衆議院

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第15号 平成18年4月14日(金曜日)

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平成十八年四月十四日(金曜日)

    午前九時十二分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 園田 康博君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    宇野  治君

      上野賢一郎君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木原  稔君    木村 義雄君

      清水鴻一郎君    柴山 昌彦君

      菅原 一秀君    杉村 太蔵君

      鈴木 淳司君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    西川 京子君

      林   潤君    平口  洋君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    御法川信英君

      村田 吉隆君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      仙谷 由人君    田名部匡代君

      古川 元久君    松木 謙公君

      三井 辨雄君    村井 宗明君

      柚木 道義君    上田  勇君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           岡本 充功君

   議員           郡  和子君

   議員           柚木 道義君

   議員           園田 康博君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西山 正徳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 大谷 泰夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           磯田 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  磯部 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     村田 吉隆君

  菅原 一秀君     鈴木 淳司君

  西川 京子君     木原  稔君

  原田 令嗣君     長崎幸太郎君

  御法川信英君     宇野  治君

  三井 辨雄君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     御法川信英君

  木原  稔君     西川 京子君

  鈴木 淳司君     柴山 昌彦君

  長崎幸太郎君     原田 令嗣君

  村田 吉隆君     上野賢一郎君

  松木 謙公君     三井 辨雄君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     菅原 一秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案、小宮山洋子君外四名提出、小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案及び園田康博君外三名提出、医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官西山正徳君、総務省大臣官房審議官大谷泰夫君、文部科学省大臣官房審議官磯田文雄君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、健康局長中島正治君、老健局長磯部文雄君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 おはようございます。自由民主党の木原誠二でございます。

 本日は、野党の皆様も御出席いただきまして、与野党一緒になって、まさに重要な法案でございます、また、国民がまさに注視をしているし、国民の生活に最も直結する法案でございます。与野党一緒に議論できますことを大変感謝申し上げたい、このように思う次第でございます。

 私自身は、きょう、三十分間お時間をちょうだいしております。その時間の中で、閣法、政府提出法案につきまして御質問させていただきたい、このように思っております。

 お聞きしたいことは多々ございます。少し駆け足でいろいろ御質問させていただきたいと思いますが、その前に、ひとつ私の体験をお話しさせていただきたい、このように思っております。

 私は、四年間イギリスに暮らしました。一番最初が一九九五年から九七年、これは留学生としてイギリスで生活をしたわけでございます。留学生としてイギリスの大学に行きますと、まず手渡されるものが、いわゆるお医者さんのリストを手渡されます。この中から、GP、いわゆる家庭医を自分で選びなさい、そして登録をしなさいということで、自分の寮のそばのお医者さんたちのリストを渡していただく。その上で、その大学の方からは、この家庭医を通じた病院はまさにフリーですよと。この場合フリーというのは、アクセスだけではなくて、まさに全額税金で賄われる、全く自己負担はありませんよということを言われるわけでございます。

 私は、最初、イギリスに行きましてこの話を聞いて、やはりイギリスという国はすごい国だな、まさに揺りかごから墓場までと、大変充実した国だな、こう思ったわけですが、実態はそういうことではない、そういうことが次第にわかってくるわけでございます。

 例えば手術、これはウエーティングリストというのがあって、なかなか三年ぐらい、手術してもらうまでにリストに載っていないといけない。あるいはまた、例えば救急で病院に行っても、これは実際私じゃなかったんですが、私の友人が救急で行ったところ、五時間ストレッチャーの上に寝かされるだけ寝かされて、なかなか診てもらえなかった。あるいはまた、私自身が体験したことでございますけれども、年末になると、いわゆるNHSの病院というのは突然張り紙が出て診療時間が短くなったりする、こういうことも実際に起こっていたわけでございます。

 その原因をいろいろ考えてみると、これはもう一つしかなくて、メージャー政権あるいはサッチャー政権から始まった、いわゆる医療をまさに総額管理をする、マクロ管理をする、あるいは財政的管理をするというところにやはり行き着くんだろうというふうに思います。

 その後、ブレア政権になって、いろいろ改善は進んでいると思います。しかし、なかなか十分な改善には至っていない。やはりその傷跡が相当深く残っているなという印象を、私は、二回目に行ったときはまさにブレア政権のもとで参りましたので、まだまだ傷跡は大きいなという印象を持って帰国した次第でございます。

 そんな中で、今回の日本のことを考えますと、もちろん、まさに超高齢化、高齢化というよりも超高齢社会に入っていまして、医療費がどんどん膨らんでいく、これはもうなかなか避けがたい現状がある。

 他方で、我々の足元はまさに多額の財政赤字を抱えていて、やはり医療も相応の負担というか努力をしなければいけない、これは事実だと思うのでございますが、それがやはりイギリスのようになってもらっては困るな、これは私の全く率直な感想でございます。国民が安心して、そして自分の健康を守るための医療は確実に受けられる、それがやはり医療の本旨だろう、このように思います。

 そういう中では、今回、昨年末、さまざまな議論の中で、この医療費について、マクロ管理をすべきではないか、あるいはマクロ経済指標で総額管理をしっかり徹底すべきじゃないかという議論があったわけですけれども、この部分は、川崎厚生労働大臣の御指導、そしてまた厚労省の大変な努力によって何とか避けることができた。私は、これは本当に高く評価したい、こう思っているわけでございます。

 具体的な質問をさせていただく前に、大臣から、今回のマクロ管理というものについての感想、経済と医療のあり方、そしてまた、それを踏まえた上で今回の医療制度改革は、どういう理念、そして中身で立案されたのか、冒頭に少し御説明いただければと思います。

川崎国務大臣 まず、現状認識をしっかりしておかなければならないだろうと思います。

 そういった意味では、前回の御審議で清水委員から、我が国の医療制度、国際的にはどう評価を得ているか。これはイギリスの例を引いて今お話しいただきましたように、我が国の医療制度に対する評価、アメリカからもハーバードも勉強しに来ますし、またWHOの評価も極めて高い。そういう意味では、医療の質、価格というものについては、現状は評価をいただけるんだろうと思っています。ただ、個々の問題は大きな問題を抱えている。

 一方で、今後はどうですかということになると、これも今委員がお示しいただきましたように、団塊の世代、戦後で多く生まれた我々が、あと二年で六十を超える、また、十五年たてば後期高齢者医療制度の中に入っていく、そこが多分医療費の半分を占める時代になるだろうと。そういった意味では、給付はふえていくけれども、負担をお願いする若者の数は年々減っていく。そういう認識の中で、現状と将来というものをしっかり見据えながら、今カーブを切っていかなければならないんだろう、このように思っております。

 一方で、社会保障制度全体の給付が八十四兆円、予算が七十九兆円でございますから、我々は必ずしも財政とリンクした形ではという議論はいたしますけれども、一方で、財政を担う人たちからすれば、社会保障というものの伸びを無視して財政再建というものは全くあり得ない話になっている。したがって、そうした議論もやはり踏まえながらやっていかなければならないだろう、このように思っております。

 一方で、財政の皆さん方からいえば、将来見通しを明確にして、でき得ればキャップをはめて、伸びも一定率に抑えて、そういう形で進めたい、こういう気持ちをお持ちになるのはやむを得ないだろうなと思っております。

 しかし、上から数字をおろしてくるということについて、国民の気持ち、医療の質、そして医療現場の方々、それぞれの立場の方々がいらっしゃる中で、どんな企業でも、社長が販売目標を先に決めて社員に売れと言う人たちはいませんよ。今は、社員一人一人の、工場一つ一つのものが生産目標を決めて、各営業所が販売目標を決めて、その積み重ねの中で社長が最終決断をしていく。したがって、個別の議論を積み重ねた上で、将来展望というものもある程度数値的なものを持ちながらやっていかなければならない、こういう議論展開をいたしてまいりました。数値については目安という表現で、しかしながら財政再建もありますから、ある程度持っていかなきゃならぬ。しかし、政策的にはやはり個別の積み重ね。

 したがって、今回の政策の大きなものをなしておりますのは、何といいましても入院の適正化という問題と予防という問題を長期的な課題として取り組ませていただきたい。

 一方で、若者に負担というものをお願いしていく中で、負担能力のある我々の世代、将来的にはやはり三割負担をお願いしたいということで、能力がある以上は御負担をお願いする、若者と同じことにするということをお年寄りにお願いしますと同時に、若者に、こういう形で変えていきますのでどうぞ御理解を賜りたいというところが大きな流れかな、このように思っております。

 社会保障制度全体の流れもすべてそうであろうと思っております。お年寄りの皆さん方に対する配慮をしっかりしていかなければならないと同時に、負担をする若者の理解を求めながら社会保障というものは進めていかなければならない、このように考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 団塊の世代がまさにこれから退職をしていく中で、社会保障給付も一定程度財政の中で役立っていかなければいけない、こういうような御趣旨だったか、このように思うわけでございます。

 その中で、個別の積み重ね、政策の積み重ねが重要だ、そして、長期的な対策として、まさに生活習慣病対策、予防、そしてまた入院日数の縮減といったようなことを御提示いただいたわけでございます。

 まず、この生活習慣病対策について二つほど御質問をさせていただきたい、このように思っております。

 まさに、今後の医療を考えるときに、医療費はなかなか大きく膨らませないということになってまいりますと、やはりなるべく病人を出さない、病気にならない生活というのをつくっていく、大変重要だ、このように思っているわけでございます。

 今回の医療制度改革の中の医療費の適正化の大宗は、まさにこの生活習慣病対策から出てきている。そういう意味では、ここがしっかりと実行されなければ、今回の医療制度改革も絵にかいたもちに終わってしまうということでございますので、二つほど御質問させていただきたい、このように思っております。

 これまでいろいろな御説明を伺っておりますと、この生活習慣病対策、ここはまさに健診を保険者に義務化させるということだというふうに、一つのキーポイントはそこにあるのかな、このように思っております。

 実際問題として、今、健診の受診率というのは、随分、職種や、例えば専業主婦の方は大変低いというような状況でございますから、ここはしっかりやっていただきたいな、こんなふうに思っておるわけでございます。そしてまた、その後の健康指導というものもしっかりやっていただきたい、こういうふうに思っております。まさに生活習慣病は、医療費で見て三割、あるいは死亡原因で見ると六割、こういうことでございますから、ここは一つのキーだな、こう思っているわけでございます。

 大変いい対策を少しずつ打ち出されているな、こう思うわけでございますが、一方で、これまで健康日本21あるいは健康フロンティア戦略等々で生活習慣病対策は十分やってきたんだけれども、なかなか効果を上げていない、これも事実だと思います。

 こういう今の現状をちょっと批判的にぜひ御検討いただいた上で、今後の生活習慣病対策、どういうところに重点を置いていかれるのか、簡潔に御説明いただければと思います。

中島政府参考人 生活習慣病対策でございますが、ただいま御指摘のように、これまでも我が国におきまして、健康日本21などを推進してまいったところでございますけれども、平成十五年など直近の状況を見ますと、肥満者の割合あるいは日常生活における歩数など、健康日本21の目標の項目によりましては、策定時よりもむしろ悪化しているというようなデータもあるなど、これまでの生活習慣病対策については必ずしも十分な効果が上がっていない面も見られるところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、今回の医療制度改革においては、予防の重視を柱の一つに位置づけまして、生活習慣病対策の強化を図ることにしております。

 具体的には糖尿病などの有病者、予備軍の減少に向けまして、運動、食生活、喫煙面での生活習慣の改善に向けた国民の意識啓発に積極的に努めますとともに、医療保険者の役割を明確化し、効果的で効率的な健診、保健指導を義務づけるなど、本格的な生活習慣病予防の取り組みを推進してまいりたいと考えてございます。

木原(誠)委員 健診の義務化、そしてまた健康指導の実施、まさにハイリスクアプローチ、こういうことだろうと思うわけでございます。

 実は、例えば地元に帰って首長さんなんかとお話をしますと、国保財政が大変厳しい中で、本当に義務化ということを実施していけるのかなという大変大きな不安を実は語られることがございます。財政的な措置は十分やっていただける、こういうふうに理解をしているわけでございますけれども、この不安の解消という点で二つのことをお伺いしたい、このように思っております。

 一つは、健診それから健康指導に至る標準的なプログラム、こういったものをどういうタイミングでどんな形でお示しいただけるのかということがまず一点でございます。

 そして、もう一つは、結局、健康指導をやっていくということになると、栄養士あるいは保健師の方々に相当御努力いただかなければいけないんだろう、こう思うわけですが、現状は、今の市町村の保健師や栄養士の活動状況というのはそれほど十分ではないのかな、こんなふうに思っております。

 この体制を一体どのように整備していくのか、国としてどういうふうにこれをサポートしていただけるのか、この二点、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。

中島政府参考人 これからの生活習慣病予防の具体的な体制の整備に向けての手順といいますかプロセスについての御質問ということでございますが、まず、これからどのような形でこの健診、保健指導を進めていくかについてのプログラムの提示につきましては、現在、専門家にお願いをいたしまして、検討を進めているところでございます。本年度及び来年度にかけまして、その試行等を進めた上で、二十年度の実施に向けてその中身を示してまいりたいというふうに考えてございます。

 それからまた、マンパワー等の体制の整備についてでございますが、医療保険者による健診、保健指導が生活習慣病予防の効果を上げていくためには、内臓脂肪症候群を中心といたしました健診によりまして、対象者の状態を把握した上で、効果的な保健指導を提供していくということが必要でございますので、保健指導につきまして、質、量ともに充実を図っていく必要があるということでございます。

 このため、今後は、保健師だけでなく管理栄養士なども含めましたさまざまな職種の活用も進めていくことが必要と考えておりますけれども、保健指導に係りますマンパワーにつきましては、平成二十年度以降、当初は市町村の保健師、管理栄養士等に中心的な役割を担っていただくものと考えてございます。

 さらに、医療保険者によります保健指導を拡大していくに当たりましては、現在は職についていない在宅の保健師の方、管理栄養士や保健指導を提供する外部の保健サービス機関等の活用によるマンパワーの確保、有効活用というものも推進していくこととしております。

 厚生労働省といたしましては、都道府県や医療保険者、関係団体とも連携をいたしまして、研修の充実を図るなど、保健師、管理栄養士等のマンパワーの資質の向上に努めてまいりたいと考えておるわけであります。

木原(誠)委員 ありがとうございました。平成二十年の実施に向けて、ぜひ情報提供等万全を尽くしていただきたい、このように思う次第でございます。

 この生活習慣病対策というよりも、予防医療という観点から、もう一点だけ御質問させていただきたいと思います。

 統合医療ということについて少し御質問させていただきたいと思うんですが、御案内のとおり、西洋医学と東洋医学、いわばさまざまな医療の手法を融合させていく、融和させていく、そういう中で、今統合医療というものは語られている。町を歩いてみると、実に多くのはりやきゅう、あるいはあんま、マッサージ、多々あるわけでございます。私自身も最近は、体調が悪いというとはりに行くことがよくございます。

 そういう意味では、国民の間ではかなりこの東洋医学、こういうものは浸透しているのかなと思うわけでございますけれども、一方で、お医者さんあるいは厚生労働省の中でも、国民の意識と若干乖離があるのかな、こんなふうな思いもしているわけでございます。

 そこで、もう余り時間がないものですから、簡単に御答弁いただければと思いますけれども、きのう、資料をお願いいたしましたら、統合医療についての予算というのは研究費等々で一億ちょっと、こういうような現状だというふうに伺いました。本当にその現状でいいのかどうか。特に予防医学という観点からすると、大変に有効なんじゃないかなと私自身は思います。欧米に行っても、特にイギリスなんかに行きますと、随分と、この東洋医学あるいはそういう統合医療というものが充実しているような印象も受けるわけでございます。

 厚生労働省として、今後この統合医療というものについてどういうふうに取り組んでいかれる御所存か、一言御答弁いただきたいと思います。

松谷政府参考人 統合医療でございますが、先生御指摘のとおり、西洋医学に含まれない医療領域でございます相補、代替医療を現在の西洋医学とも効果的に組み合わせたもの、これに対して国民の関心は今高まっておるというふうに考えてございます。

 我が国は、歴史的に東洋にございましたので、漢方なり、あんま、指圧、はり、きゅう、あるいは柔道整復といったような伝統医療については国民の間に相当程度定着もしておりますし、また利用もされているという状況にございます。さらに国といたしましても、平成十八年度から、この統合医療に関して、内外における普及の状況や経済効果、さらに、西洋医学に相補、代替医療を併用することにより具体的にどういう効果が高まるかといったような研究を実施するために、今先生御指摘ございましたように、新規に予算を計上いたしまして、その推進をするための土台づくりを図るということといたしてございます。

 こういった成果を踏まえまして、国民や医療関係者等に対して情報提供を行うとともに、医療現場において適切な取り扱いがなされるよう、今後とも努めてまいりたいと思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 実は、もう少しこの統合医療については御質問したいと思ったんですが、時間も余りありませんので一点だけ御指摘をさせていただきます。

 鍼灸の医療の場合、これは今、現物給付ということではなくて現金給付ということになっているんだろうというふうに思います。事実上、保険適用はなかなか難しいという状況がございます。なかなか現状では難しいのかもしれませんけれども、できれば受領委任払い方式というものをぜひ御検討いただきたい、このように思います。これは一点御要望させていただきたい、このように思います。

 続きまして、療養病床の削減ということについて少し御質問させていただきたいと思います。

 冒頭、大臣から、やはり医療というのは、何か上から数字を最初に決めてやるというよりは、しっかり個別の政策を積み重ねていく、大変重要だと、私も全くそのとおりだと思うわけでございます。

 その中で、今回、三十八万ございます病床を十五万にする、この十五万という数字がややひとり歩きしてしまっているかなという感じを持っております。恐縮ですけれども、この十五万という数字はどこから出てきたのかということを御説明いただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 療養病床の再編成に当たりましては、医療の必要度に応じた医療区分をもとに考えてございます。それで、医療の必要性の高い医療区分であります二及び三の入院者につきましては医療療養病床で対応することとしておりまして、一方で、医療の必要性の低い医療区分一の入院者につきましては老人保健施設等で対応することを基本としてございます。

 この医療区分につきましては、これは平成十五年三月の閣議決定以来、慢性期入院医療の包括評価調査分科会、これが中医協に設けられておりまして、そこでの、九十の病院を対象にした七千人の入院患者の実態調査あるいは三千五百人の患者を対象としたタイムスタディー、これによりまして、その医療区分を設定しているわけでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、医療区分二、三が医療療養病床で医療の必要度が高いわけでありますけれども、老人保健施設におきましても御存じのとおり常勤医師が配置されておりますので、医療区分二の該当者の中にも一部、老健施設で対応可能な患者さんというものが含まれていると考えてございます。

 具体的に申し上げますと、うつ状態でありますとか褥瘡などの状態を想定してございまして、こうしたケースを含めますと、全体三十八万床の約六割、二十三万床の入院者が介護保険に移行するとの前提を置いて積算をしたものでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。まさに医療区分二、三のうちの一部の方も介護の方に移っていただくということを前提にした試算だ、こういうふうな御見解かと思います。

 きのう、実は厚生労働省にお願いいたしまして、医療区分ごとに、それほど細かくは分かれておりませんけれども、療養病床の今の病床数を示していただきました。それによりますと、医療区分の二と三で十七万でしょうか、それにあと回復期リハビリということで二万病床がある。そういうことになりますと、実は十九万病床、ある意味で医療管理が必要な病床群がある。そこが十五万になっていくということになりますと、四万病床程度は介護の方に移っていく、こういうことになるんだろうと思います。

 六年間かけて老健等の中でこれを吸収していくということになるんだろうと思いますけれども、この四万というものをちゃんと本当に吸収できるのかなということが、若干不安として残るわけでございます。

 今の御答弁の中でも、老健施設等にも医師はおりますよということでございますけれども、その医師の配置というのはやはり一人でございますし、そういう意味では、二十四時間三百六十五日、本当に十分な医療ができるのかどうか。あるいはまた、これは大変失礼な言い方かもしれませんけれども、老健施設等にいらっしゃるお医者さんというのはある意味第一線を退かれた方も多いのかな、こんな印象を持っております。そういう意味で、この移行というのをしっかり適切にやっていただきたいな、こう思うわけでございます。

 もう一つは、今、ターミナルケアとか終末期医療といったようなものも随分議論になっております。一九五〇年代というのは自宅で亡くなられる方は八〇%だったわけですけれども、今は病院や診療所で亡くなられる方が八割、こういう状況でございます。ということは、この八割の方、大半は、まさにこの療養病床の中で多分最期を迎えられてきた方も多いのかな、こう思うわけでございまして、これが十五万に削減をされて老健施設等に移動するときに、この部分もしっかりとやはり手当てをしていただきたいな、こんなふうに思っております。

 健康保険法の中には老健施設等のあり方について検討するという項目もあるわけでございますので、今申し上げた二点、この四万人という方々、本当に十分対応できるのかということ、そしてまた、終末期のみとりという部分も含めて老健施設の中でちゃんと対応できるのかということをぜひ御検討いただきたいと思います。

 そして、一つ具体的に、私は、実は同僚議員からこの提案を受けてなるほどなと思ったことがございます。それは、今後、老健施設に移行していく中で、今申し上げたように四万人、この数字も随分変わるだろうとは思いますけれども、一定程度の医療管理が必要な方というのが老健施設に移っていくわけでございますから、今後の検討の中で、例えば、医療をより充実した老健施設、老健施設Aというカテゴリーと、あるいは通常の老健施設、B、こういったような二つのカテゴリーを設ける、こういったような御検討もぜひしていただきたいと思いますけれども、今後の検討のあり方、ちょっと御回答いただければというふうに思います。

磯部政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、今回提案させていただいております改正法案の附則の二条におきまして、老人保健施設及び老人福祉施設の基本的なあり方、それから、これらの施設の入所者に対する医療の提供のあり方等につきまして見直しをするという規定が入ってございます。これに基づきまして、今後、委員の御提案のようなことも含めまして、検討を進めていく必要があると認識しております。

木原(誠)委員 あともう一つ、地元を回っておりまして聞いた話でございますけれども、私、実はこれは勉強不足で知らなかったんですけれども、介護施設、老健施設等には参酌標準というのがあるというふうに聞きまして、これは今もう既に現行のものは走っている、こういうふうに伺っております。そういう意味では、どうも東京等は比較的余裕があるようではございますけれども、一部の地域ではかなりいっぱいになっているところもあるというふうに伺っております。

 今後、老健施設に移行する中で、これがしっかりと改定をされて、十分な余裕を持って移行できるということが担保されなければいけないと思いますけれども、その点、どのように考えたらいいか、御回答をいただければと思います。

磯部政府参考人 参酌標準と申しますのは、介護保険法の百十六条に基づきまして、国が定める基本指針において各市町村が介護保険事業計画、また都道府県の場合におきましては介護保険事業支援計画に盛り込むべきサービス見込み量を算定するに当たっての参酌すべき標準として示されております。

 十八年度から二十年度までの第三期の、特に都道府県が策定いたします介護保険事業支援計画、これは当然都道府県ごとによって違うわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、医療療養病床からの転換を見込んで老健施設等の必要定員数を設定しているわけではございませんけれども、一つには、この第三期の計画の中でも、老健施設や特定施設の利用定員総数の増加が見込まれております。それから二つには、介護療養型医療施設から老健施設等へは、基本的には定員数全体に影響を生じさせることなく転換することができます。それから三つ目には、介護療養型医療施設から医療の療養施設に転換する部分も一部あると見込まれますので、その意味で、介護療養型医療施設の定員減も考えられます。

 こういうことを踏まえますと、第三期計画におきましても、地域の実情に応じまして一定程度、療養病床から老健施設等への転換も可能であると考えております。

 また、二十一年度からの第四期の計画につきましては、二十年度から、医療費適正化計画や医療計画の策定の見直し等と整合性を図りまして、また、老健施設等への転換の進捗状況などを踏まえまして、先ほど申し上げました参酌標準の設定について考えていきたいというふうに考えております。

木原(誠)委員 もう時間が参りましたので最後にしたいと思いますけれども、療養病床の廃止、やはり大変不安も大きいというふうに思います。恐縮でございますけれども、今の議論をお聞きになって、大臣に最後、この療養病床、しっかりと転換をしていくということについて御決意をいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

川崎国務大臣 いずれにせよ、今の医療制度、申し上げましたように、諸外国から見ても評価をいただいております。一方で、我が国の最大の要件の違い、少子高齢化社会、すなわち、イギリス、フランス、アメリカと比較したときに、少子化という大きな要件がかかってきている。そのものを乗り越えながら持続可能なシステムにする、皆保険制度をどう守っていくかというところでございますので、皆さん方の御理解を得ながらしっかりやらせていただきたいな、こう思っております。

木原(誠)委員 どうもありがとうございました。これで終わりにいたします。

岸田委員長 次に、林潤君。

林(潤)委員 自由民主党の林潤であります。

 昨年の特別国会で二回、障害者自立支援法を初めとして質問をさせていただきました。今通常国会では初めての質問であります。本日は、医療制度改革の関連法案についての質問をさせていただきます。

 日本国民ならだれでも持っている健康保険証、これが一枚あれば、資産、所得に関係なく、いつでも診察を受けられる、投薬や治療をしてもらえる。こうした国民皆保険制度、まさに戦後の日本人の財産というべきものでありまして、これを将来も持続可能なものにしていくために、今、改革の必要性がある、こうしたことは十分に理解ができるわけであります。

 二〇〇七年問題と言われるように、来年には団塊世代の大量リタイアが始まりまして、支えられる世代と支える世代、バランスが大きく変わりまして、近年は、こうした人口構成全体が高齢化する、こうした見通しから、日本のすぐれた医療を初め社会保険制度が本当に維持できるか、こうした心配がされているのもまた事実であります。

 年金、介護、医療、こうした社会保障を取り巻く状況というのは、一昨年に年金改革法が成立をいたしまして、ことしの四月からは障害者の自立支援法、そして改正された介護保険法、これが施行されまして、大きな変革期となっております。残された今回のこの医療制度改革ということにつきましても、まさに安全、安心を確保し、質の高いサービスを適切に受けられるような体制を構築するのがねらいだというふうに聞いております。

 一方で、保険給付の見直しの内容、保険者の再編統合などから、国民からは、国民皆保険が本当に維持をされていくのか、そして、医療費の切り下げが医療の質の低下につながらないか、こうした不安もあるわけであります。私も、つい先日、実際に地元鎌倉市内の医療現場を訪ねてまいりました。医師や病院関係者の方々と意見交換をする中、この法案について、不安あるいはおしかりの声というものをいただきました。

 私たち政治家の務めは、こうした国民の不安の声に正面からこたえ、信頼と安心を構築することにあると思いますので、こうした観点から本日は質問させていただきます。

 そこで、今回の医療制度改革、これが何を目指しているのか。国民皆保険や医療の質、こうしたことをどのように守りまして、そしてどのような将来的な改革のグランドデザインがあるか。こうしたことについて大臣にお聞きをいたします。

川崎国務大臣 今御指摘いただきましたように、二年前に年金の改革をいたしました。今受給をされている方々にはマクロスライド制の導入、そして若者には負担増、そして基礎年金については三分の一から二分の一への税による負担増、こうしたものをしながら、持続可能なシステム、五十年後、百年後でも年金という制度がもつようなものにつくりかえなければならない。いろいろな御批判がある中でございましたけれども、やらせていただいたところでございます。

 昨年は、介護保険それから選挙後に障害者の自立支援法、そして医療という形で御審議をいただいておるところでございます。すなわち、人口構造が大きく変化する中で、国民皆保険制度を守りながら、どう今の医療水準というものを保ちながらやっていけるか。そこには多くの皆さん方の協力を得なければならない。

 そういった意味では、医療をされる皆さん方には、短期的に三・一六、薬価で一・八、そして診療報酬で一・三六、こうした引き下げをお願いした。御批判をいただいていることは承知いたしておりますけれども、やはり御理解を賜っていかなければならないだろうと思っております。また、現役並みの所得を持つお年寄りの皆さん方には、我々同様の御負担を、三割負担をお願いするということで今回の制度改正をお願いしていく。

 一方で、やはり短期的な処方だけではなく、長期的なシェアというものをしっかり持たなきゃならぬという中で、我が国は、一つは、入院の問題をしっかり国際水準に合わせていかなければならない。もう一つは、やはり生活習慣病に対する対策をしっかりとして、予防重視の医療というものに変えていかなければならない。そういった見地で、さまざまな改革を今回の法案に盛り込ませていただきました。

 そして、こうしたものを一つ一つやりながら、今、冒頭申し上げましたように、国民皆保険制度を守りながら、そして医療水準、医療技術というものは、多分五年、十年随分進歩していくものになるだろうと思います。そういった意味では、医療技術の進歩に合わせながら、実は見方を変えていかなきゃなりません。ちょっと年金と違うところでございます。

 五年後の医療技術はどのぐらいになっているか、十年後になって医療というのはどうなっているか、やはりそれを見ながら、そういう意味では二十年後の目安というものを持ちながら、やはり五年に一度ぐらいはしっかり全体の流れというものをとらえながらやっていかなければならないな、こんな感を私はいたしております。

 そういった意味では、これで万全ですかと言われますと、私はそういうお答えをいたしておりません。医療というのはまさに日進月歩、改革、改革を重ねながら、皆保険制度、そして医療の水準をアップする、そうした前提の中で進めていかなければならないだろう、このように考えております。

林(潤)委員 大臣の答弁にもありましたとおり、二十年後の日本のこうした目安もしっかり考えていく、そこで日進月歩で変わっていく可能性がある、そしてこれで万全と思わない、そうした非常に謙虚とも言えるようなお話をいただきまして、非常に柔軟な対応をもってこれからも進んでいただきたいというふうに思っております。

 こうした改革のグランドデザインというものは理解をさせていただいたわけなんですけれども、こうした改革案、あるいは窓口の負担アップ、こうしたものが示されるたびに、やはり国民の側から見ますと、窓口の負担が今後もさらにふえていくのではないか、こう心配する国民も多いわけであります。

 現実に、私は九〇年代後半に新聞記者をしておりましたが、そのときも、サラリーマンの窓口の医療費負担というものがアップをしていた時期でありまして、町の人の声を聞いて取材をした経験があります。一様に、負担増に顔をしかめて不安な思いをしていた、こんな記憶がございます。

 こうした中、今回も、現役並みの所得がある、こうした高齢者の患者負担が二割から三割に引き上げられ、療養病床に入院する高齢者の食費、居住費も負担が見直されております。一方で、平成十四年、健康保険法等改正法の附則第二条におきまして、この給付割合について、将来にわたり百分の七十を維持すると明記がされております。つい先日、地元の医師とお話ししたときも、何割まで上がるんだ、本当に三割なのか、こういった声が聞かれていて、医療現場からも、まだこうした法律の方が浸透しているとは言えないのじゃないか、そのように感じました。

 こうした法律が根拠となりまして、今後も三割負担が続くと考えているわけですけれども、特例などを設けることなく今後も維持される、こういう解釈をしてよろしいのでしょうか。

川崎国務大臣 基本的に保険をまず掛けていただくという趣旨からいいまして、私自身の感覚として、三割が限界だろう、このように思っておりますし、また、今お示しいただきましたように、平成十四年の健保法改正の附則において、「将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」医療制度改革においても、上げるという議論は、一部変わった御提案はございましたけれども、否定されたということでございますので、こうしたものを維持すべく努力を積み重ねていかなければならない、このように思っております。

林(潤)委員 大臣の三割が限界だと思うという所感は私も同じにするところでして、何としても窓口の三割負担というものをしっかり堅持していただきまして、将来の負担増につながることがないように、この改革によりましてしっかりと制度を構築していただきたいと希望をするわけであります。

 そこで、今回の制度改革のもととなっております医療給付費について質問をいたします。

 今回の改革を行わなければ二〇二五年度の医療給付費は五十六兆円との見通しを出しておりますが、これはどのような手法で導き出した数字なのでしょうか。これまでの試算についても、実際より高く見積もられた、こうした経緯もありまして、もっと低い水準ではないか、こうした医療関係者の指摘もあるわけであります。

 予測値の信頼が揺らげば患者の不信を招く。今、窓口負担、高齢者の方も負担がアップをしていくという中で、不信を招いてしまってはいけないと思います。これが意図的に高い数字を出したものではないという理解でよろしいのでしょうか。

水田政府参考人 医療費の将来見通しについてでございますけれども、私ども、ただいま御指摘のとおり、二〇二五年度の改革実施前の医療給付につきまして五十六兆円になるものと見込んでございます。これは、足元の平成十八年度予算に基づく医療費を起算点といたしまして、一人当たり医療費の伸び率の前提として、平成七年から十一年度の実績を用いて機械的に算定した結果でございまして、意図的に高い数字を出したものではございません。

 この平成七年から十一年の数値をもとにいたしましたのは、平成十二年度以降、御存じのとおり、介護保険制度の創設、あるいはただいまお話がありました健保三割負担の導入、あるいは高齢者の定率負担、こういった医療費に大きな影響を与える制度改正が毎年のようにあったからでございます。

 なお、近年の現実の医療費の伸び率を見ますと、大きな制度改正のあった時期を除きますと、診療報酬改定による要因を除いた場合の医療費の伸びはおおむね三から四%程度で安定的に推移していることからも、医療費の自然体の見通しの前提として、平成七年度から十一年度の実績を用いたということは適切であると考えてございます。

林(潤)委員 しっかりとこの五十六兆円という見通しに基づいて、さらに柔軟な対応をしていただきたいというふうに思います。

 今回の医療制度の改革では、国民的な健診や指導を通じまして、生活習慣病の予防を重要視し、そして将来的な医療費の抑制に努めている点、これは大変に高く評価をできるものだと思います。現実に、生活習慣病は国民医療費の三割を占めており、死亡数割合が六割ということであります。中でも、一人当たり年間平均約五百五十万という非常に高い医療コストがかかります人工透析、これにつながる糖尿病対策というものは非常に重要と私は考えております。

 糖尿病は、早期発見で疾病を予防し、さらには早期の治療によりまして、失明や腎不全など合併症を予防できるというふうにされております。つまり、医療機関が糖尿病患者をしっかりと把握いたしまして、定期的な診察を通じて適切に指導、治療をすることで、透析のような重症にならないで済むわけであります。

 医療費の抑制のためにこうした予防を推進する体制を国や自治体が整えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 ただいま御指摘の、糖尿病を初めといたします生活習慣病の対策におきましては、生活習慣病の有病者やその予備軍を健診などによりまして早期に発見し、保健指導により生活習慣を改善して、発症そして重症化の予防を行うとともに、早期治療を行い、重症化さらには合併症の予防を図るということが大変に重要でございます。

 今回の医療制度改革におきましては、医療保険者に内臓脂肪型肥満に着目をした健診及び保健指導を義務づけまして、保健指導を受けることが必要な者に対する保健指導の徹底を行うとともに、健診結果のデータを有効に活用して効率的な保健指導を行うことにより、生活習慣病対策の充実を図ることとしております。また、医療保険者による健診、保健指導の取り組みの効果を上げていくためには、都道府県が中心となりまして、健康増進計画に基づいて関係者の連携協力を推進していく体制を強化することとしております。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、各都道府県と連携協力をいたしまして、総合的な生活習慣病対策を推進するための体制整備に努めてまいりたいと考えております。

林(潤)委員 保健指導の徹底や患者のデータの活用、こうしたことを通じてぜひ充実をさせてもらいたいと思います。

 今回の、こうした糖尿病など生活習慣病の早期治療をしていくためには、健康診断で異常が認められた患者に対しまして医療機関に早期に受診をさせていく、これが極めて重要かと考えます。

 この場合、どんな方法で受診率というものを向上させようとしているか、お教え願います。

中島政府参考人 糖尿病などの生活習慣病対策におきましては、健診の結果を保健指導や医療機関への受診勧奨に生かしますことにより、生活習慣病の発症及び重症化の予防を図ることが重要でございます。

 今後は、健診、保健指導の内容を見直しまして、内臓脂肪症候群の概念を中心に、健診結果によって保健指導の対象者を効率的に把握した上で、保健指導を必要とする者に対して、健診の結果を踏まえた効果的な保健指導を徹底することにより生活習慣の改善に結びつけるとともに、治療が必要な者に対しては、医療機関の受診による早期治療の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。

林(潤)委員 こうした生活習慣病に関連してなんですけれども、後期高齢者になってから生活習慣病にかかった場合、結果として医療費が高くついてしまう。こうした原因は、実は子供のころや若いときの生活習慣に始まっていると聞いております。

 こうしたことから、若い世代にも肥満予防など生活習慣病の対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 ただいま御指摘いただきましたとおり、糖尿病などの生活習慣病対策におきましては肥満の予防などが重要でございまして、特に食生活の改善や運動の習慣化などが課題となっておりますが、こうした生活習慣については、若いころから正しい知識を身につけ、実践につなげることが重要でございます。

 しかしながら、子供の肥満の増加や食生活の偏りといったことも指摘をされておりまして、若年期の児童生徒とその親の生活習慣に関する実態を把握し、運動の習慣化や健全な食生活の実践といった取り組みを推進することが必要でございます。

 このため、平成十八年度におきまして、モデル事業として若年期からの肥満予防対策を実施することとしておりまして、子供のころからの生活習慣病の予防にも努めてまいりたいと考えております。

林(潤)委員 また、関連なんですけれども、今回、四十歳以上となっているこの健診の義務年齢を引き下げることについて、将来的な感覚で結構ですので、検討材料とならないか、お聞かせ願います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 今回、健診につきまして四十歳から医療保険者に対して義務づけをしているわけでございますけれども、これは実は現在の老人保健制度におきましても四十歳から健診を行うということが根拠でございます。

 望ましくはもちろんそれ以前から、例えば三十歳からということもございますけれども、まずはこの四十歳からの健診義務づけということが着実に実施されるということが必要であろうと考えてございます。

林(潤)委員 生活習慣病の対策は、まさに国を挙げて取り組むべき課題であります。二〇〇〇年に目標を定めました健康日本21では、適正体重の率や糖尿病の患者数、こうしたことについて具体的な数値目標を定めましたが、実際には、データ的に効果が上がっていない、むしろ悪くなっている、こうした事実もあるわけであります。

 こういう生活習慣病対策については、予防重視の観点から、さらに総合的な取り組みを進め、予算の充実や効果的なキャンペーンを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 この質問の答弁が一番苦手でして、体重と、一日何歩歩くのか、二つとも失格の大臣なものですから。しかしながら、今努力中でございますので、お許しを賜りたいと思います。

 健康日本21、健康フロンティア戦略に基づく総合的な取り組みをしてまいりました。平成十八年度予算においても、健康フロンティア戦略、働き盛りの健康安心プランによる生活習慣病対策等の推進に要する経費として四十八億円を確保いたしております。メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群に着目した効果的、効率的な健診、保健指導の推進、若年期からの肥満予防対策など、食育に関する国民運動の推進、受動喫煙対策等たばこ対策などを推進することといたしております。

 なお、今回の医療制度改革については、予防重視を柱の一つに位置づけ、運動、食生活、喫煙といった生活習慣の改善に関する国民の意識啓発に努めるとともに、医療保険者の役割を明確化し、効果的、効率的な健診、保健指導を義務づけるなど、生活習慣病対策を総合的に進めていくことといたしております。

林(潤)委員 ぜひとも総合的に進めまして、国民的な生活習慣病の克服に努めていただきたいと思います。

 今回の医療制度改革では、医療費適正化という観点から、この給付内容や生活習慣病対策を初めといたしまして、さまざまな方策を取り入れておりますが、その中で介護療養型医療施設の廃止というものがございます。

 療養病床入院患者のうち、医師の対応が余り必要ない人について、病院ではなく在宅や老人保健施設に移行し、医療保険と介護保険を区別すること自体は理解できることであります。しかしながら、介護療養型施設の廃止、介護保険へ移行すること、これが強制力を持って要介護の入院患者の過剰な追い出しにつながらないかと、危惧する声が上がっているのもまた事実であります。

 まず、こうした追い出しはないと考えていいのでしょうか。大臣によろしくお願いいたします。

赤松副大臣 今の、療養病床の再編に当たりまして入院している方々の追い出しにつながらないようにというこの御指摘、おっしゃるとおりだと思いまして、私どもも、断じて追い出しにつながらないということを大前提にしたいと思っております。

 今後六年間、医療、介護双方の病床について、円滑な転換ができるように経過的な類型を設けることにしております。また、介護サービスの基盤の整備につきましては、中重度者の在宅サービスや不足地域の施設サービスにつきまして、地方公共団体ともよく連携をしまして計画的な充実に努めて、御懸念のあるようなことがないように、しっかりと努力をしてまいりたいと考えております。

林(潤)委員 追い出しには断じてつながらないということを大前提にしている、非常に現場の方から見ましても勇気づけられる言葉ではないかと思います。

 こうした中で一番問題なことは、療養病床の再編成に伴った受け皿の整備でありますけれども、これをどのように考えているか、お聞かせ願います。

赤松副大臣 今回の療養病床の再編におきましては、療養病床は医療の必要性が高い患者の皆さんに限定して医療保険で対応する、そういう方向性とともに、もう一方、医療の必要性の低い方々への対応としましては、療養病床が老人保健施設等の介護施設に転換することによって、大きな改修をすることなく受け皿となることが可能である、こんなふうに考えているわけでございます。

林(潤)委員 こうした介護療養型施設を廃止する中で、本当に豊かで安心な医療になっていくには、患者が希望すれば、病院ではなく、住みなれている、そして家族もいる自宅でも治療を受けられることだと考えます。

 しかしながら、在宅医療を受けられるようにするには、まだまだマンパワーを含めましてソフト面もハード面も環境の充実が大切だと考えておりますが、今後はどのように在宅医療の充実を図っていくのでしょうか。お聞かせください。

松谷政府参考人 委員御指摘のとおり、患者さんの生活の質の向上の観点から、できるだけ住みなれた家庭や地域で生活を送ることができるよう、患者さんが希望する場合に在宅医療が受けられる体制の構築を一層推進する必要があるというふうに考えてございます。

 このため、今般の医療制度改革におきまして、在宅医療の推進を図るための医療法の改正や診療報酬の評価等を講じているところでございます。

 具体的には、一つには、主治医さんの役割の発揮や、介護を含む多職種での連携が図れるよう、地域で在宅医療に係る連携体制を構築いたしまして、医療計画にその機能を明示すること。

 それから二つ目には、患者さんの退院時に他の医療機関など在宅医療を提供するものなどと連携を図る、いわゆる退院調整機能の推進を図る。

 三つ目には、複数の医師の連携による二十四時間往診可能な体制の確保を進めること。

 さらには、在宅療養中の症状急変時の対応といたしまして、入院機能を有する医療機関を活用できるようにすること。

 五番目には、患者さん、国民への情報提供といたしまして、医療機関などが在宅医療を実施していることがわかるような一定の情報を都道府県に届け出していただきまして、その情報を都道府県が公表する制度を導入すること。

 最後に、ケアハウスなど居宅系サービスの充実や多様な居住の場での在宅医療の充実など、各般の措置を講じて在宅医療の推進をさらに進めていきたいと考えております。

林(潤)委員 ぜひともそうした方向で在宅医療の充実というものを進めていただきたいと思います。

 最後に、こうした医療現場を支える中心となります医師の待遇や働く環境について質問いたします。

 小児科や産科などにおける医師不足というものは深刻になっており、その結果、医師の勤務状況も悪化をしていると聞いております。そのようになれば、医師の負担もふえ、医療の質が低下してしまうことが懸念をされますが、そのようなことがないように、今回の改正ではどのような取り組みに力を入れているか、お聞かせ願います。

赤松副大臣 今御指摘のような小児科や産科におけるお医者さんの不足、こういう問題につきまして、労働条件の観点からいいましても、また医療安全の観点からいきましても、そういった事態があるということは好ましくない、そういう認識をいたしております。

 そのために、今回の医療制度の改革におきましては、こういった小児科、産科医の確保につきまして、都道府県で早急に小児医療、産科医療の医療機能の集約化、重点化の検討を行って、具体的な対策を講じることにしております。

 また、その取り組みを円滑に進めるために、小児医療や周産期医療などにつきまして、地域医療の連携体制を構築するための医療計画制度の見直し、また、そういった小児科、産科等における医師等の確保のために、都道府県が中心になりまして、大学病院など地域の医療関係者と話し合い、各病院に医師を派遣する仕組みなどを検討して実施していく枠組みの制度化など、法制度面の措置を講じることにいたしております。

 こういったこと等、予算、診療報酬等で対策を講じることを加えて、小児医療、産科医療における医師の確保に向けて総合的な取り組みを進めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。

林(潤)委員 こうした総合的な取り組みを通じまして、医師の負担増や医療の質の低下に決してつながることがないようにお願いをしたいと思います。

 今回の医療制度改革は、マスコミ等でも内容が詳しく取り上げられておりますが、国民にとってはまだまだなじみが薄く、将来の負担にも不安があると思います。政府といたしましても、ぜひともこうした不安の払拭に努めまして、さらに信頼を構築できるような豊かな医療を目指して取り組んでいただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

岸田委員長 次に、平口洋君。

平口委員 自由民主党の平口洋でございます。

 厚生労働委員会で質問をさせていただきますのは初めてでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、広島の江田島市大柿町というところの出身なんですけれども、同じ町の出身で灘尾弘吉という方がいらっしゃいました。私より五十年ぐらい先輩で、今生きておられたら百十歳弱ぐらいの方なんですけれども、この方が大学を卒業してお入りになったのが昔の内務省社会局ということでございまして、大正十年前後のことでございます。

 当時のお話を私も生前るる聞いたんですけれども、やはり最も苦労をされたというのがこの健康保険法の制定、そしてその普及という問題だったということでありました。法律を見ますと、大正十一年の成立で、施行が大正十五年ですから、何と四年ぐらいかけて普及に努めたということでありまして、当時の議論としては、医療の分野で一体こういう保険というふうなものがなじむものかどうか、皆さんがこういう健康保険に入ってもらえるかどうかということを大変心配したということでございまして、我が国に健康保険というものが果たして根づくものかどうかという根本的な疑念があったというふうなお話を伺ったことがあります。

 以来八十年の歴史がたちますけれども、その間、日本の国は大変発展しまして、敗戦という一つの大きな試練を経ましたけれども、健康保険の制度は立派に定着して、今や世界に冠たる医療水準を誇り、そしてまた人々の寿命も世界一の長寿国になっているということでありまして、この問題において、健康保険の制度を初めとしてこういう医療の制度、大変大きな寄与をしたということを評価したいと思いますし、その間における関係者の御努力に対して多としたいというふうに思うものでございます。

 しかしながら、先ほど来るる議論をされておりますけれども、今の日本の状況、日本の政府の状況、財政赤字が七百兆とも八百兆とも言われている状況がありますし、また長寿社会、あわせて来る少子化社会によって、働ける人と、働けないで働ける人に依存する人の割合というものがどんどんどんどん変わってきて、本当に非常に苦しい時代になるということは明らかでございますので、こういうふうな背景のもとで、いかにして今後の医療の制度あるいは健康保険の制度といったようなものを仕組んでいくかというのは、大変私たちも工夫を重ねなくちゃいけないということだろうと思います。こういったような観点から、恐らく今回の健康保険の法律、また医療法その他の法律が大変大きな改正が加えられているということだろうというふうに思います。

 そういうふうな視点に立って、基本的な事柄について幾つか厚生労働省の方のお考えをただしたいというふうに思います。

 今回の法案ですけれども、三つの大きな柱ということでありまして、一つは、安心・信頼の医療の確保ということでありまして、もう一つは、医療費適正化の総合的な推進、三つ目に、新たな医療保険制度体系の実現ということでございます。

 まず、第一の柱である安心・信頼の医療の確保ということに関連しまして、情報提供の問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 現在、インターネットなどにおいて医療に関する情報がはんらんしておりますけれども、医療機関がそれぞれ情報を発信しているという事情があるため、患者サイドから見ると、自分の病気を診てもらうのに一体どの医療機関がふさわしいかということについて適切な選択を行うことが非常に難しくなっております。また、インターネットなどで提供される情報は、医療機関が提供したい情報を一方的に発信しているという性格のものであるため、患者さんが発信された情報の意味を十分に理解した上で医療機関を選択するということが難しいというふうなのが現状であります。

 このように、患者さんと医療機関との間には情報の非対称性というものがあるわけでございますけれども、これを少しでも改善するということが大変大事だろうというふうに考えるわけでございます。

 今回の改革においては、患者に対する情報提供の推進にどのように取り組んでいこうとされておるのか、まずこの点からお伺いしたいというふうに思います。

松谷政府参考人 医療機関に関する、あるいは医療に関する情報提供を積極的に推進していくということは、医療に対する安心感、信頼感を築いて、患者さんの視点に立った質の高い医療提供体制を構築していく上で、大変重要なことだと考えております。

 情報提供につきましては、広告の緩和といったような観点から今回も推進を図っているところでございますが、今回は、これに加えまして、今先生御指摘の点もございますので、今般の改革の中で、都道府県を通じた医療情報の提供制度を創設いたしまして、患者さんが地域のすべての医療機関に関する情報の提供を受け、それを比較した上で医療機関の選択ができる環境を整備することといたしておるところでございます。

 また、患者さんが医療に関する情報をよく理解し、適切に医療機関を選択することができるよう、医療安全支援センターを制度化するなど、都道府県や医療機関における相談機能をあわせて充実することといたしておりまして、こうした取り組みを通じまして、医療に関する情報の提供をさらに推進してまいりたいと考えております。

平口委員 インターネットの普及の時代で、本当に情報がはんらんいたしておりますので、そういう中で、患者さんたちが真に適切な医療情報が得られるように、ぜひとも、今後とも御努力をいただきたいというふうに思います。

 次に、医療従事者、医師等の資質の向上についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 改めて申し上げるまでもないわけですが、医師は医療現場の中核をなす職種でありまして、医師中心に医療行為が行われているわけでございます。特定の地域や診療科において、医師不足というものが喫緊の課題になっております。

 いずれにしても、この医師という職業、極めて公共性が高いというふうに思うわけでございますけれども、最近、医師をめぐるいろいろなよくない出来事というものもあるわけでございます。患者さんのプライマリーケアを担っているという非常に重要な役割でございますので、全人的に診ることができる診療能力というのが求められるわけであります。このような状況に対処していくために、医師は不断にその能力を向上させていくということが必要となるわけであります。

 しかしながら、平成十一年度から十六年度の五年間、何と二百三十二人の医師が医師法に基づく行政処分を受け、このうちで、さらに十九人の方々が免許取り消し、こういう処分を受けているという事実があります。

 今回の改正では、行政処分を受けた医師のモラルや技術、こういったようなものを高めていくことが大変大きな課題であると思いますけれども、どのような措置を盛り込まれているのか、お伺いしたいというふうに思います。

松谷政府参考人 医療現場における中心的な存在でございます医師の資質を高めていくということは、御指摘のとおり、大変重要なことでございまして、そのためには、医師みずからが研さんを積んでいくことがまずは必要であると考えておりますし、卒業直後の臨床研修の制度等も普及を図っているところでございます。

 医師たるにふさわしくない行為があった者等に対しましては、現在でも医師法に基づく行政処分が行われているところでございますが、この行政処分につきましては、医師として十分な反省や適正な医業の実施を求めていく上で現行の行政処分のみでは必ずしも十分ではない、あるいは、長期にわたる医業停止処分を受けた者につきましては、医業停止前の医療技術が維持されていないおそれや停止期間中の医療技術の進歩を十分に習得できていない懸念があるといったような問題点が指摘されているところでございます。

 そのため、今回の改正案におきましては、医師法の改正案におきまして、行政処分の類型として新たに戒告という類型を設けるとともに、行政処分を受けた医師に対しまして再教育を命じることができる仕組みを設けているところでございます。これによりまして、行政処分を受けた医師の倫理面、技術面での問題の解決を図っていきたいと考えております。

平口委員 医は仁術と言われます。本当に、患者さんが信頼するのが医師でございますので、どうぞ、人格的にも、そして技術的にもすぐれた医師が輩出するように御努力をいただきたいというふうに思います。

 次に、医療費の適正化の問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 国を中心として、いろいろなところが一丸となって改革の実現に取り組むということが重要でございますけれども、今回の改正で都道府県の果たす役割というものがますます重要になってくるというふうに考えております。都道府県は、従来から、医療計画の作成等を通じて地域の医療提供に主体的にかかわってきましたけれども、今回の改革によって、生活習慣病対策やあるいは在院日数の短縮のための事業を実施して、計画的に医療費適正化に取り組むということが期待されているわけであります。

 しかしながら、一方で、医療費の適正化に係る都道府県の権限やノウハウというものは必ずしも十分ではないといったような指摘もあるわけでございます。そこで、厚生労働省としては、どのように都道府県と連携し、また支援していくのか、お伺いしたいというふうに思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 医療費にかなりの地域差がある、都道府県ごとに大きな地域差があるということは広く知られているところでございまして、こういった事実を踏まえますと、医療費の適正化を計画的に進めるに当たりましては、地域の医療提供体制に責任を有する都道府県に関与してもらうことが必要であろうかと考えてございます。このため、今回の法案では、都道府県にこういった医療費適正化計画の作成をお願いしているところでございます。

 まず、国と都道府県との関係でございますけれども、まず国におきまして、都道府県が計画作成に当たって参酌すべき政策目標を含みます全国的な基本方針を作成するということにしてございます。都道府県は、国の定めますこの政策目標に即しましてそれぞれの目標値を設定して、生活習慣病対策あるいは病床転換支援などにつきまして、地域の実情を踏まえながら事業実施を行うこととしているわけでございます。

 それから、支援措置についてお尋ねがございましたけれども、国といたしましては、まず、計画の作成手法の開発、それから診療報酬の見直し、三点目に財政支援、それから四点目に、都道府県の計画作成担当者に対する研修を含みます人材養成など、都道府県に対しましてさまざまな支援や助言を行うこととしてございます。

平口委員 次に、新たな後期高齢者の医療制度についてお尋ねをいたします。

 七十五歳以上の後期高齢者、こういう方々の医療費でございますけれども、現在、被用者保険と国民健康保険からの拠出金及び公費を財源として、市町村が医療給付を行う老人保健制度によって賄われているところでございます。現在の制度については、一つは運営主体が不明確であるとか、あるいは高齢世代と現役世代の費用負担関係が不明確であるといったような問題点が指摘されているところであります。

 こういう問題点を克服するために、今回の法案では、後期高齢者について、高齢者自身の保険料と現役世代からの支援及び公費を財源とする、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合が運営する独立した医療制度を新たに設けるとされているところでございます。このような後期高齢者医療制度を創設する趣旨というものは一体何なんであるのか、また、現行の老人保健制度に比べてどのような点を改善されているのか、お伺いしたいというふうに思います。

赤松副大臣 平口委員の今の御質問の中に答えが全部入っているような感じもいたしますけれども。

 おっしゃったように、現在の老人保健制度というものが保険者間の共同事業で構成されているということから、先ほど御指摘あったように、現役世代と高齢世代の負担の間に若干の明確さを欠くという側面がある、また、もう一方、医療費の支払いを行う市町村と実際の費用の負担を行う保険者が分かれているために、その財政運営に責任を持つところはどこなのかということについて若干の不明確さがある、こういった問題点が今日指摘をされているわけでございます。

 そうしたことから、さらに今後の急速な高齢化に伴って医療費が増大していく、そういう中で、より負担のあり方について国民の皆様の納得、そして理解を得ていくためには、より高齢世代と現役世代の負担のありようというものを明確にして、よりわかりやすい制度にしていかなくちゃならない、そういう必要性ができたわけでございます。

 今回の改革におきまして、七十五歳以上の後期高齢者については独立した新たな制度を創設して、一つは、給付については、高齢者の保険料一割、現役世代からの支援金を約四割、そして公費を約五割という負担割合により賄うことにしまして、高齢者の保険料と支え手である現役世代の先ほど申し上げましたような不明確さというものをなくして、より一層明確化を図るということ。

 もう一点は、先ほども御指摘ありましたように、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合を運営主体とすることによって、より財政運営の責任のありどころというものを明確にしていく、こういうねらいがあることでございます。

平口委員 今の現役世代が負担する支援金でございますけれども、後期高齢者の医療給付費の約四割を賄うという財源として、被用者保険と国民健康保険の各保険者の加入者数に応じて公平に負担するというふうにされているところでございます。

 具体的にどのような負担の仕組みになるのか、お伺いをいたします。

水田政府参考人 後期高齢者医療の給付費に対します現役世代からの支援金、後期高齢者支援金と言ってございますけれども、これにつきましては、ただいま委員の御指摘にありましたとおり、被用者保険及び国民健康保険の保険者ごとの加入者数に応じて負担をするということとしてございます。この負担の仕組みにつきましては、後期高齢者の医療費を国民全員で支えるという趣旨に沿ったものでございまして、現行の老人保健制度におきましても、同様の考え方に基づいて、各保険者に対しまして老人保健拠出金を賦課しているところでございます。

 それで、この議論の中におきまして、被用者保険及び国保の加入者の所得にも着目した負担の仕組みにすべき、こういった議論もございましたけれども、サラリーマンと自営業者等の所得をどのように公平に把握するかといったような課題がありまして、今回の改革案におきましては、加入者数に応じた頭割りで負担をする、こういった仕組みとしたものでございます。

平口委員 去年の十二月に医療制度改革大綱というものを政府・与党でまとめられておりますけれども、その中で、後期高齢者医療制度の創設に当たって、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるように、新たな診療報酬体系を構築するとされているところでございます。後期高齢者に対してはそのクオリティー・オブ・ライフに配慮した医療を提供していくことが求められているところですが、そのためには、診療報酬体系の中で在宅医療を推進していくということが重要なんじゃないかというふうに思います。

 このような考えなんですけれども、この点について、どのような取り組みをこれまでに行ってこられたのか、また、今後はどのような取り組みを行っていくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。

水田政府参考人 ただいま委員御指摘のありました昨年十二月一日の医療制度改革大綱、政府・与党でまとめたものでございますが、ここで、後期高齢者医療制度につきまして、新たな診療報酬体系において、引用いたしますと、「終末期医療の在り方についての合意形成を得て、患者の尊厳を大切にした医療が提供されるよう、適切に評価する。また、地域の主治医による在宅の患者に対する日常的な医学管理から看取りまでの常時一貫した対応を評価する。」こういった方向性が示されているわけでございます。

 一方で、今回の十八年度の診療報酬改定におきまして、高齢者ができる限り住みなれた家庭や地域で療養しながら生活を送れるということを目指して、また、身近な人に囲まれて在宅での最期を迎えるという選択肢もとり得るように、診療報酬上の仕組みといたしまして新たに在宅療養支援診療所という仕組みを設けたところでございます。これは、患者やその家族に対する二十四時間の窓口でございまして、必要に応じて他の病院、診療所との連携を図りながら、二十四時間往診あるいは訪問看護等を提供できる体制を構築することとなってございます。

 今後におきましては、今回の診療報酬改定で設けられましたこの在宅療養支援診療所の施行状況も踏まえながら、大きな方向性として示されました在宅医療の、先ほどの医療制度改革大綱で示された方向に沿って議論を深めてまいりたい、このように考えてございます。

平口委員 次に、保険者の再編統合の問題についてお伺いしたいと思います。

 政府管掌の健康保険は、健康保険組合に加入していない中小企業等の被用者の方々の健康を支える最後の受け皿として大変重要な役割を果たしてきたところでありまして、大正十五年の健康保険法の施行以来、政府がみずから運営してきました。今回の改革でそれを改正して、運営主体を公法人とする、保険料率は都道府県単位で設定するというふうに、都道府県単位の財政運営を行うこととなっております。

 このように変更すると、地域の実情に応じた保険者機能というものも発揮できるようになって、また、地域の医療費の適正化がされれば医療費も低くなるというメリットがあることはわかるわけですが、他方で、都道府県別の保険料率の導入といったようなことについてはきめ細かな配慮が必要ではないかというふうに思います。人口構成や所得といったようなものは都道府県ごとに差異があるわけでありますけれども、こうした高齢化や所得の違いはそういう地域ではいかんともしがたい所与のものであるわけでありまして、これを単純に保険料に反映させれば地域間で大きな格差が生ずるのではないかといったようなことが懸念されるわけであります。

 このような点も含めて、全国一本の保険料率から都道府県別の保険料率へと見直しをされたということについてのお考えをお伺いしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

水田政府参考人 お答えいたします。

 現行の政府管掌健康保険におきましては、全国一本の保険料率が適用されているわけでございますけれども、そのために、地域の取り組みや努力によりまして医療費が低くなってもそれが保険料率に反映されないという問題がかねて指摘されてきたところでございます。このために、都道府県ごとに地域の医療費を反映した保険料率を定めることとしたところでございまして、これによりまして、保険者機能と申しますか、地域の実情を踏まえました保健事業や医療費適正化に向けた取り組みの促進が図られる、このように考えているわけでございます。

 その際、御指摘のように、人口構成でありますとか所得の差異というものにつきましては、これは保険者の努力ではいかんともしがたいものでございます。こうした保険者の努力では対応できない部分につきましては、都道府県間で財政調整を行い、その上で、医療費の地域差を適切に反映した保険料率を設定することとしてございます。

 なお、都道府県別の保険料率への移行に当たりまして、保険料率の大幅な上昇が生ずる場合には、激変緩和のための措置を講ずることとしてございます。

平口委員 国民健康保険制度については、今後急速に高齢化が進展していく中で、特に高齢者と低所得者をたくさん抱えている市町村の国民健康保険に係る負担が大きくなっていくということが考えられるわけでございます。

 我が国の国民皆保険制度を支えてきたいわば最後のとりでというべきである国民健康保険の財政状況についてどのように認識しておられるか、また、今後制度を維持していくためにどのような対策をお考えか、お伺いしたいと思います。

水田政府参考人 御指摘のように、国民健康保険制度につきましては、国民皆保険制度を維持する上で不可欠の制度であるわけでございます。一方、国保をめぐる状況は大変厳しいわけでございます。御指摘ありましたとおり、高齢化の進展、あるいは低所得者の増加ということによりまして、大変厳しい状況にあると認識をしてございます。

 こうした観点から、市町村の保険財政を安定化させるために、今般の法案におきましては、高額な医療に係る共同事業への国、県からの支援、あるいは低所得者を多く抱える保険者への支援等の財政基盤強化策を、平成二十一年度まで継続するということを盛り込んでございます。

 また、それとともに、平成十八年、本年十月から、新たに、都道府県単位で国保財政の安定化、保険料の平準化を図るために、保険財政共同安定化事業を創設することとしてございます。

 これに加えまして、国保の保険料の収納対策といたしまして、市町村の取り組みを支援するために、総合的な収納対策を昨年二月に策定してございまして、今後の新たな取り組みといたしまして、クレジットカードあるいは携帯電話を活用した徴収でありますとか、都道府県単位での共同収納センターの設置でありますとか、あるいは、今回の法案におきまして、新たな高齢者医療制度の創設とあわせまして、六十五歳以上の高齢者につきまして、年金からの天引き、こういった措置を実施していく予定でございます。

 引き続き、国として市町村における国保の安定的な運営が図られるように努めてまいりたいと考えております。

平口委員 時間が大分たちましたので、最後に御質問したいと思います。いわゆる混合診療の問題でございます。

 一昨年末のいわゆる混合診療の問題にかかわる議論の中で、規制改革・民間開放推進会議などから、いわゆる混合診療が全面解禁されれば、患者がこれまで全額自己負担しなければならなかった診療が一部公的保険による手当てのもとで受けられるようになるため、受診機会と患者の選択肢の拡大につながるというふうな主張がされてまいりました。

 しかしながら、私は、このような考え方に立った場合には、公的医療保険のカバーする範囲が縮小されるおそれがある、保険証を持っていきさえすれば基本的に一定の患者負担のみで必要かつ適切な医療が受けられるという国民皆保険の基本的な理念を揺るがしかねないじゃないかというふうに危惧するものでございます。

 そこで、いわゆる混合診療の問題に関して、今回の改革法案の中ではどのような対応を行っておられるのか、それは国民皆保険制度を堅持するものであるのか否か、お伺いをしたいというふうに思います。

赤松副大臣 このいわゆる混合診療問題につきまして今平口委員が御指摘になった危惧、御懸念、そういったものについて、私なんかもその認識を共有しているところでございます。

 御承知のように、我が国の医療保険制度におきましては、必要かつ適切な医療というものは保険診療によって確保するということが原則となっていることは、もう既に言うまでもないところでございます。

 今回の改革法案におきましては、特定療養費制度について、一つは、高度な医療技術や治験中の医薬品など、いわゆる保険が適用されていないものについての将来の保険導入のための評価を前提とする新たな技術などと、保険の対象となる入院ベッド代等との併用を認める評価療養と、もう一つは、いわゆる差額ベッドなど、患者の選択にゆだねられ保険導入を前提としない医療と、手術代などの保険の対象となる医療との併用を認める選定療養とに再構成することにいたしております。

 この仕組みは、保険導入前でありましても、保険診療との併用によって、患者の皆さんが新しい医療技術による治療を早期に、かつ少ない負担で利用することを可能にするものでございます。

 また、評価療養につきましては、有効性、安全性のほか普及性、効率性、技術的成熟度等の観点から適当と認められるものについて、保険適用の対象として国民が広く利用できるようにすることとしておりまして、国民皆保険制度を支える仕組みであると考えておる次第でございます。

 以上です。

平口委員 どうもありがとうございました。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

谷畑委員長代理 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 今回の医療制度改革は、これまでに多くの議員の方からお話がありましたとおり、国民皆保険制度をいかに持続可能なものにするかとの視点から、広範な改革が盛り込まれております。

 我が党におきましても、今回のこの改革に当たりまして、一つは国民の目線に立った改革であること、そして少子化への配慮が行われること、また年金生活者など高齢者負担への配慮、この三点を一貫して主張させていただきまして、その多くが盛り込まれていることを感謝申し上げたいと思います。

 しかしながら、この改革は、同時に患者本位の医療を実現するものでなければならないと思っております。今回の改革案につきましては、情報提供の制度化であるとか、また広告規制の見直し、また医療費の中身のわかる領収書の発行、セカンドオピニオンの推進、また安全支援センターの制度化等々、患者のニーズにこたえる医療の実現に大きく踏み出したものと評価をさせていただいております。

 私は、今回のこの改革の審議を通しまして何よりも念願しておりますことは、国民の皆様お一人お一人が、御自分が医療に対しまして、例えば、生活習慣病にならないためにどのようにコントロールをしていくのか、また健診をどのようなサイクルで受けていただくのか。そしてまた、もし治療が必要になりましたときには、これはある新聞の記事でございましたけれども、医師と患者の関係を、神としもべの関係である、このように書いていらっしゃったところがありました。そういうときもあるかと思います。しかしながら、それを受ける患者の方の立場からいきますと、むしろ対等の立場で、医師の専門的知識をかりながら、インフォームド・コンセントでともに治療に当たる。自分がまさに医師で、自分が患者である、こういうような意思をお持ちになるということが大事ではないかと思います。

 そして、そのための情報提供も行われ、やがて人生の最終章をお迎えになるときに、在宅なのか、また病院なのか、そういう選択を御自分でしていただくというように、御自分の健康との向かい方を人生の中でどのようにされていくのか、これを見詰め直すきっかけにしていただければと思っております。また、そのための選択肢を提供することが政治の役割であるとも考えております。

 そこで、赤松副大臣にお伺いしたいと思いますが、今後こうした医療制度がどのような視点で、どのような方向に向かうことが望ましいのか、また、その途上にありまして今回の改革をどのように受けとめていらっしゃるのか、御見解を伺いたいと思います。

赤松副大臣 今高木委員が冒頭で御指摘になりましたような今回の医療制度改革についての大きな意気込みといいますかとらえ方、私も全く、ほとんど同じ認識に立っているところでございます。

 単に医療費の是正というふうな、そういう観点だけではなくて、日本の医療のありようというものをこの際根本的にしっかりと国民の皆さんと一緒の目線に立って変えていくということが非常に重要な局面に差しかかっているのではないか、そんなふうに思う次第でございます。

 具体的には、医療計画制度を見直し、急性期から在宅での療養に至るまで患者が切れ目のない医療サービスを受けることができるように、脳卒中や小児救急医療などについても地域における医療の連携体制を構築していく、こういうことについてしっかりと力を注いでまいりたい、そんなふうに思います。

 また、先ほど来お話にも出ておりますけれども、一つは都道府県を通じた医療情報の提供制度の創設など、医療に関する情報提供という部分でしっかりと皆さんに安心していただけるような体制をつくっていくように推進をしていきたい。もう一点は、医療安全支援センターの制度化、この医療安全支援センターは平成十五年から既にそういうものが設置をされているわけですけれども、現状では法律上の位置づけがなくて、機能が明確ではないという状況がありますので、しっかりと医療法の上に位置づけをいたしまして、大きく育てていくことによって、医療に対する安全というものをしっかりと国民の皆さんの中に定着させていきたい、そんなふうな角度で推進をしていきたいと思っております。

 ともあれ、本来的な意味における患者本位の医療提供体制というものを日本の社会の中にしっかり構築する、大きな転換の起点にしてまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 力強い御決意を伺いまして、ありがとうございます。

 先ほど来、具体的には、まず療養病床の再編成ということにつきまして質問が続いております。示し合わせたわけではございませんが、やはり不安のお声が寄せられておりますもので、私もこの療養病床の再編成につきまして詳しく本日はお伺いをさせていただきたいと思います。

 この療養病床の再編は長い間の懸案だったと伺っております。一九七三年に老人医療費が無料化されたことで、医療病床は高齢者の受け皿となりまして、不足がちだった福祉施設の肩がわりをしてきた経緯がございます。そのために、どちらかといいますと、老健施設やまたグループホームなどの介護の方の基盤整備がおくれまして、社会的入院を促してきたという経緯もございます。中には、三十年がかりの老人病院改革と言う方もいらっしゃいます。

 それだけに、こうした長い歴史を持つことでございます、転換に当たりましては、まず病院関係者に丁寧な説明がなされ、病院関係者が道筋がわかるような改革がなされなければならないと思っております。そうした理解と協力が得られなければ、路頭に迷うのは患者の方であり、また家族の方であると思っております。

 そこで、実は、本年七月から、診療報酬の改定によりまして、医療の必要性の高い患者に係る医療につきましては評価を引き上げる、また医療の必要性の低い患者に係る医療については評価を引き下げる、このことによりまして全体として適正化を図る、こういう診療報酬の改定が行われました。

 これは平成十五年三月に閣議決定されました基本方針に沿うものと受けとめておりますが、いかんせん病院の関係者、患者の皆様にとっては急な話でございまして、既に、この七月からこうした診療報酬の改定の実施が行われる、これによりまして患者の追い出しは起こらないのか、また激変緩和などの措置は講じないのか、こういう質問が多く寄せられております。まず、このことにつきまして質問をさせていただきます。

赤松副大臣 高木委員御指摘の、今のこの療養病床にかかわる問題につきましては、この委員会あるいはまた本会議等々でも、要するに、急な話ではないか、準備期間も短くて、今委員がおっしゃったように、七月に当たって患者の追い出しが起こるんじゃないか、こういうふうなさまざまな懸念というものが出されていることは十分に承知をいたしております。

 一つは、今委員御自身がおっしゃったように、長い間の歴史がある。つまり、具体化したものは確かに少し急いだ部分というのは否定できないわけですけれども、ベースとしては長い歴史を踏まえているということが一つ。

 もう一つは、今御自身がおっしゃったように、平成十五年の三月の閣議決定による基本方針、つまり、三年ほど前のところにそういうベースになるものが出ている、それを明確化した、そういう背景があるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 先ほど委員のおっしゃったように、本年七月から、医療の必要性の高い患者にかかわるものについては評価を引き上げ、そして医療の必要性の低い患者にかかわる医療につきましては評価を引き下げる、こういうことによって適正化を図ることが結果として入院している方々が無理に退院せざるを得ないような状況になっていくということを起こさないように、ありとあらゆる力を注ぐことが必要である、そんなふうに考えております。

 そのための施策といたしまして、例えば、医療の必要性が低い患者が多く入院する病棟につきましては、一定の収入減となることも想定されますので、介護保険移行準備病棟として、医師、看護職員等の配置を薄くする場合でも、診療報酬上の評価を下げることはしないこととする予定でありまして、医療機関がコストを引き下げて対応する選択肢もとっていただけるように、医療機関の経営にも十分配慮を行おう、こんなふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 今の御回答につきまして重ねてお伺いいたしますが、この介護保険移行準備病棟、あくまでも準備でございます、これがそのような形で認められる期間というのは、どのくらいの期間に当たるのでしょうか。

水田政府参考人 介護保険移行準備病棟につきましては、仕組みとして具体的に確定するのはこれからでございますけれども、私どもとしては、二十三年度までこういった経過的な類型を認めていこうということでございます。

 と申しますのは、なぜこういう類型を設けるかといいますと、直ちに介護保険の介護施設に転換しようといたしますと、午前中のお話にもありましたように、各地域の参酌標準の関係で移行が難しいということが想定されるわけであります。したがいまして、参酌標準の見直しが行われるまでの間は医療保険の方でこの施設を抱えていくといった措置を講ずることによって、円滑な転換が図れるようにする、このような考えでございます。

高木(美)委員 また重ねてお伺いいたしますが、その場合、ただいま赤松副大臣より診療報酬を下げることはしないというお話がございました。この二十三年の改定まで、そのまま準備病棟として準備に当たるといいますか、二十三年以降の体制を整えながら今のとおり考えられる、そのように受けとめさせていただいてよろしいのでしょうか。

水田政府参考人 基本的には、今回、この療養病床に入所されている方々に関する診療報酬に関しましては、医療区分の一、二、三、それからADL区分が一、二、三ということで、点数をそれぞれ設定しているわけでございまして、その考え方自体、これは患者さんに即して設定されるものでございますので、介護保険移行準備病棟だからといって下げるということではございません。患者に即して同一の点数が適用されるということでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 もう一点、これは懸念のお声でございますけれども、今回、介護報酬改定におきまして、老健施設等につきましては介護度の改善を促す、このために報酬を上積みするという仕組みもおつくりいただきました。むしろ、健康にして高齢者の方を帰すという仕組みでございます。

 今お話ございました区分一そして区分二、この患者の方たちの入院基本料については五千円もの差が生まれるとも伺っております。これは医学界の方には大変恐縮な言い方なんですけれども、医師が患者の必要度を高目に算定する、またそういう患者の方にとりまして病状が進行することにならないように十分な注意を払っていただくべきである、このようなお声があります。このことに対しまして御見解をお願いしたいと思います。

水田政府参考人 診療報酬上の区分につきましては、外形的にわかりやすい形で設定をしてございますので、まずその点についてのあいまいさはないと考えてございます。

 それから、現実にそういったことがあってはならないわけでありますけれども、病院に対します監査等を通じまして、そのようなことがないように十分ウオッチをしていきたい、このように考えてございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 現在、病床、一人当たりにつきまして保険からどの程度の金額が給付されているのか、お伺いしたいと思います。

 医療療養病床、そして介護療養病床、また老健施設、ケアハウスやグループホームなどの特定施設、介護保険から、また医療保険から、それぞれ違うと思いますが、概算をお答えいただければと思います。

磯部政府参考人 施設における一人当たりの保険給付の額についてのお尋ねでございます。

 まず、医療保険から給付されます医療療養病床は、診療報酬改定前の、七十歳以上、一般所得の方の実績をベースにいたしますと、平均約四十二万六千円となっております。

 また、介護保険から給付されます介護施設につきましては、今般の介護報酬改定をもとに要介護度五の方について申し上げますと、まず介護療養型医療施設は、多床室の場合に約三十七万四千円でございます。それから、老人保健施設は、多床室の場合、約二十七万七千円。そして、最後の特定施設につきましては、約二十三万二千円となっております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 今後の転換のためのスケジュールと措置をどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

赤松副大臣 今回の療養病床の再編におきましては、療養病床は医療の必要性が高い患者に限定しまして医療保険で対応するとともに、医療の必要性の低い方々への対応につきましては、療養病床が老人保健施設等の介護施設に転換することにより、大きな改修をすることなく受け皿になることが可能と考えていることは先ほど来述べているとおりでございます。

 療養病床の再編に当たりましても、先ほど来申し上げておりますように、入院している方々の追い出しにつながらないようにすることが大前提でありまして、今後六年間かけまして、医療、介護双方の病床について円滑な形で転換できるように経過的な類型を設けることにいたしております。

 いずれにしましても、委員御懸念のような、そういう、再編に当たって入院、入所されている皆さんが不安を抱かれることがないようにしっかりと適切な対応を図ってまいりたい、そんなふうに考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 重ねまして、その際の費用の助成や支援措置を講ずるべきと思いますけれども、それをどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

水田政府参考人 私どもは医療保険サイドからの取り組みでございますけれども、医療保険財源を活用いたしました転換支援措置というものを考えてございます。病床転換助成事業でございますけれども、医療療養病床等の長期入院病床を、老人保健施設でありますとか、あるいは有料老人ホーム等の居住系サービスに転換する、こういう場合に、それに要する費用を助成するということでございまして、国、都道府県、それから各医療保険者による費用負担のもとに、平成二十年度から都道府県が実施する事業として構成することを考えてございます。

 ただ、単価でありますとか、改修の場合、新築の場合もあるわけでございますけれども、それらにつきましては今後検討を進めていきたい、このように考えてございます。

高木(美)委員 それでは、介護保険の関係はいかがでしょうか。

磯部政府参考人 介護保険の方におきましては、地域密着型サービスの整備などを対象としております地域介護・福祉空間整備等交付金、それは、今回、市町村交付金のみとなりますが、市町村が介護療養病床を老人保健施設等に転換するために必要と判断した場合には、この交付金が活用できるようにする予定でございます。具体的な助成内容につきましては、今後、各市町村のニーズ等も踏まえまして詰めていくこととしております。

 なお、十八年度以降、廃止、一般財源化されました介護施設の整備に係るこれまでの都道府県交付金に相当する助成を都道府県等が行う場合には、必要な地方財政措置が講じられることとなっておりまして、介護療養病床を老人保健施設等に転換整備する場合にもこれが使えるということで、都道府県の判断で助成を行うことも可能であるということになっております。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

高木(美)委員 ありがとうございました。

 今、それぞれ御説明をいただきましたが、それで当初の計画どおりの病床と施設は確保できるという見通しなのかどうか、この点についてお伺いをいたします。

磯部政府参考人 以上のような支援措置も含めまして十分転換が可能だというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。これは、進めてみなければ、それぞれの意思もおありでしょうし、また、何よりも都道府県、市町村がどのような主導で行われていくのか、これも大事かと思っております。ぜひとも御協議の上で円滑に進められますようにお願いいたします。

 これは、先ほど伺った件と同じ質問になってしまうんですが、病院関係者の方は、医療療養病床から介護保険病床に転換しますと経営が厳しくなるというお声がございます。採算がとれなければ、出ていってほしいとなるわけですけれども、この質問につきましては、先ほどお話ありました準備病棟という、この考え方でよろしいのでしょうか。

赤松副大臣 結論から言いますとそれでよろしゅうございまして、平成二十三年までのこれからの六年間の時間をかけまして、医師、看護職員の配置等を緩和した療養病床の類型を創設することにいたしております。また、その際、介護報酬においては、緩和された人員配置基準による平均的な費用の額等を勘案して適切な水準を定めることにしております。

 先ほども申し上げましたけれども、診療報酬においては、医療の必要性が低い患者が多く入院する病棟につきましては、介護保険移行準備病棟、仮称でございますけれども、これを置きまして、人員配置を薄くする場合でも診療報酬上の評価を下げることはしない、こういうことで対応してまいりたい、そんなふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 介護保険につきましては、本年四月一日から第三次事業計画が始まっておりまして、新たな介護保険料でスタートをしております。今後、介護療養病床十三万人が老健施設等の二十三万人、こういう方向にふえていくわけですけれども、順次ふえるわけですが、その場合、介護保険制度がかなり膨らむのではないかという懸念をしております。財政逼迫を招くのではないか、持ちこたえられるのかどうか、こうした施設の転換を円滑にできるのかどうか、今後の見通しをお伺いしたいと思います。

磯部政府参考人 御指摘のとおり、こうした措置によりまして、介護保険における給付の増が見込まれるところでございますが、一方、医療保険における給付の減も見込まれるところでございまして、総体としてやはりそうした方向で進んでいくべきではないかというふうに考えておるところでございます。

高木(美)委員 そうしますと、今、当然、区市町村である程度ボックスを決めながら、その中で介護保険の運営をされているわけですが、これは今何とも言えない話かと思いますけれども、今後、そうしたことは介護保険料に将来的に、次の二十一年の第四次の始まりのときの介護保険料に影響するかどうかといいますのは、それはあくまでも、こうした老健施設がどの程度ふえていくのか、またそれぞれ抱えていらっしゃる介護保険の対象者の方がどの程度いらっしゃるのか、そうしたことを総合的に勘案されながら次の第四次の計画が始まる、こういうふうに受けとめてよろしいでしょうか。

磯部政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十一年度からの第四期の介護保険事業計画におきましては、施設、居住系サービスをそれぞれの市町村で見込みまして、それに基づいて保険料を決定するということになろうかと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 最後に、在宅療養につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。在宅という言葉につきましては、単なる自宅だけではなくて、グループホームであるとか、ケアハウスであるとか、そうしたことも含むという御説明をいただいております。最期を自宅で迎えたいという方は八割を超えていらっしゃるわけでございますけれども、先ほど来お話がございました在宅療養支援診療所、この要件、そしてまたねらい、考え方はどのようなものか、また全国で何カ所ぐらいを想定していらっしゃるのか、質問をさせていただきます。

赤松副大臣 在宅療養支援診療所、非常に今回の医療制度の改革の中でも大きな成功のかぎを握っているものだと思います。今回の診療報酬改定におきまして、高齢者が、できる限り住みなれた家庭や地域で療養しながら生活を送り、また身近な人に囲まれて最期のみとりを迎える、そういうことが選択できるように、診療報酬上の制度として新たに在宅療養において中心的な役割を担う在宅療養支援診療所を設けたところでございます。

 この在宅療養支援診療所につきましては、二十四時間連絡を受ける医師または看護職員を配置しまして、その連絡先を文書で患者のおうちに提供していること。あるいはまた、当該診療所におきまして、またはほかの保険医療機関の保険医、看護師等との連携によって、その患者のおうちの求めに応じて、二十四時間、往診、訪問看護が可能な体制を確保し、往診、訪問看護の担当者の氏名、担当日等を文書で患者のうちに提供していること。また、当該診療所において、またはほかの保険医療機関との連携によってほかの保険医療機関内において、在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体制を確保していること、あるいはまた、介護支援専門員、ケアマネジャー等と連携していることなどを要件といたしております。

 先ほど、数について、全国何カ所くらいを想定しているのかというお話がございました。これにつきましては、寝たきり老人在宅総合診療料というものの改定前の算定に際して、二十四時間の連携体制にあると届けている診療所が現在約一万カ所あることを踏まえまして、この在宅療養支援診療所へこの一万カ所が恐らく移行するのではないかということを期待し得るものと考えておるところでございます。

 以上です。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 今、市町村は千八百強というふうに伺っております。全国一万カ所ということで、しっかりとこの在宅療養支援ができますように、スムーズな移行ができますようお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、大臣がちょうどお戻りになられましたので、今回のこうした療養病床の再編成につきましての大臣の御決意を伺いまして、終わりにさせていただきたいと思います。

川崎国務大臣 全体の制度設計といたしましては、六年間をかけながら移行していく。あすからすぐ始まるのではないかというまず誤解があるように思っております。

 第二番目に、追い出しにつながるようなことがあってはならないというのがまず基本であろうと思います。一方で、入院の適正化という問題が医療制度改革の大きな柱となっております。そういった中で、多くの療養病床が転換をしていけるようなシステムをしっかり支えていかなければならない、このように思っております。

 いずれにいたしましても、各県がさまざまな計画を書く中、私どもがしっかりフォローをしながら、冒頭申し上げたように六年かけながら実効性が上がるものにしてまいりたいと考えておりますので、どうぞ御理解をお願い申し上げます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

岸田委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 民主党の菊田真紀子でございます。

 きょうは、一時間の質問時間をいただいておりますが、限られた時間の中で、非常に多岐にわたるテーマがございますけれども、私は、主に地元の医師不足の問題について取り上げさせていただきたいと思っております。

 まず、一昨日、私は、本来であればこの厚生労働委員会で質問をさせていただく予定でございました。それが、あのような形で、私たち民主党、そしてまた社民党、国民新党が欠席の中で、与党の強行という形で委員会がスタートを切ってしまったことを大変遺憾に思っております。

 私たち民主党は、今回、三つの法律案を提出させていただきました。がん対策基本法案、小児医療緊急推進法案、そして医療の安心・納得・安全法案でございます。この三つは、三点セットとして、今回の医療制度改革と一体となって審議をしていかなければなりません。ぜひとも、民主党が提案をいたしましたがん対策基本法案についても一日も早く審議入りをしていただけますよう、冒頭、強く要望したいと思います。

 そして、本来、これだけの重要法案、今回の国会の中でも目玉の医療制度改革でございますが、なぜ小泉首相みずからこの委員会に来られて、首相の考え方をきちんと明確にされないのか、私は大変、この小泉首相の姿勢をただしたい、そんな思いでいっぱいでございます。

 それでは、質問に入らせていただきますけれども、私は、新潟県第四区の選出の国会議員でございますが、二百四十七万人の新潟県民の命を預かるという、そんな思いで質問をさせていただきます。

 東京に来て大変驚くことがたくさんありますけれども、東京というところは大変便利だ。この医療に関しても、病院はいろんなところがございます。フリーアクセスで、いい病院、評判のいい病院、そしてまたいろんな専門科医があります。自分の判断でいろんなところに行くことができるわけです。

 しかし、その一方で、私の地元を見たときに、地域の中で限られた医療機関しかない、よくも悪くもその病院しかない、そんな事情があります。これは、まさに国民の医療に格差があるということではないか、健康の格差ではないか、この格差を少しでも今回のこの審議の中で埋めていかなければならない、そんな思いを冒頭述べさせていただきます。

 まず、医師の数について質問させていただきますけれども、私が申し上げるまでもなく、一九七〇年代は、田中元首相、我が新潟県の大先輩でございますけれども、無医大県解消のための一県一医大構想というのを掲げまして、医師の養成を推進いたしました。まさに大きな政治の決断とリーダーシップによって医師の養成に取り組まれたわけでございます。

 当時、新潟県は、全国有数の豪雪地帯でもありましたし、無医村の地域もたくさんございました。東京で助かる命が新潟では助からない、そんな思いの中で、全国国民が本当に同じ命の重さで、みんなが安心、安全の医療にかかれる、そういう国にしなければいけない、そんな思いが強く込められていたと思います。

 今、おかげさまで、新潟県は、道路もよくなりました、橋もよくなりました、トンネルもできました。しかし、トンネルや橋はたくさんできたけれども、肝心のお医者さんがいない。お医者さんがいないということで、助かる命が助からないというケースもたくさん出ております。

 田中角栄元首相の政策でせっかく医師増員に取り組んだのに、なぜ今こんなに全国で医師不足の問題が出ているんでしょうか。平成九年の橋本行革で医学部定員の削減に取り組むということが閣議決定をされて以後、医師の抑制政策が行われてまいりました。私は、この橋本行革の医師抑制政策で後退したために現在の医師不足を招いたのではないか、そんな思いを持っております。

 まず、率直にお伺いしますが、医師は過剰なのでしょうか、不足しているのでしょうか、政府の見解をお聞かせください。

川崎国務大臣 医師数は、平成十六年末現在で二十七万人となっております。人口十万人に対して二百十一・七人、また、毎年三千五百人から四千人ぐらいの医師が増加しております。平成十年、今御指摘いただきました九年を受けて、十年に取りまとめられた医師の需給に関する検討会報告によれば、供給医師数が必要医師数を上回り、将来的には過剰になるとされたところであり、こうしたことを前提とすれば、現在は不足という、全体的にはなっていないという判断をいたしております。

 しかし一方で、診療科や地域における医師の偏在により、医師の不足感があるため、この偏在の解消を早急に図ることが重要と考えております。

 このため、今般の医療制度改革においては、医療計画制度を見直し、小児救急医療などの具体的な医療連携の確保や、都道府県が中心となって、大学病院など地域の医療関係者と、僻地への医師の派遣など医療従事者確保の具体策を検討し、実施する枠組みを制度化いたしました。

 また、都道府県において小児科医療や周産期医療の医療機能の集約化、重点化の検討を行い、具体的な対策を講ずるとともに、国としても、実情を把握しながら、制度、予算、診療報酬等、さまざまな側面から総合的な医師確保対策に取り組んでおります。

 いずれにせよ、診療科や地域における医師偏在という問題に取り組んでいかなければならない、こうした認識をいたしております。

菊田委員 この日本におきまして、先ほど大臣がおっしゃられました人口十万人当たりの医師数という考え方でいうならば、一体何人が適当だとお考えでしょうか。OECD諸国の基準では、人口十万人対医師数は二百八十人という見解でございます。そしてそのOECD諸国、先進国の中では、昨今医師を増加させる政策がとられているわけですが、これを踏まえてみても、日本の医師数についてこれからどういう方向で進めていかれるのか、見解をお伺いいたします。

川崎国務大臣 医師数は、このままの状況でいきますと、平成二十九年ごろには約三十万人と考えております。その時点では、やや過剰になるのではないかという認識をいたしております。

 一方で、今お示しした臨床医数の比較を見ますと、三十カ国中、アメリカが二十三、カナダが二十六、我が国は二十七位という数字になっております。人口構成や国土の規模、医療提供の仕組みが必ずしもイコールではございませんので、数を単純比較というわけにはまいりませんけれども、これから十年の歩みの中で約三十万人ということでありますので、大体の数字にはなっておるのではないかと考えております。

菊田委員 私が質問申し上げました何人が適当なのかということに対しては、やはり予想どおりお答えをいただかなかったわけですけれども、これまでの議論を聞いたり、あるいは本会議での質問を見させていただきましたけれども、決して大臣もまた厚生労働省も、医師は不足しているということをおっしゃらないわけです。

 私は、今回の質疑をさせていただくに当たりまして、地域のいろんな現場の声を聞いてまいりました。地域にもたくさん、いろんな形の医療現場があるわけです。大学病院、小規模病院、自治体病院、あるいは診療所、開業医、さまざまあるわけですが、どこに行っても皆さんの共通した感想は、医師は不足している、医師の手が足りない、そして非常に過酷な勤務状況になっている、これを何とかしてもらいたいという声がどこに行っても共通の声でございました。

 そして、昨今、いろんな新聞、マスコミ、あるいは雑誌等でも、ここにもお持ちいたしましたけれども、医師は過剰なのか不足なのか、医師は既に不足する時代に突入している、まさにことしは医療崩壊元年ではないかということが特集で組まれるような状況になっているわけでございます。

 それでは、私の地元で起こっている問題について少し取り上げさせていただきながら、このことについてさらに議論させていただきたいと思います。

 皆様のお手元にも配らせていただきましたけれども、私の地元、新潟県で起こっている問題でございます。新聞記事をごらんいただきたいと思っておりますけれども、新潟県の阿賀野市に市立水原郷病院というところがございますけれども、この病院は病床数三百二十一床でございます。そして、阿賀野市一帯の約五万人の健康を守ってきた病院でございますけれども、この病院で大変なことが起こりました。ことしの一月から四月までに常勤医二十六人のうち十一人が一斉に退職をするというニュースが飛び込んできたわけでございます。内科は八人いましたけれども、そのうち四人がやめる。消化器内科は二人からゼロになります。外科医は三人から二人に減る。あるいは整形外科も二人から一人に減るということでございます。

 特徴的なことは、この阿賀野市にはほかに開業医がございません。休日当番医もありません。したがって、車で市外に行ける方はいいんです、三十分、四十分あるいは一時間をかけてよその町の病院に行ける人はいいんですけれども、足の悪いお年寄り、車のない高齢者にとって、ほかに行ける病院はございません。一番身近に頼ってきた病院でございます。

 この病院の実績なんですが、平成十六年度の外来総数では約十八万七千人の患者さんが外来患者として通っております。入院総数では約十万六千人ということですから、それはもう地域にとってはなくてはならない病院だったわけでございます。

 現在、このようなことになりまして、医師が大量退職するということで、やむなく業務も縮小になってしまいました。新たな医師の確保もままなりません。そしてまた、閉鎖する診療科もふえてまいりました。入院していた患者さんは半分ほかに転院しなければなりません。あるいは救急の二次病院を二月に返上いたしました。看護婦さんも二割やめなければならないということでございます。

 財政的にも大変厳しいんですけれども、この病院をなくしてはいけないということで、今、市も一生懸命頑張っておりまして、平成十七年度は約五億円を交付いたしまして、この病院をなくさないように、今懸命の努力をしているところでございます。

 少しこの水原郷病院のホームページを読ませていただきます。貴重なお時間、大変恐縮ですが、ぜひ、これはたまたま新潟県の水原郷病院で起こっている問題ではない、この事件が起こって、新潟県のどの医療機関、病院でも、いつうちの病院でもこういうことが起こるかわからないと戦々恐々としております。恐らく全国各地で同じようなケースがあると思いますので、少しお時間をいただきたいと思います。

 これは水原郷病院の病院長さんがホームページの中で言っている言葉です。

 新潟県の地域医療は破綻寸前の状態です。当院の状況はマスコミに報道されましたが、県内各地域には第二、第三の水原郷病院となり得る病院がたくさんあります。骨折した場合でも、先月までは地元の病院で救急医療を受けられたはずが、今月からは常勤医がいなくなり遠くの大規模病院へ運ばれる地域、また産婦人科がいなくなり、地元病院でお産ができなくなる地域も実際に出てきています。

 この原因はひとえに新潟県の医師数が不足していることに尽きます。本田市長と一緒に、新潟大学の各教室へ医師確保のお願いに何度も足を運んでおりますが、非常に厳しい状況です。確かに新潟大学の医師数も減少しており、大学での高度医療を続けることは人数的にも精いっぱいというのが現状です。

 実は、医師数は急に減少したわけではありません。新しい臨床研修医制度が二年前から始まり、医大を卒業しても医師はすぐ医療の現場には出られず、指導医の下で研修しなければなりません。そのため、ここ二年間は新しい医師の旅立ちがゼロという状況になりました。

 厚生労働省の方針は、ふだんはかかりつけ医に診てもらい、ぐあいが悪くなったら紹介状を書いてもらって大きな基幹病院へ行きなさいということのようです。新潟県でも、少ない医師数では県内全域をカバーできないため、なるべく基幹病院へと医師を集中させ始めています。そのため、郷病院のような中規模病院から医師が引き揚げられているのです。

 また、新潟県の特殊性も医師不足の原因の一つで上げられます。当県は人口二百四十万人で医大が一つしかありませんが、北陸三県、富山、石川、福井では、人口三百万人程度に対し医大が四つあります。それでも三県の医師数は十分とは言えない状況なのです。卒業生の一定数が地元に定着する医大が新潟にもう一つできると、新潟県の地域医療はよくなると考えます。

 というふうに、水原郷病院の問題だけではなくて今の新潟県全体の医療の問題についても言及されているわけです。

 この問題が起こってから、いろんな背景、原因があるということで、検証が行われてきました。まず一つは勤務医の過重労働でございます。当直と外来で仮眠も食事もできない、もう限界だという叫びでございました。そしてまた、住民と病院、患者とのコミュニケーションの不足も上げられます。

 そんなことで、今、こうしたことになってから、病院側も、そしてまた行政側も患者さんたちも、この病院をなくしてはならないということで、みんなで盛り上げていこう、病院を守ろうという運動が進められているわけですけれども、こういう地方の採算のとれない公的病院をどう守るのか、このことについて、ぜひ大臣から御検討いただきたいと思います。

 特に大臣の御地元の三重県でも、尾鷲市、産婦人科医がいないということで、年間の報酬五千五百万円で産婦人科医に来てもらったというニュースを聞いていますし、同じように全国各地で、小児科医がいない、産婦人科医がいないと困っている自治体病院は枚挙にいとまがありません。

 この水原郷病院の問題を通して大臣のお考えをお聞きしたいと思います。お願いいたします。

川崎国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず医師の偏在があることは事実でございます。

 例えば、県で一番多いのは徳島県でしょうか、十万人当たり二百八十二名、二番目が鳥取県で二百八十名、東京が二百七十八名、御指摘の新潟が百七十九・四、お近くのことをとられましたけれども、富山が二百三十・四、石川が二百五十二という数字になっております。

 しかし一方で、それでは数の多いところがそれで大丈夫だと言っているかというと、必ずしもそうではない。数の多いところでも地域偏在問題が出てきております。そういった意味では、今回の医療制度改革全体として、こうした全体的な問題に取り組まなきゃならないという意識をまずいたしているところでございます。

 一方で、地方自治体病院の問題でございますけれども、地方自治体病院は今九割が赤字財政になっております。この一つ一つの病院に対して国として支援体制、特に厚生労働関係で財政支援体制のスキームは持っておりません。これはあくまで設置者が努力をしていくものというように考えております。

 しかし一方で、採算性の低いとされる医療、例えば小児救急医療体制の強化、これは二十六億円の予算を組ませていただいております。救命救急センターの確保、これも三十三億円の予算を組ませていただいております。それから僻地保健医療対策、これも二十四億円という形で、そういった意味では、採算性が低いとされるものに対しては支援措置を持っておりますけれども、それぞれの自治体の努力というものが前提の中で地方の病院は建てられたということは御理解を賜りたいと思います。

 御指摘の阿賀野市立水原郷病院、本年一月から四月にかけて常勤医師二十六人のうち十一人が退職することとなった結果、これまで行ってきた診療科の一部を閉鎖するといった状況になったと聞いております。

 これについて新潟県に確認をさせていただきました。当該市立病院の今後の診療体制に関する市民への適切な情報提供や、開業医や近隣市町村との連携による救急医療の確保に努めるよう、同病院の開設者たる阿賀野市に要請しているものと考えております。

 一般的に、地域の医療提供体制は、医療機能の連携を図りながら広域的に確保していくものであります。医療機関の統廃合や今回のような医療機関の機能に変更が生ずる場合には、当該医療機関がそれまでに担ってきた役割、機能を踏まえ、まず当該医療機関の設置者の努力で、入院患者や外来患者の医療が確保されるよう、また都道府県や医師会といった関係者の協力と理解を得ながら調整をしていただくものと考えております。

 いずれにせよ、偏在問題全体にどう対応していくかという大きな問題を抱えながら、県がさまざまなリーダーシップをとっていただく、そこに私どもはしっかり支援をしていく、このような考え方でおります。

岸田委員長 総務省大谷審議官、何か補足がありますか。

大谷政府参考人 ただいまの国の財政支援について若干補足をさせていただきたいと思います。

 地方公営企業法上、公営企業として運営する自治体病院事業の経費うち、救急医療に要する経費など、その性質上、当該病院の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費、あるいは、僻地医療に要する経費など、当該病院事業の性質上、能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難である、こういった経費につきましては、一般会計が負担することとされております。

 この病院事業会計の一般会計からの繰り出し金でありますが、この所要額を毎年度地方財政計画に計上するとともに、病院事業を含む各地方公共団体に対しまして地方交付税措置を講じているところでございます。平成十七年度におきます病院事業関係の地方交付税措置額、これは基準財政需要額でございますが、全国で三千三百三億円という形になってございます。総務省といたしましても、今後とも、自治体病院の効率的な経営について助言を行いながら、引き続き必要な支援に努めてまいる所存でございます。

菊田委員 県のリーダーシップでしっかりやってくれ、国は支援をするというお話でございましたけれども、もう市も県もぎりぎりのところまで最大の努力を尽くしております。しかし、こういう現状なわけであります。国に対してもさまざまな要望をしておりますが、これは厚生労働省だけじゃありませんけれども、全国知事会を通して、例えば医学部の定数をふやしてくれとか、地域枠をふやしてくれとか、医師の確保のために努力をしてくれとか、毎年毎年要望を出しておりますけれども、検討されたのかどうなのか、その結果について一言も御返答いただいていないというのが現状でございます。まず、そういうことから改善をしていただきたいというふうに思います。

 それから、今、地方の自治体病院に対して支援をしているということを総務省からお答えいただきましたけれども、平成十七年度は三千三百億円の交付税措置をしたということでございますが、この数字を見ましても、平成十二年からずっとこれは減額になっていますね。自治体病院に対してしっかりと支援をしていく、国として精いっぱい支援をしていくというならば、私はこういう大事な、もうほかにかかる病院がないわけですから、こういう地域を見捨てていいのか。

 まして、今国の政策は、先ほど申し上げましたように大規模病院に集約化をしていくというわけで、その集約化からはみ出てしまった、要は僻地病院にも入らない、そのちょうど中間にあるような病院に対して、それを一体どうするのか。それは採算性が上がらないからもうあきらめなさいということなのかどうなのか。私は、この交付税措置額減額の様子を見ても、国が精いっぱい支援しているというふうには到底考えられないので、納得できません。

 それから、医師確保対策について国はどういうふうに取り組んでこられたのかということも、私は何度も、いろんな機会を通しまして、厚生労働省の方から来ていただきましてお話をお伺いしました。さまざまなメニューで効果を上げているというような美しい御回答をいただいておりますけれども、もし本当に効果を上げていたなら、このような水原郷病院のような問題は起こってこないのではないかというふうに申し上げておきたいと思います。

 それから、もちろん、医師を派遣する大学病院側の中でも人手不足、医師不足というのが起こっていまして、要は、こういう地域の中規模病院に医師を派遣する余裕がない、あるいは派遣してもそれを引き揚げざるを得ないというような現状があるわけですけれども、これを一体どういうふうに解決されるおつもりなのか、お話をお聞かせください。

磯田政府参考人 お答え申し上げます。

 大学病院は、地域の中核的な教育機関としての役割が求められております。その一環として、地域医療機関からの医師の紹介要請があった場合には、医師本人と当該医療機関との双方の了解のもとに、医師を紹介してきたところでございます。

 大学病院におきましても、診療科によっては医師の配置が十分でない場合もあり、さらに、御指摘の十六年度からの臨床研修の必修化などを踏まえ、診療提供体制の確保に努めているところでございます。

 しかしながら、このことが結果として地域医療に影響を与えている面もあると認識しております。御指摘のように、地域の医療機関において医師の確保に苦労しているということも承知しており、地域の医療供給体制における大学病院に対する期待が大きいということを踏まえまして、各大学病院が各地の医療対策協議会に参加するなど、医療の地域連携体制の構築に協力するよう促しているところでございます。

菊田委員 医師の配置については、医師の偏在については、これはもう大学医局の人事権であるというような立場ではなくて、文科省としても、あるいは厚生労働省としても、もっと積極的に働きかけていかないと、結局この問題は解決しないというふうに思います。

 一つお伺いしたいのは、今回のこの政府案の中で、開業要件に地域医療等従事を加えることを、義務化しないということになりましたね。いろんな審議会の中でも慎重論、反対論があったということで、要するに地域で医療に従事することを義務化しないということになったわけですけれども、そうであるならば、ほかにどのような対策をもってこれに取り組んでいくのか、お聞かせください。

松谷政府参考人 今御指摘の、僻地医療あるいは救急医療等の診療経験を病院、診療所の管理者の要件とするということにつきましては、全国知事会からの要望を受けて、本年一月の社会保障審議会医療部会において議論をしていただいたところでございます。

 審議会におきましては、地域医療は破綻の危機にあり、すぐにやるべきとの賛成論、一方で、方向性はわかるけれども、詰めるべき点も多く、拙速はよくないという慎重論と、賛否両論があったほか、各方面からも慎重な御意見をいただいたところでございまして、こういった状況を踏まえまして、今回の改正法案には盛り込まなかったところでございます。

 医師の確保につきましては、今回の法案の中では、一つには、都道府県において、大学等の関係者も含めまして協議会を設けて、そこで十分な話し合いをしてそのメニューをつくっていく。それから、情報の提供をきちんとすることによって病院と患者さんのあり方というものを変えていくというような法律上の手当てを法案の中に盛り込んでおりますが、医師の確保の対策はこれだけではなくて、先ほどございましたように、予算上の措置、僻地の医療の確保あるいは小児の救急の医療についての各般の措置、それから診療報酬上につきましても、今回の改定の中で産科の医療あるいは小児科の医療ということについて重点的な手当てをするというような、各般の手当てをしているところでございます。

 人の配置のことでございますから、ある一つの強権をもって目の覚めるような解決策というものがあるわけではございませんけれども、これらの各般の、各方面からの働きかけを一つ一つ積み重ねていくということが重要ではないかと思っております。

 これらのことの背景には、一つには、先ほど先生が御指摘の、大学の医局による病院への医師の派遣といったような旧来の体制というものが、社会の変革に伴いまして変化をしつつあるということがあるのではないかと私ども考えてございます。これにきちんと対応していくということも今後必要であるというふうに考えております。

菊田委員 国が都合のいいところだけは地方に押しつけて、そして抜本的な解決策も何にも持たないで、もう何年も前から、検討する、今検討中だということの繰り返しだということがよくわかりました。

 新潟県の医師会が、勤務医の現況と将来ということで、県内の勤務医に対してのアンケートを行っております。平成元年からやっておりまして、ことし四回目のアンケートが出ました。医師会も、勤務医の大変過酷な現状をほっておけない、医師会としても一生懸命同じ問題について取り組んでいかなきゃいけないということでやっているわけです。

 驚いたことに、平成元年の最初のアンケートのところでは、医師急増についてあなたはどのように思われますかというような設問があったんですね。ところが、今はもう医師不足にかかわる設問ばかりになっております。そして、今回の調査では、あなたは医師の定数にかかわらず現実には医師を増員すべきだと思いますかという設問に対して、七一%の医者が増員してもらいたい、はいと答えておりますし、増員のためにたとえあなたの収入が減ったとしても増員した方がいいと考えますかということに対しては、六七%の方がはいと回答しているんです。もうこれぐらい勤務医がぎりぎりのところに来ているということで、もう医師会も真剣に取り組んでいるということを御紹介しておきたいと思います。

 ちょっと話はかわりますけれども、先般ニュースでありましたが、名護市への防衛医官派遣というニュースがありました。普天間移設問題で国と名護市が基本合意したことを受けまして、政府は名護市の県立北部病院に産婦人科医として防衛医官一人を派遣することが決まったということでございます。基地問題と産婦人科医不足の問題はそもそも全く別な問題なのに、非常に奇妙な感じを受けました。しかし、私は、これは産婦人科医不足の象徴ではないか、このように非常に関心を持って見ております。

 もう医療に関しては、日常が災害です。救急で担ぎ込まれても小児科医がいないために病院をたらい回しになっている子供が大勢いますし、遠く離れた病院まで行かないとお産ができないという母親も大勢います。もう既に緊急事態に陥っているわけです。

 そこでお伺いしますけれども、災害派遣で自衛隊が派遣されると同じように医師を派遣してもらいたいという自治体はたくさんありますが、市長や知事が防衛庁に要請したら医官を派遣していただけるんでしょうか。お答えください。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊の医官でありますけれども、基本的には、災害派遣や国際緊急援助活動、あるいはイラクにおける復興支援活動等において派遣していることになっております。

 御指摘の、市長や知事から要請があった場合には、これは完全にだめだということではないんですけれども、地元の状況や防衛庁・自衛隊における任務への影響などを総合的に勘案しまして、個別具体的に検討させていただくというようなことでございます。

菊田委員 なぜ名護市への派遣は可能になったんですか。

西山政府参考人 名護市への派遣は、まだ決定しているわけではございません。ただ、昨年来、沖縄の方から話がございまして、また、今月六日に名護市長あるいは北部振興会の会長が私どもの防衛庁長官を訪問されまして、直接要望されております。

 現在、御要望の派遣の可能性について検討しております。まだ何ら結論が得られたわけではない、そんな状況でございます。

菊田委員 報道では四月中の派遣を決定したというふうに聞いておりますけれども、それでは、まだ、検討中ということで、決まっていないということですね。

西山政府参考人 報道は間違いでして、まだ決まってございません。

菊田委員 防衛庁に新潟県知事と阿賀野市長がこの水原郷病院に医者を派遣してもらいたいという要請をしたら、派遣していただけますか。

西山政府参考人 現在、自衛隊医官でありますけれども、定数が一千百五十七ございまして、現員数が八百五十八名ということで、防衛庁・自衛隊の中でも約三百名足りないというようなことであります。

 先ほど申し上げましたように、新潟の知事等の方から正式に要請があった場合には、地元の状況等を総合的に勘案しまして、個別具体的に検討させていただきたいというふうに考えております。

菊田委員 大臣もぜひ、もうこれだけ各地域で、もし手を挙げていいですよと言ったら、全国各地方自治体からどんどん手が挙がると思いますよ。それだけ小児科医不足、産科医不足というのが深刻になっていることを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、限られた時間ですので、新潟県の医師不足の問題について入らせていただきます。

 これもお手元に資料を配付させていただきましたので、ごらんいただきたいと思いますが、新潟県は、平成十六年末のデータで、人口十万人当たりの医師数が百七十九・四人です。全国平均が先ほどもお話がありましたとおり二百十一・七人ですから、これを大きく下回っている現状で、全国では三十八位でございます。そしてまた、診療科目別で見ましても、小児科医が平均九・八人、これも全国では四十一位、外科医は十三・一人ということで全国で四十四位、産婦人科医は五・八人ということで全国四十五位ということでございます。

 医療に関してはまだまだ一生懸命取り組んで頑張っていかなければならないという現状でございますが、だからこそ新潟県としては医師の絶対数が不足していると考えていますけれども、国はどういう認識でしょうか。お答えください。

松谷政府参考人 地域別の医師数につきましては、県ごとに相当のばらつきがあることは事実でございます。冒頭、大臣からも答弁申し上げましたけれども、四国地方の一部、あるいは山陰地方の一部、あるいは東京等は非常に多いところでございますし、今先生御指摘のとおり、新潟県等につきましては少ないところ、あるいは北東北等もたしか少なかったと思いますが、というような状況でございます。

 マクロ的に見まして全体の医師の数がどうかということについては、既に大臣から答弁をしてございますけれども、小児科、産科ということにつきましても、全体のマクロの数字でいいますれば、過去がよかったかどうかということは別にいたしまして、過去から比べますると、例えば、今は出産数が減ってございますが、実は産科医は、減っておりますけれども、それほどには減っていない、あるいは、子供の数は今減ってございますけれども、小児科の数はふえているということでございまして、子供の人口対の小児科の医師、あるいは出生に対する産科のお医者さんという点では、かつてよりは改善をされているというのが事実でございます。

 先生御承知だと思いますけれども、受診をされる方、それから小児等につきましては、特に都会等でそうでございますが、準夜帯あるいは深夜帯等における時間外の受診がふえているといったような、そういう事情がこの背景には一方にある。したがって、医師の供給の数ということとあわせまして、受診の問題ということも考えていく必要があるというふうには考えてございます。

 マクロの話を申しましたけれども、もちろん、地域別に、先生がおっしゃるとおり、新潟の医療圏ごとに見ますれば、それぞれでこぼこがございますので、不足の感のあるところが多いというのも事実だろうと思っております。

菊田委員 新潟大学医学部の定員を、今現在百人ですけれども、これを百二十人にふやしていただきたいんです。

 これは、もともとは百二十人だったものが、国の医師抑制政策のもとで二十人定員が削減されて、百人になったままなんですね。これを少なくとも百二十人にふやしてもらいたいという要望を、新潟県から毎年毎年させていただいております。厚生労働省と文科省に対して出させていただいておりますが、一度も回答がございません。省内で検討されているのかどうなのか、増員についてやっていただけるかどうか、御回答ください。

磯田政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおり、新潟大学の医学部医学科の入学定員につきましては、昭和六十三年まで百二十名のところ、平成元年から今日まで百名、さらに、平成十二年度からは百名のうちの五名を三年次編入学定員ということで設定しているところでございます。

 基本的に、大学の組織の改編につきましては、各大学からの申請を待って検討するということになっておりますが、医学部医学科につきましては、国の方針に基づきまして、入学定員の増、新たな医学部の設置は行わないということになっているところでございます。

 現在、厚生労働省におきまして御検討いただいております医師需要見通しの見直しについての御検討、この結果、あるいは文部科学省に設置しました医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議、ここにおきまして地域の医療の問題についても検討しているところでございますが、このような検討を踏まえて、医学部入学定員のあり方について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

菊田委員 私、新潟の話ばかりして申しわけないんですが、でも、新潟だけじゃないんです。全国都道府県、いろんなところからこの要望が出ているから、あわせてお話をさせていただいているんです。

 新たな設置は行わないし、今の答弁だと、定員をふやすという気は全くないということですね。これは地方の現状を無視して、これは、いろいろ調べていくと、最後は平成九年の橋本行革のときの閣議決定があるからできないということなんですね。今これだけの問題があったって、十年近くも前の閣議決定がずっと拘束力を持って、影響力を持って、現状を改善していけないというのは本当に情けない話だと私は思っています。

 ぜひこのことについては、きょうは時間がありませんので、また機会を改めてお話をさせていただきたいと思いますが、これも厚生労働省がやるのか文部科学省がやるのか、お互いに譲り合って、なかなかはっきりした答弁、あるいは資料の提出もままならないという現状、まさに省内の、縦割り行政の弊害が出ているということを申し上げたいと思います。

 それから、全国の自治体から、各県の大学の医学部の地域枠をふやしてもらいたいという要望が出ておりましたけれども、文部科学省の方でこの地域枠について最高五〇%まで認めることになったということが、先般の全自病などの九団体が行った危機突破全国大会の中で話があったということですが、これはいつ決まったんでしょうか。

磯田政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、各医学部医学科において地域を指定した入学者選抜を行うかどうかということは、各大学の自主的な判断でございます。それから、いわゆる推薦入学というものについては一定の枠まで認める、こういう考え方がございますが、この地域枠そのものについて五〇%というお話は、私どもの方は承知いたしておりません。

 しかしながら、各大学は、平成十六年度の国立大学法人化を契機にいたしまして、医学部医学科の地域における存在の必要性、あるいは地域医療の重要性ということを認識しまして、さまざまな取り組みをしているところでございます。その中の一つとして、委員御指摘の地域枠につきましては、法人化前、十五年度の四大学三十八人から、十八年度、十六大学百二十一人ということで急増しておるところでございまして、こういう取り組みも含めながら、地域に対する協力あるいは支援というものを各大学が強化しますよう促してまいりたいと思っているところでございます。

菊田委員 これは、平成十七年の十一月の十七日に、東京・平河の全国都市会館で自治体病院危機突破全国大会というのがあったんです。その大会の中で、全国自治体病院協議会の会長が発言をされたんです。各県の大学の地域枠を文科省が入学定員のうち最高五〇%まで認めることになったというふうな発言を公式な場で言っているわけですから、これはちょっとおかしいですね。そして、こういうことを私たち国会議員も知らないし、県も知らないし、一体だれが責任を持ってやるのかということがあります。もっときちんと伝達をしていただきたい。この件についても、また改めて質問させていただきたいと思います。

 それでは、残り十数分になりましたので、民主党に対して質問させていただきます。

 まず最初に、小児科緊急医療システム化の中で、民主党が今回考えている地域小児科センターというのはどういうものなのか。(発言する者あり)

 委員長、定数が足りておりませんので、質疑をとめてください。

岸田委員長 はい。では、まず速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岸田委員長 それでは、速記を起こしてください。

 それでは、菊田真紀子君の質問、残りの時間は午後行わせていただくとしまして、この際、休憩いたします。

    午後零時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十三分開議

岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菊田真紀子君。

菊田委員 午前中に引き続き質問を続けますけれども、委員会の初日からこの委員会のメンバーがいなくなる、定数割れを起こして審議がストップするなんというのはとんでもない話だということを皆さんに申し上げたいと思います。

 それでは、民主党案に対して質問をさせていただきます。

 小児科緊急医療システム化の中で、民主党が考える地域小児科センターとはどのようなものであるかということをまずお伺いすると同時に、小児科に対する患児、保護者のニーズが大変高まっておりますけれども、育児不安など、民主党案ではどういうふうに対応するおつもりか、この二つについてお答えいただきたいと思います。

郡議員 お答え申し上げます。

 今二点御質問がございましたが、私、前半の質問に対してお答えさせていただきます。

 小児医療を取り巻く現状というのは、核家族化そしてまた共働き家庭の増加などを背景にして、保護者の救急、休日夜間診療へのニーズが高まっております。一方、不採算経営によって小児科の診療科が閉鎖または廃止に追い込まれ、さらには勤務医の方々の過重労働が看過できない状況になっているなど、国民が必要とする小児科医療体制が提供されているとは大変言いがたい状況になっているというのは、皆さん共通の認識だろうと思います。

 まさに、小さな子供の命を守る役割を担う小児医療の充実が喫緊の課題となっているわけでございまして、御指摘のとおり、小児救急医療の地域格差を改善するためには、地域における開業医とそしてまた病院との連携強化を含めました病院のシステム化による病院小児科の充実が欠かせないと考えております。民主党は、地域の開業医と病院全体で実施する小児救急医療連携体制の整備を強力に支援することが大切だと考えているところでございます。

 御質問をいただきました地域小児科センターでございますけれども、民主党案では、これを幾つかの市町村で構成されます二次医療圏に一つ整備することといたしまして、主に入院治療を必要とする小児医療提供を中心とすることとさせていただいております。その上で、一次救急を担う小児救急、休日夜間体制につきましては、地域の開業医の皆様方に御参加をいただきまして、また協力を得まして、地域の実情に応じ、この地域小児科センターと近接ないし併設させるなど、段階的な集約を進めまして、このために一般財源の支援をさらに充実していこうというふうに考えているところでございます。

 この地域小児科センターにおきましては、夜間体制が可能なように、一病院十人体制の確立を目指しているところでございます。例えば常勤医の増員の場合に、民主党の政策では、一人当たり平均で、平均的な勤務医の給与額相当を助成することを考えてございます。小児救急、休日夜間の診療など、地域小児救急医療に貢献する地域の開業医の方々に対しても支援を行うことを考えております。

 小児医療を取り巻く現状というのは、医師の偏在や地域間格差、また不採算制、勤務医の過重労働といった日本の救急医療体制の問題の根本的なところを抱えているというふうにとらえております。民主党は、地域小児科センターを中心とする小児救急医療のシステム化への取り組みが日本の医療全体の底上げを図るものだというふうに考えております。救急医療の持続性の確保にも資するものだと考えて取り組ませていただきたいと考えております。

 以上でございます。

 二点目は、柚木さんに答えていただきます。

柚木議員 菊田委員の御質問にお答えいたします。

 質問は、小児科に対する患児、保護者のニーズが高まっているが、育児不安について民主党案としてどのように考えるかということでございます。

 具体的に私の方からお答えさせていただきますと、保護者の不安を解消するために、救急相談体制の整備をさらに進め、電話やあるいは携帯メール配信等を活用したり、母子手帳に緊急連絡先を掲載するなど、救急相談体制の整備を促進してまいります。

 こうした方策は政府案の中でも取り組んでいるというふうに考えられる方がいらっしゃるかもしれませんが、保護者の皆さんに二十四時間、三百六十五日、いつでも診療を受けることができる、そして相談できる道筋があることをメッセージとしてしっかりと伝えていくことが必要なわけでありまして、例えばこちらにきょうお持ちをさせていただきました母子手帳、この最後の欄を見ると、皆さん御承知のとおり、さまざまな連絡先等を記入するところがございます。

 しかし、ここのところには、実は小児救急について、例えば一次から三次救急まで地域においてどういったところが輪番制になっていて、そしてどこに行けば一次から三次まで具体的に相談をすることができるのかということはどこにも明記をされていないわけであります。私たち民主党案は、親御さんが、お子さんが病気になったときに、焦って見たときにすぐにわかる、つまり、この母子健康手帳そのものがまさにフリーアクセス手帳になる、そういった取り組みが実際に求められると思いますし、私たち民主党として取り組んでまいりたいと思っております。

 この中に実際に具体的に書いていないということでございますから、それを具体的に書く欄を、実際にこの下の方があいているわけですね、空欄。そういったところも活用してということで民主党案として考えてまいりたいと思っております。

 それから、電話相談についてなんですが、これも、委員、新潟の件について御質問あったわけですが、例えば新潟においては、電話相談事業等は行われているんですが、実際に小児救急の支援事業において十分に行われていないという現状があるわけです。

 電話がかかってきても相談できる医療機関がないようでは困ると申しますか、あるいは意味がないわけであります。そういった場合に、これは全国でいまだ四〇%強の小児救急医療圏において、二十四時間対応ができていないという現状は、先ほどのお答えにもありましたように、一般財源を国の責任として集中的に投入して整備することが重要になってくるわけであります。

 そういった視点のもとで、特に身近な存在でありますかかりつけ医は、今後さらにその重要性が大きくなることが予想される、民主党としましては、地域の救急病院とかかりつけ医の連携状況等を都道府県の医療機能情報の公表制度に位置づけ、情報公開を徹底すると同時に、かかりつけ医にある育児指導、健康指導については、診療報酬化するということを考えてまいります。

 そして、自治体ホームページへの情報掲載や健診時における緊急時のガイドブック配布、さらには、地域の小児科医と地方自治体が中心となり開催する救急教室などを通じ、広報啓発活動を行ってまいります。

 以上でございます。

菊田委員 引き続きまして、民主党案に対する質問を続けさせていただきます。

 政府案では、入院診療計画書、そしてまた退院計画書というものを義務づけておりますけれども、民主党案では、医療を受ける者に対してどのように情報提供をするつもりなのか、お答えいただきたいと思います。

岡本(充)議員 菊田議員にお答えさせていただきます。

 政府案では、入院時診療計画書の作成と交付、そしてその説明を義務づけており、また退院時療養計画書の作成、交付と説明を努力義務化としておりますが、病院と診療所の病診連携が十分になされていない現状では、特にこの退院時療養計画書の方はうまく機能するのかどうか、残念ながら若干の疑問が残るところであります。

 我が党案といたしまして、十三条、十四条にそれぞれ、医療従事者の説明の義務とそしてその説明をする内容を、さらに、この内容だけではなくて、二十九条及び三十条において、医療機関に相談することができるその窓口を設置することと、そして、都道府県が二次医療圏に一つずつ医療相談支援センターを設け、それぞれの患者さん、医療を受ける者のニーズに合った相談に答える、こういう形を通じて、より安心、納得、安全な医療を目指していこう、こういうふうに考えているところが違いだと理解していただきたいと思います。

菊田委員 最後に民主党にお聞きをしますけれども、福島事件について、これは現在の医療現場がいかに危機的状況であるか、そしてまた医療が崩壊するという、まさにそういう象徴のような事件であったと考えておりますが、この福島事件についてどのように考えているのか、原因究明について民主党はどう考えるのか、お答えをいただきたいと思います。

園田(康)議員 菊田議員にお答えをいたします。

 皆さんも御承知のように、今回の、福島県大野病院で起きた事件でございますが、先般、仙谷委員からもこの委員会で御指摘、問題を取り上げさせていただきまして、また、当日には川崎厚生労働大臣のところに産科医の皆様方が陳情に来られて、この問題の根本的な解決を早急に政府としてもやらなければいけないということで、皆さんも御認識をいただいているというふうに思っております。

 ただ、今回も、この経緯の中で被害者の方も出てしまったということは重く受けとめなければいけないと同時に、医師法二十一条の異状死というものがどういうものであるのかという形を、きちっとここで解決を見ていかなければいけないというふうに思っているところであります。

 このような法制度上にグレーな領域も残ってしまっているということに関しては、やはり大きく問題があるというふうに私どもは考えております。

 したがいまして、医師法二十一条の規定に関して、以前から何らかの形で問題視をされていながら、今日までこの問題が先送りをされ、そして今回の法改正の中においても何ら対応がされていないという事実は、やはり私どもは大きな問題点として言わせていただかなければいけないというふうに思っております。

 したがって、今回、私ども民主党案において、この安全・安心・納得法案の中においては、まず、これは附則の第二条のところでございますが、医療事故等の調査制度に関しましては検討を行うという条文を設けさせていただきました。そして、その条文を立てた上で、その中においては、まず、第三者による専門調査機関の創設と調査体制の整備、それから調査方法、警察への届け出制度のあり方の見直しなどを検討し、早急に法整備を行うことという形で提案をさせていただいております。

 また、現状の医療提供体制、これにおきましては、やはり不幸にして命や身体に被害が生じた場合においても、その原因の究明をきちっと行っていかなければいけないというルールと、それから、そういう制度が残念ながら欠如をしているという現状にかんがみれば、まずその原因究明のための法整備、制度とシステムづくりというものをこれから私どもも提案し、そして行っていきたいというふうに思っております。

 これは与野党を超えた問題であるというふうに認識をしていただいた上で、我々、この医療提供体制の中の全体の問題として、ぜひ委員各位、そして政府も一体となって取り組んでいただくように、この法案の中にしっかりと盛り込ませていただいた次第でございます。

菊田委員 時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきますが、私はきょう、医師の不足の問題、また医師の偏在の問題、地方の医療現場の問題を取り上げさせていただきました。たったこれだけでも大変根深く、解決できない問題が本当に山積みしておりますこの国会での審議、多くの国民の皆さん、患者の皆さん、医療現場で働くすべての皆さんが注目をして見守っております。本当に一人一人がまじめに議論していっていただきたいことを、私もその決意を持って、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 医療制度改革法案に対しまして質疑をさせていただきたいと思いますが、具体的な質問に入る前に、ぜひ私は大臣に、今の日本の医療制度についてどういう現状認識を持っておられるか、その確認をさせていただきたいと思っております。

 と申しますのも、どういう現状認識を持っているかによって、全く対応が変わってくると思うんですね。年金改革の議論のときにもそうだったんですが、我々は、現行の年金制度は、このままでは近い将来破綻する、だから新しい制度を一日も早くつくりましょうということで新しい制度を提案したわけであります。

 政府・与党の方は、現行制度は何とかごまかしごまかしすれば百年もつ、そういうお話で、現行制度の手直しという形の極めて中途半端な法案が出てきて、それが強行採決され、そのもとで毎年毎年保険料が上がっている。しかし、一番の問題であった未納が四割近いという国民年金の空洞化の問題、そういうものは全く解決されていないという状況があるわけであります。

 これは医療でも実は全く同じではないか。さきの本会議での質疑や、あるいは先ほど菊田委員に対する御答弁などを聞いていても、どうも大臣初め政府の方の認識は、まあいろいろ問題はあるけれども、基本的な部分は非常にうまくいっていると。日本の医療制度、基本的に公的保険の枠組みの中で大体の部分が行われている。その中で、すべての国民の皆さんがいつでもどこでもだれでも安心して医療にかかれる、そういう基本のところは維持をされている。

 そういう大前提のもとで、ただ幾つかの問題がある、そういう部分をどうやって解消していくか、そういう考え方に立っておられる、そのように見受けられるんですが、そのような認識でよろしいでしょうか。

川崎国務大臣 最初に、年金問題の御定義がございました。二年前の年金法の改正で、安定した年金システムをつくり得たと思っております。

 課題として残っておりますのは、国民年金の徴収率の問題、すなわち、社会保険庁改革を含めた保険料徴収システムを再構築していくという問題でありまして、このことについては法案として提出をさせていただきました。

 もう一つの課題でありました共済年金と厚生年金の一元化問題、この問題につきましても議論が進んできておりまして、前もたしか御質問いただいたと思いますけれども、四月末には被用者年金の一元化の基本的な与党のスタンスというものを決めてお示しさせていただくことができるような状況になってきたと考えております。そういった意味では、年金全体像としてはかなり進んできたなという認識をいたしております。

 一方で医療の問題でございますけれども、水曜日の御審議の中でも随分出てきたわけですけれども、今の日本の医療の現状をどう考えるか、与党の委員の方々から御質問をいただいて、海外からも随分厚生労働省に研修に参られます。また、WHO等の評価等を考えたときに、我が国の医療制度全体は、国内で議論されているよりも海外からは高い評価をいただいているんだろう、こう思っております。

 しかし一方で、御論議いただいております産科の問題、急性期医療問題、小児科問題等々、各種の問題をまず第一に抱えております。医師全体の偏在問題も抱えております。

 また一方で、私ども団塊の世代がもうすぐ六十、そしてあと十数年たちますと、後期高齢者という形になる。給付が大変大きな金額になってまいるだろうと。一方で、それを支えていただく若者、すなわち負担をする側が極めて少なくなってくる。年金の場合はストックというものがありますけれども、医療というものはストックがない、毎年毎年の精算をしていかなければならない。そういった意味では、人口構造の変化に耐えられるようにどうこれから変えていくか。しかしながら、間際になって変えたのでは間に合わないから、そろそろカーブを切らせていただきたい、こういう御答弁を何回か申し上げてまいりました。

 そういった意味では、まず第一に、全体的には、我が国の医療制度は高い評価はいただいていることは事実だろうと。しかし、個々の問題についていろいろな問題があって、今回の医療制度改革案を出させていただいた、こういう認識でございます。

古川(元)委員 ここはやはり我々と根本的に現状認識の違いがあるんですよね、これを議論するのに。私は、今の日本の医療制度を考えてみますと、何か崩壊直前のソ連みたいな感じがするんですね。

 医療制度というのは公的保険、いわば計画経済みたいなものですよね、診療報酬という公定価格で、その中で供給される。本来であれば、すべての人、欲しい人にはちゃんとサービスが提供されるはずなんですが、ソ連が崩壊したときを考えれば、もう末期のころにはデパートに行っても品物がない。本来であれば供給されるはずのものが供給されない。結果、ソ連が崩壊してどうなったか。今度は極端な貧富の差がついて、まさに一方で、ニューリッチのような人たちが一部に出ましたけれども、大多数の人は非常に、前のソ連時代よりも貧しくなってしまうような、そういう状況が起きた。

 今の医療の状況を見ていると、国民皆保険だ、フリーアクセスだ、どこへ行ってもちゃんと安心して医療を受けられますよといいながら、病院に行ってみたら、いや、もううちは小児科やめました、産婦人科いません、これは崩壊直前の社会主義国と同じような状況じゃないんですかね。

 幾ら理屈で、国民皆保険です、フリーアクセスです、いつでもどこでもだれでも、ちゃんと安心して医療が受けられますといっても、先ほど、諸外国から、外から高い評価を受けていますというふうに言われましたが、これは国民から見て、国民にとって日本の医療制度は、別に外国から評価されるためにつくられているわけじゃないはずであります、国民のためにつくられている、その国民が今や行き場所を失うような、安心して病院にかかれないような、そういう状況が起きてしまっている。これは私は、先ほど来から我々が常に申し上げているように、日本の医療は崩壊の危機にあると。

 ですから、本来ここで議論をされるべきことは、そうした崩壊の危機をどうやってその崩壊をさせないように、そしてもう一度、国民皆保険、フリーアクセスというのであれば、ちゃんとそれが担保されるためにどうしたらいいか。そのことが担保される、そういう案でなければ、私は正直言って、議論をする価値がないんじゃないかと思うくらいでありますが、まずやはりそういう根本的な現状認識、そういう危機感が大臣初め政府の方にないようでは、これは問題は解決をしないということをまず申し上げて、具体的な話に入っていきたいと思っております。

 その中で、常に言われております国民皆保険ということでございますけれども、国民皆保険と並んで我々よく耳にするのが、国民皆年金です。

 国民皆年金のときの議論、私ども民主党が国民皆年金と言う場合には、これは最低保障年金という制度を提示して、すべての高齢者の皆様方が最低限の年金は保障される、それが国民皆年金だというふうに認識をしております。そのときの議論の中で、政府の方は、政府が言う国民皆年金とは、すべての高齢者に年金を保障することではなくて、すべての国民の皆さん方は年金制度に加入できますよという機会を保障しているという意味で国民皆年金だ、そういうふうに言われました。

 そこで、ぜひここでも確認をしていきたいと思うんです。

 多分、国民の皆さんは年金のときも、国民皆年金というのはみんなが年金をもらえるというふうに思っていたと思うんですが、実際に政府で考えているのは、みんなに年金に入る機会を与える、機会があるのに払わなかった人がもらえないのは、それは国民皆年金に反しないという話です。

 では、この国民皆保険も、国民であればみんな健康保険に加入できますよ、そういう機会の提供を保障しているのか、それとも、すべての国民に医療保険サービスがきちんと提供される、そのサービスの提供を保障しているのか、どちらの意味で使っておられるのか、確認させてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の医療保険制度におきましては、被用者保険の加入者でない方につきましては、生活保護適用者を別として、国民健康保険に加入することとされておりまして、こうした形で国民皆保険制度が成り立っているところでございます。

 この場合、国民皆保険制度につきましては、国民に対する加入機会を提供すること、これに加えまして、医療保険制度の仕組みを通じて、国民に対して、必要かつ適切な医療を確保するということを目的とするものであると考えてございます。

古川(元)委員 今の話を聞くと、では、保障しているのは機会の方ですか。それでよろしいですか。

水田政府参考人 ただいま申し上げましたように、医療保険の仕組みを通じて、国民に対して、必要かつ適切な医療を確保すること、これを目的とするものであると申し上げました。

古川(元)委員 要するに、保障しているとは言えないというわけですよね。言えるのであればそう言えるはずですから、それを言わないということは、先ほど機会を保障している、まあそこは先ほど言われましたから。

 そういう意味では、これは実は国民皆保険も国民皆年金と同じで、国民はみんなちゃんとカバーされていると思っているんだけれども、実は政府からしたら機会を提供している、その機会を使う、使わない、ある意味でそこは自己責任、そういう考え方なのかなというふうに思うわけなんですね。

 まずそこのところ、では、そういう状況で今後の日本社会は大丈夫なのかということがありますけれども、実際に、国民皆保険、特に一番問題のある国保の話に移っていきたいと思います。

 国保の収納率がどんどんと低下してきている。皆さんのところに資料をお配りさせていただいておりますけれども、市町村国保の都道府県別収納率の推移を見ていくと、だんだんと低下して、とうとう収納率が九〇%、一割近い人は未納の状況。年金が四割ですから、それに比べればまだまだ未納率は低いじゃないかというふうに思われるかもしれませんが、十人に一人が払っていないという状況なんですね。特に都市部で深刻だというのが二番目のこの日経新聞の記事でもありますけれども。

 こういう状況に対して、先ほど大臣は、国民年金の問題は、制度に問題があるんじゃなくて徴収体制に問題がある、徴収体制を整備すればそれで問題は片づくんだという御答弁をされましたが、国保もそういう考えですか。とにかく、徴収を厳しくすれば、取り立てればそれで問題は解決する、そういう認識ですか。

水田政府参考人 委員御指摘のとおり、国民健康保険制度についてでございますけれども、加入者の高齢化の進行、それから失業者あるいは低所得者の増加によりまして、財政基盤が脆弱、不安定である、こういった問題を抱えているところでございます。

 これにつきましては、今回の法案におきまして、例えば、高額医療費の共同事業について、それを平成二十一年まで延長させる、あるいは新たに共同安定化事業を起こすということによりまして、安定化措置を講じているところでございます。あわせて収納対策につきましても、新しい仕組みを導入することによりまして、今後、対応ができていくものと考えてございます。

古川(元)委員 大臣、国保の問題は実は国民年金と全く同じ構造的な問題を抱えているんですね。三枚目の資料を見てください。国保の世帯主の職業別世帯数構成割合の年次推移を見ていきますと、昭和五十八年ころは、半分近い人がいわゆる自営業の人で、無職の人というのは二割にも満たなかったんですが、平成十五年では、自営業の人は二割ちょっとになって、無職の人が半分を超えている。

 実は、国民年金も、もともとは自営業者の年金としてできたんですが、今や一番多いのが無職の人です。国保も、もともとは自営業者向けにできた医療保険が、今や無職の人が中心になっている。

 こういう構造的な問題をそのままに置いておいたら、幾ら財政的に手をつけても根本的に問題は解決しないんじゃないか。我々は、十年ぐらい先をめどにして、そして医療保険を、大体百万人ぐらいが単位の健康生活圏、そういう中で保険者を一元化する。年金においても、職業にかかわらずだれもが共通に入る、そういう新しい年金制度をつくりましょうということを提案しましたが、医療保険についても、職業にかかわらずすべての人が共通して入る、そういう一元化された健康保険というものをつくる、そのことが根本的な構造問題を解消する。

 それがない限りは、今後ともどんどん無職とかがふえていって、結局、お金をどんどんほかでつけないと成り立たないと思いますが、いかがですか。

川崎国務大臣 確かに、私どもも、医療保険制度の一元化というのが将来的な大きな目標であると掲げておることは事実でございます。しかし、実態論としてはなかなか難しい問題がある。委員の御提案のような制度にしたら本当に収納率が上がるかどうか、ここについては正直言って疑問を持っております。サラリーマンと自営業者の保険料の徴収方式の違い、事業主負担をどうするか、また、特に一本化すると逆に保険者の機能を阻害するのではないか、こういった問題がそれぞれの保険者から問題提起されていることも事実であります。

 将来に向かって、さまざまな議論を聞きながら進めなければならないことは事実でございますけれども、果たして、百万単位にしたら収納率はしっかり上がるんだということになるかどうか。これは、今、市町村でも国保の収納のために大変苦労されている、それが一本化をしたら収納率は上がるんだということには必ずしもつながらないんではないだろうか、こう思わざるを得ません。

古川(元)委員 我々を批判する前に、収納率がどんどん下がっている事実、これに何も手を打ってこない、そのことについての反省がないじゃないですか。

 それに、これは実は年金と同じなんです。所得把握の問題、自営業者とサラリーマンと違う、雇用主負担の問題。こういう問題はどこかでけりをつけないと、これは予算委員会でも大臣に聞きましたけれども、多くの社会保障の負担や給付が所得をベースにして決められているんです。その所得把握が不十分だ、職業によってばらばらだ、それは政府・与党が言っているわけですよね。そういう状況の中で一体どうして社会保障の効率化や重点化ができるんですか。

 きちんと所得を把握する、公平な所得把握の状況を実現していく、そのことに手をつけない限り、年金の問題も医療の問題も、そしてほかの社会保障の、生活保護とかそういう問題も含めてですよ、これは何も解決しないんじゃないですか。いつまでも呪文のように、自営業者と雇用者の間には所得把握の問題があり、あと雇用主負担の問題がありと。これを何年繰り返しているのか。

 一元化の話も、先ほど大臣は、非常に中途半端な共済年金と厚生年金という被用者年金だけの、昔はこれは一元化じゃなくて統合という言葉を使っていたんです。いつの間にかこれを一元化という言葉とすりかえて、何か我々の一元化と横並びのように言われておりますが、この共済と厚生年金の統合はもう二十年も前に閣議決定して決められている話じゃないですか。

 それを今ごろ出してきて、何かあたかも大改革をやるかのような、そういう見せ方をする。そういう政府・与党が医療保険について一元化を目指していくんですと。一体いつになるのか。その前に、本当に目の前で、今の医療の現場、火が燃え盛っている、医療制度そのものが崩壊してしまいますよ。そうじゃないですか、大臣。

川崎国務大臣 年金といろいろまぜてお話しなさるから。まず年金問題については、与野党間で協議しましょう、そういう大きな構想があるならば、その中で皆さん方から、被用者年金の一元化ができるというなら出してくださいというお話があって、与党として急ぎましょうということで四月末になった、こういう段取りでございますから、民主党の側からも御提案があったことに沿いながら私どもはさせていただいた……(古川(元)委員「それは違いますよ、大臣。それは違うよ」と呼ぶ)いや、こちら側はまとめなさいと、四月末に出しなさいと、こういうことがあった、これは間違いないことでございますので、御理解を賜りたい。

 それから、今の国保の収納率の問題について、さまざまな努力をしていることは事実でございます。しかし、厳しい現状にあることも十分認識しながら、財政問題ではない、収納率をどうやって上げるかということについてこれからもできるだけ努力をしてまいりたい、こう申し上げております。

古川(元)委員 念のため申し上げておきますが、別に我々が共済年金と厚生年金の統合案を出してくれと言ったわけじゃありません。我々は一元化という新しい案を出している、それに対して新しい案、そちらも考えがあるなら出してくれと言ったら、二十年前に考えたのを同じに出してきたわけですよ。だから、そんなものをもって、我々が言ったわけじゃ全くありませんから、そこのところを大臣よく間違えないようにしてください。

 国民皆保険、国保の問題というのは、そういう意味では、私どもは、今回の法案によっても何ら根本的な問題は解決されていないというふうに考えていますけれども、これとも絡んでくるわけでありますが、医療の未収金の問題についてお伺いをしたいと思っています。

 これは、先日の朝日新聞に載ったものでありますけれども、資料の四枚目を見ていただきますと、治療代の未払いが急増している、これは公立病院でありますが、平均三千三百万、三年で一千万円増。そのふえている理由として回答しているのが、多くは低所得者の増加と医療費の自己負担引き上げが原因だというふうに答えているという話があります。

 五ページを見ていただきたいと思いますが、これは民間病院の四病協の方が治療費未払い問題検討委員会でまとめたものでありますけれども、民間病院においても、治療費の未払い問題を抱えている病院の数は九三・五%、一施設当たりの三年間の累計は約千六百二十万、加盟五千五百七十施設での推計は過去三年で約八百五十三億円、こういう状況なんですよね。

 未収金がふえ続けている、これはどういう状況だからこういうふうに起きていると考えていますか。どういう認識を持っていますか。

松谷政府参考人 未収金の状況でございますけれども、国民に良質で適切な医療を提供していくためには、医療機関の経営が健全で、かつ安定しているということが重要なのは言うまでもございません。治療費の未払いというものがふえますと、医療機関の健全な経営が困難となって、地域医療を維持できなくなるおそれもあるわけでございます。

 このため、患者さんにおいても、医療サービスが患者さんの自己負担と国民の連帯による保険料や税金で支えられているということを自覚していただくとともに、医療機関においても、未収金対策として支払いの督促など徴収の努力をしていただきたいと考えておりますし、そのような努力がされていると思います。

 先生御指摘のとおり、この間の経済状況のバックグラウンド、背景のもとに、一部負担金の増加があったこと、あるいは医療の高度化等によって医療の単価が増大したこと等、いろいろな背景があろうと思いますけれども、未収金が若干増大してきているということは事実だと思っております。

 なお、医療保険制度におきましても、高額療養費制度や低所得者への配慮等、無理のない患者負担となるような措置が講じられておりますし、今回の健康保険法の中でも同様な措置がとられているということでございます。

 また一方、命にかかわる重篤な患者さんに対しまして二十四時間三百六十五日救命医療を行っております救命救急センターにおきましては、努力したにもかかわらず治療費を回収できず、かつ収支が赤字であった場合に補助する制度を創設して、地域の救命医療を支援しているところでもございます。

古川(元)委員 要は、患者が意識を持って払ってほしい、病院も頑張れ、そういうことですか。

松谷政府参考人 基本的には、医療サービスというのは、患者さんの自己負担、それから国民の連帯によります保険料、そしてみんなで支えておる税金、これらで支えられているということでございますので、それぞれの立場で、自己負担についてはそれぞれ患者さんがお支払いをいただく、あるいは医療機関においても未収金としての徴収の努力をしていただきたい、こういうことでございます。

古川(元)委員 大体何でも頑張ってほしいと、後からも言いますが、都道府県は頑張ってほしい、そんな話ばかりなんですよね、頑張れ頑張れと言うだけで。大体もうこれだけ病院関係者だって、経営にも支障を来すというような話が出ているんですよね。

 この法案が通ったとして、この未収金の問題は、さっき幾つかの制度を用意していますと言うけれども、その制度だって、別に未収金を減らすためにやっているわけじゃないですからね。局長、この法案が通ったら未収金が具体的に減る、そういう何か方策が入っていますか、それに特化したようなというか、あるいは、これがあればこれぐらい減るだろうということを考えていますか、どうですか。

松谷政府参考人 今回の医療法等の改正案あるいは健保法の改正案の中に、今先生御指摘のような意味での直接的な手だてというのが入っているわけではございませんけれども、一方、例えば、すべての医療機関に対しまして未収金の補てん制度を設けるというようなことをもし考えるといたしますと、これは、すべての国民が保険料を払うことでもって支えられてきた医療保険制度の趣旨というものからいたしまして、保険料を支払わなくても医療サービスが受けられるというモラルハザードを助長するというような観点、あるいは道義上の観点から実は問題もございますので、まだここについては、どういう手だてがいいかということについて引き続き検討する必要があろうかと思っております。

古川(元)委員 だれも金で補てんしろなんて言っていませんよ。いいですか、局長。これがさっきの、まさに制度がもたなくなったら最後は金で補てんすればいいという、国保の、とにかくもう制度的に破綻しかかっているところに財政的に手を入れて何とかもたせようとしている、そういう発想があるから、何も私がお金で補てんしろなんて言っていないのに、そちらから出るわけですよ、そういう発想が。

 そもそも、この朝日新聞の記事の中で近藤先生という日本福祉大学の先生が言っていますけれども、これはやはり制度の問題なんじゃないですか、根本的に。制度の問題、そういう認識はないんですか、どうですか、局長。

松谷政府参考人 未収金の問題でございますけれども、お金を徴収するという場面におきましては、常に必ずそういう問題が生じるということは事実だろうと思います。これについては、払う方々の努力の問題、そして徴収する側の努力の問題ということがまず第一義的にあろうかと思っております。

古川(元)委員 では申し上げますが、医療機関は、治療を受けたいという患者が来たときに、いや、あんたはちょっと払ってくれなさそうだからといって断れますか、どうですか。

松谷政府参考人 その医療の個別の事例に即して考える必要がございますけれども、治療費が未払いであるということのみをもって直ちに診療を拒否するということは、医師法で定めてございます応招義務の違反となり得ると考えております。

古川(元)委員 ちょっと今、局長、場合によりますからと、では断れる場合はあるんですか。病院側や医者側が治療を拒否できる場合はあるのか、どういう場合があるんですか。

松谷政府参考人 個別の事例でございますので、極端なことを言いますと、たまたまお医者さんがいなかった場合とか、ある特別な専門のお医者さんがどうしてもいなかったというような場合には、要するにそういう合理的な理由がある場合には、応招義務違反にはならないということでございます。

古川(元)委員 では、居留守も使えますね。危なそうな人が来たら、いや、きょうはお医者さんがいませんと言って。

 未収金の問題を頑張れ頑張れと言いますけれども、病院側は、医療サービスを提供しなきゃいけないという義務を法律で課せられているんですよ。自由な契約関係だったら、こういう問題はどこでも起こるので、それはほかの問題でももちろん起こりますよ、貸し倒れ金というのはどんな事業でもあるわけですよね。しかし、病院というのは選択できないわけですよ、法律で義務づけられている。それなのに、病院は頑張ってくださいと。

 しかも、ここでも病院側も答えているように、自己負担の引き上げというのはやはりこういう未収金の大きな原因になっていると言われている。今回のでも自己負担の引き上げが高齢者中心にあるわけで、普通から考えたら、こういう問題がますます大きくなる危険性というのは当然考えておられると思うんですが、考えていなかったんですか。

水田政府参考人 今回の改革案におきまして患者の自己負担の増があるんじゃないかということでございますけれども、自己負担の増がありますのは、現役並み以上の所得がある高齢者の方々につきまして二割から三割に上げよう、それから七十歳から七十四歳の方について一割から二割に引き上げよう、こういうことでございまして、極めて限定的と申しますか、大宗は現役並み以上の所得のある方でございますので、この問題そのものについての影響は小さいんじゃないか、このように考えます。

古川(元)委員 では、要するに、この制度改革によって未収金の問題がより深刻化することはないという、基本的にそういう認識だということでよろしいですね。

水田政府参考人 ですから、現役並み以上の所得のある方について二割から三割への引き上げをお願いしているわけでありますし、見直し後におきましても、高額医療費につきましては自己負担限度額の措置をさまざま講じてございますので、大きな変更はないということを申し上げているわけでございます。

古川(元)委員 ちょっと別の側面からこの保険の問題、未収金絡みの問題で聞いてみたいと思います。

 資料の六枚目を見ていただきたいと思いますが、これは、先日エコノミストのコンファレンスというところで日本医師会の副会長の方が説明をされたときの資料なんですけれども、日本の医療保険制度というのは、要するに、医療機関は患者に対しては医療サービスを現物給付して、被保険者である患者の方は保険者に保険料を払い、保険組合、保険者の方が診療報酬として医療機関に支払う、そういう形になっています、そういう契約関係だというお話がありました。四病協の方も、認識は、本来は保険者が払ってくれるはずのものを自分たちがある種代行して、事務代行として窓口で徴収しているんだ、そういう認識を示されました。

 きのう厚労省の方に来ていただいてお話を伺いましたら、そういう認識は違っておりますというふうに言われました。それでよろしいですか。

水田政府参考人 健康保険法等におけるような一部負担金に関する規定ぶりについてでございますけれども、先ほどお示しになった三者の関係につきまして言いますと……(古川(元)委員「それ以前の問題。法律関係。それ以前の問題として、医療契約のどういう法律関係になっているんですかということを聞いているんです」と呼ぶ)はい。まさに一部負担金に関する規定ぶり、法律構成についてお答えしたいと思います。

 まず、保険医療機関から療養の給付を受ける方、患者さんでございますけれども、これは、一部負担金を当該保険医療機関に支払わなければならないとされております。その裏腹でございますけれども、保険医療機関は、当該一部負担金の支払いを受けるべきものとされてございます。一方、保険者は、療養の給付に要する費用の額から一部負担金に相当する額を控除した額を保険医療機関に支払うものとされております。

 したがいまして、まさに保険医療機関におきましてこの一部負担金を受領する責任がある、こういった規定がなされているわけでございます。

古川(元)委員 では、もうちょっとわかりやすく聞きます。

 では、医療契約、当然あるわけですよね。医療契約の相手方は、これは債権債務の関係ですよ、その医療サービス提供にかかった代金の法律上の債務を負うのは患者なんですかそれとも保険者なんですか。どちらなんですか、これは。

水田政府参考人 一部負担金について申し上げますと、この一部負担金を受領する責任は保険医療機関にあると考えてございます。

古川(元)委員 債務を負うのはだれですかと聞いているんです。

 ということは、では、七割部分は保険者が債務を負い、三割部分は患者が債務を負っている、そういう法律関係にある、裁判所で医療契約を認定してもらえば、政府としてはそういう主張をするということですか。

水田政府参考人 三割の一部負担金部分につきましては患者が保険医療機関に支払わなければならないということで、債務を負っているということでございます。七割は保険者が負っているということでございます。

古川(元)委員 では、保険者と患者との間、これは七ページを見ていただくと、一部負担金の仕組みとして保険局に持ってきていただいた資料で言うと、きのうの説明ですと、保険者と被保険者の間には何らこれは別に、例えば保険者が三割部分は連帯保証をするとかそういう関係でもなくて、保険者は被保険者の、患者の払わなかった一部負担金の部分を法律によって徴収することができる、徴収しなくてもいいんだけれども、どっちでもいい、徴収した場合には保険医療機関に払うと。だから、そういう意味では、この三割の部分については被保険者と保険者の間に何ら法律関係はない。

 医師会のつくられたので見れば、被保険者が保険組合に払う保険料というのはあくまで七割部分についての保険料を払っている、そういうことというふうに認識してよろしいんでしょうか。

水田政府参考人 三割の一部負担金につきましては、保険医療機関が被保険者から徴収いたしますので、これは保険者に対しては当然請求はできないわけでございます。

 先ほど委員がおっしゃいました強制徴収の権限を保険者が持っているという点でございますけれども、これは、健康保険法におきまして、保険医療機関が善良な管理者と同一の注意をもってその支払いを受けることに努めたにもかかわらずその支払いが行われないときには請求に基づき強制徴収ができるというふうにされておりますけれども、これは、一部負担金の受領責任は保険医療機関が負っているということを前提にして構成されている規定でございます。

古川(元)委員 私、きのうしっかり、ここの法律関係、確認をしてここで答弁してくれと言って、ちゃんと通告しましたよ。この三角関係の中の法律関係。今私が聞いたのに答えてくださいよ。

 保険組合と患者、保険者と被保険者の間の保険契約というのは保険者が支払う七割の部分についてのみカバーしている、そういう法律関係でないと、三割の部分は別に保険者が保険医療機関に払う義務はないというのは出てこないと思うんです。きのうの話だと、別に保険者は三割の部分を払う義務は何もない、そこの部分は患者が義務を負っていますと。それで患者に対して取り立てる取り立てない、そこの部分は、今言われた善管注意義務云々はありますけれども、ある一定条件を満たしたときに保険者が決められると。

 だから、そういう意味では、そこの三割の部分については、患者、被保険者と保険者の間には何らの契約関係はない、そういうことでよろしいんですかということです。きのうちゃんと言ってありますよ。

水田政府参考人 三割の部分につきましては、患者、被保険者と保険医療機関の間の関係でございまして、保険者は直接関係はございません。

古川(元)委員 ということは、もう一回確認させていただきますが、被保険者と保険者の保険契約というのはあくまで七割の部分、そこに限定されるということですね。

水田政府参考人 一部負担の三割を除きます七割につきましては、保険医療機関と保険者の間の債権債務関係であると思っております。

古川(元)委員 局長、私も法学部出身で、でも法律を離れて長いですけれども、局長はどこの学部の出身か知りませんが、しかし、私はきのう、そこの部分の法律関係のところを、医療契約、保険契約、一体どういう関係になっているのか、ちゃんとここで答弁してくださいよとお願いしたんですよ。

 では、この被保険者と保険者との関係で、何で国民は保険者に保険料を支払うとなっているんですか。これは何に基づいて払っているんですか。何にも契約もないのに払っているということになっているんですか。どうなんですか、これは。

水田政府参考人 これは当然、健康保険法に基づきまして、被保険者が保険料を保険者たる保険組合等に払うということでございます。

古川(元)委員 法律に基づく契約じゃないんですか、これ。契約関係はないの。どうなんですか。

水田政府参考人 これは公法上の契約であろうかと思っています。

古川(元)委員 では、契約があるんだったら、その契約の範囲というのは、先ほどから聞いておりますけれども、要するに七割部分について保険者は保険医療機関に払う義務がある、そういう契約ということですか。

水田政府参考人 そのとおりでございます。

古川(元)委員 そうなると、三割については、医療機関と患者とが、ある意味で直接、そこの部分については患者が支払い義務を医療機関に対して負っているということでよろしいんですね。

水田政府参考人 それもそのとおりでございます。

古川(元)委員 これは、医師会初め多分病院関係者の人たちと全く認識が異なる話になってくるんじゃないかと思いますが。

 要は、確認になりますけれども、そういうことであれば、最終的に回収できなかった未収金の損害をこうむるのは医療機関ということになるわけですよね。いいですね、ここは確認ですが。

水田政府参考人 まさに一部負担金の受領責任は保険医療機関にございますので、未収金につきましても、最終的には当該保険医療機関で負うべきものだと考えます。

 ただ、ここで、委員先ほど御指摘のような強制徴収、保険医療機関にかわる強制徴収権限という措置が昭和五十五年改正で導入されたということはございます。

古川(元)委員 でも、実際にはほとんどこれは使われていないわけじゃないですか、これだけ未収金がふえているんですから。

 さっきの話に戻っていくんですけれども、医療機関の方は医療契約を拒絶できないわけですよね、義務を負わされていて。患者が払えなかった、あるいは払ってくれなかった、その分についてのリスクも負えと。これは、私が病院経営者だったら、採算のとれないような診療科はまず閉鎖しますね。そういうのが閉鎖できない、むしろ、地域の人たちのニーズがある公立病院なんかにそういう人たちがますます駆け込むことになりますね。そうすると、公立病院の小児科や産科は大変な状況になって、残業ばかりで過労死しちゃうとか、それで医者がやめていってしまう。

 実はこの問題というのは、ただ単に病院の経営だけじゃなくて、医療全体の崩壊にもつながりかねないような大事な問題だと私は思うんですよ。それでも、さっきからのお話のように、これは病院が頑張ってやってもらうこと、あとは患者の自覚、制度の問題ではない、そういう認識でいいんですか。

松谷政府参考人 基本的には医療機関において収入をきちんと上げていただく、そしてかかった患者さんがきちんと支払っていただく、こういうことを前提として制度が仕組まれているということでございます。

 先生御指摘のとおり、応招義務が医療側にございまして、その点、いわゆる平等な関係でないのにこういう形になっているということについての御指摘でございますが、これは医療というものが、支払い能力によって差をつけるものではなくて、医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるべきものであるという契約関係以前の、医療の本来の姿からよってきているところでございまして、そこの調整について確かにおっしゃるようなそごがあるということだと思います。

古川(元)委員 今のお話を聞くと、病院関係者とかはどういうふうに思いますかね。

 だから、もうこれは自己防衛しなきゃいけないと思うから、次の入院時の保証金についてちょっとお伺いしたいと思いますけれども、多くの民間病院がだんだんこういう入院保証金を取るようになってきているんですね。

 八枚目の資料を見てください。入院するのに十万円とかいろいろ金額がありますけれども、まずこの保証金を払わないと基本的には入院を認めません、入院をお断りする、そういう病院がふえてきているんですよね。さすがに公的病院は少ないですが、五百九十二施設。入院保証金の実態調査を見てみますと、私的病院では、預かっているのが四分の一、検討中のところもあると。どう考えてもこれは、今の局長の話を聞いたら、私が病院経営者だったら、もうあしたから入院保証金を取ろうかなというふうに思うと思うんですね。

 入院保証金が取れない人は、申しわけありませんが、うちの病院は入院保証金の払えない人は入院を受け付けるわけにはいきません、ほかのところに行ってください、これは事実上のフリーアクセスの制約になるんじゃないですか、どうですか。

松谷政府参考人 入院保証金につきましては、保険診療の中ではなく、それとは別のものとしてその取り扱いを明確にしたところでございます。入院保証金の支払いの有無をもって診療の拒否事由となるものではないという認識でございます。

古川(元)委員 でも実際にそういうことを言われたときに、では今の局長の話は、これは国民に向かって言ってくださいよ、入院保証金を言われても断って結構です、断って、いや、それでは申しわけないがと言われる、それだったら文句を言って結構です、あなたにはその病院で入院する権利があります、別に保証金を払わなくても結構です、それは約束されています、そう言っていいんですか、局長。

松谷政府参考人 今申し上げたように、入院保証金の支払いの有無をもって診療の拒否事由となるものではございませんが、これを求めるに際しましては、患者さんへの十分な情報提供と同意の確認、金額や精算方法などの明示など適正な手続を医療機関に求めているところでございます。

 先生御指摘の、究極的にどうかということでございますれば、もちろん、こういうことを十分情報提供して同意をしていただいた上で、入院保証金のような形ですることが最も円滑な形だとは思いますけれども、どうしてもそれが法律上の責務か、あるいはそれをしなければ診療の拒否につながるのかということになれば、そういうことではないということでございます。

古川(元)委員 それなら、ちゃんとその説明の中で、この入院保証金は必ずしも義務的に患者の方が払う必要があるものでありません、払えなくてもそれは強制されるものではありません、それくらいちゃんと説明するように、それは指示していますか、どうですか。

水田政府参考人 保険医療機関が患者を入院させる場合には、そういった患者に預かり金を求めるということもあると承知してございますけれども、そのような場合には、患者側に十分な情報提供を行った上で同意を得ること、あるいは、預かり金の内容、金額、精算方法等を明示することなど、適正な手続を確保するべき、このような指導を行ってございます。

古川(元)委員 その十分な説明の中に、断ってもいいんですよ、断れますよ、これは義務じゃないんですよ、ちゃんとそれも入っていますか、どうですか。

松谷政府参考人 保険局医療課長からと歯科医療管理官から出されている通知の中で、そこまで明示的にはされてございませんけれども、今先生御指摘のように、十分な説明の中にはそういうことも当然入るということだと思います。

古川(元)委員 これはきちんと指示しないと、病院と患者の立場というのは対等な関係じゃないんですよ。もちろん病院側は、先ほどの話から見たら、とにかく受け入れた場合のリスクは全部病院で背負わなきゃいけない。しかし患者の側からすると、病院から、今病気のときに、あなた、この入院保証金払ってくださいね。拒否できますか。いや、払わなくても別にいいんですよ、払えるなら払ってください、それくらい丁寧に言ってあげなきゃ。局長だってもし患者だったら、払ってくださいと言われたときに、本当は大変で今お金がないんだけれども、でももしこれで払えませんと言って、いや、それだったら申しわけない、ほかの病院へ行ってくださいと言われたら、それは困るから何とかしよう、そういうふうになっちゃうんじゃないですか。

 あるいは、それで払えなかったら、おれは払わぬと言って、そこでわざわざ病院に嫌われても、でも治療しろというふうに言えるか。ほとんどの患者さんは、そこで、払えないな、自分で用意できないなと思ったら別の病院に行くんじゃないですか。それが普通だと思いますけれども、どうですか、大臣、この議論を聞いていて。

川崎国務大臣 今局長が答弁したように、患者さんが入るときにそれを求められて、払わなければならないという義務はない。しかし、一方で、診療をお受けになった後には必ずお支払いにならなければならない、これは当然のことでございます。そして、請求も病院側はしていかなきゃならない。そこはやはりお互いがよく理解するようにお話しいただくことが大事だろう。支払いはいつかはしていただかなければならないことは事実なんですから……(発言する者あり)事前は断っても構わないと申し上げているわけです。必ずお支払いはしてもらわなきゃならない。

古川(元)委員 いや、それは大臣そのとおりなんですが、事前に言われたら、やはりそれは、事実上患者に対してプレッシャーをかけることになるでしょう。事実上、これはフリーアクセスを制約する、そういうことにつながっているんじゃないですか。どうですか、大臣。そう思いませんか。

川崎国務大臣 ですから、先ほどのように、診療側はしっかりその辺を説明してくださいと。今どうしても持ち合わせがない、後で家族が来るからというようにお話しいただいて、ただし、診療の支払いは、診療が終わった時点ではお支払いいただかなければならないということもよく御理解をいただかなければならない、こう思います。

古川(元)委員 時間が来ましたから終わりますが、ぜひ大臣、これはそう言うんだったら、きちんと、そういう誤解が患者に生まれないように、そういう指示、通達を出すように、それを事務方に指示してください。そのことを最後にお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから五十分間、質問をさせていただきます。

 いよいよ医療制度改革の審議が始まりましたが、まさにこれは国民の命のかかった法案であります。私たち民主党は、今の医療の現状に対して、まさにことし、医療崩壊元年になるのではないかという強い危機感を持っております。

 先ほど古川議員からも話がありました。現状認識が政府・与党と民主党とで大きく違うんではないか。そしてまた、菊田議員からも、新潟での水原郷病院を初めとする本当に切実な現状について話がありました。

 昨年十一月、ここにいらっしゃる岸田委員長とも一緒に、超党派でイギリスの医療の視察に行きました。イギリスではサッチャー政権のもと、医療費抑制政策を十年以上進めたことによって、医師が少なくなり、きょうの午前中の自民党の木原議員の質問にもありましたが、手術の待機が何カ月あるいは何年にもなり、海外に手術に行く人も出てきたり、そういう荒廃した医療を立て直すために、ブレア首相が五年間に一・五倍医療費をふやす、そういうことをやってもまだ、一度荒廃してしまった医療を立て直すのは非常に難しいという厳しい現状でありました。

 また、アメリカのクリントン元大統領は、医療保険制度、アメリカでは三割の方が公的な医療保険に入られておりませんけれども、それをつくることが必要だということを最優先課題として取り上げている。公的な医療の給付のパーセンテージが一番低いアメリカで、国民医療費は一番高くなっている。こういう世界の流れと逆行しているのが今回の政府案であります。私たち民主党は、このような医療費抑制、そして都道府県に解決策を任せるという政府案に非常に危機感を感じております。

 そこで、今の日本の医療が抱える問題が集中的にあらわれていると思われる小児救急医療について、主に質問をさせていただきたいと思いますし、また、先ほど古川議員からも話がありました、福島での産婦人科医師の方の逮捕ということにも触れさせていただきたいと思っております。

 きょうの菊田議員から我が党への質問の中で、我が党の小児医療緊急推進法案について質疑をさせていただきました。

 改めて説明をすると、小児救急医療のシステム化、地域小児科センターにまとめていって、そこに行けば安心だという拠点をつくる。それと、医療機関の連携体制の推進。また、簡単なことでは病院に行かなくても家で対応できるようにという、保護者の不安を解消する救急相談体制、これも柚木議員から答弁がありました。また、こういう不採算な小児科の診療報酬の引き上げや、また一般財源からの補助金の投入。そして、五番目には、小児科勤務医の勤務条件の抜本的な改善が必要だと思っております。このことに関しては、私も先日の本会議の答弁で、過労によって残念ながら自殺をされました中原利郎医師の話もさせていただきました。

 このような日本の医療の現状を象徴する危機的な状況にある小児救急、その中のまさに大きなネックとなっている労働条件の実態について、少し丁寧に議論をしていきたいと思います。

 先ほどの菊田議員の資料にもございましたが、水原郷病院がピンチになっている、それも過重な勤務状況が背景と書かれております。「ある医師は「使命感に訴えて頑張っても限界が来ている。このままでは医療事故も起こりかねない、という声も挙がっている」と大量退職の背景を明かす。」とここにも書かれております。過重な労働が退職につながり、また医療事故にもつながってくる、そういう意味では、この小児科の勤務医の過重な労働状況というのは、勤務医のためだけではなくて、患者さんにとっても非常に危機的な状況であるということであります。

 まず、A3の私の資料の一ページにございますが、二十代の小児科勤務医の平均の一カ月の時間外の労働時間は百時間を超えております。この時間外の月百時間の労働以外に、勤務時間にカウントされていない宿直の時間がまた大体平均五、六日分あるわけであります。そんな状況で、体力や健康の不安を訴える、翌日業務への影響の不安、医療事故への不安、そういうものがふえておりまして、限界、大変疲れるという回答をしている方が百九人中七十八人、七二%にも及んでいるわけであります。

 また、これについては三ページ目に、小児救急医療拠点病院実態調査、二十七病院の結果、これは二月二十四日の私のお願いに対しまして、厚生労働省がわざわざ一カ月以上かけて調査をしてくださった結果が出てまいりました。

 しかし、あの審議のときにも申し上げましたが、一般の小児救急をやっている中小の病院よりもはるかに恵まれたこの拠点病院二十七病院、平均よりもはるかにいい条件ということで申し上げますと、これを見てみますと、三番目、四番目を見ますと、夜間、深夜で、八人、五人、大体十三人ぐらいを診ている。また、十項目めでは、二十四時間以上の連続勤務の回数、二、三回。多い病院では十回も二十四時間以上の勤務をやっている。そして、二十四時間以上の勤務の場合は、一回当たり大体二十九時間働いている。

 それともう一つ、十四にありますように、重要なのは、医師の宿直時の診療従事時間を把握している病院の割合が二病院しかないということであります。そして、夜勤で対応しているのは、次のページにありますように、六病院しかありません。四ページでございます。宿直で対応しているのが十病院であります。

 そして、次の五ページ目を見ますと、(五)にありますように、十人以上の小児科医師数が確保されると、一カ月平均の当直、夜勤回数がかなり減ってくるというようなデータも出てきております。

 こういう、平均百時間以上を二十代の医師の方は時間外で過ごしている。

 四月一日から労働安全衛生法の改正法が施行をされました。このことについて、まず御質問したいと思います。

 労安衛法の改正によって、事業者が果たすべき社会的責任として、労働時間に着目した健康確保対策が創設された、まさに川崎大臣は労働大臣でもありますから、この労安衛法の元締めであると思います。そして、その労安衛法では、百時間を超えるような時間外を一カ月にやると、脳と心臓疾患の発症の関連性が高いということで、過労死認定基準も月時間外八十時間以上、そういう意味では、過労死危険ラインということになっているわけであります。

 そこで、まず最初にお伺いをいたします。

 このような小児救急の現場においては、時間外月百時間以上を超えているお医者さんというのが非常に多いわけであります。このことに関しては、このような状況に置くということでは、病院の使用者は安全配慮義務違反に問われることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 長時間の労働が民事上の安全配慮義務に反するか否かは個別の事案ごとに判断されるべきものと考えておりますけれども、労働安全衛生法上においては、職場における労働者の安全と健康の確保は事業者の責務と明記されており、過重な労働により労働者の健康が損なわれることのないよう適切な措置を講じることは、事業者の責務であると認識いたしております。

山井委員 事業者の責務ということは、これを放置するということはその責務を果たしていないということになるわけですね。

 そこで、問題になりますのは、繰り返しになりますが、医師の方にとってこれは大変な問題であると同時に、それでお子さんにとって十分な医療が提供できるのか、あるいは医療事故のリスクが上がるのではないか。

 実は私も、小児救急の外来、二晩徹夜でおつき合いをさせていただきました。これは本当に大変な状況でありまして、晩もなかなか仮眠がとれないという状況があるわけです。特に、十二月、一月のインフルエンザの時期というのは本当に大変な状況であります。

 医事新報の平成十八年一月七日号に、「医師の長時間労働は医療安全に有害ではないのか」、そういう論文がございまして、そこにダーソン博士の論文が出ておりますが、こう書いてあるんですね。睡眠不足と業務に関する影響を検討してみると、二十四時間睡眠をとらない際の作業効率は、「運転免許停止処分に該当する血中アルコール濃度に相当する」と。つまり、それぐらい作業効率というか、非常に危険な状態、車の運転はもうできない状態だというふうにこの論文では出ているわけなんですね。

 そこで、お伺いします。このような月百時間を超えるような条件において治療をするということは、そこで医療の質は保たれるのか、医療ミスがふえるリスクはないのか、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 まず、医師の健康の問題でございますけれども、現在の科学的知見では、脳、心臓疾患は、一日の睡眠時間が五時間以下になると発症する危険性が高まるとされております。月百時間以上の時間外労働を行うと、すなわち一日の睡眠時間は五時間以下になる可能性が高い。したがって、脳、心臓疾患の発生する可能性が高まると考えます。

 一方で、長時間の労働が診療の質に与える影響について、これは、個別の事案についてはその事象に合わせながら判断しなければなりませんけれども、一般論としては、長時間に及ぶ過重な労働については、診療の質を保つ観点から好ましくないものと認識いたしております。

 時間外労働が月百時間を超えた場合に医療事故の発生頻度が高くなるか。これはなかなか科学的知見がありませんので、どうなるかということは申し上げられませんけれども、今総合的に申し上げたように、余り好ましくないことであることは、同じように考えております。

山井委員 まさに好ましくない、そういう意味では、これは小児救急に限らず日本全国の救急病院が同様の状況に、まさに労働事象の責任者である労働大臣が好ましくないと言われている状況にあるわけですね。だから今、崩壊しかかっているわけなんです。

 それで、労安衛法の審議の際に、厚生労働省は次のように答弁しているわけですね。疲労を感じなくて申し出がなくても、必要な面接指導を行うように指導をしていきたいというふうに答弁をされていて、努力義務規定となっているわけであります。

 患者にしても、必死になってその病院に行った、ところが、出てきたお医者さんもまさに睡眠不足でふらふらであったと。私も行ったことのある病院では、夜間に救急の患者さんが来た、そうしたら、三十分ぐらい仮眠したお医者さんが、患者さんが来られましたよといって起こされるわけなんですね。それが何度も晩にあるわけです。

 こういう状況で、翌日の勤務も前日の勤務もしているというのは、非常に患者さんにとっても苦しいと思うんですが、こうした医師の異常な労働時間を許容している事業者である病院については、きちんと労働安全衛生法上の指導をすべきだと考えます。四月一日からこの改正法が施行されたわけですから、川崎大臣、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 個々の一つ一つの案件を調べながら、そのような対応をその職にある者が行うことになります。

山井委員 当然、これは指導をする対象になるわけですよね。

 そこで、このような指導をするときに、要は面接指導の対象にその労働者、ここで言うと病院の医師がなるかどうかを判断するに当たっては、事業者が労働時間を当然把握していないと面接指導が必要かどうかということも判断できないわけですから、ついては、病院はそこで働いている医師の労働時間を把握している、あるいは把握せねばならないと考えますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 まず、面接指導でございますけれども、病院、診療所等は、その所属する医師の時間外労働が月百時間を超える場合には、本人の申し出があれば医師による面接指導等を行わなければならない、この点については、本年三月、関係団体へ周知をいたしました。

 当然、医療機関においても、働く医師の労働時間について適正に把握する必要があると考えております。

山井委員 当然、労働時間は適正に把握する必要があるという答弁をいただきました。

 次に、労働基準法関係に関連してお聞きしたいと思います。

 救急医療現場において、夜間、いわゆる宿直で勤務をされているケースも多いわけです。今回の二十七病院の実態調査におきましても、夜勤できっちりとやっているのは、二十七病院中六病院だけなわけですね、四ページにありますように。

 そこで、確認をしたいと思います。

 労働基準局長からの通達によりますと、宿日直勤務というのは、病室の定時巡回、少数の要注意患者の定時検脈など、軽度または短時間の業務のみが行われている場合であって、医療機関では診療行為を行わない休日及び夜間勤務についてのことである、それを宿日直勤務として扱う、こう書かれているわけですね。要は、病室の定時巡回とか、ごく軽度、短時間の業務についてであります。

 しかし、この小児救急の実態を見てみると、五ページを見ていただいたらわかりますように、労働条件がましと言われている二十七の小児救急の拠点病院ですら、十五人とか二十人ぐらいは平均は診ているわけなんですね。これを宿直で診ているケースもあるわけです。ということは、明らかに今の労働基準局長の通達と違っていると思うんです。

 そこで、宿直という勤務でありながら、これだけ、十五人、二十人の実際の医療行為を行っている、こういう場合は労働基準法違反になるのか。あるいは、違反にならないためには、どういう条件があれば違反になりませんか。

川崎国務大臣 まず、医師の宿日直の許可基準、通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること、夜間に従事する業務は、特殊の措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限ること、夜間に十分睡眠がとり得ることとなっております。

 一方で、宿日直の許可を受けていた場合においては、夜間に昼間と同様の仕事を行ったときは、この許可基準に反することになります。

 一方で、今、例外はあるのかというお話でございます。時間外労働に関する協定、三六協定を締結し、割り増し賃金が支払われていれば、直ちに労働基準法違反となるとは言えないものであります。

山井委員 今の答弁にありましたように、宿直では、それこそ、十分睡眠がとれて、昼間の診療と同じような診療をやってはならないとなっているわけですね。そうでないと違反になる。しかし、例外が三六協定を結んで割り増し賃金を払っているということです。

 それでは、お聞きします。二十七拠点病院のうち、三六協定を結んでいる病院はどこでしょうか。

川崎国務大臣 労働基準法第百五条は、労働基準監督官に守秘義務を課しております。事業場から知り得た情報については公表しないという前提に立って、三六協定届等各種届を義務づけております。したがって、知り得た情報を今この場で開示するということは、御容赦賜りたいと思います。

山井委員 ほかの聞き方をします。二十七のうち、幾つ三六協定を結んでいるか。あるいは、もっとストレートに聞きます。すべて労働基準法に合致しているんですか。そのことだったら答えられるでしょう。

川崎国務大臣 一つ一つどうだというお答えは、今申し上げたようにお許しを賜りたいと思います。やっている数、やっていない数、逆算になりますからね。やっている数幾つといえば、やらない数幾つになりますので、その数の公表については御理解を賜りたいと思います。

山井委員 それは全部結んでいるんじゃないんですか。労働基準法に全部合致しているということでいいですか。そこはちょっと明確に答弁してくださいよ。

川崎国務大臣 これは正直、一つ一つの事業場に入って、そして労働基準監督署の人間が調査をし、そして認定をしていかなければなりませんから、そこまでの調査資料ではありませんから。今、これが三六協定をきちっと組んで、もとに行われたか、一方で、百時間以上の労働の実態があったとか、宿日直の実態があったとか、これは個々の事案をこれから個別に労働基準監督署がチェックした上でないと、なかなか事実関係を申し上げられない。

山井委員 いや、ここが重要なところなんですが、要は、労基法違反になっているかどうかもチェックしないとわからないということなんですよね。

 私は、何もこの二十七拠点病院をやり玉に上げて批判しているわけじゃないんです。これは最初にも申し上げましたように、中小の救急をやっている病院よりはるかにいい病院なんですよ、この二十七、国からの補助金が出ている拠点病院ですから。それですら、こういう平均八十時間、百時間を上回っているという状況があるわけなんです。

 まさにこれは、チェックしないとわからない。繰り返しになりますが、私はこの二十七が悪いから調査しろと言っているんじゃないんです。やはり、先ほどの水原郷病院においても、あるいは産婦人科の問題においても、すべての医療の問題で、この勤務条件の過酷さが医療現場を崩壊させているという問題になっているんですから。

 大臣、この二十七病院が本当に労働基準法に合致しているかどうか、やはりこれは調べてみるべきじゃないでしょうか。そうしないと、労働大臣である川崎大臣もわからないと言ってしまったら、まさに日本じゅうだれもわからないわけであって、では、だれが救急をやっているお医者さんの労働条件を守るのか。現場の方々は、本当にもう燃え尽きてしまったといってやめられる方が多くて、御存じのように開業医ブームが起こっているわけなんですね。

 そこで、もし労働基準法はちゃんと守られているんだということを言うのであれば、やはり一度調査をして、ちゃんと守られていますということを公表すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 今、知り得た情報を公表することは御勘弁願いたいと申し上げました。

 これは、基本的には事業場と労働基準監督署の信頼関係の中でやっていく、そして、基本的使命である監督指導等を通じて法違反の是正を図り、労働者の労働条件の確保を図っていくことが任務でございますから、そうした趣旨に沿いながら順々にやらせていただくということでございます。

山井委員 私がこだわりますのは、ここが今の医療崩壊の根幹の問題なんですよ、ここをきっちりしないと。若いお医者さんたちがなぜ産科や小児科を今敬遠しているかというのは、労働条件が悪い、それを、ふらふらになって、夜間でも子供や妊婦の方を診ねばならない。それで、もしちょっとでもミスがあったら、訴訟になったり、先ほどの話もあったように、逮捕されたりもしかねない。国が守ってくれないんだったら、もうやっていられないという状況になりつつあるわけです。

 そこで、ほかの聞き方をします。

 ということは、三六協定を結んでいても、時間外で割り増し賃金を払わないと労基法違反になるということですね。

川崎国務大臣 二つの案件、三六協定を締結することと割り増し賃金を払うこと、この二つが要件でございます。

山井委員 先ほどの労安衛法での労働時間の把握が必要という答弁と結びつけて、改めて大臣に確認します。

 医療現場において、医師の労働時間把握が必要であって、労働時間把握をした上できちんと時間外の割り増し賃金を払わねばならない、それでよろしいですね、大臣。答弁お願いします。

川崎国務大臣 それで結構でございます。

山井委員 しかし、この資料の三ページにもありますように、十四、医師の宿直時の診療従事時間を把握している病院の割合、八・七%。二十三の病院のうち二つしか、宿直時間中、何時間実際に診療をやっているか把握していない。ほかのデータでは、平均して十五人から二十人の患者を診ているというのがあるわけですよね。

 ということは、大臣、この二十三病院中二つの病院しか宿直時の診療時間を把握していないということは、たとえ三六協定を結んでいても労基法違反になるということですか。

川崎国務大臣 割り増し賃金を払っているとすれば、どういう形で払っているかという実態が、例えば自主申告でやっているか事業所側がきちっとチェックしているか、どちらの形でやっているかはわかりませんけれども、自主申告でやっているということになれば、支払われているということになろうかと思います。

山井委員 時間を把握しないとだめなんじゃないですかと言っているわけですね、把握していないとここに書いてあるわけですから。

 そうしたら、大臣にこういう実態があるから要望したいと思います、労働時間を把握して割り増し賃金を払わねばならない、この二つが条件だということですので。ところが、それがなかなか守られていない実態があるわけです。大臣、このことをきっちり通達を出していただけますか、日本の病院に。労働時間を把握して、そしてきっちりと割り増し賃金を払わないと労基法違反になりますということを、通達を出してもらえますか。出せるでしょう、大臣、今の答弁どおりですよ。

川崎国務大臣 労安法については、通達は既に出しております。

 それから、もちろん個別指導という形で我々は取り組んでいかなきゃならないということでございます。

山井委員 いや、私が言っているのは、今それが守られていない現状があるから、今医療崩壊が起こっている、その危機感の中で、改めてやはり厚生労働省から、労働時間を把握して時間外の割り増し賃金をきっちり払わないとだめですよということを通達で出すべきじゃないですか。それぐらいのことをやらないとだめだと思いますが、大臣。

川崎国務大臣 今ずっと議論してまいりました三六協定問題については、当時十三年四月になります、さかのぼって通達は出しております。

 そして、通達だけですべて済むかという話になりますので、個別の指導を一つ一つしてまいりますとお答え申し上げている。通達は出しています。

山井委員 結局、その通達を出しても今の状況になっているから、改めて通達を出してやらないとだめだと私は思います。そういうことを強く望みます。

 それで、この問題でやはり出てくるのは、宿直でこれだけ多くの患者さんを診ているということですから、提案でありますけれども、今回、政府案の中では、地域医療計画を策定してその中で小児医療も位置づけられているわけですけれども、その際に、小児救急に関しては、夜間は夜勤とし、三交代などシフト勤務とするということをやはり明記する。

 そのようにしていかないと、今も話を聞いていてわかると思いますが、月平均百時間を上回っている、かつ、夜間も宿直といいながら十分に寝ることができなくて、三十二時間連続勤務が月に何回もある。そういう状況では、今の小児救急のみならず、救急医療体制というのはもう長続きできないです。患者さんも安心して医療にかかれないんです。

 そういう意味では、やはりここは、基本的に宿直でもこれだけの患者さんを診ているという実態が出てきた以上は、大臣おっしゃったように、宿直というのは昼間のような業務をやったらだめです、十分寝られないとだめなんです。その実態にもう合っていないんですよね、救急の現場が。ですから、原則夜勤にするというふうにすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 小児医療の現状と問題意識、それは同じような意識を持っております。集約化を図っていかなければならない。しかし、一方で、それぞれ地域の事情があって、現実に行われている医療行為もある。そうしたものを考えながら都道府県において集約化を進めてほしい。

 しかし、私の地元の市でいえば、両方ともの市が持ちたいといって、なかなか県の指導どおりいかないというのも実態でございます。そういった意味では、やはり都道府県がしっかり地域と話し合いをしながら小児医療の集約化を進めていかなければならない。

 そして、数字で見ていただいたとおり、私ども、同じ感想を持ちました。十人以上の医師がいるところについては割合労働体系がそろってきているな、しかし、医師数の少ないところについては、その数字を見る限り、かなり厳しい実態になっておる。したがって、集約化というのが一番大事である、このように認識いたしております。

山井委員 これは夜勤にするというようなことにしないと、安心感を持って働き続けられないんです。四割の小児科医が女性なんですよね。それを多くの方が途中で、やはりこの労働条件じゃやっていけないということで、勤務医をやめたり、開業に走ったり、また医師自体をしばらく休んだりされているわけです。やはりこれは厚生労働省が、今の宿直という名のもとに三十二時間連続勤務を月に何回もさせる、こういう現状を変える、そういう決断をしないと、今のこの医療崩壊、小児や産科の問題、これは解決できませんよ。今おっしゃったように都道府県に任せます、それじゃ無理ですよ、余りにも無責任です。

 次に、それと関連して、産婦人科のことに行きたいと思います。

 このことに関してはきょうも何度か質問や議論が出ております。二月十八日に、残念なことですが、福島県立大野病院で産婦人科の医師が逮捕されてしまった。患者さんは、お母さんはお亡くなりになられたので心からお悔やみを申し上げますが、このことに関しても、一人きりで本当にその地域の産婦人科を支えて献身的にやってこられた、その方が、本当にやはり医療というのは残念ながら一〇〇%確実ということはないわけであります、そのときから一年以上たってから逮捕をされてしまった。

 このことに関しては、先日も、仙谷議員、鴨下議員、公明党の渡辺議員、社民党の阿部議員を初めとして、川崎大臣のところに産婦人科の医師の方々と要望にも行かれたわけであります。陳情書も六千五百二十人の方が、周産期医療の崩壊をくい止める会というのをつくって、危機的な状況になっているわけであります。

 この三つあるうちの一つの要望項目に、周産期医療にかかわる産科医、小児科医の過酷な勤務条件の改善というのが入っているわけですね。こういう過酷な勤務条件を放置しておいて、それで、残念ながらこういう事故が起こったら逮捕された、こういうことで、現場で働いておられる医師というのが本当にもつのか。私の知り合いのある研修医の女医さんはこう言っていました。産婦人科を志望していた、でも、この福島県の事件を見て、もう自信がなくなって産婦人科を自分はあきらめたということを言っていました。

 やはりこの問題に対して、厚生労働省として、今後こういうことにならないようにどう取り組んでいくのか、大臣の決意をお聞かせください。

川崎国務大臣 異状死の問題とそれから周産期医療の問題、少し切り分けなければならないだろうと。

 福島の方々が、仙谷委員、鴨下委員とお見えになりました。阿部さんもいらっしゃって、そのときにお話を聞きましたのは、一つは、我々、周産期医療の集約化を図っている中でございました、こういうお話がございました。そういう意味では、医師が一人しかいないという病院においてハイリスクの分娩行為が行われるということは、やはり基本的には、他の病院へ移していかなきゃならない課題に整理をしていかなければならないんだろう。福島県でも、集約化に向けて動き出しているというのが一つでございました。

 もう一つは、こうしたものに対して、医療というものと警察というものが直接つながってしまうということについてはどうであろうか。そこは前にも御答弁申し上げたように、こういう問題について第三者機関できちっとした調査といいますか、いろいろな形で検討していただいて、一つの結論を出していくというものがあった方がいいのではないか。

 現実に、モデル事業として行わせていただいております。たしか今十四件やっておると思いますけれども、そうしたものを最終的に拡大していって、異状死という問題が出ましたときにそこへ届け出ていく、それによって医療や法曹界の専門の方々で御判断をいただく、こういうシステムをつくり上げていくことができないだろうかというのが大きな課題であり、一方で、余り時間をかけてもいかぬな、こういう認識もあります。そうしたものへ向かって、今、鋭意努力をさせていただいているところでございます。

 いずれにせよ、今モデル事業の結果がそろそろいろいろな形で出てきておりますので、そうしたものも御議論をいただきながら、方向性は、皆さん方からいただいている御意見を大事にしながら進めていくつもりでございます。

山井委員 これはやはり、この医療制度改革の審議の中で一定の解決策を出していかないとだめだと私は思います。これは本当に一気に、今こういう産婦人科あるいは救急医療体制の崩壊というのが始まっているわけです。それに対する解決策が国会審議の中で出なかったら、何のためにこれを審議しているかわからないわけですね。今回の政府案の中では、都道府県に任せて集約化を図ると、しかし、これはなかなか進まないわけです。やはり国が強力なリーダーシップをとらないとだめなんです。

 そこで、この産婦人科の問題に関しましては、今おっしゃった拠点に集めるということと、やはり訴訟の問題が非常に多いわけですね。大体これは、医師全体の五%しか産婦人科医がいないのに、医療事故訴訟の三〇%以上が産婦人科関連であり、六倍以上のリスクになっているわけです。

 こんな中で、一つこれは、さまざまな方々が今要望されているのが無過失補償制度であります。裁判になって白黒はっきりつけないとお金が出ないというようなことでは、やはり医師の方々も、裁判には時間がかかりますから、訴えられたら安心して医療ができなくなってしまうんですよね。くたくたになって医療をやって、それで本当に幾ら頑張っても時にはうまくいかないことがある、そのときに訴えられる。こういう状況を放置して小児科や産婦人科を推進するといっても、それは無理なわけなんです。その部分のリスクはやはり公的な無過失補償制度をつくっていく。

 そういう意味で、労働条件の整備とともに、小児科や産婦人科のお医者さん方をある意味で安心させる、こういう無過失補償制度の検討、大臣、いかがでしょうか。

赤松副大臣 私の方からお答えさせていただきます。

 今山井委員が御指摘をなさった、無過失補償制度をつくるべきじゃないか、そういうお声が強いということは十分に承知をいたしております。

 この周産期医療にかかわる紛争解決が円滑に図られることは極めて重要なことであり、今回の医療法改正でも、医療事故事例が発生した場合などには、患者等からの相談に応じて、必要な情報提供や助言を行う医療安全支援センターを制度化することにしております。

 今の御指摘の点につきましては、一つは補償の前提となる事実関係等をだれがどのように認定をするのか、もう一つは補償の財源をどのように確保するのか、この認定の仕方、そして財源の問題というふうな課題があるということは十分御承知のことだろうと思います。

 また、医療事故の事実関係の認定といった課題に関しましては、現在、患者、家族と医療機関が事実に基づいて十分に話し合い、早期の紛争解決に資することを期待して、診療行為に関連した死亡を対象に、中立的な立場で原因究明を行うモデル事業を実施しているところでございます。

 厚生労働省としましては、モデル事業の実施を通して課題の整理を行うとともに、患者に対する諸外国の補償制度の研究により、検討に必要な資料の収集及び整理を行ってまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。

山井委員 この産婦人科医療の問題も本当に党を挙げて、私たちはこの間、これから議論していきたいと思いますし、まさにこういう制度を具体的につくるというような方向性をやはり審議の中で出していく、そうしないと、審議の意味もないと思います。

 そこで、川崎大臣に実はたってのお願いがあります。

 というのは、ぜひ、先ほどもどなたかおっしゃいましたが、私たち民主党も、小児や産婦人科医療だけがこれはひどいとはもちろん思っていません。私たちがこの法案を出している理由は、矛盾や問題点が集約されているがんや小児科の問題を通じて、今の日本の医療をよくしていきたい、底上げをしていきたい、そういう思いなんですね。残念ながら、最もそういう矛盾が集約されている、過酷な労働条件と言われている小児科の病院、産婦人科の病院、川崎大臣、ぜひこの産婦人科の病院と小児科の病院に一度足を運んでいただきたいと思うんです。唐突なお願いですが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 産婦人科の病院は私の地元の後援会長でございますので、一カ月に一遍ぐらいはお邪魔させていただいております。

山井委員 小児科はどうですか。

川崎国務大臣 小児科は相手の後援会長でございますけれども、小児科の救急というのは時間があれば見たいと思います。

 ただ、正直言って、私、月曜から金曜まで、朝から晩まで、委員会の審議、本会議等でなかなか時間がとれない。ぜひ時間をおつくりいただいて、行かせていただきたいと思っております。

山井委員 まさにそこなんです。大臣今まさに、毎日詰まっているとおっしゃっていますが、小児科のお医者さんは昼間勤務をして夜中も寝ずに宿直して診療しているんですよ。ですから、それは、今、昼間大臣のお仕事があっても、晩行かれたらいいじゃないですか。翌日の勤務に差しさわると思われるでしょう。でも、笑われますが、そういう状況になっているわけですよ。ふらふらになってから翌日の診療をまたしないとだめなわけですよ。こういう過酷な状況になっているわけです。(発言する者あり)まさにそうでしょう。今も声がありましたけれども、そういうふらふらになった状態で急患が来たらどうするのか。

 それで、これは一ページに戻りますが、百時間以上の時間外の労働を小児科医の方々はされている、二十代の方々が。それで、体力、健康への不安、翌日業務への影響、七二%の方が限界、大変疲れると言っておられる。

 繰り返しになります。きょうの最初から言ったように、百時間以上というのは過労死の危険ラインで労安衛法の指導対象になっているわけです。本来お医者さんが大丈夫ですかと聞く、聞かれる側がお医者さんになっているわけです。これで小児救急体制が、大臣、持続可能だと思われますか。大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 これは先ほどから申し上げているとおり、そうした認識のもとで集約化を図らなければならないと申し上げているんです。

 ただ、現実問題として、よく私の地域の問題を出しますけれども、県やまた三重医大の方から集約化を図れという御提案があっても、各市の市長さんや議会の方々は自分の市にどうしても小児医療はなきゃならないというお立場になって、残念ながら両方に分かれた形の中で集約化できないままある。

 したがって、それを説得していくという我々の努力、これは県が中心になりながら、努力があるんです。ですから、そういうものを踏まえながら、目指す方向は一緒でございますけれども、あした一挙にできるかと言われたら、それは少しずつ、一歩ずつ皆さん方を説得しながらやっていかなきゃならない。目指す方向は全く一緒でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

山井委員 政府のやり方ではますます事態は、小児救急は危機的な状況になっている、そして、今回のような都道府県任せでは、この形は、まさに今大臣も認められたように、なかなか進まないんですよ。だから、私たち民主党は、危機的な状況だということで小児救急緊急推進法案を出して、システム化とともに、不採算と言われる部分に一般の税の部分や診療報酬部分をもっと大幅に入れて、もっと国が力を入れてやっていかないと、今の政府案の都道府県任せではだめだということの思いを込めてこの法案をつくっているわけです。

 それで、この法案の中では、先ほども言いましたように、基本的には夜勤にする、こういうことをしないと医療事故のない安心して受けられる小児救急医療体制が、維持可能な体制がつくれないということなんです。ぜひとも、単に都道府県任せにするのではなくて、大臣の決断をお願いしたいと思います。

 次に、医療費推計の話に移ります。

 私の資料の最後のページ、十三ページ。時間にも限りがありますから、簡単に申し上げますが、医療の伸び率とそして年金の伸び率が比較してあります。年金の伸び率は一九九五年から二五年まで三十年間ずっと下がっている。しかし、皆さん、この資料を見て不思議なことに、医療費の伸びだけは二〇〇四年を境にぐんと上がることになっているんですね。

 私たち民主党は、二〇二五年に五十六兆円に医療給付費がなるのはうそがあるんじゃないか、過大じゃないかということを言っていますが、こうグラフにしてみると、年金は高齢化の効果が一番反映されているんでしょう、何で年金とパラレルではなくて、医療費だけこんな急にはね上がるという推計を出しているんですか。

 このことも非常に問題がある。わざとたくさん医療費がかかるといって、こういう医療崩壊の現状を無視した医療抑制一辺倒の法案を出してきている。でも、その医療費はこれだけかかるというのも、このグラフを見れば、明らかに非常に不可解な、作為的な推計ではないかと思うわけです。

 それで、実際、その中でお伺いしますが、二点であります。

 平成九年の制度改正効果を見るに当たって、制度改正の影響のあった期間を平成九年四月から平成十年三月ととっているが、実際に改正が行われたのは平成九年九月からである。なのに、なぜ四月から影響があった期間としてとっているのか。

 それと、平成十八年の六十五歳から七十四歳までの認定障害者を百万人ととっているわけですけれども、資料にもらっている年齢階級別加入者及び一人当たりの医療費、このタイトルの資料をもとにしてこの推計をされたということを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

赤松副大臣 今御指摘の点の、いわゆる平成九年の健康保険法改正の実施が九月であったのに、四月から直後の期間にしたのはなぜかということでございますが、医療費の将来見通しに用いる一人当たりの医療費の伸びにつきましては、過去の実績をもとに今算出しているところでございますけれども、いわば自然体の伸びを見込むためには、過去の制度改正による影響を除外する必要がございます。この制度改正の影響につきましては、制度改正が行われた直後の期間における実績の伸び率から、制度改正の影響がないと考えられる期間における実績の伸び率を控除することにより算定をしたというわけでございます。

 この平成九年度改正に関しましては、制度改正の施行は九月ではございましたけれども、法案提出時点では平成九年五月施行を予定していたということ、また、五月の施行を前提に制度改正の内容を早くから報道されていた、いわゆるアナウンス効果というものがあったという点から、毎月の医療費の伸びの実績を見ますと、明らかに四月以降の伸び率が低下した、こんなふうなことが指摘できるわけでございます。

 このように、平成九年の改正につきましては、四月からの制度改正の影響が出ていたために、平成九年四月からの一年間の伸び率を用いた、こういうことでございます。

 それから、後段の部分でございますけれども、六十五歳から七十四歳の障害認定者数は、平成十八年度で百万人と見込んでいるところでございますけれども、これについては、現在、平成十四年の制度改正により、老人保健の対象年齢が七十歳から七十五歳に段階的に引き上げられているために、七十歳代前半の障害認定者の実績値を把握することができないことから、推計を行っているものでございます。

 具体的には、老人保健の実績から得られる六十五から六十九歳の障害認定者の皆さんの数をもとにしまして、介護保険の七十歳代前半の要介護認定率の実績が六十歳代後半に比べて高くなっていることを反映させて推計をしたものでございます。

山井委員 もう質問は終わりますが、最後に申し上げたいと思います。

 川崎大臣、小児救急医療について、考える方向性はそう変わらないとおっしゃいましたが、やはりこれは労働条件を、夜間を宿直ではなくて夜勤としていく、それで安心して働ける、医療事故のリスクの少ない体制をつくっていく、やはりそこをきっちりとやるということを民主党の小児医療緊急推進法案には書いてありまして、やはりそういう決断がぜひとも必要であります。

 さらに、先ほど、労働時間を調べて割り増し賃金を払うようにきっちりすべきだと言いましたが、これは何も私は病院をつぶせと言っているわけじゃありません。こんなことを言うと、そんなんじゃ病院はつぶれると思われるかもしれませんが、もちろんその分、もっと診療報酬をつけるなり、そういう救急病院に公費を入れるなりして、そこの割り増し賃金が正規に支えられるようにしていかねばならないと思います。

 本当は、産婦人科や小児科のお医者さんが不足しているわけですよね、特に勤務医が。このことをふやしていくということもきっちりやっていかないと、都道府県に任せて集約化、集約化と言うだけの政府案では、やはり事態は深刻化していく一方であります。

 国会議員の最大の使命は国民の命を守ることでありまして、私たち民主党は、恐ろしい危機意識、ことしが医療崩壊の元年になる、このまま政府案が通ったら、そういう意識を持っております。

 十一月にイギリスに行きましたが、イギリスの厚生省の官僚から言われました。ブレア首相が医療費抑制政策から転じて、医療を立て直すために五年間で一・五倍に医療費をふやすことをした。その結果、年間の医療費のGDP当たりのパーセンテージは日本を抜いた。日本七・八%、イギリスは七・五%だったけれども、イギリスはもう九%に上がっているわけですね。しかし、長年医療費抑制でやってきたことを立て直すためには、五年やってもまだまだうまくいかない。

 なぜか。一番の根本は医療現場のモラルなんです。今まで日本の医療を支えていたのは、多くの医師の方が本当に献身的にやってこられたんです。しかし、こういう過酷な、過労死ラインのところで働くのが当たり前、そういう状況になって、もうもたなくなってきているわけですよ。言ってはなんですけれども、過労死ラインで必死になって現場で支えてこられた病院の現場の方々を、厚生労働省は今見捨てようとしているんですよ。

 やはりそういう方を支えていく、そして、安心して患者さんが医療にかかれる体制をつくっていく、それこそが本当の医療改革なのに、その改革の方向が見えないだけじゃなくて、まず医療費を抑制していこう、そして具体的なことは都道府県に任せよう、これでは医療崩壊を加速するだけではないでしょうか。

 この審議を通じて、こういう国民の命を守るということに関しましては、私は党派は関係ないと思っております。じっくり建設的な審議、議論を重ねていって、税金をいただいて議論しているわけですから、この審議の中で、今言ったような医療崩壊の、僻地の医療、産婦人科、救急、麻酔科、外科、あらゆる医療の問題点の解決策を、医師不足の問題も含めてしっかり道筋を出していく、そういう建設的な議論をしたいということを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 我が国は、いろいろ異論はあるかもしれませんが、世界に誇るべき公的医療制度というものを有している。国民皆保険制度のもと、平均寿命世界一の長寿国を実現してきたわけでございます。しかしながら、急速に高齢化が進展しまして、医療費の増加が見込まれる中で、その誇るべき国民皆保険制度をいかに将来にわたって持続させていくかが大きな課題となっているわけでございます。

 そこで、医療費の適正化を図り、持続可能な医療保険制度を構築するとともに、安心で安全な医療を提供していくことが重要であるというふうに考えておりますが、今般のこの改革での政府の取り組みについてお聞かせいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 先ほどの議論と違って、今の医療制度について一定の御評価をいただいたことについて感謝申し上げます。

 それを前提にしながら、しかし、この国民皆保険制度を守りながら、医療の質を保ちながら、一方で、給付を受ける人たちがふえていく、負担をする人たちの数が減っていくという中で、どう持続可能なシステムにしていくことができるかというのが、今回の医療制度改革の一番大きな中心であろうと思っております。

 したがって、今回の改革におきましては、生活習慣病予防や長期入院の是正など、中長期的な医療費適正化対策を計画的に進めますと同時に、短期的な政策といたしましては、一つは、やはり若者に負担をお願いしていかざるを得ないという中で、私たちがすぐそうなるんでしょうけれども、現役並みの所得があるお年寄りについては現役同様の御負担をお願いしたい。また、医療におきましても、薬価が一・八、それから診療報酬について一・三六の診療報酬引き下げということで、お互いに努力をしていただきたい。こういうお願いがございます。

 一方で、小児科、産科等の医師不足対策、診療報酬における重点評価、医療計画制度の見直しを通じた急性期から在宅療養に至るまでの地域医療の連携体制の構築、それから、先ほどからの議論に出てまいりませんでしたけれども、情報という問題で、患者に対する医療費の内容のわかる領収書の提供など、医療に係る情報提供の推進、レセプトのオンライン化等を進めていき、質の高い医療サービスが適切に受けられる体制を継続できるように努力をしてまいりたい、こう考えております。

糸川委員 今の大臣の答弁でも、若い人や一定の所得を持っている高齢者からもお金をしっかりといただくということなわけですが、この医療制度改革を進める中で、財政対策に終始するのではなくて、医療の質を確保して患者のクオリティー・オブ・ライフ、QOLを向上させていくことが重要であり、特に予防を重視していくことが必要だというふうに考えておるわけでございます。

 政府も、メタボリックシンドロームに着目した保健指導に取り組むというふうなこととしておりますが、これはどのような効果が実際あるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

中島政府参考人 メタボリックシンドロームでございますが、日本内科学会ほか関係の八学会が、昨年の四月に診断基準を公表したものでございます。これは内臓脂肪型肥満、内臓に脂肪がたまるわけでございますが、これが共通の要因となりまして、高血圧、高血糖、脂質異常というような複数の危険因子を形成いたしまして、これらが重複するほど、脳卒中や心筋梗塞などの発症の危険が増すというような状態でございます。

 今回の医療制度改革におきましては、このメタボリックシンドロームに着目をいたしました健診、保健指導を医療保険者に義務づけまして、効果的、効率的な健診、保健指導を徹底することとしておりまして、これにより生活習慣病の発症を予防するとともに、重症化の予防にも資することになるということでございます。

 健診、保健指導が効果を上げ、内臓脂肪を減少させるためには、適度な運動やバランスのとれた食生活など、個々人の行動が具体的に変わることが求められるわけでございます。

 このため、効果的、効率的な健診、保健指導が全国で広く展開できるよう、現在、健診、保健指導の内容や実施方法などにつきまして、有識者や医療保険者にも参加いただいた検討会において御議論いただいているところでございます。

糸川委員 それでは、長期の療養を余儀なくされた場合において、患者のQOLを確保するための環境整備に取り組むことが必要なわけですけれども、一方で、医療制度改革においては、療養病床を再編成することというふうにされておりまして、必要な医療が提供されなくなるんじゃないかな、こういう心配もしております。

 今回の、療養病床の再編成の趣旨というものはどういうものなのか、お答えいただけますでしょうか。

磯部政府参考人 今回の療養病床の再編につきましては、医療の必要度の高い方々につきましては、引き続き療養病床、そして医療保険からの対応ということで、引き続いて対応していくということでございます。

 また、医療の必要度の低い方々が今療養病床には入っておられますが、こうした療養病床につきましては、老人保健施設等の介護施設に転換することによって対応していこうということでございます。

 この療養病床の転換に当たりましては、入院しておられる方々の追い出しにつながらないようにすることが大前提でございまして、六年間をかけまして、医療、介護双方の病床につきまして、円滑な転換ができるような経過型の類型を設けるということとしております。

 こうしたことによりまして、入院、入所される方々の不安を招かないように、適切な対応を図っていくつもりでございます。

糸川委員 療養病床の再編成に伴って、これまで入院していた患者の受け皿として在宅医療というものが一層充実する必要があるわけでございます。

 今回のこの医療制度改革における在宅の推進のために、どのような方策を講ずることとされているのか、お答えいただけますでしょうか。

松谷政府参考人 在宅医療でございますが、患者さんの生活の質の向上の観点から、できるだけ住みなれた家庭や地域で生活を送れるように、患者さんが希望する場合に、こういった在宅医療が受けられる体制の構築を一層推進する必要があるというふうに考えてございます。

 このため、今般の医療制度改革におきましても、在宅医療の推進を図るために、医療法の改正あるいは診療報酬の評価等の対応を講じているところでございます。

 具体的には、主治医の役割の発揮や介護を含む多職種での連携が図れるよう、地域で在宅医療に係る連携体制を構築いたしまして、医療計画にその機能を明示すること。

 あるいは、患者さんの退院時に他の医療機関など在宅医療を提供する者などと連携を図る、いわゆる退院調整機能の推進を図ること。

 また、複数の医師の連携による二十四時間往診可能な体制の確保を図ること。

 さらには、在宅療養中の症状急変時の対応といたしまして、入院機能を有する医療機関を活用すること。

 そして、患者さん、国民への情報提供として、医療機関等が在宅医療を実施していることがわかるような一定の情報を都道府県に届け出いただきまして、その情報を都道府県が公表する制度を導入すること。

 最後に、ケアハウスなど居宅系サービスの充実や、さまざまな居住の場での在宅医療の充実など、各般の措置を講じているところでございます。

糸川委員 今回、政府は法案において、新たに創設される後期高齢者医療制度、それから国民健康保険制度において、保険料の年金天引きを行うことというふうにしておるわけでございます。

 年金からの天引きにつきましては、被保険者の便益の向上や徴収事務の効率化の観点から、確かに必要なものだというふうには考えるわけでございます。ただ、一方で、これによって、生活の基礎となる年金の受給額が著しく少なくなることのないように、こういう配慮が必要であるというふに考えますが、政府の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

水田政府参考人 今回の医療保険改革におきまして、御指摘ありましたとおり、後期高齢者医療制度、それから国民健康保険制度におきまして、御指摘のような趣旨にのっとりまして、保険料の年金天引きの仕組みを導入することとしているわけでございます。

 その際、これも御指摘ありましたとおり、余りに低額の年金しか受給していない方にまで特別徴収の対象とすることは適当でないという考え方から、介護保険におきます年金天引きの範囲と同様に、現時点におきましては年額十八万円以上の年金を受給している方を対象とする方向でございます。

 また、もう一点ございまして、介護保険に加えまして、今回は医療保険制度も天引きの対象とするということでございますので、天引き額が過大にならないように、介護保険料と合わせました保険料額が年金額の二分の一を超える場合には天引きの対象としない、こういった措置を検討しているところでございます。

糸川委員 政府は、この法案において、保険者機能を強化して医療費適正化を一層推進するため、また社会保険庁改革の一環として、政府管掌健康保険を公法人化するということとしておるわけです。

 政府は、この政府管掌健康保険の公法人化に当たって、現行の一律の保険料率はやめて、都道府県単位の保険料率にすると。そのようにする理由というものをまずお聞かせいただきたい。

 それから、またそのようにすれば都道府県間で保険料率に格差が生じる、こういうおそれがあるわけでございますが、それについても御見解をあわせてお聞かせいただけますか。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

水田政府参考人 現行の政府管掌健康保険につきましては、全国一本の保険料率でございまして、地域の取り組み、地域の努力で医療費が低くなっても保険料率に反映されない、こういった指摘がなされてきたところでございます。

 このために、年齢構成でありますとか所得水準といった保険者の努力では対応できない部分につきましては、都道府県間で調整した上で、都道府県ごとの医療費を適切に反映した保険料率を定める、こういうことによりまして、保健事業あるいは医療費の適正化に向けた取り組みの促進が図られるものと考えてございます。

 それから格差の問題、今申し上げました措置で相当程度これはならされるわけでございますけれども、その上で、都道府県ごとの保険料率の移行に当たりまして、保険料率の大幅な上昇が生ずる場合には、激変緩和のための措置を講じる、こういったことを考えているわけでございます。

糸川委員 今の私の地元の福井なんかでは、本当に格差のことでかなりみんな注目していますので、ぜひしっかりとした対応をしていただければなと思います。

 もう時間がありませんので、最後に大臣にお尋ねしますが、今のこの政府管掌健康保険の公法人化については、かえって組織や業務の肥大化というんでしょうか、そういうことになってこの社会保険庁改革というものがあいまいになるんじゃないか、そういうおそれが懸念されているわけでございますが、このことについて大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 社会保険庁自体がどういう仕事をしていたかということも国民になかなかわかりにくい。したがって、年金と医療保険をやっていたわけでありますから、正確に分けてしまおうと。それは次の法案で社会保険庁改革として御議論をいただくわけでありますけれども。

 その中において、政管健保につきましては都道府県単位という一つの枠組みの中でやらせていただく。これは、年金は国が責任を持ちましょう、しかし、介護等については市町村が中心。そして、先ほどから御議論をいただいておりますとおり、全体の医療というものを進めていく中で、市町村中心というより、やはり県がコントロールをしながら、全体の適正化計画を書いたり、先ほどからお話ございました小児医療や周産期医療また急性期医療の集約化を図ったり、そういう意味では、県というものの役割がだんだん多くなるねという中で、こういう切り離しをさせていただいた。

 結果として、この政管健保の法人は民間人になる。公務員三千五百人でやっておりましたものが、民間人として仕事をしてもらうという形に変わってくる。そういう意味では、より効率的な仕事をしていただけるだろうし、地域の事情というものにより近い形で仕事が進んでいくんだろう、このように思っております。

糸川委員 もう時間でございますので、質問を終わります。ただ、本当は僻地なんかの医療のことについても質問したかったわけでございますので、またそれは別の機会に質問させていただきたいと思います。

 終わります。

大村委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今回の医療制度改革は、医療を受ける側にとっては、高齢者や長期療養患者、とりわけ団塊の世代をねらい撃ちにした負担増であり、あるいは保険のきかない医療の拡大など、皆保険制度が危機に瀕するという重大な問題であります。同時に、医療従事者や医療提供体制という点では、診療報酬引き下げやベッド数の削減など、深刻な不安をもたらすものであります。

 きょうはまず、そのうち負担増の部分について伺いたいと思います。

 七十歳から七十四歳の高齢者は、二年後の二〇〇八年四月から、一割だったものから二割負担になります。低所得者にはもちろん自己負担の限度額がありますが。現在二割である現役並み所得の七十歳以上は、ことし十月から三割負担になります。それに、高額療養費の限度額の引き上げ、療養病床の食費、居住費の引き上げなどがございます。この問題については、二月二十四日の本委員会において、先行実施された介護保険において、負担増により施設を退所する人がいるという指摘もさせていただいたところであります。

 さて、一割から二割という点では、窓口で払うお金が二倍になるということであり、これは非常に大きいと思います。しかも、最もその負担が大きく変わるのは、七十歳から七十四歳の、所得区分が一般と扱われる方たちであります。この方たちは、二〇〇八年四月からは、自己負担限度額で外来二万四千六百円、現行一万二千円から倍増であります。入院では六万二千百円、現行四万二百円から二万一千九百円も高くなります。また、入院すると食費、居住費がプラスされますから、月額十一万四千円、非常に大きな負担だと思います。

 こうした負担増は、医者にかかるのを控える、いわゆる受診抑制につながると思いますが、その点について見解を伺いたいと思います。

水田政府参考人 患者負担の見直しが高齢者の受診抑制につながるのではないかというお問いでございますけれども、これにつきましては、私ども、急速な高齢化に伴いまして医療費の増大が見込まれる中で、世代間の負担の公平化の観点から、高齢者にも応分の負担をしていただく必要があると考えてございます。

 このため、今回の改革案では、現役並み以上の所得を有する高齢者につきましては、現役世代との負担の均衡を踏まえまして、現役世代と同じ三割負担とするなどの見直しを行うこととしてございます。

 ただ、見直し後におきましても、高齢者に係る高額医療費につきましては、一つには、入院と外来を合わせました自己負担限度額のほか、外来に係る自己負担限度額を設けております。また、二点目に、一般の高齢者につきましては、現役世代よりも低額の自己負担限度額を設定しております。さらに、低所得者の方につきましては、自己負担限度額を据え置くという措置をとることにしてございまして、こうした配慮を行うことによりまして必要な医療が妨げられるものではない、このように考えてございます。

高橋委員 今、応分な負担を求めなければならないということでるる述べられたと思うんですが、私が伺ったのは受診抑制につながるのではないかということであります。この点は否定しないということですか。

水田政府参考人 先ほど申しましたように、患者負担の見直し、定率負担部分につきまして二割から三割に現役並み所得者の場合上がるわけでございますけれども、ただ、その場合でも、高額医療費につきましては自己負担限度額を設けておりますので、それらの措置を通じまして必要な配慮は行っている、つまり必要な医療までは妨げられることはない、このように考えているわけでございます。

高橋委員 限度額を設けているけれども、その限度額が上がったために倍以上に負担がふえるということをお話ししているんです。必要な医療が妨げられるものではないという今の言い方をしましたけれども、しかし、現実には受診抑制が起こるということを織り込み済みだと言わなければならないと思います。それは、先ほど私が二度聞いたことに対して明確にお答えにならなかったので、まあそういう意味なんだと受けとめたいと思います。否定するのであれば、次でもう一度否定していただきたいと思います。

 これまでの改正によっては、医療費の本人負担がふえることによって受診抑制が起こったということは、既に証明済みのことではなかったかと思うんです。それを踏まえて、やはり今回も同じことが起こるということを私は言いたいと思うんです。

 例えば、二〇〇三年四月からの健保本人三割負担、高齢者の定率一割負担導入に当たり、東北六県の保険医協会が一万人から集めたアンケート調査で、受診を手控えていると答えた方が六割おりました。そのうち九割が病状の悪化などに不安を感じている、こう答えたことが明らかになりました。

 当時、負担増が受診抑制につながったことは、当時というのは三割負担のときですよ、これは政府としては認めますか。

水田政府参考人 医療保険におきまして、負担増がある場合には一定の受診抑制効果、波及効果があるということは、これは経験的にも明らかなことでございます。ただ、それが必要な受診を抑制したかどうかという点につきましては、先ほど申しましたように、例えば高額療養費の点で、低所得者につきましてはこれまでの据え置きにしておりますし、そういった限度額が設けられておりますので、必要な受診が妨げられているということはない、このように考えているところでございます。

高橋委員 では、今の説明は、一定の受診抑制はあるとお認めになったと思います。その上で必要な医療が妨げられているのではないということでしたから。

 結局そうなんですよね。例えば、当時非常に問題になったのは、一日三回飲まなければいけない薬を二回にするだとか、一週間分のお薬を一カ月かけて飲むだとか、そういういろいろな形で患者の皆さんが医療をやはり少しずつ切り縮めざるを得なかった。そういう意味では、表面的には全くかかっていないわけじゃないとおっしゃるかもしれません。でも、そのことによって健康を害するとかさまざまな問題があったということは、当然見ていく必要があると思うんですね。

 このことは、厚生労働省の科学研究によっても明らかにされております。

 厚生労働科学研究、医療費の自己負担増による高血圧症患者と糖尿病患者の受診行動の変化という研究がございますが、これは、九七年九月の健保本人二割負担、〇一年一月の老人医療一部定率二割負担、〇三年四月の健保本人三割負担それぞれで、継続して診療を受けている高血圧症の方、糖尿病患者の方、その方たちをずっと一定期間、三カ月とか半年とか一定期間を見て、どうなったかという調査をして、明らかに受診率の低下が見られた、そういう指摘をしてございます。

 注目すべきは、〇三年の三割負担導入時に定期健診に参加した被保険者への意識調査で、自己負担がふえれば受診を控えると答えた高血圧症、糖尿病患者の方は、一九・二%ございました。月額当たりの負担額、ここまでなら負担できるよという額は五千円までと答えた方がいずれも六割以上でありました。それがまず三割負担の導入前の調査ですね。そして、実際に導入後の受診行動の影響では、やはり受診行動の低下が見られたという指摘をしております。

 当然、厚生労働省としてはこういう研究については御承知をしていると思いますが、いかがですか。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

水田政府参考人 委員今御指摘の論文につきましては、一定の前提のもとに行った研究の成果であろうかと思います。特に、軽度の糖尿病の患者あるいは境界域の高血圧の患者の場合には、なかなか受診の効果は感じにくいということがございます。そういうことで、費用負担、自己負担が上がるとそれに反応するという面があろうかと思いますけれども、むしろ、糖尿病などにつきましては、この研究におきましても、糖尿病予防対策に強力に取り組むこと、私ども、今回は保健指導を強化しようとしておりますけれども、むしろそういった対策を講じることが必要であろうかと考えております。

高橋委員 今、論文のところで一部読み上げたのかなと。近いようで近くない。「まとめ」ではこういうふうに書いておりますね。「糖尿病患者の受診は、この三回の自己負担増のいずれにおいても有意に抑制された。受診抑制は特に軽症の糖尿病に顕著な傾向が認められた。」「糖尿病が強く疑われる人は七百四十万人に達すると推計されており、こうした患者の多くが医療費の自己負担増により医療へのアクセスが阻害されるならば、将来、糖尿病による合併症を併発した多くの患者を抱え込むことになる危険性がある。」こういって、「診療費を低くし、受診を継続し易くする保険医療政策を推進する必要がある」と提案をしております。

 今回の自己負担限度額は、まず、先ほど紹介したような患者が負担できるとする額を優に超えております。同時に、今回の医療制度改革の目玉でもあるのがこの生活習慣病対策でもあります。この指摘のように、糖尿病患者、軽い方たちが重くならないように、そういう点でもやはり、政府が今やろうとしている対策を強めるというのであれば、受診を控えさせて病気を悪化させるようなことはしない、ひいては医療費増大にもつながる、そういうふうにしない、むしろこのことが大事かと思いますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 先ほどお答えしましたとおり、より根源的には、やはりまず健診、それから保健指導によりまして、こういった糖尿病等の生活習慣病に対して予防で取り組むということが必要であろうかと思っております。

 それからもう一つ、受診抑制の話がございましたけれども、これも広く経験されている事柄でございますが、自己負担がふえたときには一定の効果はございますけれども、その効果が継続するのはほぼ一年、あるいはもう少しかもしれませんが、その後ではやはり受診率は戻るということも経験されております。したがいまして、必要な受診が抑制されているということは、全体として見ればそのようなことはないと思っております。

 それから、対策としては、今申し上げましたように、予防を重視すべきである、このような観点からそちらの面に力を入れているということを選択したということでございます。

高橋委員 受診抑制があっても一定期間を過ぎると戻る、それが患者の特性なんですね。やはり、これ以上抑えられないということがあって当然戻る。しかし、それはそのほかの部分を削るという意味なんですよ。しかし、三割負担では、もうこれ以上耐えられないということで、そう単純には言い切れない事情が起きています。でも、それに対して厚生労働省は、この研究も打ち切っておりますし、その後の調査がございません。ですから、もっと長期に調査をするべきだとこの今紹介した厚生労働科学研究も指摘をしておりますので、引き続いて、それが言えるのかどうかを調査するべきだと言っておきたいと思います。

 本法案の目玉である医療費適正化、生活習慣病の問題、これは本当に目玉なんですね。それで、日本透析医学会が毎年まとめている「わが国の慢性透析療法の要約」によれば、新規導入、いわゆる透析治療を導入した患者さん三万五千八十四人中、糖尿病性の患者さんが一万三千九百二十人、四一・三%、ふえ続けているわけですね。だからこそ、今回、予防が大事だとおっしゃっていると思うんです。しかし、それは、そう思うのであれば、本当に長くかかる方、そしてずっと続けなければならない方に対しての負担増は考えるべきだということを指摘しておきたいと思います。

 次、続けます。

 この間の議論において、二〇二五年、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上、後期高齢者に達するときに、医療費は五十六兆円、現在の倍加になるということが指摘されてきました。だから医療費を抑える必要があると議論をされてきたと思うんです。経済財政諮問会議が言うように、経済の伸び率に高齢化率を加味してキャップをかぶせろという要求もございました。それについては大臣が、それはしないと答弁をされてきたかと思います。また、過去に推計した医療費は過大過ぎたという指摘も繰り返しされてきたところであります。

 政府がこれまで示してきた数字によれば、今回の改革を踏まえると、今年度の医療給付費は二十七兆五千億円、国民医療費は三十三兆円ですから、その差五兆五千億円が患者負担分ということになると思います。そこで、二〇一〇年度は、国民医療費、医療給付費、それぞれどうなるのか、お答えいただきたいと思います。

水田政府参考人 まず、今回の医療制度改革実施前の数値でございますけれども、二〇一〇年度、平成二十二年度におきまして、国民医療費は三十九・四兆円、医療給付費は三十三・二兆円との見通しを立てているところでございます。

 これに対しまして、平成十八年の診療報酬改定及び今回の改正の効果を織り込んだ場合、平成二十二年度におきまして、国民医療費は三十七・六兆円、医療給付費は三十一・二兆円との見通しを立ててございます。

高橋委員 厚労省から今の数字をいただいておりましたので、グラフにしておりました。

 資料の一枚目をごらんいただきたいと思います。

 国民医療費の額と、そのうち患者負担の分を書いてみて、つまり国民医療費における患者負担の割合というのを折れ線グラフにしてみたわけであります。九九年の医療給付費が二十六兆四千二百億円から、二〇〇三年二十六兆五千九百億円。患者負担は四兆二千七百億円から四兆九千四百億円になっております。つまり給付費は大変なだらかな増ではないか。それに対して、医療費における患者負担は一三・九%から一五・七%というふうに上がっています。改革案を実行した上での患者負担は、〇三年で一六・六%、さらに二〇一〇年では一七%というように上がっていきます。つまり、医療費を減らす減らすというけれども、それは、やはり患者に非常に負担が重くなる、患者負担率が医療費の伸びに比べても大きく伸びていく、取りやすいところから取る、そういうことにならないのか。この点について、いかがですか。

水田政府参考人 数値の資料をお出しになっているわけでありますけれども、これはまさに今回の改革案のベースで計算をされたものだと思っております。多少数字が違うようでございますけれども、それはまさに患者負担のレベルをどう考えるかということであろうかと思っておりまして、冒頭御答弁申し上げましたとおり、こういった現役並みの所得のある方につきましては現役並みの御負担をお願いする、そういった改革案を織り込んだ形がおおむねこういう形になったんじゃないだろうか、このように考えております。

高橋委員 ちょっと数値が違うようだとおっしゃられましたけれども、いただいた厚生労働省が出している数字で、国民医療費の分から給付費の分を引いたら、当然、患者負担になるわけですよね。給付費のところだけ、この間、注目されて、大きくなる、大きくなると言われてきた。しかし、その点、患者負担はどうなるのかということにしっかり着目し、やはりその点も国民にちゃんと示して検討していただきたいというのが私たちの趣旨でございます。

 三月二十七日の参議院の予算委員会で我が党の小池議員が、医療費の推計方法、これは、この間、この委員会でも随分議論をされてきたところなんですけれども、そのとり方が今回だけ違っているではないかという指摘をいたしました。直近五年間の伸び率から試算するという従来どおりの方法でやると、小池議員が試算した医療費の予測は四十三兆円になる。つまり、今のままでも、特に患者負担をふやさなくても医療費削減の目標は達成するじゃないか、そういうふうに指摘をしているわけですね。

 そうすると、患者負担を予定どおりふやして実際は医療費が余り伸びなかったとなると、例えば四十三兆円で計算すると、患者負担率が一八・六%という形でまたかなり上がってしまうわけですよ。これはこのままでいいのかということなんです。

 つまり、この間、繰り返し指摘をされてきたように、二〇二五年の国民医療費の予測については、九五年の時点では百四十一兆円というように、大幅に大きな過大予測がされていました。それが、九七年百四兆円、二〇〇〇年八十一兆円というように修正をされてきたわけですね。問題は、その修正をしてきたけれども負担増は特に修正をしてこなかった、ここをどう受けとめるのか。医療費予測を修正してくる中でやはり負担増も据え置くという選択肢があるのではないか。これは大臣に伺いたいと思います。

川崎国務大臣 保険料等で若者の負担がだんだんふえていくということについては避けられないだろうと思っております。そういった中において、年金の議論でもありましたように、若者の年金負担がふえていく、一方でマクロスライドということでお年寄りの方々にも御理解を賜りたい、社会保障全体が、人口構造が変化していく中でお互いが協力し合っていただきたいという中で進めてまいりました。

 今回のことにつきましても、若者にだんだん負担をお願いしていかなきゃならないという社会保障全体の流れの中で、現役並みの所得のあるお年寄りには我々同様の御負担をお願いするということでお願いをし御理解を賜りたいと思っております。若者も、お年寄りも、そして我々中間的な世代も、みんなで協力し合いながらやっていかなければならないのがこの社会の実態でございますので、どうぞ御理解のほどお願い申し上げます。

高橋委員 若い方たちに負担を余りさせないということで、そうおっしゃるんであると、逆に言うと、若い方たちが、自分が高齢者になったとき、後期高齢者になったとき、これは一体どれほど負担がふえるのだろうかと大変な不安を与えられるんじゃないか。今でさえ、年金が自分の代になったら本当にもらえるんだろうかという不安を持っている方はたくさんいらっしゃいます。そういう中で、やはり理解ができる負担でなければならないわけです。

 ですから、私は、先ほど言ったように、医療費が非常に上がるから一定の負担が必要だという議論をしてきたけれども、実際にはそんなに上がっていないじゃないか、上がっていない以上は、一定、見送る、据え置く、そういう選択肢もあるのではないかと聞いたんです。もう一回、伺いたいと思います。

川崎国務大臣 そこは、申し上げましたように、私ども団塊の世代が七十五歳を超える段階では、今千二百万の後期高齢者が二千万という現実の数字になる、二十八兆円の医療給付の中でたしか十一兆円が七十五歳以上の後期高齢者に対する給付でございます。したがって、我々が七十五歳以上になりましたときには、その数は相当大きなものにならざるを得ない。

 いろいろの計算式はあるんだろう、またいろいろな形で、これ以上我々の、過大な見積もりであると言う方々もいらっしゃる、過小な見積もりだと御批判をいただく方もいらっしゃる。しかし、そういった中で……(発言する者あり)ありますよ、正直申し上げて。そういった中で、当然、この一千二百万が二千万になるという実態は御理解をいただかなければならないだろうと思います。そして、ある意味では、我々団塊の世代というものが、まあ表現で言ったら、私はその世代だからいいでしょう、我々がいなくなったときはそうお年寄りの数が急激にふえていくという時代は変わってくる、我々の息子の代まででしょう、日本の社会全体の変化にはなってくるだろう、このように考えております。

 いずれにせよ、年金については、今までのストックというものを利用しながら、その時代をうまくくぐり抜けていこう、耐えられるような制度にしようと。医療ということになりますと、ストックはないわけですから、その時代のものがストレートに出てきてしまう。そのときに、一挙に負担をふやすというのは無理であろうという中で、できるだけのカーブを今から変えていこうということでございます。

高橋委員 大臣、この問題は指摘にとどめますけれども、今、少ないと言う方もいらっしゃると、いろいろおっしゃいました。私は、自己負担を今の時点で下げろという議論はしておりません、それは下げた方がいいと思ってはおりますけれども。しかし、現実に医療費の動向を見ながら無理のない負担であるかどうかを見きわめる判断をしてもいいのではないかという提案をさせていただきました。

 九七年の健保本人二割負担が導入されたのは、橋本内閣のときでありますが、先輩議員はよく御存じですけれども、この健保本人が二割と法律に書き込まれたのは八四年でありました。しかし、その八四年のときは、当面の間一割とされて、原則窓口無料だった健保本人が一割で有料化に踏み切ったのでありました。その当面の間という言葉が十三年間も続いたということは、やはり、それに対して国民の強い批判があったし、一気に二割にするということは余りにも影響が大きいだろうということを踏まえて当時の政府が判断をしたことではなかったのかと思うんです。

 私は、そういう歴史だってあるんだ、だから大臣が、今医療費の動向をよく見ながら当面据え置くという決断もあるじゃないかということを提案させていただきました。これは指摘にとどめて、次に行きたいと思います。

 そこで、時間が大分なくなってまいりましたけれども、たび重なる医療改悪や社会保障の改悪によって、やはり、お金のあるなしが医療の格差、命の格差につながる事態は起こっております。そこに輪をかける大改悪、このことをやはり私は指摘をしていきたいなと思うんです。

 日本の皆保険制度は、国民健康保険制度の創設、拡充によって支えられてきました。しかし今、この国保が深刻な状態になっています。実際に、新聞各紙でも報道されたように、今、国保の滞納世帯が四百七十万世帯、滞納率が一八・九%。そのうち、一年以上滞納したために、保険証を取り上げられた、いわゆる資格証明書になっている世帯が三十二万世帯にもなっております、資料の二枚目に出しておりましたが。それで、保険証がないために病院にかかることができないで命を落とした方、これも出ているということが、本当に悔しいけれども、現実に起こっていると思うんです。

 そこで、私、きょうどうしても伺いたいのは、四月六日の本会議で私が質問したんですけれども、小泉総理は、この資格証明書の問題について、負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない方の未納分は他の被保険者の負担となり、被保険者間の公平が損なわれることから、資格証明書制度は必要なものと考えていると答えております。そうなると、今紹介をした資格証明書を受けた三十二万世帯がすべて、負担能力があるにもかかわらず納めていない悪質な納税者と政府は認識しているのでしょうか。この点を確認したいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 国民健康保険の資格証明書の交付についてでございますけれども、これにつきましては、個々の事例に応じまして市町村が適切に判断していると考えているものでございますけれども、保険料を納付することができない特別の事情があると認められる場合には交付対象となっていないということでございますので、負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない方について交付しているもの、このように承知をしております。

高橋委員 しかし、現実に、病院にかかれなくて命を落とすというような事態が起こっている。このことを、では、どう認識されておりますか。

水田政府参考人 資格証明書を交付された方の場合ですけれども、この方々につきまして、医療費につきましては、これは償還払いをされるわけでございますので、そういった意味で、適切な保障というものは確保されている、このように考えております。

高橋委員 ちょっと、命を落とした方がいるという指摘に対して、余りにもそっけない、償還払いされているからいいじゃないか、そういうお答えは非常に腹立たしい思いがいたします。

 そもそも、保険料を払えない方が窓口で十割負担を払えるわけがありません。だからこそ、我慢に我慢を重ねて、がんが大きくなる、そういう状態になって病院に運び込まれる実態が起こっていることを十分御存じだと思うんです。しかも、償還払いがされるからとおっしゃいました。確かに制度はそうですが、もし仮にかき集めてお金を払ったとしても、その分は滞納分に回るという実態がございます。だからこそ多くの方たちを病院から遠ざけてきたということがあるじゃないかと。私は、今、こういう国保の現場で起こっている事態が、本当に、もっともっと悪化をするのではないのかということを指摘しておきたいと思うんです。

 ただ、きょうは時間がないので次の機会に譲りますけれども、先ほど局長がおっしゃったように、機械的に取り上げるわけではない、事情がある人にはちゃんと保険証を発行するんだとおっしゃいましたので、それが窓口で徹底されるような指導をお願いしておきたい。そのことを指摘して、終わります。

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 四月の六日に本会議で、小泉総理ももちろん御出席のもと、健康保険法と医療法を二つの大きな軸にした今回の医療制度改革関連法案が質疑されまして、それを受けて、当委員会でも、今週水曜日そして本日と、実は断続的な質疑が続いていると思います。

 私があえて断続的と言わせていただくのは、ここのところの国会審議状況は大変にタイトでございまして、これは厚生労働大臣の川崎大臣も大変だろうなと思うほどのタイトさでありますが、私はやはり、医療というのは、人と人が命ということをめぐって信頼関係を結ぶ、医療というのは人が人になす術でございますから、そういうことをめぐって落ちついた審議が行われるということを本当に心から望んでおります。

 そして、もう一つ残念でありますのは、実は、私は、本会議で小泉総理に質問いたしましたが、お答えがいただけなかった問題が二つございます。その前者は医療費の試算方法で、これはまた次週以降取り上げさせていただきますが、もう一つは、小泉総理が、みずから総理として、今医療を担う若い医師たちにどんなメッセージをお送りになりますかということをお尋ね申し上げました。残念ながら、答弁は全く触れられずに、そしてまた、できれば委員会の当初、お越しいただきたいことでありましたが、鴨下筆頭理事、追って総理の御出席もということをお話しいただきましたので、きょうは私の残念の意を申し添えます。

 なぜ私がこういうことを申すかといいますと、実は、きょう、民主党の皆さんが医療関連の、小児医療や医療事故、患者の権利ということで法律案も準備されて、ともに審議できる状況にということで、本日は与野党合同のもとでの審議でございますが、私が見るところ、もっともっと奥深いところに今の医療の危機的な状況があると思っております。

 冒頭、大臣にお伺いいたしたいと思います。

 実は、三月の十日の新聞紙上に、山形の県立中央病院で、医師、病院長や事業管理者あるいは看護師長が、五十歳以上の方総勢十八人が三月いっぱいで一斉に病院をおやめになる、管理者が一斉に十八人やめるという新聞報道がございました。こうした事態は、先ほどの菊田委員のお取り上げになった事例ともども、余りに日常化したために、もしやしてお目にはとまらなかったと思いますが、私が、つい数日前、実は、ここの小児科の部長が自殺をされたということを、私は小児科医仲間ですので、伺いました。管理者が一斉に十八人やめ、小児医療の責任者がみずから死を選ぶ。

 私は、この事態を前にして、実は、一九九九年、私がまだ千葉で私の勤めます病院の雇われ院長をやっておりますときに、四十歳代の女性の医師が、小児科の医師です、脳血管障害で突然に亡くなられ、実は、この方の同級生が、山井さんがお取り上げになった、東京都でやはりみずから死を選ばれた中原医師であるという。私自身より少しお若い、しかし一生懸命働いていた小児科医二人が亡くなられ、今また身近に小児科医師が亡くなられるという事例を耳にして、大臣に伺いたいのは、大臣は、実は厚生労働行政の中で、医療にかかわる医師や看護師の、みずから死を選ぶ率の高さについて御存じか、あるいは厚生労働省はそういうデータをおとりになったことがあるかどうかについてお聞かせいただきたいと思います。

川崎国務大臣 日本の自殺の問題については、政府としても大きな課題であると認識をいたしております。特に、男はロシアに次いで二位、女性は世界で一番自殺率が高い、こうした数字にあります。

 そういった全体の概要は承知しておりますけれども、医師、看護師の自殺率がどのような数字になっているかということについては、私は承知いたしておりません。

阿部(知)委員 実は、昨日の質問取りの段階で厚労省にもお伺いしたのですが、そういうデータはおとりでないと。私は、これは、そういう意識で事に臨むかどうかでやはり実態が浮かんでくるのだと思います。

 ちなみに、福島委員もお取り上げでございましたが、イギリスのサッチャーの医療制度改革後、現在ブレアでございますが、医師の自殺率は他の専門職の二倍、看護婦は同じ女性たちの四倍というふうに高い数値が出ております。このことが、民主党の皆さんがここのところ本当に熱心にお取り上げくださっている医療現場の過重労働等々であるという一因もあるでしょうが、私は、もっともっとやはり奥深いところに、人と人との信頼で成り立つ医療現場そのものの中で信頼が非常に希薄になってきている。

 実は、過重労働であったのは私の時代からも同じだと思います。先ほど川崎厚生労働大臣も団塊世代のお話をなさいましたが、それから、この間のいろいろな御答弁で、団塊世代はリタイア後も働くからとおっしゃっておられますが、そういう感覚は私もある程度、それは撃ちてしやまんではないですが、働こうかと思います。

 しかし、医療という場で働くには、信頼、自分のなしたことが患者さんにどのように受けとめられ、逆に感謝され、本当に大変だけれどもやっていけるというもう一方の踏ん張り棒がないと、お金の問題や過重労働の問題だけでは語り切れない分野で、人と人とがぶつかり合う分野ですから、非常に私は問題の根が深いと思っております。

 大臣は、きょうの御質疑を通じて、いろいろ、医師の問題、医療提供体制の問題、指摘されましたが、きょう一日お聞きになって、今医療の中で一番どんな問題が大変なのか、ここについての御認識をお願いいたします。

川崎国務大臣 いろいろ議論いたしてまいりましたように、我が国の現状の医療制度、これは諸外国からは高い評価をもらっている。しかし、内から見ればさまざまな課題があって御指摘をいただいております、こういう認識をまずいたしております。

 一方で、小児医療、これは急性期の、救急の小児、そういう意味では、一般の開業医の小児科医の皆さん方と、それから救急の病院とのネットワークが、まず、どこかが切れているのかなという感じ、要は連携がうまくいっていませんね。

 もう一つは、小児医療をやはり二十四時間、三百六十五日体制でやるとなると、これは、先ほどの調査資料でも、やはり十人ぐらいが集約化してこなければ十分な医療体制が提供できないな。逆にいえば、そこまでそろわないと過重な労働を強いるという形になるな。そうすると、十人の小児科の医師を集約できるという体制になるとどのぐらいの規模になるかということを、やはりお互いが理解をしながら進めていかなければならない。

 一方で、地域の皆さん方、特に市という固まりになりますと、自分のところに必ずそういうものはあるべきだという御主張が多うございます。そうしたものをやはり県が調整していただいて、私の地域でいえば、両市で一つの小児体制というものがしっかり救急の体制ができ上がれば形づくがなという思いと、結構これが難しい問題だな、正直、難しい問題になっております。それが、自分自身の地元を通じての感覚としてございます。

 周産期医療の問題、急性期の医療の問題、さまざまな問題が出ている中、病院に勤務される医師、看護師の過重労働というのが大きな課題である、このように認識をいたしております。

阿部(知)委員 先ほど私がもう一つお願い申し上げればよかったですが、過重労働の問題とも兼ね合わせて、医師、看護師の、日本全体でも多い自殺という状況の中で、特にそこにまたフォーカスを当てて、厚生労働省としてはぜひフォローしていただきたいと思いますので、この点は、先ほど申し上げればよかったのですが、お願いを申し上げます。

 そして、今、大臣の御答弁でございましたが、それ自身は私も否定しないのですけれども、実は、昨年の五月、イギリスで、ちょうど五月の五日、いわゆる選挙がございました。国政選挙ですね。各政党、労働党や保守党、あるいは、イギリスのリベラル・デモクラティック・パーティーと申しますか、自由民主党というのでしょうか、その各政党がそのときに掲げたいろいろな医療政策の中で、例えば、待ち時間が長い、あるいは、患者が選べるようにしろ、あるいは、もっと医者をふやせ。何だかきょうと似ていますが。

 あるいは、バリュー・フォー・マネー、これは福島先生がお出しになりましたので、どんなサービスだったらどれだけお金を払うよという患者さんたちのチョイスの問題。あるいは、寄附、これは私も取り上げさせていただきましたが、病院への寄附の、寄附によって成り立つ病院の問題。あるいは、そもそもイギリスの総体の医療、ヘルスケアシステムをどう変えるか等々の問題が論じられたのだけれども、実は、最も根源的な問題にはフォーカスが当たらなかったということを、ランセットという、これは私たち医者仲間が読む有名なイギリスの雑誌ですけれども、それが巻頭に書いてございます。

 その最も根本的な問題は何かというと、医師たちの心の疲弊だと。いわゆる、これは単に医療現場が崩壊した、崩壊したということではないのですが、医師たちが気持ちの中で、もう自分を維持できなくなってしまっていると。その根源が、患者さんとの信頼だったり、医療の社会での認められ方だということを、ランセットという英文誌が報じております。

 私は、この医師の心のありかだとかいうのは非常に観念論的だと言われるかもしれませんが、実は、先ほどの山形の県立中央病院で管理者が十八人、小児科医師はみずから死を選ぶ。もう本当に、ぎりぎり頑張れないし、私の友人の言葉を使えば、立ち去り型サボタージュを始めているんだと。死を選ぶか、みずから黙って去っていくかというところに立ち至っていて、それでは、ここのこの審議は何をすべきなのかということで、私は、きょうは、与党の御質疑の中でも、私も野党ですが、野党の御質疑の中でも皆さんがお触れになりました医療費の問題や患者負担の問題以上に、実は、医師の教育と配置の問題を、これは与党も野党も挙げてお考えいただきたいし、現実にできる手だてなので、まず前半はそこに私はフォーカスを当てさせていただきたいと思います。

 大臣にお伺いいたしますが、これも先ほど来民主党の皆さんのお尋ねですけれども、平成十年の五月に医師の需給に関する検討会が開始されて、十二回、検討を行ってこられたと思います。中間報告も出ています。そこでの検討の内容を、再度で恐縮ですが、大臣の目からごらんになって、エキスの部分で結構であります、医師の数が足りないか、足りているか、局在があるか。いろいろなことが指摘されましたが、大体大臣の総括はどのようであるかをまずお願いいたします。

川崎国務大臣 平成十年の話ですね。(阿部(知)委員「十年から十二回、ここまで行われている」と呼ぶ)最近の話ですか。(阿部(知)委員「はい。十年のでも結構です」と呼ぶ)

 平成十年のときは、平成二十九年ごろから供給医師数が必要医師数を上回る、三十万人ぐらいに達するだろうという見通しを立てております。毎年三千人から四千人程度医師がふえてきて、平成三十年ごろには三十万医師体制となって、少し必要医師数を上回るのではないかという一つの想定を立てております。

 今議論をいたしておりますのは、医師の診療科による偏在問題、それから地域的な偏在問題、この問題についてどう対応するかというのを一つの議論、それからもう一つは、総体的にどうであるかという議論を今いたしているところでございます。

 一方で、先ほどの菊田議員との議論の中で少し申し上げましたように、たしか十万人当たり、記憶で申し上げていますが徳島だと二百八十二、また東京ですと二百七十八ですか、そういう意味で極めて高い地域もあります。四国、中国地方は高い数字になっておると思っております。一方で極めて数字が低いところもある。こういった問題をどうやって解消していくかということもある。

 しかし、数が多い県がそれで満足をしているか、十分かということになれば、その県の中にも診療科目と地域によって偏在、要は、県の中央部にどうしても医師というものが集まってきて、過疎地域には、十分な医師数がいるという想定であっても足りないという問題がありますので、そういった問題も含めてどうやっていくか。

 一方で、例えば、大学の定数をふやしたならば、先ほど御議論いただいた、少ない地域に本当に医師数がふえていくのかということになると、必ずしもそうではない。結果としては東京で三百を超える結果になってしまうのではなかろうかという問題も含めて、さまざまな議論をさせていただいております。

阿部(知)委員 大臣はよく見越していらっしゃると思うんですね。例えば、菊田委員のお配りくださった資料でも、同じ新潟の中でも、新潟は確かに医師数は足りませんが、新潟市は医師の数が平均より多く、あるいは六日町、十日町あたりは少ない。同じ県の中にも、都市部に集中している、あるいは診療科ごとにも非常にばらつきがある。

 そして、実は今後、これは本当にこのままではさらにさらにひどくなると思うんですね。都市化の問題もございますし、あるいは三K職場を嫌うという問題もございますし、その中に小児科、産婦人科が入っているのは残念でございます、本当はすばらしい科なんですが。

 私がきょうここで申し上げたいのは、実は、平成十年、そういう医師の需給見通しを立てられて、数の上では足りているが、その後、非常にアンバランスが生じたと。恐らく、このままで定員数だけをふやしても、私は、これはもっと悪化するという立場に立つ者です。

 では、何をするのかというときに、実は、国の政策の中で、平成十六年から義務化の二年研修を終えた医師たちが各地に出てきたわけです。これが各大学どのくらいの数、何科に入局であるかということをお出しいただきたいと厚労省にも文部科学省にもお願いいたしましたが、まだデータがそろっていないということで、本日の質疑には間に合いませんでした。

 実は、医師の養成をして、二年研修をして、研修を義務化してと、ここまでは、私の先輩である、そしてもう既に亡くなられた今井澄先生が、研修の義務化ということを本当に御自身の強い熱意でやられて、また与党の皆さんにも御理解をいただいて事が成ったわけですが、実は、医学部六年が終わり、二年研修した後さらにどこにどのように配置されていくかということについては、全くノールールでございます。

 ちなみに、大臣も御存じのように、かつて、大学がそれなりの入局者を集め配置していた時代は、まだある種のコントロールがありました。今は、全く個々の医師の意識に任されてまいります。そして、果たして日本の医療がそうした全くの自由選択制で担い切れるかどうかということを、私どもは今、政治の意思として本当に審議していかなきゃいけないんだと思います。

 かといって、もちろん職業選択の自由もありますから、あなたはあそこへ、これをやりなさいというわけにいかないということは十分承知の上で、実は大臣に見ていただきたい資料がございます。

 お手元には、これは、厚生労働省が医師の配置、配属をめぐって各地域間格差の問題を審議なさっている委員会の中で、厚労省みずからがお出しになった資料です。アメリカと比べての値です。

 何もアメリカがよくて我が国が云々したいためではなくて、私はこれを見たときに、清水先生の脳外科は多く……(発言する者あり)そうです、違います、私阿部知子の小児科は少ないというふうに読むのか。今、清水先生がおっしゃったように、内容も違い、ただし、ここの注の五のところに記載されておりますように、米国では、診療科別のボード、専門医認定委員会が中心となって専門医認定の前提となるレジデントプログラムを定めて、レジデント数におのおの制約があって、この年はここが少ないからここのレジデント数をふやし、ここはある程度コントロールしようという意思を働かせての医師供給体制になっております。

 ちなみに、もっとわかりやすく言えば、後期研修というのがありまして、今、二年を前期研修とすると、その後の専門医になるとき、自分は何科を標榜していこうかというときにも、そこが全く自由枠ではないということであります。

 私は、これから本当に日本が各地で国民の医療を支える医師を配置しようと思ったときに、一つの大きな決断をしなきゃならないと思います。ここには、例えばファミリーメディスンという形で英語でしか書いてないですが、アメリカで家庭医を志す人、日本ではそういう診療科別ではないのでということで統計がないということですが、今ある研修システムが終わった後、果たして国はどの程度の医師たちをどんな診療科に望むのかということについて、私は、やはり一つの見識を示していかないと、どんなにやってもこの配置のアンバランスというところはなかなか軽減がされないように思います。

 今、医学部教育が六年で、二年研修、アメリカでは、四年の一般大学の後、四年医学部に行き、その後またレジデント制があります。医師の教育ということについて、私は、せんだっても厚生労働大臣に、文部科学大臣とよくお話ししてくださいとお願いを申し上げました。今の医師教育システムとその後の専門課程、もちろん、初期の研修で僻地研修を義務づける、小児科、産科をやるということは少しずつ前に進んでいますが、その後の専門の認められ方、あるいは、いろいろな医師総体を国がどう見て、そこに視野を定めて事を運んでいくかということについて、きょう私はこういうことを初めて申し上げますので、大臣にも急であろうかと思いますが、非常に臨床現場にいれば案じられますので、今私の指摘の点について大臣の御見解をお願い申し上げます。

川崎国務大臣 この二年間の研修医制度の結果をしっかりウオッチしなきゃならぬなというまず認識は持っております。

 行政を担当する者として、阿部委員の御提案は非常に魅力的でございますけれども、本当に理解を得て進むことができるか、まさに言われた職業選択の自由という観点から果たしてやり得るだろうか、こういう感じはいたします。しかし、こうした思い切った御提案をいただきました。自分の頭の中でしっかり勉強はさせていただきたいなと思います。

 一方で、それぞれの国立大学で地元枠、例えば、先ほど菊田委員には時間がなくてお返ししなかったんですけれども、新潟医大を卒業したお医者様が新潟へどのぐらい残られているんだろうか。

 私のところで言います、三重医大を卒業したお医者さんがどのぐらい我が県に残って医療に貢献してもらっているのかということになると、三重医大は、正直申し上げて極めて少ない数字になってきております。ことしから五人を地元枠とさせていただきましたけれども、先日、学長がお見えになりましたので、何とか来年から三十人という数字にしてくれぬかという形でお願いをいたしておりますし、そういうものも進める必要があるんだろう。ただし、来年から三十人枠にいたしましても、八年後にお医者さんが誕生するという話でありますので、今日的な今の医師の偏在問題の解決にはならない、十年後には間違いなくきいてくると思いますけれども。今どうするべきかということになると、やはり集約化を図りながら、各県としっかり話し合いながらやっていく以外にないな、こんな思いを今はいたしております。

阿部(知)委員 今大臣もおっしゃったように、地元枠をふやしても、その地元に本当に行ってくださっているかどうかというところも問題になりますが、今回のいろいろな改正案を見ておりますと、自治医科大学方式で、また自治医科大学の入学定員の問題を少し充実させようということも出ております。

 私は、一県一医科大学の構想の中で、自治医科大学は、確かに各地に医師を送り出してくださっていると思いますし、今後、自衛隊、自衛官の医務官が各地に行ってくださるというのも賛成でございますから、それはいい方法だと思っておりますが、もっともっと自治医科大学方式に学んでいただきたい、その地域枠をふやすだけでなくて。

 と同時に、もう一点、集約化問題では私は逆の懸念を抱いております。

 と申しますのは、集約化のいただきましたいろいろな提案を見ますと、実は、県の権限が及ぶ、すなわち公立病院とか公的病院を中心に小児科や産婦人科を集約していくというお話です。大臣も御存じだと思いますが、例えば小児科で申しますと、小児科病院の総数は全国で三千二百三十一ございますが、公立病院が七百九十一で二四・五%、日本の医療は公と公的と民、いわゆる医療法人でやっているわけであります。これは鴨下委員が、冒頭、やはりこれからの医療は今までの公という区分けだけでなくしっかり地域の民も生かしながらということをおっしゃいましたが、私も全くそれは同じ意見でございます。

 なぜならば、小児医療の場合は公立病院と公的な病院を合わせても千四十三です。これで三二・三%にすぎません。公的病院で人の配置がそこは動かせるからと集約してしまった場合に、かえって地域全体の医療バランスが崩れてくる。私は、ここにおいてはやはり地域のテーブルをつくって、全部厚労省の文書は公的病院を中心に、希望があれば民間もという書き方をしています。こういう官民格差は、何か私が言うのも変な立場でありますが、でも、私はやはりおかしいと思います。

 もう一度、集約化というのは、反面、アクセスが遠くなる方も出ますし、逆に三分の一だけで集約化しようというのは実は不可能です。ここをしっかりと、今厚生労働行政にかかわっている方は、一体医療の公共性とは何なのか。それは、日本にはまだ株式会社の病院などはないわけです。公的病院じゃなくても、みんな医療法人、非営利です。ちなみに、アメリカでも株式会社は少なく非営利のものが多うございます。公共資本だと、それは民間が運営している、経営している病院でも、これは医療法人としていろいろな公共的なものを出して提供しております。

 ぜひ、地域の集約化に際して、公的病院、全部そうでした、小児科も産婦人科も見直すとおっしゃって、では、私は数はどうなっているのかと見てみたら、小児科だけ数えましたらそんなものでありました。実情だと思います。集約化に際して、もう少し視野を広く持って皆さんの協力を仰ぐということをぜひ大臣にお願いしたいですが、最後に御答弁をお願いします。

川崎国務大臣 阿部委員の御指摘どおりでいいんだと思います。

 答弁どおり読みますと、まずは公立病院中心に検討することは有効であると考えているが、集約化の際には、地域の実情に応じて、他の公的な病院、民間病院も含め、協力を要請していくことが重要であると考えている、こういう答弁になっているんですけれども、御指摘いただいたとおり、まさに地域で民間病院が中核的な役割を担っている部分が多いわけですから、そうした病院と各県が相談をしながらしっかりとした医療体制を組んでいくことが大事だろう、このように考えております。

阿部(知)委員 先行して公的病院のみによる再編をくれぐれもお考えにならないようにお願い申し上げて、よいものを育て、医療は命を支える基盤として国民に安心のサービスを提供していただきたいと思います。

 終わります。

岸田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十六分散会


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