衆議院

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第30号 平成17年6月29日(水曜日)

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平成十七年六月二十九日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    石崎  岳君

      石田 真敏君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    田中 和徳君

      田中 英夫君    中山 泰秀君

      西川 京子君    原田 令嗣君

      平井 卓也君    福井  照君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      山際大志郎君    吉野 正芳君

      石毛えい子君    泉  健太君

      内山  晃君    大島  敦君

      奥田  建君    小林千代美君

      小宮山泰子君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      松野 信夫君    水島 広子君

      米澤  隆君    高木美智代君

      古屋 範子君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           中島 正弘君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十九日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     加藤 勝信君

  上川 陽子君     平井 卓也君

  菅原 一秀君     大前 繁雄君

  原田 令嗣君     田中 英夫君

  渡辺 具能君     石田 真敏君

  泉  房穂君     松野 信夫君

  城島 正光君     奥田  建君

  横路 孝弘君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     田中 和徳君

  大前 繁雄君     菅原 一秀君

  加藤 勝信君     山際大志郎君

  田中 英夫君     原田 令嗣君

  平井 卓也君     上川 陽子君

  奥田  建君     城島 正光君

  小宮山泰子君     横路 孝弘君

  松野 信夫君     泉  房穂君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     渡辺 具能君

  山際大志郎君     井上 信治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長青木豊君、職業安定局長青木功君、国土交通省大臣官房審議官中島正弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林千代美君。

小林(千)委員 おはようございます。民主党の小林千代美です。

 建設労働者雇用改善法の一部改正案について質問をいたします。

 トップバッターなんですけれども、与党の皆さん、質問されないんですね。この法案に対して御興味がないんでしょうか。

 この法案は、一部改正どころか、一条の目的から二条の定義から変わってしまう法案でございまして、一部改正というよりも全面改正に近い改正内容というふうになっております。今の日本の建設業における雇用関係を大きく変える危険性すらある法案の中身になっているわけでございまして、この法案について私は大変問題意識を持っているところです。

 今の日本の建設業というのは、改めて私が言うまでもありませんけれども、重層的な下請制度という複雑な関係の中で建設業というものが行われております。その間で労働者の雇用関係というものも大変複雑化をしております。重層的な下請制度、大手のゼネコンが仕事を受ける、地方のゼネコンあるいはサブゼネコンに下請をする、それから第二次、第三次、第四次、第五次、言えば切りがないかもしれませんけれども、そのような下請制度の中でさまざまな建造物や建築物がつくられているわけですね。

 こういった日本の重層的な下請制度というものは、もちろん問題もあります。しかし同時に、その中で、そこで働いている現場の労働者の方々の雇用の移動というものがある程度図られてきた面もこの制度はあったのではないかなというふうに思っております。

 しかしながら、そのような複雑な雇用環境の中で、他の産業に比較をいたしますと、建設業で働く労働者の方々の労働環境というものは著しくおくれた労働環境に今でもあるのではないかと思います。また、ほかの産業と比較をいたしましても、建設業で起こる労働災害、労災事故というのは、死亡事故あるいは負傷事故を含めてワーストワンというような状態になってきておりまして、これは今まででも問題性というものは数々指摘がされてございました。これを改善するための法律がこの建設労働者雇用改善法だったのではないかと私は思います。

 もともとは十三条のこの法律でしたけれども、その中で、雇用関係を明確にしましょう、責任体制を明確にしましょう、あるいは雇用管理体制というものを整備推進していきましょう、さらには建設労働者の方々の技能向上や福祉の増進を図りましょう、こういったものがこの建設労働者の雇用改善法の中身であったというふうに私は今まで理解をしておりました。

 ところが、今回この法案が全面改正というふうになります。十三条までの法律でしたけれども、法律案を見てみますと、五十二条まで、実に四倍にも条文だけでも膨れ上がっております。一条の目的も変化をしました。二条の定義も変化をしております。この中で、そもそも雇用関係を明確にする、雇用管理体制を整備するためだったこの法律の本質というものが変化をして、雇用関係の複雑化を招いてしまうのではないか、私はこのように考えております。

 今回のこの法律案の改正の目的、まずそれを伺いたいと思いますけれども、本当にこの法案の改正目的というものは何を目指したものなのか、そして、今全国で五百八十万人と言われております建設業で働く労働者の方々の雇用の改善に本当に資するものなのか、そして、今までの建設労働者の雇用改善法という法律の理念に今回の法案は逆行するものではないんでしょうか、まず大臣にこの点をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 現行の建設労働者雇用改善法は、雇用改善等の措置を講ずることにより建設労働者の雇用の安定に資することを目的としたものでございまして、雇用関係の明確化等の措置を講じてきたところでございます。

 現在、建設業におきましては、中長期的な建設投資の減少等を背景に、労働者の雇用が不安定化するおそれがございます。それから、そもそも建設業というのが受注産業という特性がございますから、その特性からよってくるわけでございますけれども、労働者を過剰または不足とする建設業者が共存しておる状況にもございます。

 また、さらに申し上げますと、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四、いわゆる骨太二〇〇四でございますが、これによりまして、関係省庁が連携して建設業内外の新分野への進出を支援するということもされております。

 こうしたいろいろな状況を踏まえまして、厚生労働省といたしましては、工事の受注減により厳しい状況にある建設労働者の雇用の安定を図るというこの観点が一つございます。それから、建設業内における必要な技能労働者の確保を図るというもう一つの観点がございます。こうした観点から、建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業を創設するという今回の建設労働法の改正法案を提出させていただいたところでございます。

 そして、今二つの事業を申し上げましたけれども、これらの事業を新しくつくることにより建設労働者の円滑な再就職や雇用の維持が図られることにより、建設労働者の雇用改善の一層促進に資するものと考えておるところでございます。

小林(千)委員 確かに、今の建設業の現状は大変厳しい状態にあると思います。特に、建設業における投資というものもバブル崩壊後ずっと減少をしております。金額にいたしますと、一番ピーク時では八十五兆円あった産業、これが今は、その約三分の二ぐらいになるでしょうか、五十三兆円規模まで減少している。当然、そこで働く労働力というところも、一言で申し上げれば、不安定というよりも、過剰であるというふうにこれは認識しなければいけないであろうと思います。

 バブルの時代に一番ピーク時を投資の金額が迎えるわけなんですけれども、その前の状態を見てみますと、昭和六十年ぐらいの規模というのが大体現状の規模ぐらいではないかと言われておりますけれども、その当時と比べても、建設労働者が五十万人今現在多い、五十万人過剰であるというふうに理解をしていいんでしょうか。この建設労働者の方々の雇用というものを安定化していかなければいけない、あるいは一部過剰と思われているところについては、適切にそれを移動、移行をしていかなければいけない、こういう状態は確かにあると思います。

 しかしながら、今大臣がおっしゃった今回の法改正の内容にあります二つの事業、ありていに申しますと有料職業紹介というものと、もう一つ、派遣につながるおそれがあるのではないかと言われております、これは何というんでしょうね、労働者の融通というふうに言っているんでしょうか、この二つの事業が、大臣が指摘をしました現在の労働者の雇用の不安定化、そして過剰と不足が共存をしているという状態にどれだけ資するものになるのかというのは私は大変疑問を持ってなりません。

 現在の五百八十万人の建設労働者のうちに、今回の法改正、二つの事業により、数にしてどのぐらいの労働者の方々の雇用の安定につながる、雇用の改善につながるというふうに考えているんでしょうか。

青木(功)政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業務労働者就業機会確保事業、これがただいま委員お触れになりました労働者派遣型ということになろうかと思いますけれども、送り出し労働者の方々につきましては、同じ常用労働者のみを対象とする労働者派遣事業、特定労働者派遣事業というものとほぼ同じような形でありますけれども、こういったものを推計いたしますと、約二万人程度が対象になるのではないかというふうに見込んでおります。

小林(千)委員 今回法案の中で書かれている二つの事業により約二万人の労働者が対象になるのではないかというふうな内容ですけれども、現在建設労働者は五百八十万人存在をしているわけなんです。その中でどれだけ雇用調整あるいは雇用の安定化を図っていくかということを考えますと、今回の法改正でも、たった二万人という言い方をさせていただきます、そういった内容でしかない。圧倒的多くの、現在でも不安定な立場にある建設業で働く労働者の方々の雇用というものを、あるいは不安定化というものを改善していかなければいけないわけなんです。今回の二万人だけでは話の足りる問題ではありません。

 たしか、厚生労働省の方で平成十六年度、去年から建設雇用再生トータルプランというプランをつくって、建設労働者の雇用の改善というものに当たっているというふうに伺っております。その中身は、一つは新分野への進出を図り、そこで雇用の安定を行っていく、二つ目には離職者の円滑な労働移動というものをしていく、三つ目に、今回の法改正の内容だと思いますけれども、新たな労働力需給システムというものを考えていく、四つ目に技能労働者の育成ということを考えていらっしゃるようですけれども、五百八十万人、トータルといたしまして、新たな建設雇用再生トータルプラン、これをどのように考えているんでしょうか。そして、建設雇用再生トータルプランと今回の法改正の関係というものは一体どういうふうになっているんでしょうか。

尾辻国務大臣 お話しいただきましたように、昨年十二月に国土交通省等関係各省と取りまとめました建設業の新分野進出支援策の一環として、建設事業主の新分野進出の支援、それから新規成長分野を含む建設業内外への円滑な労働移動の推進等に係る措置、そうしたものを柱とする建設雇用再生トータルプランを推進しているところでございます。

 その中におきます建設業内の新分野進出にはその中核を担う人材の確保が必要でございますけれども、その円滑な確保のためには職業紹介機能の充実が重要でございまして、ハローワーク等、既存の職業紹介による経路のほか、建設事業主や建設労働者の情報が集積しやすい事業主団体が建設業務に係る職業紹介を実施することで新分野進出に必要な人材の円滑な確保に資することができると考えておるところでございます。

 また、新分野進出当初におきましては、事業見通しの不透明さ等により十分な労働者を確保できないことも考えられますけれども、建設業務労働者就業機会確保事業を、先ほど申し上げました二つのうちでございますが、この事業を利用することにより、一時的に不足する労働力の確保を図ることができると考えておるところでございます。

 このように、今回の改正は建設事業主が建設業内の新分野に進出する際の労働力の効率的な確保にも資するものでございますので、この点において、建設雇用再生トータルプランの実効性をより高めるものになると考えておるところでございます。

小林(千)委員 建設雇用再生トータルプランの中の一環の法改正なんですけれども、やはり今の現状の建設業に従事する労働者の雇用の安定ということを考えますと、ほかの新分野への進出、あるいは過剰労働者の労働移行というものや技能労働者、特に若手の育成というものに力を、こちらの方にこそ力を入れていくべきではないかというふうにも考えております。

 ところが、現状、建設業を行っている事業主、事業者の方々が新分野へ進出をどの程度しているかといいますと、それは、例えば今大変需要が出てきているリフォームの分野ですとか、そういうところに果たされている方もいらっしゃるでしょう。一部には、農業分野ですとかあるいは環境分野、そういったところに進出をされている事業主の方もいらっしゃると思いますけれども、それは圧倒的に少数ではないかと思う。新分野への進出というのが大変難しい現状にあるのではないかと思います。

 また、過剰である建設労働者の労働移動ですけれども、雇用のミスマッチというのが言われているところでございまして、労働の現場で働いている労働者の方々は圧倒的に五十歳以降の方ですよ。多くは五十五、六十近い年齢の方なんですね。そういう方々に対して、例えば、新しい分野で働いてみたらどうでしょうか、今ニーズがあるのはITと福祉の分野ですよと。今までパソコンをいじったことがない方がITの分野に行くというのはなかなかできることではない。あるいは、福祉の分野に就職をすることはなかなか難しいのが現状です。そういった方は、やはり今まで住みなれた建設業に戻ってくるんですよ。ITの分野、福祉の分野へ労働移行される方は一〇%ぐらいです。半数ぐらいの方は、住みなれた、なれた水のところに戻ってきてしまうんですよ。こういったところを、どのように新規分野への進出あるいは労働移行というものを考えていらっしゃるんでしょうか。

 またもう一つ、若手労働者の育成ということを言われておりますけれども、若い人たちが入ってこない、それは結局、今まで育ててこなかったことの裏返しなんですよ。失敗なんですよ。こういうことをどのように対応を練っていらっしゃるんでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、ただいま大きく、建設雇用をどうするかというお話でございますので、そこの部分を改めてお答え申し上げておきたいと存じます。

 先ほど話題にしていただきました建設雇用再生トータルプランでございますが、これは先生もお述べいただきましたように、大きくは三本の柱で考えております。

 今、いろいろお話しいただきました、そして私もお答え申し上げました、建設事業主の新分野進出への支援というのが一つの柱です。それから、技能労働者の育成確保の促進というのがもう一つの柱です。さらに、三本目の柱として、円滑な労働移動の推進ということがございます。そして、この三本目の円滑な労働移動の推進という柱は、さらに二つに分けて言っておりまして、一つが建設業離職者の円滑な労働移動の推進、それから労働力需給調整システムの導入、こういうことでやろうとしております。

 これは、先ほど十二月につくりましたというふうに申し上げましたように、いわば予算措置をどうしようかということでつくったわけでございます。

 それで、今回はその中から法律の改正が伴う部分について法律改正をお願いしているということでございまして、その部分は、労働力需給調整システムの導入という、三本柱と言いましたが、一本を二本に分けておりますので四本柱とも言えます。そのうちの一本のところに特にかかわる部分の、法律改正を伴う部分だけは今回法律改正としてお願いをしておるということでございます。

 そうした中で、今、先生がおっしゃったような、さまざま建設業を取り巻く雇用の問題がありますから、そう簡単に新分野に行けと言われても行けない人もいるよねというのも当然でございますから、トータルとして雇用について考えようというふうに申し上げておるということを御理解いただきたいと思いましたので、立たせていただいてお答え申し上げました。

 そこで、新分野進出の具体的なことについてのお尋ねもございましたから、それにつきましては局長から答えさせます。

青木(功)政府参考人 建設業の事業者の方々の新規分野への進出状況でございますけれども、アンケートをとりますと、建設業の事業主の約三割程度の方々が、何とか新分野に出ても頑張っていきたいというふうにお答えになっているという調査がございます。

 そういったことがございまして、先ほど委員もお触れになりましたけれども、国土交通省、経済産業省、環境省、それから私ども厚生労働省、中小企業庁等々が中心になりまして、新分野進出について、地域の例えば建設業協会といったところを窓口にして、それぞれのところがそういった事業主の希望をかなえられるようなお手伝いを総合的に相談しようということで、今年度、各地域でスタートをしております。

 その過程における、例えば働く方々の職業訓練の問題、出る前、行った先、あるいは新分野に入るとき、それから基幹となる労働者は追加して雇用しなければなりませんが、そういった場合に支援を差し上げるといったような措置を講じているところでございます。

小林(千)委員 この建設雇用再生トータルプランについて、もう一つお伺いしたいと思うんですけれども、これは例えば何年後に建設労働者の雇用の安定が図られるというような期限の目標をつくってやっているものなんでしょうか。何年後には何万人の労働者の方々が円滑に移行できるというふうな考え方は持っているんでしょうか。

青木(功)政府参考人 ただいま委員お触れになりましたけれども、建設業の現在というのは、事業量が縮小する中で大勢の事業主さん、それから働く方々がおられるという環境にございます。

 そこで、その中で働く方々を見てまいりますと、中には事務系、営業系の方、それから実際に現場で作業をなさっている皆さん、そういう仕事に分かれるんですけれども、実は、比較的過剰になっているのは事務系、営業系の方というふうに言われています。それから、技術、労務の関係の皆さんは、企業によっては多い、企業によっては少ないというふうなことで、トータル的にはそんなに過剰でないというふうにも言われています。

 そういう中で、なだらかに事業量の縮小と労働力の調整を果たしていくということがトータルの目標でありまして、また一方で、しっかりした労働力も残さなければならないというジレンマがある計画でございますので、特段、特にいついつまでということよりも、徐々にそういう雰囲気をつくっていくということが現在主眼でございます。

小林(千)委員 その建設雇用再生トータルプランの考え方の中身の一つが今回の新たな労働力需給システムというふうになるんですけれども、これで、さっき局長がおっしゃった過剰となっている労働者対策というものがどの程度緩和されることになるのか、解消されることになるのかということが大変私は疑問がある、このように考えております。

 特に、今回新たな労働力需給システムというものが、過剰になっている労働者の雇用状態がある、それは局長おっしゃった、営業部門それから事務系部門、管理部門、こういったところなんですね。でも、今回の新たな労働力需給システムの中の労働者の範囲には、こういった事務系、管理職、営業系の方々は入ってこないはずです。そういったところで、労働者の不安定化というものを改善する内容ではないと思う。

 一方で、労働者の過剰の状態と不足の状態が、これはプラスの、上の部分と下の部分と両方あるから、これをイコールに何とかしたいというふうに図式の上ではなるんでしょうけれども、実際に現場でそういうことができるかということを私は疑問に思います。

 足りないと思って、引き受けたいと思っている受け入れ側と、余している、過剰になっているから送り出したいというふうに思っている側、そういった方々の、何が不足をしているのか、何が過剰になっているのか。どういった職種の人たちを足りないと現場では思っていて、片方では余していると思っているのか。地域的にはどうなのか。そこの二つの、送り出し側と受け入れ側とでは大変差があるのではないかと思います。

 この差はどのように認識していらっしゃるでしょうか。

青木(功)政府参考人 ただいまお話ございましたように、そういったアンバランスが出てくるんですけれども、建設業の特性として、受注産業でありますので、基本的に各事業所、事業主さん、自分のところで仕事を受けるにふさわしい、いわばある程度のフル装備をしておられるわけであります。そういう中で、自分のところが受注できずに他の事業所が受注する。トータルの中で、そういうふうに細ってきて、勝ち組と負け組にその瞬間瞬間でなっていくわけですけれども、そのときに、受けた方は労働力が足らなくなる、それから受けられなかったところは余ってしまうという関係にあります。

 これは、あまねくそういった調整システムを認めるわけではなくて、計画をつくっていただいた狭いサークルの中の事業主さん方が相談をして働く人を融通し合うという仕組みでありますので、どういった種類の労働者が足らない、どういった専門の方々を必要としている、どういった方々がこちらでアイドルになっているということが、極めてわかりやすくお互い了解し合う、そういう中でこのシステムを運用しようとするものでございます。

小林(千)委員 その狭いサークルの中に加盟をしている事業主の間で、うちはここが足りない、こちらではこちらが過剰になっている、本当にそこのバランスがとれるのかなと思いますと、疑問に思えてなりません。

 まずは、その狭いサークルというものは、狭いというのは多分、地理的な意味でも狭いということを認識しているんだと思います。

 ところが、今の日本の現状の中で、景気の回復の度合いというものは、全国的に見て大変大きな差が出ていると思う。一部の地域では、東海地方などでしょうか、景気が回復をしていて建設投資も伸びてきているというところもあるでしょう。でも、そこはそういう狭い地域でしかないわけなんです。私は北海道ですけれども、北海道は今でも大変厳しい経済状態にある。建設投資が伸びているというような状態ではない。そのような狭いサークルの中で、本当に、足りないというような需要と、こちらでは余している、それをちゃんと需給バランスがとれる、このような状態になるんでしょうか。だからきっと、五百八十万人のうちの適用は二万人ぐらいにしかならないだろうということになると思うんです。

 このシステムで基本的に需給バランスというのが図られるんですか。図られないと思うんですけれども。

青木(功)政府参考人 ただいま需給バランスのお話がございました。

 業界内での需給バランス、これは一つにこの新しいシステムによってのみ図られるわけではございません。これは御案内のとおりでございます。全体に縮小ぎみ、そういう中で図られるわけですから、Aという会社は人余り、Bという会社は足らなくなっている、Cというところはというような中で融通をし合う、そういう範囲の中で機能をするということでありまして、今お話しになりましたように、例えば北海道全域であるとか東海地方全域ということになりますと、もっと大きな雇用システム、もっと大きな労働移動のシステム、そういったものを活用しながらやるしかないだろうと思っておりまして、それぞれの狭い範囲内での需給バランスといいますか、いわゆる常用労働者の方々の仕事をつないでいくという観点には意義のあるものであるというふうに思っております。

小林(千)委員 それはあくまでも狭い地域のサークルの中の本当にマッチをする部分でしかないというふうに考えるんですよね。

 もう一つなんですけれども、この法案の考え方なんですが、この法案は審議会を通ってまいりました。審議会の中で、緊急避難的、限定的という考え方が初期から何度も何度も出てきておりまして、これが大変重要なポイントになっているというふうに思います。

 この新たな労働力需給システムというものは、そもそもどういった理念のもとで生まれてきたのか。ある地域から特区の要請があった、こういうような話も伺っております。どういったニーズというものがあって、要求というものがあってこの法案が出てきたんでしょうか。そして、緊急避難的かつ限定的というのは、これは審議会の事務局側、当局側からも最初に話が出てきたところです。この緊急避難的そして限定的、これはどういったことを意味しているんでしょうか。また、この法案が出てくるに当たり、さまざまな地域からの要請もあったというふうに聞いております。それがこの法案の中でどのように作用しているんでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、この法律の改正をお願いする背景といいますか、ニーズという表現を使っていただきましたけれども、そのことについて改めて申し上げますと、冒頭申し上げましたように、今日の建設業界の置かれておる環境というのがございますし、それからもう一つは、そもそも建設業というのが受注産業だということからくること、これらの背景で今回の改正をお願いしておるということでございます。

 改めて、緊急避難的、限定的であるという審議会の報告書の表現についてのお尋ねでございますので、お答えを申し上げます。

 建設業務労働者就業機会確保事業は、一時的に余剰となる技能労働者について、他の建設事業主のもとで就業する機会を確保することにより雇用を維持し、雇用の安定を図ることを目的とするものでございまして、一時的に余剰となる労働者の解雇を防止するという意味で、緊急避難的かつ限定的な制度として実施をされるものでございます。

 このために、事業主団体におきまして実施計画を作成し、厚生労働大臣の認定を受ける必要があること、また、一時的に余剰となる常用労働者の雇用の安定を図る範囲内でのみ実施可能とすること、送り出しを専門とする事業主、送り出しのみに従事する労働者は認められないこと、労働者の送り出し先は実施計画にあらかじめ記載された同一の事業主団体の構成事業主に限られることといったような実施要件を定めたものでございます。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

小林(千)委員 一時的という言葉が何回か出てきましたけれども、一時的というものはどのような期間を想定しているんでしょうか。先ほど伺った建設雇用再生トータルプランというものは、いついつまでにどうこうというようなものではないというふうに答弁をいただきました。一時的というものはいつまでの年限を指しているんでしょうか。

青木(功)政府参考人 ただいま、この事業の提案に至る関係審議会における議論とも重なり合いますので、あわせて御報告をさせていただきたいと思います。

 まず、建設業の中でいわゆる労働者派遣事業を解禁してはどうかという提案が経済団体等からございました。それから、一定の地域から、自分たちの地域の建設業者全体が仕事が少なくなっている、この中でできれば常用労働者の方々を解雇するようなことはしたくない、そこで、中で派遣を認めてほしいというそのものずばりの特区要請があったわけなんです。

 これは委員も御案内かと思いますけれども、冒頭にも委員がおっしゃいましたが、建設業における重層構造であるとかさまざまな問題点があり、それが今の雇用改善の目的でもありますけれども、そういった中にさらに労働者派遣事業といった複雑な労使関係を持ち込むというのはこの事業の改善にはプラスにならないということで、違う方法を模索したわけであります。

 その中で、やはり瞬間瞬間で労働力が過剰となり、そのたびに常用労働者に休んでもらうという体力がもうなくなってきている、そうすると、やめていただくということもオプションに出てくる、そういうことは避けたいという気持ちは事業主さんの中にもあったわけであります。

 そうすると、そういった事業がどのぐらいかというと、建設事業、もちろん大きなダム工事だとかトンネルとか、そういうものは物すごく長期間かかりますけれども、通常、地域の中小建設事業者の方々が担当している分というのは、半年とか一年とか、そういう範囲の中で終わります。したがいまして、そういった中で、常用労働者の方々の雇用をほかの事業主さんにお願いしてでもつなぐことができれば、送り出し側にとって大変プラスに、本人にとっても事業者さんにとってもプラスになるわけであります。

 そういったものでございますので、今回のこの就業機会確保事業につきましても、そもそもこういったことを事業主団体が実施する期間、許可をする期間を三年ということにしております。その中でやっていくことになりますので、一時的、これは一概には申し上げられませんけれども、半年とか一年とか、そのぐらいの期間の中でおさまる範囲ではないかというふうに考えております。

小林(千)委員 確かに、一つの事業だけとって見てみますと、家を建てるのだって数カ月でしょうし、大きい建造物で、大きなビルディングですとか病院ですとか、そういうものを建てるとなると三年ぐらいかかるものがあるのかもしれませんけれども、一人の労働者がずっと三年間、例えば鉄筋工が三年間かかるということはあり得ないでしょうし、確かに、一つの事業だけ取り上げてみますと、一時的というものが言えるのかもしれません。しかし、この新たな労働力需給システム自体が一時的という性格を持っているものなんでしょうか。そして、その一時的という期間をどのぐらいと考えているんでしょうか。

青木(功)政府参考人 繰り返しになりますけれども、そもそもの建設事業の特性が、それぞれ一月かかるもの、半年かかるもの、そういったところの事業を受注してきて、そして働く人たちには常用労働者として雇用を提供するというのが今大きい形になっています。

 そういうことになりますと、一つの事業者が一つの仕事しかしていないというケースもありますけれども、幾つか並行してやっております。そういったことでやっておりますので、例えば、向こう三年とか五年とかずっと仕事があるのであれば、御自分のところで雇用できるわけですから、それはよその事業者さんから働き手を借りてくる必要はないわけで、そうすると、やはり期間といいますのは、何カ月というふうに決めるわけにはまいりませんけれども、地域の通常の公共事業の発注とかそういうものを考えれば、長くても一年ぐらいにおさまるのではないかというふうに思います。

小林(千)委員 私が質問した内容とちょっと違う答弁だと思うんです。

 確かに一つの事業はそうです。何カ月で終わるもの、何年かかるものあるでしょう。しかし、私が伺っているこの一時的というのは、一つの事業を指しているのではなくて、この新たな労働力需給システム自体の考え方です。システム自体が、これは一時的、緊急避難的考え方、性格を持っているシステムなんでしょうか。

青木(功)政府参考人 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、このシステムによって、一時的に余剰となる労働者の解雇を防止すると。そういう意味で、御自分のところの常用労働者をほかの事業主さんのもとで、御自分がもちろん給与払うんですが、働いてもらうという行動そのものが本来一時的であり、かつ当該事業主さんにとって緊急避難的なものである、こういうことを大臣から御答弁申し上げたところでございます。

小林(千)委員 よくわかりません。確かに、一つの事業所が一時的に人を余す、あるいは一時的に仕事を請け負って何カ月間人が足りないということはあり得るだろうと思います。それは一つの事業です。でも、それが結局セットになって三年の事業体なんでしょうけれども、その後にもこのシステムは存在をするんですか、しないんでしょうか。

青木(功)政府参考人 大変失礼申し上げました。

 そういう意味では、そういった一時的、緊急避難的な行動を事業主さんがとれるようなシステムというものは、それ自体は一時的なものではございません。これからの労働力調整の中で重要なものとして今回法律案の中に位置づけさせていただいたものでございます。

小林(千)委員 それでは、このシステム自体はというよりもこの法案は、時限立法的性格を持つものではなくて、そのような一時的な需給調整というものはこれから建設業の中で永遠にあり続けるということなんでしょうか。

青木(功)政府参考人 冒頭にもお話がございましたように、国土交通省の方からのお話ですと、建設業自体がいわゆる過剰供給産業というふうに位置づけられています。つまり、全体の事業量よりもそれを行う供給の方が多い。これを一挙に調整をするというよりは、徐々に、いわば事業主さんにも働いている方々にも大きな損害がないようにしながら軟着陸をしていくというのがこの大きなプランの一つだろうというふうに思います。ですから、そういう意味では、そのような厳しい環境が存在する間はこの制度を使っていただく道を残しておかなければならないだろうと考えています。

小林(千)委員 この法案の中で、一つの構成をする事業団体というのは、年限が三年というふうに書かれているようで、延長もあり得るんでしょうけれども。そうすると、三年後あるいは何年か後にも、こういうようなシステムがあるんだったらうちもやってみようかというような事業団体がこれから出てくるということも考えられるわけなんですね。

青木(功)政府参考人 そのとおりでございます。

小林(千)委員 大変危ない、危ないといいますか問題のある中身なのではないかというものがだんだんわかってまいりました。といいますのも、今回のこの、新たな労働力需給システムといえば格好いいのでしょうけれども、労働者派遣法の適用除外をなくしてしまうというような見方もされております。派遣法の中に建設労働者も入ってしまうのではないかというおそれもあるわけなんです。

 建設業というものは、歴史的に見てみましても、強制労働ですとかあるいは中間搾取、ピンはねというものが行われてきた業界です。それを改善するためにさまざまな、今回のこの建設労働者雇用改善法という法律もできたのだと思います。しかしながら、そのおそれというものは今でもある。ということは、そのようなよこしまな考えを持った、こんな法律ができたやというふうに思って発生してくるかもしれないわけですね。これから三年後、五年後、そういうことを知恵を仕入れてやってくるそういったブローカー的なところが起こり得るかもしれない。こういうおそれを大変抱いている法案だと思います。

 建設業が置かれている歴史的経緯をどのように認識をされているのか。ピンはね、あるいは悪徳、悪質的なブローカーが入り込むおそれがあるのではないか、労働者が搾取をされるということがあるのではないか。実際にこの中間的ないわゆる人貸しみたいなものをしていて殺人事件までかつては起こっております。こういったことを助長させるおそれがあるのではないでしょうか。

 そもそも労働者派遣法の中には建設業というものは適用除外というふうになっております。そこのところの関係はどうなっているのでしょうか。

 今の、あるいは歴史的な今までのこの建設業というものをどのように認識しているのでしょうか。

青木(功)政府参考人 釈迦に説法でありますけれども、建設労働対策、ただいま委員おっしゃいましたようにさまざまな問題を、例えば雇用関係が不明確だとか、重層下請の中でだれに雇用されているかわからないとか、災害補償の問題であるとか、退職金の問題だとか安全衛生だとか、さまざまな問題を克服しつつあるのがこの建設労働対策の歴史である、おっしゃるとおりでございます。そういう意味で、その中に、例えば業として人を派遣していくというようなことが、ともするとあった中間搾取だとか不当な支配だとか、そういった観点から建設業務の中に労働者派遣事業は入れないということで法定をされているのでございます。

 そういった意味では、今回の就業機会確保事業につきましては、同一のいわば法人のある団体の構成員同士、お互いわかっている中の事業主の方が、商売ではなくて、自分のところで働いている常用の技能者の方を、解雇するかわりに違う事業主さんのところに行っていただくという形でありますので、いわば連帯して常用雇用というのを守っていこうという気持ちの中で雇用をつないでいくということを仕組むようにお願いを申し上げておるわけでありまして、労働者を違う事業主のもとに派遣して、そしてその過程で、それを業としていわば株式会社等で稼いでいくというものとは本質的に異なる仕組みであるということを御理解賜りたいというふうに存じます。

小林(千)委員 労働者派遣法の適用というわけではないとおっしゃるのですけれども、あちらこちらに、この法案の中にも、考え方にも派遣法の理念みたいなものがちらついているといいますか、においがするといいますか、臭い法案になっておりまして、全体の法案のつくりも、労働者派遣事業というものに準じたような言葉遣いであったり、いや、派遣じゃなくて融通なんだよというふうに言いかえたり、派遣元じゃなくて送出ですとか、派遣先じゃなくて受け入れですとか、言葉遣いを苦労されているみたいですけれども、どうやらそんな派遣適用みたいなにおいがしてなりません。

 法案の後ろの方には御丁寧に、四十四条なんですけれども、労働者派遣法の規定を読みかえる、こういったところまで出てきているんですよ。

 これはまず一番最初にやはり確認をしておかなければいけないんですけれども、派遣につながってしまうおそれのあるものではないのか、派遣なのか派遣ではないのか、どういった理念を持っているシステムなんでしょうか。

尾辻国務大臣 私からまず、派遣ではありませんということを明確にお答え申し上げておきたいと思います。そしてまた、派遣につなげるつもりのものでもないとお答えをまず申し上げます。

青木(功)政府参考人 繰り返しになりますが、現在、労働者派遣法というもので対応している労働者派遣事業は、事業として、御自分のところの労働者を、それは登録型でありあるいは常時雇用する方であり、他の事業者の方に派遣をして、そこで働いていただいて、料金を取って、そして事業所として成り立たせていくという事業形態でございます。したがって、これは利益を目的としています。運用によっては弊害があるので、規制法として労働者派遣事業法があるわけであります。

 こちらの就業機会確保事業といたしましては、これは、労働者を送り出す事業所さん、そこが利益を得ようとしてやるものではないわけであります。その辺の担保につきましては、この事業の具体的なやり方を指針という形でまとめたいというふうに思っています。そういったことで、それに準じてそれぞれの事業をなさる団体でお約束をしていただくという意味ですけれども、その中にも、当然のことでありますが、自分のところの常用労働者をほかの事業主さんのところへ送り出してもうけるというようなことはあってはならないと思いますし、また、そういうふうにできないようにこの指針というものをよく考えていきたいなと思います。

小林(千)委員 悪質なブローカー等が入り込まないような措置というものは、これはきちんと明確にしていただかなければいけないと思いますし、そこまでちょっと質問する時間がないので、同僚議員が質問をしてくれると思いますけれども、そこのところの、まあ、塀の高い規制のかけ方につきましては、あくまでもはっきりしてもらわなければ困ると思います。

 そういうところを考えた上でも、やはり、派遣ではないんですよと大臣はっきり述べていただきましたけれども、それにしても、雇用関係が複雑化することはこれは間違いない事実でありまして、今でさえ下請の下請の孫請の、こういうふうになっているところに、今度は、委託ではない、派遣でもない、そういった方が送出をされて、送り出されてそこの現場で働く。雇用関係も複雑化すると思いますし、責任の所在というものも複雑になってくると思います。

 派遣法と比較をしてはいけないと思うんですけれども、派遣法の中でも、どこのところに責任の所在を求めるかというものは明確になっているわけなんですが、それ以上に今回の場合、送り出し側、受け入れ側それぞれにどのような責任があるのかというものは明確にしておかなければ、雇用関係あるいは労働環境が複雑化することは間違いがないと思っております。

 送出側事業主あるいは受け入れ側事業主それぞれの責任というものはどのように分けて考えているんでしょうか。そこをまず明確にしていただきたいと思います。

尾辻国務大臣 この使用者責任でございますけれども、原則として送り出し労働者を雇用しておる送り出し事業主が責任を負うものでございます。受け入れ事業主に責任を負わせることが適当な場合等については、特例を設けております。

 具体的に申し上げますと、労働時間管理につきましては、労働時間の枠組みの設定に関しては送り出し事業主が、その具体的な運用については受け入れ事業主が責任を負うこととしております。すなわち、送り出し事業主が時間外、休日労働の協定を締結いたしまして、これを労働基準監督署に届けた場合は、受け入れ事業主は、その範囲内で送り出し労働者に時間外、休日労働をさせることができる。

 それから、賃金支払いにつきましては、送り出し事業主が責任を負うことにしております。

 また、安全衛生確保につきましては、作業の重要な要素である設備等の設置、管理、業務遂行上の具体的指揮命令に関係することについて、原則として受け入れ事業主が措置義務を負うこととし、雇い入れ時の安全衛生教育や一般健康診断等の雇用期間中継続的に行うべき事項については、送り出し事業主に措置義務を負わせることとしております。

 災害補償責任につきましては、送り出し事業主を受け入れ事業主の請負人とみなす特例を設けておりまして、受け入れ事業主の元請事業主に責任を負わせることとしておるところでございます。

小林(千)委員 ここのところの責任の体制というもの、責任を明確にしておく必要が十分にあると思います。特に賃金の関係、送り出し事業主が倒産をしたらどうなるのか、どこから給料をもらえるのか、逆に受け入れ側が倒産をしてしまったらどうなるのか、こういった複雑な問題もあります。労災が起きたらどっちの責任になるのか、こういうような問題もあります。雇用関係が複雑化するということはそういうことです。

 この法案の中に、派遣法を読みかえますみたいなことを書かれると、派遣になるんじゃないのかというような懸念さえ抱かれますし、そこの責任体制は明確にするというのを、それは担保をとる上でも、明確にする上でも、法案の中にしっかりとそれは書き込まれるべきじゃないんでしょうか。

 送り出し側、受け入れ側それぞれの責任の所在というものをこの法律の中でどういうふうに書かれていますか。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

尾辻国務大臣 ただいまの責任分担につきましては、建設労働法第四十四条の読みかえ適用規定等において明確化しておるというふうに申し上げているところでございまして、そして、その内容について周知を図るとともに、送り出し事業主、受け入れ事業主双方に対して、私どもは適切に指導してまいらなきゃならないと考えております。

小林(千)委員 ですから、この四十四条のところに、これは労働者派遣法を読みかえますというふうに書かれるから、派遣じゃないのか、臭いんだと言われるわけなんですよ。そういうところから問題のある法律だと思っています。

 最後に、時間がないんですけれども、ちょっと北海道の話をさせていただきたいと思います。

 北海道というのは、地域的にも季節的要因がございまして、労働者のうちの約半数が季節労働者です。冬の十二月から三月ぐらいは仕事ができません。こういった季節労働者の方々は、短期という契約で雇用保険、社会保険に組み込まれている場合が多いです。そういう方が、六カ月、夏の間だけ雇用をされて、冬の間は失業をする、その間は保険は切れている、また六カ月たつと雇用される、こういうことがずっと一年一年繰り返されている土地です。

 こういった短期の被保険者も、今回の常用労働者というふうにみなされるんでしょうか。

青木(功)政府参考人 今回の対象となる労働者は常用労働者に限定をいたしております。この常用労働者につきましては、具体的には、期間の定めのない労働者または実質的に期間の定めのない労働者と同等とみなされる労働者に限るというのが解釈でありまして、いわゆる季節労働者の方々はこの対象には含まれません。

小林(千)委員 全体的に、審議をしておりまして、どうしてもその臭さというものをぬぐい取ることができません。派遣につながる内容になるのではないのか、緊急避難的かつ限定的と言いながら、こういったシステムというものを三年後にも継続させようとしている。その中で、本当に悪質な業者が入り込むおそれというものが払拭されるのかどうなのかというマイナスポイントをたくさん抱えながら、この法律が通ることにより適用となる、雇用が安定化される労働者はわずか二万人、きばを抜いたとはいいながら、百害あって一利なしの法案なのではないかと思います。

 詳しい問題点は同僚の議員がしてくれると思います。問題点を指摘いたしまして、私、質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから三十分間質問をさせていただきます。

 今、一時間、同僚の小林議員がすばらしい質問をしてくださいましたが、本当にこの法改正は、ただでさえ今までから雇用が不安定で、また非常に労働条件が悪い中で働かされていた建設労働者の雇用改善が、ますます責任が不明確になるのではないかという危惧を持っております。そういう視点から、尾辻大臣と衛藤副大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 公共事業の減少、そして住宅産業というものの低迷もある中で、本当に建設労働者の雇用を取り巻く環境はますます厳しくなっております。東京や愛知では一部景気が回復していると言われておりますが、私の地元である京都南部でも非常に厳しい状況が続いておりまして、そんな中で、仕事にありつけても、賃金の不払いや単価の切り下げ、そういう厳しい状況が続いております。

 私もよく、朝、駅前で街頭演説とかしているんですけれども、十年ぐらい前ですか、そのころはたくさん、京都南部から大阪に行く建設労働者のトラックが、朝八時ごろは、どんどんどんどん引きも切らず走っていた。ところが最近では本当に見なくなってしまったわけですね。

 私は児童虐待の問題なども今までから取り組んでおりますが、いろいろそういう相談にも乗らせてもらいますと、何が引き金になったのかというと、結局は、一家の大黒柱であったお父さんの仕事がなくなってしまった、それがきっかけで非常に家庭的にも不安定になった。それで、最近ふえている相談は、お子さんが大学に進学できないという相談、あるいは、もっと言えば、親が仕事がなくなったという家庭の苦しさを見るに見かねて、子供が勝手に高校をやめてしまう、そして、高校をやめて、もう家計を支えるために働きに行くわと言い出す、そういうふうな非常に厳しい状況が、特に建設労働者の方々の間では深刻化していると思います。

 また、もう一つ、私は心に深く思っておりますのは、ホームレス自立支援法案というのを、私、与野党の方々と協議して、つくるお手伝いをさせてもらったんですけれども、それで釜ケ崎や山谷、いろいろなところに行っても、いろいろな方の話を聞いたら、やはりもともと建設現場で働いておられた、その方々が、病気をきっかけになかなか仕事にありつけなくなっている。先ほど小林議員もおっしゃっておられましたけれども、五十を過ぎたらなかなかやり直しというのは、本当に厳しい状況になってくるわけです。

 そういうホームレスの方々のお話をお聞きしても、もともとは、万博の工事をやったとか大きな発電所の工事をやったとか、輝かしい日本産業あるいは日本の発展のために寄与されてきた方々が非常に多いわけです。そういう意味では、そういう日本の社会を支えてこられた方々が、これからも働き続けられ、また誇るべき日本建築の伝統を継承する、そういう若い建設労働者がこれからもしっかりと熟練の労働者として育成されていくようにせねばならないと思っております。

 そういうふうなことを考えるにつけ、小林議員の質問と多少重なったり、また引き継いでとなりますが、今まで悪質ブローカーによって、あるいは口きき屋によって行われていたことが、今回の法案によって合法化されるのではないか、またそういう拍車がかかるのではないかという大きな懸念を持っております。

 最初に尾辻大臣にお伺いをしたいと思います。

 このような日本の建設労働者が置かれている現状について、大臣はどのように御認識でしょうか。

尾辻国務大臣 地域格差などがありますことは、きょうも御指摘いただいたりいたしておりますけれども、総じて言いますと、全産業について、経済状況は改善傾向で推移しておると思います。

 ただ、そうした中であっても、建設業について見ますと、これは、バブル崩壊以降の民間投資の減少と近年の公共投資の削減の動き等を背景といたしまして、今なお厳しい状況にあると認識をいたしておるところでございます。

 数字は、先ほど小林先生がお述べになった数字そのものでございますけれども、特に建設投資が、平成二年に八十五兆円でピークを迎えました以降、平成十六年には五十三兆円となっておりますので、ピーク時と比較しますと四〇%減少をいたしております。それに対して、建設業の労働者の数は、平成九年の六百八十五万人と比較いたしますと、平成十六年は五百八十四万人でございますから、約一五%の減少にとどまっております。仕事はうんと減っておるけれども労働者の数はそんなに減っていない、このことが極めて象徴的に建設業界を物語っておるというふうに存じます。

 したがいまして、労働者をめぐる雇用環境は依然として厳しいものがございますし、当然のこととして、建設労働者の賃金水準についても低下傾向にあります。こうした建設労働者をめぐる現状については、極めて厳しい状況にあるというふうに考えておるところでございます。

山井委員 尾辻大臣から、厳しい状況に置かれているという御答弁がありました。

 そこで、尾辻大臣にもう一つ続けてお伺いしたいんですが、問題は、小林議員の質問にもありましたように、今回の法改正によって、ますます責任体制が不明確になって、制度が複雑化するのではないかという危惧を私たちは持っております。また、派遣に対する突破口、解禁につながるのではないかという危機感を持っているんです。シンプルな質問ですが、今回の法改正によって、本当にそういう厳しい状況に置かれている建設労働者の雇用状況、労働環境はよくなるんですか。

尾辻国務大臣 厳しい状況にありますから、できるだけ改善をする方策をとらなきゃいけないというふうに考えておりまして、先ほどトータルプランのお話もいたしました、予算措置もいたしました、それから、法改正もしなきゃいけないということで今度のお願いをいたしております。

 ただいまの御質問にお答え申し上げますと、私どもは、こうした厳しい状況を、すべての皆さんとはもちろんいきませんけれども、少なくとも一部の皆さんに対して改善をする方策だ、そのための法律だというふうに考えております。

山井委員 これは、五百八十万人の労働者の方がおられて、この法案の対象になるのは二万数千人足らずというふうにも予測されているわけですけれども、本当に雇用改善をしていくために、もっと大きな抜本的な取り組みが必要でありますし、逆に、私は、この法改正がますます労働者の置かれている環境を悪くしてしまうのではないかというふうに心配をしております。

 そこで、衛藤副大臣にお伺いしたいんですが、建設事業主団体は建設事業主を主たる構成員とする社団法人等としておりますけれども、この構成員として人材派遣業者等が入ることはあり得ますか。また、この事業への参加は建設業許可の取得を明記しているわけですけれども、当然、人材派遣業者の参入を排除すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 実施計画の認定を受けることができる建設業の事業主団体につきましては、厚生労働省令におきまして、構成員の一定の割合が建設事業であるものに限定するものというぐあいに考えています。

 さらに、仮に実施計画の認定を受けた事業主団体の構成員に人材派遣業者がいたとしても、送り出し事業主または受け入れ事業主となれる構成員は、建設事業を適正に実施している事業主に限ることとしておりまして、人材派遣業者は建設業務労働者就業機会確保事業を利用することはできないものであります。

山井委員 続いて衛藤副大臣にお伺いしますが、これは先ほどの小林議員の質問とも多少重なるんですけれども、建設業務労働者就業機会確保事業では、送り出される常用労働者は送り出し元の常用労働者としての地位が守られるということでよろしいですか。先ほどの答弁では、適切に指導とかそういう答弁であったように思うんですけれども、建設業法や労働安全衛生法に規定された元請責任、使用者責任を法律に明記すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 例えば、現場の方の話を聞くと、いろいろなところから一つの仕事場に行く、そうしたらもともとの給料が違ったりして、本当にそれでうまくやっていけるのか。例えば、給料が多少違ったら、おまえ、たくさん給料もらっているんだからもっと働けよとか、そういうふうなことに、ただでさえ人間関係をきっちりやるのが難しいところに、ますますそういう難しさも入ってくるんではないかというような現場の方々の不安もあるわけなんですけれども、その点、衛藤副大臣、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 送り出し労働者は、送り出し事業主との雇用関係を維持しながら受け入れ事業主のもとで就業するということでございますので、送り出し事業主の常用労働者としての地位は、送り出し期間中も変更されるものではありません。

 また、送り出し終了後においても、送り出し労働者を戻ってきた際に解雇することは、経営上やむを得ないと考えられる場合もあり得ますけれども、基本的には、送り出し前に雇用し、送り出し終了後に解雇するような場合には、制度の趣旨に反するものでありまして、悪質なブローカーの温床となることが懸念されているため、指針等におきまして送り出し終了を理由に解雇してはならない旨を定めるということを検討しております。これらの指針等に基づいて、適切に指導してまいりたいというぐあいに思っています。

 なお、そのような運用をした者に対しましては、実施計画の認定を取り消すとか、あるいは建設業務労働者就業機会確保事業の許可を失効させるなど、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

 さらに、建設業における元請責任につきましては、建設業の関係労使が参画する労働政策審議会の議論において、労働基準法上の災害補償責任については受け入れ事業主の元請事業主に責任を負わせるべきとの意見がありまして、特例を設けたところであります。

 また、労働安全衛生法については、元請事業主の果たすべき責任に関する規定が設けられており、この中で送り出し労働者をも含めた安全衛生管理体制の確立が図られるものというぐあいに考えています。

山井委員 今答弁をお聞きしましたが、そういう中でも、実質上は非常に雇用関係が不明確になって、ますます無責任になっていくということはこれは明らかなわけでありまして、そこで一つ、例えば労災隠しについてお伺いしたいと思います。

 現状でさえ労災隠しが非常にふえているという指摘が現場からあるわけですね。事故が起こっても、ゼネコンとかに言ったら業者から外されてしまう。そういう中で、自分の健康保険でとにかく処理しておいてくれと。ちょっとしたけがだったらそれでもいいかもしれないですけれども……(発言する者あり)よくないんですよ、ちょっとしたけがでもよくないんです。よくないんですけれども、本当に、長期的に障害が残る場合とかだったらこれは大変なことになってしまって、この労災隠し、今でも大問題なのに、それがますますこういう複雑な制度にすると問題になっていくんではないかというふうに思うわけです。

 そこで、まず、この労災隠しの現状について厚生労働省はどう認識されていますか。

衛藤副大臣 労災隠しにつきましては、労働災害の発生事実を隠ぺいするために、故意に労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出しない、あるいは虚偽の内容を記載したものを提出するというようなものでございます。

 その場合には、労働安全衛生法違反の罪に該当するのでありますけれども、その送検件数については、平成十五年、百三十二件というぐあいに増加傾向になっております。そのうち建設業の関係が約百件を占めているところでございますので、委員御指摘のとおり、この心配について、我々も同様に心配している、そのような現状でございます。

山井委員 いや、まさにそれは氷山の一角で、本当に多くの労災が隠されてしまっていると思うんですが、問題は、この法改正により使用者責任がより不明確になり、労災隠しに拍車がかかるのではないかという強い不安があります。今後どのように労災隠しをなくそうと考えておられるんですか。

衛藤副大臣 送り出し労働者に関する使用者責任につきましては、雇用関係にあることに着目いたしまして送り出し事業主が負うものと、それから指揮命令関係に着目し受け入れ事業主が負うものとがありますけれども、いずれも法令の規定により明確に区分されているところであります。

 また、建設業の関係労使が参画する労働政策審議会の議論におきまして、建設業では安全衛生など広く元請事業主が責任を負うこととなっていることを踏まえまして、送り出し労働者に係る災害補償責任については受け入れ事業主またはその元請事業主に責任を負わせるべきとの意見があり、改正法にはそのような特例を設けたところでありまして、責任関係は実態に即して明確にされています。

 労災隠しにつきましては、これまでにもその防止を図ってきたところでありますけれども、送り出し労働者についても労災隠しが行われないよう、周知徹底、啓発を図るとともに、適切に指導してまいる所存であります。

山井委員 これ以上このことについて議論はしませんが、やはりこれはもっと根本的な問題、結局、現場の方も労災が起こっても上に上げることができないという、この構造を私は変えていかねばならないと思っております。

 そこで、これも小林議員の質問に続くんですが、やはり、この就業機会確保事業が労働者の派遣の解禁につながるのではないか、そのおそれがあるということが現場の一番の不安であります。きょうの朝も、中根議員から、愛知の地元の方からも非常にこの不安の声が上がっているという話を聞かされました。先ほどの小林議員の質問にありましたように、労働者派遣法に準ずる規定ぶりになっている点もあるわけであります。

 そういう意味で、先ほど尾辻大臣と青木局長からそれに関する答弁がありましたが、尾辻大臣の方から、派遣解禁につながるものではないということをきっちりと答弁していただきたいと思います。現場としては、これが解禁になると壊滅的な打撃を受けるという非常に大きな不安感が出ておりますし、実際、メディアでは派遣への解禁の第一歩ということが報じられているわけですね。大臣いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 改めて申し上げます。

 今回の法改正で導入いたしますところの事業でございますけれども、この事業は、建設事業主が一時的に余剰となった労働者を同一の事業主団体に属する他の建設事業主に送り出すことにより、その雇用を維持し、雇用の安定を図ろうとするものでございます。

 したがいまして、このために、事業主団体において実施計画を作成し、厚生労働大臣の認定を受ける必要がありますし、また、一時的に余剰となる常用労働者の雇用の安定を図る範囲内でのみ実施可能といたすことといたしておりますし、また、送り出しを専門とする事業主、送り出しのみに従事する労働者は認められないということも定めておりますし、さらにまた、労働者の送り出し先は実施計画にあらかじめ記載された同一の事業主団体の構成事業主に限られること、こういったような実施要件が定められておるところでございます。

 このように、労働力の需給調整を図ることを目的とし、専ら他の事業主に派遣するために派遣労働者を雇用することを認めておる労働者派遣事業とは、趣旨、規制の態様が異なるものでございます。

 改めて申し上げますけれども、派遣ではございません。

山井委員 実質的に口ききや悪質ブローカーの存在を合法化して拍車をかけるのではないかという懸念がぬぐい去れないわけであります。

 そこで、改めて尾辻大臣にお伺いしたいと思いますが、そもそも建設労働者の派遣事業の導入はだめとなっておりまして、なぜ労働者派遣事業の適用除外業務となっているのか、その趣旨を改めて尾辻大臣からここで御説明いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 建設業務に係りますところの労働者派遣事業は、労働者派遣法によって禁止されておるところでございます。

 これは、建設業が重層的な下請関係により作業が行われる実態にありまして、こうした状況のもとで建設業務において労働者派遣事業が行われる場合には、雇用関係の不明確化を招き、建設労働者の雇用の改善等に関する法律により行われている雇用関係の明確化や雇用管理の近代化等雇用改善の取り組みを損なうということがございますし、さらに、労働者に対する不当な支配や中間搾取等の弊害を生ずるおそれがあるということが理由でございます。

山井委員 まさに、そこで今問題点として指摘されていることが今回の法改正により拍車がかかるんではないか、まさにそういう懸念を私たちは持っているわけであります。これについては後ほど同僚議員からもさらに指摘があると思いますので、次の質問に移らせていただきます。

 一つ現場の方々がおっしゃっているのが、世界に誇る日本建築の伝統継承がうまくいかなくなっている、最近では若手の熟練技能労働者の教育が難しくなっている。ますますこの法改正というのはそういう建設労働者の不安定さを増して、現場で時間をかけてじっくり技術指導することも難しくなるんではないか。本当はしっかりと時間をかけて一人前の建設労働者になりたいという思いは強いけれども、こういう不安定な労働の中ではそういう人が育っていかない。これは日本の建設労働の現場にとって非常に深刻な、中長期的な大問題でもあると思っております。

 そこで、この点の教育訓練や建設雇用改善助成金の諸制度の改善が必要と考えるが、いかがでしょうか。また、手続の簡素化が必要と考えますが、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 建設業におきましては、技能労働者の高齢化が著しくなっています。そういう中で、若年労働者に対する教育訓練の推進が難しくなっているという、共通の認識をしている次第でございます。

 厚生労働省といたしましては、技能労働者の育成のために、長期間の公共職業訓練等を実施しており、さらに、事業主等がその雇用する労働者に対して実施する教育訓練について、建設雇用改善助成金を中心とした助成措置を講じているところでございます。

 今後とも、建設業の労使の意見を聞きながら、この建設雇用改善助成金の見直しを進めてまいりたいと思います。

 また、簡素化につきましても、適宜見直しを行っているところでございますが、今後とも、利用者の意見を伺いながら、可能な限り見直しを行ってまいりたいというように考えております。

山井委員 この法案に対する不安の中に、要は建設事業主団体がどのようなものになるか、そういう不安もあります。まず、各都道府県建設業協会などの社団法人、次に事業協同組合及び協同組合連合会のうち一定の要件を満たすもの、三つ目に、適正な事業運営を確保するための厳格な要件を満たす任意団体が含まれることになっています。

 衛藤副大臣にこれもお伺いしたいんですけれども、問題は、果たしてどこまで社会的信頼度が担保できるのか。先ほどの答弁にもありましたが、悪質なブローカーが入らないようにするということですけれども、小林議員の質問の続きにもなるんですけれども、そこをどうやって担保するのか、そのことについて衛藤副大臣にお伺いしたいと思います。

衛藤副大臣 労働者の就業機会確保事業につきまして、いかに中間搾取等の防止を図るのか、その担保をしていくのかということでございますけれども、やはり、許可を受けるに際しましては、建設業の労使等から成ります審議会の審査を経ることとする、あるいは不適格者の排除をちゃんと行う、あるいは当該事業主団体のみで労働者を送り出すことはできる、いわば、又の関係をつくらないとか、あるいは常用雇用されている者に限定するとかいうぐあいにしてまいりたいと思います。

 また、都道府県の労働局に担当者を配置いたしまして指導監督を行う、あるいは定期的に事業報告を聴取する、それから都道府県労働局におきまして労働者や関係事業主から申告や相談を受けるなどいたしまして、需給調整システムの運用の適正化を図る等をやっていきたいというぐあいに考えている次第でございます。

山井委員 ここのところをやはりきっちりやっていかないと、まさに中間搾取がますます横行してしまうということになりますので、ここはきっちりやっていただきたいと思います。

 そして、また衛藤副大臣にお伺いしたいと思います。そもそも、送り出しされる労働者の賃金や労働条件はどのように決定されるのか、そして送り出し先は労働者が選択することができるのか、このことについてお伺いしたいと思います。

衛藤副大臣 送り出し労働者は、送り出し事業主との雇用関係を維持しながら受け入れ事業主のもとで就業するということでございますので、送り出し事業主との間で締結している労働契約等におきまして賃金や労働時間等の労働条件が定められています。したがって、送り出し期間中の就業に係る送り出し労働者の賃金は、送り出し事業主から支払われるわけであります。

 また、送り出し事業主が自己の雇用する労働者を送り出し労働者とするためには、当該労働者の個別の同意を得なければならない、そしてその同意の内容につきましても、送り出し先を限定した同意も可能であるということから、送り出し先を労働者が選択することも可能である。

 なお、厚生労働省令におきまして、同意は文書によるものとする旨規定しようというぐあいに考えているところでございます。

山井委員 時間が残りわずかになってきましたので、尾辻大臣にあと二問ほど聞かせていただきたいと思うんですが、一問は、先ほどの労災隠しに関係することであります。

 これは労働安全衛生法、今後審議されるものとも関係してくるかもしれないんですけれども、これは質問通告はしておりませんが、ぜひとも尾辻大臣の御決意を、やはりこういう労災隠しというのは建設労働の現場においては非常に深刻な問題でありますし、また、そこをきっちり取り締まっていくのが厚生労働省の責任であると思いますが、こういう労災隠しをなくすために最大限努力する、そういう大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。

尾辻国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、労働安全衛生法違反に該当するものというのは、平成十五年、百三十二件でございまして、増加傾向にございます。こうしたことは私どもとしては排除をしなきゃならない最大の課題だと考えておりますので、お話しいただきましたように、労災隠しをなくすべく、最大限、全力を尽くしてまいります。

山井委員 時間が来ましたので、最後に、また質問と要望になりますが、建設国保についてお伺いしたいと思います。

 やはり、こういう非常に不安定な条件の中で、また厳しい労働条件の中で働いておられる建設労働者の方々にとって、せめて病気になったときぐらい安心して医療にかかることができる組合方式というのは、非常に重要な役割を果たしておるわけであります。このことに関して、要望になりますが、来年度の建設国保への国庫補助についても、ぜひとも従来水準を確保していただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 国保組合に対する国庫補助についてでございますけれども、これは、医療保険制度改革に関する基本方針におきまして、市町村国保との財政力の均衡を図る観点から、国庫助成のあり方について見直しをするというふうにされたところでございますので、こうした方針も踏まえながら検討をしてまいりたいというふうに存じます。

 ただ、この国庫補助につきましては、国保組合の国民健康保険制度におきます役割やこれまでの経緯を踏まえまして、安定した保険運営が行われるよう、検討の中では配慮してまいりたいと存じます。

山井委員 ぜひともよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。

鴨下委員長 正午から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時一分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に関しまして、何点か質問をさせてください。

 まず一点目として、今回予定されている事業が二つあります。建設業務有料職業紹介事業と建設業務労働者就業機会確保事業の二つであります。この事業に関しましては、事業主団体等が提出した実施計画を厚生労働大臣が認定することになっております。

 逆に考えると、実施計画の認定を受けることができる事業主団体の要件について、まず御説明をお願いいたします。

尾辻国務大臣 実施計画の認定を受けることのできる事業協同組合につきましては、法律上、役員の中に禁錮刑それから労働関係法令または暴力行為等処罰に関する法律等によって罰金刑に処せられてから一定期間以内の者がいないこと等を明記いたしますとともに、省令におきまして、一定数以上の会員数を有すること、構成員の一定割合以上が建設事業主であること、独立した事務局体制が整備されていること、設立から一定期間以上経過しているものであって定款に則した事業実績が確認されるものであることといった要件を設定いたしているところでございます。

大島(敦)委員 恐らく、ただいまの御回答は事業協同組合の要件だったと思いまして、まず伺いたいところは、その前提条件としての事業主団体がどのような事業主団体があるかの、その入り口についてもう一回お伺いさせてください。

尾辻国務大臣 大変失礼をばいたしました。仰せのとおりに、事業協同組合の要件についてお答え申し上げました。

 改めて、実施計画の認定を受けることのできる事業主団体の要件について申し上げます。

 建設業務労働者就業機会確保事業及び建設業務有料職業紹介事業、このたび創設をする二つの事業でございますが、この事業において中間搾取等の弊害を排除し、事業の適正な実施を確保するためには、実施計画を作成し認定を受けることができる事業主団体について、構成事業主を指導し、適正に改善措置を実施できる能力があるものに限定することが必要であると考えております。

 これが基本的な考え方でございますが、このために、実施計画の認定を受けることができる事業主団体は、原則として、一つ、社団法人であること、それから、事業協同組合及び協同組合連合会の中で一定の規模以上の団体である等の事業実施体制の整っているものに限定することといたしまして、任意団体については、原則として対象としないのでありますが、社団法人の支部である場合に限るということにいたしておるところでございます。

大島(敦)委員 社団法人等の公益法人については、厳格な基準を満たして、法人が行政の認可を受けて設立するものであるかと思います。また、定期的な検査あるいは財務状況に対してのチェックも行政の監督のもとに置かれておりまして、今大臣が述べられましたほかの団体に比べれば、かなり行政あるいは国、公的なチェックが入ることと思います。

 この中で、事業協同組合については、一説には五千程度ある、あるいは四千八百ぐらいあるという話がございまして、事業協同組合はさまざまな形態がございます。これは、共同受注したりあるいは共同で加工したり、共同で購入したりあるいは共同で保証する。中小あるいは零細企業が集まって、例えば共同購入でしたらスケールメリットを生かしてできるだけ安く購入をしていこう、それぞれさまざまな団体がございます。

 そうしますと、組合員になろうとする数も、この事業協同組合をつくるときには四名あれば構いませんし、設立総会の開催等の手続も、手続をして認可を受ければ設立ができる、出資金の要件もないわけなんです。ですから、非常に安易につくれるのが今大臣が述べられました事業協同組合であり、あるいはその協同組合の連合体であるのかなと考えております。

 そうしますと、この事業協同組合について、設立が容易であるために、中には適正な運営が期待できないものもあるかなとは思うんです。あるいは悪意に解釈をして、善意ではなくて悪意に事業協同組合を利用するケースもあるのかなと。特に事業協同組合については、設立が自由であるということであるがために、ボス的な方あるいは非常に実力者がいらっしゃって、その下にその配下の人たちが入るおそれも、おそれというのか、そういうことも考えられるのかなと思うんです。

 その点について、再びなんですけれども、どのような事業協同組合が実施計画の認定を受けられるのか、その要件の厳格性について御答弁をいただければと思います。

尾辻国務大臣 先ほどお答えをいたしてしまいまして大変申しわけございませんでした。

 改めてお答え申し上げますと、一定数以上の会員を有すること、それから構成員の一定割合以上が建設事業主であること、独立した事務局体制が整備されていること、設立から一定期間以上が経過しているものであって定款に則した事業実績が確認されるものであること、こういった要件を設定いたしておるところでございます。

大島(敦)委員 今の要件ですと、さほど厳格ではないと考えます。

 一定数以上の会員がいて規模が大きいからといって、これは中小零細、小さい会社も含めて会員を募集することができるわけですから、一定数以上の会員がいて規模が大きいということはそれほど要件を厳格にしていることとは考えられないと思います。

 もう一点が、これが独立した事務局があることというのは、事務局というのはそんなに難しくありませんので、会社があればそこを事務局にすることも可能であると考えます。

 もう一つお述べになった中で、恐らく役員の中に禁錮刑や労働関係法令あるいは暴力に関する罪によって罰金刑に処せられた者がいないこと等の要件があるとは思うんですけれども、今回の一連の詐欺事件、問題となっている振り込め詐欺とかを見ても、なかなか、法律の裏あるいは人の心の裏をかくことに非常にたけている方が多いものですから、実質的に裏で悪意で団体を利用するようなケースがあった場合には、それほど効果が上がらないと思うんです。

 人出しをしてもうけようとする悪質な団体がこの事業を利用することのないようにすることが重要なのかなと考えておりまして、例えばこの事業協同組合について一定の要件をさらに課してもいいのかなと思っているんです。それは、本来であればこの法律はつくらないにこしたことはないとは考えているんですけれども、もしもこの法律が成立するとすれば、先ほどの社団法人、公益法人のメンバーとダブらせるとか、例えば公益法人の傘下にある事業協同組合とか公益法人の指導を受けている事業協同組合に限るべきだなと思うんですけれども、その点について大臣のお考えを聞かせてください。

尾辻国務大臣 今先生がお述べになっておられる趣旨もそういうことだと思いますけれども、このたび新たに二つの事業をつくりますその際の最大のポイントは、悪質なブローカー排除でございますと考えております。そのために私どもも、事業主団体の範囲については厳格な要件を設定する必要があるというふうに考えておるところでございます。

 そこで、先ほど、省令において定めようと考えておることについては御説明を申し上げました。基本的に私どもは、関係労使も参画をしております労働政策審議会の御意見も聞きながらこうした省令を定めようとしておるわけでございまして、さらに、こうした審議会の御意見を聞きながら細則も定めるつもりにしております。

 申し上げておりますように、事業協同組合につきましては、組合員要件を公益法人の構成員である建設事業主に限定しておるなど、厳しい要件にしておるつもりでございますけれども、さらに今の御指摘などを踏まえまして厳格な要件を設定してまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 この建設業に関しては、日本の中でも地域性が極めて大きい産業かなと思っているんです。関東あるいは関西、九州、それぞれの地域によって地域の特殊性あるいは地域の個性が非常に出ているのがこの建設業だと思っておりまして、一律的な規定あるいは日本全国一定の要件のもとに規定するとなると、さまざまな検討を加えていかなければいけないと考えておりまして、審議会等においてより具体的に深く専門家あるいは労使が検討していただければなと考えております。

 そして、先ほどの事業協同組合なんですけれども、形式的な要件を具備した事業主団体が実際に実施計画の認定を受ける際には、要は、計画が雇用の安定に資するものであり、また計画の内容が確実に実施できると見込まれるといった基準を満たす必要があると考えるんですけれども、形式的なものですから、ここにはある程度、役所、行政の裁量があるかなと考えております。

 形式的な要件だけでは悪意を持った団体を排除することはなかなか難しいと考えているんです。実質的に計画の中身や事業実績等についても検討あるいは見ていかなければいけないなと考えておりまして、そのときに、幅広い意見とか、先ほど申し上げましたとおり、建設業界の実態に詳しい方々の意見を聞いていかなければいけない。そうしますと、実施計画の認定について審議会の意見を反映すべきではないかと考えるんですけれども、その点についてのお考えを聞かせてください。

尾辻国務大臣 実施計画の認定は、このたび創設いたします二つの事業の入り口に当たるものでございまして、非常に重要な行為であると考えております。したがいまして、その認定に当たりましては、今お話もいただいておりますけれども、建設業の実態に通じた方々から幅広い御意見を聞くことは重要なことと考えております。

 したがいまして、実施計画の認定に当たりましては、建設業関係の労使が委員となっておられる労働政策審議会の意見が反映されるように運用してまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 あともう一つは、先ほどの事業主団体が出した実施計画、それを厚生労働大臣が認定するということになっておりまして、要は、実施計画に記載した雇用の改善の措置とか構成事業主等に対する指導とか助言といったものを適切に実施していくことが必要だと考えております。特に、実際の事業の実施段階においても、それは継続的に行政として正しく行われているかどうか見ていかなければいけないなと考えておるわけなんです。

 そうしますと、認定を受けた事業主団体が実際に適正に構成事業主等に対する指導とか助言を行っていっているかどうかを見ていくことが重要ですし、そのために行政がどのように事業主団体を監視していくのか。その実施計画の実行段階において事業主団体あるいは事業主団体の構成メンバーである事業主をどうやって監視していくかについて具体的なお考えがあるかどうか、お聞かせください。

尾辻国務大臣 事業主団体は、実施計画において建設業務労働者就業機会確保事業の実施に関して行う措置を定める必要があり、この中で構成事業主等に対して援助等を行うことを盛り込むことが必要でございます。

 具体的には、建設業務労働者就業機会確保事業の仕組みや送出事業主及び受け入れ事業主の義務等についての周知啓発、それから、送出事業主と受け入れ事業主の間の調整や構成事業主からの相談に対する助言、さらに、実施計画に従って構成事業主が適正に事業を実施していることの確認といったような措置を盛り込んでいただくことを考えております。

 また、事業主団体の取り組みにつきましては、都道府県労働局において監督をいたすこととしまして、事業主団体が構成事業主等に対して実施計画に従った援助等を行っていない場合においては、指導を行うほか、指導に従わない場合などには実施計画の認定を取り消す等の措置を講ずることといたしております。

 なお、実施計画の認定が取り消された場合には、構成事業主が行う建設業務労働者就業機会確保事業の許可もすべて失効し、実施が不可能となることとしており、適切に事業主団体を指導監督することにより、建設業務労働者就業機会確保事業の適正な運営を図ってまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 予定した質問をすべて終わりましたので、ここで終了させていただきます。まことにありがとうございました。

鴨下委員長 次に、五島正規君。

五島委員 民主党の五島でございます。

 今問題になっております建設労働者の雇用の改善に関する法律の改正というこの法律案について、一体なぜこんな法律案が出てきたのかというのは、衆議院調査局の厚生労働調査室が出しておりますこの法律案審議のための参考資料の中に書かれているわけですが、結論的に言いますと、地方団体やその他のところから、特区を設けて、そして建設労働に関する人材派遣業を認めろという要求が出てきた、それに対して、厚労省の方は、建設業務を労働者派遣事業の適用対象業務とすることは適切でない、これは当然法律に基づいてそうなんですが、と回答されて、三つの理由を上げられた、こういうふうに書かれているわけですね。

 言いかえれば、政府であるところの構造改革特区推進室や地域再生推進室からこういう要請が出されて、それに対して厚労省はそれはできませんという御返事をなさった。返事をしたけれども、結果としてこういう法律を出さざるを得なかったということがこの調査室の資料の中に書かれているわけです。厚労省が適切でないと回答したことについては極めて適切であると私は考えるわけでございます。

 まず最初に、この法律というのは本当に人材派遣の業務とは違うのだということについて、では、どのようにこの建設業務労働者就業機会確保事業と労働者派遣事業とが違うのか、そこのところを御説明願います。

青木(功)政府参考人 この法律案の検討に際しまして、ただいま五島委員からお話がございましたように、いわゆる構造改革特区要望ということで自治体等から要望がありました。これらにつきましては、私どもといたしましては、建設業の中にいわゆる労働者派遣事業の展開をそのまま認めることになる、こういうことで、現在の建設業の状況を見て適切でないというふうに判断をしたところでありまして、しかし、さはさりながら、現在の置かれております建設業の状況、そして働く人たちの環境の中から、常用雇用の維持という観点から今回御提案したようなことに相なったわけでございます。

 そこで、この就業機会確保事業と派遣事業の違い、これはもともとにおいてまず違っているということを申し上げたいと思います。

 それは、労働者派遣事業というのは、自分のところにいる常用労働者あるいは登録労働者の方を第三者である事業所に派遣をして、そしてそれによって利益を得ていくという事業形態、つまり一つの事業形態である、したがって、それに伴う副作用等について法規制をしているというのがまず第一にございます。

 そして、今般御提案を申し上げているのは、個々の事業主が自分のところの常用労働者の方について、その雇用を維持するという観点から労働者を送り出す。そのまた原点において違っているというふうに考えております。

 また、具体的にも、この事業を行う事業主団体において実施計画を作成し、厚生労働大臣の認定を受ける、それから、事業の実施範囲として、一時的に余剰となる常用労働者の雇用の安定を図る範囲内でのみ実施をする、さらに、送り出しを専門とする事業主あるいは送り出しのみに従事する労働者、そういうものはあってはならないという前提で事業を行う、それから、送り出し先は、実施計画にあらかじめ記載された同一の事業主団体の構成事業主、すなわち仲間の経営者の間に限られる等々、利益を目的といたしませんし、規制がない限り自由に事業を行うことができる労働者派遣事業に比べて、そういった一定の範囲の中できちんとした形で労働者の送り出し、受け入れを行うという意味で大きく異なっているものというふうに考えるところでございます。

五島委員 確かに、人材派遣法との関係においては一定の違いが大きなものがあるということについての御説明そのものは了承しますが、しかしながら、お話を聞いていますと、これまた新たな何らかの形の規制であるという側面が残っているわけですね。

 とした場合に、そもそもこの法案を出さざるを得なくなった、例えば構造改革特区推進室等の立場からいえば、よりこうした規制を解除して、労働者の権利であったりあるいは事業特有の問題というものを無視して、やはり経済特区でこれをやりたいという声が出てくる可能性は十二分にある。この法律が通れば構造改革特区の要望というものが抑えられるという根拠はどこにあるんでしょうか。

青木(功)政府参考人 構造改革特区要請そのものは、これはそちらの制度に基づきまして自治体あるいは事業者等々が自由にこれを提案することができる仕組みであることが前提でございますけれども、今般のこの御提案させていただきました就業機会確保事業につきましては、特区提案の中のエッセンスであります、例えば長野県のある村からの提案ということでございますが、この焦点とするところは地域の住民である従業員の方々の雇用を守るという発想に立って提案されたものと承知しておりますが、今般のこの就業機会確保事業につきましては、そういった常用労働者の雇用を維持、守っていくという観点からでき上がっている骨組みでございまして、そういった意味では特区要望のエッセンスを受けとめたというふうに私ども考えます。

 そういった意味で、こういったことについての御要望というのは出てこないというふうに思いますし、また、仮に今般の制度についての理解不十分等のために出てきたという場合には、その旨をきっちりとお話ししていくということになろうかと存じます。

五島委員 今のお話を聞いていますと、非常に矛盾があるように思います。すなわち、特区要望のあった地域の話を聞いてみると、この法律でもってそれはできるから、この法律の方がよりましだということで提案されているというふうに聞こえます。そうしますと、特区要望が出てくるところの個別の要望に対して、その都度こういうふうな大きな法律の改正をするんですか。

 あるいは、もう一つの考え方としては、こうした特区要望が出ていたとしても、現実に社会全体に通用している建設業法なり、あるいは人材派遣業、こうしたものは建設業に持ち込むことに対してふさわしくない、ふさわしくないから、こういう法律を出して、この法律のままで我慢しなさいと言っているのか、この二つがちょっと不明確なんですね。

 もし前者であるならば、それぞれの特区の要望が出るたびに法律を変える、そんなばかなことはないでしょう。しかし、後者であったとしても、もし特区の要望が本当に建設業にとってふさわしくないと考えているのなら、従来の法律のもとにおいてやっていくんだということで突っぱねることができたはずです。なぜこういうふうなことになったのか、お伺いします。

青木(功)政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律案の提案理由説明の際にも大臣の方から申し上げておるとおりでございますが、この法律案そのものは、建設業全体の置かれた状況、すなわち、事業が縮小している、そして供給として過剰供給の状態になっている、その中での雇用問題の解決をどういうふうにしていくかという点につきまして、関係審議会等での御議論の中から出てきたものでありまして、単に特区要望があったからこういう内容を法制化したということではないということでございます。

五島委員 確かに、労政審など、そうした審議会の手続を丁寧に踏んでこられたということについては、私も認めるのにやぶさかではありません。確かにそういう手続は済ませておられます。しかしながら、その結果においても、今私が質問したような疑問に行き当たらざるを得ない。

 しかも、現在、建設業においては非常に過剰雇用の状態が続いている、そのとおりだと思います。常用労働者の数だけでも四百三十二万、そして、その中で技能労働者と言われている人たちが二百九十万、単純労働者が五万。今回の法律の対象になってくるのは、二百九十五万の中からそういうふうな手続を踏まれた人たちが対象になってくるんですが、現実問題として、この法律の対象者として考えられる人は二万数千人と言われています。一%ですね。

 現在の労働過剰といいますか、雇用が非常に過剰になっている状態が一%程度でないことは明らかです。そうだとすると、この法律を無理につくろうとするには、青木職安局長がおっしゃったことだけではなかなか、何か裏がないとこんなばかなことにはならないんじゃないかなと思わざるを得ない。ここでどんな裏があったんですかと聞いても言いませんでしょうから、これはこれ以上申し上げるのはやめますけれども。

 大臣、私は、ここでやはり心配なのは、厚労省自身が、改革特区推進室や何かの要望に対して、三つの点を上げてそれを不適切であるとおっしゃっていますね。それは、もう既に労政審の検討において結論が出てしまっている、労使の場においても結論が出てしまっている、だめだよという結論が出ている。また、建設業務については、悪質ブローカーが労務供給者として介入してさまざまな問題を起こすことがある分野である、したがって、この分野には労働者保護の観点からも問題が大きい。さらに、中間搾取その他の弊害が生まれてくるというような三点の指摘をしておられます。

 この三点の指摘というのは極めて正しいわけですが、大臣、今回のこの法律の改正は、間違いなく人材派遣を容認するものではないのでしょうね、そういう心配がございます。大臣は、この点について、この法律は人材派遣と全く異なる、そういうものに道を開くものではないというふうに断言できますか。

尾辻国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますように、このたびお願いしております法律の改正は、派遣に道を開くものでは全くございません。

五島委員 派遣に道を開くものでは全くないと今おっしゃいました。その答弁は、私としても非常に重く聞いておきたいというふうに思います。

 次に、この法律ができたことによって、本当にどういう分野で機能できるのか。

 これは、確かに二万数千人が対象になるとおっしゃっています。しかし、私、出身は高知県ですが、実は建設業というのはもうリストラがされてしまって、かつて百名、百五十名の雇用を持っていた地域の比較的大手の中堅建設業者も、従業員の数が二十数名という時代になっています。長野県でたまたまそういう例があったとおっしゃるわけですが、一体どういうふうなところでこの法律が現実的に適用されるんだろうかというのを考えると、一般的に建設業にこんなの適用されないのではないかと思わざるを得ません。

 ただ唯一、高知という位置から考えてみますと、高知というのは大雨や台風の通り道でして、災害がよく起こるところです。災害復旧などの緊急を要するような事業、これは、土木の工事とか上下水道の修理とか、そういう緊急を要するような事業のときに、余りにもリストラし過ぎてしまって、そこで働く人が足りないとかいうことは起こってくるかもわからない。そうすると、この事業というのは極めて短期的な、そういう緊急用のときを考えてつくっておられるのか。

 それとも、もう一つは、悪く考えると、大手のゼネコン等の支社がそれぞれの協同組合の中に入ってきている。今、談合が非常に厳しく取り締まられています。そういう前提の中で、こういう構造のもとにおいて、ある種の合法的な談合といいますか、ができるような機構としてこれを考えておられるのか。まさか、政府が合法的な談合機関をつくるためにこんなものをつくろうというふうなことではないんでしょうが、そういう派生的な面があるということに着目して利用する業者も出てくるのかなというふうに思っています。そういう意味では、極めて問題が後に残る法律だろうと思っています。

 そこで、一つずつ具体的な内容についてお伺いしていくわけですが、送り出しの企業とそれから受け入れ先の企業との間において、当然、契約に基づいて労働者が送られてくるわけですね。その労働者に対する拒否権といいますか、使ってみたけれども気に入らないという形で、拒否権というのは受け入れ側には発生するのでしょうか。

青木(功)政府参考人 拒否権と申しますか、例えば、送り出しから自信を持って出した労働者の方が行った先の期待にこたえないというケースが生ずる可能性はないとは言えないだろうと思います。これは、やはりそれが当の労働者にとっても不幸であるとするならば、話し合いの中でまず第一に解決していただかなければならないだろうと思いますし、むしろ、そういった取り決めをあらかじめ交わしておく方がいいのではないかなというふうに思います。

五島委員 その話し合いというのは、送り出しの企業と受け入れ側の企業との話し合いでしょうか。通常であれば、これが雇用であれば、当然、労働者に対する教育指導というのはその企業が責任を持ってやるわけですね。今のお話ですと、もし企業と企業との契約であれば、働いている労働者が何らかの形で受け入れ側の気に入らなければ、その労働者に対して受け入れ先が指導するのではなくて、送り元、送出企業の方に契約に基づいて交代を求められるというふうにも聞こえてまいります。これであれば、実態としての派遣労働と変わりませんね。その辺はどうなんですか。

青木(功)政府参考人 派遣労働と今回の事業の違いについては先ほどから御説明を申し上げているとおりでございますが、今般の事業はこれからスタートするわけでございます。ただいま先生から問題提起がございましたようなケースも含めて、さまざまな事項を入れて指針等をつくりまして、それで、この事業をやろうとする団体、そしてその加盟する事業主の皆さんに適切に運用していただくわけでありますので、今のような問題も含めて、どう適切に対処できるかということを検討の上、指針の中に盛り込むことが適切ではないかというふうに思います。

五島委員 この問題は、労働者の働き方と権利に関する問題ですから、そこのところは両者の間の話し合いに任すということでは困るんだろう。何らかの形で指針を書かれるとしたら、どういう指針になってくるのか。少なくても、来ている労働者に対する教育指導の義務というものをやはり受け入れ先の企業にきちっと課す、それが安易に労働者の交代を求めるということにならないような形にぜひしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

青木(功)政府参考人 ただいま問題点の御提起をいただいたということで、真摯に対応したいと存じます。

五島委員 次に、働いている労働者にとってですが、私は、災害時の土木作業なんかではこういうふうな使われ方をする労働者がかなり出てくるかなという気がしております。その場合には、非常に緊急がある場合は、長時間労働といいますか、時間外労働なんかがついてくるんだろうというふうに思います。この時間外労働についてはどういうふうな取り扱いになるんでしょうか。

 例えば、送り出しの企業から送り出された労働者が、受け入れ先のところで、きょうは四時間残業をやってくれ、今週は休日も出勤してくれと言われた場合に、恐らくそれは出勤せざるを得ないんだろうと思います、作業の状態からいえば。当然それには超勤割り増し金が払われないといけない。しかし、その超勤割り増し金というものはどういうふうな形になってくるのか。結局それは、超勤割り増し金を含めて送り元の企業に一たん払われて、送り元から超勤というものをつけた賃金が払われるという形になるのかどうか。そうであれば、その労働者の労働時間管理というものは、受け入れ先と同時に送り出しもやることになるのかなと思うわけですが、そんなことは現実的ではありません。一体その辺はどうお考えでしょうか。

青木(功)政府参考人 今回のこの事業に関する送り出し側の事業主と受け入れ側事業主の責任分担の関係でございます。

 そこで、労働時間管理につきましては、労働時間の枠組みの設定につきましては送り出し側の事業主、そして、その具体的な運用、ただいま先生おっしゃいました具体的に働いているとき、これは受け入れ事業主が責任を負うことになっています。すなわち、送り出し側の事業主がいわゆる時間外、休日労働に関する協定を締結し、これを関係の労働基準監督署に届け出た場合には、今度は、受け入れ事業主がその範囲内で送り出された労働者に時間外あるいは休日の労働をさせることができる、こういう取り扱いになると存じます。

 また、給与の支払いは、これはあくまで送り出し事業主の責任でありますので、超過勤務手当も含めて、送り出し元の事業主が責任を持って払わなければなりません。

五島委員 そうしますと、その労働者の就労時間その他は、受け入れ側が送り出しのところに常時報告するということになるわけですね。わかりました。

 次に、この業界というのは、今非常に不景気で倒産などが相次いでいるところです。送り出された労働者にとってみますと、受け入れ側の企業が倒産した場合でも、その人の賃金は、送り出しの企業が残っておれば当然賃金は支払われるということになるのだろうと思いますが、今度は逆に、その労働者が送り出されて仕事をしている間に送り出しの企業が倒産することは当然あるわけです。多くの場合、そういう離れ小島みたいなところで仕事をしている労働者にとって、送り出された企業が倒産するかどうかなんて事前に知る余地もありません。その人らの賃金はどうなるんでしょうか。また、その人たちの身分はどうなるんでしょうか。

青木(功)政府参考人 送り出しの事業主が倒産をした場合の取り扱いでございます。

 そこで、先ほどから申し上げておりますように、雇用関係はあくまでも送り出し事業主と当該送り出し労働者の間にございます。したがって、送り出し事業主が倒産をして、例えば一定の手続によってすべての労働者を解雇せざるを得ないということになった場合には、送り出し先に行っている労働者も解雇されることになります。その場合の賃金の支払い等々の問題、すべてこれは送り出し事業主との関係になるわけでございますが、仮に賃金不払いの状態等が生じた場合におきましては、当該送り出し事業主との関係において、いわゆる未払い賃金の立てかえ制度の対象になるというふうに考えます。

五島委員 そうしますと、その場合はいわゆる賃確法の対象になるということですね。わかりました。

 それで、なるとした場合には、結局、未払い賃金の問題は、他の形態での、下請の形態とか、そういうふうなところの労働者と同じ扱いになるということなんですが、その場合は、送り出しの企業が倒産すると、そこで働いている労働者と受け入れ側の企業との関係というのは自動的に解消されるんですか。

 こういうふうな仕事というのは一定期間の継続的な仕事だろうと思うんですね。そこで働いている労働者を現場でまだ必要としている場合に、送り出しの企業が倒産したからといって、企業間の契約は自動的に消滅することはわかるわけですが、そこで働いている労働者については、その作業はもともとの契約期間ですね。だから、続いている間については何らかの措置をするということはあってもいいかなと思うわけですが、その辺は何かお考えですか。

青木(功)政府参考人 倒産というふうに申されても、現実に、近年、さまざまないわゆる倒産法制というのが整備されておりまして、倒産状態になったからといって直ちに働いている方々が解雇されるというよりは、むしろ営業を続けながらというような仕組みもあろうかと存じます。

 その意味では、倒産即その人たちの解雇というふうにならないような工夫がさまざまあるだろうと思いますし、また、そういった意味からいたしますと、現実に行った先に仕事があるわけでありますので、そこのところは、倒産した事業主の方の配慮、それから受けている方の事業者の配慮、そして労働者の意思といったものをそんたくしながらいい解決をする道があるのではないかなというふうに考えます。

五島委員 それは、いい解決方法があるのではないだろうかというふうなことよりも、やはり労働局を通じて、また、これの計画は大臣が認可されるわけですから、そういうことがないように、これもまたぜひきちっとした指導をお願いしておきたいと思います。

 さらに、この関係の中で大変心配されるのは安全問題です。昨年十二月の名古屋の方で出されました朝日新聞で前後四日にわたって、ちょうど名古屋は中部空港やあるいは万博で建設業が非常に活況を呈していたという時期でございますが、やはり今の時代で、非常にダンピングで入札をして仕事しておられる。そういうふうな中で労災隠しが日常的であるということが暴露されています。

 しかも、それは直用の労働者における労災隠しではなくて、下請化された労働者。もし下請労働者に労災の事故が発生した場合には、それを労災として表にあらわされるともう次は下請から外されるという状況の中で、下請企業自身が労災隠しを推し進めているということが暴露されています。

 あるいは、これは大きな見出しで、「現場で禁句「救急車呼ぶ」」すなわち救急車を呼ぶということを絶対言ってはいけない。「仕事欲しさに口つぐむ」「予算削減「ぎりぎりまで」 「安全に」現場板ばさみ」「安全対策ただのポーズ 審査のためだけ「あほらしい」」あるいは「「時間ない」足場金具は代用品 装う「災害ゼロ」現場悲鳴」見出しだけでも、大きな見出しでそういうふうな記事がどんどん出ています。

 確かに、これが対等な関係である、そういうものであれば別ですが、こういう協同組合の中で従業員を、常用労働者を出していく場合に、やはり仕事がないんですよね。仕事がないから自分のところの常用労働者をいわば賃貸しするわけですよ。その場合に、万一そういう労災事故が起こった場合、それはやはり隠したいと。

 しかも、御承知のように、今これは非常に、建設労働にだけ認められた唯一すぐれた点だろうと思うのは、複数の企業があったとしても現場単位で労災加入ができている。そのことは、言いかえてみると、元請からいえばいかに労災を隠すかということに必死になるし、もしそこで大きな事故が発生すると、いわゆる事業所経営審査点数に影響してしまうということで、必死になって元請からも、この労災事故についても、発生防止は正しいわけですが、発生したときの労災隠しというのが生み出されていく。そういうことが一層起こるのではないかという心配があります。その点についてはどのようにお考えでしょうか。

青木(豊)政府参考人 今委員がお話しになりました労災隠しといいますのは、お話の中にありましたように、労働災害が発生をいたしまして、その事実を隠ぺいするために故意に労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告を監督署署長に提出しないというようなものでありますとか、あるいは虚偽の内容を記載した死傷病報告を監督署長に提出するというようなものでございます。いずれも労働安全衛生法違反ということであります。

 これらについては違反の罪ということで送検をしていますのが平成十五年で百三十二件ありますけれども、そのうち建設業は百件ということで、七十数%ですかを占めておりますし、増加傾向にあります。労災隠しは今申し上げましたように法違反ということでありますので、きちんとこういったものを防止するということは大切だというふうに思っております。

 労災隠しについては、少しお触れになりましたが、いろいろな要因というものがあるだろうと思いますけれども、私どもとしては、そういったものを防止するということで、個別の指導でありますとか、監督指導でありますとか、集団指導、あるいは安全パトロールということで事業場をずっとパトロールするような場合などにも指導をしたり、あるいは関係団体に対する傘下会員への周知要請などをしたりします。

 あるいは、事案の把握もきっちりする。そういうものが逃れるという事例がないようにするということも大切でありますので、これもまた労災隠しの防止のためにも有効であると思っておりますので、事案の把握あるいは調査というものを、例えば報告書でありますとか、届け出書でありますとか、申請書でありますとか、もろもろの関係書類の点検、突合をしたりしまして把握をする。

 あるいは、被災労働者からの申告でありますとか情報の提供というものもございます。そういった場合にもきちんと確認、突合をして対応するということで、私どもの組織の中でも組織的な連携を図って処理をするということに努めてきておりますが、それを一層きっちりとやっていくということだろうと思いますし、最終的には、事案を発見した場合の措置として、先ほど申し上げましたような司法処分、送検をしてきちんと処理をするということであります。

 また、やはり関係行政機関とも連携をいたしまして、相互通報をシステムとしてつくって、国土交通省とお互いに情報の交換ができるようにするというような措置をやってきておりますので、これもまた的確に進めて、御懸念のようなことがないように、できる限り努めていきたいというふうに思っております。

五島委員 昨今、労災事故というのは統計上は減少している。しかし、重大事故、死亡事故というのは建設業や林業などの野外労働を中心として減っていません。特に去年、ことしあたりは非常にふえてきている。そうでない、重大事故につながらない事故は減っておりながら重大事故だけがふえているというのは、常識的に考えてこれは非常に異常なことなんです。常識的に考えて異常という言葉はおかしいわけですが。それはどう考えても、そういう重大事故につながらない事故というものが隠ぺいされている結果、そういうふうなつじつまの合わない統計数字が出てきていると考えざるを得ません。

 そうした中において、今、建設業の中においては大変なダンピング合戦が起こっています。そしてその中には、安全対策に対する費用というものが大変削られているというようなことも多々あるわけでして、そうしたことについてやはりきちっと、そういう契約の内容、そうしたものにまで目を光らせていただきたいと思います。

 そういうことを申し上げて、時間が参りましたので、まだ言いたいこともありましたが、終わります。

鴨下委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 今回、改正の対象になっております建設労働者雇用改善法ですけれども、これは一九七六年に制定されたものです。そのときも大きな議論になったのは、建設産業の特徴をどう見るのかという問題でした。

 振り返ってみますと、建設産業というのは、道路にしても橋にしてもトンネルなどにしても、あるいはマンションなどの民間からのものにしても、注文による生産であるということですから、仕事に波があるわけですね。それからまた、同じ商品を大量に生産するわけでなくて、主に個別の生産になります。しかも、天候にかなり左右される、屋外での作業が多いですから。しかも、一定の建設期間、納期がありますから、ある種の有期的な、期間の限定の仕事にもなるということになっています。

 そして、もう一つの特徴として、こういう仕事をやる上で、よく言われますけれども、設計、土工、セメント、型枠、とび職、鉄筋、配線などの電気工事など、かなり広く、総合的に作業をしなきゃいけないという、総合生産という特徴を持っております。この生産方式が、現実にはゼネコンや地方でも大手の建設業者を頂点にして、縦の系列下で専門業者さんがそこに包み込まれていって重層下請構造になっているということがよく指摘をされています。

 一九七六年にこの法律ができた際に、そういう特徴を持った産業であるのだけれども、同時に、さまざまな雇用慣行が従前からのものがあって、そこには現実に不明確な雇用関係、不安定な雇用形態、労働福祉の立ちおくれというものが指摘をされて、これにどう対応するのかということでつくられたのが、今回、改正が提案されている法律の大もとなんです。

 これは十三条から成っているわけですけれども、建設会社に現場ごとの雇用管理責任者を選任する、これは第五条。労働者への雇入通知書を交付する、これは第七条。元請事業主に現場ごとの下請会社の名簿などの書類を備えつける、第八条。こう並んでおりまして、これは義務化されたわけですけれども、しかも、国に対して建設労働者の能力開発や現場宿舎の体制整備などの福祉分野での増進のための雇用保険法からの助成、これを認めるということになりました。

 ところが、今度の改正提案というのは、大もとが十三条なんですけれども、これは四倍になるんですね、五十二条に。ですから、私は、この法律の大もとの性格をも変えてしまいかねない提案になっていると思うんです。

 それで、具体的に申し上げますと、この提案されている改正案の第一条なんですけれども、なぜこれだけ膨れ上がっちゃったのかといいますと、この第一条の目的の中に、従来の雇用の改善、能力の開発及び向上、それから福祉の増進の上に、こういう文章が加わりました。「建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業の適正な運営の確保を図るための措置」というのが入った関係で、非常に膨れ上がったものになったわけですね。

 まず大臣に確認したいんですが、こういう目的を新たに追加したりしてきたその背景、それはどこなのか、説明願いたいと思います。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

尾辻国務大臣 そもそもの目的については今お述べをいただきました。そして、建設業の持つ特性についてもお述べをいただきました。そうしたものが当然変化をするものではございませんから、基本的に、確かに条文といいますか、大きくはなっておりますけれども、変化するものではないということを申し上げたいと存じます。

 ただ、では、第一条に二つの事業がなぜ追加されたのかということでございますけれども、このことについて申し上げますと、最近の工事の受注減により厳しい状況にある建設労働者の雇用の安定を図るという一つの観点、それからもう一つは、建設業内における必要な技能労働者の確保を図る観点、こういう二つの観点から、建設業務における新たな労働力需給調整システムを導入する必要があるというふうに認識をいたしまして、そしてそれは新たな労働政策についての労働政策審議会における御議論もございまして、このたびの御提案を申し上げたということでございます。

山口(富)委員 今、雇用の安定と技能労働の確保の問題があるんだという説明がありました。

 それで、政府の提案説明の中でこれは繰り返し緊急避難的かつ限定的だという説明がなされてきたわけですけれども、職安局長に聞きたいんですが、緊急避難的かつ限定的措置だという場合に、今の状況がどのように変化したらこういう措置は解除になるのか、その見通しを示していただきたい。

青木(功)政府参考人 建設業務労働者就業機会確保事業に関するお尋ねでございます。

 この事業につきまして、こういったものを導入する考え方につきましては先ほど来御報告、御説明を申し上げているところでございますけれども、一時的に余剰となっている常用労働者の方々につきまして、他の建設事業主のもとで就業機会を提供、つまり、常用労働者の方を一時的に同じグループの仲間内の事業者のもとで働いていただくということでその常用労働者の方の雇用を守る、そういう事業内容でございます。

 したがって、一時的に送り出しを受けた事業所の方で働くというのが一時的ということで申し上げているわけでございまして、現在、過剰供給産業と言われる建設業が、いわば軟着陸をする過程において、お一人お一人の労働者の方々に生ずる事態が、少しでも常用雇用ということを確保できるようにつながっていくという意味で申し上げているわけでありまして、制度そのものが一時的あるいは緊急避難的ということで御説明を申し上げているものでないことを御理解賜りたいと存じます。

山口(富)委員 ですから、その説明が誤解の大もとなんですね。

 つまり、雇用の安定を図りたい、だから一時的には送り出していただくということになるわけですが、だったら、そういう一時的なものを、なぜあえて恒常的な法改正として提案する必要があるんですか。

青木(功)政府参考人 雇用の安定の仕組みというのは、もうこれは釈迦に説法でございますが、さまざまな仕組みがございます。経済全体を大きくしていくというところから来まして、最終的には一人一人の事業主の方の御努力まで、さまざまな局面が考えられるだろうと思います。

 そして、繰り返しになりますが、建設業全体が過剰供給産業から脱却をしていく流れの中で、常時起こり得る事態というものに、一個一個の事業所の一時的な常用労働者の過剰という状態があるのではなかろうか。そういう意味でいえば、こういったシステムを備えておく方が、そのときそのときに生じた個々の事業所の事業の事態に対応できるのではないかということで、いわば恒常的な措置として御提案を申し上げたということであります。

山口(富)委員 全く納得できる答弁じゃありませんね。だったら時限立法でいいはずなんです。

 それから、職安局長はきょうたびたび、議員の質問に対して釈迦に説法という言葉を使われるけれども、議員は国民の代表として法案質疑をやっているわけだから、釈迦に説法なんというのは議事録から私は取り除いていただきたいですね。

 さて、話を進めますけれども、この法案の十二条ですね。この中で、新たにつけ加わる事業も含めまして、「一体的に実施する」というところが強調されております。十二条。

 なぜ、あえて「一体的に実施する」というところが法文上強調されるのか、示していただきたい。

青木(功)政府参考人 改正法律案第十二条におきましては、ただいまお話にございましたように、新しい二つの事業にかかわる措置と、雇用の改善、能力開発、向上並びに福祉の増進に関する措置とを一体的に実施するということにしております。

 これは、これらの事業を行う場合には、計画的な採用、退職管理等のいわゆる雇用管理の改善、それから、技能のミスマッチ、新しい技術、技能等に関する職業訓練の実施、あるいは、さまざまな新たな事業、送り出しというようなことをやるに際しての、トータルで見て労働条件の向上など福祉の増進にかかわる措置、そういったものをあわせて講ずることによって、現場の労働のいわば労働福祉の向上や、あるいは職業紹介などのマッチングの向上に資するように考えたところでございます。

 単に有料職業紹介事業に参加するとか、あるいは労働者の送り出しをやるということではなくて、トータルとして、そこにおられるそれ以外の労働者の方も含めてのただいま申し上げたような措置と一体的にやることによって、全体にそこの労働者の方々の雇用水準というものを引き上げるのに役立つようにやっていただいた方がいいのではないか、こういう趣旨であります。

山口(富)委員 私は、あえて法文上で一体的と強調する背景は、その建前がないと、これはやはり建設労働者にさまざまなマイナスといいますか問題を生みかねないからという、そういう問題意識があるからこそ、あえて一体的ということを法文上明記しているんだと思います。

 それで、では、果たしてこれが雇用の安定に、あるいは技能労働者の確保につながるのかというところを具体的にただしてまいりたいんですけれども、まず最初に、新設されます有料職業紹介事業について尋ねたいと思うんです。

 現在の職業安定法の第三十二条の十一を見ますと、建設業務や港湾運送業務につきまして、「その職業のあつせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるもの」というふうにして、ここでは有料職業紹介事業は禁止されています。

 今回の法改正ではこれが解禁されることになるわけですけれども、建設業界内に限定するというふうに言われるわけですが、職安法の立場からいきますと、労働者の保護に支障を及ぼすおそれがないのか、そして、そのおそれがないと言える制度上の担保はどこでとるのかということを示してほしい。

青木(功)政府参考人 建設業務につきましては、御案内のとおり、一般の有料職業紹介事業を禁止しております。

 今回の建設業務有料職業紹介事業の導入に当たりましては、この実施主体を実施計画の認定を受けた事業主団体に限ること、それから、建設労働者の雇用改善等の措置と一体的に行う場合に限り実施を可能とすること、また、求人者が構成事業主であるか、求職者が構成事業主または構成事業主の常用労働者である場合に限って実施可能ということで、かなり厳格な範囲、限定的な範囲で実施する仕組みとしておりまして、いわゆる悪質なブローカー等による中間搾取のおそれなどを排除する仕組みとしているところでございます。

 また、行政の監視といたしましては、都道府県労働局に担当者を配置し、この事業の指導監督を行い、また定期的に事業報告等を徴収すること、あるいは労働者や関係事業主からの申告、相談を受け付けるといった行政監視もきっちりしながら進めてまいるという意味で、適正な事業運営の実施を図ってまいります。

山口(富)委員 そうしますと、職安局長、今の説明で、十二条、十三条が法文上その担保に当たると。それからまた、第五章に有料職業紹介事業にかかわるさまざまな条文があるんですけれども、それぞれどこがあなたが今説明された背景になっている条文なのか、そこだけ答えていただけますか。

青木(功)政府参考人 改正条文のところに、「この法律において「建設業務職業紹介」とは、事業主団体が、当該事業主団体の構成員を求人者とし、又は当該事業主団体の構成員若しくは構成員に常時雇用されている者を求職者とし、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における建設業務に就く職業に係る雇用関係の成立をあっせんすることをいう。」と規定し、さらに、雇用関係につきまして、期間の定めのない雇用契約に係るものに限るということで、きっちりしているところでございます。

山口(富)委員 どうもその説明はよくわからないですね。私がお願いしたいのは、今申し上げましたように、もともと禁じていたところは建設労働者に支障がないようにということなんですから、そういうことがきちんと運用上担保できるように指導監督をやるようにということだけ、重ねて申し上げておきます。

 それで、もう一つお尋ねしておきますけれども、この有料の職業紹介が始まりますと、この枠組みですと、今建設業界にいなくても、建設業の外から労働者を紹介するという、引き込むといいますかあっせんするといいますか、そういうことになるというふうに考えていいんですね。

青木(功)政府参考人 お答え申し上げます。

 求職者についての制約は規定しておりません。ですから、有能な、あるいは意欲のある業界外の方を常用雇用として採用する場合には対象となります。

山口(富)委員 常用労働としては、外部労働者は対象になるんです。

 となりますと、今は過剰状態と言われているわけですけれども、高齢になりました技能労働者やいわゆる単純工の皆さんが、外部から技能を持った方が入ってくることによって、今度は逆に排除される可能性、危険性はないのか、この仕組みは。ないとおっしゃるなら、どこにないという根拠があるのか、これを示してほしい。

青木(功)政府参考人 建設業に従事する労働者の方々について概括的に申し上げれば、けさ方も御回答申し上げましたが、いわゆる営業であるとか事務関係、管理部門、こういったところはかなり過剰である、それから、現場作業の部分については、トータルはほぼ均衡で、若干過剰、そして個々の事業ごとにかなりでこぼこがあるということを申し上げました。

 そして、技能労働者の方々については、過半数が四十五歳以上、その過半数が五十五歳以上というようなところでございまして、高齢化が進行する、そういう意味では、次の世代の人たちに入っていただくという積極的な理由が一つありますが、この建設業におきましては、いわゆる単純工につきましては、日雇い労働者の方々が活用されているという実態も多いと承知しております。

 現時点においては、単純工を常用雇用としている建設事業主におきましては、単純工を常用で確保する特段の必要性がある、こういう事業主の方がいわゆる単純工と言われる方々を雇用しているというふうに考えられますので、通常ベースとして、この紹介事業によって新たに常用労働者が確保できることになっても、もともとそういう形として必要ということで採用しているとすれば、影響はそう大きくないのではないかというふうに考えています。

山口(富)委員 局長は影響を否定されませんでした。しかも、技能労働者につきましては高齢化しておりますから、局長の言葉を使うと、次の方に入ってもらおうということなんですから、この仕組みというのは、現に今、建設業の分野で働いている方々の、特に高齢化された方ですとか単純工の場合は、追い出しにかかるという側面があることは否定できないというふうに私は思います。

 続いて、第二十条をちょっとお尋ねしたいんですが、手数料の問題なんです。

 第二十条で、有料職業紹介事業者の認定を受けたものは、「次に掲げる場合を除き、」「いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。」というふうに規定しているわけですけれども、二十条の二項の方でただし書きがありまして、「手数料を求職者から徴収することが当該求職者の利益のために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、」「手数料を徴収することができる。」というふうに定めております。この規定は職安法第三十二条の三第二項と同じものなんです。

 そこで具体的にお尋ねしたいんですが、どういう場合、このただし書きで言う取っても構わないということが認められるのか、具体的にはどのくらいの年収の人が手数料の徴収の対象になるのか、その場合の上限はどうなっているのか、そのあたりを示してほしいと思います。

青木(功)政府参考人 職業安定法に基づく有料職業紹介事業につきましては、ただいま御紹介がありましたように、原則として、求職者から手数料を徴収することは禁止をされておりまして、一定の場合においてこれが解除になっておるわけでございますが、現在の労働省令の取り扱いといたしましては、年収七百万円を超える経営管理者、科学技術者または熟練技能者等に関しましてこれを徴収することが認められております。

 建設業務有料職業紹介事業におきましても、原則的には、一般の有料職業紹介事業の仕組みを準用し、あるいはそれに倣って具体的な内容を定めたいというふうに考えております。その意味で、一定の場合に紹介側が手数料を受け取ることが認められる場合もあるのではないかというふうに考えておりますが、この具体的な範囲、あるいはどういう仕組みでこれを徴収することにするかといったことにつきましては、一般の場合と、さらに建設業務の中の特別な事情その他も勘案する必要がございますので、関係労使も入っております労働政策審議会で十分御議論をいただいた上で具体案をまとめたいというふうに考えております。(山口(富)委員「上限は。上限を尋ねたんですが」と呼ぶ)

 上限につきましても、同様でございます。

山口(富)委員 上限は、現在、就職後六カ月の賃金の一〇・五%までというふうになっております。

 そういうことになりますと、今説明がありましたように、年収七百万円以上が対象で、管理者あるいは熟練技術者ということになります。ですから、先ほどから局長は技能労働者が高齢化しているという話をしているんですけれども、高齢化した技能労働者や単純工の場合というのはここに入ってこないんですよ。私が心配しますのは、有料ですから、お金にならないということになりますと、紹介する気にならないということが起こり得る。ですから、手数料を取れない方々に対しておろそかになるんじゃないかという危惧が一点。

 それからもう一つは、現に大手のゼネコンの文書などを見ますと、建設業が今進出しようとしている新しい分野というのは、かなり高度の技能が必要になってくるんですね。それはリフォームの問題や耐震補強工事の問題に限りません。となりますと、これらの新しい分野となると相当高い賃金や年収が予想されまして、大枠でいいますと、その方々からは手数料が取れるというのが今度の枠組みになると思います。

 となると、これは建設業内部の就業者数でいくと、新しい人たちを呼び込むために、それ自身は膨れ上がることになるはずです。そうすると、現にそこで働いている方々で、しかも手数料が取れないという方々は、逆に外に出ていってもらうという仕組みとして機能しないのか。その危惧を職安局長はお持ちでないかどうか。

青木(功)政府参考人 有料職業紹介事業でございましても職業紹介事業でございまして、これは職業安定法に規定がございまして、現在でも、どういう求職者の方々であっても平等に対応すべし、これはまず法定をされております。

 その後に、お金が取れない人は十分に面倒を見ないのではないかという御懸念でありますけれども、この点につきましては、そういった平等取り扱いのこと、それから、具体的に、こういったお金になるからということを差別なしにやるということ、これから私ども、これを一つ一つ、提案を許可し、指導する立場にございます。そこのところはきっちりと徹底してまいりたいと存じます。

山口(富)委員 それはきっちり仕事はやっていただきますけれども、きっちりやったとしても、制度的な枠組みの中に、私がきょうも幾つか指摘してきたような、現実に建設労働の分野で働いている方々へのダメージになるような仕組みになり得るということは私は指摘しておきたいと思うんです。

 大きな二つ目に、新たな業務の建設業務労働者就業機会確保事業、大変長い名前なんですが、これは三十一条から四十四条まで定められております。この中で、これもきょう議論になっておりますが、労働者派遣との関係があるわけですけれども、この事業を行うことができる事業主が、第十二条三項四号で、「建設事業を営んでいるものとして厚生労働省令で定めるもの」というふうにされています。

 今、建設業法で大臣や知事が建設業に許可を与えているわけですけれども、こういう許可を受けている人との関係、これはどういう関係になっているのか示してほしい。

青木(功)政府参考人 何度も申し上げておりますけれども、この就業機会確保事業は、建設事業主が現に雇用する常用労働者について、一時的に余剰になったときにその常用雇用を継続するために行うものでございます。したがいまして、建設事業を行わないで送り出しを専門に行うというのは、制度の全く予定するものではございませんし、こういうことをしてもらうつもりもありません。したがいまして……(山口(富)委員「そのことは聞いていないんだ、十二条の三項四号」と呼ぶ)はい。

 ここに関しましては、「建設事業を営んでいるものとして厚生労働省で定めるもの」ということで書いてございますが、私どもとしては、まず一点は、建設業法に基づく建設業の許可を有していること、それから、建設事業を現に実際に行っており、あるいはさらに建設事業の実績が見込まれること、オペレーティングであるということを最低定めたいというふうに思っております。

山口(富)委員 そうしますと、局長、確認いたしますが、現在、建設業の許可を受けているというのが前提条件であって、そこから出発して幾つかの厳しい見きわめをやっていくということなんですね、基本的考え方は。はい、うなずいていらっしゃるからそういうことだと思います。

 では続きまして、法案の第二条十一項で、きょう問題になっておりますが、常用労働者の問題なんです。ここで事業主が常用雇用する建設業務労働者という規定が生まれてくるわけですけれども、常用労働者とは一体どういう定義なのか。

 具体的に問題になってきますのは、例えば、二、三日前に雇用契約を交わして、労働保険や社会保険にも加入するという手続をとりあえずとっちゃうという場合に、これも常用労働者としてカウントして、この法の中では法的には問題ないということになってしまうのか、その見きわめをどうするのかということを示してほしいと思います。

青木(功)政府参考人 常用労働者であるかどうかということはまず当事者間の決めでありますけれども、ただいま委員お話にございましたように、形式的には常用雇用として、送り出しが終了すると今度はやめてもらうというふうな不適切な運用が理論的には考えられます。そういったこともございますので、常用労働者の判断につきましては、実際には、期限の定めのない労働者あるいは事実上期限の定めがなくなった方、これはもう常識でありますが、そういったことを常時確認する体制を我々が持っていることが必要だろうというふうに思います。

 その意味で、定期的に送り出しの実績の御報告をいただくのはもちろん、適宜、都道府県労働局の担当官が立入検査を実施する、そして問題がある場合には適切に指導して是正を図る、最終的には許可の取り消し等も含めた背景を持って、この辺をきちんとやるように指導をしていく。こういった体制を整えて、ただいま委員の御懸念の趣旨というものができるだけ一つも出ないように、頑張ってまいりたいと思います。

山口(富)委員 大臣、今局長からそういう答弁がありましたが、そういう立場できちんと仕事をしていただけるんですね。

尾辻国務大臣 ただいま御答弁申し上げたとおりに、しっかりやらせていただきます。

山口(富)委員 私がこの就業機会の問題でもう一点心配いたしますのは、こういうことで送り出しが始まっていきますと、経験豊かで技能のある労働者というのは送り出された側で把握できるようになってくるわけですね。そうしますと、こういう人材というのは非常に大事だということで、逆に、送り出した側から引き抜きが始まったりして、中小の零細の建設業の方々がいわば廃業に追い込まれたり、そういうことが起こらないか、そこをどうやって防ぐんだということを聞きたいので、これを示していただきたいと思います。

青木(功)政府参考人 送り出し労働者の方が行った先で評判がよ過ぎて引き抜かれてしまう、こういうお話でありますが、一般論から申し上げますと、恐縮ですが、非常に働きがいい優秀な労働者の方が、いろいろな経営者の方からお話が出て、そして高い給与で勧誘される、このことそのものは否定することはできないんだろうと思います、一般論として。

 しかし、現実問題といたしましては、そういった労働者を奪われる形になった事業者の方については、御不便が生ずるわけであります。しかし、建設業におきましては、もともと広く請負制度が活用されておりまして、同一の現場で異なる事業主に雇用される労働者の方々が一緒に働いている場面は相当ありまして、申し上げたように、よその会社の従業員の方が立派だなということを見るチャンスは非常に多いんです。しかし、にもかかわらず、それほど私ども、苦情があるということも承知しておりません。

 そして、今度の送り出しにつきましては、どのような労働者を送り出すか、あるいは送り出し期間をどうするかということについては、具体的には、受け入れ事業主が介入できずに、送り出しの事業主が決められることになっておりまして、心配であれば、送り出しの事業主の方でそうされないような措置を加えて送り出すとか、あるいは送り出さないとか、そういった意味での、いい労働者を保有するための努力をしながらやっていただくということになろうかと存じます。

山口(富)委員 一般論としてということで否定されなかったんですけれども、法的にそういう状況をつくったというところが大問題なんですね。しかも、苦情はまだ出ていないと言うけれども、出ていないのは当たり前で、まだやっていないんだから。本格的な運用をしたらそういう危険性があるということをきちんと踏まえなければ、私は、職業安定局長としては失格だと思いますね。

 次に、国土交通省にきょうは来ていただいたのでお尋ねしたいんですが、建設業法の第四十一条で、特定建設業者である元請建設業者の立てかえ払い制度が入っております。この制度はなぜ建設業法に入っているのか、これをまず簡単に述べてください。

中島政府参考人 建設業という作業、施工の特性に注目して、施工現場を一つの事業所として見て、元請にいろいろな責任をとらせるというふうな考え方が基本にあるのではないか、このように思っております。

山口(富)委員 元請に責任を果たさせるということなんですけれども、今度の枠組みの場合、送り出し労働者は受け入れ業者のもとで働くことになります。それで、受け入れ業者が資金繰りなどの原因で不渡りを出したりして倒産した場合に、この建設業法四十一条で言う立てかえ払い制度は使えるのかということを示してほしい。

中島政府参考人 送り出された労働者は現場にいる下請の会社と雇用関係はございませんので、したがって、不払い、もらうべき賃金は送り出した会社からもらうということでございますので、四十一条の一項による勧告の対象にならないというふうに考えます。

山口(富)委員 元請の責任を果たさせなきゃいけないのに、この場合は対象にならないということなんです。

 次に、労働基準局長に聞きますけれども、賃金の支払の確保等に関する法律、いわゆる賃確法の適用なんですが、送り出し事業主は倒産していないけれども受け入れ業者の方が倒れちゃった、その場合、現実にそこに送り出された労働者に賃金が入ってこなくなるわけですね。その場合、労働者は、賃確法に基づく立てかえ払い制度を申請できるんですか。

青木(豊)政府参考人 ただいまの例は受け入れ事業主が倒産した場合ということでありますけれども、未払い賃金立てかえ払い制度というのは、倒産した企業に雇用されていた労働者であって、一定の期間内に退職して未払い賃金が残っている者に適用されるものであります。したがって、今お示しの例には当たらないわけです。

 送出労働者は、送出事業主、送り出した事業主のもとで雇用される者でありますので、受け入れ事業主が倒産した場合でありましても、やはり送り出し事業主が賃金を支払う義務がありますし、支払うことになります。したがって、冒頭申し上げましたように、逆に、未払い賃金立てかえ払い制度の適用はないということでございます。

山口(富)委員 ここは大事なので大臣にお尋ねしたいんですけれども、ですから、法的義務との関係でいきますと、送り出しの会社の方にあるのは当然のことなんです。ところが、もともと建設業法でも定められている元請の責任を果たさせるというところからいきますと、今度の送り出された労働者は、二つの立てかえ払い制度については適用の対象外に置かれてしまうわけですね。これは現実に起こり得ることですから、私は、厚生労働省と国土交通省が、こういう事例の場合どういうふうに法的に救済の措置をとれるのか、よく検討する必要があると思うんです。

 これはぜひ大臣に検討していただきたいんですが、この点いかがでしょうか。

青木(豊)政府参考人 建設業のこういったいろいろな問題については、国土交通省といろいろな問題について話し合いをしておりますので、もちろんさまざまな問題の一つとして話し合うということになると思いますが、今の御質問でいえば、国土交通省としての考え方も、私どもとしての考え方も、これについてはそごはないというふうに思っております。

山口(富)委員 大臣、済みません、時間がないので、最後にまとめてお答え願いたいんですが、一つは、そごがないという説明でしたけれども、なかったら協議しなくていいのかということには全くならないんですね。現実にこういうことが起こり得るという指摘をして、あるということは二人ともお認めになったんですから、だからこれはきちんと検討していただきたい。

 それからもう一点は、今度の場合、技能労働の確保の問題が強調されておりますが、例えば、私が聞きましたところ、東京土建などの労働組合が、後継者対策として建築カレッジなどの技能労働者養成の学校をやっているということです。厚労省がいろいろな補助の制度を持っていることは私よく知っておりますけれども、引き続き、こういう技能労働者への育成活動について積極的な支援をするというところはきちんと仕事をしていただきたいと思います。

 この二点、最後に答えていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

尾辻国務大臣 まず最初の御質問でございますけれども、送り出した方が賃金を払う義務があって、そこが倒産していないわけですから、そこに問題は生じないんだろうなと私は今理解しておりますけれども、よくもう一回確かめてみまして、必要なことは検討させていただきたいと存じます。

 それから、技能労働者の育成というのは、これはもう極めて重要な課題でございますから、いろいろ御意見を伺いながら、今後とも、私どもとしても、効果的、効率的な支援のあり方について検討してまいります。

山口(富)委員 終わります。

宮澤委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の冒頭は、まず遺骨収集問題で一問お願いいたします。

 たしか六月の二十七日の東京新聞でございましたでしょうか、一面に、今度厚生労働省の中に遺骨収集にかかわる専門班が設置されるということが報じられておりました。もちろん、他の新聞報道がございませんでしたし、また内容にわたっては詳しくはまだ書かれておりませんでしたけれども、私といたしましては、これまでこの委員会や予算委員会で、尾辻大臣や小泉首相に対してもお尋ね申し上げ、そして、戦後六十年を期して、ぜひとも今までと違う、破格に充実した体制で遺骨の収集を行っていただきたいという旨を申し上げ、また尾辻大臣にも極めて前向きな御答弁をいただいてまいりました。

 私は、この記事を拝見したとき、ああ、尾辻大臣が、今度はそういう、今までのように、例えばもと戦友とかあるいはその関連の縁者の皆さんや御遺族の皆さんが、わざわざ自分でお越しになって、いろいろな少ない情報も集めながら、御苦労に御苦労を重ねて、それを厚生労働省が受け身で聞いていくという体制から、より積極的に、もっと調査に至るまで厚生労働省がやってくれるんだなということで、大変にうれしくこの記事を拝見いたしました。

 余談になりますが、ついせんだって大臣とも硫黄島に慰霊に行かせていただきましたが、あそこも二万一千人余りがお亡くなりで、まだ遺骨収集は四割の八千ということで、東京都小笠原村という、東京にある、にもかかわらずやはりなかなか難渋しておるという地でもありましたことを考えますと、いろいろなところでその各地各地の難しさがあるということは承知していながら、でもやはり、これまでの手法を改めて、前向きに、より一歩こちらから出ていくということは極めて重要に思われました。

 きょうは大臣に、まだまだこういう案が腹案としてあるんだぞということくらいなのかもしれませんが、御決意のほどというか、ここをお聞かせいただいて、冒頭一問とさせていただきます。

尾辻国務大臣 戦没者の御遺骨につきまして、かねてからいろいろ御支援いただいておりますことに改めて御礼申し上げたいと存じます。

 そして、この収骨につきましては、国の責務でございますから、可能な限り早期に収集できるように努めてまいっておるところでございますが、お話しいただきましたように、今日に至りましてもまだまだ数多くの御遺骨がいろいろな地域に残されておる現状にございます。

 昨日も、参議院の委員会で私申し上げたんですが、最近南方の方の、私どもが言います南方でございますけれども、御遺骨の収骨に参りますと、御遺骨だと思って、収骨しよう、手にとろうとすると、もうぽろっとこぼれる、まさに土に返ってしまう、もうそういう御遺骨の状況でもございますし、さらにまたことしが戦後六十年ということを考えますと、早期の遺骨収集をしなきゃいかぬ、これを私も強く思っておるところでございまして、どういうふうにできるか、事務方にもいろいろなことを考えてみろというふうに指示をいたしております。

 その考えておりますことの一端といいますか、あれがすべてでもありませんし、あのとおりというわけではありませんが、いろいろなことを考えておることが新聞報道されたのかなというふうには思っておるところでございますが、いずれにいたしましても、私ども、早期に集中的な情報収集をしないともう本当に遅くなりますので、何かそういう方策を考えてみたい、全力を挙げて取り組みたいと存じております。

阿部委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ちなみに、この遺骨収集については、特段の立法はなく、大臣がおっしゃったように決議ということで経過しておりまして、その決議をどういう手法と手段で実際に持っていくかというところに、さまざまな、政策的に、あるいは内閣を挙げての取り組みも必要と思います。私は前から立法化していただきたいという思いは持ってございますが、その点についても大臣はよく御理解していただいていると思いますので、多面にわたってぜひよろしくお願い申し上げます。

 引き続いて、本日話題になっております建設業にかかわります建設労働者の雇用の改善にかかわる法律の審議に移らせていただきます。

 これもまた冒頭の質問で少し全般にかかわることを伺いたいのですが、いわゆる建設業は、日本の戦後の高度経済成長期を支えて、そして国民のためのインフラ整備ということも含めて今日までやってきた分野で、少なくなったとはいえ、六百万人以上の方の雇用がそこに現実にある分野でございます。

 政府においても、「建設業の新分野進出支援策について」というのを平成十六年の十二月、五省庁にわたって、各省庁、横断的なお話があるということをこの内閣の調査室の資料からも拝読いたしましたが、私はこの資料を拝読して、なおかつ、尾辻大臣も厚生労働省を代表して何らかの御意見を述べておられるだろうということを踏まえて、なお、この全体の文面の中には特に災害とのかかわりということが強くコメントされておらないようで、ちょっと私は懸念をいたしました。

 ここには、例えば、環境分野とか、それから、これから重要になります地域での福祉分野に新たな地域再生プロジェクトをつくってやっていこうというふうなことは書かれておって、これは私も極めて重要で賛成であります。

 もう一度今、公共事業のあり方を根本的に見直してみる。それは、大型のもので国土を壊していくような公共事業から、少子高齢化時代を担う生活に密着した公共事業のあり方と、もう一つ、日本は地震列島ですし、津波の問題もございますし、先ほど五島委員の質問にもございましたが、これから災害対策ということが極めて重要な分野で、内閣の中でもその認識は強くおありなんだと思いますが、去年の十二月に出されたこの中には余り際立ってそのことは触れておられないのですが、その辺はどのように考えられてこの各省庁間の取り組みがございますものか。

 そして、もともとこの業界というかこの世界を、もちろんその中で労働者の円滑な雇用の継続や移動ということを考えるのが大事と同時に、一体今必要な公共事業とは何なんだろうということを国民合意しておくことも、この方たちに働いていただく上でとても大事と私は思いますので、その一点、お願いいたします。

尾辻国務大臣 公共事業が今日まで、特に戦後の日本といいますか、大きく経済発展を支えてきた分野であるということは、だれしも否定しないだろうと思います。

 そうした大きな役割を果たしてきた建設業が大きく変わろうとしておる、そういうときに、今後どういうふうに公共事業を考えていくのがいいのかということで、これは政府全体の責任で考えるべきであろう、そうした考え方のもとでチームができたといいますか、そうした検討をしたということでございます。

 そうした立場で検討した中で、今先生のお話は、災害についてどういうふうにこのことをとらえたのだという御質問だろうと思います。私どもも、当然災害というのは公共事業とまた切っても切り離せない関係にあるわけでありますから、そのことを全く念頭に置かなかった、あるいは無視したということではございませんけれども、確かに、出てきたものの中にそうした面がなかったことも、大きくそれを取り上げていないことも事実でございますから、また今後の検討の中でこれは十分に私ども念頭に置くべきことだと今の御指摘をいただきながら感じたところでございますので、そのようにもさせていただきます。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 さきの新潟の震災の折にも質疑させていただきましたが、病院の耐震構造もまだ半数近く整っておらず、小学校も同じように半数以上まだまだ問題があります。

 それから、最近見ておりますと御高齢者をだますような建築業者がいて、そのことの大きな理由も、耐震、地震が心配だからということで逆に悪徳業者が伸びるというような格好になっておりまして、でも逆に、それだけ国民にとっては身近で切実で、この地震列島日本、災害が今多発する日本の安全性ということを求めておるということで、ぜひ私は、建設分野の皆さんのお仕事においてももっともっとやりがいと門戸を広げられる分野と思いますので、大臣には、きょうの質疑の場をいただきましたので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 引き続いて、青木局長にちょっとお伺いいたしますが、私はきょうの審議を聞いていてちょっとますますわからなくなったので一、二点確認をさせていただきます。まず、この法案をなぜつくらなくちゃいけないかという立法趣旨にかかわる部分で恐縮なのですが、お願いいたします。

 これも、いただきました資料を拝読いたしまして、先ほどの建設業界の労働者の状況ということを分析した部分がございまして、労働政策審議会の御意見なども収録されているのを読ませていただきましたが、ここには、朝方局長も御答弁でしたが、主に建設業界で人余りの部分は事務とか幾つか書いてございましたけれども、近年、管理、事務、単純工が一貫して人余りであるし、それに比べて技能労働者については過不足がある程度でこぼこしておる状態だという分析を労政審もしておられます。

 そこで伺いますが、今回出てきた法案、すなわち有料の職業あっせんと、それからもう一つの送出、受け入れという二つの企業の形態は、主には前者対策なのか、当然後者対策なのか、まずその点お願いします。

青木(功)政府参考人 今回御提案を申し上げました有料職業紹介事業の点、それから就業機会確保事業、いずれもトータルに申し上げれば、ただいま委員お触れになりましたけれども、例えば有料職業紹介の分野では、建設業界の中でいわば余剰になった方が建設業界以外の産業に出ていくのに資するという点が多いのではないか。現在の環境からしますと、たくさん建設業界に入ってくるというよりは、建設業界から出ていくチャンスをふやしていくという意味になるのではないだろうかというふうに思います。

 それから、就業機会確保事業につきましては、事業者がフルタイムとして、常用労働者として抱えている方々、これが仕事なしに長期間抱えていることになりますと、これは事業者も持ちこたえられなくなります。そのためにその方が常用労働者として雇われなくなるというのはやはりよくないことであるということで、他の事業主のもとで働いていただくことによって、その方との常用労働者という関係が継続するという意味で、いわば雇用が継続される、そしてまた仕事があれば自分のところに戻ってきていただけるという意味で、これはむしろ建設労働者の方々の雇用の安定につながる、こういうふうなことではないかと考えております。

阿部委員 それであるならば、先ほどの山口委員とのやりとりもちょっといかがかなと思う点が幾つかありますので、内容については後に展開させていただきますが、もしそういうことであれば、私は説明資料というもののつくり方も丁寧さが欠けておると思うのですね。

 例えば、これは色刷りでなくて恐縮ですが、厚生労働省の方がお部屋においでのときに、常用雇用労働者の数を書いたグラフを持ってこられて、このグラフで御説明をされるわけです。この常用雇用労働者と一口に言われます中にも、技術工、技能部分と、それからもう一方の事務、管理などにおられる方々、実は二層あるんだと思うのです。おのおのにその実態を踏まえて適切な処置、処理、方策を考えるという点においては、私は、これを一緒くたにして、そして、実はこのグラフを見ると、常用雇用とは何なんだろうと改めて考えるわけです。

 これは、幾人もの例えば建設業にかかわる方、あるいは現場の労働者にも言われましたが、実際これだけ本当に常用と言われるような形で働いている方がいるんだろうか、実感とそぐわないとおっしゃるんですね。そぐわなくなっちゃった理由は、事務とか管理部分も一緒くたに表にしているわけです。でも、おのおの主な対策は、やはりさっきおっしゃったように、もしおっしゃったとおりであっても、ある程度分けての対策を、ベストな対策をお考えなんだと思うんです。

 そうであれば、まず厚生労働省としておやりになるべきは、この常用労働者と一緒くたにこの図に、これは総務省の報告ですから、厚生省がつくったんじゃないとおっしゃると思いますが、しかし、この法改正に当たって、一体、常用の中身とは何なんだ。

 青木さんにお伺いします。おのおの、例えば建設の技能労働者の常用の中身、常用とはどういった実態をいうのですか。

青木(功)政府参考人 常用労働者の定義でありますけれども、まず初めに労働力調査のことを申し上げますと、例えば平成十六年でありますけれども、建設就業者全部で五百八十四万人、そのうち常用労働者が四百三十二万人。通常の産業の例からしますと、常用労働者の四百三十二万人のうちのいわゆる技能労働者と言われる方々が二百九十万人、単純労働者と言われる方が五万人というのが労働力調査の分析でございます。

 そこで、常用労働者という概念は何かということになりますけれども、これは、いわゆる期間の定めがある雇用あるいは日々雇用という形態でない雇用形態、あるいは期限つきでも何回か更新することによって事実上常用として取り扱われるケース、こういった二つの種類の働き方をしている方をいうというふうに考えております。

阿部委員 それだけの定義では、実は実態をすごく見誤ると思うんですね。

 やはり今、建設現場の、特に技能労働者の皆さんも含めて建設を実際に担う方たちにとって極めて重要なことは、今、年金の合同会議も一方で開かれておりますが、年金の加入状況、社会保障がどうなっておるか。あるいは、これがなかなか、実際に事業所によって本当に加入しておるのかどうかが怪しいと言うと失礼ですが、これは労働基準監督局も同じ管轄内だからおわかりと思いますが、まず厚生労働省としては、ここで働いている皆さんの現実の保障された条件がどんな条件であるかということを私ども審議する委員にもお示しくださらないと、私はかなり実態とずれた論議をしかねないと思うんです。そのことが逆に、今回の法改正が、現実の勤労者、労働者の実態、実際を後退させてしまうものにつながっていくのではないか。

 では、一つだけ、おっしゃった技能労働者二百九十万のうち、その方たちの年金加入状況というようなものは分析されたでありましょうか。

青木(功)政府参考人 技能労働者の方、常用の方でございます。大変恐縮でございますが、年金保険の被保険者の方々というのは建設業という形で決まっているのではなくて、五人以上であるとかそういう形で決まっておりますので、実は特段把握してはおりません。

 ただ、申し上げたいことは、建設労働者の雇用改善の大きな目的というのは、もともと例えば日雇いの労働者の方が多かったとか、退職金制度がなかったとか、だれに雇用されるのかわからなかったとか、社会保険や労働保険にも入っていなかった、それをきっちりしていこうというのがスタートで来ておりますので、実際の現場では、そこのところはかなりきっちりとやっております。

阿部委員 実態を把握していなくて、どうしてきっちりしてきたとわかるんですか。だって、年金の加入状況は実際にはわからないと言ったじゃないですか。

 年金があるかないか、どういうふうに実際にその方の、もう四十、五十、六十ですよ、すぐ。保障されるかというのは極めて重要ですよ。それくらいの調査能力を持たずして、厚生労働行政はやってもらっちゃ困るわけです。年金の合同会議ということを私たちは一方で超党派でやっているわけです。年金は国民的課題ですよ、郵政民営化などと違って。

 であれば、青木さん、最初、前半で、調べておりません、データは持っておりません、しかし、そういうものは充実させてきましたと言えないじゃないですか。現実にいろいろな偽装解散があったり何だりして問題が生じているのもあるし、もともと、今こういう景気が悪い中で社会保障というのは後退しているんですよ。そこで、私が後ほど質問しますが、元請責任をほうり出すようなこの改正がどこへ向かおうとするのかという、極めて重大な事態にも結びつくわけです。

 私は、いつも、よりよい厚生労働行政を本当に心から求めていますよ。その第一は、実態を知ることです。調査能力を持たなければ、現状をどう解決していくか、その処方せんが出ないわけです。本当に今のような、間抜けと言うとちょっと失礼ですけれども、見当違いの答弁をなさらないでいただきたいと私は強く思うものです。

 引き続いて、次の質問に移らせていただきます。

 今のことをより具体的に問わせていただきますが、今回のこの、へんてこりんなでき上がった法案、一方での有料での職業紹介。これは先ほど山口委員もお尋ねでしたが、今までは建設業においては無料だったわけですよ。これが有料化されていくことの問題というのは、私は局長が考えている以上に深刻だと思います。でも、その点、山口委員がきっちり御質疑いただきましたので、よく議事録を読み返していただいて、対策を考えていただきたいと思います。

 私は、もう一つ、このもう一つの事業にかかわります、派遣と言えないから、へんてこりんな、送出と受け入れという変な言葉を使った法律。ここでは、大臣初め皆さん、いや、これは派遣に道を開くものではない、ない、ないとおっしゃいます。しかし、実態において派遣と同じようなことになってしまったのでは、これは解釈改憲と一緒で、どんどん実態が悪化していく、劣化していく、働く者の条件が悪化していくということになりますから、私は、現実には悪くなるんじゃないのという点で、どうしてもきょうはお伺いしたいと思うものであります。

 例えば、送出事業主と受け入れ事業主との契約関係、これは今回は就業機会確保契約であるという特別な名前がついています。派遣ではないとするためにこういう名前がつくわけですね。この中で、いわゆる送り出される方の労働者の賃金については、送り出す方が最初にその方と契約したものをびた一文欠けるものではないのですね。まず、その答弁をお願いいたします。

青木(功)政府参考人 そのとおりでございます。

阿部委員 では、実際の建設業界において、いわゆる就業規則というようなものはどの程度各事業所はお持ちであるか、現状。そして、送り出しと受け入れにかかわるこの作業を通じて、必ず就業規則はおつくりいただくものであるのかどうか、この点についてはどうでしょう。現状はどうかというところをまずお願いします。

青木(功)政府参考人 就業規則は、労働基準法に基づいて一定の事業所はつくらなければならないことになっておりまして、手元に、どれだけそれがあるか、私ども職業安定局にはございません。

 ただ、今回の就業機会確保事業を初め、こういった事業に参画するに当たりまして、こういった労働関係その他の部分がきちんとなっていないようなところがこういった事業に参加するというのは不適切だというふうに考えます。もしそういうところがあったとすれば、そういったところはこういった事業に参画できないことになろうかと存じます。

阿部委員 まず、建設業界自体、全体に弱小、中小と言われておりますし、就業規則も、あって当然というふうに局長はおっしゃいますが、現実にはなかなか準備されておりません。細かに、例えば休日をどうするか、有給休暇をどうするか、そういうことも最初に契約されておらない場合も非常に多いわけです。

 その点、この仕組みの中に入る方については、そこはきっちりされるし、給与はびた一文欠けないしというお話ですので、では、現実にそれに違反するような事態が起きたら、例えば受け入れ業者と送出業者とその中間に入った団体と、今おっしゃったような、賃金が下がっちゃったとか、そういうことが起きたときはどうするのでしょう。

青木(功)政府参考人 先ほども御説明申し上げましたけれども、まずしっかりとした計画をつくっていただいて、そしてそれに対して、きっちり行政側も監視をするということを申し上げました。その過程で、まず、今申し上げたような事態が出るのを最小限に防がなければならないと思っています。

 そして、具体的にそういったことが出た場合には、当然ながら、是正の指導をやってまいります。また、そういった是正の指導に従っていただけないということになりますと、もともとの認可等の取り消しも含めた対処をせざるを得ないことになります。

阿部委員 では、例えばですが、ここの送り出しの方の事業所に勤める労働者が、今、事業主団体が、こっちが過剰労働だ、こっちが足りないという認定をいたしました。しかし、こちらの、例えば送り出される方に働く人が、いや、とても過剰労働とは言えない、おれらはもうこんなに残業もしているし、この中でこの仕事をこなしている、自分たちが送り出されるのは不適切だ、不当だ、おかしいんじゃないかというようなことを思ったら、どこに言っていけばいいんですか。

青木(功)政府参考人 こういった事業はもとよりでございますけれども、当該企業の事業主と労働者の間に、かなりの信頼関係がきっちりなければならないだろうと思います。したがって、通常の場合には、自分のところがいわゆる人手不足なのか、あるいは人余りなのかというのを、労使できっちりとお互いの了解事項として持っているのが大事だろうと思います。

 そこで見解が分かれた、そういうときに、この計画に基づいて、うちは過剰だからあなたは行ってくださいというので、労働者の方にとっては不満がある、おかしい、これは事実じゃない、そんな場合には、労働局がございますし、やはり私ども、そういったのを直接相談に乗って問題解決をしなければならないと思っています。

阿部委員 では、同様に、送り出す事業主が、君行ってくれと言いました。でも、僕は行きたくないと思った人がいたとします。そのことをもって解雇の理由にならないのが当然なのですが、もし、そのことをもって解雇になった、ならないのような労働争議が起きた場合の処置、あるいは起きないための対策はどうするのですか。

青木(功)政府参考人 起きないようにするというのは、繰り返しになりますが、きちんとした労使のコミュニケーションがあることが必要でありますけれども、当然のことですが、この事業に参画をしないからといって解雇するというのは、これはそれだけでは解雇理由にならないと私ども思っていますし、そのことは事業主にも申し上げたいと思います。

 そして、これらの紛争につきましては、それぞれ権限ある機関がございますけれども、個別労使紛争のシステム、それからADRのシステムがございますけれども、もとよりとして、この事業を認める、監督する立場として、これはその事業主に強く指導をしてまいることになろうかと思います。

阿部委員 こういう仕組みを導入することは、そういうチャンスをふやすことになっています。その自覚がないと、結果的にそういう不当な扱いをした場合には、当然ながら、その事業主団体の資格を停止する、剥奪する、それくらいの強い覚悟で臨んでいただかないと、やはりそうはいっても個別の労働者は弱いわけです。厚生労働省が労働省となったときに、雇用政策、労働政策の中で、労働者性ということをきっちりとわきまえて政策していただくということで、場合によっては、そういう不当な解雇は事業主の事業の停止、事業主団体の事業の停止につながると考えてもよいでしょうか、大臣。

尾辻国務大臣 今お話しいただいておりますようなことは、私どもとしては厳しく指導してやっていくということでございます。

阿部委員 では、引き続いて、建設現場はいわゆる孫請までも含めたピラミッド体制であるということは、冒頭のけさの小林千代美委員の御質疑でもございましたが、そういったピラミッドの一番上に立つ元請という、大体ゼネコンの方が多いわけですが、そういう方たちにも、逆に言うと、このピラミッド構造の中で労働者の権利が侵害されないような歯どめ策というのが幾つか建設業法として打たれてきたと思います。

 例えばそれは、いわゆる下請事業所で、この下請事業所が労働基準法に違反することや、労働法制に違反することや、労働安全衛生法に違反することをした場合に、元請が下請を指導しなければならないという建設業法の二十四条というのがございました。

 果たして、今回、このような横割りの、横から滑り込ませる仕組みが入れられたことで、逆に、営々として築いてきた建設業法の中での元請責任や、元請がこの業務の中で労働者の権利をきっちり守らなければそういう仕事はやってはいけないんだという、ある種の既存のルール、そういうものが脅かされかねないと思いますが、この点について、国土交通省側と厚生労働行政側と、両方お願いいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 建設業法の二十四条の六でございますが、元請人である特定建設業者が、工事の施工に関しまして、下請人に法令の規定に違反しないように指導するという規定でございます。

 かくかくの法令ということが決められているわけでありますが、今回の送り出し、受け入れの場合にどうなるかということでございますが、引き続き元請が責任を持って下請を指導する法令の規定もあれば、そうならないものもある、こういうふうに考えます。

 なるものというのは、元請、下請、送り、受け入れ等の事業者が、作業といいますか使用、指揮命令権に基づくようなものについては、例えば労働安全衛生法に定めます労働者の危険、健康障害の防止に関するような規定、そういうものは引き続き二十四条の六の規定の対象になると思いますが、雇用関係を前提にするような規定、例えば賃金の支払い義務でありますとか、中間搾取、労働基準法の規定のようなものは、雇用関係、給料を払うということを前提にした規定は二十四条の六の適用はされないというふうに考えます。

青木(功)政府参考人 今回の就労確保事業につきまして、建設業における元請責任につきましては、例えば労働基準法上の災害補償責任については受け入れ事業主、労働安全衛生法については元請等々、それぞれの局面によって責任関係をはっきりとしているところでございまして、それぞれの立場における事業者としての責任をきっちり果たしていただくという点には変わりないものでございます。

阿部委員 そこがくせ者なんですよね、この法律の。

 やはり、本当に現実に、なぜ元請責任ということをかち取ってきたか、つくり上げてきたか。今そこに、この部分はお互いの横の系列、この部分は縦の系列、実は賃金の未払い問題だって、やはり本当は直の雇用関係は下請と労働者にあったんだけれども、ここで生じた未払いは元請の方が逆に立てかえ払いをしていたんですよ。こういう形で労働者を守っていたんですね。

 でも、今度は雇用関係がない。同じように雇用関係はないんですよ。だって、前の、下請と労働者の間に雇用関係はあったけれども、元請との間には直の雇用関係はないんですから。でも、未払い賃金について払ってきたんですよ。それが今度は、賃確法、へんてこりんな法律によって元請責任を廃止、なくしてしまうわけです。

 こういう、私は朝から聞いていて、これでどのくらいの労働者が、二万人ときょう局長は答えられました。その二万人をえさに、逆に、えさだってえさになっているかどうかわからない、この建設業界という、本当に極めて微妙な橋を渡らなきゃいけない場面が多い業界の元請責任があいまい化されるんではないか。

 尾辻大臣に最後にお願いいたします。

 私と先ほど山口委員がお尋ねしたことはほぼ似通ってございます。この法律全体を通じて、元請責任ということがこれまでも歴史です、歴史の中で労働者がかち取ってきた。それは、そうしないといけない現場だったから。しかし、それがばらばらに、労働安全衛生法だけとかされていくことで、逆に、労働者の立場、権利、現状が後退するかもしれない。

 私は、きょうその指摘をさせていただいて、大臣として、もちろんきょう結論がなくても結構です。改めて、この委員会でそういう指摘があったということを踏まえて、より綿密な、これは国土交通省ともどこまで話し合ったのか。先ほどそごがございませんとか言っていましたが、そこでそごがなくても、現場の労働者にとってマイナスが起きたら、これぞ一番避けねばならないことなのです。

 私は、起こり得ると思います。なぜならば、賃確法で定められるものは、実は、その送り出し事業主が倒産したということを労働者みずから証明しなきゃいけない。極めてやりづらい法律です。おまけに、労災保険から出ます。今まではゼネコンが立てかえ払いをしていた。全然構造が違ってまいります。

 幾多の問題を抱えたまま、そして、本来、このような形で派遣もどき法律ができることについてのデメリットも論じられないまま、私はこれが通過するということは非常に心外でありますし、今大臣に私が申し上げた建設業法の中で守られていた労働者の現場の権利と、今回この定められた、厚生労働省が横から口出しした法律、口出しと言うと失礼ですか、横から差し入れた法律の間でそごが起きないものかどうか。

 そごとは、労働者にとって実害が起きないものかどうかについて、もう一度大臣みずから御検討いただけまいかと思いますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、いろいろな法律、労働安全衛生法を含めてでございますけれども、そうした中で、元請事業主が果たすべき責任というのはきっちり規定がされておるところでございます。このことが変化するわけではございませんから、基本的には、労働者保護に欠けることになってはいけませんし、また、ならないものというふうに考えております。

 一番先に出てきます賃金のことにつきましても、送り出し労働者の賃金については送り出した事業主が支払いの責任があるわけでありますから、そのことによって賃金も確保されておるというふうに申し上げておるところでございます。

 ただ、具体的に山口先生だとか今先生からも御指摘いただいたことというのはございますから、これについて、私も、きょう、ああそういうこともあるのかなと、正直申し上げて聞いた部分もありますから、そこのところはまた間違いないようにしっかりと私どもも対応したいと存じます。

阿部委員 では、重ねての御検討をお願いして、終わらせていただきます。

鴨下委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党を代表して、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。

 現行の建設労働雇用改善法は、建設労働者の雇用の改善、能力の開発、向上、福祉の増進を図ることにより、建設労働者の雇用の安定に資することを目的としています。

 反対する第一の理由は、この改正法案が、新たに建設業界内に有料職業紹介事業と労働者の送り出しを認めることによって、建設業に必要な労働力の確保に資するための労働力確保法へと、現行法の目的、性格を大きく変えるからです。

 建設業は、注文生産、個別生産、屋外生産、さらに有期の移動生産、総合生産であり、ゼネコンを頂点とした系列下のさまざまな専門業者による重層下請構造という、他の産業と大きく異なる特徴を持ちます。

 バブル崩壊後、公共、民間とも建設投資が大きく減少し、その結果、建設業界は過剰人員を抱え、また、単価引き下げや工期短縮など、すさまじいコスト削減競争のもとに置かれています。

 このような状況の中で、今最も必要なことは、下請いじめをなくし、過剰と言われる労働者の技能の向上を援助するなど、雇用の改善、雇用の安定を図ることであります。

 第二の反対理由は、新たに設けられる建設業界内「有料職業紹介事業」が、今でさえ労働者が過剰と言われる建設業界へ外部の労働者を引き込むことによって、労働力の流動化を加速し、雇用の安定に逆行するからです。

 第三に、新たに制度化される業界内「派遣」制度で、悪質なブローカーなどが参入し、労働者の権利や生活が脅かされる危険があります。

 また、派遣によって労働現場が複雑化し、労働者の安全や権利の低下につながりかねません。

 また、派遣した小零細建設業者や労働者には、受け入れ業者が倒産しても、現行の建設業法に基づく元請企業の立てかえ払い制度や賃金確保法での立てかえ払い制度さえ適用されなくなります。

 今回の法改正は、雇用の安定を掲げながら、実際には小零細企業の淘汰をねらいとする建設業界の再編成と、技能労働者を中心とした流動化と再配置を推進しようとするものであります。

 以上の諸点を指摘し、私の反対討論といたします。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。

 建設業界は、元請業者をピラミッドの頂点にした構造ができ上がっており、曲がりなりにもこの構造の中で建設労働者の雇用、労働条件が守られてきたという側面があります。今回の建設労働者雇用改善法改正案は、こうしたこれまでの業界秩序を壊すだけでなく、労働者の雇用や労働条件を脅かす可能性が強く、立法趣旨である雇用の改善にはほど遠いものと言わざるを得ません。

 その最たるものが、元請責任の放棄です。新たな労働力需給システムによって送り出された労働者に対する元請責任は労働災害のみであり、建設業法第二十四条などで規定されている労働基準法など労働法令遵守などの下請に対する指導責任、あるいは四十一条の未払い賃金に対する立てかえ払いなどは、あえて適用除外としています。元請業者を頂点としたシステムは、元請責任を明確化しているからこそ維持できるものであり、このシステムに穴をあけることになれば、建設労働者全体の雇用不安につながることは明白です。

 そもそも本法案は、審議の中で明らかになったとおり、対象となる常用労働者の定義があいまいで、採用した労働者をいきなり送り出すことも可能となっています。本当にそれまでの賃金など労働条件は保障されるのでしょうか。また、送り出しを拒否した場合の不利益取り扱いの禁止や解雇規制も、具体的で有効な歯どめ策はないに等しいものです。送り出しの対象になることで、だめ労働者とレッテルを張られ、不利益取り扱いを受けたり、最終的に退職に追い込まれたりする可能性は否定できないものがあります。労働者保護の観点から見て、極めてずさんな制度と言わざるを得ません。

 さらに、緊急避難的かつ限定的といいながら、三年という長期の労働者の送り出しが可能で、しかも三年ごとの更新も認めるなど、事実上の恒久的制度として実施されるもので、緊急避難的かつ限定的という建前さえも放棄するに等しいものと言えます。

 建設業務は、ブローカーなどによる中間搾取をさせないために、労働者派遣の除外規定を設けています。尾辻厚生労働大臣もこれを守ると答弁されていますが、いずれ建設業界においても労働者派遣を認めさせたいという経済団体の意図が見え隠れしているように思えてなりません。

 最後に、現在の建設業界は、公共事業の縮小などで厳しさが押し寄せていることは事実です。今必要なことは、むだな大型公共事業はやめるのは当然として、福祉施設、病院、学校などの耐震構造化など、小さくとも住民に必要不可欠な公共事業は確実に行うことであります。そして、きちんとした景気対策を行い、仕事量が確保されるようにすること、さらに、建設労働者保護を一層強めることであることを申し添え、反対討論といたします。

鴨下委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、本案に対し、宮澤洋一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。宮澤洋一君。

宮澤委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。

 一 建設業務が労働者派遣事業の適用除外業務となっている趣旨及び建設業をめぐる状況を踏まえ、今後とも建設業務を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の適用除外業務として堅持すること。

 二 実施計画の認定及び建設業務労働者就業機会確保事業の許可に当たっては、厳格な基準の設定及びこれに基づく適切な審査を行うとともに、認定事業主団体並びに送出及び受入事業主に対して継続的な指導監督を行うこと。特に実施計画の認定に当たり、労働政策審議会の意見が反映されるよう運用を行うこと。

 三 建設業務労働者就業機会確保事業については、対象となる常用労働者の範囲について不適切な運用が行われることのないよう適正な制度運営を図ること。

   また、建設業法に基づき配置が義務づけられている主任技術者、監理技術者について建設業務労働者就業機会確保事業が利用されることのないよう認定事業主団体並びに送出及び受入事業主等に対して指導を行うこと。

 四 送出労働者に係る労働災害の発生の防止を図るため、法律に基づき安全衛生教育等が確実に行われるとともに、送出事業主、受入事業主及びその元請事業主において必要な措置が講じられるよう指導を行うこと。

   また、送出事業主の倒産等により賃金未払が発生した場合においては、賃金の支払の確保等に関する法律に基づき、引き続き迅速に未払賃金の立替払を行うこと等により、送出労働者の保護を図ること。

 五 常用労働者以外の建設労働者について引き続き雇用改善に努めるとともに、いわゆる一人親方について形式的に個人事業主であっても実態が雇用労働者である場合には、労働関係法令の適用があることについて引き続き周知・啓発を図るほか、特に請負等を偽装した労働者派遣事業について、その解消に向け、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準等の周知徹底、厳正な指導監督等により、適切に対処すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

鴨下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鴨下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


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