衆議院

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第34号 平成17年7月13日(水曜日)

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平成十七年七月十三日(水曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    岡本 芳郎君

      嘉数 知賢君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      谷  公一君    寺田  稔君

      中山 泰秀君    福井  照君

      三ッ林隆志君    三ッ矢憲生君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      宮下 一郎君    森岡 正宏君

      八代 英太君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小林千代美君    城島 正光君

      園田 康博君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      山花 郁夫君    横路 孝弘君

      米澤  隆君    高木美智代君

      古屋 範子君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十三日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     嘉数 知賢君

  上川 陽子君     岡本 芳郎君

  原田 令嗣君     谷  公一君

  水島 広子君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     上川 陽子君

  嘉数 知賢君     石崎  岳君

  谷  公一君     宮下 一郎君

  山花 郁夫君     水島 広子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮下 一郎君     寺田  稔君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  稔君     三ッ矢憲生君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ矢憲生君     原田 令嗣君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)

 労働安全衛生法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者自立支援法案及びこれに対する八代英太君外二名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 委員会審議に先立ち、一言発言させていただきます。

 前回の委員会審議におきまして、障害保健福祉施策を御議論いただいております社会保障審議会障害者部会に私どもが提出した資料について、藤田委員、阿部委員から、誤りがあるとの御指摘をいただきました。

 これを踏まえて、昨年秋に改革のグランドデザイン案を公表して以降この春まで障害者部会に事務局がお出しした資料すべてについて、誤りの有無について調べたところです。

 これにより判明した資料の誤り等につきましては、昨日、七月十二日に開催いたしました障害者部会において、委員の皆様にお示しし、その内容や原因等について御説明するとともに、障害者部会の事務局として、資料の誤りがあったことについておわびをいたしました。

 これについて、障害者部会の部会長からは、議論の前提となる資料のデータ等に誤りがあったことは不適切と考えます、今後の資料作成の際にはこのようなことのないよう十分に留意していただきたいと思いますと厳しく御指摘いただきましたが、最終的には、部会長から、今回の資料の誤りについては、実質的な影響の少ないものであったことから、事務局の説明について了承することとしたいと思いますがいかがでしょうかとの御発言があり、障害者部会の委員の御了承をいただいたものであります。

 私どもといたしましては、今回の反省を踏まえ、一層慎重に資料の作成を行ってまいりたいと考えております。また、今回の資料の誤り等については、厚生労働省のホームページに掲載している資料についても速やかに修正したいと考えております。

 以上が、前回の質疑に関する経緯と対応でございます。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、老健局長中村秀一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田一枝君。

藤田(一)委員 おはようございます。民主党の藤田一枝でございます。

 ただいま大臣の方から、先日私の方で指摘をさせていただきました資料の問題について御報告をいただきました。昨日の審議会も私も傍聴させていただいておりましたので、改めて余り蒸し返すことはしたくないというふうに思っておりますけれども、二点指摘をさせていただきたいと思います。

 ただ、きょう、大臣の御報告を聞いていましたらば、多分、御報告では、委員の皆さん、きのうの審議会を傍聴されていた委員の皆様はおわかりだと思いますけれども、それ以外の皆様はどのくらい何がどうだったかということがなかなかわからなかったのではないかなというふうな気がいたします。

 もちろん、訂正をしておわびをしてというお話ではあったわけですけれども、どのぐらいのものが間違っていたのかということは、やはりもう少し具体的に御説明をいただきたかったなと実は私は思っているところです。基本的なところで六項目、そして誤字脱字ということで九項目、これは項目だけで数えての話でありまして、中身を見ていきますと、一つ一つやはり非常に問題があるわけです。骨格部分にかかわりがないというふうに本当に言い切れるのかということが私はやはり大きな疑問として残っています。

 そういうことをちょっと前段に申し上げてお尋ねをしたいというふうに思っておりますけれども、一つは、何でこのようなミスが起きたのかという問題でございます。

 時間がなかったとか制度が複雑だとか、あるいは大変膨大な資料をつくらなければいけないんだとかというようなお話がきのういろいろとあったわけでございますけれども、やはり問題は、そうした実務的なことも確かにあったとは思いますけれども、データ、つまり実態を積み上げて今回のこの法案の制度設計というものをきめ細かくつくり上げてこなかったのではないか。答えが先にあって、結論が先にあって、そこに数字を当てはめていった、ちょっと悪い言い方かもしれませんけれども、私はやはりそういうふうに感じたわけでございます。

 だから、けたが違っていても、公費負担の分が倍になっていても、具体的には九十八万件が八万、十四万件が一万という話ですね、これはやはり普通だったら気がつく話であります。審議会の経過をずっと見ていただければわかるんですけれども、この同じ資料が出ているときに、平成十四年でこの九十八万と八万、十四万と一万の違いの資料が出ているときに、翌年の十五年の資料も出ているんです。そっちは九十八万が十万件になっているんですよ。普通だったら、見れば、なぜこうなっているのかというのは、資料を調べていて私だって気がついたわけですから、それは当然気がつくはずであります。

 それが気がつかなかったということは、要するに数字はどうでもよかったんだろうというふうに私は思うんですね。説明される方だって、要するに、件数とかそれから人数とか、件と人というものを混同して説明をされていらっしゃいます。これもずっと議事録を読んでいただければわかるわけです。

 そして、この同じ資料はいろいろなところに使われています。審議会だけではなくて全国の課長会議等々でも提出をしてやっているわけですから、何度も目にしているはずです。それがそのまますっと抜けていったということは、やはり私は、数字というものはどうでもよかったんだなというふうに思わざるを得ないわけであります。

 そのことは、やはり前回の質疑のときにも、御答弁の中で、この部分は説明をしていないからとか、あるいは大臣もおっしゃっていましたけれども、数字の部分の議論はなかったと聞いているとか、こういうふうな御答弁になってしまっているんだというふうに思います。

 本当に蒸し返して屋上屋のことは言いたくないですけれども、そして、意図的に誘導したなんてことは絶対ないというふうに私も信じてはいますけれども、皮肉なことに、この数字が、答えを導き出す、答えに近い数字になっているという皮肉な結果もやはり見ればあるわけですね。

 そういう意味では、やはり今回のこの誤りというものが、いろいろな意味で、関係者、審議会の委員の方々はもちろんですけれども、いろいろな方々が資料を見るわけですから、そういう意味で誤った印象を与えたという事実もあるのではないか、こういうふうに思いますけれども、この点、大臣、どう御認識なさっているでしょうか。

尾辻国務大臣 昨日の審議会でも、私自身も改めておわびを申し上げました。こうした資料の誤り等があるというのは、これは本当にまずいことでございまして、申し上げておりますように、おわびするしかないということでございます。

 ただ、この誤りについて、いろいろな、先生の今のお話もございましたけれども、決して、一つの方向を導き出そう、答えを導き出そうということで意図的に改ざんしたとかというものではございませんので、そのことだけは御理解いただければ大変ありがたいというふうに存じます。

 ただ、いずれにいたしましても、誤りがございましたことには改めてのおわびを申し上げます。

藤田(一)委員 私も、意図的にこんなことが行われたなんというふうには思っておりません。しかし、単純ミスだったかもしれませんけれども、問題はやはり非常に根は深いという気がいたします。そのことをやはりきちっと認識していただきたい。そうしないと、ただでさえ問題がたくさんあるところに不信感を増幅させていくということにしかなっていないわけですので、その点、ぜひしっかりと御認識をいただきたいと思います。

 もう一点、時間がありませんので指摘をさせていただきたいと思いますけれども、結局、昨日の審議会でも、委員の方々から出た意見というのは、やはり利用者負担ということについてはさらにきめ細かく検討していかなきゃいけないとか、移動介護というのが地域生活支援事業としてちゃんと財源確保されなければいけないとか、重度者の支援がどうなっていくのか、地域格差はどうしていくのか、所得保障というのは千円でも生命線になるんだ、そして、本当に障害程度区分あるいはケアマネジメントの結果としてどういう生活というものが確保できるのか見えてこない、こういう指摘がたくさんやはり出されたわけであります。要するに、審議会の中でも問題は積み残しになっているということでありますね。国会の審議とやはり同じであります。

 私は、一〇〇%とは言いませんけれども、やはり、具体的な数字や考え方ということがもっと出てこなければ責任は負えないのではないか、要するに、政省令事項で解決をさせていく、具体的にこれから決めていくということが余りにも多過ぎることによってこういう問題がずっと、一つ一つが進んでいかないで、解決していかないで、この審議全体の中でもみんな引きずりながら動いているということだろうというふうに思います。その点が非常に問題だと私は思っておりまして、やはり具体的な数字、考え方、しっかり出していただきたいと思います。

 きのうの審議会でも、施設での利用者負担の配慮措置、きょうのこの審議、後の審議の中でもその点について御説明があるのかもしれませんけれども、考え方が出されていました。もう少し検討すればほかの部分についてもやはり出せるんだと思うんです。後で検討します、政省令で整理しますということではなくて、もう少し頑張っていけば具体的に出る部分もあるんだというふうに私はやはり思いました。

 与党の修正案も出されているわけですし、数字の訂正もできたわけでありますから、大臣もきのう、丁寧に対応をしていかなければいけない、説明をしていかなければいけないというごあいさつもなさっていらっしゃいました。そういうことを含めて、この間指摘をされてきた事項、これは当事者参加の問題も含め、あるいは具体的な負担の減免の問題も含めて、この国会審議の中でちゃんとやはり答えを出していく、そういう決意をぜひ私は大臣に示していただきたいと思います。いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今お述べいただきましたけれども、きのうの審議会の中でも、私も、丁寧に対応することと丁寧に御説明すること、このことが大変重要であると考えておりますということを申し上げました。これは、私はそのとおりに思っておりますから、改めてそのことはきちっと申し上げたいと存じます。

 そしてまた、この委員会でいろいろ御指摘をいただいております、そうした委員会の御指摘というのは、今後私どもが政省令で具体的に詰めてまいりますときに、必ずそのことは尊重をさせていただきながら詰めていきたいというふうに存じております。

藤田(一)委員 委員会で指摘をされたことを受けとめて、政省令事項の中できちっと生かすという御答弁そのものは私も了といたしますけれども、でも問題は、委員会でただ指摘だけで終わって後は政省令の中で整理をしますじゃなくて、この国会の審議の中で答えが出せるものはやはりしっかり出していくというこの姿勢が必要だと思うんです。そのことが欠けてきたから、やはりこんなに空転していくような、積み上がっていかないような、むなしさだけが残るような審議になっていっているんですよ。そしてきょうこの後採決をするなんという話は本当に心残りでしかないわけです。なぜもっと答えが出ないのかという話なわけです。

 ぜひそこを私は大臣に聞きたい。この国会審議の中で、きちっと障害者の皆さん、関係者の皆さんに、これからの皆さんの生活がこうなっていくんですよということをしっかり示していただく、一〇〇%とは言いませんよ、でももっと骨格部分、きちっと示せることはあるはずですから、そのことをぜひお願いしたいというふうに思います。

 残念ながら時間がなくなってしまいました。今、立法府にいる私たちに求められているものは、障害者施策の理念と実態、本当に乖離をしているんです、これをどう埋めていくのか。そして、障害者の方々の自己選択と地域での生活をきちっと支援していく、保障していく仕組みというものをつくっていく、その責務を私たちは担っているというふうに思います。そのためにも、しっかり実態を見ていただいて把握をしていただいて、中身をつくり上げていただきたい。そのことを強くお願いして、時間でございますので終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 昨日の社会保障審議会における厚生労働省側からのさまざまなデータの誤り等々について冒頭御報告がございました。

 私は、昨日の社会保障審議会を傍聴させていただきましたが、そこで感じましたことは、各委員も含めて数値の誤りということのみに終わらせているように思います。私が社会保障審議会にお願いしたかったものは、公費医療といいますか、国庫負担で行われているさまざまな医療、三十二条、それから更生医療、育成医療、公費負担医療のこれまでの役割とこれからが、果たして本当にこの自立支援法という枠内に取り込まれて十分に機能するのかどうかという問いでございました。残念ながら、社会保障審議会の中でもほとんどこのことの論議はございません。また、はっきり申しまして各委員も関心が薄いと思います。

 私は長年医療の現場におりました。そして、子供たちを育てる育成医療は私自身の小児科医の人生と重なっております。難病の子を抱え、手術の必要な子を抱え、お父さん、お母さんの苦労をすぐそばで見てきました。そういうことが今後どんな負担で振りかぶるか、あるいは本当に自立支援医療というもので賄えるのか。障害を未然に予防する育成医療と障害をサポートしていく自立支援医療については概念そのものが違っております。そうしたものをまるで論じない。この国会審議もそうでありました。社会保障審議会も、残念ながらそうであると私は言わざるを得ません。そのもとは、皆さんがお出しになったデータが不十分であるということからもきていると思います。

 私は、本日ここで、尾辻大臣が冒頭おっしゃったような実質的な影響が本当に少ないのかどうかということについて幾つかの質問をさせていただきます。

 社会保障審議会のみならず、私ども委員にも、また自立支援医療制度運営調査検討会においても提出されておりますのが、皆さんにお示しのきょうの私の資料の一枚目でございます。私はこのことは繰り返し取り上げてきましたが、果たして、この一番下の課税世帯一、二割という数値が本当にどのように調査されて、世帯ということをどうやって確定したのですかということを塩田さんにお伺いいたしました。そうしましたら、いただきましたお答えが、七月八日ということでいろいろお答えをいただきました。しかしながら、ここに書かれているものは、これは御本人が直接記入する御自身の収入についての調査であるということしか私はいただいた結果からは読み取れません。

 塩田さん、もう一度伺います。これは本当に世帯を勘案した、あるいは世帯にかかわるデータを信憑性を持って皆さんに公表できる数値でしょうか。お願いします。恐縮ですが、きょう十分ですので簡略にお願いします。

塩田政府参考人 精神通院公費負担医療の利用者の方々の所得の分布については、現在あるデータに限界があるということを前提にお聞きいただきたいと思いますが、ない中でいろいろなデータを活用してやったということで、患者調査と日精協が行ったサービスニーズ調査に基づいたということでございます。

 ニーズ調査の中で御本人に記入していただきましたが、その際に、きょうの、後ろにあります、この三枚目に書いておられるような聞き方で、あなたには現在次のような収入がありますかといった趣旨を聞いていますので、そこで聞かれた数値は明らかに個人のデータ、個人の収入だと思いますが、では世帯に置きかえる場合にどんな数値があるかとなると、私たち根拠のある数値を持っておりませんので、とりあえずその数値で置きかえてしたということでございます。それはあくまで推計でありますので、その数値だけではなくて、ですからここには約一割から二割という数値で推計ということで、限界がある中でぎりぎりで出した数値ということで御理解をいただきたいと思います。

阿部委員 世帯を推計させるものは何もないじゃないですか。だったら、ここは訂正してください。これは個人の所得ですね。個人の所得ですね。塩田さん、イエスかノーかで一回で答えてください。

塩田政府参考人 ニーズ調査のその欄の数値は、聞き方からして多くの方は個人の収入を書いたものと思われますが、そのことだけをもって全体を決めつけたわけではなくて、あくまで推計ということでお示ししておりますので、限界があることは御指摘のとおりだと思います。

阿部委員 私は、今この段になってこんなことをやらなきゃいけないのが非常に残念です。推計させる根拠を出してくださいとあのときも申し上げました。推計させる根拠は一貫して出されていません。であるならば、正直に真実を、これは個人の所得であると言われたらどうですか。なぜそこで今の段でもごまかされますか、そうやって。推計させるデータなど何もない。ここで聞かれたものは個人の所得じゃないですか。何をもって世帯を推計しましたか。

 そして、もう一つ。私はきょう本当にこの段でこういううそを指摘するのは残念ですが、もう一つございます。

 このニーズ調査、皆さんにお配りいたしました私の資料の三枚目です。ここでは、果たしてこの調査は精神科通院、三十二条の方を対象にした所得調査となり得るでしょうか。塩田さん、この調査は精神科通院、三十二条の方を対象にした調査となり得るでしょうか。今私たちが必要としているのは、三十二条をお使いの方の所得の把握、分布、これからの医療負担の額、そして、逆に言えば国として手当てしなきゃいけない予算の額です。しかし、これは三十二条をお使いの方の調査になりますか。お願いします。

塩田政府参考人 御指摘のあったデータは三十二条に限らずその他の方も含んだ調査であるということでありますが、要するに、精神障害者に関するデータが非常に不足しているということの中で、初めての調査の中の初めての項目を利用しながらぎりぎりの数値としてお示しをしているということであります。

阿部委員 塩田さん、正直だと思います。これは三十二条以外の方も含んでいるのです。私たちがここで審議しなければいけないのは、三十二条の方にかかわる例えば一カ月の医療費あるいは自己負担、あるいはこれからふえるであろう今後の負担、そして予算です。

 塩田さんがおっしゃったように、このニーズ調査に記載されたものは、精神障害者保健福祉手帳を所持の方の所得調査です。三十二条をお使いの方の中には、精神障害者福祉手帳をお持ちでない方も半数以上おられます。現在三十二条がどういう方に使われているか、三十二条の実態とは何か、三十二条の役割とは何か、これら一切論じられないから、これは確かに精神障害者の手帳をお持ちの方のある時期外来におかかりの方のデータではありましょう、でもここで審議すべきは、三十二条の存続をどうするのか、振りかえたらどのくらいの人が適用外になるのかです。

 大臣、一つ目、世帯所得ではなかった、二つ目、三十二条の方の所得ではなかった、これは審議の前提だと思います。その結果、厚生省が財務省に要求される予算額が変わってまいります。どのくらいの方がどのように今三十二条を利用しておられて、それを自立支援医療に持っていった場合にどのくらいの手当てが必要になるのか。もしも正しい数値が推計されなければ、逆に、ある予算に人を合わせることになります。予算で患者さんの将来を決めていく、逆さの現象になります。

 一点目、世帯所得ではない、二点目、三十二条利用実態の所得把握ではない、これはなされていない。この二点について、この段で、そしてそれが予算に関係してくることについてお認めになりますか。

尾辻国務大臣 部長がお答え申し上げましたように、基本的に、お出しした資料の中の世帯割合約一割から二割、そして推計というふうに断ってはおるようでございますが、お出ししたものの調査が個人の調査からまさに推計したという数字であるということは部長がお答え申し上げたとおりでありますから、私からもそのとおりでありますというふうに申し上げます。

 それから、三十二条にかかわるところもそのようにお答え申し上げておりますから、これもまたそのとおりでありますというふうに申し上げます。

 ただ、これは部長が再三申し上げておりますけれども、なかなか今、こうしたことの数字、データが非常に乏しい、そうした乏しい中からいろいろ工夫しながら推計して数字を出しておるというその作業をいたしたということだけは御理解をいただきたいと存じます。その数字に基づいてやはり予算要求はせざるを得ないということは、これまた当然のことになろうかと存じます。

阿部委員 乏しくても、誤ったものを見て予算請求されたら困るんです。それによって支援費も、逆に実際の必要量を見誤りました。その愚を再びこの場で、自立支援法でやることになります。今私が指摘をした、これは個人の所得でしかない、おまけに三十二条の御利用の方の所得調査とは言いがたい、福祉手帳を持った方の調査です。大臣、御存じですか。三十二条の中には福祉手帳を持っていない人が、過半と言っては言い過ぎでしょう、しかし半分かもしれません、現在の三十二条の利用状況。そのことは御存じでしたか。そして、そんないいかげんな予算立てをして本当に必要な自立支援医療が賄えるとお思いですか。

 私はとても今の御答弁では納得できない。大臣のは、誤ったものでも、もしもかりそめにも集計があればそれでやってくれというお話ですよね。それはできません、国会の責任において。私たちは、三十二条が果たしてきた役割と、現実にそれを利用しておられる方々が一体どれくらいいて、どのように負担が加わり、では措置すべき予算は幾らなのか、その概略を見せていただきたい。一週間の時間猶予で結構です。なぜなら、精神障害の外来通院の患者さんの三十二条の利用実態は厚生省からも三件上がっています。私がお示しした埼玉の一件も含めて四件あります。

 私は、予算が変わってくるからこれを申します。塩田さん、この三十二条関連で、自立支援医療関連で予算のそごは生じませんか。逆に、予算に現実を合わせるのですか。

鴨下委員長 阿部君に申し上げます。

 申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。

阿部委員 わかっています。協力はしたいと本当に、委員長ですから、思います。

 しかし、誤ったデータに基づいて、誤った予算措置に基づいてこの審議は続けることができないのではないですか。この点について、大臣、明確にしてください。

尾辻国務大臣 ただいまの予算に関する御指摘でございますけれども、今度のこの見直しをお願いするに当たっての一番ポイントの一つだというふうに申し上げております義務的経費ということがございます。したがって、義務的経費にしてあるわけでございますから、万が一です、これは万が一予算が足らない、数字が違ってきたということになりますと、まさに義務的経費としてそれは対応せざるを得なくなってくるわけでございますから、きちっと対応させていただきます。

阿部委員 義務的経費だから予算の見込みがあいまいでよいなどという形で、実際には、更生医療の人数も育成医療の人数も、果たしている役割も、一度たりとも真剣に論議されたことがありません。私は、そうやって本当に人間が生きる基盤の医療ということをないがしろにしていって、皆さんの審議が、あるいは厚生省の役割が、これで果たされるとは思いません。不服も百万ございます。しかし、委員長の裁定で、時間だというならこの質疑を打ち切ります。

 しかし、何度も申します。今、大臣は言いました、予算は間違っているかもしれない、でも、義務的経費だから足りなかったら頑張りますと。初めから間違っていることがわかっている、実態がつかまれていないから。そんな調査を検討会にも出し、議員の私たちにも出したということを、私はきょうもう一回質問時間がありますから、きちんとしたおわびと、そして予算額について、この場で答えられないでしょうから、出してください。いいかげんな予算で組んで、財務省からまた言われて、結局は患者負担に振りかえていくやり方を二度と繰り返したくないので、この件をお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

鴨下委員長 次に、大村秀章君。

大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。

 私は、自由民主党そして公明党、これまでこの障害者自立支援法につきまして、これの修正案を先般提出させていただきましたが、その修正案、そしてまたいろいろなこれからの運用も含めて、こうつくっていったらどうかといったことを与党の中で協議させていただきました。そういった意味で、与党を代表いたしまして、何点か、きょうは大臣から確認的に答弁をいただきたいというふうに思っております。

 私は、今回の障害者自立支援法につきましては、一昨年来、支援費という制度が導入されてから、毎年毎年、この予算をどういうふうに確保していくかということで苦労してきた者の一人でございます。これは大臣も、大臣御就任の前の自民党の厚生労働部会長の時代にも大変御苦労いただいて、十五年度、十六年度と、とにかく厚生労働省の中の予算を削り、そしてひっかき集めて、そしてまた昨年は大変大きな補正予算も組んで、そんなことでやってきた。そういう状況からして、やはり今回の法案ということで、障害者の福祉施策、障害の別なく三障害一元化をして、そしてまたこれの利用者がさらにふえていかれることに対応するためにも義務経費にしていくということで、私は今回の制度はまさに大きな前進をするものだというふうに思っております。

 今回の修正案の中にも、障害者基本法の理念にのっとりということで、その自立と参加という趣旨も入れさせていただきました。そういう意味で、今回の障害者自立支援法は修正をした上で成立をさせて、後は、政省令、運用等々、これからまだまだ施行に時間がございますので、そういった面で、しっかりと現場でワークする、機能する、そしてしっかり動いていくというような形での制度の体系をしっかりつくっていきたいというふうに思っております。

 また、特にこれも大臣にお願いをしておきたいのは、我々ももちろん頑張りますけれども、やはりこの制度の裏づけとなります予算の確保ということだろうというふうに思っております。この予算をしっかりと重点的に確保していくということに、これからシーリングということもございますので、シーリングから、秋、年末の予算編成に向けて、我々も与党としてこれは一生懸命頑張っていくということを皆さんに、大臣とともに確認をさせていただきたいと思っているわけでございます。

 そういう観点から、今回いただいた時間の中で、先日、私ども自民党、公明党、与党で、ちょうど一週間前ですね、七月の六日に障害者自立支援法に対する与党の重点要望事項を決めて、大臣の方にも申し入れをさせていただきました。今後のこの制度の体系づくりの基本となるものとして、大臣から前向きなしっかりとした、ある意味で確認をさせていただくということで答弁をいただきたいというふうに思っております。

 まず第一点でございますけれども、福祉サービスの利用者の御負担に関係するものとしてお聞きをさせていただきたいというふうに思っております。

 利用者の負担能力を考える場合に、我が国の医療保険制度や介護保険制度では、生計を一にする世帯の課税状況などによって判断するのが一般的でございます。しかしながら、障害者福祉につきましては、特に障害者の自立という観点から、ほかの制度以上に特別な配慮が必要だというふうに考えるわけでございます。

 障害者自立支援法案の福祉サービスの利用者負担につきましては、定率負担と所得に応じた月ごとの負担上限を組み合わせた仕組みというふうにしておりますけれども、月ごとの負担上限を決める場合には、一律に親や兄弟、子供の所得を合わせて考えるのではなくて、それぞれの家庭の事情に合わせて障害者やその家族が選択をできるようにすることが重要だと考えます。

 この点は既に与党から、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供がいる場合であっても、税制上及び医療保険上、障害者を扶養しないこととしたときは、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとすることといった提案を先般させていただきました。この点について政府としてどうお考えになるか、大臣の御見解をお聞きいたしたいというふうに思っております。

尾辻国務大臣 従来の支援費制度における費用負担につきましては、障害者本人のみならず一定の扶養義務者にも負担義務が課されておりましたけれども、障害者自立支援法案におきましては、扶養義務者の負担を廃止し、障害者本人のみを法律上の負担義務者としたところでございます。

 利用者本人の負担につきましては、世帯単位の所得に応じて負担の限度額を設けることとしておりますけれども、経済的な面において世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があることを踏まえまして、介護保険制度などと同様、生計を一にする世帯全体で負担能力を判定することを提案しているところでございます。

 この点につきましては、障害者の自立という観点から、本人の所得のみに基づいた負担上限とすべきとの要望があります一方で、生活が一体であるべき配偶者についてまで、親や兄弟と同様に本人とは生活が別のものとして取り扱うことは適当ではないのではないか、医療保険制度や税制面において被扶養者などとして事実上の経済的なメリットを受けている場合にまで、障害福祉分野においてのみ特別な取り扱いを行うことについて国民の御理解が得られるか疑問である、こうした御意見もありますので、検討を行ってきたところでございます。

 今般、与党より、障害者の願いと社会との調和を図る御提案をいただいたところでございまして、これを検討しました結果、御提案のように、月ごとの負担上限を決める場合は、生計を一にする世帯の所得で決定することを原則とするが、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供がいる場合であっても、その親、兄弟、子供が税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたいと考えております。

大村委員 続きまして、この関連でもございますが、政府の提案におきましては、低所得者、低所得一と呼んでおります月額の負担上限が一万五千円となる方につきまして、住民税非課税世帯であって、かつ世帯に属する方全員が一定所得以下であることが要件とされておるわけでございますが、障害者の自立の観点から、また、介護保険制度においても個人単位とされていることとのバランスからいっても、住民税非課税世帯であれば、障害者本人のみが一定所得以下であれば対象となるようにすべきではないかというふうに考えますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 月額負担上限などを定めます際に用いております低所得一に該当するか否かにつきましては、低所得世帯の場合、世帯員相互に支え合うといっても限界があることなどから、御提案のように、住民税非課税世帯であれば障害者本人のみの所得で判断することといたしたいと存じます。

大村委員 続きまして、自立支援医療につきましてもお伺いをしたいと思います。

 障害に係る公費負担医療制度であります自立支援医療につきましても、福祉サービスと同様の問題がございます。障害者自立支援法案の自立支援医療の利用者負担につきましては、定率負担と所得に応じた月ごとの負担上限を組み合わせた仕組みというふうにされておるわけでありますけれども、この月ごとの負担上限を決める場合には、一律に親や兄弟、子供の所得を合わせて考えるのではなくて、それぞれの家庭の事情に合わせて障害者やその家族が選択できるようにすることがこれまた重要でございます。

 このため、福祉サービスの利用者負担の月ごとの負担上限については、障害者本人と配偶者の所得に基づくことも選択することを先ほどの大臣の御答弁でお認めをいただくということでございますので、自立支援医療につきましても同じように認めるべきではないかというふうに考えます。

 また、自立支援医療につきましては医療保険の上乗せ給付という考え方ができるわけでありますので、家族の中でも加入している医療保険が異なるのであれば別世帯の扱いとすることもあわせて考えるべきではないかと考えます。大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

尾辻国務大臣 今般の与党の御提案も踏まえまして、福祉サービスにつきましては月額負担上限を障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることといたしましたことから、先ほど御説明申し上げたとおりでありますが、自立支援医療につきましても同様の扱いをすることが適当と考えております。

 また、御指摘のように、自立支援医療は基本的には医療保険の自己負担部分を助成する機能を持っておりますこと、また、医療保険における自己負担の上限額等は同じ医療保険に加入する者を単位として設定していることに着目いたしまして、障害者本人と、配偶者を含め家族が加入している医療保険が異なっている場合には、これもお話ございましたけれども、別世帯扱いすることも考えられるところでございます。

 したがいまして、月ごとの負担上限を決めます場合は、障害者本人と同じ医療保険に加入し生計を一にする世帯の所得で決定することを原則といたしますけれども、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供がいる場合であっても、その親、兄弟、子供が税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、先ほど申し上げたとおりであります、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたいと考えております。

大村委員 これも福祉サービスのときと同じでございますが、自立支援医療におきまして低所得一と呼んでいる月額の負担上限が二千五百円となる方につきまして、福祉サービスの場合と同様、住民税非課税世帯であれば、障害者本人のみが一定所得以下であれば対象となるようにすべきではないかというふうに考えます。大臣の御見解をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 月額負担上限などを定めます際に用いております低所得一に該当するか否かにつきましては、御提案のように、福祉サービスと同様、住民税非課税世帯であれば障害者本人のみの所得で判断することとしたいと考えております。

大村委員 続きまして、さらに低所得者の方への一層の配慮についてお伺いをしたいと思います。

 障害者自立支援法案の福祉サービスの利用者負担につきましては、大臣は再三にわたりましてきめ細かく低所得者への配慮を講じているというふうに御答弁をされてまいりました。確かに、所得に応じた月ごとの負担上限額の設定に加えまして、絶対的な負担額が高くなりやすいグループホームや施設入所者に対しまして個別の減免措置を講じたり、福祉サービスに係る個別給付全体を対象に、生活保護に移行することを防止するための特別減額制度などが講じられているわけでございます。

 しかしながら、新制度における負担額がそれなりのものであったとしても、現在の負担との比較においては負担額の上がる幅が大きいというケースもあるわけでございまして、それは、自宅に住んで通所サービスを利用する場合であったり、障害児が入所施設を利用する場合であったり、重度の障害者が長時間のホームヘルプサービスを利用するような場合ということでございます。

 こうしたケースにつきまして、私ども与党でずっと激変緩和措置というものを、何とかできないかということを検討してきたわけでございますけれども、先般といいますか先週の私どもの重点要望事項の中で、所得も預貯金等も一定以下の方について、社会福祉法人が減免の措置を行い、その費用の一定割合について公費助成を行う仕組みを設けるべきだというふうに考えるわけでございます。また、この制度は、単に社会福祉法人の任意の取り組みではなくて、こうした措置を必要とする方が確実に利用できるように、いわば制度的なものとして運用すべきと考えますけれども、この点について大臣の見解をお伺いしたいというふうに思っております。

尾辻国務大臣 障害者自立支援法案におきましては、利用者の方に御負担をお願いするに当たりましてきめ細かく配慮することとしてまいりましたけれども、お話しのように、私も再三このことは申し上げてまいりました。そしてまた、今般、与党より、負担の上がり幅の大きい方について新たな仕組みの御提案もいただきました。

 負担の上がり幅が大きいとの御指摘をいただいた通所サービス、児童入所施設、長時間サービスを利用する必要がある重度障害者のホームヘルプサービスにつきましては、所得に応じた月額負担上限、生活保護への移行を防止するための特別減額制度などにより配慮しているところでございますけれども、激変緩和の観点から、低所得の方にさらにきめ細かく配慮するため、経過措置として、一定の低所得の方について、定率負担の月額上限額を実質的に半分程度にするような社会福祉法人による減免とそれへの公費助成の仕組みを設けることとしたいと考えております。

 今後、減免の内容のほか、対象となるサービス、対象者の所得や預貯金等の基準、公費の助成割合など具体的な内容について、御提案の趣旨を十分踏まえ、早急に検討してまいりたいと考えております。

 また、御指摘の制度的なものとして運用するための仕組みのあり方についても、地方自治体を初め関係者の御意見を聞きながら検討をしてまいります。

大村委員 グループホーム利用者や施設入所者につきまして利用料を個別に減免する仕組みがございます。これは、預貯金等が一定額以下の者を対象とするということになっているわけでございます。これを幾らに設定するつもりか、お伺いしたいと思います。

 また、現場では、この仕組みを気にして預貯金等を本人から家族へ名義を変更するケースもあるとお聞きをいたします。これは将来のトラブルのもとにもなりかねない問題でありまして、預貯金等といっても目的はさまざまでありまして、当面の生活に充当するための費用と、親亡き後の生活費や施設から地域生活に移行した後の生活費など将来のための費用とでは性格が異なるというふうに思われます。

 このため、両者を区別して、障害者の将来の暮らしの安心の観点から、障害者本人を受取人として設定された信託等は、個別減免や社会福祉法人減免の対象者を決める際の預貯金等には含めないというふうにすべきではないかと考えますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 グループホーム利用者や施設入所者については、所得や預貯金等の個別の事情に応じて減免する措置を設けることといたしております。

 この預貯金等の額につきましては、定率負担分について公費で賄う基準であることを考慮いたしますと、納税者である国民の生活実態と比較し、国民の御理解が得られる水準とすることが必要であると考えておりまして、低所得で同様の生活水準にある世帯の貯蓄水準や、マル優などにおける低所得者の方への配慮措置の水準等を踏まえて検討を進めてまいりました結果、具体的な水準を三百五十万円としたいと考えております。

 さらに、御指摘のとおり、障害者の暮らしの安心や障害者の自立のために将来の生活費として障害者本人のために設定された一定の範囲の信託等につきましては、個別減免の基準における預貯金等には含めないで考えることとしたいと存じます。

大村委員 続きまして、就労支援関係につきましてお伺いをしたいというふうに思っております。

 雇用型の就労継続支援事業につきましては、他の福祉サービスと異なりまして、事業所と障害者が福祉サービスの提供に係る契約を交わすと同時に、一般企業が障害者を雇用する場合と同様、事業の実施主体と障害者との間に雇用関係があるという特別な事情がございます。こうした点に着目すれば、雇用型の就労継続支援事業につきましては、いわば福利厚生のような位置づけで、事業主の負担により利用者負担を減免するということを認めるべきであると考えます。

 これまでに検討する旨の答弁をいただいておりますけれども、ぜひとも実施すべきと考えますが、この点につきましての大臣の御見解をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 雇用型の就労継続支援事業につきましては、他の福祉サービスと異なりまして、事業者と利用者が雇用関係にあることなどから、事業者の判断で事業者の負担により利用料を減免できる仕組みを導入してまいりたいと考えております。

大村委員 この点は、今大臣お答えいただいて、大変結構だと思います。

 これまでもいろいろ御議論がありました。これは、雇用型の就労継続支援事業以外にも就労支援の通所サービスがございます。この点につきましては、先ほど導入を言明された社会福祉法人減免の仕組みの対象にこの就労支援の通所サービスは当然含まれると考えます。要は、社会福祉法人減免というこの枠組みを使ってこの点が対応できるのではないかと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

尾辻国務大臣 先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、負担の上がり幅が大きいとの御指摘をいただきました通所サービス、児童入所施設、重度障害者のホームヘルプサービスにつきましては、所得に応じた月額負担上限、生活保護への移行防止をするための特別減額制度などにより配慮もいたしているところでございますけれども、激変緩和の観点から、低所得の方にさらにきめ細かく配慮するため、経過措置として、一定の低所得の方について定率負担の月額上限額を実質的に半分程度にするような社会福祉法人による減免とそれへの公費助成の仕組みを設けることとしたいと考えております。先ほどお答え申し上げたとおりでございます。

 そこで、御指摘のとおりに、就労支援の通所サービスは、当然他の通所サービスと同様に考えるべきものでありまして、今後、減免の内容のほか、対象となるサービス、対象者の所得や預貯金等の基準、公費の助成割合など、具体的な内容について早急に検討してまいりたいと考えております。

大村委員 この就労支援の点は、今回の自立支援法についても大きな柱だと思っておりますので、この点、ぜひきめ細かい御配慮をお願いしたいと思いますし、もちろん、我々は与党ですから、一緒になってこれはつくっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 私にとりまして最後の点でございますが、福祉サービス体系の基準についてもお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の改正におきましては障害者の就労支援に力が入れられているわけでありますが、障害者の置かれた状況や心身の状態は多様でございます。既存の事業において相当長期間にわたって活動を行ってきた中高年の障害者といった方の中には、介護の必要度は低くても、訓練、就労支援関連の事業になじまないといった方もおられるわけでございます。

 一方、就労支援以外の通所サービスの中心となる生活介護事業は、常時介護の必要な障害者が対象になっておりまして、新たな体系に移行した場合、こうした訓練、就労支援関連の事業になじまないと思われる障害者が、現在利用している施設から他の施設に移らなきゃいけないといったようなことが想定といいますか、その可能性があるというふうに考えるわけでございます。このために、生活介護事業の対象者につきまして、そうならないように、年齢といった、単純な介護の必要度以外の要素を考慮すべきと考えますけれども、この点は実際の現場の形を踏まえて対応すべきだと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思っております。

尾辻国務大臣 障害者自立支援法案におきましては、施設、事業の体系を見直しまして、それぞれの施設や事業の持つ機能に着目して再編し、それぞれの障害者に合った個別の支援を実現したいと考えておるところでございます。

 この中で、一つの事業として生活介護事業を創設することといたしておりますけれども、これは、常時介護の必要な障害者に対して、入浴、排せつ、食事の介護や創作的活動、生産活動の機会の提供などのサービスを提供する事業でございます。

 生活介護事業を含めた新たなサービスの具体的な基準につきましては、今後検討することといたしておりますけれども、障害者に対して一人一人に合ったより適切な支援を行うという観点から、御指摘を踏まえ、生活介護事業の対象者については、介護の必要度合いと年齢を組み合わせる方向で十分検討してまいりたいと考えております。

大村委員 私からの確認的な質問は以上でございますが、私は、自民党、公明党、与党でこれまで障害者自立支援法につきまして真剣に協議をし、検討し、今日までやってまいりました。今回の法律は、できるだけ早くといいますか、成立をさせた上で、そしてその上で、冒頭申し上げましたように、引き続き、この事業全体の障害者福祉施策の体系づくり、さらに細部を、中身を詰めていって、そして、この法律の中にあります事業の中身、さらにこれも細部を詰めていく。

 そして、あわせて、一番大事なのは、この制度に魂を吹き込むという意味で、やはり予算の確保が大事だと思います。その予算の確保、私ども与党はもちろん、野党の皆さんも真剣に一緒になって議論をさせていただいて、そしてしっかりとこの予算を確保して進めていきたいというふうに思っております。

 要は、現場で本当にうまくワークするように、機能するように制度をつくっていくということが大事だと思っておりますので、これまでも一生懸命やってまいりましたけれども、引き続きまた政府の皆さんと……

 済みません、私も大変今までのことについて我慢をしてまいりましたが、今の御発言については余りにも私は残念だと思います。真剣にこういった福祉施策を一生懸命やってきた者として、一生懸命やってきたことへのこういう形での御発言というのは、私はいかがなものかというふうに思います。傍聴者の方にもルールがあると思いますので、ぜひこの点は議場整理をお願いしたいと思います。

鴨下委員長 はい。

大村委員 大変、本当に残念なことだというふうに私は思います。その点は、一生懸命やってきてこういうことかと思うことを大変残念に思うということでございます。

 しかしながら、きょうお越しをいただいた方のほかに、日本全国に、本当にたくさんの障害を持った方が全国各地で希望を持って一生懸命生きている、生活をしている、活動をしていただいている、その方々のために一生懸命頑張っていくことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 当委員会におきまして、この障害者自立支援法案、四月末より三十時間を超える審議をしてまいりました。本日、私からは、与党といたしまして先般要望してまいりました事項につきまして、ただいまの自民党に引き続き、公明党として確認質問をさせていただきます。

 まず初めに、福祉サービスの利用手続についてお伺いをいたします。

 まず、この福祉サービスの利用手続につきましては、障害者の実情やサービス利用の意向が適切に反映されることが重要であります。障害者自立支援法案におきましても、市町村が支給決定の際、障害程度区分や障害者のサービス利用意向を勘案することとされておりますが、障害程度区分を審査、判定するのは市町村に置かれます審査会の委員でございます。

 この審査会の委員は、障害保健福祉の有識者から市町村長が任命するものでございますが、障害者の実情をよりよく反映した審査を行うという観点から、障害保健福祉の有識者であって中立かつ公正な立場で審査が行える者であれば、障害者を委員に加えることが望ましいということを市町村に周知徹底すべきと考えますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 市町村の審査会の委員は、障害者の心身の状態に関し専門的な見地から客観的な判定を行いますとともに、市町村が作成した支給決定案の合理性、公平性について意見を述べることを業務とするものでございまして、その委員につきましては、障害者の保健福祉に関する専門的な知見を有し、中立公正な立場であることが求められます。これに加えまして、審査会の委員につきましては、障害者の実情に理解のある方が委員となることが望ましいことから、御指摘のとおり、障害保健福祉の有識者であって中立かつ公正な立場で審査が行える者であれば、障害者を委員に加えることが望ましいことを市町村に助言してまいりたいと存じます。

高木(美)委員 続きまして、福祉サービス体系の基準のあり方についてお伺いをいたします。

 今回、グループホームのほかに、介護の必要な障害者を対象にケアホームが新たに設けられますが、地域におきましては、既に障害の程度の異なる障害者がグループホームに同居しているという実態がございます。

 法案の第二条にありますように、障害者がみずから選択した場所に住めるようにしていくという観点からは、グループホームの対象者とケアホームの対象者につきまして、それぞれに適切なサービスが提供される体制が確保されること、これを前提にいたしまして同居を可能とすべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

尾辻国務大臣 障害者自立支援法案におきましては、支援が必要な方に対し、それぞれの状態にふさわしい支援を行っていくという観点から、現在のグループホームを、介護が必要な方を対象とするケアホームと、就労をしている方等を対象とするグループホームに分けることといたしております。

 現在の知的障害者グループホームにつきましては、重度の障害のある方が入居していることに着目した単価が設けられておりますものの、人員配置が義務づけられておりませんことから、グループホーム以外の外部の事業者から責任関係があいまいなままサービスが提供されるといったケースも見られており、今回の改正で見直しが必要であると考えておるところでございます。

 他方、御指摘のように、現にさまざまな障害の程度の方々が同居している実態がありますことから、事業者が責任を持って利用される方それぞれの状態にふさわしいサービスを提供するということを前提に、グループホームの対象者とケアホームの対象者が一つの住宅等に同居できることとし、その具体的な条件については、関係者の意見も聞きながら検討をしてまいります。

高木(美)委員 続きまして、障害者の地域生活支援を考える場合におきましては、重度の障害者の方が地域で暮らせるような環境を整備していくことが重要でございます。障害者の完全参加と平等をうたいました昭和五十六年の国際障害者年以降、障害者の方たちが地域で普通に暮らすことが重要なテーマとなっておりまして、支援費によりまして道が開かれました。しかしながら、まだ一部の地域に限られたものにとどまっております。

 こうした地域生活支援の流れを障害者自立支援法案によって全国的に展開をしていくためには、ひとり暮らしの重度の障害者であっても必要なサービスが確保されるよう、重度障害者等包括支援などのサービスの内容や国庫負担基準を適切に設定する必要があると考えます。大臣の御見解はいかがでしょうか、お伺いいたします。

尾辻国務大臣 障害者自立支援法案におきましては、支援の必要度を総合的にあらわす障害程度区分を設定いたしますとともに、特に重度の障害のある方につきましては、地域で暮らしていくことができるよう、重度障害者等包括支援や重度訪問介護といった新たな給付類型を創設することといたしております。

 現在、地域で暮らす重度の障害のある方の状況は、地域によって、また、家族がいるかどうかなどによってサービス利用に大きなばらつきがあると認識をいたしております。こうした状況も踏まえまして、御指摘のように、重度障害者等包括支援などのサービスの内容や国庫負担基準につきましては、重度の障害のある方の心身の状況、他の制度のサービスも含めたサービスの利用の実態等を把握した上で、適切な水準となるよう十分検討してまいりたいと考えます。

高木(美)委員 続きまして、基盤整備など、十八年度予算に対応すべき点についてお伺いをいたします。

 ホームヘルプサービスなどの個別給付に加えまして、障害者を支える重要な事業が地域生活支援事業でございます。この地域生活支援事業には、障害者にとって、サービス利用の手続について便宜を図ったり、権利擁護の中核となる相談支援事業、そしてまた、障害者の社会参加を進めていく上で柔軟な利用が認められることが期待されております移動支援事業、そして手話通訳や要約筆記などのコミュニケーション支援、さらに、小規模作業所を含めさまざまな日中活動の拠点となる地域活動支援センターなど、障害者の生活を支える上で不可欠な数々の重要な事業が含まれております。

 これらの事業は市町村が必ず取り組むべき事業とされておりますが、こうした地域生活支援事業に盛り込まれた事業が、地域のニーズを踏まえ市町村が確実に実施できるよう、必要な財源の確保を図ることが極めて重要と考えますが、大臣の御見解を承りたいと思います。

尾辻国務大臣 障害者自立支援法案におきましては、地理的条件や社会資源の状況といった地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に実施されることが好ましい事業を地域生活支援事業として法定化したところでございます。

 この地域生活支援事業に盛り込まれました、相談支援、手話通訳等のコミュニケーション支援、日常生活用具、移動支援、地域活動支援センターといった事業につきましては、御指摘のように障害者の地域生活支援のために必要不可欠なものと考えておりまして、法案におきましても、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業としたところでございます。

 また、地域生活支援事業が地域の実情に応じて確実に実施できるよう、これらの事業の実施に関する事項を市町村等の障害福祉計画に盛り込むこととし、その費用について国、都道府県が補助することができることとしております。このため、地域生活支援事業の実施に必要な予算の確保につきましては、平成十八年度の予算編成における最重点事項の一つとして、最大限努力をしてまいります。

高木(美)委員 さらに御質問させていただきます。

 こうした障害者の地域生活支援を進めるためには、各地にサービス基盤を整備することが重要でございますが、現時点では不十分と言わざるを得ません。今後、障害者が身近なところで福祉サービスを利用できますように、福祉サービスの基盤を早急に整備しなければならないと考えておりますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 障害者の方々が地域で暮らすためには、さまざまな障害福祉サービスの基盤整備を進めていくことが必要であると考えております。

 そのため、今般の障害者自立支援法案におきましては、市町村等に必要なサービス量の見込み量を定めた障害福祉計画の策定を義務づけ、計画的なサービス提供体制の整備を図ることとしております。国といたしましても、基盤整備の推進を図る観点から、既存の社会資源を有効に活用できるよう必要な規制緩和を行い、より身近な場所でサービスが提供できる仕組みを構築するとともに、市町村等の障害福祉計画を踏まえ、障害者プランの見直しを行いたいと考えております。

 さきに閣議決定されました骨太方針二〇〇五においては、「地域における就労・生活支援のためのハード・ソフトの基盤を速やかかつ計画的に充実強化する。」としたところでございまして、地域生活支援事業とともに、必要な予算の確保に向けて最大限努力をしてまいります。

高木(美)委員 続きまして、自立支援医療の利用者負担についてお伺いをいたします。

 精神障害者の社会復帰を支える精神通院公費負担医療制度でございますが、これにつきましては障害者自立支援法案におきまして自立支援医療として再編されることになっておりますが、その趣旨、目的が変わるわけではなく、低所得の方や医療費負担の重い方に重点化をしながら、しっかりと継続していくことが重要でございます。

 障害により高額な医療費が継続的に発生し、家計に重い負担がかかる方につきましては、重度かつ継続としまして月ごとの負担上限が設定されますが、この重度かつ継続の範囲につきましてですが、現在示されている統合失調症など三つの疾病に限らず、早急に検討を進め、その結果に基づいて、可能な疾病につきましてはこの法施行までに対象範囲に含めるべきと考えますが、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 御指摘の精神通院公費負担医療制度につきましては、精神障害の適正な医療を普及する役割を担ってきておりまして、この趣旨、目的は、自立支援医療に位置づけられても変わらないものでございます。

 自立支援医療におきます重度かつ継続とは、医療上の必要性から継続的に相当額の医療費負担が発生する方について、一定の負担能力がある場合にも月の負担額に上限を設ける措置でございます。重度かつ継続の対象となります疾患につきましては、当面、精神通院医療につきましては、統合失調症、狭義の躁うつ病及び難治性てんかんを対象とすることといたしております。

 この三疾患につきましては、重度かつ継続の範囲として狭過ぎる、または逆に広過ぎるという御意見もございまして、双方の御意見がございますので、その範囲を明確にするために、去る六月二十二日に自立支援医療制度運営調査検討会を発足させまして、検討を開始したところでございます。この検討会におきましては、重度かつ継続の範囲についてデータに基づいて御議論いただくこととしており、厚生労働省としては、結論を得たものから順次対応したいと考えております。

 特に、精神通院医療の重度かつ継続に関する当面の結論につきましては、御指摘も踏まえまして、地方自治体の新制度施行における準備も考え、夏の間に結論を得て、適切に実施してまいります。

高木(美)委員 さらに、育成医療につきまして、障害児の健全育成の観点からも必要な仕組みでございますし、しっかりと維持をする必要がございます。

 今回の見直しにおきましては、経過措置があるとはいいましても、心臓病のお子さんのいらっしゃる家庭などにおいては負担の上がり幅が大きいというケースがございます。障害児の健全育成と激変緩和の観点からも一層の負担軽減措置を検討すべきと考えておりますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

尾辻国務大臣 育成医療は、障害のあるお子さんが健やかに育つよう、その障害の軽減等を図るために必要な医療を提供するものでありまして、他の障害に係る公費負担医療とのバランスも考えながら、その維持を図ることが必要と考えております。

 特に、育成医療につきましては、対象となる方には若い世帯が多いことから、高額な医療を受けた場合でも医療機関窓口での支払い額が高額にならないよう激変緩和の経過措置を設けまして、健全育成の観点から、大人を対象とした更生医療以上の工夫を盛り込んだところでございます。

 さらなる負担軽減につきましては、全体のバランスもあり難しい面もございますけれども、御指摘を踏まえまして、激変緩和の観点から何ができるか、さらに検討してまいります。

高木(美)委員 さらにきめ細かくお願いをいたしたいと思います。

 障害者の中には、福祉サービスと医療サービス双方を必要とする障害者も少なくないと考えております。このような障害者の負担が過大にならないように、医療保険改革におきまして、医療保険の給付と介護保険の給付の自己負担の合算額が著しく高額になる場合の負担の軽減を図る仕組みにつきまして実現を図った上で、別途幅広く必要な措置について検討すべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 ただいまの御指摘につきましては、検討をしてまいります。

高木(美)委員 確認質問でございますので、以上で終了させていただきますが、私自身も、こうした障害者自立支援につきまして全力でこれからも取り組ませていただきますことをお誓いいたしまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、石毛えい子君。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 きょうまで三十数時間の質疑がされたやに伺っておりますけれども、今までの質問及び答弁を伺っておりまして、厚生労働省としまして、この新しい法律を策定するのに、政策理念あるいは哲学を明確に据えて、制度の見直し、新しい制度の構築を図っているとはとても考えられない、そんなように思えて仕方がありません。

 昨年十月に障害者福祉サービスにかかわるグランドデザインが公表されて、それから今年度の予算編成に向けて、裁量的経費は不足するから義務的経費に切りかえるということが言われて、その後どういう展開になるのかなというふうに思っておりましたけれども、制度の全貌が見えないままにこの法案が提出されてまいりました。何度も委員会では言われておりますけれども、政令委任事項が七十、省令委任事項が実に百三十一、そして告示事項十二にも上っているわけです。中身の見えないままに、そして失礼な言い方になるかもしれませんけれども、ただいまの確認答弁でも、障害者の皆さんが知りたい、わかりたいと思っていらしたことが、より、少しは具体的に理解できるような、そういう答弁には至っていないのではないか、そう思って答弁を伺っておりました。

 改めて指摘するわけでもないのですけれども、もう大臣も担当の皆さんも、この法案が提出される前から、障害者の皆さんは大変不安に思われ、そしてまた疑念や不信を持たれ、反対を含めた意思表明を大変されてきておられますし、この委員会の質疑にも傍聴の方がたくさんお見えになっておられます。それから、御存じでいらっしゃると思いますけれども、徹夜で議員会館の前で反対の抗議行動をされていらっしゃる方もおられます。正確な人数は存じませんけれども、延べ人数にすれば二万人を超えているのではないかなというふうに思いますし、それはいろいろなお立場の方がおられるかもしれませんけれども、六百万人を超える障害児者の方々が不安や疑念や不信を表明されている、そのあらわれだというふうに私は受けとめております。

 当然、大臣はそのような御認識をお持ちでいらっしゃると思います。ですから、きょう、これから一時間半ほど私は質問時間をいただきますけれども、ぜひとも、障害を持つ方々の生存や生活を大きく左右することになるこの法案への当事者の皆さんの危機意識がこうした行動として表現されていると理解しなければいけないと思いますし、そのことを踏まえて、私の質問に少しでも中身がわかる具体的な答弁がいただけますようにということをまず最初に申し上げておきたいと思います。ぜひぜひ、傍聴席の障害の皆さん、全国の障害の皆さんに届く答弁として、真摯に、誠実に、中身のうかがえる答弁をお願いしておきたいと思います。

 先ほど、私は冒頭に、新しい法律を仕組んでいくのに政策理念、哲学が欠けているのではないかというか、あるいは、ないというふうにも申し上げたかと思いますけれども、そう思います理由はいろいろあるかと思いますけれども、端的に二点ほど申し上げて、具体的な質問に入りたいと思います。

 一点は、やはり障害を持っている方、特に誕生時からあるいは若いときから障害を持っている方、この法律の対象は年齢制限をしているわけではございませんけれども、高齢の障害者につきましては介護保険が優先するわけですから、これは新しい法律もともに使えるようにするというようなテーマはありますけれども、差し当たって大変多くの障害者の方が不安に思っていらっしゃるのは、これまでの支援費制度を再編して支援法に組みかえていくということで、端的に言えば、高齢障害者ではなく、誕生時あるいは若くして障害を持たれた、いわば若年障害者の方が主要に対象になるという法律でございます。そこをきちっと踏まえなければいけないんだと思います。

 私は、この法案は、多分検討してくるプロセスで、介護保険との統合とか、いろいろな事案がございましたから、事務方とすればいろいろな複雑な思いもあったし、作業もされたんでしょうけれども、介護保険との類似性が見え隠れしていて、そちらの方がともすれば強く出てきてしまっていて、若年障害者に対して、若年障害者といっても六十歳の方もいらっしゃるでしょうけれども、誕生時あるいは若くして障害をお持ちになっている方を主として対象にしている法律だということがきちっと据わっているというふうにはとても思えないということ。それは、先ほど言いましたように二つだけ申し上げたいと思います。

 一つには、そのような障害をお持ちの方は、所得を得る、あるいは資産を形成する機会が決定的になかったか、不十分であるということです。この点は五島委員も質問のときに指摘しておられました。ですから、あたかもすべてが平等であるかのごとくに、障害をお持ちの方の負担についても同じように考えてはいけないんだと私は思います。

 要するに、社会構造的に、歴史的にきちっと所得を獲得する手だてを尽くしてこなかった、その歴史そして現状をかんがみれば、障害をお持ちの方が生活が成り立つように、仮に新たに負担を求めるとしても、その負担についての考え方をきちっと厚生労働省としては提示すべきであったのに、そこが見えないままに、あたかもすべて障害の方が平等、対等になったかのごとくに介護保険並びで定率一割負担を出してきた。なぜ定率一割負担なのかという説明は、公平にとか、利用者がふえるからとか、そういう説明しかない。これは、いかにも聞いていて私は寂しいし、政策を立てていく場合に、政策理念の貧困だと思います。

 もっと厚生労働省は堂々と財務省に向かっても、世の中に向かっても、社会に向かっても、定率負担の一割原則は普遍性ですからそこを目指しますけれども、障害者政策として所得はきちっと確保するような政策はとってきておりませんから、そこを勘案して、過渡期の政策として負担についてどう考えるべきかということをもっと明確に明示すべきだと私は思うんですよね。ということを、第一点、申し上げておきたいわけです。それは全部いろいろなことにかかわってきますので、そこはぜひきちっと認識をしていただきたいということが一点です。

 それからもう一点は、誕生時から若くして障害を持った方は、その生活史においても現在においても、決定的に社会参加の機会を得てきていないということです。私は、奪われてきたと言っても言い過ぎではないと思っています。

 本当に社会参加で平等になって対等になっているんだったら、それはいろいろな決め方があるでしょうけれども、この政策は、社会参加の機会をどれだけきちっと保障していくかということが差別の解消に向かっていく、隔離、選別を超えていくという、そうした方向性をきちっと持つんだったらば、持たなければいけないと思いますし、持つためには、やはり社会参加の機会を決定的に私たちのこの国、この社会はきちっと確保してこなかったということを踏まえるべきなんです。踏まえていないから、政策の体系が私から見れば非常にあいまいもことして、ちゃんとやれるんだかやれないんだかがわかりにくいという、こんな法案の中身になっているというふうに思われるわけです。

 なぜ奪われてきているかということを少し申し上げたいと思います。

 今の日本の教育制度では、障害を持つ子供さんたちは、学校教育法施行令の措置によってほとんど養護学校に入らざるを得ないという状況に置かれています。若干の自治体による決定権はありますけれども、これは予算がつくわけではありませんから、選択するということがきちんと保障されているわけではありません。地域からそもそも隔離されたところで障害を持つ人たちの生活はスタートを切っているんです。それで、卒業してどこに行くかといえば、圧倒的に多くの方が障害者施設に行く、あるいは家族介護のもとにいる、家族介護が無理だったらば入所施設に入る、こういう歴史だったわけです。

 やっとこさっとこ、その中で、障害を持つ人たちが施設から本当に決死の思いで出てきて、地域で自立を実現され、あるいは障害者運動の歴史では、私も活字で読ませていただいたり、知人の障害がある方にお聞きするということの話でしかないかもしれませんけれども、親は敵だというふうに言った時代だってありました。今でもそう思っていらっしゃる障害の方もいらっしゃるかと思います。それで、親の庇護から離れて、本当に必死の決意で自立生活を獲得されてこられた。ようやく社会参加、地域生活というのが本当に芽を出し始めて広がってき出した。

 ここをきちっとやりますよ、受けますよというふうに言わなければ、それはやはり障害を持つ方はこの法律で、それは支援費もその推進役になったと思います、そこをちゃんとしなければ、障害を持つ方は、もう一回また施設に入らなければならないのか、親は大変であろうのに親の介護を当てにしなければならないのかと思ってしまうわけなんだと思います。

 私は、この自立支援法というのは、本当にそれぞれの障害の方が、今あるそれぞれの状況で不安をお持ちになっていらっしゃる。だから、定率一割負担の問題が非常にクローズアップされましたけれども、不安の問題は本当にそれぞれの障害の方に対応してさまざまで多様だというふうに思います。だからこそ丁寧に、それぞれの分野といいますか、それぞれの生活場面に応じた議論がきちっとし尽くされていくということが障害の皆さんに安心感を与えて、義務的経費になるということが積極的に評価をされてということだと思います。

 少ししつこい言い方になりましたけれども、ぜひぜひ、社会参加を得てきていない障害をお持ちの方々に新法を提示していく場合に、どういう方向性を目指すのかということをやはりきちっと踏まえていただきたい、そういうふうに思います。

 少なくとも、障害者というふうに一言で表現をしても、今私が申し上げました若年障害者の方と高齢期に障害をお持ちになった方では、制度、政策を仕組んでいく場合におのずと違ってこなければならない部分があるということをきちっと、これから制度を展開されていくわけですから、十分に踏まえて考えていただきたいと思います。どこの国だって、障害者政策が高齢者介護に一般化されて提供されているということはないというふうに私は思います。特に日本の場合は、今申し上げました歴史的な、あるいは現在社会的な状況の中で、そのことをきちっと認識して踏まえていただかなければならないというふうに考えます。

 少し敷衍化するような論理ですけれども、最初に、今申し上げましたことについて、質問通告はしておりませんけれども、大臣のお考え、あるいは、この法案を成立させていくというのはそちらのお気持ちなんでしょうから、御決意を含めて伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 障害者施策全般についてのお話でございます。

 私どもも、障害者の皆さんの施策をどう進めていくか、できるだけいいものに法律もしていかなきゃならない、そう思っておりますことでは人後に落ちないつもりでございます。今回もそうした思いで、よりよいものにしたいということで、我々も知恵を絞ってこの法案を提出させていただいておる、その思いだけはぜひ御理解いただきたいというふうに存じます。

 そうした中で、今回のことで私どもが申し上げておりますこと、幾つかございますけれども、まず、今まで障害ごとにばらばらになっていた法律、そうしたものをできるだけ一元化したいということで、三障害を一元化するということを考えました。そうした形になるようにということで御提案を申し上げておるところでございます。これが一つでございます。

 それからもう一つは、今まで市町村の役割というのがどうしても明確になっておりませんでしたから、市町村に役割と責任を明確化しよう、きっちりやってもらおうということをこの法律に盛り込んでおります。

 それから、これはもう御説明申し上げておりますときに率直にも申し上げてまいったことでありますけれども、支援費という制度が財政的に極めて厳しくなってきております。これは先ほどの御質問の中でもありましたけれども、一昨年も随分支援費が不足をいたしました。そこで、厚生労働省のあっちこっちの金を寄せ集めて何とかしのぎました。

 しかし、昨年はさらに支援費制度の中での支援費が膨れてまいりましたので、そのことは私どもは大変いいことだと思っております、ただ、おまえたちが当初の見込みをきっちりやれなかったその失敗をどうするんだというふうに言われますと、私どもとしてもそのことは反省しなきゃならないと思っておりますが、結果として支援費が足らなくなった。それで去年は、とうとうもう厚生労働省の中の金をかき集めてもとても足らなくなりましたので、補正予算を組んでもらった。

 ただ、この補正予算を組みますに当たりましては、義務的経費でありませんから、裁量的経費というのはそのお金で何とか足らすのが裁量的経費だろう、これを足らなくなったから何で補正予算にするんだということを随分言われました。そうした中で、いや、そういってもと言って、私どもは頑張って補正予算に組んでもらいました。そうしたことでしのぎました。

 しかし、もうこうしたことで毎年毎年しのいでいくというのは無理があるというふうに判断いたしましたので、何とかこうしたものを義務的経費に組み込みたいということで、今回は義務的経費にするということをまた明確にしました。そうした意味でも、今回の法律は、私どもにとっては大変意義がある、私どもにとってというのは障害者施策を考える上で大変意義あるものだというふうに考えております。

 そうした、いろいろなことを申し上げるとまた切りないわけでありますけれども、少しでもよりよいものにしようと思ってこの法案を出させていただいておるということを御理解いただきたく、申し上げたところであります。ただ、いきなり理想的なものになるはずはございませんので、一歩でも二歩でも進めていきたい、今回の法律が一歩でも二歩でも前進をするものにしたいというふうに考えております。

 そしてまた、法律を変えますと、制度を変えますと必ず、今までと変化しますから、変化したところにおいて、今回の一割負担の話もそうでありますけれども、御負担が生じたり、不安に思われるところが出てくる。そこのところは一つずつ丁寧に丁寧に私どもは対応をしていかなきゃならない。そのことも繰り返し御答弁申し上げてまいりましたし、その丁寧に丁寧に対応しようというところで、この委員会でいろいろな御指摘をいただきました。

 そうした御指摘は一つずつ肝に銘じながら対応していきたいと私は本当に思っておりまして、そういう対応をしてまいりますということも改めて申し上げながら、御質問でございましたので、答えとさせていただきます。

石毛委員 一つずつ一つずつでいいのです。いいのですといいますか、そうなんでしょう、きっと。ですけれども、一つずつ一つずつ積み上げていくときに、何をきちっと基本に据えて積み上げていくかということが重要だということで先ほどの二点を申し上げたということを、もう一度大臣には御認識いただきたいというふうに思います。

 具体的な質問ですけれども、先ほどの大村委員の確認答弁の中の、負担のあり方に関してでございます。

 今回、原則的に扶養義務を外して本人の所得に応じて負担をしていただくというふうに考えるということでございますけれども、ただし、月額上限の設定等に当たってということで、所得の認定は世帯単位に行って、その上で、扶養義務から外れるかどうかというのは、税制上の取り扱いと、それから医療保険上の取り扱いによって選択できるようにするという、選択制にしたわけですね。これは現状に比べれば後退なわけで、今は原則的に、すべての障害をお持ちの方は、応能負担ではございますけれども、扶養義務は外していただいている。未成年の障害の方は別ですけれども、成人障害に関してはそういう状況でありますから、むしろ現行制度とは後退になるのであって、このようなことを言えば前進であるかのようにということではなくて、今までと同じように扶養義務を外すということで貫くべきではないかという質問でございます。いかがでしょう。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

尾辻国務大臣 これは改めて申し上げるまでもないことでありますが、まず本人の負担だ、本人の所得だけを見てそれで負担してもらうということをまず決めた、これは大原則でございます。そこのところはよく御理解いただいておるところであります。

 ただ、御本人の負担にするけれども、そこで軽減措置を考えるときに所得をどう見るかという、その見方についてはどうしましょうかという議論がありましたので、そこで、完全に御本人のみというわけにもいかない、一緒に生活しておられる、特に御夫婦というのはやはり生計をともにしておられる、これは切り離せない関係だろうから、そこのところは御夫婦一緒の所得というふうに見るべきであろう、まずそういう考え方が出てまいります。

 その後でありますけれども、今度は、親子の関係なんかで御一緒に生活しておられる、そして扶養という今お話しのような関係にある場合がございます。そのときに、税制や医療保険で扶養という、いわば、恩典というふうに表現していいのかどうか、恩典というふうに申し上げますが、そういう税制とか医療保険上の恩典を一方で受けながら、一方で負担するときだけ、いやそれはまた別ですというふうに言うのはまずいだろうと私どもは考えまして、これはいずれかをお選びくださいと。

 もうそういう関係を切っていますから本人の所得で判断してくださいとおっしゃるか、いや、扶養関係にお互いにありますから、税制とか医療保険上の恩典は受けます、受けるかわりに所得も一緒に判断してくださいとおっしゃるのか、これは御判断にお任せした方がいいと私どもは思っておりますので、今回、そのようなことを申し上げておるところでございます。

石毛委員 そういうのを形式的平等というのじゃないでしょうか。もっと激しい言葉を使いたいと思いますけれども、それは控えます。

 恩典とおっしゃいましたけれども、大臣、障害を持っている方が御家族にいらして、その御家族の介護ですとかそうしたことがなくて障害をお持ちの方の生活が成り立つのだったらば、それは恩典とか、あるいは密着関係とか、いろいろな表現はあるのかもしれませんけれども、障害をお持ちの子供さんを育てて、そして今成人として一緒に暮らしている方でも、介護をされる、例えば親御さんが端的だと思いますけれども、それは働く機会はないのですよね。なかなか働こうと思ったって働けないのですよね。

 経済的な表現をすれば、要するに機会、所得の平等のチャンスが獲得できないのですよ。別にとりわけの恩典じゃないのです。それは制度の形式を並べればそういうふうに言えるのかもしれませんけれども、もし従前、十分なサービスが提供されていて、その障害の方の自立が達成されていたら、家族は介護しなくたって済むかもしれませんし、扶養しなくたって済むかもしれないわけですから、それをやってこなかったから今こうなっているわけで。

 それで、障害の方たちは、本人の所得、配偶者まで含めるのは私個人はいいかとも思っていますけれども、要するに、親や兄弟に負担をしてもらうことの心苦しさ、プラス介護をしてもらう心苦しさ、それがあるからこそ、障害のある方たちが求めて、求めて、求めて今の仕組みをつくってきたのですよね。そこはよく考えて、与党は修正案を出されているわけですから、所得保障のこれからのあり方を考えていくときに、十分にその点はこれからもちゃんと考えていただきたいというふうに思います。

 これ以上やっていますと、大臣、御答弁が長いので時間がどんどんなくなっていってしまうというか。申し上げたいことはそういうことです。冒頭に申し上げました、自立の観点、所得を形成するチャンスがなかった、その人たちに対する施策のとり方というのはどうなのか、世の中一般と形式的平等でやっていいのかどうなのかという、この問題なわけですよ。

 次の質問ですけれども、ちょっと一問カットいたしまして、上限額がそれでも厳しい方、上がり幅の大変大きいような方に対して、これから激変緩和の経過措置として社会福祉法人減免がされるというふうにおっしゃられました。実質的に半分程度の水準に減らしていくということも言われましたし、それから、公費助成を入れて、社会福祉法人がやるかどうかを決めるという任意の施策ではなく、制度として実施するということも、先ほどの確認答弁の中でおっしゃられました。

 私が、もう一つつけ加えて、ぜひ御答弁をいただきたいと思いますのは、社会福祉法人ではない、例えばNPO法人などによって事業を提供している場合にも同じように激変緩和措置がとられるということ、そのことについての御答弁をいただきたいというふうに思います。

尾辻国務大臣 答弁が長いというおしかりをいただきましたので、今の部分だけ、端的にお答え申し上げたいと存じます。

 地域に社会福祉法人がない場合とかいろいろありますし、社会福祉法人があったとしても、特定サービスについてNPO法人しかサービスを行っていない、そういったようなこともいろいろ考えられますから、そうしたことも視野に入れまして、NPO法人をどういうふうに扱うか、その具体的な内容につきましては、今の御指摘等もいただきましたので、今後検討を進めることといたします。

石毛委員 ぜひ、検討はしたけれどもというふうにはならないで、検討をして実施するという方向で政策を組んでいただきたいと思います。

 大臣も御存じだと思いますけれども、ALSの方にサービスを提供する事業者が、地域の社会福祉法人でむしろできない場合の方が今多いんじゃないかと思いますし、等々々たくさんございますので、ぜひ、法人主体があるかないかではなくて、サービスがどの事業体ができるかというところに注目していただきたいということと、NPOは御存じのように課税でございますから、収益事業になっていますから、そういう事業については収益事業から外して非課税の方に移すというような、こういう交渉は財務省との間でやっていただけることでございますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 低所得者対策としまして、預貯金等ということで、三百五十万円以下ということと信託という御説明がございました。私は、この信託を進める場合に、あわせて、地域生活支援事業の権利擁護事業と一体化して後見制度をお勧めしていくというような、そうした重層的な仕組みが機能するようにすべきと考えますけれども、これについてはいかがでしょうか。

塩田政府参考人 入所施設とグループホームの個別減免では、信託についても認めるということで考えているところでありまして、その際、御本人の権利擁護という観点から、適切に行えるような仕組みにしたいと思っております。

 後見人制度の問題については、この委員会で再三にわたり御論議し、その必要性についていろいろな立場から意見をいただいておりますので、そういうものをどううまく組み合わせるか検討して、対処していきたいと思います。

石毛委員 グループホーム利用者の個別減免につきましては、昨日の社会保障審議会でも資料が提示されておりまして、それを拝見しますと、工賃収入のカウントが、三千円の基礎控除をした後、得た工賃収入の一五%ということで、労働のインセンティブが働くように仕組まれているというふうに受けとめさせていただきましたけれども、先ほどの、負担の上がり幅の大きい通所サービスなどへの激変緩和措置で工賃収入などをカウントする場合に、こういう個別減免で実施された、働くことが自分にとってマイナスにならないように、こちらの通所サービスなどについても設計していただくということについてはいかがでしょうか。

塩田政府参考人 グループホーム等の方々について個別の減免制度を設けて、その際に、働くインセンティブがあるようにということで、工賃の八五%は手元に残るような収入の認定をするという仕組みを提案したということでございます。

 働くことのインセンティブが必要なことについては、グループホームで生活される方であろうが、在宅で通所授産施設に行かれる方々と何ら変わりはないと思います。社会福祉法人減免制度をどんなふうに制度設計ができるかの中の、一つの検討すべき事項だと認識をしております。

石毛委員 ぜひ早く、その内容を明らかにしていただきたいと思います。

 障害程度区分に関してお伺いいたします。

 現在、モデル自治体、六十一自治体で程度区分についての調査がされているというふうに伺っておりますが、これまでの委員会質疑において塩田部長は、発達障害が精神障害として、高次脳機能障害も精神障害として、また難病が身体障害として障害認定されるというふうな答弁をされてきていると思います。

 ここで確認をしておきたいんですけれども、障害程度区分による障害の認定と、それから、この支援法は、身体障害者福祉法、精神保健福祉法、知的障害者福祉法の三法を前提にしているわけですから、それぞれの個別法によって、かたかったりやわらかかったりしますけれども、基本的に手帳制度がある法律です。その運用がかたかったり、ソフト、やわらかかったりするわけです。

 それで、これから、これは与党提出の修正法案ともかかわってくることなんですけれども、障害程度の認定と手帳取得、特に身障の場合の手帳取得はどういうふうにリンクするんですか。思い切って手帳制度はもうなくして、こちらの法律の障害程度区分、障害程度区分についても私は意見がありますけれども、それに一元化するということでよろしいんですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 前半の発達障害が精神障害という部分につきましては、審議の中でお答え申し上げたとおりですので、これは省かせていただく、ただし、発達障害の中にも知的の部分が含まれるとかいうようなことはありますので、それはそれとして検討したいとは思いますが、基本的な考え方はそういうことでございます。

 手帳の関係でございますが、現行制度では、身体障害者ということでサービスを受けるときには、身体障害者手帳の取得が要件です。それから、知的障害の場合には、療育手帳の取得は要件にはなっておりません。それから、精神障害者の場合には、これも精神障害者保健福祉手帳の取得は要件とはなっておりません。そういうそれぞれの、ばらばらな感じは受けるんですが、この取り扱いについては、自立支援法においてはそのまま引き継ぐということで、要件についての変更は今回はございません。

 今後、介護保険制度の被保険者などの範囲に関する検討、それから発達障害支援法の施行の状況なども踏まえながら、法の対象となる障害者の範囲のあり方については検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

石毛委員 ここはもう少し詰めておきたいんですけれども、自立支援法を機能させていく場合に、現行の制度が前提であって、ということは、それは今の御答弁で確認なんですけれども、今までの塩田部長の答弁は、現行制度で、ですから、例えば発達障害の中の知的障害の方は知的障害として認定されるわけですし、高機能自閉症の方は場合によっては精神障害というふうに認定されるので、この法案の対象になるということはあるのだろうと思います、その障害の中身によって。

 これは修正法案ですから提出者に聞いてくれなんというふうには言わないでいただきたいんですけれども、これから普遍化をしていきます、この普遍化をしていきますという答弁はあったというふうに記憶しておりますけれども、普遍化をしていくときに、この手帳制度を見直していただかないと普遍化ということには結びつかないだろう。

 例えば、私が知っている限りで一番大きな問題は、リューマチの方とか、あるいは筋無力症の方とか、状態が一定していない難病の方は非常に身障手帳をとりにくいというような問題があって、手帳制度そのものを見直して障害程度区分とリンクするようにするか、あるいは手帳制度は廃止するか、普遍化をするときにそこのあたりをもう少しあらわしておいていただかないと、なかなか今までの御答弁で、ああ大丈夫なんだなというふうには思えないということなんですけれども、どうでしょうか。

塩田政府参考人 障害者自立支援法では、対象となる障害者について、身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者、知的障害者福祉法に言う知的障害者のうち十八歳以上である者及び精神保健福祉法に規定する精神障害者と規定しているわけでありまして、問題は、身体障害者福祉法の身体障害者がどういう方を対象にしているかということだろうと思います。

 現行の身体障害者福祉法では、身障手帳の保持をしている方を身体障害者としております。そして、身体障害者福祉法自身が、法律の制定の経緯から、障害が固定をする方、ですから、治療が継続している方は身体障害者にしないという考え方に基づく法律になっておりますので、現行の身体障害者福祉法の考え方がこのまま、今度の自立支援法では継続されておりますけれども、その考え方が継続された場合には、障害が固定していない方については対象になりにくいという問題があります。

 対象範囲を普遍化するという議論の際には、身体障害者福祉法の身体障害者の考え方がいいのかどうか、身障手帳という考え方がいいのかどうか、あるいは、身体障害者福祉法の身体障害者はそのままにしておいて、普遍化されたサービスを提供する法律については、特に身体障害者にかかわる方ですけれども、手帳の有無にかかわらず対象とするかどうか、そういった議論をして、整理をして、制度の普遍化をしていく必要があると考えております。

石毛委員 次ですが、障害程度の認定が心身の状況を中心というふうに今出ているわけですけれども、それを端的に医療モデルというふうに、そうではない部分も若干入っているとは認識しておりますけれども、おおむねがそういう構成の仕方になっている。それとも社会モデルに基づくかというのは、自立支援サービスの範囲、広がりに関して決定的に異なってくると思います。

 私のきょうの資料にWHOの資料を添付しておきましたけれども、これを見ていただいても、今、ICFという考え方がとられるようになってきております。いわゆる社会モデルとしてとらえるかによって、全くサービスの組み立て方が違ってくると思います。

 確かに、ICFは基準化されているわけではないというようなことはあるかと思いますけれども、私は、特に若年障害者の社会参加を制度化するということをきちっと考えていく場合にも、それから雇用に結びつけていく場合にも、この社会モデルをとっていくということは大変重要な障害の認定に関する方法論だというふうに認識をしております。

 この法律自体が施行後三年で見直しというふうに規定されていますけれども、その見直しに向けまして、ICF手法を検討することも含めて、今の障害程度区分の考え方をさらに変えていくという、そのような意思があるかどうかということをお伺いします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 今回の支援法に関しては、サービスの支給決定に当たっては、今先生おっしゃられました意味での医療モデルだけではなくて、実際の活動や社会参加の状況、環境といった側面も考慮することが大事だと考えておりまして、その項目についても、コミュニケーション、それから家事などの活動に参加するかどうかという項目なども設定させていただいております。

 それから、支給決定におきましても、障害程度区分だけではなくて、社会活動への参加、就労状況、介護の状況、住居の場所など、参加、環境に関する状況も勘案することにしておりまして、障害者の生活機能を総合的に把握できるものとするよう検討はしているところでございます。

 御指摘のこのICF、これは先生御指摘のように、障害について、心身の機能の障害にのみ着目するのではなくて、実際の活動、社会参加の状況、さらにこれらに影響する環境等を考慮して、総合的な観点から生活機能を分類しようとするものであるということは認識をしております。

 今回のこの基準として、このことを制度的にきちっと組み込むということにつきましては、環境因子など客観的な評価尺度の設定が難しい、それから今までのデータの蓄積がないなど、すぐにということにつきましては課題が多いというふうに考えておりますが、新制度の施行後も、データの蓄積を図りながら、ICFの考え方も参考にしながら、引き続き精度の高い指標をつくり上げるために努力をしていきたいと考えております。

石毛委員 端的にお尋ねしたいと思いますけれども、現行の支援費制度のもとで障害福祉サービスに該当している障害をお持ちの方が、新たに支援法のもとで介護給付、訓練給付等に変わっていくときに、非該当となってしまうということは想定し得ないことだというふうに認識してよろしいでしょうか。

 新しい法律が制定されると、今利用しているサービスが利用できなくなるのではないかという不安をお持ちの方はたくさんいらっしゃると思いますけれども、端的に御答弁ください。

尾辻国務大臣 御説明申し上げておりますように、今回の自立支援法案におきましては、現行の福祉サービス体系につきましては機能に着目して再編し、支援の必要等に応じ、効果的、効率的にサービスが提供されるようにというふうに考えております。

 したがいまして、介護給付、訓練等給付、それから地域生活支援事業、この三つにまた改めて体系化されるわけでございますから、そのいずれかにサービスが移っていく、こういうことでございます。

石毛委員 恐れているのは、地域生活支援サービスに移行、あえてさせられてしまうという表現を使いますけれども、させられてしまった場合、これは裁量的経費ですから、きょうの冒頭の大臣の御説明もそうですけれども、裁量的経費を工面するのに大変苦労をするという状況なわけですから、裁量的経費を信頼していいのかどうかというのは、もう信頼の前提が崩れているところからこの議論は始まっているわけですから、何というか堂々めぐりみたいな話になりかねない部分があるので、だからこそ義務的経費ということに皆さんが非常にこだわられるというのは、私は当然のことだと思いますけれども、裁量的経費の部分よりは、きちっと新しい義務的経費のもとで自立支援サービスが実施できるというふうにおっしゃっていただいてよろしいんですか。

尾辻国務大臣 裁量的経費で今までやってきたそのサービスでございますから、大きく三つに分ける、そのうちの少なくとも二つは義務的経費に移るわけでありまして、残り一つが裁量的経費のまま残るということでございますが、今まで全部を裁量的経費でやってきた、その全体のサービスよりも義務的経費になる部分が大きく出てくる、その分だけでもサービス量が落ちるということは考えられないということをまず申し上げたいと存じます。

 そして、そうした三つのものに分かれていくというふうには申し上げましたけれども、それぞれ必要に応じて組み合わせていただくことにいたしまして、一人一人の障害者の状況に応じて適切なサービスを受けることができると考えております。

石毛委員 ぜひそのようにお願いしたいということをあえて申し上げたいと思います。

 障害福祉サービスの利用手続に関して少しお伺いしたいと思います。

 介護給付等の支給の要否の決定は市町村の責任において行われることになりますけれども、市町村が必要があると認めるときは市町村審査会等の意見を聞くことができるという規定になっています。第二十二条の二項です。この「必要があると認めるとき」ということの判断は市町村にゆだねられているというふうな理解でよろしいでしょうか。

塩田政府参考人 非定型的なサービスの場合に必要があるときに行うということになっておりますけれども、法律上は意見聴取の必要性は市町村の判断ということになっておりますけれども、こういう手続を踏むことによって支給決定の透明化、公平化が図られ、また住民の理解も得ることができるということでありますので、国としては、適切な意見聴取が行えるようなガイドラインをつくりたいと考えております。

石毛委員 ここのところは、私はこの制度を運用していく場合に重要な意味を持って出てくると思います。

 ガイドラインは技術的助言というところに位置するのかもしれませんけれども、やはり市町村審査会ができますと、そちらの力の方が強くなってしまって、要否決定は市町村がするわけですけれども、形式的に決定するということになりかねなくて、審査会の方が実質的な権限を強く持つということになりかねない。現にそういう問題というのはもうぼつぼつ出てき始めているということで、あくまでも、透明化を図るためにガイドラインをつくるというのはそれはそれであることなんでしょうけれども、判断する主体は市町村であって、必要があると認めるときというふうに判断するかどうかは市町村の決定権限のうちだという理解でいいですね。

塩田政府参考人 御指摘のとおりです。

石毛委員 これまで何遍も質問されてまいりましたので、端的に御答弁いただきたいことですが、障害程度区分の認定、支給要否の決定に際して、障害者あるいはその関係者の意見を聞く機会を審査会に申し出たい、あるいは審査会は申し出られたときには意見を聞くという、そのことに関しては、必ずしも肯定的な御答弁をいただけてきませんでした。ですから、そのことをここで尋ねようとはしませんけれども、市町村が条例上でそういう判断をして規定を設けることに対して、国として異議を言うものではないという確認はしてよろしいですね。

塩田政府参考人 条例を定めること、その内容をどうするかについては、市町村の御判断だと思います。

石毛委員 もう一点、手続に関してお伺いします。

 障害程度区分の認定、支給要否の決定に際して、市町村の職員あるいは調査を受託した機関が調査に行くわけですけれども、そこで、例えば、六十一モデル自治体で実施している調査票を拝見いたしましたけれども、あれと同じかどうかは別にしまして、ああしたペーパーを仲立ちにして当事者の方と調査者の方がいろいろお話をされるわけだと思います。そこに支援者の方がつくということは意思疎通を明確にするためにありだというのは、前の御答弁でいただいております。

 そこから先ですけれども、その調査の内容に関して、その内容を、これでいい、あるいはこれでは問題だというようなことを確定するときに、調査を受ける方の障害者の方または支援者の方の同意が不可欠の条件だという確認はしていいですね。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

塩田政府参考人 市町村がサービス内容を決定する際に、当事者御本人とか支援者とか御家族とか、いろいろな方の御意見とか実情をよく聞いて、よく調べた上で決めるべきだということは何度も御答弁申し上げているところでありますけれども、最終的な報告の中身を同意までするということは必要ないと思いますが、少なくとも、どういうような考え方でどういうものを市町村としてその当事者の方にサービスを提供しているかについて、よく説明をして御理解をいただく、そういうことは当然不可欠だろうと思います。

石毛委員 これはすごく議論をしたいところなんですけれども、介護保険の方は同意が要件になっていると思うんですけれども、ちょっと確認をしてください。後で結構です。

 いろいろと微妙な問題はある、ないとは言えないということは私も認識しますけれども、でも、基本的にやはり、何を書かれたかわからないというのは調査を受けた方は非常に不安なわけですから、それは同意を要件とすべきです、原則として。しない場合にはちゃんと説明責任が果たせるということじゃないとおかしいですよ。これは強く申し上げておきます。

 もしも、例えば本当に高度の、御病気のことやらがあったりして、記述したものを御当人に読んでいただくというのはできない場合もないとは言えないと思いますけれども、やはり原則としては同意を求めるべきであって、どうしてもそれが確認をいただけないときには説明責任を果たしてきちっと対処するというのが私はルールだと思うんです。何を書かれているかわからないという書類が市町村に行って、それが審査会に行って決まったなんていったらたまったものじゃないと、だれだって当然そう思うと思います。

 それから、重度障害者の長時間介護サービスに関して伺います。

 重度訪問介護に該当する重度障害者の状態像について、端的にお示しください。

塩田政府参考人 重度訪問介護の対象者としては、身体障害者を法律上規定しているわけでありますが、例えば、四肢麻痺によって全身の運動機能障害があって、居宅で入浴とか排せつとか食事などの介護に加えて、外出時における移動の際の介護も必要な人、日常生活全般にわたって継続的な介護が不可欠な障害者の方などを想定しているところでございます。

石毛委員 次ですが、その重度訪問介護を活用される場合の介護費用は、今の制度の日常生活支援に相当する程度というふうに理解していいでしょうか。

塩田政府参考人 新たに創設します重度訪問介護は、今御指摘のあった日常生活支援のサービスに加えて、外出時の移動の介護を総合的に提供する事業だということでございます。

 今後、報酬額を決めていくわけですけれども、財源は限られておりますけれども、その中で効果的、効率的なサービスがちゃんと提供できるよう、これも現在の日常生活支援あるいは移動の介護に要するサービスの利用実態などを調べておりますので、来年度の予算編成過程には結論を得たいと考えております。

石毛委員 この日常生活支援は、障害をお持ちの方が特に長時間のサービスを必要とする場合に、大変利用効率のいいといいましょうか、そういうサービスだと伺っております。

 そこで、今回、重度という障害程度の規定があるわけですけれども、重度、最重度とまでは該当しない障害者の方でも、もう一方でこの法案の中で制度化されます居宅介護のサービス類型ではなくて、介護と外出が組み合わせになった日常生活支援というような、そのサービスの形を選択することは可能でしょうか。先ほど塩田部長が、重度訪問介護の御答弁のときに、たしか継続的にサービスが必要な方というふうに御答弁くださいましたけれども、そこのあたりはいかがですか。

塩田政府参考人 重度訪問介護は、身体介護と移動の介護が両方必要な重度の身体障害者の方を想定しておりますので、重度でない方々がこの重度訪問介護の移動介護を使うということは想定していない、適切でない、今度の制度の立て方からして考えておりません。

石毛委員 そこは、これから障害程度区分を確定していく場合に、大きな、きちっと見る、考えるところの大事な点になるかと思います。

 障害をお持ちの方は、大変多くの方が体調が非常に変わりやすい。ですから、地域生活支援の方の移動介護は柔軟性があるとかと今までの委員会の質疑で答弁されていますけれども、あらかじめプログラミングされてしまうと、体調が変化しやすい方は、プログラムしたそのプログラムに体調を合わせることができなければ、外出しようと思っていた予定日どおりにできるとは限らないわけですね。きょうはお天気がよくて気分がよくて体調もいいから、きょう例えばどこどこに行ってしまおうというような判断というのはあることだし、すごく大事なことなんだと思うんですよ。

 ですから、重度以外の方は利用することは考えていないというふうに部長は今答弁されましたけれども、やはり、体調の変化ですとか、随意的にサービスを自分の生活に合わせて組みかえていかなければならないような方には、日常生活支援という今のような仕組みが利用できる、考えていくということをぜひ可能にしていただきたいというふうに思うわけです。

 そうじゃないと、せっかく地域で自立してきても、地域生活支援の移動介護の日、来週の金曜日、これに合わせて自分の生活を計画しなきゃならないとかなんとかになると、これは地域で暮らす生活の柔軟性とか自由さというのが物すごく失われていくことになって、よく伺った話では、障害の方が地域に出ても、ホームヘルプサービスというのはホームに、家庭にいなければだめなので、ヘルパーさんが来る時間だからといって大急ぎでおうちに帰られる障害者の方というのは結構いらしたんですよ、私はいろいろなお知り合いの方で。

 それは、外出していて何かをしているときというのは、別にホームヘルパーはホームで仕事しなくたっていいわけなので、だからこそいろいろなパーソナルサービスとか日常生活支援が求められているので、ここは柔軟にこれから検討しますという答弁をぜひしていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

塩田政府参考人 重度訪問介護の身体介護と移動の支援については重度の方が対象になるということだと思いますが、重度訪問介護を受けている重度の障害者の方が、市町村が実施する地域生活支援事業をいろいろな場合に選択的に使うということは、市町村の工夫の中で当然あっていいと思います。

 自治体が行う地域生活支援事業は、地域の実情に応じてかなり創意工夫を凝らせると思いますし、一人一人のニーズに合った制度の設計なんかも工夫して、むしろやっていただきたいと考えておりますので、国が義務的経費で全国一律で設計した制度と市町村が柔軟に設計できる制度、これをうまく一人一人のニーズに合うように活用していただければと考えております。

石毛委員 これまでの当委員会の質疑において、単身の最重度の障害を持つ方が地域で自立生活を営むことは可能ですと答弁をされてきました。長時間サービス利用者の生活実態を踏まえて適切にサービス提供ができるようにしますとも答弁されてきております。ただ、これまでの答弁を伺っていても、適切にというのはどういうことなのかということが、やはり障害をお持ちの方には伝わっていないというふうに私は思っています。

 さらに、例えば、単身で最重度の障害者の方が地域で自立生活を営むことをきちっと実現していくために、具体的に、どこまで、例えば何時間ですとかということを国が義務的経費として負担をするのか、そのことについて御答弁をいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 今回の改革では、制度が大きく変更されますことから、地域で暮らしておられる重度の障害をお持ちの方の中に、施設に戻ることになったりとか、あるいは再び家族のもとに帰ったりすることになるのではないかといったような御心配をされておられる方がいらっしゃることは承知をいたしておるところでございます。そうしたことが生じることのないように、しっかりと対応していかなければならないと考えております。まず、基本的にそう考えておりますということを申し上げたところでございます。

 そこで、国庫負担基準の設定でございますけれども、障害程度区分の区分の仕方や報酬水準によって大きく異なってくると考えられます。それから、地域で暮らす重度の障害者のサービス利用に大きなばらつきがありますので、そうした中でどのような水準を基本的に考えるのかなどの課題があるというふうに考えております。

 そのために、現段階で、適切ということの具体的な中身ということでございましたけれども、その具体的な水準をお示しすることは困難でございますけれども、今後、障害程度区分の試行事業の結果でありますとか全国のサービスの利用実態等を踏まえまして、障害程度区分のあり方、区分ごとの対象者数の見込み、報酬のあり方などとあわせて、また適切という表現になるのかというふうにおしかりいただくかもしれませんけれども、適切なサービスが確保されるように今後の検討をしてまいります。

石毛委員 今、大臣の御答弁で、施設、家族介護に戻ることはないということの確認はいただきました。ですよね。はい。地域で自立して暮らし続けるというその仕組みは維持していきますという答弁、うなずいていらっしゃいますから、御答弁はそういうことだと思います。

 もう一つ念のためにお尋ねしたいんですけれども、ひとり暮らし、単身ということでよろしいですね。それが一点。

 それから、地域にばらつきがあるという、そのばらつきというのはどんなふうにとらえるということでしょうか。私は、ばらつきがあれば、ばらつきで例えば低い方の方に合わせていくのではなくて、むしろ高い方の方、それがサービスが多過ぎるんじゃないか、ニーズにかんがみてですよ、単純な時間比較ではなくて、必要性にかんがみて若干多いというような判断がある場合に、多少減るということはそれはないわけではないというふうに思いますけれども、ばらつきがあるのは現状だと思います。ですから、ばらつきを平均化するということになったらば、ニーズに合わない人たちが当然出てきてしまうわけで、原則的にはニーズに合わせるということですよね。

 そこを確認していただきたいということと、単身もきちっと設定しますねということを確認したい。

塩田政府参考人 地域で暮らすという意味で、一人で、単身でアパートに住む方もいらっしゃれば、グループホームに住む方もいらっしゃれば、それはいろいろな選択があるんだろうと思います。そういうことでございます。

 それから、現状を見ますと、都市部、地方、それぞれサービスの提供の水準とかいろいろな環境とか福祉のもろもろのサービスの内容とか違いますので単純に比較できませんけれども、そこで大きな違いが出ているんだろう。まだ調査中なので、その結果を見てきちんと分析する必要があると思いますけれども、いろいろな、市町村といっても本当に津々浦々でありますので、どこの市町村でも適切なサービスが受けられるような、大臣から申し上げておりますような水準のものを設定していくことが必要だと考えています。

石毛委員 もう一度きちっとお伺いしたいと思いますけれども、単身の方が暮らしが続けられるという確認は、部長、よろしいですねということ。

 それと、ばらつきがあるというのは当然だと思うんですけれども、繰り返しになりますが、ばらつきの平均では困るので、例えば、AならAという市にいた場合に、バリアフリーが非常に完備している町づくりだったらば、そんなに移動介護はなくてもいいのかもしれないということもあるでしょう。だから、どういう環境に暮らしているかによって多少の違いは出てくるでしょうというのは、これは理解の範囲に入ると思います。そういうことも踏まえまして、基本的にニーズを受けた時間設定をしますという理解でよろしいんですね。

塩田政府参考人 いろいろな実態というか、これからもいろいろな環境でいろいろな住まいの仕方、住み方というのはあると思いますけれども、これも現在調査していますので、その調査に基づいて適切なサービスが提供できるものをつくりたいと申し上げるしかないと思います。(石毛委員「単身はどうですか」と呼ぶ)

 そういうような形で住まわれる方もいるというようなことも頭に入れて検討していくことが必要だと考えています。

石毛委員 部長にお尋ねしますけれども、どうして口ごもられるんですか。口ごもっておられるかどうかというのは主観の違いがあるかもしれませんけれども、でもどうして、単身でおられるという方の実態も踏まえて、単身でおられる方がいるということで、制度はきちっとそこを前提にしますという御答弁、もっとはっきりいただくことは、私は、今の部長の御答弁ぶりからすれば何の無理もないと思います。

 いろいろと微妙な配慮といいますか配意はあるのかもしれませんけれども、基本的にはニーズを踏まえますというのは、大臣、ここはいかがですか、当然だと思いますけれども。そこのあたりをちゃんとおっしゃらないから、この法案に対して不安を持つ方がたくさんいらっしゃるわけですよ。たくさんいらっしゃるなんという話じゃないですよ。

 当事者の方は本当に、私は当事者の方にかわってこういうことを言うというのは自分でとても不謹慎だと思っていますけれども、やはり、若い障害者の方が地域で自立生活を獲得して、確かに大臣は家族介護に戻ることも施設に入るようなこともいたしませんとおっしゃいましたけれども、だけれども、今の生活を保っていけるんだろうかどうかというのは、自分の自由も含めた生き死ににかかわる問題だと私は認識しています。

 だから、せめて、単身の方も大丈夫です、基本的にニーズを受けとめますと。そのニーズが地域によって違えば、それはそれだと思いますよ。近所に友達がいっぱいいてということもあるでしょうし、近所に親戚がいっぱいいて、自分が必要じゃない、求めていなくても、来ていろいろなことをやってくれる地域だってないとは言えないでしょう。だから、それは地域によってはばらつきがあるというのも、それ相当にばらつきがあるというのも私は別に否定はしません。ただ、基本的にその方が環境も含めてニーズとするそのものにはこたえますという答弁ぐらいはできるじゃないですか。

尾辻国務大臣 先ほど私は、施設に戻ることになったり、再び家族のもとに帰ったりすることになるのではないかという御心配の向きもあるから、そういうことにはならないようにします、こうお答えをいたしました。そうお答えしたわけでございますから、単身の方も含めてということで申し上げておるところでございます。

石毛委員 大臣が、単身の方も含めてということは確認くださいました。

 施設や家族介護に戻ることもないというふうに言われましたので、その中で、どの水準に決めるかということが次の課題になると思いますけれども、ここはきちっと実態を全部オープンにしていただいて、当事者の方とも十分に協議を尽くして、年度末に予算要求をしていくわけですから、確定をしていっていただきたい。それをきちっとしていただかないと、支援費制度がスタートしたときの、障害当事者の方たちがとても不安に思われて、厚生労働省の前で本当に徹夜の泊まり込みをしたり折衝をしたりということの繰り返しになる。

 そういうことにはならないように、きちっと信頼のある決め方をしていっていただきたいということ、このことに対する御答弁はいかがでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほども申し上げましたように、障害程度区分の試行事業も今行っておりますし、その結果も見なきゃいけませんし、また、全国のサービスの利用実態等も踏まえなければなりません。ばらつきがあると申し上げました。国庫負担の基準の設定でございますから、やはりばらつきがある中でどう見るかということは、これは大事なことでございますし、そうしたものを全部見ながら私どもは今後の水準を決めたいと思いますし、もちろん、そうした中で、試行事業の結果だとかなんとかというのはしっかり皆さんにもお示ししながらということにするつもりであります。

石毛委員 私は、障害をお持ちの方の代弁ができるわけでもありませんし、代弁をするべきでもないと思っています。でありますからこそ、障害をお持ちの方は自己決定を言われ、自分たちに聞いてほしいというふうに、自分たちのことは自分たちで決めたいというふうに言われるんだろうと思います。ただ、議員として、法案についての委員会での質疑に対しては議員としての責任、立場があるというふうに思いまして、発言を続けたいと思います。

 ひとり暮らしの重度の障害の方が地域で自立生活が送れるようになってこられたということは、政府が後対応をして制度化を図ってきたということはありますけれども、政府がこれを率先してやったわけではないわけですよね。

 もう二十年、三十年ぐらい前から、障害をお持ちの方が施設から本当に決死の思いで、後はどうなるかわからないというような思いでアパートに出てきて、そしてサービスがない中で、例えば大学の前でビラをまいて介護人を求めて、もう一方では、生活保護の他人介護料を、大臣承認の仕組みを求めていくとかという、本当に障害のある方たちがつくり出してきた制度なわけですよね。それが脳性麻痺者介護人派遣事業としてスタートをして、そして全身性障害者の方への介護人派遣事業として展開をして、脳性麻痺から全身性の方に広がって、そして日常生活支援というふうになってきているわけです。

 私が障害当事者の方に伺った一番最初の方は、入所施設で、今はそんなことはないと思いますけれども、死んだら解剖していいという承諾書にサインをして、判を押して、それで施設の入所ができたという、そうした方でいらっしゃいました。女性だったらば、それこそ生理が面倒くさいとか妊娠しないようにと子宮摘出をされるとか、そういうことがいっぱいあって、やはり障害をお持ちの方自身が地域での自立生活をつくってこられたわけだから、そこを、私は、制度をつくる場合、普遍化していくことですから、そちらがおっしゃることが全く一〇〇%おかしいなんというふうには思いません。だけれども、単純平均で何時間ぐらいだろうとか、そんなことは絶対に考えないでいただきたい。地域での自立生活を保障していくという、そこのスタンスはきちっと据えてかかっていただきたいということで、これは強く強く申し上げたいと思います。私が代弁することではないのですけれども、あえて加えさせていただきたいと思います。

 これに関してもう一点です。ばらつきという言葉を、今度はちょっとこちら側の意図で表現することになりますけれども、確かに長時間のサービスを利用される方が必要とする経費は大きくなりますから、財政力の弱い市町村の場合には、重度障害者の長時間サービスを利用される方が自立生活を実現していくということは大変難しい話だろうなと思いますし、それからALS、もう一つのサービスとして重度障害者等包括支援という仕組みもつくられるわけですけれども、財政力の弱い自治体はすごく大変だろうなというふうに、もう一方で思う側面もございます。

 私は、例えば通常の水準の介護サービスを超えて、この重度訪問介護の場合ですとか重度重複の包括支援の方の場合は、例えばですけれども、スウェーデンでは、たしか四十時間を超える介護の部分は国の方が負担をするというふうになっているやに記憶をしております。あるいは違う国、ドイツでも、特別法を上乗せしているというふうにも聞いております。日本の場合も、自治体の財政力を勘案する仕組みというのが必要ではないか。そうじゃないと、この新しい法律をつくって市町村格差を埋めていく、地域格差を埋めていくということにはなかなかなりにくいのではないか、制度はつくったけれども機能はしにくい側面があるんじゃないか、そういうふうに思いますし、事実そうなる可能性はすごくあるんだと思います。

 財政力の弱い市町村において重い障害を持つ方の地域自立を可能にしていく、そのための方策についてのお考えを伺いたいというのが質問でございます。

西副大臣 御指摘の、特に規模の小さい市町村、財政力の弱い市町村において、重度の障害者の方の費用の負担がかなり過大になってくるケースがあるのではないかという質問でございました。

 御指摘のように、今回、重度障害者等包括支援、今御指摘いただきました、それから、先ほどから御議論のありました重度訪問介護というような新たな給付類型を創設しておりますが、各自治体がサービスの目標量を今度盛り込んでいただきまして、障害福祉計画を策定していただきます。

 そんなことで、計画的に提供体制を整備していただきまして、その上に立って、今回のこのサービスに関する費用につきましては、国が二分の一、都道府県四分の一ということで、従来、裁量的経費とされていた内容を義務負担化するということで、市町村負担四分の一は残りますが、そのことについては交付税措置が講じられるということを考え合わせますと、より多くの自治体において、重度障害者の方にとって必要なサービスを計画的に受けていただけるシステムができ上がるのではないかというふうに考えているところでございます。

石毛委員 地方交付税措置がされるということの御答弁でした。ぜひ、基準財政需要額に組み込む、そのことについて、厚生労働省、福祉計画をつくる場合の告示は大臣告示でされる、制度はそういうふうに仕組まれていると思いますから、そこのところはきちっと対応していただきたいというふうに要望したいと思います。

 それと、まだ質問をたくさん残しておりますので、ちょうど質問時間五分前ですというサインをいただいたんですけれども、次の質問が五分で終わりそうもありませんので、では、五分で終わる質問、最後の質問をさせていただきます。質問順序が違いまして、何か自分でもちょっと間があいてしまうんですけれども。

 この法案の実施状況の国会報告に関してでございますけれども、法案自体が三年で見直しというふうに提起をされております。また、与党修正案も、三年で見直しという中身をもっと膨らませております。質問項目九というものです。

 この法案の施策の実施状況に関して、評価を含めた各年の進捗状況についてぜひ公表をいただきたいということと、それと同時に、本厚生労働委員会に報告をしていただきたいという要請でございますけれども、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今お願いいたしておりますこの障害者自立支援法案でございますけれども、これまで、身体、知的、精神といった種別ごとに分かれておりました障害者施策を一元化する、何十年も続いておりました施設、事業体系を見直すなど、非常に大きな改革を行うものでございますので、円滑に施行する、そして法律が実施されるということが必要だと考えております。

 政府は、障害者基本法第十一条に基づきまして、障害者保健福祉施策を含めた障害者のために講じた施策の概況に関する報告書、いわゆる障害者白書を毎年国会に提出しておりますので、この中で、自立支援法の施行状況もあわせて御報告いたしたいと考えております。

石毛委員 その中であわせての報告は、私も障害者基本法についてはそのように理解をしておりますので、大臣答弁のそこまでについてはそうだというふうに認識いたしますけれども、この法律に関する部分については当委員会にも御報告いただきたいという、そこはいかがですか。

塩田政府参考人 厚生労働委員会では、障害者福祉の問題各般にわたって御指摘いただいておりますし、資料要求もいただきますし、いろいろな形で要請していただければ、誠心誠意対応したいと思います。

石毛委員 要請をしてまいりますので、ぜひ報告をしてください。

 では、済みません、残りました質問を午後からさせていただきたいと思いますので、お願いいたします。ありがとうございました。

鴨下委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石毛えい子君。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 五島委員が質問時間を三十分、私の残された質問に下さいましたので、引き続き三十分間、あるいはもう少し超えてもいいというふうにおっしゃっていただいておりますので、質問を続行いたします。

 西副大臣に、済みません、恐縮でございますが、先ほどの長時間サービスの地方交付税等の関係につきまして、もうちょっとだけ追加でお尋ねさせていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 先ほど、それぞれの市町村が障害福祉計画を立案して、それに基づきまして重度の障害の方も計画の中に位置づけて、そして、もし市町村の財政力が弱い場合には地方交付税で手当てをするという御答弁をいただきました。

 そこはそれだと思いますが、もう少しその問題をこのお昼休みに考えてみたんですけれども、一つは、例えばALSの方のように、長く病院に入院できなくて、必ずしもその計画の期間に合わなくて、地域、在宅に戻られる方もいらっしゃいますでしょうし、あるいは、重度の訪問介護に該当する方で、介護に当たられていた御家族に何らかの事情があって介護ができなくなってというようなことで、必ずしも計画になじまない、そうした方のニーズが出てくるということは十分に想定されることだと思います。

 それからまた、これまでの経緯でいいますと、重度の方が地域自立をされている実際の生活というのはどちらかというと都市部に集中している、そういう事実もあると思います。これまでは、支援費のもとでは区分間流用ができましたので、市町村がある意味で財政裁量の余地があったというふうに言えると思いますけれども、新法は区分間流用はできないようにするというふうに聞いておりますので、例えばでございますけれども、特例交付金のような、もともとは調整交付金を考えておられたということで、調整交付金は、ヒアリングのときにお伺いしましたら、保険制度、例えば国保ですとか介護保険なんかでは調整交付金という仕組みはあるわけですけれども、税財源の場合はそれは難しいというようなお話を伺いました。現行制度を前提にすればそうなんだろうなと思います。

 もう一方で、現行制度を前提にすれば、特例交付金というようなことも考えられるんだと思います。例えば、所得税減税に対する地方自治体に対しての交付金というのがその例かと思いますし、かなり前にさかのぼりますと、都道府県保健婦から切りかえるときにも一定期間のそういうことがあったように記憶をしております。これはちょっと精査をしておりませんので、記憶が確かかどうかということはあるんですけれども。

 ただ、申し上げたいことは、もう一つ何らかの、国が財政的に支援できる方策をぜひお考えいただきたいということで、追加質問といえば追加質問なのですけれども、その辺をぜひお受けとめいただきたいということで、副大臣に引き続いて御答弁いただきたいと思いますので、お願いいたします。

西副大臣 今までのいろいろな例をよく御存じの先生の御質問、急な質問だったものですから、十分な御答弁になるかどうかちょっと心配なんですが。

 地方財政の状況、これは、御指摘のように、小規模のために、今回のように、長時間のサービスを必要とする重度障害者の方がおられた場合に対応ができなくなるような市町村が実際にどの程度おられるのかというようなことが、まだ十分我々としても制度設計の上でそこまでは行っていないということは、先ほど先生が御指摘のとおりでございます。

 そんなわけで、今後、全国の自治体のサービスの利用実態について、まず制度設計をすると同時に、実情等についてもまず把握をするところから出発させていただきたいというふうに思います。

石毛委員 実態調査の結果を踏まえまして、今追加的に申し上げました点、ぜひ検討の中に加えていただきたいということを要請させていただきたいと思います。

 それでは、移動の保障に関して質問をいたします。

 これにつきましても、随分この委員会で質問になりましたし、障害をお持ちの方々からも強い要望がございますけれども、今回、移動の保障というのは地域生活支援事業として裁量的経費のうちに位置づけられることになりました。

 私は移動の保障ということについてこのように考えておりますということをまず申し上げたいと思います。

 冒頭に申し上げました、若年障害者の皆さんは社会参加の機会を得られなかった、もっと強く言えば奪われてきた方々だという、その認識とかかわることでございますけれども、若年からの障害者の方にとりましては、移動の保障は社会参加の不可欠の条件だと思います。社会参加によって新しい人と人との出会いを得ていくことができるということで、まさに障害のある方にとりまして、移動の保障、社会参加ということは社会を獲得していくことだというふうに私は思っております。それだけに非常に重要な意味を持っている。どのサービスもそれぞれみんな重要な意味があるのは違いないと思いますけれども、やはり社会の中におられなかった方が社会を獲得していく、その重要な手だてが移動の保障ということになります。

 そうしたことから考えますと、ぜひとも、今回の法律の中で規定されている行動援護また重度訪問介護の対象を広げて、請求権に基づく個別給付として移動の介護保障を実現していただきたい、そのように考えますけれども、いかがでしょうか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 重度の肢体不自由のある方、それから強度の行動障害のある方につきましては、常時介護を必要とするということで、外出時には移動の支援それから身体介護を区分することなく一体としてお世話していかなければならないことから、今回、個別給付の対象にしたところでございます。

 しかし、一般的に、障害者の外出のときの支援に対するニーズというのは、よくよく考えてみますと本当に多様でございまして、障害の程度など、全国一律の基準によって支給量を決定するということは大変難しいことから、今回の制度は、重度の障害のある方以外については、地域の特性それから利用の状況等に応じて柔軟な形で支援ができるようにということで、地域生活支援事業ということに位置づけをさせていただいたところでございます。

 そのことによって障害者の移動の支援が今後適切に確保できるように努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

石毛委員 今回私が委員会で配付をしていただきました資料でございますけれども、コミュニティサポート研究所というNPOの、研究かつ活動支援団体と申し上げてよろしいんでしょうか、移動介護実施状況の調査をされておられます。

 今回の法案によって必須の事業とするとはいいますものの、裁量的経費のもとで、一枚目を見ていただきますと、かなりの県がこれについて、県というか県下でということでございますけれども、支給決定をしていないという事実とか、それから、支給決定されましても、全国平均で見ますと、決定された時間の四分の一しか活用されていないという実態がございます。

 もう一つの表を見ていただきますと、知的障害の方に関しまして、手帳をお持ちの方の一人当たりの実利用時間というのは、何と、県によって多少ばらつきがあって、多いところもありますけれども、多いと言われる大阪府でも年間二十九・六時間でございますから、活用している方はもっと活用しているといえばそれまでですけれども、水準で見れば、こんな程度でございます。

 でありますからこそ、この委員会といいますか、大臣ほか皆様が御答弁になっておられます地域格差を是正するという観点からいいますと、もちろん障害程度の認定がありますけれども、請求権に基づいてサービスが提供される義務的経費の方に入れた方が、硬直しているとかなんとかといいますけれども、硬直は、これは運用の問題としてどうにかしていくということもあると思います。それから、必ずしも、仮に障害程度一と五というのがあったとして、一が外出ニーズが低くて五が高いとか、その逆もありとかというのはわかりませんけれども、でありますからこそ、障害等級のときに申し上げました、認定の仕方というのをもっと検討して、社会的活動等も勘案するICFの方式などをもっと活用しながら方式を考え直すということも含めて、これから義務的経費の方に新しい考え方に基づいて入れていくということ。それによって、私は、移動介護、繰り返しになりますけれども、社会を獲得する最も重要なサービスだと思いますけれども、そういうふうに拡充していくべきだというふうに申し上げたいと思います。

 お考えを再度伺わせていただきたいと思います。

西副大臣 ただいま先生御提出の一覧表を拝見いたしました。確かに大変な格差があるということを、今これを見てよくわかりました。都道府県別に見てこれだけの格差があるということは、市町村という細かい単位で見ると、随分、これ自身ももうこれだけの差があるわけですから、現状、大変な格差があるということは十分認識をさせていただきました。

 この移動支援につきましては、御指摘のように、障害者の皆さんの社会参加を促進し、そして、それぞれの地域で自立した生活を支えていく上では大変大事なサービスであるということは、私どもも認識しているところでございます。

 先ほどから、柔軟な形での実施が今回このような制度によって可能になるということで市町村の地域生活支援事業という位置づけをさせていただいたということは、御報告申し上げたとおりでございます。ただし、これは市町村が必ず実施しなければならないということで、義務的な事業ということで位置づけをしております。

 これから市町村に障害福祉計画を立てていただくんですが、この中にきちっと盛り込んでいただいて、そして、そのことに対しては、費用につきましては、先ほど来申し上げたとおり、国それから都道府県それぞれが補助をすることによってうまく運用をしていきたい。このことによって、この仕組みをきちっと実践することによって、御指摘のように今まで必ずしも取り組んでこなかった市町村においても、地域の実情に応じて、広域連合等で実施される場合もあるかもしれませんが、幅広く取り組んでいただいて、そして全国的にこの事業が広まっていくものというふうに私どもは考えているところでございます。

石毛委員 私は、障害の認定の仕方を再検討するということとあわせて、この移動介護を個別給付として国庫負担、義務的経費の中に入れるということを強く主張しておきたいと思います。

 それで、今、柔軟性のあるとかというふうに御答弁いただきましたけれども、この法案のとおり地域生活支援事業として実施されるといたしまして、サービス利用に関しまして利用者の選択は認められるのでしょうか。あるいは、それが実現するという展望はあるのでしょうか。

 移動介護というのはパーソナルなサービスが原則だと思います。その日その日によって来る人が違うとかということは、一〇〇%ないとは言いませんけれども、やはり見守りですとか個別的な人間関係をつくっていくとかということでいえば、恒常的なパーソナルサービスということで、選べるということ、自分で決められるということが大変重要だと思いますけれども、裁量的経費で実施するといたしまして、その点はいかがでしょうか。

西副大臣 移動支援につきましては、それぞれ個々の皆さん方の、先ほど来御指摘のように、きょうは気分がいいから、きょうはお天気がいいからというような形で、個人的な事情で十分活用されるということが大事なことは、御指摘のとおりだと思います。

 今回のこの事業を実施するに当たって、技術的な助言として、地域生活支援事業の運営に係るガイドラインを自治体向けに出すことを予定しております。その詳しい内容につきましては今検討することになっておりますけれども、サービス提供体制の確保や、それから、今御指摘の、障害者個々のニーズに対応するよりよいサービスを提供するという観点から、それぞれの市町村が当該の事業を実施する際に、新しい制度における居宅介護など個別給付のサービス提供を行う指定業者、それから、これまで支援費制度のもとでガイドヘルプのサービスの提供を行ってくださっている指定業者等、つまり経験をお持ちのそういう人たちを活用した事業の委託に努めて、そして、その事業者の中から利用者が任意に事業者を選択できるような運営方法について、ガイドラインを通じてそれぞれの自治体に助言をしていくことによってスムーズに移行できるようにしていきたいというふうに考えています。

石毛委員 移動支援は、地域生活支援事業の中の「行うものとする。」という事業に位置づけられているわけですけれども、これの費用の積算は、今までの実績をもとにして、個別の単価を設定して積み上げていくということによって、来年度あるいは来年度以降の裁量的経費を確保するように考えておられるのか。実施するにしても、トータルでその濃淡の決め方は市町村の裁量に任せられるかによって、実施するサービスが個々人に結びつくかどうかというのは大分影響を受けてくると思います。

 この移動支援サービスについての財政の考え方いかん、それから、トータルで地域生活支援事業は、例えばメニュー方式とするとかしないとかあろうかと思いますけれども、二問、質問は別にしておりますけれども、一緒にお答えいただけたらと思います。

塩田政府参考人 地域生活支援事業は、市町村の、国の助成は裁量的経費で補助金ということになりますが、非常に大事な事業ですので、しっかりと補助金を国として確保したいと思っております。

 それで、どういう形で補助金を自治体に交付するかについては、先ほどいろいろありましたように、積み上げるという方式から、あるいは事業の優先順位、義務的にやっていただく事業と選択的な事業に優先順位、めり張りをつけるとか、どういう形でやったら一番地域生活支援事業の本来の役割を市町村が果たしていけるか、そういうことも検討いたしまして、来年度の概算要求編成過程で結論を得たいと思っております。

石毛委員 もうちょっと踏み込んで御答弁をいただきたいと思います。

 移動支援について、単価を設定してそれを積み上げて、今年度の実績を上回るように予算措置を、予算要求していかなければならないわけですから、実現するかどうかということはあろうかと思いますけれども、厚生労働省とすれば、裁量的経費は穴があけばそれまでなのだと思いますけれども、義務的経費と同じように積み上げ方式で移動支援についての、あるいはほかのこともあると思いますけれども、そこはきちっとしていくのかどうかということは再度きちっと御答弁いただきたいと思います、これから検討しますということではなくて。

塩田政府参考人 補助金の内容をどういう形にするかについては今後検討しますが、先ほど来議論されている移動支援の重要性を十分認識し、それが市町村でちゃんとこれまで以上にできるような仕組み、内容にするべく努力したいと思います。

石毛委員 移動支援について、市町村がこれまで以上にできる仕組みを担保するという部長の答弁は確認させていただきますので、ぜひきちっと実現をしていただきたいと思います。

 もう時間がありませんので質問を省略しつつ進まざるを得なくなりましたけれども、居住の場に関して、現行のグループホーム、あるいは新しくケアホームになるところ、あるいは制度としてケアホームを新しく設置されるところ、重なって表現してしまいますけれども、グループホーム、ケアホーム入居者がホームヘルプサービスを活用することはできますねという確認と、それからもう一つ、グループホーム、ケアホームにつきましては、身体障害者の方の入居についての課題がございます。

 確かに、高齢の方々が身障グループホームというのが制度化されてどんどんお入りになるということは、これはこれでまた別途、その是非とかさまざま検討しなければならないんだと思いますけれども、現行の制度のもとで、若年からの障害者の方が自立を果たそうとして、アパートを借りるという方法もありますけれども、今ある、例えば、知的と身体障害、両方お持ちの方の入っておられるグループホームに重度の身体障害をお持ちの方がお入りになるとか、いろいろな形で身障の方のグループホームというのが今でもあるわけなんですね。

 ですから、その実績を尊重していただいて、若年障害者の方のグループホーム、ケアホームに対する入居は、自立促進の観点からこれは制度として認められるというふうに考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。ホームヘルプサービスと二点です。

西副大臣 お答えいたします。

 初めの御質問は、グループホーム、ケアホームの入居者で、必要な場合はホームヘルプサービスが受けられるかということでございました。

 入居者の定員、それから障害の程度にかかわらず、世話人一人一人が配置される仕組みということに今なっておりまして、また、事業者とは別の事業者からホームヘルプ等のサービスが提供されるなど、利用者へのサービスの提供に係る責任関係が若干あいまいになっている部分がございます。

 そのために、今回、入居者の障害の程度に応じた人員配置を検討させていただく、それから、外部のサービス、例えばホームヘルプサービスなどを活用する際の取り扱いについては、利用される方に対してグループホーム等の事業者が責任を持ってサービスを提供できる仕組みに改めたいというふうに考えているところでございます。こうした見直しを行うことを通じて、利用者の状態像に合った適切なサービスを提供することができる仕組みに変えさせていただくというふうに考えております。

 それから、若手の特に重度身体障害者のグループホーム、ケアホームの住居を制度化すべきというお話でございました。

 身体障害者がグループホームで共同生活を行うことについては、関係者の中にも、身体障害者療護施設等の施設から地域へ移行した方、それから地域で自立する方のための住まいを確保するという考え方から、ぜひとも必要である、こういう考え方、それから、共同生活による生活上の一定の縛りやプライバシーの問題等の理由から、余り好ましくないという考え方もあるように聞いております。

 そのために、身体障害者をグループホームそれからケアホームの対象とするかどうかについては、今後、先ほどの御指摘も踏まえながら、関係者の意見や、どのような方が対象としてふさわしいかといったことを十分これから検討を行って、そして結論を出してまいりたいというふうに考えております。

石毛委員 プライバシー上の観点から好ましいかどうかという、その意見については私は理解できませんということを申し上げたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、済みません、精神障害者の方の地域生活に関して二点伺います。

 一つは、退院促進について、都道府県の障害福祉計画に規定されることになるわけですけれども、これは社会的入院の解消計画を数値目標を含めてきちっと立てていくというふうに確認してよろしいですねということが一点です。簡明にお答えください。

西副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、数値目標を県が立てるということですので、それと関連をして、今回の障害福祉計画、市町村の計画もそのことを含みながら検討してきちっと集約をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

石毛委員 それでは、これはもうスタートして三年たっていると思いますから、七年後には社会的入院は解消していなければならないということを確認したいと思います。

 もう一点。地域生活に関しまして、グループホームや通所施設は、精神障害者の皆さんの地域生活を支援するということが目的でありまして、精神病院の敷地内に設置することは認めるべきではないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 グループホームにつきましては、障害者がそれぞれの地域において自立した生活を送ることができるよう支援するという観点から、できる限り身近な地域でニーズにこたえていくことが望ましいと考えております。

 そう基本的に考えるわけでございますが、病院の敷地内にグループホームを設置することにつきましては御意見がいろいろございます。まず、関係者の間に、入院と大きく変わることはなく、認めるべきではないのではないか、認めるべきでないといった御意見もございますし、また一方では、地域において周辺住民の理解を得てグループホームを設置することが進んでいない中で、病院がみずからの敷地を利用することを否定できないのではないか、こういったようなさまざまな御指摘がございます。両方の御意見がございますので、私どもとしては、十分に検討を進める必要があると考えているところでございます。

 通所施設の立地につきましては、自宅やグループホーム等からの通いの場としてふさわしいか否かが重要でございまして、病院の敷地内に設置することだけをもって一概に不適当とは言えないのではないかと考えてもおります。

 いずれにいたしましても、今後、新たな事業体系におけるサービスのあり方を具体的に検討していく中で、こうした取り扱いにつきましても秋までには結論を出したいと考えております。

石毛委員 大臣、いずれにしましてもという答弁はだめなんですよ。厚生労働省は、精神障害の皆さんの理解を得られるように啓発を進めて、生活習慣病と同じように社会が考えるようにすると言っているじゃないですか。何をおっしゃっているんですか。そんな、意見もあります、意見もありますというんだったら、全部、意見があったらそれらを等置するという話じゃないでしょう。意味がないでしょう。いかに社会のお互いの理解をし合っていく、相互の理解を進めて地域福祉を進めるというのはこの法案の目的だって書いてあるじゃないですか。やめてください、精神病院の敷地内につくるというのは。

 仮に、仮につくるとしても、医療法人というのは、大臣御存じのように一人医師の医療法人だってあるじゃないですか。理事会が事業に関しては運営方針や中身を決めていくわけですから、外につくってくださいということが第一要求です。

 それと、仮に敷地内につくるんだとすれば、その運営には、その精神障害の方を支援する方だとか地域の方だとか、たくさんのその地域の市民社会の人たちが参加できるような方式、これは絶対につくってください。御答弁ください。

尾辻国務大臣 私どもは、多くの皆さんの御意見を伺いながら、そして国民の皆さんの御意見に従って施策を進めていくということが大事なことでございますから、いろいろな御意見があるということは十分踏まえなきゃならないことはぜひ御理解いただきたいと存じます。

 そうした中で、今の先生のお話もございました。また、途中で申し上げましたけれども、周辺住民の理解を得てグループホームを設置することが必ずしも進んでいるとも言いがたい、そうした現実もございますので、いろいろ勘案をして秋までには結論を出します、こう申し上げたところでございます。

石毛委員 何をそんなにちゅうちょされるんですか。いろいろな方の御意見を聞くということではないでしょう。精神障害者の方々の意見が最優先されるべきじゃないですか。そうしたら、不安があるから敷地内でいいという当事者の方だって、絶対いないなんというほど私はそんなに強弁するつもりはありませんけれども、よしんばそうなったとしたら、その方を支援するあるいは精神障害者の方々の活動を支援する方、さまざまいらっしゃいます、そうした方々がきちっと運営に参加できるような、それぐらいは考えていただけますよねと。

 私は、いろいろなことをお聞きする中で、病院への入り口とグループホームに入る入り口が違うだけでも意味があるんだからというようなことも伺っています。ぜひ大臣、それはだれを主体に考えるかでしょう。もう一回御答弁ください。

尾辻国務大臣 これは基本的に、いつも申し上げておりますように、入院中心から社会の中で生活していただく、そういう方向にしなきゃいかぬということは申し上げておるとおりでございますから、当然その方向で私どもも検討いたすことはかねて申し上げておるとおりでございます。

 また、今先生からいろいろお話も伺いました。今、入り口が違うだけでもというようなお話も伺いましたし、そうした御意見を十分尊重させていただいて結論を出したいと存じます。

石毛委員 もう一回、こだわります。病院の敷地内は社会ではありません。

 それともう一つ、精神障害者の方の地域自立に支援をされていらっしゃる方、かかわっていらっしゃる方、それぞれいろいろな方にお願いする、その方をどなたにするかということの選択、ちょっと言葉が適切ではないかと思いますけれども、そういうことはあろうかと思いますけれども、要するに、医療関係以外の方がかかわれる仕組みをちゃんとつくってくださいということです。

 もう一度御答弁ください。病院の敷地内は社会ではないと言っても言い過ぎはないと私は思います。

尾辻国務大臣 私は、病院の敷地内が社会であるかないかという御議論もあろうかと思いますが、決して病院の敷地内を社会だというふうにお答え申し上げたつもりではございません。

 かねて申し上げている私どもの考え方、進むべき道は申し上げているとおりでありますから、その方向で私どもも進めていくように答えを出すつもりであるということだけは申し上げたつもりでございます。

石毛委員 五島委員に申しわけないですけれども、もう質問時間は過ぎているのですが、もう一回、地域社会の方々がかかわれるその関係はきちっと設定してくださいということにはまだ御答弁いただいておりませんので、お願いします。

尾辻国務大臣 地域社会の方がかかわり合えるという意味がどういうふうに言っておられるのか、私にはよく今理解できないところもございますけれども、いずれにいたしましても、入院じゃなくて社会へということを言っておるわけでございますから、私どもはその方向で検討するということは当然のことでございます。

石毛委員 大臣は、地域ということをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。要するに、医療法人の中で、病院の敷地内で医療法人が運営方針を決めていくというのは、それは医療法人体系下の中にある場であって、いろいろな近隣の人と出会える、人と人との関係が出会える地域とは言えません。

尾辻国務大臣 今、現行の仕組みを確認したところでございますけれども、知的障害の皆さんについては、今お話しような仕組みそのものといいますか、それは認めていない、そのとおりでございます。また、精神障害の皆さんについて、若干そういう面があるというふうに今事務方が私に答えました。

 いずれにしても、こうした数が十分にあればこういう議論は起きないわけでございますが、まだ数が足らない、総体的に数が足らないということがあるためにこういう議論が起きるわけでございまして、そのこと自体好ましいことじゃございませんし、もう何回も申し上げておりますように、社会の中で生活していただくということが好ましい、当然そうあるべきだというふうにいつも申し上げておる、その方向で私ども進めていきたい、このことは重ねて申し上げておるところでございます。

石毛委員 大臣がどうしてそんなに答弁をちゅうちょされるのかというのは、私には理解できません。でも、今の御答弁で、そのこと自体が好ましいことではないというふうにおっしゃったということは強く確認をさせていただきたいと思います。

 最後に、一言だけ、本当に一言でお答えいただきたいと思いますが、所得保障の中に就労移行支援も含むというのがこの間の委員会の答弁でございます。今回の自立支援法の就労移行支援策によりまして、ずばり、今の福祉的就労をされていらっしゃる方、今の障害者サービスを利用されていらっしゃる方の何割ぐらいの方が就労移行をされて一般雇用に移っていかれるというふうに想定されていらっしゃいますか。そのことを一言お答えください。それで終わらせていただきます。

尾辻国務大臣 現行の授産施設の利用者につきまして、一般就労へ結びついた割合を見ますと、平成十四年においては約一・一%にとどまるなど、就労への支援は進んでいない状況にございます。しかしながら、授産施設の中には、適切な支援を受ければ就労が可能な方がなお多数おられるものと思われます。

 団体が行った調査によりますと、授産施設利用者、小規模作業所利用者ともに三割以上の方が、就労移行支援事業または雇用型の就労継続事業への移行を希望しておられるところでございます。

 実際にどの程度移行するかにつきましては、御本人への支援の状況や雇用環境などによって左右されますために、現段階でこのぐらいというふうにお示しすることはできませんけれども、障害者の皆さんの就労が一層進むよう、就労移行支援事業の具体的な報酬や基準等について今後検討してまいります。

石毛委員 これで私の質問は終わりにしなければなりませんけれども、支援費になってニーズがあらわれて、そして予算が足りなくなって義務的経費に行った、義務的経費に行ったことはいいことだと思いますけれども、それとあわせて給付に対して非常に抑制的な法案をつくっているという、そう理解をせざるを得ないのがこの法案の内容だというふうに私は受けとめております。

 最後に、一言だけ申し上げます。

 これはこの委員会でもほかの委員が御指摘になりましたけれども、国民所得に比べまして日本の障害者福祉費の占める割合は非常に低いというのは共通の認識だと思います。何をちゅうちょされてこんなにキャップをはめるような法律をつくるのかということは、もう一度よくお考えいただきたいと思います。もっと大胆に、筋を通して、求めるべきものは求めるべきだというふうに最後に申し上げまして、私の質問を終わります。少し長引きまして申しわけありませんでした。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

宮澤委員長代理 次に、五島正規君。

五島委員 今、石毛さんの質問に対する大臣及び厚生労働省の御回答も聞いていまして、やはりこの法案の根本のところで非常に問題があるのではないかというふうに思っております。

 そして、私は、主として与党の間においてなされました修正案について質問をさせていただくわけですが、今回与党で合意された修正案は、法案としては、目的のところに障害者基本法の基本的理念を明記するということをお書きになったことと、それからもう一つは、附則の第三条の第一項、第三項にかかわることについて検討規定をお入れになったこと、これだけが修正案の内容でございます。

 ただ、非常に長時間にわたる議論をしてきた中におきまして、今回の法案の審議の中で非常に特徴的であったことは、与党の方の質問も、また当然野党側の質問もすべてが、この政府のお出しになった法案に対して、ちょうど一年前の年金制度の議論を思い出すわけですが、あのときとは全く違って、これはすばらしい法案だという御議論は一人もなされなかった。また、政府の答弁もほとんどが、そうした指摘に対して反論するのではなくて、そうした問題は課題として認めながらも、現状の説明に終始されておる。これがこの法案の質疑の経過であったというふうに思っています。

 私は、この障害者問題につきまして議論する前に、短時間ですが、聞いていただきたいことがございます。

 たしか一九七二年だったと思います。土呂久に砒素鉱山がございまして、これは戦争中に盛んに掘り出された鉱山です。その鉱滓によって、あそこの高千穂の辺を流れている川には魚が一匹もいない、亜砒酸を焼いてきた煙によって、あの付近の山では木の成長がよその地域に比べて三分の一ぐらいしか成長していないという、そういうひどい残滓がございました。

 自然の問題は、最近流行の公害という形で片づけられます。私たちは、そこの中において戸別訪問でこの地域を訪問しました。そうしますと、戸籍に載っておられない人がごろごろといる。砒素中毒によって障害を持って生まれられた子供さんたちが、私どもがお会いしたときはもう三十代、四十代でした。その方々が、戸籍にも載せられないまま、座敷牢同然の状態で、幾人もの障害者にお目にかかりました。

 また、一九六〇年にいわゆる重心医療制度ができたとき、学校に行っていない、学籍簿に載っていない子供たちがいるよというところからああした制度ができたこと、きょうお見えの皆さん方は、既に過去の歴史の問題として御承知のはずです。

 そして、日本の国では、言葉では障害者福祉という言葉がありながら、そうした問題にどう取り組んできたのか。ほとんどが目についたところだけ措置の世界で、それこそ代表例だけを対応しながら、抜本的に対応しないで対応してきたというのが日本の障害福祉でした。

 ようやく障害者基本法ができ、二年前に支援費制度ができ上がりました。そのことによって、障害者が我が国を構成する重要な一人としてこの国の中で生きていく権利というものが与えられた。そのことによって、財政的に比較的余裕がある大都市を中心に、こうした新たな障害者サービスを受ける人がややふえてまいりました。

 ふえてきたとはいえ、先般の委員会の質疑の中でも申し上げましたように、またお認めになったように、身障一級、二級の中で、現在支援費制度の対象になっていない視力障害者、聴力障害者を除き、あるいは内部障害者を除いて、たかだか一五%の人しかサービスを受けておられない。介護保険の適用年齢になっても、その介護保険を受けておられない方が八三%を超えている、そういう状況も明らかです。

 なぜ、最もそうしたサービスを受けなければならない人が受けておられないのか。そこには私は、過去の措置の時代、あるいはそれ以前の時代、名前はあっても、まさに私が医者になったときには、不幸な子供を産まない運動というふうなばかげた運動が兵庫県、大阪、京都、和歌山で起こりました。私は、まだそのとき若手の医師として、真っ向から公衆衛生学会でけんかした覚えがあります。戦後、一九七〇年になってもまだそういう状況があって、障害者を我が国を構成する大事な大事な一人として認識するには至っていなかったこの歴史の遺産が現在も続いている、それがこのサービスの受給率の悪さだろうと思っています。

 そして、ようやく障害者自立支援法というのが出てきました。支援費制度で一部の都会にしかふえていなかったこのサービスの利用、これが普遍的にどうふえていくのか。必要です、普遍的にふやしていくこと、現在のサービスの量を、全日本的にいえば、間違いなくあと四倍から六倍ぐらいふやさなければなりません。事実、そういうふうなことを想定したら、この法案を出された根底にある裁量的経費でではもうこうした福祉はやっていけない、だから義務化していくんだ、義務経費化していくんだという発想は正しいと思います。しかし、それを言うた途端に、まだ一五%しか実施できていないこの状況に対して、財務省からキャップを入れてくれと言われた。それをのまないとなかなか財務省を説得できないという厚生労働省の弱さ、その結果が出てきたのがこの法案。

 すなわち、はっきりしていることは、私が言いたいのは、省に依存して、与党の方々が何ぼこうした実態を認識されて努力されても、これ以上動かない。そうするならば、立法府としての責任とその権限においてこれを抜本的に変えるしかない、これがこの委員会に課せられた任務だったと思います。

 我が党も、その思いでもって修正協議を申し込みました。残念ながら、さまざまな理由で我が党は修正協議を最後まで進めることはできませんでした。責任を言っても仕方ありません。そして、政権の座におられる与党の皆さん方が、この修正案をお出しになった。

 果たして、この修正案で、今歴史的に置かれている日本の障害者福祉政策をどこまで普遍化し、安定化させる内容に修正されているのかということが最大の課題であると思います。

 時間もない中で、私が演説するわけにはいかないわけですが、こうした思いについて、まず、その修正の当事者になられました三人の先生方はどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。

八代委員 今五島先生から、日本の障害者問題の歴史にも触れながら、いろいろお話を伺いながら、感銘を覚えました。

 私は、障害を持ったのは一九七三年でございました。まさにある日突然でございましたし、それまでは健康な人生を送っておりましたから、障害を持つということは無縁の存在であろうというぐらいにたかをくくっておりました。これは私の最も恥ずべきことだと思っております。

 その私が障害を持つ。障害を持ったことによって、視力が落ちたら眼鏡をかけるように、歩けなくなったんだから車いすに乗ればいい、こんなふうに考えて車いすに乗ったら、これがこんなに不便なものはないというのを知るわけです。まさしく、水の冷たさはさわってみなきゃわからない、これと同じですね。

 そして、私がテレビで司会をすると、あるマスコミは、司会者は車いすでない方がいいに決まっている、こんな論評までする。では、一般の就労のところに障害者が本当に働く場があったかというと、そうではない。障害を持つと、車いすの人はこれしかできない、目が不自由だとあんま、マッサージ、それ以外には道がない。いろいろな制約の中で障害者が生きてきた現実というのは、私も体験を通じてよく知っております。

 また当時、経済成長の時代には、働かざる者食うべからず、こんな標語まで掲げられましたね。恐らく、働きたくても働くことのできない重い障害を持った人たちはどんなに苦労した人生であったろうかという長い歴史を振り返るまでもなく、今や世界の潮流は、あの国連障害者年でうたわれたように完全参加と平等、あるいはこの二十一世紀は万人のための社会ということの思いを持ちながら、私は自民党の中で障害者問題を一つの私のライフワークとしながら取り組んでまいりましたが、遅々としている部分も確かにございます。

 だから、我々は立法府にいる者として、果敢にいろいろな法案をしっかりと出しながら、そして、今や支援費制度というものが始まっていて、そして、身体、知的、二つのカテゴリーだけになっているけれども、精神障害者も加わる。さらにまた、これから難病、自閉症、いろいろな人たちの、障害を持つ日常生活に不便とある人のあらば、この新しい始まりの法案の中ですべて網羅して、そして積極的に自立をしていく、そして自分の人生は自分で決定していく、そういう社会、これこそが今世界の流れだと私は思うんですね。

 国連でも権利条約が今議論されている。我々も、障害者基本法を、民主党の皆さんや共産党の皆さん、社民党の皆さんと一緒になって、差別を禁止するようにしようとかいろいろなことの議論を踏まえてやってきたものですから、私は、この障害者自立支援法というのは新たな障害者の自立の始まりの、いわばそのプロローグ的な法案だと思いますから、しっかりとこれを育てる。

 しかし、所得という問題、あるいは負担という問題がありますから、自己でしっかりと所得があって払える人は堂々と胸を張って払う、これは当然のことだと思います。しかし、そうはいっても払えないというなら、それは国の責任においてやる。しかし、二十を過ぎてもいつまでも大人赤ちゃんのようなことであってはいけない。親とか兄弟にはそういう負担のない、みずからの人生は、二十以上は、十八歳以上は自分で決定するという方向に持っていかなきゃならぬ。

 こういうことを我々は党内でずっと議論をして、これがグランドデザインの一つの形としてこの障害者自立支援法というものがありました。これは骨格づくりでありますから、中身というものは、障害者の問題というのはもう十人十色、最大公約数では割り切れないところがありますので、それらは市区町村がしっかりと窓口の中でそういうものを把握しながら、教育をしながら、障害者団体も地域の中でそうした運動を展開しながら、みずからの自立のためにまずは自分で頑張るということも当然でしょう。あるいはボランティア活動を育成することも当然必要でしょう。足らざるところはしっかりこうした公的な国の責任において義務的経費になっていったというプロセスは、非常に、不満はあるだろうけれども、大変画期的なものだというふうに私は思っているんです。

 ですから、いろいろなおしかりもいただいて、私たちも、ずっと全国をタウンミーティングで回りますとかなり激しい御注文もいただいておるわけでありますが、それらを一つ一つクリアしながら、できるだけ、この法案が新しい障害者福祉の始まりになるようにという思いで、それにはやはり基本理念、これは全党でつくった障害者基本法のあの理念をしっかり掲げて、これを政府がしっかり心に認識して、その思いを市区町村に伝えて、そして障害者の権利としての自立支援というものをしっかり育てていく。

 こういう道筋はどうしても私はつくりたいと思ったものですから、あえてこの修正を、公明党さんとも協議をしながら、与党として修正案というものを出させていただいた経緯を御紹介させていただきました。

五島委員 八代先生の思いについては、そのとおりだろうというふうに私も思います。ただ問題は、その思いの出発点としてこの法案はたえ得るものなのかどうなのかということが非常に問題でございます。

 非常に多くの重要な問題は政省令に委任され、その中身について、けさ方から、あるいは先ほど来の質問を通じましても、いまだにはっきりとしていない。これから検討する、あるいはこれからどうするか決めていく。障害者一人一人にとってみますと、あしたの生活の不安にかかわる問題が全く何も決められないままでこの法案は審議されている。

 そして、与党の確認答弁であるにもかかわらず、午前中のこの確認答弁を見ても、私、民主党が修正案に参加していて野党が確認答弁をするときでしたら、この確認答弁じゃ、どなり上げたと思いますね、正直言って。結局、肝心なところは非常にファジーになってしまった確認答弁しかいまだに出せていない。その理由は、厚労省がだめだからなのか、それとも財政との間においてその協議が調っていないのか、あるいはそこに対して大胆にきちっと障害福祉の原理原則を訴えて説得し切る自信がないのか、そのいずれかしか考えられないわけですね。

 しかし、そうはいってみても、この法案が与党の皆さん方の多数の中でもし仮に通るとすれば、やはりあすからの生活の問題についてどうするかという議論をしておかないといけません。

 そこで、一挙に福島先生に三つの質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、いわゆる附則の第三条の第一項の問題、それから第三項の問題との関連でございます。

 附則の第三条の第一項の中にございます範囲の拡大の問題については、三年をかけて検討するというのが書かれているわけでございます。範囲の拡大といってみても、この問題ははっきりしているわけです。この中に、発達障害や難病と言われる、いわゆるすき間のと言われている人たちをどういうふうに対象に含めていくのかということを指しているんですねということを一つ聞いておきたい。

 そしてあわせて、その人たちの多くは医療と福祉の併用が必要です。もちろん、現在の障害者福祉の対象になっておられる人々の中にも、医療と福祉の併用は必要です。しかし、同じ厚生労働省の中でも、縦割り行政の中で、障害福祉の問題を議論すればそこしかようやらない。それが現在の役所の最大の欠点です。

 例えば、腎透析あるいは血友病、エイズといったようなものは、医療制度の中においても高額療養費を一万円に抑えるとか、そういう措置をしています。その上で障害者サービスは上乗せしています。

 ところが、後ほど一緒にお聞きしますが、今回、自立支援医療の中においての育成医療の問題、たかだか年間十二億円です。

 そして今、子供を見ていますと、かつてのCPなんかは余り生まれてきていない。それにかわって、心臓病の先天性の障害者、胆道閉塞症の子供たちがふえてきています、比率的には、絶対数ではなくて。そして、そうした子供たちが、一生のうちに三回も四回も数百万かかる心臓手術を受けなければいけない。その人たちを、医療費が高くなれば現在の医療保険制度の高額療養費と同じになるような制度にしたものが、今回の政府案でした。

 こんなばかなことはないんだけれども、それは、この制度の中だけで議論するのか。そのほかの、難病と言われている人、あるいは難病にも入らない非常に希少疾患にかかっている方々、そういうふうな人たちの医療における救済というものは、医療保険制度も含めて広く検討して、そして、二つの制度の中でそういうお子さんたちのお命を救っていく、そして、その子供たちが社会の一員としてとうとばれるような存在として社会全体が支援していくということが必要だと思うわけですが、この二点について、福島先生の御意見をお伺いしたいと思います。

福島委員 お答えいたします。

 五島先生の御指摘はまことにごもっともだな、そのとおりだなと思って、私は同感を持ってお聞きをいたしておりました。

 対象障害者等の範囲について見直しの検討規定を設けた。今回の自立支援法は、先生もよく御存じのように、身体障害、知的障害、精神障害と従来ある法律を束ねた、そういう性格のものであります。そして、従来からある障害者の福祉の法体系というものは谷間があるというふうに言われ続けてきた。今回、そうしたことも含めて、一つの制度にできるということであれば理想的だったと思いますけれども、非常に大きな改革であるだけに、そこまでは及ばなかったというのが実態であろうというふうに私は思っております。

 難病の方々、医療だけではなく福祉サービスも必要であります。そしてまた、発達障害の方々、療育手帳がとれないがゆえに何のサービスも受けられない、こういう実態も私の身近にはたくさんあります。こういったものを解決していく、その道を開くための今回の改正でなければならないと思いますし、三年後を目途に検討が規定されておりますけれども、与党の立場としてその検討に向けて全力で努力をしていかなければいけない、そのように考えております。

 そして、医療と福祉の連携ということにおきましては、負担の問題もあります。育成医療の問題につきましてはこの委員会におきましても繰り返し指摘がありました。子供をいかに安心して育てていくのか、そういうことが問われているんだろうというふうに私は思っております。

 さまざまな議論がなされた中で、こうした負担の変化ということに対してどのような対応をすべきかということについては、この衆議院の委員会のみならず、参議院におきまして引き続き立法府の立場としてしっかりと議論していただいて、適切な結論というものを導き出していただきたい、そのように思っておりますし、そのようにあるべきだというふうに私は思っております。

 そしてまた、医療保険制度の改革。これは高齢者の医療制度を中軸とする大きな改革が行われるわけでありますけれども、医療制度の中で障害者という立場がどのように位置づけられてきたのか、このことはどのように顧みられてきたのか。高齢者の給付のみが実は非常に手厚くなっているという医療制度であります。

 保険制度を大きく見直す中で、公平性という観点から幅広くこうした論点についても私は議論すべきだと思っておりますし、そしてまた、その負担のあり方についても、局が別々であるから負担が別々である、これも私はおかしな話だと思います。財布は一つなのでありますから、そこのところをどう考えるかということはこれからの社会保障制度改革の中で大変大切な視点だと思いますし、真摯に取り組んでいきたいと思います。

五島委員 福島さんの答弁はそのとおり、だから、議員間の個人的な話としては意見が合ったねという話になるわけですが、しかし、法案としてはそうはなっていないという問題です。

 再々の議論の中においても、今回の制度の中で、例えば、一律の公平性というふうなことで、自立支援医療についても一割負担ですよ、こういうのが出てきています。

 だけれども、医療制度の中で見てみたらわかりますように、子供も年齢によって自己負担の比率が違います、高齢者も違います。医療制度という保険で行われている制度の中においても、そうした状況によって違う。まして、先ほど石毛さんからも御指摘いただきましたけれども、資産の形成のチャンスを持つことができ得なかった障害者、そうした人に対する負担のありようが、例えば介護保険と違ってそれが不公平だという発想が、私は不公平な脳みそをしておられるんだろうと思っています。それはやはり、そうした人々に対して、過去の日本の歴史の中において、その人たちを取り扱ってきた歴史的な経過も含めて判断するということができないと、この障害者政策というのは進んでいきません。

 そういう観点からは、利用者負担全般の問題について午前中も御議論がありました。この法案が通ったとしても、三年以内には何としても所得保障の問題についてきちっとやってほしい。そして、自立している障害者についても、生保の手持ち金が最低四万円は残る仕組みになっているのに、なぜ障害者は二万円しか残らない仕組みなのか。そんなばかな話はない。だから、そうした問題も含めた議論を三年以内に、私は、厚生労働省と役所に任せるのではなくて、議会が大幅に関与していくべきだというふうに考えています。

 先般も、鴨下委員長を含めて福島先生にもお話ししましたけれども、やはりこうした問題については、議会人として、過去の責任という重い責任もありますから、場合によったら超党派の議連をつくってでも政府と、あるいは財務省とその問題で交渉するというやり方も考えていかないと、今回、大自民党にお任せするとここまでしかできなかったということであれば、必要なのかなというふうに思っているということを申し上げておきたいと思います。

 時間がございませんので、もう一問お伺いします。

 一つは、今回、障害者自身の障害の判定の問題、市町村の審査会の問題がございます。これにつきましては、できるだけ障害者の中で審査会委員にふさわしい人を入れろという話になりました。これは一つの妥協点だったんだろうと思っております。

 もう一つあります。この審査会の決定に対して当事者が、当然、他人が決定することですから異議がある場合があるわけですね。現行においては行政不服審査会しかないわけです。これはあらゆるそういう制度の中においておかしいじゃないか。

 やはり、都道府県の段階で異議申請の審議の機関をきちっとつくり、本人に対して、この市町村の審査会が障害判断をしたときには、もしそれに異議があるのならここに異議の申請ができますよということを周知徹底する、そして、その審査会には当事者あるいは当事者の代理人が直接出向いて意見の表明ができる、そういうふうなことを担保としてやっていくことが必要なのであって、行政不服審査会がありますよというのは、実際上はそこが最終決定機関ですよというのとほぼ等しいというふうに思っております。そういうことについてどうお考えなのか。

 そしてもう一つ、あわせまして、市町村の障害福祉計画、これは出すことになっておりますが、市町村の障害福祉計画というものが絵にかいたもちにならないために、国のも絵にかいたもちになっても困るわけですが、やはり市町村の障害福祉計画について、最低限必要な情報は毎年きちっと、どの程度のサービスが普及していっているのかということを含めて集約をしていただき、当委員会に、要求があったらということが前提であればそれでもよろしゅうございますが、報告していただくという仕組みが必要だろうというふうに思いますが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

大村委員 先ほど来からの五島委員のお話は、大変私自身も真摯に受けとめさせていただきました。まさにおっしゃる点も踏まえまして、これからもまた真剣に協議をし議論をして、前向きに進めていきたいというふうに思っております。

 そこで、まず最初のお尋ねの不服審査ということでございますが、今回の法案は、御案内のように、都道府県に不服審査会というものを設けまして、そちらの方で、中立公正な第三者機関で審査を行うということにいたしております。その点は、この制度、機関がうまく機能、ワークするように、しっかりと都道府県、市町村には通知そして指導をしていくように、私どもフォローをしていきたいというふうに思っております。

 それから、もう一つの市町村の障害福祉計画についてでございますが、これは、具体的な措置目標等々も入れながら、従来の計画よりもさらに一歩踏み込んだ、事業量もある程度わかるような、そんなものにしていければと思うのであります。

 最後の方に五島委員が言われましたように、それを集約いたしまして、これは三年をめどに、この制度、就労支援、所得確保も含めて見直すということでございますけれども、その間に、やはりそれの目安、判断材料とするためにも、毎年毎年どういうふうな実施状況、施行状況だったのかを集約いたしまして、これは毎年障害者白書というのを出しておりますが、その中には盛り込むことはもちろんでありますが、それはそれといたしまして、この委員会に、私ども含めて与野党で真剣に議論をする材料として御提供させていただけるように、それは対応していきたいというふうに思っております。

五島委員 時間が来ましたし、それから、修正案そのものが極めて形式的なものですから、もうこれで終わりますけれども、最後にもう一言、今の御意見について申しておきますが、こうした障害者認定等々の問題について、行政不服でもって文句があれば言うてこいというのは、まさに措置の時代の政策を続けようというものである、だから、それはやはりきちっとした審査会制度をつくるべきであるということを申し上げまして、質問を終わります。

宮澤委員長代理 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 障害者自立支援法につきましては、私は、審議を通じて重大な問題点が次々に明らかになってきたと思います。中でも一番の問題は、やはり応益、定率負担の導入です。これによって、厚生労働省の推計でも、ホームヘルプで四倍、通所施設で十九倍の負担増になるということで、これへの批判が大きく集中した二カ月だったと思うんです。

 それに加えまして、障害の重い方ほど負担が重くなるという、こういう制度が果たして福祉の名に値するのか、それから障害福祉サービスが果たして益と言えるのか、こういう根源的な問題に対しては、最後まで私は、厚労省からの、政府からのまともな答弁はなかったと思うんです。

 それに加えて、いろいろな負担上限措置をとる、減免措置をとるという話だったんですけれども、きめ細かいどころか、障害の一級、二級でいえば収入の二割、三割の上限になってしまっている。それからまた、世帯収入で軽減措置、減免措置を見るために、実態よりかさ上げされた区分になっているということも指摘してまいりました。

 それに加えまして、今五島委員からも指摘がありましたけれども、とにかく政省令が二百十三、そして、いまだに障害程度区分の問題でもイメージの図しか示されないというのが今度の法案の審議でした。

 私は、やはり、こういう重大な問題を抱えており、しかも、障害者団体からの批判や不安の機運は、おさまるどころか広がったわけですね。最近は、日本弁護士連合会も意見書を上げ、今度の法案で責務が非常に強くなりました市町村からも各種の見直しの提案があり、地方自治体から、応益負担の導入は撤回してほしい、法案については今回は廃案にしてくれという決議が今でも上がっております。私は、法案の質疑の中で、質疑をやっている最中にそういう声が地方自治体からも上がってきたというのは極めて深刻だと思います。

 それを踏まえますと、今必要なのは、やはり障害者福祉の分野でどういう政策の発展が必要なのかを抜本的に検討し直す、そのためには採決を強行すべきでない、ここに世論があるということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 そこで、初めに、与党側から修正案が提案されておりますから、これについて二点ただしてまいりたいと思います。

 先ほど八代議員から、障害者基本法につきましていろいろやりとりがあったという話がありましたけれども、私自身も何回かお会いして、この問題の改善のための努力はお互いに尽くしてきたと認識しております。

 今度の修正案を見ますと、第一条の目的に、障害者基本法の基本的理念にのっとるということを明記することになっています。先日の大村委員の提案説明では、ここで言う基本的理念の内容として幾つか示されたんですけれども、その一つが、障害者の個人としての尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有するということなんだというお話でした。

 しかし、実態としては、収入を上回る負担の方々が生まれてくるわけですね。しかも、いろいろな軽減措置をとったとしても、なお厚労省でさえ、これはもうぎりぎりのところだということを言わざるを得ない。

 となりますと、この一条の目的条項に「障害者基本法の基本的理念」という部分を加えることによって、個人としての尊厳にふさわしい生活を保障される権利が侵されるような事態は起こらなくなるのか、このことを明確に答弁願いたいと思います。

八代委員 障害者基本法、一九九二年、それから十数年たって、昨年、各党のそれぞれの勉強会の成果としてできました。まさに障害者の個人としての尊厳にふさわしいと、これはもう当たり前のことといえば当たり前でございますから。しかし、そのために、どういう形で社会参加をするのか、経済活動をするのかということは、それぞれの障害者の個人の決定ということは一番その尊厳にふさわしいものだと思います。

 しかし、社会のもろもろのバリアを超えていくには、どうしてもボランティアだけでは足りない、あるいは公的なサービスが必要であるということで、今までのように措置制度じゃなくて、サービスを求めるという形の支援費制度が始まっていったわけでございます。あれは、僕は、非常に障害者が自立しようという意欲を高揚させたすばらしい法案であった、このように思います。そして、いろいろな形で障害者が町へ出てきて、そして自分で居を構えてという形の流れというものが非常に出てきた。

 しかし、予算は、悪い言葉で言うとどんぶり勘定的だったものですから、最初三百数十億でやったら、何十億足らない、何百億足らない、ことしだけは九百三十億、こういうぐあいになっていったと思います。

 そういうことを考えながらも、しかも全体を見ると、地域格差もあったり、あるいはまたサービス格差もあったりするということ、これからさらに障害者の範囲を拡大していくということを考えたときに、やはり、どういう形であれ、尊厳するその人の人生をしっかり国がサポートするということを基本としながら、国の責任の義務的な予算措置をするということが大きな目玉であったと思いますね。

 今までのように、補正予算とか、あるいは先ほど尾辻大臣がおっしゃったように、いろいろな省内の予算をかき集めてというような形ではなくて、国は、サービスが来る、しかしそのサービスは、所得があれば一割の負担があるかもしれない、しかし、払えない人は払うことはない。今山口さんは所得を超えると言いましたけれども、そういうことは僕はないと思いますよ。そういうことはあり得ないわけですから、そのようなことがないようにしなければならないし、そんなことがあってはならないわけでありますから。

 現状のサービスがさらに拡大をし、そして、より多くの人が自立しようとする志向の中に、これがしっかり潤滑油に回っていくということが重要だと思っております。

 それこそがまさしく、生きたいところで生き、自分の人生を自分で決定する、この障害者の自主的なものが尊厳とやはり表裏一体のものであろう、こんなふうに私は思っているものですから、その理念というものをしっかり傘にかぶせて、政府がしっかりそれを踏まえて、そして市区町村がその形で障害者の尊厳あるいは社会参加というものをバックアップする一つの支援体制として、こういうものが必要であるということでありますから、大変そこに重要な重きを置いているということを御理解いただきたいと思っています。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

山口(富)委員 確かに、基本的理念は今の答弁で重ねて示されました。

 しかし、問題になっているのは、その基本的理念を掲げると、この法案の運用上、障害者の社会参加や自立が妨げられるような事態は起こることを防げるのかということを私は聞いたんです。それについての明確な答弁はありませんでした。

 重ねて聞きますが、今の説明の中でも、障害者の社会、経済、文化活動への参加の機会が与えられる、これが基本的内容の一つだということは先日の大村委員の提案説明でもありました。

 実は、今回参考人質疑で障害者団体の代表の皆さんにお越しいただいたんですけれども、そこでもこの問題は繰り返し議論になりました。

 例えば、日本盲人会連合の笹川さんは、法案には移動支援という言葉四文字しかない、これで一体目の御不自由な方々の移動、社会参加を保障できるのかという不安を表明されました。それから、全日本聾唖連盟の安藤さんは、手話というのは言語なんだ、その言語に益があるから負担してもらうというのはおかしいじゃないかということをおっしゃいながら、コミュニケーションの手段、それは、聴覚障害者だけでなくて、いわば聞こえる方とのコミュニケーションを図る意味でも難しい問題が生まれるわけですから、このコミュニケーション事業の保障はこの法案でできるのかと問われました。それから、日本障害者協議会の藤井さんは、これ以上の切り詰めは社会参加の機会を薄めるのと同じだというふうに指摘されました。このように、社会参加の機会を広げるどころか、それを損なう事態が生まれるというのが障害者団体の代表の方々の懸念だったんです。

 それで、私が聞きたいのは、一条の目的に先ほどの障害者基本法の基本的理念を入れるとこういう不安は解消されるのか、これを端的にお答えいただきたい。

八代委員 社会、経済、文化活動への参加の機会が与えられる、しかしこれではそれが与えられなくなっちゃう、こういうことを今先生おっしゃったわけです。

 例えば、ガイドヘルパーであれ手話通訳制度であれ、社会で活動していく上には重要な一つの手だてだというふうに思いますと、これはしっかりとこの自立支援法でも、裁量的経費、あるいは地方自治体のいろいろな判断があるにいたしましても、今までのように、もう一月から三月まで予算がなくなったから家にこもってください的な、閉ざされた形の予算ではなくて、国が責任を持って、そうした移動支援であれ何であれ、地域の中でそれぞれの障害者の特性に合わせたサポートをするという仕組みをつくっていくわけであります。

 では、その裏づけは何かというと予算ということになっていくわけですけれども、これは恐らく、自立支援法というものの全体像の、利用量の先々を思えば、もう段階的に大幅に、大きく膨らんでいくことは間違いないと思いますし、新たな画期的な形で財政的な裏づけというものもできていくというふうに私は思っているんです。

 ただ、障害を持っている当事者が、例えばそれで負担に耐えられないとかということがあってはいけませんので、激変緩和とか、あるいは裁量的な部分も含め、地域支援事業等々も加味しながら、より皆さん方が一〇〇%に近い形で自分の思う移動支援であれ社会参加であれ、それが担保されるような仕組みをこれからしっかりと、地方自治体の責任もさることながら、国の責任においてその予算はしっかり確保しておかなければなりません。

 これは、言ってみれば、そういう意味では障害者福祉の大きな拡大への第一歩であると思っておりますから、そういう懸念も一面ではあるかもしれませんけれども、より多く啓発をし、そしてまた皆さんに知っていただくことによって、有効に、ためらうことなくこの自立支援法を十分に利用、活用するというのは当然の権利だというふうに思っております。

 ただ、繰り返し申し上げますが、所得がある人は一割堂々と払いましょう、所得がなければそれは国の責任においてやりましょう、親兄弟には扶養という言葉で負担を求めるようなことはやめましょう、こういう原則のもとに、だからといって何でもかんでも公費ということじゃなくて、ボランティア活動も育成しましょう、あるいは自分のでき得る範囲のことはなるべく自分でやりましょうというのは当然のことだと思うんです。そういう意味では、これは大きな社会参加への力になる法律だというふうに私は思っておりますので、そういう意味でもぜひ御理解をいただきたいと思っております。

山口(富)委員 私は、八代提案者がいわば理念的な内容の説明に終始されたというところがこの修正案の非常に大きな問題だと思うんです。

 私が上げた幾つかの懸念というのは、私自身も批判してまいりましたけれども、例を挙げましたように、障害者団体の代表の皆さんがこの場でお述べになった問題なんです。こうした批判や不安に対してこの修正案はこたえたものになっていない、その一点だけでも、この修正案についてはやはり政府原案の問題点をそのまま引き継いだものであるということを私は指摘しておきたいと思います。

 同時に、提案者が、障害者の皆さんの要望がほぼ一〇〇%実る方向で努力するのが当然の国の務めだと言ったところは、私は重く受けとめ、これから障害者施策の問題では当然その見地で施策の具体化が図られることを障害者とともに要望したいと思うんです。

 では、具体的な問題に移りたいと思います。

 先ほど日本弁護士連合会の要望について紹介いたしましたが、そこには、これは六月二十三日に発表されておりますけれども、こういうふうに述べられております。

 利用者の負担が大変重たいという事例を幾つか挙げた後にこういうふうに述べています。

 憲法二十五条及び障害者基本法三条の理念に基づく所得保障が障害のある人に対して十分行われていない現状で、利用料の定率一割負担は、ほとんどが低所得である障害のある人に大幅な負担増を強いることになり、障害のある人の必要に応じた福祉サービスの利用を困難にさせ、地域での自立した生活ができなくなるおそれが極めて大きいといわざるを得ない。

非常に端的な指摘だと思います。

 厚労省は繰り返し、この負担増の問題では、ぎりぎり負担できる範囲内だという答弁をやってまいりました。大臣にお尋ねしますけれども、どうしてぎりぎりに負担できる範囲内と言えるのか。これは、日弁連も指摘するように、憲法二十五条の生存権、いわば人間らしく生きていくための最低の部分にも食い込むものになるのではないか。この批判に対してどう答えるのか示していただきたい。

尾辻国務大臣 再三申し上げてまいりましたけれども、一昨年に支援費制度が施行されて以降、障害福祉サービスを実施していなかった市町村が新たに事業に取り組むことなどにより、急速に給付費が増大しているところでございます。今後ともその給付費は増大するというふうに見込まれますし、当然、サービスを確保していくためには、福祉サービスの利用者の方々を含めて、これは改めて申し上げるまでもないわけでありますが、みんなで支え合っていくことが必要でございます。

 このために、障害者自立支援法案におきましてはサービスの利用量と所得に着目した費用負担の仕組みを導入いたしたわけでございますけれども、障害者の在宅サービスに関する国及び都道府県の負担を義務的なものにすることとしておりまして、これにより、必要な財源を確保しながら制度をより安定的に運営することができるものと考えております。すなわち、これも再三申し上げておりますように義務的経費にしたということでございます。そうした背景があって利用者の皆さんに御負担をお願いしておるということを改めて申し上げたところでございます。

 その利用者の皆さんに負担を求めるに当たって、障害基礎年金のみで生活しておられる方やあるいはまた資産の乏しい方がおられること、こうしたことは当然考慮して各般の負担軽減措置を講ずることといたしております。

 具体的には、いろいろありますけれども、まず、大きく言いますと、収入の状況に応じた数段階の月額負担上限額を設定する、これがまず一つであります。(山口(富)委員「ぎりぎり負担できるかどうかの答えをください」と呼ぶ)ええ、今申し上げております、具体的に申し上げておりますが、それから、グループホーム等で暮らす方であって、一定額以上の預貯金のない方に対して個別の収入に着目して利用者負担を減免する仕組みを設けるということ、あるいは、定率負担をすると生活保護を受けざるを得なくなる場合には収入や預貯金に応じ個別に減免する仕組みを設けるなどといったような対応をすることにいたしております。

 私どもは、そうした対応によりまして、このほか、具体的には、けさからいろいろな御議論がありますから申し上げておることもありますが、もうそうしたものは申し上げません、諸般のこうしたものを仕組むことによって、まさに無理のない負担をお願いしたいと考えているところでございます。

山口(富)委員 結局、答えがないじゃないですか。

 私は、収入をも上回る負担が起こる可能性があると。これは先日、グループホームから通っている方の例を挙げまして、具体的に当委員会に資料も提出いたしました。そして、こういう事態が起こったときに、これは憲法二十五条と障害者基本法の三条に反する事態になってしまうと。そのところを大臣は制度の説明でしか答えようとしないんだから。私は、この間の質疑の中で繰り返し実態の問題として提案しているときに、あなた方は制度はこうなっているという説明しかしない、これは本当にけしからぬやり方だと思うんです。

 前回質問したところで、私はもう一度明確にしておきたいんですけれども、きょうは理事会の了解を得まして、皆さんのお手元に資料を配付いたしました。一枚目は、「定率負担の個別減免について」ということで、昨日、社会保障審議会障害者部会に出された資料です。私が先日申し上げましたように、下の枠のグループホーム利用者、これは個別減免にかかわるわけですが、費用尺度の六・六万円の問題で、当初は、次のページにありますように、この六・六万円というのは、生活費二・一万円、食費二・二万円、居住費二・三万円を合わせた、いわば支出の中身で説明されておりました。ところが、あるときから、これが収入であるという説明に変わってしまった。変わったことは、前回、質疑の中で厚労省が認めた点です。

 今回、新たに二点お尋ねしたい。この説明はいつ、なぜ変わったのか、それが一点。もう一点は、障害者部会に、変更について明確な説明をきちんとやっているのかどうか。この二点、答えていただきたい。

塩田政府参考人 グループホームに住む方にとって、例えばグループホームから通所授産施設に行っているような方、今度は一割負担と通所授産の一割負担、それから食費の負担とか、いろいろな負担がかかるということで、グループホームに入所している方のいわゆる定率負担をどう減免するかというのが課題でございました。当初の私たちの案ではそういうものを導入しておりませんでしたが、いろいろな関係の方の御意見を聞いて、個別減免制度を導入しようということになりました。その際、どういう物差しで減免制度をつくるかという議論で、いろいろな、部内で検討した変遷を物語っているものでございます。

 最終的には、六万六千円で生活している方がおられますので、これは基礎年金二級に相当する額ですけれども、その額が手元に残るような利用料負担の個別減免制度を導入しようということになりまして、まず六万六千円は手元に残していただく。それで、それを上回る収入について、けさほどから議論しておりますが、工賃は八五%は手元に残るように計算をしようとか、仕送りは半分残るように計算しようとか、それが今の、現在の結論であります。

 議論の途中の経過で、六万六千円の支出がどういうものかということで、二枚目に、審議会で出しているような内訳として出したことがあると。この資料でやっておりましたが、最終的には、支出は六万六千円の中でそれぞれ違いますので、こういう数値の内訳を書くことがかえって誤解を招くのではないかということで、六万六千円の支出について、それはそれぞれのいろいろな事情があるということで、まずは六万六千円を残していただこう、そういう趣旨の考え方で資料を整理しているということでございます。(山口(富)委員「いつ変わったの」と呼ぶ)

 最終的には、国会に出す資料からは抜いて出しておりますので、審議会に出している資料については当初の、それぞれの時期にそれぞれのときの私どもの考え方を説明しております。

山口(富)委員 何を言っているんだよ。これはいろいろな検討過程の一資料じゃないんです。二月に政府は法案を国会に提出いたしました。その際に全国の関係の課長会議を開きまして、そこで開いたときの最初の説明は内訳が示された説明なんです。そして、私たちにもその資料は当然、説明として受けているわけです。それが最近の資料で忽然と変わってしまった。

 だから、なぜ、いつ変わったのか聞いているのに、なぜ、いつかを答えない。なぜかという点でいうと、あなた方の説明はそうかもしれないけれども、これは障害者の生活と人権がかかっているんだ。六・六万円が、当初はいわば最低の生活基準だと、この程度の割り振りで何とかやっていける。それが支出に変わってしまったら、全く生活設計が変わってしまうんだから。そういう認識さえないのか。もう一回説明願いたい。

塩田政府参考人 六・六万円という数値の考え方自身は変わっておりませんが、当初、審議会の資料でありましたように、例えば住宅費であれば、限度額のような考え方を持っていたときが私どもございます。最終的には、そういう限度額じゃなくて、六・六万円の内訳は自由にということにしましたので、御本人にとってはよりお手元に残るような仕掛けというか仕組みにしたつもりでございます。

山口(富)委員 ですから、いつその説明が変わったのか。そして、障害者部会にその説明できちんと、手直ししたということを報告したのか。そのことを聞いているんです。

塩田政府参考人 部会で明示的には説明していないと思いますが、いろいろな機会に関係の団体の方とかには私どもの考え方は説明してきたつもりでございます。

山口(富)委員 大変いいかげんな答弁だと思います。

 二枚目の私が皆さんにお届けした資料は、昨日の障害者部会で提案された中身でして、これはいわば、左側が、間違えましたというので訂正があります。そして右側は、内訳を示したものがそのまま束になって出てきているんです。まだしておりませんどころか、これでいまだに配っているじゃないですか。どうなっているんだ。

塩田政府参考人 きょう配付した資料は、その時点で私どもが説明したときの資料でありますので、そこの資料を変えることは適切じゃないと思います。ただし、左側にある額のところは単純なミスなので訂正させていただいたということでございます。

山口(富)委員 要は、障害者部会できちんと、説明が変わったことを説明されるんですね、今後。その一点、大臣に確認しておきます。大臣に確認したい、これは。

尾辻国務大臣 それは、私どもの考え方でございますから、考え方は当然のこととしてきっちり説明をいたします。

山口(富)委員 私は、これに関連して、なおのことわからないのは、次の資料なんです。

 次の資料は、こういう個別の減免が出てくる際に、一般家計、グループホーム、入所施設のそれぞれで支出の実態がどうなのかということを示した資料です。冒頭に、「全世帯平均」になっておりまして、食費が二・二万円、居住費一・三万円と示されております。私は昨日、一体この全世帯平均というのは何なんだと尋ねましたら、その回答は次のページです。

 実は、これは家計調査からとった全世帯平均ではないのです。ここであらわれている数値は二人以上の世帯なんです。平均でいきますと世帯人員は三・二一人、これをケースとして当てはめてしまった。しかし、本来、家計調査で見る全世帯でいきますと、右から二番目、それから一番右側に、最も年間収入が低い皆さんということで出てきております。この部分で全世帯平均を見ると全く違う数値になってしまうんです。例えば、全世帯平均でいきますと、食費は二・二万円ではなくて二・三四万円、収入の低い方でいきますと二・五七万円になります。居住費は一・三万円でなく一・四九一二ですから約一・五万円、それから、所得の低い方ですと二万二千百六十六円になります。

 これは、よく厚労省は、個別の事例というのは大変幅があるということで言ってくるわけですけれども、一番基本の資料で全世帯平均の中身をきちんとここにもし書くのであれば、世帯人員や二人以上の世帯、そういう明記がなければ本当の資料として生きてこないと私は思うんです。この点の見解を示していただきたい。

塩田政府参考人 グループホームと施設については、複数の人が暮らしているということで、複数の世帯の数値を用いたということでございます。

山口(富)委員 これもおかしな説明なんですね。

 この資料の四枚目の米印の説明でいきますと、二人以上の世帯というのは三・二一人、それから、全世帯というのは二・六二人、全部注書きがあるんです。ですから、あえてここだけ抜き出してくるというのは全く説明にならないんです。どうですか。

塩田政府参考人 注書きについてはちゃんと書くべきだったかと思います。

山口(富)委員 大臣、部長はああいう強弁をしますけれども、しかし、これはどう見たって、全世帯平均と書くのであれば、しかも家計調査からだと明記してあるのだから、だったら、きちんと全世帯で、括弧世帯人員は何人かというところまで書かなかったら、本当の資料の意味がないじゃないですか。違いますか。

尾辻国務大臣 私が理解をいたしておりますところでは、全世帯ということになりますと単身の世帯も入る、いろいろな世帯が入っておられるので、ここの場合はグループホームを念頭に置きましたので、二人世帯というところで見た、こういうふうに理解をいたしております。

山口(富)委員 これは単にグループホームを念頭に置いているだけじゃないんです。入所施設とか個別減免にかかわるからこういう資料を出しているんです。

 少なくとも、大臣、全世帯平均の書き方がこれでは不十分である、その程度の認識を示していかなかったら、これはもう審議できませんよ。

塩田政府参考人 グループホームは複数で生活されていますので、グループホームとの比較の上では複数世帯でやることがより適当だと思いますし、資料の中でも、一人当たりの数値と書いていますので、全体の資料として適切性を欠いているとは考えておりません。

山口(富)委員 そこまで強弁するんだったら、これは部長の責任問題だよ。あなたは、繰り返しグループホームだからいいだろうと。グループホームというのは大体何人で暮らしていらっしゃるんですか。四人、五人でしょう。何でここだけわざわざ二人以上の世帯、三・二一人にするんだ。きちんと資料の根拠を示せと言っているんです。

 しかも、「グループホームの費用負担の状況」でも、ここでは食費二・四万円、居住費二・八万円という数字が出てきます。これは出所がもう一ページ後に「知的・精神グループホーム費用負担の状況」ということでわかるようになっておりますが、しかし、先ほど示しましたように、障害者部会に説明したときには、六・六万円という枠はかかったとしても、食費二・二万円、居住費二・三万円、平気で違う数字を入れてくる。おかしいじゃないか。

 大臣、少なくとも、今の部長の答弁では、障害者の皆さんは納得しませんよ。こういう資料のつくり方、これについては、少なくとも反省する、直す、このことを明確に答弁いただきたい。

尾辻国務大臣 私、お出しいただいた資料を見ながら考えておったのでありますけれども、ただ、ここにそれぞれ注をつけて書いておりますことは、間違った注はつけていないというふうに考えております。

山口(富)委員 だって、根拠になった数字を示せと言ったら四枚目の数値が来た。ここには全世帯というのが二つあって、この二つの数値はこのページには使われていないんだから、違うじゃないか。それさえここから読み取れないんですか。だったら、障害者自立支援法なんてやめてもらいたい。

尾辻国務大臣 言っておられるのは、お示しいただいた資料の三のところの「全世帯平均」という、「一人あたり」というこの書き方でございますか。

 この書き方は、確かに、丁寧さに欠いておるというか、これは二人以上世帯ということで書くべきであっただろうというふうには存じます。

山口(富)委員 残念ながら、ここまで時間がかかってしまいました。

 今度の障害者自立支援法の質疑というのは、振り返ってみるとこの繰り返しでした。私は、障害者の皆さんがおっしゃるように、当事者抜きに障害者のことを決めないでくれ、そういう立場に立つのだったら、そして障害者の社会参加と自立を促し生活と権利を守るんだったら、本法案は撤回するしかない、そのことを申し上げて、障害者自立支援法にかかわる私の質疑の結びとしたいと思います。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 極めてずさんな資料と、そしてそれをつまみ食い的に積み重ねてここまでやってきたこの自立支援法、自立阻害法とも呼ばれていますが、まず冒頭、大臣にお伺いします。

 今、日本という国を船に例えると、日本丸と名づけましょう。この船は、さまざまな財政赤字を抱え、少子高齢化の中で難破船になろうとしております。難破船であったとしても、またうまく乗り越えられたとしても、その乗組員の中で、船に乗る者の中で、一体、だれを大事に、だれを育ててこの国を次の世代に渡そうとするのか。大臣、ここに限られた大きさのパンがあります。このパンを大臣だったら、まず、子供に与えますか、御高齢者に与えますか、障害者に与えますか、自分が食べますか、強い人に上げますか。どうでしょう。

尾辻国務大臣 今の例えで答えを言えとおっしゃるならば、これはみんなで分かち合うしかないというふうに考えます。

阿部委員 やはり、それは違うと思うんですね。船からだれを逃すか。いろいろな話があるでしょう。大臣、本当に今の答弁でいいですか。

 弱い者、子供、女性、御高齢者などをまず助けるでしょう。それを社会連帯といいます。もちろん、みんな助かればそれでいい。だけれども、ほっておいたら早くに疲労したり、早くに生命の危機にさらされる人にまずパンを分け与えます。それが私は社会の哲学だと思います。大臣の今の答えにはそれが見えません。だから、育成医療のような、子供たちに、数もこれからふえるわけではない、大臣たちが、厚生省が出した資料においてすらふえていくわけではない、そこにすら自己負担を求める、こういう法律が出されるんです。

 では、一体、国の少子化対策というのは何ですか。今の大臣の答弁、みんなに分け与えますと。しかし、その中で、自分では暮らしていけない子供たちがまず一番大きな被害を受けます。なぜこの法律の審議の中で、私は、はなから、一から十まで、けしからぬ法案だと思います。だけれども、子供に対しての本当に社会が育てていこうという考え方のないこの法案の枠組み、本当に大臣がこれでこの法体系を考えるのであれば、私は、日本の福祉施策、もちろんそれは障害者問題もそうです、暗黒だと思います。難破船は間違いなく難破するでしょう。そんな審議を積み重ねて、おまけにうそのデータを重ねて、本当に情けないの一言に尽きます。

 そして、その情けないことのついでに、朝の質疑の中で、私はもうあのことはあれでやめようと思いました。もう何度もやり、私自身も精根尽き果てました。厚生省の資料の誤りを見つけるのに、次々次々次々うそがあって、事実と食い違って、でも、あなたたちが答弁すればするほどそのうそが積み重なっていっています。きょうの午前中の答弁の中で、私は、精神障害の通院、三十二条の公費負担の患者さんのプロフィール、所得、世帯との同居の実態、一切明らかではないということを確認しました。大臣、それはよろしいですね。三十二条の方の所得は把握されていませんよね。どうでしょう。

尾辻国務大臣 現行制度のもとでは、プライバシーの問題等から、所得把握が極めて難しいということは率直に申し上げます。

阿部委員 所得把握が極めて難しい、そして、プラス、うそのデータを出してきた。

 何度も言いますが、三十二条については、今厚生省が出していただいたものでは把握されていません。

 塩田さん、きのう民主党にお出しになった外来患者さんの所得集計の総数八千七百五十四人の集計のうち、三十二条をお使いの方は何人いたでしょう。あなた方が精神障害者の所得分布だと言ってお出しになった、そして、最初は三十二条の適用の方の項に、おまけに、個人所得ではなくて世帯所得として記入していた。きのう民主党に出された八千七百五十四人の所得の把握データのうち、三十二条適用は何人おいででしょう。

塩田政府参考人 現行の精神通院公費制度は一律の五%負担制度ということでありまして、所得分布とかさまざまな、データがレセプト以外にないということでございます。

 それから、御案内のように、精神障害者に関する問題は、プライバシーの問題もあって、いろいろな実態の把握が大変難しいという大前提の中でニーズ調査というのを初めてやって、その中で何とかぎりぎり参考になる数値ということで使わせていただいたということでありまして、三十二条の方々の所得状況とかそういうデータは把握しておりません。

阿部委員 そうです。そう言いながら表に出し、今聞けば三十二条は把握していないと言い、大臣、これで審議を進めていいですか。

 大臣、今塩田さんは明確に三十二条は把握していないとおっしゃいました。どの委員に配られる表、八千七百五十四人も実は三十二条ではなかった。きのうの夕方六時に民主党に届いたデータも三十二条ではない。聞けば、把握していない。これで審議を進めていいですか。三十二条の精神科通院医療を自立支援医療に転換していくに当たって、果たして十分ですか、その土台は。所得は把握されていない、それが塩田さんの答弁でした。いかがでしょう。

尾辻国務大臣 ですから、先ほど来部長も申し上げておりますように、今先生がお示しいただきましたニーズ調査による精神疾患による外来受診者所得分布特別集計というこれが、三十二条のものでないということは申し上げておるわけでございますので、決して何かうそを申し上げたということではございません。

阿部委員 では、申しわけありませんが、朝からもう何度も、これは三度も出ました、配らせていただいている私の資料の一枚目。これは、三十二条の御本人でもなければ、三十二条の世帯でもありませんね。

 ダブル確認です。三十二条の御本人でもなければ、三十二条の世帯でもありませんね。何の関係もありませんね。いかがですか。――どうですか。御答弁が遅いならとめてください。

尾辻国務大臣 これは、申し上げたとおりに、推計の数字でございますので、推計だというふうにして申し上げておるところであります。

阿部委員 推計しようにも、もとに三十二条の人に聞いていないんです。

 では、最初に戻って恐縮です。八千七百五十四人のうち三十二条が何人おられたんですか。三十二条の方の推計をするにも、当てずっぽうになっちゃいます、これは。

 先ほどまでは世帯の所得でないということは確認しました。でも今度は、本人が三十二条じゃない。全部とは申しません。一体あなた方がお出しになった、民主党に渡した資料、八千七百五十四人の所得分布、何人が三十二条のものですか。それくらい答えて当然だ。

塩田政府参考人 日精協で行っていただいたニーズ調査で、この八千七百五十四人中三十二条の方が何人かということは把握されていません。

 何度も繰り返し申し上げておりますように、データが限られている中でぎりぎりの推計をして、課税世帯が一割、二割、推計ということで断っているつもりであります。

阿部委員 塩田さん、やるべきことをやらないで、どこからかわからない、持ってきた推計で、これからこの数値にのっとって、先ほどの大臣の答弁があるわけですよ。これから非課税世帯においては本人と家族を分けることは可能になりますと修正にも書いてありますね。しかし、課税世帯においてはそういう措置はとられないわけです。そうしたら、実際に三十二条のうち課税世帯がどのくらいあるか。せめては三十二条の所得に迫る傍証をつくらないと、この法案を決めてしまったら、そして、課税世帯がここにあるように一、二割じゃなかったら、全く違う形になるじゃないですか。

 大臣、これはおわかりですよね。ここには課税世帯一、二割だろうと。しかし、もし三十二条全体を調べて、しかるべく調べてですよ、課税世帯が六割、七割になったら一体どうなるんですか。

 先ほど来の修正案だってそうです。課税世帯については分離はされないんですよね、御本人と。どうですか。だからこそこのデータが重要なんです。

尾辻国務大臣 まず、今、現状では、申し上げましたように、正確なデータ把握に限界がある、したがって推計の数字で出さざるを得ない、その推計の数字を出したということを申し上げました。まずそのことを申し上げました。

 それで、今度は、では今後どうするんだというお話でありますから、今後は、新制度で、できて、把握してまいりますと、データはきちんと把握できますから、今度はちゃんとした数字が出てまいりますということも申し上げます。

 それからまた、今後の予算確保ということでいいますと、これはもう繰り返し繰り返し申し上げておりますように、義務的経費であるわけでございますから、その確保はできるということも申し上げたいと存じます。

阿部委員 今大臣のお答えになった二点とも私は違うと思います。

 実は、現下でも、三十二条の方の課税世帯状況とかをよりもっと真実に近く把握すべく、来週の火曜までに、日本精神科病院協会と日精診、診療所の団体が患者さんに課税状況を問うアンケート調査をします。来週火曜日にそのデータが上がってきます。これはもちろん、これだって御本人に聞いたんですから、今度だって御本人に聞くのです。その精度は同じでしょう。

 そこでもしこの課税世帯割合が一、二割ではなくて六割、七割だったらどうするんだと私は聞いているんです。そして、私はそれまで待つべきだと思います。こんないいかげんな、三十二条の人に聞いたのでもない、世帯でもない、こんな形で法案を進めたら、だれが減免対象か、だれが本人と家族の世帯を分けられるのか、全く見えません。一割と六割では違います。

 そして、恐らく、このアンケート調査、日精診と日本精神科病院協会がおのおのにやられますでしょう、患者さんに直に。それほど今精神科の団体は危機感を持っているのです、このうそのデータで全部が進められることに。

 課税世帯であれば本人を分離して減免をとれないわけです。課税世帯であれば、例えば、一家にお兄さんがいて弟が精神科に通院しているとします。今までは三十二条は本人だけの世界でした。でも、これからは、課税世帯であれば、お兄さんから、世帯を一にしていればそこまで含めての負担がかかります。家族に黙って通院している人だってあるでしょう。余りにも現実を知らない皆さんがこんな雑な法案をつくり、果たしてどれくらいの人がその苦境に陥れられるかわからないままに進んでいるのです。

 大臣、もう一度伺います。ここに出したデータが一、二割で、来週、日精診と日本精神科病院協会が配られるアンケート調査が六、七割であった場合に、逆に言うとこの法案の骨格が狂ってきます、減免の。私は、その可能性が十二分だと思うから、今ここで採決を焦って私たち総体が間抜けになることをやりたくない。それだけのうそのデータしかないんです。塩田さん、来週のことを聞いておられますか。

 そして、もう一つ言わせていただきましょう。

 私は、ここに、全県の、四十七都道府県の三十二条通院医療の、これはレセプト集計の、そして国保か社保か家族か、その全国集計を持っています。これによっても、例えば社保が三割から四割であれば、当然ここの課税世帯は狂ってくるわけです、なぜより厳密なデータに近づこうと努力なさいませんか。このデータは私ですら入手できます。

 あなた方は、何かといえば資料がない、何とかがないと言いながら、うその資料を出してくるのです。私はそれが許せない。ないならないで仕方ない、だけれども、違うものを、似て非なるものを、これが三十二条もどきだと、がんもどきみたいにこんなところに出してきて、そして本来やるべき、あなた方が持っているデータでは分析しない。せんだって埼玉の例を出したら、それは埼玉的特殊性だととある方がおっしゃいました。とんでもない。全国調査の集計が出ています。このことについて、あなたはどう善処しますか。

 そして大臣、非課税世帯割合が違ったら、一、二割ではなくて六、七割であったら、この法案の骨格はどうなりますか。お願いします。

尾辻国務大臣 これは先ほど来の繰り返しになりますけれども、先生お述べになっておられますように、私どもも、現状では正確なデータが把握できない、限界があるということは申し上げておるところであります。

 そして、これまた申し上げておりますのは、新制度できちんとデータが把握できますから、その把握に基づいてまた次の対応はきっちりしますということは申し上げておるわけでありますし、この課税世帯が多くなった場合の救済策として重度かつ継続の話は繰り返し申し上げておるわけでありますし、そうした面もしっかり対応するということは申し上げておるところでございますので、御理解いただきたいと存じます。

阿部委員 大臣ね、理解が違うんですよ。救貧政策としてやるわけじゃないんですよ。精神に障害をお持ちの方が自分らしく家族に遠慮せず生きていけるための法律なんです、支援法は。大臣が今繰り返し言っているのは、免除とか減免とかその施策のことです。しかし、減免を受けるために、家族に自分の病名を告知しなきゃいけない場合も出てくる。その方たちが多いかもしれないのです。

 そしてもともと、大臣は、限界があって限界があってと言います。だけれども、私は、限界があっても、うそを出すよりも限界の中でまだ使えるものを使いなさいというのでレセプトの話を出しているんです。

 私が朝から聞いて三つ、もうトリプルごまかしです。一つは、世帯じゃない。一つは、本人に記入してもらったと言うけれども三十二条じゃない。そして、決定的なのは先ほどの大臣答弁ですよ。減免の範囲が課税の人には及ばないとしたら、ここの課税か非課税かは大きくこの法案の骨格にかかわってくるんです。その三つをそのままにして採決なんてできない。

 塩田さんには、今の全国のこの三十二条の利用実態を推計すること、来週火曜日に日精診と精神科病院協会のデータ、これは課税状況、あなたの、おたくのと聞くんです、その集計を見ること、そしてそれからここを直すこと。

 あなた方はうそにうそを重ねてこの資料をどこでも配り歩き、これでは本当の姿が浮かばない。一、二割というのがうそだと、根拠がない、三十二条でもない。いいですよね、三十二条じゃないんです、大臣。三十二条、ここ、精神科の公費負担医療、違うんです、この集計は。三十二条というのは、外来通院のときに今だったら五%になっている方々です。その方たちを相手にした所得調査じゃないんです。確かに、精神科の病院に入院されたり、その後、実は社会福祉施設に入所者の方も含めて所得を聞いているんです。そうしたら、当然三十二条の方じゃないです。

 私は午前中に言いました。御本人の調査は福祉手帳をお持ちの方で、これも先ほど情報が寄せられました。三十二条の方のうち福祉手帳は二割しかお持ちじゃないそうです。三十二条の方の所得実態を傍証なりともこの場に提起していただきたい。それからしか審議はできない。

 せめて来週の火曜日、日精診と日本精神科病院協会の課税状況調査を待っていただきたい。待って真実の姿がより私たちに示された方が、例えば減免の範囲でもいいです、あるいは、本人が本当にそれで、家族に今だったら言わなくて済むんです、自分の通院のことを。隠したっていいんです、こんなもの自分の秘密ですから。全部暴かれて、家族に気兼ねして、減免対象がどこまでであるのか、そこが狂ってくるんです。

 委員長、理事会で審議してください。私は、こんなうそのデータが積み重なった中で、合意があろうとも採決はすべきでないと思います。これは当たり前の、私たち議員の良心だと私は思います。

 うそのデータ、塩田さんがもし今、さっきのあのデータの中から、八千七百五十四人の中から三十二条を言ってくれたら私は合意しましょう。しかし、わからない、何人かもわからない。だったら何も把握されてないじゃない、本人所得だって把握されてないじゃない。そんなものにどうやって賛同せよと言うんですか。三十二条医療をやめるんですよ、これから。幾多の人がそこから、今度の自立支援医療から外れますでしょう。あるいは、家族に気兼ねして、自分の病名を告知して、課税世帯であれば家族に出してもらうんです。その課税世帯は六、七割にも及ぶ可能性が高いです。

 来週まで待てない話じゃない。もっと真実を知って、私たちはきっちりした審議をすべきです。

 委員長、お願いします。

尾辻国務大臣 これは、先ほど来同じことを繰り返すことになるわけでございますけれども、今先生もプライバシーのことについてもお触れになりました。したがいまして、現状では正確なデータ把握は限界があるということも再三申し上げておるわけでありまして、ですから、正確なデータが把握できないので推計で数字を出しておりますということは、当然申し上げておるわけでありまして、その推計の数字で御審議をいただきたい。

 そして、骨格というお話がありましたけれども、この先の部分というのは政省令部分でもございますから、今後私どもが検討するというところの中での部分でもありますから、そのこともあわせて申し上げたいと存じます。

阿部委員 大臣、まだよくわかっていないんだと思うんです。推計の対象が違うんです。推計の対象は、レセプトを用いて三十二条をお使いの方で推計したらいかがですか、一つ。課税状況は御本人にアンケート調査をとります、これから来週。それをもとに、世帯の課税状況のアンケート調査に基づいて審議したらどうですか。この二つです。この二つです。

 大臣、もう一度よく聞いてください。今のお使いになっているデータは三十二条とは関係がない。だから、これだけ朝から、大臣だって、また同じことをと思うかもしれない。でも、推計するにも、しかるべき母集団を見つけないと推計にならないのです。私が今提案しているのは、四十七都道府県の三十二条のレセプトの全景が出ます。これを一つ。傍証です、プロフィールです。

 もう一つ、日精診と日本精神科病院協会が患者さんに、来週火曜、世帯の課税状況についてアンケート調査をいたします。それを待ってからでも、この世帯所得状況がわかるじゃないですか。なぜ待てないのですか。こんなうそのデータで、枯れ尾花みたいなよくわからない幽霊を捕まえてやるような審議は間違っています、どう考えても。大臣、今の私の、おわかりですか。

 そして、もう一つ。北川企画官は、十一月二十六日の社会保障審議会の中でだったと思います、義務的経費となったからといって確約はできない、この言葉を残しています。私は本当にびっくりしました。これまでの答弁は、みんな義務的経費だからいいじゃないのと。違うんですね、実際の審議会の中での答弁は。

 もう一つ、言わせてもらいましょう。私はきのうの社会保障審議会が余りにも悲しかった。なぜ自立支援医療なるものが話されないのか。そして、私のよく知る人に聞きました、どうしてですか、あそこに来ていた人です。彼は言いました。これでやっと与党とのパイプができたから、自立支援医療の問題はわかるけれども、自分たちの声を今聞いてもらうしかないから。私は、そんなふうに障害者当事者団体に思わせている与党なり厚生省。私は、こんなもの、超党派でやりたいです。だって、党派の問題じゃない。先ほど八代さんがおっしゃった、本当に障害者施策がおくれている、だから議員の総力でやりたい。しかし、あの場においてすら、なお、障害者団体のトップの人が、やっと与党とのパイプができました、今崩さないでほしい。本当に涙を私は禁じ得なかった。何だこの法案の審議は。

 もう一つ、紹介しましょう。心臓病の子どもを守る会の親御さんが、何度も何度も厚生省に、手術費の高さを、あなたたちが出しているデータと違うということを言ってきました。一貫して問題にされなかった。社会保障審議会にもそのデータは出されなかった。それが今の患者団体の実情です。

 何も見ない、何も聞かない、事実に基づかない、こんな中で法律はつくるべきじゃない。だから、火曜まで待つべきです。水曜日の審議でも十分です。真実にのっとって、だれが減免対象か、だれが三十二条の本当の姿か、そして所得の曲がりなりの類推も、アバウトですが出ると思います。これで強行採決なさるなら、私はこの委員会の見識を疑います。事実のない、全くのうそ百万陀羅です。

 大臣、私の説明した、より正しい資料のとり方、厚生省には限界があったということをお認めになるなら、より正しい、より近い推計が出るやり方をとってはいただけませんか。

尾辻国務大臣 これは先ほど来お答えしていることでございますが、調査対象がかなり大きくなっている、その中に三十二条の皆様が入っておられるわけでありますから、まるっきりうその数字を出しているとかなんとかということじゃありません。大きな調査対象があって、その中に三十二条の皆さんも入っている。

 ですから、私どもは推計だと、あくまでも推計ですと申し上げているわけでありまして、その数字を出しておりますことは御理解いただきたいと存じます。

阿部委員 では、今の大臣に百歩譲って、何割か出してくださいな。例えば、五%だったら全然違うんですよ。半分ですか。出ないんでしょう。

 私は、きょうこの時間までに出してとお願いしたんですよ、塩田さんの部下に。でも、もらえなかったんですよ。出せないんですよ。せめてそれくらいの誠意があっていいんじゃないですか、大臣。

 どれくらいの数、そこに三十二条の方がいたんですか。それすらも出せないで、これを三十二条のがんもどきとして認めよといったって、だめなんですよ。もどきにするのにも、どれくらいの、八割が三十二条であれば、もどきにいたしましょう、しかし、それすらも見えないんですよ。だったら、ほかのデータでやり直すべきです。来週の火曜日です。待ってください。待てない理由なんかないでしょう。(発言する者あり)時間、時間と言う前に、自分たち与党もしっかりと厚生労働省を指導してくださいよ。

 こんなずさんな法案で、障害者の生活と人権と生存がかかるものを決めるわけにはいかないのです。大臣の主張にのっとるのであれば、何%か出してください。

鴨下委員長 阿部君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力お願いいたします。

尾辻国務大臣 ですから、申し上げておるわけでございまして、先ほど来、現状で正確なデータ把握は限界があるということは、率直に申し上げておるわけであります。ただ、全体があって、その中に三十二条の皆さんが含まれているということを申し上げておりまして、したがって、今何割かというようなお話でありますけれども、そこの正確なデータというのは把握に限界があるので、推計で申し上げた。

 そして、新制度で、スタートさせていただいて、今後きちんとデータを把握できるようになりますので、その中でまた対応しますということを再三申し上げておるところでございます。

阿部委員 法律の課税、非課税世帯の本人負担のところがもう法で決められていくわけです、きょう。だから、だめなんです。それがなければいいですよ、そこがなければ。でも、そこまで決めようというきょうの採決じゃないですか。そんなこと、できないでしょう、大臣。冷静に考えてみてください。課税世帯がここは一、二割だと言っているんですよ。違うじゃないですか。では、来週火曜日、もしこれと大きく異なるデータが出たら、やり直してくださいな。

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 これは、申し上げておりますように、出しておりますデータというのは、全体のデータだけはわかりますのでそれを出しておる。そしてその中に三十二条も入っておるということでございますので、三十二条全体でないということはお答え申し上げているとおりでございます。

 そこで、これはもう本当に何回も同じことを申し上げて恐縮でありますけれども、やはり現状では正確なデータ把握に限界があるということを申し上げておるところでございますので、御理解いただきたいと存じます。

鴨下委員長 阿部君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

阿部委員 鴨下委員長ですから協力したいのはやまやまです。本当にいつも御配慮ありがとうございます。

 だけれども、今の答弁では私は責任ある採決はできません。だって、三十二条の方の所得把握、一体何人を見たの、十人かもしれない、五十人かもしれない、これではできないのです。

 大臣、それでやれという方が間違っているんじゃないですか。何を私たちは採決するんですか、それじゃ。大臣がお認めいただきたいというのは何ですか。三十二条、そうです、大臣らしくない。

 私は、この委員会がこんなたび重なるデータの捏造、しかし、来週火曜まで待てばデータがそれなりに課税については、一つではあります、しかし、日本で一番大きい病院協会、精神科病院協会と日精診がやるんですよ、そこまで課税世帯状況を待てるじゃないかと言っています。なぜ待てないんですか、大臣。大きく違ったらどうするんですか。それは単にこの法案の、何度も言います……(発言する者あり)与野党で話し合って決めるにも、うそのデータの上では決められない。委員長、もう一回理事会協議してください。

鴨下委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。(発言する者あり)

 阿部君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しております。御協力をお願いいたします。

阿部委員 大臣、なぜ来週の火曜まで待つことができないんですか。答弁をお願いします。

 より所得に近いデータが出る可能性があります。私は、一カ月も二カ月も先を言っているのではないです。今大臣はお認めになりました、厚生労働省側の資料は不十分だと。まして、三十二条については把握できていない、世帯の課税状況もわからない。だったら、わかるすべが来週、とりあえずあります。なぜそこまで待てないのですか。

尾辻国務大臣 委員会の御審議について、これは私が申し上げるべきことではございませんので、お許しをいただきたいと存じます。

阿部委員 私が大臣に伺ったのは、大臣は現下持っているデータには制約があると言っているんですよ。新しい制度が始まってからわかるでしょうと言っているけれども、私はそうじゃないと言っているんですね。現状で、厚生省の中にも、もっとより近い推計もできるでしょう。それから、来週には自立支援医療制度運営調査検討会の中のメンバーからのデータも出るでしょう。今出しているデータは間違いでした、少なくとも反映していませんでしたというところまでは、大臣もお話しくださったんですよ、制約があるからと。

 三十二条の方をとったかというと、それもわからないんですよ。だったら、三十二条のデータが出てからする。それが、大臣、提出した法案の骨格にかかわるということはおわかりですよね。もし制約があるなら、待って、より正しい情報に近づける、これが当然の姿と思います。いかがですか。

鴨下委員長 阿部君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しております。これにて阿部君の質疑を終了させていただきます。

 以上で本案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、八代英太君外二名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 衆議院議員八代英太君外二名提出の障害者自立支援法案に対する修正案につきましては、政府として異存はございません。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。八代英太君。

八代委員 御苦労さまでございます。障害者自立支援法賛成討論をさせていただきます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表し、障害者自立支援法案に賛成の立場から討論を行うものでございます。

 障害者自立支援法案は、厚生労働委員会において熱心な議論、また数々の指摘がなされてきましたが、この法案は、現在の障害者福祉の現状の転換を図る大きな意義があると思っております。

 昭和五十六年の国際障害者年において完全参加と平等のスローガンが掲げられ、我が国においても地域で普通に暮らすということが大きな政策目標になりました。その後、昭和六十年の障害基礎年金制度の創設や、平成五年の障害者基本法の制定といった歩みを経て、障害者の自立と社会参加を進めるため、平成十五年から支援費制度が始まりました。この支援費制度により障害者の福祉サービスの利用が大きく拡大した結果、財政的には厳しい面がありましたが、障害者の自立志向への大きな弾みともなりました。

 実際、支援費制度のもとで居宅サービスが大きく伸び、国においては、十六年度では、当初予算は十五年度予算額に比べて一六・七%増の六百二億円を確保したにもかかわらず、二百七十四億円の予算不足を招きました。このような中で、毎年暮れになると、与党が政府に予算的な手当てをすることを求めることが恒例になってしまう状況でもございました。

 また、現在でも、障害者間、地域間の格差等もあり、今後さらに障害者福祉を前進させるためには、こうした状況をなくし、支援を必要とするすべての障害者が適切にサービスを利用できるよう全国的な提供体制を整備していく必要があります。

 障害者自立支援法案の第一の意義は、今後、大幅に伸びていくサービスを保障する財源を義務的経費として確保する道筋をつけたという点に大きな意義があると思っております。つまり、国が障害者の自立支援に責任を持つということであります。

 第二は、今まで精神障害者福祉は、身体、知的障害に比べると大きくおくれ、また支援費制度の枠外に置かれておりましたが、これを身体、知的障害者サービスと同等に位置づけることが第二の意義でもあります。

 さらに、今後、難病、自閉症等々、日々の社会生活で支援を必要とする人々のために、与党として、対象者の拡大の検討も含めた修正案を出させていただきました。

 第三の点は、就労支援策の抜本的な見直しにあります。特に、全国約六千余りの小規模作業所は、障害者福祉の重要な社会基盤となっておりますが、いまだに法定外の位置づけしかありません。今回の障害者自立支援法案は、就労支援のための施設体系、施策類型を抜本的に見直して、小規模作業所にも法定内の事業所として活動する道を開くものでもあります。

 それ以外にも、多くの点で従来の障害者福祉施策を大きく転換するのがこの法案であり、非常に重要な、また評価すべき改革であることは事実でありますが、関係者の方々からは、従来の負担から負担が大きくふえるのではないかという点に繰り返し要請がなされました。きょうもこの問題は議論されました。

 実際、障害者の所得水準が低く、年金水準も低い現実を踏まえ、利用者の方々の負担については十分な配慮が必要であり、与党として、日本を代表する障害者団体の参加を得て行ってまいりました議論を踏まえ、繰り返し政府に対して十分な配慮を求めてきたところであります。障害者福祉サービスであっても、みんなが能力に応じた負担をして支え合うという理念は大切でありますが、大幅な負担の増加により生活困窮状態に陥ること、また、地域での自立した生活に必要なサービスの利用が不可能となるような事態は絶対に避けなければなりません。

 本日、政府からは、従来の提案を超えて、所得の低い方々に対する対応が表明されたことを評価したいと思いますし、障害者の所得保障の問題については、政府のみならず与野党を含めみんなで今後しっかり議論していかなければならないと思っております。

 また、修正案をめぐっては、民主党との協議が途中で一方的に打ち切られたことは残念なことではありますけれども、与党として、法案審議に関連し多くの障害者団体の方々から要請をいただいたさまざまな事項に対して責任を持って対応するために、民主党との協議の内容をも踏まえた法案の修正を提案した次第でございます。

 本法案は、障害者福祉施策の改革の第一歩であり、修正に基づくさまざまな検討を早急に進めることを政府に強く求めたいと思っております。

 本法案にはさまざまな指摘があり、衆議院での審議ですべて尽くされたわけではございません。引き続き参議院における実りある審議を期待して、賛成討論とさせていただきます。(拍手)

鴨下委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 ただいま議題となりました政府提出、障害者自立支援法案に反対の立場から討論を行います。

 我が国の障害福祉施策は、その多くは施設と家族への責任転嫁という形で基本的な枠組みが構築されてまいりました。障害者の人権擁護と適正な医療の確保、社会復帰と社会参加の促進という大きな流れの中で、措置制度から支援費制度への移行や障害者基本法の改正が行われ、わずかな大都市を中心としてではありますが、地域での自立や社会参加ということが社会全体に行き渡り始めました。国の役割としては、この流れを積極的に推進し、措置時代の負の遺産を解消していかなければなりません。

 しかしながら、せっかくスタートした支援費制度も、財政問題を理由に破綻を迎えようとしています。厚生労働省は、この財政問題を義務的経費という位置づけで解決しようとしたわけでありますが、それとは引きかえに、障害者の利用者負担とサービス利用の制限という形で、障害者とその家族への負担が押しつけられてしまいました。

 今こそ、国家の責任において、障害者福祉の理念を高らかに打ち上げ、障害者がこの社会の中でごく当たり前に生きていくための保障を構築し、制度を普遍化させていくことこそが喫緊の課題ではないでしょうか。事もあろうに政府は、障害者そして障害児が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行うことの見返りに、その中身が明確になっていないにもかかわらず、対価を要求しようとしています。これは極めて問題であると考えています。

 本来なら、この法律案において、障害者基本法にある「障害者の自立及び社会参加」を基本に置いたものであることが明記され、障害者福祉施策を谷間のないものとするために、対象者の拡大及び抜本的な障害定義の見直しを行うことが必要でありました。その上で、新たな障害福祉サービス、自立支援医療に係る利用者負担について考えるとき、その大前提として、障害者の所得保障の確立、これが図られるべきでありました。民主党は、この理念のために、障害者がより安心した生活、これを送ることができるように、ほんのわずかでも確保できるように、誠心誠意努力してまいりました。

 厚生労働委員会の審議においては、地方公聴会実施の代替措置として、障害者八団体など多くの団体を招き、参考人質疑を行いました。各団体の意見は、私たち民主党が指摘する問題とそのままに重なり合うものであり、これらの問題を解消することなしに法案を成立させてほしくないというものでありました。

 民主党は、与党に対し、障害者施策の体系と法律案の修正の打診をいたしましたが、与党からの回答は極めて冷たいものでした。与党には、障害者の生活実態を考慮し、定率負担や自立支援医療などについて、当面の実施を凍結する等の決意が一切見られませんでした。何のために障害者八団体の意見を聞いたのでしょうか。参考人質疑を行ったという実績、体裁を整えたかっただけではなかったのかと疑わざるを得ません。

 さらに、先般、与党から四項目の修正案が提出されました。これらの修正案は、いずれも形式的で不十分なものであり、本法案の本質を改正するには至っておりません。したがって、賛成することはできません。

 先般成立した介護保険法は、附帯決議において、介護の普遍化、すなわち被保険者と受給者の範囲の拡大、これを行うことが示されました。

 民主党としては、障害者福祉を充実させるためのエージフリーな介護保険制度を求めており、これが実現するならば、将来障害者も介護サービスを利用できるようになります。当然、介護サービスを受けるのならば、自己負担も必要になってまいります。そのためには、しっかりとした所得保障が必要であります。負担をしても生活ができるだけの所得の保障なしに負担を押しつけることは許されません。それまでに所得保障を含む障害者施策の抜本的な改革をしておかなければ、障害者は新たな制度にある大きな網の目からこぼれ落ちてしまいます。そのことに気づきながら本法案を成立させようとするならば、その責はひとえに与党にあると断ぜざるを得ません。

 本法律案の主人公、対象者は一体だれでしょうか。厚生労働省でもなければ財務省でもありません。地域で身体に障害を持ちながら必死に一生懸命生きている障害者本人たちであります。大局的な見地から、障害者の命と尊厳、家族の生活を見詰め直し、障害福祉施策を考えていかなければなりません。民主党は、障害当事者の立場に立ち、このような法律案を認めることはできません。

 そして、データが不明確なまま採決に応じるということも、私は、本来あってはならないと感じております。仮に成立したとしても、仮に成立したとしても、当面、この法律案に基づいて政省令事項が定められていく過程においても、当事者の視点に立った監視をしつつ議論をしてまいりますことをお誓い申し上げ、修正案並びに本法案への私の反対の討論を終わります。(拍手)

鴨下委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党を代表して、障害者自立支援法案に対する反対討論を行います。

 初めに、本法案にかかわる政府提出資料の誤り、また政府答弁の姿勢に、私は厳しい抗議の意思を表明いたします。

 本法案には、いわゆる三障害のサービスを一元化し、義務的経費部分を設けるなどの当然の方向もあります。しかし、本法案には、これらを打ち消して余りある、障害者の生活と権利を脅かす重大な内容が盛り込まれております。

 反対する第一の理由は、障害福祉サービスに利用者一割負担という応益負担、定率負担を導入することです。

 これによって、ホームヘルプで四倍、通所施設で十九倍、全体では年間七百億円を上回る負担増となります。所得保障が全く不十分なもとでは、この負担増に耐えられない多くの障害者を生み出します。負担の上限や減免措置を設けても、決してこれは解消されない問題です。障害者への福祉サービスの利用を益とみなし、負担増を求めること自体、障害者の人権保障に真っ向から反しています。応益負担の導入は、サービスを多く必要とする重度障害者ほど重い負担増を強いるもので、まさに障害者の社会参加と自立の支援に逆行するものではありませんか。通所サービスの食費や、入所施設の食費、居住費、光熱費への負担増、また作業所など働く場での利用料の負担増も、障害者に痛みを押しつけるものにほかなりません。

 第二に、公費負担医療制度にも大きな負担増を求めることです。

 現行では、更生医療、育成医療は応能負担、精神通院公費医療は医療費の五%負担です。法案では、これを原則一割負担とし、一定以上の所得者は医療保険と同様に三割負担とします。さらに、更生医療、育成医療の入院給食費に自己負担を導入します。こうした負担増は、障害者を医療機関から遠ざけ、必要な医療を受けられず、健康状態の悪化すら招きます。自立支援医療などとは決して呼ぶことのできないものです。

 第三に、障害程度区分を初めとして、法案の審議にかかわる重要事項がいずれも政省令事項にゆだねられていることです。

 その数は、告示事項を加えると二百十三項目に達します。法案の重要な内容にかかわる事項が明らかにされないで、どうして十分な審議ができるのか。政省令の基準いかんでは、障害者への一層の負担増と給付減をもたらすのであって、立法府として、このまま認めるわけには到底まいりません。

 与党提案の修正案は、これらの重大な問題点を引き継いだ上に、この間の参考人質疑を初め、障害者団体や関係者から寄せられた多くの要望、提案にこたえておらず、修正の名に値しないものです。

 本法案を撤回し、障害者福祉施策の抜本的な再検討を図ることこそ、私たちに求められた切実な課題ではありませんか。

 以上、主な反対理由を申し上げて、私の日本共産党を代表いたしましての反対討論といたします。(拍手)

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、社会民主党を代表して、障害者自立支援法案に反対する討論を行います。

 まず、反対の第一の理由は、本法案がこれまでの障害者福祉、公費負担医療のあり方を大転換させる内容でありながら、その基礎となる障害者の就労状況、所得把握、生活の実態、医療の必要性等について正確なデータを欠いているという点です。

 尾辻大臣みずからがデータの誤りを謝罪し、さらにデータが乏しいと認めたことは、本法案の根拠自体が崩れていると言わざるを得ません。障害者、障害児の生命線にかかわる法律をかくもぞんざいに進めることは、社会福祉を担当する省庁としてはあるまじき行為だと思います。

 第二に、障害福祉の分野に定率、応益負担制度を新たに導入するとしている点です。

 本格的な障害者の所得保障と抜本的な就労対策がないままサービスの利用量に応じた負担制度を導入することは、極めて深刻な影響を及ぼします。多くの障害者は既に生活保護以下の所得水準にあり、定率負担が導入されればさらに生活水準が引き下げられることはもう明らかです。

 そればかりか、例えば障害者すら自己負担したんだからという論法で、この定率負担が他の、例えば生活保護受給者や母子家庭、一人親家庭などにさまざまな困難をさらに与えかねない、そうした沈め石になることです。日本の社会福祉の最低ラインを引き下げることにつながりかねません。社会的な支援を必要としている人に対して、困難、障害が重ければ重いほど負担を重くするという制度は根本的に誤っています。社会保障、社会福祉の名に値しません。

 また、世帯単位の収入に基づく負担上限額等の設定は、家族への依存を前提とするものであり、国が障害者施策として進めてきた社会的な自立の促進、個としての対等性の尊重に明らかに逆行するものです。

 第三に、障害福祉サービスを主とする法案に目的の異なる医療を入れ込み、自立支援医療と称して、従来の精神通院公費、更生医療、育成医療などを解体してしまう愚を犯していることです。

 医療負担の増加は、障害者、障害児の受診抑制、医療の中断、新たな障害の発生、ひいては生命の危機に直結します。特に精神障害者通院医療は、現行一律五%の負担から原則一割、所得税三十万円以上の方では三割と非常に重い負担となります。地域生活の継続、再発防止、自殺防止のために同医療が果たしている役割がいかに大きいかをきっちりと厚生労働省は知るべきであります。

 第四に、障害者、障害児の地域生活や自立を支えるための社会基盤、つまり就労の場、住居、人の支え等が絶対的に不足し、地域間格差も歴然としている現状を本法案が全く踏まえていないという点です。基盤整備によってサービス量が確保されてこそ、地域生活、自立は可能であり、それを強力に推し進める特別立法などの施策が不可欠です。

 さて、発達、育成期にある障害児については、本法案は冷酷ですらあります。児童福祉法、子どもの権利条約の観点から、育成医療、福祉施策を断固継続すべきです。

 他にも、本法の基準となる障害程度認定区分、基準額等の詳細が政省令にゆだねられ実相がつかめないという問題、サービス支給の決定や市町村審査会などにおける障害当事者のアクセス権の確保、障害者の社会参加の基本となる移動介護や重度障害者の地域自立生活の保障、さまざまな点において懸念が深まるばかりです。

 なお、本法案への修正案は、障害者基本法にのっとることを規定したとはいえ、逆に、自立支援医療の施行期日の変更等を伴うことを見ても、本法案がいかに拙速に策定され、また、根本的な修正をもたらしていない案に終わっていると思います。さらに、障害定義を国際的な基準に合わせることや障害者等の所得の確保はこれまで積み残されてきた課題であり、修正案を待たずとも、即刻着手すべきものであると思います。

 以上をもって私の反対討論といたします。(拍手)

鴨下委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、障害者自立支援法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、八代英太君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、本案に対し、大村秀章君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されています。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表しまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    障害者自立支援法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 附則第三条第一項に規定する障害者の範囲の検討については、障害者などの福祉に関する他の法律の施行状況を踏まえ、発達障害・難病などを含め、サービスを必要とするすべての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこと。

 二 附則第三条第三項に規定する検討については、就労の支援も含め、障害者の生活の安定を図ることを目的とし、社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと併せて、障害者の所得の確保に係る施策の在り方の検討を速やかに開始し、三年以内にその結論を得ること。

 三 障害福祉サービス及び自立支援医療の自己負担の上限を決める際の所得の認定に当たっては、障害者自立の観点から、税制及び医療保険において親・子・兄弟の被扶養者でない場合には、生計を一にする世帯の所得ではなく、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択可能な仕組みとすること。また、今回設けられる負担軽減の措置が必要な者に確実に適用されるよう、障害者及び障害児の保護者に周知徹底すること。

 四 市町村の審査会は、障害者の実情に通じた者が委員として選ばれるようにすること。特に障害保健福祉の学識経験を有する者であって、中立かつ公正な立場で審査が行える者であれば、障害者を委員に加えることが望ましいことを市町村に周知すること。また、市町村が支給決定を行うに当たっては、障害者の実情がよりよく反映されたものとなるよう、市町村職員による面接調査の結果や福祉サービスの利用に関する意向を十分踏まえるとともに、不服がある場合には都道府県知事に申立てを行い、自ら意見を述べる機会が与えられることを障害者及び障害児の保護者に十分周知すること。

 五 国及び地方自治体は、障害者が居住する地域において、円滑にサービスを利用できるよう、サービス提供体制の整備を図ることを障害福祉計画に十分に盛り込むとともに、地域生活支援事業として位置付けられる移動支援事業、コミュニケーション支援事業、相談支援事業、地域活動支援センター事業などについては、障害者の社会参加と自立生活を維持、向上することを目的として、障害福祉計画の中に地域の実情に応じてこれらサービスの数値目標を記載することとするとともに、これらの水準がこれまでの水準を下回らないための十分な予算の確保を図ること。

 六 自立支援医療については、医療上の必要性から継続的に相当額医療費負担が発生することを理由に、月ごとの利用者負担の上限を設ける者の範囲については、速やかに検討を進め、施行前において適切に対応するとともに、施行後も必要な見直しを図ること。

   自立支援医療のうち、児童の健全育成を目的としたものについては、その趣旨にかんがみ、施行までに利用者負担の適切な水準について十分検討すること。

 七 精神病院におけるいわゆる七・二万人の社会的入院患者の解消を図るとともに、それらの者の地域における生活が円滑に行われるよう、必要な措置を講ずること。

 八 居住支援サービスの実施に当たっては、サービスの質の確保を前提に、障害程度別に入居の振り分けが行われない仕組みや、重度障害者が入居可能なサービス基準の確保、グループホームの事業者の責任においてホームヘルパーの利用を可能とすることなどについて必要な措置を講ずること。

 九 良質なサービスを提供する小規模作業所については、新たな障害福祉サービス体系において、その柔軟な機能が発揮出来るよう位置付けるとともに、新たな施設体系への移行がスムーズに行えるよう、必要な措置を講ずること。

 十 障害者の虐待防止のための取組み、障害を理由とする差別禁止に係わる取組み、成年後見制度その他障害者の権利擁護のための取組みについて、より実効的なものとなるよう検討し必要な措置を講ずること。

 十一 本法の施行状況の定期的な検証に資するため、本委員会の求めに応じ、施行後の状況、検討規定に係る進捗状況について、報告を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

鴨下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

鴨下委員長 次に、内閣提出、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 労働安全衛生法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

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尾辻国務大臣 ただいま議題となりました労働安全衛生法等の一部を改正する法律案の提案理由説明に先立ちまして、一言申し上げます。

 去る七月五日、衛藤晟一厚生労働副大臣及び森岡正宏厚生労働大臣政務官が免職となりましたが、厚生労働行政の推進にひとときの停滞もなきよう、直ちに、当面の対応として、これまで両名が担当してきた職務の範囲を含め、厚生労働省の所掌分野全般を西副大臣及び藤井政務官が担当するよう指示いたしました。

 お願いしております法案審議への対応も含め、今後とも、両名とともに諸課題の解決に向けて全力を尽くし、厚生労働行政の推進に邁進する所存でありますので、委員長を初め皆様方の一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 引き続き、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 働き方の多様化が進む中で、製造業等における重大な労働災害の頻発、長時間労働に伴う脳・心臓疾患や精神障害の増加など労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化していることに的確に対処していくことが喫緊の課題となっております。

 このため、政府といたしましては、必要な施策を整備充実するため、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。

 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。

 第一に、労働安全衛生法の一部改正であります。

 事業者の自主的な安全衛生活動の促進、危険有害な化学物質の表示制度の改善、製造業等における元方事業者による作業間の連絡調整の実施など事業者による措置の充実を図るとともに、医師による面接指導の実施等により、過重労働、メンタルヘルス対策の充実を図ることとしております。

 第二に、労働者災害補償保険法の一部改正であります。

 複数就業者の事業場間の移動、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居の間の移動を、通勤災害保護制度の対象とすることとしております。

 第三に、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。

 事業の期間が予定されている事業である有期事業に関し、事業場ごとの災害率により保険料を増減させるメリット制について、その増減幅の上限を百分の三十五から百分の四十に拡大することとしております。

 第四に、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部改正であります。

 全労働者一律の目標に向けた労働時間の短縮を図る法律から、労働者の健康や生活に配慮した労働時間等の設定に向けた関係者の自主的な努力を促進する法律に改めるとともに、指定法人を通じた助成等の仕組みを廃止することとしております。

 なお、この法律は、一部を除き、平成十八年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

鴨下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十一分散会


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