衆議院

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第23号 平成17年5月18日(水曜日)

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平成十七年五月十八日(水曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    小渕 優子君

      上川 陽子君    木村 義雄君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      谷川 弥一君    中山 泰秀君

      西川 京子君    原田 令嗣君

      福井  照君    松野 博一君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      馬淵 澄夫君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      丸谷 佳織君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     小渕 優子君

  城島 正光君     馬淵 澄夫君

  古屋 範子君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     松野 博一君

  馬淵 澄夫君     城島 正光君

  丸谷 佳織君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  松野 博一君     小西  理君

    ―――――――――――――

五月十八日

 医療費窓口負担の軽減、介護保険の改善に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一三五八号)

 介護保険の見直しに、改善を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三五九号)

 最低保障年金制度の創設に関する請願(山口富男君紹介)(第一三六〇号)

 介護保険の改悪反対、改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三六一号)

 同(石井郁子君紹介)(第一三六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三六三号)

 同外一件(佐々木憲昭君紹介)(第一三六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三六七号)

 同外一件(山口富男君紹介)(第一三六八号)

 同外一件(吉井英勝君紹介)(第一三六九号)

 パーキンソン病根本治療研究促進に関する請願(枝野幸男君紹介)(第一三七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三七一号)

 同(林田彪君紹介)(第一三七二号)

 同(山口富男君紹介)(第一三七三号)

 安心できる介護制度など社会保障の拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三七四号)

 同(石井郁子君紹介)(第一三七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三七六号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(志位和夫君紹介)(第一三七七号)

 同(肥田美代子君紹介)(第一四五三号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第一四五四号)

 医療費負担軽減、介護保険の改善に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一三七八号)

 年金法の実施中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四〇三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四〇四号)

 同(山口富男君紹介)(第一四〇五号)

 混合診療の解禁反対、特定療養費制度の拡大反対に関する請願(山口富男君紹介)(第一四〇六号)

 国民の命と暮らしの保障に関する請願(山口富男君紹介)(第一四〇七号)

 最低保障年金制度の実現に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一四〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四〇九号)

 同(山口富男君紹介)(第一四一〇号)

 パートタイム労働者の均等待遇実現に関する請願(藤田幸久君紹介)(第一四一一号)

 同(金田誠一君紹介)(第一四五五号)

 同(阿部知子君紹介)(第一四八五号)

 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四一二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四一三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四一四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四一五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四一六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四一七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四一八号)

 同(山口富男君紹介)(第一四一九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一四二〇号)

 同(田中慶秋君紹介)(第一四五六号)

 視覚障害者のための職場介助者制度の適用期間延長に関する請願(泉房穂君紹介)(第一四五七号)

 同(阿部知子君紹介)(第一四八六号)

 医療費負担軽減、介護保険に関する請願(牧義夫君紹介)(第一四八三号)

 応益負担等障害者自立支援法案に関する請願(山口泰明君紹介)(第一四八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者自立支援法案及び障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長岡田薫君、法務省刑事局長大林宏君、厚生労働省労働基準局長青木豊君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長金子順一君、雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。

 本日は、昨日の障害者自立支援法に係ります参考人質疑等を経て、障害者自立支援法の質疑をさせていただきます。久々にまとまった時間をいただきましたので、いささか心に余裕を持ちながら、大臣ときょうは、大変遠いのでお顔が見えないのでありますが、しっかり議論をしたいと思います。この委員会で民主党の皆さんが議論されるのを横目で見ながら、私も議論したいといつも思っている一人でありましたので、きょうは本当にありがたく、同僚議員等、皆さんに感謝しながら質疑をしたいと思います。

 さて、今回の最初のテーマが、私も国際障害者年を経験した一人であります。あの大きな興奮の、この前介護保険でも申し上げましたけれども、まさに国民運動的な大きな盛り上がりを実は現場で経験した一人でありまして、それ以来今日までの流れを概括しながら議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 最初に申し上げたいことは、今日までの障害者福祉の経緯、行政上の経緯を整理したいと思うんです。

 私は、今申し上げたようにあの国際障害者年を経験しましたから、ある意味では、厚生行政、旧厚生省の行政の中で大きな動きが一番早くスタートしたのは、私自身の中では障害者施策だ、体系的な、そして国民運動的な大きな動きが最初に行われたのは、私は障害者施策だろうと思っております。その障害者施策の今日までの流れを見ますと、今回の自立支援法を見て、きのうの参考人の質疑ではありませんが、戸惑いといささかのちゅうちょを感じるわけでありまして、そこは一体何なのかということを私は経緯の中で整理したい、ここが大事なことではないか、こう思っている次第であります。

 ノーマライゼーションという言葉が初めて使われて、本当にある意味では衝撃を持って国民各層に迎え入れられたあの国際障害者年、昭和五十六年でありましたけれども、大きな社会のエポックになったというふうに私は思っております。以来、それまで厚生省が担当しておりました障害者の施策というものは、やはり政府を挙げてやらなきゃいかぬということで、今は政府の中に推進本部をつくって総理が本部長になってやっていくというのは結構ありますけれども、当時、私が知る限り、本当にこれも新しいイメージで迎えられたわけでありますが、総理を中心にされた、政府を挙げての推進本部ができまして、長期計画を立てて今まで取り組みが進められた。着実にある意味では進んできたな、私はこう思っております。

 平成の時代になってからも、平成八年には懸案でありました三障害を一つにまとめて、障害保健福祉部というその所管する担当部署もできましたし、ノーマライゼーション七か年戦略と言われました障害者プラン、そして、それに続きます新障害者プランも、数値目標などを明確にしながら今日まで進められてきた。

 この流れというのは、スタートも厚生行政の中では一番早く、大きなスタートを切って、そして着実に計画的に進められてきたと思っているわけでありますが、実は、この障害者自立支援法を前にしまして、さっき申し上げたように、いささかの悩みあるいはちゅうちょを禁じ得ないというのは、やはり今まで申し上げたこの一連の流れの中で、私は、障害者福祉施策の推進上どこかに問題があったのではないか、こういうふうにも考えるわけでありまして、正直なところ、たまたまこの大きな変革のときの大臣として、尾辻大臣、そういう経緯の中で、御自身、政治家としてどのように認識をしておられるのか、まず伺ってみたいと思います。

尾辻国務大臣 我が国の障害者施策は、今もお話しいただきましたように、国際障害者年以降の国際的な動きも踏まえまして、障害のある方の地域における自立した生活を支援するため、国民に障害や障害者に対する理解を深めていただくことを基本にして、障害者プランに基づくサービス基盤の整備でありますとか、このところの支援費制度による利用契約方式の導入などに取り組んできたところでございます。その間、制度の財政的な基盤を十分に整えられなかったことでありますとか、それから、精神障害者の社会復帰対策など抜本的な対策になかなか取り組んでこられなかった課題、こうしたものがございます。

 そうしたことがございますので、今回の障害者自立支援法案を第一歩として、改めて第一歩として、今後も障害者を取り巻く諸課題に前向きに取り組み、障害者施策のより一層の推進に努めたいと考えておるところでございます。

桝屋委員 今大臣が言われましたけれども、一連の経緯の中で財政基盤を整えることができなかった、それから、精神障害者対策など障害者対策の中で大きくおくれた部分を生み出してしまった、こういうお話もいただきました。したがって今回の自立支援法を第一歩として取り組みたいんだ、こういう御決意を披瀝いただいたわけであります。

 ここからはいささか厳しい話をしたいと思うのでありますが、今大臣は第一歩と申されましたけれども、第一歩はまさにどこよりも早くこの障害者分野というのはスタートしたわけでありまして、それ以降どこに問題があったのかということを私は問いたかったわけであります。

 特に私が感じておりますのは、平成の時代になりましてから、端的に言いますと消費税導入以降の、特に高齢者分野でゴールドプランができまして、あのゴールドプランというのは、まさに消費税、社会保障の分野でも新たな財源が得られたということもあったわけでありまして、格段にゴールドプランを取り組んでいこうということで、あれから大変な勢いで進んできたわけでありますが、あれ以降、私は流れが変わったんじゃないか、こう思っているわけであります。

 政策の優先順位、プライオリティーが、端的に言いまして、平成の時代になりましてからは、お年寄り、高齢者福祉、介護、この分野、それから、やはり少子化対策を何とかしなきゃいかぬという社会の要請もあったのでありましょう、エンゼルプランを初めとする少子化対策、児童福祉対策、こうした二つが政策の優先順位としてイの一番に上げられる、当然、多くの国民の共感を得て、これはやらなきゃいかぬ、こういうことになったわけであります。その結果、やはり社会保障のまさにベースで一番大事だ、まさにその国の社会保障のレベルとして私は一番根幹だと思っております障害者福祉の分野が比較的に谷間になってしまったということがあるのではないか。

 端的に言いますと、十分な予算が確保できなかったと言いましたけれども、私は、平成の時代から、あの消費税導入のときから、障害者の施策というものをその中に組み込めなかったという反省もあります、私自身の反省もあります。

 そして、まさに予算の分野、それから人事においても、厚生省は皆すばらしいお役人がそろっておられますが、そうはいっても、大変な大胆な改革をするには向いているタイプと向いていないタイプがいるわけでありまして、改革に役に立つ人と立たない人は、それは当然向き不向きであるわけでありまして、どっちかというと、この障害者施策は、障害保健福祉部、私は、人材の面でも谷間があったんじゃないかという気がいたします。私は、今でも記憶しておりますが、この委員会で、野党時代でありました、介護保険に絡めて障害者問題も質問をしたときに、いや、実はこの委員会には障害保健福祉部長は出られないんです、数に制限があって参加できないんです、こういうときもあって、それはおかしいんじゃないかということを本当に感じたことがあるのであります。

 大臣、特に平成になってからやはり谷間になったのではないかと私は端的に思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 高齢者施策それからまた少子化対策について、そうしたこととの比較においてのお話でもございます。

 この高齢者施策と少子化対策の間でもいろいろ御議論があるところでありますから、一方に少し偏っていないかという御議論もあるところでありますから、これは一概にまとめてというわけにはいきませんけれども、やはりどうしても急激な高齢化の進行とか合計特殊出生率の低下、このことは大きな課題でございますから、国民的にこうしたことには危機感が募ったということがございます。また、高齢者の方の数というのはそもそも多いわけでございますから、国民にとって身近な課題であったというようなことから、どうしても喫緊の政策課題としてそういうところにまず取り組んできたというのは否定できないところでございます。

 しかし、確かにそうしたことで、今谷間という表現をお使いになりましたが、障害者施策がやや影が薄くなっていたということはこれまた否定できないところでありますけれども、そうしたことは極めて重要な政策課題であるということは改めて私どもが認識すべきことである。改めて認識するというのはそもそもおかしいことなのかもしれませんが、非常に重要な政策課題であるということは間違いのないところでございます。

 今もこれまたお触れいただきましたけれども、そうしたために、平成八年に省内の組織を再編いたしまして障害保健福祉部を設置するなど、私どもとしても障害保健福祉施策に取り組んできたところでございます。

 そうしたことはございますけれども、これまた先ほど反省として申し上げたんですが、三障害の施策がばらばらに発展してきた歴史的な経緯がございますし、それから根拠となる法律が異なっておりますことなどから、障害種別ごとに必ずしも相互に整合性があるとは言えない施策になっていたことは、申し上げておりますように否定できないところだ、こういうふうに考えておるところでございます。

 こうした反省にも立ちまして、今回、障害者自立支援法案により、障害種別にかかわらず、一元的にサービスを提供する仕組みを御提案申し上げておるところでございます。

桝屋委員 大臣も、今までの経緯の中で優先課題が、介護の分野あるいは少子化の分野で、比較的に後になってしまったということをお認めいただきましたが、これは何も大臣だけではなくて、私も政治家の一人として、あるいは与党の議員として、野党の時代もありましたけれども、反省をしなきゃならぬ、真摯に受けとめなきゃならぬ、こういうふうに思っているわけであります。

 大臣、私思っておりますのは、なぜこんなことを、そもそも論を言っておるかというと、実は、平成の時代になってからの障害者施策というのは大変に大事な局面を迎えているわけでありまして、今申し上げたように、もちろんこの分野の難しさ、それぞれの分野、知的、身障そして精神の分野、それぞれ経緯を持っている、そしてそれぞれに課題を持っている。したがって、なかなか一体化して議論するということ、問題を解決するということが難しかったということは痛いほどわかっているわけであります。

 しかしながら、僕はいつも冗談みたいに言っているのですが、老健局の先走りとずっと言い続けてまいりましたけれども、介護保険を初めとする、大変な全国的な介護保険の仕掛けといいますか、この大変な動きの前に、障害者施策というのは手をこまねいて見ているしかなかったという思いすら私はしているわけであります。もっと言いますと、その間、一生懸命それは努力をしたわけでありますが、介護保険に振り回されたというのも事実であります。

 一つの例で、大臣、またいつか検証していただきたいのですが、例えば身障の補装具なんかは、介護保険とある部分では競合する部分があったりして、どういう変化が起きたかというと、介護保険はレンタルで一律のサービス。例えば車いすにしても、補装具なんかは一律にレンタル。そして、身障の世界というのは、障害者の世界というのはオーダーなんです。一人一人に合うような、少しでも体位保持に留意するような、まさにお一人お一人の障害の特性に応じてオーダーでつくっていく、こういう世界だろうと思っていますが、それで営々とつくり上げてきた流れが一気に介護保険で、安くて、レンタルで、いいものじゃなくて一律の、一様のものを給付されるという世界。もちろん頑張っていますよ、現場は。しかし、介護保険の大変な大きな動きの前にのみ込まれてしまっているという感すら私はしているわけであります。これは一例でありますけれども。

 それ以外に、今までの流れの中で、これも政治家として大変苦しいのは、一つは、やはり財源を確保できなかったということは、あの財政構造改革、これも福祉、社会保障の厚生労働省の予算にキャップがかかった、こういうこともあって、大変に苦しい思いをしてきた。したがって、なおさら谷間になってしまったということを私は思っているわけであります。もちろん、だからこそ、大臣は第一歩だとおっしゃったけれども、これはもう正直におくれを認めて、まさに第一歩を踏み出さなきゃならぬ、こういう思いで私もいるわけであります。

 もう少し具体的な話をしたいと思います。

 これは、全然予告していない質問ですが、きのうもある参考人がおっしゃっていました。ぜひとも障害者施策の財源として消費税を考えてもらいたい、こういう率直な意見が出ました。それはそうだろうなと私も感じたんです。

 やはり消費税の財源というのは、例の年金の問題から民主党の皆さん方の御発言もあって、消費税を意識されるようになっていますが、今消費税というのは、今の予算総則でありますように、年金、医療、介護、この三つを消費税の間接税で賄おうということは定着していますが、その他福祉、特に障害者福祉、これを消費税の対象にする、消費税でというような発想にはなかなかなっていないわけであります。年金、医療、介護、この三つだけで終わってしまっているというような状況すら私はあるのではないかと、これも大臣の顔を見て思いついたことで申し上げているわけで、答弁は求めませんけれども、そんな状況すらあるのではないか。

 大臣、具体的な話に入りたいと思います。

 私は、今までの経緯の中で、厚生労働省が取り組めなかった課題、やりたかったけれどもやれなかった課題、何が抜けたのかということを今から議論したいんです。

 一つは、まずは障害者の定義の問題。障害者福祉の対象者をどうするか、この問題についても、これほど医療技術が進んで、私がかつて児童相談所の現場で仕事をしているときには想像すらしなかった病名や、障害になる原因となるような疾病がどんどん生まれてきている、にもかかわらず、その新しいニーズに身障手帳のあの別表や療育手帳やあるいは精神障害者のこうした分野でそうしたものを見直すことができなかったということが私はあるのではないか。いい例が例の発達障害支援法、これも議員立法で、それぞれの各党のお取り組みがあってできたわけであります。

 こうしたことは、私は前から思っているのでありますが、おくれたのではないか、やろうとは思ったけれども、余りにも問題が複雑で、手がつかなかったというのが実態ではないかと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 これはもうお話のとおりだというふうに思っております。医療技術の発展でありますとか社会の認識が変わる中で、御指摘のように、例えば発達障害でありますとか、あるいは高次脳機能障害などが新たに認識されるようになっております。

 そうした中で、今度、私どもも、より普遍的な制度への大きな一歩になるものと考えて今回の御提案を申し上げておるわけでございますけれども、こうした制度のあり方を検討する中で、障害者の定義のあり方についても検討してまいりたいと考えております。

桝屋委員 ここもまさに今から改めて第一歩を踏み出さなきゃならぬテーマだ。とりわけ、次の介護保険の普遍化、介護保険サービスの普遍化という観点では、これはもう避けて通れない、今回の法律と同時に、改めてスタートされなきゃならぬテーマだと思っております。

 それから、施設体系の問題、これも、実はきょう衛藤副大臣がいらっしゃいませんが、衛藤副大臣が大変に苦労されてお取り組みになった障害者プラン、あのプランをつくったときに私は大きな宿題として整理されたのではないかと理解しておったのでありますが、それぞれの三障害ごとの今の施設体系、これも、授産施設と更生施設、どこが違うのという、実態としては、言葉からは想像もできない、一般の国民には理解できないような施設の実態があるわけでありまして、ここは見直さなきゃならぬ。

 どこかの知事さんが施設解体論を言われたりいたしておりますけれども、やはりこの施設体系というのは本当にもっと早く見直す必要があった。それをやっておけば、今回の改革の中で、私はもう少しソフトランディングできたのではないか、こう思えてしようがないのでありますが、ここも自分の反省も込めて、大臣に伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 障害者施設の見直しに関しましては、これも今お話しいただいたところでございますけれども、障害者プランの策定以降、そのあり方について検討を行いまして、平成十二年の社会福祉基礎構造改革におきましては、例えばでありますけれども、盲導犬訓練施設の社会福祉施設としての法定化でありますとか、従来の通所授産施設よりも入退所や活動内容等について自由度の高い小規模通所授産施設の法定化など、新たな法定施設の創設は行ってきたところでございます。

 しかし、障害者施設につきましては、身体、知的、精神、児童などの障害分野にわたるほか、各障害分野においても種々多様な類型に分かれておりますことから、各障害福祉分野の枠組みを超えた施設体系の見直しまでには至らなかったところでございます。このことは率直に認めなければならないと思います。

 そこで、今回の障害者自立支援法においては、市町村を中心に、障害種別にかかわらない一元的な体制を整備いたしますとともに、施設事業体系を機能に着目して再編して、効果的、効率的にサービスが提供できる体制を確立することを目指しておるところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 施設体系についても、今まで、今大臣が例として挙げられたものは、まさに私に言わせますと、やらざるを得なかったからやった、急場しのぎといいますか、避けて通れないぎりぎりのところだけ手をつけてきたという感がするわけでありまして、後ほどお話ししますが、精神の小規模の授産施設あたりは、かえってあのときにやったことがよかったかどうか、そこまで考えてしまうような、手戻りになるような改革でなかったのかと思ったり、やはり全体像に立って改革をしないと苦しいことになるということも思うわけで、今回の第一歩が、本当に全体、トータルの改革であるということを期待したいと思っているわけであります。

 それから、次のテーマは、これも平成の時代に入ってから私がずっと悩んでいることでありますが、福祉サービスが市町村中心主義、とりわけ介護保険や児童もそうでありますが、市町村を中心にサービスを展開しよう、こういうことが大きな動きになりました。

 介護保険の方では、嫌がる市町村長、首長を集めてトップセミナーなんかを随分やりまして、サービスの必要性、これをきちっとやらなければ、あなたたちは選挙で通れないんですよということぐらいまで地方団体の首長さんを集めて勉強会をやったのを懐かしく思い出すわけでありますが、そうした流れの中で、障害者サービスについてはどうもあいまいで来た。これは一つは、やはり数が少ない、高齢者に比べてマイナーな数だということ。それから、それに伴いまして専門性、やはり都道府県というレベル、行政の都道府県の専門性というものに目が奪われたといいましょうか、決してその専門性がうまく整理されているわけではないのでありますけれども、中途半端な姿勢が今日まで続いた、そして、市町村中心主義としては、市町村を中心とした全体の流れの中で障害者サービスが乗りおくれたのではないか、この動きに大きくおくれている、私はこう感じている次第であります。

 それは端的に言うと、メニューはそろったけれども、たくさんメニューはある、だけれども、我が市町村のこの地域に行くとどれだけのサービスが受けられるかというと、数えるぐらいしかないという実態もあるわけでありまして、私は、市町村を中心にサービスを考えていくということ、乗りおくれたという表現、大臣、いかがでありましょうか。

尾辻国務大臣 障害者保健福祉のような、まさに地域生活と密接にかかわっておるサービスでありますから、こうしたサービスについて、私どもとしても住民に身近な市町村により提供されることが適切だとは考えております。非常に身近なサービスでありますから、一番身近なところでサービス提供していただく、これは適切なことだというふうには考えておるところでございます。

 そのために、平成二年の高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉を通じた福祉各法に関する大規模な改正以降、障害者福祉についても逐次市町村を実施主体とする体制を整備してきました。こうした考え方で、市町村にやはりサービスを提供していただくということで体制の整備をしてまいりましたということも申し上げておるところでございます。

 ただ、精神障害者の社会復帰施設など、まだ都道府県がサービスの提供を行っているものもございますけれども、私どもの基本的な考え方は、やはり身近なところでサービス提供していただくことが適切だと考えておりますということを申し上げたところでございます。

桝屋委員 これは障害者施策の特徴だと思いますが、市町村と都道府県の役割、ここは、やはり今大臣がおっしゃったように、ベースは住民に一番身近な基礎的自治体である市町村が担うということを前提に全部のサービスを組み立てていく、その基本の中で都道府県の役割というものを明らかにしていくという姿勢が私はこれからも求められると思っておりまして、改めて要請を申し上げておきたいと思います。

 最後なんですが、障害者の所得保障、この問題も、やはり、私は特に無年金障害の問題についてずっと野党の時代から言い続けてきて、先ほどの障害者プランの中でも、衛藤副大臣おられたら懐かしい話もしたいのでありますが、ここでも、自民党の中でも随分議論していただいて、やはり無年金障害者の問題は障害者プランでも整理はされた。しかし、私の記憶では、あれは本則、本体部分ではなくて、その他項目という整理であった、福祉的措置で何とかできないものだろうか、こういう位置づけであったわけであります。

 これも時間が随分かかりまして、障害者団体の皆さんが法廷闘争まで取り組まれて、やっと最近、無年金の障害の法律ができましたけれども、これも議員立法であります。障害者の皆さんのお取り組みの成果だと私は思っております。

 こうした分野について、所得保障の問題については、基礎年金導入のときに一つは整理をされた。それまでのさまざまな福祉手当も整理されて、基礎年金に統合された。しかしながら、重度重複の特別障害者手当というのは今なお存在するわけでありまして、私は、まさに雇用の分野も含めて、この年金あるいは生活保護、そして手当、こうしたものを含めて、やはり障害者の所得保障ということをきちっと議論しなきゃならぬというふうに思っているわけであります。年金は随分議論してきていろいろ整理されたと思っておりますが、障害者の所得保障の分野が実は未整備のままに今日来て、費用負担の問題が先に来ているような感がするわけでありまして、ここは大臣、大きな課題ですね、こう申し上げたいわけでありますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 御指摘のように、障害者の所得保障は、障害者の地域における自立した生活を考える上で重要な問題と認識をいたしております。

 これは、そうした上ででありますけれども、昨年秋の臨時国会におきまして、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律を成立させていただいたことは、これは障害者の所得保障においても大きな前進であったと考えておりまして、私どもとしても御礼も申し上げたいと存じます。

 そうした上ででございますけれども、障害者の所得保障ということでありますと、年金制度でありますとか各種手当制度についてでございますが、現在の国の財政状況を勘案いたしますと大きく改善することは難しい面もございますけれども、社会保障制度の一体的な見直しの流れにも留意しながら、障害者の所得保障のあり方について十分検討していかなきゃならないと考えております。

桝屋委員 今まで、前半の時間を使いまして、今日までの障害者施策の流れを概括させていただきました。今私がるる申し上げたような問題点が、先ほど大臣は何度も言われていますが、改めての第一歩としてここは取り組む、そのための自立支援法だ、こういう御説明かというふうに思いました。

 そうした場合、今回の自立支援法が、障害者対策の言ってみれば平成の時代の空白の期間を抜けて、本当に体系的な取り組みをされる、そうした大きな取り組みなんだ、このように理解をしていいのかどうか、期待をしていいのかどうかと思っているわけであります。あるいは、今まで抱えてきた問題は全部この自立支援法の中に整理をして、これからその第一歩として全体の取り組みが開始になるんですということで理解していいのかどうか、いや、実はこの問題がまだ残っているんですというようなことなのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 きょう、これまで、いろいろな課題について、問題についての御指摘をいただきました。私どもとしても、そうした御指摘のことを認識いたした上で、今回の法案を出させていただいておるものでございます。

 したがいまして、きょう御指摘いただきましたような課題を解決するために、まず障害の種別にかかわらず一元的にサービスを提供する仕組みの創設をいたしておりますし、また、さまざまな障害のある方が支援の必要度に応じて公平にサービスを受けられるよう、障害の程度に関する尺度の設定でありますとか、ケアマネジメントの制度化によるサービスの支給決定の客観化、透明化でありますとか、あるいはまた、福祉サービスの利用者を含め、皆で制度を支え合う仕組みとするために、サービスの利用量と所得に着目した費用負担の仕組みの導入でありますとか、さらにまた、障害者の在宅サービスに関する国及び都道府県の負担の義務化などを提案させていただいておるところでございます。

 こうしたことで、障害のある方の地域における自立した生活を支援するため、制度の抜本的な見直しとして提案をさせていただいておるところでございます。

桝屋委員 今の大臣の御答弁を伺いますと、まさに今まで比較的におくれてきて、私に言わせますとまさに空白の平成の時代、こういうふうになるのでありますが、これを埋めるためには、どうしても新たな第一歩として今回の障害者自立支援法が必要である、こういう大臣の御決意というふうに伺わせていただきました。

 ただ、それでも大臣、もう二つだけ気になることがあります。

 一つは所得保障。これは今回の自立支援法で決して見直しが始まるということではないんだろう、私はこう思っております。言えば長くなりますが、障害基礎年金一級と二級、一・二五の差がどういう根拠なのか、あるいは二級は老齢基礎年金のフル年金の水準だ、その一・二五倍が一級だというような昔からあるような議論は、この給付水準というのはやはり障害者の生活実態に応じて見直さなきゃならぬと私は思っておりますし、少なくともそのときは来ている。

 あるいは、先ほどから申し上げましたように、障害者の雇用ということを今回自立支援法の中で言うわけでありますから、雇用も含めて手当や年金や、そうした所得保障について改めて取り組む必要がある。そしてアウトプット、何かを考えなきゃいかぬというように私は思っておりますが、改めて、重ねて大臣の思いを伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、障害者の所得保障は、障害者の地域における自立した生活を考える上で最も重要な問題だと認識をいたしております。そこで、今御指摘いただきましたようなことも十分踏まえながら、今後の検討をさせていただきます。

桝屋委員 大臣、くれぐれも役人を信用しないように。私は、決して批判をして言っているわけじゃなくて、障害無年金の問題に取り組む経緯の中で、私は副大臣もさせていただきましたけれども、やはり役人ではどうしてもできないことがある、それが障害者の皆さんが法廷闘争まで取り組まなきゃならなかった背景でありますから、私は所得保障の分野で絶対に手をつけなきゃならぬ分野がある、こう思っておりまして、私も努力をしたいというふうに思いますが、ぜひお役人の言うがままでないようにお願いをしておきたいと思います。

 それからもう一点は、これも言うつもりはなかったんですが、きのうの参考人さんの議論を聞いていて、やはり障害の程度区分が今回極めて大事な要素になります。

 今あります身体障害者手帳の一級から六級、それから療育手帳のAとかBとか、重度そして中度、軽度というその範疇、それから精神障害者手帳も一級、二級、三級、この障害区分と程度、それと、今回の自立支援法は、介護給付あるいは訓練給付も含めて、その必要性を客観的に把握をするわけでありますから、従来の多くの障害者の皆さんは、やはり身障手帳の一級であれば、二級であれば、自分は重度だというふうに思われるわけであります。あるいは、療育手帳のAを持っておられる方は、うちの家族、療育手帳を持っているあの人は重度だと認識するわけでありまして、それと、今回の自立支援法でどういう区分になるか、どういう支給になるのか、そこで理解いくように私は見直さなければならぬと。

 これは介護保険よりさらに難しい話です、介護保険の場合、そういうものがなかったんですから。初めて介護保険の一、二、三、四、五、要介護、要支援という整理ができたわけで、ここは受け入れられたけれども、障害の場合はそういう既存の制度があるわけでありまして、そこはしっかり説明がいくように整理をしなければならぬのではないか、大きな課題だな。これは答弁は要りません、このように思っていると。

 あわせて言わせていただきますならば、身障も知的も、そして精神も、それぞれ県に更生相談所なるものを持っております、センターがあります。このセンターの機能がきちっと機能しなければだめだ、そこの見直しは全然手がついていませんから、ここはきちっとしないと、さっき申し上げた市町村と県の関係でもうまくはいかないということを私は申し上げておきたい。また、念頭に置いて御検討いただきたいと思います。

 そこで、時間がなくなって、大分質問を飛ばしたいと思っております。時間を使ってこれだけ申し上げてきたのは、私の認識は、今回の自立支援法は十分ではない、漏れた点もあるけれども、しかし、今までの経緯からすると、避けて通れない、何としてもやり遂げなければならない新たな改革の第一歩だということを私は強く申し上げたいと思っているわけであります。

 もう一つ、さまざまな問題点に入りたいと思いますが、国の財政負担の問題。今回負担金化される、義務負担になるわけでありますから、これで安心だ、本当にそう思っていいかどうか。

 各団体あるいは障害者の皆さん、地方団体の意見を聞きますと、やはり支援費が始まってから今日までの怨念があるわけであります。二百数十億ないないというこの予算のやりくりと、予算がないからあなたにはサービスが行かないんだという、この一、二年、障害者の皆さんが厚生労働省前を取り囲まなければならなかった、こういう大変な事実があるわけでありまして、これはもう怨念のように残っているわけであります。それが、先日来、障害者の皆さんが国会に押しかけておられる背景ではないかと私は思っているわけであります。

 本当に今回の負担金化で国からの必要な経費が確保されるのか、市町村の裁量で支給認定を行った、それは市町村が勝手にやったんでしょうと、国からの負担金が一定の限度額で切られてしまうというようなことが本当にないのか、みんな心配をしております。ここは大臣、全国の障害者の皆さん、そして地方団体が聞いているというつもりでお答えをいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 一言で言いますとお話しのとおりでございまして、このところ支援費制度で私どもは四苦八苦してまいりました。そして、最初は省内のやりくりで何とかなりましたけれども、昨年に至ってはとうとう補正予算を組まざるを得なくなってきた、そうした中でございます。

 ただ、今回、この法律案を提案させていただく上に当たって一番基本なこととして申し上げておりますように、この予算を義務化する、義務的経費にするということで、私どもはそれを一番の基本にしてこの法案をお出ししておるわけでございますから、そういう意味で、基本的なところの金の心配といいますか、それはなくなったものというふうに私どもは考えております。

桝屋委員 私を信頼してもらいたい、絶対に大丈夫だ、こういう御決意を述べていただきたかったわけでありますが。私、前の大臣にお仕えして、前の大臣は突然とんでもないことを言い出したことがよくあるのでありますが、大臣、本当にそういう答弁も期待しておりますので。

 それで、もう一つ、負担金とそれから補助金。私は、今回、国の財政負担をするときに、負担金と補助金を明確にするということが極めて大事だと思います。三位一体の議論の中で、負担金も補助金ももうみそくそにして議論される方がいますけれども。負担金はそれで、義務負担として、足らなければ補正を組んでやるということが確保されるわけでありますが、補助金の部分ですね。

 今回、市町村の支援事業、これはまさに補助金の世界になるわけでありまして、ここが大丈夫かどうか。三位一体の議論はまだ続いてまいります。財務省は虎視たんたんと、補助金については、裁量的経費としては何としても削りたいと、大変なプレッシャーがあるんだろうと思っております。そうした中で、本当に基盤整備は大丈夫なのかということを心配するわけであります。

 就労の場の確保、あるいは日中の活動の場の確保、さらにはケアホームやグループホームなどの住の確保、自立支援法でサービスの提供基盤となっている、このサービスのまさに基盤を整備する。これから市町村が福祉計画を立てて、三年ごとに見直していく。でも、それは最初の山が一番大事であります。

 介護保険も、スタートするときは大変ないろいろなことを財政的にはやったわけです。十分の十の補助金なんかをとってきて、私は今から考えると深く反省しておりますが、十分の十の補助金なんていいのかと思ったぐらいでありますけれども、ありとあらゆることをやって基盤をつくり、そして保険あってサービスなしという事態を避けようと懸命な努力をされた。

 自立支援法のスタートに当たって、私は、緊急の整備として基盤整備を、これで大丈夫だというような取り組みが必要ではないか。私自身、政治家としてそれは取り組んでいかなきゃならぬ課題だと思っておりますけれども、大臣のお話を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 おっしゃるように、基本的な部分を義務的経費にしたとしても、まだ裁量的経費として残る部分もあるわけでありまして、今補助金というお話をなさいましたけれども、そうした部分がまだ残るわけであります。今度はそうした中での整備もございますので、まさに予算のせめぎ合いということになってまいります。

 これは、また今後、八月になりますと概算要求、そしてその後の折衝、こういうだんだんの順番になってまいりますけれども、そうした中で私が今申し上げられますことは、全力を挙げて取り組みますということでございます。

桝屋委員 ここは大臣、私は正直申し上げて、基盤整備として、この自立支援法だけでは信頼できない、ここはもう一重取り組みをしなきゃならぬというように私は決意しております。このままではやはり、障害者自身はもちろんのこと、市町村、地方団体の皆さんが、新しい時代が来た、これは何としても取り組んでいこうということにはなかなかならない、それぐらい今までの混乱が影響を与えている、私はこう思っているわけでありまして、基盤整備のための緊急の取り組みが求められるというふうに思っておりますことを申し上げておきたいと思います。

 幾つかの問題をまだやりたいんですが、時間がなくなってきました。私は、もう二度とこの質問に立てないと思っておりまして、もう一点だけ、小規模の作業所の問題ですね。小規模作業所についてはこれから時間をかけて新しい体制にいこうと言ったんですが、さっき議論したように、全国ではどういう状況になっているかというと、例の構造改革のときの結果で、小規模の通所授産にしていこう、こういう流れが一つあった。だけれども、これはどうなっちゃうのということもあるわけですね。

 それで、あのときには一千百万という大変なレベルの補助金になって、大きく希望を持ってそれに向かって進もう、こう思っておられるところが、どうももうそうした施設整備、ハード物の補助金も十八年度で終わりですよ、これから五年かけて移行ですよ、こういう流れになる、そこが現場は本当に大丈夫か。

 それから、もっと言いますと、例の百十万円の団体補助の部分ですね。これは、全国の六千の作業所、昨日もきょうされんの方が来られていましたけれども、その部分がどうなるのか。それで、六千の小規模作業所全部が行くのかというと、法の中に入るのが本当にいいのかどうかというのは今までもあった議論なんです。無認可で多様なサービスに対応してやった方がいいというケースも十分あるわけでありまして、この百十万がどうなるのか。これは続いていくのかな、いってほしいな、こう思うわけでありますが、この辺の移行に向けての作業というのはよほど慎重にやらなきゃならぬと思っています。この点だけちょっと確認をさせてください。

尾辻国務大臣 小規模作業所や小規模通所授産施設というのは今日まで大変重要な役割を果たしてきていただいた、こういうふうに考えます。

 今回の改革におきまして、先ほど申し上げましたように、そうした施設、事業については、機能に着目して再編をするということにいたしております。また、小規模作業所等のことにつきましては、規制緩和も図るということにもいたしております。

 そうした中で、今先生おっしゃったように、平成十八年から五年間の経過措置期間中に、それぞれの新しい再編されたものに移行していただくというふうに考えてはおります。ただ、それがすべて、今おっしゃったように、再編されたものの中に移行できるかどうかというのはまた今後の課題でございます。そしてまた、それまで時間もかかると思っております。

 では、その間、今おっしゃったように今までの百十万円がどうなるのかという、一番肝心といいますか、その話が出てまいりますので、そこのところがさっきから言っておられる、まさに今後の補助金だとかなんとかという、義務化されていないところの、義務的経費になっていない部分の金の話になるわけでございますから、これは私どもは、やはりその確保ということは全力を挙げなきゃいけない、そこの部分の予算獲得ということで頑張っていかなきゃならないと考えておるわけでございます。

桝屋委員 大臣、ですから、十八年度でもう例のハード物、ハードは終わりですよ、こういう話は全国に広まっていますが、今の百十万については、大臣のお気持ちでは、いつやめるということではなくて確保に努力していきたい、私どものこういう理解でいいですね。

尾辻国務大臣 私どもは、必要なものは確保していきたいと考えておるということでございます。

桝屋委員 私どもも努力をしたいと思います。移行、六千をどのように、六千が全部スキームに乗っかるかというと、私は、いろいろなケースがあるんだろう、そのいろいろなケースこそ大事だということを申し上げておきたいと思います。

 さて、ほかにいっぱいやりたいことも、重度障害者の包括サービスとか授産工賃の取り扱いとかやりたいのでありますが、時間がないので飛ばしたいと思います。

 最後、最大の問題点、今回の問題の最大の問題は、やはり何といいましても、利用者負担の増という話であります。本当に障害者の皆さんが、障害者の生活実態からして、この負担は耐え得るのかどうか、妥当なものなのかどうか……(発言する者あり)やじが飛んでおりますが、それを議論したいと思うんです。

 それで、私、時間がないので、一つは、重度全身性の障害者の方々の、在宅の重度障害者の皆さん方の負担ですね。全身性ですから、恐らくホームヘルプサービスも相当お使いになる、二百時間を優に超える、移動介護、このサービスも十分使わなきゃならぬ、そうした方はすぐに二万四千円ぐらいの負担になるというふうに聞いておりますけれども、これが耐えられるのかどうか。ここは大臣、大臣の思いとしてどういうふうにお考えになっているのか、御説明いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 一昨年に支援費制度が施行されて以降、新たにサービスを利用できる障害者の方がふえております。これはずっと申し上げておるところでございます。したがいまして、今後とも必要なサービスを提供するためには、その費用について、この審議が始まってからずっと私はそのことを申し上げ、お願いもしておるわけでございますが、利用者の方々を含め皆で支え合っていくことが必要である、どうぞそのことを御理解くださいということを申し上げております。

 まず冒頭にそのことを申し上げた上ででございますけれども、今度の法案におきましては、今そこのところについて触れてお述べになったわけでありますけれども、一割の定率負担と所得に応じた月額の負担上限を組み合わせた利用者負担をお願いいたしますとともに、在宅サービスに関する国等の負担を義務的なものに強化する、これは先ほど来申し上げておる、そういう流れの中で私どもが今回のことを御提案申し上げておるということもまた改めて申し上げるところでございます。

 そこで、重度の方々に対することでございますけれども、重度の方に配慮して月額の負担上限を設けますとともに、上限は収入の状況に応じた数段階としまして、また、施設等で暮らす方であって一定額以上の預貯金のない方に対してでございますが、個別の収入に着目して利用者負担を減免する仕組みを設けることとしておりますし、さらに、定率負担をすると生活保護を受けざるを得なくなる場合には、収入や預貯金に応じ、月額上限がゼロになるまで個別に減免する仕組みを設けるといったようなことで、重度の障害者の方々がお暮らしになる上で支障が生じないようにするための仕組みもあわせて提案をしておるところでございます。そうしたことを御理解いただきたいと存じます。

桝屋委員 私がお尋ねしたかったのは、例えば、今一級が八万三千円ぐらいですか、基礎年金の一級の方が二万四千六百円負担をしなきゃならぬということでありまして、これが、障害者の生活実態からして、大臣、どうお考えになりますかということを端的に伺ったわけであります。制度の趣旨は十分我々も理解をしているわけでありまして、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

尾辻国務大臣 私どもとしては、申し上げましたようにきめ細かな策を講ずることによって、最後に申し上げましたように、皆様方がお暮らしになる上で支障が生じないようにするための仕組みを御提案申し上げたつもりでございまして、また、こうした中でも先生方のいろいろな御議論もいただいておりますから、さらにそうした御議論をお聞きしながら今後の施策を考えてまいりたい、そうした中で御理解いただきたいと存じております。

桝屋委員 今の在宅の重度のケースについては、生活保護制度との関連、個別減免のお話をされましたが、ぜひ施行に当たっては、十分検討が必要ですけれども、福祉事務所内での連携といいますか、サービスに遺漏がないように十分な配慮をお願いしておきたいというふうに思います。

 それから、私、もう時間がないので、一つは施設入所のケース、身体障害者療護施設にやはり一級の方がお入りになっている、その方々がいわゆる手持ち金として、これは介護保険と同じ概念を持ち込まれるというふうに理解していますが、そこが果たして、今の手持ち金の考え方、その水準が介護保険の特別養護老人ホームと同じでいいのか。同じじゃありませんと言われるかもしれませんが、大体同じなんです。それで、日用品費相当といいますか、必要な手持ち金だけは残そうということなんですが、しかし、特養と違い、特養でもあるのでありますけれども、急遽施設を出て入院しなきゃならないようなケースもあるわけでありまして、その辺の手持ち金といいますか預金の考え方というのは本当にきめ細かく取り組んでいただかなきゃならぬな、こう思っております。

 それで、きょうぜひ御指摘したいのは、通所のサービス、ここがやはり負担が多いんですね、負担増。負担が多いというよりも、今までの支援費制度に比べて格段に負担がふえるわけでありまして、ここの通所のサービス、今まで一%ぐらいの自己負担率であったものが、相当の、一〇%を超えるような負担になる。ここが激変があるわけであります。特に入所やグループホーム利用者には激変緩和の経過措置もあるわけでありまして、ここはやはり一定の検討が必要なのではないか、こう思ったりしております。

 やはり、これから在宅で通所事業を活用されるという方々についての激変緩和というのは、もう少し厚生労働省は知恵を出さなきゃならぬのじゃないか、我々ももうちょっと考えなきゃならぬのじゃないかと参考人の御意見を聞きながらつくづく感じた次第でありますが、いかがでしょうか。

塩田政府参考人 今度の法案の考え方として、グループホームとか入所施設の場合には個別の減免制度とかさまざまな激変緩和措置を講じておりますが、御指摘がありました家庭から通所施設に通っている場合などについて、現在の私どもが提案している減免措置で十分であるかどうか、障害者の所得の実態、負担能力に合っているかどうかについては、この委員会等々でのきのうの参考人の御意見もございましたし、いろいろなことを参考にしながら検討させていただきたいと思います。

桝屋委員 時間がないのでもうこれで終わりますけれども、大臣が最後に塩田部長に振られた意味も大きいのかな、こう思わせていただきました。先ほど人事の話をしましたけれども、改革期において適切な方なのかどうか私にはわかりませんけれども、最後に答弁に立たれた意味もあるんだろうと。

 私どもやはり、私は介護保険導入のときも随分悩んだものですから、あの経緯からしますと、先ほど申し上げた緊急の基盤整備でありますとか、それから激変緩和措置でありますとかというのは、どこまでも障害者の生活実態というものを考えて考えていかなきゃならぬ。私は、厚生労働省においてももっと検討していただきたい、検討が不十分だと思っておりますし、私どももこの国会での議論で、できれば新しい知恵が出るのであればぎりぎりの議論をさせていただいて、少しでも障害者の皆さんに安心していただけるようなそういう制度にしていきたい、法律にしていきたい、こんなふうに決意をさせていただいております。

 きょうは時間がないので、もう少しやりたかったこともありますが、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、城島正光君。

城島委員 民主党の城島でございます。

 私の方は、きょうは障害者雇用促進法に関連した質疑をさせていただきます。

 まず第一問ですが、今回の改正案の大きな柱の一つが精神障害者を雇用率に算定するという点にあるわけなんですけれども、ところが、法定雇用率は現行の一・八%のまま据え置かれているわけですね。これでなぜ障害者の雇用促進になるのかというのは、そもそも論でありますが、基本的に非常に疑問なんですけれども、この辺はどういうふうに解釈したらいいんでしょうか。ぜひ御説明を願いたいと思います。

尾辻国務大臣 確かに、今回の改正で法定雇用率そのものは引き上げておりませんけれども、精神障害者の皆さんを実雇用率には算入をする、こういうことでございます。精神障害者についても将来的には雇用義務制度の対象にするということは、これは考えなきゃいかぬわけでございますけれども、現状では、精神障害者の雇用に対する企業の理解と雇用管理ノウハウが十分に普及しているとは言いがたい状況にある、こういうふうに判断をいたしております。

 したがいまして、申し上げましたように、まず精神障害者を各企業の雇用率に算定することとして、そして精神障害者を雇用する企業の努力を評価することにしたところでございます。

城島委員 全然納得性のある説明じゃないですね。背景等はそのとおりなんでしょうけれども、それでなぜ雇用増につながっていくのか、雇用の促進になるのかというのは全然理由になっていないと思うんですよ。

 それでは、精神障害者を分子に入れるわけですね。そうしますと、ちなみに、精神障害者も入れて算定した場合には、現行の法定雇用率を身体障害者と知的障害者だけじゃなくてプラス今回の精神障害者も入れて算定した場合は、これは法定雇用率は推定でどれぐらいになるんですか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御案内のように、現在の法定雇用率は一・八%ということになっております。今回の法案におきまして、精神障害者の方につきましては、手帳所持者の方、この方を実雇用率の算定に加えるということで考えておるわけでございますが、こういう考え方のもとで、粗い推計ではございますが法定雇用率の推計をいたしますと、一・八%が約二%ぐらいになるのではないかというふうに見ております。

城島委員 そうすると、法定雇用率を二・〇とかにするのが普通だと思うんですけれども、どうでしょうか。

金子政府参考人 今回の雇用率制度の適用に当たりまして、雇用義務の対象とせず、つまり法定雇用率には算入せず実雇用率の方に算定をいたしましたのは、これは今回の法律改正の前段で関係審議会の方で御議論をいただいたわけでございますが、障害者雇用促進法上、精神障害者も今もちろん位置づけられているわけでございますので、将来的には雇用義務の対象としていくという大きな方向性は確認しながらも、現段階で企業の方の雇用管理の実情でありますとか企業の理解といったものがなかなかそこまで進んでいないのではないかということで、そういう認識のもとに、雇用義務制度の本格的な実施を図る前に、精神障害者を雇用している企業の努力を評価する、こういう観点で制度を整備して雇用の促進を進めていく必要があるだろう、こういう考え方でございます。

 ちなみに申し上げますと、現在、法定雇用率一・八%ということなんですが、企業の実雇用率というのが、大変残念な状況ではあるわけですけれども、最新で一・四六%ということでございまして、そこの間にかなりのすき間もあるわけでございます。

 そういったようなことで、精神障害者の方を雇われた企業の努力に報いるということをまずいたしまして、そういうことで精神障害者の雇用を促進しながら、それに加えて支援策も講じながら企業における雇用環境の整備を進めていく、そういうステップを踏みながら精神障害者の雇用率制度の適用を図っていく、こういう考え方のもとに整理をされたものだというふうに承知をしております。

城島委員 そうすると、今、実雇用率が平均で一・四六%とありましたね。仮に、これを下回るようなことになったらとんでもないと思いますけれども、この辺との関係はどうですか。

金子政府参考人 実雇用率につきましては、今申し上げましたようなことで、近年ほぼ横ばいの状態が続いているというようなことでございます。

 そういうことで、雇用率の達成指導につきましては、引き続き厳正に、的確に行っていきますと同時に、特に精神障害者の雇用ということに関しましては、企業に対する雇用支援策を強化して取り組み、雇用率の改善に取り組んでまいりたいと思っております。

城島委員 いや、精神障害者も今度いわゆる実雇用率に組み込めて、なおかつ今の一・四六を下回るというのは、これはとんでもないことですよね、仮にそうあれば。これは絶対そういうことのないような取り組みも一方で当然しなければいかぬと思うし、少なくとも今回、私はやはり筋論からいっても、法定雇用率も引き上げるというのが当然筋だと思うんですけれども。

 今おっしゃったようなこと、なかなか理解できないというか納得できないんだけれども、そうすると、法定雇用率を引き上げるステップというか、あるいは明確な目標というのがどういうふうな道筋を、どういう段階に行ければ、あるいは何年後ぐらいには法定雇用率を、例えば今ある二・〇一に近い二にするとかいうふうにするという決意があるんですか。あわせて聞きたいんです。

 すなわち、一・四六%を下回るようなことは全くないんでしょうなと。これはやはり上げていかなければいかぬということと同時に、法定雇用率も二・〇一にしていく、二・〇一にするか、二・〇にするか、二・一にするかというのはありますが、ここも当然今の一・八から引き上げていく。このプロセス、あるいは明確な目標設定。この目標設定として、二つはどうしても必要だと思うんですけれども、この辺についてはいかがですか。

衛藤副大臣 委員御指摘のとおり、現在まだ法定雇用率が一・八でございますけれども、実雇用率は一・四六ということで、これをどうしても引き上げていかなきゃいけない。そういう中で、精神障害者を実雇用率に算入することによって、何とか精神障害者雇用のインセンティブを与えていきたい。そして、その間に企業の理解を得るように、また雇用のためのノウハウを十分に得てもらいたいというぐあいに思っております。

 そういう意味で、できるだけ早期に雇用義務の対象とできるように、今後、改正法施行後も引き続き検討していかなきゃいけませんし、附則におきまして書かれておりますように、施行三年経過後の見直し規定を設けているところでございますので、この見直しの際の検討事項というぐあいに扱ってまいりたいというように思っております。三年間懸命に努力をしてまいりたいと思っております。

城島委員 そうすると、一つの大きな目標としては、三年後、法定雇用率を引き上げる、重要な検討事項で、その辺を一つの目標というところに置いている、そのためのいろいろ施策をやっていく、こういうふうに理解していいんですか。

衛藤副大臣 そのとおりになるかどうかわかりませんけれども、少なくとも、そういう形で努力を続けて、三年後にはぜひそうできるような状況に持ち込みたいというぐあいに思っております。ですから、そういう意味で、三年後ちゃんとした検討をやりたいというふうに思っております。

城島委員 これは実際三年後にできるように、少なくとも、今回見送っているわけですから、ぜひ、それぐらいはちゃんとできるように、最大の取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 だからといって、今回一・八で納得しているわけじゃないんですけれども、これは依然としてまだわだかまりがあるんですが、最低そういうところは目標に置いてほしいと強く申し上げておきたいと思います。

 それから、精神障害者を雇用率に算定するに当たっての対象者の把握とか、あるいは確認方法についてお尋ねしたいわけでありますが、今回の改正案では、精神障害者保健福祉手帳の所持をもって算定対象とする、先ほどそういう御答弁もありましたけれども、統計を見ますと、平成十五年度の手帳交付者というのは三十一万二千七百九十四人ということですが、このうち、雇用されている人というのは一体どれぐらいいらっしゃるんでしょうか。

金子政府参考人 精神障害者保健福祉手帳所持者のうち、常用労働者数につきましては、約二万四千人程度ではないかというふうに推計をしているところでございます。

城島委員 既に手帳を取得していて新規に就職したいという方の場合、対象者の把握というのは容易なんですけれども、在職中の精神障害者の場合は、手帳を取得されている方は、今あったように、決して多くないということだと思うんですね。

 そうすると、在職中の精神疾患の社員の人が手帳を取得するということは極めてセンシティブなプライバシーの問題も含んでいるということだと思いまして、職場において手帳の取得を強要したりするというようなことがあってはならないと思うんですけれども、この辺の原則についてはどういうふうにとらえているんでしょうか。

金子政府参考人 議員からお尋ねの、精神障害者の方の雇用率制度の適用に当たっての把握、確認の問題でございますが、私どもとしては、これは精神保健福祉手帳の所持をもって把握、確認をさせていただこうということで考えておるわけでございます。

 この点につきましては、一つは、精神障害の方につきましては、症状の変化によって障害程度の固定がされにくいということで、障害の状態の継続について慎重な確認手段が必要だということ、それから二点目には、これも議員御指摘ございましたけれども、プライバシーに十分配慮した上で、しかも一方、公正かつ一律性を保った判定を行う必要があるだろう、こういう観点から、精神保健福祉手帳の所持者ということで把握、確認を行うこととしたところでございます。

 この把握、確認に当たりましては、本人の意に反した雇用率制度の適用が行われることのないよう、プライバシーに配慮した対象者の把握、確認のあり方について、企業にとって参考となるガイドラインを示すこととしております。

城島委員 本人の意思に反して取得が強要されるというようなことがあってはもちろんならないわけでありますけれども、同時に、既に取得している在職者についても、取得していることについて職場で申し出ろというようなことを強要されるというようなことが、こちらの方もあってはならないと思いますが、それは確認ですけれども、当然ですね。

金子政府参考人 御指摘のとおりかと考えております。

 今後検討いたしますガイドラインの中でも、精神障害者の方を把握する場合の端緒、あるいはその呼びかけの手段でありますとか、利用目的の明示とか、そういった把握の仕方についての事例とか方法を整理しますとともに、利用目的の達成に必要のない情報の収集の禁止でありますとか、申告の強要の禁止、あるいは拒んだことによる不利益取り扱いの禁止といった禁忌事項についても整理をいたしまして、ガイドラインで決めていきたい、このように考えております。

城島委員 そういったことについてガイドラインをつくるということなんですけれども、それでは、ガイドラインを作成するに当たって、当然、学識経験者とかあるいは福祉の専門家ですとか、メンバーにはそういった方も含まれると思うんですけれども、それだけではなくて、職場の実態をしっかりと、状況を踏まえるためにも、労使双方を含むメンバーが必要ではないかと思いますが、ガイドラインづくりにおけるメンバー構成、これはいかがでしようか。

尾辻国務大臣 今御指摘いただきましたようなことも踏まえまして、ガイドラインの策定に当たりましては、労使の団体それから障害者の団体、また精神保健や個人情報保護の専門家等、こうした方々から成る、有識者から成る検討の場を設けることといたしまして、ガイドラインの具体的な内容について、企業にとってわかりやすく、的確な把握、確認ができるものとなるように留意をしてまいりたいと考えております。

城島委員 ぜひ、そういうメンバーにより、しっかりしたガイドラインをつくっていただきたいと思うんですね。そのことが、先ほど最初に論議した、一・八をできるだけ早く、法定の雇用率を引き上げるということにもつながると同時に、実際、精神障害者の雇用増にもつながる最大のポイントだと思うので、この辺をしっかりとやっていただきたいと思います。

 あわせて、ちょっとメンタルヘルスの問題についてもお尋ねをしたいわけでありますが、今回、精神障害者を実雇用率に算定するに当たって、躁うつ病も対象に含まれるということでありますけれども、今回、含まれることからして、メンタルヘルス対策というのがいずれにしても非常に大事な問題になるというふうに思うんですね。

 現在、多くの企業においてメンタルヘルスの対策が取り組まれていると思いますけれども、私も、企業にいて組合の役員をやっていたとき、既に二十五年ぐらい前に、この問題を取り組もうということで取り組んだ経過があるんですけれども、率直に言って、かなり時間とコストがかかるんですね。それから、一般的な、管理職も含めて、企業経営者も含めてですけれども、正しい理解をするのにも時間がかかる。しかし一方で、非常にこのことについて悩んでいる人たちもいっぱいいる。そういうことからしても、企業におけるメンタルヘルスの取り組みというのは極めてますます重要になっているんじゃないかというふうに思うんです。

 職場のメンタルヘルスの対策を飛び越えて、さっきの手帳の取得の問題なんかもそうですけれども、それが先行していくと、またこれは大変大きな問題になってくるわけなので、雇用を引き上げるということと職場におけるメンタルヘルスの取り組みというのは、まさに車の両輪でなければいかぬと思っておりまして、職場におけるメンタルヘルスの取り組みということについて、政府としてどういうふうに考えているか、これをお尋ねしたいと思います。

青木政府参考人 職場におけるメンタルヘルスについてでございますけれども、今委員御指摘になりましたように、経営者、管理者含めて、きちんとしていかなければいけないということでございます。

 これにつきましては、仕事や職業生活に強い不安やストレスを抱える労働者が、厚生労働省の健康状況調査においても六割を超えているという状況になっておりますし、それから精神障害に関しまして、労災保険給付の請求件数というのも、この五年間で見ましても、平成十一年度は百五十五件、認定されたのは十四件でありますが、それが平成十五年度では、四百三十八件の請求、そして認定件数も百八件というように増加をいたしております。そういったことからしても、お触れになりましたように、労働者の心の健康づくりといいますか、そういったものは極めて重要な問題であろうと思いますし、課題になっているというふうに思っております。

 事業主、とりわけ事業場における取り組みというのが大切だというふうに思っておりまして、そういう意味でも、私どもとしては、こういった状況を踏まえて、あるいはこういった認識のもとに、平成十二年八月に事業場における労働者の心の健康づくりのための指針というものを策定いたしまして、これを事業場に対しまして普及啓発を行っております。

 その指針では、四つのパターンで、それぞれ大事だというようなことを言っておりまして、労働者自身の気づきといいますか、対処、セルフケア、それがまず第一番目。それから、ラインによるケアということで、委員もお触れになりましたけれども、管理監督者による職場環境の改善でありますとか、相談への対応でありますとか、あるいは管理監督者自身に対する教育でありますとか、そういったことが大切だということにしております。さらには、事業場内にいます産業保健スタッフ、産業医でありますとか衛生管理者、こういった人たちのいろいろな活動、例えば職場内における問題点の把握でありますとか、あるいは労働者からの相談に応ずるとか、あるいは、そもそもそういったスタッフに対する教育もまた大切だというようなことだと思っております。さらには、事業場外におけるいろいろな相談体制、応援体制がありますので、そういったものも使うというような指針をつくりまして、事業場に対する指導を行っております。

 さらには、平成十六年十月には、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」というようなものをつくりまして、いわば職場に戻れる人たちについて、ステップを踏んでスムーズに円滑に職場復帰し、そして職場復帰後のフォローアップもしていくというようなことについて、手引となるようなものをつくっているところであります。

 私どもとしては、委員お触れになりましたような認識のもとで、今後とも、労働者の健康障害防止の観点から、職場におけるメンタルヘルス対策の充実を図っていきたいというふうに考えております。

城島委員 ぜひここは力を入れてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、在宅就業障害者に対する支援に関して御質問したいんですけれども、最初は、支援団体の問題についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 この支援団体の重要性というのは言うまでもないと思います。企業が障害者雇用を通じて社会的責任を果たして、障害者が就業を通じて社会参加を実現する場合に、この両者を結ぶ社会福祉団体等の仲介機関が介在することが多いわけでありますし、こうした支援団体による企業と障害者とのコーディネート機能とか、あるいは生活面も含めた障害者の育成支援、就業後の定着支援といったきめ細かいノウハウや創意工夫の蓄積がなければ、実際には障害者の方の就労というのは非常に難しいと言っても過言ではありませんから、そういう観点からして、この支援団体の存在というのは非常に重要性があり、大きいものだというふうに思っております。

 まして、障害といってもその程度とか種類がいろいろ千差万別でありますから、安定した雇用の確保ということが雇用を望む障害者にとっては非常に大事な点であるんですけれども、通勤の問題とか健康上の問題とかいうことがいろいろ壁になっている場合もありますし、今回の改正案が想定した、仕事を自宅などで請け負う就業の方がニーズに合っている場合もありますので、そうしたことを考えても、支援団体の機能というのは非常に大事だ、大事であるがゆえに、この支援団体と障害者の方との信頼関係ということがますます重要だというふうに思うわけであります。

 そういう点から、率直に言ってちょっと疑問な点がありますのでお尋ねしたいわけでありますが、この法案提出に至る経緯を見ていますと、この支援団体については、まず、改正案が出るまでの経緯の中で、参考資料をお渡ししておりますけれども、平成十六年八月の障害者雇用問題研究会報告の中では、支援団体については「事業内容や人員等、一定の要件等を満たし、障害者の在宅就業支援を適正に行っていると認められる支援団体については、」こういう文言になっておりますね。

 この研究会の報告書を受けて始まった労働政策審議会の障害者雇用分科会、これでは平成十六年十二月十五日に意見書を出しているわけですね。この意見書でも同じように、支援団体については「支援団体の在宅就業支援に果たす意義、役割を明確化し、一定の要件等を満たし、障害者の在宅就業支援を適正に実施していると認められる支援団体を通じて仕事を発注した場合にも、」支援団体をそういう表現でこの意見書は出ているわけであります。

 私は、ここに書かれているとおりに法案を作成すればいいんだろうというふうに思うんですね。在宅就業支援団体は民法三十四条の公益法人等のような非営利団体にまずは限定してスタートして、そして全国展開を図るのが当然の筋ではないか、ステップではないかというふうに思うんです。

 そこで、厚生労働省のホームページの中で、一月二十一日の労働政策審議会障害者雇用分科会資料を見ますと、「「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申について」というのが記載されているんですけれども、ここでは、在宅就業支援団体についてこのような定義になっているんですね。すなわち、在宅就業支援団体は「在宅就業障害者に対する援助の業務に係る厚生労働省令で定める基準等に適合する旨の厚生労働大臣の認定を受けた民法第三十四条の法人等をいう。」これが一月二十一日ですよ。

 ところが、二月十日に政府が提出した法律案では一気に変わっちゃうわけですよ、ここは。在宅就業支援団体は「在宅就業障害者に対する援助の業務を行う法人であって厚生労働大臣の登録を受けたものをいう。」審議会段階と、しかも我々民主党に対する法案説明段階も、二つ問題があるんですけれども、一つは、認定という表現だった、認定だったのが、今度、法案提出段階では登録に変わる。

 まず、この辺についてお聞きしたいんですが、概念が変わっているんですね、突然。これは規制緩和という考え方が入っているんでしょうか。あるいは、これはなぜこういうふうにこの間突然変わったんでしょうか。

金子政府参考人 今回新しく導入をいたします在宅就業支援の仕組みに関して、中に立ちます支援団体のことでございますが、委員御指摘のように、労働政策審議会障害者雇用分科会に法律案要綱を示した段階では、私どもとしては認定ということで諮問をさせていただき、答申もいただいているわけでございます。

 それで、その後、これは審議会の答申をいただいた後、政府提出法律案として出す場合に、政府部内の調整ということもやるわけでございますが、その後の政府部内の調整を経る中で、認定を受けることができる法人の種類の問題に加えまして、認定制とすることによって国の裁量権が非常に強い制度になるのじゃないかというような政府部内での意見もございまして、行政改革あるいは行政の透明性という観点から、こうした考え方とも調整をいたしまして、当初認定といたしておりましたものを登録ということに変えたわけでございます。

 登録ということに変えたことに付随いたしまして、実は登録要件、これは、認定の場合にはその要件を法律上に書くことは予定していなかったわけでございますが、登録ということになりますと、手続の透明性という観点で、四つの登録要件を改めて法律上に明示をした、こういうことをつけ加えまして、認定という仕組みから登録という形に変更したものでございます。

城島委員 今回、先ほど最初の論議からあるように、大臣、ぜひお聞きしたいんですが、法定雇用率はそのままですよね、そのままで、実雇用率を何とか上げろということの中で、いろいろな手だての中で雇用増を図っていく、これは流れとしてはいいんです。しかし、その一方で、法定雇用率を引き上げない、今回それを一・八のままにしているということの理由が先ほどるる説明あったわけじゃないですか。いろいろ問題がある、まだ課題もあるんだと。企業サイドの努力をいろいろ、もっと努力をしてもらわなければいかぬところがあるし、そこを支援するためにも法定雇用率は変えないと。

 先ほど私も、ある面でいうと、例えばメンタルヘルスの問題にしても、これは車の両輪だというふうに申し上げました。確かにこの部分については課題が非常にあることも事実だと思うし、それから、非常に慎重にやらなければいかぬところもあると思いますよ。その中の一つが、この支援団体に対する対応ということもそうだと思うんです。だから、スタート段階は、恐らく意見書だとかいろいろ検討の中ではある程度そういうことも配慮した中で、この部分についてはやはり慎重にかじを切っていく必要があるんじゃないかということだったと思うんですね。そのことは私はやはり正しいんじゃないかと思うんです。

 一気にそこを、透明性だとか、今幾つか御説明ありました、政府内部でとあるんだけれども、そこに言及するような段階ではまだないんだろうと。それはまさにある面でいうと、法定雇用率を二ないし二・一ぐらいに上げたときじゃないですか。これはそういうバランスからいっても崩れていると思いますよ。どうでしょうか、大臣。

尾辻国務大臣 認定とするか登録にするかという今のお話だと思います。特に、先生の御趣旨は、それからくるところのどういう結果を招くかということをお考えの上での御指摘だろうと思いますけれども、結果として悪質な団体などが入ってきたらどうするんだという御趣旨で、登録でいいのかという御質問であろうかと思います。

 私どもは、登録条件というのを定めて、これは幾つかありますけれども、もう細かくは申し上げません、四項目ぐらいの登録条件も定めて、そして、そうしたことで適正に対応したいというふうに考えておるところでございます。したがいまして今回私どもは登録ということで申し上げておるということを、的確な答えになっているかどうかというところはございますが、まず申し上げるところでございます。

城島委員 大臣、そういうふうにおっしゃいましたが、まさに私どもが危惧するところはそこなんですね。

 そうすると、具体的にお尋ねしますけれども、政府案の第七十四条の三によると、在宅就業支援団体は、在宅就業障害者に対する援助の業務を行う法人であって、厚生労働大臣の登録を受けたものであれば公益法人、協同組合、特定非営利活動法人、社団、普通法人、中間法人など、いかなる法人であっても登録ができることになっているわけですね。

 それでは、率直にお伺いいたしますが、例えばですけれども、暴力団員を役員に含む株式会社がこの在宅就業支援団体として登録申請をした場合、この政府案においてこれを排除する規定はどこにあるんでしょうか。

金子政府参考人 法案におきましては、在宅就業支援団体の登録に当たりまして、法律上四つの要件を設けてさせていただいております。

 一つは、在宅就業障害者に対して、就業機会の確保や提供、職業講習、就職支援等の援助を行っている法人だということで、それから、対象として常時十人以上を対象に継続的にこれを行っている、そのほか施設及び人的な要件について規定をしているわけでございますが、要は、こういった実績を、既に在宅就業支援の実績を持っているところを登録するということになっておるわけでございます。そういった、条文上も当然に実施している法人ということでございますので、適正に実施している法人を登録するということでございます。

 したがいまして、これに合わないものについては登録を拒否するということに当然相なるわけでございます。

城島委員 要するに、今言ったように具体的に、例えば途中で役員を、そういう暴力団なら暴力団のような役員にかえるとか、役員構成を登録した後、それが受け付けられた直後にかえるということは当然あり得るわけですね。

 ですから、いずれにしても、その会社の中にそういうような人がいる、あるいはそういう影響下にあるというような支援団体を何らかの形で登録段階で排除する、その規定はどこにもないと思うんですけれども、それはできるんですか、この規定で。

金子政府参考人 悪質者を排除することにつきましては、今議員御指摘のとおり、大変重要な課題であるというふうに考えております。

 先ほども申し上げましたけれども、法案の中で、そういった登録要件として実績のある法人を指定するということになっておるわけでございますので、こうしたことで入り口段階でもきちんとチェックをさせていただきたいと思っております。

 また、この在宅就業支援団体に対しましては、登録後につきましてもかなり強い規制を設けているところでございます。

 一つは更新制を設けております。したがいまして、指定された後、適切な運営が行われなければ、更新の拒否ということも当然できるわけでございます。さらには、厚生労働省令で定める予定にしておりますけれども、業務運営基準というのを定めることにしておりまして、これに適合した業務を実施していただくということを予定しております。このことにつきましては、厚生労働大臣への報告義務でございますとか、そういったものも罰則をもって適用するということにしております。さらに、不適正な団体への対応ということにつきましては、登録要件に適合しなくなったような場合には適合命令を発することもできますし、業務運営基準に違反している場合には業務改善命令も発することができることとなっております。

 こうしたもろもろの措置といったものを適切に運用しながら、最終的に不適切な団体については登録の取り消しということもできることになっておりますので、こういった事前事後の規制を適切に運用することによって、悪質な団体の排除ということが可能ではないかというふうに考えております。

城島委員 今いろいろおっしゃっていたんですけれども、結局、この第七十四条の三の三項から七項に定める登録ないし登録拒否要件に、ここに当てはまらなければ、先ほどから言っているように暴力団員等を役員とする法人であっても、少なくとも登録段階で排除することは現実的には難しいということじゃないですか。

 大臣、やはりここは大きな問題だと思うんですよ。なぜなら、午後、恐らく五島先生の方から論議になると思いますけれども、もう一つここは、私がこだわっているのは、この障害者の方々はいわゆる労働者ということになっていないんですね、この法案では。労働者性の問題というのはそもそも論としてありますから、これは午後ぜひやらせていただきたいんですけれども、少なくともこの法案の性格としては自営業の皆さんと同じような位置づけになっている、労働者ではないということになっているわけですね。

 ということからしても、この支援団体は極めて重要であるがゆえに、一方からいうと、これは慎重に、登録段階からきちっとやはりそこは選別できるようにした上でスタートを切るべきだと思うんですね。ゆめゆめ、それは大臣も、そういう社会的にいかがかと思われるような人が役員になるとかあるいは登録された後交代してやるというようなことを認知されるわけはないんでしょう、恐らく。であれば、ここはやはりきちっと登録段階からこういったことが排除できるようにしておくことが私は大事だと思うんですね。

 したがって、せめて、労働者派遣法とか職安法など他の労働法制にあるじゃないですか、この部分についての明確な欠格条項が。その欠格条項を設けるということが、私はやはり、法定雇用率にこだわっていますけれども、これを据え置いた中でやるということとここはセットだと思いますよ。そういう暴力団員等を排除するという欠格条項、これは設けるべきだと思います。我々はそういう修正案も考えたいと思っていますけれども、この辺については、大臣どうですか。

 そういう人たちが入ってくることを本当に排除すべきですね。これは登録段階からやはり排除できないですよ。ここは慎重にそういう欠格条項でも設けるべきだと思いますよ、立法者の責務として。いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 悪質な団体が参入することを排除すべし、これは全く私どももそのとおりに考えております。そこで、登録の取り消しというようなことも言っておるわけでございますが、先生の御趣旨は、そういう取り消しとかなんとかという前に、まず入ってくるときに防ぐべきだ、こういう御趣旨でございます。

 したがいまして、そういう意味では、今私どもは在宅就業支援団体の登録要件というのを定めようとしておりまして、その要件の中に、これは先ほど来部長もお答え申し上げておる部分があるわけでありますが、在宅就業障害者に対して、就業機会の確保、提供のほか、職業講習、就業支援等の援助を行っておる法人である、現在行っておる法人である。それから、常時十人以上の在宅就業障害者に対して継続的に支援を行うこと。あるいはまた、障害者の在宅就業に関して知識及び経験を有する三人以上の者を置くこととし、うち一人は専任の管理者とすること。さらにまた、在宅就業支援を行うために必要な施設及び設備を有すること、こうした登録要件を入れて、その要件に合致しなければならないという条件をつけることで、先生が言っておられるように、そうした悪質な者の参入を排除したい、私どもは今こう考えておるところでございます。

城島委員 したいという願いはわかりますけれども、それがしたいということと現実にできるかということにおいては、やはり一致しないんですよ、ここは。だから、そうしたいと言われれば、確実にそういうことができるようにスタート段階は少なくともすべきだ。

 全体の流れからいっても、先ほどちょっとこの経過を御説明したように、当初はそういう流れのはずなんですよ。ところが、先ほど政府側から説明があったように、透明性を高めるとかなんとかという理由で、少なくとも公党の我々に対するヒアリングの段階からも変わってしまっている、短期間に。

 そういうことにおいても、やはり私は拙速は慎むべきだと。ここは当初の審議会あるいは意見書どおりにやることが極めて重要な箇所だと思っております。我々としては、先ほど言ったように、ここについてはやはり慎重を期すべきだということで修正案を考えたいと思っていますので、ぜひ真摯に御検討いただきたいなというふうに思います。

 そのためにも、ちょっと支援団体の登録要件とかあるいは対処措置の内容について具体的にお伺いをしたかったんですが、時間がもうわずかになりましたので、取り急ぎ登録要件について、少し駆け足ですけれども、とりあえず御質問をしておきたいと思います。

 今御説明があった七十四条の三の四項ですけれども、「常時十人以上の在宅就業障害者に対して、次に掲げる業務のすべてを継続的に実施していること。」ということですけれども、この継続的に実施していることというのは、登録以前に実施していることを前提としているというふうに普通は読めるわけですが、大体何年ぐらいということに考えているんですか。

金子政府参考人 規定の趣旨につきましては、議員御指摘のように、既にこれを実施しているということでございまして、一定の実績を上げているということで考えていきたいと思っております。

 今すぐに何年ということをここで申し上げられるだけの材料を持っていないわけでありますが、社会通念上見て、確実にこのための業務を行ってきた、社会の評価として一定の実績があるということで、何らかの目安になる年限のようなものは考えたいとは思っておりますが、その点につきましては、具体的な点は今後検討してまいりたいと思っております。

城島委員 この継続的というのは、今後の検討ということですね、大臣。

 では、もう一つ、ここの「在宅就業障害者の希望に応じた就業の機会を確保し、及び在宅就業障害者に対して組織的に提供すること。」この組織的というのはどういうイメージでしょうか。

金子政府参考人 改正法の七十四条の三の第四項の第一号でございますが、四つの業務を在宅就業支援団体の業務ということで取り上げているわけでございますけれども、これらについて、いずれもすべてを継続的に実施しているということで、単に仕事の仲介をするだけではないということ、それに加えた在宅障害者に対するさまざまなサービスを提供することを予定しているわけですが、その中で、ある程度継続的に、在宅就業障害者の方の働く立場に立って一定の業務を提供していく。要するに、スポット的に仕事を出すだけではなくて、在宅の方々の仕事の継続性という観点から、ある程度まとまって、就業のしやすいような形に配慮していく、そういったスポット的でないような形の提供ということを想定しているというふうに考えております。

城島委員 なかなか難しい解釈ですね。組織的にという表現、それから継続的にというのは、抽象的であってなかなか具体的には出てこないわけですけれども。

 それから、同じ四項一のニにある「雇用による就業を希望する在宅就業障害者に対して、必要な助言その他の援助を行うこと。」となっていますけれども、雇用への移行については、どういうことを、どのような結果を出すことを想定されているんでしょうか、ここは。

金子政府参考人 雇用への移行の規定でございますけれども、これは、議員御案内のように、障害者の雇用の促進法の基本的な体系といたしましては、企業に雇われる雇用という形を促進していくということを基本に据えているわけでございますが、先ほど来議員からもお話がございましたけれども、通勤に困難を伴う方、そういった方につきましては、雇用による就業というのはなかなか難しいという実態もあるということで、そういったところにも雇用対策の一環として、雇用という直接の形ではないのではありますけれども、必要な支援をしていこうという趣旨でございます。

 したがいまして、在宅の方で、いろいろな諸事情が許すことによって雇用を希望されるようになった、あるいは家庭の御都合、あるいは御本人のいろいろな御都合があって雇用を希望されるようになった場合には、きちんとしたアシストをしていただく、こういうことを予定しているわけでございます。

 何か具体的に雇用への移行について、このぐらいのものを予定しているというものをあらかじめ何か設定をするということではなく、在宅障害者の方の御意向に即して、御希望に即して、必要なアドバイス、サービスが行われる、こういうことで想定をしております。

城島委員 またもとに戻るんですけれども、終了したので、ちょっと対処措置の内容については別の委員に質問をしてもらいたいと思いますが、大臣、もう一度繰り返しますけれども、今みたいなこともありますので、繰り返して恐縮なんですが、支援団体の登録のところについては慎重に対応するということがますます必要だろうというふうに思いますので、我々から出した場合はぜひ真摯に御検討いただきたいということを強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十九分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 介護保険法に引き続き、本日、障害者自立支援法案の質疑の機会をいただきました。短い時間ではございますが、私も介護保険とともにこの障害者問題にかかわってきたつもりでございますので、地元の声も受けまして、きょうは質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、私が介護保険法と並んで障害者政策につきましても一年半、もともとは介護保険法の年齢範囲の対象の拡大というところで障害者政策との統合ということも、一方で議論の中にありました。その中、地元でいろいろな方とのお話を繰り返しておりました。

 私の選挙区であります奈良の事務所の本当にすぐ近くに、いわゆる精神障害者の方々の小規模作業所というものがございます。このたむたむ荘と呼ばれる小規模の作業所には多数の方々が集い、そこで革細工などをつくったりしながら就労の機会をうかがっている、訓練も含め、そこで一生懸命に集っていらっしゃる、そうした方々からのお声がかかりました。ぜひ現職の国会議員の方のお話を聞いてみたい、障害者の自立支援法という法案が自分たちにどういった影響を及ぼしてくるんだろうか、まだまだ現実には、国民はもとより障害者の方々にも直接、どういった方向に向かうのかということが大変不安でいらっしゃる。そこで私も、訪ねまして、いろいろお話を伺っていきましたが、本当に不安にお感じでいらっしゃいます。

 特に、いわゆる行き場のなくなってしまったと御本人たちがおっしゃる方々、精神障害者の方々は、その作業所で日々集い、そこでの作業を繰り返しながら、精神の安定、病院にも通いながら一生懸命に就労の機会を探っているという状況の中で、今後新たな体系に変わっていく。本法案の中にあります、この小規模作業所につきましてはいわゆる新事業体系という形で変えていくということが制度に盛り込まれております。その新事業体系の中には、就労移行支援あるいは就労継続支援という形の事業の中に組み込まれていく。その場合には、いわゆる自己負担というものが今回の法案の中心に流れているわけでありますが、自己負担ということで、利用料の徴収というものが発生する。

 一体自分たちはどうなっていくんだろうか。この利用料の徴収というものが重く負担としてのしかかってくる場合には、それこそ行き場すら失ってしまう。行き場がなくなる、すなわち、家に引きこもる、社会への窓口が閉ざされてしまう。とりわけ精神障害の方々は一般の社会参画というものを強く希望しておられます。データを見ましても、知的あるいは身体の方々に比較して、一般の社会への就労というものを強く望んでいらっしゃる。ところが、その就労支援の場にも自分たちは参画できなくなる。そうなれば、本当に引きこもって、自分たちは閉ざされてしまうという不安を持っていらっしゃいます。

 さて、この新しい就労継続支援事業等における利用料負担、自己負担、これについて、いわば働きに行く意思がある、あるいは、そこで雇用の契約を持った場合は働いているという部分、そこでお金を払うということに対する大きな不安と矛盾を感じていらっしゃいます。この場でも、議員の方々、同僚議員の方も含めて繰り返しの確認をされていますが、まず、私も、地元の要望を受けまして、冒頭、これの是非についての大臣の御所見をお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 障害者の自立支援を図る上で就労の支援が非常に重要であると考えておりまして、今回の改革におきましては、新たに就労継続支援事業の制度化を図ることといたしております。

 この就労継続支援につきましては、障害者に対し事業者が必要なサービスを提供するものでありますから、他の障害福祉サービスの提供を受けた場合と同様に、利用料として原則として一割の自己負担を求めることといたしておるところでございます。

 しかしながら、就労継続支援のうち、事業者と障害者との間で雇用関係が結ばれているものにつきましては、障害者を雇用する企業と類似していることから、就労の現場の実情を尊重いたしまして、事業者の判断で事業者の負担により利用料を減免することができる仕組みを導入したいと考えておるところでございます。

 また、就労の意欲を高める観点からも、グループホーム等の利用者の負担について個別に減免するに当たっては、就労による工賃が仕送りなどよりも多く手元に残る基準としたいと考えておるところでございます。

馬淵委員 減免の方法もある、また事業者負担という方向もあるんだというお話でありますが、やはり彼らにしてみれば、特に小規模作業所の方々にしてみれば、そこに対する不安というのは大変多うございます。

 そして、一方で、就労、いわゆる職業訓練の機会を探っているという状況になれば、ある意味自己投資という部分があるんだというお考えも担当の厚労省の方々からお話を聞きました。しかし、私は、そこで一つ考えねばならないのは、一般に自己投資を行う、みずからの投資だということで我々がさまざまなスキルを身につけようとして行くのと、このような場合の、障害をお持ちの方々が行くところというのは、これは大きなやはり違いがある。その部分においては、利用料徴収についての不安というものをぜひ取り除かねばならない。今のお話の中で、事業者というものが判断できるというお話でありましたが、小規模作業所というものがどういう形に移行していくかということが、これが問われていくわけであります。

 そこで、今のお話ですと、そういった減免措置もあるというお話、あるいは減免といいますか対応の仕方は幾つにも分かれているんだというお話でありますが、となりますと、この新事業体系への移行というところで、小規模作業所そのものが将来どういう形で障害福祉の中に形として残っていくことをお考えになっているのかということについてお答えいただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 今お話しの小規模作業所でございますが、小規模作業所や小規模通所授産施設につきましては、障害者の皆さんの働く場、働きの場、それから創作活動の場、社会参加の場として大変重要な役割を果たしておるものでございます。

 そこで、今回の制度改革におきましては、より障害者の皆さんの支援につながるよう、既存の施設や事業について、例えば、就労に必要な能力等をはぐくむための支援、それから就労の機会の提供、また重度の障害者に対する創作的活動などの機会の提供といった機能に着目して再編することといたしておるところでございます。これは再三申し上げておりますけれども、機能に着目して再編するということにいたしております。

 そこで、小規模通所授産施設や良質なサービスを提供する小規模作業所につきましても、障害者自立支援法に規定する事業を選択して実施することにより、自立支援法に基づく事業所として御活躍いただけるものと期待をしておるところでございます。

 このために、平成十七年度予算、本年度予算でございますが、におきましては、小規模作業所等の充実強化を図るための事業を創設いたしますとともに、今後、都道府県の策定する障害福祉計画に基づきまして、計画的に自立支援法に基づく事業所に移行できるようにしたいと考えているところでございます。

 なお、移行しない小規模作業所等に対する運営費の補助につきましても、先ほど午前中にもお答えいたしましたけれども、新体系への移行状態も踏まえまして対応してまいりたいと考えております。

馬淵委員 六千もあるわけですから、法定外施設、これがすべて想定される事業に移行できるかというと、これはなかなか難しいかもしれない。ですから、法定外のこうした作業所に対する、今大臣、午前中にもお答えいただいていましたが、その支援というものについては、これは相当しっかりとしたものを考えなければならないということを明確に今御指摘をいただいたというふうに理解をします。

 ただ、本当に今の作業所のレベルでいえば、私たち自身は、その作業所の方々は、では、これはもうなくなるということを前提にされてしまっているのかという大きな不安をお持ちでいらっしゃいますので、そこに対しては、法定外の施設といえども今日の福祉事業を支えてきたその礎でありますから、しっかりと小規模作業所の方々に対する支援というものについては定めていっていただきたい、これを強く念じるわけであります。

 さて、精神障害の方々が集まっていらっしゃる場面で、私は、一番不安は何ですかということであれば、その場所がなくなるのではないかというのと同時に、一方、自分たちがこうして通えるのも、ある意味医療によって安定している状況があるからだということを話されています。そして、その安定している状態をつくれるのは、何といっても公費負担、通院公費の形で、自分たちが五%という医療費によって処方していただけることがあるからだ、これは大変ありがたいんだということをおっしゃっています。

 ところが、今回、障害の一元化ということで、三障害を一元化するという理念そのものには賛同できるわけでありますが、この通院公費に関しては同等に一割の負担に上げていく。もちろん、これも所得等のレベル、段階によってさまざまな形態をとっていただいているのもよく理解をしていますが、通院公費について一元化にするんだからということではあるんですが、一方で、この伸びというものは一体どういうことがあったんだろうか。

 通院公費は、これを見ますと、確かに他の更生医療や育成医療に比べますとけたが全く違う。育成医療二十二億、更生医療八十六億と、平成十七年度のこの数値を見ましても、通院公費に関して五百四十七億という予算の推移を見て、大変大きな額であることは間違いありません。

 この通院公費が伸びてきたということについての理由というのは、まずどういうものか、端的にお答えいただけますでしょうか。

塩田政府参考人 精神障害を持つ方が地域で暮らすという意味で、精神の通院公費医療制度は重要な役割を果たしておりますし、この制度がきちんと持続することが大前提ということでございます。

 精神障害者の通院公費医療費の伸びの要因でありますけれども、利用者が増加して利用件数が増加しているというのが一番大きな原因だろうと考えております。

 具体的な数値で申し上げます。平成十一年度と平成十五年度を比較したものでございますが、総医療費が、これは一年間ですが、一千七百億円から約二千八百億円へ一・六倍になっております。それから、今度はレセプトによる件数、一人一月一医療機関というレセプト件数ですけれども、約六百三十万件から約九百二十万件へ約一・五倍になっております。それから、一件当たりの医療費、月一人当たり一件ですけれども、約二・七万円から約三・一万円、一・二倍ということになっております。

馬淵委員 要は、やはり患者がふえているということですよ。もちろん、それぞれの一人当たりという部分はあるかもしれませんが、精神を病まれ障害になった方々がふえてきている。この現実ということを考えますと、単に認定の甘さとか乱用があるという話じゃないわけです。そういう意味においては、これは必要なものであるということの一つの観点は決して忘れてはならない。

 そして、必要な通院公費について、これを一元化していくということで、一割ということが今上がってきているわけでありますが、私は、そのときに、一方でこの負担を五%から一〇%に上げるときに、精神障害者の方々が受けとめる意味合いの違いというのが一つの観点としてあるのではないかと思っています。これは、彼らにとってみれば五%から一〇%、いや、それでも全体としては、一割負担はほかの障害も含めて一緒なんだよ、こうした制度設計の中での御説明だと思いますし、趣旨だと思います。

 ところが、彼らにとってみれば、倍になるというストレス、不安というものは大変大きなものでして、我々が感じるような負担、一割じゃないかというレベルとは違う受けとめ方をされる。特に、そのことによって通院ができなくなるのではないかというような、また、より大きく、不安が不安を倍増させるという、そのストレスによって倍増させるということが起きがちであります。私も、お話をしていて、五%から一〇%になるということの意味合いは、ある意味では本当に強く感じていらっしゃる気がしてならなかったんですね。

 そういうことを考えますと、一方で厚生労働省の観点として、精神障害特有の長期にわたって通院を続けなければならない状況ということを考えたときに、この一元化という理念、そのことも十分勘案できますが、一方で特有の事情というものを考えなければならないということについての議論は十分になされたんでしょうか。これについて大臣、端的にお答えいただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 これは、今先生がお述べになっていただきましたように、まず全体の制度、社会保障を取り巻くさまざまな法律がある。そうした中の全体の整合性の中で、今度の見直しにより整合性のあるものにしようということで一割負担をお願いする、これはお述べになっていただいたとおりであります。

 ただ、その中で負担になる方、特に所得の低い方とか重度でかつ継続的な医療費負担が生じる方といったような、医療費が家計に与える影響が大きい方とか、いろいろあるわけでございますから、私どもは、そうした方々に対して配慮いたしまして、所得に応じた負担上限を設けることにしたところでございます。きめ細やかな配慮をするということで、そうした不安を感じる方々に対しておこたえしようとしておるところでございます。

馬淵委員 経済的に厳しい方にはそうした制度が用意されている、これも十分この委員会の審議の中でも御説明をいただいていますし、私も担当の方からお話を聞いています。

 ただ、私が申し上げているのは、結局、精神障害の方々というのは、ストレスや不安という部分が強くのしかかってくることによって、より病状といいますか状態の悪化というものが招かれる。特に、通院抑制ということが、そのままイコール自分はもう病院に通えないんだ、通院を抑制せざるを得ないんだという状況を想定した瞬間にどうなるか。

 例えば、一般の生活習慣病の方々であれば、通院抑制というのは、自分で健康管理をしながら、糖尿病などであれば、運動をすることによって通院を抑制する、イコール医療費を抑制するといったことも自発的に行えます。

 しかし、精神障害の方々は、そうではなくて、ストレスや、ある意味、本来今持っておられる脆弱性の状況によって、よりその通院抑制というものが重くのしかかってくる可能性がある。これは、同僚議員の山井さんなんかもしっかりとこの場でお話しされていたように、それがすなわち、病院に行けないイコール自分の状態は極めて悪化した状況になってしまうんだという不安感から、もう生きていけないというような極めて厳しい状況にまでみずから追い込んでしまう可能性がある。

 私は、この通院公費の問題は、結局は、この段階で一元化という中で一律にということを持っていくときに、これは障害の方々を最終的に追い込んでしまう制度になりかねないということを大変懸念しております。そして、これはこの委員会の中でも、自殺する者が出てくるんじゃないか、その責任云々という議論もありましたが、それについての可能性ということについて、厚労省としては、どの程度まで真剣に議論してこられたんでしょうか、それについてはどうお考えなんでしょうか。通院抑制イコール自殺にまで結びついてしまうことも含めた、大変厳しい重い状況になるんだということについての厚労省の御見解というものを、大臣、お答えいただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 この改正案をお出しいたしますまでに、私どもも、いろいろな場で御議論いただいております。審議会の御議論もいただいております。そうした中でそうした関係の皆さん方のお話もまた伺っておりますので、そうした中で御理解をいただくべく努力をしたつもりでございます。

 あとは、今先生のお話をお聞きしながら、改めて、とにかく私どもにできますことは、丁寧に丁寧に御説明申し上げて、御理解をいただくことだというふうに考えております。

馬淵委員 理解を求めるというお答えでしかないようでありますが、私は、やはりもう少し特段の、そこの部分を勘案した、精神障害の方々の状態ということを勘案した制度設計ができなかったのかということに対して、大変危惧を感じております。

 こうした精神障害の方々だけでなく、本当に今不安をお持ちの方々が多数いらっしゃる。また、別のグループや別の方々という意味では、私は、身体のまさに二十四時間介護が必要な方々とのお話し合いの中で、今度は別の観点でございますが、御意見を伺いました。

 それは、重度者、特にALSのような身体障害が重い、重度の障害をお持ちの方々の中で、今支援費で受けている状況でありますが、これが包括払い制度に移行していくというときに、この重度者に対しての包括払い制度そのものが、サービスの量や質の低下に大きく影響を及ぼしてしまうのではないかという懸念をお持ちです。

 毎月二十日を過ぎれば、それこそボランティアの方も含めたシフトの組みかえを御自身で一生懸命考えて、それは重度身体障害者の方々にとってはローテーション戦争と呼ばれるような日々の悪戦苦闘がありますが、包括払い制度という形になる中で量や質というものが大きく低下してしまうんじゃないか。この懸念について、大臣、どのようにお考えか、御所見を願います。

尾辻国務大臣 重度障害者等に対する包括支援についてのお尋ねでございます。

 この重度障害者等包括支援は、ALSなどの極めて重度の障害者を念頭に置いておりまして、一つのサービス提供事業者が、ホームヘルプサービスを初め複数のサービスを適切に組み合わせまして、柔軟に利用者に提供いたしまして、これに対して毎月一定の報酬を支払うという新たな仕組みでございます。

 こうした仕組みを導入することによりまして、緊急のニーズに際して、その都度支給決定を経ることなく臨機応変の対応が可能となりますほか、一定の支給額の範囲内において、利用するサービスの種類、量や単価を自由に設定することなどが可能になるものと考えております。

 具体的な対象となる方の範囲や事業者の基準、給付の水準等については、今後、厚生労働科学研究や全国のサービス利用実態調査などを通じまして、在宅の重度の障害者の生活実態やサービスの利用状況などについて把握をしながら、必要なサービスを効果的、効率的に提供する観点から検討してまいりたいと存じております。

馬淵委員 一定額の報酬をこれから決めていく、そして、その量や質に関しては十分な配慮をというお話であります。

 結局、障害の方々が御心配されているのは、今まではきめ細かく、その意味では代理受領という形できめ細かくできたものが、本当に、この包括払いの中で、自分が今まで受けていたサービスが受けられなくなってしまうのではないかという大変な不安があるわけです。さらには、結局、月間の金額というものがどうなっていくのか、これが最大のポイントになってくるわけですよ。ALSの方々、月額でいうと大体二百万ぐらいかかっておられる方というのもいらっしゃるわけです。

 今のお話では、一定額の報酬を実態調査を含めて決めていくというお話でありましたが、では、もう少し具体的に、その決め方と、それをいつまでにどのようにして決めていくのかということについて、お答えいただけますでしょうか。

塩田政府参考人 ALSの方のように極めて重度の障害者の方々には、御指摘がありましたようなきめ細かなサービスを提供することが必要だと思っております。現状は自治体などによってかなりのばらつきがあるということでございます。

 今度、重度障害者等包括支援というのを法案では盛り込んでおりますけれども、どういう額を設定するかというのは非常に重要な問題であると認識しておりまして、今後、厚生労働科学研究による研究班を設置したいと思っておりますし、あわせて、全国の自治体を通じまして、サービスの利用実態調査を今行っております。

 これらを通して、在宅の重度障害者の生活実態あるいはサービスの利用状況などをきちんと把握いたしまして、サービスを適切かつ効率的に提供できるよう、ことしの秋までには何らかの取りまとめをしたいということで、現在、鋭意作業をしているところでございます。

馬淵委員 これから決めていくということなわけですね。秋までにということで、その対象者や、あるいは各地域の自治体の格差も含めて調べていって、適切な額をというお話でありますが、法案をつくっていく中で、やはり、そうした指針、大きな方向性が見えない状況の中で、これは本当に今不安でいらっしゃるわけですよ。

 一定の額について、これから調べていく等々お話しですが、スタンスとしては余りにも拙速に過ぎないか。先ほど来私が申し上げているように、例えば精神障害の方々に対する配慮という部分も、一律に考えていこうというところが先に勝ち過ぎてはいないか。

 今回の支払い制度に関しても、一定額の報酬についての精査、調査ということが、秋口までにはというお話ですけれども、それが見えない中で法案が出てくるというのは、何か慌てて出されている、あるいは、何か時期というものが違うのではないかという気がしてならない。こんな声がやはり聞こえてまいります。

 こうした一定額の報酬の決め方についてのお話、今お伺いしても、これが果たしてしっかりとした法案審議の流れにのっとった進め方かどうかというのは私は大変疑問を感じる。介護保険のときもそうだったんですが、どうも、今回のこの法案に対しては、期限というものが先走ってしまっているような気がして仕方がないわけであります。

 さて、今のお話でありますが、さらに、重度障害者の方々や、今度はそれを取り巻くその集団の方々ともお話をしてまいりました。それも一点お聞きをしたいわけです。

 そこではグループホームをやっておられました。グループホームについても今回の支援法の中では大きな変更がございます。これはケアホームとグループホームという形で、重度の方々と軽度の方々、これを区分してというか、それに見合った仕組みをつくっていこうというお話でした。

 これに対しては、いわゆる事業者責任というものが明確になっていない場合があるということで、重度の方々が軽度の方々と同等のサービスしか受けられないような場面もあるから、これはしっかりと制度の中で担保していこうという御判断だというふうに御説明を受けました。

 これも、私としては理解ができないわけではありません。しかし、現実のグループホームという現場を本当によくごらんいただいていたんでしょうか。私が見てきた限りでは、例えば重度の方々と軽度の方々が一緒に、グループホームの中でお互いに支え合うということによって、極めて、共生、そして生きがいというものを感じているという場面を多数見てきました。

 居住権の侵害というお話もこの委員会での議論の中にありましたが、居住権の侵害ということもさることながら、私は、グループホームの再編の中で、重要な問題は、実はケアホーム、グループホームという形で区分をしてしまうこと。制度設計、たてつけとしては、確かに管理者としては楽なのかもしれません。しかし、現実に生きる人々の心持ちとしては、支え合うというこの仕組みというのは本当に重要だと思っているんです。

 例がぴったりかどうかわかりませんが、例えば私自身、介護保険のときにもお話をしましたが、認知症の母と寝たきりの父の介護、手としては私や家内が一番、十分に間に合う手です。しかし、それよりも、子供たちの世話というものがある。十分な手ではありません。しかし、子供たちの世話によって、その中での心の交流やいわゆる調和というものが生まれてくる。社会というのはそういうものじゃないですか。現実には、グループホームの中で、障害者の方々が集った中で、重度と軽度の方々がお互いに支え合うという現実があります。

 これに対して、私は、居住権の侵害という議論よりも、むしろお尋ねしたいのは、支え合う形でのグループホームというものがあるんだということについて、そういった認識で、視座に立ったときに、今回の再編が偏り過ぎはしないかということについての御見解をお尋ねさせていただきます。

尾辻国務大臣 まず、今お述べになったような例を、そういうものの存在、そういうホームの存在を否定しておるものではありませんということを冒頭申し上げたいと存じます。

 そこで改めてお答えを申し上げます。

 今回の法案におきましては、支援が必要な方に対して、それぞれの状態にふさわしい支援を行っていくという観点から、今お述べいただきましたように、現在のグループホームを、介護が必要な方を対象とするケアホームと、就労している方等を対象とする、そういう言い方でしますと、軽い方の方のグループホームに分けることといたしておるわけでございます。

 現在の知的障害者グループホームについては、重度単価が設けられておりますけれども、人員配置義務がつけられていないことから、グループホーム以外の外部の事業者から責任関係があいまいなままサービスが提供されるといったケースも見られており、これはもう既に御説明申し上げたとおりであります、今回の改正の見直しが必要であると考えておるところでございます。

 現にさまざまな障害の程度の方々が同居しておられる実態がありますから、今お話しのとおりであります、事業者が責任を持って利用される方に良質なサービスを提供するということを前提に、グループホーム対象者とケアホーム対象者を一つのホームで支援を行うための具体的な条件については今後検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

馬淵委員 そこも検討してまいりたいというお話でありましたが、ここは、観点としては、本当に支え合っていくということの重要性というものをしっかりと御認識をいただけたらというふうに思います。

 時間も余りありませんので、もう一点お話をさせていただきたいんです。

 障害者の方々とお話をしている中でさらに出てきた話として、御心配、御懸念の部分というのは、障害認定並びに審査会についてであります。認定並びに審査会の仕組みについて、これも当委員会でるる御説明も繰り返されていると思いますが、私も地元からのお尋ねがありました。これについて、端的に仕組みについて御説明いただけますでしょうか。

塩田政府参考人 今度の法案で、市町村がそれぞれの障害者にふさわしいサービスを決定して提供していくというのが大きな枠組みでございます。

 したがいまして、市町村は、障害者のいろいろな状況とか、介護者がいるとか住まいがどうとか、いろいろな形で、障害者自身のお声も聞かなければいけませんし、家族の方の意見も聞かなければいけませんし、介護者の意見も聞く。そういういろいろなことをよく聞いた上で障害程度区分を市町村なりでつくり、その上で公平かつ専門機関である審査会の御意見を聞くという仕組みになっているわけであります。

 それから、市町村が決めた定型的なサービスじゃないものを市町村がサービスとして提供したいというときに、これまた審査会の意見を聞くということでございます。

 ですから、審査会は市町村を公平かつ専門的な立場からサポートする役割があるということで、そこの審査委員は障害福祉に関する専門の方が望ましいというかそういう方にしてほしいということで、法案に規定をしているところでございます。

馬淵委員 これも当委員会で議論のあったところでありますし、専門家だけでなく、本当に障害の実態、特殊な事情というもの、特別な事情というものがわかる方、障害をお持ちの方も審査会のメンバーに加えるべきであり、また、そうした認定の仕組みについても、現行、今行われているさまざまな御判断をしている市町村の方々、こうした方々がこうした審査会に変わったときに大きくずれないように、そごのないように進めていかねばならない、私はそういうことを強く思うわけであります。

 今回、この審査会が設定される中で、私は、これは介護保険の中での審査会、すなわち一次判定のコンピューター判定あるいは二次判定の審査会判定という介護保険での認定の仕組みとの一体化という部分が視野にあると感じております。

 介護保険の認定並びに審査会等あります、それらの関係について、近未来、将来的な形で、今どういう厚労省のお考えがあるのかということをお聞かせいただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 今介護保険における要介護度の認定との一体化という表現をたしかお使いになったと思いますけれども、そういう表現で申し上げますと、私どもは今一体化を考えているものではございません。

 ただ、新制度における障害程度区分というのは福祉サービスの必要性に関する心身の状態を総合的にあらわすもの、こういうふうに申し上げておりまして、確かに区分をいたしますときには介護保険の要介護認定基準の項目というのも当然使われるということにはなろうかと思いますけれども、それぞれに、例えば精神障害者の皆さんでしたらその特有の調査項目を入れまして、障害種別の特性を踏まえた基準となるように、本年六月から試行事業をいたしますので、今後その結果を踏まえて検討いたしたいというふうに存じておるところでございます。

馬淵委員 現行では別々のものですから、確かに一体化と私今言葉では言いましたが、現行では別々のものですからそれぞれの機能を持ったもの。ただ、将来的に見れば、当然ながら審査会にかかわる方々というのは、判断することができるという意味で、同じメンバーの方々がその審査会の中で共通するということも当然あろうかとは思います。その意味で一体化というような表現をさせていただいたわけであります。

 いずれにせよ、介護保険法との密接な関連というものは当然出てくるであろう、こういうふうに今のお話の中で私は感じるわけでありますが、となりますと、介護保険との関係ということについて、やはり本法案というものが常にそこを前提としているということが強く出ていると思われます。

 この委員会の中でも、十一日の審議の中では、石崎委員あるいは古屋委員、お二方から大臣に対して、本法案というものが介護保険との条件整備であることをまず明確にというような御指摘があったり、あるいは、全体としては介護保険法との相似的な制度ということが指摘され、大臣がそれに対してお答えになっておられます。

 そのお答えというのは、介護保険は平成十八年度末までに結論を出す、前回の審議の中でもそれを明言され、附帯決議されましたが、今回の法案というものはそのこととはどういう位置関係になっているのかということ、これについて私は非常に矛盾を感じているわけであります。

 というのは、もともとセットで、相似的な形でセットでこれが議論されて上程されるところまで来ていた。しかし、対象範囲の拡大に関しては先送りとなってしまったが、それを前提としたたてつけで本法案がつくられてしまっている。介護保険に関してはその拡大が先送りされているにもかかわらず、本法案に関してはこれがそのまま出てきてしまったということ、これについての矛盾というものを私は感じるわけでありますが、大臣、これについてはいかがお感じでしょう。

尾辻国務大臣 申しわけありません、矛盾とおっしゃった部分の、どこの部分を矛盾と言っておられるかということが私よく理解できませんでしたので、的確なお答えにはならないかと存じますけれども。

 改めて、今回私どもが改革、新しい改正案として御提案申し上げておりますことは、これは改めて申し上げることもないと思いますけれども、障害者の皆さんの支援費制度に対する利用者が急増しましてこのままでは制度を維持することが困難になっておりますし、それからまたサービス提供の水準についても地域間の格差が大きいこと、それから精神障害者の皆さんが対象になっていない、こうした課題がございましたから、その見直しを検討してきて今回の提案をさせていただいておるところでございます。

 申し上げておりますことは、そのことはそのことできっちり整理して御提案を申し上げておるところでございますということをお答えいたしたところでございます。

馬淵委員 私は、今のお話を伺っても、介護保険法と同じ構図というものがどうしても頭に浮かんでくるんですね。

 介護保険法は、軽度者の介護というものを、介護保険法の中では要支援、要介護一といった軽度者の介護が急増して、そしてそれが負担ができなくなってきたということで、対象範囲の拡大も含めて議論をされてきた、ところがそれに対しては先送りをされた。そうすると、新予防給付という形で軽度者の部分に関しては一方で切り分けを行った。今回の障害者の自立支援法に関しても、支援費が急増した、この支援費の急増の中でそれをどうにかしなきゃならぬということで、障害者自立支援法というものに置きかえて、そしてその中で、障害の一元化ということで自己負担なりの仕組みを盛り込んでいっている。この構図というのは、介護保険法の中で問題となったことと全く私は変わらない構図ではないかという気がするんです。

 この障害者支援法というものが、潜在的ニーズを顕在化させた上で、今度は抑制しなきゃならぬということで慌てて負担なりを求めている。結局は、厚労省の本来の責任、支援費制度が破綻しかけてしまったということの責任というのはないがしろにして、置き去りにして、国民あるいは障害者の方々への負担というものを強く求めているという構図、これは介護保険法と全く変わらない状況ではないかと私は感じているわけです。

 大臣、これに関してはいかがお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 確かに、私どもが介護保険の改正をお願いしたときも申し上げました、介護保険の対象の方というのが五年間で大きく伸びました、そのことに対して持続可能な制度を考えなきゃいけませんということは申し上げたところであります。それから、再三申し上げておりますように、今回この自立支援法を御提案申し上げたことにつきましても、支援費制度が財政的に大変厳しくなった、その背景もありますということも申し上げたところでございます。

 その両方は確かにそれぞれ申し上げたわけでございますし、また社会保障全体を、すべての制度を持続可能なものにしなきゃいかぬという今私どもに与えられた大きな命題もございます。それぞれの中で私どもは対応をさせていただいておるつもりでございます。

馬淵委員 もう時間もなくなりましたのですが、結局、介護保険のときにもあれほど議論の中で大きな課題となった、本来の責任というものをそのまま横に置いておいて負担を求める、あるいは、一たんは制度をつくって、そして、ふえてしまったからそれを切り捨てるというようなその発想というものが根底に流れている。この障害者自立支援法についても、介護保険とのセットの中で、同様の考えでこれが今回盛り込まれていると私は強く感じております。

 その意味で、この法案に、本当にまだまだ十分な審議と、そしてその問題点についての十分な御審議が必要であるということを申し添えて、私の質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

大村委員長代理 次に、水島広子君。

水島委員 民主党の水島広子でございます。

 今回の自立支援法案については、そもそもの財源の確保の仕方、また、それに伴って発生した応益負担という世にもおかしな仕組み、そこに最大の問題があることは既に指摘をされてきたことでございますけれども、ただ、これらの問題については、本来は、政権の意思決定の最高責任者である小泉総理大臣に問うべきだと私は思っております。厚生労働省にこれだけの予算しか渡さないということを決めたのは、財務大臣、そして最終的には小泉総理大臣でございます。

 ぜひ、この委員会に、小泉総理大臣、そして財務大臣を呼んでいただきますように、委員長、お願いいたします。

大村委員長代理 理事会で前からも議論になっておりますが、また引き続き御相談をさせていただきます。

水島委員 それをお願いした上で、本日は、厚生労働大臣の権限の中で十分対応できる点に絞りまして、主に精神障害者についての質問をさせていただきたいと思います。かなりの覚悟で来ておりますので、ぜひ、きっちりと御答弁をいただけますようにお願いいたします。

 精神保健福祉法の三十二条というのは、今まで精神障害者を大きく支えてまいりました。また、私自身、精神科医として、三十二条という制度がなければ治療を継続できなかったと思われるケースを多数経験しております。治療を継続することによって、生活の質が保たれただけではなく、命を救えたと思えるケースもございます。

 この三十二条に手がつけられるのではないかといううわさが流れ始めておりましたけれども、幾ら何でもそこまではという思いでおりました。厚生労働省がここまで精神障害のことを理解していないのかと、今回本当に驚いているところでございます。今回の三十二条廃止に向けての手続の乱暴さは、昨日、参考人の方も指摘されていました。

 財源の問題が言われておりますけれども、これも例によって一部の乱用ケースの問題でございます。そもそも、三十二条の通院公費負担制度を利用している人の数は、精神科外来患者の中で決して多いとは言えません。やはり、精神障害に対する差別に満ちたこの社会にあって、精神障害者という烙印を押されることを恐れて使わないのです。余裕のある層は、烙印を押されるよりはと、制度を使わずに自力で医療を受けています。この精神障害に特有の特性を忘れてはならないと思います。

 その中でも、現在三十二条を使っている方というのは、使わなければ医療を受けられない人と言ってよいと思います。もともと三十二条がなければ医療を受けられない人に対して、さらなる負担を求めるのが今回の法改正ということになるわけです。

 また、精神障害者で福祉サービスを受けている人は、ほぼすべてが医療を受けているという現実がございます。福祉と医療の二重負担が常につきまとうという特性も忘れてはなりません。多くの精神障害者にとって、福祉と医療の両方がそろってやっと病状が安定して、地域に居場所ができるということも重要なポイントでございます。

 今申し上げてまいりました、精神障害者が置かれているこの三十二条を取り巻く現状について、大臣は了解されているでしょうか。

尾辻国務大臣 御質問の趣旨を、まず、今、精神通院医療制度を利用されている方が、本当に必要な医療を受けていただくためにその制度を使っておられるのか、その辺をきっちり理解しておるのかという御質問で一点はあろうかというふうに理解いたしましてお答えをいたしますと、それはそのとおりであると思いますということを申し上げたいと思います。

 それから、これは何でも、こうした私どもの社会保障全般について言えることでありますけれども、そうしたことが、両方のサービスが必要な方について言うと、医療と福祉サービスの両方相まってサービスが成り立っておる部分は極めて大きいというふうに考えております。

水島委員 そしてまた重要なのは、精神障害者の場合、家族が病気や治療の必要性を理解していないことが多いという現実でございます。服薬を続けなければ病状の安定が失われてしまうのに、いつまでも薬に頼らないでと服薬をやめさせようとする家族も少なくありません。これは、どれほど病気の経過が長くても同じことです。家族が皆治療に協力的なわけではないわけです。家族として当たり前の愛情を持ち、生計を一にしているということと、治療に協力的であるということは決してイコールではございません。

 そんな中、経済的な負担がふえれば、受診を抑制しようとする家族は必ずあらわれます。本人に病識、つまり、自分が病気であるという自覚がないというケースもございまして、そういう場合には事態はさらに絶望的になってくると思います。

 まず、大臣、家族が必ずしも治療に前向きではないという現実を了解しておられるでしょうか。

尾辻国務大臣 今言われました、家族の皆さんが治療に前向きでないという、そこまでしっかり理解しておるといいますか、現実を知っておるかと言われますと、私も正直申し上げて、そこまできっちり理解をしておるものではございません。

 ただ、例えば平成十五年の精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査事業報告書、これによりますと、「地域での生活で困っていること」として、外来患者の方の一五・九%が、ほとんど一六%の方が「家族とのつきあい」を上げておられるというようなこともございますから、そうした中に今お話しのようなことも含まれておるのかな、こういうふうには認識をいたしております。

水島委員 大臣、本当に尾辻大臣らしく率直にお認めくださいまして、ありがとうございます。

 家族としては、当然愛情は十分にあるし、御本人のためになることをしたいという気持ちは家族としては十分に持っていらっしゃるけれども、やはり、精神障害を持っている、病気を持っているということに関してずっと認めたがらない方、そして、薬というものに関して非常に強い偏見を持っておられて、これなくしてやっていけて初めてこの子の自立なんだというふうに思っていらっしゃる方、そういう方が実は多いわけでございまして、精神科の臨床の場というのは、実は、そういう御家族との闘いと言うと言葉が悪いですけれども、本当に御家族とのやりとりの場であるということも現実には多いわけでございます。

 大臣、今率直にお認めくださいましたので、ぜひ、この三十二条のことを考えていく上で、また今回の精神障害者の自立ということを考えていただく上で、この御家族と御本人との関係が精神障害者ゆえに特殊な要素があるのだということをちょっと新たに頭に入れていただいて、また御検討いただけますようにお願いいたします。

 また、精神障害者の特性ということでいいますと、御本人の罪悪感というのも実は大きな問題です。精神障害者の多くが、病気になった自分、病気を治すことができない自分に関して罪の意識を持っておられます。そして、家族に負担をかけているという負い目を持っています。

 これはもちろん御本人の責任では全くないわけであって、私たちは一生懸命それを説明するわけです。これは病気なんだということを説明するわけですけれども、それでも精神の病というのは、どうしても目に見えないもので、多くの人がいまだに精神力で何とかなるというふうに誤解をしているところがありますので、この病気を克服できないのは自分の意志の力が足りないんだというふうに思い込んでいる方が非常に多いわけです。これは、そうではない、理屈をわかっているような方であっても、心の底ではそういうふうに思っていることが多くて、ちょっとした刺激によってそれがすぐにぶり返してしまうという特徴がございますので、これも絶対に忘れてはいけないわけです。

 もちろん、こんな罪悪感を持っていただくということはストレスをふやしますので、病気の治療上決してプラスにはならないわけでございますから、私たちは常にそんなことはないのだと説得を試みているわけですけれども、幾ら医療者が口をそろえてそのように言おうとも、実際には、生活上、有形無形のプレッシャーを周囲から受けているわけであって、また、病気の特徴として罪悪感を持ちやすいということも、これは病気の性質を問わずにございますので、本当にこれを修正していくということは非常に難しいものでございます。

 この精神障害者は罪悪感を持ちやすいという特徴があるということを、大臣は了解しておられたでしょうか。

尾辻国務大臣 これも、正直に申し上げますと、今お話しいただいたような形で、ではおまえがわかっていたかと言われますと、そこまで理解していたとは申し上げることはできません。

水島委員 本当に私は尾辻大臣はすばらしい大臣だと思っておりますけれども、今またその思いを新たにしたところでございます。率直に認めてくださってありがとうございます。ぜひ、また先ほどと同じでございますけれども、新たにそういう情報を頭に入れていただいて、制度の組み立て直しをしていただきたいとお願い申し上げるところでございます。

 本当にこれは理屈で割り切れることではございませんし、心の病というのは決して精神力で乗り越えられるものじゃないんだ、病気であって治療が必要なんだということを、もちろん大臣御自身もアピールしていただくことが必要ですけれども、大臣のようなすばらしい方がおっしゃっても、すべての人がそうですかと納得する問題ではないほどに、本当に社会の奥深くにしみついている偏見でございますので、ぜひこれはしっかりと、制度を考える上で必ず考慮に入れていただきたいと思います。

 そんな状況で、これ以上経済的な負担がかかるということになりますと、自分は家族にとって、そして社会にとって迷惑な存在だという気持ちが強まり、自殺すら考えるケースが出てもおかしくない、このことは既にほかの委員も指摘をしてきていることでございます。

 また、既に現在三十二条を利用している方たちは不安の渦中に陥れられておりまして、不安から病状が悪化している方もいます。また、自分たちは生きていることすら許されないのかと言っておられる方もいます。そのように今回の改正が受けとめられているというわけでございまして、これは、精神障害者の特徴、そして現在置かれている特殊な背景を考えれば、私は決して大げさな反応ではないと思います。

 また、現在三十二条を利用していない方であっても、いざとなったときの安心がなくなることへの不安を訴えておられます。

 精神障害者にとって、治療が継続できる環境をつくるということは歴史的に大きなテーマでございます。そして、地域の福祉サービスを利用して、地域で孤立しない仕組みをつくることが本人にとっても大きなプラスになりますし、同時に、地域の人々にとっても、精神障害者とのコミュニケーションを確保して安心して共存していくための大きな目標でございました。

 きれいごとを言うのは簡単ですけれども、実際に地域に暮らしている方たちが精神障害者に対して偏見を持っていないなどとはとても言い切れません。やはり未知のものに対する不安感というものはございます。精神障害者が地域の一員として、そして、できるだけ病状を安定させて、もしも病状が不安定になったときも必ずここに行けばまた対処してもらえるのだということがわかっているような中で共存していくということが、もうすべてのきれいごとを抜きにして、本当に精神障害者が地域の一員となっていくために必要なことだと思っております。その方向に沿って厚生労働省の施策も進められてきたはずだと私は自分なりに理解をしておりました。

 現在、心神喪失者医療観察法の施行を前にして大変な問題が起こっておりまして、これについても私は厚生労働省に今度日を改めてしっかりといろいろと質問をさせていただきたいと思っているんですけれども、このひどい法案の審議のときでさえ、二年前でございましたでしょうか、精神障害者の治療を中断させないことの重要性を厚生労働省も再三再四訴えておられたわけです。今回、こんな改正を提案して、それが治療の中断をふやすということを考えていないとしたら、やはりおかしいと思うんですけれども、これらの疑問に対して納得できる答弁がございましたら、大臣、お願いいたします。

尾辻国務大臣 今お話しいただいたことと私どもが目指すもの、これは同じ方向だと思っております。

 そして、制度をいじりますと、やはり制度をいじることによるプラスの面だとか、あるいは、マイナスと言ったらよくない表現かもしれませんが、ややそういったような面も出てくる、これは私どもが制度をいじるときにやはり出てくる問題だと思っております。

 あえてそういうことをまず申し上げますのは、現在の制度におきましても一律五%でございますから、高額の医療費になった場合は、それでも五%ということになりますと、それは大変高額になるケースもございます。そうした皆さんの場合で、それが低所得者であった場合には、これは大変厳しい状況にあるだろうなと思うわけでございまして、現実の、今の制度の中でもやはりそうした問題はある。そうしたものもできるだけ私どもとしては解消しながら制度を変えていきたいと思っておるということを申し上げたところでございます。

 したがって、これから先はこれまでずっと申し上げてきたことでありますけれども、全体の整合性の中で、まず一割という負担をしていただく、ただ、低所得の方だとか、そうした方々に対して無理のない負担になるようにということできめ細かく配慮していきたい、そういう制度にしていくということで、よりよい制度にしたいということを今私どもは申し上げているところでございます。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

水島委員 今まで一律五%とはおっしゃいますが、自治体によって、独自の制度を持っていて、実際には自己負担をゼロにしているところもあるわけでございます。

 私も、今回このやりとりを厚生労働省の方としていて、そうはいったって五%が一〇%になるだけじゃないですかというような言い方が非常に気になっていまして、これはかなり大きな違いですし、また、これから申しますけれども、今度、その対象から外れて三割になるという方も出てくるわけでございまして、五%が三割といったら、これは本当に大きな、全くけた違いの話です。

 また、五%が一〇%になるというのも、お金持ちの方から見れば大したことないじゃないかと思われるかもしれないけれども、今までの精神科の患者さんの感覚というのは、ゼロ%でない方の場合であっても、お財布をあけてお札が一枚、お札というのはもちろん千円札ですよ、お札が一枚入っていればきょうは病院に行けるかな、それが精神障害者の方の感覚で、お財布をあけると本当にお札が一枚しか入っていないような、そんな感覚ですので、その五%が一〇%になるという皮膚感覚、それを本当に御理解いただきたいと思うわけです。二度と、そうはいったって今まで五%だったんですからというような言い方をされずに、五%が一〇%になるということはどういう感覚なのかというふうな観点からこれからは御答弁をいただきたいと思うわけです。

 そして、今結局、大臣から納得のいく答弁があればということで、納得のいく御答弁をいただければ私の質問はそれで終わったんですけれども、もちろん納得できませんので、質問を続けさせていただきたいんです。

 本当に、先ほども申しましたけれども、精神障害者への偏見を減らすことなくしては、地域での、また職場での精神障害者の居場所はふやしていけないわけです。これは大臣も十分御承知だと思います。

 今回、そのプラスとマイナスということの中、私は最大のマイナスというのは治療が中断するリスクというものを考えているわけですけれども、治療が中断をしてしまうと、当然病状が悪化をいたします。そうなったときに、病状が悪化すると、患者さんというのは非常にパニックになりやすくなる。パニックになって、不安とか恐怖心とかを通常の環境の中でも持ちやすくなってしまう。そうなってパニックになった方が、例えば不適切な場所で興奮してしまったりとか、いろいろな形があると思いますけれども、他人を傷つけるようなことをしてしまったりとか、そんなような事態を起こしてしまったら、ますます精神障害者への偏見が増してしまうわけでございます。

 私のような精神科医であれば、多少興奮されているのを見ても、これは病気で一時的に興奮しているだけだから大丈夫ですよ、周りの人が怖がらせなければということで見ていられるわけですが、やはり精神障害者の方について詳しい知識を持っていない方たちから見ますと、それはもう即偏見を上積みしていくということになるわけです。そんな悪循環を断つということが厚生労働省の重要な役割であるはずですし、それは大臣も認識されているはずだと私は思っております。

 このように、治療中断によって病状が悪化して、御本人が自殺されたりとか、あるいは他害行為などに至ってしまったら、そんな最悪のケースになってしまったら、本当にだれがどういう形で責任をとってくださるのか。これは既に質問した方もいますけれども、本当に大臣、どなたが責任をとってくださるんでしょうか。また、どういう形で責任をとってくださるんでしょうか。

塩田政府参考人 精神障害者の方の問題を解決する上では、一人一人が精神障害者の方々への理解をするということが不可欠だと思います。そのためにも、実際に地域で精神障害の方がきちんと生活し、あるいは働いているようなことを、子供のころから体感として一人一人が身につけることが必要だと思います。

 そういう意味で、精神公費医療が果たしている役割が非常に重要だということは十分認識しておりますし、今度の利用料負担の見直しで治療が中断するようなことがあってはいけないと思っておりますし、そういうことがないような仕組みをどうつくるかということで、それなりに私たちは配慮したつもりでございます。

 そして、精神障害者がいろいろな問題を起こすこともありますけれども、そのためには、医療の、例えば身近なところの精神科医のアドバイスや投薬を受けるということも必要ですが、家族とか地域でのサポートが必要だということだと思います。今度の法案では、利用料負担の見直しも織り込んでおりますが、市町村に精神障害者の方々のサポートをやってもらう上でのいろいろな施策も盛り込んだつもりですので、私たちは全体の精神保健福祉の底上げをするということで責任を果たしていきたいと思っております。

水島委員 当然答えになっていないんですけれども、多分、今大臣と指名したのに部長が出てこられたということは、やはり最終的な責任者は大臣だから、かばって出てこられたのかなとちょっと思ったんです。

 恐らく、今の時点で、だれがどういう形で責任をとるのかということは幾ら聞いても答弁できないんだと思うんですけれども、ただ、本当にこの前からの審議を聞いていまして、こんなに重大な法改正に当たって、私たちの懸念と厚生労働省の楽観の間には余りにも大きな開きがあるというふうに感じております。今も、地域だ何だ、底上げだということを部長が答弁されるわけなんですけれども、子供のころから身近でと、もちろん、それは大きな話としてはもう当たり前のことですし、すばらしいことです。

 でも、今私たちは、今現在治療を受けている方たちのあしたからの治療がどうなるかという、本当に目先のことを論じているわけなんです。そこで何か事件が起こったら、それはこの広い日本の中では一つの自殺のケースかもしれない、あるいは一つの何か地域での人間関係が悪くなったということかもしれない。でも、その人にとってはもう人生のおしまいなわけですから、そのケースがどうか、全体の話と個別のケースにどう取り組むかということは本当に別の次元の問題として考えなければいけないわけで、多分、私たちがこれほど危機感を持っているのは個々の患者さんに目が向いているからであって、厚労省がそれだけ楽観的なのはそちらから目を背けているからではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、この認識の余りに大きな違いを目の前にいたしまして、私はこの法案がこのままの形で成立することには絶対に反対ですけれども、万々が一、何らかの形でこの法案が成立したときのために、そうなったとき、法改正がどういう効果があったか、プラスの効果、マイナスの効果、それを検証することがどうしても必要だと思いますけれども、今現在、どのようにしてこの法改正の効果の検証をしていこうと思われているんでしょうか。

塩田政府参考人 この法案が仮に成立させていただいたときの検証をするということは、実に大事なことだと思います。

 これまでの精神保健福祉は責任の所在がはっきりしなかったということで、今回は明確に市町村にその責任があって、市町村は計画をつくって、精神障害者の社会復帰に関しても、数値目標を含めていろいろなことをちゃんとやるということを織り込んだつもりでございます。したがいまして、市町村が立てた目標に対してどういう結果になるかについては、今度はこれまでとは違って、かなりきっちりとした検証ができる基礎ができるのではないかと思っております。

 かなり大きな改革をしますので、どういう形で検証するかはこれから検討させていただきたいと思いますが、行政のみならず、関係の方々、有識者、いろいろな方の知恵をかりて、今度の改正案の施行を見てしっかりと検証した上で、また次のステップの改革を目指したいと思っております。

水島委員 市町村、市町村とさっきからおっしゃっていますが、市町村に本当にそれができるのかということを後で質問させていただきたいんです。

 一つだけ部長についでにお答えいただきたいんですけれども、シミュレーションとして、三十二条が廃止されて、かつ、今厚労省が言っておられる重度かつ継続というところからも漏れた、例えばうつ病の患者さんでもだれでもいいんですけれども、自分はそういう制度から外れるような者だし医療費もかかるのでもう治療は結構ですと言って治療を中断されたというようなことを精神科医である主治医が気がついたというとき、本人に幾ら説得をしても、いや、もうそういう制度の対象外でしたら結構ですというふうに言われたときに、私はどういうふうにしたらいいんでしょうか、精神科医は。どこに連絡をするとだれが来てくれて、だれがその患者さんのところに行ってくださるんでしょうか。

塩田政府参考人 お一人お一人置かれている状況が異なると思いますので、どういうケースを念頭に置いてお話し申し上げていいかわかりませんけれども、うつで一週間に一度とか二週間に一度通院されているとすれば、一番頼りにされるのは主治医でしょうし、その主治医の方のアドバイスに従っていただくということだと思います。

 認めていただけないかもしれませんが、今度のものは、うつについての負担は確かに五%から一割ということになりますが、御負担できる経済的な範囲内におさまっていると思っておりますので、これによって直ちに医療機関に行くのを抑えるとかそういうことは私はないと思っておりますが、いずれにしても、コミュニケーションが大事なので、地域の人がサポートするとか、主治医がやられるのは当然ですけれども、いろいろな形のサポートを社会としてどうつくるかということだろうと思います。

水島委員 今の答弁が議事録に残るということにもきっと意味があるんだと思いますが。

 今部長がくしくもおっしゃったように、一番信頼されているのは主治医でしょうというのは、多分そうなんだろうと思いますが、その主治医をもってしても患者さんを説得できないというときにどうするのかということですから、当然お答えはなかったわけでございます。きのう、質問の事前通告をしましたときには、もっといろいろな資源を利用して、例えば病院が嫌だったらデイケアというのもありますしと、ちょっと支離滅裂なことをおっしゃっていましたけれども、いずれにしても、それが中断されたときにどうするかということについての明確な処方せんを持っておられないということは今確認できたと思います。

 もう一つ、それが本当に御本人にとって負担可能な範囲内なのかということを、これについては後で確認をしっかりとさせていただきたいと思いますが、私は今の時点で必ずしもそのように思ってはおりませんので、後ほど質問させていただきます。

 今回の三十二条問題の一つは、五%の自己負担が一〇%になるということでございますけれども、同時に大きな問題であるのは、対象となる状態が現在とは激変するということ、もう一つは世帯所得による制限ができるということでございます。政省令にゆだねられている事項でございますけれども、これがある意味ではこの法改正の根幹とも言える部分だと思いますので、ここからまたしっかりと御答弁いただきたいと思います。

 まず、対象となる状態は、重度かつ継続ということ、このような状態ということになっているわけですけれども、何とそれを病名で限定をしているわけでございます。今のところ、その重度かつ継続に当たる病気というのは、統合失調症、狭義の躁うつ病、難治性てんかんの三つに限定をされております。これは、きのう厚労省から手元にいただきました政省令についてというような冊子の中でもけさ確認しましたけれども、相変わらずこの三つが並んでおりました。

 まず、部長にお伺いしますけれども、狭義の躁うつ病というのはどういう定義ですか。

塩田政府参考人 躁の状態とうつの状態を両方繰り返す疾患だと承知しております。

水島委員 アメリカ精神医学会のDSMでいいますと、双極1型障害、いわゆるバイポーラー1だけを含むのか、それとも軽躁病エピソードと大うつ病エピソードを繰り返す双極2型障害、いわゆるバイポーラー2も含むんでしょうか。どちらでしょうか。

塩田政府参考人 含みます。

水島委員 当然、最初の答弁ですと、含むということになると思います。

 いずれの場合であっても、例えばバイポーラー1の場合、つまり本当の、本当のというか、本当の躁病エピソードと大うつ病エピソードを繰り返すというようなものであっても、例えばその分類の中には単一躁病エピソードというものもございます。つまり、これまでに大うつ病のエピソードがなくて一回のみの躁病エピソードが出てきたという時点で、これはバイポーラー1の双極性気分障害というふうに診断されるわけでございます。これも、繰り返すということでいきますと、繰り返しではなくて一回だけ躁病が出てきているということなんですが、診断基準でいきますと、当然この時点でバイポーラー1と診断されますので、これも狭義の躁うつ病に含まれるという理解でよろしいんでしょうか。

塩田政府参考人 そのとおりです。

水島委員 バイポーラー1にしろバイポーラー2にしろ、初回エピソードが大うつ病エピソードから入る人と躁病エピソードから入る人というのが両方いるわけでございます。

 つまり、委員の皆様はほとんど何か話がわからないようですので簡単に言いますと、躁うつ病と平たく言いましても、躁病とうつ病を繰り返すということなんですが、それが、最初から躁で入って、躁病、うつ病というふうに行く人もいれば、うつ病から入って、うつ病、躁病と行く人もいるし、場合によっては、うつ病、うつ病と二回ぐらい繰り返して、三回目に初めて躁病になる人もいるということで、これらをみんな含めて躁うつ病と呼ぶ、それで今回の重度かつ継続の対象になるということを今部長が答弁されていたわけなんです。

 それで、理解をしていただいた上でいきますと、最初が、うつから入る人と躁から入る人がいるんですが、躁から入る人の場合には、一回目の躁病エピソードでこれは重度かつ継続というふうに診断されますので、この特別な枠に入ってくる。ところが、うつ、うつ、躁と行くような人の場合には、躁までたどり着くのに、それこそ人によっては十年とかかかることもありますけれども、十年間一般のうつ病としてみなされてきて、十年目に、振り返ってみればこの人は躁うつ病だったということになるわけです。

 同じ病気にかかっていながら、最初が躁から出るか、うつから出るかでこんなにも待遇が違うというのは、ちょっと、ばくちでもございませんし、厚労省が考える政策としておかしいんじゃないかと思うんですけれども、この医療費負担の格差というのは、こんなのは許されるんでしょうか、部長。

塩田政府参考人 今度の自立支援法案での自立支援医療のまず枠組みから、まず委員の方々の御理解も深める意味で御説明した上で、先生の質問にお答えいたします。

 生活保護世帯とか市町村民税非課税世帯については、これまでどおり対象疾病も同じで、生活保護世帯は対象疾病も同じで負担額はゼロでございます。それから、市町村民税非課税世帯一だと毎月の上限額は二千五百円、市町村民税の非課税世帯の第二グループは毎月の負担上限額が五千円ということでございます。

 それから、議論になっていますうつ病、単なるうつ病で普通の所得の方の世帯を想定しますと、その方は一割原則になるということで御提案しております。

 重度かつ継続の疾病、私どもの現在の提案では、統合失調症と狭義の躁うつ病、難治性てんかんについては重度かつ継続に該当するということで、この疾病に該当することをもって、一割負担ですけれども、毎月の負担上限額を五千円と一万円のグループに分けているということでありまして、重度かつ継続の疾病に該当するかしないかは、先生御指摘のように、大変当事者の方にとって大きな問題だろうと思います。

 御指摘がありましたように、狭義の躁うつ病については、お医者さんが狭義の躁うつ病だと診断されるまでの間にかなりの期間を要することがある、医学的にもそうだということでございます。私は医者ではありませんが、そういう場合に、認定がされるまでの間どうするんだというような問題があるということでございまして、問題の所在はきちんと認識をいたしました。

 これまでの私どもの法案提案までの議論の過程で、いろいろな議論をいたしました。とりあえず、重度かつ継続で医療費のかなり高いという実証的データが集まっている疾病として、統合失調症と躁うつ病と難治性てんかんを上げたということでありますが、御指摘のようないろいろな問題があるということも事実でありますので、これについては、専門家の方に集まっていただきまして、実証データも集めまして、解決すべき課題は解決をするべく検討したいと思っております。

水島委員 ちょっともう一度、今さらりと流されたところをもう一度伺いたいんですけれども、そもそも、どうしてこれらの三つの病名に限られたのかというところをきちんと御説明いただきたいのと、あと、専門家に集まってもらって何とかしますといっても、これは十月が施行で提案されていて、十月までにそれをやっていただけるということでよろしいのか、それをもう一度確認させてください。

塩田政府参考人 重度かつ継続の対象疾病の検討に当たりましては、レセプトなどを収集いたしまして、医療費が大変高くて御本人の負担が大変重いというものを、データが比較的そろっているものとして三疾病を上げたということでございます。

 したがいまして、まだ実証データが必ずしも十分蓄積されていないものについて、なるべく早く専門家の方を集めて検討したいということでありまして、この検討については直ちに着手したいと思っておりまして、原則として施行までの間を目標に努力するということは当然のことだと思います。

水島委員 今、レセプトを収集したというのは、私はきょう初めて聞きましたので、そこから導き出された、この根拠となっているデータを資料として見せていただきたいんですけれども、委員長、そのようにお願いできますでしょうか。

鴨下委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。

水島委員 では、それを見せていただいた上で、ただ、今答弁していただいたように、施行に間に合うように対象の見直しをしていただけるということでございますので、ぜひ、きょう、私はこれからこういうふうに見直したらいいんじゃないかということを提案させていただきたいと思うんですけれども、それも踏まえて、しっかりとお願いをしたいと思います。

 それから、私、ちなみに、今回、この統合失調症、狭義の躁うつ病、難治性てんかんという病名を見たときに、昔に戻ったような気がいたしました。

 というのが、この三つの病名というのは、内因性精神疾患という、今では過去のものとなった疾病概念に縛られた発想でございまして、たしか私が大学に入ったころの教科書に、内因性精神疾患、心因性精神疾患とかいって、精神病を内因性のものと心因性のものに分けるような、そんなことが書いてあったような、医学部の教育をそれで受けたような気がいたしますけれども、実際には、今、国際的な二大診断基準でございますアメリカ精神医学会のDSMも、また国際疾病分類ICDでも、内因性、心因性という概念は使わなくなってきているわけです。

 なぜかというと、今まで内因性と言われていたものであっても、その発症に当たってはかなりのストレス要因があるものであって、外因性なのか内因性なのかということを区別することに一体何の意味があるのかということが学問的にも大きな議論となりましたので、今では、それを分けることなく、そのときの状態像できちんと診断をしていこうということになっております。

 今回、こんなもので決めてしまいますと、厚生労働省、一体いつの時代の教科書を使っているんだということになってしまいますので、くれぐれも日本の恥にならないように、国際的な常識から大きくおくれをとらないように、検討をし直していただきたいと思います。

 それで、このときに、きょうは多分質問すると、今の感じからいって答弁がもう予想されるんですが、単極性の気分障害、つまり、いわゆるうつ病というのはなぜ外されたんでしょうか。

塩田政府参考人 先ほどから御答弁を申し上げましたように、実証的データがある程度蓄積されたものとして、三疾患を現時点で考えていることで御提案しているということでありまして、これからいろいろなデータが集まって、必要性があるものについては、先ほど申し上げました検討の場で専門家の方に、先ほどの御意見も含めて検討していただいて、その結論を待って対応したいと思っております。

水島委員 実証的なデータがうつ病についてないとはとても思えないんです。

 きょう、お手元の資料で参考資料一というのをちょっと見ていただきたいんですけれども、これは、まず百余りの疾患、これは身体疾患も含んでなんですが、その百余りの疾患を対象としたクリス・マレーらのWHO研究というのがございまして、それの結果が上にあるんですけれども、「生活上の機能障害を引き起こす十大疾患」、このトップがうつ病でございます。これは単極性でございますので、先ほどの狭義の躁うつ病からは外れているものです。これはWHO研究ですね。

 それからその下に、今度は「疾患の社会への影響」、これは、ハーバード大学、WHO、世界銀行、それらが一緒になってやったものでございますけれども、これで見ましても、この単極性うつ病というのが、社会への影響、これはいろいろな観点からの社会への影響ということでございますが、これで見ても、単極性うつ病というのはこうやってベストファイブに入ってくる。

 ちなみに、「予測二〇二〇」という方は単極性大うつ病は二位になっておりますが、これは、先進諸国で見ますと、トップに躍り出るわけでございます。

 このWHO報告書は、厚生労働省も把握しているというふうに私は思っておりましたけれども、これも、単極性のうつ病、単極性の気分障害によって実際にその患者さんへの負担がどれほど大きいかということを示す一つの実証的なデータだと思います。

 なお、うつ病が双極性でないからといって一律に外すということは大問題だというふうに考えます。

 また、百歩譲って、重度かつ継続というようなそこの条件で考えましても、例えば難治性うつ病、反復性うつ病というのは、重度かつ継続を満たすと思います。

 うつ病といっても、これもまた一昔前に比べますと大分病気の理解が変わってきまして、昔は、私が学生のころ習ったときには、うつ病というのは、一回なって治療しなくても適当に治ってという、非常に、そういう病気であるというふうに習ったんですが、実際には、今、いつまでも治らない難治性うつ病の方、また、実際に何度も繰り返されている反復性うつ病の方というのは、臨床現場においてもやはり深刻な問題でございますので、これについても、うつ病なんて簡単に治る病気だからということで簡単に外されたのだとしたら、それは大問題、認識の間違いだと思います。

 そして、うつ病というのは、自殺との関連が、もうだれでもこの領域に携わる人であれば、うつ病の一つの症状として希死念慮というものがある、自殺願望というものがあるというのはもうわかっていることであって、うつ病のことをないがしろにしてしまいますとこれは自殺がふえるというのは、もう当たり前の結果ということになるわけです。

 また、今回の通院公費負担制度の見直しによって、受診率は確実に下がると思います。先ほど治療の中断という観点からはお話をしましたけれども、この受診率という観点も非常に重要で、今、厚生労働省、小泉政権と言っていいのかもしれませんが、自殺予防とか心の健康ということを一方ではうたいながら、受診を困難にするような施策をするというのは大きな問題だと思います。

 厚生労働省の地域大規模疫学研究というもの、これは吉川班、竹島班、川上班とありますけれども、厚生労働省の研究ですけれども、それでも、うつ病、神経症性障害、アルコール依存症の患者の受診率が三割強にすぎないという調査結果が既に出ているわけです。この受診率をいかに上げるかということを考えなければならないというときであるのに、通院公費負担が切り下げられますと、ますます受診率が下がる可能性も高いと思っております。

 今回、デイケアの負担も五から十倍にふえるというふうに計算されますけれども、そうしますと通所率も下がってきますので、社会復帰が困難になってくるわけです。

 うつ病の方に社会復帰していただいて税金を納めていただくのと、目先の費用削減のために命を奪ったり社会復帰を困難にしたりするのと、これは財政的に見てもどちらが効果があるのかというような計算をちゃんとされたんでしょうか。

 私、精神科の患者さんのことをこうやってお金のことで引き合いに出すのは大変申しわけないと思いながら今質問をしているんですけれども、今回の原点が財源ということであるのであれば、そして財務省がそれを認めなかったというのであれば、これはもっと社会全体のトータルな経済効果としてもう一度計算をし直していただく必要があると思っておりますけれども、ここの部分の影響をどのように試算されてうつ病を外されたんでしょうか。

塩田政府参考人 うつ病対策とかそういう医療費に対する投資が、人々がいろいろな社会参加ができることによってより大きな経済効果があるというのはそのとおりだと思いますが、そういう試算はしたことがございません。

 いずれにいたしましても、今度の制度で、重度かつ継続に限られた財源を重点的にということにしておりますが、その重度かつ継続の範囲とか、これは、早急に専門家の方に集まっていただきまして、御指摘も踏まえまして、なるべく早く、一つ一つ、対象にすべきは対象にすべくという形で対応させていただきたいと思います。

水島委員 その作業、どの病気を入れる入れないという作業は、結果として不毛に終わると思いますので、今のうちに警鐘を鳴らしておきたいと思うんです。

 例えば、今うつ病のことを言いましたが、それ以外にも重度かつ継続を満たすと思われる状態には、極めて重症な強迫性障害とか、生活制限の著しいパニック障害とか、また器質性精神障害、ほかにも、例えば発作が頻発するような解離性障害もそうだと思いますけれども、病名でいくと幾らでもどんどん出てくるわけで、すべてがまさに重度かつ継続という状態だと思います。

 ですから、実際には、精神科領域において病名で限っていくというのは全く現実的ではないわけで、このような事実を踏まえて、現在の三十二条には病名制限はなく、状態像による基準となっているわけです。

 また、精神障害者通院医療費公費負担の適正化のあり方に関する検討会の報告書でも、「精神障害においては、疾病名が必ずしも重症度や医療の必要性を反映するものではない。また、対象疾病名を限定することにより、当該疾病への差別・偏見が助長されるおそれもある。このため、疾病名による対象の限定ではなく、状態像により判定を行う現在の方法を継続するのが適当である。」そのように報告書でもされているわけです。

 やはり考え直すべきであって、今回、一部の医療機関がこの制度を乱用したために三十二条の見直しにつながったのであれば、まずはその問題を整理するのが先でございます。

 心理的、社会的、職業的機能にどれほどの影響を与えるかということを数値化するために広く使われております機能の全体的評価尺度、一般的にGAFと呼ばれているものですが、きょう、お手元の資料の二として配らせていただいておりますけれども、例えば、どれほどの機能障害があるかということをこのGAFで判定していく、これでGAFが何ポイント以下というような形でその機能障害をきちんと判定していくという方法が、私は現時点では一番現実的だと思っておりますし、この手続をきちんと踏まえるというのであれば、乱用がかなりの程度防げるのではないかと思います。

 それでも心配だというのであれば、さらに精神保健指定医がこのGAFで判定をするという条件までつければ、まず現在の、私も目に余る乱用ぶりがあるということは知っていますけれども、そのようなものも淘汰されるのではないかというふうに考えておりますので、そのような条件つきで三十二条を現在のまま残すということを私は提案申し上げたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

塩田政府参考人 委員の御指摘は、疾病名だけではなくて状態像で客観的な物差しがあるのではないかという御指摘だと思います。

 これについてはそのとおりだと、疾病だけではなくて状態像も、両方できちんとチェックするというのは当然望ましい方向だと思っております。疾病だけでやるには限界があるので、状態像のGAFをどのように活用できるかも含めまして、それは検討させていただきます。

 私どももGAFでやるというのを検討の過程では念頭に置いたこともございますが、現時点で医療機関の中で必ずしもみんながみんなそれが使いこなせるとかいう状態ではないというような御意見もありましたので、最終的に現在提案している疾病名で提案したということでありますが、きょういろいろな御指摘をいただきましたので、GAFの活用も含めまして、それも専門家に検討していただきたいと思っております。

水島委員 GAFが一般の医療機関で使いこなせないとおっしゃいましたけれども、GAFの判定もできないようであれば、やはり三十二条の申請をする者としては私はふさわしくないと思いますので、GAFが使いこなせないような人が今三十二条の申請をしてしまっているから乱用されているんじゃないんですか。

塩田政府参考人 そういう面があるかどうか、私、必ずしもその分野について、突然の御質問で、残念ながら法学部出身なので、そこはよく調べた上できちんと回答させていただきます。

水島委員 GAFが外されるとして、先ほどの部長のような理由であるとしたら、それは断じて納得できませんので、また、逆に、そんなことだけが理由だったんだとしたら十分GAFでやっていけると思いますので、ぜひそういう落ちつきどころに向けて三十二条を残していただけますように。これは本当に、そうでなければとてもちょっと納得できませんし、きょうも、多分、大臣、そこで聞いておられて、うん、そういうやり方もあるかなと今きっと思っておられるんじゃないかと思いますので、最初に申し上げてきた精神障害者の特徴というのを頭に入れた新しい頭でちょっとリフレッシュしていただいて、では今度はGAFで、そして精神保健指定医がやると。

 どういう人がこのGAFをきちんと使えるかどうかということを、またその背景を調べていただきたいと思いますけれども、今、精神科関係で唯一目に見える資格としてございますのは精神保健指定医、これは一定期間の臨床経験も当然問われて、厚生労働省からいただいている資格でございますので、これを持っている人がGAFをもって、そしてその数値でちゃんとこの三十二条の対象になるかどうかということを切っていく。それでやっていけば、私は、財源問題は恐らく解消される。

 今回のようなおかしな、自立支援医療の中にこれを組み込んでしまって、通院が中断したりとか受診率が下がったりとか、それに伴って社会的に大きな損失、これは財政的にも損失になるわけですけれども、それにつながるよりははるかに経済効果が高いと思いますので、ぜひ新しい頭でもう一度御検討いただけますように、これは心からお願いいたします。

 大臣、ちょっとこの時点で一言、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 お話を伺いながら、ああ、そういうやり方があるのかなというふうに思って聞いておりました。事務的にはどういう判断をするのかなと思いましたら、部長も答弁をいたしたとおりでございますから、これは部長が答弁いたしましたように、前向きに検討させていただきたいと存じます。

水島委員 私も、もし自殺する方が出たらだれが責任とるんだなんという、そんな質問をもうしたくないので、みんなでここで議論を尽くして、これならやっていけそうですねというような、そういう結論に達することができますように、大臣のさらなる御尽力をお願いしたいと思います。

 そして、きょうは一時間半いただいたので幾らでも質問ができるかと思ったら、例によって時間がなくなってくるんですけれども、先ほど申しましたように、精神障害者は家族に負い目を感じていることが多く、家族は病気を必ずしもよく理解しているわけではございませんので、そんな状況を踏まえれば、所得に着目した利用者負担の見直しについては、世帯単位の所得ではなく、障害者本人の所得によることが必要であるということ。これは、既に多くの方が指摘をされておりますし、厚生労働省も、いろいろなあり方を検討したいとやや前向きな御答弁を下さっていると思いますので、これは、今答弁は時間がないので結構ですけれども、ぜひ私からも改めてお願いしたいところでございます。

 そして、精神障害者の家族は、精神保健福祉法上の保護者規定によりまして、経済的、心理的、社会的な有形無形の負担を日ごろから抱えておりまして、これに新たな経済的負担が加わるというのが今回の改正の意味するところであるということを、大臣にもしっかりと頭に入れていただきたいと思います。

 社会保障審議会障害者部会で福島智委員が提出をしました意見書には、「これは、障害者のニーズを社会全体で支援しようという発想ではなく、「本来家族でめんどうをみるべきもの。それを社会が一部手伝うのだから、その見返りに家族が費用を負担せよ。それが障害者を家族に持ってしまったあなたがたの運命だ」と言っていることと同じであり、家族の連帯意識や愛情を逆手にとった財政削減の巧妙なしかけに思える。」そのようにこの意見書に書かれていて、私も全く同感でございます。

 家族の連帯意識や愛情を逆手にとった仕組みというのが何をもたらすか、これはちょっと考えてみればわかることだと思います。何といっても、家族との関係をゆがめてしまいます。追い詰められた家族は無理心中にすら至るということもありますし、また、虐待が発生するということはよく知られております。精神障害者の場合、家族が病気をいつまでも認めたがらないというケースもございまして、怠けているという嫌みを日ごろから家族から言われている人も少なくないわけですけれども、医療者が幾ら説明しても、先ほど申しましたように、家族の理解には限界がございます。

 家族の経済的負担が強まると、その関係のゆがみがますます悪化するのではないかということを私は非常に心配しているわけなんですけれども、この懸念に対して、大臣、何か大丈夫ですよという答弁がございましたらいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今度の制度改正に当たりまして、本人の負担については、これは利用者本人の負担ということをまず明確に私どもは打ち出しました。これはそのとおりなんですが、ただ、いろいろな配慮、特に所得の低い方に対する配慮をしてくる中で、世帯というのをどうとらえるかという議論が出てきたわけでございます。

 そういたしますと、この議論を始めますと、夫婦ならやはり同一世帯だろうとか、ではそれをどこまで広げるのかとか議論が出てまいりますし、また一方から、医療保険制度等において被扶養者などとして経済的な恩恵を受けているという場合に、恩恵を受けるときには家族と言い世帯と言い、では都合が悪くなるとまたそれは違うよと言うのかとか、いろいろな議論が出てくる中での議論を今私どももいたしておるということでございます。

 生計を一にする世帯の範囲につきましては、今後、具体的な検討を進めることとしておりますけれども、その際には、今回の利用者負担の見直しの趣旨でありますとか、こうしたいろいろな先生方の御意見を踏まえながら、具体的に基準をお示ししたい、こういうふうに考えておるところでございます。

水島委員 ぜひ、先ほど私が申しました心配が解消できますような、そんな結論を出していただきたいと思います。

 そして、これは本人負担というふうにした場合であっても、個別の利用者の経済状況に応じた負担軽減措置もさらなる検討が必要であると私は考えております。

 働き盛りの人で家族を扶養している立場の人がうつ病になったケースなどを考えてみるとわかりやすいんですけれども、こういう人は、往々にして所得税三十万円以上というのに当たると思います。でも、それはあくまでも前年の所得に基づくものであって、現在の経済状態を見ているものではございません。病気になったことをきっかけにリストラされるなど、前年の所得と現在の経済状態に全く関係がないということも少なくないわけでございます。所得税三十万円以上であっても、妻が専業主婦、私立の高校や大学に通う子供が二人などというよくある家庭では、経済的なゆとりが決してあるわけではございません。

 また、その男性のみが家計を支えているため、病気で収入がなくなったときの危機感は大きく、さらに医療費負担ということになりますと、患者さんの罪悪感を限りなく刺激することになるわけです。ただでさえ稼ぎ手がうつ病で働けなくなると罪悪感を非常に強く感じるもので、自殺にすらつながることがあるというのはよく知られた事実でございます。

 現在の経済状態を評価して自己負担に反映させる仕組みがつくれないものでしょうか。低所得者への配慮をきめ細かくともう何度も何度も答弁されているので、当然そのくらいやっていただけると思うのですけれども、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今お話しいただきましたように、基本的には前年度の所得に応じて軽減を行うということになります。しかしながら、やむを得ない事情により経済的な状況が大幅に変わる場合、これは当然起こり得ることでありますから、そうした場合など、一定所得以下に相当すると市町村等が個別に認定した場合には、負担を軽減することといたしております。その具体的な条件等は、今お話もいただいておりますし、こうした御指摘を踏まえて検討してまいります。

水島委員 それはぜひ必ずしっかりとお願いいたします。

 そして次に、応益負担について、本来、応益負担という仕組みそのものについて尾辻大臣に伺うつもりは余りなかったんですけれども、全体の考え方として確認しておきたいこともございますので、少々伺わせていただきます。

 先ほど御紹介いたしました社会保障審議会障害者部会での福島智委員の意見書には、本当にほかにもいろいろとすばらしいことが書いてあるんですけれども、この応益負担については、障害者だけが特別に扱われるべきではないという意見に賛同するとしながらも、例えば、重度障害者が働く作業所などでは最低賃金法が適用されていないこと、障害者の失業率は国民全体の失業率よりもはるかに高いことなど、厳然と残る差別を指摘されております。これは本当にそのとおりだと思います。

 先日、全国にも報道されたので、御存じの方も多いと思いますけれども、私の選挙区である宇都宮市で、知的障害者の誤認逮捕、誤認起訴事件が起こりました。きょう、お手元の参考資料の三と四に、その新聞記事、これは私の地元の下野新聞の記事でございますけれども、下野新聞の記事も資料として配らせていただいております。

 この事件、どういうことだったのかというと、具体性に乏しい本人の自白以外に証拠もなく、逮捕どころか起訴までしてしまった。そして、本当の容疑者が逮捕されて供述をしたために、こちらの方が冤罪であるということが発覚したという事件で、とんでもない事件であるわけでございます。

 きょうは、そのために、警察庁と法務省の方にもいらしていただいているんですけれども、まず、この知的障害者であるということに対して、取り調べ段階でどのような配慮をされたのでしょうか。警察庁、法務省、それぞれからお答えいただきたいと思います。

岡田政府参考人 お尋ねの具体的な事件に関しましては、個々の犯罪捜査にかかわることでもございますし、また、御案内のとおり、かなり高度なプライバシーにかかわっている問題でございますので、一般的な答弁になって恐縮でございますが、一般論として申し上げますと、私ども、知的障害を有する人の取り調べに当たりましては、相手方に十分理解してもらえるような平易な言葉を用いたり、あるいは暗示を与えることのないよう配慮するなど、その供述の信用性について特段の配慮をすべく指導を行っているところでありますし、その裏づけ捜査についても十分配慮するように指導しているところであります。

 しかしながら、残念ながら結果として今回のような事案が発生したわけでございますので、今後ともより一層指導を徹底してまいりたいと考えております。

大林政府参考人 今回、誤認起訴された方が知的障害者であったか否かにつきましては、個人のプライバシーにかかわる事柄ですので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 あくまで一般論としてお答えをいたしますと、検察当局においても、年少者や知的障害者など、一般に誘導を受けやすいと言われている方々の取り調べに当たっては、その特性に配慮した適正な発言を行うよう配慮しており、必要がある場合には、取り調べを行う上で保護者などを立ち会わせるなど、適宜適切に対処をしているものと承知しております。

 なお、お尋ねの問題に関しましては、宇都宮地検において検証を行い、過日、その結果を記者会見で明らかにしたものと承知しております。自白内容の合理性の検証や裏づけが不十分であったとのことであり、今回の検証結果も踏まえ、検察として再発防止に万全を期する必要があると考えております。

水島委員 ちょっと驚きましたというか、すごいですねという感じなんですが、お手元の参考資料四には、その検証結果の要旨、これは新聞からとったものなんですけれども、載っております。右側が宇都宮地検の検証結果、左側が栃木県警の検証結果でございます。左側は、わかりやすいように線を引かせていただきましたけれども、これは県警の方が記者発表でマイクで読み上げられたものでございます。一段目にしっかりと「知的障害を持つ男性の特性を理解し、」とか、今プライバシー、プライバシーといってお答えにならなかったことが、ここでしっかりと語られているわけでございます。

 何かこういうことを目にしてしまいますと、本当に信頼感というものがなくなっていってしまいますので、一体どうなっているのかということを、ちょっときょうはそのことを聞くためにこの質問をしているわけではないので、また場所を改めて、この件についてはいろいろ伺いたいと思うんですけれども。

 とにかく、これを読みますと、県警でも、取り調べを担当した警察官は、この方が知的障害者であるということを理解した上で何かいろいろと頑張っていたというようなことが書かれている。この事件の非常にたちが悪いと私が思っておりますところは、本人が知的障害者であるということを警察も検察も承知をしていたわけでございます。ところが、そのために取り調べで配慮をするというのではなくて、知的障害者だから、その証言と事実との矛盾に目をつぶって起訴にまで踏み切ってしまったという構造であるというところが、非常にたちが悪いと思うんです。

 この左側の県警の検証要旨の真ん中辺に今度棒が引いてあるところなんですけれども、こちらを読ませていただきます。「供述が被害状況の一部と矛盾したり、必ずしも十分な物証が得られない問題があったものの、男性は記憶力や理解力が十分でなく徹底した追及を行うことが困難であり、捜査幹部もこのような矛盾が残ることも仕方ないと判断した。」それで起訴をしているわけです。

 これは、ちょっと、本当に二重の意味でひどいことであります。知的障害者であるということを知っていたのだから、まず取り調べ段階できちんとその特性に配慮した取り調べをすべきだった、それをしていなかった。それが一つですけれども、もっとひどいのはこちらです。その内容のあいまいさが知的障害者だからしようがないということで、起訴にまで踏み切ってしまっているということ。これは、県警の検証のこれを読みましたけれども、とても、これだけのひどい人権侵害をしておきながら、全くそういう自覚が私はここから読み取れませんでした。

 これは本当に大問題だと思っておりますし、私の地元紙ですからこれだけいっぱい載ったんですけれども、全国紙にはそんなに大きく載らなかったかもしれませんので、きょうここにいらっしゃる委員の皆様に、こういう事件があったということ、このひどさを本当にぜひきちんと頭に入れていただきたいというふうに思うわけでございます。

 本人が知的障害者である可能性がある場合には、警察が最初から弁護士会に連絡して弁護士をつけてもらうようにルール化すべきだと、私はますますこの件を見て思ったわけです。実は、今回の事件でも、警察は本人に弁護士は要るかと聞いてくださったらしいのですが、本人は簡単に断ってしまった、そのために呼ばなかったらしいということです。それが本人にとってどのようなメリットにつながるのか、本人にもわかるようなかみ砕いた説明もなかったようでございますし、知的障害者の方を相手に、本人が希望しなかったから呼ばなかったというのは、私は言いわけにもならないと思っております。

 知的障害者の場合には弁護士をまず呼ぶということをルールにすべきだと思いますけれども、警察庁はいかがですか。

岡田政府参考人 知的障害のある人に対して、弁護人選任の告知をするということに際しましては、相手方に十分理解してもらえるよう平易な言葉を用いるといった配慮はしているところでございます。その上でさらに、被疑者の弁護人選任の意思の有無にかかわらず警察が独自に弁護士の選任に関与するというのは、現行の刑事訴訟法では必ずしも予定しておらないと思いますし、私どもとしても慎重であるべきではないかと思っております。

水島委員 予定をしていないといっても、禁止をされているわけではない、法律内で可能なことであるわけでございますので、これだけの事件を犯しておきながら、今の答弁というのは、全くもってみずからが犯した罪の重さを自覚していないと申し上げざるを得ないと思います。

 もちろん、厚生労働委員会ですし、刑事局長がいらっしゃって、急に今までの方針を転換するようなことを簡単に答弁できないというお立場も理解しておりますので、これはぜひ、この障害者の自立支援ともかかわってこういう指摘があったということ、これを真摯に受けとめて、ぜひ警察庁で御検討いただきたいと思っております。

 また、取り調べの実際がどうだったのかということを検証するためには、取り調べの可視化が不可欠だと思います。可視化を導入すれば、取り調べの適正化効果も期待できると思います。この取り調べの可視化という議論、可視化といってまたわからない方が多いかもしれませんけれども、ビデオなどで録画をして、取り調べのシーンを後で再現できるようにするというのが可視化であるわけです。この議論は以前からあるわけですけれども、幾ら何でもそろそろ実現していただけるんでしょうか。これは、警察庁、法務省ともにお願いいたします。

岡田政府参考人 取り調べの具体的な状況に対する検証につきましては、取り調べ状況の報告書ですとか、あるいは留置場への入出場記録等、客観的な調査手段もございます。それに加えて、今、可視化でさまざまな議論がなされておりますが、そうした中のうち、録音、録画ということにつきましては、これを義務化した場合には、取り調べの機能が大きく阻害されることになって、犯罪の検挙に支障を来す場合もあろうかと思います。そのことがひいては我が国の治安に重大な影響を生じることになるということもあるのだろうと考えております。

 そうしたことから、取り調べ時のビデオ撮影等を義務化することについては困難であると考えております。

大林政府参考人 取り調べの状況の録音、録画等につきましては、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続における被疑者の取り調べの役割との関係で慎重な配慮が必要であり、将来的な検討課題とされております。

 したがって、法務省といたしましても、この問題につきましては、刑事司法制度のあり方全体の中で慎重に検討することが必要である、このように考えております。

水島委員 法務省の方がちょっとはわかっているかなという答弁でしたけれども、何か録画とか録音をされて困るような取り調べを警察ではされているのかと思って、今、私、ちょっと背筋が寒くなる思いがいたしました。当然、公務としてしっかりと仕事をされているわけですから、誇りを持って仕事をされているわけですから、それを録音、録画されたら困ると、そんなお仕事をまさかされているわけではないと思いますので、ぜひ、先ほどのような答弁のままにしないでいただきたい。

 ちょっとこの件については、本当に幾らでも議論をさせていただきたいんですけれども、まだこちらの自立支援法関係でも質問しなければいけないこともございますので、きょうはその御答弁を伺うにとどめるということにさせていただきたいと思います。

 ぜひ、これは私、やはり録音、録画という可視化以外の方法で同じだけの機能を補完することは絶対にできないと思います。何かほかにそういう道具があるのなら教えていただきたいくらいなんですけれども、もしもほかに必ず可視化のかわりにこういう方法で何とかできますというのが警察庁、法務省どちらかでおありになれば、今御答弁いただきたいんです。

 くれぐれも、そのときの取り調べの記録を後で見ればいいですといっても、これは本当に知的障害者の方のそのときの雰囲気、顔つきなども含めて、どういう中でその証言が誘導されてきたのかというようなことは文字の記録を読むだけでは絶対にわからないと思いますので、だからこそ、司法制度改革全体の中でこの可視化というものが今までずっと議論があったわけでございますから、これはよくわかっていらっしゃるはずのことなんですけれども、もしもこれ以外の手段で今すぐお答えをいただけることがありましたらいただきたいと思いますけれども、ございますでしょうか。

岡田政府参考人 いささか僣越かもしれませんけれども、取り調べの状況というのは大変千差万別ですし、相手もさまざまでございます。取り調べの内容というのも大変プライバシーにもかかわることもございますし、あるいは共犯者の関係、あるいは組織絡みの事件もございます。恐らく、弁護士さんの接見状況を可視化しろとか、あるいはお医者さん方が患者さんといろいろな相談に応じるときに可視化した方がいい部分もあるんだろうと思いますし、すべてが可視化できない部分もある。

 余計なことを申し上げると議論が混乱いたしますので、そうしますけれども、私どもとしては、真実を追求するという観点と、そのほか、さまざまな社会的な利益を比較考量した上で現在のようなやり方をしているというつもりでございます。

水島委員 何も取り調べの状況をテレビで実況中継しろと言っているわけではないのですから、録画、録音しておいて、こういう問題が起こったときに、きちんとした手続に基づいて弁護人が見られるようにというようなことで言っているわけで、また裁判の証拠にするというようなことで言っているわけであって、それは今の取り調べの調書ですか、そういうものも同じ扱いだと思うんですね。それが紙だったらよくて、ビデオだったらいけないという理屈は全くないと思いますので、これは、今うなずいていただいていますから、私もそんなに間違ったことを言っていないと思うんですけれども、これはきちんと御検討をいただきたいと思います。

 そして、もちろん、今のやり方で何も問題がないんだったらこんなこと申しません。これだけ重大な事件が起こっているわけですから、これはだれが聞いても重大だと思います、この事件は。もしも真犯人が別のところで逮捕されなかったら、この事件は多分埋もれたままだったと思いますから、絶対にこんなことを繰り返してはいけないわけですから、それだけの問題を踏まえて、私は、ここで可視化に向けて大きく一歩を踏み出していただくぐらいのことをしていただかないと、とても気持ちがおさまりませんので、しっかりと警察庁、法務省ともによろしくお願いいたします。

 また、私は以前、アメリカの警察官で知的障害の方の取り調べを専門とする方が来日されたときにお会いしたことがございます。知的障害の方が被疑者の場合であれ、あるいは目撃者の場合であれ、面接をするには専門的な技法が必要であって、専門的な技法に基づいて面接を行えば、十分に有用な情報を引き出すことができるということでございました。障害者差別禁止法であるADAがあるアメリカでは、知的障害を持っているという理由で取り調べにおいて不利益を受けたということであれば、障害者差別として政府が訴えられることになりますから、専門技法を持つ警察官を養成する必要があるということでございました。

 日本の警察庁では、知的障害者の特性を踏まえてきちんと取り調べができるような警察官の養成はしておられるんでしょうか。

岡田政府参考人 知的障害を専門とするという取り調べ官の養成は格別に行っておりません。ただ、知的障害を含め、体を病まれたり、あるいは心を病んでいる人たちの取り調べ、その他、さまざまな特性がございますので、そうした特性に応じて調べをするように、そして、私どもの仕事は時にやはり失敗することもありますし、そうしたことの反省なども踏まえましてやってまいりたいと思います。

水島委員 私は精神科医でございまして、精神障害者の方との話というのは割とうまい方だと思いますし、いろいろな病的体験を聞き出すのも割と得意な方なんですけれども、そんな私でも、知的障害者の方から証言を引き出せるかというと、全く自信がございません。それほどやはり特殊なトレーニングというのは必要なんだと思いますので、障害一般に配慮をしてとか、そういうレベルのこととは違うトレーニングをこのアメリカの警察官の方は受けておられましたので、ぜひ日本の警察庁もアメリカにでも勉強に行っていただいて、ぜひ日本にもそういう警察官を養成していただきたいと思います。

 ただ、そういう方たちが全国に配置されるまでにはまだまだ時間もかかるでしょうから、今すぐできること、すぐに弁護士に連絡をして、必ず知的障害者の方には最初から弁護士をつけるということ、そして取り調べ過程を可視化するということ、これはすぐにでもできることでございますので、すぐに手をつけていただけますように改めてお願いを申し上げまして、警察庁と法務省の方はこれで結構でございますので、どうぞお忙しいでしょうからお帰りください。

 今、厚生労働大臣、このやりとりを聞いていて、そんな事件がと驚いていらっしゃるんじゃないかと思います。大臣にこれを聞いていただきたいというのも、きょうここでこれを取り上げました一つの大きな動機でございますので、本当にきちんと驚いて聞いていただきたかったなと思っております。

 今、応益負担というものを正当化する方たちは、障害者だからサービスはただというのでは特別扱いであって障害者に失礼だというようなことをよくおっしゃっているようなんですけれども、障害者を特別扱いすることは失礼だということをお金の面で論じるよりも前に、こういったところでの特別扱いからまずなくしていくべきではないかというふうに私は常々思っております。なぜ経済的な負担を増すという話だけが、それだけが平等主義でスムーズに進んでいくのかというのは、本当におかしいことでございます。

 今、きょうは警察庁と法務省に来ていただいたわけですけれども、障害者の自立支援を論じるのであれば、これは当然厚生労働省だけの話ではございませんが、今回、この自立支援法案というところにかなり政策のかじを切りかえるに当たりまして、他省庁との関係というのはどのようになっているんでしょうか。

塩田政府参考人 今回の自立支援法案自身は福祉分野、医療分野の法案ということで、専ら厚生労働省において立案いたしましたが、この問題に限らず、例えば発達障害者の法案づくりから相談や教育についてどうあるべきかとか、いろいろな角度でいろいろな分野のことについて常日ごろから各省とも連携しております。特に、今度、公営住宅で知的障害者、精神障害者の単身入居を認めてもらうということになっていますが、これも、今度の自立支援法案で市町村が二十四時間サポート事業をやるということが前提になっております。いろいろな角度で各省とは協議しながら進めてきたつもりでございます。

水島委員 大体思ったとおりの答弁だったんですけれども。

 尾辻大臣、私、先日、刑務所に入ってこられた山本譲司さんからお話を聞く機会がございまして、私も改めて驚いたんですけれども、やはり日本の行刑施設の中における知的障害者の方の割合の高さというのは、私が思っていた以上のものでございました。そういうところで障害者の方が、実際に何か罪を犯しているのかもしれませんけれども、実際にそこでどういうふうに適切な扱いを受けているのか。

 また、特に障害者年金が刑務所に入ると一度切れてしまって、そこから出た後に、その障害者年金の手続を家族でもいてやってくれればつながるけれども、そういう人が身近にいない場合にはそのまま経済的基盤がなくなってしまって、それこそまた再犯でも犯さなければ生きていけないという状態になっているという事実がかなりあるようでございますので、実は司法と福祉の連携というのはそんなところにも必要です。

 今一つだけ指摘させていただきましたけれども、この点ちょっと、刑務所を出た後の障害者年金のこと、きょうは全然通告していないので御答弁は結構なんですが、この点についてちょっと御確認いただいて、ちょっとしたことでつなげられると思いますので、これはきちんと取り扱っていただきたいと思っております。

 また、今の取り調べのことについても、そのように知的障害者の方が警察のお世話になるということはかなり多いようでございます。そのときの取り調べでどういう配慮が必要なのかということについては、これは警察庁だけに任せておくというのは、私、今の答弁を聞いても大変心配になりましたので、障害者の自立についての一番のエキスパートである厚生労働省の支援なくしてはできないことだと思っておりますので、ぜひその点も問題意識として持っていただいて、連携を深めていただけますようにお願いいたします。

 また、私、きょう応益負担というテーマでこの件を取り上げましたのは、応益負担の矛盾についてちょっとわかっていただきたかったということもございます。この一件からもその矛盾は明らかなんですが、知的障害を持つ方が冤罪から逃れるためには、特別な警察官とか特別な弁護士の配置が必要になります。こういった当たり前のことまで益と考えるのかということでございます。

 まさか小泉政権はそんな費用まで定率負担させるつもりではないだろうと思うんですけれども、つまり、冤罪から逃れるために特別な配慮が必要で、それも一割負担してくださいというようなことをまさか考えられないですよね。何か御答弁いただくのも申しわけないような質問なんですけれども、こんな質問をなぜするのかというと、障害者が地域で人間らしく暮らしていくということは、冤罪から逃れるというのと同じくらい当たり前のことだというふうに私は思っております。そんな人間として当たり前の権利だと思っているから、今あえてこんなことを申し上げたわけです。

 それを益と呼ぶ発想というのは、私にはいつまでも理解できません。今の冤罪のこと一つ考えてみれば、本当にこれを益と呼んで応益負担させるようなことなのかといえば、みんな、それはおかしい、幾ら何でも与党の方でもそういうふうにおっしゃると思います。実は今回の政策全体を貫く考え方に今の問題というのは重要に関係していると思いますので、ぜひこのことについても小泉総理大臣に質問をさせていただく機会をつくっていただきたいと委員長には改めてお願いを申し上げておきたいと思っております。

 さて、精神障害者のことに戻って、こんなにまだたくさん聞くことがあるんですけれども、時間もなくなってきましたので、少し絞って説明をさせていただきたいと思います。残りのわずかな時間で、精神保健福祉法の改正案について質問をさせていただきたいと思います。

 実は、お気づきでない方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、今回、自立支援法案の陰に隠れて目立たない形で精神保健福祉法の改正案が提案されております。前回の精神保健福祉法改正時に五年後の見直しという附帯決議がつけられておりますけれども、基本的に今回の改正はそれに基づく定期の改正というふうに考えてよろしいんでしょうか。

尾辻国務大臣 今般の精神保健福祉法の改正は、御指摘のとおり、前回の平成十一年改正の見直し規定などを踏まえて取りまとめたものでございます。

水島委員 一九九五年だったと思いますが、私が駆け出しの精神科医だった時代に精神保健法が改正されて精神保健福祉法になりました。まだ精神保健指定医でもなかった駆け出しの医者にとって、法改正というのは大変な重みを持っていたということを記憶しております。そして、医者にとって以上に、患者さんにとって重みを持っているのがこの法律でございます。

 法改正に対応するのは、その内容がどれほど前向きなものであっても、現場では実際にいろいろな苦労を伴うものでございます。だからこそ、一つ一つの改正を、とりあえずという形で消化するのではなくて、真摯な議論を経て、その時点で考え得る最善のものにしてほしいというのが、患者さん、そして現場の医療者の切なる思いです。

 精神保健福祉の現場のすべてを規定していると言ってもよい精神保健福祉法ですけれども、当然、その法改正をする際には、あらゆる角度から現実を検証し、いろいろな方の意見を聞いて法改正が行われるものだと一精神科医としては思っておりました。ところが、今回の改正は、主として障害者自立支援法との整合性を保つために行われたものであって、前回改正の附帯決議に基づいて、各界の意見を幅広く集めて検討されたものとは言いがたいと思います。

 また、この審議の中でも、こうやってきちんと取り上げて質問をしているのは私が初めてではないかなと思うんですけれども、こんなに議論の多い自立支援法案の中に入れ込んで提出しているのだから、なかなかこちらに議論が来ないというのもいたし方ないことではないかと思います。

 かねてから精神保健福祉法上の重要課題とされてきた保護者規定の見直しとか、医療保護入院の廃止であるとか、精神医療審査会の独立であるとか、手帳制度の他の障害との統合などについては、今回全く触れられずに見送られているわけでございます。これらを含めた抜本的改革が実はこの五年後の見直しに問われていたのではないかと思うんですが、これらについての意見集約をされてきたのか。また、今現在どういう作業が行われていて、こういう本当の抜本的改革というのはいつ行われるのか。そのあたりを御答弁いただけますでしょうか。

塩田政府参考人 今回の障害者自立支援法案の取りまとめにさかのぼって、大臣が本部長をしております精神障害者の対策本部がありますけれども、そこでグランドデザインをまとめました。それに先立っていろいろな検討会を開いたわけでありまして、精神医療の見直しの検討会、国民の啓発の検討会、地域の受け皿づくりの検討会、そういう中でいろいろな御意見を伺い、かつ、御批判はありますが社会保障審議会の障害者部会など、いろいろな御意見を伺って今回の法案を取りまとめたつもりでございます。

 まだまだ残された課題が山積していることはおっしゃるとおりでありますし、これについては今回の法案でも三年後に見直すということを規定に入れておりますし、三年後に自立支援法についても施行状況を見ながら見直しが必要でありますので、その際に、精神保健福祉法についても残された課題を含めてさらに引き続き検討して、必要があれば改正をしていくというつもりでございます。

水島委員 また三年後ということで、今回のが本当にとりあえず改正だったのかなという感じを今また感想として持っているところなんです。

 やはり、この法律にすべてが支配されている世界におりました、また今も少しおります立場としては、この法案が審議されているんだということを余り多くの国会議員に認識されることもなくこうして法改正が行われていってしまうという事実が本当に非常に悲しいですので、ぜひこれは単体できちんと出していただいて、もう今、精神保健福祉の現場はたくさんの問題がございます、先ほどその主なテーマを上げさせていただきましたけれども、それらについてすべての委員の方が質問をしていただくような形で審議がされるべきだと思いますので、今回の法案の出し方については、この場で改めて抗議を申し上げておきたいと思っております。

 その中でも、精神分裂病が統合失調症という病名に変えられたのは、精神神経学会を中心とする専門家が時間をかけて議論を積み重ねてきた結果に基づくものであって、前向きに評価できるものでございます。きょうは老健局の方はお呼びしていないわけですけれども、介護保険法改正案で、なぜか認知症という言葉が突如として出てまいりまして、これは学術的にはとても受け入れがたい用語であって、その認知症という言葉に比べれば、この統合失調症という言葉は格段の違いがあって、非常に受け入れやすいものでございます。

 ちなみに、認知症という用語は、老年精神医学を専門とする方たちの間では大変に評判が悪いだけではなく、既に認知療法は認知症の治療法だと勘違いしている医師もいると聞いておりまして、認知療法を一つの専門としている私としても大変問題だと思っているんです。

 ぜひこれは法律になってしまう前に、参議院を通過する前に、厚生労働省として、きょうは老健局の方はいらしていないのでこれは大臣にお願いするしかないんですけれども、この病名についてもう少し考え直していただけないかなということを、医学的にも決して正しい言葉ではありませんので、ちょっとこれに関連して指摘させていただきたいと思っております。

 きょう、残りの時間で一つだけ確認させていただきたいのは、この精神保健福祉法の中での緊急入院時の特例措置に関する部分でございます。

 今回の法改正で実質的に最も大きな改正は、一定の要件を満たす医療機関における医療保護入院、応急入院につき、緊急その他やむを得ない場合において、精神保健指定医以外の一定の要件を満たす医師(特定医師)の診察により、その適否を判断し、一定時間を限り入院等をさせることができるものとするとの規定が新設されるということだと思います。任意入院患者の十二時間の退院制限も特定医師の診察で可能になります。

 これを見て、精神衛生法時代への、あの暗い時代への逆戻りではないかと心配する人もたくさんいるわけなんですけれども、一定の要件を満たす医療機関の詳細は政省令でということになりますが、どういうものを考えられているんでしょうか。

塩田政府参考人 具体的な要件については関係者の意見を聞いて決めるということですが、例えば行動制限についてちゃんとした検討会をつくっている医療機関とか、外部の意見をちゃんと受け入れるようになっている病院とか、具体的内容についてはこれから関係者の意見を聞いて検討していきたいと思います。

水島委員 本当は私、その具体的な内容が決まって初めてこういう法改正が可能になると思うんですけれども、これはやはり精神衛生法から精神保健法へ切りかえてきたかなり根本的な部分にかかわりますので、絶対にそういう緩みが出ないのかということを、どれほどの病院がそれに当たるのかというようなことをちゃんと検証してから、こういう法改正を提案していただくべき筋合いのものだと思います。

 それでも私の意見をぜひそこに入れていただきたいので申し上げておきますけれども、この政省令には、必ずその病院の、医療機関の要件として、精神科救急を中心的に行っているということ、また行動制限最小化委員会が法の趣旨にのっとり運用されているということ、また事後の客観的な検証が可能であることなどが絶対に必要な要件だと思っていますので、これを法改正の前に検討していなかったということをもしも反省されるのであれば、きちんとこれらを入れていただきたいと思っております。本当に、くれぐれも精神衛生法時代への逆戻りにならないように、その点は徹底していただきたいと思っております。

 このほかにも、実は障害児の入所施設の見直しのことなどについて質問させていただきたいと思っていたんですけれども、三年間で見直すということなんですが、子供の施設ということでいえば、児童養護施設が依然として大きな問題として残っております。また、単に障害がある、ないということではなく、虐待の被害に遭った子供や、不法滞在の外国人との間に生まれたなどの理由で完全なネグレクトの状態に放置された子供が多くなっておりまして、どのようにしてそれぞれの子供の特性や事情を踏まえた配慮を健康な成長と自立のために確保していけるかということが問われている時代でございます。

 担当部局の狭い枠ではなく、子供の施設のあり方全体を、子供の特性にきめ細かい配慮ができるように、そしてできる限りの家庭的環境で愛着関係を育てながらという大原則に基づいて、抜本的に見直すべき時期が来ていると思いますけれども、最後にその点について大臣のお考えだけ伺って、質問を終わりたいと思います。

尾辻国務大臣 委員の御指摘のとおり、障害児施設の見直しに当たりましては、児童の虐待問題など、児童特有の問題に適切に対応できるようにしていくことが重要であると考えております。

 そのため、現在都道府県が行っております障害児施設の事務を市町村へ移譲することについては、市町村における虐待等に関する体制の整備等も踏まえて、今、検討を進めておるところでございます。

 あわせて、障害を理由として虐待を受けたり、虐待を受けた結果として障害を有するに至った児童等に適切な対応ができるように、施設における支援のあり方についても、関係者の御意見も伺いながら、そしてまた、きょう先生の御意見なども伺っておりますので、こうした御意見を伺いながら、今後の検討をさせていただきます。

水島委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 施設の子供であっても、当然、障害を持つ子も持たない子もともに育ち合っていく環境がここでも必要だと思いますので、ぜひ大きな視点からきちんとこの見直しをしていただけますようにお願いいたします。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、五島正規君。

五島委員 きょうも朝から議論が続いてきたわけですが、私は、今回出された法案について議論する前に、大臣に二点にわたってお伺いしたいと思います。

 一つは、現行の我が国の障害者福祉サービスの体系、これは大臣として十分なものだというふうにお考えなのか、それとも、現行のサービスの体系は大変問題を抱えているというふうにお考えであるのか。問題があるとすれば、どういう点において、どういう部分においてそれがあるのか。まずお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 我が国の障害保健福祉施策は、身体障害者と知的障害者を対象とする今日の支援費制度、それから、精神障害者の社会復帰対策などを中心とする制度で成り立っております。

 このうち支援費制度は、施行後多くの方がサービスを利用できるようになるなど、障害者の地域生活を支援する上で大きな役割を果たしておると評価はいたしております。同時に、利用者が急増していく中で、現在のままでは制度を維持することが困難となっていること、それから、地域間の格差が大きいことなどの課題が今明らかになってまいりました。

 また、もう一方の精神障害者の社会復帰対策は、条件が整えば通院可能とされる入院患者の退院を促進するため、地域生活の基盤を整備する必要があること、それから、最初に申し上げました支援費制度の対象になっていないことなど、身体障害者や知的障害者に比べて施策のおくれが見られること、こうしたことが課題であると考えておるところでございます。

五島委員 今、支援費制度については制度の存続性に問題があると。言いかえれば財政の問題をお話しになっているのかなと思うわけですが、同時に大臣は、この問題について地域間の格差がある、あるいは精神障害者の問題について非常に基盤整備がおくれているというふうな御指摘もなさっています。

 事実、知的障害者を含めまして、市町村の中においてのサービスの提供は五〇%程度という状況ですから、現行のサービスの体系が決して満足のいく十分なものとは言えないであろう。その十分なものと言えない段階において財政の問題ということを今問題に出してくるということは、このわずかな予算の中においてより幅広く平均化すれば、個別のサービスの提供は非常に小さなものになっていかざるを得ない、これは当たり前だろうと思います。

 そこで、その点も含めて改めてお伺いいたしますが、現在の支援費制度のもとでの障害者福祉サービスを受けている障害者にとって、今回出されました自立支援法がもし成立したならば、どのような点において一人一人の障害者にとって利益があるのか。それとも利益は全くなく、現在自立支援サービスを受けておられる障害者にとっては大幅なサービスの低下にしかならないのか。その辺を率直にまずお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 今、個々の障害を持っておられる方についてというふうにお尋ねでございますが、そのことについて申し上げます前に、最初に申し上げた財政的なこと、今度のことで義務的経費に組み込むことによって毎年の予算獲得が確実になる、必要なものを獲得できるというそのことで、障害者の皆さんへのサービスがそういう意味においてきっちりやれるようになるという大きなメリットがあるということだけは、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。

 その上で、改めてのお答えを申し上げたいと存じます。

 今回の障害者自立支援法案によりまして、障害のある方が自立して普通に暮らせる地域社会づくりをさまざまな側面から進めていきたい、これはもう当然のこととしてそういう社会を目指して私どもも施策を考えていきたいというふうに考えておりまして、今回もその一つとして御提案を申し上げているところでございます。

 具体的には、精神障害を含め、市町村中心に、障害種別にかかわらず一元的に提供する体制が構築されるということがございます。それから、雇用と連携した障害者の就労支援の強化が図られるということがございます。それから、さらにまた、施設基準等の規制緩和による地域の社会資源の活用や、障害福祉計画によるサービスの整備によりまして、地域のより身近なところでサービスを受けられることが期待をできるといったようなことが盛り込まれておるところでございます。

 さらに申し上げますと、サービス利用の手続でありますとか基準の透明化、明確化を図りまして、全国どこでも支援の必要度合いなどに応じてサービスが公平に利用できるようになること、申し上げております地域間格差をなくそうということ。それからまた、利用者負担の見直しとあわせ、在宅サービスに関する国の負担を義務的なものにすること、最初に申し上げたことでございます制度を安定的に持続可能にすること。

 こうしたものが期待できると考えておりまして、申し上げた、障害のある方が地域で普通に安心して暮らせる社会づくりを進めてまいりたいと考えて法案をお出ししたということを申し上げます。

五島委員 確かに、義務的経費にすれば、厚生労働省としての毎年の予算の編成においては一定楽になることは間違いない。これは皆さん方のお仕事が楽になるということです。

 そして一方、そのことによって、義務的経費化され、そしてサービスの公平性という形で今回応能応益負担が変えられていくということによって、では、現在五〇%、あるいは精神障害者について言えばその社会的基盤もまだ整備されていない状態が、どのように整備される予定なのか。その整備するについての具体的なタイムスケジュールも現在まだ出されていないわけです。

 その辺はどうなんですか。皆さん方のお仕事が楽になる以外に、障害をお持ちになっている方々自身が本当に自立して生活していく上におけるサービスはどのような形で担保されるんですか。それは、この法律、どう読んでも、負担が大きくなるので利用する人が減ることによって予算の増大を抑えるというふうなことを考えているとすれば理解できるけれども、中身において、いま一つ、これが目玉なんだというのが見えてこない。その辺はどうなんですか。

塩田政府参考人 障害を持つ方々が地域で生活する上では、地域社会のさまざまなサポートが不可欠だと思っております。その際に決定的な役割を果たせるのは、都道府県、国ではなくて市町村だと思っています。市町村が障害者のための施策、サービスを本当にやっていただくためには、国、都道府県が市町村をどれだけバックアップできるかというのが物事の、国、都道府県、市町村の関係でいえば一番大事なことだと思っております。

 その際に、現行の支援費制度では市町村の応援の仕方が不十分であるという観点から、市町村が障害者の方たちの介護サービスとか訓練等のサービスをする際の経費について、国と都道府県は裁量的経費じゃなくて義務費として、負担金としてしっかり応援します、これが基本であろうと思っております。もちろん、国として予算編成の負担、補正予算も可能になりますし、随分楽になることは事実ですけれども、負担金にすることによって市町村の応援ができるということであると思っております。

 障害者福祉の分野は、午前中の議論でもありましたが、高齢者福祉に比べて市町村の格差が大きくて、まだまだサービスはこれからだという市町村がほとんどであります。そこの市町村にどういう取り組みをしてもらうかというのが物事の一番大事なポイントでありまして、今度の法案では、市町村に障害者福祉計画をつくっていただく、国も県もつくりますけれども。その市町村の障害者福祉計画では、数値目標も決めていただきます、サービスとか必要な社会的資本の数値目標を決めていただくことになっております。そういう数値を県ごと、全国で集めて、それに基づいて私どもは予算要求をし、必要な施設整備の補助金もきちんと確保する。そういうことでありまして、今度初めて市町村がしっかりと障害者サービスをできるような制度的な枠組みができるということであります。

 しかし、これはあくまで枠組みであって、そういう枠組みができても、それを本当に動かすエンジンの部分をどう確保するかという課題は、けさほど、この法案の審議以来ずっと御指摘いただいておりますが、自立支援法案だけで市町村の仕事が完結するような仕組みではありませんので、それは私どもは、欠けている部分は第二、第三の改正、改革をしなきゃいけないと思っておりますし、予算を確保するためにどんな手だて、どんな制度的枠組みがあるかについても、御知恵を拝借して真剣に考えていきたいと考えているところでございます。

五島委員 どうも今のお話を聞きましても、具体的に、障害をお持ちの方々にとって、この法律ができることによって日々の自立した生活の上においてこういう面で飛躍的に改善するんだという目玉はないんだなと。むしろ、これからのインフラ整備の一環として、市町村にも計画づくりをやってもらうとか、そういうような話。必ずしも今回の法案の提出がなかったとしても、できることをこれからやりますとおっしゃっているのにすぎないように聞こえます。

 そこで、もう少し具体的に聞いてまいりますが、今回の法案によって、福祉サービスを受ける人々に対して応能負担と応益負担という二つの概念が入ってきています。応能負担につきましては、従来我々は個人の所得に応じた応能、個人主義というのを主張してきたわけですが、今回の法案の中では家族というような形が入ってきています。これは、いろいろな団体の皆さんも御指摘になっておりますが、非常に幅が広い。生活保護なんかのように扶養義務者という、そういうとんでもない現実に合わない広い範囲から、家族所得、すなわち同一世帯の家計という考え方、あるいは、個人負担でないとしても、生活保持義務者、すなわち夫婦間の所得だけに限定した考え方、幾つかあると思います。

 厚生労働省はここのところも政令事項に落としておられるわけですが、一体この応能負担の所得というものは、個人単位なのか、生活保持義務者の単位なのか、それとも同一生計者、すなわち同居人の単位なのか、扶養義務者の単位を考えているのか。この辺は明確にお答えいただきたいと思います。

塩田政府参考人 支援費制度で利用料を負担するのは本人または扶養義務者となっておりましたが、今度の法案では利用料を負担するのは本人のみになっております。法案上は家計という言葉を使っておりますが、家計への影響を考慮して定率の一割負担の例外的な規定をつくれるという法案になっておるわけでありまして、家計の定義をどうするかというのが問題点でございます。

 それで、これはこの委員会で当初から御指摘をいただいておりますように、本人の自立、障害を持つ方の自立という観点からは、家計への影響の家計は本人の所得、収入だけでやるべきだという御意見をいただいているところでございますが、一方で、社会保障制度の整合性という観点から考えますと、家計といった場合に、一緒に生活している御家族については一般的には同じ家計として収入を合算して見るべきだ、そういう御意見があるわけであります。

 私どもは、これはこれまでの審議の過程でも申し上げておりますが、民法で特別の生活保持義務がかかる御夫婦は別にして、やはり親、それから子供さん、兄弟については、同じ生活、同居をしていても基本的には別扱いをして、御本人だけで家計の所得を見るべきだと考えておりますが、一方で、これも何度も申し上げておりますが、医療保険の家族扱いになっている場合とか税制の障害者控除になっている場合について、障害者自立支援法では世帯ではないと言い、一方の税制とか医療保険上は同じ世帯だと言うことについて、説得力を持つためには、もう一ついろいろな知恵を絞らないと、その部分についてはなかなか乗り越えられないというのが現状であります。

 これからいろいろな関係者の御意見を聞いて、政令事項ということでおしかりを受けておりますが、まさに関係者の意見、いろいろな意見を聞いた上で結論を出していきたいと思っております。

五島委員 それでは、一体この審議は何なんですか。一番大事な応能負担の対象、何を基礎に考えるのかということについて政令に落とし、そして、その政令をつくる上においてどういう考えを中心にするのかについてはまだ決まっていない。だけれども応能負担だけは入れていく、それを国会で審議しろと。随分と立法府としてはなめられたものだと思いますよ。そんなばかな話はない。ここは明確に、この自立支援法案という法案が出された以上、どういう形のものが現実的なのか、結論を出すのは委員会の場だと思います。

 今御指摘があったように、塩田部長は限りなく個人負担が望ましいというお話をなさっている。我々もそう思っている。

 では、どこまでは絶対配慮しないといけないのか。確かに、障害者の多くの方々は、一定成人になり、お年をとっても、大家族でお住まいになっているケースが多うございます。そうした場合に、親子という範囲は未来永劫続いていくのか、あるいは、その中で、御兄弟、御兄弟の御家族と一緒に住んでいる場合、御兄弟の所得もカウントするのかどうか。そういうとんでもないことは、今の時代、できるはずがないじゃないですか。

 そうだとすると、常識に考えて、個人負担でいくべきなのか、それとも生活保持義務者の間でやっていくのか、二つに一つしか選択肢はないんじゃないですか。それ以上拡大しようということであれば、これはとんでもない話ですよ。しかも、それ以上拡大しようという話であるならば、それを明確に出さずにこの委員会で審議を求めるというのは、私はとんでもない話だと思います。

 その辺について、大臣、はっきりとお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、一番基本のところは、本人の負担ということで法律に明確に述べておりますから、それが基本的なものでございます。したがって、そういう法律として提案をさせていただいた。

 ただ、申し上げておりますように、きめ細かな配慮もしなきゃいけないということで、所得の低い方に対して、本人負担といってもそれが負担できない、大変だというようなケースでどうするかということを考える際において、では、そういうことはさらに政省令で定めさせていただきますということをまた法律に述べて、御提案申し上げておるわけであります。

 そこで、どういうふうにさせていただくかというのは、今いろいろな考え方がありますからと申し上げておるような、こうした御議論をいただかなきゃいけないし、まさに先生方の御議論をいただいて、そうしたものの中で、それを踏まえさせていただいて決めさせていただきたいということを申し上げているところでございます。

五島委員 それは、大臣、立法府の中においてこの問題が議論になった以上、その議論の中で結論を求めるのでなくて、そういう書きぶりになっておりますからお任せくださいという話には、これはならない部分だろうというふうに思います。

 そういう意味におきましては、与党の皆さんに対しても、この問題についてはきっちりとこの委員会において結論を出していくということを申し上げて、また委員長も、ぜひその点についてはお聞き取りいただきたいと思います。

 そして、あわせてもう一つ、応益負担という概念が出てきています。私は、この応益負担の概念というものは、他の福祉制度と横並びということでおっしゃっているわけですが、やはり障害者の置かれた立場、それからまた、私は、介護保険を二十一年には拡大し、エージフリーにすべきだという考え方を持っています。そして、介護保険に移行すれば、その部分が一割負担になるというふうなことも頭の中にしっかりと入れた上で、それでもなおかつ、現在の応益負担の問題を議論していく上においては、現実に即した議論が必要だろうと思います。

 例えば、重度障害の方、それから、いわゆる障害二級の方、いずれもそれぞれ障害年金が六万六千円から十万強という差があります。その方々が施設を利用された場合、いずれにしても、手持ち金は二万五千円になりますね、減免措置をとられても。すなわち、障害者の方々は、施設に入られたら、御本人が使えるお金は二万五千円になります。その二万五千円の中で、もし、風邪を引かれた、あるいはそのほかの病気になられた、けがをされたということがあれば、医療にかからなければなりません。多くの場合は国保です。そうしますと三割負担がついてまいります。

 本当にこれでいけるのか。私は、現行の介護保険と一緒になるかどうか。確かに、高齢者は資産、所得は二つに分かれてきています。非常に所得の少ない、資産形成に成功されていない貧しいお年寄りもふえてきています。しかし、相対的に言えば、障害者の場合は、資産形成の時期を経験していない方々、その方々に対して福祉的な措置として何らかの手当てをせずに、介護保険が一割負担だからそのまま一割でいいという議論が成り立つのかどうか。

 先ほどから聞いておりますと、大臣は他の制度がそうだとおっしゃったんですが、そこの基本になるところについてどうお考えなのか。大臣でも部長でも結構ですが、お答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 これは今先生みずからもお述べいただきましたように、そして、再三申し上げておりますように、この御提案申し上げております障害者自立支援法案におきましては、一割の定率負担、それから、所得に応じた月額の負担上限を組み合わせた利用者負担をお願いいたしております。ただ、その際に、数段階の月額負担上限を設けておりまして、その設けるに当たりましては、同じ所得の方については他の制度とのバランスを踏まえた負担額となるように設定しているところでございます。申し上げておりますことは、この制度を他の制度と比べて整合性のあるものにしておきたい、まず基本のところでそうしておきたいというふうに考えてその仕組みにしてあるわけでございます。

 ただ、今先生御指摘いただきましたように、そういたしますと、障害のある方については、年金だけで生活されている方も多くおられますし、それからまた資産の乏しい方もおられます。資産形成の時期がどうだったんだということを考えなきゃいかぬだろうと言われれば、またそれはそのとおりでございますから、そういう資産の乏しい方がおられるということも、これは配慮しなければならないわけでございます。そうした方々の障害の方がお暮らしいただく上で支障がないように負担額を減免する仕組みをつくるというのが、今度のまた御提案申し上げている中での一番肝心な部分だと思っておりまして、そのことも今いろいろ御説明を申し上げておるところでございます。

 そうした中で、申し上げましたように、障害のある方も安心して暮らせるような社会をつくり上げたいと考えておるところでございます。

五島委員 午前中、公明党の桝屋議員が、障害者の福祉サービスの財源として、例えば消費税のような形を含めた税のお話をされておりました。障害者の福祉サービスに対して提供するこのファイナンスを何でやるか、それは私は、介護保険を使うということも一つの方法であるし、それはそれで現実的な方法だと思っています。そのことと、障害者に対する福祉サービスと介護保険によって提供される高齢者に対する福祉サービスが、全く同じシステムでないといけないとは思いません。もし考えるとするならば、障害を持ったゆえに資産形成の機会を全く奪われたことに対して、障害者福祉サービスとしてどのようなことをやっていくか、そのことを考えるべきだろうと思います。

 例えば、その問題に対して、二十年前には、きょうの部長もそれにかかわったとおっしゃっておりますが、この基礎年金ができた段階において、それまでの福祉手当というものを財源として特別障害手当という制度をつくって現在に至っていますね。これは重複障害を持っている人がその当時対象でした。全く手をつけられないまま現在に来ています。

 基礎年金制度というのができたとしても、二十年前はまだ障害者の特殊な、障害者であるがゆえに機会が平等に与えられなかったことに対する国民全体の責任といいますか、義務としてこういう制度をやってきた。十分だったとは言いません。

 ところが、今回、介護保険はまだ拡大するとも何とも決定していないわけですが、この法案を見ていくと、間違いなく、将来介護保険との統合を考えているんだろうなと思われる内容です。それはそれで私は反対しない。だけれども、その中で、障害者福祉という部分はこの部分でどのように生かされていくのか。介護保険に移行したとしても、そうした部分についてはどのように扱おうとしているのか、それが読めません。その辺をどうお考えなのか、再度お伺いいたします。

塩田政府参考人 障害者の所得保障のお話がありましたので、過去の経緯も含めて若干お話しさせていただきますが、国際障害者年の後、障害者の方々にとって最大の政策課題が所得保障ということでございました。その当時、生活保護ではなくて、年金を初めとする所得保障、基本的には年金で生活できる水準の年金をということでございましたが、ちょうどそのときは年金制度の大改革ということで、二十前の方、生まれながらの障害がある方も基礎年金の対象にするという大改革を実現したわけでございます。

 その際に、基礎年金の水準、現行と同じような考え方の水準でありましたが、その水準では生活の維持ができないということで、稼得能力の喪失に対するものが基礎年金であり、介護ニーズとか特別の費用が負担がかかる、それを補てんするのが特別障害者手当ということで当時整理されたものであります。そういうことで、一定の所得保障はでき上がったと思います。

 今度、地域で暮らす意味での実際のサービスをどう障害者の方々が受け取るかということでありまして、支援費制度、理念は非常にすぐれていたものでありましたが、このままでは制度が維持できないということで、その支援費制度の理念を生かすためにしっかりとした構造の制度にするという観点から、国と都道府県のものを義務費にすると同時に、障害者の方にも一定の御負担をということで立案したものであります。

 障害者の方々の実際の所得の状況とか生活状況が、一般論で申し上げて高齢者と違っているではないかというのはおっしゃるとおりでありまして、そういう意味で、仮に将来、介護保険を障害者の方も基本的なサービスニーズとして活用できるようになるとして、その場合に、障害者と高齢者とは一般的には所得の状況が違いますから、何らかの特別ないろいろな制度を加味するということは当然必要だろうと考えております。

 そういう観点で、今回、老人の介護保険と同じような仕組みだけじゃなくて、定率負担について、実質ゼロになる仕組みとかいろいろな工夫はしているつもりでありますが、けさほどからもいろいろな、それではまだまだ配慮が不十分じゃないかという御指摘もありますので、そういう観点については、障害者が実際にいろいろな基礎的なニーズのサービスを購入できるような仕掛けについて検討する必要があると考えております。

五島委員 大臣、これは本当に、日本の社会保障制度を下手すると根底から崩してしまうんですよ。

 今回の定率負担、いわゆる応益負担、応能負担、そして食費、光熱費の負担、それを全部払って、その上でそのほかの医療費の負担等々を払っていくということになりますと、資産をお持ちでない障害者は、重度で十万やそこらの年金をもらっても、二万五千円残らないんですよ、実際は。そうであれば、生活保護になった方がはるかに生活は楽なんですね。それはもうすぐおわかりでしょう、そうした負担についての減免があり、なおかつ医療費や何かについても要らない。そうすると、手持ち資金ははるかにたくさん残るんです。

 言いかえれば、よほど御本人が若いときには元気で資産をおつくりになって年をとって障害におなりになった方、あるいは親御さんが非常にお金を持っておられて遺産で相続できた方、そういう方以外は生保を申請するということが常道になってしまう。そうであれば、これまでやってきた障害者福祉政策というのはどうなるんだという話になってしまうんですね。

 また、そのことは、結果的に、国民全体が支え合っていく福祉の制度としての理念はもとより、厚生労働省もおっしゃっている財源の問題から考えても、絶対に非常に大きな負担になることは目に見えている。その辺を考えた場合に、だれが考えても、私が相談に乗れば生保をとりなさいよといって勧めるでしょうね、まず。そういうふうな制度につくり上げるということは、今の時代に正しい方向ですかね。お答えいただきます。

尾辻国務大臣 ですから、今回の私どもがきめ細かなと言っておりますその仕組みの中で、生活保護にもうどうしても陥らざるを得ないというふうになりそうな場合には、そこの、ならずに済むようなところの負担の軽減をさせていただくという仕組みもちゃんとつくっておりますので、今御懸念のようなことについても配慮したつもりでございます。

五島委員 その配慮をしてもらっても、厚生労働省が出された資料を見ましても、緊急時の医療費の自己負担を含めて手持ち金二万五千円しか残らないんです、入所している人の場合に。二万五千円で本当に若い障害者が一月生活していけるのかどうか、万一病気になったとき自己負担を払えるのかどうか、お考えになればおのずから結論は出るではないですか。

 ここのところは、やはり厚生省がお出しになったとおりには、到底そのままするわけにいかないということではないかというふうに思います。この点も含めて、ぜひ与野党間での協議をお願いしたいというふうに思います。

 また、特別障害手当等のより有効な活用によって、そうした所得保障についてももう少し考えていくことができるのではないかというふうに思います。

 これも含めて、厚生省の出されてきた原案にとらわれることなく、やはり、だれが見たって生保に行った方が得だよねというような法律のまま、議会として認めるわけにいかないんじゃないか。そういう意味においては、この委員会に席を占める議員の責任において、この議論をぜひ呼びかけたいと思います。

 幾つかそうした問題の関連において細かな問題についても議論をしたいわけでございますが、もう一つ大事な問題がございます。

 先ほど水島議員が、いわゆる精神通所補助の問題について議論をされておりました。この点については、専門家である水島議員に譲って、私は余り言わないようにしようとは思っておりました。

 しかし、部長の話を聞いてみると、例えば、重度かつ継続とはどういうふうな定義なのか、どういうイメージなのかは確立していない。だけれども、躁うつ病の患者さんは重度かつ継続の対象にするけれども、そうでないのは違うといえば、では、その定義というのはどうなるんだろうかな、それが出ないままに分けることができるんだろうかな。

 病名と病態像、これをミックスして考えるんだと。そして、GAFでどうかという水島議員の質問に対して、GAFで判断できる医者は少ないんだみたいな話。これはちょっと待ってくれよと。水島議員がお配りになっておりましたけれども、私は精神科の医者じゃないけれども、GAFの七十点とか八十点とか、よく冗談で言っているぐらい一般化されている内容です。それで評価をしていくというのは、一つの断片的なその時点における評価としてはあるんだろう。

 そうしたものを何をもって判断していくかという基準もないままに、通所医療に関しての現在の負担割合を変えてしまう。これもまた、ほかの問題と同じように、随分乱暴だなと。なぜそれを先に出さないんだ。そうした重度、継続の定義とか、あるいは病名でいくのか状態像でいくのか。今議論がありました。両方ミックスならミックス、ミックスでいくとしたらどういうふうにしていくのか。そういう結論を出してから議論するのでも遅くはない。

 ましてや、実は、三障害同一解決というのが望みだけれども、間違いなく精神は取り残されてきました。現在でもまだ、後ほどの質問の中で触れますが、精神障害の雇用率の問題については、きょう午前中の城島君の質問に対しての大臣の御答弁でも明らかなように、まだ他の二障害とイコールではないんです。ところが、その医療費、通所医療の問題についてはイコールにしようとしている。なぜなんだ。障害者対策として三障害一体の状態を目指す中において他の障害とのイコールフッティングを求めるというならまだ論理はわかるけれども、それができていないときにそれを求めていく。これでは、やはり御家族の方や患者団体の方々が不安に思われる。

 私は、決して精神科の先生方、お医者さんと同じような立場はとりません。実は、三十二条の問題にいたしましても、これは必要悪だと思っています。なぜならば、これは本当に患者の立場からつくられた支援措置なのか、それとも保安処分の発想を引きずり込んだ、障害者問題を治安問題の一環として考えようという発想を引きずったものなのか、私はわかったものじゃないと思っています。

 にもかかわらず、ここのところに手を入れて、本当に三障害一体的なものとして障害者福祉の中で解決していこうという、その思想は非常にいい。それを進めていくためには、やはり、三障害が同じ程度の問題として対応できる体制をつくっていくまでは、そういう負担のところだけから入っていくというのはおかしいじゃないかと思っています。

 その点について、さんざん水島議員とやりとりしておられましたけれども、私にも一言、何か御答弁いただければありがたいと思います。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

塩田政府参考人 精神の通院公費医療制度の役割については、いろいろな御意見があるということですけれども、精神障害者の方が地域で暮らす上で必要な制度でありますので、今後とも、持続し、きちんと制度として維持できるものであるようにすべきものと考えております。

 重度かつ継続の対象範囲については、厚労省の案としては、疾病で実証データがあるものとして三つの疾病を上げて考えているということで御説明申し上げております。基本はそれでいいと思っていますが、きょうの御指摘のように、病態とか症状とかいろいろな要素も入れて、もう少し実証データも入れた上で、専門家の意見も聞いてやるべきだという御意見でしたので、それはそういうことだろうと思いまして、いろいろな専門家の御意見、実証データを集めた上で、基準はいかにあるべきかという観点で、もう一度きちんと、重度かつ継続の対象範囲についての考え方を整理させていただきたいと思っております。

五島委員 結構です。それを整理した上で、精神の通所医療支援の問題についても、それから議論するというふうにぜひしていただきたいと思います。

 なお、この問題に関連してもう一言申し上げておきますと、水島議員は精神科医療の専門家であり、それでその立場からの御発言でした。非常に優秀な議員で、若い議員ですが、私は心から尊敬しているんですけれども、私は労働衛生をやってきた立場からいうと、若干あえて違う意見を言わざるを得ない。

 確かに、うつの患者さんに対しても、医療費の問題が受診の障害になっているということはあるのかなとは思います。しかし、その範囲を医者に任せて、簡単に、あなたは精神障害であり医療費の免除対象になるからという形でもって医者から背中を押されたり、あるいは、もっと問題なのは、後ほど触れますが、職場において障害者を実数カウントするときに、この人たちも実数カウントの中に入れるのかどうか。

 入れるとすれば、私はあえて言うけれども、先週でしたか、たしか小林議員の質疑の中で、教育委員会の障害者の雇用率が低いという御指摘がありました。実は、うつをカウントすると一遍にクリアしてしまうんですね。しかし、職場の中で、経営の側から、あるいは同僚の側から、あなたはおかしいよ、うつだよ、医者に行って証明書をもらってきなさいと。そのことによって職場から排除されたり、あるいは、そういう形の中で、より一層症状を悪化させて自殺に追い込まれるケースは容易に想像されます。

 そういう意味においては、この問題に対しては基本的に本人の判断ということが中心であるべきだし、また、この問題について手をつけるときには、うつであれ精神障害であれ、そのことを理由とした解雇の禁止条項というものが入らないと、非常に恐ろしい社会になるというふうに思っています。

 この点については、水島議員の議論に対する、産業衛生をやってきた医者の一つの意見として聞き取っていただければ結構でございます。

 次の問題としてお伺いしますが、市町村の審査会、あるいは障害程度区分の決定、これの問題です。

 審査会といって、障害者の障害の審査というものをどういう人々の手によって行うのか。通常の発想でいいますと、市町村単位でいうと、学識経験者とかいいながら、福祉関係の人、医療関係の人、行政の人、そういうふうな人たちによって障害程度の区分をしたり審査会をやったりするんだろうと思われます。それに対して障害者団体から、そういうふうなところにはぜひ当事者の意見を聴取してくれという話がございます。

 私は、当事者の意見を、その場に呼んで聞くかどうかは別として、決定する前には聞く、そのことは必要だろう。また、そういう市町村などの審査会に対して、もしそういう障害者団体がないということも想定するとするならば、県レベルにおいてもそういう審査の場というものを設けて、障害者団体からも審査委員の中に入れるような手続をやっていく。すなわち、自立ということは、自分のことは自分で決定できるということです。ところが、最も大事なところが自分たちには関係のないところで決まっていくという状況で、自立とは言えないと思います。そういう仕組みを考えるべきではないでしょうか。

 その点は、厚生労働省としては一番苦手のお金のかからないところですが、いかがでしょうか。

塩田政府参考人 障害者の方々へのサービスは市町村が決定するということですので、市町村が、サービス決定までの過程でいろいろな形で、障害者の方々とか家族とか介護者とかいろいろな方々の意見を、個別に会って、現場に行って当然聞くべきだし、そうでなければいけないということでございます。その中で、審査会の役割は、障害程度区分についての専門的、公平中立の観点から意見を述べるということになっているわけでございます。

 法案の中では、審査会は障害者の方の意見を聞くことができるという規定を入れてありますけれども、趣旨は、審査会も当然わからないときには当事者の意見、関係者の意見を聞いて判断してくださいという趣旨が法案に盛り込まれているものと思っております。

 ただ、一律に障害者の方が審査会に意見を述べることができるとか、委員に障害者は入らなければならないということについては、一律に法制度として仕組むのは難しいのではないかということを申し上げているところでございまして、障害者であって専門家である方が委員として入るのも、私が市町村長であれば最もふさわしいことだと思いますし、いろいろな形で障害者の方の実態を把握した上で市町村がサービス決定するのは当たり前のことだと思っております。

五島委員 市町村が決定することだからという前提のもとで部長の個人的な御意見を出されたわけですが、確かに、市町村の決定事項です。だけれども、市町村の決定事項だけれども、厚生労働省として、どうせ、これだけ政令事項がたくさんある中において、この審査会の要件やそういうものについて、決定の仕方については省令をお出しになるわけですから、その中でできるだけそういうふうな人を含むということが出されて何ら問題ないと思いますので、その点についてはぜひお願いをしておきたいと思います。

 次に、地域生活支援事業費の問題でございますが、地域生活支援事業費に例の移送サービスなんかも今回は含まれる。多くの障害者団体が個別給付にしてくれという御要望が強いということは、もう御承知のとおりです。

 ところで、地域生活支援事業費については、国費が五〇%出されることになっていますね。この国費五〇%というのは、私は大変不安なんです。確かに、今の法律の流れの中においては、国費五〇%。だけれども、本当に、いつ何どきこれが一般財源化されるかわからないんですね。というのは、これは市町村の裁量的経費、それに対する国費の五〇%の負担ということですから、これを、市町村の裁量的経費だけれども、これの負担は一般財源化して処理しますよということはあり得る話なんだろう。そうすると、この事業というのはたちまち市町村間の格差を今まで以上に先鋭化させてしまうことになるんじゃないかと思っております。

 その点、大臣、この国費五〇%、国費を投入するということについては、お約束いただけますか。

尾辻国務大臣 今回の法案におきまして、地域の実情に応じて柔軟に実施される、そのことによって効果的、効率的に行われることが期待される事業を地域生活支援事業として法定化した、これはもう御説明申し上げておるとおりでございます。そのうちでございますが、移動支援やコミュニケーション支援等につきましては、市町村が必ず行わなければならない事業としておるところでございます。

 必ず行わなければならない事業とされておるその事業について、自治体は障害福祉計画に盛り込むとともに、私どもは、国は予算の範囲内でその費用の二分の一以内の補助を行い、必要なサービスを計画的に実施していくということにしておるわけでございます。

 では、その二分の一、きっちり見るんだなという今のお話でございますけれども、これは、申し上げておりますように、地域生活支援事業が円滑に実施されるように、必要な財源でございますから、その確保は最重要課題の一つとして必ず取り組んでまいります。

五島委員 この自立支援法の問題についてはもう一問質問して、次の問題に移りたいと思うんです。

 やはり、定率負担の問題、これが障害者にどういうふうな影響を与えるんだろうかという心配が大きいわけですが、現在、六十五歳以上の人については、介護保険と障害者支援費のサービスが両方から提供される仕組みになっています。そして、他法優先ということでしょうか、基本的には、介護保険の限度額いっぱいを使った上で障害者支援費のサービスを受けるという仕組みになっている。

 そうであれば、介護保険とそれから障害者支援費のサービスを両方受けられる人の中で、一体介護保険を限度額のどれぐらいまで使っておられるのか。逆に、限度額が、負担が大きくて、非常に低いということであれば、これはやはり、一割負担というのはサービスを十分受けさせない阻害要因になる一つの例にもなりますし、十分受けておられるとすれば、一定の条件のもとにおいてはこの一割負担というものがそれほど大きな阻害要因ではないのかもしれないという推測もできるわけです。

 実は、厚生労働省の方に資料提供を求めているわけですが、身体障害者の中で介護保険の給付の対象者の数とか、知的障害者の中で介護保険の給付の対象者はどうなのかとかいう数字は出してもらったんですが、この二つを重ねて全く検討はしていない、データはないというお話なんです。

 ないものを出せと言っても、あの筋トレのときみたいな妙なデータを出されても困るわけで、そうは言いませんが、ただ、お聞きしますと、六つか七つの県においては、介護保険も、それからこの支援費の給付も、いずれも国保連合会に委託しておられる県がある。そうであれば、名寄せをして、過去三月分なり半年分なりを整理して、それがどういう関係にあるかという検討をすることは、それほど難しくはない。

 もし、厚生省がそれをするのに時間がかかって嫌やというのなら、私は、どこかの大学を紹介して、いつでもデータをもらって、やらせますよ。そんなことしなくたって、こんなものはどういうふうな検討をすればいいかということだけですから、問題ないと思います。

 この資料を早急に大臣の命令でつくらせてください。それは、半月やそこらでせいというのは無理でしょう。しかし、恐らく一月もあれば、その資料は出せると思います。それまでにこの委員会の審議が終わっているか終わっていないかは別として、それは、いずれにしても、科学的に検討していく上においては極めて大事な資料になると思います。そのことをお願いしますが、いかがですか。

塩田政府参考人 御指摘の点は、これから介護保険と障害者福祉との関係を考える上で、また今度の定率負担のことを考える上で、極めて重要なデータだと思います。いろいろ制約がありますけれども、何とか検討し、何らかの答えを出していきたいと思います。

五島委員 もう一問、この自立支援法関係でお伺いしていきます。

 この国会、与党の皆さんの御質問を聞いてみても、かなり何かまゆにつばをつけながら議論しておられるような感じがします。

 ところで、この法案が今国会で成立しなかったとき、今年度の障害者福祉予算、その執行はどうなるのか、来年度の予算の編成はどうなるのか、それについて、現在の見通しをお教えください。

尾辻国務大臣 障害者福祉の在宅サービスに係る予算につきましては、今御論議いただいておりますこの法案が成立することを前提に、補助金から負担金に改めることとしておりますし、この改正事項は、平成十八年一月に施行することとしておるところでございます。したがいまして、このために、仮に予算関連法案である障害者自立支援法案が成立しなかった場合、これをここで私が軽々に申し上げるということもいかがかとは思いますけれども、お尋ねでございますのであえて申し上げますと、支援費制度等に係る平成十七年度予算の執行に大きな影響が出ることは必至でございます。

 具体的に申し上げますと、平成十七年度予算におきましては、平成十七年十二月までの在宅福祉サービス提供分を補助金で、それから平成十八年一月以降のサービス提供分を負担金で計上いたしておりますから、まず、法案不成立ということになりますと、十カ月分の予算の範囲内で執行をせざるを得なくなるわけでございまして、これだけでも大きな予算不足が生じるということになります。単純に計算いたしますと、不足する二カ月分の予算というのは百七十億程度になろうかと思います。

 それから、平成十六年度におきましては、在宅サービスの予算について、裁量的予算であるにもかかわらず、補正予算を計上いたしました。これも何回も申し上げました。これは、いわば今回の制度を安定化させるためのさまざまな改正を見据えつつ、制度を維持し、新制度につなげていくためにも必要と判断し、措置したものでございまして、法案が成立しない場合においては、この措置が問題が大きいということでございます。

 私どもといたしましては、障害者自立支援法案について、障害のある方の地域における自立した生活を支援するために、冒頭申し上げましたように、ぜひこの改正案を成立させていただきたいと考えておるところでございます。

五島委員 大変な話で、そんな話を聞きますと、市町村はでんぐり返るんだろうと思うんですが。

 いずれにいたしましても、だからといって、この法案をそのままオーケーというわけには到底いかない。ですから、大臣の方には、障害者福祉政策について、当事者はもとより国民が納得する制度に変えるので、やはり今年度も十分な補正をとっていただくという、汗をぜひかいてもらうしかないんだろうと私は思っておりますので、よろしくお願いします。

 そこで、障害者雇用促進法の改正案について議論を進めていきます。

 まず、この法律の中で書かれている内容と、それから自立支援法と絡めての議論にならざるを得ないわけですが、今回、障害者の雇用促進法の中で、三つが大きなテーマではなかろうかというふうに思っております。一つはジョブコーチ制度、もう一つは障害者の就労、就業の拡大、そのための一つとしての在宅就業支援団体というようなところが大きなテーマなのかなと思っています。

 そこで質問するわけですが、まずジョブコーチ制度、出していただきました政省令も読ませてもらいました、問題点を。やはり、あれを見ると、ジョブコーチというのは、福祉の畑の人たちが中心になって、何か就業をしたときの支援をやらそうという話なのかなというふうに思います。

 しかし、障害者が就業する場合に何が一番必要なのかといえば、一つは、やはり障害者が就業した、その現場の責任者の方、直接の責任者、主任さんとか、その方々に、障害者雇用についてくるさまざまな問題点やあるいは障害そのものにかかわる問題点、そういうものについての研修をしてもらう。

 もう一つは、障害者といっても一律ではありません。それによって、また仕事の流れもいろいろ違うでしょう。そうすると、障害者が就業するというところでの問題、あるいは障害者の就労を継続させるというようなところでの問題、さまざまな問題が出てくる。そういうふうな問題に対して、それぞれにふさわしい相談のできるところ、こういうふうなものが必要なんだろうと。福祉で長年やってきた人がそこのジョブコーチとして入っていって問題が解決できることというのは、極めて小さいんだろう。逆に、障害者の雇用をやってきた人たちの方が提供できる部分は大きいかもしれない。

 そういうふうなことを考えると、このジョブコーチ制度というのは、むしろ県単位ぐらいに、障害者の雇用をされている企業の人々の研修、あるいは、そういう雇用されている方々や障害者当事者からの相談に応じられる、そういう体制として整備すべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

金子政府参考人 ジョブコーチについての御提案でございました。

 今お話を伺っておりまして、大変包括的なお話の内容でございまして、また我々もよく検討していきたいと思っておりますが、ジョブコーチの支援につきましては、現在、私どもの職業リハビリテーションの機関でございます地域職業センターというのが各県にございます、こちらに直用する形で置いてあるケースと、あと、今議員から御指摘がございましたけれども、社会福祉施設の方にお願いをするということで、そういう二つの体制で取り組んできたわけでございます。

 知的障害者あるいは精神障害者の職場定着というようなことを考えますと、このジョブコーチ制度は非常に効果があるのではないかと言われておりますし、我々もそう思っているわけでございますが、今回、精神障害者の雇用率を実雇用率にカウントするというようなこともございます。そういったことも踏まえまして、新たにジョブコーチを企業の中で配置するときにこれを助成するような仕組みもつくっていこうということで取り組んでいるところでございます。

 いずれにいたしましても、議員から御指摘ございましたように、企業に雇用されている障害者の支援ということにつきましては、職場や業務内容を熟知している企業の方々に御活躍をしていただくというのは極めて大切でございますし、施策の効果も期待できるのではないかというふうに考えております。

 それから、そういった企業での取り組みをいろいろ相談支援をしていくというような体制でございます。これも現在いろいろな事業もやっておるわけでございますが、今議員から御指摘いただいた点も含めまして、さらによりよいものになるように検討もしてまいりたいと思っております。

五島委員 このジョブコーチの問題について検討していただくということで、それはそれでおいておくといたしまして、もう一つ、今部長のお話の中にも出てきたわけですが、例えば就労リハビリテーションとか、あるいは授産施設とかにおける就労の問題とか、いろいろな話が出てまいります。この位置づけが、やはりもう一度はっきりさせないといけない。

 それぞれの県の中において就労リハビリテーションセンターみたいなものがございます。その中でどれぐらいが就労に結びついているのか。聞くところによると、何かそれが入所施設になっているというところもある。あるいは、授産施設で、これは働いておられるのか、それとも障害者に対する職業訓練をしておられるのか、それとも、障害者が社会参加をする一つとして、当然仕事をするということも大事な社会参加、生産活動に参加するということも人として生きていく上において貴重な経験、そういうふうな福祉サービスであって、トレーニングも期待していないという内容なのか、それとも就労なのか。就労でないことははっきりしているわけなんですが。

 この授産施設あるいは就労リハビリテーションセンターというものの性格を明確にしていただきたいと思います。

金子政府参考人 先ほど私の方で職業リハビリテーションということで申し上げたわけでございますが、これは主に、企業における雇用ということを目指しまして、職業紹介をハローワーク等で行う前に、職業準備のための基本的な労働習慣の体得でございますとか、その先に雇用というものを見据えた形で実施しているものでございます。

 その一方で、福祉施設の方におきまして行っております訓練というようなもの、これが就労に当たるのかどうかということでございますが、物の見方いかんにもよるのだろうと思いますが、一般的に、授産施設等での訓練というのは、日常生活の自立に向けた訓練というような意味で使われているのではないかと承知をしております。

 その一方で職業訓練というものもございまして、これは職業能力開発のための障害者のための訓練校というのもあるわけでございます。こちらは主に、技術、技能の習得といったようなことを目的としたものではないかというように考えております。

 ただ、福祉施設の関係でも、現在の福祉工場のように雇用関係のあるものもあるということでございまして、したがいまして、少しその辺は錯綜しているようなこともございます。

 今後、私どもの雇用対策部局と福祉部局の間で、こういった施設についてのあり方についてはさらによく検討していかなければならないのかな、こんなふうに考えているところでございます。

五島委員 まあ、何か部長が、性格がはっきりさせていない、わからないみたいな話になっているのですが、例えば、授産施設に対しては、障害者に対する授産ですから、職業訓練なんでしょうね、として、一人当たり二百数十万、この費用が福祉予算の中から出ているわけですね。

 そして、そこで上げられた、仕事の中で上がった、どう言いますか、売り上げなんか入らないわけですから利益じゃないんでしょうが、現金収入はそこで働いている皆さん方に分けてもいい、こうなっている。だから、通常は月に五千円から一、二万ぐらいを分配している。月にですよ。そうすると、大体、一年間に五、六万円ぐらいから、まあ二十万円ぐらいを、自分たちがそこの授産施設でトレーニングした売り上げの分配にあずかっているけれども、福祉予算としては二百万を超える予算を出している。これが授産施設ですね。これはお金の流れの中からの説明です。

 それで、授産施設に通われた障害者が、例えば、トレーニングであれば、三年もトレーニングすれば、当然、その人たちが今度は労働者として働けるということが、本来そういう授産、すなわち職業トレーニングの場であればそこの役割だと思うのですが、やはり十年ぐらいそこで同じことをやっておられる方もおられるわけです。

 ここのところを今回一体どういうふうに整理しようとしておられるのか、妙に見えてこない。これが自立支援法と、それから雇用促進法と二つに分けられているために、この障害者雇用と、そして雇用に必要なトレーニングという問題の一貫性の問題で欠いているのではないかと思うわけですが、その辺はどうですか。

塩田政府参考人 これまで、障害者の働くことについては、旧厚生省と旧労働省ということで担当が違うということで、それぞれ、福祉サイドの政策、雇用サイドの政策で発展してきた、その経緯をいまだに引きずっているということだろうと思います。

 それで、福祉サイドの働くことの分類ですけれども、現行の身体障害者福祉法等では授産施設という法律の定義になっていまして、法律では、職業を通じた訓練の場という表現になっているにもかかわらず、現実には、一般就労に行かれる方は入所者の一%ということで、多くの方は授産施設にずっとおられることが多いということでございます。

 それから、授産施設のほかに、法定外という意味では、福祉工場も法定外の施設ですし、いろいろ議論になっております小規模作業所も法定外の施設ということでございます。

 今度の自立支援法では、福祉サービスというジャンルの枠組みの中で、小規模作業所、授産施設、福祉工場などについて機能によって分化をさせたいということでありまして、一つは、一般就労への移行を進めるための就労移行支援を行う事業、もう一つが、就労継続支援事業ということで、雇用に非常に近い形の就労の機会を提供する場、それから、生きがい作業のような地域生活支援事業の中での位置づけのものということで整理をしたということでございます。

 まだ福祉分野と雇用分野との整理という観点では第一歩ということで、完璧な意味での接点のところは引き続き課題として残っていると思いますが、一応、法律上、両者の連携規定までは今回提案できる状況になっているということだろうと思います。

五島委員 歴史のあることですから、一つの法律できれいにやれといっても必ず無理が入るわけですから、一定の経過が要るのは確かですが、このあたりの性格については整理をしておかないと、本当に障害者の就労の場の拡大というのが一番大事なんですね。

 今、障害者年金を受け取って、せめて最低賃金で一月に二十日以上働いてもらえば、どうにかこうにか自立して生活できるんですよ。すべての障害者がそういう状態になることが理想です。

 スウェーデンのサムウェルみたいに、あそこの法律のように、障害者の年金は障害の重度によって違う。そこで働く人は障害の重度によって賃金が、一般賃金との間における傾斜的な賃金体系。合計すると、皆さん方大体、その職種の平均的賃金の八〇%以上の所得になるというふうな平均をやっておられる国もある。これはよその国ですから、日本がすぐにそれを採用しろといっても無理ですけれども、しかし、その中でも、やはりスウェーデンの場合も、サムウェルという国営工場をつくって三万人の障害者を雇用して、そしてそれを民営化させて、EUの中でも有数の企業に育て上げられた。

 日本の場合も、大事なことは、障害者の就労の場をどう拡大するかだというふうに思います。ところが、例えば、今法定外と言われましたけれども、福祉工場で労働者として雇われている人は、これは労働者性があります。とすれば、実は、そういう福祉工場のようなところで雇用を拡大していけるような方策はないか。

 実は、私は、特例子会社制度というのはかなり高く評価しています。ただ、特例子会社というのは、資本系列のもとにおいて親会社が丸抱えということでないと特例子会社にならないという欠点を持っておりますから、なかなか特例子会社を広げることは難しいというのはわかりました。しかし、もし就業の場を広げる、そして、各企業の障害者の雇用率が未達成のところに対しての納付金、これを当てにした障害福祉政策から離脱して、雇用を拡大する方がよほどいいというふうに割り切るのなら、やり方は幾らでもある。

 すなわち、今ですら従業員が百名から二百名とか、二百名から三百名のところは一般の障害者の雇用よりも低いということから考えると、必ずしも直接雇用にこだわることはないんだろう。すなわち、各企業の中で、障害者の福祉工場とかそういうところに発注してもらう、アウトソーシングしてもらう。簡単にどれぐらいの水準になるかというのはまたお任せしますけれども、常識的に考えて、各企業が納付しなければいけない金額の三倍程度の発注をしてもらえば達成したことにするということにすれば、障害者の雇用の場はふえるんです。

 それを、福祉施設を中心に何か雇用をふやそうと。各企業に対してペナルティーをかけて、もちろん、納付金はペナルティーじゃないという理屈は聞いています、しかし、現実問題は企業はペナルティーとして考えている。ペナルティーを払うのが嫌なら、下手したら、うその患者さんに仕上げてそれを逃れようということになってしまいかねない。

 そういうことを考えた場合に、やはり、障害者雇用をしているところ、最低でも三五%ぐらいの、これは特例子会社より基準は厳しくていいと思うんです、三五%以上障害者を雇用している企業に対して発注業務をしてくれれば、それによって雇用率は達成したというみなし方、そういうことをすることによって、障害者雇用の場というのは大きく動いてくると思うんですね。

 特例子会社制度というのも、一体どれだけの効果があるんだとかいう議論もありました。これは結局大企業が逃げるための制度じゃないかという悪口もさんざんあった。やっていけば意外といいよという話になっているわけです。

 そういうふうなことをやはり考えていくべきじゃないかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

金子政府参考人 特例子会社あるいは福祉工場、こういった障害者の雇用を集中的に行う組織体というものが、福祉の分野でも、あるいは雇用の方の分野でもございます。こういったところに仕事を発注することを雇用率制度上あるいは納付金制度上評価していったらどうかという御指摘ではないかというふうに承りましたけれども、これから障害者の雇用の拡大をしていくために、従来の施策のすそ野を広げていくということは大変重要なことだろうと思っております。

 今回は、雇用対策の枠組みの中で在宅就業支援の話も始めたわけでございまして、これは雇用対策としてやってきた施策としては初めての試みでございます。そういう意味で、徐々にということになるかもしれませんけれども、そういった雇用から就労へという広がりを持たせていくことが非常に大事だろうと思っております。

 今実際にお話のございました例えば特例子会社ですとか福祉工場、これは障害者の方を多数雇っておられるわけですが、では、一般の企業がこういったところに仕事を発注した場合に、現在の雇用率、こういったものにカウントするかということでございます。

 これも制度の筋論みたいな部分になってしまうわけでございますが、今の障害者雇用促進法の基本的な考え方としては、障害者の方を雇っていただくということを第一義に置いてあるわけでございます。そういうようなことで、例えば安易にそういった外注ということで雇用率のカウントというものを達成していくというようなことになりますと、社会連帯に基づいて企業は雇用義務を負っているんだという責任の果たし方として、果たしてそれが適当なのかどうかという論点が一つあろうかと思います。

 それから、納付金制度の対象にしていくということについてでございますが、これもあえて論点ということで申し上げているわけでございますが、仕事を発注した場合に、外注により創出された障害者雇用につきましては、発注先の企業で実は調整金、報奨金の対象になっているわけでございます。福祉工場につきましても、報奨金、調整金の対象に現在なっておりますし、支給もされているわけでございます。そういったようなことで、ある意味、発注元企業と発注先と二重に納付金制度上評価をしたような形になるといったような、制度論的な問題点もあるのではないかと考えております。

 今申し上げたような制度論としての問題点というのは確かにあるわけでございますが、今後、特例子会社や障害者多数雇用事業所の仕事の確保を支援するという観点からの御提案だと思っております。そういった点につきましては、まことに有益な御指摘ではないかと私どもも考えております。今申し上げたような制度論的な問題点もございますけれども、どういったことが今後支援として障害者雇用に積極的な企業の仕事の確保に役立っていくか、この点については幅広く検討をしてまいりたい、このように考えております。

五島委員 この障害者雇用の問題につきましては、私は、部長がおっしゃっているような範囲での障害者の支え合いという考えからもう一歩出て、やはり、ワークシェアリングということをどういうふうに障害者にしていくかということを軸にした仕組みを考えていかないと、障害者雇用というのは進まないと思っております。ぜひその辺できっちりと検討をしていただきたいと思います。

 この点は非常に大事な問題。ワークシェアリングをどう考えるか。なかなか今雇用が厳しい状況にございます。雇用が厳しい状況の中において、それでもあえて障害者に対するワークシェアリングをどうするのかということはやっていかないと、弱者に弱者にしわ寄せが行っている、そういう社会にはやはりしてはいけないと思います。そういう意味では、この点についても、決して納付金に目がくらむのではなくて、障害者の雇用の拡大ということで検討をお願いしたいというふうに思います。

 もう一点、これは基準局長、おいでになっていると思いますが、今回、在宅就業者について、支援団体から間接的に仕事を受けて仕事をさせていこうという仕組みが取り組まれています。

 そこで、まず、障害を持っている在宅就業者という方、この方々は何か自営業者であるかのような扱いになっているわけですが、ちょっとお伺いしますけれども、この方々の労働者性はあるんですか、ないんですか。基本的に、在宅で仕事をしているから労働者でないとは言えない。それから、業務の委託が出来高制であるから労働者でないとは言えない。それは、家内労働の場合、家内労働に従事している人たちは労災保険の適用になります。あるいは、幾つかの産業現場において、出来高請負の形態であっても、それは雇用労働の対象に入っています。

 今回の法律の中で、在宅で仕事をされる障害者の方々、その方々はなぜ労働者でないのか。多くの場合は、IT関係の仕事、印刷関係の仕事、そういうような仕事の最終的な下請的仕事をされているんでしょうが、これは今でもそういうふうな仕事をアルバイトでやっておられる労働者はいるわけで、なぜ障害者がそれをする場合は労働者性が否定されるのか、お答えいただきたいと思います。

青木政府参考人 労働基準法上の労働者というものは、労働基準法九条で、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者をいうということであります。

 この個々具体的な判断につきましては、私どもの基準行政としては、その労働実態に応じて判断をするということで運用してきております。契約の形式上委託であったりしたとしても、あるいは、今お話ありましたように、就業場所、自宅であるのかどうか、あるいは事業主の事業所であるのかどうか、そういう就業場所かどうかというような、一面的な、外形的なことだけで決めているわけではございません。具体的には、実態を見て、使用者から指揮監督を受けているかなどのさまざまな要素に基づき、総合的に判断をしているところでございます。

 ただ、その判断につきましては、私どもとしては、具体的には、一つは使用従属性があるかどうかということで、指揮監督下の労働にあるのかどうか。例えば、仕事が命ぜられる、あるいは依頼があったときにそれを断ることができるのかどうかとか、実際に仕事をしている際に、具体的な指揮監督がなされるのかどうか。ある程度任せられるのか、あるいは他の人にかわることができるのかどうか。あるいは、労働者性の判断についても、例えば、事業者でないという意味で、事業者性、つまり、使っている道具だとか機械だとかいうものが、自分で持っているのか、使用者側がある程度提供するのかとか、あるいは報酬の額でありますとか、そういったもろもろの要素を総合的に判断しているところでございます。

 したがって、お尋ねの、障害者の在宅就業者であるからどうだということで判断しているわけではございませんけれども、一般論で申しますと、企業との請負契約などに基づきまして非雇用の形態で就業している在宅の就業者につきましては、もろもろの判断はもちろんするわけでありますが、労働基準法上の労働者ではないというものが一般的ではないかというふうに考えております。

五島委員 今回の法律では、いわゆる発注者があって、そして在宅就業支援団体があって、これは株式会社から社会福祉法人までいろいろあるんでしょうが、そして障害者との間に契約書を交わして仕事をさせるという内容になっておりますね。したがいまして、お金の出どころも、結局、限りなく在宅就業支援団体を通じたお金が流れてくるという形です。

 そうしますと、そこで労働者性が否定できるのは、日常的にその労働者を管理監督しているかいないかということが大きな問題になってくるんでしょうが、契約でもって、その業務の達成量とそれに対する対価というものが明確にされて、一定の期限が明示されている場合は、これは家内労働においては労働者性は認められているはずですね。どう違うんですか。

金子政府参考人 今回の在宅就業の支援の仕組みでございますけれども、御案内かと思いますが、二つの場合を想定しております。一つは、企業から在宅就業者個人に対して直接仕事を発注するケースでございます。それからもう一つは、その中に在宅就業支援団体というのを介しまして仕事を発注するケースということでございまして、いずれも関係者間で在宅就業契約というのを結んでいただいて、必要な仕事の配分等を行っていくということに相なっているわけでございます。

 そういうことで、先ほど労働基準局長の方からも答弁がありましたけれども、こういった民と民の間の基本的な契約形態ということでございますので、一般的に、労働基準法というものは、実態で判断するにしても、適用されることは基本的にはないんだろうというように思っております。

 それで、家内労働法との関係でございますが、在宅就業者が家内労働法の規定に基づきまして家内労働者に該当するというケースは、可能性としてはあり得ると思っております。家内労働法におきましては、専ら物品の製造、加工といったようなものを行う場合を規定しておりますので、こういったことも今回の在宅就業発注の中では業務の対象として想定はしておりますので、そういったケースにつきましては家内労働法が適用になる、このように考えております。

五島委員 労基局長にお伺いしますが、今、かなりの量で、比較的若い方々、女性なんかが中心になって、いろいろな、パソコンを使った宣伝のチラシをつくったり、それを委託を受けてつくったりするという仕事がございます。これは、通常、職場に出ていって仕事をするよりも、在宅でそういうふうな仕事をやって、そして対価を得ておられるというふうないわゆるアルバイト形式の仕事がふえています。この人たちは労働者ですか、労働者じゃないんですか。

青木政府参考人 先ほど申し上げましたように、外形的にどういう契約の名称で契約を結んでいても、労働者性の判断に当たりましては個々具体的に実態で判断をする、そしてまた、その判断基準は、先ほど申し上げたような観点から総合的に判断をしているところでございます。

 恐らく、今おっしゃったような例については、さまざまな例があると思います。とりわけ、事務所、事業場から離れて仕事をするというパターンというものは、かねてから労働者としても見られるパターンでございましたので、したがって、労働者となる場合もありますし、労働者でないという場合ももちろん出てまいります。外形標準的に判定するというのは、これはしていないところでございますし、難しいということでございます。

五島委員 だから言っているんですよ。もちろん、障害者であっても自営業者としてやっておられるケースもあり得るんだ、それはそうでしょう。だけれども、今回の場合は、まさに類型的に、在宅で就業している障害者に対して支援業者その他を通じて業務を持っていった場合には、これは自営業者であるというふうな位置づけになっている、これはおかしいでしょうと言っている。

 全部が全部、労働者性が証明できるのか。障害者がひょっとしたら個人で会社なりをつくられて仕事を受けられる場合もあるわけでしょうから、それは当然違います。だけれども、類型的に言っているのはこの法律の方なんですよ。だから、それはまさに、労働者性については一定の原則が示されて、それに適応する場合は労働者として認めざるを得ないはずですね。

 時間もありませんが、簡単にお答ください。

青木政府参考人 おっしゃるように、先ほど来申し上げていますように、仕事の発注とかあるいは完成期限、あるいは完成物、そういったものについて、もちろん仕事の発注でありますから、こういったものを定めるのは当然でありますし、委託契約であろうと、あるいは仕事の中で労働者に対して命令という形でする場合もあると思います。

 したがって、先ほど来申し上げていますように、例えば、その契約関係では、必要な機械はどっちが、あるいは道具はどっちが負担しているのかとか、故障したときはどうなんだとか、あるいはほかの人がやったんじゃいけないのかどうか、仕事だけが完成すればいいのか、その人にやってもらわなくちゃいけないのかとか、そういった実際の働く条件、仕事の条件がどうなっているかということを個々具体的に見ないと何とも言えないということでありまして、恐らく、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、在宅で仕事をなさっているような場合には、指揮監督とかそういったことからすると、一般的にはなかなか労働者性というのは難しいんじゃないかというふうに思っております。

五島委員 こんな問題でこれ以上時間をとりたくはないんですが、基準局長の言っていることは、私は大変おかしいと思いますよ。例えば、加工なりなんなりする機械を事業主から提供されているかどうかが労働者性の問題になるのであれば、例えば、森林労働者がチェーンソーを自前で持って仕事をしている。けがをした場合、チェーンソーは自前でやっているんだから、おまえは労働者じゃないというんですか。そんなものは、車を持ち込んで仕事をしている労働者もあるんです。

 だから、そういうふうなことが一つの基準になるわけではなくて、まさにその与えられた仕事を通じた従属関係があるのかどうか、そこが労働者性の基本だろう。簡単に答えてください。

青木政府参考人 最初にお答えしましたように、使用従属性があるかどうかというのが、もちろんこれが基本であります。これを個々具体的に判断する判断要素として、先ほど来申し上げておりますように、指揮監督下にあるのか、ではその判断基準は、仕事についての諾否の自由があるのかとか、あるいは個々具体的な作業についての指揮監督まであるのかないのかとか、機械とか器具はどうなっているんだとか、報酬の額もどうだというようなことを総合的に判断する必要があるというふうにお答えしているところでございます。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

五島委員 局長の答弁は、したがって、在宅で就業される人の場合においても労働者である可能性もあるということだと理解します。

 時間もなくなってまいりましたので、そこで、もう一つ、これと関連した点についてお伺いします。

 在宅就業支援団体というものが今回できるわけですね。本来なら、在宅就業支援団体なんかというのは、まさに授産施設あたりが中心になってやってくれれば一番いいんですよ。職業訓練を長いことやってきたところが就業支援をやってくれるのが本当は一番いいんだけれども、そうかといって、授産施設そのものが仕事をとってこられない人たちがそこに仕事を回すというのもできないんだろうなということで、こういう制度になったんだろうなと思います。

 問題は、この制度というものはもろ刃のやいばだと思うんですね。これは、一般的な法人、だれでもなれる、こうなっています。株式会社でもこれになれるわけです。大臣の登録ということになっております。例えば、職業安定法とかあるいはそのほかの幾つかの関連した法律の中においては、大体五年間の期間を切って、例えば暴力行為やそういうふうなもので禁錮刑以上の刑を受けた人の除外規定が入っているわけですが、この法律には入っておりません。

 私は、現実問題として、非常に恐れているのは暴力団の参入です。これは、障害者を搾取するという観点だけでお考えになっても困るわけで、暴力団が障害者の雇用率を未達成な企業をおどして、割高で金を持ってきて、適正料金で障害者に仕事を回す、そういうふうなケースというのは十分に想定できる。そういう意味では、暴力団の排除というものはやはりやっておくべきだというふうに考えております。

 これについては、本日、理事会の席上で各党にも、民主党は修正案を出したよということで、修正協議に入っております。ぜひ、これについては各党の御意見をちょうだいしてまとめたいと思っておりますが、その点について、政府はどういうふうにお考えでしょうか。

衛藤副大臣 在宅就業障害者に対する援助の業務を継続的に実施するということをこの在宅就業支援団体につきましては考えているわけでございまして、そのことを登録要件にしていることを踏まえまして、こういう規定の運用に当たりましては、支援を適正に行ってきた実績のある支援団体であるか否かということを判断する、そして、登録時には事前の立入検査を必ず実施する等の厳正な審査を行いたいと思っております。

 そういうことによって悪質な団体の参入を排除してまいりたいというぐあいに思っているところでございますので、できるだけ、今までの規制の中においても、私どもとしては何とか排除できるのではないのかというぐあいに考えていますけれども、今までの審議を経ながら、そういうことを見ながら十分に対応していきたいというように思っている次第でございます。

五島委員 かなり苦しい御答弁ですが、各党合意すればそれで結構というふうな気持ちでお話しいただけたものというふうに考えます。

 いずれにいたしましても、この障害者雇用促進法について、現行の制度からいうと、前進なのか後退なのかというと、後退の要素はない。若干なりとも前進である。しかし、今の時代に本当に対応しているほどの前進なのかといえば、やはり私は、障害者の就労の場の拡大というものにもっと積極的に取り組まないと、法定雇用率を二・〇に上げるのもいいんですが、数値目標だけが先走りしても、それを達成できる政策がついていかないと意味がない。

 そういう意味においては、やはり、どういうふうにワークシェアリングの概念というものをこの社会に定着させて、障害者の雇用拡大のための具体的な施策をつくるかということなんですが、大臣、ひとつ、元気のいい副大臣を抱えておりますので、副大臣ぐらいをキャップにして、その辺の検討会をおつくりになる気持ちはありませんか。

尾辻国務大臣 きょう、いろいろお話しいただきましたけれども、障害者の就労の場をつくるということは極めて大事なことである、これはそのとおりでございます。

 そして、先ほど特例子会社のお話もいただきました。私も先日見てきまして、きょう先生からも、やってみればなかなかいいじゃないかという評価もいただきましたが、私も同じように印象を持って帰ってまいりました。また、きょうは、示唆に富んだそうしたことでのお話もいただきました。

 いろいろそうしたお話もいただいておりますから、私どもは就労の場をつくるということに向けて全力を挙げてまいりたい、こういうふうに存じます。必要があれば、またいろいろな検討の場も、そういうことに向けての場もつくっていきたいと存じております。

五島委員 この二つの法案、政府は一緒に出されたわけですが、議論してまいりましたように、自立支援法の方につきましては、非常に問題もあり、抜本的に見直さなければならない点も数多くある。一方、雇用促進法の問題については、ほぼ各党とも合意はとれる状況にある。これを何も一つで審議、決着しなくてもいいんだろうというふうに思います。

 そういう意味においては、やはり合意できる部分は速やかに成立を図りながら、大事な問題でじっくりと考えなければいけない問題については各党知恵を絞り合うということをぜひやろうということを呼びかけまして、私の質問を終わらせていただきます。

宮澤委員長代理 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 昨日、参考人質疑が行われました。大臣も御存じだと思います。障害者の八団体の皆さんが、この上の部屋でしたけれども、四階の会議室で三時間ずつ、六時間お話を聞きました。そこでは、今度の自立支援法について、本当にここを変えてくれ、特に利用負担、応益負担の問題は、これは多くの参考人の方が、絶対にこの方向はやってもらいたくないということを述べておられました。それからまた、不安感だけでなくて危機感もあるんだと。それは、いろいろな障害者の皆さんが地域で暮らす場合の社会的支援が圧倒的に不足しておりますから、そういうところに手を打たないでいいんだろうかという訴えでした。出席した委員は、私を含めまして、障害者の皆さんの本当に重く切実な訴え、意見の表明として、胸に本当に強く訴えかけてくるものがありました。

 これは、自立支援法について当事者団体、当事者の皆さんの意見を聞くというのは当然基本のことですから、これは大臣にも、どういう形であれこの参考人の質疑、これからまだ何回かやる予定ですけれども、きちんとこれを受けとめていただくということをまず最初にお約束していただきたいと思います。

尾辻国務大臣 そうした皆さんのお声、直接じかにお聞きできるとよろしいんですけれども、きのうも参議院の委員会で、私そちらに参っておりましたので、直接お聞きできなかったことは残念に思います。ただ、きょうも、どういうお話があったかというのは簡単な報告は既に受けておりますし、また、当然そうした皆さんのお声というのは大事にしなきゃいけない、生かしていかなきゃいかぬ、これは当然のことでございますから、そうさせていただきます。

山口(富)委員 それで、先ほどの質疑の中でも、今度の法案をめぐって就労支援が大事になる。大臣は、これは極めて大事だという言葉も使われました。

 それで、私は、法案の審議と同時に、昨日出た参考人の皆さんの意見で、これはすぐに手を打たなきゃいけないなと思ったのが二つあるんです。

 第一点は、視覚障害者の問題なんですが、視覚障害者の方から、今雇用状況が非常に悪化しているんですけれども、重度の視覚障害者が働く場合に、職場介助制度というのがあるんですね。これは、視覚障害者が仕事をしていく上でどうしても介助者が要るということで、そこに助成をしていくわけですが、ところが、これが十年で切れてしまうんですね。この間、二回改善して、延長して十年ということになったわけですけれども、この運動に取り組まれている皆さんは、この介助者の問題をヒューマンアシスタント制度というふうにも名づけて延長を求めていらっしゃるんですけれども、この方たちの意見でも、十年の期限が来る、しかし、見えない目が見えるようにはならないんだ、そして職場介助者の必要性がなくなることはないんだから、就労支援といったらこれを延長してくれ、これが一番の、一つの大きな就労支援になるという訴えでした。私も、これはそのとおりだと思うんです。

 厚労省は、今回の質疑の中でも、きめ細やかさを盛んに強調して、私は、その中身がそうじゃないという話は随分やってきましたけれども、きめ細やかにやるというんだったら、こういう問題でも実情をよく調べて、この制度については延長したり、恒久的な制度にするということも含めて検討する、このことを、大臣、これがきめ細やかな対応じゃないですか。

尾辻国務大臣 職場介助者の配置等に関する助成金についてでございますが、このことが視覚障害者の方々の雇用促進に重要な役割を果たしておるということは、私どもも十分承知をいたしております。

 この助成金は、障害者雇用納付金制度に基づく助成金でありますために、雇用者の雇い入れを促進することを目的としておりますので、一定の制約を受けるものでございます。一定の制約といいますと、障害者雇用の定着などが図られるまでの一定期間、こういう理屈づけになっておりますから、一定期間したらちゃんとお働きになるでしょう、こういう前提になっているということを、まずその前提を申し上げたところであります。

 そういう前提でもございますけれども、職場介助者の助成金は、各助成金の中でも最長の十年という支給期間を設けているということも、今お述べいただいたとおりでございます。

 ただ、視覚障害者の皆さんの業務につきましては、その障害の特性から、今ちょっと先生もお話しになりましたけれども、職場が相当限定されているといった実態もあるわけでございますから、助成金制度の基本的な考え方は踏まえなきゃいけませんけれども、それはそれといたしまして、今お述べいただきましたようなこと、十分、どういう対応が考えられるか、これは余計なことまでつけ加えるようでありますけれども、大村先生あたりからもいろいろまた私どもにも御指導いただいている面もございますし、検討していきたいというふうに考えております。

山口(富)委員 もう一つは、職業安定所に、職安に手話協力員を配置することができるという問題があるんですね。ところが、配置されている手話協力員が少ない。現状を聞いてみますと、一日二時間、月四回。ですから、平たく言うと週一回ですね。週一回、どこかの曜日に二時間だけ来ていただくということになっているんですね。

 しかも、職業紹介というと、今なかなか世の中は複雑ですから、きちんとした、職業についての一定の知識もあって相談に応じないことには、単なる手話ということにならないという問題があるんですね。これもぜひ実情を調べて改善してくれというのが昨日の参考人の方の意見でした。

 これは金子部長ですか。実情がどうなっているのか、どういう形で改善ができるのか、これを示していただきたい。

金子政府参考人 ハローワークにおきます手話協力員についてのお話でございます。

 これは昨日の質疑におきまして参考人の方からお話があったところでございまして、かねてから、また関係方面からも御要請をいただいていたものでございます。

 聴覚障害者の職業相談に当たりましては、当然のことではございますけれども、十分なコミュニケーションに特に配慮しなければならないということでございまして、そういった観点から、ハローワークに来所された方々に対して適切な職業相談が行えるように、手話協力員というのを委嘱しているわけでございます。

 かねてから、非常に人数が少ない、それから活動する時間が限られているというようなことで、御不便もおかけをしているわけでございまして、そういうこともございまして、実は、平成十五年度に二百二人だったものを二百九十六人に増員をいたしました。そういったことで、我々としてもできるだけの努力もしてまいっているところでございます。

 昨日の参考人の方からのお話もございましたが、やはり就職問題についてのバックグラウンドのしっかりした人にやってもらわないと困るのじゃないか、こういうことでございました。そういうことでございますので、就職問題に精通した適切な人選ということもこれからさらに意を配していかなければいけないと思っております。そうしたことで、効果的な手話協力員の活用に努めていきたいと思っております。

山口(富)委員 大臣、私は今二つの問題を取り上げましたけれども、これに限らなかったんですね。ですから、重ねて、皆さんから出された意見についてはきちんと受けとめていただきたいと思います。

 さて、きょうは自立支援法と精神障害者の問題についてこれからただしてまいりたいと思うんです。

 精神障害者が置かれている現状というのは、身体、知的の障害者の皆さんと比べましても、収入の点でも、就労の点でも、さまざまな困難を抱えているというのは大臣も御存じのとおりです。今回、きょうは理事会の了解を得まして資料を、これは厚生労働省がつくった資料ですけれども、お届けしておりますが、自立支援医療ということで制度が大きく変わっていくんですね。それで、いわば医療の分野からは、自立支援医療ということで一割負担、上限論は後でやりますけれども、入ってくる。それから、当然福祉のサービスも受けていきますから、そこでも一割負担が入ってくる。そうすると、医療と福祉の両面から負担増がやってくるという、非常に重たい問題がここに生まれてくると思うんです。

 初めに大臣にお尋ねしておきますけれども、関係者からは、こういう制度をとると、やはり今の条件からいって非常に、ぎりぎりというどころじゃないですね、危機的な状況が生まれるという意見も昨日ありました。そういう意見があります。では大臣は、今度のこういう方式をとって、これまでの精神障害者が受けてきた医療や福祉のサービス、これは絶対後退しないんだというふうに言うことができるんですか。

尾辻国務大臣 先ほどもお答えいたしましたけれども、制度を変えますと、すべてプラスという面だけではなくて、変わったことによってマイナスになる方というのが生じたり、幾つかのプラスマイナスというのが生じるということは、率直に申し上げなきゃならないところでございます。

 したがいまして、一切の後退がありませんというふうには申し上げませんけれども、ただ、できるだけプラスを大きくして、そしてマイナスになりそうなところを、申し上げておりますように、きめ細かな対応をしていくというのが私どもには必要なことだというふうに考えておるところでございます。

 したがいまして、特に家計の影響の大きい方については、家計という言葉を使わせていただいておりますけれども、家計の影響の大きい方については、所得に応じた負担の上限額、後ほど御議論いただくそうでございますが、上限額を設定いたしまして、配慮することにいたしております。

 こうした見直しによりまして、制度を維持しながら、障害を持つ方にとって必要な医療が確保されるよう十分留意をして、制度の運営をしてまいりたいと考えております。

山口(富)委員 大臣、私は、プラスマイナスという言い方はまずいと思うんですね。それは、いわばサービス量、皆さん方は今度の応益、定率というときに盛んに使うんですが、量で見てしまうからプラスマイナスという言葉が出てくると私は思うんです。

 問題は、精神障害者が置かれている生活と権利にかかわってくるわけでしょう。ですから、これについてある程度の措置はとれる場合があるけれども、同時に痛み、痛みですね、はっきり言いますと。それがあらわれてくると思うんです。

 それで、塩田部長に確認しておきますけれども、今大臣は、そういう形で一定の前向きな面と、それは新しい制度をつくるんだから、マイナスという言葉を使われましたけれども、そういう面もあるだろうと言われました。では、お尋ねしますけれども、今度の場合、医療の分野でいきますと一割、それから一定の所得になりますと三割になってしまいますね。こういうことが精神障害者の生活にどういう具体的な影響を与える可能性があるのか、このことをきちんとした分析をしたものがあるんでしょうか。

塩田政府参考人 障害者に関する公費負担医療の見直しにつきましては、低所得者の方とか、あるいは重度でかつ継続するような医療費の負担が大変大きい場合については限度額を設けるといった配慮をしているということでございます。

 それで、精神疾患の方の例でいえば、うつ病の場合には、普通の中間世帯の場合には一割負担となりますけれども、通常、うつ病、一月三万円の中に大体九割方おさまっているということでありますので、一割とすれば、毎月三千円の御負担になるということでございます。また、重たいケアというか受けている方の場合には、限度額が変わりますので、現在よりも負担が軽くなる。低所得者の場合、低所得者というか統合失調症ですと、重度かつ継続に該当するということで御提案申し上げていますので、限度額が変わるということでございます。

 そういうことで、かなりきめ細かな配慮をして、受診抑制にならないような配慮をしているつもりでございます。

山口(富)委員 私は、制度論を聞いたんじゃないんです。こういう方式をとるときに、当然大きな影響が出るわけですから、それについて検討をきちんとやったのかと聞いたんです。

 二〇〇二年の三月に、この間何回か委員会でも紹介されておりますけれども、精神障害者通院医療費公費負担の適正化のあり方に関する検討会報告、あり方検討会、ここが報告を出しておりますが、そこでも、自己負担の問題というのは、わざわざ一項目起こしまして、こういうふうに述べております。「自己負担率については、引き上げを行うとこの制度をもっとも必要とする、重症で濃厚な医療を要する者が大きな影響を受けることになるという意見があることも勘案しつつ、慎重に検討を継続する必要がある。」一体、厚労省は慎重に検討を継続するという立場でこの制度設計に当たったんですか。きちんと分析をやったんですか。

塩田政府参考人 平成十四年の検討の中でも、利用者負担の見直しについて必要性が書かれていることであると理解をしているところでございますし、今回は、精神障害者に関する福祉、医療を含めて、全体的に底上げをするという観点から見直しをしたつもりでありまして、いろいろな方の意見も聞きながら進めたつもりでございます。

山口(富)委員 この報告書に自己負担を上げる方向が書いてあるなんというのは、それは全く塩田部長の独自の考え。しかも、私がこれだけ繰り返し聞いても、具体的にどういう検討をやったのかというのは示せていないんですね。

 では、私、聞きますけれども、精神通院公費負担、いわゆる三十二条ですね、これを利用されている方は今何人いらっしゃいますか。

塩田政府参考人 平成十四年の数値ですけれども、月平均で七十万件の利用があるということでございます。

山口(富)委員 月平均で七十万件ということですね。

 そうすると、きょうの質疑の中でも、塩田部長はあたかもこの公費負担の制度が今度の自立支援法の中で継続しているようなことを言っています。一体、どこに継続しているんですか。

塩田政府参考人 通院公費負担医療制度は精神保健福祉法に現在根拠規定がございますが、今度の新しい法案では、自立支援医療として再整理をするということでございまして、低所得の方々については従来どおりの扱いですし、所得のある方については一割負担になる方もいらっしゃるということで、負担の見直しについて行っているということでありまして、制度自体は引き続き行うこととし、精神医療における通院公費制度の必要性については十分認識しておりますし、今後ともその制度は持続し、継続して行うべき事業であると認識しております。

山口(富)委員 重要、重要と言いますけれども、似て非なるものになっているんですよ、これは。

 まず、五%の負担が一割負担になる。この五%から一〇%の変化というのがどれだけ精神障害者の皆さんに大きな痛手になるかというのは、精神科医の立場から先ほど水島議員が具体的にお述べになりました。それが一点。

 もう一つは、今度新たに重度かつ継続という一つの区分けが生まれてしまうんです。いわば対象者の枠が狭まるんですね。

 私、尋ねたいんですが、この重度かつ継続、今、統合失調症、狭義の躁うつ病、それから難治性のてんかんという三つが上げられておりますけれども、なぜこの三つなのか。それから、重度かつ継続となった場合に、先ほど七十万件という話がありましたけれども、どのぐらいの人がこれに該当すると見込まれているのか。この二つを示してください。

塩田政府参考人 重度かつ継続に該当する場合には、毎月の限度額を設ける制度として考えているということでございまして、これにつきましては、きょうの委員会でも何度も御答弁申し上げておりますけれども、医療費が相当高額にわたるものについて、実証データが整ったものとして三つの疾病を上げているところでございまして、今後、実証データの収集に努め、また専門家の意見を聞きまして、必要な疾病については追加をするということで考えておるところでございます。

 それから、重度かつ継続に該当する方がどのぐらいと把握して、予測して推計しているかということでありますけれども、精神の場合でいきますと、正確な数値の推計はまだできていないので、レセプトでということになると思いますけれども、現時点では月当たり五十万から六十万件という、正確な数値ではまだありませんが、推計をしているところでございます。

山口(富)委員 今言われました五十から六十万件というのは、私はちょっと信じられない数字ですね。これはやはり一人一人の方にかかわるわけですから、きちんとした見込みを当委員会に出していただきたい。

 それから――間違いなんですね。

塩田政府参考人 ただいまの数値は通院公費の件数でありますが、正確な数値について推計をしまして、委員会の方に出させていただきます。

山口(富)委員 では、結論としてはわからないということですね。塩田さん、現段階ではわからないということですね。いや、いいんです。私はまだ次があるんだから。そうですね。うなずいているからそうです。

 それで、あなたは実証データに触れられました。先ほど水島議員との質疑の中でも、レセプトを見て、三つの疾病について上位にあるということで三つに絞ったという話をしましたが、これは間違いありませんね。

塩田政府参考人 これについても委員会に資料を提出するということになっておりますが、単純に上から三つとったというのじゃなくて、データの見方の中に、精神疾患以外のものも入っているようなデータというのもありますので、いろいろな要素を勘案してこの三つを選んだということでありますが、それについては後ほど委員会に提出をいたします。

山口(富)委員 ここで、委員長の了解を得まして大臣に資料をお届けしたいんですが、よろしいでしょうか。

宮澤委員長代理 はい、どうぞ。

山口(富)委員 今大臣にお届けしました資料は、ことし二月から三月にかけまして社団法人日本精神神経科診療所協会が緊急に行った実態調査の結果です。これを見ますと、先ほど月七十万件という話がありましたが、これは相当広い調査でして、三十二条関係で十四万八千六百八十三件のレセプトに当たった資料です。これを見ますと、統合失調症が三三・三%、それから双極性、いわゆる皆さんがいっている狭義の躁うつ病の方が六・三%、それからもう一つ、てんかんということで三・九%ということになっております。

 しかし、私がここで問題にしたいのは、先ほど水島議員は、この双極性の皆さんの判断が難しいという話をされました。そしてもう一つ、うつ病の場合、やはりこれは深刻に皆さんが言っているように、自殺という問題がどうしても出てくるんですね。この反復性うつ病性障害の方は何と二一・六%いらっしゃるんですよ。

 あたかもレセプトを見ていろいろ勘案はしたという話ですけれども、ごく普通に見ますと、当然うつ病の、ここでいきますと気分障害、感情障害、この方々が対象になってしかるべきなんです。なぜレセプトを見てこの三つになるんですか。

塩田政府参考人 これは後ほどの資料で御判断していただくということになると思うんですけれども、医療費の額で総合的に勘案して、三つをとりあえず選んで御提案しているということでありまして、きょうの議論で申し上げているように、実証データをきちんと集めて、専門家の御意見をいただいて、最終的には整理をしたいと思っております。

山口(富)委員 これは二つ問題がありますよ、今の答弁は。

 一つは、あなたは思わず認めてしまったけれども、これは使われているお金の問題なんだということでしょう。だって、現状では外されてしまう方が五人に一人なんですから、二一・六%といったら。こういうことを平気でやっている。しかも、五人にお一人の方は、水島議員が詳しくお述べになったように、支援を三つという問題がどうしてもこれは出てくるわけですね。これは、私たちは精神障害の問題として正面から見なければいけない問題なんです。

 それからもう一点は、あたかも実証データがまだないというか、これから調べるようなことを言っているけれども、これは全く話が逆さま。本来、それを調べてから提案すべき問題なんですよ、これは。では全く資料がないかというと、そんなことはないわけですね。

 先ほど私は二〇〇二年の三月のあり方検討会の話をしましたけれども、この中でも、例えば、今の公費負担の対象になっている対象者の見方としてこういうふうに述べております。これは水島議員も指摘された点です。「精神障害においては、疾病名が必ずしも重症度や医療の必要性を反映するものではない。また、対象疾病名を限定することにより、当該疾病への差別・偏見が助長されるおそれもある。このため、疾病名による対象の限定ではなく、状態像により判定を行う現在の方法を継続するのが適当である。」と。

 これが三年前のこの段階での到達点なんですよ。これをいとも事もなげに変えてしまう、こんなことは絶対許されないと思うんです。しかも、これに基づいて通知まで出しているんですから。そして、そこには、精神障害者の皆さんの状態がわかるようにして、診断書というものがつけられているわけですね。

 こういうことをやっていて、いわば実証的にはこの方向でやろうじゃないかという多くの方々の合意があるところに、突然今度持ち込んできたのが重度、継続なんですよ。これは見直してほしい。

塩田政府参考人 平成十四年の検討会の報告ですけれども、先ほど読まれましたように、「現在の方法を継続するのが適当である。」ということでありますので、昭和四十年の制度創設以来、同じ考え方でされてきたということでありまして、疾病名だけを診断書に書くのではなくて、それだけじゃなくて状態像も診断書に書いて、それによって判断する、その考え方は一貫していると思いますし、これは四十年以来一緒だということでございます。

山口(富)委員 だったら、今度皆さん方は、きょう私が配付しました資料の一枚目に書いてありますけれども、重度かつ継続というところをなぜ疾病名で見るんですか。

塩田政府参考人 これについては、きょういろいろなやりとりの中で、疾病名だけじゃなくて状態像、GAFというものの活用とかいろいろな御意見をいただきましたので、いろいろな御意見を専門家にもう一度投げて、論点を整理したいということでございます。

山口(富)委員 私は、この点にも今度の法案の欠陥が本当にはっきり出ていると思うんですよ。だってこれまで、これは法案審議の前提なんですよ、法案を出す。出してから調べるなんというのはとんでもないですよ。私は、今回、この法案の出足の問題で、これは障害者の権利と人権にかかわるんだから、一つ一つ大事にして議論しようじゃないかと言ってまいりました。この点でも私は、厚労省のやり方は全く間違ったやり方だと思うんです。

 大臣にきょうはもう一つ求めておきますけれども、昨日、自立支援法に係る政省令の事項という資料をいただきました。私は、前回の質疑で、そのときは私のところには百九十五という報告があったのでそういうふうに申し上げましたけれども、きのう来ましたのは、政省令で二百一、これに告示を加えると十二ありますから二百十三になります。一体数字はどちらが正しいんでしょうか。

塩田政府参考人 委員会に提出した資料が正しい数値でございます。

山口(富)委員 こういうことはやめてほしいんですね。私は、最初から、厚労省のデータの出し方に疑義ありということを言ってまいりましたけれども、こういう一つ一つのところに、私は今度の法案提出、審議にかかわる問題があると思っているんです。

 それで、いただいた資料を見ますと、ちょっと見にくいかもしれませんが、私が一週間前にいただいた資料に比べまして若干詳しくなっております。その点で、皆さん方がかなりの力を入れられたというのはよくわかりました。しかし、具体的に示されているのは、負担の問題、上限の問題、それから報酬額の基準の問題、自立支援医療にかかわる負担等の問題、そういうものなんです。ここでもう既に明らかになっているものばかりなんですね。

 私がきょう求めたいのは、審査会の問題なんです。これは十六条から十八条にかかわってくるわけですけれども、全く私たちがいただいた資料には示されておりません。それで、当事者の障害者の皆さんからは、この審査会は認定や支給決定に非常に大きな力を持ってきますから、当事者が加わるべきだという声が繰り返し出ており、私もそのとおりだと思うんです。

 確認しておきたいんですが、十六条で、政令で定める委員の定数、一項、二項でこれを見ていくのか、それとも、十八条にある「この法律に定めるもののほか、市町村審査会に関し必要な事項は、政令で定める。」どちらでこの当事者の参加というのは可能になるんですか。

塩田政府参考人 根拠となる条文でいえば十八条になりますけれども、審査会の委員をどういう形にするかというのはまさに論点の一つでありまして、障害福祉に関する専門家の方にということで法律上明記しておりますので、そういう中から、障害者の方が専門家であればそれはふさわしいと思いますし、そういう方が選ばれていくということで、今のところは、政令で障害者の団体の方をということは考えておりません。

山口(富)委員 答弁が違うじゃないか。今度は考えていないと言うんですよ、大臣。先ほどまではここでの審議を受けとめて検討するかのような答弁をしていながら、最後はひっくり返す。そういう答弁はやめてもらいたい。

 大臣に求めておきますけれども、認定区分の問題ですとか、省令にかかわってまだ詳しく出ていないものがありますから、これは引き続き出す努力をしていただきたい。これだけ最後に一点、答えてください。

尾辻国務大臣 政省令の中身についてでございますか。引き続き、お求めの分については出す努力をいたします。

山口(富)委員 終わります。

    〔宮澤委員長代理退席、北川委員長代理着席〕

北川委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は自立支援法の審議でございますが、いつものように、冒頭、この法案以外のことを一問取り上げさせていただきます。

 いわゆる厚生労働省方針で、「医療費抑制へ健診強化」ということが、昨日でしたかの朝日新聞に出ておりました。

 私はこれを予告してございませんが、きょうここで取り上げさせていただくのは、実は、がん検診も含めた検診ということについて、さきの介護保険の論議のときに、老健局の中村局長が、検診をお受けにならない場合はペナルティーもという発言をされまして、私や水島委員が、その考え方は何だということで論議を重ねさせていただきました。そのときは中村局長、二度目には、自分の意が十分に伝えられなかったという形で一応謝罪なさいましたが、しかし、ここに出てきたものを見ると、極めてその考え方というんでしょうか、継承されているようで、きょう、私は大臣に確認をいたします。

 ここには、医療費抑制のために、各地域での健診をもっともっとやっていただくというために、地域に保険者協議会というものをつくりまして、住民の受診情報を関係者が共有できるようにする方針だというふうになっています。住民が健診を受けたかどうかの情報を関係者が共有するということでございます。

 大臣、そもそも健診の情報はだれに属するとお考えですか。

尾辻国務大臣 その具体的な御質問にお答えいたします前に申し上げるわけでございますが、かねて申し上げておりますように、私どもは、十八年度の通常国会にも次の医療提供体制、次のという表現をしてしまいましたけれども、医療提供体制の見直し、それからまた医療保険制度の見直し、そうしたものを御提案申し上げたいということを言っております。

 そうした中で、医療提供のことも議論を始めておりますから、今言われたようなこと、その具体的な内容じゃありませんで、いろいろ議論しておることはそうでございますが、まだそれをそういう形で固めたとかいうことでもございませんので、その中身のことについての御質問に、今私がお答えできないということは御理解いただきたいと存じます。

阿部委員 では、この場で最低限確認をしていただきたいのですが、私は、医療費を抑制するために健診をもっともっと進めていいと思います。

 ただし、その健診を受ける受けない、あるいは健診で得られた情報は個人情報でございます。これを、協議会というものをつくって、この協議会には、いろいろな健康保険組合とか、あるいはここにもございますが市町村とか、そういうものが一緒になって協議会をつくる、そこが健診情報を共有するというのは、個人情報の保護という観点からは逸脱しております。

 私どもはやはり、おのれの身体にかかわる情報はおのれのものだという考えを今、コモンセンス、共有しております。その中にあって、ここに厚生労働省方針と書かれておりますので、私はそのまま信じてお伝えすれば、受診情報を関係者が共有できるようにする、とても恐ろしいと思います。例えば、その人が受けたか受けないか、受けた内容が高血圧があるとか糖尿病の気があるとか、そういうものは専らその個人と主治医との関係、この信頼関係のみで活用されないととんでもないことが起こります。

 健診強化と書かれております。記事ですから十分に厚生労働省の意思を反映していないと受けとめました上で、大臣がこれからそういう健診体制を十のモデル地区でスタートさせるというふうにここには書いております。では、その場合に、個人情報保護はどのようにきちんと守られるのかということを念頭に置いて、必ず御指導いただきたいと思いますが、いかがですか。

尾辻国務大臣 個人情報の保護というのは、これは申し上げるまでもなく極めて大事なことでございます。

 特にまた、医療の世界においてというのは、これは特に個人情報を保護しなきゃいけない分野の一つでございます。そうしたことは、当然、私どもは守らなきゃならぬことでありますから、何か具体的に事業をいたしますとき、そのことは当然最大限の配慮をすべきことだということは、申し上げるまでもございません。

阿部委員 再度、しつこいようですが、例えば地域住民の方の情報がそこにある地域の企業の健康保険組合に共有されるということは、私はやはり怖いと思います。例えばこの人が糖尿病の気があるといったら、ダイレクトメールがばあっと行くかもしれません。そして、おまけにこの報道によれば、受診していない方には住民健診を受けるよう要請するほか、異常が見つかった人には保健師を派遣して指導するというふうにございますが、これも当事者が決めることでございます。

 健診とか予防医療政策は、やはり一歩間違えば極めて強権的な、ペナルティー発言にも結びつくものになってしまいます。重々御認識の上、御指導をお願いいたしたいと思います。

 それでは、本来の審議に移らせていただきますが、昨日、午前午後、参考人のお話を伺う機会を得ました。昨日、大臣は参議院の側の審議でございましたので、聞いてはいただけなかったと思いますが、この参考人の御意見の中で、もしかして塩田さんはお聞きかもしれない、極めて重要な、ここでの審議の前提にかかわるような御意見がありました。

 その一つは、午後の参考人でございますが、二十四回の審議会を通じて、厚生労働省側はずらずら一方的にデータは出してくるが、そのことについて当事者、この審議会の障害者部会に参加しておられる委員の方、障害をお持ちの方がいろいろ疑念を言ったり提案したりしても、一向に誠意のある回答がなかった、この審議会の障害者部会のあり方そのものが問題なんだという御意見がございました。

 塩田さんはどう受けとめたでしょうか。

塩田政府参考人 社会保障審議会の障害者部会は完全に公開でやっておりまして、議事録も完全に公開しておりますので、その評価はそれぞれの方にお任せいたしますが、私どもは、与えられた期間にそれなりの誠意を尽くしてお話を申し上げましたし、審議会に限らずいろいろな場でいろいろな意見交換をさせていただいたと思っております。

阿部委員 そういう態度ではとても、障害当事者のために、本当に意見や意思や希望や生き方を聞いて法律をつくることにはならないわけです。

 今私が御紹介申し上げたのは、聴覚障害の安藤さんという方の御意見で、セレモニーであって、障害者が、建前として部会で了承をとりましたと言っているという発言です。今の塩田さんの言い方も、言いかえればそのとおりです。やった、公開した、だからいいじゃないのと。そうじゃないじゃないですか。大臣、どう思われますか。

 私は、参考人にお呼びして、そんなことをおっしゃる、よっぽどだと思います。もし部会がちゃんと機能してくれれば、参考人に来る必要がなかったという御発言だってあったんです。

 大臣、お聞きじゃないから即答はできないかもしれません。でも、今、私と塩田さんのやりとりを聞いて、ホームページに載せた、公開した、だからいいのか。違います。意見があり、対立意見があり、提案があり、協議されて初めて部会の意味は出てきます。どう思われますか。

尾辻国務大臣 まず、きのうの御発言そのものも、私は、申し上げておりますように直接聞いておりませんし、またその審議会の模様というのもじかに見たことがございませんので、その雰囲気についてはよくわかりません。

 ただ、部長が申し上げましたのは、公開しておるものであるから、どういうふうに議論されたかというのは皆さんにもおわかりいただいているんじゃないだろうかというふうに言いました。そういうふうに言えばそういうところも、そういうところもといいますか、そういうふうに公開した議論をしてあるのであれば、きっちり御意見をそれぞれにお述べになりながら審議会が続けられてきたんだろうなと思いますし、きのうのそういう御発言があったのであれば、なぜそういう審議会を続けてきながらそういう発言になるのか、よく私にも理解できないところがございます。

 したがいまして、また、もしそういうお話であれば、私なりにも事情は、事情というか、その雰囲気は聞いてみたいとは思います。

阿部委員 議事録もすぐ上がってまいりますし、お目通しいただきたいと思います。

 私は、厚生労働行政の根幹にかかわっていると思います。二十四回も審議会をやって、そこに参加された方で、そして参考人として私も御意見を伺いながら、別に理不尽に御自身たちの利害だけを述べておられるわけではないのです。どのようにこの少子高齢社会で障害者施策をやっていったらいいのかという、おのおのの御提言がございました。

 実は、もうお一方、同じ発言でございました。この方も、論議がすべて介護保険にいつの間にか吸収されて、本来そこで論議されるべき前提が、例えば障害者施策と御高齢の介護保険の施策の違い、統合するには何が問題か、こういうことも十分論じられなかったという御発言でございます。

 あわせて言わせていただければ、二十四回目、この障害者部会の部会長である京極さんがこのように御指摘でございます。この部会を終わるに当たってですが、「残念ながら私どもの議論が」この障害者部会の議論がですよ、「介護保険部会に十分に反映されないで、障害者のこの審議会のメンバーにもうちょっと発言させてほしいと、介護保険部会に申し上げたんですが、幕を切られてしまったものですから残念なことでございます。」と。これが障害者部会の部会長の言葉です。

 何度も言いますが、公開した、情報を垂れ流した、それで事足れりというんじゃないんです。本当に真剣な論議をしなければ、障害者問題も高齢化問題も、私たちはこの橋を渡れるかどうかの瀬戸際に来ているんです。大臣、今の部会長の御発言、いかが聞かれますか。

尾辻国務大臣 今、私もいろんな審議会に出させていただいております。そしてまた、特に中医協をどうするかという議論も行われておりまして、これは私の諮問会議としてございますから、その場にも出ております。

 先日も、時間がないという話になりましたら、時間なんか気にせずにもう少しやろうということで、随分時間を延長して御議論もいただきました。それぞれの審議会で、そうして皆さん方が、時間がないと言っても、いや、時間延ばしてとかいう議論をしていただいておりますし、きのうもまた、社会保障どうするかという審議会もございましたけれども、この中でも、一遍答えは出すけれども、とてもこのままでおいておくわけにいかぬから、また引き続き議論しようということを御自身方でお決めいただいて、今後とも議論を、幕を打つんじゃなくて、続けるということをお決めいただいております。

 審議会というのは、やはりそういうふうにして御議論いただいておるということを承知いたしておりますから、そうした中でのただいまの御発言というのは、ちょっと私には、何でそんなことになるんだろうというふうにしか申し上げることがございません。

阿部委員 最高責任者の大臣がそれじゃ困るんです。何でそんなことになるかといって、現実になっているからそういう発言があるわけです。

 皆さん、私はどれを読んでも理不尽に発言されているとは思いません。本当にぎりぎりのところで、みんな御自分の意見を言いたい。だけれども、時間もない、場もない、打ち切られる。介護保険は先に走る。障害者問題は一向そことかみ合わない。一体、あの介護保険の出てきた法案は何だったのか。非常に劣悪な、データもない。本当にあれで審議に足るものだったのか。そして、三年以内に障害者問題と統合、私どもは考えております。私も、その方がよかろうと思います。しかし、その前提に話しておかなきゃいけない、言いたい、聞いてくれ、こういう案もあるというところが一切打ち切られた。

 大臣は、せめて二十四回目の最後の部会長の言葉と、そして参考人の、本当にいいお話でした、皆さん本当に、ここで、この当事者がここまでいろんな意味で実力をおつけになって、施策提言をしてくださるということを私はありがたいと思って拝聴いたしました。しかし、それを審議会が生かしていない。それを厚生労働省が所管している。何だこの構図はと思いました。次回までで結構です。大臣、二十四回目と参考人の意見を必ずお目通しいただけますか。お願いします。どうでしょう。

尾辻国務大臣 次回というのがいつかなということはございますが、とにかく最大限急いで読ませていただきます。

阿部委員 私は、事を批判のためだけにやっているのではないので、それを大臣がお読みになって、ああ、もっともだといったら、やり直していただきたい。この方たちのおっしゃることはもっともだと思ったら、人間、間違いを正すに勇気を持つ必要があると思います。

 先走って先走って、何にも見ないで、事実も見ないで、データもなくて。さっきの塩田さんの精神障害にかかわる答弁だってそうです。私は、きょうも聞きました。通院医療の人のプロフィール、どうなっていると言ったって、出ないんです。持っていないんです。よく持たないでこんな法案出したなと思いながら、それも私はきょうこれだけ怒っているもう一つの理由ですが。

 本当に格好だけつけて。だれかがおっしゃいました、実は三井さんなんですが。眼鏡のフレームがあって、レンズがないようなものだ、この審議は。フレームだけ格好つけてだて眼鏡したって、物は見えないんです。そして、いい解決法はやってこないんです。

 大臣、もしも、読んでいただいて、おお、これはそうじゃないかと思ったら、間違いを正すに勇気を持つという御発言をまずお願いします。

尾辻国務大臣 私は、今度の障害者自立支援法、一番大きな部分といいますか、骨格の部分といいますか、これは間違っていないと思っております。一歩でも二歩でも、障害者の皆さんの施策を進めていく上で前進させる、それは間違いなくそういう法律だと思っております。したがいまして、そのことについては自信を持って私もこの法案を通してくださいというお願いをしておるつもりでございます。

 ただ、この御審議の中で申し上げておりますように、個々のいろんなケースについてきめ細かくやっていきたいと思う、そしてそういうふうに思うと、そういうケースでいろんな場面が、いろんなことが出てくる。先生方の御意見もいただいておる。そこについては、先生方の御意見をいただきながら、それは国民の皆さんの御意見であるわけですから、そこは私どももきっちりそのお声にこたえていかなきゃいけない。変えるべきものがもしあるとすれば、政令、省令のところで、今私どもはこう思っていますということはお出しをいたしておりますけれども、そこは私どもも柔軟に対応すべきだということは思っておるわけでございまして、そのこともまた繰り返し申し上げておるつもりでございます。

阿部委員 私は、柔軟にというよりは、勇気を持って根本的に対応してほしいというお願いをしております。

 引き続いて、それではなぜこういうことを言うのか。何といっても、さっきの眼鏡の中身がないんですから、何も見ていないんです。何も見ていない中でいろいろ出してくるこの改正案の数々。私は、冒頭、まずいわゆる自立支援医療、これはずっとこの間取り上げて、何だかよくわけわからない医療の中に全部ぶち込んで、その結果、だれにとってもいい形が来ないだろうと思うので、このことについて、大臣に、先回私はやりとりさせていただきましたので、その続きをやらせていただきます。

 まず、精神疾患にかかわる通院、三十二条の問題は、先ほど来、水島委員を初めとして、皆さんお取り上げでございます。でも、私は、これとて実は今ふえている通院医療の方々のプロフィール分析があって初めて対策が出ると思います。大臣もそう思われますよね。

 だって、私は、これは塩田さんにも聞きました。なぜこうやって自立支援医療なんというへんてこりんなものをつくらなきゃいけないのか、何回話されたのか、どこで話されたのか。明確な御答弁はいただけず、私が自分で探したところによると、この前も御紹介しました、とにかく、いろんな意味で人口の一%ぐらいの方が給付を受ける時代になって、公費が不足して云々、必要な経費を皆で負担していただくと。これしかないんです。なぜ三十二条をやめて、自立支援医療の中で自己負担していただくことが妥当なのかということを説明する説明はここだけ。そして、そのことにかかわる論議は、実は二十四回の中、ほとんどございません。これで法律をつくろうか、信じられない。

 ですから、もともと、原点に立ち返っていただきたい。精神医療の抱える問題は多大です。今、私どもは、しかしそのことを避けて通れない以上、私は、精神福祉法のきちんとした改正として、あるいは取り組むべき課題として、真正面から、こんな横から滑り込ませないでやっていただきたい。でも、これを言っても、私の持ち時間が少ないために、ちょっときょうは私の専門分野に飛ばせていただきます。

 その前にもう一つ。ここには精神科の通院医療と更生医療と育成医療の三つがぶち込まれました。大臣に伺います。育成医療とは何でしょう。

尾辻国務大臣 お尋ねの意味がよくわかりませんが、育成医療というのは、今日まで、障害児の皆さんの医療についての制度でございます。

阿部委員 では、ちょっとそれはおきまして、更生医療とは何でしょう。

尾辻国務大臣 身体障害者の皆さんの医療制度というふうに申し上げます。

阿部委員 もう少し中身を言ってください。例えばどんなものがでもいいし、厚生省はもう少しまじめに中身を言ってございます。歴史でもいいですし。

 更生医療とは何だろう、もし、それを知らずして私たちがここで論じて自立支援医療に持っていこうというなら、それは余りにも、私は、さっきの、レンズのない眼鏡で枠をどう格好つけようかと言っているにすぎないと思います。その枠とは、金が足りない、さあふえた、どうしようという話です。

 本来、その医療がそこにできた経緯があります、歴史があります、役割があります。更生医療とは何でしょうか。

尾辻国務大臣 ここにも資料がございますから、今度はこれを読み出しますと長い話になりますし、どこの部分で申し上げるのがいいのかなというふうに思いますけれども、事業の概要ということで申し上げますと、身体障害者が更生のために必要とする医療の給付を指定医療機関に委託して行う、この事業だというのが一言で申し上げることになろうかと存じます。

阿部委員 厚生省が御利用になる公費負担医療と健康保険の説明では、「更生医療は、身体そのものの肉体的障害を除去し、または軽減させることで、機能の障害、さらには社会的不利を軽減せしめることを主たる目的とするリハビリテーション医療である。」というふうな御説明になっています。簡単に言えば、透析とか、大人の心臓手術とか、それがここに入っております。

 今、更生医療そのものの中でも、手帳をお持ちでなくても受けられるようにしてほしい。例えば、先天性であれ、後天性であれ、心臓の病気があったとき、手術をちゃんと受ければ障害を残さないで済む場合があります。これも、手帳がなくても更生医療に入れてくれという声が厚生省に届けられているはずです。にもかかわらず、今度の自立支援医療では全部手帳が中心です。このことだってきちんと論議していただきたい。この一項については、二十四回のどこにもありませんでした。

 そして、子供の医療に行かせていただきます。

 障害のある子への医療が育成医療だということでございましたが、大臣がお考えになるに、この育成医療を自立支援医療に入れると何が変わると思いますか。何も変わりませんか。お願いします。

塩田政府参考人 障害者施策として最終的にどういう制度を目指すかという観点から今度立案したつもりでありまして、最終的には包括的な障害者のライフサイクルすべてをカバーする法律を目指したいということで、今回は、三つの障害を統合して市町村が中心に一元的にやりたいという観点から立案したということで、医療についても、障害者に関する公費負担医療ということで、一つの法律の中で一つの制度としてまとめて提案をさせていただいたということでございます。

阿部委員 今のは、育成医療を自立支援医療に入れたら何が変わるかということについて、私はそういうのを形式論議というんだと思います。

 例えば、二年前、平成十五年に小児慢性特定疾患の財政基盤をきっちりさせるための論議がございました。塩田さん、これを、小児慢性特定疾患と、今度、育成医療を自立支援医療に入れ込んだとき、同じ小児医療でどんな違いができると思いますか。

塩田政府参考人 育成医療については、今度の法案では自立支援医療ということになっておりまして、他の公費負担医療制度と同じように、定率の負担と低所得者対策ということと、食費の標準的な額については御負担をいただくということになっております。

 一方、小児慢性疾患については、先般、議員立法で法定化されたと聞いておりますが、その部分について取り扱いは現時点では違っていると承知しております。

阿部委員 何が違っているのと聞いたんだから、もう少し誠意ある答弁があるでしょうよ。

 小児慢性特定疾患では、食費は公費負担なんです。もう一つ、親の所得に応じた応能負担なんです。この育成医療になった途端に、食事は自己負担、そして定率、応益負担になります、同じ子供の政策で。

 そして、私は先回言いました。今、国は少子化対策を国を挙げてやろうと言っています。なぜ親に負担をかけ、子供たちを本当にはぐくみ育てる、その社会の役割を後退させて、こんなことが許されるんでしょうか。

 私は、これを児童福祉法の体系からよくわけがわからない自立支援医療に持っていった途端、児童福祉法の根幹である育成という概念が抜けて、自立支援法という、本当に三年もつかどうかわからない、財政的にも。だって、もしこれが介護保険と統合されたとき、介護保険は医療にかかわるものではないですよね、自立支援医療はどこへ行くのですか。孤児になるのですか、宙に浮くのですか。だから、三年後、三年までの暫定措置なんて、そんなものにだれだって未来を見ることはできない。

 まして、大臣、児童福祉法の根幹は何でしょう。お願いします。

尾辻国務大臣 児童福祉の根幹は児童の健全な育成だと考えております。

阿部委員 その一項が自立支援医療では外されてしまいます。

 例えば、先ほど私は、更生医療で、手帳をお持ちでない人も、重い心臓疾患にならないために更生医療をお使いでもいいと思います。子供の場合は、重度の心臓の病があって、手帳をとっていなくても、この児童福祉法下の育成医療では育成医療が使えます。今度、自立支援医療になったら、障害の軽減ということのみで、予防的なものには法案の骨格は給付されることにはなっておりません。手帳中心、そして、もうなっちゃった後。

 大臣は、あれほど介護保険のときに予防、予防、予防とおっしゃったじゃないですか。子供にとっては大きな障害を避けて、そのことを軽減してあげる、予防してあげる、これが国の役割ですよ。

 大臣、もう一度、これは私、先回も投げましたから、なぜ育成医療を自立支援医療の中に入れてよしとするのか、少子化対策の今日、小児の医療が極めて難しいと言われる今日、なぜこんな時代に逆行することをやるのか、明確な答弁をお願いします。

尾辻国務大臣 障害児に係る医療につきましては、児童を健全に育成するという観点から重要な役割を担っているということはそのとおりでございます。

 このため、昨年六月に少子化社会対策会議で策定されました少子化社会対策大綱におきましても、特に支援を必要とする家庭の子育て支援として、障害児医療を少子化対策の取り組みの一環としても位置づけておるところでございます。また、大綱においては、障害児の健全な発達を支援する観点から適切な医療や医学的リハビリテーションの提供、デイサービスの充実等を図ることとしておりまして、医療を含む包括的な支援を進めることといたしておるところでございます。

 今後とも、障害児が必要な医療を受けられるように、私どもといたしましても、小児医療の重要性について引き続き全力を尽くしてまいりたいと存じます。

阿部委員 申しわけないけれども、そんなことを言ったって、事実は、二十八億の公費負担から二十二億に減るんですよ。減らす理由にならないでしょう。今大臣がおっしゃったことをそのままやるのであれば、給付はふやすことがあったとて、減らす理由にはならないじゃないですか。すべてこの法律はそうなんです。べらべらは言うけれども、中身は本当にない、負担だけがふえていく。障害者問題も子供の問題も、すべて後退させる。

 私は大臣に、これは一回宿題で投げさせていただいたけれども、もう一度しっかりと見てください。そして、この法律、私は医療という部分を省いていただきたい、真剣に考えていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

北川委員長代理 次回は、明十九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十一分散会


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