衆議院

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第16号 平成17年4月15日(金曜日)

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平成十七年四月十五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    河野 太郎君

      左藤  章君    菅原 一秀君

      竹下  亘君    中山 泰秀君

      原田 令嗣君    福井  照君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    宮下 一郎君

      森岡 正宏君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      長妻  昭君    本多 平直君

      馬淵 澄夫君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      赤松 正雄君    石田 祝稔君

      高木美智代君    長沢 広明君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     竹下  亘君

  原田 令嗣君     宮下 一郎君

  橋本 清仁君     本多 平直君

  藤田 一枝君     馬淵 澄夫君

  水島 広子君     長妻  昭君

  高木美智代君     長沢 広明君

同日

 辞任         補欠選任

  竹下  亘君     左藤  章君

  宮下 一郎君     原田 令嗣君

  長妻  昭君     水島 広子君

  本多 平直君     橋本 清仁君

  馬淵 澄夫君     藤田 一枝君

  長沢 広明君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     小西  理君

  赤松 正雄君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 祝稔君     高木美智代君

    ―――――――――――――

四月十三日

 最低保障年金制度の実現に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第八七九号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八八一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八八二号)

 同(山口富男君紹介)(第八八三号)

 だれもが安心して利用できる介護制度の実現に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八八四号)

 同(山口富男君紹介)(第八八五号)

 年金法の実施中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八七号)

 同(山口富男君紹介)(第八八八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八八九号)

 同(石井郁子君紹介)(第九三四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九三五号)

 利用者負担の大幅増など介護保険の改悪反対に関する請願(田中慶秋君紹介)(第八九〇号)

 同(篠原孝君紹介)(第九三六号)

 同(下条みつ君紹介)(第九九六号)

 介護保険の見直しに、改善を求めることに関する請願(黄川田徹君紹介)(第八九一号)

 国民の命と暮らしの保障に関する請願(山口富男君紹介)(第八九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九四一号)

 同(山口富男君紹介)(第九四二号)

 安心できる介護制度など社会保障の拡充に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八九三号)

 同(山口富男君紹介)(第八九四号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(赤松正雄君紹介)(第八九五号)

 同(小野晋也君紹介)(第八九六号)

 同(黄川田徹君紹介)(第八九七号)

 同(小林興起君紹介)(第八九八号)

 同(下条みつ君紹介)(第八九九号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第九〇〇号)

 同(橋本清仁君紹介)(第九〇一号)

 同(細野豪志君紹介)(第九〇二号)

 同(松宮勲君紹介)(第九〇三号)

 同(松本剛明君紹介)(第九〇四号)

 同(三井辨雄君紹介)(第九〇五号)

 同(米澤隆君紹介)(第九〇六号)

 同(渡部恒三君紹介)(第九〇七号)

 同(渡辺具能君紹介)(第九〇八号)

 同(伊吹文明君紹介)(第九四三号)

 同(岩永峯一君紹介)(第九四四号)

 同(遠藤利明君紹介)(第九四五号)

 同(太田昭宏君紹介)(第九四六号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第九四七号)

 同(高木毅君紹介)(第九四八号)

 同(谷川弥一君紹介)(第九四九号)

 同(土井たか子君紹介)(第九五〇号)

 同(中井洽君紹介)(第九五一号)

 同(中川正春君紹介)(第九五二号)

 同(山名靖英君紹介)(第九五三号)

 同(石破茂君紹介)(第九六八号)

 同(川上義博君紹介)(第九六九号)

 同(高木美智代君紹介)(第九七〇号)

 同(津島雄二君紹介)(第九七一号)

 同(東門美津子君紹介)(第九七二号)

 同(羽田孜君紹介)(第九七三号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第九七四号)

 同(冬柴鐵三君紹介)(第九七五号)

 同(三原朝彦君紹介)(第九七六号)

 同(井上喜一君紹介)(第九九七号)

 同(鈴木康友君紹介)(第九九八号)

 同(寺田学君紹介)(第九九九号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(藤井孝男君紹介)(第一〇〇一号)

 同(御法川信英君紹介)(第一〇〇二号)

 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げ中止に関する請願(吉井英勝君紹介)(第九三一号)

 年金制度の改悪反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第九三二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九三三号)

 最低保障年金制度の創設に関する請願(山口富男君紹介)(第九三七号)

 利用者負担の大幅増など介護保険改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第九三八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九三九号)

 介護保険の改悪反対、改善に関する請願(石毛えい子君紹介)(第九四〇号)

 臓器の移植に関する法律の改正に関する請願(海江田万里君紹介)(第九五四号)

 同(土井たか子君紹介)(第九五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、医薬食品局長阿曽沼慎司君、労働基準局長青木豊君、職業安定局長青木功君、社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、老健局長中村秀一君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石毛えい子君。

石毛委員 おはようございます。民主党の石毛えい子でございます。

 私は、これまで本委員会におきまして質疑が交わされました中で、整理、確認をしておきたい点をもう一度質問をさせていただきたいということと、それから、前回残している質問もございますので、それをお尋ねしたいと思います。

 具体的に質問に入ります前に、前回、四月一日の私の本委員会での質問に対して、局長の答弁に行き違いがあったことを確認しておいていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の行き違いがあったことは、私認識いたしておりまして、この点、真摯に受けとめ、今後御答弁させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

石毛委員 それでは、質問に入ってまいります。

 これまでの質疑の焦点の一つが、新予防給付をめぐってでございました。この新予防給付は、昨年の七月に介護保険改正に関する意見がまとめて公表されて以降、新予防給付が施行されますと、サービスの利用者や提供者側のホームヘルパー、ケアマネジャーに、これまで使えていたサービスが使えなくされるのではないかということで、大きな不安を引き起こしてきたところはもう周知のところだと思います。その点は本当に重要な点でございますので、ここで確認をさせていただきたいと思います。

 新しく要支援一また要支援二に認定された該当者は新予防給付を受けるとされています。その際、三つの点を確認しておきたいと思います。

 まず第一に、これまでのサービス、これは内容や提供の方法を見直すというふうに言われておりますけれども、これまでのサービスと、それから新たなサービス、運動器の機能向上など三種でございますが、このサービスを利用者が選択できると確認したいと思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 利用者は必要なサービスを選択できるものと考えております。

 新予防給付におきましては、委員御指摘のとおり、既存の居宅サービスについてその提供方法等を見直した上で給付の対象といたしております。また、運動器の機能向上等の新しいサービスも認められておりますが、これらのサービスにつきまして、利用者は専門家の支援を受けながら、これらの中から必要なサービスを選択できるということでございます。

石毛委員 今局長は、専門家の支援を受けながらという表現をなさいました。この点をめぐってもしばしば議論がやりとりされたところでございます。

 その答弁の中で、私が議事録を読み返しておりまして気になりました点は、適切なプランあるいは適正なプランに基づいてという表現がございました。今の専門家の支援を得てということとかかわるかとも思いますけれども、専門家の支援はよろしいのですが、介護保険はあくまでも利用者本人の意思決定そして同意が前提でございます。

 同意という前に、本人の思っていること、考えていることあるいは希望していること、そうした意思決定を前提、そしてまた、同意を得てケアプランが作成される、あるいは自分でケアプランを作成してもいいということでございますので、この点も、意思決定、同意が前提であるということを明確に確認を求めておきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者の意思決定、同意が前提でございます。

 介護保険サービスの利用においては、利用者本人がサービスを選択することを基本に、これを専門家が支えるということを基本といたしております。ケアプランにつきましても、利用者の希望や心身の状況を踏まえマネジャーが原案を作成し、利用者を含め専門家がよく話し合って、最終的に利用者の同意を得て作成されるものであり、利用者の意思決定、同意ということが前提になります。

石毛委員 利用者が自立をしていく、自立生活を営んでいく、あるいは利用者の自立、自立生活を支援するということを考えます点で、私は、ずっとスウェーデンを初め北欧で、残存機能の維持ということ、私は残存機能という表現は余り個人的には好まないんですけれども、今ある機能を維持していく、それも生活全体の中でどういうことができるのか、そのことを大切にしていくというような視点は本当に大事だろうというふうに思っております。

 今回の新予防給付で不安に思われる点は、無理してやればできるかもしれないけれども、やったがゆえに状態が退行していくというか悪くなっていく。そのときにできるかできないかという判断をどのようにするのかという、本当に微妙で大切な点がたくさんあるというふうに認識をしております。

 ですから、生活全体をきちっと受けとめて自立生活を維持していく、目標をきちっと立てながら新しい予防給付も提供していくということ、このことを現場にもきちっと通じるように努力をしていただきたいというふうに申し上げておきます。

 そこでもう一点、このことに関しまして三つ目のことですけれども、これまでこの介護保険法案の改正にかかわりまして担当部署で出されました説明文書、これを見ておりますと、原則的にとか例外的にとか、私はこれにこだわるんですけれども、そういう文言が見られます。

 なぜこれにこだわりますかといいますと、やはり厚生労働省が本意で何を考えているかどうかということはちょっとおきまして、やはり現場に行きますと文書がひとり歩きをし始めて、原則的にと書いてあることはやるけれども例外的にと書いてあることはやってはいけないというような受けとめ方がしばしばされておりまして、それがこの委員会でも指摘をされております。ある意味ではサービス提供の行き過ぎになりまして、これは例外的にされていることですからできませんということで、その部分を例えば地域の活動を活用するということだったらまだいいのかもしれませんけれども、その部分を商品的なサービスとして受けてもらう、そういう実例がしばしば見られますし、硬直している実態がかなりあるというふうに私は思っております。

 それは、現場の方とお話をしていまして、どうしてこうなってしまうんだろうというようなことをよく聞きますので、この法案の賛否、我が党がどう考えているかということは別にしまして、これから政令、省令をつくっていくわけで、特に省令が現場を動かしていくということになりますから、十分に配慮をしてつくっていただきたいというふうに要請したいと思いますし、私どももまた、そのことについて意見などを申し上げさせていただきたいと考えるところでございますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 この法律の改正、お認めをいただけますと、施行に向けまして、今後、政省令や通知の策定作業を行うことになりますけれども、その際には、今お話しいただいておりますように、政省令や通知の文言が現場に大変大きな影響を与える、そのことを十分に吟味しながら策定に努めてまいります。また、いろいろな御指摘もいただきたいと存じます。

石毛委員 新予防給付をめぐる私からの申し上げたいことは以上でとどめたいと思いますけれども、この中の新たなサービスの一つとされています運動器の機能向上、とりわけ機器を用いた筋力トレーニングに関しましては、今そこに、とても分厚い報告を、昨日夕刻にいただいたというふうに聞いております。また私どもの方でも勉強いたしまして、これまで論点とされておりましたエビデンスの問題、それからこの実施が果たして給付の節約に通じるのかどうかというような論点、まだ整理され切っておりません。これはまた機会を改めまして同僚委員が質問をさせていただくと思います。私からはこの点は省いていきたいと思いますので、以降、よろしくお願いいたします。

 次でございますけれども、地域支援事業が今回介護保険に包含されることになりました。当初、これも厚生労働省が主管課長会議などで説明をされていましたその発言では、介護保険給付費の三%程度、今は何%にするかはまだ未定というふうに言われているようですけれども、仮に三%としますと約二千億円ぐらいのオーダーになるかと思います。これが地域支援事業をめぐってサービス提供を供給する事業者にどのようにとらえられるかということは、大きなやはり論点の一つだと思います。

 私から申し上げるまでもないのですが、介護保険は、サービス供給市場を自由化してサービスをふやしていくということが法制定時の大きなポイントの一つでございました。それがある意味で、今回の法改正に至るサービス供給の、私流の表現でございますけれども肥大化、あるいはケアマネジメントの適切性を欠く部分もありという、これは大臣が、一部がどれぐらいなのかということで、大分山井委員とこだわって質疑を交わしていた部分でございますけれども、そうしたことが過去五年間を通じて起こってきた注目すべき事象のことですし、このサービス提供市場の自由化ということは、今回は、これまでは税であったわけですから、予算のもとで、できるところまででとどまっていたわけですけれども、保険は結果に対する支払いでございますから、供給が膨張するとこの部分が膨張しかねないという危惧も、何度も何度も質疑の中で表明されておりました。

 特に、私、余りこのことに触れるつもりもないのですけれども、筋力トレーニングは機器を使わなくてもできると言いつつ機器も使うわけですから、その機器を使う事業者の方が介護保険のサービス提供事業者の方とダイレクトにつながっていくわけですので、なかなかここのコントロールは難しいというふうに認識をしております。

 ですから、ここがうまくいかなければ、新予防給付は介護給付を縮減するもの、節減するものと言いつつ、五年後に見直すときにはまた、今度はこの分野で給付費用が膨張したということになりかねない。これも何度も指摘をされてきたことでございます。

 そこで、厚生労働省としましては、その危惧をどのように受けとめ、どのようにコントロールされていくかということ、そのことについて一点お答えいただきたいのと、それから二点目、なかなかシステムはややこしくなるんだと思います。地域支援事業に対する、それを実施する事業者に対する報酬の支払いはどうするのかということと、要支援一、二の方は、これまでどおりの介護報酬単価であるかどうかはおきまして個別給付ですから、個別給付のものと、それから恐らくグロスで出していくものが一緒になるんだと思います。その辺、大変ややこしいんだと思いますけれども、どんなふうに整理をしていくおつもりなのか、仕分けをしていくおつもりなのかということも確認させていただきたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 前半の、どのように地域支援事業をコントロールしていくのかという部分を答えさせていただきまして、後半の部分は、申しわけございませんが局長の方から答えさせていただくということにさせていただきたいと思います。

 御存じのように、今回始めます地域支援事業は、介護給付のような個別に給付というふうな仕組みにはなっておりません。そんな意味で、保険者が、いわゆる市町村が主体となってこの事業を運営していく、こういうことになります。

 この事業費の規模、または、将来膨張していくんじゃないかという御懸念につきましては、今後、先生も御指摘になられましたように、政令で定める上限を決めていこう、こういうことになっております。各市町村はそれに対して、その事業規模そのものが一号保険料等の水準に影響する、すべてがすべてではございません、全体の中の一号被保険者の市町村の部分、直接皆さん方に影響するという部分がありますので、そういう介護保険財政への影響も考慮しつつ、効率的かつ効果的な方法を市町村で模索されていくものだというふうに私どもは考えているところでございます。

中村政府参考人 地域支援事業と新予防給付につきましてのサービスの対価の決め方、そういったことについてお答え申し上げます。

 新予防給付は、委員御指摘のとおり、利用者に対する個別給付でございまして、法律上も介護予防サービス費の支給ということで、介護サービスの支給と並びまして、個々のサービスに対する支給ということで、個人の方に給付が行われ、そのサービス事業者につきましては、介護報酬という形で報酬が設定されるということでございます。

 地域支援事業は市町村の行う事業でございまして、その事業費につきましては、交付金として費用が市町村に交付されることになります。これは、現在例えば老人保健事業とかその他の事業で行われている事業と同様でございまして、その事業の実施につきまして、市町村の方が例えば第三者に事業を委託するというようなこと、例えば現在でも医師会に対して委託しているような例がありますが、そういった際に委託料金として設定されるものと考えております。

 地域支援事業の財源につきましては、介護予防事業につきましては、介護給付費と同じ財源構成、それから、包括的支援事業及び任意事業につきましては、一号保険料と公費で賄うことといたしております。(発言する者あり)

石毛委員 今委員から、税でやるべきだという声が出ましたけれども、私は、今回の介護保険法案の改正の中身を見ておりまして、原則的な議論かもしれませんけれども、保険はリスクに対応する、それから、予防ですとかあるいは不特定多数に提供するそうしたサービスは税でという、社会保障制度の制度を仕組む場合にそうした原理的な、原則的な議論があったわけです。そこが今回の介護保険、後ほどホテルコストのところでも申し上げたいと思いますけれども、その仕分けがきちっとされていないというふうに思います。

 状況適応的に出せるところから出していこうという、私は、そこがきちっと整理をされてこの部分を保険に組み込むというような御説明をいただけているんだったらば、その時点できちっと考えるということは可能だと思いますけれども、どうも全体を通して、どこまで税なのか、どこからが保険なのかというそこの論理的な整理がされていなくて、状況適応的な制度の改変がされているというふうに思えてなりません。

 これは、社会保障制度の全体の改革の中でも非常に重要な論点でございますので、厚生労働省、きちっとそこのあたり、きょうとは申しませんけれども、仕切りをお考えいただきたいと思います。これは、私が申し上げて……(発言する者あり)きょうやれといいましても、質問に出していなかったんですけれども。では、それは、後でまた同僚委員が引き継いでいただければと思います。

 今回の法改正で思いますのは、何というか、スタンスがあいまいなんですよ。そこで法案を出してきているからこんなに錯綜して質疑がされなければならない、そこのところはぜひ受けとめるべきだと申し上げたいと思います。

 次でございます。

 地域包括支援センターについてもさまざまな質疑がなされました。これについても、地域包括センターの運営をめぐりまして、公正中立的な立場を包括支援センターは貫くんだというふうに答弁されておりますが、公正中立的な立場というのは言葉ですから、実態としてどのようにこれが担保されるのか、するように仕組むのかということを御答弁ください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターは、総合的な相談、支援、介護予防のマネジメント、それから個々のケアマネジャーへの支援等を行う、地域における中核的な拠点として設置されるものでございます。また、これらの、包括的支援事業と呼んでおりますが、これは市町村が実施するということを原則といたしております。

 この地域包括支援センターの業務を適切に行うため、それぞれの業務を担当する者として専任の専門職を配置することとし、この必要な運営費も確保したいと考えております。こういうことによりまして、センター設置者の公正中立な運営が図られるものと考えています。

 また、地域包括支援センターの設置や運営については、保険者である市町村を主宰者として、サービス事業者や団体、地域の関係者が参加する地域包括支援センター運営協議会が関与する仕組みとして、公正中立性をさらに担保してまいりたいと考えております。

石毛委員 市町村が実施をすることによって公正中立的な立場を担保されるというふうに御答弁されました。ここのところはきちっと確認をしておきたいと思います。専門職については、機能するメンバーとして私は否定はいたしませんけれども、専門職が公正中立性を担保できるとは限らないと思いますので、そこの点は留保したいと思います。

 さらにということで、運営協議会を局長答弁で指摘をされました。運営協議会にもその機能を託すのであれば、その構成は、サービス供給側に対して、サービス利用者の参加が有効に機能し得るような、そうした協議会構成にしなければならないと思います。

 説明資料の図解は、サービス提供者側、これは事実、提供者はそういう種類があるわけですから、書かれるのは、とりわけそれに対して異論を唱えるわけではございませんけれども、利用者側ということでいえば、NPO、住民団体、老人クラブと一くくりにしまして、何かこれは十人のうち一人ぐらいにしか見えない、これは例えの表現でございますから、その限りで受け取っていただいていいかと思いますが、要は、大事な点は、きちっと利用者側も発言権が有効に機能するような構成にするということだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 市町村が行います介護保険事業の運営に被保険者の声を反映させていきますことは重要だと考えております。したがいまして、地域包括支援センター運営協議会につきましても、地域の実情を踏まえながら、サービスの利用者あるいは二号被保険者の代表などが参画をいたしまして、その声をセンターの運営に反映させていくことが必要だと考えております。

石毛委員 念のための確認でございますが、利用者は一号被保険者であるのは事実でございますけれども、一号被保険者が利用者であるとは限りませんので、大臣御答弁の中に、今大臣、利用者と二号とおっしゃいましたので、一号も確認しておいてください。

尾辻国務大臣 今申し上げた中に、サービスの利用者ということも申し上げておりますので、そのように御理解ください。サービスの利用者でありますとか二号被保険者の代表など、こういうふうに御答弁を申し上げました。

石毛委員 大臣、御存じのように、一号被保険者、六十五歳以上の方が保険料を納めて、そして認定を受けて、御自分の御意思でケアプランをつくってサービスを利用していく、ケアマネジャーがかかわりますけれども。だから、一号被保険者のうち利用者が出てくるわけでございますので、保険料を負担している一号被保険者、これは大臣が今、要するに、失念されたといいましょうか、文言の整理上、欠いたということにすぎないと思いますけれども、記録に残ることでございますから、利用者代表、一号もきちっと確認をしておいていただきたいと思います。

尾辻国務大臣 それでは、サービスの利用者を含めて一号保険者というふうに申し上げたいと思います。要するに、一号保険者も当然入っておるという感覚で、理解で申し上げたことを御理解ください。

石毛委員 何割が適切かということは議論のあるところだと思います。私も自治体でこういう場面に参加をした経験はございますけれども、なかなか一人とか二人ですと発言が及ばないというようなのが今までの実態、これは審議会もそういう気味があると思います。きちっとこの制度の構成メンバーが発言の実質性を担保できるような、そういう構成になるようにしていただきたいということを確認したいと思います。

 次でございますが、構成団体として行政機関はというふうに書いてあるわけですけれども、これは保険者という理解でよろしいでしょうか。

中村政府参考人 運営協議会につきましては、保険者である市町村が主宰するということ、それから、関係者としても行政機関、例えば保健所でございますとか福祉事務所といった意味での行政機関が入る場合もあるかもしれませんけれども、とにかくこの運営協議会は市町村が主宰し、また、委員の中でも、サービス関係者あるいは利用者の方に関係する機関としての行政機関も構成団体として入り得る、こういうふうに考えております。

石毛委員 この地域包括支援センターの実施主体は市町村ということでございますけれども、委託が可能というふうにも規定されています。

 私は、保険者が直接運営をする、そうした地域包括支援センターを持たなければ、このセンターの機能は、相談に乗ったりとかそれから介護予防マネジメントをするとか、あるいはその評価をしていくということですから、いわば、わかりやすい言葉で言えばアンテナショップといいましょうか、実際に自分たちが運営しなければ、委託した先の地域包括支援センターの実施状況、機能についての評価がなかなか難しい、スケールを持ちにくくなるのではないか、こんな懸念があるわけでございます。

 これは藤田委員も先回質問していた点でございますけれども、私は、基本的に市町村が一カ所は、これは二、三万人に一カ所ということになっておりまして、どのように配置していくかということがあるかと思いますが、基本的に保険者が一カ所、地域包括支援センターを持って判断をしていく、評価をしていく基軸になるのが大事なことだと。それは、強いて言えば、ここは予防中心でございますから、介護保険全体の運営というわけではありませんけれども、保険者機能の発揮に対して有力なサポートのインフラになるというふうに考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 地域性がございまして、全国一律に公的機関が、地域包括支援センターをすべての市町村が持つということに対しては、非常に難しい面もあるところも存在するんじゃないかということで、委託も一応できるという形にしているんですが、先生の御指摘も重要な観点だというふうに考えております。

 先ほどからの議論のように、公正中立を確保するために各市町村に運営協議会を設置して、そして関連の行政、サービスをやってくださる事業者、それから関係諸団体、これが入ってセンターの設置並びに運営に関与していく、こういうことになっております。

 保険者である市町村は、地域支援事業の実施に責任を持つものとして運営協議会を主宰して、そしてそれぞれの参加してくださる関係者の皆さんの意見を踏まえながら、この運営に積極的に関与していくことによってセンターによる適切な介護予防マネジメントを確保できるであろう、こういうことでございますが、できるだけ、少なくともどこかというふうに先生おっしゃいましたけれども、自分たちが実態を把握できる、やはりそういうところがあればそれはいいことだろうと。ただ、地域的な側面もありますので、一応委託ということも可能性としては残しているということでございます。

石毛委員 これまでの委員会質疑の中で、箇所数が明確に限定されているわけではございませんけれども、五千カ所程度というような答弁を伺っておりました。

 どこが地域包括支援センターになるかということは、ただいまおっしゃられましたように、原則的に実施主体である市町村、それで地域によりましてはという御答弁でしたけれども、全部が全部、市町村が新しくこれを設けていくということもなかなか難しい側面もあろうかなというふうに思います。

 現実的には、在宅介護支援センターの適切な機能を遂行しているところが、こういう表現は在宅介護支援センターのあるところには失礼な表現になってしまうかもしれませんけれども、地域包括支援センターになっていくということも、現実政策としては大いに予見されるのではないかというふうに思います。

 そうしますと、在宅介護支援センターは、今ほとんどのところが、附帯事業といいますか、事業と一緒に運営しているところが一般的だというふうに思います。ところが、地域包括支援センター自体は直接サービスを提供するというふうにはなっていないわけですから、在宅介護支援センターでその部分が外れていきますと、果たして地域包括支援センターの規定を受けて運営していけるか、あるいは、両方やっているところが地域包括支援センターになりたくてもなれないのではないか、こういう不安の声も随分聞かれるところでございます。

 ですから、ここでお伺いしたいのは、もし切り離して在宅介護支援センターが地域包括支援センターになっていって委託を受けた場合に、現在は一体で経営が成り立っているという実態がございますから、経営的に成り立っていくのかどうか。そこの点を一つ。

 それから、両方ともこれから運営していくことは認められるのかどうか。認められるとすれば、ここがまた癒着を起こさないようにどのように切り分けといいましょうかルールを設定していくか、ここが大事なポイントになってくるかと思います。いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターにおきましては、先ほど申し上げましたように、三つの機能を果たすために職員を置いていただく、その運営費につきましては地域支援事業の中で確保していく、こういうふうに考えておりますので、在宅介護支援センターに委託するケースがあろうかと思いますが、その場合、在宅介護支援センター、今はサービスとマネジメントと兼ねてやっておられるケースが多いと思いますけれども、マネジメントとサービスを分けたとしても、在宅介護支援センター改め地域包括支援センターで運営できるような基盤を整備したいと考えております。

 理想を言えば、マネジメントとサービスを分離する、これはずっとケアマネジメントにおいてもそういう議論をされているわけでございますから、その方向性が基本だと思いますので、在宅介護支援センターに委託する場合でも、できる場合にはサービスとマネジメントと分離されることが理想ではないかと考えております。

 さはさりながら、地域における現状がございまして、現に在宅介護支援センターはサービス事業者の方が兼ねておられるケースがあり、地域資源としてそこしかない、サービスをとめてしまっては地域のサービスがないということも考えられますので、なかなか理想どおりいかない場合も出てくるかと思います。その場合には、マネジメントとサービスが混同されないようにしていくということが基本になると思いますので、介護予防サービスを提供している、地域包括支援センターに事務の委託を認める場合には、運営協議会において、まさに当該委託先に対してセンターの公正中立性を確保するための一定の措置を求めたり、センターの運営状況を運営協議会で評価し、必要な場合には委託先を見直すなどの適切な運営を担保することが求められると考えております。

石毛委員 運営協議会が非常に重要な存在であるということは確認し得ると思いますけれども、しばしばこうした機関というのは諮問機関的な機関になりまして、実は、地域包括支援センターのまさに中身に関する主体はこの運営協議会にかかっているんだというふうに思います。でありますからこそ、私はその構成にもこだわったわけでございます。

 そのあたりは、実は、これまでの社会保障制度いろいろある中で、かなり違った分野として出てきているわけですので、相当気構えを入れてきっちりとやっていただかないと、つくってはみたものの、何かなかなか自律的に機能しないということになりかねない問題があると思います。サービス提供に引きずられる部分はどうしても出てくるわけですから、そこのあたりはきっちりと、整理をしておられるのかもしれませんけれども、整理の上に整理をして、きちっと機能が果たせるように制度をつくっていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 この地域包括支援センターで、市町村の役割の重大性ということが確認されたわけでございますけれども、保険者機能を持つ市町村の位置、役割について、もう少し広げて伺っておきたいと思います。

 一つは、私は、この五年間の介護保険の施行の中で、これまでに何人かの委員の指摘がございましたけれども、やはり保険者機能が十全に機能していないということが介護保険の大きな問題点の一つだと思います。

 確かに、要介護認定、これは行政処分で保険者の役割でございますから、これは制度上やらざるを得なくてやって、これも、この委員会議論で、西高東低がなぜなのかということは十分に解明されておりません。認定率の違いだけじゃなくて、サービス給付高の違いについても、それがどこからきているかということも解明されていないポイントの一つだというふうに私は受けとめておりますが、そこはきょうはおいておきます。

 本当は、保険者機能というのは、サービスの提供とそれからサービスの需要をよくよくきちっと精査といいますかウオッチをして、利用者にとってより適切で、しかも制度全体としては効率的に動いていくように、その役割を果たすのが保険者機能だというふうに私は総括的に考えているところでございます。

 ところが、私は、多くの自治体は、この保険者機能を認定機関、認定審査会に矮小化してしまっている、あとは保険料の徴収というところになってしまっていて、一番肝心のサービスの需給、このマッチングについて、利用者サイドから見て適切なのか、あるいは保険者として地域で適切に供給も動いているのかという、ここは今回の法改正で、例えば施設の許可に関して市町村が認めることになったという若干の、若干のというか、厚生労働省としては思い切ったのかもしれませんけれども、改善もなされているということも承知はしております。ですけれども、私は、保険者機能として非常に大きな問題というのは、ケアマネジャーがケアプランを相互検証するシステムができていないことだというふうに思っております。

 この問題が研修だとか五年ごとの資格更新だとかというところにシフトしてしまっていて、実はケアマネジャーさんの悩みも、本当にいいケアプランをつくれているんだろうかどうだろうか、これが利用者さんの喜びに通じているんだろうか、それこそ尊厳の保持に通じているんだろうか、そういうことを検証する、そうしたシステム、機能がなくて、いわば事業者に引きずられがちなケアプランをつくるということで悩んでいるケアマネジャーさんはいっぱいおられるわけです。そこをどう解消していくかということは重要なことですし、そこがきちっと機能するような保険者機能、そこを私はつくっていかなければいけないと。

 つまり、サービスの質の向上の一つの重要な仕組みが、ケアマネジャーさんがお互いにケアプラン、これは全部のケアプランをやる必要はないと思いますが、ケアプランを相互に検証できるということを制度化するということ。そしてまた、それが適正化に資するべき、私は、厚生労働省は、この部分から見直して適正化をして節減をしていけば、どれぐらい介護給付費は節約でき、そして新しい予防給付ではどれだけ節約できというのを比較考量して、きちっと示すべきだというふうに思っております。でも、そこは今はわきに置いておきます、いつもわきに置くとまたどこかから声が飛んでくるようですけれども。

 今回、本当に介護保険のこの法案審議に関して、検討すべき実証をちゃんと出してくださっていないんですよ。だから私たちは判断がしかねる、そのことをベースとしては申し上げたいと思いますけれども、話を戻しまして、適正化に資するという意味でも、それは非常に重要ではないかというふうに思っております。御答弁をいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 ケアマネジャーが利用者の自立支援に資するケアプランを作成することができるように制度的な支援を行うことは、これは重要である、私どももそう思います。きょうの御指摘は、私どももそのように考えておりますということをまず申し上げます。

 このために、今回の改正で、まず地域包括支援センターに経験豊富なケアマネジャーを配置し、仮の名前で主任ケアマネジャーと言っておりますけれども、その配置をいたしまして、現場のケアマネジャーに対して、ケアプラン作成に当たって助言、指導を行いましたり、支援困難なケースへの対応の支援を行うなど、ケアマネジャーを支援する仕組みをまず導入することといたしております。

 さらに、ケアマネジメントの質を高めますために、担当件数の見直しでありますとか、ケアマネジャーの質を高めるための研修体系の整備でありますとか、あるいは、保険者機能というお話もございましたけれども、個々のケアマネジャーごとに市町村がケアプランの内容を評価する仕組みを導入いたしましたり、あるいは、これは先生の今のお話の中で既にお述べいただいた部分でありますけれども、ケアマネジャーの資格の更新制の導入など、こうしたことを行うことといたしておるところでございます。

石毛委員 研修というところの中身をきちっと精査していっていただきたい。上意下達的な研修というのは今はもう余り評価はされないわけでございまして、ワークショップ的なとか、いろいろなやり方がございますので、ぜひそこはきちっと受けとめていただきたい、私はそれを制度化していただきたいということを申し上げております。

 もう一点、極めて重要な点でございますけれども、この介護保険法の施行によりまして、少し強調して申し上げれば、老人福祉法が担っている非常に重要な部分の措置の部分、トータルとすれば措置から契約へということで介護保険が制定されたわけでございますけれども、しかしながら、措置した方が、措置の市町村としての機能を発揮した方が高齢者の方にとってより適切である、そういうところは、端的に申し上げれば、虐待などにかかわって多々あるわけでございますけれども、どうも市町村は老人福祉法のその部分を実施することを忘れてしまっているのではないか、そんなふうに思います。

 ぜひとも、この際、老人福祉法、とりわけ困難な状況に陥っている高齢者の方の支援をきちっとするのは市町村の責務である、そこのところをもう一回ちゃんと確認して、どのような手だてをとっていくのかということを答弁いただきたいと思います。

西副大臣 老人福祉法におきましては、いわゆる養護老人ホームへの措置、それからいわゆる特別養護老人ホームへの措置ということがきちっと規定をされております。しかしながら、委員御指摘のように、この五年間、介護保険法ができて、若干措置という部分が忘れられてきて、いろいろな人たちを介護で抱えていこうという傾向がそれぞれの自治体に多いのではないかということは、私どもも若干気にしている部分もございます。

 老人福祉法にありますように、やむを得ない事由による措置ということにつきましては、御指摘のように、それぞれ虐待の問題とかいろいろな要素があって、依然としてやはり措置という部分は必要だということは十分認識しているところでございます。今回、包括支援センター等も十分に機能を発揮していただきながら、まず現状、それから今のいろいろな要因の背景等を十分に把握した上で、適切な運用を行うように市町村にきちっと周知徹底を図ってまいりたい、こう思っております。

石毛委員 もう一度御答弁いただければ大変ありがたいと思います。

 現状、背景等を十分に把握した上でと御答弁くださいました。いつごろまでにそれをやっていただけるかということをおっしゃっていただければありがたいです。

西副大臣 今回この改正が行われ、ふだんこれは、周知徹底はその都度毎年のように一応しているんですけれども、なかなか、介護保険施行後、意識が流れている部分がございますので、早急に、また次の県を通して市町村への通知の機会にはこのことにつきましても徹底をさせていただきたい、できるだけ早い機会に、その機会をとらえましてやらせていただきたいと考えております。

石毛委員 私が思いますのに、今回の介護保険法の中でも、例えば、苦情処理は市町村の窓口にも参りますし、それから国保連の方にも行くようになっていて、そして、どこが最終的にその苦情処理を精査して、どこが解決していくのかということは必ずしも定かにはなっていないのではないかと思います。

 市町村は、まあ、通知一片でという表現はいいのかどうかということもあろうかと思いますけれども、問題意識がきちっと据わっていなければ、通知を受け取ってもなかなかそうはいかないわけですから、実態調査票のようなものでもおつくりいただいて、きっちりと今副大臣が御答弁くださいましたことが把握できるようにしていただきたいというふうにお願いをいたします。

 次でございますけれども、要支援、要介護高齢者の居住の場についてお尋ねをいたします。

 いただきました、一回目の質問のときに資料を出してくださいというふうに要請いたしましたその資料を拝見いたしますと、二〇一四年、ちょうど団塊の世代の方が介護世代に入っていくというその二〇一四年に、現在の入所施設の入所率四一%、そのままこれが引き延ばされていきますと、二〇一四年には百二十万人になると思います。しかし、今回の介護保険法改正法案で想定している目標は、入所率を四一%から三七%に、百八万人に抑えるというふうに表現されています。

 単純に言いまして、単純に引き延ばしていった百二十万人と、それから政策目標の百八万人との間には、十二万人の差が見られるわけですけれども、この皆さんが在宅を継続していくためのその継続性を確保する政策としてどのように考えておられるのかということを端的に御指摘いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 そのためには、夜間、緊急時の体制の確保、これが必要だと思います。それからもう一つは、在宅での医療的ケアの充実、これらが大事だ、必要だと認識をいたしております。

 そのために何をやるかということでございますが、小規模多機能型サービスや夜間対応型訪問介護などの地域密着型サービスをこのたび創設いたしますとともに、自宅で生活を継続することが難しい高齢者のために安心して住みかえできる新しい住まいの普及を図る、それから、中重度の要介護者になっても自宅で暮らせるよう、医療と介護の連携、これが大切でありますから、このことをより一層推進するというようなことといたしておりまして、こうしたものを通じまして在宅の継続性を高めてまいりたいと考えております。

石毛委員 図柄として表現すればそういうことだと思いますけれども、もう一方で、今回、今御指摘の中にもございました地域密着型とか小規模多機能とか、ある意味で評価し得るといいましょうか、そうした政策を出されてきているわけですけれども、もう一方で、地域介護・福祉空間等交付金、この交付金は、説明文書を読むと、何か三年に一回、生活圏域というふうに思います。

 そうすると、確かに絵柄としてはそういうふうに想定したとして、実際にそうしたシステムが地域の中にいつごろどのようにでき上がっていく、とりわけ今回の改正で重要な点は、医療との関係をどうするかということがあると思いますけれども、それについては、抽象的には書かれていますが、ほとんど具体的施策としては指摘をされていない。政策のリアリティーというところからいきますと、もっと確固たる答弁をいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護基盤の整備のための交付金制度は、前回法案を通していただきましたので早急に準備を進めておりますが、これは、委員御指摘のとおり、生活圏域で三年計画で整備するということで、そういった中で、大臣から御答弁申し上げました地域における介護基盤の整備、特に地域密着型サービスなどについては整備の対象になるので、期待いたしているところでございます。

 もう一つ、リアリティーがないということでございましたけれども、高齢者の方の住まいということも整備をしてまいりたいと思っておりまして、今、有料老人ホームとケアハウスに限られております特定施設の拡大などについても取り組んでまいりたい、そういう施策をするということを考えております。

 医療と介護の関係につきましては、具体的に重度になった場合の介護施設における医療との関係整理、ここは課題になっておりますので、診療報酬と介護報酬の改定の作業を通じまして成案を得てまいりたいと考えております。例えば、グループホームにおける訪問看護が、今、原則できないというような規定もあったりいたしますから、そういう一つ一つの課題がございますので、それらの解決を図ってまいりたいと思っております。

石毛委員 今の御答弁の中身につきましては、さらにこれからまた議論させていただきたいと思います。

 残された時間で、一つ、居住の場の整備ということでございますけれども、説明を伺うところによりますと、一つは、いわゆる高優賃というようなことをお考えになっていらっしゃるということと、それからもう一つは、有料老人ホームの規制緩和で、規模の小さい有料老人ホームも考えていくということだというふうに認識をしております。

 一つ申し上げたいのは、高優賃といいますのは、バリアフリー化と、それからもう一つ大きな特徴として、家賃の応能負担ということがあることでございます。実際になかなか高優賃はふえていないという実情があると認識しております。この高優賃がまさに応能負担分の税の投入と相関をしている住宅政策でございます。これは国交省の所管になるわけですけれども、よほどの力量を入れても、高優賃をふやしていくというのは今なかなか容易ではないという状況認識をしているわけです。

 だとすると、これから有料老人ホームの方がふえていく予測が現実性が出てくるのではないか。それは果たしていかがなものだろうかという思いが私の中にはございまして、時間がなくて詰め切れませんけれども、一つここで確認をさせていただきたいんですが、有料老人ホームの住所地特例、三十人というところで線引きをしておりますけれども、この三十人という理由はどのように説明されるでしょうか。

中村政府参考人 介護型の有料老人ホーム、大規模な施設がその町に建ちますと、要介護の方が集中し、施設所在地の市町村の保険財政に大きな影響を生じているため、特別養護老人ホームなどと同様に住所地特例を適用する、こういうこととしたものでございます。

 その際、入居定員が三十人以上のものに限っております。入所定員が二十九人以下の介護専用型特定施設につきましては、地域密着サービスの一つとして位置づけておりまして、これは、保険者である市町村がそもそも指定、指導監督権限を持つことになっておりますので、二十九人以下の場合は市町村の方が事業者さんとお話しできる、しかも、そこで指定するかしないかも決定できる、それは市町村の介護計画との整合性も担保されているということでございましたので、三十人以上のものについて住所地特例を適用することとしたわけでございます。

石毛委員 私は有料老人ホームを、住所地特例を適用したとしましても、そこがふえていくより高優賃がふえていく方が、後のホテルコストの問題ともかかわりますけれども、求めるべき政策だと考えております。ぜひともここは、国交省との間で厚生労働省に頑張っていただいて、高優賃がふえるように頑張っていただきたいというふうに要請したいと思います。

 それからまた、きょうはとんとんとんと質問をしたつもりなんですけれども、また前回の質問はほとんどそのまま残っております。三施設の関係とホテルコストという重要な問題が残っておりますので、私がさせていただくか、同僚委員がかわってしていただくか、そこはありますけれども、引き続き質問をする課題についてはまだございますのでということを申し上げて、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、三井辨雄君。

三井委員 民主党の三井辨雄でございます。

 委員長、ところで、定数が割れていると思うんですが。

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 三井君。

三井委員 改めましておはようございます。

 この介護保険制度、二〇〇〇年にスタートしたわけでございますけれども、今まで……(発言する者あり)

 そこで、私もこの制度がどういう方向性に行くんだろうということで、二〇〇〇年にこの議席を与えていただきました、ちょうど介護保険のスタート時ということで、そのときに、当時の津島大臣にこの介護保険の問題について質問させていただいたことがございます。

 私も自分自身で、医療施設、あるいは老健、あるいはグループホーム、在宅、それから通所、いろいろ訪問入浴等もやっておりまして、今回のこの改正については、現場からの声をたくさん聞いております。そういう中で、私も事業者の立場で、またこれからの運営の問題についても、これからどういう方向になっていくのか、今までの各委員あるいは参考人の皆さんからのお話を承っても、なかなか透明感が出てこないというんでしょうか、明快な答えが返ってこない、まさにちょっと消化不良状態になっているのではないかなという気がいたします。

 そこで、質問に入らせていただきます。

 尊厳の保持について大臣にお伺いしたいんですが、今回の改正法案の中に高齢者の自立支援を上げております。その中で、利用者本位のサービス改革、二番目に在宅ケアの推進、三番目に地方分権の推進を政策目標に上げてきたわけでございますけれども、今回の改正案がこの基本理念やあるいは政策目標に合致した改正の内容になっているということだと思います。今回、介護保険法の第一条の目的に、要介護状態になった高齢者等の尊厳の保持を明確にすることが加えられているわけでございますけれども、改正案においてどのように尊厳の保持を生かそうとしているのか、お尋ねしたいと思います。

尾辻国務大臣 介護保険制度の目的は、介護を必要とする状態となりましても、持っておられる心身の機能を活用しつつ、尊厳を持って自立した生活を送ることができる社会の実現でございまして、尊厳の保持は制度の目的に本来的に含まれておる、こういうことでございます。

 そこで、これからの我が国の高齢者介護のあり方を展望した場合に、特に急増が見込まれます認知症高齢者につきましては、本人の人格を尊重してその人らしさを支える尊厳の保持がケアの基本に置かれなければなりませんし、また、これは認知症高齢者の皆さんだけでなくて、申し上げましたように、高齢者介護一般について基本の理念でございますから、今回、介護保険法の目的として明示的にこの尊厳の保持ということを規定したものでございます。

 したがって、申し上げましたように、制度の目的に本来含まれておる、こういう考え方でございます。

三井委員 今大臣から御答弁いただきましたけれども、先日、私どもの同僚議員の泉健太議員が、大臣に、老後はどのようにお過ごしになられますかという質問をされたと思いますけれども、さまざまな生き方がある中で、いろいろな、今回のサービスの問題あるいは運動機能を高める問題、そういう中で、自分に合ったライフスタイルというものをきちっとやはり持っていくというのが、自分で選択できる、あるいは自分でできない場合は支える支援者によって、例えばケアマネジャーによってそれを選択できるとか、そういうようなことが私は重要でないかなと思われるわけでございます。それがまさしく、私の解釈でいえば、尊厳の保持ということになるのでなかろうかなと思うわけでございます。

 そこで、介護予防についての考え方をお伺いしたいと思います。

 言われますように、現在、介護予防、在宅、施設合わせまして約三百十一万人、その中で在宅の利用者が二百三十五万人、施設サービス利用者が七十六万人と発表されておりますが、まさしく増加している中におって、それによって保険給付が増加していくのは当然だと思います。この抑制策に出るのが、抑制をするということが一つの今回の改正案の提案ではなかろうかなと思います。その一方で、先ほど石毛議員も質問されておりましたが、これから団塊の世代が出てくる、そういう中で、一方ではこの給付の問題の、上げなきゃならぬということも出てくると思います。

 そこで、政策目標に上げました利用者本位のサービス改革に、実際に財源ありきというか、要するに給付の抑制ばかりが先行しまして本来の利用者本位のサービス改革になっていないということが、私の率直な感想でございます。

 そこで、自立支援のための介護予防として、要支援、要支援は今度は二階建てになったと言っていいんでしょうか、分断されまして一と二となったということでございますけれども、施設入所からホテルコストを徴収するとか、こうした、まさに利用者本位のサービスにつながっていないのではないだろうか、あるいは要介護者の尊厳をこういう意味で保持できるのかと、改めて問われていると私は思います。実際にケアマネジメントはいまだ発展途上にありますけれども、介護予防、あるいは幾ら事例を積み上げたとしてもエビデンスの体系ははっきりしていない、そういうことを言えるのではないかなと思っております。

 そこで、今回の改正で、介護予防の効果あるメニューが確実に事業者ですとかあるいは利用者に届く仕組みになっているのかということを一点お聞きしたいと思います。

 さらに、介護予防の評価がきちんと行われているのか、大変心配されるところでありますから、この辺も大変私も懸念しているところであります。また、一部良好な事例をたまたま見つけ上げるというのは妥当でないと思いますし、また、診療報酬と違いますので、医学体系のような専門的な土壌がない中、どうやってこの新しいメニューを認め、そして全国標準にするのか、そのシステムがないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 今回、介護予防に導入を検討しております新たなメニューにつきましては、検討機関といたしましては、高齢者の保健、医療、福祉の専門家によって構成いたしております介護予防サービス評価研究委員会においてこれまで評価、検討をしてまいりまして、導入が適当であるとの結論に至ったものでございます。

 今後、こうした新たなサービスを含め、介護予防サービスの評価や基準、それから今お話にございました介護報酬の設定につきましては、社会保障審議会介護給付費分科会を中心に、専門家の知見も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。

三井委員 ぜひ、この心配される問題というのは、私どもも、現場としてもまさに混乱を起こすような状況にないように、特に利用者の皆さんにわかりやすい形を整えるべきだ、こういうぐあいに思っているところでございます。

 それで、今回の新介護予防の中のメニューであります口腔事業の内容についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 介護予防事業については、この委員会でも筋トレ、筋肉トレーニングが大変問題となっておりましたけれども、さまざまな意見が出されておりました。私も、口腔ケアというのは極めて大事な介護だと思っておりますし、一般的にも、高齢だから歯の治療やケアをしても手おくれだとか、あるいは入れ歯だからおいしく食べられないのは仕方がないとか、あるいは口の汚れで死ぬことはないと言われてきているわけでございますけれども、口は私たちからすれば思っている以上にさまざまな問題があるわけでございます。

 特にそしゃく障害とか、中で専門家の先生方もいらっしゃるかもしれませんけれども、歯が悪いと歩き方まで変わってしまうとか、あるいは内臓機能が衰えるとか、あるいは認知症になりやすいとかいろいろなお話を承るわけでございます。私は、高齢者にとって大変、高齢者でなくても重要な働きをしていると思っているわけでございますけれども、介護予防としての口腔ケアについて現在どのようにお考えになっているのか、お答え願いたいと思います。

中村政府参考人 委員御指摘のとおり、口腔ケアは低栄養、転倒、気道感染、閉じこもり等に対する予防効果があり、高齢者に対するメニューのうち、効果を高めるサービスの一つである、こういうふうに私どもの高齢者リハビリテーション研究会でも報告されておりますし、先ほど申し上げましたサービス評価委員会でもこれについては認められているところでございます。

 口腔機能の向上につきましては、口から食事を摂取する機能を維持するため、日常の口腔清掃、歯科保健指導、摂食機能訓練等のサービスが中心になり、通所サービスの中で提供していくことを想定いたしております。

 具体的なサービス基準、報酬の設定につきましては、現場関係者も含めた専門家の知見を踏まえつつ検討してまいりたいと思います。

三井委員 老人保健施設やら私どものところでも、歯医者さんに来ていただいて、実際にやっていただいているわけですけれども、北海道の特に過疎地になりますと、冬場ですとなかなか歯医者さんに行くのも大変なんですね。そういう中で、今訪問歯科という診療台を積んだ車、私も入浴サービスをやっていますけれども、その入浴サービスと同じように診療台を積んで訪問歯科をやっていらっしゃる。例えば、これは問題あるかもしれませんが、こういうものもあってもいいんじゃないか、そういう連携もやはり考えていただきたいなと思っております。

 そういう中で、今御答弁いただきましたように、口腔ケアというのをひとつしっかりと、私も奥歯を痛めたときに、歩いてみなさいと、真っすぐ歩けないんですね。やはり斜めになって歩いているとかそういうこともございますし、私の施設を見ていましても、入れ歯の掃除ですとかそういうこともきちっとケアをやってあげたりしますと、結局やはり食べ物というのは高齢者にとっても大事な問題ですから、そういう中で本当に喜んでいただいている。そういうことでございますので、ぜひこの点についてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次は、地域ケアについてお伺いしたいと思います。

 特に、今回の介護保険制度の反省点の中には、大きく地域ケアのトラブルが上げられると思います。地域包括ケアセンターは本当に地域のケアの本来の姿に戻すことができるのかということを実は私は懸念しているわけでございまして、例えば幾つかのいい事例、好事例があると思いますけれども、これを全国に通じるものにするのか。

 私は、かねてから心配しているのは、在宅介護支援センターは、やはり先ほど石毛委員からも御質問がございましたけれども、在宅支援センターとドラスチックに統一したらどうなのかと。今全国に在宅支援センターが約八千五百ぐらいでしょうか、それで地域包括センターを五千から六千おつくりになられる。

 そういう中で、先ほど中村局長から御答弁ありましたように、サービスとマネジメントという部分について仕分けしなきゃならぬということをおっしゃっていました。私も在宅支援センターをやっていまして、委託を受けてやっていますけれども、ケアマネジャーがいて、福祉機器が一部屋に陳列してあって、ケアプランを立てている。非常にむだというか、確かにその町では高齢化率は高いんですが、相談に来る人は少ない。

 もう一点心配されることは、先ほど石毛委員の質問の中にもございましたけれども、せっかく在宅支援センターが地域と密着している、地域となじんでいる、それが、新たに地域包括センターをつくりますと、先ほど御答弁ありましたけれども、うまくジョイントできれば、これはまさに今までやってきたこの五年間の在宅支援センターのケアマネジャーさんが地域の事情をよく知っているわけですよね、こういうことをやってもいいんじゃないかと思います。

 それともう一点、地域包括ケアセンターと地域密着とされる小規模多機能サービスというんでしょうか、この関係はどうなるのか、どのようにまた連動していくのかということを御答弁願いたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、在宅介護支援センターと地域包括支援センターとのかかわりについての御質問でございますから、その部分だけ私からお答え申し上げます。

 在宅介護支援センターは、これはもう先生よく御存じのとおりでありまして、平成二年度の創設から現在に至るまで、市町村からの委託を受けて、地域における老人福祉に係る総合的な相談、援助を行う機関として役割を果たしてまいりました。そして、平成十二年四月の介護保険法の施行によりまして、この在宅介護支援センターが居宅介護支援事業所を併設することが可能になりましたために、どうしてもその位置づけでありますとか公正中立性が不明確になった、こういう御指摘がございます。

 こうした、これまで在宅介護支援センターが果たしてまいりました成果と、それから今申し上げたような事業所と併設できることによる問題が生じたというこの反省を踏まえまして、今回の制度見直しでは、市町村が責任主体となりまして公正中立の立場から、高齢者やその家族に対する総合的な相談、支援、介護予防マネジメント、支援困難ケースへの対応など個々のケアマネジャーの支援、こういったようなことを行うこととして、それらを担う中核拠点として地域包括センターを置くこととしたわけでございます。

 今後でありますけれども、今回の制度見直しによりまして、これまでの在宅介護支援センターの中でも、職員体制が確保され、それから申し上げました三つの事業を適切に行うことができると考えられるものは、市町村の判断により地域包括支援センターへ移行していくだろうというふうに私どもは考えております。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

三井委員 いや、結構ですよ、質問が盛りだくさんあるものですから。

 それでは次に、介護サービスの従事者についてお聞きしたいと思います。

 今、ホームヘルパーの研修体系及び処遇についてでございますけれども、冒頭には介護事業の取り組みについてはお話をいただきました。また、介護事業でも医療事業でも、その現場、さまざまな職種の人々の連携協力、助け合いのチームワークによって成り立っているということでございますし、介護事業であれば、第一線で働くホームヘルパー、そしてプランニングをするケアマネジャー、プランにかかわる医師や看護師あるいは薬剤師、そして何といっても当事者である利用者本人とその家族、そしてその人々の助け合いのヘルプ、ヘルプという精神の上に介護は成り立っていると思っております。

 とりわけ訪問介護労働力のかなめの役割を果たしております、利用者の在宅生活を支えているのは、まず第一線に働くホームヘルパーだと私は認識しているわけでございますけれども、現在ホームヘルパーの八割が非常勤や登録型ヘルパーと言われている状況にあります。

 昨年七月の社会保障審議会介護保険部会報告や十一月の介護サービス従事者の研修体系のあり方に関する研究会の報告では、ホームヘルパーについては質の高い人材の養成、確保を目指すべきだとして現行の問題点を指摘されております。ホームヘルパーの二級の資格では将来的に介護保険事業所で働けなくなるというような報告もなされておるわけでございますけれども、こういうことが介護現場に大きな動揺になっております。

 また、ホームヘルパーに対する評価が厳しいのも現実としてあるわけでございます。しかし、これは、それだけ訪問介護という業務が難しいからだと私は思っております。だからこそ技術の向上が必要なんですが、現行の養成研修では全く不十分だ、そういう認識のもとに今回課題として上げられたわけでございますけれども、ヘルパーに求める職業能力を整理し、新たな資格認定を設ける内容として、介護福祉士への資格化についても検討されているようでございます。

 私は、どんな研修体系を整備しても、研修の質が伴わなければ介護の質も向上しないと思っております。介護福祉士の資格を看板に上げても、現場経験を積まないうちに介護という大変デリケートな仕事を任せられるわけでございます。そういう問題も出てくるわけでございまして、今後、どのように研修体系を確立しようと考えておられるのかお尋ねいたします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先生、現場の経験からよく御存じのように、現場の介護を担当していただくのはこのホームヘルパーさんでございます。また、個々に本当に心の通い合うような介護をしていただくということがお年寄りにとっては大変大事なことだというふうに思っておりまして、なおかつ、これからは高齢化になりますし、また認知症の皆さんも多くなってくるという意味では、介護は大変また難しくなってくるというふうなことが予想されます。そんな意味で、介護職員の資質を向上させていくということは今後重要な課題だ、こう思っております。

 このために、我々としては、将来目指す方向としては、御指摘のように、介護福祉士さんのレベルをこれから基本とするということを目指してやっていきたい。ただ、当面は、研修の強化等でレベルを上げていくということを考えているところでございます。

 既に有識者による研究会で検討を進めておりますが、昨年十一月の中間まとめでは、現在ホームヘルパーさんの研修、現行は二級で百三十時間でございますが、これをより強化した介護職員基礎研修、仮称ですが、四百から五百時間程度をつくっていきたい。現在のヘルパーの一級、二級の研修をこの基礎研修へと移行していくことによって質の向上を図っていきたい。そうして、最終的には介護福祉士へとつなげていって、先ほど御指摘のありました質を向上させていく。もちろん、いわゆる研修だけでは、実践を伴わない研修だけでは難しいかと思いますが、今ヘルパーさんが現実に現場、現場で対応していただいている上に、研修によって磨きを、技術的な向上をしていただくということが今後の課題かなということを考えております。

 具体的な研修体系それから内容については、これから鋭意検討させていただきたいと思っております。

三井委員 やはりしっかりと、例えば介護福祉士さんになるのに、今副大臣から時間の問題を言われましたが、ヘルパー二級をお持ちになりながら、そして介護福祉士の資格を取るということは大変なんですね。そういう現場の声もしっかりととらえながら、質の向上という、研修体系をしっかりしたものにしていただきたいと思っております。

 そこで、介護の労働市場への対応についてお伺いしたいと思います。

 介護職員を二級ヘルパーから介護福祉士へ今シフトされるということでございますけれども、これによって今後ホームヘルパーの存在はどのように扱われるかということは、現場では大変心配されておるわけでございまして、現実に、ホームヘルパーの八割が登録型でございます。収入も勤務時間もパートタイム程度のものでいいという人から、自主的にスキルアップをしていく人から、また労働意欲、資質の向上を目指す意識も多様な状況にあるというのが現状だと思っております。そこで、介護福祉士の資格取得を、今申し上げましたように強要すれば、やめていく人もいるわけでございます。そうした介護労働市場への対応を今後どのように考えておられるのかが第一点。

 加えまして、今言われますように、来年の十八年からは、日本とフィリピンの間のFTA自由貿易交渉によって、フィリピン人の看護師あるいは介護士の受け入れ問題が今待ち構えているわけですけれども、こうした状況を踏まえて、厚生労働省ではどうお考えになっているのかお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 前段の介護福祉士に将来的にしていくという問題について御説明をさせていただきます。

 将来的に介護福祉士の方向を目指すということでございますので、直ちにヘルパーさんが介護福祉士でなければならないとか、介護福祉士の資格を持っていなければ、今資格を持っておられない方は仕事に従事できない、そういうことではございません。将来的にそういうこととしていくということでございますし、現在のヘルパーの研修をさらに強化しました基礎研修、四、五百時間をつくり、現在のヘルパー一級、二級などの研修をこの基礎研修の方に研修スタイルとしても移行していくということを考えております。

 既に実務についている一級、二級の方については、基礎研修への移行に一定期間を設ける、それから、既に活躍されているわけでございますから、四、五百時間の基礎研修といっても、かなりの部分マスターされているということも考えられますので、基礎研修の一定部分を免除する、そういうことで、現在の資格が生かせるようにしてまいりたいと思います。

 このように、ヘルパーさんのいわば全体の資質の向上を図っていただくというのをまず考えて基礎的な研修の充実を図り、特に働きながら研修される方については履修しやすいような工夫をしていかなきゃならないと考えておりますので、そういう観点でやってまいりたいと思います。

 それから先、その基礎研修を受けられた方がどうやって介護福祉士につながるかということについても、よく介護福祉士制度の方とも相談をしながら、中長期的にそのシステムを完成していきたいと考えております。

西副大臣 恐れ入ります。FTA関連の問題について御答弁申し上げます。

 今回のフィリピンとの医療・福祉分野、特に今介護福祉士の方で、福祉の分野についての移動につきましては、三つの基本原則を持っております。

 一定の知識、技術を要する国家資格を取っていただく、これが一つでございます。それから、受け入れ枠を合意の上で設定させていただく。それから、不法滞在等の問題がございますので、送り出し、それから受け入れの組織、枠組みをお互いがきっちりつくって、その間で受け渡しをしていく。

 こういう三つの原則のもとに、相手国との原則が合意されましたならば、言葉の問題とかございますので、国家資格をできるだけ受けやすくするような施策を私どもとしては講じていきたい、こう思っております。

 この二国間の交渉につきましては、昨年の十一月末に大筋両国の間で合意を見ることになりました。この具体的な送り出し、受け入れ、また人数等については、協定の条文の交渉、最終的な詰めをこれから行っていくことになっておりますが、質の高い専門家を労働市場等の影響も考えながら受け入れていくということになっておりますので、まさしくこれから詳細につきましては関係省庁と連携しながら検討を進めてまいりたいと思っております。

三井委員 ぜひホームヘルパーさんの、いずれにしましても、生き生きと誇りを持って頑張れるような環境を整えていただきたいと思っております。また、社会的な地位を向上させる上にもやはり大事なことだと思っております。

 そこで、ホームヘルパーさんの雇用と労働条件の改善についてお尋ねしたいんですが、都道府県や市町村の事業所指定または取り消しの要件に、労働関係法規の遵守と社会保険への加入の有無を設けることや、事業所の情報開示の標準化項目に社会保険の有無そして労働条件の明示を追加することも必要と考えておりますけれども、この点について検討も必要かと思いますが、いかがでございますか。

西副大臣 お尋ねの労働条件の問題でございます。

 社会保険の加入それから労働法規を遵守する、こういうことについてお尋ねでございますが、基本的には、それぞれの法律に基づいてそれぞれの事業所で対応していただくということが原則かと思います。

 その上で、今回の改正では、サービスの質の確保それから利用者の権利擁護等の観点、これはいわゆる介護の観点でございますが、その観点から、事業者に対して新たに介護サービス情報の公表を義務づけるというふうにしておりますが、この場合の情報といいますのは、サービスの内容及び運営状況に関する情報であって、要介護者等が適切に介護サービスを選択するために必要な情報を開示する、公表するというふうにしているところでございます。

 今御提案のありました、指定の取り消し要件それから情報の公表の対象として、社会保険の加入状況、労働条件の明示状況等を追加という御提案がございましたけれども、この点につきましては、サービスの質の確保それから利用者の権利擁護等の観点から、それぞれの項目ごとに、その必要性については今後私どもの方で検討させていただきたいというふうに考えております。

三井委員 ぜひ御検討をお願いしたい、していただきたいと思います。

 それで、質問がまだまだございますので、急ぎ足でいきたいと思いますけれども、介護職の医療行為についてお伺いしたいと思います。私のところに寄せられています介護現場からの要請に基づいて、今回の医療行為についてお尋ねしたいと思います。

 訪問入浴介護では医療行為が認められていないわけでございますけれども、看護師が必ずスタッフにいるという周知が徹底されているわけでございます。さらには、ケアマネジャーの中にも、簡単な医療処置を行って当たり前という誤解もあるわけでございます。利用者のニーズという点と看護師の存在の有効利用の観点からも、訪問入浴介護では、褥瘡の処置とか摘便、浣腸等の幾つかの医療行為を求めているわけでございます。やはりできることとできないこととをきちっと明確にすることが必要だと思います。皆さんのお手元にあると思いますけれども、こういう医療行為の中、例えばつめ切りだとか血圧測定とか、こういう非常に今回グレーゾーンになっている部分もございます。利用者だとかあるいは家族ですとかケアマネジャーが混乱を招かないようにしていただきたい、こういうことでございます。

 そこで、ぜひとも、今お聞きしますとパブリックコメントを求めているということでございますので、この件について実態調査を厚生労働省は実際に行っているのかということをお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 介護の現場でどういう今御指摘の医行為、医療行為、そういったものが行われているかどうかにつきまして、今委員配付いただきました資料を拝見いたしますと、詳細な調査をされておりますが、このような詳細な調査は私ども今のところ持っておりません。私どもが行っておりますのは、例えば介護保険施設在所者の方で医療処置を受けた件数、何人いるかとか、そういう調査はございますが、それが介護職員がしているのか、看護職員が実施しているのか、そういったことまでわかる調査はございません。

三井委員 これはお手元にあると思いますけれども、一つ一つお話し申し上げますと時間がございませんので、例えばこれは、この前参考人でおいでいただきました連合さんの小島生活局長からもお示しになっておりました。

 そこで、つめ切りなんかは八一・九%とか、外用薬の塗布だとか血圧測定というのは非常に高いんですね。今まで私は、こういうものを早く、これは医師法の十七条違反になるわけでございますけれども、早くこうした状況を把握して、そして、なぜここまで放置しておいていたのかということは、行政の怠慢ではないかということを私は申し上げたいと思います。そこで、ぜひ早急に対処していただくことをお願い申し上げたいと思います。答弁は結構でございます。

 それで、次に、負担のあり方について、介護保険料についてお伺いいたします。

 先ほど石毛委員からもございましたが、第二号保険料率の法定上限の設定についてでございますけれども、四月八日に同僚議員の泉健太議員の質問に対して中村老健局長は、四十歳から六十四歳のグループの保険料は、六十五歳以上の保険料と一人当たりにすると同額という考え方でつくられている、各市町村、まさに保険者が自分のところの保険料をできるだけ上げないようにぎりぎり努力して保険料を設定しているので、そこのところが全体として歯どめになっていると。一号保険料で歯どめがかかっているから二号保険料も協力せよという答弁がございました。つまり、二号保険料率の法定上限を設定するおつもりはないというお答えでよろしいんでしょうか。

 しかしながら、二号は一号に右へ倣えというのは大変おかしいと思いますし、二号保険料において、一方の市町村国保には八万円という上限がございます。そういう中で、健康保険組合には法定上限が設定をされておりませんし、それぞれの制度の成り立ち、独立性を考えれば、保険料率の上限はきちっと私は提示するのが当然ではないか、こういうぐあいに思うわけでございます。

 そこで、この介護保険の設定当時、介護保険制度が実施されれば老人医療費は減少し、老人保健拠出金も減少する、その結果、医療保険料が下がるので、医療保険料と介護保険料を合わせても健康保険法で規定される保険料率の法定上限を超えることはありません、このように政府は説明しているわけでございますけれども、しかし、老人医療費の増加は相変わらず多いんですね。健康保険組合の負担も一向に減りません。また、七十五歳で制度的に切り分けられた老人保健と退職者給付と項目の移しかえが行われただけであって、まさに高齢者医療への拠出金の割合は、相変わらず組合支出の四〇%と大変高いんです。非常に現場では重たいものになっているわけです。健保組合にしてみれば、いつまでこの拠出金を出さなければならないかという思いがあるわけでございます。そういった背景に配慮することなく協力だけお願いするということはいつまでも続けてよいのか、こういうぐあいに思うわけです。

 さきに申しましたように、制度の成り立ちあるいは独立性からしても、この際、二号保険料の料率の法定上限を設定するべきだと考えますが、いかがでございましょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先日も私御答弁申し上げましたのは、介護保険制度、四十歳以上の方の保険料で支えている制度でございまして、制度の設計に当たりましては、第一号被保険者、第二号被保険者、この被保険者数で保険料の割合を決めているということで、今高齢者の保険料は、制度スタート当初、第一号保険料が一七%、第二号保険料が三三%でございましたが、高齢者の数が増加したことにより、今一八%と三二%となっている、こういうように人数の分で分担しているという制度になっている。

 第一号保険料に応じまして第二号保険料が決められる、拠出をお願いするという仕組みになっておりますので、第一号保険料は、市町村が、第一号保険料を引き上げないように、適正な保険料水準になるようにまさに保険者として努力していることから、一八%分六十五歳以上が出しているのに相当する三二%分をお願いする、こういう仕組みで、ある意味では、第一号保険料の努力という点で第二号保険料についてもそう上がらないように努力する仕組みになっている、こういう御説明をさせていただいているところでございます。

 高齢者医療をめぐる問題でございますとか、介護保険導入後の高齢者医療費の推移とか、議論すべき論点は多いと思いますけれども、そこのところにつきましては、また医療制度改革の方でも御議論を賜りたいと存じます。

三井委員 この問題については、また改めて質問させていただきます。時間もございませんし、だんだん風邪で声もかれてきましたので、急ぎ足で、声がつぶれないうちに質問してまいりたいと思います。

 次に、先ほど石毛委員からもありましたホテルコストの導入についてということでお伺いしたいと思います。

 今回のこのホテルコストというのは非常に当然というような、参考人の中にもございましたけれども、しかし、余りにも大幅な負担ということで、現場では恐らく相当混乱するだろうということが考えられるわけでございます。

 そこで、介護保険の居住費及び食費ということでホテルコストとして設定されておりますけれども、法案の説明の際には、利用者負担の試算表など何通りか提示されておるということでいただきました。肝心の介護保険給付の対象外となる費用の負担、具体的水準は、これから省令でお決めになるということでございますけれども、現在の法案審議に必要とされるデータが全くそろわないという中で、この議論は大変難しい、非常にできない、データが本当に出ていないところで議論するというのは大変つらいものがございます。

 既に各委員からも何度か目を通している資料でございますけれども、特養老人ホームの表でございますが、利用者負担の第一段階から第四段階までございます。特に、特養老人ホームの改正後の保険料段階、第三段階の部分でございますけれども、ごらんになっていただくとおり、これは老福協の参考人でおいでになった中田さんも申しておりましたが、ここは所得が八十万円から二百六十万円という大変幅の広い改正部分でございますけれども、ここは、私が考えるには、もう少し詰めなければこの負担というのは大変だろう、そういうぐあいに思うわけでございます。例えば八十万円から百五十万円ぐらいに切り分けてもいいんじゃないかなという気がいたしますが、この百万円前後の低所得者に対しては何らかの対応が私は必要だと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。

尾辻国務大臣 今般の制度見直しにおきましては、介護保険施設等における居住費、食費について保険給付の対象外とし給付を重点化する、これはそのようにお願いをしておるところでございます。ただ、いろいろ見直しに当たりましては、所得に応じた低額の負担上限額を設けるなど、低所得の方にとって過重な負担にならないような配慮を行った制度設計といたしております。

 ただ、御指摘のように、新第三段階のうち、この三段階の幅が結構広いものですから、三段階の中での所得の低い方々については、こうした措置を行いましてもなお負担が困難になる場合もあると考えられますので、これらの方々には、真に費用負担が困難な場合には、現行の社会福祉法人の減免制度がございますから、こうしたものの運用の改善により対応する方向で検討してまいりたいと考えております。

三井委員 ぜひ御検討していただきたいと思いますし、また私が感じるところ、やはり低所得者の人も個室ユニットに入りたい、そういう方にもなるべく負担を軽減するようなことの措置もお考えいただきたいと思うんですね。まさにこうなりますと、二極化といいましょうか、貧しい人は多床室にいろということに、乱暴な言い方をすればそういうことにもなりかねないなと思いますので、ぜひこの見直しをしていただきたい、そういうぐあいに思うわけでございます。

 また、次は、今回の利用者負担による施設退所者の施設経営への影響についてということで、事業者の立場で言うわけではございませんが、現在でも、基礎年金の平均受給額は、今までいろいろお話ございました、五万円以下の水準にあるわけでございます。今申し上げましたけれども、この低所得者に対する配慮の措置があるとしても、やはり多くの高齢者が高い負担のために施設への入所をためらうことになる、こういうぐあいに実は私は思っているわけでございます。

 例えば、これは三月二十五日の国民生活センターが発表した調査で、認知症高齢者ホーム、つまりグループホームでございますけれども、経済的理由による退去者がいたホームは全体の約三割、正確に言いますと二七%という方が退所されているわけでございます。また、実際に地域においては、年金等が足りなくて家族が施設の利用料の不足分を補っているという方もたくさんおられます。また、場合によっては、利用料が払えないからやむを得ず退所するというケースも出てきております。

 こうした退所者の動向について、厚生労働省はどのように把握をしていらっしゃるのか、また調査などを行っているのか、お尋ねしたいと思います。

中村政府参考人 今委員御指摘の調査は、私どもも拝見いたしております。認知症グループホームからの退所、特に病気治療などが七三・九%と多いとか、そういう実態もございます。

 私どもも、実は、地域密着型の小規模多機能の検討をするに当たりまして、グループホームのあり方につきまして研究会をさせていただきまして、グループホームの実態などについても、現にグループホームをやっておられる方々に対しまして、入居者の状況とかそういったことについて調査研究をいたしておりますので、そういった意味では調査研究をさせていただいております。

 今回の制度見直しによって、ホテルコスト等の問題が出るのではないか、またそれが施設経営にどうかというお話でございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、低所得の負担軽減措置を講じさせていただいておりますし、また、それで足らざる部分につきましては、さらに先ほどの減免制度等も活用してまいりたいと思っておりまして、低所得のゆえに施設利用ができないということが生じないように配慮してまいりたいと思います。

三井委員 このホテルコストが導入されますと、今、認知症のグループホームでも退所者が三割、また療養型施設、そういうところにおいても、経営側にとっても重くのしかかってきますし、それでまた退所者がふえる、その退所者の皆さんが本当にどこに行かれるのかということを私は大変心配しているんです。

 また、そこに働く人たちが、例えば撤退したとか倒産したということになれば、施設を閉鎖せざるを得ない。そういうことになったときに、本当に利用者の皆さん、私は認知症の皆さんの調査をいただきましたけれども、七十数%は、半分安いわけですから特養老人ホームを待っていらっしゃる方、待機者になっているんです。あるいは病院に移っている方もいらっしゃいます。こういう中で、施設に入った場合に、今グループホームでもそういう経済的な理由でも退所される、それで、これが介護療養型あるいは特養等に入って、ホテルコストが導入されますと、まさにこの方々が退所されるということになれば、今何度も申し上げましたけれども、あるいは倒産と。私は大変心配しているわけでございます、未収金が大きくふえると思いますし。

 こういうことにならないように、この問題については、どう言えばいいんでしょう、今さらホテルコストをやめたらいいんじゃないかということを申し上げられませんけれども、ぜひさらに何らかの措置を講じるようにお願い申し上げたいと思います。

 次に、サービスの質の向上についてお伺いしたいと思います。

 今までの各委員からも、事業者の問題についてはいろいろございました。特に悪質な事業者の規制、厚生労働省も今回の見直しの中で取り消し等のことをおやりになるということでございます。

 特に在宅サービスについては、民間参入、株式会社とかNPO法人とか認められているわけでございますけれども、不正の内容も、介護サービスの架空請求ですとか、あるいは無資格者によるサービスの提供ですとか、あるいは勤務予定のないヘルパーの虚偽申請など、介護をまさに食い物にする行為であるわけでございます。まことに許しがたいと私は思っているわけでございます。今回の事業者の規制の見直しは、私はむしろ遅きに失しているのではないかなというぐあいに思うわけでございます。

 今回の改正においても、時間がないので一つ一つ申し上げませんが、都道府県の知事の指定でありますから、これをどのように実施されるのか、お伺いしたいと思います。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

西副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど先生から御指摘のように、介護保険始まって以来、民間またNPO等の事業者が大変活躍をしていただいてこの制度が成り立っているということは事実でございますが、その反面、御指摘のような内容の不正事案もたくさん発生しております。例えば、平成十五年度で、不正請求それから誤った請求等で五十六億円という金額が出ておりますように、決してこれは無視できる内容ではございません。

 そんな意味で、今回、改正を機に、この件についても、不正事業者を排除するという意味から、逆に言えば、良質な事業者が介護をしていただく皆さんから本当に安心して選んでいただけるような仕組みをつくる、こういう意味で、今回の改正は、六年ごとに指定の業者の更新をする、定期的に基準が守られているかどうかをチェックする、これが一点でございます。

 それから、新たな指定の欠格事由に、申請している人の過去の取り消しの履歴を追加いたします。過去に取り消された事業者の役員が別の法人でまた申請をしてくるというようなことのないように、そこはきっちりチェックをしていきたいと思っております。

 それから、少し間接的ですが、すべての事業者に対して、提供するサービスの内容をきちっと情報公開をするように義務づける、このことによって内容が実態とどうなのかということをチェックする、こういうことで、適正化のためにこれからも努めていきたいというふうに思っております。

 それから、知事さんの指導監督体制についてお話がありました。

 これにつきましては、国において、それぞれの都道府県が行っていただく指導監督の水準に格差が生じないように、基本的な指導指針を示していきます。それを踏まえて、毎年度、重点指導事項を示して、効果的な指導監督の徹底に努めていきたいと思っております。

 今回の介護保険法の改正におきましても、先ほど申しました事業者の指定の更新制を導入する、それから、都道府県等による監督につきましては、事業者に対する業務改善勧告それから改善命令等の規定を明確にするという制度の見直しを行うこととしておりますが、これらを踏まえまして、都道府県に対して、新たな指導指針のもとに介護保険事業者の適切な運営が図っていかれるように、我々としても指導の徹底を図っていきたいと思っております。

三井委員 ぜひ悪質な事業者は排除していくということが大事だと思いますし、また一方では、大変頑張ってよい事業をされている方はいらっしゃいます。

 こういう中で、かつて、かつてというより現在もあるそうですけれども、シルバーマーク認定証、こういうものがございましたね、いい業者に対してはこういうものを出す方法とか、何かそういうものを考えられないのかと私は思うわけでございます。特に、優良なサービスを提供しようとしている業者さんに対して、やはり積極的にこういうインセンティブが働くようなことをしてもいいのではないかな、こういうぐあいに思う次第でございます。

 時間もございませんので、今回の介護保険制度、本当によい制度になっていただきたい。私は英語が得意じゃございませんが、ヘルプということをいえば、HELPということで書くわけでございますけれども、Hといえばヘルス、健康ということでございます。特に今回、健康について、新介護予防ということで筋トレとかいろいろなことが入っていますけれども、まずは高齢者の皆さんが健康でなくてはならない。二番目のEをとりますと、強いて言えばエコノミー、経済というんでしょうか。経済ということになれば、先ほどからいろいろ議論を交わしていただいている中で、負担の問題あるいは財源の問題、そして、まさに今の年金の問題とかまで含めて、やはり経済的なものが背景にあるだろう、こういうぐあいに思っております。Lは愛という意味で、やはり愛情こもった介護サービスが必要だろう、こういうぐあいに思っております。Pは何だといいますと、これは、すべてまとまれば平和な制度、いい制度ができるだろうと。

 そういう意味で、ヘルプということでぜひいい介護制度にしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、水島広子君。

水島委員 民主党の水島広子でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、大臣にお礼を申し上げたいと思います。

 この前、三月三十日にこの委員会で大臣にお願いを申し上げましたBCGの接種とそれから学童保育のことについて、早速対応していただきまして、子供たちの力になっていただき、本当にありがとうございました。

 また、その後、報告を聞きましたところでは、私がお願いいたしました障害児の学童保育だけではなく、都道府県の意見を聴取したところ、長時間の開設加算についても別枠でまた確保していただけることになったということでございまして、この点もお礼を申し上げたいと思います。

 今回は、ぎりぎりに間に合って大臣にこれをお知らせすることができたので、大臣もこれに気がついて、急遽直していただくことができた。もしも気がつかなかったらどうなっただろうと思うと、私も背筋が寒くなる思いでございます。ぜひ、これからも厚生労働省の皆様には、的確なタイミングで大臣に正しい情報を伝えていただきまして、大臣がもっと早くこういう判断ができるようにお力をいただきたいと思っております。

 この間、本当に現場の方たちはパニックの状況でございましたので、本当に今は、最後は胸をなでおろしているところだと思いますけれども、二度と現場の方たちにこういうつらい思いをさせないように、早目早目に対応していただけますよう、そして、何か大きな判断をされるときには、今回改めてやっていただいたように、必ずこうやってきちんと現場の意見を聞いていただいて、その上で判断していただけますように、今回のことを踏まえまして、また、改めてお願いを申し上げたいところでございます。

 そして、今回、今審議をしております介護保険法の改正案についても、何か決まってしまってから、慌てて気がついてやり直すというようなことではなくて、最初から現場の情報をきちんとくみ上げて、本当にみんなが納得できるような形にこの審議を仕上げていただきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 さて、ここまでの介護保険法の改正案の審議を聞いてまいりまして、私は本当に、なぜ厚労省はこんなにおかしな答弁を繰り返すんだろうかと、率直に言って不思議で仕方がございませんでした。特に、その主役でございます中村局長は大変優秀な方でいらっしゃるのに珍答弁を繰り返されているようにお見受けしまして、大変失礼ながら、この中村局長という方は、人の生活実感とか心もわからない、いわゆる嫌なタイプの官僚の方なのかなと思っていたんですけれども、先輩議員に聞いてみますと、決してそんなことはない、中村局長というのはむしろすばらしいタイプの官僚なんだという話でございます。

 私は、本当にキツネにつままれた気分になりまして、今ここで起こっていることは一体何なんだろうかと、ない頭を絞ってずっと考えてきたんですけれども、私なりに到達しました結論は、実は局長御自身も今回の改正に疑念を持っていらっしゃるという、これは悲しいメッセージなのではないか、そんなふうにも思ったりしているところでございます。

 幾ら、今提案されている改正の内容が悪い、また心配の多いものであるとはいっても、介護について国会での真摯な議論が必要で、浪費すべき時間もないということはもう事実でございますので、きょうからは局長にも本来のよさがわかるような答弁をしていただきたいと、大変僣越ながらお願い申し上げたいと思っております。

 まずは、すっかり有名になりました幾つかのデータについて、この場で軌道修正をしていただきたいと思っております。

 今回の審議におきまして、厚労省がデータの出し方や解釈の仕方において誠実さを欠いてきたということが有意義な審議を大きく阻害してきたという事実を、大臣そして局長にも認めていただきたいと思っております。介護はもちろん、日本の厚生労働行政は、みんなで現実を共有して、そして、力を合わせて解決していかなければならないものばかりだと思っておりますので、本日からぜひお互いに姿勢を改めまして、本当に前向きな審議ができるようにしていただきたいと思っております。

 まず、その第一号でございますけれども、お手元に資料一として配らせていただいておりますけれども、何度も出てまいりましたこの「介護保険かわらばん」二〇〇四年の九月版でございます。これは何度見てもわからないわけなんですけれども、この二つ目の「鹿児島県における「居宅介護支援事業所の実態調査」より」というところをごらんいただきたいと思います。

 これは、まず全体のタイトルとして「保険給付は、軽度認定者にどのような効果をもたらしているか?」というテーマを大々的にうたった後に、この鹿児島県のデータがあるわけですけれども、「訪問介護の利用回数が多くなるにつれて、要介護度が悪化するというデータも。」というふうに書いてあるわけです。私も、医学論文を書いている立場としまして、こんなにすっぱりと結論が出せたらいいなと大変うらやましく思うくらいなんですけれども。

 そもそも、これは対象は何例で、調査期間はどの程度、どういう調査手法でこのような結論が導き出されたのかをきちんと説明していただきたいと思いますし、どういう手法であったとしても、こんなにあっさりと結論が出るわけはないと思いますので、その点について少し、今までの御答弁を軌道修正していただけますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のございました鹿児島県における居宅介護支援事業所の実態調査でございますが、これは鹿児島県が平成十五年度に実施したケアプランチェック体制整備事業の報告書にあるものでございます。

 調査の対象者数や調査方法は以下のとおりでございます。

 調査対象は、各保険者の、これは市町村になるわけですが、地区内に事業所を有するすべての居宅介護支援事業所、これは平成十五年十月末現在、全鹿児島県で五百十一事業所のうち、休止中または実績のないものを除き四百九十事業所を対象とし、調査方法は、平成十五年十一月一日現在のサービス利用者について、前回の認定期間における最終月のケアプランについての内容などを保険者によって入力したものでございます。

 調査対象となるサービス利用者の選定に当たっては、鹿児島県全体で三千例程度の収集を目標とし、認定者数により保険者ごとの割り当て数を決定し、保険者ごとに地区内の居宅支援事業所から原則同数ずつのサービス利用者を無作為抽出したと聞いております。

 以上の方法により、対象者数については鹿児島県全体で三千二百七十五例が得られた、そのうち千四百四十八例が訪問介護を利用していた、こういう調査でございます。

 鹿児島県の方では、これを県内の保健所管轄単位に集計し、いろいろ分析し、調査しているということでございます。

 その中で、今御指摘の、訪問介護の利用回数が多くなるにつれて要介護度が悪化するというデータについては、ここに書いてございますように、要支援、要介護一の該当者の中で、訪問介護の利用回数区分で改善、維持、悪化について調査をしたものと承知いたしております。

水島委員 済みません、もう一つ、この結論の出し方についても言っていただきたいんですが、これはどう見ても、確かに目で見ますと、訪問介護の利用回数が多いグループの方が要介護度が悪化しているパーセンテージが高いということまでは言えると思いますけれども、利用するに、「多くなるにつれて、要介護度が悪化する」というこの書き方はやはり正確さを欠くと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 調査の内容につきましては、今委員御指摘がありましたように、要支援、要介護一といった軽度の方については訪問介護利用回数が多いほど要介護度が悪化する傾向が見られたが、要介護二から要介護五までの中重度の方については、訪問介護利用回数と要介護度の変化について、要支援、要介護一の軽度の方のような明確な関係は見られなかった。さらに、通所介護、通所リハビリテーションについても、要介護度別に利用回数と要介護度の変化を分析しているが、通所型サービスにおいては、いずれの要介護度においても利用回数と要介護度の変化について明確な関係は見られなかった。そこで、訪問介護については、ここは引用になりますが、要介護度が要支援、要介護一のものに限って見ると、訪問介護の利用回数が多いほど要介護度が悪化する傾向が見られる、こういう分析が鹿児島県の報告書において行われているもので、これを紹介する形で「かわらばん」に掲載したものでございます。

 しかしながら、委員御指摘ございますように、非常に見方として評価が分かれる点でございますし、制度改正につきまして、国民の皆様に対しまして、介護保険制度に関する説明、解説を行うことがますます重要になってくると思われますので、私ども、誤解を受けることのないよう、また真意が十分理解されるように、表現には細心の注意を払ってまいりたいと思います。

 そういった意味で、この見方についていろいろ御批判もいただきましたし、誤解を招き、御指摘を受けるような表現もあったと思いますので、その点につきましては十分注意をして対応してまいりたいと思いますし、また引き続き、研究者を含め、さまざまな方々の御意見を虚心に伺ってまいりたいと思います。

 以上でございます。

水島委員 通所との比較ですとかその点については私もきょう初めて伺いましたので、今大変興味深く伺ったところなんです。

 ということは、結局今の結論から言えることは、通所の方がいいんじゃないかという単純な結論ではなくて、恐らく、それぞれの方の生活実態を見て、実際にその方の生活がどうなっているのか、今与えられているサービスが必ずしも適切なものではないのではないか、そういう観点を多分今の現実については持たなければいけないんだろうと思っておりますので、ぜひその辺が、もっと踏み込んで、わかるような調査のあり方あるいは制度のあり方、そのあたりをもう一工夫いただく必要があるんだと思います。

 きょう、この後もいろいろ介護予防のあり方についても質問させていただくつもりでございますけれども、恐らくそういうトータルな知見が必要なんだと思っております。こうやって書かれてしまうと、単に軽度者への支援を切るために好きなデータを並べているようにしか見えない。私、そんなに自分が意地悪な性格だと思わないんですけれども、私が見てもそういうつもりなのかなと見えますので。

 これはぜひ、もう一度「かわらばん」、これは定期的に出されているんでしょうか。そうであれば、この国会の審議を踏まえまして、本当に必要なのは個々の生活に注目をして最も適切なサービスを提供するということであって、家事代行そのものがいけないとか、そういう単純なことを言いたいわけではないんだということがわかるように、ぜひ今度広報をきちんとしていただきたいと思いますし、それが我々にもきちんと整理できるように、引き続き、この審議の間に、先ほどの訪問のことも含めまして、もう少し資料をいただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そうはいっても、今きちんと誠実に御答弁をいただきましたので、その点は感謝を申し上げたいと思います。

 そして次に、資料の二に行きますけれども、これもすっかり有名になりました厚生労働省のこの紙なんですけれども、上の参考2というところに、「要支援や要介護一といった軽度の方々は、適切な予防対策を実施すれば、状態の改善可能性は高いにもかかわらず、実際の改善度は低くなっています。」と書いてあります。この意味もいまだによくわかりません。

 四月六日に山井和則議員が質問をされたわけですけれども、そのときに尾辻大臣は、「まさに軽度の方でありますから、改善をもっと大きくしてもいい、そういう数字を示してもいいというふうに私ども思っておりますから、その期待される数字からすると、今現状で示されている数字というのは低いという判断でありまして、したがって、ここに力を入れよう、こういうことでございます。」と答えておられます。山井議員が「期待される数字とはどの程度の数字ですか。」と聞きますと、西副大臣は、「指標といたしましては、要介護度が改善するということでございます。」そして尾辻大臣は、「今お尋ねいただいて、すっと期待される数字がこのぐらいですというふうには申し上げられませんけれども、ただ、こうした数字というのは少なくとももっと高くあるべきだというふうに考えておるというお答えを申し上げます。」そういうふうに答弁をされております。

 既に先日、我が党の泉健太議員が指摘をしましたけれども、本当に人は年々年をとるということをわかっておられるんでしょうか。高齢者の介護というのは病気の治療とは違います。やはり年々年をとって状態というのは基本的には悪化していくものだというふうに考えているんですけれども、それは事実だと思います。

 また、例えば「介護保険かわらばん」の先ほどの鹿児島県のデータを見ましても、訪問介護サービスの回数が二十九回以上という、ほとんど毎日ですよね、この介護度の高い方たちのうち、約七割が現状維持、五・二%が改善すらしているというのはむしろ喜ぶべきデータのようにも思うわけなんですけれども、大臣も、維持というのはすばらしいと四月八日には答弁をしてくださったわけでございます。

 四月六日から時間もたっておりますので、期待される数字ということについてもう一度答え直していただきたいと思います。私が察するに、大臣は優しいお気持ちを持った方でございますので、もっとよくなってほしいという気持ちがつい先走ってしまって口を滑らせてしまったんではないか、そのように思っているんですけれども、この点をもう一度ちょっと尾辻大臣、御答弁いただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 私の言いたいことを見事に言い直していただきましたので、改めて申し上げます。

 つい、皆さんに元気になっていただきたい、山井議員の御質問に、私が現場を見せていただいたときの答えでもそんなことを申し上げたものでありますけれども、そうした思いで期待されるという表現を使ったことは適切でなかったかなと思います。

 要するに、皆さんお元気になっていただきたいなという思いで、そして、今回の私どものこの法律改正もそうした思いを込めてつくらせていただいたつもりでありますということを改めて申し上げたいと存じます。

水島委員 大臣、ありがとうございます。また誠実にお認めをいただきまして、これで審議を先に進めることができると思います。(発言する者あり)褒めぬ方がいいぞという声が今飛びましたけれども、ぜひこの評価にこたえて、この先の答弁もスムーズにいただきたいと思います。

 次に行く前に、今の大臣の御答弁でございますけれども、要は、皆さんが本当に最後まで自分らしく生き生きと年をとっていただきたい、そのために厚生労働省としてよりよいサービスをこれからも工夫していきたい、そういうお気持ちというふうに受けとめさせていただきましたけれども、それでよろしいかと思いますが、大臣、ちょっとうなずいていただけますでしょうか。はい。ということでございますので、先に進ませていただきたいと思います。

 次に、次はちょっと厄介な話なんですが、資料三を見ていただきたいと思います。これは厚生労働省が山井和則議員からの請求に対しまして出された回答文書でございまして、資料三、資料四、資料五とセットになっています。英語の論文をだらだらつけても仕方がないので、資料四と資料五は、そこに添付されておりました英語の論文の要約が載っている部分のページだけつけさせていただいております。

 この回答文書、これは山井議員がもともと、筋トレの長期的な効果についてのエビデンスはあるんですかと厚生労働省に食い下がって、やっと出していただいたデータというふうに聞いておりますけれども、これに対して、四月六日に山井議員は、「筋力トレーニングを中心とした予防に、長期的な効果について科学的な根拠があると。 世田谷区、三カ月終わってからも四〇%が体操などを続けていた、こういうのを科学的根拠というんですか、」と厳しく迫っておられました。

 私もこの紙を見たときすごく違和感を持ったわけですけれども、仮に例一の世田谷区、これを科学的根拠と呼びたいのであれば、そもそも、筋トレに志願してきたお年寄りを無作為に筋トレ群とそうでない群に振り分けて、それぞれ終了した後に何%が体操をしているかということを比較して初めて科学的根拠と言えると思いますし、百歩譲ってそこまでやるのが面倒だとしても、通常、このくらいに志願してくる程度の健康なお年寄りの何%が日常的に体操をしているのか、その程度の基本データがなければ、比較して科学的と言えないと思うんです。

 おかしいなと思いまして、これは厚生労働省の方に、本気でこんなのを科学的根拠と考えているんですかというふうに聞きましたところ、いやいや違うんです、科学的根拠というのはこの下に書いてある海外の文献の方が科学的根拠であって、上についているのは単に我が国の事例でありますと。その点については書き方が逆転してしまったようでよくなかったというようなことであったんですが、ああ、そうですかということで、私もその書き方については不満があるんですけれども、では海外の文献はどうなっているだろうかということで読ませていただきました。

 そうしましたら、まず例の二なんですけれども、例の二、これがつけられている論文でいくと資料五に当たるんですが、まず資料四と資料五を見ていただきたいんですけれども、この中にお読みになれる方いますか。英語が得意な方でも多分読めないと思うんです。

 というのが、傍聴者の方は見えないと思うんですが、ちっちゃい字がファクスで送られてきていまして、字がみんなつぶれていまして、英語が得意な人でもちょっと単語が読めない。私も、まずこの原著を検索しようと思いまして、著者の名前をこれで見ようとしたんですけれども、著者の名字も読めない、そんな状態のつぶれた字で送ってきてくださったもの。これは私は山井さんからそのままいただいたので、この状態で送られてきたものだと思うんですけれども、そもそもこの論文を読んでもらおうという気持ちがないんだなとここから感じられるわけです。

 さらに、でも、そうはいっても、この日本語の紙、資料三に戻っていただきまして、日本語の紙の例一、例二と下に書いてあるので、ああ、これを英語が苦手な人のために日本語でちゃんと端的に書いてくださったんだろうなと思って読みましたところ、まず、この例二は、つけられてきている論文と内容が異なっておりまして、例二は別の論文の要約なんですけれども、これは一体どういうことなんでしょうか。

 例二は、これは「百三名を対象とした変形性膝関節症を有する高齢者に対する、」ということが書いてあって、ここについております英語の二枚目の論文は、これは健常者、健康なお年寄りに対して、これは人数も違いますね、健康なお年寄り。これは、ちゃんと読めるように、この二に当たるものを私は別のコンピューターのデータベースから引っ張ってきて読んでみたんですけれども、これは健康なお年寄り百四十二名に対して二年間行われた調査ということで、違う論文なんです。

 まず、この例二の日本語と、ここにつけられてきている二本目の英語の論文の内容が全然違うということをお気づきになっていましたでしょうか。

中村政府参考人 今委員御指摘の科学的というお話については、委員の御指摘のとおりでございまして、私ども、先ほどの答弁でも申し上げましたが、介護予防サービス評価委員会で検証していただいておりまして、まず、介護予防の有効性に関する文献のレビューもしていただいております。そのレビューの中から、水島委員御指摘の例を出し、それのもと論文をお送りさせていただいたと思いますが、そのレビューでは、運動機能の向上で八十七ページから百三十ページまで、大体一ページ一論文でございますので、四十数論文、掲げております。これは前にも御提出したことがあるかと思いますが、水島委員の方にはこれをもう一回御提出させていただきたいと思います。

 今申し上げました運動器の機能向上のほかにも、その他の項目として研究論文が百三十六ページから百五十一ページにございますので、そういった論文をチェックしていただいております。それは、委員がおっしゃっておられる、ランダマイズした研究成果など、いわゆるEBMに足り得るもの、ランダム化比較試験などの文献をやらせていただいていますので、ファクスでお送りしたものに手違いがあったのであればおわび申し上げますし、手違いだったと思います。

 それと、そういうことで、まず介護予防の有効性に関する文献調査をいたしておりますので、そこの点については改めてその資料をお届けさせていただきます。

水島委員 手違いだったんだろうなとは思うんですけれども、当時、今もそうですけれども、山井義員は、かなりこのことを真剣に思い詰めて、毎日、筋トレの効果、効果といって、本当に朝から晩まで走り回っていました。そういう人に対して資料を送るときに、その論文の内容をきちんとチェックしないで、それもこのつぶれた字で、まだこっちの英語がすっきり読めるような論文だったらいいんです、こちらに日本語で書いてあるのとまた違うのがついてきたんだなと思いますので。これだけ字がつぶれていたら、当然、この要約がこの日本語だと思うじゃないですか。ですから、そういう態度がちょっと私も非常に問題だと思っているところなんです。

 ただ、厚労省の弁護を多少させていただくと、きのう私が改めて請求しましたときには、この例二にそのまま該当する論文を今度はつけてきてくださいましたので、多分、山井議員に送ったときには本当にミスだったのかもしれないなと思うんですけれども、ただ、山井議員にはこういう形で送って、今度私には英語の論文を二本つけてきて、二本目は、今度ちゃんとこの例二に、正しかったと。(発言する者あり)また、私がいただいた方のは一応読めるんです。読めるサイズのものを送ってきてくださいました。

 ですから、本当に、今、何で対応が違うんだと山井議員がおっしゃっていたんですけれども、やはりそれぞれの国会議員は真剣に資料を要求しておりますので、きちんと読める形のものを誠実にお届けいただきたいと思います。

 それで、さらに私がこれを読みまして問題だなと思いましたのは、そんなに間違ったことが書いてあるわけではないんですが、例えば、これはどちらの研究も、原著を読んでみますと、どういう研究デザインになっているかというと、この高齢者のグループ、それも変形性膝関節症ということをきちんと診断されたグループを、つまりそういう医学的環境のもとで三つのグループに分け、その一つは有酸素運動、つまりウオーキングです、もう一つは負荷トレーニング、つまり筋トレです、そしてもう一つは単に健康教育を施す。この三つのグループに無作為に振り分けて、それぞれが、例一の方の研究は十八カ月間、これは持続したトレーニング。二つ目も、三カ月と十五カ月、これは両方とも、施設で最初やって、その後おうちでやるという形で、十八カ月間の継続したトレーニングです。十八カ月間継続をしてその結果を見ているという、どちらもそういうデザインでございます。

 もともと山井議員が質問していたのは、三カ月だけやって、その後長期的に見てどうなんですか、そのエビデンスがあるんですかということを聞いていたので、十八カ月間トレーニングをやりっ放しで、その最後のときの効果がどうかというのを答えていることでは、山井議員の要求には多分答えていないということなんだと思います。まずそのことをお認めいただきたい。

 それから、これはそうやって三グループに分けていて、例えば、この例一の方の結果を見ますと、有意な差かどうか、きちんと統計を自分で解析しているわけではありませんが、少なくとも、有酸素運動、ウオーキングの方が筋トレよりも効果が上がっています。どちらも効果が上がっているんですけれども、ウオーキングの方が若干効果が高く上がっています。例二の方の論文を見ますとそうでもないので、これもやはり有酸素も筋トレもどちらも効果が上がっているんですけれども、結局これは、例一、例二、ここに正しく日本語で書いていただくとすれば、有酸素も筋トレも指標がすぐれていた、そういうふうに書いていただくべきなんです。

 また、例一も、「明らかに」かもしれないけれども、もともとの原著を見ますと、これはモデストという言葉を使っていまして、物すごく効果が出ているわけじゃないんですね。そこそこ効果が出ているという言葉ですから、筋トレで明らかに効果が上がったというふうに胸を張っていただくのは、ちょっとどうかなと。それも、有酸素というもう一つの有力な選択肢があるにもかかわらず、そっちを見事に隠して筋トレだけの論文があるかのように見せているというのはどうかなと、ちょっと私、このあたりには問題を感じるわけなんです。

 実は、私は前から筋トレよりも多分ウオーキングなどの有酸素の方が、これは後で申し上げようと思っていたんですけれども、最近の論文を見ますと、有酸素運動は抗うつ効果もある、うつ病を治す効果もある、薬物と同程度の効果があるなんというのが示されていまして、この有酸素運動というのは、歩くのはどこでもできますし、みんなで歩くというのは楽しいことだし、また、みんなで体を動かすというのは楽しいこと。ひとり黙々と器械に向かってやるというのは、私も運動として嫌いです。ですから、そういうもっといろいろな選択肢の中で、本当にお年寄りがみんなで集まって楽しくできる運動で、かつ効果が高いもの、さらにうつにも効くもの、それが有酸素運動であるとしたら、むしろそっちを率先すべきじゃないかなと思うんです。

 ただ、ここで私が断定するほどにはまだエビデンスがないのではないかなとも思っておりますから、本当にこの辺の議論というのは非常に重要な議論なんですね。こんなところで余り我を張って、今までの自分たちの説明に、「かわらばん」をまいてしまったのでいこじになって、筋トレがいいんです、いや筋トレがいいんですと言い続けることは本当に不毛だと思いますので、ちょっとこの有酸素運動ということも重要な選択肢の一つとして、きちんとこれから、本当にこれからエビデンスを積み重ねていただきたいと思っているんです。

 日本は全般にエビデンスが少ない国で、これはあらゆる領域について言えることです。それが、日本という国が抱えている課題の一つだと思いますし、厚生労働省の皆様が抱えている課題だとも思っています。それなのに、こんなものを集めて科学的根拠があるとか言い切ってしまっていては、いつまでたってもレベルが上がらないんじゃないかということが真剣に心配でございます。

 私自身も、もともと頭の構造が余り科学的な方ではないので、科学的な人間になろうとして苦労した一人ですから、日本の学術的なレベルを上げるためにも、偉そうに言うわけではなくて、自己反省も含めまして、本当にみんなが科学的に考えなくちゃいけないんだなということを考えているんです。ぜひ、エビデンスはないから、また不十分だから、これから一緒に集めましょう、集めていくためにはどうすればいいんでしょうか、そういうことを素直に言ってもらった方がずっとよいわけでございます。

 医学もそうですけれども、エビデンスベースドというのは、客観的な根拠に基づいてそこから何かを導き出してくるということであって、決して、自分たちの結論、最初から決めた結論に合うデータだけを適当に集めてきてこれがエビデンスですというような意味ではないはずだと思います。

 今の一連の、私ばかりべらべらしゃべりましたけれども、このエビデンスという言葉を厚生労働行政で本当に前向きに正しい意味で使っていけるように、今のこの議論の感想を大臣に、総括をしながらちょっと一言御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今いろいろお話しいただきましたけれども、運動器の機能向上を初め新たな介護予防サービスの検討におきましては、お話しいただきましたように、客観的な根拠を踏まえてなされるべきである、これを私どもも重要視してきたつもりでございます。そして、そのことについて、その分野の専門家による国内外のデータや論文の収集と、それに基づく有効性の検証というのを私なりに行ってまいりましたということは申し上げているところでございます。

 しかし、いろいろお話がございまして、説明が不十分であった点などについては、御指摘を真摯に受けとめて今後に生かしてまいらなきゃいけない、こういうふうに考えております。(発言する者あり)

水島委員 今いろいろな声が委員の間から出ていたんですけれども、今回の議論をしていく上で、データが欲しい、エビデンスが欲しいという声は、これは党利党略ということではなくて、何に基づいてこれから制度をつくっていくべきかということを本当にみんなが知りたいと思っております。例えばトレーニングの効果につきましても、これだけ例えば有酸素という、今まで全然ここの審議の中心課題になっていなかったものにこんなに効果があるとしたら、やはりそれは見過ごすわけにはいかないことだと思います。

 また、皆さん国会議員というのは、別に英語ができることが必要要件でも何でもありません、日本の国会議員ですので。ぜひ、英語の論文をぽんと渡すんじゃなくて、少なくともサマリーの部分だけでも日本語できちんと正しく訳して、それをおできになる方は厚労省に幾らでもいらっしゃると思いますので、きちんと訳して、少なくともこの根拠となるような外国の文献を示していただけますでしょうか。それをちょっとお約束いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 今委員御指摘の翻訳のことについては、やらせていただきます。

水島委員 ありがとうございます。

 いつまでにというのを詰めないと多分怒られると思うんですけれども、きょうは金曜日で、来週の審議が多分水曜日ですので、多分このくらいの仕事でしたら水曜日までにできると思いますから、水曜日の審議までに、日本語で、少なくとも質問する議員が読めるようにきちんと翻訳をしていただけますように、よろしくお願い申し上げます。

 私も、何かこんなふうに、厚労省から資料をいただくたびに自分で別のデータベースをあさって、本当にこれが正しいかなんというのを一々チェックするのは本当に疲れますので、これから、厚労省からいただいたものは一〇〇%正しいんだと思えるようなデータの出し方をしていただけますように、よろしくお願いいたします。

 さて、このエビデンスについての議論を聞いていまして思い出したことがございます。これは介護保険とは直接関係のないように聞こえるかもしれませんけれども、女性の高齢期の健康にも重要な関係のあることなので、ここで一つ質問させていただきたいと思います。

 以前から、日本子宮内膜症協会の方たちが子宮内膜症に低用量ピルを保険適用してほしいという要望を出されています。この三月七日にも厚生労働大臣あてに要望書が出されたばかりです。この要望書の中に「低用量ピルには十分なエビデンスがある」という項目がございます。そこを読ませていただきます。

 「以下の多くの証拠により、低用量ピルが子宮内膜症に伴う月経困難症の標準治療薬であることは、日本を除いた世界で長く周知された事実であると容易にわかります。 よって、これ以上のRCT」、これは無作為振り分け比較対照試験と訳すと思いますけれども、この「RCTを要求なさるのは、一九七〇年代という三十年近くも前から今日まで、世界で日本の子宮内膜症の女性だけが被ってきた”ピルを当たり前に使えない不幸”を延長させるだけでなく、患者の人権保護を重視したヘルシンキ宣言に触れるのではないでしょうか。」と書かれてあります。私も本当にそのとおりだと思っております。

 ここでエビデンスとして上げられているのは、欧米のガイドラインやそれに準ずるもの、論文としては、ファータリティー・アンド・ステーリリティーという有名な雑誌にUCLAの方たちが書かれたエキスパートコンセンサスが添付されています。また、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンという超一流雑誌、ここに論文が載ることはすべての医学者の一生の夢ではないかと思われる一流雑誌ですけれども、このニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに載りました子宮内膜症の治療についての総説も添付されております。

 また、やはりファータリティー・アンド・ステーリリティーの論文ですけれども、子宮内膜症に対するRCTを報告したものも添付されていますし、その他、有名な医学教科書であるセシル、またイギリスやアメリカの処方解説書なども添付されていますけれども、いずれを見ましても、一九七〇年代から経口避妊薬は子宮内膜症の薬物療法で用いられるようになり、近年では低用量ピルが子宮内膜症の薬物治療の第一選択であるということを示していると思います。

 産婦人科医の中には、保険適用のない薬を処方されることを嫌い、ピルを希望しても保険適用のある中用量ピルを処方するというねじれ現象が起こっております。低用量ピルよりも中用量ピルの方が副作用が強いのは当たり前で、血栓リスクは四倍です。また、自治体病院の多くが保険適用がないことを理由に低用量ピルを置いておりません。ですから、自由診療で使いたいといっても、それが病院に置いていないということになっているわけです。

 重大な問題は何かというと、低用量ピルがなかった時代はもちろん、導入されても自由診療のためスムーズに処方されない現在に至っても、リュープリン、ナサニール、スプレキュアというGnRHアゴニストの使用量が世界で突出して高いということで、日本の内膜症の女性のQOLを低下させているということでございます。

 GnRHアゴニストは、脳下垂体に作用して性ホルモンを去勢状態にする薬ですので、エストロゲンもプロゲステロンも、更年期どころか閉経後の老年期レベルまで落とし込まれるために、骨量の減少、脂質代謝の悪化、認知機能の低下、不眠、うつ、脱毛、関節異常、甲状腺機能異常というような症状が進んでいくわけでございます。時には生殖機能が不可逆的なダメージを受けてしまい、無排卵になって性器萎縮にすら至る人がいます。つまり、これは閉経を早期にしてしまうということを意味しているわけです。

 このような特徴を持つ薬ですので、六カ月以上は使用しないようにということになっております。ですから、六カ月以上使えない薬というのは、そもそも子宮内膜症という慢性疾患に対して使うことが余り適さない薬なのではないかというふうに思っております。

 私自身が二〇〇二年六月五日に厚生労働委員会で坂口大臣に質問をしましたときには、「薬事全般にわたりますことにつきましては、」「それは今御指摘になりましたように、企業からそういう承認の申請があったからそれは認める、認めないということではなくて、この範囲のこういう薬については認めるということをやはり明確にしていくということも大事かなというふうに思いながら、私は今聞かせていただいた次第でございます。」と坂口大臣らしい答弁をされたわけです。

 その質問をしましたときには、こんな得にもならない薬に対して企業からの承認申請などないだろうから、厚生労働省にきちんとリードしていただかなければいけないというふうに思って質問させていただいたわけなんですけれども、その後、一つの会社が治験を始めたそうでございます。この質問がどうもきっかけになったようなんですけれども。

 そして、ことしの一月に開催されました第二十六回エンドメトリオーシス研究会、これは日本における子宮内膜症の学会に当たるものですけれども、ここにおきまして、東京大学の百枝幹雄先生たちが、低用量ピルのRCTのデータを発表され、子宮内膜症に伴う月経困難症に有意に効果があるだけではなく、チョコレート嚢胞を縮小する効果があるということも明らかにされたそうでございます。

 国際的なコンセンサスも踏まえ、このようなものこそエビデンスと呼ぶのだと思いますけれども、日本子宮内膜症協会の要望を厚生労働省としてどのように受けとめられているでしょうか。

阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、日本子宮内膜症協会の方から、三月七日に厚生労働大臣と医薬品医療機器総合機構の理事長あてに要望書が出されまして、私どもの厚生労働省の職員二名とそれから機構の職員二名とで意見交換をいたしました。

 それで、御要望の趣旨は、今御説明ございましたように、低用量ピルについて、子宮内膜症に伴う月経困難症について適用の早急な承認をしていただけないか、保険適用をできないかということでございますが、この問題につきましては、今お話がございましたように、国内で今開発をしている企業が一社ございまして、既に治験が進行しております。昨日確認いたしましたところ、かなり順調に治験が進行しているというふうに聞いておりまして、厚生労働省といたしましては、この薬ができるだけ早く、早期に開発できるように、今後また、独立法人の医薬品医療機器総合機構とも治験相談の活用などをいたしまして十分相談をいたしまして、適切に対応していきたいというふうに考えております。

水島委員 当然、これだけの国際的なエビデンスがあるわけでございますので、申請されたときには優先審査扱いにしていただいて、欧米の低用量ピルを参考に、高過ぎず安過ぎない薬価で保険適用として、一刻も早く日本の子宮内膜症の女性たちが使えるようにしていただきたいと思いますけれども、この点はよろしいでしょうか。

阿曽沼政府参考人 この薬につきまして承認の申請がなされた際には、臨床試験の成績などの提出データといいますものを有効性、安全性につきまして適切に審査いたしまして、承認された後につきましては速やかに保険適用をしていきたいというふうに考えております。

水島委員 承認された後に保険適用というのは、むしろ当たり前のことなんですけれども。

 大臣、先ほどちょっと私早口で申し上げましたので、よく御理解いただけなかったかもしれないんですけれども、そのように、前からずっと外国では使われてきている低用量ピルという薬が、日本で保険適用されていないために日本の子宮内膜症の女性たちがその薬を使えない。

 その結果として、GnRHアゴニストという薬を使わなければならなくて、それが女性たちを早期に老化に追い込むような、ホルモン系の非常に強い副作用が出るような薬であって、日本に生まれた女性だからというだけの理由で、子宮内膜症の方たちが本来もっと楽に使える薬が使えていないという現状がかなり放置されておりますので、国際的なエビデンスを踏まえて、申請されましたときには本当に速やかにその審査に取りかかっていただきたいということを、ちょっと大臣からも一言、お約束いただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 かねて、薬の承認につきましてのいろいろな御要望というのはお聞きをいたしておりまして、スピードアップしなきゃいけないということはお答え申し上げておるところでありますから、そのように努めてまいります。

水島委員 では、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 それで、また介護保険の方の質問に戻らせていただきます。きょうは私は、本当は一番質問したかったことは高齢期のうつについてなんですけれども、だんだんと時間がなくなってまいりまして、審議時間を本当にきちんととっていただけるかどうか、だんだん心配になってまいりました。

 まず、今回、介護予防全体を考えていく上で、一つちょっと参考になる事例を御紹介したいと思うんです。私の選挙区でございます宇都宮市では、生きがい対応型デイサービスをやっているんですけれども、それは地域保健研究会の二〇〇三年度老人保健事業推進費等補助金、介護予防優良事例集、ここにございますが、ここにも取り上げられております。宇都宮市の生きがい対応型デイサービスということで、優良な事例ということで評価していただいているものなんだと思うんです。

 この事業は、二〇〇〇年に、国の介護予防生活支援事業のうちの生きがい活動支援通所事業としてスタートしたもので、当初は通所介護施設の余力部分において行うものとしてスタートしましたが、翌年には、生きがい対応型デイサービス専用施設に委託を開始いたしました。

 利用人数は、二〇〇〇年度には九千五百五十五人、二〇〇三年度には二万八千九百十四人、二〇〇四年度には五万五千五百二十六人と大幅にふえてきました。それに伴って、事業費も、二〇〇〇年度には四千六百三十五万円だったものが、二〇〇四年度には一億九千四百六十万円と膨れ上がってきているわけです。

 この事例集を今回初めて見ましたけれども、この中に、宇都宮市の生きがい対応型デイサービスの「今後の課題と抱負」として書かれているのは何かというと、二〇〇七年度までに、

 規模を現在の二・五倍にまで高めようと考えています。そのため専用施設も増やしていきますから、それにともなって対象者の登録人数やサービスの利用回数なども増えていくことになる、というように、高齢者が通いやすい身近なところに拠点を増やしていくことが重要です。

  今後は、通所介護の余力を利用するような通所介護施設での事業は減らしていく方針を立てています。その反面、生きがいデイサービス専用施設を、中学校区に一カ所整備し、現状の心身機能の維持という予防的観点から、介護保険の該当者以外で、虚弱や閉じこもりがちな高齢者を対象とする事業を展開していこうと考えています。

と、かなり前向きの内容がここに「今後の課題と抱負」として書かれているんです。

 この生きがい対応型デイサービス事業が、宇都宮市においてこの四月から急に見直されることになり、今まで週三回利用できたものが週一回になってしまうので困るという不安の声を利用者の方たちからいただきまして、私も調べてみました。

 今回、見直しが行われるきっかけになった一つの大きな背景が、明らかにむだと思われる事業所の存在だったと言われています。確かに、そういう事業所が存在することは聞いています。元気なお年寄りがカラオケを歌い放題で五百円というように、そもそもの制度の趣旨を取り違えているとしか思えないようなケースもあるようです。

 でも、私が知っているような事業所は、自分では外出できない、外出する気になれないお年寄りにも送迎サービスをして、みんなで一緒に昼食をとり、手作業などいろいろな趣味を提供することで、お年寄りを心身ともに支え、元気な状態を維持していただくという機能を立派に果たしているわけです。

 施設運営についての指針もないまま、運営実態がある意味では野放しにされてきたという状況で、一部に悪質なところがあるからといって、事業全体が一律に縮小されるというのは、この事業によって明らかに生活の質が保たれている当事者の方たちにとっては大変迷惑な話でございます。

 介護予防も含めて、介護の問題を考えていく上では、質のチェックは避けては通れない道でございまして、それは多くの方が既に指摘されていますけれども、それを避けて事業そのものから撤退してしまうというのでは、まさに悪貨が良貨を駆逐するということになってしまい、本末転倒な話だと思います。

 質のチェックをどうするかということと、制度設計全体をどうするかということは、一部共通する部分もございますけれども、基本的には違うレベルの話です。今回も、一部の不適切なケースのチェックをどうするかという議論よりも、制度全体の見直しに一気に飛びついているというふうに見えるということは、宇都宮市で起こったことと同じ構造ではないかと思います。

 宇都宮市につきましては、私から厚生労働省にお願いをして、問い合わせもしていただきまして、少しは柔軟な姿勢が示されてきたようでございますし、また、利用者調査もしてもらえることになりました。でも、この介護の今後というものを考える上で、非常に象徴的で不吉な事件だったというふうに私は思っております。

 まず、今回の改正で、このように悪貨が良貨を駆逐しないようにということはどこで担保されているんでしょうか。

中村政府参考人 今の生きがいデイのお話は承りまして、この生きがいデイは、各地で要介護認定に該当されていない方を対象にして市町村でやっているところでございます。これからも市町村事業としてぜひ実施していただきたいというふうに考えておりますが、特に閉じこもり等を予防する、こういう事業の趣旨で組み立てられれば、地域支援事業の中の介護予防事業の中でもやっていただけるのではないかな、そういうふうに思いながら聞かせていただきました。

 それから、今の御指摘の例のように、悪貨が良貨を駆逐しないようにするにはどうしたらいいかということだと思いますが、それはやはり、地域のケアマネジメントをきちんとしていただく、そういった中で、みんなでケアプランチェックをしたり、それからケアカンファレンスをする、そういう中で、その地域においてもどこが問題があってどの事業所がきちんとやっておられるかというのを評価していく、そういったことがまず第一歩ではないかと考えております。

水島委員 そういったこともとても重要だと思いますけれども、既にいろいろなところで指摘されていますけれども、例えばケアマネジャーの独立性を確保するということの方が本質なのではないかと思います。待遇を今よりもずっとよくするかわりにサービス事業所との接触を禁ずるというような仕組みにどうしてすることができないんでしょうか。

中村政府参考人 御指摘のとおり、ケアマネジャーの独立性、中立性を高めることは大変重要だと考えております。

 今回の見直しでは、ケアマネジャーが担当します件数の見直し、それから中立性、独立性を高める方向での報酬の見直しを行うとともに、保険者の方では、ケアマネジャーごとにどのケアマネジャーさんがどういうケアプランをつくっていただいている、その件数や偏りをチェックする仕組みを導入することといたしております。そういったことを通じまして、ケアマネジャーの独立性、中立性の確保に向けて取り組んでまいりたいと思います。そのほか、ケアマネジャーさんの更新制なども組み込ませていただいております。

水島委員 今のは一つの手法かもしれませんけれども、ケアマネジャーの立場に全然立っていないと思うんですね。

 ケアマネさんは本当につらい立場に置かれていて、事業所に所属していらっしゃる方の場合には事業所からのプレッシャーを日々感じ、ノルマを課され、そしてまた、独立してやっておられる方は今度は営業攻撃にさらされ、本当に、落ちついてケアプランを立てるという自分の仕事に専念できないような状況に置かれているわけです。

 それを今度は適切に行われているかどうかをチェックするというようなことでは、全然ケアマネさんが置かれているつらい現状にきちんと対応しているとは思えないし、ケアマネさんが本当に自分の仕事に誇りを持って、本当に職務の中できちんとやっていただくということが、力を存分に出していただくということにもつながると思うんですけれども、その辺、もうちょっと踏み込んで御答弁いただけないものなんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、市町村に行っていただきます地域の包括的支援事業の中では三つの事業をお願いしておりますが、その一つがケアマネジメント、ケアマネジャーの支援ということでございます。

 先ほど来お話出ておりますように、市町村が主軸になってこの三事業を行うということは、元来、ケアマネジメント全体を見直すということ、支援するという方向性でやっているわけでございます。地域包括支援センターが中立公正なケアマネジメントの支援を行う、また、それは市町村が大きな役割を果たしますし、運営協議会は市町村が主宰してやるわけでございますので、そういう体制をとるということが、今委員御指摘のございました、孤立して、いろいろな方面から苦しい立場にある現在のケアマネジャーさんを支援する力になるのではないかと考えております。

水島委員 ちょっとずれていると思いますし、多分効果がないと思いますので、もしもそういう考えでなさるのであれば、そういう効果が出たのかどうかというのはきちんと検証していただく必要がありますし、最終的には、私は、先ほど私が申し上げましたように、そういう仕組みをちゃんとつくる、それが絶対に必要ではないかと思いますので、この点はやりっ放しにしないで、ケアマネジャーさんたちの現状をきちんと聞いて、もっとよい工夫をしていただきたいと思います。この審議の間に間に合えば、そういうことでもう一度方向を決めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、うつの方に行きたいんですけれども、もう一つ、どうしても気になりますので聞かせていただきたいんですけれども、先日ここに参考人として来られました池田省三さんが、生きがいデイには何の意味もないと言い切っておられたのがちょっと耳に残っておりまして、実際には意味のある方もいらっしゃるという現実を知っている立場からすると、大変違和感がございます。専門家として国会に呼ばれた池田省三さんがああいう言い方をされてしまったので、現場で頑張っておられる方たちはさぞがっかりしたと思うんですけれども、専門家の方にはぜひ現場をもっと見ていただきたいと思います。

 また、厚生労働省にはきょうはもう少しまともなことを言っていただきたいと思うんですけれども、厚生労働省として、介護予防の中に生きがい対応型デイサービスをどのように位置づけておられるのか、また、そこでどういう活動をすることに意義があるかとか、あるいは週何回以上そうやって外出するのが望ましいかとか、そのようなデータはお持ちなんでしょうか。

中村政府参考人 先ほど来お答え申し上げております介護予防の評価検討会でも、閉じこもりとか、うつ、それから認知症、これはもう大変重要な問題ですけれども、なかなかエビデンスが確立しているところまではいっていない、したがって、市町村において、地域支援事業の中で実施しながら考えていく必要がある、工夫しながらやっていく必要がある、こういうふうに報告書の中でも閉じこもり等については触れられているところでございます。

 先ほど私御答弁申し上げましたように、閉じこもり等の予防という趣旨に立って、地域支援事業の中で、介護予防事業の中で、生きがいデイサービスというのは位置づけられる可能性はあると思いますけれども、例えば週何回あれば効果があるかというのは、また実態を踏まえて、やはり、そこの地域の専門家あるいはサービス提供者、それから事業者の皆さんがケアカンファレンスする中で見出していただきたい、いくべきことではないかと考えております。

水島委員 恐らく、ケアカンファレンスの中で位置づけていくにしても、その参考になるデータというのはやはり必要だと思いますので、国として、介護予防などについてのナショナルセンターをちゃんとつくっていただいて、研究を積み重ねていただく必要があると思うんです。

 大臣にぽっと伺いますけれども、極めて素直に答えていただければ結構なんですが、直観として、週三回、つまり約一日置きに生きがいデイサービス、生きがいデイに出かけて、みんなと一緒に御飯を食べていろいろ手作業をしたりという生活と、週一回だけ、そこに出かけていくことしか許されないというのでは、大分介護予防効果が違うような感じがしませんでしょうか。週三回、つまり一日置きに出かけていくのと、週一回だけというのでは、大分効果が違うような、直観で結構なんですけれども、しませんでしょうか。

尾辻国務大臣 それはやはり週三日の方が効果があるというふうに思います。

水島委員 さすが、現実感覚を忘れていらっしゃらない大臣の御答弁と伺いましたので、宇都宮市の方たちにもぜひ今の大臣の答弁を参考にしていただきたいなと思います。

 きょうは、本当は私、もともと介護についてはうつについての質問を担当しようと思っていたんですが、どうしてもここまでの議論の中でのデータの扱い方を見ていられなくなってしまって、大分質問の時間を余分に使ってしまいましたので、ぜひ、理事の皆様には、私にあと三十分ほどうつで質問時間をいただきたいなということをお願いしておきたいと思います。

 最後に、きょう、残りました一、二分を使いまして、一つだけ、うつと関係のないことを質問させていただいておきます。

 介護保険の対象なんですけれども、末期がん患者を介護保険の対象に含めるという議論について最後に一つお伺いします。

 私は基本的にはそうすべきだと思っておりますけれども、二月十六日の日経新聞を見ましたら、「末期のがん患者 介護保険対象に」という記事が載っておりまして、「政府・与党が調整」と書いてありました。なかなかそれ以外で記事を見つけることはできなかったんですけれども、この中に、「乳がんや小児がんなど「加齢」を原因としないがんは対象から外すなど、給付対象とする患者の条件を詰める。」と書かれていて、私も医者の端くれとしてすっかりわからなくなってしまったんですけれども、加齢を原因とするがんというのはどういう定義なんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 なぜ加齢ということが問題になるかと申し上げますと、四十歳以上で現行の介護保険制度の対象となりますのは、特定疾病に該当している人というふうになっております。特定疾病の要件としては、加齢に伴う心身の変化に起因する疾病ということになっておりまして、現在、十五の疾病が指定されているわけでございます。

 今の末期がんの議論は、一方、がんは我が国の第一の死因であり、末期がんの方で、介護サービスがあれば住みなれた自宅で最期を迎えることも可能であり、そのような希望をお持ちの方も少なくないという状況でございますので、現行の介護保険制度の枠組みの中で、特に末期がんの方々について、可能な対応方策について検討するようにという与党からのお話もあり、私どもも、審議会の中でも、介護保険部会の中でも、ここについては早期に検討すべきではないかという宿題をいただいておりますので、検討させていただきたい。

 その際、さっき申し上げました、特定疾病の加齢に伴うという要件があるので、がんが全部入るのか入らないのか、こういう議論になっているということです。

 それで、ちょっとお答えさせていただきますが、新聞の報道ではそういう紹介のされ方をしておりますが、私どもとしては、この点については、それこそがんの専門家の御意見もよく伺い、また末期がんの問題に取り組んでおられます医療の現場の方、それから御家族の方、あるいは当事者の方の御意向もあると思いますので、もちろん法律で許される範囲ということもあると思いますので、とにかくまずは専門家の御意見を伺いたいと考えております。

水島委員 これは、原因という言葉を新聞で使っていたので驚いたのもあるんですけれども、がんの原因というのがそんなに簡単にわかるものだったら、多分みんな治っていると思いますので、何が原因のがんかなんというのはやはりわからないと思うんですね。

 例えば先天性の小児がんなんかを除けば、それは特殊な例ですが、それ以外のがんというのは、いろいろな環境はありますけれども、毎日生活をしていく中で、その習慣の中でいろいろなものにさらされ、例えば大腸がんだったら、大腸を繰り返し同じ食べ物が通っていくことによって、それが明らかにがんを発症するきっかけになっていくわけです。

 ある意味では、ほとんどすべてのがんが加齢に伴う、原因という言葉を使うんだったら加齢を原因とするということなんだろうなと思っておりますので、いろいろな方の意見を聞いていただいて、最終的には、小児がん以外はすべて、成人を対象としているがんの末期状態になったら、すべて介護保険の対象とする、その結論しかないんじゃないかなと思いますので、ぜひそんな方向に落ちつきますように、引き続きお取り組みをいただきたいと思います。

 質問を、うつのところを全部残しましたので、次回、もう一度質問させていただきたいということをお願いいたしまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十二分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 きょうは、介護保険改正法案、私も、厚生労働委員会、この場所をおかりして質疑の機会をいただきました。大変光栄に思っております。

 と申しますのは、私自身、介護の問題というのは本当に人ごとではありません。私は奈良に住まいをしますが、六人の子供と私の両親、そして家内の両親の十二人家族、こうした状況で住まいをさせていただいているのも、母が十五年前から要介護三の痴呆症、これは今認知症と呼ぶことになるんでしょうけれども、認知症の状態でございます。そして、家内の父は要介護五の寝たきりの状態でございました。まさに認知症の介護そして身体介護、この両面を私自身が家族とともに見てきた。

 そして、介護保険の制定当時、二〇〇〇年、まだ私はこの国会には来ておりませんでしたが、介護の社会化という問題が大きく取りざたされてこの制度ができ上がっていく、その過程の中で、時にはある政治家の方などは、介護は家族が行うものだ、それが日本の美風であるというお話もありましたが、私自身は、母のいる奈良に、郷里に帰って、そして十二人家族というそういう状況の中で家族が介護を行っていくことの大変さ、またそれによって得られることの喜びも含めて、これは社会が何らかの手だてを打たねばならないということを強く感じておりました。

 そして、介護保険制度がようやく制度としてでき上がって、五年の経過を経た。私も国会に押し上げていただいて、そして、この介護の問題は何としてでも私自身が、国会の中で中心となる介護保険の改正の中でしっかりと議論に参加していきたい、こんな思いでおりました。

 民主党の中で介護保険のワーキングチームが立ち上がり、この委員会の理事でもあります山井さんを座長としまして、私は事務局長として、この一年数カ月、介護保険の改正を見据えたこのワーキングの中での検討、議論を、まさに厚労省の皆さん方あるいは現場の方々と詰めてきたわけであります。

 そうした中で、この介護保険、私は、大きくは二つの観点からお尋ねをさせていただきたいというふうにきょうは思ってまいりました。一つは、制度の持続性であります。せっかくつくった介護保険、せっかくこうしてようやく根づこうとしている介護保険制度が本当に持続可能なものになっていくのかどうか。そしてもう一つは、新たに今回、見直しの全体像の中でもその大きな柱となっている予防重視システムへの転換という点、この二点につきましてお尋ねをしていきたい、このように思っております。

 まず、全体の中での制度の持続可能性の問題であります。

 これにつきましては、介護保険制度創設時からさまざまな議論がなされておりました。古くは平成六年、高齢者介護・自立支援システム研究会の報告からスタートをして、与党福祉PTあるいは老人保健福祉審議会等々で議論がなされてきた。何がなされてきたのか。介護というものは、高齢者が当然ながら必要になる場合が多い。しかし、高齢者だけでなく若年層に対しても介護というものが必要な場合に、どのような制度を構築していくべきか。

 これは、当然ながら、既に二〇〇〇年の介護保険法を制定するまでにも相当の議論が行われておりました。そして、高齢者介護ということ、この一点でまず制度の施行を実施しようということに二〇〇〇年の介護保険法で定められ、そして附則に書かれていったわけであります。

 二〇〇〇年の介護保険法を見ますと、二条の中にるる、いろいろと附則に書いてあるわけでありますが、さまざまな修飾語がついていると私は思うんですが、これをしっかり読み取れば、被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲、そして内容、水準あるいは保険料や納付金、これらの負担のあり方を施行後五年後をめどとして、これに対して必要な見直し等の措置が講ぜられるべきものとすると。このように明確に、受給者の範囲あるいは被保険者の範囲というものについて検討がなされねばならない、五年前には十分な検討ができなかった、制度もない中でそれを詰めることができなかった、しかし制度をつくって実施していく中でこのあり方というものをしっかり審議していこう、こうしたことが附則で定められたというふうに私は理解しています。

 そして、事実、昨年、このワーキングチームでさまざまな検討を繰り返していく中でも、その話題の焦点にあったのはまさにこの被保険者、受給者の範囲についてでありました。私たちは既に、二〇〇〇年以降、介護保険に関しては、エージフリーという観点で、まず普遍的に全年齢対象に行われるべきである、そして負担のあり方も応分の負担を求めていくべきであるということをマニフェストなりで訴え続けてまいりました。

 しかし、今回、一年前を振り返りますと、厚労省の皆さん方がこれを前面に押し出して一生懸命議論をされていたにもかかわらず、突如、夏以降に大きな変化が出てまいりました。社保審での結論が先延ばし先延ばしになっていく。両論併記どころか、その答えすら、結論すら出せない状況が続いていった。そして年末には、やっと出てきた中身、これは、今回の改正法の中で附則として、また二条の附則として定められたものであります。

 これを見ますと、たった四行の中で、本当に私から見れば、何のための一年半の議論だったんだろうか、いや、もっとさかのぼればこの五年間の議論は一体何だったんだろうかと思わざるを得ない、玉虫色のこのたった四行であります。「社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと併せて検討を行い、その結果に基づいて、平成二十一年度を目途として所要の措置を講ずるものとする。」この言葉に込められたことは一体どういうことなんでしょうか。

 まず、私はこの中身についてお尋ねをする前に、大臣にお伺いをしたい。五年間かけて、いや、もっとさかのぼれば、まさに先ほど私が申し上げた、平成六年から介護の社会化ということを真剣に取り組んでこられた厚生労働省、当時厚生省でしょう、その皆さん方が本当に議論を尽くしてこられたにもかかわらず、結論を得ることができなかった。この結論を得ることができなかった理由というのは、端的に何だったんですか。そして、先延ばしにした、平成二十一年まで先延ばしにしています、しかもそれは、これからお尋ねをしていきますが、全く中身が見えないことになっています。この先延ばしにすれば結論を得ることができるとお考えになった根拠、この二点について、大臣、どうか明確にお答えください。

尾辻国務大臣 これは、今先生もるるお述べになりましたように、被保険者、受給者の範囲については、介護保険制度創設当初からの大きな課題でございました。そして、今回の見直しにおいても精力的に議論が行われました。

 ただ、被保険者、受給者の範囲を拡大し、制度の普遍化を図ることについては、一言で言うと賛否両論がございました。そこで、結論を得られなかった、賛否両論があって結論を得られなかった。そこで、改正法案においては、これもお述べいただきましたように、社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しとあわせて検討を行い、平成二十一年度を目途として所要の措置を講ずるというふうに附則に規定をされたところでございます。

 今後、この議論をさらに深めていただきまして、私どもは、国民各層の合意形成が図られればというふうに考えておるところでございます。今後の議論をさらに深めていただきたいというふうに考えておるわけでございます。

馬淵委員 賛否両論があったというお話でありました。これは、さかのぼれば五年前も同様でありました。ですから、当時、この保険制度が創設されるときに、高齢者介護、少なくとも国民のコンセンサスが得られるであろう、高齢者になれば介護が必要になる割合が高いというところから、高齢者介護という形でスタートをした。

 賛否は既にあったわけです。両論はあった中で、しかし、広く介護を社会化、すなわち保険制度で国民が広く負担していこうということに、制度が実際に施行されればいい悪いが見えてきます、国民の中に浸透していけば、ああ、こういうものがあってよかったなということがわかってくれば、ようやく負担なりあるいは普遍化ということが制度として話ができるようになるであろうということで、五年前に附則をつけたはずではないですか。賛否両論があるからこれを今回決めなかったというのは、大臣、これは理由にはならないじゃないですか。

 私がお尋ねしているのは、なぜ結論が得られなかったんですかとお聞きをしているんですよ。既に五年間議論をしてきた。そして、今お話にあったのは、先延ばしすれば結論を得られる、その理由は何ですかとお尋ねをすれば、社会保障全体の議論があると。

 では、大臣、まずその一点、お答えいただきたい。私が今申し上げたように、賛否両論があって決められなかったというのは、これは詭弁にすぎない。既に過去でもそうだったわけです。それについてはどうお考えなのか。

 そしてもう一点、繰り返しお尋ねをしますが、先延ばしにする、これは社会保障全体の議論をすればそこで決まるんだというお話でありますが、社会保障全体の議論で何を決めればこれが決められるんですか。少なくとも、延ばされた根拠はどこにあるのか、もう一度お答えください。

尾辻国務大臣 これは何事でもそうですけれども、私どもは、皆さんの御意見を注意深くお聞きしながら、そして御意見の大半がこういう御意見だなという見きわめがつけば、当然そのようにさせていただく、絶えずそうしたことをしておるわけでございます。

 したがいまして、まだ今回の御議論のように明確に普遍化の方向が、目指すべきであるという御意見に固まっていない、まさに賛否両論がありますと、これはしばらく結論を延ばさざるを得ない。これは、私どもがとらざるを得なかったことだということは御理解をいただきたいと思います。

 議論はずっと続いてきました。そして、その議論が続いてきて、大方の方向性が見出せればいいんですけれども、まだ賛否両論ある中では、私どもは普遍化という結論を出すということに決断できなかったということでございます。そこのところを御理解いただきたいと思います。

馬淵委員 大臣、ではお尋ねしますよ、もう一度。

 大半の意見が得られなかった。では、どこでの大半ですか。どこでの大半の意見なのか、それをまずお答えいただけますか。

尾辻国務大臣 まず、介護保険部会等でも御議論をいただいておりましたし、ここでの御議論というのは割とはっきりしていた点もあろうかと思いますけれども、そうした御議論をいただいていた。それからまた、与党の中でのいろいろな御議論もございました。そうしたものでございます。

馬淵委員 まさにそうですよね。今のお話、言葉が出ましたが、与党の反対に遭ったわけでしょう。

 少なくとも、厚生労働省としてこれを前向きに検討してきたのは五年前からじゃないですか。五年前からこれを前向きに検討されてきた。そして、昨年の一月の段階で、もう既にこの介護保険の財政の問題というのが取りざたされていたわけですよ。この委員会の中でも十分な審議の中に上がっているように、財政が非常に逼迫するような状況になるであろうという可能性が高い、そうした中で、この給付と負担の問題というのを見直すときに、まずは対象範囲の拡大ということが考えられるのではないか、五年前の議論で附則にも載っている、そこの議論があったはずなんです。そして、それを着々と進めていかねばならないということで、他の福祉の施策との統合の問題や整合性の問題の議論も十分に行おうとしておられた。

 しかし、これが急転直下、引っ込めざるを得なくなった理由というのは、大半という話は与党の内部の話じゃないんですか。与党の反対に遭ったということではないんですか、これは。どうぞ大臣、お答えください。

尾辻国務大臣 これは、経済界の御意見等もまたいろいろございまして、まさに各界のいろいろな御議論の中で賛否両論があったという判断でございます。

馬淵委員 私は、この厚生労働委員会の場で、とにかく本当に厚生労働省の皆さん方も頑張ってこられたわけです。そして、政府の皆さん方、いろいろな与党からの御意見の中で、政府の責任者として、大臣、まさにこの所管省庁の責任者として、責任ある言葉とそして行動を見せていただきたいと思っているわけです。

 では、ちょっと違った観点でお尋ねしますよ、なかなか言いにくいことでしょうから。

 ならば、この附則第二条の中で、今回「所要の措置」と書いてあります。この「所要の措置」とは具体的にどういうことですか。お答えください。

尾辻国務大臣 「所要の措置」の具体的内容でございますけれども、先ほど来出ておりますように、今後の給付や負担のあり方など、社会保障全般にわたる議論を行っていく中で結論を得ていくべきもの、まさにそのことなのでありますけれども、この問題の検討の経緯を顧みてみますと、法改正によって被保険者、受給者の対象年齢を拡大し、それを実施に移すことも含まれ得るというふうに考えております。

馬淵委員 いや、含まれるというか、まさにそのことなんでしょう。そのことを五年前に附則で載せて、そして今回もそのことについて一生懸命に議論をしてきた。しかし、賛否が分かれた。それは分かれたというのは、与党の反対に遭われたわけでしょう。

 その中で、「所要の措置」とは何か。まさにここの範囲の拡大のことなんじゃないですか。この「所要の措置」は範囲の拡大だということ、大臣、これが実は最大の課題だったんだということを今この場で御確認いただけませんか。大臣、お答えください。

尾辻国務大臣 これは、先ほど来も申し上げておりますように、この介護保険法が、介護保険制度ができたときからの大きな課題でございますし、今回の議論の一番のポイントもそこにあったわけでございます。したがって、一番大きな問題の一つだというふうに理解をいたしております。

馬淵委員 すなわち、この対象範囲の拡大だということを、今大臣は確認していただいたわけであります。

 そして、その次に、ここに載っています「平成二十一年度を目途として」、めどとしてということになりますが、これは準備期間というのは織り込んでいらっしゃるんでしょうか。大臣、お答えください。

尾辻国務大臣 これは、当然、十分な準備期間を確保するということは必要なことだと考えております。

馬淵委員 であるならば、二十一年めどということは、具体的にはいつまでに結論を出されるということですか。そして、それはどの場所で結論というものを出されるんですか。大臣、お答えください。

尾辻国務大臣 介護保険は三年ごとの事業計画になっておりますから、三年ごとの事業計画期間の時期に合わせるということが私は必要だと思っております。

 そうしますとどうなるかというと、平成十五年が前回でありますから、次が平成十八年であります。そして、次が平成二十一年になる。したがって、平成二十一年度を目途にということを言っておるわけでございまして、ただ、その三年前の十八年、これは一つの区切りの時期だというふうに考えております。

馬淵委員 今、大臣、大変重大なお答えですよ。

 二十一年目途とこの二条に書いてあるわけですね。今のお話は、だから、十八年とおっしゃった、ということは、来年度の末まで、それまでに結論を出されるということですね。どうですか、お答えください。

尾辻国務大臣 平成十七年度と十八年度に社会保障制度全般に関する一体的な見直しということを私どもも申し上げておりますから、そうした検討とあわせて、これは、私ども、全体を見直す必要があるというふうには考えておるところでございます。

馬淵委員 十八年度末までに結論を出す、こういうことですね。

 そして、先ほどお尋ねしたことにお答えいただいていませんけれども、それはどの場で結論を出されるんですか。社会保障全体の見直しは、いいじゃないですか、今やっておられますよ。在り方懇もきのうやっておられましたが、これはもう真っ二つに割れていたと報道されていましたけれども、それはそれでやっていただく。しかし、介護保険のこの対象範囲の問題も非常に重要な問題だということなんです。「所要の措置」は対象範囲の拡大の問題だと、先ほど、そういう認識だ、大きな問題だとお答えになられた。十八年度末までにどの場で決められるんですか、お答えください。

尾辻国務大臣 まず、今お述べになりましたように、官房長官が主宰いたします社会保障の在り方に関する懇談会が開催をされておりまして、これは、医療、年金、介護など社会保障制度全般にわたって幅広く議論が行われております。こうした議論の中での御議論もございます。

 そしてまた、そうした御議論、検討との整合性を図りつつ、今お述べになっていただいております問題についての検討を進めなきゃいけないと私どもは考えておるわけでございまして、そのためには、学識経験者や制度の費用負担者をメンバーとする新たな検討の場を設けたい、新たな検討の場を設けてこの問題については検討したいというふうに考えておるところでございます。

馬淵委員 一つ目の質問についてのお答えがちゃんと得られていないような気がするんですが、もう一度これを確認しますよ。十八年度末までに結論を出されるということですね。

 そして、どの場というのは、新たな場、学識経験者などを集めた新たな場と今お答えをいただきましたが、この学識経験者などを集めた新たな場というのは、社保審のこの介護部会とは全く別のものですか、新部会ですか。それとも、大臣が、これも同僚議員にお答えになられましたが、私的諮問機関等というふうにおっしゃっていましたが、どういう場ですか。

 まず一点目、十八年度末ですねというか、私、確認しているんですからお答えください。それから二点目、場の形についてはもう一度具体的にお答えください。

尾辻国務大臣 時期といたしましては、十八年度末ということを考えております。

 それから、検討の場としては、これから新しい場をつくるわけでございますから、今こういうものですときっちりとお答えできるものではございませんけれども、先日の答弁の中でも、これは例えばということで申し上げたわけでございまして、本日も例えばというふうに申し上げるわけでございますが、社会保障審議会に新たな部会を設ける案でありますとか、あるいは、大臣、局長等の私的諮問機関を設ける案などが考えられますということを答弁いたしておるところでございます。

馬淵委員 まず、時期の問題については重要なお答えをいただきました。

 十八年度末ということでありますが、既に厚労省の方では、こうした改正法案、これを通したときに、次の対象範囲の拡大等々を行っていくような場合には、どのような時期にどのようなことを決めていかなければならないかということは、検討されておられます。その検討の経過、検討の様子を見ても、改正法成立年、それから三年ほどはかかるという読みをされているわけですね。

 その中で、十八年度末までに結論を出すというのは、これは大変な勢いで、まさに厚労省挙げてこの介護保険については徹底的にやっていくんだという意思のあらわれがないと、私は実現できない年度であると思っているんですが、ぜひ、十八年度末ということを明言いただきましたので、これは確実にそれまでに結論を出していただきたい。少なくとも、この二条が、五年前の二条、そして今回の二条、どう見ても後退しているんですよ。どう見てもこれは玉虫色ですよ。「所要の措置」という言葉でごまかしてみたり、これは玉虫色にならないように、十八年度末までに必ず結論を出していただく。

 そして、大事なことは、結論の場がどこかわからないというのが一番いけないんです。先ほど大臣は、諮問機関等もあるし、これから形が変わる、考えていくというふうにおっしゃいましたが、既に社保審の介護部会でもこれはずっとやってこられたわけですよね。今までに決められなかったことがなぜこれから決められるんですかと、私は最初に、冒頭にお尋ねをした。それは、まだまだ議論が足りないという御意見だったというふうに私は理解をしました。

 ならば、十八年度末という期限を切った、いいでしょう。二年間、ここから先もう一回頑張りましょうよ、これは構いませんよ。でも、その場というのが今までと同じメンバーや、今までと同じ仕組みで、果たして結論が出せるんでしょうか。大臣、新たに物事が決まらなかったときに、私は会社の経営もやってまいりましたが、物事が決まらない組織はありますよ、それは。そこに参画する者の意思やさまざまなしがらみや、私は、先ほども申し上げたように、与党の圧力があったんじゃないですかという話もしましたが、現実にそうしたことで審議会のメンバーもなかなか口に出せなかったこともあったかもしれません。その場合には、新たな組織の再編ですよ。新たなメンバーの投入です。

 大臣、ぜひお答えをいただきたいんですが、新たな検討の場は今までと全く違うメンバーでおやりになるという意思は、ここではっきりとお伝えいただけますか、どうでしょうか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、これから検討をすることでありますけれども、新たな検討の場、こう申し上げておるわけでございますから、まさしく新たなものをつくるつもりでおります。

馬淵委員 新しい人ばかりでやれるということで理解してよろしいんですかね。

 私、繰り返し申し上げますが、物事を決めていくときに、一定の方向に、ベクトルに収束できない場合は、それこそ再度血を入れかえる、新しい血を入れかえて、そして議論を深めていく。何もそれまでの議論が没になるわけではないんです。メンバーをかえていって行うということが非常に重要ではないかと思うわけであります。

 そこで、例えば、それも先ほど来、学識経験者等々というお話でもありますが、現実には、与党の顔色をうかがう、そうした厚労省の意向を受けざるを得ない場合があるんじゃないですか。ならば、それこそ公募なりするという方法をとるということ等のお考えはどうでしょうか。

尾辻国務大臣 いろいろな考え方があろうかと思いますが、一つだけ申し上げますと、一つだけ申し上げますとというのは、先ほど来述べておられることに関して一つだけ述べさせていただきますとということは、やはり議院内閣制でございますから、与党の意見というのはこれは私どもは重視すべきである、せざるを得ないということは、また御理解をいただきたいと思います。そうした幅広い議論の中で、私どもも私どものまた答えを出していくということでございます。

 それで、新しい審議をいただく場、検討の場というのは、これはどういう場がいいか。先ほど来申し上げておりますように、本当に私は新しい場をつくりたいと思っておりますから、そういう観点でメンバーも選ばせていただく、つくらせていただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

馬淵委員 公募も含めた全く新しい枠組みでこうした重要な問題は詰めていくんだという、こうした御意思はどうですか。例えば社会保障全体に関しては、それこそ今協議をやっているわけですが、この介護保険の重要な課題に関してはそれこそ全く別の形でやる、そこまでの御決断はいただけないですか。どうですか、大臣。

尾辻国務大臣 今、例えば中医協のあり方をどうしようかという御議論もいただいております。あるいはまた、社保庁をどうするかという有識者の会議もできて、御議論いただいております。

 そうした中で、私は、いつも、従来型の議論じゃなくて本当にきっちりした議論をしてくださいということをかねて申し上げておりますので、この新しい検討の場も、そうした考え方で、従来型ではない議論をしていただきたいということは、かねても、今までも私は言ってきておりますので、これに関してもそうしたいというふうに思います。

馬淵委員 従来型でない議論の場と今明確に言っていただきました。十八年度末までに結論を出すと。そしてそれは、本来厚労省が、仮に改正後これを詰めていくにも所要三年ほどの時間がかかるのではないかという見込みを持っておられる中で、さらに厳しい年限で詰めていこうという強い意思を私は御提示いただいたと思っております。

 どうか大臣、後退することなきよう。私たち民主党は既に二〇〇〇年からこのエージフリーの問題は訴えてまいりました。そして、衆参の選挙、これを乗り越えて、この普遍化ということを訴えてきたんです。

 負担増になるかもしれない、そうした声が一部にもありました。しかし、国民が、社会保障制度というのはそれこそ合意の上で自分たちの生活を守っていくベースにあるものだということ、これをしっかり認識してほしいという思いで、私たちが訴えてきたわけです。政権政党あるいはまさに政府の皆さん方が、そのことを恐れて物を言わない。私たち野党が、それこそ逆に堂々と国民に対して、今必要な制度である、こう訴えてきているわけです。この対比のことを考えていただければ、本当にどちらが政権政党にふさわしいかということも含めて、しっかり大臣、胸にとめて進めていただきたいということを申し添えさせていただきます。

 そこで、大きな制度の話はとにかく後退なきようにということであるわけでありますが、今回の改正法の中では、こうした負担増につながると思われてしまうようなものを引っ込めたかわりに、新たな目玉が必要だということになってきたように私には見えて仕方がない。そして、その新たな目玉というものはどういうところに求めていったのか、それがどうも予防重視型システムへの転換というところに込められているのではないかという気がして仕方がないわけであります。

 介護予防について、少しお尋ねをさせていただきたい。まず、予防という概念、介護保険法の中で、これも決して新しい概念ではないはずです。二〇〇〇年の法律が議論されているときにも、介護予防という概念は既に取り入れられておりました。

 まずお尋ねをさせていただきたいのは、そもそも予防という言葉の定義、そして予防という用語は、法律では例えばどのようにうたわれているのか、使われているのか、他の法律も含め、端的で結構ですが、お答えいただけますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、介護保険法におきましては「保険給付は、要介護状態の軽減若しくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資するよう行われるとともに、」ということで、そういった使われ方で予防を使っております。

 それから、老人保健法を例にとりますと、第一条の「目的」で「この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、」ということで、疾病の予防というような形で使われております。

馬淵委員 ありがとうございます。まさに読んで字のごとく、あらかじめ防ぐということでありまして、他の厚労省に関連するような法律の中では、感染症の予防法あるいは結核予防法、予防接種法、老人保健法等々で、疾病のあるいは疾患の予防であったり、あるいは健康増進というところで予防ということが取り上げられているわけであります。

 さて、保険という社会保障制度を考えたときに、一方で医療保険というのがございます。医療保険において、予防ということについての取り扱いというのはどうなっているんでしょうか。厚生労働省、お答えください。

水田政府参考人 医療保険におきます予防の取り扱いについてお尋ねでございます。

 現行の医療保険各法におきましては、疾病または負傷という保険事故に対して保険給付を行う、こういう定めになってございまして、疾病の発症に至る前の予防医学的サービスにつきましては、保険給付の対象とはしてございません。ただ、糖尿病等の生活習慣病を発症した後の重症化予防につきましては、疾病に対する治療管理、こういう位置づけで、生活習慣病指導管理料などの形で医療保険給付の対象としているところでございます。

 また、保険給付ではございませんけれども、各医療保険者におきまして、健康の保持増進あるいは疾病予防、こういった観点から、健康診査でありますとか事後指導等の保健事業、ヘルス事業を実施しているところでございます。

馬淵委員 非常に今、わかりやすかったのですが、医療保険においては、医療というのは病気を治す、あるいは疾病、疾患を治していくということですから、保険の適用というのは、予防の段階ではなくて病にかかってからだということであります。

 ところが、介護保険に関しては、介護が必要になってから保険を使うということではなく、それだけではなく、介護が必要になる以前の状態のときにも必要な、所要のサービスというものを考えて適用することによって、むしろ重度化になってから介護保険に入ってくるというのを防ぐことができるというような考え方が、二〇〇〇年のときにも議論をされていた。そして、それが制度の中では、要支援あるいは要介護一といったいわゆる軽度介護のところで、介護保険が利用できるようなランクというのをつくっていくことになったわけであります。

 予防というのを保険給付化していく。医療では行っていないわけですね。そして、介護保険では、実は二〇〇〇年のときから議論があった。今回、新予防給付ということで新たな予防重視型システムに転換されていこうとしていますが、もう一度振り返って、立ち返って、介護保険創設時に予防を保険給付化しようとした理由というもの、これについてお答えいただけませんでしょうか。

中村政府参考人 介護保険制度をつくったときの基本理念として掲げられましたのは、高齢者の方々の自立した生活を支援することであり、この理念に照らせば、できるだけ高齢者の方を要介護状態にならないようにすること、また要介護状態になった場合でも軽度の方々を重度にしないことが重要であるということで、特に要支援の方については要介護状態にしないということで、予防の給付として、介護保険創設時にこの予防を保険給付化した次第でございます。

馬淵委員 そこがあいまいだと私は思うんですよ。予防というものにまで本当に取り組むことに対して十分な配慮、思慮があったのか。

 創設時のその議論というのを私もくまなく見てみました。介護保険創設時の議事録、これをずっとひもといていきますと、なかなかおもしろい議論が繰り返されているわけです。

 ふと見ますと、坂口前厚生労働大臣が委員として、まさにこの予防給付のことについて御質問されておられます。そして、お答えになられているのは、小泉現総理大臣が当時厚生大臣としてお答えになられているわけであります。

 長いやりとりの中では、それこそ坂口大臣、当時坂口委員が、医療保険でも手が届かなかった保険給付の中での予防という分野に対して、介護保険に含めてしまって本当に大丈夫なのか、そんなことをして大丈夫なのかと繰り返し聞いているんですよ。そして、その繰り返しお尋ねの中で、当時の局長がお答えになられているわけですね、大丈夫ですと。当時の局長、これは羽毛田さんというんですかね、この羽毛田さんが大丈夫ですと言い切っておられるわけですね、繰り返し答弁されているんです。

 これは本当に私は不思議な因果を感じるわけですよ。当時の委員とお答えになった大臣、お二人のこのやりとりを私、御披露させていただきたいんです。何と最後に、当時の大臣であった小泉さんが、厚生大臣時代に、局長が大丈夫ですと言っているんですが、どうも自分としては大丈夫じゃないんじゃないかというようなニュアンスで答弁されているんです。

 坂口さんの御意見に対して小泉国務大臣は、

 予防給付という言葉が適切かどうか、介護を必要とするその程度によると思いますね。これは実際施行していかないと、どの程度が予防になるのか、寝たきりになってしまうのか、私は実施状況を見る必要があると思います。

こうお答えになっている。少しわかりにくい答えではありますが、どうも、本当に大丈夫だと局長が答弁しているのに対して、大臣が大丈夫かねというニュアンスで答えておられるわけですよ。

 そして、それを受けた坂口当時委員、こういうふうにおっしゃっています。

  私は、今の大臣の答弁の方が正直だと思います。重度の人を見るだけでも手いっぱい、なかなか予防的に、これからなるであろう人まで見るだけ手が本当に回るのかどうかということについては、私は疑わしいと思って聞いているわけであります。しかし、羽毛田局長はそれもやるという。えらい自信に満ちて言っておみえになりますけれども、どうも私は疑わしいと思って聞いていたわけで、大臣の御答弁の方が率直だというふうに私は思います、いい悪いは別にしまして。

こういうふうにおっしゃっているんですね。

  本当はやらなきゃいけない。寝たきりにならないように先手を打つのは大事なことだと思うのです。それは啓蒙活動でありますとか、いろいろなことを総合してやっていくということ以外にないのかなという気がいたしますが、本当はやってほしいけれども、現在提案されている介護制度の中でそれをやるということは甚だ難しいのではないかという気がいたしましたので、まず最初に聞いたわけでございます。

こういう形で、お二人がこの国会の場の審議でお話しされているわけです。

 今の答弁や今の質問を聞いていくと、中村局長は介護の理念に照らし合わせてとおっしゃいましたが、そもそも予防給付というものが本来介護保険に取り入れるべきものであるかどうかが本当に疑わしいという議論がここでも行われていた。本来、保険で給付すべきものなんですか。

 私は、先ほどの対象範囲の拡大のところでも申し上げたが、財政が厳しくなってきた、そして、その理由はやはり介護が必要な方々がたくさん出てきたというのも事実だと思うんですが、軽度のところでの給付が余りにもふえていくという中で、厚生労働省、正直言ってこれはえらいことをしたなと思っているんじゃないかと思うわけですよ。この給付をどうやって削減していくのか、あるいはその軽度の介護者の給付を抑制していこうかというところで考えついたのが、予防給付という形で切り離していくということであると私には見えて仕方がない。

 そして、お尋ねをしたいんですが、この給付化した理由というのは、先ほど理念云々とおっしゃっていますけれども、本当にそうなのかというところなんですね。現実のところをお尋ねしたい。

 介護保険に今回地域支援事業が組み込まれていきます。まさにこれはヘルス事業ですよ。予防をやってきた事業、これを保険給付の中に取り込んでしまうんです。この国の負担が軽減されて、一方で、これは税でやっていたものですからこれは軽減されて、そのものを新たに保険で負担する。その額の見込みというのはどうお考えなんでしょうか、まずそこをお答えください。

中村政府参考人 地域支援事業につきましては三つの柱がございまして、まず要介護認定非該当の方に対します介護予防事業の実施、それから二つ目は、総合相談でございますとか、そういう地域の三つの事業がその中にございますが、包括的支援事業、それから市町村が任意で実施されます事業、その三つの柱から成っております。

 現在、お尋ねのございました、既存の事業としてこの地域支援事業が創設されますと重なり合う部分があると考えられます事業は、老人保健事業、介護予防・地域支え合い事業、在宅介護支援センター運営事業でございまして、十七年度予算で申しますと、事業費が一千九百億円、国庫補助は八百億円になっております。

 十八年度四月からこの地域支援事業がスタートするわけでございますけれども、その地域支援事業と老人保健事業など、私ども今生活習慣病対策でやっているものとの整理につきましては、十八年度予算編成の段階までで整理を申し上げたいと思いますので、今、実際計数がどう動くかということについては正確には申し上げられませんけれども、一定の前提を置けば、平成十八年度の保険料、一号保険料、二号保険料の額は六百億を超える程度ではないか、こういうふうに考えております。

馬淵委員 何を取り組むか予算の編成とのかかわりでまだ具体的ではないというお話でありますが、そもそもこうした状況の中でヘルス事業と呼ばれるこの事業を保険に取り込んでしまって、実際には、これは予算の編成の中で決まっていくのでまだわからないというレベル、ふえるかもしれないんですよ。

 これは、結局やっていることは、医療費が伸びていく中で介護保険が創設された、その段階で医療費は一たんは下がりました。医療保険の費用というのはこれは一たん下がりましたが、介護保険でそこは吸い上げている、よりふえていっているんですね。そして、また再度、保健事業までも、ヘルス事業までも介護保険の中に取り込んでいこうとする。結局、保険事業をどんどん膨らませていくことになってしまっているんですよ、介護保険の事業を膨らませてしまっていく。本来、保険給付に充てるべきもの、それを置き去りにして、そして予防という形で取り込んでいく。これが本当に正しい方向なんでしょうか、あるべき方向なんでしょうか。

 大臣、私は、繰り返しここでお尋ねをしたいんですが、このヘルス事業というもの、これが介護保険の事業の中に含むべきものなのかどうか。本来、介護が必要な方々に給付すべきものではないのか。これは大臣、明確にお答えくださいよ。

尾辻国務大臣 今度の改正について、私どもがいつも申し上げておりますように、予防という観点、これが極めて大事である。そして、今度の改正は、その大きな考え方、視点が介護予防だということを言っておるわけでございますから、その予防のための事業を行う、これは今度の改正の考え方であるというふうに考えております。

馬淵委員 お答えいただいてないですね、大臣。私は、むしろ率直に、政府が、大臣が国民に対しても語っていくべきだと思うわけですよ。

 これは、二〇〇〇年のときにこの予防というものを取り込んでいった。これは当時さまざまな事情があったと思うんですね。それこそ措置として、ひとり暮らしのおじいちゃん、おばあちゃんたちにヘルパーさんとして行っていた方々のそうした措置を切り捨てるわけにはいかない。こうしたものを、とりあえず介護保険創設時に、予防という意味も含めて要支援という形で取り込んでいく。しかし、実際にふたをあけて五年間実施してみれば、その財政的な逼迫状況というのは厳しいものがある。これは何とかしなければならない。

 であるならば、素直に大臣が責任者として、保険の給付がはるかに予想を超えて増大している、このままでは財政が逼迫してしまう、本当に必要な方に必要な介護サービスを提供できない、だから、軽度者の方々はある程度給付の抑制というものが必要なんだということ、そのことを素直におっしゃったらいいんじゃないですか。それを、これは予防重視だという言葉を使ってさらに広げていく。そして、ヘルス事業であるものまで取り込んでしまって、一方で、私はもうきょうは触れませんけれども、家事援助、本当に必要な方々の家事援助まで切ってしまう。

 これは、今までやってきたことの失敗ということをお感じじゃないんですか。それを糊塗するために、隠すためにやっている政策のように私は見えて仕方がないんですよ。この予防を取り込んだことに対して、いや正直言ってこれはどうだったかな、失敗したかなというお考えはありませんか。どうですか、大臣。

尾辻国務大臣 五年間実施をしてきた、そのことを改めて見直そうということでございまして、この間の検証をして、今回のそれぞれのまた見直しを行っておるわけでございます。そうした中ででありますけれども、私どもが今度、予防をさらに重視しようとして見直しをしようとしておる、このことは正しい方向だというふうに考えておるところでございます。

馬淵委員 そのようにお答えする以外にないのかもしれません。

 では、少し違った観点でお尋ねをしたいと思います。

 例えば、今回、この介護予防の効果については、予防対策が相当進んだ場合一〇%、そしてある程度進んだ場合でも五%という想定の数値を出されておられます。今お話しのように、いや、予防というのは重要なんだと。私も、予防は重要だということは否定しませんよ。しかし、保険事業に取り込むべきかどうかというのは、私は懐疑的に思っているわけです。この点に関して、この数値、一〇%、五%で介護予防の効果についてこれを想定されているわけです。今おっしゃっている話の流れでいうと、では、この数値はどういった根拠で出されているんですか。これは山井議員の文書の質問に対しても回答されていませんよ。これは、どういう根拠で出された数字ですか。

 先ほど来、繰り返し私がお尋ねしているように、厚生労働省、いや、このことについては全く恥じることなく正しい方向だとお考えだというならば、しっかりと根拠を示して私たちに説明をしてくださいよ、国民に対しての説明なんですから。お願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今度の予防重視型システムに変えさせていただくのは二つございまして、一つは、今お話しになっております、従来からありました予防給付がございました。その予防給付につきまして見直しをする、こういうことが第一点でございます。それから、要介護認定該当者と、まだ自立されている方、そこに対して総合的に、一貫した、ばらばらでない対策を講ずる必要がある、こういうふうなことで地域支援事業を取り入れたわけでございますが、予防効果としては、新予防給付の創設に伴いまして、軽度者の、対象者の方の一〇%が要介護二以上に移行することを防止できた場合の効果を想定いたしております。それから、地域支援事業につきましては、対象者の二割の方が要支援、要介護状態になることが防止できる、こういう見込みで想定をいたしております。

 この推計を行いました根拠は、この委員会でもたびたび出ておりますが、各地方公共団体で実施されております介護予防事業の実績によれば、例えば川崎市などによりますと、事業開始時の要介護度が要支援、要介護の方のうち、三分の二、六六%が事業実施後に改善されている。こういうように効果が上がっているわけでございますが、新予防給付においては、これはある種のモデル事業でございますので、認知症等の理由により給付対象から外れる方がいるとか、対象になる方から脱落する利用者がいるとか、それから、モデル事業と実際の事業の場合には相当改善率なんかについても安全度を見込まなければならない、そういうことを考えまして、対象者の一〇%改善効果があった場合ということを目標として掲げているところでございます。

馬淵委員 いや、結局今のも、それは全然介護予防が効果的だということのお答えになっていないんですね。これは、結局、財政の厳しい状況の中で何とか軽度者に対する給付の抑制を果たしたい、その思いだけじゃないですか。そして、その思いを実現するために、さまざまな乱用があるとかいろいろなお話がありましたが、それも違うんですよ。乱用の話なんかが出てくる場合は、これは明らかに認定の問題なんですよ。別の次元の話なんです。

 認定の問題であれば、巷間見れば、インターネットを見れば、フリーのソフトがあって、これをダウンロードすれば、要介護認定が簡単にしゃらっと出るようになっているんですよ。要介護一にしたい、あるいは要支援にしたいというようなことが、簡単にそのフリーソフトでつくれるようになっている。そんなものが出回っていますよ。

 だから、私が申し上げたいのは、軽度者の給付の抑制ということを一生懸命に模索する中で、介護予防などということで、私は予防を否定しているのではありません、ただ、保険給付に持っていこうとする介護予防という形でごまかしてしまっている、結局は、この介護保険事業が大きく大きく膨らんでしまう、必要な方に必要な介護のサービスを提供できなくなってしまう、このことの方が大きな問題だと思って言っているんですよ。

 大臣、例えば、そこまで軽度者に対しての給付の抑制ということを考えねばならないという状況であるならば、それこそここでは、自己負担の問題、軽度者に限って言えば、今一割負担というものを、二割あるいは三割、段階的に、悪いけれども軽度者の方々には我慢してくださいねと、そして本当に必要な方に使っていただきましょう、重度の方に使っていただきましょう、こうした説明の方がよほど国民に対して正直であり、堂々とした、説得できる説明じゃないんですか。大臣、どのようにお考えですか。お答えください。

尾辻国務大臣 今度の改正に当たって、介護保険の制度、これを持続可能なものにしたいという、これは私どもの思いである、そのことを否定するものではありません。また、軽度のところの皆さんの数が非常に多くなっておる、ここが今後の制度の持続可能性を追求するときの一つのポイントであるといいますか、そこの給付をどうするかということがポイントになるというふうに思っておるということもまたそのとおりであります。

 ただ、したがって私どもは、そこで予防ということを重視して、そこの皆さんがさらに重度化しない、また一つ手前の皆さんがそういう要支援だとか要介護一といったようなところにという必要がないようにしたい、そこで予防したいということを言っておるわけでございますので、ぜひそこのところは、今私が申し上げた視点で私どもが今度の見直しを考えているというのを御理解いただきたいと思います。

 一つ自己負担のお話がございましたけれども、今回、申し上げておりますように、私どもは、予防を重視する、そして自立支援というのをより徹底するという観点でございまして、そういう意味で、軽度者に対する保険給付をその観点から見直すということをもう再三再四申し上げておるわけであります。

 ただ、そこで、軽度者の給付率の問題でありますけれども、自己負担を引き上げることによるその適正化の効果ということでありますが、それが給付率を下げられるかどうかということでありますが、このことは十分な検討が必要だと考えておりまして、私どもは、今回の見直しにおいては、給付の内容そのものを見直すことにいたしておりまして、自己負担の引き上げということにはしなかったところでございます。

馬淵委員 いや、しなかったのは知っていますよ、これは法案には載っていないんですから。そんなことは聞いていませんよ、大臣。私がお聞きしているのは、この自己負担を引き上げるということも一つのオプションとして考えられるのではないかということを申し上げているんですよ。

 この給付抑制をしなければならない現状の認識の中で、二〇〇〇年の介護保険法を制定したときに、どうしても措置の部分を取り込まなければならなかった事情があったんでしょう。私はそのときに国会にいなかったからわかりませんが。そうした措置を取り込まなければならない事情の中で、要支援、要介護一、軽度者に対するサービスの提供ということを一たんはやってみた。しかし、膨れ上がる給付の中で、軽度者を何とか抑制していかねばならない、本当に必要な方々だけに使っていただけるようなサービスの提供にしようとしなければならない状況であるならば、それこそ軽度者への負担の引き上げということを明確におっしゃるべきじゃないかとお尋ねしているんですよ。それを、今やっていることは何か。

 予防を二〇〇〇年のときに取り込んだ、保険給付ですべきでない予防も取り込んだ、しかし、それは事情があった。五年間たって見直すんです、五年の見直しのときに、これは事情がこういう状況だからということで説明をしていけばいい。私は、そういう形が本来のあるべき姿じゃないかと思うんですよ。

 厚生労働省の役人の皆さん方も、一生懸命にそのことを取り組んでこられた。政治的な責任として、政治判断として大臣がお答えいただけるんじゃないかと私は思っているわけです。法案に入っていないのは知っていますよ。だからこそ、この大事な審議の場面で、この議論があったかどうか、しっかりと私は大臣にお答えいただきたいんですよ。

 この自己負担の部分、軽度者の給付の抑制ということを本当に考えたときには、本来的に考えたときには、もちろんそれで総額がどれぐらい減るかという議論はあるでしょうけれども、そういったところまで踏み込まねばならない、予防ということを入れてしまうことよりも、むしろその方が大事じゃないかと私はお尋ねしている。

 大臣、この自己負担の引き上げについて、一割からさらに二割あるいは三割と、軽度者に限ってですよ、必要でない方というか、適切な表現としては、本当に必ずしもそれが逼迫していないというような方々は、負担を引き上げる形で給付抑制を図るということ、この方法があるんではないですか、大臣はどうですか、お答えをいただきたいとお聞きをしているわけです。どうぞ。

尾辻国務大臣 当然、自己負担の引き上げということは絶えず議論になるところでございます。いろいろな御議論があったことは事実であります。ただ、今回、私どもはその策をとらなかったということでございます。

馬淵委員 お答えいただけないということですかね、大臣。これはもうこの場ではどうしても答えられないんだ、そういうことでしょうか。端的にお答えくださいよ。答えられないなら答えられないと、はっきり端的にお答えください。

尾辻国務大臣 申し上げましたように、議論としてはありました。そうしたさまざまの御議論を聞いて、私どもの判断として、今回、その策をとらなかったということを申し上げておるところでございます。

馬淵委員 もう時間もなくなってまいりました。

 大臣、私は、本当に繰り返し申し上げますが、こうした形で介護保険というものが本来あるべき姿からどんどん遠ざかってしまうことに、大変な危惧を抱いています。二十一年度の所要の措置という玉虫色のこの二条を見ても、そして、このような新予防給付という形での取り組み、新たな事業の取り組みを見ても、本当にあるべき姿に向いていくんだろうか、そこをしっかりと厚生労働省の皆さん方とともに見きわめていきたい、大臣にはぜひそこでリーダーシップを発揮していただきたいということを最後に私の言葉として申し添え、介護をする家族の身の一立場の人間としての切なる声だということをお伝えさせていただきます。

 以上でございます。ありがとうございました。

北川委員長代理 次に、本多平直君。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

本多委員 委員長、質問の前に、与党の席の状況をちょっと確認していただけますでしょうか。

鴨下委員長 定足数はありますので、質問を続けてください。

本多委員 民主党の本多平直です。

 きょうは、介護保険法の改正案について質問させていただきます。

 今、定足数は足りておるんですけれども、きょうずっと私も審議に参加しておりまして、大変、与党の皆さんの姿勢、法案を通そうという姿勢なのか、本当に、甚だこの出席の状況とか疑問に感じさせていただきます。しっかりと出席をして審議に参加していただければと思います。

 まず、改正案とちょっと直接結びつかないところから御質問をさせていただきます。

 この介護保険法、制定されたときに、介護療養型医療施設、これの施設について経過措置がつけられております。談話室であるとか浴室であるとか食堂というのは、これはいきなりつくれといってもそういかないだろうということで、経過措置がとられておりますが、これが今回そのまま残っておりますけれども、どういう理由で残っておるんでしょうか。

尾辻国務大臣 介護療養型医療施設におきましては、制度創設時に直ちに新基準を満たせない施設もありましたから、そこで、一病室当たりの病床数でありますとか一床当たりの面積や廊下幅についての特例措置や、あるいはまた、機能訓練室、食堂、談話室、浴室、そういうものを必ずしも有しなくてもよいという、有しないことができることとする、こうした経過措置を設けたところでございます。御案内のとおりであります。

 この経過措置につきましては、昨年七月の社会保障審議会介護保険部会の取りまとめの中でも、介護保険施設の居住環境の改善という観点から見直しを検討する必要があることが指摘をされておるところでございます。

 また、今も先生お話しになりましたように、介護保険制度施行後約五年が経過をしたわけでございますから、療養環境の整った施設も整備されているところでございまして、そうしたことを考えましてこの経過措置をどうするかということでございますけれども、ただ、現在そういう施設へ入所中の方々もございますので、そうした方々の配慮はしなきゃいけない。そういったことを配慮しつつ、経過措置の見直しを検討してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

本多委員 入っている方のことを尊重して経過措置を置いたんですよ。それが四年、五年たったんです。それを延ばすというのは納得できないんですけれども、どうでしょう。

尾辻国務大臣 経過措置を続けないということをしますと、その施設もやめてくださいということになるわけでございますから、そうすると、そこに入っておられる皆さんをどうするか、それじゃ出てくださいというのかといったようなことがあるわけですから、そういうことを配慮して、もう少し検討の時間がいただきたいということを申し上げておるわけであります。

本多委員 年齢の話も一緒なんですけれども、五年前のときはわかっているんですよ、みんな、経過措置が必要だったと。でも、経過措置といって永久に続いたら、この条件のまま続いて、五年後も同じ議論をすることになるんですよ。

 ですから、ここで水かけ論をする気はないんですけれども、いつまでに、まさか廃止しないなんという結論が出るとは思えないんですけれども、いつまでに検討の結果を出していただけるのか、それをお答えください。

尾辻国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、社会保障審議会介護保険部会給付費分科会で御議論いただいておりますから、その御議論も踏まえて検討をさせていただきます。(本多委員「時期、今時期を聞いたんです。いつまで」と呼ぶ)ですから、御議論が今続いておりますから、その御議論を踏まえて私どもも判断したい、こういうことでございます。

本多委員 御議論の結論はいつ出ることを目途に、今御議論が進んでいるんですか。そして、それが出た後、厚生労働省はいつまでに措置をとってくださるんですか。

尾辻国務大臣 今御議論いただいておりますから、その御議論の結論を待つ、こういうことでございます。結論が出ましたら、私どもは直ちに結論に従って検討をする、こういうことでございます。(本多委員「委員長、答えていないです。いつを目途にと聞いているんですから。答えなかったら質問できないですよ。いつ目途の議論なんですか、それは」と呼ぶ)

 これは御議論をお願いしておるわけでございますから、皆さん方が結論をお出しになるのを待つ、こういうことでございまして、結論を待たざるを得ないというのは御理解いただきたいと思います。(本多委員「いつまでを目標にやっているかでいいんですよ。結果出なくても責めませんから、いつ目標の議論なんですか、それは」と呼ぶ)ですから、私どもが自分たちで議論して結論を出すのならいつまでと申し上げられますが、皆さんにお願いしておる御議論でありますから、私からいつというふうに申し上げることは困難であります。

本多委員 普通、人にお願いするときでも、いつまでに用意してくださいということは言えるんです。要は、いつまでにということの期限を区切らないで議論をしているということなんですか、それは。いいじゃないですか、期限ぐらい、大体いつごろを目途にということを。今でもいいですよ、お願いしてくださいよ。

尾辻国務大臣 一つ言えますことは、十八年四月に介護報酬を新たに定めますから、それまでについては、私どもも、こうした問題は全部結論を出さなきゃいかぬというふうには考えております。

本多委員 最初からそう答えていただければいいので、そこまでにこの問題をしっかりと、いつまでも引き延ばす、経過措置ですから、結論を出して、厚生労働省として措置をとっていただくということでよろしいでしょうか。

尾辻国務大臣 申し上げましたように、十八年四月の介護報酬には間に合うように私どもも答えを出さなきゃいかぬと思っておりますから、それまでに御議論いただくようにお願いはするつもりであります。

本多委員 まさかそこで再度経過措置を引き延ばすというようなことがないように、しっかりと厚生労働省としても、丸投げで議論させるのもいいですけれども、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。これは、別に机上の空論で言っているのではなくて、お年寄りは現に生活をされている場の環境としての問題ですから、ぜひとも真剣にお願いをいたします。

 それから、介護保険の前提としての、介護労働者、介護にかかわる労働者の皆さんの待遇についても御質問させていただきます。

 これは、さまざまな指摘もされておりますし、皆さんの関係の団体でも調査をされているんですけれども、大臣の基本認識はどのような認識なんでしょう。これは、かなりいい状況の労働環境で働かれている、いろいろな保険などの条件も整っていて、待遇もよくて、労働時間の規制なんかも割といろいろな業種の中では守られている方なのか。それとも、なかなか厳しい状況で働かれている方が多い業種なのか。その辺の大臣の、労働大臣でもありますから、御認識をいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 先日も申し上げましたけれども、現場の皆さんのお声も聞きたいと思いまして、私の部屋に現場の方に来ていただいて、いろいろな御意見をお聞きいたしました。そのときの御意見でも、やはり大変厳しい環境にもあるということは言っておられましたので、そのことは、労働条件、必ずしもいい条件の中で働いておられるというふうには認識はいたしておりません。

本多委員 非常に的確な認識をしていただいていると思います。これは、私たち議員のところにも大変多くの声が寄せられている課題なんです。

 当然ですけれども、労働環境の問題は、自主的に労働者が経営者の皆さんと話し合う、そういう労働組合の仕組みを使って交渉していく、または、皆さんが持っている労働基準監督署の仕組みの中できちんとおかしなものは取り締まっていただく、こういうことが本筋ではあるんですけれども、しかし、なかなかそれだけでこういう労働条件の問題というのが一足飛びに行かない、特に中小の事業者が多い場合はそうだということは、大臣、御認識であると思います。

 そこで、先日、参考人としてお越しいただいた連合の方から御提案が一つありました。当然、個別の労働交渉でしっかりしていく、そして、労働基準監督署などでもしっかりそれは重点を置いてやっていただく。もちろんなんだけれども、例えばこういう工夫。

 公共事業の入札のときに、その入札に参加する事業者に経営事項審査制度というのを導入している場合がある。その事業者の社会性、ちゃんと雇用保険には入っているのか、健康保険には入っているのか。当たり前のことなんですが、そこにバツと書いちゃったら、それは事実上そのことで法令違反になる場合もあるので、法令とのどっちが先なんだという話はありますが、抑止効果になるわけですよね。そういえば、うちは雇用保険の制度をしっかりせないかぬかった、そういう効果が出るんです。

 こういう御提案をいただいたんですけれども、大臣、どうお考えでしょうか。介護の労働者の皆さんの世界にこういうことを導入すること、私はいい提案だと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 今、この介護労働者の労働条件については、私どもとしては、財団法人介護労働安定センターの行います実態調査や、労働基準監督署における監督指導等を通じて実態を把握しようとしておるところでございます。したがいまして、そうした実態をよく把握した上で、また私どもの検討を進めていきたいと思っております。

 今御提案いただきましたことにつきましては、今お聞きをいたしましたので、私なりには勉強させていただきたいというふうに考えます。

本多委員 勉強していただくのは大変ありがたいんですけれども、どうでしょう、さらに、省内できちんとチームをつくって検討していただいたりできませんでしょうか。ほかでやっている省庁があることですから、同じ政府の中で。

尾辻国務大臣 いろいろな御提案でございますけれども、いずれにいたしましても、そのことがサービスの質の確保につながるわけでございますし、また利用者の権利擁護等といった観点も、当然、そういうものがかなえられてつながるということでございますので、私どもとしては、そうしたお話のようなことの必要性については検討してまいりたいと考えております。

本多委員 ありがとうございます。

 しっかり検討をしていただいて、これは、期限を聞きませんけれども、また検討の結果を尾辻大臣から伺いたいと思います。

 さて、次の論点に行かせていただきます。

 馬淵委員からも年齢拡大の問題を取り上げさせていただきました。私も、これは大変重大な関心を持っております。

 それは、制度として私はそもそもおかしいなと思っているんですよ、四十歳で線を引くということ自体は。いろいろな議論の中でこうなったんだと思うんですけれども、ただ制度として何となくすっきりしたいなとか、私がおかしいと思うなということで負担の方も、受給の方も拡大せよということではないんですよね。

 これは大臣御存じのとおり、四十歳以上で、ちょうど私も今四十歳です。私から上の世代で、私も去年から保険料を払い始めました、保険料を払っているのに受給を受けられない人たちというのがたくさんいるんですよね。

 これは別に紙の上にいるわけじゃなくて、ある日突然、末期がんになって介護が必要な状態になりました、そのときに、いろいろ、ああ、介護保険というのがあったな、そういえば保険料を払っていたなと。調べてみて、役所で、あなたの病気は加齢に伴うとか伴わないとか、加齢というのは何だという話ですよ、そんなの。ここにいる方はやっとわかっているかもしれませんけれども、ほかの委員会の委員はわかっているんですか、そんなこと。そういう理屈をつけて、あなたの病気では介護保険は使えません、こういう人たちがたくさんいるんですね、このままの仕組みを残すと。

 私は、まずそのことが大問題であるという観点からも、年齢拡大のことをあいまいにしたということが大変許せないんですけれども、大臣、こういうふうに困っていらっしゃる、まして保険料を払っているんですよね、こういう方のことをどう思われます。

尾辻国務大臣 この問題は、先ほど来お話にもありますし、また私も申し上げておりますけれども、制度の創設当初からの大きな課題でございまして、審議会の中や、それから、先ほど申し上げましたけれども、与党の中でも議論が重ねられたところでございます。

 その議論の結果、結論がどうなったかといいますと、最終的には、御案内のように、老化に伴う介護ニーズにこたえることを目的として、被保険者、受給者を四十歳以上の者とし、四十歳から六十四歳までの第二号被保険者に対する給付についても、老化に伴う疾病に起因する場合に限定された。この議論があってこの結論になったということを申し上げておるわけでございます。

本多委員 そのときはそれで、いろいろな事情がある、こういう制度になったわけですけれども、経過措置をとっておかしいという人たちがいるわけです、現にそういう思いをして負担しているのに給付が受けられないという人が。またこれから四年間そういう人が出るんですよ。そのことをどう思うかということ。

 結論が出ないとかなんとかさっきいろいろ言いましたけれども、そのことは別に制度として残るという話じゃなくて、現に困る人がたくさん出るんですよ。それをどう思うかということなんですよ、先送りしたことで。

尾辻国務大臣 先ほど来の御議論の繰り返しになると思いますけれども、そうした御議論が両論ございましたので、今回の見直しに当たっても、この問題については附則で、二十一年度をめどにして所要の措置を講ずるということにしたわけでございます。したがいまして、議論があって、結論が出なかったので、今回の見直しにおいてもこういう判断を私どもはさせていただいたということを申し上げているところでございます。

本多委員 先ほどから両論、両論と言われるんですが、社会保障審議会の介護部会の議論、私もいろいろ会議録をとってみたり、実際に出ていた方の意見も聞きました。大臣も聞いていると思います。本当に両論併記にするような部会の状況だったんですか。どちらの声が大きくて、どちらの声が少なかったんですか。

尾辻国務大臣 その御議論では、私も普遍化という御意見の方が多かったかなという印象は持っております。

本多委員 いろいろなことには両方意見が出るんですよ。それで、長い間話し合って、拮抗しているときはやむを得ないことはあるかもしれないですよ、こういう結論というのは、大事な問題については。多数派なのに。

 そして私、少数派の方の御意見を見ました。しかし、障害者福祉はなじむのかなじまないのか、そういう……(発言する者あり)こういう人数のときにそういうことを言うのはやめてくださいよ、こっちだってこの人数で審議しているのに。

 その少数派の意見はどういう意見か御存じですか、大臣。

尾辻国務大臣 反対の皆さん方の御意見がどういうものであったかということでございますけれども、若い皆さんに保険料負担を求めることについて、若い皆さんの方からの納得感を得ることが難しい、納得していただけるかどうかという意見、それから、若い皆さんが要介護状態になる確率は低くて、これまでどおり、税を財源とする福祉施策においてそうした若い方の皆さんの介護は行われるべきであろう、こういったような理由があったものと承知をいたしております。

本多委員 それは、若い人はきっと払いたくないだろうということですね、まとめて言うと。それは本当にそうだと思われますか、大臣。

尾辻国務大臣 これは、若い皆さんの間でも御議論していただけば両論あるだろうと思いますが、少なくとも、やはり払いたくないという御意見があることも私も承知はいたしております。

本多委員 大臣、そこはしっかり認識をしていただきたいんですけれども、払いたくないのは企業なんですよ。それは、経営者の団体の皆さんが出てきて、要は払いたくないということを言っているにすぎないと思うんですね、私、主張を読ませていただきましたけれども。障害者福祉は税になじむかなじまないかとか、何か非科学的なことをおっしゃっているけれども、要は払いたくない。いいですよ、それは正直で。もっと正直に言った方がいいと思いますけれども、経営者にこれ以上と。しかし、若い人を引き合いに出すのはいかがなものかと思うんですよ。そこは僕は、自由民主党という政党は何か勘違いをされているんじゃないかと思います。

 今、それは負担は低い方がいいと言う人も多いですよ。しかし、もちろん今、小泉内閣がやっているようなむだ遣いをなくした上での前提なんですが、こういうことに使うんですよ、こういう介護を受けられるんですよとしっかりと説明をすれば、ましてや、これは大部分の方が医療保険と一緒に取るんですよ。未納になる確率だって少ないんですよね、一々介護だけで取るわけじゃないんですから。

 そんな勝手に、若い人の入っていない部会で、若い人の理解が得られないとかという議論をしたというのは、どういう理屈なんですか。どこにそんな証拠があるんですか。私たちの政党は、消費税のことさえはっきり言って選挙を戦ってきているんですよ。そういう認識はおかしいんじゃないですか、皆さん。

尾辻国務大臣 いや、ですから、それぞれに御意見があるということを申し上げたわけでございまして、経済界が反対されたのも事実でありますし、やはりそれは国民の皆さんの御意見でありますから賛否両論がある、その中で私どもがまたどう判断するかということになるわけであります。再三申し上げておりますように、いろいろな方面での御意見があって、賛否両論があったというふうに申し上げているところでございます。

本多委員 いろいろな御意見があって、少数意見があったんですよね。

 どうでもいいんですけれども、尾辻大臣が属されている小泉内閣というところは、今、自分の与党の中でさえ意見が真っ二つというか分かれる。これもしかし、小泉総理の意見の方が少数だとも、郵政民営化をごり押しでやろうとされているようですけれども、これはどういう違いがあるんですか。この問題、部会で長年話し合ってきて、少数派がいて、少数派の本音は自分が負担したくないということなんですよね。こういう議論は両論併記と言われて、今、例えば郵政民営化というのは両論、分かれていないんですか。どうなんですか。

尾辻国務大臣 少数、多数という言い方は、言葉はそのとおりでありますけれども、一つでありますけれども、少数、多数はそれぞれまたどの程度かというのがあるわけでありまして、このことについての御議論というのは、必ずしもどちらが多数であるとか少数であるとか、あるいは、少なくとも無視できるほど少数というふうな数ではないと私は理解をいたしております。

本多委員 わかりました。しかし私、経営者団体の負担をさせられたくないという意見は理解がほとんどできないんですが。

 障害者の方に一部不安があると。つまり、今は支援費の制度もいろいろカットが入ってきたりしている中、介護保険に投入されていくことで、その流れを見ていると、どうも、しっかりプラスアルファの、本当に若い障害者も必要な給付が受けられるのか、そういう不安があるということだけは、唯一この統合議論で私が理解をしているところなんです。

 私も、統合をしていくときには、トータルのどういう給付と負担の割合という話はまた別なところでしっかり議論をしなければいけないと思いますけれども、制度の統合とあわせてカットをするということは、話がまざりますので、統合は統合として、例えば若い障害者の方が今受けているサービスが、大体介護保険に統合するものと、プラスアルファでも水準が下がらないようにというのが当然私の統合論の前提なんです。

 大臣、今後統合論の議論を進めるときも、きっと厚生労働省としては前向きなんだと私は理解していますが、若年の障害者の方に一部そういう不安があるのは当然のことだと思うので、私の考えでよろしいですか。

尾辻国務大臣 多分、同じ考え方じゃないかなと思いましたけれども、おっしゃることを私が正しく理解していないかもしれませんので、改めてその統合という部分についてのお話をしていただきますと、また改めてお答えを申し上げます。

本多委員 大変すばらしい答弁をいただきました。この受給、給付範囲が拡大したときも、障害者の方が現行受けているサービスの低下とは絡めないというはっきりとした御答弁をいただいたと思っております。

 さて、ちょっと資料がまだできていないので、次に家事援助の話を少しさせていただきたいと思います。

 これは、実は、私もずっと議論を聞いていて、要は、削減をしたいのであれば、馬淵委員のさっきの議論の中でも正直であるかどうかという話がありました、これははっきり出していただければ私たちの態度も明らかにしやすいんですけれども、この委員会の中では、必要なものは必要としてやるんだとか言いながら、その基準は明らかにしない。

 明らかに、その背景を見ていくと、皆さんは、むだな、何というんですか、自分でできるのに人にやってもらっちゃっている、そういうサービスがあるんじゃないかという議論をずっとされてきていると思うんですけれども、もしそういう例があったら、こういう制度の悪用というか制度にそぐわない利用というのは、どんな社会保障の制度でも起こっていますよね、そのとき常に制度のこういう大改革をしているんですか。

 例えば生活保護でも、よく言う人がいるじゃないですか、何か生活保護をもらいながら外車に乗っている人がいるとか。それは、個別にその例をつぶしていけばいいわけで、そういうおかしな例にきちっと対処していけばいいわけで、それで生活保護の制度を改めようなんという議論が出たことがありますか、例えば。

尾辻国務大臣 生活保護の話でありますけれども、これは、昨年来、三位一体の改革の中でも大いに議論されておりまして、そしてまた、市長会の皆さん方からも制度疲労を起こしておるというような御指摘もありで、このたび、この問題については、地方団体の皆さんも入っていただいての議論を始めることにいたしております。

 要するに、生活保護についてもいろいろ御議論は当然今や起きていますということを申し上げたわけでございます。生活保護はどうだというお話でございましたから、まず、生活保護についての見直しも今や議論になっているということをお答え申し上げたところでございます。

本多委員 そういうことを言っているんじゃなくて、では、生活保護はもう何年間もそういう指摘がされてきて、もしもそういう見直しの議論をしているんだったら私は否定をあえてしませんが、それは、ずっと市役所の窓口の現場とかで、これはむだじゃないかとか、これは殺す気かという厳しいやりとりの中で、一個一個の例を判断する厳しい歴史の中で、それでも制度を見直すのか見直さないかという話に今なっているんですよ。

 こんな、始めて四年間のものを、今本当にむだな家事サービス援助があるというお考えでこれを削減して、何か予防とか変なものをくっつけて、ごちゃごちゃの中で削減されようと思っているんですか。

尾辻国務大臣 やはり今の生活援助について、利用の仕方に全く問題なしとしないわけではありませんから、やはりここのところは、特にケアマネジメントを含めて見直そうということで見直しを言っておるわけでございます。

本多委員 だから、では、何でまずケアマネの見直しだけじゃないんですか、この法案は。まず、それをしばらくやってみたらどうなんですか。ケアマネをしっかり見直してみて、それでもおかしな家事援助の使われ方と皆さんが思うようなことが出てきたら、それは四年後でもいいじゃないですか、こういう改正を出すのは。

尾辻国務大臣 幾つかのことを申し上げておるわけでございますから、まず、今のお話のことについて言いますと、まず予防給付、今までの給付のあり方を見直そう、それから新しいまた給付をメニューの中に入れよう、この大きく二つで見直しをしようということを申し上げておるわけでございまして、それはあくまでも、申し上げておりますように、介護予防という視点から、私どもが見直しを申し上げている部分でございます。

本多委員 私は、自民党というか、尾辻大臣も属している政党ですけれども、非常に、はっきりした方がいいんじゃないかと。

 世界的に見れば、私はそういう政党には属したくないですが、福祉の給付をどんどんカットしていこう、それで経営者とかお金持ちの人とかの人気を得ている政党もあるんですよ。場合によっては、そういう政党が政権をとることもあるんですね。イギリスなんかではサッチャーさんのところがやりましたよね。

 そういうことを正直に言ってくれれば議論のしようがあるんですけれども、何か、カットであるということを隠しながら、変な、逆に膨らむかもしれないというおそれが出ている予防をくっつけているというところに、とんでもない欺瞞があると思うんですよ。ですから、それはカットならカットではっきり言って出していただきたいなと私は思います。

 いよいよ、それで皆さんが今度目玉として出している予防なんですけれども、皆さんがやられた介護予防市町村モデル事業、四月十一日時点というのを、小林議員の厳しい追及でやっと出すということに、きのうの夜いただきました。ですから、非常に夜遅くまでかかって、山井委員や小林委員と一緒にこれを、とりあえず今のところ、私たちとして精査させていただきました。

 委員の皆様にもお配りをしておりますので、ぜひ見ていただきたいと思うんですけれども、これを見ると、結構愕然とされるんじゃないかと私は思います。

 まず、大臣も、もしかしたら初めて見られるかもしれませんので、一ページから見ていただきたいと思います。

 まず、そもそも六十九やった市町村のうち四十八しか出ていませんので、これはいつまでに、私ども、全部見ないと、その残りのところにおかしなものがまざっていたら大変ですから、残りはいつまでに出していただけますか。

西副大臣 金曜日の日にこの場で議論がありまして、急遽督促も実はいたしました。月曜日までに集計する、出していただくということで、全部の自治体に督促をして出たのがこの数でございまして、今後も精力的に早く出していただくように督促をしていきたいと思っております。

本多委員 いつまででしょうか。当然審議中に出していただけるんだと思うんですが、いかがでしょう。

西副大臣 相手のあることですから、私どもとして引き続き最大限の努力はさせていただくということだけは申し上げたいと思います。

本多委員 いや、そんなわけにいかないですよ。これは、一部見てもすごく参考になるデータが入っているんですよ、この四十八の中にも。これは全部見ないと審議できないんですよ。

 だから、期限を言っていただくか、この審議の途中では出していただけるということでよろしいですか。当然ですよ。国の税金を使ってやっている調査なんだから。

尾辻国務大臣 今副大臣からも申し上げましたように、相手に出していただかないと、出していただけば、すぐお出しできるわけでありますから、いつまでだとか、きっちり区切っては申し上げられませんけれども、最大限の努力をさせていただきます。(発言する者あり)

本多委員 今、山井委員の方からも声がありましたけれども、しっかり見させていただいてから法案に対しての判断をしなければいけないような、重要な資料だと思います。

 次に、同じ一ページ目、筋力向上の話、話題にたくさん出てきました。

 それで、皆さんは、マシンを使うわけじゃないんですよ、民主党さん、マシンばかり言わないでくださいとかと委員会でおっしゃっていましたけれども、皆さんのやったモデル事業は何なんですか、これは。マシン使用四十三市町村、マシンの使用なし九市町村。明らかにマシンの使用重視で調査しているんじゃないんですか、大臣。

尾辻国務大臣 これは、それぞれの自治体の御判断で使われたわけでございますから、私どもが使ってくださいというふうに申し上げたものでもございません。

本多委員 そんなばらばらな基準で、こういうところで別に市町村に任せることはないんですよ、モデル事業で調査しているんですから。そんな言いがかりをしないでください、これは明らかに厚生労働省の意思が入っていると思いますよ。(発言する者あり)いや、よしんば、任せてこうなるんだったら、市町村に任せたらマシン重視になるということですから、マシン重視じゃない、マシン重視じゃないという答弁は崩れるじゃないですか。

尾辻国務大臣 繰り返し申し上げておりますように、私どもがマシンを使ってくださいというふうに言っているものではない、こう申し上げているところでございます。

本多委員 ということは、自然に任せておくと、市町村はマシンをこんなに、一対四の割合でマシン重視に傾くということでよろしいんですね。これは、そもそもこの選考自体が、市町村の何かこういう、筋力向上の傾向が出たんじゃないんですか。

尾辻国務大臣 この数字を見る限りにおいて、そういう数字が出てきておることだけは事実でございます。マシンを使った自治体が多かったという数字は明確に出ております。

本多委員 先に行きたいと思うんですけれども、これはマシン重視だということで私は結論をつけました。皆さんが主導したにしろ、市町村が勝手にやったにしろ、これは筋力向上ということでやったときにマシン重視という結果が出ているんですね、ここで既に。

 そして、この結果なんですよ。三ページ目から、与党の皆さんもしっかり見ていただきたいんですけれども、国の予算を使って、それから今後は介護保険の予算と保険料を使ってやる事業の成果。いろいろ分かれていますよ、筋力向上だけとか全数とか。

 しかし、大体においてこの数字をざっと見ていただくと、改善の方が多いということはそれはいいんですよ、改善の方が多いということは当然皆さんおっしゃると思うんですが、悪化の割合を大体見ていただきたいんですよ。何かをやって、これだけの方が要介護認定項目でも悪化をしている、身体機能に関する項目でも、悪化をしている方がもう拮抗している項目もあるんですね。一部じゃないんですよ。一部が悪化しているんじゃないんですよね。すごい割合なんですよ、これを見ていただくとわかる。

 三ページ目の一番下から三行目、社会生活機能、改善七十三、悪化六十六、こんなことを国の政策でやろうということでいいんですか、大臣。

尾辻国務大臣 各自治体から上がってきました数字を率直にそのままお出ししたわけでございますから、これをまたどう分析するかというのはこれからのことだというふうに考えます。

本多委員 当然、厚生労働省としての分析も、今、大臣はこれから分析しなきゃいけないと言ったんですから、私たちが法案審議をする前に皆さんの分析を出していただきたいと思いますが、私と山井議員で徹夜でやった分析をとりあえず皆さんに披露したいと思います。

 ざっと、こんなに悪化が多いということは見ていただけると思います、四ページ目も。五ページ目の、例えば一番上、マシン使用が悪いと私たち民主党が言っているとかいいますが、ではマシン使用なしでもどうなのかというと、要介護度一次判定、改善三人、悪化五人です。悪化の方はこういうところでも、マシンなしでやっても多いという数字も出ています。それから、この同じページで下から二行目、三行目、社会生活機能、改善十二人、悪化十二人、日常役割機能、改善十四人、悪化十四人。こんなに悪化して、同じ数なんですね。それから、例えば七ページの下の方も、これはマシン使用ですけれども、同じような数字が出ております。

 そして、例えば九ページ目も、下から二行目、社会生活機能、日常役割機能、これはどちらも悪化の方が多いんですよ、この筋トレをしたせいで。悪化をしているんですね。それから十ページ目も同じような結果が出ておりまして、こんな結果では、これは本当に国民に自信を持ってこの筋トレが介護予防になるなんということは全く言えないんですよ。

 おまけに、十三ページ目の一番下の行、心の健康、改善四人で、悪化五人。心の健康がこの筋トレをやったせいで悪化をしているらしいんですよ。本当に恐ろしいことを、このモデル事業さえが損害賠償か何かの対象にならなければいいがと私は心配をしますけれども。

 それから、もっと恐ろしいのが十九ページ目、閉じこもり予防というのをやったそうなんですけれども、閉じこもり予防をやったら、外出頻度が改善した人が五人で、悪化した人が十二人だそうなんですよね。二十ページ目も恐ろしい結果なんですよ。閉じこもり予防で、外出頻度、改善がゼロ人、悪化が五人。こんなものは明らかに、こんなものは絶対やめてくださいね。この結果をもとに、まさかこのまま事業を進行するということは、とんでもないと思いますよ。

 それから、各自治体がコメントとかを報告書として出しているんです。この中にもこのモデル事業の恐ろしい実態が出てきているんですよ。

 大臣、どう思われますか。大臣、今これを見て、これで本当に介護予防をやる気になりますか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、まず生のデータをそのままお出ししたわけでございますから、これをどう分析するかというのは、これから分析をしたいと思います。

 ただ、私が率直に思いますことは、これですべてが改善したら、むしろまたそれもおかしいだろうなと思います。(本多委員「悪化しているんですよ、維持じゃなくて」と呼ぶ)いえ、ですから、これが全部悪化という数字で出てくれば、これは非常に明確ですが、その判断もそうですが、改善していたり悪化していたり、いろいろな数字が出ておりますから、これは分析をすべきだというふうに思います。

本多委員 改善するためにやっているものなので、普通にほっておいて改善したり悪化したりしているんじゃないんですよ。お金をかけて国の事業として、そして、まして家事サービスの前提とかいう恐ろしいことも言いながらこれをやらせて、こういう結果なんですよ。

 それで、各自治体のいろいろな報告書が出ているんですけれども、そもそもこの調査自体が、皆さんがやった、皆さんに多分都合のいい条件でやったと思われる調査自体も、小林委員の江別市の例にもありますけれども、結構無理やり人を集めてきて、人が集まらなくて結構無理やり動員をかけてきて、ずっと見ていくと、中断が多いんですよ。もちろん親戚が亡くなったとか風邪を引いたとかもあるんでしょうけれども、その中断の事情もしっかり調べていただきたいんですよ。

 例えば、この北海道美唄市の例、十七名参加して、そもそも美唄市は四十四名ぐらい対象者がいると思ったのを、無理やり集めても十七。十七のうち中断は八名なんですよ。風邪もいますけれども、例えばこの六番のS・Sさん、「身体に変調あり、中断」こんな、本当にこれは筋トレが影響ないのかどうか心配なわけですし、H・Sさん、「うつ的傾向があり、体調を考慮し中断」これは最初からやらせてよかったのかどうかという疑問が出るんですよ、こんなものを見たら。

 それから、その次のページの十和田市も、十名がエントリー判定で対象になったけれども、十名のうち二名が途中で停止。「二名とも脳血管疾患の既往のあった方で、」こんな方に筋トレをやらせて、「Drの許可を得たが結果的には途中で中断した。」

 もっと恐ろしいのが山形県の尾花沢市。「対象一 鼻出血があり、その後の検査等が続き、体のだるさと出る事のおっくうさを訴えはじめ、参加が遠ざかった。介護予防から再度の参加を促し、」こんな人に「再度の参加を促し、一度参加したが、」笑っちゃうけど、こんなものは笑い事じゃないですよ、「家族が「そこまでしなくても」とのことで、本人も中断する旨の連絡あり。」

 「変形性膝関節症で参加前から時々痛みの訴えがあった方」、こんな人に筋トレをさせているんですよ。「参加当初は、杖を持たずに歩けると喜んでいたが、途中から痛みが強くなり、参加できなくなった。参加したいという意欲はあり、痛みが和らぐと参加し、修了式には参加したが効果測定が出来なかった。」効果測定はできなかったということは、ここに皆さんが載っているこのとんでもない資料にも、こういう人は入っていないんですよ、途中で中断してやめちゃったような人。

 これもしっかり、皆さんとして分析をするときにこういうことを入れて判断をしていただきたいと思いますけれども、大臣、この状況を見ていかがでしょうか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、モデル事業でお願いをしてこのデータが出てきたわけでございますから、そして、一つ一つのこういう例も述べてありますから、私どもとしては、確認をしながら、また事情も聞きながら分析をしてまいりたいと存じます。

本多委員 今、私たちは法案を審議中なんですけれども、これの分析を皆さんがしっかりしていただいた後でなければ、こんな法案、恐ろしくて通せないんですよ。いつまでに皆さんとしての分析を出していただけますか。

尾辻国務大臣 前にもお答えいたしましたけれども、そもそも今度のモデル事業が私どもとしてねらいといたしましたのは、十八年四月から法が施行される、そしてそのときに実際にこうした事業も行われていく、それに向けてしっかりモデル事業でまず状況を見ておこう、そのときのどういう形にするかということでモデル事業をお願いしたところでもございますので、私どもはちゃんと分析はさせていただきたいというふうに思っております。

本多委員 私は今とんでもない発言を聞きました。今、衆議院の委員会も通っていない法案の施行に向けてやられたんですか、これは。ちょっとどういうことなんですか。施行に向けてというのは何なんですか。通っていない法律の施行というのは何なんですか。どういうことなんですか。審議している意味ないじゃないですか。

尾辻国務大臣 申し上げました、施行という言葉を使いましたが、これは、今御審議いただいておる法律でございますから、お認めをいただいた場合ということになるわけでございますが、お認めいただいて施行ということになってという、その前提でのことを申し上げたわけでございます。

 いずれにいたしましても、今度のこのモデル事業をきっちり私どもなりに分析させていただきたいということを申し上げたつもりであります。

本多委員 いつまでに分析をされるんですか。

尾辻国務大臣 できるだけ早く、私どももこの数字の分析をさせていただきたいと考えております。

本多委員 できるだけ早くは当たり前なんです。私たちでさえ、人手のない中で徹夜で読んだんですよ。山井さんは本当に全部読んだんですよ、この三冊の分厚いファイルを。やってくださいよ、そんなの。きれいに答えてください。

尾辻国務大臣 御報告申し上げておりますように、六十九の市町村のうち、まずはまだ四十八の提出があったところでございまして、残りもございますし、そうしたところの提出も待たなければなりませんし、できるだけ早く分析をしたいというふうに考えております。

本多委員 尾辻大臣、尾辻大臣も国会議員ですよね。法案審議するときに、大臣からこういうふうに答弁されて審議できますか。例えば尾辻参議院議員として、どうですか。

 まず出ていない市町村がある。これは、別に数字データじゃなくて個別の市町村のデータも非常に参考になるんですよ、私たちから見たら。とんでもないという生の声が入っているんですよ。それで分析もないという。分析を分けてくださってもいいですよ。全部出てからの分析も見たいですし、とりあえず私たちだってこの四月十一日現在のでしたんですから、両方の分析も見たいですし、生データも全部下さい。

 尾辻大臣、どう思われますか。これで審議しろと言いますか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、できるだけ早く私どもは分析をしたい、そしてまたお出しをしたいと思っておりますから、御審議をお願いしたいというふうに存じます。(本多委員「いや、審議できないですよ」と呼び、その他発言する者あり)

鴨下委員長 それでは速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 御答弁申し上げます。

 ただいまお出しをしておりますデータの分析結果を踏まえまして、委員会に分析結果を御報告申し上げ、その後、筋トレに関する政省令を定めることといたします。

本多委員 大臣、政省令と今おっしゃいましたか。これは法律に基づいて政省令があるんですよね。私たちは立法府として法律を審議しているんですよ。ぜひその前に、生データは、例えば小林さんの江別市が恥ずかしくてこんなデータは出せないということでどうしても出せないんだったら、それは一個ぐらい残るかもしれませんよ、相手があること、相手があることと言いますけれども。皆さんの分析はまず少なくともできるんじゃないですか。私たちだってしているんですから。私たちの結論はほぼこういう感じですよ、見ていただいたとおりですよ。皆さんとしても分析しないと、これは法律の審議ができないんですよ、法案の。

尾辻国務大臣 申し上げておりますのは、このことは政省令事項でございますので、どういう政省令を定めるかということであります。したがって、その政省令を定めるまでに分析結果を委員会に御報告申し上げてということを申し上げておるところでございます。

本多委員 その今おっしゃった、大臣がおっしゃった政省令というのは、法律のどこに基づく政省令なんですか。どの法律、何法の何条に基づく政省令をつくられるためのなんですか。これは認めませんけれどもね、政省令のためなんて。

尾辻国務大臣 条文で申し上げますと、八条の二、「この法律において「介護予防サービス」とは、介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴介護、」などずっと書いてございます。そして……(本多委員「読まなくていいですよ、何条かと聞いたんだから」と呼ぶ)「介護予防サービスを行う事業をいう。」というのは八条の二でございますが、その七に、「この法律において「介護予防通所介護」とは、」というところがございます。こうした中で、「厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うことをいう。」こういうところでございます。

本多委員 それは改正法案ですよね、今審議している。ですから、通った後に勝手に政省令をつくるためにいろいろ何を検討されようと自由ですけれども、この中身がこんな状態で、ましてや皆さんとしての分析も出さないまま、法案なんか審議できないじゃないですか。分析はいつまでに出していただけるんですか。まず、それを答えてください。

尾辻国務大臣 分析の結果でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、分析結果、私どものものを出しまして、それを踏まえて委員会に分析結果を御報告申し上げ、その後に、申し上げましたように、筋トレに関する政省令を定めさせていただくというふうに申し上げておるところでございます。

本多委員 大臣、国会議員でしょう、大臣も。どう思うんですか、それは審議できますか。そんな、つまり法律を通した後に細かいことを決めるのが政省令じゃないですか。そもそも、こういうこと、事業をやっていいなんて、細かい話じゃないんですよ、私たちの分析では。根本的にやっていいのかどうかという結果まで出ているんです、これは私から見たら。

 では、絞りますけれども、今そんなに分析は出せないと言うんだったら、例えばさっき、私は余り勉強していませんけれども、閉じこもり予防というのは悪化の方が多いんですけれども、これはまさかやるんですか。これはまさかやられるんですか、このまま。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、出てきたデータをそのまま今お出しをしておるところでございますから、それを分析して、私どもの判断をするということを申し上げておるところでございます。(本多委員「いつまでか答えてくださいよ。政省令のためじゃなくて、法案のためですよ。委員長、頼みますよ。おかしいですよ」と呼び、その他発言する者あり)

鴨下委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 本多君の質疑に関しましては後ほどするということになりまして、次に進めさせていただきます。(発言する者あり)いや、後ほど、理事間で協議をいたしまして、本多君の質疑については取り扱いをまた改めて決めさせていただきます。(本多委員「ちょっと意味が、後で質問させてもらえるんですか、残りの時間は」と呼び、その他発言する者あり)

 筆頭間で合意ができていますから、本多君の質疑に関しましては後ほど……(本多委員「では、委員長、一言」と呼ぶ)

本多委員 私は、次の質問のときまでに厚生労働省として、これは、皆さんが政省令のためと勝手に思い込んでいるのは勝手ですけれども、私たちとしては法案の審議にぜひとも必要な情報なんです。我々は分析をしました。皆さんとしての分析もない限り、法案の審議ができないということをしっかり申し上げて、いつまでに厚生労働省としての分析をいただけるのかのお答えを次のときまでにちゃんと考えておいてください。それでお答えがないときは、またそれなりに対応させていただきます。

 以上です。

鴨下委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど本多委員からも質問がございましたけれども、これはきのう出てきた資料を見て私もびっくりするわけでございますが、大臣、例えば鹿児島県の伊集院町、筋トレをして途中で体調を壊されて入院した人が二人もおられる、これを見てどういうふうに、感想は。

尾辻国務大臣 このデータを見たばかりでございますので、一体どういう事情で入院されたのか、そうしたことも聞いてみる、調べてみる必要がございますので、そうしたことをお聞きした上での判断になろうかと思います。

長妻委員 そして、例えば山形県の尾花沢市の事例でございますが、この方は筋トレを中断されましたけれども、鼻血が出て、その後の検査等が続き、断念をしたと。体調を悪くされたということですが、これを見られて、これはどう考えられますか。

尾辻国務大臣 今申し上げましたように、それぞれのケース、それぞれの事情があるだろうと思いますから、詳しくお聞きをしてみなければ、そのことについて何か申し上げるということを、お答えできないことは御理解いただきたいと存じます。

長妻委員 例えば、青森県の十和田市。十名がエントリー判定で対象になったが、二名が途中で中止、二名とも脳血管疾患の既往のあった方だった、こういうことが書いてあるんですが、大臣、全部調べなきゃわからない、わからないと言っていますけれども、これは調べた結果なんですよ。だから、これを見て一定の判定を、全部の市町村に大臣が行くわけにいかないんですから。調べた結果で皆さん出してきたわけでしょう。

 大臣、今の時点での評価をお願いします。

尾辻国務大臣 今出てきたばかりでございますから、鼻の出血がありとか、例えばこう書いてありますが、それがどういうことでその鼻の出血があったのか、何か、筋トレをやってもらったことによるこういうことなのか、またそうでないのかといったようなことをよく分析しないと、これは何とも申し上げようがないところであります。

長妻委員 いや、だって、これは調査報告書で、自治体を信用されないんですか。筋トレで、筋力向上事業実績報告書でそういうふうに書いてあるわけですから、別の事故とか、別のことで鼻血が出た場合はここに書かないですよ。ちょっと大臣、どうですか。

尾辻国務大臣 これはどういう書き方になっておるかきっちり見てみなきゃわかりませんけれども、私が理解しますところでは、筋トレをやったからそうであるのか、また、ほかの理由で、原因でそうなったのか、そうしたことは、申し上げたように、これはよく聞いてみないと、分析してみないとわからないと思います。

長妻委員 今、六十九市町村のうち四十八市町村が何か調査が出てきたということでありますけれども、そうしましたら、その四十八の調査もこれはもう一回やらなきゃいけないですね。四十八の調査も、今大臣が言われた見地から再度調査をされる、こういうことなんですか。

尾辻国務大臣 このデータが出てきたわけでありますから、それぞれの市町村にこれはどういうことなんでしょうとお聞きをしなきゃならないということを申し上げておるわけであります。

長妻委員 二十一の市町村がまだだということですけれども、これはいつまでを締め切りにされておられるんですか。

尾辻国務大臣 私どもがお願いいたしましたのは、四月の十一日までということでお願いをいたしております。

長妻委員 ですから、実際にはいつまでに出してくるということになるわけですか。締め切りをもう過ぎておりますけれども。

尾辻国務大臣 締め切りを過ぎておりますから、今督促をいたしておるところでございます。

長妻委員 いろいろ、きのういただいた報告書を見ただけでも、なかなか、参加に二の足を踏む方も多いし、入院の方もおられるということで、評価が定まってないわけですね、全然。

 そういうものに関して、介護保険の中で位置づけてやると、これは国の制度ですから、市町村はまじめですから、これを本当にやろうということでやるんですよ。やり始めて、走り始めるんですよ。いろいろな弊害が出てくる。そこには保険料が使われるわけですから。そこは、私は、介護保険に入れないで、市町村の自主的な判断に任せて、筋トレが効果があると思えば、それは介護保険じゃない枠組みの中でやる、こういうことは市町村で自由だと思うんです。

 大臣、これを介護保険の中に入れようということでございますから、これだけずさんな報告で、この報告を見ても大臣は評価が定まらないということでございますから、次の審議まで、この分析結果を全部出していただくと。調査も、締め切りが過ぎている二十一市町村も出して、そして分析も加えて、報告書を次の審議の前に出していただく。そうしないと審議ができないと思うんですが、大臣、それを明言してください。

尾辻国務大臣 今出てきましたデータに対する私どものまず分析、これはしなきゃいけませんので、私どもがいたしました分析については、次回委員会なりなんなり、早い機会にちゃんと申し上げたいと存じます。

長妻委員 今ちょっとよく聞こえませんで、次回の委員会に、審議の前に提出する、それを見て審議に入る、こういう理解ですか。今、次回の委員会というのは。

尾辻国務大臣 次の委員会で、私どもの分析については御報告を申し上げます。

長妻委員 ですから、委員会はもう質問が始まっている場でございますから、それを事前に、きのうの夜中ということじゃなくて、二、三日前に出していただいて、その後審議をする。いや、大臣、何か笑っておられますけれども、介護保険、重大な改正を今やっているわけで、これは非常に国民の皆さん関心が高い。保険料が、後から質問しますけれども、本当にずさんに使われる可能性もある法案なんですよ。次の審議の前、二、三日前に出して、それを我々見て審議をする、こういう段取りでやっていただく分には、これは当然だと思うんですが、大臣、ぜひ前向きな御答弁をいただきたいと思うんです。

尾辻国務大臣 今、筆頭間でもお話しいただいておると理解をいたしておりますので、そうした御指示で私どもは御報告を申し上げたいと存じます。

長妻委員 筆頭間とか、私は、私はこの委員会のメンバーでありますけれども、一人の国会議員として、国政調査権を背景に質問をしているわけでありまして、私がそういうふうに要請をしておりますので、大臣の見解はいかがですか。

尾辻国務大臣 委員会の御判断のとおりにいたします。

長妻委員 いや、大臣が出すと言えばいいんですよ、それは。出さないと言うから委員会が協議しているわけで、大臣が出すと言えば、今出してもいいんですよ、別に。大臣、これは本当に大事な問題で、私は、大臣は前向きな答弁で、国会デビューしたときに一定の評価をしましたよ。ぜひ御答弁ください、大臣。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、最大限の努力をさせていただきます。

長妻委員 委員会の審議が始まる前にということですか、前に。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、最大限の努力をさせていただきます。

長妻委員 ですから、次の審議の前に、前といっても、その前の日じゃないですよ、二、三日前に、我々見て、それで質問項目を考えられる、それが国会審議じゃないですか、大臣。

 ぜひ審議に間に合うような形で、二、三日前にということをここでぜひ言っていただきたいんですが。

尾辻国務大臣 私が理解いたしておりますところでは、筆頭間のお話し合い、あるいは理事間のお話し合いがあるだろうと思いますので、私が余りそのお話し合いを無視して申し上げることも僣越かなと思っておるものですから、先ほど来、委員会の御指示のとおりにいたしますということを申し上げておるつもりであります。

長妻委員 大臣は全然理解されていないですね、仕組みを。大臣が出さないと言うから、いろいろ議論があるんですよ。大臣が前向きに出すと言えば、きょうでもあしたでも、別に理事の承認なんかなくても出していいんですよ、それは。大臣が出すと言えばいいんですよ。手間かけさせないでください、こちらの委員会に。大臣、最大限の努力と言われましたけれども、ぜひ、二、三日前に出すと。ぜひお願いします。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、出さないというふうに申し上げておるつもりじゃありません。出すことを前提に最大限の努力をします、そして委員会の御指示を待ちますということを申し上げているつもりであります。

長妻委員 定足数が足りていませんので、一時、質問を留保します。

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 長妻君。

長妻委員 先ほど、尾辻大臣の最大限努力するというのは、次の審議に入る前、二、三日前、我々準備できる段階、それまでに、分析資料あるいは残った調査、それを、資料を出す、これを最大限努力する、こういうことでよろしいんですか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、委員会の御指示をいただきますと、そのとおりにさせていただきます。(長妻委員「いや、最大限努力すると言うから」と呼ぶ)ですから、最大限努力をして……(長妻委員「何を、何を」と呼ぶ)そういうふうに、委員会の御指示を待ちますということを申し上げております。

長妻委員 だって、委員会は違いますよ。私が今、個人で大臣に質問をして、大臣が出さないという決断をしたときに、委員会、理事会、開かれるわけじゃないですか。

 大臣は出すわけでしょう。その時期を私聞いているわけです。審議の二、三日前に出すというのは、最大限の努力というのは、何を最大限努力されるんですか。

尾辻国務大臣 出す時期について最大限の努力をいたしますということを申し上げております。

長妻委員 次の審議に入る二、三日前までに資料を出していただく、こういうことを強く要請いたしますので、大臣、よろしくお願いをいたします。

尾辻国務大臣 委員会の御指示のとおりに出させていただきます。

長妻委員 いや、大臣、委員会の指示、指示と言いますけれども、これは大体どのぐらいのめどなんですか、時間かかるんですか。大臣、事務方と今話してもいいですけれども、何日間ぐらい大体かかりそうなんですか。そのぐらい言ってくださいよ。

尾辻国務大臣 三ないし四日いただければ出せると存じます。

長妻委員 それは、二十一市町村の残りのデータあるいは分析、それも含めた話ですか、三、四日というのは。

尾辻国務大臣 今来ていないものについては、これはいつ来るかわかりませんので、今来ておるものの分析についての日数を申し上げたところであります。(発言する者あり)

 今市町村から私どものところに参っておるものの分析についての日数を申し上げました。

長妻委員 大臣、どうしちゃったんですか。年金のときは、多少前向きの御発言、監修料でもあったにもかかわらず。

 この二十一市町村、これは出てくるまできちっと待たないと分析できないじゃないですか。二十一市町村、きちっと出てきて、そして分析する、こういうことをちょっと明言してください。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、何しろ相手のあることでございますので、私が今ここで、必ず何日とかという約束ができない、お約束できないことは御理解いただきたいと存じます。

長妻委員 私は、中途半端な形で審議を進めるというのは、これはできないわけですから、二十一市町村全部出て、そしてそれを見て、審議をその後再開する、こういうこととしたいと思いますので、ぜひ大臣、前向きの答弁がない限り、ちょっと私、質問を今留保します。

尾辻国務大臣 申し上げておりますことは、まず、今出てきていない市町村の分については、これはできるだけ早くということで催促をいたしますけれども、これでいつだということをしっかりお約束できないことは御理解いただきたいと思います。

 今届いております分についての分析は、申し上げたように、三ないし四日で済ませたいというふうに考えております。(発言する者あり)

鴨下委員長 では、資料に関しましては、理事会で協議しまして、長妻委員の要請に従って、鋭意、委員会、理事会も努力をいたしますので、それで引き取らせていただくわけにはいきませんか。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 長妻君。

長妻委員 それでは、先ほどの話は、繰り返しませんけれども、それは譲れませんので、ぜひ大臣、お願いをいたします。

 そして、次ですけれども、地域支援事業というのがございますが、ここに介護保険の保険料は最大限で年間幾ら投入されますか。

尾辻国務大臣 地域支援事業に対する保険料財源からの充当額についてでございますが、これは、地域支援事業の限度額等についてさまざまな仮定を置いての計算、推計とならざるを得ないところでございますけれども、仮にということで、まず、平成十七年度予算での給付費をベースに置きまして、それから、これはまだきっちり決めたわけじゃありませんが、大体このぐらいの数字でと私どもが内々申しております全体の限度額を給付費の三%というふうに置きますと、これが七兆掛ける三%でありますから、約二千億ということになります。

 そして、この地域支援事業の中で、介護予防事業の給付費をその半分といたしますと、これはまさしく仮に半分とすると一千億、それから、包括的支援事業を給付費のまた半分としますと一千億。これは何回も申し上げますが、仮に半分ずつ、こういうふうに振り分けたといたしますと、そうすると、介護予防事業給付費の方は、半分が保険料財源になりますので、これは五百億、それから包括的支援事業の方は一八%になりますから百八十億、足すと六百八十億になる。

 申し上げたように、かなり粗い推計ではございますが、こういう推計が成り立つところであります。

長妻委員 いや、六百八十億という金額です。

 この介護保険は五年前に始まりましたけれども、これまでは介護保険料は認定された方の給付のみに使っていたんですね。給付のみに全額を、介護保険料を使っておりましたが、この改正案で初めて一年間に六百八十億円、推計でございますけれども、最大六百八十億円の介護保険料が認定者の給付じゃない形で使われることができる、そういう法案でございます。この三%という数字も、これも政令のようでございまして、法律の中に三%は明記されないようでございますから、さらに上がる可能性はある。

 これは年金問題でも私指摘しましたけれども、年金は、昔は給付だけに使われていたんですね、支払いだけに。ところが、特別措置法でいろいろな事務費とかほかのものにも使えるようなって、そこが拡大、拡大解釈で、不信が高まったわけです。私は、その二の舞のにおいを強く感じるんですよ。この六百八十億の介護保険料そのものが毎年給付じゃない形で使われてしまう、予防とかいろいろな修飾語がついておりますけれども。

 これは大臣、お伺いしますけれども、その地域支援事業、なかなか定義があいまいです。例えば虐待防止、これは重要だと思いますよ。御高齢者が虐待されている、それを防止する。でも、その事業にも介護保険料を使っていい、こういうことでございますか。

尾辻国務大臣 今お話しの虐待の対応でございますけれども、これは、包括的支援事業、すなわち、地域支援事業の中の包括的支援事業の中に位置づけておるものでございます。したがって、地域支援事業の中のものだと……(長妻委員「介護保険料は、これは使えるんですか、介護保険料財源は。それを聞いたんです」と呼ぶ)この地域支援事業は、当然、保険料財源を充てますので、保険料財源からのものになります。

長妻委員 虐待防止の措置、これは重要だと思いますけれども、介護保険の保険料でやるべきことなのかどうか。これはやるべきですよ、やるべきだけれども、保険の精神から外れるんじゃないかと私は思います。

 例えば家族支援事業というのもあります。介護教室、例えば、介護はこうやるんですよと、そういう教室を開く。そこでテキストを配ったり講師を呼んだりする介護教室、その教室にも介護保険料を使っていいよ、こういうことでよろしいんですか。

尾辻国務大臣 今の事業でございますけれども、これは、現行でも、現行の介護保険法の制度の中でも使っておるものでございまして、そうしたものに幾つか使っておる、保険料財源を充てておるということは改めて申し上げるところでございます。

 ただ、そうしたものに充てておる分もございますけれども、このたび大きく予防ということに着目をいたしまして、地域支援事業というものをつくるということにしたものでございます。

長妻委員 だから、介護教室のテキスト代とか講師代、パンフレット、そういうものに介護保険料財源を使うことはできるということですか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますのは、そうした事業に使うということを申し上げておるところでございます。

長妻委員 そうすると、例えば介護教室をやろうといったときに、例えば建物をちょっと借りましょうと、その家賃にも介護保険料財源を使えるということですか。

尾辻国務大臣 今の事業の中で家賃に使っておるということは、私どもは承知をいたしておりません。

長妻委員 ですから、この改正法案が通った後、介護教室、例えばそれの家賃にも保険料財源を使えるんですかということです。

尾辻国務大臣 そういう事業ができるということでございますから、事業はできるというお答えになります。(長妻委員「だから、家賃は使えるのかと。だめだ、質問できませんよ、これは。ちょっと時間をとめてください。こんなことはおかしいよ。さっきから何をやっているんだ」と呼ぶ)

 基本的に、事業のために使っていただく。したがって、事業のためということで、例えばその家賃が一部であるということであれば、厳密、厳密という言葉はよくないですね、要するに、今の御質問にお答えいたしますと、家賃に使えるか使えないかということで申し上げると、事業の一部としてであれば使えますということでございます。

長妻委員 大臣、先ほどの答弁で、ちょっと女性の方、やめてください。済みませんけれども、申しわけない、ちょっと大臣が聞こえないので。大臣、先ほどの御答弁で、今現在も保険料が虐待防止に使えるというお話がありましたけれども、幾らぐらい、どういうことに使われているんですか。(発言する者あり)

鴨下委員長 大臣、答えますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 先ほどお答えいたしましたのは保健福祉事業でございますが、それは現在三億円使っております。その中で、この……(長妻委員「いや、保険料財源に限定して質問しています」と呼ぶ)保険料財源の中で三億円使っておるということでございます。

長妻委員 介護保険料の財源、介護保険料で、三億円、虐待防止に今現在使っていると。これはどんな事業ですか。テキストとか講師代とか人件費とか、そういうものに使っているわけですか。これは認定されていない方に対するものですね。

尾辻国務大臣 今申し上げておりますのは、保健福祉事業で三億円使っておるということであります。(長妻委員「ですから、それは違う。それは税金」と呼ぶ)

鴨下委員長 質疑でただしてください。

 長妻君。(長妻委員「ちょっと、大臣、聞いていないんですよ、質問を。委員長、注意してください」と呼ぶ)

 尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 各市町村が一号被保険者の保険料で事業を行っておる、その額を今申し上げたところでございます。

長妻委員 そうしますと、介護保険料、この保険料そのものを使って、虐待防止の講習会とか、あるいは人件費、テキスト代、今もこれは三億円使っている、今現在、年間。これでよろしいんですね。年間三億円ですか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、保健福祉事業として三億円ということを申し上げておりまして、その中に虐待も入っておるということであります。そして、この三億円の財源というのは、申し上げておりますように、保険料であるということを申し上げております。

長妻委員 そうしますと、例えば今回の改正案で認知症の講習会というのもあるんですね。認知症、これを知らしめるというか、注意を促すための講習会も保険料財源でできます、あるいは、給付適正化ということで、どれだけ介護にお金を使ったか利用者に対して送る郵送代、それも今回から使えるということになっているわけですが、そういう意味では、給付以外に介護保険料が使えるメニューというのは具体的に、今申し上げたものは使えるわけですか。

尾辻国務大臣 今まずお答えできますことは、先ほど来申し上げておりますように、保健福祉事業というもので三億円の事業を行っておる、これは一号保険料のみでやっておるわけでございまして、これは介護の家族教室でありますとか予防事業などをやっておる、こういうことでございます。

長妻委員 そうすると、この改正案から、例えば認知症の講習会のテキストや講師の人件費、これも介護保険料で初めて使えることになる、こういうことでよろしいんですか。

尾辻国務大臣 今お尋ねのような事業につきましては、各市町村の判断ということになります。

長妻委員 そうしますと、監修料の問題がありましたけれども、パンフレット、目的としては、介護とか認知症、あるいは介護予防、トレーニングの仕方、トレーニング、筋トレをするときにこういう注意をしなさい、筋トレマシンでこういうことはやらない方がいいですよとか、注意事項をやるようなテキスト、パンフレットを大量につくる、こういうことも、筋トレの講習会ということで介護保険料を支出する、こういうこともオーケーなわけですか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、自治体の選択でございまして、これは一号保険料でやるか税でやるかということはまさに選択なわけでございます。

 ただ、今お話しのような、大量のパンフレットとかなんとかというのは、こうした中で常識的には考えられないであろうと私は考えます。

長妻委員 常識的に考えられないことが厚生労働省の中で起こっているんですよ、年金問題では。これは、本当に今の答弁を聞いていて、この六百八十億円の、四十歳以上の方の保険料も入っているんですよ、この六百八十億円の中には。毎年毎年、この保険料がまたわけのわからない形に使われる。

 ですから、予防というのはわかりますけれども、地域支援事業の中で予防的な発想というのは、これは保険料じゃなくて、それは自治体によって一般財源でやってもらえばいいんじゃないですか。これは保険の精神がどんどんどんどん薄まっていきますよ。介護保険なんですから、全然介護じゃない形でどんどん使われる、またバケツに穴があいている、そしてここから保険料が漏れて、この三%というのも、給付額の三%は使えるということになっているわけですけれども、これはまたどんどん政令で比率が上がっていったら、また食いつぶしになりますよ。

 私は、こういう事業も介護保険料でするのはよくない。そして、筋トレも、予防というので、これは自治体に任せて、介護保険の中には含めない。そして、むしろ保険者へのインセンティブを与える。自治体が給付をいっぱい払ってしまうと、これは大変なわけですよ、自治体の負担も県の負担も。だから、なるべく少なく給付を払いたい。自治体が自助努力をして、介護保険適用される方を少なくしよう、予防に力を入れよう、自治体の創意工夫、国が一律に言うんじゃなくて、自治体の一般財源で任せていく、そして給付が少ない自治体には何らかのインセンティブを与える。少ないというのも、これ自体、インセンティブですけれども、インセンティブを与える。そして、そういうふうに予防に頑張った自治体は、保険者は本当に報われるような、そういう仕組みをつくった方が、お金もかからずに非常に効果的だと思うんですね。これは、大臣、どう思いますか、今の。

尾辻国務大臣 そうした話が保険料に全部まずはね返るわけでございますから、それがまさにまずは保険者たる市町村のインセンティブになるんだろうというふうに私どもは判断いたしまして、そして予防ということを言っているわけでございます。

 したがいまして、先ほどもお答え申し上げておりますように、一号保険料でやるか税でやるかというのはその自治体の選択でありますから、そこの選択の中で、予防に金をかけて、そしてそれで介護保険料が少なくて済むという判断をすれば、また保険料を使うということも市町村の判断でいたすでありましょうし、まさにその辺がそれぞれの自治体の選択になるんだ、こういうふうに考えます。

長妻委員 そして、ケアマネジャーの独立性というのを、私も前に尾辻大臣に質問させてもらいましたけれども、ケアマネジャーの独立性ですね。なかなか、九割ぐらいのケアマネジャーが、勤めている会社がほかのサービスもしている、どうしても自分の会社のサービスを過剰に勧めがちだ、こういう問題は、この厚生労働省の、いただいた資料でも、ここの七ページにございます。

 そして、こういうケアマネジャー、私は独立系のケアマネジャーさんにお話を聞くと、もう売り込みがすごいと。これは大げさではなくて、毎日のようにセールスマンが独立系のケアマネジャーさんのところに来て、例えばこういうカタログ、車いすのカタログとか、おふろでの転倒防止とか、そういういろいろなカタログを毎日のように置いていく、営業マンがすごい攻勢をかけてくるんだと独立系のケアマネジャーの方が言っていました。

 独立系のケアマネジャーの方は、薬屋さん、薬屋さんは薬屋さんという仕事があってケアマネジャーをやっていますから、ケアマネジャーの報酬が少なくても独立性が担保できるんですね。ですから、そういうほかの仕事がないと、ケアマネジャーだけではなかなか独立できない、そういうところに営業マンがどんどん来る。

 でも、よく考えると、売り込むよりも自分の会社でケアマネジャーを採用しちゃった方が効率がいいんですよ、自分の会社のセールスの先頭にケアマネジャーを立たせれば。そういう発想を持つ事業所もこれはあるわけでございます。

 厚生労働省がケアマネジャーの運営に関する基準というのを出しております、八ページにございますけれども。そこに書いてございますのは、基本的にケアマネジャーは、「利用者に対して特定の居宅サービス事業者等によるサービスを利用させることの対償として、当該居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を収受してはならない。」と書いてあるんですね。ケアマネジャーがケアプランをつくるときに、特定の事業者の、この事業者のを使ってくださいよと言ってそこに使ってもらったら、そこから金品をもらったり、これはだめだというふうに書いてあるわけです。

 ところが、では、大臣に聞きますけれども、例えば、大きな会社がいっぱいありますけれども、同じ会社の中でケアマネジャーが表彰される。いや、あなた、ケアマネジャー、偉い、うちの会社のサービスを、車いすもうちの販売店から買ったし、あるいは、ホームヘルパーの派遣もうちの会社の関連あるいはその会社そのものからやった、あなた、ケアマネジャー、偉いよと社内で表彰されて、出世してお給料が上がる、そして報奨金が出る。これは、大臣、だめなわけでしょう。

尾辻国務大臣 ケアマネジャーには、公正中立なケアプランの作成、そうしたことが求められておりますから、そのことに触れて何かをやっておればいけないという、そこの判断になります。

長妻委員 いや、これはそう読まないでしょう。この厚生労働省の基準の三番目ですね。「当該居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を収受してはならない。」ですから、例えば、仮に公正に勧めて、お客さんが、では、この事業者からホームヘルプサービスを受けましょうとなったとしても、そこからケアマネジャーが金をもらっちゃいけないと書いてあるわけですよ、これは。

 大臣、同じ会社で、大きな会社で、損害保険会社の子会社のケアマネジャーさんの苦情を私聞きましたけれども、そういう大きな会社が複数の事業をやっていて、社内で、ケアマネジャーは営業の先兵だということで表彰されたり、報奨金をもらったり、出世して給料が上がったり、それは、同じ会社だけれども、あるいは関連会社だけれどもいかぬということなわけでしょう、これは、三番。はっきりしてください。

尾辻国務大臣 先ほども申し上げましたように、こうした基準を設けておりますのは、ケアマネジメントの公正中立の原則の遵守をうたったものでございますので、同一法人のサービスのみを位置づけるような指示を行うことも、事実上他の居宅サービス事業者の利用を妨げるものであるので、基準違反に該当すると考えております。

 したがいまして、とにかく、先ほど来申し上げておりますが、ケアマネジメントの公正中立の原則に反するものは、まさに反するということを申し上げているところであります。

長妻委員 ちょっと、それは質問に答えていただいていないんですが、これは本当に大変な話ですよ。かなり広範囲に問題があるんですよ。

 もう一回聞きます。ケアマネジャーが、では、公正中立に自分の会社のサービスを利用者が受けたと。公正中立に、では、いいですよ、たまたま自分の会社のホームヘルプサービス、車いすの販売を受けたと、たまたま。ちょっと大臣、聞いてください。(尾辻国務大臣「聞いています」と呼ぶ)いやいや、ちょっと聞いてください。ちょっと後ろに下がってください。

 たまたま受けたと、そのサービスを、ケアマネジャーの自分の。たまたま受けたその同じ会社あるいは関連会社から出世して、出世というか、表彰したり、あるいは報奨金をもらったり、評価を受けて人事上お給料が上がったり、それは問題ないということで本当にいいんですか。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、報奨金をもらうとかあるいは給料が上がるとかということのその前の行動が、公正中立であるかどうかということで判断されるわけでございまして、私はそのことを申し上げておるところでございます。

長妻委員 いや、そうしたら、これは本当にいいんですか。では、公正中立に、勧めなくて、その会社のサービスを利用者が受けて、そこから報奨金をどんどんケアマネジャーがもらうあるいは販売手数料をもらう、これはオーケーということですね、公正中立に選ばれたのであれば。

尾辻国務大臣 今おっしゃった例えば販売手数料をもらうということは、これはまさにもう公正中立じゃありませんから……(長妻委員「いや、事後的にですよ、事後的に。報奨金ですよ、報奨金」と呼ぶ)それは、事後であれ何であれ、公正中立でないことは間違いないと考えます。

長妻委員 尾辻大臣、ちょっと現場をよく見ていただきたいんですが、同じ会社あるいは関連会社、そこで九割のケアマネジャーが働いているんですよ。自分のところを勧めたくなるのは、これは人情かもしれないけれども、そのときに表彰されたりあるいはノルマがあったり、そういうケースがあるわけですよ。それに対する歯どめというのが必要だ、この条文をきちっと守ってもらうようなそういう歯どめが必要だということで質問をしているわけでございます。

 結局、この九割という割合を将来的に半分以下に抑えるとか、そういう何かお考えはあるんですか。

尾辻国務大臣 先ほど来先生が言っておられますケアマネジャーの専門性を確立するということ、そして、独立、中立な立場で適切にケアプランを作成すること、これは私どももぜひそうしなきゃならないという認識を持っておりまして、そこの部分では先生の御認識と私どもの認識は全く一致をいたしておると思います。

 ケアマネジャーは要介護者等が自立して日常生活を営むのに必要な援助を行う専門職として初めて制度的に位置づけられたものでございますけれども、ケアマネジャーに対する利用者の満足度というのは今総じて高い一方で、自立支援に資するケアマネジメントの提供という観点から、公正中立なケアプランの作成とか研修の充実強化等の課題が指摘をされておるところでございます。

 したがいまして、そうしたいろいろな指摘がありますので、今回の私どもの見直しでは、担当する利用者数の見直しや独立性を高める方向で報酬の見直し、資格の更新制による定期的な研修の義務づけ、個々のマネジャーごとにケアプランの内容を評価する仕組みの導入など、こうしたことを今回取り組むこととしております。

 こうした取り組みによって、今先生が言っておられる九割という数字は変化するというふうに考えております。

長妻委員 目標はどのぐらいですか。事務方からは、五〇%以下、九割は多過ぎる、そんなようなお話もありますけれども、半分以下という目標ですか。

尾辻国務大臣 今申し上げましたように、ケアマネジャーの独立性を高める方向で報酬の基準の見直しも行うこととしておりますから、一挙にとは言えませんけれども、徐々にそうした事業所に属するケアマネジャーの数というのは減っていくものと考えております。

長妻委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、十ページでございますけれども、生活援助が、このサービスが打ち切られるんじゃないか、こういう不安を持たれている方も多いわけでございますが、これは厚生労働省からいろいろ教えてもらいまして私どもの方でつくった資料でございます。

 今、生活援助サービスを受けておられる方が日本じゅうで八十二万三千人おられます。この方の半分、大体四十六万から五十万人がこの改正法案が通った後生活援助のサービスの見直し、打ち切りされる方もおられると思いますけれども、そういうようなことを調べたわけでございますが、介護保険法改正で生活援助のサービスの見直しの対象者というのは、この数字でよろしいんですか。何人ですか、具体的に。

尾辻国務大臣 先生がお出しいただいております資料の十ページにございます「介護保険「生活援助」サービス利用者数」、この数字でございますが、現在の数字としてこれは合っておるというふうに考えます。このとおりであるというふうに考えます。

長妻委員 それでは、具体的に何人ぐらいですか、見直しの対象者は。

尾辻国務大臣 ですから、このたびの新予防給付のことについて申し上げますと、先生の数字でお出しいただいております、要支援は二十万五千人、これはこのとおりで動きません。それから、要介護一の、この先生のお出しになっております数字で、三十六万七千人ということが言われております。このうちの七、八割が見直しの対象というふうに考えておりますので、この三十六万七千人掛ける七割、八割と、それから二十万五千人ということの両方を足しますと、四十六万から五十万というふうに考えます。

長妻委員 では、この数字、私の資料は正しいということだと思いますが、四十六万から五十万人という大臣のお話がありましたけれども、今現在生活援助サービスを受けている八十二万の人のうち四十六万から五十万の人が見直しの対象になるということで、御不安がある方は多いと思うんです。

 私も、お手伝いさん的に安易に使う、この事例もはっきり言ってあります。そういうものは厳しく取り締まらなきゃいけない。しかし、頼らざるを得ない人もいっぱいいるんですよ。皆さん不安に思っていますので、どのくらいなのか感覚を教えていただきたいんですが、この四十六万、例えば五十万として、五十万の方の半分ぐらいがもう生活援助はだめだよと言われるのか、半分ぐらいなのか、いや半分も行かないんだよ、一割とかそのぐらいのちょっとしたものなんだ、どういうぐらいの広範囲にわたるものなのかという感覚をちょっと教えていただきたいのですが。

尾辻国務大臣 まず、今申し上げております数字は、生活援助サービスを利用しておられる方の数字で申し上げておるわけでございますので、そのことをまず改めて申し上げたいと思います。

 いずれにいたしましても、一体、生活援助の利用者のうちの見直しの対象になるのがどのぐらいかということでございますけれども、これは、改めて申し上げますと、今回導入いたします、軽度者に対する新予防給付の基本的な考え方というのは、本人にできることは可能な限り自分でやっていただくという考え方のもとで、本人の生活能力を引き出すためのサービスを適切に組み合わせ、手助けする場合でも、できる限り本人が今持っておられる能力を生かす工夫をしながら行うという基本的な考え方を申し上げておりまして、この考え方を徹底させるものでございます。

 そこで、具体的にどのような見直しになるか、また、見直しの対象になるかどうかということは、利用なさる方と専門家がよく話し合って、適切なマネジメントを行った結果で、現場において個々に決められるものでありますので、今、一律に幾らぐらいということを申し上げることはできません。

長妻委員 大臣、それはおかしいですよ。なぜかというと、生活援助サービスを見直すと言ったのはそもそも厚生労働省、尾辻大臣がこの法案を提出されているわけです。ということは、今まで問題があった生活援助サービスがどのくらいあるのか、これを把握した上で見直すということが出てこなきゃだめじゃないですか。やみくもに、今もしかしたら、すべて、ほとんどがきちっとした生活援助かもしれないじゃないですか。見直すというのは何ですか、どこが悪いから見直すのか、そのバックデータをとらないと、さっきの筋トレじゃないですけれども、見直すなんて言っちゃだめですよ。どのくらい減るのか何にもわからない。

 では、半分これはカットされる、半分の方が受けられなくなるという可能性もあるわけですか、そうしたら。

尾辻国務大臣 これは、いつもお答えいたしておりますように、それぞれの現場での判断でございますから、私どもがどのぐらいだということを数字で申し上げることは難しいですということをお答え申し上げておるところでございます。

長妻委員 これは大変重要な問題ですので、ぜひサンプル調査というかしてください、ぜひこの審議に、あるいは採決の前までに。皆さん一番不安に思っているんですよ、生活援助サービスがどうなるか。

 そうすると、今例えば百例、二百例でもいいですよ、調べていただいて、あるいは三百例でもいいですよ、厚生労働省が責任を持って調べて、その中でおかしな生活援助サービス、これは打ち切らなきゃいかぬ、全体のうちの例えば二割ぐらいありましたよ、ですからそのぐらいなんですよと、家政婦さんみたいな形で使っているとか、そういう具体例をきちっと出して、そういう調査をぜひそうしたらしてください。それをお約束してください。

尾辻国務大臣 これもいつもお答え申し上げておるわけでありますけれども、適切に行われているサービスが今後受けられなくなるとか、そういうことは決してないわけでございまして、そのことを申し上げておるわけでございます。したがって、すべて現場の御判断でということを申し上げております。

 それからまた、一部であるとか、その割合はというお話がいつも出てくるのでありますが、いずれにしても、不適切な例を私どもも指摘をされておりますから、今度の見直しでそういうことがないようにするということを申し上げておるところでございます。

長妻委員 最後の質問ですけれども、前回、尾辻大臣に予算委員会で質問しました。不正の温床となっているというか、レセプトに似た居宅サービス介護給付費明細書、これを国保連に出せば業者がお金をもらえるということになっていますけれども、そこに利用者の印を押したら、判こを押したらどうなのか、こういう御提言を申し上げましたけれども、大臣、その後どうですか。

尾辻国務大臣 その御質問をいただきました。したがいまして、そのことについての検討といいますか、可能かどうかということを調べてみました。

 私が今このことについて理解しておりますのは、まず一つ、電算処理をいたしております。医療のレセプトとちょっと違うところがございます、介護のレセプトは。それから、おおよそ三百万人の方が利用しておられる、その方々のレセプトが毎月上がるわけでありますから、電算処理をしているものに対して何らかの方法でまた取り出して印をついてもらうというのは、事務的に大変難しい作業だなというふうに理解をいたしております。

 そこで、御趣旨を踏まえなきゃいかぬと思いましたので、二月十八日に開催されました全国高齢者保健福祉・介護保険関係主管課長会議におきまして、介護給付費通知書とサービス利用票、この内容が合致していることを確認すれば、それで御趣旨のことはかなり解決するというふうに考えまして、この周知は主管の課長会議においてお願いをしたところでございます。

長妻委員 ぜひきちんとしていただきたいと思います。

 最後に、時間が参りましたので、与党の皆さんにも申し上げたいんですけれども、今御答弁があるように、今回の改正法案で初めて、一年間に最大で六百八十億円の介護保険料が、認定された方、給付以外に使われる、これはまた年金の二の舞になって大変なことになるということは、私は本当に予想します。議事録、何百年も残ると思いますけれども。ぜひ、こういういいかげんなことはしないで、介護保険ですから、介護保険ということで限定して、ほかをやるなと言いませんよ、虐待の防止とか。介護保険は介護保険ということでやらないと、どんどん散漫になって破綻しますよ、また。そして、だれも払わなくなっちゃう。こういう不信が広がる懸念が本当に大きい改正案だと思います。

 以上でございます。

鴨下委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 きょうも大問題になっておりますが、今度のこの介護保険の改正は、新予防給付を設ける問題でも、施設入所者への居住費や食費の負担を求める問題でも、非常に大きな制度改正であるにもかかわらず、それを、我々が法案を吟味する上での基本的な資料が余りにも不足している、これが一貫して大問題になっているんです。

 きょう問題になりました「「介護予防市町村モデル事業」に係る実施結果集計」、私もきょういただいたところなんですけれども、これは、きょう委員会終了後、理事会で協議するということですが、尾辻大臣に基本認識だけまず確認しておきますけれども、このモデル事業に係る結果のいわば収集と分析、これをきちんと委員会に出すということがこの法案審議を進める上での基本的前提であるという認識はお持ちなんですね。

尾辻国務大臣 委員会の審議を通じて委員の皆様方、先生方がそのように認識をしておられる、そういうふうに御指摘いただいておるということはよく承知をいたしております。

山口(富)委員 いや、とんでもないですよ。だって、これはあなた方が今度の法案改正の前提にしているんですよ、筋トレの問題にしたって。だから、私たちがこれは基本的な資料だと認識しているだけじゃないんです、あなた方自身がそうなんです。違うんですか。

尾辻国務大臣 大変重要なデータであるということは、私どももそのように認識をいたしております。

山口(富)委員 私が聞いているのは一点だけなんです。これは大事な資料だ、審議の前提になりますね、それは大臣、そのぐらい認識しているでしょうと確認しているんです。その一点だけです。

尾辻国務大臣 この委員会審議が始まりましてから、各委員の皆様、先生方、そのように御指摘いただいておるということは、私ももうずっと聞かせていただいておりますから、御認識はそのように理解をいたしております。

山口(富)委員 では、そういう認識のもとで、先ほど次の審議に入る前にきちんと出したいという意向は表明されましたから、この点は確認しておきたいと思います。

 さて、きょうの質問なんですが、今回の新予防給付の導入の問題で、国は、その理由づけに、軽度者の居宅サービス利用は大幅に増大したものの、介護の状態の維持、改善につながっていない状況にあるということを理由の一つに上げてきました。

 私は、この理由づけをよく考えるためには、新予防給付の対象になる、いわゆる居宅サービスの軽度介護者と言われる皆さんの実際の姿が目に見えてこないことには、これは議論の前提を欠くということを申し上げて、四月一日の質疑で、要介護状態の区分での状態の変化、これを居宅と施設別に区分けした資料を出してほしいと要求いたしました。

 きょう、委員の手元にその資料が配付されております。これは、上から三枚が厚労省が私に提出した生の資料なんですけれども、四枚目からごらんいただきたいんです。この上の図が四月一日の質疑で私も使いました厚労省が発表していた丸めた総数の資料なんです。

 これで見ますと、要介護一で見ますが、改善が七・一、それから維持が七四・八、重度化された方が一八・〇%という資料だったんです。では、これを居宅分で見るとどうなるのか。つまり、今度の問題で、今問題になりましたが、軽度者で家にいていろいろ訪問介護を受けている方々のサービスをどうするかというのは大問題ですから、その部分に光を当てますと、要介護一の方は七・一から七・九にプラス〇・八、それから維持している方は七四・八から七六・六にプラス一・八、逆に重度化されている方は一八・〇から一五・六に下がっている。

 これは、私は全体の趨勢を見る上では非常に大きな変化だと思うんです。ですから、もともと厚生労働省の資料からいっても、軽度者の居宅サービスで介護の状態の維持、改善につながっていないなんということは、私はこの資料からもとても言えないと思うんです。大臣、そうじゃないでしょうか。

尾辻国務大臣 けさの御質問でもお答え申し上げましたけれども、私どもが申しておりますことは、要介護一では、廃用症候群の方々も多かったりいたしますから、他の要介護度と比べて改善が期待される方々であるというふうに考えております。改善が期待される方々であるというふうに考えますので、このために、その改善可能性に着目して、これらの方々に対する新予防給付を導入することとしたものでございます。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

山口(富)委員 だったら、大臣、一体どこまで行ったらあなた方は改善したと言うんですか。

尾辻国務大臣 今も申し上げましたけれども、改善が期待をされる、そして今持っておられる能力、その能力に対してその維持、そしてまた改善ということでございまして、私どもが改善と申し上げているのはそういう意味でございます。

山口(富)委員 この表の見方で、これは厚生労働省自身が出したものですから、私が勝手につくったものじゃありません。ここから見ても、軽度の要介護者の方々が、訪問介護を受けながらあるいは一連のサービスを受けながら、うまく維持、改善が進んでいないということを言われるから、そうじゃないということを言ったわけですね。

 そうしたら、大臣は、今度は、いや、期待されているほどじゃないんだと言うので、私は、では、あなた方が期待するとした場合に、このグラフで言ってくださいよ、どこまで行ったらいいんですか。

 大臣に聞いているんだ、これは、基本問題なんだから。だめだよ、あなたは不適切な答弁をやるんでしょう、また。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが申し上げておりますのは、介護予防サービスの専門家の委員会で、軽度者の方は、廃用症候群の状態にある人あるいはその危険性が高い人が多く、このような状態の人については適切なサービス利用により状態が改善する可能性がかなり高い、こういうふうに指摘していただいておりまして、また、要支援、要介護一の方の、要介護になりました、あるいはその要介護状態のおそれがある状況になりました原疾患につきましては、その要支援、要介護一のグループが他の要介護度のグループに比べまして廃用症候群の割合が高いと、そこを申し上げているところでございます。

山口(富)委員 何の答えにもなっていない。今回の法案審議の一つの特徴ですよ。では、なぜそういうことになるのか。

 実は、私は三月の二十二日にこの問題で本会議質問いたしました。その際に、小泉総理は、次のように述べています。軽度者の居宅サービスですけれども、状態の維持、改善につながっていない、こう断定しているんです。だったら、厚生労働省のこの新しい資料も出てきているわけですから、当委員会に小泉総理に出席していただいて、なぜ小泉総理は状態の維持、改善につながっていないと断定するのか、このことを明らかにしてもらう必要があります。

 委員長、この問題、小泉総理を当委員会に呼ぶように理事会で協議していただきたい。

北川委員長代理 理事会で協議いたします。

山口(富)委員 では、これは私は、きょうもまず一回目の理事会の協議がありますから、そこで考えていただきたいんです。

 きょう、話をもう一歩進めまして、先ほど長妻委員が、生活援助の問題で、サービスが抑制されるという話をされました。少しそれにかかわって見ていきたいんですけれども、資料の五枚目を見ていただきたいんです。

 これは、厚労省が「介護保険制度改革の全体像」という分厚い昨年十二月に発表したものなんですが、この中で、介護給付費の見通し、ごく粗い試算ということで書かれております。これを見ますと、平成十八年といいますから来年度からの第三期で大体六千億円から七千億円、給付の重点化、効率化で縮減されると見通しが出ています。第四期は一兆円以上。そして二〇一二年、平成二十四年以降、第五期では、最大で一・八兆円縮減されるという試算なんです。

 そこで確認しておきたいんです。この試算の米印のところにも、「平成十七年度における給付費の縮減が一定程度見込まれる。」として、わざわざ一千三百億円明記されています。この間、私が質問しましたら、これは満年度ベースに直したら三千億円だという話がありました。そうしますと、事はもうすぐ、来年のことですから、はっきりさせていただきたいんですが、大体六千億円から七千億円給付費を縮減する、そのうち三千億円は施設に入っている方々から居住費や食費を取ることで抑えられると。そうすると、残りの四千億円はどうやって縮減するんですか。これを示してください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今、第三期、十八年度以降のお話がございました。現行制度のままで推移した場合、各期の年平均で、第三期七兆二千億円と見込んでおります。今委員御指摘ございましたように、施設の給付費の見直しで三千億程度、残余は介護予防の効果として見込んでおりまして、介護予防対策が相当進んだケースで六兆五千億円、それから介護予防対策がある程度進んだケース、ここは相当進んだケースの半分程度と考えておりますが、六兆六千億円、こういう結果になっております。

山口(富)委員 今、第三期は七千二百億円だという答弁がありましたが、では、あなた方は、このごく粗い試算の後にもう一回試算をやっているんですね、違う数字が出ましたが。もしやっているなら、その資料を当委員会に提出してください。

中村政府参考人 今委員お示しいただいた資料の五ページの、第三期の七兆二千億円、それから第三期の真ん中の、下の方のグラフの六兆六千億円がある程度進んだケース、相当進んだケースが六兆五千億円でございます。

 いずれにしても、この資料ございますので、改めて山口委員の方にお届けいたします。

山口(富)委員 だったら、そのようにきちんと説明しなさいよ。この上の、私がきょう配付した資料は、わざわざ三角の印がついて〇・七兆円。これはどうやったら七千二百億円と読めるんだ。そうしたら今度は、下に書いてあると言う。そんな言い方はだめだよ。

 では、重ねて聞きます。あなたは、七千二百億円のうちの大体三千億円は施設入所者の食費や居住費だとお認めになった。そして、残りは予防給付の方だということを言われたけれども、きょうの出されている資料でも、予防給付、特に筋トレについては効果があるかどうかは全く疑問なんです。

 では、お尋ねしたい。この筋トレ予防の効果で、給付費は一体どれぐらい縮減されるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護予防の効果の見込みでございますが、介護予防対策が相当進んだケースにおきましては、これは二つの部分から成っておりますけれども、地域支援事業において、対象者の方の二割について要支援、要介護状態となることを防止、それから新予防給付において、軽度者の一〇%について要介護状態の悪化を防止する。つまり、要介護二から五に移行する部分の一〇%を悪化防止する、こういった効果を考えて置いております。これがそれぞれ、地域支援事業について対象者の二〇%を一〇%、軽度者の一〇%を五%に置いた数字がある程度効果が上がった場合という、マイルドの方の効果の場合でございます。

 例えば、これによりまして、平成二十六年に、六百四十万人と見込まれる要支援、要介護者が四十万人程度、それから三百二十万人程度と見込まれる中重度者が三十万人程度減少する、こういう効果を見込んで、委員に出していただきました五ページの資料のグラフができている、こういうことでございます。

山口(富)委員 ですから、私が具体的に聞いているのは、この筋トレ予防ですとか予防給付で一体具体的にはどうやって縮減の効果を上げるんだと。あなたの言ったのは、大まかに何%の方が重度化しないということの数字を上げているだけじゃないですか。

中村政府参考人 具体的な方法についての御指摘でございますが、この新予防給付にしろ、これは、新予防給付を実施するためには市町村においてマネジメント体制もつくらなければなりません。それで、地域包括支援センターを置くという体制を整備して、どういう予防プログラムを地域で提供するか、こういう事業計画をつくるということになります。それから、新予防給付も、御説明申し上げてありますように、市町村の事業でございますので、その事業計画をつくっていただく。そういう、市町村がその事業計画をつくり、今議論になっておりますさまざまなプログラムの、妥当性の問題はあると思いますが、予防事業をやっていただく、そういったことで効果を上げていただきたい。

 我々が申し上げていますこの数字につきましては、市町村の方に第三期の事業計画を具体的に策定していただかなければならないわけですが、その際の目標値として私どもはお示しをしている、こういう性格でございます。

山口(富)委員 市町村にそういう目標値を設定すると、当然サービスの抑制効果になるんです。この間、参考人質疑の中で、ある参考人が長崎の資料を出されまして、もう既にそういうチラシまで配られているという話がありました。

 ここに、厚労省が発表しております、介護保険事業状況報告という全国集計があります。これを見ますと、要支援、要介護一の在宅サービスの給付費なんですが、それぞれ、約一千五百四十二億と八千四百六十二億、合わせて一兆円なんです。来年度からの第三期で大体四千億円、これに今度は地域の事業まで組み込むということで一千億円出すということが決まっておりますから、大体五千億円縮減するんですよ。そうすると、今このサービスを要支援、要介護一で受けている方々の一兆円のちょうど半分を押さえつける、そういう方針じゃないんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと今委員の言われた、御指摘になったこと、必ずしも十分私フォローできなかった点もありますが、申し上げたいのは、私ども、この新予防給付なり地域支援事業でお願いしていますことは、むしろ重度化の防止によって給付費の増大を、今よりふえるわけですけれども、ふえるところのふえ方を減らすようにしたい、こういうお願いをしているわけでございますので、具体的に、今サービスを受けている方、適正なサービスを受けている方であれば、今おっしゃったような数字の縮減の対象になるのかどうか直ちには言えないのではないかと思って聞かせていただきました。

山口(富)委員 直ちには言えないと言いながら、否定はしませんでしたよ。なぜ否定をしないのか。次のページ、一枚めくっていただきたいんです。それは、厚労省自身がそう言っているからなんです。これは昨年の十二月に発表されました例のQ&Aですけれども、この真ん中のところで、「今回の見直しにより、介護予防の効果が相当程度進んだ場合には、十年後の保険料が四千九百円程度にまで抑えられることが見込まれています。」といった中に、一番最後に、わざわざ括弧でくくられているんです。どうやったら抑えることができるか、「介護予防による効果はおおむね半分程度」。

 今、介護予防で政府が具体的に提示しているのは何ですか。今度の軽度の介護者という方々の生活援助のサービスの見直し、家事代行型については原則廃止、それから筋トレなども含めた新しいサービスをやると言っておりますが、そういうことでしょう。となると、結局どこで減らすかということになったら、現実にサービスを受けている要介護の方や一の方、ここのサービスの半分を減らす、そういう方針になるじゃありませんか、大臣。違いますか、大臣。大臣、大臣に求めているんだから。

中村政府参考人 先ほど申し上げましたように、予防の効果については、ここの、委員六ページでお示しいただいていますように、私ども、給付費の見直しの効果が半分、それから予防の効果が半分と見込んでおります。

 その予防の効果につきましては、要支援、要介護になる方が四十万人、それから、特に中重度の三百二十万人に達するという方が新予防給付それから地域支援事業で効果が上がって三十万人現行ベースよりも減る、そういうことを見込んで半分の効果を上げているということでございますので、具体的な施策としては、委員御指摘のとおり、新予防給付の方に対するプログラムとしては、アセスメントの見直し、御指摘のありました既存事業の見直し、それから新しいメニューの追加、そういうことで行われますが、そういうことによる効果によって、中重度化しない、あるいは要支援、要介護一に入る、エントリーする人が今より減っていただく、そういうことによって、第五期で一兆八千億ほど減りますけれども、それの半分程度の額が算出される、保険料とすると一月六千円になるところが四千九百円にとどまりますが、その引き下げ効果の半分は介護予防による効果というふうに計上しているということでございます。

山口(富)委員 だから、私が言っているように、結局この介護予防で半分減らすということじゃないですか、あなたの説明は。しかも、これは一ページ前を見れば、はっきり厚労省の言葉として給付費を縮減するんだと。縮減というのは、どう考えたって減らすことですよ、これは。効果があると言うけれども、給付の重点化、効率化の中身というのは全然示さないんだから。

 大臣、今全国では、本当にこの法改正をやって大丈夫かという不安が広がっております。この方向でいったら、現実に今介護のサービスを受けている、特に軽度と言われる方々の介護サービスを半分に減らすという方向だけが残っていくんじゃないですか、大臣。

尾辻国務大臣 これはもう繰り返し申し上げておりますけれども、私どもは、今適切に行われているサービスを、これを受けられないようにするというようなことを言っておるわけではございません。必要なサービスは従来どおり受けていただきますということを申し上げておりますから、それが基本でありまして、今、半分に減るという、私はずっと聞いていたんですけれども、そこのところの根拠がいまいち私にはよくわかりませんでしたので、局長に答えさせておりましたけれども、とても半分に減るというようなことを私どもが考えておるものではないということを改めて申し上げたいと存じます。

山口(富)委員 これは話が戻っちゃうんですが、大体、大臣は適切なサービスを受けている方々の分は、必要なものは減らないと言うけれども、それは、では具体的にどれだけのものなのか、何割なのか、一切答えないじゃないですか。何が知っているから局長に答えさせますですか。

 私が半分になると言っているのは、厚労省のこの介護給付費の見通しを見て、来年には七千億円、六千億円減らしてしまう、第四期に入ると一兆円台に行っちゃう、そして第五期には一・八兆円といいますから、約二割ですよ。これだけの規模の縮減計画を持っていて、しかも、それを市町村に既におろしている、さっきの局長の答弁でいくと。そして、どこからその縮減の効果を生むかというと、厚労省自身が介護予防による効果でおおむね半分程度なんだということを言っている。これが根拠でなくて何ですか。

尾辻国務大臣 私どもがこの介護予防の効果ということで申し上げておりますのは、サービスを半分に減らすということを申し上げておるつもりはございません。サービスを受ける方の数を減らす努力でありますとか、それから重度化することへの予防でありますとか、ただそうしたことによる効果という意味で申し上げておるつもりでありまして、サービスを半分に減らして、それで給付費が落ちるというようなことを申し上げているものではないということを御理解いただきたいと存じます。

山口(富)委員 今、尾辻大臣は冒頭に、サービスを受ける数を減らすとはっきり言いました。ここで書いている給付の重点化、効率化の一番目に大臣自身が上げたことが、サービスを受ける方々の数を減らすということですよ。これが、この委員会で一貫して問題になっている軽度の介護者の問題、原則禁止だとか見直しだとか、その中身をなかなか示さないけれども、給付費の見通しからいったら、結局、その百六十万人の規模で、家事代行型の原則禁止ですとか、提供期間、内容、そういうものも見直しをやると言っているけれども、実際にあらわれてくる姿というのは、現に受けている介護サービスの縮減方向なんです。しかも、それを私たちがここで議論しようとすると、真っ当な答弁、一切しないんだから。驚くべきことですよ、この法案は。

 きょう、私はこの続きに介護労働者の問題も触れようと思っていたんですが、若干時間があるようだから、そこの出だしだけやっておきましょう。

 今、ホームヘルプの、この厚労省の上げている方向を見ましても、大臣に基本認識をお尋ねしておきますが、介護労働者の労働条件や状態を改善しないことには、質のいい介護サービスは実現しない、ここは一つの改革のかぎであるという認識はお持ちなんですね。

 大臣に聞いているんです、もう時間ないんだから。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 質のよいサービスを実現していくためには、やはり質のよい従業者の確保が大事だと思いますし、そういった意味では、労働条件の改善等、そういったことについて十分配慮していかなければならないと思っております。

 また、介護サービスに要する費用につきましては、それぞれの事業者の経営の実態を踏まえて決めていく必要がありますので、訪問介護の事業者の実態については十分調べまして、そういったものをもとに介護給付費分科会で適切な報酬の設定に努めてまいりたいと思います。(山口(富)委員「大臣に答弁を求めているので。もう時間がないので、大臣」と呼ぶ)

尾辻国務大臣 訪問介護の労働者につきましては、先ほども申し上げましたように、先日お話を伺ったときも、かなり厳しい条件の中で働いていただいているということは私も認識をいたしております。したがいまして、私どもが今やろうとしておりますことは、移動時間が労働時間として算定されていないなど、労働時間、賃金等について労働基準法上の問題のある事業場が認められた、そうしたこともございますので、労働基準法等関係法令の運用について徹底を図るために、昨年八月に通達を発出したところでございます。

 今後とも、こうした通達の内容を周知徹底させますこととあわせて、労働基準法上の問題が認められる事業場に対しては、的確に監督指導を実施することにより、訪問介護労働者の法定労働条件の確保を図ってまいりたいと考えております。

山口(富)委員 最後の答弁で、介護労働者の労働条件、状態の改善が必要であるという基本認識を述べられ、そして、現実に労働基準法に反する事態があれば改善するという答弁をなされましたので、私は、その点を確認して、質問通告しておりましたが、介護労働者問題は次回に繰り越すということで、徹底した討論と質疑を進めたいと思います。終わります。

北川委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、金曜日という皆さん大変御多忙な中、各委員、遅くまで残っての熱心な御審議と言いたいところですが、本当に、これだけデータも出ない、審議に値する内容が出てこない委員会審議はないと私は思います。

 きょうの冒頭、石毛委員の御質疑に対して中村局長が、この間の不適切でなくて不誠実な答弁のおわびがあったと思いますが、私は、言葉遣いが不適切かどうか、不誠実かどうかではなくて、この法案を審議するに足るデータ分析、実証的なデータ分析がないという意味で、極めて厚生労働行政側の、今あなたがこの法案のトップを預かっているわけです、審議の。もちろん、大臣がすべてをこれは責任でハンドルするものでありますが、しかし、その大臣とてすべてを知っているわけではない。あなたたちが上げたデータに基づいて、大臣もそれをごらんになり、私たち委員もそれを見て、そして、そのデータに疑義があれば、そこから自分も情報を集め、こうじゃないか、ああじゃないかという審議が始まるわけです。

 その意味で、私は、きょう冒頭から問題になっている予防給付ということにつきまして、幾つかきっちりとした確認をとっていきたいと思います。

 まず大臣に、恐縮ですが、お伺いいたします。

 このモデル事業のそもそもの目的について、きょう、大臣はちょっとあやふやに言葉を濁されたやに私には聞こえました。このモデル事業は、何のためにやっておりますでしょうか。冒頭、お願いいたします。

尾辻国務大臣 いざ、介護保険の今回の見直しが実施されるという段階における、市町村における実施のための、それをどういうふうに組み立てていくか、また、政省令の話も先ほど申し上げましたけれども、政省令の出し方、そうしたことに対して、私どもの考え方を整理するためということでモデル事業をお願いしたものでございます。

阿部委員 大臣の念頭には、政省令は法にのっとって、法の中身をいわば補てんしていく、実際に実施していくためのものというお考えはおありでしょうか。

尾辻国務大臣 もちろん、この御審議をいただいてお認めいただいた場合に介護保険の見直しということになるわけでございますから、それからのもちろん施行でございますし、また政省令になるわけでございます。そのことは申すまでもないことでありまして、改めてまた私から申し上げておきたいと存じます。

 そうした中で、法律にどう書いてあるかということは先ほど申したところでございますので、法律としてああいう条文で、先ほどの御議論の中で一部読ませていただきましたけれども、まずは、そういう条文で御審議を今賜っておるということでございます。

阿部委員 私どもは、まず改正のための法を論じているわけです。そして、その市町村モデル事業とは、皆さんにいただきましたというか、これは皆さんが準備されたものではございませんが、調査室の中に載せられております厚生労働省の説明文を読みますと、どなたかの委員も御指摘されましたが、「介護保険制度の見直しに資する」ためにこの市町村事業はやってございます。「見直しに資する」に足るデータを出したか、分析をしたか、この点はどうでしょうか。中村老健局長に伺います。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ずっとモデル事業のお話なり介護予防のお話が出ておりますが、私どものお話をちょっとさせていただきますと、そもそも、新しい予防給付なり地域支援事業の中で、市町村にやっていただくためにどういったことが技術的に必要かということで、まず、要支援一、要支援二と問題になっておりますけれども、対象の方をどうやって選ぶか、それから、それをどういうスクリーニングするかという研究と、そういった選ばれた人たちに対してどういうプログラムが必要であるかという研究と、そのプログラムを市町村で実施する場合にどういう問題があるか、こういうことでモデル事業を……(阿部委員「お願いします」と呼ぶ)ちょっと、委員、お聞きください。モデル事業を十六年度に……(阿部委員「いや、私の聞いたことにきっちり答えてください」と呼ぶ)いや、十六年度に……(阿部委員「資するデータを出したかどうかを聞いています」と呼ぶ)いいえ、ですから……

阿部委員 法律改正のために私たちが論議に値するデータ、資するとはそのことです。政令のためではありません。あなたたちは資する分析をする必要があります。大臣はおっしゃいました、まず法改正です。それに資するデータ分析をしたかどうかです。イエスかノーで答えてください。長々と余分なことを言わない。時間は短い。

鴨下委員長 中村老健局長、端的に答弁してください。

中村政府参考人 はい。

 十六年度の事業であり、四月十一日までに締め切りで答えを求め、出てきた答えについてはお出しをしている。データについては精査ができておりません。きちんとしたデータを精査するためには、私どもも、実はモデル事業の支援委員会がありますから、そこの先生方にも評価してもらいたいわけですが、大臣からお答えしたとおり、私どもなりの評価をお出ししたいと申し上げているわけでございます。

阿部委員 お出ししたいと思うわけでありますですから、資するデータは出していないんですね。お出ししたいと思います、お出ししましたではないんですね。お出ししたいと思います。

 であるならば、この審議自体は法改正のための審議にならないじゃないですか。データが出て、分析して、見直しに資するデータが出て、初めて法改正がされます。これはあなたに伺いません、大臣に聞きます。

尾辻国務大臣 御審議を通じて出すようにというふうに言われましたデータは、私どもとしては、最大限の努力をして今日までも出させていただいてまいりましたので、まさにお求めいただきましたデータについてはお出しをしたと考えております。

阿部委員 これは法案の骨格的な事項です。この予防給付といわゆるホテルコスト問題は、この法案の骨格であります。骨格を論じるのに、みずからその行政をつかさどる厚生労働省側がデータも出さずして、お求めになったから出しますなんというやり方で、果たして厚生労働行政がやれるでしょうか。私は、こんないいかげんなやり方は、今までデータ隠しもありましたね、でもこれはデータもつくろうともしていない。あるものを隠したならまだです、つくってもいない、見てもいない、分析してもいない、論議のもとにもならない。こんな劣悪な、劣化した厚生労働行政の残念ながら尾辻大臣は筆頭に、その先頭におられます。

 先ほどから何度も大臣は、委員会がお求めになればと言いました。しかし私たちは、このデータはもともと厚生労働省側が出して初めて審議に上るんだと考えます。

 なぜなら、あなた方はここに二点書いておられます。一つは、既存のサービスは、要は、簡単に言えば廃用症候群だからだめよと。これも後で反論いたします。もう一つは、新たなサービスは、モデル事業等を踏まえ導入です。私たちは、新たな体系にするかどうかの法律をつくります。踏まえ導入です。法律をつくるために、その中身を知らなければ論議ができないではないですか、大臣。求められたから出すのではなくて、これは主体的に、みずから論議のために出すものではないですか。御答弁をお願いします。

尾辻国務大臣 今まで御説明を申し上げてまいりました、そのときに、私どもが使いましたデータといいますか、今回の見直しに当たって参考にもし、根拠にもいたしましたデータというのは、それぞれお出しをしておるつもりでございます。それで不十分だという御審議の中での御指摘もございましたから、その分についてはまたちゃんとお出しをしますということを申し上げておるところでございます。

阿部委員 大臣、もうお疲れとは思います、もうずっとこればかりやっているんだから。でも、私は皆さんが書かれたことを読んだんです。モデル事業等を踏まえ導入なんです。だから、モデル事業に関してデータはお出しにならなきゃいけないんです。さまざまな、ほかのデータで要求されて出すものもあります。しかし、ここには、モデル事業等を踏まえ導入であります。ここから、私たちがさっきから一歩も進まない、各委員同じところをやっております。そして、この委員会審議自身が、本当にたくさんの皆さんの貴重な時間をいわば浪費したものにしかなっていません。

 その意味で、非常に中村老健局長の罪は重いと私は思います。なぜなら、あなたが準備する以外、大臣がみずから手にすることはできないわけです。あなたが行政の、主管の官僚のトップだからです。あなたは、例えばここに書かれているモデル事業等を踏まえ導入という一文をどう思われますか。あなたには、当然ながらデータを出す、これまでの、何というんでしょうね、当然のやるべき仕事であるはずです。

 今、さらに、実は私はきのうの夜、一部をいただきました。私は山井さんみたいに根性がないので、いただいたもの一部を読みました。そしてこれだけの附せんがつきました。これは何かといえば、この点については全く検討されていないということだけつけたのでも、これくらいあります。

 私は、内容についても続いて行きますが、あなたに一点お伺いしたい。「モデル事業等を踏まえて導入」「等」を踏まえなければ導入できません。「等を踏まえて導入」に足る資料を出したか。どうでしょう。

中村政府参考人 先ほども御説明申し上げましたけれども、私どもは、どういう介護予防サービスを導入しようかということで検討をしてまいりまして、昨年末に、介護予防サービス開発小委員会で中間取りまとめをしていただきました。その際、新たに個々人に対するサービスである新予防給付への導入が適当と認められたものは、これは文献等による検討によって、運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上であった、こういうことでございます。

 私どもは、これを踏まえまして、モデル事業として、今委員から御指摘になっております市町村のモデル事業を実施し、実施する場合にどういう問題があるのか、対象者の選び方、参加していただけるかどうか、安全の面はどうか、それから実施されたその後の変化の状態、そういったことを調査しようということで、六十九の市町村でモデル事業を実施していただいた、これが四月十一日締め切りであったということでございます。

 それでは、導入等について踏まえるそのモデル事業というのは、私ども、ゴールとしては十八年四月の実施を考えております。運動器の機能向上にしろ、栄養改善にしろ、口腔機能の向上にしろ、どういう形でガイドラインなり基準をつくり、どういう形で、例えば、新予防給付で行うわけですので……(阿部委員「もう結構です。聞いたことに。導入というのは、踏まえて導入するという意味を聞いているんですから、余分なことに時間を使わないでください」と呼ぶ)介護基準をつくるということでありますので、そういう介護報酬……(阿部委員「そういうのをごまかし答弁というんです。貴重な質問権を奪わないでください。あなたが言っていることは一つも答えになっていない。踏まえて導入ということ、その一点に答えてください。踏まえて導入とはどういうことですか」と呼ぶ)踏まえて導入……

阿部委員 資料はあるのですか。出されたのですか。分析されたのですか。大臣に見せたのですか。今まで全部ノーじゃないですか。そうしたら踏まえて導入できません、論議もできません。このことを各人みんな言っているのに、ぐじゃぐじゃぐじゃぐじゃ、こっちに戻って、本当に不誠実です。私は思う。

 そして、もっと私は建設的な論議をしたいと思います。なぜなら、本当に貴重な制度の変更だからです。なぜ、踏まえた導入かどうかという、一言で答えられないんですか。踏まえてないじゃないですか、だって、出てないんだもの。きのう初めてもらいましたよ、これだって。(中村政府参考人「私が申し上げています、踏まえて導入と申し上げて……」と呼ぶ)

鴨下委員長 委員長の指名を受けてください。中村老健局長。

中村政府参考人 失礼しました。

 私が申し上げております、踏まえて導入と申し上げておりますのは、先ほど申し上げましたように、その基準なり介護報酬をつくって最終的な形になるわけで、私どもやっておりますこういうモデル事業の調査というのは、そういう基準づくり、それから報酬づくりなどの細目を議論する際に役立てようと思って、そういうことで作業設計もしております。十七年度試行事業もするというのも、そういったことでございます。

阿部委員 では、今の老健局長の答弁を素直に聞くと、踏まえて導入というのは、単価を決めたり費用対効果を決めたり、この事業に一体どのくらいのコストがかかり、どのくらいの現実性があり、どの地域で行えてということまでも踏まえて導入ですよね、今の御答弁でしたら。

 この各自治体から上がってきたものの要約、ここで一番特徴的なこと。これは局長、ごらんになりましたか、厚生労働省がくれた要約ですけれども。もうそこで結構です。一言で言って、見たか見ないか。

中村政府参考人 私、見ました。

阿部委員 ここで一番指摘されていることは、例えばその場所に利用者を運ぶための移動手段。当然、お金がかかるわけですよ。

 中村局長、知っていますか。デイケアとかデイサービス、通所をやるときに、大体、患者さん、どれくらいの距離圏あるいは移動時間からお連れするでしょうか。一言でお願いします。

中村政府参考人 いろいろ地域の事情はあると思いますけれども、一、二時間だというふうに理解しております。

阿部委員 とんでもない。やり直し。体のお悪い人を一、二時間も移動させたら、移動だけで要介護度がアップしちゃう。あなた、そんな認識でこの介護保険事業をやれるんですか。いかに現場を見ていないかですよ。一、二時間、腰の座っていない人もいる、お体の左右のバランスが悪い、首に過重な負担がかかる、そんな人を、死んじゃうよ、本当に。自動車に乗せて一、二時間なんて移動できませんよ。

 そして、多くの自治体が、移動方法、だれがそれをやってくれるのか。実は今、自治体の職員がお迎えに行ってやっているんですよ。では、これから全部市町村の職員が移動サービスを担いますか。それだってまだ解決していない。患者さんは二時間の距離圏に運べない。あるいは要介護一の人だって疲れちゃう。パワーリハビリやって、行き帰り一時間、二時間やったら、もうその人、悪いけれども、残りの生活なし、即入院でしょうね。

 あなた方がそういういいかげんな感覚で、いいかげんな態度でこの新予防給付を導入するということが、私はどうしても現場の感覚から納得できないんですよ。

 私の預かっていた老人保健施設でもパワーリハビリはやっていましたよ。だから、私はゼロで否定するものではありません。ただ、それはあらゆる介護度の段階の方に、使えるものは使い、そして、逆に、要介護度一とか要支援とか、区分すればするほど、小さなエリアではそれの適用する人がいないんですよ。だから、遠くから、それこそあなたの言う一、二時間の先から連れてこなきゃいけないんです。そうしたら、どんな負担があるか。そのことをあなたは勘案されましたか。本当に私は今の答弁はびっくりした。一、二時間もかけて通所をやっているところはない。

 それからもう一つ、ここには、そのためには地域の住民のボランティアが必要だと書いてあるんですよ、みんな。だって、そうじゃなきゃ、いつまでも市町村の職員が送り迎えに行かなきゃいけないもの。そうしたら、介護予防給付には、必ず地域ボランティアがドッキングしてくれるだけの保証がなければ、逆にそれだけの人手が要るんですよ。そこが費用対効果なんですよ。そこまで分析して、初めてこの政策は導入できるかどうか決まるんです。

 あともう一点、ここで各市町村が必ず言っていること、このモデル事業には、医者がつき、保健師がつき、リハの専門家がつき、場合によってはトレーナーがつき、今現状の要介護度一あるいは二、先ほど来上げている通所リハだって、医者なんかとてもつけることはできません。場合によっては、通所のデイケアは看護婦さんがいますが、デイサービスにはいません。これだけのマンパワーをきちんと雇って、そして移動のためのコストを算段して、そして初めてエリアで何人要るかが出て、全国的にやれるかどうか決まるんです。

 大臣に伺います。

 その検討をしてからしか私はこの審議はできない。少なくとも、厚生労働省側でそれだけの誠意がなければ、現状認識、事実認識、法案審議に足るデータではないと思います。いいかげんに、夢想のように、夢のように、一、二時間先から患者あるいは、患者とは言いませんね、利用者を連れてきて、それでやれる事業だと思ってもらっちゃ困る。

 大体、医師だって保健師だってコスト高です、申しわけないけれども、本当に。その算段はしたのですか。そして、実際この出てきているいろいろなお声の中にも、厚生労働省の方でちゃんと、もっと厚生労働省等で大きな規模で長時間、少なくとも六から十二カ月、やらなかった対象をコントロールに置いて、しっかりとした基礎となるデータを提示してほしいと。コントロールスタディーというんです、物事は何でも。こちらでトレーニングをかけた群、こちらでかけなかった群、これをやって初めて出るんです。みずから参加した市町村の声です、これが。

 コントロールスタディーもない、費用対効果もない、本当に現実離れしたさっきの局長の答弁、これで果たして私たちはこの法案の審議ができると大臣、お思いですか、お願いします。

中村政府参考人 阿部委員からいろいろ御指摘いただきましたけれども、まさに私どものモデル事業の調査の目的は、私も読ませていただきまして、搬送の問題とかさまざまやっていくためにこういうことが問題である、そういう市町村の実施する場合の問題、どういうことを解決しなければならないか、そういったことをやるためにモデル事業をお願いしておりますので、私どももそういう問題を考えています。

 そういう中で、それでは、やるとすると、輸送についてはどういうことをするか、しなければならないか、そういうことによってサービスモデルを組み立てていく、それがモデルの基準になったり、そのためにどれだけの介護報酬を設定するかということにつながるわけでございますので、そういう作業をしていく。

 そのために、私どもは、十七年度においては新予防給付に基づくサービス提供プロセスに関する試行も行うということも御答弁させていただいているところでございます。

阿部委員 今ある在宅サービスを削って、これはさっきからも削らないと言うけれども、各委員への答弁ですよ。あなたたちが書く一番目、現状のサービスのうちでいろいろ「生活機能を低下させるような」云々と書いてございますが、それだけじゃないですね。さっき、どれだけの数が制限を受けるかという意見が随分ありましたから。そういうものをやめてこちらになる部分もあるわけですよ。

 そうしたら当然、現状で、例えば、また山口委員のデータを使って恐縮ですが、山口委員がお示しくださいましたが、在宅で要介護度一の方が改善しているんですよね。大臣もごらんになったらわかると思うんです。ここにかけられている費用と今度の新規事業の費用と、そして、費用だけではありません、全国どこでもできるか、過疎と都市で差がないか。あるいは、御本人の了解、納得度はどうか、実は一番、介護保険法の二番目に出てくる選択という問題ですよ。この問題だって、検討されて初めて新予防給付についてどうであろうかという結論が出るんだと私は思います。

 大臣、少なくとも費用対効果、特に、たくさんの人を雇わなければなりません。移送手段も大変です。ボランティア頼みで立てた政策など、私はボランティアがあることをとても前向きに評価します、しかし、政策の初めからそこをボランティアにやってもらいましょうなどとして、みんなが保険料を納める介護保険の制度設計をすることはできません。それは地域でのボランタリーな活動にゆだねるべきで、私たちが、例えば筋トレをして悪くなる人がいる、そのことをボランティアの人に見ていてくれというわけにはいかないわけです。行政処分ですから、責任の生じることです。

 以上、私は、少なくとも費用対効果、現実にどのエリアでやれるか、いわゆる人間が集積していないとやれないのです。そのことについて、この審議に足る厚生労働省側の見解を出していただきたい。それで初めてリアルな審議ができると思いますが、大臣、どうでしょう。

尾辻国務大臣 このたびの介護保険の見直しというのは、最初の五年前に介護保険の制度ができたときから決まっておったことでございます。したがいまして、厚生労働省の担当としては、必ず来る見直しでありましたから、非常にそれに向けての準備を重ねてきた、そしてまたいろいろな議論もしてきた、データも集めてきたというふうに私は理解をいたしております。

 その上でこの見直しの案をお出ししておるわけでございますから、この見直しの案が出てきた過程のそうしたデータ、検討の過程というのは、厚生労働省の中、担当のところには必ずあるはずでありますから、まずはそうしたものは全部お出しすればいいと思っておりまして、そのことについてすぐお出しはもう当然できるわけでありまして、今お話しのようなことも当然、この長い間検討してきたわけでありますから、その中で検討をしたに違いない部分でありますので、それはお出しをいたしたいと存じます。

阿部委員 では、今の大臣の御答弁であれば、次回、この分析に、費用対効果と、どのような自治体でできるのか、医師は何人くらい雇い、スタッフも含めてどういう協力体制で行うのか、それらを、現在厚生労働省がお持ちであるはずのデータをそろえて審議をさせていただきます。今、大臣はそう私に御答弁くださいましたので、武士に二言はないではないですが、大臣に二言はないと承ります。

 そのように審議は重要です。刻一刻、重要な時間を私たちは本日まで費やしてきているわけです。今言われた費用対効果、エリア性、そして、必ず危険度を伴うのでここには医者が要るんです、ないしは保健師さんでも。全部このコスト算段をしていただいているんですね、今、御答弁でした。では、そのデータをもとに次回審議させていただきます。

 ありがとうございます。

鴨下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十三分散会


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