衆議院

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第21号 平成18年5月12日(金曜日)

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平成十八年五月十二日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 園田 康博君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      阿部 俊子君    新井 悦二君

      井上 信治君    石崎  岳君

      上野賢一郎君    越智 隆雄君

      加藤 勝信君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      菅原 一秀君    杉村 太蔵君

      鈴木 馨祐君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西川 京子君    林   潤君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      広津 素子君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本  純君

      松本 洋平君    御法川信英君

      山本ともひろ君    岡本 充功君

      郡  和子君    仙谷 由人君

      田嶋  要君    田名部匡代君

      高井 美穂君    古川 元久君

      三井 辨雄君    村井 宗明君

      柚木 道義君    上田  勇君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           磯田 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            福井 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  磯部 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     鈴木 馨祐君

  清水鴻一郎君     阿部 俊子君

  冨岡  勉君     松本 洋平君

  菊田真紀子君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     広津 素子君

  鈴木 馨祐君     越智 隆雄君

  松本 洋平君     冨岡  勉君

  田嶋  要君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     上野賢一郎君

  広津 素子君     山本ともひろ君

  高井 美穂君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    清水鴻一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案、小宮山洋子君外四名提出、小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案及び園田康博君外三名提出、医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官磯田文雄君、厚生労働省大臣官房総括審議官金子順一君、医政局長松谷有希雄君、健康局長中島正治君、医薬食品局長福井和夫君、老健局長磯部文雄君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 まず、この医療に関する議論に入る前に、先般、今週の火曜日でありますけれども、文部科学省と厚生労働省の間で、放課後対策事業の連携ということで、放課後子どもプランの創設に向けて、特に十九年度予算に向けて具体的な方向性を出していただいたわけであります。

 実は、この委員の中にもメンバーがいらっしゃいますけれども、私ども、当時、自民党の一年生議員中心に、少子化対策研究会というのをやらせていただきまして、報告書も出させていただいたのであります。その中で、特に放課後児童クラブ、これを各小学校区には一個ずつ徹底してやってほしい、と同時に、ある意味では似ている部分を持っている文科省における地域子ども推進事業等、やや中身が同じようなものをぜひとも連携してやってほしい。そして、そうした放課後児童クラブにおいて、学校側、特に教師の皆さんとなかなか連携がとれていないんじゃないか、こういう議論もさせていただいて、ぜひ連携をしながら、学校側、特に学校の先生の関与というものもさらに一層深めた展開をしてほしいと、前の大臣初め皆さんに申し上げ、また、十九年度の予算に向けてそういうことをしていこう、また、そのやさきにそうした方向性を出していただいた。

 しかも、こうした中身を見ると、厚生労働大臣の相当なリーダーシップがあったのではないかな、そういう思いがするわけでありますけれども、そうした対応に対して改めて感謝申し上げますとともに、何か大臣から一言、御所感があればお示しをいただければと思います。

川崎国務大臣 御指摘いただいた件は、十七年の十月十二日、加藤委員が当時の尾辻大臣に御質問いただいております。まさに、書いていただいたとおりさせていただいた結果になりました。

 厚生労働委員会、衆参とも、放課後児童クラブについて御質問の中で高い評価をいただきました。しかし、一方で、全校区となりますと二万三千、私どもの目標が二十一年度で一万七千五百、そうなりますと、あと三年かかっても全部にはいかない。これが一つの問題点。

 それから、内容につきまして、例えば学校の中でやらせていただいているのが四八%でしたでしょうか、やはり外を使っている。その外の環境が必ずしも良好な環境でないものもある。それからもう一つは、人数がふえてきて適正人員を超えてしまっている、分割しなきゃならない地域が出てきている。

 そういった問題に対応していくためには、もう文科省と厚生労働省という壁を乗り越えなきゃならぬな、こういう思いで国会の審議を聞かせていただいた。そして三月ごろでしょうか、猪口大臣と小坂大臣と、今、加藤委員が言われたように、少子化問題をお話ししたときに、これ片づけようやということで決めさせていただきました。

 一つは、やはり全校区にできるだけ早く、文科省には、実は十九年度中に全校区でやってくれ、学校を使わせてくれたら必ずできるはずだ、こう申し上げました。それからもう一つは、内容の充実。教育委員会というものが表に立っていただいて、我々が側面からバックアップする、こういう体制に変えさせていただく。それによって、内容とスピード、今の政治に一番求められていることだろうと思います。ということで、約一カ月半で、現場の皆さん方に頑張ってもらって合意に至った。

 したがって、今度、十九年度予算は内容の詰めになりますので、また委員等からアドバイスをいただきながら、より内容のいい来年のスタートにさせていただきたい、こう思っております。

加藤(勝)委員 ありがとうございます。どうか、そういう方向へさらに進めていただきますことをお願いしたいと思います。

 それでは、法案に関する審議に入らせていただきたいと思います。

 まず、一つの法案のタイトルに「良質な医療を提供する体制の確立を図る」、こういう文言があるわけでありますけれども、そもそも良質な医療というものはどういうものを指すのであろうか。

 実は、私の義理の親であり、また自分の親も、ここで割と重たい病気にかかったり、いろいろありまして、そういう中で、改めて病院あるいは医療というものを考えさせていただいたわけであります。特に、なかなかふだん考えていないような病気に遭遇するわけでありますから、そういう意味では、情報収集というところから含めて、いろいろな問題点があるなということを改めて感じながら、また、病院においても、診療あるいは医療といったものを、直接、私ども素人はよくわからないわけでありますけれども、トータルとして受ける患者あるいは患者の家族の満足度、いろいろな視点が中に入ってくるのではないかというふうに思います。

 そうした、患者満足度だけではかるわけにも当然いかないわけでありまして、例えば、どれだけアクセスが可能であるかとか、あるいは、効果、有効性、効率性あるいは公平性、いろいろな視点、指標が上げられるのではないか。また、それぞれについて、とても数値化することは、直接数値化することは大変難しい。それならば、間接的なあるいは代理的な指標を使ってそういったものをあらわす、そんな努力も当然必要になってくるのではないかというふうに思うわけでありますし、お話を聞いていると、何か、OECDにおいても、ヘルスケア・クオリティー・インディケーターズ・プロジェクトというものが、日本も含めて、国際的にも進んでいるというような話も聞くところであります。

 いずれにしても、良質な医療とは具体的にどういうものをまず想定していこうとされているのか、その辺についての御意見をお示しいただきたいと思います。

赤松副大臣 今、加藤委員御自身の御体験に基づいて、良質な医療について幾つかの観点をおっしゃいました。一言で言えば、今患者だけではないというお話もありましたけれども、第一義的には、患者の、かゆいところに手が届くというか、痛みを直接取り除くことができる、そういう患者本位の質の高い医療を提供するということが大事であろう、そんなふうに思います。

 今回の法案では、一つは、医療計画制度を見直して、患者が切れ目のない医療サービスを受けることができるよう、脳卒中やがんなどの事項ごとに地域における医療提供の連携体制の構築をすること、また二つは、今もお話ございましたけれども、医療に関する情報提供の推進、三つは、この委員会でもさまざま話題になっておりますけれども、僻地等の特定地域や小児科、産科などの特定の診療科における医師の不足の問題への対応、そして医療安全対策の推進、こういったことに積極的にこの法案で取り組むことについて定めておりまして、質の高い、患者本位の医療提供体制の構築に向けた改革を具体化していきたい、こんなふうに考えているところでございます。

加藤(勝)委員 目に見える形で、肌で感じるような形で一歩一歩前進をぜひ進めていただきたいと思いますけれども、ただ、今申し上げたような一つの切り口、視点といったものをまた同時に検証していただくことも大変大事なことではないかというふうに思っております。

 次に、この委員会でも相当議論されてきております医師の不足あるいは偏在の問題でありますけれども、この委員会のいろいろな議論を聞いておりましても、確かに、供給側の医師の要するに不足という議論がありますが、しかし同時に、やはりこれは経済学的にいえば需要と供給、このバランスから不足感というのが生ずるわけであります。

 そして、医療への需要というもの、これ自体もいろいろな意味でコントロールが可能なのかもしれませんが、さらに、医療に対する需要といっても、そんな中で、どこまでがいわゆる診療所等でこなしていけるのか、そしてどこの部分を病院、特に特定機能病院、高度な病院等で対応していくのか。こういう需要の仕分けといったものの結果として、特にここで指摘されている救急等の病院における医師の不足、あるいは医師の過剰勤務の状態、こういったものにつながっていくのではないかというふうに思うわけであります。

 そういうふうに考えていきますと、特にかかりつけ医と特定機能病院との仕分け、これが大変重要になってくるわけでありまして、こういう仕分けがしっかりと機能しているような地域とまたそうでない地域とでは、やはり不足感というんでしょうか、そういったものも異なってくるのではないかというふうに考えられるわけであります。

 こうした全国の、もちろん、それ以外に地理的な状況とか、ほかにも要因がありますけれども、そうしたいわゆる機能分担といったものをしっかりやっている、あるいはそうでもない、そういった視点で、医師不足、あるいは医師の過剰勤務、あるいは特定機能病院のそうした状況、混雑している、大変だという状況、この辺を分析してみて、その辺の因果関係をどのように考えておられるのか、お示しいただきたいと思います。

松谷政府参考人 委員御指摘のとおり、医療につきましては、需要面というものも大いに考慮していかなければならないというふうに考えております。

 例えば、今課題となってございます小児の救急などを例にとりましても、時間外に救急外来に来院された患者さんのうち、本当にその病院に入院をするということに至る方は数%というようなことも聞いております。

 したがいまして、かからなければならないという気持ちを、需要側のそういう気持ちをどこで受けとめるのかという、機能分担というのは非常に大事なことだと思っております。入院を必要とする患者さんについては、病院において入院医療の提供が行われ、そして外来診療を必要とする患者さんについては、身近な診療所などで診療が行われるということなど、病院と診療所の機能の分担を進めて、相互に連携をして効率的な医療を提供するということが、今課題となっております病院の勤務医の負担軽減を図り、医師の偏在を是正していくという上でも重要な点だと思っております。

 このような連携体制を確保するためには、患者さんの身近な地域で、日常的な医療や健康相談等を行うかかりつけ医の普及、定着を図るとともに、こういったかかりつけ医が患者さんの病状を見きわめて、必要に応じてより専門的な医療機関を紹介する、あるいは、大病院の外来は、こうした紹介患者さんや高度または専門的な医療を必要とする患者さんを中心に医療を提供するといったような、地域ごとに状況は違うと思いますが、地域ごとに医療機能の適切な分化、連携が図られるということが必要でございます。

 そこで、今回の法案では医療計画制度を見直しまして、そういった地域での医療連携体制の構築を推進するとともに、それが適切に行われるためのかかりつけ医の機能や大病院の外来のあり方について、今後とも検討してまいりたいと思っております。

加藤(勝)委員 急性の特定機能病院の目安の一つとして、外来対入院の比率、要するに、外来を分子に入院数を分母にすれば、一・五倍から二倍ぐらいが適当に対して、今、三から四倍以上抱えているというのも、ほかの国の病院から見ると、かなりゆがんだ形の一つになっているのではないかというような思いもするわけであります。

 そして、文部科学省においでいただいているわけでありますけれども、先般も同僚議員から厚生労働省に対して質問があったように思いますが、例えばお医者さん一人つくるのに一体どれだけの公費負担がかかっているのであろうか。例えば国立大学の医学部において、一人のお医者さんを養成するのに一体どれだけの国費や公費がかかっておるのか、資料があればお示しをいただきたいと思います。

磯田政府参考人 お答え申し上げます。

 医師の養成に係る経費というものにはさまざまなものがございまして、かつそれが複雑に絡み合っているということで、なかなか算出が難しいところがございます。

 例えば、大学におきましては、教育と研究が一体的に行われているということで、教育費と研究費の分離、あるいは病院におきます活動経費の中に含まれております教育費の要素、そのほか管理経費等々ございまして、さらには、多くの大学におきましては、医学科と看護学科が一体的に運営されている、あるいは大学院の学生の経費もあるという面がございます。

 例えば、単科の国立医科大学であります国立大学法人旭川医科大学に対する十八年度運営交付金予算額は、約五十三億でございます。この大学の学生収容定員は五百九十名でございまして、そのほか、看護学科、大学院等も含んでおりますが、あえて運営交付金約五十三億を医学部医学学科の学生収容定員五百九十人で単純に割りますと学生一人当たりは約九百万円となるということになりますが、この中には先ほど御説明したようなさまざまな要素があるということを御理解いただきたいと思います。

加藤(勝)委員 これは地方公聴会の中にも意見があったわけでありますけれども、今の医師の偏在の理由がいろいろある、特に地域間の偏在の理由を考えていく中で、私どもの地元で話を聞いていても、ここ数年間、ややその傾向が強まってきたなと。一つは、臨床研修医の制度導入に伴って、医局ではなくてそれ以外の病院に行かれる。あるいは、戻ってきたときに、これからどうなるかという問題も出てくるわけであります。さらに、ある意味では医局の力がなくなってきたというのでありましょうか。逆に言うと、本来、お医者さんの意思がより明確に出てきた、お医者さんの側からすればあるべき姿ということも言えるかもしれませんけれども。しかし、そうはいっても、こうした状況を放置しておくわけにはいかない、それをどう是正していくかという中で、少し規制をしていってもいいのではないかというようなお話も、実は地方公聴会の中でお聞きをしたわけであります。

 それから、先ほど文部科学省でお聞きしたのも、やはり九百万というのは、多分ちょっと少ないのかな。この間、私立大学の一人当たりの医学教育経費、一千六百万とか七百万と言われているわけであります。相当な公費をかけて、いわば税金をかけてお医者さんを育成してきているという経緯がある。そういうことからすれば、ある程度の、規制と言うと言葉が強いかもしれませんけれども、こちらの方へ行ってほしい、行ってください、こういう話があってもいいんではないかなというような御意見もあります。こうした医師の偏在をいかにこれから解消していくか、その方策として具体的にどのようなものをお考えになっておられるのか。

 特に、昨年からもいろいろな議論をしておられると思います、都道府県において議論をしていただくということなんだろうと思いますけれども、ただ、都道府県だけで大丈夫かということも出てくると思います。もちろん、そうした都道府県における取り組みをしっかりと見ていただきながらも、国としてこうした問題にどうかかわっていこうとしているのか、その辺のお考えをお示しいただきたいと思います。

川崎国務大臣 御指摘のとおり、この二年間の結果を見ましても、大学の医局で研修を受けられる人たちは少ない、より自分が高度な医療の勉強ができるという選択をそれぞれの研修医がされておるというのが現実の姿だろうと思います。

 その中で、医師の地域や診療科の偏在を是正するための方策として、これは知事会からも御提案がございましたけれども、僻地医療、救急医療等の診療経験を病院、診療所の管理者の要件とする、すなわち、開業医になる前にこういう経験をしてください、こういうことについて、一月の社会保障審議会医療部会において議論をしていただきました。審議会においては、地域医療破綻の危機にありすぐにやるべきとの賛成論、方向性はわかるが、詰める点も多く、拙速はよくないとの慎重論、正直言って賛否両論になりました。また、先ほどお話ありましたように、各所からお話もいただき、また、委員会でもさまざまな意見をいただいております。

 正直言って、行政をやる方からいたしましたら、大変魅力的なシステムでございます。ある程度の医師というものをその地域なり科目に動かしていくことができる、そういう意味では職業選択の自由をある程度拘束する、そうしたものに魅力を感じることは事実でございますけれども、やはりこうした制度を入れようとするとなると、よほど、国民世論、またお医者様側の意見、そういったものをしっかり合わせていかなければならないだろう。

 そういう意味では、私は、結論的に申し上げて、どうも党内根回しが足りなかったな、こんな感じもいたします。やはり、若い議員の方々でこうしたものを積極的に議論していただいて、また、御提言をいただければありがたいな、こう思っております。

 確かに、知事さんを中心にしながら、北海道のように、大学が三つある、もう大学では医局でコントロールできない、しかし、一方で、北海道にいる研修医の数はふえている、現実にふえている、そういったものをどうやって動かそうかということで、いろいろ知恵をめぐらせていただいていることは事実ですけれども、一方で、それをより効率的にさせるためには法律的裏づけが必要なんじゃないか、こういう議論もかなりあるだろう。

 もちろん、今回少し法律的な要件もつけさせていただきましたけれども、より強い法律的な要件というのは、正直、これから大きな議論をしていかなければならないだろうと思いますので、またいろいろな意味で御指導いただければ、こう考えております。

加藤(勝)委員 ありがとうございます。

 そうした議論と、もちろん職業選択の自由という流れがありますから、経済的な意味での誘導策、また、それを国あるいは都道府県とがどうバックアップしていくのか、いろいろなことも含めてぜひ御議論をしていただきたい。

 そうした中で、特に私の地元がそうなのかもしれませんけれども、いわゆる市町村立病院のお医者さんの不足が特にここ数年出てきている、それは、別に産科、小児科じゃなくて、内科や外科のレベルということでありますけれども。特に、これまでは、医局に行って担当教授の方、何とか部長の方とお話をして、お医者さんを派遣していただいていた、どうもそのメカニズムがとまってしまった、もうどうしたらいいんだろうか、ただでさえ財政的にも厳しい上にお医者さんも確保できないということで、大変頭を結わいでいるわけであります。

 そうした中で、今回の制度改正で、社会医療法人制度の創設というものが一つうたわれているわけであります。あるいは、先般、たしか記事で見ましたけれども、公立病院と民間病院の合併というふうな言葉が躍っておりましたが、それは多分、再編統合する中で、例の病床規制との絡みでの弾力的な運用ということなんだろうと思いますけれども、こうした措置も議論し、また、導入されているわけであります。

 本当に地域において救急医療や僻地診療などを担ってきたそうした公的医療機関、これをこれからどうしていくのか、ひとつその方向性について厚労省のお考えをお示しいただきたいと思います。

松谷政府参考人 今般の医療制度改革におきまして、小児救急医療あるいは僻地医療など地域において特に必要性が高い医療としてこれまで主として公立病院が担ってきた役割を、民間の医療法人にも積極的に担っていただく仕組みとして、社会医療法人の創設を盛り込んでいるところでございます。

 また、このような医療の確保の難しい状況を踏まえまして、公立病院を含む公的医療機関につきましては、都道府県が定めた施策に協力する旨の規定もあわせて盛り込んでいるところでございまして、民間で対応できない地域においては、なお公立病院が引き続き一定の役割を担っていただく必要があるのではないかと考えております。

 一方で、今先生御指摘のとおり、一部の公立病院におきましては医師の確保が困難となっているところもございます。これは、医局の機能というものが相当程度低下したということに伴いまして、それまでの受動的にお医者さんを待っていたというような形ではなかなか確保はできないということでございまして、既存の病院の合併、再編統合あるいは病院機能の集約化、重点化を進めるということによって、医師の過重労働の問題もあわせて、その解消に向けた方策として進めていく必要があるというふうに考えております。

 公立病院のあり方につきましては、このような趣旨を踏まえまして、その所在する地域における病院の立地条件あるいは民間病院を含めた医療機関相互の機能分担、連携体制の中で、その実情に応じて公立病院としての責務を果たしていただきたいと考えてございますが、公立病院同士の連携、統合といったようなことにつきましては、先般、医療計画上の弾力的な措置ができるようにしたところでございますが、公立病院と民間病院とにつきましても、近々その弾力的運用について進めていきたいと考えております。

加藤(勝)委員 時間も残り少なくなってまいりましたので、後期高齢者医療制度についてお伺いしたいと思います。

 現在の老人医療制度等の状況を踏まえて、この後期高齢者医療制度の必要な財源について、約一割を高齢者の保険料によって負担をする、当初、スタート段階ではそういう制度設計でスタートしていくわけでありますけれども、そうすると、その一割をどう後期高齢者が負担していくのか。その保険料の設定の仕方、これは、政令で定める基準に従って県単位の広域連合の条例で定める、こういうふうにされているわけでありますが、政令でどういう形にしようとしているのか、簡単に御説明をいただきたいと思います。

水田政府参考人 後期高齢者医療制度の保険料についてでございますけれども、その賦課基準、これは先生今御指摘のとおり、政令で定める算定方法の基準に従って広域連合の条例により定めることとしてございます。

 この保険料につきましては、公的年金制度の充実、成熟化ということを受けまして、被保険者である高齢者お一人お一人に対して保険料を賦課することとしてございます。

 政令で定める算定方法の基準についてでございますけれども、こういった高齢者の多くの方々が現に国保に加入しておられるということがございますので、現行の国民健康保険の仕組みを参考といたしまして、一つは頭割りの部分、応益割りと、所得に応じた部分、応能割りとで設定するということ。それからもう一つは、低所得者につきましては、保険料の軽減を行うことといたしまして、その対象者につきましては、世帯における負担能力を勘案して世帯単位で判定すること。

 こういった基本的な枠組みということを考えてございますけれども、具体的内容につきましては、今後、市町村などの関係者と、御意見を伺いながら検討していきたい、このように考えてございます。

加藤(勝)委員 今の説明でいうと、今の国民健康保険の考え方、その延長線上というようなイメージを受けたわけでありますが、一方では介護保険制度があるわけであります。介護保険制度が導入されたとき、平成九年において、政府委員の答弁で、御承知のように介護保険料は当初、スタートは五段階に分けて、所得に応じて、定率的じゃなくてどのブロックに入るかによって、いわば定額的に決めていくという制度をとっている、それは、そもそもほかの社会保険制度の保険料に比べて高額ではない、定率で細かくやっても事務的に大変で効率性がよくない、こういう議論もあってそういうことにしているというような御説明があったわけであります。

 特に高齢者の場合、医療と介護というのは非常に密接不可分につながっていくわけでありますし、今回の後期高齢者医療制度そのものは介護保険制度にかなり類似している。公費負担が半分近くあって、残りのかなりの部分を、保険料から直接入れるか、別途取ってもそれぞれの保険者から出していただいて、残りを高齢者が負担していただく。あるいは、保険料そのものではありませんけれども、負担をした分は介護も医療も含めて高額の限度を設定していこう、こういう流れも出てきている。

 そうすると、やはり保険料の考え方、私はどっちがいいかというのは正直言ってよくわかりませんけれども、その辺もある程度横にらみで考えていく必要がある。

 さらに、勤労者、働いている人に比べてより高齢者というのは所得の分散、偏在がある。山が二つあって、非常に所得の低い方と所得の高い方がある、そういうような指摘もされている。そういう高齢者、特に後期高齢者といったものに対してどういう形で保険料の負担をお願いしていくのか。これは大変大きなポイントだというふうに思っております。

 その辺、これから、この部分だけじゃなくてトータルとして、高齢者に対する保険料負担のあり方、こういったものについてどのようにお考えになっておられるのか、御所見を示していただきたいと思います。

赤松副大臣 介護保険におきましては、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、各市町村ごとの所得段階別の定額保険料としておりまして、平成十八年度から始まります第三期の保険料設定においては、所得の水準に応じて六段階制にすることとしておるわけでございます。

 一方、国民健康保険におきましては、被保険者の人数等に応じた応益保険料と、そして一方応能保険料のフィフティー・フィフティーにするということを基本にいたしまして、市町村の実情に応じた設定をしております。

 今御指摘のあった後期高齢者医療制度の保険料の賦課基準につきましては、後期高齢者のうち約八割の皆さんが国民健康保険に加入をしておられ、現に国保の基準に従って保険料を支払っているという実態がありますことから、国保の保険料の賦課基準を参考としまして基本的な枠組みを設定するということが適当である、こんなふうに考えているわけでございます。

加藤(勝)委員 これを含めて、今のは制度から来た議論。今度は、受け手の側から、高齢者の側からすると、介護保険は一緒なのに国民保険料は違うよねというような議論も当然出てくると思います。そういう、負担をされる側の御理解を深めていただく、これも大変大事なことではないか。その辺をよく横にらみで御議論いただきたい。

 それから、最後にお願いがあるのでありますが、この普通徴収における納付義務、この後期高齢者医療制度もしかり、介護保険制度もそうでありますが、被保険者に納付義務がある、加えて世帯主や配偶者にも連帯納付義務がある、こういう仕組みになっております。ただ、国民健康保険だけは世帯主のみが納付義務がある、これはたしか税でもそういう形になっている。ややその辺が、市長さん等から話を聞きますと、世帯主が必ずしも一番の所得者でない場合がある、なかなかそれ以上に世帯主が払えない、しかし世帯員には結構所得がある人がいる、なかなか手が突っ込めないんだよという議論を聞くわけであります。

 今言った介護保険や後期高齢者がそうであり、国民健康保険が違う形になっている、その辺はぜひ今後とも御検討をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

岸田委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 きょう、私は、病院のレセプト、明細書の問題を中心に取り上げたいと思うんです。

 その前に、何で私が明細書の問題を取り上げるか。これはわかりづらいと思うので、一回、例え話をしたいと思うんです。

 議員の皆さん、そしてマスコミの皆さんがスーパーに行ったとする。でかいといろいろなものを買う。よし、ではこの魚を買う、肉を買う、野菜を買うと。いろいろなものを買って、日用品をたくさん買って、かごをいっぱいにして、そしてレジへ行った。レジへ行って、はいこれと言って出したら、いつもは大体そのぐらい買ったら一万三千円ぐらいなものが、いきなり四万五千六百三十八円ですとかと言われる。

 いや、何でですか、そんなにかかっているはずないでしょうと言って、レシートを見せてくださいと言うんです。そうしたら、いや、法律でレシートを出すことは義務づけられていません、法律で義務づけられているのは唯一努力義務ですと言われるんです。努力義務って、いや、そんなことないでしょう、くださいと言ったら、こう言われるんですね。法律で義務づけられているのは、食料品幾ら、日用品幾らというのは出すけれども、肉幾ら、魚幾ら、野菜幾らまで出す義務はないんだって言われるんです。

 では、皆さん、そんなスーパーに行って納得できますか。納得いくわけないですよね、大臣。大臣がもしスーパーに行ったとする。まあ大臣はスーパーに行かれないかもしれない、私らと違いますから。魚幾ら、肉幾ら、野菜幾ら、白菜とレタスの値段も教えてくれない。食料品全体で幾らという領収書しかくれないとしたら、大臣はまずそれで納得いくでしょうか。どうですか、大臣。今まさに、今回本人が納得できる医療構造改革をやる中で、そこが問題となっているわけです。

 きょうは、皆さんに資料をお配りさせていただきました。五ページ目のところを見てもらいたいがです。今回努力義務を課せられたものは、この五ページ目の領収書なんですね。

 入院料何点、在宅医療何点、これは具体的なことにならぬがです。ところが、九ページ目、これは、ごめんなさい、裏表にしたのでちょっとわかりづらいかもしれぬがですが、右下についておるナンバーで、五ページ目のものと九ページ目のもの、これを比べてみていただきたいのです。

 そうしたら、九ページ目のもの、保険者にはこれを渡しとるがですね、九ページ目のものを。そうしたら、どの病気とちゃんと書いてある。どの薬、それから具体的に何をどうしたかというのはちゃんとわかる。ところが、五ページ目のものは、点数しかわからぬで、何を実際どうしたかというのは全然わからぬがです。そこが問題なんです。(発言する者あり)これ、明細書なんです、それはわかっているでしょう。ちゃんと書いてある。ちゃんと条文を読んでください、やじを言う前に。少しは勉強してください。

 さて、そこで、今言われているこの領収書、そしてレセプトの問題、まさに今本当に必要なのはどっちでしょうか、大臣。これで実際、スーパーで、コンビニとかへ行ったときに納得できますか。大臣、どうですか。

川崎国務大臣 前にも御答弁申し上げましたように、そうした制度が整っていなかったことは事実でございます。ですから変えようということで、今さまざまな議論の中で進めてきている。

 しかし、それではあすから全部変わり切れるかとなれば、オンライン化の問題もあるし、また事務手数の問題もあるから、徐々に物事を変えていきましょうということで、今回御提案させていただいておりますので、どうぞ、そういう意味では、前向きにやらせていただいているという意味で御理解を賜りたいと思います。

村井委員 さて、そこで、まず一ページ目のところに戻りたいと思うんです。この間の議事録の方を取り上げさせていただきました。左下の方に川崎大臣の答弁があります。大臣の方から、国立高度専門医療センター、国立病院機構、大学病院その他で、本人が希望すれば、すべての患者に交付するということをお話ししておられます。

 では、患者さんたちは希望すればもらえるということはわかるんですけれども、希望すればもらえるということ自身を患者さんたちは知っていないわけです。どこかに例えばポスターを張ったりして、希望すればもらえますよという形のものを告知するには、具体的にどういうふうに告知されるんでしょうか。大臣、お答えください。

川崎国務大臣 方法は二つだろうと思っております。

 国民全体に告知する方法、例えば厚生労働省のホームページを使う、これは一つですね。もう一つは、一つ一つの医療機関で、現実にお支払い窓口の前に、あ、請求すればもらえるんだな、それを目の前に表示すること、この二つが大事だろうと思っております。

村井委員 そこまでは予想どおりの答弁なんですが、さて、そこからがお願いなんです。

 具体的に、まず、国立のもの、ここに書いてあるもの、国立高度専門医療センター、国立病院機構、大学病院、そういったところで、まず、今大臣がおっしゃられたような、具体的に請求すればもらえますよという告知をするつもりはありますか。ないですか。どうでしょうか。

川崎国務大臣 国立高度専門医療センター、今、八病院がございます。国立循環器病センターなど四病院、既に詳細な明細書の発行を可能にいたしました。そして、その受付窓口には、患者の目につくところに、患者の希望に応じて詳細な明細書の発行が可能である旨を表示するように指示をいたしております。残りの四病院についても、早急に対処できるように、今、準備をさせております。

村井委員 ありがとうございました。

 残り四病院もそうやって指示していただくという答弁いただいたこと、一歩進めてよかったと思っています。ありがとうございます。

 さて、そのときに、私、さっき言いました、具体的に細かいことを出してもらう場合、例えば、スーパーへ行って、レタス幾ら、肉幾ら、野菜幾らということを教えてもらうレシートをもらうときに三百円とか取られると、えっと思いませんか。日用品幾ら、食料品幾らというトータルの数字だったらただだけれども、レタス幾ら、魚幾ら、肉幾らということを細かく書いてもらったら、それを教えるのは有料で三百円です。そんなスーパーでだれが物を買うでしょうか。そんなスーパーでだれが納得いくでしょうか。まさに、病院で納得いくようにするためには、そういった明細、これは無料でないとおかしいと思うんです。

 そこで、この無料発行は当然だと思うんですが、具体的に大臣の見解はいかがでしょうか。

川崎国務大臣 医療費の内容がわかる領収書、それから個別点数ごとの詳細がわかる明細書の取り扱い、今回の診療報酬改定、大きな議論となりました。もちろん、私の権限ですべて決めるという話ではございません。中医協という組織をつくって、診療側、支払い側、公益委員が入りながら議論をして医療全体の骨格を決めていくという仕組みになっておりますので、その中で議論をしていただき、今回の合意に至ったものと考えております。

 したがって、これを幾らにするかということについては、実費相当ということで、社会的に妥当、適切な範囲とすることということになっております。ただし、国立高度専門医療センターについては、先ほどお話いたしました、四病院になりますけれども、詳細な明細書に伴う費用については、当面無料とするように指示をいたしました。

村井委員 ありがとうございます。

 国立高度医療センターでは無料ということに指示いただいたこと、これも一歩進んだと思います。一歩ずつ大臣が進めていただいていることを非常に感謝申し上げます。

 さて、それで、さらに次に話を進めたいと思うんですが、まず、そういった国立のところでオンライン化されているもの、オンライン化されているということは、少なくてもすぐに手続できるわけです。さっきの私の配った資料の九ページ目のところですね。九ページ目のこれを、少なくても保険者に請求しているわけですから、オンライン化されていれば五ページ目のものを出すのも九ページ目のものを出すのもさほど手間は変わらない。ましてや、九ページ目のものを保険者に出すのに、わざわざ五ページ目のものを患者のためにつくったりなんかしたら、これはかえって手間がかかるわけです。

 少なくてもオンライン化されている国立のところでは、患者の請求がなくても自動的に明細書の発行をすべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 前の答弁で、レセプトのオンライン化ができればできるようになる、こう御答弁申し上げました。そこまで各自治体病院や民間病院が進んでくれば、そういうふうになるだろう。

 そういう意味では、国立高度専門医療センター及び国立病院機構においては、従来より、投薬、注射、画像診断など、個別の項目ごとに区分した内容の書類を領収書とともにすべての患者に対して交付をしてまいりました。詳細な明細書の発行については、今申し上げたとおり、四月から、患者からの求めがあった場合にできる限り発行するように努めております。詳細な明細書の発行について早急に対処するよう、国立高度専門医療センターにプラス国立病院機構にも、全国の病院の模範となるべく要請をいたしたところでございます。

村井委員 大臣、今、私の質問と答弁がちょっと食い違いました。若干かすったのは何かというと、希望があればお渡しするというふうに今大臣が答えられましたけれども、私が質問した内容は、患者の請求がなくても自動的に明細書の発行を今言ったオンライン化されている国立病院でするべきではないかと質問しました。どうでしょうか、大臣。

川崎国務大臣 今のところは、ですから書類と領収書を渡してきた。まあ、似たようなものだから全部にしたらどうだということでありますけれども、逆に言えば、先ほどから申し上げているとおり、何から始めるかというときに、県に指示するときに国がやらないでどうするんだ、県が市町村に指示するときに県がやらぬで、こういう議論をずっとしてまいりました。そういう意味では、国がやること、今回、こういう形でやりなさいよと指示したものですから、そこは国立病院といえども、今回の指示に従いながら要求があれば出そうというところで今はとめさせていただいております。

 それは、行く行く考えます。

村井委員 行く行く考えるということなんですが、また後日、その部分もお願いしていくと思うんです。

 さて、今、その国立で行く行く考えるというもの、できたら今度は、さらにそこから県立、それから公立のほかのところも進めるようにということで、具体的に要求、それからお願いというのはされるんでしょうか、どうでしょうか。

水田政府参考人 県立、公立ということになりますが、これは、さらにいえば、一般の病院全般の問題だと思っております。

 したがいまして、県立、公立に要請するかどうかというよりは、むしろ全般的にこの問題とどう取り組んでいくか、これにつきまして、中医協でもさらなる議論が行われると思いますので、その中で検討していきたい、このように考えております。

村井委員 何かあったら、進んでないのは中医協のせいにするというのは、私、どうもおかしいなと思うんです。それは、やはり国がリードしてやるべき問題ですよ。

 では、例えばスーパーで、いや、何とか国の審議会で言われて出さないから、だから、細かいのを領収書もらうのはお金かかりますとか、請求された人にしか明細なレシートを渡しませんなんと言ったって、それは、スーパーの店に来ている主婦の人たちは納得するわけないがです。当然、無料でレシートもらうのが当たり前ですし、言われなくても、レタスの値段と肉の値段を教えてもらって当たり前なんですよ。

 私は、そういったことをぜひお願いしていきたい。大臣は後々また検討という話をされましたけれども、ぜひそういった視点を盛り込んでいただいて、国の審議会が云々かんぬんじゃなくて、まず、オンライン化して国立ですぐできるところからぜひやっていただきたいと思っています。

 さてそこで、次の質問に入りたいと思います。

 薬害だとか、いろいろなトラブルが今までもありました。さっきの資料で私が五ページ目と言ったものの次に出てきておるのが六ページ目なんです。五ページ目と六ページ目のもの、よく似ておるように見えるんですが、五ページ目のものは医者用なんです。六ページ目のものは薬局用なんですけれども、薬害の防止の観点から、本来ならば、そういったところでも、詳細な明細書を窓口で自己負担する際に本人に手渡すことが大切だと考えるんです。

 特に、薬害の肝炎問題、それから、今までもその他、エイズの問題、いろいろありました。ぜひ薬の分野でもそういった観点で、本来ならば明細な領収書を、窓口で自己負担分を払うときに手渡すことが大切だと考えますが、大臣はどのように考えられますでしょうか。

水田政府参考人 調剤報酬の事例が委員の資料の中にございますけれども、これは領収書でございますけれども、処方せんで出す場合には当然、これは薬の名前を書いてございますし、薬局の方から説明もあると思いますので、具体的な個別の名称などは患者さんが認識するところだと思っております。

村井委員 さて、また次に、一ページ目。何度も行って戻って、たくさん資料があって済みません。一ページ目のところで、大臣のこの間の答弁をちょっと振り返っていただきたいと思います。

 一ページ目の一番下の右端です。その明細書を書くために次の患者さんが十分、二十分待たなきゃならぬというケースも出てくるでしょうから、という話をされていますが、では実際、今、例えば愛知県のトヨタ記念病院、大阪府の枚方市民病院などはレセプト相当の明細書を既に発行しています。この二つの病院は今現在、運営に支障を来していますか。また、大臣が答弁された、国立高度専門医療センター、国立病院機構で、投薬、注射、画像診断などの個別の項目ごとに区分した内容の書類を領収書とともにすべての患者に交付してきたと言われましたが、その国立のところでは支障は現在起きていますでしょうか、どうでしょうか。

松谷政府参考人 今先生がお触れになりました二病院についてのことは承知してございませんけれども、国立高度専門医療センターあるいは国立病院機構での病院につきましては、従来から、投薬、注射、画像診断などの個別の項目ごとに区分した内容の書類を領収書とともにすべての患者さんに対して交付してきたところでございますけれども、これは通常の領収書の発行システムにより同時に出力されるものでございますので、特に患者さんを待たせているというようなことではなく、今のところ、これらの病院において支障が起きているという報告は受けておりません。

 今後詳細な明細書の発行を行う場合も、システム化による対応などによりまして、患者さんをできるだけ待たせないよう、また病院側にとってもできるだけ負担にならないように努めていきたいと考えております。

村井委員 そうしたら、大臣は十分、二十分待たなきゃならないケースもあると言われましたが、少なくとも、オンライン化されておるところだったら十分、二十分待たされるというケースはないと思っていいですね。

松谷政府参考人 これはむしろ保険の話かもしれませんけれども、レセプトの明細は、月単位の、まさに保険請求をするための明細でございますので、たとえオンラインになっていても、その時点で最終の形になっているものではございませんので、その場合でのあれと必ずしも正確に一致をするというものではございませんけれども、おっしゃられるとおり、オンラインになっていれば、相当程度事務の短縮にはなろうかと思います。

 ただし、それは病院ごとのいろいろなシステム等がございますので、十分、二十分が長いか短いかというのはあるんですけれども、一定の時間はもちろん事務的にはかかるとは思いますけれども、それぞれ努力をしていただくということになるんだろうと思います。

村井委員 さて、先ほど大臣の方から、もちろん参考人さんたちからも、中医協、中医協という話がありました。中医協の改革が進まないから云々と言うけれども、中医協がどうこうというのは、それはそうじゃなくて、もちろん中医協の人たちも大事ですけれども、国がリードせにゃならぬことはせにゃならぬがです。

 さて、その中医協云々のところで、公聴会やパブリックコメントなども導入されています。診療報酬単価を決めようということで公聴会、パブリックコメント、それから、患者は医療を受けた都度に医療費の単価を記した明細書をもらわないと単価がわからないという、この問題で、公聴会やパブリックコメント、私は、実際、普通の市民の人は参加できぬと思うんです。

 詳細な明細書をふだんから渡してもいないのにそういったパブリックコメントや公聴会をやったところで、私は意味がないと思うんです。まずそれをやってからやるべきだと思うんですが、皆さんはどうお思いでしょうか。患者や国民の価値観に合った健全な診療報酬体系をつくっていく上でも、医療費の明細書の発行は基本的にすべての患者に対してなされるべきだと考えるが、大臣の見解はいかがでしょうか。

川崎国務大臣 例えば国立病院機構またがんセンター等、事務が合理化され、機械化され、そういうところは、もう既に御要請にこたえられるような状況になっている。しかし、診療所、例えば、お医者さんとその奥様で事務まですべてやられている、いや、お年寄りのお医者様一人でその診療所を経営されている、こういう方々もいらっしゃるわけですから。

 しかし、最終的には、データですからね、すべてのところまで行かなきゃならない。したがって、オンライン化というものが、あしたすべてのそういう医療機関までできるかとなったら、そこはもう委員もおわかりのとおり、順々にやっていかなきゃならないだろう。

 しかし、こういう機械化というのは最終的には、例外がありますとデータがそろわないということになりますから、さまざまな工夫をしながら、場合によっては援助をしながら、すべてのデータがそうやって集約されるような方向になる。データを集約するためには、その診療所の中の事務というものが全部機械化されていって、コンピューターに乗っかっていくような形に変えていかなきゃならない。

 ですから、言われるとおり、そういうものがきちっと順番に整っていって、すべてのものが開示できるようにしていくというのが我々の最終目標であることは間違いないし、結果として、正確なデータというものが出て、それによってまた医療の方向づけというものがより誤りなき方向を目指すことができるようになる、これが私どものねらいであることは間違いありませんし、また、委員もそういう御指摘をいただいておるもの、こういうふうに考えております。

村井委員 さて、この明細書の論点から次の論点へ行きたいと思います。

 十一ページ目を開いてみていただければと思います。

 ジェネリック医薬品について取り上げたいと思うんですが、今回の民主党案と自民党案の大きな違いの部分は、ジェネリック医薬品を進めなければならないという考え、これはよく似ていると思うんです。ほとんど一緒だと思うんですが、違う点があります。

 今の政府案では、後発医薬品を使用するためには、処方医師の署名がある場合のみ患者が選択できるというふうにしています。民主党案は違うがですね。後発医薬品変更不可のチェック項目をつけるんです。つまり、チェックがあれば変更してもいいというんじゃなくて、民主党案では、変更不可の場合をチェックするということ。そうなると、具体的にはやはり違ってくるわけです。どっちの方がジェネリックを進められるかというふうに違ってくるんです。

 では、質問をします。

 今回、後発医薬品の使用に関して、処方医師の署名がある場合のみ患者の選択ができるとした理由は何でしょうか。大臣、お答えください。

川崎国務大臣 医薬品は医師が患者の状態に合わせて処方するものであり、先発医薬品から後発医薬品への変更についても、処方を行う医師の判断を確認することが必要である。御提案のように、処方せんに後発医薬品への変更不可、こういうものにした場合に、医師の明確な判断に基づくものであるか否かが確認されない、こんな形になるかもしれません。そういった意味で、処方せんの様式を変更し、後発医薬品への変更可のチェック欄、要は、申し上げた、処方を行う医師の判断を確認する、そのための欄を今回設けさせていただいた。

 ですから、多分、御提案だと、初めから変えることが前提で物事を進めていくということになると、医師の判断というのをどう判断するかということになりますので、基本的には処方せんを書いた医師の判断というものを重要視する、こういう改正にさせていただいたということでございます。

村井委員 民主党はしっかり本当に患者の立場に立って、今の単なる抑制ではなくて、効果のあるもの、そして同じだけの医療の効果があるんだったらその分安いものを使ってもいいというふうに考えています。どちらにしても、変更不可のチェックさえすればいいわけですから、十分それで医師の判断が得られるというふうに民主党は考えています。

 さて、そこで、大臣、さらに次の関連質問に入るんですが、患者や国民にそれを周知させるための方法、つまり後発医薬品というものでいけるんだというふうに周知させるための広報の方法はどのようにとられますでしょうか。副大臣、お答えください。

赤松副大臣 今おっしゃった後発医薬品に関する広報ですが、大きく分けて四つあります。

 一つは、政府広報を中心としたテレビを使ってのもの、あるいはオンラインホームページを使っての広報。二つは、厚生労働省が単独で行うホームページにおいて後発医薬品の種類等についての情報提供をします。三つ目は、テレビや新聞等の広報活動を業界団体や後発医薬品メーカーに広報するように、広告をするように、それの働きかけが三つ目です。

 四つ目が、業界団体と連携しまして、患者から医師に対して後発医薬品を希望するという意思を示しやすいようにするカードということで、ここに持ってまいりましたけれども、口にして言うのがちょっと難しいというケースもあろうかと思いますので、こういうカードを提示してジェネリック医薬品を希望します、というカードを配付する。以上申し上げました、四つの点をやっていこうということでございます。

 委員も、また私も実感しているんですが、今、新聞、テレビ等にそれなりに取り上げていただく機会が非常にふえてきているなということを実感いたしております。今後とも、後発医薬品の普及に向けまして、患者や国民の皆さんの後発医薬品に対する理解がより一層深まるように、しっかりと意識啓発を促すような取り組みをしてまいりたい、そう思っております。

村井委員 さて、次の課題に移りたいと思います。ジェネリックの次が十五ページ目からになります。

 民主党の方は、今こうやってがん対策の問題に非常に熱心に取り組んでいます。残念ながら、今、与党の方の法案提出がおくれるため、審議拒否をされてしまっています。多くのがん患者が望んでいる、そして国民が望んでいるがん対策、何でこんなにおくれるんでしょうか。そして、医療費の抑制という国民にとってプラスにもならないものばかり審議される。国民が望んでいるがん対策が審議されていないわけです。

 当然、採決の前、来週水曜日採決なんというとんでもないことがあるわけないというのは確信しておりますが、その前に、やはりちゃんと大事ながん対策というものの対案が提出されて、与党が反対、反対なんて国民の不利益になることは言わないものだと私は確信しているわけです。このがん問題も、今回の医療構造改革の中できちんと取り上げなければならないというふうにお訴え申し上げます。まず、がん対策について議論をちゃんとやってから医療構造改革問題を採決するべきだということをお願い申し上げます。

 さて、その中で、民主党はこのように、がんの費用というものをきちんとチェックしてみました。そして、それぞれの地域のがん検診率の違いなどもチェックをしています。当然、費用をちゃんと使っていることとがん検診の比率、これは違うわけです。

 さて、そこでまず、厚生労働省それから大臣、どっちかに質問します。

 NHKで報道がありました。一九九九年の統計で、がんになった人の治療に要する日本の予算は二兆円、治療で二兆円で、検診を受けた人にかかったお金が千三百億円程度。治療が二兆円で検診が千三百億円程度だとすると、比率として九四対六で、圧倒的に治療にお金がかかっているというのをNHKで出しています。きのうのレクの時点で、厚生労働省は、その数字、ちょっと具体的なことは報道の方の部分なのでわかりませんということを言われていたんですが、きょうあえて質問させていただきます。

 今、厚生労働省は、がんについて、がん治療で幾ら、がん検診で幾らぐらいかかっていると試算されていますでしょうか。お答えください。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

水田政府参考人 まず、がんに関する治療費でございますけれども、平成十五年度の国民医療費の統計で傷病別のものを見ますと、悪性新生物では三兆円、このようになっております。

村井委員 私がさっきから言っているのは、治療だけじゃなくて検診にもお金をかけるべきだという話なんです。治療と検診のお金の比率の話、NHKの言った二兆円対千三百億円という報道は正しいかどうかも含めて。ただこれは一九九九年の話です。今言われたところで、最近の治療が三兆円だということはわかりました。もう一つ、検診に使っている費用があればそれで比率がわかると思うんですが、検診は幾らでしょうか。

磯部政府参考人 がん検診につきましては、平成十年から市町村に一般財源化しておりまして、現在、その全額を把握するということはなかなか困難でございます。

 それで、九年でございますけれども、一般財源化する前の費用では約六百億円と承知しております。当時の悪性新生物、九年度におきます治療費は二兆円程度というふうに承知しております。

村井委員 まず、そもそもここは何が大事かといえば、治療と検診との比率、今言われた二兆円対六百億円、多分、NHKの報道の場合、国や国保の関係だけじゃなくて、単なる民間でやっている部分も入っているのかもしれないので、ちょっとその辺わからないんですが、今お答えされた、治療で三兆円もしくは昔だと二兆円、それから検診で六百億円程度じゃないかという話、検診が優先なのか治療が大事なのかという話をしている中で、そもそも今、検診で幾らかけているかすらわからない、これは問題だと思うんです。

 今後、がん検診で幾らかけているかを調べるおつもりはありますか。大臣、どうでしょうか。

磯部政府参考人 前回の御質問にもございましたけれども、国といたしましては、各県におきます受診率あるいは発見率の把握に努めておりまして、その費用につきましては、一般財源化されております関係から、調査をする予定はございません。

村井委員 大臣、どうですか。調査もせずに、お金も予算も何も調べもせずに、どうやって検診を進められるんですか。大臣、お答えください。大臣から、幾ら使っているかの調査をするつもりがあるかないか。

川崎国務大臣 もちろん、各地域でやる検診もありますし、私のように自主的にやるものもありますので、いろいろ学会とも相談しながら、どのぐらいの数字になるか、調査できれば調査をしてみたい、このように思います。

村井委員 調査できれば調査をしてみたい、ちょっと甘かったので、調査をしますとしっかり言っていただけませんでしょうか、大臣。

川崎国務大臣 要は、個人が人間ドックにかかっておる、私も大体何年かに一遍チェックするわけですけれども、そういうものの数字が実態的にとらえられるかどうかも含めて検討いたします。

村井委員 さらに、では、少なくても保険の適用になっている部分だけは調査していただけますでしょうか。どうですか、大臣。

水田政府参考人 保険適用と申しましても、がん検診そのものは保険適用されてございませんので、保険の観点からは難しいと思います。市町村がやっている検診事業なり、各自が人間ドックでされている例をどうするかということはあろうかと思いますけれども、保険適用はされておりませんので、数字も出ないということになります。

村井委員 そうしたら、公費が入っている部分だけでもチェックしていただけませんでしょうか。どうですか。

磯部政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、一般財源化されております関係もございますが、先ほどの大臣の御答弁もございましたので、検討したいと思います。

村井委員 そもそもお金の話も全くしないで、がん検診をどうやって進めるんですか。がん検診を進めますと言っている某公明党の副大臣、お答えください。

赤松副大臣 某じゃなくて赤松でございます。

 今おっしゃっていることにつきましては、先ほど来大臣も答えているとおりでございまして、個別に私公明党所属ではございますけれども、しっかり大臣と呼吸を合わせておりますので、そのとおりにやっていきたいと思っております。

村井委員 結局、がん検診率を上げるか上げないか、上げるためには、当然お金がかかるんです。今、私たち民主党は、治療と検診の費用のバランス、これがまずおかしいと思っています。検診にもしっかりお金をかけていかなければならない。それこそが今本当に求められているがん対策ではないでしょうか。

 まず、そもそも一般財源化をされた後、がん検診の費用がふえているのか、市町村に任せると言ったけれども、市町村がちゃんとお金をかけているかどうか、そのチェックすらしていなくて、どうやってがん検診の比率を上げられるんでしょうか。少なくてもがん検診の受診率を六割ぐらいに高めるためには幾らぐらいかけなければならないか、その辺はどう考えておられますでしょうか、大臣。

磯部政府参考人 一般財源化されました前後におきまして、がんの受診率等について我々把握しておりますけれども、ほとんど変化がないというふうに把握しております。

 それから、国におきましては、がん検診全体に対する信頼性を向上させる観点から、調査研究事業あるいは検討会におきまして、その有効性の評価あるいは精度管理等につきまして、国としての対応をいたしておりまして、それに基づいてがん検診指針の改正等を行っております。

 また、十八年度におきましては、健康フロンティア戦略の一環といたしまして、女性のがん検診の啓発普及事業のために一億二千万円、またマンモグラフィーの機器整備等のために二十三億円を計上しておりまして、これらを通じまして、がん検診の受診につきまして、より国民の意識の向上あるいは有効な受診体制の整備に努めていきたいと考えております。

村井委員 さて、今計画があると言いました。でも、実際、がん検診の対策をやっていますやっていますと言うけれども、成果は出ていますか。実際にお金を幾らかけているかもわからない。成果が出ていないじゃないですか。今、まずその成果を出すために具体的にどのように取り組まれるのでしょうか。大臣、お答えください。

川崎国務大臣 今、いろいろ話の中に出てまいりましたように、老人保健法に基づく事業として平成九年まで実施をしてまいりました。十年度に一般財源化をし、各市町村が実施する、そういう意味では、財源移譲を行ったことになります。

 しかし、こうした中で、今回の医療制度改革において、健康増進法、法律に基づく市町村事業として明確に位置づけるとともに、国の基本方針及び都道府県の健康増進計画にもがん検診の受診率向上に向けた目標を位置づけ、がん検診の推進を図っていくことといたしております。国としても、がん検診の精度管理などの面で都道府県と協力し、市町村によるがん検診の支援方策を講じてまいりたいと考えております。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

村井委員 結局、名目はある、だけれども実体がない。残念ながら、これは本物の改革でしょうか。看板だけで中身がないんです。そういったことで、やはりこれは政権交代をして、本当にがん検診にしっかりお金をかける、そして、やっていかなければならない。

 そして、そもそもこのがんの問題、ちゃんとチェックもできていない。看板だけだということがわかった以上、これをもっともっと審議することを考えたら、ますます来週水曜日に採決なんということはできないということが明らかになりました。

 さて次に、最後のがんの質問をしたいと思っています。

 日本では、二十六万人の医師の中で、放射線治療医はわずか四百五十名程度、兼業医を合わせてフルタイムに換算しても六百八十名足らず。米国で放射線治療専門医とほぼ同数いる装置の専門家が、事実上数人しかいないという状況。公明党の公明新聞でも、放射線医療のおくれを指摘し、放射線治療専門医、放射線品質管理士などの育成が必要と一面にどんと出ていました。

 さて副大臣、今後、政府として、人材の不足に対しどのように取り組まれるのか、具体的にお答えください。

赤松副大臣 与党唯一の日刊紙の公明新聞、読んでいただいてありがとうございます。

 日常的に公明党井上政調会長から厳しく指導をしていただいておりましてということもあり、かつ、私も東京大学の放射線治療の専門家の中川先生の個別のレクというかお話も聞きまして、放射線医療のがん対策に対する重要性というのは十二分に意識をいたしております。

 既に、がん医療水準均てん化の推進に関する検討会の報告書を踏まえて、さまざまな研修の拡充とかをやっておりますけれども、そういうことよりも、これからということで、厚生労働省としましては、学会との連携を図りながら、がん医療に関する専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成確保にしっかりと取り組んでまいりたい、そんなふうに思っております。

村井委員 さて、今、副大臣がおっしゃられたものを実現するためには、やはり民主党のがん対策基本法をちゃんと国会で審議するか、もしくは自公で対案を出されるかをしなければならない。そして、それがちゃんと審議されてからこの医療法についての採決をするべきだということを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、三井辨雄君。

三井委員 民主党の三井辨雄でございます。

 今、若い村井議員からも熱くがんの問題、今までのこの委員会での議論を聞いていますと、やはり小児科あるいは産婦人科、麻酔科の医師の不足あるいは偏在について多く議論されてきたわけでございますけれども、私からも、一日も早くこのがん対策法案について審議をしていただきたいことを冒頭に強く望んでまいりたいと思っております。

 そこで、今回の医療制度改革法案における焦点の一つは、やはり高齢者の社会的入院の是正だろうと思うわけでございます。法案では、現在の療養病床三十八万床を、二〇一二年までに六年間で再編を進めて十五万床とする、そして残りの二十三万床は老健施設あるいはケアハウス等の特定施設に転換すると内容がなっております。

 そこで、本委員会においても既に何人かの委員の皆さんから療養病床にかかわる質問がございました。患者を路頭に迷わせないという約束はできるのか、あるいは受け皿となる施設や在宅ケアは十分なのかというお尋ねに対して、川崎大臣は、計画的な措置を講じ、患者の追い出しにつながらないようにすると答弁されております。しかし、実態としては、この入所待機者があふれているというのが実態でございまして、これは、厚労省の皆さんがお話しになった中でも、特別養護老人ホームは三十四万人の方が待機されているということは、やはり介護難民が出てくるだろう、これの受け皿はどうするんだということを私は強く申し上げたいと思っております。

 ですから、社会的入院をしたくなくても、施設ができないために三十四万人の方が待っていらっしゃる、あるいは老健施設でも入れないで何年間もお待ちになっている方がいらっしゃるわけですね。こういう皆さんが現実にいらっしゃるということを御認識いただきたいと思っております。

 私の地元の北海道の場合も、廃止対象となる介護療養病床の医療費は全国で六番目と高いわけでございますけれども、自治体関係者から、どれだけベッドを減らすのか、あるいは患者をどの施設にどれだけ振り向ければいいのか、そして、肝心なところが全く見えないというまさに嘆きが聞こえてくるわけですね。今後、自宅での介護が難しい世帯のために、やはり老健施設ですとか、あるいはケアハウスや安い費用の有料老人マンション、こういうものを整備していくことが肝要ではないかと私は思っているところでございます。

 現状では、介護保険において地域ごとに介護施設の病床規制となる参酌標準というものがあります、まあ、晩酌標準じゃなくて参酌標準というのがありますけれども、非常に難しい、私もいつも、非常に間違えやすいんですが、今年度から平成二十年度まで参酌標準の第三期という枠組みの縛りがあると。過剰病床になってしまう地域は、医療型から介護型の施設に転換することもできません。一方で、現実には、四月一日から実際に診療報酬で医療の必要度一のところにいる患者さんたちは、まさにそのまま入院していれば赤字になってしまうという状況が想定されるわけです。

 その数が何と十三万五千人に上ると聞いておりますけれども、今までの審議における御答弁では、受け皿として経過型の療養病床、あるいは介護保険移行準備病棟、こちらに変われば何とかなりますと。当面、今の医療型療養病床のまま介護保険移行準備病棟という、いわば看板のつけかえという形になるわけでございますけれども、患者さんが移動しなくてもいい、この形のままで居続けていただくための経過措置を認めますと厚労省は言っておられるわけでございますけれども、しかし、六年後には、明確に病院をやめて介護施設に変わるという決断を迫られる大変厳しい選択をしなければならないわけです。ですから、私は個人的に思うわけですけれども、将来的には医療と介護を分ける必要はあると思います。しかし、余りにも時間的な余裕がない激変措置、ひど過ぎるということを私は思うわけでございます。

 そこで、まず、今回の療養病床の見直しに関しては、患者あるいは家族、そして施設の雇用者、経営者のいずれにも大きな不安といら立ちがあるわけでございまして、これは、ひとえにやはり医療と介護の双方の施設類型が定まっていないところに問題があると僕は思っております。将来像がなかなか示していただけない、今後どのような施設のあり方と方向性を考えておられるのか、まず川崎大臣にお伺いしたいと思います。

川崎国務大臣 既に前回も御質問いただきましたし、今もいろいろな見地から御見解をいただきました。その中で、今回の療養病床の再編は、医療の必要性が高い患者に限定し医療保険で対応するとともに、医療の必要性の低い方々への対応として療養病床が老人保健施設の介護施設へ転換する、これを基本線に据えさせていただいている、そこがうまくいくのかというところをずっと御質問いただいております。

 療養病床の老人保健施設等への円滑な促進を図る観点から、これも既に言及いただいておりますけれども、既存の施設を活用して大きな改修をすることなく老人保健施設に転換できるよう、床面積の基準を経過的に緩和させていただく、平成二十三年度末まででございます。医療保険、介護保険の双方において、医師、看護職員の配置等を緩和した療養病床の類型を創設いたします。医療保険、介護保険双方の療養病床について転換支援の助成を実施してまいりたいと考えております。

 また、こうした方策というものを、やはり施設に入られている方々、また運営をされている方々にしっかりお話をしていくということが一番大事であろうと思っております。そういった意味では、関係者の方々の不安を招かないように、これから適切に対応してまいりたいと考えております。

 なお、この健康保険法等の一部を改正する法律案において、入所者の状態に応じてよりふさわしいサービスを提供する観点から、老人保健施設等の基本的なあり方や入所者に対する医療の提供、そういう意味では、医療と介護を分けて、医療と介護の間に療養病床があって今度は介護にした、しかし、どうしてもやはり医療とも関係がありますねということから、この医療との関係を、確かに、言われるとおりもう一度しっかり整理をしなきゃならない、そういう意味では、検討を行う旨の規定が盛り込まれているところでございます。

 法律が成立いたしましたら、こういった課題に全力を挙げてまいりたいと考えております。

三井委員 ありがとうございます。

 大臣が本当に全力を挙げていただいて、まさに入院患者あるいは運営・経営体の皆さん、そこが路頭に迷わないようにやはりしっかりとしたものをつくり上げていただくということを強く要請しておきたいと思います。

 そこで、私は、療養病床の転換に関連して、亜急性期病床ということで、余り聞きなれない病床になるわけでございますけれども、現在、病床全体の状況を見てみますと、九十二万床ある一般病床においては、厚生労働省が二〇〇一年にまとめた「二十一世紀の医療提供の姿」では、平均在院日数が十五日まで短縮した場合、二〇一〇年度の当該病床数は六十三万床になる、それから、十日まで短縮した場合は四十二万床まで減少するよという試算を公表されております。

 ことしの診療報酬改定では、急性期医療に対して、看護配置も一・四対一以上と。もちろん、そうなりますと、七対一看護ということになるんでしょうかね。平均在院日数は十九日以下が新設されるわけですけれども、急性期を標榜する医療機関は平均在院日数二十一日以内というのがある程度常識になっております。

 そこで、医療療養病床については、ことしの診療報酬改定で、医療の必要度やADLに応じた患者分類に基づく包括評価、こういうぐあいになっておるわけでございますけれども、軽度の患者の点数は非常に低く抑えられている、あるいは重度の患者の点数が高いことは、理にかなっているということは私も十分承知いたします。一方で、重度の患者に対して、十分な医療だとかあるいは介護だとかリハビリ、これを提供して状態が改善すると、皮肉にも低い点数にしか算定されないんですね。極端な言い方をすれば、医療機関は、収入を上げようと思ったら、患者を放置した方がいいということにもなりかねない現象も危惧されるわけです。

 例えば、患者さんが床ずれなり瘻孔をした場合に、医療度はそのまま放置すれば上がるわけですから、そういうようなことも私は心配するところでありまして、恐らくそういう病院が出ないようにと願うところであります。

 以上のように、急性期病床、平均在院日数の短縮、慢性期病床は重度患者だけの受け皿ということだけではなくて、その中間、つまり亜急性患者の受け皿が私は問題になってくると思っております。

 亜急性期病床は、いわゆる急性期治療を経過した患者、または在宅、介護施設等で症状の急激に悪化した患者さんに対して、在宅復帰支援機能を持って、効率的かつ密度の高い医療を提供することができるもので、病院関係者からは、導入の目的どおりに機能しており、評価も高くされているところでございます。

 こうした状況の中で、病床のあり方全体を見たときに、亜急性期病床の活用をもっと私は積極的に行ってもいいんじゃないかと思っているところでございまして、ところが、この亜急性期病床の施設基準を見ますと、大変ハードルが高い、厳しいんですね。一般病床を前提としたものでも、その病院の一般病床の一割以下でなきゃならないとか、例えば四百床を超える病院では四十床、そして百床未満の病院では十床という制限があるんですね。

 ですから、全国には六百八十五医療機関、八千九十五床と厚生省からいただいた資料にございますけれども、私は、今後、やはりこの亜急性の対象患者の受け皿を拡大するためにも、療養病床への算定拡大が必要でないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

水田政府参考人 御指摘のございました亜急性期入院医療管理料、これは平成十六年の診療報酬改定によって新設された点数でございまして、委員御指摘のとおり、急性期における治療を経過して在宅復帰を目指す方、あるいは在宅において療養中に急性増悪した方々に対しまして、これも在宅復帰を目指して密度の高い入院医療を提供することを目的とするものでございます。

 ただ、この管理料につきましては、九十日を限度として算定する急性期病院の性格を有するものでございまして、範疇といたしましてはやはりこれは急性期に入るものであると考えてございまして、長期にわたって慢性期医療を提供する療養病床とは目的を異にするということでございまして、現時点では、委員御指摘のとおり、一般病床の中でとの、さまざまな制限を行っているところでございます。

 ただ、今後のあり方についてでございますけれども、このあり方につきましては、繰り返しになりますけれども、平成十六年改定で入ったということもございます、したがいまして、今回の改定の検討状況も踏まえながら引き続き検討を行っていきたい、このように考えてございます。

三井委員 ぜひ、局長、この急性期と、そして重度の療養型でいいんでしょうか、その中間のこういう病床がやはり私はもっともっと機能する必要があると思いますし、例えば急性期からは、先ほど申し上げましたようにどんどん出されるわけですから、そうしますと、亜急性期病床で受け入れる、あるいはこの亜急性期病床の後ほどリハビリの問題を私は質問させていただきますけれども、こういう病床をもう少し施設基準を緩和してもいいんじゃないか、こういうぐあいに思うわけです。

 今局長からも将来的には考えるような御答弁がございましたけれども、この施設基準を見ますと、本当にこれは厳しいんですね。これではなかなか普及はしないんじゃなかろうか。先ほど申し上げましたように、ベッド数も少ない、百ベッドで十ベッド程度では全くお話にならない、こういうぐあいに思っているところでございます。

 次に、リハビリテーションの診療報酬改定の問題について御質問させていただきたいと思います。

 今回のリハビリテーションの報酬改定でございますけれども、改定当初、極めて強引な大幅な改定で、絶対に認めることはできないという声が私のところにも全国各地から寄せられております。本委員会でも質問のあったところでございますけれども、先日も阿部委員から、東大の多田富雄名誉教授の提言が示されていました。「リハビリ中止は死の宣告」という言葉に、全く私も思いを同じにするところであります。また、今回の改定によって、当初は七割から八割の患者がリハビリを受けられなくなるという実態に、リハビリ関係者からも、どうしてこういう事態になったのか、まさにサドンデス改定ではないか、あるいはギロチン改定だという声まで寄せられているわけです。

 こうした激しい反応に対して、三月末ぎりぎりになって、今までリハビリを実施してきた患者についてはすべて四月一日を発症日とみなして、そこから算定日数を、リハを継続しようという超法規的激変緩和措置がとられたわけです。これは、ただ単に問題を五、六カ月先送りして執行猶予期間が与えられただけではないか、こういうぐあいに思うわけであります。

 厚生労働省は、四月十九日の中医協総会で、診療報酬改定結果検証部会の当面の進め方を発表しておられます。ここでは、今年度の改定主要事項及び国民の関心の高い事項については検証作業を行うとしておりますが、リハビリテーションに係る評価も検証すると聞いております。では、実際にそこでどのような検証作業を行おうとしているのか。改定に係る影響調査、あるいは届け出医療機関の数、診療回数の状況といった項目だけの検証で済ませることのないように、しっかりとした検証を行っていただきたい。さらに、一年後の取りまとめと言わずに、可及的速やかに見直しを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 今回の診療報酬改定におきましては、リハビリテーションにつきまして、発症後早期のリハビリテーションを重点評価する。その一方で、効果の薄いリハビリが長期にわたって行われている、こういう指摘もあったところでございますので、疾患ごとに算定日数の上限を設けるという措置を講じたわけでございます。ただ、これには、前回も御説明させていただきましたけれども、適用を除外する疾病というものを設けてございます。

 それからまた、これとは別に、難病の方あるいは障害児者のようなそういう方につきましては、別途、算定日数の上限を設けないという措置も講じているわけでございまして、そういった全体の状況について大方の理解が得られるように私どもも努力をしなきゃいけないと考えてございます。

 その上で、結果の検証ということでございますけれども、委員御指摘のとおり、中医協におきまして、公益委員それから専門委員によって構成されます診療報酬改定結果検証部会、これは中医協改革の一環といたしまして昨年十一月に設けたものでございますけれども、今年度、十八年度改定の結果につきましても、四月に検証部会を開催いたしまして、今後作業を進めていく、このように考えてございます。

 具体的には、医療費全体のことでございますけれども、診療報酬改定全体の検証をすること、それから個々の診療報酬改定が企図した効果を上げているかどうかという観点からの検証、ここで具体的に、先ほど申し上げました、リハビリテーションを重点評価するべきものはする、除外疾病を設けたということ、そういったことにつきまして具体的に企図した効果を上げているかということも含めてでございますけれども、そういう検証作業をする。それから、診療報酬改定に係る基本方針に沿った改定が行われたかどうかという観点からの検証をするということを考えてございます。

 具体的な調査方法につきましては、今後、検証部会において御検討いただくことになりますけれども、リハビリテーションにつきましても、委員御指摘のとおり、単なる数量的なものだけでなくて、検証の実効が上がるような調査の設計に努めていきたい、このように考えてございます。

三井委員 まさに、五項目ほど、このリハビリテーション診療報酬の改定の問題点ということでいただいたわけでございますけれども、特に疾患別にリハビリテーションという概念を導入した脳血管障害ですとか、あるいは運動器、呼吸器、心大血管の四体系ということで出ておりますけれども、この辺も、こういう区分をするということも私はおかしいと思いますので、局長、ぜひさらに御検討をお願い申し上げたいと思います。

 そこで、さらに、今回、高齢者のリハビリテーション研究会の中間報告を聞いておるわけでございますけれども、この報告をベースにしただけで全く不十分というリハビリ関係者からの批判もあるわけです。

 また、これだけの大改定にもかかわらず、具体的内容が明らかになったのは年度末だったわけでございまして、こういう改定は、やはり少なくとも施行の三カ月前、点数を含めた具体案が出て、問題点について現場の声を聞いて修正するとか、あるいは施行を少なくとも三ないし六カ月ずらすとか、ルール化して、医療機関が対応できる、すべてに言えるわけですけれども、やはり私は時間的余裕を持てるようにすることが必要でないかと思っております。今回の改定もそうですけれども、余りにも時間的余裕がない、こういうことを大いに今後も反省していただいて、事前に、今申し上げたように半年前ですとか、あるいは一年前ですとか、そういうことをルール化することが必要でないかなと思っております。

 そこで、今後の検証の見直しに当たって、当事者である患者団体、最大の学術団体でありますリハビリテーション学会の意見を聞くということが大変私は重要だと思いますが、御答弁願いたいと思います。

水田政府参考人 今回のリハビリテーションに係ります改定に当たりましては、当然、私ども、そのプロセスといたしまして、関係各学会からの御意見というものをお聞きもいたしました。それから、中医協のもとの専門家による組織におきまして調査も行い、実態把握をした上での取り組みでございます。

 また、事前手続といたしまして、方向性につきましては、ことしの一月にパブリックコメント、国民の意見募集ということも行っております。(発言する者あり)そういった取り組みを行ってきましたし、先ほど、冒頭御紹介ありましたとおり、既往の疾病については算定日数上限の起算点を年度当初にする、こういった対応のための時間的余裕ということも設けたつもりでございます。

 いずれにしましても、今回の改定に当たりまして、十分配慮してきたつもりではございますけれども、今後、この結果の検証作業、あるいは次期改定に向けての検討につきましても、必要に応じて、関連学会等の各方面からの意見を聴取するということには努めていきたい、このように考えてございます。

三井委員 今も山井委員からありましたように、もっともっとやはり現場の声を聞いていただきたい、これはもう本当に切実な願いですね。

 まさに、事務的に処理するのではなくて、やはり、今言う有識者の意見も大事でしょうけれども、現場の意見もしっかりと聞いていただきたいということを特にお願い申し上げたいと思います。

 そこで、高齢者医療制度の創設に伴う広域連合の設立についてお伺いしたいと思います。

 これまで、国会審議の中で、七十五歳、つまり後期高齢者の独立した医療制度の運営でございますけれども、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合、財政責任と運営責任の双方を担う、実質的な保険者となることが明言されているわけでございます。しかし、本当にすべての広域連合が保険者として機能を十分に果たせるのか、私は極めて不確実であると思うわけでございます。そこで、その実効性を担保するための具体的な施策、体制づくり等が明確になっていないと、私はこれまでの審議をお聞きしてつくづく思うわけでございます。

 そこで、この広域連合の設立について、まず基本的なことですが、なぜこの広域連合を設立するのでしょうか。都道府県単位ですべての市町村が加入するのであれば、あえて広域連合をつくる必要がないのではないか。都道府県にゆだねればいいのではないか、新しい組織を立ち上げて、二重構造にして、わざわざお金をかけることはないだろう、あるいは財政負担を求めることも意味がないと思うわけでございますけれども、大臣の御答弁をお願い申し上げます。

川崎国務大臣 一つは、財政の安定化を図る側面から広域化を図る必要がある。逆を言えば、市町村、特に町村で、一つの母体でお年寄りの数がふえてやっていけるか、こういう問題がまずあるだろう。

 もう一つは、それでは県にやらせたらどうかということになりますけれども、県において住民に関する基礎情報、医療保険の事務処理に関するノウハウ、こうしたものがあるだろうか。

 そうしたことを考えますと、保険料徴収や各種申請の受け付け等の窓口業務については、住民に身近な行政主体として、住民情報を保有し、日ごろから地域住民に接している市町村が担うことがいいであろう。

 したがって、市町村と県、比較をいたしたときに、より身近な市町村の方がいいだろう。しかし、冒頭申し上げたように、町村では単独であればもたないことになってくるだろう、したがって、広域化を図らせていただいたということでございます。

 事務は市町村が行い、財政運営については全市町村が加入する広域連合を設立し当該広域連合が行うことにより、財政運営の広域化及び安定化、こうした視点で今回の結論に至った。かなりの御議論をいただいた中でここへ着陸した、このように思っております。

三井委員 そこで、この広域連合の設置について大臣からも御答弁いただいているわけですけれども、具体的な例を申し上げますと、介護保険における地域の市町村が設立した広域連合の運営ということを挙げられています。

 そこで、お尋ねしますけれども、介護保険では広域連合が設立できたにもかかわらず、すべてできたとは、それぞれ格差はありますけれども、これまでの市町村国保の中で、なぜ国保の中で広域連合の設立が進まなかったのか。福岡の例などありますが、仕組み上設立が進まない問題があったのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。

水田政府参考人 ただいま御指摘のありました、国民健康保険における広域連合でございますけれども、これは現在、大雪地区と空知中部、この二つにとどまっているわけでございます。

 国民健康保険におきまして広域連合の設置が進んでいない理由といたしましては、まず一つには、この広域連合につきましては、通例では保険者の自発的な取り組みによって設置されるものでございまして、財政的に余裕のある自治体が参加しない、こういう傾向があるのが一点。

 それからもう一つは、介護保険は平成十二年度から新たに開始されたわけでありますけれども、国民健康保険は従前から市町村単位で運営が行われてきたことがございますので、保険者間で保険料水準に差がある、あるいは保険料の賦課方式が違う、あるいは保険料とするか税とするか、こういったさまざまな違いがございまして、こういうことが要因でなかなか進まないということを考えてございます。

 特に、保険料水準に大きな差があるということにつきましては、広域連合の設置によって保険料が平準化されますと、一方で保険料の上昇が見込まれる地域も出てくるわけでございまして、そういった地域の地方議会あるいは住民の皆様の御理解が得られにくい、こういう問題があったんだろう、このように考えてございます。

 ただ、今回の改正によりまして、国民健康保険に、新たに都道府県単位で三十万円を超える医療費に係る給付費すべてを対象といたしまして、高額医療費の発生リスクの分散を図ります保険財政共同安定化事業というものを推進することとしてございます。医療費の適正化とあわせて、保険者間の保険料水準の平準化を進めまして、広域的な運営が進むように努めていきたい、このように考えてございます。

三井委員 時間もございませんので、次からまた少しスピードを上げて質問させていただきます。

 そこで、広域連合は地方自治法に基づく特別地方公共団体ということでありますから、ここに設置される議会の議員は、直接選挙かあるいは間接選挙かを各広域連合が選択して決めるということでありますね。そこで、議員の選出基準や人数あるいは構成等について、具体的にどうなるのか、またすべての市町村から議員を選出するのか。だとしますと、これは、北海道の例で申し上げますと百八十人の議員ということになるんですね。また、これは広域連合の議会に専従の議員ということはあり得るんでしょうか。御答弁願います。

水田政府参考人 広域連合の議員の選出基準あるいは人数についてのお尋ねでございますけれども、既に設立されている広域連合を見ますと、例えば、広域連合を構成する全市町村から議員を選出するという例がある一方で、県内をブロックに分けて、そこで議員を割り当てていく、そういったやり方をとっているところもございます。

 具体的にどうするかということでございますけれども、これは、やはり自治体としての広域連合におきまして、それぞれの議会の適正規模あるいは地域の事情ということを考慮して、広域連合の規約においてそれぞれ定めていただくということになろうかと考えてございます。

 この広域連合の議員につきまして、これまで設立されております介護保険の広域連合の例を見ますと、市町村議会の議員あるいは市町村長から選出されているわけでありますけれども、この規約におきまして被選挙権を市町村議会議員等に限定しないということも可能でございまして、その場合には、広域連合の議会に専従の議員が選出されるということもあり得るものと考えてございます。

三井委員 専従の議員はあり得るということでございますね、局長。わかりました。

 そこで、広域連合の事務局について、再度お尋ねいたしたいと思います。私が、四月二十一日の委員会で、事務局はどこが担うかという問いに対して、水田保険局長は、基本的に独自の事務所、職員を有するわけだが、これまで設立された介護保険広域連合の例を見ると、構成市町村からの出向職員または独自採用した職員で組織されると答弁されているわけでございます。

 具体的な構想はどうなるかと思っていたところですが、先日、私の質問を報道していた国保新聞を読みましたら、同じ紙面に、広域連合準備委員会の設立に向けて国保連は早期に積極的な関与をと理事長さんの情勢報告が大きく載っているわけです。なおかつ、後期高齢者医療制度の審査支払い業務は国保連になると思うが、委託先は広域連合が決めることから、国保連は広域連合の準備段階から積極的に関与せよと号令をかけているんですね。審査支払い業務のことまで言及しているわけです。

 そこで、審査支払い業務は、国保連だけじゃありません、民間法人化した社会保険診療報酬支払基金もあります。新しい組織の公平公正がこういうことで保たれるのか。私は、国保連のよしあしを言っているんじゃなくて、国会の答弁ははぐらかしているのではないか、こういう実態を先行させているんじゃないかということを思うわけでございます。実は私もこれを読んでびっくりしたわけですけれども、多田理事長さんがここでこういうことをおっしゃっているわけです。これについて、水田局長、御答弁願います。

水田政府参考人 広域連合の事務局のあり方についてでございますけれども、これにつきましては、前回も御答弁申し上げましたとおり、広域連合は一つの地方公共団体でございまして、広域連合長などの執行機関、それから広域連合独自の事務所及び職員を有することになるわけでございます。

 具体的なこれまでの例を見ますと、構成市町村からの出向職員あるいは独自採用の職員によって組織されているということでございますけれども、いずれにしても、具体的な事務処理体制につきましては、その審査支払い業務も含めまして、各広域連合におきまして今後検討していくということになるものと考えてございます。

 審査支払い事務の委託先をどうするかといった国保連との関係につきましても、これは各広域連合において判断すべきものと考えてございます。

 ただ、御指摘のありました記事についてでございますけれども、これにつきましては、国保中央会の理事長さんの、高齢者医療制度に関する国保連あるいは国保中央会としての期待を込めた独自の見解である、このように承知をしているところでございます。

三井委員 期待を込めた、どうもそういうぐあいに解釈できないんですね。ここで、「法案の成立が六月中と言われるなか、法案の成立を待って広域連合準備委員会の設置に向けた検討をしていたのでは時間的に間に合わないことは明らかだ。」こういうぐあいにおっしゃっているわけですよ。ですから、私は、いつも申し上げるんですけれども、政省令なんかもそうです。以前阿部委員、いらっしゃいませんけれども、いつも眼鏡のフレームだけ議論されて、レンズの部分については全く議論されないというのは、いつも消化不良を起こしているというのが、今まで私はこの委員会に約五年九カ月所属して思うことであります。

 ですから、私は、少なくともこれから、これは大臣御存じだと思いますけれども、議運でも政省令についてはなるべく出すようにと、出さない限りこれは審議はできないということも実は提案してございまして、これから政省令事項というのはやはり出していただくということでなければ全く議論できないということでございますので、もっと丁寧にわかりやすく説明していただくことを申し置きしておきます。

 そこで、次に保険者間の協議についてですけれども、これもやはり四月二十一日の私の質問に対して、保険者間の協議について水田保険局長はこのように述べられているんですね。

 保険者間の協議につきましては、後期高齢者医療制度の運営に関して支援金を負担する各医療保険者が意見を述べるだけではなくて、先ほど申し上げました保健事業のような面につきましては、むしろ後期高齢者医療制度が現役の制度に対して意見を述べる、こういうこともあろうかと考えてございます。いわば双方向の議論の場というふうに考えておりまして、こうした場としては、やはりこういった協議会という形が適当なのではなかろうかと考えてございます。

こうおっしゃっているわけです。

 そこで、各保険者間で医療費の適正化の観点から、保健事業のあり方等について連携を図るために話し合う場としては、後期高齢者医療制度の側からも意見を述べられるような協議会が適当であるという趣旨は、私も理解できますが、しかし、保険料の設定を初めとする財政運営について、後期高齢者医療制度の側から現役の医療制度には財政支出はあり得ませんが、現役側からは支援金を拠出するわけであります、こういうぐあいに思うわけです。そこで、全体の医療給付費総額、そして保険料はどうなるのかという議論になるわけですから、この議論で決定する場へ財政運営の四割以上を負担する現役保険者を参画させるべきではないかと私は思うわけです。

 そこで、実際に四割以上を負担する現役保険者が参加すれば、また同様に、実際に保険料を負担する側、七十五歳以上の後期高齢者についても議会の構成メンバーに入るべきだというぐあいに思いますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 委員御指摘のとおり、後期高齢者医療制度の財政につきましては、高齢者自身の保険料のほかに、医療保険者からの支援金それから公費によって賄う制度でございますので、被保険者である後期高齢者はもとより、費用を負担する医療保険者、あるいは地方自治体等の納得と理解を得ながら制度を運営していくことが必要であると考えてございます。

 このため、今回の改革におきましては、各都道府県、これは全国でもう既に設置されておりますけれども、医療保険者等によって構成される保険者協議会におきまして、新たに高齢者医療制度の運営あるいは医療費適正化に関する保険者間の連絡調整を行うことを考えてみたらどうかということを考えているわけであります。

 その際、特に高齢者医療制度における医療保険者の関与のあり方、これは委員の御指摘の点でございますけれども、これは課題として認識をしてございまして、例えば、具体の姿といたしましては、この保険者協議会の枠内におきまして、高齢者医療制度の運営に関して協議の場を設けることなども考えられるわけでございます。

 いずれにいたしましても、具体的なこういった協議の場のあり方につきましては、今後、関係者と相談しながら検討していきたいというふうに考えてございます。

 次に御質問のありました、七十五歳以上のこういった後期高齢者の方々自身の参画ということでございますけれども、これは、まず、広域連合の議会の構成員につきましては、先ほど申し上げましたように、各広域連合が、地域の実情も踏まえながら、規約におきまして被選挙権を含めて決めるわけでございます。そこの規約による決定というものを待たなきゃならないわけでありますが、いずれにいたしましても、こういった広域連合におきまして、七十五歳以上の被保険者の方々の意見も踏まえながら運営が行われるべきものと考えてございます。

三井委員 今も御答弁ありましたように、七十五歳以上の方の御意見も聞いて、そしてやはり、何度も申し上げますけれども、平準化した、わかりやすいということでおっしゃるのであれば、ぜひとも御検討をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、保険者協議会と広域連合の関係についてお伺いいたします。

 まず、保険者協議会の設置は平成十五年の三月に閣議決定されているわけでございますけれども、政府の基本方針の基本的な考え方がここに盛り込まれております。これに基づいて各都道府県が取り組みを進めてきたわけですけれども、現在どの程度設置されているのか、あるいは都道府県における設置状況を確認したいと思います。

 また、既に設置されている都道府県においてはこの保険者協議会はどのような機能を果たしているのか。あるいは保険医療財政や運営の面でどのような効果を上げているのか。

 また、広域連合との関係について、この既存の保険者協議会に広域連合が保険者として新たに加わることはよいのか。あるいは、この保険者協議会と広域連合との関係についてわかりやすく説明していただきたいと思います。

水田政府参考人 まず、保険者協議会の設置状況についてでございますけれども、平成十六年度に宮崎県と新潟県で先行して設置をされたわけでございます。その後、平成十八年一月をもちまして全都道府県において設置をされたところでございます。今後といたしましては、広域連合も保険者としてこの協議会に参加をすることになろうかと考えてございます。

 この保険者協議会の活動でございますけれども、現在は、保険者間の保健事業等の共同実施、あるいは保険者間における意見調整等でございまして、保険者間の連携協力を円滑に行うということで、引き続き事業内容の充実を図っていくこととしてございます。

 今後は、これに加えまして、先ほど申し上げましたとおり、高齢者医療制度の運営というような面も含めまして、協議の場ということを設けるかどうか、これは実はまだこれからの、今後、関係者と相談しながらでございますけれども、こういった事柄につきましても検討を進めていきたい、このように考えてございます。

三井委員 どうもありがとうございました。

 いずれにしましても、私が今回質問した問題についてはぜひとも前向きに御検討いただいて、いい制度にしていただくことを特にお願い申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

岸田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、政府提出法案の財政的な部分について質問をしていきたいというふうに思っています。

 民主党は、医療の質の方、満足感の方、安心感、納得感の方を大きなテーマとし、そして政府案は、将来推計、目安だと言っていますが、二〇二五年の医療費を抑制することを大きな柱の一つとされています。

 抑制をするための二つの大きな柱は、一つは、生活習慣病を予防し、そして医療費を抑制していく。生活習慣病を予防していくためには、健診や保健指導を通じて医療費を抑制していく、これが一つの柱だと理解しています。もう一つが、療養型病床を廃止し、さらに平均在院日数を短縮していくことで、医療費をこちらで四兆円削減していく。そして、先ほどの生活習慣病対策で二兆円の医療費を削減し、合わせて六兆円の医療費を削減していくというのがこの医療財政計画の大きな二つの柱だと理解しておりますが、まず、大臣、これで認識は正しいでしょうか。

川崎国務大臣 短期的と長期的に分けてありますけれども、長期的ということになれば、そういうことになると思います。

岡本(充)委員 それでは、まずその一つ目の柱であります生活習慣病対策から質問をしていきたいと思います。

 生活習慣病対策ということで、今回提出をされております政府案の中には、保健指導、健診などを通じてのメタボリックシンドロームの改善、もしくはそれを通じて糖尿病や高脂血症、そして高血圧症などを抑制して、最終的には医療費を下げようじゃないか、こういうストーリーを考えていると認識をしています。

 このストーリーで考え方として正しいのでしょうか。これで二兆円を下げるということで正しいのでしょうか。御答弁を求めます。

水田政府参考人 健診と保健指導の実施によりまして、二〇二五年度におきまして二兆円適正化が図れるという判断でございます。

岡本(充)委員 まず、そもそも健診と保健指導を通じてメタボリックシンドロームを減らしていこうという考えの中で、このメタボリックシンドロームというのは、今回の長期的、二〇二五年の医療費抑制の一つの大きな柱だと理解しておりますが、どのような概念で日本でメタボリックシンドロームなるものができたのか、これについて少し私の知っている範囲でお話をさせていただきたいと思います。

 これは日本における学会からのコンセンサスによりできた概念であり、そして、この名称は既に診療上では病名として認められて、今カルテ上に病名として記載をされている患者さんもみえると思います。

 このメタボリックシンドロームなるものが減ることで医療費が抑制をされる、これが二兆円の大きな柱であるというふうに理解をしているわけなんですが、この理解で正しいのでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 この内臓脂肪症候群、メタボリックシンドロームでございますけれども、これに着目した健診それから保健指導を効果的、効率的に実施することによりまして、糖尿病あるいは高血圧症などの発症を予防する、さらには脳卒中あるいは心筋梗塞などへの重症化も予防する、そのことが可能である結果として、医療費の適正化が図られるもの、このように考えてございます。

岡本(充)委員 そうしますと、どういう根拠で医療費が抑制をされるのか。結局のところ、私が調べた範囲、またきのうからお伺いをしている範囲では、実際に医療費が抑制をされるというデータがないのではないかというふうに私は考えています。メタボリックシンドロームの基準については、これもまた議論のあるところですが、まずは、どうしてメタボリックシンドロームで医療費が下がるのか、そういう根拠のあるデータ、どういうものがあるのか、お示しをいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 統計学的に見て厳密な分析まで行われたものではございませんけれども、昨年十月に公表されました調査研究によりますと、三重県の政管健保の被保険者約二千八百人を対象に調べましたところ、肥満、血圧、脂質、血糖の四項目の健診結果に異常が多かった人ほど、十年後の患者一人当たりの医療費が高くなり、その中でも、四項目すべてに異常があった人は、異常が全くなかった人に比べて約三倍の医療費になったという結果が出てございます。

 少なくとも、定性的には生活習慣病のリスク要因を減らすことが医療費の減少につながると言えるものでございます。

岡本(充)委員 私は、恐らく二千八百人、非常に少ない数を調べているんだと思いますよ。

 皆さんのお手元にお配りをした資料の三ページ目をごらんいただくとわかるんですが、これは、つい先日、ゴールデンウイーク中に厚生労働省は幾つか情報を提供されまして、御苦労なことでございますけれども、新聞に載りました。喫煙と肥満と運動不足が重なると四割も医療費が高くなる。だから医療費は高くなるんだと一つの根拠になり得る東北大学の教授の九年間にわたる、これこそ二千人程度ではない、万の単位で調べられたデータであります。

 これで比べると、最後の四番を見てください。確かに三つともそろっている人は高い。しかし、喫煙というのはメタボリックシンドロームとは関係がない話です。肥満と肥満じゃない人だけを単純に比べると、一・〇七倍です。

 表の二を見てください。男性、BMIで比較をして、医療費はどうですか。二二の人が必ずしも一番安いのかどうかということは、下にある信頼区間というところを見ればわかるんですが、二万一千七百八十八円から二万七千五百二十三円。その一方で、例えば二三から二四・九だと、二万六千百九十四円から三万一千八百十九円。女性の場合ですと、二一から二二・九の人は一万七千四百六十三円から二万六十円、二三・〇から二四・九の人は一万七千四百九十二円から二万二十九円。これは、BMIがふえても全然医療費はふえていない、こういうことを示しているわけなんですね。

 その一方で、確かに喫煙の方はどうやらかなり関係がありそうだということがわかっています。表の一の方を見ると、例えば男性、生涯非喫煙と、現在もしくは過去に喫煙をしていたことのある人の医療費、これは確かに違っています。有意差を持って違っている。女性の方はどうかというと、有意差こそぎりぎり出ていないものの、かなり金額に差が出ています。喫煙こそが医療費を下げるという根拠が、これは厚生労働省の研究班の班会議で出ているんじゃないですか。なぜそれを、喫煙と組み合わせて、あたかも肥満で医療費は高くなるんだ、こういう根拠を出してくるのか。しかも、わざわざ二千人のデータをこの二万人以上のデータを覆すためのデータとして出すとすれば、これは科学的におかしい話になります。

 改めて聞きます。肥満で医療費が高くなる、メタボリックシンドロームで医療費が高くなるというデータが、世界じゅう探してどこかにあるのか、お答えをいただきたい。

岸田委員長 答弁はどなたにお願いしましょうか。水田保険局長。(発言する者あり)

水田政府参考人 ちょっと前裁きで一言、私の知っている限りで申したいと思いますけれども……

岸田委員長 水田局長、ちょっとマイクを近づけて、マイクに声を乗っけてください。

水田政府参考人 ただいま委員が御指摘になりました資料は、肥満ということと喫煙ということ、肥満に着目したものであって、血圧、血糖、高脂血、こういったことも含めて検討したものじゃない、このように理解しております。

岡本(充)委員 そうじゃないんです、私が聞いているのは。メタボリックシンドロームでもいいですよ、では医療費が上がるというデータがあるんですか、局長。

水田政府参考人 これは、先ほど申し上げました三重県で二千八百人、十年間のフォロー、健診結果と医療費の関係をフォローした調査、これによって判断をしているところでございます。

岡本(充)委員 それは何できのうの段階で出さないんですか。今議論できないじゃないですか、資料としてなければ。これはきのうの段階で出すべきだったんですよ、それがあるのなら。

水田政府参考人 まず、そのデータは、昨年十月にこれは公表して、新聞にも出ております。それから、私どもの、昨年十月二十三日に出しました医療構造改革試案でも出しております。それから、現物は、たしか委員にお渡ししているんじゃないかと思いますけれども。

岡本(充)委員 私はもらっていませんけれども。

 何を言うかというと、その中で、二千八百人という数字で、これで出ているように、肥満が一つの大きなメタボリックシンドロームの要素なんです。肥満であってメタボリックシンドロームでない人はわずか一割程度だ、そういうふうに厚生労働省から話を聞いています。ほとんど九割の人は、肥満があればメタボリックシンドローム疑いもしくはメタボリックシンドロームだと診断をされる。その中で、肥満があっても差が出ないという話になっている、その残りの一割の人の議論をしているんじゃない。九割の人は肥満があればメタボリックシンドロームだと言っているんでしょう。だとすれば、肥満で差がなければ、このメタボリックシンドロームで医療費、九割の人、下がらないじゃないですか。そこについてはどう答弁されるんですか。

 もっと言えば、私、その十年前のデータを知りませんが、十年前にまだメタボリックシンドロームなる概念がない中で、今で言うメタボリックシンドロームのクライテリアでちゃんとそのデータが出ているのであれば、それは驚きです。恐らくそのときにはメタボリックシンドロームなる概念がない。だから、当然、メタボリックシンドロームで医療費が下がるというデータであるはずがない。明確に答弁を求めます。

水田政府参考人 ただいま申し上げました政府管掌健康保険におきます調査研究、これは、いわゆるメタボリックシンドロームということではございませんで、BMIと血圧と脂質と代謝系、この四つの検査項目につきまして、リスクの数とその十年後の医療費の水準というものを調査したものでございます。

岡本(充)委員 では違うじゃないですか。メタボリックシンドロームで医療費が上がるという根拠があるのかと聞いているんです。そうしたら、ないと答えるべきだ。

水田政府参考人 ですから、その当時はメタボリックシンドロームという概念はなかったかもしれませんけれども、後から振り返ってみますと、これはいわゆるメタボリックシンドロームが該当するのではないか、このように考えているわけでございます。

岡本(充)委員 その診断基準は全く一緒なんですか。そのクライテリアで言う、例えば肥満の程度、例えば血圧の数値、それから代謝異常、全部このメタボリックシンドロームの数値と合致するんですか。

水田政府参考人 この調査におきましては、例えば肥満という点ではBMIを使っております。したがって、そのBMIと腹回りのサイズ、そのサイズをどういうふうに変換するかとか、そういった問題点がございます。

 それから、血圧、脂質それぞれにつきましても、この調査研究そのものの独自の判断基準を設けているわけでございまして、多少違いはあるかもしれませんけれども、ただ、大きな傾向としては判断できるんじゃないか、このように考えております。

岡本(充)委員 大きな傾向って、二千人でこれは大きな傾向として言えるのか。

 もっと言えば、米国のシンクタンク、ランド研究所が発表した二〇三〇年までの推計医療費に関する論文で、例えば、これらが掲載されているヘルスアフェアーズという雑誌、二〇〇五年の二十四巻で、序文でこう書いてある。高齢者の健康状態の改善は医療費の削減だけでなく増加をもたらすという話も出ているぐらいで、必ずしも、メタボリックシンドロームが改善し高齢者が元気になる、年をとっても元気でいるからといって、医療費が低くならないんじゃないかという研究は世界じゅうで出ているわけですね。

 メタボリックシンドロームで医療費が下がるという明確な研究がまだないということは今局長もお認めになられたとおりで、厳格な意味でメタボリックシンドロームとしての医療費の研究、後からでも探せるはずなんです、後ろ向きのスタディーもできるけれども、まだされていない。それにもかかわらず、この医療費が下がるというストーリーがどこからやってきたのか。大体、二五%、生活習慣病が減るということだって、この二五というのはあくまで目標ですとは言うけれども、根拠がないじゃないですか。

 そもそもメタボリックシンドロームなる診断基準についても私は大変疑念を持っています。これは、確かに簡便に生活習慣病の発症予防を、抑制しようという目的でつくられたことは認めます。

 二〇〇六年の五月のディアベティックメディスン、これは代謝系の雑誌では世界で一番権威がある雑誌です、皆さん御存じのとおり。これの五月号、今月号に出ている。何て書いてあるか。この中で、世界各国でメタボリックシンドロームの診断基準は差があって、そして新しいものをつくっていかなきゃいけない。その中で、日本は残念ながらこんなことまで書かれている。例えばヨーロッパ、シンガポール、中国、こういったところの診断基準と、日本の診断基準は残念ながらまだ不十分であって、さらに追加的なデータがなければメタボリックシンドロームの診断基準もままならないと書いてある。

 ここはどういうふうに理解をするかというと、日本のメタボリックシンドロームの基準である、例えば男性は腹囲八十五センチ、女性は九十センチ、これより大きい場合、まずこれが第一段階に入ってくる診断基準なんです、皆さんにお配りした一枚目を見てください。これがまず満たされた場合というところからスタートするんですが、世界各国ほかを見ても、例えばヨーロッパは、男性九十四センチ、女性は八十センチ、シンガポールを中心にする東南アジアは、男性が九十センチ、女性が八十センチ、中国は、男性が九十センチ、女性が八十センチ、日本は、男性が八十五センチ、女性が九十センチで、日本だけが女性が太いというところも驚きなんですが、それだけでなく、追加として書かれてしまった、日本はもっと調べるべきだと。

 こんなことを書かれていて、これを診断基準ですといって大上段に構えるということが本当に厚生労働省として確立をされているという上での今回の立案なのか、私は大変に疑問に思うわけです。

 そもそも、なぜこれが日本だけが男性八十五センチで女性九十センチになったんですか。調べた人数が少ないんでしょう。どうですか。

中島政府参考人 日本のメタボリックシンドロームの診断基準につきましては、これは世界の診断基準の状況も十分勘案した上で、内科系八学会で議論をした上、日本のデータに基づいて算定をしたものでございます。

 その根拠となりますのは、内臓脂肪、腹腔内の脂肪ということで、この量を、我が国では腹部CTのデータが他国に比べて豊富にございますので、これに基づいて腹腔脂肪が面積にして百平方センチ以上というところで線を引きましたところ、このような数値になったというふうに理解をしております。

岡本(充)委員 何人調べたんですか。私が調べたところ、日本肥満学会の論文では、男性五百五十四人、女性は百九十四人分調べたと書いてある。えらく差がありますね、男女差に。これではサンプル数として、今局長は豊富にあると言われた、豊富に調べたと言えないじゃないですか。

中島政府参考人 サンプルの数がこれで十分かどうかという問題につきましては、これは八学会の代表の先生方が御議論いただいたので、それなりに十分検証にたえるものという御判断をされたと理解しておりますが、さらに多数のデータによって別の所見が得られるようであれば、関係学会ともこの基準について再度検討することにやぶさかではないというふうにも聞いておりますので、現時点においてはこれで十分ではないかと理解をしております。

岡本(充)委員 私もやぶさかでないと聞いている。しかも、今月の、最新のディアベティックメディスンに、日本はもっと調べるべきだと書かれてしまった。それをもとに医療費が下がる、これをもとに今後糖尿病が予防できる、さらに言えば、生活習慣病が二五%減るという話自体が土台からおかしいじゃないですか。土台がおかしい上に幾ら立派なものをつくっても、二兆円減らすという話にならない。

 もっと言えば、あそこで一生懸命見ている人がいるから言うけれども、私は、一番重要なのは、医療費をもし本当に減らそうと思えば、やはり喫煙ですよ、喫煙。喫煙対策を盛り込む、喫煙指導をする、一体これは何%減らすつもりなんですか。どれだけの人が喫煙をやめるんですか。ちょっとお答えいただけますか。

中島政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、たばこが健康に悪影響を与えるということにつきましては既に明らかとなってございまして、がん、循環器病等の生活習慣病を予防する上で、たばこ対策は大変に重要な柱であると認識しております。

 このため、厚生労働省といたしましては、健康日本21において、喫煙が及ぼす健康影響についての知識の普及、未成年者の喫煙防止、受動喫煙の防止等について目標を設定し、たばこ対策を進めてきているところでございます。

 御指摘の喫煙率の目標設定につきましては、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の議論におきまして、喫煙率低下の目標を設定すべきという御意見がある一方で、喫煙については個人の自己責任であるといったさまざまな御意見もあることから、今後、部会等におきます議論を踏まえ、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 喫煙は自己責任だったら、ウエストの太さは自己責任じゃないのか。ウエストの太さが自己責任でなくて、喫煙が自己責任だという根拠は何なんですか。

中島政府参考人 基本的には、たばこについても肥満についても、自己責任の部分はあると思います。その上で、先ほどのは、これから削減をしていく目標ということで数値を定めているということでございます。

岡本(充)委員 ちょっと待ってくださいよ。たばこは自己責任だということもあるから、目標値を設定しないという結論に至ったわけだね、意見があって。だとすれば、メタボリックシンドロームだって自己責任なんだから、同様に、こんなもの、数値を目標にして生活習慣病を二五%削減させるという話自体が成り立たないじゃないですか。喫煙は目標値を設定できないけれども、何でメタボリックシンドロームで生活習慣病を減らすということだけは数字の目標が設定できるんですか。その答弁になっていない。

中島政府参考人 先ほど申しましたように、たばこについては、そういった基本的な考え方のもと、先ほど御紹介した審議会の部会において、いろいろ議論をして、その中でこういった結論が得られて、さらに検討ということになっているということでございます。

 一方、メタボリックシンドロームについては、こういった考え方をお示ししておりますけれども、この部会等でも御議論いただいておりますが、これについて、特段、この設定がおかしいのではないかとかいう御意見は今のところいただいていないということでございます。

岡本(充)委員 それはどちらも自己責任の世界であると今局長みずからお認めになられたけれども、これはどちらも同じことなんだよ。確かに個人の嗜好の部分も大きいわけですから、それに対して国が関与をしていくということが本当に個人の幸せなのかどうかという究極的な話にも僕は結びつくと思うんですよ。

 たばこを吸わせなくしたら、個人が幸せなのか。ハムスターみたいに一生懸命運動させたら、これで人間は幸せになるんですか。一日一時間以上運動しなきゃ、これは差が出ない、このコーホートで差が出ないとなっている。私がきょう出した三ページ目の表三、皆さん、見てください。男性で医療費が下がってくるのは、一日一時間以上運動しなきゃいけないんですよ。一日一時間、大変ですよ、毎日毎日。こうしなければ差が出ない、三十分ぐらい歩いたんじゃ差が出ないと書いている。ということを思えば、本当にこれをすることが個人の幸せになるのか。究極的な話をすれば、そういう問題になる。

 大臣、ここまで聞かれて、それ、幸せですか。

川崎国務大臣 私は、多分それが実行できたら幸せだったんだろうと思いますね。

 この間の御質問に出ましたザイロリック、私は三十歳からだから二十八年間飲み続けているんですよ。当時お医者さんに、やせなさい、しかし、あなたの職業でやせられますか。私の選挙運動、初めから飲まないと言っていればよかったんだけれども、お酒飲めますと言っちゃったものだから、地元で酒飲まないと選挙運動になりませんと言ったら、だったら薬飲むより仕方ないねと言って、二十八年間薬を飲み続けている。そのとき、お医者さんの言うことを聞いて、しっかり運動してやせていれば薬漬けにならなかったな、こう思いながら、あと何十年飲み続けるのかな、こんな思いをしています。

 そんな私の経験からすれば、やはり、アドバイスを受けて、あのとききちっとしておけばよかったなと。そういう意味では、自己責任ではありますけれども、やはり太り過ぎなり運動不足というのはいい方向ではないということだけは私は断言していいんだろう、こう思います。

岡本(充)委員 続いて、ちょっと今医療費の話になったから少し言わせていただきますが、私、本当にまじめに医療費を削減しようと思うなら、きのうもちょっとある人に言ったけれども、たばこももちろんそう。それからもう一つは、今大臣が言われた、では、どういう数値になったらザイロリックやめられると聞いていますか。大臣、どう聞いていますか。

川崎国務大臣 余り個人のことを言いたくないんですけれどもね。

 正直言って、薬は飲み続けている一方で、内臓脂肪等が相当多くなっちゃって、ほかの部分にもかなり悪い部分が出ていますね。したがって、薬は飲んで……(発言する者あり)いや、だって、薬は痛風の薬だから違いますよ、あなた。よく聞いてください。それは先生が一番よくわかっている。尿酸値の問題ですから。それはずっと六以下におさまっています。薬を飲み続けていますからね。しかし、私、兄弟がおりまして、兄弟で、飲んだり飲まなかったりだから、兄貴は正直言って発作がたまに出るんですね。私は飲み続けたから、そういうものは出なかった。薬の効果というのは多分出ているんだろう。

 しかし、一方で、本当は体重を減らしてきちっとしておけば、そんな発作もないし、尿酸値も上がらないし、かつ、他の臓器に影響も来していなかったのだろうなと思います。そういう意味では、運動をもう少ししておけばよかったな、こう反省しています。

岡本(充)委員 一日一時間、普通のサラリーマンが運動するというのはなかなか難しいんですよ。役所の皆さんも思うでしょう。きのう何時に皆さん帰られたか知らない、私と一緒に遅くまで皆さんつき合った。あの後、一時間歩いて帰ろうと、大変だよ。本当にそう思います、皆さん笑われるけれども。

 それで、私は、今の話で大臣が、だろうと思いますと言った。これは、だろうと思いますじゃなくて、厚生省がやはりその指針を出すべきだ。どこまで飲んだらやめてみえるのか、血圧の薬は一生飲まなきゃいけないのか、これについての基準が全くない、現場においても。だから、結局、処方し始めれば、私は一生ですかと言われますよね。この中で、病院で勤めてみえる方も何人かみえるから御存じでしょうけれども、一生ですかと言われる。ずっと飲み続けなきゃいけないのかどうか、どこかで中断できる何か基準があるのかないのか。そうしなければ、漫然とずっと続く可能性もある。やはり、この部分がもう一つの生活習慣病対策になってくるんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 厚生労働省として、生活習慣病対策の治療薬、一体どこでこの中断が可能か、中止が可能かということについての科学的データを出すための研究をしていく、そんな御意思はないでしょうか。お答えいただきたいと思います。

松谷政府参考人 科学的根拠に基づく医療というのは大変大切なことだということは、医学界でも最近特に言われているところでございます。

 薬の治療等についても、世界各国で、日本も含めまして、いろいろな論文が出ています。論文の信頼性というものについてもいろいろなレベルがございます。権威の人がこれはこうだと言ったようなレベルから、本当に、先生おっしゃるように、多数の症例を集めて、前向きに症例検討したような研究もございます。そのようなものをすべてきちんと精査して、改めてそれをエビデンスに基づいたものとしてやるというような作業も最近行われているというふうに伺っておりますし、私どももそれを支援しているという状況でございます。

 厚生労働省としても、そういう情報を得ながら、必要なものについてはガイドライン等も作成支援をしながら進めているという状況にございます。

岡本(充)委員 学会のガイドラインだけに頼っていてはいけないんじゃないかということは、前から私は皆さんにお話をしているところです、この委員会でも。この話をしていても時間がたっちゃうから、また別の機会にやりたいと思います。

 四枚目を見てください。こちらの方で、改めてもう一度確認をしたい。

 今、志摩ですか、伊勢市ですか、どこかで調べたという話で、恐らく先ほどの局長が言われた話はこの話をしているのかなと私は思ったんですけれども、この四番目、BMI、血圧、脂質、代謝系、それぞれについて比較をしてみた。これでしょう、局長が言われていたのは。

水田政府参考人 この資料のことでございます。

岡本(充)委員 さっきの根拠がなかったこと、皆さん、今からお示ししますよ。局長はこれで医療費が下がると言った。

 見てください。どうですか。例えば、BMIで指導区分一、一八・五から二四・九、上を見てくださいね、異常なしと言われるところ、そして、二五以上、こういうところと比べて、これで若干は上がっているように見えるけれども、本当にこれで有意差があるのか。有意差が出されていません。

 もっと言えば、例えばその下、脂質を見てください。これも、必ずしも異常なしが医療費が一番安いわけではない。医療費が安いのは、むしろ軽度異常の方が安かったりする。代謝系の異常を見てください。代謝系の異常も、指導区分三、いわゆる要経過観察と言われる、血糖値が百十から百十五よりも、血糖値が百十六から百二十五の要精密検査の方が医療費はぐっと安いんですよ。

 今、局長はこれをもとに医療費が高くなるんだと言われたけれども、単品を見たら必ずしも高くなるわけではない。四つ、この前にデータがあった、四つ全部そろえば医療費は上がるけれども、一つや二つ重なったって医療費が上がるわけではないというデータが出ているんです。

 局長が言われたのは、メタボリックシンドローム、二つですよ、二つの項目が合致すれば医療費が高くなるという根拠に、四つそろった場合には医療費は高くなるというこのデータでごまかそうとしたじゃないですか。これは医療費が安くなっていないということを今皆さんにお示しをしました。御答弁をいただきたい。

水田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、先生御指摘のとおり、この調査につきましては、母数が二千八百名という限られた客体数に基づく調査結果でございます。したがいまして、今お示しになったこのグラフは、指導区分ごとに細分化したものでございますけれども、これを細分化せずに異常のありなしで区分した場合には、異常が全くない人と異常が四つある人を比べると、医療費には三倍の差があるということもございます。

 それから、もう一つ、四検査項目ごとのリスクの有無別に見た場合でも、いずれについても、リスクがある方の医療費が高くなっているという分析がこの調査報告において結論として述べられているところでございます。

岡本(充)委員 私が言っているのは、四つ全部そろえばそれはそうかもしれない。でも、メタボリックシンドロームは四つ全部ある必要がないんですよ。四つ全部ある必要ないんです。最初のところの診断基準を見てください。内臓脂肪蓄積、あと、脂質異常、高血圧、高血糖、これは海外とちょっと実態が違うけれども、このうちの二つあればもう確定なんですよ。四つじゃないんだ。それでも医療費が高くなるのかどうかはっきりしない。

 そしてまた、あげくの果てには、局長、今度はこう言った。客体数が少ないからその部分については不確定な部分があると言った。さっきは、二千八百でいいと言うておいて、今度は数が少ないからあやふやだ。これではさっきの話と違うじゃないですか。いいときには、客体数が少ないからちょっとデータとしてどうかというところもあるけれども、だけれども、その一方で、二千八百調べましたと言ってさっきは胸を張られた。これでは、二千八百という数字をいいように解釈しているだけじゃないですか。

 根拠がないこと、今、皆さんのもとに明らかになりました。二兆円の削減、これは全く根拠がない。これでもし二兆円の削減ができなかったときは、だれが責任とるんですか。

水田政府参考人 これにつきましては、まず、全体の医療費の見通しを立てる中で、それについてこれだけの効果があるだろうということで、目安としてお示ししたわけであります。

 そのときに、御説明申し上げましたように、目安として立てた上で、具体的には、これは二〇二五年というよりは、もう少し近い五年ごとの医療費適正化計画の中で行われるわけでありますけれども、それについてまず目安を立て、さらにそれに向かって努力をして、それができなかった場合にはできなかった要因を分析して、その目安が正しかったのかどうか、方法論が誤っていたのかどうか、努力が足りなかったのかどうか、そういった点を検討して、さらに次なる努力につなげていく、こういうプロセスを定めたものでありますので、責任というか、それがずれた場合どうするかということも含んだ概念として、医療費適正化計画を提案しているつもりでございます。

岡本(充)委員 責任を逃れているじゃないですか。責任逃れですよ、それは。これは、まさか、医療費が下がらなかったからといって、いわゆる都道府県ごとに保険者にペナルティーを科して、都道府県単位の広域連合にペナルティーを科して、診療報酬は普通は一点十円だ、それを、あなたの都道府県は、例えば愛知県はペナルティーだから一点九円だよ。こういうような形で、医療費適正化計画からずれてしまった、医療費が減らなかった都道府県にペナルティーを科すなんということはないでしょうね。

水田政府参考人 ただいま診療報酬の特例のことについて委員申されましたけれども、単純にペナルティーを科すというようなことは考えておりません。

 例えば、平均在院日数が短くならない、その場合には、在宅医療が進まないということであれば、やはり在宅医療のところにつきまして所要の措置をとる。そういった目的達成のために有用な事柄につきまして、これは地方とも相談し、また専門家の間でも検討した上で決めていくということでございまして、一方的にペナルティーを科すというようなものではございません。

岡本(充)委員 でも、今の話では、最終的に診療報酬が下がることで、医療費適正化計画に沿えなかった都道府県の医療機関は診療報酬が下がるということになる。これでは、私は、とてもじゃないけれども、責任は自分にない、医療費が適正化できなかったときにはその責任は医療機関が負え、こういうふうにしか聞こえないんです。これは私はおかしい、そう言っているわけですね。

 ちょっと時間がないから、もう一つの柱。四兆円減らすという柱の、いわゆる平均在院日数を短くする話をしたいと思います。

 いただいた資料をいろいろ見ました。長野県のようなモデルにして、今の日本の平均在院日数三十六日を二十七日に減らすと言った。長野県は、今、いろいろデータを調べたところ、もう既に、医療型療養病床を含めて、療養病床の人口十万人当たりの数をかなり少なくしています。全国平均が十万人当たり三百のところを、既に長野県は百八十ぐらいにしている。つまり、これで既に六割ぐらい、四割削減しているんですね。六割に減らしたけれども、実は、長野県の老人医療費は、全国平均と比べて一人当たり七七・五%にしか減っていない。つまり、療養病床を六割まで、四割減らしても、一人当たりの医療費は七七・五%、およそ八割にしか減らなかった。これが今の長野のモデルだと私はきのう聞かされました。

 ということは、療養病床を削減して平均在院日数は短くなっても、しかしながら、医療費が本当に下がるのかどうか怪しいんじゃないか、そう思って計算した。皆さん、計算機ないでしょうから、ちょっとここから先はわかる方だけ暗算で。

 大臣、今お話をしましたけれども、ちょっと数学の話になります。

 三十六・三日の平均在院日数、全国百六十万ベッド、これから療養型病床の平均在院日数百七十二・六日掛ける十万ベッド、療養病床を十万ベッド減らす。そうすると、百五十万で割ると、平均在院日数はこれで二十七日になります。つまり、療養病床を十万床減らすだけで理論上は平均在院日数三十六日が二十七日になる、こういう計算になるんですが、これについて何か御異論がありますか。

水田政府参考人 医療費適正化の中で申し上げておりますのは、療養病床に特定している部分、これは今回の療養病床の再編について言えばそうなるわけでありますし、その結果として、平均在院日数の減に伴う医療費の適正化に寄与することになると思いますけれども、療養病床ですべて説明をしているわけではございません。

 長野県の方が平均在院日数で見て全国の七五%である、一方で、医療の密度が高くなりますので、入院医療費は五%ほど全国より高い。それから、仮に短くなって在宅にお戻りになった場合には、それはその在宅医療がかかる。こういう要素を織り込んで積算をしたものでございまして、全体として見れば療養病床の再編もその一部ではございますけれども、そういった先生がおっしゃったような積算ではございません。

岡本(充)委員 違うんですよ、その積算の方法はもう聞きました。

 私が言っているのは、今言ったように、医療型療養病床を十万床減らすんでしょう。医療型療養病床、療養病床の平均在院日数は百七十二日なんでしょう。この十万床がなくなったとすれば、これだけ長い在院日数のベッドがなくなるわけだから、平均在院日数が短縮されるその効果が短期的に出て当然なんです。それは認める。それを計算したら、療養型ベッドが十万床なくなっただけで、平均在院日数は二十七日になるじゃないですか。

 だとすれば、平均在院日数が二十七日になった、療養型病床が十万床減った。つまり、二十五万床が十万床減ったということは、やはり四割減です。四割減になって実際に得られる医療費の削減効果はどうかというと、老人入院医療のトータルは五・六兆円だ、五・六兆円で四割が減ったとすれば一兆二千六百億。つまり、一兆二千六百億は確かに減るかもしれないけれども、これ以上の削減効果は出ないんじゃないか、入院医療だけ見ても二・七兆円も平均在院日数の短縮で効果が出る、こういう話をしている。

 でも、私が今言ったように、よしんば、長野モデルがいいとして、長野のように療養型病床を減らしたとしても、得られるそのメリットは一兆二千六百億かもしれない、こういうふうに指摘をしているわけです。今の計算について、もしそれがどこかおかしいというのなら、それを今お話しいただきたい。

水田政府参考人 ちょっとそれは、今耳で聞く限りでは、よくわからないというのが率直な感想でございます。

 それに、老人医療費のことを申されましたけれども、これは全体の医療費のことでございますし、それから入院日数の適正化につきましても、療養病床はその一部ではありますけれども、全体として、これは民主党の案でもございましたように、一般病床についても今後どういうふうに取り組んでいったらいいのか、具体的な内容はこれからでございますけれども、そういったさまざまな手段を講じて、全体として所与の目的を達成しよう、こういうことでございますので、療養病床あるいは老人医療費ですべて説明できるものではないということは申し上げたいと思います。

岡本(充)委員 違うんですよ、これは二十七日の平均在院日数を目指すと言っているんでしょう、二十七日の平均在院日数を目指すのなら、二十七日の平均在院日数がなし遂げられた日本の医療の現状の中で一体幾ら医療費の削減効果が出るのか。それは厚労省の試算の仕方もある。私がやったこの試算の仕方では、一兆二千六百億になってしまう。これでは、厚労省が言っている二兆七千億の削減効果が出るかどうかわからないと言っているんです。それについてお答えをいただきたいと言っているんだけれども、お答えがいただけない。結局、四兆円本当に減るのかどうか、これも定かじゃないんですよ。

 私はまだこれからこの数値のおかしなところを言っていきたいけれども、医療財政学についてきょうおつき合いしました。しかし、メタボリックシンドロームも虚構だ、減るかどうかわからない。確かにそういう概念があるのはわかる、だけれども、医療費が減るかどうかはわからない。そして、今お話をした療養病床も、削減してこの数字が本当に二・七兆になるのか、私が出した一兆二千六百億とのこの乖離をどう説明されるのか、それについて明確な御答弁がいただけない。これでは、残念ながら、この医療財政学が成り立つとは言えない。

 にもかかわらず、責任は、減らせなかった都道府県にとってくれ、保険者にとってくれ、もしくは診療機関にとってくれと言うのであれば、それは、絵にかいたもち、そして砂上の楼閣の責任を末端に押しつけているだけじゃないですか。これでは、とてもじゃないけれども、こんな法案は出し直しですよ。おかしい。数字が合わない。

 時間が残り少ないから、きょうは馳副大臣にも来ていただきました、私はきょうもう一つ抗議をしたい。文部科学省に言った資料がいつ出てきたか。きょうの委員会が始まった九時三十三分になって出してきた。その資料は決して大変な資料じゃない、そんなに難しいものじゃない。拾ってくればいいだけの話だった、でも出せなかった、出さなかった。私は大変憤りを持っております。

 本当はこの後にやりたかったのは、どうして日本の医療費が高くなるかという話の続きで、これが原因だとは言わないけれども、国立大学教授が監修をし原稿料をもらいながら、その一方で、例えば中医協を初め、いろいろな薬の薬価収載を初めその許認可にかかわっている。こういった状況をもう少しつまびらかに明らかにしていくべきだ、こういう観点でこの質問をしようと思ったんです。しかし、資料が出てこなかったから結局できなかった。

 最後におつけをしました、皆さん、最後の一枚を見てください。九時三十三分に出た資料です。残念ながら時間の関係で言えませんが、医学部のある大学はやはり軒並み多い。「うち治験」と書いてあるものですね。京都大学は十五件、だけれども、大阪大学は百十件も兼業をしているんですね。大学によってえらく差がある。京都大学と大阪大学がどうしてこんなに差があるのか、普通なら例えば疑問を持つべきだし、金額を一体幾らもらっているのかもはっきりするべきだけれども、金額は把握していないと言う。国家公務員倫理法にもあったけれども、きちっと国家公務員としての倫理を確立するためにもこの部分について調査をするべきだし、そして、改めてこれを御公表いただきたいと思いますが、副大臣から決意のほどをいただきたい。

馳副大臣 平成十五年度までは国立大学、その後は国立大学法人となって、こういったことに関しては自主自律の精神で現場に任されておるわけでありますが、御指摘の点を踏まえて、改めて資料も含めて報告はさせていただきたいと思いますし、また検討もさせていただきます。

岡本(充)委員 それでは、ぜひその資料をお待ちしたいと思います。

 本日は、時間になりましたので、これで終わります。

岸田委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 今も岡本委員御指摘ございましたけれども、私も、一昨日のこの委員会におきまして、メタボリックシンドロームの虚構性について議論をさせていただきました。実に多くの方々から反響がございました。医療現場の方々、そしてまたメディアの方々、よく言ったというふうに大きく声を上げていただきました。その方々たち、きょう、岡本委員も現場で働いているお医者さんであります、臨床の現場で働くお医者さんであればあのメタボリックシンドロームなるものがいかにいいかげんであるかはすぐにわかるものだと、現場の臨床医の先生方が皆さん口をそろえておっしゃっております。

 また一方で、予防を反対するのかという意見も寄せられました。私は、この委員会でそのようなことは一言も申し上げておりません。予防を重視するのは当然のことであります。しかしながら、根拠に基づかない予防対策というのはいかがなものであるのか。そして、その政策が策定される過程で、それを審議する委員の方々に製薬会社と深いかかわりのある方がおられるのはいかがなものであるのか。そしてまた、欧米でこの考え方に対して批判的な、大変重要な論文が発表されているのに、厚労省は、それを知った上で何も議論の俎上にのせなかった、これがいかがであるのか。

 予防を大切にするのであれば、予防医学研究を進めるのであれば、そのデータを蓄積することが大切でありましょう。私がもう一つ議論をさせていただきましたのは、そのデータを蓄積するシステムが日本に欠如しているということであります。そのシステムを法制化すべきであるというふうに大臣にお尋ねしたのでございました。

 政府・与党が掲げます医療費適正化、盛んに適正化、適正化とおっしゃられておりますけれども、それが科学的なエビデンスに基づいた、しっかりとした確立された医療であれば、それは国がお金を払っていいものでしょう。しかし、エビデンスがないものにお金を払う必要はありません。そしてまた、国民がそのエビデンスがないものにお金を払わされたり、健康被害に遭ったりすることを国の責任において守るというのが厚労省の大きなお仕事のはずであると思っております。

 十日の質疑で、海外で承認されている薬で、エビデンスが確立していて日本国内で未承認のまま、患者が強く要望しているような抗がん剤について、何らかの基準を設け、治験を行うことなしに一括承認してもよいのではないかということを、京都大学の福島雅典教授の論説を引用して、私、申し上げましたところ、川崎大臣は、薬害などの問題もあるのに、随分と乱暴なことをおっしゃるというふうにおっしゃられました。

 しかし、川崎大臣は、未承認薬を患者が個人輸入して使って、これまでに数多くの被害、また死亡例も出ているのに、それは厚生労働省の責任ではない、医者の、あるいはまた患者個人の責任だというふうにおっしゃっております。何と都合のいいことをおっしゃられるのだろうと思いました。

 さらに、二課長通知と呼ばれる通知に基づく申請や、未承認薬使用問題検討会議との関係で、抗がん剤の併用療養のワーキンググループでの検討によって、既に、この日本におきましても、大変道は狭いものではございますけれども、国内での治験なしに、国内外の論文などのデータによるエビデンスと、それから患者団体また学会などからの要望書があれば、承認申請できるシステムがあることを大臣御自身が、厚生労働省の管轄内のシステムであるにもかかわらず、御存じではいらっしゃらなかったのかなと不思議に思いました。

 また、昨日、質問の打ち合わせをさせていただくときに、大変おもしろいことがございました。余りにも細かい、そして大変矛盾に満ちた、さまざまさまざまな規則をたくさんたくさんつくり過ぎてしまったために、厚労省の方々が自分の担当する規則の中でも、驚くべき古い、もう半世紀も前になりましょう、昭和三十年代や四十年代の治療指針を守ることが平成十四年まで義務づけられていたのに、このことに対して、担当部署の中のある方は、今でもそれが義務づけられていると思っておられたり、あるいは、そのような治療指針を位置づける規則、これは今でも生きている規則なんですけれども、その存在すら知らないという人もおられました。

 はっきり申し上げれば、政府提案の医療制度改革というのは、実験的な治療や、それから混合診療や個人輸入による薬害などを野放しにして、そして、メタボリックシンドロームの件でも明らかになりましたように、エビデンスとはとても言えないようなものをエビデンス、エビデンス、エビデンスというふうに言い張って、国の出す医療費を削減して国民に負担を強いるというとんでもない改革案だということでございます。先ほども岡本委員が申し述べました砂上の楼閣以外の何物でもないと思います。一からやり直していただきたいと、冒頭、強く申し上げたいと思います。

 そこで、大臣に質問をさせていただきます。

 今の健康保険法の改正案で、特定療養費制度を評価療養、選定療養と言いかえて、治験についても、いろいろと変則的な制度を設けて、医薬品や実験的な治療方法に関する承認のスピードを速めてというふうにございますが、これは根本的な解決にはなっておりません。

 その理由は、日本で医薬品の承認が余りにもおくれてしまっているがために、混合診療が、この間も申し上げました、一流の医療機関を含めまして、どこの病院でも当たり前に行われるようになってしまっているという事実がございます。今回提案されております政府の制度改革では、とても間に合わない状況なんです。

 その証拠として、脱法行為としての混合診療が可能な、保険の査定をされない施設でないと、抗がん剤の臨床研究に参加できないということを著名ながん研究者の方が論文の中で訴えられております。その論文は、昨日お見せをいたしました。これにつきまして、大臣の御感想を伺いたいと思います。

川崎国務大臣 どういう立場からこういうものを書かれたのか、私もよくわかりません、正直申し上げて。

 抗がん剤等の臨床研究については、患者に対する安全性を担保する観点から、薬事法に基づく治験を実施していただくことが原則と考えております。

 医療保険においても、治験については、患者の安全性が担保されていることを前提として特定療養費制度を利用可能とし、患者負担を軽減しております。

 この治験を推進するために、厚生労働科学研究事業による大規模治験ネットワークの構築や薬事法の改正により、医師主導治験の創設等を行っております。

 この治験の枠組みに入れない人たちがあるから、また、書かれた方がたしか、がんセンター関係の方だと思いますけれども、そういう枠組みの中にきちっと入っていただく御努力をいただいてやっていくことで、私は十分解消されるものであろう、こう考えております。

郡委員 一方では、混合診療を解禁したいというような、そういう主張も多いようでございますけれども、混合診療を解禁することは、私自身は絶対あってはならないのではないかというふうに考えております。前回、十日の質問でも例を引かせていただきました、効果のない実験的な段階の治療を患者の負担で試させるような医療詐欺社会となってしまうことを懸念するからでございます。

 もう一点、大臣にお尋ねをさせていただきます。

 わらをもつかむ思いで何百万円もかけて未承認のがん治療薬を買わされ続け、そして、患者さんは副作用で亡くなることもある、あるいは延命する場合もある。そういった、患者さんたちに試された、その薬の効果の貴重なデータというのも、これは一切厚労省に上がってこない、そういう状況でございます。

 個人輸入につきましては、薬監証明という書類が厚生労働省に提出されると伺いました。これらを効果や安全性についてのデータとあわせてデータベース化するというようなことができるのではないか、それが可能ではないか、そうすれば随分違ってくるんじゃないか、こうしたデータベースをつくることによって、承認審査申請のためのデータとして未承認薬使用問題検討会議などで活用することができるんじゃないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 まず、二つありますね、医薬品の輸入について。

 一つは、自己の疾病の治療等に必要な範囲の医薬品について、他者に販売、授与しないことを前提に、みずからの責任で使用するために個人輸入をすること。これは禁止しておりません。販売を禁止しておりますので、薬事法の規制にはひっかかりません。

 二番目に、医師がみずからの患者の治療を行う目的で個人輸入する場合。この場合は、ある意味では医師が自分で使うわけではない、患者さんに投与する。この場合に、医師の責任のもとで使用される旨等を確認し、輸入が認められている。みずからの患者に医薬品を投与する医療行為は、その医師の個人の責任で行われる。したがって、その場合には書類を出していただいておる。

 それで、その書類に基づいて、治験データになるようなものをきちっととれればうまくいくんじゃないかというお話でございますね。そこまでのデータになるかどうかも含めて、そこは検討させていただきましょう。

郡委員 データベース化せよというのは、一種の妥協策でございます。

 ここで、私がきょう用意させていただきました資料の一をごらんいただきたいと思います。

 アメリカ、EU二十五カ国すべてが、臨床治験についての法律あるいは被験者保護法によって、日本のように医薬品の製造、販売、承認を目的とする治験に限らず、日本でいえば個人輸入に該当するような未承認の医薬品の使用はすべてこれらの法律の中で規制を行っていて、安全性や効果について、そのデータがしっかりとデータベースに蓄積されるようになっているものでございます。

 研究を推進して、そして医薬品の承認申請を迅速化していくためにも、こういった被験者保護法というような制度設計、欧米でいいますスタンダードな制度、これをつくっていくべきではありませんでしょうか。大臣、お願いいたします。

川崎国務大臣 要するに、書類を提出していただいて医師による個人輸入は認められておる、地方厚生局において輸入者名、医薬品の名称、数量等を確認している、これをもう少し広げて、その後の追跡調査をして治験データをとって活用できないかという仰せでしょうから、先ほどのとおり、できるかどうかも検討してみましょう。

郡委員 ぜひ法制化していただいて、それを目標にしていただきたいと思います。通知ですとか指針ではなく、ぜひ法律化をお願いしたいということを改めて申し述べさせていただきます。

 これは先ほども申し上げましたけれども、抗がん剤の併用療法の検討会の成果が初めて出たときに、これは資料二でございますけれども、平成の十六年、四つの抗がん剤の併用療法が治験をしないで認められたときに日本医師会が配っていた資料でございます。

 一番最後の、二の五と六をさらにごらんいただきたいと思います。一般に五十五年通知と言われている通知でございます。

 この通知が出るきっかけになりましたのは、当時厚生大臣でありました橋本龍太郎氏が当時の日本医師会の会長武見太郎氏にあてた書簡でございます。武見太郎氏は保険給付の制限で医師の診療を制限することに対して闘い続けておられて、これよりずっと以前には医師のストライキなどもあったというふうに伺いました。現在は立ち去り型サボタージュという言い方もございますけれども、診療報酬を制限することによって医師がストライキするのと同じであるという見方でございます。

 この五十五年通知、薬理作用が同じであれば、厚労省が既に承認している医薬品の適用外使用、これは通常はレセプトが切られてしまうわけですけれども、この五十五年通知に基づきまして、レセプトが切られない場合もあるということを示すものでございます。

 ところが、医療機関でこの五十五年通知を知らないところが多くて、この通知を活用できないために、診療報酬の支払基金からレセプトが切られてしまったり、また保険給付が受けられない、そういうケースが多いのだと伺いました。支払基金の方でも判断がまちまちであるということを多くの医師の方々がたびたび批判しておられます。

 支払基金の判断がまちまちだということは、これは公平性を欠くことだと思います。できるだけこの通知が活用されて支払基金の判断も標準化されなければならないと考えますけれども、この周知とそしてまた標準化に向け、どのような対策をとっていただけるでしょうか。

水田政府参考人 いわゆる五十五年通知についてでございますけれども、これは、委員おっしゃいましたとおり、薬事法上の承認を受けたものとは異なる用法、用量、効能または効果に係る投与であっても、まず再審査期間を終了するなど有効性、安全性が確認されている医薬品であるということ、それから薬理作用に基づき学術上誤りのない処方を行った場合につきましては、薬理作用に基づく処方であることの根拠等について個別事例に即して審査を行い、保険請求を認める取り扱いをするものでございます。

 したがいまして、個別事例に即して行うわけでありますので、まず医師によって個別の判断が必要でありますし、また審査支払機関におきましても個別事例ごとに個別審査を行うものでありますので、判断基準の標準化を行うことは無理であろうかと思っております。

 それから、こういった薬理作用につき学術上誤りのない処方を行った場合であるかどうかということまで踏み込んでドクターが判断されるケースを想定しておりますので、一般的にこれが適用されるようなものではないと思っております。ただ、この通知自体につきましては、そこに踏み込んだ処方をされようというドクターの方はこれは御存じかと思います。

郡委員 ぜひ周知だけでも徹底していただきたいと思います。

 それから、がん対策と関連した問題ですけれども、京都大学の福島教授、神戸の臨床研究情報センターというところで、これは実は皆様方にお配りするのが間に合いませんでしたけれども、がん情報サイトというすばらしいがん情報のホームページを作成しておられます。

 この中に、アメリカの国立がんセンターが配信しております患者と医師の治療方針の決定を支援するための大変すばらしい情報サイト、これを翻訳して載せておられます。アメリカではこの情報サイトは毎月更新されています。福島教授らは毎月、一カ月おくれで手弁当で翻訳を更新しておられるわけでございます。これは政府の言ういわゆる診療ガイドラインというふうに呼ばれるものとは違いますけれども、同じような機能あるいはそれ以上の機能を果たしているものでございます。日本のがん情報サイトに比べまして、アメリカのサイトというのは大変すばらしいものがございます。政府がやっているものもございますけれども、大変お粗末なものだということをここでまた改めて指摘させていただきます。

 皆さん、御存じでいらっしゃいましょうか。日本の保険給付を制限する規則でございます保険医療機関及び保険医療養担当規則、いわゆる療担規則と呼ばれるものですが、その第二十条の八号という項目に、これは昭和三十年代あるいは四十年代に作成された治療指針なんですが、これが冒頭も申し上げました平成十四年まで法的な拘束力を持つものとして規定されていたということでございます。笑えないような事実でございます。医学の進歩というのは目まぐるしいものがあるのに、半世紀近くも前のものを垂れ流している。

 この二十条の八号に規定された古い治療指針、これは平成の十四年に廃止されたというふうに聞いております。しかしながら、私は大きな疑念が、またここで懸念されることがあるということを指摘させていただきたいと思います。

 医療機能評価機構というところでMindsというシステムがございますよね。そこで、この療養担当規則の古い治療指針から比べますと、随分新しい方法で作成されたものでありますけれども、診療ガイドラインと呼ばれるものが配信されております。今は二十を超えるガイドラインが配信されていましたけれども、去年まで、配信されている多くのガイドラインが大変古いバージョンのものであった、そしてまた、ほかの学会がつくった重要なガイドラインなどもたくさんあるのに、これらがこのMindsのシステムでは配信されていないということが非常に問題だということも多くのお医者さんたちが指摘をしてくださいました。

 一つの懸念というのは、これは最新版がなかなか更新をされないということです。そして、もう一つ心配されるのが、この療担規則第二十条の八号、これが残っていることによって、ガイドラインにのっとっていても、法的拘束力を持たせる療担規則二十条の八号があるということで、保険診療を縛ることができるということであります。

 そこで伺わせていただきます。

 このMindsシステムで配信している診療ガイドライン、これは療担規則によって位置づけられているということが本当にないのですね。そして、この性質からいいまして、保険診療を制限するものではないと理解をしていいということでありますね。療担規則の性質からいっても、この規則というのはこのMindsに位置づけるようなものではないというふうにとっていいということでありますね。ここを確認させていただきたいと思います。

水田政府参考人 まず、委員御指摘の療担規則第二十条の八号というところで性病でありますとか結核等、そういったものの治療方針、治療基準が定められることになっておりますけれども、これにつきましては、その方針そのものが平成十四年に廃止されておりますので、療担規則は空振りになっているというような状況でございます。

 それから次に、Mindsに掲載されている診療ガイドラインでございます。

 胃がんなど二十二の疾患につきまして定められているというふうに聞いておりますけれども、これはあくまで特定の診療の場において臨床医等が適切な判断を下すために参考とするものでございまして、診療の現場における個別の診療行為に関する医師の判断や裁量に強制力を持つものではないということでございます。

 一方で、療担規則の治療方針の場合でありますと、違反した場合には保険医の登録の取り消し処分というものにつながり得るわけでございますので、これはこういった診療ガイドラインを療養担当規則に治療方針等として位置づけることにはなじまない、このように考えてございます。

郡委員 これで安心をされたお医者さんたちも多いんじゃないかと思います。切り離して考えるということでありましょう。

 しかし、古いガイドラインをいつまでも飾っておくような方々、それから適切に最新のバージョンをアップできないでいるという状況、それから、治療指針を療担規則で位置づけることによって、また診療ガイドラインを法制化することによって、医療費の削減を図るようなことは絶対にしてはならないということをここで改めて申し上げます。こういうことがもしなされるとすれば、それは医療の崩壊につながるというふうに考えているからであります。

 ここを大臣に実はお約束をいただきたかったところなんですけれども、私個人の見解といたしまして、この療担規則、改正する際には、ぜひこの二十条の八号、これを削除すべきである、そういう意見が国会の当委員会で出たということをぜひともお伝えいただきたいと考えております。きょうは余り時間もありませんので、私が申し述べるだけにさせていただきたいと思います。

 次は、またいろいろ懸念される、先ほど岡本委員も話をしておりましたけれども、午前中の審議にもございました療養型病床の削減問題についてでございます。

 これは、厚労省からいただいた資料、療養病床に現在入院されている方々で、ほとんど医療の必要がないというふうな方がおよそ五割に上っている、だからこれは社会的入院なんだ、こういう人たちが半数もいるんだ、だから介護療養病床をなくすんだというふうに説明を受けたわけでございます。

 この数字、社会的入院としての数字がひとり歩きしているんじゃないだろうかと思っております。この五〇%の人たちにすべて医療が必要ではないというわけではありません。ほかのさまざまなデータをとってみますと、大変首をかしげたくなるような資料も出てまいりました。例えばリハビリが必要な人たち、これに特化して見てみますと、七割の方々がそういうものが必要であるという結果でございます。もっと信憑性、信頼性のある調査データをぜひつくっていただきたいと思っております。

 療養病床を介護型、医療型に変えてからまだ五年しかたっておりません。療養病床を六年後に全廃という法律案が示されているわけですけれども、これは極めて乱暴ではないかというのがこの間の議論の中でもいろいろな方々が指摘をしたところでございます。

 介護療養病床からの転換先として、老健施設というものを中心に据えておられるようですけれども、現在のこの老健施設に入院されている方々で、実際医療というものを受けている方がどれぐらいいるのか、こういう現状を調べたのかということを昨日の厚労省の皆さんたちとの打ち合わせのところでも申し上げさせていただきました。夜遅くなって、そういう調査結果があるということで手元に入ってまいりました。私、またここで大変がっかりいたしましたのですけれども、今回のこの重要な法案を決めるに当たって既に調査を済ませておられるのだろうというふうに思っておりましたが、平成十三年の調査でございました。恐らくは介護保険計画の見直しの際に取りまとめた資料だったんだろうと思います。

 それによりますと、少し古い資料ですけれども、老健施設で医療を受けていらっしゃる方々、どれぐらいなのかといいますと、およそ二〇%でございました。点滴の方が二・三%、それから、例えば膀胱カテーテルの方が一・七%、ネブライザーの方が〇・八%とか、もう〇・〇何%というような数字でして、これは医療を受けられている方々というのは本当に少ないのだろうな。

 そこに、医療がほとんど必要ないというふうに言われておりますけれども、その五割の方、医療が全く必要がないわけではございません。人工呼吸器をつけていらっしゃる方々もおられましょう、気管切開をされている方々もいらっしゃいましょう、あるいは胃瘻の方もおられましょう、そういう方々の医療ケアが十分に老健施設でできるのかどうか、この辺を伺いたいと思います。老健施設でこの医療的ケアを必要とする人たちを受け入れが可能でありましょうか。

磯部政府参考人 ただいま委員御指摘の十三年の調査につきましては、医療処置ということで、幾つかの処置の行為につきまして調べておりまして、それが、御指摘のとおり、二割ぐらいの方々でございます。

 一方、老人保健施設は、病状が安定期にある入所者の方々に対しまして、看護あるいは医学的管理下での介護、それから、委員も御指摘のとおり、リハビリテーション等の必要な医療も行うということ等を目的とした施設でございます。

 したがいまして、そこには医師あるいは看護師も配置されておりまして、今般の療養病床の再編に当たりまして、医療の必要性の低い患者の方々に対しまして、老健施設等の施設で受けとめることは可能であるというふうに考えております。

郡委員 老健施設というのは、在宅復帰型施設でございまして、医師が常勤配置、それから看護職員の配置も多く、ある程度の医療面の提供ができると同時に、そうしたコストの報酬が含まれていて、余りお金をかけずに医療の必要性が低い高齢者を受け入れる場合には適切かもしれません。しかし、今考えられているだけでも幾つかの問題点が出てくるわけでございまして、附則の第二条で、その運営基準、利用者負担、医療の提供などについて今後検討をするということでございますけれども、その中身は一切この状況においても見えてまいりません。

 そこで、例えば、老健施設で医療行為はどの程度まで許容するのか。入所後は一定の治療を行って在宅に戻すのか。終末期医療やみとりまで対応をするのか。それに必要な医師、看護師の増員配置、その負担は一体どうなっているのか。また、医療設備の整備、レントゲンですとか酸素吸入設備など、これは一体どうするのか。急変時の受け入れ先の病院の確保、それからまたほかの診療受診の場合には医療機関からの診療報酬請求ができるのかどうか。職員配置に必要な基本報酬の設定と一定の医療行為を行った場合は加算がされるのかなどなど、さまざまな問題点、これは、現在老健施設を運営していらっしゃる方、そこで働く方々が深い関心をお持ちになっていらっしゃいます。

 私も、このゴールデンウイーク、老健施設の関係者の方々にもお話を伺ってまいりましたけれども、大変御心配をしておられました。

 これらの検討が必要であり、そのためには、これまた実態調査というのが欠かせないものであろうというふうに考えております。昨年行った慢性期入院医療実態調査との関連性も全くつかめておりません。

 まず早急にこの実態調査を始めるべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。

磯部政府参考人 先ほど申し上げましたように、老健施設における医療処置の提供状況につきましては、平成十三年に調査を行っているところでございます。

 そして、今回、療養病床の再編におきまして、医療の必要度の低い方々の分類は、これは医療保険の側での基準に従いまして、その医療の必要度の低い方々に対します療養というものを、療養病床が老人保健施設等に転換していただくことによって対応するということを考えておりまして、この時点で改めてそうした調査をすることは考えておりません。

 なお、委員も御指摘のとおり、今回の法律案の附則におきまして、入所者の状態に応じてふさわしいサービスを提供する観点から、基本的なあり方、それから入所者に対する医療の提供のあり方等について検討を行うということになっておりますので、今後、こうした検討を通じてなお充実を図ってまいりたいと考えております。

郡委員 ですから、その検討の大前提である調査を今すぐにも始めなければならないのではないですかということを申し上げました。

 これは、今申し上げました中医協の療養型のところを話し合われた議事録を拝見させていただいております。

 この中で、医療区分のところを非常に気にされて委員の方々が議論をされているわけなんですけれども、A委員は、どれぐらいの患者さんが医療を受けているかというとよくわかりません、もし資料がございましたらお示しいただきたく思います。またB委員、一に該当すると思われる医療区分というものが項目別に出せるのであれば、それをお示しいただけないかということを強く希望いたします。事務局はこういうふうにお答えになっています。「それはやってみることは可能ですけれども、一応調査分科会ですべてそういう議論も踏まえて、今御報告いただいたわけですから……。」というふうに答えられているんです。

 その後、重ねて委員からさまざまな指摘がされているんですけれども、これは委員長が議論を中途でやめられております。「時間がありません、大変恐縮です。 それでは、もう一度念を押しておきますが、先ほどA先生から御報告いただいた調査結果については御了解いただいたということでよろしいですね。」そこで別の方がまた、「ちょっと一言。」というふうにお話を求めているんですけれども、「約束ですので、ちょっと我慢してください。」と意見を遮っておられます。

 この方は、A委員ですか、大変食い下がりまして、「私は、介護型の療養病床で一体この「医療区分」がどうなっているかというのを、もし厚生労働省が資料をお持ちでしたら、ぜひ次に見せていただきたく思います。」というふうにお話しになっておられました。その後の議事録も読ませていただきましたけれども、この資料についてはこの委員会にも提出されている形跡がございません。

 このところを、これは通告しておりませんので大変申しわけありませんけれども、お答えいただけるのでしたらお答えください。

水田政府参考人 その点につきましてただいま担当の者に確かめたところ、そのやりとりがあった次の検討会の会合においてデータを出しているというふうに聞いております。

郡委員 議事録を見させていただきましたけれども、その形跡がないというので質問をあえてさせていただきました。

 しかしながら、ここで皆さん心配しておられるところを、この中医協の議論の中でも、ある方が議論を食いとめるような形で引っ張っておられるというところにも、私は実は大きな疑念の目を向けさせていただいたということでございます。

 一昨日の議論の中でもお話を申し上げました。政府の法案の土台をつくっているさまざまなそういう審議会やら政策検討会のメンバーの方々が、どういうバックボーンを持っておられる方々なのか、やはりそういった資格審査というものが必要ではなかろうかということでございます。

 実はこれは、日米規制改革及び競争政策イニシアチブに基づく日本国政府への米国政府要望書、いわゆる年次要望書でございます。これにつきましては、さまざまな委員会でも取り上げられ、昨年の総選挙の際にも、郵政の民営化というのがこの要望書によって書かれていたということもあったわけでございますけれども、アメリカの要望書を次々と次々と受け入れている日本がなぜかこれは受け入れないのだなというふうに、また私、大変残念に思ったことがございますので、それを読み上げさせていただきます。

  審議会やその他の政府の諮問研究会等は、多くの場合、日本の政策策定において重要な役割を担っている。これらの会のメンバーリストや議事録は公表されているかもしれないが、審議会や研究会等の設立プロセスはいまだ不透明であり、その政策決定プロセスにおいて、メンバー以外の者には、そのメンバーに与えられているのと同様の有意義な意見表明の機会は与えられていない。米国は、日本が以下の措置を講じて、審議会やその他の政府諮問研究会等の透明性を高めるよう要望する。

 以下がその要望でございます。

  可能な限り、審議会や研究会等のメンバーを公募し、すべての利害関係者が審議会や研究会等に参加する機会を最大限拡大する。

  審議会や研究会等の審議での政策立案に対して、すべての利害関係者がインプットを提供する有意義かつ十分な機会を提供する。

 何でもアメリカの言いなりになっている日本政府が、こういう、私はとても重要なことだと思います、国民の利益に一番つながる要望に対してなぜおこたえにならないのだろうと、大変悲しく思いました。

 今回の政府が提案されております医療制度改革、現場をお知りにならない役人の皆さんたち、そしてその土台をつくっている検討会や審議会の、本当にいわば国民の利益につながる方々なのかどうかが疑わしい、そういうメンバーの誘導というか言動によってつくられている。そうではありませんか。そうだとすれば、これは大変な過ちだと思います。強行採決も時間の問題だというふうに報じられているとも伺っておりますけれども、もっとしっかりとした議論をするべきであります。

 これで質問を終わらせていただきます。

岸田委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 本日は、質問に先立ちまして、実は私、新人議員でございますが、たまたまきょう国会見学に地元から来られている皆さんが、私が質問をさせていただく日に当たったということで、これはなかなか珍しい機会だと思います。

 大臣あるいは副大臣、ぜひきょうは、そういった皆様に、国会の現場で本当にどれだけ、国民の皆様の命にかかわるこの医療制度改革が真剣に、患者の皆さんやあるいは本当に献身的に働いていらっしゃる医療現場の皆さん、そういった皆さんの立場に立った改革が議論されているかということを、ぜひとも、きょうここにいらっしゃっている方だけではもちろんございません、全国の皆さんにお示しをいただけるような、そういう中身のある議論を冒頭お願い申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず冒頭、資料をお配りしておりますので、ごらんいただきたいんですが、まず最初のページでございます。

 地元の山陽新聞の、先日の五月の八日の朝刊に出ておりました記事でございます、三十代から四十代の所得格差が拡大、〇二年度まで十五年間のデータですが、最大で男女ともに三〇%というような数値が出ております。

 これまで何度か予算委員会等でも議論になってまいりましたこの格差拡大、ジニ係数ですが、これまでは、所得格差をめぐって、内閣府が一月には、これは主に高齢者世帯の増加などによる見かけ上のもので、統計データからは確認できないとの見解を公表されておった中で、一方、今回厚労省として、労働経済白書の六年度版骨子で賃金格差の拡大を指摘し、政府内でも現状認識に関して温度差が出ているというふうな報道もなされております。

 実際、こういった報道がなされている、あるいはそういう背景がある中で、まず冒頭の質問は、高額療養限度額、この自己負担額の引き上げについて、定額部分の引き上げについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 きょうは、高額療養費の自己負担額の引き上げから歯科診療、そして腎臓病透析の問題、そしてその後、小児医療、混合診療という流れで、若干通告と違って申しわけありませんが、質問をさせていただきたいと思います。

 その高額療養費制度でございますが、これは七三年の四十八年国会になるということですが、家族の給付率を七割に引き上げたときに導入されております。導入の理由というのは御承知でしょうが、家族の療養費が著しく高額であった場合に、自己負担額の一定額以上について保険から高額療養費を支給し、自己負担額を軽減するためであった。この制度は、国民が安心して医療サービスを受けられるまさに安心の給付であり、導入の意義が大変大きかったと思われております。

 しかし、この自己負担限度額はこの六年で大きく引き上げられております。以前は一般と低所得者の区分であったものが、二〇〇〇年の保険法改正で上位所得者が追加され、医療費に連動した一%が導入されてもおります。

 そこで、まず定額部分についてお伺いをしたいと思います。

 二〇〇〇年に、定額部分は一般では六万三千六百円、上位所得者は十二万一千八百円で設定されました。現在はそれぞれ、七万二千三百円、十三万九千八百円となっており、それを今回、八万百円、そして十五万円に引き上げ、本年十月からそれを実施されようとしております。二〇〇〇年度から見ると、一般で一万六千五百円、上位所得者で一万二百円の引き上げであります。この間、賃金は上がらないままという層もたくさんありますし、窓口での自己負担、保険料、自己負担限度額の引き上げが実際に行われてきております。

 中小零細企業の労働者が加入する政管健保の平均賃金、一時金の推移を見ますと、自己負担が二割に引き上げられた九七年の平均賃金が二十九万一千三百七十七円、一時金が二・〇七カ月であったものが、〇四年度では何と二十八万三千二百八円、一・六〇カ月と、むしろ低下しているんですね。

 こういった対象となる世帯が仮に入院、手術をした場合に、最低でも八万百円の負担がかかるということは、これは家庭の負担軽減という制度趣旨、当初の導入の趣旨にかなったものなんでしょうか。こういう状況にある中、景気回復の兆しが見えてきたといっても、中小零細企業で働く、賃上げは相当厳しい状況にあります。このような中で病気になったとき、生活不安に陥ることになり、公的医療保険制度への信頼が失われたことになる。

 お尋ねしたいのは、こういう状況の中で今引き上げるということは、私はこれは大変困難であるという認識でおります。さらに申し上げれば、〇三年四月から被用者保険は三割負担となっております。窓口負担はこのままであっても、その限度額を引き上げるということは、実質的に自己負担の引き上げとなり、これが繰り返されれば、三割負担は引き上げないと言いながらも、実質的に患者の負担がふえ続けることになるんではないでしょうか。

 私は断固として、この段階で自己負担額の定額部分引き上げというのを凍結すべきだと思いますが、大臣いかがでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

赤松副大臣 私の方から先に答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、高額療養費制度というのは非常に重要な役割を果たしてきたし、今もしている、そんなふうにまず思います。

 今日、かかった医療費に応じて一定の自己負担をしていただくというのは、当然必要なことだと思うわけですけれども、このために、高額療養費制度における定額の自己負担限度額につきましては、平均的な月収の約四分の一、二五%に相当する水準となる七万二千三百円としているのを、ボーナスを含めた総報酬を基礎とした平均的な一月当たりの収入の二五%に相当する水準である、今御指摘のような八万百円となるように今回見直すことにしているわけでございます。

 これは、家計に与える影響等を勘案した上での水準でございまして、特に低所得者の皆さんについては引き上げを行わないなど、見直しに当たっては、患者の皆さんにとって過大な負担にならないように配慮をしておる、こういうことでございます。

柚木委員 今副大臣から、低所得層への配慮等されているということを御答弁いただいたわけですが、実際に先日、別のデータでも、景気回復を実感されている方が全体では六一%、しかし、賃金格差、所得格差、そういった拡大が生活を圧迫していると感じられている方が八七%という数字が出ております。

 つまり、この八七%というのは、決して低所得者層のみならず、いわゆるこれまで日本を、その厚みがまさにこれまでの高度経済を引っ張ってきたと言われている中流層ですよね、まさにその一般層の生活感、圧迫されているという実情をぜひ御理解いただいた上で、私は、今回どうしても引き上げるということになるのであれば、今後の中で、ぜひこういった実情を踏まえた制度改定を行っていただくことをお願い申し上げ、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 一方、この医療費に連動して、一%という定率部分の導入がなされておりました。国会審議、このときにおいては、政府は、これまでの患者負担が家計に与える影響に加えて、患者が受けた医療サービスの費用をも考慮して定めることとした、医療を受ける人と受けない人との均衡を図る、コスト意識を喚起する等、答弁しておられます。これらを聞いていると、あたかも医療費あるいは治療費は患者自身が決定しているかのように聞こえてもくるわけでございます。

 当時の国会審議では、この一%もいずれは引き上げられるのではないかと懸念をされましたが、実際に、昨年十月に厚労省が示された医療制度構造改革試案では、何と二%と提案されていたんですね。昨年十二月一日の政府・与党の医療制度改革大綱では一%にとどまる案とはなりましたが、厚労省は定額と定率のいずれも引き上げようとしていたことになるんじゃないんでしょうか。一%引き上げれば、幾らでも実質的に自己負担限度額を引き上げることが可能となる、いわば自動引き上げ装置というべきものでございます。

 やむを得ず重い病気になり、医療費がかかるほど本人の負担はふえ、それも幾らになるかわからないというのがこの定率部分でございます。医療保険制度は安心の給付を保障しなければなりません。医療費がかかるほど不安が高まる制度は撤回すべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

赤松副大臣 厳しい医療保険財政のもとにおきまして、皆保険制度を将来にわたって維持し、また、医療にかかる人と医療にかからない人との間の公平を保つためには、かかった医療費に応じて一定の自己負担をしていただくことが当然必要でございます。

 今柚木議員御指摘のように、医療費連動の一%負担について、今回二%というふうな話があったわけですけれども、私の所属する公明党の中からも、それに対する強い反対の声もあり、今回それを見送るということで、一%負担という現状のままにしたわけでございます。

 三割のこの自己負担が定額の限度額を超えた場合の一%の負担につきましては、現時点において引き上げることは考えておりません。かかった医療費に応じて公平な負担を求めるという観点や、多額の医療費に対するコスト意識を喚起するという観点から、引き続き維持することにしたものでございます。

 なお、低所得者や一般の高齢者については、負担能力や受診頻度を考慮して、引き続き定率一%の負担は求めないことといたしております。

 ともあれ、一%負担していただくということについては、現状の時点でやむを得ないものではないか、そんなふうに考えております。

柚木委員 今の御答弁、確かにその一%コスト意識という部分、もちろん全くそういう部分が必要でないとは申し上げませんが、やはり国民が高額療養にかかる際であっても不安に陥ることのないような、これが、心配をされているような自動引き上げ装置のようなことには間違ってもならないような形で重ねてお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 昨日も実は厚労省の担当者の皆さんと引き合わさせていただいたんですが、歯科診療の文書提供の義務化についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 昨日の場で実際幾つか御回答いただいたんですが、改めての確認ということで質問をさせていただきたいと思います。資料、ちょっと巻末の方になってしまうんですが、三十三ページをごらんいただければと思うんです。大変に資料が分厚くなっておりまして申しわけございませんが、これは日本歯科学会が出しておられます、歯科診療における患者満足度の調査報告書でございます。十七年の三月でございます。

 これをちょっと見ていただくと、歯科大学、附属病院、あるいは病院歯科、歯科診療所と、それぞれにおいて患者満足度を調べているわけですが、皆さん、注意してよく見ていただくと、要望、改善点それぞれを見ていただくと、どこも大体上位に来ているのは、治療期間や概算費用が知りたい、あるいは、治療期間が長い、治療期間の頻度を高めてとか、もう一つ多いのが、治療方法の説明、情報提供がない。

 今回、情報提供の義務化ということが盛り込まれているわけですが、それぞれ見ておりますと、確かに説明を求めるという項目はあるんですが、それ以上に、治療期間や概算費用が知りたい、あるいは、治療期間が長い、治療の頻度を高めてという方が、とりわけ多くの方が受診しておられる歯科診療所において件数も多いわけですよね。

 そういう中で、やはり考えるべきところは、情報提供、確かに大事なことだと思います。私も進めるべきだと思います。民主党もそういう方向で指針を出しておりますが、その情報提供が、余りにも事務量が膨大になって、現場で患者の待ち時間が増大したり、あるいは過剰な説明コストがかかってしまうようなことが実際に考えられる場合、これはトータルとしての患者の満足度がどこにあるかということをやはり考える必要があると思います。

 そういった中で、今回情報提供の義務化が盛り込まれているんでしょうが、これについて、待ち時間が増大する可能性がある、あるいは過剰な投資コストがかかるといった問題を踏まえてでも、それでも義務化をすることに根拠となるデータがあるのかどうか。そしてまた、文書提供義務化を、これは実際に行う場合に、今申し上げましたようなトータルで考えて、患者満足度、その場合に、現場の混乱、あるいは患者の待ち時間増大等により不利益も生じるということを考えた場合には、やはり実際にその義務化の中身を配慮あるいは考慮するように、これは、私としては、現場の方々の話を聞くと申し上げたいんですが、これについていかが考えられるでしょうか。

川崎国務大臣 今柚木議員からのお話。午前中に、患者の立場からすれば、できるだけの情報提供があってほしい、しかし、大きな、もう既にコンピューターが十分稼働して、レセプトまでオンライン化された国立病院機構なりがんセンターなりなら十分その患者さんの要求にこたえなければならないであろう。しかし、小さな診療所の場合に、まだ十分コンピューター化が進んでいない、そして現実問題、働いているのはお医者様と、奥様がそのお手伝いをしている、こういう現場もあります。そこにまで一挙にすべてを持っていくのはどうであろうか、こういう答弁をさせていただきました。まさに、このこともそのことに通ずるんだろうと思います。

 今回の歯科診療報酬改定において、患者への情報提供を推進する観点から、病状、治療計画、指導内容等について、患者に説明を行うとともに、これを文書により患者に情報提供することを指導管理料等の算定要件といたしました。

 これは、今お話ありましたように、説明用紙を受領している方が、受領していない場合より非常にわかりやすかったという回答が多かったからと、これは患者側からいえば、当然そういうことになろうかと思います。

 しかし、一方で、診療を提供する側になりますと、どのぐらいの事務負担になるんだ、こういうことがございますから、保険医療機関の事務負担を軽減し、歯科診療における患者への情報提供を効率的に行えるよう、診療録、カルテや診療報酬請求書、レセプト記載について、運用面での簡素化を図らなきゃならぬ、こういう指示をいたしているところでございます。

 新しい診療報酬の仕組みとその運用について周知を図るとともに、今度の診療報酬改定の結果の検証もすぐ行いながら、本当に患者さんに情報を提供し、一方で、そういう意味では事務の煩雑化につながらない、そんなところをどこで見分けていくか、そして、まさに患者さんに満足してもらい、そして医療側もスムーズにその行為が行われる、そこをしっかり見きわめるように努力をしてまいりたい、こう思っております。

柚木委員 今御答弁いただきましたように、改定の際の検証ですよね。実際に同じように患者満足度を仮に改正の際に調査した場合に、例えば待ち時間がふえているとか、そういうところの不満が増大するようなこととかが生じた場合には、やはり事務作業量の軽減等、考慮いただきたいということをお願い申し上げ、次の質問に入りたいと思います。

 前回も質問をさせていただきましたが、本当に一口に病気と言いましてもさまざまな病がございまして、全国の中で人工透析で大変普段御苦労されていらっしゃる皆さんがおられるわけですが、その人工透析について幾つか、確認も含めて質問を申し上げたいと思います。

 生活習慣病については、これはもちろん予防だけではなくて研究法や新薬の研究促進等も重要ではございます。特に、腎臓疾患については、毎年約一万人も患者がふえて人工透析を受ける現状にあって、腎臓疾患の治療法の開発を進めることが将来的には医療費の削減につながるのではないでしょうか。確かに、政府では、糖尿病予防のための戦略研究として腎臓病研究を進めておられますが、生活習慣病として患者数が大変に多く、今後もふえ続けると見込まれる腎臓病についてももっと研究を拡大すべきだと考えるが、いかがでしょうか。

赤松副大臣 今、柚木議員御指摘のように、腎臓疾患を患って、そして人工透析をされている方、私の周辺にも随分いらっしゃって、いつも大変気になっているところでございます。

 今委員御指摘のように、特に腎臓疾患の原因として、昨今、糖尿病を原因とする人工透析者が増加している。こういうことから、これを踏まえた緊急の対策が課題になっていることは御指摘のとおりでございます。

 これもまた、今委員御自身御指摘いただきましたように、厚生労働省としましては、生活習慣の改善や、あるいは薬物治療などによる腎臓疾患も含めた糖尿病の合併症の進展を抑制することを目指しまして、平成十七年度から五カ年の計画で、糖尿病予防のための戦略研究、厚生労働科学研究費補助金からのこういう研究を推進しているところでございます。

 こういった研究を推進することによりまして、人工透析の原因になる腎臓疾患についての予防や治療法について新たな知見を得て、こういったものをベースにしまして、さらに今後の腎臓疾患対策にしっかりと活用してまいりたい、こんなふうに考えております。

柚木委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 そして、続きまして、資料の三十一ページ、三十二ページ、ちょっと後ろの方からばかりで申しわけございませんが、ごらんいただきたいんです。これはちょっと確認でございますが、それぞれ別々の資料なんですが、人工透析患者の方々が対象になる食費、居住費の認定要件と申しますか、その部分についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 まず、三十一ページの資料は、これは「全国老人医療担当課(部)長 国民健康保険主管課(部)長会議」というちょっと長い名前の資料でございます。もう一方は、これは今回の制度改定の中にある資料でございます。この中に、実際それぞれちょっと書いている中身が違う部分があります。

 健康保険法等の一部を改正する法律案の概要について説明した資料、後ろの方ですね。こちらに「負担の対象外となる患者」の「入院医療の必要性の高い患者」の記述として、「人工呼吸器、中心静脈栄養等を要する患者や脊髄損傷、難病等の患者」とありますが、一方、保険局総務課発行のこの部課長会議の方の資料、こちらの方には、「脊髄損傷等の患者や人工呼吸器を要する患者など、入院医療の必要性の高い者については、現行どおり食材料費相当額のみの負担とする。」とあって、前者の方にある「難病等の患者」との記述がなされていないんですね。

 一言のようですが、実は、この記述があるかないかで実際に透析患者の皆さんのコストが全く変わってくるということがございますので、この「難病等の患者」との記述があるなしによってどう変わってくるのか、あるいは変わらないのか、そういった点について、確認の意味で御答弁いただけますでしょうか。

赤松副大臣 御指摘の今の資料の表現の違いにつきましては、法案説明資料において、より具体的に難病や中心静脈栄養を要する患者を例として記述したものでございます。

 したがって、食材料費相当の負担にとどめる患者の範囲については変わりありません、同じでございます。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

柚木委員 ありがとうございます。それをお聞きして随分安心をされた患者の方もいらっしゃるんではないかと思います。

 それから、あと二点ほど、これも確認の意味ですが、まず、高齢者医療については新たな診療報酬体系がつくられることになっておるわけですが、通常であれば七十五歳から後期高齢者として高齢者医療の対象となりますが、腎臓疾患を持つ身体障害一から三級の方は、六十五歳からこの後期高齢者医療の対象となるというふうに団体の皆さんは話を聞いているということですが、これは実際にそれでいいのかということが一点。

 それから、続いて、まとめて御答弁ください。生活習慣病の多くが長年治療に専念せざるを得ない中、六十四歳から六十五歳に変わったときに、これも今回大きく治療費の負担が、制度が変わる。そうすると、人工透析に関することでは、高齢者医療になったときにその透析患者の皆さんの診療報酬点数が、これは変わるのか、あるいは、変わるのであれば、ふえるのか減るのか、どういう形になるのか、現段階での見通しということで結構ですから、御答弁いただければと思います。

赤松副大臣 今、二点のお尋ねがございました。

 前者の障害等級一級から三級の人工透析患者の皆さんについて、六十五歳以上七十五歳未満であっても、新たな診療報酬体系が適用される後期高齢者医療制度の対象者になるという理解でいいのかということについては、おっしゃるとおりでございます。

 後者の方の点でございますけれども、これにつきましては、なかなか一概に断定できないという部分がございます。高齢者では、認知症や血圧が不安定等の理由によりまして透析が困難な患者の割合が増加するといったこと、後期高齢者と現役世代とでは状態が異なる、そういう側面もございまして、一概に断定できない部分がございます。

 ただ、いずれにしましても、後期高齢者の診療報酬については新しい枠組みでございますので、法案の成立した後、早期に検討を開始しまして、平成二十年度からの実施に向けて、後期高齢者の皆さんの心身の特性等にふさわしい医療が提供できるような内容になるように検討を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。

柚木委員 今いただいた御配慮をいただけるようにお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 本委員会を通じて、私、何度か質問をさせていただいてきた小児医療提供体制の項目でございます。これまでの議論をある程度踏まえた上で、さらに幾つか具体的な中身についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、今回、大臣も随分医療機関の集約化ということの必要性を御答弁いただいているわけですが、私もその集約化、機能分担の必要性については承知をしております。もちろんその有効性というものはある程度はあるでしょう。しかし、一方でその限界というものも、大臣御自身の御答弁の中でも幾つか認められる点があると思います。

 そういう中で、やはり、私、前回もお尋ねをしたんですが、今回まず再編を進めていくという中で、当然、将来に対する再編の見通しというか、再編計画のようなものが、本来であれば、やはりつくられていないと見通しが立たないと思うんですね。かつて国立病院の再編等、これは、実際十五年ぐらいかかってずっと計画が行われていた中で、なかなか進捗も思うとおりいかなくて、厚労省としても御苦労されていた経緯もあると思うんです。

 やはり、そういう計画というものがまずなくしては、将来の見通しが立たない。今回のいわゆる小児あるいは産婦人科等を含めた不足診療科、これを再編によってその偏在を解消するという中での見通しというものをまず一点お尋ねしたいのと、それとともに、その再編によってどのような形で何年後にその偏在解消が実現するのか、それを具体的な指標でやはりお示しいただきたいと思うんですね。

 例えば、厚労省として医療提供体制の整備、充実、これまでも諸施策に取り組まれているわけですが、それぞれの項目が、例えば三百六十五日二十四時間対応医療圏が、これまでの二百三十四から、何年後には幾つになって、将来的に四百七あるすべての医療圏に対応できるのはいつなのかとか、そういう具体的な指標を示していただかないと、幾ら自治体が地域医療計画をしっかりと策定して、そしてそれを実現していくといっても、厚労省としての指針がなければ、なかなか自治体としてもその計画、数値目標等も盛り込みづらいと思うんですね。

 そういった意味において、今申し上げましたように、再編計画、それから偏在解消のための具体的な指標を伴った計画というものを、現段階で、やはりお示しいただける部分というのは示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 この議論ですけれども、民主党さんはトップダウンで補助金をつけてやったらいいという議論をされておるように思います。私どもは、今、柚木議員が言われたように、やはり地域によって事情が違う、本当に再編できるのかという地域もあります。

 そういった意味では、やはり都道府県が事情に通じながらやっていただかないと、要するにボトムアップをしていかなければならないだろう。その中で、実は、やはり、各市町村長さんになりますと、地域の住民のそれぞれの願い、思いがございますから、なかなか再編計画は書きにくい。そういった意味では、やはり知事さんを中心にしながら、大学の医局も入ってもらい、そして関係病院も入ってもらい、場合によっては地域住民も入ってもらった中で計画をつくっていく。そして、我々もそれにできるだけ参画しながら、四十七都道府県の全体のマップをきちっとつくり上げてやっていくということが大事だろうと。

 そういう意味では、トップダウンというよりはボトムアップ、というより、まあ中間かもしれません、県ですからね。その県がやはり中心になりながらやっていく中に、私は、もちろんその中に参画しながら、しっかり議論をしながらやっていかなきゃならないだろうと。

 そこに何を支援すべきかということについては、もう議論していますように、全体的なパイとして医師が不足しているところについてはどうするかという議論も当然出てくる。いや、全体として医師の供給があるのにうまくいっていないところはどうすればいいのか。いや、やはり、まず一次医療として医師会というものがきちっと受け皿になっていただいて、かかりつけ医師というんですか、そこがきちっと、まず何かあったときに相談に乗ってやるという体制をつくるということになって、小児医療の体系はかなり変わってくるだろう、こう思っております。

 一方で、周産期医療になりますと、ちょっとそれとはまた違う事情が、やはり思い切ってセンターを一つ一つ各県につくった方がいいんじゃないか、こういう議論が当然出てまいって、この間も御提言いただいたところでありますので、私どもも、しっかり勉強しながらやっていきたい、こう思っております。

柚木委員 その計画の策定に一つでも多く何らかの指針になるような形で、ぜひやはり厚労省として、しっかりとここはリーダーシップを発揮していただきたいと重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 そういう中で、先日、多少これは中長期的な形になるんですが、医科大学の医師養成課程における地域枠のことについて質問申し上げました。

 大臣、大変に前向きな御答弁をいただきまして、大学の目的の一つとして、地域医療に貢献してくれる人を育てる、それをどこかで明文化していく必要があると、先日四月の二十八日の御答弁もいただきました。あるいは、小坂文科大臣と話し合いをしながら、地方にある大学がどう地域枠を設定していったらいいのか、奨学金等をやる、一つ一つの県を、今おっしゃられたように分析しながらしっかりとやらないといけないというふうにおっしゃられたわけです。私が申し上げたいのは、今回この地域枠の問題ですが、地域枠とそれから奨学金制度、この組み合わせをより不足診療科あるいは僻地医療に対応する形で取り組むことができないかというふうに思うわけでございます。

 これについては、資料の十七、十八ページをちょっとごらんになってみていただきたいんです。実際これまで地域枠を取り込んでおります十六大学、そして、その中でも、不足診療科、小児科、産科ですね、そういったところを中心に進路をとる学生さんを対象にした場合には、これは十七ページの方を見ていただきますと、山形、富山、兵庫では、それぞれ、当該県における勤務、小児科あるいは産科、麻酔科、そういったところで一定期間勤務した場合には全額免除というふうな項目がなされているわけです。

 ですから、私が大臣にぜひ、先日御答弁いただいたそういう取り組みを行っていただく施策の一環として、例えば残りのこの十六大学、あるいはさらに、大変医師の不足、偏在が認められるエリアにおけるこういった取り組みを拡充していただけるような、つまり地域枠そのものを、当該県の勤務要件あるいは不足診療科における勤務要件というものを地域枠支援に組み込むということを御検討いただけないか。

 これはそれぞれ厚労省、文科省あるいは総務省等の連絡会議等でも議論をいただくべきことかもしれませんが、それについてさらに具体的な見通しあるいは御決意等をお伺いしたいと思います。

川崎国務大臣 確かに、例えば国立大学ですか、今独法になっていますけれども、そういう機能ですと、地域枠というのを文科省としっかり話し合っていくというのは大事だろう、一方で、民間大学の場合は、やはり資金ということで援助をしていくということが大事なんだろうと。この二つの側面で、地域の事情を考えながらやっていかなければならない。

 いずれにせよ、私どもと総務省と、特に文科省と我々はしっかり話し合いをしながら、もちろん独立行政法人になっておりますから大学の自主性であることは事実でございますけれども、中央でこうした議論がされているということをやはり地方における国立大学においても理解をいただいて進んでいくものだろう、こういうふうに思っております。

 見ていまして、まだ何となくゆっくりゆっくり、とりあえず五にしてみようか、十にしてみようかという感じで進んでいるなと。私の三重県を見ましても、百名、そして残ってくれる人は七十何名、八十名近く残るんですけれども、現実、やはり三重県の出身者でないとなかなか地域に定着していないというのが数字で物語っております。もちろん、近くに名古屋とか大阪があるものですから、余計そちらに引っ張られるんでしょう。

 そういうものを考えていったときに、やはりもうそろそろ、六年後に成果が上がることになりますけれども、今しっかりとした決断をお互いにしていかなければ将来に禍根を残すことになるなと。ある意味では手おくれだというおしかりもいただく部分もあるんだろうと思いますけれども、やはりことししっかりやらなきゃならぬ、こういう思いで努力したいと思います。

柚木委員 今、後半部でお答えいただいたような地域枠の定員の枠であったり、それから、実際、十六大学以外のそういった自治体においても、これは本来取り組みたくてもなかなかその財源等を考えたときに難しいというケースもあると思うんですね。ですから、そういった場合にこそ、今回、小児医療提供体制の整備に大体二十五億円ぐらいでしょうか、諸施策、これが予算化される予定になっていて、その中にやはり、そういう地域枠と今回のこういう不足診療科あるいはそういった当該県への勤務等に自治体として取り組みたい、そういうところには、実際に支援あるいは補助をするということにぜひ今後取り組んでいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 そして、そういう施策を行っていく中で、今回、余り時間がないので個別に議論するのは若干省略しますが、小児診療報酬、これも大臣、まだまだこれは不十分だということを認識しているという御答弁もいただきました。小児科学会やあるいは外保連の議論、資料を九ページ、十ページ等に、これは小児対象独自の診療報酬をつくることによって、政策的にもしっかりと取り組むということをアピールする必要性があるんじゃないのかということも、私はお伝えをさせていただきたいと思います。

 そして、そういったことを行っていく中で、しかし、なかなか実際にはその歩みが決して一気に進むものではないという中で、これまで議論になっております一般財源から補助金を投入する、そういうことをどう認識をしているかということにやはり最終的にはなってくると思います。

 政府案として今二十五億円というのは、小児医療提供体制の整備のための予算の数字を申し上げましたが、私たちは、夜勤体制可能な一病院大体十人体制等、そういう施策を講じていくためには、ざっくり言ってやはりこの十倍ぐらいの予算が求められるんじゃないのかと、ざっくり言ってですよ。しかし、これでもまだ全体の中からいえば本当に数%ですよね。

 ですから、私は、やはり本当に今取り組まなければ、例えば、これまでの質問の中にもありましたけれども、イギリスで大変医療が崩壊している中で五年間で一・五倍の予算をつけた、しかしなかなか実際に当初期待をしていたほどの成果が見出せないような現状も一方ではあるわけです。と考えると、やはり今もういろいろな医療現場で小児、産科、医師不足、偏在の中でバーンアウト寸前で何とか踏みとどまっている状況のこのときが、大臣、決断のときなんじゃないんでしょうか。

 私は、この再編だけでは埋まらない溝といいますか、なかなか進まない部分にやはり一般財源を思い切って投入することによって、この不足、偏在の解消に努めるべきだと思いますし、それが現段階ではまだなかなか難しいんじゃないかという御認識を示されているわけですが、今後、次の制度改定までに、仮に、例えばこの再編とさまざまな医療提供体制の諸施策で偏在解消が思うとおり、計画どおり進まないじゃないかとなった場合には、ぜひ大臣、一般財源の投入等も含めてこれを検討するということを、せめてこの場でお触れいただかないと、この法案では、私は、到底、患者さんあるいは医療現場の皆さん、納得できないと思うんですよ。

 ですから、今私は、決断のときではないでしょうかということを申し上げましたが、今なかなか決断は難しいというのであれば、せめて今後の見通しの中で、将来的に再編諸施策の整備等なかなか進まない場合には、一般財源投入これ考えるべしという見通し、認識をぜひこの場でお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 一般財源論については、一方で、今参議院で行革の審議をいたしております。この中ではできるだけ地方に一般財源化して渡せ、こういう流れの中で五年、十年流れてきた。したがって、今私どもがすべての予算を合わせましても一千億に足りない金額、医療関係に使えるお金というのはないんです。しかし、その中で、例えば難病対策というものをしっかりやらなきゃならぬ、がんもやらなきゃならぬ、さまざまなものを抱える中で、さあこの一千億、本当にふやすことができるかというのは、これからまさに私ども議論していかなきゃならないところでありますので、ここで断言せいというのはなかなか難しい。

 実は、大臣の立場からしますともう少しふやしたいなという気持ちがいっぱいあるんですけれども、ただ、これは財政全体の問題でございますので、自分自身は大きな課題と考えていることは事実でございます。

 一方で、よく地域、地域を見ていきますと、国が援助すべき地域と、県が、力があってという表現はよくないかもしれませんけれども、ある程度医師数もあり、もう動き出しておるところ、そういう意味ではなかなか難しい地域というのがどうしても出てきます。そういうところへやはり集中的な投資というものも考えていかなければならないんであろう。そういう意味では、先行して進んでいるところに、おい、何だよとしかられそうな話でございますけれども、しかし、そこはやはり、おくれているところに手を伸ばしていく、重点的にやっていくということも頭の中に置きながら進めなければならぬだろう、こう思っております。

柚木委員 ぜひそういった取り組みに加えて、今私が申し上げたような部分も踏まえた上での今後の取り組みをお願いしたいと思います。

 余り時間もありませんので、これもお伝えをして、御要望させていただくだけになるんですが、そういう医師不足の中で、私、一つには看護師あるいはコメディカル、そういった皆さんの活用というのも大変重要になってくると思います。

 これは、資料の中に、十九ページ以降ですね、聖路加病院の日野原先生であったり、あるいはその後、二十三ページ、二十五ページ等に、麻酔看護師の取り扱いやあるいは諸外国の看護師についての取り組み方、ちょっと資料をつけさせていただきました。認定看護師、専門看護師、さまざまな今専門性の高い看護師の方々の取り組みがあるわけですから、こういう皆さんの活用と申しますか、そういう力もかりながら、この医師不足、偏在、とりわけ小児、産科、そういった部分での解消に努めていただくことをお願い申し上げて、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 先ほど郡議員の方からも幾つか質問をされておられましたが、混合診療の問題についてお尋ねをしたいと思います。幾つかお尋ねしたいんですけれども、きょうたまたま朝刊に、これは一つの例になるのかなと思いまして、ちょっと資料には間に合わなかったんですが、本日の朝日新聞朝刊に、禁煙パッチ治療が保険外になって、医師も患者も混乱という記事がこれは出ているわけです。

 ちょうど私がお尋ねしたいと思っていたことに合致する部分なので、多少参考例として触れさせていただきたいんです。皆さんきょう読まれた方はもう御存じだと思いますが、読みますけれども、ニコチンパッド、これが治療の保険外、これを使われていることによってその治療そのものが保険外になってしまう。

 そういったことに対して、ある会社員の方は、はしごを上ったら、急に外された気分と答えられています。新聞で保険診療開始を知り、三割負担で済むならと、四月下旬に病院で、保険適用となる十二週間で五回の治療を始めたばかり、禁煙達成までにはパッチ代として二から三万円は別にかかると覚悟していたが、十一日、担当医から自由診療となると告げられた、そうはいってもそれでも行かざるを得ないが。こういう悩ましいことを書かれているわけです。

 一方では、十二日に保険診療を始める予定だった茨城県の病院で、急遽、院内で協議して、受診予定者に自由診療になるとの説明文書を渡すことにしたと。結果的に患者さんにうそをついたことになるというふうなことをコメントされているわけですね。

 私が心配しているのは、これは一例なんですよね、現在保険対象として行われている治療まで、こういった形でそうでなくなってくるものがどんどん出てくるんじゃないのかということを、私は大変心配をしているわけでございます。これについて、今後このようなケースが大変心配されるわけですが、それに対する厚労省としての見通し、お答えいただける範囲で結構ですから、御答弁いただけますでしょうか。

川崎国務大臣 このことについては、周知が不足したことについては、結果としてまことに申しわけないと思っております。

 医療用医薬品として、薬事法に基づく承認を受けている禁煙補助剤でありますニコチンパッチ製剤ニコチネルTTSについては、薬価基準に収載されていないことから、保険診療の中で現状使用することはできません。ニコチネルTTSについては、企業から薬価基準収載の希望を受け、保険収載の当否についてはできる限り早期に中医協において御議論をいただき、了承が得られ次第、速やかに薬価収載したいと考えております。どのぐらいの予定だといえば、大体今月末ぐらいまでにしたいというように考えております。

 これはもうおわかりのとおり、保険適用の禁煙指導、禁煙指導は保険適用になりましたから、それに対して薬価未収載ニコパッチ製剤と併用できないということになりました。したがって、冒頭申し上げたように、私ども今鋭意急いでいるところでございますので、御理解賜りたいと思います。

柚木委員 質問時間がございませんので、これで最後の質問にさせていただいて、まとめて御答弁いただいて、終わりにしたいと思いますが、そういう取り組みのお願いとともに、逆に、将来保険対象となっていくべき高度先進医療が保険対象となりにくくなるケースとかも想定をされますし、最も心配なのは、これによって命の格差拡大、つまり命が値段をつけられる、値段の自由化というか、そういったことにつながっていくことも心配をされます。自由診療の安全性や有効性あるいは患者保護の法整備等も必要かと思われますし、そういったことをもろもろ十分加味していただいた上で、私が個人として一番心配しているのは、これによってひょっとしたらば医療界のモラルハザードのようなものが起こってしまうか、あるいは加速してしまうんじゃないかと。

 以前差額ベッドの不正請求の問題があったりしたんですが、こういう混合診療の部分的な解禁等によって、例えば、きょうはもう資料をおつけしませんでしたが、二〇〇三年には大船中央病院において混合診療による不正徴収と偽りの保険請求による不正徴収が明らかになったりして問題になりました。

 さらには、これもちょっときょうは間に合いませんでしたが、「命の値段も自由化」という毎日新聞の記事もありまして、この中にも実際に規制推進会議の中に医療保険に関連する企業から七人も事務局に派遣をされている。具体的な名前、ちょっとこれは申し上げるのかどうか、記事にありますから、何とかしていますかの企業ですね。あの企業の損保が、〇一年に自由診療保険を発売して、これを使っている病院が、手術費用が高くてもセコム、言っちゃいましたね、ごめんなさい、確実に治療費を払うから病院は安心。一方、重度心身障害者用のそこの病院は八十床は看護師が一般病床より多く必要で、採算が合うとは言えない。院長が言うには、経済効率だけを考えれば切り捨てられる医療が必ず出てくると顔を曇らせると。

 私、大変こういうことを心配しておりまして、混合診療のこういう部分的な解禁等によって、実際にこれは、本来安心を拡大する、先進的な治療を少しでも受けられるようにする、そういう趣旨が、逆に格差や不安の増大につながることにこれは決してならないように、先ほどの法整備等を含めて、重ねての検討あるいは対処をお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

北川委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょう質問をしたい項目に入る前に、一昨日の本委員会の質疑で松谷医政局長が答弁されたことに関して、一点、訂正していただきたいことがございます。

 私が、地域医療が非常に壊れている問題、医師が不足している問題の中で、国立病院が常勤医師を減らしているではないかという指摘をしたことに対してなんですけれども、産科と小児科、全国の数字と東北の数字をお示しになりまして、平成十七年七月一日から十八年一月一日までの間で、東北の数字は、産科、小児科いずれも変わっていないと答弁されておりましたけれども、これは明確に減っていると思います。訂正していただけますか。

松谷政府参考人 一昨日の答弁で、産婦人科、小児科の国立病院機構における常勤医師数について申し上げました。

 全国につきましては、平成十七年七月一日から平成十八年一月一日の間の変動でございますが、産婦人科が二百二十三人から二百十三人、小児科については四百四十四人で変わらない。東北地方につきましては、変わらないと申し上げましたけれども、産婦人科については十二人で変わらず、小児科については三十三人が三十人ということでございます。

 ちょっと目があれして、読み間違えまして失礼をいたしました。

高橋委員 私にとっては大変重大な数字でございましたので言っておきたいと思っておりました。

 それで、きょうはいわゆる混合診療の問題で質問をしたいと思います。

 この間、日本の国民皆保険制度がいかに世界に誇れるものであるか、医療制度改革はこの皆保険を堅持するという前提のもとに行われるのだという議論や説明がされてきたかと思っております。しかし、私は、いわゆる混合診療は、この皆保険制度の根本を揺るがすものではないかという強い危惧を持っております。

 初めに、大臣に伺います。

 尾辻元厚労大臣と行革担当大臣がいわゆる混合診療問題で基本的合意を交わしたのは二〇〇四年の十二月十五日でございました。本法案で、特定療養費制度を再編し、保険外併用療養費という仕組みが提案されております。このことによって大臣合意に対する対応はすべて完成したわけですが、これは混合診療の実質解禁と呼べるものですね。確認をしたいと思います。

川崎国務大臣 御指摘のとおりで結構でございます。

 今般の改革は、安全面に十分配慮しながら、保険導入前の新規技術であっても、適切なルールの枠組みの中で入院に要する基本的費用等の保険診療との併用を可能にすることにより、患者が早期に少ない負担で治療を受けられるようにするものであります。

 今般の改革により、保険診療と保険外診療との併用について明確なルールを設けつつ患者の要請にこたえることとしたという意味で、混合診療の実質的解禁と言えるものと考えております。

 平成十七年の通常国会、総理大臣の施政方針演説でも、「安全面に十分配慮しながら、混合診療を解禁することにしました。」という表現を使わせていただいております。

高橋委員 実質解禁であるという答弁がございました。私は、このことによって何がもたらされるのかということを考えてみたいと思います。

 保険導入を前提として評価する保険導入検討医療が、一つは高度先進医療、一つは必ずしも高度でない先進技術、そして三つ目に国内未承認薬が組み込まれました。

 まず高度先進医療でありますが、現在も特定療養費制度の中で基礎的部分は保険給付をされております。高度先進医療の医療機関として承認されているのが、伺っている数字で、百三十二医療機関、百九の医療技術が承認されていると聞いておりますが、これが、今回、承認から届け出制になるわけですが、なぜ届け出制に変わるのか、それが一つ。また、そうなった場合、安全性の確保がどのように担保されるのか、お答えいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正によりまして、従来の特定療養費制度というものが保険外併用療養費というふうに変わるわけでございます。その中で評価療養と選定療養と二つに分かれるわけでございまして、その評価療養の方に、委員御指摘のとおりの高度先進医療と、それから必ずしも高度でない医療技術についても入れるわけでございます。

 言ってみますと、今回の改革によりまして保険導入のプロセスをはっきりさせるということでございまして、必ずしも今まで透明でなかった保険、どういう技術が保険適用されるのかということにつきまして、保険前の手続といたしまして評価療養というものを位置づけまして、その上で安全性、有効性を検証した上で保険に入れていく。そういう意味でまさに評価療養という言葉を使っているわけであります。

 その過程で、現在は、高度先進医療につきましては、医療機関の承認ということとそれから医療技術ということで、二つの縛りをかけているわけでありますが、高度先進医療につきましても、必ずしも高度でない医療につきましても一体的に扱いまして、実施ができる医療機関の要件というものを定めまして、その要件に合致するところがこの新しい評価療養を実施することができるというふうに置きかえたわけでございます。その上で、実施するところにつきましては定期的にその評価ということを求めることにしておりまして、実質的に安全性の確保ということを可能にしているものでございます。

高橋委員 透明性の確保は非常に大事だと思いますし、プロセスをはっきりさせなければならないと思うんですね。しかし、そのことと、では届け出でいいというのは、やはり本当にそれで安全性が担保されるのか。

 今チェックをされる話もされたと思うんですが、専門家会議がいわゆるチェックするわけですよね。二十一人ですよね。今後、医療機関もあるいは技術もふえていくだろうということが予想される中で、本当に担保できるのか。これは非常に、どこでということをもう一度聞かざるを得ないんですけれども、いかがでしょうか。

水田政府参考人 まず、この評価療養に含める技術につきましては、先進的な医療技術につきまして、専門家による会議におきまして一定程度の有効性及び安全性が確保されているということをまず確認するということがございます。その上で、当該技術を安全に実施できる保険医療機関の要件を設定してございます。さらに、定期的に実施状況について報告をさせる、それから安全性に問題がある場合等におきましては遅滞なく報告させる、こういったさまざまなセーフガードの措置を講じておりますので、そういう意味で全体として安全性は確保される、このように考えているわけであります。

高橋委員 事後承認ではだめだとはっきり言っておきたいと思います。

 それで、高度先進医療、私たちは、やはり安全性や有効性が確認された医療というのは速やかに保険導入すべきだ、そのように考えております。

 ただ、この間の歴史を見ますと、本当に、数年から十年近くですとか、導入するまでの間には非常に時間がかかりますよね、当然だと思うんです。単純ではありません。ただ、その間は丸々自己負担であります。私は、これはいわゆる特定疾患のように自己負担ではなく公費で見る、そういうふうに考えるべきではないか。なぜかというと、保険に適用するという前提があるわけですからそう考えますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 保険料財源をどういう技術なりどういう医薬品に充てるかということにつきましては、これは医療機関の判断にもよりますし、保険者の判断にもよります。したがいまして、保険適用に関してはそういうプロセスを経るわけでありますが、公費を充てるというのは、それはまた別途の観点から行われるものと考えております。

 すなわち、治療研究的なものであれば、大学での学術的な研究というものに結果として公費が充てられることもありましょうし、また、難病等におきましてはそういう公費等を適用するということもあるかと思いますけれども、ただ、仕組みとして、医療保険の仕組みを通じて公費を充てるというのは、ちょっと、どういう形になるのか、余りこれまで例もありませんし、特段、課題認識されたこともございません。

高橋委員 それは、やはり評価療養のパイを広げるという頭がありますから、それを公費でやるとなるとそれは大変だと、当然、発想がそうなると思うんですよね。やはり、そこに一緒くたにしてしまって、必ずしも高度でないという表現が出てきたということなど、あるいは規制緩和でどんどん医療機関などもふえていくということに、非常に問題があるのではないかと私は思っているんです。

 資料の一枚目をごらんになっていただきたいと思うんですが、では一体、高度先進医療技術というのはどのくらいお金がかかっているのかというので資料をいただきました。確かにふえてはおります。それでも、一番新しい数字で、百九種類の医療技術、百二十六の医療機関、全患者数が三千八十二人、総金額、自己負担と保険診療を合わせて四十三億円、患者負担は二十三億円であります。

 これは、国民医療費から見ると〇・〇一五%くらいでしょうか、その程度ではないか。ですから、本来であれば、この部分を公費で見るということが、国民医療費の中で非常に大きな部分ではない。しかし、患者一人一人にとっては非常に大きく、また長く続くものだというふうに見ることはできないでしょうか。

水田政府参考人 御質問が、保険制度を通じてということになると先ほどの答弁と同様になるわけでございます。ただ、一方で、治療研究であるとすれば、それはまた、別途、例えば大学でいえばそういう学術研究予算を使ってこういうものをやるということも現にあるわけでございます。したがって、そこのところはまた別途の判断、学術研究ということでありますとか、あるいは患者さんの、難病というような仕組みとか、そういった個々の公費使用の目的に照らして使えるかどうかという判断は別途になされるべきものと考えております。

高橋委員 そうであれば、今回、混合診療の実質解禁ということで、保険と保険でない医療が大幅に拡大するという方向はやはり改めるべきだ、もっと公費で見るべきものがあるんだということをちゃんと見ていく必要があると思っております。

 そこで、平成七年の厚生白書からの引用を資料の四枚目につけておきました。ちょっと古い資料ではありますけれども、「第一部 医療」と書いてありまして、「「質」「情報」「選択」そして「納得」」というタイトルであります。

 本文を読みますと、「技術の改善、改良は患者サービスの向上を目指すものであり、こうした目的に従って活用されなければならない。近年、特に患者のQOLを高める治療が重要との認識が高まってきているが、医療技術がこの要請に対応してきているいくつかの例をみてみよう。」「手術の「常識」を変えた内視鏡」ということで、グラフがあるわけです。腹腔鏡の導入と胆石の退院患者の平均在院日数がどうなっているのかというグラフでありますが、昭和五十九年の四十一・八日から、導入したのが平成四年でありますので、平成五年には二十七・八日という形で大幅に下がっていると。

 結局、これまではメスを使っておなかや胸を開いてやる手術が一般的だったけれども、技術の進化によって開腹をしなくてもできる技術が得られたんだと。これによって、「胆嚢、虫垂、小腸、腎臓、脾臓、副腎、卵巣などの切除のほか、腸閉塞、子宮外妊娠などの手術もこの方法で行われている。」「患者の肉体を傷つけることが少ないことから手術後の回復も早く、入院日数も短縮化し、日常生活復帰も容易なものになっている。」という形で、厚生白書ですから、技術とは本来このように、患者にとっても喜ばしいし、在院日数が減るということは医療費も減るわけですよね、こういう形で使われるのが望ましいと思っておりますが、この点では異存はないですよね。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

水田政府参考人 まさに、お示しいただきましたように、新しい技術を導入することによって、平均在院日数が短くなる、それによって医療費も適正化されるというようなことがあるがゆえに、先進技術について、その新しい技術について、必ずしも症例が安全性、有効性について全部保険適用にまで至っていないものにつきましても、基礎的医療費については保険適用にすることによって、こういった先進技術が幅広く使えるような、結果として後足になるような、そういった制度としてこの保険外併用療養費というものがある、従来で申しますと特定療養費というものがある、このように考えております。

高橋委員 私は、そういう点では、従来の特定療養費制度の中でもカバーできていた分野ではないか。やはり、本来の姿が、先ほど言った患者のQOLを高め医療費も低くする、これが先進医療の本来の目的ということであると思うんですね。そのことが混合診療イコールではないだろうということなんです。

 では、必ずしも高度でない先進医療とは何かということなんですけれども、厚労省の説明では、保険未収載の確立された治療法、患者の価値観により左右される診療行為とおっしゃっております。それを適切なルールのもとに併用を認めるとしておりますけれども。

 ちょっと時間がないのでくっつけてお話をします。資料の二枚目を見ていただきたいと思うんですが、厚労省のホームページに、先進医療を実施している医療機関の一覧が登載されております。これが、まさに必ずしも高度でない先進医療として採択された一つであるPPHと言われているものですが、自動吻合器を用いた直腸粘膜脱または内痔核手術ということで、痛みを和らげて速やかに治療ができるようになるということで、一覧表がございますが、見てみると、いわゆる上乗せ部分、先進医療に要する費用は自己負担でありますので、それがどうなっているかという一覧であります。

 一番安い島根県の病院が六万五千円、一番高い大阪府の逓信病院で十二万八千八百五十五円、二倍の料金差があります。厚労省の説明で見ますと、保険給付分は十五万九千円となっております。

 私は、二倍の料金差というのはかなり大きいなと思うんですが、こうした差が特別でなくなる。つまり、どういうことかといいますと、高度でない先進医療という概念がどんどんふえていって、料金差が二倍でもよくあることよというふうになってしまうと思いますが、この点についていかがでしょうか。

水田政府参考人 この先進医療に要する費用、まさしく費用について透明性を確保する、基本的にこれは患者さんと医療機関の間の契約でございますので、そこで私どもは規制をするものではございませんけれども、ただ、こういった情報をきちんと提示することによって、患者さんが納得した上でこの治療を受けていただくということであろうかと思っております。やがて、先進医療が、有効性、安全性の点で保険適用に足りるということで判断されれば、それは保険の診療報酬に掲載されまして、そこで一定の評価になるということでございまして、そこに至るまでの間におきましては、これはまだ保険適用になっていないので、その分についてこういうことに結果としてなるのかなという感じで見ているところでございます。

高橋委員 やがて保険適用になる間ということではありますけれども、一定の期間を要するわけですよね、これだけの差があると。

 言われているのは、大体二千くらいの医療機関でこれをやられるようになるだろう、臨床指定病院が大体そのくらいかなということもありますよね。ですから、必ずしも高度でないという形で、どんどんこういう価格の差がある医療が拡大するということは、当然予想されますよね。

水田政府参考人 その前にちょっと申し上げたいと思いますのは、高度先進医療と必ずしも高度でない先進医療と言っておりますけれども、実は、高度先進医療制度を運用していく過程におきまして、果たしてこれが高度なのか、高度でないのかというのは、これは非常に判断基準が難しくなってきたという実情がございます。

 そういう意味で、客観性を保つという観点からも、ここは高度先進医療、定義づけが難しいということもあるが、現実の問題として、行政として公平に扱わなきゃいけないということから考えますと難しいというのが一点。

 それからもう一つ。こういった技術が、これまでは二年に一遍の診療報酬改定のそのプロセスで、中医協の専門家の医療技術評価を経て保険収載されるかどうかということでございます。その二年間は、言ってみますと、患者さんはQOLを高める医療につきましても、さっきの混合診療の禁止の話じゃございませんけれども、根っこから費用を払わないとこの新しい技術にアクセスできない、こういう問題がございました。

 そういうことで、その二年に一遍という処理ではなくて、随時御提案をいただいて、それを専門家の判断で評価療養に入れるかどうかという判断をしていこうということでございまして、自由診療を広げようということではございません。これは、評価、保険適用するための前段階でありますので、そこでこういった現象は出てくるのであろう、それはいたし方ないな、こんなようなことで考えております。

高橋委員 最後のいたし方ないなという言葉がちょっと気になっているのですが。

 確かに、総理も参議院の予算委員会などでお話をしていたように、今の特定療養費の制度だと、一部が自由診療だと、本来保険がきくものでさえも全部自己負担になるから大変じゃないかというお話をされていましたよね。

 ただ、今の仕組みであっても、一部保険診療だといっても、それは償還払いですよね。療養費の支給でありますので、現金給付とは違うわけですから。そういう意味では、一たんは自己負担をしなければならない。そういうことは依然としてあるわけですから、価格の違いが非常にあるということが、いずれその格差を広げていくだろうということは指摘をしなければならないと思うんです。

 関連するので続けますけれども、では、患者選択同意医療というのは何なんだろうということで、現行の選定療養は、初めは差額ベッドなどのアメニティーに限るというものだったと理解をしております。表の三枚目、四つの類型で、選定療養に係る報告状況ということで、どのくらいのお金がかかっていますかというトータルがございます。

 特別の療養環境、いわゆる差額ベッドに当たるのかなと思うんですが、一人部屋の一日平均が七千二百九十九円、四人部屋が二千五百八十三円、トータルで五千六百二十一円です。しかし、これは非常に差がありまして、最低二十円から最高は二十六万二千五百円という大変な差であります。

 私は、二十六万払っても入る方はいるかもしれない、全部がそうなわけじゃありませんから、そういう割り切りができるのは、まさにアメニティーの世界だからだろうと思うんですね。

 ただ、選定療養というのは、まさにもう十六にふえておりまして、制限回数を超える医療行為などもこの中に入りました。そうすると、今後は患者が選ぶんだ、患者が同意しているんだ、だからいいじゃないかということになって、保険給付外が固定化する、そして給付外のものがふえていくことにならないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

赤松副大臣 患者の選択という美名のもとに選定療養が無制限に拡大していくのじゃないか、こういう御懸念の表明でございました。

 選定療養というのは、そもそも差額ベッドなど、保険給付として画一的に給付するよりも、むしろ患者の嗜好、選択にゆだねた方がよいものに限定して指定するものでございます。また、その指定に当たっては、公開の中医協の場における審議を経て厚生労働大臣が決定することになっておりますので、選定療養の対象類型が、今委員御指摘のようにどんどんふえていく、拡大していく、こういったような御懸念は当たらない、こんなふうに思っておるところでございます。

高橋委員 それでは、二〇〇四年の十二月の基本的合意の中で、この問題に関して、制限回数を超える医療云々というくだりの中で、不当な患者負担の増大を防止するということが明記をされております。では、不当な患者負担というのはどの程度なのだろうか、では、防止するために何ができるのだろうか、この点、伺いたいと思います。

赤松副大臣 不当な保険外の患者負担を防止するためにどんなような対策を講じるのか、こういうことですが、一つは、地方社会保険事務局に報告をするとともに、保険医療機関において、院内の見やすい場所に掲示をする、こういうことです。また、一部負担金と明確に区分した領収証を患者に交付する、さらに、患者に明確かつ懇切に説明して文書により同意を得る、こういった措置を講じることにいたしております。

高橋委員 要するに、不当かどうかは患者が判断をするという意味ですか、今のは。

赤松副大臣 先ほど申し上げたようなさまざまな措置、報告とか、院内の見やすい場所に掲示とか、あるいは領収証の交付等々を見ていただいた上で患者御自身が御判断される、こういうことでございます。

高橋委員 患者自身が判断をするということでありました。

 先ほどの、倍違う料金があるじゃないかという話にも関連するわけですけれども、結局、医療の分野に競争が持ち込まれる、拡大するということになると思うんですね。

 資料の五枚目に、医療法の今回の改正案の中で、広告の規制緩和ということが盛り込まれておりますが、その中身について、現行制度はこうであるということで、広告する中身はこれこれというように、限定的に書かれております。医療従事者に関する事項がどうであるか、実施している医療の内容はどうであるか、つまり、診療科の問題、在宅医療をやっているかどうかとか。そういうふうに具体的にありますけれども、今回は、規制の見直しによって大きくこれが変わることになるわけですね。客観的な事実というだけであって、かなりの部分が書き込めるようになるだろう。

 そうすると、現行制度は、ただし書きがありまして、診療報酬にかかわるものに限るというふうに書いてありますけれども、では、これが緩和になったらどうなるんだろうか。つまり、うちの病院では混合診療ができますよという言い方はしないかもしれませんが、保険外診療ありますよ、こんなに安くできますよということも自由になるのかということなんですね。

 そうなっていったときに、やはり、広告を出すこと自体が財政的にも大変なところもあるだろう。それから、やはり、価格競争になっていったときに、力があるところとないところではっきり差は出てくるだろう。そういうことが進んでいくと、力の弱いところの病院が淘汰されていくということにもなりかねないと思うんですけれども、その点について、最後に大臣に伺いたいと思います。

川崎国務大臣 保険診療と保険外診療、それぞれ患者の選択でできるようにする。しかしながら、それが行き過ぎにならないようにしろという御忠告だろうと思っております。そういった意味では、中医協もいろいろ入ってきておりますし、いろいろな情報開示の方法、そういったものも考えながら、いろいろな形でやってまいりたい。

 また、広告についても、同じように、おのずから律するべきところはあるように考えておりますので、そういった点で、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

高橋委員 ちょっと時間がなくなって残念ですけれども、行き過ぎにならないようにとか、安全を確保するようにということが当然あると思うんですけれども、やはり、今言った私の懸念はやがて大きくなるのではないかと思っておるわけであります。

 二〇〇五年三月のパブリックビジネス・リポートという中で、混合診療の解禁で医療業界に十兆円級の神風というレポートが載っております。まさに、今回の医療制度改革で混合診療が解禁されれば、医療業界が大きな市場を確保するという形で書いている。そのことと、やはりもうしっかり結びついているんだ。その要求があってこその今回の解禁だったかと思うんですね。そうであればこそ、やはり、保険証一枚で安心してかかれる国民皆保険制度がいよいよ危ないということを指摘して、私は、これは容認できないということで終わりたいと思います。

 以上です。

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 この医療制度改革論議が、冒頭から、いかに医療費を削減するかという一色に塗り込められて、本当に何を削減したら適正化するかということの論議は、実は、本日も、一日いろいろな委員とのやりとりがありましたが、厚労省側も確たる確信を持ってデータもお出しではありませんし、非常におぼつかない中だと思います。

 私は、きょう午後の一番手で岡本委員がお取り上げくださった、最近はやりのメタボリックシンドローム、私も、かてて加えてちょっと取り上げさせていただこうと思います。

 きょう、お手元の資料の中に、後から挟み込ませていただきましたので三枚目か四枚目になると思いますが、厚生労働省からいただきました「メタボリックシンドロームの状況を中心に」という一枚の紙がございます。

 大臣にもぜひお目通しいただきたいのですが、この下段、一番下の方には、「メタボリックシンドロームの状況(二十歳以上)」ということが書いてございます。もちろん、郡委員の御指摘にもございましたが、何だか片仮名になると怪しいというのは、それもそうなのですが、これを見ますと、実に、大臣、お目通しいただくと、男性の場合は、例えば五十歳から五十九歳でもいいです、四十歳以上でも、もう五〇%から六〇%の人がメタボリックシンドロームか、ないしは強く疑われる者に入ってしまうわけですよね。男性の二人に一人をつかまえればこれだと言えますし、女性の方はそれより比率は少のうございますが、しかしながら、年齢的に七十歳以上になってくるとこれがふえてくる。

 私は、端的に言って、これは医学の常識と大きくかけ離れている。日本人は六十五歳以上になると、だんだん肥満の方も減ってまいります。これは人種的な特性もあると思いますし、むしろ、御高齢な方を見たら、逆にやせ過ぎてくると体に問題が生じている、あるいは健康保持に逆の意味で栄養が悪い等々の問題があるのではないかと思った方がよいような現実だと思います。

 なぜこれだけの差が出てくるのか、その一番の大きな理由は、ここの、先ほども御指摘のありました基準にございます。「メタボリックシンドロームの状況」で、男性では、ウエスト八十五センチ以上がまずあって、それプラス、どんな症状があるか。女性では、九十センチ以上がまずあって、それプラス、どんな症状があるかです。

 ここで、男性が八十五、女性が九十というウエスト設定は日本だけしかないんだということは先ほど岡本委員も御指摘になりました。大体、諸外国の基準の中で本当にこれだけ諸外国と違えば、何が原因かというのも探すべきであって、そこは先ほどの岡本委員の御指摘でもありましたが、これのモデルとなったケースが少な過ぎるということです。それに対しての厚労省の御答弁は、これは、各学会が、例えば肥満学会が設けた基準であるから、自分たちは八学会の基準をありがたくそのままいただいて計画したものであるというお話でした。

 はてさて、学会の基準は、もちろん切磋琢磨されればそれは正しいものになりましょうが、おのおのの学会がおのおののメンツをつぶさないような形で一つ一つ取り寄せてモザイクのようにした基準が、果たして本当の国の政策の中で意味があるのかどうかということを、私は、厚労省はある見識を持ってしっかりと判断し、政策化しないと、大きな過ちを犯すと思います。

 そこで、きょう、私が皆さんのお手元にお配りいたしました一枚目に戻っていただきます。ここには、全国のコレステロール値の年齢から見た測定値の上限と下限が上段に出ております。真ん中には、日本動脈硬化学会が定めたコレステロールの基準が出ております。我が国は長くこの日本動脈硬化学会の基準でやってまいりました。しかし、この我が国の基準の矛盾は既にこれまで諸外国から指摘され、そして、この基準に基づいて行われてきた投薬についても批判がございました。

 今、これだけの話を聞くと、ああ何だか、これから起ころうとすることとこれまで起こっていることと、似ているなと思われませんか。これは、我が国の二百二十内外という基準で行った場合に、特に女性においては、大臣、見ていただきたいです、五十歳あたりからコレステロールの上限値は上がってきて、二百八十。下限値で見ても、まあ百四十くらいでしょうか、の間に移行しているものが、これは七十万人をはかった値です。にもかかわらず、二百二十というところで線を引いて治療を始めたために、女性たちは多くの不要な薬を投薬されてまいりました。

 厚労省に伺います。

 今、性差医学というものがございます。性の差による医学。男性と女性で、女性は小型の男性ではありません。おのおの、生物学的な特性も、代謝特性も、そして、何が最適なベストの体調かも異なります。

 そもそも厚労省は、長年我が国がこのコレステロール値二百二十内外で、もう十年、二十年でございます、やってきた基準について、どのような総括をお持ちであるか、まず一点、お願いします。

中島政府参考人 突然の御質問ですので、私、実は、もともと外科をやっておりまして、ちょっと専門分野でもないので、余り申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、行政の方の立場におりましてこれまでいろいろ勉強させていただいたことから申し上げれば、この学会の上限基準値というのが設けられてはおりますけれども、それはあくまでも専門団体として、診療上の基準、目安として設けたというふうに理解をしております。

 一体、目の前の患者さんにどのような値でどのような治療をするか、薬を出す出さないというのは、個々のケースに応じてそれぞれ受け持つ主治医の方が判断されることであるというふうに思っておりまして、これで一律に薬が出されたり出されなかったりということではないというふうに理解をしております。

阿部(知)委員 そういう理解で厚生労働行政を行うから、逆に、現実に患者さんがどんなふうに薬を処方されているかが見えてこないのです。そしてまた、同じような過ちが今度のメタボリックシンドロームで繰り返されるのです。だからこそ、何人かの委員がこれを取り上げて、この政策の問題点を提起しているのです。今の局長の答弁はとても正直でしたから、だからこそ問題にしたいと、私が重ねてここの審議で取り上げさせていただきます。

 その下には、全国の総コレステロール高値異常率というのが出ています。従来の基準二百二十を基準に設定すれば、何と、特に女性では非常に高い率で、五十歳代、五十五歳代でコレステロールの異常値と判断され、実際に投薬が行われています。

 局長、御存じですか。アメリカにおいては、高コレステロール薬の投薬は、男性が四に対して女性が一です。比率四対一です。日本で現実、臨床現場でどのくらいになっているか。御存じなかったらないで結構です、答弁してください。

中島政府参考人 申しわけございません、私は存じ上げません。

阿部(知)委員 では、これを存じ上げるようになるまでこの政策はちょっとストップしていただきたいんですね。女性では、日本は男性の二倍の投薬を受けているんです。いいですか。アメリカでは、四人の男性に対して女性は一人です。日本は、二人女性がいて男性は一人です。なぜなら、性差が無視された投薬が行われているからです。

 本当に今の時代、皆さんが予防行政で、そしてもちろん、一に運動、二に食事、三、四がなくて五に薬、五でも何でもいいです。しかし、ある基準値にのっとって投薬が始まります。その母集団は、何と男性の場合は二人に一人、非常に多い率になります。現に大臣も、例えば高尿酸の血漿のための内服をしておられると言いました。一体全体、日本の医療行政の中で、高脂血症薬、脂質が高いと言われたために支出されている、使われている医療費はどれくらいですか。どなたでも結構です。だれか答えてください。これがわからないでこんな政策やらないでください。(発言する者あり)

岸田委員長 阿部知子君。

阿部(知)委員 しようがないですね。でも、日本の医療費の構造で何が高いかを厚労省が知ろうとしないからですよ。高いのは、薬剤費、検査費、材料費。

 私は、先回、いろいろな高額医療のお話をお尋ねしました。一体、高額医療費が医療給付費のどれくらいを占めるかということをお尋ねしたわけです。この場合にもお答えはなかったんです、実は。前日も、皆さんに投げ、翌日まで返事を待ち、答えも出ず、私が勝手にホームページで武蔵野医師会のデータを探してまいりました。

 おとといの質問にあえて戻らせていただけば、同じことの繰り返しです、高額医療費の患者さんの上位一%の方、これが医療給付費の二五%を占めています。高額医療費分析をして最も比率の多い、例えば一千万円以上の高額レセプトにしましょう、これの中で最も多い疾患は何ですか。これは前にやりましたから、答えてください。(発言する者あり)

水田政府参考人 ちょっと手元に資料がございませんけれども、血友病でありますとか、それからあと、心疾患の手術のケースなんかがあったと思います。

阿部(知)委員 国家試験は多分通ると思います。

 なぜ血友病が高くなるか、血友病に使う薬が高いんですね。そして、何と四割が心臓疾患ですが、何が高いかというと、医療材料費が高いんですね。であれば、厚生労働省が行う医療政策とは、薬価を低くすること、血友病のお薬もそうです。それから、医療材料費だっていまだに諸外国に比べて高いです。そこをもっともっときっちりと把握し、手当てすることが今の医療費の適正化の第一ではないですか。

 大臣に伺います。

 投薬が幾らになっているか、医療を何が高騰させているか、なぜこんなに分析されないままこういう審議が行われるのでしょうか、御答弁をお願いします。

川崎国務大臣 まず、血友病に関しましては、国、地方が税をもって措置させていただいておるということでございますので、診療報酬という意味で入ってくるかということとは別の見地として御質問をいただいたんだろうと思います。

 それから、医療費の問題で、実は私、ちょうどきのうそれを勉強したところでして、全体的に六兆円ぐらい、何か生産高と言うんですね、要は輸入物も全部含めて、一度パッケージが変わるからでしょうか、生産高として、六兆五千億ぐらいの医療全体を占める。

 それで、これはこの十年間ふえているのかと言ったら、担当者の言うことを信じたとすれば、ふえていない、逆にふえていない。そして、それではアメリカと比較したらどうだと言ったら、全体の薬の五〇%、世界じゅうの五〇%をアメリカが使っているということでありますから、アメリカと日本というものをもし比較されるとしたら、我が国の薬剤にかかる費用というのは多分低いであろう、こういう理解をいたしております。

 ただ、二十八兆円なり三十一兆円の中に占める六兆というのが多いか少ないかというのは、きのう少し議論をさせていただいたところでございます。阿部委員は多分それが高いという御指摘なんだろうと思いますけれども、必ずしもそうであるのかなというのはもう少し私自身も勉強したいと思っております。

阿部(知)委員 今大臣は、薬剤費についてお答えでありました。これは、薬を院外に、処方薬局に移してからその売り上げが六兆円になったということで、今のようなお話なんだと思います。そして、それがだんだん、相対的には昔よりは下がってきても、やはりそこのシェアがふえてきているということで、何とかせにゃならぬというのが実は厚労省内での御論議だと思います。

 私がもう一点伺った医療材料費については今御答弁がありませんでしたが、私は、厚生省がいわゆるゾロ薬等々の開発を、使用を進めるということも含めて、やはり薬剤費の部分はもっと工夫があるだろうと思います。それからもう一つ、医療材料費が工夫ができますでしょう。従来から言われる、カテーテル一本の値段もアメリカよりはるかに高いです。それは大臣は御存じだと思います。

 やれる努力をやらないで患者さんの負担に振り向けていくというやり方が、いかに厚生労働行政として問題が多いかということを一点指摘させていただきますと同時に、私は今回、先ほど申しました高脂血症薬、鴨下先生からメバロチンじゃないのというお話が出ましたが、これも含めてです、過剰に投与されている実態があります。治療せずともよい者が投薬されて、皆さんの周りの女性たちに聞いてみてください、ほとんど五十歳以上で女性で、高脂血症だと言われてお薬を飲んでおられると思います。

 でも、コレステロールは、著しく低くても、例えば、統計上はがんになりやすいとか炎症が治らないとかうつになるとか出てきます。著しく高ければ別です。でも、そのグレーゾーンの部分を全部投薬対象にしてきた歴史があるわけです。皆さんが、こういうメタボリックシンドロームという概念をぐわっと膨らませて新たな予防医療行政に入ろうとするのであれば、その実態を私はまず把握していただきたいと思います。

 大臣、この点はいかがですか。実際にどんな投薬がなされてきたか、いるか、この点です。

川崎国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、医療費全体に占める薬剤費というものが、これは、アメリカの例はアメリカの方がうんと高いだろうと申し上げました。しかし、諸外国もあるわけですから、そういうものも見ながらもう少し私自身は勉強してまいりたいと思います。

 一方で、女性のコレステロールが高いために薬をもらうという話を今お話しいただきました。実は私の家内も飲んでいまして、東大病院に行って診察を受けたら飲んだ方がいいと。これは母親がもらっていますから。母親は随分苦労して四つぐらい病院を回りまして、やっと東大病院にめぐり会っておかげさまで命を救われたと思っているんですよ。そのお医者さんのアドバイスでございますから、やはり素直に受けてやっている、それが悪いと言われると、私、きょう本当に迷いの中に入ります。

 お互いに、やはり医療というものは、お医者さんとの一対一、そして、そのお医者様の診断というものを受け入れながらやっていくのが事実でないでしょうか。それが全体的に正しいか正しくないかというのは、逆にもう少し大きな目で見ながら、我々判断していかなければならないな、このように思っております。

阿部(知)委員 大臣、恐縮ですが、大きな目で見るために、私は、なぜ日本では女性だけが高脂血症薬をたくさん投与されているかという実態を申し上げました。

 個別には、やはり医師、患者関係ですし、例えば奥様がある値以上であれば、私が医師でも投薬を勧めるでしょう。しかし、それをマスとして、やはり実態として、日本だけがなぜ突出して高脂血症薬が売られているかということを厚労省が把握しないでは医療行政はやれません。

 世界じゅうの血液の三分の二を使ってきた国です。エイズの発症を見ても、なぜ我が国に薬害エイズが多かったのか、世界じゅうの血液を集めて我が国は消費いたしました。そのことのいびつな構造を厚生労働省は知っているはずです。そして、それを知りながら、今なおこうしたメタボリックシンドロームという、ススキのお化けです、こういうものに持っていこうという政策を私は批判しているんです。

 二枚目のデータを見ていただきたいです。

 私は、せんだって、あの新聞を見たときに、これで多くのいわゆる素朴な感情を持つ国民の皆さんが、自分は太り過ぎなんじゃないかと思って例えばダイエットをなさる、あるいは本当に場合によっては何やらのお薬を飲む、そのことによってかえって健康を害することが心配です。

 ここには、上段男性、下段女性の、先ほど岡本さんがとても詳しいデータでお示しですが、BMIというのは簡単に言えば太り率です、身長と体重から出した。BMIレベルと死亡率というのがございます。私は、この委員会でわざわざ時間を割いてこれを取り上げるのは、あの新聞記事や、あるいはこれからの厚生労働行政が逆に本当に国民の健康を害してはいけないと思うからです。

 これを見ていただきますと、例えば、年齢が五十九歳以下と八十歳以上で分けてある上の男性にいたしましょう。八十歳以上の男性では、むしろBMIが低いほど、やせているほど死亡率が高いのです。そして、日本の基準ではBMI二五くらいを肥満にとります。ここから先は男性では二五も三〇もほぼ死亡率は下がってくるのです。小太りが元気ということです。いいですか。(発言する者あり)そのとおりです。鴨下先生もお墨つきです。

 そして、女性も見てください。同じです。女性も八十歳代、七十歳代、六十歳代、五十九歳以下、書いてあります。やせているほど死亡率は高いのです。筋肉も落ちて、先ほどの不要な食事制限、よく今あるのは、女性たちがコレステロールが高いからといって卵をやめます、卵をやめたら貧血になります、貧血になって感染を起こします。こういう実態があるんです。むしろ、本当に豊かな食事をしていただいて、おいしくいただいて、ふっくら小太りになっていただきたいです。

 そういうことを知っていて厚労省がさっきのメタボリックシンドロームなるものを、これを見てください、男性は二人に一人ですよ、女性は高齢者ほどメタボリックシンドロームが多いと言われるんです。高齢者ほど小太りであってほしいんです。大きな矛盾でしょう。

 私は、こんな行政、幾ら厚生労働省が財務省から言われて苦しくて編み出した苦肉の策でも、そして厚生労働省の味方をしたいと思う立場の私でも認めるわけにいかないのです。

 大臣、この政策について見直していただきたいです。少なくとも、こんなファジーな、メタボリックシンドロームというのは健康管理の概念ではあっても疾病と直に結びつくものではない、肥満も誤ったメッセージを送ればかえって患者さんの死亡を高めます。先ほど言いました、コレステロールが低いとがんとうつと感染症がふえます、ある値以下になれば。(発言する者あり)そうです。いいことないんです。だから、政策的にしくな。

 そしてもう一つ、メタボリックシンドロームの日本の基準には、また例えばコレステロールの一つが目安になっていますが、これも男性と女性の性差が全く組み込まれていません。幾ら関係学会が行って持ち寄って、メンツを傷つけないようにといって政策化しても迷惑です、女性たちにとっては。女性たちはただでも七十五歳以上で高齢者医療制度で保険料取られて、あれはおばあちゃん保険です、はっきり言えば、女性たちをプールして。本当に健康に私たちが生きるための政策にならない。

 そして、つくり直していただきたい。もっと明確にピンポイントに絞って、がんと糖尿病でやるべきです。こんな概念を開いたことによって、日本は医療費抑制どころか医療費も高騰し、国民は不幸になります。大臣、もう一度、今の私の二つのピンポイントに絞って長期的な医療計画を組み立て直して、この委員会に出していただきたいが、いかがですか。

川崎国務大臣 委員の御指摘は委員の御指摘として承りました。

 ただ、私どもはもちろん学会とさまざまな議論をし、また与党内手続も終えてここに提出させていただいておりますので、できるだけ速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

阿部(知)委員 そんな根拠もないこと出して居直らないでください、大臣、申しわけない、私はこんな言葉使いたくない。だけれども、聞くところによると、もう来週には採決しようかと。こんなずさんなもの採決できないです。国民のためにだって採決できないです。学会間のメンツだけを重んじて、何らそこには国民が不在です。基準値についても欧米からの批判もあることは、私がわざわざ、きょうは私は違う質問をしたかった、しかし、この時間の大半を割いて指摘したはずです。

 大臣が今のような私の個人的な見解だと言うならば、きちんと調べてから言ってください。私個人の見解ではない、鴨下先生に聞いてくださっても結構です。本当にこんな誤った政策で前に進められたら国民は泣くに泣けない。大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 先ほどから御答弁させていただいたとおりでございます。

 委員の御指摘はよくわかりました。しかしながら、私どもは私どもで議論した末、この提案をさせていただいているというのを御理解賜りたい。

阿部(知)委員 それでは、大体、国会審議というのは何でしょうか、大臣。もともと私たちが出したものは私たちが出したものだから、いいじゃないかと言っているだけじゃないですか。国会で問題点をみんな一生懸命指摘しているんですよ、勉強し。そこで指摘を受けて、せめて検討するくらいのことが言えなければ、大臣たる度量がないと思います。私は、本当にきょうはほかにいっぱいやりたいことがあったんです。でも、そういう審議の姿勢が何よりも私は問題だと思います。特に、こんな、国民の男性の二人に一人ですよ。みんな、毎日おなか回りをはかるんですよ。

 そして、これは局長でも結構です。この母集団の数と、そして、実は、それをデータとして使ってよいかどうかの精密度についても批判が起きているんです。御存じですか。

中島政府参考人 今回のデータについては、国民生活基礎調査ということで、これをもとに算出しておりますので、その点については、数の面、それから利用の面について問題はないものというふうに考えております。

阿部(知)委員 違いますでしょう。肥満は肥満学会の基準に従ったと言ったじゃないですか。何でそんないいかげんなことを言うんですか。さっきあなた、肥満学会の基準だっておっしゃいましたよね。母集団の数だって、さっき岡本さんが指摘された数のとおりですよ。男性が五百五十四名、女性百九十四名ですよ。

 なぜ日本だけ、女性のウエストは九十で、男性は八十五ですか。これから毎回はかられる国民の立場に立ってくださいな。これはどうですか。

中島政府参考人 今、ちょっと御質問を取り違えまして、今回の調査結果の発表についての母集団のことかと思いましたので、そのようなことを申し上げましたが、先ほどの診断基準作成については、先ほど御指摘のあったような数でございます。

 ただ、日本の基準が特異であるという点については、それは世界的にも我が国内でもいろいろ議論があったところでございますが、一番信頼できると考えられるCTの所見に基づいてこういった基準を出したという点において、その信頼性が高いということで採用されているというふうに考えております。

阿部(知)委員 ある値を診断基準として用いていいかどうかの、これはまた学問的な手法があります。それにのっとっても間違っています、残念ながら。もし中島さん、お医者さんであるならば、私は小児科、あなたは外科かもしれない、しかし、何を基準値に置くかというときの基準の妥当性をはかる指標があります。それにのっとっても間違っていますから、きょう、私の時間がこれで終わるということですので、本を一冊渡しますから、しっかり読んでください。

 しかし、この論議がちゃんと決着するまでは、ゆめゆめ採決なぞという、これは後世に、本当に問題なんです。また余分な薬が売られます。その結果、日本の薬剤費はまた上がります。本当に必要な人に医療は行かず、いいかげんな投薬がふえる。これが国民の幸せの姿ではありませんから、重ねて私は、この決着を見るまでは採決はここに座ってでも阻止させていただきますので、きょう、ここに渡しますので、お願いします。

岸田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私も先日、身体検査を受けまして肥満型という評価を受けまして、若干運動しなきゃいけないのかなと、余り肥満型と言われたことがなかったものですから、ちょっと心配をしております。

 先日も、福岡での公聴会、それからここでの参考人質疑、そういうところを通じても、この医療改革の法案に関しましては大変不安がまだ残っているということも、幾つか声が聞かれたわけでございます。私も幾つかの不安点がございますので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先日来議論させていただいております、救急医療を初めとする安心で安全な医療提供体制の確保というものを中心といたしまして、本日はより突っ込んで質問をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣にお尋ねいたします。

 国民の安心のためには、いつでも適切な医療を受けられる体制というものが確保される必要があるわけでございます。特に緊急時における医療が確保されているということが国民の安心のために重要であると考えておりますが、今回の医療法の改正案におきまして、このような救急医療の充実のために実際どのような取り組みがなされているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 今般の医療法改正においては、医療計画制度を見直し、救急医療を初め、僻地医療、小児救急医療といった、地域において確保の必要性が高い医療を救急医療等確保事業として重点的に医療計画に位置づけるとともに、医療機関相互の連携体制を構築し、その状況を明示するなどの措置を講じているところでございます。

 お尋ねの緊急時における医療の確保については、まず、各都道府県が中心となって、大学病院などの救急医療関係者との話し合いを行い、地域の実情に応じた実効性ある施策がとれる枠組みの制度化、これはすなわち医療対策協議会ということになります。医療機関の開設等に、救急医療等確保事業における医療連携体制構築に必要な協力の責務の位置づけ、それから、救急医療等を民間の医療法人にも積極的に担ってもらうため、社会医療法人の創設等の措置を盛り込んだところでございます。

 小児救急一つ考えましても集約化が大事でありますけれども、一方で、一次ケアのネットワーク、すなわち、かかりつけなり、すべてが救急医療に行く必要があるのかという問題もしっかりしていかなければならないだろう。基本的には、現状では九割ぐらいは救急医療に来なくても、地域のお医者様、また相談相手がいれば来なくて済んだというようなケースもあったようでございますので、やはりネットワークをしっかりつくりながら、その一番中心に救急医療拠点というものをつくっていく、こんな考え方が大事だろう、このように思っております。

糸川委員 この救急医療というのは私も本当に大切にしておりますので、ぜひその協議会なども見守らせていただきたいなというふうに思います。

 例えば、軽症の患者ですとか重症の患者ですとか、それぞれの患者様の容体に応じた適切な対応というものが必要であるわけでございます。小児医療の現場におきましては、例えば核家族化の影響や親の専門医の志向というんでしょうか、こういうものによって、夜間、小児科医のいる病院へ患者が殺到する、こういう状況があると言われておるわけでございます。

 このような小児医療の状況におきまして、小児医療を担う医師の労働条件から見ても、適切な医療提供体制というものを確保することが必要であるというふうに思いますが、どのような措置を講じているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

松谷政府参考人 特に小児が多いわけですけれども、時間外に殺到する患者さんに対応できるお医者さんの不足が指摘されているわけでございます。これについては、需要面と供給面と、両面から対策をとらなければならないと考えております。

 需要面につきましては、特に小児等につきましては、午前中にも申し上げましたが、必ずしも緊急に病院の外来に来なければならないという方ばかりでもないということでございますので、そのための、例えば電話相談の仕組みであるとか、あるいは、今大臣からも答弁申し上げましたけれども、一次医療、内科、小児科の開業の先生を中心としたネットワークをつくるとか、そこでの相談ができるとか、そういう仕組みをつくっていくことが必要だというふうに考えております。

 一方、供給面につきましては、各都道府県におきまして、病院の医療機能の集約化、重点化ということが大事かと思っておりまして、地域全体として適切な医療を供給できる体制を構築させるための検討を早急に行いまして具体的な対策を講じることを、都道府県に要請したところでございます。

 今後、集約化のスピードを速めていかなければならないというふうに考えておりまして、省といたしましては、都道府県において真に質の高い地域医療の確保に向けた検討が進むように、集約化された後の新しい診療圏域における医療機関相互の連携に基づく診療ネットワークの構築、あるいは、拠点となる病院における診療体制の整備等に係る具体的な支援方策についてさらに進めていきたいと思っております。

糸川委員 今、集約化、集約化と言われておるわけでございますが、本当にサービスの低下にならないようにお願いをしたいなと。

 そこで、我が国におきまして、今現在、少子化というものが大きな課題となっておるわけでございます。この少子化対策の観点からしても、安心して子供を育てる、こういう環境をつくる必要があるわけでございます。休日や夜間の小児救急医療をより整備すべきだ、こういうふうに考えておるわけでございます。このためには、予算措置とともに、診療報酬についても小児救急については手厚くしていくべきじゃないかな、先ほどの電話での相談とかにあわせてそういうことも手厚くしていくべきではないのかなというふうに考えますが、これはいかがでしょうか。これは大臣にお尋ねいたします。

川崎国務大臣 両面あると思います、診療報酬と予算。そういう意味では、診療報酬は三・一六マイナス改定をいたしましたけれども、小児救急はプラスの方向で改定をさせていただいたところでございます。そういった意味で、重点的な評価をまずさせていただきました。

 その上で、小児救急医療体制の構築を支援するための運営費、施設整備費、一般会計による補助事業を行っております。十八年度予算におきましては、休日、夜間等の時間外診療を行う病院に対する運営費補助金の増額、救命救急センターにおける重篤な小児救急患者の二十四時間受け入れ体制の整備に係る補助の創設、保護者の不安の解消などのため、小児の急病時の対応方法についてのガイドブックの作成や講習会の開催等に係る補助の創設などをさせていただいております。

 特に、診療報酬についてはきょうもいろいろな御議論をいただきました。一回の改定だけではなく、方向を見ながら、また重ねてやっていくという方向づけをしていくことが大事だろう、このように思っております。

糸川委員 診療報酬のことにつきましては、この間の福岡での公聴会でも、医師会の方から不安な点があるということもいただいておるわけでございます。集約をしていくと、どうしても僻地やそういったところが手薄になってくるのではないかなと。

 その僻地や遠隔地に住む患者さんの救急医療の確保ということで、ドクターヘリというものの整備が重要であるわけでございますが、実際、ドクターヘリの整備のために現在どのくらい取り組んでいるのか、それから、これから先どれだけ取り組む姿勢があるのか、僻地の患者さんたちに対してどれだけサービスを落とさないで、逆に向上させなきゃいけないわけですから、どのように進めていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

松谷政府参考人 御指摘の、僻地や遠隔地における救急医療の確保のためには、患者さんの速やかな搬送の確保ということが重要であるわけでございます。都道府県におきまして、地域の実情に応じて、ドクターヘリの導入、あるいは消防防災ヘリの効率的な活用が有用な側面もあるというふうに考えてございます。

 ドクターヘリにつきましては、これまで九自治体におきまして十機が運航されておりまして、着実に実績を重ねてきたところでございますが、平成十八年度につきましても、さらに一機が配備されまして、計十自治体で十一機が運航する予定となってございます。

 ドクターヘリの導入は引き続き進めていきたいと考えてございますが、これは、非常に重症な患者さんの緊急の搬送のときにドクターが同乗してということで、非常に救命率もよくなるということでございますが、一面からしますと、医師の効率という面では必ずしも効率のいい使い方ではないということですので、搬送だけで済む方については、ドクターの乗らないヘリの活用ということもまた一方で必要ではないかと思っておりまして、ドクターヘリの複数の県にまたがる広域運航ということで、幅広くドクターについては使う、それから、消防防災ヘリコプター等、ドクターのないヘリコプターの活用等についてもさらに促進をしてまいりたいと思っております。

糸川委員 ドクターヘリだけではなくて、例えば海上保安庁の飛行機であったり自衛隊のヘリコプターや飛行機であったりというものも活用しなきゃいけないわけですから、これはまた次回、時間があれば質問させていただきたいなと思います。

 続きまして、診療報酬についてお尋ねをしたいと思うんです。

 診療報酬体系につきましては、まず一つ目として、医療技術の適正な評価、二つ目としては、医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的評価、そして三つ目として、患者の視点の重視等の基本的な考え方に沿って見直しを進めることとされておるわけでございます。よく、診療報酬は、保険医療機関等が行う診療行為に対する対価として公的医療保険から支払われる報酬であると説明されるわけでございます。その一定割合を患者に御負担いただく仕組みとなっている以上、診療報酬については、やはり患者の視点を重視した形でわかりやすい体系を構築していくべきであるというふうに考えております。

 実際、診療報酬点数について審議している中医協におきましても、昨年四月から、患者さんの一般の声をより適切に反映できるような方が委員として加わっているのかなと思います。診療報酬体系の中で、患者さんの視点を重視していくという取り組みが大きな流れになってきているのかな、ですから、この間の福岡でも、診療報酬の点数に対しては非常に不安の声もあったわけでございます。

 そこで、診療報酬改定の中で患者の視点というものがどのような形で取り入れられたのかという観点からお尋ねをしたいわけでございます。

 患者の視点の重視といいますと、患者さんに対する情報提供の推進ということがよく言われるわけでございます。例えば、診療報酬体系の中では、看護職員の配置など、医療機関の入院医療にかかわる体制等を院内に掲示することが義務づけられております。しかし、例えば二対一の看護職員配置というと、入院患者二人に看護職員一人が配置されていると思ってしまいますが、実際にはそうではない。このようなわかりにくい情報では、幾らこれを院内に掲示しても、真に患者の視点を重視しているとは言えないんじゃないかな。

 今回の改定で、入院医療における看護職員等の配置にかかわる情報提供の推進のためにどのような措置を講じているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

水田政府参考人 今回の診療報酬改定におきまして、患者に対する情報提供の観点から、看護職員の配置についてどのような措置を講じたのかということでございます。

 具体的に申し上げますと、例えば、今委員御指摘のとおり、看護職員配置二対一、こういう配置基準上の表記を行ってきておるわけではございますけれども、これにつきましては、入院患者二人に対して看護職員一人を雇用しているという意味でございまして、まさに委員御指摘のとおり、その人数が勤務しているという誤解を招くという御指摘があったところでございます。

 考えてみますと、実際の看護職員の方が働ける時間は、一日八時間でございます。したがいまして、一人を雇っていても、いわば三分の一人の実力でしかないというわけであります。そのほかに休暇ということもございますので、一年のうち、言ってみますと、五分の一人分だけ働けるということになるわけであります。したがいまして、入院患者二人に対して五分の一、これを整数倍しますと、十人に対して一人の看護職員がいるということでございまして、実態に即した、患者さんの目から見ると、配置としては十対一ということになろうかと思いまして、今後、こうした配置につきまして、実質配置十対一という表記に改めることとしたものでございます。

 それから、これは全般でありますけれども、今度はそれぞれ各勤務帯がございます。勤務帯それぞれで一人の看護職員が実際に受け持っている入院患者の数というものを各病棟内に掲示するということを入院基本料の算定要件としたところでございます。

糸川委員 実際、患者さんが目にしたときに本当に信じてしまうということは、この一点だけではなくていろいろな点に関して言えることだと思いますので、すべての点についてしっかりと見ていただければなと思います。

 次に、患者さんにとっては、時に治療法の選択というものがその後の生活を左右するような場合があるわけでございます。このような場合、患者さんがさまざまな専門家の意見を聞いた上で自分の最良の選択をしたい、こういうふうに思うわけでございます。

 近年、このような診療の場面における患者さんの自己決定の意識の高まりというものを受けまして、いわゆるセカンドオピニオンを求める、こういう患者さんの要望が高まっているというふうに思いますが、これに医療現場が必ずしもこたえ切れていないのではないかな、こういう現状、実情があるのではないでしょうか。

 今回の診療報酬改定におきまして、セカンドオピニオンの推進の観点から一定の措置が講じられたというふうに聞いておりますけれども、この措置によって具体的にどのようにセカンドオピニオンが推進されていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

水田政府参考人 今回の診療報酬改定におきましては、委員御指摘のセカンドオピニオン、主治医以外の医師による助言、これに係ります患者からの要望の高まりというものを受けまして、主治医が、セカンドオピニオンを求める患者または家族からの希望に基づきまして、カルテの写し、検査結果、画像の写し等の診療に関する情報を提供することにつきまして、診療情報提供料の中で新たに評価を設けたところでございます。

 実際、現実の問題といたしまして、医療現場におきましては、患者またはその家族が、主治医に気兼ねをしてと申しますが、セカンドオピニオンを求めたいということをなかなか言い出しにくい環境もあったと承知しておりますけれども、今回、こういった診療報酬上の評価を設けたことによりまして、一つは、患者またはその家族が希望を表明しやすくなるという効果を期待しているのが一点。もう一つは、やはり保険医療機関サイドでもこれにこたえやすくなるという環境が整備されるもの、このような効果を期待しているところでございます。

糸川委員 もう時間がございません。来週にはどうも採決に持っていきたいという出口の声ばかりが今聞こえておるわけでございます。実際にその出口のことだけを考えるわけではなくて、今我々が議論しなきゃいけないことは、本当にこれからの国民のためになることをこの場で議論しているわけでございます。ですから、来週もう採決だから、ここにおしりを持ってくるんだからといってこの議論を終わりにしないで、まだ不安の声があるというのならば、まだまだ議論の場をぜひ提供していただきたいなということを大臣にもそれから委員長にもお願いをしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、六時間審議の最後、いつもとは変則でございますが、与党で締めくくらせていただきたいと思います。何点か確認をさせていただきたいことがございます。時間もかなり遅い時間になっておりますので、できるだけ簡潔に質問をさせていただきたいと思います。答弁は丁寧にお願いできればと思います。

 今般、医師不足ということで、周産期医療の問題そしてまた小児医療の問題、多くの論議がございました。私はまず、周産期医療につきましては、周産期医療を補うマンパワーとしまして助産師の活用を積極的に図るべきと考えております。助産師の特性につきましては、もう皆様御承知のとおりでございますが、妊産婦の方からも、心身ともに寄り添ってくれる、手にとるように生命の尊厳と具体的な育児を教えてくれる、しかも、地域で二世代、三世代と取り上げてくれる人も多い等々の声を伺っております。

 今回の制度改正におきまして、嘱託医を産科医にするとともに嘱託医療機関制度を設けることとされております。絶対的な産科医不足という背景があり、当然、嘱託医の確保というのは困難なことが予想されます。嘱託医の確保ができないという理由から助産所が開設できないような事態が起こりませんように行政が保障すべきと考えますが、この点につきましてお伺いいたします。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

赤松副大臣 周産期医療を補うマンパワーとしての助産師の活用、私も本当にそのとおりだと思います。私自身というか、こんな六十になる人間が言うのもおかしいんですが、いわゆる産婆さんに取り上げられた人間として、助産師の活用は非常に大事なポイントだろうと思います。

 今回の制度改正によりまして、産科医療の安全を確保する体制を整備する観点から、助産所の開設者は、今委員御指摘のように、嘱託医師については産科医師にすることとし、また、嘱託医師個人での対応が困難な状況に対しては組織的に対応できるように、嘱託する病院または診療所を定めなければならないということになっております。

 嘱託医師の確保が困難であるために助産所の開設に支障が生じる、こういう指摘がありますけれども、厚生労働省としましては、制度の施行に際して都道府県や関係団体に制度への協力を求めていく等、嘱託医師の確保のための必要な取り組みを推進してまいりたいと思いますし、また、助産師の活用につきましては、助産師は正常産を扱うことができることから、産科医師との役割分担、連携を積極的に進め、安心、安全なお産ができる体制の整備を進めることが重要であると考えております。

 平成十六年末現在で約二万六千人の助産師の皆さんが就業されておりますけれども、助産師資格を有しながら看護業務等に従事している者、推計約四千人の方、そういう皆さんの助産業務への就業を促進することも重要である、こんなふうに考えております。

 このため、産科医療機関等の助産師の確保促進事業を実施しているところでありますけれども、平成十八年度から助産師確保総合対策事業を行い、助産師の産科診療所での就業を促進することとしており、今後とも、助産師の活用も含め産科医療の確保に総合的にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)委員 特に僻地におきまして、平常は地域の助産師が健診を行い、定められた出産までの産科医の健診と言われておりますが、そのときは病院まで遠路でも行っていただく、このような連携の強化が必要かと思います。周産期医療ネットワークの整備の際に地域の助産師を包含した体制をつくるべきと思いますが、重ねてこの点を確認させていただきます。

赤松副大臣 今、高木委員御指摘の周産期医療におけるネットワークの整備、この点については非常に重要な課題であると認識しておりまして、厚生労働省は、平成八年度、もう十年前になりますけれども、助産所や一般の産科医療機関を含めた周産期医療ネットワークの構築を進めるとともに、ネットワークの中核となって高度な周産期医療を担う総合周産期母子医療センターの運営に対する支援などに取り組んできているところでございます。

 そういう仕組みとしての周産期医療ネットワークは今のような形でやってきておりますけれども、今後とも、それが一層生かされるように、十分に生かされるように、地域の助産所や一般の産科医療機関との適切な役割分担そして連携をしっかり進めていって、充実に努めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 先ほど来、メタボリックシンドローム、このことにつきまして多くの論議がございました。私は、論議を伺っておりまして、やはり、まず国民の皆様には、大まかであったとしてもこうした概念を持っていただく、自分で自分の健康をきちんとコントロールする、そして当然個人差があります、先ほどお話ありましたように性差もあります、したがって健診をきちんと受けていただく、この健診をどのように促進をしていくか、またそれに伴う指導を今後どのように徹底をしていくか、このことこそ大事な課題ではないかと思います。

 健診を受けない理由につきまして多くのデータもございますが、一番多い回答につきましては、いつでも適切な治療を受けられるから、こうした理由で健診になかなか行かれない。こういう状況を伺いますと、病気になれば医師が治してくれる、こういう今までの患者の概念ではなくて、自分で自分の健康をコントロールしていく、そしてまた病気になったら医者の専門知識を活用しながらともに治していく、このような国民の皆様の意識構築というのが私は最も待たれる点ではないかと思います。また、それに寄与できるような医学教育であり、さまざま食事教育等をお願いしたいと思っております。

 そこで、健診につきまして、残る時間、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、これまでの老人保健事業におけます健診の効果の検証につきまして、簡潔に教えていただければと思います。特に、被用者保険の本人以外の健診受診率、今お手元に、もう見なれた資料でございますが、一枚目の図一、図二にありますとおり、地域差もあり、そしてまた、下の図におきましては、一般健康診査、組合健保また政管健保におきましても、被扶養者また被扶養配偶者、この受診率が八・六%、二・二%、このようなデータがございます。

 低い実態をどう改善していくのか、その要因はどこにあると認識をしておられるのか、伺います。

磯部政府参考人 まず、老人保健事業におきます基本健診について申し上げます。

 老人保健事業は、昭和五十七年度の創設以来、すべての市町村におきまして、生活習慣病の予防等を目指してさまざまな取り組みを実施してきております。そのうち、基本健康診査につきましては、受診者数、受診率ともに増加してきておりまして、全国の受診率は、平成十一年に四〇%を超え、過去十年間、毎年ほぼ一%ずつ増加している等、市町村における公衆衛生活動の拡大に一定の成果を上げてきたというふうに考えております。

 一方、その問題でございますけれども、十六年に行われました老人保健事業の見直しに関する検討会におきまして検討が行われまして、基本健康診査につきまして、一つは、被用者保険の被扶養者について医療保険者が行う生活習慣病健診等との役割分担が不明確である、それから二つ目といたしまして、対象者一人一人の健診結果に応じて専門的なスタッフによるきめ細かなフォローアップのための仕組みが十分でない、それから三つ目といたしまして、市町村にとって健診受診率を現在の水準から引き上げることについてのインセンティブが見えにくいといった問題点の指摘がなされているところでございます。

 このため、こうした御指摘も踏まえまして、今般の医療制度改革の中では、生活習慣病予防の観点からの取り組みにつきまして、一つには、医療保険者に生活習慣病健診等の実施を義務づけ、役割分担の明確化を図るとともに、二つ目といたしまして、被用者保険の被扶養者に対する健診や保健指導に積極的に取り組むということとしているところでございます。

高木(美)委員 今回の法案では、被扶養者の健診、今お話ございましたとおり、健診また保健指導が医療保険者の義務とされております。どのようにして健診の受診率を向上させ、早期発見、早期治療に結びつけるというふうにお考えか、また、健診後の適切な指導体制の強化を図っていかれるのか、お伺いをしたいと思います。

 当然、この健診等に対しましては、今、各市町村取り組んでおりますが、市町村で健診にかける予算はばらつきがあるとも言われております。時には人数制限のある市町村もあるようです。すべての人が受けるだけの予算が足りないということも懸念をされます。保健所の健診の体制を整えるための費用なども必要かと思います。国の健診等に対する助成のあり方、効果的な仕組みにつきまして、お伺いいたします。

赤松副大臣 今、高木委員が御指摘されたように、健診受診率の向上ということが早期発見、早期治療に直結するということで、非常に大事なポイントだろうと思います。

 保険者が健診や保健指導を行うに当たりましては、今も御指摘があったように、法律上の仕組みとして、外部機関への委託が可能であり、また市町村国保等の他の保険者との連携した事業実施も可能であるということになっておりまして、そういう意味において、保険者等が実施する事業に対する国のさまざまな援助、バックアップが必要だろうと思います。国が基本指針等を示すことによって、保険者の取り組みが円滑に行われるような手順をまず示すとともに、国保の被保険者や被用者保険の被扶養者の健診について公費による助成を一部行うこととしております。

 今御指摘があったように、いろいろばらつきがある、こういうことでありますが、しっかりとその辺のことをにらみながら、保険者への支援策と相まって健診受診率が向上されるように、しっかりと目を光らせて取り組んでまいりたい、そんなふうに思っております。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、保険者による健診未受診者への個別の働きかけをどのように行うかということですが、強化が当然必要かと思います。

 また、それには必要な人材の確保も重要でございます。健診また保健指導の実施におけるマンパワーの不足ということも伝えられております。今、図の三、四、提示をさせていただきましたが、都道府県別の常勤保健師数、これは人口十万対です。地域によって大きな格差があります。そしてまた、その下には、公衆衛生医師数、これも地域によりまして大きな格差がございます。こうしたことをどのように解消していかれるのか。

 また、民間事業者にアウトソーシングというお話もございました。例えば、そこに健診また保健指導等を委託される場合、その委託基準等の中身をどのようにしていかれるのか。

 やはり保健指導等を受けましたときに、一人一人の国民にとって、先ほど来お話ありました、行動が変わる、行動変容、そこにつながる動機づけ、支援が必要かと思います。納得をしてわかれば変わるという、そこまでどのように持っていくのか。それには、保健指導プログラムを標準化することも必要かと思います。この点につきましてお伺いいたします。

中島政府参考人 医療保険者による健診、保健指導が生活習慣病予防の効果を上げていくためには、健診によって対象者の状態を把握した上で対象者の健康課題に合わせた保健指導を提供していくということが必要でございます。保健指導を中心的に担う保健師、管理栄養士の役割は、そういったことでますます大きくなるものと考えております。

 このため、医療保険者による保健指導を計画的に拡大するに当たりましては、市町村の保健師、管理栄養士に加えまして、在宅の保健師、管理栄養士、保健指導を提供する外部の保健サービス機関等の活用によるマンパワーの確保と有効活用を推進していくこととしております。

 さらに、都道府県や医療保険者、関係団体とも連携をいたしまして研修の充実を図るなど、保健師、管理栄養士等のマンパワーの資質の向上に努めてまいりたいと考えております。

 なお、アウトソーシングの基準につきましては、メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群でございますが、これに着目をした健診、保健指導の具体的な内容を検討する、有識者や医療関係者に参画いただいておる検討会におきまして、現在議論をしていただいているところでございます。

高木(美)委員 その指導の中身でございますが、きょうは申し上げませんけれども、やはり、例えば人工透析、今二十五万人いらっしゃり、使っていらっしゃる医療費は一・二兆と言われております。では、果たしてすぐに人工透析が必要な方、食事療法をきちんとすれば二、三年頑張れるという方、ただ、その食事療法の中身自体がなかなか基準化されていないという状況もあります。

 先ほど来、さまざまお話がありましたが、例えば卵一つとりましても、健康な人にはいい栄養素であったとしても、卵を食べると危険な方もいらっしゃいます。そうした知識というものを今後きめ細やかに与えていくということも必要ではないかと思います。これはまた後日質問をさせていただきたいと思っておりますが、その点まで踏み込んだこの中身の策定をお願いできればと思います。

 続きまして、保険者による保健指導の充実のほか、要治療者につきましては、医療における保健指導の取り組みも重要と思います。そこには診療報酬上の評価をより充実させるべきではないかとも思います。その点につきましてどのようにお考えか、伺います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 疾病またはその疑い、これを前提としない健康管理の健診というものは保険給付の対象とはなってございませんけれども、生活習慣病等の重症化予防につきましては、診療報酬におきまして療養上の指導管理について評価を行っているところでございます。今回の診療報酬改定におきましても、生活習慣病の指導管理を充実させるための計画書の見直しなど、その評価の拡充を図ってきたところでございます。

 このように、これまでさまざまな療養上の指導について評価を行ってきたところでございますけれども、今後も学会等の関係団体の要望等を踏まえながら、疾病の治療に当たりまして必要な療養上の指導について適切に診療報酬上の評価を行っていきたい、このように考えてございます。

高木(美)委員 この指導が医療費抑制のための大事なポイントと思いますので、よろしく取り組みをお願いいたします。

 続きまして、地域、職域連携ということが今回盛り込まれております。そのためには、レセプトによります個人の受診、治療データの内容を健診結果に結びつけまして、健診プログラムの改善などへの効果的な活用を図ることが重要と考えます。このことについて見解を伺います。

 健診プログラムの策定は、現在検討されているとは思いますけれども、健康日本21の成果を踏まえて、効果的な健診項目の策定が大事であると考えます。こうしたデータ管理におきましても個人情報の保護は図られるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。

水田政府参考人 レセプトによる個人の受診、治療データと健診結果を結びつける、これを健診プログラムの改善に生かすという御指摘でございますけれども、まさに、保険者におきまして、今後、レセプトデータと健診、保健指導のデータの突合というものができるようになることが考えられます。これをもとにしまして、生活習慣病のリスク要因の保有状況と医療費の関係、あるいは健診、保健指導の実施によるリスク要因と医療費の低減効果の分析、こういったものができるようになります。また、さらに、保健指導を行う事業者の評価あるいはその選定というものに活用することもできるようになるものと考えてございます。

 国におきましても、こうした保険者が分析しました情報を集約することによりまして、健診プログラムの見直し等に役立てることも検討していきたい、このように考えてございます。

 もう一つお尋ねのありました健診、保健指導データ、これらの個人情報保護の観点から適切な対応を行うということは極めて重要なことでございます。今回の法案におきましては、保険者の役職員に対しまして守秘義務を課しまして、違反した場合には一年以下の懲役または百万円以下の罰金の対象、このようにしているところでございます。

高木(美)委員 あわせまして、健診結果のデータの標準化やデータの互換性については、どのようにお考えでしょうか。

中島政府参考人 これから医療保険者によります健診、保健指導を進めていく上で、効果的で効率的な健診、保健指導が全国で広く展開できますよう、これまでの科学的知見や地域における先進的な取り組み事例などを踏まえまして、標準的な健診、保健指導のプログラムを開発していくことが大変に重要であると考えてございます。

 このため、健診、保健指導の内容や実施方法等につきまして、有識者や医療保険者に参画をいただきました検討会において、現在議論をしていただいているところでございます。医療制度改革の円滑な施行に向けまして、精力的に検討を進めてまいりたいと考えてございます。

高木(美)委員 ただいま検討会というお話がございましたが、取りまとめの日程等はどのようになっていらっしゃるか、もし今おわかりでしたら教えていただければと思いますが。

中島政府参考人 内容の取りまとめに当たりましては、十八年度中に概略をまとめまして、十九年度にそのモデル実施をするというようなスケジュールを考えてございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 話が少し変わりますが、生活習慣病対策の推進につきまして、何項目か政府の方から出ておりました。厚生科学審議会の中間取りまとめにもございましたが、「新しい科学的知見を不断に集積するとともに、効果的なプログラムを開発し、その普及を図ることが必要。」という文言がございました。

 具体的にどのように行われるのか、今後の取り組みをお伺いいたします。

中島政府参考人 科学的根拠に基づきましたプログラムの開発でございますけれども、これは、先ほども申し上げましたように、現在、検討会におきまして、先進事例等の取り組み状況を検討するなど、専門家、有識者にお集まりをいただきまして御議論をいただいているところでございます。こういった議論を踏まえまして、これからその中身の開発をしてまいりたいというふうに考えてございます。

高木(美)委員 これは、私の認識としましては生活習慣病対策の推進ということでございますので、先ほど来、メタボリックシンドロームについても果たしてその医学的根拠はどうなのか等々のお話とも関連すると受けとめておりますが、その点につきまして、重ねてお答えをお願いいたします。

中島政府参考人 先ほど来いろいろ御議論をいただきましたメタボリックシンドロームの医学的な吟味と申しますか評価等々につきましては、この専門家による検討会におきましてもさまざまな議論、最近の知見等も踏まえ、また、これからも新たなデータがいろいろと出てくる可能性もございますので、そういったことも十分吟味しながら議論をさらに進めてまいりたいというふうに考えてございます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、大臣に質問させていただきたいと思います。

 実は、こうした都道府県そしてまた市町村の主体的また効率的な取り組みの内容につきまして、今回、健診であるとか、そしてまたその後の栄養指導、健康指導であるとか、大変多くの役割につきまして盛り込まれております。

 私もこれを地域の主体的な方たちにいろいろ説明しましたところ、一つは、これから予算をどのようにしようか、そしてまた、これだけのことをやるには、やはり厚労省から速やかな情報の周知徹底をいただかなければ自分たちのボックスをなかなか決めることができないという、大変頭を抱えていらっしゃるといいますか、そのような御意見もいただきました。

 この過程におきまして、都道府県そしてまた市町村の意見を十分に反映させた円滑な推進が必要であると思っておりますが、そのことにつきまして、大臣の御決意を伺わせていただきたいと思います。

川崎国務大臣 今回の医療制度改革におきまして、長期的には、入院日数の削減それから予防の重視、これを柱として位置づけました。特に、生活習慣病対策の充実強化を大きな目標といたしております。

 日本の社会全体が車社会、そして食生活の大きな変化という中で、私は、日本の国が長寿社会をつくり上げてきたことは間違いありませんけれども、失敗をすると実は足元から崩れることになるだろうと。それは一部、沖縄の男の人の平均寿命で出てきているな、こんな感じがいたしております。

 そういった意味では、しっかり予防、生活習慣病対策をしていかなきゃならない。特に糖尿病等の有病者、予備軍の減少に向け、運動、食生活、喫煙面での生活習慣の改善に向けた国民の意識啓発に積極的に努めること、医療保険者の役割を明確化し、効果的、効率的な健診、保健指導を義務づけること。そういうものを進めるためには、今委員が御指摘いただきましたように、都道府県、市町村、医療保険者との関係をしっかりつくり上げながらやっていかなければならない。

 そういった意味で、いろいろな科学的知見を入れながら、連携をとりながらしっかりやってまいりたいと思いますので、また委員の皆さん方の御協力のほど、心からお願い申し上げます。

高木(美)委員 時間は数分ございますが、以上で終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

岸田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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