが、これは厚生労働省がお出しになったもので、ホームページにも出ておりますので、山口先生がお使いになりました、これは二〇〇二年度と三年度の要介護一、二、三、四、五、要支援の方々がどの程度重度化していくか、あるいは維持されておるかというデータでございます。当初示しましたこの「かわらばん」を二〇〇一年度とすれば、二〇〇二年度、三年度と明らかに変化がございます。介護保険を五年間やってきて、変化が見られています。老健局長、何が変化だと思いますか。

中村政府参考人 委員の方から御教示賜りたいと思います。

阿部委員 それはずるいと思うんですね。これは本当にまじめに答える気がないですよ。それこそ不適切ですよ。これはあなたたちが出したデータですよ。

 この中で見られることは、要支援の方も要介護一の方も、現状維持ないしは重度化が年々減っているんですよ。なぜこれだけのデータをお持ちなのに、恣意的に、まだ介護保険制度も定着しない、この川越先生自身がおっしゃっているんですから。このデータを色刷りで全国にばらまいて、おまけに先ほどの厚生労働大臣の御答弁、要介護一、要支援がふえていて、その方たちへの施策が思うように上がっていないと大臣は認識されているんですよ。大臣だってだまされているんだと思いますね、だって、あなたたちがデータを示すんですもの。五年やってきて、自分たちの都合のいいところのデータだけ使って、だまして国民を誘導していくなんて許されないんですよ。

 老健局長、私は明確にしていただきたい。この下には「訪問介護の利用回数が多くなるにつれて、要介護度が悪化する」、これは訪問介護をすればするほど悪化すると書いてあるんだけれども、逆さでしょう。介護度が悪くなるから訪問が多くなるんですよ。これだって、鶏か卵か、わけのわからない論争をわざわざ恣意的に一段目と二段目に並べているんです。私は、この資料作成の責任を問いたいですし、事実と違う。年次経過が組み込まれていない、介護保険がもたらした改善点がここには酌み取られていないし、酌み取ろうとしていない。

 このことについて、中村局長の答弁をまずきっちりと、不適切とか言っていないで、委員の質問を不適切とかいう立場にはないんです。あなたはデータを出して、このことにかかわる本当の審議を準備する立場におありです。それだけ責任も重いわけです。私はこのデータの読み方を説明しました。もう一度御答弁をお願いします。

中村政府参考人 介護保険の「かわらばん」につきましては、私どもがお出ししている資料でございます。地方自治体の方とかあるいは介護保険に関心のある方々にお配りをしたりしておりますので、私どもの考え方があらわれている部分があると思います。御批判があるのであれば、またそこのところについてはいろいろ指摘もしていただき、私どもも真摯におこたえをしたいと思います。

 それから、この配付資料の点でございますけれども、またよく私どもももう一回勉強もさせていただきますが、必ずしも、要支援や要介護一のところの重度化などが経年的にそれほど大きく変化しているというふうには考えておりません。

 それから、特定のデータのみで議論をしているのではないかという御批判をよくいただきますが、私ども、介護保険部会でも五年間、当時は五年たっておりませんでしたので四年間の事業の検証ということで、さまざまなデータをお出しして議論をしていただいて、やはり介護度の低いところについては所期の効果が上がっていないという議論をいたしているところでございます。

 それは、要介護度別に見ますと、要介護になった原因の疾患の違いがございまして、要介護度が重度のところにつきましては脳卒中の原因の方が多いわけでございますが、要支援、要介護一のところにつきましては、主として廃用症候群に関連する原疾患の方が高い。この部分については、適切な機能回復訓練、リハビリテーションを行えば改善の余地が高い部分である。そういった部分が高いにもかかわらず重度化なり改善なりが、重度化が他の部分と違わず、改善がそれほど見られないということについては、やはり思うだけの効果が上がっていないのではないか。そういう議論を踏まえまして、今回の予防重視型システムへの転換をさせていただいたところでございます。

阿部委員 だから、データの読み方、とり方が誤っているんです。あなたが公にした、国民に示した、大臣に示したデータでは、要支援の方は半数、四八・九%悪化するという資料を皆さんに配りました。

 その後、厚生労働省がホームページで発表したデータによれば、要支援の方は三〇・一%悪化します。数値が二〇%近く違うのです。そして、これが例えば五〇%悪化するものが三〇%に減ったのであれば、この間の介護保険がもたらした改善とも言えるじゃないですか。なぜあなたは、それがあなたの恣意的な、今べらべらべらべら言われました。しかし、五〇%が三〇%に減ったらいいじゃないですか。

 一言で、この数値だけで、背景疾患とかいろいろ言われました。それは、もともと老いというものは、そこでとまってよくなっていくものではないわけです。老いることがなくなってしまえば、人生苦しみも死もなくて、もしかしてつまらない。そういうことではなくて、私たちは、老いがその人なりに充実するよう、しかし、介護保険を提供すれば、悪化が、進行がとまり、あるいはスローになり、維持されていくことを目指しているわけです。

 一言で明確に、ぐちゃぐちゃ言わず答えてください。あなたの示した資料は、五〇%、要支援の人は四八・九%悪化という、これは逃れられない、あなたが配っているデータです。その後、厚生省のホームページです。この二点が出ています。トレンドはほぼ同じです。要支援の人が三割悪化、仕方ないかもしれません。制度が始まるときは五割、その後三年、四年経て三割、改善ではないですか。

中村政府参考人 端的にお答えしますと、まず調査が違いますので、七千八百七十八名……(発言する者あり)お聞きいただきたいと思います。そこの、私どもが「かわらばん」で示したという資料と私どものホームページに出ているという資料とは対象者も違うわけでございますので、まず二つの調査を比較して、あたかも変化率があることをもって違ったというふうに言われるのはちょっとおかしいのではないかと。

 例えば島根県の調査については、七千八百七十八人の……(発言する者あり)七千八百七十八名についての調査でございますし、私どもの調査は、要介護認定状況の変化についての調査は……(阿部委員「委員長、お願いします」と呼ぶ)国民生活基礎調査の中で、調査対象人員が四千五百三十四人ということで……

鴨下委員長 局長、では答弁を端的に。

中村政府参考人 はい。申し上げたいことは、二つの調査を比較して、二つの調査が同一の基盤に立っている調査かどうかについては精査が必要ではないかということで申し上げていることでございます。

阿部委員 そうであれば、次回のこの委員会の審議までに経年的な変化とその分析をみずからなさって、きちんと説明してください。あなたがなぜこの資料を使われたのかの根拠もないのです。ローカルなものとおっしゃいました。全国的なもの。なぜローカルなものを使い、なぜ初期のものを使い、そしてそれ以降と比較できないものを使い、なぜ審議を進めるのか。

 大臣、お願いします。こんな審議は私は不誠実だし、あり得ないと思います。大臣として、この五年を見直す、介護保険施行五年の認定者の推移を見直すきちんとしたデータを持って次回の審議に臨むことを、まず一点お約束ください。お願いします。

尾辻国務大臣 統一した基準のもとでの経年的なデータを出すというのは必要だと思います。したがいまして、こっちでやったデータとこちらのデータと、これを別個に比べてみてもそれは余り意味がないというのは局長が答えているとおりだろうと思いますけれども、とにかく同じ基準の経年的なデータと先生がおっしゃる、それで比べてみよと言っておられることはそのとおりだと思いますから、努力をさせていただきます。

阿部委員 そうです。それとあわせて、変な「かわらばん」を配らないでほしいんですね。だって、一部のデータですよ。信憑性と、他の比較ができないんですよ、これでは。そんなものを配られて、この五年の見直しはできません。この「かわらばん」の信憑性についてきちんと、次回で結構です、大臣は御存じないかもしれない。しかし、大臣がお聞きになっている、いわゆる軽症者に予防効果が上がっていないですよ、あるいは重度化を防げていないですよという認識自体、これから出てきているんですから。

 例えば、「訪問介護の利用回数が多くなるにつれて、」何度も読ませていただいて失礼ですが、「要介護度が悪化する」と。本当に悪化したから訪問回数がふえるんですよ。当たり前じゃないですか。こんなものをしゃあしゃあと、そして、本当に選んで、一部を選んで出した審議ということを、私はとても、この件については続ける気がありませんので打ち切らせていただいて、先回私がお願いいたしまして、まだ解決のついていない点に移らせていただきます。これも厚生労働行政のずさんさと思っておりますので、自覚して御答弁をお願い申し上げます。

 事の発端は、今週の月曜日でございましたが、長崎にございます佐世保市の市立病院で、心臓外科手術を去年百七十三例やったから、うちの病院は特に心臓外科の手術にいい病院、評価の高い病院だという表示を出しておられました。

 今、週刊誌でも雑誌でもいい病院がはやりですから、非常に患者さんたちは、どこがいい病院、どこに行けば自分の命が助かる、特に心臓ですから、やはり取っかえるわけにいかないし、二つとないし、うまくやってほしいと切実でございます。その心臓手術について、佐世保の市立病院で百七十三例の経験があるから、厚生労働省としては診療報酬に五%加算して、この施設をよい施設に認定をいたしました。

 ところが、この病院には昨年度心臓外科はありませんでした。ない病院でどうやったら百七十三例も手術ができるのか。ここに大きなからくりがあって、これを社会保険事務所が書類審査して、いい病院という許可を出しました。この点のずさんさについて、まず担当局からお願いします。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、問題となった加算の仕組みでございますけれども、平成十六年度の診療報酬改定におきまして、過去一年間に行われた手術の件数が一定数以上の保険医療機関におきましては、当該手術に係る診療報酬点数を五%加算できる仕組みとしているところでございます。

 御指摘の事案におきましては、先生言われましたとおり、佐世保市立総合病院におきまして、心臓外科手術の実績を百七十三件として加算を請求しておりましたけれども、これは当該心臓外科医師が以前に勤務していた病院における手術の実績でござまして、同病院における、佐世保市立総合病院におきます手術の実績はゼロであったことが判明したものでございます。手術の施設基準に係る通知におきましては、過去一年間の手術の実績につきましては保険医療単位で見るということが明記をされておりまして、このことにつき解釈に幅が生ずるような余地はないものと考えております。

 今後でございますけれども、今申し上げましたことを前提としながら、請求した病院の側、それから審査した地方社会保険事務局の側にどのような問題があったのか、どうしたらこのような誤りを未然に防ぐことができたのか、よく考えた上で適切な対応を講じてまいりたいと考えております。

阿部委員 よく考えなくても、そうです、保険料の詐欺ですよ。五%上乗せして、違うものでもらっているんですから。

 いかに社会保険事務所の審査がずさんか。本当にこんな起こり得ないことが起こり、国民の大事な保険料が使われている。社会保険庁の問題と私は同じような、やはり勤務における、本当にそのことを一生懸命やろうという気風というんでしょうか、そこに緩みがあるように思います。

 そして、引き続いて、今審査中だとかおっしゃっていますから、しかるべく、どうして起こったのと。こんな単純、ちょぼミスですよ、悪いけれども。なぜ起こったのか。起こり得ないんですから、ない科の手術実績が上がってきたんですから。しかし、答弁が今ほどでしたので、時間がもったいないので次に行きます。

 同じように、今度は東京医大で、これは特定機能病院と呼ばれて、いわゆるいい病院中のいい病院、今、全国で八十一カ所ございますが、大体、大学病院とかそれなりのランクづけの高い病院です。東京医大で心臓手術をなさった患者さんが相次いで四人亡くなられました。東京医大は特定機能病院ですので、事故報告がなされなきゃいけないのですが、なされておりませんでした。起きたのは二〇〇二年十月から二〇〇四年の一月までの間で、心臓の中にある弁、動いて血液を送り出す心臓の弁ですね、これを取りかえる手術において四人が次々と亡くなられました。

 ここも、同じように特定機能病院、いい病院、お墨つき病院、保証つき病院であったために、患者さんたちも信じました。よもやと思いました。でも、余りに立て続くので、このことをいろいろな方面に聞き、病院にも問い合わせ、そして、大学では外部委員会をつくり、心臓外科の専門家の先生にお集まりいただいて、一体これはどうして死んじゃったのか、こんなことで、避けられない死だったのか、あるいは技術的な問題だったのかということを検討していただいたら、どうもこのお医者さんは、アメリカには留学しておられて、そこでの手術を見たり参加したりはあったかもしれないけれども、御自身で心臓弁の手術をたくさんやったわけでもなく、また、たくさんやったわけではないから練習させてやろうという教授の御高配で、患者さんが四人次々と亡くなりました。

 この特定機能病院、厚生省がいい病院ランキングをしておる病院です。こうした病院で、いわば患者さんたちは厚生省が機能評価してくれたんだと信頼すると思います。こういう事態が相次いでおります。東京女子医大、埼玉医大、そして有名になった慈恵医大の青戸病院、全部特定機能病院です。何が問題であるのか。本当に、医療の不信、患者さんたちの不安、増大していると思います。

 この件について尾辻大臣に、時間がないので、私は本当は局長もお願いしようかと思いましたが、恐縮ですが、きょうは大臣に、このような事態が相次いでおるということを御認識であるのか、そして、厚生労働省として、今私に言われたこの状況でも、情報でも結構です、問題意識を持たれて、この特定機能病院のあり方について何らかの検討をし、改善をしていくお気持ちがおありかどうか、まず御答弁をお願いいたします。

尾辻国務大臣 特定機能病院に係るいろいろな問題が発生しておる、幾つかの病院で発生しておるということは私も承知をいたしております。そして、そのことを大変憂慮すべきことだというふうにも考えております。

 今お話がありましたように、特定機能病院といいますと、それは患者の皆さんからすると、まさに、お墨つきという表現をされましたけれども、そういう病院だというふうに思われるわけでありますから、そうした病院でこうした事故が続くということは、これは放置できません。

 したがって、このことについて何らかの検討が必要だということを私も感じております。

阿部委員 まず問題意識を持っていただくということは極めて重要と思いますし、この特定機能病院については診療報酬上ももちろん優遇されておるわけです。いい技術を育てて、そこに高い評価を持っていこうという厚生労働省の施策です。ところが、実際には看板倒れ、中身がないばかりか、現実に患者さんの被害が相次ぐと。

 では、どうすればいいのかということで、私は、この間何回か同じような事例がありますので、厚生労働省にも御提案してきましたが、実はそうした特定機能病院で起きた医療事故、ミスの場合も過誤の場合もあると思います。意図してミスした、あるいは、せずして過誤した、あると思います。そういう実態が特定機能病院の評価に全く結びついていないのです。事故は事故で医療機能評価機構というところが匿名で集めます。しかし、ここでの情報はそこで閉ざされ、こちらの特定機能病院は、みんな悲しいことに被害者が訴えるか新聞記事になるか、記事になれば医療不信が増大して、国民も不安でならない状態の中でしか発見されません。

 私は、特定機能病院というのは、厚生労働省がきちんと把握し、指示も出し、評価もできる、いわばモデル病院であると思います。そこにおける医療事故の現状の把握と機能の評価をリンケージさせていくような方向、このことを大臣にお願い申し上げたいですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今のこの特定機能病院の承認に当たりましては、医療安全体制について一定の基準を定めていまして、その一定の基準を満たすと承認される、承認の要件はそういうことだということで行っております。しかし、そうした中での相次ぐ事故でありますから、これらのことについても見直さなきゃならない、その必要性は感じておるところでございます。

 そこで、これもいつも申し上げておりますけれども、十八年度に医療保険の全体的な見直しの提案もさせていただくつもりでおりますけれども、その際に、医療保険だけじゃありませんで、医療提供体制という、これもまた大きな問題だと思いますし、このことについても見直しの御提案をしたいと思いますから、そうした中でもこれらのこと、特定機能病院がいかにあるべきか、また承認の要件をどうするかといったようなことも必ず見直しの対象にしたいと思いますので、また御提案もいただいておるというふうに今お述べいただきましたけれども、ぜひいろいろな御意見をお寄せいただきますように、改めてお願いも申し上げます。

阿部委員 女子医大の事例にいたしましても、東京医大の事例にいたしましても、いわゆる院内の安全委員会にこの問題になった症例が全く上がっていないのです。そうなると、本当にきっちりと問題が把握されないということもございますので、安全委員会のあり方も含めて、そして十八年度に控えた診療報酬の見直しの中で、今現在女子医がないので八十一です、病院もきっちりと何らかの手だてで見直していただきますことをお願い申し上げて、きょうの質問といたします。

鴨下委員長 次回は、来る六日水曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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