衆議院

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第14号 平成17年4月8日(金曜日)

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平成十七年四月八日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      小西  理君    菅原 一秀君

      中山 泰秀君    葉梨 康弘君

      原田 令嗣君    松島みどり君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      山際大志郎君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      藤田 一枝君    本多 平直君

      水島 広子君    横路 孝弘君

      米澤  隆君    高木美智代君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      塩川 鉄也君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  木村 義雄君     大前 繁雄君

  中山 泰秀君     山際大志郎君

  福井  照君     葉梨 康弘君

  御法川信英君     加藤 勝信君

  橋本 清仁君     本多 平直君

  古屋 範子君     石田 祝稔君

  山口 富男君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     木村 義雄君

  加藤 勝信君     御法川信英君

  葉梨 康弘君     松島みどり君

  山際大志郎君     中山 泰秀君

  本多 平直君     橋本 清仁君

  石田 祝稔君     古屋 範子君

  塩川 鉄也君     山口 富男君

同日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     福井  照君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十二日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査の参考に資するため、来る十八日月曜日、高知県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、厚生労働省職業安定局長青木功君、社会・援護局長小島比登志君、社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、老健局長中村秀一君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 きょうは、介護保険法改正、特にマネジメント、この部分について中心にお聞きをしたいというふうに思っております。

 今回の改正の目玉は、一つは予防重視ということであります。そして、そういう中で、これまでも要支援者と要介護者では一応分けた形での取り扱いをしていたわけでありますが、さらに、今回新要支援者という形でもう一回再分類をする中で、特にこの新しい要支援者に対するケアマネジメントが随分大きく変わってきているというふうに認識をしております。

 現行法下では、要支援者に対するケアプランの作成など、いわゆる居宅介護支援については、指定居宅介護支援事業者、そして、具体的には介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの方が当たる、こういうふうになっているというふうに思うわけであります。

 他方、改正法案を見ますと、一つは、地域包括支援センターという言葉が出てまいります。また、指定介護予防支援事業者という言葉も出ております。さらには、介護予防支援の一部を省令で定める他者に委託が可能という文言も見ることができるわけであります。

 それぞれいろいろ書かれているわけでありますが、この改正法のもとでは、具体的に、新要支援者に対する介護予防サービスの計画を作成するとか連絡調整するといった、こういう行為は具体的にはどう、組織といいましょうか、今申し上げたそれぞれの組織が行うことになるのか、また、具体的にその組織においてどういう資格を有する者が行うことになるのか、まずそこの御説明をお願いしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい予防給付のマネジメントにつきましては、市町村が地域包括支援センターにおいて行うことができるとされております。また、地域包括支援センターにつきましては、市町村が第三者に認めることができる、こういうふうにされております。

 それで、地域包括支援センターは、介護予防のマネジメントを行うために、指定介護予防支援事業者の指定を受けることになりますので、新予防給付のケアマネジメントは地域包括支援センターにおいて行うこととされております。地域包括支援センターには、そのために専門職種を置くということにされておりますので、基本的には保健師等、そういった専門職の方が行うこととされております。

 また、今委員御指摘のとおり、指定介護予防支援事業者、これは地域包括支援センターが指定されることになりますが、この介護予防支援の一部を厚生労働省令で定める人に委託することができる、こういうふうにされておりますので、現在の居宅介護支援事業者のケアマネジャーに委託することができるようにされている。

 委員御指摘の、さまざまな利用者宅への訪問やプランの原案作成、事業者との連絡調整などの業務については、公正性、中立性の確保など一定の要件を満たす居宅介護支援事業所のケアマネジャーに委託することができるようになっております。

加藤(勝)委員 今ちょっと御説明を聞いたわけでありますけれども、例えば、市町村が直接地域包括支援センターを運営する場合もあるし、委託することもできるというふうにたしかなっていたと思います。

 それとこの指定介護予防支援事業者の関係、これは指定するわけでありますが、一般的に想定、これからの話でありますから、これは各地域がどう取り組むかということにもなりますが、厚労省としてのイメージとして、では具体的には、地域包括支援センターが、大体市町村がやる、そのセンター自身が指定介護予防支援事業者も兼ねる、そして一部はおっしゃるような居宅介護事業者に委託するというようなイメージを持っておられるのか、ちょっとその辺の、法文上はわかるのでありますが、どんなイメージを持っておられるのか、教えていただきたいと思います。

中村政府参考人 私どもも、その点につきましてはいろいろな市町村とお話をさせていただいております。

 例えば、政令指定都市のような大きなところでは、かなり保健師さんとかスタッフが十分おられまして、そこはむしろ自分たちで介護予防のところは直営的にするつもりだとおっしゃるところもございます。また、小さな町村では、むしろ専門職がおられず、今の居宅介護支援事業所なり在宅介護支援センターなどの方々の力をかりながらそちらに指定をするというようなこともある。また、小さな町村で、逆に保健師さんとかそういった人材が町村におられるので、自分たちがまず直営でやりながら、ケアマネジャーさんたちと連携をとってやるというイメージを持っておられるところがありますので、かなり市町村のサイズによっても違うようでございます。

 しかし、大都市は全部直営かというとそうではないようなところもございますので、委員御指摘のとおり、それぞれの市区町村の御判断によるところが大きいと思います。

加藤(勝)委員 そういう市町村の能力といいますか、それに応じてということになるわけでありますが、その中で、結果的に、その地域包括支援センターなり指定介護予防支援事業者なりが具体的にケアプランの作成の一義的な責任者、原案はだれがつくるかというのは後で聞かせていただきますが、そのときに、つくられる方は、御説明等を聞くと保健師等という話になっているわけであります。

 その辺が今、実際、これまでは要支援者もいわゆる介護支援専門員という資格を持っている人がやってきた、そういう仕組みであったわけでありますけれども、今回その辺がどうなるかということが大変懸念が出ているわけでありますけれども、その辺はどのように考えておられますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターでは、市町村が責任主体となって行う、法文上は包括的支援事業、こういうふうにされておりますが、三つの仕事を包括的支援事業ではしていただくこととしております。

 介護保険外のサービスを含む高齢者や家族に対する総合的な相談、支援、介護予防事業のマネジメント、それから支援困難ケースへの対応などのケアマネジャーへの支援、こういうことをやっていただきますので、社会福祉士でございますとか保健師、それから主任介護支援専門員、ベテランのケアマネジャーさん、こういう三つの職を置こうとしております。

 介護予防事業マネジメントは、非該当の方々との事業との連続性を図ることから、私ども保健師を中心に考えておりますが、この包括的支援センターは、三つの職種も置かれておりますし、今申し上げましたように、ケアマネジャーへの支援をするためのスタッフも置かれておりますので、保健師さんそのものがケアマネジャーの資格がなくても、スタッフ間で相談しながら仕事をすることができるのではないかと思っております。

 また、先ほど来申し上げておりますように、原案の作成とか訪問調査等、あるいは事業者の連絡調整などについては外部に委託することもできるようにしておりますので、そのことを使いまして、現在の居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんたちの御協力も得られるものと考えております。

加藤(勝)委員 特に、いわゆる新予防給付に係るケアプランということに限定していいますと、法文上は大体事業所がやる、さらに政省令でその事業所のだれがやるという形になると思います。

 そういう意味で、例えば新予防給付の、いわゆる新しい意味での要支援者に対するケアプランの作成はだれがするのかという意味で、今のお話では保健師等々々ということになりますが、具体的に、そのときにいわゆるケアマネジャーとしての資格があるのかないのか、その辺、これから詰めていかれるんだろうと思いますけれども、かなりこの点は骨格において私は重要な問題ではないかというふうに思っているんですが、その認識をもう一度お示しいただきたいと思います。

中村政府参考人 御指摘のとおり、地域包括支援センターにおいて実際に新予防給付についてのマネジメントを行う者としては、保健師等を指定することといたしております。

 地域包括支援センターでは、ケアマネジャー、主治医を中心とした多職種、多機関の連携によってサービスが包括的、継続的に提供されるように支援を行うこと、またケアマネジャーさんたちへの支援を行うことということで、三種の職員を配置し、中では共同作業なり、地域包括支援センターの中でも多職種協働をやろうとしておりますので、そういった意味では、保健師さんがケアマネジャーの資格を持っておられればなおよいということはあると思いますけれども、問題がないように運用してまいりたいと考えております。

加藤(勝)委員 その辺はこれからお詰めいただけると思いますので、よく御検討いただきたいと思います。

 そして、先ほど御説明の中に、一部ケアマネジャーというか居宅介護支援事業者へ委託可能だというお話がありました。そのときに、公平公正の観点から適切なという頭書きといいますか、あれがついていたんですが、これは具体的にはどういう事業所を指しておられるんですか、イメージされておられるんですか。

中村政府参考人 申し上げましたように、新予防給付のマネジメントは市町村が行う、また、それを地域包括支援センターを設置する人に委託することができるということで、地域包括支援センターで行うわけでございますが、地域包括支援センターの仕事を、さらに業務を委託することができるという条文構成になっております。

 居宅介護支援事業所はたくさんございますが、市町村の方でも居宅介護支援事業所のケアマネジメントについてさまざまなデータも出せるようになってきておりますので、そういった中で改めてこのお仕事を委託することになるわけでございますので、市町村がそういった意味で、例えばサービス、ケアプランの中で特定の事業所に偏りがないかとか、例えば支給限度額との関係でも余りに偏っているとか、そういった点などを見ながら、公正性、中立性が確保されていると考える居宅介護支援事業所に委託をしていただきたい、例えばそんなようなことを考えております。

加藤(勝)委員 今のお話でいえば、予防給付だけじゃなくて、介護給付にも該当するようなお話ではないかというふうに思いますので、またその辺の判断基準というのは、それは各市町村が保険者として当然対応されることだと思いますが、厚労省における一つの基準、考え方の基準みたいなものをこれからお示しになっていただけるんだと思いますので、また改めてそこはお教えいただきたいというふうにお願いいたします。

 今、制度をつくる方から議論をさせていただきましたが、今度、使う方から議論をさせていただきますと、これまででいえば、要支援者であっても、どこの居宅事業所に行くか、だれにケアプランをつくってもらうかというのは、利用者サイドの選択にゆだねられていたというふうに認識をしておりますが、今度のこの地域包括支援センターを中心とした仕組みの場合は、その点はどういうことになるんでしょうか。

中村政府参考人 新しい予防給付のマネジメントは、先ほど来申し上げておりますように、地域包括支援センターにおいて実施することとされておりますので、利用者の方は、まず地域包括支援センターにお申し込みいただく、こういうことになろうかと思います。

加藤(勝)委員 それは、例えばその方がどこに住んでいるかということで自動的に決まるということでございますか。それとも、幾つかあればどこへ行ってもいいということなんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 当該市町村の地域包括支援センターになります。市町村に必ずしも一つと、人口規模などにもよりますけれども、そうでないケースはあり得ると思います。その際、市町村が地域割りをされるかどうか、そういったことはちょっとあると思いますが、原則は、その方のお住まいになっている市町村の地域包括支援センターに行っていただくということになります。

加藤(勝)委員 それと次に、今回の一貫的なマネジメントの確保という議論があるわけであります。確かに、今の概念でいえば、要支援、要介護者になるおそれがある者、そして要支援者、要介護者、三つの概念、そのもっと前には健康な方というのがあるのかもしれませんが、今回の一貫という議論は、どちらかというと、おそれがある者と要支援者の間の一貫性ということにかなり力点を置かれていると思うわけであります。

 これも大変重要な視点だと思いますが、それはできれば、要支援者がおそれになり、おそれの者が健常になる、これはもう理想でありますが、やはり加齢に伴って一般的には、おそれがある、要支援、要介護というふうに移行していかざるを得ないということが私は前提になるんじゃないか。

 そうなったときに、今回の改正で気になるのは、これまでであれば、要支援から要介護については引き続き同じ居宅介護支援事業者、いわばあるケアマネジャーさんといろいろ相談をしながらその関係を維持していくということができたというふうに思うわけでありますが、今回の場合、仕組みがそこで一つ切りかわっているわけでありますから、要支援者から要介護者に移行した場合、一貫したいわゆるマネジメント、特にこれは人間関係が非常に大事だと思いますから、その辺がどう継続されていくんだろうか。

 そしてもう一つは、今回改正した結果として、今の要支援の方が、これまでの要支援のプランから新しく新要支援者としてのプランに変わるわけであります。そうすると、そこにもかなり異同が出てくると思うんですが、その辺の経過措置というのでありましょうか、その辺はどのように考えているか、教えていただきたいと思います。

中村政府参考人 まず、今、要支援なり要介護なり、対象になっておられる方のお取り扱いでございます。

 今、要介護認定の有効期間は一年から最長二年、こういうことになっておりますので、例えば十八年四月に市町村で新しいシステムを始められるとしても、その有効期間中は今のサービスが使われる。要介護認定の有効期間が切れる際にまた要介護認定していただきますので、その際、新しい要支援一とか要支援二におなりになる。その場合には、そこのところのマネジメントは今度は地域包括支援センターに移るということになりますので、確かに、委員御指摘のとおり、今までのケアマネジャーさんと違うということはあり得ると思います。

 それから、二番目の問題として、今要支援であった方、新しい要支援一、二の方が要介護の一とか要介護の二に移った場合にどうなるか。そこのところのマネジメントは、システム的には変わり得るということになります。

 ただ、申し上げておりますとおり、地域包括支援センターは、もともと、ケアマネジメントが介護保険の内と外、医療と介護、そういうふうに敷居があるところをなるべくつなげるようにする、そういうサポートを地域のケアマネジャーさんにもさせていただく、そういうためにつくっておりますので、そこのところのつなぎ、今申し上げた、新しい予防給付と介護給付とのつなぎが段差が出るようでは問題があると思いますので、仕組み的には確かに人がかわるということもありますが、そこのところの手当てをできるだけ利用者の立場に立ってスムーズにいくように配慮するということが地域包括支援センターの仕事になると思いますので、その点、できるだけ継続性が担保されるように、私どももお願いをしていきたいと思っております。

加藤(勝)委員 介護というのは、ある意味では、人と人との出会いを介護という力で変えるんだということを言われたケアマネジャーさんもおられたんですが、やはり制度というだけじゃなくて、そこには利用する方、そしてそれでそれぞれ仕事をされている方、個々の方たちがおられるわけでありますから、ぜひそういう配慮をお願いしたいと思います。

 そういう中で、今回の介護保険制度、いろいろとアンケートをとりますと、年々非常に評価は高まってきている。六割、七割の方が積極的な評価をされている。また一方では、量から質の議論が出てきた、それが今回の一連の改正につながっている。私はその辺の背景はよく理解するところであります。そして、まだ制度が五年目である、しかも、そう各国でどんどんやられているわけじゃなくて、割と日本は先駆け的にスタートをしてきているというわけでありますから、試行錯誤を繰り返しながら、できれば錯誤は少ない方がいいに決まっておりますが、これをどんどん発展させていく、私はこういう姿勢は大変重要だというふうに思っております。

 ただ、そういう中で、しかし基本的な枠組みというのはやはり維持していかなければいけない。それがどういうものかといえば、一つは、ほかの福祉の分野、ほかのこういう分野、保険制度と異なって、NPO、さらには株式会社、さまざまな主体が自由に参加をして、そういう競争を通じてよりよいサービスを提供していこうというところに一つの理念がある。これを大事にしていかなければいけない。しかし、それだけで任せてしまったのではいい成果が期待できない、そういう意味では、やはりケアプランをしっかりするとかいうことがそこに盛り込まれてきた、そしてそれを担うのが介護支援専門員だ、こういう枠組みだろうというふうに私は思っておりますので、その枠組みというものの基本は、今回、包括支援センター等々があるとしても、しっかり堅持をしていく。逆に言えば、そういう形へ持っていくためのいろいろな今回の改善だということははっきりしておいていただきたいというふうに思うわけであります。

 実際、介護支援専門員の方たちというのは、それぞれ、お医者さんから看護師さん等々、資格があってさらに経験があるということでありますから、相当の資格だと私は思っております。そういう意味で、今回の法律において初めて介護支援専門員という言葉が、これまで実は法文上入っていなかったんですね、政省令の中でしかなかった、これが法の中に取り込まれた。ある意味で一人前として認知されたということにおいては、私はそういう面では非常に評価できるのではないかと思いますし、同時に、する以上は、さまざまなオブリゲーションも出てきますよ、研修もしますよ、更新制もありますよ、これも私は当然のことじゃないかなというふうに思っております。

 そういう中で、確認的なことで恐縮でございますが、前回、予算の分科会で御質問させていただいたときに、老健局長からは、介護を要する高齢者の在宅での生活を支援するためのケアマネジャーはいわばキーパーソンだ、こういう御答弁もちょうだいをしているわけでありますけれども、そういう考え方、認識というものはこの改正を通じても基本的に堅持をしていく、逆に言えば、それをさらにブラッシュアップしていくんだということにあるという点を、どうか西副大臣の方から明確にしていただきたいというふうに思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のように、介護保険制度が発足しまして五年でございますが、この中における介護支援専門員の方の役割、これは、お一人お一人の心身の状況、それから能力を適切に評価して、そしてさまざまな専門家との、多種多様な職種と連携して、そして本人の自立のために最も適切なサービスのプランをつくっていただき、また評価をしていただいてまいりました。このことについては引き続き大変重要な役割を担っていただかなければならないというふうに考えております。

 利用者お一人お一人のニーズに合った適切なサービスをこれからもさらに提供していただくわけですが、ケアマネジメントや介護支援専門員の役割というのは、そういう意味では今後ますます重要になってくる、こう考えております。

 先ほども若干お話がありましたけれども、今回の見直しにおきましては、要介護者の皆さんに係るケアマネジメントを引き続き役割を負っていただく、それから、軽度の皆さん、要支援の方々を中心にいわゆる予防的なマネジメント、これにつきましても、地域包括支援センターの委託を受けていただいて自立支援に向けたマネジメントの一翼を担っていただくということで、いずれの場合にいたしましても、この介護保険制度の中では重要な役割を引き続きお願いしたい、こう考えております。

加藤(勝)委員 そういう中で、いわゆるケアマネジャーの自立性をどう確保していくかというのも大きなポイントになっておりますし、先ほどの御指摘のあった公平公正な居宅介護支援事業者というのも、それと絡んでくる話だと思います。

 そういう中で、もう既に指摘もされているわけでありますが、報酬をどうするんだろうか、あるいは、今一人当たり一応五十人というたしか単位があったと思いますけれども、そういう担当者数をどうするのか、あるいは、積極的に本来の業務を活動するためのサポート、こういうのをどうするのか、さらには研修をどうするか、こういう議論があるんですが、ちょっと時間がなくなったので、一、二だけ限定して聞かせていただきたいと思います。

 まず、報酬についての議論をさせていただきたいと思います。

 この報酬と自立性というのは非常に密接にかかってきております。今の報酬ではほとんど赤字であるという指摘があるわけでありますけれども、結果的に、九割がたしか併設しているはずであります。

 そうすると、併設しているかしていないかということもありますが、ケアマネジャーさん等の話を聞くと、併設していても、その部門がしっかり稼いでいれば別にプレッシャーなんかを受けることはないんだ、逆に、今の状況だとどうしても自分たちの部門が赤字化してくる、そうすると、どうしても言われてしまうとついついプラスアルファということのサービスを追加してしまう、あるいは併設の事業所がやっているものを追加してしまうという、常にプレッシャーを感じているんだという話を聞くわけであります。

 さらには、ケアマネジャーさんがアクセス等をいろいろされているわけでありますけれども、実際に介護サービスがそこから派生しないとケアマネジャーさんとしての報酬はもらえないということでありまして、話を聞きますと、担当されているうちの結果的に二、三割の方は介護サービスに結びつかない、したがって報酬はもらえないというような指摘もあるわけであります。

 そういうことを踏まえていただきながら、同時に、最初に申し上げた、併設だから自立していないとか、独立型だから自立しているといっても、今のは資本関係で、必ずしも形だけで一義的に言えない。要するに、例えば報酬を見直しして、形上自立していたら少し高くしますよということになれば、みんなそっちへ行くわけです、実態は別としても。だから、私は、それだけでは本質的な解決にはならないんじゃないかという思いもするんです。

 そういう点も含めて、この報酬について、たしか十八年四月から新しい介護報酬の方向へ移行するんだと思いますが、具体的にどういう方向で見直しをしていこうと考えておられるのか、その点を教えていただきたいと思います。

中村政府参考人 独立性のお話、公平性のお話などは、委員御指摘のとおり、なかなか形式的な基準だけでは判断できないというふうに考えております。

 介護報酬の見直しにつきましては、介護保険部会とかさまざまなところでもケアマネジャーさんの現在のあり方が議論されておりまして、今の五十人という利用者数は多過ぎて十分なケアマネジメントができないという御指摘もありますので、現場からは三十人程度というような声も上がっておりますけれども、いずれにしても、標準担当件数ということは小さくする方向で検討をしたいと考えております。

 それから、独立性、公平性、中立性の確保ということは、形式的な問題ではなく、きちんと関係者のケアカンファレンスができているか、そういって多くの人たちの専門職種の目でみんなで議論して最適なケアプランができていれば、結果としてどのサービス事業所のサービスが使われるかということよりも、そのプロセスの中で公平性、中立性が担保されているということが大事だと思いますので、そういうプロセスがちゃんと踏まれるような、そういった点を介護報酬でも評価していくことが必要ではないか。

 そういう議論をしておりますので、その方向で、今度は介護給付費分科会というところで議論するわけでございますが、議論を進めてまいりたいと考えております。

加藤(勝)委員 今、報酬の方はそういうことで、その中で担当者数の話も出ておりました。今は実は事業所単位で見ているわけでありますから、一応五十人といっても、そこに二人も三人もケアマネジャーがおられると、片一方が八十人見ていて片一方が二十人なんというケースも聞くわけであります。そういう意味では、今回、事業所の名前だけじゃなくて、ケアマネジャーのだれが見ているかということも明記するということになっておりますので、その辺は、制度改正をしたと同時に、やはり担当者数というのもしっかり見ていただきたい。

 それから、ケアカンファレンスの話があったので一言だけ申し上げたいと思うんですが、お医者さんを含めて集まってもらう。ケアマネジャーさんは一応報酬をもらっているわけでありますが、ほかの方は報酬なしで来るわけでありまして、なかなかそこは、お集まりをしていただくといっても、一言皮肉を言われることがあるという話も聞くわけであります。

 そういうことも含めて、よく現場の話を、実態の話をお聞きいただきながら、また一歩この介護保険制度をいい制度に、使う方にとってもいい制度に、そこで働く方にとってもいい制度へ進めていただきますことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、原田令嗣君。

原田(令)委員 自由民主党の原田令嗣であります。

 二十一世紀を迎えました二〇〇〇年、世紀の変わり目に発足した介護保険制度は、高齢者介護を専ら家庭が担うのではなく、社会全体で支え合う制度として我が国に初めて導入されたものです。要介護認定者数、介護サービス利用者数のこの間の増加を見ますと、介護保険制度は国民の間に広く定着してきたと思います。

 この制度の実施の結果を見て五年後に見直すこととされていましたが、我が国の例を見ない急激な超高齢社会の到来を目前にして、今回、制度の持続可能性を目指し、見直すべきものは見直し、また正すべきところは正すべきであると私も考えております。提出されている改正案が、予防重視型システムへの転換、負担の公平性の確保、そして地域中心の考え方などを基本視点として打ち出したことについては、私も評価が与えられると思っております。

 しかし、問題は内容、中身であります。新しい概念が導入されても、その中身がわからないと国民の不安、懸念は解消されません。特に、制度の持続可能性のため予防重視型システムへの転換を図るとして創設される新予防給付については、わかりにくいという声が多く、この委員会の審議を聞いても、十分理解が行き届いたとは言えない状況だと思います。

 まず、この新予防給付について伺いたいと思います。

 改正案では、これまでの介護保険の要介護一が要支援二と要介護一に区分けされ、新しい要支援二には新予防給付が給付される、そして要介護一にはこれまでどおり介護給付が給付されると説明されています。この二種類の給付の違いがよくわからない。

 新しい予防給付では、単に生活機能を低下させるような家事代行型の訪問介護については原則行わないとされていますけれども、前回の審議では尾辻大臣は、適切な訪問介護サービスは続けると答えられています。ということは、適切なマネジメントを経て自立支援に寄与する形で行われる例えば調理、買い物などの家事援助は提供されると考えてよいのでしょうか。きょうは尾辻大臣がいらっしゃいませんので、西副大臣に伺いたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 結論から申し上げれば、先生御指摘のとおりでございます。

 今回導入する新予防給付の基本的な考え方を、改めて若干申し上げておきたいと思います。

 まず、本人にできること、このことについては御自分でやっていただく。それから、本人の生活能力を引き出すためにサービスを組み合わせていきたい。そういう意味では、手助けをしていただく場合にも、できるだけ本人が今持っている能力を生かすための工夫をすることによって介護状態の悪化を防ぎ、また維持をしていく、こういう考え方でございます。

 したがって、できるだけ今本人が持っておられる能力を生かす工夫をしながらサービスを提供していただく。現場においても、利用者も含めて専門家がよく話し合って適切にマネジメントを行った結果、先ほど先生が御指摘のように、調理、買い物のサービスが適切である、今までの調理、買い物等のサービスをされていた方の状況が適切であるというふうに判断されて、そしてそれがプランに組み込まれた場合には、これは当然のこととして引き続き提供をしていただく、こういう考え方でございます。

原田(令)委員 例えばの例でありますけれども、家事援助の買い物については、ヘルパーが単に代行するのではなくて、本人と同行して本人に食材、メニューを決めてもらい、そして本人の意欲を引き出す、そして期間、目標を決めてできることを少しずつふやしていく、そのようなサービスは新しい予防給付で実施していく、そのように考えてよいのでしょうか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 その他の周辺の個人個人の状況がわかりませんので、一概に即断するわけにはいかないと思うのですが、今先生が前提条件をつけられたような形でおやりになることは、原則としては、私は、十分続行していただく内容のものではないかというふうに考えております。

原田(令)委員 新しい予防給付では、運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上など新しいサービスが導入されるとされていますけれども、一般にはいわゆる筋トレばかりが強調されていまして、新しいサービスが導入されるかわりに今までのデイサービスが行われなくなるという懸念も広がっています。厚生労働省はこの点に関してどう考えておられるのでしょうか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 訪問介護と同時に軽度の皆さんが今まで活用されてきたデイサービスの仕組みがどうなるのかというお尋ねだと思います。

 今回の見直しにおいて、軽度者に対するサービスをより自立に向けた方向性に持っていきたい、こういうことから、デイサービスについてもさらにそういう方向で見直しをしたいと考えております。新たなサービスとしては、まず運動器の機能向上、運動器と申しますのは筋肉とか関節とか、こういうものの機能を少しでも向上していただく。それから、栄養の改善、なかなか食事がうまくいっていないケースも多くて体力が弱っている、こういうことを改善する。それから口腔機能の向上。こういうことなどを通して効果が明確なサービスを導入させていただく、これが一点でございます。さらに、既存のサービスにつきましても、利用者の生活機能の維持向上の観点から、提供期間、それから提供の内容、提供の方法等を原則として見直させていただきたい、こう思っております。

 したがって、デイサービスにつきましても、利用者の生活機能の維持向上の観点から、先ほど申し上げました期間、内容、それから方法等を見直した上で、新しい予防給付のメニューの一つとして位置づけているということでございます。

 新たな予防給付の対象者に対しましては、地域包括支援センターにおいて作成したケアプランに基づきまして、利用者の自立支援の観点から、こうしたデイサービスなどの既存のサービス、今までのサービスと、それから先ほど申し上げました新たな予防的なサービスを組み合わせて提供していただくというふうに考えているところでございます。

原田(令)委員 訪問介護やデイサービスにおいて、介護予防として手間のかかるサービスを新たにやらなければならないということも考えられると思います。そうしますと、結果としてそのコストが上昇し、今回の制度改定の大きな目標とされる、急増する軽度の対象者へのサービスコストの抑制、低減につながらないのではないかという疑問も生じますが、その点はいかがでしょうか。

中村政府参考人 どの程度の介護報酬にするかというような点につきましてはこれからの議論でございますが、一方で、一部では必ずしも適正なサービス利用になっていないとか、もう少しその方その方の状況に応じたケアプランによるサービスを提供するということで、かなりサービス料についても見直す、減るという要素もあると思いますし、何よりも、そういうことを実施することによって、要介護度が維持されたり悪化することが減少するということによりまして介護保険財政にはよい影響もあるというふうに考えておりますので、この事業を行うことによって給付が膨らむことのないようやってまいりたいと考えております。

原田(令)委員 軽度の方へのサービスの見直し、効率化が求められているのは、介護サービス事業所で働く介護マネジャーによるサービス利用者の不適正な掘り起こしや、ケアマネジャーによる認定調査が甘く行われているという指摘があります。ケアプランの作成などのマネジメントや認定調査については公正中立な立場で行われるべきだと考えておりますけれども、今回の見直しにおいてはどのような対応がされるのでしょうか、伺いたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 要介護認定につきましては、元来、市町村が行うこととされておりますが、ケアマネジャーさんたちに委託できることとされております。しかし、御指摘のような問題点が指摘されておりますので、今回の改正におきましては、新規認定につきましては市町村が基本的にはやっていただくという原則を改めて確認したところでございます。市町村がみずからやっていただくか、公正中立の観点から、保険者事務を支援するために新たに設立する市町村事務受託法人以外の委託は新規認定については認めないこととする、こういうことを考えております。

 それから、ケアマネジメントにつきましては、地域包括支援センターにおいて一元的に実施するということとしておりますし、また、現在でも、サービス担当者会議を実施することで偏ったケアプランをつくらないようにすることをお願いしているとともに、自社のケアプラン、サービスだけ多く使っているような事業所については、保険者の方でそういう統計が把握できるシステムを国保連の方で開発したりしておりますので、そういった意味での適正化を考えております。

 また、今回の改正では、ケアマネジャーさんの五年ごとの資格の更新制や、個々のケアマネジャーごとにケアプランの内容を評価する仕組みを導入いたしておりまして、ケアマネジャーの独立性、中立性の確保に取り組んでいるところでございます。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

原田(令)委員 この点はさっき加藤委員からの質問もありましたけれども、もう一度、ちょっとわかりにくいので確認をさせていただきたいと思うんですけれども、認定調査は市町村が実施する。ケアマネジャーに委託せず市町村が直接実施することが現実に可能なのかと私は思うんですけれども、この点、ちょっともう一度お答えいただきたいという点が一点。

 もう一つ、予防給付のケアプランの作成はケアマネジャーでなく保健師を中心とした地域包括支援センターで行う、そして逆にそこがケアマネジャーに委託する、そういう形になるわけでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 要介護認定は、初回の認定、これは全く初めて要介護認定を申請される方。それで、要介護認定には有効期間がございますので、最長二年になっておりますが、一年とか二年、市町村が有効期間を付して、要介護認定をまた再調査する、こういう仕組みになっております。

 今回、業務量の問題もございます、それを全部市町村がやるということは大変でございますので、まず新規認定につきましては市町村が原則として実施する、こういうことでございます。それから、新しい予防給付についての予防マネジメントについては、委員御指摘のとおり地域包括支援センターにおいて行う。保健師等がその担当を行うということでございますが、その原案の作成なり調査なり、あるいはサービス事業所との連携等の事務は、地域包括支援センターから公平公正なケアマネジャーの方に委託することができる、こういうふうになっております。

原田(令)委員 初めの認定調査の件ですが、もう一度確認させていただきたいのですが、市町村が直接実施するということですよね。これは結局、市町村が委託しないでもそれが実施できるんでしょうか。

中村政府参考人 実施できる市町村もあると思いますし、公務員がその仕事に数が足りないとか、あるいはもっと適切な実施主体があるという場合には、市町村が、今度法律でその規定も置いておりますが、守秘義務の問題ですとか、公務員的に仕事をしなければなりませんので、市町村の事務受託法人をつくることができるとしておりますので、例えば、専門資格を持っておられる方々にそういう法人をつくっていただきまして、そこに委託するということは可能な仕組みといたしております。

原田(令)委員 仕組みとしては可能だということは、そういうこともやはりあり得るというふうに考えてよろしいんでしょうか。

中村政府参考人 説明が大変まどろっこしくて申しわけありませんでした。

 こういう仕組みをつくってほしいというのは具体的に町村の方からの御要望でございまして、また、そういう仕組みをつくってほしいという御要望がありましたのでつくらせていただきましたので、市町村の方は、こういう仕組みを使ってやりたいという市町村があるわけでございます。そのとおりでございます。

原田(令)委員 ちょっと非常にぼやっとしていましてわかりにくいんですが、これは具体的な委託する先というのはもう考えておられるんでしょうか。

中村政府参考人 私どもが伺っておりますのは広域連合でございますけれども、広域連合の中には、例えば保健師さんのOBの方とか、そういう力を持っておられる人材が地域にいる、そういった方々に市町村の仕事として手伝っていただきたい。その場合に、その受け皿としての組織をつくり、そこで、市町村が委託するわけですから、市町村の仕事としてやっていただく。そうすると、その人たちは、要はみなし公務員並みの守秘義務とかそういうことをかけないと不適切だ。

 こういう考え方から、市町村の事務受託法人という制度を介護保険制度の中に置きまして、市町村がみずからやるべきだけれども、市町村がみずからできない場合にはちゃんとお任せできるような仕組みをつくってやろう、こういうことでございます。

原田(令)委員 次に、制度見直しの理念の一つであります地域中心の考え方には、住みなれた地域で多様で柔軟なサービスが受けられるようにするという、介護保険のそもそもの理念が反映されていると考えております。

 この考え方に沿って、今回、地域密着型サービスを創設するとのことですが、そのサービスの趣旨を伺いたいと思います。また、その目玉とされております小規模多機能型居宅介護サービスはどういうものか、その中身を示していただければと思います。

中村政府参考人 これからの高齢者介護におきましては、例えば認知症の高齢者の方などが相当ふえておりますので、できる限り住みなれた地域で暮らし続けていただくことができるようにすることが重要だと考えております。

 そういったことを支援できるサービスを整備していくことが必要だということで、今委員から御指摘がございましたように、市町村内の住民の方がそこの場所で利用できる、できるだけきめ細かなサービスをつくっていく、市町村が事業者を指定し、地域の実情に応じて運営基準、介護報酬等も変更することができる地域密着型サービスをつくることとしたわけでございます。

 その地域密着型サービス、幾つかメニューがございますが、特に高齢者の方が自宅におられる段階においては、その地域密着サービスセンターに通ってくる、それから自宅でさまざまな訪問サービスも受けられるようにする。その方のお体のぐあいなどが悪くなってきた場合、自宅にずっとおり続けられなくなった場合には週に何日か宿泊も可能だ、そういった多機能なサービスを一つの拠点でできるような、小規模な多機能サービスの拠点もつくっていきたいというふうに考えております。

 そこのところについては、入所の機能も併設が可能なようにしていくということで、地域でずっとその方の症状の変化を、最後までサービスができるような、そういう拠点づくりをしてまいりたいというのが今回の考え方でございます。

原田(令)委員 今御説明がありましたように、地域密着型サービスは、在宅でも施設と同等のサービスを受けられるシステムをつくって施設偏重を是正しようとするものでもあるというふうに私は理解しておりますけれども、小規模施設では逆に、職員のローテーションがきかずに介護従事者が特定の対象者に固定されてしまう、そのため介護が、うまくいっている場合はこれは効果が上がるんですけれども、うまく行われないと、介護従事者そして介護を受ける側両方に肉体的、精神的ストレスがたまってしまう、そういう懸念の声も聞かれます。

 予防給付にしても、この地域密着型サービスにしても、サービスがよりきめ細かく多様になれば、確かに心の通った介護の実現に近づくことにはなると思いますが、他方、そのためには、サービスを行う側でサービスを行う体制の充実、介護従事者による介護の質の確保が当然求められてきます。

 ホームヘルパーなどでもパート従事者が大半を占めている現実の中で、質の向上のため、研修などの強化充実を図っていくことが求められていると思いますけれども、この点についてはどのように行うのか、伺いたいと思います。

中村政府参考人 御指摘ございましたように、介護におきましては、介護の支え手のマンパワーと申しますか、やっていただいている介護職の質の向上、そういったことが大事であり、研修なりそういった技能が研さんできるようなことが大事であるというふうに我々も考えております。介護職全般についてそういったことを考えていかなければなりませんし、ホームヘルパーの方々についても、一級、二級、三級の研修制度がございますが、そこのところも高めていかなければならない。また、ケアマネジャーさんについても、今研修制度がございますが、そこの見直しも必要だ。そんなことを考えております。

 特に、今委員から御指摘のございました地域密着型サービス、これは認知症のグループホームなどもこれからはそこに含まれるわけですが、小規模であるがゆえにさまざまな問題もある、問題になった場合には深刻だということも言われております。

 そうでなくても認知症のケアについてはまだまだ開発途上でございますが、私どもといたしましては、認知症ケアについての専門的な研修として、全国三カ所に置いております認知症介護研究・研修センターで、まず認知症介護指導者の養成を行っております。この指導者養成で養成されました指導者の方が、各都道府県において介護保険施設や事業者の介護職員を対象とした実務研修を行っていただくということで、まずリーダーの研修をその三センターで行い、各都道府県でそのリーダーたちがまた仲間の研修をするというようなことを今やっているところでございます。

原田(令)委員 次に、特別養護老人ホームなどの施設では待機者がなお多くいます。低所得者への対応として、自己負担などに関しては負担軽減措置が設けられていますが、特別養護老人ホームの待機者の入所の優先順位に当たっては、かつての措置時代に、福祉の考え方に沿って、所得、要介護度、家庭状況を考慮して優先入所できていた人が、介護保険制度のもとでも同じように優先される仕組みが確保されているのかどうか、これを伺いたいと思います。

中村政府参考人 介護保険は利用者と事業者の契約によってサービスが行われる、こういうことでございますけれども、施設入所の希望者が大変多い、そういう状況も出てまいりまして、平成十四年八月から、入所申込者の方の介護の必要の程度や家族の方々の状況などを考慮して、必要性が高いと考える方から優先的に入所していただく仕組み、こういうことをお願いし、全国でそういう優先入所制度ということで運用されております。ただ、この中では、所得そのものを考慮しているということではございません。

 そうしますと、低所得の方はどうかということになるわけですが、特別養護老人ホームの利用者負担につきましては、現行制度でも、所得に応じて負担の上限などを定める、一割負担などについてはそういう制度がございますし、食材費の負担についても所得に応じた負担軽減措置がとられているということが一つでございます。

 また、低所得という意味では、低所得に着目した施設としては養護老人ホームがございますので、低所得で生活が困難となった場合は養護老人ホームで入所が可能になっています。

 ただ、問題は、これまで養護老人ホームについては介護サービスということについては手薄であったわけでございますので、今回の見直しによりまして、養護老人ホームにおいても在宅として介護保険サービスが利用できるよう、十八年四月以降、改正をする、こういうこととしたところでございます。

原田(令)委員 時間が来ましたので、最後に西副大臣に伺いたいと思います。

 今回、改正案の施行期日は平成十八年四月一日からとされていますが、法案は成立しても、細目の政省令などが明確にされるのがおくれますと、介護保険事業を担っている市町村の予算、職員配置、システムなどの準備が困難になると聞いています。これに関する対応は十分できるのか、伺いたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今回もシステム上、かなり大きな改正を予定しておりますので、地方自治体との密接な連携は大変重要なことだというふうに私どもも考えております。今回のこの制度改正の円滑な実施に向けまして、全国介護保険担当課長会議等において、逐次、既に必要な情報をお伝えさせていただいているというところでございます。また、厚生労働省におきましても、自治体からの照会や相談に答えるという体制を今しきまして、各都道府県ごとの担当制を実はしかせて、こちらの側もそういう対応をさせていただいて、支援体制を整えたところでございます。

 今後、各市町村、都道府県等に職員も派遣して説明会を行うなど、市町村による制度見直しへの対応の準備を、私どもといたしましても全面的に支援をしていきたいと考えております。

原田(令)委員 今回の改正案の理念や方向性は正しいと私は思いますが、国民にその内容がもっと明確に、わかりやすく示され、国民の不満や懸念が解消されて、理念、ニーズに沿った、心の通った多様なサービスを選択できる、中身のある改正がきちっと実現できるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

北川委員長代理 次に、小西理君。

小西委員 自由民主党の小西理でございます。よろしくお願いいたします。

 大臣については、お忙しい中ですけれども、私の隣近所のこともありまして、実態をちょっと聞いていただきたいなと思いましてお願いしまして、本当にありがとうございます。

 今回、介護保険なんですけれども、予防という視点が取り上げられたことは、非常に大きな、進歩というとおかしいのですが、一歩であり、私は大変な決断をされたものだというふうに大変評価させていただいております。私も保険会社におりましたけれども、予防と給付というのはやはり本来一体のものでございまして、給付だけやっておれば、これは膨らんでしまいまして、最後には立ち行かない。予防を一体にやらなければ制度はもたないだろう、このように思っております。

 しかしながら、今回の中身を見せていただきまして、なかなか具体的な現場のイメージというのがわいてこないのです。そこをちょっと幾つかお伺いをしたいというふうに思います。

 今回、予防給付という話があるのですけれども、私はその前に、いわゆるそのもっともとの、対象者をふやさない、ここが非常に大きな要素じゃないかなというように思っております。そういう中で、ほかの委員からもお話ありましたけれども、いわゆる介護は言うに及ばず、健康管理、それから高齢者の方のいわゆるコミュニティー、こういうものがしっかりとできるということが、介護対象者をふやさない上で大変重要なことではないかというように思っております。

 そういう中で、今回、制度の中に地域密着型サービスというものを位置づけていただいたということは大変いいことだというように思うんですけれども、それとあわせまして、地域の高齢者のコミュニティーをつくっていくという視点を持っていただきたいなというように思っております。

 一点、申し上げますと、数年前になりますけれども、私の地元でちょっとある話を聞きまして、そのイメージがずっとついて離れないのです。

 御存じのように、琵琶湖という大きな湖がありますけれども、中に島がありまして、沖島という島があります。ここには小学校もあって、集落もあるわけであります。五百人足らずの集落ですけれども、高齢者人口が半分以上、六十五歳以上が半分以上。ここの島には寝たきりの方がいらっしゃらないというのです。ある人になぜかと聞いてみると、多分こういう理由じゃないか。この島は変わった風習がありまして、病気になって寝込まれると、隣近所の人がそこに集まってきて、わいわいがやがやと、ずっと治るまでわいわいがやがやとやっている。こういう話がありまして、高齢者のコミュニケーションというのが何か私にとっては非常にキーに思えてならないわけであります。

 正確なデータとかは学者でありませんので持ち合わせておりませんので、そこは申しわけないのですけれども、そういう点からまず一点目、地域のコミュニティーですね、これをどういうふうにつくっていくのか、この辺からちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 通常、コミュニティーというのは、御承知のように、ゲートボールとかグラウンドゴルフとかカラオケとか詩吟とか、さまざまな老人クラブとか自治会活動とか、そういう中で、高齢者の方のいわゆるコミュニティーというのができていると思うんですけれども、今回、地域支援事業という中で位置づけられている中で、こういうものをいわゆるスコープの中に入れておられるのか、それとも、やはりそれは従来の厚生労働省という枠の中では、これはちょっとそこまではというふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 先ほど琵琶湖の中の島のお話をお聞きしましたけれども、私も随分田舎の出身でして、おじいちゃん、おばあちゃんも全部顔を知っているぐらいの小さなコミュニティーの中にずっと住んでおりました。ゲートボールをしたり、いつもおなじみの顔がいらっしゃるのですけれども、私、この仕事を終えたら、ぜひそういうことのお手伝いをしたいな、ボランティアでしたいなというふうに思っているものですから、先生の御関心にも私も大変関心を持っているところでございます。

 今回、介護予防事業、それから介護者の支援事業、こういうことが行われていくわけですけれども、これは各市町村が最終的には判断をし実行していくということになりますが、基本はやはり、地域のさまざまな資源をいかに有効に活用しながら実施していくか、これが市町村の工夫のしどころだというふうに考えております。

 そのおやりになる、例えば老人会だとか自治会なんかも取り込まれる方もいらっしゃるかもしれません。そういう事業の内容によっては、老人クラブなら老人クラブの活動などを活用してコミュニティーづくりにつなげる、こういうことが十分考えられますし、また、それを事業として市町村が取り込んでいくという積極的な態度も、これからは大変必要なことだというふうに考えております。

小西委員 ありがとうございます。

 介護という制度ですけれども、いわゆる高齢者の生きがいというものと表裏だというように思うわけであります。市町村が主体となってこのような活動を行うべきだというのは確かに正論ではあるんですけれども、やはり生涯学習とかに取り組んでおられる文部科学省ほか初めとして、厚生労働省もそういう広いスパンでもってこのあたり取り組んでいただきたい、他省庁との連携もとりながらやっていただきたいという、ちょっと私の希望を述べさせていただきたいと思います。具体的なアイデア等ありましたら、またお教えいただければ大変ありがたいと思います。

 次に行かせていただきますけれども、今回、地域支援事業の例として、転倒骨折予防教室とか栄養指導とか例として挙げられているんですけれども、一体、地域でこういうことをだれがオーガナイズして広めていかれるのかというのがなかなか思い浮かばないわけでございます。

 私どもの地元でいきますと、たまたま去年シルバーフェスタというのに出まして、そこでたまたま健康推進員の方々が老人会の集いでこういうことを非常にやっておられたんですが、そのときにこぼしておられたのが、我々いろいろな活動をしたいんだけれども、なかなか集まってきていただけない。来られる方は関心のある方だけなんですが、本当に必要なのは、余り関心のない方の方がこういうことをきっちりやってもらわなければならないと私は思うわけであります。

 そのときにどういう動きをしたかというと、自治会長さんとか老人会長さんとか、ある程度そういう高齢者社会で影響力のある方に頼んで、できるだけ集めてもらうというような努力をしようということで活動をされていたわけなんですけれども、実際のところそういう方というのは、自治会長さんとか老人会長さんにしても非常にお忙しい、そういう方というのは、お年寄りであるにもかかわらず大変、我々よりも忙しいぐらい忙しい方であったり、また逆に全くそういうことに関心がない方であったりしまして、いわゆる物すごい偏りと御本人のやる気というものに左右をされるわけでありますけれども、このあたりをどういうふうに考えておられるのか。

 こういう中で、例えば、では市町村にそういうことを頼もう、こういうようなアイデアがあるかと思うんですけれども、これは自治体にすると、市町村の職員も今は全然数が少なくなって忙しいですから、私が想像するに、何が行われるかというと、そういう会なんかをやるというのを市町村の広報に載せまして、それで出欠票のファクスを待っている、こういう事態が行われて、結局全然前に進むような気配はないのではないか。これがちょっと周りを見渡したところの実態ではないかと思うんですが、このあたりについて、具体的な対策、何かアイデアがあればお聞かせいただきたいと思います。

中村政府参考人 予防のお話で、今委員御指摘になりました議論でございますが、私どももそういう予防関係の専門家、行政の人たちに集まっていただきまして、老人保健事業という事業があるんですが、その見直しの検討会をしている中で、今委員から御指摘のあった、まさにそのような指摘がなされております。

 例えば、その事業に参加される方は、実は本当に予防事業としての一番のターゲットではなく、積極的に参加してくださる方はありがたいんですが、その人よりも、参加されない方に本当は予防していただかなきゃならない方がいる、そんな議論が専門家の間でもなされております。

 そこで、予防事業の専門家等の中でも、今委員御指摘になりましたように、地域住民の方が主体的に健康づくりに取り組むような地域づくりをしていかないと、予防事業もうまくいかないんじゃないかと。まさにそこのところがポイントになっているところです。

 そういった中で、例えば、保健師さん、栄養士といった専門職の人がいろいろ住民の方にアプローチするわけですが、成功事例としては、戦後すぐに始まったものですが、長野県で保健補導員という住民ぐるみの運動があり、これが現在でも、そういう保健補導員制度によりまして地区にきめ細かな自主的な組織ができて健康づくりをしているというのは全国的にも有名な例でございますし、よく指摘されるのは、長野県の医療費が低いのもこの活動も一因ではないかというふうに言われております。

 ただ、これは、長い歴史、昭和二十四年からされているということでございますので、相当時間がかかるというふうなこともあると思います。

 今委員から御指摘いただいたこと、それから、保健事業として、本当に、広報に出して参加者がこれだけであった、それで予算消化したというような実態が多いのではないかということは、我々の検討会でも指摘されているところでございますので、何とかそういうことを打破してやっていくしかない。それについてはやはり、住民の方の主体的な参加を求める、NPOやボランティア組織にお願いするとか、そういった形をつくっていくとか、また地域づくりや町づくりを通じて健康や生きがいを高めることを目指す、抽象的でございますが、そういったことが老人保健事業の見直しに関する検討会でも指摘されているということを御答弁させていただきます。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

小西委員 二点ばかりちょっと言わせていただきます。お言葉になるんですけれども、今言われるように、ある熱心な人とか、何とかばかと言われる人が一生懸命やっておられるところというのは多分うまくいっているんだと思うんですけれども、これをいかに普遍的に、そうじゃない残りの九五%に広げていくかというのが大変重要だと思いますので、その点をぜひお願いしたいというのと、あと、ボランティアをやっている人たちの一番の不満というのが、行政の関心が自分たちに向いてくれないことだというのを結構耳にするので、市町村を含めてそういう行政に携わる方々が、現場で汗を流しているボランティアの方々にもう少し目が向くような施策を、そんな、お金なんか要らないんです、一生懸命やってくれてありがとうございますという話でも十分心は通じると思うんですね。そういうところをちょっとお願い申し上げたいなというふうに思っております。

 次に、これから、今申し上げたようないろいろな教室だとか支援事業とか、いろいろなことをやっていくわけなんですけれども、ちょっと懸念されるのが、インストラクターといいますか講師、こういういわゆる人材というのが一体どこにおられるんだろうかということでございます。二週間ぐらい前もたまたま老人向けのエアロビクスにちょっと参加する機会がありまして、二十分ぐらい参加したんですが、先生と話していると、もう引っ張りだこでいろいろなところを飛び回らされてとても首が回らない、たくさんやってあげたいんだけれども、とてもそういう状況ではないということをおっしゃっていたのであります。しかも、結構、私のところは十万ぐらいの都市でありまして、もっと小さい市町村に行くと、そういうこともなかなか、周りで見つけてくるというのは非常に難しいのではないかなと思うわけです。

 こういういわゆる地域支援事業とかお年寄りの予防というものを支えていく人材というのをどういう形で確保されようとしているのか、ちょっとお伺いをできたらなと思います。

中村政府参考人 先ほども申し上げましたように、これまでの予防事業の中心は市町村の保健師あるいは栄養関係の方、そういった方々が中心でございました。

 今回いろいろな、介護予防を重視していこうということで、モデル事業もいたしておりますし、また、介護保険がスタートいたしまして、デイサービスセンターや通所リハビリテーションなどで、そういう施設でさまざまな職種の方が機能訓練やリハビリテーションをやっておられます。そういった職種としては、OT、PTあるいは運動関係の専門職の方などが参加していただいているところでございます。

 私どもとしても、この介護予防については、市町村のサポートをするような仕事もしていかなければならないということで、十七年度予算でもさまざまな試行といったものも考えておりますし、また、国レベルでは、そういった全国の知見を集め、こうやればうまくいくというような成功事例については中央でそれを集積して、各市町村、都道府県の方にお返しをする、そういったことも考えてまいりたいと思っております。

小西委員 できる限り地域密着型で、そんなにプロにならなくてもある程度のことはできると思いますので、そういう人材を幅広く育成する、そういうプログラムをお考えいただければありがたいなというように思います。

 それから、次に行かせてもらって、人材を確保されたからといいまして、次は、ではどこでやるんだ、こういう話になってくるわけですけれども、大体、御高齢者の方というのはそんなに行動範囲が、活発な方もいらっしゃいますけれども、そんなに広くはない方が一般的ではないかなというように私は思うわけであります。

 地域包括支援センターとかいろいろ介護施設言われますけれども、恐らく、中学校区とかそういうイメージを持っておられるかと思うんですが、実際にはもっと活動範囲というのは狭くて、集落とか町単位の、いわゆる自治会館とか、そういう関連の施設で、介護に限らず、いろいろな文化的な活動を含めてやっておられるというのが実態だと思います。

 こういう中で、今そういう施設が十分に整備をされているわけではないのではないかというように思うわけであります。我々の近所でもいろいろな自治会館ありますけれども、なかなか足の不自由な方が入りにくい、改修が十分できていない、いろいろな介護関係の運動をやるにしても床がぼこぼことか、いろいろな状況で、必ずしも多くの場所がそういうことに適した場所ではないのではないかなというように思うわけです。

 今回、地域介護・福祉空間整備等交付金というのが今回の三位一体の改革に絡んでできたというふうに承知をしておるんですが、こういう介護目的もしくはそれに類似の目的で、いわゆる自治会館等、地域の施設等の改修等を行う場合、こういうものの対象になるんでしょうか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 今回のこの介護予防拠点といいますのは、基本的にはそれぞれのおうちで生活をしていただいて、そして通ってきていただいて、その拠点で、できるだけ体の機能が落ちないように、こういうことをするための場所でございます。

 具体的に公民館、自治会館を上げておられましたけれども、私も思い浮かべるに、入り口の段差が大きい、また、なかなか、調理といっても古い調理室しかなくて、これはちょっと使いにくいなというようなことが、地元の公民館の様子が思い浮かぶんですが、そのままそっくり今の状態で使えるというわけでは必ずしもないだろう、こう思っております。

 一方、こういうところというのは、比較的、集落の中でも一番皆さんが集まりやすいところに、小さいけれどもそういうふうなところに存在するということが多いだろうと思うんですが、そういうところを一つの拠点として介護予防に取り組んでいかれるということは、これからの方向としては、過大な出費も要りませんし、非常に大事なことだろうというふうに思っております。

 今回、御指摘のように、市町村の交付金として、市町村で面的な一連の介護予防の体制をつくっていただいて、それに対して交付金を支給するということになっておりますので、私たちとしては、若干トイレを直したり、また先ほどのように床を、少しでこぼこを直したりというようなことも含めて、申請をしていただいて、そしてできるだけ身近なところでこういう介護予防の体制ができるという形を望んでおります。その真意をまた、市町村、自治体の皆さんにも十分お伝えしていきたいというふうに思っております。

小西委員 ありがとうございます。この問題についても、他省庁といろいろな関係があると思いますけれども、鋭意お取り組みいただければ大変ありがたいなというように思っております。

 次のちょっと大きなテーマで、予防給付そのものについて、一、二点だけお伺いをしたいと思っております。

 今回、予防給付の中に、筋力向上、栄養改善、口腔機能向上を上げられていますけれども、とてもこの筋力向上が多くの対象者に受け入れられるものだとは私は思っておりません。リハビリという、御経験されたことがあると思いますけれども、大変単調で厳しい、ああ、できたらやりたくないという感想を持たれる方が多いのではないかなというように思います。だから、十人おられれば、どうしても元気になりたいとか、もとに戻りたいという強い意思を持っておられる方、何人かは恐らくこういうメニューを望んでそういうことをやっていかれるとは思うんですが、そういうことが必要な対象者の大半が、こういうことを望まれるとは限らないというように思います。

 そういう中で、そういう方にもやってもらわないと、実際、予防給付をしても状況は改善していかないわけで、物はつくったけれども、少しの方がやってくれれば、それでも大きな大きな進歩だと私は思いますけれども、本来目的とする、もっといい方に移ってもらうという大きな目的の一つは達成できないのではないかと思うわけです。その残りの方々をこういうところに導くようなアイデア、どうしたら楽しくなるんだろうかとか、続けられるんだろうかとか、一番いいのは体験談を話してもらうとか、仲間内にそういうことでよくなった人がいて、こんなによかったと言ってもらうのが多分一番いいんだろうとは思いますけれども、厚生労働省は何かアイデアをお持ちですか。

中村政府参考人 先ほど来申し上げていますとおり、委員御指摘になっておられることは、まさに予防の専門家でも課題になっているところでございます。

 私どものアイデアということではございませんが、例えば長野県の松本市では、老人保健大学、たしかそういう名前の大学を、高齢者の方に入っていただいて、さまざまなトレーニングとかそういうことを、一年間、プログラムを組んでやっているわけですが、非常に評判がよく、いわば入学希望者が多い、こういう状況のようでございます。

 それは、一年間やって体験されたことを文集としてまとめ、こういうよいことがあった、相当よくなったというようなことが卒業文集として残り、それが市民の方に伝わり、自分たちも次の大学のコースには入ってみようかと、そういう評判を呼んでいるということをお聞きしたことがございます。これは信州大学がバックアップされていると伺っておりますが、工夫としては、そういう市民の間、住民の方の間で評判が立ち、やってよかったという方の体験が伝わるということが一つポイントではないかなと思っております。

小西委員 くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

 一言だけ、ちょっと嫌みと言ったら申しわけないんですけれども、大体、官僚組織というのは、下に報告を求めると、いい報告が上がってくるものでございまして、しっかりと現場の実態まで確かめて、本当に実態がそうなっているのかどうか確かめながらやっていただきたいなということだけ申し添えさせていただきたいと思います。

 これも、私も本社とかにおりまして、いろいろな事業所のところにアンケートをとると、大概そういうふうなのが返ってくるというのはよく知っておりますので、よろしくお願いをしたいと思っております。

 それから、栄養改善というのがあるんですが、これはちょっと具体的なイメージがなかなかわいてこないんですけれども、サプリメント等の提供をされるのか、それとも何か改善しなさいというような指導をされるのか、どういうイメージを持っておられるのか、ちょっとお教えください。

中村政府参考人 さまざまな調査によりますと、例えば在宅の高齢者の方の三割以上に低栄養の状態が観察されるとか、高齢者の方の栄養状態というのは多くの課題を抱えているということが指摘されております。たんぱく質とかエネルギーなどの低栄養状態でございます。

 そういった意味で、高齢者の栄養状態の維持、改善、食生活の自立を促す、こういう観点から、例えば今も通所サービスがあるわけでございますが、その機会などを利用いたしまして、栄養状態の把握、それに基づく食事指導、栄養改善に関する情報提供、そういったことを行う必要があると思いますし、先ほど来委員の御指摘による地域における取り組みとしては、配食サービスとかそういったことなどが課題になるのではないかと思っております。

小西委員 重ねて申し上げますけれども、改善指導をした場合、実際に食べてもらわないとよくならないわけでございまして、よろしくお願いしたいと思います。

 うちらの地方に行きますと、ご飯ですよという、老人のところを配り回って山奥まで行くサービスをやっておるんですけれども、そういうある程度現物を示して供給するというような、供給と言うとおかしいですけれども、食べていただくというようなこともやっていかないとこれは本来改善していかないんじゃないかなと思ったりもしますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 時間もなくなってきましたが、あともう一つ聞かせていただきたいと思います。

 介護というのも、これは非常に大きな社会の中の問題だというように思っております。今、学校教育の中で食育も取り上げられることになりましたけれども、介護というテーマが今学校教育の中でどういう形で取り上げられているのか、ちょっと教えてください。文部科学省の方、お願いいたします。

山中政府参考人 文部科学省の審議官でございます。

 先生、学校教育の中でどういう形で介護が取り扱われているかという御質問でございますけれども、例えば、高等学校の家庭科、家庭総合という科目がございますが、ここの中では、高齢者の食事、着脱衣、移動、そういった介助の実習をするということを取り入れておりまして、そういう中で介護あるいは高齢者の方とかかわる、そういうことを実際に体験してもらおうということをやっております。

 ただ、小学校のような小さい子供たち、こういう中でも、核家族化が進みまして、お年寄りと一緒に生活するとか触れ合うという機会が減っているということがございますので、例えば小学校の一、二年の生活科では、老人ホームを訪問する、そういうところで老人の方と触れ合う、あるいは総合的な学習の時間というのが小学校三年以降あるいは中学校で行われておりますけれども、そういう中でも、例えば高齢者の方とのふるさとの遊びの伝承ですとか、あるいはお祭りの伝承でございますとか、先ほど先生からございましたように、自治会館のようなところで、高齢者の方にも来ていただく、そこにまた子供も来るといった中で、高齢者の方にも生きがいをつくっていただき、子供も文化やそういうものを伝承していくといった、そんな活動が行われてきているというところでございます。

小西委員 お答えいただいたように、高校の技術科というのは一つの実務としてやっておられると思いますけれども、うちの地元でも、今、小学校とデイサービスと保育所と併設した建物を厚生労働省さんのお力をいただいて建てさせていただいて、非常にありがたいなと思っておるんですけれども、三つ子の魂百までもということで、やはり小さいときからお年寄りとともに暮らす、もしくは介護というものがどういうものなのか。もともと介護は家庭、家族がやっていたものを、いろいろな情勢の中で社会がやろうということになって、今回ちょっと家庭や地域の方に戻しましょうと、ちょっと戻ってきたんだと思いますけれども。そういう中で、核家族化してお年寄りがなかなか子供たちの身近な周りにおられなくなった状況の中で、やはり小学校も低学年もしくはそれ以下の段階での教育というのは大変大事なことになってくるのではないかなと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤田一枝君。

藤田(一)委員 お疲れさまでございます。民主党の藤田一枝でございます。

 きょうは、本題の質疑に入る前に、三月二十日に発生をいたしました福岡西方沖地震の問題について、私は直接の地元でございますので、そういう立場から少し質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 三月二十日の午前十時五十三分に、マグニチュード七・〇という大変大きな地震が発生をいたしました。私も発生当時、本当に、一体何が起きたのだろうかというふうに一瞬思いましたし、思わず柱につかまらなければ立っていられないような、そんな揺れを実は経験したわけでございます。それだけの非常に大きな地震であった割にはと言うといろいろ表現が難しいのですけれども、負傷者、けがをされた方は随分多数出たわけでありますけれども、お亡くなりになった方が一名であったという、いろいろな意味で不幸中の幸いということが重なっているのではないか、こんなふうにも言われているところでございます。

 大臣も翌日の二十一日に早速九電体育館の方にお越しをいただいてお見舞いをいただいたということで、そしてまた厚労省の皆さんもいろいろな形で対応していただいていることに、まず心から御礼を申し上げたいというふうに思います。

 ただ、被害の状況というのは、なかなか、新聞やあるいはいろいろな形での報告書に出てくる数字でははかり知れないような問題がたくさんございまして、玄界島はもちろんでございますけれども、いわゆる沿岸部の漁港であるとか、人家であるとか、あるいは公共施設だとか、それから中心部のビルだとかマンションだとか、大変広範囲に被害が及んでおります。そしてまた、その被害が福岡市だけにとどまらずに周辺の市町にも影響をしてきているということで、いまだに被害の全容というのは確定しておりませんし、そしてまた震度四とか震度三とかという余震も相変わらず続いている。こういう状況の中で、避難所で生活をされている方々というのは余震におびえながら毎日頑張っている、こんな状況でございます。

 それで、いろいろこの震災の問題というのはあるのですけれども、また災害対策特別委員会なり内閣委員会なり、別の機会で基本的なことは伺いたいと思いますが、きょうは避難所の問題について少し触れさせていただきたいと思っています。

 今回も避難所として公民館であるとか体育館であるとかというものが使用をされたわけであります。災害になると、日本の場合、いつもこういうところが避難所として利用されるわけでして、居住性とはほど遠い状況でありますから、そこには非常にいろいろな問題があるということで、この間、阪神・淡路の震災やあるいは中越の地震というものを経ていろいろな改善策が図られてきている、こういうふうには承知をしておりますけれども、福岡でも初めての体験だったものですから、なかなか思うに任せないというか、いろいろな問題が実は出てまいりました。

 少し避難所の状況について御説明をしたいというふうに思うんですけれども、最大の被害に遭いました玄界島、ここは住家の八割がもうだめという状況になっておりまして、発災をした当日に、すべての島民の皆さんが九電体育館の方に避難をされるということになりました。

 約七百五十名近い住民の皆さんのうちの四百名前後の皆さんが今もここで避難所生活を送っているのですけれども、最初は、九電体育館というのは大変立派な広い大きな体育館でございます、そこの床に毛布が敷かれた状態の中で、関係者の皆さんだとかマスコミの皆さんだとかというのがとにかく土足で動き回る、こういう状態でありました。そして、マットレスが敷かれたのが二十六日、そして土足禁止になったのが二十七日、このときにマスコミの皆さんの立ち入りも制限をされまして、畳が入ったのが三十日、こういう状況でありました。

 今はこの状態で続いているのですけれども、この間の衛生状態といいますか、中の状況というのは大変いろいろありまして、とにかくほこりも舞いますし、空気は乾いて風邪がはやって、結局高齢者の方は入院をするというような方々が随分ふえてしまったわけです。お元気な方もマスクをしながら生活をされているということで、ただでさえ地震の影響で精神的に非常にケアが必要な方もいらっしゃいますし、それからプライバシーということが全くなくてストレスをため込んで、夜もなかなか眠れない、寝返りを打つにも大変気を使わなければいけない、こういうことをおっしゃっている方々もたくさんいらっしゃるわけです。

 ただ、なかなか、島民の皆さんの立場というか置かれている状況もあって、そういうことを強く言えない。とにかく、これだけいろいろな方々から世話をしていただけて本当にありがたいということで、皆さんやはり、いかがですかと、きっとこれは大臣もお聞きになられてそういう返事だったと思うんですが、ありがたく思っておりますというような言葉が返ってきてしまうんですね。でも、個々の状況を見ますと決してそうじゃなくて、本当に気を使いながら、プライバシーもなくてということでストレスをため込んでいる、こういう実態があります。

 まだ島の皆さんというのはお互いの人間関係が緊密な部分がありますけれども、今回避難をされている方たちというのはここだけではなくて、都市部のマンションが大変やられてしまって、そこの皆さんも小学校の体育館に避難されたり公民館に避難されていたのですが、なかなかコミュニティーの関係が薄いところだと、そういうところで生活することが耐えられないということで、自分の車で寝られたというような方々も結構多かったりしているのですね。

 そういうことを見ていて、避難所というのは何なのかなというふうに改めて私も思ったわけですけれども、避難所というのはやはり緊急避難だというふうに思うんです。ところが、現状というのは、この避難所が仮設住宅に移るまでの生活の場になってしまっている。それをなかなか大きく変えることが難しいならば、やはり最初から、もう想定をされるわけですから、この避難所のあり方ということについて最初から少しレイアウトも含めて考える。そのときに、当日や一日二日は無理にしても、少なくとも三日目ぐらいからはきちっと、居住性というか、プライバシーの確保であるとか、いろいろなものをやはり配慮するということをきちっと位置づけなければいけないのではないかなということを実は痛感いたしました。

 新潟のときに、紙でつくったびょうぶであるとか、あるいは授乳室だとか着がえのスペースだとかを中に設置されたというようなお話も聞いたわけですけれども、今回もそういうものが必要ではないかなと思っているのですが、残念ながら今のところそういうふうになっていない、全くの広いところに、見通しのいいところに皆さんいらっしゃるという状況になっているのです。

 理由はいろいろあるのですけれども、実際そうなっているということに対して、やはり精神衛生上もあるいは保健衛生上も、もう少しこの避難所のあり方ということを抜本的に見直していくということが必要ではないか。既にマニュアルもつくっていろいろ指示をされているというお話も実は伺ったのですけれども、現場、自治体の方の問題かもしれませんが、そこはそこで大変取り込んでいまして、なかなか難しいところもあるということで、改めてこの避難所のあり方というのでしょうか、避難所のあり方というのも変な話なんですけれども、そういうことについて抜本的に見直していただけないかなというふうに思うんですが、その点はいかがでございましょうか。

小島政府参考人 ただいま災害時の避難所のあり方について御指摘がございました。

 災害が発生した場合に、まず避難所に避難ということになるわけでございますが、これは、先生おっしゃいましたように、あくまで緊急避難でございまして、できるだけ早く応急仮設住宅を建設して、そちらに移っていただくというのが本来の姿ではないかというように考えております。

 健康な方でも、避難所生活が長期化すると、いろいろな面で影響が出てまいります。特に高齢者、障害者等、要援護者の方々については、震災発生当日に、避難所ではなく、むしろホテルや旅館、あるいは社会福祉施設や介護保険老人施設への受け入れをするよう、福岡県に対して今回も指示をしたところでございます。

 しかし、避難所生活が長期化するという場合もあるわけでございまして、そのために私ども、指針をつくりまして、生活環境の改善ということに努めているわけでございます。畳、カーペット、マットレス等の整備、あるいはプライバシーの保護のために簡易間仕切りの設置、あるいは食事内容の改善等々、可能な限り、避難所において生活される方々に健康面等の配慮をするようにということで、各自治体に対して助言を行ってまいりました。

 今回の九電体育館の例をお挙げになりましたが、一つは、プライバシー保護上の配慮といたしまして、女性用更衣室の設置、あるいは女性用衣類専用干し場の設置というのがなされているわけでございますが、御指摘の間仕切りについては、島民の方々、遠慮されているのかどうか知りませんが、島民一体で頑張っており、お互いの顔が見える環境にしてほしいとの要望があるため、今のところ設置していないというのが、県からの説明がございました。

 私どもといたしましては、福岡県、福岡市と引き続き相談しながら、避難所生活の生活改善のために努力をしてまいりたいというふうに考えております。

藤田(一)委員 御説明いただいたことはよくわかるし、ぜひそのようにまたさらに強化していただきたいと思うんですが、私は、今回ちょっといろいろ事情はあるんですけれども、住民の皆さんの意思に任せるのではだめなんだと思うんですね。その過程で、皆さんはそれで頑張ろうと思っていても、知らず知らずのうちにいろいろなストレスをため込んだりしていくということもあるわけですから、やはりもう少し前に出て、例えば、夜寝るときだけそういう間仕切りを置くことも十分できるわけなので、そういったこともきめ細かく、いろいろと行政の方で配慮をするという形で踏み込んでいただきたいなというふうに思っています。

 それから、やはり避難所のあり方というのは、非常に、例えばこれが国際的に、映像が世界に流れたときに、どう映るのかなと。大変豊かな国であるのに、あるいは紛争当事国でもないのに、被災された方々が難民化してしまうような形になっているというのは非常に問題だというふうにつくづく思いました。そういう意味で、一週間以上に及ぶような場合には、もっといろいろな形での対応ということをきちっと考えていただきたいというふうに思います。

 それから、ぜひこれは大臣にも御検討いただきたいと思うんですけれども、緊急避難から本格的な生活再建に移るまでのこの間の期間というのは、やはりとても大事だというふうに思うんですね。このときに早期に、精神的にも回復して、本格的な自分の生活を再建していくための気力なりいろいろなことを培っていかなければいけない、この期間をいかに過ごすのかということはとても大事だというふうに思っていまして、そういう意味からも、避難所のあり方についてぜひもう一度見直しをしていただきたい、このことは強く要望させていただきたいというふうに思います。

 それからもう一点、災害救助法の問題について、これもちょっと触れさせていただきたいと思うんですけれども、今回、災害救助法の適用が福岡市のみということになりました。これは一定の要件を満たさなければいけないということですから、それはそれで、そのことはわかるんですけれども、なかなか、救助法に基づく救助内容と、あるいはその法が適用されていない形で、適用外での支援のあり方というのは、おのずとやはり差がつく部分がございます。

 しかし、実際に被災をされている個人個人を比較すると、同じような状況に置かれている方がいるというところで、道一つ隔てて、適用されている、されていないという問題が出てくるわけです。災害救助法が適用されていないと、いわゆる被災者生活支援法、現行法も適用されないようなこともあるということも含めて、今、非常に悩ましい状況が実は出てきているわけです。

 これも、この適用に関しては、やはり県の判断ということになろうかと思いますけれども、県と関係市町村の連携、調整、あるいは情報の伝達等々について、国の方がいろいろな意味での蓄積をされているわけでありますので、ぜひそういうところでの的確な助言というものをお願いしたいというふうに思うわけですけれども、この点はいかがでしょうか。

小島政府参考人 災害救助法の適用についてでございますが、基準といたしましては、一つは住家の損壊の程度と規模、または、多数の住民の方の生命、身体への危害が及ぶおそれがあり、避難して継続的に救助の必要があるという二つの適用基準というものを定めているわけでございます。これを都道府県が、県内各市町村の被災状況等を迅速かつ正確に把握して、その適用を決めるということになっているわけでございます。

 福岡県の場合には、福岡市以外の住家被害の認定がまだこれからだというふうに私ども伺っております。それが適用基準に該当するかどうか、あるいはまた、それを住民の方が実際に困っておられるかどうかという判断基準で福岡県知事が的確に判断をされると思いますが、私どもの方に相談がありましたら、私どももそれに的確に対応してまいりたいというふうに考えております。

藤田(一)委員 これから上がってくる被害状況の中で適用されるかどうかというのは、非常に私も、ちょっとどうかなという部分も率直に言ってあるんですけれども、実際に同じ地震被害を受けているということの住民感情の問題も含めて、最初の判断のところでどうだったのかなという気持ちが実は非常に残っておりましたので、ちょっとお尋ねをいたしました。ぜひ、国として的確な助言等々、お願いをしていきたいというふうに思います。

 それからもう一点、心のケアのことについてお尋ねをしたいというか、お願いをしたいと思っていますけれども、今回も精神的なケアについては、いろいろな形で態勢をとって動いていただいているわけでありますけれども、こんなケースが一つございました。

 子供たちだけで留守番をしていたケースで、団地の五階に住んでいて、そこで子供たちだけでこの地震を体験したということで、その子供たちが非常にショックを受けて、その五階の自分の家に戻れなくなってしまった。それで、御両親は引っ越しをしようがないので考えて、次の引っ越し先が決まるまで避難所生活をずっと続けていた、こういうケースが実はございました。

 精神的な問題というのは、はかり知れないものがたくさんあるだろうと思うんですけれども、特に子供たちに与えた影響というのは、やはりいろいろな面があろうかというふうに思っています。そういう意味で、これから新学期が始まっていきますので、学校であるとかあるいは幼稚園や保育所とか、こういうところを通じて、しっかりとこの心のケアということに取り組んでいただきたい、こういうことも思っておりますので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 この点、もしお答えをいただければ、よろしくお願いいたします。

塩田政府参考人 被災者の方々の心のケアというのは大事な問題だと思いますし、特に子供さんの心のケアというのは大事な課題だと思います。

 今回の震災でも、地元の方で、例えば福岡県の方では、精神保健福祉センターの保健師が心のケア専任スタッフとして相談に応じられておりますし、福岡市においては、精神保健福祉センターの中で、「こころのケア」ホットラインというのを設けて相談に応じられているということでございます。

 特に、子供さんの心のケアにつきましては、福岡市のこども総合相談センターというところで相談に応じられているということで、被災の直後は毎日三十人ぐらいの御相談があったということでありますが、その後も毎日、一人二人の御相談があるということであります。特に子供の心のケアは大事だと思いますので、福岡県、福岡市からまた要請があれば、国としても積極的にバックアップをしていきたいと思っております。

藤田(一)委員 相談センターでいろいろやっているということは当然そうなんですけれども、ここで相談窓口がありますから、ここに来てくださいじゃなくて、できれば学校とか保育園とか幼稚園とか、きめ細かくそこで配慮をしていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 それで、時間が大分経過してしまいましたので、本題の介護保険制度の見直しについて、質問に入らせていただきたいと思います。

 今回のこの制度の見直しというのは制度発足後最初の見直しということでございまして、私も改めて、介護保険制度の最初の議論、あるいはこの制度のスタートのときのいろいろな状況ということを思い起こしておりました。

 介護地獄であるとか、あるいは老老介護だとか、さまざまに日本の介護の実態というのは描写をされたわけでありますけれども、こうした日本の介護の実態を大きく変えていくという、その期待を担ってこの介護保険制度というのはスタートしたであろうというふうに思っていますし、そしてまた、高齢者の自立支援システムとして、いつでも、どこでも、だれでも必要なサービスが受けられるものだ、それをしっかりつくり上げなければいけないということで、それを目指してスタートをしたはずである、こういうふうに思っているわけでございます。

 したがって、今回の見直しというのは、その趣旨と理念のもとに、さらに制度というものを充実させていく。特に、今の状況の変化、当時の議論が始まって、そして制度が発足したときと今日の状況というのは、またいろいろな形で変化をしてきています。国や地方の財政事情というものも大変厳しくなっていますし、そしてまた、少子高齢、人口減少社会というものも大変顕著になってきて、保険料の負担であるとかあるいは利用者の負担増ということが避けられない、こういうこともいろいろと指摘をされる流れが出てきているわけです。しかも、次の改正時には団塊の世代が第一号被保険者に入っていくという状況も迎えようとしている。

 そういうことを考えますと、今回の見直しというのは、私は大変大事な見直し時期であるというか、ポイントだというふうに思っているわけですけれども、残念ながら、いろいろと今回の出された中身を見ておりますと、本当にこれで大丈夫なんだろうかというふうに思わざるを得ない点がたくさんございます。

 特に、被保険者あるいは受給者の範囲、年齢制限の撤廃の問題というものが先送りをされたという問題、これは大変大きかったというふうに思っておりますし、そのほかの問題についても、本当に制度を安定させていく、あるいは、自立のための、自立型ケアへの転換ということを本当にどう図っていくのかということがどこまできめ細かく今回きちっと出されているのかということを考えますと、大変中途半端で不透明な部分が多いのではないかな。下手をすると非常に、一歩間違えれば、この介護保険制度そのものの理念であるとか趣旨というものを失いかねないような方向に行ってしまうんではないかな。この間の厚労省の説明なりいろいろ聞いておりますと、そんな印象を実は持ってしまいました。

 そのことを冒頭に指摘をさせていただいて、具体的な問題に入らせていただきたいと思います。

 一つは新予防給付をめぐる問題でございます。

 これは、この間いろいろな懸念が指摘をされてきました。ここで同じようなことを繰り返す気は全然ございませんけれども、要介護度の進行防止であるとか、あるいは生活機能の維持、改善を目的とした介護サービス、これをあえて予防重視というふうにいうのであれば、その予防重視の介護サービスということの必要性というものは私はだれも否定しないというふうにやはり思います。しかし、非常にいろいろな懸念が指摘をされているということは何なのかということであります。

 特に、今回、説明の中で、あるいは説明資料の中で、大変極端に訪問介護サービスのあり方というものを否定するような説明が続いたりとか、あるいは、介護予防というものが筋トレに特化をされるかのようにずっと説明をされているというところに、私は非常に問題があるというふうに思うんです。一体、厚労省は何を考えているのかな、率直に実は私は思っております。本当に介護保険制度というものを充実させようと思っているんであろうかというふうに言いたくなるわけでありまして、この間の厚労省の御説明ではやはり疑いたくなる、何かうさん臭いのではないかと言いたくなるような話になってしまいます。

 ここで、少し、せんだってから大臣御自身の御答弁も出ておりますので、そこを繰り返すことはしませんけれども、ちょっと確認をそういう意味でさせていただきたいというふうに思っています。

 それは、新予防給付の対象者の決定、これは介護認定審査会が実施をして新たに対象者を決定していくわけですけれども、これも、この認定の仕方というのも、審査会のあり方も、前々から顔が見えない関係の中でどうなんだというのはずっと繰り返し指摘がされている問題でありますけれども、そういう中で新たに予防給付の対象者を決定していくということは、やはり利用者の理解が本当に得られるのかという問題があろうかというふうに思います。

 その理解を得るために一体どうしていくのか、そして、本当に利用者の選択と自己決定権というものをきちっと保障していく、とりわけ予防給付メニューの選択権というものをちゃんと保障していくということについて、ぜひ明確に大臣にお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 端的に御質問にお答えいたしたいと存じます。

 今度の新予防給付は、本人の選択を基本に、それを専門家が支えるという介護保険制度の基本的な考え方、これを変更するものでは全くございません。したがって、今おっしゃるように、本人の選択、これが基本でございます。

 さらに一つだけ申し上げますと、本人の同意、利用者、利用される方の同意なくしてケアプランは成立しない、このことも明確に申し上げておるわけでございます。

藤田(一)委員 ありがとうございました。

 そして、もう一つ問題な点があると私は思っているんですが、今回の予防給付をめぐる議論の中で、軽度認定者のうちの三割だか四割だかが悪化をしているとか改善の兆しがない、改善事例が少ないとか、いろいろな資料が示されたり説明が行われたりということがございました。

 ただ、私は、ここで問われなければいけないのは何なのかということを考えたときに、それはやはりサービス提供システムの問題ではないかというふうに思っているんですね。そこを抜きにして、軽度者の症状がどうなのかというようなことだけをあげつらうという問題ではないはずだと思うんです。そこをしっかりと見ていただきたい。

 サービス提供システムの問題ということについて、厚労省、大臣、どう認識されているのか、お答えをいただきたいと思います。

中村政府参考人 今回の見直しにおきましては、軽度な方について介護状態を悪化させない、維持させる、こういう観点から、介護を重視したサービスに切りかえていく。そのためにはケアプランを適切なものにしていく必要がある。こういう観点から、予防重視型の介護保険制度にしていく、このために新しい予防給付をつくり、そして予防マネジメントも変える。そのために市町村が責任主体となって地域包括支援センターをつくり、適正なサービス利用ということについてアセスメントをし、ケアプランを立て、サービス事業者によいサービスをしていただく。そのことによって重度化の防止、さらには維持、あるいは改善、要介護状態の改善を図る。こういうことを考えているわけでございます。

 そういった意味で、サービス提供システムが変えられていくと考えております。

藤田(一)委員 さっと言葉でというか、流れを、改善の視点をすっと言えばそうだろうと思うのですけれども、そこにやはりいろいろな問題があるわけですね。ケアプランを適切にするためにこうだという話ではなくて、中身がもう少し、どうとらえてそうしなければいけなくなったのかというところの、不適切な事例というものがあることも事実なわけで、それもだれも否定をしていないわけです。そこをどうやってきちっと適切なものにしていくのかということがやはり問われているということでありまして、余りすっと基本的な枠組みのことだけでこのサービス提供システムの問題ということを私はとらえていただきたくないなというふうには思っています。

 特に、今回の議論の中で、予防重視ということが強調されたことと、サービス提供システムの問題というのが何か一緒くたになって出てきてしまっているので、非常にわかりにくくなってくるんですね。問題点を一つ一つ是正していかなければいけないわけで、そのことをもっと丁寧に説明をし、そのための改善策を示すということが必要だったと思うのですけれども、そこの本当に問題のところにどこまで手を突っ込んだのか、どこまでメスを入れたのかということが見えないままに、とにかく予防だ、予防だという形でかぶせてきていることに、非常にいろいろな懸念が私は出てきている部分があるんだというふうに思っています。

 その問題点の中身、時間が足りなくなるのでどんどん進ませていただきたいのですが、やはりおっしゃられたようにケアプランの問題であり、そこにはもう一つ、ケアプランはだれが立てているかという問題があって、ケアマネジャーの問題であり、そしてまた、何のチェックもやってこなかった自治体の問題というのがそこには存在をしているわけです。そのことをきちっと出していく、それをどう改善していくということが非常に重要なことではないかというふうに思っています。

 事業所に属するケアマネジャーの多くの方々というのは、いろいろ一生懸命頑張っているわけでありますけれども、やはり顧客拡大であるとか利用者の掘り起こしという役割を担わされてしまっているわけです。いい、悪いは別にして、担わされてしまっているのです。ですから、余り表現は妥当ではないんですけれども、軽度認定者というものを獲得すれば、長期間にわたってサービス提供が可能になって、重度化すれば売り上げが増加するという、そこには経済的な論理というのが働いてしまっているわけですよね。ですから、ここをどうしていくのかということをしっかり見なければいけないというふうに思います。

 ケアマネジャーの資質の向上ということは、これはもう当然のことですけれども、私は、一つは制度として整理されないと難しいのではないか。今回、予防給付の対象者を保険者が決定して、さらに地域包括支援センターの保健師等が予防給付を行うというふうな形で一つ出されてきているわけでありますけれども、そういう意味では、ケアマネジャーから切り離すことで軽度認定者の囲い込みということは避けられる、そういう側面は持っているというふうには思っています。

 ただ、基本的に、軽度者のケアプランの作成とサービス提供ということをきちっと切り離していく、この視点を持たなければいけないと思いますが、この点はいかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、軽度者のサービスについては、ケアマネジャーが自社サービスをケアプランに位置づける傾向や、一つのサービスによるプランが多いことなどが指摘されており、特に軽度者に対するサービスについて、中立公正なケアマネジメントを確保する観点から、ケアマネジメントとサービスの分離が重要であると考えております。

 このため、今回の見直しでは、軽度者に対するケアマネジメントは、市町村の責任のもとに、公正中立的な地域包括支援センターにおいて一元的に実施することといたしております。

 委員御指摘のとおり、そういった意味でのケアマネジメントと介護予防のサービス提供のあり方、サービスのメニュー、中身、そういった問題と議論をきちんと分けるべきだという御指摘についてはそのとおりだと思いまして、私、前段のマネジメントのことについて今お答えをさせていただきました。

藤田(一)委員 今回初めて、切り離していくというか、見直しの中で出てきているので、これからこれがどうきちっとできるかどうかということは非常に大事なことだというふうに思います。今の介護保険制度が置かれている現状を考えると、非常に環境としては厳しいわけですから、給付の問題あるいは保険料の問題ということのバランスをいかにとっていくのかということを含めて、ここの入り口のところをしっかりと整理しないと、また同じことが繰り返されていくというふうに思いますので、ぜひここはしっかりこの視点を持って取り組んでいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 その上で、マネジメントの問題として非常にそれが重要になってきて、今回そのかぎを握っているのが地域包括支援センターということになろうかというふうに思うんですが、この地域包括支援センターの位置づけについても、今回の御説明を聞いていると、今までの在宅介護支援センターと、市町村の責務だとかどうだとかということは先ほどから言われていますけれども、どれだけ違いが出てくるのかなというふうにやはり思わざるを得ない部分も率直に言ってございます。

 地域包括支援センターが公正中立な立場で総合的、包括的、継続的マネジメントを行うというその必要性を考えると、やはり市町村が責任主体として地域包括支援センターを設置しなければいけないのではないか。当然これは複数設置をされていくわけでありますから、その複数設置をされていくセンターのうちの一つは最低やはり基幹的なセンターとして位置づけて、最低限それについては原則市町村が直接運営をしていく、こういう形をしっかりとらないと、結局は前と同じことに、市町村の姿というものが見えなくなっていくのではないか、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。

中村政府参考人 委員からお話がございましたように、現在のマネジメントにつきまして、特に軽度者のケアプランについては問題がございましたので、御指摘のとおり、今回の改正では、特に改善の必要性が指摘されている軽度者に対する予防給付のケアマネジメントを市町村の責任のもとに実施することとしたわけでございまして、このため、市町村は地域包括支援センターを置き、この地域包括支援センターが指定の予防給付のマネジメント機関になるわけでございます。

 それが原則でございますが、市町村はまた、適切な主体があればこの地域包括支援センターについても委託はできる、こういう法律構成になっております。基本の考え方は、市町村が地域包括支援センターを設置する。そういった意味での予防給付のマネジメントも含め、包括的マネジメントにつきましては市町村のまず責任がある、それを委託できるという構成をとっているところでございます。

 直営でやるか委託にするか、また、人口規模において御指摘のとおり複数の地域包括支援センターを置く市町村も多いと思いますが、そこのところの主体の問題は市町村の方に私どもはお任せをする、こういうことでございます。(発言する者あり)

藤田(一)委員 皆さん非常に疑問を持っていらっしゃいます。私も今の御説明ではちょっと、そういうことではないんですね、今回出されている法律の説明をいただいてもしようがないので。

 問題は、市町村にそこを任せてしまうということの問題点が一点。それからもう一つは、地域包括支援センターが運営協議会という形で運営されていくんですよね。この中に市町村はいろいろな関係団体の一つとして入っているわけですよ。ここの問題なんですね。

 市町村がいかに責任を持ってこの地域包括支援センターというものを、すべてを全部原則直営でという話ではないわけで、当然委託の部分もあるわけですけれども、しかし、基幹的な部分をどうきちっと位置づけていくのかというところ。そこをしっかりと、この間の御説明では、運営協議会ですべてを決定していくということになっているわけですよ。でも、運営協議会というのは、いろいろな団体が入って、行政もその中の一つで、みんな対等な関係の中でこの協議会は形成されてしまうわけですね。

 私は、やはりここは、今までの問題点がいろいろ出てきたことを総括して新しく仕組みをつくり直すというのであれば、市町村がしっかりあって、そして運営協議会というのはそういう意味での諮問機関として位置づけられていけばいいというふうに思うんです。その中に入るということが問題なんですよね。入ってしまえば、やはりそこは姿が見えなくなっていくということですから。

 事業の評価の問題も当然かかわってきますけれども、その仕組みも含めて、市町村がしっかりあって、中に入るんじゃなくて横にきちっと運営協議会を置くというこの関係を明確にしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。明確にさせていただきたいと思います。

 包括的支援事業を行う主体として市町村がございます。その実施機関といたしまして地域包括支援センターが置かれるわけでございます。地域包括支援センターを直営でやるか否かは別として、その業務であります包括的支援事業は市町村の事業でございます。

 地域包括支援センターの運営協議会は、地域包括支援センターごとにやるということではなく、そういう事業の実施者として市町村が運営協議会を置き、そこのところに集まっていただく。集まっていただく中でまた市町村も一つの主体としてメンバーに入ることはありますが、運営協議会を置いていること自体は、今委員御指摘のとおり、市町村が呼びかけて、市町村が自分のいわば諮問機関として運営協議会を地域包括支援センターの公平中立性の確保のために置くわけでございますので、その点は御指摘のとおり明確にしてまいりたいと思います。

藤田(一)委員 諮問機関という言葉は一致しているんですけれども、中身が一致しているのかなとちょっと不安な部分が実はございます。

 問題は、やはり基幹的なセンターをきちっと置かなきゃいけないんです。今のお話だと一つとしてという、別にそれぞれに運営協議会を置くものではないことは十分理解をしておりまして、一つあるわけですけれども、やはりそれは、この図でいけば、この上にあるものは何もないわけですから、御説明の趣旨からいけば市町村はこの中に入り込んでしまっていますから、そこはきちっと明確にしていただきたいし、基幹的なセンターというものはきちっと位置づけるべきではないか。

 これは、在宅介護支援センターでも、基幹的なセンターと地域センターというふうに種類が分けられている部分もあるわけですね。それでもいろいろな問題が出てきたことがあるわけですから、そこの整理はきちっとやらないと、同じことをやはり繰り返すんだろうというふうに私は思います。そういう意味での市町村の運営に当たっての責務というものをきちっと明確にしていただきたいというふうに思います。

 もう一点、従来の在宅介護支援センターも当然これは残っていくだろうというふうに思うんですね。そことの関連というものもこれは問われてくるというふうに思いますし、そのためにも市町村の責務が大事だと思いますけれども、その辺、もう一度整理をしてお答えいただければありがたいと思います。

中村政府参考人 今回の法律で、介護保険法の方で、市町村の包括的な支援業務につきましては地域包括支援センターに明確に位置づけました。従来の在宅介護支援センターは老人福祉法の方で位置づけられておりまして、この在宅介護支援センターは、介護サービスに関する相談のうち、特に専門的知識、技術を要するものを担当する、こういうセンターでございます。

 在宅介護支援センターについては、いろいろ委員からも御指摘もあり、また、在宅介護支援センターの歴史を見ますと、御指摘のとおり、基幹型の在宅介護支援センター、機能を強化するためにそういったものもつくってきたところでございます。

 在宅介護支援センターについては、役割をさらに十分果たすために、昨年十月には在宅介護支援センター事業推進マニュアルも整備し、取り組んでいるところでございますので、それぞれの今置かれている在宅介護支援センターは、介護保険法の地域包括支援センターができましても、例えば特別養護老人ホームに併設されている在宅介護支援センターとしてさまざまな御相談に応ずるとか、そういった機能は残っていくのではないかと認識いたしております。

藤田(一)委員 非常にまだわからないところというか、不明なところがたくさんあるんですけれども、また他の議員の皆さんからもいろいろな指摘があると思いますので、もう少し、地域包括支援センターの位置づけ、市町村の主体性を明確にすることと、この運営のあり方についてきちっとわかりやすく整理をしていただきたいなというふうに思っています。

 その上で、今回の、当然委託をすることが可能になってくるわけですけれども、その委託をすることの中で一番問題なのは、サービス提供事業者との線引きの問題だろうというふうに思うんです。ここをやはりどういうふうに明確にするのかということをしっかりやっておかないと、これまた最初の問題に戻ってしまう。委託の条件とか、あるいはその条件に当たっての体制とか基準とかということについて、すべて市町村に任せるということではなくて、これはきちっと明確にしておいていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。

中村政府参考人 先ほど来お話に出ております運営協議会のお話にしても、また新しく地域包括支援センターがつくられますので、それの基準なり指針というものはつくっていかなければならないと思います。

 今御指摘ございましたのは、サービスの実施とマネジメントを分離すること、この点についてもサービス提供事業者との線引きが必要でないか、こういうことでございまして、基本は、私どももサービス提供事業者とマネジメントを分離することが原則であるというふうに考えておりまして、そういうことを申し上げております。

 遺憾ながら、どうしても地域的に、サービス提供主体が全くほかになくて、地域包括支援センターの設置主体、そういったところと重ならざるを得ないといった場合が生ずるかもしれませんが、その場合については、先ほど来委員から御指摘があります運営協議会、この運営協議会を市町村の責任ということを御指摘のとおり明確にした上で、そういった運営協議会できちんと監視する、そういうことをすることによって、御指摘のサービス提供者とマネジメントの主体との独立性ということを担保してまいりたいと考えております。

藤田(一)委員 ぜひ、その基準については明確に示していただきたいというふうに思いますし、一番本当に大事なところなんですね。これがうまくいくのかいかないのかというのが、ここの、今幾つか申し上げたようなところにやはりかかっています。運営協議会にすべてをゆだねてしまうと、やはりそこは問題が出てくるのはもう目に見えているわけですから、ぜひそこのところでの整理をきちっとしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 もう一つ、今もちょっとお話にありましたけれども、それぞれの市町村によってはいろいろな状況があるということの関連で、やはり人材確保の見通しというのが大変難しいのではないかということが指摘をされています。社会福祉士とか主任ケアマネとか保健師等を最低一名確保していくということに関して、なかなか難しいということが予想されるわけですけれども、特に、予防給付と介護給付のケアマネの報酬単価が今回違ってくるというふうに一応説明をされているわけであります。どの程度の差がつくのかとかいうのはまだわかりませんけれども、そういうことも含めて、人材確保ということが大変難しいのではないかというのが現場の声でございます。本当に優秀な人材を集めたいといっても、果たしてそこでどうなるんだろうかという心配の声も出てきています。

 そういう意味で、人材確保の見通しというものをどういうふうにお持ちなのか。あるいは、その中の大変細かい部分でありますけれども、このケアマネの報酬単価の問題というのをいつごろまでに結論を出そうとされているのか、お答えいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話がありました包括的支援事業の多くを担う地域包括支援センターの人材の確保、ここは非常に重要だと考えております。私ども、この人材確保ができませんと地域包括支援センターがスタートしませんし、そうでありますと新しい予防給付ということも実施できないと考えておりますので、これを最優先に市町村の方にもお願いをしたいと考えております。

 なお、この準備作業でございますが、十八年四月からここの部分は施行いたしますが、市町村の方は、人材の確保のため二年度間、実施開始時期は条例で定め、そこで実施していただくという仕組みになっておりますので、私どもとしてはできるだけ早く、十八年四月からの実施を希望いたしておりますけれども、二年間の準備期間があるということも申し上げたいと思います。

 また、具体的な介護報酬につきましては、十八年四月の介護報酬の決定を目指し、社会保障審議会介護給付費分科会で議論をしてまいりたいと思っております。三月に議論が開始されましたが、実際の決定につきましては十八年度予算編成の時期以降になろうかと思っておりますので、十五年四月の介護報酬の改定の例で申し上げますと、十五年一月に介護報酬の単価が決定されております。

藤田(一)委員 この人材確保について市町村に要請をして、猶予期間二年間を持たせながらという話ですけれども、一方で、介護報酬の問題については十八年ですね。ずれるわけですね。実際の二年間の猶予期間が二年間の猶予期間にはならないということですね。その辺が見通しが立たないと、なかなか市町村としても難しい部分、あるいは市町村だけではなくて、関係者の意識というか気持ちというものが動かないのではないかなというふうにちょっと思うわけです。

 非常にそういう意味でここの見通しの部分というのが難しいのではないかというふうに私は感じたわけなので、あえて申し上げたわけですけれども、その点も含めて、市町村にただゆだねておりますということではなくて、きちっとした形でこの体制が確保できるように、やはり国としてのいろいろな問題の整理をできるだけ早めてしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そのことにも関連をして、もう一度お尋ねをしておきたいんですけれども、介護保険の趣旨であるとか理念であるとかというものを発展させて、制度を安定させていくために、今一番問われているのはやはり保険者の問題だというふうに思うんです。

 先ほど、地域包括支援センターのところで少し触れましたけれども、やはり介護保険、もともとこの介護保険制度がスタートをするときに、この制度は地方分権の突破口になるのではないか、分権型社会をつくっていく基礎である、こういう議論もありました。それは何かといえば、やはり住民に対するサービスを一番身近なところである行政がしっかりやっていくということが根底にあったわけであります。

 ところが、今日の姿というのが果たしてどうなのかという、保険者の問題、自治体の問題が今大きく問われていると思います。特に、なぜこういうふうに姿が見えなくなったのかという点について、これは、私は在宅介護支援センターの大半が民間サービス提供事業者に委託されたというようなことが非常に大きかったというふうに思うんですけれども、いずれにしても、市町村、保険者の姿が見えなくなっている、あるいは市町村の保険者としての自覚が大変希薄化している、こういうことについてどう認識をされているのか、ぜひお聞かせをいただきたい。これは大臣、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

中村政府参考人 先に、どういうふうな保険者としての対応を今回の見直しでしているかということについてお答えをさせていただきます。

 市町村の方からも、介護保険ができたわけでございますが、実際住民の方にサービスがされていますが、そのサービスの方について、保険者である市町村として関与ができない、もう少し自分たちとしても関与をしたいというお申し出があり、今般、事業者への立ち入り権限を市町村に付与するなど、そういった意味での介護保険の保険者としてのチェック機能を強化したということが一つでございます。

 それから、市町村が指定や指導監督権限を有する地域密着型サービスを創設するということで、市町村がサービスをみずからの地域でいわばつくっていく、こういったことについても市町村の役割を強化したところでございます。

 それから、委員先ほど来御指摘いただいております、市町村が責任を持ってきちんとしたマネジメントをしていないのではないかという御指摘があります。それを踏まえまして、地域サービス全体を視野に入れながら地域包括支援センターを置いていく、こういう見直しをさせていただいたところでございます。

 介護保険の見直しの議論の中でも、やはり地方分権的な、本来の理念であった地方分権、給付と負担を市町村の中で完結させていくという介護保険のこのシステムは、後退させることなくさらに徹底していくべきだという議論が主でございまして、今まで以上に、市町村が保険者として、また市町村が地域の福祉の責任者として、介護保険と介護保険以外のサービスの連携というようなことについても前面に出ていただく、そのために包括的支援事業を市町村にやっていただく、そのために地域包括支援センターを置いていただく、こういうふうに考えたところでございます。

藤田(一)委員 なかなかすっきりとした形には私は余り聞こえてこないんですけれども、保険運営をコントロールする必要があるということについて、当然そのとおりということで、そのために今回、立入調査だとか事業者の指定だとかということも入れるようにした、それからまた、地域密着型サービスの中に市町村の役割というものを強く入れてきている、こういうことがいろいろお話としてあったわけですね。

 それは確かにそうなんですけれども、何でこの間、これほど市町村が本来の役割を発揮できなくなったんだろうか、そこのところもやはりしっかり考えていただきたいというふうに思うんですね。今おっしゃっているのは、そういうことで役割を強化させるということで、これもやれるようにしました、これもやってくださいということで、いろいろ出してはいるわけですけれども、今の市町村の状況の中でそれをやるということについては、当然必要ですし、やらなければいけないというふうに私も思っています。

 もともと、いろいろな問題のチェックができなかったということに大きな問題があるわけですから、そういう意味で、チェック体制を強化して保険運営をコントロールすることは非常に大事だ、それができるように市町村に対してバックアップすることはすごく大事なことだと思うんです。

 今の状況だと、事務量だとか業務量だとかというのは物すごく膨大にふえていくだけで、結局今回も受託法人制度というのを設けていますよね。そこの、どうしてもやれない、先ほどの御答弁でも、これは市町村の要望で入れたんですというお話がありましたけれども、結局そこで、一方では事務量、業務量が膨大になっていって、また結局委託という問題が出てくるという話になっていってしまうわけです。大もとがなかなか断ち切れない。

 ですから、それは今は国も地方もどこも財政難で大変だということは大前提としてありますけれども、ここはしっかりとやはり強化をさせていくという意味での、市町村の実施体制の整備であるとか、あるいは財政基盤の確立ということに対して、国がいろいろな形での見直しを図らなければ、幾らやってもできない、同じことが繰り返されるんじゃないか。受託法人制度で結局はまた、また繰り返しですけれども、サービス提供事業者との区分が絶対ここも問われてくるわけで、どうするんだ、同じことが繰り返されるんです。

 今度の改正案で出されている、この頭のところとしては理解できるんだけれども、中身をずっと見ていると、根本的なところにメスが入っていなくて、ただ看板をかけかえて、名前を変えてやっているということになってしまうんじゃないかというふうに見えてしまうんですね。それがずっと、この地域包括支援センターの問題にしても、予防給付のあり方にしても、予防介護のあり方についても出てきているということだと思うんですよ。

 その辺の視点を、そこをやはりぜひもう一度、この介護保険制度の趣旨、理念ということを考えれば、国がここをしっかりバックアップしなきゃいけないわけですよね。そうしなければ、これからの日本の社会は成り立たないわけじゃないですか。そして、しかも、これは保険制度ですから、福祉ではないわけで、保険制度なんですから、そういった意味での視点をしっかりと持ちながら体制をもう一回整えていただくという、この見直しの時期に当たって、大きな国としての視点を私は出していただきたいというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 きょうの先生の御質問をお聞きしながら、一つの流れがあった、その流れはこんなものであったんだろうなと私は理解をいたしております。

 まず最初に、現状のサービス提供のシステムの問題点は何だというお尋ねがございました。局長は局長なりに答えましたけれども、私は、やはり現状のサービス提供システムの問題点というのは、先生は囲い込みという表現をなさいましたけれども、私どもは掘り起こしと言ったりもします。やはりそういう現象があった、それからいろいろな問題点が発生してきたということをまず思っておりますが、先生は最初にそのお尋ねで問題提起をされました。

 それで、その後に、ケアマネジャーとサービス提供者を切り離すことが必要だろうというふうにおっしゃって、そして最後に、保険者機能の強化というふうに結びつけていかれた、私はもうそのとおりの問題点だというふうに思っております。

 そして、その中で、包括支援センターをどう仕事をさせるのかというのをもう少し明確にしろというお話だったと思いまして、私どもがやらなきゃいけないこと、それから問題点というのをえぐり出していただいたと思っておりますので、そういうふうに理解をさせていただいて、今後また、私どもなりにさらに問題を整理させていただいて御説明申し上げたいと存じます。

藤田(一)委員 ぜひ、基本的なところに目を向けて、そこの体制をきちっとつくるという視点でこの見直しをやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 時間がなくなってしまいましたので、地域支援事業の問題についてもお尋ねしたかったんですが、これはまた別の議員の方もいろいろ指摘をされると思いますので、省略をさせていただきたいと思いますが、私は、やはりこれも、介護保険財源でこれを実施することの問題点というのは大変大きなものがあるというふうに思います。

 そのことだけは申し上げておきたいと思いますし、従来、市町村でやってきた介護予防事業の検証と、今後新たにやる事業のいわゆる評価、検証ということをしっかりやっていただきたいということを指摘だけさせていただいて、最後に、介護労働者の問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 これも言い出しますと切りなくたくさん問題点があるわけですけれども、とにかく今、介護職員の皆さんの処遇というのは、水準的には大変低いものがあります。仕事の実態というのは大変厳しくて、きょうこの午後の委員会に入る前にも、議員会館のところで均等待遇問題での集会が開かれていて、いわゆるホームヘルパーさんの問題もそこでいろいろな発言がありました。夜勤についていて、仮眠時間は二時間、時給で働いていて、そのうちの、何時間かのうちの二時間を仮眠だと称して、実際には仮眠する時間もないんだけれども、二時間はその分時給がカットされるんだというような話とか、そんな実態の報告も出ておりましたけれども、本当に厳しい水準、状況にあるというふうに思います。それに非常に甘んじてきてこの制度がこの間成り立ってきたというところも、やはりあるんだと思うんです。

 ですから、これから本当にこの職の専門性の確立と、そして介護サービスの質というものをきちっと確保するということからしても、どうしてもきちっとした処遇の問題というものを整理しなければいけない。企業労働条件に関する基準ということが明示をされていかなければいけないと思いますし、教育制度とか研修ということも、本当にこれはもうばらばらであります。やれているところ、やれていないところ、やれていないところが多いと思いますけれども、そういうことも当然きちっと行われなければなりません。

 それからまた、特に登録型のヘルパーさん、これは本当に不安定な、劣悪な環境で働いているわけでして、その中で、特に直行直帰型という形が大半なのですね。これは働く人たちの問題にもなりますし、またもう一つは、介護の質の問題として、利用者の状態だとかケアの方針が共有できないとか、技能が蓄積できないとか、本当にいろいろな困難を伴ってしまっています。

 そういう意味で、雇用管理の改善ということが非常に重要になってきている。これを、今度の制度改正の中で余り触れられていないという印象を私は持っていまして、ここをまず、担い手の部分をしっかりとつくっていくということがなければ、いい制度にも発展いたしませんので、ぜひこの点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

中村政府参考人 ただいま委員御指摘ありました介護の支え手の問題でございますが、私ども、介護保険制度の見直しを審議してまいりました介護保険部会、これは昨年の七月三十日に意見書をまとめていただいておりますが、そこでも

 質の高い人材の確保・養成のためには、適切な労働条件の確保が不可欠であるが、現行では、介護人材の処遇の水準は概して低い。また、在宅サービスの主たる担い手であるホームヘルパーの実働者数の八割は非常勤であり、登録型ヘルパーが多い。登録型ヘルパーの大半はいわゆる「直行直帰」型であるため、情報共有や技術蓄積が困難でチームとしてのケアが成り立ちにくいことなどが指摘されている。質の高い人材の養成・確保の観点からも雇用管理の在り方について、今後検討していく必要がある。

というふうにされており、私ども、処遇の改善なり、こういった問題は、事業者のサービスの基準あるいは事業者の経営を成り立たせる介護報酬の問題であるというふうに考えておりますので、そこの十八年四月の改定を目指してこれから議論するわけでございますが、きょうの委員の御指摘もありますし、このように介護保険部会でも指摘されておりますので、この点を十分踏まえて、見直しに当たってまいりたいと思っております。

藤田(一)委員 時間になってしまいましたので、ほかにも申し上げたいことはたくさんありますけれども、介護労働者の問題というのは本当に深刻であります。そこがきちっとしなければやはりだめだと思っていますので、今後検討ということではなくて、あらゆる機会をとらえて、一つ一つの問題がきちっと整備されるように進めていただきたいということを強くお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 きょうは穏やかに質問をさせていただきたいと思っております。

 前回、ピップエレキバンの件では、政省令で、国会の審議を経ずに厚生労働省が決めていく仕組みについて、おかしいと問題提起をさせていただきました。介護保険も百六十の政省令が用意されているということでありますので、きょうは政省令の一部につきまして質問をさせていただきたい、こう考えております。

 介護保険の見直しの柱となりますのが、介護予防事業であります。その目玉というべきものが筋力向上トレーニング、いわゆる筋トレでございます。要介護度が軽い高齢者や、近いうちに介護が必要になりそうな人への介護予防サービスの導入は、足腰の弱っている高齢者に、筋トレ等で痴呆や寝たきりになるのを防ぎ、膨らむ介護費用を抑えることも厚生労働省の目的の一つであろうと考えております。

 私は、筋トレにつきまして、ラジオ体操とは違い、ある程度本人の体に負担を生じるものだろうと考えております。例えば理学療法士が介護者の状況をチェックし、マシンの負荷を調整した上で行うわけですけれども、介護施設でのマシンを使った筋トレで起きました事故等に関して、何か報告をされていますでしょうか。御報告をお願いします。

中村政府参考人 通所リハビリテーションなどで実施されています運動器の機能向上における事故、ヒヤリ・ハットの事例としては、準備体操中にマットに足をかけ転倒したとか、マシンの乗りおりの際にバランスを崩し転倒しそうになった、あるいはマシンから滑り落ちそうになった、マシンの負荷量を間違えた、放置されているつえにつまずき転倒したなど、そういった事例を把握しているところでございます。

 幾つかの、そういう施設、病院の事例などを拝見いたしますと、例えば対象延べ人数二万九千二百人のあるリハビリテーション病院では、ヒヤリ・ハット事故件数が四件でございますとか、老人保健施設では一万八千七百二十一人の延べ人数に対しまして一例とか、そういうことであり、件数自体、私ども全件数を把握しているということではございませんが、少数であると推測されております。

 現行制度でも、事故の防止や事故発生時の適切な対応といった観点から、委員御指摘の、スタッフの配置の問題でございますとか、利用者の病状、心身の状況等の的確な把握、緊急時の体制の確保、事故発生時の連絡その他必要な措置については、事業者の指定基準等の中で定めさせていただいているところでございます。

内山委員 けさの読売新聞の朝刊に、「「筋トレ」整わない体制」との記事が出ておりました。介護予防トレーニングメニューをこれからやるわけでありますけれども、筋トレの指導員というのは充実しているのでしょうか。

中村政府参考人 いわゆる筋力向上トレーニング、今御指摘になっているのは、その中でも器械を使ったトレーニングだと思います。

 先日もこの委員会で御質疑も賜りましたけれども、さまざまな流派と申しますか、方式が行われております。私ども、そういうさまざまな方式について研究させていただいておりますし、また、各地でモデル事業も実施しております。そういうモデル事業を実施しておりますのは、そういうやり方でやったらどういう問題があるのか、運営上、どういう点の工夫が必要なのか、そういった意味でモデル事業も実施させていただいておりますので、もし私どもが具体的に筋力トレーニングの規格基準をつくるといたしますと、あるいはガイドラインをつくるといたしますと、そういうモデル事業の成果なども踏まえてガイドラインをつくっていく、こういう形になろうかと思います。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

内山委員 筋トレの指導員となるのはどういう資格の方ができるのですか。

中村政府参考人 現在、実際にやられておりますところを拝見いたしますと、病院や老人保健施設などでやられている。その病院や老人保健施設、あるいは通所リハビリテーション施設ということになりますが、そういうところのスタッフの方は理学療法士、作業療法士、看護師の方、そういった方が中心でありますし、それから運動訓練士と申しますか、スポーツ関係の教育を受けられた、体育学部等の教育を受けられた、スポーツのいわば指導者、そういった方々が実際には当たっておられる例が多いと承知いたしております。

内山委員 お手元に資料を配付しておりますけれども、平成十一年九月十七日、各都道府県介護保険主管部局長あての老企第二五号、厚生省老人保健福祉局企画課長通知による「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」、これを見ると、「機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者」とされています。資料の上の方の条文です。「この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者」と規定をされております。

 ここで、施設名は控えさせていただきますけれども、現実には、機能訓練指導員を理学療法士、作業療法士のみと理解している施設が数多くあると聞いています。理学療法士、作業療法士の方々が施設で介護対象者の機能回復訓練に大変御努力されていることは重々承知をしておりますが、先ほど述べましたように、多くの施設では、どういうわけかわかりませんが、機能訓練指導員を理学療法士、作業療法士のみと誤認識されているようなことがございます。このことは、何よりも介護対象者の機能回復訓練、これから実施する訓練に当たり、国民にとって大きなマイナスであろうかと思います。

 再度、老企第二五号の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」「通所介護に関する基準」の一の(三)、介護施設及び各自治体に、機能訓練指導員は理学療法士、作業療法士だけでなく、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあんまマッサージ指圧師も対象であることを周知徹底させる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 今、先生御指摘ございました機能訓練指導員のこの通知はまさにそのとおりでございますので、もしそのことについて理解が徹底していない、周知が徹底していないということであれば、今後とも機会をとらえまして、都道府県を通じ、またいろいろな機会を通じて周知徹底させていただきたいと思っております。

内山委員 ぜひ早急にお願いをしたいと思います。

 そして、今の質問に関連をいたしますが、平成十一年三月三十一日の厚生省令第三十七号、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の第五章七十六条によれば、「指定訪問リハビリテーションの事業を行う者は、当該事業を行う事業所ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士又は作業療法士を置かなければならない。」とあります。

 ところで、ここで不思議なことに気がつきました。先に質問をいたしました老企第二五号の通知による「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」「通所介護に関する基準」の一の(三)と、厚生省令第三十七号、資料でいいますと下の部分です、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の第五章七十六条と若干矛盾するところがございます。

 なぜなら、「通所介護に関する基準」の一の(三)においては、「機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。」と明記されています。

 機能訓練指導員とは、実質、リハビリテーションを行っている人たちを指すのではないか、これが現実的な考えではないかと思うんですが、機能訓練指導員とリハビリテーション従事者とは異質なものでしょうか。お答えをお願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど委員が周知徹底すべきだとされた機能訓練指導員、この機能訓練指導員と申しますのは、介護老人福祉施設、それから委員御指摘のとおり通所介護事業所、ここにおいて、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するために訓練を行う人という定義のもとに置かれている人員配置基準でございまして、委員御指摘のとおり、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員に加えまして、柔道整復師またはあんまマッサージ指圧師の資格を有する人とされているところでございます。

 他方、先生の資料の下の方の配置基準は、指定訪問リハビリテーション従業者の定義でございまして、ここのところには、先生御指摘のとおり、リハビリテーション、理学療法士、作業療法士、こういったところが規定されており、狭くなっている。これはどういうことなのかという御質問だと思います。

 こちらの方のリハビリテーションは、医師法やその他医療関係職種の法律で規定されておりますリハビリテーションを意味しておりまして、医師の指示のもとに、診療の補助の行為として理学療法や作業療法といった個々の専門性が確立されている医療行為を行うものであり、その従事者につきましても、その各医療の資格法に基づいて行うことが許されている従事者について、それぞれの療法に応じたより専門的な教育を受けた有資格者がなっているというものでございます。

 そうしますと、先ほどの広い方の機能訓練とどうかということでございますが、こちらの方の機能訓練はそういった意味での医療行為ではなく、幅広い訓練を指しておるということで、身体運動に識見を有していると考えられる有資格者を広く認めている。

 いわば、福祉系のサービス由来のものと、病院、医療系サービスの由来のもので、狭義のリハビリテーションを訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション、老人保健施設のリハビリテーション等で行っておりますので、そこの職員ということにつきましては医療の専門職種に限定している、こういう整理になっております。

内山委員 そうしますと、柔道整復師というのは医療の専門職種ではないということになりますか。

中村政府参考人 医療におきまして、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションに関しましては、医師の指示のもとにこういったことを行うということについては、訪問リハビリテーションについては理学療法士、作業療法士、通所リハビリテーションにはそれに加えて言語聴覚士、こういうふうに指定されているところでございます。

内山委員 質問に答えていないんですけれども。柔道整復師はそういう治療行為ができないということなんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 柔道整復師等につきましては、医療類似行為ということで柔道整復師法等で書かれておりますが、先ほど申し上げました診療の補助行為として資格法で位置づけられている専門職種とは異なる、こういうふうに認識いたしております。

内山委員 老企第二五号の通知は、この厚生省令第三十七号を補う、補足するということだと思います。

 ところが、どのように読んでも、厚生省令第三十七号の第五章の第二節七十六条の脈絡には、理学療法士と作業療法士以外には読み取ることができない。なぜこのような表現をするかというと、第五章第一節第七十五条の「基本方針」において、「利用者の居宅において、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない。」「その他必要なリハビリテーション」と、具体名は掲げなくても、これを指しているからだと思います。

 そもそも、介護保険法の訪問リハビリテーションは医師、理学療法士、作業療法士しかできないと想定しているのが問題ではなかろうかと思うんです。特に、理学療法士、作業療法士は、治療においては自己の判断ができず、医師の指示の下でないと具体的な治療はできません。その点、柔道整復師は、独自に開業しており、筋肉マッサージに精通しているわけですから、当然やはり訪問リハビリテーションに組み入れる対象だろうと私は思うんですが、厚生省令第三十七号第五章第二節七十六条に、言語聴覚士、看護職員、その後に、柔道整復師またはあんまマッサージ指圧師を追加することを私は要望いたしますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 現在の訪問リハビリテーションにつきましては、例えば訪問看護というのがございますが、訪問看護は、医師の指示に基づいて訪問看護をすることができるという法体系のもとに認められておりますので、訪問看護として認められているわけでございます。

 私どもの行っております訪問リハビリテーションは、理学療法や作業療法という、医師の指示に基づいて理学療法を行う、作業療法を行うという体系のもとでの訪問リハビリテーションでございますので、その中には、そういう資格の裏打ちがない職種については、今の体系のもとでは、委員からの御提案ではございますが、なかなか難しいと考えております。

内山委員 昭和五十三年の八月二十一日に、仙台高民の一審判決で、柔道整復師が打撲について医師の指示なしに治療行為をすることは適法である、こういう判例が出ております。こういう判例をもってどう判断しますか。柔道整復師があくまでもやはり対象ではないと思われますか。それとも、厚生労働省は、判例を無視してそのような位置づけをこれからも継続しようと思いますか。

中村政府参考人 判例のお話はちょっとそれとして、私ども、その判例に反するとかそういった意味ではなく、広く我が国全体で、四十歳以上の方々から保険料をいただき、六十五歳以上の方々に広くサービスをする公的な介護保険制度として全国に保障するサービスということで、どういった範囲のサービスが適切であるか、そういう議論をしながらサービスメニューもつくられ、今日に至っているというふうに認識いたしております。

 そういった中で、リハビリテーションにつきましては、今の医師法なり看護師の資格法、それから理学療法士及び作業療法士法の資格法、そういった中で、リハビリテーションは広く医療や介護の世界で行われておりますので、まずそういった部分について給付の対象としていくというふうに考えているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。

内山委員 私は、つべこべ何を言いたいのかといいますと、やはり、きょうの新聞にも出ていましたとおり、専門家でない者、または、専門家をこれから養成しようとしても、介護予防をするわけですよ、その目的からすれば、やはり担当者が非常に少ない。私は筋トレのプロだと思いますよ、柔道整復師。こういうプロが全国にいながら、なぜ活用できないんだろうか。ここにやはり大きな問題点があろうか、これを指摘したいんです。

 私ごとで恐縮ですけれども、私、母が八十四歳なんです。少し前までは非常に元気だったんですけれども、やはり寄る年波に、認知症が少しずつ出てまいりまして、階段から転びまして、両手を骨折してしまいました。それ以前は、足が痛いの腰が痛いのといって、実は近くの接骨院に週に二回ほど随分喜んで通っていたんです。骨折をした関係で整形外科に長期に入院をしてしまいまして、以来、退院をしてきますと、今度は外に出ることを非常に嫌うようになりました。老人性のうつといいますでしょうかね。かなり認知症も初期から中期の方に、素人判断ですけれども、進んでいるなと。

 でも、近くの接骨院には、けがをする前は随分楽しみに行っていたんです。それはなぜかといいますと、診療している間、同じ患者同士でコミュニケーションがとれるんですね、同じ年代層の方と話せる、それが非常に楽しくて行っていたんだと私は思うんです。これから介護予防ということでやる場合には、やはり、こういう高齢者のコミュニケーションのシステムというのは非常に、地域では壊れちゃっているんだと思うんです。

 話は飛びますけれども、私、少し前に、石垣島のすぐ上の竹富島というところに行きました。竹富島は寝たきり老人がいないんだというお話をいただきました。それはなぜかというと、やはり地域のコミュニケーションが、皆さんそれぞれ声をかけ合って、ぼけている暇がないようにいろいろな町の事業に声をかけ合って連れ出していくんだと。これが本当の介護予防ではなかろうかと私は非常に感心をしたんですけれども、今、地域においてこういう仕組みがないということが、やはり非常に問題点があるんだろうと思うんです。

 独居老人の問題とか、外に出ない、いかにこういう予防制度をつくったとしても、なかなかやはり引っ張り出すのは難しい。だからこそ、もっともっと、身近に行けるそういう施設をやはり今活用すべきだと私は提案をしたいと思います。

 接骨院というのは、やはり非常に、東洋医学かもしれません、西洋医学に比べて厚生労働省の皆さんはうがった見方をしているのかもしれませんけれども、私は、介護に関して、高齢者に対して優しい施設だと思っています。ぜひ先ほどの検討を、厚生省令第三十七号第五章第二節七十六条、この中に追加を検討することをお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

大村委員長代理 次に、泉健太君。

泉(健)委員 この介護保険法の改正では初めての質問の機会をいただきました。京都の、民主党の泉健太と申します。よろしくお願いいたします。

 私も、実は当選前、デイサービスの方でスタッフをさせていただいておりまして、介護の方の経験者でもありますし、また、小さいころからずっと三世代七人家族のもとで暮らしてきましたから、おじいちゃん、おばあちゃんの生活というものはずっと見てきたつもりです。

 そういった中で、この五年に一度の介護保険の見直しということで、これまで、我々、同僚委員もそれぞれ指摘をさせていただきましたけれども、だれ一人としてこの介護保険を後ろ向きにさせたいという思いの人はいないというふうに思っています。すべての人たちがやはり前向きに、この介護保険法をどうよくするか、そして現場の介護をする方々やお年寄りの方々がより使いやすいように、そして実態に合うようにということを考えての質問だということを、まず大臣初め厚生労働省の皆様にも改めて御認識をいただきたい、そういうふうに思っております。

 そこで大臣に、改めてこの介護保険法、介護保険制度の意義ということについて御質問をさせていただきたいと思います。この介護保険制度の意義、大臣はどのようにお考えになられているんでしょうか。

尾辻国務大臣 我が国の平均寿命が世界で最高水準になっておりますから、まず、この長い高齢期をどのように過ごすかというのが、一人一人にとっても社会にとっても大きな課題になっておる、そういうふうに考えております。そうしたまさに高齢期をどう過ごすか、そのことがかかっておるのが介護保険制度だろうというふうに思っておるわけでございます。

 したがいまして、余り長々と申し上げることもいかがかと思いますから、まさに介護保険の理念であります自立支援と尊厳の保持というここの部分、これが介護保険の基本理念でありますけれども、そこにかかっておるのがこの介護保険の意義だというふうに思っておりますし、さらに言わせていただきますと、長寿社会における老いを豊かなものにする、そのことに寄与すべきものだというふうに考えております。

泉(健)委員 やはり介護が保険でなされるようになったということについては、幾つかその意義というものがあると思うんですね。それは例えば、介護を社会化する、本来は私も実は税で行われるべきものなのかもしれないと思っています。ただやはり、とはいえ、税源、財源を確保するということが非常にこれまで難しかったということもあるでしょう。いろいろな理由もあります。そういった中で、いち早くこの現状を見かねて、社会化をするためには導入せざるを得なかった、この介護保険をいち早く導入して、困っている高齢者の方々を、あるいは介護者の方々を助けていく必要があったというふうにも思っていますし、今、自立と尊厳というお話をされましたが、やはり自己決定、自己選択という問題や契約ということ、そういったこともこの介護保険の中には必ず含まれているものだというふうに私は思います。

 そして、実はこの議論をこれまでずっとお伺いをしていて、あるいは厚生労働省の説明をお伺いしていて、一つ指摘をさせていただきたいのは、以前、これは子供の事故の研究をされている学者の先生からお話をいただいたんですけれども、今のこの国の政治というのは、実は皆さん、健康な成年の男子を標準としていませんかということをおっしゃられたんですね。私もそれを考えました。健康な成年の男子を我々はついつい国会の中の議論でもしかしたら標準に考えていませんか、そこから物を見るということをしていませんか、そこから子供たち、そこからお年寄りという見方をしている。

 しかし、本来は、お年寄りの問題はお年寄り本人が当事者であり、一番大切なんですね。子供たちの問題もそうです。例えば、子供に安全な公園をつくるというときに、大人は必死に考えますが、多分一回も子供に設計をさせるなんということはしたことがないはずですね。あるいは、子供たちにとって何が危ないのか、大人から見た立場の、あるいは大人が子供の意見を聞いたという形での反映のさせ方しかしていないはずなんです。

 そういった意味では、この議論も、例えばわかりにくい多くの専門用語が羅列をされている。特に高齢者の方々にとっては、横文字のことというのはほとんどわからない。恐らく、ケアマネジャーさんといって、それをさらにケアマネと省略をされて現場で使われても、多分何のことかわからない。でも、世話をしてくれるお兄さんお姉さんということで一生懸命理解をされているという方もたくさんおられると私は思います。

 そういったことでいえば、もう少し、成年、男子、健康、そういうものを標準にした見方から、いろいろな方々を主体にした見方にぜひこの議論が進んでいくことを私はお願いをしたいというふうに思います。

 これは後から出てくる議論ですけれども、やはり筋トレの問題なんかも成年、健康、男子をイメージした話じゃないのかなと。これはまた後で指摘をさせていただきますけれども、その辺の視点をぜひ持っていただきたいというふうに思います。

 そして、介護保険制度の意義ということをまずお伺いしましたけれども、今回の改正の意義、これを改めて大臣に問いたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、先ほど私が申し上げました介護保険の意義ということで、保険という部分に着目すると、確かに先生がおっしゃったように、また契約とか自己決定とかということが出てくるんだというふうに思いますということを、御指摘でございましたから、改めて申し上げたいと思います。

 それから、では今回の見直しに当たってどういうふうに考えるのか、意義は何だというお尋ねでございますけれども、これもいろいろな視点からといいますか、いろいろなお答えの方法があるんだろうと思いますが、まずは先ほど申し上げました自立支援それから尊厳の保持という基本理念を徹底していく、さらに徹底しようというふうに考えておりますので、まず基本的には一番そのことに意義があるんだというふうに申し上げたいと思います。

 そして、その中で、いろいろな問題点があるのでこの際見直そうということでございまして、一番のポイントとして申し上げておりますのは、予防という視点を強調いたしております。

 これはいつも申し上げておりますけれども、軽度の方々のところに非常に人数がふえておる、軽度の方々の人数がふえておる、ここのところをどうするかということがございますし、また、より重度になられるのを防ごうということもありますけれども、そうしたことで、まず、自立というところに大きな意義を見出しながら今度の見直しをやっておるということを申し上げます。

 それからもう一つは、やはりできるだけ公平に皆さんが感じていただくように、そこに公平でないというふうに思われるような部分は避けたい。これは、よく言われておりますところのホテルコストという表現になっておりますけれども、そうした見直しをしよう、公平公正という見方を取り入れようということが、もう一つの大きな意義といえば意義といいますか、意義というふうに表現しておられますので、どういう御説明がいいのかなと思いつつお答えいたしておるわけでありますけれども、今私なりに意義という言葉を理解してお答えすればそういうお答えになるということを申し上げたところでございます。(発言する者あり)

泉(健)委員 各委員席からも、何だかよくわからないなというお話が出ているようですが、自立、尊厳に、さらに予防と公平というところのお話を、今の長いお話の中で結局はそれを言っていただいたのかなというふうに思うんですけれども、済みませんが、では、制度の持続可能性ということは含まれていないということでよろしいですか。

尾辻国務大臣 一つずつお答えさせていただきますと、また、それもそのとおりでありますと申し上げなきゃいけないんですが、かねて申し上げておりますように、制度の持続可能性というのは、これは社会保障すべてのことについて今一番大きな課題でございますし、もちろん介護保険もその中の一つでございますから、今回の見直しに当たって、持続可能性の追求というのは、これは大きな課題でありますことはもちろんのことでございます。

泉(健)委員 いや、実は、やはりこの問題、今あえて大臣をひっかけようとしてこのお話をしたのではなくして、もしかしたら、いろいろ厚生労働省さんから説明を聞かれる中で、一般に耳ざわりのいいことを表の意義として上げて、本来正面から取り組んでいかなきゃならないことについてこうした形で最初の段階で漏らされるというようなことであれば、私はそれは問題じゃないのかなと思うんですね。

 やはり、私たちが認識しているのは、あるいは一般の国民の皆さんがどう見ているのかといえば、今回国はいろいろなことを考えているようですけれども、とにかく、やはり、給付が多くなってきている、そしてその給付抑制をしていかなきゃならないような感じなのねというふうに一般の皆さんはきっと思っておられると思いますよ。今受けているサービスが悪い、そうとも思っていないでしょうし、不公平だとも余り思っていないでしょう。中には幾つか問題点あるかもしれないけれども、でも、多分、この改正は国の事情が大きいですねということで認識をされているはずなんです。だから、我々はこの給付抑制に対してはいろんな手段を使って取り組んでいかなきゃならないというはずなんですね。

 これからその中身について、厚生労働省さんがおっしゃる以外にもいろいろあるんじゃないのかということも含めて私は議論をしていきたいと思います。その本来の目的が給付の抑制ということがあるんだ、国民の皆さんにも厳しいことを説明しなきゃならないというのであれば、それをぜひ正面から言っていただきたいというふうに思うわけです。

 そこで、少し、もうちょっと大臣にお伺いをしたいんですが、大臣自身はどんな老いを迎えられたいですか。

尾辻国務大臣 もうその時期になっておりますから、そういうふうにお尋ねいただくと、やはり自分のことでありますと、どうしてもより積極的にといいますか、また、その反対の言葉で言うと、余り悲観的、否定的なイメージでは申し上げたくない。これは人間だれしもそうだと思います。

 したがいまして、これからの、おまえ、どうやって生きていくんだ、こういうようなお尋ねに、まさに今の私に対してお尋ねいただきますと同じ質問になるわけでございますから、まさに人生の集大成期として自分の人生をどう仕上げていくかという思いで生きていきたい、こう思っております。

泉(健)委員 だれしもが、恐らく自己選択、そしてできるだけその選択がかなう人生を送りたいと思うと思うんですね。しかし、現場での高齢者というのは、なかなかそうはいきません。自己選択をしたくても、動けなくなる人もいる。普通の生活、判断能力、自分が本来願っていることができなくなっていくという過程が、その繰り返しが、ある意味、いろんな高齢者の方々の生活でもあると思います。そういう中で、妥協をし、譲歩をし、あるいは苦しみながら、そして時に喜びを見出しながら生活をされている方もたくさんいる。そういう中で、実際にはいろんな介護のサービスを現在受けている方々が多い。

 私はこれから少し中身に入っていきたいと思うんですけれども、資料は配付をされていますね。

大村委員長代理 はい、配付されていますよ。

泉(健)委員 今回、そもそも厚生労働省さんが、まずということで、前提として私に説明をしてくださったことがあります。それが、この資料でいうと後ろから五枚目です。その下の表ですね。「要介護度別に見た各都道府県別認定率」というところです。

 そして、ここで御説明をいただいた中身というのは、要支援、要介護度一、これはかなり都道府県によってばらつきがありますねと。そのばらつきには理由があるようでして、ここで掘り起こしなどが行われているようですねというような中で、ここのばらつきというのはやはり公平性を失うものではないのかというような御指摘があったかというふうに思いますが、もう一度、この表に対してどのような分析をされているか、大臣、御説明をいただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘の表、私も早くからこれを省の方からいただいて、見ておりました。

 要介護二から五に対して、要支援、要介護一、つまり軽度の皆さん方の高齢者の皆さんに対する割合がかなりばらつきがある、こういうふうなことでございますが、各都道府県、すべて基本的に同じ人が認定して、基本的に同じ数字が出るのかということは、これは若干の疑問はあることは確かでございます。北海道の人と鹿児島の人、同じ年齢、同じ要介護でぴったりになるかというのは、これは若干違うかもしれません。そこのところは前提としては若干のことを置きましたとしても、それにしてもかなり地域差が見られることは事実だというふうに考えております。

 その原因ですが、高齢者のうちの要介護認定を申請する割合が違うということが一つあるのではないか。つまり、申請をした方がほとんど、九九%、何らかの形で要支援、要介護一になっている。手を挙げた人の割合が違う、そういうことでございます。これが一つあるのではないか。

 こうしたものの中には、事業者による掘り起こし、先ほど御指摘がありましたが、こういうこともあるというふうに指摘されておりまして、こうした不適正な申請代行等につきましては、今後見直しをしていこうというふうに考えているところでございます。

泉(健)委員 一つが申請の度合いの違いだと。申請の度合いの違いというふうにおっしゃられましたね。恐らくそれは、申請をすればほとんど何かしらに分類されて、要は認定をされるからということでよろしいんですかね。もう一つが掘り起こしだということでいうと、そうすると、各都道府県、例えば認定の基準がばらばらだとか、あるいは、施設の受け入れ体制が整っているから、いないからという理由ではないということでよろしいですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今副大臣からも御説明申し上げましたが、例えば都道府県の要介護認定率、要支援と要介護一ですが、一番全国で認定率が低いのは茨城県で五・一%、一番高いのが徳島県で一二・〇%。そういった意味では二倍以上の差がございます。

 要介護認定に該当しない率というのは全国ほとんど一緒でございますので、いわば、茨城の人が手をたくさん挙げていて、たくさんはねられている、こういうことがないという意味では、副大臣が御説明いたしましたように、五・一%と一二・〇%というのは手挙げ率の違いが反映している、そういったことが上げられると思います。

 掘り起こし云々の話はあるかと思いますが、例えばケアマネジャーの数、第一号被保険者千人当たりに占める割合で申し上げますと、今申し上げました要介護認定率が低い茨城県から五位の栃木県まで、千人当たりケアマネジャーさんの数は一・六九、一・七一、こういうふうに低くなっておりますけれども、全国一高いのは徳島、二が長崎、三が福岡でございますが、ケアマネジャーの数は、三・一〇、二・七四、二・三八、こういうふうになっておりますので、ケアマネジャーさんの数が多いところは割合に要介護認定率が、要支援、要介護一の認定率が高く、ケアマネジャーさんの数が低いところは低いという結果も出ております。

 それが掘り起こしにつながるのかどうかという御質問がまたあるかもしれませんが、ある意味では、サービスの提供体制、ケアマネジャーさんの数も含めましてサービスの提供体制、ケアプランの作成しやすさ、そういったこともかなり影響しているのではないか、そういうことを私どもは考えておるところでございます。

泉(健)委員 そうなんです。例えば要介護度一で七%と三%、各地域ばらつきがありますが、これのどっちがいけないという話なんでしょうか。七%の方が何か問題なんですか、それとも三%の方が問題なんでしょうか。

中村政府参考人 今私がお答えしましたのは、どういう分析をしているのか、どういう認識をしているのかということについて申し上げたわけでございます。

 私どもは、大臣からも申し上げておりますように、介護保険を導入して五年間の経過を見ますと、要介護認定該当者が大変ふえている。特に、要介護認定該当者の半数が要支援、要介護一を占めるに至っている。これは、二〇〇〇年四月と比べますと、シェアも高くなっておりますし、六十五歳以上人口に対する割合も高くなっている。これから六十五歳以上人口が二〇一五年まで急速にふえるということを考えますと、先ほど委員から御指摘ございましたように、制度の持続可能性を考えた場合、ここの問題が非常に大切である。

 したがって、掘り起こしやそういった事例も指摘されていること、また、ケアマネジメントについて、一番制度のかなめである、こういったことを考えますと、この軽度者について、ケアマネジメントから適正とし、介護予防につながるサービス体系をつくっていくということが、これからの二〇一五年や二〇二五年の我が国の高齢化を考えた場合、大事になると考えてこの改正案を提案しているわけでございます。

泉(健)委員 これはおかしいような感じがしますね。いや、ちょっと理解できないですね。

 介護保険料を払っている方々がたくさんおられます。申請、認定を受けようとするわけですね、利用しようということで。その人たちがふえてきたから、持続可能性の問題もあり、今回の改正、改革があるんですよということであれば、済みませんが、この表の見方というのは、持続可能性のために、とにかく要支援、要介護一のところの比率が高いから、ですから、各都道府県ばらつきがあることをもってどうのこうのという話じゃなくて、要支援、要介護一の人たちがたくさんいるからという理由で、今回、改正をするということですか。

中村政府参考人 この委員御提示の表でございますが、私ども、これを要支援から要介護五までのところを見ますと、かなり地域差があるということをまず指摘しているわけでございます。

 それで、今議論をしておりますのは、どうしてこういう地域差が起こっているかということについてのお尋ねでございましたので、副大臣も私も、これこれこういうことが考えられるということであります。

 中度、重度の方々について収れんしているのに、軽いところの地域差があるというのは、考えますと、単に利用者の方々の状況の違いだけではなく、さまざまな心理的要因とか社会的な要因があるのではないかと考えられる、そういった中で、地域における人為的な作用としては、例えば掘り起こしなどが働いているということが推測される、したがって、そういう部分があるのであれば、そこのところについては、まさに介護保険は国民の税金と保険料で支え合いでされているわけですから、人為的要因で適正な利用でないというところがあるのであれば、そこを是正するということが介護保険の持続可能性にとってもよろしいのではないかということを申し上げているわけでございます。

泉(健)委員 いや、ですから、もし今まで厚生労働省さんがしたこの表の説明が間違っているというんだったら言ってくださいね。

 私はこの表を示されたときに、各都道府県ばらつきがあります、そしてそこにはいろいろな掘り起こしなんというのもあるようですという話の中で、でも、この表を見る限り、各都道府県ばらつきがあるというのは、それは認定の仕方に何らかの間違いがある。サービスを受けている人は別に悪くないわけですよ、サービスを受けている人は何の問題もないわけですね。

 要は、これだけ都道府県のばらつきがあるということは、残念ながら、厚生労働省さんも一生懸命、全国統一の基準になるようにということで努力をしてきたけれども、結局のところ、これぐらいばらつきがありますねという話であって、では、多い認定があるところについては、それは今までの認定審査会の中での認定の仕方の問題だったわけであって、その中で受けているサービスの問題ではないというふうに思うわけなんです。

 なのにもかかわらず、今回、家事援助を大幅に変えるとか、筋トレを導入するという話が出てくることが、これがよくわからないんですよ。入り口部分の認定の話でばらつきがあるという話なんですね。本来、サービスの問題じゃないはずなんですよ。

 もし改革をしたいというならば、申しわけないですが、認定のところだけもう一回ちゃんとやり直したらいいんじゃないですか。十二カ月たてば認定の見直しがありますね、再更新がありますから、そこで、今まで認定の中でやはり問題があったんじゃないかという方々については、これまた認定を変えていけることもできると思うわけなんですが、それはいかがでしょうか。

中村政府参考人 要介護認定は全国統一の認定基準で行われておりますので、私ども、そういった意味では、認定基準が各都道府県によって違うからこういう結果が出ているというふうには考えておりません。

 ですから、認定は正確であり、したがって、これはサービスにつなげようとする認定でございますので、そういった意味では、要介護度、要するに、要支援や要介護一というサービスを使おうとして出てきている出現率に差があるというふうに考えております。

泉(健)委員 認定は正確なんですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 今局長からも若干話がありましたが、私どもは、認定そのものが不平等だからこういうことになっているというふうには必ずしも考えておりません。これは都道府県別ですから、それぞれの各県各県において、私は体が不自由だ、こういうふうなお申し出によって、認定する側がそうだねと、こういう結果がこの形になっているわけですから。

 要は、それぞれの各都道府県のばらつきはばらつきとして、それぞれ皆さんが介護度が上がらないように、現実を維持できるように、さらによければ介護度が下がるように、これからいかに予防を重視して状態を好転していくかということを考えているということでございます。

泉(健)委員 実は、ほかにも相当やらなきゃならない問題があるんですよ。だから、余りここにこだわってはいられないんですけれども、ちょっと何かこれはおかしいですね。

 認定は正確だ、ばらつきも問題ない。でも、わざわざここに丸して「地域格差が大きくなっている。」と書いてあるじゃないですか。何ですか、これは。全く支離滅裂ですよ、こんなのは。

中村政府参考人 今度の制度改正で手直しをしていることが幾つかございますが、その一つは、例えば、今の制度では認定は市町村が行うことになっております。市町村が行うことになっており、市町村の調査員がお邪魔をして要介護認定をすることになっています。こういうシステムでありますが、実際には、要介護認定の仕事をケアマネジャーにお願いをし、申請代行もお願いをしている、そういうこともございます。

 したがって、サービスを使いませんかと言って勧誘し、要介護認定の調査もし、申請代行もされて、そこで要介護認定が認められるとケアプランも自分のところでつくり、また自社プランもつくる、そういった問題点も指摘されているわけでございますので、私ども、申請代行についても手直しをし、要介護認定の調査についても初回認定は市町村が行うこととし、軽度の者のケアマネジメントについては市町村の責任のもとで地域包括支援センターにおいて行うこととし、そういうことを通じまして、まず一つ、そこの入り口部分の適正化は図ろうとしているわけでございます。

泉(健)委員 これは、大臣も今、きっとおかしいなと思い始めているはずですよ。

 さっきも言いましたが、もしそれだったら、今局長がおっしゃられたような改革をすれば、サービスの中身をいじるという話はその後の話ですよ。今回やる話じゃないですね。まずは、では申請、認定を改革しましょうと。それをすればおかしな認定を受ける人たちはいなくなるんだという話ですよ。そうすれば、サービスだって、今までのサービスでいいという話になるわけで、まず変えなきゃならないのは申請と認定なんです。

 今、まさにそれを変えようと言った。我々はすばらしいなと思う。それでいいじゃないですか。何で筋トレマシンが出てくるのかさっぱりわからない。

中村政府参考人 今の部分についてお話を申し上げたいと思います。

 したがいまして、今度の予防重視型システムに変えていく場合、ただいまお話ございましたように、申請代行の問題、要介護認定を市町村の本来ベースに戻すという改正もさせていただきます。

 二つ目は、そうやって要介護認定に該当された方々の、今度はケアプラン、このあり方についても、要するに介護予防マネジメントのあり方を変えるというのが二つ目の柱でございます。

 三つ目は、個々のサービスについて、予防重視につながるようなサービスに変えられる部分は変えていく、そういうサービス内容の改正が三つにあるということで、それを組み合わせてまず新予防給付ができる。

 それから、新予防給付から外れる方、また新予防給付に入る手前の方々に対する対応も必要でございますので、そこにつきましては、地域支援事業で連続的、一貫的にするという、四つのいわばパーツで予防重視型のシステムにしたいと考えているわけでございます。

泉(健)委員 これはちゃんと答えていない話なので、ぜひもう一回、厚生労働省、大臣、整理してください。この表をわざわざ出して、あなたたちは何を言いたいのか、そこをはっきり示してくださいよ。そうじゃないと、これは納得しませんから。

 この表を見て、ばらつきがある、だから問題だ、公平性に問題だという話も聞いていますよ。でも、何かいつの間にか議論がすりかえられているわけですよ。ここはちゃんとはっきり、もう一回、もう時間ありませんから次に移りますけれども、ここは必ずちゃんと出してくださいね。

 次に行きたいと思います。

 その入り口部分が私はおかしいというふうに思うんです。認定とか申請の改革をすればいいという話だと思うわけですね。今回、介護保険認定審査会が、新たに改善可能性ということも多分加味をして審査をされるということになるんだと思います、新予防給付のもとでは。

 そうすると、これは、メンバーもやはり変わるということで想定をした方がいいんでしょうか。もし変わるのであれば、その具体的なイメージ、職種が新たに入るとか、その辺もちょっとお答えをいただきたいと思います。

西副大臣 メンバーについての御質問でございました。

 現行制度におきましては、要介護認定については、保健、医療、福祉、それぞれの、各分野における学識経験者によって構成されておりまして、そのメンバーによる認定審査会において認定の判定が行われている、こういうふうになっております。

 今回、新予防給付の対象者の選定に当たりましては、認定審査会において生活機能の維持それから改善可能性を評価する、こういう新たな条項が加わっておりますが、審査判定に関する研修やマニュアル等において、このような視点に留意して審査判定を行うよう求めることによって、現行の委員構成で十分対応が可能であるというふうに考えているところでございます。

泉(健)委員 この新予防給付なんですが、対象としては、要介護認定で要支援と判定されたすべての人、そして要介護一のうち、筋力トレーニングなどを通じ状態の改善や悪化防止が期待できる人を対象に実施をするということですが、実は、以前厚生労働省さんからいただいた「新予防給付対象者の選定手法に係る中間取りまとめ」という中で、新予防給付対象者は廃用症候群の状態にあるものととらえることができということで書かれていますが、新予防給付対象者はすべて廃用症候群というふうに考えてよろしいんでしょうか。

中村政府参考人 要支援や、現行の基準で申し上げますと要介護一の方の中には、今委員御指摘の廃用症候群のシェアが高くなっております。今度の認定基準で、予防に適さない認知症の方でありますとか症状が安定しない方などが除外されますので、対象者は廃用症候群の方が大部分になると思われますが、その他、もしかしたら、廃用症候群に分類されない方で介護予防が適切な方については入ってくるかもしれません。

泉(健)委員 廃用症候群の中身、生活不活発病ともいう、病名みたいですね、ともいうらしいんですが、これは例えば、私もデイサービスをしていたときに、なかなか日常的に立って歩くことが難しいわけですけれども、非常に裁縫が好きで、私は裁縫さえしていればいいんだと、一生懸命縫い物をしたりとか、そういった趣味を生かしながらずっと生活できればいいんだというような方もおられるわけですが、そういった方も、状態によっては廃用症候群という形になってしまうんでしょうか。

中村政府参考人 私どもが、この廃用症候群の問題など、高齢者の生活機能の低下問題について検討をしました、平成十六年一月に出されました高齢者リハビリテーション研究会の報告書では、後期高齢者に多い衰弱を含め、高齢期の心身機能の低下は、年だから仕方がないなどと考えがちであるが、実は廃用症候群であったことが見逃されたことが少なくない。今後は十分に認識される必要がある。廃用症候群は、在宅や施設での原疾患の急性期から慢性期にわたる治療や療養において、本来必要である以上の安静、過度の安静の指導がなされたり、また、早期離床や早期の日常生活動作向上のための取り組みがなされなかったことなどによって生じる。このためにも廃用症候群の原因となる入院、入所中の過度の安静を防止するため云々かんぬんということで、廃用症候群は、とりたててエピソードはありませんけれども、徐々の生活機能の低下をもって廃用症候群であり、つくられた寝たきりであるとか、つくられた歩行不能、つくられた家事不能になりがちだということが指摘されております。

泉(健)委員 今回の新予防給付を、私はこれは、なぜわざわざつくるのかというのは、さっきの入り口論の話で、まずそっちありきじゃないのかなということを訴えているわけですけれども、それでも厚生労働省が無理やりこの新予防給付に組みかえるんだというのであっても、要支援になられた方が、あなたは生活不活発病ですとか、あなたは廃用症候群ですということを言われることが、大臣最初におっしゃられた、これは尊厳に当たりますか。申しわけないですけれども、これは言葉も非常によくないですし、そもそも、わざわざ新しいこんな新予防給付というのをつくって、廃用症候群というのをつくって、そしてお年寄りの皆さんにこういった名前を付していく、まさに健康な成年男性の視点ですね。やはりこれはちょっと考え直していただけないでしょうかね、大臣。呼ばれてみてどうですか。

尾辻国務大臣 確かに、私が廃用症候群だと言われれば、それは嫌な気分になるだろうというのは、そのとおりだというふうに申し上げます。

 ただ、私が理解しておりますのは、要介護認定で申し上げることは、要支援ですねということでありますから、そんな中で、あなたは廃用症候群ですとか、そういう言い方になるとはとても思えませんし、また、御本人にそうであるからというような説明にもならないというふうに思います。

 これは、こうした場での御説明用に考え方を申し上げておる、ただその中で出てくる言葉だというふうに御理解いただければと思います。

泉(健)委員 申しわけないですけれども、もう時代が違うんですよ。そんな情報はすぐ伝わるんですよ。我々もそれはいずれ老後を迎えるわけですから、まさに審議している皆さんだって、これから廃用症候群になり、生活不活発病になったら、だれ一人として病人じゃない人がいなくなっちゃうわけですよ。これは今のうちからちゃんと対策を考えておくべきだと思いますし、実はここに視点がやはり欠落していることだと思うんです。

 お配りをした資料の前から五ページ目、いつも毎度出てくる全国、地域別の資料ですよ。改善、維持、重度化、不明、この資料です。いつも思うんですが、この改善、維持、重度化という言い方そのものが間違いじゃないのかなと私は思うわけですね。八十数歳の御高齢の方が健康を維持していて、それは何か問題があるんですか。私は非常にすばらしいことだと思いますよ。介護度を維持するというのは大変なことだと思いますよ。ただでさえ老化、ただでさえどんどん能力が低下しているお年寄りが維持をするということは、これは非常に大変な努力の結果の維持なんですよ。改善するなんというのは本当にまれなケースですよ。我々は、すばらしい、スーパーウーマンも含めてスーパーマンと言ってもいいぐらいです。

 その中で、何で重度化だけを取り上げてこんな議論を今しているんですか。しかも、この重度化というのにも私は文句を言いたい。これは間違いなく老化ですよ。重度化というのは悪化という意味ですか。重度化は悪化という意味ですか。答えてください。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 ここで言っておりますのは、要介護認定区分が六段階あり、さまざまな調査は、その段階区分が、期間が違うと思いますが、前回にとどまったのか、変化しているのか、変化のところが、例えば要介護二から三になるというのを重度化と呼び、要介護二から一になるのを改善と呼び、要介護二にとどまるのをそれぞれの調査では維持、こういうふうにスコアを出している、こういうふうに考えております。

泉(健)委員 それを利用して政策をやろうとしているんでしょう。だったら、どう解釈しているか、言ってくださいよ。それぞれどう解釈しているんですか。大臣、答えてくださいよ、改善、維持、重度化、これはどういうことを指すんですか。

 というのは、さっき、これはランクが上がることです、下がることです、そんなことは当たり前です。それをどう解釈して政策を出そうとしているんですかということですよ。大臣、どうですか。

尾辻国務大臣 御質問の意味を正しく理解しておるかどうか私もわかりませんけれども、重度化というと、まさに介護度が上がることということだというふうにしか申し上げられませんが、その言葉が余りよくないとかなんとかという意味で言っておられるんでしょうか。

 あるいは、維持は、先ほどお話しになったことで私も極めて納得しましたのは、維持ということはいいことだということは、特に介護度の高い方のところで、特に介護度の高いところの方と申し上げますが、それは維持なさるというのは大変いいことだなというふうには思います。そこのところだけは同じだなというふうに思いながら聞いておりました。

 あと、御質問の意味をもう少しおっしゃっていただければ、また私なりにお答えを申し上げます。

泉(健)委員 厚生労働省がこれまでに再三出されている資料の中には、意欲のない人たちというのがよく出てくるんですね、意欲のない人たち。今私が言っているのは、改善するのはこれは本当にすばらしい方だ、維持というのも、非常に難しいし、それは努力がなければ維持できないということを大臣もきっと御理解をいただけたんですね、今のお話ですと。維持も大変すばらしいことだと。維持するのも大変なんですね。

 では、重度化というのは、大臣、これは悪化ですか。それとも、ある意味、低下、老化、自然現象的な老化なのか、それとも、意欲がない、サボっているための悪化なのか、それはどう解釈されますか。

尾辻国務大臣 まさにいろいろなケースがあっての重度化だというふうに思います。

 ただ、それを悪化という表現にするのかどうかというのは、悪という意味のまた定義なんかも出てくるので、必ずしもいい言葉ではないだろうなと思いつつお聞きをいたしましたけれども、要するに、重度化というのはそういうことだというふうに改めて申し上げたいと存じます。

泉(健)委員 この表を使って再三、重度化をしている人たちは要支援、要介護一に多いということを厚生労働省は言い、そして、だから、要支援、要介護一の中で、もっと皆さんにやる気を持ってもらうように、家事援助を切って、そして筋トレやほかのメニューを導入してやっていこうとしているわけですね。これはよくわからないですね。これはほかにやることがあるんじゃないのかな。さっきも言いましたが、認定、申請を改革すれば十分済む話のはずですね。

 まあまあ、次の問題もあるので引き続き進めていきますけれども、私たちは、まずこの介護保険、厚生労働省さんや政府が言うように、確かに財政も厳しいということは理解しますから、できるだけむだ遣いを減らしたいというふうに思っています。そのために何をするかということなんですね。そこの視点の違いがやはり今回出ているんじゃないのかなと思います。

 例えば、その新予防給付のメニュー、やはり出てくる筋トレ、口腔ケア、栄養指導、こう出てくるわけですが、特に筋トレの部分、さっき小西議員が琵琶湖の方では寝たきりの方がおられないという話をされましたが、そこには多分筋トレでやった方がいるわけじゃないと思いますね。日常生活の中で健康的に暮らしている方々がほとんどじゃないのかなというふうに思うわけなんです。

 そして、私たちは、今回の改革の中で、特に突出してお金がかかっている、費用負担が多そうだというのが、この筋トレの中でもマシンを使った筋トレだというふうに指摘をしたいわけなんです。これがやはり介護保険、保険料にも影響してくるわけですから、ここだけは何とかならないのかな、改革をすべきじゃないのかなというふうに思うわけですね。

 資料の中にもおつけをしています。四ページと五ページをごらんいただきたいというふうに思います。

 厚生労働省さんが出されたモデル事業が三十一ずらっと並んでいる中で、十八の市町村でやったマシン購入の総額が六千五百三十万五千百五十円、非常にやはり高額ですね。十八市町村で五千万を軽く超えている額が使われています。一方で、確かにマシンを用いた筋力向上でも、既存設備の活用、見てのとおり、すべてゼロ円ですね。これまでその自治体にはトレーニング施設があったんでしょう。そういったものを使ってやればゼロ円だということを考えると、この財政が厳しい折に、なぜわざわざマシンを新たに導入する必要があるのかということをぜひお伺いしたいわけなんです。

 マシンを導入しなくても、さっきの琵琶湖の寝たきりの方々がおられないところなんかは、日常的なお年寄りの会話もあり、あるいは家事もありという中で、普通にふだんから体を動かしておられるんでしょう。あるいは、それに近いことを介護の中でも体を動かすということに重点を入れてやっていけば、このマシンを使うということをやらなくても、多分それは十分実現、代替可能なものなんだろうな、だれしもそう思うと思うんですが、なぜ新規にマシンを導入するのか、その説明をお願いいたします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど琵琶湖の話もありましたが、私も田舎で、本当に腰の曲がったおばあちゃんが、毎日野菜をつくりに、運動を兼ねてだと思うんですが、そういう人をたくさん見ていますし、本当に、寝込んだ人というのは、今まででも余り見ることが少ないような地域にずっと住んでおりました。そんな意味で、必ずしもマシンということじゃないと思うんですが、今回、運動器の機能の向上、つまり筋肉とか関節を動きやすくということについては、一つはマシンを用いるトレーニング、これが一つはオプションとしてはあるだろう。それから、軽いダンベルとかそういうことで、少し負荷をかけてやる。それから、全くそういう道具を使わないで、有酸素運動というか、歩くことによって肺を活発にしてというようなこと。そんなさまざまな方法が考えられるというふうに考えております。

 現時点におきましては、この機能向上のためにマシンを使うということの、このマシンの費用を個別に介護報酬で評価するということは想定はいたしておりません。限られた財源の中でいかに最大限の効果を上げるかといったことについても、これはそれぞれの事業所で考えていただくことだというふうに思っております。

 今後、社会保障審議会の介護給付費の分科会における議論を踏まえて、適正な介護報酬、基準というものを決めていきたいというふうに考えているところでございます。

泉(健)委員 だから、限られた財源の中でメニューを選ぶわけですね。今回、皆さんの売りは、いろいろなメニューを用意しましたよというのが売りなんですよね。だったら、なるべく変なお金をかける必要はないんじゃないですか。もっと安く上がる方法もあるんじゃないですか。

 大臣、一回この表を見てください。中には一千万超えているのもあります、八台で。どう思われますか。ほかにもっといいトレーニング方法もあるでしょう。我々ラジオ体操と言ってきた、今はみんなの体操と言っている、座っている人もできるものもあるでしょう。毎日放送で流れていて、ビデオに撮ればいろいろな施設でできるものもあるでしょう。ストレッチもあるでしょう。なぜマシンを使わなければならないんですか。

 しかも、マシンの効能をあえて認めたとして、それは何だって効果はあるんです、スポーツですから。何だって効果はある。でも、限られた財源の中でこれだけ高額の器械を新規に買う、もしかしたら、どこかの自治体は既にコミュニティーセンターに置いているかもしれない、それでも買うという選択をしたらどうするんですか。むだじゃないですか。もっと既存のものを有効活用したやり方があるはずじゃないですか、大臣。

尾辻国務大臣 改めて申し上げますけれども、今回のサービスの見直しというのは、従来のものを見直すという一つの部分と、それから新しくサービスに加えようとする大きな部分、この二つの大きな部分に分かれています。その新しく加えようとするところに、世界的にというか、外国でも非常に効果が高いという三つのものを並べました、こういうことであります。そのうちの一つが今よく筋トレ筋トレと言われるものですけれども、そういうものも三つのうちの一つに加えました、こういうことであります。

 ただ、ここで申し上げたいのは、その三つのうちの一つに加えましたけれども、高い器械を使ってくださいとかということは一切私どもは申し上げておりませんし……(泉(健)委員「だから要らないんじゃないのと言っているんです」と呼ぶ)器械を使ってくださいということも言っていないわけでありますから、それなりの工夫をしてやってくださいというお願いしかしておりませんし、ましてやそこに、その高い器械を買われたからといってその器械代を介護報酬で見ようなんということではないんですということを繰り返し申し上げておるところであります。

泉(健)委員 いや、おかしいですよね。本当にこれが全世界で優先順位の高い三つを上げたということでよろしいですか。まずもう一回その点をお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 どういう新しいメニューを加えるかということについて検討しましたところ、大臣からお答えいたしておりますように、運動機能向上、栄養改善、口腔ケアということがエビデンスがある、こういうことなので、私どもメニューとして加えていこう、こういうことを言っております。

 このほか、閉じこもりですとか、うつ、認知症の問題がありますけれども、ここのところについては、個別サービスとしてはまだ確立していないので、市町村事業などで適応可能かどうかよく検証すべきであるということはその委員会でも言われているところでございます。

泉(健)委員 全然答えておられませんね。

 これは、日本フィットネス産業協会という業界団体がありまして、「敬老の日にフィットネス!」事業というのをやっているんですね。全国で三日間、いろいろなスポーツ施設を使っていただいて、お年寄りの方に来ていただこうというメニューが、各スポーツクラブ、ずらっと全国並んでいるんです。この中で、でもマシンを使ったものというのはもう皆無に等しいですね。大体読み上げますと、スタジオを使った体操、青竹、ナチュラルヨガ、プール、腰痛改善水泳、アクアウオーキング。

 きょう、あえて実はもう一つ資料をつけさせていただきましたのがトップの三枚の資料なんですが、厚生労働省さんが、実は私に部屋に来ていただいて説明をしていただいたときにこんなことを言ったんですね。なぜ筋トレをするのがいいんですか、なぜメニューの中で筋トレが選ばれたんですかということを聞くと、一つ、即効性がありますと。早く効くということですね。この前の審議でも、早く効いたけれどもその後すぐもとに戻っちゃうというのもありましたが、一つ、即効性がある。もう一つが、なじみがある。この二つを上げたんですね。その見解でよろしいですか。

中村政府参考人 もう一度申し上げますと、先ほど委員も、御指摘にありますように、私どもの介護予防サービス開発小委員会の中間取りまとめでは、こういうふうになっております。新たな介護予防サービス導入に当たっての評価でございますが、

  文献等による検討

  新たに追加すべき介護予防サービスについて、現時点での有効性に係る科学的根拠について、国内外の文献を評価・検討した結果、個々人に対するサービスである新予防給付への導入が適当であると認められるものは、「運動器の機能向上」、「栄養改善」、「口腔機能の向上」であった。

  なお、「運動器の機能向上」については、多様な取組が可能であり、例えば、軽度者の特性でもある下肢機能の低下を予防するためのプログラムとしては、筋力向上に限らず、転倒予防を目的とするもの等、様々なものが考えられる。

こういうことで運動機能の向上を考えておりますし、筋力の向上に限らず、転倒予防を目的とするものなど、さまざまなものも考えられる。

 筋力の向上の中で、今委員が筋トレ筋トレといってマシンを使っていることを言っておりますが、私どもは、筋力向上トレーニングは一つの有効な方策だとは思っておりますが、それはマシン以外にも、筋力向上については簡易の機器を使ったり、また副大臣から御説明いたしましたように、器具を使わないものもある、こういうことでございます。したがって、どういう御説明を申し上げたかわかりませんけれども、私ども、委員がおっしゃる意味での筋トレのみを取り上げて推奨しているわけでもない、こういうことでございます。

泉(健)委員 ちょっと委員長、これは答えていると思いますか。普通の人間同士のやりとりじゃないですよ、こんなの。ちゃんと答えてくださいよ。

 今言ったのは、厚生労働省さんからこんな説明がありました、別に私はそれが悪いって言っていないんですからね。普通に、別に壁をつくらずに答えてくださいよ、ちゃんと。

 一つは即効性だという話です。一つはなじみだと言ったんです。ですから、それが正しいのかどうか再確認させていただきたいという話だけですよ。だけですからね。

中村政府参考人 なじみという意味は私は理解できませんので、そこのところは私はそういう理解はいたしておりません。

泉(健)委員 そうなんですね。私も理解できなかったんですよ。なじみといっても、まさか今の高齢者にスポーツジムが、特に筋トレマシンがなじみがあると思わないですね。多分、皆さんそうだと思います。ですから、なじみはない。

 即効性という話もありました。これは局長、いかがですか。

中村政府参考人 どういう意味で即効性ということを言われたかどうかわかりませんが、今やられておりますマシンを使った筋力トレーニングは三カ月をワンクールにしているということなので、三カ月でワンクールできるという意味で言ったのかもしれないと、私今思いました。

泉(健)委員 これは、三カ月やって、その後またやらないともとに機能が戻ってしまうという資料は以前出ましたね。要介護認定というのは十二カ月で見直しがあるはずなんですけれども、済みませんが、要支援の方がおられました、筋トレ行きなさいと、強制じゃない、では自分から行きますと言いました、行った、三カ月、ワンクールやりました、その後、残りの九カ月があって、この機能はどう維持するんですか。ずっと一年間通い続けないと、これは、次の見直しのときにまたもとに戻っちゃいますよね。改善しないですね。いわゆる、皆さんが言う改善というところに持っていけないですね。多分、そう言うと皆さんは、いや、そこから出ていった方々は、地域でいろいろなNPO、ボランティアの力を得て日常生活に戻るんですと。そんなにうまくいきますか。そんなにうまくいかないと思いますよ。これは聞かなくてもわかっている答弁なので、もうそれで終わりたいと思いますけれども。

 要は、この一ページ目から三ページ目に、実は内閣府が調査をしたいわゆる毎月出している世論調査なんですね。お年寄りの皆さん、現在介護を受けている時間を自由時間というふうにとるとらないというのもいろいろあると思いますが、お年の方にとっては大抵普通拘束時間は少ないわけですけれども、一般的な論として、特にこの七十歳以上という項目を常に見ていただきたいと思うんですね。

 「自由時間の活用状況」、一ページ目を見れば、お年寄りは七五%が活用しているというふうに書いてあります。二ページ目、その自由時間の過ごし方は何ですかというと、テレビ、ラジオを見たり、家族と団らんしたり、いろいろな中で、軽い運動やスポーツというのは、この七十歳以上では一九・四%です。そしてさらに、現在の余暇活動に満足かどうか、そして満足をしていない理由というふうにいったときにも、七十歳以上の方でいうと七〇%以上の方々が満足しているという結果を出しています。要は、お年寄りの皆さんにとって、スポーツよりも実は割合が高いのが家族や友人との交際、団らんであったりするわけですね。

 ですから、できるだけ、スポーツも大切だというふうに私は思いますけれども、日常生活に即したものでいろいろな機能回復というのはできるはずなんじゃないのかな、まさに、考えるのであれば、そのメニューを一生懸命考えるべきじゃないのかなと思うわけですね。では、近所に散歩に行きましょうでもいいかもしれない。それじゃ大人数をさばけないともし皆さんが言うのであれば、連れ出して集めるのはいいでしょう。しかし、高額の筋トレマシンを使ったものじゃなくして、ほかにもメニューが考えつくはずですよ。さっきも言いましたが、体操であり、太極拳も、まあエビデンスがないということもありますけれども、そういうお金を使わなくてもできるいろいろなメニューがありますね。

 ですから、私はその中に、効果として筋トレというものは、これは否定はしません、けがの危険性もあるかもしれないけれども、否定はしません。私だって、今たまに筋トレやります。人間にとって筋トレはそれは効果があるでしょう。しかし、その中で突出してこの設備投資にお金がかかるんですよ、新しくマシンを買うという行為は。だから、大臣、ここはぜひ、余りガードをかたく、ここでの審議が全く無意味で、皆さん結局思うように進めているなんという話、それは政令、省令でばかり決めるというのもあるんですよ。だから、そうじゃないということを示すためにも、ここはぜひ譲歩をしていただきたいんです。

 マシンはいいでしょう、マシンはいいけれども、それは今まで全国各地もう既にマシンはたくさん普及しているものがあるんですから、そういうものを有効利用してやったらいいじゃないですか。新規でこんなに買わせる必要ないんじゃないですか。そういうことを我々もやっていきたいと思うということで、あいまいになってくるんですよ。だから、ぜひ新規でマシンを買うことについてはやめにしましょう。どうですか。

尾辻国務大臣 先ほど来お伺いをしておりまして、同じことを言っていただいているんじゃないかなと私は理解しながらお聞きをいたしておりました。

 ただ、一番最後に言われた、器械を買うか買わないかというところが強いて言えば違いになってくるのかなと思うんですが、私どもが申し上げておりますのは、器械を買ってくださいなんというのは言っておるつもりもありませんから、買うか買わないかは全くその市町村といいますか現場の判断でありますので、買うなとまでは私どもも申しませんけれども、そこのところは、高い器械を買ってくれなんというのはとても言っていないということはぜひ御理解いただきたいと思います。

泉(健)委員 わかりました。

 では、買ってくれと言っていないのであれば、買うことは、ほかのメニューを考えてほかのメニューを実施することと、どっちがいいと考えますか、大臣。買うことの方が正常な選択だと思えますか。

尾辻国務大臣 まさに現場の判断だと思うんですが、私もこのことも気になりましたから、現場も、一カ所でありましたけれども見に行きました。それで、たくさんの方がおられて、こっちでは歌を歌っておられるグループの方もおられる、そのわきの方にちょっとした器械があったり、あるいは、いつかも言ったような気がしますけれども、横棒が一本ぽおっと通っているところがあったりして、それぞれ思い思いに何か使って楽しそうにやっておられた。あの楽しそうなお姿というのはいいなと思って私は帰ってきたんです。好きだと思ってああいうふうに楽しそうにやっておられる方にそういうメニューがあるのも、サービスがあるのもいいと思っておるものですから、私はその思いで先ほど来お答えをしておるつもりであります。

 ですから、先生言っていただいているように、散歩がいいという方は散歩なさるというのが一番いいことだし、いろいろなメニューがあって、それぞれ御自身がお好きなことをやりながらやっていただくというのがいいのではないかなと、私の思いを今述べたところなのでありますけれども、そういうふうに理解をいたしております。

泉(健)委員 先ほどの資料、皆さんにもお配りした資料を見ていただきましたけれども、十八自治体で六千万を超えているわけですね。それは各自治体の判断だとおっしゃられますが、正直、これはやはりむだですよ。横棒がついているぐらいだったら、マシンを一そろえそろえる必要は全然ないはずですね。ですから、モデル事業でこんなことをやっている自体が本来おかしいんですよ。これだけ器具をそろえて、それが私たちの数あるメニューの中での一つですと言っている割には、かなり力を入れてやっていますよ。かなりモデルをつくろうと頑張っていますね。

 そうじゃないはずですよ、本当は。言ってみたら、既存の施設、先ほど大臣が見られたような方というのは、多分、介護保険でわざわざこんなことをやらなくても、普通のスポーツクラブや普通のこれまで自治体に置いてあるトレーニングジムに行って楽しんでやっているはずですよ。それでいいじゃないですか。既存の施設に行ってやっていいじゃないですか、それで。そこをぜひ今回は考えていただきたいと思います。

 もうかなり時間が過ぎましたので、次の質問に移らせていただきます。(発言する者あり)国民運動でやるのであれば、ぜひみんなの体操をやってください。

 今回、活動的な八十五歳という言葉が出てきました。この活動的な八十五歳という言葉は、日本の平均寿命、男性は残念ながら七十八歳ですね、女性は八十五歳に行かれていますけれども。これは、もしかするとあれですか、男性の平均寿命も何か八十五歳まで延ばそうという別な計画があるということですか。それとも、この活動的な八十五歳というのは、どれぐらいの位置づけの言葉だと考えるべきでしょうか。

尾辻国務大臣 私どもは、今、健康寿命をできるだけ延ばしたい、そしてその運動をいたしてもおります。そうした中で、今、生活習慣病などを予防しながら健康寿命を延ばしていきたいと、いろいろな事業もいたしておりますけれども、その中でこういう表現をまた今回使っておるわけでありますが、まさに一つの目標値として八十五歳という数字を置いて、活動的な八十五歳という表現にさせていただいておるわけでありまして、お尋ねの意味はそういうことかなと思って今お答えをいたしておるところでありますけれども、どうでしょうか。

泉(健)委員 ですから、位置づけをちょっと聞きたいんですが、これは数ある文書の中のただ例示として挙がっているものなのか、それとも今後介護保険の中で目標としていくものの大きな一つなのか、そこをはっきりお伺いしたいんですが。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 活動的な八十五歳ということが最初に出てまいりましたのは、平成十六年十月、老人保健事業の見直しに関する検討会の中間報告書でございます。

 これは、これまでの本事業、これは老人保健事業でございますが、生活習慣病を予防することによって、いわば健康な六十五歳をつくることを目標としてきたとも考えられるが、超高齢社会においてはできる限りの健康寿命の延伸を目指すことが必要である。高齢者の自立支援という観点からは、社会参加も含めて生活機能が自立し、生きがいにあふれた活動的な八十五歳を新たな目標と設定することを提案したい。活動的な八十五歳とは、病気を持ちながら、なお活動的で生きがいに、自己実現ができるような新しい高齢者像である。このような意味から、身体的、精神的、社会的にも高齢者それぞれが持っている能力を生かし、また、高めることを通じて活動的に暮らすことこそ、本事業の目指すべき目標、老人保健事業の目指すべき目標であると。

 そういう中で、活動的な八十五歳という観点に立って考えていくと、これまでの生活習慣病予防と並んで、六十五歳以降の介護予防の重要性が出てくるのではないか、そういう流れの中で使われている言葉でございます。

泉(健)委員 先ほども言いましたが、男性の平均寿命は七十八歳ですから、これは、その設定自体もちょっと問題があるんじゃないのかなと思うわけですけれども、活動的な八十五歳の中で、また、その能力を高めることを通じて活動的に暮らすことを目指すということで、目指すのはいいんですが、先ほども申しましたけれども、お年寄りというのは、大臣、やはり老いがありますから、多種多様な生き方もあるでしょう、なかなか目指したくても目指せないという中で、目指すことそのものも、なかなかこういうことの目標でやっていけない方々もたくさんおられるわけです。そういったことをぜひ配慮したものにしていただきたいと思うわけなんですけれども、今までの厚生労働省さんが出している見直し案の中では、そういうところがどうも感じられないなという気がしてなりません。

 さらに、引き続いて行きますが、少し急にまた実務的な話をさせていただきたいと思います。余りおもしろくない議論かもしれませんが、大切なことです。介護保険の法定上限について質問をさせていただきたいと思います。

 この保険料率の法定上限ということについては、前回の制度の制定時のときに医療保険と介護保険の保険料を合わせて法定上限というものを設定していこうということだったわけですけれども、介護保険制度が開始直前に介護保険と医療保険の切り離しが行われたということになっております。ということで、現在、介護保険に法定上限がないという状態が続いているわけです。これを、法定上限をやはり設けるべきだというふうに私は思うんですが、厚生労働省、いかがでしょう。

水田政府参考人 ただいまの御質問には経緯がある話でございまして、私の方から若干その点について触れていきたいと思います。

 御説明といたしましては、ただいま先生おっしゃいましたとおり、介護保険を提出したとき、平成八年の十一月にさかのぼるわけでありますけれども、このときには、介護保険制度の導入によりまして老人医療の一部が介護保険に移るであろう、そういうこと、それから、当時比較的好調でございました経済状況を踏まえまして、医療と介護を合わせた保険料率も上限におさまる、このように見込まれましたので、医療保険において設けられておりました、政府管掌健康保険でいいますと千分の九十一という上限を維持することといたしたところでございます。つまり、医療保険、政府管掌健康保険の二号保険料につきましてこういった上限が設けられていたということでございます。

 その後、御存じのとおり、経済が低迷いたしました。それから、さらに老人医療費の増大ということがございまして、介護保険制度の導入によりましても、医療保険の保険料率を下げるということが困難になったということがございます。したがって、どういうことが起こったかと申しますと、介護納付金を支払うに足りる介護保険料を、例えば政府管掌保険では千分の九十一の上限のもとでは集め切れない、こういう状況が起こったわけでございます。

 こうした状況を受けまして、平成十二年の健保法改正におきまして、これは平成十二年の十一月に成立いたしまして十三年の一月に施行されたものでありますけれども、介護保険料の徴収を安定的に行う、それから医療保険制度の安定を確保するという観点から、介護保険料率と別建てとする、つまり介護保険料率を法定上限の外枠、こういう措置をとったわけでございまして、直前に切り離したということではございませんで、平成十二年の健保法の改正におきまして介護保険料率を医療保険の法定上限の外枠にした、こういう経緯がございます。

泉(健)委員 結局、最後の聞いていることには答えてくださらないんですね。

 今後上限を設けるおつもりはないですかということについてはお答えいただけますか。

中村政府参考人 経過については保険局長がお答え申し上げたとおりでございますが、四十歳から六十四歳の方のグループの保険料は、六十五歳以上の方の保険料と、一人当たりにすると同額という考え方でつくられております。

 各市町村、まさに保険者として、自分のところの保険料ができるだけ上がらないようにと努力している。そこでぎりぎりの努力をしている保険料を六十五歳以上の方にお願いしている。そこのところが全体として歯どめになっていると考えておりますし、お約束として、四十から六十四歳のところは高齢者の方々お一人の保険料相当を御負担いただくという制度になっておりますから、歯どめは一号保険料の方でかかっておりますので、何とぞ、二号保険料はそこの部分について御協力願いたい、こういうふうに考えております。

 また、二号保険料を払っていただいている方々の発言権というのをやはり確保しなければなりませんので、二号被保険者の方が給付に関与できるよう、市町村の介護保険事業計画、これの集合体が保険料の固まりになるわけでございますので、市町村の保険料の作成段階においても関与できるよう、国の基本指針においても明記しておりますし、このことについては改めて強調してまいりたいと思います。

泉(健)委員 もう一回確認ですが、そうすると、この介護保険事業計画を策定、変更するときには、二号の方々の意見を反映していただいているということでよろしいですね。

中村政府参考人 そういう仕組みになっておりますが、今回の制度見直しの際にも、審議会の方でも、二号被保険者の声をもっと反映するような仕組みを考えなければならないというふうに御指摘いただいております。したがいまして、市町村の事業計画のところではこういう規定がございますが、これに加えて、私ども、いろいろな機会に、二号の保険料をお支払いいただいております経営者、労働者、そういった方々がおられますので、そういった方々の意見が介護保険の行政に反映されるようなことを考えてまいりたいと思います。

泉(健)委員 都道府県の介護保険事業支援計画の方も同じということでよろしいですか。そういった関与をしていただけるということでよろしいですか。

中村政府参考人 都道府県もあると思いますし、また、全国的にも何らかのことを考えていかなければならないのではないかと思います。

泉(健)委員 そこはぜひ、そういった点でお考えをいただきたいというふうに思います。

 さらに言えば、介護保険法の六条のところに「医療保険者の協力」というところがあるわけですね。やはり医療と介護は密接にかかわっているというところでいえば、この医療保険者の協力というのは不可欠だというふうに思うわけですけれども、実際には、介護保険料を徴収して、また納付する、その代行だけをやらされているという面もあるわけでして、そういった意味で、この医療保険者ということでの二号の方々、そういった視点でも、ぜひその意見を取り入れていただけるようにお願いをしたいというふうに思います。

 そして、もうあと少なくなってまいりましたが、さらに質問したいと思うのは、経過措置ということについてです。何の経過措置かと申しますと、介護療養型医療施設の設備基準の経過措置ですね。皆さん御承知のとおり、この制定時に、いろいろな事情がありまして、浴場ですとかあるいは食堂、浴場の場合はシャワーは設置をするというような形で書いてあるわけですけれども、経過措置で、病床転換型の療養病床が全国で九百三十二施設あるわけです。

 この経過措置、当初は私は理解できたわけですね、体制を整備していかなきゃならないと。しかし、ではいつまで経過措置なんですか、全くこれが見えてこないわけです。この五年間、厚生労働省はどんな改善策を実施してきたんですか。この二点をお伺いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険をつくりましたときに療養病床を介護三施設の中に位置づけた、こういうことがございます。その際、平成十二年三月までに転換いたしました療養型病床群で基準が満たせないものがあるということについては、新基準が満たせない施設もあることから、制度創設時に、当分の間、設備基準に関します経過措置を設けました。

 そういったところの施設につきましては、療養環境がよろしくないものでございますので、一般の完全型の療養病床に比べまして、療養環境の減算措置と申しまして、介護報酬についても減算措置を講じてきたところでございます。今そういう仕組みになっておりまして、委員御指摘のとおり、九百施設がこの経過措置の適用を受けているわけでございます。

 私ども、ここのところにつきましては、審議会の方でも、検討する必要がある、こういう御指摘をいただいておりますので、よく考えてまいりたい。しかし、実際問題、相当多くの方がもう入所されていることもございますので、その実態も踏まえながら減算措置ということでやられておりますけれども、そういったことについてどう考えるのか。一方では、経過措置を早急に廃止すべきだという厳しい御指摘もいただいておりますので、そういう御指摘も踏まえながら考えてまいりたいと思います。

泉(健)委員 そうですね。病床数でいうと約三万四千ですね、三万三千九百八十の病床数がこの経過措置の対象になっているわけです。

 もう一度お伺いします。厚生労働省は、この五年間、この改善についてどんな取り組みをされたんですか。

中村政府参考人 もちろん、一般制度としては、病院の近代化とかそういったことで施設を更新するといった場合の助成制度などもあるわけでございますが、設備、構造を改められるということは、基本的にはその設置者である病院の方々の努力によるところが大きいわけでございますので、病院の方々の努力を待ちたい、こういうことでやってまいったところでございます。

泉(健)委員 いつまで待つんでしょうね。

 助成制度の利用件数はどれぐらいですか。

中村政府参考人 民間病院の施設の近代化の補助金でございまして、ちょっと私、今手元にございませんので、後ほど委員の方に届けさせていただきます。

泉(健)委員 五年前でしたら、大臣、これはやはり許されていたと思うんですね。経過措置、よくある話です。

 ただ、これだけ今残っている状況、九百三十二施設残っているわけです。その状況を変えようという意気込みが余り見られない。そして、また今回経過措置だということであれば、これは何か歯どめなくいつまでもずっと経過措置だ。いつまでたっても変わらないですよ。大臣、やはり年限を切るという御判断をしていただいた方がいいんじゃないですかね。しっかりと、これはやはり年限を切っていただく、そして必ず直すということをしていただかないと、経過措置といったって人間には寿命があるわけですから、いつになったら施設設備が改善されるんですか。副大臣も思いますよね、これは。やはりこの経過措置、ちゃんと切りましょうよ。大臣、決断を。

尾辻国務大臣 局長からも答弁を申し上げておりますけれども、やはり私どもが気になりますのは、どうしても、現在入所しておられる方々がどうなるかということでございますから、こうした方々への配慮ということを考慮して、配慮をして経過措置の見直しというのは検討してまいりたいと考えております。

 もう少し時間をかしていただきたいと存じます。

泉(健)委員 我々、しっかりと見ていますので、そこはぜひお願いいたします。

 もう本当にあと数分になりましたが、改めて、本当はもっと地域包括支援センターの話もしたかった。そして実は、資料の一番後ろにくっつけているのは、実際の私の知り合いのホームヘルパーさんの出勤表なんですね。本当はもう少しやりたかったんですが、特にこの八日のところを見ていただくと、朝九時から夜二十四時までずっと仕事をさせられているという状況。これは丸をつけて横に文字が書いてあるわけですが、実は体調を壊していたんですね。血尿も出ている、そして体調も悪いという中で、それでも休ませてもらえないという悲鳴を私に訴えてきたケースがこれです。

 今回はこれ以上はここの場では申しませんけれども、このヘルパーさんまた現場の職員、かなりつらい思いをして仕事をしていますが、残念ながら待遇は余りよくないですね。お給料高くないですね。そういったこと、いろいろなものを含めても、我々は、この介護保険財政が非常に厳しい中で、それを心して、お金の配分、投資の仕方を考えなきゃならない。そういうときに、十八市町村で、幾ら事業所それぞれの判断でしょうといっても、六千万を超える筋トレマシンを買っている。やはりおかしいんじゃないですかと思うわけですね。ほかにもっとできることがあるんじゃないですか。そういうことをぜひやはりお考えをいただきたいというふうに思います。

 この分だと、本当はできればもっと質問をとりたいなと思うぐらいなので、またもう一回時間がとられることを願いながら、きょうの質問はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、小林千代美君。

小林(千)委員 民主党の小林千代美です。

 ちょっと質問通告したのと順番を変えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、一番最初に、モデル事業についてお伺いをしたいと思います。

 今回のこの介護予防の導入に当たりまして、平成十六年度に介護予防市町村モデル事業というものを厚生労働省は行いました。全国で七十四の市町村がこのモデル事業を実施いたしました。これにつきましては同僚議員から、その報告はどうなっているんだ、報告書が出ないとこれからの審議は進まないじゃないか、いつ出てくるんだというような指摘は以前からされております。

 このモデル事業、まずはその目的を教えてください。

中村政府参考人 御指摘のモデル事業は、軽度の要介護認定者の方に対しまして、国内外の文献等で効果が既に認められているサービスにつきまして、事業の実施に伴う実務上の課題、例えば安全面の配慮に関する課題等についての把握を行うことなどを目的といたしまして、平成十六年度に、特別区を含む六十九の市町村を対象に実施されているものでございます。

小林(千)委員 その答えは間違っています。まずは、そのようなエビデンスはもともとないということはこの委員会でずっとこの間言われていることでございますし、そこの内容だけでなく、目的そのものが間違っているんですよ。

 調査室の用意していただいている資料の三百一ページに載っているんですけれども、このモデル事業関係につきまして厚生労働省の資料がここに載っています。三百一ページをごらんください。

 ここに「市町村介護予防モデル事業関係」というのがございまして、その中の(1)事業の目的、「軽度の要介護認定者を中心に、介護予防サービスを重点的に提供し、その効果測定及び評価分析を行うことにより、介護保険制度の見直しに資する」。目的、違うじゃないですか、先ほどの答弁と。

 何が目的なんですか。ここにちゃんと書いてあるでないですか。この事業目的に書いてありますとおり、モデル事業を行って効果測定しなきゃいけないんですよ。それはやっている市町村がやることです。そして、評価分析を厚生労働省はしなければいけないんですよ。それを前提としまして、「行うことにより、介護保険制度の見直しに資する」んですから。今私たちがこの場でやっているのは何なんですか。介護保険制度の見直しのために審議しているんじゃないんですか、私たちは。

 前提条件の効果測定、評価分析がないのに、審議できないですよ。目的、違いますでしょう。どうですか、これは。

尾辻国務大臣 いや、これは私はこう読んだんですが。介護保険制度の見直しに資することを目的とするということであります。先日もお答え申し上げたかと思いますけれども、実際のサービスは、新しい介護保険制度見直しによるサービスというのは十八年の四月一日から始まる。法律で大きく骨格を決めていただいている。あと、今度はどういう具体的なサービスがいいかなということで、今市町村のモデル事業をやっていただいている。それはまさしく、新しくこの介護保険制度を見直してこうしますよということに資することになると私は読んでいるんですが、違いますでしょうか。

小林(千)委員 まさに私たちはその見直しをするためにここで議論をやっているわけなんです。省令で定めるですとか、ここで決まった後でやられてしまったら、私たちはそこまで責任持てないんですから、ここでちゃんとそこのところはきちっと決めておかなければ、あるいは検証、分析ををしておかなければいけないんですよ。

 何のために今この審議を私たちはしているんでしょうか。この効果測定、そして評価分析が出てこないことには、私たちはここから先に進むことはできません。いつ出てくるんでしょうか。

尾辻国務大臣 極めて基本的なことで、私どもはまず申し上げておりますけれども、今度の見直しに当たって、まず予防というのを重視する、それで……(小林(千)委員「そんなこと聞いていません。いつ出てくるんですかと聞いているんです」と呼ぶ)いや、ですから、そういうことを申し上げて、そうした大きな考え方の中でだんだんに、メニューがどうなるかとか事業がどうなるかということを詰めていくわけでありますから、まず法律を大きくここで御議論をいただく、そして、その後でまた、細かな部分はさらに政令、省令で決める部分もある、こういう順番でありますから、その順番で御議論いただけばいいのではないかと考えております。

小林(千)委員 この法案は、省令で決める、政令で決めるというところが余りに多過ぎるために、この場でしっかりと議論をすることが必要なんですよ。それが確保されない限り、私たちはこの法案に対して賛否を表明することはできないんですよ。

 少なくとも、この介護予防モデルの事業目的が、効果測定及び評価の分析を行うことにより介護保険制度の見直しをするわけなんですから、まずはここのところが出てこない限り、評価分析が出てこない限り、私たちは質疑をすることもできないですし、採決に及ぶこともできません。

 いつ出てきますか。

中村政府参考人 まず、今御質問になっておりますのは、平成十六年度の介護予防市町村モデル事業でございます。

 市町村の事業実績報告書については本年の四月十一日までに提出をお願いしているところであり、市町村の取りまとめ作業の進捗状況にもよりますけれども、事業実績報告書が提出され次第、できる限り速やかに報告書の取りまとめ、公表を行わせていただきます。

小林(千)委員 では、それが出てから私たちは審議を継続し、そしてそれが出てきて検証しないことには、とてもじゃないけれども採決なんてすることはできませんので。

 いつ出てくるんですか。それじゃないと理事間協議だってできないでしょう、理事さん。いつ出てくるんでしょうか。

中村政府参考人 そのモデル事業の位置づけについて委員が御指摘になっておりますので、私どもの考え方も、恐縮でございますけれども、御説明させていただきます。

 このモデル事業は、介護サービス開発小委員会と、それから介護予防スクリーニング手法検討小委員会という二つの小委員会、その上に介護予防サービス評価研究委員会という親委員会がございます。その親委員会では、今申し上げましたスクリーニング手法と、それから介護予防の開発小委員会、この二つの委員会が柱で動いている。この開発小委員会の方で、先ほど来御報告しておりますけれども、新たな介護予防サービス、新規サービスはどういうものがあるかといって、三つのサービスが新予防給付への導入が適当である、これについては、国内外の文献を評価検討した結果、エビデンスがある、こういうことで、まずこの三点について市町村のモデル事業をしようではないかと。

 それで、市町村のモデル事業については、市町村のモデル事業支援小委員会がございまして、モデル事業、六十九の市町村で行われておりますが、その小委員会のもとで、まさに市町村とも相談しながら、どういう問題点があるのか、そういったことについて事業を進めてきたところでございます。

 先ほど来申し上げておりますように、本年四月十一日までに提出をお願いしておりますので、市町村の提出がされ次第、できるだけ速やかに報告書を取りまとめて公表させていただきたいと思います。

小林(千)委員 前段の部分は長いからいいですから、後段の部分、市町村は四月十一日までに報告書を出してくる、できるだけ速やかにというのはいつですか、一カ月後ですか、二カ月後ですか。通常国会終わっちゃいますよ、百五十日。いつ出てくるんですか。

中村政府参考人 まずは、四月十一日までの提出をお願いしておりますし、私ども、こういうふうに議論にもなっておりますので、市町村の方に督促もさせていただきます。十一日までの提出状況についてはとにかく御報告をさせていただきたいと思いますので、そこはお待ちをいただきたいと思います。

 それから、事業実績報告書が提出され、今申し上げましたように、小委員会の方でまさに私どもの評価をさせていただかなければなりませんので……(小林(千)委員「小委員会の後はいいですから。いつ出てくるんですか」と呼ぶ)ですから、できるだけ速やかにと申し上げておるわけですね。(発言する者あり)だから、それは十一日までにどのくらい出てくるかというところにもかかっているわけでございますので、そこは御理解いただきたいと思います。

小林(千)委員 十一日までに市町村からは出てくるんですね。それは間違いないですよね。十五日までに資料を出してください。そこまで、それが出てこないと、私たちはそれから先、審議に応じることはできません。

中村政府参考人 十一日に、とにかく十一日までに提出をお願いいたしております。委員から十五日までにというお話でございますので、私ども、精いっぱい努力いたしまして、十五日に出せるものについては鋭意お出しさせていただきます。

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 小林君。

小林(千)委員 いつまでに出していただけますか。もう一度お答えください。

中村政府参考人 十一日までに提出していただいたものにつきまして、十四日までにお出しをさせていただきます。

小林(千)委員 何で私がここまで粘ったかといいますと、去年の年金審議みたいに、審議が終わってから合計特殊出生率が予想とは違ってこうでしたなんというふうにもうだまされるわけにいかないんですよ。ですから、議論の間にしっかりとその資料を私たちは精査しなければいけないんですよ。

 今回六十九の市町村で行ったモデル事業の中には、おっしゃるとおりに筋トレをやったところももちろんあります。しかし、筋トレ以外でも、例えばボールですとか、例えばストレッチマットですとかダンベルですとか、そのほかにも口腔ケアですとか、さまざまな介護予防に取り組んでいるところがあるんですよ。ですから、お金をかけたこれがいいのか、それともこっちの方が効果がいいのかということを検証しなければいけない。そうですよね。そのためにモデル事業を行っているんです。それを確認しなければ先に進むことはできませんので、その後の質問につきましては資料が出てきた以降にさせていただきたいと思います。

 それで、今回のこのモデル事業ですけれども、その対象となる市町村に通達した文章の中に、対象者は、要支援、要介護一、そして要介護二も含まれていました。今回この筋トレメニューを受けるのは要介護一までですね。要介護二を含めている理由は何でしょうか。うがった見方をすれば、将来的にはこの予防給付の中に要介護二の方の割と軽度の方も入れちゃおうということも、ひょっとしたら考えているんですか。何のために要介護二が入っているんでしょうか。

西副大臣 今回の新予防給付の対象者について、昨年七月に社会保障審議会の介護保険部会の報告が出されておりまして、そこに、「「要介護二」であっても介護予防が有効とされるケースも考えられる。」こういう内容が記されております。そのことも踏まえまして、市町村モデル事業においては、身体状況等も十分に配慮した上で、要介護二の方々についても一応対象に含めて事業を実施したということでございます。

 その後、新予防給付の対象者の選定基準や方法について、学識経験者それから市町村の現場の方々とも十分御意見を伺った上で、最終的には、新予防給付の対象者については、要支援それから要介護一のうち改善可能性のある方というところで今回の仕分けをしたということでございます。

小林(千)委員 ということは、今回の新予防給付に要介護二の人は含まれないということで間違いないですね。うなずいていらっしゃるので、間違いないと確認をいたしました。

 それから、このモデル事業を行っている市町村の中、特に五十一の市町村が筋力向上事業に取り組んでおります。それはもちろん、マシントレーニングだけじゃない、セラバンドだとかチューブだとかストレッチだとかなんとかだというふうにおっしゃいましたけれども、五十一の市町村のうち、トレーニングマシンを使っているのは四十二の市町村なんですよ。ほとんどのところはマシンジム。なぜなんですか。

 というのは、いつパワーリハビリテーションという言葉が筋力向上トレーニングというふうに変わったのかという議論が以前出ていましたけれども、老健局からいただいた資料で、「パワーリハビリテーションとは」という定義をもらいました。これは、パワーというのは力じゃないそうですね。パワーというのは、POWERは何かの頭文字をとっていて、力のパワーではないと。それで、「高齢者の活動促進、行動変容のために価値ある有効な結果を生み出すリハ戦略」というのが定義だというふうに書いてあります。その後に、「パワーリハの特徴は、マシントレーニングをすることです。」と書いてあるんです。結局マシンジムなんですよ。

 それで、今回のモデル事業にさまざま取り組んでいる市町村、皆さんに資料で、北海道新聞で今ちょうど「変わる介護保険」というのを連載でやっていまして、載っておりましたので、資料として用意をさせていただきました。

 北海道にあります奈井江町という町、ここでも今回のモデル事業に取り組みました。この新聞の三段目のところをごらんになってください。取り組みのまず最初に、「奈井江町の場合も同省」、同省はもちろん厚生労働省ですけれども、厚労省から「まず環境を整えてほしい」ということで、機器の一覧表が届けられましたというふうに言っているんですよ。奈井江町に、まずは器械を買って、マシンを買ってリハをやる環境を整えてやってくださいということを言っているんですよ。結局マシンですか。これは本当ですか、ここの記事に書かれていることは。

中村政府参考人 事実関係をお答え申し上げます。

 記事中の奈井江町・鈴木久枝係長にお電話で確認しましたところ、平成十三年、基盤整備事業で機器整備を行った際に、当時、高齢者向けの機器についての知識がなく、手元にあったプリントを見てドイツ製コンパスを酒井医療から購入した。厚生労働省からの補助事業だったので何となく厚生労働省からのプリントという気がしていたが、よく思い返してみると、当時札幌市で先行してトレーニング事業が行われていて、そこを参考にして事業を行った。機器についても、札幌市が導入した機器と同じものを導入した。プリントもそこからもらったものだと思い出した。したがって、私の思い違いであると。そのように国会で答えても差し支えないかと確認いたしましたところ、構いませんということでございました。

小林(千)委員 私は札幌市の住人なんですけれども、札幌市のせいにしないでくださいよ。実際に、このモデル事業に取り組んだ五十一の市町村の中でトレーニングマシンを使っているところが四十二、八〇%以上のところはジムをやっているんですよ。器械を購入するなりレンタルするなり、既存のというのもありましたけれども。こういう実態になっているんですよ。

 そうすると、やはり予防介護というのはジムトレ、筋トレすることなんだというふうに思ってしまうのはしようがないじゃないですか。これは裏に何か力が働いていると勘ぐりたくもなりますよ。いかがですか、厚労省。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの方が機器を紹介する、そういうようなことは絶対にあり得ませんし、そういうことはございません。御理解賜りたいと思います。

小林(千)委員 先ほどの北海道新聞の資料、よかったですね、「薄れる「マシン頼み」」というふうにばんと出ましたので。それだけですけれども。よかったと思います。

 続いて、このモデル事業は、三月いっぱいで十六年度は終わっていますけれども、これは追跡調査はされる予定なんでしょうか。

 といいますのも、三カ月やった、終わった、その後どうなったかという検証も当然必要です。追跡調査はやるんでしょうか。ダイエットと一緒ですよ。やってやせた、でもやめた、リバウンドしちゃったでは困るんですから。追跡調査はどうなるんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、こういう予防事業は、効果の持続の問題もあると思いますし、それからもとに戻るということもあると思います。どれだけそういったことが生活習慣といいますかその人のライフスタイルに定着するかということは、ダイエットの例を見るまでもなく、そのとおりだと思います。

 そこで、私どもは、モデル事業につきましては、プログラム実施前後の評価によって効果の有無を判断しておりますので、原則として、例えば十七年度事業ということでありますので、事業終了後の参加者の状態等を追跡調査することは予定はしておりませんけれども、プログラム実施期間終了後においても、参加者の御理解を得ながら可能な限り情報の収集に努めてまいりたいと思います。それが一点でございます。

 なお、新しい予防給付の円滑な実施を図る観点から、本年度、十七年におきましても、新予防給付に基づくサービスの提供プロセスに関する試行は行うこととしております。

 これは、一つは、御報告しております新しい基準に基づいた要介護認定を行うというモデル事業をやることを一つしております。

 二つ目は、要支援の方、この試行において新しい予防給付の対象者となる方ですね、と判定された方々について、介護予防マネジメントに基づいたアセスメント、ケアプランの策定を試行的に行い、市町村における実施面での課題も確認させていただきたいと思っております。

 三点目、これは、市町村の御理解が得られ、体制の整った市町村が出てくればということですが、このようにアセスメント、ケアプランの策定を試行し、御利用者の方の同意を得られれば、この新しいプランに基づいたサービスの提供、新しい予防給付の考え方に基づいたサービス利用ということも試行事業としてやらせていただきたい、こういうことを検討いたしております。

小林(千)委員 報告書が出てこないので、私は自分で実際にモデル事業をやっているところを見に行きました。

 ちょうどこのモデル事業、筋トレをやっている五十一の市町村の中の一つ、北海道江別市というところが私の地元なんですよ。ちょうどよかったんですよね。それで、実際にやっているところ、三月三十日、この事業が終了をした日に見に行きまして、担当課長にお話を聞いてまいりましたし、そのトレーニングをやっている現場も見せていただきました。

 大臣、モデル事業の経過につきまして、この効果につきましてはお知りになりたいと思うでしょうから、ちょっと私が、一つの市だけです、だって、そちらから出てこないんですから、自分の知っていることだけしか言うことできませんので、ここで御報告をしたいと思います。モデル事業、どういうふうにやっているか、どんな結果が出ているか。

 その江別市というところは、人口が十二万人です。要介護一そして要支援の方々は、二つ合わせて大体千五百人ぐらい市内でいるというふうにおっしゃっておりました。そういった市をイメージしてください。そこが、七月の一日から、三期に分けてこの三月の三十一日までモデル事業を実施いたしました。七月、八月、九月の第一期グループ、それから、十月、十一、十二の第二期グループ、一、二、三の三期グループ。

 第一期、これは募集をしたんですけれども、大体十五人定員ということで募集をしました。募集の方法は市の広報でした。市の広報誌に出しまして、こういった対象者の方は来てくださいというふうに募集をしたところ、広報誌で集まったのは十人しかいなかった。どれだけ自主性を引き出せるかというのも問題だと思いますね。これじゃ足りないからということなので、在宅介護支援センターですとか、ケアマネさんですとか、デイサービス、そういうところを通じて、どうだい、受けてみないかいというところで、何とか第一期目十七人そろえた。第二期目も同じような状態でした。十九名でやっております。そして、第三期。第三期になると、なかなかそれだけじゃ集まり切れない。集まり切れなくて、二十一名受講したんですけれども、とうとう人が集まらなかったので、二十一名中十名は一期、二期を受けた人がまた来たというような内容になっている。

 実際に千五百人もいる対象者の中で、十何人、合計三十何人、四十人ぐらいしか、みずから行こうというふうに意思を持っている人はいない。(発言する者あり)そうなんですよ。それが現実。

 それで、年齢も聞いてみました。そしたら、最低、一番お若い方で六十二歳。この方は、六十二で六十五より下なんですけれども、要支援に入っている方だそうです。六十二歳から、最高齢は八十五歳でした。男性が二十八名の、女性が二十九名の利用者です。

 それから、要介護認定なんですけれども、この十七と十九と二十一、これを全部足した三期の合計の数なんですが、要支援者が二十一名、要介護一が六名、要介護二が二名、非認定者、つまり要支援になっていない方が二十八名なんですよ。今回の対象は、要支援と要介護一ですよね。それじゃ半分にも満たなかった。半分にも満たないから、市の方でも健常者も入れて、健康な方も入れてやったということなんですよ。それで何とか事業をやっているんです。こういう現実になっていますので、報告書が来たときに注意をなさってください。そういった内容になっております。

 実際に、ここは、週二回、一回二時間、これを三カ月コースでやったという内容でした。市がやるのではなくて、民間に委託をいたしました。幸いなことに、近くの、同じ市内にこういった老健施設が、以前から通所リハに力を入れているところがありまして、そこが全面的に協力をしてくださったそうです。そこを市の事業として、対象として利用させてもらったということですね。

 それで、これにかかった費用です。初年度、六百万かかりました。ここも器械買っているんです、例のドイツ製のコンパス。本当に立派な器械でした。普通のジムの器械とは違うんです。高齢者の方々、例えば背骨が曲がっているですとか、そういう方々のために、背もたれの角度が調整できるようになっているですとか、あるいは、普通のジムだと、負荷が、例えば五キロですとか十キロからしかない。でも、もっと軽い負荷からできるように、例えば一キロという設定があるですとか、あるいは、ワイヤを使っておりますけれども、それでは危険なので、ワイヤではなくてゴムのバンドで負荷のおもりの上げ下げをやっている。

 そういったドイツ製のコンパスというブランドの器械、これを六台ワンセット、今回のこの事業で購入をいたしまして、購入資金は、器械だけで税込み八百四十万でした、六台で。国庫が二分の一、北海道が四分の一、市が四分の一出しております。こういうようなお金の使い方をしているんですね。

 一番気になるのは、それで一体どれだけ効果があったんだろうかということです。それで、三期はまだ私が行ったときはデータが出ていませんでしたので、一期、二期のデータをもらいました。そうすると、一期、二期、合計三十六人中、握力、改善した十五人、開眼片足立ち、改善したが十五人、前屈、これが改善十五人、ファンクショナルリーチ十六人、これは後で御説明しますけれども、タイム・アップ・アンド・ゴー、改善十八人、十メートル歩行、改善二十三人、こんな内容になっております。

 では、この改善とは一体何なんだ、どういったことが改善なんだというのがありまして、皆さんに資料をお配りしております体力測定データというのを、これは六枚ですか、皆さんのお手元に具体的な数値が行っています。

 これは、実際の江別市の第一期、二期を受講した三十六名の方の生データです。私、何もいじくっていません。都合のいい人だけピックアップしたりしておりません。生データですので、これをゆっくりごらんください。本当だったら、これはプロの分析の方が見て、これはどのくらい改善というふうに言えばいいのかもしれませんけれども、私なりに分析をさせていただきまして、例えば、この握力何キロが何キロになったというのはどういうことなのかなというふうに考えました。

 そこで、きょうは握力計が登場します。ストップウオッチも登場します。すべて健康センターからお借りをしてまいりました。そこに、例えば、一番最初の一枚目の握力、開始時、これは最初のときですね、何キロ、何キロと三十六人のデータが出ております。その後に、終了時何キロという数字が出ております。これは、具体的に握力何キロといっても想像がなかなか、数字を見てぱっと出てきませんので、私、自分の握力、今はかります。――二十九キロでした。これはきき手でやるそうです。私が二十九キロというのを覚えていてください。だれかやっていただいてもいいんですけれども。

 それから、もう一つやってみたい、すぐできるのだけ体力測定しますので。十メーター歩行と一番最後にありますね、そこで、例えば五・六三秒ですとか、長い人ですと十四秒ですとかかかっていますけれども、十メーターを五秒で歩くってどのぐらいなのかなと、なかなか想像できませんので、実際にはかってみます。

 あらかじめ、十メーター、この会場ではかっておきました。ちょうどここから調査室の方が座っていらっしゃるそこまで、はかったらちょうど十メーターだったんですよ。済みません、ちょっと今、私、歩きます。計測していただけますか。スタートと言ってください。――到着。私、今六秒。今、早足でしたよね、ごらんになっていただいたと思います。六秒で歩くということは、計算すると時速六キロです。それを思ってください。私の握力が二十九キロ。私が十メーター今の速度で歩いて六秒です。それを念頭に置いてこの表を見ていただきたいんです。

 例えば一番の方、一番上のところ、わかりやすいように一番右にも一と振っています。七十三歳の男性、この方は非認定者です。ですから、今回の対象ではありません。そういう方が受けている。握力、改善六・九%だけれども、終了時二十九キロと私とほとんど一緒です。私も包丁を持てます、ほとんど料理しませんけれども。

 一番、続いて、開眼片足立ちというのは、目をあけて手を腰に当てて片足でどれだけ頑張れるかという体力測定です。これが、私も実際にやってみましたら一分半ぐらいです。この七十三歳男性も九十一秒で少し悪くなっている。悪くなったって三秒、八十八秒になったからといって改悪とは言えないですよね。こういう方。

 それから、体前屈というのは、立ったまま前屈をするのではなくて、壁に背をつけてぺたっと座った状態で手を伸ばして何センチ前に行けるかという前屈だそうです。つまり柔軟性をはかるものなんですけれども、この人は変わらなかったんですね。体がかたいおじいちゃん。

 それから、ファンクショナルリーチと次にありますけれども、これは垂直に手を伸ばした状態から何センチ前に頑張れるかなんです。これも私、実際にやったら三十五センチか四十センチぐらいです。七十三歳の男性とほぼ一緒。

 それから、次のタイム・アップ・アンド・ゴーは、座った状態で三メーター前にある目標物、コーンでもポールでも何でもいいんですけれども、これを行ってぐるっと回ってきてまた座るという体力測定。私もやってみましたけれども、やはり六秒ぐらいかかります。

 この一番の男性は五秒ですよ、十メーター、私が六秒かかっていたところを。これは、十メーターなるべく速歩き、走ったらいけないという規定があるんですけれども。これを考えたら、この一番の男性は、ちょっと体がかたいけれども、スーパーおじいちゃんになるわけなんです。

 ほかにも、では、そういうところばかり上げてというのも。でも、九番の方を見ていただくと、六十九歳女性なんですけれども、九番を見てください、一番右。改善率、握力変わらない。片足立ちはかえって悪くなった。それから、前屈は変わらない。ファンクショナルリーチは少しよくなった。それから、タイム・アップ・アンド・ゴー、これは一周回ってくるもの、悪くなった。歩くのも悪くなった、六秒だから私と一緒ですけれども。こういうデータ。

 十五番の八十五歳の男性、要介護一、この方は、ずっと見てみればいいんですけれども、よくなっているんですよね。握力九・八%。片足立ちも八三・三%改善、六秒が十一秒になった。それから、前屈も二センチ前に行った。それから、ファンクショナルリーチも三センチ改善。タイム・アップ・アンド・ゴーも二秒改善。十メーター歩行も二秒改善。

 確かにそれは個人差はあるでしょう、当然。三カ月間プログラムを受けて、よくなったかもしれない、変わらないかもしれない、悪くなったかもしれない。ただ、改善率だけ見て、二十何%改善でごまかされないでほしいと思うのは、私がここからそこまで行くのに六秒だったのが五秒になったから二〇%改善なんですか。それは数字の上では改善ですよ。でも、こういうことをやって十メーター歩けたから、それが速く歩けるようになったからといって、市営住宅の四階や五階に住んでいる人が、階段を上りおりして、五百メーター先のスーパーに行って帰ってくることができるのかということなんですよ。

 十メーター速く歩くのと、これで自分の生活の能力がどれだけ改善したかということがどんな因果関係があるでしょうか。そういった効果検証をしてほしいんですよ、これだけのデータを五十一の自治体でやって分析をするというんでしたら。私がデータを分析して出してくれ、出してくれと言うのはそういった意味なんです。

 具体的な数値を見ていただくと、この理由がよくわかっていただけると思います。十四日までにデータをいただくという先ほど回答をいただきました。ですので、局長、この江別のデータの改善の中には二十八名、非該当者も含まれていますから、そういうのが入っていたらだめですよ。例のアメリカの健常者が太極拳をやって効果がありましたというのと同じになってしまいますから、そういうのはちゃんと抜いて対象者だけピックアップして、それで、どういった効果があるのか、ちゃんとこの一人一人のデータを分析した結果を出してください。

 大臣、私、ここまで一人で随分しゃべりましたけれども、この具体的な数字を見てどのようにお考えになったでしょうか。

西副大臣 お答えします。

 大変具体的なお話をいただきまして、十一日に多分出るであろう数字と内容も少し紹介していただきましたが、十メートル歩くのに何秒かかるかということがどうなんだと。多分、交差点を渡るのに少し速かった方がいいのか、また、何か交通事故に敏捷性があった方がいいのか、必ずしも全く無縁ではないとは思いますが、要は、日常生活の質がいかによくなるか、こういうことだろうと思います。

 ただ、そういう意味で、同時に、私は、一つの運動の効果の指標として、共通のこの二十数名の皆さんの向上の度合いをこういう形で見たのではないかというふうに思っておりまして、そんな意味では、運動機能が向上することによって外に出る機会も多い、また、少しあちこち歩かれることによってさらに筋力も強化するというふうに前向きにうまく運んでくれることを願っているわけでございます。そんなことによって生活全体に活気を取り戻すことができればいい、こう思っております。

 全体がこういうデータとして上がってくるのかどうか私もわかりませんが、今拝見した印象としてそういう感じがいたしました。

小林(千)委員 ぜひ大臣の御感想を聞かせていただきたいと思います、この具体的な数字を見て。

尾辻国務大臣 数字で何かをあらわすとすると、検査してみてこの数字ですということを出さなきゃいけませんから、こういうふうにして数字を出してみるというのも、数字を出すという意味において意味があるんだろうと思います。では、またほかに何か検査の方法があればということになるんだろう。例えば十メートル歩いて何秒とおっしゃいましたが、それでは二十メートル歩いて何秒にしてみましょうか、はかってみましょうかとか、そういう数字のとり方しかないだろうなと思って聞いておりました。何かで数字を出さなきゃいかぬだろうなとまず思いました。

 それはそれで、数字が出てきます、それを今度は……(小林(千)委員「その先です」と呼ぶ)その先にそれをどう分析するかというのは、一つずつが生活にどういう影響があるかというのはトータルで考える話だと思いますから、トータルでという意味は、何も、歩く速さがどうだから、では生活がどう変化するんでしょうかとか、それが日常生活にどこにどういいんでしょうかとかという、余り限定、何というんでしょうか、直接結びつけて、これからこれというような話にはならないだろうな、大きく生活ということで考えるんだろうなと思いながら聞いておりました。

小林(千)委員 私たちが知りたいのは、この具体的な数値などじゃないんですよ。それによって生活の質がどういうふうに変わっていくのか、変化するのか、向上するのか、それが知りたいんですよ。

 先ほどお配りをしました北海道新聞の一番下のところをごらんになってください。真ん中辺です。器械によるトレーニングを受けた方がいいのか、それともケアやリハビリの方が効果的なのか。そういったことを、私たちは、データを示していただいて、判断しなければいけない。器械が本当に役立つのかどうなのか、ほかの例えば栄養改善をして体力をつけた方がいいのか。

 この新聞の一番最後のところをごらんになっていただきたい。「せめて、利用者に直結する情報は明らかにして議論してほしい」と訴えている。」私たちが今、実際にここでやっているのはそういうことなんですよ。ですので、今回の十四日のデータというものを、分析、評価というものをお待ちしております。私たちのこういったニーズに合うデータを出していただくことを約束していただけますね。

中村政府参考人 今、具体的に江別市の例で委員御指摘がございました。

 私どものモデル事業では、江別市でまず介護予防重点・推進評価委員会をつくっていただく、その評価委員会でまず江別市として評価をしていただくということをお願いしています。委員構成としては、介護認定審査会の委員でございますとか、医療関係者、公衆衛生の関係者、それからいろいろ介護予防プログラムで実技指導を行う人、こういった方々にお願いをしておりますので、十一日に江別市から上がってくるとすると、江別市の評価も私どもにいただけるのではないかと思っています。

 それで、急ぎ行いますけれども、私どもが想定しておりますのは、こうやってモデル事業が上がってきて、江別市の評価もついて上がってくる、そこに対して、私どもも、市町村のモデル事業の支援委員会が、先ほど御紹介しましたようにありますので、またその支援委員会で各市の市町村のモデル事業の評価もさせていただく、そういう手順を考えております。

 いずれにしても、十一日が締め切りでございまして、十四日にお出しする、こういうことでございますので、私どもも、江別市からどういう評価で上がってくるかということは拝見させていただきたいと思っております。

小林(千)委員 それから、もう一つなんですけれども、実際にこのモデル事業を行って、途中で脱落者がいなかったのかですとか、けがや事故は起きなかったのか。これはちゃんと聞かなければいけません。

 この江別市は、すばらしいことに途中で脱落者もいなかった。一人途中で入院してしまったんですけれども、それは筋トレが原因で入院したわけではなかったそうです。一人入院が出たけれども、全員が最後まで三カ月間継続して受けることができた、脱落者もいなかった、けが人も出なかった。

 ですからよかったんですけれども、ひょっとしたら、全国の中ではそういったケースがあるのかもしれない。このモデル事業を行うに当たっては保険に入りなさいという通達も出ておりました。保険に入るということは、けが、事故が起こるかもしれないということを当然見越しているから保険に入りなさいという指示が出たのだと思いますので、そういった、途中脱落者はいなかったのか、けがや事故は起こらなかったのか。これによってかえって体を痛くしたとか、腰を痛くしたですとか、そういう方がいなかったかということも同時に検証をしていただきたいと思います。

 そして、これは要望といたしまして、現場の声を一つ上げさせていただきますけれども、江別市、こういうことで、本当に一生懸命この半年取り組んでいただけました。でも、現場の声として、一番心配なのは、これからこういったことを行っていったら、ひょっとしたら介護保険料が値上がりをしてしまうのではないか。だって、これは八百四十万の器械を買ったんですもの。今回は国のモデル事業ですから、国の一般会計の中からこれはお金が出ました。

 しかしながら、これから各自治体が行わなければいけない、介護保険の中から行わなければいけないであるとすると、まあ、それは自治体によって何を選択しようと勝手ですよと言うのかもしれませんよ。しかしながら、このマシンを買うということは、少なくとも何百万かお金かかるんです。介護保険の会計を圧迫することになってしまわないか。それで本当に効果があるのか、みんなこれを受けてもらおうというふうに思うのか。先ほどの例のように、ひょっとしたら利用者がいない、集まってこない、そんなことになったら、どうせ自分たちはお金を払ったって、ジムマシンに何百万かかってしまうんだったら払うのばかみたい、こういったことで、現場は、未払いになるのではないか、介護保険の会計というものが悪化してしまうのではないかということを大変心配しております。これを一言つけ加えさせていただきたいと思います。

 もっと質問したかったんですけれども、時間がもうあと五分になってしまいまして、最後に、先に進めませんので、介護労働者の現場の話をさせていただきたいと思います。

 介護の現場で働く方々は本当に大変です。劣悪な環境の中で、あるいは労働環境も十分とは言えない中で働いてくださっております。その中で、例えば施設で介護をされている方。その中では、例えば施設の中で拘束が起きている、虐待が起きている、死亡事故まで起こってしまった、これが現状です。もちろん、そのこと自体、行った介護労働者はいけない。しかし、その背景を考えてみますと、その現場の働く環境が余りにも過酷であるということが引き金になっているというのも、これはさまざま言われているところです。

 例えば、拘束するにしても、拘束をしていないとほかの人に迷惑がかかってしまうからやむを得ず拘束しているんだ、そういう声もあります。しかしながら、そういうところは、人手が、つまり人員が不足をしているかといえば、定員は足りているんですよ。定員は足りているにもかかわらず人が足りない。拘束をしないと、とてもじゃないけれども全員介護、目を届かせることはできない、こんな環境になっております。

 また、ホームヘルパーさんたちも、ほとんどの方々が、八割ぐらいが非常勤、登録型で直行直帰になっている。そういった状況では、自分の家からそこのサービスをされているところまで行って帰ってくるだけですから、そういった情報というものは、ケアマネさんですとか事業者の間で、あるいはホームヘルパーさん同士で共有をすることができません。チームケアというものをすることはできません。

 こういった介護労働者の方々のやはり適切な労働環境をつくること、そして雇用管理、これは必ず必要なことだと思います。見直しを含めて、厚労省としてどのようにこれから取り組まれるおつもりでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 言うまでもございません、介護というのは重要な分野でありますし、そこで働く人たちが誇りを持って働く環境をつくっていくこと、おっしゃるとおり大切なことだろうと思います。

 そういう意味で、一つはまず、最低労働条件を守っていただくこと、これはまず第一に重要なことでありまして、昨年の八月に、「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」という通達を出しまして、介護労働の現場でどういうふうにしたら労働基準が守られるかということをお願いして、周知を図っております。

 また、そういう中で、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律という法律がございます。これは、むしろ事業者の方にさまざまな支援をすることによって働く場の改善を図ろうとしているものでありまして、例えば、雇用管理に関する講習、平成十五年度で八千を超える事業者の方に行っております。また、労働条件や訓練とか、さまざまな雇用管理の課題について、介護労働サービスインストラクターというのを置きまして、事業者それから働いている方からの御相談を受けることにしておりますが、これも、例えば平成十五年ですと十一万二千件というふうな御相談をいただいております。

 いずれにいたしましても、こういう重要な現場だということで、雇用対策の中でも重要な場面ということで、最後お話しになりましたようなことを頑張ってまいりたいと思います。

小林(千)委員 残りの質問は十五日以降にさせていただきます。十四日までのデータをお待ちしております。

鴨下委員長 次回は、来る十二日火曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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