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第13号 平成18年4月7日(金曜日)

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平成十八年四月七日(金曜日)

    午後零時十四分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 園田 康博君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    上野賢一郎君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西川 京子君    林   潤君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    御法川信英君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      郡  和子君    仙谷 由人君

      田名部匡代君    古川 元久君

      三井 辨雄君    村井 宗明君

      柚木 道義君    上田  勇君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           小宮山洋子君

   議員           岡本 充功君

   議員           柚木 道義君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  木村 義雄君     大前 繁雄君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     木村 義雄君

    ―――――――――――――

四月六日

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

同月四日

 患者負担増に反対し、保険で安心してかかれる医療を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第一〇六〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(亀井静香君紹介)(第一〇六一号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一一七号)

 同(石破茂君紹介)(第一一一八号)

 同(泉健太君紹介)(第一一一九号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第一一二〇号)

 同(大前繁雄君紹介)(第一一二一号)

 同(大村秀章君紹介)(第一一二二号)

 同(岡田克也君紹介)(第一一二三号)

 同(奥村展三君紹介)(第一一二四号)

 同(亀井静香君紹介)(第一一二五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一一二六号)

 同(木村義雄君紹介)(第一一二七号)

 同(北川知克君紹介)(第一一二八号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一一二九号)

 同(小平忠正君紹介)(第一一三〇号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一一三一号)

 同(後藤茂之君紹介)(第一一三二号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第一一三三号)

 同(坂本剛二君紹介)(第一一三四号)

 同(笹木竜三君紹介)(第一一三五号)

 同(重野安正君紹介)(第一一三六号)

 同(鈴木俊一君紹介)(第一一三七号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第一一三八号)

 同(園田康博君紹介)(第一一三九号)

 同(田中和徳君紹介)(第一一四〇号)

 同(田中良生君紹介)(第一一四一号)

 同(田村謙治君紹介)(第一一四二号)

 同(高井美穂君紹介)(第一一四三号)

 同(高木毅君紹介)(第一一四四号)

 同(高木陽介君紹介)(第一一四五号)

 同(高木義明君紹介)(第一一四六号)

 同(武正公一君紹介)(第一一四七号)

 同(谷川弥一君紹介)(第一一四八号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一一四九号)

 同(寺田学君紹介)(第一一五〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一五一号)

 同(中川正春君紹介)(第一一五二号)

 同(中山成彬君紹介)(第一一五三号)

 同(西博義君紹介)(第一一五四号)

 同(根本匠君紹介)(第一一五五号)

 同(羽田孜君紹介)(第一一五六号)

 同(萩原誠司君紹介)(第一一五七号)

 同(浜田靖一君紹介)(第一一五八号)

 同(原田令嗣君紹介)(第一一五九号)

 同(保利耕輔君紹介)(第一一六〇号)

 同(細川律夫君紹介)(第一一六一号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一一六二号)

 同(松浪健太君紹介)(第一一六三号)

 同(松本龍君紹介)(第一一六四号)

 同(三日月大造君紹介)(第一一六五号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一一六六号)

 同(森山裕君紹介)(第一一六七号)

 同(保岡興治君紹介)(第一一六八号)

 同(山口壯君紹介)(第一一六九号)

 同(山井和則君紹介)(第一一七〇号)

 同(山本幸三君紹介)(第一一七一号)

 同(山本拓君紹介)(第一一七二号)

 同(吉田六左エ門君紹介)(第一一七三号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一一七四号)

 同(綿貫民輔君紹介)(第一一七五号)

 同(赤澤亮正君紹介)(第一二一三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一二一四号)

 同(新井悦二君紹介)(第一二一五号)

 同(伊吹文明君紹介)(第一二一六号)

 同(石崎岳君紹介)(第一二一七号)

 同(石田祝稔君紹介)(第一二一八号)

 同(糸川正晃君紹介)(第一二一九号)

 同(稲田朋美君紹介)(第一二二〇号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一二二一号)

 同(内山晃君紹介)(第一二二二号)

 同(江藤拓君紹介)(第一二二三号)

 同(小川淳也君紹介)(第一二二四号)

 同(尾身幸次君紹介)(第一二二五号)

 同(大串博志君紹介)(第一二二六号)

 同(大島敦君紹介)(第一二二七号)

 同(大野功統君紹介)(第一二二八号)

 同(太田昭宏君紹介)(第一二二九号)

 同(岡本充功君紹介)(第一二三〇号)

 同(加藤紘一君紹介)(第一二三一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二三二号)

 同(金子恭之君紹介)(第一二三三号)

 同(金田誠一君紹介)(第一二三四号)

 同(河井克行君紹介)(第一二三五号)

 同(河村たかし君紹介)(第一二三六号)

 同(木村太郎君紹介)(第一二三七号)

 同(吉良州司君紹介)(第一二三八号)

 同(倉田雅年君紹介)(第一二三九号)

 同(郡和子君紹介)(第一二四〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二四一号)

 同(近藤基彦君紹介)(第一二四二号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第一二四三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二四四号)

 同(田島一成君紹介)(第一二四五号)

 同(高市早苗君紹介)(第一二四六号)

 同(高木美智代君紹介)(第一二四七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二四八号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第一二四九号)

 同(津村啓介君紹介)(第一二五〇号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第一二五一号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一二五二号)

 同(徳田毅君紹介)(第一二五三号)

 同(中井洽君紹介)(第一二五四号)

 同(中森ふくよ君紹介)(第一二五五号)

 同(中山泰秀君紹介)(第一二五六号)

 同(丹羽秀樹君紹介)(第一二五七号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一二五八号)

 同(原口一博君紹介)(第一二五九号)

 同(福岡資麿君紹介)(第一二六〇号)

 同(福島豊君紹介)(第一二六一号)

 同(福田良彦君紹介)(第一二六二号)

 同(古川禎久君紹介)(第一二六三号)

 同(牧義夫君紹介)(第一二六四号)

 同(三原朝彦君紹介)(第一二六五号)

 同(宮下一郎君紹介)(第一二六六号)

 同(武藤容治君紹介)(第一二六七号)

 同(谷津義男君紹介)(第一二六八号)

 同(柚木道義君紹介)(第一二六九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一二七〇号)

 同(吉田泉君紹介)(第一二七一号)

 男女雇用機会均等法の抜本改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇六二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇六三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇六四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇六五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇六六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇六七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇七〇号)

 中国残留孤児の人間性の回復を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第一〇七一号)

 輸入食品の残留農薬等の検査強化、検査員の大幅増員に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一〇七二号)

 患者負担増に反対し、保険で安心してかかれる医療に関する請願(川内博史君紹介)(第一〇七三号)

 安心して透析を受けられる医療制度改革に関する請願(安住淳君紹介)(第一〇七四号)

 同(臼井日出男君紹介)(第一〇七五号)

 同(川内博史君紹介)(第一〇七六号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一〇九二号)

 同(石関貴史君紹介)(第一一〇七号)

 同(高井美穂君紹介)(第一一〇八号)

 同(辻元清美君紹介)(第一一〇九号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一一〇号)

 同(山井和則君紹介)(第一一一一号)

 同(石井郁子君紹介)(第一二〇九号)

 同(内山晃君紹介)(第一二一〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二一一号)

 同(武藤容治君紹介)(第一二一二号)

 安全で行き届いた医療・介護に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇八九号)

 患者・国民負担増計画の中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九〇号)

 同(羽田孜君紹介)(第一一〇六号)

 国民皆保険制度堅持等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九一号)

 パーキンソン病患者の療養生活上の諸問題救済策に関する請願(寺田稔君紹介)(第一〇九三号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一一二号)

 同(山本幸三君紹介)(第一一一三号)

 青年の雇用に関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇九四号)

 無免許マッサージから国民を守る法改正に関する請願(松岡利勝君紹介)(第一〇九五号)

 同(石関貴史君紹介)(第一一一四号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一一一五号)

 同(谷川弥一君紹介)(第一一一六号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(内山晃君紹介)(第一二〇八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案、小宮山洋子君外四名提出、小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案及び園田康博君外三名提出、医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。川崎厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 健康保険法等の一部を改正する法律案

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川崎国務大臣 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 我が国は、国民皆保険のもと、だれもが安心して医療を受けることができる医療制度を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきました。しかしながら、急速な高齢化など大きな環境変化に直面している中、国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、その構造改革が必要であります。このため、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、都道府県単位を軸とした保険者の再編統合等の措置を講ずることとしております。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、予防を重視しつつ、生活習慣病対策の充実や平均在院日数の短縮といった中長期的な医療費適正化対策を計画的に進めるとともに、現役世代並みの所得のある高齢者の患者負担の引き上げや療養病床に入院する高齢者の食費、居住費の負担の見直しなど短期的な対策を講ずることにより、医療費適正化を総合的に推進することとしております。

 第二に、七十五歳以上の後期高齢者を対象とする新たな医療制度を創設することとしております。この制度においては、七十五歳以上の高齢者の心身の特性等を踏まえ、それにふさわしい医療サービスを提供するとともに、保険料、現役世代からの支援及び公費を財源とし、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合が運営することとしております。また、六十五歳から七十四歳までの高齢者の医療費について、国民健康保険及び被用者保険の加入者数に応じて負担する財政調整制度を創設し、超高齢化時代に備えた安定的な高齢者医療制度を創設することとしております。

 第三に、都道府県単位を軸とした保険者の再編統合を進めていくこととしております。このため、国民健康保険においては、都道府県内の市町村国保間の保険料の平準化を図るための共同事業の拡充を行うこととしております。また、政府管掌健康保険を公法人化し、都道府県ごとの医療費を反映した保険料率を設定することとしております。

 以上のほか、中央社会保険医療協議会について委員構成の見直しや団体推薦規定の廃止等を行うとともに、介護保険法における介護療養型医療施設の廃止等の所要の改正を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、現役世代並みの所得のある高齢者の患者負担の引き上げなどについては平成十八年十月に、医療費適正化計画の策定や新たな高齢者医療制度の創設などについては平成二十年四月にするなど、改正事項ごとに所要の施行期日を定めることとしております。

 次に、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 我が国の医療提供体制については、国民の健康を確保し、国民が安心して生活を送れるための重要な基盤となっております。一方で、高齢化の進行や医療技術の進歩、国民の意識の変化など、医療を取り巻く環境が大きく変わる中、だれもが安心して医療を受けることができる環境を整備するための改革が不可欠となっております。このような観点から、国民の医療に対する安心、信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供される医療提供体制を確立するため、患者の視点に立った制度全般にわたる改革を行うこととし、本法律案を提出することとした次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、患者、国民による医療に関する適切な選択を支援するため、都道府県を通じた医療機関に関する情報の公表制度の創設や広告規制の大幅な緩和など、医療に関する情報提供を推進することとしております。

 第二に、医療計画制度を見直し、医療機能の分化、連携を推進することを通じて、地域において切れ目のない医療の提供を実現し、質の高い医療を安心して受けられる体制を構築することとしております。

 第三に、僻地や、小児科、産科などの特定の診療科における医師の偏在問題に対応し、地域における医師確保の推進を図ることとしております。

 第四に、地域における医療の重要な担い手である医療法人について、非営利性の強化などの規律の見直しを行うとともに、救急医療、小児医療など地域で必要な医療の提供を担う医療法人を新たな社会医療法人として位置づけることとしております。

 第五に、医療従事者の資質を向上し、国民の医療に対する安心を確保するため、医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の医療従事者について、行政処分を受けた者に対する再教育制度の創設など行政処分のあり方を見直すこととしております。

 以上のほか、医療安全支援センターの制度化など医療安全の確保の推進、在宅医療の推進のための規定の整備等を行うとともに、外国人臨床修練制度の対象として新たに看護師等に相当する海外の資格を追加するなどの改正を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き、平成十九年四月一日としております。

 以上が、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

岸田委員長 次に、柚木道義君。

    ―――――――――――――

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柚木議員 昨日の本会議でも趣旨説明をさせていただきました民主党提出の小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案について、提案理由及び法案概要を御説明申し上げます。

 小泉政権のもと格差拡大が指摘されておるわけですが、とりわけ小児医療、この分野における医療格差についても、地域間格差、診療科間格差として指摘されております。解消されない医師の不足、偏在や、ふえ続ける医療事故、さらには当直を挟んで連続三十二時間労働も珍しくない、そういった労働環境のもと、小児科医の過労自殺という現実も看過できないわけでございます。子供が病気になった際に、何時間も待たされたり、救急車でたらい回しにされたあげくに、かけがえのない命を医療体制の不備によって失われてしまう、そういった現状にございます。我が国は、大変残念なことに、一歳から四歳の乳幼児死亡率が先進十四カ国の平均を約二割も上回るという現状にございます。

 こうした問題点解決に向けて、本法案を提出させていただきました。以下、概要を申し上げます。

 第一に、基本理念といたしまして、地域事情に配慮しながら、いつでも安心して小児救急医療が受けられる体制をつくり、小児医療にかかわる医療従事者の養成や確保、配置、労働時間の管理などを適切に行い、良質で適切な小児医療体制をつくります。

 第二に、国と自治体は、小児医療提供体制施策の策定と実施責務を負います。

 第三に、厚生労働大臣は、小児医療体制整備を総合的に進めるためにその基本方針を定め、都道府県は、その方針に沿って医療計画の中での体制確保を定めます。

 第四に、国及び地方公共団体は、緊急小児医療提供体制として、中核小児科センター、地域小児科センターの整備、さらに小児医療連携体制整備などを行い、小児救急医療にかかわる医療従事者の人材養成、確保のための施策をとります。

 第五に、国は、小児医療計画を達成するため、都道府県に対し、小児医療計画による事業費についても必要な助成を講じます。

 第六に、小児医療提供施設管理者は、適切な労働時間を設定し、勤務交代制をしくなどの必要な措置を講じます。

 第七に、小児医療では、夜間、休日の診療が強く求められ、他の診療科に比べても多くの時間と労力の必要性があることを踏まえ、健康保険等の診療報酬の見直しを行います。

 なお、本法案は、平成十九年四月一日施行といたします。

 さらに、平成二十年度以降、小児医療費について、義務教育就学前は被保険者等の負担をゼロとし、義務教育の間は同じく負担割合を一割とするために必要な措置を講じます。

 以上が、本法案の提案理由及びその概要です。

 昨日の質問、答弁にもございましたような、まさに危機的な状況にある小児医療に関しまして、本委員会における慎重な御審議をお願いを申し上げ、私からの法案の説明、概要といたします。

岸田委員長 次に、岡本充功君。

    ―――――――――――――

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡本(充)議員 ただいま議題となりました医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案、通称医療の安心・納得・安全法案について、提出者を代表し、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 本法案は、第百五十四回常会に提出した医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案、通称患者の権利法案を基礎として、現在の医療提供体制に必要な項目を法案化したものでございます。

 良質かつ適切な医療が提供されることは大前提でありますが、今まさに、医療に対する安心感、医療を受ける者の納得感、そして医療の安全性をどのように高めるかは喫緊の課題となっております。

 今回、政府が提出されました医療制度改革関連二法案は、医療財政改革が中心的課題となっています。健康保険法を改正し、さらなる負担を求めようとする前に、過去の医療制度改革の総括を行い、置き去りにされてきた医療の質の向上という大きな課題に対し、この機会にきっちりと結論を出すことが政治の大きな責任だと思っています。

 そもそも、医療とは、医療を受ける者と医師との共同作業で行われるべきものであります。現在、ようやくインフォームド・コンセント、説明に基づく同意という概念が広がり始めました。医療を受ける者のうち、求める者に対してはさらに自己選択や自己決定ができるという、インフォームド・チョイス、説明に基づく選択、そしてインフォームド・デシジョン、説明に基づく自己決定といった概念もあります。医療を受ける者の主体性が尊重されていく必要があるわけであります。

 また、医療事故を未然に防ぐ体制整備も求められています。万が一医療事故が生じた場合においても、徹底的な原因究明とその報告が行われ、同じ事態が繰り返されないようにすることは、医療の安全性を高める重要な要素です。

 この法案を成立させ、医療を受ける者の安心、納得、安全を確立することで、医療の質を高め、医療財政改革のみでは得ることのできない満足感を医療を受ける多くの国民の皆様方に与えることができると考えています。

 以下、法律案の概要を申し上げます。

 第一は、医療を受ける者に対する医療に関する情報の提供について、基本的な事項、医療機関等に関する情報の開示、報告を定めるとともに、広告規制について、原則自由化の方向性を示しています。

 第二は、医師等は診療について十分な説明を行うこと、説明、報告に当たって医師と医療従事者間の連携がとられること、さらに、薬剤師においては調剤に関する説明を十分に行うこととしています。

 第三には、カルテなど診療記録の開示等です。

 医療機関の管理者は、医療を受ける者等から請求があれば、医療を受ける者に悪影響を及ぼす場合などを除き、診療記録を開示しなければならないとしています。また、医療を受ける者等の申し出があれば、医療に要した費用の内容の詳細な内訳がわかる書面を交付することとしています。

 そして、第四に、医療機関における相談対応のあり方を規定するとともに、都道府県が相談支援機関として医療相談支援センターを設置することを定めています。

 第五に、安全かつ適正な医療確保のための体制整備として、医療機関に医療安全委員会を設置すること及び医療事故等の報告の規定を置き、第六に、医療技術に関する評価及び医療機関に関する評価について定めています。

 これらの諸施策を実現することで、医療を受ける人の尊厳が保持され、医療を受ける人の理解と自己決定に基づいた良質かつ適切な医療の提供が促進され、日本の医療の信頼性の確保と向上がなされること、医療を受ける人々の権利利益の擁護を行おうとするものでございます。

 以上が、本法案の提案理由及びその概要でございます。

 医療はお金の問題だけではないことを、先日の本会議でも皆様方にお話をさせていただきました。そういった中で、不幸にして不治の病を患った皆様方も、安心、納得、安全な医療を受けて、満足していただける、そういった体制を整えることは大変重要だと思っております。

 そういった中で、民主党は、ただいま柚木議員から御説明がありました小児医療緊急推進法、そしてまたこの医療の安心・納得・安全法、この法律、そしてさらにはがん対策基本法と、三つの法律を大きな柱として皆様方に御提案をさせていただいております。今回、残念ながらがん対策基本法が審議にまだ付されておりませんが、一刻も早い御審議入りをお願いする次第でございます。

 ぜひ、この法案に対しましても、趣旨を十分に御理解賜り、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げまして、私の提案理由及び説明とさせていただきます。ありがとうございました。

岸田委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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