衆議院

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第25号 平成17年6月7日(火曜日)

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平成十七年六月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    近藤 基彦君

      菅原 一秀君    谷川 弥一君

      中山 泰秀君    西川 京子君

      西銘恒三郎君    原田 令嗣君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    渡辺 具能君

      石毛えい子君    泉  健太君

      泉  房穂君    内山  晃君

      大島  敦君    小林千代美君

      城島 正光君    園田 康博君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      藤田 一枝君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      高木美智代君    古屋 範子君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   参考人

   (坂出市長)       松浦 稔明君

   参考人

   (全国町村会長)     山本 文男君

   参考人

   (日本重症児福祉協会理事長)           江草 安彦君

   参考人

   (全国自立生活センター協議会代表)        中西 正司君

   参考人

   (障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局長)            白沢  仁君

   参考人

   (医療法人社団順風会上尾の森診療所院長)     佐藤 順恒君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  桝屋 敬悟君     高木美智代君

同月七日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     近藤 基彦君

  谷川 弥一君     西銘恒三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     上川 陽子君

  西銘恒三郎君     谷川 弥一君

    ―――――――――――――

六月二日

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)(参議院送付)

 社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)

 社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第六四号)(参議院送付)

同月七日

 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案(内閣提出第六二号)(参議院送付)

同月三日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(森英介君紹介)(第一四九八号)

 同(古屋圭司君紹介)(第一五一六号)

 同(玉沢徳一郎君紹介)(第一五二八号)

 同(伴野豊君紹介)(第一五四八号)

 同(津村啓介君紹介)(第一五七一号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一六四一号)

 パートタイム労働者の均等待遇実現に関する請願(近藤洋介君紹介)(第一四九九号)

 視覚障害者のための職場介助者制度の適用期間延長に関する請願(藤田一枝君紹介)(第一五〇八号)

 同(石毛えい子君紹介)(第一五一七号)

 同(園田康博君紹介)(第一五一八号)

 同(米澤隆君紹介)(第一五一九号)

 同(小林千代美君紹介)(第一五二九号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一五三〇号)

 同(泉健太君紹介)(第一五四九号)

 同(山井和則君紹介)(第一五五〇号)

 同(城島正光君紹介)(第一五七二号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一六四四号)

 同(木村義雄君紹介)(第一六九一号)

 同(橋本清仁君紹介)(第一六九二号)

 進行性化骨筋炎の難病指定に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一五四三号)

 同(泉健太君紹介)(第一五四四号)

 同(園田康博君紹介)(第一五四五号)

 同(細野豪志君紹介)(第一五四六号)

 同(山井和則君紹介)(第一五四七号)

 同(鈴木康友君紹介)(第一五七三号)

 同(泉房穂君紹介)(第一六四五号)

 同(馳浩君紹介)(第一七一八号)

 医療費負担軽減、介護保険に関する請願(古川元久君紹介)(第一五五一号)

 進行性化骨筋炎を難病指定することに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一五六九号)

 同(白保台一君紹介)(第一六九三号)

 同(長島昭久君紹介)(第一六九四号)

 同(西銘恒三郎君紹介)(第一六九五号)

 同(東門美津子君紹介)(第一七一九号)

 カネミ油症被害者の抜本的な恒久救済対策の完全実施に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一五七〇号)

 同(石毛えい子君紹介)(第一六三四号)

 障害者自立支援法案反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第一六二八号)

 同(山口富男君紹介)(第一六二九号)

 総合的な肝疾患対策の拡充に関する請願(泉健太君紹介)(第一六三〇号)

 同(木村義雄君紹介)(第一六三一号)

 同(園田康博君紹介)(第一六三二号)

 同(石毛えい子君紹介)(第一六九六号)

 同(上川陽子君紹介)(第一六九七号)

 同(北川知克君紹介)(第一六九八号)

 同(笹川堯君紹介)(第一六九九号)

 同(城島正光君紹介)(第一七〇〇号)

 同(橋本清仁君紹介)(第一七〇一号)

 同(福島豊君紹介)(第一七〇二号)

 同(藤田一枝君紹介)(第一七〇三号)

 マッサージ診療報酬の適正な引き上げ等に関する請願(泉房穂君紹介)(第一六三三号)

 同(石毛えい子君紹介)(第一七〇四号)

 同(泉健太君紹介)(第一七二〇号)

 最低保障年金制度の創設に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一六三五号)

 同(山口富男君紹介)(第一六三六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六三七号)

 精神障害者通院医療費公費負担制度に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一六三八号)

 同(山口富男君紹介)(第一六三九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六四〇号)

 最低保障年金制度の実現に関する請願(石井郁子君紹介)(第一六四二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六四三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六九〇号)

 年金法の実施中止に関する請願(石井郁子君紹介)(第一六八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)(参議院送付)

 社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)

 社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第六四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者自立支援法案及び障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、坂出市長松浦稔明君、全国町村会長山本文男君、日本重症児福祉協会理事長江草安彦君、全国自立生活センター協議会代表中西正司君、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局長白沢仁君、医療法人社団順風会上尾の森診療所院長佐藤順恒君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず松浦参考人にお願いをいたします。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

松浦参考人 全国市長会から参りました、坂出市長の松浦でございます。

 先月の二十六日に予定されておりましたこの会が中止になりましたものですから、私の意見は既にお手元に届けさせていただいております。しかし、若干時間がございましたので、多少ごろが変わっておるかもわかりませんが、今から申し上げたいと思います。

 まず、ノーマライゼーションの理念に基づく社会の構築について、私見を申し上げます。

 このことは、突き詰めますと、まさに人権尊重社会の構築でありまして、社会を形成するさまざまな個人と社会全体とをいかに調和させていくかということに尽きると思います。もちろん完全に調和させることなど不可能なことでありますから、ノーマライゼーションの理念に基づく完成した社会を理想として、それに向かって一歩一歩努力していくことでしかありません。それは人間にとって永遠に続く終わりのない長い道程であると思っております。

 さて、行政の中での一歩一歩の努力でありますが、極めて高い理想を目指す道程でありますから、いきなり理想とする制度をつくることは、ちょうど野球を始めた少年に、いきなり長嶋選手クラスの練習メニューを組むのと同じでありまして、その効果を期待することは無理でありますし、逆にあきらめの気持ちを与えかねません。理想社会の実現には、段階を追って進んでいくことが何より不可欠なことだと考えております。

 私は、参考人として出席するに当たりまして、知的障害者、精神障害者の御家族の方々や、精神障害者授産施設を運営されている社会福祉法人の理事長さん等と意見を交換させていただきました。その方々の意見も踏まえて、以下申し上げます。また、身体障害者につきましては、私自身、老母が九十歳で他界をいたしまして、晩年は老人福祉施設から病院へと、施設にお世話になった経験がございますので、個人としての見方を踏まえてお話をさせていただきます。

 まず、グランドデザインについてでございますが、その中の第一に「障害保健福祉施策の総合化」という文言がございます。そのことについてでありますが、その中で「身体・知的・精神等と障害種別ごとに対応してきた障害者施策について、「市町村を中心に、年齢、障害種別、疾病を超えた一元的な体制を整備」する中で、創意と工夫により制度全体が効果的・効率的に運営される体系へと見直」すとありますが、身体、知的、精神の三障害は、それぞれ性質の異なる障害でありまして、障害の程度によってはっきりと差が出てくることを注意しておかなくてはならないと思います。

 特に、精神障害につきましては、今まで行政の対応が極めて乏しかったことから、同等に扱おうとする気持ちはわかるのでありますが、精神障害の持っている他障害との差異、特異性について、もっと目を向ける必要があると思います。すなわち、身体、知的障害は症状が一定しているのに比べ、精神障害者の症状は大きく波を打つのが通常であるということであります。特に、薬を飲み安定しているときは健常者と変わりませんが、薬が切れたとき一変して障害が発症するということであります。

 特に、精神障害者の中にしばしば見受けられますのは、自分が精神障害者であるということを自覚していないか、あるいは事実として受けとめたくないという気持ちがあるということであります。このような人を地域が受け入れた場合、満足なケアが極めてできにくく、また、症状が出た場合の入院等については近親者の同意を得ることが必要であることから、個人情報保護や人権問題等の絡みもあって、難しい問題を伴うことになります。したがって、精神障害者については、身体、知的障害者と別の角度から、専門的な医学的知見を要する部分であるという強いとらえ方が必要であると思います。

 グランドデザインの中の第二といたしまして、「自立支援型システムへの転換」についてでありますが、「政策のレベルにおいて、保護等を中心とした仕組みから、「障害者のニーズと適性に応じた自立支援」を通じて地域での生活を促進する仕組みへと転換し、障害者による「自己実現・社会貢献」を図ることが重要である。」とありますが、これが施設から地域あるいは在宅へという方向を生んでいるのだろうと思います。しかし、障害者を抱える家族にとって、施設整備は切実な願いであることに変わりはありません。年老いて障害を持つ身となった家族を自宅で介護することがいかに大変なことか、私も身をもって体験いたしましたし、老人福祉施設への入所希望は依然として高い数字を示しております。

 また、重度障害者の施設入所待機者も、数はともかく、その願いはまことに切実なものがあります。

 今回の懇談の中で、特に知的障害者の母親からは、政策が理想に走り過ぎることを大変危ぶむ指摘がございましたし、何よりも、施設から追い出されるのではないかという不安もお持ちのようでありました。

 このような状況の中で、国は、入所型施設整備については大変消極的になってきておりまして、撤退されつつあると受けとめざるを得ない状況にありますが、このことは、ノーマライゼーションの理想と現実との乖離を全く無視した方向への流れであると受けとめており、速やかに進むべき方向を転換されますようお願い申し上げます。

 また、ノーマライゼーションは、健常者のみにその意識を迫っても成り立ちません。さきにも述べましたが、突き詰めるところ、社会を形成する個々と社会全体が調和することでありますから、障害者にもノーマライゼーションに対する理解は持ってもらわなくてはなりません。その点で、能力ある者に一定の負担を求めることは理にかなったことだと思います。

 このことについても、障害者の御家族との話の中で意見をお聞きいたしましたが、負担は少ない方がよい、給付は充実している方がよい、こういう考え方は万人に共通したものでありまして、その意見は強いものがありますが、しかし、障害者の皆さんが社会進出を目指される以上、社会全体と調和していこうという考え方は持っていただかなければならず、能力ある者に一定の負担を求めることは理にかなったことであるとの意見に対しては、積極的ではありませんが、一定の理解はされているようでありました。

 もちろん、低所得者に対する配慮は言うまでもありません。

 ここで、グランドデザインの中にも障害者による自己実現云々という言葉がございますから、経済的能力と負担の間には適切な余裕を持たすことが肝要であると思います。その余裕を得るために、さきの精神障害者小規模授産施設の理事長さんは、福祉工場をつくって、月五万円を稼がせたいと、今、てんぷらの廃油から自動車用の燃料をつくる仕事に一生懸命取り組んでおられます。

 また、障害者の社会進出でありますが、現実の問題としては、障害者の就職は大変難しいことを大前提として持っておくことが大事であります。企業が三カ年の期間内で行政から補助を受けて精神障害者を雇用する職親という制度がありますが、その期間が過ぎて補助がなくなると解雇されるケースもあるようであります。

 また、当の精神障害者小規模授産施設の理事長さんは、御自分の経験として、精神障害者をみずからの施設で雇用してみたが、精神障害者が持っている好不調の波によって試みは失敗に終わったことを二人の例を挙げて話してくださいました。そして、最後に強調されましたのは、社会の理解もさることながら、精神科医の人数の確保と質の向上を強く訴えておられましたことも申し添えておきたいと思います。

 また、市町村における施設整備についてでありますが、まず、空き教室や商店街における空き店舗を利用した障害者の施設でありますが、三障害を同一施設でサービスを利用させることは、それぞれの障害に対する専門的人材の確保が必要であることと、何よりも入所する障害者自身がノーマライゼーションの理念を高度に理解していることが必要であり、そのための相当な時間と努力が必要となり、実質的に困難であると思います。

 ノーマライゼーションの理念は、仏教の悟りの境地を追求することとよく似ていると思います。悟りの境地は仏教徒の追求すべき永遠のテーマであると思いますが、ノーマライゼーションの理念もまた福祉国家を目指す我々社会にとって、理想であり永遠のテーマであります。それだけに、法律をつくり実施するときは、現実との乖離についてくれぐれも注意の目を向けていくことが大切であります。

 国民、市民に対するノーマライゼーションの理念の啓蒙啓発を強力に進めつつ、その浸透度に合わせて、焦らず一歩一歩理想とする社会へ近づけていくことが肝要であります。

 以上、私の考えを申し上げましたが、最後に、今回提案されております障害者自立支援法案について申し上げます。

 まず、平成十五年より動き始めた支援費制度は、現実を直視することなく一足飛びに理想を求めたために、結果として財政破綻を来してしまいました。

 支援費制度は、実施主体たる市町村から見ても相当困難な問題を抱えた制度で、当初よりその実行可能性について疑問を抱いておりました。

 サービス利用に明確なルールがなく、自治体に判断を丸投げした結果、自治体間の差も大きくなり、市民の目から見て公平な形になっているのか疑わしい面もあります。

 最も大きな不安は、国の財源措置が本当にきちんとできるのかということであります。平成十五年度、十六年度は、何とか国も予算不足に対しつじつまを合わされたようでありますが、自治体としても、このような制度の中で、上限のつかみにくい予算編成に大変苦労しており、このような状況を改善するためにも、一刻も早く制度の改正がなされなければならないと考えております。

 本来であれば、措置制度を出発点として支援費制度を理想の制度と位置づけるならば、それに近づける段階としていかなるステップをたどるべきか慎重に議論すべきであったと思います。その上で、まず第一段階としての法律の整備を図るのが道理であったと思います。今回のこの法案は、障害者にも自己負担を求める等、障害者の皆さんから見れば制度の後退と映っても仕方がない点も多いかもしれませんが、同時に、財源から見た社会全体とそれを構成する個人という問題に意識を向けてもらうよい機会であるとも考えます。

 そうした観点から、この法案は支援費制度によって露呈した理想と現実のギャップを埋める方向へ進むものとして評価いたしますが、同時に、専門的知識を持った人的資源の確保等、本来であれば制度の出発に先行して取り組んでおかなければならない問題もあります。

 いずれにいたしましても、この法施行により市町村の事務量は大幅にふえることが予想されますので、三位一体改革による国の歳出抑制策が進行する中で、地方が新たな財政的負担に耐えていくことは至難のわざであります。国の新しい強力な財政支援策が必要であることも申し上げて、私の意見陳述といたします。どうもありがとうございました。(拍手)

大村委員長代理 ありがとうございました。

 次に、山本参考人にお願いいたします。

山本参考人 全国町村会の会長を務めております山本でございます。

 全国町村会を代表いたしまして、障害者福祉を含む福祉事業の実施主体という立場から意見を申し上げさせていただきます。また、町村において障害者の福祉行政を進めていくための条件としてこう考えるということも含めて、意見を申し上げさせていただきます。

 私たちは、住民に最も身近な基礎的自治体として、町村もこの障害者の福祉に取り組んでいるところでございます。常日ごろから私は考えておりますけれども、障害者対策というのは我が国の福祉の原点である、そういう認識でございます。

 常に思うんですが、障害者になろうと思ってなったわけではないし、あるいは病気になろうと思ってなった人は一人もおりません。やむを得ない事情で皆さんたちはそういう言うならば不遇な身になったわけでございます。これらに対して十分な対策を立てなければ福祉というのはあり得ない、そう考えているところでございます。言葉をかえますと、繰り返すようですけれども、障害者対策は、これは我が国の福祉の原点である、こういう認識でございます。そういう意味から意見を申し上げさせていただきます。

 しかしながら、同じ障害者の方でもいろいろ多様でございまして、例えば知的だとか精神だとか身体的だとかいろいろございますが、こういう人たちは、高齢者対策というのが一方ありますけれども、高齢者の数と比べると確かに数は非常に少ないと思います。高齢者のように多数の方がおられるわけではありません。しかし、高齢者も障害者も同じような対策を行っていくことこそ大事ではないか、そういうふうに思っているところでございます。

 さて、そこで、町村では、都市と違って、障害者の皆さんがそう数多くおるわけではございません。この点は都市と町村の違いがございます。どうしても障害者の皆さんは都市の方に集中しているような感じがしているところでございます。全国の町村でも、現在は七十万人の方が手帳を所持していると思います。この障害者手帳の交付を受けておりますけれども、そのうち三十二万人の人たちが支援を受けているというのが町村の障害者の対策をしている方々の数でございます。ですから、町村側にしてみると、一町村当たりの対策をしている数、そういう障害者の数というのは余り多くはございませんけれども、しかし、これは先ほども市長さんからお話があっておりましたように、障害者そのものの言うならばいろいろな多様な種別がございますので、対応に苦慮しているというのが実態でございます。

 ちなみに、私の町でございますけれども、手帳を所持している者が今九百六十五名おります。私の町は多い方でございまして、そのうちに、対策をしている、いわゆる支援を受けている者が六十六名でございます。

 これは、金額にして申し上げますと、居宅と施設との二通りございまして、どうしても身体障害者は施設が少なく、知的障害者は居宅が少ないんです。身体障害者の場合は居宅の方が少し多うございますけれども、数にして、私どもの町では双方合わせて二十八名でございまして、居宅は十六名、施設が十二名ですけれども、知的の方は四名が居宅で、そして施設の方が三十四名という数字になっておりまして、この対策費が合計で一億三千四百万円ぐらいの費用がかかっておりまして、町が負担しておりますのは、そのうち三千四百万円の負担をしているということでございます。

 この対策、支援は、今後増加傾向にあると言っていいと思います。ということは、さっき申し上げましたように、九百六十五名の方が手帳を所持しておりますけれども、実際に対策を受けているのは六十六名という数字から見ても、だんだん高齢化が進んでいくようになりますと、もちろんこれは高齢化になりますと介護もあるいは老人対策にも含まれることになりますけれども、言うならば支援を受けなければならない状況になってくる可能性が高い。そういう意味で、これから増嵩をしていくだろうというふうに思っているところでございます。

 私たちは、今度の障害者自立支援法案については、精神障害者福祉を初めといたしまして、市町村が障害者福祉の中心になるべきことが求められております。これは私どもとしては当然だと思っておりますが、町村においてこの障害者福祉を進めていくためには幾つかの条件が必要でございます。

 例えば認定事務でございまして、これはかなり専門的な知識が必要でございます。その専門家がどうしても町村では不足がちでございます。したがいまして、事務の言うならば停滞化を、停滞化というのは、事務が遅々として進まないということがあって障害者の皆さんをいらいらさせるというようなことだってあり得るわけです。これらを一体これからどうしたらいいのかということが課題でございます。

 さらに、次は財源の問題でございまして、安定的な財源が確保できなければなりません。さっき申し上げましたように一億三千四百万円のうち我々のところは三千四百万円を負担しておりますが、だんだん最近では、私どもとしては非常に不本意でございますけれども、交付税を削減すべきである、平成十六年で大幅に削減されたにもかかわらず、まだ続けて交付税を削減しようというようなことを私どもは耳にいたしますが、そういうことになりますと、現状の事業そのものを進めていくこと、維持することさえ難しい、さっき申し上げましたように増加傾向にあるものに対応をしていくことができない、こういうことになると思いますので、どうしてもこういう福祉を進めていくということであるとするならば、安定的な財源の確保というのは絶対に必要であるということでございます。

 なおまた、都道府県の広域的な支援を受けて、言うならばお互いでやっていこう、こういうことに法律の中で改正をされるようになっておりますけれども、都道府県の方には人材が豊富であるとするならば、町村の人材が不足をするところを補っていただけるような、そういう協調性を高めることが必要ではないか、あるいはまたそういう支援体制でお互いに協調し合うということが必要ではないか、そういうふうに思っておるところでございます。

 言うならば、専門家を何としてでも町村としても確保したいんですが、さっき申し上げましたような現在の町村の財政状況からいきますと、今より以上の体制を整えることは非常に無理であるということが言えます。これはどうしても県側に委嘱せざるを得ない、こういうことになっていくと思いますので、ぜひとも県のバックアップを必要とするところである、そういうふうに思っているところでございます。

 次でございますけれども、障害者の福祉事業というのは町村に即して進めていくことが必要である、そのために規制を余りかけないようにしていく。言いかえると、今私どもが常に主張しているのは、地方の自由裁量を拡大すべきであるということを申し上げておりますが、それと同じように、現在実施をしております事業でいろいろな規制がかかっておりますけれども、これをできるだけ規制を緩和する。

 言うならば、町村の自由裁量に任せた障害者の福祉対策をやらせるということは、今の地方分権法でよく言われておりますその趣旨にも合うんじゃないでしょうか。同時にまた、それぞれの町村では町村の一つのいろいろな行き方というのがございますので、それらを生かしたやり方をすることの方が喜んでいただけるんじゃないでしょうか。そういう意味で、規制については十分お考えをいただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

 またもう一つは、さっきもお話があっておりましたが、施設でございます。

 町村側は、障害者の皆さんたちの数は少ない。ところが、施設が必要であるといっても、町村としてはそう簡単に施設をつくるだけの力がございません。ですから、この施設は、さっきもお話があっておりましたように、学校の空き教室を使ったり、あるいはいろいろなところを使ってもいいじゃないかという御意見でございますが、私も全く同感でございまして、併用をするということ、例えば体育館がないところはないでしょう。それは小学校にもあれば中学校にもありますし、同時にまた町村自体にも体育館がありますから、そういうものを併用して使っていくという施設にすることが必要じゃないか、そういうふうに思います。

 ですから、場合によっては、最近は私どもの町では空き家が多くなってきました。これはもう過疎地帯だから住んでいけないよ、こういうことで若い人たちは都市へ行ってしまい、後に残っている老人がいなくなってしまいますと、空き家が増加するのは当然なことでございます。こういう空き家も使えるようにすることで言うならば十分な障害者対策ができる、こういうことになると思いますので、それらについての格別な御配慮をいただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。

 さて、障害者自立支援法案は、町村が障害者福祉を進めるための条件というものが、一応、一定の対応がなされている、私は今回の法律改正はそういうふうに思っております。ですから、町村側が障害者福祉を進めるための条件が、これらが一定の対応ができるように考えられておるということでございますので、その趣旨に従って、ぜひともひとつ十分な対応ができるよう御判断をいただき、措置をしていただきたいというふうに思います。

 それはどういうことかといいますと、今回の改正によりまして、国の負担の義務化がなされなければなりません。国の負担の義務化がなされれば、支援費の制度の最大の欠陥である国の財政支援の弱さがございますので、これが解消される、そういうふうに思っているところでございます。ですから、国の財政支援についても、先ほども意見が出ておりましたが、私も全く同感でございまして、ぜひともひとつこの支援費については確保をできるようにしていただくようにお願い申し上げたいと思います。

 いつも私ども、支援費が不足するんだという声をよく聞いてまいりました。何年も続けて聞いてまいりました。これはやはりこの制度そのものの欠陥があるのと、支援をする財源の確保というものがある程度おろそかになっていたのではないか、そういうふうに思っているところでございます。今回の改正はこれらをすべて解消できるように格別に御配慮をいただいていると思いますので、ぜひともそういう趣旨で御改正を御承認願いたいと思っているところでございます。

 また、義務的な事業が引き続き補助金による事業となっているところもございますが、先ほども申し上げましたように、都道府県が代行実施できるようにされておりますので、都道府県と私たちはよく相談をしながら対応していきたいと思っているところでございます。補助金については、個々の町村の事情に対応、適応できるよう、相当弾力的な運用を認めていただきたい、こういうふうに思っているところでございますので、全国平均で見ますと、私どもの町村では百九十五名のためであるので、生活圏の圏域的に、言いかえますと、広域連合制で実施をしてスケールメリットを求めていくということも必要じゃないでしょうか。

 ですから、町村にしますと、障害者の人の数は非常に少ない、だけれども、それにまたいろいろな専門的な人を配置したり、施設を持ったりしなきゃならぬということであるとするならば、対応するだけの力がない、こういうことになりますので、できればそういうような町村が圏域別に集まって広域連合でも組織をして、そして一緒になってその支援対策を行っていくということが望まれるのではないでしょうか。

 私は、福岡県で最初七十二の市町村で広域連合を組んで介護保険を実施いたしました。今、市町村合併のためにだんだんその数が少なくなってまいっておりますけれども、しかしこれは、それだけのスケールメリットを私どもは得ることができたと思いますし、難しい当初の介護保険制度の実施のためには十分な力が発揮できたと思います。

 それと同じように、この障害者の対策も、一つの町村にしますと数が非常に少ないわけですから、しかし、少ないからといって、いわゆる我々町村側が職員の数を減らしたり施設をなくしたりすることはできません。だから、一人の人であってもそれなりの対応、支援をしていかなければならないのが町村の義務であると私は思います。

 ところが、それでは、言うならば労多くして功少ないという結果になりますので、それよりも、圏域的にその地域全体の町村が一つになって運営をしていくということになりますと、より効果的な対策、対応ができるんじゃないでしょうか。すなわち、スケールメリットを生むことができるんじゃないか、そういうふうに思っているところでございます。

 また、その次でございますけれども、専門的な知識を持った人材を町単独で確保するというのは、先ほど申し上げたとおり大変難しゅうございますので、これは国や都道府県が、専門的な人材の養成のほか、近隣の市町村や都道府県と協力し合い実施する、さっき申し上げた、言うならば広域連合でやるようにしたらどうかということと、この専門家については国と都道府県が責任を持って補充できるように措置をしてください、こういうことでございます。広域連合や、それから都道府県の代行、あるいは都道府県への委託など、町村の実態に配慮していただくよう格別なお願いを今申し上げたところでございます。

 特に、私どもが一番心配を、なぜさっき申し上げたようなことを申し上げましたかというと、手帳の交付だって複雑なんです。私ども町村が県に申請をして、県の方で審査をして、そして今度また逆に町村へ返ってくる、そういう二重の手続を行っていることは御承知のとおりでございます。こういうことについてはできれば町村で実施できるようにしてほしいと思うんですが、今のところ、さっき申し上げたとおりの実情でございます。今やっていることはロスが多くて、言うならば手間が多くて効率の少ないやり方だと思いますので、改正をお願い申し上げておきたいと思います。

 次でございますけれども、障害者の数が少ないが、活用できる社会資源が限られる町村においては、できる限り規制緩和を実施していただきたいということは先ほども申し上げましたが、それから、施設の借用や併用等についても、ぜひともお願いを申し上げたいということを申し上げました。どうぞ、これらについて、町村の実態を御判断いただき、あるいは実情を御承知おき願って、審議をしていただければと思っているところでございます。

 さて、次に、お願い事項を少し申し上げておきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、合併が進んでおりますので、地域の特性から独立性を持つ町村も多くなってまいりました。日本の下支えをしているこういう町村の財政の基盤の強化が必要でございます。合併をしますと、一つの大きな町になった、だから、こういうものについては自分たちで十分やらなきゃならぬ、こういう認識に皆さんが立っておりますが、このとき財政の基盤がもろければ何の意味もありません。財政基盤の強化というのが必要であるということでございます。

 また、障害者に対して介護保険を適用させたらどうかという議論がございました。私は、介護保険制度そのものはまだまだ十分ではないんですけれども、ここだけはぜひお願いしたいと思いまして申し上げますけれども、介護保険の対象者はゼロ歳までに下げるべきです。六十五歳以上にしないことです。これをゼロ歳、おぎゃあと生まれてから介護保険の対象にすることです。

 そしてもう一つは、被保険者の年齢は、二十歳ということは少し無理があるかもしれません、だから、一挙に二十歳にしないで、今四十歳以上ですから、三十五歳、三十歳、二十五歳というふうに、言うならば段階的に下げていくやり方をしていけば、国民の皆さんたちの理解も納得も得られると思います。

 そうしますと、障害者の皆さんたちが介護保険で適用できることになります。障害者の皆さんたちだけを介護保険で適用させたとしますと、介護保険料は八百円ぐらい必要ですけれども、しかし、皆さんたちが理解をしていただければ、片一方の方の支援費が要らなくなってくるわけですから、言うならば同種のものは同じ一つの制度の中で措置をしていく、支援をしていく、対策をしていくということが必要ではないでしょうか。

 ですから、できるだけ早い時期に介護保険で対象者をゼロ歳まで下げていくという考え方、やり方をすべきだと思います。ただ、被保険者の年齢は、一挙に二十歳に持っていきますと抵抗が非常に強くなると思いますので、これらについては技術的に考えて年齢引き下げを行っていけば、そういうふうに思っているところでございます。

 どうぞひとつ、これらについて、私は特にこれだけは強調しておきたいと思っておりますので、申し上げさせていただきました。

 まだ申し上げたい点はたくさんありますけれども、時間超過のようでございますので、これでやめさせていただきますけれども、ぜひともひとつ、これからも物と人と制度といったものがきちんと一致して整えられていくことこそ大事なことではないかと思います。ですから、私は、今回のこの委員会で十分な審議をしていただいて、私ども町村が障害者支援対策が十分にできるだろう、そういう大きな期待をかけておりますので、その期待にこたえられる審議をしていただきまして、いい制度を法律化してくださることを心からお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

大村委員長代理 ありがとうございました。

 次に、江草参考人にお願いをいたします。

江草参考人 日本重症児福祉協会の理事長であります江草安彦でございます。

 重症児と申しますのは、知的障害が極めて重く、その上に身体障害が極めて重い、いわば障害児者の最も悪い状態の方である、障害の重い状態の方である、こういうふうに御理解をいただければと思います。

 こうした方々に対しまして、昭和四十二年、ちょうど四十年より少々前でございますが、児童福祉法の一部改正によりまして、こうした方々が法律の上でお世話ができるということになったわけであります。

 自来、今日まで、全国で国あるいは都道府県、公法人がやっております施設が百八十余りございます。それに、通園事業と申しまして、おうちから通うことができる、そうしたものも相当の数に上っております。また、これらの職員の方々は、家庭生活を送っていらっしゃる方のところへ訪問いたしまして、その介護あるいはリハビリテーションのお手伝いをする、こうしたことでございます。また、文部科学省の方では、このお子さんたちに対しましては訪問教育ということをやっておりまして、まさに保健、福祉、医療、教育、こうしたものが一体となって提供されておるところでございます。こうした事業を展開しております法人、施設の連合的な団体が重症児福祉協会というものでございます。

 私たちが抱えております問題は、重症心身障害児の問題であると同時に、障害者全体の問題ではないかというふうな気持ちを持っておるところでございます。私自身の立場から申しますと、私は本来小児科医でございますが、こうしたお子さんの療育に携わりたいと思いましてその道に入りましたけれども、初めはお子さんでありましたが、やがてその方が青年期になり、やがて壮年期になり、高齢者になる。もう今や生涯のお手伝いをするという立場になりました。こういう立場、及び重い障害を持った方々御自身、そしてまた御家族のお気持ちを幾らか承知いたしておりますので、そうしたことを代弁する意味を含めまして、本日、二つの法案についての意見を申し述べてみたい、こういうふうに思っております。

 二〇〇三年の五月、おととしでございますが、五月に、障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会というものが持たれました。これは約二十回、きょう私の次にお話しなさいます方もそのメンバーでございましたが、大変熱心に議論がありました。

 その議論の中身は、一口に申しまして、私たちはみんな一人一人尊敬さるべき人格の持ち主である、そしてその人格は自己実現に向けて動いておる、これを支援するのは、少なくとも文化を標榜する、目標とする国家、あるいは人間性を高めたいという国家においては当然のことではないかというふうな観点から、先ほどお話がございました自立支援に関するサービスが始まったわけでありますが、これがどうもうまくいかない、これは、先ほどの町村会の会長さんのお話によりますと、理念は極めて優秀であったけれども現実はなかなかそれにはついていかなかったという乖離の問題ではないかと、では乖離をどう縮めるかというふうな議論であったのであります。恐らく、こうしたことが大きく影響するところとなりまして、今回の法案の基礎となったのではないかというふうに理解をしておるところでございます。

 さて、先ほど私は長い間この仕事に従事してきたということを申しましたが、私は、今回の改正というものは、障害福祉の歴史の中ではまことに大きな転換期であるというふうにとらえられると思うのであります。

 昭和二十二年に児童福祉法という法律ができて、これで初めて子供の障害者問題が取り上げられたわけであります。やがて身体障害者福祉法、精神保健福祉法、知的障害者福祉法というふうに営々と積み上げられてきたわけでありますが、これはどちらかというと改良的であったというふうに言っていいと思うんです。そのときそのときにおいては最善と思ってやったわけでありますが、しかし、通して見るとやはり大きな問題があったということは言わざるを得ないのであります。

 これに対しまして、昭和五十六年の国際障害者年以来、障害者本人の意思を大切にしようというふうなこと、尊厳を守ろうというふうな流れがほうはいとして起きてきたわけでありますが、今回のこの法律の案はそうしたものを本格的に制度化しようとするものではないかと思うのであります。その意味におきまして、障害者福祉という立場から考えてもそうでありますが、今回の改革はまことに画期的なものであって、評価に値するものではないかというふうに思います。

 改革というのは、旗印ではない、現実がなければいけないわけでありますが、これがもし実現すれば、改革は極めてその名に値するものではなかろうかというふうに私は思います。

 それは、皆さんも十分御承知のとおりでありますが、幾つかの障害種別のサービスを一元化しよう、これも今までなかったことであります。

 それからまた、障害者が働きたい場合に働ける社会をつくろうではないか、あるいは働ける条件づくりをしようじゃないか、これもまことに画期的なことであります。

 それからまた、支え合うという考え方。障害者は気の毒だ、だからお世話しなきゃいけない、これも悪いことではないけれども、障害者もできることは自分でやりたい、できないこともできるようになりたい、これが願いでありますが、これを実現しようとするものである。

 さらに、一番我々が心配しておりますのは、国の財政的支援ということであります。これを、国に責任があるということを明確にしようということであるならば、これほど立派なものはないんじゃないか、こういう意味で、私はこの方向性を力強く進めていただきたいというふうに思います。

 次に、今回問われておるのは、障害というもののとらえ方、あるいは障害者に対する見方、障害者観でありますが、こうしたものは、尊厳ある個人として、社会の一員として社会が認めようということでありますから、あるいはそれが当然な社会にしようということでありますから、この点でもすばらしいことでありますが、私は、これを福祉という面に限局することなく、人間生活に関するすべてのものに及ぼす形で先生方におかれましては御議論をいただきたいというふうに思うわけでございます。

 すなわち、雇用の問題あるいは教育の問題、あるいは交通の問題、果ては、こうしたものを包括するような立場でございましょうか、所得保障の問題、こうしたものをあわせて御議論いただかないと、結局はアブハチ取らずということになる可能性があると思うのであります。

 先ほど申しましたように、私は、極めて重い障害を持った方々、大体全国で三万人、この方々とその御家族の心情を思いますときに、障害のある人はすべてそうでありますけれども、こんな思いをしても、四十歳になって初めて寝返りが打てた、五十歳になって初めてクレヨンで丸がかけた、こうしたことに大きな喜びと意味を感じておる我々は、それぞれの人に生きがいがあるという意味においては、それらの方々のそうしたことはまさに生きがいそのものでありますから、これを目指すような法案であってほしいというふうに思うところでございます。

 さて一方、そうはいいながらも、先ほどのお話にもございましたが、支え合うということになりますと、負担をしていただきたい、これは確かに財政的な点が背景にあったんだろうと思いますけれども、ただそれだけでなくて、一人前の人格者であると尊厳を主張するならば、それは、額が幾らであるかは問わず、私は、支え合うという精神性というものはやはり高く掲げるべきではないかというふうに思っているところでございます。

 しかしながら、先ほど申しましたように、働ける人が働けるように、いや、働けなくても働きたい気持ちを持っている人がそのような気持ちがあらわされるような、そういう仕組みというものがないだろうか。

 一例を挙げてみますと、今、障害者の法定雇用率がまだ全国的に達成されていない。ようやく最近、達成していない企業の名前を発表しようかと。遅きに失したと私は言わざるを得ないのであります。一生懸命やっているところもあるわけです。ですからこれを、まず法定雇用率の達成、それからさらに言うなれば、法定雇用率を引き上げる方向へ持っていくべきではないかというふうに私は思います。

 東京ではクロネコヤマトの御関係の方がパン屋さんをやっていらっしゃる、これは非常な成果を上げていらっしゃるというふうな話も聞いております。私は同様に岡山で、いささか内容は違いますけれども、障害者の雇用確保のためにいろいろなことをやっておりますが、やればやれるということを確信しておるところであります。

 なお、障害者の方々が支払うということでございますが、一部の支払いが困難である方ももちろんあるわけでありますけれども、これは支払うことができるような障害者年金の支給というふうな方向へ私は持っていっていただきたい。免除してもらうんじゃなくて、いただいて払うんですから、結局同じじゃないかと私は思うんです、国の財政の上からいうと。お金を、免除しましょうでなくて、払いましょう、払うかわりに払えるだけのものをちょうだいしたい、こういうことであるならば、私は所得保障をしっかり見直していただきたいというふうに思います。

 なお、障害者はどの程度いらっしゃるかということについて、皆さんも十分御承知のことでございますが、統計はさまざまでございますけれども、少なく見て国民の三%、平均的には五%と言われております。五%の方々には、両親があるわけです、家族があるわけです。そうしますと、私は、恐らく国民の一〇%ぐらいは障害者に関係がある。社会保障の枠組みの見直しということで、子供と高齢者の比率を変えようじゃないか、これも結構なんですが、その子供にも高齢者にも一〇%の障害者あるいは関係者が含まれておるという事実を見るときに、漠然と子供と高齢者の見直しというようなところにとどめないで、一人一人の国民が安心して生きていけるような見直しというふうに看板もかけかえていただきたい、こんなふうに私は思うところでございます。

 最後に一つ申し上げますが、今町村会の会長さんのお話がございましたが、今合併が進んでおります。三万人から五万人、六万人規模のところが多うございます。私は、少なくとも周辺を見渡しますと、三万ないし五万、六万のところで三障害を一手に引き受けましょうというような障害福祉圏構想は存在していない。障害福祉圏というのは、地図の上にペンで印つけて、これが何々障害福祉圏というんですよではだめなのであって、中身、実行がなければいけない。そうしますと、私は、障害福祉圏の構築にはやはり施設整備というものが、今までのような形の施設整備ではない、新しい形の施設整備というものが必要ではないかというふうに思います。

 こうした観点からも、切ればお金が浮くのはよくわかるのでありますけれども、切って後で泣く人がたくさん出てくるということもお考えいただいた上で障害福祉圏構想は御議論いただきたい。大変口幅ったいことを申し上げましたが、現場人として、そしてまた障害者本人あるいは御家族の心境を考えて申し上げた次第でございます。

 以上であります。(拍手)

大村委員長代理 ありがとうございました。

 次に、中西参考人にお願いをいたします。

中西参考人 御指名いただきました、全国自立生活センター協議会代表の中西と申します。きょう、ここにお招きいただきましてありがとうございます。

 私は、東京都の八王子でヒューマンケア協会という日本で初めての自立生活センターを一九八六年に立ち上げまして、今十八年になります。自立生活センターは、障害当事者が、全員、代表、事務局長をやって運営する、我々がサービスの受け手から担い手になって社会参加していこうという場です。私自身も毎日ヘルパー制度を利用しています。そして、年間七万時間の介助サービスを提供して、市の中でも、私どものサービスが市の全体の九割近くの重度障害者を持っている。全国においても、自立生活センターのサービスは重度障害者にとって一番重要なものとして、全国の一五%ぐらいのサービスは自立生活センターがやっておりますので、私どもが持っている障害者のデータというのが一番新しいもの、そして現実的なものだということを御承知おきください。

 私どもの事業所は、そういう意味で、今支援費制度のサービスを使ってやっておりますけれども、以前はホームヘルプサービス事業でやっておりましたので収入はありません。そして、支援費制度になってからも、今、知的障害者のホームヘルプサービス事業においては年間二千万円の赤字を出すような状態で運営されておりまして、一般の事業所はなかなか受けたがらない事業を、我々、当事者同士であるから、身体だけじゃなく知的障害者も応援しようということで、赤字覚悟でやっている、ほかの事業所は一切参入してこないというような状況を迎えています。

 この全国自立生活センター協議会、二百カ所では、全国での職員、介助者の養成、事業所の運営を手伝うというようなことをやって、全国のサービス理念を一致させましてサービスレベルを統一するようにやっております。

 ここのところ、障害者自立支援法案が、多くの障害者の地域での自立生活を支えるものになるかということについて、障害者の中で多くの疑念と不安が生まれております。きょうは、その点について、皆さんに事情をわかっていただくようにお話をしたいと思います。特に、まず障害者の現在地域で置かれている状況をお話しし、その後、長時間重度の障害者の生活支援、重度包括支援制度について、移動介護の必要性や行動援護の問題点、審査会の問題などについてお話ししたいと思います。

 皆さんのお手元にレジュメと資料がございますので、対応させて見ていただきたいと思います。また、赤い「当事者主権」の本がございますが、これは上野千鶴子さんと岩波で去年出したんですけれども、自立生活センターのことやサービスの内容など詳しくわかりますので、お時間があれば読んでいただきたいと思います。

 支援費制度開始の以前は、全身性障害者を中心とした障害者は、在宅サービスのない地域でボランティアをかき集めてひとり暮らしを始めていました。その中には、その介助者集めの大変さゆえに命を落とした人も大勢いらっしゃいます。そこで、我々自身がこのサービスの提供団体となってやっていくことになるわけですけれども、全身性障害者の介護派遣をやれるような団体が当時は地域に一つもなかったということで、我々は、二十四時間対応、夜中の二時でも早朝でも出られるような対応、緊急派遣体制、それから同性介助、男性は男性、女性は女性という介助サービスを初めてやっております。それから、利用者が介助者を選定できる権利、そのような権利を保障するような画期的なサービスを全国で始めたということです。

 なぜ障害者はそんなに施設から出て地域で自立生活したがるんだろうと皆さん疑問に感じられることもありますでしょうけれども、私たちが支援したある命の短い筋ジストロフィーの若者は、二十八歳で、それまでずっと施設にいたんですけれども、初めて、施設から外へ出たい、一生のうち三カ月でも地域で暮らしたい、命のともしびを地域でともしてから死にたいということで出てきました。これまでの施設での孤独と無為の生活に耐えられない、地域で野たれ死にをしても地域の中で満足できる一生を送りたいというような希望を持って、せっぱ詰まった思いで出てまいりました。その障害者が、今地域で十七年目を迎えましたけれども、自分の能力を施設というのは奪ってきた、その中では自分は何もできなかった、でも今地域に出てきて何でも好きなことができるんだ、こんな充実した人生が送れるのならばということで、後輩の障害者も施設から出してきて、彼が暮らせるようにしてあげております。

 自立生活をするのには時間がかかります。すべての障害者の自立を果たしていくのはかなり時間がかかるものです。そして、自立支援の中では、ピアカウンセリングや自立プログラム、精神的なサポートが当事者同士で必要。それから、生活技術的なサポートなどを提供しております。これまでに、全国自立生活センターで千八十三名の自立者を生み出しております。これは、施設を五十カ所ぐらい閉鎖したことになるかと思いますけれども、そのような自立生活支援。

 そして、地域で暮らすにはサポート体制が必要なのはもちろんですけれども、本人が覚悟して出てくる。自立をするというのは本人が相当な努力をしなければできないことですけれども、重度身体障害者の場合でも一年、知的障害者の場合は三年ぐらいの自立への道のりがございますので、そういう意味では、一遍に何百人という人たちが地域で暮らしていくということはなかなか難しい。自立生活センターでも年間に一人か二人ぐらいの自立者を支援するということで、全国二百カ所でも二百名ぐらいが限度であるので、財政的にパンクするという心配はないということを申し上げておきます。

 今の自立支援法の一番の問題点について、今、二ページの「支援の具体例」のところになります。長時間利用するような重度障害者の負担がふえるためにということで、サービスの上限が設けられ、個別ニードに沿った支援ができなくなるというのが自立支援法の一つの問題になっています。

 「長時間重度の障害者の生活状況」というので、参考資料の方の一番を見ていただければよろしいんですけれども、特に、ことしの四月の単価改定に伴って、ヘルパー制度の移動介助や身体介助は一・五時間以降の単価が家事援助単価並みに引き下げられました。その結果、事業所によっては四割から五割の収入減となりまして、職員の雇用が難しくなってきています。

 そして、なぜ長時間の付き添いが必要なのか、それは巡回訪問サービスで済むんじゃないかというような疑問を呈される方もいらっしゃいますが、彼らは、ここにありますように、朝から夜まで一分刻みの、資料1の表を見ていただくと、ベッドから起きてから朝食までずっと必要なのはもちろん、そしてテーブルの用意、片づけ、そしゃくができない人には食材を切り分けてあげるというようなたくさんの仕事が控えておりまして、介助者はてんてこ舞いになりながら介助をやっているわけです。ですから、これを訪問介助で一瞬にして終わるというふうにはとてもいかないということを御承知おき願いたいと思います。

 それから、「長時間介助サービスの確保の必要性」ということでは、Aさんという筋ジストロフィーの障害者の方は、食事、トイレ、入浴、衣服だけじゃなくて、首の筋肉が弱くて、車いすに乗っていても、首が前に倒れてしまうと自分で起こせなくて、そのまま呼吸が詰まってしまうような状態を迎えます。町を歩いていても、首が倒れないか支えてあげなきゃならない、前に倒れたら起こしてあげるというような介助が常時必要です。そのような重度障害者は、ほかに脳性麻痺でも頸椎損傷でも多数おられます。緊急介助が必要な方もいらっしゃいます。私なども、貧血を起こすと危険な状態に陥ります。

 トイレ、入浴など一日八時間の介助が必要な方、Cさんは、D市で支援費が、国の予算不足で歳入欠陥を起こしまして十六年度からの国庫補助が減ったということで、一日四時間分の介助しか支給しないと。今まで八時間出ていたのが四時間になってしまったということで、彼はこの地域での生活が難しくなっている状態を迎えている。ですから、今までの制度が使えるように財源的な確保を十分お願いしたいと思っております。

 このような重度障害者の命を守るために、支援費制度は程度区分間の流用を認めておりましたけれども、これは大きな都道府県では可能ですが、小さな市町村ではなかなか難しい。これにかわる長時間の利用をきちんと保障するような制度が必要で、そのためには、十程度区分ということで我々は提案しておりますけれども、資料の十五ページの方に載っております。親元にいられる方とひとり暮らし障害者を分けて、一般の親元にいらっしゃる方の三十、六十、百二十という区分に対して、ひとり暮らし区分は百二十時間から始まって、百二十、二百四十、四百八十というふうに伸びていくようなことが必要かと思います。

 次に、「重度包括支援について」、二、三、四の資料を見てください。

 重度包括支援制度はいまだに政省令の中身が提示されておらず、二十四時間介助の仲間たちは非常に不安を感じています。

 特にALSの人たちは、現状のサービスから介護保険サービスを利用することになり、サービスがよくなると考えていましたけれども、実際は介護保険では時間が短く、病院の方は介護保険があるから出てくれというようなことで、介護保険サービスでの在宅生活も難しい。三時間のホームヘルプサービスでは大変ということで、家族の負担はかえってふえた面がございます。

 ALSの場合、一割負担の介護保険の優先利用が条件となるため、支援費制度の利用抑制になっていました。昨年八月のALS協会の調査では、会員数六千八百名のうち六割が重度障害者、そのうち呼吸器利用者は八百名、その一割の八十人強しか支援費制度が利用できておりません。

 さらに追い打ちをかけたのは身体介護の単価引き下げで、困難な介護を引き下げられた単価で引き受ける事業所はほとんどなくなっています。ALSなど最重度障害者の命を守れるかどうかが障害者自立支援法の真価を問われるところであります。ここでの包括支援の金額は重度訪問介護の最重度基準の国庫補助基準額と連動性を持つため、特に慎重な配慮が必要です。

 重度包括制度だけではなく、日常生活支援など他のヘルパー制度の中にも包括制度をつくる案があると伺っておりますが、一定の金額で介護を提供するシステムでは、最も手間のかかる障害者はどこの事業所も利用できず、生活できなくなってしまいます。また、仮に受け入れる事業所があったとしても、サービス内容に問題があってもほかの事業所に変更できないため、事業所の方が立場が強くなり、虐待が発生するような事態を迎えます。

 利用者は個々人によって千差万別です。これらの状況に対応したきめ細かい介助金額の設定が必要です。長時間重度の介助利用について、生存を支えるために一人一人のニーズに応じた支給決定をしていただきたいと思います。

 次に、移動介助の重要性について述べます。

 資料の5、6をごらんください。

 障害者自立支援法では知的障害者と視覚障害者の移動介助は個別給付から外されまして、廃止された。かわりに、市町村が行う地域生活支援事業のメニュー事業のガイドヘルプサービスにされました。地域間格差ができることが支援費制度の欠陥です。それを克服するための自立支援法と称しながら、地域生活支援事業は市町村のやる気に任されておりまして、今後一段と地域格差が広がる方向にかじをとっていくことになりかねません。

 知的障害者のサービスや全身性障害者のサービスにおいては、全国での基盤整備が整わない中で単価切り下げが行われたため、横浜市では最大の事業者である市の外郭団体が支援費のホームヘルプサービスの移動介護から撤退するという事態が既に起こっています。このような事態を招かないように事業所支援が必要となっております。

 東京都では支援費制度以前は、一時間単価九百八十円で知的障害者ガイドヘルプ事業が委託されておりましたが、そのような安い単価では、参入する事業所は自立生活センター以外にない状況でした。そこで我々がそれを全部担うことになったわけですけれども、その後、支援費制度では――では、ちょっと急ぎましょう。

 「行動援護」について述べます。

 行動援護事業者は、ヘルパーとしての二年以上の経験が必要なので、これは条文を改正しないとなかなか難しい状況です。知的障害者は一割の対象者しか救われないと言われていますけれども、一日五時間以内の制限時間という問題は、これは撤廃をしていただきたいと思います。

 次に、「審査会の問題点」ですけれども、これは、審査会の中で低い水準に保たれてしまうという市町村の問題が起こりかねないので、委員の選定には十分な注意を払っていただいてやる必要があります。我々の自立生活がわかるような委員を選んでいただきたい。予算を上回るようなヘルパー時間数でも決定していくようなことを政省令で市町村に強制できるような形が必要かと思います。

 審査会の役割としては、障害程度区分の二次判定のみにして、それ以外の、非定型についてはニーズが上がったものを尊重していただきたいと思います。

 最後に、介護保険のことについては、公明公平、義務的経費ということは当然だと思いますけれども、これは、我々の長時間の利用が十分保障できるような中身が保障されないといけないということです。介護保険の中でも我々の自立生活が保障できるような制度ができることがもちろん必要ですけれども、財源問題だけで統合を考えるということでは、とても我々のニーズにこたえる生活はできないだろうということを心配しております。

 時間配分を失敗しましたが、どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。(拍手)

大村委員長代理 ありがとうございました。

 次に、白沢参考人にお願いをいたします。

白沢参考人 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の白沢といいます。

 今大変緊張していますが、障害者、家族のこの自立支援法への思いを少しでも丁寧に皆さん方にお伝えしたいという思いで意見を述べさせていただきたいと思います。

 私どもの団体は、一九六七年に結成されまして、あと少しで結成四十周年を迎えることになっております。私たちの団体は、結成以来、学ぶ権利、働く権利、生きる権利、政治参加の権利など憲法で保障された諸権利が心身に障害があるということを理由に奪われたり、あるいはあいまいにされている状況を改善することを目的に取り組みを進めてまいりました。

 戦後六十年、日本の障害児、障害者の施策は、厚生労働省を初めとした関係省庁の御努力もあって、また国会での各政党の先生方のお力もあって、戦後ほとんど何にもなかった状況から着実に前進してきたというふうに考えております。しかし、権利保障という点、あるいは障害者の自立の促進や親、家族の不安を解消するまでにはなお多くの課題が残されているのではないかというふうに考えています。こうした点で、今回の自立支援法がこれまで築いた施策の到達点を後退することなく、しかも現状の残された諸課題が解消されるものなのか、きちんと評価しなければならないと考えています。

 私たちは、この間、厚生労働省の説明や国会での審議を通して、今回の法案が現状の諸問題を解消し、施策を前進させるのではなくて、大きな後退につながるのではないかというふうに心配しています。何よりそれは、一割の定率負担、応益負担の導入があるからです。この問題については、繰り返し厚生労働省と話し合い、説明を求め、その改善を求めてきましたが、国会審議での回答とほぼ同様に、他制度との整合性、あるいは義務的経費になるから定率でとの説明で、負担し切れない障害者の実態は二の次の状況でした。

 こうした中で、私たちは、日本障害者協議会の一員として五月十二日の六千六百人の人を集めたフォーラムにも参加し、また、お手元にも配付させていただきました資料のとおり、これですね、日本障害者センターが事務局として呼びかけた慎重審議と応益負担の導入に反対する緊急アピールの賛同運動にも積極的に取り組み、短期間で一万名の賛同者を募り、これらの声や思いを意見広告として五月九日付の毎日新聞に掲載するといった取り組みも進めてまいりました。お手元には、その広告と賛同メッセージの抜粋が掲載してありますので、ぜひ後でまた参照してください。

 いずれにしても、それらの取り組みの中で、障害者、家族の実態や福祉事業に携わる経営者や労働者の実態を踏まえて慎重な審議をしてほしい、特に、定率、応益負担の導入はやめてほしいというのが多くの関係者の共通の願いであるということを強調しておきたいと思います。

 こうした願いをぜひ今後の審議にさらに反映していただきたいという思いを込めて、以下、大きく二点に絞ってこの自立支援法に対する私たちの意見を述べさせていただきたいと思います。

 なお、障害定義の問題でなぜ難病、自閉症、てんかんなどが除外されているのか、あるいは選択したくても選択できないサービス基盤の大きなおくれなどの問題は、この法律の根幹にかかわる重要な問題であると考えています。この点については既に行われた参考人の意見でも触れられていましたので、そうではない、この間の審議で余り触れられていない、いや、もっと触れていただきたいことを中心に述べさせていただきたいと思います。

 その第一点は、自立支援するためのサービスの基本的なあり方の問題です。

 私たちは、今回の法律が自立支援というならば、もっと総合的な視点に立って、介護給付、訓練等給付などと限定するのではなくて、障害者、家族が必要としているサービスをきちんと法律の対象とし、その財源を確保すべきと考えています。

 このことについては、私どもが昨年取り組んだ障害児者の社会的支援ニーズ全国実態調査の結果をまとめた資料を配付させていただきましたので、参照してください。これです。

 この調査は、二ページ目のところからありますが、きょうされんや全国障害者問題研究会などの障害者団体にも協力をいただいて、全国三十都道府県、四千三百五十二ケースを回収することができました。

 全体的な特徴点でいいますと、相変わらず家族に依存せざるを得ない障害者の厳しい生活実態と、その介護を支える家族の深刻な介護実態が浮き彫りになりました。

 それらを踏まえながら、特に、三ページ、四ページのところに触れていくわけですけれども、障害者への支援は、単に介護とかあるいは訓練という狭い枠組みに矮小化されるのではなくて、社会的支援という視点で総合的に進めてほしいということが私たちの願いであります。

 四ページにそれら調査の概要を一覧表にまとめさせていただきました。これは複数回答でのまとめですので注意をしていただきたいんですが、その中から特に強調されているのが、三ページの「社会参加や社会経験の拡大」「家庭生活支援」あるいは「障害児の地域療育機能の確立」というような、そんな願いを多くの障害者が持っており、これら総合的な視点に立った制度設計が必要であることも明らかになりました。今回の法案で提案されているサービスのあり方を検討するに当たっては、ぜひこの実態を反映していただきたいということをお願いしたいと思います。

 また、このサービスのあり方については、今回の法律で三つの給付体系の再編ということが提案されています。

 限られたサービス、事業を義務的経費として介護給付、訓練等給付などで実施し、その他のサービス事業は地域生活支援事業として市町村が任意で実施するとしており、特に、移動支援、日常生活用具給付事業、あるいは地域活動支援センターなど、重要な施策の多くが市町村におろされ、しかもその財源は裁量的経費、補助金というものになっています。こうしたサービスの再編と財源の違いが本当に障害者の自立支援になるのかということを、私たちは不安と疑問を持っています。市町村におろされたサービスがきちんと実施されるのか。私どもは、新たな自治体格差の問題や、利用したくても利用できない問題になるのではと心配しています。この不安や疑問、心配をぜひ解消していただきたいということです。

 第二点は、最も私たちが懸念している負担増の問題です。

 特に、負担能力のない障害者に対してどうするのかという問題です。

 このことについても、再び、先ほど紹介しました社会的支援調査の、ページでいいますと五ページから七ページを参照していただければありがたいですが、そこでは、家族と本人の収入状況を聞いたところ、生計中心者は七四・六%が父親で、年収四百万円未満が五五・五%と半数以上を占めており、今回の同一生計の家族負担が、単に障害者の自立を阻害するというだけでなくて、払いたくても払えないという状況が明らかになりました。また、本人所得については年金が基本になっており、その他の収入では七六・六%が月一万円程度という回答です。

 こうした状況から見ても、一割負担はもちろん、激変緩和の上限設定による負担も困難であると言わざるを得ません。

 さらに、お手元の資料の八ページ以降に、障害ゆえの特別な経費ということでの調査結果をまとめております。

 厚生労働省は、一級、二級の年金を支給されているわけですから負担はできると言われていますが、障害者の場合は、公的なサービス以外に、ガソリン代だとか、あるいは外出経費、あるいは制度でいえばホームヘルパーの交通費なんかの負担も自己負担というような状況になっておりまして、障害がなかったら支出しなくてもよい特別な経費が少なくないという実態も明らかになり、この上新たな負担を求められれば生活をさらに圧迫することが心配され、結果的にはサービス利用を断念するという問題も生まれることになりかねないのではないかというふうに考えます。

 負担問題では、さらに、厚生労働省にぜひ試算をしていただきたい、また私たちに説明していただきたいことがあります。

 それは、よくある事例としてですが、補装具で電動車いすを利用し、障害ゆえに更生医療を受け、日中は認可された作業所で働き、そして土日は地域のヘルパー事業所でヘルプを活用する、この障害者の月額の利用料負担は幾らになるのかということです。つまり、軽減措置としての上限設定は一般で四万二百円と言われていますが、この負担はどのサービスを利用しての上限なのかという問題です。

 今回の提案では、介護給付、訓練等給付とは別に、自立支援医療、補装具等が別途一割負担となり、その上に、施設利用者にとっては食費等が全額自己負担ということになっています。医療、補装具、食費等、それぞれに軽減措置があると言われていますが、実際にこれらのサービス全部を少なくない障害者が利用しているわけですけれども、どの程度の負担になるのか。提案されている四万二百円以上の負担になることは間違いなく、きちんと試算して説明をしていただきたいというふうに考えます。

 また、今ちょっと触れました公費負担医療、自立支援医療については、精神通院の問題が厳しく追及されてきていますが、育成医療、更生医療については十分な説明がされていません。この問題は、精神通院と同様に命にかかわる問題で、従来の制度の継続を私たちは求めています。

 また、補装具についても具体的な説明がなく、品目によっては高いものもあれば安いものもあり、どのように軽減するのか明らかにしていただきたいということも私たちは求めています。

 また、こうした育成医療、補装具での負担問題と連動した問題として、障害乳幼児の生活と療育が大きく変えられるということも関係者の大きな不安になっています。

 親の期待にこたえ、乳幼児期にふさわしい発達保障のシステムをつくり上げようと、これまで関係者の献身的な取り組みが進められてきましたが、今回の障害児施設への契約制度、一割負担の導入は、これまで積み上げてきたものを切り崩し、親の期待を裏切るものと言わざるを得ません。障害児施設、療育に一割負担の導入はぜひやめていただきたいことも強調しておきたいと思います。

 また、負担については、まだなおたくさんの問題がありますけれども、一部障害者の中には、多少の負担はやむを得ないという声もありますが、今回の負担が多少の範囲のものなのか、しかも、一割、二割、三割というような引き上げになる心配はないのか、あるいは上限設定はいつまでの措置なのか、これらのことを考えると、今、一割負担の基本的な問題を改めていただくことが大変重要だというふうに考えています。

 また、負担問題はあるが、一方で三障害の一元化など前進面もあり、法案に賛成しましょうという意見もあることは承知しています。確かに、三障害の一元化は長年の私どもの願いでもありました。しかし、こうした改善の方向、制度改善も、一割負担があることで制度利用できないということになりかねません。こうした制度改善を現実のものにするためにも、ぜひ一割負担の問題を慎重に検討していただきたいということです。

 最後に、今回の法案が成立できなければ、今後しばらくは障害者施策の充実の可能性はないとか、あるいは十分な財源の確保は難しいといった厚生労働省サイドから言われている話もありますが、少し言い方が悪いかもしれませんけれども、財務省の出先機関のような姿勢ではなくて、かつてそうであったように、財務省から予算を獲得する姿勢に改めて立ち戻っていただきたいことを強く要求します。

 また、時限立法というようなことで支援費制度が二年で失敗しましたが、この自立支援法は何年もつのかということも私たち非常に心配しておりまして、三年の見直し、あるいは五年後の介護保険制度との統合でこの法律がなくなるかのような、そんな話も聞こえてきます。そういった不安定な安定しない制度改革ではなくて、ぜひ障害者、家族の願いに沿った制度改革、制度改善を進めていただきたいということを最後にお願いして、私の意見とかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

大村委員長代理 ありがとうございました。

 次に、佐藤参考人にお願いをいたします。

佐藤参考人 上尾の森診療所の院長の佐藤順恒と申します。

 埼玉県のさいたま市の次の町で、北側にある町でございまして、人口二十二、三万ですか、その町の十九床の入院ベッドを持っております精神科の診療所の院長をやっております。さらに隣の町に桶川分院というのをつくりまして、そこでは、今、宣伝はやめましたけれども、子供の精神科の治療の方も専門の医師に来ていただいてやっております。

 一方、精神科の医者としてのそういうふだんの仕事と別に、精神障害者の社会福祉施設を運営しておりますあげお福祉会という社会福祉法人の理事長も務めております。ですから、ふだん医療で稼ぎながら、福祉の方で、これは全くボランティアでやっておりますけれども、市と一緒に地域福祉に努力している者でございます。

 きょうは、一精神科医として、これまでいろいろこの自立支援法について議論されているのを見てまいったのですけれども、全く一個人として、現場の感想といいますか実情を御報告申し上げまして、この法案の中の、とりわけ、いわゆる三十二条問題について意見を述べさせていただきたいと思います。

 お手元の資料で、私の方は十枚前後の資料をお配りしましたけれども、一番目は、これは、埼玉県内の私の仲間たちの、主に精神科をメーンにやっております診療所で三十二条に関するデータを集めたものです。二枚目が、私の診療所で三十二条を利用している患者さんたちの疾患がどんな内容かということをちょっと調べました。三番目に、「三十二条廃止の問題点」、これは、私は書いた方を存じ上げないんですけれども、非常に内容的に、精神科の医療の歴史も含めて三十二条の問題を書いておられると思いましたので、私も詳しくは読んでいないんですけれども、ぜひ後で皆様に読んでいただければと思いまして、お配りしました。

 私は、精神科医になりまして三十二年ぐらいたちます。その間に、冷暖房はないし、冷暖房どころか、雨が降ると患者さんの部屋が水浸しになっちゃって、患者さんは隅っこでひざを抱えているような、そういう非常に古い精神科の病院からスタートしまして、もっともっと近代的な全館冷暖房の開放型の精神科の病院、総合病院での心療内科の外来等々を経まして、最終的に私は、今の社会のニーズにこたえるべく、やはり診療所の外来治療がやりたい、それからその中でも入院治療もやりたいということで、十一年前に診療所を開設いたしました。

 その中で、精神医療の歴史を私自身がたどってきたというふうに感じているんですけれども、間違いなく、この三十年間、精神医療、福祉は改善してきていると私は思います。

 それは、一つには、薬物の開発によって非常に治療が進歩したこと、それから、精神病院も近年はアメニティーの改善を目指して少しずつでも改革の動きが見られること、それと、もちろん昨今はよくも悪くもマスコミにいろいろなメンタルの問題が取り上げられまして、皆さんの興味、関心が非常に向けられていること、そういう意味では啓発が随分進んできたなということがあると思います。

 そしてもう一つ、私ども、精神科の外来だけをやっている診療所、うちはたまたま特殊、ベッドを持っておりますけれども、これは全国的にも非常に数少のうございますので、これはちょっと外していただきまして、外来だけの精神科診療所が、恐らくこの十数年の間に本当に放物線を描いて急増しております、今や精神科の病院の数をしのぐかという勢いでふえているわけです。

 そうしたことが相まって、それから精神保健福祉法の制定も含めた国の方の施策、患者さんたちを地域で暮らせるようにしていこうという施策も相まって改善がなされてきているというふうに実感しております。

 一番大きいことは、非常に人の目を忍ぶ、私は精神障害者です、精神科に通っておりますというふうには言いにくい、まだまだそういう差別や偏見が残っている中で、精神科の敷居が低くなったということだと思います。診療所でしたら、簡単に言えば行きやすい、それから、ある程度精神科の医療を知っている方にとっては、精神科の診療所だったら、行っても、突然そこで医者の診察の後注射されて無理やり病院の中に連れ込まれちゃうようなことはないという安心感、これは皆さんにはわかりにくいかもしれませんけれども、そういった安心感もあって、精神科の診療所だったらかかってもいいという方が非常にふえてきた。そういうことによって精神科の敷居が随分低くなり、早い段階で治療を受けられるような、そういう状況が生み出されてきているというふうに思います。

 そういった中で、やはりそれでも人目を忍ぶ病気でございますから、かかるのには抵抗ありますし、それともう一つ、これも再々言われていることですけれども、精神科の病気あるいは精神障害は長くおつき合いしなくちゃいけない病気でございますので、経済的な負担が大きい、そういうことで、やはり三十二条の存在がこれらのベースになってきたというふうに私は理解しております。

 そういう状況の一方で、厳然として、よくなってはきたけれども、しかしながら精神障害者に対する医療あるいは福祉をめぐっては非常にまだまだ厳しい状況があると思います。私は、学校で教えたりするときに、この中でこの半年間に内科にかかった方、手を挙げてください、五十人のうち何人か手を挙げます、では精神科にかかったことのある方、まず手を挙げたためしがありませんね。

 先生方の中で、精神障害者ということをあらかじめ告知を受けて事務所なりで雇っていただいている先生がいらしたら、非常にすばらしいことだと思うんですけれども、私自身も、身体障害の方は働いていただいております。プラス、働いている職員がうつ病になっちゃう、これは、うちも二十人ぐらいの会社なんですが、休職した者も含めて三、四人おりますが、この中途発症というのは、うちが働かせ過ぎだというようなことも含めて、これはいたし方ないかなと思うんですが、では、面接のときに私が、私は何とか病院の精神科にかかっているんですけれども雇ってくれませんかと言われたときに、さあどうかとなりますと、はっきり言って自信ありません。

 そんなこともひっくるめて、まだまだ厳然とした差別、偏見は残っている、これは絶対忘れてはいけない前提だと思います。随分よくはなったけれどもそういう障害が残っている。そういった状況の中で、改善してきた中で私たち診療所が担ってきた役割というのは、口幅ったいかもしれませんけれども、とても大きなものがあるというふうに自認しております。

 具体的に僕らが、では、精神科の診療所というのは何をやっているのかということをちょっとだけお話しさせてください。

 まず一つは、精神科の病院と来られる患者さんの層が全く違います。

 精神科の病院は、皆さん、ある程度もう御承知になったと思うんですけれども、基本的には統合失調症の患者さん、多くは、自分自身が進んで治療を受けようという認識も持てないような方たちを対象に、入院を中心にした医療をずっと担ってきた。ですから、統合失調症、あるいはごく少ない例として、いわゆる双極性感情障害、躁うつ病の躁状態ですと精神科の病院にかかるということになりますけれども、おおむねやはり御家族に連れられてという形が今でも多いのではないかと思います。私が精神科病院に勤めていて、閉鎖型の時代は、六年ぐらいたって初めて、高校生が学校に行けなくなっちゃいましたというふうに自分で来て、私は非常にびっくりした記憶がありますが、開放型の病院では、もうちょっと御自分でも訪れる方がぼちぼちふえてきた。

 精神科の診療所になりますと、今では中学生、高校生が、実は親に内緒でお金もないんですけれども、先生、相談に乗ってくれないかというふうに、友達や、場合によると彼氏、彼女と一緒に来たりする、隔世の感があります。そういう方たちが来る、これは精神科の病院では絶対考えられないことですね。

 要は、相談の内容が違います。統合失調症といえば、精神科の中では一番大事な、数も多い病気でございますけれども、それ以外の、医学的あるいは生活面ではもう少し程度の軽いと言われている神経症、あとは、あえて誤解を恐れずに言うならば、人格障害といえば、今話題になっております。それから、食べては吐いてしまう、あるいは、食べずにどんどんやせていって死んでしまうような摂食障害、そういった、細かい話は申し上げませんけれども、医学的には神経症圏と言われる形の受診というのは、これはもう精神科の診療所、まず精神科の病院には行かれません。

 何よりもやはりうつ病、躁うつ病じゃなくてうつ病、サラリーマンとか中高年のうつ病の方たちがどんどん私たちの方に来られます。それと、いわゆる不登校、引きこもり、家庭内暴力、こういった相談も、大体は精神科の病院には行かれずに、やはり診療所あたりに来られることが多いと思います。そういうことで、これは精神病院がいい悪いという問題でなくて、敷居の低いところに多様なニーズが押し寄せてきている。

 僕らは、極端なことを申し上げますと、私の仲よくしているある精神科の病院のドクターなんかは、いわゆる人格障害という診断のついた患者さんが入院させてくださいとかいって来ますと、君は佐藤先生のところに行きなさいというふうにぱっとパスされてしまうなんという実情があるんですが、それは、誤解を恐れずに言うならば、統合失調症や躁うつ病の患者さんたちは薬物療法がメーンなんですけれども、いわゆる神経症圏の方たちは、それだけにとどまらず、家族との調整、それから、若者たちが主ですから、学校との関係、彼氏、彼女との恋愛関係、もろもろの人間関係、いろいろな環境要因まで含めた治療をやらないとうまくいかない。成長がうまくいっていない部分を医療がどれだけやれるかという部分がございまして、非常に手間暇がかかります。

 そんなことで、診療所とか、これは恐らく総合病院の外来なんかもそうだと思いますが、そういう非常に手間暇のかかる患者さんたちがたくさん来られるというのが、間違いのない実情だと思います。

 それとプラス、この間、やはり子供の問題が非常に大きいと思います。精神科で今非常に立ちおくれておりますのは、子供の医療ができない、診られるお医者さんも少ないし。それから、救急が今、埼玉でもシステムが発動し始めたばかりですけれども、それへの対応がおくれている。

 その子供についても、先ほど私、自己紹介で看板をおろしましたと申し上げましたけれども、子供の精神科的な治療を発達の問題も含めてやるのは、それこそ手間暇がかかって、全く経営的には赤字ですね。絶対に成り立たないと思います。ですから、最初看板を出しましたときは、予約があっという間に何カ月先になってしまう。これは全国的にそうでして、そういうことで、看板を出しているドクターは非常に少ないんですけれども、どうしてもということで頼まれて子供さんの精神的な問題に対応しているのは、精神科の診療所が非常に多いと私は思います。

 現実的には、看板を出してやっているのは公立病院なんですけれども、そういうところはそれこそ埼玉でも半年、一年先という予約状況ですから、ひそかに、とにかく急ぐ、何とか診てくださいというようなケースに関して何とか対応しようというのが診療所のドクターたちではないか、私は埼玉の中ではそういうふうに感じておりますし、全国的にもそういう状況があると思っております。

 そんなこんなで、まとめますと、精神科の診療所というのは町の開業医ですから、その中での精神的な問題に対する地域の多様なニーズに対応せざるを得ないということだと思います。まして、プラス、まだまだそういうメンタルな問題について、自分自身が相談することについての差別、偏見というのは非常に大きいわけですから、それに抗して気長に治療を続けるためには、やはり経済的な負担はとても大きくなるので三十二条は必須ということです。

 現実問題、先ほど人格障害という言葉を出しましたけれども、いわゆる自分が困難にぶつかったときに手首を切ってしまう少女が多いです。それから、ODと申しまして、薬を大量に服薬して自殺を図る、そういった若者たちが非常にふえているんですけれども、彼らは、家庭的な問題も含めて成長過程に何らかのゆがみを持って、非常に生きづらい若者たちです。それには、もっと大きなことを言えば、若者たちが希望を持って暮らせるような社会をつくっていこうよという話になってしまうのかもしれませんけれども、僕らはそれに対応しなくちゃいけない。

 実際、自殺率が非常に高いです。彼らは自殺未遂を起こしますから、頻回に救急病院に行くことになります。それから、家族との調整も含めて、週に何回も来させないと問題を起こしてしまう、そういうこともあって受診回数も多い、それから薬も必要、だけれども、薬は必要なんだけれども、その薬をたくさん飲んで救急病院にかかる羽目になる、それから時には入院治療も必要になる、そういったことで家族の負担は非常に大きいですね。そういう方たちの治療というのは、最近は精神科の病院でも随分関与してくれるようになったんですけれども、まだまだ一部で、おおむねは精神科診療所の外来で非常に苦闘している部分です。

 ということで、そこで、お配りした資料のアンケートを見ていただきたいんです。

 1は、三、四十施設、埼玉県内の私の仲間たちで集めたデータで内部的な資料ですけれども、どんな方たちが三十二条を利用しているかということの説明です。埼玉だけなんですけれども、社会保険を見てください。社会保険の方、これは家族、本人を含めて四〇%の方が三十二条の利用をされております。要は、社会保険ということですから、少なくとも大体はお父様が会社に勤めておられる家庭というふうに考えてよいと思うんですね。ましてや、その四〇%のうちの三分の一ぐらいは御本人自身が会社に勤めておられる。

 この数字は非常に大事なことだと思っているんです。要は、厚生労働省の方で、三十二条の対象が所得によって変わるとはいってもその影響は非常に少ないよという数字を出しておられて、今現在三十二条を利用している人たちの世帯のうちで課税世帯は一、二割だという推計でしたよね。あれは僕、えっ、こんなのはうそだと即思いました。これは、社会保険の数字を見ただけでもそんなことはないはずでして、どこからそういう数字が出てきたのかちょっと知りたいんですけれども、それは実態にそぐわない数字だと思います。

 ということでいえば、一つは、所得の問題からも、三十二条が変わってしまいますと非常に影響が大きいだろうということと、2の方は、私の診療所で三十二条を利用している方の疾患がどんな割合かということです。これも全国的にそんな大きなずれはないと思います。

 やはり圧倒的に、F2というのが統合失調症という精神科メーンの病気でございますけれども、この方たちがはっきり言って多いですね。これはもう免れません。どこでも同じです。F31、33、他のF3、これがいわゆるうつ病を広くとった部分でして、これだけで相当、統合失調症と同じぐらいの数値。あとは、F4というのが私が先ほどから申し上げているような神経症、F5というのが主には摂食障害、それからF6というのが人格障害。そこら辺の方たちが非常に多いわけでして、これは恐らく、精神科の病院の外来の患者さんなんかと比べますと、かなり大きな違いが出てくると思います。

 ということで、診療所の外来で診ている患者さんたちといいますのは、ある程度の所得はあるけれども、比較的若くて、統合失調症はもちろんいるけれども、症状的にはもうちょっと軽くて、青年期あるいは二十代ぐらい、そういう患者さんたちが非常に多いという実態を知っていただきたいというふうに思います。そういう方たちは、ほとんど働くということについては難しいので、治療を継続するためには何が何でもやはり三十二条というベースがないと非常に大変になると思っております。

 今回の自立支援医療について私なりにちょっと考えてみたんですけれども、基本的には、医療と福祉というのをごちゃごちゃに理念なく一緒くたにしたところに今回の法案の無理があるんだろうと思います。やはり医療というのは、その都度その都度、先生方おっしゃっておられるように、精神の病気というのは、ストレスに対する脆弱性もありまして、一たんよくなってもまた悪化するということは避けがたいことでありまして、長く治療を必要とする、それぞれにそのときそのときに応じていくのが医療でありまして、障害は、これまではある程度固定した生活上の障害に対する対策ということになるんだと思うんですけれども、それを一緒にすることにまずどだい無理があるんだろう。

 ただ、私、もっとさらに、最近初めて障害ということについてちょっと勉強してみたんですけれども、ICFという国際生活機能分類というのを見ますと、これはもっとすごくて、環境というものまで障害に含み込んで考えましょう、そのときに心身は一緒に考えましょう、そういう意味では三障害統合なんですけれども、環境も含めて考えましょうというような考え方だというふうに理解しているんですが、最終的には、私は、精神障害、あるいは知的障害の方も、もちろん身体障害の方もそうだと思います、差別、偏見の状況というのは特に精神障害では際立っておりますので、そうした環境の問題を抜きにしては障害の問題は考えられない。

 それからもう一つ、障害固定ということについても、やはりもう一回きちんと考えなくちゃいけないんじゃないかという気もします。慢性関節リューマチというのは統合失調症と似ているというような話をある先輩がおっしゃっていたんですけれども、身体に関してもよくなったり悪くなったりありますし、それから、風邪をこじらせたときに会社に行けなくなって休んだのを障害と考えるのかどうかとか、そのときに、風邪を引いたぐらいでは休ませてくれない会社だったので、肺炎を起こして入院しちゃったらどう考えるのかとか、いろいろなことを踏み込んで医療と福祉、障害という問題は考えて、その上で施策をしていくのが本来の姿ではないかというふうに考えております。

 最終的には、私は、この法案、三十二条が何かなくなっちゃうんじゃないかという話を耳にしたのが去年の九月です。こういう大事な問題が、もう半年以上たったんですけれども、急速に、議論もなく、耳にも入らず、厚生労働省のホームページを見れば出ているよというふうに言われるのかもしれませんが、新聞にも載らない、テレビにも何にも出てこない、そんな状況でどんどん事態が進んできた、そういう拙速に私は非常に危惧を抱きました。そういう意味で、今回の法律そのものは、できれば、私、政治の世界はよくわかりませんけれども、もっともっとゆっくり考えて、考え直すべきではないかというのが私の最終的な気持ちです。

 ただ、どうしてもしようがないということであれば、精神科の医者としては、少なくとも三十二条については、その内容について、重度かつ継続というのは、先ほど申し上げましたように、神経症の方たちだって重度かつ継続です。もう何年かの間、私たち、それこそ大変な思いをします。毎日のように、手首を切りたい、何とかしてください、先生と。時には、救急病院のドクターから連絡があって、薬をたくさん飲んでしまった、それを何とかしてくれと。そういった方たちを、何とか何とか、僕は治すことなんかできない、とにかく大人になるまで死なないで何とか生き延びてくれることを少しでもお手伝いできるだけなんだというふうに僕なんかは言うんですけれども。その間の僕らの労力、医療、その患者さん一人に対する労力は物すごいものがあります。

 そういう意味で、重度かつ継続についても三つの病名なんかでくくってしまうのではなくて、やはり現実問題、その患者さんの今置かれている状況に応じて、僕らでいえば状態像ということでございますけれども、これは以前、厚生労働省の方も、状態像で判断しましょうということが出ているわけで、それに基づいてやるようにしていただきたいというのが切なる願いでございます。

 自立とは何かとか、そもそも医療に自立支援なんというのをくっつけて何なんだと僕は思うんです。働けない人がいるわけで、働けない人を守るのが、応能じゃないですけれども、できる人はできない人を少しでも支え合って生きられるような社会をつくっていきたいなと僕なんかは思っているんです。そういう意味で、自立支援とは何なんだろうなんということも含めて、本当はもっともっと皆さんと話し合い、考えていかなくちゃいけないというふうに考えております。

 どうもありがとうございました。(拍手)

大村委員長代理 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

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大村委員長代理 これより参考人に対する質疑に入りますが、その前に、参考人の方々に一言申し上げます。

 私ども衆議院は、六月から、室温二十八度に抑えるということで、ノーネクタイ、ノージャケット、軽装で審議に臨むこととさせていただいております。この部屋も、ひょっとしたらちょっと暑いかもしれませんので、私どもだけ軽装では恐縮でございますので、どうか、差し支えなければ上着を脱いでいただいて、ネクタイを外していただいて、また軽装で御答弁に臨んでいただければというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川信英君。

御法川委員 自由民主党の御法川でございます。

 きょうは、六人の参考人の方々、本当にありがとうございました。本来であれば、五月中にこの六人の皆様に集まっていただいて参考人質疑をやるということで委員会の方では決めておったわけですが、さまざまな事情があってきょうになってしまったわけですが、時間の変更にもかかわらず、皆様いらしていただいて、大変貴重な意見をそれぞれの立場からいただきました。本当にありがとうございました。

 今、各参考人の皆様が述べられた意見について若干の質問をさせていただきたいと思いますが、何しろ、六人の皆様で十五分ずつの意見の開陳をなされた、片方、我々は二十分ずつの時間でございまして、皆様に質問ができるかどうかちょっとわかりませんけれども、できるだけ御協力をお願いしたいと思います。

 最初に、松浦坂出市長様と山本全国町村会会長様から、行政の立場からということで御意見をいただきました。その中で、まず坂出市長の松浦様にお伺いします。

 この法が施行されれば、市町村、一番下の行政は事務量的な部分での負担が非常に大きくなる、それに伴ってやはり財政的な負担がふえるだろうということで、概観的なというか、そういうお話としてわかりますけれども、具体的に、もし概算があれば教えていただきたいんです。例えば、事務量としてはこのぐらいふえるから人がこのぐらい必要になっていくんだろう、あるいは、認定に対して我々の町では、例えばこれぐらいの障害者の方々がいらっしゃるからこれぐらいのものが必要なんだろうということをもし既に御計算をされていれば、大体で結構ですので教えていただきたいと思いますし、もしなければないでも結構なんですが、もしその辺のことで御意見がありましたら、よろしくお願いしたいと思います。

松浦参考人 先生が御質問をされるときにネクタイを着用していらっしゃいますので、私も背広とネクタイ着用でお答えを申し上げます。

 率直に申し上げて、数字をつかんでおるわけではございません。ただ、今の支援費の制度ができましてから、地元の負担も倍々でふえてきております。そういう金銭的な負担は、これは直接出ていく水がふえておるわけでありまして、これからこの法案が実施されますと、多分、介護認定制度とかに似た、いわゆる障害の認定もなされるわけでありまして、そういう面での事務量というのは確実にふえると思っております。

 ちなみに、私ども、昨年の決算は、財政調整基金も取り崩しておりますので、そういう中でふえてきますから、相当至難のわざと申したい、あるいは不可能かもしれない、こういうことでございます。

    〔大村委員長代理退席、宮澤委員長代理着席〕

御法川委員 ありがとうございました。なかなか、なってみなくてはわからないという部分もあると思うので、大変ありがとうございました。

 また、山本全国町村会長様に一つお伺いしたいと思います。

 先ほどのお話の中で、障害者自立支援法案の内容についてできるだけ地方の自由裁量に任せてほしい、規制なんかはできるだけ減らすような方向で、市町村のあり方に対して自由な裁量に任せてほしいという御意見があったように理解をしております。

 一方で、自由裁量に任せたときの格差という問題があると思うんですけれども、この辺のバランスといいますか、その辺についての御所見があればお聞かせをいただきたいな、そういうふうに思っております。

山本参考人 自由裁量というのは地方分権上どうしても必要なことなんですね。今まだ障害者福祉については、正直なことを言って、では、何名いるんですかとぽんと尋ねても、何名いるんだと即答のできないような、そういう把握状態なんです。それは、国が責任を持つのか、県が持つのか、市町村なのかという、そこらあたりがはっきりしていないというところもありまして、ですから、私は、国が今度の改正で一定の基準を決めていただいて、その基準の範囲内で自由に市町村がやれるようにすることの方がいいのではないかと。そういう意味で、市町村の方もできるだけの力を発揮して障害者の対策に当たりたい。だから、そこらあたりでどうしても自由裁量というのが出てくるわけですね。

 自由裁量でやると格差が出るんじゃないかということをよく言われます。しかし、それは一定の基準を超えなければ格差は生まれないと思いますので、あるいはまた、下になるとまた格差が生まれますから、ちょうど中間あたりでうまく考えながら裁量権を発揮していくというやり方をすれば格差は出てこない、私はこういうふうに思っておりますので、地方の方も力を大分つけてきておりますけれども、まだまだ力不足のところがありますけれども、努力によって解消したい、こう思っています。

御法川委員 ありがとうございます。

 先ほど山本さんの御意見の中では、その後でスケールメリットを生かして広域的な運用の仕方もあるのではないかというようなお話もございまして、これなんかは自由裁量という問題と密接なかかわりがあるのではないかなと思っております。

 実は山本さんに一件だけ、障害者自立支援法とは全く関係ない部分というか、介護の方はゼロ歳からやりなさい、被保険者については段階的に下げていった方がいいということを最後にちょっと御意見を述べられましたが、この段階的にということは、最終的にはやはり二十まで下げよう、そういうことなんでしょうか。

山本参考人 お答えします。

 介護のことを申し上げたのは、私は、そういう支援制度というのはもう一本化した方が、一元化した方がいいと思いますね。ばらばらでやっておりますと、どうしても先生のおっしゃる格差というものが生まれてきます。今度は制度間の格差が出てきます。

 介護の場合は、一挙に二十まで年齢引き下げをやりますと、どうしてもやはり抵抗が生まれてくる、こういうように思います。ですから、今は四十歳までですから、三十歳に下げる、あるいはその次からは五歳ずつ下げて、何年かかけて、例えば三年なら三年計画で二十五歳まで持っていき、そして状況を見た上で、これならもう国民的な支援が得られるということになったときに、二十まで下げてもいいんじゃないでしょうか。

 だから、一挙に二十まで行くと抵抗が非常に強い、私はそういうように思いますので、そう申し上げました。

御法川委員 大変ありがとうございました。

 次に、江草先生の方に一つお伺いをしたいと思っております。

 今、この障害者の法律等々について大きな転換期だというお話をしていただきました。その中で私はちょっと江草先生にお伺いしたいんですけれども、自立ということを考えたときの、障害者の方々、働きたい人たちに対していかに働いていただくかということで腐心をしていらっしゃるという話を聞きまして、江草先生の協会の方でもさまざまな形でこれについての取り組みをしていらっしゃると。単なる授産という言葉ではとどまらない、いろいろな施策をされていると思いますけれども。

 例えば、先ほどは、法定雇用率をもう少し引き上げた方がいいのではないかなというお話がありました。今、大体五十六人に一人というぐらいの法定雇用率になっているとは思いますけれども、これを具体的にどれぐらい引き上げるかというのは、そのときそのときの状況、あるいは障害者の方たちの状況なんかにもよると思いますが、働ける人が働けるような環境をどうやってつくっていくかということに対して、もう少し御所見がございましたら、お聞かせを願えますでしょうか。

江草参考人 お答えいたします。

 私が申し上げましたのは、働きたい人が働けるということについて申しますと、ある方が、知的障害の方の福祉施設で、百人の定員で一年間に一人しか外へ出られない、出ていないじゃないかというふうな御指摘がありました。現実にそのとおりですね、数字でいいますとそういうことになっておりますが、それは、福祉施設が抱え込んでいるのではないのであって、出そうにも出ていく先がないということなのであります。出ていく先とは、先ほど申し上げました、今先生御指摘がございましたような、働く場所があればいいわけであります。

 働く場所ということについて申しますと、働きたい人がいるときに、もっともっと働いてもらいたいんですよというふうな姿勢を企業が持っていただかなきゃいけない。そのためには、特定子会社というふうなものが法律にもあるそうでありますけれども、ともかく子会社であろうとも連結で雇用率を高めることができるんだという仕組みになってきたことは、これは一つは働ける場所になるだろうと思うんですね。

 私どもの方で申し上げますと、私は身体障害、知的障害あるいは高齢者、さまざまなサービスを提供しておる法人なんですが、知的障害の方あるいは身体障害の方が、高齢者の施設の方で部分的に仕事をしておる。例えば、おしめを集めて運搬する、あるいはでき上がった下着を運搬してこれを整える、あるいは清掃、こういうふうなこともやるわけですね。

 そうしますと、結構、一人一人は比較的高い能力の人、比較的低い能力の人との差はありますけれども、トータルで見るとかなりの仕事量をこなしておる。そこでは、仕事に応じて給料を払うんじゃなくて、まず一生懸命やっているということでみんな一律に給料をもらう、その上に若干の能力給がついておる。こういうふうな形でやりますと、七万、八万というふうな月額のそれがあるわけです。それに年金を加えると十三万、十四万ということになりまして、結構喜んで社会生活ができる。

 そして、その人々はどういう生活をしておるかというと、施設の比較的近いところに住居を設けまして、これをグループホームといっております、そこで生活しながらそこから通ってくる、こういうやり方ですね、こんなことがあります。

 そうしますと、私どもの法人で申しますと、約二十の五人あるいは四人の生活単位のグループホームがあるわけなんです。四人あるいは五人が二十あるということは、百名定員があるということになりますね。それがありますと、相当程度の方が、百名の定員で一人しか毎年社会参加ができないということじゃなくて、二人も三人も四人も出ていくことができる。さらに、これはほかにも職場があるわけですから、今私は私どものことだけ言ったわけですから、さまざまなところへ出向いていきますとこれはできる、こういうことであります。

御法川委員 大変ありがとうございました。

 次に、中西参考人にお伺いをしたいと思います。

 移動介護の部分についてちょっとお伺いをしたいんですけれども、この部分が個別給付としては廃止されるということで、今度は地域生活支援事業というもののガイドヘルパーの制度に変わるということになっております。この点について、中西さんの方の御個人あるいは協議会の方で大変な御心配があるということでございましたが、この点の内容について、もう少し敷衍をしていただければと思います。

中西参考人 この場で返事させていただきます、時間がかかりますので。

 この支援費制度になる前に、今の視覚障害者ガイドヘルプサービスはどうなっていたか。自立支援法で今度、地域生活支援事業になるわけですが、この形は、その以前のヘルパー制度とそっくりの制度が再現されることになると思うんですね。

 その状態は、十六ページの資料を見ていただくと、ここに、知的障害者それから視覚、全身性のガイドヘルプサービスの実態があります。ここでは、時間制限があるのに加えて、目的制限、内容制限まで加わっております。文化教養目的外出限定とか、それから時間も九時から十七時とかいうふうな時間制限が入るというような、制限を設けることによって利用抑制するような形があったわけです。

 こういう状況のサービスに戻ってしまうということを、我々非常に心配しております。地方財政というのは行き詰まっておりますので、我々は個別給付に残していただきたい、我々一人一人の介助をきちんと確保していただきたいというのが希望です。

 それから、移動介助というのは自立生活の基本でありまして、知的障害者の方なんかは、まず外へ出ていく、そこでいろいろな体験を積んでいくことによって、ああ、自分は親や兄弟だけじゃなくて一般の介助者と一緒に外へ出られる、そこでいろいろな体験を踏むことによって、ああ、自分はやはり親元じゃなく一人で暮らした方が楽しいなというふうになって、自立へつながっていくんですね。その導入のところの移動介助が保障が十分でないということになりますと、施設から在宅へという流れがとどまってしまう心配があります。

 そのことを非常に心配しているのと、今の形での事業所が今度は変更されるかもしれない。以前は社会福祉協議会がほとんどのサービスの担い手でしたから、そこに行きますと今まで自分の選んでいた介助者が選べなくなってしまうという問題が起こりまして、知的障害者や重度の脳性麻痺の方などは言語障害があってうまく通じない、知的障害者でも自分の意思をきちんと聞いてくれる人が少ない中で、恐らく介助利用ができなくなってしまうだろう。

 そのことも心配しておりますので、ぜひとも個別給付でということをお願いしたいと思います。

御法川委員 ありがとうございました。

 時間が迫ってまいりましたが、白沢参考人に一言お伺いをしたいと思います。

 先ほど一割負担の問題で御意見をいただきましたけれども、基本的な考え方として、応益負担という考え方が問題だと思っていらっしゃるのか、それとも、応益負担ではあるけれども一割というのは多過ぎるというふうなお考えであるのか、その辺はいかがなものか、御所見を聞かせていただきたいと思います。

白沢参考人 私ども自体は、この議論の中で、応益の益は利益の益というようなことで、社会保障審議会の障害者部会の中でも議論になって、非常に多くの障害者が、益なのかということで、みずからのサービスを問い直して考え、そうなんだろうかという不安を持ち、実際にそのサービスを利用することを通して他の市民と肩を並べて社会参加をしていくという点で考えれば、それは益ではなくて、自立、あるいは同等の権利を保障する一歩ではないかというような、そんな議論があったかと思うんですけれども、まさに私たちもそういうふうに受けとめています。

 今回の、定率負担という表現もいろいろありますけれども、そもそも、やはり今の所得の少ない状況の中で、一割という金額がどのような生活への影響を及ぼすのかというふうに考えると、本当に底辺の障害者自身は負担し切れない、サービス利用を断念せざる得ないということが広がっていく心配を私たちは懸念していまして、応益という問題についてはぜひ見直していただきたい、そんな要望を持っております。

御法川委員 ありがとうございました。

 佐藤参考人、大変申しわけないのですが、時間の方がちょっとなくなってまいりまして、大変貴重な意見、ありがとうございました。

 この間の参考人質疑にもありましたけれども、枠組みとして、障害者に対する支援の法律の枠組みを一元化していくということに対しては大筋で御理解を得られているようですけれども、やはり細目の部分で、ここはどうなんだ、あそこはどうなんだというところで、いろいろな御批判、あるいは御疑念、御心配があるというのが現状の審議の状況ではないかなと思っております。今後も、皆様の御意見を参考にしながら、よりよい法律づくりに努めてまいりたいと思いますので、これからもよろしくお願いしたいと思います。

 本日はありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、福島豊君。

福島委員 公明党の福島豊です。

 本日は、参考人の皆様には、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 まず、松浦参考人にお尋ねをしたいのでありますが、支援費制度が破綻をした、このようによく言われるわけでありますけれども、あのときには、社会福祉基礎構造改革ということで、私は大変長いこと時間をかけて議論をしたような気がいたしております。破綻をしたという見方もできますが、一方で、従来、障害者の福祉サービスを使える人がやはり限定されていた、そういう意味では、日本の障害者福祉のすそ野というものがどれだけ狭かったのかということの裏返しではないかというような思いがいたしております。

 現に、支援費制度がスタートしてからも、市町村の格差というものは大変大きなものがあります。これは、措置制度のときにはもっと大きな差があったのだろうと私は思います。やるところとやらないところとある。それが、障害者の方々が権利として使える、こういうことになったので、その格差がようやく埋まりつつあるのだろうというような気がいたしております。

 地方分権ということも大事でありますけれども、こうした地域間の格差、これはどうしてこういうことになってしまったのか、このあたりについて参考人のお考えをお聞きしたいと思います。

松浦参考人 お答えを申し上げます。

 大変難しい御質問でございますが、先ほど御法川先生が御質問いただきましたときに、倍々ゲームでふえておるという言い方をいたしました。具体的には、これは市費が四百万、八百六十万、二千万という格好で十四、十五、十六とふえております。それでは、私どもは障害者に対して、今まで、十四年度以前は軽視をしていたのかということを言われますと、行政を担当しておりますと余りそういう実感はないのですね。かえって支援費制度ができたために非常に掘り起こしが進んだのじゃないか。例えば、介護保険で要介護一と要支援がどんどんふえました。そういうことと同じようなことが起こっているのじゃないか。

 私どもは、いわゆるノーマライゼーションの理念、考え方からいいますと、喜んで障害者施策をやろうという一般の意識。それから、私は、やはり障害者の皆さんにぜひ、ノーマライゼーションは当然だとはいいながらも、リッチな人もプアな人もたくさん国民の中にはいらっしゃって、そこから税金をちょうだいして、その税金を使っているわけです。ですから、ここまで世の中というものはよくなってきたかという感謝の気持ちを持って使っていただく、ありがたく使わせていただくということも多少は持っていただかないと、一般の納税者の理解というものはなかなか得られない。そういう意味で、ノーマライゼーションというのはまだまだ浸透度が足りませんので、その浸透度とあわせて、もろもろの福祉政策というものはやっていく必要があるのだろうと思っております。

 決して、支援費制度が、私が申し上げましたように、理想の制度でありますから、それを否定するものではないのですが、そこまで一般の社会通念というものは熟成をしておらない、こういうことでございます。

福島委員 今、参考人、ニーズの掘り起こしがあったのだろうという御指摘で、私も同感であります。

 本当に障害者の自立と社会参加ということを考えると、まだまだこうしたサービスの充実というものが当然図られていく必要がある。ただそれは、主に税金ということでありますから、皆で支え合うという観点からいえば、障害者の方も含めともにどう支えていくのか、こういう視点が大事だ。ノーマライゼーションというのはいろいろな意味があると思いますけれども、どのようにしてサービスを支えていくのか、こういう観点においてもお互いにという考えを持ってほしい、こういう御指摘ではなかったかと思います。

 これは、山本参考人、介護保険との統合の話がありました。介護保険の理念というのは、基本的に私はそのあたりにあるのではないかというふうに思っております。国の財政支援ということも極めて大切なのでありますけれども、私の個人的な思いは、例えばスウェーデンのように、コミューンで、みずから提供するところの障害者のサービスはその地域の人々が負担をしていく、そして負担と給付の関係というのがリンクされている、こういうことが非常に大切なんじゃないか。

 ですから、現に、どの程度のサービスを給付するのかということにおいては、いろいろな議論があって、いろいろな悩みがあって、ではここまでやろう、こういう議論がなされているのだと思います。そのことのためにも、私は、地方分権ということは進めなければいけないし、それはある意味で、どのようにして皆で支え合っていくのかというような精神に基づいたところの分権でなければいかぬ、こんなふうに思うわけでありますけれども、山本参考人にお考えをお聞きしたいと思います。

山本参考人 援助というのは、公助、共助、自助、この三つがあって成り立つものだと思っております。

 私ども直接の担当者は、障害者だから、介護だから、医療だから、あるいは福祉だからといって一つ一つを分類してやるというのは非常に難しいのです、正直な話。それよりも、一元化しますと、格差が減ってくる、そしてみんなが一様にやる、そして同時に体制も一つでやれる。こういうことでございます。

 障害者の福祉はこうであって、障害者の福祉にはこうやったけれども介護の方にはやらなかった、介護はこれだけやるけれども障害者の方にはこれはやらなかったというようなことがあっては、私ども行政の責任者としては、非常に不公平感を自分自身に生んでくることになるわけです。ですから、そういうものはできれば一元化して実施をした方がやりやすい、こういうふうに私は常日ごろから主張しているのですし、同時にまたそうあるべきだと思っております。

 ですから、そういうようなものは、全部、国ばかりが援助するのではなくて、みんなで支援をしていく、そういうようなあり方が一日も早く実現するように努力することが必要だ、私はそう思っておりますけれども、まだそこまでいかないので、その間、国の強力な支援が必要である、こういうことでさっき意見を申し上げさせていただきました。

福島委員 次に、江草参考人にお尋ねをしたいのでありますが、今回の障害者自立支援法案、いろいろな議論があります。画期的な法案である、私もそう思っております。ただ、不安もたくさんある、そしてまた見直すべき点も多々あるというふうに思っています。

 その中で、非常に大切なことは、介護保険制度がスタートしたときに、将来こう変わります、そしてそれを支えるために介護のサービス基盤を構築すると、ゴールドプランをつくったわけであります。そうすると、将来こうなっていくんだということがよく見えた。しかし、今回、現に改定された障害者プランがありますけれども、この新しい制度のもとで給付は必ず伸びていく、私はそう思います。それはどういうふうにつくり上げていくのかという、そしてまた、施設から地域、これは私は必ずしも一律の話じゃなくて両輪だと思っておりますけれども、そういうことについても将来ビジョンというものをしっかり示す。

 介護保険のゴールドプランに匹敵するような取り組みが同時にあって、私は、障害者の方々にもこの法案の持つ意味というのがよくわかっていただけるんじゃないか、それは給付の水準の問題も同じでありますけれども、そのように思いますけれども、参考人の御意見をお聞きしたいと思います。

江草参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃっていただきましたように、そしてまた私が申し上げましたように、福祉圏というのが描かれるということになっておりますけれども、福祉圏というのは、言葉の上ではおっしゃっておるけれども、中身は一体何なのか。それは恐らく、施設から地域生活へとか、あるいは一人一人の尊厳が守られるとかいろいろなことを言うわけでありますが、そういうものを約束するような流れ、システム、そういうふうなものは、例えば人口三十万だったらどれぐらいな規模で行われたらいいのかとか、今、五万、六万の合併した小さい市が多うございますけれども、それだったらどうなったらいいのか、こういうことは非常に大事なことではないかと思うんです。

 現に、私は岡山県でありますけれども、岡山で地域に三万、五万ぐらいの新しい市があるんです。その何人かの市長さんにお目にかかりますと、今先生おっしゃったようなことをおっしゃるんですね。江草さん、あなたはどう思う、こうおっしゃるんですが、それは私がこうあるべきだというのじゃないので、おたくの町にいらっしゃる何百、何千の障害者の方々が安心して暮らせるようにするにはどうしたらいいのかと。通所があったらいいだろうか、もちろんいいですね、しかし、ショートステイという必要が出たときにはどうなさるんですかということですね。それから、医療が必要である方もあるだろう、そのときにはどうするんですか、こういうことを考えてみた方がいいですよということを申し上げました。

 そんなことでございますから、恐らく私は、自然発生的に各福祉圏ができ上がって、それがあり方を模索するということも大事でしょうけれども、一方では、しかるべき立場で、国あるいは都道府県がかくあるべきではなかろうかというモデルを示す必要もあるのではないだろうか、こんなふうに思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 次に、中西参考人にお尋ねをしたいのでありますけれども、重度の方々が地域で生活をする、そのためにはどうしたらいいかということで、長年にわたって御努力を続けてこられたと承知いたしておりますし、先ほどのお話も大変興味深いものでありました。

 今回の法案の中では、重度包括、こういった新しい制度ができるわけであります。先ほどの具体的なお話の中にありましたが、例えばALSの患者さんなど、筋ジスの話もありましたけれども、最重度の障害者の方々が、この枠の中で本当に安心して在宅で暮らせるのか。施設から地域に出てよかったという先ほどの話は、胸を打つものがありました。特に、ALSの場合、こうした場合には人工呼吸器の装着等の必要がありますし、一人一人、ニーズも大きく異なっているということもあるだろうと思います。

 こうしたことに柔軟に対応できるような仕組みにする必要がある。これは、具体的には法案というよりも、その後の政省令の話になると思いますけれども、どういったあり方が望ましいのかということについて、参考人のお考えをお聞きしたいと思います。

中西参考人 ありがとうございます。

 ALSなど呼吸器をつけた重度の障害者ですけれども、この方々が地域で暮らしていくのは、突然にそういう形でALSになるんですね。予想もしないときに、四、五十代で発症する。ですから、精神的にも非常に不安感を持っておられます。その意味では、精神的なサポートも介助者に求められます。ベテランの介助者じゃないとなかなか対応できない事態になります。

 また、介助の方も、一人介助だけでは対応できなくなります。おふろなどは、手動型の呼吸器をその間使い、そして二人の介助者が体を洗い、もう一人がベッドサイドで人工呼吸器のセットをして待っているというふうな状況でなければ、入浴もできないわけです。ですから、一般に考える一人介助の状況を予想されていては、包括の方、ALSの方の場合は生活が不可能であるということが一つです。

 それから、新しい介助者が入る場合も、相当、数カ月ぐらい、呼吸器の管理、それからまぶたの開閉で会話される方は、あかさたなはまやらわとやって、か行をおろすというようなことでコミュニケーションしますので、非常になれていないと、その会話が読み取れないわけですね。ですから、そこに習熟するまでにまた時間がかかるということで、新しい介助者を入れる場合には、カナダのオンタリオ州でも二、三カ月、数カ月の、同時並行的に二人の介助者が入れるというふうな制度設計をしております。

 そういうような制度設計をしないといけないところなんですけれども、包括制度というのは、単価をその範囲内でまとめて、安上がりに介助者を集めて、本人がやってもらえばいいというふうな色彩が濃厚なように我々には思えるんですけれども、もしも単価切り下げの策として包括制度がされるのであれば、これだけ大変な介助、一瞬もまぶたの開閉を見逃さないように見ていなければいけないわけですから、重圧な介助になりますよね。責任も重い。それを担える人たちが安い単価ではできないということでは、最重度の人の身体介助の単価が下がらないような単価設定を考えていただかないと、このサービスを受ける事業所は一つもなくなってしまうということになりかねないと思います。

 今でもALSの方の介助を引き受ける事業所は、私の市でも一つ二つしかない。ほかの市では一切ないところもあるかもしれません。ですから、相当な賃金を保障してあげることも必要かと思います。そういう整備をされることは、この重度包括を制度化するときには考えていただきたいと思っております。

 ありがとうございます。

福島委員 適切な対応が必要であるというふうに思います。

 残り時間も少なくなりました。佐藤参考人にお尋ねをしたいのでありますが、精神医療の通院公費の問題ですが、厚労省で平成十四年度に検討会が行われている。この委員会での議論でも、その検討会で行われたことをしっかりやればいいじゃないかというような議論もあったんですが、先生は直接現場で携わっておられますので、私がよく理解できなかった点について、その考えをお聞きしたいんです。

 三点の基本的な考え方を示している。しかしながら、制度の普及の一方で、制度の趣旨を超えた利用の拡大がなされている可能性が指摘されている、このため、当面の措置として、各都道府県、政令指定都市における公費負担申請の認定審査の適正化及び公費負担医療費の請求、支払い決定の適正化に取り組む必要がある、こういうことが専門家で合意されたということなんだと思うんです。

 ですから、三十二条の精神にのっとって医療というものが確保される必要がある、これは私も同感です。一方で、それに対してさまざまな指摘があったんだと思います。これは実態としてどういうことだったのか、私も専門でありませんので、その点について率直な参考人の御意見をお聞きしたいと思います。

佐藤参考人 現場では、そういう話は私たちの間でもよく出ております、率直なところは。

 一つは、私どものところに、例えば私が主治医を務めている患者さんが、もう長年のつき合いになるわけですね、就労はできていない、家族に辛うじて支えられているというような方が、例えば風邪を引きました、風邪薬を出していただけませんかというときに、では、その風邪薬は三十二条で出していいのかということは前から現場的にはありまして、これは最近の議論では、地方によって、都道府県によっていろいろ格差があるんだろう。

 そのとき、基本的には、例えば、本当に重度の方でありますと、近所の内科にすらかかれない、そういう場合には出してあげるのが当然だというふうには考えるんですけれども、普通にかかれる方だったらどうか。これは、適正運用ということで、ふさわしくないだろう。そこら辺は通達も出ていると思いまして、私も、そういう意味では、そこら辺のところは適正であるべきだというふうに思います。

 あともう一つは、これは実態はわかりませんけれども、精神科専門でないドクターが例えば抗がん剤を投与したいというときに、非常にその患者さんが経済的な負担に耐えられない、そのときに、精神科の標榜をとっているドクターでありますと、三十二条を申請して、その抗がん剤を三十二条で出してしまうようなケースがあるというような話は聞いたことがございます。そこら辺については、先ほど私は状態像に応じてきちんと利用させていただきたいという話は申し上げましたけれども、それと対極での、そういう意味での不適正な利用があるとしたら、それは正すべきだというふうには、私は個人的には思っております。

福島委員 法律が変わっても三十二条の精神というものはきちっと残される必要があるというふうにも私は思っております。

 時間がちょうどなくなりましたので白沢参考人にお尋ねすることはできなくなりましたが、先ほど御指摘ありましたように、医療でこれだけの負担だ、そしてまた自立支援給付でこれだけの負担である、それぞれ負担があってどうするのかね、こういう話がありましたね。健保法の改正のときに附則を我々はつけました、与党として。それは、医療の負担と、それから介護の負担と、それぞれ別々というのはおかしいね、これは合算できるような仕組みを考えなきゃいけないというような附則をつけたのでありますけれども、同じような考え方というのは私はあり得るんだろうなというような思いがいたしております。

 感想だけ述べまして終わりたいと思います。参考人の先生方には本当にありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、石毛えい子君。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 参考人の皆様におかれましては、日程変更などさまざまなこの間の状況がございまして、大変時間をとっていただくのに御苦労もおありであったかと思います。その点は委員の一人といたしましておわびを申し上げたいと思いますし、また、本日は、それぞれのお立場から貴重な御意見を伺わせていただきまして、本当にありがとうございました。

 やはり時間が限られておりますので、すべての参考人の皆様に御質問させていただくこともできないかと思いますけれども、その点はどうぞ御容赦をいただきたいと思います。

 さて、質問に入らせていただきたいと思います。

 この障害者自立支援法案は施策の実施主体は市町村が原則になっております。しかしながら、例えば市町村、とりわけ、きょう山本町村会長さん御出席くださっておられますけれども、町村のお立場からすれば、例えば、単独で審査会をつくるときに連担もあるという規定ですとか、それから、障害者サービスの整備にかかわってくるかと思いますけれども、地域生活支援事業、これは市町村の事業だけれども、都道府県がこれを受けることもあるというような規定の仕方になっておりまして、察するところ、先ほどから保健福祉圏域という表現もされてございますけれども、審査会ですとかサービス提供のシステムが広域に行われるという可能性がかなりの程度見込まれるのかなというような思いで法文を読んでおります。

 そこで、障害をお持ちの個人の立場からいえば、在宅で、地域で、パーソナルサービスとして自分と自分の地域の暮らしに密接、密着であることが望ましいのでしょうし、広域になりますと、ややもすればそこと離れるおそれもなきにしもあらず。とりわけ入所施設に関しましてはそういう状況もあろうかと思いますけれども、入所施設のほかにも、通所で、これからですと就労支援ですとか就労継続ですとか、さまざまなサービスが連関的にといいましょうか、そういうふうに整備されていく必要もあるのだと思いますので、町村会長さんのお立場で、また、これまで介護保険で広域のシステムをおつくりになり、保ってこられましたお立場で、基礎的な市町村のスタンスと都道府県のスタンスとを両方にらみながら、広域として、きちっと個人の方の立場に引き寄せて考えた場合に、大切なポイントはどんなところになるかというようなところでお考えを伺わせていただければと存じます。

 ちょっと抽象的な質問でございますけれども、サービスが個人、パーソナルから離れてしまうか、とても緊密に個人を支えるサービスとして機能するようにするかというのはとても重要なポイントだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    〔宮澤委員長代理退席、北川委員長代理着席〕

山本参考人 お答え申し上げます。

 介護保険で私どもはもう経験を積んできておりますけれども、福岡県、もう南から北まで、東から西まで、全域で、七十二の市町村で広域連合をつくりました。ですから、今先生のおっしゃるように、地域から離れていくんじゃないかという心配はありませんでした。当然そのときには考えましたけれども、スケールメリットというのはそういう逆のものが生まれるんじゃないか、こういうことで考えて広域連合をつくったのです。

 今の障害者の支援についても、居宅と施設と二つあるわけですね。居宅の場合はその地域から離れることはありません。ところが、もう一つの施設の方は、これはどこも一緒だと思うのですけれども、一つの町や村に施設があるわけじゃありません。どこかに、例えば十カ市町村の中に一カ所あるとか、そういう程度の施設しかないということだけは確かなんです。最近は少し充実をしてまいりましたけれども、以前はわずかな施設しかなかったものですから、親元を遠く離れて施設に入っている人というのはたくさんおりました。

 しかし、広域でやるということになりますと、今はもう時代が、先生御存じのように、歩いて行ったり汽車で行ったりバスで行ったりすることがなくなってしまいました。もうほとんど、施設の自動車で送り迎えをしたり、あるいは市町村で専用のバスをつくったりいろいろ用意したりして対応しておりますから、そういうような親元を離れて地域カンを失ってしまうということにはならないと思います。

 それから、共通の事務を広域でやることになりますから、どこか一カ所に事務所があれば、すべての事務がそこの一カ所だけでやれるということになりますから、各市町村での事務というのは受け付け程度ぐらいで終わってしまうわけですね。だから、広域でやると、それだけのメリットがたくさん出てまいりますのと、それからサービスが早く適用できるというのが、私の今までの介護保険を広域連合でやった経験でございます。

 ですから、広域でやる方がメリットは多くなる、いわゆるスケールメリットがそこから生まれてくる、経費が少なくてよりよいサービスができるようになる、あるいはよりよい手当てが迅速に行われるようになる。これが、私が広域でやったらどうですかという意見を申し上げた根拠でございます。

 御心配なさるところもあるかもしれませんけれども、実際やっていきますと、必ずしもそういう問題は出てこないと私は思っております。また、問題の起こるような範囲でやるべきではないと思います。起こらない範囲内で、地域カンもちゃんと維持ができるような、そういう範囲内でやれば効果が高い、こういうふうに思っております。

石毛委員 ありがとうございます。

 同じような内容で、先ほど来、江草参考人も御発言いただいておりますけれども、先ほどの御答弁の中に、福祉圏とは何か、国、都道府県がモデルを示すべきというふうにおっしゃられました。そのモデルといたしましてポイントになる論点というのはどういうふうにお考えになられますかというところを、少しお聞かせいただければと思います。

江草参考人 お答えいたします。

 福祉圏の規模でございます。五万、六万という人口規模を考えるか、あるいは三十万を考えるかということでございますが、従来は、国は三十万程度のことを考えていたようです。ところが、実際問題として、市町村を中心としてということになるとすれば、私の周辺で見ますと、五万、六万ぐらいの市が多いんですね。三つ、四つの町村が合併したということでございます。多くても十万人ということでございますから、三十万程度のもの、十万程度のもの、五、六万程度のものということで規模はまず考えるべきだろうなと思います。

 それから、必要なサービスというものは、二つの立場から考えるべきではないかと思うんですね。その三十万の規模の中で、十万の規模の中で必要なサービスとは何かということでございます。といいますのは、三障害をすべてサービスしなきゃいけないわけでありますから、当然のことながら、小規模多機能型と申しましょうか、大きなものがぼんぼんぼんとできて、それを三十万、三十万、三十万の町に一つずつつくれといったって、これはできるわけない。では、そうではなくて、小規模のものであってさまざまな機能を持ったものがあるならば、十万に一つでもできるだろう、六万に一つでもできるだろうということから、これからは小規模多機能型のものの方がより生活共同体を中心とした市民生活になじむのではないか、私はそう考えております。

 生活共同体とあえて言いましたのは、先ほど、多分福島先生からのお話だったと思いますが、北ヨーロッパあたりでコミューンと申しておりますものは、いわゆる自治体とはちょっと違って、まさに生活共同体の大規模なものだと私は思っておるんです。それこそが地域生活というものだろうと思うんですね。福祉施設から外へ出たら地域生活じゃないのであって、地域の中の一員として暮らして初めて地域生活でありますから、それを実現するためには、ただいま申し上げましたような考え方が要るのではないかなと。この二点でございます。

石毛委員 ありがとうございます。

 今回の障害者自立支援法案が、それぞれの障害をお持ちのお立場から考えて、御本人の自己決定を尊重し、おっしゃいましたように、地域の方々と交流を結びつつ自尊を達成していくということを考えますと、随分、そこをネットワークしていく方々の考え方ですとかあるいはサポートの力量ですとか、とても重要な部分がこれから大きな課題になるんだろう、そのあたりはこの自立支援法では実はよく見えない部分でもあるなというのは、これは私の受けとめ方でございますけれども、大変参考になる御意見を伺わせていただいたと思います。

 次に、中西参考人にお伺いいたします。

 本当に、中西参考人あるいは皆様が自立生活センターをつくられまして、ここ二十年近くでしょうか、重度の方が自立生活をスタートさせて日本でも三十年ぐらいの歴史になると思いますけれども、どのような障害の状態であっても地域で自立して自己決定をベースにきちっと生活をしていくという、その社会をつくり出してこられた長い間の取り組み、私も随分いろいろなところで教えていただきましたし、その取り組みがなければ今日の地域福祉というのは非常に不十分なものだっただろうということの実感を持たせていただいております。

 今回の自立支援法案でございますけれども、とりわけ長時間の、例えばひとり暮らしをされる重介護の障害者の方が本当に地域で暮らし続けられるかどうかというのは、まだよく見えないというのが率直なところではないかと思います。

 これまでの支援費制度では、三段階の支給決定の中で、いわゆる区分間流用といいますけれども、少なく利用される方の分をたくさん利用される方に移して、トータルとして何とか地域の自立生活がどなたにも実現できるというような大きな枠組みで制度が動いておりましたけれども、今回は、どうも区分間流用ではなくて区分内流用までというようにも聞こえてきております。

 きょうは参考資料で大変詳しい実情と考え方をお示しいただいておりますけれども、このあたりにつきまして、より明確に、先ほどの御意見を補強していただければと存じます。お願いいたします。

中西参考人 ありがとうございます。

 この程度区分間流用については、御存じない方もいらっしゃると思うので、資料の十三ページで表にしておきました。二十五時間、五十時間、百二十五時間という三つの区分ですけれども、その間で、二十五時間いただいている方が五時間しか使わなければ、お使いにならなかった二十時間が長時間利用者のところへ回せたというふうな形で地域でやってきたわけです。

 この国庫補助基準額というのは、これは家族と同居している障害者の基準でございまして、ひとり暮らし障害者のことを想定しないでつくった基準なんですね。そこで、地域での自立生活というのはまさにひとり暮らしなわけですから、そこの中では、一人っきりだと物を落としても拾えない、雨が降っても窓が閉められないというふうな状況を迎えます。

 この人たち重度障害者というのは、わずかこの中で一%、利用者の一%以下です。その人たちが国庫補助基準額の三倍から六倍の時間数を必要としております。これは、大体、人口十万人の場合、支援費制度の利用者全体が三十人というところで、こういう小さな市町村でも、この三十人の余った時間を足していくと、国庫補助金で欠損しているひとり暮らしのところがカバーできた。

 ところが、今度、三区分を独立にしてしまうと、これが一区分が十人以下になります。利用者三十人が一括して見られたのが、今度は、三つの区分にすると、独立計算にすると、一区分当たり十人。十人の中ででは回しなさいということになると、これは一人が、今まで使っていなかった方が親が入院してしまうとかいう事態になりますと、二十四時間介助に近いような長時間利用者が急に一人ふえてくる。そうなった場合には、十人の中でしか流用ができなくなり、今までのような流用が不可能となり、二十万人以下の人口のところでは、一人重度の障害者が出てしまうと財政破綻してしまうという事態を迎えるわけです。

 この障害程度区分間流用というのは、大都市ではかなり利用は可能でしたけれども、実質的に、知的障害者とかあらゆる障害者の利用がふえてくれば、二、三年後には区分間流用というのも使えなくなると思いますから、恒久的な対応策ではないんですね。やはり、恒久的な対応策としては、先ほどお話ししたような十程度区分のような、障害程度ごと、五段階が親元暮らし、次の五段階がひとり暮らし、十五ページの表ですけれども、こういう形で一人一人の対応ができるようにすることが重要だと思います。

 この範囲ですごく時間がかかり過ぎじゃないか、最高八百時間もかかると。これはALSの人のような二人介助を想定した数値ですけれども、こういうふうにして、実際に七月、八月には各市町村の、一人一人、Aさんが何時間支援費の手帳をもらって、何時間使っているかという実態調査が行われて、データが出てまいりますよね。そうすると、最重度の方のところは全国でも使っている人は十人以下しかいないと我々は思っております。五、六人の人数のところがお金が足らないという問題ではないと思いますし。

 もっと正確なデータを厚労省が持てば、ここの枠に一人ずつはめ込んでいけば、実質的に財源の不足というのは、前の支援費のときも国庫補助の再分配がありましたので、そこで賄われて、東京都でも四区市ぐらいがオーバーしただけで足りたわけですよね。ですから、うまい配分の仕方を考えてくだされば、こういうふうな程度区分をうまく組むことによって、今の制度の財源を少し足してやれば、新規利用も大丈夫かな。だから、我々としては、きちんとしたデータに基づく制度立案をしていただいておけば、やっていけるんじゃないかなというふうに思います。

石毛委員 ケア度の高い方に対するサービスが多大になるのではないかというような不安感が、ゆえなくして思われているやに感じる部分もございますけれども、今中西参考人おっしゃられましたように、七月ぐらいにはデータがきちっとまとまるようでございますので、実情を前提にして、地域で在宅自立が可能なようなシステムの実現に、ぜひ私ども委員会も発言を続けていきたいと思います。

 残された時間が少なくなりました。もう一点、障害程度区分と、それから支給量の決定のところで市町村設置の審査会が機能する規定がございますけれども、私は、審査会に在宅、地域での自立生活を相当程度経験された方が有識者として入るべきだというふうに考えておりますけれども、この点に関しまして見解がございましたら、時間が終了しておりますので簡単にお願いいたします。

中西参考人 自立生活経験者が入ることは非常に重要だと思います。小さな市町村では、そういうふうな経験者が一人入ることによって状況が変わると思いますけれども、残念ながらまだ、そういう当事者が全国三千市町村で生まれているかというと、自立生活できていない人たちもいる市町村もあります。

 やはり当事者のニーズをきちんと聞くことが必要で、ALSの方が行政交渉をしながら、行政の方がお金がないから無理だと言われたときに、ぽつんと、私たちの命なんかどうでもいいのねとALSの方がおっしゃったんですけれども、そういう直接の声が審査員の方に届くような形でなければ、やはりニーズに基づいたサービスというのはできないと思います。そういう声を聞くこと。

 そして、今の審査会が、自立支援法という本人のニーズに基づいたサービスをつくろうとするのであれば、やはり審査会の中で障害程度区分は、二次判定をやるにしても、非定型の者についての審査を全部上げてくるということで、審査会の委員の皆さんは恐らく障害者のことを御存じない方が多いですし、本人の自宅を訪問されたこともない方が審査するわけですから、やはりそこに重きを置かないような制度設計をされる必要があると思います。

 ですから、一般的に、今まで使われている人たちは非定型で、もう審査しないでニーズに基づいてそのまま決定する、全く新しいケースが出てきたときにはそこで審査会で審査するというような形で、仕分けが必要かと思います。

石毛委員 ありがとうございました。

 時間が過ぎておりますので、質問をさせていただけませんでした参考人の皆様には失礼をおわびいたします。どうもありがとうございました。

北川委員長代理 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 きょう、皆さんからいただきました意見は、障害者自立支援法の質疑の中で生かしてまいりたいと思います。理事会の交通整理で、きょう参考人質疑を行ったわけですけれども、この自立支援法の質疑というのは少し先延ばしになるんですね。先行き不透明ですけれども、皆さん方の、応能負担は絶対認められないという意見や、市町村の仕事との関係でいろいろ危惧があるんだという重大な提起がありましたので、これは必ず生かした徹底審議をやりたいと思います。

 さて、私は、発言された順番と反対になりますけれども、まず佐藤参考人からお尋ねしてまいりたいと思うんです。

 精神障害者をめぐる問題で三十二条の問題があるわけですけれども、厚労省の側は、あたかも、今度の自立支援医療の中で三十二条の精神が生きているということを平然と言うんですね。しかし、これは全く生きておりませんで、一割負担になる点でも、それから精神障害者の状態を疾患で見ようとする問題でも、私はこれまでの流れと違うものだと思うんです。

 それで、きょうお示しいただいた資料の二枚目なんですけれども、佐藤参考人の診療所で「三十二条利用者の疾患割合」という資料を示していただきました。それで、今度厚労省が重度、継続という例の狭い枠を設けまして、これは統合失調症、狭義のうつ、それから難治性のてんかんということにするという方向が出ているわけですが、この三つで見ますと、きょうお示しいただいた資料、先ほど、それぞれどれに当たるかという説明がありましたけれども、疾患名からいきますと、一体どの程度の人たちが重度かつ継続ということになるんでしょうか。

佐藤参考人 まず、疾患の方から対比させますけれども、下の方に表がございますけれども、三十二条利用者がF0からG40まで、計四百二十三とございます。これは、ある一カ月に診療所にかかられた患者さんのうちの三十二条を利用されている患者さんの実数です。ですから、四百二十三人が三十二条を利用している患者さん。その中の、F0が二人、F2が百五十七人、それをグラフ化したのが上の図なんです。

 三疾患で申し上げますと、F2が統合失調症の方です。それが全体の中で三七・一%ですね。デイケア、これはそのうちでデイケアを利用された方ということなんですけれども、これは今の御質問とは関係ないので省いていただきまして、ですから、百五十七人の方が三十二条を利用されている。ですから、これの三七・一分の一〇〇を掛ければ、全体の統合失調症の皆さんが出るわけですけれども。

 それから狭義の躁うつ病はF31に入ります。三十七人の方ですね。F33、他F3といいますのは、これはほかの、感情障害といいますけれども、うつ病なり、うつ病圏の方たちで、33は反復性のうつ病という方たちで、いわゆるうつ病の状態を繰り返されている方です。そのほかに、細かいところでうつ病にもいろいろあります。きょうは医学の講座じゃございませんので、その他ということで含めますと、これだけのパーセンテージの方が三十二条を利用されている。

 それからあと、難治性のてんかんについては、難治性ということについては、私、細かいところまでは存じ上げないんですけれども、G40がてんかんの患者さんです。ですから、私のところは二人の方が利用されている。てんかんの患者さんは、精神科に限らず脳神経外科とか神経内科とか、ほかの科にも、あるいは小児科にずっとかかっておられる方もおられるかと思いまして、そういう方たちが三十二条を利用されているかどうか、そこら辺まではちょっと私は存じ上げないんですが。

山口(富)委員 そうしますと、佐藤参考人の診療所では、少なくとも、厚労省の定義からいきますと、現在の三十二条利用者の五割以下しか重度かつ継続に当たらないんだということだと思うんです。

 それからもう一点お尋ねしたいんですが、今度障害認定区分の問題で、大体、介護の認定を一つのモデルにして、そこにある程度身体障害などの要素をつけ加えたものが今モデル事業でやられておりますけれども、この認定の問題で、精神科医の立場からいって、ここは問題があるぞという点があったら何点か示していただきたいと思います。

佐藤参考人 障害認定区分につきましては、全国で今度試験的に統計をとるということですね。社会保障審議会は私もちょっと傍聴させていただいたんですけれども、そのときも厚生労働省の方がむしろ、精神障害に関してはこの調査票ではほとんど実態を反映しないということは明確におっしゃっていたと思います。

 基本的に、今の段階では、介護の意見書に応じたあれですかね。ですから、精神科的に、例えば、皆さんなかなかわかりにくいと思うんですけれども、それこそ移動で申し上げますと、一人では全然外に出られない、そういう方というのは決して珍しくありません。それは、統合失調症が重度だという方たちだけではなくて、いわゆる神経症圏の方でも、重くなりますと、自分一人では外に全然出られない、家族が誘っても出られない、そういう方はたくさんいらっしゃるんですね、引きこもりの方も含めて。そういう精神の障害を持っておられる方の生活上の困難さ、これを十分に反映する、これは確かに非常に難しいんだろうと思うんですけれども、少なくとも現在の厚生労働省のやられるものではほとんど反映されない。

 体の方は、実際、立ったり座ったりはできますし、トイレも行けます。お金の勘定もできなくはない。だけれども、外には出られない。そんなことをどういうふうに反映するのか。あるいは、人間関係が非常に困難であるということ、そういう精神障害を抱えている方たちの生活上の困難さの特性は全く反映されていないというふうに思います。

山口(富)委員 今質問いたしました二つの点だけでも、今度の法案というのはやはり大変な問題を抱えているなというのを改めて痛感いたしました。

 次に、白沢参考人にお尋ねしますけれども、今度の厚労省の提案で私たちがいつも気になるのは、基本的資料がほとんどないということなんですね。

 きょうは、皆さん方が行った資料に基づいた御発言だったんですけれども、まず一つお尋ねしたいのは、今度の一割負担、利用者の負担の問題で、これはぎりぎり負担できるんだというのが少なくとも厚労省側の説明なんです。一体、今の障害者の皆さんの実態からいって、こういう説明が通用するんでしょうか。

白沢参考人 先ほどお話もしたんですけれども、とにかく一級、二級年金を支給されているから幾らと、国会での質疑の中でも、一級年金で二割、三割というような、それ自身も非常に大きな負担だということが議論されていましたけれども、障害者が生活する場合、福祉制度を利用する上での利用料という以前に、障害ゆえの負担の問題、特別負担の問題は先ほど触れたとおりで、大体これが月に一、二万円から三万円に上るというふうな調査の結果が出ています。

 その中身は、例えば、深夜、子供がパニックになって、近所の迷惑を考えて親が車に乗せてドライブで連れていく、安定するまでドライブをして家に連れて寝かせる、そんな生活を続けていくと、ガソリン代の月の負担が本当に大変な負担だというようなことも調査で出されているんですけれども、今回、そういう障害ゆえにかかる経費がどのくらいあるのかという調査もなく、単に、一割、一級が幾ら、二級が幾らというようなことだけでの判断で、負担できる、きめ細かな配慮だということは、ちょっと余りにも乱暴ではないかなということを非常に気にしています。

 また、四万二百円払えない人については低所得一、二というような話がありますけれども、それとて申請が必要で、新たな、要するに生活保護制度の資産調査のようなものがされることで、それならちょっと申請を控えたいみたいな、結果的にそういうことで利用を抑制するというようなことにつながっていくということも、一割利用料の負担の大きさの調査なしにそんなものが導入されてくる一つの大きな問題だというふうに考えています。

山口(富)委員 白沢参考人にもう一点お尋ねしますけれども、きょういただいた資料で、一番最後に、「実態を踏まえて真に必要な制度の創設を」ということで、三点の提起がありました。その最後が「「応益制度」「自己負担」は決して障害者福祉制度には馴染まない。」ということなんです。

 私も五月十二日の日比谷でのフォーラムも見まして、やはり、障害者団体や家族、支援者の皆さんが、とにかく応益負担だけは絶対認められないと。質疑の中では定率と言いかえたとしても、同じだというのが厚労省の言い分ですから、となりますと、私はここには、日本国憲法の生存権の規定にかかわる、社会保障、福祉とは何かという問題が入ってくると思うんですけれども、白沢さんはここで、応益制度というものは福祉制度になじまないんだというふうにおっしゃっている。きょうも幾つか具体例を挙げられておりましたけれども、もう一度ここの点を詳しく述べていただきたいんです。

白沢参考人 先ほどの質問でもありましたが、益の問題で、利益なのかということはもちろんそのとおりですけれども、実態的に、とにかく働きたくても働けない、あるいは作業所で働いていてもわずかな工賃だというような、所得保障の非常に低い実態の中にあって、年金も実は、いわゆる再計算の中での、物価スライド制度の凍結解除という問題で、年々、数百円ずつですけれども額が下がってきている。だから、今、八万三千円を切っているんですね。

 そんな中で、やはり、本当に払える状況にあるのかということを考えると、そのこと自体がまず障害者の実態からしてもなじまないという問題と、もう一つは、やはり応益ということで、今議論があるのは、では所得保障があれば応益なのかということの議論もあると思うんですけれども、その辺についても、いわゆる障害ゆえにかかる経費、あるいはその他の市民と同等の権利を有するためのそのスタートとしてのサービス利用という概念と、所得保障があれば払うよという考え方は、もう少しやはり議論もし、調整もし、本来どうあるべきなのかの議論があっての検討ということも、あわせて必要なことだというふうに考えています。

 以上です。

山口(富)委員 今指摘のありました障害者の皆さんの生活の実態という問題と、福祉とは何ぞやというその両面から、応益負担論の検討をぜひやってまいりたいと思います。

 次に、中西参考人にお尋ねしますが、皆さんのところは、今度の法案質疑でも随分注目されて、ホームページも拝見しておりますと、私たちの質疑も紹介されているようです。

 それで、まず一つお尋ねしたいんですが、きょうは、自立支援の問題で、特に重度の方の場合、本人の命をかけた自立生活、援護の確保が欠かせないという話がありまして、私も、どういうふうにヘルパーさんを使っているかという具体的な表になっておりますね、それを見ながら、本当にすごいものだなと思いました。

 それで、今度の制度の場合、障害の重い人ほど負担が重くなるという仕組みになるわけですね。そうすると、当然サービスの抑制がそこに生まれてくるのはだれが考えてもわかることなんですけれども、となりますと、この制度というのは、いわば命をかけてサービスを利用するというような、ちょっとおかしなことになるんじゃないでしょうか。その点、いかがでしょうか。

中西参考人 今、生活保護世帯については、このサービスの利用については免除されるわけですけれども、サービスの利用料を支払うと生活保護以下になるような人たちについては、利用料の減免を市町村に申請すれば、生活保護同様の自己負担がなくなるというふうに言われておりますけれども、実際その場合には、通帳を出して、預金を検査もされるわけですね。

 生活保護世帯でも、クーラーや冷蔵庫は生活保護のお金をためて買っていくことはよいというふうなことを言われているわけですけれども、実際、その程度の金額で賄えるかといいますと、急に病気になったという場合に、生活保護を受けていなくて低収入でやっているといったら、その医療費がぼんとかかってくるわけですね。それから、今の介助料がさらにかかります。これが重度で長時間介助を使う人であれば、恐らくもう、百万円かかっていれば十万円月に払うというふうなことになりますから、この負担に耐えられるとはとても思えないんです。こういうふうな長時間利用者のことを実際に考えると、何らかの減免措置を長時間の介助利用者についてはやらないと生活が成り立たない。結局、重度障害者は施設に戻れということになりかねないんですね。

 ですから、これをやはり国できちんと、基本的な、二分の一の財源負担をしてあげないと、市町村もこの長時間利用者については賄い切れないと音を上げることになります。都道府県と市町村が幾ら協力し合っても、やはり四分の一負担を超えてこの人たちの分を払えないとなると、国も持たない、どこも持たないということになりますから、結局暮らせなくなるということにつながるわけですね。

 ですから、やはりここを財源的にどう確保するか。我々が提案したような程度区分表ぐらいしかほかに方法はないかと思うので、それをさらにお願いしたいと思います。

山口(富)委員 中西参考人にもう一点お尋ねしますけれども、移動介護の問題なんですが、今度の、単価の改定がもうやられてしまっている、その上これが地域生活支援事業ということになりますと、いわばダブルパンチになってくるんですね。

 それで、資料で、参考資料の5と6が配付されておりますが、ちょっと時間がないものですから全部説明していただくわけにいかないんですけれども、6の資料で東京の知的障害児・者ガイドヘルパー事業の調査報告というのがあります。これは恐らく、中西参考人がおっしゃっている地域格差の問題とのかかわりも出てくると思うんですが、少しこの資料の6を説明していただけますか。

中西参考人 承知しました。

 資料6、十九ページから始まりますけれども、左側が提供事業体です。社会福祉協議会がほとんどである。これは、今度地域生活支援事業になるとこういうふうな事態になるんじゃないかというふうに予想されるわけですね。市の負担を求める制度なものですから、こういう形で市が直結してやって、事業運営費を出さないでできるような事業所にやらせる可能性が高い。

 そうしますと、予算もごらんのようにすごい上下がありますよね、八十二万四千円の千代田区から、千六百二万円の足立区まで。それから、月十時間以内という決定をしている文京区がありまして、その下には一日八時間以内、それから一回四時間、年間二十四回だけというふうな制限を設けています。年齢制限も十五歳以上、十八歳以上、さまざまです。程度区分も一度―四度、それから三度、四度と、これは軽い人たちを対象にするところ、重い人しか対象にしないところ。

 こういうふうな、ヘルパーの使える時間が制限があるのに加えて、視覚障害者の場合なんかは、以前は、買い物でもウインドーショッピングはだめだと。それから、生活に必要なものしか、移動のガイドヘルパーの帰りにお店に寄れないというふうな制限とか、ある区市では、病院に行くのと、それから市町村の役場の窓口へ行くのと、これ以外には実質的に使えないというような制限が加えられておりまして、集会やレクリエーションはもちろん禁止されておりました。そういうのは、今支援費制度になって、すべてで使える、社会参加できる制度になったものですから、これをぜひ実施していただきたいのです。

 もう一つ、行動援護の方の表が二十五ページにあります。この行動援護というのが、重度の知的障害者、精神障害者にとっては唯一使える社会参加の移動の手段なんですけれども、二十五ページの一番上に「意思表示」のところがあります。これで二点。合計十点稼がなければ使えないんですけれども、これは、常に支援が必要な人であって、「日常生活や外出時において、利用者独自の行動でしか自らの意思を表現できない。」できないときに頭突きをしたり粗暴な行動になると。

 この表の表現はよくないんですけれども、これは例えば、困ったときに自分の困ったことを伝えられない、何が今自分に起こっているか、このことが人に伝えられない、コミュニケーション障害の人というのは大勢います。こういうような人たちが、自分の意思に反してお店で物を、訪問販売でわからないのに買ってしまうとかいうことも起こるわけですね。ですから、そういう突発的な事態というのはゼロ点で、勘案されないわけですから。ゼロ点といっても生活に支障は起こる。

 もう一つ、二十六ページの方にあります、三段目に、「予定変更によるパニックや不穏な行動」というところで、これは予定変更を受け入れられずに不安定になってパニックを起こすと。この場合に、しょっちゅう起こらなければ、週に一回以上とか月に一回以上とか、毎回これが起こらなきゃいけないという規定で二点なんですけれども、例えば電車に乗っていて、電車に事故があってホームに取り残される。いつも乗っている時間帯は決まっていて、電車は同じのに乗っているというのが知的障害者ですから、その電車がとまるともう対応ができなくて、パニックを起こしてしまうというようなことが起こります。

 こういうような意味で、移動のときに自分がそういうことが起こりそうな方は介助を求めるわけです。我々のところでも、夕方のバスは込むからパニックを起こしそうなので、きょうは来てくださいというふうにお願いしに来る障害者がいるんですね。平常のバスの、すいたバスなら大丈夫なんです。

 ですから、こういうときに、これが零点では、パニックのときに対応できる介助者がいないということになるので、行動援護では、一割の人しか救えないと言われたりしています。我々のところでは、百人いて一人ぐらいしか対応できない、九十九人対応できません。こういう形の人もいるということで、移動介助できちんとカバーしてもらいたいというのが希望です。

山口(富)委員 今指摘されました行動援護の正しくない表現は、これは変えるということが質疑で明らかになっておりますから。

 それから、行政の皆さん、時間がなくなりまして質問できませんが、皆さんから出されました、実質的に困難であるとか至難のわざだという指摘をきちんと受けとめて、質疑を進めてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

北川委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 参考人の皆様には、これまでの何回かの変更、そして、きょうはまたお昼過ぎまでの意見陳述ということで、大変に御苦労さまでございます。

 私も、実はこの法案は、障害者自立支援法というタイトルになっておりますが、果たしてこれが障害者自立支援なのか、自立阻害なのか、随分これまでの中断された議論の中でも指摘をされておりましたので、骨格にかかわる自立という概念をめぐって、冒頭、ちょっと順番は違いますが、そして中西参考人には連続になって恐縮ですが、中西参考人からの意見陳述をお願いしたいと思います。

 きょういただきました資料の中で、お時間との関係等もあり、参考人がおまとめになった資料の七のまとめの部分が恐らく、言い足りないというか、お時間とのかげんで割愛をされたようにも思います。

 私は、ここに書かれていることを読みながら、いわゆるこの障害者自立支援法は、さきに論議された介護保険法との絡みで、ある種、将来には介護保険法に統合するような、これは財源的、理念的問題も、障害を社会で支えるという大枠ではそのような方向になっておると思いますが、しかしながら、委員も御指摘のように、「高齢と障害では自立に対する考え方が根本的に異なり、」という一文について、どこでもきっちり話されることがなく、ずるずるとびほう策的に介護保険も、そしてまかり間違うとこの障害者自立支援法も成立しようとしているやに考えます。

 ここで、委員がお書きになった高齢と障害では自立に対する考え方が根本的に異なるという一文について、特に、私は実は尾辻大臣に、大臣は自立支援法の自立って何とお考えですかと伺ったら、タックスペイヤーになることだと。私はそれはとてもいいと思うんです。だけれども、それだけでは言い尽くせない。

 それは恐らく、きょういただきました御本の「当事者主権」という表現ともすごくかかわってくると思いますが、そういう観点を本当にこれからの時代持てるかどうか、そして、この自立支援法がそういう法律になっておるかどうか、ここの点がすごく疑問が多い。むしろ、冒頭申しました阻害法じゃないかとやゆされるような向きもあるわけで、ここの骨格にかかわる部分を、これは理念でもあり、しかし私は現実であると思いますので、冒頭、中西さんにお伺いいたします。

中西参考人 ありがとうございます。

 自立について僕はずっと考え続け、みずから自立生活をする中で考えてきたわけですけれども、一九八〇年代はまだ、障害者はリハビリテーションの理念のもとで、自分たちで洋服を着られて車いすに自分で乗れなければ、身の回りのことを全部できなければ自立できないと言われて、最終的なリハビリテーションのゴールは就労にありということで、僕なんかも、トイレに六時間座らされて、おまえはトイレから自分で車いすに上がってこなければこの施設から出られないんだというふうに訓練されたんですけれども。

 そういう意味では、このリハビリテーションの理念というのは、七二年の自立生活運動ができた時点で、リハビリテーションは違うんじゃないか、目的と期間を限って、できないものはできないんで、介助を受けていいんじゃないかというふうな考えを持ち出したのが、自立生活運動のリーダーなわけですね。アメリカでこの理念が広がり、日本でも初めて障害者も、ああ、地域で暮らしてもいいんだ、自分たちは一生施設で暮らさなくてもいいんだ、介助を受けながら暮らすことは可能なんだというふうに言われたんです。

 ですから、私なども、その理念のもとに、ズボンをはくのに二時間かかるならば、五分で介助者に着せてもらって、残りの一時間五十五分は社会参加した方がよっぽど社会に有益だ。そういう意味で、けさも介助者にズボンもはかせてもらい出てきたために、ここに来られているわけですけれども、そういうふうな意味では、自立というのは、そこでまず高齢者と違うだろう。

 それから、障害者は非常に若い障害者もいるわけですね。幼い障害者、この人たちはずっとこれから経験を踏んで社会の中で生きていかなきゃいけない。そうしなければ、親元でずっと一生いることになりますから。彼らにとっては、移動介助を使いながら外へ出ていって社会経験する、いろいろなものを見て、自分はこういうふうな人間になりたいなというふうな希望を抱いていくという過程がとても重要です。

 ですから、自立の介助というのは、そういうのが育っていく、経験をふやしていくための介助。高齢の方の場合は、もう功成り名を遂げて、家族に見守られながら最期終わりたいという意味で、家族負担を減らすための介助というのがホームヘルパー制度だったわけですけれども、障害者がサービスを使うようになってから、時間帯も、九時―五時の時間は社会参加したいから、そんな時間は要らない、朝の七時から八時の時間帯が欲しい、夜も六時以降十一時までが欲しいとかいう意味で、サービス時間帯も全く高齢とは違うんですね。高齢の方の場合は、家族がいるから、日中の主婦の労働軽減で、そこをホームヘルプはやればいい。我々は、自立生活運動の中でホームヘルプサービスの使う時間帯すら変えてきたわけです。休日、祭日、正月休みも使えるようにしてきました。

 そういう中で、地域で暮らしていくときに、親元にいたり施設にいたわけですから、料理のつくり方も知らない。ですから、その人たちが、障害の女性が主婦になるのならば、みそ汁の味を自分で調節して毎日同じみそ汁の味で食べたいというときに、介助者が毎回来るごとに、高齢の場合はその人にお任せでメニューも考えてもらうんですけれども、我々は自分たちでメニューも考えて、ではそれは一体どうやってつくるの、みその量をどのぐらいにすればいいのと。それで自分でその量を覚えて、介助者が変わってもそれを指示して、自分のみそ汁の味で家庭が営めるようにしたい。

 こういう意味で、自分で指示して料理をつくるという意味では、時間もかかったりするわけですね。高齢の方は時間がかからないで、料理が終わって、次に掃除をやって何やってというふうに、その一時間を有効にいろいろな仕事をさせようと思うけれども、我々は経験を積んでいくという意味で、時間もかかるし、経験も積みたい。そこが、やはり自立の意味で高齢と障害とは全く違うんだと言っているところなんです。

阿部委員 そういうお若い障害者と御高齢者の生きてきた経験の違いという点と、もう一つ、私はきょう、ALSの患者さん、筋萎縮性側索硬化症。実は私も小児科医をやり三十年になりますが、私が医師になりたてのころは、呼吸器をつけて御自宅で暮らすなどということは本当に想像できなかったというか、その後、特にこの二十年間こうした試みがとられ、きょう御紹介の資料で、大体八百人の方がそういうお暮らしをなさっている。

 一方で、やはり進歩というか、皆さんの闘い取られたことであると同時に、でも、今その方たちが、この障害者自立支援法になったらどうなっちゃうんだろう、介護保険では一日三時間しか補助がない、その後はどうなるの、一日三時間で生きるわけにはいかないじゃないのと。これは他の重度の方も皆さんそうですが、わけても呼吸器をお使いですから、極めてもう命綱というか、生きている、すごく逼迫した思いがおありだと思うのです。これが見えない政省令にゆだねられて、中身もわからない、どうなっちゃうかもわからないという形でここで審議して決めていってしまう、こんなことでは説明もできないし、私自身も法案にかかわる者としてすごく不安です。

 そこで、きょうは、中西さんにぜひ、この点についてはどのように明確にすればよいのか、御意見を賜りたいと思います。

中西参考人 ありがとうございます。

 ALSの人たちの八四%は家族と一緒に暮らしているんですね。それで、介護保険を使って暮らす人は、介護保険三時間だけである。それ以上に支援費制度を使う前に、介護保険の自己負担分で家族はくたびれて、支援費制度まで至らない。介護保険を使い切らないと支援費制度を使えなかったわけですから。そういう状態で暮らしております。

 それで、ひとり暮らしになった場合に、家族介助の場合は常時うちにだれかがいるわけですから、緊急の場合に呼ぶこともできるし、機械が停止しそうになったりとかいうふうな、呼吸器の機械がとまるようなメンテナンスなんかも家族がなさるということですけれども、やはりそこに重度のひとり暮らしが起こると、これは重複介助の時間計算もされていない中でやるわけですから、非常に限られた金額で今でもやっていらっしゃるんですね。しかも、非常に重い介助ですから、単価が、厚労省から漏れてきたのでは月に八十万とか言っているんですけれども、時給三百円ですよね、そんな金額ではだれもできない。だから、本当に身辺介助の時間のような単価を設定してもらわないと、いい介助者が長期にわたって得られないという問題になります。

 それから、包括制度になってもう一つ心配なのは、ヘルパーの資格制度が、医療制度に基づくようなもので、がちがちになって使えなくならないかという心配なんです。この心配は十分ありまして、単価が高くなれば資格制度が厳しくなるという背反関係にあるので、いつも単価を高くするとそういうことになりかねない。ですから、資格要件を緩和しながらやらないと、やってくれる意思のある人も使えなくなってくるという問題が起こり得ると思います。ですから、制度の内容についてはよっぽど慎重な議論が必要です。

 それから、単価をどこに設定すべきかということと、包括の全体の金額、どのぐらいかかるんだというふうな御質問をしょっちゅう受けるんですけれども、ALSの方の場合に月に二百五、六十万かかってしようがないだろうと。これは医療費、病院に彼らがいるよりも安上がりな費用ですから、我々としては、地域で継続した生活ができる単価というのを設定してあげないと彼らの命が危険にさらされるということを指摘しておきたいと思います。

阿部委員 実際に重度であられてもいろいろに社会参加しておられる実態もあるわけですから、今御指摘いただいたような点、特に政省令が出ないとわからないという形でないような対応を求めてやっていきたいと思います。

 引き続いて、ちょっと医療のことに話が及びましたので、佐藤参考人にお願いしたいんですが、実は、ちょうだいいたしました資料の二ページ目に、佐藤さんのやっていらっしゃるクリニックでの「三十二条利用者の疾患割合」というのをお示しいただいております。

 実は、厚生省にこれまでこの三十二条関係のことをいろいろ聞きましても、こういう利用実態についてもほとんどわからない、三十二条の患者さんのプロフィールはどうなっているのと聞いても、都道府県が管理していてわからない、あるいは個人情報だからわからない、何を言ってもわからないということが続いてきたわけです。

 きょうお示しいただいたこの資料でも、先ほど山口委員の御指摘にもありましたが、現状で三十二条をお使いの方の四五%くらいしか今度の自立支援医療の中に入っていかないという問題。そればかりか、お示しいただきました資料の一枚目の読み方を見ますと、ここには、三十二条の患者さんのうち生活保護が一一・三%、これはクリニックの集計だと思いますが。しかしながら、第二十一回の厚生労働省の障害部会の審議会の中で厚生省側から出された資料では、生活保護が二十数%とたしか出ておりましたし、住民税非課税世帯云々を含めて、現状で三十二条の七五%の方が障害者自立支援医療の方に行っても負担がないんだよというような説明でありました。

 私は、この間のいろいろな質疑の中で、なぜ実像が出ないのか、なぜ本当にどう変わっていくのかが見えないのかということをとても不満に思っておりました。先ほどの福島委員の御発言の中にも、三十二条の精神は生きるんだということをおっしゃいましたが、私は逆に、ここで、そもそも三十二条とは何で、どんな役割を果たしてきて、そしてさっき参考人はおっしゃいました、三十二条が長時間の医療を支えてここまでやってこられたんだと。人格障害の問題も含めて、あるいは神経症の問題も含めて比較的多くの方が御利用であるし、利用していただいて、逆に言うと精神障害の地域への軟着陸、安定した着陸、クリニックの形での受診が可能になると思いますので、三十二条とは何だ、何をしてきたのか、そして自立支援医療と言われてこれでやれるのか、三つお願いします。

佐藤参考人 精神科の医療の歴史は非常に暗い過去を負っておりまして、そもそもが、昔はとにかく治療の対象ですらなかったですね、精神障害者の方は。歴史的には、昔の魔女狩り、中世の魔女狩りの中には随分精神障害者が含まれていただろうなんという話もあるんですけれども。

 そういう話はさておき、日本で、いわゆる精神科の病気が明治時代やっと、東大の呉秀三先生という私の大先輩の先生あたりが医学の対象として見始め、その実態を調査されました。そのときに、有名な言葉で、我が国に生まれた精神の患者さんたちは、病気を負っているという不幸のほかにこの国に生まれた不幸を負っているんだ、そういうことを報告されたんです。それは、当時、家族が患者さんを世間から隠すために座敷牢に閉じ込めてずっと住まわせている、そういう実態を全国で東大の精神科の教授が調査されたわけですね。

 そこら辺から日本の歴史が始まりまして、ただずっと、よい治療法もなかなかなくて、社会から隔離して世間の皆様には迷惑をかけないようにしようというのが基本的な考え方でありました。なおかつ、ライシャワー事件というものがございまして、日本の国民にも非常に親しまれたライシャワー大使が精神疾患を持った若者に襲われるという事件を機に、これはもう何とかしなくちゃいかぬというのが非常にマイナスの形で作用しました。

 それを機に精神衛生法という法律ができたのはよかったんですけれども、これは基本的には、人権を守るというよりは、むしろ精神科の患者さんたちを強制的に入院させて治療させることができるんだ、そういう治安管理的な側面の方が非常に前面に出た法律だったんですね。

 ということで、それを国の方も経済的にも支援するということで、一時、日本医師会の会長さんから日本の精神病院は牧畜業だなんと言われるぐらいに、精神科の患者さんはとにかく閉じ込めておけば病院長さんがもうかっちゃうというような時代がありました。一九七〇年以降、そういったことに対する反省も含めて、病院の改革とか、それから国の方も法律面での改革を進めてまいりました。

 その中で、三十二条といいますのは、以前、措置入院、これは、自傷他害といいます、精神の疾患が原因で自分を傷つける、いわゆる自殺の危険性、あるいは他人を害する、そういうおそれが非常に強い方に関しては強制的に入院させることができるという強制入院の一番強い法律です。これは現在もありまして、路上で身元のわからない方が暴れていてわけのわからないことを言っているなんというときに、警察が来て、保護してみたらどうもおかしいので、とりあえず身寄りもわからないから入院させましょうというようなときには、精神科医が判断して、現在は二名ですが、それで強制治療ができるということになっております。

 その措置入院が、年代はちょっとはっきり覚えていないんですが、以前は相当の数でこの措置入院制度を使って患者さんが入院させられました。そのときに、まだまだ薬も開発されていない治療の不十分な状況でしたので、入院するとなかなか出られない。あの病院に行ったら死んで退院するしかないんだという棺箱退院なんという言葉が昔あったんです。昔といっても、私が医者になったころはまだ十分残っておりました。

 そういうことで、措置入院させられると中に入っちゃう。たまたま家族がいても入院費を経済的に家族が支えられない、だからこれは国の方で負担しましょうということで、入院費を払えない患者さんについては形式的に、家族がいても、それから自傷他害という危険性がなくても、措置入院という方法を用いてずっと入院させ続けるということがあったんです。これは経済措置という、私は医者になってすぐこれは聞いたんですけれども、国が出してくれるからええだろうと。こういうことで、長期の入院者がずっとその措置入院という制度を使って、十年、二十年と患者さんたちは入院させられ続けるということがあったわけです。

 それに対する反省として、三十二条は、もう既に自傷他害のおそれもない、ある程度安定している患者さんたちを少しでも地域に帰していこう、地域で支えていこうという理念のもとに、措置入院で入院していた患者さんたちを退院させて、そのかわり、その入院費を外来の治療費に充てようということで三十二条という法律ができたそうです。詳しい経緯は知りませんが、そういうところから始まりまして、措置入院という最初の出発点は別としても、現実的には、地域で患者さんの外来治療を支えていこう、そのために行政が援助するのであるというのが基本的な理念として出発したことは間違いないと思います。

 そのことによって、現在は、私が医者になりたてのころは、経済的に大変な方にこういう法律がありますから使ってみませんかと言いますと、冗談じゃない、私にレッテルを張るつもりですかというふうにむしろ怒られてしまうような時期から始まりましたけれども、その後少しずつ精神医療全体の状況が改善する中で、先ほどお話ししたような診療所のようなものができたり、そんなことで受診する方がふえるとともに、三十二条を利用することによって、疾患の内容としては、もちろん当初は統合失調症の方がメーンでしたけれども、先ほどの話とダブりますけれども、神経症圏、人格障害とか摂食障害とか、若者のメンタルな病気は若いだけに非常に激しく、何年にもわたって燃え盛ることがありまして、そういう方たちは、幾らお父様が一流企業に勤めていても、入院も含めて、それから救急受診も含めて莫大な経済的負担がかかります。何とか支えていくためには三十二条が非常に役に立つ。

 そういう意味では、所得の問題については、たくさんある人から取ろうというのもどうかなと思う。私は、若い者にはやはりお金をかけたい。もちろんお年寄りにかけちゃいかぬということはないんですけれども、実態としては、そういう若者たちの治療にも三十二条は非常に役に立ってきたという実態があると思います。

 あとは、今回の自立支援医療の中で、ではそれがどうなるかということについては、そこら辺の歴史を踏まえてのあれが全部すっ飛んでいるような気がします。

 要は、財源の問題ということだけで語られていて、確かに三十二条の理念は残りますよとおっしゃってはいただきましたけれども、厚生労働省の方たちのお話も、まずはとにかくこの法律に関してはやっちゃうんだ、いろいろ不備な点は認める、だけれども、やっちゃって、後でよくしていきましょうよということを一生懸命おっしゃっているように思いますが、到底、理念的なものが抜けているがゆえに、非常に私どもは不安を感じております。

阿部委員 きょう参考人で御出席いただきました松浦参考人からも、受け皿としての地方での精神医療の問題も御指摘いただきました。

 御質問できなかった山本参考人を初め他の参考人の皆様には、本当に、きょう伺ったことを生かさせていただいて審議の中で活用させていただきます。

 ありがとうございます。

北川委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十四分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、社会保険労務士法の一部を改正する法律案、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案及び社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案

 社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案

 社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

尾辻国務大臣 ただいま議題となりました三法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、社会保険労務士法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 企業経営をめぐる環境変化の中で、就業形態の多様化や人事労務管理の個別化が進展していることなどを背景として、個別労働関係紛争が増加しており、このような紛争について簡易かつ迅速な解決を促進することが重要な課題となっております。

 こうした状況に対応し、政府といたしましては、社会保険労務士の人事労務管理に係る専門性を活用し、個別労働関係紛争に関する裁判外紛争解決手続の利用の促進を図るため、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。

 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一は、社会保険労務士の行う紛争解決手続代理業務の拡大であります。

 現在、社会保険労務士は、その業務として、個別労働関係紛争に関して都道府県労働局が行うあっせんの代理を行うことができることとしているところ、これに加えて、男女雇用機会均等法に基づく調停の手続、個別労働関係紛争に関して都道府県労働委員会が行うあっせんの手続及び個別労働関係紛争に関して厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続について、それぞれ代理することができることとしております。

 第二は、紛争解決手続代理業務に係る研修を修了した者に対して試験を実施し、この試験に合格し、かつ、その旨の付記を受けた社会保険労務士に限り、紛争解決手続代理業務を行うことができることとしております。

 第三は、社会保険労務士の労働争議への介入を禁止する規定を削除することとしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 次に、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について申し上げます。

 この法律案は、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を実施するため、厚生年金保険法を初めとする公的年金各法及び健康保険法を初めとする公的医療保険各法について被保険者の資格に関する特例を設けるほか、公的年金各法について、給付の支給要件及び給付の額の計算に関する特例を設けるものであります。

 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一は、被保険者の資格に関する特例であります。

 フランスから我が国に一時的に派遣された者などは、公的年金各法及び公的医療保険各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。

 第二は、給付の支給要件に関する特例であります。

 公的年金各法の給付の支給要件について、フランスの年金制度の保険期間を我が国の年金制度に加入していた期間に算入するなどの特例を設けることとしております。

 第三は、給付の額の計算に関する特例であります。

 ただいま申し上げました特例により支給要件を満たした場合、我が国の年金制度に加入した期間に応じた額を支給することとしております。

 なお、この法律の施行期日は、協定の効力発生の日としております。

 最後に、社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について申し上げます。

 この法律案は、社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定を実施するため、厚生年金保険法を初めとする公的年金各法及び健康保険法を初めとする公的医療保険各法について被保険者の資格に関する特例を設けるほか、公的年金各法について、給付の支給要件及び給付の額の計算に関する特例を設けるものであります。

 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一は、被保険者の資格に関する特例であります。

 ベルギーから我が国に一時的に派遣された者などは、公的年金各法及び公的医療保険各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。

 第二は、給付の支給要件に関する特例であります。

 公的年金各法の給付の支給要件について、ベルギーの年金制度の保険期間を我が国の年金制度に加入していた期間に算入するなどの特例を設けることとしております。

 第三は、給付の額の計算に関する特例であります。

 ただいま申し上げました特例により支給要件を満たした場合、我が国の年金制度に加入した期間に応じた額を支給することとしております。

 なお、この法律の施行期日は、協定の効力発生の日としております。

 以上、三法案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

鴨下委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明八日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十分散会


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