衆議院

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第13号 平成17年4月6日(水曜日)

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平成十七年四月六日(水曜日)

    午前九時四十三分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    石崎  岳君

      岡本 芳郎君    上川 陽子君

      小西  理君    左藤  章君

      菅  義偉君    菅原 一秀君

      鈴木 淳司君    田中 英夫君

      高木  毅君    中山 泰秀君

      原田 令嗣君    三ッ林隆志君

      三ッ矢憲生君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      山際大志郎君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    泉  健太君

      泉  房穂君    内山  晃君

      大島  敦君    楠田 大蔵君

      小林千代美君    島田  久君

      城島 正光君    園田 康博君

      中根 康浩君    本多 平直君

      水島 広子君    横路 孝弘君

      米澤  隆君    高木美智代君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     鈴木 淳司君

  木村 義雄君     山際大志郎君

  中山 泰秀君     岡本 芳郎君

  福井  照君     左藤  章君

  宮腰 光寛君     三ッ矢憲生君

  吉野 正芳君     高木  毅君

  石毛えい子君     島田  久君

  橋本 清仁君     本多 平直君

  藤田 一枝君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     中山 泰秀君

  左藤  章君     福井  照君

  鈴木 淳司君     田中 英夫君

  高木  毅君     吉野 正芳君

  三ッ矢憲生君     菅  義偉君

  山際大志郎君     木村 義雄君

  楠田 大蔵君     藤田 一枝君

  島田  久君     石毛えい子君

  本多 平直君     橋本 清仁君

同日

 辞任         補欠選任

  菅  義偉君     宮腰 光寛君

  田中 英夫君     井上 信治君

    ―――――――――――――

四月六日

 介護保険法等の一部改正案に関する請願(山井和則君紹介)(第六八七号)

 介護保険法等の一部を改正する法律案に関する請願(泉健太君紹介)(第六八八号)

 同(石毛えい子君紹介)(第七〇〇号)

 臓器の移植に関する法律の改正及び臓器移植の普及に関する請願(塩崎恭久君紹介)(第七一九号)

 同(河野太郎君紹介)(第七七九号)

 同(中根康浩君紹介)(第八一三号)

 介護保険の見直しに、改善を求めることに関する請願(達増拓也君紹介)(第七二四号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第七七五号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(石毛えい子君紹介)(第七二九号)

 同(石田真敏君紹介)(第七三〇号)

 同(泉房穂君紹介)(第七三一号)

 同(岩屋毅君紹介)(第七三二号)

 同(江田康幸君紹介)(第七三三号)

 同(大村秀章君紹介)(第七三四号)

 同(岡田克也君紹介)(第七三五号)

 同(梶原康弘君紹介)(第七三六号)

 同(金田誠一君紹介)(第七三七号)

 同(亀井久興君紹介)(第七三八号)

 同(川内博史君紹介)(第七三九号)

 同(木村義雄君紹介)(第七四〇号)

 同(北川知克君紹介)(第七四一号)

 同(熊代昭彦君紹介)(第七四二号)

 同(小坂憲次君紹介)(第七四三号)

 同(古賀一成君紹介)(第七四四号)

 同(近藤基彦君紹介)(第七四五号)

 同(佐藤勉君紹介)(第七四六号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第七四七号)

 同(鈴木俊一君紹介)(第七四八号)

 同(高木義明君紹介)(第七四九号)

 同(橘康太郎君紹介)(第七五〇号)

 同(津島恭一君紹介)(第七五一号)

 同(土屋品子君紹介)(第七五二号)

 同(土肥隆一君紹介)(第七五三号)

 同(中谷元君紹介)(第七五四号)

 同(中村哲治君紹介)(第七五五号)

 同(西村智奈美君紹介)(第七五六号)

 同(福井照君紹介)(第七五七号)

 同(保利耕輔君紹介)(第七五八号)

 同(細川律夫君紹介)(第七五九号)

 同(牧野聖修君紹介)(第七六〇号)

 同(増子輝彦君紹介)(第七六一号)

 同(村井仁君紹介)(第七六二号)

 同(森山裕君紹介)(第七六三号)

 同(八代英太君紹介)(第七六四号)

 同(谷津義男君紹介)(第七六五号)

 同(保岡興治君紹介)(第七六六号)

 同(山口俊一君紹介)(第七六七号)

 同(山井和則君紹介)(第七六八号)

 同(横光克彦君紹介)(第七六九号)

 同(吉田泉君紹介)(第七七〇号)

 同(吉野正芳君紹介)(第七七一号)

 同(綿貫民輔君紹介)(第七七二号)

 同(甘利明君紹介)(第七八一号)

 同(井上義久君紹介)(第七八二号)

 同(石田祝稔君紹介)(第七八三号)

 同(江藤拓君紹介)(第七八四号)

 同(枝野幸男君紹介)(第七八五号)

 同(小里貞利君紹介)(第七八六号)

 同(大前繁雄君紹介)(第七八七号)

 同(加藤勝信君紹介)(第七八八号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第七八九号)

 同(金子恭之君紹介)(第七九〇号)

 同(吉良州司君紹介)(第七九一号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第七九二号)

 同(河野太郎君紹介)(第七九三号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第七九四号)

 同(城島正光君紹介)(第七九五号)

 同(白保台一君紹介)(第七九六号)

 同(砂田圭佑君紹介)(第七九七号)

 同(田中和徳君紹介)(第七九八号)

 同(筒井信隆君紹介)(第七九九号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第八〇〇号)

 同(根本匠君紹介)(第八〇一号)

 同(能勢和子君紹介)(第八〇二号)

 同(萩野浩基君紹介)(第八〇三号)

 同(浜田靖一君紹介)(第八〇四号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第八〇五号)

 同(古川禎久君紹介)(第八〇六号)

 同(前原誠司君紹介)(第八〇七号)

 同(宮下一郎君紹介)(第八〇八号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第八〇九号)

 同(遠藤武彦君紹介)(第八一四号)

 同(奥村展三君紹介)(第八一五号)

 同(上川陽子君紹介)(第八一六号)

 同(河村建夫君紹介)(第八一七号)

 同(菊田まきこ君紹介)(第八一八号)

 同(岸本健君紹介)(第八一九号)

 同(北村誠吾君紹介)(第八二〇号)

 同(小西理君紹介)(第八二一号)

 同(河本三郎君紹介)(第八二二号)

 同(高村正彦君紹介)(第八二三号)

 同(左藤章君紹介)(第八二四号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第八二五号)

 同(佐藤信二君紹介)(第八二六号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第八二七号)

 同(坂本剛二君紹介)(第八二八号)

 同(自見庄三郎君紹介)(第八二九号)

 同(園田康博君紹介)(第八三〇号)

 同(田中英夫君紹介)(第八三一号)

 同(竹本直一君紹介)(第八三二号)

 同(達増拓也君紹介)(第八三三号)

 同(谷公一君紹介)(第八三四号)

 同(中根康浩君紹介)(第八三五号)

 同(中山泰秀君紹介)(第八三六号)

 同(長島昭久君紹介)(第八三七号)

 同(西村康稔君紹介)(第八三八号)

 同(原田令嗣君紹介)(第八三九号)

 同(平井卓也君紹介)(第八四〇号)

 同(福島豊君紹介)(第八四一号)

 同(藤田一枝君紹介)(第八四二号)

 同(松本大輔君紹介)(第八四三号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第八四四号)

 同(森田一君紹介)(第八四五号)

 同(山本拓君紹介)(第八四六号)

 同(若泉征三君紹介)(第八四七号)

 臓器の移植に関する法律の改正に関する請願(田誠一君紹介)(第七七三号)

 同(細川律夫君紹介)(第七七四号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第八一〇号)

 同(奥村展三君紹介)(第八四八号)

 同(田中英夫君紹介)(第八四九号)

 同(松野信夫君紹介)(第八五〇号)

 パーキンソン病根本治療研究促進に関する請願(小坂憲次君紹介)(第七八〇号)

 障害者自立支援法案に関する請願(達増拓也君紹介)(第八一一号)

 不妊治療の保険適用を含む公的補助に関する請願(八代英太君紹介)(第八一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長倉吉敬君、民事局長寺田逸郎君、厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、老健局長中村秀一君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。

三ッ林委員 おはようございます。自民党の三ッ林隆志でございます。

 きょうは、先週から始まりました介護保険法の一部を改正する法律案に対する質疑の二回目の委員会になります。

 この介護保険が導入された平成十二年は、私が初めて総選挙に臨んだ年で、ちょうど四月ころといいますと、地元を歩いておりまして、あいさつに伺った方から、それまでの措置制度と保険制度との違いなどについて、時には答えに窮するような質問を受けたことが思い出されるところであります。

 それからことしで介護保険制度が施行されて五年が経過いたしました。導入当初は、制度が浸透するかどうか危惧する声もありましたが、在宅及び施設両サービス利用者が十二年度の百四十九万人から三百十一万人へと二倍の増加を示しており、着実に定着してきていると思いますし、また新たな雇用も生んでおり、評価しているところであります。そして、マスコミによる世論調査でも、介護保険制度を評価しているかとの質問に対しまして、約六割の方が評価しているとの回答を行っています。

 しかしながら、それまでの高齢者の福祉制度としてのサービスの提供から、当事者同士が契約に基づいてサービスを利用、提供する介護給付へと大きくシステムが変わり、それによる混乱の出現や、また、高齢化に伴ってこのように多くの方に急速に利用されてきますと、当初には想定されていなかったさまざまな問題や課題が出てくるのは当然のことだと思っております。殊に、認定者の急激な増加とサービス利用の増加、それに伴う介護給付費が増大してきておりまして、このような状況に対応した介護保険制度の持続可能性が求められているところであります。

 そこで、制度自体を五年ごとに見直すという規定により今回の改正になったわけで、これから幾つかの問題点や改正案についての疑問点を質問いたしますけれども、その前に、厚生労働省として、施行されて五年が経過しました介護保険制度の実施状況についてどのように評価しているのか、西副大臣にお伺いいたします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 介護保険制度創設時のことについて先生から御指摘がございましたけれども、まず初めに、このサービス基盤をつくるところから始まって、種々議論がございました。しかし、その中で着実にサービス利用もふえておりますし、また、御指摘のように世論調査等においても年々評価が高まってきておりまして、本制度は我が国の高齢期を支える制度として着実に定着している、こういうふうに考えております。

 しかし、その一方で、この五年間にやはり課題も出てきておりまして、例えば、介護に要する費用は急速に増大しております。今後、十年、二十年先を見据えましたときに、制度の持続可能性、先ほども御指摘ございましたが、これを確保していくためには、皆で支え合う部分と、これはいわば保険料とか税とかいうことですが、みずから備えるべき部分とのバランスをいかにしていくか、それから、給付の効率化、重点化ということを進めていきたいと思っておりまして、同時に、認知症の高齢者、それからひとり暮らしの高齢者の増加など新たな課題もありまして、このことについても適切に対応していかざるを得ない、こういうふうに考えております。

 そういう意味で、今回の制度の改革におきましては、こうした視点に立って、制度全般にわたる改革をさせていただきたいというふうに思っております。

 具体的には、軽度の方を対象としたサービスをより介護予防に効果的なものに見直すなど、予防重視型のシステムに転換をする、それからもう一つは、在宅と施設の利用者負担の不均衡の是正等の観点から、介護保険施設入所者の居住費それから食費の負担の見直しを行わせていただくこと、それからもう一つは、認知症やひとり暮らしの高齢者を身近な地域で支え合っていくための新たなサービス体系の確立や、介護サービス情報の公表など、サービスの質の向上に取り組んでいきたい、こういうことを考えているところでございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 ただいまの西副大臣の御答弁にもありましたように、この介護保険制度、国民の間に定着してきていると言えると思います。

 しかしながら、この介護保険制度の理念であります自立支援や在宅重視の観点からは、必ずしも所期の効果が得られていない点も見受けられております。殊に、要支援と要介護一の方々の急増が見られ、全体の四八・五%を占めるに至っていると言われておりますし、要支援に対しては、もともとから要介護状態にならないように予防しようとしているところでありますけれども、状態が悪化する場合も多く、十分な効果が得られておりません。

 そこで、先ほどのお話にありましたように、今回の改正に当たっては、軽度者の大幅な増加に対応するため、予防重視型システムへの転換が図られて、新予防給付として創設することになっております。

 この新予防給付のサービスの中で、効果が明確なサービスとして、具体的には、筋力向上に対するトレーニングをよく耳にしております。しかしながら、新予防給付の対象者となる方の中には、筋力向上トレーニングを希望していない方もいると思います。

 例えば、私の知り合いで現在九十四歳の女性がおりますけれども、この方が八十歳の時に自宅で転倒しまして、大腿骨の頸部骨折になりまして直ちに手術をしたわけでありますけれども、たまたま入院先が私が当時勤務しておりました病院だったもので、何度か見舞いに行っておりました。本人は、早く家に帰るのだというふうな、家に帰る意欲というのが大変強いものがありまして、リハビリにも熱心に取り組んでおりましたが、ちょうど同時期に同じような手術をした方がおりまして、その方のことをよく心配して話しているのを覚えているんです。その方によれば、余りリハビリにも来ないし、来ても、疲れたといってすぐに病室に帰っていってしまう。あれではなかなか歩けるようにならないだろうし、退院も遅くなりそうで、大丈夫なのかねというふうに話していたのですけれども。

 リハビリもそうですが、筋力トレーニングなどは、やはり本人の意欲がなければその効果を発揮することはできません。厚生労働省の筋力トレーニングの説明にモデル事業の結果が出ておりますけれども、モデル事業に参加する方たちは、程度の差はあれ、ある程度意欲を持った方たちでしょうから、その結果が一般にそのまま当てはまるか、疑問に感じております。

 そこで、筋力トレーニングを希望しない方の場合、介護予防サービスのメニューはほかにどのようなものがあるのか。つまり、介護予防サービスは筋力向上トレーニングしかないと誤解している人も多く、不安の声を聞きますので、現在の利用者に十分な説明を行い、利用者の不安を解消すべきではないでしょうか。中村局長、お願いいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 予防給付のサービスにつきましては、今先生から御指摘のございました筋力向上トレーニングに限らず、訪問介護や通所介護など既存のサービスについても、介護予防の観点から、その内容、提供方法、提供期間などを見直した上で利用できるようにすることを考えております。

 それから、筋力向上トレーニングは、運動器の機能向上、専門家でいらっしゃる先生にあれですが、筋力向上トレーニングに限らず、またマシンを使ったトレーニングにも限らずさまざまな方法を考えておりますし、今転倒予防のお話がございましたが、運動器の機能向上については、転倒予防などさまざまなものもメニューとして考えられると思っております。

 御指摘のとおり、御利用者の方の希望なり意欲を踏まえませんと介護予防は進まないというふうに考えておりますので、利用者の方の自立支援に向けた適切なサービスを選択していただけるように、我々の方でも新しい予防給付のサービスの内容や提供のあり方について十分御説明し、筋力トレーニングしかないとか、あるいは筋力トレーニングが押しつけられる、そういうことではないんだということについては、十分利用者の方々の御理解が得られるよう積極的に周知に努めてまいりたいと思います。

三ッ林委員 利用者の方々はさまざまな方がいらっしゃいますので、筋力トレーニングの効果等に対してよく十分に説明して、また協力していただくようにすることも必要だと思いますし、それぞれの個人の方々の状態に合った介護予防のサービスというものを非常にいろいろなサービスとして用意して、またそれがそれぞれの組み合わせで提供できるような形にしていっていただければと思うんです。

 その中で、引き続き関連した質問として、先ほど中村局長も転倒予防のお話がありましたけれども、介護予防の対象者についての説明資料なんかを見ましたけれども、その中で、軽度の方々に多い廃用症候群に対する早期対応により、要介護状態になるのを改善できるというふうにされております。

 先ほどお話しした大腿骨頸部骨折などは廃用症候群を引き起こす大きな原因の一つでありまして、そして、大腿骨頸部骨折の発生に関しましては転倒が重要な意味を持っております。大体九〇%以上は転倒に伴い発生するというふうに言われていますが、この転倒を予防することは大腿骨頸部骨折の予防になりますので、介護予防の種々の運動療法や生活環境改善などがここに含まれると思っております。

 また、高齢者の場合、骨が非常にもろい状態になっているわけで、そのような状況で転倒しても骨折を防ぐ方法として、ヒッププロテクターというものが考案されております。手持ちの資料を見た限りでは、このヒッププロテクターに関しての記載がちょっと見当たらなかったのですが、場合によっては現場では既に使われているかもしれません。

 このヒッププロテクターは、正しく使用されれば大腿骨頸部骨折の発生率を有意に減少させることができるというふうなものですが、現時点では幾つかの問題点があり、余り使用されていないか、もしくは使用されても実際の装着率が低くて、その効果が発揮されておりません。

 そこで、予防重視の観点から、ヒッププロテクターの装着率を改善するためのデザインや機能の開発、普及に対して、厚生労働省として何らかの対応をとる考えがあるのか、もしくは既に何らかの対応をしているのか、お聞きいたします。

中村政府参考人 今お話のございましたヒッププロテクターの件でございますが、まず、私どもの取り組みといたしましては、厚生労働科学研究事業において研究をいたしております。例えば、国立長寿医療センターの方で、ヒッププロテクターの装着した場合の効果、そういったことについて研究をしているところでございます。

 また、現場でも使われているかもしれないけれどもというお話がございましたが、確かに、施設などを訪問させていただきますと、それぞれの施設で市販のヒッププロテクターを使われたり、あるいは御自分のところで開発されたものを使われたりしておりまして、先生から御指摘ありましたように、しているとかなり効果があるということを聞いております。

 ただ、やはりずっとつけていることが難しいことが多くて外されてしまう、そのときにどういうわけか転んでしまうという問題もあるようでございますので、やはり、お話ありました装着率をきちんとするということ、それから使い勝手のよいヒッププロテクターというものを開発することが大事ではないかと思っております。

三ッ林委員 転倒予防に関しまして、特に施設の入所者などでの転倒のコントロールが難しい対象者の方に対しては非常に有効な器具ではないかと思いますので、ぜひ、ただいまの答弁にありましたように、より使いやすくて、また、装着率を上げるというふうな方向で進めていっていただきますようにお願い申し上げます。

 そして、施設給付の見直しが今回の改正の中でありますが、それに関しまして、このたびの改正で、在宅と施設との利用者負担の公平性の観点からして、介護福祉施設、介護老健施設、また介護療養型医療施設など介護保険三施設ともにホテルコストを徴収するというふうなことになっております。

 確かに、在宅での介護には家賃や光熱費、またおむつ代など自己負担となります。それに対しまして、施設利用者が払っているのは要介護度に応じた一割の自己負担と毎日の食事代程度でありまして、ここに不公平感があり、施設入所を希望する方が増加する要因になっております。施設利用の場合はホテルコストを負担させる仕組みにするべきだという意見が出てくるのも当然のことと思います。

 しかしながら、一律に三施設でホテルコストを徴収するとなると、三施設の内容が皆同じならわかるのですけれども、それぞれの施設は、入所という状態は同じではありますけれども、内容においてはそれぞれの違いがあります。生活の場としての要素の大きい介護福祉施設や介護老健施設に対してはまだ理解はできるのですけれども、医療に対する依存度が高いために入院して、改善したらば退院することが本来の姿である介護療養型医療施設にまで同様に徴収するということには疑問を感じております。施設の内容によって徴収費用を変えるというふうな対応もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度は保険料と公費という国民の負担により支えられている制度でございまして、高齢者の方々にも御負担いただいているということでございます。保険料の急激な上昇を抑え、持続可能な制度としていくために、給付の効率化、重点化を図ることが必要だと考えております。

 今、委員の方から、介護保険三施設について一律に扱うのはいかがなものかという御指摘もございましたが、介護保険三施設について、確かにそれぞれの果たす機能や役割に違いはあるものの、要介護者に対しまして施設サービスを提供する点で共通でございます。また、介護施設につきましては、高齢者が必要な介護サービスを受けながら住み続ける、住まいとしての性格が強まってきているというふうに考えますので、前から利用者負担について介護保険制度においては同一の取り扱いを行っているところでございますので、今回の施設給付の見直しにおきましても、これまでと同様、三施設共通の取り扱いとさせていただく提案をしているところでございます。

三ッ林委員 差をつけずに一律にというふうなお話ですけれども、やはり、それぞれの施設での入院期間でありますとか、どこから患者さんを受け入れてまた帰すであるとかというふうな違いは当然あるわけでありますから、今後の経過というものもしっかり見きわめていただいて、それぞれの施設に対して、そのような一律でいいのか、それともやはり違いというものをはっきり認識して持っていくべきなのかということもまた見直していっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、不正事業者の増加について質問させていただきます。

 介護保険がスタートしましてから、在宅サービスを中心に、実に多くのサービス事業者が参入してきております。それによりまして、利用者の選択の幅が広がるとともに、雇用の拡大をもたらしてきておりまして、この点は大変評価できるところだと思っておりますけれども、一方、悪質な事業者が参入するというふうなリスクも高まることになってきております。

 最近の報道にもありましたけれども、架空請求や無資格者によるサービスなどにより、事業者の指定取り消しや介護報酬の返還を受ける例がふえてきております。介護保険財政が逼迫している中、このような不正のある事業者は排除していかなければならないのですが、果たして実態をどこまで把握できるのか疑問に感じております。

 例えば、介護給付費の請求は国民健康保険団体連合会に提出されまして、審査はコンピューターでのデータ処理であります。利用者に行われたサービスの実績が記載されている給付管理票と事業者からの請求書を照合しまして、双方に数字上の食い違いがないかをチェックしているだけでありまして、つまり、コンピューターでの審査であるので、数字さえ合っていれば不正請求でも簡単に審査を通ってしまっているというのが実情であります。

 また、毎月の審査件数も膨大なために、それぞれに対しての細かいチェックというものは不可能に近いのではないかというふうな状況ですので、不正請求が発覚しているのは氷山の一角ではないかと思っております。また、事業者の規制に関しましては、これまでの指定取り消しの手段しか有しておらず、不正に対する弾力的な指導というものもできておりません。

 このような現状を踏まえまして、不正請求への対策と事業者への規制の強化について、現在どのような対応をし、また今回の見直しで制度的にどのような対応をしようとしているのか、御説明ください。

中村政府参考人 介護給付費のこれまでの審査の仕組みについては先生御指摘のとおりでございまして、そういった意味では、数字さえ合っていれば審査が通ってしまうという問題点が指摘されておりました。

 そこで、もう少し踏み込んだ情報を各県の保険者の連合会であります国保連でつかみ、それを事業者を監督する立場の都道府県と保険者である市町村に提供することによって、もう少し実際にやられていることをチェックできる情報システムを動かし出すことにしたわけでございます。

 これは介護給付費適正化システムと呼んでおりますが、どういうことがわかるかと申しますと、事業者ごとの要介護度の変化とサービスの利用状況の変化がわかります。それから、事業所ごとに、例えばヘルパーさん一人当たりのサービス時間数がわかるとか、ケアプランが画一的な内容でないかとか、特定の要介護度に偏って事業所がサービスしていないかとか、同一法人のためのケアプランになっていないかとか、そういったことの情報が出るシステムを開発したところでございまして、こういうことを都道府県、市町村の方にお知らせをし、適正化を図っていただくということをやっております。昨年十月からは、そういうことをもとに、都道府県や保険者にケアプランチェックや介護給付費の通知の推進など適正化をお願いしているところでございます。

 今回の制度改正におきましては、介護保険制度を直接担う市町村にも介護サービス事業所や施設への立入調査権限を創設するほか、事業者指定の更新制、欠格要件の強化など、いわば事業者に対します事後規制を徹底することも盛り込んでおりまして、不正の防止に全力を傾けて取り組むことといたしております。

三ッ林委員 先ほど市町村への権限として立ち入りを認めるというふうなお話がありましたけれども、市町村が立ち入りするにしましても、一カ月とか二カ月前から、いついつそちらに行きますから全部資料を用意しておいてくださいというふうなやり方では、結局それまでに、悪質な人でしたらばいかようにでも改ざんができるわけでありますから、やはりその点、効率の問題もあるのでしょうが、実際をどのように調査ができるかというところが一番かなめだと思いますので、その点、もう少し融通がきくような調査の仕方というものを進めていっていただきたいと思います。

 そして、今回の事業規制の見直しというものは介護保険制度の健全な運営を確保するためのものでありまして、時宜を得たものと評価することができると思っております。こうした権限を適正に実施する都道府県の体制が十分に整備されていかなければ、またそれぞれの適正であるかの検証がなされないわけでありますので、今後とも、各地方自治体のそれぞれの取り組みというものが十分であるかどうか、厚生労働省として十分なチェックもしていっていただければと思っております。

 そして次に、介護保険の財政を健全化しなければいけないということで今回の改正にもなっているわけでありますが、そのためには、やはり独立したケアマネジャーが、利用者の主治医などと連携しながら、利用者本人の健康状態に沿った本当に必要なケアプランをつくるべきだと思っておりますけれども、実際には、特別養護老人ホームなどに併設されている介護サービス事業所で働くケアマネジャーが大多数で、独立型はほとんどありません。これではケアマネジメントの中立性また公正性の観点から問題があり、利用者の掘り起こし等さまざまな問題点が指摘されております。

 そこで、今回の改正に当たり、本人の状態像に沿ったケアプランがつくられ、サービス提供がされるよう、ケアマネジャーの質の向上というものが課題であると思っております。ケアマネジャーに対する研修等、資質、専門性の向上の観点から、どのような見直しが行われるのか。また、ケアマネジャーは、利用者の健康状態に沿ったケアプランを作成するために、利用者の主治医との連携を強化することが必要であると思っておりますけれども、対象者の数や時間などの問題もあるのでしょう、なかなか進んでいないのが実態であります。これらの対策についてどのように考えているのか、お聞きいたします。

中村政府参考人 ケアマネジャーの資質の向上についてのお尋ねがございましたが、ケアマネジャーの資格を、五年ごとの更新制を入れるということで、五年ごとに定期的に研修の受講をお願いすることといたしております。さらに、認知症や、利用者の方の重度化が見られますので、ターミナルケアなどの専門的な研修や演習を中心とした研修の充実など、実務経験に応じた研修の充実強化、こういったことも課題になっております。

 それから、御指摘のございました中立性、公平性を高めるという観点からは、ケアカンファレンスを開いたり、また、主治医の方との連携が大事になると思いますので、そういったことを評価するという点につきましては、介護報酬の設定などの点でその辺を配慮してまいりたいと思います。

 特に、医療と介護の連携は重要でございます。あらゆる面で医療と介護の連携ということについては今回見直しをしていかなければならないと思いますが、その中で、ケアマネジャーと主治医の連携はその中心をなすものと考えておりますので、その点につきましても介護報酬等の基準等の改正の中で取り組んでまいりたいと思っております。

三ッ林委員 これから介護と医療との連携を強化するというふうなお話ですけれども、今までのシステムですと、なかなか、入り口のところではある程度は関与できても、その後というのがほとんど関知できなくて、高齢者ですから当然いろいろな疾患というのも伴っている割には、医療と介護との結びつきというのが弱かったというふうに感じております。ぜひ今後ともその点、改善に努めていただきますようお願い申し上げます。

 そして、もう残り時間が少なくなりましたけれども、最後に高齢者の虐待問題についてお聞きいたします。

 介護保険制度が施行されましてから、要介護高齢者のいる家庭にケアマネジャーやヘルパーが入るようになりまして、それまで実態の把握が難しかった高齢者に対する虐待が顕在化してきております。また、介護施設等においても高齢者虐待の報告があり、それらの増加に伴いまして高齢者虐待に対する対策というものが求められているところであります。

 高齢者虐待を防止する法案を議員立法でというふうな動きもありますけれども、厚生労働副大臣としまして、高齢者虐待に対する現状の認識と、その予防対策についてどのようにお考えか、西副大臣にお伺いいたします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 現在、高齢化が進展している中で、だれもが最期まで尊厳ある生き方、人間性あふれる生き方を送っていくためには、高齢者虐待の防止それから解決に向けて取り組んでいくということは、大変重要なことだというふうに認識をしております。

 このために、今回の介護保険法の改正案におきましても、高齢者虐待を含む総合的な相談窓口の機能を地域包括支援センターに担ってもらおうという意味合いもあって、創設をさせていただきます。また、介護事業者の責務として高齢者の人格尊重ということを盛り込みたい、こういう見直しをさせていただくことになっております。

 しかしながら、これにとどまることなく、与党において高齢者虐待の防止のための立法措置について検討を進めていただいているということも踏まえまして、このこととも十分に連携を図りながら、引き続き、高齢者虐待の防止、解決に向けて私どもも鋭意取り組んでいきたいと思っております。

三ッ林委員 今わかっている高齢者虐待の例というものもまたごく一部でしかないのではないかと思っておりまして、やはり高齢者の皆様の尊厳を守るというふうなことのためにも、ぜひともこの対策というものに力を入れていただければと思う次第であります。

 そして、今回の改正案は、まだまだ細かいところで不明なところもありますけれども、予防重視、在宅と施設との不公平感をなくそうというふうなこと、またケアマネジャーの重点的な対策、それら、今までの五年間において課題とされてきていたもの、また問題とされてきたようなものに対してそれなりの答えがある程度出されたような感じを受けております。

 ただ、これらの改革というものが、実際にそれぞれの市町村とかでしっかりと利用者さんのサイドに立ったサービスとして、続けてまた受けられるような形でいきますことを望んでいるところでありまして、ぜひ厚生労働省としても、その点、市町村に対するバックアップというものもよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 この介護保険制度につきましては、先般、本会議におきましても質問させていただきましたが、本日はさらに具体的な点に踏み込ませていただき、質問をさせていただきます。

 初めに、四十歳以上の末期がん患者に対する介護保険制度の適用のことについてでございます。このことは、二月十五日に行われました尊厳死とホスピスを推進する与党議員懇話会におきまして与党が合意したとされる報道がなされました。

 内容につきましては、これはある新聞社の報道内容でございますが、四十歳から六十四歳までの末期がん患者を、介護保険制度の給付対象に加える方針を決めた。現行では、四十歳から介護保険料を負担しているが、訪問介護などのサービスが使えず、在宅の患者から介護保険の利用を望む声が出ていた。二〇〇六年度からの実施を目指す。これが一つ。さらに、「ただし、「老化に伴う」ことがサービス給付の要件なので、乳がんなどは除外する方針だ。」という報道でございました。

 私は、こういった点を踏まえまして、三月二十二日の本会議におきまして尾辻大臣に見解をお伺いしましたところ、大臣から概略、次のような答弁をいただきました。がんは我が国の死因の第一位になっている、多くのがん患者の方々が病院で最期を迎えておられる現状にある、しかしながら、適切な在宅医療と介護サービスがあれば、住みなれた自宅で最期を迎えることが可能である、さらに、そのような希望をお持ちの方々も少なくない状況にある、こうした方々のニーズに対応する観点から、現行の介護保険制度の中での対応方策について今後検討してまいりますという大変真情こもる前向きな御答弁をいただきました。

 そこで、配付させていただきましたお手元の資料をごらんいただきたいと思います。まず、これがどういうふうになっているかといいますと、御存じのとおり、介護保険の適用になる特定疾病につきましては一枚目のようになっております。この(2)の一のところにございますとおり、「六十五歳以上の高齢者に多く発生しているが、四十歳以上六十五歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率等について加齢との関係が認められる疾病であってその医学的概念を明確に定義できる」という点、そして「三〜六ケ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病」とございます。

 今私が伺っておりますのは、末期がんにおきましては、これが平均約六十日ぐらいであるというデータ、また約三カ月ぐらいであるというデータという点がございます。どういう疾病が入っているかといいますと、この下にあります一覧のとおりでございます。

 そこで、次のページの上の図一をごらんください。ここにありますとおり、悪性新生物、がんと言われますのは死因の中でも三一%、三十万人の方が亡くなっております。その下の図二のところに、どこで亡くなられているか。施設内といいますのが、この右側の二〇〇二年度、九三・六%。それに比べまして、下の自宅というのは六%、またホスピス・緩和ケア病棟等は三%、こういう今の状況でございます。ほとんどの方が医療施設で亡くなっている現状です。

 しかしながら、次のページの図三をごらんいただきたいと思います。あなた自身がもしそのようなことを告げられたとき、療養生活はどこで送りたいですかという問いに対しまして、この囲ってあります「自宅で療養して必要になればそれまでの病院に入院したい」とか、三項目、「自宅で最後まで療養したい」とか、それぞれございますけれども、自宅を中心に、こういう自宅療養を希望していらっしゃる方は、この数を合計しますと五八・七%、約六割近くの方がこうしたことを希望されているわけです。

 だけれども、それを阻害する要因、この図四のところに、「自宅で最後まで療養することは実現困難であると考える理由はなにか。」今現実に何が障害となっているか。ここの冒頭に「介護してくれる家族に負担がかかる」、これが七八・四%でございます。自宅で送りたいにもかかわらず、やはりなかなかそれがかなわない。支え手がふえれば六割の方たちが自宅で人生の最期を迎えたい、このように願っていらっしゃる。

 当然、それを支えるためには、人手だけではなくて、特殊ベッドなどの福祉用具、またヘルプサービスなどの利用が必要となってくるわけでございます。しかし、今の介護保険制度では、がんは特定疾病に加えられておりません。したがいまして、六十五歳未満の被保険者の方々は、自費で負担するか自宅に帰るのをあきらめざるを得ないという状況にございます。このことは、これからターミナルケアをどのようにしていくのか、介護保険制度という中で支えをこれからどうしていくのか、その本来の介護保険の役割を果たせるかどうか、大変これは大きなポイントであると思っております。

 こうした問題が、与党の政治主導の課題として、今のこの介護の制度よりさらにウイングを広げる形でこのような検討が行われており、そしてそういった課題が提示をされているということは、私は政治の意思として非常に重要なことであると思いますし、また与党の一員として誇りであると思っている次第でございます。

 そこで、まず質問をさせていただきます。

 現行ではなぜこうした末期がん患者につきまして介護保険のサービスが受けられないのか、その理由を説明していただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先ほどから、死因の第一位であるがんの特に末期の状態、それからどこでお亡くなりになりたいかということを資料を使って非常にわかりやすく御説明をいただきました。六十五歳以上の皆さんは介護という世界がございますが、今のところはそれの適用が若い人たちにはないという課題は大変大きな課題だというふうに思っております。

 ところで、その介護保険のサービスが受けられない理由ということでございますが、先ほど委員御指摘のとおりでございまして、四十歳以上六十五歳未満の方々で現行の介護保険制度の対象になる要件といたしましては、先ほど御説明いただきました二点でございます。

 介護等を要する期間が、省令において定めているんですが、現行六カ月ということを基準にしておりまして、それ以上継続するという見込みがある、こういう要件と、それから二つ目は、その原因、要介護状態の原因が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病として政令に定める疾病、これは特定疾病というふうに先ほども御説明ありました、これに該当する、この二つの要件を満たすことが必要ということでございまして、特に六カ月以上継続するという部分で、現状では、今までの、五年前の介護保険制度が発足したときには、悪性新生物いわゆるがんは適用にならなかったということでございます。

高木(美)委員 恐らく、そうした基準というものが今ございますので、そこで政治の意思、こういう形になって今検討がなされているのだと思います。

 そこで、今、この末期がん患者の多くの方たちから、ぜひ自宅で療養したいという方についてはそれを認めてほしい、介護保険のこの枠の中に入れてほしい、そういう要望も多くございます。この課題につきまして、今後どのような考え方で検討をされていくのか、また今後の見直しのスケジュール等も伺いたいと思います。また、末期がんを対象とする場合のがんの対象範囲につきましてもあわせて説明をいただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 多くのがんの患者の皆さん方が病院で最期を迎えている状況にあるというのは、先ほどお話があったとおりでございます。しかし、こうした方々が適切な在宅医療と介護サービスを受けられれば、住みなれた自宅で最期を迎えることが可能でもある。現に、そのような希望を持っていらっしゃる方が少なくないという現状は私どもも認識しているところでございます。

 一方で、介護保険制度施行後、在宅で最期を迎えるために必要な環境や体制が徐々に全国各地どこにでも整いつつあるということでございまして、こうしたことも考慮しつつ、ターミナルケアの充実という観点から、現行の介護保険制度の枠組みの中で可能な対応策について、がんにつきましても前向きに検討してまいりたいと考えているところでございます。このために、四十歳以上の末期がんを介護保険の対象に加えるに際しての課題等について、専門家からの意見もこれから十分伺ってまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、大変力強い、また希望がわくような思いがいたします。

 もう一つの課題としまして、中には、四十歳以上という枠をさらに外して、二十代、三十代の方にも適用してほしいという御意見をおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、これは私の考えでございますが、やはりまず現行の介護保険制度の枠の中で検討されるべきだと考えております。これをこの枠内の第一歩として、そこを拡大していただく、こういう認識で、年齢拡大問題と絡めてではなくて、すっきりと検討をしていただきたいと思っておりますが、そこの点につきましてはいかがでしょうか。

西副大臣 これからの検討ですので、さまざまな考え方があると思いますが、今回提案申し上げました介護保険制度の大枠の中できっちりと対応することがいいのではないかというふうに私自身は考えております。

 先ほど若干ほかのがんの、乳がんはどうだというような御議論もございましたので、若干がんの種類等についての考え方についても御報告申し上げたいと思います。

 四十歳以上の末期がん患者の方々を介護保険の対象にしたらどうか、こういうお話ですが、そのためには、特定疾病の要件に照らした場合の妥当性をまず考えてみる、先ほどの二つの要件を考えてみることが必要でございます。必要な科学的知見を踏まえて判断をするということでございますので、これから専門家等の御意見も伺った上で検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 実は、乳がんについては、その条件に必ずしも一致しないのではないか、加齢に伴うものなのかどうなのかという、がんの発生する部位が胃なのか大腸なのか、それとも乳がんという形になるのか、そういう部位によりまして加齢に伴うものなのかどうなのかということを今の医学の状況から見て果たして判断することがどこまで可能なのか、あくまで当然データに基づいてですけれども、やはり高齢化現象といいますのは最近のことでございますので、こうしたところも、真偽のほど、またあいまいな部分、総合的によく御検討をお願いしたいと思っております。

 そこで、先ほど申し上げました、乳がんについては除外するというさきの報道でございますけれども、これが真実なのか間違いなのか、まずこの点につきまして明確に御答弁をいただきたいと思います。

西副大臣 先ほどからも申し上げましたとおり、今はそういうところのもっと前提を置かない、大枠の部分で議論を進めておりまして、乳がんがどうなるのかというところまでは、全く今のところは検討は進行しておりません。がんそのものについての介護保険の適用についての議論からこれから議論を始めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 では、そのような真っ白な認識からスタートをお願いしたいと思います。

 実は、私のところもそうですが、我が党の多くの議員の方たちのところにも心配する女性の方々からお声が寄せられております。私もそうした会の女性の代表の方ともお会いをいたしました。

 そこで、きょうもう一つお持ちしましたのは、これは在宅ホスピス協会顧問であります川越厚先生がお書きになられた「家で死にたい」という実に端的な題名の、サブタイトルとしまして「家族と看とったガン患者の記録」という、大変私も涙なくして読めない内容でございました。この中に、末期がん患者の様子であるとかがつづられておりまして、時間がございませんけれども、少し皆様に御報告を申し上げたいと思いまして、紹介させていただきます。

 この方は、四十三歳で乳がんで亡くなられた女性の御家族でございます。御主人とそれから息子さんとお嬢さんと三人でお母様をみとったという、最後の末期のところです。

  翌日から口が殆どきけなくなりました。カレンダーを持って来てといい、じっと眺めていましたが、二十五日を指で差して、「これから、さきは、わたしは、いない、からね」と絞り出すように、言いました。二十四日まではまだ目をあけ、何事か語りかけるとうなずいたり、首を振ったりしました。深夜、息のつき方が明らかに変わりました。そして二十五日は一日中、目を開きませんでした。この日、終業式から帰ってきた娘の「ただいま」が、聞こえたのかどうか。「おい、そろそろか」と言ったとき、かすかにうなずいたように見えたのは、気のせいだったかもしれません。時計の針が零時を回り、二十六日になりました。夜を徹するつもりで、ベッドのそばで息子とお酒を呑み始めました。ふいに、かき消すように、息をひきとりました。二時十五分でした。おだやかな顔で、すこし微笑んでいるように見えました。

 この方は、御家族と相談されて、夫に負担をかけたくない等々、いろいろ思われながらも、御家族の強い意思で、最期を自宅でみとりたい、最期までお母さんの世話をしたいという、当然途中こうした川越先生等々が手厚く手を差し伸べてくださって、こういった形で最期をみとられたわけです。

 こうした例を川越先生は何人か紹介をされながらおっしゃっていらっしゃることは、やはりこうした最期の、在宅で臨終を迎えた場合、さまざまな面が考えられると。四番目にとおっしゃっていらっしゃいますけれども、子供や孫に与える教育的な面が大変大きい。この点はがんに限ったことではないけれども、

 在宅で親や祖父母が死を迎えることになると、そのことが子どもたちに与える影響は、計り知れなく大きい。祖父母や肉親の死を身近に体験することにより、子どもたちは生と死の意味を学び、考えることになる。子どもの時のこのような貴重な経験は、やがて大人になってからも貴重な財産となって残っていく。

大変大きな示唆に富んだ内容でございます。

 この方は、決して病院での終末を、それを批判するものではないが、そこにはそこのよさがあるけれども、ただ、医師とそれから看護師がいれば家族がいなくても最期をみとることができるという病院の体制とは大きな違いがあると述べていらっしゃいます。

 私は、こうした点を踏まえて、この方は四十三歳、乳がんで亡くなられた方、この方もそうですけれども、私の何人かの友人もやはり、こういう四十代、五十代、乳がん等で亡くなるとなりますと、お子さんはまだ中学、高校といった多感な年代でございます。お母さんを必要とするお子さんにとってこの生死という究極の人生勉強、これをお母さんと一緒に、最後のお母さんからの贈り物として受け取っていく、こういった姿を多く見ております。

 ただ、我が国におきましては、女性の乳がんの死亡率は、罹患しましたら三人に一人と言われております。当然、それに伴うがん検診の受診率が一二・三%という先進国にはあり得ないおくれでございまして、性差に基づく医療につきましても大変おくれているという状況がございます。そうしたことから、御存じのとおり、健康フロンティアの中にも、女性のがん緊急対策として盛り込まれたわけでございます。

 いかんせん、この年代はどうしても、仕事も忙しい、また家の中でもなくてはならない存在、お子さんもまだ手がかかる、家業があれば当然またその分負担も大きい。そういった状況をかんがみまして、私は、こうした切実な声をぜひ受けとめていただき、検討に反映をさせていただきたい、このように心から切に女性の一人として念願するものでございます。

 そうでないと、これから、例えばがんの罹患につきまして、部位によりまして、これは加齢による、これはそうではない、そういう区別がそこで同じがんという名前でありながら行われた場合、例えば、同じ四十代でありながら、片や胃がんだから介護サービスが受けられて自宅療養が可能となる、片や乳がんだからそれが受けられない、こういう差を生んでしまう。私は、こういったことはあってはならない、谷間をつくってはならないことなのだと思っております。そこがまさに政治の意思、どういう方向で隅々まで光を当てていくか、こういう大事な点ではないかと思っております。

 こうしたことを含めまして、西副大臣の、これは副大臣としてといいますよりも、政治の意思というからには、一人の政治家でいらっしゃる政治家としての思い、御決意をぜひお伺いさせていただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先ほどからの種々のお話を聞きまして、私も、二十四歳のときに祖父が自宅で亡くなりました。その死に顔は今でも忘れることはできません。母も父も病院で亡くなったんですが、特に自分のところの隠居で亡くなったおじいちゃんの顔というのは生涯強く残っておりますし、特に、そのことによって命を大切にするという、目の前で人が亡くなるということを一人でも多くの若い人たちにも知っていただくことも大事かなというふうに考えさせていただきました。家族に見守られて、そして安らかに最期を終えるということの大切さを今教えていただいたような気がいたします。

 がんの部位によって介護の世界に入るのか入らないのかという判別をすることがどうなのかと。

 事実、高齢者の乳がんにかかる率は、四十から六十五歳よりも若干、若干低いような、そんなデータも出ているようでございますが、いずれにいたしましても、若い時期からに比べると、これは間違いなく、加齢というのはどこから加齢というかということの定義はありますけれども、いわゆる中高年の時代にがんが発生するということを見ますときに、私は、部位によって、また女性特有のがんの発生によって区別をするということはよくないというふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 大変前向きな、また本当に西副大臣の深い思いの御答弁をいただきまして、ありがとうございました。ぜひともその方向での御検討をお願いいたします。

 時間がなくなりましたけれども、最後に、地域支援事業につきまして一点お伺いをさせていただきたいと思っております。

 この地域支援事業は、現在行われております介護予防・地域支え合い事業を見直しまして老人保健事業と再編をして、地域支援事業としてこの介護保険法の中に位置づけられる、そういう内容でございます。

 私、東京でございますので、今現実にこれを各区でどのように展開するかと大変悩んでいらっしゃる、何人かの、数区の介護保険課長の方とお会いをいたしました。やはり皆様異口同音におっしゃいますのは、この事業については、補助金が廃止となりまして、今回は事業規模についても市町村介護保険事業計画に明記をする、そして政令で一定の限度額を定めるとしておりまして、どうも東京都の説明では給付費の三%を上限に、こういう説明がなされているようでございます。ある区におきましては、三%といえばそこは三億円、既に老人保健事業だけでもう三億を超えています、そこに地域包括支援センターの人件費をこの中から出すとなるととても十分な財政はありません、にもかかわらず、厚生労働省の方たちは三%を超えたものは地域で負担してくださいというお話をされます、かといって、現行サービスを落とすわけにはいかないと。

 要するに、五年前のときは介護保険創設時でありまして、全く白地から何をするか、こういうデザインをするという形でございましたが、現在は、既にサービスを受けている人がいる、またそこで働いている人がいる、その方たち一人一人に納得してもらうにも時間がかかる、また区によって力を入れてきた事業も全部異なる。

 それで、皆様からの要望でございますが、自治体でもう少し取捨選択できる余地を与えてもらいたい、いきなり数で縛るというのではなくて、枠は保証する、しかし区市町村に裁量を持たせる、こういう方向をぜひ検討していただきたい、こういう要望がございます。

 あわせまして、時間も迫ってまいりましたので質問させていただきますが、また、今回新たに、その一環として地域包括支援センターをつくることになっております。そこには、保健師、看護師、また社会福祉士を配置しまして、地域支援事業とあわせて相談機能も持たせるというふうになっておりますが、現実、人の確保に大変苦慮しているという状況がございます。

 今まで、老人保健事業とか地域医療はどこで推進してきたかといいますと、東京都の場合は各区の保健センターが行ってまいりました。保健師さんが地域の老人のことまで、高齢者のことまでよくわかって、推進をされてきたわけです。これを新たにつくるということは、ともすれば今までの流れを分断しかねない、今ある機能をどう生かしていくか、ここが大変大事ではないか、こういった御要望でございます。この点につきまして答弁を求めます。

中村政府参考人 二点お話をいただきました。

 例えば最初の方の点でございますが、今、老人保健事業が、その区の例でありますと、もう三億円なら三億円を超えているというようなお話がございましたが、老人保健事業と今度の地域支援事業と重なる部分もありますが、重ならない部分もございます。例えば、地域支援事業は六十五歳以上の人を対象にしておりますが、老人保健事業は四十歳以上を対象としている部分もありますので、三億円そのままが全部地域支援事業の方に来るというわけでもございません。

 そこのところをどう振り分けしていくかということについては、十八年度の施行でございますので、十八年度予算のときにも対応していかなければならないと思っております。今御指摘がございましたように、市区町村の運営がスムーズにいくような配慮を十分するようにという御指摘でございますので、その点についてもよく市区町村側とも御相談してまいりたいと思っております。

 また、地域包括支援センターの問題でございますけれども、今まで区の場合は区の保健センターが中心になってやってこられたということですが、その区の保健センターを地域包括支援センターとすることも可能でございますし、地域包括支援センターを別につくることももちろん可能でございます。その際、非常に情報も知恵も持っておられます保健師さんを両方で活用していただくというようなことも可能だと思います。地域包括支援センターは、更地で新しいものをつくり、今までのものと全く分断されているということではございませんので、いろいろな設置の仕方があると思います。よく、今の例で申し上げますと、各区の方で御考慮いただけたらと思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 今、局長から御答弁いただきました、まず一つですが、十八年度予算のときにもよく考慮して対応するというまず最初のお話がございました。やはり地域におきましては、予算規模をどのように設定するか、そこに伴って、例えば介護保険料をどのように設定するか、特に今回、新第二段階がふえております、それぞれの収入をどの時点でどう捕捉するかとか、施設給付の問題であるとか、やはりなかなか中身のところを詰めるのに、ここに苦慮しているという状況もございます。

 今お話ございましたとおり進めていただきたいことと、できれば、こうした、要するに、タイムスケジュールを少し前倒しで早目早目に設定していただきませんと、説明では、二年間の猶予がある、その間に進めていただければいいという説明はあるんですけれども、ただ、二年も待ちますと次の改正が始まるという現場の声もありまして、この点をぜひまた御検討をお願いしたいと思います。

 あともう一つは、先ほどの保健センターを、地域包括支援センター、そこに含めるという形にしてもよいという大変前向きなお話をいただきました。できれば、こうした細かいやりとりを、今現実に担当していらっしゃる行政の方たちとわかりやすく展開していただければありがたいと思っておりますが、今お手を挙げていらっしゃいましたので、もし御答弁がありましたら。

中村政府参考人 保険者でございます市町村の方のいろいろな実施体制との関係でございますが、十八年四月がいずれにいたしましても介護保険制度としては節目になる、保険料を決め、新しい事業計画を決めなければならないというときでございます。それに重なる形で、現在、制度改正のお願いもしているということで、私どもも、市区町村の方には大変、そうでなくても大変な時期に、また短期間でお願いしなければならないということで、昨年も秋に三回ほど担当の課長会議を開かせていただきましたし、ことしに入りましてからも、今月も中間的な、まだ法律も決めていただいておりませんので中間的な状況になりますが、また国会の御審議を踏まえなければなりませんので、軽々に我々が独走することは許されませんけれども、そういうことはあってはならないと思っておりますが、やはり実務としてできるだけ早くお伝えすることはお伝えするということで、これから毎月のように都道府県、市区町村の方の担当の方々との会議を開き、またブロックごとに我々が出向くようなこともして、周知徹底、また準備をしていきたい。

 あくまでも原則は十八年四月実施を目指して頑張るようにしていきたいと思っておりますので、二年間の猶予期間は置いておりますが、そういうことは、それはそれとして、十八年四月の前提で間に合うように作業をしてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ぜひとも現場の意向を酌んでいただきながら進めていただきたいと思います。

 国民の皆様にも、介護保険導入時、かなり大きな理解をつくっていただきました。やはり政府としましても、ぜひともまた、この介護保険の改正、これがこのようになるのだという理解の大きな波をもう一度つくっていただきたいことを最後にお願いいたしまして、質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、山井和則君。

山井委員 それでは、これから一時間半にわたりまして、尾辻大臣そして西副大臣に質問をさせていただきます。非常に基本的な、そして根本的なことを質問していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 冒頭に少し私の思いを申し上げますと、実はきょう、尾辻大臣と西副大臣には最近出した本を先ほど差し上げさせていただいたんですが、私、もともと議員になる前は高齢者福祉の研究者でありまして、そもそも、祖母が二十年間の寝たきりの末に亡くなったということから介護問題に関心を持ちまして、学生時代は虐待を受けた子供たちの福祉施設でもボランティアをしておりましたが、二十七歳のころからは、ずっと高齢者福祉中心に、大臣も鹿児島でいらっしゃいますが、例えば熊本の老人ホームで一カ月実習をさせていただいたり、全国各地へ行きまして、アメリカの老人ホームも一カ月行きましたし、イギリスの老人ホームも三カ月実習をしましたし、デンマーク、ドイツ、スウェーデンには二年行きましたし、日本各地の在宅や老人ホームの現場でも、ボランティアや実習をしながら勉強をしてまいりました。

 その中で、やはり、終わりよければすべてよしというけれども、人生の最後にどんでん返しが待っている。お年寄りも非常に苦しんでいるし、また介護されている方も非常に苦しんでいる、その割にはなかなかこういうのが国政の議論にならないということで、私ももどかしく思っておりました。それで、全国を回ってこの介護の問題を訴えてきまして、その中で私は、介護保険の創設が必要だということを、本にも書きましたし、講演でも年間百回ぐらい、議員になる前は全国を回ってまいりました。一九九三年とか四年、今から十年前のことであります。

 当時は、介護保険といってもなかなか理解がなくて、やはり福祉は税金じゃないかという反発が非常に強かったわけです。その中で、私は、いや、違う、介護の社会化が必要だ、そしてやはり、必要なサービスを選べる、できる限り、望めば在宅で暮らせるようにする、そのためには介護保険が必要なんだということを新聞にも書きましたし、本にも書きましたし、また多くの講演でも訴え、また大学の講師としてもそういう授業をしておりました。

 しかし、当時の議論も御記憶かと思いますが、非常に反発も強くて、その結果、私は多くの友達とも仲たがいをしたりしましたが、私はその結果、一つ心に決めたのは、私もここまで、介護保険が必要だ、日本を安心して年をとれる社会にするためには介護保険が必要だと言った以上は、私なりの責任のとり方で、何としても議員になって、五年後であろうが、十年後であろうが、五十年後であろうが、やはり介護保険を導入して、日本は安心して年を送れる国になったなと。日本からスウェーデンや外国に視察に行くのではなくて、世界じゅうの福祉関係者が、最もお年寄りを大切にしている国は日本なんだ、苦しい戦争を経て本当に御苦労されてきたお年寄り、人間を人生の最後まで一番大切にする、そういうシステムをつくっている国は日本なんだと。エコノミックアニマルという批判も日本にありましたが、そうではない、人間を大切にする国日本、そういうふうに海外から日本に視察に来てもらえるような社会をつくりたい、そのために議員になりたいと思って、私は政治活動に入りました。

 本当は五年前の導入のときに国会議員になりたかったんですけれども、力不足で一回目の選挙は落選をしまして、創設のときには間に合いませんでした。しかし、おかげさまで二回目の選挙で当選し、今回の五年目の見直しでこういう質問の機会を持たせてもらうことができました。そういう意味では、私は、偉そうなことを言うことになるかもしれませんが、やはり推進した人間の一人として、ライフワークとして、人生をかけて、この保険を導入してよかったんだと、一〇〇%とは言いませんが、多くの人から思ってもらえるような介護保険に改善し、守り、育てる責任があると私は思っております。

 それで、そんな中で、きょうは第一回として、今回の新予防給付の部分について御質問をさせていただきたいと思います。

 要介護一、要支援、二百万人のうち、約百五十万人が新予防給付になるというふうに今までから答弁でもいただいております。しかし、これはどうなんでしょうか。新予防給付になる、予防重視型システムになる。これでお年寄りにとってよい方向に行くんでしょうか。どうなるんでしょうか。

 この法案、確かに、予防重視に転換する、あるいはむだな部分をカットしていく、そして持続可能な介護保険制度にしていく、そういう趣旨には私は賛成であります。やはり、持続可能性をつくっていくためには、むだな部分はカットし、不正な部分はカットせねばなりません。そして厚生労働省さんも、今回の予防重視システムに転換すれば一〇%ぐらい介護が悪化する人が減って給付も減るんだということをおっしゃっておられます。

 でも、本当にそうなんだろうか。筋力トレーニングを初めとする介護予防、趣旨としてはわかります。効果がある人も当然あるでしょう。ただし、それを全国的に一律に、また家事援助に制限を加えながらも大幅にやっていくことが本当に正しいのか。また、それとともにきょう質問をさせていただきたいのは、そのかじ取りが、方向転換が正しいと足る検証、モデル事業、エビデンスはあるのか。そういうところが私にとっては非常に不明確であります。

 最初にちょっと、私も十年ぐらい前からホームヘルパーさんに同行して、お年寄りの家を時々回らせてもらっておりますが、今回も行ってまいりました。ぜひとも要介護一、要支援の方のイメージを感じていただきたいと思いますが、(写真を示す)この男性の方は、八十五歳、昨年半年間入院をされていたんですが、詳しくは言えませんけれども、要介護一で、一回二時間半のホームヘルプを週に三回受けておられます。一時間半は買い物を兼ねてヘルパーさんと一緒にリハビリで歩いておられます。残り一時間は洗濯、掃除、調理などであります。御自分では、保険のお世話になるのは申しわけないからできるだけリハビリをやって元気になりたいということで、自宅に筋トレマシンまで買っておられるぐらいです。要介護一の八十五歳の男性の方です。

 次に、この方は八十一歳の女性の方、要介護一。週に二回ホームヘルプを一時間ずつ受けておられて、買い物と調理をしてもらっております。やはり腕や足が弱っておって、なかなか一人では調理ができないということであります。

 最後のこの女性の方はひとり暮らし。今言っているのは三人ともひとり暮らしであります。八十一歳で、要支援、週に一度一時間のお掃除などのホームヘルプを受けておられます。本当は、上限はもっと高いから週に二回でも三回でも受けられることは受けられるかもしれないんですけれども、それでは甘えることになるから、しかし自分は、去年お掃除をされているときにけがをされてしまって、そのこともあったのでお掃除は多少は手伝ってほしい、それで週一回ホームヘルパーさんに来てもらえるのが非常に楽しみだと。それで、なかなか、デイサービスとかそういう集団は苦手だということをおっしゃっておられます。

 要支援、要介護一のうちの大体半数ぐらいがひとり暮らしで、半数ぐらいが八十歳以上、そういうイメージになっております。

 そこで、まず第一問、尾辻大臣にお伺いします。先日、お願いしましたところ、早速、西副大臣とともにホームヘルプの現場に行ってくださったということでありますが、どのようなお年寄りのところに行かれて、どのような感想をお持ちになられましたでしょうか。

尾辻国務大臣 先日、先生のお勧めもいただきましたので、西副大臣とともにお二人の方の自宅に訪問をさせていただきまして、訪問介護をちょうど受けておられる状況を拝見させていただきました。一言で言いますと、大変有意義であったと感じております。

 まず、一人目の方は八十四歳の単身の女性の方でございまして、要支援の認定を受けておられます。買い物、掃除の訪問介護を週一回、一回当たり二時間という方でございます。それから、配食サービスを週二回利用しておられました。この方は大変お元気な方でありまして、御自身はもうそこまではと言っておられましたけれども、友人の方はまだ海外旅行をなさる方もおられる、それから傍らに英語の辞書が置いてあるような方でございました。本当にしっかりした、大変お元気な方でございました。

 それから、二人目の方は七十八歳の単身の女性でございました。この方も要支援の認定を受けておられました。ただ、要介護一から要支援の方に改善されたという方でありまして、お話を伺っておりましたら、この方も大変楽しい方でありまして、つい、掃除をしようと思って高いところに上っていたら、高いところへ上っているというのを忘れていたのよねと言って、おりるときに骨折してしまったと、笑いながらそんな話をしていただいた方なんですけれども、そんなことで、多分、一遍要介護一になられ、さらに今やまた元気になられて要支援の方に改善しておられる方だと思いました。この方は、買い物それから掃除、調理の訪問介護を週二回、これも一回当たり二時間という方であります。それから、配食サービスを週一回、こちらの方は配食サービスは週一回受けておられました。それから、骨折されたということなんだろうと思います、介護用ベッドの貸与も受けておられました。

 いろいろ感じたことはあるのですけれども、一つだけ申し上げますと、このうちのお一人の方、週一回買い物のサービスもしてもらっておられる。ホームヘルパーさんだけが買い物に行って帰ってこられるということでありましたから、そのことだけを見ると家事代行にも見えるのですが、ただその週一回の買い物で、あと残りの日は全部自分で調理しておられる。そういうふうに見ますと、その一回のことを家事代行とかなんとかという話ではないな、やはり全体を見てどういうふうに判断するかというのが必要なことなんだなということを、いろいろなことを感じたのですが、一つ申し上げるとそんなことも感じて帰ってまいりましたということを申し上げたいと存じます。

山井委員 行っていただき、ありがとうございます。そしてまた、今大臣がおっしゃったことというのはまさにそのとおりであって、週一回入ることによってその方の生活全体を支えられる面がある。冷蔵庫の中で、食事をちゃんと食べておられるのだろうかとか、しんどいところはないですかとか、そういうところも含めて、また顔色が悪いのじゃないかとか、いろいろなことで変化を事前に察知することができる、こういうのも予防効果であると思います。

 ただ、ちょっと気になったのが、非常にお元気そうな方ということを何度もおっしゃっておられたので、それが平均的な像かなという気が正直言っていたします。

 では、次にお伺いします。

 その方は、介護保険改正になると新予防給付の対象になるわけですが、どういうサービスを受けられるようになりますか。

尾辻国務大臣 今気になると言われたことの部分で申し上げたいと思います。私は帰りに、私の方が元気をもらって帰りますと申し上げたので、大変お元気そうでよかったなという思いがつい込められておりまして、決して他意があって何かそこの部分を強調したつもりも全くありませんで、皆さんお元気なことはいいなという、その思いを込めて申し上げただけのつもりでございます。

 今のことでありますけれども、先生にこれを申し上げるのは釈迦に説法みたいな感じになりますが、まず今回導入します新予防給付の基本的な私どもの考え方を改めて申し上げておきたい……(山井委員「余りそのあたりはいいですから」と呼ぶ)もういいですか……(山井委員「どんなサービスが受けられるかということを」と呼ぶ)

 そのことだけで言いますと、利用者の方の御本人の今持っておられる能力というのを最大限に生かすように、利用者も含め専門家がよく話し合いながら、その人の個別の状況に応じて最も適切なサービスを、その現場においてケアマネジメントを通じて提供するということでございますので、私も帰りに、現場にいろいろな人が行っておりましたから聞いたのですが、きょう受けておられるサービス、これが今度変化するのかと聞きましたら、一言で言うと、いや、変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります、こういうふうに現場で私も聞いて、答えを聞いたということだけを申し上げたいと存じます。

山井委員 これは割と重大な発言ですが、見直しにならない逆の根拠は何ですか。というのは、似たような方は全国に非常に多いと思うんですが、原則家事代行はやらないとか厚労省さんの文書には書いてあるのですけれども。

尾辻国務大臣 先ほどの御答弁の途中で申し上げましたけれども、現場において適切なケアマネジメントのもとサービスを提供されていた、この判断でございますから、私が見せていただいたというのは、極めて適切なサービスが行われている、それであれば今度の見直しで変える必要があるものではない、こういうことを言ったのだろうというふうに私は理解をいたしております。

山井委員 ということは、余り抽象的な話をしてもしようがありませんが、全国で今おっしゃったようにケアプランが適切に今までから立てられているというようなケースにおいては、新予防給付になってもサービスは基本的には変わらないということですか。

尾辻国務大臣 そこで、最初に言いかけたことを改めて言わせていただきたいと思います。

 今回導入する新予防給付の基本的な考え方でございますが、本人にできることは可能な限り自分でやってもらうというこの考え方が基本でございます。本人の生活能力を引き出すためのサービスを適切に組み合わせて、手助けをする場合もできる限り本人の持っておられる能力を生かす工夫をしながら行う、これが介護保険の基本理念でありますし、そうした自立支援を徹底するものである、この考え方であります。

 この考え方に照らすと、先ほど申し上げたような私が見せていただいたサービスというのはまさにそのとおりでありますから、何も変化するものではない、こういうことでございます。

山井委員 国会審議の中で私が大臣にホームヘルプの現状を見てきてくれとお願いした以上は、今の日本の現状の象徴的あるいは代表的なところを当然見に行ってもらったというふうに私は理解をしておりますが、ということは、日本全国のそういう今適正に行われている部分は新予防給付で変わらないと理解してよろしいですね。ちょっと確認しておきます。

尾辻国務大臣 私もできるだけ多くを見たいと思いましたし、また多くの現場の方の御意見も伺いたいと思いましたので、実は一昨日はホームヘルパーさんたち五ないし七人ぐらいの方に大臣室に来ていただきまして、一時間半ぐらいいろいろな現場の方のお話も伺いました。私が見せていただいたもの、これは二人だけでありますけれども、それだけのヘルパーさんたちが来られて、随分長い経験をお持ちの方々でありましたから、その方々のお話も伺いました。基本的には別に変化のあるものではないなというふうに思いました。私が現場で見せていただいたものと皆さんがおっしゃる話というのが変化するものではないなと思いましたということをまず申し上げたところであります。

 その上ででありますけれども、先ほど申し上げた基本的な考え方は全然変わらないわけでありますから、基本的な考え方に沿ってやらせていただく、それであれば今まで適切なサービスが行われてきたものが変化するものではない、こういうふうに考えるところであります。

山井委員 ところで、お伺いします。

 ということは、今日本全国で適切に行われていないケースは過半数なんですか、それとも一部なんですか、その現状認識はどうですか。ちょっと抽象的な話になりますが、大臣、お聞かせください。

尾辻国務大臣 それはまさに個別に判断するものでありますから、ここで私がその割合をと言われて一概にぱっと割合を言えるものではありませんけれども、もちろん適切でないものもあるからこの際そういうものを適切なものに変えるために見直そう、こういうことでございます。

山井委員 ということは、適切なところは今までどおりでいいのだったら、何でわざわざ新予防給付とかこんな大がかりな改革をするのということになってくるのですよ。適正じゃないところを一部ピンポイントで指導したらいいわけで、こんな根本的な改革をしなくていいわけですから。

 そこで、大臣、適切でない部分というのは、やはり適切でない部分が大部分だったら改革は必要ですよ。でも、一部だったらその一部だけを対象にしたらいいじゃないですか。というのは、適切なホームヘルプやケアマネをやって適切なホームヘルプを受けている人も、今現場はサービスがどう変わるのかといって強い不安に陥っているわけですよ。大臣、答弁をお願いします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 この五年間の実施を踏まえまして、今回の見直しにおきましては、先ほどから御議論のありますように、予防給付の対象者の見直し、軽度の人に対するサービスの見直し、それからケアマネジメントの見直しによる掘り起こしの防止と適切なケアプランを作成するという、この三つの大きな方向性を通じて制度全体を予防重視型へと転換する、こういうことでございまして、このことによってマネジメント等の徹底も図っていく、こういう大きな方向性を打ち出したところでございます。

山井委員 全然答弁になっていないんですよ。

 私が聞いているのは、適切でないケースが多いからこういう新予防給付をしたのかどうかということで、多くの場合適切でうまくいっているんだったら、こんな転換する必要ないと思うのですが、大臣、そこはどうなんですか。全国的に適切でないところの方が多いんですか、それとも適切でないところは一部なんですか。その現状認識によってこの法改正が必要かどうかというのは変わってくるんですから。どっちですか、それは。

尾辻国務大臣 これは御説明のときにいつも申し上げておりますけれども、軽度者の方の方が非常に急増しておる、人数がここでうんと大きくなっているというのは、これはもうそのとおりでございます。その人数が大きくなっている、ここの対策を早く手を打った方がいい、そういうのが考え方だと御理解いただければと思います。

 したがって、申し上げますと、軽度者が急速に増大をしておる、これはお認めいただけるとおりであります。一方で、その予防の効果が必ずしも上がっていないと……(山井委員「私の質問に答えてください」と呼ぶ)ですから、その軽度者の方の数が異様にふえておる、急増しておる、ここの軽度者の方の予防ということが必要であるということが、今回見直しを、今の部分の見直しを申し上げておる理由でございます。

山井委員 私はその質問はしていません。

 適切な場合はケアプランを見直されないと言うので、そういうケースは今の大部分なのか否かということを聞いているんですよ。不適切な場合は見直されるんですよね。だから、その不適切な場合が、今、全国の、日本の現状の大部分なのか一部なのか、その根本的な現状認識を聞いているわけです、大臣に。

尾辻国務大臣 そういう表現で、大部分か一部かということになりますと、大部分だとは考えておりませんから、その一方が一部だということで表現すれば、一部である、こういうことにはなります。

山井委員 私、これは根本的な今の答弁だと思うのです。では、今の現状の中で一部の不適切なケースがあるために全部の制度を変えるんですか。そういうことですか、大臣。

西副大臣 先生も御存じのように、今、マネジメントの部分で、特に、やはり九割方がサービス事業所併設の体制になっております。今回、そのことを改めまして、マネジメントをこの介護予防という形に徹底するために制度全体を変えていくということが、介護予防に関する部分の今回の改正の考え方ということになります。

山井委員 ちゃんと質問に答えてくださいよ。

 不適切な部分は一部だと言うから本当に一部ですかということを聞いているわけであって。大臣、ということは、一部不適切なものを変えるために根本的に百五十万人を新予防給付に変えるという大改革をするということになってしまうわけですよ。何で全体を変えるんですか。大部分の適切な部分は今のままでいいじゃないですか、そんな混乱させなくても。大臣、答弁お願いします。

尾辻国務大臣 介護保険法のこの五年間の実績を見ますと、再三申し上げておりますように、軽度の要介護者の増加が多い。これらの軽度者については、これもよく言われることでありますけれども、事業者により掘り起こしが行われているといったような声があります。あるいは、こうした軽度者の状態の特性を踏まえていない不適切なケアプランによりサービスが乱用されておるということも言われております。そういうことで、結果的に軽度者の予防が必ずしも上がっていないということが指摘をされておる。

 したがって、申し上げているのは、そういう不適切な例があります、その不適切な例がありますから、それは、今先生がおっしゃるように全体か一部かという話をすれば、全体的にとか、非常に多くの大部分がとかというふうには申し上げませんから、そういう表現ですれば一部という表現になりますけれども、一部にせよこういうことがある、その辺のことを見直さなきゃいけないでしょうということを申し上げておるわけであります。

 申し上げたように、まず軽度の要介護者の増加が非常に大きい、この大きな数の部分をどうしても着目せざるを得ないということにはなろうかと思います。

山井委員 全く理解できません。

 一部に不適切なケースがあるから、トータルの制度を根本的に組みかえる。そうしたら、多くの適切にやっているところは大迷惑じゃないですか、そんなことで制度を変えられたら。本当に全く私は理解はできません。

 それで、鹿児島のデータの話に行きます。

 これは一ページですね。資料をきょうはたくさん、こっちが一ページから十五ページ、A3の方が十六ページから十七ページとなっております。

 大臣は軽度者がふえているのが問題だとおっしゃいますが、でも、大臣はもう一方で、適切にほとんどの、多くのケアプランが行われていると言うのですから、別にそれは、保険制度である以上、適切な人が申し込んで適切なサービスを受けるというのは、これは一つの、ある意味で当然なことなわけですから、必要な人が受けることは私は当然オーケーだというふうに思っております。

 それで、もう一度、大臣、大事なことなので確認したいのですが、そうしたら、大部分の適切なケアプランは新予防給付に入っても変わらないということでよろしいですね。

尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、先ほど基本的な考え方を申し上げました。その考え方に沿う限りにおいて当然変化するものではない、こういうことでございます。

 したがって、先生がおっしゃっておられるように、適切なケアプランのもとに適切に行われてきたサービスが、これが変化するものではございません。

山井委員 まあ抽象的で、適切なケアプランで行われてきたものが変わるものではないということなんですが、私が心配するのは、適切なのは一割だったとか後で言われたら困りますからね。適切なものは、先ほどの大臣の答弁だと大部分ということでいいわけですね。大臣先ほどおっしゃったこと。

 その適切な部分はどれぐらいですか。もう一回、答弁お願いします。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、不適切なものが一部だという表現にさせていただいておりますから、それで御理解をいただきたいと存じます。

山井委員 改めて聞きます。

 ということは、不適切な部分が一部。不適切な部分が変わるということは、適切な、一部以外の残り大部分の方は変わらないということですね。

尾辻国務大臣 新予防給付におきましては、家事援助についても一律の利用を制限するものではなくて、自立支援の視点から見直すことを基本に置いておる。これは先ほど来申し上げておる基本の考え方でありますので、これを踏まえてそれぞれ個々の判断になるということではございます。

山井委員 いや、個々の判断ではなくて、先ほど、不適切な部分は直すけれども適切なケアプランは直さないということと、その不適切な部分は一部だとおっしゃったわけですから、適切な大部分の残りのケアプランは新予防給付に入っても変わらないということですね。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、新予防給付においては、各それぞれのケースについて判断をされるわけでございますけれども、家事援助の必要性につきましても個別に判断するということは、これはお答え申し上げておるとおりでございますから、最終的には個別に判断されるということを申し上げるところでございますが、その上で、必要ある場合には自立支援を推進する形で提供することになる。提供することになるということでございます。

山井委員 本当に全く理解はできません。繰り返しますが、一部不適切なケースがある、その一部のために根本的に制度を新予防給付につくりかえていく。それでヘルパーさんもケアマネさんも現場のお年寄りも、今大変不安になり、大混乱になっている、そういう状況。なぜ一部のために根本的に制度をつくりかえるのか、私にはわかりません。

 それでは、改めて確認しておきますが、ですから、大部分は適正に行われていて、その一部のためだけに今回の改正をやるという趣旨と受けとめました。

 それでは次に、この「かわらばん」ですね、前回の阿部議員が問題にされたものですけれども、訪問介護の利用回数が多くなるにつれ、要介護度が悪化するデータもということを、介護保険課、配っております。これは大臣のおひざ元の鹿児島のデータであります。昨日も質問取りのときに言いましたが、これは、本当にたくさん利用したら介護が悪化したと、大臣、読むんですか。というのが、この何回利用していますかという調査をやったすぐ後ぐらいに、これは認定の変化をやっているんですね。

 実は私、こだわりますのは、自分で言うのもなんですけれども、私、もともとは酵母菌の研究者だったんですよ。酵母菌の研究者だったんです、学生時代は。それで論文をたくさん書いていたんです、対照実験をやって。ですから、データの見方というのは多少こだわりがあるんですよ。このデータをどう分析するかというと、ああ、要支援、要介護一の人の中でも重い人と軽い人がいて、重い人はたくさん利用していたんだな、その人は当然次の認定を受けたら介護度は悪化するわなと、それだけの話なんですよ。それが、なぜ因果関係が逆転して、利用回数が多くなったら悪化する、こう書くんですか。症状が悪化したからたくさん利用したということじゃないんですか。

 これは、きのうの質問取りのときに鹿児島県にも確認してくださいと言いましたが、そこまできっちり調査をされているんですか。

尾辻国務大臣 今お話しいただいておりますデータでございますけれども、これは鹿児島県が平成十五年度に行ったケアプランチェック体制整備事業報告書でございます。その報告書の中に出てくるものでございます。

 その報告書で何て書いているかというと、これは報告書で書いているということをまず申し上げるんですが……(山井委員「それはもういいです、読みましたから。厚生省の判断を聞いているんです」と呼ぶ)まずそこのところだけはお聞きをいただきたいと思いますけれども、報告書で……(山井委員「それはもういいです、いいです。時間のむだですからいいです。いや、厚生省の判断を聞いているんです」と呼ぶ)ですから、これは鹿児島の、念のためやはり読ませていただきますけれども、要介護度が要支援、要介護一のものに限って見ると、訪問介護の利用回数が多い者ほど要介護度が悪化する傾向が見られると鹿児島県が分析をした、その鹿児島県が分析をしたものを御紹介申し上げているということでございます。基本的にそういうことでございます。

 ですから、要支援、要介護一といった軽度の方については、訪問介護利用回数が多いほど要介護度が悪化する傾向が見られたが、要介護二から要介護五までの中重度の方については、訪問介護利用回数と要介護度の変化について、要支援、要介護一の軽度の方のような明確な関係は見られなかったということを述べておるところでございます。

 これが、報告書にそう書いてあるということを御紹介申し上げておるということでございます。

山井委員 私の質問にもう一度答えていただきたい。厚労省は、そしてこのデータをどう分析しておられますか。

尾辻国務大臣 当然、鹿児島のそういう分析を御紹介申し上げておるわけでございますから、厚労省としても、その分析に一理ある、必ずしも間違った分析ではない、こう判断いたしましたので御紹介申し上げた、こういうことでございます。

山井委員 ということは、この「かわらばん」に書いてあるように、保険給付は軽度認定者にどのような効果をもたらしているかということは、大臣、改めて聞きますが、これは訪問介護の利用が悪化を促進したというふうに理解しているんですか。どう解釈しているんですか、厚生省としては。

尾辻国務大臣 鹿児島県の分析が、先ほど申し上げましたように、訪問介護の利用回数が多い者ほど要介護度が悪化する傾向が見られるという分析でございますから、私どもも、そういう分析がある、またそういう分析の仕方に一理あるというふうに考えておるところでございます。

山井委員 これは解釈の違いになるかもしれませんが、はっきり申し上げたいけれども、このデータではそんなことは言えません。そこまで言うんだったら、もっときっちり調べるべきです。例えば、要支援の人で二十九回以上利用している人が二人なんですよ。本当にそこまでおっしゃるんだったら、その二人に聞いたらいいじゃないですか、むだで使っているのか、それとも、本当に困って、前回の認定から重くなって使っているのか。全国に配る以上は、それぐらいのことをきっちりすべきですよ。エビデンスが全然不十分じゃないですか。

 では、その次の十六ページ、これも前回、阿部議員と山口議員が御指摘されたことですけれども、もう一つ、日医総研の島根のデータであります。これは前回も質問になったので、覚えておられると思いますが、軽度者の状況、右の方ですね、重度化が要支援、要介護一の順番に多いというデータを配っておられます。先日の民主党の部会でもこれを配られました。それで、要支援と要介護一は効果が出ていないというような趣旨の話でありました。ここに書いてあるとおりです。

 ところが、先日も同僚議員から指摘があったように、全国の介護給付費実態調査を見てみると、大臣、見てください、要介護一では現状維持が七四・八%、要介護五の次に高いんですよ。悪化も一八%と低いんです。全国調査を見れば、改善度が、悪化が多いのは、要支援と要介護二と要介護三と要介護四の方が要介護一より高いんですよ。もしこの二〇〇三年の介護給付費実態調査からすると、要支援、要介護一の現状のサービスが効果的でないということは言えないわけなんですよ。

 なぜ、尾辻大臣、こっちの全国的な調査を配らずに、ごく一部の調査を配っておられるんですか。それと、かつ、死亡の黒いところを入れると、結局、この死亡も悪化の一つの形態だとも考えられるわけですから、そう考えてみると、必ずしも軽度者の方が重度化が多いとは言えないわけなんですね。これも、普通の研究者が見たらこんな結論は出てこないわけなんです。

 大臣、この二〇〇三年度の調査から、軽度者のサービスは改善に役立っていないと言えますか、この調査から。見てください、この調査から。

尾辻国務大臣 先日も御指摘いただきましたので、私も、この両方のデータをどう見るかということで、改めて聞いてみました。そこで、そのことをまず申し上げるわけでありますが、この先生がお示しいただいております十六ページの資料でいいますと右と左になっておりますから、右、左という言い方で言わせていただきます。

 まず、右の方の調査でございますけれども、これは、確かに、介護保険法が施行された割と早い時期に、一体どうなっているんだろうということでデータをとられたものでございます。ただ、このデータ、まず人数が七千八百七十八人という非常に多くの方を対象としておられる。それから、二年にわたって一定地域をきっちり調査されたという意味で、この調査はそれなりの意味があるだろう、それなりのというか、結構大きな意味のある数字を示しておるというふうに思います。

 左右の関係でありますけれども、左の方は一年の変化でありますから、一年の変化と二年の変化、これは当然違いが生じます。大きく言いますと、大体、要支援者の数が、私が見ましたのは、維持の方が約七割でありますので、その七割の方が二年目にまた七割になるということは、〇・七掛ける〇・七で〇・四九ぐらい。この左側の数字と右の数字というのはそういう意味で余り変わりがないというふうに判断をいたしまして、この右の方の数字といいますかデータを使うことも、申し上げたように、意味があるというふうに判断したところでございます。

 それで、死亡のことも言われましたけれども、死亡の原因というのはさまざまでございますから、一概に要介護度の悪化というふうに死亡をとるということはできないと考えておりますので、右の方のこのデータを使うことは、何回も申し上げておりますけれども、意味のあるデータとして使われるものだというふうに理解をいたしております。

山井委員 私の質問にちゃんと答えてほしいんですが、私が聞いているのは、こちらの全国調査では、要介護一は維持が七四・八%、悪化は一八%ということで、この全国調査からは要介護一のサービスの効果が上がっていないと判断できるかということを聞いているんです。大臣、お願いします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 このデータ、先ほど先生御指摘になりましたけれども、普通のトレンドからいくと、要支援、要介護一といった方々は、適切なサービスを利用することによって状態の維持、改善の可能性が一般的には高いというふうに私ども考えておりまして、それにもかかわらず、他の要介護度と同程度に実際の改善度が低くなっているということがこのデータを見てはっきりするんだというふうに考えているところでございます。

山井委員 このグラフを見て答弁しているんですか。維持が七四・八%で、悪化は二や三や要支援より低いじゃないですか。同程度じゃ全然ないじゃないですか。

西副大臣 黒いところ、一八のところですが、改善度が低いということそのものが、やはり我々の課題の一つだというふうに考えているということでございます。

山井委員 でも、これは悪化は低いし、現状維持は多いんですから、そんな偏った物の見方をしてもらったら困りますよ。それによって政策判断が動いているんですから。

 大臣、もう一回お聞きしますが、この二〇〇三年の表から見て、要介護一の今のサービスが効果的でないと本当に言えるんですか、二〇〇三年のこのデータから。効果的じゃないから新予防給付と今回おっしゃっておられるわけですからね。その現状認識として、大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 この要支援とか要介護の方というのは、これは申し上げるまでもないわけでありますが、まさに軽度の方でありますから、改善をもっと大きくしてもいい、そういう数字を示してもいいというふうに私ども思っておりますから、その期待される数字からすると、今現状で示されている数字というのは低いという判断でありまして、したがって、ここに力を入れよう、こういうことでございます。

山井委員 今、いい答弁をいただきました。期待される数字とはどの程度の数字ですか。それを出してください。どれぐらいだったら十分なんですか、これが低いというのなら。

西副大臣 指標といたしましては、要介護度が改善するということでございます。

山井委員 期待された数値より低いと言っているんですけれども、期待されている数値というのはどれぐらいなわけですか、効果の。

尾辻国務大臣 今お尋ねいただいて、すっと期待される数字がこのぐらいですというふうには申し上げられませんけれども、ただ、こうした数字というのは少なくとももっと高くあるべきだというふうに考えておるというお答えを申し上げます。

山井委員 そういうのは政策を決めるときの答弁じゃないんですよ、もっと高くあるべきだとか。

 改めて聞きます。では、本当に政策を決断するならば、同じような要介護一の人に対して、ほかの厚労省がおっしゃる予防対策をやってみてこれぐらいの数値が出た、それと比べて差があったら有意な差なんですけれども、そういうモデル事業はやっておられるんですか。

尾辻国務大臣 今お尋ねのことにきっちりしたモデル事業であるかどうかは別といたしまして、今度新しくやります、やろうとしておりますサービスについてのモデル事業は当然やっておるところでございます。ですから、よく言われる、筋トレ筋トレとか言われますけれども、ああしたこと、それから口腔ケアの部分だとか、そうしたモデル事業はいたしております。

山井委員 大臣、これは百五十万人の人の生活を変えるんですよ。相当きっちりやらないとだめですよ。

 今、筋トレの実験とかいろいろやっているとおっしゃいましたけれども、それはこれから質問しますが、公募でやったり、やっている対象がかなり違うんですよ。違う人をやって比較しても、そういうのは研究にならないんですよ。正確なデータにならないんですよ。

 では、そうしたら、そちらが介護予防のことをおっしゃいましたので、介護予防の話に行きたいと思いますが、要支援、要介護一の人のうち何%に筋力トレーニングやマシンによる筋力トレーニングが有効と考えておられるんですか。まさに今大臣が筋力トレーニングとかそういうのがあるとおっしゃいましたので、では、どれぐらいの人に有効なんですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 新予防給付の対象である要支援者、これは、現行の要支援者はすべてでございます。及び要介護の一の方の七、八割程度という方が該当するというふうに考えているところでございます。

 一方、この要支援者のサービスの内容につきましては、それぞれの個人の特性に応じたマネジメントを通じて、現場において多様なサービスの組み合わせでもって決定されるということでございますので、特定のサービスの対象者がどの程度になるかということにつきましては、我々政府として申し上げるということは難しいというふうに考えているところでございます。

山井委員 一つここにデータがありますが、お配りした五ページ。大田原市では、要支援、要介護一の認定者数五百九十三人の中から、マシンを使った筋力トレーニングが効果的じゃないかという人を当然その筋トレをやる前に絞っていったら、六十三人、一四%だったわけですね。

 でも、尾辻大臣、おかしいじゃないですか。先ほど、介護予防をやったらもっと効果が出るはずだと言った割には、では筋力トレーニングや筋力トレーニングマシンが要介護一の人のうちのどれぐらいに適応するんですかと聞いたら、そんなことはわかりませんと。では、これは、筋力トレーニングマシン以外、筋トレ以外でどういう予防があるんですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 もちろん、筋力トレーニング、器械によるトレーニングもあるんですが、弾力のあるバンド、ゴム、それからダンベル……(山井委員「これですね。持ってきたんですよ、きょう」と呼ぶ)はい。持ってきていただいておりますが。それから、歩行と体操をする、また有酸素運動を繰り返す、そんなさまざまなトレーニングが考えられます。

 先生たくさん持ってきていらっしゃるようですが、そういうさまざまな手段を使ってトレーニングをするというのが運動器による機能の向上という分野の考え方でございます。

山井委員 例えば、このバンドも買ってきましたが、やっておられるのは筋肉隆々とした男性の人ですよ、言っておきますが。

 それと、このセラバンドとかダンベル、今マシンじゃなかったらセラバンドとかダンベルとおっしゃいましたが、その国内のエビデンスというのはあるんですか。セラバンドとダンベルをやって国内で効果が出たというエビデンス。あと、太極拳もですね。太極拳もそちらがおっしゃっていたので、エビデンスはあるんですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 セラバンドの効果につきましては、国内的には結果はございません。ただ、海外ではそういう事例もあるというふうに聞いております。

山井委員 大臣、よく考えてくださいよ。

 先ほど、今までの在宅サービスが効果がない、筋トレとか予防をやったらもっと効果がある、期待される数値が出ていないと言っておきながら、では筋トレマシンはどれぐらいのパーセンテージの人ができるんですかといったら、わかりませんと。それ以外にセラバンドや太極拳やダンベルがあるというので聞いてみたら、国内では効果は検証されていないと。

 私、ここに厚生労働省からもらったデータがありますよ。ダンベルに関してはアメリカの高齢者ですね。何で日本で検証して効果を出さないんですか。検証不十分じゃないですか。それと、アメリカのお年寄りが太極拳をやって効果が出たというのも、厚労省が出してきている資料は地域の健康な高齢者じゃないですか。そんな人の外国のエビデンスを持ってきて、日本で効果があるというのは余りにもずさんではないですか。

 そういう意味でお聞きしますが、これは本当に、ここに、運動器の機能向上、マシントレーニングは何%の人に効果があるかわからないと先ほど西副大臣言われましたが、弾力あるバンド、ダンベルも国内でエビデンスなし、効果はわからないわけですよね。

 そうしたら、お聞きしたいと思います。例えば、やる気のない人にこういう筋力トレーニングなどを誘導した場合と希望者の場合の効果の違いというのは検証されているのか。

 また、握力や歩くスピードだけでなく、肝心の生活能力や家事能力がこういう筋力トレーニングで向上しているかどうか、検証はされていますか。

西副大臣 やる気がある人とやる気のない人というお話でございました。

 基本的に、介護予防につきましては、これは利用者御自身の自立に向けた積極的な取り組みがなければ機能しないということでございますので、まず基本的には利用者本人の主体的な取り組み、これが前提だというふうに考えております。したがいまして、本人の意思に反してサービスが強制されるというようなことはもちろんないわけですが、現場においては、専門職の方がケアマネジメント等を通じて利用者に意欲を持ってもらって、そのことによってやっていくということでございます。

山井委員 ちょっと、副大臣、私は二つ質問しているのに、二つとも答えずにほかのことを答弁しているじゃないですか。ちゃんと答えてください。違うことを答えたら時計とめてもらいますよ、そんなの。

西副大臣 運動器の機能向上の効果につきましては、握力それから歩行速度といった指標以外にも、市町村における事業、国内外における研究によって、入浴、食事等を初めとした日常生活の動作に関する指標、それから生活の質に関する指標等でも検証がなされておりまして、これらの指標においても有効性は認められているというところでございます。

山井委員 そのデータをぜひ委員会に出してください。

 この八ページに、先日の二十八日、「市町村モデル事業支援小委員会での主な意見」がありました。そこでどんなことが言われているか。ここ八ページから黒線を引いてあるところを言います。全市町村で介護予防をやる場合、皆出席の高齢者ばかりとは限らない、これはこういうことをどうするのか。それと、マシンを用いた場合と用いない場合とに分けてどうなのか、また握力や十メートル歩行速度、血清アルブミン値といった指標だけでなく個々の高齢者の生活機能がどう改善したかというのを調査したらどうか、保健部局による公募よりも、やはりやる気のある人だけじゃなくて一般の人にも声はかけるべきじゃないかということが問題になっているわけですね。

 要は、今、副大臣、そこを検証されていると答弁されましたが、今この会議ではそういうところがわからないという議論が実はなされているんですよ。本当に責任を持ってエビデンスがあると断言できるんですか、先ほど言ったことを。エビデンスはもうあるんですか。

尾辻国務大臣 個々の話は今いろいろ出ておりますけれども、まず大きく言いますと、こうしたことに対するエビデンスがあるかないかということでございますが、ある方がお書きになった論文の中にいろいろ書いてありまして、そういったことをやって何が変わったかというと、全体的健康観が、これは五四・四%から六六・四に二二%改善した。(山井委員「そういうのはエビデンスと言わないんですよ。個人的な感想ですよ、そんなものは。大臣、もういいですよ、それなら」と呼ぶ)いや、これはやはりエビデンスだと思います。ちゃんと書いてあるわけでありますから。

 そして、こうした、いろいろ書いてあるんですが、この論文の中の一部を読ませていただきますと、

  岩手県のある小さな町で運動トレーニングをした際、二年前にご主人に先立たれた八十二歳の女性が、半年間のトレーニングを終え、終業式で挨拶し、「浮き沈み 八十路の坂を登り来て 光り見出し生きる喜び」という歌をよまれた。八十を過ぎた方が筋トレをやって良かった、これで人生変わったということを言ってくださった。

ということも記述されております。こうしたことがエビデンスだというふうに考えます。

山井委員 大臣、そのお年寄りの話がエビデンスと言われると、私もうひっくり返ってしまいます。そういうのはエビデンスとは言いません。効果がある人もいるでしょう。でも、政策を判断するためには、何人のうち何人がそういう効果があって、何カ月持続されているかということです。

 では、この効果、マシントレーニングは三カ月なんですけれども、三カ月目以降はどうなっていますか。そちらのデータを見ると、資料についておりますこれ、十三ページ、そちらから昨日回答をいただきました。筋力トレーニングを中心とした予防に、長期的な効果について科学的な根拠があると。

 世田谷区、三カ月終わってからも四〇%が体操などを続けていた、こういうのを科学的根拠というんですか、それで効果が上がっているかどうか。そんなことを言い出したら、グラウンドゴルフをしている人がずっと健康になっているという話も出てくるわけですし、おまけに、この世田谷区の例は健康な高齢者をもともと調査しているケースですよ。今回の新予防給付とは話が違いますし、エビデンスというのは、この方々が三カ月の訓練を終わった後、半年後、一年後、生活能力がどう向上しているか、要介護度がどう向上しているかまでいかないとだめなのに、体操を続けていたなんて、こういうのは科学的根拠と言わないわけです。

 次の川崎市も、約七〇%の事業卒業生が三カ月の筋トレ後も自主トレに参加している。でも、この川崎市も公募の方ですよ、もともとされているのは。やる気のある方です。聞くところによると、広報で集まった方がやっていて、回数を重ねているだけに、今回は七十人の定員に対して応募は四十人にとどまったと。つまり、もう、公募でやったら集まる人が少なくなってしまった。

 でも、大臣、わかってほしいのは、新予防給付で皆さんが予防に誘導しようとする人は、こんなやる気満々の人じゃないわけですよ。効果が出るかどうかもわからないわけですね。

 それと、もう一つ行きます。この十七ページ、A3の二枚目です。この日医総研のデータによると、大臣、よく見てくださいよ、「階段を二階まであがれますか?」初回三三%、三カ月パワーリハビリをやったら五八・三%まで行ったけれども、また卒業後二カ月たったら二五%、つまり初回よりも悪化している。これは、全体的な傾向を見たら、終了時にはよくなるけれども、その後は悪くなっているわけですね。それで、ここにも書いてあるんです、上に。「パワーリハ終了後の日常生活状況をみると、経過した期間によらず、ほぼ全ての項目について、一度改善した機能が再び低下していた。」

 大臣、例えば筋力トレーニングで三カ月後どれだけ効果が継続できているかという調査は、しっかりそちらでされているんですか。

西副大臣 委員御指摘のように、終了時しばらくすると若干悪化するということは、このグラフのとおりだと思います。それは一般的にはそういうことだと思います。(山井委員「そうでしょう」と呼ぶ)ええ。だから、我々はこれから、要するにこの効果の維持のために、これをフォローアップするために、地域支援事業等とかそういう形で地域で支え合っていくということを、今回介護の中で考えているということでございます。

山井委員 今の答弁を聞いていたら、まだどうやってその効果を持続できるかもわかっていないわけですね。最初の島根県のデータの話と違うじゃないですか。最初のときには、予防サービスをやったらもっと効果が上がるはずだと言ったけれども、質問していったら、予防もまだどれほど効果があるのか全然わかっていないじゃないですか。

 全国のモデル事業、今上がってきていると思いますが、十六年度のモデル事業の報告書、いつ委員会に出してもらえるんですか。それを見て審議したいと思いますが、大臣。

尾辻国務大臣 今行っております市町村モデル事業の結果の報告についてでございますけれども、モデル事業実施市町村は、事業終了後に各市町村において介護予防重点推進・評価委員会を開催いたしまして、モデル事業の評価を行った上で、事業実績報告書を作成して国に提出することになっております。

 この実際の提出時期につきましては、こういった市町村の作業の進捗状況によるものでありますから、進捗状況次第でありますので、今、いつだと言われて明確な時期は申し上げることはできませんけれども、各市町村に対して本年四月十一日までに事業実績報告書の提出をお願いしておるところでございますから、その報告が上がってき次第できるだけ速やかに御報告を申し上げたいと存じます。

山井委員 今、法案審議が既にスタートしているんです。本来だったら、そういう資料を見た上で法案審議をしないとだめなんですけれども、いつですか、明確に答えてください、それは。

尾辻国務大臣 まず、委員会審議との関係で申し上げますと、今お願いしておりますのは、法律としての一番の骨格の部分を御審議いただいておるわけでございます。そしてその考え方は再三にわたってお示しをいたしております。

 また、いろいろな今考えておるサービスについても、効果が上がるということは、これは先生も否定なさらないものだろうというふうに思います。

 ただ、個々にどういうことをやろうかという話でありますと、これは十八年四月からの話でございますから、今それに向けてモデル事業をやっていただいておる。そのモデル事業の結果が上がってきたら報告を申し上げます。(山井委員「いつ出すんですか、それは。いつですか」と呼ぶ)ですから、これは十八年四月に向けてのものでありますから、さっき法案審議との関係をおっしゃったのであえてこんな話をさせていただいておるところでありますが、報告そのものは、上がってき次第直ちに報告をさせていただきます。

山井委員 いつ出すか明確に答えてください。私、次の質問できませんよ、そのデータがいつ出るかということがないと。今質問しても全然明確な答弁が返ってきていないじゃないですか。いつその資料を出すのか、明確に答弁してください。

尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、データが上がってまいりまして、その解析の時間も必要でございますから、そういうことをしました後でできるだけ早くということしか今申し上げるわけにはいきません。(山井委員「だめです、明確に答えてください、いつか答えてください。これ以上質問できません。今審議やっているんですよ。そのモデル事業のデータが出ないというのはどういうことですか」と呼ぶ)

 そこで、先ほど申し上げましたけれども、この具体的な事業の実施というのは十八年四月でございます。それに向けての、私どもは、モデル事業として各市町村にお願いをしている、データをとろうとしておるわけでございますから、今日の国会審議との関係でいうとそういうことになろうかというふうに思います。今、それがなければとおっしゃることについて、私どもの考え方を申し上げたところでございます。(山井委員「もういいです、いいです。ちょっと理事、とめてください。だめですよ、こんなの。今審議をやっているんですから。一番もとになる資料じゃないですか」と呼ぶ)

鴨下委員長 西厚生労働副大臣。(山井委員「日付を答えるんじゃなかったらだめですよ。言いわけはいいですよ」と呼ぶ)

西副大臣 市町村モデル事業、今お尋ねの件でございますが、これは一定の有効性があるということを前提に、実施に当たっての課題を、今、主に明らかにしようとしているものでございます。(山井委員「だから、その前提がないんだから」と呼ぶ)そういう意味で、報告書についてはできる限り早く取りまとめてお渡しをしたいというふうに思っております。(山井委員「だめです。明確に答えてくださいよ。審議やっているんですから、今。一カ月前から言っているでしょう、準備しておいてくださいと。質問できません。あと、定数割れていますから、今ちょっとストップしてください。休憩にしてください。定数割れています。与党が全然いないじゃないですか。ちょっと早くとめてくださいよ、時計を。割れていますから、まずは休憩にしてください。委員長、定数割れていますから」と呼ぶ)

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、市町村に私どもが求めておりますのは四月の十一日まででございますから、それから上がってくるわけでございますので……(山井委員「だめです、明確に言ってください」と呼ぶ)その後できるだけ早くということで申し上げたいと存じます。(山井委員「審議の前提ですよ、それは」と呼ぶ)

鴨下委員長 山井君、質問を継続してください。(山井委員「答えてください、日付を。何で答えられないんですか。こっちも必死に審議をやっているんでしょう。何でデータを出さないんですか。年金審議の出生率のデータと一緒じゃないですか。審議中に出すのは当たり前でしょう。審議が終わってから出てきてどうするんですか、そんなもの」と呼ぶ)

西副大臣 お答えを申し上げます。

 既に、介護予防の有効性に関する取り組み、今までまとまった分につきましては、この冊子でございますが、民主党の先生方にもお配りをさせていただいているというふうにお聞きをしております。

 さらに、今回の市町村モデル事業につきましては、先ほどのこの報告書、一定の有効性を前提に、実施に当たってどのような課題があるかということについて、今明らかにしようとしているところでございまして、市町村の取りまとめ作業、十一日ということでお願いをしておりますが、上がってきましたら、できるだけ早く取りまとめて御報告をさせていただきます。

山井委員 大臣に聞きます。採決の前に出すんですね。

尾辻国務大臣 いつ採決になるか私も存じておりませんので、その日付との関係については私から申し上げられませんけれども、再三申し上げておりますように、四月の十一日までに市町村に出してくれるように言っておりますし、それが上がってきて解析をして、直ちにお出しをいたしますということをお答え申し上げているところでございます。

山井委員 もう一つお聞きします。

 今のデータが出せなければ、当然これは審議はできないと私は思います。介護予防の先ほどの効果の答えも全然不十分じゃないですか。長期的な効果も、何割ぐらいの人に効果があるのかもわからない。

 それで、そのことに関して、先日、介護予防サービス評価委員会がありました。その中で、私も参加をしましたが、話を聞いて驚きました。

 例えば、委員からはどんな声が出てきたか。きょうの話を聞いていると、介護予防が心配になってきたということが介護予防サービス評価検討委員会で出てきていました。事業報告書もできていない、課題と分析がまだなされていませんということも出ておりました。また、今までのサービスを制限するならば、絶対にそのことに関するモデル事業をやって、制限しても大丈夫かということを調べないとだめだという意見も出ておりました。また、委員からは、マシンに適応になる人、不必要な人、やってはならない人の仕分けをしないとだめだという声も出ておりました。

 それで、最後に委員長からこういうのがありました。最後に厚生労働省にお願いがある、十七年度のモデル事業は終わったが、単品サービスを六カ月やって効果があるのは当たり前、これからモデル事業でやってほしいのは、半年後、一年後、その高齢者がどうなったか、維持できているかどうかを調査してほしい。つまり、維持できるかどうかというのもまだわかっていないわけですよ。そういう状況でこういう法案を出してきているんですか。

 この第一回の議事録、介護予防サービス評価検討会の第一回の議事録、去年八月に行われたもの、第二回十二月、そして第三回のことしの三月の末の議事録、まだ出てきていませんが、議事録、すぐに出してください。お願いしているんですけれども、出てこないんです。大臣、出してください。

尾辻国務大臣 お話しの介護予防サービス評価研究委員会の議事については、これは公開で行われております。したがって、公開ですから皆さんもよく御承知の中身であります。そうしたこともありまして、議事録についてはこれまで作成をしてきておりません。

 ただ、委員会の委員に対して内容の確認を行いまして、一定程度のお時間をいただきますと、これは作成をいたします。

 今つくってはおりませんが、委員にそれぞれ確認をした上で、その間の時間さえいただければ、議事録については作成をしてお出しをいたしたいと存じます。

山井委員 いつ出すんですか。去年八月にやっているんですよ、これは。審議のときにそれぐらい出してくださいよ、前からお願いしているんですから。

尾辻国務大臣 先ほども申し上げましたように、公開でなされておるものでありますから、皆さんも全部御存じでありますので、委員の皆さんも確認をするだけで何かおっしゃるものではないと思いますので、一週間程度の時間をいただきたいと存じます。

山井委員 来週木曜日までということでいいですか。来週金曜日、またこれ使いますので。(発言する者あり)来週水曜日まで。来週水曜日の理事会までにお願いします。

尾辻国務大臣 それでは、来週水曜日までにお出しをいたします。

山井委員 それで、こういう状況を聞いていると、本当に、まだまだ明らかになっていないことが多過ぎるわけですね。

 これはちょっと、定数割れているんじゃないですか。確認してください。与党はどうなっているんですか。ちょっと委員長、とめてくださいよ。

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 山井君。

山井委員 それと、そうしたらもう一つ、今の資料請求に続きまして、三月二十八日にも行われておりますので、三月二十八日にあった小委員会、ここに支援小委員会の議事録も出していただきたいと思います。大臣、これも質問通告でお願いしている件です。来週水曜日までで。

尾辻国務大臣 今、小委員会のお話でありますが、小委員会の委員の皆さんに対しては、こちらは自由討議の場として非公開で行っております。また、したがって、議事録という形は一切とっておりません。したがって、議事要旨という形しかございませんことを御理解いただきたいと存じます。

山井委員 では、要旨をいただきます。

 時間も迫ってまいりましたが、きょう質問させていただいて、私、改めて驚いたことと確認できたことがあります。

 一つ驚いたことは、大臣は、適正なサービスに関しては新予防給付でも変わらない、そして不適正な部分だけがサービスが変わる、不適正な部分は一部であるということをおっしゃいました。ということは、その一部を適正化するために新予防給付にしたということですけれども、それでは大部分の今適正にやっている方は大きな迷惑以外の何物でもありません。これだけの新予防給付という改正を出す根拠には全くなっていない。

 それと二点目は、二〇〇三年の全国の介護給付費調査でもありますように、この全国調査からは、要介護一の人のサービスの効果が上がっていない、そういうふうには全く読めません。厚労省は、要支援と要介護一のサービスの効果が上がっていないと言っておりますけれども、この二〇〇三年の全国調査からはそういうふうには読めません。

 また、先ほど大臣は、期待された効果が上がっていないということを言われましたけれども、期待された効果は何かと聞くと、筋トレなどの予防事業をやったらもっと効果が出るだろうと。でも、先ほども私が聞いて明らかになったように、三カ月筋トレをやった後、効果が続くかどうかもまだ検証はされていないわけじゃないですか。先ほどの検討委員会でも出ているように、歩く速度や握力はアップするけれども、生活能力が向上するかどうかもこれから検討しようと。

 大臣、私、不思議なのは、これだけ有効性もエビデンスもなくて、よくこんな思い切った大改革をされるなと思うんですね。かつ、家事援助を制限していく。それによってお年寄りがどれだけ弱るか。介護予防訪問介護とはどんなサービスですかと聞いても、これから検討する。介護予防通所介護とはどんなのですかと言っても、これから検討する。大臣が効果があるはずと言っているサービスの内容はまだ決まっていないんですよ。フィクションなんですよ、フィクション。大臣、介護予防訪問介護を全国でやっている自治体はあるんですか、モデル事業などは。

尾辻国務大臣 これも先ほど来申し上げておりますように、今適正に行われているサービスを変えようというものでも全くありませんので、そしてまた、それを今後はできなくなるようなことにしようということでもありませんので、今適正に行われているようなサービスについて、それからまたそうした具体的な事業について、何か私どもが今モデル事業で改めての調査をするということではありません。

山井委員 ということは、介護予防訪問介護というのは、今受けている訪問介護とおおむね同じと考えていいわけですね、適切にやられているわけですから。

尾辻国務大臣 本当にそのサービスが必要な方に行われておるということであれば、それはそのとおりでございます。

山井委員 改めて聞きますが、そうしたら、適切に行われているケースは日本で多いわけですが、何でこんな新予防給付で全体的に制度を変えるんですか。大部分の適切にやっている人にとっては迷惑な話じゃないですか、大臣。

尾辻国務大臣 ですから、今回申し上げておりますのは考え方の基本的なことを申し上げているところでございまして、要するに予防ということに改めて着目しようということを申し上げておる。

 それで、では、なぜその予防ということに着目することになるのかと言われますと、まず軽度の方々のところの人数が大変ふえている。これは、この五年間で極めて大きく膨れたということは皆さん御存じのとおりでありますから、まずそこのところに着目して予防ということを改めて見直しの考え方の中に入れた、こういうことでございます。

山井委員 これは、読売新聞の調査の資料を一番最後に上げさせてもらいましたが、この中でも、特に充実させてほしいサービスのトップがホームヘルパーなんですね。それと、その前の十四ページ、老施協のアンケート、介護予防に積極的な利用者はわずか七%、最も多かったのは、現在のサービスが利用できなくなるのは絶対に困るというのが七九%。

 要は、今回の改革はどこの声を受けてやっているわけですか。利用者は今までのサービスを受け続けたい、それで介護予防というのは、なかなか筋トレも苦手だなと思っている人が多いわけですね。にもかかわらずこういうことをやろうとする理由がわからないわけです。大部分は適正にされているんだったら、それでマイナーチェンジでいいわけですね。

 先ほど、こういう介護予防が行われているケースがあるとおっしゃいましたけれども、行われていたらそれでいいじゃないですか、うまくいっているケースがたくさんあるんだったら。なぜこんな大改革をせねばならないのかが私には一向にわからないわけです。それに、かつ、必要なエビデンスデータもないわけですね。

 新予防給付、そちらが考えている新予防給付のモデル事業をやってみて、今やっているサービスとどれだけ差が出るか比べるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 今回の見直しにおきましては、予防給付の対象者の見直し、軽度者に対するサービスの見直し、ケアマネジメントの見直しによる掘り起こしの防止と適切なケアプランの作成、こうしたことを見直しの基本に据えまして、制度全体を予防重視型へと転換することを通じてマネジメントの徹底を図ることとしておる、こういうことでございます。

 したがって、今までのサービスの質の見直しをするということと今までになかった新しいサービスを取り込むという二つの点で見直しをする、こういうことでございます。

山井委員 質問に答えていただきたいんですけれども、大臣、モデル事業もせずに、なぜ新予防給付でやった方が効果が出ると言えるんですか。モデル事業をやって比較しないとわからないんじゃないですか。

 大臣、先ほど、期待された効果が出ていないとおっしゃっているんだったら、一度どこかの地域で、あるいはどこかの地区で、新予防給付と同じことをやってみたらいいじゃないですか。それで効果が出たら全国に広げたらいいと思います。いかがですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 新予防給付が導入されていない現時点において、従来のサービスにかわって新しいサービスのみを利用する場合と従来どおりのサービスを利用する場合を比較したらというお話でございますが、厳密な比較検証を試みるということは、一般的には極めて困難ではないかというふうに考えております。

 なお、介護予防の先進的な取り組みを行っているところで知られている品川区につきましては、実は、大臣と行ったところもこの二カ所だったんですが、被保険者に対する要支援、要介護認定者の割合を検証いたしましたところ、要支援については東京二十三区や全国の平均を上回っている一方で、要介護一から五についてはいずれも下回っているということで、重度の人が比較的少数にとどまっているという傾向が見られるということでございました。

山井委員 そういうのはまだモデル事業と言わないでしょう。品川区のみんなのお年寄りが新予防給付と同じように在宅サービスを見直しているんですか。全然見直していないじゃないですか。

 それで、ほぼ自立しているというふうにそちらの資料では出ております、要介護一、要支援という人が。これについては次の機会にまた質問をしたいと思いますが、最後に資料の三ページ、見ていただけますか。厚労省さんの資料では、軽度者は身辺はほぼ自立しているというふうに書いてあります。「軽度者は、身体機能的には日常生活はほぼ自立しているレベルの者であることから、」云々と書いてあるわけですけれども、尾辻大臣、この三ページ目の資料を見てみると、例えば転倒では、一年間に転倒した人が要支援、三〇%、要介護一、四五%、転倒に対する不安は要支援のうち四七%、要介護一、六〇%、買い物が自分でできる人はほぼ半分、掃除が自分一人でできる人は要介護一の人の単に七%なんですよ。

 これだけ要支援、要介護の一の人が家事ができないというデータがあるのに、なぜ厚労省の配っている資料には、軽度者は身体機能的には日常生活はほぼ自立している者であることからと、何でこういうふうに食い違ってくるんですか。そもそも、現状認識、間違っているんじゃないですか。軽度者は全然ほぼ自立していないわけじゃないですか。どうですか。このデータを見ても、大臣は軽度者はほぼ自立していると言えますか。

西副大臣 介護度の審査判定の参考として活用するために、多くの要介護認定者の心身の状況を分析しておりまして、その結果、一つは、要支援の方は、起き上がりや立ち上がりといった動作では手すりなどの支えが必要であるが、食事や着がえ、洗身、歩行といった日常生活の基本的な動作についてはほぼ自分で行うことが可能であることが多い。それから二番目に、要介護一の方は、食事や着がえといった動作についてはほぼ自立しているが、歩行や体を洗ったりということについては一部介助を必要とすることが多いという特徴が明らかになっておりまして、このことは、介護認定審査委員のためのマニュアルにおいても、代表的な状態像というふうに記載されているということでございます。

山井委員 そうであれば、ほぼ自立ではないわけですよ。

 もう最後、まとめて終わりますが、きょうの質疑をして、要は、今までのサービスが自立を阻害しているというデータもない。介護予防効果の明確なデータもない。要支援、要介護一はほぼ自立しているという認識も間違っている。改正後にサービスがどうなるかもわからない。予防訪問介護を地域できっちりとやっているモデルもない。そういうデータもモデル事業も根拠も不十分なのに、どうしてこんな大改正ができるのか。もしこの改正によって逆にお年寄りの症状が悪化したら、だれがどうやって責任をとるのか。単なる思い込み、軽度者のサービスが十分でないという思い込みや推測に基づいて、こんな大改正をやるべきではありません。

 先ほども言ったように、利用者、現場からは予防をやってくれという声なんかは非常に少数です。やめてほしいという声の方が高いです。今までのサービスを続けて、プラスアルファで予防や筋トレをというのならば私も異議はありませんけれども、大胆に予防重視に変えていくというのでは、やはり余りにも不安が多いと思います。そして、先ほど言ったような、十六年度のモデル事業のデータすらまだ出してもらえない。これでは、昨年の年金審議のときの出生率のデータ隠しと私は一緒だと思います。

 最後に言いたい。立ちどまって冷静に考えましょう。今までのサービスは不十分だったのか、よくなかったのか、そんな不適切なものが多かったのか。不適切な部分はもちろんカットしなければなりません。でも、おっしゃったように、大部分は適切とおっしゃったじゃないですか。そして、予防に関してもまだエビデンスもないじゃないですか。三カ月目以降も効果があるか、何割の人に効果があるかも全然わかっていないじゃないですか。にもかかわらず、なぜ今この法案の審議をして賛否を決められるんですか。私にはそれがわかりません。もっとじっくり、エビデンスを出して、冷静に審議を立ちどまってすべきだと思います。

 以上で終わります。

鴨下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中根康浩君。

中根委員 民主党の中根康浩でございます。

 介護保険法の改正案について、審議を進めてまいりたいと思います。

 まず、やはり国民は大変な関心を持っているんですね。先ほどちょっと定数割れで時間がとまりましたけれども、国会議員は関心が薄いのかもしれませんが、国民は関心が高い。席を、部屋をちょっとあけている間に、皆さんも同じだと思うんですけれども、何枚も何枚も、要望書や陳情書や、いろいろなものが届く。どこからかというのは別として、例えば、今お昼に帰ったら部屋に届いていたものの中にも、いろいろな要求の中に、「要支援、要介護一の方のヘルパー利用など従来の介護サービス利用を充分保障すること。」ということで、国民の切実な願いがあらわれているわけなんです。

 やはり、そういった気持ちを受けて我々はきちんと審議をしていかなければいけないし、お一人お一人の発言、とりわけ大臣や副大臣や局長さんの発言はとても重いものになる、高齢者の方々の生活に直接かかわってくるという思いで、ぜひともこの質疑応答を展開していきたいというふうに思います。

 先ほどの山井委員の質疑の中で少し気になるところがあったといいますか、確認をしておきたいことがありますので、まずそれから始めたいというふうに思います。

 大臣の御答弁の中で、適正に行われているものは全く変えるものではない、そういった大臣の御答弁があったわけなんですね。ここの部分です。ここは非常に大切な部分ですので、確認をしておきたいと思います。

 さっき山井先生が皆さんにお配りをした資料の束の中の(4)というところをごらんいただきながら進めていきたいと思うんですけれども、「自立支援に資するものであるかという観点から見直し」というタイトルがあって、「軽度者は、身体機能的には日常生活はほぼ自立している」、ここも先ほど議論になったところなんですけれども、その後、「生活機能を低下させる家事代行」中略して「については、原則行わない。」というふうに書いてあるんです。

 我々も、今までの厚生労働省からの説明で、原則行わない、家事代行、家事援助は原則行わない、すなわち切り捨てていくというふうに思っていて、そこが非常に重要な論点であるというふうに思ってまいりました。そこを、何と大臣は、原則行わないという今までの説明ではなくて、適正に行われているものは原則行うという意味合いの御答弁をなさったというふうに聞こえましたけれども、それでよろしいんですね。

尾辻国務大臣 御答弁の中で何回も申し上げましたけれども、新予防給付の基本的な考え方というのは三点申し上げました。その基本理念のとおりに行いますということで、自立支援を徹底するものでございますので、申し上げた御答弁を変えるものではございません。

中根委員 改めて、再三再四にわたって確認いたしますけれども、前回の質疑の中で、我々の石毛委員が中村局長さんに対して質問したこと、そのことの局長からの答弁として、原則として行わないというのが前段にある、原則行わないとしていることに対して行う場合のことを書いたのが例外的だ、その例外的なという言葉遣いはまずいということであれば工夫をするということなんですけれども、やはりそこでも、原則行わない、家事援助は切っていくというような内容の、そういう御答弁だったんです。

 したがって、我々きょうまでそういうつもりでいたんですけれども、原則家事援助は切らない、今までどおりだ、今までどおりのサービスを国民は受けていくことができるんだということでよろしいですか。これは局長の方で、今回は。

中村政府参考人 大臣と私が申し上げていることは同じでございまして、私の方は、不適正な場合が主語になっておりますので、不適正な場合を主語にしている場合には原則行わない。大臣は、三つの基本的な考え方に沿って適正に行われるものについては認める、こういうことを言っていますので、主語が違うということでございます。

 その主語は何かというと、生活機能を低下させる家事代行については、私が申し上げているのはそういうお尋ねでありましたし、私どもがお示ししました訪問介護の見直しについては、不適正な事例というのが主語になっておりましたので、原則行わない、例外と。その点について石毛議員から大変重ねていろいろ御指摘があり、その原則、例外というのが非常に不穏当というか誤解を与えるという御指摘もあったと思います。

 私の申し上げました答弁と大臣の御答弁と違いはないと考えております。

中根委員 違いがなくて安心をいたしました。家事援助、家事代行については、国民が必要としているものについてはこれからも原則行っていただくという確認をしていきたいと思います。

 新予防給付については、また山井先生が機会があれば行っていただけると思いますので、私は、その非該当になった方々、介護予防の部分についてお尋ねをしてまいりたいというふうに思います。

 よく、筋トレ筋トレと、そんなふうに言わないでくださいというふうにおっしゃいますけれども、でも、やはりこの改正法案の柱の一つは筋トレだというふうに見ざるを得ないと思っているんですね。

 例えば、この半年間の間にNHKでもかなりこの介護予防の改正については取り上げられているんです。二〇〇四年の十月、グランドデザインが発表された後からだけでもいいですから、どんな番組をつくられましたかというふうにお尋ねをいたしましたところ、都合九回、大きなニュースとか、あるいは一つの番組とかニュースのワンコーナーとか、そういったものでいって九回の報道、番組が流されているんですね。そのほとんどは、やはり介護予防そして筋力トレーニング、こういったところに焦点を当てた番組づくりになっているんです。

 例えば、大臣、これはお忙しいからごらんになったことはないと思いますけれども、二〇〇五年、ことしの一月三十日のBSの「ディベートアワー」という番組は大変参考になりました。四人の専門家の方々が、この改正について賛成、推進をしていく立場の方が二人、それから非常に慎重な立場の方々がお二人、この二対二で議論を深めていかれたわけですね。とても参考になったんですけれども、結果的にといいますか、もちろんそういう番組でありますので結論をどちらかに出すということではないんですけれども、やはりこの議論はかなり白熱して、お互いに譲らなかった。したがって、それは、やはり推進をする人にも理はあるし、それから、反対をするといいますか慎重な方、とりわけ筋力トレーニングの導入に関して極めて懐疑的な方々にとってもそれは理屈のあるところであるということで、まさに評価、賛否は相半ばするところであるというふうに思わざるを得ない、そんなふうに思いました。

 したがって、先ほどから山井委員が、エビデンス、検証、有効性、証拠はあるのかということで盛んに追求している、お尋ねをしているというのは非常に大切なことであるというふうに思って、三%、来年度予算に換算しますと約二千億円、こういった大きなお金を、しかも介護保険といいながら介護保険の枠外の方々に使っていくという、保険の考え方から逸脱するといいますか、大きくそれを踏み越えて、保険という考え方を変えることになるようなそういったお金の使われ方がされていくわけでありますので、ここは極めて慎重な議論が行われなければならない。エビデンス、四月十一日というふうに先ほど御説明がありましたけれども、むしろ、その四月十一日に地方のモデル事業の結果が出て、それをきちんと分析してその後議論を始めるということが真っ当なやり方である、それからでも遅くないということは改めて指摘をしておきたいというふうに思います。

 今、筋トレ筋トレと私自身も言いましたけれども、覚えていらっしゃるでしょうか、ちょっと前まではこの筋トレのことをパワーリハビリテーションと多くの方は呼んでいたというふうに、ぼくはそう感じているんですけれども、それが最近になって筋力向上トレーニングという呼び方になった。これは、例えば自立支援法の方で応益負担という言い方をしていたものが、応益の「益」とは一体何ぞやという議論が高まってきて、最近では定率負担という言い方にかえている。これと同じようなことで、パワーリハビリテーションという言葉が筋力向上トレーニングということになった、そのことについては何か意味があるのでしょうか、お尋ねいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 筋力トレーニングの中でも、いわゆるマシンを使った、よく一般の若い方でありますとフィットネスクラブで使っているような各種のマシンを使った筋力トレーニングがございました。その中で、パワーリハビリテーションという名称を用い、そういう方法の筋力トレーニングを実施されている医療界の方がございまして、現に、パワーリハビリテーション研究会、任意でありますけれども、任意団体をつくったりしてされておりました。いわばマシンを使った筋力向上訓練方式の中の特定の方々がされているのがパワーリハビリテーションという言葉のように、御自分たちもそういうふうに主張されておりますし、そういうことでございました。

 私ども、平成十五年四月に、私どもの補助事業で、そういった筋力向上トレーニングを市町村が行う事業の対象にする、こういうことがございまして、いわば製品でいうと商品名みたいな形であるパワーリハビリテーションという言葉は厚生労働省としては使うのを控えさせていただいておりまして、筋力向上トレーニングだとかそういう言葉が使われております。

 ただ、マスコミ等を見ていますと、マシンを使った筋力向上トレーニングをパワーリハビリテーションというふうに使っておられるケースも見られますし、現にその方々がパワーリハビリテーションを主張されている方々の事業をそういうふうに呼んでいる場合もあり、一般名称と固有名詞とが、一般社会ではパワーリハビリテーションが有名なだけに、混同してというか、一般名称として使われていることもあるというふうに理解しております。

中根委員 そうですよね。マシンを使って行うトレーニング、それについてもいろいろな流派といいますかグループ、考え方があって、その一つのやり方がパワーリハビリテーションというやり方で、もう一つのやり方が筋力向上トレーニングというやり方であると。

 また後ほど述べますけれども、筋力向上トレーニングというのは、東京都の老人総合研究所の大渕修一先生という方が提唱されておられるCGT、こういったものがこの筋力向上トレーニングという言い方に当てはまるものであると。それで、今まで、以前使っていたパワーリハビリテーションという言葉は、今の国際医療福祉大学の竹内孝仁先生という、今局長からも御説明があった任意団体のパワーリハビリテーション研究会の会長をお務めいただいている竹内先生が提唱している一つのやり方であると。

 実は、今、商品の名前がというふうにおっしゃったように、竹内先生は、このパワーリハビリテーションという言葉そのものを平成十六年に商標登録してしまったんですね。したがって、世の中の人はパワーリハビリテーションという言葉を自由に使うことはいささかはばかられる状況になったということです。なぜ竹内先生はこのパワーリハビリテーションというものをわざわざ、ある意味で一般名称として世の中に通用していたものを、突然といいますか、商標登録するような行為をなさったかについて、局長はその経緯は御存じでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 その経緯は存じておりません。

中根委員 これは、私も実はその経緯についてははっきり知っていて申し上げているわけではありませんけれども、パワーリハビリテーションということを提唱されていた竹内先生が事業を起こした、その事業を起こしたことについて厚生労働省のある方から不快感を持たれた、不快感を持たれたことによって人間関係が悪くなった、そういったことが竹内先生のかんにさわりまして、パワーリハビリテーションという言葉はもう使わせないぞというようなことで商標登録してしまったというような経緯があるといううわさを聞いておりますけれども、それはまたおいおい調べていきたいというふうに思います。

 このように、何が言いたいかといいますと、今回の筋力向上トレーニング、トレーニングマシンを使ったリハビリテーションを導入していくことについては、多くの方々がかなりビジネスチャンスとしてとらえて、ある意味で、それが行き過ぎた場合は利権として悪い方向に向いていきかねないという心配がある。今までも、いろいろなところでそういう心配があるんじゃないかというふうに言っても、いや、そんなことはあるわけないですよというふうに言われたのですけれども、やはりそういうことはあるという前提といいますか、警戒心を持って議論を進めていきたいというふうに思っております。

 筋力向上トレーニング、筋トレを導入することによって、それを待ち望んでいる方が今いるというふうに申し上げましたけれども、やはりそれは、例えば資格ビジネスをもくろんでいる人、あるいはマシンの製造、販売、レンタル業者、それから筋トレ絡みで特許を既にとっている人、あるいはその関係の本や出版物、印刷物をつくる人、それから天下りを期待している人や、さらには筋トレによってけがをして、そのことを賠償したり補償したりするための保険会社、こういった方々なんですね。こういうふうに、一般国民以外で喜ぶ人が存在しているときは、やはり国会としてもかなり慎重にそういったことは議論をしていかなければいけないというふうなことだと思っております。

 そういったことについてもまた後ほど言いますけれども、まず、またちょっとここで行ったり来たりになりますが、先ほど山井議員が指摘をした「第二回市町村モデル事業支援小委員会での主な意見」ということの中に、ごらんになっておられるかと思いますけれども、事業の評価に当たっては、握力や十メートル歩行速度、これはタイム・アップ・アンド・ゴーというものだと思いますけれども、あるいは血清アルブミン値といった指標の変化だけでなく、個々の高齢者の生活機能がどう改善したかという視点から分析を行ってみてはどうか。もう一回、この部分について改めて確認をしておきたいと思います。

 握力あるいは歩く速度、こういったものが強くなったり速くなったりするということが、高齢者自身の幸せとかあるいは自立とか、そういった生活の質の向上というものにどういうふうに結びつくのか。握力が強くなったら幸せになれるのか、こういうことですね。そのことについて、大臣、ちょっともう一回私にも御答弁いただけないでしょうか。

尾辻国務大臣 握力に関して言いますと、包丁を握る力が強くなりますから調理ができるようになる、握力の弱い方は、やはりどうしても包丁を握る力が弱くて調理しづらいとか、そういったようなことがあると考えます。

中根委員 それはあると思いますけれども、それが幸せにつながるかどうか。豊かな老後の暮らしにそのことが結びつくかというのは、いささか直結をするとは限らないというふうにちょっと遠慮がちに言いますけれども、そうじゃないでしょうかね。握力が強くなれば、筋肉が隆々となれば幸せになれるんでしょうか。

 むしろ、これはやはり保険というものですから、何かのリスクが生じたときに、そのリスクから救われるために保険料を払っている。だから、ある意味で、安心してぼけたい、あるいは安心して寝込みたい。

 寝込むこともできない、あるいはこたつに入ってテレビを見てぼうっとすることもできない、そんなことしているんだったら、あなた、筋力トレーニングしなさいといって重たいものを上げたり下げたりさせられるということで、これは豊かな社会と言えるんでしょうかね。

西副大臣 お答え申し上げます。

 介護は、介護される方と、ヘルパーさん初め介護なさる方との合意のもとでやられるということが基本ですから、無理やりということはないというふうに思っております。

 なお、筋トレ、トレーニングということですが、介護予防の有効性に関する取り組みということで、東京都稲城市の例がございます。マシンを使ったり、先ほど実は答弁が若干間違っていた部分もあるか、弾力のあるバンドということですから、これも若干入っているかと思うのですが、訪問筋トレ等をやりまして、これは四十七名でございますが、日常生活等の身体機能またQOL、生活の質等の心理機能にも有効性が認められたという例も先行的にございます。そういう観点からの必要性も、私は、十分あるというよりも、そのことこそが大事だというふうに考えております。

中根委員 そのことこそがというふうに最後につけ加えられちゃうと、本当にそのことが一番重要なのかなというふうに思っちゃうんですけれども。

 事実、三月三十一日、山井議員と一緒に、霞が関ビルで行われた評価委員会に参加をさせていただいて、その席で医師会の代表の野中先生とおっしゃる方が、速く走れる、速く歩けるようになることが生活の向上とか本来の自己実現ということを意味しているのかというふうにおっしゃっておられました。それから、この筋トレを導入していったりそういったことは、新たな老人ケアフィットネスクラブを推進するようなものだ、いけいけで関連事業ばかり促進をして、本当の意味で高齢者の自立につながるのか、こういった意見が次々と出ていたわけなんですね。

 むしろ、国会よりもそういう審議会とか委員会とかというところの方で本音が出るわけなんですけれども、そういったものを全く無視してこの議論を進めていっていいのでしょうか。

中村政府参考人 中根議員のお話でございますが、私ども、心身機能向上、それだけが問題であるというふうには考えておりません。私どもも、こういう提案をさせていただく前にはいろいろ積み重ねをしてまいりまして検討を重ねてまいりましたけれども、国際的に見ましても、生活機能分類ということで、人間の健康状態というのは、機能の問題、活動の問題、参加の問題があるということで、総合的に考えていかなければならない。

 したがって、三月二十八日の小委員会での御意見というのも、単に心身機能だけに着目するのではなく、それ自体が目的ではなく、それによっていろいろな活動とか参加ということも達成されなければならないということを示唆しているものだと思いますので、私ども、広い意味でのリハビリテーションなり予防ということ、あるいは地域保健活動、先ほど来先生から御指摘の出ております地域支援事業も広い意味でのヘルス事業だと思います。

 それは、単に障害になるとマイナスだからそれを埋めるとかそういうことだけでなく、持っておられる潜在的な能力をできるだけ活発にするということももちろん大事だと思いますが、そういうことを使って活動し、また社会に参加していただくような方向をつくらなければならないと思っておりますので、筋力トレーニングで下肢の筋力をつけるとか上肢の筋力がつく、それだけを目的にしているわけではなくて、それによって、先ほど来出ております、先生からの御指摘もありますQOL、生活、生命の質の向上が図られることを願ってやっているわけでございます。

 筋力がつくと生活の質の向上に逆行するという御指摘であれば、私どもも問題かなと思いますが、弱っている筋力が回復することがQOLを高めるためにマイナスには少なくともならないのではないかと私は考えている次第でございます。

中根委員 逆行するということではないんです。逆行する人がいるかもしれませんよ、それは。そういうこともあるかもしれません。むしろ、逆行するということじゃなくて、筋力トレーニングがこの改正法案の大きな柱の一つになっているということが非常に不自然だということを申し上げたいわけであります。

 地域における介護予防事業の実際の例えば筋トレの実施に当たっては、まず廃用症候群に陥る危険のある人の発見をするということから始まるというふうに聞いています。それに際しましては介護予防健診を行う、つまり介護予防的な項目を含んだ問診を行うというふうなことで伺っております。

 では、問診票はどのような内容かということなんですけれども、モデル事業で既に使っておられると思いますが、介護予防健診に使う問診票はどんなものでしょうか。

中村政府参考人 虚弱な高齢者を早期に発見しまして早期に対応するということはまさに大事でございますし、新たな要介護状態となることを防止する観点から非常に重要だと思っております。

 私どもも、今度の地域支援事業は、高齢者の方の中で特にハイリスクグループの方を選び出すスクリーニングが必要だと思っております。いろいろな方が開発もされていますし、現にいろいろなモデル事業なども行っておりますので、その手法の中で効果的、効率的なものをつくっていきたい、国内外の知見に基づいて内容を検討してまいりたいと考えております。

中根委員 モデル事業の中で、都老研がつくっている「おたっしゃ21」という問診票を使われた自治体はあるでしょうか、ないでしょうか。

中村政府参考人 現在モデル事業で使っております問診票は、今先生からお話があった、東京都の老人総合研究所ですか、そちらの問診票を使っているものではございません。

中根委員 なぜそのことを確認するかというと、都老研がつくっている介護予防健診の「おたっしゃ21」というものは、現在、私どもが先月視察に行った段階で資料をいただいたものについて申し上げますと、ここに特許出願中というふうになっているわけなんですね。ということは、特許をとろうというふうに考えておられるわけなんです。

 先日、毎日新聞だったと思うんですけれども、道路公団の幹部の方が、製品を使うのに、ある特許を持った会社の製品を使うように指示をした、その特許については道路公団の幹部の方も共同出願人ということになっていて、ロイヤルティーが自分の方にも入ってくるという仕組みになって不正な利得を得ていたといいますか、もくろんでいたというような内容の新聞記事があったんです。

 この介護保険についても、「おたっしゃ21」、特許出願中、こういった特定の人が特許を取得するようなことが将来的に幅広く使われていくということになると、各自治体とかそういう事業所とか、そういったところで行われる介護予防健診に際して一々特許料を払っていかなければならない、そのことがひいてはだれか特定の方のもうけにつながるというおそれがやはりそこに存在するわけでありますので、それをまさに予防するために、きょうこういった形で取り上げさせていただいておるところでございます。

 もし「おたっしゃ21」が特許をとったら、それでも、すばらしいものであればそれは採用するということなのかもしれませんけれども、特許をとったら、そういったものに対してどう対応していかれるでしょうか。

中村政府参考人 東京都の老人総合研究所の問診票を、特許をとるとらないにかかわらず、私どもとしては、全国の市区町村の方で一般的に使っていただけるようなスタンダードをつくりたいと思っておりますので、特定の研究所、もちろん知見はもしかしたら教わらなければならないというようなことが都老研に限らずあるかもしれませんが、そのまま使用することは考えておりませんし、ましてや、特許料をお払いしなければならないような事態は、私ども、介護保険財政あるいは市町村財政のことを考えましても、ちょっとなかなかそういうのには応じがたいと思っておりますので、はっきり申し上げて、全く今そういう考えはございません。

中根委員 これもまた都老研に視察に行ったときに伺った話なんですけれども、六月ぐらいに介護予防についてのガイドライン策定委員会のようなものをつくって、おかげさまで、何とありがたいことに、私たち都老研の者四人がそのガイドラインの策定委員会のメンバーに入ることになっているんです、こういうお話をいただきました。

 ガイドラインの策定委員会のメンバーが全体で何人ぐらいのものになるかわかりませんけれども、いずれにしても、都老研の方がその中に四人入っていらっしゃるということは、都老研の、先ほどでいえば大渕方式、CGT、こういったものがかなり幅広く全国的に普及していく可能性があるというふうに予想してもいいのではないかと思っていますけれども、このガイドライン策定委員会というものが一体どういうものであるかということと、そこに都老研の方が四人入るということの影響をどういうふうに認識しておられるか、教えてください。

中村政府参考人 今、私の横に担当課長もいて話をしていたんですが、そのガイドラインの研究委員会とか研究会というのは、ちょっと何のことかよくわからないということでございます。

 それから、東京都の老人総合研究所は、日本の老年学の研究機関としては非常にすぐれた研究機関でありますので、そういった意味で、すぐれた大学やすぐれた研究機関の研究者の方をいろいろな意味で審議会や検討会の委員ということをお願いすることがあるかもしれませんし、事実そういうことも、都老研の方にいろいろな委員会に入っていただいているということはございますけれども、それと、都老研方式を採用するとかそういうこととは全く違いますので、その点は、委員の御指摘の御懸念のようなことにならないように、むしろ万全の注意を払ってまいりたいと思います。

中根委員 都老研の方式を採用しちゃいけないということを言っているわけではないものですからね。もちろん選択肢の一つとしてそれは検討に値するものだというふうには思いますので、今このやりとりを都老研の方が見ていたら、一体中根、何言っているんだということになってもいけませんので、その辺は確認をしておきたいと思います。

 しかし、幅広く、世の中には、さっき言ったように、パワーリハビリあるいはCGT、ほかにもいろいろと研究しておられて、私の方式こそ一番いいんだ、有効なんだというふうに頑張っておられる方がたくさんいらっしゃるかもしれませんので、それの窓口というか門戸を最初から閉じるようなことがあってはいけないという意味合いで申し上げておるということを御理解いただきたいと思います。

 きょうは、モデル事業においても、マシントレーニングのモデル事業は全国で五十一カ所行われていたということもありますので、改めてそういった部分で確認をしていきたいと思うんですけれども、この筋トレマシンの購入費、それを置くために必要なスペース、それからそのマシントレーニングを行うために必要なマンパワー、こういったものはどんなものとして想定しておられるか、教えてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、マシントレーニングをするとすると、器材なりスペースなり、あるいはスタッフなり必要になるということは委員御指摘のとおりだと思います。

 それで、いろいろな方式が違います。先ほど来お話に出ているパワーリハビリ、それから都老研の方々のほか、私が知っております限りでも、筑波大学の先生もやっておられますし、信州大学の先生もやっておられますし、私どもが存じ上げないいろいろな試みがされているのではないか、そこはそういうふうに考えております。

 それで、介護予防サービスとして導入を予定している運動器の機能向上につきましては、今特定のマシントレーニングということではなく、そういった意味でさまざまなマシンを用いるトレーニングのほか、先ほど山井委員からもいろいろ御指摘がありました、さまざまな簡便な機器を使用するもの、あるいは全く機器を使用しないで有酸素運動などを行うものなど、さまざまな方法がございます。それがあり、科学的根拠が明確であると認められているさまざまな方法を私どもは広く取り入れていきたいと考えています。それが一点でございます。

 しからば、取り入れる場合にどういうふうに考えるかということでございますが、現時点において、運動器の機能向上におけるマシンの費用を個別に介護報酬で評価することや、運動器の機能向上に係る新たな資格をつくるといったことは想定しておりません。限られた財源の中でいかにして最大限の効果を上げるかといった効率化の観点を十分留意し、今後、社会保障審議会介護給付費分科会における御議論を踏まえて、適正な基準や介護報酬を設定してまいりたいと考えております。

中根委員 マシンはやはり安くたって百万円以上はするんですよ。大体モデル事業として行われていたのは、最低四台から七台ぐらいの器械を使って行われていたわけです。そうすると、本当に四百万、五百万という単位でお金がかかっていく。

 モデル事業においては、医療関係者、保健師、医師、看護師、それが一つですね、それから理学療法士、それから運動関係の指導員、この三人が利用者に付き添ってトレーニングを行う。

 マシンを買う、それから人件費は必要だ。しかも、モデル事業は先ほども指摘があったように公募で、本当にやる気のある、ある意味で健康エリート的な高齢者の方が集まってきてやる、そんな手厚いやり方をすれば効果が上がるのはむしろ当たり前の話であって、そのことが、そういう手厚いやり方、マシンを購入する、三人の専門家をつける、そういったやり方が全国何千カ所というところで行われたら、これは介護予防あるいは介護保険の財政を抑制していくという厚生労働省の当初のねらいからむしろ逆行して、大きな保険、介護保険の膨張ということにつながりかねないというふうに我々は心配しているんですけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 まさに今御議論されております地域支援事業にしても、市町村の事業として行うわけでございますし、市町村がまさにその点について自分たちで評価し、これだけのことをしてもそれだけの財政効果が上がるか、それから住民の方に対するヘルス事業として満足していただけるか、またそれが自分のところのひいては介護保険財政にどういう影響を与えるか、そういうことを考えて導入していただくわけでございまして、私ども国が筋力トレーニングは必須であるとか、全市町村で実施しろとか、そういうことを言っているわけではないわけでございます。

 モデル事業で、例えば川崎市の例でございますと、これまで百四十四人実施されまして、要支援から要介護三の方について、八十三名の方が非該当になっている。そうしますと、二千百五十万円かかっていたのが川崎市の推計ですと八百六十二万円に介護費用がなった。ですから、そういうふうなことを川崎市としてどう評価し、それを続けられるのかどうなのか。

 各市町村でも、モデル事業やモデル事業の枠を超えてパワーリハビリをやりたいとか、これは固有名詞の方のパワーリハビリですけれども、そういったことでもうチャレンジして導入されている市町村もございますので、そういったところは市町村の御判断もあるのではないかというふうに考えています。

 私どもは、繰り返しになりますが、限られた介護保険財政の中で最大限の効果が上がるよう努めてまいりたいというふうに思っております。

中根委員 筋トレだけではないというふうにやはり局長はまたここでもおっしゃるんですけれども、でも、先ほどから山井委員からの質疑でもあったように、我々は検証がまだ足りないというふうに言うんですけれども、皆さんはもう検証は十分なんだという言い方をする。その検証のもとになっているのは全国で五十一カ所の筋トレモデル事業だということであれば、これは当然、筋トレを導入していく改正法案だということが、そのことが中心の法案だというふうに当然我々だって、国民だって思うのではないでしょうか。

 このモデル事業においても、やはり、これは全く皆無であるべきだというわけではありませんけれども、筋トレを、マシントレーニングをやれば、そこでけがが発生するわけです。けがが発生することを当然厚生労働省も見越しておりまして、モデル事業の実施箇所に対して、必ず損害賠償保険に加入しておくことという通知を発しておるわけであります。

 どこの会社の損害保険に入っているかということを調べていただきましたら、五十一カ所のモデル事業のうち、十七カ所は損保ジャパンに入っている。それから、八カ所はあいおい損保で加入している。それから、五カ所は三井住友で入っている。そのほかJA共済とかスポーツ安全協会とかというところに入っているんです。

 これは少し、ちょっと話題がかわりますけれども、こういうふうに介護保険の方でも損保ジャパン、損保ジャパンといえば村瀬社会保険庁長官の出身会社ですね。こういうふうに厚生労働省と密接にかかわりのある会社の方が社会保険庁の長官になって、これから、まさに今行われている社会保険庁改革というものを大胆に切り込んでいくことができるかどうか。ちょっと改めて、話はかわりますけれども、大臣、いかがでしょうか。

中村政府参考人 その前に、今のモデル事業の損害保険の加入についてのお話を申し上げますと、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うために損害保険に加入しておいた方がいいということをモデル市町村には申し上げております。

 これは、例えば今の訪問介護事業者さんにも、訪問介護事業者は、基準で「利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければならない」、したがいまして、通知で「指定訪問介護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましい」、こういう基準をつくっておりますので、モデル事業といえども事故があった場合に賠償できないと利用者の方に申しわけないことになりますので、その周知をしておるところでございます。

中根委員 今の社会保険庁の話は余談といたしまして、何が言いたいかといいますと、筋力トレーニングを行うということは、生活の向上あるいは自立、あるいはハピネスにつながることばかりではない。我々だってやれば、あちこちの筋が痛くなったり関節が痛くなったりするわけなんですけれども、六十五歳以上の方、あるいは七十五歳、八十歳以上の方がこれを行えば、当然けがが生ずるということを、この保険加入を義務づけるということは、まさに意味しているわけであって、そのことがむしろ、わずかかもしれませんが、医療費の方の膨張につながったり、そういったこともあるわけです。

 この筋力トレーニングということを無理やり導入するように見えるんですけれども、無理やり導入して、高齢者にけがのリスクまで負わせるということについては、やはり事前に、今の段階で確認をしておかなければいけないことだと思いますので、今こうして俎上に上げさせていただいておるところでございますけれども、この筋力向上トレーニングのけがのリスクというのはどのように考えておられるんでしょうか。

中村政府参考人 どういう活動でもいろいろなリスクがあるとは思うんですが、運動器の機能向上実施によるヒヤリ・ハット事例という意味では、準備体操中の事故など、例えば準備体操中にマットに足をひっかけて転ぶとか、マシンの乗りおりの際の事故、乗降のバランスを崩し転落しそうになるとか、マシンからおりる際に滑り落ちるとか、マシンの操作上のミス、あるいは環境整備に起因する、放置されているつえにつまずき転倒とか、さまざまなヒヤリ・ハット事例というのはあり得ると思います。

 したがいまして、私ども、事業実施に当たりましては、安全基準なり事故防止対策ということで、ただいま申し上げました、まさにこういう事例というのが、モデル事業などで実際にやってみた場合にどういう問題があるか、どういうことを予防しなきゃならないかというためにもさせていただいているわけでございますので、それを踏まえた安全対策、安全基準というようなものも基準の中に盛り込みたいと考えております。

中根委員 モデル事業に参加するような意欲のある方、やる気のある方は、それでもまだ恐らくけがが少ないんだろうというふうに思います。しかし、問診票であるいは介護認定で、やりたくもないのに筋トレをやらされる五%と言われている方々、そこに自己決定権はあるやなしやということもお尋ねをしたいと思いますけれども、そういうふうに無理やりやらされることになれば、さらに一層けがのリスクというものは高まっていくというふうに思います。

 そこで、お尋ねしたいのは、問診票で振り分けられるわけなんですけれども、そういうトレーニングは必要なしという一つの分類、そしてもう一つは教育的メニューというもの、そしてもう一つは機能訓練という分野、こういうふうに三つの分野に問診で振り分けられて、教育的メニューと機能訓練というところが合わせて五%というふうに言われているようでありますけれども、そういった方々については、やりたくない人までやはり筋力トレーニングということが適当だというふうに、ケアマネジャーとかあるいはそういった方々がもしメニューとして選んだら、それはやらなきゃいけないんでしょうか。

尾辻国務大臣 一番大きな部分だけ私から答えさせていただきたいと存じます。あとのことは局長に答えさせます。

 今のお話なんですけれども、本人の同意がなければケアプランは成立いたしません。これが大原則です。本人の同意がなければケアプランは成立せずというのが大原則でございますので、本人が嫌なことはさせられることはないんですということだけをまず私から申し上げて、あと、局長から答えさせます。

中村政府参考人 今の大臣の御答弁で尽きていると思いますが、メニューは筋トレだけではございませんので、その点も御理解いただきたいと思います。

中根委員 それで、改めて、この筋トレを提唱している都老研、恐らく今後、かなり有力な方式として、厚生労働省も選択肢の一つとして入れていくであろう都老研方式について言及していきたいと思います。

 この東京都老人総合研究所の中に、介護予防緊急対策室というものが設けられた。そして、そこの室長が大渕修一先生という北里大学の講師などを御経歴された方である。この大渕修一先生というのは、やはりここでも一つ特許を持っておられまして、転倒予防訓練に使うウオーキングマシンのようなものを、日立製作所と共同出願人として特許を取得しておられる、こういった方です。

 この大渕先生が、まさか自分のこのトレーニングマシンを全国に普及して特許料とか何かで稼ごうとしてやっておられるというふうには言いませんけれども、大渕先生が提唱しておられるトレーニングのやり方が、コンプリヘンシブ・ジェリアトリック・トレーニング、CGTというものを大渕先生は開発されておられる。

 それで、大渕先生は、セラバンドとか太極拳とか体操よりも、マシンがいいんだと。なぜかといえば、マシンは座って、しかもおもりや何かを自由に調節できる、姿勢を崩さないで、一定の固定した姿勢で、低負荷から始めて自分の思うような重さでできるから、マシンがいいんだというふうにおっしゃっているんですね。だから、ダンベルとかセラバンドとか太極拳とか体操とか、そういったものじゃなくて、やはり筋トレマシンを導入したい人なんですよ。

 それで、この人は、決して厚生労働省と無縁では当然ないわけで、皆さんもよく知っておられて、かなり影響力のある方であろうというふうに思っております。

 平成十二年に国の補助事業で、札幌市の外郭団体である財団法人札幌市健康づくり事業団というところが、老人保健健康増進等事業、すなわち医療的トレーニングによる介護予防推進調査研究事業を、厚生労働省から千三百六十八万円の補助を受けて行ったわけであります。その事業を行うのに際して大きく協力したのが、北里大学の医療衛生学部の大渕修一チームということであるわけであります。

 事実、この大渕先生と財団法人札幌市健康づくり事業団の佐竹恵治さんという健康運動指導士の方は、幾つも幾つも共著で本をたくさん書いておられて、CGT、包括的トレーニングというものを普及しておられるわけですね。そういった意味で、佐竹さんと大渕さんはじっこんの間柄にあって、そこは厚生労働省の補助事業で行われていた事業である。

 それで、この財団法人札幌市健康づくり事業団は、平成五年に設立されたわけなんですけれども、平成四年から平成八年の間に、我々のところにいつも介護保険の改正法案について御説明に来ていただける老健局の山崎総務課長が、北海道の成人保健課に出向しておられて、そのときに、山崎総務課長は、北海道にある渓仁会という社会福祉法人においてケアプランの導入のテストのようなことをやっておられるわけなんです。

 山崎さんが北海道におられた、それで札幌の健康づくり事業団で厚生労働省は研究調査を行った、そのことについては都老研の大渕先生が全面的にかかわっていたということを見ると、やはり厚生労働省はこの都老研のCGTという方式を導入しようとしているのではないかというふうに考えても、むしろそれが自然なことであろうというふうに思っております。

 それで、この都老研のCGTという方式によれば、先ほども申し上げましたけれども、指導者三人に対して八人の利用者、利用者八人に対して三人の指導員がつくべきであるという考え方なんですよ。その三人というのは、医師、保健師それから看護師、こういった方々の医療関係者、それから理学療法士、それからもう一つは、いろいろな名前があるんですけれども、この佐竹恵治さんが持っておられる資格の一つである健康運動指導士のような運動関係の指導員ということになるわけで、やはりマシンを買う、それからたくさんの人件費が必要になる。この都老研方式、恐らく、パワーリハビリテーションであっても、あるいは筑波大学の先生であっても、こういう方式はそんなに大差はないんだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、マシンを買うお金、それから人件費がたくさんかかるということ、この費用対効果が果たして今度の改正法案、国民に納得してもらえるものかどうか、そのことをきちんと検証すべきだということを申し上げておるわけであります。

 マシンを買う、これは各自治体あるいは事業所が買うということになりますけれども、例えば、一体どこでどんなマシンを売っているんですかということを自治体の担当者が考えたときに、わからない、わからないときに厚生労働省に電話をする、電話をしたら、またあのカワグチ技研のときに起こったように、実はこれこれこういう、別に厚生労働省としてこれを押しつけるわけじゃありませんけれども、こういう会社がありますよという形で誘導的に特定の業者の方に利益が行くようになってしまうということも、今の段階からそういうおそれがある。あればこそ、そのことを今から防止するそういった心がけでいてもらいたいということを指摘しておきたいというふうに思います。

 なぜそういうことを言うかといえば、都老研のCGTにまるっきり賛同して、それを推進して、そのCGT方式をまさにマシンとして具現化しておるグループがあるわけであります。それが日本介護予防普及協会というところであります。

 この日本介護予防普及協会というのは、インターリハ株式会社、オージー技研株式会社、それからセノー株式会社、竹井機器工業株式会社、日本メディックス株式会社、ミナト医科学株式会社という、トレーニングマシンを製造販売しているこの六社で日本介護予防普及協会というものを設立して、まさにCGTを全国に広めたいというふうに考えておられるわけであります。

 ちなみに、このうちのセノー株式会社というところからは、ペアーレとかああいう年金保険料でつくられた保養施設あるいはトレーニング施設、こういったところに、全国で四十七カ所、トレーニングマシンを納入しております。それから、竹井機器からは社会保険庁関係に二十一カ所、オージー技研からも一カ所等々、もう既に厚生労働省とトレーニングマシンの売買においてかかわりのある会社がCGTという方式を普及しようとして日本介護予防普及協会というものをつくっておられるということも一つ指摘をしておきたいと思います。

 それから、資格ビジネスについても申し上げなければいけませんが、もう時間がありませんので一つだけ取り上げたいと思います。

 介護予防指導士という資格を認定しようとしている。要するに、運動員の方を三人の中に盛り込まなきゃいけないという、厚生労働省からのある程度そういったものが見えてきた。見えてきたことによって、いろいろな団体とか会社とかそういったものが資格を認定する。その資格を認定する作業において講座を開いて受講料を取ったりあるいは認定料をいただく。あるいは、五年ごとに更新料とか登録料とかそういったものを受け取る。そういう資格ビジネスがまたここではびころうとしている、その兆候があるということを申し上げたいというふうに思うわけであります。

 その中で、介護予防指導士というものを認定しようとしているNPO法人があるというふうに聞きました。これは高田馬場にあるものですから、私はそこに行きました。行きましたんですけれども、確かに看板はかかっていました。それで、NPOというふうに書いてあったものですから、果たして本当にNPOの認証を受けているかどうか、東京都のホームページとか、あるいは法務局へ行って登記簿をとってみましたけれども、この介護予防指導士というものを認定しようとしているNPO法人とみずから称している日本介護予防協会というところは、少なくとも三月三十一日までの間にはNPO法人を取得しておらないんです。

 おらないにもかかわらず、こういう立派なパンフレットをつくって、みずからNPO法人だと称して、そして、もう既にこの間の四月一日から介護予防指導士の資格を与える講座を始めて、受講料が四万三千円ということであるようです。これが一回だけではなくて何回ももう既に設定をされていて、この担当の方は、おかげさまで満員盛況ですというふうに喜んでおられたわけなんです。

 まずここで問題なのは、NPOを取っていないにもかかわらず、NPO法人だといって、介護予防指導士という厚生労働省の認めた資格でもない単なる任意団体の資格、こういったものを発行して国民を惑わす、こういう詐欺商法のようなことが既に始まっているということをきちんと厚生労働省は自覚していただいて行政に取り組んでいただきたいということなんです。

 この部分だけちょっと、この資格ビジネスが横行しようとしているということについて、御見解を伺いたいと思います。

中村政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、運動器の機能向上に係る新たな資格を創設することは想定しておりませんので、どういう形で御注意を申し上げていいか、ちょっと戸惑うところでございますが、世の中には機敏な方がいていろいろなビジネスがはびこるということはあると思いますので、我々もそういうことのえじきにならないようにきちんとやってまいりたいと思います。

 それから、北海道の関係で私の同僚の名前が出ましたけれども、そういうことは一切ございませんし、うわさみたいなお話でございましたので、どうか、私どもの同僚はそういうことはございませんし、彼が出向しておりましたのは横路知事のもとの北海道庁でございまして、お話がありましたので、介護保険を導入する際のMDSという要介護認定の、あるいはケアプランをつくるもとのようなものを知事の御指示で、彼はジェトロに行っておりましたので、アメリカから持ってきて、北海道で日本で初めてそれを開発し、そのフィールドとして、道内の病院のみならず全国の病院でもそれに参加していただいて成果を上げたという人物でございます。このようなつまらない筋トレビジネスなどに関与する人間ではございませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。

鴨下委員長 中根君、申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力ください。

中根委員 はい、済みません。(発言する者あり)

 要するに、頭のいい方々は、だまそうとして、出し抜こうとして必死なんですよ。だから本当に気をつけなきゃいけない。だから、我々はいつも、障害をお持ちの方々とかお年寄りとか、そういった方々を中心に物事を見ていかなきゃいけない、そういった意味合いで申し上げているわけでありますので、そのことによってビジネスチャンスととらえて老人や障害者を食い物にするようなことがあってはいけないということを申し上げて、終わらせていただきます。

 どうも済みません。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 本日、介護保険制度の改正に伴います審議ということで、早朝から、大臣、副大臣におかれましても、大変御苦労さまでございます。

 くしくも、今回のこの介護保険制度の改正に伴いまして、さまざまな誤解やら、あるいは、今、中根委員からも御指摘がありましたけれども、うわさ等々が出回ってしまっている。それは何よりも、いわば政府の側の説明責任が私はきちっと果たされていない、さまざまな資料提示をしていただいて、それも誤解を生むような内容がある、したがって、こういった、私どもからさまざまな御指摘をさせていただいているものだというふうに御理解をいただきたいと思いますし、決していじめているわけでも何でも、難癖をつけているわけでもありませんので、お気を悪くなさらないでいただきたいと思います。

 と同時に、先ほどちょっと不規則発言の中で、決められたことはまじめにやれというような発言がございました。であるならば、この状態はどういう形というふうに御認識をされるでしょうか。定数をちゃんと満たしているか、ちょっと確認をいただきたいと思います。委員長、お願いします。

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 審議を続けます。園田君。

園田(康)委員 大変失礼をいたしました。

 これだけの介護保険という重要法案でありますから、やはり私ども委員の意識というものが……(発言する者あり)いや、連帯責任という意味です、私は。本当に、同じこの厚生労働委員会に所属をしている委員として大変恥ずかしいという思いをいたしております。それはもう各委員本当に御自覚をしていただいて、これからの、これはこの改正法案によって多くの方々が対象となる法案でありますし、当然のごとく、私たちも今後お世話にならなければいけないこの法案であります、まだ私は大分長いわけでございますが。

 この法案に関しまして、やはりしっかりとした審議をし、そして、その中から国民に対する説明をきちっとしていかなければいけない、それがこの厚生労働委員会の役目、役割であると私は思っておりますので、どうか、そのことを強く抗議といいますか、申し上げておきたいというふうに思っております。

 そして、これは政府側、厚生労働省の方に申し上げておきたいわけでございますが、私どもが何度か民主党の部会の中でいろいろな資料を御提示いただいてまいりました。その中で、先ほども同僚の中根あるいは山井委員からもいろいろ御指摘があったわけでございますけれども、やはり、当初示されていたものと、それからだんだんだんだん話が違ってきてしまっているということで、少し混乱が起きた部分があろうかと存じます。その点、もう一回、私もこの場でしっかりと御質問をさせていただきたいと思っております。

 そして、済みません、その今の点に関連して、ちょっとこれは質問通告にはないので、この場で恐らく御説明できると思いますから、軽くお答えをしていただきたいと思います。

 これは、この委員会審議、法案審議に基づいて参考資料として御提案をいただいたものでありますので、恐らく手元にあろうかと思います。

 六十七ページにあります「予防重視型システムへの転換」、ここにおける、いつも出ている図であります、一番下の図で、「参考」のイメージ図というところで、要支援者とそれから要介護者を振り分けている、この図がございますね。いつも出てきている図です。これが一番焦点になっている図でありますけれども、ございますね。

 これをもとに私はずっとこれから質問をしていきたいと思っておったわけですけれども、同じ冊子の九十一ページを開いていただきたいのですが、この図でいきますと、「要支援一(仮称)」の下に「準要介護」というものがございます。

 単純に見ますと、この六十七ページの図と、それから九十一ページの図では違うのですけれども、この「準要介護」というのはどういったものでしょうか。先に局長、御答弁をお願いします。

中村政府参考人 六十七ページの図と九十一ページの図の違いでございますが、九十一ページの図は現在はない図でございまして、検討過程でこういう議論があったときの図でございまして、私ども、今法案で提出させていただいておりますのは六十七ページの図でございます。そういうことで御理解賜りたいと思います。

園田(康)委員 そうしますと、こんなところに載せないでいただきたいと思います。議論の過程であったということであるならば、議論の過程であったということで、そういう参考資料として載せるのであるならばいいのですけれども、私、これを見させていただいたときに、また新たなものを厚生労働省は私たちに何の説明もなしに出してきたのだというふうに見てとられかねない部分がございますので、そういう、本当に、さっきの委員の数が少なかったというのと同時に、ちょっと緊張感が足りないのではないか。私はもう本当に……

 いろいろそごがあろうかと存じますが、失礼いたしました。

 したがって、私もきちっと読んでいない部分がありまして、これは去年の図を示したということですけれども、いや、でもこれは本法案の説明資料という形で出てきているわけですよね。

 いずれにいたしましても、何か役人言葉になってきましたが、それは確認をさせていただきました。すなわち、今本法案では六十七ページの図で審議をさせていただければということで、まず確認をさせていただきます。

 この法案のことで、まず全体から大臣に御答弁をいただきたいわけでありますけれども、この介護保険制度が導入されましてから、当初は三・六兆円という総費用がかかっていて、それが五年たちまして、四年で、去年のベースでいきますと六・三兆円。そして今年度は六・八兆円。このままいきますと、推計でいきますと、どんどんふえて、十兆円を超えてしまうのではないかという危惧がなされてきたということが一点、御指摘にございました。

 それと同時に、利用者、認定者数でいきますと、二百十八万人から、このときは二〇〇〇年ですね、二〇〇四年では四百五万人という形で、大幅にこれまた増加をいたしてきたということでございますけれども、この状況をとらえて、大臣はどのように、率直に御評価をされていらっしゃるのでしょうか。

尾辻国務大臣 今お触れいただきましたけれども、介護保険制度の要介護認定者は、二〇〇〇年四月の二百十八万人から二〇〇四年十二月の四百六万人に倍増しております。このことを見ますと、制度の普及ということで考えますと、介護保険制度が我が国の高齢期を支える制度として着実に定着してきたものと評価できるとまず考えます。

 しかしその一方で、給付と負担ということで考えますと、この間、費用が急速に増大しておりまして、今後の十年、二十年先を見据えますと、制度の持続可能性を確保していくためには、皆で支え合う部分と、みずから備えるべき部分とのバランスに配慮しつつ、給付の効率化、重点化を進める必要がある、これが課題だというふうに考えております。

園田(康)委員 一方で充実をしてきたという点と、それから見直さなければいけない部分という、給付と負担という部分でおっしゃっていただいたわけでございますけれども、そこで注目をされるのが、これまた厚生労働省さんからいただいているこの資料の中でいきますと、いわゆる軽度者、先ほどからずっと議論になっておりますけれども、要支援の方々とそれから要介護一の認定者数の増加というものがここで出てまいりました。

 ここにおいては、一方の、利用者あるいは認定者の増加というものは、いわば、介護保険制度が導入されて、そこに、今まででしたら、その前の段階でしたら、措置でさまざまな形で行っていた点で、サービスの内容が利用者本位でもなかった、あるいは決められた、限られた中で行われてきたということで、先ほども話に少し出ましたけれども、民間企業の力もかりて、どんどんこれを行っていこうという形で、民間企業の参入もここで認めて、制度が導入されたわけでございますね。その中で、いわゆる営利法人であるとかNPO法人であるとかいう掘り起こしがあったというふうに考えられているわけでございます。

 もう一つ、この資料でいきますと、やはり地域間格差が大変大きいという形が指摘をされているわけでございますけれども、これを今後どのように是正をしていこうというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

西副大臣 お答えいたします。

 要介護認定の認定率の地域格差のことにつきまして、まず御説明申し上げたいと思います。

 特に、介護度の低い部分について、それぞれの地域における要支援、要介護一レベルの皆さん方の率がかなり振れが大きい。もちろん重度の方でもそれぞれの地域的な事情があって、必ずしもびたっと一致するわけではないのですが、特にそこの部分が大きいというふうに考えております。

 この原因はいろいろあると思うのですが、先ほど御指摘もありました、地域における軽度な方に対する掘り起こし等の人為的な作用も、これはあるのではないかというふうに考えているところでございます。

 しからば、これをどうするのか、こういうお話でございますが、これを防止するために、不適正な申請の代行、それから認定調査についての見直しを行う。さらには、介護予防のマネジメント全体について、今回の改正で市町村の関与を強めて、地域包括支援センターでケアプランのチェックを行わせていただく等のことを考えているところでございます。

園田(康)委員 その中で、私も午前中からの議論で少し気にはなっていたのですけれども、これまた誤った形でメッセージがひょっとしたら国民に伝わるかもしれないので、一つだけ確認をしておきたいと思います。

 それは、いわゆる新規参入は市町村の委託によってさまざま行われてきたわけでございますけれども、委託あるいは認定によって、事業を行っていいということでやってきたわけですね。それすべてが悪いということ、掘り起こしが悪いという形になってしまったら、これまたちょっと、私は実は違うのではないかなと。

 すなわち、いわゆる、今副大臣がおっしゃっていただいたわけでございますけれども、不適切なあるいは不適正な形で過度に掘り起こしがなされてしまったというところで、一方では、確かに私も伺っている部分はあります。

 すなわち、どんどんチラシをばらまいて、こういうのも使える、ああいうのも使えるというので、そこで、こんなものも介護保険でたった一割負担で使えるのかというような形で、いわば、本当だったら要認定あるいは要支援という形で認定できない部分も、これもぽんとやってしまおうということで、マネジメントの中で、ケアプランの作成の中で盛り込んでやるという形が確かに行われていたというのは、私も、事実関係としてある事業者からも聞いておりますし、そういったものもあるんだろうと思うわけでありますが、これがすべてだというふうにおっしゃっていただくと、ちょっとこれはまずいのではないかなと。ちゃんとまじめにやっている事業者もありますし。

 一方では、まじめにやっていると言いつつも、何か、この間、同僚の委員からの指摘もありました、セスナを買ったり、あるいはクルーザーを買ったり、あるいはヘリコプターを買ったりというところもあるようでございますが、果たしてそれが本当にこの介護保険で賄われているものであるのかどうか、ちょっとこれも実は検証していかなければいけないんじゃないかなというふうに考えておりますので、適切な利用、そして適切なここにおける認定という形をきちっと、やはりここに重点を置いてまず行っていく必要があるんだということを確認させていただきたいと私は思うわけでございます。

 そこで、さまざまな形で言われておるわけですが、新予防給付について話をさせていただきたいと思います。

 先ほどの、確認させていただきましたこの六十七ページの図でございますけれども、先般の四月一日の同僚の山口委員からも御指摘があったわけでございますが、まず、要支援一でございますね、要支援一の対象者は約六十六万人だ。それから、要支援二の対象者は約九十万人、あるいはそこから百万人である。この小さい部分の、この要介護一の部分ですね、この要介護一の対象者は約三十万から四十万人という見通しだということでありますけれども、そのとき、大臣から先ほどもお話がありましたけれども、要介護一の部分は二割から三割程度であるという御発言があったわけでございますけれども、これはそれでよろしいんでしょうか。

尾辻国務大臣 改めて申し上げますが、今までの要支援の方が要支援一になりますから、これはもう今までどおりで六十六万人、その数字は変化はいたしません。

 それから、要介護一の方が要支援二と要介護一に分かれるわけでございますから、これがどういう分かれ方をするかという予測でございます。

 そうしますと、要介護一の方が今まで百三十万人おられるわけでございます。この百三十万人の方がどういうふうに分かれるかということでありますけれども、私どもの推計では、二割から三割程度の方が要介護一にそのまま残られるということでありますから、百三十万人の二割から三割の方が、すなわち三十万人から四十万人が要介護一になられる。

 それから、二割から三割ですから、七割から八割の方が要支援になられますので、百三十万人の七割から八割というふうに計算いたしますと、これが九十万人から百万人ということになりまして、今、結論で言うと、先生がお述べになりました数字がそのとおりでございますということを改めて申し上げたところであります。

園田(康)委員 そうしますと、今大臣がおっしゃっていただきました要介護一の部分でございますけれども、この対象となられる方々の根拠をお示しいただきたいんです。すなわち、どういう方々が今この図でいく要介護一に該当されるのか、その根拠をお聞かせいただきたいんです。

西副大臣 お答え申し上げます。

 現行の要介護一が、先生の御指摘のように要支援の二と要介護一に分かれまして、その要介護一の要件ということでございました。

 現行の要介護一の方のうち、見直しをした後、引き続いて要介護一になる方は、一つは、脳卒中等の疾病の急性期で心身の状態がまだ安定していない方、それから二つ目が、認知症等により新しい予防給付の利用に係る適切な理解、先ほど積極的にというお話も随分ございましたけれども、自分自身が何をやろうとしているのかということが十分な理解が得られないような方、こういう方を考えているところでございます。

 一方、これらの方々以外は、要支援二ということで新予防給付の対象とさせていただく、こういう考え方でございます。

園田(康)委員 そうしますと、きょう、本当に午前中からの議論と、もしくは私自身がまだ理解不足なのかもしれませんので、ここでもう少し明確にしていただきたいなと思っているわけでございます。

 私も、今までの民主党の勉強会の中で、認定で要介護者と要支援者とは分かれてしまうわけでございますけれども、そうなりますと、要介護認定を受けた要介護者、今、要介護一のところで分かれるというふうにおっしゃっていただいたわけでございますけれども、要介護の認定を受けた方々は、いわゆる介護給付という形で個別的な部分で介護保険の給付の対象になって、要支援者は予防介護の方で予防給付という形で給付がなされるというふうに理解して、つまり、ここでまたさらに給付のされ方の違いが出てくるというふうに考えてよろしいんでしょうか。これは局長で。

中村政府参考人 議員のおっしゃるとおりでございます。

 新しい要介護者の方は介護給付でございますし、新しい要支援者、要支援一、要支援二の方につきましては予防給付でございます。現在も予防給付がありますので新予防給付と呼んでおりますが、予防給付でございます。

園田(康)委員 そうしますと、先ほど山井委員からもいろいろ御指摘があって、さらに補充答弁で中根委員からも言わせていただいた、この訪問介護の見直しについてというところの、軽度者についての家事代行の部分ですね。

 これについては原則行わないというふうにおっしゃって、それがいわば適切な部分に行われているものはちゃんと支給しますよという形で私も理解をしたわけでございますけれども、つまり、この書かれ方ですよね、この書かれ方で見ると、原則やらないというふうにばしっと書かれてしまっているわけなんですよ。原則やらないということで、例外的にやる事項を述べていくという形です。

 もう一つ、この図とあわせてお伺いしますけれども、では、六十七ページのこの図でいくと、新しい制度の中で要支援二の中に入った方で、適切な利用を受けるという場合は、今現在適切な利用をされていて、新しい制度になっても家事援助がそのまま利用できるんですか、できないんですか。

中村政府参考人 六十七ページの図の右側に、六十八ページの方の上にございますが、法律的には、要支援二の方については、法律上の位置づけは、六十七ページの真ん中の図にございますように新しい予防給付になる。新しい予防給付になりますと、今回提出している法律では予防訪問介護というふうになっておりますので、名前は変わっておりますが、今の先生のお問い合わせですと、適正に使われている訪問介護については予防訪問介護として認められるものと考えております。

 先ほど来大臣御答弁しておりますように、アセスメントなりケアプランなり、プロセスを経るわけでございますが、大臣が御答弁しました三つの基本的な考え方を踏まえて、それが正しい、今の我々の議論でいえば適正な利用であれば、今の訪問介護が受けられる、こういうふうに理解しております。

園田(康)委員 そうすると、予防訪問介護という形でこちらの方々は位置づけられるということでございまして、サービスはそのまま受けられる、しっかりとした認定基準で受けられるということなんですけれども、いや、そこまで分ける必要が実はあるのかなという疑問はあるんですね。

 つまり、そうすると、では、要支援二に当たられる方々と、それから要介護一の先ほどおっしゃっていただいたところに明確に分ける必要が果たしてあるのだろうかという疑問も、疑問というか、私から言わせれば、今までの要介護一の中でこういう予防介護を受けるような形でしていきなさいよというふうに、すなわち、現行の制度プラス、今の予防給付、予防介護の中の制度の充実で要介護一の中に入ってくるんですよと。あるいは、後で触れますけれども、地域包括支援センターという形で総合的に、継続的にマネジメントしていくんだということで今回御提案をいただいているわけでございますけれども、であるならば、何も予防給付あるいは介護給付と分ける必要というのが、どこにその必要性があるのかなというのが私からはよくわからない部分があるんですね。

 そこで、国民への伝わり方という点で、僕は、どうも今回の審議の中でミスリーディングをされてしまっているんじゃないかということで、もう一度大臣にきちっとお答えをいただきたいわけでございますけれども、適切な認定によるサービスは変わらないんだということで、今回のいわゆるホームヘルプサービスが利用できなくなるという国民の懸念というものを、もう一度、そうじゃないんだよというところをきちっと大臣の御答弁として私はいただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほど来言っていただいておりますように、わかりやすく説明するということは大変必要なことだと思いますので、いろいろ理屈やごしょごしょ言うとかえってわかりにくくなると思いますから、いま一度端的にお答えいたしたいと思います。

 今までお受けになっておられるサービス、適切なものは引き続きお受けいただくことになります。御心配は要りませんということで、明快にもう一度お答えさせていただきたいと存じます。

園田(康)委員 では、予防訪問介護というのはどこから給付がなされるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 予防訪問介護も保険者から給付が出される。それは市町村でございますので、今の介護給付も市町村から、それから、今要支援の方には予防給付ということで出ているんですが、皆さん余り意識していませんが、これも市町村から出ている。今度はそのところをもっと徹底して新予防給付にするわけですので、当然これも同じ市町村から出る、こういうことでございます。

園田(康)委員 もう一つ、後で用意していた質問にもう既に入ってしまうんですが、ケアプランを作成するのはどなたになるんでしょうか。予防介護の方です。

中村政府参考人 新予防給付の方は、マネジメントの主体がかわりまして、地域包括支援センターの人間がこのマネジメントをする、こういう形でございます。

園田(康)委員 大臣、先ほどおっしゃっていただいた、今までと同じサービスで変わらない利用をされるということであるならば、なぜそこで分けなければいけないのかという疑問を僕はちょっと今持っているんですが。どうでしょうか、今、手を挙げていらっしゃいますから。

中村政府参考人 お答えさせていただきますが、今私どもの議論は、適正な利用をしている人についてはこうだ、それから不適正な利用の人は直るだろう、こういう適正、不適正という議論をしてきているわけであります。

 かねて申し上げておりますように、ケアマネジメントなり、特に軽度の方についてのマネジメントについて、軽度の方は要介護認定の該当をされている方の半数おられるわけで、相当大きなボリュームでございます。

 そこで、私ども申し上げていますのは、そのマネジメントを徹底して見直そう。そのマネジメントの中で、利用の適正さということについても判断させていただこう。その利用のマネジメントの中で適正と判断された人たち、つまり、ケアアセスメントなりケアプランなりケアカンファレンスなりそういったことを徹底して、そこで利用の適正ということを判断していこう。そういう判断を経て、利用が適正なものについては当然利用が継続される、こういうことでございますので、この六十七ページの図に戻っていただきますと、予防給付のマネジメントのプロセスと介護給付のマネジメントのプロセスを今回変えるということがもう一つの内容になっているところでございます。

園田(康)委員 そうしますと、今分けられるということでございますけれども、今、現に適正に、適切に利用されていらっしゃる方というのは大体どのぐらいいらっしゃるというふうに見ていらっしゃるんですか。

中村政府参考人 その御質問について、午前中も大臣と山井委員との間にやりとりがあったわけでございますが、私ども、そこを新たなマネジメントできちんとやった結果でないとわかりませんけれども、かなり問題のある例もあろうかと思っておりますので、一部問題がある例があろうというふうに考えております。

園田(康)委員 そうしますと、この要支援二に該当される方が不適正ということではないんですね。この要支援二に該当されていらっしゃる方々が今までのサービスで不適切に受けておられたということではないということでよろしいんですね。

中村政府参考人 そのとおりでございまして、要支援二に該当されている方が不適正であるということは全くございませんで、その方々の既存のサービスについてどうなのか、そこは地域包括支援センターの方の介護予防マネジメントを通じて明らかにしてまいりたいというふうに思っております。

園田(康)委員 わかりました。その点をしっかりと見ていただきたいというふうに考えております。

 ちょっと先ほど時間の関係でとまってしまった部分がありまして、後でもう一回振り分けていただけるということでございますので、ここはもう一点だけ御質問をして終わりたいというふうに考えております。

 先ほど、筋トレ筋トレ、もういいかげんにしてくれという話かもしれませんけれども、新たな介護予防の筋トレ、あるいは口腔ケアや低栄養の予防教室などがメニューとして組み込まれているわけでございますけれども、先ほど指摘がありましたこの予防効果についてです。

 ごく一部には確かに見られているというふうには、私も当然のことですからあるんだろうと思うわけでございますけれども、これは、共同通信で配信になるかもしれませんが、私の地元の岐阜新聞に三月の二十三日に載ったものでございまして、ここを見ますと、確かに改善は見られるというふうなところがあるわけでございますが、「だが、同時にトレーニング終了後の継続率は約三割など課題も浮かび上がっている。」と。継続率ですね。

 同市、これは川崎市ですね、川崎市の在宅サービス課の主査は、運動の必要性をわかってもらうきっかけにすぎない、終了後も自主的に続けてもらわないと効果は持続しないというふうに話している。モデル事業などで筋トレに取り組んでいる市町村は全国で五十以上。ある自治体が終了者に二カ月後の状態を聞いたところ、「楽に歩ける距離」「手を使わないで起きあがれるか」などほぼすべての項目で一度改善した機能が再び低下をしたという事例もあるようでございますが、この実態はちゃんと捕捉されていらっしゃるんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今御指摘ございましたように、運動器の機能向上においては、改善しました生活機能や運動習慣を維持するために、プログラムを継続していただくことは非常に大事だというふうに思っております。三月ワンクールでやるというのが、いろいろな方式はあるでしょうけれども、かなりの方式はそういう方式でやっておられますので、そのプログラムが終わった後の問題が大事だと思っております。

 例えば、要介護度が改善されて要支援になったような場合、あるいは認定外になったような場合につきましては、そういった方々の継続的な介護予防に取り組むための受け皿づくりが必要でありますので、地域支援事業の中でやってまいりたいと思います。

 また、その三カ月実施した後のフォローについてどうか。今、委員御指摘のとおり、五十一市町村でモデル事業をやっております。実施期間終了後のフォローにつきましては、先ほど来問題になっております検証作業の話がございますので、その中で、どれだけまた継続していただけるかどうかの問題はございますが、継続というのはモデル事業のフォローの継続の問題がございますけれども、可能な限り情報の収集に努めてまいりたいと思います。

園田(康)委員 もう終了いたします。また後ほどこの続きからお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

鴨下委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時一分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。園田康博君。

園田(康)委員 園田でございます。質問を続けさせていただきたいと思います。

 先ほど少し、再度、筋トレの部分で、三カ月のトレーニング終了後の継続率についてということでちょっとお話をさせていただきました。それにつきまして、私といたしましては、先ほど来から少し議論になっておりましたけれども、筋トレそのもののデータが不十分な点もまだ否めないのかなというところもございますし、あるいはまた、そのトレーニング終了後のしっかりとしたフォローアップといいますか、そういったものもやはりきちっとやっていただきたいなというふうに思っているわけでございます。

 その中で、もし仮に、この筋トレというものがしっかりと導入されて、確かに改善の余地はあるんだろうというふうに考える部分もございますけれども、その際に、改善の度合いに合わせて、例えば要介護一から要支援に改善をしたということで、継続的にやるのが一番いいということですけれども、なかなか、囲われたスペースの中で、こんな天気のいい中で一日じゅうこの中にいて、一生懸命筋トレだけをやって、筋トレだけじゃないかもしれませんけれども、それをやって、それを三カ月間続けるということは、お年寄りの方々にとってみれば大変なストレスもたまってくるんじゃないのかなと、一方では私はちょっと危惧をしているところでございます。

 したがって、何か、例えば筋トレに限らず、予防介護全体の流れの中でメニューをさまざま示されておられるわけでございますけれども、この要介護度が改善するに当たって、何かお年寄りの方々に、インセンティブというわけじゃありませんけれども、あめを与えるというわけではありませんけれども、改善したらこういうようなメリットがあるんだよというようなことも、少し私は考えていただいてもいいのかなというふうに考えているわけなんです。

 例えば、今お年寄りの皆さんでも保険料を払っていただいているという部分がございます。そういったものも減額、一生懸命やれば、確かに健康でいられるというものとプラスして、それと保険料も減額になるんだよというようなことも、私はあってしかるべきではないのかなと思うんですが、どうでしょうか。

西副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 先生の御指摘、保険給付を受けて、そして介護予防を行って、改善した人にはそれなりのメリットをというお話でございました。

 具体的には保険料の減免なんかどうだということでございましたけれども、保険制度そのものが、みんなで公平に負担をするということが原則でございますので、そういうふうにするのがいいのかなということにつきましては、この費用負担については議論があるかと思いますが、いずれにしても、この介護予防の成果を上げるために、利用者にわかりやすいインセンティブを何らかの形で与えるということは、これは励みにもなるし、大変重要なことだというふうに思っております。

 例えば、市町村また事業者の独自の取り組みとして、国が直接運営するというわけではございませんので市町村と申し上げるのですが、要介護度が改善した場合には、例えば表彰を差し上げるとか、安くても記念品なんかをお渡しするとかいうような形で、またさらに励みになるような工夫をそれぞれにしていただければ大変ありがたいことだなというふうに思っておるところでございます。

園田(康)委員 表彰ですとか、そういったことも何かあるのかなという気がいたしております。

 それに、今回の最大の目的といいますか、改正の中では、給付を抑制するといいますか、全体的な財政を抑制するということでありますから、介護度が減っていくということは、それだけ給付に対しても、全体的にみんなで抑えていこう、しかも健康であり続けようというこの制度の趣旨をしっかりとやっていただける方々でございますので、何らかの形で考えていただければ、私はいいのではないのかなという気がいたしております。

 あともう一点、きょうお伺いしたかったことは、地域包括支援センター、先ほど来少しお話が出ておりました。まず、この八条の二第十八項におけます「地域包括支援センターの職員のうち厚生労働省令で定める者」というのは、これはどういったものでしょうか。ちょっと簡潔によろしくお願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 これは新予防給付のケアマネジメントを行う者を定義したものでございます。そこで、新予防給付のケアマネジメントを行う者につきましては、地域全体に目配りできる保健師等とすることとし、地域包括支援センターに配置される他の専門職と連携して、新予防給付のマネジメントを行うことといたしております。

園田(康)委員 そうですね。業務の内容といたしましては、一番目といたしまして、包括的、継続的マネジメントの支援、これは主任介護支援専門員が担うということになっているようであります。それから、第二点目といたしましては、総合的な相談窓口業務でございますね。これは社会福祉士が担当されるということで、三番目といたしまして、介護予防マネジメントの業務を行うということで、これは、保健師あるいは経験を有する看護師などという形で今考えておられるようでございます。

 これは、全部で大体、この包括支援センターそのものは何人体制となって、全国でどれだけの設置というふうに考えていらっしゃるんでしょうか。また、それは市町村ごとにすべて必置、必ず設けなければいけないということになるのかどうかという点を確認したいと思います。

中村政府参考人 地域包括支援センターの職種につきましては、今委員御指摘のとおりでございます。基本的にはこれが基本的なユニットになると思いますので、三名と考えております。

 また、どういうところにどのくらいの範囲で設置されるかということは、地域によっても違いがあると思いますが、おおむね、業務量等を判断いたしますと、人口二、三万人に一カ所が一つの目安になる。そういった意味では五千カ所から六千カ所くらいではないかと思っておりますが、例えば、小さな町村等において三人全部そろえられるかどうか、そういった方の小規模の場合などについての簡便的なやり方などについては、工夫の余地があるのではないかと考えております。

園田(康)委員 恐らくその工夫の余地がさまざまな地域によって出てくるんでしょうと思っております。

 また、ここで主任介護支援専門員、いわゆる、私たちは主任ケアマネジャーと呼んでおりますけれども、その資格要件というのは何か考えていらっしゃるんでしょうか。

中村政府参考人 ケアマネジャーさんの資質の向上の観点から、ケアマネジャーさんをサポートしたり、それからチーフ的なケアマネジャーになる意味で、主任介護支援専門員という、いわば一つの、ワンランク上のケアマネジャーさんをつくろうとしております。

 ケアマネジャーの制度が始まって五年でございますので、最大の期間を持っている方が五年でございますが、基本的には、実務経験が豊富なケアマネジャーさんの中で一定の研修を経た人とすることが適当であると考えております。ここにつきましては、研修システムのあり方なども検討しておりますので、専門家による検討を行っているところでございます。

園田(康)委員 そうしますと、主任という形で位置づけられるわけでございますけれども、これによって地域包括支援センター全体が先ほど申し上げた保健師あるいは社会福祉士とともに形成されるということでありますけれども、この地域包括支援センター、これはいわゆる施設として考えてよろしいんでしょうか。あるいは、漏れ伝わってくる話だと、いや、施設を、別に箱物をつくるわけじゃないんですよ、人の集まりですよという形も一方では聞いているわけなんですが、第百十五条の三十九の一、二、三項をそれぞれ見ていきますと、「施設とする。」ことというふうに書いてあるわけなんですけれども、この整合性といいますか、施設でないというならば、この条文はどのように読み取ればよろしいんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターは、箱物というか、そういうハードウエアということを考えているわけではなく、まさに総合相談やケアマネジャーさんの支援、それから介護予防のマネジメントをする機能というふうに考えております。

 それから、職種のことを三つ言っておりますのも、それぞれの方がそれぞれの専門を持ちながら多職種共同でお仕事していただくということを考えておりますので、ちょっと条文の規定は後でチェックさせていただきますけれども、考え方としては機能というふうに考えております。

園田(康)委員 恐らく、予防介護という形で、この支援センターが中心的な機能になっていくというふうに思うわけでございます。

 質問時間が参りましたので、最後、このことだけ指摘をさせていただきたいと思います。

 副大臣にちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、現行の在宅介護支援センターがもう既に設置をされておるわけでございます。この内容そのものについては、それぞれの地域の立地ですとか力量の面で、こうした役割を在宅支援センターにゆだねるというには必ずしも十分でないというような指摘もございまして、今後この在宅支援センターの再編等々も考えられるのではないかと思うわけでございますが、この地域包括支援センターの設置に伴って、この在宅介護支援センターの位置づけというのはどのように変わっていくんでしょうか。

西副大臣 現行の在宅支援センターと今後できる地域包括支援センターの関係ということでございます。

 在宅介護支援センターの設置者がこれから地域包括支援センターを設置する、新たにそういう役割を担うというためには、先ほどからも局長も答弁がありました、必要な専門職種を確保するとともに、公正中立を確保するための仕組みが必要となってくるということでございます。

 したがって、在宅介護支援センターのすべてが地域包括支援センターになるというふうには限らないわけでございますけれども、この地域包括支援センターとならない在宅介護支援センターにつきましても、引き続き地域における高齢者の介護に関する相談、支援等の業務を行っていただく、さらに、地域包括支援センターが行う事業以外の地域支援事業の委託を同じように今後とも続けていただくなど、さまざまな活動をしていただくことなどが考えられると思っております。

園田(康)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

鴨下委員長 次に、泉房穂君。

泉(房)委員 民主党の泉房穂です。

 ただいまから一時間、高齢者の権利擁護につきまして質問をさせていただきます。

 この介護保険の改正につきましては、介護予防、またホテルコストなど、さまざまな論点はございますが、私は、本日は、権利擁護という極めて重要でありながら、今回の法改正においてどの程度その権利擁護が充実化されるかということが不安でなりませんので、この点を中心に質問させていただきます。権利擁護といいましても、なかなかその言葉でぴんとくる方は少ないのかもしれません。私は、この権利擁護ということを具体的に考えていきたいと思っています。

 本日は、幾つか資料を配付させていただいております。私は、四つの点からまずこの権利擁護という点を考えたいと思います。

 新聞記事の方ですが、Cの一という新聞記事の方をごらんいただければと思いますが、これはつい三日前の毎日新聞一面に載った新聞記事であります。「成年後見制支援 自治体八割利用せず」という記事でありますが、この記事の下の方に書かれております、少し読ませていただきます。「父親が女性の貯金を使い込む恐れがあり母親の虐待もあるため、弁護士らが市長の成年後見申し立てを求めた。三カ月以上経過したが、市側は消極的。」すなわち、これは虐待防止の問題であります。虐待防止の見地から成年後見というものが重要であるという記事であります。

 二つ目は、二枚目の方、一枚めくりまして、これも新聞記事でございますが、「成年後見制度 普及が処方箋」という記事がありまして、これはいわゆるひとり暮らしの在宅のお年寄りをねらった訪問トラブルの激増であります。こういったことについてもこの権利擁護が重要であるという新聞記事であります。

 そして、一枚飛ばしまして、Cの四の新聞記事であります。これはグループホームの全国調査、これも最近の新聞記事ですが、「権利侵害無防備に」と書かれておりますが、すなわち、本人の意思に関係なく、結局家族が入所の契約をしているという実態について書かれた文であります。すなわち、御本人が在宅を望んでいたとしても、家族の方が入所契約という形にしてしまった場合、御本人の意思に反して、本人が在宅で暮らしたいと思っても施設入所となってしまうという実態について書かれた記事であります。

 そして、これらの問題で非常に重要なのは、どうしてもこれまでの福祉の分野というものがサービスの提供の側から物を見てきたわけでありますが、単に人は腹いっぱい食べられればいい、また無事で過ごせればいいということではなくて、やはり一人一人がどういった暮らし方、生き方をしたいのか、そういった見地から、あくまでも利用者の方から物事を見ていく必要がある、こういった点だろうと私は考えております。

 私自身、弁護士をしておりまして、これらの問題にまさに現場でかかわってまいりました。虐待の問題につきましては、高齢者の家族内における虐待における殺人事件の刑事弁護も二件ばかりさせていただきました。また、高齢者に対する消費者被害、こういった相談を本当に毎日のように受けていました。ひどいのは、本当に呉服を無理やり売りつけたり、また要らない浄水器を取りつけてお金を取ったり、そういったことを日々相談を受けていました。何とかならないか、そんな思いで弁護士活動を続けてまいりました。

 しかしながら、なかなかそういった状況は改善されておりません。何が問題なのか。それは、この国の社会福祉が、まさにこういった虐待防止や本人の支援、そういった意思決定支援といったものも含めての権利擁護施策が無策だからである、そのように感じざるを得ません。新聞記事Cの三を見ていただくと、この成年後見制度ですが、七三%の人が聞いたこともないというふうに世論調査で聞いております。

 では、ほかの国はどんな状況なのか、それがCの五です。このCの五を見ますと、ほかの国と比べた比較表でありますが、例えばドイツの場合、人口比にして一・三%の方が利用されています。フランスの場合は〇・九%、スウェーデンは一・五%、大抵人口比にして一%の方がこういった後見制度を他の国は利用しています。日本の場合は、〇・〇五%です。まさにこの違いが、今のこの国の、虐待やまた高齢者の消費者被害といったものをいまだに解決できずにいる、こういったことの大きな理由ではなかろうか、そんな思いがしてなりません。

 この問題につきましては、昨年、坂口前厚生労働大臣にも質問をさせていただきました。そのときの議事録につきましてですが、Bの二という資料の方に坂口大臣の答弁を改めて記載させていただいております。

 少し読ませていただきます。尾辻大臣、これを聞いた後に、尾辻大臣としても思いの方をまず最初に語っていただきたいと思いますが、尾辻大臣の前任者である坂口大臣はこう言っておられます。この問題につきまして、「厚生労働省こそこの問題をやらなきゃいけない」「心を入れかえて今後しっかりと頑張っていきたい」「政策の立て方によりまして、この問題は一挙に浮上する」介護保険の「制度見直しに当たっての議論の中でこの問題もあわせて取り組みをさせていただいたら、私は大きく変化するのではないかというふうに思っております。」

 一枚めくりまして、違う日の質問でありましたが、このときに坂口大臣は、「介護保険制度と車の両輪ともいうべき重要な制度である」と成年後見制度について語られております。「後見制度のさらなる普及、定着のための方策を含め、さらに前進させるため、検討を進めてまいりたい」このように言っております。

 また、法務委員会ではありましたが、厚生労働省の当時の審議官である金子政府参考人は、「痴呆性の高齢者の方など判断能力が不十分な方々が、人間としての尊厳が損なわれたり財産侵害を受けたりということがないように、御案内のとおり、介護保険制度と時を同じくしまして成年後見制度がスタートした」このように言っております。「成年後見制度の普及、定着の方策はもとより」「さらに幅広い検討も進めていきたい、」こう述べられたのが昨年の五月十九日でありました。

 非常に期待をしました。恐らく、介護保険制度の見直しにあわせて、きっと権利擁護の面も厚生労働省にしっかりやっていただけるものと感じておりました。

 この点、まず大臣に対してお伺いします。今申し述べました、今のこの国の高齢者をめぐる権利の侵害の状況、また、取り組みに対するこの分野における決意のほどを、前の大臣の坂口大臣と同じなのか、もっと積極的に進めるのか、いや、もうこの問題はやらないのか、そのあたり、大臣、まずお答えください。

尾辻国務大臣 今、子供の虐待だとか障害者の虐待だとか、そうしたさまざまな弱い人たちへの虐待というものが、大きく社会の一つの問題として報ぜられることが多い昨今であります。そうした中で、きょうは高齢者の皆さんの権利擁護ということを取り上げていただきました。

 私はかねて言っておるわけでありますけれども、高齢者の介護につきましても、まず高齢者の皆さんの尊厳の保持ということが極めて大事なことだというふうに考えておりますから、当然、その中での権利擁護ということは重要な課題だというふうに考えております。

 坂口前大臣も、介護保険制度と車の両輪ともいうべき重要な制度であると認識をしておりますというお答えをしておられますけれども、私もまた、そういう認識においては同じくするものでございます。

 法務委員会での答弁もございますけれども、成年後見制度の普及、定着の方策はもとより、さらに幅広い検討も進めていきたい、こういうふうに考えるところでございます。

泉(房)委員 今の答弁で、基本的な姿勢は変わっていないというふうに理解できると思いますが、それを前提に質問をさせていただきます。

 これは繰り返しですが、本当にこの国のそういった権利擁護の施策は貧しいものだと率直に申し上げざるを得ません。この問題は、単に権利擁護というか、そういった今申し上げた点だけではなくて、実はこの介護保険という制度上の法律的な問題でもあります。余りにもこういった権利侵害状態が放置されている、これはすなわち法律上の問題ではないか、そういったことであります。

 この点につきましても、今のBの四でありますが、これも法務委員会で五月十九日に質問させていただいた。当時、当時といいますか今もそうですが、塩田障害福祉部長の方よりこのように回答をいただいております。「判断能力が仮にないとすれば、法律論としては、契約は無効だろうと思います。」「法律的な問題があるということも承知しております」こういうふうに答えております。

 これは、実はすごいことであります。この介護保険制度というものは契約制度であります。有効な契約に基づいて公費が支出されているシステムにしておきながら、無効であるというのはすごい答弁だろうと思います。その結果、塩田政府参考人の方は、「成年後見制度を伸ばすべく最大限の努力をさせていただきます。」このようにも言っておられます。

 この点、まず塩田障害福祉部長に対しまして、このときの認識につきまして改めて問いたいと思いますが、無効であるとするならば何を根拠に公費を支出しているのか、その点、お答えいただきたいと思います。

塩田政府参考人 昨年の法務委員会での答弁ですが、その考え方は変わっておりません。知的障害者を初め障害者の方がサービスを利用する上で、判断能力が十分ではない場合においていろいろな法律上の問題があるという点については、御指摘のとおりだろうと思います。そういった問題が解決する、あるいは障害者の自己決定権を尊重するという意味で成年後見制度の役割は大変大きいということでありまして、障害者福祉の観点から、その制度の定着、普及に最大限努力したいという気持ちに今も変わりはございません。

 この国会に障害者自立支援法案の提案をしておりまして、御審議していただきますけれども、この法案の中でも、市町村が必ず行う事業として、障害者の権利擁護のための事業を行っていただくということを法律に明記しておりますが、これは、成年後見制度の普及に市町村に本気で取り組んでいただくという趣旨で盛り込んだものでございます。

 法案が仮に成立した場合には、障害者の成年後見については、今後は障害者自立支援法に基づいて市町村でその普及、定着をしていただくということになりますけれども、どういう形で市町村にやっていただくか、あるいは関係者の役割分担はどうあるべきか、あるいは国の予算措置はどうあるべきかにつきましては、この国会での議論などを踏まえまして対応していきたいと思っているところでございます。

泉(房)委員 ちょっと質問と対応していないのですが、無効な場合に、何を根拠に、行政は法に基づいて執行するわけですが、契約システムをとっておきながら、無効な契約でありながら、つまり、事業者が勝手に書いた無効な契約で公費を支出していいはずがありません。と同じように、無効な契約で公費を支出する根拠はなかろうと思います。

 結局のところ、そこは今不正常な状態である、であるから、それを一刻も早く解決すべく、そこに対する法的手当てが必要である、このように私は思いますが、ここの認識は同じでしょうか、違いますか。お答えください。

塩田政府参考人 仮に判断能力がない場合の契約というのは、やはり法律論としては無効だろうと思いますが、実際の契約が本当に無効なのかどうかは、個々のケースごとにかなり慎重にいろいろな角度から検討した上で確定するものでありますので、一般論としてはおっしゃるとおりですが、個別の話はもっと厳密な議論が必要だろうと思います。

 それから、実際のサービス、仮に御本人にとってすごくマイナスのサービスが提供された場合と、それとは逆に、本人にとっても必要なサービスが提供された場合、それぞれケースによって法律の立て方、理論構成も変わってくると思いますし、法律上いろいろな問題があることは委員の御指摘のとおりであると思いますが、例えば民法の事務管理という制度の論理をどう活用するかとか、制度的には専門家の方がいらっしゃいますけれども、いろいろな御意見を聞きながら対応すべきことが多い課題だろうと考えております。

泉(房)委員 しどろもどろの答弁ですが、法律的には無効なんですよ。重度の知的障害者の方が自分の意思で契約できるはずがありませんから、重度の知的障害者の場合は、やはりその方に対してちゃんと法的な手当てをして、その方の保護を本気で考えていただける方がしっかりとその人の立場で自己決定、自己選択をしていく、これを本来契約システムは予定しているわけであります。

 この点、役所としてはそれをなかなか正面から認めがたいというお立場かもしれませんが、私は別に、有効、無効を声高に言っているのではなくて、無効ということはすなわち、その人を守る状況が放置され続けているということを心配しているわけであります。これを一刻も早く解決しなきゃいけないんじゃないですか、私はその見地から質問させていただいているつもりであります。

 同じように、介護保険の関係についても同様であります。介護保険は、措置から契約へ、まさにこの言葉どおり、それまでの行政による措置から、自己決定、自己選択、利用者と事業者との契約に基づくシステムに変わりました。そのとき、これはある意味、やっと自分たち利用者の方からサービスを選べる時代が来たんだというふうに喜ばれもしました。

 しかしながら、このことは反面、国がそのそれぞれの方に対することについて責任を持つシステムから、ある意味、利用者みずからが決定するということは、みずから選び取り、自己決定、その反面、自己責任を負うシステムであります。しっかりした方であれば、もちろんそれはそれでいいかもしれません。しかし、痴呆の高齢者、特に重度の方については、みずから選べるはずもありません。それは、先ほど申し上げた重度の知的障害者の方も同じであります。そういった方々に対してどうするか。その中で、成年後見制度はまさに車の両輪として、そういった方々のための手当てとして同じ日にスタートしたわけであります。

 介護保険はもう既に三百万を超える利用。しかしながら、成年後見制度はほとんど全く利用されていないわけであります。このことは何を意味するか。かつて、保険あってサービスなしということが危惧されました。しかし、サービスは確かにあります。今は、サービスあって権利擁護なしの状況ではないんでしょうか。

 この点、老健局長、老健局長はみずから志願してスウェーデンにも何年も行かれ、今も趣味として、スウェーデン研究ということを趣味だと書かれておられます。先ほどのCの五を見ましても、この後見制度、日本はスウェーデンの三十分の一。ほとんど利用されていない状況であります。

 そこで質問をしますが、この介護保険システム、重度の痴呆の高齢者であり判断能力がない方、こういった方はみずから契約を締結できるんでしょうか。そうした契約は有効なんでしょうか。有効か無効か、まずそこだけお答えください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害保健福祉部長と同じ答弁でございますが、法律論としては、まさに委員御指摘の問題があるわけでございまして、成年後見制度の利用促進に努めていくことが大事であろうと思います。

 現実論としては、事業者が個々の利用者の方と契約を結ぶに当たり、意思能力のない利用者であるかどうか実際難しい問題でございますとか、日本の高齢者は、今お話に出ましたスウェーデンの高齢者とは相当違って、家族と同居されている同居率の問題とかいろいろな社会システムの問題があると思いますので、そういった中で成年後見制度なり権利擁護というのを我が国でもどうやって普及していくかというのは課題であると考えております。

泉(房)委員 今の答弁で、塩田部長と同じということは、契約は無効である、無効であるから法律的に問題である、最大限の努力をしなきゃいけない、こういう御認識だと理解してよろしいでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げたとおり、成年後見制度の利用促進に努めていく必要があるということでございます。

泉(房)委員 あと、パンフレットをきょうお配りしております。カラーのパンフレットであります。これは厚生労働省の補助を受けてやった調査でありますが、「ご存知ですか? 成年後見制度」というパンフレットであります。一枚目の紙にショッキングなタイトル、「知らないことが罪を作ります。」というタイトルも入っていますが、一枚めくりまして調査結果が出ております。

 ここの問い四のところです。「契約内容及び重要事項説明書の説明を、誰に行いましたか?」これは、厚生労働省はきっちりと本人に説明をしなきゃいけないと言っておられます。しかしながら実態は、利用者に説明しているのはわずか一%です。五六%が家族が聞いているだけであります。

 問い五を見ますと、ではだれが契約していますか。本人がしているのは五%です。家族が代筆しているのが六三%です。これは何を意味するのか。すなわち、本人が説明を受けず、本人がみずからの意思であるかどうかもわからないまま、家族の意思に従って入所がなされているということであります。

 本人がみずからよくわかった上でこのグループホームに入るというのであれば、それは本人の選択です。しかしながら、説明も受けず、家族が勝手に聞いて勝手に契約して、そしてグループホームに入る。これが果たして本人にとって幸せだと言い切れるんでしょうか。これを老健局長はどのように考えますか。

中村政府参考人 このパンフレットは、今委員御紹介のとおり、私どもの補助事業により、特定非営利活動法人の全国痴呆性高齢者グループホーム協会が作成したものでございます。

 最近私どもは認知症と呼ばせていただいておりますので、認知症と言わせていただきたいと思いますが、このグループホーム協会にしろ、認知症の方御自身、それからそれを抱えておられる御家族は非常に大変な状況にあり、そういった方々とこのグループホームとの契約の際のことを調査し、成年後見制度の問題があるから普及を図ろうというふうなことでつくられたパンフレットだと思います。

 今、御本人がこれで幸せかどうかという大変難しい御指摘がございましたけれども、我が国の実態はこういうところであり、御家族が本当に認知症の方を抱え苦労され、御家族の方が認知症の御本人の最大の幸福ということを祈って、いろいろ認知症のグループホームの利用をされている実態が出ている、こういうふうに考えます。

 これを権利擁護の観点、あるいは利用者本人の保護の観点からどう見るかということについてはさまざまな問題があると思いますので、まさに家族が果たして本人の利益を最大限尊重する存在であるかどうかということについても、問題があるケースも残念ながらある場合もあると思いますので、そういった意味で、成年後見制度のさらなる普及が必要ではないかと考えております。

泉(房)委員 長々答弁せずに、できればちゃんと質問と答えが合うように答弁願いたいんですが。

 これは、厚生労働省、これまで家族に対して余りにも盲目的な信頼をし過ぎたのではないかと思います。今度議論されている高齢者虐待、これは、施設における虐待のみならず、家族による虐待というものをどうするかの取り組みであります。家族が虐待をする、この現実と向き合わざるを得ないわけであります。虐待というのは、別に殴るけるだけではありません。ネグレクトもあれば、親のお金を取り込む場合だってあります。つまり、残念ながら必ずしも家族が本人のためにやっているわけではないという厳しい現実を見据えないと、本人の幸せを図っていくことはできない、こういう現実を厚生労働省はしっかりと認識すべきだろうと思います。

 本人の幸せはだれが決めるか。これは本人です。国が決めるわけでもなければ、家族が決めるわけでもありません。本人の幸せを決めるのは、当然、本人なわけです。それを建前として介護保険制度も支援費制度もスタートしたわけじゃないですか。それを、家族がいるから大丈夫、家族が説明を聞いて家族が契約したから大丈夫、そう言ってしまったら、どこに本人の意思があるんですか。

 一%の人しか説明を受けていない。聞かずにグループホームに入っておるんです。聞かずに施設に入所しておるんです。スウェーデンはそんなに施設にばかり入れる状況ですか。違うでしょう。みんな、御本人の意思に従えば、多くの方が在宅を選ぼうとするわけです。しかしながら、選ぼうにも、本人が説明も受けてもいないし契約もしていないわけじゃないですか。これに対してどうしていくか、これがまさに権利擁護なわけじゃないですか。

 この点、厚生労働省、家族がいるから大丈夫、こういった考えはぜひとも改めていただきたい。いただきたいだけじゃなくて、する必要があるというふうに申したいと思います。

 そこで、今も何度も答弁で、頑張っているかのようなことを言われます。頑張っていれば私もこんなに声は荒げないわけでありますが、実際上、今の厚生労働省がやっている権利事業は何なのか。厚生労働省のホームページから打ち出しました。それがAの三であります。

 Aの三を見ますと、これは厚生労働省のホームページから打ち出したものです。権利擁護等に関する現行施策の概要、これが今厚生労働省でやっている権利擁護事業であります。何をやっているのか。

 一番、介護サービス利用に対する説明と同意。していないじゃないですか。本人が聞いているのは一%なんですよ。

 二番、成年後見制度利用支援事業。後で質問しますけれども、はてなはちょっと後で私がつけましたが、この対象者に精神の障害者は入っていないんですよ。精神の障害者は支援しなくていいんですか、厚生労働省。また、これを使える市町村は二割いかないんです。これはつい先日の新聞記事もありました。Cの一。成年後見制度をしています、していますと厚労省は言いますが、実際上、自治体で利用していない、八割が事業化していないわけですよ。していないじゃないですか、全く。

 そして三番、地域福祉権利擁護事業。これにつきましても、この対象者は四百万を超えます。四百万に対する、タイトルはいいタイトルです、地域福祉権利擁護事業。利用している人は五千人もいないんですよ。この対象となっている方は、権利擁護を要する対象者の千人に一人も利用しているかどうかという状況なわけです。

 ページをめくります。老人福祉法に基づく措置。これもたったの百四十人。

 五番、身体拘束廃止への取り組み。何をやっているか。手引きをつくって、相談窓口をつくって、研修をやっている、そんな話です。そうじゃないでしょう。例えばドイツなどの場合は、ほぼ全員に後見人がついていて、その後見人が同意しないと身体拘束してはだめ、そういうふうにしてチェックをかけるわけです。単に手引きをつくって、研修をやったからといってなくなるわけではないんです。

 そして、ゼロにしようと思うにも、現場はなかなかそうもいかない中で悩んでおるわけです。何が必要なのか。本人の立場で、本人の状況を考えながら、そこでこの場合はやむなしというふうに後見人が判断したときのみ拘束はいい、こういうふうにほかの国はルール化してるんです。こんなことを何もしていないわけです。

 これで全部ですよ。何をやってきたんですか、厚生労働省は権利擁護について。にもかかわらず、権利擁護、権利擁護と、やっていますというようなことを言わないでくださいよ。

 サービスをつくったらそれで済むんじゃなくて、レストランに入って、カレーライス、オムライス、チャーハン、いっぱいメニューをそろえたって、食べたくもないものを食べさせたらだめなんですよ。カレーを食べたいかオムライスを食べたいかはだれが決めるんですか。本人ですよ。今の状況は、本人が決めずに、店の店員、いわば事業者に近い、そういったケアマネが、店の店員がメニューを聞きに行って、あなたはカレーライスで、ではコーヒーをつけておきます、そんな状況なんですよ。それではだめでしょう。本人自身が食べたいのか食べたくないのか、何を食べたいのか、そしてその量はどの程度がいいのか、それを決めるのは本人じゃないですか。店のウエートレスでもないし、一緒に行った家族でもないんです。それを決めるのは本人じゃないんですか。にもかかわらず、ほとんど何の権利事業もしていない。

 今回の改正、坂口大臣の先ほどの話も言いましたが、それを受けて、Bの一ですけれども、「介護保険制度の見直しに関する意見」。これは権利擁護の部分を抜き出したものでありますが、Bの一の方です。

 このときに、「「地域包括支援センター」の創設」というのが書かれています。この中で、線を引いています、下の方ですが。上も読みましょうか、線を引いたところ。「成年後見の利用支援」「も含めた地域における権利擁護のための支援体制を強化していく必要がある。」「虐待への対応など権利擁護を含む「総合的な相談窓口機能」」こういうふうに書いてあったわけです。私も期待しました。

 条文を見ました。条文はAの二ですね。Aの一はポンチ絵ですけれども、結局、条文でいきますと、Aの二を読みますと、これは地域支援事業、実際は地域包括支援センターが行うことになろうかと思いますが、百十五条の三十八、市町村は、「次に掲げる事業を行うものとする。」これは必須事業であります。これにみんな入りました、このときのことは。二番の方が、市町村は、「次に掲げる事業を行うことができる。」やってもやらなくてもいい任意事業であります。この権利擁護事業は二の方に回ってしまいました。

 この意見書は、当然やることを前提として「三つの基本機能を担う「地域包括支援センター」を創設する」と書いてあったわけです。権利擁護事業をやることを前提に地域包括支援センターはあったわけです。ところが、法律になった途端、やってもやらなくてもいい。そして、先ほど申し上げましたが、やっているのは全国の地方自治体のうち、支援事業は二割に満たないんです。やってもやらなくてもいい、そして何の策もとっていない。こんなもので権利擁護は進むんですか。本当に何か悲しい思いがします。

 今回の介護保険法、本来であれば、百十五条の三十八のこの上の方に当然にこれが入るはずなんです。これだけ落ちたんですよ。なぜこれだけわざわざ落としたんですか。老健局長、お答えください。

中村政府参考人 地域支援事業につきましては、いろいろ御議論がある中で、私どもは、介護予防を進めること、それから、介護保険が導入されてから、ややもすると地域のソーシャルワークなり総合相談機能なり、そういった機能が後退しているという御指摘を踏まえまして、地域支援事業を創設したところでございます。

 百十五条の三十八の第一項につきましては、まず、本来市町村が地域の高齢者の保健福祉の向上を図るために必須とされる事項について規定させていただいたところでございまして、一番に介護予防事業の推進、二号から四号までに、ただいま申し上げました相談事業、それからさまざまな処遇困難ケースに対しますケアマネジャーに対する支援事業、そして予防のマネジメントを行う。

 それに加えて、こういう中で、今御指摘のありましたさまざまな虐待につながるケースなどについても相当対応できると思いますけれども、さらに加えまして、市町村ができる事業といたしまして二項一号、二号、三号、四号を規定したところでございます。その中に、委員御指摘の権利擁護のための必要な援助を行う事業も、この地域支援事業の財源の枠の中で実施できることとしたところでございます。

泉(房)委員 長々言わぬと答えてください。

 何で権利擁護がやってもやらなくてもいい話なんですか。高齢者虐待が多発していて、ひとり暮らしの年寄りをねらった訪問販売やトラブルがいっぱい起こっていて、何とかせなあかんのじゃないんですか。本人の意思に従ったサービス利用を促進せなあかんのじゃないんですか。権利擁護ということはやってもやらなくてもいいようなことなんですか。やらなきゃあかんことでしょう。何で必須にしないですか。

中村政府参考人 私どもも、権利擁護が大事ではない、そういうことを申しているわけではございません。

 しかし、地域支援事業というのは市町村の事業でございまして、市町村のいろいろな判断でやれる事業の色彩が強い中で、その中で、介護保険制度本体にとりましてある意味でここだけは必須の事業として位置づけたものが一項であり、第二項について、これはやってもやらなくてもいいということではなく、地域支援事業としてされるのであればこういう枠組みでやることは必要でございますし、市町村が権利擁護のためにさまざまな事業が必要であるということであればこの枠外でやることもできるわけでございますので、この条文の書き方をもって、我々が権利擁護事業の必要性について後位の順位に置いているということではないという点は御理解いただきたいと思います。

泉(房)委員 長々答弁するんですが、本当に、なぜ必須にしないかというと、結局、見捨てたんですよ。厚生労働省は権利擁護を捨てたんですよ、きつい言い方をしますけれども。Bの一と法案を見比べたときに、この七月三十日の社保審の介護保険部会の意見、地域包括支援センターの創設のうち、全部入っておるんです。落ちたのは権利擁護だけですよ。ほかは全部必須事業に入れたんですよ。権利擁護だけを見捨てたんですよ。見捨ててどうするんですか。地方自治体は二割もやっていないんですよ。やるめども立っていない。国がしっかり指導してやらぬとだれがするんですか。

 塩田部長に聞きたいと思います。

 塩田部長、障害者自立支援法のお話もしましたが、そちらとしては、この権利擁護事業はやってもやらなくてもいいことなのか、必須事業なのか、どのようにお考えか、お答えください。

塩田政府参考人 障害者にとっては、判断能力が必ずしも十分ではない方はたくさんいらっしゃいますので、成年後見制度を初めとする権利擁護事業が、障害者の方が自立して地域生活をする上で必要不可欠な制度であると考えております。

 高齢者の方もそうですが、障害者の方は特にコミュニケーション能力でハンディキャップを負っている方がたくさんいらっしゃいますので、いろいろなバックアップというか支援が必要不可欠であると考えております。そういう観点で、後日御審議していただきます障害者自立支援法案におきましては、市町村において、必ずそういう権利擁護の事業をしていただくというスキームで法案を作成させていただいております。

泉(房)委員 障害者の分野が必須なら、何で高齢者は任意なんですか。老健局長。

中村政府参考人 先ほど申し上げましたように、必須事業の中に総合相談事業が入っておりまして、そこには、保健医療、公衆衛生、社会福祉、その他の関連施策に関する総合的な情報の提供、関係機関との連絡調整、その他被保険者の保健医療の向上及び福祉の増進を図るための総合的な支援を行う事業で、この中に権利擁護事業は入っております。

 二項の市町村が行う被保険者の権利擁護のための必要な援助を行う事業というのは、私どものイメージでは、権利擁護のためにさまざまな、例えば費用がかかる、そういった費用について市町村が助成するかどうか、そういったことが含まれるというふうに思っておりますので、私ども、権利擁護上問題があるようなケースなどについては必須事業の中で当然入っている、こういう理解でこの条文を書いているわけでございます。

泉(房)委員 では、今の答弁だと、市町村は権利擁護事業をしなければならない、そういうことですね。イエスかノーか、お答えください。

中村政府参考人 必要な権利擁護については、市町村は当然していく必要があると思います。

泉(房)委員 それは必須事業という理解でいいんですね。

中村政府参考人 総合相談、支援は必須事業でございます。総合相談、支援の中で権利擁護は重要な事項ですから、総合相談の対象にならないわけはないと私は思っております。

泉(房)委員 何ですか、その答弁は。

 そもそも、条文上そんなふうに読まないんですよ。権利擁護をわざわざずらして下に書いておきながら、入っておると。では、入っておるのだったら、書かなくてもいい、中に入れたらよろしいでしょう。何で入っておるのに後ろにずれるんですか。そんなわけのわからぬ説明しないでください。

 これは本当だったら修正が要るんですよ。ちゃんとこの意見書のとおり条文化したらいいだけのことだったんですよ。権利擁護事業を市町村の責務と老人福祉法上明記して、そして、この地域支援事業の中に、当然この上の第一項の方に書くはずだったんですよ。修正しますか。

中村政府参考人 権利擁護の本質は、やはりソーシャルワークとかそういうものでありまして、私どもが御提案しています包括的支援事業はまさにそういったものに該当すると思います。

泉(房)委員 本当にちゃんと、障害者の方は必須なんです。高齢者だって権利擁護が必須に決まっておるじゃないですか。これはもう修正ですよ。やってください。

 それで、成年後見のさっきの利用支援事業の件、聞きたいので聞きますが、二つ。さっきのAの三ですけれども、成年後見制度利用支援事業に精神障害者は入っていません。入れるんでしょうね。

 そしてもう一つ、今は、これを使おうと思っても、実際、老健局の計画課長が通知を出しておるんですよ。これを現場は使おうとしているんですよ。使おうと思っても、通知がどうなっているか。四親等内を全部調査しなさいと通知を出しておるんですよ。四親等といったら、おい、めいの子供ですよ。おい、めいの子供まで連絡をとって、あなたは成年後見したいですかと市町村は確認してからせいと。そんなことをしてまで、せいということを通知を出している。感覚を疑いますよ。本当に困っている人がいるのに、四親等を市町村の担当者は探しているんですよ。こんなばかな通知を今ほったらかしているんですよ。改正しますか。この二点をお答えください。

塩田政府参考人 まず、精神障害者の方々への取り扱いですけれども、これにつきましては、障害者自立支援法案におきまして、精神障害者の方も含めて知的障害、身体障害、市町村が中心となって福祉サービスを一元的に提供できる体制を目指すということになっております。この法案の中で、障害者の方々の権利擁護事業は市町村の必須事業としておりますので、当然、新しい法律の中で精神障害者もその対象になるということでございます。

 具体的にどういう形で市町村にやっていただくか、また国の予算措置をどうすべきかについては、国会の審議などを参考にしながら、十八年度以降の事業でありますので、部内で鋭意検討させていただきたいと思います。

泉(房)委員 一言。入れるんですね。はいかイエスか、答えてください。入れるんですね。

塩田政府参考人 障害者自立支援法上、当然対象になっております。

泉(房)委員 通知の改正は。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村長が成年後見の審判の請求をする場合として、四親等内の親族の不在などを前提としてお示ししているところでございます。御指摘のとおりでございます。これは、四親等内の親族であれば、みずから成年後見の審判を請求できる、こういうことを踏まえたものであります。

 ただ、今委員御指摘のとおり、これは広過ぎて、実際やろうとする場合、市町村が大変だという御指摘をいただきました。私どもも、実務を担当する市町村の意見を聞いた上で、市町村による申し立て事務に支障が生じているというのであれば、ほかのいろいろ市町村事務のことについては市町村と御相談の必要もありますけれども、私どもは、四親等内の親族の不在などの前提を緩和するということについては検討させていただきたいと思います。

泉(房)委員 緩和するか否か、イエスかノーかお答えください。緩和するんですね。

中村政府参考人 御答弁申し上げたとおり、ですから、私ども、四親等内の親族の不在などの前提を緩和することを検討すると言っているわけでございますから、検討をさせてください。その上でないと……(発言する者あり)ですから、市町村とも相談させていただいて検討をさせていただくと申し上げております。

泉(房)委員 そんなもの、これは十二年に成年後見が始まって、一年後に始まって、何年ほったらかしておるんですか。市町村にも相談せぬと通知を出しておるんですか。私は、弁護士で担当していましたから、成年後見が始まる前から、みんなに成年後見の普及で、ずっと講習に行ったり研修の講師をしましたよ。みんなこれは使えないわけですよ。四親等なんか、できるはずないような通知をしておるんですよ。いつまでに緩和する方向なのか、お答えください。

中村政府参考人 私どもは、この通知を出すときに、市町村の方と相談して出させていただいておりますので、また、相手とも相談をさせていただくということを申し上げている。委員の御指摘ですから、緩和の方向で検討すると申し上げているわけですから、そこはよく理解をしていただきたいと思います。よく御理解ください。

泉(房)委員 緩和するのは理解しました。

 あと、きょうはこういう要望書を持ってきました。これはBの九です。Bの九の方にこの要望書の内容が書かれています。本日は、五千七百一名の要望書の署名を持ってまいりました。

 この内容は何か。現場はやはり、本当にまじめに考える人は、契約制度になっているのに勝手に親が契約していいのだろうかと悩んでおるんですよ。そして、施設の方だって、普通に考えたら、全く判断能力もない人に、親が契約して、こういうサービスですと親に説明して、それで継続してやっておるんですよ。これではあかんとみんな思っておるんです。何とかならぬかと思うけれども、本当に厚労省が動かないので、成年後見制度も全く普及しない状況でここまで来ておるんですよ。そういう中でこの署名はとられたんです。

 内容は何か。「ボランティア・スピリットを組織化し、成年後見人等受任者の質的・量的な確保を行うことで、費用を抑えつつ、」自分たちがボランティアでする、費用も要らぬ、でも、ちゃんと権利擁護してくれという要望書ですよ。金をくれという要望書じゃないんです。ほんまに権利擁護をまじめに考えてやりましょうよという要望書です。地域のボランティアを組織して、相談、支援の窓口に私たちがします、資格制度や研修カリキュラムをつくってくれたら、自分たちで研修してちゃんといい後見業務をしますから、こういう要望書ですよ。

 大臣、この内容、こういった署名の内容について、また、きょうはここまで聞いてきて、どういうお気持ちですか、お答えください。

尾辻国務大臣 成年後見制度の普及のためには、今もお話ありましたけれども、無償または低廉な費用で後見人を引き受ける者の確保が重要な課題である、こう考えます。そこで、現に、弁護士会だとか社会福祉士会、司法書士会、社会福祉協議会などによる受け皿づくりも進みつつあるというふうに理解をいたしております。

 そうした中で、現在、市町村による権利擁護事業への取り組み状況に関する調査研究も行っておるところでございますから、その結果も踏まえながら検討をさせていただきますけれども、今大変またありがたいお申し出といいますか御提言もいただいておるわけでございますから、私あてにもなっておるようでございますから、よく読ませていただいて、また検討をさせていただきます。

泉(房)委員 では、これは当然受け取って、しっかりと対応するという理解でよろしいですね。

尾辻国務大臣 よく読ませていただきます。(泉(房)委員、要望書を渡す)ありがとうございます。

泉(房)委員 これは、今五千七百一名ですけれども、兵庫県の一部にすぎません。全国でならすと、十万、二十万の話です。多くの現場の方が、本当に権利擁護せなあかんと思っておるんです。ところが、厚生労働省が、きょうこの間聞いておられて思ったと思います、本当に何もしていないんですよ。やってくださいよ、大臣、決意を言うてください、決意を。大臣が言ってくださいよ。

中村政府参考人 私にも要望書をいただいておりますので、大臣がお答えいたしましたように、きちんとさせていただきます。

 それから、私どもも、成年後見法学会にいろいろ補助をしたり、いろいろな研究もさせていただいております。一生懸命やることはやらせていただきたいと思います。

 それから、委員は、成年後見制の普及しないことが、厚生労働省がすべての責任みたいなあれですが、成年後見制は、弁護士の方に恐縮ですが、民法の特例であって、やはりその利用される方がまず第一義的にはお使いいただくということで、まさに、司法界の方とか先生方の御奮闘もやはりいただかなければならないのだと思います。私どもも及ばずながらきちんとさせていただきますが、そういう点はぜひよろしくお願いをしたいと思います。

泉(房)委員 反論はありますが、先に大臣の決意をお願いします。

尾辻国務大臣 本日、先生からさまざま御指摘をいただきまして、そうした点は、介護保険制度の適切な利用という観点からも、車の両輪という表現も出てまいりましたけれども、極めて重要な課題であるということを改めて認識いたしたところでございます。

 きょう先生からいただきました御指摘というのは極めて重要な課題だということは、認識をさせていただきました。そうした中で、また厚生労働省としてもさまざまな方策にしっかり取り組んでまいります。

泉(房)委員 坂口さんも言うていたんです、やりますと。一年たって何もやっていなかったんですよ。厚生労働省の責任において検討を始める、どこかに投げて研究だけ済ませて終わったってしようがないんですよ。ほかの国を見ても、全部行政が責任を持ってやっておるんです。

 介護保険制度は何ですか。自己責任の制度でしょう、自己決定の。では、それでほったらかしていいんですか。そういった方々が、全く判断能力がない状態で今放置されているんですよ。家族による虐待も続いているんです。消費者被害も続いているんです。厚生労働省が取り組まないで、どこがするんですか。行政が責任を持ってしっかりやっていく、当たり前じゃないですか。

 大臣、もう一度御答弁ください。

尾辻国務大臣 お答え申し上げましたように、厚生労働省がやるべきことはしっかりやりますとお答え申し上げましたから、そのとおりでございます。

泉(房)委員 せめて、厚生労働省内で検討会なりスタディーグループなりつくって始める、その程度は言えますね、大臣。

尾辻国務大臣 申し上げたとおりにしっかり取り組んでまいります。

泉(房)委員 ちゃんと責任において検討はするんですね。いつまでにめどとしますか、お答えください。

中村政府参考人 検討につきましては、既に私ども始めておりまして、市町村における権利擁護機能のあり方についての検討会もやらせていただいております。日本成年後見法学会の新井先生に入っていただき、司法書士会の方とか社会福祉士会の方、そういった方々等が入り、私どものメンバーもオブザーバーに入れていただいて研究を重ねているところでございますので、既にそういう研究会はさせていただいております。

泉(房)委員 全然、本当に進んでもいないし、何もやっていないんですよ。

 ほかの省庁も聞きますが、法務省、法務省の方はこれまで、この一年間の間ですが、時間がないので先にこっちで言わせてもらいますが、確かにパンフレットについては、中身が登記のことしか書いてない内容だったので、内容を、広報物の見直しはなされました、この一年間で。そして、配付先も、法務局にしか配付していなかったんですよ、本当に必要な障害者や高齢者のもとに届いていなかったんです。それも確かに、配付先も少しは動きました、拡大しました。また、登記所も、手続する登記所が東京一カ所しかなかったんですよ。やっとこの一月から五十カ所に広がりました。この三つは、確かに少しは動きました。

 あと何をするんですか、法務省、お答えください。これまでのことはいいです、これから何をするんですか、お答えください。

寺田政府参考人 ただいま委員から御指摘いただいたとおり、ことしの一月から、法務局の取り扱いの拡大を初めといたしまして、さまざまやってきたわけでございます。

 しかしながら、これで必ずしも十分でないという認識は私どもも委員と同様でございまして、パンフレットのみならず、さらにいろいろな方法を講じまして、この成年後見制度自体の趣旨というのを多くの皆様に御理解いただけるような手段を講じてまいりたいというふうに考えております。

泉(房)委員 あと、いわゆる司法ネット、日本司法支援センターが来年の秋からスタートします。その中でこの成年後見制度についての相談業務をするという形で、昨年来、私が質問させていただき、答弁もいただいております。また、法律扶助、そういった形で費用面の支援もしていくということも聞いております。また、関係機関、そういった機関とも連携しながら、司法ネットについては成年後見を位置づけると聞いております。

 今後検討なされると思いますが、当然のことながら、成年後見制度に前向きに司法ネットとしても取り組んでいく、そういった理解でいいかどうか、お答えください。

倉吉政府参考人 ただいま委員から御指摘をいただいたとおりでございます。

 日本司法支援センターの業務内容、これは法律で決められておりますが、その中には、法による紛争解決に役立つ情報を提供する業務、それから、今御指摘のありました民事法律扶助業務、これははっきり書かれております。

 したがいまして、例えば、成年後見制度に関連する相談を受けた場合、このセンターでは、利用者のニーズに応じまして、この制度に関する情報、それから資料等はもちろん提供いたします。それから、この制度に関する専門的相談を受け付けている団体等もすぐに紹介する、こういうことになります。

 さらに、この利用者が、家庭裁判所に成年後見に関する申し立てをしたい、だけれどもお金がないんだ、こういうことがありましたら、もちろん、資力が乏しいことなどの一定の要件は審査をいたしますけれども、その上で代理人の報酬等を立てかえるといった、これまでの民事法律扶助による援助も行います。

 今御指摘のありましたように、このような援助を適切に実施していくためには、関係機関それから団体との密接な関係、連携を保つことが不可欠でございます。私ども、今、成年後見制度に関するものも含めまして、各種機関との連携、それから協力関係を構築するというのが最大の課題でございまして、関係省庁、地方自治体への協力要請、それからさらに、全国各地に民間のいろいろな団体がございます。これをすべて洗い出しをして、そことまた協力要請をしていくというような努力を続けているところでございます。

泉(房)委員 きょうは来ていませんが、裁判所の方も、運用の改善、いろいろ頑張っています。

 この分野は本当に横断的なんです。本当に私も国会議員になって感じますけれども、結局お役所が、自分のところだ、自分のところじゃない、そういう押しつけ合いをしているような場合じゃないと思うんです。これはまさに本当に、当の一人一人の立場から施策を考えていくということです。

 最初、一年前来たときに、成年後見について勉強しようと思って問い合わせたら、最初、厚生労働省はうちじゃないと言うんですよ。法務省に言うたら、うちでもない、最高裁に聞いても、うちは運用だけだと。本当にどこもしっかり取り組んでいない状況でした。ただ、確かに、きょう御答弁いただきましたが、少しずつではありますが、動き出したかなと思います。

 ただ、この分野は、坂口大臣もおっしゃっているように、厚生労働省がしっかりやらなあかんわけじゃないですか。まさに車の両輪の片っ方は介護保険、これは確かに一気に大きく膨らみました。そこで議論もありますが、車の両輪の片っ方が大きくなったけれども、もう片っ方の車は置き去りです。介護保険は五年後になって見直しの議論が今なされていますが、もう片方の車は議論もほとんどなされていない。きょうの厚生労働省の答弁を見ていても、一体何を検討してきたんですか。

 介護保険が始まってこれだけ時間もたつ。繰り返し言います。権利擁護という言葉でいくとわかりにくいかもしれませんが、多くの高齢者が家族によって虐待を受けているわけです。また、その家族が親のお金を取り込んだりもしているわけです。そしてまた、ネグレクト、しっかりと親の立場に立って支援をしていない状況は、悲しいけれどもあるわけです。消費者被害もなくなりません。激増を続けています。こういった中、厚生労働省がやらずにどこがしっかりやるんですか。まさに介護保険と車の両輪として同じように前に進めてくださいよ。

 官僚の答弁を読むだけじゃなくて、大臣、心のこもった答弁、もう時間も限りがありますから、言えることにも限りがあるかもしれませんけれども、これは、本当に多くの高齢者、そして高齢者を支える現場がみんな、何とかせなあかんと思っているテーマなんです。しっかりと大臣、意気込みのほどを聞かせてください。お願いします。

尾辻国務大臣 きょう、先生にさまざまな御指摘をいただきました。このことはまずしっかり私も心にとめたいと存じます。そして、先生にこういう御質問をたびたびいただかないようにすることは、これはもう私どもの務めであると考えますから、このことを申し上げておきたいと存じます。

泉(房)委員 もう少し言えませんか、大臣。

 余り私も声を荒げるのもあれですけれども、必須事業にしてくださいよ。ちゃんと市町村、このままやったって何も変わらぬのですよ。ここでやりとりしていても、実際、市町村の現場は権利擁護をやっていないんです。二割もやっていない、要件もきつい、使えない、その中で結局、繰り返しです、虐待の防止もできず、消費者被害も減らないんですよ。

 私も、どうやればいいか、別に難しい話じゃないんです。介護保険の手続の申請手続に成年後見をセットして、そして医師の診断書を、介護保険だって要介護認定するわけですから、その際に組み込んで、例えば多くの場合は家族です。ドイツの場合だって、どこを見ても、基本的には家族が後見になっているケースが多いんです。ただ、後見になることによって、そこに外からの目が入って、虐待に対してそのチェックが入る、そういうふうな効果があるわけです。身体拘束だってしっかりと吟味ができる。そういったまさに実務的な面において、本人のことを本気で一〇〇%考える、そういった人を要している人にはちゃんと一人に一人そういった支援の体制を組んでいく、そういう話なんですよ。

 そしてまた、消費者被害に遭っても、この後見制度というのは別に財産管理だけじゃありません。だまされても、後見制度を利用していれば後で契約は取り消せるんです。ひとり暮らしのお年寄りが在宅で暮らし続けていく、被害に遭っても大丈夫、そういう制度のためにこれがあるんですよ。まさにこれは厚生労働省こそが目的として考えていることじゃないですか。

 今回、法改正で尊厳の保持という言葉を入れました。この「目的」の尊厳の保持とはまさに権利擁護じゃないですか。第一条の目的規定に尊厳の保持の五文字を入れたって、中身が何も変わらなかったら単なるそれは、何なんですか、その尊厳の保持は。少なくとも、今回の法改正で厚労省が入れた尊厳の保持、これに見合うような施策をする、せめてそれくらいのことを、大臣、お願いします。答弁、お願いします。

尾辻国務大臣 今、最後におっしゃったことは、これはもう当然のことでございますから、私どもがやるべきことでございます。

 ただ、きょう、先生のお気持ちを聞かせていただきながら私が申し上げておりますのは、余りここで調子のいいことだけ言ってという思いがあるものですから、調子のいいことを言って済ますというつもりがないという、どうぞその私の気持ちも御理解いただきたいと存じます。私は言葉を選んで申し上げておりますけれども、気持ちを大変込めておるつもりでございまして、ただ、調子よく言いたくないということだけを御理解いただきたいと存じます。

泉(房)委員 最後にもう一回、老健局長、スウェーデンで学ばれた老健局長、スウェーデンと日本の後見の利用の表をもう一回しっかりと家に帰って見てください。

 以上で私の質問を終わります。

鴨下委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 今度の改正案では、第六章を起こしまして、介護保険の中に地域支援事業、これを創設するということになっています。

 きょうは、委員の手元に今資料が配られているところだと思うんですけれども、二枚目をごらんいただきたいんですが、この地域支援事業につきまして、来年度の事業費ベースで大体二千億円程度だとされています。ここに再編成されるものが老人保健事業、介護予防・地域支え合い事業及び在宅介護支援センター運営事業、これらが再編される。昨年度の予算でいきますとこれは大体二千百億円の規模です。今年度は一千九百億円の規模になっておりますが。

 大臣にまず確認しておきますけれども、これらのことを前提に置いた際に、地域支援事業への再編成で国の負担はどの程度減少するのか、それからまた、介護保険料から新たに負担することになる規模はどの程度になるのか、この見通しを示してください。

尾辻国務大臣 今お尋ねの、地域支援事業の事業規模でありますとか、あるいは地域支援事業と現行の補助事業との関係の整理につきましては、これは平成十八年度の予算編成、十八年度からの予算でございますから、その編成作業の中で検討していくことになりますので、現段階で具体的な数字を申し上げるということは非常に難しいところでございます。

山口(富)委員 ですから、大臣、私は具体的な前提を置いてお話ししたんです。政府は来年度で二千億円ベースで考えている、しかし、ここに再編成されるという三つの事業は二千百億円なり一千九百億円でやってきている、このことを前提に置いたらどういう数値になるのかと聞いているんですから、前提がはっきりしている以上、答弁をはっきり答えてください。

尾辻国務大臣 その前提ははっきりしておりますけれども、何しろ老健事業も、四十歳から六十四歳までの分をどう見るか、六十五歳以上の分をどう見るかといったような、例えばそういったようなことで、具体的に数字を見る、これは十八年度の予算で見るわけでありますから、今、そこのところの区分けなどを今するというのは難しいということを申し上げたわけでございます。

山口(富)委員 これは法案の審議なんですよ。政府が出しているさまざまな資料から私たちは質問しているわけです。

 では、この二枚目の資料をごらんください。ここには、財源構成として、保険料一号、二号から五〇%負担されるとなっております。ということは、一千億円、介護の保険料からこの事業に使われるんです。これまでは、これは公衆衛生の分野ですから国や市町村が支えながらやってきたんです。それは、資料二枚目の下の図に財源負担がかかれているとおりです。これを前提にして計算いたしますと、大体、国の負担は三百億円減少する。一方、国民の負担である保険料の方は一千億円増大する。これが今度の地域支援事業を生み出していく実際の姿なんです。

 では、大臣、これは局長かもしれませんが、介護保険の場合、利用料が必要になります。今度の法改正でも、利用料を請求することができるという規定が百十五条の三十八第四項に置かれています。となると、この地域支援事業というのは、大体みんな一割負担になるということなんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域支援事業は、予防給付のような個人に対する個別の給付の仕組みをとらないため、今委員御指摘の一割負担、そういう仕組みに一致させる必要はないわけでございますので、事業主体である市町村が市町村事業として行っていただく際に、利用者の方の負担を適切に設定していただくことになります。各市町村におきましては、材料費等の実費負担をもとに利用料などを決めていただいている、こういうふうに考えております。

山口(富)委員 結局、こういう新しい地域支援事業なるものをつくる、そして法案の中にはできる規定で利用料を徴収するということになっているわけですけれども、この事業の中身がどうなるのか、利用料負担がどうなるのか、はっきり言ったら、法案段階では全く示せないんです。これが、先週の金曜日から問題になっている、法案の審議をしようにも、基本的な素材が出てきていないという一つの証明なんです。

 では、私、もう一つお伺いいたします。この資料の一枚目をごらんいただきたいんですが、予防重視型システムになりますと、介護予防のスクリーニングが導入されます。これは、要介護認定にとっても、地域支援事業にとっても、これをやる上での前提になるわけですね。

 そこで、お尋ねいたしますが、このスクリーニングは六十五歳以上の高齢者全員、これは介護保険料の一号被保険者でいいますと二千四百七十八万人、全部対象にしているのか、それから、今老人保健事業でやっております基本健康診査、これとの関係はどうなるのか、示していただきたい。

中村政府参考人 地域支援事業におけるスクリーニングについて申し上げます。

 地域支援事業は六十五歳以上の高齢者の方を対象にするわけでございますが、ハイリスクの方々に対して介護予防を実施したい、こういうふうに考えておりますので、従来、老人保健事業で生活習慣病対策の観点から健診事業をやってまいりましたけれども、それとは別途の観点から、介護予防に資するためのスクリーニングの実施が必要であると考えています。

 ただ、現行の老人保健事業における基本健康診査の項目と介護予防のスクリーニング項目と、かなり重複する部分もあるというふうに指摘されておりますので、私ども、生活習慣病予防対策、先ほど大臣からも申し上げましたように、四十から六十四の部分は残る部分もございますので、生活習慣病予防対策と介護予防対策のどの辺で切り分けるかということについては、十八年四月の実施のために、十八年度予算の中で、また今後予定されております生活習慣病対策も重要な柱とする医療制度改革の中でそこの整理はさせていただきたいと思っております。

山口(富)委員 つまり、結論は、この整理もいまだにしていないということですよ。

 では、局長、もう一点尋ねますけれども、先ほど局長は、このスクリーニングはハイリスクの点に注目するんだというふうにおっしゃいましたけれども、だったら、二千四百七十八万人全員の検査をやるんですね。

中村政府参考人 ヘルス事業の健診もございますし、それからハイリスクグループを把握するやり方としては、日ごろの保健師さんの活動もあるでしょうし、また、今問題になっております地域の力が落ちているというお話もありますが、地域の民生委員さん、さまざまな方々からの、あるいは地域のネットワークからのいろいろな情報もあると思いますので、そういったことを考えてまいりたいと思っております。

山口(富)委員 では、さっぱりわからないじゃないですか。対象はだれなのか、どの程度の規模でやるのか。大臣、全くわからない。大臣に答弁を求めます。

中村政府参考人 今先生から、ハイリスクグループのどの程度の数になるかということでございますが、スクリーニングの結果、あるいはそういうさまざまな結果、私どもは、ハイリスクとしては、非該当、要支援や要介護に該当しない高齢者の五%程度をターゲットにしたい、こういうふうに考えております。

山口(富)委員 局長、では、五%程度を一つの目安にしてこのスクリーニングを行うということですね。もう答弁求めませんから。今わかっているのはその範囲と。まあ、いいです。私、きょうはまだ続けて質問がたくさんありますから。この表の一番基本になるスクリーニングの整理がその程度なんですよ。

 続いて私がお聞きしたいのは、地域包括支援センターなんです。これは、いろいろな事業をやる、今度の新予防給付や地域支援事業のかなめになるところですけれども、一体、全国に何カ所設置する予定ですか。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターの設置箇所数についてでございますが、業務量、運営財源、専門職の確保などの状況などを総合的に判断して決定されるものと考えておりますが、私どもとしては、おおむね、人口二、三万人に一カ所が一つの目安になると考えております。市町村数や人口規模等をもとに粗く推計すると、五千カ所から六千カ所程度になるのではないかと考えております。

山口(富)委員 今言った、局長は、実はこれは初めて出した数字なんです。私たちが何回聞いても、これはわからない、地方が決めることだと。私は、これは質問前に数字を必ず出してくれと言ったんだけれども、今やっと局長は言いました。大体、全国五千から六千ということです。

 それで、金曜日の質問で、大臣が新予防給付の問題で、大体百六十万人規模になるという推定をされました。仮に五千カ所と置きますと、この地域包括支援センター、資料の三枚目をごらんください。ここに介護予防マネジメントがあります。これは、保健師等、保健師さんや経験を積んだ看護師さんができるということなんですけれども、この人たちがやることになっていますが、これは最低基準一名、一人なんです。そうすると、五千カ所と仮に置いた場合に、一人のつくるのが三百二十人の介護プランですよ。大臣、こんなこと、可能ですか。

中村政府参考人 地域包括支援センターが担います包括的支援事業につきましては、職員体制を整備する、そういうこともございますし、それから今先生のお話にございました新予防給付のケアプランの作成、そういったことにつきましては地域包括支援センターが最終責任を負いますけれども、具体的な作成作業につきましては公正中立なケアマネジャーなどに委託することも考えておりますので、十分対応できると考えております。

山口(富)委員 今言ったのは百十五条の二十一の三項に出ているんですよ、委託できると。しかし、局長がいみじくも認めたように、最終責任を負うのはこのセンターなんですよ。そこで三百二十人、責任を負えないと。あなた方が今度の改正で非常に重視している基本のところで、介護マネジメントという介護のプランをつくる一番基本のところでさえ、とてももたないじゃないですか、このシステムは。大臣、どうですか。

尾辻国務大臣 今もお答えいたしましたように、委託できるわけでございますから、十分、地域包括支援センターがケアマネジメントを行うことができると考えます。

山口(富)委員 だったら、もう一度法律を読んでくださいよ。法律というのは順番が決まっているんです。委託はできますよ。では、できる規定があったら三百二十人分全部委託していいのか。そんなばかなことはないんだ、法律は。基本は、このつくられる地域支援センターが責任を負うというのは当たり前のことなんですよ。それさえ理解していないような、私は、大臣の答弁はいただけない。

 次に、きょうはもう一つ負担問題をやらなきゃいけないから、それを指摘して次に進みます。まず、負担の問題。

 今度、介護の三施設でショートステイの居住費、食費が保険適用から外されます。それから、あわせて通所系サービスの食費も保険適用から外れることになります。それで、平年度換算した場合に、どれだけの自己負担の規模になるのか、これが一つ。それからもう一つは、保険適用から外されたものがすべて利用者負担になるとした場合に、施設入所者の一人当たりにしてどの程度の負担になるのか、これを示してください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のありました介護保険施設等における居住費、食費の給付範囲の見直しに伴う縮減額でございます。平成十七年度予算で千三百億円程度と見込んでおりますが、委員、平年度換算、満年度ということでございましたので、それでお答えさせていただきますと、三千億円程度でございます。この分、保険料や公費負担が縮減される、こういうことでございます。

 それからもう一点、三千億円が現在の施設入所者の方お一人当たりどうなるかということで、委員はそこを単純計算しろということで、私が何か言うとしかられるとは思いますが、一つちょっとお断りさせていただきたいのは、例えば、居住費や食費を給付外にいたしますが、施設経営にはいろいろな意味でバッファーがありますので、例えば食費についても差益の問題とかさまざまございますので、本当にその給付の縮減額が利用者さんに一〇〇%転嫁するかどうか、そういう問題はございます。

 また、所得に応じて負担額が変わるということもお断りさせていただいた上でお答えさせていただきますと、平年度換算の影響額三千億円を現在の施設入所者七十七万人で割り算をさせていただきますと、その金額は年お一人三十九万円程度ということでございます。

山口(富)委員 ですから、局長はいろいろ前提に係る問題をお述べになりましたけれども、規模として、自己負担というのが三千億円規模だ、そしてお一人当たり三十九万、私の計算では四十万近いはずですが、こういう非常に重たい負担になるということなんです。

 私は大臣にこれをもう少し具体的に見ていただきたいと思うんです、これがどういうことを意味するのか。それで、資料の四枚目をごらんください。これは国が示している、今度のいろいろな上限の措置もとりましたよということの表です。

 これを見ますと、新第二段階、この方々たちは年金収入しか所得がなくて、しかも年間八十万円ですから月額六万六千円以下の方々ですが、大部屋であっても居住費用を取る。となりますと、国民年金だけの年金受給者が平均して四万六千円です。そうすると、初めからこの人たちは個室入居は無理である。しかも、大部屋であっても手元に一万円程度しか残らないということになる。そこから保険料ということになるわけですから、これは大変重たいと思うんです。新三段階でも、個室で一万から二万上がって、大部屋でも居住費や食費を徴収したり上がったりする。そうすると、国保が満額でも六万七千円ですから、そこから仮に五万五千円を負担するとなると、ここでもやはり一万円、そして保険料。

 大臣に確認したいんですけれども、こういう利用者負担を導入して、上限を設定したとしても、居住費、食費の新たな負担に、今の入居者、これからの入居者は果たして耐えられるでしょうか。

尾辻国務大臣 これは改めて申し上げるまでもありませんけれども、まず、介護保険制度が保険料と公費という国民の負担によって支えられている制度でありますから、高齢者の方々にも負担をいただいておる保険料、これはいずれにしても保険料が上がればそれもまた高齢者の方々にも御負担いただくことになりますから、まずは保険料の急激な上昇を抑えなきゃいけない。そして、持続可能な制度としていくためには、給付の効率化、重点化を図る必要がある。これは申し上げるまでもないところであります。したがって、今回もそのことをお願いしておるということをまず申し上げるところであります。

 そこで、また、今般の見直しにおきましては、負担の公平性という観点から、施設における居住費、食費については、これは在宅の方々との不公平感が強いところでありますので、在宅の方と同様、保険給付の対象外として、施設給付においても介護に関する部分に給付を重点化することとしておるわけでございます。

 ただ、そうしたことになると、今先生がおっしゃるように、低所得者の方々の負担ということになりますけれども、日ごろ私どもが示しておりますことを、きょう先生の資料の四でも示していただいておりますように、私どもは低所得者の負担の軽減措置を講じておりまして、低所得者にとって過重な負担にならないように配慮をしておるところでございます。

山口(富)委員 では、大臣、次の資料を見てください。これは山形県のある特養ホームにお願いしまして、今度の法改正が行われると利用料の負担状況がどうなるのかと示していただいたものです。

 実は、今、特養ホームというのは低所得者の方々が多いですから、現実には個室ユニット型であっても居住費というのを取らないところが少なくないんですよ。ですから、あたかも国の資料でいうと、現行との比較というのをいいますけれども、これをごらんください。もともと居住費を取っていなかった個室ユニットのところからいったら、この負担は非常に重たいものになる。これが実際には全国にあるんですよ。

 しかも、私は三月に一度質問したんですが、国は、特養ホームにいて個室ユニットの場合、生活保護になったら原則出ていってもらうということを言っているわけですよ、通達を出して。

 ですから、上限措置をとっているということを言いますけれども、現実には国の、今の政府のやり方というのは、特養についても個室ユニット型にしたい、それを進めるわけですから、一層負担は重くなるし、低所得者には冷たいものになる。そのことを次の資料で私は具体的に示したい。

 資料の六枚目。これは東京の高齢期運動をやっている皆さんが七市二町村から資料をいただいてつくったものなんです。日野市、あきる野市、国立、武蔵村山、町田、清瀬、稲城、奥多摩、檜原村とあります。これは、現行の介護保険料の五段階の区分で、それぞれの方々が介護認定で出現率はどうだったのかというのを示したグラフと、その一枚次は生の数字です。

 これを見てはっきりいたしますのは、低所得者の皆さんのところに介護の認定ぐあいが大変高い、これは大臣、このグラフをお読みになって、これは厚労省がつくっている資料よりもわかると私は思うんですけれども、このグラフからはっきりそういうことが言えるのじゃないですか。

尾辻国務大臣 今、このグラフは見せていただきました。

 二つの政令市のデータが実はあるんですけれども、そのデータによりますと……(山口(富)委員「私はこれを言っているんです」と呼ぶ)私どもが持っているデータもございますから、そのデータとの比較をいたしますと、この図は今見せていただきました、わかりました、また私どもが二つの政令市のデータがありますので、そちらの方のことも申し上げたいと思うわけであります。

 まず、保険料第一段階の生活保護受給者、老齢福祉年金受給者の要介護認定率が最も高い、これは今申し上げているように私どもが持っている二つの政令市のデータなんですが、まずそのことが言える。それから、次いで保険料第二段階の住民税世帯非課税層の要介護認定率が高い。次に、保険料第三段階の住民税個人非課税層の認定率が高くなっている。それから、さらに申し上げますと、保険料第四段階、第五段階の住民税課税層の要介護認定率は相対的に低い。こういう結果も見られるところでございますので、いろいろなデータを見比べなきゃならないというふうに考えます。

山口(富)委員 大臣、その資料を当委員会に出してください。私が昨日、この質問の準備で、こういうデータが国にあるのかと聞いたら、ないと言ったのだから、出してほしい。

 そして、今の答弁ですと、私が示しました介護保険料の区分別の認定出現率、これはおおむね二つの政令市と傾向としては一致しているということですね、私が聞いた限りではそういう答弁だったと思います。ですから、そういう認識があるわけですから、私はこの低所得者への対策が非常に大事になると思うわけです。

 先ほど、特養ホームによってはこれまで居住費を取っていなかったために、今度は重くなる例も出てくるということを申し上げましたけれども、こういう例に対しては何らかの軽減の措置をとるのですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員がお示ししていただいた資料は、見せていただいたときはわからなかったのですが、お話で、現実の特別養護老人ホームの例だということは承らせていただきました。今委員のお示しされましたように、現在でも個室ユニット型については居住費を徴収することができるとされておりますが、実際に居住費を徴収するか否かは施設の御判断によるものであり、徴収していないところとか、あるいは徴収しても低い額の徴収を行っておられるところがあることは承知いたしております。

 私ども、今回、居住費、食費について給付の範囲の見直しを行わせていただきます。また、低所得者の層につきましては、負担の上限を設ける、そういう配慮はさせていただきますが、実際施設の方でどういう費用徴収、食費、居住費を徴収されるかどうかということについては、施設の方の裁量とかそういったこともあると思いますので、施設の方の御判断にゆだねたい、こういうふうに考えております。

山口(富)委員 これは施設の判断にゆだねるべき問題じゃない。今度の法改正でも、私は反対ですが、政府さえ低所得者への軽減の措置をとると言っているんだから、実際にこれまで居住費などをいただいていなかった特養ホームの利用者がかなり急激に重くなりますから、これは国として何らかの軽減の方向を打ち出さない限り、これは施設の判断に任せるなんという裁量の問題じゃないんだ。そうでしょう、大臣。国が実態を調べて対応すべき問題でしょう。

尾辻国務大臣 今までも施設の判断で取っていないわけでございますから、さらにまた今回もそれは施設の判断に任す、こういうふうに言いましたら、当然それは従来どおり、施設の判断で取らないというふうになるのじゃないでしょうか。私はそういうふうに理解いたすのでありますが。

山口(富)委員 大臣の法案の読み方が随分不十分じゃないんですか。今度は新たな負担を求めるんですよ。新たな負担を求めるんだから、それに対応した措置をとるのは当然じゃないかと言っているんです。

 しかも、年金の問題でいいますと、ことしの一月に生活保障に関する調査というものが発表されておりますが、これを見ますと、自分の日常生活費を公的年金で賄えると思うかという答えが一五・六%、「まかなえるとは思わない」七九・五%、八割ですよ。この八割の人たちの施設の利用者の方々に新たな負担をかけるというわけですから、これは大変な重さになる。

 しかも、今度はここに公的年金控除の引き下げがあり、老年者控除の廃止など、いわば来年度から政府が軽減措置をとりますよと言っている住民税非課税の問題が、非課税が課税に格上げになっちゃうということが現実に起こるわけでしょう。だったら、政府は、それはどの程度の規模で起こるのか、そうなった場合に新たな軽減策を考えているのですか、大臣。

中村政府参考人 食費、居住費に係る見直しにつきましては、るる御説明申し上げていますように、低所得者に対し補足給付を行うこととしているわけでございますが、御指摘のとおり、補足給付を行うに当たっての低所得者の区分につきましては保険料の区分と連動する、住民税の課税、非課税等を基準とするということで、税制改正の結果影響が出る方がおられます。

 今回の税制改正におきましては、税制の方でもいわば激変緩和措置ということが言われておりますので、私どももその激変緩和のあり方については検討させていただきたいと思っております。

山口(富)委員 これで終わりますが、激変緩和措置をとるということですから、大臣、そういうことですね。激変緩和措置をとるんですね。

尾辻国務大臣 今答弁申し上げたとおりでございます。

山口(富)委員 では、とるということを確認して、質問を終わります。

宮澤委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 桜の大変美しい季節になってまいりまして、本当に日本の美しさが殊さら身にしむこのごろですが、もう一つ、日本にはとてもいい言葉があると思います。今日本は少子高齢社会ですが、人生二度わらしと申しまして、御高齢期と赤ちゃんのときは、本当に二回、わらしのように皆に温かく守られて、赤ちゃんもお漏らしをいたしますし、御高齢期になると排せつはだれかに介助されなければなりませんし、そして、できれば私どももこの春の桜の下、眠るように亡くなりたいという思いは、実は日本の文化の中に深く根づいた、とても大事な老いのみとり方だと私は思っております。

 きょうも一日、本当に皆さんがいろいろな質問をされて、そして二度の中断を経て、この遅い時間までですからすごくお疲れと思いますが、しかし、私はいつも思いますのは、御高齢期のことを話すときには必ずその反対側にいる子供たちのことも見えるような形で、一貫した人の人生として、政策も考えていただきたいと思っております。

 その意味で、せんだっての一般質問の折に、水島委員がお尋ねくださいましたBCGの予防接種のことに関して、尾辻大臣の御高配で、六カ月までじゃ余りにも短いし、もうちょっと幅を見ていただけまいかという水島委員の御指摘、そして私の追加のお願いに対して御配慮をいただきましたこと、大変ありがたく思っております。現場におります小児科医たちは、やはり本当にその子のために一番いい時期に予防接種を、費用負担なくしてあげたいと思っておりますので、このことには厚く御礼申し上げます。

 ただ、残念なことに、実際のクリニックや病院にはなかなかそのような内容が伝達されておりませんので、担当の皆様にはもう一度御尽力をいただき、子供たちが接種漏れのないようにお取り計らいいただきたいと思います。

 そして、あわせて、本日はもう一つ、四月一日から始まりました小児慢性特定疾患の制度変更について、これもぜひ、現場の小児科医の声を代弁して、お願いさせていただきたいことがございます。

 小児慢性特定疾患と申しますのは、ちょうど私が小児科医になりました一九七四年に、子供のがんとかあるいは甲状腺のいろいろな疾患、クレチン病とか、あるいはきょう取り上げさせていただきます川崎病など、非常に子供の成長に阻害要因が大きく、経済負担も多いものに対して、国が、厚生労働省が通知して、その疾患に関する費用を親にかわって負担するという制度で、本当に小児科医にとっては、私どもが心置きなく子供を治療するのに、お母さん、お父さんに負担をかけなくて済むという意味で、うれしい制度でした。

 しかし、時代がいろいろ、決して経済的にも楽ではない、あるいは、この小児慢性特定疾患を何らかの法体系の中に位置づけて、より制度的に安定させようということで、この四月一日から児童福祉法の中に位置づけられることになりまして、これ自身は非常によいことと思いますが、そのかわりと申しますか、親御さんにはある一定金額の御負担をいただくということになりました。

 それはそれで審議を尽くしたことで、よろしゅうございますのですが、しかし、現場で今、何が混乱しておりますかというと、特に川崎病という病気を例にとらせていただきますが、実は川崎病は、川崎富作さんという日本人のお医者様が、子供が高熱を出して、何日かそのままでほっておくと、心臓に、大人でいうと心筋梗塞のような瘤状のこぶができて、それが心臓の突然死を起こしたりするということで、非常に案じられ、心配され、親御さんたちも、その川崎病という言葉を聞くと心が凍ってしまうような病気としてございました。しかし、これに対してガンマグロブリンという注射製剤を入れますと、この動脈瘤の形成が抑えられて、その後の、本当に子供が元気に生きていける素地をつくれるというので、私どもも喜びましたし、親御さんも喜びました。

 ところが、今回、この児童福祉法に取り入れられて、よく法的にきっちりと慢性疾患で位置が確立されたはずなのに、例えばですが、きょう熱のある患者さんが来られて、今すぐにガンマグロブリンを使いたい、親御さんはおろおろしているときに、一刻も、一日も早く使いたいと、この処置をしております。

 一方、今度の制度では、親御さんが、うちの子は川崎病と言われたという申請書類を、御自身の住民票や所得を証明する書類と一緒にお出しになった申請時点からしか、この小児慢性特定疾患の枠が使えないということになりまして、実は、親御さんは病院で子供さんについている、おたおたしている、心配でならない、その時期に申請しておかないと、最初にかかる数万円の費用が自己負担にかぶっていくという結果になりました。

 このことについて、せんだって担当の皆さんにも、医師がそれと診断した日にさかのぼって小児慢性特定疾患に対する給付事業の中に取り入れていただきたい、診断日からそのような対処をしていただきたいということをお願いしましたが、現在の、これはあるとき気がつけばそう変わってしまったのですが、申請日からということで、全部の都道府県でそういう措置がとられるようになりました。

 実は、最初の数日がすごくお金がかかって、大事、しかし、そのときは親は行けない。現在、日本で五千人くらいの子供が罹患いたしますが、最初をちゃんと治療すると、もちろん高齢期の心疾患にも結びつきませんし、非常に有意義な治療です。こうした実態があることを、私ども小児科医は、この四月一日になって途端に、今もし川崎病疑いの患者さんが来たらどうしよう、最初にガンマグロブリンをどんと使いたいけれども、使ったら親御さんに負担がかかるじゃないかということで、現場では今、非常に案じております。

 児童福祉法に組み入れられたことはよいことですが、しかし、その運用の中で、ぜひとも診断日にさかのぼって、この小児慢性特定疾患の適用がなされるように御検討をいただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 小児慢性特定疾患治療研究事業についてのお話でございます。この運用のことでございますが、改めて申し上げます。

 まず、申請書受理日から、申請書を受理した日から本来の対象とすることを原則としておりますけれども、従来の制度においても、申請をする意思があるにもかかわらず、診断が未確定であることにより申請ができなかった場合等、特別の事情により申請書受理までに相当の日時を要した場合については、申請書受理前であっても事業の対象として差し支えないこととして運用をしてまいりました。これは、運用上こうしてきたということでございます。

 この取り扱いにつきましては、今、新制度に移ったわけでありますが、新制度に移行後においても同様の取り扱いをすることとしております。したがいまして、運用上、従来と何にも変えていないということを、ここで改めて申し上げるところでございます。どうぞそのように御理解をください。

 ただ、こうした取り扱いについては、先ほどのお話もありましたけれども、十分周知徹底していないところがあるといけませんので、改めて自治体に対して周知するようにしてまいりたいと存じます。

阿部委員 ぜひともそのようにお願い申し上げます。大臣の御配慮に、心より御礼申し上げます。

 引き続いて、御高齢期の問題に入らせていただきます。

 私は、せんだってと、そして本日の審議を聞きながら、特に厚生労働省側の御答弁を伺いながら、この審議全体に三つの要素が大きく欠けておると思います。

 一つには、私が、人生二度わらしという言葉で言わせていただきましたが、老いを社会がどのように受容していくかという問題。

 一つには、先ほど泉委員がお取り上げになりました本人の選択ということを、例えば成人後見制度がなければ、ある程度の痴呆があったり、認知症といいますが、そういう状態では、本当に本人の選択をきちんと保持することができない。

 そして、そういう認知症がなくても、これは中村老健局長、御存じかどうかわかりませんが、ほとんどの御高齢者が、自分のプランはケアマネジャーさんに聞いてみないとわからない、自分で決められると思っている方は実はすごく少ない。そして、自分のプランが納得できなくても、不服申請をする手続も知らないし、そのやり方を知らないばかりか、そういう制度自身を知りません。

 ここが、本人の選択権が大きく侵されていますが、プラス今度の新予防給付、きっと御答弁の皆さんは、何でそんなにみんな反対するんだろうと思われるかもしれませんが、私も含めて反対しております多くの者は、この新予防給付で果たして本人の選択権がどこに担保されるかということが見えないからであります。

 そして第三点は、基本的データの欠如。もうこれは何度も言わせていただきますが、この点についてはきょうの審議でもさようでございました。

 そして、まず一点目に戻らせていただきますが、老いの受容の問題といたしまして、きょう私が皆さんにお配りした資料の二枚目をごらんいただきたいと思います。恐縮ですが、これは日本医事新報という雑誌、よく私ども医者が読む雑誌でございますが、そこに、中村老健局長が二〇〇四年の六月に横浜市で行われた講演の、御自身が書かれたものではありませんから、記者が聞いてまとめたものでございます。

 この記事は、私は見たときぎょっとしたので、すごくよく覚えているのですが、何にぎょっとしたか。これは、がん検診等々を厚生労働省としても推進したい、それはよろしゅうございます。でも、その検診をお受けにならなかった場合は、言葉はきついがペナルティーも考えておるという言い方でございます。いわゆる検診事業も予防医学も、そこまで行ってしまったら実は本当に恐ろしいものになってまいります。

 私は、この間のずっとの審議が、どこか中村局長の御答弁が老いを受容していないなと。だって、しようがない、これはどこかで受け入れないと、老いも死も受け入れないと、私たちは逆に本当の意味で生きることができない。それと同じように、もしも検診事業で、乳がんの検診事業やりました、受けていないあなたにはペナルティーで、例えば、もし介護保険の給付の対象になっても給付がありませんというような意味なのか。ここにまとめられた一文というのは、私は非常に考え方として問題が多いと思います。

 まず、何度も言いますが、これは老健局長御自身が書かれたものでないので、この記事の真意がどこにおありで、このような考えで厚生労働行政、なかんずく御老人の、本当に少しずつ落ちていく、いろいろな悲しみと苦しみと、そして不自由を抱えて、でも生きていく方たちの行政を担う立場におるのであれば、私は任にあらずと思いますので、明確な御答弁をお願いいたします。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私の答弁なり、あるいはそういったことについて、委員から厳しい御指摘があったものと受けとめておりますが、まず、この講演につきましては、日本医事新報で報道されております見出しとか前書きの方のいろいろな解説は、日本医事新報の方で書かれたものだと思います。講演要旨につきましては、どういうふうに要約されているかどうかについては、私が話したことをもとに書かれておりますので、こういうふうに受けとめられても仕方がないかと思いますので、その点については、これが私のお話ししたことと受けとめられても私は結構だと思います。

 今、老いの受容のお話とか、高齢者観、どう見るかというお話と引きつけて、がんの検診のことを引用されましたけれども、せっかく御指摘いただきましたので、私も発言の機会を与えていただきたいので、少し丁寧に御説明させていただきます。

 下から二行目ですが、フロアから、予防給付の制度化の可能性を問われて、私としては、乳がんの検診問題など担当させていただいて、非常に、がんの検診率を上げるということが最大の課題ではないかと思っております。そういうことについては、私もいろいろ検討会などでも識者の御意見を伺いました。

 その識者の方の御指摘では、これまで二十年近く、老人保健事業あるいはがん検診事業ということで、今の市町村が勧奨する形で、いろいろかねや太鼓でがん検診をお勧めするという形でやってこられましたけれども、御案内のとおり乳がんの受診率は、市町村が対象としている人たちを一〇〇%として一二・四%くらいしか受診率が上がっていない。しかもそれは、その地域に住んでいる女性のがん検診の対象者を一〇〇%市町村が把握しているわけではない。そういう状況で、識者から言わせると、乳がんの受診率の統計すら実は確固としたものが日本にはない。

 そういうお寒い状態であるということを踏まえ、また、エビデンスからいえば、乳がんの検診によって死亡率が下がる、こういうことについてエビデンスがあるとすると、受診率は対象者の六割から七割ないと国際的に乳がんの死亡率が下がるというエビデンスがないという状況のもとで、がんの受診率を高め、がん検診によって乳がんの日本の女性の死亡率を下げるとすると、今の方式ではない何らかの新しい施策が必要であり、その施策においては、これも議論になったわけですが、インセンティブなり、場合によってはディスインセンティブを考えなければならない。

 こういう議論がございましたので、それを紹介しつつ、ここに書いてございますように、言葉はきついかもしれないけれども、多少のペナルティーなども、受診率がそれで上がるということであれば、私は考えざるを得ないのではないか。そういう文脈の中でお話をさせていただきたいということであります。

 そういう方策については、乳がんをとっていえば、乳がんの受診率を上げていくこと、それで死亡率を減らすこと、それをまじめに取り組むためには今の方式では限界があり、そこは我々自身として自分の問題でございますので考えていかなければならないし、皆保険でございますので、保険者の方々についても、被保険者の乳がん適齢期の女性についてちゃんと検診していただいているかどうか、そういうことを保険者の業務として把握した方がいいんじゃないか。これは私の私見でございますが、そういうことを思っておりますので申し上げたということでございます。

阿部委員 その私見は二つの意味で大きな問題があると思います。

 これまで厚生労働行政の中でやってこられたがん検診の制度やあるいは費用負担が女性たちにとってどうであったのか、特に主婦層にとって。それからもう一方で、検診業務でやることと、例えば、病院の中に女性外来のようなものができて、より受けやすい形で、要は自分の健康というものをどのような形で管理していくかというときに、検診で網をかけて、それもペナルティーまで科して取り込んでやるのか、やはり、いろいろな情報を出し、女性たちが受けやすい状況をつくってやっていくのか、これは、全く同じに見えて違うことなのです。そこをあなたがわかっていないから、繰り返しどの場面でも同じような対応が出てきます。

 よくなればいいんだろう。確かにそうです。がんで亡くなるのは、本当に私たち医者にとっても、わかっていればと思います、早期発見できるのにと。どんなにか悔しい思いをいたします。

 でも、特に女性の場合、乳がん、子宮がん、非常に人に言いづらい、受診しづらい。隠れた部分のいろいろな羞恥心もございます。その方たちを、そこをはぎ取って、検診に丸ごと込めて、ペナルティーを科すなどという乱暴な、本当に人権無視の考え方です。

 そして、逆に言えば、これまで、例えば大腸がん検診でもそうですが、なぜ保健所の検診の方が人が制度に信頼性を置けないか、このことも老健局長だったら御存じだと思います。自分たちの検診の中身や、情報提供の仕方や、マンモグラフィーの活用やいろいろなことを、本当に何が問題だったのか、きちんとチェックするとともに、今先進県では県立病院の中に女性外来ということを設けて、女性たちのいろいろな、本当に受診しやすい雰囲気をつくって、更年期の問題、がんかもしれない不正出血があったとき、自分で自己検診してしこりを見つけたときの受診の窓口を広げる努力をしています。

 そういうトータルの施策がなくて、何でも予防に網をかけて、ちょうどそれがさっきの新予防給付の考え方です。私は、あなたがやる限り、またこの新予防給付も患者さんたちには自分の選択権はない、もしくは新予防給付を受けなくて要介護度が悪くなったらペナルティーだ、そのようなものに容易に結びつくように思います。

 大臣、私はこのことで伺いたい。本当にこれからの時代、先ほど午前中、高木さんの質問にもございました、この社会が、半々の男性と女性のこの女性を、男性ももちろん大事です、でも、女性たちをどのように大切にしていけるか。実は、高齢社会とはおばあちゃんの世界です、比率でいえば。御高齢者の中の多くは女性たちです。その女性たちの健康管理にあって、このような仕組みでペナルティーを科していくことも考えた厚生労働行政をやられるのかどうか、大臣に御答弁いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 私どもがよく話をいたしますときに、やはり女性の乳がんの問題というのはいつも大きな話題になります。そして、何とかしてこれによる亡くなる方の数を少なくしたい、絶えずそのことを思うわけでございます。老健局長もそのことが頭の中にあって、このペナルティーという表現がどうかということになるんだと思いますけれども、ついつい、ペナルティーと言ったのかどうかはわかりませんが、それらしき表現をしたのかなと思いながら、今のお話を伺っておりました。

 ただ、どうぞ、とにかく乳がんで亡くなる女性の方の数を少なくしたい、我々がいつもそのことを思っておる、その思いを述べたものだというふうに御理解をいただければというふうに思うところでございます。

 そしてまた、今みたいなペナルティーを与えてでも検診をさせようという、それがそっくり今度は、お年寄りが望まなくても筋トレをやらそうというようなことにつながるのではないかというふうな御懸念でのお話だろうと思いますけれども、私どもは決してそんなことは思っておりません、先ほども申し上げましたけれども。そういうふうに言うと、また、自身の判断がそこに入っているのかどうかというふうな別な角度からの御議論も出てくるかもしれませんけれども、御本人の意思がないものはケアプランとしてつくれないことになっておりますので、そこのところはどうぞ、そういう考え方だ、私どもはそういうふうに考えておるということを御理解いただきたいと存じます。

阿部委員 女性の中でこの表現をそのまま受け入れられる人は、私はいないと思います。先ほど来言うように、女性たちがどうしたら受診しやすい場所なり工夫をするかです。それを、北風政策でむちのようにペナルティーと。老健局長はあえて否定されませんでした。私にもきちんと繰り返しおっしゃいました。

 私は、本当にこんな形で厚生労働行政をしてほしくない。これは、予防医学の大切さを、一歩間違えば本当に全部ほごにしてしまう。そこには、逆に言うと、インセンティブを高めるための受け皿づくりの工夫がこそあってしかるべきです。来ないから無理に連れてくる、来なきゃ罰だ、本当に冗談ではないと。

 私は、もう一つ、実は老健局長には文句がございます。本当にごまかしばかり。ごまかしかむちかでは、この困難多い少子高齢社会を切り抜けられない。

 何よりも大事なのは自己決定です。自分たちが十分知って、そのことを自分の心のうちからやらないと、世の中は何だって効果は上がらないんです。その意味で、私がせんだってここで老健局長とやりとりして、早速資料をお返しいただきましたので、この件について、ここにもまたうそ百万陀羅ありますので、お尋ねさせていただきます。

 ここには、三枚目、要介護状態の変化に関する調査というのをいただきました、老健局長に私がお尋ねしたことにおいて。

 先回、私は、全国データでは要支援の悪化は三〇%、要介護の一の悪化は二〇%、そして、日本医師会の総合政策研究所のものについては非常に悪化率が高いが、これは非常にローカルなものであり、なぜこれで「かわらばん」をつくるのかと聞きました。そうしましたら、いただいたお答えは、実はこの日本医師会の総合研究所のものは二年間の変化を追った調査であると。そして、その下には、国民生活基礎調査、東京都のデータはおのおの一年間であり、その次の次、別添えの二のページを見ていただきますと医師会と全国データが出ておりますが、もう一つ繰っていただきますと、地域別データで東京都と横浜市のものが出ております。これが、東京都が例えば要支援で悪化度が三四・一、横浜は四九・〇と少し高うございます。

 局長からいただいたお返事は、二年間のデータをとったものは悪化度が高い、一年間は悪化度が低いということでありました。これは、午前中の質疑の中でも大臣の口からも出ました。ああ、また大臣にうそを言ったなと私は思いました。

 なぜうそか。私は、厚生労働省が私に下さらなかったデータで、もう一枚、きょうは皆さんに五枚目を見ていただきたいと思って出しました。

 実は、私の地元の藤沢市のデータでございます。藤沢市における要介護認定の状況変化、これは平成十三年の十月から十五年の十月、中村さんの好きな二年データです。ここには、要支援の悪化度は二六・六%でございます。

 局長、伺います。これは一年、二年で私にお示しくださったものですか。そして、大臣にそう言いましたか。私の時間がもうなくなりましたので、手短に、端的に。私はそのようなまとめとしていただきました。ここにはその傾向が見られるというのは、二年間とれば悪化、一年だったらそうでもないということでした。一言で答弁をお願いします。

中村政府参考人 前回の委員会で、委員から二つのデータが示されて、随分違うではないかという御指摘があり、私が二つの調査は違う調査であるので単純な比較はできないということを申し上げましたところ、経年的な変化を見る必要がある、経年変化を出すようにというお話がありましたので、一の資料を出したということでございます。

 二の資料については、随分悪化度が違うではないかという阿部委員の前回の御指摘がございましたので、私はあの場で阿部委員から厳しく御指摘がありましてうまくお答えできなかったのですが、考えてみますと、日本医師会総合政策研究機構の調査は二年間のデータをとっていたもので、もしかすると、阿部委員が疑問に思われた悪化率の違いというのは一年分と二年分では違いがあるのではないかということもあり、そのことを大臣には御説明したところでございます。

阿部委員 そういう思いつきばかりを言わないでほしいんです、すぐ違うデータが出てくるんだから。私どもが求めているのは、きちんと検証に足る、論議に足るデータの上でこの論議をしたいということです。地域差があり、私は、横浜とか都市の部分の問題は都市であると思っています。残余の質問は次回にしますが、いいかげんなデータを二度と再び厚生労働大臣に言わないでください。

 終わらせていただきます。

鴨下委員長 次回は、来る八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十一分散会


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