衆議院

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第3号 平成17年10月14日(金曜日)

会議録本文へ
平成十七年十月十四日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 石崎  岳君 理事 大村 秀章君

   理事 北川 知克君 理事 長勢 甚遠君

   理事 宮澤 洋一君 理事 仙谷 由人君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      上野賢一郎君    岡下 信子君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    河野 太郎君

      清水鴻一郎君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    寺田  稔君

      戸井田 徹君    冨岡  勉君

      中山 泰秀君    西川 京子君

      林   潤君    原田 令嗣君

      福岡 資麿君    藤井 勇治君

      藤田 幹雄君    松浪 健太君

      御法川信英君    矢野 隆司君

      吉野 正芳君    内山  晃君

      菊田真紀子君    北神 圭朗君

      五島 正規君    郡  和子君

      鈴木 克昌君    園田 康博君

      田名部匡代君    三井 辨雄君

      村井 宗明君    森本 哲生君

      柚木 道義君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    笠井  亮君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            鈴木 直和君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君

   参考人

   (日本郵政公社人事部門厚生労働部長)       日野 和也君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十四日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     寺田  稔君

  岡下 信子君     矢野 隆司君

  川条 志嘉君     藤井 勇治君

  河野 太郎君     藤田 幹雄君

  清水鴻一郎君     清水清一朗君

  冨岡  勉君     杉村 太蔵君

  吉野 正芳君     柴山 昌彦君

  郡  和子君     森本 哲生君

  柚木 道義君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     清水鴻一郎君

  柴山 昌彦君     吉野 正芳君

  杉村 太蔵君     冨岡  勉君

  寺田  稔君     井上 信治君

  藤井 勇治君     川条 志嘉君

  藤田 幹雄君     河野 太郎君

  矢野 隆司君     岡下 信子君

  北神 圭朗君     鈴木 克昌君

  森本 哲生君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 克昌君     柚木 道義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 労働安全衛生法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社人事部門厚生労働部長日野和也君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として厚生労働省労働基準局長青木豊君、職業安定局長鈴木直和君、雇用均等・児童家庭局長北井久美子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山泰秀君。

中山(泰)委員 おはようございます。自由民主党、中山泰秀でございます。

 まず冒頭、今回四十四回目の衆議院選挙を終えまして、私、個人的には実は初質問でございます。ひとつ大臣、よろしくお願い申し上げます。

 そしてまた、同時に、きょうは私の誕生日でございまして……ありがとうございます。実はめでたく人生三十五年目に突入をいたしました。今、赤ん坊が一・三歳、妻一人、しっかりと家族一丸となって、いわゆる子育て育成支援にも取り組んでおる現役世代でございます。

 そして同時に、私、今から数えますこと十年前、初めての選挙を戦いました。初当選するまで八年、三度の国政選挙に出まして三回落選、地方選挙に一回出まして落選、八年間で四回の落選を経験しての十年目の戦いで初めて小選挙区で勝利をさせていただきましたことに、私を御推挙いただきました大阪四区の有権者の皆様方にも心から冒頭感謝を申し上げさせていただきたいというふうに考えております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず最初に、大臣に御質問をさせていただきたいと思いますけれども、今回、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案という中で、特に時短法が制定された平成四年、一九九二年以降、いわゆるバブルの崩壊、そしてまた景気の低迷、ニート、フリーターがその後増加傾向の一途をたどっておりますけれども、このような経緯を踏まえながら、今あえてこの時期に時短法を改正しようという政府のねらい、そういったもの、大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

尾辻国務大臣 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法は、経済力と国民生活の乖離、貿易の対外不均衡解消を目的として、労働時間短縮推進計画を策定することとし、同計画において千八百時間を目標に掲げ、労働時間短縮の促進を図ってきたものでございます。

 しかし、現在、千八百時間をおおむね達成いたしました。その一方で、労働時間分布の二極分化の進展、育児、介護、単身赴任、自己啓発等労働者が抱える事情の多様化、過労による健康障害の発生等の問題が生じております。このような情勢を踏まえまして、今法改正を行おうとしておるところでございます。

 この新しい労働時間等の設定の改善に関する特別措置法によりまして、労働者一人一人の生活と健康に配慮した労働時間等の設定改善が促進されるだけでなく、各企業にとっても効率的な事業運営に役立ち、ひいては国全体の経済によい影響を及ぼすものと考えておるところでございます。

 また、今先生そのさなかと言っておられましたけれども、育児に適した労働時間等の設定が進むことによりまして、経済成長を阻害すると危惧される少子化問題の解決にも資するものと考えておるところでございます。

中山(泰)委員 大臣、ありがとうございます。

 特に今回のこの時短、当時は恐らく時間ありきという形で進められていたと思いますけれども、逆にその分労働者御本人の特性というものが多少見逃されていた部分というのがあるのではないのかという心配をいたしております。

 そしてまた、同時に、私ども小さいときは、銀行の前を通ったら、一週間七日間あって、日曜日がお休み、土曜日も一生懸命働いていた日本人の姿というもの、幼少期からあこがれて、やがて自分も社会人になったら、まじめに働いてそして一日休む。そして同時に、できる限り、例えば一時間の範囲であればその一時間をどうやって内容の濃い一時間、そしてその労働が労働者本人に対する対価、そして同時に、それが強いて言えば納税とか国家に対する寄与という部分にもはね返ってくる。逆に、その一時間というものを、余暇を過ごしながら、もしくはフレキシビリティーというものをいろいろ自分なりにまぜ合わせながら自分なりの労働をするというような考え方の労働者も時代とともにふえております。

 そういった中で、今回のこの時短法の改正というものは、はっきりと労働者本位の性格というものを打ち出した法案と私は考えておりますので、今大臣が御所見を申し述べられたような形で、しっかりとこれからの二十一世紀の新しい時代に、逆に企業が労働者のことを考えて取り組みやすい、企業として使用者としてできるフレキシビリティー、そして同時に、政府として行政として取り組める国家としてのフレキシビリティー、それを労働者のために行っていただきたい、かように考えておる次第でございます。

 そして同時に、きょうは参議院の本会議が十時から始まるということでございまして、特に、障害者自立支援法の問題、大切な問題が御審議になると思います。障害者の方々のいわゆる労働施策というもの、個人の特性、それこそお一人お一人のお体の特性、特質、障害の性格というものも勘案しなければいけない大切な問題でございます。

 自立支援、いわゆる御自身が働きたいというお気持ちをすべての人たちに享受してもらう、その性格をぜひしっかりと胸にお秘めになられまして、参議院の方にはもうお時間、多少遠うございますので、どうぞお忙しければ御退席をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。大臣、ありがとうございました。

 そして同時に、今回、この労働安全衛生法等の一部を改正する法律案の中で、いわゆる危険性そしてまた有害性の低減に向けた事業者の措置の充実というもの、その点に関してお伺いをさせていただきたいと思っております。

 労働災害の要因となります危険性、有害性に係る調査及び低減措置を拡充するとともに、こうした措置を適切に実施していると認められる事業者について、機械等の設置に係る事前の届け出義務を免除するということがうたわれておりますけれども、こうした措置を適切に実施しているのか否かということをどのように御判断されるのか、そしてまた何かその判断の基準というものがあるのかということをお伺いさせていただきたいと思います。

青木政府参考人 今回、法律改正案で御審議をお願いしています中では、この危険性、有害性の調査、低減措置ということが適切に実施されているということを重要なものとしてとらえております。

 今の御質問でありますが、こういったことの判断、これにつきましては、労働基準監督署長が認定をいたしましてやっていくということにいたしております。具体的には、安全衛生管理体制でありますとかトップの安全意識、あるいは危険性または有害性等の調査の実施状況、それからその実績としての安全衛生水準、それが高いということについて書面あるいは実地調査をいたしまして確認をして、その上でこの判断を行うということにいたしております。

中山(泰)委員 ある一定の基準とかある一定の調査といいましても、人間のすることですから、双方ともに何か間違いがあってはいけないということ、それをぜひ行政としては肝に銘じていただいて、くれぐれも、今回の措置というのは、低減に向けた事業者の措置の充実ということを図るためにおつくりをいただいている法案と考えておりますけれども、本来の目的というのは、労働災害を減らすということが一番大きな大義名分でございますので、この点をしっかりと考えて、そこに重点を置いて、今おっしゃっていただいたような方向性でお願いをしたいと思います。

 そしてまた、どんどんこの法案に関して、もし法案が成立した後、実例というものができてくるかと思いますけれども、その中で、いろいろな経験をしっかりとお踏まえをいただいた中で、判断基準の正確さ、そういったものを確立していただき、そして同時に、国民に対し、そしてまた労働者に対して、そういったものの明確なわかりやすい御説明を、適宜いろいろな情報の発信ツールを使って情報発信をしていただきたいと思います。

 それでは、逆に、今回この法案が審議されるに至ります経緯の中で、いわゆる労働災害の発生状況というものが、昭和六十年の百四十一件というものを最低に、その後どんどん増加傾向にございます。特に、一度に三人以上が被災をするという重大災害の発生件数というものが著しくふえております。

 それらの労働災害に至るまでの予防的措置として、事業者による自主的な安全衛生活動というものが非常に大切な問題と考えております。特に、労働安全衛生マネジメントシステムというシステムを適切に実施している事業場に対して、先ほど申し上げた機械等の設置計画の届け出義務を免除するとのことでございますけれども、監督署の事前チェックを行わないということも、逆に言えば、言えると思います。各事業場における安全水準の低下を招いてしまうというリスクが逆に生ずると思いますけれども、その点に関しましては、いかがお考えでございますでしょうか。

青木政府参考人 今、委員が御指摘になりましたように、今度の改正では、労働安全衛生マネジメントシステムというものを実施している、そしてその安全衛生水準が高い、そういうこととして労働基準監督署長の認定を受けた事業者につきましては、機械等の計画の届け出義務を免除するということにいたしております。

 この労働安全衛生マネジメントシステムは、いわば事業場内における安全衛生管理というものを継続的、組織的に行っていくというシステムで、民間でも開発をされて、先行的に随分と進んできているものだというふうに思っております。いろいろな計画を立てて、それに対して、その安全衛生水準を高め、維持をするためにそういったいろいろな対策を講じていく、そしてまたそれの検証、評価をする、そしてまた次につなげるというようなサイクルで、継続的にやるということであります。

 したがって、現行法で、特定の機械等につきましては危険性が高いということで、事前の計画の届け出を義務づけておりますけれども、むしろ、こういった労働安全衛生マネジメントシステムについては、その中核であります危険性あるいは有害性の調査が適切に実施されまして、かつ、その実績としての安全衛生水準が高い事業場ということでありますので、そういった機械等の計画の策定に際しまして、労働安全衛生法令違反の有無についても適切にチェックしているということが見込まれるということでありますので、行政において、そういった現行であります個々の機械についての事前のチェックというのは必要ないというふうに判断をいたして、御提案を申し上げているところでございます。

 したがって、労働安全衛生マネジメントシステムの導入がなされるということであれば、その一定の要件を満たした事業者に機械の計画の届け出義務を免除したとしても、これはその事業場における安全衛生水準が低下するというようなことはないというふうに考えておりますので、この安全衛生マネジメントシステムをきちんとやっていただくということで、私どももしっかりと指導をしていきたいというふうに思っております。

中山(泰)委員 かなり企業側というか事業場側の御協力を得ながら遂行しなければいけないシステムというふうに考えておりますので、チェックという体制、行政としてのそういった監督というあり方よりも、ある意味行政らしくないというか、民間と一緒になって現場を見て、一緒になってこういったシステムを活用していただくような、クリエートさせるためのいろいろな御指導をそういった事業場に対してしていただくということが、逆に民間からも、お上がこう言っているけれども、いざやってみて、ある日突然何かミスを犯してしまったとかそういったときに、いきなり来て、また工場の操業停止とかと言われると、民間の方は萎縮をしてしまって、そういった萎縮をしたようなものがまたほかの企業にも伝播しては、この法案の趣旨の意味というものがなくなってくるというふうに考えますので、ソフトな形で民間と協力しながら推進をしていただければありがたいというふうに考えております。

 そしてまた同時に、今の御答弁の内容に対して、逆に、いわば監督署に届け出を行っておらない機械等というものができてしまう、そういった機械等によって労働災害が発生した場合、行政としてどのような責任が生ずると考えておられるでしょうか。

青木政府参考人 ただいまの御質問でございますけれども、今私が申し上げましたように、これにつきましては、事業場に危険、有害な機械等が設置されることを事前に防止するために設置計画を監督署に届け出るということにいたしているわけですけれども、これは、監督署において設置計画の法令違反の有無を確認するというために行っているものでございます。

 一方、今度お願いをしておりますシステムにつきましては、監督署長の認定を企業なり事業場について行うわけでありますが、これは、労働安全衛生マネジメントシステムを適切に運用していて、機械等の設置計画の策定に際しましてみずから法令違反の有無をもちろんチェックしますけれども、さらに、それだけではなくて、より高いレベルでのさまざまの安全衛生管理を行うということについてもチェックを行う、そういうことが見込まれる事業者につきましてこの制度を導入してもらうということにいたしております。したがって、監督署長の認定というのは、お話しになりました、監督署に機械等の設置届け、こういったものに対しまする監督署の事前審査に代替するものというふうに考えております。

 したがって、お話にありましたように、新しいシステムで認定を受けた事業者につきまして、現行の機械等の設置計画の提出を不要としているものにつきましても、一つには、行政の認定も事故が起きないことを保証しているものではありませんし、認定を受けた事業者が労働災害を発生させた場合の行政責任ということでありますけれども、これは、機械の設置計画を届け出た事業者が事故を発生させた場合と同様、今までと変わるものではないというふうに考えております。

中山(泰)委員 可能性というのは、いい方向にも悪い方向にも広がりますので、ぜひ悪い方向に広がる可能性というものを極力減らしていただけるような形で推進をしていただけたらありがたいというふうに考えております。

 次に、いわゆる混在作業における元方事業者による連絡調整についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 段取りの把握、調整、指示ということで、効率化、合理化が製造業の作業工程において経済的な側面からのみ考えられるのではなく、今回のように安全性という側面からも具体的作業として法律に盛り込まれることによって、結果、安全が金銭的価値でははかれないくらいの利益や幸福を企業、労働者双方にもたらすものと考えておりますが、いかがでしょうか。短く御答弁いただけたらありがたいと思います。

青木政府参考人 委員の御指摘のように、今度の連絡調整ということにつきましては、安全面に着目した対策を講ずることによりまして、結果として作業工程の効率化とか合理化に資するものでございます。またさらに、労働者の安全を確保することによりまして、労働者自身がその持てる力を十分に発揮することができるだろうし、それをまた企業が受け取ることを通じまして、今お話にありましたように、労働者自身のみならず、企業にも大きな利益をもたらすものであるというふうに思っております。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 次に、長時間労働者の増加といわゆる健康障害の深刻化にかんがみまして、その労働者のほとんどが家族を有し、一家の大黒柱として、男女、年齢を問わず働いておいでのことと御推察を申し上げております。特に、少子化、高齢化という問題を踏まえている現在の日本の状況、現状を考えますと、それら労働者の健康管理というものは大切な問題であるというふうに私は考えております。

 家族、そしてまた御家庭におけるそれらの方々の健康を、行政として今回の法改正で現在以上にどのような方向性に導こうとされておられるのかということ、そしてまた、子育てや育児ノイローゼ等、具体的に小児科医等の減少、そして子育てにおける養育費等の問題が、お母さんやお父さんの精神状態にも多大な影響を及ぼしていると考えておりますが、行政としてどのように御対応なさるおつもりか、お聞かせをいただけたらありがたいと思います。

青木政府参考人 今回、面接制度というものを導入しようということであります。これは、長時間にわたる労働が脳心疾患の発症と関連性が強いという医学的知見が得られていることから、労働時間に着目しまして、長時間労働により発症リスクが高まったときに、医師がその労働者に面接をしまして、疲労の蓄積の状況を把握しまして適正な指導を行うということで、健康被害、そういったものを予防しようということで考えております。

 今お話のありましたように、精神的なストレスということでありますけれども、これは、現在でも仕事や職業生活に関して強い不安やストレスを持っておられるという労働者が六割を超えておりまして、精神障害に関する労災保険給付の請求件数も増加しているということで、労働者の心の健康づくりというようなことは極めて重要だ、おっしゃるとおりだと思っております。

 そして、この長時間労働とメンタルヘルスとの関連も指摘をされているところであります。したがって、医師による面接におきまして、あわせてこのメンタルヘルス面についても留意するということにいたしまして、そういったメンタルヘルス不調の予防も図ろうということにいたしております。

 今回の法改正とあわせまして、平成十二年に策定しました指針などの見直しを行いまして、必要な指導を事業主や事業主団体にしようというふうに思っておりますけれども、その支援措置についても、事業場に支援するということだけにとどまらず、お話に出ましたような家族を含めた相談体制なども整備をいたしまして、抜本的に拡充をしようというふうに思っております。事業場におけるメンタルヘルス対策も強力にバックアップしたいというふうに思っております。

中山(泰)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 特に、働けど働けどサービス残業ばかりがふえていく、もしくは土曜日、日曜日、おうちに帰って奥様やお子様のお顔を見て、しかし懐状況を考えると将来に対する不安、そして同時に、少子化、高齢化という言葉ばかりが、私も先ほど来質問の中にも織りまぜておりますけれども、走っていくという現状を、私たちのような若い世代の労働者は特に将来に対する不安を抱かざるを得ないような環境にございます。そういった面から、ぜひ、今局長からの御発言があったような形で、しっかりと整備をしていただけたらありがたいというふうに考えております。

 次に、労働者の災害補償保険法の一部改正についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 いわゆる通勤災害保護制度の改正内容でございますけれども、今回の改正のように保護の対象とする部分を広げてまいりますと、微増ではございますけれども保険料の負担が増加する可能性があると考えておりますが、使用者側が通勤災害の予防に積極的に現在よりも取り組めるように、通勤災害という点においても、いわゆるメリット制などのコンセプトやアイデアというものに取り組んでいって、両者に対していいような制度というものができ得るようなことが将来的にあればいいなと考えておりますけれども、そういったアイデア、知恵というもの、何かございますでしょうか。

青木政府参考人 労働災害をできるだけなくしていこう、予防していこうという観点から、いわば労災保険におけるメリット制というのも役に立っているだろうというふうに思っておりますけれども、おっしゃったように一つのアイデアかとは思いますが、通勤災害につきましては、一般的に事業主の支配下において発生するものではないというふうに思っております。業務災害のように事業主の努力によって災害発生を防止するということがなかなかできないということでございますので、労災のメリット制の対象とするというのはなかなか難しいんじゃないかなというふうには思っております。

 できるだけそういった災害防止に事業主が取り組むあるいは自主的に取り組んでいくということはとても大切なことでありますので、そういったいろいろな方法、必ずしも労災保険のメリット制だけでなくて、そういうものをいろいろ考えて取り組んでいきたいというふうに思っております。

中山(泰)委員 事業主の努力によってなし得る部分が少ないかもわからないというような趣旨の御発言があったかと思うんですが、果たしてそうかな、私は逆に違うんじゃないかと思っております。

 特に、例えば営業車を使用するような企業なんかはタコメーターなんかを載せて、その車が一日どういう走行状態であったとかそういったものを管理者側としてしっかり見るような部門もございます。そういった中で、例えばスピードを出し過ぎの人とか、もしくは一生懸命走っている割には稼ぎが少ないような者に対する監督というものを、どんどんマーケティング論にのっとって企業というのは自助努力をやっています。

 その中で、事業者の努力がこういった労働災害の部分にも及ぼす影響というのは非常に大きいと考えておりますので、ぜひそういった観点からも、行政としての取り組みをお忘れなきようにお願いを申し上げたいというふうに考えております。

 最後に、先ほど大臣にも御質問をさせていただきました、現行の労働時間短縮推進計画をやめて労働時間等設定改善指針を定めると私聞き及んでおりますけれども、法改正後、仮に審議会において議論がなされるときに、私はいつも思うんですけれども、例えば文科省が日本のいわゆる教育水準レベルの平均が下がっているとかというときに、大学とか上の部分ばかり見ているような感じがして仕方がないんですね。

 例えば、何らかの理由によって高校を中退せざるを得なくなった方、もしくは中卒者、ですけれども、厳しい環境の中、アルバイトをしたりしながらでも向学心を抱いて夜学に通ったりされる、そして、大検を受けて、将来的に少しでもよい労働条件のもとで働こうとしている人たちというのもたくさんおいでになられます。いわゆる教育弱者に対しての視点というものを忘れないようにしていただけたらありがたいなというふうに考えております。

 例えばそういった人たち、私も大検の受験会場に行ったことがありますけれども、十六歳の現役の方から七、八十歳の方まで、同じように縄跳びのテストですとかそういったことをやったりして、それでも一生懸命大検を受けてパスしたいと思っている方はいっぱいいらっしゃるんですね。そういった方々が、アルバイト雑誌なんかを見ると、みんな高卒、時給八百円と書いてあるんですね。では一体義務教育というのは何なんだという気も私はふだんから抱いておりますので、規制緩和、文科省も頑張って、一年に一回の大検を一年に二回にしてくださいました。こういった視点を忘れることなく、ぜひその審議の中にも盛り込んでいただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 時間でございますので、もう御答弁は結構でございますから、お願いを申し上げさせていただきまして、私の質問にかえさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、新井悦二君。

新井委員 自由民主党、埼玉十一区より選出いたしました新井悦二です。

 今回、国会議員となりまして初の質問であります。また、中野副大臣におかれましては、同郷ということで、これからもまた御指導、御鞭撻をひとつよろしくお願いいたします。

 ただいま議題となりました政府提出の労働安全衛生法等の一部改正に対する法案に対しまして、御質問させていただきます。

 JR西日本の福知山線の脱線事故につきましては、多くの死者を出すなど大惨事になったことは皆様も御記憶に新しいと思っております。また、私も歯科医師として二十年近く医療に携わってまいりましたけれども、やはり、医療事故そしてまた医療ミスなどが頻発し、新聞紙面をにぎわし、社会問題化しているのも現実であります。こうした事故が発生するメカニズムを考えますと、やはり過労が大きくかかわっているのではないかと考えるところであります。

 私たちにとりましては、健康は何よりも重要であります。健康な体であってこそ十分な仕事ができるわけであります。労働によって健康が損なわれ、体を壊し、労働災害や事故を引き起こす結果となってはいけないのであります。健康で安全に働ける快適な職場環境を整え、だれもが安心して豊かな生活を送ることができるように、社会全体にとりましてもこれは重要な課題であると思っております。

 かつて、宮澤喜一内閣は、生活大国の現実を内閣の目標として掲げてまいりました。日本人がゆとりと豊かさを実感できる社会を築くことを目的として、数々の取り組みが実施されたわけであります。一九九二年には時短促進法を制定し、目標であります年間総労働時間千八百時間に対して、十年後にはほぼ近いレベルまで短縮することができました。

 この短縮の原因といたしましては、やはり法整備によるところが多大であると認識しておりますけれども、一方で、雇用の多様化、パート労働者が増加したことや、経済が低迷したことによる時間外労働の減少が少なからず影響しているのではないかと思っております。

 このような状況におきまして、政府提出の労働安全衛生法の一部改正、労働者災害補償保険法の一部改正、労働保険の保険料の徴収にかかわる法律の一部改正、労働時間の短縮の促進にかかわる臨時措置法の一部改正に対しまして御質問をさせていただきます。

 まず第一に、労働安全衛生法の一部改正につきまして御質問をさせていただきます。

 今回の改正で、事業者の自主努力に対する機械等にかかわる事前届け出義務を免除するというものであると思いますけれども、この改正のねらいと、そしてまたメリットについてお伺いいたします。

中野副大臣 歯科医師として厚生労働問題に長らく関係なさいました新井議員に、埼玉出身でございますが、御質問にお答えをしたいと思います。

 近年、重大災害発生件数が増加傾向を示しておりまして、その背景には、生産工程の多様化、複雑化、新たな機械設備、化学物質等の導入によりまして、事業所内の危険性、有害性が多様化いたしまして、その把握が困難になっていることがございます。そのため、本改正案におきまして、企業が自主的に危険性または有害性を調査し、これに基づきリスクの低減措置を実施するという手法を導入したところでございます。

 さらに、危険性または有害性の調査を適切に実施し、かつその実績として安全衛生水準が高いと労働基準監督署長が認定する事業所におきましては、機械等の計画の策定に際しまして、みずから労働安全衛生法令違反の有無についても適切にチェックをしているということが見込まれるために、行政に対する事前の届け出を免除したものでございます。

 これらの改正によりまして、労働災害の潜在的危険性が低減され、安全衛生水準の向上が図られるものと考えております。

新井委員 次に、過重労働とメンタルヘルス対策の充実といたしまして、百時間以上を超える残業をした労働者から申し出があった場合には、医師による面接指導を行うことが盛り込まれていると思いますけれども、この対象を百時間以上の残業をした者とした経過について、また、私は五十時間ぐらいでもいいと思っておるんですけれども、その経緯についてお伺いいたします。

青木政府参考人 今回創設します面接指導といいますのは、脳・心臓疾患の発症リスクが高いと考えられる者につきまして、健康管理の面からのチェックと指導を行うというものでございまして、委員お話ありましたように、時間外労働が月百時間を超える者としようというふうに思っております。

 これは、月百時間以上の時間外労働を行った上で、一日二十四時間のうちに人間として必要な労働以外の生活時間六時間を確保しようとすると、睡眠時間は五時間以下となるということでございます。睡眠時間が六時間から八時間の場合と比較しまして、睡眠時間が五時間以下になりますと、脳心疾患を発症する危険性が二倍から三倍になるという医学的知見があります。こういったことを踏まえたためにこういった基準にしております。長時間労働とメンタルヘルス不調との関連も指摘されておりますので、この面接指導に当たっては、メンタルヘルス面でのチェックも行うことといたしております。

 この面接指導の対象とならない労働者でありましても、健康への配慮が必要なものにつきましては、必要な措置を講ずるように努めなければならないとしております。こういった努めなければならないとしている対象者は、月八十時間を超える時間外労働により疲労の蓄積が認められる労働者であって申し出を行った労働者、これが一つでございます。もう一つは、事業場で定めた基準に該当する労働者というふうにすることを考えております。この事業場において基準を定めるに当たりましては、月四十五時間を超える時間外労働を行った者もこの中に入れようというふうに考えております。努力義務としての措置の対象となるように、私どもとしても勧奨をしたいというふうに考えております。

 五十時間というお話もございましたが、そのように考えているところでございます。

新井委員 次に、労働者災害補償保険法の一部改正につきましてお尋ねいたします。

 法案では、複数就業者の場合には、第一事業場から第二事業場への移動に際して通勤災害保護制度の対象とするところとなっております。この適用に際して、むだなく第二の事業場に移動した場合は当然この適用とされると思っておりますけれども、例えば食事とか買い物、多少の迂回をした場合での移動は適用になるか、どこまでの範囲がこの適用になるのか、それについてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

青木政府参考人 複数就業者が事業場間を移動する際に通常の経路を外れた場合の取り扱いについての御質問でありましたけれども、これは、従来の通勤災害におきましても、そういった通常の経路を外れた場合の取り扱いというのがございますが、それと同様の取り扱いというふうに考えております。

 すなわち、通常の経路を逸脱した場合には、原則として、その逸脱を開始した後の行為は保護の対象としない。逸脱を開始した後の行為は保護の対象としませんけれども、その逸脱等の行為が、日用品の購入、お話にありましたような食事、買い物、あるいは病院での診療等、日常生活上必要やむを得ない理由により行う最小限度の行為である場合には、その逸脱等をしている間は除きますけれども、保護の対象とするということにいたしております。

新井委員 また、保険を適用する際の給付基礎日額の算定方法についてお伺いしたいと思います。

 複数就業者の場合には、賃金を別々の事業場から受け取っております。給付基礎日額の算定が問題となると思っておりますけれども、その給付日額の扱いをどのようにするのかということをお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 委員が今御指摘になりましたように、複数就業者の場合の給付基礎日額につきましては議論のあったところでございます。

 この複数就業者の事業場間の移動における通勤災害に関する給付につきましては、その移動というものが第二の事業場で就業するためのものということになりますので、第二の事業場の給付基礎日額を基礎に算定することといたしております。

新井委員 はい、わかりました。

 次に、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正についてお尋ねいたします。

 今回の改正では、有期事業のメリット増減幅を三五%から四〇%に引き上げたというものでございますけれども、この増減幅を拡大することにより労働災害を抑止する予防対策につながるものと考えておりますけれども、一方で、四〇%に上げることで労災隠しの要因となっているのではないかと危惧されるところもあります。この辺のところのさじかげんというのは非常に難しいところだと思っておりますけれども、四〇%に引き上げるねらいをまずお聞かせいただきたいと思います。

中野副大臣 御承知のように、建設業のような有期事業における最近の災害発生状況を見ますと、一般の工場でありますところの継続事業のメリット増減幅が四〇%に拡大された昭和五十五年当時の全産業の平均を、建設業においても今下回っている状況にあります。

 これまで建設業務との間でメリット増減幅の差を設けてきた理由は、有期的というか短期的に期間が決まっておりますから今までどうしても事故が多かったという理由が少なくなってきましたので、その差を設けてきた理由の合理性が弱まってきていると考えております。

 今回、有期事業における事業者について労働災害防止の努力を一層促進するためには、労働災害防止の努力をすればより一層保険料の負担が減少する、つまり、逆に言えば事故が多くなれば保険料が上がる、事故が少なくなれば下がるということで、いわゆる有期事業におけるメリット増減幅を一般の継続事業と同じようにプラスマイナス四〇%に拡大をしたというわけでございます。

 また、労災隠しにつきましては、メリット増減幅の拡大は、直接労災隠しに結びつくとは私ども考えておらないわけでございますけれども、引き続き事業主への指導や労災隠しに対しての厳正な対処を行うとともに、関係者の協議の場を設けるなどして、労災隠しを防止するための対策につきまして一層推進してまいりたいと思います。

新井委員 ありがとうございます。

 次に、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部改正につきましてお尋ねいたします。

 労働時間の現状は、時短促進法の制定により十三年前に比べますと百時間以上減少して、法制定の目的を着実にしたという成果を発揮しているものと考えられます。この時間短縮は、法によるところも大きいと思いますけれども、やはり、完全週休二日制の導入とか年次有給休暇の取得促進など、ゆとりと豊かさを実感できる社会への進展とともに、経済の低迷による所定内労働時間の短縮とか、所定外労働時間、いわゆる残業の短縮によるものと考えております。

 こうしたことから、今後、景気が回復し経済が活況を帯びてくるといった社会になった場合には、かつてのように労働時間が延びてくるのではないか、そういう状況も考えられるわけであります。

 今回の改正案においては、年間労働時間を千八百時間と定めずに、労使の自主的な取り組みとするとしておりますが、あえてそのような趣旨にしたのはどういうことか、お伺いいたします。

中野副大臣 新井議員の御質問にお答えいたします。

 今、新井議員おっしゃいましたけれども、近年のグローバルな企業間競争の激化とか、労働者の意識や働き方の多様化の進展、そういうものに伴いまして、労働者全体に占める長時間労働者と短時間労働者の割合が同時に高まる、いわゆる労働時間分布の長短二極化が進行しているところでございます。このような状況のもとにおきましては、全労働者一律の数値目標に向けて労働時間の短縮の取り組みを促すことは時宜に合わなくなっていると考えております。

 他方、労働時間をめぐっては、長時間労働者が増加する中で、長時間労働に伴う健康障害が増加していること、また、育児、介護、ひいては家族の団らんといった労働者の生活時間の確保に配慮した労働時間の多様な設定が求められていること等の新たな課題が生じておるのも事実でございます。

 そこで、全労働者一律に労働時間の短縮を進めるという従来の方式にかえまして、個々の労働者の健康や生活に配慮して労使が労働時間の設定の改善に自主的に取り組むことを促す方式に改めるために、所要の改正案として提案をしたものでございますので、御理解願いたいと思います。

新井委員 また、公益法人改革の観点からいたしますと、労働時間短縮センターを廃止することとなっておりますけれども、この当該支援センターというものはその役割を終えたのかどうか、お伺いしたいと思います。

青木政府参考人 今御質問されました労働時間短縮支援センターということでございますけれども、これは、現行の時短促進法に基づきまして、指定公益法人としましてこの支援センターが時短に向けた事業主の取り組みを支援するということでこれまで取り組んでまいったわけであります。

 お話にありましたように、公益法人改革ということもございまして、そういった観点を踏まえまして、この短縮支援センター、これを指定法人を廃止することとしたものでございます。

 しかし、改正法のもとでも、事業主は今度は労働時間設定の改善に取り組むということになりますけれども、例えば中小企業事業場等におきましては、労働時間等設定改善委員会を設置するとかあるいは指針に基づく措置の実施をするとか、こういったことを円滑に行っていく上では一定の支援というものが欠かせないというようなことも出てくると思っております。この法案を提出する前に御審議いただきました労働政策審議会におきましても、同様の趣旨の建議をいただいております。

 したがいまして、事業主に対する支援というものについては、必要な範囲に絞りまして効果的、効率的に実施することが適当とされた建議の指摘やあるいは国会における御論議なども十分に踏まえまして、今後しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

新井委員 このたびの法改正が実効性を発揮するためには十分なフォローが必要であると考えておりますけれども、中野副大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

中野副大臣 改正法におきましては、事業者の責務として個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間の設定の改善に努めることを明記いたしております。これが目的であります。

 加えて、この責務に事業者が適切に対処するために必要な事項を盛り込んだ労働時間等設定改善指針を策定することとしておりまして、この指針の周知とともに、特に長時間の労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進に重点を置いて、事業主に対する指導や援助を行っていく考えでございます。

 今後とも、労働時間や有休取得の状況について十分現状の的確な把握に努めまして、所期の目的に向かいまして、必要な対策につきましては十分講じていくように努力をしてまいる決意でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

新井委員 副大臣の見解で最後にしようと思ったんですけれども、まだまだ時間があるので、もう何点かちょっと質問させていただきたいと思っております。

 まず、労働安全衛生法の一部を改正するものに対しまして、現行の化学物質の有害性にかかわる審査等の努力義務規定の充実とありますけれども、まず、この事務が煩雑にならないかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 今回の改正で危険性、有害性の調査につきましては努力義務化をするということにしておりますけれども、これは、従来から事業場で行われております職場パトロールなどの災害防止活動の結果や、あるいは機械等の取り扱い説明書でありますとか、あるいは災害事例の情報を活用する、そういうことを認めるということで考えております。したがって、事業者に過度の負担が新たに生ずるものではないというふうに思っております。

 それから、中小企業につきましては、危険性、有害性に関する調査というのを円滑に実施するために労働安全衛生コンサルタントなどの外部の専門家の活用も可能でございますし、厚生労働省といたしましても、普及促進のための支援策として、標準モデルの作成でありますとかあるいは講師派遣等を行うというふうに予定をしておりますので、事務が煩雑にならないようにして、十分実施可能なようにしていきたいというふうに思っております。

新井委員 それでまた、爆発のおそれのある化学施設について、発注者は請負人に対する必要な情報を提供することとありますけれども、まず、これは提供するだけでよいのかどうかということと、その責任所在はどうなのかということを最後にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

青木政府参考人 お話にありました、爆発するおそれのある化学設備についての発注者から請負人に対する情報提供ということでございますけれども、これは、化学設備の改造等の作業につきましては、その作業を現実に行う請負人に対しまして、従来から、作業方法の決定でありますとか、あるいはバルブの二重閉止でありますとか、あるいは作業指揮者の選任でありますとか、労働災害を防止するための必要な措置を講ずる義務を課しているところでございます。

 しかし、これらの作業におきましては、作業を行う際の注意事項とかあるいは発注者が講じた安全衛生上の措置について、こういった作業をする請負人が十分に知らないまま作業を行っていた、そういうことで現実に労働災害が発生しております。そういったことから、発注者に対しましてこれらの情報を請負人に通知することを義務づけたものでございます。

 したがって、これによりまして請負人が、現在よりもより的確に必要な措置をとることができることになるだろうというふうに思っております。

新井委員 どうもありがとうございました。

 労働安全の面からやはり環境というものは非常に大切なものでありますので、これからもぜひとも、大臣、副大臣、そして執行部の皆様におかれましては、十分体に留意して、そして頑張っていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、林潤君。

林(潤)委員 おはようございます。自由民主党の林潤であります。

 さきの衆議院選挙におきまして神奈川県の第四区より初当選をいたしまして、全く初めての質問であります。まずもって、新人としてこのような質問の機会をいただきましたこと、そして御信任をいただきました地元神奈川四区の支援者の方々に心より感謝を申し上げるものであります。ふなれな点もあるかと存じますが、どうぞ大臣も皆様方もよろしくお願いをいたします。

 本日は、労働者の生命や生活を守るという観点から、労働安全衛生法の一部を改正する法律案につきまして、労働時間の短縮やメンタルヘルスのこうした対策の充実を中心にして質問をさせていただこうと思っております。

 さて、この労働安全衛生法の一部を改正する法律案につきましては、さきの通常国会におきまして、七月に当委員会で二日間、八時間にわたりまして議論が重ねられましたことは周知のとおりだと思います。しかしながら、その後の八月八日の衆議院の解散によりまして廃案になってしまったわけであります。それからこの委員会におきまして議論を再開するまでの間、総選挙という形で国民の信を問うたわけであります。結果は改めて申すまでもありませんが、当委員会でも多くの委員が入れかわり、私を含めた新人議員も数多くいるわけであります。

 そこで、こうした変化の中、本法案を改めて提出された背景につきまして、まず初めにお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

尾辻国務大臣 本日御審議いただきます労働安全衛生法等の一部を改正する法律案は、働き方の多様化が進みます中で、製造業等における重大な労働災害の頻発、それから長時間労働に伴いますところの脳や心臓疾患や精神障害の増加など、労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化いたしておりますので、これに的確に対処するためのものでございます。さきの通常国会に提出した法案と同一の内容でございます。

 通常国会では残念ながら審議半ばで廃案となりましたけれども、人材を基盤とする我が国の持続的発展を実現いたしますためには、健康で安全に働くことができる場を確保することが不可欠でありますので、今国会に改めて提出をさせていただいたものでございます。

林(潤)委員 こうした背景についてよく理解をさせていただいたわけであります。

 さて、総論に入るわけでありますが、殊さらに働き過ぎと言われてきました日本人の労働者の年間総労働時間ということに焦点を絞りまして質問をしたいと思っております。

 御存じのとおり、高度成長時代、猛烈社員、そうした言葉もできまして、我が国におきます年間総労働時間というものが、他国に、特に欧米に比べて非常に長かった。そうした現状をかんがみましたところ、平成四年からでありましょうか、時短法の制定などによりまして、労働者そして企業、こうした協調によっても、労働時間の短縮に向けて自主的な取り組みを促してきたという経緯があるわけであります。

 時間を申し上げますと、平成三年には二千八時間、平成十六年には千八百三十四時間。二千時間台でありました、土曜日も働いていた、週休二日になった、こうした現状もあると思いますけれども、この十三年間で百七十四時間も短縮をされたわけであります。

 労働者全体ではこうした状況になっているわけですけれども、こうした労働時間の現状、そして働き方の現状の中身について厚生労働省としてどのようにとらえているか、お聞かせ願いたいと思います。

青木政府参考人 労働時間の状況でございますけれども、今委員から御紹介ありましたように、総実労働時間はおっしゃったとおりこの十数年間で低減をしてきております。近年では、千八百時間台前半、千八百三十四時間ということで減少してきております。

 この結果について分析いたしますと、これは、短時間労働者が大幅に増加をいたしまして、そういうことによりまして下がったという面が大きいと思っておりますし、一方で、実は企業間競争の激化を背景にいたしまして、長時間労働者も見ますと増加しているということでございまして、いわば労働時間分布の長短二極化ということが進んでいるという状況にあるというふうに認識をいたしております。

 ちなみに数字を申し上げますと、週三十五時間未満の者は、平成五年度は九百四十万人でありましたけれども、平成十六年度には千二百四十一万人ということで、三百一万人増加しております。それから、週六十時間以上という非常に長時間働いている方は、平成五年が五百四十万人でありましたのに対しまして、平成十六年は六百三十三万人ということで、九十三万人ふえているという状況になっております。週三十五時間以上週六十時間未満のその間にある人たちは、逆に二百六十八万人減っているというような状況でございますので、今申し上げたように、そのような長短二極化が進んでいるというふうに思っております。

林(潤)委員 我が国の労働者全体で見ますと、労働時間の短縮は促進をされているという一方で、二極化されているということを理解させていただきました。その中身を見てみますと、長時間労働を行う正社員と短時間の労働を行うパートタイム労働者、これが二極化されている、この両方が増加をしているということであります。当然、企業間で競争が激化したり働き方の多様化が進んだ、こうした現状もあるかと思います。

 こうした中で、正社員の労働時間は実質的に減っていないという現状があると思います。これについてどのように考えているか、お聞かせ願いたいと思います。

青木政府参考人 今御指摘になりましたように、正社員の労働時間についてでありますが、統計で申し上げますと一般労働者の総実労働時間ということになろうかと思いますが、これは、平成六年度では千九百九十九時間でございましたけれども、平成十六年度、十年間で二千十五時間というふうに、御指摘のありましたように増加しております。また近年、そういったところで横ばいということであるという状況でございます。

 一般労働者の労働時間がこういうふうな状況であるという理由といたしましては、企業間競争の激化の中で、おっしゃったようないわゆる正社員、これに対する業務の集中が生じている。それからもう一つ、成果主義の広がりなどがございまして、いわば人事労務管理の変化がございます。そういったことによる労働時間への影響というものがあるのではないかというふうに考えております。

 したがって、こういった一般労働者に関する長時間の労働ということでありますので、これは時間外労働が長時間にわたるということでありますので、こういった長時間の時間外労働を削減していくということや、あるいは年次有給休暇の取得を促進していくということについて、重点的に事業主に対する指導あるいは援助などを行って取り組んでいきたいというふうに思っております。

林(潤)委員 こうした働き方の多様化が進んでいるわけであります。全労働者を一律に、年間総労働時間を千八百時間、こうした目標を掲げるということは現状に合わなくなってきている。しかし、正社員については引き続き千八百時間を維持すべき、掲げるべきだ、こういう意見があると聞いております。この原因というのは、当然、労使に任せることで、正社員を中心とした労働状況が悪化する懸念というのが一番に上げられると思います。

 こうした中で、全労働者の一律千八百時間の目標を廃止した後に、労働時間の改善をどのように考えているか、これを具体的に御説明をお願いしたいと思います。

尾辻国務大臣 このたびの改正法におきましては、労使の自主的な取り組みを促進することによりまして労働時間等の設定の改善を促進することといたしておるところでございます。

 この労使の自主的な取り組みに当たりましては、事業主が適切に対処するために必要な事項を盛り込んだ労働時間等設定改善指針を策定することといたしておりまして、改正法の成立後には、この指針の周知とともに、周知を図らなきゃなりません。それとともに、特に、長時間の時間外労働削減や年次有給休暇の取得促進に重点を置く事業主に対する指導や援助を行っていく考えでございます。

 今後とも、労働時間や年次有給休暇取得の状況について的確に把握に努め、必要な対策を講じていけるよう十分努力をしてまいります。

林(潤)委員 ぜひとも、的確に把握されて、適正な努力を続けていただきたいと思っております。

 本法案が四案一括で提出された背景といたしまして、まさに子育て世代の生活時間の確保、これをすることが難しい、こうした現状があると聞いております。これは、労働時間の長短の二極化が進行し、働き盛りの世代となります三十代、四十代の労働者が長時間労働を行ってきている、こうした現状から生じてきている、そう思います。

 私自身も、今三十二ですけれども、三十代の男性といたしまして、総務省の労働力調査のデータを拝読させていただきました。週六十時間以上働く労働者というものが、三十代の男性では、過去十年で、平成五年から十六年の間に五十万人もふえているというデータが出ていたわけであります。こうした中で、三十代、四十代というのは、子育てを行う世代でもあります。そしてまた、このデータのように、集中して働いている、長時間勤務を強いられている、逆に言うと責任を任されている、こうした状況があると思います。

 この少子化、まさにこれは国家的な課題であります。二〇二五年に四人に一人が高齢者になると、かつて私が大学で勉強していたときには言われておりました。それより早く少子高齢化のスピードが進んでいき、そして、私の地元、鎌倉では出生率は一を切っているところであります。

 こうした国家的課題がある中で、今回の時短法の改正というものが少子化対策に資することとなり、仕事と生活の調和が図れるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 委員が今御指摘になりましたように、三十代の人たちに長時間労働になっているという御指摘、そのとおりだと思いますし、少子化が国家的課題であるという観点からの御質問、それも全くそのとおりだと思っております。労働者が意欲を持って健康で働き続けることができる社会を実現する、そういうことのためには、やはり、御質問にありましたように、仕事と生活の調和が図られるということが大変重要だというふうに思っております。

 それから、お触れになりました、少子化対策にもこれは資するものだというふうに考えております。したがって、この改正法におきましては、育児を行う労働者の労働時間等の設定について配慮すべきことを事業主の責務としているところでございます。

 先ほどの大臣からの御答弁にございましたように、労働時間等設定改善指針というのを、いわば事業主の責務を果たすために定めるということにいたしております。この指針の内容は、法案成立後に労働政策審議会で議論をされるということになろうと思いますけれども、その際には、やはり育児を行う労働者への配慮に関する事項が含まれるものと考えております。こういったものを通じまして、お話ありましたように仕事と生活の調和を推進していきたいというふうに考えております。

林(潤)委員 ぜひとも、仕事と生活の調和という観点から、働き盛りの世代に無理が来ないように、ひずみが来ないような政策の配慮というものをさらに進めていただきたいと思っているところであります。

 話は、裁量労働制という、実は、こうしたホワイトカラーを中心とした制度があるわけですけれども、これは、当然、仕事の進め方を労働者の判断にゆだねまして、実際の労働時間に関係なく一定時間働いたとみなす、こうした制度であります。主に研究者、あるいは記者、ディレクター、経営・企画事業者など、こうしたホワイトカラーが対象となっているわけであります。

 この裁量労働制というのをめぐりまして、経営サイドは、生産性の向上につながる、こうした見方があるわけですけれども、当然、労働者の方としては、長時間労働を助長する、例えば普通のサラリーマンには残業代なしの長時間労働につながる、こうした懸念も根強いわけであります。

 実際に、私も議員になる前は新聞記者でありましたが、新聞記者も当然この裁量労働制に入っているわけではありますが、制約も多くありまして、実際に仕事を進める裁量というものは、締め切りもありました。企画の締め切りでも年次で区切られております。こうした状況から、実際の勤務実態と、そして残業というものには乖離があったことは事実であります。

 こうした裁量労働制というもの、この対象となったことによりまして、このホワイトカラー職に指定されたことによって、残業時間の改ざんを指示されて、自殺未遂が起こったとか、職場で追い詰められた、長時間労働を強いられた、こうした例があるわけであります。

 この中で、特に経営サイドの方から、裁量労働制につきまして規制を緩和しようという動きがあるわけであります。それについてどう見ているか、お伺いしたいと思います。

青木政府参考人 裁量労働制についての御質問でございましたけれども、この裁量労働制のあり方につきましては、ことし四月に学識経験者にお願いをいたしまして研究会を立ち上げまして、議論をしていただいているところでございます。実際にどういうふうに裁量労働者の方が働いているか、少し御紹介もございましたけれども、そういった実態について、現にそうやって適用されている労働者からのアンケート調査なども含めまして実態調査を行いまして、あるいは労使、労働者団体、使用者団体、あるいは個別企業労使からのヒアリングも行いました。

 こういったものを踏まえて、御質問にありましたような規制緩和、そういう、単に規制緩和を行うという考え方ではなくて、働き方の多様化が進展して、その中には、成果が必ずしも労働時間の長短に比例しないという性格の業務を行う労働者が増加している、こういう認識の中で、労働者が創造的、専門的な能力というものを発揮できる、そういう自律的な働き方への対応として何がこの裁量労働制なりのあり方を考えるに当たって必要か、そういう観点から御議論いただいているところでございます。

林(潤)委員 しかし、そうは言っていましても、実際に企業の中における労働者の立場というものはまだまだ弱いものがあるわけであります。そうした点を御配慮いただきまして、つなげていただきたいと思っております。

 また、この制度の趣旨からいたしますと、仕事の進め方につきましては、真に裁量性のある労働者というのは裁量労働制でいいわけでありますが、先ほど、サービス残業を強いられている、こうした実態があるように、そうでない労働者につきましては、健康保持の観点からもっと保護すべきではないかと私は考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

青木政府参考人 現行の裁量労働制におきましても法に基づく指針というものをつくっておりまして、それにおきまして労働時間の配分について、今お話がありましたように、真に裁量性のある労働者が対象となるように、その範囲を明記しております。具体例なども書いたりしまして明記しております。

 一方、御指摘がありましたように、裁量労働制が本来の趣旨どおり運用されていないという実態もありますので、先ほど申し上げました今後の労働時間制度に関する研究会において、労働時間制度全体の見直しを行う中で裁量労働制をその趣旨に沿ったものとするという視点に立ちまして、対象労働者の範囲でありますとか、あるいは御指摘ありましたように労働者の健康確保のための措置、そういったもののあり方についても御議論いただいているところでございます。

林(潤)委員 こうした裁量労働制、今、サービス残業をしているという実態、御認識がおありでしたら、ぜひ健康問題等も含めまして、適切な御配慮そして政策の実行をお願いしたいと思っております。

 そして、一方で、長時間労働に従事をしている労働者の健康問題というのは、本当に緊急に取り組むべき課題であります。

 労災の認定件数で見ましても、脳や心臓疾患の労災認定件数は、平成十二年に八十五件でありましたのが、平成十六年には三・五倍にふえております。二百九十四件という増加があります。また、精神障害の労災認定、これは平成十二年に三十六件でありましたのが、平成十六年には百三十件と三・六倍となっておりまして、三分の一以上が自殺であると聞いているわけであります。

 当然、この自殺の予兆となりますメンタルヘルスに関する相談というのが急増しているわけであります。勤労者予防医療センター、これは全国の労災病院に当然併設されているわけでありますけれども、こちらへの相談件数が、平成十二年で三千七百二十一件でありましたものが、十六年度には一万六千三百八十八件、まさに早急な対応が必要と言えるわけであります。

 こうした状況の中で、今回の労働安全衛生法の改正というものがメンタルヘルスのチェック面も行うこととされたこと、これはまさに意義ある改正だと思っているわけであります。

 しかしながら、義務づけの対象となる、時間外労働が月百時間を超えて疲労の蓄積が認められると本人が申し出た場合に限る、こうした労働者に限ると聞いているわけであります。もしそうなった場合、労働者本人が会社に申し出やすい環境をつくることが極めて重要であると考えます。そのためにどのような対策を講じるのか、お聞かせ願いたいと思います。

青木政府参考人 メンタルヘルスも位置づけたということで、その際に面接指導を今回重要な柱の一つとしておりますけれども、まさに御指摘ありましたように、この面接指導が現実に受けられるようにするということが極めて大切だというふうに思っております。

 事業場でそういったことができるようにする体制が整えられるように、一つには、労働者が自分で時間外労働時間数を確認できる仕組みを整備するとか、申し出様式だとか申し出窓口を設定するといった申し出手続を整備する、あるいは事業場内における面接指導の実施方法を労働者に周知するというようなことについて、指導していって実を上げたいというふうに思っているところでございます。

林(潤)委員 また、こうした医師の面接指導も、本人に指導するだけではなく、会社が面接指導の結果を踏まえまして作業の転換あるいは労働時間の短縮、こうした措置を講じることが重要と考えますが、この適切な実施を図るためにどう取り組むのか、お聞かせ願いたいです。

青木政府参考人 今回の面接指導につきましては、事業者は医師による面接指導を実施するということにしておりますが、それと同時に、面接指導の結果に基づいて医師の意見を聴取する、そして、そういった聴取した医師の意見を勘案して、必要があると認めるときは、就業場所の変更でありますとか作業の転換、労働時間の短縮、あるいは深夜業の回数の減少などなどの措置を講ずるということにして、そういったことを事業者に義務づけるということにいたしております。

 そういうことでありますので、事業者に対しましては、面接指導を実施した際に、その結果を踏まえて適切なこういった事後措置が実施されるように、私どもとしても指導を徹底してまいりたいと思います。

 さらに、産業医の医師が、こういった事後措置について医学的観点から事業者に対して適切に意見を述べることができるように、面接指導についてのマニュアルでそういった内容を示したり、あるいは産業医等に対する研修において十分周知をしていきたいということも考えております。

林(潤)委員 ぜひともこうした努力の継続というのをお願いします。

 うつ病につきましても、こうした面接の指導で早期に発見し、適切な措置を講ぜられることを、自殺防止の観点からも重要だと思います、ぜひともお願いしたい。

 もう時間で、最後になりましたけれども、今回、先ほど局長おっしゃいましたような、メンタルヘルスに関する指針を定め、職場復帰やケアについてもマニュアルをつくってこられた、こういうふうに聞いております。これまでのマニュアルの取り組みと、そして今回の法改正によってどんな対策を講じるか、これを最後にお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 メンタルヘルスに関しての取り組み、対策ということでございます。

 平成十二年に事業場における労働者の心の健康づくりのための指針を策定いたしました。また、平成十三年には「職場における自殺の予防と対応」というものも定めました。また、平成十六年には「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」というようなものも策定いたしまして、事業場に対しましてこういったものの普及啓発を図ってまいりました。それで、職場におけるメンタルヘルス対策の体制整備に関しまして、専門家による助言、指導を行うというようなこともいたしてまいりまして、そういったメンタルヘルス対策の普及に努めてまいりました。

 今回の法改正において、一定の長時間労働を行った労働者に対して、医師による面接指導を義務づけまして、その際にもメンタルヘルス面のチェックも行うということにいたしたところでございます。それが確実に実施されるように指導していきたいというふうに思っております。

 今回の法改正とあわせまして、現行の指針の見直しを行って充実をしたいと思っております。法に基づく指針ということで根拠を持たせまして、事業者や団体に対して必要な指導を確実に行っていきたいというふうに思っております。

 それから、衛生委員会の審議事項の中にメンタルヘルス対策を追加するということにいたしております。それによって、労使による自主的なメンタルヘルス対策を促進するということを考えております。

 事業場へのそういった支援に加えまして、労働者の家族も含めました相談体制を整備する、あるいは産業医と精神科医のネットワークをつくるというようなことなどを努力して、全体で事業場におけるメンタルヘルス対策をバックアップ、支援していきたいというふうに思っております。

林(潤)委員 取り組みに至るこうした努力を理解させていただいたわけであります。ぜひともこうした継続の方をお願いいたします。

 勤労者を取り巻く心の問題は、まさにこうして深刻化をしているわけであります。官民が一体になった努力によりまして、このメンタルヘルスに対する取り組み、進展をしつつはありますが、依然としてやはり厳しい。労使の取り組みもまだまだ多くの課題が残されているわけであります。労働政策審議会の方でもさらに建設的な答申を大臣の方に上げていただき、それがまた政策に反映されて、勤労者のさらなる労働状況の改善につながることをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 先ほどの委員の質問と若干重なる部分もございますが、確認の意味を込め、順次質問を行わせていただきます。

 現在、就業形態の多様化やまた企業間の競争が激化する中で、長時間労働に伴う健康問題、また子育て世代における生活時間の確保など、労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化をしてきております。

 今回の四つの法案はこれらの諸問題に対処するための改正でありますが、私はこの中から、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法改正案と関連して、企業の子育て支援の現状について質問を行ってまいります。

 初めに、今回の改正案の実効性についてお伺いいたします。

 全労働者一律の目標に向けた労働時間の短縮を図るための時短促進法は、今回の改正で、仕事と生活のバランスに配慮した労働時間の実現を目指し、労使の取り組みを支援、促進する、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法に改められたことは評価できるというふうに考えております。

 一方、時短促進法について、あくまで労使の自主的な取り組みを支援する法律であり、その実効性についてはこれまでも疑問の声が寄せられておりました。

 法施行以降、週休二日制は普及をしてきておりますが、正社員一人当たりの年間総実労働時間は二千時間前後という横ばいが現状でございます。千八百時間という目標の達成はできておりません。時短どころか、残業代すら払われていないのが現実であるのは御承知のとおりでございます。千八百時間という目標が高過ぎたとの指摘もございますが、結果として時短促進法は企業から余り重視されていなかったのではないかと指摘する見解もございます。

 今回の改正案は、健康や子育て、自己啓発など、個々の従業員の実情に配慮した労働時間とするよう、企業に努力義務を課すものとなっておりますが、その中身は極めて抽象的な内容であるため、仕事と生活の調和という法の趣旨が多くの労使に説得力を持たなければ、形だけの新法に終わりかねない、現行の時短促進法以上に機能するのかとの懸念もございます。

 近年の厳しい経済状況のもとで、法の目的の達成は容易ではないと思われますけれども、改正案の実効性について、尾辻大臣に御所見をお伺い申し上げます。

尾辻国務大臣 近年のグローバルな企業間競争の激化、労働者の意識や働き方の多様化の進展に伴いまして、労働者全体に占める長時間労働者と短時間労働者の割合が同時に高まるという、労働時間分布の長短二極化が進行をいたしております。また、労働時間をめぐりましては、長時間労働に伴います健康障害が増加をいたしておりますほかに、育児、介護、単身赴任、自己啓発等、労働者が抱える事情が多様化もいたしております。このような情勢を踏まえまして、個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間の設定の改善を促進することをねらいとして、この改正法案を提出させていただいたものでございます。

 このような法改正の趣旨、目的を実現するため、労使の自主的な取り組みを政府が後押しをすることといたしまして、事業主がよりどころとすべきものとして労働時間等設定改善指針を定めることといたしております。指針を定めます。

 この指針の内容は、法案成立後に労働政策審議会で議論されることになりますけれども、育児、介護を行います労働者、それから単身赴任者等への配慮に関する事項が含まれるものと考えておりまして、これらを通じて仕事と生活の両立を推進してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 やはり企業におきまして、私も幾つかファミリー・フレンドリー企業と言われるようなところを見させていただきましたけれども、さまざまな細かな取り組みがございますが、大きく言って、やはり企業のトップのポリシー、意識というものがその企業の大きな方向を決めているということではないかと思っております。ですので、やはり国におきましては、総理そして厚生労働大臣、このお考え、方針というものが国にとって非常に大きな存在ではないかと思っております。

 今、原稿どおりの答弁をちょうだいいたしましたけれども、尾辻大臣、仕事観、また社会観でありますとか家庭観、人生観、そのようなものはどのようなものをお持ちかなというのをちょっとお聞きしたかったのでございますけれども、おいおい聞いてまいりたいというふうに思っております。

 次に、労働時間設定改善指針に定める内容についてお伺いいたします。

 改正案では、時間目標を掲げる労働時間短縮推進計画にかわって、事業主が参考とすべき指針を厚生労働大臣が定めることとされております。その指針の具体的な内容の参考となるのは、改正案を審議した労働政策審議会の建議ですが、その中には、労働時間等の設定の改善に関する基本的な考え方、長時間労働者の健康保持、育児、介護等の個別事情への配慮、年次有給休暇の取得促進などについて、個々の労使が具体的な取り組みを進める上で参考となる事項を示しており、労働者の健康や生活に配慮した多様な働き方を可能とするための、既存の法律を上回るさまざまな取り組みが明記をされるものと期待されております。指針についてはその内容を十分に検討した上で一刻も早く策定すべきと考えます。

 そこで、現在考えられている指針の具体的な内容について、年間総実労働時間についての数値目標を改めて設定するかどうかも含めまして、労働時間について政府の考え方を示す必要があると思いますが、厚労省の御見解をお伺いいたします。

青木政府参考人 御質問の労働時間等設定改善指針でございますが、これは法案成立後に労働政策審議会の議論を踏まえて策定するということになっておりますけれども、現時点においては、お話ありましたように、基本的な考え方を初めといたしまして、年次有給休暇の取得しやすい環境の整備に関する事項、長時間労働者に対する休暇の付与など長時間労働者の健康保持に資する労働時間の設定に関する事項、あるいは、育児、介護や自己啓発、そういったものを行う労働者の実情に応じた労働時間等の設定に関する事項、あるいは休日明けの始業時刻の繰り下げなど単身赴任者の実情に応じた労働時間等の設定に関する事項など、改正法に規定されている事項等について、個々の労使で具体的な取り組みを進める上で参考となるような具体例を示すというふうに考えております。

 数値目標のお話もございましたけれども、これにつきましては、労働政策審議会において、この指針において対処すべき問題であるという労使の共通理解がございます。その理解のもとで、一つには、目標を掲げること自体に意義が存在している、例えば一般労働者に限って引き続き目標を掲げることが重要というような意見と、もう一つには、今後、労働時間が成果に直結しない働き方が一層広がる、そういう展望に立てば数値的な目標は不要であるという意見の双方、両方が示されております。

 それで、こういったことでありますので、目標に関しましては、この指針を策定する際に、長時間労働の抑制だとか年次有給休暇の取得促進だとか、そういった課題ごとにその要否や内容を個別に検討していくことが適当であるというような旨の建議もいただきました。

 したがって、今後の目標については、こういった建議での指摘あるいは国会での御議論、そういったものを十分に踏まえまして、改めて労働政策審議会で御議論いただくことにしたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 企業におきまして、働き方、ぜひ実を上げていかなければいけないというふうに考えておりますけれども、今回の改正案では、労働時間短縮支援センターが廃止をされまして、交付金等の規定も削除されることとなっております。

 今後、労働時間短縮に取り組む企業への支援について、厚生労働省はどのような取り組みをお考えか、この点についてお伺いをいたします。

青木政府参考人 お話にございましたように、労働時間短縮に対する支援を行ってまいりました時短センターの指定廃止というようなことにいたしておりますけれども、しかし、労働政策審議会では、中小企業事業場でありますとかあるいは労働組合のない事業場においては、労働時間等設定改善委員会の設置や指針に基づく措置の実施等を円滑に行う上で支援が欠かせない場合も考えられることから、必要な範囲に絞って効果的、効率的に実施することが適当ということで建議を受けております。

 具体的には、現在、専門家が事業場を訪問しまして労働時間の設定改善に向けての指導、援助を行うこと、あるいはそういった労働時間等の設定改善にみずから積極的に取り組む中小企業の団体に対しまして助成を行うというようなことを検討しておりまして、十分に対応していきたいというふうに思っております。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 いずれにいたしましても、労働者のニーズや意識の多様化を背景に、個々の労働者が労働時間と生活時間をさまざまな配分で選択できるような働き方が必要とされ、仕事と生活の調和が労働時間に関する施策の重要な観点となってまいります。そして、こうした雇用環境の整備や働き方の見直しが少子化対策には不可欠、重要であることは御承知のとおりでございます。

 そこで、企業の子育て支援の現状についてお伺いをいたします。

 企業の子育て支援とは、仕事と子育ての両立が可能となるように雇用環境の整備や働き方の見直しをすることであります。私は、少子化の流れを変えるためには、働き方を変える、子育てと仕事が両立しやすいような雇用環境を整備することが企業の取り組みとして重要であると考えております。

 私も、先駆的な取り組みをされています資生堂さん、また受賞された花王なども行ってまいりました。また、個人的な話になりますが、私の夫も一応ファミリー・フレンドリー企業と呼ばれるところに勤務はしておりますが、この二十年間を見てきて、長時間、かなり働き方はきついなというふうに実感をしているわけでございます。

 本年四月一日に次世代育成支援対策推進法が施行されましたが、これは、職場や地域での子育て支援の取り組みを促し、子供を生み育てやすい社会への前進へとつながるものと期待をされております。この法律に基づき、地方自治体と従業員三百人を超える企業に子育て支援の行動計画策定が義務づけられております。この進捗状況についてお伺いをいたします。

北井政府参考人 次世代法に基づきます地方公共団体と事業主の行動計画策定の進捗状況でございますが、まず、都道府県、市区町村が策定いたします地域の行動計画につきましては、既にほとんどの自治体で策定済みでございまして、本年七月一日時点で、都道府県では一県を除き、残りの四十六都道府県で策定済み、市区町村では三十市区町村を除き二千三百四十五の市区町村で策定済みとなっております。

 また、民間企業の行動計画策定の状況についてでございますが、九月末時点で、届け出が義務づけられております三百一人以上企業のうち八四・四%、大体八割五分の企業において計画を策定している旨の届け出が既に済んでおります。特に、十一の県で一〇〇%を達成しておりますし、二十六の県では九〇%台を達成しているところでございます。

 厚生労働省としては、引き続き策定状況を把握して、未策定の市町村や企業に対して早期の策定が行われますように働きかけているところでございます。

古屋(範)委員 かなりの自治体、企業でこの行動計画の策定が進んでいる状況であるというふうに思っております。これもさらに推進をよろしくお願い申し上げます。

 次に、報道機関の調査によりますと、五月の時点で対象企業の三六%が社員の子育てを支援する行動計画を提出しているということでございました。この行動計画の中で、多くの企業が悩んでおりますのが、男性社員が育児休業を大変とりにくい、どうやって男性社員に育児休業をとってもらうかという点でございます。実際に育児休業をとった男性からは、実際に家にいて子育てにかかわってみて価値観が広がったという声も聞かれまして、さらにこれも広がりが期待をされているところでございます。

 これまで女性の子育てと仕事の両立支援という観点での施策が講じられてきましたけれども、今年度からは、子ども・子育て応援プランでは、男性を含む働き方の見直しが一つ加えられまして、男性の育児休業の取得に力を入れているものと思われます。雇用環境が厳しい中ですが、主要な企業は、国の掲げる十年後に男性の育児休業一〇%の目標に、ある面戸惑いながらも子育て支援に努力をしている現状が見てとれるわけでございます。

 そこで、男性の育児参加が普通と思える企業風土をつくるためにも、休業中の所得保障、また代替要員の確保など、障害を取り除く努力をした上で、育児休業を父親が必ず何日か取得できる父親割り当て制、パパクオータ制の導入を考える時期にいよいよ来ているのではないかと思いますが、この点につきまして、中野副大臣に御所見をお伺いいたします。

中野副大臣 スウェーデンとかノルウェーにおきまして、一定期間の休業を父親に割り当てるパパクオータ制によりまして男性の育児休業取得が促進されているということについては、私どもも承知をいたしております。

 一方、我が国におきましては、男性の育児休業について、そもそも職場の理解不足や法制度に関する理解不足を背景といたしまして、現在、男性が〇・五六%という取得の現状でございますものですから、まずは、男性でも育児休暇がとれるんだ、そういう現行の法制度の周知や、また、男性が育児休暇をすべきだ、してもいいんだ、そういう社会全体の機運の醸成から取り組む方がいいんじゃないかというふうに今は考えております。

 具体的には、全国の労働局において、育児休業は女性だけでなく男性も取得できることを周知徹底させるということがまず第一点でございます。

 それから、第二点としては、次世代法に基づく企業の認定基準というのでしょうか、よく次世代認定マークを使っておりますね、この基準の中には、男性の育児休業取得実績を、例えば女性は七〇%だ、しかし、男性は一人でもいいから入れろというような規定を盛り込んでおりますので、これによって、企業における男性の育児休業の取得を促進させてみたいと考えております。

 また、そういう意味で、男性の育児参加の促進のためには、モデル的な取り組みを行う企業二百社に対して、いわゆる奨励金等の支援も行うとともに、そういう事例を広く普及させていきたいということで取り組んでおりまして、今後、これらの施策を通じまして、この法制度の定着、浸透や、男性が育児参加できる職場風土づくりを着実に進めまして、委員が願っておりますところの男性の育児休業の取得促進を図ってまいりたいと思います。

 特に、今御質問いただきましたけれども、育児と仕事の両立、そういう問題について議員が一生懸命御熱心に取り組んでいらっしゃるということは、本当に、そういう意味で、この問題も含めて、これからも御支援を賜りたいということをお願い申し上げながら御答弁をさせていただきます。

古屋(範)委員 先日も、世界で初めてこのパパクオータ制を取り入れましたノルウェーの子ども家庭大臣とお会いする機会がございましたけれども、既にノルウェーではこれがもう定着をし、さらにこの期間をもっと延長しようという段階に入っているということでございます。

 日本では、一気にそこまでというわけになかなかまいりませんが、女性が子育てをする上で、男性がそこに支援をしてくれるというのが、やはり子育てをしやすい、産みやすい環境づくりにつながると思っております。さらに推進してまいりたいというふうに思っております。

 次に、中小企業の子育て支援についてお伺いしてまいります。

 厚生労働省は、少子化対策といたしまして、育児休業を取得した従業員がいない中小企業、百人以下の企業に対しまして、初の取得者が職場に復帰をしたときに百万円、二人目には六十万円の助成金を支給する制度を創設するという方針を決めたということでございます。来年度の概算要求に関連経費二十億円が盛り込まれております。

 公明党といたしましても、ことし三月の少子化対策二〇〇五緊急提言の中でも、この両立支援に取り組む中小企業、どうしたら中小企業の中で育児休業の取得を進めることができるかということに焦点を当てまして、今回の衆院選マニフェストにも盛り込んでまいりました。この制度は公明党の提言を受けて検討されたものと評価をしております。

 中小企業の財政面から支援をし、大企業に比べておくれている仕事と子育てを両立する環境づくりを進めること、これは大変重要なことであり、この助成金をきっかけとして、中小企業の中で育児休業をとれる、その環境が広がっていくのではないかというふうに期待をしております。

 この中小企業子育て支援助成金の具体的内容、またどうやってこの制度を普及させていくか、この点に関しましてお伺いいたします。

北井政府参考人 今お話がございましたとおり、中小企業につきましては、経営基盤が弱く両立支援の負担感が大変強いといった事情から、育児休業の取得などがおくれております。したがって、中小企業に対して重点的な支援が必要と考えまして、今お話のありました助成金の創設を十八年度概算要求に盛り込んだところでございます。

 具体的な要求内容といたしましては、百人以下の中小企業において、育児休業取得者や短時間勤務制度の利用者が初めて出た場合に、一人目は百万円、二人目について六十万円を事業主に支給するというものでございまして、実施期間は、集中的にこれを実施するということから、十八年度から五年間を予定しているところでございます。

 このような支援措置が認められました場合には、できるだけ多くの中小企業事業主に実際にこの制度を知っていただけるようにすることが大事だと考えておりまして、新聞広告やパンフレットの作成はもとよりでございますが、中小企業団体など労使団体の御協力を十分得ながら、きめ細かな周知を図ってまいりたいと思っております。

 また、中小企業事業主に、雇用管理に関するさまざまな相談援助をあわせて行うことによりまして、実際に中小企業において両立支援が効果的に進むように努力してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ぜひこの制度が実現をし、大きくその効果を上げられ成功していくことを願っております。

 次に、子育ての女性に対する再就職の支援についてお伺いいたします。

 働く女性の場合、出産を機に子育てのために退職をするケースが多く、職業の継続というものが困難、またその雇用環境はまだ改善をされておりません。また、私の同世代の女性たちを見ていても、それなりの学歴、高学歴であり、ある程度の仕事を若いときにしてきても、一たんそこを離れますと、再就職、やりがいのある仕事につくことはなかなか難しい。その才能、力、非常にもったいないというふうにいつも思っているわけでございます。

 この育児等のために退職をして、将来再就職を希望する女性に対して、支援の充実を図っていくべきと考えております。子育てを終えた女性の再就職を支援する相談体制の整備、再雇用制度の導入を実現すべきと考えますが、厚労省のお考えをお伺いいたします。

鈴木政府参考人 子育ての女性に対します再就職の支援、これは少子化の流れを変える、そういう観点からも極めて重要であるというふうに考えております。

 こうした観点から、厚生労働省といたしまして、平成十八年度の概算要求におきまして、現在全国に十二カ所設置をしております両立支援ハローワーク、これをマザーズハローワークに発展拡充させまして、子育てをしながら再就職が十分にできるような環境を整備していきたいと考えております。

 もうちょっと具体的に申し上げますと、個々の求職者に対して担当者を決めまして、そういった担当制による求職者個々の希望に沿ったきめ細かな職業相談あるいは求人確保を図る、さらには地方公共団体等と連携した保育や託児サービス等の情報の提供、それから、子連れで来所される方も多いということから、相談スペースを広くとりまして、子連れで来所する求職者に配慮した環境の整備、そういったことを考え、所要の要求を行っているところであります。

 こうした取り組みの効果があるよう、これから全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 このマザーズハローワーク、私も大変期待をしております。多くの女性にとって希望の、そういった再就職の支援をできるところと考えております。ぜひ実効性あるものにしていっていただきたいというふうに考えております。

 最後になりますけれども、子供を産みやすい社会の実現、少子社会への取り組み、この大きな柱であります働き方の改革、これが少子化の流れを変えることは間違いございません。最後に尾辻大臣、改めて、子育て環境の整備に向けての力強い御決意を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

尾辻国務大臣 先ほどは、法律の実効性についてお尋ねであったというふうに理解してお答えを申し上げました。改めてお答え申し上げたいと存じます。

 子育てしながら安心して働き続けることができ、また、出産、子育て等により一たん離職しても、その能力を生かした再就職ができる環境を整備し、子供を生み育てやすい社会を実現することは、これは極めて大事なことであると私も認識をいたしておるところでございます。お話のとおりであります。

 政府といたしまして、現在さまざまな取り組みを行っておるのでございますが、ちょうど一昨日に官房長官主催の子育て支援官民トップ懇談会というものがございまして、この場で経済団体トップの方々に対しまして、仕事と子育てを両立できる環境整備のためにぜひリーダーシップを発揮してくださいというお願いをいたしました。先ほどは先生も企業のトップということでお話しになりましたが、一昨日は団体のトップの皆さんに、ぜひリーダーシップを発揮してくださいというお願いをしたところでございます。

 こうしたことを含めまして、私自身、いろいろな機会をとらえまして企業に対して引き続き粘り強く働きかけてまいりますとともに、各施策のさらなる推進に努めてまいります。

古屋(範)委員 大臣の今の御決意を伺うことができました。私も、いつもこういった施策を考える上で、企業の側、やはりさまざまな負担が多くなり過ぎて企業自体が競争力を弱める、あるいは立ち行かなくなる、そうしたときに雇用全体が不安定になりかねない、そのような論理の前に、なかなかこうした施策が進みにくいといいますか、ジレンマがいつもあるわけでございます。しかし、そこをいつか乗り越えていかなければこの少子化は絶対にとまらない、また反転することはできないというふうに考えております。

 また、労働力が不足をしてくる将来、女性の力、また高齢者の力、そういうものも十分に組み入れながら進めていかなければ国が成り立たない時代でございます。慶応大学の清家篤先生なども、マラソン型、太く短くではなくマラソン型の働き方、また白石真澄先生なども、トライアスロン型、そういう働き方ということも御提案になっていらっしゃいます。この子育て世代の働き方を考える、あるいは女性の働き方を見直すということは、ひいては働く人々全体にとって大きなプラスになる。一人の人が、子育てのみならず自己啓発の場を設ける、学習をする、また地域でボランティアをするなどなど、やはり仕事一本、太く短くではなく、そういった意味で、人間らしい働き方ができる本当の意味での豊かな働き方、こういうものをこれから追求していかなければいけないということを感じております。

 以上、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 失礼いたします。民主党・無所属クラブの柚木道義と申します。

 一昨日、初当選後初めて本厚生労働委員会にて一般質疑の機会を与えていただき、大臣、そして副大臣、おのおの大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 さて、今回は初めての法案質疑となります。何分ふなれな面もあろうかと存じますが、働く者の安全、健康を願って、一つ一つ丁寧に質問させていただきます。どうか大臣初め皆様方の前向きな御答弁を冒頭お願い申し上げます。

 さて、労働災害の件数そのものは実際には減少傾向にある中で、実は激増しているのが、時間外労働を含む長時間労働、過重労働などからくる心理的、精神的ストレス障害であります。企業実績回復の裏には、過去最悪の自殺者、これは何と、交通事故死者数が昨年度で七千三百五十八人に対して、自殺者の方が三万二百四十七人、約四倍という数です。さらに、一日にしてみれば平均八十人を超える方々がみずからの命を絶っている現状を我々はもっと直視しなくてはならないと思います。

 二十一世紀は心の時代、物的な豊かさから精神的な豊かさへなどと言われる昨今ではございますが、過去最悪の犯罪件数、少年犯罪の増加、不登校、引きこもりといった現実などを労働現場に置きかえて考えるとき、また、いわゆるCSR、企業の社会的責任がクローズアップされる今日だからこそ、私は、いわゆる心の健康維持、メンタルヘルス、心のケアというものを労働者個人の責任に帰するのではなく、事業主を含む社会全体の課題として考えていくべきものと存じます。

 そこで、今回はこの点を中心に、順次論点を上げて質問をさせていただきたいと思います。

 ところで、メンタルヘルスにおいて支障を来しやすいのはどういったタイプの方なんでしょうか。例えば過労自殺にまで至ってしまうケースは、身体的疲労に加えて、精神的には極度のうつ状態にあることが指摘されております。また、そうした方は、ふだんはまじめに働き、自分が抱え切れない仕事量であっても頑張ってやり切ろうという責任感の強い方であることが多いのです。そこで、このたび、改正法案の主要な変更点として、そうしたメンタルヘルスの実効性向上を目的として面接指導制度がございますが、これについてまず質問いたします。

 なお、若干通告と質問が前後したり、踏み込んだ内容になっている点がございますが、ぜひ御理解いただきたく存じます。

 面接指導制度について、罰則、周知徹底、あるいは受診勧奨要件などについて、まず五つの質問をさせていただきたいと思います。これにつきましてはできるだけ大臣の御答弁をお願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、仕事を抱え込んで、ほかの人に相談したくてもそれもできないといったような労働者の方が、最悪の事態になる前に面接指導を受けて対処できる仕組みが必要と考えますが、本改正案には、時間外労働が月百時間を超え、疲労の蓄積が認められる者への面接指導の義務化が盛り込まれております。仮にこれを行わない場合には、当然罰則規定といったようなしかるべき措置がとられるべきと考えますが、これについてはいかがでしょうか。大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 安衛法六十六条の八の面接指導等の措置については、事業者に罰則を設けて義務づけることは予定をいたしておりません。しかし、面接指導等が適切に実施されるよう、広く周知を図る必要があるというふうに考えておるところでございます。

 したがいまして、このために、パンフレット等により事業者等に対して広く制度の周知を図りますとともに、事業者に対し、面接指導等の制度を労働者に周知徹底するよう指導をいたしたいと考えております。

 また、面接指導を実施する医師を対象とした研修を行いまして、周知の徹底と面接指導の適切な実施を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

柚木委員 その周知をいただく部分は大変大事だと思うんですが、その周知するということ自体のまさに義務化というのも、これは例えばパンフレットというふうに今大臣はおっしゃったんですけれども、そのパンフレットが実際に、恐らく企業の人事課、総務課、そういうところには配布されるでしょうが、労働者それぞれ、一人一人の立場まで浸透されるような周知徹底であることが必要だと思いますので、これについてもあわせてお願いをして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 その周知徹底のあり方、今パンフレットと大臣御答弁いただいたんですが、さらに少しでも労働者の個人の目に触れる形での周知徹底ということで一つ御提案をさせていただきたいんですが、御承知のとおり、労働安全衛生法五十九条では、雇い入れ時に安全衛生教育を行うことが事業者の義務になっています。そこで、面接指導制度についても、雇い入れ時に周知文書を渡すこと、そして、時間外労働の記載されている、例えば給与明細を渡すたびに、百時間超の勤務者については面接指導の受診勧奨を何らかの形で記載し、そういったことでまさに受診への実効性を高めていく具体的な施策を講ずる、そのようなお考えはおありでしょうか。あわせて大臣にお願いいたします。

尾辻国務大臣 今回創設をいたします面接指導は、過重労働による健康障害の防止のための制度でございまして、措置が必要な労働者が確実に申し出を行い、面接指導を受けられるようにすることが重要であると考えております。そのために、どうやってそのことを知らしめるかということが、今先生、御専門でいらっしゃいますので、具体的なお話もいただいたところでございます。

 今御指摘いただきましたような方法につきましては、制度の周知徹底に資するとともに、役に立つということとともに、申し出が確実に行われるための一つの例であると考えられますので、指導内容を検討いたしますに当たっての参考にぜひさせていただきたいと存じます。

柚木委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 では、さらに伺いますが、これも若干通告のものよりも踏み込んだ御質問になるんですけれども、事業主への面接指導義務の要件に、今回の改正法では、時間外労働が月百時間を超え、疲労の蓄積が認められる者で、さらに申し出があるものというふうにございます。これでは、大臣、事業主が疲労していないと認めた場合には、実際的、事実的には、事業主は面接指導義務から逃れることができるのではないでしょうか。

 また、通達で出されております、月八十時間を超えると、業務と脳・心臓疾患の発症の関連性が強いと判断されるというふうな指摘もございます。仮に、要件の百時間を超える勤務者本人が申し出ても、事業主が疲労の蓄積が認められる者と認めず、面接指導を受けられず、そして脳・心臓疾患で倒れた場合の事業主責任はどうなるのでしょうか。ぜひ大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

尾辻国務大臣 申し出があれば、必ずこれは受けさせなきゃならないものでございますので、今の御質問にお答えするといたしますと、申し出があれば、必ず受けなければなりませんというふうにお答え申し上げるところでございます。

柚木委員 申し出があればということなんですが、実際には、先ほど申し上げましたように、疲労の蓄積が認められる者と事業主が判断した上で、申し出があった場合というふうに改正案には記述をされておると思うんです。

 先ほど、申し出があれば必ずという義務規定があるのは私も承知しておりますが、やはり、疲労の蓄積が認められる者、そういった恣意的な判断が加わる可能性のある要件はこの際外して、そして、客観基準である、百時間時間外労働といった時間のみを必要要件とすべきではないでしょうか。大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

尾辻国務大臣 改めて申し上げますけれども、面接指導の対象といたしましては、これはもう御案内だと思いますけれども、まず時間外労働が月百時間を超えること、それから疲労の蓄積が認められること、今言っておられるとおりでございまして、この二つの要件を満たすものを予定いたしております。

 このうち、疲労の蓄積につきましては、今このことにお触れいただいておるわけでございますけれども、通常、体調の不良、気力の減退など、ほかの者には認知しにくい、はたからちょっと見えにくいという自覚症状であらわれるものでございます。このために、要件に該当するか否かの一義的な判断については労働者本人にゆだねざるを得ないということを前提にいたしておりますので、本人がそういうふうに判断して申し出てくる、そういう手続にいたしておるところでございます。本人が言ってくるという、本人が一番わかるから、こういうふうに考えておるところでございます。

柚木委員 本人の申し出というのが確かにこの改正案に明記されているんです。しかし、大臣、実際激務だと思われますが、御本人が、本当にいわゆる百時間を超えるような、まさに労災の認定の要件、基準を超えるような超過重労働を行っている場合に、実際には、なかなか自覚症状がなかったり、家族の方がこれはおかしいぞと思ったときにはもう時既に遅しということで、本当に痛ましい例になる事例がたくさんあるわけです。

 ですから、これは本人にゆだねるということではなく、やはり客観的基準である百時間の時間外労働、ここを私は要件とすべきだと思うんですが、大臣、改めて御答弁をお願いしたいと思います。

尾辻国務大臣 これは、今先生がお述べになったような考え方もあろうと思いますけれども、冒頭申し上げましたように、私どもが今回その要件にいたしましたのは、時間外労働が月百時間を超えるということと、もう一つ、疲労の蓄積が認められること。この疲労の蓄積が認められるというのは、やはり本人が一番よくわかるので、まずは本人の判断というふうにしたところでございまして、これが私どもの今回の法律をつくるに当たっての考え方であったということを改めて申し上げるところでございます。

柚木委員 ここは、実際に百時間超の勤務実態がある場合に必ず受診をしていただくような、まさに指導等を含めて行っていただくことをお願い申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。

 実は、予定されている厚生労働省令には、月百時間を超える者については面接指導を義務とし、月八十時間を超える者については事業主に面接指導の努力義務を課すようになっています。ということは、本改正案は、これは実は三年前なんですが、三年前に出された通達より後退した内容になってしまっているのではないでしょうか。労働時間に着目した健康確保対策の創設と高らかにうたわれているわけですが、三年前の通達の水準を下回るというのでは、これは納得できるものではありません。

 先ほど、客観基準ということで時間外労働の時間のみを要件とすべきと申し上げましたが、それでは、せめて三年前の通達の趣旨に沿って、八十時間を超える者と、この時間の要件を変更すべきではないでしょうか。大臣、ぜひ御答弁をお願いいたします。

尾辻国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますと、今、通達と言われました。これはやはり、法律できっちり定めることと通達で述べることとの違いが、重みの違いといいますか、そこの違いがございますので、私どもは今回、法律できっちり定めた、そういう意味でより強い姿勢を示したというところでございます。

柚木委員 このたび、百時間ということでの規定でございますが、今おっしゃっておりましたけれども、これは三六協定の四十五時間というところからこの八十時間、先ほども三年前の通達の例をお話しさせていただいたんですが、今後、この改正案の運用の中でぜひそういう時間的な要件についても御配慮、御検討いただけるようにお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 この五つの点、大臣、急な変更にもかかわらず前向きに御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 それでは次に、時間外労働時間の実態の把握についての質問に移らせていただきたいと思います。

 労働者の時間外労働が一定の時間を超えるということが産業医が面接指導を行うための基準になりますが、そもそも、時間外労働がどれだけあるのか客観的にわかる仕組みがなければ、これは実際に時間外労働がどれだけあるかわからないわけですね。時間外労働をしっかりはかるために、厚生労働省やあるいは労働基準監督署はどのような取り組みをしていらっしゃるんでしょうか。残業時間をしっかり記録していないケースも多々あると伺っておりますが、そういった漏れがないようにどのように対処をしていっているのかについて、これは副大臣、よろしくお願いいたします。

中野副大臣 厚生労働省といたしましては、労働時間の適切な把握を図るために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにして労働時間の適切な管理の促進を図るために、平成十三年四月に労働時間把握のために使用者が講ずべき措置についての基準を策定したところであります。

 ですから、その基準におきましては、例えば、タイムカードとかIDカードとか、職場への入退所というんでしょうか、そういう記録がありますね、そういう客観的な記録を基礎にして残せとか、そういうことをしまして、労働時間等を把握することに努めさせております。

 労働基準監督署におきましては、今言った使用者が講ずべき措置に関する基準をもとにいたしまして、監督指導や集団指導等のあらゆる機会を通じてこの周知徹底を図っておるわけでございますので、今後もこの基準が遵守されるように努めてまいるということで御理解賜りたいと思います。

柚木委員 今、そのIDカード、タイムカードの取り組みという御説明をいただいたんですが、実際にタイムカード等を導入していても、例えば一たんタイムカードを押して残業しているとか、そういうケースというのは間々あるわけですよ。そういう事態に対してはどのような対処をしておられるんでしょうか。

中野副大臣 今おっしゃったことは、いわゆるサービス残業ということだと思いますが、これは、労働基準法に明らかに違反している、そういう意味で、あってはならないものと認識をいたしております。

 このため、厚生労働省といたしましては、平成十五年五月に策定いたしました賃金不払残業総合対策要綱等に基づきまして、賃金不払い残業の解消に向けた総合的な対策、例えば職場風土の改革というのがありますね、それからまた企業内のチェック体制の整備とか、いわゆる労使の協力というんでしょうか、そういう協議会みたいなものもつくった方がいいんじゃないかとか、それから、こういうことを守るための事業者の講ずべき措置の徹底というんでしょうか、そういうものを含めた総合的な対策を推進しておるところであります。

 ですから、今後とも、先ほど申し上げました賃金不払残業総合対策要綱に基づきまして、企業全体として労使の主体的な取り組みを促す、そういうことをやらせていただくとともに、重点的な監督指導を実施することを通じまして、賃金不払い残業の解消に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

柚木委員 今、平成十五年五月策定のさまざまな取り組みについての御説明をいただいたわけですが、実際、そういう施策が行われていることは私も承知しておりまして、私、岡山県選出ではございますが、岡山の労働基準監督署も近々、まさに不払い残業撲滅のためのシンポジウムということで開催されるというのを伺っていまして、私もぜひ行ってきたいと思っているんですが、そういう施策を、しかし、それは年一回ということですから、そうではなくて、もっとそれぞれの例えば監督署の中で、そういう取り組みの内容、頻度をふやしていくような御指導の方をお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 次は、面接指導の受診と、そして費用負担についてお伺いをさせていただきます。

 労働安全衛生法の六十六条第一項規定の健康診断につきましては、勤務時間内に事業者の負担において健康診断を受けられるようになっているのは御承知のとおりです。

 それでは、本改正案六十六条の八の医師による面接指導というのは、就業時間内に受けてもよいといった解釈が可能なのでしょうか。また、その費用は事業主の負担になり得ますでしょうか。さらに、事業者が指定する医師、いわゆる産業医というその医師以外に、例えば労働者が個別で面接指導を受けたい、そういう医師がほかにおられる場合には、今申し上げましたような就業時間内での面接指導あるいは費用負担はどのようになるのか、あわせて副大臣にお伺いいたします。

中野副大臣 まず、先ほどの委員の御質問の中の賃金不払いの解消に対する対策、もう御存じと思いますけれども、厚労省としましては、十一月には、賃金不払残業解消キャンペーンというので、このキャンペーンもやらせていただいておりますし、また監督署におきましても、賃金不払残業重点監督月間というんでしょうか、この十一月はそういう意味で一生懸命やらせていただいておりますので、どうか、そういう点を御理解して、御協力を願いたいと思います。

 今御質問の問題でございますけれども、事業者が原則として労働者の時間外労働の状況を把握しておるはずでございますし、また把握すべきでございますが、時間外労働百時間を超えた労働者に対して面接指導を受けるように事業者が勧奨することは、これは当然、この制度の趣旨に沿ったものだと考えておるわけでございます。

 そこで、安全衛生法六十六条の八の面接指導の費用というものは、法で実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものだと考えておるわけでございます。

 また、今御指摘ございましたけれども、面接指導の受診に要した時間についての賃金の支払いでございますけれども、これは、受診者の都合もありますから、必ずしも就業時間中にやらなきゃならないというものじゃないと思いますから、そうなってきますと、必ずしも事業者負担にはならないと思います。ですから、その点については、労使協議して定めるべきものであると考えております。

 それからまた、労働者が、事業者が指定する医師以外の医師に面接を受ける場合の費用でございますけれども、これは労働者の意思でございますから、必ずしも事業者の負担にはなり得ないと考えておりますが、しかし、これも、やはり労使協議してこの点については定めるべきだと考えておる次第でございます。

柚木委員 今副大臣御答弁いただきましたように、必ずしもそういう義務ではないというふうにおっしゃられまして、労使の協議に応じてということですから、逆に言えば、例えば衛生委員会等でそういう協議によって事業主の負担にすべきだということになった場合には、おのおののケースについて、就業時間内での受診も含めて、実際に勤務時間内あるいは費用は事業主負担ということも当然これはあり得るという御認識でよろしいんでしょうか。改めて確認させてください。

中野副大臣 今委員のおっしゃったとおりだと思います。そういう認識で結構でございます。

柚木委員 了解しました。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、実際に、この面接指導制度の要件の中に当事者の申し出によるという要件が含まれていることは先ほど来お話に出ているとおりですが、面接指導を申し出たことで当該労働者に不利益がもたらされてはならないというのは言うまでもありません。

 仮に不利益になる場合には、せっかくの制度も使われずに、労働者の健康に役に立たないことになってしまいます。申し出による不利益取り扱いを禁じるそういった規定は実際に必要だと私は思うんですが、いかがでしょうか。副大臣、よろしくお願いいたします。

中野副大臣 今お話しになりました、面接指導の申し出によって労働者が不利益な扱いを受ける禁止規定がないかという御質問でございますけれども、面接指導を受ける旨を申し出た労働者に対しまして不利益な扱いを行うことを禁止する規定というものはございません。

柚木委員 では、その不利益の禁止規定がないという現状で、申し出をすることで仮に事業者から不利益な取り扱いを受ける、そういう可能性があれば、労働者が安心してみずからの面接指導の申し出をすることができなくなりますね。

 不利益取り扱いについての、まさにそういう場合についての厚労省の見解を私はぜひお示しいただきたいと思いますし、仮にそういう禁止規定がないのであれば、せめて、不利益取り扱いを防ぐための強力な指導、運用が求められると思うんですが、改めて御答弁をお願いいたします。

中野副大臣 今不利益な取り扱いを禁止する規定がないからということでございましたが、そもそも、面接指導を受ける旨を申し出た労働者がこれによって降格だとかまた配置転換とかという不利益な取り扱いを受けるようなことは、今のこの法の目指しているところの、過労によるところの死亡とかいろいろな問題がございますね、そういうことを防止するということを考えれば、あってはならないことだと私どもは考えておるわけです。

 ですから、改正法が成立した際には、事業者に対して改正法の趣旨を周知徹底しまして、長時間に及ぶところの時間外労働は極力避けるように指導を行うとともに、働く方、労働者に対しても、時間外労働が月百時間を超えた場合には、過労死等の防止のために面接指導をどうぞ受けてもらいたい、そういう周知啓発を行って、我が国のすべての事業場に対しては、月百時間を超えたら面接指導を受けるのが当然、そういう認識をこれからあまねく定着すべきだと私ども考えております。

 また、個別の事業場につきましても、衛生委員会などで、面接指導の申し出を理由として労働者に対して不利益な取り扱いをしてはならない、そういうこと、また労働者が申し出を行いやすい環境をつくるというようなことについては、ぜひこれからも衛生委員会で審議するよう指導してまいりたいと考えております。

柚木委員 副大臣に御答弁いただきましたように、こういったことでの不利益、まさに降格、配置転換ということはもちろんあってはならないんです。ですが、仮にそういう疑いが認められるケースといいますか、労働者個人、本人がそういったことと受けとめたという場合に対する対応策というのをやはりきっちりと明記しておくべきだと思います。

 そこで、一つ提案をさせていただきたいんですが、仮に、そういう医師、産業医による面接指導の結果、当該労働者の配置転換や職種の転換等が行われる場合に、この公正さを期すために、今まさに副大臣が安全衛生委員会でのお話をされたんですけれども、事業所における安全衛生委員会にそういった異動等の報告をするように義務づけるという点について私は提案をさせていただきたいんですが、御見解の方、お願いいたします。

中野副大臣 今お話しの、面接指導に基づく措置として、申し出た場合に配置転換等が行われた、その問題についてお答えをしたいと思います。

 面接指導に基づく措置の具体的な実施に当たりましては、労働者の健康状態ばかりでなく、労働者の事情や事業者の事情を考慮する必要があると私ども考えております。さまざまなケースもありますし、いろいろな場合がありますから、一定のルールでこれを縛るということはなかなか困難な面があるのではないかと考えております。

 しかも、そういう意味で、例えば一人の労働者が配置転換等をどうするとかという問題がありましたが、この議論とか、情報について議論することは、なかなか衛生委員会という立場で、個人のプライバシーとか個人の健康についての漏えいといってはおかしいですけれども、こういう問題もあります。ですから、個別的な問題について衛生委員会で審議するのはなかなか困難だとは思いますけれども、なかなか難しい面もあるということは御認識願いたいと思うんです。

 しかし、ありますけれども、できれば面接指導に基づく措置等に関して事業場内で一般的なルールづくりをして、そういうような場合については、衛生委員会においても調査審議を行うことは望ましいんじゃないか、あり得るんじゃないかということを申したいと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 質問の順、前後して大変失礼いたしました。まさに今最後におっしゃっていただきました、そういう一般的なルールづくりというのをぜひ、今安全衛生委員会でというお話を私は具体的な提案をさせていただきましたが、御指導いただくことをお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。

 請負労働のケースについてお尋ねいたします。

 請負労働の場合に、この面接指導、だれがその義務を負うことになるのか。最近、製造請負の形で同じ事業所内に子会社を幾つかつくって、そこで各工程の人たちが働く形式をとるケースがあるんですね。一つの事業所が五十人以上の場合に衛生委員会を設置することとなるんですが、例えば全体で百五十人が働いていても、三十人ずつの子会社が五つある場合になっていると、これは安全衛生委員会が設置されないという問題が生じてきますね。

 こういった衛生委員会逃れともいうべき事態が発生している事象について、厚生労働省としてどのように対処されるのか。また、そうした事例を除いても、実際には現在五十人未満の事業所が多いわけですから、現行の五十人以上という衛生委員会設置の要件を三十人まで引き下げることも必要ではないでしょうか。実際に、私のところにはそういった声もたくさん届いております。

 これは請負労働と話をしましたが、若干設置の要件という形での質問になりまして失礼いたしました。これについては、大変多くの方から要件の引き下げ、人数引き下げの声が届いておりますものですから、ぜひここは尾辻大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 請負事業者の労働者の面接指導につきましては、今お話しいただきましたように、当該労働者が所属する請負事業者が実施する義務を負っております。

 そこで、衛生委員会の設置範囲について、これは今いろいろな御意見があるというふうに言われましたけれども、労働政策審議会安全衛生分科会でも議論があったところでございます。そこで、その同分科会では、まずは現行の、今先生もいろいろなケースがあると言われた、まさにそうした小規模事業場における安全衛生管理の実態を把握する、まず実態を把握しようということにいたしております。

 したがいまして、この調査結果を踏まえて、今後分科会においてさらなる御議論をいただくということになっておりますから、今みたいないろいろな御意見をいただきながら、この分科会の結論が出るというふうに考えております。

柚木委員 それでは、その実態調査の上、そういう実態が大変多くあると認められる場合には、この五十人という設置基準、この基準が改正されることがあり得るということでよろしいんでしょうか。

尾辻国務大臣 今申し上げましたように、このことは労働政策審議会安全衛生分科会で御議論いただいておりますから、そして、その分科会がまず実態を把握して、それから議論しようということになっておるわけでございますから、その御議論を待ちたい。御議論がどういう結論を出すか、その結論が今先生が言われたような方向であれば、また当然それを踏まえての私どもの検討になるわけでございます。

柚木委員 その方向であればというところに重きを置かせていただきたいと思います。

 次に、派遣労働者の場合、いろいろなケースを私も伺っておるんですが、派遣労働者の今回の適用について若干お尋ねさせていただきたいと思います。

 派遣労働者については、御承知のように、派遣元あるいは派遣先というのがあって、実はこの派遣元と派遣先とが実際に密に連絡をとらないと面接指導は行えないと思うんですね。なぜなら、時間外労働について、実際に派遣先、派遣元との連絡が適切に行われていなければ、その把握自体が不可能になるわけです。ですから、まずその点について、運用面でそういう派遣元と派遣先との連絡が適切に行われるよう徹底すべきと考えますが、厚労省の見解はいかがでしょうか。一点目ですね。

中野副大臣 今、派遣労働者の問題、特に派遣元と派遣先の問題でございますが、まず申し上げたいのは、派遣労働者の面接指導の実施については、一般の健康診断と同じように、雇用先でございますところの派遣元事業者に実施義務が課せられているということがございます。また、派遣先事業者は、派遣されている労働者の労働時間の管理を行わなければならず、また時間外労働の時間を派遣元事業者に通知するという義務があるわけですね。

 これらのことから、今議員が御指摘したとおり、派遣労働者については、面接指導を適切に実施するためには派遣元と派遣先が密に連携をとることが不可欠であるということはおっしゃるとおりでございまして、改正法の周知に際してこれらの義務が完全に履行されるよう指導をしてまいる所存であります。

柚木委員 その運用面での御指導の方、当然していただく必要があるんですが、実はこの派遣の業態で、一人の労働者に対してこういう事例があるんですね。

 一つの派遣会社があって、そしてその間に、実はその会社の資本関係にある複数の派遣会社がある。ですから、その一人の労働者が結果として一つの派遣先に、例えば午前中は派遣会社のAというところから、午後は派遣会社のBというところから、さらに夜の残業は派遣会社のCというところから、大もとの一つの派遣会社、資本関係がある、そういう関係のそれぞれA、B、Cの会社から、一人の労働者に対して、一つの派遣先に実際に派遣される、結果としてその労働時間が正規社員の四分の三以下、そういう場合に、実は社会保険に加入しない、そういう労働者の扱いになるというケースがあるんですね。

 これは面接指導の運用とは若干違うんですが、この派遣労働という形態の中で、まさにこれは脱法行為だと思われますけれども、こういった扱いに対しては厳正に対処すべきと考えます。若干面接指導からは逸脱しますが、派遣労働の形態ということで今お話をさせていただきましたので、あわせて御見解をお答えいただきたいと思います。

中野副大臣 今お話しの派遣労働者に関する社会保険の適用の有無につきましては、通常の被用者と同様に、派遣元の事業所ごとにおける常用的雇用関係の有無ですね、これは今委員がおっしゃったとおり、いわゆる一日または一週間の時間、または一カ月の所定日数の中で、事業所における同様の常用就労者の四分の三以上という、この有無によって定まるのでございまして、複数の事業所の場合でも、やはりこれは派遣元が一緒でございますから、同様であると考えております。

 また、具体的な内容を承知しているわけではございませんので、お尋ねの事例については具体的な判断をすることはできませんが、まず一般論として申し上げれば、例えば今資本の提携とかというような関係を有しているA、B、C社のそれぞれが同一の派遣労働者との雇用関係を有して労働者派遣事業を共同で行っているのであれば、労働者派遣の過程において、例えばA社がその供給元だと、B社、C社を供給先としていた場合等につきましては、職業安定法の四十四条でございましたかで禁止されているところのいわゆる労働者供給事業が行われている可能性があり得るということも思われると思います。

 今後、お尋ねされたような事例につきましては、個別の具体的な問題について把握する場合には、事実を調べた上で、法違反等不適切な行為があるかないかを確認した上で必要な指導を考えてまいるわけでございますので、御理解願いたいと思います。

柚木委員 そういった具体的な事例があった場合には、ぜひしかるべき対応をお願い申し上げます。

 それでは次に、面接指導を実際に受け持つ産業医についてお尋ねしたいと思います。

 実は私もさまざまなそういう事例を伺っているんですが、この産業医というのは、必ずしもその会社が指定する産業医がメンタルヘルスに強いとは限らないわけですね。実際に私が岡山県の労働基準監督署の方からも伺いましたが、産業医の中で、例えば精神科医といったような、そういういわゆる精神疾患、メンタルヘルスの専門の方がどれぐらいいるのかと伺ったところ、五%ぐらいだというんですね。あとの方は、例えば内科の方であったり、研修を受けて対応しているというふうな実情なわけです。

 しかし、これは実際にそういう指導を受けに行った場合に、まさにそういう産業医の方々それぞれによって対応の言ってみれば専門性あるいはレベルが異なるようなことでは困ると私は思うんですね。そうはいっても、大企業の場合にはメンタルヘルスの対処というのも比較的進んでいるというふうに聞いているんですが、実は中小零細企業の場合、その産業医が大企業であればその保健センター等にいらっしゃったりするケースもあるんですが、実際には、中小零細企業の場合にはほとんどそういったことすらできていない実情というのもあわせて聞いております。

 そこで、私、提案をさせていただきたいんですが、実際に企業にいらっしゃる産業医の皆さんのある意味では資格要件等、これはもう少しきっちりと標準化をしていただくことが一点と、それから、中小零細企業の方々が実際にどうしているかというふうに伺いますと、これは産業保健センターの方に行ったり、あるいは来ていただいたりという形での対応になるんですね。ですから、私は、実際にその産業保健センター自体にも、今申し上げましたように、きっちりとしたスキルを持ったメンタルヘルスの専門家を置きまして、そして健康に不安を持つ労働者の駆け込み寺にする必要があると考えます。

 まず一点目が、ですから、産業医の質の標準化というか、一定のスキルを有する必要があるのではないかということと、それから、中小企業に対するメンタルケアにおいて、産業保健センター等、そちらの方でもしっかりとした専門家を配置して、労働者の駆け込み寺になり得るような形をとる体制をあわせて要望したいと思いますが、厚労省の見解の方をお答えください。

中野副大臣 今委員がおっしゃるとおり、精神科医の確保とかいうものについては、非常に現状は難しいということは事実だと思いますけれども、その中での対応でございますが、できる限り精神科医の確保とかもしなきゃいけないし、また研修もしなきゃいけないだろう。また、産業医といっても、大体地区の医師会の先生方がやるわけでございますから、おっしゃるとおり御専門じゃない方が多いわけでございますけれども、その方に対するメンタルヘルス面での研修というものはこれからは積極的にやってまいりたいということで、今の現状の中での積極的な対応にさせていただきたいと考えております。

 また、今中小企業の問題をおっしゃっておりましたけれども、地域産業保健センター、これは御承知と思いますけれども、全国三百四十七カ所でございますが、大体医師会に委託をして、郡や市の医師会の単位でこれを運営させていただいておりますが、健康相談窓口等を設置して、特に小規模事業の労働者の健康管理の相談に対応しているわけでございますが、その中で特にメンタルヘルス専門の相談窓口も設置をしておるところでございます。

 今年度からは、働き盛りの層のメンタルヘルス支援事業といたしまして、労働者及びその家族を対象にしたセミナーを開催させていただくとともに、個別に相談を受ける事業を開始したところであります。このような形で地域産業保健センターのメンタルヘルス対応の機能の充実を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。

 また、今回の安全衛生法の改正によりまして、地域産業保健センターの役割というものはより重要になってくると考えておりまして、地域産業保健センターのPRの強化を図るとともに、身近な場所というんでしょうか、今まではどっちかというと現在ある医師会さんの施設等でいろいろな相談なんかを行っておりますけれども、これを例えば駅のプラザとか、または町の商工会議所とか商工会、そういうところにお医者さんが来ていただく、また商工会とかいろいろな会のイベントなんかにその相談の機会をつくるとかということで、相談窓口の開設については柔軟にやってまいりたい。

 また、夜間とか休日の健康相談の対応などは、これは中小企業にとっては非常に大事でございますから、この利便性の向上を初めとするさまざまな工夫を行いたいと思いますが、特に事業所が多いところの、都市部を中心にした拡充センターの機能強化を図りまして、地域産業保健センターが有効に機能するように努めてまいる所存でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

柚木委員 今、産業保健センターのいわゆるPR、拡充、さまざまな御視点をいただいたんですが、もちろんそれをおのおの実施をしていただくとして、実際にそういった産業医の方から伺っている話で、産業保健センターの多くは、今おっしゃられたように各地の医師会の協力を得て運営していらっしゃる。しかしながら、そのまさに医師会の中で協力を得て運営している体制の中で、実は労働者が相談に行っても、きょうは担当医師がいませんといったような対応が間々あるわけですよ。ですから、そういった意味において必ずしも有効に機能していない現状が多く見られるわけです。

 ですから、さまざまな視点で今おっしゃっていただいたんですが、まず大前提として、例えば当番制で専門の産業医を各産保センターに、まさに駆け込み寺として、やってきたそのときにしかるべき対応をとっていただけるような施策を講じるべきだと私は思うんですが、それについてはいかがでしょうか。

中野副大臣 今議員がおっしゃったことは非常に大事なことでございますから、これからも御趣旨に沿って検討をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

柚木委員 検討は、これは必ず置いていただくという検討の方でお願いいたします。

 続きまして、今そういうさまざまな面接指導の具体的な要件や中身についてお伺いをさせていただいてきたんですが、実は面接指導というのは、労働時間が超過勤務百時間を超える場合の、いわゆる精神面での疲労が認められ、さらに申し出がある場合という要件であるんですが、実は、今回の改正案六十六条の八、九、こうしたメンタルヘルスを念頭に置いてつくられております。

 ところが、皆さん御承知のとおり、例えば高血圧や糖尿病などといった生活習慣病についても、これは労働者の心身の健康保持の観点からいたしますと、当然同様に面接指導を考える必要もあるんじゃないでしょうか。

 また、生活習慣病を抱えるそういった労働者の超過勤務について、今回労働時間等設定改善委員会というのが設置されますが、そういった場面において制限を加えるといった配慮もまさに同様に必要と考えるんですが、これについてはいかがでしょうか。

中野副大臣 今委員がおっしゃった問題意識については共有しておるところでございます。

 特に、面接指導というものは、高血圧症等を初めとした生活習慣病を基礎疾患とするところのいわゆる脳とか心臓疾患が長時間労働によって疲労の蓄積により発症すること、これに対する予防だということだと思いますし、メンタルヘルス不調の予防に資すことをねらったものだということは、これは御承知のとおりであります。

 ですから、そういう意味におきますと、現行の労働安全衛生法においては、労働者の健康確保のために年一回の一般健康診断の実施とその結果に基づく事後措置の実施を義務づけておりますし、また、努力義務としては、健康診断の結果必要な労働者には医師または保健師によるところの保健指導を行うようにというところがございますが、これらの措置につきましては、労働者の生活習慣病の予防に資すものであるということは御承知のとおりであります。

 さらに、労働時間設定改善委員会の決議というものが、この中で、時間外、休日労働とかフレックスタイムとか裁量的労働とかいうものについても、これらは五分の四ですかの多数決によってという一定の要件を満たす場合は、いわゆる三六協定にかえることができる。この仕組みを使って、労使が自主的にこの委員会におきまして生活習慣病患者の時間外労働についても議論をしていただき制限を加えていただく、そういうことも可能であると考えておる次第でございます。

柚木委員 可能であるということは、これは実際に制限を加えていただけるということでよろしいんですね。

中野副大臣 今、そのとおりだと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 今回、こういった形で、これまでさまざまなメンタルヘルスに論点を上げて質問させていただいてきているんですが、先ほどから義務規定をもっと強化すべきではないのかとか、あるいは罰則等設けるべきではないのかとかいったような形でまさにこの改正案の実効性を高めていく施策の必要性をお訴えさせていただきましたが、今度は、仮に今回の法改正後も例えば過労死や過労自殺が依然としてふえ続くような状況があるとすれば、これは事後チェックとして、例えば労働基準法違反企業やあるいは過労死が多い企業名を公表しろとか、そういう意見が出てくる可能性がありますね。

 逆に私は、今回のようなこういう面接指導制度を積極的に行う、そういった企業を、例えば先ほどの御質問の中にもファミリー・フレンドリー企業についてお触れの委員の方いらっしゃったんですが、例えばヘルシー・フレンドリー企業とかいった形で表彰するなどの方策をとって、まさに事業主あるいは労使双方のそういうインセンティブを高めていくような施策も講じることでさらに実効性が高まっていくのではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょう。こちらは大臣の方にできれば御答弁いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 表彰についてのお話でございます。

 安全衛生対策に積極的に取り組んでおりまして、安全衛生に関する水準が優秀で他の模範と認められる企業に対しましては、これは毎年厚生労働大臣と各都道府県労働局長が表彰を行いまして、その努力をたたえまして、広く国民に周知をいたしておるところでございます。そういう表彰制度があるということを申し上げたところでございます。

 そして、この表彰におきましては、過重労働による健康障害防止対策を含め今先生がお述べになっておられるようなことでございますが、健康確保対策の取り組みが秀でている企業も対象といたしております。

 今後とも、このように模範的な取り組みを進めておる企業に対する表彰など通じまして、今先生がお述べいただいておるようなことも含めて、そういうことを念頭にも置きながら安全衛生意識の高揚を図って、安全衛生水準の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 今の表彰制度があるというお話が確かにありまして、そういう月間が設けられていて、そこの中で実際にそういう表彰企業等があるという話もあったんですが、先ほどファミリー・フレンドリー企業の例も申し上げましたが、まだ認知の部分でそこまで高まっていない部分があると思うので、そういった面においてはぜひもっとPRをしていただいて、ひいてはまさにCSR等につながっていくような形でお願いしたいと思います。

 間もなく時間が終わりますので、今回の改正法案というのは、実は、改正案提出の経緯が、時短促進法を労働時間等の設定改善法に改め、さらには、年間総労働時間千八百時間という目標を掲げて計画的に労働時間の短縮を図る法律から、労働時間の設定を労働者の健康と生活に配慮したものにするために法律を改めたものだという説明がされております。しかし、果たしてこれが本当に労働者の働き方の多様性に配慮したものなのかどうかというのは、実はまだ疑問点が残るんですね。

 そもそも、一般労働者の労働時間というのが二千十五時間、増加している短時間労働者等を含めた平均の数字をもって千八百時間を達成しているというのは、私はちょっと問題があると思うんですね。これから日本社会の中で、仕事と生活の調和、まさにワーク・ライフ・バランスが大切だと思うんですね。二千時間をも超える労働時間、時間外労働は百時間を超える場合を想定することを不思議にも疑問も持たない状況、これは深刻だと思うんですよ。

 他方で、少子化対策が必要だと声高に叫んで、政府を挙げて取り組むとおっしゃっておりますが、この十年間、一般労働者の総実労働時間は減るどころかふえており、今申し上げました二千十五時間の高どまりなわけです。私は、政府が取り組むべきなのは、やはりこれは一にも二にも労働時間の大幅な短縮と均等処遇の実現にあると思います。

 政府の報告書には、個々の働く者が生涯の段階で希望する生き方を実現することで、結果として労働時間の短縮が図られるとあるわけです。現在のこの日本で希望する働き方が実現できているというのは、先ほどの労働時間の本当に高どまりの例も申し上げましたが、到底思えない部分もあります。となると、結果として、労働時間の短縮は絵にかいたもちということにもなりかねません。

 時間外労働を制限するためには、時間外手当を大幅に引き上げるといったような施策も必要だと思いますし、あるいは完全週休二日制といった実現も実効があると思います。労働形態により処遇で差別されないような均等待遇の実現も喫緊な課題であるのは言うまでもありません。

 こうしたさまざまな施策を一歩ずつ積み上げる取り組みを重ねて要求させていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鴨下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。五島正規君。

五島委員 民主党の五島でございます。

 前国会でこの法案は何としても十分な議論をしたかったわけでございますが、結局、解散によって廃案となってしまったものでございますが、先日の一般質疑の中で、我が党の柚木議員の方から大臣に対して確認をさせていただきましたが、同じ法案でございます。前国会におきまして、我が党の横路議員そして前城島議員、水島議員に対して、大臣がかなり丁寧に御答弁なさっておられます。この答弁の内容は、当然、この審議の一環として引き続き生きているというふうに理解して審議入りをしたいと思いますが、よろしゅうございますね。

尾辻国務大臣 そのとおりでございます。

五島委員 それでは、具体的な内容に入っていきたいと思いますが、今回の法案は、何本かの法案をまとめて出すということになっておりますので、これを短時間で議論するのには非常に問題があるわけでございますが、まず、労災保険についてお伺いしていきたいと思います。

 今回の労災保険の中で、複数就労しておられる方あるいは遠隔地に勤務しておられる方々に対する通勤途上災害について、その範囲を広げられるということについては我々も賛成でございますが、問題は、複数就業者に係る給付基礎日額の算定の問題については、従来の労災保険そのものの本質からいうと、大変おかしなずれた状態になっています。

 基本的に、労災保険においては、労働者が被災したことによって喪失した稼得能力の補てんということが原則でございます。そのことは、昨年七月の労災保険制度の在り方に関する研究会の中間まとめの中にも非常に明確に書かれております。この研究会の中間取りまとめでは、二重就業者についての給付基礎日額は、業務災害の場合と通勤災害の場合とを問わず、複数の事業者から支払われていた賃金を合算した額を基礎として定めることが適当である、こういうふうに述べています。

 また、今後の労働契約法制の在り方に関する研究会の中間報告においても、兼業禁止義務については課題としてなっており、近年、ワークシェアリングの推進、副業解禁の動き、短時間労働の増加や均等待遇のための取り組みや就業意識の変化などが起こっていることから、政府みずから就業形態の多様化が進んでいると指摘しています。当然、労災補償においても、労働者が被災したことによって喪失した稼得能力を補てんするというこの法の趣旨に基づいて、それに対応した給付日額の算定方式をとるのは当然だというふうに思います。

 また、事実、現行のこの労災保険の中においても、例えば一人親方制度といったようなものもあります。林業労働者の中でよくありますが、Aという職場で働いた林業労働者が午後、Bという職場へ移っていった。その場合に、もし転落事故その他の災害が起こった場合、その人の日額というのは、その人の過去三カ月分の賃金の平均、あるいはそのときの、たまたまの事故であれば、一日の日額に対して適当な係数を掛け合わせて計算することになっており、既に、合算されたものでもって支給されているという状況がございます。

 今回のこの法案において、これがA社からB社に行く途中においては、B社の賃金のみを対象として日額を決定するというのは、このそれぞれの研究会あるいは審議会での議論からいっても大変不当であり、この点については、今回この法案で、この労災保険法についての議論の経過からいって、この場において修正することはできないというのはよく理解しています。しかし、この問題は早急にこの労災保険部会にかけ直して、この点について改めて結論を得るという努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

青木政府参考人 二重就職者の場合の給付基礎日額については、今るる委員が御指摘になったとおり、いろいろ議論がございました。この法案をつくって提出して審議をお願いするまでに、審議会で議論がございました。

 十分経緯については御承知というお話でございますが、若干申し上げさせていただきますと、昨年七月の中間取りまとめでは、確かに賃金を合算した額を基礎とすることが適当とされておりましたけれども、その後の労働政策審議会の議論、検討の中では、それについて賛成する意見もあった一方で、通勤災害のみならず、これは業務災害にもかかわる基本的な問題ということでございますし、その際の給付が増加をするということに見合う負担の増加部分のあり方の問題なども含めて、慎重に検討を行う必要がある。それから、複数就業の事実を把握していない事業主も含めて、災害の発生と無関係な事業主にも賃金証明等の手続や負担が発生するというようなことで問題点も指摘されまして、結局、見直しを行うとの合意は得られませんでした。

 そこでの建議におきましては、この問題につきまして、複数就業者の賃金等の実態を調査した上で、専門的な検討の場において引き続き検討を行うことが適当であるとされましたので、私どもとしても、今委員が御質問ありましたように、こういったものを踏まえまして十分検討をし、今後対応していきたいというふうに思っております。

五島委員 検討するということでございますが、この問題は、今基準局長もお話しになったように、通勤途上災害の問題だけではありません。そして、仮にその中において例えば転落事故とか職場における重大な事故の発生、場合によっては死に至るというふうな事故の発生もあり得ないわけではありません。

 その場合に、その人が得ていた所得、それによって生活をしてきた所得を基礎として計算するのは当たり前。そして、その場合、もし事業所内においてそういう大きな事故が起こった場合、そのペナルティーはだれが担うかといえば、そこで事故を発生させた企業体が持つのは当たり前。そして、その労働者が二重就労していた場合、確かに事故を起こしていない企業が賃金証明その他をやらないといけないということが煩雑であるというのは、事実としてはそうなんでしょうが、これはやはり、人を雇ってみずからの仕事をやっている以上は、それは事業主に課せられた当然の責務だということで、そこのところはやはり労働省自身がきちっと判断してくれた上で、この結論を早急に、少なくとも年度内もしくは来年の夏までには結論を得るように努力をしていただきたい、そのように思います。

 検討するという基準局長のお話ですから、そのことをお願いしておいて、そして、ぜひそのことの努力があらわれるようにしていただくということを要望して、次に移ります。

 次に、今回、メリット制の変更がまた出されてきています。実にメリット制の変更というのは二、三年ごとにころころ変わっているので、大変目まぐるしいなという感じがございます。そして、メリット制の拡大そのものが労災事故を防ぐことに事業主が十分なメリットを感じて、そのメリット制の拡大が効果を持つということであれば、それは非常に結構です。

 ただ、今、災害事故、重大事故の発生が多い職場といえば、鉱山は日本は少なくなってきておりますので、やはり建設現場あるいは林業といったようなところが中心でございます。これらはいずれもある意味においては大変な不況職場。そうしたところにおいて、前回の国会におきましても建設労働法の問題の審議の中でも指摘をさせていただきましたけれども、本当に労災隠しというのが横行している、マスコミにずらずら書かれないといけないほど横行している。果たしてメリット制の拡大をしたことによってそれが減るのか、逆に、メリット制を拡大すると労災隠しがふえるのではないかという不安があるわけでございます。

 メリット制を拡大する以上、労災隠しということに対してより厳しいペナルティーを含めた対応が必要だと思うわけでございますが、その辺についてはどのようにされる予定か、お伺いしたいと思います。

青木政府参考人 このメリット制の拡大に伴いまして、労災隠しへの懸念というものについては、審議会で議論がなされた際にそういう懸念も表明されております。意見も出ております。

 労災隠しは、これはあってはならないものでありますし、これまでもあらゆる機会をとらえた指導あるいは周知啓発、あるいはそういうことが把握できたときには厳正な対処ということでやってきたわけでございますけれども、労災隠しの背景には、公共工事の指名停止を恐れることなど、複合的な要因があると考えております。

 メリット増減幅の拡大が直接労災隠しに結びつくというものではないとは思いますけれども、確かにそのような懸念があるということでありますので、もともと労災隠し事案に対してはやってきたつもりでありますけれども、引き続き厳正な対処を行っていきたいというふうに思っております。

 と同時に、こういうことがありますので、実効ある対策をきちんとやはりとらなければいけないということで、労使、関係者の協議の場を設けるなどしまして、労災隠し対策の一層の推進を図っていきたいというふうに思っております。

五島委員 建設労働におきましては非常に複雑な下請関係がございまして、元請責任というもとにおいて労災が一本でかけられているわけでございます。昨年の毎日新聞等の記事にもありますように、現実問題としては、例えば大きな事故が起こっても現場に救急車を呼べないというふうな状態。これはだれがやっているのかというと、元請の業者はやったとは言わないと思います。孫請の業者あたりが、それをやられるともう下請に入れないということの中でやっている。

 結局、建築現場なんかをとった場合に、それを包括した労災関係の成立というのはそれなりに評価できるわけですが、やはり今日のように、超大手の建設会社と、そしてそこで作業をしている人たちは末端の中小零細の業者という関係の中における、力関係の余りにも大きな格差の中で労災隠しが発生してきている。だから、従来の方法やあるいはこのメリット制の拡大だけでは防止できない。

 だから、メリット制の拡大を図るのであれば、元請の安全管理体制の強化徹底の措置を図っていただくとともに、労災隠しを行った事業者に対してはもっと厳正な対処が必要だろう。さらには、予防のためにリスクマネジメントシステムを導入、拡大した企業に対して、労災の予防やそういうふうな導入企業に対するいわゆる公共事業の経営審査での優遇措置など多層的な措置をとらないと、私は、四〇%に拡大したこのメリット制の適用というのは、結局、大企業にとってみて、労災隠しを行って労災保険料を縮減するというふうなところだけに目が移ってしまうのではないかと思うわけです。

 その辺についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。

青木政府参考人 労災隠しについては、これはまさに労災隠しでありますので、なかなか隠れているものを見つけるということが難しいわけであります。しかし、そういった中できちんと、これはあってはならないものでありますから対処していかなければならない。予防、それから見つけたときはきちんと対処する。そういう意味では、まだまだ全体として、労災隠し事案を見つけて送検をするという厳しい処分をしているのが平成十五年でも百三十二件ということであります。うち建設業は百件というような状況でございます。こういった対応も、きちんと我々としては今後ともやっていきたいというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたように、実効ある対策を講ずるということで、多層的な対策というお話もございました。そのとおりだと思っております。

 これまで、先ほどちょっと簡単に申し上げましたけれども、私どもがやってきた対策では、まずは何といっても、事業者に対しまして個別に監督官が事業場に立ち入って監督指導を行っておりますが、そういったときの監督指導でありますとか、あるいは多くの同業の事業主の方々、地域の事業主の方々を集めて集団指導するというような場、あるいは安全パトロールというようなことをいたしまして、そういったことできちんと死傷病報告を出す、これを出さないでいるのが労災隠しということでありますが、これを適正に出すように指導しております。

 もちろん、それと同時に、労災防止団体でありますとか建設事業者の団体でありますとか関係団体に対します周知の要請でありますとか、あるいはきちんと我々としても突合をし、把握をするということが大切だと思います。そういったことが実績となれば、それはまたそれで労災隠しの予防、防止につながると思っております。

 私どもの中でも、関係部署間で組織的な連携を図りまして、労働者死傷病報告書とそのほかのいろいろな書類、休業補償の請求書であります等の関係書類等々との突合をやるというようなことをいたしましたり、あるいはまた、私どもだけではなくて、国土交通省とも通報制度というようなことをやっておりますので、そういったものを十分活用したりいたしまして、実効ある対策を検討し、きちんと対応していきたいというふうに考えております。

五島委員 この問題は、既に何回も私も触れさせてもらった課題であります。

 建築現場におきまして作業手順を決めていく過程の中において、労災を発生させない、すなわち事故を発生させないための手順というものが、やはり上から下まできちっと整理されていないというのが余りにも多い。一方で基準局が出された資料を見てみますと、ここ数年間、重大事故の発生件数はややふえている、にもかかわらず一般災害の数は減ってきている。通常、こういうふうなものは重大事故だけが突出して出るというのはよほど特殊な事例でございます。結局、軽少なところを隠してしまうとそういうふうなことになって、全体としてどこが問題かわからなくなるということがよくございます。

 そういう意味においては、もちろん労災隠しは犯罪ですから、労災隠しをした人に対する厳罰の問題は、繰り返して申しません、当たり前なんです。だけれども、労災を起こさないということが、本当にそういう建築業の中においてどういうふうにシステムとして織り込ませていくかということが非常に大事だということを指摘して、またこの問題は改めて議論することもあるかと思いますので、次に行かせていただきます。

 次に、もう一つの今回の改正案の大事な課題でございますが、時短促進法の改正が出ております。

 私は、今回の改正案を見た場合に、時短促進法から、労働時間設定改善法というんですか、これとは同質のものなのかどうなのかというふうに大変疑問に思っております。そもそも時短法というのは、独禁法に根差して、それぞれの企業の間における公平な競争という観点から総労働時間について定めた法律でした。言いかえれば、経済政策に立脚した法。

 私は、この法律ができたときに、とんでもない法律だと思っておりました。なぜならば、労働ということにとって、労働時間というのは労基法に決めている最も重要な問題、労働者にとっては権利の問題であり、事業主にとってはその安全配慮義務にストレートに絡んでくる大事な問題。この問題が、総労働時間という言葉の中でそういう経済法律のところにすぽっと切り取られてしまった、そのことが、これまでも、例えば過労死の問題やそういう問題が起こるたびに労災の認定問題でしか争わざるを得なかった大きな点だっただろうと思っています。

 今回、この時短法が変わってくる、総労働時間がほぼ千八百労働時間になったからということです。

 これは確かに、諸外国とのイコールフッティングな競争という観点からいえばそのとおりなんです。だけれども、中身を見てみると、厚労省の方も御指摘になっておりますように、一方でパート労働者がふえ、一方で常用労働者は労働時間が長くなってきている。個々の労働者の生活と総労働時間が千八百労働時間に近づいたということは関係ない、そこのところにも十分に気がつかれたので今回の法案を出されてきた。そして、その内容を見てみると、やはり労働者が人として、あるいは社会人としてどういうふうに労働時間を考えるかという観点に立った改正になっているわけです。

 そういう意味においては、この法律はやはり、これまでの企業間のイコールフッティングの観点から、労働者の労働生活の過ごし方というところに軸足を置きかえた法案になっているのかなというふうに思っているわけでございますが、その辺はどうなんでしょうか。

青木政府参考人 まさに委員御指摘のように、この時短法、これを、題名も今回改正をお願いしております。労働時間の設定の改善に関する法律ということで、基本的な軸足といいますかスタンスがそういう意味では変わっている。

 それからまた、時短法は、時間を短縮していくということでありますので、一定の目標を定めてそこに向かっていくということで、臨時措置法という時限法になっておりますけれども、これは基本的な労働者の生活と労働との調和という観点も含めておりますので、基本的な考え方に立脚した法律ということで、これは恒久的な物の考え方に立っているということで、恒久法での改正をお願いしているところでございます。

五島委員 基準局長、なかなかええことを言うので、それをおっしゃっていただきたかった。

 そうであれば、時短法が、独禁法で競争のイコールフッティングに根差した法律であったのが、それが変わってこうなってくるとすれば、なぜ今回、この労働時間設定改善法というものの中に公務労働や学校の先生方は対象になっていないのか。独禁法の場合においては、競争原理がそこにはないということで外されていることはわかります。しかし、働く人の労働生活の問題ということでこの法案が位置づけられるのであれば、そこには公務労働で働いている人たちを排除しなければいけない理屈はない。

 確かに法律の形は時短法の改正です。したがって、それに引っ張られているというのはわかるけれども、法律の基本的な性格が変わって永続法にしていくということであれば、そこのところは当然、労働安全衛生法と同じように、これは全労働者、どういうふうな関係の雇用労働者であれ対象にするというのが筋ではないですか。どうお考えですか。

尾辻国務大臣 今回の改正といいますか、名前が変わっておるわけでございますが、広い意味での改正でございます。この改正に当たっての私どもが考えましたことを申し上げたいと存じます。

 今、基本的なところでのこの法律の性格がというところもお話ございましたけれども、この新しく労働時間等設定改善法という法律で規定をいたします制度の仕組みとして、時短法にございましたものと同じように、名前をちょっと変えておりますけれども、労働時間等設定改善委員会と労働時間等設定改善実施計画を仕組みとして入れております。すなわち、委員会と実施計画で仕組んでおるということは前のままでございます。

 そして、先生に、この委員会とそれから実施計画でどういうことを定めようとしておるか、仕組んでいるかということはもう申し上げるまでもないところでございます。すなわち、基本的にそこの部分では時短法の考え方、また委員会のあり方、計画のあり方を引き継いでおります。基本的に引き継いでおりますということをまず申し上げました。

 したがって、公務員についての考え方も、時短法についてそこの部分で引き継いでおるものですから、そのまま当てはめて考えたということで変更しなかったということでございます。

五島委員 廃止する法案を引き継いだからといって、廃止する法案、性格が違うものを維持する必要はないわけであって、まさにこれから大事な、国民として生活の中に労働もあり、それが両立していく、そういうふうなものをどう考えていくかということを検討する法律ですから、これはやはり学校の先生であろうと公務員であろうと広く適用するという方向で、ぜひこれについての検討を。

 これは厚労省だけでは難しいんだと思いますね。総務省とか文科省とも話し合いになるのか、それともそういう共同の検討会みたいなものをつくるのか。何らかの措置が必要なんでしょうが、ぜひそのことを検討して、全労働者に対して、パートであろうがだれであろうが、すべての人にそのことが適用できるような方向で検討を始めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 検討という言葉は、そちらの方向にできるだけ早く変えるという意味で検討しますと申し上げると、またいつまでにとかというようなことにもなろうかと思いますから、直ちに検討します、そういう意味では申し上げませんけれども、課題としては十分認識をさせていただきますということをまず申し上げたいと存じます。

五島委員 結論を直ちに出せとは言わないけれども、検討は直ちにやっていただきたい、このことは要望をさせていただきます。

 続きまして、今回、この労働時間の設定委員会とそれから衛生委員会との機能の問題がございます。時間設定の改善の委員会を各企業の中につくり、そこで検討していってもいいし、あるいは各企業の中にあるこの労働衛生委員会でこれを代行してそこで議論をしてもよろしい、こういうふうな内容になっています。

 このことは労働衛生委員会の審議事項が追加されるということとも関連するのかなと思っておりますし、また、この時短法と関係なしに、今回の労安衛法の中では非常に法律の表面と説明とは違うわけですが、各所において、これは労働衛生委員会マターの問題ですが、労働衛生委員会において決議をされた場合、決められた場合、いわゆる三六協定、月四十五時間以上あるいは年百八十時間以上の超過勤務をする場合に、そこのところで医師の面接その他を受けさせなさい、基準局はそれを勧奨しますという説明も承りました。そういう意味においては、まさに労働者の健康、安全に対する配慮義務として労働時間がかなり明確に事業主に課せられた内容に、この労安衛法の改正はなっています。

 このことについてももう一度確認をいただきますけれども、そうだとすると、今度はこの労安衛法の持っている今日的な欠点は何か。これは五十人以上の事業所において設置義務がされています。五十人以下のところはこの設置義務がございません。従来でいえば、では中小零細企業は労安衛法のらち外かという話なんですが、今日ではそう単純ではないんです。

 例えば、三十人ぐらいの事業所に分割されていたり、あるいは製造業の中において、いわゆる製造請負というふうな形で一つのラインの中で三社も四社もが入って共同の作業をしていたり、あるいはそういう派遣の労働者がその中に入っていたり、あるいは流通業なんかではパートの労働者が大半を占めている。まあパートの場合は当然対象に入るのはわかるんですけれどもね。そういうふうな状態の中で、一つの事業所としては五十人未満であるという事業所がふえてきていることは事実です。それは企業や資本の大きさとは余り関係ない。

 そういうふうなものに対してどのように対応するのか。やはり現在のこの委員会の設置義務を、五十人以上となっているのをせめて三十人以上ぐらいに変えられないのか。あるいは一つの地域の中で同じ系列の企業が複数ある場合、その企業を合同して一つの労働衛生委員会をつくれないか。

 例えば、一つの市町村の中にスーパーマーケットが一つの経営のもとで五つ六つある。一つずつについて常用労働者、パート労働者を入れてみたら三十人ぐらいだけれども、全部足したら百五十人いるよというふうなところもあるでしょう。また、そういう先ほど言いました製造請負のような形にしているところは、労災保険法の場合と同じように継続的に製造請負でやっているところは、その一つの工場の中に何社入っていたとしても、そこ全体を含めた衛生委員会をつくるというようなことができないのか。それができないと、これは本当に実効性を持てないのではないかというふうに思っております。

 私は、先日、ある労働者の訴えを聞きました。一人の、一人と言ったらおかしいですが、ある経営体のもとで派遣会社を三つ経営している。そこで派遣されている労働者は、Aという派遣会社から月のうち数日間、七日とか八日行く。次は、同じ経営者のもとにあるBという派遣会社から七日、八日行く。そしてCというところから行く。合計すると一月に二十五日。労働者自身は、同じ経営者のもとで働いているから派遣労働として社会保険も入れると思っていたんだけれども、一社当たりで分断されてみると七日とかそれぐらいしか働いていないから、社会保険には入ってもらえていないという話を聞きました。さまざまな、今の時代、悪い働かせ方をするものですね。

 そういうふうな例からいっても、この衛生委員会の規模の問題、あるいは組織の仕方の問題、あわせて検討すべきじゃないですか。どうですか。

青木政府参考人 今委員から、衛生委員会のお話しございました。それから、さまざまな事業活動の中における働き方のお話も紹介されました。まさにおっしゃっているように、今回、その改正では、面接指導が事業場において適切に実施されるというためには、やはり労使による自主的な取り組みが不可欠だということで、衛生委員会に期待し、強化をしているわけであります。そういう意味では、お話にありましたように、五十人以上でなくて小さいところにも、さまざまな就業形態が変わってきたり、あるいは事業活動の仕方が変わってきている中で、してはどうかという御指摘でございます。

 問題意識は私どもも持っております。審議会でもこれについても議論がございまして、安全衛生委員会というのは、その設置について費用負担というのがそう大きいものではないので、逐次設置基準を、委員がおっしゃるように引き下げてはどうかという提案も現実にございました。

 それから、一方では、むしろ小さいところでは労使一体的に事業運営がなされているので、わざわざ委員会を設置するまでもないというような御意見もありました。委員が御指摘になったような系列企業でたくさんの事業所を抱えているというような場合であるとか、あるいは一つの事業場でたくさんの事業主のもとで働くことになってきているというようなことを考えますと、やはりそこでの結論も、まずは小規模事業場での効果ということについて不明な部分もあるので、さらに実態を把握するということで結論になっております。委員が御指摘になったような実態等も踏まえながら、やはりここはひとつきちんと実態を調査して、十分議論をする必要があるだろうというふうに思っております。

 現在でも、五十人未満の事業場では、こういった安全衛生に関する事項については関係労働者の意見を聞く機会を設けるようにしなければならないというふうに規定をして、先ほど私が申し上げましたように、労使のこういった自主的な取り組み、話し合い、そういったものが大切だということを一応は担保しておりますけれども、この衛生委員会に今回の法律でも期待をしております。

 そういったさまざまの議論もございましたので、十分調査をして、その結果を踏まえながら審議会の分科会で御議論いただきたいというふうに思っております。

五島委員 前国会で、JRの尼崎での不幸な事故がございました。これに対して皆さんから、安全衛生委員会はどうなったんだという話をお伺いしました。

 JRにおいては、幾つかの駅をまとめて安全衛生委員会をやっている、あるいは、車掌区でという形でもって衛生委員会をやっているというお話でしたね。すなわち、同一の事業体の中が幾つかの事業所を持っている場合、それを連結して一つの委員会をつくるということを現実に認めてきておられるんです。

 そうであれば、Aというスーパーマーケットがその市なら市の中において三つ四つありますよ、まとめて衛生委員会つくれるじゃないですか。そういうふうな形で衛生委員会はつくれるはずですね。そうでなかったら、あのJRの事故のときの、皆さん方、これでちゃんとやっていますという答弁はうそだということになる。

 一体、衛生委員会というのは、事業所ごとになっているけれども、事業所のみなしというのはどうなっているんですか。お伺いします。

青木政府参考人 労働関係法令においては、事業所単位で、労働実態といいますか事業活動が随分と違う、いろいろな規制についても事業所単位でやるというのが原則になっております。しかし、先ほど申し上げましたように、いろいろな就業形態なり企業の企業活動のやり方というのが、随分と多様化したり変化をしてきております。そういう意味では、企業単位で、安全衛生も含めまして、労働基準関係の取り扱いについては、できるものはそういうことでやっていこうという方向に進みつつあるというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたように、衛生委員会につきましても、そういう意味でさまざまな対応をとれるような議論というものをしていただきたいというふうに思っております。

五島委員 基準局長、あなたは労働基準に関しての省の中における責任者なんです。解説したりあなたの将来予測を抽象的に聞いても仕方がない。どういう意図でもってどうしようとしているのかというのは、あなたの答弁を聞いていても全然感じられませんね。

 現実問題として、事業所単位というふうにやっていった場合に、本当にこの労働衛生委員会が、これだけの大きな機能を強化しながらそれを担えるのかどうか。そのためには、今の時代の流れの中で何が必要なのか、もう少し明確におっしゃっていただきたいというふうに思います。

 あわせてこの問題との関連ですが、この労働衛生委員会というのは、本来は調査、勧告でした。ところが随所において、そこで決めた場合に、それがあたかも決議をして法的効果を持つかのような説明がこれまでもございました。衛生委員会が勧告した場合、事業所なりあるいは事業主はそれに従わなければならないということはどのような形で担保されているんですか。お伺いします。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

青木政府参考人 衛生委員会につきましては、健康障害を防止するための基本となるべき対策に関することを調査審議して、事業者に対して意見を述べるという機関として位置づけられているわけでありますけれども、そこでいろいろなお話し合いをし、いろいろなものを決めていくということも当然あるわけであります。

 しかしながら、衛生委員会の構成というものが、現場の実情を熟知した労使から成る機関でございますので、事業者としては当然そういった結果を尊重した対応が求められると考えております。また、その旨をきちんと通達で明らかにしたいというふうに考えております。

五島委員 労働衛生委員会において一定の勧告について結論を得た場合、それは事業主は尊重すべきというふうな通達をお出しになるわけですね、今のお話は。確認しておきましょう。

青木政府参考人 そのようなことをきちんと通達で出したいというふうに思っております。

五島委員 やっと少しわかってまいりました。

 それで、この労安衛法というのは先ほどの時短法と違いまして、全労働者に適用されます。言いかえれば、公務の労働者、公立学校の先生にも適用される法律です。したがって、そのことは公務労働者にも同じように当てはまると考えてよろしゅうございますね。

青木政府参考人 労働安全衛生法は、今お触れになりましたように、国家公務員の一般職非現業職員には一部適用ございませんけれども、それ以外の、国有林野でありますとか、特定独立行政法人の職員でありますとか、日本郵政公社の職員、あるいは地方公務員については、原則として適用がございます。したがって、今お触れになりました衛生委員会でありますとか面接指導とか、そういう労働衛生の関係に係る規定につきましても、一部を除きまして公務員にも適用されるというものでございます。

五島委員 そのことは、今回の法律の六十六条の八及び九もそのとおりですね。そして、この労働時間に着目した健康確保対策の方も、当然、これも今言われたような一部の国家公務員を除いては適用されると考えてよろしゅうございますね。

青木政府参考人 おっしゃるとおり、一部を除きまして原則適用するということでございます。

五島委員 ところで、これで四十五時間を超えた労働者に対して、衛生委員会が決議をするならば面接させるようになっているわけです。確かにそこから危険度が増すというのはわかるわけですが、それはまさに三六協定なんですね。それよりは、三六協定の除外を決めることについては労使の完全な合意と、その際には必ずそういう面接をさせるというふうに言われたらわかりがいいと思うんです。わざわざ法案の中には除いて、そして、そういう前提条件のもとで四十五時間以上について労働者の健康に配慮しようというやり方については、わかりにくいなという感想を持っているということだけは申し上げておきたいと思います。

 次に、今回の措置の中で、事業主の安全配慮義務として時間外労働についての面接といったような形での措置がかなり強調されています。しかし、これは労働者の心身の安全ということでございます。

 したがいまして、このメンタルな問題を含む、そのほかの問題も入るということでいいんだろうと思うわけですが、例えば生活習慣病、高血圧とか糖尿病とかを持っている人たちが、メディカルコントロールのもとで通常勤務においては健康者として働ける。そうした人たちがどんどんふえてきています。そういうふうな人たちに超過勤務、長時間労働をさせた場合に、このバランスが崩れておかしくなってしまう。だからそういうふうな人たちに対しても、このメディカルチェックの対象、この衛生委員会の課題として含まれるのだろうと思うんですが、その辺確認しておきます。

青木政府参考人 今回のこの面接指導というのは、長時間にわたる労働が脳心疾患の発症と関連性が強いという医学的知見がありますので、その労働時間に着目しまして、長時間労働により脳心疾患の発症リスクが高まったときに、医師が面接をして適切な指導を行うということで労働者の健康被害を防止していこうということであります。

 その際には、長時間労働とメンタルヘルスの不調ということの関連も指摘されておりますので、メンタルヘルス面にも留意して医師による面接指導をするということをしまして、こういったメンタルヘルスの不調の問題、その防止についても対応していきたいというふうに思っております。

五島委員 大変大事なことだと思います。

 ただ、そうしますと、今回の措置の中でメンタルな問題を中心に掲げているわけですが、面接をする、あるいはメディカルチェックを受けるというものは産業医を指しているのか、主治医を指しているのかという問題が出てくるだろうと思うわけですね。

 大きな企業であれば、企業のラインの中に産業医がいることはございます。そして、この衛生委員会において、産業医に面接を受けなさい、受けてはどうですかという勧告をすることはあるんだろうと思います。

 しかし、一方で、今言われたように、脳、心臓系の障害の予防ということになれば、そのメディカルコントロールを産業医のところで受けているケースというのは極めてまれなんだろうと思いますね。通常は、主治医がいて、そこのもとで受けているというのが普通だろうと。

 その場合に、メディカルチェックを受けて、そしてその残業時間等々の問題について意見を出すというのは、主治医と産業医との間の話し合いでやらせるのか、それとも主治医は切り捨てて産業医のところで判断させるのか、それとも主治医の意見書、診断書を尊重してやろうとしているのか、その辺はどうなんですか。これはメンタルな問題も一緒なんですが、お伺いします。

青木政府参考人 医師による面接ということでありますから、我々としては、産業医が労働者の実際の働いている場なり労働者の働き方、あるいは作業現場での状況、あるいは労務管理といいますか、そういったことについても十分知っているということで、まず念頭に置くのはそういうことであります。しかし、おっしゃったように、それぞれやはり専門医との連携も大変重要だと思いますし、そういう意味では、産業医の皆さん方にも研修なりをしてそういった知識を総合的に持っていただくというようなことも必要だと思っております。

五島委員 その人の健康状態を一番よく知っているのは、やはり主治医ですよ。一方、今の主治医が労働現場の実態を知っているかどうかということについては、それは非常に問題がある。

 だから、一人一人の問題について衛生委員会でそれぞれの労働時間に伴ってメディカルチェックをさせるというのはいいんだけれども、その場合の結論については、やはり主治医と、あるいは企業を代表して産業医が労働条件について主治医のもとに話していくというふうなシステムをつくっていかないと、日常的なその人の健康状態を掌握していない産業医が判断をして、それによって何か事故が起こった場合には、これは無過失責任では済まなくなっていく、そういうふうな責任の問題も絡んでまいります。

 それらについては非常にメンタルヘルスの問題だけがよく書いてあって、余り丁寧にそこのところを触れていません。これは法律に書くことじゃなくて政省令に任せられる内容だと思うわけですが、しかし、そこのところは、極めて現場においては、労災問題というのはしょっちゅうあることですし、一番ややこしい問題。ここの点については十分な対策をとってもらって、主治医の意見というものと産業医の意見というものを調整するということをやはり前提にしていただきたいというふうに思います。

 次に、同じような問題、特に中小企業との関係の問題がございます。

 中小企業の場合は、特に、嘱託医その他はいたとしても、メンタルな問題については非常に困る。先ほどの質問者に対してもお答えになっておりましたが、結果において、産業医に今から精神衛生の研修をさせて、それでメンタルヘルスの問題を解決していこうというのは、委員長はその専門ですから、委員長から御意見を賜ったらいいんだと思うんですけれども、ちょっと専門性をばかにしていると思わざるを得ない。

 やはりこの際、中小企業のそういうメンタルな責任をとる最低限の受け皿は産保センターである、産業保健センターである。産業保健センターは先ほどもお話しになっておりました。前の年金基金のたたき売りのときにも私言いました。各地の社会保険センターなんて場所が物すごくいい、売るんなら国に売れ、そしてそこに産保センターを入れろと言いました。地域医師会なんというのは、それは私、地域医師会の会員ですよ。あれはめったに行きたくないところですよ、あんなところは。まして一般の人たちが、地域医師会の中にある産保センターを訪問しますか。

 そのことを考えたら、やはり中小企業の労働者の駆け込み寺と言えるような内容にしてもらう。もちろんそこに来る医者は、地域の医師会の協力のもとで出していただければいいと思うんです。メンタルヘルスの専門家というのはどこの地域にだっておられるわけですから、そういう方々に担ってもらいながら、やはりこれが駆け込み寺になるような、その体制をつくらないでメンタルヘルスについて産業医に講習会をやりますというやり方では、僕はこれは対応できないと思うわけですが、その辺についてはどうでしょうか。

青木政府参考人 私が申し上げたのがちょっと舌足らずであったかもしれませんけれども、産業医の方にも、もちろんそういうことで研修を、講習をして知識を深めていただく、広めていただくということもございますが、それと同時にやはり、まさに委員が御指摘になったように産業医と主治医、専門医、そういった方との連携というのは、これは非常に大切だというふうに思います。まさに御指摘になりましたように、そういうことが本当に実が上がることだろうと思います。そういう意味でのネットワークづくりというようなことも私どもとしてはやっていくということで考えております。

 それから、地域産業保健センターも御指摘がございました。地域産業保健センターは、まさに中小企業の事業者、そこで働く労働者の方々にとって、そういった産業保健の確保ということで順次整備をしまして、それから場所も、医師会をお借りすることがほとんどでありましたけれども、非常に一般の方々が出入りできるような繁華街のところに借りてやるというような拡充センター、あるいは、土曜だとか休日だとか、そういったところでも開設できるようにというようなことで、順次そういった取り組みもしてまいっております。

 おっしゃるように、地域産保センターが、まさにそういった意味での主導的な立場になっていくのは大変望ましいことであると思っておりますので、我々としても、そういう面での努力をしたいというふうに思っております。

 地域産保センターにおいては、医師によるメンタルヘルスの相談を行うほかに、労働者の家族も含めたセミナーだとか相談会なども開催していくということで、こういったものを、委員がおっしゃるように、強力にバックアップをして実を上げていきたいというふうに思っております。

五島委員 今おっしゃったお話は、まさに今うつなんかが非常にふえているわけですね、労働現場なんかでは。ふえているので、だれもが一番認めている、うつの発生が多い職場といいますと、学校の先生や地方自治体ということになるわけです。

 そういう意味においては、当然、労安衛法ですから、そういう方々も対象になるわけですけれども、そういう方々も利用できるようなものにしていかないと、各学校ごとに学校医はいるけれども産業医はほとんどいない、ましてや精神科の産業医なんていないというところが普通ですよね。だからといって、学校の先生専用の精神科の産業医をつくるのかという問題もあります。そういう意味においては、やはり地域の共有の財産として産保センターがそういう機能を持っていけるように、ぜひ努力していただきたいと思います。

 そして、時間も参りましたので、最後でもう一問、質問いたします。

 逆に、ここまで長時間労働に伴うところの事業主の安全配慮義務についてやってまいりますと、今度は、そのことに伴う労働者の不安感とか不信感とかいう問題が発生する可能性があるわけです。言いかえれば、メンタルヘルスの問題というのは、それに伴うカウンセリングを受けるということは、労働者にとってみると、さまざまな情報が産業医なりに漏れることになります。その情報を一番知られたくない人が実は経営者であるという場合は、もう普通にたくさんあるわけです。

 医師に面接あるいはメディカルチェックをされたことによって起こってくるプライバシーの確保の問題、そして、それに伴うところの不利益処分といいますか、不利益な取り扱いがされない、そういうふうな担保はどのようになっているのでしょうか。

青木政府参考人 確かに、おっしゃるような懸念というものがあるというふうに思います。

 面接指導によりメンタルヘルスの不調というようなことが判明した労働者に対して、偏見とか誤解とか、そういうことに基づいて解雇だとか不利益取り扱いが行われることがあってはいけませんので、そういうことがないよう、改正法の周知に当たりまして、事業者に対して十分啓発指導してまいりたいと思います。

 また、メンタルヘルス不調の方、労働者のプライバシーの確保とか、あるいは事業場における不利益取り扱いを受けることがないような対応につきましては、新たにメンタルヘルスについての指針を策定するつもりでおりますけれども、その中でもそういう対応を盛り込むことを今考えておりまして、そういったものを事業者の方にも周知をして遵守してもらうというような対応をしていきたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

五島委員 特にメンタルの問題につきましては、だれもが簡単にそういうカウンセリングを受ける、受けることが当たり前だというふうな状態をつくらない限り、それを受けること、そして、受けたことがそのまま事業主に通知され、不利益処分を受けるかもしれないという不安を与えさせるとすれば、結果において受診のチャンスをおくらせ、病状を悪化させる。もう御承知のとおりです。そこをどう避けるかというのは、実はこの問題で一番難しいところです。

 また今度は、被災している労働者、病気を持っている労働者、病気になりかけた労働者にとってみて、場合によっては、そこによって適切な医学的判断で、これ以上残業してはいけないよ、そういう変則勤務のところについてはいけないから、事業主の方に言っておくから日勤勤務にかえなさいと言われた場合、そのことによって賃金が下がるという、いわゆる時間外所得が減る、そのことに不安を持って、それを隠そうとする場合もあり得るわけです。

 私自身、昭和四十五年、白ろう病の患者さんを地域健診で見つけ、健診をやって、ひどい振動病の患者さんがたくさん高知にいました。そのとき、おまえ見逃しとおせ、おまえに白ろうや言われたら親子三人で首つらぬと、仕事のうなると山奥の労働者に泣きつかれたことがあります。すなわち、健康と生活というのを、下手するとここは二律背反化させるんです。そのときに、非常に慎重な取り扱いをしてもらい、そのことに対するやはり事業主への安全配慮責務、そして医師の医師としての責務、その辺を厳しく正していただく。

 そのことを、再度決意を大臣に、何かおっしゃっていただけませんか。そして、このことはもう全労働者の問題ですから、公務であろうと何であろうと共通した課題だということについての御決意をお聞かせください。

尾辻国務大臣 大変重要な、大事な御指摘をいただいたと思います。十分このことに配慮して、私ども対処してまいりたいと存じます。

五島委員 終わります。

宮澤委員長代理 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田でございます。

 引き続きまして、労働安全衛生法の一部改正に関する質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、後ほど、私、四十分のお時間をいただいているわけでありますけれども、参議院の方で本会議で採決がされるということでございますので、前半三十分そして後半十分というふうに分けて御質問させていただきたいと思います。

 本当に大臣には、大変お疲れだとは存じますけれども、きょうは、私どもの前向きな御提言を幾つか、私もさせていただいておりますし、させていただきますので、ぜひまた率直なる御意見をお聞かせいただければなというふうに思っております。そして、昨日でありましたか、総理官邸の中に、いかがわしいというか、何か麻薬のようなキノコが発生していたということもございます。お疲れだとは存じますが、そういうキノコにはぜひ手を出さないように大臣にもお気をつけいただきたいなというふうに思っております。

 それでは、私は、本日は、製造業等における元方等を通じた請負事業者、ここに対する安全衛生管理体制に絞って御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、厚生労働省の報告の中に労働安全衛生対策というものがございまして、それによりますと、「業務請負等のアウトソーシングの増大、合併・分社化の進行、就業形態の多様化など、企業や労働者を取り巻く社会経済情勢が変化する中で、この変化に対応した安全衛生管理体制を構築する必要が生じている。」というふうに御指摘をされていらっしゃるわけであります。

 確かに、今、労働者を取り巻く環境というのは、あるいは企業を取り巻く環境というのは大変多様化してきてもおりますし、あるいは先ほど五島委員からも御指摘ありましたように、分社化をどんどんされていて、企業の中もそうですし、企業そのものもどんどん分社化をしていって、同じ形態の中でもさまざまな就労形式がこの中に入り込んでいるという状況があるわけであります。そういった形でありますので、何もこうした流れというものは製造業に限ったことではございませんで、御承知のようにさまざまな業種に対してあるわけであります。

 そこで、今回の法改正における元方等を通じた請負事業者との安全衛生管理体制については、法改正の三十条の二の中で製造業その他政令で定める業種に属する事業というふうにされていらっしゃるわけなんですが、その他政令で定める業種に属する事業というものは一体何をお示しになっていらっしゃるんでしょうか。お伺いいたします。

青木政府参考人 今回の法改正におきまして、請負事業者との連絡調整について、今委員御質問ございましたように、製造業その他政令で定める業種に属する事業とされております。

 御質問の政令は何かということですが、現在、政令による業種指定を行う予定はございません。

園田(康)委員 そうしますと、製造業以外については、現段階では改正後の法律の適用は考えていない、必要ないというふうにお考えだということで理解をしてよろしいでしょうか。

青木政府参考人 今回は製造業ということで考えておるわけでございます。

 これは、近年、業務請負が増加して、製造業においてはそういう分社化が進展をしているということで、工場内における元請、下請の労働者の混在作業が増加しているという状況にございます。こうした指揮命令系統が異なる労働者が一カ所に混在をする、そして作業を行うという際には、やはりどうしても、親会社といいますか、親会社と下請、下請相互間での連絡調整が不十分だということを原因とした災害というのも発生してまいりました。

 このため、今般、そういうように、製造業について同一場所における混在作業の安全を確保するために、こういう作業間の連絡調整の不足による災害防止を図ろうということで改正をお願いしたわけであります。

 製造業以外の業種においては、現時点においては製造業と同様の問題は生じていないことから、必要ないというふうに判断をしているところでございます。

園田(康)委員 ちょっと今の、局長の答弁とは思えぬというか、実態をもう少しごらんいただきたいなというふうに考えているわけなんです。

 今、製造業以外にはそういう災害は起きていないというふうに最後おっしゃったようにちょっと僕は伺ってしまったんですけれども、現実問題として、確かに大規模災害というものは製造業の中で幾つか起きました。そして、社会状況の中で大変な事件として取り扱われた部分もありました。それがきっかけとなって、今回の法改正のスタートになった、あるいは審議会の中でそういう話になってきたというふうに私も理解をしております。

 ただ、例えば、サービス業の中でも日常茶飯事のごとくそういう災害というものは起きているわけですし、あるいは運輸業の中でも、そういうさまざまな荷物の積みおろし、そういう状況の中でも、確かに大規模な、そんな何十人とけがをするような、あるいはそういうマスコミで取り上げられるような災害ではありませんけれども、一つ一つの報告の中からすれば、そういう報告も一、二は必ず出てきているということを私は理解、理解といいますか認識しておりますけれども、そういう認識はございませんでしょうか。

青木政府参考人 これはもう委員御承知のように、建設業等で既に先行して、こういった混在しているときには、連絡調整、連絡の不行き届きといいますか不徹底等、あるいは作業の合図の不統一などで危険が増して災害が随分と起きるという実態があって、現行制度でもそういうことで建設業等においては行われてきたものを、製造業においてかなりそういうのが多くなってきたということで、これは今回改正をお願いしてやろうということでいるわけでございます。

 全くないということではありませんけれども、非常にそういうのが多くなってきた、作業形態なりが変化しかなりの程度そういうのが出てきて、あるいは危険が増して、そういうことになってくれば、もちろんそういう実態を踏まえて検討していくということになろうかと思います。

 そういう意味で、その他政令で定める業種ということで、いわば検討の対象をきちんと残しておけるような形で今回法改正をお願いしているということでございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 つまり、今回の法改正は、製造業というものに限って、今までのこういう状況からかんがみれば、それが大規模災害につながっている、そしてその中においては、連絡調整等をきちっとこの中でやっていけばそういう大半の労災事故というものは軽減できるであろう、軽減していけるであろうということですね。

 しかしながら、ほかの業種においては、これからそういった実情といいますか実態が出てくれば、さらにそれに対する検討を加えていくという方向性でよろしいですね。――はい、うなずいていらっしゃるので、その辺は確認をさせていただきました。

 そうしますと、今度、三十条の二に入ってまいるわけでありますが、この製造業等の元方の事業者の講ずべき措置といたしましては、作業間の連絡及び調整を講じなければいけない、今出ましたけれども。しかしながら、労安衛法の三十条においては、今局長も少し御答弁していただきましたけれども、建設業、造船業などについては、特定の元方事業者の講ずべき措置として、まず合図の統一を含む作業間の連絡及び調整というものは当然のごとく入っておりますが、今回の法改正の中で製造業にもこれは入っております。しかし、それ以外のところで、協議組織の設置及び運営を行うこと、これが第一点、それから、作業場所を巡視すること、これが第二点目、それから、関係請負人が行う労働者の安全または衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと、三点、連絡調整以外にこの三点が明記をされているわけなんですね。

 ところが、今回、ここでは作業間の連絡調整のみが製造業においては法案として盛り込まれた。他の項目がこの中に入ってこなかったというその理由というものはどういったものでしょうか。

青木政府参考人 今御指摘ありましたように、建設業、造船業の元方事業者に対しまして義務づけている措置内容というのは、お触れになったとおりでございます。それを参考にして、今回、製造業の元方事業者に義務づける措置の内容を規定したものであります。

 確かに、おっしゃるように差がございます。それは、一つには、製造業は、建設業と比較しまして、構内下請事業者の入れかわりが少ないということがございます。それから、作業内容それから現場、そういったものの変化が少ないということがございます。それから、下請事業者の数とか重層度、下請の重層度が小さいという特徴がございます。ということでありますので、建設業の元方事業者に義務づけている、お触れになりました協議組織の設置、運営等のすべての措置を一律に義務づけるまでの必要はないのではないかと。

 具体的な災害事例なども研究しまして、それを踏まえて、作業間の連絡調整とかあるいはクレーン等の合図の統一、こういったものについては義務づけることとしたものでありまして、これによりまして、先ほど来お話が出ています、製造業における混在作業による危険の増加、労働災害の防止というものに十分対応できるというふうに考えております。

園田(康)委員 理由はわかるんです。しかしながら、大臣、ちょっとやはり大臣に前向きな御答弁をいただきたいんです。

 今回は、製造業ということを念頭に置いて先ほど法律が改正されたわけなんですね。ただ、今の局長の答弁ですと、製造業においては、ほかの建設業やあるいは造船業と比べて人の入れかわりが違うですとかあるいは形態が違うから、この作業間の連絡調整だけでいいんだという形で言われてしまっているんですね。

 確かに、連絡調整であるとか、そういう合図を行う、きちっとまずは確認をしていきましょう、徹底していきましょう、それによって、それで軽微な、軽微なといいますか重大災害をある程度削減することができるんだということは、私も確かにそうだと思っていますし、その御意見には賛同をするわけなんです。ただ実際に、今までの経緯、すなわち、建設業がなぜこういった協議機関を設置したりですとか、あと作業間をぐるぐると回りながらそういった安全性を周知徹底するようなことをやってきたのかということからすれば、そして、それをやることによってある程度の一定の役割というか、労災事故をここで未然に防いでいくということには効果があったというふうに私も考えておりますし、恐らく厚生労働省としてもそれに対しての認識というのはあったというふうに考えておるわけなんですね。

 したがって、これは御提言といいますか提案という形なんですけれども、費用対効果の関係も含めて、ぜひこれは労働者の一層の安全確保のために今回法案として盛り込んでいただければ、大変私としてはありがたいなというふうに考えているわけなんです。それがかなわないということであったとしても、ぜひこの点は、いわゆる通知であるとか、あるいは先ほど出ましたけれどもさまざまな通達も含めて、そういう災害を未然に防ぐという措置を、この作業間の連絡調整だけではなくてさまざまな、協議機関の設置であるとかそういったことも、ほかの建設業やあるいは造船業に倣って、製造業の方々もぜひこういう形を取り入れてみていただきたい。

 法律には盛り込めない、だけれども、そういう安全性をきちっと担保するためには、こういう方法もほかの業種でもとられているし、それである一定の効果も上げているんだということを、ぜひ取り組めるところから取り組んでいただきたいなということを、できれば大臣からそういうような前向きなお考えをお示しいただけないかなというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今お話しいただいておりますように、建設業、造船業における元方事業者の義務といたしましては、三十条第一項に基づきまして、協議組織の設置、運営でありますとか、作業場所の巡視など、こうした措置を求めておるところでございます。

 では製造業をどうするんだという今のお話でございますが、これは今局長からもお答えいたしましたように、幾つかの特徴があるために、今お話しいただいておりますように法律で特に協議組織の設置などは求めていないところでございます。

 しかし、作業間の連絡調整を的確に実施いたしますためには、協議組織の設置などの措置を行うことは、これは労働災害防止上、望ましいことでございますから、そうしたものは、ガイドラインを策定いたしまして、ガイドラインで指導してまいりたいというふうに考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。ぜひ、そういったガイドラインをお示しいただきながら、一層の安全確保に努めていただけるように働きかけをお願いしたいなと思っております。

 また、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、やはりさまざまな就業形態がこれからどんどん混在化してくる状況からすれば、この製造業もそういう安全配慮義務といいますか、安全配慮は大変大きくなってくるでしょうし、先ほど申し上げましたとおり、サービス業その他の業種もそういう形でどんどん、先ほど運輸業の荷おろしというような話も申し上げましたけれども、例えばデパートの棚卸し作業も、パートの方が入ってきたりあるいは派遣業の方が入ってきたり、何も知らないところで何か上から荷物がこんと突然落ちてきたというような、そこでけがをしてしまうという状況もあり得る話でありますので、やはり未然にこういう形を防いでいくという、少し踏み込んだガイドラインを作成していただければなというふうに考えております。

 そういった前向きな御答弁をいただけたことに感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 続きまして、製造業においては、今国内だけの話をしてまいりましたけれども、あるいは外国人研修制度が今かなりふえてきているという実態もございます。その研修生制度においては、またこれは別の法律で定められているわけでありますけれども、技能実習生という形になったときには、一年目は研修生、二年目からは技能実習生、したがって二年目からは労働基準法の適用を受けてくるという形になるわけであります。あるいは、日系の労働者の方々あるいはそういった外国人の方々が日本人と一緒に就業しているという形態がございます。

 そして、ここにおいては、賃金や生活環境など彼らの労働条件に関して、いわば問題がある点というのも少し指摘はされているわけなんですけれども、特に安全衛生面、こういった部分に関しては、外国人労働者を雇用する事業場においては、これは私の地元でもそうですけれども、一つの国だけではないんですね。中国や韓国あるいは東南アジア、はたまたブラジルや南米諸国から、あるいはインドからも、多様化したさまざまな人種の方々が働きに来られているという実態があるわけであります。そうなってきますと、言語は違うし習慣も違ってくるという状況が、これまた頭の痛い話でありますけれども、出てくるわけなんですね。

 そういった形になると、例えば、今回の合図を統一しましょうという形にしたとしても、それが的確に外国人の労働者の方々に伝わっているかというと、必ずしも、私たちは右手を挙げればストップだよというふうに、あるいはこうしたらストップだよというふうに確かになるかもしれないけれども、国によってはこうしたら進めという場合もあり得る話であります。そういう言語あるいは習慣の違いからの、労働者間の安全に関する意思の疎通という面における特段の配慮というものが必要だと私は考えているわけなんですが、この点はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

    〔宮澤委員長代理退席、北川委員長代理着席〕

青木政府参考人 言語や習慣の異なる外国人労働者が同一の事業場内で作業を行う場合には、事業者やその他の日本人労働者との意思の疎通、これが大変問題になるということはおっしゃるとおりですし、円滑に意思の疎通をしていくということは、まさに御指摘になったように、労働災害防止の観点からも重要だというふうに思っております。

 外国人労働者の安全衛生も含めた雇用労働条件については、平成五年に指針を定めまして、その後必要に応じて改定をして平成十六年にも改定をしたところでありますけれども、この指針を定めまして、これに基づいてそういった意思の疎通ということにかなり配慮をした取り組みをしようということでやってきております。

 外国人が理解できるような方法による安全衛生教育でありますとか日本語教育の実施、あるいは健康診断の適切な実施について、外国人労働者を雇用する事業主に対して指導をしてきているところでございます。それから、日本語の理解力が十分でない外国人労働者に対します外国語による安全衛生教育等のテキストとか補助教材、あるいは事業場内に掲示する安全標識なども作成いたしまして、これらの活用もあわせて指導をしております。

 そういうことで、今度とも外国人労働者に対する災害防止対策というのを進めていきたいというふうに思っております。

園田(康)委員 ただ、いわば大企業さんではそういうことがきちっとされているわけなんですけれども、残念ながら、中小企業の中に派遣される部分に関しては、そういう連絡が、連絡といいますか標示がきちっとなっていない部分もあるわけなんですね。ぜひこの点はしっかりとさらなる指導をお願いしておきたいというふうに思います。

 それから、毎年でありますけれども、七月になりますと、全国安全週間という形で行われるわけでありまして、ことしも七月一日から「トップの決意とみんなの創意 リスクを減らして進める安全」というスローガンのもと行われたわけであります。それにあわせて厚生労働大臣からも、「安全の確保を企業が負うべき社会的責任の最重要事項として明確に位置づけ、」というメッセージが寄せられていたところでございます。

 この点について、企業の社会的責任と言われるCSRはしっかりとこれは重要な項目であるというふうに私も認識をいたしているところでございますけれども、大臣、企業のトップの安全意識向上のための何か、所信といいますか指針というものをお示しいただければなというふうに思っております。

尾辻国務大臣 労働災害の防止のためには、各企業の経営トップみずからが先頭に立って、労働者の参画のもとに自主的に安全衛生活動に取り組むことが重要であると考えておりますし、今のお話のとおりだと思っております。

 このために、経営トップが強いリーダーシップを発揮して、労使が一丸となって労働災害防止対策を講じますように、今まさにお触れいただきましたけれども、全国安全週間の機会をとらえまして、私の安全管理に関する考え方をメッセージとして全国の経営トップに対して伝えますとともに、その直前の六月では、これはお話しいただきましたように七月からでございましたから、六月には直接、関係業界団体等のトップに対しまして、重大災害の増加に伴う緊急の要請を行ったところでございます。このところ、重大災害が増加いたしておりますから、これは、大変憂慮すべき事態だ、トップみずからもしっかりと取り組んでほしいということを強くそのように言いました。

 また、さらに申し上げますと、四月に発生いたしました西日本旅客鉄道の大規模な事故がございました。このとき、私もすぐ現場を見に行ったのでありますけれども、これは重大事故でありますし、社長に対しまして、社長みずからがリーダーシップを発揮して、会社一丸となった安全衛生活動に取り組んでもらって、二度と事故を起こさないように、これも社長に来てもらって直接要請をいたしたところでございます。

 幾つか申し上げましたけれども、今後ともさまざまな機会を通じて、経営トップに対して、労働者の安全と健康を最優先とする企業文化の確立に向けての取り組みを働きかけてまいりたいと思っております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 どうしても労使の関係からいきますと、我が党は何か労組に依存だとかいうようなお話もいただいているようでありますけれども、決してそういうわけではなくて、私も中立的な立場の人間として申し上げることであるならば、あるいはまた憲法を学んできた人間からすれば、やはり労使間の中では、絶対的に使の方が、経営者の方が強い立場になってしまっている部分がありますので、そういう面からすれば、やはりそういうところにこそ責任もちゃんとあるんだよということを大臣からおっしゃっていただくというのは大変心強い限りでございますので、また引き続き、私はその点もよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それから、引き続きまして、今回の労働安全衛生法の改正の規定にあります安全衛生管理体制の最低基準と言われるものの中で、やはり常時使用する労働者数によって大分扱いに差があるというのは先ほど来から指摘をされているところでございます。その中で、やはり五十人以上と五十人以下の安全衛生、先ほどの五島委員からの指摘もそうですけれども、衛生委員会の設置の基準というものも多少やはりこれも違ってきているわけであります。

 したがって、私からすれば、今回、五十人以下の中小零細企業の労働安全衛生体制の確立のために、やはり大企業はお金があるからさまざまな委員会やらそういう対策を講じることができるわけなんですけれども、中小零細企業にとってみれば、それがなかなかかなわない。そういうところに際して、やはり低コストで安全衛生管理体制というものがきちっとできるという体制が私は必要なものであるというふうに考えております。

 今回の改正を中小に徹底させていくためには、一体どういう形で進めていかれることをお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

青木政府参考人 今回の改正で導入しようとしています危険有害性に関する調査につきましては、従来から事業場で行われております職場パトロールなどの災害防止活動の結果でありますとか、機械の取扱説明書でありますとか、あるいは災害事例の情報を活用するというようなことを認めることや、あるいは労働安全衛生コンサルタントなど外部の専門家の活用もできるということで、中小零細企業も含めまして十分実施可能なものと考えております。しかし、中小零細企業にはさらに一層やはり支援をするということは必要だろうと思います。

 そして、円滑にそういったいろいろな措置が講じられるようにするということも必要だというふうに思います。そういう意味で、標準モデルの作成をしたり、講師の派遣など、そういったことも予定しているところでございます。

園田(康)委員 リスクアセスメント等の今のそういった施策に関しては低コストでできるというわけでありますので、そういったものもどんどん推進をしていっていただきたい、普及に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 もう一点、それに関連して、先ほどからも申し上げておりますけれども、ぜひ大臣、今回のこの安全衛生管理体制の強化というものをぜひとも、できればこの中小零細企業の五十人以下のところにも委員会設置等も含めて検討をいただきたいわけであります。検討という言葉の揚げ足をとるわけではありませんけれども、今回の法改正では五十人以上のところにそういう義務づけをすることによってさらに進めることができた、これからはやはり中小零細企業、こういったところにも目を向けていきたいということを、ぜひ大臣からも少しお話をいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 議員御指摘のとおりに、中小零細企業におきまして安全衛生を管理するための体制を強化することは、これはもう極めて重要であると考えております。今局長からも、援助事業も行っておるということはお答えを申し上げました。

 さらに、中小企業において労働安全衛生マネジメントシステムを円滑に実施、導入するための支援等も行っておりますので、これらの施策の活用によりまして、中小零細企業における安全衛生の向上に向けた取り組みを積極的に支援してまいりたいというふうに考えます。積極的に支援してまいりたいという表現で、私どもが前向きに考えておることを御理解いただければ大変ありがたいと存じます。

園田(康)委員 本当に前向きな御答弁だったというふうに思っておりますし、この点はぜひ御一緒に進めていくべきものだというふうに思っておりますので、私もいろいろな形で御意見をこれから申し上げさせていただきたいな、御意見といいますか建設的な御意見を申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、あと、時間が押し迫ってまいりました。ありがとうございます、四十分、私の持ち時間はそのまま使わせていただけるということでありますので、これは最後の御質問にさせていただきたいと思うわけであります。

 大臣、私きょう三問用意をさせていただいたわけでありますが、これは偽装請負という、今大臣がああというふうなお顔をされておられるということは、この言葉、いろいろなところで大臣も御認識をしていただいているというふうに思っております。本当に心強い限りでございます。

 実は、この偽装請負という言葉が、横行といいますか、偽装請負という形態が横行しておりまして、二〇〇四年の三月の改正派遣労働法の施行によって、この改正の派遣法が単なる人材ビジネスという形で、いわゆる偽装請負の隠れみのとして横行するようになってきたんですね。

 いろいろ聞いてみますと、では偽装請負は今どのぐらいの形になっているかというふうになると、実態がなかなか調査で把握できないという形になってしまっているんです。

 確かに、恐らく、この偽装請負という形は、言葉そのもののとおり偽装しているわけでありますので、なかなか実態としてこれが明るみに出るわけではないわけなんですね。例えば従業員の密告であるとか、あるいは何か事故や事件が起きて初めて労働基準監督署が相談を受けて中に入る、指導に入るという形でしか今の現状は把握できないという実情があるんだろうと思います。

 しかし、できれば、先ほど何かそういう実態調査を、この偽装請負ではなくて、委員会の設置基準も含めて実態調査をしたいというふうにおっしゃっていただいたというふうに私も受け取らせていただいておりましたので、この偽装請負という部分に関してもメスを入れるという意味で、ぜひこの実態調査に取り組んでいただければなというふうに思っております。

 これは一応一つの御要望という形で申し上げておくわけでございますけれども、今回のこの労働安全衛生法の改正案について、確かにこの偽装請負というものは、労働安全衛生法ではなくて職業安定法あるいは派遣法によっての対処という形になるわけであります。仮にこれの違法であったとしても、同一の事業場での就労をする以上は、その元方事業者、さきに注文したところですね、その元方事業者に一定の責任を負わせるということで、たとえ軽微な労働災害であってもその発生を低減させるという形を私はとっていかなければいけないというふうに思っているわけであります。

 この製造業の事業場での偽装請負で作業をする者の安全衛生管理体制の確立のために、政府はどういった形を考えていらっしゃるか、そして、今回の連絡調整等々でこの偽装請負というものがカバーできていくのかどうか、ぜひこれをお答えいただきたいと思っておるわけです。

青木政府参考人 今回の改正は、元方事業者の労働者とそれを請け負っている請負事業者の労働者の作業が同一場所で混在をする、こういうことで労働災害が出てくるというものを防止しようということで、いろいろな連絡調整の義務づけなどをするということで考えているわけであります。

 これは偽装請負における労働者がいる場合でも全く同様でありますので、きちんとこれらの法律を適用していきたい、こういうふうに思っておりますし、今回の改正内容ではございませんけれども、偽装請負による労働者に対しましては、元方の事業者が指揮命令を行うというのが偽装請負だろうと思いますが、そういう場合には、本来的にその労働者の安全確保のための事業主としてのさまざまの安全衛生法上の責任というものを元方事業者に負わせております。

 したがって、こういうことをきちんとやっていくということに今後ともしたいというふうに思っております。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

園田(康)委員 ありがとうございます。

 もう時間になってしまいますので、最後、大臣、ぜひこの偽装請負という部分を実態調査、これはできるかどうかはまた別として、こういう面もしっかりと厚生労働省は目を向けているんだよという御決意のほどをお聞かせいただければなと思っておりますが、どうでしょうか。

尾辻国務大臣 先日も偽装請負で事故が発生するということがございまして、私も報告を受けております。したがいまして、この問題も極めて重大な問題だというふうにとらえておりまして、今いろいろ御指摘いただきましたので、私どもなりに必ず対応させていただきたいと存じます。

園田(康)委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。

鴨下委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四十四分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず最初に、今回の労働安全衛生法等の一部を改正する法律案というのは四本の法律の改正案の総称であって、それぞれの法律の目的、内容、制度が違うものだと思います。しかも、今日の企業社会の変化や労働者の置かれている状況、状態の深刻さを考えた場合に、それぞれの法律の改正については、その内容は幅広い視野から問題点を明らかにして、十分で真剣な議論と検討が要求されるものだと思います。

 最初に大臣にお伺いしておきたいんですけれども、これら四本の法律を改正するのに、いわば便宜的に一本の改正法案にして提出されたことについて見ると、私は、国の唯一の立法機関である国会の権能を著しく軽視して、立法機能を形骸化させることにならないか、こういう危惧を持っております。もちろん大臣は提出者ですけれども、議院内閣制であって、国会議員でいらっしゃる大臣がこういう立法形式についてどういうふうに考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 前国会で御審議いただきましたときに、同じ質問を山口先生からもいただいておりまして、お答えいたしておりますけれども、改めてお答え申し上げたいと存じます。

 今般の改正は、企業間競争の激化を背景とする働き方の多様化に伴いまして、労働者の生命、生活をめぐるさまざまな問題が互いに関連し合いながら深刻化していることに的確に対処するために提出したものでございます。したがって、四本が一括してあるということでございます。

 例えば、労働時間に関しては、安全衛生の観点から、長時間の時間外労働を行っている労働者に対して医師による面接指導等を行うことを義務づけて、また、労働時間制度等を労働者の健康や生活に配慮したものに改善することを促進するということにしておりますけれども、これを実現するためには、労働安全衛生法と時短促進法を同時に改正する必要がございます。

 また、単身赴任者が増加していることへの対応といたしまして、災害補償の観点から、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居の間の移動を通勤災害保護制度の対象といたしますとともに、労働時間の観点からは、事業主が労働時間等について単身赴任等の事情を考慮することを事業主の努力義務といたしておりますけれども、これを実現するためには、労災保険法と時短促進法も同時に改正する必要がございます。

 このように、改正法案は、趣旨、目的を一つにしており、内容的にも相互に関連した条項を含んだものとなっております。このことから、一つの法律案と提出させていただいたものでございます。これは提出した立場から御説明を申し上げました。

 一方、立法府にいる者としてこういうことをどういうふうに考えるのだという御質問もございましたけれども、このように一つのものとして審議する方がいいと思われる場合もありますから、そういう場合はやはりこういう形もよろしいのだというふうに考えております。

笠井委員 これまでに複数の法律の改正を一本で審議したことの前例があるのも私も承知しておりますし、幾度もそういうことはありました。しかし、それは、改正すべき内容や事情が関連する法律制度の部分に直接連動しているという場合であったと思うんです。今回のように、今大臣言われたような、労働者の生命や生活にかかわる問題の深刻化ということでいわば大くくりにして抽象的な名分を掲げて時短法の改廃を行ったり、労災保険の保険料の徴収幅を変えるということは、私は、制度的に直接関連している改正とは言えないというふうに思っておりますので、そのことは指摘させていただきます。

 さて、具体的な問題に入ります。

 まず、時短促進法の問題について質問をいたします。

 一昨日の当委員会で、大臣は、一九八八年以来今日まで足かけ十八年間に、労働時間短縮の閣議決定を含めて重要な政府決定ということで具体的に挙げていただいて、私も数えてみて、おっしゃったように、十九回ということで答弁をされました。

 けさ、大臣は、質疑の中で、そういう決定をしてきた中でおおむね達成したということも言われたわけですが、一昨日も大臣おっしゃったみたいに、さまざまな決定があったにもかかわらず、正規常用労働者、一般労働者の場合について言うと、年間実労働時間は、小泉内閣発足後の四年間を見ただけでも、千九百九十時間から二千十五ということで、短縮どころか一人平均二十五時間という形で増大、延長があったということについては認められたというふうに思うんです。

 そこで、大臣にぜひ伺ってみたいと、私、その質疑を振り返りながら思うんです。

 政府がさまざまな分野で政策目標を掲げますね、それで、その実現のために閣議決定、政府決定というのをいろいろな分野でやってきました。その目標への接近というのが、いろいろなことがあってなかなか進まないというケースは多々あると思うんです。しかし、掲げた目標や目指す政策方向とは、ある意味、一般労働者について言うと全く逆の結果に終わったというものが、これまでにそういう政府の決定とその実践というのがあったんだろうか。私、いろいろ考えてみても思い当たらないんですけれども、大臣、そういうような実例があるというふうに御記憶ありますでしょうか。政府が掲げた閣議決定、方針、目標を目指してきたけれども、いかなかったというよりもむしろ逆の方向になってしまっているということについてですが。

尾辻国務大臣 突然のお尋ねでございますから、つぶさに私も承知しておるわけじゃございませんので、そういうケースがあったかどうかというのは承知をいたしません。

 ただ、今度のことについて言いましても、短期的に見れば先生おっしゃるようなこともあるかもしれませんけれども、最初の年が一九八八年だったと思いますが、それから長期で見れば、やはりその方向に向かってきておるものだというふうには今度の年間総実労働時間のことも認識をいたしております。

笠井委員 一般労働者を見てみますと、長期にわたって横ばい状況がもうずっと続いてきて、しかも、この四年間でいうと実際にはふえちゃっている。

 閣議決定というのは、一般でいえば政府の最高の決定方針でありまして、私、その労働時間の短縮の推進計画が、日本の就業者数の八五%、しかも、最も労働時間の短縮を必要としている正規労働者、正社員の場合に増大するという逆の結果に終わってしまっている、非常に残念なことです。

 大臣、そのことについてどこに問題があったのか、政府の時短方針が実現されるためにはどのような条件が必要だったのかということについて、どうお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 申し上げましたように、閣議決定をいたして努力をしてきた、そのことはそれなりに実を上げてきたというふうに思います。時間外、総実労働時間が少なくなって、小さくなってきたということは大きくは言えるわけでありますから、そのように思います。

 ただ、今回、私どもがこういう法律改正をお願いいたしておりますことは、一つには、やはりどうしても労働者の皆さんの意識や働き方の多様化が進んでまいりまして、長時間労働者と短時間労働者の割合が同時に高まるという、いうところの労働時間分布の長短の二極化が進行しておる、こういうような状況がございますので、こうした状況に対応するために今回の法律改正をお願いしておるところでございます。

笠井委員 大きく言えばということで、また議論が戻ってもあれなんですが、二極化、多様化ということも言われました。しかし、私、その二極化が進んでいるからといって、では、正規の労働者の労働時間が延びていいということにはならないわけで、実際にそういう深刻な問題がある。

 そして、それに加えてサービス残業という部分を加えると、本当に今、業績主義、成果主義というようなことが言われる中で、やはりリストラの影響もあって正規労働者は仕事量がふえて、そして、結局、成果を上げるために短時間でいいというわけにいかないで、どうしても一人いっぱい働いて成果を上げる、そして一方で、私はそれができませんと言えないという状況が起こっているということで、非常に深刻なことがあると思うんですよ。

 どのような条件が必要だったかとか、どういう問題があったかということで、大臣がなかなかおっしゃりにくいのもわかるような気もするんですが、私は、今こういう流れになってきている中での問題の大きな問題として、我が国企業の経営者団体、それから日本経団連などが、ある意味、そういう政府の努力に対して協力してくれない、むしろ逆のことを言っているということがあるんじゃないかというふうに非常に強く感じています。

 一昨日、私は、年間総実労働時間はふえているけれども所定内労働時間は着実に短縮している、その要因は、一九八七年の労働基準法の改正で、週四十時間、一日八時間労働ということへ向けて労基法の三十二条を改正したことが決定的なプラス要因じゃないかということを伺いました。労働基準局長青木さんも、そのことについて、その改正に負うところが大であるという形で、その趣旨で御答弁されたと思います。

 そこで、私、伺いたいんですけれども、所定内労働時間は短縮したけれども、しかし、一般労働者で年間実労働時間は増大した。この冷厳な事実と、それから政府自身のある意味歴史的な経験、体験から、何を教訓として酌み取るべきなのか。実際にそういう正規の労働者の皆さんに対して労働時間短縮ということで実を上げるためには、やはりやってみてこのことが必要だということで、大臣、政治家としてはっきり言えることがあるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 前段にお話しになりました数字はそのとおりだと思いますし、そうしたことになった理由は何だろうということで、先日、局長がお答え申し上げたこともまたそのとおりでございます。

 ただ、後段の方のお尋ねにつきまして、私は今的確にお答えできないところでありますけれども、ただ、今回こういう法律改正をお願いしておりますのは、やはり、今後の労働時間対策についてどういうふうにすればいいか、目標も改めてどういうふうにすればいいかといったようなことを労働政策審議会において御議論いただいて、そしてまたその御議論を踏まえて今回の私どもの提案をさせていただいておる。そういう意味では審議会の御議論に沿ったものである。ちょっと御質問とずれているところがあるかもしれませんけれども、私どもは、そういうことで今回の提案をさせていただいているということを改めて申し上げます。

笠井委員 では、ちょっと別の角度から伺いますが、今提案されているとおっしゃいました労働時間設定改善法案ということですが、大臣が提出されたこの法案について、このもとでのことで二点伺うわけですけれども、一つは、この法案では、それではこれまでの時短目標、年間総実千八百時間という旗は掲げ続けるのかおろしてしまうのか、端的にその点はどうかという点です。それから二つ目に、これまで時短促進法で、先ほど来議論してまいりましたが、時短促進計画を閣議決定してきたわけですが、これからも新法のもとで、必要なら閣議決定ということもあるのかどうか。この二点についてはいかがでしょうか。

尾辻国務大臣 まず千八百時間に対して、今後の考え方、対策はどうなるのかというお尋ねでございますけれども、労働時間対策は、賃金不払い残業の解消のための労働基準監督署による厳格な監督指導でありますとか、限度基準の適切な運用等、労働基準法を的確に運用すること、それから労使が認識を共有し、労使の自主的取り組みが促進される環境を整備すること、こうしたことのいわば双方が車の両輪として推進されることによって初めて効果が発揮されるものと認識をいたしております。

 今般、労使の自主的取り組みが促進される環境を整備する観点から、個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間等の設定改善を進めることを内容とする時短促進法改正案を提出させていただいたところでございます。したがいまして、やはり労働時間の短縮に向けてみんなで話し合いながら進めていくといったようなことについて、私どもが今さら、先ほどの先生のお話じゃありませんけれども、旗をおろすといったようなことではないということを申し上げたいと思います。

 それから、今後どうするかということは、これは大臣の指針として示したいと思っておりますので、そういう形で私どもの目標のものはまたそれなりにお示しをしたいというふうに考えておるところでございます。閣議決定するのかどうかということのお尋ねがございましたので、そういう形で私どもの考え方は示したいということを申し上げたところでございます。

笠井委員 時短の問題がこれだけ問題になってきて、いろいろ努力があったけれどもこういう現状だというもとで、今伺ってみると、時短を確実に進めるための労基法の改正ということは考えていらっしゃらないようですし、そして政府方針の最高決定である閣議決定ということではなくて、それはやめて厚生労働大臣の指針という形で、ある意味、格下げと言うと変ですけれども、そういう形になって、あとは労使の自主的取り組みに期待し、お任せして、ちゃんとやってくださいねと。これが労働時間設定改善法の目的、ねらっているところなのかなというふうに理解いたしました。

 それで、私、非常に心配なのは、そういう法律の仕組みで果たして今後労働時間の短縮というのが進むという保証と根拠がどこにあるんだろうか。これまでさんざん目標も設定して、閣議決定もして促進するというふうにされてきたわけだけれども、今度はそれをやめて、どうぞ自主的に相談してやってください、指針は出しますからということで、これは本当に時短が進むのか、長時間の労働とか大問題になっていますけれども、この問題については、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 今も申し上げましたけれども、二つのことを申し上げて、これが車の両輪として推進されることが初めてこの対策が進むことだというふうに認識しておるということを申し上げたところでございます。

 したがって、その車の両輪をしっかり回していくということが必要だと考えておりますけれども、これは今までの答えの繰り返しにもなりますし、また今先生みずからもお述べいただいたことでありますけれども、法案の成立後は労使の自主的取り組みを促進する環境の整備に努めまして、労働基準法に基づく最低基準の遵守に向けた監督指導の徹底等と相まって成果を発揮するようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

笠井委員 今、最後におっしゃった部分で、きょう、先ほども基準局長もお話あって、この法律のもとで、できたら長時間労働や年次有給休暇の取得については監督指導をきちっとやっていくという趣旨の話だと思うんです。

 私、結局、長時間労働について監督指導したり、年次有給休暇をちゃんととれという話は、ある意味千八百時間、つまり週休二日で、そして祝日は休んで、年休はちゃんととる、一日八時間というのが千八百時間ということですから、やはり、それをきちっと掲げて、大いにそれで正面から政府が閣議決定もして推進する、その中で現場のところでもきちっとそれを受けとめてやるというふうにしない限り、これはなかなか本当にいかないということがこの間の教訓だと思うんです。

 労使の自主的な努力ということで繰り返し言われております。そして労使の努力は私は当然必要だと思うんですが、しかし、では労使という当事者の一方である経営者団体の側を見ると、今回の時短促進法を改廃するという問題でも、経営者団体の中から、例えば東商などがことし初めのころにニュースでも出しておりましたが、時短促進法は実質廃止へと、東商の積極的働きが功を奏したということを含めて、やはりそっちを望んでやっているということが一方であったというふうに思います。

 労働時間設定改善法に基づいて時短を積極的、自主的に進めていく保証があるというふうには到底思われないという現実が一方である。まさにそういう点では羊頭狗肉といいますか、やはり現行の労働時間短縮促進法を廃止することについて、私は反対であるということを厳しく申し上げておきたいと思います。

 次に、労働安全衛生法改正案について伺いたいと思います。

 平成十四年の二月に過重労働防止の通達が出されました。その中で、一カ月の残業時間が百時間を超えるとき、または二から六カ月間で一カ月当たりおおむね八十時間以上の残業の場合には、その労働者に産業医の面接による保健指導というのを行うように求めております。

 ところが、今回の法改正の第六十六条の八の第一項では省令で定めることになっていて、月に百時間以上の残業を行って、そして身体に異常があり、かつ本人が申し出た場合にしか産業医の面接指導は行わなくてよいということにしています。

 労働基準局長に伺いたいんですけれども、月に八十時間以上を面接指導の基準としてきたのに、それを百時間以上というふうにする合理的な根拠というのはどういうところに見出しておられるんでしょうか。

青木政府参考人 今委員がお触れになりました平成十四年二月の通達、過重労働に関する総合対策を示したものであります。そこで確かに、御紹介ありましたように、月百時間あるいは二月ないし六月間の月平均の時間外労働八十時間を超える者について面接による保健指導を行わせるというようなこと等々行政指導を行ってきたものでありますけれども、やはりこれはすべての事業場に対して指導を徹底するというのがなかなか難しい、その効果も限られたものであったということでございます。

 今回の、お触れになりましたけれども、面接指導の法制化につきましては、事業者に今度法律できちんと義務づけるということで、面接指導を事業主の社会的責任であるということを明確にするということが第一義であります。そして、そういった法律を根拠とした指導というものをしっかりとやっていくという考え方でございます。

 それで、それ以下はやらなくていいということではございませんで、現行の通達で面接指導の対象としている者については、今度の法律改正を含む物の考え方では、義務または努力義務でカバーをする、カバーした上で、従来は事業者への産業医による助言指導の対象でしかない、例えば月四十五時間超の時間外労働を行った者についても面接指導の努力義務の対象者に含めることができるようにするということにいたしておるわけでございまして、そういうことがございます。

 それで、また、過重労働対策を衛生委員会の調査審議事項に追加するというふうなこともあわせてやりまして、面接指導の実施が広く周知をされまして、現実に健康管理が実効を出す、そしてまた、そういった労働者に対しても、使用者だけでなくて労働者に対しましても健康管理の自覚を強く促すことができる、そういうふうに考えているところでございます。

 そして、そういうことによって労働者の健康確保策を前進させるものだというふうに考えております。

笠井委員 今八十時間以上だったのを百時間以上にした合理的な根拠というのは言われなかったので、非常に苦しい説明だったなと私は伺ったんですね。八十を百にした場合に、それ以下はやらなくてもいいということにならないといっても、緩くなっちゃったら、それはそういうことになっちゃうと私は思うんです。

 審議会で使用者側からも相当強い要求が出されて、ある意味それに屈したと言ったら変ですが、従ったのではないかと思ってしまうようなことを感じております。現実に、日経連のタイムスなんかを見ましても、この問題で交渉したところ、義務づけが努力義務になった、本人の申し出となった、自分たちの要望が反映されたんだというようなことも言われておりましたが、まさに私はこういう形で進んだら大変なことになるというふうに思います。

 全国の過労死家族会や弁護団が、この点での改悪は絶対に認められないと強く反対しておりますけれども、私は、特に問題なのは、本人の申し出があった場合という条件であります。このことだと思うんです。

 これは、不利益とかどうかという以前に、今の職場の状況それから雰囲気の中で、労働者の側からなかなか申し出るということができない。それで疲労が蓄積して倒れたり、不幸にして亡くなられたりした場合に、裁判に訴えても、今度は会社側は、本人が申し出ていれば当然産業医に面接指導をさせた、しかし申し出が本人からなかったんだから自己責任じゃないかということを反論した場合に、訴訟になったら裁判官がその主張にくみすることにはならないというふうに断言できますでしょうか。いかがですか、その点は。

青木政府参考人 今回のスキームで労働者の申し出によるということを位置づけましたのは、これは疲労の蓄積があった場合に事業主にきちんと義務づけるということでありまして、それは労働者自身の、いわば自覚症状といいますか、そういうところによるところがあるものですから、そういうことで申し出るというスキームを考えたわけであります。

 しかし、こういうことになったからといって、御懸念のような、それによって事業主の責任が労働者に転換されるというようなものではないと考えております。

笠井委員 いずれにしても、省令事項なので法改正後に関係審議会での検討、審議ということになるんでしょうけれども、私は、この月百時間という問題と本人の申し出を面接指導の条件とすることを定めるということについては反対であります。

 過重労働防止通達は、これまでの医学的専門的所見に立って出されております。この基準を引き下げることのないように、十分慎重に審議、検討をされていくことを求めたいと思うんですけれども、基準局長、いかがでしょうか。

青木政府参考人 月百時間というラインにつきましては、これはもちろん、労働時間、長時間労働になるに従って、別に百時間で突然健康障害の危険性が高まるというものではありませんで、徐々に徐々に危険性が高まっていくというものでありますから、いずれにしてもどこかで線を引くということであります。

 それで、月百時間としましたのは、これは労働者の生活時間を考えますと、睡眠時間五時間をきちんと確保する、そうしないと飛躍的に健康障害への危険性が高まるということで、そういう脳心疾患等への危険ということからしても、そうでない場合に比べて二倍ないし三倍危険性が高まるということで、この百時間を超えるような時間外労働というのは、それはきちんとやってもらわないと困る、こういう医学的な知見にも基づいて線を引いたところでございます。

 先ほども申し上げましたように、そういった長時間労働と健康との関係というのはあるとき突然転換するものではありませんので、そういう意味で、百時間にいかない場合であっても努力義務としましてきちんと位置づけをして、そういった方々についても面接指導が受けられるようにする、そういうようなことで考えておりますし、現行の単なる行政指導でやっていたものに比べると、全体のスキームとしては前進をしているというふうに考えているところでございます。

笠井委員 いずれにしても、こういう問題は十分慎重に審議、検討してもらいたいと思うんですけれども、それはよろしいですね。

青木政府参考人 今御審議をお願いして御提案をしているわけでありますので、現時点においてはこういうスキームでぜひお願いをしたいと思っておりますけれども、もちろん労働現場というのは、いろいろな状況というのは変化がありますし、とりわけ近来さまざまな多様化が生じていますので、そういうのは絶えず私どもとしても注目、注視しながら、きちんと労働者の安全や健康が確保できるような措置というものについてはいつも配意していかなければいけないというふうに思っております。

笠井委員 次に、労災保険法改正の問題ですが、この改正案では複数の企業に働く労働者の事業所間の移動を通勤災害の対象とすることとしております。

 複数就業者というのを見ますと、一九八七年の五十五万人から、二〇〇二年には八十一万五千人と急増している。生活していくために二つ、三つの会社をかけ持ち的に働かざるを得ない、そうしなければ生活できる賃金収入を得られないという問題だと思います。

 例えば、A社の仕事を終わってB社へ移動するときに、その移動をB社への出勤途上としてとらえて、その途上での通勤災害を労災保険の対象とするというもので、私、これは一歩前進だと思います。

 問題なのは、その保険給付がB社から支払われる賃金のみを基礎にして計算されることであります。

 ある労働者が、A社で五時間働いて五千円の賃金を得て、さらにB社で三時間働いて三千円の賃金を得て、そのAからBに移動途中で事故に遭ったとすると、保険給付はB社からの賃金三千円のみを基礎にして、たしか最低保障額がありますから、その場合は四千百八十円というふうに給付額はなるんじゃないかと思うんですけれども、それが払われるだけになります。A社、B社合わせて八千円の賃金で辛うじて生活しているのに、治療休業中は半分の保険給付しか受けられないことになる。これで被災労働者が安心して治療に専念できるかということになると、そうならないし、私は生存権さえ脅かされることになると思うんです。審議会の議論でも強い意見が出されたということで承知しております。

 先ほど局長からこの問題でも答弁がありましたけれども、大臣にぜひ伺いたいんですが、労災労働者が安心して休業して治療に専念できる水準の給付がなされるように今後検討すべきだというふうに思うんですけれども、大臣の姿勢と見解を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 これは午前中からお答えを申し上げておるとおりでございまして、複数就業者の給付基礎日額の算定方法の見直しでございますけれども、申し上げておりますように、今回の改正について御審議いただきました労働政策審議会における検討の中で、通勤災害のみならず業務災害にもかかわる影響の大きな問題であり、給付の増加に係る負担のあり方など慎重な検討を要すること等への問題点が指摘をされまして、見直しを行うべきとの合意が得られなかったところでございます。

 このため、昨年十二月の審議会の建議においては、この問題について、複数就業者の賃金等の実態を調査した上で、専門的な検討の場において引き続き検討を行うことが適当であると。引き続き検討を行うことが適当であるという考え方が示されておりますので、私どももこれを踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 ぜひきちっとやっていただきたいと思います。

 終わります。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長松谷有希雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部(知)委員 本日も、午前午後、また参議院での本会議を挟んでの長時間の御審議、御苦労さまでございます。そして、本法律にかかわります問題につきましては、各委員御指摘のところが多分に重なってもおりますし、私がラストバッターになっておりますので、大臣に大きく三つにわたって確認をお願いしたい件の御質疑と、あわせて、直接この法案には出てまいりませんが、大きく現在の労働現場にかかわります問題で二点の御質疑をさせていただきます。

 冒頭、皆さん、長時間労働の問題を大変に深刻にとらえて御質疑でございました。大臣も、現在二極化する労働形態の中で、どちらかというと正規雇用の方々が長時間労働化しておる、そして短期の方は、これは労働時間が短いと言えばいいのですが、トリプル、ダブルジョブを持つような働き方で、非常に働くというところが揺らいでおる現状というのは、大臣も繰り返し御指摘でございました。

 私は、先日、この衆議院の調査局の厚生労働調査室のおつくりになりました資料を拝見して、いわゆる長時間労働の実態で、東京労働局のお示しくださった資料というものを拝見いたしましたが、ここには、時間外労働時間が百時間を超えるか、二から六カ月を平均して月八十時間を超える企業数というのが述べられておりますが、三百人以上の企業を集計いたしました中で、当該の時間外あり、ないしは可能性ありとするものの企業数の割合は、大臣もごらんになっているかもしれません、どのほど多くあると御認識でございましょうか。一問目、お願いいたします。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

青木政府参考人 済みません、今手元に資料がございませんので、後ほどまた。

阿部(知)委員 予告しなかったので申しわけありません。

 これを見ますと、一カ月が百時間を超えるか、二から六カ月を平均して月八十時間を超える企業数は、三百人以上の企業の集計のアンケートからいうと六割を超えてございます。

 厚生労働省がいろいろ配付していただきました資料の中では、百時間を超す事業所の長時間労働が一・六%でしょうかでふえておるという説明で来ていただきましたが、しかし、現状、現場をかんがみるに、非常に長時間労働は深刻にまた拡大をしておると思うのであります。

 そこで一点目、大臣に伺いますが、私は百時間を超す長時間労働の方々が申し出によってといいますのは、もういわばぎりぎりのところでの、今回が、まず、とりあえず一歩前進としようというところで事業所に義務を課したというふうに理解してよろしゅうございましょうか。本当に、百時間と申しますと、想像しても大変な時間数でございます。

 それともう一つ、これも厚労省からいただきました資料で、百時間を超えますと、医学的にも疫学的にも明らかな有意差を持って心疾患や脳血管障害が出ると。大臣はいつもおっしゃいますが、予防が大事なんだと。やはり予防という観点から立てば、明らかに医学的に疫学的に証明されたということをもって後追いしているようでは、もう実はそこはぎりぎり、苦しい、これ以上だめという時点というふうにも理解されます。

 私は、今回の法改正を一歩前進ととらえたいがゆえに、それに続く大臣の御決意、この百時間ということはもう本当のぎりぎり、入り口であるというふうに認識して差し支えないかどうか、一点お願いいたします。

尾辻国務大臣 まず申し上げたいことは、今まで通達で言っておりました、それを今回法律で明記しようということで、今回の改正をお願いしておるわけでございます。

 したがいまして、今一歩前進というふうに評価をしていただいてもおりますけれども、私どもも、まず法律で明記しようということで今回の改正をお願いいたしております。

 そして、今これまたお述べいただきましたように、本人の申し出ということをつけ加えて言っておるわけでありますが、これについては先ほど来局長からもお答えをいたしております。

 この百時間をどういうふうに理解するか、これは今、まさに専門の先生がお述べになっておられますから、百時間の持つ意味というのは、先生が言われるような意味があるというのは、御専門のお立場でのお話でありますから、それはそれなりに受けとめさせていただきますし、まず法律でこれを決めましたので、今後さらに専門の皆さん方、先ほどから申し上げております審議会などの御意見もまた改めて賜るというようなことになると思いますので、今後の検討にさせていただきたいと存じます。

阿部(知)委員 放射線等の被曝の問題にしても、もちろん感受性の個人差というのがあって、どのくらいの線量を浴びたら何が起こるかということは個々なのですが、しかしながら、わざわざ放射線量をはかるものをつけて健康を管理するにはそれなりの意味があって、やはりあるラインを超えた者は、申し出によってではなくていわば健診として、そこで、一線を超えた者についてはチェックするという意味がございます。

 この問題は、何度も申しますが、百時間を超えれば、各文献出そろっているのです、危険だと。そこでなお申し出という手法を用いられることの問題点は、これはもろ刃の剣になりますので、ここも大臣、先ほど五島先生に御答弁でございましたから、懸念されるような事案が起こらないように、重ねて行政上のきっちりとした指導をお願い申し上げたいと思います。

 もう一つ、この間、製造現場でも、いわゆる派遣、請負等々多様な就労形態が介在するようになりまして、それがこれまでの建設業、造船業に加わって、このたびは元方責任ということも、またこれも一歩明示的にしようということであるというふうに考えた場合に、連絡調整という言葉が使われておりますが、連絡調整というのは極めてファジーな言い方であって、例えば危険性についての教育であるとか、しかるべくやはり元方から請負方について伝達すべきいろいろな事象がございますと思いますが、この連絡調整にはそうした部分も含めていると考えてよろしゅうございましょうか。

青木政府参考人 労働安全衛生の施策の中で、労働災害を防止する、安全衛生を確保するという観点からいきまして、連絡調整とか、今委員がお触れになりました教育というのは、これは極めて大事な要素だと思っております。

 今回のこの連絡調整につきましては、そういう意味で規定をしてお願いをしているわけでありますけれども、これは、元方の事業者のもとで多くの下請労働者が混在しているということでありますので、何はともかくこういった連絡調整をきちんとしないことには、まず第一歩として安全の確保は図れないだろう、こういうことでこれを規定しているわけであります。

 御質問の具体的な内容でありますけれども、一つは、関係請負人、構内下請ですが、これの作業についての段取りの把握でございます。また、二つ目には、混在作業による労働災害を防止するための段取りの調整ですね。それから、三つには、調整後の段取りを関係請負人それぞれにきちんと指示をするということでございます。こういった一連の事項を、作業開始時に、あるいはまた作業内容変更時などにその都度実施する、こういうことで考えているわけでございます。

 具体的な実施方法というのは、これは混在している作業現場の実態によっていろいろ異なってくると思います。それに適したやり方が本来されるのが一番いいわけでありますので、作業発注指示書等への記載だとか、作業開始前の打ち合わせの場などを活用して実際にやっていただく、そういうことを考えております。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

阿部(知)委員 私の伺ったのは、危険性を含めた教育ということでございまして、段取り、段取り、段取りとそればかりおっしゃいましたが、やはり最も根本の部分はちょっと御答弁がなかったように思います。

 尾辻大臣にお伺いいたしますが、今回の法律を前向きに理解するためにも、元請には包括的な安全衛生上の責任があるというふうに理解してよろしいのかどうか。明確に、一言で結構です、お願いいたします。

尾辻国務大臣 今も局長からもお答え申し上げましたけれども、この改正内容は、同一場所における混在作業において、作業間の連絡調整の不足により、元方、下請の労働者が被災することの防止を図るため、元方事業者に関係請負人との連絡調整を義務づけるものでございます。

 これは、元方事業者が請負人を指導するという法第二十九条の考え方に基づきまして、元方事業者が労働災害の防止を図るために講ずべき具体的な措置を明確化したものでございまして、そういう意味では責任を明確化したものでございます。

阿部(知)委員 あとは、いずれの場合も、例えばメンタルヘルスケアにおいても、あるいは脳血管障害等の危険性においても、事は個人の健康情報にかかわる分野についてこの労働安全衛生というものがございます。そうした場合に、当然、個人には、医者を選ぶ権利も含めて、個人の健康管理権というものがございます。これも先ほど五島委員の御質疑であったかと思いますが、産業医であるとか、企業の中のある限られた方しか受診できないとなると、なかなかこれも、受診というよりは最初の相談ですね。

 しかし、医師は最初にどの人に出会うかというのはやはり大きく違います、自分の負荷を抱えて会うわけですから。鴨下先生のようだといいなというさっきの五島先生の御質疑だったと思いますが、その意味で、この勤労者側、労働者側の一つの治療選択権としての最初の面接相手というものに関しても、一応、産業医か地域産業保健センターか、そういうところのお医者様ということにはなっておりますが、なおこの点に関しては、労働安全衛生マネジメント等の中に、勤労者の意見を聞くなり、思いを反映するなりということにおいて努力、選択権を拡大するように御尽力いただけますでしょうか。これも一言でお願いいたします。

尾辻国務大臣 これも、今回の法改正による面接指導等の措置が事業場において適切に実施されるためには、労使による自主的な取り組みが不可欠でありますので、過重労働による健康障害防止対策及びメンタルヘルス対策を現場の実情を熟知した労使から成る衛生委員会で調査審議することといたしておりまして、この審議をいたすということでございます。

阿部(知)委員 では、引き続いて、冒頭申しましたが、この法律に直接にはあらわれてございませんが、働く現場における現状で極めて私が深刻に考えますことで二つ取り上げさせていただきます。

 一つは、きょう、先ほどの本会議でも可決、成立いたしました郵政法案、民営化ということが決まったわけですが、この間、この審議の中でも明らかにされませんでしたこととして、郵政事業で働く職員の労働災害問題というのが私はあると思います。これは尾辻大臣も御存じかと思いますが、年間一万人以上の方が公務災害の補償をお受けになるような労働災害の多い職場でございます。

 私は、いつもこういう審議の都度、郵政公社の職員が、官か民かということで、逆に言うと肩身が狭い思いをしていられる中で、非常に日々の郵便配達というハードなお仕事に頑張っておられる現状をかんがみても、これからさらに、民営化という中で効率化あるいはリストラ、いろいろなことが起こり得る可能性もゼロとはいたしません。であれば、やはり、現状どんな労働現場で働いておられて、逆に労働安全衛生上の配慮がどのように行き渡っておるかということにおいて極めて懸念の深い件がございますので、御質疑をさせていただきます。

 まず、郵政公社の方にお伺いいたしますが、郵政公社の職員の皆さんは、労働災害の補償は公務災害でございますが、起きた労働災害についての報告は労働基準監督署に申し出ることになっております。各事業者すなわち郵便局が労働基準監督署に申し入れることになっております。

 補償を受けるところと、申し入れる、監督するところがいわばちょっと二本立てになっております中で、これまで郵政公社はどのような形で各郵便局、事業所にこの傷病報告を労働基準監督署に上げるような指導をなさってこられたでしょうか。

日野参考人 お答えいたします。

 郵政公社におきましては、全国の郵便局に対しまして、労働安全衛生法令に基づき労働基準監督署に労働者死傷病報告をするよう、指示文書により指導してきているところでございますが、当該労働者死傷病報告につきまして、さらに徹底してまいりたいと思っております。

 また、このような業務中の災害につきまして最大限減少させていくことが事業者としての責務であると認識しておりますので、今後も職員の安全と健康の確保に取り組んでまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 今、公社の方は、各郵便局に対して、この傷病報告を上げなさいと指導しておるというお話でしたが、実は、現場の労働基準監督署には、例えば私のおります神奈川で十二の労働基準監督署にお尋ね申し上げたところ、一昨年までは全く上がっておりませんのです。それで、昨年、お願いして藤沢の方で調べていただきましたらば、郵便局から上げていただいた報告が十八上がってまいりました。

 公社の方で上げなさいと言っていると言われていますが、はてさて、労働局の方にどのような形で上がって掌握しておられるのか。報告が上がらないのは私の神奈川だけの特別な状況なのか。あるいは、労働局として、局に郵便局から傷病報告が上がってきている実態があればどのくらいあるのか、あるいは上がってきている数はどうであるのか、このあたりはどうでしょうか。

青木政府参考人 事業者は、労働安全衛生規則の九十七条に基づきまして、所轄の労働基準監督署に、労働者が労働災害により死亡、休業したときは、今お話のあります労働者死傷病報告を提出することが義務づけられております。各労働基準監督署においては労働者死傷病報告の件数を把握し所要の監督等を行う、こういう仕組みになっております。

 しかし、委員の御質問でありますけれども、各監督署のデータを集計するというようなことはいたしておりませんので、全体でどのぐらいになっているかというのは、ちょっとお答えできません、持っておりません。

阿部(知)委員 私は、いつも厚生労働行政というのはそうだと思うんですよ。出すように言いました、だけれども上がっているかどうかは関知しておりません。これでは、本当に、例えば先ほど申しましたバイクで配達して労働災害が多い、その労働現場をどう改善していくかの指導ができません。

 即座に数が上がらないものであれば、これは大臣にお願いいたします。傷病報告は、労働安全衛生法の百条に基づき、並びに九十七条でもそうですが、報告を上げることになっております。集計が他に紛れてわからないというのが昨日まで私が伺った皆さんの御答弁でありました、早急には上がってこないと。しかしながら、もし一万件以上の公務災害の補償がなされているのであれば、それと同じ数だけ傷病報告は労働局の方で掌握し、現場の改善に結びつけていただかねば、危険で、なおかつ本当に働く人がこれから安心して頑張れるという保障になってまいりません。大臣として、この数をきっちり省庁として掌握していただく。

 ないし、私が調べましたところ、やはり基準監督署に上がっておらないのです。監督署が郵便局にお願いして上げていただく、こういう作業が現実には行われていないのであります。このあたりは、私は自分で調べてまいりましたから、全部そうでございました。そして、ここに至るまでこんなになっているんだということを私も知りませんでした。でも、これは同じ他の地方公務員の現業部門の方でも、公務災害の補償と傷病報告の窓口が、片っ方は基準監督署、片っ方は支払いが違うという中で起こり得ることと思いますので、大臣、きちんとした傷病報告書の数をおまとめいただいて検討をいただきたいですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 整理しますと、二点の御指摘だと思います。

 一点は、報告を義務づけているその報告がきっちり上がっているかどうかということをもう一度確認すべきである、こういう御指摘だと思います。これは、私どもはちゃんとそういう指導をしてきたつもりでありますからそう思っておりますけれども、そこは先生の御指摘でもございますので、きっちり報告が上がっているかどうかはチェックする必要があると思います。

 それから、もう一点の御指摘というのは、今までは労働基準監督署ごとで集計しておりますから、企業ごとにまとめるという作業をいたしておりません。これは私どもの今後の集計手法の改善ということでございまして、これは検討いたしたいと思います。

 以上、二点に分けて申し上げます。

阿部(知)委員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 そして、今後、民営化というこのプロセスを踏むときに、もし公務災害というか業務上の災害が起きた場合は、補償はどこから出るのでしょうか、公務災害としての補償が継続するのですか。これは一言でお願いいたします。

青木政府参考人 民営化になりましたら、労災保険の適用ということになります。労働災害ということで労災保険の適用になりますので、今のようなお話の場合には、労災保険との関係で突合とか確認というのは容易になると思います。

阿部(知)委員 では、そのように理解しておきます。

 それから、二点目は、これはせんだって、二日前の一般質疑で古屋委員がお取り上げくださった医療現場の話で、特に、あのときは小児医療の現場をお取り上げくださいました。一九九七年に千葉県で小児科の女医さんが過労死されて、引き続いて、その同級生の方が東京の立正佼成会病院で過労からうつになり自殺されたという事件が相次いだのが一九九〇年代の後半です。

 私ども医者という業界というか世界は、鴨下先生もよく御存じでありますが、宿直、いわゆる当直という業務が労働基準法の中でどこに位置づけられておるかといいますと、極めて微妙な部分にございます。そもそも、昭和二十二年に制定されておりまして、宿日直というのはいわゆる労働基準法の適用を除外される要件になっております。その場合の宿日直は、泊まるんだけれどもほとんど寝ていられる、だれも来ない、よっぽどじゃなきゃ急変しないというような形で、私どもは、例えば私どもの所属する病院がこの労働基準法の除外を受けて当直をいたすわけであります。

 ところが、時代も変わり、夜の当直で寝ていられるなどということはめったになくなり、しかしながら、その中でも、こういう適用除外を受けて、なおかつ現実においては夜も寝られない当直をさせておるという病院が現実に少なからずございます。

 特に救急病院というところがそのような実態になっておりまして、昨年の五月に厚生労働省の方で立入調査をなさいました。その結果、何と立入調査した救急病院全体に、六千六百カ所の救急病院がございますが、そういう宿日直の免除を、いわゆる昼の業務とは違って夜は寝ているだけだという除外規定をお出しになっているにもかかわらずハードな勤務をしているという病院が多数ございました。立入調査をした五百九十六救急病院のうち、何らかの法違反があったもの四百三十という数でございます。

 医政局にきょうお越しいただきましたのは、こういう実態を踏まえて、これは、医師がこの間、二年前の研修の義務化から医師の労働者性ということが盛んに指摘されておりますが、現実には、法体系の中でも宿直ゆえ労働基準法を除外され、しかしハードな寝ずの仕事をして翌日も働いてという現状がございます。

 このことに関しまして、医政局の方でも結構でございます、どのような取り組みをなさるのか。特に、これは宿日直が労働基準法を外されていながらハードな現実の夜も寝ずの勤務をしていた件数、約三百四十八病院ございます。決して少ない数ではない。現実にそこで働く医師たちの健康を思えば早急に対策をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松谷政府参考人 医師の労働実態についての問いでございます。お医者さん全体でいいますと、先生御存じのとおり、毎年医学校から八千名の方が卒業されていまして、一応、引退される方もいらっしゃいますけれども、それを考慮いたしましても毎年数千名のお医者さんがふえているという状況で、マクロで見ますとお医者さんというのは非常に増加傾向ということで、むしろ過剰が危惧されるような状況にございますが、今先生御指摘のように、救急の現場であるとかあるいは特定の地域、診療科、小児科もそうだと思いますけれども、それから時間帯によって医師の不足感が強いということも指摘されているところでございます。

 医師の需給につきましては、検討会を設けて今検討しているところでございますけれども、本年の七月に、喫緊の課題でございます、今申し上げました地域別あるいは小児科を初めとする診療科別の偏在などに対応するため、医療資源の集約化等の対策を図っていくことを緊急提言の内容とする中間報告が取りまとめられたところでございまして、医政局としては、この中間報告を踏まえて適切な施策を講じていきたいというふうに考えてございます。

 今先生御指摘の労働基準法遵守の関係は、これはむしろ強制法規としての労働基準法の問題でございますので、労働基準監督署からきちんとした指導をしてやっていくということになろうかと思います。これは医師であろうがあるいは病院その他の事業者であろうが同じことであるというふうに考えてございます。

阿部(知)委員 そんな月並みな答弁じゃ済まないと思うんですよ。

 労働基準法の四十一条、これは何度も言いますが、いわゆる宿日直は労働基準法適用じゃなくていいんだという除外規定を持ったわけです。でも、除外規定を持って、三百個以上の病院がそれに違反する勤務をさせているんですよ。この実態というものは、それは労働基準局です、私たち医政局ですと言っていられないと思います。まして、そういうハードな勤務ゆえ、特にハードな分野から医師は次々と疲弊して去っていくわけです。

 今の御質問を労働基準局に伺いますが、三百幾つが現状、労働基準法四十一条、除外規定にもかかわらず、日中と同じ、本当に押し寄せる患者さんのケアをしているという状況について、どういう指導を医政局と連動してなさいますか。お答えください。

青木政府参考人 私どもは労働基準法の施行をきちんとやるということであります。これは、どのような事業主の方においてもきちんと法律は守っていただくということで対処をしております。この問題については、先ほど歴史的なお話も委員からありましたけれども、まさにそういう事情があったかと思います。

 しかし、今では、このような違反率が七二%というようなものは是正をしていただかねばいけないと思っております。したがって、これは各監督署においてきちんと指導をするということでありますけれども、医政局とも十分話をして、きちんと是正をしていく方向で考えていきたいというふうに思います。

阿部(知)委員 大臣にお願いいたします。やはり省を挙げての取り組みにしていただかないと、厚生労働省の中でもばらばらでは現実に命を守る医師の命も守られない、こういう実態が続いています。ぜひ大臣が陣頭指揮の先頭に立っていただいて、この問題に現実的な解決を図っていただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

鴨下委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 反対する第一の理由は、現行の労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法を廃止して労働時間等の設定の改善に関する法律にかえることにあります。

 政府は、これまで十八年間で十九回もの閣議決定などを行いながら、一般労働者の労働時間は短縮どころか、延長、増大しているのであります。

 にもかかわらず、この改正案によって、政府は一九八八年以来、今日まで世界に公約してきた年間総実労働時間千八百時間の時短目標をおろし、閣議決定も廃止し、厚生労働大臣の指針に格下げして、労使の自主的な努力にゆだねようとするものです。

 これでは今後の労働時間の短縮は進みません。時短促進の政府責任を放棄するこの改正には反対します。今必要なことは、労働基準法の改正によって、時間外労働の上限規制に踏み切るべきであります。

 第二の反対理由は、今回の労働安全衛生法の改正について、長時間残業をさせられた労働者に対し、これまで過重労働防止通達によって、月間八十時間を超えた場合、産業医への面接保健指導を受けさせてきました。これを、月百時間を超え、身体に異常があった上に、労働者本人からの申し出を条件に医者の面接指導を受けさせることに大きく後退させようとしていることです。労働者の健康と命を守り、過労死や過労自殺、精神障害の発生を予防することに全く逆行するもので、到底賛成することはできません。

 第三の理由は、労働保険徴収法の改正で、建設業などの有期事業の保険料のメリット幅を拡大することです。もともとメリット制は労災隠しにつながるものです。そのメリット幅を拡大することは、さらに労災隠しを助長することになります。

 最後に、今回の改正案は、現行の四本の改正法案を一本の法案にして提出しています。このようなやり方は、国会の立法審議権を形骸化させることになり、容認できません。

 以上の理由で、反対といたします。

鴨下委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、本案に対し、大村秀章君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・日本・無所属の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大村秀章君。

大村委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    労働安全衛生法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。

 一 労働時間に着目した健康確保対策の実行とともに、賃金不払残業への厳正な対応や時間外限度基準の遵守の徹底に取り組むこと。また、始業・終業時刻の把握等労働時間管理の徹底を指導するなど、重点的な監督指導を行うこと。

 二 面接指導制度の適切な実施を図るため、義務規定に違反している場合又は努力義務規定の趣旨を満たしていない場合において、事業者に対し必要な指導等を行うこと。また、労働者の意思を尊重しつつ、確実に申出を行うことができるよう労働者が時間外労働時間数を確認できる仕組みの整備、申出手続の整備、労働者に対する実施体制の周知などについて事業者を指導すること。さらに、メンタルヘルス対策として、地域産業保健センターや精神保健福祉センターにおいて、労働者の家族を含め、相談をしやすい体制を整えること。

 三 過重労働対策・メンタルヘルス対策を衛生委員会等の調査審議事項に追加するなど、衛生委員会等の機能強化に努めるとともに、小規模事業場における安全衛生管理体制の在り方について調査検討を進めること。また、中小企業に対し過重労働対策・メンタルヘルス対策の必要性について周知徹底を図るとともに、地域における労使の参加と協力を進め、地域産業保健センターの機能と活動の強化を図ること。

 四 製造業における元方事業者等を通じた請負事業者との安全衛生管理体制に関しては、元方事業者による安全衛生協議会の設置や作業場巡視、教育指導と援助、安全衛生管理指導等一体的な管理体制の普及について、所要の措置を講ずるよう調査検討を進めること。

 五 労働時間等設定改善指針の策定に当たっては、育児・介護、地域活動、単身赴任、自己啓発等を行う労働者の実情に応じた労働時間等の設定の改善を促進するものとなるよう留意するとともに、年次有給休暇の取得率向上に向けて、計画的付与制度や長期休暇制度の普及促進等実効性ある施策を推進し、一般労働者の労働時間短縮対策を総合的に推進すること。

 六 労働時間等設定改善委員会の設置を促進するよう周知徹底を含め実効性ある施策を図るとともに、一定要件を満たした衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなすに当たっては、法に定める要件が遵守されるよう、制度運用に万全を尽くすこと。

 七 二重就業者に係る労災保険給付基礎日額については、その賃金の実態を調査した上で、早期に結論を得ること。

 八 建設業等の有期事業におけるメリット制の改正に当たっては、いわゆる労災かくしの増加につながることのないよう建設業関係者から意見を聴く場を設けるなど、災害発生率の確実な把握と安全の措置を図るとともに、建設業の元請けの安全管理体制の強化・徹底等の措置を図り、労災かくしを行った事業場に対しては司法処分を含め厳正に対処すること。また、労働安全衛生マネジメントシステムの導入拡大による労働災害の予防を図るとともに、導入企業に対する公共事業の企業評価における優遇措置について調査検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

鴨下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鴨下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。尾辻厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鴨下委員長 次回は、来る十九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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