衆議院

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第18号 平成18年4月26日(水曜日)

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平成十八年四月二十六日(水曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 園田 康博君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    上野賢一郎君

      加藤 勝信君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      中森ふくよ君    永岡 桂子君

      西川 京子君    林   潤君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      御法川信英君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      仙谷 由人君    田名部匡代君

      古川 元久君    三井 辨雄君

      村井 宗明君    柚木 道義君

      上田  勇君    高木美智代君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   参考人

   (社会保障審議会医療保険部会長)         星野 進保君

   参考人

   (社団法人日本医師会常任理事)          内田 健夫君

   参考人

   (日本経済新聞社論説委員)            渡辺 俊介君

   参考人

   (日本労働組合総連合会副事務局長)        逢見 直人君

   参考人

   (東京医科歯科大学大学院教授)          川渕 孝一君

   参考人

   (全日本民主医療機関連合会副会長)        鈴木  篤君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     松本 洋平君

  木原 誠二君     永岡 桂子君

  林   潤君     中森ふくよ君

同日

 辞任         補欠選任

  中森ふくよ君     林   潤君

  永岡 桂子君     木原 誠二君

  松本 洋平君     加藤 勝信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案、小宮山洋子君外四名提出、小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案及び園田康博君外三名提出、医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案の各案を議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、社会保障審議会医療保険部会長星野進保君、社団法人日本医師会常任理事内田健夫君、日本経済新聞社論説委員渡辺俊介君、日本労働組合総連合会副事務局長逢見直人君、東京医科歯科大学大学院教授川渕孝一君、全日本民主医療機関連合会副会長鈴木篤君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず星野参考人にお願いいたします。

星野参考人 御紹介いただきました星野進保でございます。

 本日は、医療制度改革関連法案の審議に当たりまして、こうした機会をお与えいただきまして、大変ありがたく思っております。

 医療保険制度のあり方につきましては、今御紹介いただきましたように、私が部会長を務めております社会保障審議会医療保険部会におきまして、平成十五年七月十六日以降、延べ二十四回にわたり精力的に議論が行われました。これらの議論の経過を踏まえまして、医療保険制度のあり方につきまして、政府案に賛成の立場から発言させていただきます。

 我が国の医療保険制度は、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を実現してきましたが、近年、急速な高齢化など、さまざまな環境変化に直面しております。

 国民の健康、長寿という人間にとって一番大事な価値を実現するためには、国民の安心の基盤としての良質な医療を効率的に提供する体制の構築と、将来にわたる国民皆保険制度の堅持とが不可欠であると考えております。

 そのためには、今後増大が見込まれる医療給付費の伸びを国民が負担可能な範囲とすることが必要となります。この医療費の適正化に当たっては、国民の生活の質の向上、医療の安全確保や質の向上を図ることを前提に行うことが必要であり、医療そのものを効率化し、医療費の伸びを徐々に適正化していく中長期的な方策を基本とすべきであると考えております。

 そして、その中長期的な方策としては、生活習慣病の予防、入院から在宅医療まで切れ目のない形での地域の医療機能の分化、連携、医療と介護の両面にわたる地域ケア体制の推進といった取り組みを進める必要があると考えます。

 医療費の適正化を進めるに当たっては、これらの中長期的な医療費適正化方策を中心に進めることが重要ですが、これらの効果はすぐにはあらわれません。このため、公的保険給付の内容、範囲の見直しを初めとする短期的な医療費適正化方策も組み合わせる必要があると考えます。

 この公的保険給付の内容、範囲の見直しにおいては、過度の患者負担増は公的医療保険の意義を損なうおそれがあり、効果も一時的であることから、国民的合意を得ながら中長期的な方策を補完するものとして検討していくべきであると考えております。

 今後、高齢化が進行し、高齢者の医療に要する費用の増加が見込まれる中では、現役世代がその負担に耐えられない状況になることが想像されます。このため、高齢者のうちでも現役世代と同じ所得水準を持っている方は、三割負担をするべきだと考えます。同級生の面倒をまずお互いに見合いながら、それで足りなければ息子や孫たちの世代に助けてもらう、そういう考え方が当たり前のように思えるからです。もちろん、低所得の方へは十分な配慮が必要であることは忘れてはなりません。

 国民皆保険制度を堅持し、医療給付費の伸びを適正なものとするためには、中長期的な方策や短期的な方策といった個別の政策を積み重ねていくことが必要であるという考え方を述べさせていただきましたが、制度の持続性を維持するためには、保険運営を安定的なものにすることも重要になってきます。

 我が国の医療保険制度体系は被用者保険と国保に大別できますが、特に国保を中心に財政状況の悪化が進んでおります。こうした財政状況の悪化に対処するため、被用者保険、国保それぞれについて、各保険者の歴史的経緯や実績を十分尊重しながら、保険者の財政基盤の安定を図るとともに、保険者としての機能を発揮しやすくするため、都道府県単位を軸とした再編統合を推進する必要があると考えます。

 まず、国民皆保険制度の最後のとりでとしての役割を担っております国保についてですが、都道府県単位での保険運営を推進するため、各市町村における高額医療費の発生リスクを都道府県単位で分散させるとともに、保険財政運営の安定と保険料の平準化を促進する観点から、共同事業の拡充等を図る必要があると考えます。

 次に、健保組合の再編統合についてですが、健保組合の自主性、自律性を尊重しつつ、同一都道府県内における健保組合の再編統合の受け皿として、企業、業種を超えて健保組合同士が合併して形成する地域型健保組合の設立を認めるべきであると考えております。

 最後に、政管健保については、国保や健保組合とは逆に、全国一本の保険者として運営されてきましたが、被保険者等の保険料を負担する者の意見が反映されず、保険者機能を発揮できないという問題点がありました。こうしたことを踏まえまして、国とは切り離された全国単位の公法人において運営されるようにすべきであると考えます。

 これまで、我が国の高齢者医療は老人保健制度を軸にしてまいりました。この老人保健制度は、高齢者がそれぞれの保険者に加入したまま、国保や被用者保険からの拠出金と公費をもとに市町村が運営するという方式をとっており、保険料の決定、徴収主体と給付主体が別であり、給付と負担の関係が不明確であるという指摘がなされてきました。

 このため、今後の高齢者の医療制度については、高齢者からも保険料を徴収することにより、給付と負担の関係を明確にし、同時に、社会連帯による相互扶助の考え方に基づく国保や被用者保険からの支援、公費を財源とする独立した制度を創設すべきだと考えています。

 そして、新たな高齢者医療制度を創設するに当たっては、その被保険者や運営主体をどうするかという問題が生じますが、高齢者の生活実態、経済的地位、心身の特性及び支え手をふやすなどの観点から、被保険者は七十五歳以上の者とすることが適当だと思います。また、保険リスクを軽減し、財政運営の安定化を図るためにはある程度の財政規模を有する必要があることを考慮すれば、運営主体は都道府県やそれと同等の規模を有するものとすることが望ましいと考えます。

 以上、医療保険制度のあり方につきまして、個別政策の積み上げ方式による医療給付費の伸びの適正化、都道府県単位を軸とする保険者の再編統合、新たな高齢者医療制度の創設という三つの大きな柱に沿って発言をさせていただきました。

 今後、団塊の世代が高齢化し、医療費の増大が見込まれております。給付と負担の均衡を図り、国民の安心の基盤である皆保険制度を堅持し、人口構造の変化に対応できる持続可能なシステムがつくり上げられますよう、政府の取り組みを期待いたします。

 ありがとうございました。(拍手)

岸田委員長 ありがとうございました。

 次に、内田参考人にお願いいたします。

内田参考人 日本医師会常任理事の内田と申します。

 本日は、医療法、健保法及びその関連法案の改正について、医師の最大の職能団体である日本医師会の立場から、また、医療の現場を預かる医師としての立場から意見を申し上げます。

 資料が袋の中に入っておりますので、ごらんください。

 今回の法改正の趣旨は、患者の立場から、安全で質のよい医療を効率的、持続的に提供する体制の構築にあると考えています。

 しかし、実際には、医療費適正化という名のもとに、官の財政支出をいかに減らすかという財政主導の視点が目につきます。国民に適正な医療が提供できるのか、国民の健康と生命を守ることができるのかという点で不安を感じています。医療においては、費用の適正化より、適切な医療の確保が第一に配慮されるべきです。

 資料の四ページ、五ページをごらんください。

 御案内のとおり、日本の医療費は対GDP比でOECD参加国中十八位という低い水準ですが、平均寿命、健康寿命、乳幼児死亡率は、いずれも世界最高の水準を維持しています。この事実は、いつでも、どこでも、だれでも良質の医療を安く受けられる国民皆保険制度と医療従事者の献身的な働きに支えられていると考えています。

 国民皆保険制度を維持するために本改正案の必要性は理解できますが、一方で問題点も多く、本日は、考えられるさまざまな課題について述べさせていただきます。

 国民に不安を与え、負担を増大させ、また、医療の現場を混乱させることがないよう十分に御検討いただき、附帯決議や政省令等による円滑な運用がなされますよう希望いたします。

 初めに、健康保険法の保険給付に関する事項について述べさせていただきます。

 高齢者負担増、高額療養費支援の縮小など、持続可能な医療制度の確立という目的のために、患者の負担増が顕著な施策となっています。平成十四年の健保法改正の際、附則第二条では、「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」とあります。また、医療費の自己負担増は受療行動を変化させ、病状を悪化させることで医療費増につながるという調査報告もあります。これ以上の自己負担増は医療保険制度の破壊につながると考えます。

 資料の六ページをごらんください。

 厚労省の試算をごらんいただくと明らかなように、医療費将来推計値は試算根拠がはっきりしておらず、この数年で大幅な減額になっています。これをもとにさらなる患者負担を強いることに国民は納得できるでしょうか。政府には、しっかりした試算根拠を示し、国民に説明する義務があると考えます。実際、二〇〇〇年から四年間では総医療費は一・七兆円の伸びにとどまっています。

 七ページをごらんください。

 いわゆる混合診療導入は、国民皆保険制度を崩壊させる危険性が懸念されることから、安易に許容すべきではありません。自費診療の拡大は、患者負担の無秩序な増大を招き、医療保険制度の破壊につながります。公平、平等で良質な医療の提供は日本の医療制度の根幹です。格差を容認する自費診療に貴重な公的保険の財源をつぎ込むべきではありません。

 平均在院日数、総治療期間の短縮は、治療の中断や医療従事者の業務過密化のために医療内容が低下するおそれがあり、疾病の重症化や長期化を招くおそれがあります。平均在院日数は、国際的には急性期のものが使われており、単純に日本のものと比較することはできません。また、診療科によっては労働条件が非常に厳しいことは直近の調査でも報告されていますが、これがさらに悪化し、医師偏在が進むことが危惧されます。

 コスト削減による医療現場での過酷な労働は医療事故や医療過誤に直結する問題です。経済が上向きになっても医療費を抑制し続け、その結果、医療職種の賃金は下げざるを得ず、診療科や地域、病診間のマンパワーの偏在がさらに加速しています。地域の医療事情を勘案し、適切な医療提供体制の整備を進めること、人員配置基準の見直しや医療関連職の増員、それを支える財源確保などの迅速な対応が求められます。

 高齢者医療制度の創設については、高齢者の有病率は高く、一人当たりの医療費は現役世代の四倍強という統計もあります。一割負担でも現役世代以上の負担になり、まして、前期高齢者の三割負担は家計への影響が大き過ぎます。また、高齢化によるがんや生活習慣病の増加に対しては、早期発見、早期治療、適切な健康教育などが必要であり、保険者、行政、地域の医療提供者の連携が重要になります。一生を通じての健康管理システムの構築も同じです。さらに、終末期医療についてのガイドラインを策定し、国民的なコンセンサスを形成することも必要と感じています。

 資料の九、十ページをごらんください。

 都道府県による医療費適正化計画と保険料設定は、地域格差の増大を招き、負担は公平、給付は平等という保険の基本理念に反します。国の基本方針に基づく指標や数値目標、その達成状況に応じて講じられる措置については、地域特性も勘案し、格差を助長することなく、患者の不利益になることがないよう、地域医療を担う関係者が中心となって協議をする仕組みが必要だと考えます。

 十一ページから十三ページをごらんください。

 療養病床の削減、介護療養型医療施設の廃止と、居宅、在宅医療への移行、慢性期リハビリの保険適用除外は、さまざまな問題を提起しています。現在入院中の患者が入院医療から排除され、また在宅でも十分な医療が受けられない事態は疾病の増悪を招くことが危惧されます。

 また、現状では、介護施設から急性期病床に入院した場合、その後の退院に際して介護施設には帰ることができず、療養病床に転院することが非常に多い現状があります。療養病床が大幅に削減されることで、介護難民、医療難民が発生すると考えられます。介護施設における医療行為は、現在医療保険の適用が認められていませんが、これをぜひ適用できるようにしていただきたいと考えています。現状では、必要な医療も受けられない場合が生じています。

 療養病床や長期医療のあり方については、介護保険、医療保険、医療法を包含する検討を加える必要があります。少なくともその実態調査を早急に行い、五年ごとに調査、見直しをすべきではないかと考えています。

 十四ページをごらんください。

 在宅医療に関しては、介護保険等のさまざまな施策との適切な連携、役割分担の中で、家族が希望する場合の選択肢として地域において整備を進めるべき課題と考えています。今後、家族構成等の点で自宅での医療、介護はますます厳しくなります。有料老人ホーム等、多様な住まいの概念に立って医療、介護の提供システムが構築されることが望ましいと考えます。

 十五ページ、十六ページをごらんください。

 医療機関に関する適切な情報提供のあり方については、最も大切なことは医療提供者と患者さんの信頼関係であると考えます。信頼関係というものは表面的な数字やデータのみに基づいて形成されるものではありません。行政による情報集約と一元化は、相互の信頼関係を補完するものとして、客観的で評価が確立した公正な情報に限定すること、広告内容もポジティブリストを堅持することが必要と考えています。

 十七ページから十九ページです。

 公的病院の再編整備と社会医療法人化による救急医療等の政策的医療に関しては、住民の健康と安全を第一に考え、地域の医療提供者と協議を行った上で、地域における医療資源の活用と人材確保を初めとした体制の整備を進めるように求めます。また、公的病院と民間病院の役割について明確な定義づけをし、連携を進めることで効率的な医療提供体制を構築することが重要です。

 二十ページです。

 中医協の問題ですが、診療側は地域医療の担い手の立場を適切に代表するもので、五人の代表のうち二人を病院関係者としています。医師会はほとんどの病院の医師も加入しており、医師の職能団体として最大のものであります。また、地域の医療をさまざまな形で支えており、診療側を代表する立場にあると思います。病院関係者の代表に関しては、今後は公正な判断での選出が望まれます。

 最後に、今回の改正法案は、残念ながら、一部において医療現場からの意見を十分に反映させる機会がなかったと感じております。この法案は、今後十年以上にわたる日本の医療の方向性を決定する大変重要なものであると感じています。手続上の不備や拙速に過ぎる取り組みは、国民の医療に対する信頼を損ね、医療現場の混乱と荒廃を招くことにつながります。十分な御審議と慎重な対応を希望して、私の発言を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

岸田委員長 ありがとうございました。

 次に、渡辺参考人にお願いいたします。

渡辺参考人 御紹介いただきました日本経済新聞の論説委員の渡辺と申します。

 私は、個人的なことをいえば、新聞記者として、医療行政といいましょうか厚生行政を三十年余り担当してきた、そういう立場から、今回の医療改革関連法案についての意見を述べさせていただきます。資料は用意しておりませんので、全部口頭で申し上げます。御了承ください。

 まず、私自身医療行政を担当して、今回ある意味では初めての経験といいましょうか、つまり、政府部内でこの医療改革に関する意見が対立したというのが私の強い印象であります。特に、経済財政諮問会議を中心としまして、極めて財政主導といいましょうか、そういった改革路線、それに対抗して今回の案の中核であります厚生労働省の案というふうに私は認識しております。

 まず、私が全体として立法府において御審議いただきたいのは、近い将来も含めて、日本の国民医療費、公的給付は一体国民所得の何%程度振り向けるべきか、この議論がなかなか出てきていない。経済財政諮問会議は、二〇二五年ベースで、この予測が当たっているかどうかは別といたしまして、現行とほぼ同じ水準、つまり国民所得の七%程度で維持するというような案を出しております。私はこの案には反対でございます。

 それに対して、先ほどもお話ありましたけれども、今、日本の国民所得の七・三%という数字は極めて低水準である。これはできれば、ヨーロッパ並みがすべてがいいかどうかは別といたしまして、やはり一〇%近く、つまり国民の命と健康を守る水準といったものは一〇%近くあっていいのではないかと私は思っております。

 もちろん、後ほど申し上げますとおり、そのためには国民の負担に対する同意といったものが必要でありますが、まず、その辺の議論といったものが足りないままにこの案がつくられたというふうに私は思っております。

 ただ、そういった中で、今回の厚生労働省の案を中心とした改革法案というのは、二〇二五年ベース、何度も言うとおりこの推計があてになるかどうかという疑問は確かにございますけれども、九%近い水準ということを前提にしてこの案を組んでいる。九%程度は振り向けようということは、私は評価していいのではないかと思っております。

 また、その医療費抑制の路線、つまり経済との連動といったことは無視できないのでありますけれども、経済財政諮問会議が打ち出したような、例えばいわゆるキャップ制、伸び率管理といった極めて乱暴な意見ですね。こういったものを排しまして、今回の案といったものはいわば下からの積み上げ、これは時間がかかるかもしれませんけれども、こういった案といったものは私はこれまた評価していいのではないかと。

 つまり、生活習慣病対策、予防を中心として、あるいは平均在院日数の短縮化、それは先ほど話もありましたが、療養型病床の六年かけての廃止あるいは削減といった、多少唐突な数、乱暴な気もいたしますが、特に老人の平均在院日数の短縮化といったものについては、この療養病床の削減あるいは介護療養病床の廃止といったことは、私はやむを得ないと考えております。

 そういったことで、医療改革というのは乱暴な議論といったものを排して丁寧に一つ一つ積み上げていかなきゃいけないというふうに私は考えておりますが、例えば生活習慣病対策一つとりましても、よく厚生労働省は長野モデルといった言葉を使っております。

 御案内のとおり、長野県の一人当たり老人医療費は日本一低い。日本の平均が一人当たり七十五万円、長野県は約六十万円、北海道や福岡は百万円近い、九十数万円といった水準で、確かに長野県は、私も研究班の一員として調べたことがございますけれども、平均寿命は男性が日本一、女性は日本で三番ですか、男女総合しますと平均寿命が日本でトップ、そして医療費は少ない、ある意味ではすばらしい県であることは、そういった意味では確かなんであります。

 では、長野モデルは結構なんですが、果たして日本の四十七都道府県みんながすぐ長野県みたいになれるかといえばまた別でございまして、長野県がなぜ医療費が低いかといえば、いわゆるヘルス事業、保健事業、保健補導員を初めとした地道な予防活動は確かにそうなんですが、一方で、長野県というところは持ち家比率、マイホームを持っている比率が日本一高い。そして離婚率は日本で最低の部類。つまり、家庭介護力あるいは家庭看護力があって、いわばマイホームがある、在宅がやりやすい環境であるといったことも忘れてはならない。

 そうしますと、長野モデル的な生活習慣病対策あるいは予防といったことに力を入れることは結構なんですが、では、例えば、果たしてこの首都圏で同じことができるか。サラリーマン社会、特に東京、神奈川、埼玉、千葉といったところで同じことができるかといったことも、また別なモデルとしてつくらなければ、すべてがいきなり長野のようになるわけではない。この辺も十分な緻密な作業が必要だと私は思っております。

 在院日数に関しましても、先ほど話があったように療養型の廃止あるいは削減といったことは、やや唐突であったし、やや乱暴な気もしないわけではありませんが、日本の、ある意味では異常な、特に老人の平均在院日数の長さを考えますと、これは社会的入院という問題も絡んで、この療養型病床の廃止あるいは削減、六年間かけてといったことはやむを得ないと先ほど申し上げました。

 ただ、この療養型病床、介護療養型十三万そして医療療養型十万、合わせて二十三万を削減する、その後が一体どうなるかといったことの議論がまだ十分ではない。療養型は老健あるいはケアハウスあるいは有料型に転換するといったことでございますが、在宅にも当然なるわけでありまして、在宅医療といったことは大変重要なことでございますけれども、在宅をどのように進めていくのかといった青写真がまだ十分見えてこない。そうしなければ、いわゆる医療難民といった言葉があるように、まさにそういった、いわば追い出されたお年寄りはどうなるかといったことのもうちょっと緻密な見通し、ビジョンあるいは議論が必要ではないかと私は思っております。

 それから、これに関連いたしまして言いますと、これから病院と診療所のあり方、特に在宅に関して言いますと、今度の診療報酬改定で在宅には相当きめ細かいあるいは厚いシフトをしておりますけれども、やはりかかりつけ医機能といったものをどう充実させていくか、この辺も充実させないと十分な在宅が進んでいかない。ただ、診療報酬点数を相当つけたからすぐ進むともとても思えない。どのような格好で開業医中心としたかかりつけ医機能を発揮できるか。

 さらに、それを言うならば有床診療所のあり方、さらには病院のあり方、病院も、これまたお話があったように、国公立及び公的病院のあり方と民間病院のあり方。

 特に、今見ておりますと、例えば国立病院一つとりましても、あるいは国立大学附属病院を見ましても、二年前から独立行政法人になりまして、国立病院機構、百五十近く加盟で入っておりますが、やはり経営効率あるいは黒字といったことにやや重点が置かれ過ぎているんではないか。もちろん赤字垂れ流し、無駄な医療費は避けなきゃいけませんけれども、国公立病院が民間病院と競争して患者の奪い合いといったことになりますと、これまたマイナス面も出てくる。公的病院のあり方も含めて、医療機関のあり方といったことも十分に議論していただきたいなと私は思っております。

 さらに言うならば、これは医療提供体制でございますので、医師確保の問題。どうも地域格差といったものは、いろいろ言われてもなかなか解決しない。そうしますと、何よりも国民にとって一番大事なのは、どういった医療が受けられるかでありまして、極端に言えば医療保険財政は、どうでもいいとは言いませんが、その次の問題だと私は考えております。

 いい医療提供体制があるとするならば国民は負担にも応じると私は感じておりますので、どの県に住んでも、どの地域に住んでもちゃんとした医療が受けられる、そういったビジョンをまず示すのが医療改革の先決ではないかと私は考えております。

 それからもう一点言いますと、今度は、厚労省といいますか政府案につきましては、都道府県単位といったことが言われております。私、これもまた評価したいと思っております。つまり、医療を国が管轄といいましょうか所管するというのは、やはりなかなか隔靴掻痒、手が届きにくい部分がある。

 地方分権の観点からも、例えば個人的なことを言えば、私、昔デンマークという国に住んだことがございますが、北欧は地方分権が進んでおります。すべて北欧をまねするつもりはございませんし、また、まねする必要もないかもしれません。あんな消費税が二五%という高い国をすべてまねする必要はないかもしれませんが、少なくとも地方分権という考え方は参考にしていいんではないかと私は考えております。

 例えば、デンマークにしてもお隣のスウェーデンにしても、医療は県が所管し、福祉はいわゆるコミューン、市町村が所管しております。逆に言いますと、県や市町村の予算といったものを北欧で調べますと、その大体八〇%から八五%、県によって多少違います、デンマーク一つとったって十四の県がございますので多少違いますが、大ざっぱに県の大半の予算は医療。

 逆に言いますと、県の大半の仕事は医療と言っても過言ではないし、市町村の大半の仕事は福祉あるいは初等教育あるいは都市環境といったことでございますが、日本でも地方分権を語るときに、一体何を分権するのかといったことを議論しなければ、ただ分権分権と言ってもなかなか進まない。

 つまり、私が言いたいことは、まず県が日本でも医療といったものを担当すべきではないか。もちろん、今の四十七都道府県は人口規模も違いますし、いろいろまだまだ不十分なところはありますが、そういった発想からいえば、今回の医療保険単位及び医療行政を国から都道府県に持っていくといった考え方は、これから進めるべきだ。

 ただ、もちろん先ほど言ったようにいろいろ問題点はございます。失礼ながら、鳥取県、島根県合わせて百五十万という人口、そういったところで同じようにできるか等々、いろいろな人材の問題ありますけれども、そういったところも考えながら、都道府県単位といったことを推し進めていく必要があるんではないかと思っております。

 最後に、私はもう一点、特に行政府でもあるいは立法府でも議論をしていただきたいことは、先ほどの国民の負担あるいは医療の負担の問題でございまして、医療費をだれがどのように負担するかという議論がまだ足りないのではないか。

 今、いわゆる医療費、全体として現在ベースでは国民医療費は三十一兆円余りでございますが、そのうち患者負担が、もちろん一般的には三割、老人一割、二割、あるいは乳幼児二割とか、違いますが、トータルしてみますと患者さんが大体一六%負担している。保険料で五二%程度、税金で、国税、地方税合わせまして三二%程度。

 この負担の割合なんですが、これまでの政府あるいは各党の考え方、特に与党の議論を聞いておりますと、結局、患者負担はふやしたくない、保険料はふやしたくない、あるいは税金もふやしたくないと言う。特に財政当局は税金をふやしたくない。あるいは、サラリーマン団体といいましょうか経営者団体も含めて、保険料はふやしたくない。あるいは、医療界は患者負担をふやしたくない。どれもふやしたくないんだったら、これは医療費はふえようがないわけでありまして、どんな格好にしろどれかをふやさなきゃいけない、あるいは医療費の無駄をなくした上での話でありますが。

 そういった中で、やはり患者負担、今の一六%、個々、老人あるいは被用者違いますけれども、保険料五二%、税金三二%。結論は、私の考えを言いますと、税金をもうちょっとふやしていいのではないかと私は考えております。

 ただ、税金をふやすに当たりましては、当然、これは今の財政再建というあれもございますが、近々消費税が引き上げられると予想されております。消費税を上げるためには、何に使うか、ただ借金の返済だけに使うと言ってはなかなか国民の同意が得られないのではないかと私は考えておりますので、そういった中でも、医療に充てるとか、あるいは主要目的をはっきりしながら、医療に対する税投入というのをもうちょっとふやすべきではないか。

 そのためには、再三申し上げていますとおり、ただ充てるのではなくて、国民にどのような医療提供をするかといったことを明確にしながら、それを国民に説明しながら、税投入あるいは患者の負担ももうちょっとふえるかもしれません。いずれにしても、すべての面で反対と言っていたらいつまでもらちが明かない、私はこのように考えております。

 以上、やや総論的になりましたが、これで私の考えを述べさせていただきます。

 以上でございます。(拍手)

岸田委員長 ありがとうございました。

 次に、逢見参考人にお願いいたします。

逢見参考人 おはようございます。連合で副事務局長をしております逢見です。

 医療制度改革関連法案に対する意見を述べたいと思います。お手元に資料をお持ちしてございますので、適宜参照しながら意見を述べてまいりたいと思います。

 医療、医療保険制度の抜本改革は、一九九七年からの国会、政府の公約でもありましたが、政府は改革を先送りし、負担増、給付削減を繰り返してきました。この間にも医療費は伸び続け、地域や診療科による医師不足はより深刻となり、国民の制度への不信、不安を招く結果となっています。

 今回の改革の趣旨について、政府は、国民皆保険制度を堅持し、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとしていくとしております。政府の言う持続可能とは、財源の確保だけであるかのようであります。制度への国民の信頼がなければ、財源の確保どころか制度の持続可能性さえ困難になります。

 医療制度に対する国民の信頼を回復し、安心、安全、信頼の医療体制を確立するため、抜本改革を断行すべきであるという立場から、以下、意見を述べさせていただきます。

 まず、積極的に推進すべき内容について述べたいと思います。

 第一に、二〇〇六年度の診療報酬改定において、明細のわかる領収書発行がすべての医療機関、保険薬局等に義務づけられたことです。この点については評価したいと思います。

 連合は、一九九七年から、明細のわかる領収書をもらおうという運動を展開してまいりました。お手元に資料を配付させていただいております。ことしの二月から三月にかけて、インターネット上で調査した領収書発行状況につきまして、二ページから五ページに掲載してございます。これは後ほどごらんいただきたいと思います。

 今後、民主党提案の医療の安心・納得・安全法案で提案されておりますレセプトに近い領収書発行の義務づけを検討するよう要望いたします。

 第二は、レセプトのオンライン化です。昨年十二月の政府・与党、医療制度改革大綱において、レセプトを電子化して二〇一一年三月末までにオンライン請求に切りかえることが提案されておりました。しかし、政府は、四月に入り、年間のレセプトが千二百件未満、歯科については六百件未満の医療機関については、最大二年間猶予する省令の改正を行いました。五年間も準備期間を設けているわけですから、この期間内にすべての医療機関がオンライン化するよう要望いたします。

 第三に、医療法等の一部改正法案についてです。

 法案に示された、患者等への医療に関する情報提供の推進、医療計画の見直し等を通じた医療機関の分化、連携の推進等の内容については、確実に実行すべきであると思います。しかし、地域や診療科による医師不足問題への対応につきましては、医師不足を解消し、国民の安心を回復するには不十分な内容であると言わざるを得ません。民主党が提案しております小児医療緊急措置法案、がん対策基本法案を十分反映しつつ、さらなる具体的な対策を講じるよう強く求めます。

 その上で、地域や小児科、産科の医師不足への次善の策として、小児医療については保育所、幼稚園などに看護師、保健師を配置する、産科については助産師の力をかりるといった方法も検討すべきではないかと考えております。

 第四に、保険者の再編統合についてです。

 政管健保については、全国単位の公法人である全国健康保険協会を保険者として設立し、都道府県単位の財政運営を基本とする改革案が提案されております。これにつきましては、連合が政管健保の改革として提案してきた内容と大筋合致するものであり、その実行を求めます。あわせて、保険料負担者である被保険者、事業主の制度運営への参画を確実なものとするよう、重ねて要望いたします。

 第五に、療養病床の再編についてであります。

 療養病床については、老健施設やケアハウス等への病床転換を進め、二〇一一年度末に廃止する、医療型療養病床は二十五万床から十五万床に削減することが提案されております。この療養病床の再編は、長期入院、社会的入院の解消という、これは三十年来の懸案である問題に決着をつけることであると思います。療養病床再編に当たっては、入居者の処遇に十分配慮しつつ、確実に実行すべきだと思います。

 続きまして、法案の修正を求める内容について述べたいと思います。

 第一は、新たな高齢者医療制度の創設についてです。

 老人医療、退職者医療については、現役世代からの負担のあり方が不透明であること、財政運営責任が不明確であること、保険者が制度運営に参画できないといった問題が保険者から指摘されてきました。今回の改革は、これらの問題を解決するものでなければなりません。しかし、提案されている新たな高齢者医療制度は、問題は解決されないばかりか、保険者、被保険者にさらなる不安、不満を増幅させる内容となっております。

 まず、後期高齢者医療制度への支援金、前期高齢者医療制度における支援金を含む財政調整金、退職者医療制度への拠出金など、被用者保険の将来の負担増に関する詳細が不透明なまま、納得しがたい負担が求められる点についてです。支援金、財政調整金、拠出金の法的性格を明らかにしつつ、現役世代も納得して支えることのできる制度とすべきであります。

 次に、後期高齢者医療制度は独立した制度であるにもかかわらず、保険者が不明確な点です。全市町村が参加する広域連合を各都道府県に設置して制度運営を行うとし、広域連合の構成メンバーは、直接選挙、市町村議会の間接選挙、いずれかで選出することとされています。このような方法で選出されたメンバーによる広域連合で、保険制度の運営が果たして可能なのでしょうか。厚生労働委員会での質疑におきまして、政府は、財政責任を持つ運営主体としては、広域連合が保険者であると言えると答弁しました。そうであるなら、なぜ広域連合を保険者と規定しないのか、理解できません。

 また、各保険者が保険者協議会に参加し、運営について協議するとしております。しかし、保険者協議会の権限、広域連合と保険者協議会の法的関係、両者の意見が異なった場合の調整などについても不透明です。

 六十五歳から七十四歳を対象とする前期高齢者医療制度の制度間財政調整は、保険者機能の発揮を阻害し、保険制度の自主、自立の基本をゆがめるものであります。また、後期高齢者医療制度と同様に、前期高齢者医療制度にも公費負担を行うべきであると思います。

 新たな高齢者医療制度は撤回し、引き続き検討するよう強く要望します。

 第二は、高齢者の窓口負担の引き上げです。

 高齢者の自己負担引き上げは慎重に検討すべきであると思います。現役並み所得者がいることは否定しませんが、高齢者の老齢年金の平均金額を見ますと、男性では約二百二十七万円、女性は百三十二万円となっております。

 高齢者の自己負担については、二〇〇二年十月に、一割と現役並み所得者二割といった定率負担が導入されたばかりであり、マクロ経済スライドの導入で年金額が減少し、公的年金等の課税強化によって医療、介護保険料が増加しております。さらには、定率減税の縮小廃止で税負担がふえるなど、高齢者の生活不安は高まっています。療養病床における食費、居住費の見直しとあわせて、再検討すべきであると思います。

 第三に、高額療養費制度についてであります。

 今回、定額部分の引き上げと、二年後に七十から七十四歳の新たな年齢区分の設定が提案されております。高額療養費制度についての改正のたびに制度が複雑になり、計算方法を理解できる国民はほとんどいないと言っても過言ではないと思います。

 昨年十月の厚生労働省の医療制度構造改革試案では、定額部分の引き上げと、医療費に連動した一%を二%に引き上げる案が提案されていました。定額、定率部分を引き上げれば、目に見える窓口負担を上げなくとも、実質的な自己負担の引き上げは幾らでも可能となります。定額部分の引き上げと医療費に連動した一%は撤回し、制度の簡素化を行うよう強く求めます。

 さらに、今回、高額医療と高額介護合算制度が提案されております。利用者の負担軽減という観点からは、歓迎すべきだと思います。手続の簡素化を行うことによって利用しやすくするよう、検討するよう求めたいと思います。加えて、高額医療と高額介護という異なる制度の合算制度を創設するのであれば、例えば、勤務先が異なる夫婦がともに政管健保加入者であった場合など、被用者保険内での合算制度も創設すべきだと思います。ぜひとも検討いただきたいと思います。

 第四は、妊娠、出産にかかわる内容についてです。

 お配りの資料にも、やはり連合がインターネットで実施しました妊娠、出産費用に関する結果を掲載しております。十七ページにありますように、出産費用は預貯金を取り崩したという回答が最も多くなっています。このようなアンケート結果を参考に、子育て支援、医療安全の観点から、妊娠、出産にかかわる費用は保険適用とし、保険適用となるまでの間は出産育児一時金を四十万円に引き上げるよう強く要望します。

 ILO百三号条約、母性保護条約が二〇〇〇年に改正され、百八十三号条約となっておりますが、いまだ我が国はこの条約を批准しておりません。今回、出産手当金は賃金の三分の二相当額を支給することが提案されました。これは前進であります。残るのは、育児時間の有給化です。条約では、相応の報酬を与えられねばならないとされております。これは本法案とは直接関係ありませんけれども、ILOの母性保護条約の批准に向けて、育児時間の有給化を検討されるようお願いをしたいと思います。

 第五は、国保組合の国庫補助のあり方についてです。

 高額所得者が加入する国保組合に対する国庫補助は、中小零細企業の労働者が加入する政管健保の一三%と比較すると、著しく高い補助率となっております。一人親方の組合、理容師、美容師の組合などへの補助は国保並みとすべきでありますが、高額所得者の組合については国庫補助率を抜本的に見直すべきであります。

 第六は、医療法等の改正に盛り込まれている外国人医師等の臨床修練法における臨床修練対象の拡大についてであります。

 現行の外国人の技能実習制度に見られるように、事実上、労働者としてカウントされ、労働基準法、最低賃金法違反など、多くの問題があることを踏まえると、この点については慎重に検討すべきだと思います。

 第七に、医療制度改革関連法案には含まれておりませんけれども、二点ほど申し述べておきたいと思います。

 第一点は、政府・与党の医療制度改革大綱に明記された「医療保険制度の一元化を目指す」という点についてであります。内容の詳細は不明ですが、これが地域保険と被用者保険との統合を目指すということであれば、これについては反対であることを強調しておきたいと思います。

 第二点目は、経済財政諮問会議、規制改革・民間開放推進会議や財務省が主張する総額管理制、保険免責制は導入すべきではないということも強く求めておきたいと思います。

 最後に、今回の医療制度改革関連法案の内容は広範多岐にわたっており、国民生活に大きく影響するものであります。法案の内容や問題点は明らかになっていない点がまだ多く残っております。審議は始まったばかりであり、今後さらに十分な審議が行われることを期待しております。

 安心、安全、信頼の制度の確立に向けて、患者、保険料負担者、保険者、医療関係者などが納得するよう、昨日と本日の参考人意見を十分踏まえ審議を行うよう重ねて要望いたしまして、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

岸田委員長 ありがとうございました。

 次に、川渕参考人にお願いいたします。

川渕参考人 ただいま御紹介いただきました川渕でございます。

 きょうの私の話は、資料が入っておりますので、その資料を使いながら都合十五分間話をしますが、全部で十六について話をしますので、一枚一分のスピードで話をします。

 日本の医療が危ないということを私は思っておりまして、実は、先生方のお部屋にこの本を贈呈した記憶があるんですけれども、九月十日の本でありまして、その次の日に選挙がありましたので、九月十一日以降に着いていると思います。読んでいただいたでしょうか。

 実は、私、この本を書いたときに、自分は医科歯科大学に来て六年目になりますけれども、医師でも歯科医師でもない、無資格者でございます。医療経済学というのをやっておりまして、きょうは医療経済学の立場からお話しします。

 私、この本の中に書きましたけれども、医療は対人サービスでございますけれども、医療制度は九九・九%政治でございます。ですから、政治家の先生方には慎重に考えていただかなきゃいけない局面に来たのかなと思います。

 まず、きょうは、一つ目としまして、素朴な疑問ということで、まず一つはファイナンシングの話をしたいと思います。

 そもそも、現行の国民皆保険制度、これは一九六一年にできたわけでありますけれども、私は当時二歳でございましたからよくわかりませんが、非常に思い切った、改革といいますか制度じゃないかなと思います。

 しかし、これが持続可能、不可能という議論がありますけれども、本当に現行の国民皆保険制度というのは、このままほっておくと持続不可能なのかどうかというところが一つ議論ではないかなと思います。

 と申しますのは、先ほどから議論が出ておりますけれども、現行の医療費二十八・三兆円、これはいつの間にか医療給付費となっておりまして、国民の患者負担が抜いてあるんですけれども、これが、このままほっておくと五十六兆円、経済財政諮問会議が言うには四十二兆円、厚労省はその間をとってか四十八兆円でどうだと。まるでバナナのたたき売りのような話でございまして、一体全体、この推計はどれが正しいのかなと。

 一番国民が不安だと思うのは、やはり医療というのは、年金も非常に不安でございますけれども、国民年金に比べて、国民保険の滞納率等、低うございます。そういう点では、なけなしのお金で国民は必要なお金を払っておるわけです。結局、一体全体、社会保障の全体像がどうなっていくかというところが見えないのかなと思っております。

 厚労省の案ですと、今回の案を見ますと、基本的には、中長期的には平均在院日数の短縮と疾病予防の強化によって適正化を行うという話でございますけれども、この中に一つだけ抜けているのが技術革新。つまり、医療は年金とは違って、この技術革新がなかなか読めないわけです。日夜、ドクター等も新薬をつくったり、あるいは医療機器の開発ですとか、この技術革新部分が医療のだいご味でありまして、これがなかったらやはり医療の発展はないわけであります。

 ただ、いろいろな分析がありますけれども、技術革新はやはりお金がかかります。中長期的には、医療費の節約ですとか、あるいは雇用を生み出すとか、税収を上げるとか、医療費ではなくて分母の、国民経済の方に寄与するという部分があるわけですね。ですから、そこをどう考えておるかというところが私の非常に素朴な質問でございます。

 それから、儒教の精神、今回の法案というのはこれは儒教の精神でありまして、老人保健法というのはまさに儒教であります。私も名前が孝一でありますので、日本一親孝行の子供でございますが、この儒教の精神で、本当に七十五歳のところの高齢者医療保険制度、これが二〇〇八年度以降どうなるのかなと。

 特に私が一番懸念するのは、ついに人口減社会に突入しております。前倒しして二年前から入っておりますね、二〇〇五年から。四十七万人の方が、私もそうでありましたけれども、不妊治療に通っておられるし、三十二万人の方は優生保護法で堕胎をしている。そういう中で、今後、この人口減社会の中での高齢者医療保険制度の長期見通しはどうなのかというところは、ちょっと私もわかりません。

 それから、我が国には五つ社会保険があります。年金、医療、介護に加えて、失業、労災保険と、厚生労働省でございますので、五つの社会保険があります、これはドイツに似せてつくったんですけれども。一方で、社会保障個人会計という話がありますけれども、こことの整合性はどうするのかとか、あるいは、年金はゆっくりと今、六十から六十五歳へと給付を上げておりますけれども、医療保険は七十五で線を引くという話、それが果たして整合性があるのかどうか。

 それから、要医療、要介護と言っておりまして、なかなか線引きができない中で、介護は六十五歳、四十歳以上となっておりますけれども、ここがどうなのかというところも、やはり私は、年金、医療、介護の整合性を、医療保険改革だけではなくて、問う必要があるんじゃないかと。

 それから、さらに声を大にして言いたいのは、国民皆保険は残るが勤務医が医療界から消えてしまうという現象が起こらんとしております。それは次の三ページ目を見ていただきたいんですけれども、小さな数字の三ページ目ですね。

 これは、厚労省の医療施設調査で分析しました。実は、日本で医師が何人いるかというのもはっきりわからないんです。医療施設調査と三師調査というのがございまして、医師・歯科医師・薬剤師調査、これは医師の数が違います。ですから、私自身、非常に困ってしまうんですけれども、とりあえずここでは医療施設調査。それで、年間大体千人ぐらいの方がふえております。ところが実態は、四千人ぐらい開業して三千人ぐらいがやめている。純増が千人ぐらいであります。七千七百人、医学部から医者を輩出して、時間差はございますけれども、四千人ぐらい開業しているという実態ですね。

 科別に見ていただけばわかりますように、小児科、確かに一・一とか一・〇九ということで、十二年前あるいは六年前よりふえておりますが、逆に言いますと、開業する小児科がふえるということは、勤務する小児科が非常にプアだ。先日も、八戸へ行ってきましたけれども、あの人が開業したからうちの小児科は閉めるんだとか、そういう固有名詞の話になっておるわけですね。これについては、今厚労省も医療監視ということで、特に東北地区の病院は非常に今医師が足りない、つまり医療法の標準を満たしていない医療機関が多いわけですね。いないわけです。

 それから、産科の開業に関しても、産婦人科は十二年前に比べて〇・二六ポイント減っているというのが実態でございます。

 ここで気をつけなくちゃいけないのは、産科の方というのは女性が多いんですね。私は女性の方と最近お会いしまして、何と今、平成十五年度で、四万六千八百六十人の方が医学部にいます、八十大学ですね。そのうちの三三%が女性なんですね。この方々が一体どういうキャリアを描くのか。それが、NPOのejnetの瀧野さんという方からいただいたこの四番目の資料ですね。いわゆるMカーブを描いているわけです、我が国は。これは女性の今の就業の中で、医師も例外ではないということでありますね。下手をしますと、もう専業主婦になってしまうということも懸念されるわけであります。そこをどうするか。

 それから、さらに気をつけなくちゃいけないのは、次のページの、労働基準法を満たしているのかどうか、これは東京都医師会の先生の資料でございますけれども、いろいろなドクターがいます。研修医あるいは非常勤等もいます。この資料によりますと、六百二十九人しかありませんが、七二%が週四十時間の労働時間を超えている、つまり労働基準法違反であります。こういったのが今の医療の実態でありまして、ここをどう考えればいいのかというところを私は特に声を大にして言いたい。

 二点目は、疑問のところで見ますと、本当に医療費はコントロールできるのかどうかというところであります。先ほど御案内しましたように、医療は、高齢化もありますけれども、技術革新というのはなかなか読めないわけですね。実は、歴史をひもときますと、一九八一年に土光臨調というところで国民医療費の伸び率を国民所得の伸び率の範囲内に抑えろという話が出ましたけれども、本当に抑え切ったのかどうかという検証がなされておりません。これは本当に抑え切れるのかどうか。

 もう一つ大事なことは、健康日本21、これはアメリカのヘルスピープル二〇〇一にちなんで厚労省もつくりましたけれども、中間報告を見ますと、残念ながら、五十三項目中二十項目はむしろ数値目標が悪化している。私のウエストも今九十二センチでございまして、何とか八十五センチにしたいと思っておりますけれども、なかなか人間の行動変容というのは期待できない。

 私は、国民すべからく健診を受けろ、こういう何か昔のような話はもう無理じゃないかなと。それで、中にはルーズな方もいますので、疾病予防に医療費控除を入れる。例えば、人間ドックを受けますと、一銭も医療費控除を受けられないんですね。大衆薬の領収書を持っていくと、交通費まで医療費控除を受けられるわけです。この矛盾。

 あるいは、疾病予防にたばこ医療費目的税、これはぜひ公明党さんにも頑張っていただきたいと思うわけであります。

 それから、メディカル・セービング・アカウント、これはシンガポールがやっておりますけれども、貯蓄を医療費に使った場合に節税効果がある、相続も可能であります。日本人はまだ貯金が好きでございますので、私は、ぜひ、このメディカル・セービング・アカウントのような節税をするということと疾病予防、これを組み合わせないと、国民すべてにあしたから健診を受けろ、こういうのはもう時代錯誤も著しいんじゃないか。

 それから、三つ目は、昨今の厚労省の医療費適正効果があったのかどうか。これに関しては、実は、内閣府が立派な報告書をまとめております。これはまた後で御披露します。

 それから、DPCということで、今、急性期病院の包括払いが入っております。この四月からも百四十四から三百六十病院と拡大しましたけれども、これは一体何を目指しているのかよくわからない。

 例えば、内閣府がまとめた報告書がありますけれども、私の資料の小さな数字の七ページでありますが、見ていただけばわかりますように、非常に細かいのでありますけれども、画期的なのは、厚労省が他の官庁にデータを貸し出したということですね。多分、今、いろいろな官庁が社会保障、医療に関心を持っております。ところが、患者の個票、もちろん個人情報保護法はクリアしなくちゃいけないんですけれども、厚労省のデータベースをもっとシェアして、政策評価に使えないか。

 ここに書いてあることはその一部でありますけれども、これまでの患者の自己負担増は余り受診抑制になっていないというような分析結果があります。ただ、これはいろいろな方が分析しているんですけれども、本当に医療というのは、一円、二円上げても、やはり大事なんですね、必需品であります。これに対して、歯科はまた違うんですね。私は医科歯科大学でございまして、きょうはだれも歯学部の話をする人がいませんので、かわいそうなのでやってあげようと思うんですけれども。

 もう一個、介護保険。介護保険に関して明らかに出てきたことは、高所得者ほど在宅介護サービスの利用者が多い。逆に言いますと、低所得者はなかなか受けられない。介護は混合介護を認めておりますので、この辺、医療保険と介護保険の整合性をどう合わせていくかというところも大事じゃないか。

 今、中医協改革と言われておりますけれども、まさにアメリカでやっておるようなメドパックといいますか、第三者の立場で国会議員の方に医療政策に対しての評価をするという機構を私はつくってもいいのではないかと。あるいは、今の内閣府のようなところの官庁エコノミストの知恵をかりながら、一体全体これまでやってきた医療制度改革はどうだったのかというような評価も必要じゃないかなと思います。

 歯科に関しては、専ら世界に比べて非常に料金が安い。その結果として、数量調整ということで、次のページを見ていただけばわかりますように、期待値より二・三倍も延べ患者数が多いということでありまして、先生方も歯科医に行かれますと、また次ということがあると思います。これは、まさにプライスコントロールを、結局は数量で調整しているという面でもあるのではないか。

 それから、DPCでございますが、よく言われますけれども、日本の医療費の約一兆円を今ここでやっているわけです。問題は、何が起こっているか。まず、医療費が高騰しております。DPCをやっていない病院よりもやっている病院の方が医療費の伸び率が高い。それから、外来シフトが起こっております。目指した医療の標準化というのが果たして進んでいるのか進んでいないのか、全くわかりません。したがって、一体これは何を目指してやっているのか。

 次のページを見ていただけばわかりますように、アメリカのDRGというのは一九八三年に入りました。当時、私はシカゴ大学にいまして、こんな制度は長続きしないと言っておりましたけれども、まだ二十年たっても続いております。何が起こったか。病院の数が減り、病床数が減り、平均在院日数が五・七日、病床利用率が六四・四、外来が十九万人から五十三万人。

 こういうことを目指しているのでしょうか。そうすると、平均在院日数は何日を目指すのでしょうか。私は、日本で今、五・七日を目指すといったら、病院職員はみんなやめていくと思います。もうバーンアウトぎりぎりでございますので、これ以上、今の医療スタッフにその負荷を課すのかどうかというところを本当に考えなくちゃいけない。

 最後に、私は、医療提供体制について申し上げたいのであります。

 資料の十二ページでございますけれども、私がいろいろな研究をやっておりまして、例えば、この方は広島県の方でございますけれども、この方に了承をとって私は今この資料を使っておりますけれども、川渕さん、どこの病院に行ったらいいのかというようなことを聞かれるわけですね。我が国はすべからく平等に医療が受けられるとなっているんですけれども、どの病院がいいかどうかという情報はないんですね。したがって、本当に機会の平等があるのかどうか、ましてや結果の平等というのがあるのかどうかという部分は、私は非常に今、病院の可視化ネットワークをやっておりまして思います。

 それから次の十三ページ、私の今やっております病院可視化ネットワークというスキームでございますけれども、これは、厚労省が今集めているDPCデータで、国に出すのであれば私にも一票をということで、我々もデータをいただいてくるわけです。これは原価ゼロでありますね。国へ出すんですから私にも下さいと。本当は、厚生省の方が私に貸していただきたい。研究班の方にもお願いしたんですけれども、これはなかなか個人情報の問題があって貸し出せないとおっしゃるんです。何度も申しますけれども、患者名は匿名で結構でございます。

 一度、アメリカはこういうデータを、AHRQというアメリカの厚生省の研究所がデータベースにしているんです。これを数十ドルで貸し出すんですね。ですから、我々みたいな日本人でもアメリカの病院のデータが手に入る、それで研究ができるわけであります。研究ができて、最後は、その次のページでございますけれども、私は何とか医療の質がよくて医療費が安い病院の名前を出したい。私はこれがアイ・ハブ・ア・ドリームであります。

 つまり、十五ページにありますように、医療の質がよくない病院もあるわけですね。よくどうやって評価するのかと言われますけれども、これは先ほど言いましたように、患者の個票をいただいて、難しい患者さんは亡くなります。これは心血管疾患の例でありますけれども、狭心症ですとか心筋梗塞ですとか、冠動脈が詰まっている方はやはり亡くなりやすいわけであります。こういうのをすべて数値化してできるんですね、DPCデータで。これをリスク調整して、縦軸は、平均在院日数、アメリカではALOSと言っていますけれども、在院日数掛ける診療単価、つまり国民からすると医療費ですね。病院は医療収入。

 ということは、国民が一番欲しているのは、うまくて安い病院です。そういう病院は、あるかと思ったらあるんですね、M病院。この病院が報われないわけです。なぜか。収入が下がってしまうわけですね。医療費が安いということは収入が安いということですから。ですから、私は、努力する者は報われないと。

 先ほど、渡辺参考人の方から長野モデルが出ましたけれども、実はこのR病院が長野の有名な病院なんです。この院長が名前を出してもいいとおっしゃるんですけれども、なぜこんなに死亡率が高いのか、ここを可視化しなくちゃいけない。確かに、長野のぴんぴんころりはありますけれども、本当に長野の医療費は安いんだけれども、医療の質はどうなのかというのを可視化しないといけないんじゃないか。最近、見える化という言葉が使われておりますけれども、まさに見える化。

 そして、私は、覚書で実名入りができませんけれども、ぜひここに固有名詞を入れる社会、これをやはりつくらないと、私は国民は医療費負担に耐えられないのではないかと思います。

 それから、最後の十六ページですけれども、今の診療報酬体系ですと、医業の利益率が高い病院は必ずしも死亡率が高くない。逆に、利益率が低い病院の方が死亡率が高かったりするわけですね。しかし、統計的にはないんです。ということは、だれも、医療の質を上げるといっても、経済的インセンティブがない。これは一般産業から見たら非常におかしいと思います。

 以上、私の雑駁な話を終わります。ありがとうございました。(拍手)

岸田委員長 ありがとうございました。

 次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木参考人 ただいま御紹介いただきました全日本民医連の鈴木と申します。

 私は、元来外科医ですけれども、病院管理者を経て、現在、診療所を中心に在宅医療にも携わっている臨床医でございます。その臨床の現場から見まして、今回の医療制度改革はいささか乱暴過ぎるではないかということで、原則的に反対の意見を述べさせてもらいたいと思います。

 私も日本医師会員でありますし、先ほど内田常任理事が大変見識のある報告をしていただきまして、私も基本的に内田先生の意見に賛成でございます。私は、さらに、運動団体的な役割もしておりますので、全国の病院の声を届けるという役割を持って来たというふうに任じております。

 まず、総論的に疑問を呈します。

 第一に、このたびの医療制度関連法案は、すべて公的医療費、すなわち医療給付の削減を目的にしています。医療改革を論じるなら、本来、最適な医療を効率よく提供するための論議をすべきです。ひたすら公的医療費の給付の範囲の縮小や削減に向かうことは、それを超える医療は私的医療保険で補わせ、公私二階建ての医療制度を描いているとしか思えません。私的保険に入れない人々は、次第に医療からの制限、排除を受けることになりかねません。混合診療を一層拡大し、国民皆保険制度が実質的に崩れていくことになります。

 昨年暮れ、日本医師会や看護協会を初め、全国の医療団体が取り組んだ、混合診療に反対し国民皆保険制度の堅持を求める署名で、一カ月余で一千七百万筆もの署名が集まりました。私は、国民皆保険制度の堅持を国民の大多数が求めていることの証明ではないかと思っております。

 第二に、今回の医療制度改革案は、個人から保険者に至るまで、いわば自己責任論で貫かれていることが特徴ではないかと思います。七十歳以上にまで二割から三割の自己負担を求め、長期入院の食費、居住費を全額自己負担とし、患者負担の月額上限の引き上げなど、高齢者にまで個人の自己負担責任を拡大させています。

 ただそれだけではありません。世代間の自己責任を制度化するのが七十五歳以上の高齢者医療制度です。自治体への自己責任を制度化するのが都道府県医療費適正化計画です。日本の社会保障制度は、憲法二十五条に裏づけられました国や企業主の責任、そして国民健康保険のような相互扶助の精神で成り立ってきました。しかし、自己責任論の先には、国の責任放棄と弱者切り捨ての論理がまかり通ることになり、所得格差が健康格差につながることが危惧されます。

 第三に、今回ほど、はしご外しの制度変更がこれまであったでしょうか。介護療養病床の突然の廃止や、急性期病院や紹介加算の廃止など、それまで多くの費用をかけて施設改造をしたり、医療連携をつくるなど努力してきたものを、論議もなしに廃止するなど、これほど医療機関を足げにした政策変更はありません。国を信じたあなたがばかよ、それも自己責任のうちよとでも言うのでしょうか。

 このような総論から出てきた今回の医療制度改革案の具体的な内容の中で、今、最大の焦点となっております慢性期病棟の問題に触れたいと思います。

 三十年前に老人医療費無料化で生まれた社会的入院の解消と盛んにマスコミも持ち上げていますけれども、療養病床大幅削減のために、診療報酬の点数を大幅に下げて経営的に療養病床を維持できない状況をつくることは、どのような事態を生むのでしょうか。

 第一に、療養病床の運営を困難にすることは、急速に、高齢者の社会的強制退院を引き起こし、行き場のない高齢者が多数生まれることが予想されます。なぜなら、今日の社会状況の変化によりまして、急速に独居老人や老老世帯がふえてきており、虚弱高齢者を受け入れる基盤が縮小しているからです。

 資料にも触れておりますけれども、六十五歳以上の者が世帯主の家族でひとり暮らしまたは夫婦のみという割合が、二〇〇四年には、ひとり暮らし一四・七%、夫婦のみ三六%、合計五〇・七%と、約半数が独居か老老世帯になっているというのが実情です。一世帯の構成員は平均でも二・五人になっています。

 そうなりますと、在宅では終末期が無理な事例が多くなってきます。また、そのようなケースを在宅でみとろうとしますと、逆に医療費が高くなってきます。今日、在宅でみとることのできる家庭は、むしろ、一緒に住まわれている家族を持つ恵まれた方々になっているのです。

 実は、私の属する法人グループは、三十年余、その人らしくを目標に、訪問看護、在宅医療に積極的に挑戦し、家でのみとりを進めてきました。一九九四年からは厚生省のモデル事業として、二十四時間巡回型在宅ケアに取り組み、現在も、赤字を覚悟で、看護師とヘルパーがペアで深夜巡回しております。そのような在宅ケアに取り組んでいても、どうしても必要になってきたのが療養病床であり、リハビリ施設だったため、昨年、療養病床も含むリハビリテーション病院を発足させました。

 集合住宅にお一人で住む高齢者が多い都会における療養病床の役割、また一方、地方におけます限界過疎地に住む高齢者世帯までをケアする地方病院の療養病床の役割など、各地の療養病床が果たしている役割をもっと正確に分析すべきと思います。聞き古した平均化した数字だけを操る論議からの脱皮をお願いしたいと思います。

 第二に、これまで急性期加算などを目標に、急性期病院の在院日数短縮の受け皿になっていたのは、回復期リハであり、療養病床でありました。療養病床の縮小は、平均在院日数短縮を迫られる急性期病院の後方機能を低下させることになります。

 また、退院を迫られて苦しむのは、高齢者自身とその家族です。今日、高齢患者を抱えました御家族の共通の悩みが、病院から退院を迫られて行くところがないという訴えです。ここにおられる政治家の皆さん方も、実は支援者から、どうにかしてくれという話がいっぱい来ているのではないでしょうか。

 第三に、療養病棟の医療区分に対応した病棟入院料や加算がこの七月から廃止されるというのに、医療区分の設定があいまいでした。やっと出てきたものも、結局、重度の肢体不自由者、重度の意識障害者などでも、発熱がなければ医療区分一のままであるということがわかりました。つまり、胃瘻で栄養補給しているような方でも、熱や嘔吐がなければ医療区分一、介護に人手がかかるADL区分三の方も、医療区分一であれば極めて低い点数です。

 私ども全日本民医連が、全国の病院に療養病床削減に反対して団体署名を呼びかけました。その答えが資料の三から出ております。私の役割として、この声を届けることと思いまして、若干読ませていただきます。

 四ページの三の北海道、その他というところに、過疎地域には厳し過ぎる医師と看護師の人員基準、施設基準、このままだと過疎地域の中で中小病院がなくなります。実際に釧路ではなくなっております。

 六ページ、九十五番の秋田、国がやっていることは思いつき、行き当たりばったりだ、一般病床から資金をかけて転換し、戻さない念書もとっているので詐欺的で、犯罪行為に等しいというふうに言っております。

 それから、その他のところで、今困っている低所得者、障害者、弱者も高レベルの医療をどこでも受けられるべきだ、医師数、看護師数にこだわって地方の医療を壊している、厚労省のレベルの低さを告白すべきだ、厚労省は憲法二十五条を犯している。

 これらはみんな、全部民医連とは関係ない病院でございます。

 九十六番茨城、この療養病床廃止と削減の中止を求める運動をぜひやりましょう、初めに医療費削減ありきの政策は、患者の健康だけでなく、病院で働く医師や労働者の生活を脅かすことをもっと国は考えてほしい、全病院保険医返上も辞さずとの意気込みが必要。

 昔の武見派時代を思い出すようなことも言っております。

 また、次の七ページ目の百七番、療養病床は、最近政府の政策として制定されたばかりであり、朝令暮改も甚だしい。

 それから、百十七番の富山、余りにも行政の御都合主義だというようなことも言っております。

 そして、百十八番福井の、その他のところで、病室とか廊下幅を拡大し、やっと療養型に対応しました、一億二千万かけて、なのに、途中ではしごを外すとは不満いっぱいです。

 とほほというタイプでございましょうか。こういう声がいっぱい出ております。このような声がありまして、またぜひ、御参考にしていただきたいと思います。

 私は、一九九八年に地域医療支援病院の創設時も、地域の中小病院こそ在宅療養支援の基本をなすと、ある論文にも書きました。多くの地域の中小病院は、ケアミックスでその地域の医療需要にこたえてきました。そのような地域病院が、今回の乱暴なやり方で経営が立ち行かなくなり、地域医療が崩壊していくことに、私は強い危惧を抱くものです。

 療養病床を中心に述べましたけれども、診療報酬に関しましても、リハビリの回数制限など、多田富雄先生が投書しておりましたけれども、問題が多々あります。国民の求めているのは安全、安心の医療供給体制の確立です。その基本となるのが医師、看護師その他の医療スタッフです。

 今回の診療報酬で七対一という基準ができましたけれども、これまでより厚い看護体制に診療報酬がついたことは評価できますが、現実に地域により状況が異なり、全国平均では語られないものがあります。私ども、七対一看護を病棟単位で求める団体署名でも多くの賛同をいただいております。病院の淘汰を前提にした看護計画でなく、絶対的な看護師養成が必要と思います。

 また、急性期病棟の看護師とともに、勤務医が疲弊しています。産科、小児科医になろうとする若手はますます少なくなり、残された医師には労働が過重になります。小児科医の労働実態が最近報道されましたけれども、小児科医のストレスの多くの中に、単に労働時間だけでなく、小児科の診療報酬の点数が低く抑えられて、病院経営上のプレッシャーがかかっているという報告もありました。

 最後に、日本医師会が示した「改革と推進のヴィジョン」という、最近のパンフレットから後半の資料もつけさせていただきましたけれども、国民医療費、高齢者の医療費は、この数年横ばいになっています。関係各氏が、今日の医療現場や介護の現場の実態を把握し、将来に禍根を残さない制度改革を提言されることを申し上げます。

 そのためには、今回、医療制度改革案の一時撤回を求めて、私の意見とさせてもらいます。

 以上でございます。(拍手)

岸田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川信英君。

御法川委員 おはようございます。自由民主党の御法川でございます。

 きょうは、きのうに引き続きまして参考人質疑ということで、きょうも六名の皆様、本当に貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。黙ってただ聞いていても、非常に論点の多い、大事な法案だということは論をまたないわけでございまして、なかなか、皆さんが個々で持っていらっしゃる論点に個々に言及していく時間、我々二十分だけでございますので、届くかどうかわかりませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 まず一点ですけれども、今回、医療費適正化計画等を都道府県で作成していく、都道府県というものの役割というのが今回の法改正で非常に大きくクローズアップされていると私は考えております。この点について、お一方ずつ、どういうふうにお考えか、まずは意見をお述べいただきたいと思います。

星野参考人 お答え申し上げます。

 先ほど渡辺参考人からもちょっとお触れになられましたように、医療体制の供給能力をお持ちといいますか、そういうものに深く関わっているのが都道府県でございますが、今までは、医療の保険者としては、例えば国民健保につきましては市町村、それから、おわかりのとおり、健康保険でございますと健保組合というような格好で、それぞれ保険者の責任が違うんですね。要するに保険供給というものと医療体制を供給するということ、ばらばらと言うとちょっと行き過ぎなのかもしれませんけれども、そういうのをできるだけ一体化していく必要があるだろう。

 それから、国民健保の立場といいますか、というと、私は非常に同情的なんですけれども、結局、社会保険制度自体のラストリゾートといいますか、最後は国民健保が救ってくれているような気がするんですね。というのは、全部私のように退職してしまった人間は国民健保に移るわけでございますから。

 ところが、昔は自営業者やなんかが多かったものですから、構成員の中では稼ぎ手がまだいたんですが、最近は、年金をいただいている方を中心にした、大体五割ぐらいでございましょうかね、そういう方々がいるわけですから、いわゆる徴収不足でございますとか、市町村長さんたちにすると大変御苦労なさっているわけでございます。それを、市町村長さんたちだけにかぶせるんじゃなくて、広く県、あるいは国も当然再保険みたいな格好で入ってくるんだろうと思いますが、そういう格好でお互いに助け合う仕組みをどうしていくかということで、保険者責任は果たしていただく。

 これは保険でございますので、責任者がいないとどうしてもだらしない格好になりますから、そういう格好でいくというようなことを考えていきますと、やはり都道府県がいろいろな意味でもうちょっと前面に出ていただいて、このシステムをお助けいただくということが非常に重要じゃないかと私は心得ております。

内田参考人 御質問にお答えします。

 都道府県の役割を重視し、地方分権を進めるという考え方に基本的に賛成でございます。これは、医療資源の問題、それから地域特性、例えば人口構成であるとか疾病構造であるとか、これは地域によって非常に異なってきますので、それに柔軟に対応できるような体制をとるということは重要なことではないかと思います。

 ただ、国民皆保険の原則というものを考えますと、やはり平等で良質な医療の提供というのは非常に大切な観点でございますので、その点での負担の公平、給付の平等という原則はぜひとも貫いていただきたいと考えております。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 私も、先ほど申し上げましたとおり、基本的に都道府県単位というところに賛成でございます。これは、保険者単位もそうでありますし、今御指摘あったような医療計画、また、医療計画に限らず、その前のヘルス、つまり保健計画、それから医療計画、そして介護段階の計画と、これらの三つの計画について都道府県が作成義務を持ち、みずからの県内の市町村といわば協力、相談しながら、あるいは保険者と、あるいは医療、福祉関係者と相談しながら、現場に近いところで都道府県が責任を持ってやるといったことに私は賛成でございます。

 ただ、これまた先ほど申し上げましたとおり、都道府県といいましても、やはり財政力の違い、あるいは人員不足、もっと言えば、医師、看護師等々医療関係者あるいは福祉関係者の不足の問題といったこともございますので、ただ都道府県一律にすぐつくれといってもなかなか難しい点がある。この辺は十分な配慮あるいは対策を考えなきゃいけない、このように考えております。

逢見参考人 お答えいたします。

 医療費適正化のキーになるのは、生活習慣病対策と長期入院の是正だと思います。生活習慣病予防対策は、国、都道府県、市町村、医療保険者がそれぞれの役割を明確にした上で、都道府県が計画を策定し、検証、評価するという取り組みが示されております。これは基本的に進めるべきであるというふうに思います。むしろ、それをどのように実効ならしめるかということがポイントになってくると思います。

 そういった意味で、都道府県がリーダーシップをとりながら、こうした生活習慣病なり長期入院という問題について取り組んでいくという姿勢の実効性を確保するように求めていきたいと思います。

川渕参考人 私は、都道府県が中心になってやるということは、概念的には正しいと思うんですけれども、実際に技術的な問題としてどうなのかなというところが一つあります。

 というのは、先ほど御案内しましたように、広域連合という話が具体的に出てきますけれども、結局、今保険料をだれが徴収するのか。実際都道府県というのは、御案内のとおり医療計画についてはいわゆる権限がありますけれども、今までお金を徴収したことはないわけですね。ですから、今広域連合という話が出ていますけれども、一体その広域連合は何なのかというその実態が、私、頭が悪いせいか、なかなか見えてこない。ここを、技術的にどうなのかなというところを考えなくちゃいけない。

 それからもう一つは、先ほどちょっと御案内しましたけれども、随分地域差が出ております。例えば、横軸に今はやりのマンモグラフィーの普及率、縦軸に四十歳以上の女性の人口、それに占める実際にマンモグラフィーを読める読影医の数をとりますと、もう東京なんというのは非常に、装置もなければ、それから読影医もいない。言いにくいんですけれども、例えば人口の少ない香川県とかは非常に高いわけですね。

 こういう地域差というのをどうやってこれからクリアするのか、これを補助金でやるのか、あるいは交付税でやるのか、その辺ももうちょっと詰める必要があると私は思います。

 以上です。

鈴木参考人 私も、先ほど述べましたみたいに、今の三位一体論議でも明らかになりましたように、結局は自治体、県が非常に苦戦を強いられている、財政的に厳しい、それから各都道府県ごとの差があるというような流れの中におきましては、県での医療制度整備というのは反対でございます。

 特に、また今後、政管健保等が地方自治体、県ごとになっていくとか、高齢者医療制度ができていくとか、非常に事務的な業務が各地方自治体に多くなってくると思います。アメリカの医療費がすごく高騰したというのも、マネージドケアにおきましても人件費が非常にふえたということがあります。

 そういう意味で、例えば今の政管健保などは、全国統一であるということが、事務的な作業も非常にシンプルにしているという点で、医療費に余分な人件費をかけないというメリットもあると思います。そういうことも含めまして、現在の流れの中におきましては反対です。

 しかし、各医療供給体制の自治体での適正な判断、あるいは介護保険施設の数とか、そういうものは各地方自治体の判断に大いにゆだねるべきだというふうに思っています。

 以上でございます。

御法川委員 ありがとうございました。

 次に、各参考人の皆様に絞った御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、内田参考人にお伺いいたします。

 先ほど、資料で医師会の方で配っていらっしゃるカラーのパンフレットをいただいておりまして、この中で、厚生労働省の医療費の予測が誤っているんだ、去年の二〇〇五年の予想では、厚生労働省で二〇二五年の医療費六十九兆というふうになっておるわけですが、これは間違っていると。最新の日本医師会さんの方の情報では、医師会さんの方として四十九兆ぐらいだという数字を出しているようでありますけれども、この積算根拠といいますか、これがどういうことか、簡単に御説明をいただけますでしょうか。

内田参考人 厚労省の予想に使っているもとは、一九九五年から九九年の医療費の伸び率、七十歳未満二・一%、七十歳以上三・二%という伸び率を実は使っております。これを、医師会の方では、二〇〇一年から二〇〇五年の伸び率の平均をこれに当てはめてみますと、一般の伸び率が、被用者が一・二%、国保が一・七%、高齢者が一・三%、これは介護保険が導入された二〇〇二年を除いておりますけれども、この伸び率で計算しますと、先ほど御指摘になったような四十九兆円という数字になるということでございます。

 ですから、直近の伸び率を適用するということでございます。

御法川委員 ありがとうございます。

 いろいろ、予測の数字でございますので、どれが今正しいという話、どれがという話で結論づける話ではございませんけれども、大変参考になる計算の仕方だなと思います。

 次に、渡辺参考人にお伺いをいたします。

 先ほど、ジャーナリストの御経験の中で北欧の方にもいらっしゃったというようなことがありまして、デンマークの方にもいらっしゃったと。大体、この社会保障の話をすると、必ず比較の対象になるのは北欧でございまして、やはり、かの国の社会保障の充実度という部分が言われる一方で、税金、税負担の大きさというようなことも言われるわけでございます。先ほど、渡辺参考人の方からもこれについての言及があったわけでございます。

 確かに、地方分権が進んでいる北欧でございますし、そういう中での社会保障のあり方というのは参考にするべき部分は多いと私も感じておりますけれども、国のサイズがもともと全く違うという部分がございまして、例えば、日本は今一億二千五百万の人口というふうに考えると、大体スウェーデンあたりでも六百万、デンマークはそれ以下、大体そういう人口でございますけれども、国のサイズで分権をやっている。そういう国と日本というのを比較するときにはなかなか難しいんだろうなという気もいたしますけれども、その点について、どういうふうなお考えをお持ちでございましょうか。

渡辺参考人 お答えします。

 今、委員がおっしゃったように、デンマーク、人口五百十一万程度、スウェーデン八百万、ノルウェー四百万程度ということで、よく国のサイズが違う、日本のように一億二千何百万人と。結論を先に申し上げますと、国のサイズといったものは、事医療、福祉に関する限りはそれほど考慮する必要はないんじゃないかと私は思っております。

 徹底した地方分権、もちろん人口規模というのはございますけれども、特に医療、福祉の問題は、分権して、住民に近いところで徹底した情報公開ですね、参考にすべき点は。そして、税金の使い道を極めてクリアに住民に説明する。だからこそ、高い税負担、それが日本に当てはまるかどうかは別としまして、二五%もの高い、いわばMOMSと呼んでいますが、付加価値税、これはスウェーデンもデンマークも同じ率であります。

 また、そういった徹底した透明性、住民に対する説明、そして、もっと言えば、福祉も医療も、例えば民間と競争してさえ公的なサービスの方がすぐれているといった住民に対する信頼感、そういったことが重要なんじゃないかと私は思っております。それが国民に支持され、高い税負担も許容されている点じゃないか。

 そういった意味からいいますと、人口規模は、私自身は余り感じたことはありませんし、排除すべき条件ではないのではないか、かように考えております。

御法川委員 ありがとうございました。

 もう一つ、今度は川渕参考人の方にお伺いをしたいと思います。

 陳述の最後の方で、いろいろな統計なんかで固有名詞を出してもらえるような、これはもちろん医療だけではなくて、社会一般のことももしかすると言っていらっしゃるのかなと思いますけれども、これに絡んだ話をすると、片方で、医療格差というのが現在でもやはり地方によってあるという現実も、例えばマンモグラフィーの数の話なんかも含めて、ある。

 そういう中で、簡単に言ってしまうと、いい病院、悪い病院、こういうものの名前をあえて出してしまうということがますますその格差を生んでしまうのではないかという危惧は、必ずこれは生まれてくるのではないかな、こういうふうに考えます。この点について、川渕参考人の方はどういうふうにお考えでしょうか。

川渕参考人 実は、病院の可視化ネットワークというのをやっておりましてわかったことは、国民に開示する前に、医療機関同士、これが知らないんですね、自分の医療機関というのは一体どういうポジションにあるのか。

 それで、これは私、出前ワークショップと称して、勝手連的に病院に出かけていって、百人ぐらい、職員の方に来ていただくのです。お忙しいのか、ドクターはなかなかおいでにならない方もいますけれども。そこで、例えばおたくの病院は、がんはどうか、心臓病はどうだ、脳卒中はどうだと。この三大疾患は医療費をたくさん使いますし、やはり私は、人間の生き死ににかかわるところというのは国民すべからく平等に医療が受けられる、結果の平等ですね。

 その結果の平等を担保するためにも、私は、ではどの病院、例えばM病院と先ほど言いました、医療の質がよくて安い、ではあの病院を目指そうと言います、センター・オブ・エクセレンスと言いますね。ここどこですか、いや、私、覚書に入っていて、これは言えないんです。これでは、だれもそこまで頑張ろうという改善運動が生まれない。

 私が申し上げたいのは、では国民に開示する前に、医療機関同士でも何とかできないかなと思うわけであります。これをやっていかないと、国民すべからく同一の医療が受けられる、あるいはレベルを上げるという、これが達成できないんじゃないか、私は、その次に国民に開示するというステップがあっていいんじゃないかと。だから、一度にやれとは言っていませんけれども、そういう形の開示というのは、やはりもう時代が来たのではないかと私は思います。

 以上であります。

御法川委員 ありがとうございました。

 今のお話、大変示唆に富んでいるなと思っております。これは広い意味での情報開示という話になってくるんだろうと思います。

 そこで、ちょっとまた戻りまして、渡辺参考人にお伺いいたします。ジャーナリストという立場で、長い間、社会保障に対して御研究なり御発表なされていた、そういう御経験の中からでも結構でございますけれども、情報提供の推進ということが今回の医療法ではやはりかなり力強くうたわれている部分でございまして、この点について、現在の評価あるいはどういうふうに進めていったらいいか、今の川渕参考人の具体的な御意見なんかもありますけれども、どのように考えていらっしゃるか、聞かせていただきたいと思います。

渡辺参考人 お答えします。

 医療情報ということが極めて大事だということは十分認識していますが、ただ、ここで私の考えを言いますと、医療情報ということが一つは混同されているのではないか。つまり、私自身は、医療情報はいわば三種類あるんじゃないかと考えております。

 つまり、今川渕参考人の話があったように、医療機関そのものの情報、もう一つは、いわゆる医療における情報の非対称性といったこと、例えば医師あるいは医療従事者と患者との間の情報、これも当然重要な情報、それからもう一つは、例えば医療機関内部の情報といいましょうか、例えばチーム医療をやる、あるいは医療機関のマネジメント等々を含めた医療機関内部の情報、この意思の疎通も非常に悪い、つまり、医師だけがトップでコメディカルにも情報が伝わっていないと、医療ミスにつながって云々といった問題がありますので、そういった医療機関の情報及び医師と患者との情報及び医療機関内の情報、この三つの情報をどのように開示していくか。

 例えば、医師と患者の情報といったものはそう開示できない場面もあるわけで、そういった意味からしますと、今御指摘の点というのは、主に医療機関の情報といったことを御指摘になっているんじゃないかと私は思っております。そういった意味からいいますと、医療機関の情報といったものについてはもっと開示すべきなんですが、では、どう開示すべきか。

 つまり、今厚生労働省の方でも、いわゆるポジティブリストとかネガティブリストとかいった議論をやっております。確かに非常に難しい点がございますが、やはり、まず今国民にとって情報がなさ過ぎる。あるいは、一部のマスコミ、私たちも含めてでありますが、医療機関の情報といったことを、よい病院のランキングとか、ああいった、またある意味では間違った情報さえ出る。

 そういった意味からいいますと、医療機関の情報といったものを、客観性を持ったものをどのように出していくかといったことがまず重要な点だ、そのように思っております。

御法川委員 参考人の皆さん、大変ありがとうございました。大変短い時間でございまして、なかなか突っ込んだ質問もできませんでしたけれども、今後の審議にぜひ活用させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、福島豊君。

福島委員 参考人の皆様には、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。

 今回のこの改革、二つ柱があると思います。一つは医療のあり方をどうするのか。もう一つは、やはり財政なんです。財政はさておきという意見もありましたけれども、両方がなければならないと私は思っています。

 私も医療人ですから、日本の医療というものが、非常に低い医療費の水準で、しかも高いパフォーマンスを実現してきたという意見にはまことに同感するものであります。医療のあり方ということをめぐっては、国民の納得のいく医療や信頼できる医療が必要だ、それはそのとおりでございます。医師不足も解消すべきだ、これもまことにそのとおりであります。ただ、そのためにはやはり医療費の水準をもっと上げた方がいい、これは私は率直な結論なんだろうというふうに思いますし、これも同感をいたしております。

 例えば医師不足にしても、勤務医の方々の勤務環境の悪さというものが、独立して開業するという流れをつくり出している、これも事実だろうと思います。そしてまた、現に勤務医の方が非常に厳しい環境の中で働いている、それはやはり医師としての責任感というものがあるんだろうというふうに思います。これをいつまでも放置しておくわけにもいかない。今回の診療報酬でも一定の対応はいたしていただいておりますけれども、まだまだ私は道半ばのような気がします。ただ一方で、私は政治の場に立つ者でございますので、そうした状況を踏まえつつも、やはり日本の財政状況というものがどうかということを指摘せざるを得ないところがあるわけであります。

 二〇〇六年度には、一般会計のプライマリーバランスは十一・二兆円の赤字でございます。将来世代から税収の二五%にも相当するものをお借りして日本国というものは運営をいたしておる。二〇一一年度にはこのプライマリーバランスが十三・一兆円、これは名目の経済成長率が三%、長期金利が四%、まあ、ある程度妥当な数字だろうと思いますけれども、十三・一兆円まで拡大をする、こういう状況の中にあるということを前提として常に考えなければならないんだと思っています。

 いろいろな議論は、こういったことがなくて、ある意味で平時の日本、国家財政の中で運営しているかのような議論が多々ありますけれども、そうではない、がけっ縁のあたりにあるので、とても苦しいけれども、率直に言うと余りやりたくもないんだけれども、改革をしなきゃいかぬというところが出てきているんだ。これは、財政を破綻させないということが今課せられた大事な課題だというふうに思っているわけであります。

 先日の財政制度審議会で、二〇一一年にプライマリーバランスの均衡を達成しようと思えば、歳出をどうしなきゃいかぬか、一律に削減するのでも一八%の削減です、医療費の自己負担は約二倍になるだろう、こういう推計も出ておりました。そしてまた、単にプライマリーバランスをとるだけでは足りません。金利とかいろいろなリスクがありますから、一・五%の黒字にしようと思えばどうなるか。三二%の削減が必要だ、どうするんだ、ここのところをまず考える必要がある、そういう与件があって医療保険制度というものも考えていかなきゃいけない。大変苦しいし、医療人としては、もっと医療費を上げるべきだ、心の底から私はそう思っておりますけれども、ただ一方で、こういう条件をどうするかという課題があるということなんです。

 この点について、先ほど渡辺参考人、もうちょっと税金を投入すべきだ、こういう御指摘がありました。私もそのとおりなんだろうというふうに思っております。ただ、こういった財政状況を踏まえた上で、どういう道筋を歩むべきなのか。これは先送りできません。この数年、そしてまたこの六月には骨太方針で歳出歳入一体改革というものの一定の方向を示さなきゃいけない。参考人の御意見をお聞きしたいと思います。

渡辺参考人 おっしゃるとおり、私も今の国家財政を全く無視しているつもりはございません。特に二〇一一年度までにプライマリーバランスを黒字化するという方針も、私は賛成であります。

 私は、プライマリーバランスを黒字化するあるいは保つというために、やはり方法論は二つしかないわけでありまして、一つは歳出の削減か、増税しかない。やはり増税と歳出削減の割合をどうするかといったことが見えてこないわけですね。今の方針を見ていますと、まず歳出削減ありきといったことで、その中で医療費といったものが非常に高いから、その医療費を徹底的に削減するんだという方針には私は反対だという意味で、税投入すべき。

 つまり、私は、増税をするならばその部分に充てるべきという意味で、プライマリーバランスを黒字化するために増税、つまり歳入増があっていいと思っております。と同時に歳出削減もする、そのバランスの中で先ほど私は申し上げた、そのつもりでございます。

福島委員 私も全く同感でございまして、社会保障の歳出削減、これ以上どうするのかというふうに私は率直に言って思っております。そうしたことも、これは、この法案についていろいろな意見があるかもしれませんけれども、今後の社会保障制度をどうするかという観点で、ぜひ委員の皆様にも共有していただきたいと私は思っております。

 今、渡辺参考人の方からそのような御指摘がありましたが、これは負担する側の問題ということもあります。逢見参考人はどのような御意見をお持ちでしょうか。

逢見参考人 先般、財政審議会で出された長期試算について私も拝読をいたしましたけれども、率直な印象を申し上げると、財政再建初めにありきで思想が全くない、機械的試算を示して、このままでいけば社会保障給付について大幅な切り込みをせざるを得ないというメッセージを伝えているだけではないかと思います。

 私は、やはり、国民が納得して支払う、政府との信頼関係のもとで、国民が税金でも社会保険料でも納得して支払うということが前提にあるべきだと思います。そういう意味では、プライマリーバランスを是正することが初めにありきで、そのためには社会保障を大幅に切り込まなきゃいけないんだというメッセージでは、国民の信頼感を失うだけではないか。医療について言うならば、医療給付あるいは医療提供体制をどのような形にするのか、そのために負担をどうすべきなのかという、国民の信頼関係をきちんと築き上げる、そのことが確立されてでき上がるべきものだと思います。そういう意味では、財政審の議論は、ちょっと議論が逆転しているような印象を受けました。

福島委員 再度お尋ねするつもりは余りなかったのですが、財政再建ありきという議論は成り立たないのではないかという御指摘だったと思います。ただ、今の我が国にとって、財政再建というのは多分第一番の優先度を持つ政策課題なんだろうと私は思います。二〇〇六年で公債残高五百四十二兆円です。GDP一年分を超えている。この状態は放置していいものでしょうか。どうお考えでしょうか。逢見参考人、再度御答弁いただきたいと思います。

逢見参考人 もちろん、財政赤字を放置してよいと言っているわけではありません。また、プライマリーバランスを是正していくということも必要だと思います。しかし、それを二〇一一年にやるんだということが最優先目標なのかというと、そうではないというふうに私は思います。

福島委員 二〇一一年にプライマリーバランスをとれなくてもいいというふうに考えると、さらに公債残高が積み上がります。今の自然体でいけば六百七十八兆円の推計、まあ、これはそんなに間違いがないんでしょう、百三十兆円以上も将来世代からお借りをして国家の運営をやっている、社会保障の給付をやっている。私は、これは国としては余り健全な姿ではないし、責任を果たすことにもならないというふうに率直に思っておりますから、苦しい改革であったとしてもそれは避けては通れない、そういう実感を持っているわけであります。

 内田参考人にお尋ねをしたいわけであります。

 勤務医から、勤務条件の厳しさということもあって開業する方がたくさんおります。私の友人でも相次いで開業いたしております。これは、やはり勤務医の勤務条件が非常に悪い、やはり開業医のさまざまな所得と比べたときに勤務医の所得というのは格差が相当あるんじゃないか、こういう指摘があります。これは率直な意見だと思います。こういう格差の是正を図るべきだというふうに思っておりますし、今の医師不足を解消するためにも、ここのところはどうするかということを考えなければいけない、この点について、内田参考人の御意見をお聞きしたいと思います。

内田参考人 お答え申し上げます。

 所得格差、勤務医と開業医の間に大きいものがあるという御指摘でございますが、私は開業を実際にやっておりますけれども、開業医の場合には非常に厳しい条件が幾つかございます。

 これは、一人で医院を経営するというところの問題でございまして、一度何かあった場合、例えば、これは余り前提としたくないんですけれども、医療事故を起こしたとか、あるいは自分自身が病気で倒れるとか、そういったときに開業医の場合には全く保障がございません。

 それから、開業医の収入の判断のベースになっている中にボーナスとか退職金とかは一切含まれておりませんので、これで一律に、収入の格差が大きいというふうにお話しいただくのはちょっと心外でございます。開業医の収入が勤務医に比べて非常に多いということを擁護するわけではございませんけれども、その辺のところは十分御配慮いただければと考えます。

 それから、もう一つは、医師不足の問題でございますけれども、医師不足でよかったですかね。(福島委員「はい、どうぞ続けてください」と呼ぶ)基本的には毎年八千人弱の医師が新卒で出ておりまして、四十年ぐらい前の医師の養成数に比べると非常に大きいわけで、これから人口が徐々に減っていく、まあ、高齢者はふえていきますけれども、医師の数としては充足しているのではないか、やはり偏在の方、バランスの問題の方が大きいのではないかなという印象を強く持っております。

 そういう点で、今、所得の格差だけではなくて、診療内容が非常に厳しいということがございました。現状でこれをますます促進するような状態がございまして、これは、医師臨床研修制度の導入や何かも非常に絡んでおる問題で、いろいろな要素がございますので、委員会を立ち上げて検討していただいているところですけれども、その中で医師会の発言もさせていただきたいと思いますが、現状の問題をとりあえず解消するということで努力していきたいというふうに思っておりますけれども、なかなか具体策が見えてこないというところがあります。

 医師会としましては、今年度から女性医師バンクというものを立ち上げまして、先ほど、お産や何かでいろいろな事情で家庭の中に入ってしまう女性の問題とか、その辺の指摘がございましたけれども、女性医師バンクを立ち上げること、さらには、将来的には医師バンクという形で、僻地とか病診間の医師格差とか医療偏在とか、その辺のところの対策に鋭意取り組んでいくということで考えております。

福島委員 前段の質問は、開業医の方々の所得にはいろいろな要素があって、これは政府・与党の協議会でもいろいろと議論しまして、そこが高過ぎるというふうに私は申し上げたつもりではなくて、やはり勤務医の処遇の改善をどうするか。しかも、それは賃金だけの話でないんです。例えば、診療報酬によっては非常に少ない人数でそこをこなさなければいけない、採算がとれないので人数をふやす余裕がないとその病院の経営者が判断する、こういうことがあるわけですね。ですから、勤務医がもう半数を超えましたから、ここの方の処遇をどうするかということをやはり医師会としても一つの大きな政策課題としてとらえていっていただきたいという思いで質問したつもりでございます。

 そして、臨床研修の制度については、臨床研修が終わった後の医師の進路をどうするのか、ここは非常に大事なんだと思います。大学の医局制度がだんだん変わりつつある、大きく変わりつつある、その中で、偏在を起こさないように適正な配置をしていくためにはどうしたらいいか。これは、さまざまな学会また大学もありますし、そしてまた医師会も当然あると思います、医療関係団体がひとつ知恵を絞って、どうすればいいかという御提案をしていただければというふうに私は思っております。

 それから、川渕参考人にお聞きしたいのでありますが、メディカル・セービング・アカウント、こういうお話がありましたが、実際に、被保険者の主体的な取り組みといいますか、みずからの病気にならない努力を促すということは非常に大事なんだと思います。そういう意味では、健診を受けるということも大事なんですけれども、それ以上にやはりやらなければいかぬことはたくさんある。そして、現に提案されている疾病予防ということでどの程度効果があるのかね、こういう話もあります。

 先生は世界の医療経済にも詳しいわけでございますので、こういった世界的な視点で考えたときに、どういうことが言えるかということを簡単に御説明いただければと思います。

川渕参考人 非常に難しい質問でございますが、よく疾病予防をやると医療費適正化あるいは節約ができるという話があるんですけれども、私が出たシカゴ大学で最近書かれたある人の論文を読んでもわかりますように、やはり医療費そのものよりも、その人が元気になって早く社会復帰できる、そしてその人が働いて税収を生み出すとかGDPを上げるとか、そちらの方が大きい。

 ということは、よく言われる国民負担率の議論でも分母と分子とございますね。分母が例えば国民所得だとかGDP、分子が医療費ですね。そうすると、医療費そのものという分子を下げるよりは分母のところの論文が多いし、実際、やはりそういうところが期待できるところではないかと私は思います。

 以上であります。

福島委員 次に、星野参考人にお伺いしたいんですが、昨年の医療制度改革の中で、保険免責制度の話でありますとか総額管理制度でありますとか、そういったことが政府部内でもいろいろと指摘されたわけでございます。この点について、参考人のお考えをお聞きしたいと思います。

星野参考人 お答え申し上げます。

 基本的に反対でございます。なぜ反対かということでございますが、長々になっちゃいますので簡単に申し上げますと、GDPを基準にして物をお考えになられるんだろうと思うんですね、今の総額抑制とかにしても何にしても。そうすると、今の医療の問題というのはやはり高齢化なんじゃないでしょうか、一番の原因というのは。高齢化を我々はこれからずっと受けとめていかなきゃならないのでありまして、それに対してどう対応するかというときに、そこにキャップをかけたら、簡単に言えば現代のうば捨て山になっちゃう。それで構造改革の意味があるんですか。

 つまり、政治が、構造改革は何のためにやるかということで、その先が明るいメッセージを国民に送るから政治になるわけです。ただ財政再建のために何%減らすんだ、これは行政目標としては必要ですね。先進国だけじゃなくてインドでもどこでもやっているわけですから、何%赤字にしましょうとか、プライマリーバランスはいつごろまでにはちゃんとめどをつけましょうとか、これはもちろん日々の行いとして必要なことなんです。しかし、政治としては、それをやったから何かあるよということを言ってくれないと。

 今は小泉改革、大変評判がいいように私は思うんですけれども、にもかかわらず、むしろこういうことを言うとおしかりを受けるかもしれませんが、福田さんがオイルショックの後に、経済成長率が一〇%から五%に落ちるにもかかわらず国民の賛成を受けたのは、そのころは公害だとか交通事故がいっぱいあった時期ですから、静かで落ちついた社会がいいねということをメッセージとして与えたんですね。

 ですから、今、大変政治家の皆さんが御苦労なさっているのは重々わかりますし、個々のしっぽを捕まえたらいろいろなしっぽの捕まえ方があると思いますけれども、政治というのは何だろうと我々の先輩がおやりになったことをよく見直してみると、やはり国民に何か夢のあるメッセージがあるから今の改革はやるんだということにつながらないと、何か官から民だとかそういうことを言ったって、何のメッセージにもならないと私は思っております。

福島委員 大変率直な、また感銘深い御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

 最後に、内田参考人にお尋ねしたいんですが、今回、医療法の改正の中で、例えば地域連携クリティカルパス、地域連携をどうするか、また在宅医療をどうするか、こういうことが一つの大きな柱でございます。こうしたことを進めていくためには日本医師会が大きな力になることは間違いがないわけでありまして、会としてこういったことについて取り組みの御意見をお聞かせいただければと思います。

内田参考人 大変ありがたい御質問でございますが、医療の現場に携わる立場からいいますと、地域医療、在宅医療をこれからより効率的に内容を充実させていくということは非常に重要な問題だと思っておりますので、日本医師会としても、こういう問題に対して積極的に取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、各界の英知を集めて取り組みを進めるということをお誓いしたいと思います。

福島委員 以上で終わります。大変ありがとうございました。

岸田委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 本日は、参考人の皆様、大変御多用の中こうしてお越しいただきまして、まず冒頭お礼を申し上げたいと思います。

 さて、早速私からの質問に入らせていただきたいと思いますが、参考人の皆さん御存じかどうかわかりませんけれども、実は、本日は小泉政権発足丸五年の記念すべき日でございます。きょうの質問と多少関係いたしますので冒頭お尋ねさせていただきたいと思うんですが、けさの朝日新聞のアンケートに、小泉政権五年間の中で暮らしがよくなったと答えられた方が一八%、一方、悪化したと答えられた方が四二%いらっしゃいます。しかし、肝心なのはこの後で、その悪化したのが小泉内閣の政策によるものと思うかどうかというのは、実はこれは拮抗しているんですね。見方が分かれています。ただ、六十代以上では、そう思うという方が六〇%前後というふうに調査は出ておりました。

 そこでお伺いをしたいんですが、るる質問等の中でも触れられておりました、今回の医療分野における、とりわけ財政調整そのものの是非もあるんですが、医療分野における格差というものが、昨日、そして本日の参考人質疑の中でも、所得による健康格差であったり、あるいは僻地医療を中心とする地域間格差であったり、さらには小児、産科を初めとする診療科間格差、そういったものの増大の指摘がございました。

 そこで、まず、今回の医療制度改定でそうした医療分野における格差が果たして解消されるのか、あるいは縮小するのかでも結構です、あるいは増大するのか、拡大するのか。具体的にはこの後質問させていただくわけですが、まず、皆さんに一言ずつ、格差が拡大するのか、あるいは縮小するのかお答えをいただきたいと思います。

星野参考人 お答え申し上げます。

 格差は、拡大はしません。

内田参考人 私は、これはこの法律が成立した後の運用にかかっているというふうに思いますので、ぜひそこのところをしっかりやっていただきたいということを希望します。

渡辺参考人 私も、一概にこれで拡大するか縮小するかということを、今の時点ではわかりませんし、判断できかねます。

 また、強いて言えば、そうならないような、息の長い今度の改革でございますから、そういった処置をやっていかなければいけないと思っております。

逢見参考人 御指摘された格差の問題についても、改革についてのメニューが出ている部分はあると思います。しかし、それが確実に実行されるかどうかということの保障がないし、また置き去りにされている問題もあると思います。そういう意味では、まだ改善すると言い切ることはできないと思います。

川渕参考人 私は、先ほど申し上げた財源と医療提供体制の面と両方から見ているんですけれども、例えば、今回、政府管掌保険、今までは八・二ポイントということで全国一律でしたけれども、各県ごとに保険料率が違ってきます。そういう点では、名目的といいますか、明らかに格差といいましょうか、地域的に保険料が違っていいとなるわけです。

 そうしますと、例えば、厚労省の資料によりますと、医療費の一番高い福岡県ですか、一番低い長野県ですか、一・二ポイント違う。そうすると、これは、それでいいじゃないかと。問題はこの次なんですね。そのデータを見て、では福岡県とか北海道の方が、うちは保険料が高いから何とか保険料を下げようというような努力ができるものなのかどうか、そしてそれが医療の質にどんな影響を及ぼすかでありまして、そこが私は一番のポイントではないかと思います。

 以上であります。

鈴木参考人 先ほども申し上げましたみたいに、格差は拡大すると思います。個人間、地域間、病院間、医療機関間、いろいろな意味で拡大するというふうに考えています。今、政管健保の話もありましたけれども、国民健康保険におきましても非常に払えない方が多くなっているような現実もあります。こういう事態がどんどん広がっていくことを非常に懸念しております。

 以上です。

柚木委員 ありがとうございます。

 今それぞれの参考人の皆様のお答えを伺っていても、やはり当委員会でしっかりとした議論を深めていくことがいかに大事であるかというのを私は再認識させていただきました。それを踏まえた上で、個別に私の方から質問に入らせていただきます。

 まず、川渕参考人に質問をさせていただきたいと思いますが、こういった流れの中で、情報提供体制でございます。先ほど厚労省のデータベースのシェアというお話もございましたが、医療施設は患者に対して、患者自己負担に見合う分の、患者が知りたい、まさに生の情報をより積極的に提供すべきではないのか。政府案としては、外形的な基準について広告や告知を今回許可しておりますが、民主党案は、例えば術後五年後の生存率などの医療の客観的な評価を進めるような仕組みが必要ではないかという提言を行っております。こういった医療情報の提供体制についてお答えをいただきたいと思います。

川渕参考人 私自身、先ほどから何度も言っていますけれども、病院の可視化ネットワークをやっておりまして思ったことは、先ほどの格差ではありませんけれども、日本の医療の質に相当格差がある。これは、よく表向きは日本の医療というのは平等だと言っていますけれども、やはり私は、まだ結果の平等それから機会の平等もないのではないかと。機会の平等と申しますのは、結局、国民にある程度情報があるから病院を選べるとか自由な医療機関が選べるという話でありまして、その情報がないわけですから、ここはやはり私はもっと抜本的な情報開示が要るんじゃないかと。

 これまで、都合四回、医療法改正で広告規制緩和をやってきました。私は、広告に関してはいろいろな規制緩和をされたと思うんですけれども、広告じゃないんですね、広報、パブリックリレーションといいますか。つまり、自分が生き死にの病気のときにどこに行ったらいいのかということ、その一番大事なことが医療機関、医療従事者もわからない、ましてや国民はわかるわけがない。それで負担増というわけですから、それはやめてくださいということになると思うんですね。

 私は、やはりもうちょっとここは、まず医療機関同士で現実を知るというところから始めて、そして打ち手を考えるべき局面に来ているのではないかと思います。

 以上であります。

柚木委員 ただいまのお答えを踏まえて、先ほど別の委員の方からも情報の客観性の担保というお話がございましたが、やはりしっかりと医療情報を開示していくという方向を本委員会でも議論していかなければいけないと思います。

 続いて、もう一問、川渕参考人の方にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、小児科、産科あるいは外科などでは病院の勤務医が不足しているというのは御承知のとおりでございます。医師不足の現状において、厚労省としても偏在は認められているわけですが、医師不足ということでの認識をなかなかお示しになられていないわけです。そういう中ではございますが、実際に偏在の、足りていない側の偏在にしてみればこれは不足と同じ意味だと私は考えるわけですけれども、こういった医師不足の対処法について、スリーピングドクターの活用等をおっしゃっておられたかもしれませんが、改めて川渕参考人の方からお答えをいただきたいと思います。

川渕参考人 実は、医師の数、先ほど御案内しましたように、厚労省の調査によりますと、医療施設調査と医師・歯科医師・薬剤師調査というのはやはり医師数が違うわけですね。それは何でかといいますと、お医者さんというのは動いているわけです。

 例えば、私、何の資格もありませんが、うちの大学の先生を見ていますと、例えば水曜日、週一回はどこかにアルバイトに行っている。我が法人もついに独立行政法人になりましたので、そういう点では、アルバイトにある程度行けるんですね。しかし、どこに行っておりますかという把握については、これは医局がやっていまして、厚労省はやっていないわけです。そういう時間単位を全部非常勤アカウントしていきますので、一体全体医師が今どうなっているのかということは、これは多分見える化できていないと私は思いますね。

 そして、さらに大事なことは、免許は持っているんですけれども、アクティブか、インアクティブか。まあ、人間をアクティブ、インアクティブじゃいけないんでしょうけれども。結局、これは歯科医師も薬剤師も同じでありまして、免許はあるんだけれども、どれぐらい臨床にコミットしておられるか、この実態をやはり把握する必要があるんじゃないかと私は思うんです。

 ですから、よく言われますけれども、人口十万人当たりで日本の医師というのはもう二百人に来たと。たしか一県一医大学制のときには人口十万人当たり百五十人医師をつくるということで、もう五十人超えたから医師は過剰ではないかと。では、その百五十人という根拠をつくった方にどうして百五十人なんですかと聞くと、いや、根拠はないんだよと。これでは、エビデンス・ベースド・メディシンと言っている中で、何なのかと。

 歯科医師は逆に余っているわけですね。私が提案した特区ですと、歯科医師にもう二年間勉強して麻酔の免許を取れるようにと。これはケンタッキー大学がオーラルフィジシャンということでやっておりますけれども、結局、そういうようなことをやっていかないと、歯科医師は過剰、医師は足りない。足りないこと自体もわからないわけです。

 これは、政策といいますか打ち手が出てこないんじゃないかと思いますので、私はやはり可及的速やかに、先ほどのNPOではございませんけれども、NPOにも限界というのがあります。したがって、女性のお医者さんというのが今三三%医学部にいるわけですから、この方々が一体、皆さんアクティブに働いていただけるのかどうか、あるいは育児の問題とかはどうするのか、そういうことを考えていかないと、やはり私は、医師が足りないとか余っているとかということは答えられないと思います。

 以上であります。

柚木委員 ただいま川渕参考人の方から大変示唆に富む御回答をいただいたと思っておりまして、実際、EBMあるいはEBPというふうなことも言われたりするわけですが、やはり不足診療科ごとの不足、偏在というものを、厚労省としてもしっかりとデータに基づいた対策を打ち出していただくことが必要なのかなというふうに今の回答で感じたわけでございます。

 続きまして、逢見参考人の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 小児、産科に占める女医の割合が大変今ふえてきているという状況のお話もいただいたわけですが、医師が病院に勤務医として勤める際に、そこに附属の保育所があるケースで、その保育所に子供さんを預けようとしてもなかなか入れないという話を実際に私もお伺いしたことがございます。そういう状況の中で、いかに女医を活用していくのかという視点が重要になってくるわけですが、働く皆さんの代弁者ということで、連合さんの方でそのような実態をどういうふうに把握しておられるのかということについて、あるいはその対処法についてお答えをいただければと思います。

逢見参考人 女性医師のお子さんが院内保育施設に入れないというお話は私も最近幾つか耳にいたしました。連合としてはこれはやはり見過ごすことのできない問題だというふうに思っておりますし、連合としても対応を検討すべきだと思います。

 病院はもともと女性が多い職場、しかも交代制勤務のある職場ということがありまして、労働組合としては、一九六〇年代から七〇年代にかけて、労働組合主導で看護師のための院内保育の自主運営の運動に取り組んでまいりました。その多くの自主院内保育施設が経営側に引き渡されて、経営側による運営が行われるようになりました。九二年に看護師等の人材確保の促進に関する法律というのが制定されまして、そこで病院内の保育運営補助事業が始まったという経緯がございます。

 こうした成立経緯から院内保育施設は看護師が対象となっているということでありますけれども、今御指摘のように、女性医師の数も非常にふえてきているということですので、見直す時期に来ているんだと思います。女性医師のお子さんはもちろんのこと、コメディカルのお子さんも保育施設に入れるような取り組みが必要だというふうに考えております。

柚木委員 大変参考になる御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 引き続き逢見参考人にお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、医師、とりわけ病院勤務医の過重労働という側面が大変今問題になっているわけですけれども、連合は労働組合として、こういった勤務医を中心とする労働基準法違反が常態化している実態について確認をしていらっしゃいますでしょうか。また、確認しておられるようでしたら、どういった対処が今後求められるのか、まさに働く皆さんの代弁者ということでお答えいただければと思います。

逢見参考人 直接のデータを私どもが入手しているわけではありませんけれども、お尋ねの医師の労働基準法違反に見られる過酷な労働実態というのは耳にしております。これはやはり放置することができない問題だと思っております。このことは、患者が良質な医療を受けることができないということにもつながりかねません。医師確保対策の問題とあわせてこの問題に取り組む必要があると思います。

 ただ、対症療法のように、では仕事をやめて帰るとか、あるいは勤務医がもう自分の仕事に士気が持てなくなって、ほかの、開業に切りかわるとか、そういうことでは問題の基本的な解決にならないと思います。

 違法状態を是正するためにも、医療提供体制の集中化、ネットワーク化あるいは機能分化といった見直し、そして医師の偏在の見直し、そうした提供体制、そしてその機能分化と相まって、このような労基法違反状態、過剰勤務状態というものを是正していく必要があると思います。

柚木委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに働く現場の皆さんの思いとはまた別のところで、患者さんの診療をするにはそうせざるを得ない実態、このシステム自体を変えていかなければならないという御答弁だったと思います。

 引き続きまして、もう一点、逢見参考人にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、現在、少子化が大変進行している中で、妊娠に係る健診の問題でございます。健診をきちんと受けていると例えばハイリスク分娩が少ないとか、もちろん母子保健法で健診が義務づけられている、そういう現状がある中で、現在、その費用負担の重さのために健診を受けられない方もいらっしゃるというふうなお話も伺うわけです。

 母子の健康格差というものが懸念されるという言い方もできると思いますが、その妊娠に係る健診、あらゆる出産についての費用を私どもは保険適用すべきだと考えておりますが、これについてはどのようにお考えなされていらっしゃるでしょうか。

逢見参考人 冒頭の陳述の際に資料としてお配りした中に、連合の調査で、出産にかかわって費用が幾らかかったのかというのがございますが、大体五十万ぐらいかかっております。それをどのように調達したかというと、自分の貯金を取り崩してそれを調達したと答える人が圧倒的に多い、そういう実態だと思います。

 現在、医療保険が適用されておりません。これは、妊娠、出産は病気ではないということなんでしょうが、しかし、安全性ということを考えますと、分娩時間がいつになるのかわからないという意味では、出産状態は救急だというふうに思います。救急を前提にすると、安心、安全の分娩のためにはその体制の整備、確保が必要だと思います。

 正常分娩であってもハイリスクの分娩に転換する可能性はいつでもあるわけであります。したがって、正常であるあるいはハイリスクであるということを分離すること自体に無理があると言わざるを得ません。そういった意味で、妊娠、出産全過程を通じて安心、安全を確保するために、保険適用とすべきだというふうに思います。

柚木委員 今いただいた御意見、しっかりと踏まえて議論を深めてまいりたいと思います。

 続きまして、内田参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 本日、先ほどの意見陳述、拝聴しておりまして、こちらの冊子も私も目を通させていただきましたが、まさに私たちが主張していることと大変近い考え方がこの中にあるなという率直な印象を持たせていただきました。

 そういうまさに働く最前線の皆さんの立場を代弁しておられるわけですが、一点お尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、今、産科のことをお尋ねをしたんですが、御承知のとおり、福島県の大野病院におきまして産婦人科医が医師法第二十一条違反と業務上過失致死の疑いで逮捕、起訴されるという事態が発生したわけですが、まさに少子化あるいは産科不足が大変指摘をされておる中でこういう状況が起こったことに対しまして、医師会としてどのようにお考えなされているか、お答えいただきたいと思います。

内田参考人 この問題に関しましては日本医師会の唐沢会長も再三記者会見等を行って申し上げておりますけれども、やはり今回の逮捕という件に関しましては、医師会あるいは医療関係団体こぞって大反対という声明を出しております。

 このような状況が繰り返されるようでは、医師として安心して医療に携わることができない状況になってしまうというふうに考えておりますので、ぜひ法的な整備も含めて検討していただきたいと考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 今いただいた意見もしっかりと踏まえてまいりたいと思います。

 まだ質問があったんですが、質疑の時間が来ましたので、これで終わらせていただきたいと思いますが、昨日、本日と大変御多用の中、参考人の皆様、こうしてお越しいただきまして、いただいた御意見、その御意見を踏まえて議論を深めるためには、そのための場が必要だと思います。間違っても十分な審議がないままに採決とならないよう、当委員会でも責任を持って審議をしていくという思いを、本日すべてのこちらの皆様と共有をさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、大変お忙しい中、六人の参考人の皆さん、本委員会に御出席いただき、また貴重な御意見を拝聴することができました。本当にありがとうございます。

 きょうは最初に、療養病床の問題と絡んで、在宅医療のことでお伺いをしたいと思います。

 療養病床の削減、廃止問題が今回大きな焦点となり、行き場のないお年寄りが出るのではないかというのが強く危惧されております。政府は、六年間で削減される二十三万床の受け皿について、一定期間老健施設の基準を緩和する経過措置を設けることなどを踏まえ、老健施設に十五万から十七万床程度移行し、その他についてはケアハウス等の居住系サービスやあるいは在宅への移行を想定していると答えました。

 施設の受け皿が不十分だということはこの間も指摘をしてきたところでありますが、では、在宅ではどうでしょうか。本法案においては、地域における患者の在宅療養の提供に主たる責任を有する在宅療養支援診療所という新たな規定を設け、二十四時間往診が可能な体制の確立や、死亡日前十四日以内に二回以上往診または訪問看護を行った患者が在宅で死亡した場合は一万点の診療報酬、ターミナル加算というそうでありますが、それ以外は千二百点ですから、莫大な差をつけて、退院の誘導や在宅、いわゆる病院以外の施設でみとりをするというふうに誘導するシステムにしようとしております。

 しかし、この間、医師不足や深刻な医師、看護師の過重労働が指摘されておきながら、さらに二十四時間の体制、今のままでこれをやるということはいかがなものか、あるいは現実に対応が可能なのかということが危惧されるわけでありますけれども、この点について、まず内田先生に御意見を伺いたいと思います。

内田参考人 私の意見陳述の中でも申し述べましたけれども、療養病床の廃止等を伴う在宅への移行という、政策的な誘導も入っていると思いますが、この問題は非常に大きい問題をはらんでおります。

 一つは、やはり在宅医療の基盤整備がまだまだ十分ではないということが言えます。全国的にも、在宅医療は大分取り組みが進んではおりますけれども、まだまだこれだけのものを受け入れるだけの受け皿は、現在のところはないのではないかなというふうに思います。

 それからもう一つは、現在、介護施設等での医療部分が全く認められておりませんし、それから、今後、居宅への誘導、例えば有料老人ホームとかケアハウスへ移って、受け皿がそちらの方に移った場合、都会では在宅医療が非常に難しい社会的な環境もありますので、こういうところでの受け皿というのを考えたときに、そこで適切な医療が提供できる体制がまだまだ不十分ではないかなと。それから、診療報酬体系の中でも、そこへの対応というのが十分に検討されていないというところがありますので、今後の非常に大きな課題ではないかと思います。

 それから、在宅療養支援診療所の件ですけれども、非常に高い点数設定がされている、これに誘導しようということはわかるんですが、実は、高い点数設定に伴って高い患者負担というのも生じてしまいますので、実際に在宅医療を担当している医師としては、これを患者さんに請求するということがなかなか難しい点がございますので、この辺も検討していかなくてはいけないかなと思っております。

高橋委員 ありがとうございます。

 基盤整備という点とまた患者負担という点で貴重な御指摘をいただいたと思います。

 同じ質問について、やはり現場で在宅医療を行っている鈴木先生に伺いたいと思います。

鈴木参考人 お答えさせていただきます。

 現在、先ほども申しましたみたいに、基盤整備といいますか、その基本は、医師と看護体制の問題があります。訪問看護がきちっと二十四時間受け入れられる、あるいはそういうところへ出動するためには、夜の夜中に一人の看護師さんが出かけるわけですね、そういうリスクもあるわけです。ですから、私どもは、二人で、ヘルパーさんと一緒に回っているわけですけれども、そういうものに対する介護報酬、出ておりません。そういう意味で、二十四時間きちっと対応できる診療報酬また介護報酬を確立することがまず第一だと思います。

 それから、先ほど、今回のあれにも切れ目のないということが言われておりますけれども、先ほどの療養病床の削減は切れ目ができてくる可能性があります。

 一つは、先ほど内田先生の御指摘がありましたように、医療と介護が、老健施設におきましては医療行為がマルメになっております。できないというわけではないんですけれども、マルメ。そして、そのために施設の支出がふえちゃいます。基本的に、制度として、やはり患者様一人一人に、医療行為には医療保険、介護サービスには介護保険がどの場におきましてもきちっと出るというシステムが必要なんじゃないかというふうに私は思っております。今、老健施設、そういうところに入ることによって、ここがだめ、ここがだめ、そういうものがありますけれども、ですから、介護と医療が一体化して、そして一人一人の患者様の必要に応じた供給保障ができるということが非常に大きなものだと思います。

 そういう意味では、そのための基盤整備としまして、今回、療養病床が非常に厳しい状況になったということは、実は、私が、一九九八年ぐらいですか、自分たちの約千人を超える在宅患者さんの調査をしまして、急性増悪した場合にどこに入るかということをまとめました。そうしますと、いろいろな都内の在宅患者さん千人ほどが、いざ熱が出たりちょっと調子が悪くなったときに運ばれる先は、その方が、例えば大学病院であっても、あるいは聖路加病院とかそういった有名な病院に入っていましたのでも、結局は近くの民間病院に七七%収容されておりました。

 そういう意味では、やはり地域の医療機関がきちっと救急を受ける、そしてまた、それに対しての、そういう小病院、地域の病院がきちっと経営的にやっていけるということを確立することが私は非常に重要なんじゃないかと思います。

 都市部におきましてもそうでありますから、まして地方におきまして、いろいろな医療の崩壊というものが進められております。北海道の方におきましても、根室の方ですか、そこには療養型病床がなくなっちゃったとか、いろいろなそういう事態が地方において起こっております。こういう状態が続きますと、在宅医療のバックアップになるところがなくなってくるということになると思いますので、これら全体が一体としたものであるというふうに考えております。

 そういう意味では、今回の医療制度で療養病床が機械的に削られるということに関しましては、近くの、それこそ先ほどありましたみたいに、自治体ごとの提供体制の整備、自治体ごとに配備できるような、こういう整備が必要になるんじゃないかというふうに思っております。

 基本的にはやはり在宅医療を支えるのはマンパワーでございます。私も実は二週間前、先ほどの二十四時間、ターミナル加算、私どものかかわっている医療機関はああいう診療所ができる前からずっと医師当直体制をやっておりましたので、そのまま在宅療養支援診療所になりました。そして、最近も私は在宅で、私、土日は全部ポケットベルでいつでも呼べる態勢をずっと続けております。

 そういうことができて初めてできるわけでありまして、そこの裏には、医師や看護師さんの非常に過酷な、私はまた経営的な責任があるからやっているわけですけれども、それが勤務医も含めまして全部やりますと、大変厳しいという状況があるということを御理解いただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 やはりマンパワーの面で本当に充実した体制がなければ不可能であるということや、あるいは逆に、バックアップする病院等が確立をしていて体制がとれているということがやはり課題ではないのかということも改めて考えさせられました。

 そこで、もう一度鈴木先生に伺いたいんですけれども、やはり先生は身近でさまざまな患者さん、あるいは患者さんを支える家族の苦労も見ておられると思うんです。家族が在宅で病人を抱えるというのはどういうことなのか。実際には老老介護とか、きのうもテレビでちょうどやっておりましたけれども、本当に深刻な実態があるかと思うんです。限られた時間ですが、少し紹介をしていただきたいと思います。

鈴木参考人 お答えさせていただきます。

 事例は数限りなくいろいろあります。

 介護保険もこの前変わりまして、いろいろな問題、この前、ある医師会で、私の友人が介護保険調査会に出まして、九十五歳のお年寄りの男性が一人でかくしゃくとして住んでおられるけれども、特別認知症もないもので要支援一だった。これにヘルパーさんが一人、週一回入っていました。しかし、今度の保険制度で切られちゃった。そうすると、週一回家をきれいにしていた部分がなくなってしまった、こういうようなことも起きております。

 そういう意味では、介護保険の問題とそれから医療保険の両方が本当に整備されていないと、実際の介護の現場というのは大変厳しいものでありまして、私の副所長の女性医師の御両親の例ですが、二人だけで住んでおりまして、片方が隣で亡くなっているのに連絡もできなかったというような事態が自分の身内にもありましたけれども、そういうようなことが各家庭には起こり得ます。気づかないうちにだれか亡くなったとか、そういうことがないようにするためには、やはりいつも二十四時間チェックできるような、あるいは定期的にでもチェックできるような、そういう制度が必要でありまして、この間の介護保険で大分その辺が削られたということに大変危機感を感じております。

 お一人の方を二十四時間の中で全体でケアしようという試みも私どもは随分しました。しかし、お一人をずっとケアしていくことは本当に何回も何回も行かなくてはいけないということもありますし、そういう意味では、適時、その人なりの生活を保障できる体制も必要であると同時に、ちょっと急変した場合にはすぐに病院に受け入れられる、そういう連携が非常に重要なのではないかというふうに思っております。

 具体的な事例はいろいろありますけれども、一応そんなような感じがいたします。

 以上でございます。

高橋委員 ありがとうございました。

 本当にたくさん言いたいことがあるんだと思いますけれども、本当に深刻な状況が生まれている。そこを踏まえて私たちも検討していかなければならないというふうに受けとめたいと思います。

 次に、川渕先生にぜひ伺いたいと思うんですが、先生が下さった本、読ませていただきました。ありがとうございます。

 それで、きょうは、実はそのことではなくて、先生が昨年「病院経営」に「医療経済の読み方 混合診療「実質的解禁」は、病医院経営に何をもたらすか」という連載をされまして、非常に多方面に、海外の医療の実態や調査も踏まえた上で、先生やはり医療経済という分野から書かれていますので、せっかくの機会ですので御意見をいただきたいと思います。

 その中で大変印象深い表現を先生されておりまして、「その医療行為が医学的に根拠があるものであれば、混合診療、もしくは保険診療の対象とする」「この「規制緩和」こそがまさに長年の医療界のパンドラの箱が開いた瞬間」、こういう表現をされております。私は非常にこの表現がなかなかのものだなと思っておりますので、ちょっとそこら辺の真意も含めて、混合診療がこの間、これ以上進んでいくことによって何が起きるだろうか。お金のある人しかやはり高度な医療、先進医療は受けられないのではないかとか、あるいは、患者が選んだ医療、口実はそうなるわけですけれども、結果として、高度に限らず、保険で受けられない医療が拡大するのではないか、こうした心配をしているわけですが、率直に伺いたいと思います。

川渕参考人 非常に難しい質問をありがとうございます。

 いわゆる混合診療と言われておりまして、今の医療保険体系では、いわゆる保険給付と保険外負担の併用というのは一切ない、認められないはずなんですね。なのに、例えば差額室料等、こういうのはございますね。あるいは、皆様方が歯科医院に行かれますと、ここから自費にしますか保険にしますかという局面がございますね。そういうことを実は私なりにまとめて、そして日本医師会のシンクタンクから首になっちゃったんですけれども。

 私がなぜ混合診療の研究をやったかといいますと、だれも研究していないんですね、その問題について。介護保険の話を先ほどしましたけれども、介護保険は、混合介護は在宅ケアだけはオーケーなんです。ですから、先ほど御案内ありましたように、例えば私の義理の母は痴呆ですけれども、認知症ですから、ホームヘルパーに来てもらいますと、要介護二でありますので一定の介護給付金しかもらえない。そうしますと、さらにとなりますと、私は親孝行ですから、私が負担するとなるわけですね。これがいいかどうかという話がございます。

 ただ、一方で、何が今医療保険で起こっているかといいますと、結局、一つでも保険外負担を入れますと全部自費になるんですね。そんなふうに医療現場はやっているかと。ドクターの中には心のある方がいまして、わかった、あなた、これだけは保険外にして、あとはみんな保険給付しますからと。ただ、これは違法なんですね。そんなことが起こっているわけです。逆に言いますと、オール・オア・ナッシングですから、一つでも自費にしますと全部これは保険外だと。そうすると、逆に、今先生おっしゃったような、お金のない人の方が、私は医療が受けられないのかということが起こっています。

 現に、なぜ混合診療に穴があいたかといいますと、これはきょうおいでかもしれませんけれども、患者団体の中に、アメリカのFDAを通っていて日本ではなかなか承認されない、例えば百四十四のうちの六十項目ぐらいの薬はない。それをお医者さんが自己責任で輸入して処方している。全部自費ですよ。これはいかがなものかということで、私はネクストベストということで考えたわけであります。

 本来ならば、全部保険適用すればいい、私もそう思います。現に、今回の高度先進医療でも、百九項目の中で八項目は保険適用になりました。特に臓器移植ですね。私が例えば臓器移植の患者あるいはその家族だったら、ぜひ保険に入れてほしいと。

 ただ、問題は、これが医療費に一体幾ら影響を及ぼすか、そこまで考えて議論されたんですかというところが私は一番抜けているのではないかと思って、ネクストベストでございますけれども一つの方向ではないかということで、ちょっと先走りましたが、そう書きました。

 以上であります。

高橋委員 同じく、内田先生に混合診療の問題についてぜひ伺いたいと思います。

内田参考人 混合診療の問題は非常に大きな問題であります。私は、基本的にはこれは反対であります。要するに、医療の内容に格差を生じる、お金の多寡によって受ける医療の内容が差別されるということでございます。

 それに対する対応として、厚労省の方でもいろいろ考えてございまして、先ほどの新薬の承認に関しましても保険診療との併用を一部認めるというような方針も出しておりますし、先進医療につきましても同じような取り扱いが、従前の特定療養費という形から選定療養それから評価療養ですか、今後保険診療に取り込んでいくのを前提とした、評価が確定するまでの移行期間として評価療養というのを取り上げていますから、そういう点での取り組みは徐々に進んできているのではないかと思いますけれども、あくまでも、やはり自費診療と保険診療の混在というのは認めるべきではないという考えでございます。

高橋委員 ありがとうございました。

 お金のない人が医療を受けられないと先ほど川渕先生おっしゃいましたけれども、やはり内田先生も、基本的に格差が生じるのではないかと、そういう指摘をしっかり踏まえて十分な検討が必要なのではないかと思っております。

 最後に一言、鈴木先生に、もう既に医療の現場でかなりの格差が現実に起きているわけですよね。これ以上の負担増が患者に何をもたらすのかということで一言伺いたいと思います。

鈴木参考人 このたび介護報酬問題で食費、居住費が自己負担になりまして、全国保険医団体連合会が全国の老健施設その他特養などに行って調べますと、約五百人ぐらいが食費、施設費の負担増によって退所せざるを得なかったというような実態が出てきております。各医療現場におきましては、先ほどもちらっと触れましたけれども、やはり国民健康保険が払えない方がふえてきているということで、資格証明書とかそういうものを持っておられる方がちらちらと出てきております。また、そういう方を私どもが意識的に追求しないとわからないということもあります。

 そういう現実と、それから、私どもは差額ベッドはとっておりませんけれども、医療機関の中で、タクシー労働者の方なんかが私の患者は非常に多いんですが、いろいろな検査とかそういうものを勧めたときに、医療費のことから、時期をずらしてくれとかそういうことを言う方が前よりも多くなってきているように感じております。これは社会構造の格差が広がっているということのあらわれかと思いますけれども、そういう意味で、所得の格差が命の格差にならないように、健康格差にならないように、最近「健康格差社会」という本が出ましたけれども、そういうような実態が明らかになってきております。

 そういう意味では、今度の、医療制度「改革」ということでありますので、いい方向に向かう議論になってもらいたいと思うんですけれども、現時点では、先ほど私が申したみたいに、格差が広がる方向に行くような危険性を感じております。

 そういう意味で、先ほどの民主党の議員さんも言ったみたいに、ぜひ十分な審議、そしてまた問題が十分議論され尽くしていないような、時間的な余裕もありませんし、この間の厚労省の療養病床その他のことの突然の変更も含めまして、十分各医療団体それから患者の声を聞いた医療改革をやってほしいというふうに心から念ずる次第でございます。

 以上でございます。

高橋委員 ありがとうございました。

 時間の関係ですべての参考人の皆さんにお伺いすることができなくて、申しわけありませんでした。本当にありがとうございました。

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、各参考人の皆様に貴重な御意見を拝聴いたしました。また、お昼どきを挟んでの長時間の、皆さんからの貴重な御意見を拝聴する時間をちょうだいいたしまして、大変にありがたいと思います。

 私は、きょう冒頭、川渕参考人からお伺いをしたいと思いますが、実は、川渕参考人のお仕事は、日医総研におられるころ、あるいはせんだって送っていただいた御本も拝読し、ただ、読むと聞くとは大違いというか、やはりきょうまた拝聴して、ああ、さすがになるほどだと思ったことがございますので、まずその点からお願い申し上げます。

 と申しますのは、川渕参考人のこのいただきましたレジュメの中で「三つの素朴な疑問」、あえて素朴という言葉を使われたんだと思うのですが、三ページに参りますと「本当に医療費はコントロールできるのか」と。私は、これを、どんな立場に立つ人も本当にエビデンスベースドで論議すべきときなんだと思います。

 実は、土光臨調で、御指摘のように、国民医療費の伸びを例えば経済の伸びに連動させよう、今もまた同じことを財政諮問会議がおっしゃっているわけですが、結果的に、今度の改正でやっていることは、国民医療費の伸びではなくて、医療給付費、いわゆる公的負担を抑えようというだけであって、それが果たして本当に国民医療費の伸びを抑えられるのかどうかということは、何の論拠も示されていないんだと私は思うんです。

 先ほど来、やはり国会の場にいると、お金、財政運営のことが大事だから、このままじゃ、広がったばかりのふろしきでどうにもならないんだという論議もありますが、そういう立場に立たれる方も、私は、本当にこの方策が将来国民医療費を抑えるんだという論拠がどこにあるのか。もう一点、私は、きょう内田参考人にお話しいただきましたが、医療は、単なる消費ではなくてニーズ、人間が生きていく上の絶対不可欠なものですから、それに対してまたもう一方の配慮が必要であろうという二本の軸があろうかと思います。

 川渕参考人には、もう一度、果たして医療費抑制策は成功してきたのか、いくのか、もしかしてこの方策は間違った方向に、医療給付費、国民医療費ではありませんね、給付費を抑えていく方向が逆に、思うところと違う方向に行くのではないかという点について、御意見をお願いいたします。

川渕参考人 非常に難しい質問をありがとうございます。

 私、医療の研究をやっておりまして、今、医療界に入ってもう二十二年になるんですけれども、いろいろなところを転々と回っておりまして、ついに今学者になったんですが、非常に医療費について思うのは、今議員の方から御指摘がありましたように、本当に、医療というのは、やはり技術革新が一番ポイントだなと。

 実は、先日、ハーバードのパブリックヘルスの教授でデビッド・カトラーというのがいるんですけれども、その人がおもしろい推計をやっておりまして、高齢化による伸び率だけを見れば、アメリカより日本の方が大きいと。日本は、彼の推計によりますと、四・四ポイントぐらい今後伸びていく、それからアメリカは三・七ポイントというような論文を間もなくNBERというところからパブリッシュしますけれども、技術革新を含めると、アメリカは九ポイントぐらい、日本は六・七ポイントとなっております。やはりアメリカの方が医療費が伸びるというのをどう考えるかですね。ただ、アメリカ人は医療を一つの産業と見ておりますので、市場規模という見方をしますと、技術革新をきちんと見てくれるからいいじゃないかと。

 きょう余り産業界の方のお話はなかったんですが、例えば日本の製薬メーカー、世界に余り通用しない薬をつくってきましたけれども、ここへ来て、数社は海外で治験をやっております。そういう点で、私は、やはり、成熟社会になってきますと、医療というのはある意味では産業とする見方も必要じゃないかと。結果的にもう産業になっている部分もありますよね、雇用を生み出し、MRさんとかそういう人たちも含めますと、三百二十万人ぐらい今医療に携わっているわけですから。そこをどう考えるかということはあります。

 したがって、私の答えから言いますと、医療費はコントロールできないのではないかと思っています。

 ただ、もう一つの御質問でありますけれども、議員のあれにありましたが、では、これまで厚労省がやった政策、これは、一九八一年、土光臨調の後を受けて何をやったかといいますと、専ら使っているツールは、診療報酬のツールなんです。つまり、医療費は、診療報酬、プライスをもってして神の見えざる手を数人の技官でつくっているわけですから、これはもう神様もびっくりであります。問題は、これがきいているかどうかですね。これは、OECDの連中と会いますと、日本というのはすごいよね、こんな統制管理がよくできるねと言うんですね。だって、三十一兆円の医療費の値段表を上が決めるわけですから、カミというのはお上ですよ、これはすごい。

 私が申し上げたいのは、ここ最近であります。ここ最近は、例えば、九七年以降、我が国はデフレ不況に入りました。言うまでもなく、国民所得はむしろマイナスであります。そして消費支出も減っている中で、我が国の医療費は粛々と上がっている、ここを今危機的だとおっしゃるわけですね。ただ、何が危機かというと、必ず厚労省が、社会保険庁あるいは政管健保のところ、もっと言うと保険局総務課、ここのバジェットが厳しくなると抜本改革になるわけです。短期保険なわけですね。したがって、中長期的なビューなんかないわけです。年金は、若干でありますけれどもまだ積み立てがある。ですから、この短期保険をどうするかという問題が私はやはりあると思うんですね。

 したがって、ちょっと長くなりましたけれども、最近の医療費適正化については、もうPだけでは無理じゃないか。というのは、先ほどの内閣府のスタディーでもありましたように、皆さん、やはり民間病院が多いですから、やはり調整してくるわけです、数量で。これがいいかどうかですね。私は、やはりPとQの両方を考え、やはり質、ここが一番抜けているんじゃないかと思います。

 以上であります。

阿部(知)委員 私も常に思いますことは、医療費の論議をするときに、すごく後ろ向きなんですね、縮み思考。技術革新だって、これからは、現在日本が置かれている地位とかいろいろな技術力をもってすれば新しい分野もまだまだ開けようと思いますし、ある種医療産業的な視座というのも必要になっている時代にもかかわらず、とにかく医療費を、それも誤った手法で抑えようとするから、非常に患者さんたちにも負担が強いばかりか、もう一つ、医療提供体制を担っている医療従事者が疲弊し果てていくと思うんです。

 私は、引き続いて内田参考人と鈴木参考人に同じ質問をさせていただきたいのです。

 私自身も、病院の勤務医もやり、また開業を現在もしておりますが、何が国民に一番見えていないかというと、医療という、あえて言えば労働集約型産業、すなわちたくさんの人手で支えているこの仕事がどのくらいの人件費で成り立っているのかということを医療者ももっともっと国民に見せて、それこそ財務諸表を見せて、これだけの医療を提供するにはこれだけの人件費がかかっているんだ、安かろう悪かろう、死んじゃったでいいのかと、私は、はっきり言えば、そこまで国民に明示しなければ、この不毛な論争は、結局、私たち医療者も泣く、国民も泣く、命はなくなるとなっていくと思うのです。

 そこで、内田参考人は医師会というお立場、そして鈴木参考人は民主医療機関連合会という、病院団体も多いかと思います、そこの中で、医療という、あえて産業と言わせていただきます、この仕事にかかわる人件費の問題はどんなふうに分析されているのか、よろしくお願いします。

内田参考人 お答えします。

 さすがに医療の現場から出ていらっしゃる阿部先生の御質問だと思いますけれども、国民医療費を抑制できるかという議論が先ほどありましたけれども、診療報酬がツールになっているという話がございました。

 この間の国民総医療費の伸びを見ますと、非常に低いレベルで抑えられていまして、厚労省の推計をはるかに下回っております。このような事実を見ますと、どこでそれを支えているかといいますと、やはりこれは、現場の医師たちあるいは医療関係者たちの献身的な努力、職業倫理といったようなものに支えられてきたと思っております。現状ではこれがもうそろそろ限界に来ているのではないか、そのために、病院から開業へとか、地域格差を含めてそういうシフトが起きてきているというふうに思っております。

 ただ、現状はこれを受け入れるしかないわけで、その中で、いかに医療の水準を後退させず、良質な医療を平等に提供していけるかということを考えますと、やはり、機能分担、機能分化、それから有機的な連携というものにしっかり取り組んでいくしかない。病診、診診、病病連携、あるいは介護との連携といったようなところ、それから予防や健診についての取り組みを進めるといったようなところでの対応ということを現実の枠組みの中で考えて取り組んでいくしかないのかなというふうに思っております。

鈴木参考人 どうもありがとうございます。

 私ども、今度のこの医療制度改革をめぐる国民と医療者との関係ですね、この間、郵政、それから最近は役人、そして今、医療者を国民と乖離させるような報道あるいは流れがあるのではないかなということがあります。それは、ある意味では意識的にやられている感じもしますし、一方で、医療者側の透明度といいますか、そういうことが疑われることがあった。日歯連事件なんかがその典型だと思います。

 そういうことも含めまして、日常的に、最近はインフォームド・コンセントとか、いろいろな意味で随分医療者が頑張ってはいると思います。医療の医師の労働というものが、私も外科医ですので、例えばいろいろな手術の前の説明、どういう医療機関がいいかと選ぶこと、家族にあれすること、それからまたお亡くなりになられる場合のいろいろな説明、書類とそれから説明に非常に時間がかかるということがかつてよりもずっと多くなっております。それはある意味で進歩だとは思いますけれども、今までが説明なしのことも多かったという反省もありますが、そういう時間が非常にとられている。それは夜の夜中も含めて行われています。そういう医療そのものを超えた労働、先ほどのいろいろ事務的なことが非常にふえてきておるということが一つあります。

 それから、看護労働が、今、電子カルテが入ってきたり、あるいは在院日数短縮、そういうことで看護師さんが非常に過密な労働になっているということが非常に看護界でも問題になっております。これは今、看護師さんもいろいろと、看護協会なども国民に向けていろいろな発言を、メッセージを出しておりますし、私どもなども、看護師さんたちが頑張ってメッセージを出しておりますけれども、このような姿を、我々ももっと努力してあれしなくちゃいけないと思います。

 それから、ぜひマスコミの関係者の方々も、医療の現実の姿、随分いろいろな連載は出てはおりますけれども、例えば先ほど問題になった福島の大野病院みたいな事件、非常に痛ましい事件で、外科学会総会で、私も出ていましたところ、あの事件のリアルな報告がされました。本当に出血がどんどん多量で幾ら輸血を申し込んでも来ない、一時間来ない、一時間半来ない、そのうちに亡くなったというその報告は、本当に痛ましい報告でした。この産婦人科医の気持ちたるやいかなるものかという報告がありました。

 そういう形で頑張っている医師たちに、本当にいきなり警察権力で入ってくるというようなやり方というのは、うがって考えますと、医師とほかの国民と差をつけるような、分断するような動きではないかなと思いまして、ああいう事件に関しても、きちっと第三者機関で評価するような、そういうシステムをつくらなくちゃいけないなというふうに思っています。

 私は、一番今重要なのは、医療者と国民の皆様方、患者様との相互理解、最近も自動車会館でシンポジウムがありましたけれども、こういう取り組みをどんどんやっていくことが必要なのではないかというふうに思います。

 以上でございます。

阿部(知)委員 金銭面だけでこの医療改革、あるいは私から言わせれば改悪になってしまうようなことをする以上に、本来的に今行わなければならない医療制度の改革は、恐らく、渡辺参考人がおっしゃいました地方分権ということの大きなてこに医療というのはなるし、また、していくために本当にどうすればいいかということなんだと私は思うのです。この間のやり方ですと、一切地方に税源の移譲もなく、今、ほとんどの地方の例えば都道府県立の病院は大きな赤字を抱えたまま、もちろん市町村立病院もそうでございます、このまま例えば医療計画等々のその業務だけ投げられても、本当のビジョンを描けない。

 そこで、渡辺参考人がスウェーデンの例を引かれて、確かに北欧諸国、ほとんどの分権は医療という単位において区分けされ、現実に支出もされていると思います。

 三位一体改革ということと絡めて、本来的に今回なされるべき地方分権と医療ということを考えました場合に、先ほど参考人は税の負担を増しましょうという御意見でありました。私も、どこから取る税かという問題はまたございますが、それもあり得ると思います。でも、今のこの姿では、地方は本当に担っていけるだろうか、財源はどうするんだとすごく不安になるのですが、この点はいかがでありましょうか。

渡辺参考人 お答えします。

 おっしゃるとおりで、私は、基本的に医療行政を都道府県に持っていくことは賛成だと先ほど申し上げましたし、それは地方分権の大きな一つの引き金といいましょうか、きっかけになると。ただ、これもまた先ほど申し上げたように、では今の県の問題、このままでいいのかという問題は当然残ります。そうすると、先ほどは例えば鳥取、島根という固有名詞を出して申しわけなかったですが、人口の規模の少なさ、あるいは財政力の少なさといった問題があります。

 また、今委員が御指摘なさったような自治体病院、つまり、県立、市町村立千百ある病院のうち、一般会計繰り入れを除けば九六%が赤字という状態で大変厳しい。一方で政策医療もやらなきゃいけない。そういった数々の問題を抱えている中で、いきなり都道府県にすべての責任、あるいは市町村にすべての責任ということではなかなかうまくいかないのは当然であります。ですから、財政的にどう裏づけするのか、あるいはもっと言えば人的な問題ですね、そういったものをもらってするのか。

 さらに、さっきの御質問は私には直接関係なかったのでありますが、私自身も、医師及び医療従事者の収入といいましょうか、極めて少ないなと思っている一人でございます。先ほどあったように、医療費三十一兆円、医療従事者は先ほど川渕さんからあったように三百万人。そうしますと、単純計算しますと一人当たり約一千万円ですね。これは全部売り上げの話でありますから、一千万円入ってくるわけがない。そういった意味からいいますと、人件費も相当低いなという気もいたしますので、今時間の関係で詳しくはあれですが、そういったことも勘案しなければ、単純に県に移せばそれですべて成るというものではないと思っております。

阿部(知)委員 残された時間が些少です。申しわけありませんが、星野参考人にお願いいたします。

 社会保障審議会の医療保険部会の中で、現状、国保が五千万人になんなんとしている、恐らく、星野参考人の御経験の中で、国民皆保険制度の成り立ちから今日に至るまでの中で、かほどに国民健康保険が人数的にも多くなろうということは予測を上回るものであると思うのです。

 それで、この国民保険五千万人現状というのはどのように分析され、どう方向づけられていくべきかということを一言教えてください。

星野参考人 全く御指摘のとおり、大変な問題だと思います。

 私どもが若いころの人口推計から始まって、そもそも論から言うのは時間の無駄ですけれども、ともかく、だれがこういう状況を三十年前に想像したか。ないんじゃないんでしょうかね。

 しかも、皆さんが悪いことをしたからこうなったんじゃなくて、長寿社会になったからこうなったんですね。だから、そういう意味では、本当はことほぐべきことにもかかわらず、実際の生活になると、みんな六十歳定年でおやめになるとかリタイアして、その後もう一回人生があります、こういう話になるわけですね。ところが、病気の発症率が確率論的に言えば大変高い世代になってしまうわけですから、当然医療費がかかってくるのはやむを得ないんですね、事実上の問題として。

 そこで、今度の医療制度改革も、一言で言えば、そういう問題についての七転八倒をしているところなんじゃないか。こうやって先生方が皆さん大変御熱心にこれを議論していただくというのは非常に国民としてありがたいことでありますし、また、いい知恵があれば知恵を出していただきたいと思いますが。

 私も、部会長をやっていて、関係者、ずらっと皆さんおいでいただいたわけです。保険者だとかお医者さんだとかあるいは労働組合の方、経団連の方とかにおいでいただいたんですが、それぞれがそれぞれの立場でそれぞれ率直に言っていただくわけで、これは大変ありがたいことです。というのは、どこにそれぞれの立場からすると問題点があるのかというのがはっきりするわけですから、ありがたいんですが、今の状況は、それぞれのお立場からいったら、みんな不満です。何かをすれば必ずこっちが不満になる。

 したがいまして、どちらかというと、先生方は頭がよろしいから、多分、ウイン・ウインの、みんなが喜ぶような御解決案を出されるかもしれませんが、私なんかの頭ですと、今の状況は、いかに不満を最小化するか、あらゆる関係者の不満を最小化していくかということが非常に重要なんじゃないか。その間にもうちょっと頭のいいのが出てくれば、もっとうまい案を考えるのかもしれませんけれども、どうも、今の状況を言うと、先生御指摘のように、余り現実をなめちゃいけないんじゃないかと。

 やはり、何かいい知恵があって、あっという間に、ある党がやれば立派になり、ある党がやるとだめになるとか、その程度の話ではない。むしろ、ダイナミックに事態が変わっていくわけでしょうから、もし今度の医療制度改革がうまくいかない、例えば、先ほど格差の話が出ましたが、格差でも出てきたら、むしろ野党の方々にとってはダイナミズムが働くわけですから、今度は政権をおとりになって、ぜひ国民のためにやっていただく、そういうダイナミズムをお互いに許容すること、それが今一番大事なんじゃないんでしょうか。

 それで、精いっぱい今やったのは、政府案だって精いっぱいやっているわけですから、ひとつその上で大いに討論していただくということが非常に重要だと思います。

 どうも勝手なことを言って申しわけございません。

阿部(知)委員 逢見参考人には、出産の医療保険適用をさらにお進めくださいますようによろしくお願い申し上げて、質疑を終わります。

岸田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 参考人の皆様におかれましては、大変貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございます。私も数点質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今般の医療制度改革につきましては、国民の医療に対する安心ですとか信頼を確保して、質の高い医療サービスが適切に提供され、また、医療保険制度の持続性の確保に向けた効率的な医療制度の構築というものが求められているというふうに思います。このため、医師不足問題への対応ですとか地域医療の連携体制の構築、患者に対する情報提供ですとか遠隔医療の推進等を図る、あわせて、予防を重視した医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編や統合等を行おうとする政府案が今提案されているわけでございます。

 このような大きな方向性については理解できるわけでございます。ただ、個別の改正事項については関係者の意見も分かれておりまして、その提供体制が地域の状況によって大変異なるということもありまして、難しい問題があるなというふうに考えておるわけでございます。

 そこで、まず、内田参考人と星野参考人にお尋ねいたしますが、診療報酬体系は中医協が決定されるというふうに認識しております。ただ、小児科や産科、外科などの勤務医の過酷な勤務ですとか、それから労働基準法の違反ですとか、そして小児科や産科の医師不足の原因の一つに、医療費や医療給付費の抑制があると指摘されております。病院としては、診療報酬抑制の中で、不採算部門、特に小児診療なんかの人件費を削って、少ない人数で多数の患者を診る羽目になる、こういう指摘がございます。今回のこの医療保険制度改正や診療報酬改定で偏在対策が進むとお考えでしょうか。お聞かせいただけますでしょうか。

星野参考人 お答え申し上げます。

 私、昨年の春だったか夏ぐらいまで中医協の会長をやっておりました。いろいろなことがありましたが、中医協というのは、先ほどどなたか参考人の方がおっしゃいましたが、ある意味で社会主義なんですね。

 要するに、価格を中医協という場で、お互いに自分の値段を、値段を実際に出すわけじゃないんですけれども、お互いに交渉しながら、Pを決めると先ほどどなたか言っていましたが、まさに価格を決める場なんです。だから、場は非常にきれいな場なんです、皆さんがちゃんと見ているわけですからね。だけれども、そのPを決めるんだけれども、Qは決まっていないんです、数量は。だから、価格を決めるのが中医協でありまして、数量は別のところで決めていただく、総額は予算も含めて政府全体が決める、こういう仕掛けになっているわけですね。釈迦に説法で恐縮です。前段階としてはそういうことを御説明する必要があると思います。

 それで、中医協のレベルでいうと、個々についてどうするかというのは、今小児医療の話が出ましたが、まさに診療報酬点数をどうあんばいするか、こういう話になってしまうわけですね。したがって、まさにお互いに、ああ、そうですか、小児科の先生方は昼夜兼行で大変御苦労なさっているんですから、そういう診療報酬点数についてはこう変え、いろいろな意味でお手伝いしなきゃいけないだろうというようなことを御議論いただいて、割合とこれは、一号側、二号側というんですが、保険者側とそれから医療提供者側も大体はすぐ合意がいく場所、問題だと思います。そのくらいお互いがそう敵対的じゃなくて、供給側とそれから支払い側と両方の話し合いというのは、私が見ている限りは、割合その場ではちゃんとやられているんじゃないかなと思います。

 したがって、社会主義と申し上げましたのは、要するにみんな統制価格ですからね、そういう意味では。告示されたものを皆さんお守りいただくという限りでは、普通の市場経済で、アダム・スミスもさっき話が出ましたが、神の手で決めるわけじゃなくて、まさにその場に御登場の関係者がお互いにいいというところでおさまるわけです。したがって、そこに今任せるしかないんじゃないかと思います。それはそこに出ている方々の良識であります。

 もう一つだけ蛇足を加えさせていただきますと、今、いかにも情報が足りません。というのは、今度中医協の改革をいたしましたが、中立委員というのをふやすことを今度、今多分、法律もおかけいただいているんじゃないかなと思っておりますが、中立委員の役割というのは、多分私は検証だと思うんですね。医療費を決めたら、後、どうやって、それがちゃんとうまく効果をあらわしたかと。先ほどから効果、効果という話がありますが。

 今、レセプトというデータがあるんですが、要するに保険者支払いですね。だから、このレセプトというのは、そもそもはちゃんと支払いが行われるかどうかというのをチェックする紙ですね。ところが、今、もう一段伸ばそうというのは電子化です。レセプトの電子化をすることによって分析可能になるんですね。だから、情報を密にしろとかいろいろな議論があるんですが、何はともあれ、一つ一つの診療についてが電子化されれば、これはコンピューターの中で計算もできれば集計もできる、いろいろできますから、これだけは早くやっていただきたい、私は心から思います。

 その上で、初めて、情報が十分かどうか、あるいは、適正に診療報酬改定の結果がお客さんに、お客さんというのは患者ですけれども、患者に本当に迎え入れられるような医療行為として、医療結果が、パフォーマンスがちゃんとできたかどうかということがわかるようになるんだろうと思うんです。

 今のところは、そういうのは非常に断片的なデータしかない、とれないんですね、残念ながら。それで、局所局所で、非常にお困りになった小児科担当のお医者さんのような方の悲鳴が聞こえてくると、改定しますよと。これは遅いですね、実際には。非常に残念だと思います。

 以上でございます。

内田参考人 申しわけありませんが、一点だけ、私の答弁で訂正をさせていただきます。

 冒頭の御法川委員の御質問で、医療費の将来推計の中での二〇〇二年の伸び率を省くと言ったのは、介護保険と申しましたけれども、これは診療報酬の二・七%の影響を受けているためでございます。済みません、訂正させていただきます。

 御質問の診療報酬改定、三・一六%のダウンがあって、その中で小児科、産科の医師不足とか医師の偏在というのが解消の方に向かうかという話でございますが、御承知のように、医療というのは労働集約型の産業でございまして、人件費の占める割合が大変高うございます。その中で三・一六%の削減というのは、必要経費を除いた中での三・一六%ではなくて、全診療報酬の中の三・一六%の削減ですから、非常に大きい影響があって、これはもう人件費を削る以外に対応のしようがないというところがございます。

 決して、医師不足、医師偏在の対策には、多少は配慮していただいたというところはあるかもしれませんけれども、なっていないという印象を持っております。これは、今後、どういう結果になったかというところを今集めておるところですので、またその結果が出たら御報告できると思います。

糸川委員 それでは、内田参考人にお聞きしますが、今、診療科や地域の偏在によって医師不足と言われるこの現状に対して、緊急の対策としてさまざまな関係者がそれぞれの立場で取り組みを進めておられるわけです。ただ、その改善の兆しというものがまだ見られていない。

 医師会から見た医師不足問題への対応について、必要と思われる政府の取り組みの内容及び医療側が協力できると思われる事項について御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

内田参考人 診療科、地域における医師の偏在というのは非常に深刻な問題でございます。

 医師会としてできる対策ということでございますが、一つは、先ほども申し上げましたけれども、これからはドクターバンクという方向をやはり考えていかなくてはいけない。休眠している医師を活用していくといいますか、登録していただく。特に、女性もさることながら、勤務医で退職された方やなんかは、まだまだ非常に若い方で実際に勤務にも従事していたということで、直ちに戦力になるわけですから、こういう方をドクターバンクでぜひ登録していただいて活用していくことができればというふうに思っております。

 それからもう一つは、各地域の事情もあるかと思いますけれども、やはり機能分化といいますか、例えば小児救急の準夜帯に関しては開業医が輪番制で受けるとか、そういう取り組みを進めることによって、現場での対応というのはかなりうまくいくのではないかなと考えております。地域による格差が非常に大きいので、熱心な先生がいるところではそういう取り組みも進んでいるというふうに聞いておりますので、これをまた全国的に広げていくということは医師会の役割ではないかなと思っております。

糸川委員 大変貴重な御意見、ありがとうございます。

 では、渡辺参考人、逢見参考人、川渕参考人にお尋ねいたしますが、この医療保険制度の持続性の確保に向けて医療費の伸びを抑制していくということは、これは必要である。政府の医療費適正化策について、実効性が不十分、こういう指摘がございます。一方で、医療費に着目した総額管理制度の導入には問題も多いわけでございますが、ただ、政府が提案する医療費適正化計画の策定など、適正化策についてどのような御見解をお持ちか、お聞かせいただけますでしょうか。

渡辺参考人 私は、先ほど申し上げたとおり、伸び率管理は反対でございます。ただ、医療費を適正化する、あるいは伸び率をある程度抑えていくことはしなきゃいけない。

 ただ、冒頭申し上げたとおり、私は、公的給付で国民所得の一〇%程度はあっていいのではないかという意見も申し上げました。

 そういった中で、今回の医療費適正化は、先ほど私は、生活習慣病対策あるいは平均在院日数の短縮化といった方法はやむを得ないという言い方をいたしました。これをやる以上は、実効性のある、先ほど言った都道府県単位で市町村と協力しながら進めていく、もちろん、医療、福祉関係者及び保険者とも協力しながら進めていく、これでもって実効性をある程度担保していくしかないのではないか、そのように思っています。

 以上です。

逢見参考人 医療費適正化対策について、これは単なる消費ではありませんので、国民にとっては安全、安心な医療が提供されなきゃいけない。そういう意味では、国民の必要な医療費を抑制するようなことになってはいけないと思います。しかし、全体として医療費の拡大、膨張を防がなきゃいけない。

 そこで、今できることは、一つは生活習慣病対策であり、これは今回の法案の中にも入っているわけですが、それを実行することによって、個人の努力と、そしてその地域の取り組み、そういったものが相まって生活習慣病対策をやることが医療費の抑制につながっていく。

 もう一つは、長期入院の抑制だろうと思います。社会的入院というのが三十年来の課題になっている。この問題について、今回の療養病床の削減の点で、やはりこの問題について決着をつけるべきだというふうに思います。そうしたことによって、医療費の適正化という道筋ができる。

 そしてもう一つは、患者が、自分たちが支払う医療費の中身をきちんと知る。そのことによって、私たちの払った医療費がどのような形で使われているのかと。必要な負担はする、しかし、不透明な医療費はやはり是正していくべきだ。そういう意味で、領収書の発行とレセプトのオンライン化ということはぜひとも進める必要があると思います。

 以上です。

川渕参考人 適正化というんでありますので、抑制ではないと思うんですね。

 私、マクロ経済学の分野は専門じゃありませんのでわかりませんが、結局、例えば国民医療費というのは二年おくれで出てくるんです。ですから私、技術的に無理だろうと思うんです。というのは、例えば、今一番直近の国民医療費統計というのは二〇〇三年ですね。そうすると、後追いで、ああ、そうだったのか、あれはこれだけ上がったのかとわかるわけですね。ですから、よく何か恐ろしいことをおっしゃいますけれども、グローバルバジェッティングとかいろいろ出てくるんですが、なかなかこれは技術的に難しいんじゃないかなと。

 実際、私も厚労省の研究所にも九年おりまして、何かきょう、緊張感がみなぎっているんですが、ドイツとかフランスへ行っても、大体わかってきたことは、例えば医療費の総額管理やりますと。そうすると、それは医者もわからないんです、ことしの医療費は一体今どうなっているのか、少し薬を出し惜しみした方がいいのかなとか。それが私は非常にお医者さんのモラルというものの失墜になるんじゃないかと。やはりドクターというのは、お金もうけのためになったわけじゃないですね。ビジネススクールに行けばよかったものを、やはり心が温かいから医者になっているわけですから。私は、マクロ的に難しいんじゃないかと。

 先ほどのにまた戻るんですけれども、十五ページを見ていただきたいんですが、同じ死亡率でも医療費が百万円ぐらい違うんです。これが問題なんです。世界はもうやがてここに気づきまして、やはりミクロだなと。個々の患者さんごとに積み上げていって、AとかFは大学病院でありますけれども、同じ大学病院でもこれだけ違うわけですね。この実態を見ますと、薬の使われ方とかペースメーカーの金額が違う。これを私はやはり節約していく必要はあると思います。ここの部分が今一番抜けている部分じゃないかと思います。

 以上であります。

糸川委員 ありがとうございました。

 もうほとんど時間がございませんので、最後に内田参考人にお聞きしたいんですけれども、内田参考人の冒頭の御意見、いろいろ聞いていますと、政府案に批判的な部分もあるのかなというふうに感じたわけでございます。そこで、この法案が成立した方が医療がよくなる、このようにお考えなのかなと。その点を一点。

 それから、今回の改正案のよい点と悪い点を、御見解をお聞かせいただければなと思います。

内田参考人 この点に関しましては重々言い含められておりまして、私の口からは口が裂けても言うなということでございますが、私の認識としては、これからの医療を考える上で、やはり法案の成立はやむを得ないんじゃないかというような認識ではおります。ただ、その中で、運用面で最大の配慮をしていただいて、現場の医療を混乱させない、患者さんが医療が受けられないあるいは医療が後退するようなことが絶対にないようにしていただきたいということを心からお願いしたいということでございます。

 改正案につきましては、もういろいろと申し上げておりますので、その内容につきましては、いいところ、悪いところということで、主にきょうは悪いところについていろいろとお願いをしたわけでございますけれども、やはり、これに乗っかってというか、こういう枠組みの中で対応していくことは必要になってきますので、現場で医療を預かる立場としましては、その辺の運用について十分御配慮をいただきたいということをお願いして、答弁にかえます。

糸川委員 内田参考人、ありがとうございました。大変難しい質問をしてしまいまして申しわけございません。

 ただ、やはり医療というものは、これは人の命にかかわるものでございますので、今後もしっかりと御意見を参考にさせていただいて取り組みたいというふうに思います。

 きょうはありがとうございました。終わります。

岸田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、心から厚く御礼申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時一分散会


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