衆議院

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第32号 平成17年7月6日(水曜日)

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平成十七年七月六日(水曜日)

    午前十時四分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    坂本 哲志君

      菅原 一秀君    中山 泰秀君

      西川 京子君    原田 令嗣君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      城井  崇君    小宮山泰子君

      城島 正光君    園田 康博君

      田島 一成君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      本多 平直君    松木 謙公君

      水島 広子君    横路 孝弘君

      米澤  隆君    高木美智代君

      古屋 範子君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月六日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     坂本 哲志君

  小林千代美君     田島 一成君

  園田 康博君     小宮山泰子君

  藤田 一枝君     城井  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     御法川信英君

  城井  崇君     藤田 一枝君

  小宮山泰子君     園田 康博君

  田島 一成君     本多 平直君

同日

 辞任         補欠選任

  本多 平直君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  松木 謙公君     小林千代美君

    ―――――――――――――

七月四日

 大牟田労災病院を高次脳機能障害リハビリテーションセンターとして整備することに関する請願(五島正規君紹介)(第三〇六二号)

 カネミ油症被害者の抜本的な恒久救済対策の完全実施に関する請願(吉田泉君紹介)(第三〇六四号)

 小規模作業所等成人期障害者施策の拡充に関する請願(園田博之君紹介)(第三〇六五号)

 同(渡辺喜美君紹介)(第三〇六六号)

 同(泉健太君紹介)(第三〇八一号)

 同(後藤茂之君紹介)(第三〇八二号)

 同(塩谷立君紹介)(第三〇八三号)

 同(菅原一秀君紹介)(第三〇八四号)

 同(樽井良和君紹介)(第三〇八五号)

 同(泉健太君紹介)(第三一〇三号)

 同(城島正光君紹介)(第三一〇四号)

 同(原口一博君紹介)(第三一〇五号)

 同(岩永峯一君紹介)(第三一三一号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第三一三二号)

 同(田嶋要君紹介)(第三一三三号)

 同(泉健太君紹介)(第三一四二号)

 同(加藤勝信君紹介)(第三一四三号)

 同(川内博史君紹介)(第三一四四号)

 同(西村康稔君紹介)(第三一四五号)

 同(後藤田正純君紹介)(第三一五三号)

 同(泉健太君紹介)(第三一六一号)

 同(加藤勝信君紹介)(第三一六二号)

 同(小泉俊明君紹介)(第三一六三号)

 同(海部俊樹君紹介)(第三一七五号)

 パーキンソン病根本治療研究促進に関する請願(岸田文雄君紹介)(第三〇七八号)

 総合的難病対策の早期確立に関する請願(後藤茂之君紹介)(第三〇七九号)

 同(樽井良和君紹介)(第三〇八〇号)

 同(大島敦君紹介)(第三一二八号)

 同(後藤田正純君紹介)(第三一五二号)

 進行性化骨筋炎の難病指定に関する請願(大島敦君紹介)(第三一二九号)

 総合的な肝疾患対策の拡充に関する請願(大島敦君紹介)(第三一三〇号)

 尊厳死法制化に関する請願(岩屋毅君紹介)(第三一四六号)

 臓器の移植に関する法律の改正及び臓器移植の普及に関する請願(後藤田正純君紹介)(第三一五〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(後藤田正純君紹介)(第三一五一号)

 混合診療の解禁反対、特定療養費制度の拡大反対に関する請願(吉井英勝君紹介)(第三一七一号)

 国民の命と暮らしの保障に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三一七二号)

 精神障害者通院医療費公費負担制度に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三一七三号)

 障害者自立支援法案反対に関する請願(山口富男君紹介)(第三一七四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者自立支援法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、老健局長中村秀一君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅原一秀君。

菅原委員 おはようございます。自民党の菅原一秀でございます。

 障害者自立支援法案につきまして、いよいよ大詰めでございますが、盛りだくさんございますが、時間が三十分、やや早足で質問をしてまいりたい、こう思っております。

 今回の法案に関しましては、特に利用者負担、定率負担に関して、障害者の方々の大変さまざま、そしてまた厳しい反応がございます。負担をお願いするとするならば、何よりも障害者の方々の最大限の理解と、そしてまた納得をいただく、こういうことが大切でありまして、まずはこの法案の意義を改めて明らかにしていくことが不可欠である、このように思っております。

 率直に言いまして、我が国の障害福祉はいまだ発展途上であると言わざるを得ません。既にこれまでも議論がございましたが、日本における障害者に対する給付費は対GDP比で〇・四四%と、アメリカの〇・六八%、ドイツの二・〇八%、スウェーデンの五・二六%と、諸外国と比べてみても極めて少ない状況にございます。

 福祉サービスを見ても、対象者数は、介護保険の要介護認定者が約四百万人、このうち、サービス受給者が約三百二十万人。これに対しまして、障害者と言われる方々が六百六十万人のうち、支援費制度の利用者が約三十四万人。事業規模は、介護保険が約六・八兆円、これに対して支援費制度は約八千億円。

 言ってみれば、一人当たりの事業規模ということで見れば大差はないのでありますけれども、やはり障害者福祉、この支援費の中にはこれまで精神障害が対象外であったことや、そういったことを考えますと、介護を要する高齢者と障害者との事業規模の差が生じてしまっているわけでありまして、この点は、私は、ドラスチックに国のあり方を変えていってほしい、こんなことをまず冒頭に申し上げたいと思っております。

 また、障害福祉サービスについては、この二年間の支援費制度によって拡充されたとはいえ、身体障害者のホームヘルプで約二割、知的障害者のホームヘルプでは約四割の市町村でサービスがいまだに実施をされていない。また、約八万人いる授産施設などの法定施設と違って国の補助額の少ないいわゆる小規模作業所の利用者も、八万人を上回って九万人にも達しているわけであります。さらに、精神障害者については、今申し上げたように支援費制度の対象外となっておりまして、精神障害者のホームヘルプを実施している市町村数は約五割にとどまっているわけであります。

 こういった現状を見る限り、いまだサービスを利用できていない方々のためにも、我が国の障害福祉サービスを大幅に拡充していくことが大切と考えます。そしてまた、今回の法案は、そういう意味で、福祉サービスの拡充についてどういう点で拡充になると考えていらっしゃるのか、また、利用者負担の見直しとの関連も含めてお伺いをしたいと思います。

 さらに、利用者負担ということの論議の中で、生活基盤を確立していく上ではやはり所得保障ということも極めて重要な課題であります。この点についてもお伺いをしたいと思います。

尾辻国務大臣 今回の改革におきましては、現在、福祉サービスを利用されていない方を含め、サービスを必要とする障害者の方が適切にサービスを利用できるようにすることを目的の一つとしておるところでございます。

 このために、既にお述べもいただいておりますけれども、支援費制度の対象となっていないなど従来より福祉施策がおくれておりました精神障害者を制度の対象とすること。それから、より身近な地域でサービスを受けることができるように、通所サービスについて、社会福祉法人のみならずNPO法人等も参入を容易とする、それから空き教室や空き店舗などの活用ができるようにするといったような規制緩和を図ること。それから、サービスの整備を計画的に進めるために、すべての地方自治体に障害福祉計画の策定を義務づけること。こうしたサービスの費用を皆で支え合う観点から、利用者の皆さんにも一定の御負担をいただくこととあわせ、在宅サービスに関する国の費用負担を義務的なものにすること。この義務的なものにするというのは大変大きなことでございます。そういったようなことなどの抜本的な見直しを行うこととしておりまして、これらの改革を通じて、障害者の皆さんの地域生活支援を一層進めてまいりたいと考えております。

 また、障害者の所得保障についてでございますけれども、現在の国の財政状況などを勘案いたしますと、年金や諸手当を大きく改善することは、これは大変難しい、厳しい面がございますけれども、福祉と雇用を連携いたしまして、就労支援を重要な柱の一つとして積極的に取り組みますほか、社会保障制度の一体見直しの流れにも留意しながら、所得の確保のあり方については検討してまいりたいと考えております。

菅原委員 後段の所得保障については、今御説明ございましたが、さらに突っ込んだ見直しをいただきたい、こう思っております。

 今お話のありました、義務的経費化ということがございました。在宅サービスに関する国の費用負担について、これまでの裁量的経費から義務的経費に改めるということが今回の法案の中でも盛り込まれておりますが、財政基盤の安定化が図られていかなければならない状況の中で、今日の厳しい財政状況、言ってみれば障害福祉のための財源がしっかりと確保されなければ、まさにそれは絵にかいたもちになってしまう。このためにやはり考えていかなければいけないのは、消費税であり、また介護保険の対象年齢の引き上げといった議論の中で、障害福祉のための財源をきっちりと確保するための議論をしていく、このことが重要だと思っております。

 消費税ということで考えていくのであれば、すべての国民が負担する消費税、その負担をいただくことについて、当然これは国民の皆様の御理解をいただかなければならない。そして、その使途は社会保障に充てるということも明確に説明していく政治的、行政的努力が必要だ、こう考えております。

 ただ、社会保障と一口に言いましても、やはり、年金、介護、医療ということが先行してしまって、この三つに限定するのではなくて、私は、障害福祉もしっかり対象とした議論ということがこれから大事になると思いますし、こうした議論を進めていくことこそが結果としてノーマライゼーションの理念の実現につながっていく。やはりこれは、障害を持った者、あるいは障害者を家族に抱えた者、なってみて初めてわかるということからすれば、この点はしっかりとやっていくべきだ、こう考えております。

 いわばその財源、特に車でいえばエンジンの部分、この点について大臣はどのようにお考えでいらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。

尾辻国務大臣 今後ともサービスを必要とする障害者の皆さんに適切にサービスをできるよう、その財源を確保することは極めて重要なことでございます。

 現在の支援費制度でございますけれども、今までサービスを利用できなかった方が利用を始めておられるなど、そのことはいいことなのでありますけれども、全国的にサービス量が増大いたしておりまして、財源的にそのことに十分対応できていないことも事実でございます。

 このために、今回の障害者自立支援法案におきましては、障害福祉サービスの財源について、利用者負担の見直しとあわせまして、在宅サービスに関する国の費用負担を義務的なものにすること、先ほど述べたとおりでございますけれども、このことによりまして制度が安定すると考えております。

 そして、中長期的な財源の確保を含めた障害福祉サービスのあり方につきましては、介護保険の被保険者や受給者の範囲に関する議論、それから社会保障制度全般にわたる一体的見直しや税制改革の議論などを踏まえまして、このことにつきましては、今、先生お述べもいただいた、いろいろな御議論がございますので、そうしたことを踏まえまして、サービスを必要とする障害者が適切にサービスを利用できる体制を確保するという観点から、幅広く検討してまいりたいと存じております。

菅原委員 時間がないのでどんどん行きたいと思います。

 次に、重度障害者のサービス水準についてお伺いをしたいと思います。

 今回の法案では、これまでサービスを実施していなかった地域や、あるいはサービスを受けたくても受けられなかった方々もいわば福祉サービスを受けることができるようになることは、一つのメリットだというふうに評価をしております。

 しかしながら、一方で、そうしたサービスの利用者が結果的にふえてくるとするならば、結果として、現在その地域で暮らしている大変重い、重度の障害をお持ちの方々のサービス水準が一律的に切り下げられたり、あるいは切り捨てにつながるとすれば、これはやはり大きな問題ではないかということを指摘せざるを得ないと思います。

 重度の障害をお持ちの方々は、この法案が成立すると、果たして医療、介護等の今まで受けてきたサービス水準が本当に維持されるんだろうかと極めて心配をされているわけでありまして、せっかく施設から地域に出てきたのに、これではまた施設に戻らなければいけないという声や、あるいは、トイレに自由に行ける、これが人間にとってこんな幸せなことなのかな、改めてそういうことを感じたという声を聞くにつれ見るにつれ、障害者の自立を支援するという観点からすれば、やはり重い障害を持った重度の方々が地域で暮らしていけることを当たり前のようにしていく、このことが国の障害福祉の基本的なスタンスであるべきだし、それを確立していただきたい、私はこう思っております。

 今回の法案によって、新たに障害程度区分が設定されたり、あるいは重度の方を対象とした重度障害者等包括支援や重度訪問介護といったサービスが創設されるということになっておりますが、重度の障害者の方のサービス水準が引き続ききちんと確保されるのか、具体的には、この新しいサービスの対象者の範囲や、あるいは給付水準などについてどう考えているのか、お伺いをしたいと思います。

塩田政府参考人 新しい制度で、重い障害を持つ方も地域で暮らせるようなサービスを提供していくというのが今度の新しい制度の考え方の基本だと考えております。

 新制度では、支援の必要度を総合的にあらわす障害程度区分を設定することにしております。そして、重度の障害をお持ちの方についても地域で暮らしていくことができるよう、重度障害者等包括支援あるいは重度訪問介護といった新たな給付類型をつくることにしているところでございます。

 現在、地域で暮らす重度の障害者の状況を見ますと、地域によって、また家族の方がおられるかおられないかなど、サービス利用に大きなばらつきがあると認識をしております。こうした状況も踏まえまして、対象者の範囲の設定に当たりましては、重度障害者の心身の状況あるいはサービスの利用実態を把握する必要があると考えておりまして、現在、厚生労働科学研究を活用いたしまして障害程度区分判定モデル事業等を行っているところでございまして、そういう結果を踏まえまして、この秋を目途に具体的な範囲を検討してまいりたいと思っております。

 給付水準につきましては、対象となる方々の現在の支援費制度の利用状況だけではなくて、介護保険などの他制度の利用状況、地方自治体の単独施策を初めとする地域の取り組みなども踏まえ、全国の多様な状況を踏まえることが必要であると思っております。また、包括報酬の範囲内でサービスの単価設定を弾力化するなどの工夫を行うことにしております。

 いろいろな工夫をしまして、必要なサービス、適切なサービスが受けられますよう、そういった適切な水準にするよう検討してまいりたいと考えております。

菅原委員 今言ったことをしっかりと政省令の中にも盛り込んでいただくように努力をしていただきたい、こう思っております。

 次に、小規模作業所についてお尋ねをしたいと思います。

 小規模作業所の利用者は、先ほど申し上げたように、全国で九万人、いわば障害者の地域生活を支える上で極めて大きな役割を果たしている、こう思っております。私の地元の練馬区にも、知的障害者の親の会が運営をしております小規模作業所が二カ所ほどございます。

 養護学校から毎年二十名を超える卒業生が、半数以上がこの作業所に進むわけなんですが、言ってみれば、本来は企業に就職をしたいけれどもなかなか厳しい状況、一たん企業に就労しても、会社の都合や本人の適性などでやはりまたこの作業所に受け入れてほしいという声が非常に大きいわけです。作業所は作業所で、訓練をして逆に一般企業に就労させる、そういう努力をしているという状況が相まって、結果的に我が練馬区の二つの作業所は常に定員いっぱいの状況でありまして、これは小規模作業所のニーズが極めて高いということを物語っているわけであります。

 こうした状況を受けとめた中で、我が党においても、六月の二十一日、障害者の小規模作業所を支援する議員連盟を発足させたところでございまして、小規模作業所を障害者の自立拠点と位置づけて、法人化の推進、地域企業との連携など一つ一つ地道に取り組んでいかなければいけない、こういう思いを今持っているわけであります。

 今回の改正によって、良質のサービスを提供する小規模作業所については法定事業に移行できるようになる、こう言われております。その具体的内容が実は明らかになっておりませんで、小規模作業所が今後この法案の中でどのように位置づけられるのか、やはり非常に当事者、関係者は不安に思っているわけであります。

 この点、小規模作業所が法定事業に移行できる良質なサービスとは具体的にどういうものを指しているのか。また、法定事業に移行しないあるいは移行できない小規模作業所も現実にやはりあるわけです。こういった方々が引き続き支援が受けられるような体制こそ担保してほしい、こう思うわけでありますが、こういったことについてもお伺いをしたいと思います。

塩田政府参考人 小規模作業所は全国で約六千カ所ありますけれども、地域で障害を持つ方々の働く場、社会参加の場などとして大変重要な役割を果たしていると認識をしております。

 今度の制度改革におきましては、こういった小規模作業所について、幾つかの事業に機能分化をしていくということを考えております。一つは就労移行支援、それから就労継続支援、生活介護、地域活動支援センターといった新たな事業に再編されるということになっているわけでございます。

 御指摘のありました良質なサービスについてどう考えるかですけれども、今後、新たな事業体系における人員や設備等の基準を定めたいと思っております。この基準については、現在関係の方々の御意見を伺っておりますけれども、秋までに結論を得たいと思っております。

 具体的には、一つは、対象者ごとに個別支援に関するプログラムをつくっていただきまして、事業体の中で継続的な評価を行う責任者をちゃんと置いていただくということでサービスの質を確保する仕組みを強化したいと思っております。また、設備面などにつきましては、例えば直接的なサービス提供に関係のない設備、事務室とか集会室とかいろいろありますけれども、こういった基準については極力緩和をして、創意工夫ができるようにしたいと考えております。また、今年度の予算で、小規模作業所のサービスの質の向上を図るための研修事業とか、いろいろな支援事業の充実も図ることにしております。

 新体系へ移行できた小規模作業所については法律に基づいた財政支援があるわけでありますけれども、こういった新たな事業体系に移行できない小規模作業所、あるいはそれを選択されない小規模作業所は引き続きあると思いますけれども、こういった小規模作業所についても何らかの支援が引き続き必要だと思っております。新しい体系の中でどのような支援、助成ができるかについては、関係者の意見もよく聞いて今後検討したいと考えております。

菅原委員 やはり、法定事業にこのたび初めてなるわけですけれども、民間のマンパワーで、民間の方々が自発的な努力の中でやってきた、そういうことのとうとさを考えながら、今まで以上にしっかりと現場関係者の声を聞いてこの点は努力をしていただかないと、本当に厳しいものになると思っております。

 次に、精神通院公費負担医療のことについて若干お尋ねをしたいと思っております。

 精神障害者をめぐる施策については、入院中心から地域生活中心へと、いわば大きな転換期にあると思います。在宅の精神障害者に対する医療、福祉はますますそういう意味で重要になってきておりまして、そういった中で、この精神通院公費負担医療は、現在の精神保健福祉法にも明記されておりますように、精神障害の適正な医療を普及するために行われてきたものであるわけでありますけれども、今回の見直しにおいても、在宅の精神障害者にとってこうした制度に期待される機能、役割は変わらないのではないかと考えざるを得ません。

 また、公費を使って行う医療制度である以上、その目的なり趣旨はある程度明確に位置づけておかなければならない、こう考えるわけですが、その点、これまでのような、精神通院公費負担医療の趣旨について政令等にしっかりと明記をしていただかなければならない、こう考えますが、いかがでしょうか。

塩田政府参考人 精神通院公費負担医療制度は、現在の精神保健福祉法にも明記されているように、精神障害の適正な医療を普及する役割を担ってきたものと考えております。

 今回の障害者自立支援法案におきましては、自立支援医療の種類を政令で定めることとしておりますけれども、現在の精神通院公費負担医療制度を定める際には、御指摘を踏まえまして、制度の趣旨をきちんと盛り込んでまいりたいと考えております。

菅原委員 もう時間がないので次に行きます。

 障害の谷間の障害者の問題で、今回の改正案では、知的、身体、精神の三障害を一つの法律の中で包括をして市町村で一元的に実施をするということについては一歩前進だ、こう思っております。いわゆるこの障害種別間の制度的な格差の解消というのは、特に精神障害者を支援する団体等これまでの悲願であったわけですが、その一歩を踏み出した中で、市町村を中心としたサービス提供体制がこれまで以上に充実をしていくことで、全国で約七万人とも言われる精神病床への社会的入院患者が徐々に減っていくことが大いに期待をされるわけであります。

 しかしながら、従来の障害者施策の範疇に入ってこなかったこれらの障害の谷間にある障害を持つ方々への支援は、やはり残された大きな課題であります。特に、自閉症やADHDなど発達障害と言われる方々の支援、この問題については、この国会でいち早く、議員立法という形で去る四月からその一歩が踏み出されたわけでありますけれども、この法律は、御案内のとおり、知的障害や精神障害に該当しない方々についてはその支援が法の対象外というふうに整理をされている点、これはどうなのかなと言わざるを得ません。また、難病の方々は本当に切実な支援を必要としているわけであります。しかしながら、これもやはり法の対象になっていない、こういう実態がございます。

 こうした中で、今後、発達障害者を初めとする谷間の方々に対する支援について、どのように進めていくのか。本来なら今回の法案でというふうに期待をするわけでありますが、今後、この検討状況についてお尋ねをしたいと思います。

塩田政府参考人 御質問がありましたうちの発達障害の方々につきましては、概念的には精神障害に該当いたしますので、今回三障害を一本の法律にしたということで、発達障害者についても障害者自立支援法案の対象に制度的にはなったということでございますが、残念ながら発達障害者の方々に対するサービスがまだ確立していないということで、今後、発達障害を持つ方々へのサービスの確立をしていくことが重要なテーマだと思っております。それから、難病の方々、身体障害者に該当すれば当然のことながら今度の法案の対象になるということでございますが、いずれにいたしましても、まだ谷間にある障害を持つ方々がいるということであります。

 今回の障害者自立支援法案が、そういった意味で、普遍的な障害者を対象とする制度に向けての大きな一歩と考えておりますが、残された方々の問題についても引き続き検討し、所要の結論を得てまいりたいと思っております。

菅原委員 検討を実行に移す努力が求められておりますので、この点を指摘しながら、次の質問に行きたいと思っています。

 これは質問じゃないんですが、指摘をしておきたいんです。

 市町村審査会のことなんですが、今回の改正においては、支給決定の透明性、公平性、客観性を高めるために市町村審査会が設けられる、こうなっているわけですが、障害者の方々が一番不安に思っているのは、このメンバーなんですね。障害者が暮らしていくことの大変さは、やはり障害を持つ者にしかわからない、またそこの極めて近い方にしかわからない。こういった方々が、専門家として、机上の議論ではなくて、やはりこのメンバーに入れていただく。これは市町村の問題だとは言わせません。厚生労働省がしっかりとリーダーシップをとっていただきたい、このことは指摘をしておきます。これは答弁は結構です。

 次に、若干法案と違うんですが、視覚障害者の職業的自立について一点申し上げておきたいと思っております。

 今回の法案では障害者の就労促進をうたっているわけですが、障害のある方がその方に適した職業について自立した生活を送るようにするということは、まず障害者施策として当然取り組むべき大きな課題だと思っております。とりわけ視覚障害をお持ちの方々にとって、従来より、あんま、はり、きゅう、マッサージ師としての資格を得て業を行うことが職業的自立を図る大きな柱となってきたことは御案内のとおりであります。

 こうしたことを踏まえて、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条、いわゆるあはき法により、視覚障害者の生計維持に配慮して、あんま、マッサージ、指圧師の学校等の新設を認めないというようなことが、いわば資格制度でも視覚障害者に対する配慮がなされているわけであります。

 しかしながら、昨今の、例えばタイとのFTA、現在交渉が進められておりまして、言ってみれば、タイ側から、要望事項の中にタイ式マッサージやタイ式スパの導入が上げられております。こういったことは、そもそも、いわゆるあはき法で禁止されている無資格の行為に該当するのではないかという指摘をしなければならないと思っています。こうした無資格者による行為を放置しておくことは、視覚障害をお持ちの方々の、その方々にしかできない職業の自立ということを妨げていくばかりか、我が国の視覚障害をお持ちでないはり、きゅう、マッサージ業界にも大変大きな影響を及ぼすということになることが想定をされるわけであります。

 FTAは確かに我が国の国際協調等々、進めていく努力は必要だと思っておりますが、視覚障害者の足元が揺らいではいかぬと思います。視覚障害者の職業的自立を一層図っていくためにも、このタイ式マッサージ等を含んだ無資格者による禁止行為、これはやはり取り締まりを進めていただきたい、こう思いますが、御意見ございますか。

岩尾政府参考人 あんま、マッサージ、指圧は、視覚障害者の生計を維持する重要な手段でございます。無資格者によるサービスの横行というのは、こうした視覚障害者の生計の維持に大きな影響を及ぼすと考えております。

 御指摘の、FTA交渉の中でタイ政府からタイ式マッサージ、タイ式スパについての要望があると聞いておりますが、そのサービスの具体的な内容が不明確でありますので、タイ政府に対して詳細な情報提供を求めております。現時点では、あはき法に抵触する行為が含まれているかどうかはわかりません。

 いずれにしても、現在国内で行われているサービスにおいて、あはき法で禁止されている行為が含まれている場合には、無資格者によるマッサージと同様に、各都道府県により衛生規制の観点から指導が行われ、また、警察による捜査、取り締まりの対象となります。厚生労働省といたしましては、あはき法で禁止されている無資格者によるサービスの取り締まりについては、引き続き適正に対処してまいりたいと考えております。

菅原委員 しっかりお願いをしたいと思います。

 最後に、この法案について、いよいよ佳境に来ていると思います。しかしながら、残念なことに、野党側の修正協議の打ち切りといいますか、こういった経緯を考えますと、まさにこの施策を前進させようという思い、これをもってすれば、協議打ち切りという決定ではなくて、やはり粘り強く議論をしていただきたい。これは議会人として必要ではないかな、このことをあえて指摘をしておきます。

 一部の党派の主張によって、もし仮に法案が成立しないようなことがあるとするならば、現在の支援費制度で大幅に予算不足が生じている状況のもと、これは言ってみれば、厚生労働省の支援費制度が発足したときの試算の甘さ、こういったことも指摘をしなければいけないけれども、やはり本年度の障害福祉の在宅サービスの予算も、結果的に年末には底をついて立ち行かなくなってしまうことが十分予測をされます。今この法案を通すことが大切で、でないと、全国の知事会とかあるいは地方自治体が主張する地方への税源移譲の議論の中で、一般財源化を検討すべきとの議論がまたわき起こってくるとすれば、これまた本末転倒な話であります。

 私は、この法案について、制度実施に向けて、今までしてきたようなきょうの幾つかの質問、こういったことを踏まえた上で、この法案の成立も大事だけれども、具体的な政省令こそ、直接障害者の方々の生活に大きな影響を与えるということから考えれば、やはり運用面が非常に重要だ、こう思っております。

 地域で暮らす障害者の方々の自立を本当に真の意味でサポートし、障害者の日々の生活が平穏で心豊かなものになるように、この運営をする市町村の現場での着実な実施ができるような体制の構築、やはり障害者そしてまたは自治体の声をよく聞いて、先ほど申し上げたように、政省令の中できっちりと具現化をしていってほしい、こう思うわけですが、この運用面について最後に大臣の御所見を伺って、終わりたいと思います。

尾辻国務大臣 今回の法案に基づきます政省令の作成を初め運用面の検討を進めるに当たりましては、この委員会における御審議でありますとか、このことを踏まえることはもとよりでございますけれども、また、障害者や自治体などの関係者の御意見を伺いながら進めていくことが重要だと認識をいたしております。

 このために、障害者や障害者団体の代表者に委員となっていただいております社会保障審議会障害者部会における御議論、あるいは政省令の制定に際してのパブリックコメント、それから、二カ月に一回程度行っております都道府県等の担当課長会議を通じての自治体や障害者の方々の御意見、さらにまた、職員が全国で行われておりますシンポジウムなどに出席した際の関係者の御意見、さまざまな機会を通じて広く関係者の御意見をお聞きしながら、当然、検討を進めてまいります。

菅原委員 やはり最後は財源ですから、厚生労働省は財務省としっかりと相撲をとってほしい、力ずくで頑張っていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

鴨下委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 まず最初に、障害者に対する福祉サービス、いろいろやっているわけですけれども、大臣の基本的な考え方というのをお聞きしたいと思うんです。

 その前に、私の私見を申し述べてみたいと思います。

 私は、障害者も私たちと同じ人間である、まずここをきちんと押さえた中でのいろいろな諸施策というものをつくっていかねばならないと思うんです。

 私たちの生活は、まず生きるためにお金を稼ぎます、働いて稼ぎます。収入があります。その収入をもとにいろいろな支出をしていきます、生きるために。まず衣食住、御飯を食べ、着物を買い、家に住まい。まず全部自助ですね、九九%自助だと思います。でも、自分の力ではどうしようもないこと、例えば病気になってしまった、火事になってしまったということで、いわゆる保険制度、共助という考え方、そこに対する負担というものも払います。自助、共助、それでもだめなら公助の世界、お国に、自治体に公費で面倒を見てもらいたいという。

 この自助、共助、公助、三つの考え方をバランスよく組み合わせた生き方が私たち健常者の生き方だと思うのです。それと同じように、障害者も私たちと同じ人間なんだ、人権があるんだ、人間性を尊重するという意味では全く同じ制度で生きるべきだ、こう思うんです。

 今まで障害者の施策は措置でございました。これはお上の命令です、ある意味では。ここここへ行け、これだけで暮らせ、こういう形。そしてまた、支援費制度に移ったわけですけれども、これもある意味ではサービスが悪くても文句の言えない世界だと思います。サービスが悪ければ、保険料を払っているんだし負担金も払っているんだから文句を言う。文句を言うことによって、そのサービスがかなり向上してくる。

 これは老人福祉施設も昔そうだったんですけれども、本当になかなか特老に入れない、やっと入れた、家族も黙っている、入っているお年寄りも黙っている、文句がない世界だったんです。でも、介護保険制度になって、サービスが悪ければ文句が出てきた、だからサービスが向上してきた。こういうことでありますので、そういう意味でも、障害者も私たちと同じ制度、しかし、収入がない、収入がないんだったら公助の世界で収入をきちんと確保していく、こんな制度をやはりつくっていかねばならないのかなというふうに私は思うんです。

 九州のある施設も見学をしてきました。ここの福祉工場は、ノー・チャリティー・バット・ア・チャンスという標語が掲げてありました。お恵みは要らないから仕事をくれ、こういう言葉だと思います。

 私の地元の身体障害者の運転者会という集まりで、交差点の中でも身体障害者の方々はとまってもいい、こういう制度があるそうですけれども、そこの会長さんは、そういう権利があっても私たちはそれを乱用してはいけない、こういうお話でした。まさにそのとおりだと思うんです。

 そういうことで、基本的な政府の認識というものを大臣からお聞かせ願いたいと思います。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

尾辻国務大臣 まず、自助、共助、公助の考え方についてお話がございました。私も全くそのとおりだと思っております。

 そして、次に、障害のある人もない人も、ともに同じように暮らしていける社会を構築していかなければならないのだというお話がございました。これもまた全く同じに考えます。私どもも、そういう社会を目指してまいりたい、努力をいたしておるところでございます。

 そうした基本的な考え方の中で、障害者の福祉サービスをどういうふうにするかということでございますが、これも先生お話しいただきましたように、従来は障害者を保護の対象としてとらえまして、低所得者を中心として、行政が原則公費により必要なサービスを確保するという措置制度により実施されてまいりました。まず措置制度でございました。これが、平成十五年度から、障害者を保護の対象としてではなくて自己決定、自己選択する主体としてとらえまして、契約により福祉サービスを利用するという支援費制度がスタートしたところでございます。措置制度から支援費制度に変わりました。

 今回の法案では、さらに、支援費制度の自己決定と自己選択や利用者本位といったような理念を継承しながら、今後さらに、新たな利用者も含めて、サービスを必要とするすべての障害者の皆さんに対し、より安定的な制度のもとで、より障害者の自立支援につながる良質なサービスの提供を図ることを目指して、今回の支援法をお願いいたしておるところでございます。

吉野委員 ありがとうございます。私の認識と大体同じということで、安心をいたしました。

 そういう意味で、この自立支援法は、障害者の方々にもきちんと私たち健常者と同じ負担を求めていく、これは私、大賛成です。そのことによって障害者の持っている人権がきちんと守られていく、こう思うわけです。

 でも、今度の改正案といいますか自立支援法で大きな大きな問題点は、いわゆる収入の部分なんです。この収入の部分をきちんと公助で、または就労支援で確保していくというところが見当たらない。今回一番大きく皆様方この委員会で議論になっているところは、ここの部分です。負担を求めていく、健常者と同じ負担を求めていく、これはこれからの中で人間として当然私は障害者にも求めていくべきだと思うんですけれども、収入がない。公助で、また就労支援できちんと所得確保、所得保障というところをこれからやるべきだと思うんですけれども、大臣の考え方を聞きたいと思います。

尾辻国務大臣 今お話ございました障害者の皆さんの所得保障についてでございます。

 これは、所得保障といいますと、まず一方からいいますと、先ほど先生が公助と言われた部分になると思います。一部共助の部分も入ってくるのかもしれませんが、年金といいますと。いずれにいたしましても、そうした部分でいいますところの年金、それからそれに乗っけている諸手当、手当の部分がございます。この部分は、我が国の財政事情を今考えますと、改善する、特に大きく改善するということになりますと、極めて難しい面を持ちます。

 それからもう一つ、所得保障というと、先ほどまさに先生おっしゃいました、今度は働くということからくる所得がございます。こちらは福祉と雇用が連携しなきゃいかぬと思っておりまして、その福祉と雇用が連携した就労支援を重要な柱として私どもも積極的に取り組んでいかなきゃならないと考えておりますし、また一方、今、社会保障制度の一体的見直しという御議論もございますので、そうした流れにも留意しながら、総合的に検討してまいりたいと存じております。

吉野委員 ぜひ所得の確保というところを考えていってほしいと思います。

 次に、障害者程度区分についてであります。

 実は、今、モデル事業をやっていると思うんですけれども、この調査票によってモデル事業を今なされております。(資料を示す)私の友人で施設をやっている事業者、これは二代目、おやじに続いて今二代目の方なんですけれども、彼は彼で、自分で調査票をつくりました。これがそうなんですけれども。(資料を示す)彼の言うところによると、なかなかこちらでは、いわゆる介護という部分では確かに合うところがあるんだけれども、障害者というところについてはこちらの項目では不十分だ、だから、やはり自分がつくったこの調査票でやるともっと適正に判定ができる、こういうことを言っているんですね。

 やはり実践の場で、いわゆる二十四時間、施設の方ですから二十四時間一人一人を見ている、この声というものを、私は適正な調査票をつくるに当たって厚生労働省としてきちんと吸い上げていかねばならないと思うんです。でも、今、研究班というのがあって、研究班から、おまえのところはどうなんだ、こう、上から押さえた、いわゆる勉強をしているらしいんですけれども、そうではなくて、パブコメみたいな、パブコメというのは政府の原案を出して意見を求めるんですけれども、こういう実践で活躍している方々の意見というものをもっともっと吸い上げをして、適正な調査票というものをつくっていかねばならないと思うんですけれども、その辺のところがまだできていないように思うんです。その辺についての御意見を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 今お話しいただきました障害程度区分の開発に当たりましては、お話しいただきましたように、厚生労働科学研究の研究班が試行事業を行っております。試しに行う事業でございます。この事業を行っているところでございますが、適切な障害程度区分を開発するためには、広く関係者の皆様の御意見をお伺いすることが重要だと私どもも考えております。今の先生のお話のとおりでございます。

 そこで、具体的には、試行事業を実施した自治体から意見を聴取すること、あるいはまた、有識者、障害者団体、福祉の現場で支援の必要度について知見を積み重ねている方など関係者の意見を聞く機会を設けること、今お話しいただいた方などがそういう方になると思いますけれども、そうした方々の御意見を聞く機会を設けることなど、そうしたことを考えておるところでございます。

 さらに、社会保障審議会にも御意見をお伺いいたしますとともに、先生もこれまたちょっとお述べになりましたけれども、パブリックコメントも求めることにいたしておりまして、そうしたことを通じまして、広く国民の皆様方の御意見を承ってまいりたいと存じております。

吉野委員 ぜひ現場の実践を踏んでいる専門家の声を吸い上げていただいて、立派な、適正な調査票をつくっていただきたいというふうに思います。

 それで、いわゆる障害者程度区分の段階の数なんですね。今、モデル事業では介護保険と同じく六段階でやっていると聞いています。また、支援費の方では三段階と聞いています。この辺の段階をどういう段階の数にしていくのかというところがかなり問題。特に、最初の段階では余り細かくし過ぎると、障害者程度区分がもし間違っていた場合にかなり混乱を来すのではないのかな、最初の方はやはり数を少なくしていくべきではないのかな、このように思うわけですけれども、御意見を賜りたいと思います。

塩田政府参考人 介護給付に関します障害程度区分でありますけれども、障害者の心身の状態について、介護の必要度により複数段階に区分することを想定しております。

 御指摘がありましたように、現在、全国六十一の自治体において試行事業を実施しておるところでございまして、そこで得られたデータなどを分析いたしまして、関係者の意見もよく聞いて、秋ごろにはどの程度の段階に区分するかも含めまして具体的な結論を得たいと思っておりますが、これから、先ほどの御質問にありました関係の方、現場でいろいろな実践をしている方の意見も含めて、いろいろな方の意見を聞いた上で、適切な区分を設けたいと考えているところでございます。

吉野委員 次に、審査会についてなんですけれども、ここには障害者の団体の方々から自分たちをメンバーにしてほしいという強い要望がございます。でも、これは、自分のことを自分で判断するということは、独立性という意味では全く反すると思いますので、私も障害者団体の方が入るというのはある意味で反対でございます。でも、どんなメンバー、どんな人数を考えていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。

塩田政府参考人 市町村の審査会でありますけれども、障害者の心身の状態に関して専門的な見地から客観的な判定を行っていただくということでありまして、委員につきましては、障害者の保健福祉に専門的な知見を有しておられて、中立公正な立場であることが求められていると考えております。

 具体的な人選は市町村長が行われるということでありますが、身体、知的、精神障害の各分野のバランスを考慮した構成が望ましいと考えております。数についても市町村長さんが御判断されるものでありますけれども、三障害を対象とするということから考えて、五名程度が適当ではないかと考えているところでございます。

吉野委員 そのメンバーの中には、実践の場で一番活躍をしているといいますかよくわかっている事業者ですね、事業者は排除されるのかされないのか、お尋ねしたいと思います。

塩田政府参考人 審査会のメンバーはいろいろな立場の方が必要だと思いますけれども、例えば、御指摘がありましたサービスの提供の現場で長年働いておられて識見のある方、あるいは療育センターなどで相談支援に携わっていて高い識見をお持ちの方、あるいは障害者の方の中でも専門性を持っておられる方、いろいろな方が考えられると思います。

 御指摘のような事業者の方が入ることもあると思いますが、先生が言われたように、自分で自分のサービスを審査するということは適切でないと思いますので、具体的にどういう方を選ぶかについて、市町村長さんが全体を見てバランスをとって適切に御判断していただけるものと考えております。

吉野委員 これはちょっと通告していないんですけれども、各市町村が審査会メンバーを選ぶというわけでございますので、いわゆる地域間格差ですね、その辺の心配。国がきちんとしたガイドラインを示さないと、市町村の判断でメンバーを選ぶわけですから、地域間格差についてはいかがでしょうか。

塩田政府参考人 審査会の委員の人選の基本的な考え方につきましては、この国会での審議なども踏まえて、何らかの形で地方自治体にはお示しをしたいと思っております。

 市町村の置かれている状況も区々でございますので、独自にそういう専門家の方を選ぶところもあれば、いろいろな自治体と共同でやるとか、いろいろな形態が考えられると思いますが、いずれにしても、国としての考え方は市町村に対してお示しはしたいと思っております。

吉野委員 続いて、発達障害者についてでございます。

 実は、私の地元に子どもの家保育園という療育の保育園がございます。ここの園長先生は、最初は心理判定で、あなたは学習障害、あなたは自閉症という形で心理判定していたんですけれども、私たちの地域には療育する施設がございませんでした。だから、幾ら心理判定してあなたはこうですよと言っても、療育施設がなかったものですから、彼女は自前で療育施設をつくり、もう数十年たっているんですけれども、ここでのお話、私、もう大分前に行って見てまいりました。

 実は、小学校一年生に上がったお母さんがいたんですけれども、彼女は自分の息子が東大法学部に入ったと同じような喜びをしていたんです。なぜかなと思っていたら、療育というのは、毎日、大学ノート一ページ、二ページ、家庭での子供はこういう行動をしていましたという報告書を書くんですね。お母さんの努力です。それを、子どもの家保育園の園長先生、いわゆる先生に見せて、あと通常の幼稚園の先生にも見せて、あとドクターにも見せて、この連係プレーなんです。この連係プレーによって自分の一年生に上がる息子が普通の学校の一年生に入れた、この喜びが物すごく大きかったんです。普通なら、普通の学校でなくて養護学校に入るわけだったんですけれども。

 このくらい療育という部分はかなり効果があるんですね。ここのところが、療育サービスが今度の自立支援法に明確に位置づけられていない、いわゆる療育の部分が。ですから、ここのところをきちんと位置づけをするべきだと思うんですけれども、ここについての御意見を賜りたいと思います。

塩田政府参考人 今御指摘がありました福島県の取り組みは大変貴重な事例だと思います。

 発達障害を持つ子供さんについて、現在は、運用上、児童デイサービス事業の対象にしておりますけれども、諸制度は正面からは対象になっていないということでございます。発達障害者支援法ができましたけれども、具体的なサービスとしてはこれから市町村で実績を積み上げていただくというような段階だろうと思っております。法律上、今度三障害が一本化されまして発達障害の方も法律の対象にはなりますけれども、サービスとしてはこれから開発をしていくということでございます。

 発達障害者支援法の制定を受けて、今年度から教育、福祉の関係者がいろいろなサポートに取り組むモデル事業を開始したところでありますし、御指摘があったように、発達障害の取り組みはいろいろな専門家のチームプレーが必要だということでありまして、医療、福祉、それから心理、いろいろな方が共同してお一人お一人のニーズに応じた対応をするということでございまして、これからの大きな課題だと思っております。法案の対象にはなりますけれども、具体的なサービスをどう位置づけるかは今後の課題だということでございます。

吉野委員 発達障害を療育するには、やはり早期発見、早期療育、これが一番の原点だと思うんですね。私が昔勉強したところでは、滋賀県の大津市、ここは独自の早期発見、早期療育のシステムをつくり、生まれてきた赤ちゃんは全員、早期発見、早期療育をしているというすばらしい町もございます。

 ここでいわゆる臨床心理士が大きな役割を担うわけだと思うんですけれども、この臨床心理士について国家資格が今のところないんですね。やはりきちんとした国家資格を与えて、責任のある制度をつくるべきと思うんですけれども、その点についての御意見を賜りたいと思います。

塩田政府参考人 発達障害の早期発見、早期療育のために、心理に関する専門職の方を初めとして、いろいろな関係者が連携して総合的な支援をしていくということが重要だと思っております。

 そういう意味で、御指摘がありました心理に関する専門職という意味で、臨床心理士あるいは医療心理師、こういう方々の役割は大変大きいと思っております。こういった二つの職種の方々について、現在、超党派で議連がつくられて、国家資格化の動きがあるということでございます。私どもも文部科学省とあわせてその作業に協力させていただいております。

 昨日も超党派の関係議員の総会があって、法案の要綱骨子がまとまったということであります。そういう法案が成立した暁には、文科省とも協力して、しっかりとした国家資格化に必要なサポートをし、専門の方が育つように厚生労働省としても努力をしていきたいと考えております。

吉野委員 今、臨床心理士は一万三千人くらいいると聞いているんですけれども、このくらいの人数で果たして各町村に早期発見、早期療育の制度をつくることが可能なのかどうか、ちょっと私はわかりませんけれども、やはり専門家の育成というものも大事な大事な分野だと思うんです。

 どういう形で育成をしていくのか、最後にお尋ねをしたいと思います。

塩田政府参考人 臨床心理士の場合だと、大学院を卒業しているレベルの方々の資格ということでありまして、これまで民間団体の方でそういう資格の養成をしてこられたということでございます。

 新しい資格について、カリキュラムをどうつくるかというような作業とかいろいろあると思います。これまでは民間の団体の方が独自でやられていたと思いますが、これからは文部科学省とも協力をし、法律上、厚生労働省も共管という立場になると聞いておりますので、カリキュラムでありますとか、あるいは、そういう職種の方が医療現場とかいろいろなところで働いた場合のいろいろな支援の仕方などについても検討を重ねていきたいと考えております。

吉野委員 ありがとうございました。

北川委員長代理 次に、横路孝弘君。

横路委員 大臣、昨日、東京に全国の障害者の皆さん、一万一千人を超える方が集まりまして、国会への請願も二時間に及ぶというような、たくさんの人が集まりました。そのときのスローガンは、「このままの”障害者自立支援法案”では自立はできません!」ということで、この審議を見ながら多くの障害者の皆さんが不安を増大させているわけであります。

 一人一人の障害者の人にとって、この法律はすぐ大きな影響を与えるわけです。障害者の人々の生活に大きな影響を与えるわけですね。しかも、政省令事項が非常に多くて、どうなるのかという実態もよくわからない。しかし、ともかく、言われている一割負担を含めて多くの障害者の負担がふえるということだけは間違いないわけで、サービスの提供を含めていろいろな点で不安が増大をしています。

 今、この時期に、一万一千人もの人が本当に悲痛な叫びを上げた、こうしたことは大臣のお耳に届いたかどうか。このことをどのように受けとめられますか。

尾辻国務大臣 昨日のお集まりは厚生労働省のすぐ近くでございましたから、私も目の当たりにさせていただいておりまして、大変多くの方がお集まりになっておりました。

 そしてまた、今お話しいただきましたように、そうした皆さん方が御心配になっておられる、そうしたことについて、私どもとしては、障害者の皆さんの施策を大きく進めていきたい、また、先ほど来御質問の中の言葉としても出てくるわけでございますが、これまで谷間になっておるといったような部分をできるだけ埋めていかなきゃならない、そういう思いがございまして、法律の体系も大きく進める、前進させるものとして今回の障害者自立支援法案をお出ししておるところでございます。ぜひそうしたことを御理解いただかなければならない、その努力もまたしなきゃいけないということを感じながら、昨日のお集まりを見せていただいておりました。

横路委員 やはり政治としては、これらの不安をどう解消していくのかということが大変大事なことなわけであります。

 この中でも、どうして不安を持っているかと。「こんなにも重大かつ大規模な法案でありながら、当事者抜き、基礎データもほとんど無く、」今いろいろと慌てて調べているところですよね、「国会審議でも問題解明が図られないまま、わずか四か月で成立させよう」ということ。しかも、「ようやく定着しつつあるノーマライゼーションという考え方にも、また地域生活移行の流れにもブレーキがかかる」んじゃないかと。この法律を通すことによってやはり私たちの命が削られる、こんな思いでおられるわけであります。

 そこで、大臣にちょっと基本的なことをお伺いしたいと思うんですが、前にもこの委員会で議論したんですが、支援費制度。

 これは、措置から支援費に変わって、そしてその中心の課題は、施設から地域へ、それから障害者本人が自分で選択をして自分で決定をするということ、もう一つ、例えば家族からの自立というようなことも障害者の人の中では大きなスローガンでございました。つまり、施設から地域へ、それから当事者が自分で選択をして自分で決めるんだというのが支援費の理念だったわけですね。

 大臣は前に、この障害者自立支援法でもその理念は変わらない、変えないということをおっしゃいました。本当にそうなのかどうなのかということにみんなが疑問を持っているわけで、これから議論してまいりますけれども、障害者自立支援法、施設から地域へ移行していく、それから障害者自身が選択をして自分で決定する、この大事な支援費制度の理念というのはどのように考えておられるんですか。そして、この自立支援法についてはどうなんですか。

尾辻国務大臣 今お話しいただきましたように、私どもは、措置制度から支援費制度に変えまして、そして、その変わったことによって、これも再三申し上げておるわけでございますが、この支援費制度が重要な役割を果たしてきておる。平成十五年度からでございますからこの二、三年でございますけれども、その中で重要な役割を果たしてきた、そのように私どもも評価をいたしておるところでございます。

 ただ、同時に、支援費制度が、いろいろな問題点といいますか改めるべき点も出てきたということを感じまして、この支援費制度の自己決定と自己選択、それから利用者本位というこの理念は継承しながら、見直しをするべく、今回の障害者自立支援法案を提出させていただいたところでございます。

横路委員 施設から地域へというのはどうなんですか。

尾辻国務大臣 私どもは、今まで谷間だというふうに障害者全体の施策も考えておりますが、また、その中でもさらに谷間だと思っております精神障害者の皆さんのこと、これを今回の見直しの中では大きく取り上げて、三障害同じように扱うというようなことも規定したところでございます。

 そうした中で、特に、精神障害者の皆さんのことは入院中心であった、それを社会生活を送っていただくという考え方の中でぜひ施策を考えたいというようなことも申し上げておるわけでございまして、そのことが象徴的なのでございますけれども、ぜひ社会全体で一緒に生活していく、障害のある人も障害のない人も、施設の中に閉じこもるのではなくて、一緒に社会生活を送っていきたいという考え方を今回はこの法案の中で盛り込んだつもりでございます。

横路委員 何か少しあいまいな答弁でございますが。

 きのうの集会で、全部で十一項目の要望事項が出ています。できるだけこれを一つずつ、これに沿って考え方を聞いていきたいと思います。

 まず第一、「現在の生活水準を絶対に後退させないでください。障害保健福祉関連予算を大幅に増やしてください。これまでの予算水準はあまりに低すぎます。特に、地域生活基盤の緊急整備を行ってください。」まず一点、「現在の生活水準を絶対に後退させないでください。」つまり、今の支援費制度のもとで受けているサービス、その水準を後退させないでください。これはどうですか。後退させるんですか、させないんですか。

尾辻国務大臣 私どもは、これまた申し上げておるところでございますけれども、適切なサービスをお受けになってきた方々、その方々にそのサービスを後退させることは決してないようにしなきゃいけないということで、今度の法案においても、見直しにおいても、まずそのことを主眼に置いているところでございます。

横路委員 必要かつ適切なるサービス、今の水準を後退させないということはそれでよろしいんですね。

 次に、「地域生活基盤の緊急整備を行ってください。」ということなんですが、支援費制度で二年間実績を積んだわけです。私は、その総括というのはいろいろありますけれども、もちろんその中でもって是正すべきところがあれば是正すべきでございますが、やはり一番の大きな問題は、市町村にいわばそのサービスを提供する基盤というものがまだ十分ではない。これから特に、例えば精神障害者の人のことを考えますと、その基盤というのは、市町村の中に人材も体制もほとんどないと言っていいと思うんですね。

 これは、見ていますと、この格差が何でこんなに大きいのか。例えば支援費の支給決定者数で七・八倍、身体障害者のホームヘルプで五・五倍、知的障害者の場合は二十三・七倍、障害児の場合はホームヘルプで四十四・四倍。非常にサービスの格差がございます。これは一体どこに原因があるのか。やはりそれは、サービスの提供の能力がないのか、市町村の方の体制がないのか、どんな点があるんでしょうか。これを解消して、しっかり基盤をつくるということはとても大事なことであります。いかがでしょうか。

塩田政府参考人 委員から冒頭に御指摘あった、施設から地域へということを考える上で、なぜ施設から地域への移行が進まないかと考えた場合、御指摘のような市町村での受け皿、ハード、ソフトの受け皿が非常に乏しいということは事実だろうと思います。高齢者福祉に比べて障害者福祉はかなりおくれているということは率直に認めざるを得ないと思います。

 私の個人的な経験ですが、私も小学生のときに非常に親しい知的障害の友人がいましたけれども、彼は中学校に進むといなくなりました。私は田舎ですけれども、どこかの施設に彼は行ったきり帰ってきませんでした。その理由はなぜかと考えたときに、今度の法案の基本的な考え方は、市町村が高齢者のみならず障害を持つ方もちゃんとサポートする体制をどうつくるかということであると考えております。

 そういった観点から、支援費制度の問題点である裁量的経費、基本的な事業について、そこを負担金にして国、都道府県がきちんとサポートするという体制に改めたいというのが一点ございます。

 それから、ハードの整備については、高齢者と児童の分野については、地方分権、三位一体改革の中で交付金化いたしましたが、障害者の分野について、私どもは、国のかかわり、国が積極的に応援することが当面必要だということで補助金に残したところでございます。

 それから、ことしまとめてもらいました来年度の政府の骨太の方針の中でも、障害者の地域の生活のことについて、ハード、ソフトについて速やかかつ計画的に充実強化を図るという一言を入れてもらったところでありまして、厚生労働省としては、地域で障害を持つ方が暮らすためのハード、ソフトの整備が緊急の課題だと考えておりまして、そういった観点でこれから施策の充実強化に努めてまいりたいということでございます。

横路委員 例えば移動介護の場合ですと、身体障害者の場合で身体介護を伴う場合で二八%、知的障害者一七%、児童の場合一七%というように、本当に行っていない市町村の数が多いんですね。これをすぐこの法律でといったって、そんなにすぐ準備できるんですか。

 それで、私はもう一つ御質問したいと思うんですが、障害者基本法に、障害者計画を策定するということで、その場合、数値目標を入れて行うと。都道府県と指定都市はできていますけれども、市町村の場合は三一%ですね、計画を持っているのは。障害者基本法でもってつくりなさいということになっていても、まだ数値目標を入れた計画を持っている市町村というのは三一%。だから、私は、本当に必要なのは、この法律を急ぐことではなくて、やはりサービス提供の基盤を市町村にしっかりつくるということが前提でなければ、この法律が成立したってこれは動いていきませんよ。

 だから、本当に我々が大事なことは何かというと、今財政はもちろんいろいろと厳しいわけですけれども、しかし、やはりこれから市町村が計画を策定するわけでしょう、障害者福祉計画というのを。やはりそれが本当にやれるだけの十分な予算をしっかり確保しなかったら、大臣、これは絵にかいたもちになります。これは事業をいろいろ予定したって全然できません、移動介護の実態を見ても。

 大臣、まず、こういう現状を踏まえて、私は、やはり国民的な合意のもとで予算をここに重点的に配分していく、確保していくということが非常に大事だと思います。いかがですか、大臣。

尾辻国務大臣 予算をしっかり獲得しろというお話だと思いますから、そこについてお答え申し上げますと、今後の予算編成の中で必要な予算を確保するよう最大限の努力をしてまいりますということを改めて申し上げたいと存じます。

 また、そうした中で義務的経費に今度のことでしていただくということは、私にとりましては、今後の予算獲得について大変大きな前進だというふうに考えておることも申し添えたいと存じます。

横路委員 市町村の責任体制なんですけれども、介護給付、訓練給付、利用手続に当たって、申請者へ訪問調査をすることになっています。この訪問調査について、法律の中では、指定相談事業者への委託が可能であるというようになっているんですね。

 介護保険の改正のときに議論されたことの一つは、まずその調査を市町村が、まず最初の調査は市町村の職員がちゃんと行うと。委託してやってきたわけでしょう、やってきた結果、問題が起きた、だから、これは市町村がやはりしっかり責任を持ってやるべきだと。私は、市町村が障害者のお宅を訪問して、その状況を知り、いろいろと話を聞くということが大変大事なことなんです。委託してしまったら、またそこのところが、これから市町村の役割が大事なのに、できないですよ。だから私は、委託できるということは、これは介護保険でやった教訓を何にも得ていない。

 ですから、これは原則市町村がやるべきだという運用にしていただきたい。あるいは本当は法律を変えてもらいたいと思いますけれども、運用をしっかりそのようにしてもらいたい。やはり市町村の職員が行って、最初は会って話を聞くということが大事なんじゃないでしょうか。いかがですか。

塩田政府参考人 障害を持つ方々の地域生活のサポートをする上で市町村の役割が大変大きいということはそのとおりでありまして、その市町村の責任をどういう形で果たすかという問題だろうと思います。

 市町村の置かれている状況は、非常にいろいろな市町村がありますので、市町村みずから最初から最後まできちんとやれる体制のところもあると思いますし、中にはなかなか体制がとれないところもあると思います。それから、そういう場合には民間の方に委託してということも当然あってしかるべきだと思います。また、民間の方にも、非常に能力が高くて専門性が高くて、行政がやるよりもはるかにすばらしい、障害者の立場に立ってサービスメニューをつくり、サポートをし、評価、フォローもできるということもあると思います。

 要は、障害を持つ方々が地域で暮らす上でどういうサポートをどう築くかでありまして、基本は市町村だと思いますが、実際の運用をどのようにするかは、それは市町村長が責任を持って御判断していただけると思います。委託するところもあっていいと思いますし、委託というのは丸投げという意味ではありませんので、委託した以上、委託した人には責任がありますし、いずれにしても市町村がしっかり責任を持つ、そういう趣旨だろうと思います。

横路委員 いや、介護保険だって同じにやったわけですよ、市町村がちゃんと責任を持ってやると。しかし、実際は事業者がやって、その結果、ケアマネジメントがどうもうまくいかないケースが出てきたということで今度の法律改正になったわけでしょう。最初の調査はちゃんと市町村がやりなさいという改正ですよね、今回の改正は。それはやはりちゃんとやるべきじゃないですか。

 今の話だったら、市町村、やらないようないいかげんなところもあるという話ですから、そんないいかげんなところにこんなに権限を移していいんですか。私は、やはり介護保険の教訓をちゃんと生かすべきだと思いますよ。大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 介護にしろ、いずれにいたしましても、市町村が責任を持ってやるということは、これは当然のことでございます。

 ただ、どういう形をとるかということでの今御議論でありますけれども、私が理解いたしておりますことを申し上げますと、介護の場合は、率直に申し上げて掘り起こしとかいうような問題があって、ああいうまた改めての見直しをいたしました。それに対して、障害の皆さんのことをどうするかということについては、介護よりもより専門性が高いんだと理解をいたしております。そういう専門性の高い方の御判断を入れるべきだということで、こういうふうにさせていただいている。私は、介護に比べてより専門性が高い判断が求められるというふうに理解をいたしておるところでございます。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

横路委員 市町村はそういう専門性を持った人材をこれから養成していかなきゃいけないわけでしょう。それができなかったら、本当にどうするんですか、そんなことで。

 ですから、大臣、これは、基本的に今後の運用の中で、やはり市町村が実態を知ることがまず第一なんです。ですから、市町村が責任を持ってやる。それはいろいろな専門家のバックアップを受けることはいいですよ。しかし、やはり市町村が足を運んで実態を聞くということでなければ、それから後のサービス提供をどうするかというわけでしょう、障害区分を決めて、サービスの提供をどうするか。いろいろな要望がたくさん出てきますよ。そのときに任せっ放しでいいんですか。やはりそこのところは、大臣、しっかりひとつ今の点を考えていただきたいというように思います。

 それからもう一つ、この法律の場合に、それぞれの市町村が責任を持ってやることになっていますね。市町村でできない場合は、都道府県がかわって事業ができるように法律上なっています。介護保険の場合は広域的に協力を市町村がするということが、やっていますし、できたわけですが、これはどうなるんですか、今度のこの法律の場合には。一応、何か法律を眺めていくと、そうではなくて、市町村が責任を持つことになっています。ただしかし、やはり広域的な協力というのがどうしたって必要なわけですよ。

 ですから、広域的な協力、それは都道府県がといっても、私のところの北海道のように広いところで都道府県がやるといったって無理な話ですから、やはり広域的な協力を市町村がやっていくということが必要なんですね。これも何かやる仕組みを考えていただきたいというように思いますが、いかがでございますか。

塩田政府参考人 調査などに関しては、法律上、他の市町村に嘱託をしてできるという規定がございますので、実際、小さな規模の市町村で、そこの市町村に頼める専門家がいないということであれば、隣接の市町村と協力してやるということも法律上可能な措置を講じております。

横路委員 調査だけじゃなくて、幾つかの市町村でもって障害者の需要を考えて、そして計画をつくるということはどうなんですか。そこをやらないと、あと何も、一緒に広域的にサービスを提供していくということにならないじゃないですか。

塩田政府参考人 地方自治法に基づいて、いろいろな形で広域的な事業を行うということは可能でありますし、そういうことについても、必要であれば、市町村にきちんと周知徹底を図りたいと思います。

横路委員 次に、この要望事項の二番目、「「応益(定率)負担」の導入はやめてください。所得保障の確立が図られないまま導入されれば、障害者の生命を削ることになります。また、本人が負担できない場合に家族に負担が及ぶことは避けてください。働きながらの費用負担も納得できません。」

 定率負担の問題は後で同僚議員が質問をいたしますので、私一つだけ、所得保障の点なんですが、先週の金曜日の我が党の五島議員の質問には、一応省内で研究いたしますと。それを受けて、厚生労働大臣は、必要があれば審議会などにも諮ってというようなお話がありました。先ほどの答弁はちょっと後退したかなと思いますが。

 いずれにしても、大臣、所得保障の確立ということ、それがないまま導入されるというのは大変だという思いはありますでしょう。大臣、どうですか。所得保障の確立というのは、今の障害者の人が置かれている状況というのは、この委員会でも随分議論がありました。それがやはりなければいけないんだなという思いがありますか。いや、なくてもいいんだという考えですか。

尾辻国務大臣 障害者の皆さんの所得保障ということにつきましては、障害者の地域における自立した生活を考える上で重要な問題だと当然認識をいたしております。

横路委員 それで、その所得保障の研究を進めてという話なんですが、大体これはいつごろをめどにしてやるんですか。めどをはっきりしてもらわないと、所得保障について研究します、その上で審議会に場合によってはかけますというような話では、これはだれも納得しない話でありまして、いつをめどに所得保障、これは本当は、来年の十月ぐらいからいろいろなものが制度全体に動くわけですから、本当はそこまでにやるべきだと私は思いますけれども、大臣、いかがですか、いつまでにということ。

塩田政府参考人 障害者の所得保障の問題は障害者福祉の大変大きな課題でありまして、これは何度も御説明しておりますが、昭和六十年に大変……(横路委員「いい、中身は」と呼ぶ)ということで、今後とも、どういう形で就労を含めて障害者の方に収入を確保する道をとるかということについては重要な課題でございます。

 この法律を通していただければ、三年後に見直し規定がございます。それの間に、利用料負担の現状とか、あるいはその後の就労移行の状況とか、いろいろなことを勘案しながら、厚生労働省としてどういうような対応が必要かについて検討したいと考えております。

横路委員 今の答弁は、三年後までには見直しをしますというように理解してよろしいんですか。

塩田政府参考人 今度の法案で新たな利用料負担をお願いいたしますし、それの実施状況とか、あるいは先ほどから御説明しております就労の状況とか、またこの委員会でも議論のある介護保険との関係とか、いろいろな要素を総合的に勘案して、どういう形の障害者に対する福祉サイドからの対応、所得保障の対応が必要かということについて検討する必要があると考えております。

横路委員 もう一度、だから、いつまでにやるんですか。

 三年後、介護保険、いろいろと対象者を拡大するとか負担する人間も拡大をしていくというようなことならば、そこならそこを目標にするというのをちょっと明確にやってください。今のお話だと、これからこの法律がもし通って運用していけば、それはいろいろなことがはっきりしてくると思いますけれども、しかし問題は、所得保障の問題。だから、そういう状況を踏まえた上でどうするかということですよ。三年なら三年後までには検討しますということを、これは大臣、ちゃんと約束してください。

尾辻国務大臣 そもそも所得保障ということは大変大きな課題であるということは申し上げておるとおりでございます。私どももそのように認識をいたしております。

 ただ、今度のこの所得保障ということが改めて御議論になっておりますのは、このたびの自立支援法案において御負担をお願いするというようなこともございますので、そうしたこととの関連でもこの問題がまた御議論になっておるところでございますから、そうした両面をにらみながら検討させていただく、それを三年後の見直しのときにというふうにお答え申し上げておるところでございまして、次の見直しのときにはそうしたものを含めてきっちり見直しをまた私どもさせていただくつもりでございますから、そういう意味では三年後には答えを出させていただきます。

横路委員 もう一つ、「本人が負担できない場合に家族に負担が及ぶことは避けてください。」という要望になっています。

 これはもう随分議論されています。低所得者に対するサービスにかかわる月額負担の上限は障害者と生計を一にする世帯の所得に応じるというぐあいになっているわけですが、もう既にいろいろ議論があり、あと、また各党の意見もそうなんですが、生計を一にする者の範囲というのはやはりかなり限定すべきである、配偶者ぐらいに限定すべきである、こういう意見が大体国会の意思だというように思います、これまで審議してきて。

 これは大臣、いかがですか。やはりそういう方向でやっていただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 今までの支援費制度の場合につきましては、費用負担、これは障害者本人だけではなくて一定の扶養義務者にもお願いをしているところでございましたが、今回は、扶養義務者の負担を廃止しまして、本人のみ法律上の負担義務者ということをさせていただきました。さらに、その上できめ細かな低所得者の対策を講じるということをしております。

 利用者本人の負担につきましては、世帯単位の所得に応じて負担の限度額を設けるということにしておりますけれども、経済的な面において世帯の構成員がお互いが支え合うという家庭の中での実態がございますことを含めて考えまして、生計を一にする世帯全体で負担能力を判定するということを提案させていただいているところでございます。

 生計を一にする世帯の範囲につきましては、種々この委員会でも御議論がございましたけれども、今後具体的な検討を進めるということにさせていただいておりますが、その際、今回のこの利用者負担の見直しの趣旨、こうした意見を踏まえて検討を行って、具体的な範囲それから基準について考えてまいりたいというふうに考えております。

横路委員 これは自民党や公明党の方の障害者自立支援法についてのいろいろな意見の中でも、そこは限定すべきだという意見ですよ。国会の中はみんなそうじゃないですか。これから検討するなんという話じゃなくて、これははっきりさせてください。

 要するに、これはやはり父母とか兄弟を除くということで、配偶者に限定するということですね。障害児の場合は、これは親があれですから、ということはありますけれども。

 どうですか。これはもう今ここに来て、まだこれから検討するなんという話じゃないじゃないですか。最初に部長は、国会の審議を見て私ども考えますなんて言っていました。もうずっと議論をやってきて、みんな共通している意見なんですから、はっきりさせてください。

西副大臣 再度の御質問でございますが、今回、この範囲につきましては、今後具体的な検討を進めさせていただくということで御勘弁をいただきたいと思います。

横路委員 副大臣、国会の意思はわかりますね。

西副大臣 国会の意思といいますか、委員の個々の皆さん方の御意思については十分承知いたしております。

横路委員 では、それを踏まえてやっていただきたい。よろしいですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 そのことも十分勘案して議論をさせていただきます。

横路委員 もう一つ、「働きながらの費用負担も納得できません。」これも全くそうだと思いますね。

 例えば、現在、授産施設や福祉工場などで利用者負担はありません。しかし、今度の就労移行支援とか就労継続支援として利用する場合には一割負担なんですね。

 福祉工場の場合は、これは雇用関係になるんでしょう。労働関係の法令が適用されるんでしょう。そうすると、そこでもらうお金に対して一割負担というのは、これはどういうことなんですか。これは昔のタコ部屋みたいなものですよ。こんなことが許されますか。

塩田政府参考人 御指摘のありました、雇用契約にある福祉工場型のタイプのものについては、この委員会でも御答弁したことがあると思いますが、社会福祉法人の判断で個別減免をしていいという制度にしたいということで申し上げております。

横路委員 いやいや、事業主の判断によるではなくて、おかしいんじゃないかと言っているんです。雇用関係にあるところから利用料を取るというのはおかしいんじゃないですか、労働関係の法令からいっておかしいんじゃないんですかと言っているんです。

塩田政府参考人 雇用して働いているという側面とこの法律に基づいて福祉サービスを受けている側面、両面がありますので、その両面のバランスをどう判断するかの問題かと思いますが、雇用契約がある場合には福祉サービスの負担はしていただかなくていいのではないかという政策的な判断をしているつもりでございます。

横路委員 それだったら、事業主の判断によるではなくて、負担はしないということじゃないですか。雇用関係にあるのは負担しないのが、労働関係の法令からいってもそのとおりですよ。そして、人はそれぞれいろいろな働き方があるんです。分けてしまうのはおかしいんですよ。

 まずこの福祉工場について、大臣、これは雇用関係にあるんですから、従業員なんです。そこからお金を取るというのは、これは労働関係の法令上からもおかしいですよ。これはもう取らないということをはっきりさせてください。

尾辻国務大臣 部長からもお答え申し上げましたけれども、全体の整合性といいますか、施設を使っておられるという、その福祉という観点からの見方、これもございますし、また、そうした立場で利用料として払っておられる方々との公平性といいますか、そうした面のことを考えますと、今部長がお答えしたのが私どもの考え方でございまして、ただ、そうした中で、雇用関係にあるということは、そのことを配慮した措置はとる必要があるということで、これまた部長がお答えしたことを私どもは言っておるわけでございますので、御理解いただきたいと存じます。

横路委員 そうすると、事業主の判断で減免しない場合もあるんですか。

塩田政府参考人 理論的にはあり得ると思いますが、議論しているように、今回の雇用契約を結んだ福祉工場型のタイプの事業の性格からして、減免することが望ましいと私は思っております。

横路委員 これは、雇用契約、雇用関係というのは、事業主と従業員という関係で、労働関係の法令が適用されます。そして、働いた賃金から事業主が勝手にカットするということは、これは許されない話です。働いた分ちゃんと払うという契約になっているわけです。ですから、このところはおかしいですよ、これは。おかしいですよ。

 これから福祉工場をふやしていくわけでしょう、皆さん方の、小規模作業所をどうするかということの議論の中でいろいろと聞いていますと。ですから、大臣、これはちょっと検討してください。

尾辻国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、私どもとしては、福祉と就労というこの両面から当然考えるべきことであって、また、そうした中での判断をいたしましてお答え申し上げているところでございますけれども、今いろいろ御指摘のこともございますので、またいま一度整理してお答え申し上げたいと存じます。

横路委員 実は、授産施設だって……(発言する者あり)

 それでは、その回答をいただいてから、また改めて議論させていただきたいと思います。

 その場合、授産施設だって就労の場なんです。ですから、ある意味でいうと、授産施設だって同じように扱うべきだと私は思います。皆さんの検討の結果を見てから議論したいと思います。

 それで、「働きながらの費用負担も納得できません。」ということで、もう一つ、工賃、定率負担の個別の減免にかかわる収入認定で、工賃は基礎控除三千円というんですね。三千円というのは、これは何ですか。生活保護の三千円に連動させたんですか。生活保護と障害者とは違いますよ。できるだけ働きたいという障害者の人たちの気持ち、しかし、平均の工賃といったら、せいぜい七千円とか一万円ですよ。たった三千円、控除が。こんなの八割とか九割、本当は掛けるのがおかしいと思いますけれども、三千円というのはちょっとよくわかりません。これは説明してください。

塩田政府参考人 就労している方々とほぼ同じ生活層の方々の出費が六万九千円というデータがありまして、それと基礎年金の六万六千円を比較して、とりあえず基礎控除三千円というのを仮置きしたということでありまして、工賃を御本人の収入認定の際にどう扱うかについては、なるべく工賃が残るような工夫ということが必要だと認識をしております。また、そうしたいと思います。

横路委員 あなた、障害者の人だって、生活、いろいろと楽しみたいことだってたくさんあるんですよ。それを、今のは何ですか。理由が全然わかりません、こんなところで三千円カットなんというのは。

 大体、七千円とか一万円に掛けるのがおかしいんですよ。これは、せっかく働いてやったんですから、それは上乗せ部分で認めればいいじゃないですか。六万六千円に、一万円働いたら一万円を全部認めてあげればいいじゃないですか。どうですか、大臣。みんなそれを楽しみにして、一生懸命通っている方がたくさんいるんですよ。何とも冷たい話だと思います。

塩田政府参考人 障害者の方が働いて得た工賃ができるだけ手元に残るような配慮をしたいということでありまして、三千円はカットじゃなくて控除ですから、まず三千円は残るようにし、さらに工賃は相当部分が残るような配慮をしたいということでございます。

横路委員 今の話は、例えば一万円だったら、三千円控除して七千円、七千円の一割負担ということではなくて、そこを配慮したいということなんですね。それでないと配慮にならぬでしょう。

塩田政府参考人 今私が申し上げたのは、グループホームから通所授産施設に通っている場合のケースで申し上げたところでございまして、いろいろなケースがあると思いますので、一概に申し上げることはできません。

横路委員 そういう答弁だから、障害者の人は不安になるわけですよ。グループホームに入っている人もいれば、自宅から通っている人もいるし、いろいろな人がいるわけですから。

 だから、そういうところを今のような形をとるならば、それはみんな、ほかもとったっていいじゃないですか。ほかもとったっていいですよ。そんな、二十万も三十万も稼いでいるという話なら別ですが、一万とか、せいぜい二万か三万ぐらいの話なんですから。それぐらい手元にちゃんと残して、一割を取るようなことをしないでやられたらいいじゃないですか。もっとも、減免のところは、少し、一割よりは小さくするということだったですね、今までの説明は。(発言する者あり)三角と四角のところですか。

 だから、そこは、働いた人たちの工賃は手元にかなり残るという制度設計にいたしますということを答弁してくれればいいです。

塩田政府参考人 繰り返しになりますけれども、工賃がなるべく手元に残るような制度の仕組みにしたいということでございます。

横路委員 あと、また、政省令の事項でしょうから、議論をいたしたいと思います。

 これは要望十一項目のうちの、まだ今これから三項目めなんです。「難病や発達障害、高次脳機能障害といわれている人びとなど、すべての障害を障害者自立支援法の対象としてください。」

 先ほど、検討するという部長の答弁でした。これもいつまでに検討するんですか。スケジュールをはっきりさせてください。

塩田政府参考人 まず、この要望書に書いてある障害についての意味を申し上げたいと思います。

 例えば高次脳機能障害の方、今は精神障害の手帳をとるか身障手帳をとるかによって受けるサービスが違うということでありますが、今度の法律では精神、知的障害一本にしましたので、高次脳機能障害の方は障害者自立支援法のサービスを大変受けやすくなったという、一歩前進の面があると思っております。発達障害についても、今回、きょうの御答弁でも申し上げたとおり、精神障害に該当しますので、障害者自立支援法のサービスの対象にはなり得るということでございます。

 いずれにしても、かなりの前進ではあると思いますが、引き続き谷間にある障害があることは事実であります。これについても、これから介護保険との関係の議論とかいろいろな議論がありまして、三年後に見直しがありますので、それまでには結論を得たいと考えております。

横路委員 四項目めは、「非定型的支給決定の審査」なんですが、例えば、施設に入っている人が地域でこれから生活をしたいというような希望を持っている場合には、これはどういうことになるんでしょうか。非定型の支給決定というのは、何か市町村が想定しているものを超えた場合というようなお答えを今までしていますけれども、例えば、今まで施設に入っている人が地域で生活したい、そのバックアップをお願いしたいんだというような場合には、これはどういうことになりますか。

塩田政府参考人 新しい制度では、重度を持つ方々へのサービスの類型で、包括支援の枠組みとか重度の方への訪問の介護の仕組みとか、いろいろな仕組みを導入しておりまして、そこで障害程度区分と必要なサービスの量の目安というか基準を示すことにしております。

 それぞれの市町村でこういう障害の方にはこの程度のサービスという基準をつくると思いますが、施設から地域に帰る方、いろいろな方がおられると思いますが、多くの方は多分市町村が設定した基準の枠内で対応できると思います。仮に、あらかじめ市町村が決めた基準の枠外の方があった場合には、そのサービスについては、市町村としては、公平かつ中立の立場の人の御意見を聞いて、その方に合ったサービスがどういうものが必要かという、むしろその方をバックアップする観点から市町村はされると思いますので、そういう非定型的な場合、市町村も納税者に対して説明の義務がありますから、そういう意味でも市町村はそういう審査会を活用していただけると思います。

横路委員 その障害区分とサービスの提供の中には、では施設から地域へという場合の形もつくられるわけですね、施設から地域へ行きたいという重度の人の場合でも。

塩田政府参考人 地域で暮らす方には、ずっと地域で暮らしている方もあれば、入所していた施設から地域へ戻る方もいると思いますので、それは市町村がそういう類型もつくられるのではないかと思います。

横路委員 市町村がつくられるんじゃなくて、基準は国がつくるんじゃないんですか。違いましたか。市町村で自由にできるんでしたか。国が基準をつくるんでしょう、障害区分は。そして、市町村の方はいろいろと調べて、その結果、何人ぐらい該当する人がいるかなということでもって全体の枠を決めるんだと思いますが。

 ともかく、施設から地域へ出たいという人たちの希望がかなえられるような、やはりこれはそういうたくさんのサービス、複合的なサービスが必要になりますよ。そうすると、今までのお話の障害区分ですと、どうも何かそこがはっきり見えてこないので、そういうことの区分もしっかりつくってやっていただきたい。

塩田政府参考人 一人一人の方にどういうサービスが必要かは、最終的に市町村が決めるわけですけれども、まず、障害程度区分で、客観的な物差しでどれに該当するかを判断しますが、それだけで市町村がサービスの量を決定するのではなくて、その方に介護する方が、家族の方とかがいるのかどうかとか、住まいの状況はどうだとか、その方がどういう希望を持っているかとか、いろいろなことを総合的に勘案して最終的に市町村が決定する、そういう仕組みになっております。

横路委員 そうすると、本人は地域で生活したいと思っても、市町村がだめだと言う場合はあるんですか。あなたは施設に入っていなさい、こういうことを強制できるんですか、今のお話を聞いていると。

塩田政府参考人 市町村の役割というのは、地域の住民の方の生活を守るということでありますので、当然、市町村長がそれぞれ的確にきちんと判断されて対応されると思います。

横路委員 しかし、あなたは調査自身も何か丸投げするのを認めるようなことをやっておいて、そんなことになりますか。だから、ちゃんとそこは、施設に入っている人が地域に出たいと言った場合に、その希望をかなえてあげるような、そういうサービスを提供するのがやはり大事じゃないですか。違いますか。かなり重度の人だって、今、ほとんどベッドで生活している人でも、ストレッチャーで出てきていろんな会合で発言されている。頑張っている人はたくさんいますよ。それを支援するのが仕事じゃないんですか。

塩田政府参考人 重度の障害を持つ方の支援をどうするかというのが今回の法案の柱の一つでありまして、そのための重度の方のサービスのメニューも幾つかイメージしておりますし、それに必要な基準をつくり、市町村がそのサービスをきちんと提供できるようにするための仕組みはどうかということで考えているつもりであります。

 裁量的経費じゃなくて義務的経費で介護の部分についてはきちんと国と都道府県が支援をする、介護の基本的な部分について国と県が市町村をサポートする、そういう仕組みの中で、今まで以上に市町村が重度を持つ方のサポートをしやすくなる環境整備につながっていると思います。

横路委員 今のお話ですと、重度の障害者の人が地域で生活するという意味では、今まで以上にサービスは充実する、今部長はそう答えられました。そのように理解してよろしいんですね。

 そして、やはり本人の希望。ですから、障害者の人たちが、障害認定を受けるに当たって本人の意見を聞いてほしいというのをずっと主張されているわけですよ。本人の希望がある。その希望と市町村が違う決定をするということもあり得るわけですか。しかし、できるだけ本人の希望をかなえるように市町村は努力すべきだと私は思いますが、そういう指導は市町村にはされないんですか。

塩田政府参考人 市町村の役割というのは、住民の方との関係で必要なサービスをどうやって提供するかというのが市町村の本来の役割であります。個別にはいろいろなケースがあると思いますので、国の立場からあれこれと言うよりかは、市町村がきちんとそういうサービスを提供できる仕組みをどうつくるかというのが国の責任だと思いますし、市町村においてそれはきちんと住民の方一人一人に面接し、いろいろな関係者の意見を聞いて適切な結論に到達していただけるものと思います。

横路委員 国庫補助は、補助金額は区分の障害者の人数掛ける基準額が上限で、しかも、細分化された障害程度区分ごとに独立した計算をして上限とするというようなことが今までのお答えだったかと思いますが、区分間の流用を認めないというならば、それで十分対応できるだけの可能な基準設定をやはりするべきだというように思いますが、その点はいかがですか。

塩田政府参考人 市町村が適切なサービスを提供するのに過不足のない国庫負担基準にしたいと思います。

横路委員 次に、移動の問題です。これは六番のところですね。重度障害者が五番、六番が移動介護。

 移動介護は、地域で生活するという上での不可欠な要素なわけですね。しかし、実際は地域の格差が非常にあって、その体制も不十分だということで、大臣のお答えですと、地域の市町村には移動介護については義務化するということで、先日御答弁がありました。だから、みんなにやるようにちゃんとやりますよということだというように思います。

 その場合に、進んでいるところは非常にサービスの内容も充実してきています。しかし、そうでないところは従来かなり枠をはめてきたんですね。例えば、ほかの市町村に行くのはだめとか、どこか遊びに行くというようなときはだめですよとか、病院でなきゃだめだとか、時間もこれだけ制限するとか、いろいろありましたが、やはり移動介護の場合、本人のニード、本人が何を望んでいるかということが大切なわけであります。

 したがって、やはり基本というのは本人のニードを第一に考えるということでよろしゅうございましょうか。そのように、ぜひ移動介護、これも個別給付の部分以外は市町村の地域生活支援事業になっているわけでございますけれども、この移動介護というのは本当に自由でなければいけないというように思っておりますが、この点はいかがでしょうか。

塩田政府参考人 重たい障害を持った方の移動介護については、個別給付として義務費として対応するということでありますが、比較的障害の軽い方が社会参加とかいろいろな目的で移動されるときの介護については、地域生活支援事業に位置づけているということでありまして、これにつきましては、地域の実情に応じて自治体が、こういう場合にはこういうヘルプというか、実情に応じて御判断していただける仕組みとしております。

横路委員 そうしたら、市町村はいろいろと枠をはめようと思えばできるということですか。昔に戻るんですか、支援費の前の状況に。つまり、こういうときはだめだとかいいとか、時間はこうだとか、ほかの市町村に行くのはだめだとか、何かそういう枠をはめることは市町村の自由だということですか。そうじゃないでしょう。

塩田政府参考人 今回の新しい提案というのは、現在の支援費制度の持つ問題点を解決するという観点から提案しているところでありまして、現在の個別の給付ということであれば、障害者の立場に立っても、市町村においてあらかじめ予期できないようなサービスニーズに臨機応変に対応できない問題でありますとか、一人一人の介護ではなくて、複数が利用するときにうまく対応できないとか、そういった趣旨で導入しておりますので、その趣旨を勘案して市町村において柔軟に障害者の立場もちゃんと考えた上で御判断をしていただけるものと思います。

横路委員 それで、この地域生活支援事業の中で、移動介護でありますとか、地域活動支援センターでございますとか、手話通訳などのコミュニケーションなどがありますね。これは、予算はどういうぐあいにするんですか。積み重ねでいくんですか、丸めてになるんですか。つまり、例えば小規模の授産所、作業所などを見ていますと、この地域活動支援センターへの希望が非常に大きいですね。移動介護も多分需要はこれからふえていくと思います。それは、予算そのものというのは積み重ねでいくのか丸めてやるのか、それはどういうぐあいに考えているんですか。これは非常に大事なところだと思います。

塩田政府参考人 義務的経費の部分についてはかなり今回問題が解決しましたが、いわゆる裁量的経費の部分でありまして、市町村においてこの事業をしっかりやってもらうためには、できるだけたくさんの予算を確保し、国としてできるだけ多くの補助金を確保するということが大事だと思っております。どういう形にするかについては、来年度予算編成過程で関係者とよく協議をして結論に到達したいと思います。

横路委員 今のところ、そこはまだ結論は出ていないということなんですね。

 しかし、移動介護などは、市町村がやった分については、全部これはちゃんと国庫のお金も出るようになるんでしょう、大臣。間違いないですね。

塩田政府参考人 制度上は予算の範囲内で補助できるという対象であります。しかしながら、精いっぱい予算を確保することによって、市町村の超過負担がないような、そういう姿勢で取り組むべきテーマだと思っております。

横路委員 最後ごもごもと言って、何かよくわかりませんでしたが。

 それで、まだほかにも、ここでコミュニケーション、それから自立支援医療費などたくさんありますが、ちょっと最後に十一番目、「障害児福祉に関して、発達・育成期にあることをふまえて、現行の公的責任による施策を維持してください。」先ほどの吉野さんの質問にもありましたが、私も、早期発見、早期療育ということが非常に大事だと思うんですね。この法律は障害が認定された人が対象になっているわけです。

 しかし大臣、グレーゾーンがあるわけですね。最近は一歳半健診がかなりしっかり行われるようになってきましたが、それでもそんなに専門の人たちがいるわけじゃないわけです。ダウン症のように割と早い時期にはっきりする子供もいますけれども、軽度の自閉症などの場合なかなかわからない。そうするとお母さんが、子供が生まれて、何か少し子供がどこか障害があるんじゃないかと心配になって、あっちに行ったりこっちに行ったりするということが現実としてあるわけですね。そのときに、どういう形の仕組みをしっかりつくるのかというのは、大変大事なことです。

 相談する仕組みというのはいろいろと今までもあるわけなんですけれども、やはり早期発見、早期療育の仕組みの中、システムを考えるということが一つと、グレーゾーンの例えば療育ができるように、つまり、障害が認定されていない子供や親も、例えばデイサービスに通うことができるようにすべきではないかというふうに私は思うんですね。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 私も先日、発達障害児、子供たちの集まっているところにも行ってみました。それで、五目並べをして遊んだりして帰ってまいりました。そのときに、保護者の方々ともいろいろなお話をいたしました。今先生御指摘のとおりのことを口々に訴えておられまして、大変重要なことだというふうに認識をして帰ってきております。

 今回の自立支援法の中でもそうしたことには十分配慮しながらやっていかなきゃいかぬというふうには思っておりますけれども、あと具体的なことについては部長からお答え申し上げさせますので、お聞きをいただきたいと存じます。

塩田政府参考人 障害児のサービスについては、現行の制度でも、障害手帳とか認定されていなくても、必要に応じて例えば発達障害の方でもデイサービスを受けられるとか、柔軟な運用をしておりますが、それについては、今後ともそういうことで運用をする必要があると考えております。

横路委員 これで終わりますが、早期発見、早期療育の仕組みというのをやはりしっかりつくることが必要です。いろいろな制度がたくさんあるんですけれども、どうも統一されていないというように思いますので、お母さん方が心配になったときに、ここに行けばすべてそこで解決できるという仕組みをぜひつくっていただくようにお願いして、私の質問を終わります。

鴨下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。泉房穂君。

泉(房)委員 それでは、今から一時間質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 障害者の問題についてこの間さまざまな議論がなされてきておりますけれども、私が一番率直に感じますのは、本当にこんな大事なことを、当の障害者それぞれの方のお気持ちや思いというものをしっかりと受けとめること、私からすればまだなく、もう採決して前に進めていいのか、そういった思いであります。大臣の方も施設の方に訪問されるなりされているということは聞きますけれども、私からしますと、短時間そういったところに行って、その風景に接して、保護者と少しの意見交換をしたということだけで十分なのかという疑問がぬぐい切れません。

 この間の議論を聞いておりまして、すごく感じますのは、どうしても、厚生労働省、大臣も含めてでありますけれども、物事をいわゆる上からといいますか、お金の帳じり合わせとか制度の整合性とかいったことにすごくこだわっておられて、本当に生活しておられる、生身の、一人一人のそのお気持ちや悲しみや怒り、そういったものをどの程度酌み取って考えておられるか、そういうことに率直に疑問を感じざるを得ません。

 そしてもう一点は、家族というものに対する考え方であります。

 障害者にとっての自立と社会参加の最大の壁は、あるとき、家族であったりすることもあるわけであります。悲しいかな家族が権利侵害の加害者になってしまう、そういったこともあるわけであります。家族というものに対してどうとらえるか。厚生労働省はこの間、非常に家族単位で物事を考えてこられた経緯はあるのかもしれませんけれども、本当に障害者の自立や社会参加というのであれば、家族からの自立、家族に負担を押しつけるようなことではない形での社会参加といったことをちゃんと考えていかなきゃいけないんじゃないか、この二つのことを強く強く感じる次第であります。

 残念ながらといいますか、人間というものはだれも、本人は本人であって、他人にはなれません。私自身も、いわゆる障害というものを自分自身が抱えているわけではありませんので、そこは、そこに対してどの程度身を寄せて思いをはせるのか、想像力を働かせるのかということに限らざるを得ません。それは厚生労働省の御検討される方も、大臣も含めて、そこには一定の限界があろうかと思います。

 ただ、私自身、どうしても厚生労働省のお考えになじめないのは、私も、この場にも何人かおられると思いますが、身内に、障害を抱えた方と一緒に、生活をともにした方もおられると思いますが、私も四つ下の弟が生まれつきの先天性の脳性麻痺で生まれ、私が四歳のときから私の家族もそういった中で生きてまいりました。

 二歳のときには、一生立てません、起立不能ということで身障の二級の手帳を交付され、その後家族でリハビリに通い、四歳のときに立ち上がり、五歳で歩き出しました。六歳になって小学校に通うときに、行政から養護学校に行けと言われました。本人も私も親もですが、どうして歩きにくいからといって近くの学校じゃなくてほかの学校に行かなきゃいけないのかという思いから、すごく抵抗しました。

 その結果、お兄ちゃんである私と一緒に通学をする、そして事故があっても学校や行政の責任を問わない、そういう条件のもとに、兄弟で毎日学校の通学をしたものです。そういったときに、私として、物すごく周りに対して怒りや憎しみや、また悲しみや悔しさや、そういった思いで子供時代を自分なりには過ごしました。

 しかしながら、そういった私ではありましたが、その弟が二年生のときに、運動会に出たいと言ったときに、私は必死でとめました。歩いて間もない弟が運動会に出たところで、走れるわけもないし、また周りに迷惑もかかるし、みっともないし、そういった思いで私は必死にとめました。でも、弟はそれを振り切って運動会に出ました。当然びりっけつです。私はそれを見て、最初は恥ずかしいと思いました。しかしながら、その後、弟が本当にうれしそうな顔をして走っているのを見て、本当に自分という、兄貴でありながら何もわかっていなかったなと本当に涙を流しました。

 本当の幸せというものは本人にしかわからないのであって、たとえ家族であったとしても、弟のことを思うからこそ、みっともないことをさせたくないし、惨めな思いをさせたくない、まだ無理だからやめておけと家族としては思ってしまいます。でも、本人はその家族を振り切って、たとえびりであっても走りたい、そう思っているんだと私は小さな子供心に感じたわけであります。

 私は、自分のつたない経験の中でしか物事を発想できませんので、やはり、それぞれ障害者といっても一口ではなく、一人一人違います。その一人一人の悲しみや悔しさや、そういった思いをもとに施策というものを考えていかなきゃいけないのではないか、そして、家族というものに対して、ある意味、一種、家族というものも本人ではないんだ、そういったことをしっかりと受けとめて施策を考えるべきじゃないか、この二つを強く感じる次第です。

 少し長くなりましたが、私としては、視点としては、いわゆる上から、制度論や財源論ではなくて、やはり当事者の一人一人の立場から施策を考えていく、そして、家族単位ではなくて、当の本人、一人、その人にという、自立したその一人という、その方に着目して施策というものは進めていくべきである、そのような総論を考えておりますが、この点、大臣のお考えをお聞かせください。

尾辻国務大臣 改めて大変大事なお話を伺わせていただいたと思います。弟さんにそういう方がおられる先生のお気持ちは、まさにそのとおりだろうと思ってお聞きをいたしました。

 今お話しになりましたように、私のすぐ近くの身内にそういう者がおりませんから、その気持ちはわからぬだろうとおっしゃれば、そのとおりでありますというふうにしかお答えできないところでございます。そうしたそれぞれの、みんなで思いを持ちながら、こうした問題、それであってもこの問題に対しては真剣に取り組んでいかなきゃならない、そういうふうに考えるところであります。

 今、今度の支援法について私どもが御説明申し上げるときに、財源論であるとかあるいは制度論であるとかというようなことから説明するではないかというお話がございましたが、それはまたそのとおりでございます。そういう御説明を申し上げておることを否定するものではございません。

 そしてまた、どうしても、全体として施策をお預かりする私たちの立場からいうと、金さえあれば本当にいろいろなことをやりたいわけでありまして、その思いにおいては人後に落ちないつもりでありますが、限られた財源の中でどうするかということをいつも考えております私どもの立場からいいますと、やはり財源も無視できないといいますか、極めて大事なことでありますし、また、そうした全体を組み立てますときに、制度の中での、他の制度との整合性というのも図らなきゃいけないということでございまして、そうした立場から御説明を申し上げておることは、改めて申し上げますと、そのとおりでございます。

 ただ、それと障害者の皆さんお一人お一人のことを考えることが、これは反するものではないというふうに考えておりまして、これは別個のものでもないと思っておりますから、両面を見ながら私どもは施策を考えていくべきだというふうに考えております。

泉(房)委員 大臣もおっしゃいましたが、別に矛盾する話ではありません。お金の財源論も大事です、制度の整合性も大事です。しかし、それと同じかそれ以上に、やはり本人の気持ちとか本人の立場に立った施策を考えるという姿勢も大事だ、私はそういうことを言いたいわけでありまして、その点を重ねて、冒頭、スタートとしてそのことをお話しした後に、入りたいと思います。

 この間、この問題については所得保障の問題も随分議論をされてまいりました。負担を障害者の方にお願いするということであれば、その前提として、まずはしっかりとした所得保障施策をとるべきではないかという視点であります。所得保障といいましても、本当はいわゆるお金だけの問題ではありません。総合的な住宅施策やトータルな問題であることは当然であります。就労支援の問題も重要であります。

 そういった中、この間議論がなされてまいりましたが、本日、私としては、この所得保障については、我が国においては、いわゆる障害年金を受け取っておられない、重度の障害があって、社会的事実に着目すれば全く同じような社会的なハンディを背負っているにもかかわらず、国の制度の理由によりまして所得保障を受けておられない重度障害者がたくさんおるのではないか、この問題についてまず御質問したいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいんですが、我が国において、障害年金受給の可能性のある、いわゆる社会的事実に着目したときの重度障害者、そのうち、障害年金や昨年暮れに成立したいわゆる特別給付金、そういったものを受けておられない方が一体どれぐらいの割合おるか、御存じであればまず答弁願います。

尾辻国務大臣 無年金障害者の割合ということで、私どもが持っております数字で申し上げますと、障害基礎年金受給権者の方というのは百五十八万人おられます。かつて前大臣の坂口大臣が坂口試案というものを出されたときの無年金の障害者数は十二万人でございます。したがいまして、百五十八万人とこの無年金障害者数を足すと、百七十万人になります。

 これを分母として、今の十二万人から、特別障害給付金の対象となる学生の皆さんだとか被扶養配偶者が幾らになるかといいますと二万四千人でございますから、この二万四千人を引くと九万六千人、この皆さんを無年金障害者だというふうにいたしまして、これを分子にいたしますと、約五・六%という数字になります。

泉(房)委員 本日の配付資料のAの一をごらんいただければ同じ話ですけれども、五%、パーセントという言い方はあれですが、例えば重度の障害をお持ちの方が一つの場所で百人集まったとするならば、そのうち九十五人が何らかの形で、不十分だという批判はもちろんありますが、所得保障を受けておりますが、百人のうち五人の方が全く受けていないという状況が今あるわけであります。

 この所得保障の問題というものは、今受けている方の所得保障が十分であるかという問題も当然大事な問題であると同時に、受けていない方がこんなに、五%以上もいるこの社会、この国のあり方、制度というものはどうかという、このことを私は問いたいわけであります。

 昨年の暮れに、無年金障害者に関する一定の法案が成立をいたしました。しかしながら、その対象者は、今大臣もおっしゃったように、二万四千人。その全員が支給を受けたとしても、五%以上の方がまだ何ら所得保障を受けられていない状況にあるという厳然たる事実であります。

 裁判も行われ、地方裁判所では三つもの違憲判決が下されました。もちろん、司法的判断としての違憲というものは、いわゆる政治的判断を超えて、さすがにそればかりは余りにもひどいというときに出るのが違憲判決です。仮にそれが違憲に至らなくても、政治的に妥当か否かということを考えたときに、明らかに妥当でない状況が今あるんだ、そういう認識に立つべきだと思います。

 そこで、今も尾辻大臣の方から話がありましたが、前任者の坂口大臣も、この問題、本当に真摯に取り組んでこられました。本日配付の資料のAの四枚目、五枚目、六枚目に坂口試案のペーパーをそのままおつけさせていただきました。今回、質問するに当たり改めて私も、この三枚の坂口試案、坂口前大臣がみずから書かれたと聞いておりますが、この三枚紙を読ませていただきました。

 この後、尾辻大臣にも、この坂口試案についてのお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、時間の限りがありますので全部読みませんが、二枚目、Aの五の「考え方と結論」、真ん中あたりから抜粋して少しだけ読ませていただきます。尾辻大臣、よく聞いていただきたいんです。これは、尾辻大臣の前の大臣の坂口大臣が一生懸命考えて悩んでつくられたペーパーなわけです。

 Aの五の真ん中の下あたり、「考え方と結論」です。「すでに述べた如く、」の後でありますが、こう書かれております。「無年金障害者は本人はもとより、その扶養者である両親をはじめとする親族等は高齢化が著しく、看過できない事態に立ち至っている。」四行ほど飛ばしますが、「学生など任意加入であった者を中心に救済する案も存在するが、」これはまさに昨年の暮れに成立した案でありますが、もう一度読みます。「学生など任意加入であった者を中心に救済する案も存在するが、福祉的措置をとるためには立法化が必要であり、法制上からも対象者は無年金障害者をすべて同様にとり扱うことが妥当であるとの結論に達した。」

 前任者の坂口大臣は、全く所得保障を受けられない重度障害者を放置するわけにいかない、そういうかたい決意のもとに、こういう文書を記されているわけであります。

 次のページです。最後の二行であります。「いずれにせよ、無年金障害者の生活実態は推測の域を出ず、速やかに実態調査を実施して、これらの人達への対応を開始しなければならない。」このように書いてあります。

 尾辻大臣にお伺いしたいのは、その坂口大臣の後を受けて今厚生労働省のトップにあられる大臣として、同じ決意をお持ちなのか、すなわち、重度障害者が所得保障を受けられない、五%以上もの方がそういう状態にある事実をどう見るのか、そして、そのことに対して政治的にイニシアチブをとって対応していく決意があるのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 坂口前厚生労働大臣が坂口試案を取りまとめられ、種々困難な点があっても福祉的な措置で救済を講ずるべきではないかという方向性を示されたことにつきましては、その見識に敬意を表しますとともに、問題意識としても同じ思いを持っておるということを申し上げたいと存じます。

 では、具体的にどうするんだということになりますけれども、まずは、この坂口試案が一つの方向性を示されたこともあり、政治的な立場からは福祉的な救済措置を講ずることが重要な課題として認識をされたということ、そして、それで議論が重ねられた結果、昨年十二月に、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律が、これは議員立法により成立したものと認識をいたしております。

 そういう中で、だんだんに問題は、解決されるべきことは解決され、進んできておるわけでございますけれども、今後につきましては、立法府その他関係者の方々の御意見でありますとか制度全体の整合性等に十分に留意もしながら、検討していく課題であると認識をいたしているところでございます。

泉(房)委員 これは、冒頭私が申しました、制度を理由にして見捨てるのではなくて、制度を乗り越えてやるのが政治家じゃないですか、それが大臣の決断じゃないんですか。

 これは確かに、今も大臣おっしゃいました、年金のシステムは保険のシステムです。その保険のシステムというような制度のことを重視すると、実際上、結論において、保険料を払っていない方に対して支給ができるかという問題にぶち当たります。それは当然わかっているんです。しかしながら、ポイントはその次です。そういう制度の問題があるとしても、現実に重度障害者が所得保障を全く受けられずに放置されて苦しんでおられる状態を看過できるのか。

 そこで考えるときに、そこをどうバランスをとるのかという中で、例えば、この坂口試案は、年金制度の枠内ではきついけれども、だからこそ、そうではなく、福祉的措置として何とかしよう、そして、そうするのであれば、年金制度の制度論を乗り越えるわけですから、すべての無年金障害者を救済できるんだという政治的決断のメッセージを送っておるわけです。

 ところが、今の答弁だと、また制度論の中に入ってしまって、制度を言いわけにして障害者を見捨てるような大臣であってほしくはないわけです。制度を乗り越えてやる、せめてその決意ぐらいはお聞かせいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 今、まさに言っていただきましたけれども、制度でいいますと、どうしても年金という制度の中で解決はできないというふうに考えます。では、福祉という立場から、それを乗り越えて何かまさに政治的な決断ということができないかというお話だというふうに思います。

 私も、ここのところは、きょう改めての御指摘もございますし、坂口試案としてお示しになったもの、そのことに対しての思いというのは先ほど申し上げたところでございますから、私なりにもう一度よく考えさせていただきたいと存じます。

泉(房)委員 そして、実際に昨年の暮れにできた、一部ではありますが、その救済法でありますが、これも実際のところ、本当に今の運用状況はひどい状況です。Aの二をごらんいただければいいわけですが、いわゆる坂口試案によりますと、無年金障害者は十二万人とされております。うち、昨年暮れの法案では二万四千人を対象とした法案となっておりますし、現実、予算も、二万四千人に対しこの一年分をしっかり支給するという予算が組まれております。

 しかしながら、実際のところ、これまでに申請し、受け付けした数はいまだ二割程度です。このことは次のA三の方にも書かれてありますが、新聞記事にもなっております。わずかの一部分にすぎない救済法案でありました。でも、せめてその方々に対しては、予算も確保しておるんですから、ちゃんと受け取っていただいて、まさに今回、応益負担という形で負担を強いる前提として、当然、所得保障の問題は前提条件なわけです。

 少なくとも、新たなことをしろという話ではありません。もう既に法律もできていて、予算も組まれている。ところが、周知徹底がなされていないから利用できていないわけです。これはどう考えるんですか。わずか二万四千人の予算組みをしているのに、いまだ、四月末で四千人台、五月末の統計は、数値は変わりますが、五千七百二十八人と聞いています。これは申請した翌月から支給を受けるわけですから、待つ理由などはありません。当然、この制度を知っていれば必ず申請するはずなわけです、待ったのではその支給がおくれてしまいますから。ということは、もうほとんど周知徹底がなされず、放置されているわけです。

 余りにもひどい状況なので関係者の方で動かれていますが、この間の周知徹底は何をしたかというと、厚生労働省のホームページのトップに載せましたとか、そんなことで伝わるはずがないじゃないですか。どういうふうにして周知徹底させていくのか、そのあたりをお答えください。

青柳政府参考人 特別障害給付金制度についての周知徹底のお尋ねがございましたが、昨年十二月の法律公布以降、例えば市町村の広報誌に掲載をしていただくようなお願いをさせていただきました。また、市町村が窓口になっておりますので、市町村の窓口でのチラシを配布させていただくというようなこと、あるいは今議員の方からも御紹介ございましたが、厚生労働省それから社会保険庁のホームページで呼びかけをいたしまして、制度周知を行ってきたところでございます。また、市区町村の障害福祉の担当部局、あるいは障害者の団体、あるいは事業主等の協力も得ながらこの周知をやってきたところでございます。

 ただ、五月末現在の状況で申し上げれば、御紹介がございましたように、五千七百件が請求受け付け。一方、照会件数で申し上げますと、約二万八千件が照会をいただいておりますので、このうちの五千七百件が請求受け付けに結びついているということかと承知をしております。

 いずれにいたしましても、市町村の窓口では、必要な書類が全部整わない場合でも請求書の受け付けをさせていただくというふうにしておりますので、そういったことも含めて、今後もさまざまな機会を通じて、できる限りの周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

泉(房)委員 本当に、ひどい答弁です。

 市政便り配って、ホームページに載せたって知られないからこうなっておるんですよ。またこの後市政便り出したってしようがないじゃないですか、そんなの。照会件数二万八千、それは、みんなようわからぬ広報だから、障害者がいっぱい問い合わせして、プラスアルファのお金がもらえるかと問い合わせたけれども、あなたは既に障害年金をもらっておられますからだめですというのではじかれておるわけですよ。全然現場も見ずに、移行するように言わぬでくださいよ。移行できるのだったら、もう既に二カ月たっているんですから、二万四千であれば、少なくともそれに近い数字が申請して、支給を受けてしかるべきじゃないですか。問題意識も全然ないし、現場状況もわかっていないんですよ。

 ただ、この点については、これはもう厚生労働の大臣の責任だと思いますけれども、社会保険庁なんかにPRさせたってだめなんですよ。今回、自立支援法案で、一人一人の、世帯単位なのかどうかはさておき、所得を見ていろいろ個別のことをしていくのであれば、まさにそのときにセットで、あなたは所得どうなんですか、給与は幾らもらっていますか、障害年金もらっていますか、もらっていなければ、どうしてもらっていないんですかというふうなことを個々にどうせやっていくんだから、そのときにしっかりと広報するとか組み込むとか、そういったことまで考えないと、市政便り配って、ホームページに載せてほっておったって、全然進まぬじゃないですか。

 このあたり、障害福祉の部署になるのかもしれませんけれども、どのようにお考えか、お答えください。

塩田政府参考人 特別障害給付金制度について、障害者への周知徹底は非常に大事な問題だと思います。障害担当部局でもこれまで周知に努めてきたところでございます。

 しかしながら、先生御指摘の、四月に各自治体でどういう状況になっているかアンケート調査をしましたところ、チラシの配布とか先ほど来議論になっている市の広報への掲載、そういったものについては八割近くの自治体がやっておりましたが、一方、相談支援事業者を通じた周知でありますとか民生委員を通じた周知、障害者団体を通じた周知、サービス事業者を通じた周知については、一割弱の自治体しかやっておりません。そういう意味で、一人一人の障害者に周知がされていないというのは、そのとおりであったと思います。

 改めまして、六月中旬に関係のところに、一人一人の障害者にこういう情報が伝わるように、先ほどあった、事業者を通じての周知とか民生委員を通じての周知等をお願いを改めていたしました。また、先生の御指摘、御提案がありました、いろいろな福祉サービスを受ける際の所得の把握の際に、年金制度等の受給状況、今度の特別立法の制度があるというふうなことについての周知徹底を図りたいと思います。

泉(房)委員 本当に、繰り返しですけれども、新しい法律をつくるとか新たに予算を組むことについては、確かにいろいろな問題があるのかもしれません。でも、今のこのテーマは、法律ができていて、予算も組んでおるんですよ。ちゃんとやってくださいよ。

 そして、この制度が実際四月に始まって、また新たな谷間のような問題が指摘されています。具体的には、今回、いわゆる任意加入の学生さんを対象と言われていましたが、夜間の学生は強制加入だったものですから、当時、昼間に通った方は支給を受けられますが、夜間の学生は受けられません。

 例えば、あとほかに最近よく聞くのは、親御さんが、息子さんが二十になったときに、よかれと思って一たん保険に加入をした。しかしながら、行政窓口から学生は任意加入ですよと言われて、ではもう払わなくていいのかということで、一カ月だけ払って、二カ月目からは学生時代なのでいいだろうと思って特に支払いをしなかった。そのときに事故に遭って障害になられた。こういった方はいわゆる未納扱いになってしまいますので、学生時代に交通事故に遭って重度障害を負っているという事実は一緒ですが、そういったよかれと思って親御さんがした一カ月の支払いによって今回の法案の救済対象にならない、こういう問題が指摘されてきています。

 これは、戻りますが、再度大臣に聞きたいわけですが、今回の法案自体が、いわゆる坂口試案のようにすべての重度障害者の方に対して何らかの所得保障をするという決意のもとに法制度を組み立てず、いわゆるまた切り張りして、谷間を残す形で、一部だけの救済という形にしてしまったがゆえに積み残しがあるというふうな問題だと思います。

 ですので、大臣、改めてお願いしたいのは、この問題は極めて重要な問題です。制度論の問題もあることはわかっています。であれば、せめて検討を、厚生労働省内において何かスタディーグループのようなものをつくって、検討を開始する、その程度のことはお願いできないでしょうか、大臣。

尾辻国務大臣 申し上げましたように、これらの問題は今後とも引き続き検討する必要があるというふうに考えておるものでございます。

泉(房)委員 全然検討してこずに、去年議員立法でやっとできたんですよ。厚生労働省は、坂口大臣は頑張りましたけれども、結局、去年も議員立法だったんですね。それを受けて附則や附帯決議に書き込まれているんです、行政府としても、附則の修正によって検討になっておるんです。それ自体は当たり前なんですよ。

 別に附則のことを答えてほしいんじゃなくて、具体的に厚生労働省としてどういう取り組みをするのかを聞いておるんですから、そこは大臣、お立場、トップなんですから、すぐやりますと言わなくても、検討を始めるグループをつくるぐらいは言えるんじゃないんですか。

尾辻国務大臣 引き続き検討しますということを申し上げたわけでございますから、検討をさせていただきます。

泉(房)委員 ここで押し問答をしてもあれですから、検討するんですから、では、改めて当然また質問しますから、きょうの検討の後のその答えをまた聞かせていただきますので、心して検討してください。

 続いて、時間がちょうど半分ほどになりましたので、次のテーマの方に移らせていただきます。

 これは、近時、非常に社会問題となっております、いわゆる虐待などの問題です。

 今回の障害者自立支援法案、いわゆる障害者に関するグランドデザインとまで言われて、総合的な、本当に大きな話だという形で昨年の秋あたりから聞いておりました。しかしながら、出てきた法案は、本当にお金に関する、サービス提供とその負担をどうするかというところにかなり限定された法案だというふうに私は感じざるを得ません。

 障害者自立支援法という名前をつけるのであれば、まさに自立と社会参加、そういった観点から、いわゆる障害者の自立をどうやって進めていくのか、社会参加はどうやって進めていくのか、そして権利侵害に遭わないように、どういう形で社会全体で障害者の方々のそういった権利侵害を防いでいくのか、これは当然重要なテーマであっていいはずなわけです。

 ところが、今回の法案を見ると、わずか条文が、市町村の責務とまた都道府県の責務に、権利擁護をすることを責務という、本当に抽象的な条文があるだけで、中身は何も書かれていません。そこで、このテーマをこの後お伺いしていきたいと思います。

 この点については介護保険法のときも私は質問させていただきました。本日、ペーパーBの一、二、三、四とずっと配ってある方で、Bの二をちょっとごらんいただきたいんですが、この前私が介護保険で質問したのは、障害者の方は市町村や都道府県の責務、すなわち権利擁護は必須だが、高齢者の方は任意、してもしなくてもいい、これはおかしいじゃないか、だから必須にすべきだというふうに質問をさせていただきました。衆議院の介護保険法の修正によって、ここは任意から必須へと本文修正がなされました。ここはそのように受けとめております。

 しかしながら、今度は、逆に考えると、では、障害者の方については必須だけれども、何をするのか、これは何も書かれていません。この点、介護保険については、もちろん議論はあろうかと思いますが、基本的には、地域包括支援センターというものが五千カ所程度設置され、そこには少なくても社会福祉士のような専門職がこういった仕事を担うという形で、どこのだれがやるのかということは、ある意味方向づけられています。

 ところが、この点、障害者は、必須事業といいながら、どこのだれがするのかということについて何ら記されておりません。この点、どうやって必須事業である市町村や都道府県の責務を具体的な形で現場においてやっていくのか、お答えください。

塩田政府参考人 障害者自立支援法では市町村の責務として権利擁護に関する規定を書いておるわけでありまして、地域生活支援事業の一つとして位置づけているところでございます。

 具体的にどこでというのは法案上書かれておりませんが、市町村みずからやる場合もありますし、一般的には、相談支援事業者の条項がありますけれども、その相談支援事業者に委託して行うということが一般的なケースではないかと思っております。

泉(房)委員 きょう質問しても、具体的な検討がこれまでなされていないので、幾ら聞いても抽象的なことしか言えないのかもしれませんが、ここは私の方から提案で、今回このBのペーパーを配らせていただきました。

 もちろんいろいろな考え方があろうかと思います。ぜひとも御検討いただきたいと思いますので少し説明させていただきますが、Bの一にありますように、いわゆる障害者の問題と高齢者の問題、もちろん違う面はあります、しかしながら、実際上、障害をお持ちの方の親御さんが高齢化していて、まさにその中在宅で暮らしていたときに、高齢者問題と障害者問題というのは極めて密接な問題であります。単純に切り離せる問題ではありません。

 私自身、弁護士になりたてのころ、刑事事件を数多くさせていただいた関係で、何件か家族内における殺人事件の弁護を担当いたしました。その一つの例はこういう事例でした。お母さんが、お父さんが亡くなった後、二人の男のお子さんがおられました。お兄ちゃんは精神障害でした、弟さんは知的障害でした。そして、長らく苦労に苦労を重ねたあげく、結局、精神障害のお兄ちゃんが知的障害である弟に虐待を続けるという中で、それを見かねて、お母さんがその精神障害のお兄ちゃんの首を絞めて絞め殺したという事件でした。お母さんは、絞め殺した後、包丁で自分のお腹を突き刺しました。ところが、それをとめたのが知的障害の弟です。そこで発覚し、逮捕に至りました。

 私は、その事件を通して、本当に悲しくて悔しくて仕方がありませんでした。家族の中で本当に二人の障害のお子さんを抱えて苦労をしたあげく、結局子供の一人を殺してしまった、そういった不幸な事例がやはりあるわけです。

 これは、殺人にまで至るのは確かに多くはないかもしれません。しかしながら、多くの家族において、障害をお持ちであったりとか、また高齢で介護を要するような御家族の中で苦労をしている方は、本当に大変な中やっておられるわけであります。こういったときに、高齢者と障害者との問題を、いわゆる上から物を見て切り離すのではなくて、総合的にどうやっていくのかというのは本当に重要なテーマだと思います。

 そういった意味で、私としては、こういった高齢者、障害者を分けることなく、権利擁護という言葉はちょっと耳なれないかもしれませんが、少なくても、家族の中で殺したり殺されたり、またお金を取られたり、そんなことがないようなことを社会として、公としてどうやってやっていくのかという視点から、しっかりと中心テーマとして位置づけていただきたい、そういった思いで、こういった縦割りではなくて、施策の連携をしていただきたい、そういう思いです。

 そして、Bの二の方に、先ほど示したように、障害者については必須だけれども、具体的な中核機関や専門職はまだ規定されておりません。であれば、新たにセンターや専門職を設置するのも一つの案ですが、それは大臣もおっしゃるように財源論とかいろいろな問題があります。であれば、例えば、地域包括支援センターに社会福祉士がおるわけですから、そこのところでせめて相談ぐらいはできるような工夫をまずしてみてはどうか。高齢者の相談だけは受けるけれども、障害者について受けないという理由もないでしょうし、条文上も、「地域住民」という形で、特に地域包括支援センターの支援対象者が限定されているわけでもありません。理論的にはでき得る話です。例えばそういう検討はできないのかという思いであります。

 そして、その際にぜひともお願いしたいのは、いわゆる地域包括支援センターの場合、三人の専門職が配置されておりますが、これは必須事業の三事業に対応していたものであります。しかしながら、前回の介護保険法の修正で必須事業は四事業になりました。それを、四事業目を社会福祉士一人に両方させるのは余りに酷であります。そして、そういった過度の負担でやれば、実際上、実効性ある支援はできません。

 そういった意味で、ぜひとも、いわゆる権利擁護的な、虐待防止的なことを担うような人を地域包括支援センターにもう一人、それが難しければ、何らかの形で、民間やボランティアを活用するなりの工夫をして、本当にしっかりとやる人を位置づける、そういったことをぜひとも検討いただきたいと思います。

 そして最後に、これは繰り返しですが、こういった権利擁護というのは、上から縦割りで物を見るのではなくて、本当に普通に生活している人が虐待を受けない、権利侵害を受けない、そのために社会としてどうしていくかというテーマですから、高齢者や障害者を分けることなく、また児童も分けることなく、すべからく地域で暮らしている人が虐待を受けないように、権利侵害を受けないようにどうしていくのかという見地から、新たな制度設計をお願いしたいと思います。その際には、児童も支援対象に含むのは当然だという形で私は考えております。

 別にこれにこだわるわけではありませんけれども、ちょっとしたことですぐ今の状況が改善できるわけではありませんから、本当に本腰を入れて検討を始めていただきたい、そのことをお願いしたいと思います。

 そして、このことについてですが、具体的に権利侵害というものを考えるときに、どうしても抽象的過ぎるからこそ、お役所の方も、何か広報をしてパンフレットを配ったらいいんじゃないかみたいに思ってしまうのかもしれません。しかしながら、そういうことで何か改善できるような社会情勢ではありません。最近では、高齢者の分野ではありますけれども、いわゆる悪質リフォームの問題が大きく取り上げられております。

 本日、Cの配付資料でずっと新聞記事をつづりました。私は国会議員になったときから成年後見のことをずっと質問し続けているんですが、その当時はほとんど新聞に載ることもありませんでしたが、この五月あたりから社説ででも、成年後見の普及を図るべきだという形で各紙社説で書かれております。また、新聞記事の一面で、こういった分野についてのテーマの記事が載ることも多くなりました。社会的にもう放置しがたいというような世論形成もなされてきております。

 このときに、具体的な場面を想定して私はそこを考えるべきだと思うわけでありますが、結局、だれから何を守るのか、そして、そのために公が何をしていけばいいのかということを具体的場面で考えなきゃいけないんじゃないか、そのことを強く感じます。例えば、住んでおられる形態も、家族と一緒の場合もあれば施設の場合もあるし、いわゆる擁護者のいないひとり暮らしもあります。それぞれに応じて、やはり対応策は違ってくるわけであります。

 そして、権利侵害と一言で言っても、いわゆる虐待、狭い意味の虐待といいますか、殴るけるの身体的とか、いわゆる性的虐待、心理的虐待、ネグレクト、こういった問題ももちろんありますが、それ以外の、財産侵害、お金をとられるという問題もあります。また、施設において顕著ですが、いわゆる身体拘束という問題も、もちろん虐待に入ると思いますけれども、悩ましい問題としてどう解決すべきだということを考えなきゃいけないと思います。

 そこで、三つの場合について質問していきたいと思います。具体策を問いますので、答えられる範囲でまずはお答えいただきたいと思うんですが、まず一つは、施設における身体拘束です。

 厚生労働省としては、身体拘束はしてはいけません、やむを得ないときに限りますと言っておられますが、そんなことを上から物を言って、それをしてはいけませんと言ったからといって、それでこの問題が解決するはずはないと私は本当に強く感じます。現場に行けば、少ない人員体制のもとに、夜間とか、その中で暴れたりする方がおられたときにどうするのか、やはり身体拘束をするとか、事故を防ぐために身体拘束するとかいうことですごく悩んでおられます。

 例えば、ドイツなどの場合、身体拘束をするには、いわゆる成年後見人、ドイツでは世話人といいますが、その方が同意をした場合は身体拘束をしていい、その同意がない場合は身体拘束はだめだという形で、システムとしてつくっています。

 ポイントは、上から物を見て、してはいけませんなんて言ったところで解決はしないということなんです。どうしてもせざるを得ない場面もあるかもしれない、だからこそ本人の立場でそのことを吟味する、チェックするシステムが必要だ、この視点だと思うんです。ところが、ここが全く厚生労働省は欠落しているとしか私には思えません。

 この点、厚生労働省、身体拘束はだめだというお立場でしょうから、どのようにしてこの問題に取り組んでいくのか、お答えください。

塩田政府参考人 障害者の福祉の立場でとりあえず御答弁させていただきますが、施設などにおける虐待はあってはならないことですし、現に、最低基準でも施設における拘束とかいうのは禁止されているということでございます。

 本人の意思に反した身体拘束を防止するためにはさまざまなことが必要だと思いますが、一つは、施設の中に、苦情解決制度、オンブズマンというのを導入して、その力をかりることでありますとか、いろいろ課題がありますが、公的な監査のときに何か工夫ができないかとか、いずれにしても第三者の目が入るような仕掛けというものが必要だろうと思っております。

 この問題、虐待一般、施設における虐待も含めて、いろいろな問題について有識者で今勉強会をやっております。この中では、議員立法だと思いますが、障害者虐待防止法を制定しようというような議論もしていただいておりますので、厚生労働省として、こういった御指摘のような問題がなくなるような仕組みとしてどういうものを考えるかは真剣に考えていきたいと思っております。

泉(房)委員 今答弁がありましたが、これは私の方から強く申し上げたいんですが、塩田部長のもとに勉強会をつくって、障害者虐待について取り組んでおられることはよく承知しております。

 しかしながら、方向は間違っています。その勉強会が出されたポスターといいますか、要するに、虐待はだめです、してはいけません、そのことを施設にポスターを張る、そんな発想です。そんなことで解決しないんですよ。施設の職員は、虐待したくてしている方はほとんどおりません。やむを得ない大変な状況の中で身体拘束するかしないか、身体拘束しない結果、事故が起こってしまっては保護者からクレームが来る、どうするんだ、そういう中で悩んでおられるわけです。ポスター一枚張って、虐待してはいけませんみたいな発想で解決はしないじゃないですか。オンブズマンにしても監査にしても、施設なんて、監査に行きますと言ったら、事前に準備して、そのときだけあけて待っておるわけですよ。そんな状況で、どこが第三者の目なんですか。

 そうではなくて、個々の一人一人の立場に立って吟味できるようなチェックシステム、そこをつくっていかないことには、この問題は解決しないんじゃないですか、塩田部長。

塩田政府参考人 ポスターを張れば虐待とかがなくなるとか、そういう単純なものではないということは御指摘のとおりだろうと思います。

 それから、虐待とか本人の意思に反する拘束には、いろいろな事情とか背景があると思います。そのためには、職員の資質の向上であるとか意識の向上であるとか、いろいろなことが必要だと。また、先ほどから御指摘がありました、本人の権利擁護という立場に立って、どういう仕組みがつくれるか、どういうような対応ができるか、ぜひ委員にもいろいろなアイデアを提供していただければ、行政の施策に取り込むべく努力させていただきます。

泉(房)委員 次の場面ですが、次は、いわゆる家庭内における虐待といいますか場面です。

 家族が自分の子供に対して虐待、殴るけるするなんというのはもってのほかであります。また、施設における虐待ももってのほかであります。しかしながら、より難しいのは、いわゆる家族によるお金の取り込みであります。

 私も、弁護士をしておりますと、本当にそれを日常的に目にします。高齢者の場合も障害者の場合もしかりです。障害年金を身内が自分の生活の糧に使ってしまっている。例えば障害者の所得保障を充実させたところで、その充実させた所得保障の年金が、当の障害者のためではなくて、身内が使い込むようなことになったのではしようがないわけであります。しかしながら、残念ながら、そういう状態は現実として直視せざるを得ない。それは、私が町中の弁護士をしていて本当に感じるわけです。

 例えば、何らかのチェックが入る形で通帳を拝見することがあれば、明らかにおかしいわけです。月々入る年金の減り方が、そんな減るはずもないわけです、ところが、どんどん減っている。高齢者の場合は特に顕著です。例えば、高齢者が施設に入っているときに月四、五万かかるとした場合、それ以上の年金額は当然たまってしかるべきなわけです。しかしながら、通常亡くなった後はたまっていません。それは、事実上、通帳を管理している御家族がそのお金を使っているからであります。

 使うのも、悪気があって使うわけではありません。こんなに苦労して親の面倒を見ているんだから、それに見合う程度のお金をもらって罰が当たるまい、面倒も見ないほかの兄弟にお金が行くぐらいだったら、私がもらってしまった方が親だって喜ぶだろう、そんな発想を持っているわけです。だからこそ、それが防げないわけです。

 その問題を放置し続けてはだめなんだと思うんです。そこは、冒頭に申しました、家族を全く完全に何のチェックもせずにお任せするという発想では防げないわけであります。基本的に、家族の信頼は大事です。家族を信頼して行政するのも大事だと思います。しかしながら、信頼とチェックシステムは両立すると思うんです。

 例えばどうすればいいかというと、具体的に言えば、その御家族を、当の障害児や障害者や高齢者の場合にはその御家族の事実上の保護者を後見人に選任して、そのかわりちゃんと定期的にお金の使い道を、第三者、監督人であったり裁判所であったり、そういうところに報告をさせる。そのことによって、少なくてもそういった使い込みはかなり抑止されます。かつ、その保護者だって、そのことによって、介護による正当な報酬として、例えば親御さんの貯金の中から一定金額、第三者のチェックが入った後の金額を月々受け取れば、別に取り込まなくてもいいわけであります。そういった工夫自体は、いろいろな工夫ができるわけです。

 別に、私が今言っているのが一番いいと言っているわけではありません。何らかのシステムとしての工夫を要する時期ではないかということを私は申し上げたいわけであります。

 そして、家族の問題については虐待も同じであります。虐待防止法の議論がなされておりますが、私の考えからいきますと、いわゆる第三者の目というものと第三者の権限というものは両方必要だと思います。権限のない者がちょっと問題だと思って家庭の方に入っていこうとしても、当然、御家族としては余計なお世話ですといって対応するのがもう見えています。そこに何らかの権限を付与しないとだめであります。ところが、いわゆる立ち入り権限のようなものだと余計に摩擦がきつくなってしまいます。かえって、そのことによって家族内のトラブルが増長されたりしかねません。

 であれば、例えば、そういったケースのときに、本人の立場に立った後見人を、第三者をつければ、その方は、別に立ち入り権限という仰々しいことではなくて、私は本人の後見人になりましたからお話を聞かせてくださいという形で本人とアクセスができて、そこでそういった虐待事例について早期に救済を図る。例えば家族を説得する、例えば別の一時保護所に移す、そういったことが可能になる。

 そういったことを具体的に考えていかないと、結局、市町村の担当者が、虐待の通報を受けたからといって、もしもしと行ったところで、そこで解決はしないという、まさに厳然たる事実というか、その部分に着目して制度設計をする必要がある、そういった思いであります。

 この点、家庭内における悩ましい虐待や財産の取り込みの問題、どのようにして取り組んでいくのか、お答えください。

塩田政府参考人 障害を持つ方にとって家族は最大の支援者であるはずですが、往々にして、その家族がその役割に反する行動をしているという事例があるのは事実だと思います。非常につらい話だろうと思います。

 それで、障害を持つ方の権利を擁護するという観点でどういうような施策が考えられるかということで、御指摘がありましたように、成年後見制度というのは非常に有意義な制度だと思いますが、それがいろいろなネックがあって普及しておりませんので、それが普及するためには行政としてどんなことができるかについてよく研究をさせていただきたいと思いますし、成年後見制度とほかの第三者制度との抱き合わせのような提案というのは大変有意義な御提案だと思います。

 それから、去年成立した総合法律支援法で日本司法支援センターというものができると聞いておりますので、いろいろな機関のネットワークとか先生のアイデアを参考にして勉強して、何らかの対応をしたいと思います。

泉(房)委員 最後に、三つ目のケースです。これは富士見市であった悪質リフォームに象徴される件です。いわゆる一緒に同居をしている家族がいない場合です。

 もちろん、高齢者に限らず、障害者が自立していくときに、知的障害や精神障害をお持ちの方が地域で暮らしていく方向性を打ち出しているわけですから、当然、そういったケースのときに、悪い人が、いわゆる悪徳業者が食い物にする可能性はやはりあるわけであります。同じ問題です。別に高齢者と障害者を分けて考える必要はないと私は思いますが、こういったときにどうやってそういうことを防いでいくのかという問題です。

 これは、先ほど配った新聞記事でも数多く書かれております。きょう配った社説すべてに成年後見の普及という形の文字が書かれております。これだけではありません、ただ、これも極めて重要なテーマであります。

 こういったときに、例えば悪質リフォームの件などで、今の政府の動きを見ておりますと、結局、悪徳業者をホームページで掲載して、ここが悪いところですよとホームページに掲載するとか、そういう発想なわけです。そんなことをしても、判断能力の劣った痴呆性の高齢者や知的障害や精神障害をお持ちの方が、みずからそういうところにアクセスをして悪徳業者を見つけ得るわけでもないわけであります。そして、多くの場合に、優しい人だったよという形で、みずからだまされたりしていることすら気づかないというような状況で放置されて、食い物にされている状況があるわけです。

 ここの最大のポイントは、自分で自分を守れない状況ということであります。自分自身で自分の体や自分自身の財産を守り切れない、こういった方々が地域で自立するには、本人に対して例えば情報提供するとかパンフを配るでは不十分なわけです。公がシステムとして関与していく。もちろん、本人の自己決定とのバランスは当然ありますから、そこに配慮しつつでありますが、公がしっかりとした関与をしていかないことにはこの問題は解決しない、このスタンスをまずとらなきゃいけないんだろうと思います。

 この点、具体的に言えば、社説でも書かれておりますけれども、具体的な対策はもう難しい話ではありません。例えば、そういったひとり暮らしの判断能力が低下した方の場合、どなたかお身内がいればその身内の方を、いわゆる後見人という言葉で言いますが、そのうち一番、取り消し権だけでやれる補助人というのがあるんですけれども、これにだれかなっておけば、本人は何ら権利制限も受けません。ところが、だまされたときには、その補助人という後見人が後で取り消せば、すべて契約は無効にできます。そのことによって、悪徳業者から全額返還を求めることもできるわけであります。

 ここでのポイントは、もし換気扇がいっぱいつけられている状況を、通報を受けて行ったとしても、業者と交渉する権限も通常ありませんし、また、そこで交渉したとしても、業者としてはちゃんと契約しましたというふうに言ってしまうと、なかなか法的には悩ましい問題で、裁判でもして判決を得ない限りはなかなか法的に解決しないというところにいってしまいます。そうすると、実際上は、わざわざ裁判も起こせないので泣き寝入りするか、そのことをひどいと思いながらも手を出せないという状況になってしまうわけです。ではなくて、ちゃんとしっかりと法律的に、そういったことがあったときにもちゃんと全額返還を求められるという手当てをする、そこまで見据えないことには問題の解決にならないという視点であります。

 この点、厚生労働省がもっと本格的にこういった問題に本来取り組むべきでありますが、今のところ、リフォームの問題などについては、内閣府とか警察庁とか経産省とか、そのあたりの省庁の名前が新聞に書かれております。厚生労働省として、こういったケースについてもどのように対応していくおつもりなのか、お答えください。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 障害者、高齢者問わず、いろいろな意味で被害に遭いやすい方々に対して、住宅リフォーム等消費者トラブル、これに代表されるような問題にどうこたえていくかということでございます。

 今委員の方からいろいろ御紹介ありましたように、悪質な業者の問題、そういった点の予防から考えますと、その産業所管の省庁で悪質な業者についての排除できるような仕組みをつくるということが一つ。これは、委員の整理によりますと、上からのアプローチになる、それでは不十分であり、そもそも判断能力の弱い方々に対してどうやって防いでいくのか、それはいわば厚生労働省サイドの取り組みではないかという御指摘だと思います。

 御指摘のとおりでございまして、私どもも、介護保険の方の問題で申し上げますと、衆議院で、この委員会で修正いただきましたように、市町村における権利擁護事業の実施について市町村の必須事業としていただきましたので、まず市町村の方で前面に出るということ。前面の出方としては、まさにそういった方々に接する機会の一番多い介護事業者の方あるいはケアマネジャーの方、そういった方々の情報を踏まえながら地域包括支援センターの方で、さまざまなネットワークのもとで情報を察知し、こちらの方は下からの予防ということで対処していく。

 その際、決め手として、法的な整理という意味で、委員がおっしゃっている成年後見制度の活用があると思いますし、老人福祉法などで市町村長がそこの手続の実施できる権限を与えられていますので、今回の介護保険法の見直し、また、自立支援法の方でもそういう思いでやっておるところでございますので、厚生労働省挙げてこの問題について積極的に取り組んでまいりたいと思いますし、具体的な方法としていろいろ御提案いただけるものがありましたら、ぜひ踏まえさせていただきたいと考えております。

泉(房)委員 前回の質問のときに比べると、随分、少しトーンが前向きになったということはありがたく思いますが、まだそれで十分だとは全く思っておりません。

 障害をお持ちの方がいわゆる福祉サービスが必要なように、また所得保障が必要なように、知的障害や精神障害の場合などですが、自分で自分自身を、自分の体や自分の財産を自分だけの力で守り切れない状況があるのであれば、当然その方にはそれをサポートする方が必要だ。これがまさに成年後見人でありまして、ですからこそドイツではほぼ全員についているわけであります。ところが、日本ではもうほとんどついていないという状況なわけです。

 これは、だから発想として、必要な方はどうぞじゃなくて、必要というか、本人の希望に任せるのではなくて、公としてそういう客観的な、自分で自分を守り切れない方がいる以上、その方々について社会としてしっかりとシステムとして取り組んでいくというふうな姿勢でまずスタートしないことには、単にパンフレットを配って、使いたい人はどうぞ、それにとどまっている限りは、本当に普及はしないと私は思います。ここは本当に大転換が必要で、そのときに重要なことは、いわゆる縦割り行政ではなくて、権利擁護の立場から横断的に、また本人の立場から見ていくような形で施策を進めていただきたい。

 そういう意味では、大臣に最後にお伺いしたいのは、そういった観点から、ぜひとも厚生労働省で、どこかの部署に任すのではなくて、大臣や副大臣にイニシアチブをとっていただいて、この問題について幾つかの部署を集めるなどして検討を始める、そういう形でお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今いろいろお話をいただきました。現場をよく御存じの先生から具体的なお話も伺いまして、私どもとしてもぜひ検討をいたすべきこと多いというふうにお聞きをしたところでございます。

 今、障害者の成年後見制度利用の支援についての最後の御質問でございますけれども、平成十八年度予算に向けて、今後、具体的なあり方等について検討を深めてまいりたいと存じます。

泉(房)委員 大臣の方に最後確認しておきたいのは、新聞報道で既になされておりますし、前回の私の質問でも一定の方向性がつけられておりますが、成年後見について、例えば市町村が中心になって申し立てていく場合、これまでは四親等の確認が要りましたが、二親等にしていく。また、利用支援事業もこれまで精神障害者のみ排除されておりましたが、精神障害者も当然支援対象として利用できるようにしていく。そういう方向が打ち出されておりますが、これはそれでよろしいですね。確認をお願いしたいと思います。

尾辻国務大臣 先日の先生の御質問をお伺いいたしておりまして、私自身もその方向で検討すべきものとして指示もしたところでございます。

 いろいろ今市町村の御意見も伺っておるところでございますけれども、そうしたものを踏まえまして、今月中を目途として所要の通知改正を行いたいと考えております。

泉(房)委員 いよいよ本当に法案の審議も大詰めになりました。

 繰り返し、最後にもう一つだけお願いしたいのは、障害者の自立と社会参加という観点から、この法案を最後、修正すべき点は修正し、今後仮に、不幸にしてといいますか、通ることがあったとしても、あくまでも当事者本人に身を寄せるような気持ちで、制度や財源論と両立する話でありますので、きっちりと話を聞く機会を設ける、大臣みずからもイニシアチブをとって、障害者本人の立場との、その部分をしっかり踏まえながらやっていただきたいと思います。

 最後になりますが、そのあたり含めて、繰り返しですが、障害者の立場に立って、そういった意見をしっかり踏まえながら施策を進めていく、そういうことは当然のことかと思いますが、大臣の決意をお願いいたします。

尾辻国務大臣 これまでもたびたび申し上げてきたことでございますけれども、障害者の方々のそれぞれのお立場に立って、私ども、今後施策を考えていきたいと存じます。

泉(房)委員 以上です。よろしくお願いします。ありがとうございました。

大村委員長代理 次に、中根康浩君。

中根委員 民主党の中根康浩です。

 今の泉さんの本当に心の叫び、しっかりと受けとめていただいたものと思っていますが、もうそれ以上のことを言う必要はないようなことなんですけれども、大臣やあるいは塩田部長を責める、あるいは批判するつもりは全くないわけなんです。批判するのは、当然、法案の中身であるわけであります。余りにも未成熟でありますし、不完全でありまして、良心に従ってこのことを考えたときに、とても納得できるものではないという思いで私ども取り組ませていただいているわけでございます。

 交通バリアフリー法という法律が以前にできて、今、少しずつ駅やいろいろな公共施設、そういったところにエレベーターやエスカレーターが設置をされ始めているわけであります。

 普通の人と、普通の人というのも、なかなか言い方は難しいんですけれども、健常者と障害をお持ちの方が一緒に暮らすというのは、本当にお互いにとってこれは望ましいことというか、学校とか幼稚園とか、そういったところで子供たちが一緒に暮らしている。とにかくこれは、中学生ぐらいまでの間にともに学び、ともに暮らした経験があるのとないのとでは、生涯にわたってその意識というか差別観、あるいは偏見があるなし、こういったものが大きく異なってくると言われていますから、この自立支援法を審議するに際しましても、本来、教育というところからしっかりとノーマライゼーションあるいはバリアフリー、こういったものを進めていく必要があるということなんです。

 エレベーターやエスカレーターが徐々にできてきた。そうすると、障害をお持ちでない方も当然これを使って、みんなが便利で、みんなが豊かな社会をつくることができる。これは、だれが負担するかとか、受益者負担とか、そういったことじゃなくて、国民のみんなが、これは大臣、まさにみんなで支えていくというこの法案、法律なんですけれども、みんなで支えていくといいながら、実は今回負担を強いられるのは障害者自身なわけであります。

 みんなが支えていくというのは、これは障害者の方々、所得も就労状況も非常に不完全であるわけでありますので、国が支えていく、国が、みんなが納めていただいた税金で、これを大切に、有効に使って、障害をお持ちの方々が安心して豊かに暮らしていく、そういう社会を、基盤をつくっていくというのが、むしろ税金が有効に使われる最も望ましい姿であろうと思っています。そこに、何かいかがわしい思いがぬぐい切れない定率負担であるとか受益者負担というものを入れるということは、国の政策として根本的に間違っていると指摘をせざるを得ないというふうに思っています。

 消費税という言葉も出てまいりました。もし本当に厚生労働省や日本国の政府が、障害をお持ちの方々に豊かな人生を送ってもらいたい、そういうふうに思っていらっしゃるんでしたら、例えば消費税、真剣に考えて、あるいは、障害者福祉に使うんだから、今までむだもあった、むだも削減する、その上で、どうしても必要で、どうしても足りないということであれば真剣に国民に訴えていくという方向性もあるのかもしれない。

 きのうの読売新聞に、二〇〇四年度の税収の決算額、純剰余金が一兆一千九百六十九億円生じていると。お金はあるわけなんです。むだ遣いもいっぱいあるわけなんです。五年間ですけれども、三百億円使って年金福祉施設を売り払う独法をつくろうとしているわけです。この障害者福祉にかかる、自立支援に、社会参加にかかるお金がどうして捻出されないのか、どうして責任を持って手当てされないのか、不思議でなりません。

 財務省と闘っていただくのが尾辻大臣の最大のお仕事じゃないでしょうか。キャップ制というかあれで、経済財政諮問会議の方では闘っていただいているわけでありますので、何とかこの障害者の暮らしのことをもう一度見詰め直していただいて、ここは真剣に闘うんだと。一回獲得すれば、またそこから先は既得権益としてやっていけるわけなんですから、一度エネルギーを発揮してやっていただくということをぜひお願いしたいわけなんです。

 この自立支援法の審議が始まって約二カ月、残念ながら、大臣の答弁も部長の答弁も全く進展がない、まるで具体化していない、深まっていない。もし、来週あたり与党の皆さんが修正案を出してくる、その修正案を出すために、それを実り多きものにするためにきょうは何とかしのいでいこう、具体的なものは何とかきょうは出さないように、出さないようにしていこうというような腹づもりがあるとしたら、これは全く国会やあるいは国民を愚弄したものである。きょう、今からでも遅くはありません、私の質問から具体的な答弁をしていただけますようにお願いをしていかなければいけません。

 今申し上げましたように、与党は修正協議をしているというふうに承っています。筋として、もともとこの法案が不十分であったとみずから認めて、障害者の暮らしの実情に合ったもの、必要なものとして修正を行われるということは、これは与党として、政府として当然に行っていただかなくてはいけないことなんです。私どもが修正を求めたにもかかわらず、そのことはゼロ回答だった。これは、だれが手柄をとるとか、だれが格好いい思いをするとか、そんな話じゃない。我々は別にゼロ回答でもいいんです。結果的にこの法律がいいものとして生まれ変わっていただいて、見事、可決、成立をすればいいわけですから。

 そうでなければ、私どもは体を張って反対し、廃案に持っていかなきゃいけない。そして、秋までに、秋までにと部長がおっしゃるその秋までに、具体的な政省令がきちんと私どもにお示しをされるまで審議を続けていかなくてはいけない、そんな思いがいたします。

 ぜひとも、所得保障なくして定率負担なしだと、障害者福祉にもともとなじまない定率負担、応益負担というものをまず撤回するか、もしくは十分な所得保障、直ちに効果のある就労保障、こういったものを行う。あるいは、百歩譲って、千歩譲ったとして、定率という言葉をどうしても介護保険との統合の中で崩すわけにはいかないということであれば、一〇%じゃなくたっていいじゃないですか。一%とか〇・一%とか、そういう数字だっていいじゃないですか。厚生労働省としては面目は保てるんじゃないでしょうか。

 そして、そういう修正事項が出てきていただくことを私どもは期待をしておりますけれども、その修正事項をもとにしてもう一回十分な審議をする、十分な議論をする。来週の水曜日とか来週の金曜日とか、そんな時点で採決を行おうという、そんな拙速なこの厚生労働委員会であってはいけない。

 もう一つ、この審議を急いではならない理由があるんです。

 今、厚生労働省といいますか、内閣の中に、厚生労働副大臣が一人欠けていらっしゃるんですよ。政務官も一人欠けていらっしゃるんですよ。担当の副大臣ではないというふうにおっしゃればそれまでかもしれませんが、それだったら、担当、法案ごとに大臣をやめたりやったりして、この月は西さんが大臣だからお給料は今月は西さんだけだよ、来月は衛藤さんだけだよとかね。大臣や政務官がお飾りじゃないということであるならば、実質的に機能していて非常に大切な役割をしているということであるならば、この審議は、本来、きょうもやっちゃいけない。副大臣が新しい人が選任をされて、政務官が新しい人が選任されて、その新しい方々が、少なくともこの自立支援法について今までの経過をしっかりと把握して、大臣やあるいは西副大臣にかわっていつでも答弁できる、そういう状況がきちんとできてからこの審議をもう一回再開する、それまで始めちゃいけない。

 いかがですか、この副大臣や政務官が欠けている状況。まあ、これはしようがないんですけれどもね。あの天下の悪法である郵政民営化法案に対して反対した人たちですから、本当はやめさせる理由もなかったわけなんですけれども、残念ながら、きのうの閣議で罷免をされてしまったわけなんです。この状況を大臣はいかがお思いでしょうか。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

尾辻国務大臣 昨日のきょうでございますから、副大臣一、政務官一、欠けておることは事実でございます。

 ただ、私どもは、副大臣と政務官がそれぞれ一名ずつ欠けておりますけれども、残りの者でまた全力を挙げて仕事をいたしておるところでございまして、きょうの御審議に対しましても私どもでお答えをさせていただいておるところでございますので、どうぞ御理解いただきまして、御審議をよろしくお願い申し上げます。

中根委員 大体、郵政の法案でもそうなんですけれども、今、内閣は、あるいは自民党、法律を提案してきている側の与党の皆さんは、本当にばらばらなんですよ。だから、このばらばらな状況の中で、未来の、あるいはきょう、あすの障害者の方々の命と暮らしを審議するこの法律を本当に続けていっていいものかどうか大きな疑問を感じます。

 もし副大臣と政務官が欠けたまま十分やっていけるのであれば、そのままもう選任しないでくださいよ。その分のお給料は、どこかのグループホームとか作業所とかに補助金として出してもらった方がいいと思う。本当にそう思いますよ。

 このままでは通すことができない。きのう、日比谷公園に一万一千人の方々が全国から集まった、そして国会に請願に来られた。我々が日比谷公園から国会に歩くのとは違うんですよ。障害をお持ちの方々があの坂をぐうっと上がってくるというのは、なかなか大変なことなんですよ。そして、ある人は言っていました。僕は工賃の二カ月分を東京に来るための交通費として使って参りましたと。それほどせっぱ詰まった思いでこの審議を眺めていらっしゃるわけなんです。

 先ほども、午前中の議論の中で横路議員からこのことについて指摘をしていただきましたけれども、少し大臣の言葉が、そのときだけ滑舌がおよろしくなかったので、はっきり聞き取れなかったんです。一万一千人、全国からハンディキャップをお持ちの方々が集まった、この事実について、何も感じないのか、大臣、いかがでしょうか。もう一回御答弁ください。

尾辻国務大臣 多くの方がお集まりになったということは、大変重いことだというふうに認識をいたしております。

中根委員 重いことなら、その方々から要求されている、希望されていることもやはり重いこととして受けとめなければならない。与党の、政府のメンツとか体裁とか言っている場合じゃない。必要なことは、勇気を持って変えていく、そのことが、今、日本の政治に、厚生労働省に求められているのはもうおわかりのことと思います。

 このまま通ってしまっては命と暮らしが破壊される法案を、与党の皆さんは、事もあろうにわずかな修正のもとに、これをかち取った、あれをかち取ったということを言いたいがために、来週採決を行おうともくろんでいる。これは、先ほどから申し上げておりますように、十分な所得保障を行うか、あるいは定率負担を撤回するか、どちらかしかあり得ないんですよ。そうでなければ絶対通すことはできない、みんながそう言っているんじゃないですか。

 一万一千人の方々の言っていることは、大臣、間違っていらっしゃるんですか。間違ったことをみんな言っていらっしゃるわけですか。いかがですか。

尾辻国務大臣 それぞれのお気持ちを率直に述べておられるものだというふうに理解をいたします。

中根委員 率直な意見だけれども、彼らは素人だから、厚生労働省のお役人のように頭がよくないから、的外れなことを言っているわ、百年後のことを考えたら私たちの方が正しいわ、近視眼的なことでわあわあ騒いでいる、そういうふうにおっしゃりたいわけですね。それでいいでしょう、それなら。

 障害者の方々は、だけれども、そうじゃないですよ。皆さん東大行っているか京大行っているか知りませんけれども、そんなことじゃ人間の価値ははかれない。そのことは神様や仏様がわかっている。

 きのう配られた文書の中で、もう彼らはお見通しなんですよ。こう書いてある。

  障害八団体の役員の人たちは、六月二十四日に記者会見まで開いて民主党に与党との修正協議を再開するよう要請しています。その理由として「どんなに反対しても数の力で法案は成立する。だったら少しでも修正してよいものにするしかない」といっています。でもよく考えてみてください。もし「数の力」ですべての法律が決まるのなら、なぜ「自立支援法」はいまだに成立しないのでしょう?

  「自立支援法では、障害者が生きていること自体が否定される。今度こそ殺される。それだったら身体をはって闘うべきだ」。こうした障害者の怒りが、そもそも〇五年の介護保険統合も阻止してきたし、自立支援法の会期内成立も阻止したのではないでしょうか? 私たちがこの闘い方を続ける限り法案を廃案にすることは、まったく可能です。

  「修正協議再開」を求めることは民主党に対してもっともっと要求を削って与党に屈服せよと迫ることを意味するのではないでしょうか? その結果若干の「修正」が行われたとしても、私たち障害者の生活が成り立たなくなることは明らかです。「自立支援法」を廃案にする以外に障害者の生活を守るみちはありません。みんなの願いは廃案です。八団体の役員は、障害者の声を代表していません。

こういうふうにおっしゃっておられるわけなんです。

 まさに、この間の物事の本質といいますか、本当のところを喝破しているではありませんか。

 大臣、これはお役所に任せていれば、他の制度との整合性、あるいは介護保険との将来の統合、こういったものを見据えたものに着々と、そういう方向で形づくられていくに決まっているんですよ。これはもう、一万一千人の障害者の方々、あるいは全国の障害者の方々の声を聞くかどうか、その暮らしの実情、生活実態を見詰めるかどうかの大臣の政治家としての政治判断。

 私たちは厚生労働省の代弁者じゃないんです。もちろん厚生労働省の方々も、一生懸命国民の暮らしを考えて働いてくださっている。しかし、私たちは、厚生労働省の意見か、国民の意見か、どちらも大切だ、どちらかを選ばなきゃいけない、そういうぎりぎりの判断に立ったときには、やはり国民の皆さんの、この法案でいえば障害者の、この法律によって、事実、生活に大きな影響をこうむる当事者の方々の御意見を聞かなくてはいけない立場だ。

 何が正しくて、何が間違っているかわかりません。もしかしたら、障害者の方々の声を聞いたら、百年先に、ああ、あのとき間違っていたなというふうなことが万が一あるかもしれません。しかし、それはもう歴史に判断してもらうしかないし、神様、仏様に判断してもらうしかない。私たちが今ここで判断するには、当事者の方々の悲痛な声を受けとめるしかないじゃないですか。

 大臣がもしこれ以上ゼロ回答を続けるということは、それは全国の障害者の方々の、きのう、二カ月分の工賃を、本来ならばもっとほかの娯楽に、あるいは服を買ったり扇風機を買ったり、そういったことに使いたい、そのお金を費やして東京に来た、その一万一千人の方々の声を無視することになりはしませんか。

 反対する人たちが一万一千人集まった。塩田部長、尾辻大臣、賛成する人を一万一千人、日比谷公園にあなたたちは集めることができますか。できないでしょう。やはりこれは、少なくとも、部長が秋までにいろいろなことを決めてくださるというふうにおっしゃっているわけですので、これは秋まで審議を一たん中断して、それが出てくるまで私たちは待っているべきだと判断させていただいております。

 もう一つ、これはやっちゃいけないこと、禁じ手なんです。

 一万一千人の方々がなぜ東京にわざわざ来たか、その危機感は何だったのか。もしこの法律が通らなければ、障害者福祉予算を一般財源化しますよ、しますよと、あなたたちは障害者の方々あるいは我々を脅迫しているじゃありませんか。やれるものならやってみたらいいですよ。やるんですか、もしこれが通らなかったら。やりますか。厚生労働省や国は障害者福祉からすべて手を引くということですか。通らなかったら引きますか、いかがですか。大臣。

尾辻国務大臣 私どもは、どういう状況であろうと、その状況のもとで最善を尽くしてまいりたいと考えております。したがいまして、障害者対策も同じでありまして、その条件の中で最善を尽くさなきゃならないというふうには考えております。

中根委員 障害者福祉はいろいろなやり方があるでしょう。しかし、基本的には、まずベース、基盤は、国民が勤労所得の中から一生懸命納めた税金。それは、国民の皆様が、この日本がよくなるために、地域がよくなるために、暮らしがよくなるために、あるいはハンディキャップを持っている人たちや困っている人たち、弱っている人たちが助かるように、そんな思いでみんな税金を払っているわけなんですよ。

 だから、障害者福祉に必要十分なお金をかけるということは決して国民全体からも否定されるものではない。基本的には税金でまずやっていくべきだ。そして、そこから先、保険でやっていく部分もあるかもしれない、いろいろなオプションはあるかもしれない。

 一般財源化する、もう厚生労働省は手を引く。弱い立場の人たちは、そんなことあるはずないと思いながらも、もしかしたらそういうことが起こってしまうかもしれない、だったらここは、悪い法律だとわかっていても賛成せざるを得ないのかとあきらめてしまう人がいるかもしれない。それは自民党の議員の方々がきのうやったばかりじゃないですか。郵政の法案、悪い法律だとわかっていても、解散されてしまうかもしれない、だから賛成しよう、心ならずも。同じことじゃないですか。やはりやっちゃいけないことなんですよ、脅迫をするということは。(発言する者あり)犯罪なんですよ、本当に。

 今、大臣は、最善を尽くすとは言いましたけれども、一般財源化しないというふうには言いませんでした。だから、これはするかもしれないということなんですけれども、また間接的に脅迫やおどしを僕の質問を悪用しておやりになったということなのかもしれません。(発言する者あり)そんなことはしないと。

 それから、ここから一つずつ質問していきたいと思うんですけれども、まず義務的経費。この法案で最初我々は少し喜んだ。居宅サービス部分が義務的経費化された。すぐに失望した、定率負担で受益者負担が盛り込まれてしまったから。何かいかにもそのように聞かされていますけれども、義務的経費と応益負担というのは必ず裏腹で、セットでなくてはならないものなのかどうなのか。いかがでしょうか。

塩田政府参考人 今度の改革は、支援費制度が目指した理念であります、障害を持つ方が、地域で自分で決定して自分でサービスを選ぶのをどう制度として持続可能にするかという観点から行っているつもりでございます。地域で暮らす上で、市町村がしっかりとしたサービス事業を提供できる仕組みを国としてつくる責任が私たちにはあると思っております。そういう観点からすると、現在の支援費制度はそういう持続可能な制度になっていないと言わざるを得ません。

 そういった観点から、市町村が提供する介護のサービスに関する国と県の財政責任を明確化するというのが今回の改革の中心の一つでございます。その前提として、これから、サービスの質の面でも量の面でも、市町村を中心に大きく伸ばしていかなければならない。財政が非常に厳しくなるのは、国のみならず市町村も同じような財政状況、もっと国以上に市町村は厳しい状況が今後予想されていると思います。そういう中で、今はサービスすら行っていない自治体が相当数市町村の中にある。

 そういう中で、厳しい財政の中で、市町村が障害者のためのサービスを提供する仕組みをどうつくるかという観点から考えた場合、障害を持つ方々にも可能な範囲内で応分の負担をしてもらいたいという思いを込めてこの制度が設計されているということでありまして、それが定率負担という言葉でいうのか応益負担というのか、そういうことではなくて、それなりの負担をすることによって住民の理解も得て、みんなで費用を持ち合って、これからどんどん伸びていくサービスに関する費用を分担していこう、そういう考え方に基づいて制度設計しているつもりです。

中根委員 みんなでということの中に、所得が保障されていない弱い立場におられる人たちになぜ負担を求めていくか、そこがどうしても納得できない。みんなという範囲がみんなじゃないんですよ、障害者みんなでなんですよ。

 厚生労働省がもっとしっかりとして予算を獲得してくればいいじゃないですか。少なくとも、十年、二十年先に行ったら財政的にいろいろ行き詰まることがあるかもしれない、支援費制度。しかし、この一年ぐらいもっとゆっくり時間をかけてこの議論を進めていって、この一年間ぐらい、先ほども言いましたように、一兆円以上の余剰金が出ているじゃないですか。むだ遣いもいっぱいあるじゃないですか。社会保険事務局の家賃をこの間見直してもらったら、五億何千万円も一気に浮いたじゃないですか。そういったことを一つ一つやっていけば、必ず出てくるんですよ。一年ぐらい何とかしのげるんですよ。

 通告していないことを一つ。

 イソップのウサギとカメのお話があるのを大臣は御存じですよね。ウサギさんとカメさんがちょっと何か一緒にいて、ウサギさんが、カメさん、何であなたはそんなに歩くのが遅いんですかと言ったら、カメさんが、では競走しようよ、向こうの山までどっちが速いか競走しましょうと。いいよと。それで、ウサギさんとカメさんはあるスタート地点から競走を始めた。

 そうしたら、ウサギさんの方が当然速いんですね。ぴょんぴょんと跳んでいって、途中で後ろを向いたらカメさんがずっと後ろの方にいたから、まあ少しぐらいちょっと休憩してもいいだろうと思って休憩していたら、いつの間にか眠りこけてしまった。それで、ウサギさんが眠っている間にカメさんはのこのこのこのこと行って、ついにウサギさんよりも早く山の頂上まで着いてしまった。こういうお話、まあ長々と言うまでもないことなんですけれども。

 大臣、このウサギさん、どう思われますか。と言ってもぴんとこないかもしれませんね。何が言いたいかというと、このお話で、ウサギさんとカメさんをどう見るか。油断したウサギが悪いのか、あるいは、ではカメさんは悪くなかったのか。カメさんは、ウサギさんの横を通ったときに、ウサギさんが寝ているのか、もしかしたら病気で倒れているのかもしれない、死んじゃっているのかもしれないのに、自分が勝ちたいがために頂上まで行っちゃったんですね。これは、カメさんも、ウサギさん大丈夫と、やはり言う必要があったのかもしれないというふうに思うわけなんですね。

 だから、ウサギとカメの話というのは、ウサギが油断していたからというふうに言うわけじゃなくて、カメだって、これはひきょうで、もしかしたらずるいのかもしれない。こういうふうな、世の中にはいろいろな見方があるわけです。

 要するに、何が言いたいかというと、だれでも、目の前で困っている人とか弱っている人とか、転んだり泣いたりしている人が、我々だって、子供がそこで困っていて、赤ちゃんが泣いていれば、痛がっていれば、手を差し伸べる、声をかける、当たり前のことですよ。その当たり前のことを、この自立支援法という美名のもとに、厚生労働省、日本国政府は、今捨てようとしているわけなんですよ。

 この法案で、厚生労働省は障害者を人間と見ているとはとても言えない。財政抑制論として見ている。何か客体として見ている。つじつま合わせの材料として、対象として見ている。人間を見る目、障害者を見る目、困っている人を見る目がどこかで曇っている。そういうふうに謙虚な姿勢に立ち返ってもらわなきゃいけない、そんな思いがいたします。

 応益の益は、利益の益じゃない、便益の益だ、ベネフィットだといってごまかしておられる方もあります。違うんですよ。どっちでもないし、移動介護だってホームヘルプだって、これは障害者の方々の必要経費なんですよ。サラリーマンだったら給与所得控除に当たる部分、それから、事業主だったらこれは本当に必要経費に当たる部分であって、益でも何でもないのは当たり前の話なんですよ。必要経費に対して利用料を、定率負担をかけていく、ここが根本的に間違っているところなんですよ。

 そうですね。どうしても定率負担が欲しければ、塩田部長、一割じゃなくて一%にしましょう。〇・一とは言いません、一%。いかがですか。

塩田政府参考人 これからの障害者福祉をどう考えるかという話だと思いますけれども、私自身は、サービスの質を高めて量をふやしていく上で、受けたサービスに対してしかるべき負担をして、対等の立場で、サービスの質を上げていくというのを目指すべきだろうと思います。

 その意味で、障害を持つ方も、できれば就労して、働く機会を得て、普通の人と同じような収入でその利用料を払える、それを目指すのが基本だと思います。それから、それができない方には何らかの所得保障、そのとおりだと思います。そういう方向を目指した改革であると思っておりまして、どういう負担を願うかについては、目指すべき目標に対して現時点でどの程度の負担をしてもらうのが適切かという議論だと思います。

 それが一割定率と、いろいろな所得の、組み合わせの限度額、どういう組み合わせにしてどういう高さにするかというのはまさに議論のポイントだと思いますけれども、御提案しているものは、将来のいろいろな制度、どういう制度を目指していくか、いろいろなほかの制度とのバランスを見ながら、定率一割と限度額の組み合わせで何とか対応していただけるのではないかということで提案しておりますが、いろいろな障害者の現状に照らした配慮措置が今の政府提案で十分なのかどうかについては、この場の議論とか、いろいろな形で議論していただいておりますので、私どもは、その声は十分承知しておりますし、それに対してどうこたえられるかについては真剣に内部で検討させていただいています。

中根委員 だから、就労環境を整えるということと所得保障をきちんとするということは、この自立支援法案と定率負担を求めるということと同時でなきゃいけない、セットでなきゃいけない。みんながそう言っているじゃないですか。だから、秋までにそれを出すとおっしゃるんですから、この法律の審議は秋まで待てばいいじゃないですか。それがなぜできないのか。なぜ、無理やり予算関連法案にして、この通常国会で通さなきゃいけないというふうに変な大義名分というか理由づけをしたりして。だから、その予算関連なんて、言ってみればわずかな部分ですよ。何とかなりますよ。我々だって何とかしますよ、みんなで。募金をしたっていいですよ、それこそ。そんなことはいいですけれども。とにかく、同時になきゃいけない、セットでなきゃいけない。

 減免措置をいろいろやったり限度額を設定したりして、事実上、応益負担じゃない、定率負担じゃない、応能負担的な要素は十分盛り込んでいるというふうにおっしゃっているじゃないですか。だったら、一〇%にこだわることない。一〇%という数字は、介護保険に合わせるものだけであって、何の理由もない。定率負担という言葉だけが欲しいんでしょう。だったら、一%なり〇・一%なり、事実上、障害者の方々がお支払いできる、納めることができる、そういう数字に仕組みを改めるということが、これが修正であって、それ以外のちょっとしたことなんか修正のうちに入りませんよ。そこを修正案として来週出してきていただけるのであれば、これは直ちに採決してもいい。そうでなければだめ。

 前から指摘されているように、障害者基本法の第十三条に、よく御存じのことだ、もう頭に刷り込まれておられることと思いますけれども、あえてもう一度申し上げますが、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。」これは「ならない」んですよ。

 所得保障、まず伺っておきます。

 障害者基本法の十三条に書いてある、年金とか手当と書いてあるじゃないですか。生活保護よりはるかに低い水準の障害基礎年金六・六万円とか、どういうことなんですか、これは。もう今までの段階で、年金の議論がこういうふうになってしまう前に、本来は、生活の実態に合ったものに引き上げておかなきゃいけなかったはずです。今からでもいいじゃないですか。年金の議論、難しい状況になっちゃっているからこのことにはアンタッチャブルだという理由は、理屈にならない。年金の支給額の引き上げ、ここが、障害者団体の方々、当事者の方々が一番求めている、生存権を確保するものとして求めているところなんですよ。

 障害基礎年金の増額、できるんですか、できないんですか。教えてください。

尾辻国務大臣 障害基礎年金についてでございますけれども、障害を有することによって稼得能力の低い方々に対して、全国民に共通した給付として支給するものでございまして、老齢年金を中核とした拠出制の公的年金の中に位置づけられているところでございます。まず、公的年金の中に位置づけられておるということを申し上げました。

 今度は、その水準でございますけれども、その水準は、従来から老齢基礎年金とのバランスに配慮して改定されてきておりまして、障害等級が二級の場合は満額の老齢基礎年金と同額ということにしてございますし、また障害等級が一級の場合には、介護等の必要経費などに配慮して、その額の、満額の老齢基礎年金のということでございますが、一・二五倍としてきたところでございます。

 このように、障害基礎年金は、拠出制を原則として負担と給付のバランスで成り立っております老齢給付とのバランスを考慮してきておりまして、冒頭申し上げたとおりでございまして、絶えずその水準を踏まえる必要があるということだけは御理解をいただきたいと存じます。

中根委員 この自立支援法を提案するに当たって障害基礎年金を引き上げるつもりはないということなんですね、御回答としては。まず、これはバツが一つつきました。

 傍聴の方々が本当に真剣に全国から集まってきていらっしゃるんですけれども、この法律を押しつけようとしている与党の方々が、この議論に加わっていない、数が足りない。どうしましょう、委員長。無責任。

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 中根君。

中根委員 まず、年金は今回の所得保障策としては導入をしないと。

 それでは、今の障害者基本法十三条にある、具体的にある手当、特別障害者手当、今、約二万六千円、重度の方々に支払われている。これを、自立支援法が万が一可決、成立して施行されても、そのことが事実上障害者の方々の暮らしを圧迫しない、そういう環境をつくるためにこの手当を増額するつもりはありますか、ありませんか。

尾辻国務大臣 特別障害者手当等の各種手当につきましては、現在の国の財政状況を考えますと大幅な改善は難しいと考えておりますけれども、この障害者自立支援法案において低所得者対策を講じますとともに、先ほどから御議論いただいております障害者の所得保障のあり方については、これまでお答えをしてまいりましたように、今後とも検討する必要があると考えておるところでございます。

中根委員 検討していただくのは本当にありがたい。しかし、これを、この法律を採決する前提として、大体このぐらいの数字だというところで結構ですので、こういうふうにしたいと、一万円増額をしたいとか、二万円増額をしてあげたいとか、そういう具体的なものを出していただかなくては、少なくとも、この議論を進めていくのはいいんですけれども、採決には応じることはできません。これは三角ですね。

 社会福祉法人による利用者負担減免、これは介護保険の方では既に導入をされているわけです。先ほどから、横路議員の話の中でも出てまいりましたけれども、私の立場としても確認をしたいと思います。社会福祉法人による減免、例えば一〇%のうちの二分の一、五%を法人事業者が負担していただく、これはやっていただけますか、いただけませんか。

尾辻国務大臣 今回の利用者負担の見直しにおきましては、低所得の方がおられることに配慮いたしまして、入所施設で暮らす方で収入が乏しい方に対する食費等の実費負担を軽減する仕組み、あるいはグループホーム等で暮らす方で一定額しか預貯金のない方に対する個別の減免の仕組み、それから、定率負担をすると生活保護を受けざるを得なくなる場合には収入や預貯金に応じ個別に減免する仕組みなどの各般の減免措置を設けて、きめ細かく配慮しておるところでございます。

 今、私どもが申し上げておるのは、こうした減免措置についてでございます。

中根委員 今、法案として用意されている減免措置、それでは足りないというふうにみんな言っているんですよ。だから、年金なり手当なり社会福祉法人減免なり、今求めさせていただいているんです。

 社会福祉法人減免、検討はしていただけますよね。先ほど、横路議員の話の中でもありました。

 次、定率負担に係る利用者負担の上限設定に当たっての所得基準の引き上げ。例えば、低所得一が八十万円のラインで切られている、これを、百五十万円とか二百万円とかこのラインを引き上げていくということ、いかがですか。やっていただけますか、やりませんか、検討していただけますか、検討しませんか。

尾辻国務大臣 障害福祉サービスの月額負担の上限額を設定するに当たりましては、基本的に他の社会保障制度とのバランスを図っておりまして、同じ所得状況の方については同じような負担額となるように所得階層区分を設定しておるところでございます。

 そういう中で、月額負担上限額が一万五千円となる階層につきましては、介護保険制度の区分を参考にして、これに合わせておるというふうに申し上げていいわけでございますが、八十万円と設定したところでございます。

 この障害者自立支援法案におきましては、所得に応じて月額負担上限を設定いたしますほか、資産等も少ない方がおられることを踏まえまして、グループホーム入居者等について、一定額以下の預貯金の方に対し個別の収入額に応じて定率負担を個別に減免する制度など、障害者の皆さんの特性を踏まえた独自の配慮措置を別途講じることとしておるところでございます。

 八十万円についての考え方は冒頭申し上げたとおりでございまして、今御提案を申し上げておるところでございます。

中根委員 これは、介護保険の方でも、最後、確認答弁のところで我が党の五島先生がきちんと御指摘、御提案をさせていただいて、受け入れていただいたものというふうに私どもは把握をしております。介護保険の方と合わせるということが前提にあるならば、そこが骨格であるならば、これは介護保険とここの部分も合わせていただかなくちゃ納得できないわけであります。

 介護保険と本当は合わせちゃいけないんですけれどもね。これも五島先生が前回の質疑の中でおっしゃっておられたんですけれども、いろいろと就労のチャンス、蓄財のチャンスがあった高齢者の方々と、そうでない、障害をお持ちの方々、これを同じように議論するというのはやはり違うんですよ。だから、違うんですけれども、介護保険に合わせるというふうにおっしゃっておられるんですから、ここは百五十万円なら百五十万円にぐっとラインを引き上げていただかなくちゃいけない部分なんです。ぜひ、ぜひ前向きに検討していただきたいというふうにお願いをしておきます。

 それから、今大臣の御答弁の中にもあった、一定の預貯金、これは私どもがいただいておる資料で、「本人の預貯金等の額が○○○万円以下」と。この○○○万円以下というところで、それを超えれば個別減免はなし、○○○万円以下だと個別減免ありと。この○○○万円というところが一体幾らぐらいになるんだろうとみんな大きな関心を寄せているんです。まるで何の想定もなく法律をつくったわけじゃないでしょう。何かやはり想定して、今は明かせないけれどもというところはあったかもしれませんけれども、もうここまで来たら具体的なところを示してもらわなきゃいけません。○○○万円というのは幾らなんですか。

塩田政府参考人 グループホーム等で生活されている方について、個別に減免する制度を設けることにしております。

 その際に、預貯金が幾らになるかというのを基準にして、一定の預貯金に満たない人についてそういうことをやるということでありますが、その額を幾らにするか、残念ながらまだ最終的な結論を出しておりませんが、地域で生活する上で一定額が必要だということと、同じような生活実態の方とのバランスを考えなければいけないということでありまして、同様の生活水準にある一般世帯の貯蓄水準、あるいは他制度における低所得者の方への配慮措置の水準などを踏まえて、今後具体的に決定をしていきたいと考えております。

中根委員 でも、正直な話、いまだに何もこの数字がないというわけはないと思うし、もし、本当にない、正味ないとしたら、これはおかしな話というか、この法律、審議に値しないということになってしまいますよ。これはどうしましょうか。

 これはおかしいでしょう。やはり、○○○万円と、こんなふうに書いて、全然何の想定もしていないなんということはあり得ないでしょう。何にも本当にないんですか、これは。本当に何にもないんだったら、これからみんなで一緒に考えていくしかないんですけれども、あるのに隠しているとしたら、これは明らかにしてもらうまで審議できないじゃないですか。

 委員長、これはだめ、ちょっと答えさせてくださいよ。

 だから、少なくとも採決までにはある程度、五百万円とか一千万円とか一億円とか、何かの数字を、目安を出してもらわないと、これは審議の対象というか、判断、目安にならないわけですから。何かあるはずですから、言ってくださいよ。(発言する者あり)

鴨下委員長 速記とめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記起こしてください。

 塩田障害保健福祉部長。

塩田政府参考人 その水準について、先ほど御答弁申し上げましたように、同様の生活水準にある一般世帯の貯蓄水準、それから他制度における低所得者への配慮措置の水準を参考にして決めたいということでございます。

中根委員 だから、あわせてお尋ねしますけれども、この表の中にある「六・六万円を超える収入が稼得等収入の場合」要するに工賃の場合ですね、工賃等の場合、負担額は「三千円控除の上、」この三千円も、さっき横路議員が言ったように、三千円じゃなくて、これは例えば一万円ぐらいにしてもらわなきゃいけないわけなんですけれども、「三千円控除の上、六・六万円を超える収入の△△%を負担」。それから、六・六万円を超える収入が仕送り等の場合、「六・六万円を超える収入の□□%を負担」と。

 この一〇%という数字だけはばんと出ていますけれども、細かい減免のところになると逃げているじゃないですか、○とか△とか□とか。これは、所得保障とかこういうところはやはり当然セットで出してもらわなきゃいけないわけで。

 これは、ある程度の数字が当然、さっきから言っているように、何か想定してこの法律つくっているはずですから、大体これぐらいだとか、あるでしょう。これは答えてもらわないと、あるいは検討中ということであるならば、いつまでに出してもらうのか、少なくともそこの約束をしてもらわないと、厚生労働委員会、これ以上続行できませんよ。

塩田政府参考人 グループホームにいて、通所授産施設に行っている方々の工賃を収入認定の際にどう扱うかという問題ですけれども、三千円については一律に基礎的に控除する。これは、同じ所得層にある方の生活実態からして、一般支出が六万九千円であって、基礎年金を前提とすると三千円の差があるということで、とりあえず三千円を仮置きしたということであります。

 それから、六万六千円を超える工賃をどういう形で収入認定するかについては、○○と、これもそういうふうにして書いておりますが、これについては、平均的な工賃の収入の状況と、平均的なグループホームの負担の額等を勘案して決めたいと思っていますが、六万六千円を超える場合、八割程度は手元に残るというようなものを念頭に置きながら、これも現在精査中ということでございます。

中根委員 八割程度は残るということは、例えば△△は二〇%という数字が入るということですか。

塩田政府参考人 細かい何%のところまではまだ確定しておりませんが、八割程度というイメージでしておることであります。

 それから、もう少し数値を詰めるにはいろいろな制度全体のことを考える必要がありますので、もう少し時間をいただければと思います。

中根委員 だから、これは今から、今まで四カ月という時間が、長かったか短かったかわかりませんけれども、今までだって時間があったわけなんですよ。これは、やはり次の審議のときまでには出してください。

 これは、やはり議論の最も根幹的なところなんですよ。どれぐらいの減免で、あるいはどれぐらいの負担になるか、どれぐらい手元に残るか。あるいは、親が子供のために、親亡き後のために、本当になけなしの、つめに火をともすような思いで貯金を、蓄えをしてきた、その額が五百万円で切られるのか、一千万円で切られるのか。もし一千万円だとしたら、一千万円以上の部分については、厚生労働省が、信託銀行に預けるんだったら、それは何か例外にするとかということを今までの話でも言っているわけですから、そういうことも今のうちからしなきゃいけない、皆さん。

 だから、本当に生活に極めて重要にかかわってくる部分なんです。これは○とか△で、我々そのまま通すわけには絶対にいかない。

 この審議が終わる前、要するに、採決が行われる前までに……(発言する者あり)直前じゃだめ。こういった○とか、これだけじゃないですよ、ほかのところもそうなんですけれども、秋までにというふうに言っていたところも含めて、採決の前提として、もっと具体的に我々にお示しをいただく。我々にというか、全国の障害をお持ちの方々、その御家族の方々、みんなに対してお示しをいただくという約束をしていただけますか、いただけませんか。

塩田政府参考人 できる限りの範囲内で、出せるものは出したいと思います。

中根委員 だから、例えば採決が来週の水曜日なら来週の火曜日いっぱいとか、何か具体的に、何月何日とか、何曜日までにとか、部長、それは言わなきゃやはりおさまりませんよ。採決までに。ほかのことはいいですよ、秋までにというものは、さっきそれもと言いましたけれども、この○と△と□だけ、これだけ出してください。

尾辻国務大臣 努力をすると事務方も言っておりますから、私の責任で全力を挙げて努力をいたします。

中根委員 では、例えば、消費税を上げますという法律がもし将来出てきたときに、消費税を○○%上げます、そのかわり法律を通してください、通してもらった後、○○%は後で決めます、こういうことが通じるわけですか。あり得ないでしょう、これは。

 いつまでたっても同じでしょうから、次の質問者にゆだねますけれども、この○とか△とか□とかいうことも含めて具体的に議論ができるような、そういう環境を整えていただくということを、大臣、約束してくれたと受けとめて、私は質問を終わらざるを得ませんので、後の質問者に譲ります。とにかく、出してくれるように最大限の努力をしてください。約束を破っちゃいけません。

 以上です。

鴨下委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 民主党の泉健太です。

 きょう、またずっと審議を続けているわけですけれども、この終盤に来てもなお、結局のところ、ほとんど具体的なことが見えてこない。大変残念な思いです。今もまたこうして、いつまでに回答するということをはっきり言えない、これまた大変残念なことです。

 しかしながら、一方では、何だか採決の声が聞こえてくる、これまた残念なことだと思いますし、もしそういうことがあるのであれば、それはぜひ撤回をしていただきたいというふうに、まず冒頭、申しておきたいと思います。

 そして、きょうは大臣と副大臣も来られているわけですが、いつもこのお二方だけではなかったような気がしておりまして、副大臣と政務官がほかにもおられたんじゃないのかなという気がしているんですが、罷免をされたというようなことをお伺いしております。その理由をお聞かせいただいて、そして、これはいつまでにだれを再任させるつもりなのか、これについてまずお伺いをしたいと思います。

尾辻国務大臣 政府の一員として、政府の考え方に反する行動をとったということでの罷免であると理解をいたしております。

 それから、いつまでということでございますが、できるだけ早くというふうに考えております。今、任命権者は総理でございますし、総理が外国へ行っておりますので、総理が帰ってこられてから御相談をしたいというふうに考えております。

泉(健)委員 罷免を先になされて、今、空白の状態かというふうに思うんですが、それぐらいの存在だったということになってしまうんでしょうかね。

 この法案審議に関して、副大臣や政務官がおられなくなったということについての影響はございませんか。

尾辻国務大臣 全くなしともしませんけれども、私ども、副大臣も一人おりますし、それから政務官もまた残っておりますので、この中で私どもなりに、例えばこの委員会では御答弁を申し上げてまいりたいと存じます。

泉(健)委員 非常に心もとないというか、もしこれは影響があるのであれば、やはりとめなきゃならないですよ。十分なスタッフがそろっていない状況で、しかも何で、罷免をするというのは政府の事情でしょうが、後任がいないというのは、これはやはりおかしいことじゃないのかなというふうに思うわけですね。その空白の状態でももちろん政策というのは進んでいくわけですから、なぜこれをすぐ任命されないのか。

 これは大臣に言っても限界があるでしょうけれども、ぜひ、そういった空白をつくらないでいただきたいということを改めてお伝えをしておきたいと思いますし、それぞれ副大臣には、以前もお伺いしましたが、担当の業務というものがあったはずです。なかったのであれば、これはいてもいなくても変わらないわけですが、あったはずでありますから、ぜひ、そういったことの政策推進に影響が出ないように、改めてお願いをしたいというふうに思います。

 こうして二カ月以上にわたって、この自立支援法の議論というものは、委員会のみならず、この国会内外でもずっと続いてきたわけです。そういった中で、しかし、私たちはやはり、園田議員、そしてまた今は中根議員からも話がありましたけれども、ずっと提案をしてきたというふうに思っております。

 六月の九日に、私たちは九項目の修正要求というものを出させていただきました。もちろん、この自立支援法の中には評価のできる点もある。ですから、そこについてはもう何も言うつもりはない。しかしながら、このままの自立支援法ではとても自立生活をやっていけない、それがきのうの一万一千人の集会だったんじゃないですか。これは障害者の声ですよね。その障害者の皆さんの声に基づいて、我々は、その声をしっかりと受けとめて、修正協議に、まさに障害者団体の皆さんが要求するものとほぼ同等のものを要求として出させていただいた。

 しかし、残念ながら、ほとんどが、法案の修正には応じられないが云々という言葉の答えしか返ってこなかったというのが、これが与党、野党の間の協議の結果であります。

 一方で、私たちは、厚生労働省とも、政省令について、もっときめ細やかな点について不安に思っておられる障害者の方々が多い、もしかしたら、これは障害者の皆さんに余りにもわからなさ過ぎるから皆さんが不安に感じているかもしれない、厚生労働省のためにも、ぜひ具体的にわかる範囲をもっともっと多くしていただいて提案をしてほしいというふうに言いましたが、きょうの答弁でも非常にわからない。生計を一にするというところですら、まだ検討するというような話をしている。どういうことなのか。国会、この委員会全体ですら、ほぼ一致をしている、そんな中身ですら明確に答えを出せないというのは、これはもう失格ですよ。

 こういう審議を何回やっていても切りがない、意味がない、全く進まない。それこそ、秋まで審議をやって、皆さんの調査結果が全部出てこないと、本当はこれは審議にならないんじゃないですか。非常に不満に思います。

 実は、この衆議院の中に秘書課長さんがおられるわけですが、その方が著書を書かれていまして、「衆議院」という本を書いています。その中に、委員会の役割とか野党の役割とかいろいろ書いてあるわけなんですけれども、これは、委員会の中で、「野党も、」「世論の後押しを受けて、」本文そのままで言うと「与党を負かすことも不可能ではない。」と書いてありまして、我々は別に与党を負かしたいわけじゃないんですが、しかし、世論の後押しを受けたものについては、やはり真摯にこの委員会で議論をするということが必要であって、大臣、いつも、真摯に受けとめます、誠実に私たちはこの国会の審議を尽くしていただきたいと思っていますということをおっしゃるんですが、発言の機会を与えられるだけであって、何も進展していないわけですよ。これは意味ないですよね。

 我々は別に発言の機会だけが欲しいんじゃなくて、協議をした上で、あるいはこの委員会の審議で与党、野党がこうして意見を述べ合った上で、それが文言に響いてこなきゃ意味がないと思っているんですよ。全く文言に響いてこないわけですね。これを何とか変えていきたいというふうに思っています。

 そもそも、大臣にちょっと質問したいんですが、私たちが六月九日に与党、野党の修正協議で修正要求を九項目行ったわけですが、大臣はそれをごらんになられていますか。

尾辻国務大臣 見せていただきました。

泉(健)委員 大臣の、民主党の修正要求を見た感想、そして御意見、賛否等、ありましたらお答えください。

尾辻国務大臣 見せていただきましたし、自民党がお答えになったという答えも見せていただきました。

 したがいまして、そういうことでいいますと、大体、自民党のお答えというのは私どもの考え方と、沿っておるといいますか、私どもの納得できるといいますか、そういうお考えであるというふうに理解したところでございます。

泉(健)委員 大臣はこれまでも、この法案でぜひとも可決、成立を願いたいということを、冒頭に、提出のときに申されたわけですが、私たちはこの九項目を出した。この九項目については、障害者団体の皆さんの声と違っている、あるいは同じ意見だ、どちらで考えていられますか。

尾辻国務大臣 民主党がお出しになった考え方が障害者の皆さん方の御意見とどうなっているかという御質問でございましょうか。(泉(健)委員「はい」と呼ぶ)

 私どもも、この法案提出に当たりましては、それから、再三申し上げておりますように、私が大臣になります前の、まだ部会長でございましたころからも、障害者団体の皆さんとは随分意見交換をさせていただいております。したがいまして、障害者団体の皆さん、また個々の皆さんに至ってはなおさらでありますけれども、非常に多くの御意見をお持ちでございますから、どの御意見と照らし合わすかということによって、今の御質問に対するお答えというのは大分変わってくるというふうに思います。

泉(健)委員 大分変わってくるというふうにおっしゃいましたね。そうしますと、私たちの出した九項目というのは、障害者団体の、ある意味一部の意見であって、大臣はそうじゃない意見を採用された、そうじゃない障害者団体の意見を採用されたということでよろしいですか。

尾辻国務大臣 申し上げましたように、障害者団体の皆さんのお考えというのはいろいろあるというふうに私自身は理解いたしておりますので、先ほどのようなお答えを申し上げたところでございます。

泉(健)委員 そういう声は私は余り聞いたことがないというか、そういう団体名も知らないですね。たしか統一要求を出されていて、そして私たちもそれに基づいてこの修正要求というのを出させていただいているはずなんですが。

 大臣、本当にそんな団体がありますか。いろいろな御意見、この我々の修正項目じゃないことを主張されているところというのはありますか。

塩田政府参考人 障害者団体の方とは、いろいろな団体の方といろいろなチャンネル、いろいろな機会に話し合いをしてきていますし、今も続けているところであります。

 それで、出された項目について、要するに、自分たちとして、もし理想としてここまで持っていきたいというお気持ちとすれば、民主党で出された事項は、それぞれの団体、多くの団体においてそういうお気持ちであることは事実だろうと思いますが、一方、実際の政策というのは、いろいろな制約条件がありますし、時間の限定もありますし、その中で、今度の改革でどこまで持っていき、次のステップでどうするかとか、いろいろな議論をしている中で、いろいろな議論が関係者の中にあって、そういう大きないろいろな議論をしながら、どこかに合意点を今回見出し、できないものは次のステップ、そういう議論をしているつもりでございます。

泉(健)委員 合意点を見出すんですね。合意点を見出すために我々もこの修正要求を出したんですけれども、返ってきたのは、応じられない、応じられない、応じられない。合意点を見出せるんですかね、これで。

 では、大臣、この委員会でもし与党と野党が合意をして、修正をこういう項目についてしてもらいたいということがあれば、やはりこれは、もちろん修正に応じるということになるわけですよね、委員会の中で与野党が一致すれば。

尾辻国務大臣 私どもは、国会の御意思というのはそのままお受けをしなきゃならない立場でございますから、国会の御意思があれば、当然そのとおりにさせていただきます。

泉(健)委員 ということは、委員会全体から修正というものが出されてくれば、それはいいという話になるんでしょうが、そうすると、委員会の問題だ、与野党協議の問題だということにやはりなるわけですね。与野党協議の問題になると、我々が出した修正項目があり、そしてそれに対する回答があって、それで我々は席を立ったと言われているわけですね。

 そこで何やら、とんでもないと思っているんですが、先ごろ終わった東京都議選があるから我々がそういう協議の席を立ったんだなんという話が一部から出てきていて、記者会見でもそういうことをおっしゃられた人たちがおられます。大臣、このことについてどう思われますか。

尾辻国務大臣 委員会の方の動きについて、あるいは御審議の中身についてお答えするのは私どもの立場でありますが、何か、今お尋ねになったようなことで申し上げるということは、してはならないことだというふうに思っておりますので、お答えは控えさせていただきたいと存じます。

泉(健)委員 大変残念なんですが、やはりこれはゼロ回答という答えを出してきた側に責任があるというふうに私は思います。

 それで、そのゼロ回答にも理由をちゃんと付してくださっているわけですよね、理由というか何というか。それは、短期的な協議において最終的な結論を見出すことは本来無理、さらなる協議を要することは言うまでもないということで、与党の方々が出されているわけですね。

 ぜひとも、さらなる協議をやはり要する必要があるんだなということも思っておりますし、短期的な協議においては最終的な結論を見出すことは本来無理ということで考えれば、この修正項目についてはやはり吟味が必要なんだということを与党の委員の皆さんもおっしゃっておられるんじゃないでしょうか。

 そう考えれば、もっともっとこの法案、審議をする必要がありますし、そして、少なくとも、我々は一度その与野党協議の席を立ちました。それは、回答が、さっきも言いましたように、応じられないというゼロ回答だったからです。しかし、もし、このゼロ回答だったということが、最終的な結論を見出すことは本来無理だ、短期的なものだからということであれば、さらなる協議を要すると書いてあるわけですから、では、与党の中でさらなる長期的な協議と、最終的な結論というのをまず出していただくということがやはり大切なことなのかな、それを出していただいた上で、与党と野党が協議をして、またこの委員会審議をして、そしてそれからこの法案の採決ということになっていくのかなというふうに思います。

 ということでいいますと、大臣、これは与党からまずそういった修正の提案というものが出されるということを我々待っているわけですが、それを見てという判断をやはり私たちすべきだというふうに思っています。そうしますと、来週採決に入れるのかどうかという話になるわけですけれども、与党の提案を無視して採決はできないわけですから、恐らく与党は今検討段階ということであるでしょうから、それを私たちは待ちたいというふうに思っています。

 それがまた、障害者の皆さん、そして私たち民主党を納得させられるものであったら、先ほど中根委員からも話がありましたが、我々は協議にも応じますし、そして存分に賛成をしてこの法案を通したいというふうに思っています。

 一方で、少し話を進めますが、厚生労働省の方とも我々は政省令について協議をしてきました。しかし、この与野党協議の中断を受けて、厚生労働省は我々との政省令についての協議というものも打ち切られたというふうに我々は認識をしているんですが、そういう御認識はございますか。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

塩田政府参考人 どの党の国会の先生にこだわらず、いろいろな機会にアドバイスをいただいておりますし、御意見も拝聴しておりますし、私たちの考え方も示しておりますし、それはこれまでもそうですし、これからもどの党の先生に対しても誠実に対応させていただきます。

泉(健)委員 打ち切ってはいないわけですね。では、政省令の協議を民主党とやっているということでよろしいですか。

塩田政府参考人 政省令というのは、細かいことで恐縮ですが、政府が決めるものであります。協議という言葉じゃなくて、国会の、立法府の先生からいろいろなアドバイスをいただいているということだと思いますし、国会の審議も踏まえて、私たちは、三権分立の中で立法府は最高権力ですから、その趣旨に沿った政省令をつくる義務が私たちにあるということでありまして、協議という言葉は私は適切ではないと思います。

泉(健)委員 では、協議という言葉じゃない言葉をまずお選びいただきたいと思います、塩田部長に。そして、では、その協議じゃない何らかのものが我々との中で続いていたわけですが、それは今行われていないわけですよね。なぜですか。

塩田政府参考人 私たちは、各党の先生、国会の調査権がありますから、要請があったときには必ず出席して御説明申し上げております。それは何ら変わっておらないつもりでございます。

泉(健)委員 ちょっと最後の部分がよく聞こえなかったのですが。

塩田政府参考人 打ち切ったという事実はございません。

泉(健)委員 おかしいですね。連絡を受けた議員がこちらにはいるわけですが、別な方からの電話だったんでしょうかね。そんなことはないと思っているんですが。

 やはり非常におかしい。協議がそこで、与野党協議がストップしたからなのかわかりませんが、我々は、もっとこの法案を具体的に、国民の皆様、障害者の皆様にイメージをしていただくために、できる限り情報をいただいて、それを公開していきたいということを考えているわけですが、それがなされてこなかったこの数カ月間だったということを言わざるを得ません。

 ぜひとも、まだまだこの審議は、先ほども言いましたが、恐らく与党が、今短期的に考えることはできないと我々に対して言ってきたものに対して、さらに案を出してこられるはずですから、しっかりと我々も議論をしていきたいと思いますし、同時に、厚生労働省とは、この政省令の具体的な中身については強く聞いていきたいというふうに思います。

 では、それぞれ、もうそろそろもう少し細かい中身に入っていきたいんですが、私は、この間、これまでずっとグループホームのことについて取り上げてこさせていただきました。その中でもう少し整理をしていきたいんですが、呼び名について少し整理をしていきたいというふうに思います。

 これまでの国会の審議の中では、軽度の方も重度の方も入れるのがケアホームだ、そして軽度の方だけが入れるのが、多分、分け方としてはグループホームになるのであろうということが確認されたかと思いますし、そして、軽度の方と重度の方が混在している、現在ある既存の施設の場合には、これを恐らくケアホームと扱って、居住の自由というものを、居住権を確保しようということを先日の答弁ではおっしゃられていたというふうに認識をしております。

 となると、まずは、その場合には必ず、この法がスタートをすれば、基準の人員を満たしていかなくちゃならない、サービスの水準、介護の基準というものを満たしていかなきゃならないということになるわけなんですけれども、これは、いつまでにそういった介護の体制を整えなければならないんでしょうか。

塩田政府参考人 これまで、グループホームについては比較的軽度の方を前提とした制度として今現在あるということでありますが、今度の法案では、比較的重い、介護の必要な人を対象とするものをいわゆるケアホームといい、もう一つの方を……(泉(健)委員「いつまで」と呼ぶ)はい。

 法案は、五年間かけて移行するということでありますので、新しい体系に移行するには、順次設定した基準に合致してもらうようなことになっています。

泉(健)委員 五年間経過措置があるということでよろしいんですか。部長、五年間、グループホーム、ケアホームは少し柔軟に対応していくということでよろしいんですか。

塩田政府参考人 グループホームの新体系への移行は来年の十月の施行を想定しておりますので、それ以降、順次新しい基準に合致していただくということになります。

泉(健)委員 それ以降、順次というのが非常に怪しいわけですよ。だから、それ以降、今のようなグループホーム、ケアホームを分けるのであれば、そうなれば、ケアホームの方にはやはり基準の人員、介護体制をつくらなきゃならないわけです。それは、この法律がスタートしてからいつまでやらなきゃならないんですか。

 というのは、もし、では、その期日までに、その順次というものの中に期日があるわけですけれども、その期日を守ることができなかった、そういったグループホームがあった場合に、それはケアホームと名乗ることはできなくなるわけですよね。そのままグループホームという名乗りをして、そのままの体制でやっていっていいものなのか、それとも、やはり何らか別な手段をとるのか、はっきりしないわけなんですよ。

 もし、では、その順次というものの中で対応がおくれて、グループホームがケアホームにちゃんとなれなかったという場合について、その場合は、ケアホームの名称を剥奪されてしまうのか、ケアホームの認定を外れてグループホームという呼び名のままで継続して居住をするのか、どうなっていくのかを知りたいわけです。

塩田政府参考人 移行がスムーズにいけるように基準を検討したいと思いますが、制度論からいえば、来年の十月以降は新しい体系になりますので、決められた基準に合致していただくということになります。

泉(健)委員 あと、その名称なんですね。やはり一般的に、これまで地域ではグループホームという言葉を使ってきたわけですね。ある意味、グループホームと呼べる呼べないは別にしても、多くの方々がグループホームというものを使ってきた部分も多少あります。

 そういう中でいいますと、これからこのグループホーム、そしてケアホームという言葉については、一応これは、名称独占まではいかないんでしょうが、使えるものの制限、こういった言葉を使うものの制限というのはあるんでしょうか。

塩田政府参考人 制度論からいえば、基準に合致した、基準に沿った名称にしていただきたい。法律上の名称と、一般的に、対外的に使っている名称、これは峻別していただいても構わないと私は考えます。

泉(健)委員 今のお話ですと、そうしますと、全国いろいろなところで、グループホーム、ケアホームという名前自体はわあっと広がっていくのかもしれないですね。それが厚生労働省の認めるグループホーム、ケアホームなのか、あるいは認めないケアホームもあるということになるのか、非常にややこしいかもしれないですね。そういったものの整理もついていないから、やはり皆さん不安に感じるわけなんですよ。そこをぜひやはり知っていただきたいと思います。

 時間がないからもう一点行きますが、認定審査会です。

 支給基準を超えてサービスを利用する非定型の支給決定の場合は、認定審査会の意見を聞くということになっているわけなんですね。ただ、ここで、認定審査会の方々は、審査員の方々が直接当事者から意見を聞くという話では基本的にはなくて、まずはあらかじめ市町村が当事者からヒアリングを受けて、そして計画をつくったら事前説明をするということになっているわけですが、その事前説明が終わった後のいわゆる計画書みたいなものは、これは当事者は見ることはできますか。審査会に上げる資料というものを当事者は見ることはできますか。

塩田政府参考人 一人一人の障害を持つ方にどういうサービスが必要かについては、いろいろなところで市町村が面接、ヒアリングして資料を作成するということであります。審査会からの要請があったときには御本人の意見聴取がありますが、御本人のサービスにかかわることだし、個人情報でもありますので、当然、市町村が審査会に出す際に御本人と相談するだろうと思います。

泉(健)委員 だから、今言ったじゃないですか、ヒアリングと事前説明はやる、それはわかった、見ることができますかと。答えてください。

塩田政府参考人 御本人にどういう形で市町村がお見せするかは市町村の判断だと思いますが、いずれにしても、御本人に聞いて、御本人の事実とか状況ですから、書く中身は当然御本人の了解を得る必要があると思いますので、何らかの形で、御本人は自分のことについてどういう判断がしてあるかについては知ることができるのではないかと思います。

泉(健)委員 これは自分のことについて書かれているわけですよ。どんな報告書が上がるかわからない。ある意味、市町村の人間がヒアリングをして、事前説明をされて、でも、その市町村の方がどんな判断をしたかがわからない。そのまま上に上げられる、そして評価をされる。そして審査会が聞きたいときだけは意見を聞いてもらえる。全然これは当事者の話が入ってこないわけですよね。しかも、実態をちゃんと示しているかどうかわからないまま決まっていく可能性だってあるわけですよ。

 これはやはり、少なくとも当事者が見て意見を述べられるとか、学校の内申書じゃありませんが、今、学校の内申書にしたってそういうものを徐々に公開しなさいという話が出てきているわけですから、これは、当事者が閲覧をできるようにするとか、何らかやはり考えるべきじゃないですか。

塩田政府参考人 御本人にかかわる資料ですから、市町村には御本人に対してきちんと説明する責任はあると思います。

泉(健)委員 こういう答弁が二カ月ぐらいずっと続いているんじゃないですか。新しい提案を委員の方から幾らやっても、今の中身の説明、先ほど申しましたように、これまで再三申しておりますようにの繰り返しじゃないですか。何のためにこの委員会審議があるんですか。非常に情けない。何のためにやっているんですか、我々は。

 何を言ったって、後で決めますと。これはちょっとやはり変えなきゃだめですよ、委員会そのものも。全然これは話にならないですよ。結局は、後で厚生労働省さんが決めるということしかわからないですね、障害者の皆さんもわからない。そういう法案を、我々与党と野党の国会議員が、国民に選ばれた国会議員がこれだけの時間をかけて何も変えられていないという今の状況は、ぜひやはり与党、野党ともに考えるべき課題じゃないのかな、私はそういうふうに思いますよ、これは。

 もう時間がありませんけれども、ぜひ、先ほど改めて申しましたが、我々は、与党からの修正の案というものを待って、そしてしっかりと委員会の中で議論して、また大臣にそれを渡していきたいというか、我々、委員会でしっかりともんだものを法案としてつくっていきたいということを、最後に決意を申します。

 そしてまた、西副大臣、きょう本当は少しお伺いをしようと思っていたんですが、ぜひ、やはり、公明党が入っている意味というものを、与党の中に生活与党が入っているということをしっかりと重く受けとめていただいて、実のある修正案をお出しいただくように副大臣の方からもお伝えをいただきたいと最後にお伝えしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、三井辨雄君。

三井委員 民主党・無所属クラブの三井辨雄でございます。

 今ほどからそれぞれの委員から、この委員会、五月十一日からスタートいたしまして、本当にこの二十九時間の審議、参考人の皆さんからもいろいろな御意見を賜りました。そして、この審議経過あるいは内容を振り返って、この法案そのものが本当に障害者のためになる法案なのか、まさに自立を支援する法律になるのかということを、私自身も十分に納得いかないと思っております。

 いまだにわからないところがたくさんございますし、また、この法案は、国とかあるいは都道府県の財政支援のあり方や、あるいはサービス提供の体制の整備ですとか、マンパワーの仕組みなど、今までの支援費制度の問題点を克服するための法案としていますけれども、しかし、そのほとんどが、先ほどからお話が出ていますように、政省令事項が多過ぎるんですね。ですから、部長がおっしゃいますように、十月でないとわからない、これを審議した後でなきゃ出ませんと。まさに、私どもの委員なりあるいは与党の委員からもお話がございますように、阿部委員に言われたことがありますけれども、眼鏡のフレーム論だけであって、レンズの部分が全く見えてこない。まさに、介護保険制度もそうでございましたが、この障害者自立支援法も全く見えない状況にあるというのが実情じゃないでしょうか。

 また、そこで、今申し上げましたように、この国会審議というのはすべて本当に後回しになっているなということも、大変、このことがやはり障害者の皆さんにも不安を与えている、あるいは委員の皆さんにも不安を与えている、そして厚生労働省あるいは法律に対しても不満が出てきているというのが実情だ、こういうぐあいに私は思っているところでございます。

 きょう、先ほどから、昨日の一万人集会、まさに皆さんが、前回は五月十二日でしたでしょうか、六千人の集会を上回る、約倍の皆さんがこの陳情に押しかけてきているわけでございます。ようやくその中で、私のところへ陳情に来られた方も、やっと国会のこの審議が少しわかってきた、しかし中身については非常に不満だということをおっしゃっているわけです。まだまだこういう中で審議を十分に尽くしてほしい、慎重審議をしてほしいという御意見がたくさんございました。

 また、私の地元の札幌でございますけれども、障害者団体の皆さんも、この法案について、行政サイドの説明では、利用者負担、重度者の長時間介護、それから自立支援医療など、さまざまな情報を障害者の全員に理解してもらうことが現時点では不可能ではないか、こういうことをおっしゃっているわけですね。改めて説明会なり勉強会を開いてほしいという要請が私のところへ来ているわけでございます。

 大臣、これは、この法案の審議は、皆さんから今いろいろ御意見が出ました、やはりもっと時間をかけて、そして当事者の皆さんの声をもっともっと聞いて、そして十分に審議することが大切ではないか、私はこういうぐあいに思うわけでございます。だれのための法案なのか、何のための法律なのか、法律として本質が問われるということを一言私は申し上げたいと思います。

 それで、質問でございますが、今までのそれぞれ審議の中で重複するところも多々出るかと思いますが、私からまずお尋ねしたいのは、重度障害者の長時間介護についてであります。

 地域で生活するひとり暮らしの重度障害者にとって、長時間介助はなくてはならないサービスであります。これについては、まだまだ懸念をぬぐい切れない、本当に大丈夫なのかという声が寄せられているわけでございます。

 簡潔にお尋ねいたしますけれども、在宅サービス事業の中でホームヘルプ事業を長時間利用して、あるいは自立した生活を営まれている場合の方に対して、今回の障害者自立支援法案では、利用者負担はどのように変わるのか、また、現行水準どおりのサービスを維持されるのか、お尋ねしたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 今までは所得に応じた負担、こういうことでございましたが、これを見直しまして、障害者自立支援法案、今御審議いただいておりますが、一割の定率負担と所得に応じた月額の負担上限、これを組み合わせた利用者負担をお願いするということにいたしております。なお、このような見直しに当たっては、負担が過大にならないように、収入の状況に応じた数段階の月額負担上限を設定することを初めとして、各般の配慮措置をきめ細かく講じることといたしております。

 例えば、収入の状況に応じた数段階の月額負担上限、それから、定率負担とすると生活保護を受けざるを得なくなるような皆さんに対しては、収入、預貯金に応じて個別に減免する仕組み等を設けさせていただいております。また、ホームヘルプを月百二十五時間の場合の利用者負担を、最長でございますが、それぞれ所得に応じて軽減させていただく等の措置を講じているところでございます。

 その上に、特に重度の障害者の皆さんを想定いたしまして、ALS等介護を必要とする程度が著しく高い、こういう方に対して重度障害者等包括支援という仕組みを今回設置しまして、常時介護を要する重度の肢体不自由の方を対象として、同様に重度訪問介護といったような新しい類型を創設させていただきました。また、障害程度の区分をきちっと総合的に設定いたしまして、これに国庫負担基準をつける。それから、各地域におきまして、障害福祉計画に基づいて計画的なサービスを整備させていただくというようなことによりまして、それぞれの地域で暮らす重度障害者の方々に、より適切なサービスが確保されるようになるというふうに考えているところでございます。

三井委員 まさにこれは、障害程度区分の中でも厚労省さんはこうおっしゃっているわけですね。一人ぐらい障害者の重度障害者を想定しているのかという問いに対して、厚労省は想定しているとおっしゃっているんです。その中身までは具体的に触れられておりませんし、また、モデル事業ということも、先ほど部長がおっしゃっていましたように、これは十月ごろにモデル事業等を踏まえて行われるというようなことをおっしゃっています。そこで、私は、この問題については、重度の障害者のことも含めて、移動介護の問題というのはやはり手厚くするべきだ、こういうぐあいに思うわけでございます。

 そこで、仮に義務的経費とした場合であっても一定の基準が示されると私は聞いておりますけれども、このことは多くのメニューを必要とするわけでございますから、基準を超えて利用しなければならない障害者にとっては大変な死活問題にかかわるわけでございます。本当にこの障害者自立支援法案で障害者が今までどおりに地域で暮らすことができるのかということをお尋ねしたいと思います。

尾辻国務大臣 このたび御提案申し上げております制度では、新たに重度の障害者を対象とした重度障害者等包括支援でありますとか重度訪問介護といったサービス類型を創設することとしておりまして、よくこの重度の方に対する御心配があるところでございますけれども、そうした皆さんに対して、より効果的、効率的に支援を進めたいというふうに考えておるところでございます。

 こうしたサービスを含めまして、給付に必要な費用について国が負担するということにしておりますけれども、国費を公平に配分するという観点から、全国一律の配分ルールが必要だと考えておるところでございます。

 それが国庫負担基準ということになるわけでございますけれども、この国庫負担基準は、まず一つには、サービスの必要度との関係も明確でないとの指摘のあります支援費制度の国庫補助基準、これがこれまでの支援費制度における国庫補助基準でございましたけれども、これとは異なりまして、支援の必要度を示す障害程度区分ごとに設定をする。それから二つ目でございますが、市町村単位で適用することとして、障害者一人一人の給付の上限とはしないということでございます。それから三番目に、その水準については、実際のサービス利用の実態等を踏まえて設定していくということにしております。

 こうした仕組みにいたしておりますので、地域で暮らす重度の障害者の方々に適切なサービスが確保されると考えております。

三井委員 今大臣から御答弁いただきましたように、本当に地域でしっかり生活できるような制度というのを皆さん望んでいるわけでございますから、これはぜひともやはり遵守していただきたいといいましょうか、必ず、大臣がおっしゃっていますように、障害のある方も障害のない方も一緒にその地域で暮らせる、そういうことをぜひとも私はやっていただくべきだ、こういうぐあいに思っているわけでございます。

 そこで、障害者が地域で暮らすためには、障害者御自身が容易にその地域に出向くことができる、そして仕事でもあるいは買い物でも、生活するための移動を自由に確保できることが、先ほども私がお話し申し上げましたように、必要であるわけですね。今回の改正では、個々の移動支援が個別給付でなく市町村の事業へと規定されているわけです。実際問題として、個人のニーズに対して市町村は対応可能なんでしょうかね。それと、やはり障害者個人が社会に参加、活動する、そのしっかりとした担保がされるのかどうかということを私は大変心配しているんですよ。これをお尋ねしたいと思います。

尾辻国務大臣 今お話しの外出時の支援を行う移動支援についてでございますが、障害者の皆さんの社会参加を促進し、地域での自立した生活を支える上で、極めて意義のあるサービスであるというふうに認識いたしております。

 したがいまして、このたびの障害者自立支援法案におきましては、移動支援について、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な形態での実施が可能となりますように、市町村の地域生活支援事業として位置づけることにしたものでございます。

 この際、この事業の重要性にかんがみまして、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業として位置づけておりますし、また、その費用につきましても、支援費制度と同様に、国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けることとしておりまして、より多くの自治体において必要なサービスが適切に受けられるようになるものと考えておるところでございます。

 なお、重度の行動障害を有する方等については、移動の支援や身体の介護等をパッケージで行う個別給付のサービスメニューを新たに設けることともいたしておるところでございます。

三井委員 横路委員からもお話がございましたように、なかなか地域格差というのがございまして、本当に真剣にやる地域と、さっき泉健太議員がおっしゃったように、通知箋と言っていましたが、まさにばらつきがあるわけですよね。私も聞いて、何かすべて市町村に、丸投げとは言いませんが、これは本当に地方へ行ったらもっともっと大変なんですよね。

 その中で、市町村によっても、今まさに地方分権、いろいろなことが言われている中で、本当にしっかりとやれるのか。仮に地域包括センターをつくった場合も、これは実際問題としてその市町村でやれるのか。あるいは、委託という話もございましたけれども、民間でやってもらうということもあるでしょう。しかし、私はこれを徹底するまでは相当時間がかかると思うんですね。ですから、この問題にはやはりしっかりと私は取り組んでいただきたいと思います。

 時間もございませんので次に移らせていただきますけれども、在宅サービスのホームヘルプサービスについて、これは当然、在宅サービスのかなめでございます。このホームヘルプサービスについてお伺いしたいと思います。

 未実施の市町村や、あるいはサービス量に大きな格差があるということも今私申し上げましたが、調査室の資料を見ても、平成十五年四月時点の都道府県の比較において、身体障害者ホームヘルプの地域差が五・五倍、知的障害者ホームヘルプが二十三・七倍、これは横路委員もこのことをお話ししていましたが、障害児ホームヘルプに至っては四十四・四倍という地域差が生じております。

 こうした状況にあって、ホームヘルパーの数は実際に足りているんでしょうか。また、その養成についてはどのようにお考えになっているのか。また、先ほど介護保険のことを申し上げましたけれども、制度を支えるマンパワーというのは、冒頭に申し上げましたように、非常に大事なんですね。やはり心の通ったマンパワーができるということが必要だと私は思っておりますし、そこで、このヘルパーさんの育成の問題。

 障害者自立支援法案は三障害を一元化した、そして普遍的なサービスが提供されることになったということでございますけれども、現実問題としては、知的、精神、身体という障害それぞれにヘルパーの接し方もおのずと変わってくるんですね、これはもう当然おわかりになると思いますけれども。こういう中で、私はやはり何らかの基準だとかあるいは資格というのは必要でないかと考えるんですが、いかがでございましょうか。

尾辻国務大臣 お話しのように、こうしたサービス、介護も含めてでございますけれども、マンパワーが必要なことは申すまでもございません。

 そうした中でのかなめと言ってもいいと思いますけれども、ホームヘルプサービスでございますけれども、これにつきましては、一昨年、支援費制度が施行されてから、それまで事業を実施していなかった市町村が新たに取り組みを始めたりいたしましたために、サービス利用が増大しております。そのことからホームヘルパーが不足しておる地域もあると聞いておりまして、これは、地域間格差があるというお話はお述べになったとおりであります。私どももそのとおりに認識しております。今後とも、こうした増大するサービスに適切に対応するためには、ホームヘルパーを養成、確保していくことが極めて重要であるというふうに考えております。

 このために、このたびの新制度におきましては、市町村が策定する障害福祉計画において必要なホームヘルプのサービス量を見込むということとともに、都道府県が策定する障害福祉計画に基づき、ホームヘルパーを含む従業者の確保、資質の向上のために研修等を行うことを考えているところでございます。

 それからまた、ホームヘルパーの資格についてもお触れになりました。現行制度では障害種別やサービス種類ごとに設定しておるところでございますが、高齢者のサービスにはない長時間サービスなどの場合には、柔軟なサービス提供を行う観点から緩やかな基準とすべきとの御意見がありましたり、また、専門性の高いサービスについては、質の確保の観点から適切な基準を設定すべきだという御意見等もございまして、いろいろ御意見があるということを申し上げているところでございますけれども、そうした御意見がございますので、こうした御意見をよくお聞きして、よりよいサービス提供を行う観点から、資格や研修のあり方などについては今後の検討にさせていただきたいと存じます。

三井委員 ぜひ、時間もございませんので、まだ質問が五問ぐらい残っておりますので、この資格制度、いい人材というのをやはりしっかりと養成していくべきだ、そういうことを私は強く要望する次第でございます。

 いずれにしましても、地域で暮らす障害者の皆さん、さまざまな障害を抱えている人たちが、大臣にも私は介護保険のときも申し上げましたけれども、それぞれの尊厳をしっかりと守っていくということは私は大事だと思っております。それにはやはり有意義な制度にしていくことが本当に大事だということを改めて私は申し上げたいと思っておりますし、それには、きょうのそれぞれの委員からお話が出ていますように、障害者当事者の意見をまず真摯に聞くことが大事でないか、そしてより充実した制度にすべきであると考えているわけでございますけれども、大臣、これは簡単でよろしゅうございますから、御答弁をお願いします。

尾辻国務大臣 それでは、ポイントだけで簡単にお答え申し上げたいと存じます。

 当然のこととして、障害者の方々の御意見というのは十分伺ってまいったつもりでございますし、今後とも伺ってまいりますし、また同時に、障害者の方々を初め国民の皆様に御理解もいただかなきゃならない、そうしたことを両面、努力しなきゃならないというふうに考えております。

三井委員 本当に大臣にはしっかりと尊厳ということを、政治家のお一人として、人間としても、やはり障害者の皆さんのお立場に立って、ぜひお考えいただきたいと思う。

 そこで、医療分野についてお尋ねいたします。

 育成医療は、五島委員あるいは水島委員からも御質問があったと思いますけれども、その対象が子供であるということでございますし、特に親御さんにとっても、特に若い世代の親御さんが多い。世帯の所得もそれほど多くない。まさにこういう中で、障害というハンディを負うか負わないかのぎりぎりの状態でお子さんは治療を受けているわけでございます。家族も最大限の努力をしていらっしゃる、また、我が子の健やかな成長を願っているという実態があるわけでございます。

 そんな中で、今回のこの自立支援医療、こうした若い親御さんに対して負担を求めることに今回なるわけですよね。そういう中で不安を抱いている方々が、私の事務所にも本当にたくさん、数多くのファクスをいただいておりますし、また手紙でもいただいております。低所得者世帯にとっては自己負担の軽減を図るということが大事でございますし、実際に、医療機関での付き添いですとかあるいは家庭と病院との往復という、医療費以外の経費がかかるわけでございますね。これはもう本当に、我々もそうですけれども、思っている以上にいろいろな経費というのがかかってくるわけでございます。

 そこで、こうした状況の中で、どういう考えで今回の制度に大臣は改められるのか、お聞きしたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 今先生御指摘のように、病気で入院されているお子さんたちを持つ親御さん、これは大変さまざまな御負担、御苦労がおありだと思います。経済的にも大変な状況の中で御苦労されているということは十分承知をしております。

 一方で、育成医療というのは、障害のあるお子さんが健やかに育つように、その障害の軽減を図るために必要な医療を提供するということでございまして、他の障害に係る公費負担医療とのバランスも考えながら、その維持を図っていくことが必要だというふうに考えております。

 しかしながら、育成医療につきましては、対象となる方には若い世帯が多いということでございますので、医療機関の窓口での支払い額等につきましては、激変緩和の経過措置を設けるなど、他の制度以上の工夫を今回盛り込ませていただいたところでございまして、そういう意味では、制度の見直しに御理解をいただきたいというふうに考えているところでございます。

三井委員 先般の五島委員、水島委員からも、先ほど私申し上げましたように、大臣、十二億か十四億の予算ですよね。これは本当に大臣の御決断で、この金額ぐらいと言ったら失礼なんですけれども、これぐらいのことは大臣の御決断でできないものなんでしょうか。これをぜひ大臣に私は強く要望申し上げたいと思うんです。

 いろいろなものと比較するわけにいきませんが、まさに今私が申し上げましたように、若い世帯の親御さんがそのお子さんを抱えている、そういう人にも日を当てるような、大臣、ひとつぜひともお考えをお願い申し上げたいと思っております。これは答弁は結構でございます、時間がございませんので。

 それで、自立支援医療について、これはことしの十月一日から実施ということで、もうあと三カ月しかございません。これから参議院の審議も想定すると、二カ月あるかないかというところでございます。本当にこれを実施できるのかどうかというのは、できるとすれば事前に十分な指導が都道府県等になされるのか。これについて私、地元の自治体の関係者に聞きました。非常に不安である、物理的に無理だということを指摘されているわけですね。

 現場にやはり無用な混乱を起こさせるべきでないと私は思うんですよ。そのためにも、この際思い切って実施時期をおくらせるべきでないかと思いますけれども、いかがでございますか。

西副大臣 先生御指摘のとおり、ことしの十月の実施ということになっておりまして、利用者負担の見直しが関係するものでございますから、利用者の方への周知の準備を丁寧にやっていく必要があるというふうに考えております。

 今後、法案成立後速やかに周知を図り、また、申請が一度に集中しないように申請時期をずらしていただいたりというようなことを通じまして、申請手続や窓口において混乱が生じないように十分留意をしながら、円滑な施行に向けて誠心誠意努力をしてまいる所存でございます。

三井委員 それはあれですか、副大臣、十月を延期するということで解釈してよろしいんでしょうか。

西副大臣 この施行期日を延期するということは考えておりません。

三井委員 しかし副大臣、これは本当にこれだけの法案でございますから、今私が申し上げたように大混乱ですよ。これは東京なら東京だけじゃないんですよ、全国北は北海道から南は沖縄まで、これを実施するのに時間がないじゃないですか、周知徹底させるにも。

 まあいいです、時間がないから、次にお伺いいたします。

 この費用負担について、私は、なぜ今これを引き上げる必要があるのかと甚だ疑問に感じているところでございます。

 また、障害者の雇用促進法を自立支援法案と切り離して審議を先にしたわけでございますけれども、この法案をもってしても、急激に障害者の皆さんの就労が確保できるか、また収入の道が確保できるのか、あるいは政策達成は簡単にはやはり見込めない、こういうぐあいに私は思っております。このように、現実に障害者の所得保障が十分になっていない状況下の中で負担を強いるのは、逆に障害者政策の後退ではないかと私は思うわけでございます。

 障害者の皆さんは働きたくても働けないのが現実でありますし、また、雇用促進法の審議の際にも、問題としてこれまで多くの委員が取り上げてまいりました。また、職についても多くの方々が月額平均工賃が二万円前後にしかならない、こうした実態も踏まえて、やはり私は工賃がもっと引き上げられるように対策を講じるべきだと考えますが、いかがでございましょうか。

尾辻国務大臣 議員がお話しいただきましたように、障害者に対する就労支援を強化いたしまして、工賃を高めたり企業雇用を進めていくということは、これは障害者の所得の向上という観点からも非常に重要であると考えております。

 このため、今回の改革におきましては、福祉と雇用の関係機関がネットワークを構築し、障害者の適性に合った就職のあっせん等を行うことでありますとか、既存の施設や事業について、その機能に着目をいたしまして、就労のために必要な能力等をはぐくむ事業や、就労の機会を提供する事業等に再編することなどを実施することといたしております。

 また、授産施設等の販路の拡大のため、地方自治体がこれらの施設からの物品の調達を随意契約により行えることとしたところでもございます。

 さらに、今年度から、小規模作業所や授産施設等に対する経営セミナーの開催など、その充実強化を図るための事業を実施することとしたところでございまして、今申し上げたような事業の展開により、障害者の一般就労への促進でありますとか、工賃を高める取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。

三井委員 済みません、時間がもう終了ということでございますけれども、最後にお願いでございます。

 ぜひともこれは慎重審議をしていただいて、そしてやはりこれは拙速にやるべきでない。私のところにも、昨日の、通所の授産施設の女性がお見えになりました。私たちも本当に社会へ参加したい、私は店員をやりたい、しかし結婚もしたい、ですけれどもこれだけの負担が多くなると私の夢が破れるんですと。もう一人の女性は、私は世界一周したい、そのために、月三千円のお金しか、工賃しかもらっていませんけれども、私はその中で世界一周をしたいんだと。

 こういう、やはり皆さんがそれぞれ本当に純粋に夢を持っていらっしゃる。そういう方たちにしっかりと応援をしていくような体制というのは、やはり政治家として、人間として、大臣がいつもおっしゃいますように、障害のある方もない方も一緒に暮らせるような社会づくりにしていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 きょうは、各委員から紹介されておりますが、昨日、一万一千人を超える障害者の皆さんや家族、それから施設職員の皆さんが集まって、私どもへの大きな要請行動を行いました。

 午前中の質疑では大臣御自身がきのうのリーフレットをお持ちでしたから、この要請の中身は既にお読みだと思います。スローガンは、「このままの”障害者自立支援法案”では自立はできません!」というスローガンです。

 ではどういうところに問題があるのかといいますと、十一項目上がっておりまして、そこには、応益、定率負担の導入をやめてほしいという問題ですとか、本人が負担できない場合に家族に負担が及ぶことは避けてほしい、それからいわゆる谷間の障害者をつくらないでいただきたい、そして自立支援医療の問題や障害程度区分の問題、いわば今度の障害者自立支援法の骨格の全体に及ぶ批判と危惧がここでは表明されております。

 きょうは、尾辻大臣はこの要望につきまして大臣として重く受けとめるという答弁を既になさっています。そういう立場で、お互いにこれからの審議を尽くしてまいりたいと思うんです。

 きょうは、私は初めに、利用者負担にかかわる問題を取り上げたいんですけれども、今度の法案では、障害者福祉サービスにつきまして、利用者本人による一割負担を導入します。その際に、政省令によって月額上限を設けて個別の減免を図るという仕組みになっています。所得保障の確立がないままに一割負担の導入を図れば、これは障害者の皆さんの自立や社会生活にとって非常に重大な悪影響を与えるということは繰り返しこの質疑の場で私自身申し上げてまいりましたし、参考人の皆さんからも随分詳しく指摘された点だと思うんです。

 きょうは理事会の了解を得まして資料をお届けいたしましたが、まず一枚目からごらんいただきたいんですけれども、これは厚労省が説明の際に使っております「福祉サービスの負担者の範囲について」という説明のメモです。これを見ますと、新制度の場合、扶養義務者の負担を廃止する、そして、利用者本人による負担というところに立法の趣旨があるということが明確になっているんですけれども、ところが、その一方で、利用者本人の負担上限額は、世帯の収入に応じて設定するというふうになっております。

 大臣にまず尋ねますけれども、法の建前として利用者本人による負担であるというふうに打ち出したとしても、世帯収入という上限額を設定しますと、結局、国自身が音頭をとって家族負担を認める、こういう方向になる、その不安があるんじゃありませんか。大臣に。

尾辻国務大臣 お話しいただきましたように、まず、利用者本人による負担ということを明確にしたところでございます。

 ただ、そうした中での、負担を軽くするということの場合に今の話が出てくるわけでございますけれども、これは私どもは、経済的な面において世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があるということを踏まえまして、これは介護保険制度などでもそうしておりますけれども、それと同様に、生計を一にする世帯全体で負担能力を判定する、これは、申し上げておりますように、負担を軽くするということを考えるときにそうしようということを申し上げているところでございます。

山口(富)委員 この仕組みが負担を軽くする方向で必ずしも働かないというのを、私、これから述べますから。

 その前の問題として、今大臣がおっしゃったことは、支援費制度をつくってきたこの数年間の努力をいわば水泡に帰すような流れだというふうに思うんです。大体、支援費制度の導入に伴って扶養義務者の範囲が見直されて、二十歳以上の場合は父母兄弟を除く配偶者と子というふうにされたわけですね。そして今度、少なくとも法の建前としては、扶養義務者の規定というものを廃止するというところに行ったわけです。

 ところが、支援費制度によっていわば利用者本人の負担の流れというのが障害者の自立と社会参加を支援するということでずっと道が開けてきたわけですけれども、現実には、世帯収入で見るということになりましたら、大臣がお認めになりましたように、実生活が家族にいわば支えられているから、そういうことで見なければいけないというわけでしょう。だから、そこが、家族負担を認めることになってしまうじゃないかということを私は指摘しているんです。

 大臣、そうじゃないんですか。そこに障害者の不安があるんじゃないですか。大臣に。

尾辻国務大臣 これは御議論があるところでございまして、まず配偶者をどうするかということがございます。どうしても配偶者というのはまさに生活一体で行っておりますから、それを、では、兄弟の皆さんとかのように生活が別なものとして取り扱うべきかどうかということの議論がございます。

 それからもう一つございますのは、医療保険制度でありますとか税制面において被扶養者などとして実質的な経済的な恩典を受けておる場合がありまして、ではこれをどうするのか。受ける恩典だけは受けておいて、負担はしない、負担というところになったら関係ないよというのかという議論があります。

 こうした御議論があるものですから、その辺をどう整理するかということで、私どもは、生活を一にする世帯の範囲についてということで、そういうことでは、今後の具体的な検討なんですけれども、大きくは見直しの意見として私どもの提案をさせていただいておるところでございます。

山口(富)委員 大臣は他の制度や税制の問題に触れられましたけれども、この問題は障害者なんですね。しかも福祉なわけでしょう。だから、これはほかの制度がこうなっていますというところから出発できないんです。やはり障害者の生活の実態から出発しなければこの問題の解決策が見えてこないんですね。

 きょうの質疑の中で、生計を一にするという世帯の認定の範囲の問題なんですけれども、これは検討するということは繰り返しこれまでも答弁されてまいりました。しかし、少なくともきょうの審議を踏まえますと、世帯の認定については狭める方向で検討するというところまでは確認してよろしいんですね。

塩田政府参考人 新しい制度における負担上限の世帯の範囲の問題、これは繰り返しこの委員会で議論されたところでありまして、障害福祉サイドからは、なるべく御本人の所得に限定するような方向での検討が必要だと考えております。

 ではありますけれども、例えば両親と成人の障害のある方が同居して……(山口(富)委員「それは同じ答弁の繰り返しになるよ」と呼ぶ)

 では、そこは省略いたしまして、そういう方向で検討はいたしますけれども、同居している場合で、例えば、同じことなんですが、医療保険あるいは税制面において被扶養者になっていないような場合については生計を一にしていないものと考えるということで、関係省庁と議論をし調整をしているところでございます。

山口(富)委員 今の塩田部長の答弁はなかなか重要な答弁だと思います。つまり、障害者福祉政策の立場からいったらやはり利用者本人で見ていくべきだ、それが基本であるということを述べられました。その上で、他省庁との検討の余地があるというお話だったと思います。

 先ほど大臣は、この上限、世帯で見ていきますと、これは引き下げる方向になるんだ、そういう立場だというお話があったので、私はこの問題に進みたいと思うんです。

 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、これは五月の十八日の質疑で私が厚労省に要求いたしまして、いわゆる上限額の区分の四つにそれぞれ障害者がどの程度いらっしゃるのかということを一覧表にしていただきたいということで出された資料です。これは繰り返し要求いたしまして、私が要求してから出てきたのに一カ月半かかっております。

 それで、これを見ますと、身体障害者、知的障害者、精神障害者、それぞれ非常に所得が低いということははっきりこれでもわかります。しかし、ここで問題になってきますのは、入所系の場合、それぞれここでは三つの障害者の皆さんの分布を示しているのですけれども、大体、生活保護対象者が一割ないし極めて少ないか三割。それから低所得に九割、十割、七割と、ほとんど低所得にいるということです。ところが、居宅・通所系でこれを見ると、逆に一般、一般というのは四万二百円が上限になるわけですけれども、ここに身体障害者で約七割、知的障害者で約七割ということになってしまうんです。

 なぜこういうことになるかというと、入所系の場合は、入所なさっている場合は世帯が単独になりますから、当然、収入が、そこで本人所得で事実上見ていきますから、少なくなるのは当たり前です。となりますと、居宅・通所の場合も、ここの一般七割というのを本人の収入ということで見たら、これは当然低所得の方に大きくシフトするということになるんじゃないですか。

塩田政府参考人 利用者の所得階層の分布状況を入所と居宅系に分けて御説明というか御提案しておりますが、やはり世帯分離の関係があって、入所の場合は世帯分離、居宅の場合は同居という感じで、御指摘のような分布になるということでございます。

山口(富)委員 ですから、先ほどの大臣の答弁は事実と違うんです。つまり、世帯で見ていこうということが、いわば負担を軽くする方向で働かせるためにそうしたんだとおっしゃいましたけれども、少なくとも居宅・通所系の場合は、世帯で見ようとするために逆に上がってしまうんですよ。本来、低所得ということで、皆さんの区分ですと低所得一、二という上限がきくはずなのに、これがかさ上げされて、四万二百円という一般に行ってしまう。ここに私は、世帯の範囲をどういうふうに見るのかという点で非常に大事な問題があるというふうに考えているんです。

 それで、この問題は市町村の行政に直接かかわってきますから、私はもう少し詳しく実態としてこの問題を見てまいりたいと思うんですが、次のページをごらんいただきたいんです。

 これは、大分市が五月二十七日付で大分市内の約二万九千五百人に発送したと言われておりますある連絡文書なんです。これは大分市の独自事業の手当の見直しにかかわるものなんですけれども、次の四ページ目をごらんいただきたいんですが、皆さんも驚かれると思うんですけれども、本人だけでなく、同居の家族全員の名前を上げて、世帯全員に所得・税額調査をかけたものです。そして、署名、押印を求めて、ここに書けば制度改正時並びにその後の所得・税額調査についても同意したとみなすということで、いわば未来永劫所得をつかむという文書なんです。

 これに対しては当然厳しい批判と抗議の声が寄せられたというふうに報じられておりますけれども、この文書を読みまして私どもが大変驚きますのは、大分市が世帯収入をつかもうとしたきっかけが障害者自立支援法だったということなんです。この文書を読んでいきますと、「「障害者自立支援法」が今通常国会において審議されており、一部福祉サービスについては、本年十月より施行される予定です。 このような変革に伴い、」ということでこういう調査をやりたいということなんですね。

 それで、お尋ねしたいのは、本来、障害者自立支援法の立場からいきますと、市町村民税課税の状況についてはサービス利用の申し込み時点で初めてそれを把握するかどうかが問題になるはずです。厚労省に聞きたいのは、皆さんは、市町村の責任で、全国の障害者の皆さんに対して課税調査を促すようなことをやるつもりなのかということを聞きたいと思います。

塩田政府参考人 御指摘の大分市の調査ですけれども、私どもはこの調査については承知しておりませんし、こういった調査を市町村で実施していただくというようなことは考えておりません。

山口(富)委員 大体、市町村民税を納めている場合は、その世帯は収入認定しなくていいということに建前上なっておりますから。

 それで、もう一つ確認したいのは、となりますと、サービス利用の申し込み時点で、大分市のような形式ではないかもしれませんが、何らかの市町村民税課税の実態を調べるための同意書を本人や世帯からとるつもりなのか。ここを明確にしてください。

塩田政府参考人 所得の状況については、利用者から申請の際に必要な書類を出していただいて、その書類を市町村が見て所得などを確認するという方法が原則でありますが、それが出ない場合に市町村がいろいろな情報で確認する必要が出てくる場合があると思いますけれども、そういった場合については御本人の同意を得た上で調べるということだろうと思います。

山口(富)委員 そうしますと、御本人が同意されない場合はどうなるんですか。

塩田政府参考人 法案の中で、市町村がそういうものを必要な場合に調査することができるという規定がございますので、やむを得ざる場合はそういった条項に基づいた調査になると思います。

山口(富)委員 大臣、今塩田部長が言ったように、御本人が同意しなくても調査するというのがこの法案の立場なんです。

 これは、私は、障害者分野に限らず、非常にこの点では運用上あつれきが当然生まれてくる、ですから、とてもじゃないけれども政省令に任せるわけにいかないので、大臣御自身が、この点では、御本人のサービス利用の申し込みなんだから、その実態をよく見きわめて、強権的なことをやらないように、そこは大臣御自身によく見ていただきたいと私は思います。

尾辻国務大臣 基本的には、サービスをお受けになる、そのサービスをお受けになるに当たっての必要なものというのはまた出していただくということは原則なんだろうと思います。そうした中で、ぜひ今みたいなことというのは御本人の同意が得られるべくスムーズに行わなきゃならぬというふうには考えるところでございます。

山口(富)委員 私は、大分市のような例が生まれるのは、これは直接障害者自立支援法に基づく調査ではありませんけれども、それをきっかけにした調査であることは間違いありません。この障害者自立支援法が、結局、応益負担を導入し、そしてその負担が重いがために、軽減措置をとるという名目のもとで世帯で見ていくという上限の額の設定というのをやろうとした、そこにやはり問題があったと思うんですね。

 そして、きょうは繰り返しの指摘になりますけれども、こういうことをやったら事実上の扶養義務が生まれてしまうではないかということなんです。私はこれは繰り返しこの委員会の質疑でも申し上げておりますけれども、この点では、やはり応益負担の導入ということは、きょう幾つか挙げてきた例から見ましても、これは絶対にやってはいけないということを重ねて申し上げておきたいと思うんです。

 きょうは、利用者負担でもう一点、小規模作業所や通所授産施設にかかわる問題を取り上げたいと思うんです。

 先日、私、東京都内で小規模作業所と授産施設につきまして四カ所、施設の作業を拝見して、また職員や障害者の皆さんと懇談する機会を持ってまいりました。

 大臣にまずお尋ねしたいんですけれども、小規模作業所や通所授産施設、これが今日果たしている役割について大臣はどういうふうに評価されているか、示していただきたいと思います。

尾辻国務大臣 私も何カ所か見てまいりました。

 小規模作業所は、親の会などによる地域に根差した活動として、障害の種別、程度にかかわらず地域の障害者を受け入れておりまして、全国では約六千カ所、約八万五千人が利用しておられるというふうに承知をいたしております。

 また、授産施設になりますと、これは法人格を持っておられるわけでございますが、こちらでも、全国で約六百カ所、一万人の方が利用しておられるというふうに承知をいたしておるところでございます。

 こうした小規模作業所でありますとか小規模通所授産施設といいますものは、障害者が地域で自立した生活を送るための拠点として設立をされており、障害者の皆さんの働く場、創作活動の場、社会参加の場として大変重要な役割を果たしておると認識をいたしております。

山口(富)委員 障害者にとっての自立した生活の拠点になっているという認識が示されました。

 それで、今度の障害者自立支援法の場合に、応益負担の導入が、利用者本人への負担強化だけでなくて、私は作業所にもかなり大きなマイナスの影響を与えるというふうに思うんです。

 初めに、全部取り上げるわけにいきませんので、利用されている方から、特にグループホームから通所されている方の問題を取り上げたいと思うんです。というのも、グループホームから施設に通所されている方は、グループホームの方で負担が出てくるという問題と、行っている施設の方での負担が出てくるという、いわば両方からパンチを受けちゃうわけですね。

 まず、作業所での利用者負担の問題なんですけれども、私が訪ねた四カ所はいずれも小規模でしたから、工賃でいきますと大体七千円から八千円なんです。一カ所、車のいろいろな部分をつくっているところがありまして、そこが一万円を超えておりましたけれども。厚労省が、今度の制度を導入すると大体一万五千円ぐらいの負担増になるという試算を示しております。となりますと、工賃の倍ぐらいいっちゃう場合があるんですね。それで、ことしの三月にきょうされんが小規模作業所実態調査を発表しております。三百五十六カ所、五千二百二十二人分なんですが、ここでも全国の平均工賃は七千三百四十三円になっています。

 私が訪ねた四カ所で全く共通に出たのが、せっかく就労に向けたさまざまな作業をやっているところで、いわばやっと工賃も出る、ところが、それを上回ったり、あるいは収入を超える分の負担がかかってくる、一体これがどうして障害者の自立支援になるんだろうかという意見が繰り返し出されたんですけれども、私はそのとおりだと思うんですが、いかがですか。

塩田政府参考人 障害者の方にとって働く場の確保というのは非常に大事な問題だと思います。

 グループホームから小規模授産施設とかに通っているケース、原案だと、原則定率一割負担になるわけですけれども、こういったケースについては、食費の負担と定率の負担とダブルにかかりますので、個別の減免制度を提案しているところでございます。

 その際に、きょうもいろいろ議論をいただいておりますが、手元に工賃がなるたけ残るような仕掛けにしたいということでありまして、三千円の基礎控除、それから八割強は手元に残るような計算方法をしたりすることで働くことのインセンティブが働くような利用者負担にしたい、そういうことで、働くことがより促進されるような仕組みにしたいということで関係省庁と調整をしているところでございます。

山口(富)委員 今、厚労省の側から個別の減免の問題が出されましたので、私はそこに移りますけれども、今指摘しましたように、収入を超えていくという問題なんですが、資料の次のページ、五枚目をごらんいただきたいんです。

 きょうも滋賀県が話題になりましたけれども、大津の福祉施設の試算なんですが、グループホームで生活して作業所に通っているAさんの場合、障害基礎年金一級で八万二千七百円、工賃が一万七千六百円で収入が合計十万三百円。現状はグループホーム入居料、交通費等で六万五千二百円の支出なんですが、この自立支援法が施行されると、新たに利用者定率負担分二万四千六百円、食費自己負担額一万四千三百円が加わって、三万八千九百円の負担増で支出は十万四千百円となって収入を超えてしまう。私は、こういう事例があちこちに生まれているということだけ申し上げておきたいと思うんです。

 それで、個別の減免なんですが、次の資料の六枚目をごらんいただきたいんですけれども、これは詳しく説明いただきたいんですが、「定率負担に係るグループホーム、入所施設の個別減免」ということで、この中に、最初の括弧書きの中に「費用基準」という説明があります。これは六月九日の全国課長会議で配られた資料ですけれども、そして、グループホーム利用者につきまして下の段に「費用尺度」というものがありまして、ここに六・六万円という数字が出てまいります。

 説明願いたいのは、費用基準とは何か、費用尺度とは何か、六・六万円の根拠は何か、この三つを説明してください。

塩田政府参考人 グループホームで生活されていて、かつ外で働いているようなケース、いろいろなケースがあると思いますが、一つの前提として、基礎年金だけで生活している人をモデルとして、仮定として置いてみて、いろいろなケースについて計算ができるようにしたい、そういう趣旨でございます。

山口(富)委員 私が聞いたことに答えていないので、次の質問を聞きながら答えを考えてまとめてもらったらいいですけれども。

 次のページをごらんください。これは二月十七日の同じく全国課長会議で配られた資料です。見ておわかりのように、六枚目と七枚目は全く同じです。ところが、違うところが二カ所あります。

 一つは、グループホーム利用者の六・六万円という費用尺度で盛られた数字が内訳が示されております。その他生活費二・一万円、食費二・二万円、居住費二・三万円というふうになっています。それから上の括弧書きの中では、この基準につきまして「六・六万円の費用構成は、家計調査等を踏まえ、施行時までに検討」というふうになっておりますが、最近開かれた課長会議ではこの部分がばっさり消えております。

 そこで、改めて説明願いたいんですが、厚生労働省は、この法案を提出して以降、この六・六万円あるいはグループホームの利用者の費用尺度なるものについて考え方を改めたのか。先ほどの塩田部長の説明ですと六・六万というのを収入で見ておりましたが、この二月の会議では明らかに出費で見ております。一体どちらが本当の法案の説明なのか、はっきりさせていただきたい。

塩田政府参考人 現在の考え方は、六ページの考え方に基づいて関係省庁と調整をしているところでございます。

山口(富)委員 この六・六万円という数字は、この制度設計にとっての基本数字なんです。つまり、グループホームから通所して利用している場合は、この六・六万円、収入がそこまでしかない場合は定率負担をかけないということを出しているわけですね。ところが、この六・六万円の中身というのは、六月の時点では収入だ、二月の説明では支出だ、どっちなんですか。

 私は、ここの数字のずさんな説明のやり方、平気で説明を変えていく、ここに障害者の生活の実態をきちんと踏まえようとしない、本当に残念ながら、今の厚生労働省の悲しい立場があるんじゃないかと思うんですが、もう一回はっきり説明していただきたい。

塩田政府参考人 グループホームで生活している人の生活実態は、都市部なのか地方なのか、あるいは仕送りが幾らだとか工賃が幾ら、いろいろなケースがあると思いますが、ここは基礎年金だけで暮らしておられる方がいるという前提で計算をしている、六・六万円の基礎年金を前提に計算しているということでありまして、実際の負担については、個別減免の中で、けさほどから議論になっている工賃ができるだけ手元に残るような算定方式とか、いろいろなものについて今関係者と調整をしているところであります。

山口(富)委員 当初、この六・六万円については基準生活費という説明さえあったんです。全く今の塩田部長の説明というのは当初の説明と食い違う答弁であって、私はこれはもう大変な、この期に及んでなお言うのかというふうに言いたいぐらいのものなんです。

 それで、当初、二月の時点では、家計調査等を踏まえて考えるということで、私は独自に家計調査を調べてまいりました。

 次のページをごらんいただきたいんですが、これは年間収入を一応百万未満でとって、単身世帯なんですけれども、食費は二万五千円です、少し概数で申し上げますが。それから住居、光熱・水道、これが合わせて二万一千円少しになります。実は、当初厚労省が見積もりました資料で、居住費を二・三万円と置き、食費を二・二万円に置くというのは大体一致してくるんですね。

 ところが、問題になってくるのはその他なんです。その他の内訳というのは、被服、履物、家具、家事用品、保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽費、その他の支出であるということで、四万七千円家計調査では出てくるんですが、厚労省の資料では、ここが二万一千円と見積もっているわけです。

 つまり皆さん方が、今はあたかもこれが障害者基礎年金の二級に当たる六万六千円だという説明をしましたが、二月の時点ではこれは支出なんだ、最低水準の。そのときの説明というのは、確かに家計調査に照らしますと二項目は一致してまいります。これは、普通に生活していれば、そんなに食事は変わりませんから。ところが、その他の項目が物すごい開きがある、倍違うんです。障害者の生活実態というのは、医療費にしたって、衣服にしても、交通費、タクシー代もありますし、車いすを使う場合は充電しなきゃいけませんし、非常にお金がかさむわけですね。

 それで、四月に、日本グループホーム学会が行った「グループホーム入居者の生活費に関する全国緊急調査報告」というかなり詳しい調査報告が出ております。これを見ますと、厚労省がその他生活費を二・一万円見込んでいるのを、全く違う、実際には四万円から五万円かかっているんだということを言っております。

 となりますと、六・六万円のところで線を引くのではなくて、これが八万円台、九万円台できちんとした軽減の措置をとるという形に移さなければ、生の生活費そのものに食い込んでくるような仕組みになってしまうじゃないか。塩田さん、そうじゃないんですか。

塩田政府参考人 七ページのように、内訳を算定する前提というのが当初のあれですが、現段階では、六・六万円、基礎年金のみで生活している方がおられる、その内訳は問わない、それを前提にして、いろいろなケースがありますので、いろいろなケースに対応できるような減免措置ができるような算定方式を検討したいし、検討中だということでございます。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

山口(富)委員 いや、全く無責任な答弁だよ。私は初めから、二月と六月の説明が全く百八十度違うと、収入と支出で全く違うんだから。それを平気でああいう答弁をするのは、私は許せない。

 大臣、これは障害者の生活実態にかかわる大事な、私はもちろんこの応益負担導入は反対ですけれども、少なくとも軽減措置をとるとした場合に、どこで生活を見るのかという基本数字なんですよ。この六・六万円、よく吟味し直していただきたい。

 最後にこの点だけ、大臣の答弁を求めておきたいと思います。

尾辻国務大臣 当初、支出で計算してこういう数字をお示ししたんだろうと思いますけれども、何回もお答え申し上げておりますように、この数字というのは、結局個人によっていろいろ変化する、ただ、全体として、六万六千円で生活しておられる方というのを一つのケースにして計算をさせていただいたということで今御説明申し上げておるわけでございますから、今の考え方は、六万六千円で生活をしておられるということを前提にして、その内訳はいろいろあるでしょう、こういうことでありますので、そのように御理解いただきたいと存じます。

山口(富)委員 全く理解できませんね。これは障害者の生活と人権にかかわるんだから、そんな答弁認められないですよ。この生活実態からいったら、必要なのは応益負担の導入じゃなくて所得保障なんです。そして、これまでのように応能負担こそが障害者の生活の実態に合っている。これがその資料なんです。そのことを最後に申し上げまして、本日の質問を終わります。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の審議もまた、障害者の声は聞かない、実態は見ない、机上の空論で、果たして、今の山口委員がお示しになった、実際に六万円少しでどうやって暮らしているかと皆さん少し想像してみてください。そこにまた利用料をいただこうとする法案であることをまず冒頭指摘したいと思います。

 そして、きょうは各委員、この黄色いパンフレットの要望書のことを取り上げられましたので、私の質問もこれの八番目に関係したことでやらせていただきますが、もう一つ、きのう、一万一千人の障害者団体の方が、レッドカード、「このまま通すな障害者自立支援法案」というのを持ってこられましたので、これを尾辻さんと塩田さんにまず冒頭差し上げます。

 と同時に、もう一つ御理解いただきたいことがあります。

 こうやってカードを持ってきたり、この集会に来ようにも来られない人たちがいます。例えば、一カ月のガイドヘルパーの時間が二十四時間で、前回八時間使っちゃって、もう一回使って、もうあと使ったら、どこにも行かず一カ月あと暮らさなきゃいけなくなっちゃう、行きたいけれども来られない、そういう、今回の一万一千人は氷山の一角だと思います。この背後にどれだけ、ここに来られなくて、しかし、この審議をかたずをのんで見守っている人たちがいるか、そういうことを想像していただけていない答弁ばかり続いていると私は思います。

 そして、それが実はデータも何も本当に何もない、手探りでやみの中この法案を審議している、この法律のたちの悪さ、そして、ひたすらよくわからない負担だけ求めて、押しつけて、強引に数で通していこうとする態度、もう本当に、やっていて落胆しちゃうなんてものじゃない、絶望的な気持ちになってきますが、私たち以上にその当事者の皆さんがつらい立場に置かれているということを思えば、もう一度勇気を奮い起こして質問をしたいと思います。

 きょう私は、特に自立支援医療と呼ばれる医療、よくわからない医療ですが、このことについてお伺いいたします。冒頭、大臣にお願いいたします。

 大臣は、公費負担医療という仕組みがあるのを御存じだと思いますが、大臣が御存じの公費負担医療を上げてみてください。尾辻大臣、お願いします。

尾辻国務大臣 今、公費負担医療というふうにおっしゃいますと、今回の法律で申し上げておるような公費負担医療がまず頭にあるわけでございますが、今私の頭の中に出てくるのは、そうしたものだということをまず申し上げます。

阿部委員 本当に予告もしていなくて恐縮ですが、でも、私がこの質問を投げかけますには、公費負担医療と言われるものには、それぞれの歴史と、そして給付の違いもございます。その制度がそれとして成り立ってきた歴史、そして、なぜそれだけの例えば公費が入るのか、保険を優先するのか、公費を優先するのか、いろいろなそれぞれの取り組みがあるわけです。

 例えば、恐らく大臣がよく御存じなのは、被爆者に対する医療あるいは戦病者に対する補償的医療、あるいは結核感染症などのいわゆる社会防衛的な、予防的な側面からの公費の投入、あるいは未熟児の養育医療、そしてもう一つ、慢性特定疾患など慢性にある病気を持ったお子さんのための医療など、今話題になっている精神、育成、更生以外にもさまざまな公費の負担の医療がそれぞれの歴史と目的を持って存在しております。

 まず冒頭、大臣にこのことを一つ認識していただいた上で、では、今私どもがこの自立支援医療の中にぶち込もうとしているその一、精神障害者通院公費と言われるところの三十二条とは、一体どんな目的でどんな役割をしてきたのか、この点を大臣の御理解でお願いいたします。

尾辻国務大臣 今お話しになりました精神通院公費負担医療制度でございますが、これは、在宅精神障害者の方の医療の確保を容易にするために、昭和四十年に創設をされた制度でございまして、これまで、精神障害の適正な医療を普及するという重要な役割を担ってきたものと考えております。

阿部委員 では、続いて塩田さんにお伺いいたします。

 精神障害の通院、三十二条でさまざまに政策、施策されてきた精神障害、精神疾患に対しての、予防も含めた、あるいは、よくなったり悪くなったりの山あり谷ありを越えていくような疾患であるところの精神疾患について、今度の自立支援医療は、その目的も趣旨も範囲も変わることがないですか。

塩田政府参考人 精神通院医療公費負担制度ですけれども、昭和四十年の創設以来、精神障害の適切な医療の普及を推進するという役割を担ってきております。その趣旨は、今回の見直しにおいても変わりはないと考えております。

阿部委員 もう一度、対象疾患も変わることはないですか。今まで三十二条をお使いの方が自立支援医療を使えますか。対象。疾患名で上げることはいささか問題がありますが、この間言われておりますことは、厚生省がお出しになるいろいろな自立支援医療のモデルと申しますか、そういうものの中で、果たして本当に今三十二条をお使いの方が引き続いてこの自立支援医療を使えるのだろうか、どうだろうか、問題が、疑念が提起されております。いかがですか。

塩田政府参考人 対象範囲については変わりはないと理解をしております。

 ただ、費用負担について、今回、障害に係る公費負担医療を一つの制度にしたということで、一律五%から一〇%という制度に変わったということでありますし、精神障害の方については、医療の見直しのみならず、市町村に精神障害者の地域福祉もやっていただく、この両方を盛り込んだ法案であると理解しております。

阿部委員 あえて言われなかったのかもしれませんが、疾患名が同じであっても、ある程度の所得がおありであればこの自立支援医療の対象にはならないのですよね。それもそう理解していいですか。

塩田政府参考人 御指摘のとおりです。

阿部委員 では、やはり正しく言っていただきたいんですね。

 精神障害の通院、三十二条というのは、いろいろな状態で治療が断絶されたときに抱えるさまざまな問題、当人もそうですし、社会が抱えるいろいろな問題も含めて総合的につくられた法律だと思います。ある意味では社会防衛的な側面もあったと思いますが、逆に、三十二条をもって医療を受けやすくすることによって、早いうちから、早期の予防や早期に症状が悪化することを防いでいたわけです。しかし、それも今回のこの法案では御自身の所得によって変わってきますよね。もう一度、塩田さん、お願いします。

塩田政府参考人 現行の制度は所得にかかわらず一律五%負担という制度ですけれども、今度の法案では所得に応じて負担が変わるということで、低所得者対策で負担減になる方もいらっしゃいますが、一方で、たしか年間三十万円だったと思いますが、所得税額一定額以上の方は対象にならない、そういう制度の変化があるということでございます。

阿部委員 であるならば、果たしてどのくらいの方が現実の三十二条が自立支援医療になったら適用されなくなるかということの見通しも必要になってまいりますよ。その点について塩田さんはどんなデータをお持ちですか。現状、三十二条をお使いの方の果たしてどれくらいの方が、今度は普通にサラリーマン御本人の三割の負担をなさっていくかについて、どのような資料をお持ちですか。

塩田政府参考人 平成十五年度の受診者数で分布状況を調べたことがありますけれども、その分布によれば、生活保護の受給者が二五%程度、市町村民税非課税世帯の方が六三%程度、それから所得税非課税と課税の方が一一・八%でありますので、今度の法案で対象外になる方、細かい数値まで把握しておりませんが、それほど多くないと理解しております。

阿部委員 それほどは答弁になりません、さっきの丸とバツと三角の世界じゃないんだから。ここはきっちり審議をする場所です。果たして厚生労働省の試算でどれくらいの方が、現在、三十二条をお使いの七十数万人、そこから自立支援医療に行く方は何人ですか。予測を教えてください。

 答弁に手間取るときは時計をとめてください。時計をとめてください。こんな初歩的なことに答えられないで、この審議は続けられない。

鴨下委員長 それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 塩田部長。

塩田政府参考人 新しい制度で対象外になる方は約一割と理解しております。

阿部委員 私は、今塩田さんが答弁したその数値のいいかげんさ、これから私がこの場で申し述べますから、もしその数値がいいかげんだということがわかったら、ぜひ、この審議をとめて、きちんとしたデータの検証ができるまで次の審議を凍結していただきたいので、行わせていただきます。

 六月の二十二日に第一回自立支援医療制度運営調査検討会に配られた資料も、今塩田さんがおっしゃったように、課税世帯はこの精神通院ではわずか一、二割だろうと。逆に、非課税だから、残る八割、九割は、今度の減免をきかせたり、いろいろ処置をした中での自立支援医療に入るだろうというデータが有識者会議に示されました。皆さんが専門家に示したデータです。

 しかし、もしそのデータにうそがあれば、うその上には論議は成り立たない。私は今もってこれを使っているのかと唖然といたしましたが、ああ、やはり使っているのだということを先ほど、この資料と、山口委員がお出しになりました厚生省からもらった調査結果を示した中に発見してしまいました。

 いつも人の資料ばかり流用して恐縮ですが、山口委員がお示しくださった二ページ目、ここには入所と居宅・通所系の精神障害者の方の生活保護対象者、低所得者、一般というのが述べられております。ここでもまた、入所者と通所者が全く変わりがない。生活保護対象者と低所得者と一般、そして、おまけに、片一方は、さっき私が、きょう皆さんのお手元に配らせていただいた資料の中に示しました図では、たしか世帯収入で一、二割が課税世帯。ここは塩田さん、本人ですか。さっき山口委員とのやりとりを聞いて、ちょっと私はわからなかったけれども、どうなっているんでしょう。この山口委員に出した資料は、本人ですか、世帯ですか。

塩田政府参考人 本人の所得でございます。

阿部委員 そんなわけないでしょう。だって、片っ方では、あなたたちが私たちにくれた説明書、ずっと同じのをばかり使っていた、そして今もきっとお手元にあると思います、世帯割合で課税が一、二割。こっちは、本人で課税が一、二割、本当ですか、あるいは極めて少ない。本当にその答弁でいいですか。

 大体、こんないいかげんな資料をつくってきて、答弁もあいまいだし、どんな審議をせよというのですか。もう一度、今の、うその答弁がないかどうか。山口委員にお示しになったのは本人の所得で、低所得、生活保護、一般、一般は極めて少ない、課税世帯は低所得ばかり、生活保護三割、本人ですか。

 そして、よく厚生労働省が使われる課税世帯割合を更生医療と育成医療と精神医療で並べた図、私のきょうの配付資料の二枚目、ここには「課税世帯割合」となっています。世帯と本人は違うことくらいわかりますよね、ずっと審議してきているんだから。確かに今の答弁でいいですか。そして、同じ統計をもとにしているんですよ、あなた方は。これは、平成十五年の財団法人日本精神科病院協会のサービス等調査の結果を持ってきているんですね。

 塩田さん、いいですか。こっち、山口さんに上げた方は本人ですか。そして、私がきょう二枚目に示した資料、皆さんがよくくれる資料、この法案の初めから終わりまで使っている、ずっと同じ資料、これは世帯ですか。答弁してください。もし答えられないなら、ここで切ってください。

塩田政府参考人 山口議員に提出した方は本人であり、これまで何度も御説明している精神、更生、育成を比較したものは世帯ということでございます。

阿部委員 やはり今のはうその答弁になると思いますよ、塩田さん。よくこれは調べて、だったら、調べる時間を下さいとか言いなさいよ。

塩田政府参考人 頭を整理して、もう一度きちんと答弁させていただきます。

阿部委員 それだけいいかげんに、ずさんにこの審議が行われているということなんです。すべてを象徴したような出来事です。だって、塩田さんが一番知っていなくちゃ困るじゃないの。あなたと尾辻さんが知っていなくちゃ困るんですよ。そして、それをしゃあしゃあと人に資料として渡し、有識者に渡し、そしてもっと言えば、まださらにうそがあるんですよ。三重うそ。

 その次が、私がきょうの資料の一枚目に示した、これは、先回、参考人として来ていただいた埼玉の精神科の診療所の連合体の資料です。

 ここには、三十二条をお使いの方は、今、例えば三十二条全体で分けると、社保の方が三九・七、国保が四九・〇、生保は一一・三。すなわち、もし、今、現状でどんな方が三十二条をお使いかということを考えたら、とても、課税世帯が一、二割、あるいは本人課税がごくわずかなんてことは出てこないでしょう。だって、社保で本人ないし家族ですよ。どうしてこういう大うそが資料の上でも成り立つのか。これはたまたま通院のものでした。そして、精神科病院協会は、どちらかというと長い入院か、あるいはそこから退院されて、その後の社会生活を営むためのものでした。

 やはり、データをつまみ食いして恣意的に、そして知らないだろうと議員をだまして行うような審議はやめていただきたい。大臣、この件について明確な答弁をいただきたい。私たち議員に示されたデータの根拠もない、また大きなそごがある。それでは、本人の所得と世帯の所得と、はたまたどれくらいの人が三十二条から自立支援医療で脱落していくのか、これが見えない。このことを厚労省として明らかにするまで、この審議はできない。いかがですか。

塩田政府参考人 厚生労働省が出しております公費負担医療制度の概要の資料で、精神通院公費制度の利用者の課税世帯、一割、二割の統計の仕方でございますが、これは、私どもとして活用可能なデータであります平成十四年度の患者調査、それから先ほど御指摘があった精神障害者社会復帰サービスニーズ調査をもとに推計したということでございます。

 推計の方法としては、患者調査におきます約七万人の精神保健福祉法適用の推計患者のうち、老人保健、生活保護、それ以外の一般医療の割合をベースにいたしまして、七割が一般医療対象であるということがこれでわかっておりますので、それをベースにいたしまして、ニーズ調査における調査対象となった約八千人の方の課税、非課税の状況などを組み合わせて、推計を行ったということでございます。

阿部委員 八千人、承りました。しかし、ここの埼玉の精神科のクリニックの母集団、これは三十二条対象だけでももっと多いですよ。そして、母集団が違えば結果がまるで違ってきているんですよ。だから、この審議は続けられないと言っているんです。

 八千人、そしてそれも、さっき言った外来患者さんの集計、調査とこの精神科病院協会の調査をかけ合わせた。しかし、それは母集団として偏りがあるじゃないのと私が今指摘したわけです。偏りに基づいて制度設計をしたら、大きな間違いを犯すんです。三十二条が果たしている役割、そして、現状ではますます重要になってまいります。このことを、本当に精神医療のよりよい発展を求める立場から、どうしても私はこれは許せない。

 今の八千人とこの埼玉の八千人全体、かくも違うんですよ。中に健保の方、三九・七%ですよ。この方たち、世帯所得、非課税ですか。本人の所得、非課税ですか。

 尾辻さん、これだけ違ってどういう審議をするというおつもりで、これを……(発言する者あり)埼玉だけだと言うならば、全国とってみればいいんです。埼玉はたまたま自分たちで出したんです、この審議が余りにもうそだから、実態を把握していないから。うその数々は次の育成医療でも更生医療でもあるのですけれども、きょうはもう時間の関係でこれしかできそうもないが、しかし、私はこれ以上審議が続けられないと言っているんです。

 こういう、データに明らかに差がある、実態に差がある。今は、先ほど言いましたよね、入院ではなく通所の精神科の患者さんたち、この方たちがどうやって治療を続けていただけるかというのが三十二条でした。それと自立支援医療と違ってくるじゃないですか。大臣、どうですか。

尾辻国務大臣 今お示しいただいたものは、特に先生からお示しいただいたものは初めて見ますので、今、比較しながら先ほどの資料とも見ておるわけでございますが、ただ、これは、一方は全国の傾向、一方は埼玉の調査であるということがまず一点違うだろうというふうに思います。

 それからまた、こちらは、生活保護、低所得、一般というふうな分け方をしております。生活保護のところは当然、こちらも生活保護、こちらも生活保護ですから、これはまた同じものであります。同じ分類、そこはきっちりしておるはずでございますが、一方の低所得、一般という分け方、これはまた、社保、国保の中を、それぞれまたそういう方が別々に存在していると思いますから、分けて見なきゃいかぬのだろうというふうに思いますので、この数字をただ見て、多分こっちはこうだろうというような見方でも判断できないのじゃないでしょうか。もう少し精査する必要があるというふうに思って、見ております。

阿部委員 判断ができないのであれば、この審議はとめるべきです。これだけ事実が違うんですから。そして、こんなあいまいな、極めて少ないとか低所得とか、中身をちゃんと言ってくださいな。こんな子供だましの数値で、私たちが審議できないですよ、国民の暮らしに責任があるんですから。そして、埼玉だけで足りなきゃ、早急にどこか、一つでも二つでも三つでも五つでも十でもいい、とってください。それでこそ初めて国民の不安を取り除ける審議になるじゃないですか。大臣、どうですか。

尾辻国務大臣 私が申し上げたのは、左から右にすっと、ここの部分はこうだというふうに判断はできない、移しかえることはできないということを申し上げたものでございます。

 したがいまして、二つのデータがあるわけでありますけれども、これは基本的に別々なことを言っておるわけでありますから、それぞれの分け方、また精査しなければならないということで申し上げたわけでございます。

 ただ、先ほどの山口先生お示しの資料の二ページのところで私どもはずっと御説明を申し上げてきたわけでございますから、この数字で御議論いただければと存ずるところであります。

阿部委員 大臣、それはちょっと大臣らしくない。だって、こんなにこの数値が違いますよと私が言っているんですよ。片一方も、参考人が持ってこられたデータですし、信憑性もあるし、実際に全国の精神科のクリニックをやっている先生たちがみんな、実際は違うという声なんですよ。たまたま数値が一番使いやすかったから、参考人で来ていただいたから、ここに出しただけなんです。大臣が今言っているのは、自分たちの、よくわからない、世帯か本人かもわからない、ファジーであいまいでいいかげんなデータで論議せよと言っているんじゃないですか。そんなこと、できないでしょう。

 このデータの大きな乖離をどう説明するのか。必要なら資料を続けてとる、それが解決ですよ。それが真っ当な政策立案の責任者ですよ。大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 私が申し上げておるのは、先生お示しのものは、生保と社保と国保に分けてございます。また、先ほど山口先生がお示しになった方は、生活保護と低所得と一般という分け方になっております。この分け方が違いますのでということを私は申し上げておるわけでございまして、社保の方がどういう方なのか、国保の方がどういう方なのか、先生がお示しになったものをまたそれぞれ分析して、低所得、一般というふうに分けなければならないわけでございまして、何も、この先生の数字、お示しになった社保と国保の割合から、山口先生の二ページの数字が間違っておるということにはならないと考えますということを申し上げておるところでございます。

阿部委員 大臣、よく聞いてくださいね。これは外来通院患者さんのプロフィールで、三十二条は外来通院患者さんのための仕組みなんですね。さっきの精神科病院協会の方は、入院の患者さんが今度外来に移っていかれるときに基礎調査的にもかけたものであるというのが一点と、それから、所得状況の把握が極めてあいまいな表現なんですよ。低所得というのは何なのか。今ここでやろうとしているのは、課税状況とかを見て、どこまでを、本人がこの自立支援医療から外れるのかどうかをやろうということを決めるのに、それが見えなきゃ決められないじゃないですか。

 少なくとも、この外来通院で示したデータは、自分が厚生年金の本人であれば、それなりの課税収入は得ておられる場合が多いでしょう。イコールとは言いません。これだけ簡単に比較しても差が出てしまっていますよということを私は指摘させていただいているんです。そして、専門家会議に厚生省の部分的、一方的、操作的データが流されて次の政策が決まるとしたら、私たちは何をやっているのかわからなくなっちゃう。それは、大臣、おわかりですよね。

 極めて限定的な数値を恣意的に用いて、三十二条と自立支援医療には変わりがないと言っているけれども、対象も排除される人も出るでしょう。出るんだったら出るで、どうやってその方たちに医療を継続してもらえるか考えなければ、今、うつも自殺もふえているんですよ。そして、精神疾患全体、どうやって私たちが、国会が、立法がきちんと政策していくのか、出てきませんよ。

 自立支援医療というよくわからない医療、そしてうそのデータ、屋上屋を重ねて幾ら会議したって、専門家を呼んだって、もともとのデータを出すのは厚生省じゃないの。塩田さん、何でこんな欺瞞的なデータが出ましたか。あるいは、意図して欺瞞じゃないとしたら、これしか利用できるものがない段階で専門家会議にかけて、次のいいかげんなものをつくろうとしますか。自立支援医療の対象がどこであるか、これじゃ検討できないじゃないの。どうですか。

塩田政府参考人 厚生労働省としては、利用可能なデータに基づいて、客観的、公平に資料を作成しているつもりでございます。

阿部委員 そんなの答弁になりませんよ。利用可能なデータがごく一部で恣意的で実像をあらわしていないということを、私はきょう、自分の全部の時間をかけて証明させてもらったんですよ。こんなこと、もしあなたたちが参考人の意見陳述のときにいれば、賢いあなたたちなら気がつくはずですよ、ああ、こういうデータもあると。

 そして、塩田さん、もう一つ言わせてもらえば、あなたたちが専門家会議に配ったデータの中には、この精神科病院協会と診療所のおのおのの患者さんのプロフィールの差がちゃんと右と左に出ているんですよ。だったら、通院患者さんのための三十二条を正しく分析したらいいじゃないですか。そのためのデータをとる手間暇を惜しんだら、いい法律はできないですよ。

 大臣、もう一度お願いします。

 私は、せめて五カ所でもいいです、現状の通院の患者さんたちのプロフィール、果たして三十二条と自立支援医療は本当に同じところをカバーできるのか、どれくらいの人が抜けていくのかということについて、患者さんの、許される限りの分析でいいです。なぜ所得が出せないかというと、個人情報だからですよ。そのくらいはわかっています。だからこそ、こういう埼玉のクリニックの先生たちは、その人の保険で分けたわけですよ。でも、少なくとも、厚生保険をお持ちの方、組合健保にお入りの方、やはり課税されているんじゃないですか。タックスペイヤーでしょう、尾辻さんの言う。

 外来の患者さんのための三十二条、もう一度実態調査をしてから審議に臨んでいただきたいが、いかがですか。

尾辻国務大臣 今、先生御自身も言われましたけれども、今のそうしたことというのは極めて微妙な個人情報だというふうに思います。したがいまして、そういう数字が出てこないというのは、先生御自身もお認めになって、したがって生保、社保、国保、こういう分け方になったんだというふうに考えるとおっしゃったわけでございまして、それは私も多分そうなんだろうなと思ってお聞きをいたしました。

 すなわち、極めて微妙な個人情報、それを集めろとおっしゃっても、それはなかなか難しいところがあるというのは御理解いただきたいと存じます。

阿部委員 そんなことは一言も言っていないのです。公的に支払われるレセプトで結構です。これはレセプトに基づいた分析ですから。それをやっていただかない限り、実像のない審議はできません。

 委員長、理事会で諮っていただきたい。お願いいたします。

鴨下委員長 後刻理事会でお諮りをいたします。

阿部委員 大臣、こういう大事な法律です。本当に実態を見ていただきたい。そのことを最後に申し添えて、理事の皆さんの見識ある対応を望んで、終わりにいたします。

鴨下委員長 次回は、来る八日金曜日午前十時十分理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十七分散会


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