衆議院

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第27号 平成17年6月10日(金曜日)

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平成十七年六月十日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      鈴木 淳司君    谷川 弥一君

      中山 泰秀君    西川 京子君

      原田 令嗣君    福井  照君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      城島 正光君    園田 康博君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      藤田 一枝君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      高木美智代君    古屋 範子君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小林 和弘君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     鈴木 淳司君

  谷川 弥一君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     井上 信治君

    ―――――――――――――

六月九日

 介護保険制度全面見直しに関する請願(山井和則君紹介)(第一七四八号)

 厚生年金病院等の公的施設としての存続・充実に関する請願(篠原孝君紹介)(第一七四九号)

 同(池田元久君紹介)(第一七九六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一七九七号)

 カネミ油症被害者の抜本的な恒久救済対策の完全実施に関する請願(山田正彦君紹介)(第一七五〇号)

 同(土井たか子君紹介)(第一八八四号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(石井一君紹介)(第一七五一号)

 同(大島敦君紹介)(第一七五二号)

 同(高井美穂君紹介)(第一八三〇号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一八八五号)

 同(竹下亘君紹介)(第一八八六号)

 パートタイム労働者の均等待遇実現に関する請願(田嶋要君紹介)(第一七五三号)

 視覚障害者のための職場介助者制度の適用期間延長に関する請願(三ッ林隆志君紹介)(第一七五四号)

 同(中根康浩君紹介)(第一七八九号)

 同(小西理君紹介)(第一八六二号)

 同(上川陽子君紹介)(第一九二六号)

 同(河野太郎君紹介)(第一九二七号)

 進行性化骨筋炎の難病指定に関する請願(瓦力君紹介)(第一七五五号)

 同(奥田建君紹介)(第一七九〇号)

 同(河本三郎君紹介)(第一七九一号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一九二八号)

 同(平野博文君紹介)(第一九二九号)

 総合的な肝疾患対策の拡充に関する請願(五島正規君紹介)(第一七五六号)

 同(福井照君紹介)(第一七五七号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第一七五八号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一七五九号)

 同(山井和則君紹介)(第一七六〇号)

 同(小林千代美君紹介)(第一七九二号)

 同(谷川弥一君紹介)(第一七九三号)

 同(中根康浩君紹介)(第一七九四号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一七九五号)

 同(井上信治君紹介)(第一八六三号)

 同(小西理君紹介)(第一八六四号)

 同(泉房穂君紹介)(第一九三〇号)

 同(河野太郎君紹介)(第一九三一号)

 マッサージ診療報酬の適正な引き上げ等に関する請願(五島正規君紹介)(第一七六一号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一七六二号)

 同(園田康博君紹介)(第一九三二号)

 保育・学童保育・子育て支援施策の拡充等に関する請願(泉健太君紹介)(第一七八八号)

 同(高井美穂君紹介)(第一八二九号)

 てんかんを持つ人の医療と福祉の向上に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一八二四号)

 同(泉健太君紹介)(第一八二五号)

 同(木村義雄君紹介)(第一八二六号)

 同(福島豊君紹介)(第一八二七号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一八二八号)

 同(泉房穂君紹介)(第一九三三号)

 同(小西理君紹介)(第一九三四号)

 同(河野太郎君紹介)(第一九三五号)

 同(藤田一枝君紹介)(第一九三六号)

 同(米澤隆君紹介)(第一九三七号)

 総合的難病対策の早期確立に関する請願(荒井聰君紹介)(第一八三一号)

 同(石毛えい子君紹介)(第一八三二号)

 同(泉健太君紹介)(第一八三三号)

 同(宇野治君紹介)(第一八三四号)

 同(尾身幸次君紹介)(第一八三五号)

 同(奥村展三君紹介)(第一八三六号)

 同(亀井久興君紹介)(第一八三七号)

 同(河村たかし君紹介)(第一八三八号)

 同(木村義雄君紹介)(第一八三九号)

 同(北村直人君紹介)(第一八四〇号)

 同(小坂憲次君紹介)(第一八四一号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第一八四二号)

 同(塩谷立君紹介)(第一八四三号)

 同(鈴木俊一君紹介)(第一八四四号)

 同(玉置一弥君紹介)(第一八四五号)

 同(中谷元君紹介)(第一八四六号)

 同(西野あきら君紹介)(第一八四七号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一八四八号)

 同(野田聖子君紹介)(第一八四九号)

 同(樋高剛君紹介)(第一八五〇号)

 同(福島豊君紹介)(第一八五一号)

 同(藤村修君紹介)(第一八五二号)

 同(古屋圭司君紹介)(第一八五三号)

 同(保利耕輔君紹介)(第一八五四号)

 同(堀込征雄君紹介)(第一八五五号)

 同(増子輝彦君紹介)(第一八五六号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第一八五七号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一八五八号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第一八五九号)

 同(村井仁君紹介)(第一八六〇号)

 同(保岡興治君紹介)(第一八六一号)

 同(石田真敏君紹介)(第一八八七号)

 同(泉房穂君紹介)(第一八八八号)

 同(岩永峯一君紹介)(第一八八九号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一八九〇号)

 同(加藤勝信君紹介)(第一八九一号)

 同(金田誠一君紹介)(第一八九二号)

 同(上川陽子君紹介)(第一八九三号)

 同(吉良州司君紹介)(第一八九四号)

 同(菊田まきこ君紹介)(第一八九五号)

 同(岸本健君紹介)(第一八九六号)

 同(北川知克君紹介)(第一八九七号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一八九八号)

 同(小西理君紹介)(第一八九九号)

 同(河野太郎君紹介)(第一九〇〇号)

 同(近藤基彦君紹介)(第一九〇一号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一九〇二号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第一九〇三号)

 同(自見庄三郎君紹介)(第一九〇四号)

 同(下条みつ君紹介)(第一九〇五号)

 同(園田康博君紹介)(第一九〇六号)

 同(田中英夫君紹介)(第一九〇七号)

 同(竹下亘君紹介)(第一九〇八号)

 同(達増拓也君紹介)(第一九〇九号)

 同(寺田学君紹介)(第一九一〇号)

 同(土井たか子君紹介)(第一九一一号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一九一二号)

 同(中村正三郎君紹介)(第一九一三号)

 同(中山太郎君紹介)(第一九一四号)

 同(根本匠君紹介)(第一九一五号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一九一六号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一九一七号)

 同(原口一博君紹介)(第一九一八号)

 同(平井卓也君紹介)(第一九一九号)

 同(藤田一枝君紹介)(第一九二〇号)

 同(牧野聖修君紹介)(第一九二一号)

 同(松岡利勝君紹介)(第一九二二号)

 同(八代英太君紹介)(第一九二三号)

 同(吉田泉君紹介)(第一九二四号)

 同(米澤隆君紹介)(第一九二五号)

同月十日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(今村雅弘君紹介)(第一九六五号)

 同(松島みどり君紹介)(第一九六六号)

 同(水島広子君紹介)(第一九六七号)

 同(寺田稔君紹介)(第二二一三号)

 総合的難病対策の早期確立に関する請願(伊吹文明君紹介)(第一九六八号)

 同(今村雅弘君紹介)(第一九六九号)

 同(江藤拓君紹介)(第一九七〇号)

 同(加藤公一君紹介)(第一九七一号)

 同(高村正彦君紹介)(第一九七二号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一九七三号)

 同(坂本剛二君紹介)(第一九七四号)

 同(篠原孝君紹介)(第一九七五号)

 同(田中慶秋君紹介)(第一九七六号)

 同(田村憲久君紹介)(第一九七七号)

 同(中村哲治君紹介)(第一九七八号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第一九七九号)

 同(前原誠司君紹介)(第一九八〇号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第一九八一号)

 同(水島広子君紹介)(第一九八二号)

 同(山口俊一君紹介)(第一九八三号)

 同(小平忠正君紹介)(第二〇八一号)

 同(左藤章君紹介)(第二〇八二号)

 同(佐藤勉君紹介)(第二〇八三号)

 同(中川正春君紹介)(第二〇八四号)

 同(西村真悟君紹介)(第二〇八五号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第二〇八六号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇八七号)

 同(山口泰明君紹介)(第二〇八八号)

 同(山下貴史君紹介)(第二〇八九号)

 同(山井和則君紹介)(第二〇九〇号)

 同(横光克彦君紹介)(第二〇九一号)

 同(遠藤利明君紹介)(第二一二七号)

 同(大前繁雄君紹介)(第二一二八号)

 同(金田英行君紹介)(第二一二九号)

 同(小林千代美君紹介)(第二一三〇号)

 同(五島正規君紹介)(第二一三一号)

 同(近藤洋介君紹介)(第二一三二号)

 同(津島雄二君紹介)(第二一三三号)

 同(東門美津子君紹介)(第二一三四号)

 同(横路孝弘君紹介)(第二一三五号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二一四号)

 同(岩屋毅君紹介)(第二二一五号)

 同(江田康幸君紹介)(第二二一六号)

 同(川上義博君紹介)(第二二一七号)

 同(木村勉君紹介)(第二二一八号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第二二一九号)

 同(松宮勲君紹介)(第二二二〇号)

 同(柳本卓治君紹介)(第二二二一号)

 同(渡辺具能君紹介)(第二二二二号)

 視覚障害者のための職場介助者制度の適用期間延長に関する請願(北川知克君紹介)(第一九八四号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第一九八五号)

 同(水島広子君紹介)(第一九八六号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇九二号)

 総合的な肝疾患対策の拡充に関する請願(大村秀章君紹介)(第一九八七号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第一九八八号)

 同(水島広子君紹介)(第一九八九号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇九三号)

 同(古屋範子君紹介)(第二一三六号)

 同(米澤隆君紹介)(第二一三七号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二二三号)

 厚生年金病院等の公的施設としての存続・充実に関する請願(田中慶秋君紹介)(第一九九〇号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第一九九一号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇九四号)

 てんかんを持つ人の医療と福祉の向上に関する請願(三ッ林隆志君紹介)(第一九九二号)

 同(山井和則君紹介)(第二〇九五号)

 同(小林千代美君紹介)(第二一三八号)

 同(五島正規君紹介)(第二一三九号)

 同(古屋範子君紹介)(第二一四〇号)

 同(横路孝弘君紹介)(第二一四一号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二二六号)

 小規模作業所等成人期障害者施策の拡充に関する請願(荒井聰君紹介)(第二〇〇八号)

 同(五十嵐文彦君紹介)(第二〇〇九号)

 同(伊吹文明君紹介)(第二〇一〇号)

 同(池田元久君紹介)(第二〇一一号)

 同(石田勝之君紹介)(第二〇一二号)

 同(石田祝稔君紹介)(第二〇一三号)

 同(石田真敏君紹介)(第二〇一四号)

 同(金田誠一君紹介)(第二〇一五号)

 同(亀井久興君紹介)(第二〇一六号)

 同(河井克行君紹介)(第二〇一七号)

 同(河合正智君紹介)(第二〇一八号)

 同(瓦力君紹介)(第二〇一九号)

 同(神崎武法君紹介)(第二〇二〇号)

 同(木村太郎君紹介)(第二〇二一号)

 同(城井崇君紹介)(第二〇二二号)

 同(北川知克君紹介)(第二〇二三号)

 同(北村直人君紹介)(第二〇二四号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第二〇二五号)

 同(小坂憲次君紹介)(第二〇二六号)

 同(小平忠正君紹介)(第二〇二七号)

 同(小林憲司君紹介)(第二〇二八号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二〇二九号)

 同(古賀一成君紹介)(第二〇三〇号)

 同(河本三郎君紹介)(第二〇三一号)

 同(左藤章君紹介)(第二〇三二号)

 同(佐藤勉君紹介)(第二〇三三号)

 同(笹川堯君紹介)(第二〇三四号)

 同(下条みつ君紹介)(第二〇三五号)

 同(園田康博君紹介)(第二〇三六号)

 同(高木毅君紹介)(第二〇三七号)

 同(高木義明君紹介)(第二〇三八号)

 同(武田良太君紹介)(第二〇三九号)

 同(武正公一君紹介)(第二〇四〇号)

 同(橘康太郎君紹介)(第二〇四一号)

 同(谷川弥一君紹介)(第二〇四二号)

 同(中馬弘毅君紹介)(第二〇四三号)

 同(津島恭一君紹介)(第二〇四四号)

 同(中川正春君紹介)(第二〇四五号)

 同(中村正三郎君紹介)(第二〇四六号)

 同(中山太郎君紹介)(第二〇四七号)

 同(永田寿康君紹介)(第二〇四八号)

 同(長浜博行君紹介)(第二〇四九号)

 同(楢崎欣弥君紹介)(第二〇五〇号)

 同(根本匠君紹介)(第二〇五一号)

 同(羽田孜君紹介)(第二〇五二号)

 同(計屋圭宏君紹介)(第二〇五三号)

 同(馳浩君紹介)(第二〇五四号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第二〇五五号)

 同(平田耕一君紹介)(第二〇五六号)

 同(藤田一枝君紹介)(第二〇五七号)

 同(藤村修君紹介)(第二〇五八号)

 同(古川禎久君紹介)(第二〇五九号)

 同(保利耕輔君紹介)(第二〇六〇号)

 同(細川律夫君紹介)(第二〇六一号)

 同(堀込征雄君紹介)(第二〇六二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二〇六三号)

 同(前原誠司君紹介)(第二〇六四号)

 同(牧野聖修君紹介)(第二〇六五号)

 同(増子輝彦君紹介)(第二〇六六号)

 同(増田敏男君紹介)(第二〇六七号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇六八号)

 同(松野信夫君紹介)(第二〇六九号)

 同(松本龍君紹介)(第二〇七〇号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第二〇七一号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第二〇七二号)

 同(村井仁君紹介)(第二〇七三号)

 同(森山眞弓君紹介)(第二〇七四号)

 同(山口泰明君紹介)(第二〇七五号)

 同(山下貴史君紹介)(第二〇七六号)

 同(山井和則君紹介)(第二〇七七号)

 同(山本拓君紹介)(第二〇七八号)

 同(横光克彦君紹介)(第二〇七九号)

 同(吉田泉君紹介)(第二〇八〇号)

 同(阿久津幸彦君紹介)(第二一四二号)

 同(伊藤忠治君紹介)(第二一四三号)

 同(石毛えい子君紹介)(第二一四四号)

 同(岩永峯一君紹介)(第二一四五号)

 同(宇野治君紹介)(第二一四六号)

 同(小野晋也君紹介)(第二一四七号)

 同(大野松茂君紹介)(第二一四八号)

 同(大前繁雄君紹介)(第二一四九号)

 同(太田昭宏君紹介)(第二一五〇号)

 同(岡本芳郎君紹介)(第二一五一号)

 同(奥村展三君紹介)(第二一五二号)

 同(梶原康弘君紹介)(第二一五三号)

 同(金子恭之君紹介)(第二一五四号)

 同(金田英行君紹介)(第二一五五号)

 同(小西理君紹介)(第二一五六号)

 同(小林憲司君紹介)(第二一五七号)

 同(小林千代美君紹介)(第二一五八号)

 同(近藤基彦君紹介)(第二一五九号)

 同(近藤洋介君紹介)(第二一六〇号)

 同(佐藤謙一郎君紹介)(第二一六一号)

 同(坂本哲志君紹介)(第二一六二号)

 同(実川幸夫君紹介)(第二一六三号)

 同(島田久君紹介)(第二一六四号)

 同(首藤信彦君紹介)(第二一六五号)

 同(砂田圭佑君紹介)(第二一六六号)

 同(高木陽介君紹介)(第二一六七号)

 同(達増拓也君紹介)(第二一六八号)

 同(玉置一弥君紹介)(第二一六九号)

 同(津島雄二君紹介)(第二一七〇号)

 同(津村啓介君紹介)(第二一七一号)

 同(寺田学君紹介)(第二一七二号)

 同(土井たか子君紹介)(第二一七三号)

 同(土肥隆一君紹介)(第二一七四号)

 同(東門美津子君紹介)(第二一七五号)

 同(中谷元君紹介)(第二一七六号)

 同(西野あきら君紹介)(第二一七七号)

 同(西村智奈美君紹介)(第二一七八号)

 同(野田毅君紹介)(第二一七九号)

 同(萩野浩基君紹介)(第二一八〇号)

 同(萩山教嚴君紹介)(第二一八一号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第二一八二号)

 同(浜田靖一君紹介)(第二一八三号)

 同(平井卓也君紹介)(第二一八四号)

 同(平野博文君紹介)(第二一八五号)

 同(前田雄吉君紹介)(第二一八六号)

 同(増原義剛君紹介)(第二一八七号)

 同(松野頼久君紹介)(第二一八八号)

 同(松本大輔君紹介)(第二一八九号)

 同外一件(三井辨雄君紹介)(第二一九〇号)

 同(山岡賢次君紹介)(第二一九一号)

 同(横路孝弘君紹介)(第二一九二号)

 同(米澤隆君紹介)(第二一九三号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二二七号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二二二八号)

 同(甘利明君紹介)(第二二二九号)

 同(井上喜一君紹介)(第二二三〇号)

 同(江崎洋一郎君紹介)(第二二三一号)

 同(江田康幸君紹介)(第二二三二号)

 同(江藤拓君紹介)(第二二三三号)

 同(小渕優子君紹介)(第二二三四号)

 同(大畠章宏君紹介)(第二二三五号)

 同(奥田建君紹介)(第二二三六号)

 同(川上義博君紹介)(第二二三七号)

 同(木村義雄君紹介)(第二二三八号)

 同(北橋健治君紹介)(第二二三九号)

 同(熊代昭彦君紹介)(第二二四〇号)

 同(小泉龍司君紹介)(第二二四一号)

 同(古賀誠君紹介)(第二二四二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二二四三号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第二二四四号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第二二四五号)

 同(佐藤錬君紹介)(第二二四六号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第二二四七号)

 同(自見庄三郎君紹介)(第二二四八号)

 同(篠原孝君紹介)(第二二四九号)

 同(神風英男君紹介)(第二二五〇号)

 同(田村謙治君紹介)(第二二五一号)

 同(高木美智代君紹介)(第二二五二号)

 同(竹下亘君紹介)(第二二五三号)

 同(谷畑孝君紹介)(第二二五四号)

 同(辻惠君紹介)(第二二五五号)

 同(寺田稔君紹介)(第二二五六号)

 同(中村哲治君紹介)(第二二五七号)

 同(蓮実進君紹介)(第二二五八号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二二五九号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第二二六〇号)

 同(藤井孝男君紹介)(第二二六一号)

 同(藤井裕久君紹介)(第二二六二号)

 同(古屋範子君紹介)(第二二六三号)

 同(松崎哲久君紹介)(第二二六四号)

 同(松野信夫君紹介)(第二二六五号)

 同(松宮勲君紹介)(第二二六六号)

 同(松本剛明君紹介)(第二二六七号)

 同(宮路和明君紹介)(第二二六八号)

 同(保岡興治君紹介)(第二二六九号)

 同(柳本卓治君紹介)(第二二七〇号)

 同(山田正彦君紹介)(第二二七一号)

 厚生年金病院・同保養ホームの公的施設としての存続に関する請願(米澤隆君紹介)(第二一二四号)

 カネミ油症被害者の抜本的な恒久救済対策の完全実施に関する請願(石田勝之君紹介)(第二一二五号)

 同(谷川弥一君紹介)(第二一二六号)

 じん肺根絶に関する請願(阿部知子君紹介)(第二二一二号)

 マッサージ診療報酬の適正な引き上げ等に関する請願(阿部知子君紹介)(第二二二四号)

 同(谷川弥一君紹介)(第二二二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案(内閣提出第六二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、健康局長田中慶司君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁次長小林和弘君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。

石崎委員 おはようございます。自由民主党の石崎岳でございます。

 きょうは、年金福祉施設を整理、売却するための独立行政法人を設立しようとする法案の質疑ということでございます。

 きょう、ちょっとこのペーパーを持ってまいりましたが、これは自由民主党の「年金資金運用・福祉施設改革推進ワーキンググループとりまとめ」という平成十六年二月二十七日付の文書であります。当時の自民党の厚生労働部会長は尾辻大臣でございました。大臣のもとで、こういう取りまとめを行いました。

 これは十五年の末から十六年の二月にかけて十回議論が行われたわけでございまして、当時の空気、世論、年金改革の大前提としては年金保険料のむだ遣いというのは排除しなければならない、こういう大変強い世論と党内の空気でありまして、それに基づいていろいろな議論が行われました。

 テーマとしては、グリーンピアの問題、それから年金の住宅資金融資の問題、年金の資金運用の問題、そしてきょうのテーマであります年金の福祉施設の問題、この四つの問題について大変しっかりとした方向性を打ち出した報告書でございます。それを受けて、三月十日には与党合意もなされ、それを受けてこの法案が提出をされたという経緯でございます。

 大臣は、当時の部会長として、責任者であったわけでありますから、この報告書を取りまとめた当時の部会長としてのそのときのお気持ち、これを改めてお聞きしたいと思います。

尾辻国務大臣 さきの年金制度改革に伴いまして、年金の保険料を財源として行われてまいりましたところの福祉施設事業に対して、貴重な保険料財源の使い方として大変厳しい批判がございました。

 また、そうした御批判を背景にいたしまして、今お話しいただきましたけれども、自民党におきましても、年金福祉施設等について、今後は福祉施設整備には新たに年金保険料を投入しないということを明確にした上で、早急に抜本的な整理合理化、売却を進めるという方針が示されたものでございます。今お示しいただいたとおりでございます。

 そして私は、当時、自民党の厚生労働部会長を務めておりましたけれども、こうした方針というのは国民の年金制度への信頼を確保するためには不可欠なものであるというふうに認識をしておりました。

石崎委員 この問題について、このとき初めてこうした問題が浮上したのではなくて、第二臨調以来、こうした公的施設等々の問題点、年金保険料の使い方の問題点、こういったことはそれ以前にもしばしば指摘をされてきた、あるいは問題化されてきたというふうに聞いております。

 しかし、その後、あるいは地元の要請、政治的な要請、いろいろな経緯、経過があって、今日、こういう年金施設の姿になってきた。また、施設がふえていく、増殖をする、そのこと自体が自己目的化してしまったり、あるいは採算性への配慮というものが欠ける、あるいは公的な枠組みの中で採算性というものが度外視される、そういう問題点がしばしば指摘をされてきた。それは、今いろいろ指摘されている社会保険庁が抱えるいろいろな問題点に通ずる、あるいはそれを象徴するような、そういう部分があると私は思っております。

 そういった意味で、問題点がしばしばこれまでも、過去にも指摘されたのに改革を怠ってきた、あるいは、今回、この整理合理化という方針を出すのがそもそも遅過ぎたんじゃないか、そういう気がするわけであります。これは私だけではないと思いますけれども、この点について大臣はどうお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 そうした面につきましては、現在、検証会議において、年金福祉還元事業の実施経緯でありますとかあり方の検証を行っていただいておるところでございまして、御指摘の点についての厳密な評価については、その検証を待たなければならないと考えております。

 しかしながら、現時点におきます私の率直な気持ちを申し上げますと、社会保険庁は、社会の環境及び国民のニーズの変化に敏感に反応する能力に欠けていたと考えますし、そうしたことについて十分反省をしなきゃならないというふうに考えます。そうした反省の上に立って、年金福祉施設等の整理合理化に取り組んでいかなければならないと考えておるところでございます。

石崎委員 今大臣が検証会議ということにお触れになりましたけれども、昨年の九月から、年金の福祉還元事業に関する検証会議というものが大臣のもとで設置されて議論を進められている。ことし夏ぐらいに結論を出すというふうに聞いております。その検証会議の検討事項の中には、今ありました年金福祉事業に対する評価ですとか、今後の厚生労働行政の政策決定のあり方をどのように見直すべきかというような検討事項の視点が盛り込まれているというふうに聞いております。

 ですから、今大臣がお触れになったように、検証会議の場においてどういう検証結果が出されるかということも、厚生労働省の今後の政策決定については非常に重要な要素であり、そのために検証会議を設けて意見を聞いているというふうに思います。

 しかし、その検証会議の結論がまだ出ないうちに、今この独立行政法人の法案を出し、一つの方向性を決め、今作業をもう既に開始をしようとしている。そのことの問題について検証会議で今議論をして意見を聞いているのに、方向性としては一つの流れとして走り出しているということの整合性、政策的な整合性、厚生労働省としての物事の進め方の順序や整合性、これに少し前後の問題点がありはしないか。せっかく検証会議をつくって意見を聞いているのに、その結論が出る前にこうやってもう走り出しているということの整合性に問題点はないでしょうか。

尾辻国務大臣 検証会議と申しておりますが、正確には年金福祉還元事業に関する検証会議でございまして、ここでは年金福祉施設事業の実施経緯などに関して検証をいたしまして、その結果を踏まえて事業の総括的な評価を行うものでございます。これによって年金福祉施設事業を再開することは考えておりません。

 したがいまして、今回の整理合理化はまた着々と進めさせていただきたい、こういうふうに考えております。

石崎委員 年金福祉施設事業は、いろいろな歴史的な経緯、経過があって、これは例えば地元から大変強い要望があったとか、あるいは我々政治家自身も、つくってくれつくってくれというふうにお願いをするとか、あるいは役所の中のいろいろな絡み、例えばOBの絡みもあるかもしれない、労働組合の絡みもあるかもしれない。いろいろな要素が絡み合った形で今日こういう形になってきているんだというふうに思いますから、これは我々全体の責任として、じゃ、これからどうするのか、どういうあり方が年金財政にとっていいかということと、年金福祉施設が果たしてきた役割というものをどうとらえて、それを今後どうするかという視点、国民に対する福祉という視点、これを忘れてしまったのでは、やはり厚生労働行政ではなくなってしまいますから、そういう両方の問題を考えていかなければならないというふうに私は思います。

 ここで、やはりちょっと考え方を整理しなければならない。この法案あるいは年金福祉施設に対する考え方全体について整理をしたいと思いますが、まず見直し、この年金福祉施設を見直す、あり方を見直す、これはもう当然であり、遅きに失したというふうに私は思います。

 それから、年金財源、保険料を新たな整備に投下しない、これも方向としては当然のことであると私は思います。それから、もう時代に合わないとか必要がない、あるいは民間で代替できるような事業、これは当然もうやめるべきである、そう私は思います。

 そして、すべての施設を譲渡、売却するという一つの方針であるわけなんですけれども、この譲渡、売却するという方針も私はいいと思いますが、じゃ、それぞれの個々の年金福祉施設が持っている、果たしてきた役割というのを全部なくすということが正しい方向なのかどうかということを、ここで考え方を整理しなければならないと思います。譲渡、売却して、社会保険庁が、国が全部やるという方向でなくてもいいと思うんだけれども、これまで果たしてきた年金福祉施設の役割がゼロになる、すべてその役割をなくしてしまうという方向の政策をとるのかどうかということでございます。

 ですから、今の年金福祉施設あるいは事業の役割がもうなくなってしまったのかどうか、完全に不必要な事業なのか。年金財政から見て、譲渡する、売却するという行為はもちろん当然のことでありますけれども、その事業自体がもう要らないのかどうか、オール・オア・ナッシングという議論なのかどうかということの考えの整理をしなければならないというふうに思います。

 ですから、一つ一つの施設あるいは事業に着目をして、この事業がどうなのか、評価がどうなのか、あるいは今後どうすべきなのかということを一つ一つ分析して吟味した上で一つの結論を出しているのか、十把一からげで、もう売ってしまえという議論なのか。一つ一つ、いや、これは国としてはやらないけれども事業としては必要性があるというふうな、例えばそういう事業分析というのをやった上での提案なのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

青柳政府参考人 すべての事業の必要性がなくなったというふうに私どもはこの件について考えておるわけではございません。

 しかしながら、今回の年金福祉施設等の見直しは、御承知いただいておりますように、近年の年金制度等を取り巻く厳しい財政状況、あるいは施設を取り巻く社会環境、そして国民のニーズの変化というものを踏まえまして、今後、年金保険料を年金の福祉施設等に投入しないこととするということに加えまして、年金資金等への損失を最小化するという観点から、例外なく年金福祉施設等の廃止、譲渡を行うということとしたものでございます。

 したがいまして、例えば病院機能の公益性でありますとか、あるいは健康管理センターなど医療施設の中心的な機能、そして老人ホームにおける入居者の生活の場としての機能、こういった機能につきましては、それぞれ、例えば譲渡に当たりましてもさまざまな配慮をする、あるいはその中心的機能が維持できるということを譲渡条件にするという形で配慮してまいりたいというふうに考えております。

石崎委員 そうしますと、例えば年金相談事業というのも現在各所で行われております。これも年金財源から出ている事業だというふうに思いますが、例えばこの年金相談事業など、今後の年金福祉事業というのは国ではもうやらないのか、あるいは、今後の年金福祉事業をどういう理念で、どういう形態でやっていこうというふうに考えているのか、この点もちょっと確認をしたいと思います。

青柳政府参考人 年金福祉事業につきましては、これまで、いわゆる箱物としての年金福祉施設の整備、それからこれに関連します委託事業のほかに、今お尋ねのございました年金相談等の業務というのを行っておるわけでございます。

 特にこの年金相談等の業務につきましては、今後、年金保険料は年金給付及び年金給付に関係する経費以外には充てないという基本的な考え方と整合的に事業を行っていくということが必要であろうというふうに考えております。

 したがいまして、国民のニーズに対応して引き続きサービスの確保を図っていくということが必要な、特にこの年金相談等につきましては、年金給付に関係する事業の経費ということを踏まえまして、今後とも適切にかつ効率的に事業を継続していく必要があるというふうに考えております。

石崎委員 そこのところはぜひしっかりと説明していただいて、年金の財源から何の事業をやるか、どの事業をやるか。年金相談は年金財源からやります。それから、年金事務費もかなりまだ財革法との関係で年金財源から出ている。つまり、そのことを、この法案のように一つすぱっと切って、年金財源から出しませんという考えを一方で出しながらも、まだ一方ではそういうふうに年金財源から出している事業がある。

 では、年金財源から引き続き出している事業について、しっかりと説明責任を果たす、国民に説明をする。年金のお金を払っている人、受給者、被保険者に、こうこうこういうことでこの事業は年金財源から出します、こっちはもうやめましたということをしっかりとわかってもらう、理解してもらう、そういうことが今この段階では非常に大事ではないかなと。そういう区分けをしっかりと国の立場として果たしていくということが大事ではないかというふうに思います。

 今回こういう法案が出て、私の地元でも、非常に大変な憂慮、不安、我が町の施設はどうなるんだといういろいろな声が私のところにも大変多く寄せられております。つまり、どうなるかわからない、どうなってしまうのかわからない、そういう不安が大変、これは、そこの関係者だけではなくて、そこに住んでいる方々、それを利用されている方々、そういう方々から不安の声が寄せられて、既にいろいろな要請活動、働きかけというような運動化している部分もございます。

 私の北海道の例でちょっと申し上げますと、例えば登別に厚生年金病院がございます。北海道ではただ一つの厚生年金病院でございます。登別市ではただ一つの総合病院であり、ただ一つの救急病院であるということで、登別市内に限らず、その地域にとっては大変大事な、地域住民の生命、健康にとっては非常に大事な役割を現在果たしている大きな病院であるということでございます。

 今回の一つの方針では、厚生年金病院については地域の声というのを大事にしながら対応をしようという方針を打ち出しておりますけれども、じゃ、その先どうなるのかということについて大変住民の方々が心配をしておられる。十万人という存続署名が集まったということでございます。つまり、今回の方針では病院の機能は存続するために十分配慮をしますという方向性は打ち出されているんだけれども、じゃ、その後、地元で買ってくださいということになったら、今のこの地方の財政事情の中で、例えば登別市があれだけの病院を、はい、買いますというような財政力というものはもはやないということでございます。

 ですから、十分配慮する、だけれども、その先にある具体的にどう譲渡していくかという道筋、方向性というのがわからない、不透明である、そうすると住民の方々が、じゃ、どうなるのかと心配する、これはもう当然のことだというふうに思います。ですから、その先、つまり、国としてもう持たないということはいいかもしれないけれども、その先どうなるのかという不安を解消するための一つの方針、方向性、これはこの際しっかりと示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 お尋ねの登別の厚生年金病院についてでございますけれども、登別市長さんからも、市内唯一の公的な病院ということで、必要不可欠である旨の存続要望をいただいているところでございます。

 ただいま議員の方からも御紹介がございましたように、地域医療にとって重要な役割を果たしている厚生年金病院、この譲渡に当たりましては、病院機能の公益性を損なうことがないように、十分に検証をした上で適切な方法により進めていくということが私どもの基本的考え方でございますが、その際には、地域医療を維持していく上で必要な機能につきまして地方公共団体等と協議をしていくということとしております。

 具体的な譲渡方法等につきましては、厚生年金病院に関します整理合理化計画をこれから策定するということになるわけでございますので、その過程においてきちんと検討してまいりたいというふうに考えております。

石崎委員 質問の答えは、きちっと検討をしていくという、今その部分だけですから、まだよくわからない。これから計画をつくって、その上でどうするかということを詰めていくということでありますから、現実問題として非常に難しい問題がある。特に、今、地方の財政事情、財政力ということを考えた場合に、受け皿というものが具体的に想定し得ない。

 ですから、かなり臨機応変に、病院としての役割、病院としての機能を維持存続するための方法論というのは、かなり入念に地元と協議をしながら具体的に考えていかないと、これはつまり、厚生労働省としてやってきたこと、その仕事というのがおかしくなってしまう。国民の生命、健康、そのことを守るためにいろいろやってきたことがおかしな方向になってしまう。

 そういう非常に重要な問題でありますので、これから検討するということでありますが、その検討する過程の中で、より地元と密接に連携をとりながら、具体的にどうしていくか、そこに住む人の健康や生活というものを不安にさらしてまでこの方針を貫徹するということではなくて、住民の幸せ、健康を守りながら国全体としての年金財政を安定させていく、プラスにしていくということでなければ本末転倒の話になってしまいますので、そのことはぜひしっかりと認識をしていただきたいというふうに思います。これは何も登別とかそういうことじゃなくて、厚生年金病院という、全国で幾つかある中で共通した認識ではないかというふうに私は思います。

 病院の方は一つ、この方針の中ではそういう例外措置というか、例外的な取り扱いをするという方針になっておりますけれども、それ以外にも私のところにいろいろ要望が寄せられるんです。例えば、私の地元の札幌市の北海道厚生年金会館という施設がございます。

 これは、北海道でも一番大きなホールですけれども、二千三百席を有するホールと宿泊施設と例えばレストラン、そういう複合施設であります。宿泊施設、レストラン、これはもちろん民間で代替できますから、それはもう別に売却してもいいと思いますが、ホール、これはいろいろコンサートをやったりイベントをやったり、札幌の中では大変重要な文化インフラであります。

 ここで考えさせられるのは、一般競争入札で売却します、例外なしでやりますという方針の中で、じゃ、そのホールの文化的なインフラのソフト機能というものがどうなるのかというのが、売却した段階でよくわからない。買った人によっては、建物をつぶして更地にしてマンションを建てるかもしれない。その非常に大事なソフト機能、文化機能というものが、売却という方針の中でどういう運命になるのかわからない。そこのところに、また地元の方々の大変な不安があるわけでございます。

 いや、もうそんな、一々一々個別の事情なんて聞いていられないよ、全く例外なしに全部売っ払ってしまうんだということの方針でありますけれども、そうすると、その中に、その地域地域、これまで三十年以上もいろいろな文化的な行事をやり、そしてその地域にとっては代替し得ない文化施設としての機能を果たしている、そのことがこの今回の方針によって、全くそういう価値というものをすべてゼロにしてしまう、そういう方向をとるのかどうかということについて大変懸念を持っている地元の方が多いわけでございます。

 ですから、例えばこの厚生年金会館の場合ですと、地元と十分協議するとか、あるいは地元に優先的に売却するようなスキームを考えるとか、あるいはその機能を活用するということを前提にした入札という方法をとるとか、一般競争入札でどうなってしまうかわからないんじゃなくて、ある程度その機能が保持されるような譲渡、売却の方法ということを考えられないかどうかということでございます。

 ですから、先ほど病院の件でも申し上げました。病院の件でも、つまり、その病院が果たしてきた保健機能、病院として地域の住民の生命、健康を守るという機能を根こそぎ否定してしまったのでは、これは厚生労働行政ではないでしょう。それから、この厚生年金会館のように長年続いてきた文化的な機能、これが、一円でも高く売れればいいということの中で、その文化的な機能というものもゼロにしてしまうということを願うのも、これは厚生労働行政では恐らくないでしょう。

 その中で、じゃ、どうするかということについて知恵がないかどうか、大臣として何かお考えがないかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。

尾辻国務大臣 地域におきまして長年にわたり住民の手で形づくられてまいりましたさまざまな文化活動は、地域の貴重な財産であるというふうに考えます。今改めて、議員のお話を伺いながら、北海道厚生年金会館がこれまで果たしたような、文化活動の拠点として北海道の文化を支えてきたことについて、認識も新たにさせていただきました。

 そういうことをよく聞かせていただいて、さらに申し上げますと、これは冒頭に御質問もいただきましたけれども、社会保険庁をめぐる大変大きな御批判、厳しい御批判がありまして、その御批判は幾つもあるんですが、そのうちの一つが、こうした福祉施設を持っておる、それがむだなことではないかということでございまして、どうしても社会保険庁に対する信頼を回復しないと年金そのものに対する信頼まで揺らいでしまう、私どもとしては何とかして国民の皆様方の年金に対する不信をぬぐって信頼をかち取りたい、そういう思いの前に、一遍社会保険庁が身ぎれいになる、福祉施設というようなものを全部売却して身ぎれいになるということがどうしても必要なことではないかと判断したところでございます。

 そういうことで、私どもも一種のジレンマの中で悩みましたことも事実でございますけれども、やはり、与党の方針にも従いまして、年金資金等の損失の最小化を図るという考え方に立って、今、原則一般競争入札により譲渡するというふうに申し上げておることを御理解もいただきたいと存じます。

 ただ、それはそれで原則でございますので、年金福祉施設の持ちます、今お話しいただきましたような文化的な価値というのは極めて大きい場合もございますので、そうしたケースにおきましては、地元の地方自治体ともよく御相談申し上げまして、地域の文化の拠点として残したいという御意向をどのように反映できるか、私どもも検討してまいりたいと考えます。

石崎委員 ぜひ、地元の方々と協議をして、そういう道というのを探っていただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、年金福祉施設、いろいろな問題があって、その事業に年金の財源を充てるということを遮断するということは当然のことで、これは徹底してやるべきであるというふうに思いますが、そのそれぞれの事業が果たしてきた役割がゼロになったかどうかというのはまた別の問題として、その事業がこれから社会の中で必要な事業であるのであればその事業をスムーズに継承できるような、その事業が社会の中での存在意義があるのであればそれが存続し継承できるような対応というのを考えないと、今まで果たしてきた役割というのがゼロだ、オール・オア・ナッシングの議論になってしまう、そのことを心配しているということでございますので、ぜひとも御検討をいただきたいと思います。

 それから、この独立行政法人でございますが、およそ三百億円のコストをかけて五年間で施設を売却していくということでありますが、費用対効果という面で、そこまで独立した組織をつくって三百億かけてやって、その費用対効果はどうなのかという心配もありますし、何よりも、人材が確保されなければ売却というのがスムーズに進まないだろう。人材の面、五年間だけちょっと働きに来てくれよということでそれだけのスペシャルな人材が集まるのかどうか、ちょっと心配でありますが、その点について確認したいと思います。短く。

青柳政府参考人 機構の費用対効果、あるいは人材の確保という点についてお尋ねをいただきました。

 そもそも、今回の整理合理化におきましては、御承知のように、三百を超える数多くの施設を対象としておりますので、こういった多くの施設を集中的かつ効率的に売却するという観点からは、理事長や職員を民間から登用して、民間の知見を最大限活用できる専門の組織が必要ではないか、しかし、国としては大臣の監督下でそういった民間の専門的知見を活用しながら厳格に評価を行っていくという形の、すなわち独立行政法人という形がその意味でも最も望ましいという判断をしたものでございます。

 また、人材の確保につきましては、理事長の方については民間から専門的な方を登用するということで考えております。具体的な確保の仕方については、今後理事長に就任される予定の方と相談をした上で進めることになりますが、イメージとしては、例えば、民間企業からの出向、あるいは公募による採用、既に民間企業を退職した経験者の採用、こういった方々を念頭に置きつつ、信託銀行あるいは不動産コンサルティング会社等において不動産の取引や不動産信託の経験を有する方など、さまざまな業界においてこういった不動産取引に関する経験、知識を有する方を採用するといったようなことを具体的に念頭に置きながら、その確保に努めたいと考えております。

石崎委員 まだ質問を準備しておりましたが、時間がなくなりましたので、終わります。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、米澤隆君。

米澤委員 ただいま提案されております法律について若干質問をしたいと思います。

 薄っぺらな参考資料の冒頭から入りますが、ここには「国においては、これまで、厚生年金保険法、国民年金法等に基づき、年金福祉施設等を設置してまいりましたが、厳しい年金財政の状況及び社会経済状況の変化等を踏まえ、その整理合理化を進めることとし」たということになっております。これは、素直に読めば、年金福祉施設等に名をかりて年金財政から垂れ流し的に投資はしない、これから遮断していく、そういうふうに読めます。

 が、社会経済状況の変化等を踏まえ整理合理化を図る、この流れがちょっとわかりかねますから、説明してください。

青柳政府参考人 ただいま、私どもの提案理由説明の中から御引用されて説明を求められたものというふうに認識をしております。

 「厳しい年金財政の状況」という点については、これは御承知いただけるかと思いますが、現に、厚生年金も含めまして単年度の収支が赤字ということで、平成十七年度は積立金を取り崩すという予算を組まなければならないというような状況、これを「厳しい年金財政の状況」というふうに御認識をいただければと存じます。

 また、「社会経済状況の変化」と申しますものについては、さまざまな要素を考えることができるわけでございますが、例えば一例を挙げますと、年金の福祉施設という形で被保険者の方々の福祉の増進を図るという必要性が、かつてこういったレジャー施設等が少なかった昭和三十年代、四十年代に比べて今日は民間の施設が大変ふえておるので、これはやはり状況が変わっておるだろうというふうなことも一般的には言えようかと思います。

 また、病院等につきましても、最初のころは、例えば障害年金の受給者の方に対して適切な整形外科療養等を行うためにこういった厚生年金病院等が必要であったわけでございますが、これは医療施設のさまざまな充実によりましてその必要性というものも大いに変質をしておるというようなことがございます。こういったことを総合的に表現する表現といたしまして「社会経済状況の変化」というような一つのフレーズを使わせていただいたというふうに御理解いただきたいと存じます。

米澤委員 今の御説明を聞いておりますと、何か、素直にわかってくださるのが当然でしょうというような言い方にしか聞こえません。

 なぜこの法案が出てきたのか。この法案が出てきた背景は何があるんですか。もっと反省しなきゃならぬのじゃないですか。自分たちがいいかげんなことをして、こんなものをみんな廃止して地元の住民に迷惑をかける。これでおしまいだというような法律は絶対だめですよ、こんなものは。基本的に、なっておらぬ。

青柳政府参考人 大変失礼をいたしました。

 今回の法律案を提案させていただきました背景には、先ほど大臣からも御説明がございましたように、年金制度に対する不信あるいは不安といったものの一部をなす背景といたしまして、社会保険の事業のやり方についてのさまざまな御批判、あるいはそれについての不満、こういったことを私どもとして真摯に受けとめまして、そういった声をいわば背景といたしまして今回の法案を提出させていただいたという事情がございます。

米澤委員 こういう流れになったのは、年金制度に対する不信とか保険料のむだ遣いとか、ましてや厚労省や社会保険庁に対する怒り、そういうものが背景にだあっとあります。そういうものが国民にあるからといって、こういうふうにして排除していくことが国民の声にこたえる道だと思っておる理屈がわからぬ。

 本当に反省し、また是正してもらわねばならぬのは、もっと年金に対する信用を深めてほしい、社会保険庁は余りいいかげんなことはしないでほしい。次から次に累次の不祥事件が起こって、それが国民の声を荒げ、最終的には天の声として、こんなのはぶっつぶせという話になった。だから、この話は、有識者懇が扱っておる、社会保険庁をどうするかという問題と別の問題なんですね。

 そういうことを考えますと、何も、病院をつぶしたり、いろいろな何とかホームをつぶしたり、こんなのは全然国民の声じゃないでしょう。国民の声は、残せでしょう。おれらが言っておるのは、役人の方はもっとまじめにやってくれと。そういうこともできずに何だという声はあっても、ここの社会保険病院をつぶしてくださいなんという声は一つでもありましたか、大臣。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私どもは、まず、年金に対するこの不信を解消して、年金に対する信頼をもう一度かち取りたい、それが一番大きな、我々が今考えておるものでございます。そのために、社会保険庁に対する大変な御批判もありますし、これまた不信もございますので、まず、社会保険庁がしっかりと生まれ変わって信頼を取り戻さなきゃいけない、そこから始めなきゃいけないというふうに考えております。そこで、今お話もいただきましたように、社会保険庁をどうするかという有識者会議のお答えもいただきましたので、さらに今後私どもは具体的にその作業を進めていきたいと存じております。

 そうした中で、この社会保険庁が持っておりました福祉施設と言われるものをどうするのか、いろいろな御議論がございました。今先生のお話のようなお話もなかったわけではないんですが、私どもが理解しましたのは、全部きれいに譲渡して、まず身ぎれいになれというふうなお声だったというふうに判断したものですから、その方向で今作業を進めておる、こういうことでございます。

米澤委員 調査室のつくった資料を見ておりますと、今からあなた方がつぶそうというものが、歴史的にどういう理由で、あるいは厚生省の福祉政策の推進のために拠点としてこういうものをつくりたいと、涙が出るほど努力しながらつくった施設ですね。何とかピアとか、気に入らぬ言葉がたくさんありますが、厚生年金病院にしても、年金会館にしても、老人ホームにしても、スポーツセンターにしても、休暇センターにしても、サンピアにしても、保養ホーム、サンテール、健康保養センター、年金会館、健康センター、総合健康センター、社会保険センター、社会保険健康センター等々、長い歴史の中で、こういうものをつくってこそ初めて国民年金に入っている方々あるいはOBの方々に対するサービスだ、そしてそれがまた厚生行政の推進に非常に役立つということで、苦労をさんざんしながらできたものですね。だから、これは相当な先輩連中の汗も入っておる。

 こういうものをこの時点において、社会保険庁の不祥事等があってこれではどうも締まりがつかぬということで、今度はこっちまでつぶした方がいいなんという発想は、厚生行政の福祉政策を捨てるということだよ、放棄すること。

 もう一切これからはこんなのはつくらないんでしょう。つぶすのは簡単だけれども、将来こんなのはつくらないといったら、あなた方の行政の範囲はぐっと狭まるんだね。こんなのをなくしてしまったら人間は要らなくなるんじゃないの、本当に。本当に特異な、厚生省がやらねばならぬ問題に特化されて、今まで何となく厚生省は福祉の味方だというように人が見ていたものは、みんななくなってしまう。何か感じないですか、これでいいのかと。

青柳政府参考人 ただいま議員の方から、現在の年金保健福祉施設でさまざまな施設を整備して、これが広い意味で国民の福祉の増進等につながったという御指摘をいただいたところでございます。確かに、こういった施設がこれまで果たしてきた役割というのは小さくないということは御指摘のとおりかと存じます。

 しかしながら、先ほども若干触れましたように、例えば社会保険の病院、厚生年金の病院が、昔、我が国の医療施設が数が少なくその充実がおくれていたときに果たしていた役割と、今日のように、民間の医療機関が非常に充実してきたときに果たしている役割とでは、おのずとその果たしている役割の意味合いも違ってくるのではないかと思います。また、宿泊施設等についても、被保険者の方々のそういったレジャーの機会というものが限られており、またそういった施設が数が必ずしも多くなかった時代と、今日のようにさまざまな種類の施設が充実している時代というのでは、やはり同じように意味合いは違ってくるのではないだろうか。

 その意味におきましては、例えば年金の保険料を使ってこういった施設を引き続きつくるかどうかということについては、私どもはこの機会に、きっかけとしては年金への不信感をどうやって払拭するかということであったかもしれませんが、白紙の立場で、こういったものが引き続きこういった保険料を充ててつくるべきものかどうかということを虚心坦懐に考えてみますと、やはりおのずとその結論は出てくるのではないだろうか。

 したがって、今日でも機能として残すべきものについては、先ほど来お答えしているように、さまざまな、厚生年金病院の態様でありますとか老人ホームの態様のように、その機能が持続できるような工夫をしつつ、それ以外のものについては、こういった年金保険料を充てる、あるいは、そういったものを売却して年金財政の損失の最小化に資するということがむしろ求められているのではないかというふうに認識をしている次第でございます。

米澤委員 確かに、宿泊施設みたいなものを何で年金財源でつくらねばならぬのかというのは常識的によくわかります。ただ、いろいろな苦労の末にできてきたこういう福祉施設を一律にみんなつぶすんだ、だめなら廃止だというこの乱暴なやり方は、本当に民主的な手法かということです。厚生省には民主的手法というのはないんでしょうか。もうここで廃止することを決めたら、新たに福祉施設はつくらないということですね。となれば、厚生年金保険法第七十九条に基づく福祉施設事業は、ほとんど継続する考えはないということですね。継続する考えがなくなったというのかな。

 と同時に、お聞きしたいのは、この福祉施設事業の是非について本当に議論がなされたのか。ただつぶせばいいよ、一、二、三でやったら自分たちの責任もここで逃れるよという、そんな発想の方が強かったのじゃないか。みそもくそもほうり投げて、みんなこれをやっつけるのだ、どうだ、おれたちはこんなに頑張っておるのだ、反省しておるのだと。これは見せかけの反省ですよ。福祉行政を担当する者として本当にこれでいいのかという鋭い反省みたいなのがあったのかどうか、定かではありません。

 そこで、先ほどの話に返りますが、もう七十九条に基づく福祉施設事業は未来永劫にやらない、あなた方の仕事をずっと狭めた。この福祉施設事業の是非について、どういう議論がなされたのですか。いいじゃないか、いいじゃないかですか。もし福祉施設事業が継続できないのであれば、それにかわる事業を何か想定していらっしゃるのか。また、このことを被保険者や受給者等にどう説明されるのですか。自民党の中でがやがややってこういう結果が出た、それでこの法律をつくることを内閣が決めた。今までかかわってきた保険者や被保険者や受給者、こういう皆さんに、つぶしますよというのをあなた方はどう説明するのか。一回サンプルで言うてみてください。

青柳政府参考人 まず、こういった福祉事業について今後どうするのだというお尋ねからお答えをいたしたいと思います。

 年金の福祉事業につきましては、御承知のように、今御質問のございましたいわゆる箱物の年金福祉施設の整備のほかにも、例えば年金相談等の業務がこれに該当するものとしてこれまで行ってまいりました。これらの事業については、基本的な考え方は、年金保険料は年金の給付及び年金給付に関係する経費以外には充てないという考え方でございますので、これに当てはまるものは、逆に言えば福祉事業として継続をすることになるだろうと思います。したがいまして、具体的には、国民のニーズに対応して引き続きサービスの確保を図っていかなければならない年金相談、こういったものについては、年金給付に関係する事業ということで今後とも適切に事業を継続していく必要がありますので、年金福祉事業として実施をさせていただきたいと考えております。

 また、事業そのものについての反省といったような形をどういうふうに具体的に進めるのかということにつきましては、先ほども若干お話のございましたいわゆる検証会議という形で、私ども、現在有識者の方々に、年金事業についての経緯を踏まえて、例えばどの時点で判断を誤ったのであろうか、どういうところについて具体的にまずかった点があったのであろうかということを検証していただいております。したがいまして、私どもは、その検証結果を踏まえていわば総括的な評価というものをきちんとして、その総括的な評価の結果は、被保険者や受給者あるいは広く国民の皆様にもお示しをしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

米澤委員 こういう状況になったこと、あるいは社会保険庁の抜本的な改革の論が大変盛り上がっていること、これは根は同根だと思いますね。

 しかし、こういう福祉施設を譲渡や廃止するということは、保険料を拠出した被保険者、年金受給者等、利用者や地域住民の声を反映したものかどうか大変疑わしい。そんな話を聞いたチャンスがありましたか。今からつぶそうと思いますが皆さんも賛成してくれますか、そんな相談をされたことはありますか。勝手に、おれたちが言うたらわかってくれるだろうぐらいの生意気な発想だと私は思うんですよ。与党の中だけで話し合われたものを国民の総意と称しているのではないか。野党の方にもこんな議論をされたことはありませんね、文句を言うやつが出てきたかもしらぬが。まさにこれは小泉流ですよ。上からやればだれでも従うものだと。

 年金受給者等に本当に相談はあったのか。意見を聞いたのですか。与党の議員だけが国民の総意ですか。たくさんの署名運動等が厚生省にも届いていると思いますが、読んだことはありますか。以上、一括してお答えいただきたい。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

青柳政府参考人 まず、福祉施設の今回の見直しについて、どういうふうにその説明責任を果たしていくのかというお尋ねがあったというふうに理解をしております。

 従来、社会保険の仕事のやり方について、広く被保険者やあるいは受給者の代表の方にこれを御説明していく機会というものは、残念ながらこれまで設けられておりませんでした。

 そこで、私ども、昨年から、社会保険の仕事のやり方の見直しの一環といたしまして、社会保険事業運営評議会という形で、ここには被保険者、事業主の方、あるいは受給者のお声を代表できるような方、学識者の方でございますが、入っていただきまして、この事業運営評議会でさまざまな社会保険庁の事業の姿あるいは今後のやり方について御説明をし、また御意見をいただき、これを事業に反映していくというやり方をさせていただいております。

 この年金福祉施設の整理合理化の問題につきましても、これまで私どもとしては、事業運営評議会に数回にわたりまして、こういうことを考えている、あるいはこういうことがこれまで方針として決まっている、あるいは、法案ができました後には、こういう形の法案というものを国会に御提出させていただいたというような形で、御説明、御報告をさせていただいております。

 もちろん、これだけで十分だとは思っておりませんが、従来全くそういったやり方がとられてはいなかった社会保険庁の仕事のやり方の中にこういうやり方を新たに導入したという点については、ぜひとも御理解を賜れればというふうに思います。

米澤委員 こういうことになったのは、それぞれいろいろな方がかんで、結果としてこういうふうになったのだろう。一番悪いのは政治、役人。地元の住民だってつくれつくれの大合唱。いろいろな方がかんでいますから、何となく自分の責任じゃないと思っておる人が多いのじゃないか。これは戦後日本の政治の一番悪い利益誘導型の結末だと私は思いますね。そういう意味では、政治を語る者にとっては本当に反省を強いられていることではないかと思いますが。

 しかし、こういう施設をもし五年間にわたって売り続けてあるいは廃止させてしまって、そういう我々の責任が解消されるか。未来永劫、これは墓に入るまで我々は背負って立たねばならぬ利益誘導の罪ですわ。そのことが結果として厚生省をどんどんどんどん縮めていくことにつながるという反省を、大臣、されておりますか。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私どもがこれまで本当にきっちりと時代のニーズにこたえて仕事をしてきたのかどうか、そうしたことについて反省しなきゃならない、社会保険庁をめぐる特に多くの不祥事についてはそう思います。

 その反省の上に立って今回の福祉施設の譲渡ということも考えなきゃならない、そう思っておりまして、まさに今先生のお話を、深い反省に立ちながら改めてお聞き申し上げていたところでございます。その反省の上に立って、今後の仕事をさらにまた進めていきたいと存じます。

米澤委員 この法案が提出されることによって、今までの福祉施設はすべてなくす、これから新しい福祉施設への投資はないということが決まっておるわけですね。

 年金財源は使わない。また勝手にすぐ法律をつくって、やりたいときはやるというのが日本のでたらめなところだけれども、もし未来永劫に年金原資はもう使わないというならば、委員会等で再々議論になりましたように、年金の金を流用する根拠として扱われた厚生年金保険法第七十九条、国民年金法第七十四条、健康保険法第百五十条の第一項、第二項、これを根拠として、年金保険料などを使って不動産を購入し福祉施設の整備を行ってきたわけですから、もうこの根拠法は要らなくなりますね。

 皆さん方が、これから福祉施設なんかつくりませんよと本当におっしゃるならば、やはり根を絶つためには、この法律を凍結するか、廃止法案を次の国会に出してもらいたい。それぐらいでないとあなたの決意は見えないよ。またうまくやって天下ろうと、財務省の予算折衝の中で、どうしても厚生省としては欲しいんだけれども、こっちがかたいとなったら、ではこっちにまたお世話になろうかと。その甘えた根性がこういうのを肥大化させてきたんだ。

 だから、本当に後を絶つとおっしゃるならば、この法はもう要らないですね。つぶしてくれますか、これは。約束してください。それがあなたのおっしゃることの担保だ。

青柳政府参考人 厚生年金保険法七十九条等、福祉施設事業の根拠となっている条文について、これを削除すべきではないかというお尋ねをいただいたわけでございます。

 御承知のように、例えば厚生年金保険法の七十九条では、被保険者等の福祉を増進するため必要な施設をすることができるという規定がございまして、この規定に基づきまして、先ほど来申し上げておりますように、箱物としての年金福祉施設の整備のほかに、例えば年金相談等の業務を行わせていただいてきております。

 今後のこの事業についての考え方は、年金保険料は年金給付及び年金給付に関係する経費以外には充てないという基本方針のもとに事業運営を行っていくということにしておりますので、したがいまして、今後とも、国民のニーズに対応して引き続きサービスの確保を図っていかなければならない年金相談事業、こういったものにつきましては、従来に引き続きまして、例えば厚生年金保険法でいえば七十九条に基づきまして、福祉施設事業として適切に実施をさせていただきたいというふうに考えております。

米澤委員 またそこにごまかしができる可能性があるんですよ。年金の相談をやるための金が要るといったら、それだけに特化したらいいじゃないですか。こんな、どっちでも読めるような法律で、あなた方はしゃぶってきたんだから。そのしゃぶりをなくすためにも、今おっしゃったように、年金の業務に関して、それに類するものはどうだという限定的な使い方がされれば、国民みんな賛成するよ。しかし、一行、年金が何とかと書いてあれば、それに付随してこれもあるこれもあるといって拡大解釈してきた歴史が、この法案の取り扱いの歴史ではないでしょうか。なくたっていいんだよ、こんなもの。本当に、おっしゃるのも、年金業務に金を出すという、それだけでいい。予算措置をすればいいんだ。わざわざ仰々しくこういうものをもって、何かいつかは我々の味方に使えるだろうと。そこらが助平根性なんだ。

 本当にもう年金の原資は流用しませんとはっきりおっしゃるならば、流用しないような法律をつくるべきじゃないですか。ここまで来て、流用のぼろが出てきてどうしようもなくなって、これは年金原資に損壊を与えるかもしれないというようなときにこの議論をしておるんですよ。これからどうですかといったら、まだ年金業務は残っていますからと。そんな論法で逃げられるなんというのは、もう最初からごまかそうと思っている証拠だよ、こんなの。返答が気に入らぬな。

青柳政府参考人 御説明の仕方に不適切な点があったとすれば、おわび申し上げたいと思います。

 ただ、繰り返しになって大変恐縮でございますが、私ども、福祉施設事業ということで、受給者の方の利益になるような年金給付あるいは年金給付に関係する事業につきましては、引き続きその充実を図ってまいりたいと考えておりますので、その意味では、この福祉施設事業の根拠条文に基づきまして、みずから適切にかつ効率的なサービスの提供ということで努力をさせていただきたいというふうに存じます。

米澤委員 納得はしていませんよ。またいつかこんな話が出てくると思いますが。

 法案に書いてあります年金財政の損失の最小化、これはどういう意味ですか。五年間で約三百施設をすべて売却整理することと損失を最小限にするということとは、どこかで相反することになるのではないでしょうか。これはどんなスケジュールが決まっているんですか。

 整理合理化計画においては、「機構の業務に対し必要な支援を行う等、所要の措置を講ずる。」とありますが、予算等の措置も講じずに整理合理化を推進することができるんですか。実態はどうなっていますか。五年間ですべての施設の譲渡が完了しなかった場合、国有財産に戻すとのことでありますが、極めて中途半端ではないんでしょうか。売れなかった責任はだれかがとるんですか。それぐらいの気持ちで売らない限り、こんなものは簡単に右から左に売れるものじゃありませんよ。

 今、こんなものがどんどん売れるぐらい、世の中の経済はいいですか。厚生省の景況感を聞きたいな。この種類のものはどんどん売れる、ちょっと努力すれば売れる、四十人がはいずり回ったら売れるよという状況ですか。それなら心配することはない。

青柳政府参考人 ただいま三つの点についてお尋ねがあったというふうに理解をしております。

 まず、一点目でございます。三百を超える施設を譲渡、売却するということと、年金財政の損失を最小化するということはどういう関係になるのかというお尋ねが一点目のお尋ねであったかと存じます。

 これは、三百を超える年金福祉施設を譲渡、売却いたしまして、その結果生じます譲渡益につきましては、これを最終的に特別会計に戻していただきまして、特別会計を通じて年金給付の財源に充てる、こういう関係になっておりますことを先ほど御指摘があったような形で表現をさせていただいたものでございます。

 それから、二点目のお尋ねは、そういった事業を行うための経費について、五年間でやるということなんだけれども、例えばそういったもので財源的な裏づけなりを、特に国の補助金なり交付金という形でやっておらないようだけれども、これはどういう形になるのかというお尋ねと理解をいたしました。

 この点につきましては、そういった譲渡益をいわば事業の経費に充てるということを念頭に置いております。したがいまして、事業開始時点で譲渡益がまだ生じていない時点では、民間、市中から借り入れをいたしまして、その借り入れをしたお金でまずは事業を開始する。そして、その後に、施設が順次売却をしていった段階でそういった借り入れを返済していくという形での経費の計画を考えている次第でございます。なお、この経費は、五年間でおよそ三百億円程度が必要になるのではないかと見込んでおる次第でございます。

 三点目でございます。もし五年間やってみて、うまくそれが売却できるという展望を持っているのかどうか、議員のお言葉をおかりすれば、厚生労働省としての景況感いかん、こういう御趣旨のお尋ねであったかと存じます。

 もとより私ども、いわゆる国の、政府の役人がこういった事業に携わろうとすれば、これは必ずしもそういった展望が明るくないということは御指摘をまつまでもなかろうかと存じます。そこで、この独立行政法人は、理事長を初めとする職員の方々について、民間の専門家の方々にお願いをいたしまして、この役員、職員になっていただく。こういった方々の知見あるいはさまざまなノウハウ、こういったものを最大限活用して、この五年間での三百施設の売却を図ろうという趣旨のものでございますので、確かに景気がなかなか回復が遅いということで御懸念をいただくのはごもっともかというふうにも存じますけれども、私どもは、そういった民間の専門家の知識あるいは経験といったものを十分に発揮して、所期の目的を達成していきたいというふうに考えている次第でございます。

米澤委員 今冒頭、譲渡益から出すという話がありましたね。譲渡益も、これは年金原資の一部なんじゃないですか。年金原資からは出さないとおっしゃった。しかし、うまく回して浮いたものはおれたちのものだと。譲渡益を使うというのは本当ですか。約束違反じゃないの。

青柳政府参考人 この独立行政法人につきましては、先ほども御説明をさせていただきましたように、年金の保健福祉施設を売却いたしましたその譲渡益を、いわば経費という形で必要最小限人件費等に充てさせていただく、そして、その経費を差っ引いたものがいわば売却の純益という形になりますので、これを国庫に納付する、こういう考え方をとらせていただいている次第でございます。

米澤委員 物は言いようだと思いますが、それ以上言っても、アンテナが立っていない人には物を言ってもしようがない。

 施設の競争入札のいろいろな例があるわけですが、先行事例から見て、譲渡予定価格を上回らずに不調に終わっている例がたくさんあると聞いています。今後も同様な事態が起こり、結局のところたたき売りとならざるを得なくなるのではないか、かえって損失を大きくすることになりかねないのではないかという意見がある。どのように思いますか。

 五年間で譲渡できず売れ残った施設は、一体どうするんですか。更地にして土地のみを譲渡する場合、建物の取り壊し費用と国有財産の廃棄という二重の損失を負うことになりませんか。

 売れ残った施設では、譲渡先が決まるまでの期間、間があいた場合の施設の維持管理をどう考えておられるのか。

 以上、三点。

青柳政府参考人 施設の売れ残りに関しまして、幾つかの御懸念があったかというふうに存じます。

 ちょっと順不同になるかもしれませんが、まず、一番最後に、施設を廃止して、その後売却ができない状態になったときに、維持管理等に経費がかかるのじゃないかという御心配をいただきました。

 私ども、その意味では、施設の廃止そのものについても、一律に用意ドンで一遍に廃止をしてしまうというようなことは当然あり得ないというふうに考えておりますので、そういったいわば売れる計画といったようなもの、タイミングといったようなものをきちんとはかりながら施設の用途を廃止していくということで、例えば維持管理に要するような費用というものの最小化を図るということが当然必要になってこようかと存じますが、これは一義的には、独立行政法人と、その独立行政法人から運営委託を受けるところの公益法人等でよく詰めていただき、万が一遺漏がないようにしていただきたい。私どもも、そのように指導してまいりたいというふうに考えております。

 それから、更地になったときに、更地にする分のいろいろな経費等について、二重のいわば損失みたいな形の問題が起きるのじゃないかというお尋ねがあったかというふうに存じます。

 私ども、基本的には、建物土地を用途を特に限定せずに譲渡、売却をするということで考えておりますので、基本的には、それは買った事業主の方が、自分のいわばコストの中でそれを更地にしたい場合には更地にするということになろうかと存じますので、一義的にはそういった二重の損失というものは私どもの方には生じないのではないかというふうに思っております。

 ただ、借地の上に建物を建てておるようなケースというものは当然ございます。こういう場合については、地主の方がこれを購入していただけない場合、あるいは売却をすることについて了解をいただけない場合には、残念ながら更地にしなければなりませんので、その場合に、更地にするための経費は私どもの方で支出をしなければならないというふうに考えている次第でございます。

米澤委員 法人が設立する前、だから今の時点で、既に社会保険庁において譲渡、廃止したものがあるというふうに聞いておりますが、これは、現時点においては状況はどうなんでしょうか。その際に、先ほど申し上げましたような、売買に関してトラブルになるであろう、なったというような参考例があればちょっと聞かせてほしいと思います。

 果たして処分された場合に、処分の基準をどこがどういう査定をしたのか。顧みて、名実ともに適正に処分されたと自信を持って言えるのか。どうでしょうか。

青柳政府参考人 この出資を待つことなく早期に廃止をいたしました施設が、現在までのところおよそ二十施設ございます。この二十施設のうち、現在までの間売却が完了いたしました施設は三施設という形になっております。二十施設のうちには、先ほど申し上げました例で申し上げれば、借地の上に建てさせていただいておったような施設が、例えば厚生年金の老人ホーム等には幾つかございました。これらについては、すべて解体の上更地にいたしまして返還をするということで既に対応をしております。

 それから、こういったことによって何かトラブルといったようなことが起きていないかという御心配をいただきました。この二十施設につきましては、幸いにも現在までのところそういったトラブルが起きているということは耳にしておりませんので、順調にその廃止が進んだというふうに理解をしている次第でございます。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

米澤委員 厚生年金病院の譲渡に当たりましては病院機能の公益性を損なうことがないよう十分に検証することになっているというふうに、青柳さんが参議院の審議でお答えになっておりました。公益性を損なうことがないという意味は一体どういうことでしょうか。売却の選定についてもこの公益性という言葉はかかってくるんでしょうか。

 いろいろ検証されるということでありますが、検証に当たり、自治体の意見書や議会の意見書や地元住民の陳情等々、こういうものも検証に当たっての有力な検証対象になっていくのか、このあたりの意見が反映されるような結果が出るのかどうか。売却しないという選択は当然全然ないということで突っ走るということでいいんでしょうか。

青柳政府参考人 厚生年金病院の公共的な役割、公益性というものをどのように考えるかというお尋ねであったかと存じます。

 私どもは、あくまでもまずは、厚生年金病院の譲渡に当たってはというふうにこの文言が書かれておりますので、その意味では、譲渡するということを一応念頭に置いた上での問題であろうというふうに理解をしております。

 その上で、地域医療の中で、救急医療あるいは僻地医療あるいは災害医療その他、一般の医療機関では不採算等の理由によりまして継続がなかなか困難であるような機能といったようなものを従来は公益的な機能というふうに考えているわけでございますので、その意味では、各地元の自治体が、例えば地域医療計画等の中でこういった厚生年金病院等にどういう役割を期待しているのかといったようなことは、きちんと一つ一つ丁寧に踏まえながらその対応というものを考えていくということが具体的な方法になってこようかと、現時点では考えております。

米澤委員 廃止というのが大前提だということだから、そんなばかな答弁しかできないんだと思います。

 これは何回も言うように、ぶっつぶすのは簡単なんですよ。しかし、同じものを、さてもう一回ああいうものをつくろうじゃないかというときには膨大な金が要りますよ。そういうものも、年金原資をうまく使うという意味では大事なことではないでしょうか。そういう目が厚生省になかったら、これはもうやらずぶったくりになるね。こんなのは取引で大分おどされますよ。だから、最初の原則を間違うと末代まで間違うんだ、これは。というようなおおらかな気持ちも持たなければいかぬと私は思いますね。黒字経営をやっておるところも例外なしに認めない、だからもう国は何も経営しない、かかわり合わない、みんな買ってくれた人に丸投げ、そういう方針が厚生省の方針ですか。

青柳政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、厚生年金病院でございますとかあるいは老人ホーム、あるいはその他健診機関等については、さまざまな配慮していく部分ないしは中心的な機能を維持していく部分というものを念頭に置いた譲渡が必要であろうというふうに私どもも考えておりますが、それ以外の施設については、基本的には年金資金への損失を最小化するという基本方針にのっとって、適切に譲渡をさせていただきたいというふうに考えております。

米澤委員 基礎的な数字で恐縮ですが、今から売却の予定に入っている福祉施設、これに国の金はどれぐらいトータルで入っているんですか。

青柳政府参考人 およそ一兆四千億円というふうに私どもは計算しております。

米澤委員 つくるまでに一兆四千億をほうり込んでつくったものが、みずからの不始末のために住民とは関係なくつぶされる。歴代にわたる悪政のサンプルみたいなものだと私は思いますね。

 私は、特に湯布院の厚生年金病院に人より大変な思い入れが多いんです。前々回の選挙のときに、最後の日に脳梗塞でぶっ倒れました。脳神経外科というところに運び込まれました。そのころはくたばっていますから、脳だけじゃありませんね、多臓器不全症なんて言われて。ところが脳の先生は内科を知らない。これは殺されると思って、総合病院に運んでくれと言いました。そこであったのが宮崎の社会保険病院です。そこで一応の治療をして、それからリハビリだということで湯布院に行ったんです。おかげさまで、まだ完全ではありませんがうまく生き返りました。生き返ったばっかりに皆さんに悪態をついておりますから、これは罰が来るんじゃないかとも思いますが、しかし、皆さんが経営されておる病院によって助けられたことは事実でございます。

 そういう意味で、湯布院の厚生年金の皆さんやその他厚生年金の方々が来られると、僕と同じような経験をした人がかなりおるんだろうと思って、こんなのをぶった切ろうというやつは鬼に見えるんです。彼らは本当にあんな病院に行ったことがあるんですかねと。大臣、一回病気にでもなって一カ月ぐらい入院されたらどうですか。そうしたら、こんな病院はつぶしちゃいかぬと、少なくとも素直な人間になるはずだ。そういう意味で大変思い入れが深いものですから、嫌みを含めてたくさん物を言いました。

 しかし、この機構法案ができたら、早速事務的に機構ができて、こんな議論があったのかなかったのかわからぬようなふうにして、さっさと仕事が進むんでしょう。何か非常に哀れなものだなということが実感です。

 少なくとも、これは社会保険庁、厚生省の不祥事がその背景にある。そして、みんなそれを何とかうやむやにするために、一、二の三でしりぬぐいをするためにこの法案が出されて、福祉施設はつぶすんだ、こんな結論を得た。これは一番見苦しい処理のやり方だなと私は思います。

 どうか、そういう意味で、残念ながら数の世界ですからこの法律は通るかもしれませんが、この法律の審議の過程でさまざまな意見が出たことを念頭に置かれて皆さんが対処してもらいたいということを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則です。これから一時間にわたりまして、尾辻大臣、西副大臣に質問をさせていただきたいと思っております。

 私は、きょう、資料二枚を配らせていただきました。この資料を見ていただきたいと思います。

 今の米澤先生の質問を聞いていても、これはまさに社会保険庁や年金の不始末を地域住民にしわ寄せをする、あるいはそこで働いている職員の方々に本当にしわ寄せをするという非常に問題がある法案だというふうに思っております。

 この資料にありますが、宿泊施設等二百六十一施設は一般競争入札、それ以外は、地域医療に貢献している施設などに関してはこれからいろんな配慮をしていくということであります。私は、この質問の中で、この宿泊施設等が安易に一般競争入札でされていいのかということについて質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、尾辻大臣、最初にお伺いしたいと思っておりますけれども、この資料にありますように、また今までの答弁にもありますように、年金資金等への損失の最小化を図るということが目的となっておりますが、実は、私はこれだけではないだろうというふうに思っております。加えるならばあと二つ、社会保険庁や年金に対する信頼回復、そしてもう一つは公共の福祉の向上、これがセットでないとだめだと思うんです。当たり前のことだと思いますが、最初に確認をさせていただきたいと思います。年金資金等への損失の最小化を図ると同時に、社会保険庁や年金制度への信頼回復を図り、公共の福祉の向上を図る、これがこの法案の目的であるということを確認したいと思いますが、尾辻大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 きょうの御審議の冒頭以来ずっとお答えいたしておりますように、今私たちにとって一番大事なことと言ってもいいことは、国民の皆さんから年金への信頼を回復することだと思っております。そのためにも、社会保険庁がまず信頼を回復しなきゃいけない。大前提でございます。

 そうしたことの一環としてこの法律もお願いをしておるわけでございますから、今仰せのことは当然のことでございます。そしてまた、絶えず私たちは福祉の向上に努めなきゃならない、これも当然のことでございますので、今先生が御確認になったことは、そのとおりでございます。

山井委員 まさに、今大臣が答弁してくださったとおりだと思っております。年金資金等への損失の最小化を図る、しかし、その前提には、いかに失われた社会保険庁や年金制度への国民の信頼回復を図るかということは大前提の問題である。書いていないけれども、当然のことなわけですね。それとともに、公共の福祉の向上というのも、ここにはあえて書いていないけれども、当たり前のことである。当たり前過ぎて書いていないということであると思います。

 そこで、今までの議員の質問の続きにもなるんですけれども、地域で重要な機能を果たしているわけですね、この宿泊施設などの二百六十一施設に関しましても。その機能の維持については今までから質問が集中しているところでありますが、改めて、やはり地域に密着し、地域から必要とされて、あるいは利用者から必要とされて行われているという、この施設の機能の維持については、尾辻大臣、どうお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 宿泊施設についてでございますけれども、これまで多くの方々に御利用をいただいてまいりました。そしてまた、被保険者等の福祉の向上、今も福祉の向上というお話がございましたが、まさにその福祉の向上に一定の役割を果たしてきたと考えております。

 ただ、これは先ほど来申し上げておりますことの繰り返しになるわけでございますが、近年の年金制度等を取り巻く厳しい財政状況、施設を取り巻く社会環境及び国民のニーズの変化等を踏まえまして、今後は保険料を年金福祉施設等に投入しないということをまず決めましたし、年金資金等への損失を最小化するという、今お話しいただきましたその考え方に立って年金福祉施設等の廃止、譲渡を行うこと、こういうことにいたしました。

 そういう全体をどうするかという中で、とりわけ宿泊施設については平成十二年五月に閣議決定されたことがございまして、それは「民間と競合する公的施設の改革について」というものでございますけれども、民業圧迫という御批判も大変強かったものですから、このときに、「早期に廃止、民営化その他の合理化を行う。」ということにされておりますので、今回のことはまたその方針に沿ってということでもございますということを御説明申し上げるところでございます。

山井委員 民業圧迫ということでありますけれども、それは、ほかに似たような施設があればいいんですが、ないケースもあるわけですね、民業圧迫以前の問題に。

 それで、余り一般論をお話ししてもわかりにくい面もあるかと思いますので、少し失礼になるかもしれませんが、私の地元にあるウェルサンピア京都というところの話を少し一例としてさせていただきたいと思います。

 話はどこでも似たような話であるとは思いますが、ここは十七年前にできまして、今は黒字も出ております。全国で三番目に黒字が出ている、お客さんが本当に満員の施設であります。私も、京田辺市の新年賀詞交歓会などで、この京田辺市にあります唯一の大きな施設でありますので、毎年行かせていただいております。(写真を示す)こういう庭園なども非常にきれいで、全国から非常に好評を得ておりますし、また、地域の方々に対してはテニスコートとかゲートボール場とかそういうものも開放して、これは三百六十五日、近所に同志社大学がありますこともあって、取り合いなわけですね、このテニスコートも。そして、地域の高齢者の方々にとってゲートボール場も取り合いになっているぐらい足りないというような状況であります。こういう状況の中で、この資料の二枚目にもありますが、休暇センター全国十七カ所の中でも、黒丸をしておりますけれども、ウェルサンピア京都、京都厚生年金休暇センターというのは三番目に黒字が大きいということになっております。

 それで次の質問なんですが、こういうことを踏まえまして、非常にうまくいっているこういう黒字の施設は、貴重な年金資金をむだ遣いしないという趣旨であれば、すぐに整理せず、むしろ経営効率を上げて黒字をふやして投資を回収して年金資金に戻すというようにするのが筋ではないかと思います。赤字になってうまくいっていないところと、こういうふうにうまくいっているところを一律に一般競争入札にかけて売却してしまうというのは乱暴ではないかと思います。

 私、ここに働いておられる職員の方の話も聞いたんですが、この法律のことを聞いたときに、職員の方は、毎日これだけたくさんお客さんが来ているのになぜなんだというのが素朴な疑問だったと言っているわけなんですね。その点について、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 これは、昨年、特に年金の見直しということの議論が始まりましたときに、社会保険庁をめぐるいろいろな不祥事も出てまいりました。そうした中での大変厳しい御批判がございまして、その中の一番の御批判がこの福祉施設でございました。これは、先ほど来私は身ぎれいにするという表現を使っておりますけれども、身ぎれいにしなきゃいかぬという、これは国民の皆さん方のお声であったと私は理解をいたしております。

 そのときに、どうするかという御議論がありました。そして、今先生がお話しのような御議論もあったことは事実でございますが、やはり例外をつくるというのはまずい、そのときの多くの、私が理解している多くの皆さん方のお声というのは、例外はつくるな、経営状況にかかわらず例外なく廃止、譲渡をすべしというお声が強かったというふうに理解をいたしまして、きょうの御質問の冒頭ございました、あの合意事項になるわけでございますが、そうした経緯があったと、私は今も振り返るわけでございます。

 そうした御議論の中で、今回のこの流れでございますので、私どもとしては、申し上げておりますように、やはり例外なく廃止、譲渡をさせていただくという考え方でございます。

 そして、今のお話をあえてもう一回申し上げますけれども、民間との競合ということもいろいろ御批判いただいておりますから、その地域に限って、地域を狭く限定しますと確かに民間と競合しないとかいろいろあるんでしょうが、大きく言いますと、公に類するところがこうした施設を持つということは、どうしても民間との競合になって民業圧迫につながるという大きな御批判も絶えずあるところでございますから、今回のこういうやり方というのを御理解いただきたいと存じます。

山井委員 ここの場合はもう一つ実は民間の宿泊施設があったんですね。ところが、三年前にそこは撤退をしまして、ここが人口六万人の京田辺市の唯一の施設というふうになっているわけなんです。それと、関西学研都市の中の南田辺・狛田地区に位置しておりまして、国家的プロジェクトである関西学研都市にとっての重要な宿泊施設だという位置づけで京都府や京都市が誘致をした、そういう位置づけもあるわけなんですね。そして、この中では地域の農産物が売られたり、本当に地域に密着して、なくてはならない施設になっているわけであります。それで、やはりこのことについて、何とか存続してほしいという声も出ております。

 そこで、尾辻大臣に確認をしたいんですが、厚生労働部会長としてこの当時このことのまとめにもかかわってこられたとは思うんですが、正直言いまして、昨年の、社会保険庁、年金むだ遣いが多いからこういうものをばっさりと整理しろと言っていた昨年の状況と今法案審議をしている状況というのは、微妙に風向きが変わっているのではないかと私は思うんです。

 それが証拠に、朝のトップバッターの自民党の、与党の議員さんですら、一律に一般競争入札というのはいかがなものかと。やはりこういう法案が出てきて、改めて、どれだけ地域にとってその施設がプラスの効果があったのかというのを、与野党を超えて政治家も肌で感じてきた。ある意味では、昨年の、この法律の議論をするときにはマイナス面ばかりが取り上げられていた、しかし、今ではプラスの面もかなりあるということになっているというふうに思うんですね。大臣、その今の情勢の微妙な変化ということをお感じでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、こうした施設を運営してきた立場から申し上げますと、確かに、できるとき、それぞれのニーズがあってこういう施設ができてきた、そして、今のお話を伺いまして、改めて、その施設が大きな役割を果たしてきた、今日もまだ果たしている面を持っておる、そのお話を伺いますと大変ありがたいというふうにも思います。今日まで大きな役割を果たしてきたということで、改めて、そうしたお話を伺いますと、ああ、それなりの役割を果たしてきたんだなということを感じまして、大変ありがたいと思うわけでございます。

 そこで、今、去年の例外なく廃止、譲渡をしろと言ったときと今日の雰囲気は少し変わっているんじゃないかというお尋ねでございますが、雰囲気が変わっているかどうかは別といたしまして、私のところにいろいろな方から存続をさせてほしいという陳情があることだけは事実でございますから、そして私も陳情をお受けしておるということは申し上げたいと存じます。大きく雰囲気が変わっているかどうかというのは、私が今直ちにそこまで変わっているというふうに申し上げられる状況でもないと私は感じておりますけれども、ただ、多くの陳情が今参っておりますということだけは申し上げたいと存じます。

 それから、今後のことでありますけれども、今後、こうしたものに対する考え方、こういうものをよく整理して答えを出さなきゃいかぬというふうに思っておりまして、私どもは、何回も申し上げておりますように、今後こうあるべしということまで含めて、今回の御提案、お願いを申し上げておるということもつけ加えて申し上げたいと存じます。

山井委員 まさに少しずつ、もし法案の中で行き過ぎた部分があったら修正をしていく、そのためにこういう国会審議があるんだと思っております。

 そこでお伺いしたいんですが、こういう今説明しましたような施設を一例としても、地域の中に密着して、地域の中でなくてはならない形になっている施設もたくさんあるわけですね。そういうことに関して、後は野となれ山となれという言葉がありますが、これは売却したら、後は宅地になろうが山を崩そうがマンションを建てようが、何になっても後はもう知らないというのが厚生労働省の姿勢ですか。大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 後は野となれ山となれでいいのかとお尋ねいただきますと、決して私どももそういうふうに思っておるわけじゃありませんとお答えせざるを得ないんですが、この後またいろいろな御質問が続くであろうと思いますから、余り先走ってお答えするようなお答えを今ここで申し上げるのもいかがかと思いますから、我々としては、野となれ山となれという、そんな思いではありません。今お話しいただいていますように、今日まで役割を果たしてきたわけですから、ぜひそうした機能が引き継がれるような形で売却できれば、譲渡できれば一番うれしいということは当然思っておるところでございます。

山井委員 まさに今大臣がおっしゃったとおりだと思うんですね。例外をつくるのは問題じゃないかという議論はもちろんある、とはいえ、後は野となれ山となれというわけでもないと。やはり、今大臣がおっしゃったように、今まで非常に地域に必要で黒字も出ているような施設だったら、できればその業種が続けられればうれしいなということをおっしゃいましたけれども、問題はそこなんですよ。

 私も、もう社会保険庁や国がこういう施設をやる必要はないし、もちろんお金を入れるのは問題だと思います。民間でできることは民間でやったらいいんです。ところが問題は、民間の手に渡った瞬間、何をやろうが、基本的には自由になりかねないわけなんですね。そこにこの法案の非常に悩ましいところがあると思うんです。

 地元の役所の方に聞いても、あるいはセンターの方々に聞いても、確かに民間に移ることはやむを得ないかもしれない、でも、業種が何になるかわからないと。当然、業種が一〇〇%変わったらリストラも非常に大胆なものになってしまうと思うんですね。そこのちょっとした配慮なりをどうつけるかということなんです。まさに一枚目の資料にもありますように、年金病院やそういうものに関しては、用途制限なり何らかの、急に物を変えてはだめだという縛りというか配慮があるわけですね。私が問題にしていますのは、この宿泊施設等の二百六十一施設に関しては一般競争入札、これは全く無条件の一般競争入札であれば、まさに今大臣がおっしゃったように、後は野となれ山となれではないけれども、そうなるリスクは回避されないということなんですね。

 そこでお伺いしたいと思いますが、例えば、施設の整理に当たっては、地域での機能や連携を考え、まず当該自治体への譲渡を前提とした話し合いというのをやってみるべきではないか。

 本当にローカルな話で申しわけないんですけれども、一例として言わせてもらいますと、この施設がなくなったら、京田辺市では新年の賀詞交歓会をする場所が基本的になくなっちゃうわけなんですよ、余りにもローカル過ぎるかもしれませんが。三年前まではもう一つあったんですよ。でも、そこよりもここの方が評判がよくて、民間の方がなくなっちゃったわけですよ。それがあればよかったですよ、もうそれは撤退させちゃったわけですよ。それを今になってなくすといったら、もう一回つくれといっても、それはあんまりじゃないかというふうに地域の方が思うのは当然だと思うんですね、切実な声として。

 そのあたり、まず地方自治体への譲渡を前提とした話し合いを行うべきではないかということについて、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、これはそれぞれをできるだけ高くで売って、最後年金資金に戻したい、こういうふうに思っておりますので。ただ、戻す金額が使った金額より必ず小さくなる、これは、申しわけないんですが、そうならざるを得ません。しかし、できるだけたくさん年金の資金、積立金の中にお返ししたいと思うものですから、そういう意味で、損失という言葉を使っておりますが、損失の最小化を図るという表現にさせていただいております。そうなりますと、できるだけ高く売りたいということが出てまいりますので、高く売るための手法としては一般競争入札になるということで、一般競争入札ということを今私どもとしては申し上げておるところでございます。

 そうした中で、先ほど来先生がお述べになっておられることも私どももよくわかるわけでありまして、どなたかに対するお答えの中で私どもにもジレンマがあることは正直に申し上げたところでありますが、そうした中で、今までお役に立ってきたものであれば、できるだけお役に立つ形で残ることが望ましいというふうに思っておりまして、また、それぞれの譲渡に当たっては、特に、今お話しのように当該地方自治体との話し合いといいますか、そうしたことは大変大切なことだと思っておりますから、それぞれに当たって地方自治体との連携というのはとらせていただきたい、こういうふうに思っております。

山井委員 地方自治体との連携はとらせていただきたいということですが、ということは、ある日突然、一般競争入札、はい、かけましたよということではなくて、一般競争入札にかける前に、当然地元自治体とは事前に協議をする、相談をするということでよろしいですね。

尾辻国務大臣 そうさせていただきます。

山井委員 それで、例えば、ここはテニスコートもございますし、関西学研都市の中での重要な宿泊施設としての役割も果たしておりますし、また地元の農産物を売ったりもしております。私が何を言いたいかというと、もう町づくりの中の重要な拠点施設として地域に溶け込んでいるわけなんですね、十七年間。それを、はっきり言って国の都合なわけですよ、国の都合で今までつくっていたものを急にどこかに売却してしまうということで。繰り返しになりますが、テニスコートでもそういうものでも民間がやってくれたら、民間がやってくれたらいいんですよ。問題は、それを買った方が何に変えるのかわからないということなんですね。

 だから、そのことに関してはやはり何らかの配慮というか、無条件ではないですよと。先ほど言いましたように、この法案の目的の一つが社会保険庁や年金制度への信頼回復にあるわけですね、公共の福祉の向上にあるわけですね。そこで、これだけ必要とされている施設がなくなっちゃって、全然違うものになっちゃったと。それが公共の福祉の向上につながるのか、あるいは、社会保険庁よくやったという信頼回復につながるのかというと、私は逆じゃないかと。何もそこまで言っていない、それはやり過ぎじゃないかということにもなるのではないかと思います。

 そういう意味で、先ほど、地元自治体との相談や協議も一般競争入札の前にするということですが、そのことを通じて、今までと同じような業種が望ましいということを大臣もおっしゃっておられましたけれども、それをどうやって配慮というか誘導していくのか。そのあたり、大臣、これは非常に重要なことだと思うんです。

 繰り返しになりますけれども、私は民間に移ることが何も悪いとは言っていないんです。ただ、全く関係ないものになってしまったら、この責任というのはやはりあると思いますよ、その市の機能、町づくりが破壊されるわけですから。そんなことを国あるいは私たち国会議員の力でやっていいものか。政治の責任というのは公共の福祉の向上なわけですから、少なくともこういう方向性での売却というか、そういう方向性、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、また先生もお述べいただいておりますように、基本的に、年金に対する信頼回復、社会保険庁に対する信頼回復、これをなさなければなりません。そのためにもと、私どもは判断をして今回のことをお願いしておるわけでございますが、そうした中で、例外をつくることがどうであろうかとかいろいろな御議論がございまして、そういうことがまた国民の皆さんにどういうふうに映るかといったようなことを判断しなきゃならない。そうした中で、ということを改めて申し上げるわけでございます。

 ですから、こうしたものが地元にそこまで溶け込んでおるのであれば、あるいは地方自治体にお買い上げいただければこんないいことはないと思ったりもしますが、今とても地方自治体にそれだけの余裕があるところというのはまずないわけでございましょうから、それも無理かなと思いつつ、ただ、一番いいのは、そういう形にでもなればという思いもありますということを申し上げておるところであります。

 したがって、まずは競争入札で売らせていただくということにさせていただいておりますけれども、競争入札の中でも機能を維持していただけるようなところで買っていただければ一番ありがたい、地方公共団体にかわるようなところで買っていただければ一番ありがたいというふうに思っておりますということを重ねて申し上げます。

山井委員 まさに今の大臣の答弁でも、後は野となれ山となれではないんだと。今までから本当にそういう必要性の高いところに関してはできるだけその業種が続くことが、民間に移った後も望ましいんだということでありますが、そこが非常に重要なことであると思います。

 そこで、要は、地方自治体に購入の意思があっても、今おっしゃったように一般競争入札で地方自治体の方がたくさんのお金を入れて買い取るということはほぼあり得ないというふうに思います。その意味で、財政上等の理由で一括での購入が自治体や自治体に関連するところが困難なときには、特例債を認めたり分割払いにするなどの便宜を地方自治体に関しては最大限図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 施設の売却代金の分割払いにつきましては、施設の引き渡し後の債権管理業務でありますとか、担保物件の評価、管理等に必要となる経費等を踏まえて慎重に検討する必要があるというふうに考えております。今まで民間に対して分割払いという例はございません。しかしながら、地元の地方公共団体も入札に参加しやすい、私どもも先ほど来申し上げておるような思いがありますから、そうした環境を整えることも重要な視点の一つだと考えておりまして、どのような方策が可能なのか、今の分割払いというお話がございましたので、これについては検討してまいりたいと存じます。

山井委員 ぜひともそのあたりのところを検討していただきたいと思います。

 要は、繰り返しになりますが、この法案の趣旨は、もう年金のお金は投入しないということ、そして、国や社会保険庁がやらなくていいことは民間に任すということ、この部分に関しては、ある意味で与野党通じて思いは同じだと思うんですね。それで、まさに大臣が答弁してくださったように、うまくいっているところはその業種が残ればいいな、ここまではみんなの思いだと思うんですよ。ところが、残念ながら、この法案だけを見ていると、後はどうなってもいいのかということになりかねないわけです。

 それで、続きまして、雇用の方面からちょっとこの問題を考えてみたいんです。

 私、ウェルサンピア京都にお勤めの方やほかの施設にお勤めの方からも多少話を聞いたんですが、例えばこういう声があるんですね。五十代の方は、定年まであと十年、これが売却されて大体同じような業種になれば残れる可能性は高いけれども、全く違ったものになったり、それこそ宅地になってしまったらリストラになる可能性が高い、そうなったら、五十歳を過ぎたらなかなか新しい仕事は見つからなくて路頭に迷ってしまうというふうなことをおっしゃっています。また、お子さんが二人小学生でおられる四十歳代の方は、ここでずっと働いてきた、この法律を聞いてびっくりしている、子供も二人いる、奥さんからもこれから一体どうなるのと言われていると。

 皮肉なのは、このウェルサンピア京都のようにうまくいって黒字が出ているところほど早く売れやすいんですよ。これは何か余りにも皮肉というか、あんまりじゃないかなというふうに思うんです。

 そこで、要は社会保険庁としたら一銭でも高く売りたい、これはわかります。ところが、尾辻大臣は厚生労働大臣ですよね、労働大臣です、日本の雇用確保の最高責任者です。そして、さらに言いますが、今回、年金保険料のむだ遣いとかいろいろなことが問題になりましたけれども、この宿泊施設に働いておられた職員さんには何ら罪がないと私は思うんです。まず最初にこれをお聞きしたいんですが、今回こういう法案が出て売却することになりましたが、働いておられた職員さんに何か問題はありましたでしょうか。

尾辻国務大臣 私は、働いておられた皆さん方は一生懸命頑張っていただいたものというふうに思っておりますから、決してその皆さんに罪があるとかという話ではございません。

山井委員 私はそこは非常に重要な点だと思うんです。どっちかといえば、ミスがあったのは社会保険庁であり、私たちも含めた国会議員であり、その政策判断の甘さというものが今日の状況を招いたわけですよ。しかし、絶対やってならないのは、そのある意味で私たちのミスというか判断の甘さのツケを食うのが、まさに小さなお子さんたちを抱えておられる職員の方々が路頭に迷うという結果になったら、これはやはり私は筋としておかしいのではないかと思うんですね。大臣、うなずいてくださっておりますけれども、まさにその思いは一緒だと思います。

 そこで、このような従業員の方々の雇用の確保ということについて何らかの配慮が必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西副大臣 今、種々委員からお話を伺いました。こういう宿泊施設、大勢の皆さんがいろいろな形態で働かれている、私も何回か泊まりに行かせていただきましたのでよく承知しているつもりでございます。

 今回の施設の売却に対して、一義的にはこれは雇い主である委託先法人が責任を持っていただくということで、相談窓口をつくっていただいたり、それから再就職先を開拓していただいたりということはお願いしなければいけないということが前提ではございますけれども、我々としましても、委託先公益法人の従業員の雇用問題につきましては配慮をしていくという前提ですので、これからも協力しながらこの職員の雇用問題には配慮をしていきたいと思っております。

 具体的に、国と独立行政法人が協力しまして、施設を購入した人に対して雇用を引き続きお願いする、それから、関連団体における求人情報の提供をお願いする、それから、地方自治体、地域の経済団体等への再就職支援のお願いをする等、我々としてできるだけの支援はしていきたいというふうに思っております。

山井委員 できるだけの雇用確保への支援をしていきたいという答弁をいただきまして、それはぜひお願いしたいと思います。与党協議会の覚書にも雇用問題に対して配慮を十分行うということを書いてあるわけですね。雇用問題や老人ホーム等の入居者への配慮を十分に行うということが書いてあるわけですから。

 そこで、もうちょっと踏み込みますと、従業員の不安が広がりますと施設運営にも支障が出ますので、施設が譲渡される場合、原則として従業員を継続雇用する、そういうふうなことを施設の譲渡契約に盛り込むことを明確にすべきではないか、そこまできっちりやるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

西副大臣 ただいまのお尋ねは、従業員の継続雇用を譲渡の条件に盛り込むということはどうかというお話でございました。

 先ほどから大臣からも何回も御答弁申し上げていますように、今回の譲渡というのは年金資金へいかにたくさんの資金を繰り込むかということが求められておりまして、こういう条件と雇用の確保を最大限図るということは、これはなかなか双方がうまくマッチするわけでは必ずしもありません。雇用の条件をつければつけるほど、今度は年金の方に回るお金、つまり売却のお金が十分行かないという非常に難しい問題を本来はらんでいることでございます。

 この職員の雇用につきましては、先ほども申し上げましたように、第一義的には雇い主さんの責任でもって頑張っていただくということでございますけれども、施設を買っていただいた人に対して、我々としても先ほども申し上げましたようにできるだけ再雇用をお願いし、一人でも多くの人を雇用していただきたいということで全力を挙げていきたい、こう思っているところでございます。

山井委員 今まさに、一円でも高く売りたいということと雇用の継続をお願いするというのは、つらいけれども矛盾しかねない問題だということをおっしゃいました。まさに、私はポイントはそこだと思うんです。

 繰り返しになりますが、私が最初にこの法案の目的は何ですかと言ったのは、年金資金等への損失の最小化だけではないんです。それとともに、年金制度や社会保険庁への信頼の回復と公共の福祉の向上というのがあるわけですね。だから、正直言いまして、私もきょう運営部長さんではなく大臣や副大臣に答弁をお願いしているのも、そこにあるわけです。社会保険庁の枠では、一円でも高く売りたいとしか言いようがないんです。

 しかし、繰り返しになりますが、尾辻大臣や西副大臣は日本の雇用を守る責任者なんですよ。日本の雇用を守る責任者が、一円でも高く売るためには雇用はどうなっても仕方ないんだとはやはり言いにくいと思うんですよね。言いにくいと思うんです。そこをまさに、西副大臣、うなずいてくださっていますので、せめて、一円でも高く売ることと雇用の確保は同列で両方頑張りたいと。これはやはり両立ですよ、基本的には。難しいのはわかりますけれども、両方力を入れていきたい、厚生労働省なわけですから、その答弁をお願いします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 御答弁はいただいたわけでございますが、まさしく我々が悩んでいるところは、そのことでございます。雇用の確保というのも大変大事なことでございます。

 先ほど大臣がおっしゃられましたように、それぞれの施設が一生懸命に頑張っていただいて、今の施設の維持をしてくださった、まして当該の施設は黒字を生んでいる。そのことは必ずやはり新しい譲渡に関してもいい結果が生まれるのではないか。赤字の団体よりも黒字で経営できるという努力をしていただいたところは、やはりそういうプラスの面があるんじゃないかと私は思いながら聞いておりました。私どもも、そのことは、雇用の確保ということと一円でも高く売るということの間にあって、双方ともに最大限実現できるように努力をしていきたいと思っております。

山井委員 それで、私の資料の二枚目を再び見ていただきたいと思います。今、西副大臣からも雇用の確保にも最大限努力するという答弁をいただいて、本当にありがたいことだと思っておりますが、よく話に出るのが、この資料の二ページにもありますように、当期剰余に関しては黒が出ているけれども、減価償却費等を考えた差し引きは全部赤字になっているという批判がこういう休暇センターについては出ているんですが、一つ大事なことで確認しておかないとだめだと私思いますのは、これは、やはり一般のところよりも一割、二割は安い方向で価格などを設定するとか、そもそも年金の受給者への還元であるとか、そういう目的から、この価格も黒字が出るようにという仕組みにはなっていないんですよ。そもそも、もうけが目的じゃないわけですから。

 そういう意味では、このすべてのセンターで赤字になっているのは、経営努力や従業員の方々の問題ではなくて、黒字は目指さないという制度の枠組みであった。要は、これは宿泊料金とかも社会保険庁の許可というか報告することになっていたわけですから、そもそもそういう制度であったということ。これはちょっと確認をさせていただきたいと思います。

尾辻国務大臣 それぞれの施設の価格設定とか、そういうことは詳しく承知をいたしておりませんから、今正確にお答えすることは無理なんですけれども、被保険者へのサービスということでこうしたものはそもそも始まっておりますから、被保険者に対するサービスというのは料金も安くするとかそういうことにもなるわけでありまして、そうした面があっただろうなということは考えるところでございます。

山井委員 まさにそういう面があったわけでありまして、ですから、今までのものが全部赤字だったから経営がだめだったのではということではなくて、今まではそういうシステムでやってきたわけですよ。でも、これからは、料金を例えば自由に上げたり、いろいろなことをフレキシブルにできれば、経営上もっと黒字をふやしたり、そういうことは可能になってくるというふうに思っております。そういう意味では、これはほかの用途に使うのではなくて、できれば今までの業種に、今までから必要性が多かったところはやっていくべきだと思っております。

 それで、話は少し戻りますが、問題の一般競争入札ということでありますけれども、ほかの方法はそもそも考えられないのか、なぜ一般競争入札だけなのか、また、ほかの方法を何か御検討はされたのか、そのことをお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 恐らく念頭におありなのは、かつて私どもが総合評価方式なんというのをとって施設の売却をしたことがございます。その総合評価方式というのは、従業員ごと買っていただくと少々安くても構わないですから買ってくださいといったような方式をとったこともありますけれども、またこういう方式をとりますと、安く売ったという御批判もいただいたりもいたしております。ですから、今回、私どもは、検討はいたしましたけれども、そういう方式をとろうとしておるものではない、あくまでも一般競争入札だというふうに申し上げているところでございます。

山井委員 それで、今の一般競争入札と先ほど言いました公共の福祉の向上、この両立をどう考えるかということなんですけれども、繰り返しになりますが、この種の施設がなくなりますと、近隣の方々や利用者の迷惑は甚大であるケースもあると思うんですね。

 そこで、公共の福祉に反するものはもちろん認めるべきではないと思うんですが、そのあたりはどうやって判断するのか、そういうふうなことの、これは突然質問させていただいているんですが、大臣のお考えですね。まず聞きます、少なくとも公共の福祉に反するようなものは基本的にはもちろんだめということでよろしいですね、一般競争入札でも。

尾辻国務大臣 公共の福祉に反するというのをどう解釈するかでありますけれども、少なくとも公序良俗に反するようなものはだめだというのは常識だというふうに思います。

山井委員 問題は、それをどこでどうやって判断するかということになりますけれども、それは先ほどおっしゃったような地元自治体との事前の相談とか、そういう中でそこは多少判断することになるということでよろしいですか。

尾辻国務大臣 申しわけありません、質問の御趣旨がよく理解できませんでしたので、もう一回御質問いただけますでしょうか。

山井委員 公共の福祉に反するかどうか、これの判断は正直言って非常に難しいと思うんですね、何をもって公共の福祉に反するか。それと、最初は違う目的で買ったけれども、二年ぐらいでもうからないから変えちゃえというケースもあり得るかと思うんですね。そのあたりの判断というのは、やはり地元の自治体と一般競争入札をする前に多少議論をすべきではないかというふうに思いますが、要は公共の福祉に反するかどうかですね。それと、裏返すならば、今までの業種をどうやって続けていくか、そういうふうなことに関して事前に自治体と協議をすべきと思いますが、いかがですか。

尾辻国務大臣 今お願いしておりますこの法律をお認めいただいて、実際に独立行政法人がスタートして、そこがどういうふうにしてまた作業を進めるかということでございますので、細かなことについて今私から申し上げるというものでもございませんが、今のお話は、突き詰めて言うと、売るときに転売禁止みたいな条項をつけるのかと。もしそういうふうに突き詰めて具体的な話でありますと、そこまで譲渡条件につけられるかなというのは率直に思うところでございます。

山井委員 ここは、先ほど言いました、後は野となれ山となれになるのかどうかというところにも関係してくると思いますが、今までから必要性が高い施設に関してはできるだけその業種が存続すればうれしいなという答弁、先ほど大臣おっしゃってくださいましたけれども、確認ですが、そういう立法者の意思があるということでよろしいですね。

尾辻国務大臣 私どもの気持ちの中にその思いがあるということだけは申し上げます。

山井委員 それをいかに、ある意味で実際の運用の中に落とし込んでいくかということが、本当にこれは私たちの責任だと思います。私たちが立法府に身を置く者としてそういうつもりでやったと言っても、実際は何の縛りもかからずに、結果的にはとんでもないことをしてくれた、社会保険庁というのはこんな無責任な役所だったのかということになっては、ある意味で本意ではないと思うんですね。

 それで、私の一枚目の資料に改めて戻りますが、要は病院などに関しては「譲渡に当たっては、病院機能の公益性を損なうことがないよう十分に検証した上で、適切な方法によって結論を得る。」とか、社会保険診療所に関しては「施設の中心的な機能の維持を条件とした一般競争入札」というふうなことが書かれているわけで、有料老人ホームに関してもそうであります。ところが、この宿泊施設等が一般競争入札となっているのですけれども、もちろん、病院の場合は命がかかっているのだとかあるかとは思いますが、このラインが、下半分はいろいろな配慮をする、ところが上はぼんと一般競争入札となっているわけなんですね。やはりここは、きょうの質問でもずっと言いましたように、地域への貢献、町づくりの視点、そういうことを考えて何らかの配慮をすべきではないかと思いますが、ここはクリアにカットしてありますけれども、この宿泊施設等に関してもそういう公益性は社会保険庁や厚生労働省としても認めているのだということでよろしいですね。

尾辻国務大臣 きょうの資料としてお出しをいただいておりますこの紙でありますけれども、これは私どもがお出ししたものをそのままお使いいただいておるわけでございます。

 それで、私どもがこの紙で御説明申し上げようと思っておりますことは、基本的には一般競争入札なんですと、基本的には今度の譲渡、売却に当たっては一般競争入札にいたします、そのことを書いた上で、ただ、下の方に書いてありますものは、それぞれの特殊な事情もありますので、それについての配慮すべきことということをあえて書いておるわけでございます。決して途中で大きく線を引いておるというわけではございませんで、繰り返し申し上げますと、基本的には一般競争入札でございますという説明の紙だと御理解いただきたいと存じます。

山井委員 少し雇用のことに改めて戻りますが、そこに働いておられる方々の数というのは、正社員の方は少ないかもしれませんが、パートの方とかを含めると非常に大きいわけでありまして、やはり小さな都市や町にとっては、そこが、その雇用の場がなくなってしまうということになると、地域の雇用に与える影響も非常に大きいと思うんですね。まさに、厚生労働省さんは、地域の雇用を確保する、その先頭に立って旗振りしているところが、逆に地域の雇用不安を悪化させることになってはだめだと思うんですが、そのような地域雇用に対してどのような対応をしていくおつもりなのか、西副大臣、お答えいただきたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 先ほど来ずっと御論議があるように、年金資金への損失を最小化する、こういう前提と、それから基本的に一般競争入札ということで宿泊施設の売却が行われるという条件の中で、私どもが今後町づくりを含めた雇用関係をどう維持していくかということは大変難しい問題でもありますし、また、直接なかなかタッチできないといいますか、それぞれの町のことですのでかなり難しい問題であるというふうに思っております。

 施設それから用地をこれから購入していただくわけですが、購入していただいた方がその場でまた新たな事業を起こしていただくということ、もちろん業績のいいところは今の事業をそのまま継続しさらに発展していくという可能性もありますし、また新たな事業を起こしていただくことによって、その中でさらに雇用が創出されるということを期待しているところでございます。

山井委員 まさにこの雇用の問題、本当にこれは一つ一つが雇用不安を生んでいく危険性があるというふうに私も深刻に思っております。

 それで、民間にできることは民間にということをよく言われておりますけれども、繰り返しになりますが、一般競争入札で売っていく、先のことに関してどうなるかわからないという不安があるんですけれども、私が思いますのは、民間企業が持っていた場合でも、これだけ大きなものを売る場合は相当地元自治体などと話をすると思うんですね。なぜならば、ウェルサンピア京都でも十七年間も地域の方々に愛され親しまれやってこられたわけですよね、もしそこが社会保険庁ではなくて一般の民間企業がやっていても、経営が苦しくなったから、はい、売りますよ、後はどうなっても知りませんよということでは、逆に、その企業の社会的責任、まさに今問われている一般企業の社会的責任やモラルが問われると思うんですね。普通に考えれば、一般企業より社会保険庁や厚生労働省というのはもっと高いモラルがあってしかるべきですよ、これは根本的な問題ですけれども。

 だから、そういう意味では、売却する際においても、そういう社会的責任、そして町づくりや地域に対する今までの貢献、貢献というか支えてもらったという恩返しの気持ちも含めて、やはりこれからもできるだけ地元自治体や地域の意向に沿った売却というものを進めていきたいということを、大臣、ぜひもう一度思いとして述べていただきたいと思います。

尾辻国務大臣 きょうるるお述べいただきましたように、今まで施設が地元の住民の皆さんに、先生のお言葉をそのままかりて申し上げますと、愛されて地元に密着をしてきた、根を張ってきた、本当にそういう役割を果たしてきたということを改めてありがたいというふうに思うわけでございます。そして、その原資となりましたものが国民の皆様方からお預かりをしております年金の積立金であるわけでございますから、私たちは、そのことに対する大変大きな責任を負っていると思います。そうしたすべての責任を負っているという立場から、これを売却するということになりましたときに、その責任を負っている分、慎重に地元の皆さんとの話もしながら進めていかなきゃならないものだということは、もうそのとおりでございますから、きょう先生がお述べいただきましたことも十分に踏まえながら、肝に銘じながらやらせていただきたいと存じます。

山井委員 そろそろ時間ですので締めくくらせていただきますが、これは、極端な言い方をすれば、年金資金等への損失の最小化を図るというのは目的の一つにすぎないのですね。その前提としたら、社会保険庁や年金制度への信頼回復や公共の福祉の向上というのがあるわけです。ですから、一円でも高く売るために結果的にはその町の町づくりがめちゃくちゃになっても構わないということは、国がやる政策として私は許されないと思っております。

 また同時に、先ほどから大臣からもそもそもここに働いている職員さんには何ら罪はないんだということを、大臣、おっしゃってくださいましたよね、そういう何ら罪のない、もっと言えば必死になって働いてきた方々を国の都合で、もともと厚生年金保険法という法律によってつくった施設を、またこういう新しい法律で、現場の人に罪がないのにその方の生首を切るなんてことは、私は国家がやることは許されないというふうに思っております。

 そういう意味では、この法案の中で、もっと、これは附帯決議をつけるなりいろいろな形をして、この法案では語り尽くされていない立法者の意思はこうなんだと、雇用の確保やできるだけ今までの事業に関しては必要性が高いものは残していきたいというようなことを私はつけていくべきだというふうに個人的に思っております。このことについて最後に西副大臣に答弁をお願いします。

西副大臣 大臣から種々お話がございました。山井委員のおっしゃられた種々の、特に宿泊施設を中心にきょうお話がありましたが、当然、この法律そのものの第一義は一円でも多く国民の年金の資金に繰り入れる、こういう大きな課題が趣旨ではございますが、その周辺を取り巻くいろいろな情勢、聞かせていただきましたことを、私たち政府としてできる限りの対策は考えていきたいというふうに考えております。

山井委員 民間企業でも、今の時代、一円でも高くだけではだめだ。社会的責任ということが言われ、それをまさに指導していくのが厚生労働省なわけですから。厚生労働省が、もう雇用は関係ない、町づくりも関係ないとか、そんなことを言っちゃったら、日本の国は本当に秩序がこれからなくなりかねないわけですから、ぜひとも、一円でも高く売りたいということとともに、やはり地域の福祉の向上、そして雇用の確保、そういうことをしっかりやっていっていただきたいと思います。

 質問を終わります。

鴨下委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十四分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。泉健太君。

泉(健)委員 民主党の泉健太です。

 きょうは、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、この法律についてということで質問させていただきたいと思います。

 午前中から、あるいはこれまでは参議院の方で審議がずっと続いてきたわけですが、やはりこの問題、少しずつトーンが変わってきているような気を私も受けています。

 その前に、まず一つ、これは社会保険庁の方にお伺いをしたいことがありまして、お答えをいただきたいというふうに思いますが、先日、年金未納者の所得情報について、七十の市町村がその情報を提供できない、提供不可能ということを社会保険庁の方に返答しているというような報道がありました。

 これについて、さまざま、法律にもしっかりと明記をしているので提供するようにということを、社会保険庁の方でもう一度各自治体に対して申し入れをされているというふうに認識をしているわけですが、現在、まだ審議会で審議中だとか、都道府県の方では、結論を待って対応を検討するというようなことで、自治体それぞれ、すぐには応じていないというような状況があるわけですが、これはどちらが優先をされるというふうに考えられているのか。

 やはり、社会保険庁から、所得情報をこういった法的根拠に基づいてすぐ提供してくださいということであれば、基本的にはその自治体の言いわけというか反論というのは、これは当たらない、即刻情報を提供するようにということになるかと思うんですが、そこの現在の状況をお聞かせください。

村瀬政府参考人 ただいまの委員の御質問にお答え申し上げます。

 去る四月十五日現在の協力状況ということで公表させていただきました、二千四百十七の市町村のうち、二千三百四十七、九七%からは御協力を得られておりますが、残りの七十市町村につきまして、現在、折衝中のところでございます。そのうち六十七の市町村につきましては、現在、手続や調整に時間を要しているということで、引き続き協議を行っております。

 正式に三市町村からは、国民年金法の規定が強制力を持たない等の理由によりまして提供できないというお話をいただいておりますが、これは個別に総務省とも協力をしながら各市町村に働きかけをしておりまして、先般も一市町村から了解をいただいております。

 まさに、今後、国民年金の収納率を上げるためには、市町村からの所得情報の提供が極めて大切だというふうに考えておりまして、市町村とはしっかり対話をしていきたい。また、市町村にとりましても、この部分が、年金権の確保、住民の皆さんに対するサービスの向上につながるということで、御了解はいただけるものと考えております。

泉(健)委員 今、強制力を持たないという話と、四月十五日現在からもう約二カ月たとうとしているわけですが、現在も協議中ということは、結局、これは強制力を持たない、あるいは、最終的には市町村が情報提供を拒む余地も残されているということでよろしいんでしょうか。

村瀬政府参考人 私どもとしましては、各市町村から情報は提供いただけるという前提で各市町村と打ち合わせを進めておりまして、先ほども申し上げましたように、昨年の十月以降、個別でやっておりますけれども、現在まだ残っている、こういう状況でございます。

 したがいまして、先ほど申し上げましたように、例えば、審議会等が必要なところについては早期に審議会を開いていただいて、ちょうだいできるように個別に動きをしているということでございます。

泉(健)委員 では、もう一回お伺いしますが、法的に強制力がないということで、市町村にもそれを拒む余地が残されている、これは法的にですね、というふうに考えてよろしいんでしょうか。

青柳政府参考人 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 御存じのように、市町村のこういった個人情報についての取り扱いは、それぞれの自治体が個人情報保護条例というのを定めておりまして、その中で手続を定めておる。したがいまして、先ほど長官の方からお答えを申し上げました個人情報保護審議会というのも、各自治体がこの条例に基づいた手続として定めておるものだということがございます。

 したがいまして、法律的に、例えばそういった個人の年金にかかわる所得情報を提供できるという法律上の根拠が定められたとしても、各自治体においては、こういった条例に基づくところの手続を経る必要があるという意味で、そういった時間的なそごも出てまいりますし、最終的に、その手続の中で条例の規定に基づいて提供することを拒むという事例も生じ得るというふうに御理解いただければと思います。

泉(健)委員 そもそも、二〇〇二年のときに市町村から社保庁に国民年金保険料の徴収が移されたわけですけれども、ある総務省の役人さんなんかは、社会保険庁がちゃんとやると言ったから我々はそういった決定をしたんだ、そういった決断をしたんだと。でも実際に、この徴収率が移管前は七割台だったところが、現在は、二〇〇四年度でいうと六三・六%というふうに下がっている。ほかにもいろいろな要因があると思いますが、徴収事務が市町村から社保庁に移ったことがこの納付率の低下要因、一因になっているというふうにお考えになりますか。

青柳政府参考人 市町村から国の方に徴収事務を移したという経緯は、委員も御存じのように、地方分権という大きな流れの中で、どのように整理をするかという議論があったということをまず御理解いただきたいと思います。

 その上で、平成十三年度と十四年度で納付率の変化というものを見てみますと、およそ納付率低下の半分ぐらいの要因は、これはどちらかというと、国民年金の保険料の免除基準を全国で統一するということに伴って生じたものであろう。残りの半分の半分、すなわち全体の四分の一ぐらいの低下要因は、むしろ当時の経済状況等によって、市町村で事務をしていた時代からもトレンドとして納付率が下がってきたというトレンドは見受けられる。

 したがいまして、残りの全体の四分の一ぐらいの要因が、どうもこの市町村から国へ事務を移したこと、なかんずく市町村が納付組織という形で納付のシステムをつくっていたものが利用できなくなったことによるのではないかと考えております。

泉(健)委員 こうして納付率、徴収率が下がっているという現状があり、そしてまた、社保庁もそれに従って一生懸命アップのための方策に取り組んでおられるようですが、我々から見ると、そこにいろいろな、例えば年金徴収のシステムのための機器を導入したり、あるいは、いろいろと徴収をするための補助員というんですか、そういった方々を一生懸命定めようとしているんですが、そもそも、市町村でやっていた方が楽だったのではないのかなということを思わざるを得ないという現状であります。

 社保庁は、もう一度気を引き締めてこの徴収、特に強制徴収を始めるというわけですけれども、まだまだ件数が足らないという状況かと思いますので、ぜひとも計画に従って、あるいは計画以上の取り組みをしていただきたいということをまず第一点申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、いよいよ本題に入るわけですが、この整理機構法案ということで、先ほどから、尾辻大臣もその当時の自民党の厚生労働部会長だったというお話がありました。参議院の議事録を改めて見直させていただきましても、反省しているというお言葉を御自身でおっしゃられているわけですね。その後、追及をされて何に反省をしているんだということを問いただされたときに、決してこの法案が反対だというわけじゃなくて、ともかくわあっという中でやってしまったことを反省していると。それもまたどうなのかなということを思わざるを得ないわけです。

 現在、とはいえ、この法案がこうして審議をされているという状況があるわけでして、与党の方からは、平成十七年の二月、改めての与党合意の中で病院などについては配慮するという方向性も打ち出され、社会全体も、当時のある意味一時的な熱みたいなものはどんどん冷静になってきたところがあるという状況でいうと、にもかかわらず、この法案は進んでいるわけですね。

 そうなると、この法案を今進めているのは、これは政府の意向なのか、与党の意向なのか、国民の意向なのか、大臣、まずお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、今お触れになりました参議院における答弁でございますけれども、平成十五年度において与党の方針が決められたときのことを申し上げたものでございます。当時、年金の保険料を財源として行われてきた福祉事業に対し厳しい批判がなされておりました。そして、その批判を背景に、例外なく年金福祉施設等について整理すべきという御意見が大半を占めていた。当時の雰囲気がそういう雰囲気であったということを申し上げたわけでございます。そういう中で、この一連のことが決められておりました。

 したがって、その御議論がそもそもの出発点であるということはそのとおりでございます。その後、いろいろ御議論がありましたけれども、私ども政府としては、改めてこれらにどう対応すべきか、どうすることが一番いいことかということを考えまして、今回の法案にさせていただいたわけでございます。

 したがいまして、この法案は、私ども政府が責任を持って出させていただいておる、こういうことでございます。

泉(健)委員 そうしますと、さっきも言いましたが、平成十七年の二月二十五日、与党合意ということで、地域医療にとっての部分ですね、あるいは終身利用型老人ホームについては十分配慮をするというところがあるわけです。それを踏まえて現在のこの法律になっているということは、先ほど山井議員からも御指摘がありましたけれども、一般競争入札の部分、宿泊施設等というところ、そういったところについては基本的には配慮をした上で、あるいはこれまでの反省も十分踏まえた上でここに至っているということで、うなずかれているので多分そういうことなんでしょうが、これは我々からすると、配慮に乏しいものだというふうに言わざるを得ないということをまず申しておきたいと思います。

 少なくとも民主党は、この議論の中でいえば、年金問題の改革をしなければならない、その中でいうと、まず一つは、そういった施設あるいは公益法人についての天下りをまずしっかりやめるべきだということをまず一点上げていました。そして、例えば社会保険病院でいえば、全国の社会保険協会連合会、こういったところへの経営一括委託方式、こういったところにむだがあるんじゃないのかということで、そういったものを改革すべきだということを言いました。あるいは、各施設の高コスト体質、こういったものをちゃんと改善する、そして経営努力をしようということを私たちは言っていました。

 そして、さらにいえば、それぞれの施設の中での雇用を尊重するというふうに、その原則のもとで年金改革あるいは年金にまつわるこういった施設の改革というものをぜひやってもらいたいという話を私たちはしていたんですが、出てきたものは、三百二十八すべて基本的には廃止、売却をするというようなことでして、地域の雇用はどうなるんだろうかという不安がかなり大きく広がっているわけなんです。

 そういった中で、国民の皆さんが、書店に行けば公共の宿という雑誌が並んでいて、あるいはインターネットでもそうでしょう、これから夏休みにかけていろいろな宿泊施設を探そうという人たちが、被保険者の皆さんを中心として、こういった施設のいろいろなサービスを受けようというふうに思っていると思うんですが、大臣自身は、国民の皆さんのどれぐらいが公共の宿あるいは地域医療の拠点がなくなるということを御認識されていると思いますか。

尾辻国務大臣 御質問の趣旨は、国民の皆さん方のどのぐらいの方がこのことを理解しておられるかという御趣旨でございましょうか。

 そう改めてお聞きいただきますと、さあ、どのぐらいの国民の皆さん方にこのことを御理解いただいているかなとは思いますけれども、社会保険庁に対する御関心というのは非常に高いものがございますから、その社会保険庁が持っております福祉施設を売却するということについては、かなりの方が御存じでいらっしゃるというふうに私は考えております。

泉(健)委員 しかし実際に、身近な施設、特に高額な費用をかけて建設した、よくマスコミでも流れる、報道で流れるものについては国民の皆さんも認識があると思うんですが、本当に公共の宿としてそれ以外にも全国各地さまざまな施設があるわけでして、そういったところで特に黒字を上げていたところなんかは、運営的にも、黒字というものの解釈は後でまた出てくる問題ですからこれは改めて追及をしますけれども、そういった中で利用が随分と進んでいたところもあったという中で、そういったものが本当になくなってしまうということを実感している国民は私はまだまだ少ないというふうに思うわけなんですね。そういった中で、政府としてやはり、特に宿泊施設等のところ、二百六十一施設を一般競争入札ですべてなくしてしまうということについては、もう少し私は慎重に検討すべきではないのかなという立場であります。

 ですから、その意味では、この法案の検討期間をもう少し延長する、あるいは法案の出し直しということも考えていいのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

尾辻国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、宿泊施設ということで申し上げますと、これは民業圧迫という御批判も随分いただいておるものでございますから、そして閣議決定もありますということも先ほど申し上げたとおりでございまして、いずれこうした公が持っておる宿泊施設というのは譲渡するというのが流れであるというふうに考えております。

泉(健)委員 各施設について、私は少し厚生労働省なり社会保険庁の方から説明をいただきたいと思うんですが、各福祉還元施設を見たときに、では、果たして各施設ごとの、最近は随分と経営状態が改善された部分もありますけれども、基本的には、減価償却の部分も含めてしまうと、ほとんどが赤字経営であったということになるわけでして、そのことについての総括、これは先ほどからこの審議の中で議論のある検証会議でしたか、そちらの方で一つ一つ検証されるということで考えてよろしいんでしょうか。

青柳政府参考人 個々の施設についての例えば経営の評価のようなことをこの検証会議では意図はしてございません。むしろ、こういった事業を実施してきたことについての検証ということを中心にやらせていただいていると御理解ください。

泉(健)委員 そうしますと、個々の施設の経営についての評価というのは、これはだれが責任を持って行っているわけですか。

青柳政府参考人 個々の年金福祉施設の運営につきましては、まず委託先の公益法人との間で運営委託契約を結んでおりまして、その中で、委託先の法人は、施設の経営に当たっては、広くその周知を図り、被保険者等の積極的利用に努めるとともに、健全財政を保持し、収支の均衡を含め経営の責任に当たるということが明記されております。したがいまして、可能な限り健全経営に努めるということが、契約上も委託先の公益法人の責任ということになっております。

 私どもは、こういった委託先の法人に対しまして、特に平成十六年度からは、減価償却費を含めた施設の経営見通し計画というものの提出を求めまして、より一層効率的な経営のための取り組みを行っているということでございますので、私どもが法人を指導監督するという観点から評価と申しますか、適切な運営が行われるように指導しておるというふうに御理解を賜りたいと思います。

泉(健)委員 十六年からって、もう本当についこの前からですよね。それまで何をしていたんだという話だと思うんです。

 これだけ国民の中から一時的なものにしろ批判が上がってきた理由は、建物とその経営の中身が一致していない。建物は立派だけれどもサービスがよくないとか、あるいは建物に余りに多くの建設費をかけ過ぎてきたですとか、そういった場所的、立地的な問題や、あるいは一つ一つの施設の広報戦略、こういったものが、正直言いまして、民間の宿泊施設に比べまして大分劣っていたということを言わざるを得ないわけなんです。

 それについて、今お話がありました、それぞれの公益法人が、健全財政、そして収益を確保する、そして周知をするということで取り組むということになっていたわけですが、これはできていないじゃないですか、各施設について。最近やり始めたという話は仮に認めたとしても、ここまでできていないわけですね。その辺の評価についてはどうお考えですか。

青柳政府参考人 先に一つお断りを申し上げなければならないかと存じますが、御存じのように、これらの年金福祉施設につきましては、最初に箱物としての施設をつくりますのは国の責任でつくりますが、その経営については各委託先の公益法人の責任で経営をするということになっておりまして、その経営に必要な経費は一切国からも支弁をしないということになっております。

 したがいまして、これまではそういうルールのもとで各施設が赤字を出さないように運営をする、それを最低限のいわばメルクマールとして指導してきたわけでございますが、御存じのように、年金の福祉施設について保険料を投入しないという新たなルールに基づいて、平成十六年度はこれに加えて、先ほど申し上げましたように、減価償却費を含めた経営見通し計画の提出を求め、より一層の効率化を求めているというふうに御理解を賜りたいと存じます。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

泉(健)委員 ということは、保険料を投入しないという新たな約束事ができたと。では、それまでは投入しても構わないからどんどん投入していたというようなことに聞こえてしまうんですが、そういうことでよろしいんですか。

青柳政府参考人 説明が舌足らずで大変失礼いたしました。

 それまではハードの、いわば減価償却という、建物を更新するために必要な費用は、更新が必要になった時期に国が保険料から支弁をしていたために、減価償却ということをそもそも必要としていなかった。しかし、保険料を投入しないことになったらば、逆にそういった更新のための費用が必要になったので、各委託先公益法人の方でこれを含めた経営が行えるように体制を改めた、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

泉(健)委員 時間がありませんので指摘をしておきますけれども、その各施設ごとの例えば宣伝戦略、そういったものに問題があったのかなかったのか、立地、問題があったのかなかったのか、あるいはサービスの質、これに問題があったのかなかったのか、料金設定、適切だったかどうか、本来、何らかこれは検証されるべきですよね。民間であれば、事業が成功したにしろ失敗したにしろ、それがよりよく次のステップに生かせるように何らか検証するはずですよ。その検証が果たしてどこでされるのか、今のままじゃわからない。各施設ごとはやりません、事業としては見るけれども、各施設ごとの今言ったような細かなソフトの実は大切な部分、これからサービス社会で生き残っていくためには大変重要な部分が、全く検討される場所がないというのが今の状況なんですね。

 もし今それがないまま、ただ廃止をするというような話であれば、たしか七十四条と七十九条の方で施設をするものとするという言葉があって、よくよくそれを聞くと、施設するというのは、使い方としては少し変わっていて、施策と設備両方だから施設だ、だから事業も入るんだ、そして建物も入るんだというような解釈の説明をいただきましたけれども、その施設するという言葉を残すのであれば、皆さんはもう一回建物を建てる余地があるわけなんですね。でも、全然その一つ一つの建物の検証をしないというのであれば、申しわけないですが、やはりこの法律、変えなきゃだめですよ。

 ここの施設の部分を施策だけに変えるか事業に変えるか、何らかやらないと、いいかげんな施設がまたできる、時代によって。今は一回、先ほど大臣おっしゃられた、身ぎれいになればという話ですけれども、ではこれからまた身汚くなるのか。これはよくないですよ、やはり。ちゃんと検証するということを約束してください、各施設ごと。

青柳政府参考人 各施設の運営につきましては、原則として赤字を出さないという当然のルールに基づいてこれまで運営されてまいりました。しかも、これが仮に、先ほど先生から例示として御示唆のございましたような、サービスの水準が悪いのではないか、あるいはサービスの仕方、もし全体として不適切なサービスの提供をされているのであれば、これはどちらかというといわば市場原理に基づいてそういったものは淘汰されていくということで、赤字になった施設については、逆に私ども、それを例えば更新の際に建てかえないという形で、これまではいわば取捨選択をしてきたというのが実態ではなかったかと存じます。

 したがいまして、私ども、全体としての事業が決して赤字ではない、これは減価償却分を入れないからという御指摘もございますが、赤字を生んだものではなかったというふうにこの事業全体を現在評価しておりますので、それに加えて個々の施設について経営評価というものを行う必要性は、現時点では乏しいのではないかと認識をしております。

泉(健)委員 これはひどいですよ。これはひどいですよ。個々の施設が集まって事業評価じゃないですか。その個々の施設を見ずにして、ただ全体の数字、しかもいろいろ会計をやりとりしたものを、何となく黒字だ、何となく赤字だ、そういうような話でもし評価をするのであれば、大臣、答えなんか出ると思いますか、正しい答え。

尾辻国務大臣 検証会議に求められておるものは先ほど部長からお答え申し上げたようなものであると思いますので、個々の経営の中身について検証することが必ずしも必要であるとは私も思わないのでありますけれども、ただ、今後のことを考えれば、そうした面をまたちゃんと見ておく必要はあるというふうにも存じます。

泉(健)委員 もう本当に、これじゃだめですよ。やはり今後に余地を残しておくのかなというふうに私は思うわけです。やはり、厚生労働省、社会保険庁、今後また、国民の情勢の変化によっては施設もつくることもあり得るのかなと思っていましたが、ちゃんとした評価ができない、これは基本的に公益法人がやっているんですからと。でも、その公益法人をしっかりと管理監督するのは皆さんにあるわけでしょう。絶対、責任を逃れたってだめなわけです。でも、そういう責任を持てないというのであれば、施設をつくる資格がないということを言わざるを得ません。

 次に移りますけれども、やはり、一般競争入札について言えば、参議院の審議では、入札して落札をした法人名を明らかにしないというのはたしか財務省の通知か何かで決められているということをおっしゃられていましたけれども、ある意味、社会的に何かしらトラブルを起こしかねないようなさまざまな場合があるかもしれません。

 そこが違法な何かの処理施設になったりですとか、もちろん、違法であればその後に取り締まるという方法もあるかもしれませんが、あるいは乱開発が進む可能性もあるかもしれない。しかし、その開発の方法なんかについては、基本的には開発されてからじゃないと多分皆さん動けないはずですよね。どの業者が、どんな母体のものがどういうことをするためにそこを獲得したのかが全然わからない状態で落札をされる。

 では、グリーンピアはどうですか。さまざまな要件をたしか定めて入札をさせているはずですよ。検討委員会というのもちゃんとあって、処分検討委員会の中で審査をして、その審査にかなったものは入札に参加をする。なぜこっちにはないんですか。

青柳政府参考人 入札の参加資格そのものにつきましては、先ほどの答弁でも大臣の方からもお答えがございましたかと記憶しておりますが、例えば公序良俗違反というような、明らかに不適切なものについては、当然のことながら、これを入札に参加させないということは考えられるかと思いますが、グリーンピアあるいは他のこういった国の施設を譲渡する場合には、多くのものが例えばその事業を継続することを前提にして入札を行うというようなことが、ケースとしては多うございます。

 しかし、この年金福祉施設については、必ずしも継続というものをすべての施設に譲渡条件として入札を行うわけではございませんので、両者について同じように論じるということにはやや問題点もあろうかというふうに認識しております。

泉(健)委員 結局、今のお答えを聞きますと、年金財産の損失の最小化、それだけをとると非常に言葉はいいんですが、そのためならある意味地元トラブルも辞さないということにこれはなってしまうと思いますよ。完全な一般競争入札ではそういったトラブルが今後起きてくるということをぜひ指摘しておきたいと思います。ぜひ検討をいただきたいと思います。

 そして最後ですが、実は私は、さっきの公益法人のそれぞれの理事長の給料を調べましたら、大体年収が千五百万円前後ですね、皆さん。中には、ホームページからとったデータなので本当かと思ったんですが、非常勤の理事長という方がおられて、それは同じくやはり千五百万円ぐらいのお給料をもらっている。非常勤で千五百万円のお給料をもらえるってすごいなと。やはり厚生労働省出身なわけなんですけれども。

 新しい機構をつくる、そしてそれは独立行政法人だという中で、新しい独立行政法人にも理事長がいて、そしてそこにもお給料を払う、しかもこれはその業績に応じてお給料を払うわけですね。その方のやる気というものは、ある意味、ほかの公益法人のこういった理事長の給料というものもやはりどうしても比較検討の対象になってくるわけですが、このそれぞれの公益法人は、多分、業績的に評価を新しい独立行政法人ほど受けるものではないという中で、しかも、それぞれ赤字の経営施設を幾つも抱えていながらこれだけのお給料をもらっている。これは正直言って、全く公益法人の管理に厚生労働省、社会保険庁は資しないということをお話しさせていただきたいと私は思います。

 大臣、最後になりますけれども、公益法人の理事長の高給ということについて、非常に財源が厳しい中で、年金財政の損失の最小化を図るといっていながら、いまだに千五百万円のお給料、年収をもらっていることについてどう思われますか。

尾辻国務大臣 今のお話は、今度売却することになる施設を持っておる公益法人についてのお話だと思いますけれども、いずれにいたしましても、もう施設がなくなれば、それぞれに、公益法人の役割もなくなっていったり小さくなっていったりするわけでございますから、公益法人そのものの整理といったようなものを進めていくことになります。そうした中で、改めてその辺の数字も見せていただきまして、御批判を受けないようにさせていただきたいと存じます。

泉(健)委員 公益法人に猶予を与えないように、しっかりと改革に取り組んでください。どうもありがとうございました。

北川委員長代理 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 今回の整理機構法案なんですけれども、ここで譲渡、廃止の対象とされている施設が、年金福祉施設、健康保険福祉施設、合わせて三百二十八あると言われております。ここには、病院、診療所、老人ホーム、宿泊施設、それから、きょうもいろいろ上がりましたけれども、各地の行事ができる施設だとか文化施設だとか、さまざまなものがあります。この一つ一つを見ますと、根拠になった法律も違いますし、つくられた経過や、現に果たしている役割、年金財政との関係でどういう問題があるのか、それぞれ違うものになっています。

 ところが、この法案を見ますと、これは組織法ですから、いわば法人のプロフィールしか出てきません。今度の一連の社会福祉施設等の売却、譲渡の問題というのは、結局、年金問題で噴き上がった社会保険庁などへの批判の問題のツケが、国民の日常のさまざまな、中には検討しなきゃいけないものもあると思いますけれども、施設の売却という形でツケが回ってくるというところが実際の正体だと思うんです。

 ところが、この法案そのものには、なぜこれらの施設を売却しなきゃいけないのか、それから、それぞれの施設は一体どういう仕事や役割を果たしているのかとか、そういうものを考えたり吟味する視点は全く含まれておりません。いわば初めから譲渡、廃止がすべてであり、始まりであり終わりである、そういうすかすかの法案になっているというのが、私のこれを読んでの最初の感想なんです。

 まず、尾辻大臣にこの法案に即して尋ねてまいりますけれども、第三条が「機構の目的」と掲げられています。それで、ここを見ますと、年金福祉施設等の整理を図ることが年金事業それから政府管掌の健康保険事業の適切な財政運営に資するんだということになっております。一体どうしてこれらの施設を譲渡、廃止すると、この法案に掲げている適切な財政運営に資することになるのか、これを示してほしいと思います。

尾辻国務大臣 機構におきましては、年金資金等への損失を最小化するという考え方のもとで年金福祉施設等の譲渡等を進めまして、その売却収入を特別会計に納付し年金給付等に充てることのできる財源とする、そこのところをもって保険事業の適切な財政運営に資することになる、そういうふうに考えておるところでございます。

山口(富)委員 損失の最小化ということなんですが、今これは年金財政の損失になっているんですか、これらの施設は。

尾辻国務大臣 申し上げておりますのは、損失を最小化すると言っております意味は、一つは、売却をする、それをできるだけ高く売らないと損失が大きくなる、そこでその損失を最小化するという表現を使っておりますけれども、言っている意味は、できるだけ高くで売りたい、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。

山口(富)委員 そうしますと、売却の価格差の問題の意味だということになりますね。

 では、重ねてお尋ねしますけれども、この三百二十八施設、これは全部赤字なんですか、現在。

尾辻国務大臣 今、三百二十八施設の収支状況についてお尋ねでございますから、お答えを申し上げます。

 年金福祉施設等に係る平成十五年度の単年度収入につきましては、三百二十八施設中、黒字が二百五十二施設、赤字が七十六施設となっておりまして、トータルでは二十七億円の黒字となっております。

 また、平成十五年度までの累積収支について見ますと、黒字が同じく、単年度の数字と同じくと申し上げておるところでございますが、二百五十二施設、赤字が七十六施設でありまして、トータルでは五百四十七億円の黒字となっておるところでございます。

山口(富)委員 今大臣に示していただいた資料は、きょう、理事会の了解を得まして、皆さんのお手元に配付いたしました資料の四ページ目から出ております。私は三百二十八施設の全部の収支表をいただいたんですけれども、私が別に意地悪したわけじゃなくて、社会保険庁の資料が細かい数字なものですから大変見にくくなっておりますが、しかし、今大臣が認められましたように、三百二十八のうち、平成十五年度でいいますと、単年度でも二百五十二、七六・八%が黒字であるということです。

 ところが、今度の法案では、法案の第五条というのがありまして、機構に資本金を政府から出資できるんですけれども、これが大体皆さん方の計算ですと五年間で三百億円だとされています。私はどうも数字がかみ合わないと思うんですが、先ほどの大臣の話でも、単年度でいえば二十七億円の黒字である、それから累積でいえば五百四十七億円の黒字であると。一体そういう施設を何で三百億円かけて売却しなきゃいけないんでしょうか。

 しかも、この三百億円の中身をごらんいただきたいんですが、これはお届けしました資料の二枚目なんですけれども、三百億円の内訳が書かれております。人件費等、物件費を含めて六十億、鑑定、委託等で二十億、解体費で何と百九十億円なんです。

 この百九十億円というのはどういう意味を持つかといいますと、例えば厚生年金病院、これは大臣御存じのように、今、十の厚生年金病院の病院長さんがみんな共同して、何とか残そうじゃないかという運動を繰り広げていらっしゃいます。ここの頑張って頑張ってつくってきた剰余金を見ますと、これが二百六十八億円なんですね。それからまた、私が求めた資料で、いただいたら、どういうわけか社会保険病院も全部くっつけてこられまして、これは対象外じゃないかと私は言っているんですけれども、それを除きましても政府管掌部分の累積の剰余で百七十四億円なんです。

 いわば、百七十四億円という剰余を上げているところを百九十億円かけて解体する。これは全く話が国民に対しては見えるはずがない仕組みだと思うんですが、何でこういうことになるんでしょうか。

青柳政府参考人 幾つかの点でちょっと御訂正というか御修正をいただかなければいけない点があろうかと存じます。

 まず最初に……(山口(富)委員「余分なこと言わなくてもいいよ。あなた方の資料で私は質問しているんだよ」と呼ぶ)はい。まず、百九十億円についてから御説明いたします。

 この百九十億円の意味は、先生今御提出いただいた資料の中にもございますように、全施設の二〇%を解体するとした場合の試算ということでございまして、これは、二十年以上たっているような老朽施設についてはなかなか施設ごと売れないであろうということを前提にしてこの二〇%という数字を算出しておるということを、ぜひ御理解いただきたいと存じます。

山口(富)委員 あなたの答弁を先ほどから聞いていると、不動産の鑑定ですよ、その立場は。

 年金、国民の皆さんが生活の中から本当に大変な思いをして出している、この問題で我々は昨年からもう大討論してきたわけですよ。私が聞いたのは、あなたが言いましたけれども、二〇%の問題だとか、そういうのは書いてあるから読めばわかるんですよ。しかし、現に黒字の施設が多数であるのに、しかもそれはやっとここまでつくり上げてきたものなのに、それを上回るあるいは同額の規模の予算をつくって何で売却に進まなきゃいけないのか、それを説明してほしいと言っているんです。不動産屋の立場じゃなくて、年金を扱っている人の立場として国民にあなたはちゃんと説明しなさいよ。

尾辻国務大臣 これは私が感じておりますことを極めて率直に申し上げたいと思いますが、これを売るということはやはり国民の皆さん方の御意思だというふうに私は理解してこの法案を出させていただいておるところでございます。私が言っている意味は去年からのずっと議論の積み重ねの中で申し上げておるということはおわかりだろうと思いますので、あえてもう細かなことは言いませんが、私の今の気持ちは、やはり国民の皆さん方の御意思に基づいてこの法案を出させていただいておるというふうに思っております。

山口(富)委員 でしたら、大臣、私は法案提出に至ったその意思が間違っていると思うんですね。だって、国民の中から、また利用者の皆さんから、三百二十八をなくしてくれという声は出ていないじゃないですか。もちろん、個々の施設で赤字があれば、それは手直しする必要がありますし、年金との関係で財政に穴をあけるようなことがあったら、それは正さなきゃいけません。

 しかし、この一年で問われたものは何だったのかというと、例えば年金財政の流用の問題でしょう。それからまた一連の監修料にかかわる問題。それからグリーンピアは、十三カ所、今大体その後の扱いは終わったようですけれども、そのうちたしか八カ所が厚生労働大臣の経験者の出身県に置かれている、おかしいじゃないかという意見も随分ありました。それからまた天下りの問題ですね。まだ今度の法案にかかわる天下りというのははっきりしていないんですけれども、資料の一番最後に、厚生労働省がつくった資料で、これは全部ではありませんが、委託先法人に行っている厚労省出身者が一体何人いるかということで、大変な数に上っているというのは皆さん方自身が資料として出しているところです。

 そういう問題に対する批判と怒り、それが何で三百二十八もの施設の譲渡、廃止で解決するのか。解決するはずないんですよ。大体、十三のグリーンピアの処分を通じて一つでも、おかしいと言われた政治家とのかかわり、それから巨額のお金でつくったけれども豪華過ぎちゃって利用者も少なかった、そういうことへの批判とか明らかにしたものというのは結局なかったわけですね。

 だから、大臣に私は重ねて聞いておきたいんですけれども、今必要になってくるのは、少なくともこの施設の問題についていえば、やはり一つ一つが、例えば病院があり、診療所があり、老人ホームがあるわけですから、どうしてつくられたのか、どういう地域的な特性などを持っていたのか、そういうことをきちんと明らかにするということが政治の責任なんだ、初めに売却ありきということになってしまったら政治の責任の果たしようがないじゃないかと言っているんです。

 きょう、質疑の中で大臣は繰り返し、身ぎれいになるんだということをおっしゃいました。しかし、身ぎれいになるという言葉は、正しく使うということになったら、これは売り払うことじゃないんです。政治家としてはその問題の責任をきちんと明確にするということでしょう。そういう姿勢で臨んでいただかなければ、大事な国民の財産の処分なんかやってもらっちゃ困りますよ。いかがですか、大臣。

尾辻国務大臣 よく総論賛成、各論反対なんという表現を使うことがありますが、正確にそのまま今度のケースが当てはまるとも思わないんですが、今度の御議論、ずっと私も皆さん方の御意見も聞きながら、とにかく一番適切な答え、最善の答えをつくってお出ししようと思いながら、ずっと私なりに皆さん方のお声に対して耳を傾けてきたつもりでありますが、その中で私の頭の中に去来した言葉で言うと、やはりそういう言葉でございます。

 私が申し上げておりますことは、やはりいろいろな御批判があります。その御批判、確かに、一つずつ私どもはこたえていかなきゃいけませんし、反省もしなきゃいけませんし、見直しもしていかなきゃいけない、そのとおりでありますから、一つずつやっていくことは当然でありますし、これまでも既に、社会保険庁に限っていいますと、緊急対応プログラムなどをつくって八十項目の見直しも進めてきました。

 そうした中で、やはり社会保険庁、もうとにかくけしからぬという皆さん方のお声、これは当然、そういうお声があると我々が反省しなきゃいかぬわけでありますが、そういうお声がある、そして、その中で、持っている福祉施設ももうだめだというふうに、全部売却せよ、それも例外なくやれというお声が大半であったというふうに私は思うわけであります。

 そうした中で、一つずつ点検するというのはなかなか、これはまた、そういう例外なく売却せよというお声の前には、これは売っていいですか、これはどうしましょうかという判断ではなかったというふうに今振り返って思うわけでございます。

山口(富)委員 大臣、重ね重ね質問になりますが、例外なく売ってしまえという声が多数だったというのは、どこの声なんですか。国民の声なんですか。

尾辻国務大臣 私が受けました気持ちをそのまま申し上げますと、私は、やはり国民の皆さん方の大半のお声であったというふうに感じております。

山口(富)委員 それは全く違いますね。だって、大臣自身がこの間、地方から、各種の施設の問題、特に病院関係、診療所関係を中心にして、存続、発展を願うという声をたくさんもらっているはずですよ。それは聞いていないんですか。

 そこにこそ、やはり今度の問題でいいますと、売却したり、廃止したら終わりじゃないんですよ。そういう批判を浴びた社会保険庁の姿勢はどうだったのか、国でいえば年金行政はどうだったのか、そういうことがきちんと明らかにならなければ、この問題の解決にならないじゃないか。

 私が申しましたのは、三百二十八、それぞれ全部一つ一つ調べろ、そういう意味合いではないんです。問題の性格からいったら、三百二十八施設を処分することが国民の声にこたえることにならない。いわゆる起こってきた不正流用の問題ですとか、さまざまな問題についてきちんとした態度を示すことが、先ほど身ぎれいにするとおっしゃいましたから、身ぎれいになるということじゃないか。しかも、施設について言ったら、一つ一つが条件が違うんだから、丸めて、それこそ例外なしにやってしまうという方向をとるべきでないというのを申し上げたんです。

 では、話を進めまして、三百二十八施設なんですけれども、この資産価値の問題なんですが、法案の十五条を見ますと、一定の残余が出た場合には各種の勘定に納付するということになるわけですね。これは、先ほど大臣がおっしゃいました、最小化を図っていくんだということにかかわってくると思うんですが、今の三百二十八の施設の資産価値をどう見込んでいるのか。それから、これを譲渡、廃止した場合にどれだけの残余なり売却益を見込んでいるのか、これを示していただきたいと思います。

青柳政府参考人 独立行政法人へ出資を予定しております対象財産、すなわち三百二十八施設に係ります平成十五年度末の国有財産台帳におけるいわゆる簿価ベースの価格は、約八千九百億円となっております。

 これを、独立行政法人に財産出資をいたします場合には、法案の附則の第二条第三項それから第三条の第三項におきまして、出資時における時価を基準として評価委員が改めてその資産価値を評価するということにされておりますので、今のお示しをしました八千九百億は一つの目安ではございますが、具体に出資に当たりまして評価をいたしますと、この金額がまた変わってくるということで御了解を賜りたいというふうに存じます。

 また、施設の売却をする際に、その都度適正な評価額をもとに売却をするということとなっておりますので、現時点であらかじめ売却益を確定するということは大変難しいということで御理解を賜りたいと存じます。

山口(富)委員 今の価格を評価するのはもう一回検討するんだという話がありましたけれども、少なくとも、この資料の一枚目にありますが、台帳価格で見ると大体八千九百億円だということになりました。先ほど、この施設に注ぎ込んだお金で、たしか一兆四千億円という話がありました。いずれにしろ、それだけの巨額な国民の財産にかかわる問題なんですね。大臣も、それを扱うんだから、むだを省くという言い方はおかしいかもしれませんが、できるだけ最小化して、国庫にも来るものはありますよという話でした。

 それが今度の法人の第三条に掲げた「財政運営に資することを目的」という中身だったはずなんですが、今の青柳部長の話ですと、掲げた目的さえ、一体どういうことになるのか現段階ではわからないということではないんですか。

青柳政府参考人 繰り返しになりますが、現時点では、正確な数字をちょっと把握のしようがございません。

 ただ、我々が一つの参考数字としてあえてお示しができるものがあるとすれば、社会保険庁が平成十四年度から今日までの間に売却をいたしました年金福祉施設が若干ございます。これを、土地建物を一体として売却したものが六件ございまして、この六件について、そのそれぞれの簿価に対する実際の売却額の比率というものを数字としては見ることができようかと思います。もちろん、高いものと低いもので物すごくいわば幅がございますので、どう見たらいいかという判断は一つあるかもしれませんが、単純に平均をいたしますと、簿価に対する売却額が二七・五%という比率になっておるということは数字として出てまいります。

 したがいまして、これも機械的な計算ではございますが、先ほどの簿価八千九百億円にただいま申し上げました二七・五%を機械的に乗ずると、答えは二千四百億円程度という一つの参照数字が出てくるというふうに私どもは考えております。

山口(富)委員 今、仮に参照数字ということで二千四百億という話がありましたが、単純に考えまして、二千四百億から三百億と必要な経費を除いた残りが皆さん方の計算では国庫に入ってくる、そういう考えでよろしいんですか。

青柳政府参考人 三百億円がまさに、経費と今先生のおっしゃった、人件費その他の経費に当たりますので、単純計算をすれば、二千四百引く三百が国庫に入るというふうになろうかと存じます。

山口(富)委員 これは、ちょっと言葉は悪いですが、ばくちみたいなものですね、今の説明だと。注ぎ込んだお金から考えますと、これだけの一兆円前後の国民の努力が、いわば下手をすると泡になっちゃうといいますか、それで残るのが、この間の六件の経験だと二七・五%程度だということでした。

 私は、これだけの規模からいきましても、これは大変な国有財産の処分になりますから、やはりもう一回立ちどまって、この抱えている問題、特に、今度の施設の設定については第三条で厚生労働大臣が定めるということになっていますから、これはもう一度きちんと、よく法案審議の過程を見ながら考えるという立場で大臣に臨んでいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 今、仮の計算ということでお示しをいたしましたけれども、その数字で申しましても、大変国民の皆様方に申しわけないことになるということを痛感するわけでございます。本当に申しわけないと思います。

 ただ、今回これをしないとしてどうなるかということもまた考えなきゃならぬと思っております。特に、いろいろな御批判の中で、年金積立金、これは原則としてといいますか、基本的にといいますか、あえてそう言わざるを得ませんのは、年金の御相談みたいな部分が少しありますので、厳密にすべてというわけじゃありませんけれども、そういう、どうしてもやむを得ない、その他に使わざるを得ない金は別といたしまして、とにかく積立金をそっくりそのまま給付に充てるということになっておりますから、そうした前提でいたしますと、こうした措置をきっちりとっておくことが長い目で見てやはり損失を一番小さくすることだ、こういうふうに判断しているところでございます。

山口(富)委員 私の質問への答えはいただけませんでしたけれども、少なくとも大臣が、これを進めると国民の皆さんに対して済まないことになるという答弁をされたことは、私は、大臣としては本当に思い切った発言だと思うんです。そういう事態が確かにあるわけですから、お互いにここは、私はこういうやり方は反対ですけれども、大臣は進める立場なんでしょうが、しかし、立場の違いはあったとしても、国民の財産を扱うという立場から、必ず、こういう済まないことが起こらないように私はやっていただきたい。

 それで、これは具体的に考える必要があると思うんですね。今度の廃止、譲渡の施設に上げられている一つに、社会保険診療所や健康管理センターがあります。まず、これがなぜ置かれているのか、設置の目的。そして、特に東京の場合は二つ合わせますと四つありますけれども、どういう特徴的な仕事をしているのか。皆さん方はこの仕事に対してどういう評価をしているのか。これを示していただきたいと思います。

青柳政府参考人 まず、社会保険診療所についての設置目的ということからお答えをさせていただきたいと思います。

 これは、昭和二十年代に保険あって医療なしと言われた状況に対しまして、保険者が行う保健福祉事業の一環として、被保険者の方々の受診機会の向上、あるいは保険診療の啓発普及、あるいは集団結核検診等を目的として設置をしたものでございまして、三十年代後半以降は、より広く、疾病予防や健康管理を目的としたいわゆる生活習慣病予防検査等の各種検査をあわせて実施するという形で今日に至っているものでございます。

 また、健康管理センターと社会保険診療所、東京でどのように組み合わせて活用しているかということについてのお尋ねでございますが、東京の場合にはこれまで、八王子にございます健康管理センターと都内の三カ所にございます診療所の健診センターのコンピューターをネットワークで結びまして、データを相互にやりとりできるような管理の形をとることによりまして、被保険者の方々の健康をどの地域におられてもデータのやりとりをすることによって適切に管理できるような、そういうネットワークをつくられておるというふうに承知をしております。

 これに対しての評価というお尋ねがございましたので、最後に申し上げます。

 この点については、先ほど来申し上げましたように、診療所あるいは健康管理センターがいわゆる生活習慣病の予防健診というようなことで大きな、中心的な役割を果たしてきたということは私どもも評価をしておるところでございますが、このような状況の中で、相互に健診情報の共有を図るという独自の取り組みが東京における一つの大きな機能であるというお話でございました。

 しかしながら、実は、近年はこういった健診実施機関の充実が各地で進んでおりますので、民間医療機関への委託も順次拡大をしております。私どもとしては、実はこうした健診結果は全国的に集中管理をして活用する体制を整えたところでございますので、東京の先駆的な例を現在では全国で活用できるような形に改めつつあるというふうに御理解をいただければと思います。

山口(富)委員 今、医療も外部診療もやりますけれども、しかし健診それから健康予防、この点では全国でも先駆的な役割を果たしたという説明がありました。

 それで、ちょっと時間が限られてきましたので、健康局長に簡単にお答え願いたいんですが、今、国は健診の問題、予防の問題を大変重視されています。そういう立場からいきますと、今東京でかけがえのない役割を果たしている社会保険の診療所や八王子の健康センター、これをなくしていく方向というのは国の施策と相反するんじゃないですか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 健診とかあるいは保健指導、こういうものを中心とします生活習慣病対策を充実させること、これは、国民の健康増進、それから生活の質の向上等の観点から大変重要であるというふうに考えております。

 特に、健診は、生活習慣病の有病者、あるいはその前の状態にあります者を早期に発見して適切な保健指導や治療につなげることを目的としておりまして、健診後の適切な保健指導等によりまして、個人の生活習慣の改善あるいは発症予防の効果が期待されているところでございます。

山口(富)委員 大臣、資料の七ページ目をごらんいただきたいんですが、これは厚生労働省にお願いしまして、各診療所がどういう役割を果たしているのか、簡単にまとめていただきました。

 ここに事業内容が紹介されておりますけれども、そこを読みましても、例えば、被保険者等の疾病の予防活動や早期発見及び早期治療等の二次予防のために健診による力を発揮している。それからまた、健康の保持増進を図るだけでなく、医療費の適正化にも寄与している。非常に大事なところですね。

 私はやはり、なぜこういう大事な仕事をしているところ、これは健康局長も大事だとお認めになりました、これを壊す必要があるのかと。これは、初めから一律廃止の方針をとったがためにこういう問題が生まれていると思うんです。大臣、国がやろうとしている健診の重視、予防の問題、これと反するようなやり方をこの法人化の問題では絶対にとらないでいただきたい。これは大臣に答えていただきたい。

尾辻国務大臣 今、この七ページに書かれてありますようなことというのは、これはまた私どもが施策として進めなきゃならないことでございます。こうした機能だけはきっちりと維持したいと思っておりまして、これらの進め方というのは、私どもは、施設を売却するということとは別に、万全を期してまいりたいと存じます。

山口(富)委員 私は、これは次回の質問で取り上げますが、今の政府のやり方では機能の維持も非常に不安であるというふうに考えております。ですから、これはやはり、一律譲渡、廃止の方針でなく、個々に必要な手だてをきちんととりながら、特に医療関係、公的な仕事をやっているところについてはその状態が維持改善されるように努めていただくことを求めまして、一回目の質疑を終えたいと思います。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の議題になっております独立行政法人による年金関連の福祉施設並びに医療施設等々の売却に関連する法案の審議に当たりまして、きょうの午前中の委員会でございましたか、米澤委員が、これは本当の意味で厚生労働行政の自滅、みずから墓穴を掘るようなやり方に等しいという指摘をなさいました。このことを大臣はどう聞かれたのか。非常にあの米澤委員の言葉というのは、もしかして御自身が社会保険病院あるいは厚生年金病院を御利用された利用者としての切実な思いからというふうにのみ大臣がお受けとめになったのであれば、私は、あれだけのことを言われた米澤委員の気持ちというのはきっと十分伝わっていないように思います。

 各委員、どなたもきょうは御指摘でございますが、私もここではっきりさせたいのは、これは単に尾辻大臣が国民に対して、国民の不評、この間の社会保険庁のいろいろな失敗、それはひいては厚生行政の失敗、そのことに対して表面の金銭的な、金銭をもって最小限の国民被害であったということに帰結させようとするなら、それにおいて逆に、本当にこれまで積み上げてきた厚生労働行政のみずからの反省と、そして今後の展望を失うということをまず冒頭指摘させていただきたいと思います。

 そして、そのこととも多少関連いたしますので、同じように、数字でまやかしして、厚生労働省と公益法人の間のきちんとした管理監督を目くらまししている事件があると私は思いますので、冒頭、そのことを取り上げさせていただきます。テーマは骨髄バンクについてでございます。

 骨髄移植と申しますものは、一九九二年からこうしたバンク組織ができ上がりまして、現状では約八百人近くの方が骨髄移植をお受けになって、難病と言われます白血病を初めとする疾患に一つの希望を見出したり、あるいは回復をなさる方もございます。その意味では、十数年経て定着をしてまいりましたし、毎年毎年二万人を上回る方がドネーションをしてくださいます。あの美しい夏目雅子さんがテレビでにっこり笑うので、ああそうかと思ってドネーションしてくださる方も多うございます。

 でも、私は、それだけ国民に広がり、そしてそのことによって治療、回復の希望を持てる人がふえたときだからこそ、この骨髄バンクのあり方、公益法人でございます、このあり方がどうであるのかということが、透明性を持ち、きちんと説明責任を果たし、本当に公益をきっちりと提供していける団体にならなければいけないと思っております。

 まず、ここに六月六日の朝日新聞の記事、きょうは皆さんのお手元には資料配付いたしませんでしたが、ここには、この間、骨髄移植バンクに留保金というのがございまして、事業収益から幾分かを留保しながら予備力を持っていく留保金というのがございますが、これが二〇〇四年度には五億円以上に膨らむのではないかという記事がございます。

 公益法人は、その留保金を、補助金も入っておりますし、たくさんの留保金を持って運営されるものではなく、大体全体の運営の三〇%内外にとどめよということが、これは厚生労働省からの指導でございます。

 冒頭、まず事務局サイドに伺いますが、この膨大に膨らんできている内部留保金、実は去年が四億七千、その前が三億でございます。ことしがまた五億を超すかもしれない。

 こうした事態は、実はこれを管理監督する厚生労働省が、あらかじめその事業運営のあり方、特に患者さんにとっては一件一件移植を受けるときの費用にかかわってきますから、もしも留保金があるなら、もっと患者さんは安く受けたい、自己負担を軽減してほしいと思っておられます。この過大な留保金について、まず御説明願います。

田中政府参考人 御説明申し上げます。

 御質問の財団法人の骨髄移植推進財団でございますけれども、平成十三年に基本財産から二億円を取り崩すというような、過去、財政難の状況というのが続いておりました。以後、経費節減等、あるいは患者負担金の見直し、さまざまな改善努力をいたしまして、結果として平成十五年度末の内部留保額が四億円を超えるという状態になりました。

 私ども、指導基準としております公益法人の内部留保の水準というのがございまして、事業費及び管理費の三割を超えないようにという御指導を申し上げているんですけれども、これを超えているようだということで、六月の六日でございますけれども、この財団に対して臨時の立入検査を行ったところでございます。

 まずは、経理処理上の問題が二つほどございまして、一つは、未収金について、回収不能な見込み金額を貸倒引当金として計上していなかったとか、あるいは退職給与引当金について必要な金額を計上していなかったというようなことがございまして、これを御指摘申し上げました。

 それと同時に、財団の安定的な運営に必要な資金を考慮しつつ、患者負担金の軽減の可能性についても検討するべきではないか、こんなような御指摘をすると同時に、速やかに改善措置を講ずるように勧告をしたところでございます。現在、財団におきまして改善策につきましての検討がなされております。

 厚生労働省といたしましても、引き続き、健全な経営が行われますように、必要な指導監督をしてまいる所存でございます。

阿部委員 表向きの説明はそのようでございましょう。

 私は、実はここに、平成十六年度、二〇〇四年度の収支報告書を持っております。この中では、今局長がお話しになりました患者負担金の未納金、これは、今このような経済状態が悪い、患者さんが移植を受けてもお金が払えない、それがずっと累積していたものをこれまで計上しておりませんでした。十年分近くを合わせて計上して五千三百十三万円。そしてもう一つ、職員の退職引当金もずっと計上してございませんでした。これを合わせて三千三十一万円。約八千万円のお金を十年分まとめて計上させて、やっと表に出た留保金が四億七千万です。逆に、厚生労働省がそれだけの操作をしなければ、ここに五億五千万以上の留保金が発生してございます。

 私は、こういう指導の仕方、表の数字を五億を超させないため、去年が四億だった、ことしが五億、これは両方とも多いお金です。そして、本来は一刻も早く患者さんのために軽減するような向きに回すべきものでございます。その批判を恐れた、行政の指導の怠慢を言い逃れするために、十年分一挙に会計処理させるようなやり方。公益法人の会計処理の甘さ、それを管理監督すべき厚生労働行政の本当に手ぬるいやり方。実はこのモデルこそ、これから私が問いかけたいこの独立行政法人問題にも、本当にそっくりの構造が反映しております。

 大臣に伺います。公益法人は、特に厚生労働省下の公益法人は省庁の中で最も数が多いと私の記憶にはございます。そして、命を預かるような分野、こういう骨髄移植、かつては臓器移植ネットワークというもう一つの臓器移植団体が、これは移植学会にトンネル寄附をして大きく問題になりました。命を預かる分野の公益性の高い法人は、やはりきっちりと、本当に会計処理も含めて、最大の国民利益のためにあるという姿勢を貫かなければ、極めてグレーな、そしてやみからやみへの部分になってまいります。

 私は、今回の厚生省が骨髄バンクに対して行ったところの、実は二年にわたる怠慢を一挙に書類操作し、十年前のものまで引き込んできたこのやり方。どうしてもやはり大臣にきっちりと、今後こういうことのないように、毎年毎年の指導できっちりやっていただきたい。そうでなければ、本当の意味でこうした医療が定着していく道が阻害されます。

 大臣には、きょう私はこれを予告してございませんので、今私が局長とやりとりしただけのことで恐縮ですが、もう一度この事態について、骨髄バンクの内部留保金が、実は現在四億以上の補助金が入ってございます。しかし、内部留保金はこの書類操作をしなければ五億五千万ございます。こういう事態はとてもいびつだし、そのようなことを放置してきた厚生労働省も、もしもこの朝日新聞の記事が出なければ、やみからやみだったと思います。その点において、きっちりとした行政指導をしていかれるという御決意をまず賜りたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、一般論で申し上げますけれども、厚生労働省所管の公益法人に限らず、公益法人が透明性を持ちまして、きっちりとした会計処理もなされていなきゃならない、これは仰せのとおりでございます。

 具体的な骨髄バンクのきょうのお話でございますが、私も初めて聞きましたし、特に今先生が、操作をしなければ五億幾ら、それで今表へ出ている留保が四億とかというお話をしておられるところでございますが、この辺につきましては、今のお話だけでは理解できませんので、後でよく聞きまして、私もまた理解をし、適切に対処したい、こういうふうに存じます。

阿部委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、本題に戻らせていただきますが、この間提案されております独立行政法人によって、年金にかかわるさまざまな国民が払った保険料の運用について、より国民の声に従うようにしたいということでのるる御提案でございました。そして、各委員からの御質疑の中では、例えば、病院を初め、あるいは地域の厚生年金会館など、その地域で文化や暮らしにかかわって強く要望されているものもあって、一体国民のニーズということをどういうふうに思っておられるのか。国民のニーズというのは何なのか。この法案の冒頭の趣旨になってございますが、経済環境、施設を取り巻く社会環境及び国民のニーズの変化等を踏まえということで、国民のニーズというのが何であるかということを、他の委員もお聞きでございましたが、私は今もって、この点について、青柳部長からも大臣からも、国民のニーズということを本当に把握しておられるのか、御理解しておられるのかという点について、きょうの審議の中では確認することができませんでした。

 そもそも、参議院でも先議され、そして参議院においても、また本日の委員会においても、この法案の出され方が、本来自分たちが何を批判されたのかに対しての自己総括、子供もそうです、怒られたらとにかくごめんなさいとは言います、だけれども、何が悪くてどのように変えたらいいのかを自分自身が理解しないと、本当の反省にはなっていません。私は、こういうことを言うと子供に失礼ですが、これは子供以下だと思います。とりあえず批判されていることを、さっき言った、金でごまかす。金でごまかせば、不動産鑑定みたいな話ばかりでした、それが最大に売れる。一般入札に入れてたたき売って、さあ幾らで売れました、ごめんなさいとしましょうと。

 国民の望んでいるものはそんなものではないと思います。国民はそこまでばかではないです。皆さんが考えているほど単純でもなければ、本当に今求められているものは、例えば、医療においては、これからますます高齢化していく。さまざまな障害が起こる。そのとき、どこが一番きちんとリハビリをやってくれたか。それが米澤先生の例でした。大臣が、本当に本当に、この事態に私は目を開いてほしい。国民のニーズとは何なのか。そのときに、大臣がそこに本当に目を開かれたときに、厚生労働行政は信頼を取り戻すのだと私は思います。大臣、国民のニーズというのは何ですか。

尾辻国務大臣 社会保険庁に対するさまざまな御批判をいただきました。その大きな一つが、むだが多過ぎる、むだ遣いをしておる、こういうことでございました。そして、そのむだ遣いの最たるものがこの福祉施設だというふうに国民の皆さん方の御指摘をいただいたと私は理解をいたしております。

 したがいまして、今改めて国民のニーズとは何ぞや、こういうふうにお聞きになりますと、ここで言っております国民のニーズというのは、むだ遣いを排せよというお声でありまして、そしてその先にありますのは、福祉施設を売却せよ、こういうものであったというふうに理解をいたして、まさに国民のニーズをそういうふうに理解いたして今回の法案をお出ししておるところでございます。

阿部委員 私が申し上げたいのは、国民のニーズとはそんな単に表面の浅はかなものではないということです。

 もちろん、むだ遣いを正すのはこれは当たり前です。これを国民のニーズとは言いません。こんなことは常識です。だれが好んでむだ遣いしましょうか。しかしながら、むだ遣いしてきました。社会保険庁のやり方はむだ遣いしてきた部分もあります。その部分を正すことと、今回、また新たに独立行政法人をつくり、私はこれはさらなるむだ遣いだと思います。先ほど、そこにかかる費用は経費だからまた保険料からと言いました。経費と言い逃れて、また本当にわけのわからない箱をつくって、そこに失礼な言葉ながらくそみそ一緒に突っ込んで、バナナのようにたたき売る、こういうものが果たして国民の望む形なのか。

 国民は今、郵政民営化よりも、もっと年金を初めとして厚生労働行政こそしっかりしてほしいと思っていると思います。浅はかな思いで厚生労働省に期待しているのではないと思います。

 そして、私は、もう一つ言わせていただきたいですが、参議院のずっと審議の議事録を読み、またきょう伺っても、実は厚生労働省自身の総括がないのです。社会保険庁を監督する厚生労働省自身が、この間のいろいろな、さっきの健康、健診政策を打ってきた、あるいは社会保険病院をつくってきた、厚生年金病院をつくってきた、みんな厚生労働行政です。その時々、政策として打ち出し、そして手法としては公益法人を使ってやってまいりました。政策が誤りであったか、時代が変わったか、これからはどうかという総括が一つに必要だと思います。いま一つは、先ほど来私が指摘させていただいている公益法人と厚生省のあり方において、きちんとした管理監督なり、保険者に最小限の負担で済むような運営がなされてきたかということこそを、厚生労働省には総括していただきたいです。

 その視点がなければ、こちらで有識者会議、私はこれは外から見た総括だと思います。しかし、みずから担ったものにはみずからの誇りがあってしかるべきです。

 私は、実は議員になって五年目。そして、五年前、私が国会に来たときの医政局長は伊藤さんという方でした。その後、この社会保険関連施設に天下った云々の批判のある方ですが、私は、そういうことにおいて彼を批判しようとは思っていません。実は、彼とは、戦後の日本の皆さんがやってきた厚生労働省の医療行政がどんなものであったかという話を、随分、幾度にもわたってお話を伺いました。

 例えば、戦後間もないころ、まだまだ日本の中に十分な医療施設がないときに厚生年金病院はつくられました。各地で戦争から傷ついて帰ってきた傷痍軍人と呼ばれる皆さん、あるいはそのほかさまざまな、整形外科的疾患でリハビリが必要となる方を含めて、とにかく病院の量をふやさなきゃいけない時代。それからさらに質を上げようとした時代。おのおの、今に至るまで四期ほどの区分けをして彼は説明をなさいました。

 私は、みずからやってきたことに何から何までこれで終わりよというようなやり方をする省庁を信じません。それは、坊主丸ざんげでしたか、とにかく、ざんげの値打ちもないのです、そういうのは。やはり、自分のやってきたことは誇りを持って、そして現時点で何が必要かを国民に問いかけるくらいの気概を持ってやっていただかなければ、実は命を預かる厚生労働行政なんか私はできないと思っています。

 ここで大臣に伺います。私は、特に、医療提供体制ということから、現在の日本における最も国民の求めているニーズは何かということで、大臣とお話をしたいと思います。

 今、厚生労働省では、医療提供体制の見直しというのを行ってございます。大臣も御存じかもしれませんが、医療計画の見直し等に関する検討会というものが、五月三十日までの間に、この間、九回行われております。これはいわゆる医療計画です。どこにどういう病院を置き、どのような機能を担わせ、お互いのネットワークをつくり、これからの少子高齢社会をどのように展望していくかという、この医療計画制度のあり方についてという何回かの審議を見て、まず一つ、大変に驚いたことがあります。

 それは、医療提供における国と都道府県の役割ということの規定において、まず、国や都道府県は、これからは直接医療サービスを提供する機能よりも、医療サービスに係るルールを調節する機能に向かっていくべきだとされています。その前提として、国民がどの地域においても安全、安心で一定水準の医療を受けられることを前提とした上でというのがございます。

 果たして今、日本全国で、津々浦々、どこでも安心して医療を受けられる体制の前提はあるとお考えでしょうか。これはまず、大臣の正直な御感想をお願いします。

尾辻国務大臣 これは疾患等にもよると思います。最近話題になりました、例えばがんの治療の均てん化というようなこともございます。まだまだ、がんに限って言いますと、均てん化が求められるということでございますから、かなりの地域差があるということも事実でございます。個々に見て、いろいろな面が言えるだろうというふうに存じます。

阿部委員 そうした中にあって、がんのみならず、地域差があり、国民にとって安心、安全の最低基盤がないというところはいろいろあると私は思います。

 では、厚生労働省の、今度は医政局でしょうか、伺います。

 厚生労働省として、各地域の医療提供体制の実態というのはどのように把握しておられますでしょうか。

岩尾政府参考人 医療計画制度は、昭和六十年に制度化されております。都道府県が主体的にやりまして、私ども国としては、医療計画の作成のときに、重要事項についての技術的な援助を行うということになっております。

 最近の各都道府県の出しております医療計画、先生もごらんになっているかと思いますが、数値目標等々、いろいろ入っておりまして、地域におけるさまざまな課題のニーズを適宜把握していると承知しております。

 こういうものを基礎として地域医療の確保に取り組んでいるということで、私ども、こういうものをベースにしまして、十八年度の医療制度改革につきましては、地域の具体的な医療提供体制の姿がわかりやすく住民に提供できるということを柱に、現在、検討しているところでございます。

阿部委員 具体的にわかりやすければ、この厚生年金病院の売り払いや統合、廃止などは、厚生労働行政としてやるべき策ではないと思います。

 きょう冒頭、石崎委員の御質疑は、登別の厚生年金病院でした。地域に十分に根づいておるということ、私は、厚生労働行政がやってきた歴史と実績は、だれに恥ずることなくきっちりと国民に伝え、その上で、例えばむだの部分があれば、それは正せばよろしいと思います。

 私は、この場でいろいろ、これから特に一番問題になってくるのは医療提供体制ではないかということを常にお話し申し上げ、そして、この間の厚生労働行政が、特にいろいろな病院の安易なお取りつぶし、これは国立病院の場合もそうでした。

 そして今、厚生年金病院を預かる皆さんは大変不安な思いになっております。それは、預かる皆さんもそうですし、地域の住民もそうです。本当に少子高齢社会を見据えた、医療提供体制のきっちりとしたマッピングを、やはりこれは、先ほど医政局長は知っておりますとおっしゃいましたが、それは都道府県レベルがまず把握でございます。もし厚生労働省として把握であれば、この十の病院の、これから廃止、あるいは売却、あるいは何らかの存続の中で、どのような措置がおのずととられるべきか。それは、レット・イット・ビー、その後に任せましょうという形にはならないと思います。

 大臣は、さきの介護保険の審議の中で、あるいは障害者自立支援法の審議の中で、できるだけその方の障害やいろいろ介護を要する状態を軽減させたいということを繰り返しおっしゃいました。私は、実は、二十一世紀の大きな政策的な誘導すべき医療分野の一つとして、リハビリ医療というのは今新たにまたクローズアップされていると思います。そして、間違いなくこの厚生年金病院はリハビリ医療を担ってまいりました。大臣がすごくお忙しいから、あっちに視察に行きなさい、こっちに行きなさいとはとても申し上げられませんけれども、でも、少なくとも寄せられた声の中で、何をしておるか、どんな支えになっておるかということは御存じだと思います。

 大臣にまず二点伺います。

 リハビリ医療というものを、もう一度医療の中で、もっとしっかり政策医療的な位置づけをすべきでないかというのが一点。

 そして、そうした観点に立ったならば、やはり政策医療というのは、小児医療にしろ成人病対策にしろ、これからの国の骨格にかかわるから、そのことについては相手任せにはならないのだ、やはり何がしかの公的な関与、公とは、必ずしも官とは申しません、きのうも郵政民営化で話しましたパブリックという分野です。例えば、地方自治体との話し合い、あるいは国立病院のように独立行政法人として厚生年金病院を運営する方策、幾多あると思います。そうした検討の余地があるものであるとお考えになっていただきたいですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、リハビリ医療について申し上げたいと存じます。

 改めて申し上げるまでもないとは思いますけれども、医療法では、医療提供の理念として「単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」と規定をいたしているところでございまして、リハビリ医療の重要性というのは法律でも規定をされておるところでございます。

 私どもといたしましても、今後の高齢化の急激な進展を踏まえまして、質の高いリハビリ医療の重要性は十分認識しておりまして、公的医療機関に限らず民間医療機関も含め、地域で患者にとって真に必要なサービスが効率的に提供されるよう、医療計画の見直しを通じて引き続き努力をしてまいりたいと存じております。

 申し上げましたように、リハビリ医療の重要性は十分に認識をさせていただいております。

 そこで、きょう話題になっております厚生年金病院の譲渡のことにもなるわけでございますが、ここの部分について言いますと、今度は、年金の大事なお金を国民の皆さんからお預かりしておる、これをまたむだなく給付に充てさせていただく、その立場から、今後どうすることが一番いいのか。今までやってきた福祉施設のこと、そしてまたその一つである厚生年金病院をどうするかというようなこと、私どもは真剣に考えまして、ここは、福祉施設は例外なく売却することがいいという判断に至ったわけでございます。

 ただ、そうしたものが、ものがといいますのは、例えば厚生年金病院でありますけれども、これまで地域医療に果たしてきた役割というその機能は十分維持をさせる、その努力をしながらこの作業は当たりたいと思っておるところでございまして、どうぞ、私どもが考えておりますことも御理解いただきたいと存じます。

阿部委員 参議院での審議でも大臣は結局はそこまでしかおっしゃらないのですが、やはり国民が何を一番求め、何を喜びとするか、本当に虚心坦懐にお考えいただきたい。そして、そういう方針を大臣が打ち出されたら、そのことは国民はむしろ拍手をもって迎えると思います。

 また次回、質問させていただきます。

鴨下委員長 次回は、来る十五日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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