衆議院

メインへスキップ



第31号 平成18年6月14日(水曜日)

会議録本文へ
平成十八年六月十四日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 園田 康博君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井上 信治君    石崎  岳君

      稲田 朋美君    上野賢一郎君

      加藤 勝信君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      坂井  学君    清水鴻一郎君

      菅原 一秀君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君  とかしきなおみ君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西川 京子君    林   潤君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    御法川信英君

      矢野 隆司君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    小宮山洋子君

      郡  和子君    仙谷 由人君

      田名部匡代君    高山 智司君

      西村智奈美君    古川 元久君

      柚木 道義君    上田  勇君

      高木美智代君    西  博義君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           小宮山洋子君

   議員           西村智奈美君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   厚生労働大臣政務官    岡田  広君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     とかしきなおみ君

  木原 誠二君     赤池 誠章君

  高鳥 修一君     稲田 朋美君

  小宮山洋子君     三井 辨雄君

  西村智奈美君     村井 宗明君

  古川 元久君     高山 智司君

  上田  勇君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     木原 誠二君

  稲田 朋美君     坂井  学君

  とかしきなおみ君   加藤 勝信君

  高山 智司君     古川 元久君

  西  博義君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     矢野 隆司君

同日

 辞任         補欠選任

  矢野 隆司君     高鳥 修一君

    ―――――――――――――

六月十四日

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(田村憲久君紹介)(第三三九二号)

は委員会の許可を得て取り下げられた。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)(参議院送付)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外五名提出、衆法第三二号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(田村憲久君紹介)(第三三九二号)の取下げの件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案及びこれに対する小宮山洋子君外四名提出の修正案並びに小宮山洋子君外五名提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房総括審議官金子順一君、労働基準局長青木豊君、雇用均等・児童家庭局長北井久美子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。郡和子君。

郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。

 合計特殊出生率一・二五、女性たちの出産ストライキはなかなか終息を見ることができません。理由はさまざまでございます。

 先日、こんな新聞記事が載っておりました。

 「高速で近代化を成し遂げた国はある種のショック状態に陥ったために子育てと仕事との両立など」……(発言する者あり)

岸田委員長 静粛にお願いします。

郡委員 「新しい考え方や振る舞い方を見いだすのに苦労している。日本も多くの女性が働き始めたが、男性は自分がどう変わるべきかを自覚しておらず、社会全体にその傾向が残っている。これで出生率を一・八とか一・九に持っていこうというのはどだい無理な話だ。まず考え方を変えることから始めなければならない」というものです。

 これは、一・二五ショックを受けまして、某新聞社のインタビューに対しアメリカ戦略国際問題研究所の世界高齢化研究部長リチャード・ジャクソンさんが語ったものでございます。このコメントというのは、少子化の問題というのは男女の性別役割分担意識とそしてまた働き方の問題が密接な関係を持っているということを示唆したものだととらえております。一・二五ショックは伝統的な社会規範に対して見直すべきだという警鐘を鳴らしているのだというふうに受けとめています。

 均等法を初めといたします労働法制は、男女の役割分担の新しいあり方、そしてまた新しいワークライフバランスをつくり出すために、均等法をぜひ刷新しなくちゃならないというふうに考えています。

 また、政府は、月内にもまとめるという少子化対策案で、まさに働き方の見直しというのが柱になるというふうに言われ、そしてまた家族の日、家族の週間というのも設けるなど、意識改革を図ろうということを言及されているわけでございます。

 そこで、まず、労働政策審議会で行われている労働法制の見直しについてお尋ねをしたいと思います。

 きのう行われました労働政策審議会労働条件分科会に中間報告素案が提出されました。きょうの新聞等でも報じられているところです。

 これは、過労死の防止や少子化対策の観点から、長時間労働の抑制策を講ずることが喫緊の課題であるという現状認識のもとで、労働者が健康を確保しつつ、能力を十分に発揮した働き方を選択できるようにするという目的を掲げております。

 時間外労働の削減等また年次有給休暇制度の見直しの中では、仕事と生活の調和、それから少子化対策に資する観点で進められるというふうに承知していますが、これで間違いないでしょうか。

青木政府参考人 きのうの労働政策審議会労働条件分科会で「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」をお示しいたしました。これは、労働契約法制、労働時間法制についてずっと御議論をいただいてきたところでありまして、これまでの議論の一応の整理をして、さらに議論を深めていただきたいということでお示しをいたしました。

 これは、今委員が御質問になりましたように、少子化が進展しまして就業形態が非常に多様化する中で、仕事と生活の調和をとりつつ、子育て世代も含め、だれもが安心、納得して働くことができる環境を整備する、そういう観点から御議論をいただいているところでございます。

 この労働時間法制の見直しにつきましては、とりわけ仕事と生活の調和とかあるいは少子化対策に資するものとして、委員も少しお触れになりましたけれども、長時間にわたる恒常的な時間外労働の削減を図るということで、一定時間を超えて時間外労働をさせた場合の休日付与義務でありますとかあるいは割り増し率の引き上げ、あるいはさらには、年次有給休暇の取得を促進するため、使用者による時季の聴取あるいは年次有給休暇の時間単位の取得、そういったものを可能とする。

 あるいは、自律的な働き方をすることがふさわしい仕事につく労働者について、本人が仕事と生活の調和をとりつつ働くことができるようにすることも視野に入れまして、労働時間の配分の指示を受けない自律的労働にふさわしい制度を創設することなどについて今御議論をいただいているところでございます。

郡委員 今局長が最後の方で触れられました自律的労働時間制度の創設、それから裁量労働制の見直しというのもこの審議会で話し合われているようでして、これは実は、今おっしゃられた生活と仕事の調和というか生活を見直すという観点からはまた逆行するものだというふうにとらえておりますけれども、これはどうなんでしょうか。

青木政府参考人 自律的労働にふさわしい制度、あるいはお触れになりました裁量労働制というのは、労働時間について使用者の個別の具体的な指示を受けることなく自分で働き方、働く時間、そういったものを采配できるというところにいわばみそがあるわけでございまして、そういう意味では、それぞれ働く人たちが自分の生活との調和を図るという観点からはむしろプラスに働くシステムだというふうに思っております。

 ただ、恐らく御指摘は、理念的に、そういう人たちばかりでなくて、使用者からむしろ仕事を命ぜられて長時間労働になったりあるいは過重労働になったりというような、そういうおそれがある場合には逆に働くのではないかという御懸念だというふうに思います。

 そういった過重労働を招かないようにすることについては、今お示しして議論をしていただいている新しい自律的労働にふさわしい制度の対象者が、まずもって、真にみずから仕事と生活の調和を図ることができる者を対象とする、対象を限定するということはもちろんでありますが、それと同時に、それを具体的に担保する保障措置として休日の確保とかあるいは健康確保措置、そういったものをその制度の導入要件とするということについて今議論をしていただいているところでございます。

 そういうことで、皆さんが納得していただけるような制度がつくり上げられるように御議論をいただいているというところでございます。

郡委員 いわゆる日本版ホワイトカラーエグゼンプションというような形で、残業がそれこそ天井なしにあるんじゃないか、サービス残業もふえるんじゃないか、労働強化につながるんじゃないかというふうに大変懸念しているところです。

 長時間労働というのが生活と仕事との調和を妨げて、そして少子化に拍車をかけているというのはさまざまなアンケートからも異論がないところだろうと思います、調査から明らかになっているところです。

 社会保障・人口問題研究所の二〇〇三年の全国家庭動向調査によれば、子供が一歳未満の世帯の半数以上の男性が一割以下しか育児を実は分担していないということでありました。男女がほぼ平等に育児を分担しているのは五%から六%にとどまっております。しかも、妻がフルタイムで働いている世帯の夫五人に一人は全く家事の分担をしていないということでありました。

 それから、男性の育児休業取得も、これは二〇〇四年度で対象者の〇・五六%で、七割に達する女性と比べて極端に低い状況です。

 ある調査では、育児休業制度を利用したいと考える男性は少なくないということなんですけれども、このように、育児や家事に対する男女間の取り組みに大きな違いが出ております。この原因、背景を大臣はどのようにお考えでしょうか。

川崎国務大臣 御指摘いただきましたように、我が国では男性は労働時間が長い、一方で、家事、育児時間が少ない、女性にその分、家事、育児負担が偏っている、こういう社会になっていることは事実だろうと思います。

 仕事を優先することを前提とした正社員の働き方、その背景にある男女の役割分担意識、それから、特にこの十年を振り返りますと、我々の意識の中で、変えていかなければならないという意識は芽生えつつあるけれども、一方で、厳しい経済環境というものがあったんだろう。

 実は、先日、オランダの大臣と話す機会がありまして話をいたしたわけでありますけれども、ヨーロッパでは日本みたいなことは考えられない、こういう話をいただく一方で、我が国はやはり中国という、月給でいえば五千円、今だと一万五千円ぐらいになったんでしょうか、極めて賃金の安い国との競争、それも十三億人という巨大な市場との競争が控えている。その中で、ある意味ではもがき苦しんできたことも事実だろう。そういったいろいろな背景の中で、若者の中には、事実上、子育て期の男性の半数以上が仕事も家事も育児も同じように大切にしたい、こういうアンケートがある一方で、現実はそうなっていないということがあるんだろうと思います。

 しかしながら、委員と同じような考え方だろうと思いますけれども、やはり変えていかなきゃならない、日本の社会全体はやはり変わっていかなきゃならないというように私も思わせていただいております。

 一方で、育児休業の取得でございますけれども、これにつきましても、まず、会社の段階で、また多くの人がどこまでそれを理解しているか、男性がとる、当然の権利ですよというところがどこまで周知されているかというところが一つの問題点。

 また、一方の切り口からいえば、先ほど局長から答弁いたしました、年次休暇制度というものすら十分取得できていない、まだ働き過ぎというものがやはり日本の社会全体を覆っている、これをどう変化させていくかということが私どもの大きな課題だろうと思っております。

 その中で、全国の労働局において、男性も育児休業を取得できることを周知徹底してまいりたい。次世代法に基づく企業の認定基準に男性の育児休業取得実績を盛り込み、男性の育児休業取得を促進していきたい。男性の育児参加推進のためのモデル的な取り組みを行う企業の二百社に対する支援、それから、こういう形で取り組んでおりますということをできるだけ発表していきたいと考えております。

 また、今回の試みとして、男性が育児参加できる働き方の推進について、経営トップによる提言を取りまとめたい。トップみずからその方向を示唆するという方向に導いていきたい、こんなことを、施策を通じながら国民全体の意識を変えていく必要があるだろう、このように思っております。

郡委員 二十一世紀職業財団のアンケートで、労働者百人以上の企業に勤務する四十代以上の労働者のアンケートなんですけれども、男性の六八・六%が、育児支援に役立ったのは何だというふうに尋ねたところ、配偶者の協力というのを上げているんですね。これに対して、女性は二六・三%が配偶者で、女性の一番多かったのは配偶者以外の家族の協力だったんです。これは夫が妻に任せなければならない労働環境に置かれている。一方の妻は、夫を期待できないということを裏づけているんだろうと思います。

 スウェーデンやノルウェーの男性の育児休業取得率、極めて高いわけですけれども、これは導入の当初は必ずしもそうではなかったということであります。男性に限定した育児休業期間を割り当てる制度を導入するなどしてその取得率を高めているというふうに承知しています。

 仕事と生活の調和、また少子化対策を進めるためにも、あらゆるライフステージでの多角的な、そして総合的な取り組みが必要であろうかと思います。雇用や労働分野でも、日本の性別役割分担意識ですか、そういったものを改革していって、ぜひ実効性のある政策の転換を考えるべきだというふうに思っております。

 その意味で、均等法の改正というものに大変大きな期待を女性たち、多くの女性たち、差別の長い歴史を持つ女性たちの要望も寄せられました。また、社会の要請も非常に高くなっているんだろうと思います。

 その中で、これまでも大きな論点となっておりましたけれども、間接差別につきまして、政府案では省令で三項目を限定列挙しております。そうなりますと、それ以外、さまざまなところで間接差別ではないかと思われていたものが排除される可能性があるというふうに多方面から心配をされているところです。

 野党の修正案ではここを救おうとされているようであります。間接差別となる事業主の措置について、省令による限定を設けないことにする趣旨は一体何でしょうか、お尋ねいたします。

小宮山(洋)委員 そもそも間接差別の法理が救済しようとしている対象は、直接差別禁止の規定では救済することのできない現に存在するさまざまな形の男女差別の問題であり、これを包括的に禁止することに意味があります。

 一方、政府案では、省令で限定列挙することとしているため、間接差別のうち、ごく一部のものしか禁止の対象とならず、不十分です。また、このような限定は諸外国の法令でも例がないということは政府も認めているところです。

 本修正案では、現実に社会で生じているさまざまな間接差別について禁止の対象とし、助言、指導、勧告、公表といった措置を行っていくべきであるという考え方から、省令による限定列挙をしないこととしています。

 司法による民事上の救済におきましても、この省令で定められたもののみが間接差別として扱われ、損害賠償請求等が認められないなど、これまでに積み上げられてきた司法判断が後退することが懸念されているため、そうしたことがないように、指針で例示列挙をすればよいと考えています。

郡委員 続いて、また修正案について伺いたいと思います。

 この間接差別の対象の中に賃金が加えられているわけですけれども、この趣旨はどういったことでしょうか。お尋ねします。

西村(智)委員 郡議員にお答えいたします。

 賃金差別は、労働に係る差別の中でも最も重要かつ切実な問題の一つでございます。昨日の参考人の方からのお話でも、そのような趣旨の御発言がございました。

 このため、労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取り扱いをすることについては、既に労働基準法において直接差別として禁止されているところです。

 しかしながら、性別以外の理由による賃金差別であっても、例えば、家族手当や住居手当などの支給に当たって世帯主であることを要件とすることなどによりまして、その手当等の支給を受けられる女性の割合が男性に比べて相当程度少ない場合など、まさに間接差別の典型的なケースとして禁止すべきものが存在しております。

 これを放置いたしますと、直接差別の禁止が有名無実となってしまうことから、本修正案においては、間接差別の禁止の対象として賃金を加えたものでございます。

郡委員 世帯主条項、主たる生計者というのを証明するのを女性にばかりいろいろな証明用紙の提出を求める、そういう手続的な差別もまだ現存していると承知しております。

 次に、省令による限定を設けないことによって、それではどのような間接差別があるというふうにとらえられるんでしょうか。その点について詳しくお尋ねしたいと思います。

高橋委員 お答えいたします。

 例えば、男女雇用機会均等政策研究会の報告書において間接差別として考えられる例として挙げられたものが該当することになると考えております。

 具体的には、募集、採用に当たって一定の学歴、学部を要件とする、福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たって住民票上の世帯主であること等を要件とする、処遇の決定に当たって正社員を有利に扱う、同様に総合職を有利に扱う、福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たってパートタイム労働者を除外する、これらについて、その合理性がない場合に、間接差別として禁止されることになると考えております。

 もちろん、委員御指摘のとおり、間接差別はこれにとどまるものではないと考えております。

郡委員 ありがとうございます。

 重ねて修正案についてお尋ねをしたいと思います。

 修正案では、基本理念の中に、仕事と生活の調和、ワークライフバランスが規定されているわけですけれども、基本理念に盛り込んだその趣旨というのはどういうことでしょうか。

阿部(知)委員 ただいまの御質問の中にありましたように、私どもの修正案では、まず基本理念としての仕事と生活の調和ということを明確にすることが今回の改正の重要な意味であり、位置にあると思います。

 既に、せんだって内閣府の方から男女共同参画白書等々も出されておりますが、その中でも、キーワードとしてのワークライフバランス、日本語でいうと仕事と生活の調和という問題が非常に重要なワードとして取り上げられております。

 振り返ってみますれば、一九九七年のさきの改正において、実はこの用語は、女性のみの仕事と生活の調和ということではないということで削られたというふうに考えられておりますが、逆に今という時代であるからこそ、男性も女性も当たり前に暮らし、働き、人生をきっちりと自分の中で生活設計していけるということが大切と思います。

 その意味でも、先ほど郡委員の御指摘にありました男性の長時間労働もまた非常に重要な、ある意味で性による差別ですし、女性たちの労働も今二極化しておりまして、かえって九七年段階より長時間労働もふえ、一方で、短時間、低賃金という二極化を呈しておりますので、今回の雇用均等法の改正に当たって、ぜひこれらを未来に向けるための基本理念として提案させていただきました。

郡委員 ありがとうございます。

 その仕事と生活の調和というのは、これまで政府の御答弁などでもありましたけれども、労働法制全体を通じて考えるべきものであって、性差別以外の要素をこの均等法に規定するのは適当ではないというような御意見だったかと思いますけれども、これについてはどういうふうに考えているのでしょうか。

糸川委員 お答えいたします。

 仕事と生活の調和は、労働法制全体を通じて考えるべきであるという意見については、まさにそのとおりであるというふうに考えております。

 しかしながら、仕事と生活の調和は、実質的な男女平等を実現する上で前提となるものでありまして、雇用の分野における男女の平等な機会及び待遇の確保と密接な関連があるものでございます。したがいまして、性差別以外の要素を均等法に規定することは適当ではない、このような御指摘には当たらないものというふうに考えております。

郡委員 ありがとうございました。私もそのように思います。

 次に、これも二十一世紀職業財団が行ったアンケートなんですけれども、昨年の九月に実施されたものでありまして、パートタイム労働者の実態調査報告書から引いております。

 正社員とほとんど同じ職務についているパートがいる事業所というのは、全体の四二・五%を占めておりました。職務が正社員とほとんど同じで、かつ正社員と人材活用の仕組みや運用が実質的に異ならないパートがいる場合のパートの賃金水準、正社員とほぼ同額だというふうに答えた事業所が一四・五%、九割程度というのが一二・八%、八割程度が二四・四%で、七割程度一九・九%、六割程度以下というのが八・五%でありました。

 正社員とほぼ同じ賃金を払っているというところが一四・五%あったということであります。一四・五%、それ以外の方々は、明らかに賃金に差があるということですけれども、ほとんど同じ職務を行いながら。しかも、そのパート労働者の九割は女性が占めております。

 ILO条約の勧告適用専門委員会のILO百号条約に関する二〇〇二年意見では、同一価値の労働における男女に対する同一報酬の原則が、これはパート労働者にも適用されることを確認しております。政府は、このILO百号条約の二〇〇二年意見、これまでどのようにこれに対して措置をとってきたのか、そしてまた成果はどうだったと考えているのか、そしてまた今後はどのような措置を講ずるべきと考えているのか、お尋ねいたします。

北井政府参考人 ILO百号条約は、同一価値労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約ということでございますが、ここの条約で言っております同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬とは、性別による差別なしに報酬を定めることをいうということとされておりまして、こうした同一労働についての男女の同一賃金ということについては、当然パートタイム労働者についても適用されるということでございまして、仮にパート労働者について男女別の賃金表を設けるというようなことがあれば、これは労働基準法四条違反として適切に対処をしていくということになります。

 それから、女性の処遇改善という観点からも、パートタイム労働者について公正な処遇を図っていくことが重要であるということは言うまでもないわけでございます。

 こうしたことから、厚生労働省におきましては、パートタイム労働者について、パートタイム労働指針に基づきまして、賃金などの処遇について正社員との均衡を図っていただくように事業主に働きかけをしてきたところでございます。また、本年度からは新たにパートタイム労働者の評価、資格制度を整備した事業主に助成金を支給するなどいたしまして、均衡処遇に取り組む事業主への支援を強化することといたしております。また、事業主みずからがチェックしアドバイスを受けられるインターネット上の診断システムの提供を開始いたしましたし、公正な処遇が図られた短時間正社員制度について、導入マニュアルなどの周知を通じまして普及に努めているところでございます。

郡委員 そのパートタイム指針ですけれども、人材活用の仕組みや運用などが正社員と実質的に異ならないパートタイム労働者かどうかというのを判断する物差しとして、人事異動の幅や頻度や役割(責任、権限の重さ)の変化など、職務経験を積む仕組みが設定されているかを見るとともに、運用の実態を見て判断していくということですけれども、これが新たな性差別につながってくるのではないかというふうなことも言われているところであります。

 EU指令では、パートタイム労働者とフルタイム労働者とで異なる処遇などを行った場合に、これはすぐさま間接差別として処理されるわけであります。イギリスやドイツにおきましても、性差別禁止法やまた民法で間接差別事案として処理されているようであります。我が国でも、やはりパート労働者とそれからまたフルタイム労働者の異なる処遇について、間接差別との位置づけで法整備をすべきではないかというふうに考えるわけですけれども、大臣、これについてはどのようなお考えでしょうか。

川崎国務大臣 今局長から答弁させていただきましたけれども、今般の改正に向けた労働政策審議会の議論において、正社員とパートタイム労働者の間の処遇差について、パートタイム労働法により対応すべきという強い意見があったことから、間接差別として違法とすべきというコンセンサスは得られませんでした。

 確かに、言われるとおり、ヨーロッパではパートタイム労働者への適用例が多く見られます。しかし、アメリカでは適用例は把握されていない。そういう意味では、欧米においてもそれぞれ意見が違うということもございます。

 一方で、正社員とパートタイム労働者の均衡処遇の問題、これを性差別ととらえるか雇用形態間の処遇の均衡問題であるかと考えると、私どもとしてはやはり均衡処遇の問題であろう、このように考えております。

 それから、この委員会でもいろいろ御議論いただいてきた中で、男女を問わず、若者の非正規雇用がふえてきている、それが賃金格差にもなり、また少子化の大きな理由にもなっている、こういう御指摘もございます。そういった意味では、男女間の性差別問題というようにとらえるよりは、やはり正規雇用と非正規雇用の問題という形でとらえていった方がいいのではなかろうかな、このように思っております。

郡委員 若者の非正規雇用の問題も重要な問題だというふうに承知しておりますけれども、長い間低賃金のパート労働に従事してきたのは女性たちでありまして、大部分が女性であるということも、先ほど私もアンケートの数字を申し上げました。

 あくまで低賃金に甘んじさせるパート労働をそのままにするということでは、女性が多く働いているということですから、家庭を持った中高年の男性の収入と比べましても、明らかにこれは、異常なほどと言っていいほど自立できない低賃金なわけですね。だからこそ、そのパートの女性たちに家庭的な責任も負わせる、そしてまた、それが女性全体の労働者の低賃金構造を支えていくことにつながっていくんだろうと思います。悪循環からなかなか脱却できないと思います。ぜひ大臣に英断をしていただきたいところだというふうに考えております。

 ところで、民主党はパート労働法を改正するということですけれども、その趣旨をお尋ねいたします。

西村(智)議員 郡議員が今ほどお話しになられたように、パート労働の問題は性差別と極めて密接に関係している課題であると思います。私たちは、均等待遇を実現する点から、このパート労働法の改正が必要であるというふうに考えて、今回の改正案を提出させていただきました。

 パートタイム労働者の待遇については、労働時間や仕事の内容が正社員とほとんど同じでも、賃金や労働条件において均等な待遇を受けていないことが問題となっております。パートタイム労働者の約七割が女性でありますが、これは先週発表されました男女共同参画白書の中でも明らかにされておりましたけれども、女性パートタイム労働者の平均賃金は男性一般労働者の約四五%にとどまると言われておりまして、格差が依然として解消されていないことから、国際的に批判を受けてまいりました。国際的な批判とは少し離れるのですが、男性パートタイム労働者の賃金格差も依然として大きいままでございます。

 本法案は、このような現状を踏まえまして、短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保を図るためのものでございます。また、短時間労働に従事する若年者や高齢者の雇用や生活の安定、そして労働者のワークライフバランスの実現にも寄与するものと考えております。

郡委員 短時間労働者と通常の労働者の均等待遇については指針で定めるというふうに言われておりますけれども、この指針に示される基本的な考え方というのでしょうか、これをお示しいただきたいと思います。

小宮山(洋)議員 御承知のように、日本の賃金制度では、同じ仕事をしていましても、年齢や勤続年数、扶養家族の有無、残業、配転、転勤などの拘束性、職務遂行能力、成果などの違いによりまして、処遇が大きく異なっています。こうした状況の中で、短時間労働者と通常の労働者との、均衡ではなくて均等な待遇についてどのように考えるべきかにつきましては、それぞれの事例を積み上げて、労使代表による検討を重ね、社会的なコンセンサスを得ていくことが重要であると考えております。

 こうしたことを踏まえまして、短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保に向けまして、基本的な考え方として、以下の五点、上げておきたいと思います。

 まず、パートタイム労働者につきまして、通常労働者との均等な待遇を確保するということは、同一価値労働同一賃金の原則にのっとり処遇されるということでありまして、同じ仕事や働き方であれば同じ賃金とすること。

 労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、雇用保険法などの労働者保護法制は、パートタイム労働者に対しましても適正な適用を確保するということ。

 同じ働き方でない場合でも、仕事や職務遂行能力に見合った公正な処遇や労働条件を考えること。

 所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じで、同様の就業実態にあるパートタイム労働者につきましては、通常の労働者と同様の処遇を行うこと。

 パートタイム労働者の均等待遇を確保するためにも、常用フルタイムの正社員の働き方や処遇のあり方を含めて、総合的に雇用管理を見直すこと。従来の仕事一辺倒の働き方から、ワークライフバランス、仕事と生活の調和を図ることができるよう、労働条件全体を見直すことです。

 これからますます少子高齢社会になる中にありまして、男女ともに、子育てや介護など、そのときには安心して短い時間働ける、そのためにも、こうしたパートタイムの均等待遇ということが、これから日本にとりまして喫緊の課題だと考えております。

郡委員 もう一点伺わせていただきます。

 所定労働時間を超える労働、それから所定労働日以外の労働を制限するということですけれども、これはどういう効果をねらってのことでしょう。

西村(智)議員 現在は、短時間労働者の所定労働時間を超える労働、そして所定労働日以外の労働について制限する明確な規定がございませんので、明確なルールを設けることで労働時間の管理を適正化できると考えております。

 また、附則第三条第二項におきまして、パート労働者を初めとする労働者の所定内労働を超える労働及び所定労働日以外の日の労働に係る割り増し賃金制度の導入に関しまして、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとなっております。

郡委員 はい、わかりました。

 続いては、妊娠、出産を理由とする不利益取り扱いについてお尋ねをしようと思っております。時間もわずかになってまいりましたので、とんとんと質問をさせていただきたいと思います。

 今回は、募集、採用時における妊娠、出産を理由とする不利益取り扱いというのは規制の対象から外れました。職務に影響がない場合も、妊娠していることを理由に採用を拒否することができるのかどうか。それからまた、企業再編などによって新たに雇用関係を結ぶような手続が必要になった場合に、これも妊娠、出産を理由として不採用にするというような不利益取り扱いというのは規制されないことになるのかどうか。ここを確認したいと思います。

北井政府参考人 事業主が採用活動に際しまして妊娠を理由に採用しないこととするといった問題についてでございますが、我が国では、採用の自由が大変広く認められておりますことの関係にかんがみますと、事業主にその女性労働者を採用することまでは求めることが困難であること、それから、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いについて把握している事案としては、退職の強要であるとか、正社員からパートへの身分転換といったような雇用関係が継続しているケースの問題が多いこと、そうしたことから、今回の妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いについては、雇用をしている女性労働者を対象とすることとしたものでございます。

 なお、企業再編等によって新たな手続がとられる場合の問題については、ケースによると思いますけれども、仮に、実質的に新たな採用手続と認められないようなケースについては、妊娠、出産等を理由とする解雇の問題ともなり得るというふうに考えております。

郡委員 今の御答弁で、済みません、妊娠していることを理由に採用を拒否することというのは、職務に影響がない場合でもあり得るということですか、それでは。

北井政府参考人 決して望ましいことではないわけでございますが、均等法上の法違反ということには、対象となっていないということでございます。

郡委員 これは、欧米諸国の例を見ましても、妊娠、出産を理由とする雇い入れの拒否というのを禁止しておりますし、それからまた、採用する場合、募集をする場合、妊娠しているのかというようなことを確認することさえも禁止されているわけです。せっかくの改正の機会でありますので、多くの相談というのが解雇につながることであったのは事実でありますけれども、入り口のところでも、ぜひそこは検討すべきであろうというふうに考えております。

 それから、産前産後休業期間中、また妊娠、出産で仕事ができないときの賃金保障と評価についてお尋ねしたいと思っております。

 これは労働政策審議会でも議論されているわけですけれども、不就労期間の評価という問題では育児休業制度におきましても同じような問題がございます。

 育休中に、要するに、育休を取得するということを理由に減給だとか降格といったものは不利益取り扱いとして禁止しているわけですけれども、指針では、休業期間中に賃金を支払わないこと、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業期間は働かなかったものとして取り扱うということは、不利益取り扱いには該当しないというふうにしております。

 賃金保障もさることながら、連合のおととしの調査ですけれども、育休明けの業務評価時に、休んだからと評価を下げられた、あるいはまた、一度育休をとることによって三年間の昇進資格がなくなったというような女性たちの大きな不満の声も寄せられております。

 経済産業省の委託調査報告によりますと、育休取得には三つのロスが伴うというふうにされております。第一は所得のロスであります。そして第二はキャリアのロス、そして三番目に業務知識ロスということになっているわけで、これは育休に限らず、産前産後休暇の不就労期間にも当てはまる問題だと考えております。

 今回、政府の健康保険法の改正案で、産前産後休暇中の出産育児一時金の支給というのが上げられました。

 ところで、有給で産休を設けている企業というのはどのぐらいあるのかといいますと、これはわずか二八・一%でございます。そのうち、全期間一〇〇%賃金保障しているというのは五二・八%、これは計算しますと全体の一五%ほどにしかなっておりません。それから、母性保護措置などによる不就業期間について、退職金の算定に際して就業したものとみなすというふうな事業所というのは、全体の二割でしかありません。もちろん、昇進、昇格それから昇給の決定に際して就業したものとみなすと答えている事業所というのは、大変少なくて、一六%から一八%にとどまっております。

 こういったことを考えますと、特に産前産後休業というのは比較的短い期間でありますし、産後の六週間というのは強制的に休まなくちゃいけないわけですから、これは評価のあり方というのを改めて考えるべきではないかというふうに思います。不利益取り扱いを規制する範囲を広げるなどの対策が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 産前産後休業期間中の評価の取り扱いについてでございますが、これは結局のところ、不利益取り扱いの判断をどうするかという考え方になってくるわけでございまして、これは、御審議いただいております法案が成立した後、労働政策審議会における議論を経て指針で定めることになりますので、その中で十分御議論をいただきたいというふうに考えております。

 その結果を踏まえて明らかにしていきたいと思っておりますが、その際、既に労働政策審議会の建議では、休業期間を超えて働かなかったものと取り扱うことや、通常の人事異動のルールから十分に説明ができない取り扱いを行うこと、ほかの疾病の場合の休業と比べても不利に扱うことといったようなことは不利益取り扱いと判断されるというようなことが盛り込まれておりますから、こうした考え方を基本として議論が進むものと考えております。

郡委員 ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。それでこそ、やはり女性たちが安心して働き、安心して子供を産み育てられるということになろうかと思います。そしてまた、男性たちの働き方というか、育児へのかかわり方というのも変わってくるんだろうと思います。

 参議院に大臣が向かわなくてはならないということで時間が短くなりましたけれども、大臣がいらっしゃる間にお尋ねをしたいと思います。

 さまざまな雇用の場で差別があった場合に、その救済を求めるあるいは裁判に訴えるというのは、これはその本人が申し出をしなければならないというのが原則であります。差別される本人の問題だというふうにされまして、泣き寝入りをすれば、これはやり得というようなことが蔓延しているわけです。

 均等法の目的を達成するために、ぜひ、スウェーデンなどでのオンブズパーソンのように、具体的事件でなくとも、あるいは本人でなくても、差別をなくして平等を実現するために働きかけを行っていく、そういう効果的な実効性のある紛争調停救済機関というものをつくるべきじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。時間の許すところでお答えいただければ幸いです。

川崎国務大臣 今御指摘いただいたスウェーデンの機会均等オンブズマンは、罰則を伴う調査権限や苦情等を処理する権限を持ち、男女雇用機会均等法の監視、救済を行う機関であると承知しております。一方、我が国の男女雇用機会均等法は、調停等により労使間の紛争解決の援助を行うとともに、大臣または労働局長による行政指導により法違反の是正を行っております。

 今回の改正法案におきましては、法違反に対する勧告に従わない企業に対する企業名公表制度という社会的制裁措置の対象を拡大したこと、また、報告をせず、または虚偽の報告をした事業主を過料に処する罰則規定を設けたことから、行政指導やその前提となる報告徴収の実効性を確保することができると考えております。

 スウェーデンでこのような制度をとられていることは承知いたしておりますけれども、私どもは今回の法改正で進めさせていただきたいと考えております。

郡委員 ですから、やはり本人の申請に基づかないとそれらは機能しないわけですよね。ぜひそこのところ、もう少し前向きに取り組んでいただきたいということを大臣に強く要請させていただきたいというふうに思います。

 それから、セクシュアルハラスメントの規定について確認をさせていただきたいと思います。

 これは、人事院が平成十年にセクシュアルハラスメントの防止策などについて定めた人事院規則一〇―一〇の第六条、セクシュアルハラスメントをしないようにするために職員が認識すべき事項について指針を定めているわけですけれども、この中には、「性別により差別しようとする意識等に基づくもの」として、男のくせに根性がない、あるいは女性には仕事を任せられないというようなことも例示されているわけなんですけれども、さらにまた、女性であるだけで職場でお茶くみ、掃除また私用等を強要することというのも上げられております。

 北井局長は、それこそ厚労省の中でもお茶くみ論争の中で大変な御尽力をされたというふうに伺っておりますけれども、これはまさしくジェンダーハラスメントのことを言っているんだと思います。

 さきの参議院の議論の中では、北井局長は、今回は、セクシュアルハラスメントの中に均等法ではジェンダーハラスメントは入っていないのだというふうにお話しになっていましたが、整合性がつかないと思いますけれども、いかがでございましょう。

北井政府参考人 いわゆるジェンダーハラスメントはセクシュアルハラスメントとは本来別の概念であると考えておりまして、このため、従来、十年前の法改正でこの均等法にセクシュアルハラスメント対策を入れましたときからこの考え方にのっとりまして、このジェンダーハラスメントはセクシュアルハラスメントには含めていないところでございます。

 民間企業に適用される均等法とそれから公務員に適用される人事院規則の違いでございますが、別の法体系に属するものでございまして、同一の規定内容となっていなくても特段の問題とはならないと考えております。

 ただ、セクシュアルハラスメントを防止する取り組みとしては、セクシュアルハラスメントが起こるような原因、背景として、やはり性別によって役割を分担するような意識に基づく言動というのも背景にあることもあります。そうした観点からは、そうしたことが起こらないような職場づくりという観点で周知に努めているところでございます。

郡委員 今北井局長もお話しされましたように、このジェンダーハラスメントというようなことがセクハラを生んでいく背景にやはりあるわけですから、ぜひとも、かたいことをおっしゃらずにセクシュアルハラスメントの中にジェンダーハラスメントをぜひ含むべきだというふうに考えております。ぜひここは御検討いただきたいということをお願い申し上げます。

 大臣も参議院に向かわれました。私も、実はこの均等法の改正でたくさんお尋ねしたいことがございましたのですけれども、時間になりました。女性たちのよりよい職場、働く環境づくりのためにも、均等法を実効性のあるものにつくりかえていかなくちゃいけないんだろうというふうに思っております。午後の審議にも私どもも期待したいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

岸田委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十三分開議

岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 男女雇用機会均等法二十年目の見直しということで、多くの女性たちがさまざまな期待を持って見守っている法案でございますが、会期末近いということで、本当に短い時間の審議になってしまいました。ぜひ密度の濃い質疑をしたいと思っておりますので、建設的な御答弁をまずもってお願い申し上げたいと思います。

 質疑の中で、まず、間接差別とかいろいろ焦点になるところはきのうから議題になっておりますが、全体像がなかなかわかりにくいと思いますので、総括的に私の方から、その全体像、そしてその中の問題点を聞かせていただきまして、後ほど同僚の西村智奈美議員の方から確認をさせていただく答弁など、また詳細について伺っていきたいと思っております。

 まず、今回の法律で男女双方の差別を禁止したこと、これは評価できることだと思っておりますが、今回の改正で、女性労働者とあるところを労働者と改めて、男女双方に対する差別を禁止したというのはどういう考え方からかをまず伺いたいと思います。

北井政府参考人 現行の男女雇用機会均等法は女性に対する差別のみを禁止している法律でございますが、この均等法制の法のあるべき姿は、実は既に昭和五十九年の婦人少年問題審議会建議において示されておるところでございまして、法のあるべき姿としては、男女双方に対する差別を禁止する性差別禁止法であるとされてきたところでございます。

 そうした経緯を経まして、今般の改正法案におきましては、近年、男性であることを理由とする差別についての御相談事案も寄せられておりますし、また、前回の平成九年の法改正のときにおきます国会の附帯決議におきましても、いわゆる性差別禁止法の実現が求められているわけでございます。また、諸外国の法制におきましても、男女双方に対する差別を禁止することが一般的でございます。こうした状況を踏まえまして、今回、男女双方に対する差別を禁止するということにしたものでございます。

小宮山(洋)委員 人は、その性にかかわらず平等に処遇されるべきもので、男女平等の観点からは、男女双方の差別を禁止したということ自体は評価ができますが、性差別禁止法ということが今局長の言葉にもありましたけれども、その性差別禁止法にふさわしく、民主党の修正案で示しているように、男女雇用平等法とした方が意図がより明確になるのではないかと思いますが、いかがでしょう。

北井政府参考人 男女雇用機会均等法におきまして、平等という用語ではなくて均等という文言を用いておりますのは、そもそもの制定当時、労働法における使用例を見ますと、均等という用語は労働基準法三条であるとか労働組合法第五条などで用いられておりますために、均等法についてもこの労働法の体系と整合性を持たせることが必要であると考えて、均等という言葉を用いたことによるものでございます。

 均等法という言葉もこの社会にかなり浸透しておりますし、均等を平等に改める、現在のところの特段の必要はないというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 共働きの男女の一方または双方に対する不利益取り扱い、既婚、未婚による差別的取り扱いは性差別となるということをまず確認したいと思います。

 また、改正案の第九条二項の女性労働者に対してのみの婚姻を理由とした差別禁止は、男女労働者とすべきではないでしょうか。

北井政府参考人 最初の御指摘の、未婚、既婚を理由とする差別は、性差別とは解しておりません。

 それから、女性が婚姻したことを理由として解雇してはならないというような条文がありますけれども、これは制定当初、女性の結婚退職制が極めて多く問題であったことによって、その実情から入ったものでございまして、男性が結婚したことを理由として解雇されるとか不利益取り扱いがあるということは、現状の状況においても余り問題として承知しておりませんので、ここのところはあえて男性も入れるということにはしなかったわけでございます。

 なお、結婚している女性についてだけ男女異なる取り扱いをする、あるいは結婚している男性についてだけ異なる取り扱いをするということになると、これは性差別、性別を理由とする差別的取り扱いということになるわけでございます。

小宮山(洋)委員 ということは、男性が結婚しても差別をされていないということは、今、女性にだけ差別があるということをお認めになったということかと思うんですけれども、一番最初のところの、既婚、未婚は性差別とは考えないと言われたことと後半でおっしゃったこととは矛盾しないですか。

北井政府参考人 例えば、独身の女性と結婚している女性の何らかの異なる取り扱いがあるということになると、これは未婚、既婚の差別であって性別の問題ではない、こうしたことについてはこの均等法は対象にしていないということでありますが、男女の間で、結婚しているどちらか一方の性については差別がある、結婚している他の性については優遇されているというような、男女異なる取り扱いがあるということになると、これは均等法の性別を理由とする差別的取り扱いの問題になるということでございます。

小宮山(洋)委員 諸外国の法制を見ましても、そのほとんどが性差別禁止法として男女双方に対する差別を禁止しています。

 九七年の均等法改正のときの衆参の附帯決議でも、先ほど局長も言われましたように、男女双方に対する差別を禁止する、いわゆる性差別禁止法の実現を目指すこととされております。今後、どのようにその性差別禁止法になるようにこの法律を強化していくのか、伺いたいと思います。

北井政府参考人 今般の改正におきまして、女性のみを対象とする法律から男女双方を対象とする法律への改正がなされるわけでございまして、このことによりまして、平成九年の国会審議の際の附帯決議において求められた性差別禁止法の実現がなされ、また、諸外国の均等法制と比較しても遜色のないものになるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 次に、仕事と生活の調和、ワークライフバランス、昨日の参考人質疑から始まってずっとテーマになってきているものですけれども、均等法二十年目の大きな見直しとなる今回、本当に男女の雇用の場での平等を実現するためには、やはりもう一歩踏み出して、仕事と生活の調和、ワークライフバランスを法の基本理念に入れるべきだということで、私たち野党の修正案はそのようにしております。多くの働く女性たちや専門家からそうした声が大きかったわけですね。

 このワークライフバランスがなぜ必要かというと、幾ら育児休業制度を入れても、結局、妊娠をした女性の七割が妊娠したことでやめてしまう。育児休業取得率が七〇%、七割というのは、これは数字のトリックであって、残った、やめなかった三割のうちの七割がとっている。ですから、妊娠すると、働いている女性の二割しかこの制度を使えていないということなんですね。男性は〇・五六%とますます少ないわけですけれども。これはやはり、子供を持つ労働者だけの特権、特別の権利だと思うから、本当にかなり厳しい今の働く状況になっている中で、職場で気兼ねをしてとれない。

 そうすると、そこから一歩踏み出して、ワークライフバランスというのは、子供を持つ労働者とかそういうことにかかわらず、すべての労働者が、賃労働である労働と、家事、育児、介護などの家庭での生活、それだけではなくて、これから本当に、来年には私どもの世代が定年退職をするという大量退職時代とも言われておりますけれども、そうした人たちの生き方も含めて、地域活動とかボランティア活動あるいは何かを学ぶこととか趣味とか、とにかく人間として生きていくすべての活動、それを生活という言い方をして、すべての人が仕事と生活の調和のとれた生き方ができるようにしたい。企業の方もその方がお得ですよというか、損失が少ない。そういう考え方から出ている、仕事と家庭の両立支援よりもう一歩踏み出しているのが、このワークライフバランスだと思います。

 そうしたことがこれから本当に必要な理念だと思いますが、政府案でこれが盛り込まれなかったのはなぜか、これは大臣から御答弁をいただきたいと思います。

川崎国務大臣 このことについては、参議院でも随分議論をいただきましたし、先ほど委員自身が答弁の中においてお答えになっておりましたけれども、私どもは、仕事と生活の調和は重要な課題である、しかしながら、男女雇用機会均等法、それ自体は、先ほど局長の答弁の中にありましたように、性差別禁止のための法律であり、仕事と生活の調和という課題とは基本的には切り口が違うと考えております。基本的には、育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法、労働時間等設定改善法など、労働関係の法令全体を通じて、ワークライフバランスという考え方はしっかりしていくべきものであろう、そういう意味では、少し考え方は違いますねということは再三申し上げてきたところでございます。

小宮山(洋)委員 立ち位置が違うので、そこは議論してもなかなかかみ合わないところなのかとは思いますけれども、やはり仕事の部分だけを切り出して、切り取って、そこだけで平等にしようといったってこれは無理なわけですよ。今実際に、育児の九〇%、介護の八五%は女性たちが担っている。そういう現状の中で、仕事の部分だけを平等にしても、なかなか、トータルな人間としての生き方は平等にならない。そういうところからしますと、この均等法の理念に入れることが本当に男女平等の働き方になるのだと思います。

 性差別は、仕事優先の男性と生活を担う女性という性別による役割分業によって生まれて、ずっと維持をされてきています。男女ともに仕事と生活の調和を図れるようにするということは、これはもう性差別を是正するための基本中の基本です。男性の、生活との調和を図れない、家族への責任が果たせない、その働き過ぎの働き方を改めない限り、雇用の場の男女平等の実現は困難です。そういう意味で、基本理念に入れるべきだと申し上げているんですね。

 理念として明記をするということで、この法律全体を大幅に変更しなくても多くの法的効果を持たせることができると考えておりますが、いかがでしょう。

北井政府参考人 やや法技術的な御説明になりますけれども、そもそもの均等法は、発足当時は、女性労働者の福祉の増進という視点が大きくて、その中には、女性労働者が職業生活と家庭生活との調和が図れるようにするためのさまざまな措置、例えば育児休業制度であるとか再雇用制度であるとかあるいは調和を図るための相談、講習であるとか、いろいろな具体的な規定が入って、目的、理念にも職業生活と家庭生活との調和ということが入っておりました。

 しかし、育児休業制度の法制化それから介護休業制度の法制化等に伴いまして、均等法からいわゆる両立の部分、育児休業制度であるとか再雇用制度であるとかあるいは最後には女性労働者の調和を図るための相談、講習であるとか、そういう具体的な措置が全部、育児・介護休業法の方に独立をしてまいりまして、そして、法律としては、均等法は、性差別の禁止を主たる目的とする規定、性差別のない職場をつくる、それから育児・介護休業法は、育児や介護を行う家族的責任を有する労働者が仕事と家族の一員としての役割をともに果たせるようにする、こうした法律にして、私どもの雇用均等行政というのは、この二つの法律でもって車の両輪でやってきているわけでございます。

 したがいまして、必ずしも、仕事と生活の調和ということをすべての法律に、あるいは同一の法律に規定されているということは必要ないと考えますし、また、なかなか法技術的には、各論の具体的な規定がない中で、均等法の中に調和という、理念にしても盛り込むことは困難であるという実態がございます。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、施策として、均等、性差別のない職場づくりということと、それから仕事と生活の調和ということは大変ともに重要な課題だと思っております。これが相連携して、有機的に連携してその施策を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

小宮山(洋)委員 お話にありましたように、九七年の法改正で、生活の部分は育児・介護休業法に分けて、均等法は目的を絞った、それを戻して、広くする改正はしないという答弁が参議院の審議でも川崎大臣からもございました。

 ただ、この前回の改正のときそこを分けたのは、女性だけにそこが偏るということがあって分けたので、今回、男女双方にしたことを機会に、やはり戻すということが必要なのではないかというふうに思います。そうでないと、今、車の両輪で進めていますと局長はおっしゃいましたけれども、先ほど私が言いましたように、それじゃ何で妊娠をした女性が育児休業をとれないで七割やめてしまうんですか。それはやはり、両輪といっても、車の大きさが、車輪の大きさが違うのか、走るスピードが違うのかわかりませんけれども、がたがたになってしまっているから。人間は一人トータルな人間なんで、この部分はこの法律で、この部分はこの法律でとはいかないじゃないですか。いかがでしょう。

北井政府参考人 男性も女性も、あるいは家族的責任の重い方もそうでない方も、個々人が存分にその意欲、能力に応じて職場で力を発揮するということは大変重要な課題だと思っておりまして、そのために、まさに均等法や育児・介護休業法、次世代法あるいは労働基準関係の各法律等々に基づく各施策を有機的に連携することによって、実効ある施策を推進していくことが適当であるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 局長のお立場ではそうお答えになるしかないのかもしれませんけれども、たくさん傍聴に来ていらっしゃる女性の労働者の方たちも、なかなかそういう答弁で納得がいくとは思いません。

 それで、理念に入れれば、法律を大幅に変更しなくても多くの法的効果を持たせることができるということは法律の専門家も述べておられますので、実効性のある男女平等を実現するためには、ぜひ皆様方に、私たち民主党の理念に、ワークライフバランス、仕事と生活の調和を入れた野党案に御賛成いただくようにお願いをしたいと思います。

 少子化への対応ということからしましても、先ほどから申し上げているように、子供を持っても働き続けられる環境の整備が急がれております。先ほど昼のニュースでも、少子化への対応を、骨太方針に盛り込まれるようなものを与党の方で結論を出された。その中にも、働き方の問題というのは大きな柱として掲げられているはずですね。

 先ほど申し上げたように、七割の女性が仕事をやめる、育児休業制度があっても気兼ねをしてとれない。幾ら男性の取得率を一割にと言ったって、何の罰則もない。もっとインセンティブを深めるようなものもなく、ただ企業に目標値を掲げなさいと言っても、〇・三から三年でようやく〇・五になってふえたと言われるような男性の取得率も変わらないと思います。

 これからまた介護を必要とする労働者もふえてくるわけなので、そういう特定の労働者だけではなくて、すべての労働者が、先ほど申し上げたような、仕事だけで人間生きているわけではない、そのほか家庭でのさまざまな家族への責任、そして地域での暮らしということがこれから本当に重要になってくると思うわけですけれども、そうしたすべてのことをあわせ持った人間として仕事と生活の調和がとれたようにするということ、これは、諸外国でも国内でも本当に注目されて重視されるようになっている考え方です。

 企業にとりましても、女性がやめてしまうのではなくて、一年休んで職場に復帰すれば損失は五分の一になるというようなデータも、これはアメリカの企業ですけれども出しております。ぜひ日本でも、そのようなデータを積み重ねるなどして、そうした方が働く側にも企業にとってもいいということをぜひ実証していっていただきたいと思います。

 性別役割分業の解消にはこれはぜひ必要な理念で、女性差別撤廃条約やILOの百五十六号条約、家族的責任条約を批准している日本としてその実現の責務があるわけなんですけれども、では、今のような体系の中で、こうした国際的な条約などをもとにしたその実現の責務をどのようにして日本の政府は果たしていくんでしょう。

北井政府参考人 男性も女性も、家庭的責任を有する人も、その意欲と能力を十分に発揮して働くことが実現できるために、仕事と生活の調和のとれた働き方を進めていくということは大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 こうしたことから、次世代法に基づきまして、企業の行動計画の策定と取り組みを促進いたしておりますし、また、仕事と家庭のバランスに配慮した柔軟な働き方ができるファミリー・フレンドリー企業の一層の普及促進にも努めているところでございます。また、育児休業制度や短時間勤務などの措置の普及、定着に取り組んでいるところでございます。

 さらには、労働者が心身ともに充実した状態で能力を十分に発揮できるように、労働時間の設定を、育児であるとか地域活動などの個々の労働者の生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへと改善を図りました労働時間等設定改善法が本年四月一日から施行されているところでございまして、この円滑な実施に努めているところでございます。

 こうした取り組みによりまして、今後とも、労働者一人一人が仕事も生活も大切にしながら働くことのできる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 今局長がお述べになったのは、今までやってきた施策ですね。その中で、これだけどんどん少子化で、本当は若い人の八割は二人子供が欲しいと言っているのに、一・二五まで下がっている。一方、働き過ぎの男性の労働者は、自殺が毎年三万人を超えていたり、あるいは過労死をしたり、そのような状況にある中で、今のままでその実現が図れるとは私は思いません。

 日本は大体、国際条約を批准して、その後実現のための努力が足りな過ぎると思うんですね。国際条約をおつき合い程度に批准しているだけでは、とてもとても国際社会で尊敬される国になどなれるはずがありません。多くの国が、国際条約を批准したらその国際条約は国内法より上位にあるわけですから、法改正をしてその実現を図っていくというのが常識中の常識です。それが欠けているのが日本なので、今のようなままでこの国際条約が実現できるとはとても考えられません。

 ですから、ワークライフバランスという一歩進んだ考え方を取り入れるとか思い切った改革をしないと、今局長が言われたような積み上げた政策の中で現状があるわけですから、そこを改善するための努力を強くお願いしたいと思います。

 次に、今回一番テーマになっている間接差別について伺っていきたいと思います。

 今回の改正で焦点となっているのが、間接差別の禁止です。政府案では、「男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、」ということで、「合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。」としているわけです。

 この間接差別の禁止についてはずっと課題になっていたところで、ようやく禁止されることに多くの期待が寄せられています。ところが、再三話題になっているように、省令で三項目のみが限定列挙されることへの不安や不満そして懸念が出ているわけですね。改めて、なぜ三項目に限定するのか伺います。

北井政府参考人 間接差別は、性中立的な要件であればおよそどのような要件でも俎上にのり得る大変広がりのある概念でございます。間接差別を均等法上、違法とするに際しましては、対象となる範囲を明確にしていく必要があると考えております。

 間接差別の判例などが蓄積されている国におきましては、この対象を限定しない方式をとったといたしましても問題は生じないでありましょうが、我が国においては判例の蓄積もなく、また、社会一般にこの間接差別の概念がまだ浸透しているとは言えない現状において、我が国においては大分状況が違うところでございます。

 こうしたことの中で、間接差別を初めて均等法に取り込んでいくというこの改正案におきましては、対象となる措置を厚生労働省令で規定することとし、必要に応じてこの対象となる措置の見直しができるような法的枠組みとしたわけでございます。

小宮山(洋)委員 今回、その三項目と言われているのが、募集、採用における身長、体重、体力要件、コース別雇用管理制度における総合職の募集、採用における全国転勤要件、昇進における転勤経験要件の三項目。

 これ以外に、今回の均等法改正のもとになっています男女雇用機会均等政策研究会報告、これは二〇〇四年六月に出ているわけですが、この報告では、あと四項目、合わせて七項目が上げられているわけです。

 あとの四項目というのが、募集、採用における一定の学歴、学部要件、福利厚生の適用や家族手当等の支給における住民票上の世帯主要件、処遇の決定における正社員を有利に扱ったことによる男女の処遇の違い、福利厚生の適用や家族手当等の支給におけるパートタイム労働者の除外による男女の違い。

 省令による限定列挙ではなくて、この七項目などを指針で例示列挙すること、そして、さらに賃金も禁止の対象に加える必要があるというふうに考えて、私どもはそういう修正案を出していますが、いかがでしょう。

北井政府参考人 初めて我が国におきまして間接差別の禁止を法律に盛り込むに当たりまして、その対象となる範囲を明確にする必要があることから、省令で列挙していく方式をとらせていただいたということについては今御説明を申し上げたとおりでございます。こうしたことから、省令で列挙することが適当であると考えておりますので、指針において例示で列挙することは適当ではないというふうに考えております。

 それから、賃金についてのお尋ねでございますけれども、賃金についての直接差別の禁止は労働基準法四条で規定されておりますから、均等法において重ねて規定する必要はないと考えております。加えて、賃金について間接差別の禁止を均等法に規定することについては、賃金について直接差別と同じステージでもって間接差別を規定することになりますので、賃金について直接差別を禁止していない均等法に間接差別を規定することは適当ではないということと、賃金についての要件を間接差別の対象とすることについてはいまだコンセンサスが得られていないということから、現時点では均等法の間接差別の規定の対象に賃金を入れるということは適当ではないというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 この賃金の話は、幾らこれまでいろいろ議論をさせていただいてもかみ合ってこない点なんですけれども、賃金の男女格差については改めて後ほど伺いたいというふうに思います。

 国際条約との関係でも、今回の内容では不十分だと考えます。二〇〇三年に、女性差別撤廃委員会、CEDAWが日本政府に対して、女性差別撤廃条約の第一条に沿った直接及び間接差別を含む女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれること、雇用機会均等法のガイドラインを改正することということを勧告しています。

 この定義が建議には明記されていましたのに、改正案に明記をされなかった。これはなぜでしょうか。七条は省令の規定ぶりの説明になってしまっていて、ここが変わっていると思います。あわせて、この改正案で女性差別撤廃委員会からの勧告にこたえるものになっていると考えるのか。そして、どのように委員会に報告をするのか。この三点、お答えいただきたいと思います。

北井政府参考人 まず、法律の規定ぶりでございますが、労働政策審議会の建議におきましては、読ませていただきますと「間接差別については、外見上は性中立的な基準等であって、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与える基準等として定めるものについて、職務との関連性がある等合理性・正当性が認められる場合でなければ、均等法が直接差別を禁止している各雇用ステージについて対象基準等に基づく取扱いをしてはならない」、こういう趣旨のことを法律に盛り込むことが適当とされております。

 今般の改正法案におきましては、この建議を十分踏まえまして、間接差別の禁止として、まず一点目は労働者の性別以外の事由を要件とする措置で、二点目はその要件を満たす男女の比率等を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものとして省令で列挙するものは、三点目として業務遂行上の必要その他の合理的な理由がなければ講じてはならないということを規定するものでございまして、この建議の内容に沿って一般的な間接差別概念のすべての要素について規定をしたものというふうに考えております。

 したがいまして、改正法案におきましては間接差別の概念について定めている、それからCEDAWの最終コメントにおいて指摘がなされておりますコース別雇用管理制度についても省令に規定していくことを予定しておりますことから、CEDAW、女子差別撤廃委員会の勧告に沿ったものと考えております。

 女子差別撤廃条約に基づいて日本政府にまた報告が求められているところでございまして、これは内閣府を中心に取りまとめられるものと承知をいたしておりますけれども、その時期までにこの改正法案を成立させていただいている場合には、その中で雇用の分野における取り組み内容として、均等法改正法において間接差別の概念について定めたことなどについて報告をすることになるものと考えております。

小宮山(洋)委員 今の御説明を伺っても、やはり建議に書いてあるものと今回七条で規定をしているものと規定ぶりは違いませんか。本当にそちらの研究会報告どおりにされていますか。

北井政府参考人 研究会報告におきましても、建議におきましても、外見上は性中立的な要件、基準等であって、一点目の要素は他の性の構成員と比較して一方の性に相当程度の不利益を与えるものであって、そしてその二つのことを定めるものについて、そして最後の要素としては、職務の関連性などの合理性、正当性の理由が認められるかどうかという三つの要素が入る必要があると思っておりまして、この法案ではその三つの要素がすべて盛り込まれているというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 私は、私だけではなくて、これに関係していろいろ研究している方たちもそのとおり盛り込まれているとは思っておりませんが。何回やっても同じことでしょうか。もうちょっと御説明いただけませんか。

北井政府参考人 私どもの改正法案は労働政策審議会の建議をいただいて、それを踏まえて策定しているものでございますから、私どもとしては、一般的な間接差別概念のすべての要素について規定をしているものというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 局長が考えておりますと言われても、そのようにはなっていないというふうに思います。

 今回、三項目を省令で限定列挙することによってそれに該当しないケースを裁判で争うことが非常に困難になるのではないかという懸念が強くあります。現行法のもとでも最近、世帯主、非世帯主、あるいは勤務地限定、非限定を基準とした賃金の差を無効とした九四年の三陽物産事件、正社員、臨時社員を基準とした賃金の差を無効とした九六年の丸子警報器事件など、事実上の間接差別の禁止を認めたと考えられる裁判例も出てきているのに、今回限定列挙することによって、その限定したもの以外は違うのだというように解釈をされて、裁判の動向に逆行することになるのではないかと思いますが、いかがでしょう。

北井政府参考人 間接差別について厚生労働省令で規定されておらない事案でありましても、司法の場で個別に民法九十条の適用あるいは間接差別の法理を用いて公序良俗違反として無効と判断されることが今般の改正によって妨げられるものではないと考えております。

 なお、御指摘の裁判例については、男女差別的な運用、つまり直接差別となるような事案であったり、あるいは女性正社員と女性非正規社員、女性同士の正規と非正規の間の処遇格差の事案であったりして、私どもの認識では明確に間接差別法理に基づく裁判例ではないというふうに思っておるところでございます。

小宮山(洋)委員 裁判に与える影響というのは、本当に日本の裁判所は法律や省令に書いてあることに、厳しくそれに基づいて判断をするケースが多いので、法律で決めますと、幾らここで影響ないとおっしゃっても影響が出てくるということが現実にあるわけです。均等法が最初に制定されたときにも、裁判には影響を与えないという政府答弁が行われたにもかかわらず、募集、採用についての差別禁止をその努力義務規定にとどめたことを直接の根拠として、男女別採用やその後の著しい処遇格差を違法ではないとする判決が相次いで出されております。

 一九八六年の日本鉄鋼連盟男女賃金差別事件の判決では、雇用機会均等法においても、労働者の募集及び採用については、女子に男子と均等の機会を与えることが使用者の努力義務であるとされるにとどまること、これを女子に男子と均等の機会を与えなかったことをもって公の秩序に違反したということはできないものと解するのが相当であるということを根拠にしているわけです。

 また、二〇〇二年の野村証券女性差別事件でも、昭和六十年に制定された旧均等法は、募集、採用、配置、昇進についての男女の差別的取り扱いに関して、それをしないことを使用者の努力義務にとどめており、その禁止が使用者の法的義務にまで高められたのは平成九年制定の均等法になってからであるということを判決の根拠としております。

 また、二〇〇三年の兼松女性差別賃金裁判や、女性の一般職を全員事務職、男性の一般職を全員総合職とし、五十八歳のときの比較では月額二十三万円の賃金格差が生じていると訴えた二〇〇四年の岡谷鋼機女性差別裁判の判決でも、同様の根拠に基づいた判決が出されているんですよ。

 こうした実例からしましても、日本の裁判所というのは法律や省令で定められたことから出ないんです。そこにこだわって、それを超える判決は出さないということが明らかな事例だというふうに思っております。

 そういうことからしましても、限定列挙しても裁判には影響ないと川崎大臣は参議院の答弁でおっしゃっていますけれども、そういうことは影響ないとは言えないと思いますが、いかがでしょう。まず大臣にお答えいただいてから、局長にお答えいただきたいと思います。

川崎国務大臣 裁判への影響が出ないようにということでございますけれども、改正法が成立した場合には、厚生労働省令で規定するもの以外にも間接差別は存在し得るものであり、司法判断として間接差別は法理により違法とされる可能性もあることについては十分周知をしてまいりたいと考えております。

 また、細かくは局長から答弁をさせますけれども、過去そうした判例もあるというように承知いたしております。

北井政府参考人 私も同様のお答えになりますけれども、御指摘のような裁判への影響が出ないように十分周知を図っていきたいと思っております。

 なお、参考までに、一つ、日本シェーリング事件の判決を御紹介させていただきますと、現行の均等法では妊娠、出産、産休取得を理由とする解雇だけを禁止しておりますが、この判決におきましては、産休取得を理由とする解雇以外の、均等法では禁止をしていない不利益取り扱いを違法とした事例でございます。

 このように裁判のケースはいろいろでございますけれども、いずれにしてもそういう裁判への影響が出てはなりませんので、今大臣が申し上げたとおりの周知を図っていきたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 周知を図るのは当然のことなんですけれども、それでは、均等法をつくったときには、周知を図らなかった結果こんな判決が出たんでしょうか。

北井政府参考人 均等法の周知は大変に力を入れて図ってきたわけでございますけれども、今回の周知に当たりましては、その改正法の趣旨、内容はもとよりでございますけれども、この間接差別については、とりわけこの国会での御審議も踏まえて、省令で規定するもの以外にも間接差別があり得ること、あるいは司法判断として間接差別の法理により違法とされる可能性もあるということについても十分周知を図る、いわばその周知に意を用いるということでございます。

小宮山(洋)委員 諸外国を見ましても、限定列挙をしているというところはないわけなんですね。間接差別として想定されるケースを指針という形で例示するのでは何でだめなんでしょうか。

 先ほど局長が言われたように、日本ではまだ判例が積み上がっていないというところに逃げられると困るんですが、先ほどから申し上げているように、法律がないと、日本では裁判所がそういう判決を出しにくいので、なかなか判例が積み上がらないんだと思うんですね。諸外国にない限定列挙というやり方というのはどうしても納得ができないんです。その指針として例示をすることでだめだということは、経営者側がそれだと絶対この導入はいけないと言ったからですか。

北井政府参考人 やはり間接差別の問題はまだ社会一般に十分な理解と浸透が図られていないということ、そして判例もまだ蓄積されていないということ、そうした中で、問題意識を持ってこの今回の均等法に間接差別を明文で入れていくということのためには、やはり実際の雇用の現場で、労使の間で大変な混乱が起こるようなことがあっては、かえってこの趣旨、内容が浸透しないと考えまして、間接差別を均等法上の違法とするに際しましては、対象となる範囲を省令で明確にしていく方式が適当であると考えたことによるものでございます。

小宮山(洋)委員 それは経営側の考え方というんでしょうかね。かえって、働く側からいくと、その三つ以外はそうでないと解されてしまうことの方が混乱を招くんじゃないですか。

 やはりちょっと、参考人質疑の中でも、経営者側の御発言を聞いても、反対だった、今回は限定だから、まあやむを得ないかみたいな御発言もございましたので、そのあたりのいろいろ調整される御苦労はわかりますけれども、それでも、やはりここで限定をされることによる働く者の側の混乱というか不利益の方が、かえって例示列挙をすることよりも多いと思いますが、そうではありませんか。

北井政府参考人 この限定列挙方式をとりますと、一つには、違法となる範囲が明確になるわけでございますから、事業主の側にとりましては予測可能性が高まって、問題解決への速やかな対応が可能になると思います。一方で、労働者側もその範囲がよくわかるということでもあります。

 それから、これは省令で列挙しておりますのは、一つ一つ、労働者側が、これは一方の性に比べて相当な不利益あるいは相当な格差があるということを事案ごとに証明しなくても、この省令で列挙したものについては、およそこれは性中立的な要件で一方の性に相当な格差があるんだということを踏まえてこの省令に書くわけでございますから、労働者側にとりましては、この格差の存在を証明する必要はなくなるわけでございまして、ここについてはメリットではないかというふうに思っております。

小宮山(洋)委員 ですから、そのメリットをもうちょっと広げたらどうですか、三つに限定する必要はないんじゃないですかということを申し上げているわけです。

 先ほどから、均等法ができたときに余り周知が徹底しなかったことはお認めになったのかどうかわからないんですが、今回は一層努力をして周知をするとおっしゃっているんだと解します。今回、その間接差別の周知徹底はどのように行われるんですか。

北井政府参考人 法律の趣旨、内容を広く周知することは一番基本でございます。大変重要なことでございますので、改正法案が成立いたしました場合には、速やかに事業主あるいは労働者の皆様方に対して、政府広報はもとよりですけれども、ホームページ、パンフレットなどのほか、労使団体あるいは自治体等の協力も得ながら、ありとあらゆる手段によって周知を図ってまいる考えでございます。

 特に、間接差別の問題につきましては、この改正法案七条についての理解を深めるために、この間接差別の定義、法理について指針に盛り込みますとともに、改正法案第七条の内容とあわせて、パンフレットなどにおいて周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 ここでまた、ありとあらゆる手段というのは何ですかと聞くといろいろあれなので、すべての手段を講じてやっていただけるものだと理解をしたいと思います。

 参議院での質疑などを通じましても、定義、法理は間接差別についてもっと幅が広いと。きのうの参考人の質疑の中でも、図表も示されていましたが、定義、法理は幅が広くて、行政指導の根拠として第七条で三項目に限って限定して列挙をする。そうすると、あの図にもありました、その間ですね、その間の部分を含めた周知はどのようにするのか。

 参議院での質疑では、間接差別法理一般についての考え方として、法理の中では均等法上違法とするもの以外にもあり得るということをきちんと周知したいと答弁されていますが、どのように周知をなさるんでしょう。

北井政府参考人 改正法案が成立をいたしました場合には、この省令で定めるもの以外にも間接差別は存在し得るものであって、司法判断として、間接差別法理によって違法とされる可能性もあるということ、それから、省令については、機動的に対象事項の追加、見直しを図る考えであるといったようなことについて通達で記載をいたしまして、これらについてパンフレット等においても周知を図っていきたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 次に、雇用管理区分について伺いたいと思います。

 間接差別の方だけを幾ら周知をしても、雇用管理区分がある限り、本当に限定をされた中の差別しか禁止されないのではないかと思うからです。

 この雇用管理区分というのは、均等法施行前後に金融機関等の大企業を中心に導入されまして、最近は中堅企業にも拡大をしています。これは、雇用管理の方法として、転居を伴う転勤の有無などによりまして幾つかのコースを設定して、コースごとに異なる配置、昇進、教育訓練等の雇用管理を行うもので、総合職、一般職などが典型的な例です。

 この雇用管理区分につきましては、国会での審議が一切なく、九八年に指針で突然規定をされた。八六年のときにも募集、採用区分というのがあったということですけれども、こういうことについて国会審議で、法律で決めるのではなくて、指針で急に出てくるということは大変問題なのではないかと考えますが、いかがでしょう。

北井政府参考人 性別による差別の有無を判断するに当たりましては、やはり比較の対象を定めることが必要でございます。差別を受けたとされる方と同様の条件にある別の性の方を比較の対象とすることになるわけでございます。その際、我が国の企業におきましては、長期的な視点から人事制度が設計、運用されておりまして、職種や資格などによる区分ごとに人材育成や処遇などの仕組みを設定するという雇用管理が広く行われていることにかんがみまして、雇用管理区分ごとに比較することとしているものでございます。

 つまり、雇用管理区分は、性差別の禁止を規定する法律の条文が意味する内容を具体的に解釈したものにすぎないわけでございまして、指針で突然登場したという御指摘は当たらないと思います。

小宮山(洋)委員 いや、当たらなくはないのではないでしょうか。

 この雇用管理区分というのは、女性の労働条件に大変大きな影響を与えています。憲法の二十七条二項では、労働条件は法律で決定するとされております。この労働条件法定主義に反するのではないかと思いますが、いかがでしょう。

北井政府参考人 雇用管理区分の考え方は、配置や昇進などの労働条件について性差別があるかないかを判断するに当たって、比較対象についての考え方を示すものでございまして、労働条件そのものの決定とは別の問題でございます。

 したがいまして、憲法二十七条二項の規定に反するという御指摘は当たらないというふうに思います。

小宮山(洋)委員 でも、実際上、それによって労働条件が決まってくるわけですよね。

 ここの雇用管理区分で言われている、職種、資格、雇用形態、就業形態等の区分、その他労働者についての区分とは具体的に何を指すのですか。

北井政府参考人 職種、資格、雇用形態、就業形態等の区分、その他の区分とは、例えば、営業職、技術職とか、総合職、一般職などの職種、それから学歴や国家資格などの資格、それから正社員、パートタイムなどの雇用形態、それから深夜勤と日勤に従事する形態と日勤のみ従事する形態などの就業形態、そのほか勤務地の違いなどによる労働者についての区分をいうものでございまして、こうした区分であって、その区分に属している労働者について、ほかの区分に属している労働者と異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものを雇用管理区分といっているところでございます。

小宮山(洋)委員 ですから、その区分をそのままにしておいたのでは、間接差別を幾ら禁止してもその雇用管理区分の中でしか行われないわけですよ。非常に限定されたものしか対象にならない。

 このことを指していると思われますが、二〇〇三年の女性差別撤廃委員会の、雇用機会均等法のガイドラインを改正することということをどう受けとめて、それにどのようにこたえるつもりですか。

北井政府参考人 女子差別撤廃委員会の勧告の中の、雇用均等法のガイドラインを改正することというのは、コース等で区分した雇用管理についての留意事項のことを指すというふうに認識をいたしております。

 今般の改正法案が成立いたしますと、第七条の規定によりまして、コース別雇用管理制度におきます総合職の募集、採用における全国転勤要件については、合理性がない限り違法ということになるわけでございますから、その観点から、コース別雇用管理に関する留意事項については見直す必要があるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 この雇用管理区分をそのままにしておいて、間接差別は三項目に省令で限定をして、どれぐらいの人が救済されると考えておいでなんですか。

北井政府参考人 今申し上げましたとおり、コース別雇用管理制度において、合理的な理由なく、全国転勤ができることを要件として募集、採用を行うというようなことは禁止をされるわけでございますから、数は申し上げることはできませんけれども、国内外で問題とされることの多かったコース別雇用管理の運用是正が進むものであるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 やはりそういうような形で行われているのは国際動向とはかけ離れていると思います。

 欧米では、間接差別が禁止されたことによって男女差別がどのように改善されていますか。

北井政府参考人 諸外国の間接差別の禁止については、判例の蓄積も見られて、男女差別の解消に寄与していると認識をいたしております。

 ただ、実際の適用におきましては、ヨーロッパではパートタイム労働者への適用例が多いと承知をいたしますけれども、アメリカでは適用例は把握をされていないなど、国によってさまざまであるというふうに認識をいたしております。

小宮山(洋)委員 ですから、今のような日本の雇用管理区分をそのままにして限定列挙をしたのでは、ヨーロッパで行われているような差別の解消にはつながらないのではないかということを申し上げているわけなんですね。

 先ほどお答えいただいたんですが、ちょっと、聞いていらっしゃる方も、本当にこれは複雑な仕組みになっていてすぐにはおわかりにならないと思うんですよ。

 先ほど女性差別撤廃委員会からの勧告にこたえると言われたときに、そこはコース別雇用管理の留意事項について見直すというお答えがありましたけれども、この雇用管理区分とコース別雇用管理の留意事項というのがどういう関係にあるかを整理していただいた上で、どこを見直すのかをもう一度確認したいと思います。

北井政府参考人 雇用管理区分という一つの通達上の解釈につきましては、実質的に同じ雇用管理区分であるのに、その雇用管理区分が違うといっただけで異なる取り扱いをするというようなことが認められないように、誤解を招くような規定ぶりがあったとすればそこは見直していきたいと思っております。しかし、この雇用管理区分があることとコース別雇用管理とはイコールではないわけでございまして、私どもは、女子差別撤廃委員会からの勧告に従いまして、コース別雇用管理の留意事項を今回のこの改正法案の七条の規定ができることに伴って必要な見直しをしていきたいと思っております。

 つまり、七条の規定によりまして、コース別雇用管理制度における総合職の募集採用における全国転勤要件については、合理性がない限り違法となるということでございますから、今この留意事項の中では、この全国転勤要件も、本当に必要かどうか見直してくださいという程度の、望ましい見直しの項目に入っておりますが、これは均等法上違法ということになるということでございますから、最低限そこは見直していくということになるわけでございます。

小宮山(洋)委員 なるべく、最低限ではなくて、少しでも多くの女性たちが救済されるように、女性差別撤廃条約のその委員会の勧告に従って、そこの見直しをぜひしていっていただきたいというふうに思います。この雇用管理区分というのは、温存しておくべきではないというふうに、そこが解消されませんと、幾ら間接差別を禁止しましても本当にごくわずかの部分しか救われないのではないかという危惧を持っておりますので、ぜひ、その見直しで少しでも多くの女性たちが救われるようにしていただきたいと思います。

 先ほどちょっと話に出てきました男女の賃金格差について、次に伺いたいと思います。

 今、男女の賃金格差の現状、これはどうなっていますか。

北井政府参考人 まず、我が国の男女間賃金格差を一般労働者について見てまいりますと、近年縮小傾向にはありますけれども、国際的に見るとその格差は大きく、男女間の賃金格差の縮小は大変重要な課題であると考えております。

 この賃金格差につきましては、職階、いわゆる役職であるとか勤続年数の男女差が大きな要因であると認識をいたしております。また、パートタイム労働者を含む数値で男女間の賃金格差を見ますと、この格差はさらに大きくなります。これは、女性労働者に占めるパートタイム労働者の割合が男性労働者より高いことが影響しているものと認識をいたしております。

小宮山(洋)委員 今、次に伺おうと思ったんですが、そのパートも入れて比較した数字、これは厚生労働省は余り表に出していませんよね。計算をしますと、パートの女性の賃金は男性の賃金の四五%という、国際的に見て本当にかなり低い、格差がすごく大きいという現状になっているわけですが、この現状についてはどのように認識をしていますか。

北井政府参考人 御指摘のとおり、パートタイム労働者の女性の時間当たり賃金と男性の一般労働者の賃金とを比較いたしますと、職種、職階等の構成の違いがございまして、男性の一般労働者を一〇〇といたしますと、五割に満たない、四五%とか四六%程度の状況となっております。

 それから、この要因でございますけれども、子育てが一段落をして再就職する女性はパートタイム労働者となることが多いわけでございますが、この処遇が必ずしも働きに見合っていない場合がございます。パートタイム労働者の公正な処遇を確保していくということが、女性労働者の処遇の改善という観点からも重要であるというふうに認識をいたしております。

小宮山(洋)委員 日本は、男女の賃金格差につきまして、再三ILOから勧告を受けています。ILOの条約勧告適用専門家委員会、たびたびいろいろ勧告をしていますが、二〇〇三年には日本政府に対して、専門家グループが、男女の賃金水準に及ぼす間接差別の影響を考慮するよう希望し、また作業委員会の成果や結論に関する情報が提供されることを期待しているとコメントをしています。

 日本は、ILOの百号条約、同一価値労働同一賃金を批准しています。憲法は、日本が締結した条約及び国際法規を誠実に遵守することを九十八条で定めています。これを直ちに国内法規で実現すべきだということは言うまでもないことだと思います。

 今回はこれにこたえるよい機会だったのに、賃金の差別が入っていない、このことと、ILOからの指摘についてどのように考えますか。

北井政府参考人 今般の改正法案と、それに基づいて厚生労働省令で規定することを予定しております内容につきましては、労働政策審議会の建議を踏まえて、間接差別について三つの措置を対象とすることにしたものでございますけれども、今後とも、男女の賃金格差是正のために、ILO百号条約の趣旨にのっとって努力をしてまいりたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 ILO百号条約は、同一価値労働同一賃金とあわせて間接差別も含んでいるということだと思いますが、その認識をしっかりと持っていらっしゃるでしょうか。

 それで、ILOからの意見の中では、日本での間接差別に言及をして、間接差別が男女の給与水準に及ぼす影響を考慮することを希望するというふうに言っているわけです。職務区分や資格に基づく賃金の支給に男女の分離が存在をしている、この現状の中で、その制度が性中立的であるかどうかを判断する基準として、同一価値労働同一賃金原則による職務の評価がILO百号条約の要請でもある、そのように考えますが、いかがでしょう。

北井政府参考人 ILO百号条約におきます同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬とは、性別による差別なしに報酬を定めることをいうとされておりまして、間接差別は含まれないというふうに認識をいたしております。

小宮山(洋)委員 それは違うでしょう。だって、その条約勧告適用専門家委員会がちゃんと、男女の賃金水準に及ぼす間接差別の影響を考慮するようにと言っているのに、何で含まれていないことを、百号条約についてそういうことを言うわけですか。

北井政府参考人 間接差別の問題を是正していくことが当然男女の賃金水準に影響を及ぼすわけでございまして、そうした間接差別というようなことも日本政府としては考えていかなきゃならないわけでございますが、それとこの百号条約が言っております同一価値労働同一報酬というものは、性別による差別なしに報酬を定めることと言っておりますので、そこは、その点において間接差別は入らないと認識しているわけでございます。

 ただ、間接差別という問題を導入して、間接差別によって雇用管理を改善していくことが、男女の賃金の水準に影響していくことは当然であるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 何かわかりません、その答弁聞いていて。

 結局、賃金の格差というのは、直接差別だけではなくて間接差別も含まれて出てきているわけですから、それは同一価値労働同一賃金の条約の中には両方含まれるのは当然のことだというふうに思います。ILOもそう考えているんではないでしょうか。

 日本では、労働基準法四条がILO百号条約の要件を満たしていると、国会で政府は答弁をしていますが、それでは、この労働基準法第四条は、同一価値労働同一賃金と間接差別を含むものと解釈していいですか。

北井政府参考人 このILO百号条約の批准に当たりましては、労働基準法四条がこの条約の内容を担保しているということで批准をしているところでございます。

 この労働基準法第四条は、女性であることを理由とする賃金の差別的取り扱いを禁止する旨を規定しておりまして、間接差別については規定をされておりません。労働基準法は、その違反に対しては刑罰が科される刑罰法規でございまして、罪刑法定主義にかんがみれば、間接差別についても包含されているといったような拡大解釈を行うことは許されないというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 私、頭が悪いんでしょうかね、ちょっとわからなくなってきちゃいましたけれども。

 それでは、今回間接差別を禁止することによって、賃金には何もいい影響はないということですか。

北井政府参考人 この間接差別の導入によりまして三つの措置を入れるわけでございまして、そうしたことに伴いまして、そこで問題となったものが結果的には賃金の格差を生じるというようなケースについては、それは七条の問題として救済ができるわけでございますから、確かに賃金について直接的に間接差別の規定を導入したわけではございませんけれども、今回の間接差別の概念の導入によって、それを契機とする賃金の格差が生じているような事態については救済ができるというふうに思っております。

小宮山(洋)委員 皆さん、聞いていらしておわかりになるでしょうか。このことだけやっていますとちょっと持ち時間足りなくなってきますので、また後の質問者にここのところは残しておきたいというふうに思います。

 賃金格差の主要な原因について、男女間の賃金格差問題に関する研究会報告が、二〇〇二年に、職能資格等級制度など賃金制度の運用上で女性差別が存在していることを指摘していますが、こうした差別を解消するために労働基準法四条の積極的な運用が必要と考えますが、この点はどうでしょうか。

北井政府参考人 職能資格等級制度など賃金制度の運用上において性差別の取り扱いがあれば、労働基準法四条の違反となると考えます。

小宮山(洋)委員 先ほどの、前の問いのところで、労働基準法は刑罰を伴う法律なので困難というようなお話がありましたが、そうなのであれば、均等法にこの二つの原則を含む賃金の性差別禁止を規定すべきなのではないですか。

北井政府参考人 繰り返しのお答えになると思いますけれども、賃金について間接差別の禁止を均等法に規定するということについては、賃金に係る要件を間接差別の対象とすることについてまだコンセンサスが得られておりませんということ、それから、均等法の間接差別は直接差別のステージと同じステージで導入をするということでございますので、整合性の問題、そうしたことから、現時点では均等法の間接差別規定の対象とすることはしなかったということでございます。

小宮山(洋)委員 それでは、政府は、国際的に見ても非常に差の大きい男女の賃金格差をこれからどのようにして是正をしていくんでしょうか。

北井政府参考人 男女間の賃金格差につきましては、職階、役職でありますとか、勤続年数の男女差が大きな要因でございます。こうしたことから、一つには、女性の職域の拡大であるとか役職への登用といったようなことでポジティブアクションの実践をいたすことによりまして、企業において女性が能力を発揮できるような雇用管理を進めていただくということ、それから、仕事と家庭の両立支援を行うことによりまして女性が働き続けやすい職場環境を整備するというようなことに力を尽くしてまいりたいと思います。

 また、女性がパートタイム労働などの非正規労働に多いという現状を踏まえますと、パートタイム労働者の均衡処遇を進めることが重要な課題であるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 次に、そのパート労働について伺っていきたいと思います。

 パートタイム労働者は千二百万人を超えまして、パートなくしては日本の労働市場は成り立たなくなっています。このパート労働者の約七割が女性で、女性パート労働者の平均賃金は男性一般労働者の約四五%という格差が生じています。このパートの問題の解決なしに男女の雇用平等は図れないということから、民主党ではパート労働法改正案も同時に提出をしておりますが、パートの賃金格差問題、この点はどういうふうに考えていますか。

北井政府参考人 正社員とパートタイム労働者の賃金の格差につきましては、仕事の内容や責任の違い、あるいはパートタイム労働者の就業調整の影響などが大きな要因として考えられるわけでございます。しかし、基幹的役割を果たすパートタイム労働者が増加している中で、その処遇は必ずしも働きに見合っていない場合があるというふうに考えます。パートタイム労働者の公正な処遇を確保していくということが、女性労働者の処遇の改善という観点からも重要な課題と認識をいたしております。

小宮山(洋)委員 女性差別撤廃委員会の日本政府の第四回、第五回リポートに対する審議では、委員から、パートタイム労働者に圧倒的に女性が多いことは間接差別になるのではないかという指摘が相次いでいますが、このことにはどういうふうにこたえるんでしょう。

北井政府参考人 御指摘の内容については、審議の場で御発言があったことであると思っております。あくまで、日本政府に示されました平成十五年の国連女子差別撤廃委員会の最終コメントにおきましては、直接及び間接差別を含む、女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれるよう勧告がなされたところでございます。

 正社員とパートタイム労働者の処遇差につきましては、これまでの労働政策審議会の議論におきまして、パートタイム労働者の処遇問題はパートタイム労働法で対応することが適当であるという強い意見がございました。実際、正社員とパートタイム労働者の均衡処遇の問題は、性差別というよりも雇用形態間の処遇の均衡の問題であるというふうに認識をいたしております。

 そうしたことで、今回、間接差別として違法という中にパートの問題を入れるというコンセンサスは得られなかったわけでございますが、むしろ、パートタイム労働者の処遇につきましては、今後、正規労働者とパートタイム労働者の均衡処遇の問題として対応することが適当であるし、対応していきたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 対応していきたいということでしたら、どのように対応するんでしょう。

 それで、EU諸国ではパートの差別は間接差別と認識をされています。では、今回の均等法改正でパートについては何がどう変わるのか、あわせてお答えください。

北井政府参考人 パートの均衡処遇の問題については、一層強化をする方策についてさらに十分検討していきたいと思っております。

 パートタイム労働者の処遇に関することそのものについては、今回の改正法案の中では、例えば間接差別の中での対象としたわけではございませんので、直接的な変更はございません。

 パートタイム労働者の処遇につきましては、今後の均等法の見直しの対象からあらかじめ排除されるというものではございませんけれども、私どもとしては、正規とパートタイム労働者の均衡処遇の問題という理解で施策を強化していきたいと考えているところでございます。

小宮山(洋)委員 その対応するという中には法改正ということを考えていますか、パートタイム労働法の。

 それで、ヨーロッパの諸国では、パートタイム労働者というのは働く時間が短いだけで待遇は長時間労働者と同じで、待遇が違う日本のパートタイム労働というのは非常に特異なものだと思います。同じ価値の労働をしたら一時間当たり同じ報酬があるという均等待遇の原則をしっかり法制化する必要があると考え、私たちは今回その改正案を出しているわけですが、政府が言われる均衡と私たちが言っている均等、これがどう違うかも含めてお答えください。

北井政府参考人 御指摘のとおり、我が国とヨーロッパとを見ますと、賃金の決まり方がかなり違っております。ヨーロッパにおきましては、職種ごとの賃金が産業別協約によって定められているなど、賃金と職務がリンクをいたしておりまして、こうしたことを背景として賃金制度が設けられているところでございます。

 一方、我が国におきましては、外形的に同じ仕事をしていても勤続年数や人材活用の仕組みなどによって処遇を異ならせているという労働市場の状況や雇用システム上の違いがあるというふうに考えております。

 したがいまして、ヨーロッパのような厳密な意味での同一価値労働同一賃金の原則による均等待遇の法制化、つまり純粋な時間比例賃金というようなことになれば、なかなかこれは難しいと認識をいたしております。

 むしろ、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇、同じ仕事同じ職務でもって人材活用も同じ仕組みのパートさんであれば、正社員と比例した処遇をするということ、それから、そこまでいかない場合、同じ職務であっても人材の活用の仕組みなどが違うというようなときには、その意欲、能力に応じたバランスのとれた処遇をするといったようなことを今のパートタイム労働指針でも周知しているところでございます。

 そうしたこと、今指針でやっておりますこの内容、これをより進めていくための方策を今後さらに考えていきたいというふうに考えているところでございます。

小宮山(洋)委員 大臣に伺いたいと思いますが、今質疑をお聞きになっていて、やはり女性のかなりの部分が、本人が望むかあるいはそれしか仕事がないか、いろいろ事情は違いますけれども、パートタイム労働者として働いているわけです。ですから、このパートも含めた形の、賃金を含めた均等な待遇ということを実現しない限り、男女の雇用の平等ということにはならないというふうに考えます。

 パートタイム労働者と通常の労働者との待遇の均等を図ること、これは、男女の賃金差別を解消するということではなくて、ずっと議論していますワークライフバランス、仕事と生活の調和の実現につながるものでありますし、これは本当の意味での多様な就労型のワークシェアリングのもととなるものだと思っています。

 これからますます少子高齢社会になる日本にとって、これは今の若者の問題とか高齢者の問題も含めて、同じ仕事をしたら一時間当たり同じ報酬があるというような法整備を進めるということが、これからの日本の社会にとって、それから一人一人の生活にとって、これは法制化が非常に急がれる点だというふうに私どもは考えているんですが、大臣はどのようにお考えでしょう。

川崎国務大臣 先ほど局長からもお答え申し上げたように、ヨーロッパの雇用管理、このことについて我が国も同様にすべきだということになると、やはり我が国固有の雇用形態というものがある。したがって、これを全くイコールにしなさいということについては今の段階では無理だろう、私はこう思います。

 一方で、パート労働者の処遇について、必ずしもその働きに見合っていない、同じような仕事をしながら正規雇用者とパート労働者の開き、これが余りにも大き過ぎるのではないか、この認識は同じ認識を持っております。

 したがって、企業側に私どもとして、まず第一に、正規雇用でやれる部分についてはできるだけ正規雇用をしてほしい、これは男女にかかわらず若者の雇用、できるだけ正規雇用でお願い申し上げたい。中小企業の皆さん方も、ハローワーク等に来られたときに、この職種ならば正規雇用でお出しいただけませんかという形でお願いをいたしているところでございます。

 一方で、パート労働の問題について、産業界に働きかけるだけで済むかということになると、やはり法改正というものも視野になければならないという思いでございます。来年、法整備をしようということで今準備をいたしているところでございます。

小宮山(洋)委員 来年、労働法制について大きく見直しが図られるというふうに伺っております。その中でも、このパートの問題というのはいろいろな意味でこれから大きな問題だと思いますので、またぜひ積極的な対応を図っていただきたい。私たちは、できることなら、今回の均等法とあわせてそういう見直しも行ってほしいという思いを持っております。

 残り時間が少なくなってまいりました。

 今後の手順なんですが、指針の作成に当たって、審議会はどのように進められていくのでしょうか。

北井政府参考人 この改正法の趣旨、内容は、省令や指針などまであわせまして、国民の皆様になるべく早く十分な期間を設けて周知していく必要があるわけでございます。

 したがいまして、改正法案に基づく指針につきましては、もちろんこの法案を成立させていただいての話でございますが、平成十九年四月の施行までのなるべく早い時期に定める必要があると考えておりまして、この法案成立後、可能な限り速やかに労働政策審議会における議論を経て策定してまいりたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 野党側としましては三年後の見直しの修正案というものを提出しておりますが、政府案では参議院での修正で五年後に見直すことになっています。その見直しに向けての手順はどのように進められますか。

北井政府参考人 この改正法案がこの見直し規定を付された形で成立いたしました場合には、その規定に従いまして、改正法案の施行状況を調査、分析した上で、適当な時期に、労働政策審議会に、見直しの必要性や見直すべき事項についての御検討の御依頼をするということになるものと考えております。

小宮山(洋)委員 今、およそ一時間半にわたって全体を総括的に質疑させていただきましたが、本当にこの均等法の問題というのは、幅が広いというか、いろいろなものと関係をしてきていまして、こうやって質疑をするのにも、本当にさまざまな資料に目を通し、いろいろなところに目配りしてやらなければいけない。それだけ、質疑をしている当事者にとっても、かなり複雑な、そして非常に重たいものもたくさん含んだ法律なわけですね。

 この二十年目の均等法の見直し、確かに、評価できる点もたくさんございます。男女双方にしたこととか、すべての雇用ステージを禁止にしたこととかありますが、今質疑をしてきたように、懸念される点も依然として多いわけです。

 施行に当たりましては、多くの関係者に本来の趣旨をしっかり徹底いたしまして、また、働く側の労働者の方にも、今度、こういうふうに変わって、こういうものが禁止されたのだ、ここはこういうふうに守られるようになったのだということをみんなにわかるように説明するというのは、これは本当に、至難のわざとは言いませんが、大変なことだと思うんですね。

 その間接差別ということ、その中で何が守られるようになったのか、そうしたことをしっかりと周知しまして、真の男女の平等、そして性差別禁止の実効性が上がるように政府としてお取り組みをいただきたいと思いますが、川崎大臣に、その対応の仕方と御決意のほどを伺いたいと思います。

川崎国務大臣 先日私はNHKの討論に出たときに申し上げたんですけれども、労働法制というものを変えていきますと、世の中が相当変わってくる。しかし、労働法制の中身自体は、国民がよくわかっているか、また、NHK等で仕事をされている人もよくわかっているかということになると、今委員が御指摘いただきましたように、奥行きは広うございますし、相互の連関性も多い。そういった意味では、私も仕事をしていて、極めて難しい仕事だな、こんな思いをいたしております。それだけに、やはりしっかりとした周知をしていかなければならない。

 事業主の皆さん方、また働かれている一人一人の皆さん方に、こういう変化、特にこの間接差別の問題一つにしても、こうやって国会では議論されていますけれども、まだまだよくおわかりにならない方の方が多いだろうと。やはりそれをしっかり周知させていくのも私どもに課せられた大きな仕事だと思っております。

 委員からいろいろな御提起もいただきました。それをまた検討させていただくとして、今回法が成立いたしましたら、この趣旨に沿って、できるだけ多くの皆さん方に御理解をいただき、また、それが実行される世の中になっていきますよう努力をしてまいりたいと思っております。

小宮山(洋)委員 きょうの質疑も、記者の方は何人ぐらい来られているんでしょうかね。大体、こういう専門的な知識がないとなかなかわからないものは、私もメディアにいた者ですけれども、なかなかメディアも取り上げない。そのことも周知が図れない一つなのかもしれません。

 本当に、この二十年目の見直しの均等法、先ほど申し上げたようにいい面もたくさんあります。そういう意味で、間接差別についても、今回は私たちは不満ですけれども、三点に限定するけれども、それよりも幅が広いものが含まれるのだと、そのことについては実際上見直しも図っていくということも言われております。

 そうしたことも含めて、ぜひ、そこに限定されるのではなくて、幅広いものがあって、今回はこうで、それからだんだん進んでいくのだということも含めて、専門的な解説書だけではなくて、一般の皆さんにわかりやすく、そういうものをパンフレットとか解説書にしていただく。

 と同時に、やはりメディアを通じた広報などにもしっかり努めていただきまして、少しでも平等な働き方につながる、そのことがひいては、男性も含めた、本当に人間として生きていく、これからの日本の少子高齢社会の中でのこれは本当にベースになるものだと思いますので、ワークライフバランスという概念も含めて、これが一層広がっていくことを願っております。

 では、あとの質疑は西村智奈美議員に引き継ぎたいというふうに思います。

岸田委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 男女雇用機会均等法の二十年目の見直し、充実した議論が行われるようにと多くの皆さんが注視する中ではありましたけれども、会期末の日程で、大変残念ながら、衆議院においては二日だけの審議となってしまいました。今ほど小宮山委員と川崎大臣の質疑にもありましたとおり、今回の均等法の改正というのは、本当に奥行きの深い労働法制の中でも、とりわけ、今までこれが日本型の雇用慣行だと言われてきた中で差別を受けてきたものをどうやって救済するかという本当に重大な重要な改正案だと思っております。その審議がこのような形で短時間の中で行われること、大変遺憾でございます。

 きょうは、この改正案の中で浮かび上がっている問題点、そして次につなげるための希望の芽出し、これもあわせてしていけるように行っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 きょうもたくさんの方が傍聴席に来られています。特に、男女雇用機会均等法は女性労働者の福祉の向上というような観点からスタートした法律でありましたので、注目している方というと、やはりどちらかというと女性労働者の方が多いのかもしれません。

 その象徴といたしまして、本当に、この二十年間は多くの方々が、この均等法をよりよい法律にしていきたい、そしてその運用においてもきっちりと一人一人の労働者の権利を確保するために運用してもらいたいということで取り組んでこられました。しかし、振り返ってみますと、やはり男女の差別というのがむしろこの雇用均等法のもとで固定化してきたのではないかと思われる部分も大変多くございます。それは、日本の雇用慣行が、やはり男性が仕事、女性が家庭で家事、育児、介護をやるというその性役割の意識を前提として、女性に低い賃金の仕事しか与えなかったりしてきたことであるというふうに思っております。

 今回の均等法は、間接差別が盛り込まれることになりました。私たちは、この法律がこの間接差別の導入によって本質的に変わっていくのではないかということを大変期待しておりました。小宮山委員お話しのとおり、ワークライフバランスの導入は、男女双方に対する差別の禁止が盛り込まれたことから、新しい差別禁止の新しい基準として確立することが求められているわけでございます。ところが、今回の均等法のまさに肝になるところの間接差別、これが、この議論の経過を見ておりますと、大変異質なものに変化してきたというふうに私たちは見ております。

 大臣、まず一点、伺いたいと思います。

 今回、新たに間接差別禁止規定を導入するそもそもの趣旨、これは一体何でしょうか。現行法のもとで対処しにくい差別、ますます見えにくくなっている差別を可視化して、公序に反するもの、許されないものとして明確にしていくことだ、これが間接差別禁止導入の趣旨であると考えるのですが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 従来は、男女別定年制、女性結婚退職制度など、明らかな女性差別が多かった時代がございます。近年、例えば事業主によっては女性を採用、登用しなくて済むよう女性が満たしにくい要件を課すなど差別事案が複雑化する中で、形を変えた差別への対応が問題となってきております。世界的にも同様の傾向が見られ、多くの先進国で間接差別の規定が設けられており、女子差別撤廃委員会からも勧告がなされているところでございます。

 政治的に申し上げると、昨年の暮れの政労トップ会談、すなわち小泉総理と高木連合会長の会談の際にもこの間接差別という問題が初めて取り上げられました。

 そうした中で、今般、新たに間接差別の規定を設けることといたしたものでございます。

西村(智)委員 その間接差別についてなんですけれども、厚生労働省は、審議会から建議、そして法案要綱、法案とする形の中で、その間接差別の基準について省令で定めるというふうにしているわけでございます。

 その間接差別が、研究会の中では七つの例示がされていた、ところが、まずはコンセンサスのあるものからということで設定しているということなんですけれども、私は、そもそも差別の基準をコンセンサスのあるところから決めていくということはおかしいのではないかと思っております。公序に当たるかどうかは、それはコンセンサスの問題ではなくて価値判断の問題であります。日本政府が、そして立法者としての国会が、差別に対してどのような価値判断を持っているか、ここが問われているわけでございますし、また、間接差別禁止規定、この導入の趣旨からしても、範囲を限定するということは矛盾するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 御指摘のように、何が違法で何が公序かということについては社会一般の価値判断によると考えておりますけれども、間接差別については、我が国において、その概念も十分理解されておらず、社会一般において間接差別が違法であるという考え方すら浸透していない状況にあるのではないかと思っております。

 そうした状況の中で、間接差別を初めて男女雇用機会均等法に規定するに際しましては、少なくとも雇用の当事者である労使の間において間接差別として違法であるとコンセンサスが形成されたもの以外のものについてこの均等法上違法と評価していくことはできないのではないかというふうに考えたところでございます。

西村(智)委員 余り言いたくはありませんが、何が差別かを決めるときに、差別されている側と差別をしている側が話し合って合意するということが一体あるのでしょうか。

 均等分科会においては、研究会報告の七点を三本に絞り込んだ、こういう議論経過について、実は、昨日参考人にお伺いをいたしましたら、七点から三本に絞り込むという議論の経過はなかったというふうに発言しておられました。コンセンサス、ここは譲ってそれだというふうにいたしますが、そもそも、そのコンセンサスについてもあったと言えないのではないでしょうか。

北井政府参考人 今回の改正に当たりましては、平成十七年十二月二十七日に厚生労働大臣に対して労働政策審議会から建議をいただいておるところでございますが、その本文におきましては、明確に対象基準等を三つの要件とすることが書かれております。

 こうしたことで、公労使一致の建議としていただいておるわけでございますから、私どもはこれをコンセンサスがあったものであるというふうに認識をしているわけでございます。

西村(智)委員 では、どちらかの認識が誤っているということだと思いますね。ですので、コンセンサスというふうにはやはりこれは言えないと思います。厚生労働省が法案要綱をつくる段階でそのようにしたということですね。

 私は、ここはやはり十分議論は尽くされてこなかったというふうに言わなければいけないと思いますし、また今後、この法案、仮に今回改正がなされたら、見直しの時期を迎えてくることになるわけです。その審議会においても、このような、お互い立っている立場によって見方が違うという議論経過をたどらないように、十分議論が尽くされるように、そこは留意をしていただきたい。強く申し上げます。

 さて、間接差別の省令による限定的な列挙、これについてはもうずっとお話があります。大変大きな異論、反論があるわけでございます。ここはまた後との関係になってまいりますけれども、三例が、とにかくこれを間接差別ですよということにして、社会的にまだ認知されていない法理であるから、ここからまず浸透させていくんだというふうに厚労省の方はおっしゃっておりますけれども、実際に雇用の現場というのは、三点にとどまらず物すごく激しい勢いで変化しております。

 例えば、世帯主要件というようなものは非常にわかりやすい。これは指導もしやすいことだと思います。しかし、実際に、この間接差別の三点の限定的な列挙のまさにその網の目をくぐるようにして、また新たな差別が生まれてくるかもしれない。実際に、生まれてくるという懸念の声は大変多くあります。私もそのように思っております。実際に、こういう三点の限定列挙で、これから生じようとする現状に本当に対処できるというふうにお考えでしょうか。

北井政府参考人 この改正法案におきましては、初めてこの間接差別の概念を均等法上に位置づけるということから、省令でこの三つの措置を列挙するという形をとらせていただくことにしたいということでございますが、省令で列挙するということは、必要があれば、法律を見直さなくても省令によって対象となる措置の見直しができるという法的仕組みであるわけでございます。私どもは、この均等法上の位置づけに当たり、こうしたことで出発をしたいというふうに考えているところでございます。

 省令につきましては、判例の動向などを見ながら適時適切に見直しを行うことといたしているところでございまして、具体的には、今後新たな判例が出された場合であるとか、そのほか、均等室への相談事案において、間接差別の対象とすることが適当ではないかというような事案が出てきたような場合、あるいは、関係審議会において間接差別の対象の追加などの提起がなされたような場合につきましても見直しの契機となっていくものと考えておりまして、職場の現状におくれることなく適切に対処することができるというふうに考えております。

西村(智)委員 行政指導の対象を省令に定める方針にした、適時適切に見直しを行っていくということなんですけれども、そもそも省令で列挙されているものはいいでしょう。ですが、省令で列挙されていない対象、これが生じたときには、ある時点においてそれは範囲が限定されていることになるわけです。

 こうした行政指導の対象はあらかじめ排除しない法的な枠組みにしたということなんですけれども、そもそも、その対象が定められているというこの方式は、他国の動向から見ても大変異例なことなのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 確かに、諸外国におきまして、今般の改正法案と同様に、間接差別の規定の対象を下位法令で列挙するという方式をとっている例は承知しておりません。その意味におきましては、我が国独自の方式と言えると思います。

 しかしながら、何度も繰り返して恐縮でございますが、我が国でまだ十分浸透していない、判例の蓄積もない間接差別の規定を均等法上の違法として盛り込むに当たりまして、やはり対象となる範囲を明確にする必要があることから厚生労働省令で規定する、そして必要な見直しが柔軟にできるというような法的仕組みにするということにしたわけでございまして、これが我が国においては間接差別を法制化するための一番適当な方式であるというふうに考えております。

西村(智)委員 私は、今、北井局長お答えになりましたけれども、これが本当に最適の方法かということについてはいろいろ議論しなければいけない点ではあります。

 つまり、それは、この間接差別の導入の仕方が今の我が国にとって最適だというのは、どこの目から見た最適なんでしょうか。実際に働いている人たち、今、低賃金に苦しんでいる人たち、あるいは同じ仕事をしているのにいわれなき理由で退職や解雇などに追い込まれる人たち、そういった人たちの目線から見たときに、これは最適な導入の仕方だということは、これは口が裂けても言えないのではないですか。今回はそこが問われているんだと私は思っております。

 ですので、そこはかみ合わないところでありますし、私たちが修正案を野党で共同で提案させていただいた大きな理由の一つでありますけれども、このことは大変重要な課題ですし、大きな問題でありますので、ぜひ今後も議論させていただきたいというふうに思っています。

 ところで、CEDAWの勧告では、「直接及び間接差別を含む、女性に対する差別の定義が国内法にとりこまれることを勧告する。」とあります。今回の法改正が、このCEDAWの勧告を満たしているとは思えない、これは私たちの見方でございますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 改正法案におきましては、間接差別の概念について定めておりますし、また、女子差別撤廃委員会の最終コメントにおきまして指摘がなされておりますコース別雇用管理制度についても、厚生労働省令に規定することを予定しておりますことから、この女子差別撤廃委員会の勧告に沿ったものであるというふうに私どもは考えております。

西村(智)委員 そこは沿ったものだということなんですけれども、これは小宮山委員の質問をまたぶり返すことになってしまうのですけれども、そこはやはりかみ合わない。なぜ日本がこれほどまでに女性差別撤廃委員会、ILOなどからたびたび勧告を受けてきたのか、その根本的な構図をここでしっかりと見直していく必要があったんだろうと私は思っております。

 そもそも、国際標準は、間接差別は限定的には例示列挙をしない。大臣が冒頭おっしゃいました、大変差別も複雑化している、見えない差別に形を変えていっている、こういうことを洗い出していくために間接差別というのは導入していくのであって、それが国際標準であります。

 しかし、日本の中では、もう既に限定的に例示をされているということは、それ以外のことが間接差別に当たらないのではないか。こういうことになってまいりますと、もちろん司法への影響も大変懸念をされるところでありますけれども、自分が受けているのは差別ではないかと思った労働者が、相談に駆け込むときに、大変大きなハードルと厚い壁をその労働者の目の前につくってしまうことになるわけでございます。

 それでは局長、教えていただきたいんですけれども、CEDAWに間接差別の禁止規定を報告することになるのだと思います。どのような英文で報告するのでしょうか、教えてください。

北井政府参考人 女子差別撤廃委員会に報告をする際の間接差別の規定の英文については、今般の改正法案が成立してから検討をさせていただきたいと考えております。

西村(智)委員 まだ決まっていないんですね。

 これは七条を英訳するのですか、それとも省令を英訳するのですか。

北井政府参考人 それもまだ調整が必要であると思いますけれども、今回の改正で間接差別の概念を導入したこと、それから、法令の概要、法律と省令の概要等を報告することになるのではないかというふうに思います。

西村(智)委員 それでは、先ほど私がCEDAWの勧告を満たしていないのではないかと申し上げたときに、局長は、勧告は満たしているというふうにお答えになりましたが、それはどうやって判断されて先ほどの答弁になったのでしょうか。

北井政府参考人 女子差別撤廃委員会は、直接、間接差別を含む、女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれることということ、それから、均等法のガイドラインを改正することということを勧告されているところでございます。

 今般の改正法案におきましては、間接差別の禁止をこの法律できちんと盛り込んでおります。そして、間接差別の三つの要素というものをすべて規定しているところでございますので、間接差別の規定については勧告に沿って実現したものというふうに考えているところでございます。

 確かに、日本の、我が国の均等法は、直接差別は何々、間接差別とは何々、そういう定義を書く方式はとっておりませんけれども、これは諸国においても、必ずしもそういう形で述べている均等法制ばかりではないのでございます。内容として、直接差別、間接差別の禁止が均等法制に盛り込まれているということが実現すれば、これは勧告を受けとめて政府として措置をしたということになるのではないかというふうに思っております。

西村(智)委員 何だか頭がごちゃごちゃしてきましたけれども、つまり、CEDAWの勧告は満たしている、しかしどのように報告するかはまだ決まっていない、そして、他国での間接差別もいろいろな形で定義をされており、日本の間接差別の、どういう形でやられるかわからないけれども、それもCEDAWの勧告に沿ったものであるということであるんだろうと思うんですけれども。ですので、教えていただきたいのは、それでは、CEDAWに報告するときにはどのような形で報告をするんでしょうか。もう一回、済みません。

北井政府参考人 雇用の分野において、雇用均等法を改正し、間接差別の概念を導入したということなどを報告することになると思います。

西村(智)委員 日本の政府と国際機関との距離というのはどうなのかというふうに思うわけなんです。この間接差別の導入について、本当に何度も勧告を受けている。これは本当に日本国として恥ずかしいことだと私は思います。

 今回は、この改正案でしっかりとCEDAWに報告をすることができるんだというふうに期待はしていたんですけれども、今のように、どの部分を報告するのかわからない、そこは意見の相違があります。そのあたりについては、先ほどの小宮山委員の質問の続きになるわけでありますけれども、私たちは、やはり間接差別というのは限定的に列挙をするからおかしくなるんですね。ですので、限定的な列挙というのは、やはりここはいろいろな意味で今後の懸念材料になっているわけでありますので、ぜひこのあたりはもっと深掘りの議論をしていかなければいけないところであったというふうに思っております。

 時間が限りがありますので、続いて、コース別雇用管理制度について伺いたいと思います。

 雇用管理区分というのは、私たちは見直していくべきだと思っておりますけれども、現状において、この雇用管理区分は、残業をするかどうか、つまり労働時間です、あるいは転勤を要件として雇用管理区分しているケースが大変に多いようであります。厚生労働省は、この残業や転勤を要件として区分するという日本の企業慣行に対して、どのような認識を持っておられるのでしょうか。

北井政府参考人 日本の企業慣行について、一言で認識ということになると、なかなか難しいと思います。

 残業や転勤を要件とした雇用管理につきましては、例えば今回、均等法改正案の中で省令でも列挙したいとしているコース別雇用管理の総合職の募集、採用における全国転勤要件などについては、合理的な理由がなければ、これは間接差別として違法としていくことにしたものもあるわけでございますし、そのほかのもろもろの要件では、これは合理性が大いにあって、特に問題にすることもないというようなケースも大いにあるわけでございまして、一言で企業慣行についての認識というのは、なかなか答えられないというふうに思います。

西村(智)委員 それでは、具体的に伺いますけれども、総合職の圧倒的多数が男性、一般職に圧倒的な多数を占めるのが女性、こういう実態は間接差別に該当すると考えますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 ただ単に男女の数の差だけを見て、結果の数字だけを見て、直接差別であるとか間接差別であると言うことはできないというふうに思います。

西村(智)委員 では、どうやってそれが間接差別に当たるかどうかを判断するのですか。

北井政府参考人 例えば、総合職では男性が多い、一般職では女性が多いといったようなケースについて御相談があった場合においては、そういった結果がどういうことで生じているのかということをきちんと分析していく必要があると思います。例えば、これが極端な話、総合職は男性のみの求人であるとか、そこまで極端でなくても、男性に対して優遇する、男女異なる取り扱いがあった結果、総合職については男性が多いというような結果になっているようなケースは、これは均等法上の明確な直接差別、均等法上違反として是正を求めていくことになります。

 それから、今度、間接差別で入れようとしている全国転勤要件が、これは施行後の話でございますけれども、合理的な理由がなく問題であるというようなケースについては、これは間接差別で対処をしていくことにもなります。あるいは、しかし、いろいろ調査をし、事実を把握いたしましても、それは男女異なる取り扱いをしているのではなく、結果としてそういう数字になっているといったようなケースについては、これは法違反というような問題は生じないケースもある。これはケースによってさまざまであるというふうに考えております。

西村(智)委員 全国転勤要件ですとか、あるいは、総合職が男性のみの採用で、一般職が女性のみの採用というのは、これはもう既に基準の中に、三点の中に入っておりますし、非常にわかりやすいものでありますね。

 例えば、性役割の意識に基づいて発生しているというような事案については、どのように判断をされるのでしょうか。

北井政府参考人 どのような事例を想定しておられるのかちょっと明らかではないので、お許しいただきたいのですけれども、例えば労働者が女性であることのみを理由として、あるいは社会通念として、女性労働者が一般的あるいは平均的に能率が悪いとか、家族的責任を持つとか、勤続年数が短いといったようなことを理由として女性労働者に処遇の差をつけるというようなことになれば、これは法違反、均等法なり労働基準法違反というようなことになるというふうに考えております。

西村(智)委員 ちょっと聞き方が漠としておりましたので、後ほどのパートのところでまた詳しく伺いたいと思います。

 さて、コース別雇用管理制度、これを私たちはぜひ見直していきたい、こういうふうに考えております。コース別雇用管理制度などは、これは企業の人事政策だというふうに言われることは多いわけでありますけれども、しかし、それも間接差別、性役割意識に基づく観点からの洗い出しが必要であると思っています。

 いずれにいたしましても、このコース別の議論になりますときに、コースの転換制度がありますよということを時々大臣なり厚労省はおっしゃるわけでありますけれども、実際に、コース転換制度の実態というのは、これは厚労省が言うほど機能していないのではないか。

 転換制度がある企業もまだ限られておりますし、実際に、その制度があるからといって転換している人は非常に少ない、参考人の方のお話の中でもありました。例えば、コースを転換しようというときに、非常にハードルの高い資格試験をクリアしなければいけない。それまで例えば一般職として働いていた人に、突然高いハードルの資格試験などを目の前に提示されても、そもそも、それまでの職業の中でそういったような訓練を受けていなければ、チャレンジすることすらできない、転換のためのスタートラインにさえ立てないというようなことが発生しているわけであります。

 であるからして、私は、この指針の考え方、これ自体を見直すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

北井政府参考人 今お話しの、コース別の雇用管理をやっている企業において、コース転換制度があるケースについてでございますが、これは、コース別雇用管理の存在自体が、転換制度があるといったようなことだけで正当化されるわけではないわけでございます。しかし、コース別雇用管理制度が常におかしいというわけでもないわけでございます。

 やはり、性差別の有無の判断に当たっては比較の対象を定めることが必要でございますから、雇用管理区分ごとに比較をするということにしているものでございまして、雇用管理区分があるからコース別雇用管理の存在が正当化されるといった関係にはないし、逆に、コース別雇用管理制度が、転換制度があるということだけで正当化されることばかりでもないという、いろいろなケースごとの関係になるんだろうと思っております。

 いずれにいたしましても、転換制度があることは望ましいことではございますが、転換制度につきましてのハードルも、御指摘のとおりのところがあると思います。

 いずれにしても、コース別雇用管理の留意事項におきまして、望ましい事項として、転換のチャンスが広いことといったようなこと、あるいは、転換のときにはきちんとした処遇の位置づけをするというようなことも掲げて、周知や助言に努めているところでございまして、この留意事項にのっとって、コース別雇用管理についての必要な助言をしていきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 転換制度があるからといってコース別を正当化するということではないというような御主張は受けとめますが、これはまた、CEDAWの中では、このコース別人事管理制度について大変鋭い批判が相次いでいるというふうに聞いております。実際、日本レポート、日本政府レポートの審議会の中では、第四回、第五回政府報告書についての審議の中で、コース別人事管理制度の一般職やパートタイム労働者に圧倒的に女性が多いことは間接差別になるのではないかという鋭い指摘が相次いだということであります。

 それでは、先ほどの問題に戻りますけれども、CEDAWへの報告の中では、この指摘についても何らかの報告をされるのでしょうか。

北井政府参考人 コース別雇用管理についての報告もCEDAWにはしなければいけないと思っておりますけれども、その詳細についてはまだ検討し切れておりませんので、これから検討していくことになるということでございます。

西村(智)委員 本当はここで引き下がりたくはないんです。しっかりと前線に立ち向かっていきたいんですが、大変残念ですけれども、時間がございません。私たちは、やはりこの雇用管理区分は見直すべきだというふうに思いますし、今後の審議会の中でもぜひこのことが検討されますように強く要望しておきたいと思います。

 さて、転換制度の話に戻りまして、仮に一般職から総合職に転換した場合に、実際には総合職の初任給ベースから処遇されるなど、一般職のときのままか、あるいは賃金が実質的に下がってしまうというようなことが発生しております。こういう場合には、勤続年数を加味するなどのポジティブアクションによって是正を図っていくべきではないかと思いますが、どういう救済をされるのでしょうか。

北井政府参考人 コース別の雇用管理を行う場合には、事実上の男女別の雇用管理となってはならないことはもちろんでございますし、どのようなコースを選択された方についても、その能力を存分に発揮して働き続けられる環境づくりに取り組んでいただくことが望まれるわけでございます。

 こうしたことで、厚生労働省におきましては、コース別雇用管理についての留意事項を示しておりまして、均等法に照らして女性の能力発揮のために望ましい事項として、まず、転換制度を柔軟に設定することであるとか、転換制度を設ける場合においては、例えば転換時の格付が適正な基準で行われることに配慮した制度設計を行うことが望まれるといったようなことを規定しておりまして、こうしたことに基づいて助言を行ってきているところでございます。

 したがいまして、今後とも、この留意事項に基づいて適切な助言等を行ってまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 これまでやってきたことを引き続き行うということで、改正後も後退しない、決してその点は後退しないという認識で受けとめさせていただきますが、よろしいですね。

北井政府参考人 このコース別雇用管理についての留意事項につきましては、例えば、今回、間接差別の問題となる予定の総合職の募集、採用の全国転勤要件、これは今、留意事項の位置づけでは、必要かどうか見直してくださいということで、望ましい事項として、その程度の助言の対象になっているわけでございますが、今回の改正ができれば、これは場合によっては法違反となる、抵触するんですよというところになるわけでございます。

 一方で、引き続き、この留意事項で望ましい事項として、より前向きなお取り組みを促している事項については、少なくともこれは後退することなく、引き続き留意事項に基づいて適切な助言を行っていくということになろうかと思います。

西村(智)委員 見直していただくということについては大いに期待をしたいと思いますが、やはりもう一度雇用管理区分の問題に戻らなければなりません。

 やはりそもそもの問題として、雇用管理区分ごとに男女の処遇を比較するということでは、これはILO百号条約の趣旨に反するのではないでしょうか。また、CEDAW、先ほど議論を御紹介いたしましたけれども、その基準の設定自体に疑問を投げかけております。

 指針で規定している雇用管理区分は、これは企業の人事政策とは全く別のものであって、合理的根拠に欠けるものであります。ですので、これは見直し、廃止すべきだと思います。

 企業の人事労務管理制度は、企業規模、産業、職種、その他の要素によりさまざまでありまして、長期的視点などということも言われますが、その変動も大変著しいものがあります。雇用管理区分の理由の前提条件そのものが、いわばフィクションであって、雇用管理区分という一律の考え方をとることは誤りではないかと思います。

 また、この雇用管理区分、先ほどの小宮山委員の指摘にもありました、国会審議なしに、指針で突然規定されたものであります。労働条件に大変大きな影響を及ぼしているものでありますけれども、いかがでしょうか。

北井政府参考人 性差別の有無の判断に当たりましては、比較の対象を定めることが必要でございまして、差別を受けたとされる方と同様の条件にある別の性の方を比較の対象とすることになるわけでございます。そうしたことで、我が国の企業においては、長期的な視点から人事制度が設計、運用されておって、職種や資格などの区分ごとに人材育成や処遇等の仕組みを設定するという雇用管理が広く行われておりますことにかんがみて、雇用管理区分ごとに比較をするということにしているわけでございます。

 今、企業においては長期的視点も変動するのではないかという御指摘でございますけれども、仮に長期的視点が変わりましたとしても、雇用管理区分の中での問題が変動するということでございまして、雇用管理区分の理由の前提条件がフィクションという御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、雇用管理区分について記述しております指針は、性差別禁止を規定する条文が意味する内容を具体的にわかりやすく示すものにすぎませんで、突然規定されたという指摘は当たらないのではないかというふうに思います。

西村(智)委員 局長の答弁を伺っておりますと、だんだん、この改正法で果たして何が前進するんだろうかということを改めて考えざるを得ないわけであります。本当にこれで差別がなくなるのでしょうか。そしてまた、賃金の問題というのはこれで解消するのでしょうか。本当に大きな懸念が残るところだと思います。

 雇用管理区分は、私はやはり合理性はないと思っております。労働時間と転勤要件などが常に言われるわけでありますけれども、そういたしますと、例えば、残業ができるということが総合職の要件であるとされる場合に、残業することをまた総合職というコースでは求めるわけでありまして、つまりは、そこで期待されているのは、特定の労働者に、家庭生活、生活を犠牲にし、そして朝から晩まで身も心も仕事にささげるということを求めることにつながっていきかねないわけでございます。

 ですので、ワークライフバランスという観点からいたしましても、ここのところは私たちはしっかりと引き続き検討事項として上げさせていただきたいというふうに思っております。

 さて、賃金格差について伺いたいと思っています。

 男女間の賃金格差は一向に解消されておりません。正社員の男女及び正社員、非正社員を含んだ男女で格差が拡大しております。このことは、性差別を解消する効果的な方策が講じられてこなかったことを意味するのではありませんか。

北井政府参考人 賃金の男女差別につきましては労働基準法第四条で禁止をされており、また、賃金差別をもたらす配置、昇進や教育訓練については男女雇用機会均等法により禁止されているところでございます。

 こうした中で、我が国の男女間賃金格差を見ますと、近年、縮小傾向にはありますけれども、やはり国際的に見てその格差は大きく、パートを含む数字で見ますとさらにその格差が大きくなっておりまして、男女間の賃金格差の縮小は重要な課題であるというふうに考えております。

 この賃金格差の生ずる大きな原因として、役職といった職階の問題と勤続年数の差ということが言われております。したがいまして、一つは、女性の職域の拡大であるとか役職への登用といったようなポジティブアクションの実践、それから、仕事と家庭の両立支援による女性が働き続けやすい職場環境の整備ということに努力をしていきたいと思いますし、また、パートタイム労働者の均衡処遇ということについても施策を強化していきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 賃金格差の主要な要因について、男女間の賃金格差問題に関する研究会、ここで報告書が取りまとめられております。厚労省としては、賃金格差の主要な原因は何だとお考えでしょうか。

 また、この報告書では、職能資格等級制度など、賃金制度の運用上において女性差別が存在していることを指摘しております。こうした取り扱いを解消するために労働基準法第四条の積極的な適用が必要と考えますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 今御指摘をいただきました男女間の賃金格差問題に関する研究会の報告書によりますと、男女間賃金格差で一番大きな要因となっておりますのが職階ということであり、続いて勤続年数ということになっております。したがいまして、先ほど御説明申し上げましたように、ポジティブアクションの推進や両立支援ということによって、女性の登用の促進あるいは継続就労の支援ということをしていかなければいけないというふうに考えております。

 それから、職能資格等級制度など、賃金制度の運用上において、男女異なる取り扱い、すなわち性差別的取り扱いがあれば、これは労働基準法第四条違反となりますので、厳正な対処をする必要があるというふうに考えております。

西村(智)委員 そうしましたら、労働基準法第四条に違反するものとして取り扱う、その場合には、雇用管理区分基準にあります基幹職、補助職といった職務区分も、同一価値労働という観点からいたしますと是正が求められるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

北井政府参考人 職種等を超えまして、違う職種の中で価値に基づいて比較をして賃金差別を認定するという、厳密な意味での同一価値労働同一賃金ということについては、我が国では賃金の決め方がヨーロッパなどとは違いますので導入をされておりません。そうしたことから、御指摘の点については妥当しないというふうに考えます。

西村(智)委員 ここは、もう一つの大きな論点であります。

 同一価値労働同一賃金の原則が我が国では採用されていないということでありますけれども、それはやはり大きな問題ですし、私たちは見直すべきであると思っております。ですので、今回の修正案を提案させていただいているところでありますけれども、やはり国際標準である同一価値労働同一賃金の原則を早急に日本の中でも確立することが私は求められていると思います。

 それでは伺いますが、非正規雇用者の賃金格差解消のために、間接差別に賃金を含めるべきである、このように考えておりますけれども、いかがでしょうか。

北井政府参考人 賃金につきまして間接差別の禁止を均等法に規定するということについては、賃金に関する要件を間接差別の対象とすることについてコンセンサスがいまだ得られていない現状にあること、そして、間接差別は直接差別の概念を拡張するものでございますから、均等法では賃金は直接差別のステージに入っておりませんので、それとの整合性という観点から、現時点では、均等法上、間接差別規定の対象として賃金を考えることはできないというふうに考えております。

西村(智)委員 それでは、賃金格差というのはどこで解消されるのでしょうか。今回の大きな均等法の改正の中で、やはり間接差別の対象として賃金を含めるべきではなかったか、このように考えておりますけれども、改めてその点について伺いたいと思います。

北井政府参考人 今御説明を申し上げたとおり、現時点で均等法の間接差別の規定の対象に賃金を入れることはできないというふうに考えておりますけれども、賃金格差の縮小ということは大きな課題でございますので、ポジティブアクションの推進、あるいはパートタイム労働者の均衡処遇の対策の強化、あるいは配置、昇進についての均等法上の直接差別の問題、あるいは今度入れていこうとしている間接差別の問題に絡んで賃金格差が生じているような問題については均等法で是正をしていくことができるわけでございますので、そうしたもろもろの対策、施策でもって対処をしていきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 なぜ入れることができないのか、その理由がわかりません。今回の均等法改正の中でやはり一番大きなポイント、間接差別ではありますけれども、やはり多くの働く人たちが注目をしているのは何よりも賃金であります。その賃金の格差解消をしっかりと均等法の中に盛り込むことができずに、一体どうやって格差、差別を解消していけるというのでしょうか。

 ですので、ここは委員の皆さんにもぜひ御理解をいただきたいところだと思います。今回の均等法改正、やはり間接差別の中に賃金を対象として含むこと、これはどうしても必要なことでありますし、働く人たちが求めている最大のテーマであります。ぜひ皆さんから賛同いただいてこの修正案を成立させたい、そのことを強く要望申し上げます。

 パートの均等待遇について伺いたいと思います。

 参議院の答弁の中で、パートの均等待遇、均衡待遇というのでしょうか、厚生労働省の方はそのように呼んでおるようでありますけれども、同じ仕事をしていながら大きな格差があるパートに対しては施策を準備すると答弁をしておられます。しかし、実際のところ、同じ仕事をしているというケースではなくて、仕事の内容が多少違っているけれども格差はその違いで説明ができないほどに大きいケースというのが圧倒的に多いのだろうと思います。

 そのようなパートに対しての差別を是正する具体的施策を講じるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 働き方にかかわらず、だれもが安心して働くことができる環境を整備していくことは重要な課題でございますけれども、今御指摘のとおり、パートタイム労働者の処遇については必ずしもその働きに見合っていない場合があるわけでございます。

 厚生労働省といたしましては、パートタイム労働指針に基づきまして、使用者である企業側に対して労働者に公正に処遇するよう粘り強く働きかけていきたいと考えておりますし、今後のさらなる対策の強化についても十分に検討してまいりたいと考えております。

西村(智)委員 今までも指導してきたけれども、まだ格差というのは縮まっていないわけです。この現状をどういうふうにごらんになっているのか、そこは私にとっては大変大きな疑問であります。

 そこのところは次の質問とあわせて伺いたいと思いますけれども、正社員への転換制度のある企業というのはまだ四割台であります。実際に制度があるだけで、ほとんど実態はありません。つまり、その転換制度というのは機能していません。このことをどう評価しているのでしょうか。先ほどの指導してきたということと、そして転換制度の実態が上がっていないということ、これをどう評価しているのか。

 そして、今後の引き続いての指導の仕方、実績の目標値などを定めて行うということはお考えなのでしょうか。具体策をお聞かせください。

北井政府参考人 パートタイム労働者の就業意欲の向上や常用雇用を促進する観点から、パートタイム労働者からいわゆる正社員への転換制度の普及を図ることは重要な課題であると考えております。

 このために、これまでも、正社員への転換に関する条件整備を定めたパートタイム労働指針の周知を図ってきたところでございますが、本年度からは、正社員への転換制度の導入について新たに助成金の支給対象ともいたしまして、さらに、転換者が実際に生じたことを支給要件とすることによりましてこの制度が実際に機能していくということを担保しているところでございます。

 なお、全国の雇用均等室では、パートタイム労働状況について個別訪問を実施いたしておりますけれども、そうした状況から見ますと、正社員への転換制度があるということだけではなく、実際に転換実績がある程度出ているということも確認されておりますから、事業主の取り組みは着実に進んでいるものと考えておりますが、今後とも、転換制度の導入に取り組む事業主への支援など対策の充実に努めていきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 引き続いての指導などをお願いしたいと思いますけれども、最近は、例えば契約社員、嘱託職員などとして雇用されるときに、長く続く業務であるにもかかわらず、一律に契約更新の回数を、例えば三年まで、五年までという形で、労働者を入れかえる方法などが多くとられるようにもなってきております。これも大変懸念される事柄であります。

 これらの形態で雇用される労働者の多くは女性であって、そういう現状からいたしますと、これは過去に禁止されたはずの女性若年定年制の事実上の再現、復活ではないかと思います。更新拒否の規制や有期契約利用の規定なども考えないと、有期契約のルールの明確化だけでは対処できないと思いますけれども、そのことについては具体的にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。

北井政府参考人 厚生労働省といたしましては、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準に基づきまして、紛争の未然防止の観点から助言、指導を行っているところでございまして、まずはこの基準の徹底が重要であるというふうに考えております。さらに、今般の改正法案におきましては、雇いどめについての差別的取り扱いを禁止することとしたところでございまして、これらの規定も有効に活用することによって状況の改善に努めていきたいと思っております。

 さらには、労働基準行政の方で、労働契約法制あるいは労働時間法制の検討がなされているところでございますので、また検討の過程でもいろいろな議論がなされるものというふうに考えております。

西村(智)委員 雇いどめの話が出てまいりましたので、関連で伺わせていただきたいと思います。

 第九条第四項、「妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。」では、ここには当然雇いどめは含まれると考えてよろしいのですね。まずそこだけ伺います。

北井政府参考人 改正均等法案第九条第四項には、雇いどめは含まれないところでございます。

 しかし、形式的には雇用期間を定めている契約であっても、それが反復更新されて実質においては期間の定めのない雇用契約と認められる場合には、その期間の満了を理由として雇いどめをすることは解雇に当たるものであって、改正法案第九条の対象となるものでございます。

西村(智)委員 それでは、正規雇用の妊娠、出産解雇だけが禁止されるということではなく、有期雇用の妊娠、出産解雇も無効であるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

 つまり、正規雇用の解雇だけが禁止されるということになりますと、企業の側はますます首の切りやすい、解雇しやすい非正規でしか女性を雇わなくなるという結果につながる可能性もありますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 均等法は正規労働者、非正規労働者を問わず適用されるものでございますから、改正法案第九条の規定は非正規労働者の解雇に対しても適用されるところでございます。

西村(智)委員 もう一点お聞かせください。

 三年以上勤務する派遣社員を正社員にするという申し入れがふえてきたと聞いておりますけれども、先ほどの問題と関連します、長年勤務していても、正社員になった途端に初任給からスタートするために、大幅な賃金ダウンになるケースというのは、これはどのように救済されるのでしょうか。熟練度などを加味したポジティブアクションによって是正を図るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 派遣社員につきましては、実際に派遣社員を雇用しております派遣元と派遣先が異なるために、処遇の格差を是正することは一般的に困難な場合も多いと考えます。しかし、御指摘のようなケースにつきましても、事業主が雇用の分野の男女の均等な機会と待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的としてポジティブアクションを行っていくということは可能であるというふうに考えております。

西村(智)委員 残り時間があと二十分ほどになりました。ここからは、午前中の郡委員の質問、そして先ほどの小宮山委員の質問、そして私のこれまでの質問を含めて、確認の意味で二十一点について質問をしたいと思っております。

 一つずつ進めてまいりますが、まず質問の第一。間接差別の定義、法理についての周知は参議院で附帯決議が付されたところです。それをどのような手段で周知するのでしょうか。指針などでの周知が必要ではありませんか。

川崎国務大臣 改正法案が成立した場合には、改正法案第七条についての理解を深めるため、間接差別の定義、法理について指針に盛り込むとともに、改正法案第七条の内容とあわせてパンフレット等において周知を図ってまいりたい。

西村(智)委員 第二。間接差別の定義、法理は、省令で定める範囲に限らず、もっと幅広いことが参議院の附帯決議で付されたところであるが、この内容、広い範囲についても指針等により周知することが必要と考えるが、その手段、方法は何でしょうか。

川崎国務大臣 改正法案が成立した場合には、厚生労働省令で規定するもの以外にも間接差別は存在し得るものであり、司法判断として間接差別法理により違法とされる可能性もあること、厚生労働省令については機動的に対象事項の追加、見直しを図る考えであることについて通達に記載をし、これらについて改正法案第七条の内容とあわせてパンフレット等において周知を図ってまいります。

西村(智)委員 第三。四月二十五日の参議院厚生労働委員会の質疑において、北井局長は「私どもで現在考えております三つの措置以外につきましてもその対象となり得るものは幾らでもあるというふうに考えております」と答弁していますが、どのようなものが対象となり得ると想定しているのでしょうか。

北井政府参考人 参議院での答弁の趣旨は、今回、厚生労働省令で規定する予定であるのは三つの措置であるが、間接差別は、性中立的なものであれば、およそどのような措置でも俎上にのり得るものであることから、これら三つの措置以外の措置についても厚生労働省令に規定され得る、このため省令を適時適切に見直すということでございます。

西村(智)委員 第四。間接差別の定義、法理を踏まえれば、参考例は研究会報告七項目に限られないはずです。したがって、七項目に限られないこと、七項目以外の間接差別に抵触する可能性のある基準について、指針等で明らかにすべきではありませんか。

北井政府参考人 改正法案が成立した場合には、法律の適正な履行を確保するために、まずは男女雇用機会均等法上違法となり得る三つの措置につきしっかりと周知することが重要と考えます。

 その上で、厚生労働省令で規定する措置以外のものについても司法判断として間接差別法理により違法とされる可能性もあることについて通達に明記することにより、あわせて周知を図ってまいります。

 さらに、一般向けの解説書等において、間接差別の規定についての理解を深めるための参考例として男女雇用機会均等政策研究会報告に盛り込まれている事例についても紹介してまいりたい。

西村(智)委員 第五。コース別雇用管理以外にも男女均等の趣旨に反する不合理な雇用管理制度は存在します。これらについてもコース別雇用管理と同様のガイドラインをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 御指摘の点につきましては、御意見として受けとめ、労働政策審議会における今後の審議の参考として審議会に伝えてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 第六。事業主が差別意図がないと主張しても、実際には性別を理由とする差別的取り扱いが行われている場合には、均等法六条で是正に向けた行政権限の行使が行われてきているが、そのように判断される場合で均等法七条に基づき省令に列挙しないものについても、六条に基づき行政による助言、指導、勧告の対象となり得ると考えますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 改正法案第七条の規定を設けることにより、これまで行ってきた個別紛争解決援助や調停による対応の範囲が狭くなるということはございません。したがって、改正前の均等法に基づき直接差別として違法とされていたものについては改正後においても違法であり、助言、指導、勧告の対象となるものでございます。

西村(智)委員 第七。実質的に女性であることを理由に不利益取り扱いや排除に関する相談があった場合は、当然、使用者側にその理由を聞き、必要があれば助言をするということでよろしいでしょうか。

北井政府参考人 労働者から性別による差別的取り扱いの相談があった場合には、事業主に事実を確認した上で、均等法違反の事実が見られた場合には必要な助言、指導、勧告を行うこととなります。また、均等法違反には当たらないものの、コース等で区分した雇用管理についての留意事項に基づき必要な場合には、助言を行うこととなります。

西村(智)委員 第八。また、厚生労働省令で定める予定の三項目以外のものであっても、助言の対象となるのではないでしょうか。

北井政府参考人 例えばコースを区分する際に、男女共通の基準であっても、家事、育児の負担等を考慮すると女性が事実上満たしにくいものを設けている場合などについては、コース別雇用管理に関する留意事項に基づき、その必要性を検討するよう助言を行っているところでございます。

西村(智)委員 第九。コース別雇用管理について、職種、資格、雇用形態、就業形態の区分、その他労働者についての区分とは具体的に何を指すのか説明してください。

北井政府参考人 コース別雇用管理とは、企画業務や定型的業務等の業務内容や転居を伴う転勤の有無等によって幾つかのコースを設定して、コースごとに異なる配置、昇進、教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます。

 典型的には、いわゆる総合職などの、基幹的業務または企画立案、対外折衝等総合的な判断を要する業務に従事し、転居を伴う転勤があるコース、また、いわゆる一般職などの主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤はないコース、また、いわゆる中間職などの総合職に準ずる業務に従事するが転居を伴う転勤はないコース等のコースを設定して雇用管理を行うものがあります。

西村(智)委員 厚生労働省令で全国転勤要件を規定したところで、コース別雇用管理自体がなくならない限り何ら問題は解決しないのではないでしょうか。

川崎国務大臣 今回の改正法案が成立すれば、第七条の規定により、コース別雇用管理制度における総合職の募集、採用における全国転勤要件については合理性がない限り違法となるものであり、不必要、不合理な障壁を取り除くことにより、男女間の機会の均等が進むと考えております。

西村(智)委員 第十一。コース別雇用管理に関する留意事項についての見直しはどうなりますか。

川崎国務大臣 第七条の規定により、コース別雇用管理制度における総合職の募集、採用における全国転勤要件については合理性がない限り違法となることから、コース別雇用管理に関する留意事項を見直す必要があると考えております。

西村(智)委員 第十二。従来、留意事項については、募集、採用、配置、昇進等の差別として、是正のための助言、指導、勧告の対象としてきましたが、今後も同様と確認してよろしいですか。

北井政府参考人 従来から留意事項に基づき助言、指導、勧告の対象としてきたところであり、今後も同様でございます。

西村(智)委員 第十三。七条違反に基づいて間接差別として排除される基準に連動して発生した配置、昇進、昇格、賃金、教育訓練、福利厚生、定年退職、解雇に関する男女間差別の是正を均等法第十七条に基づいて行うとされていますが、第十七条の行政権限行使の法的根拠は何でしょうか。

北井政府参考人 例えば、第七条違反の措置により一般職となった者については、総合職との間に配置、昇進や、これらに基づく賃金の格差などが生じますが、これらの第七条違反を原因とする格差につきましては、第十七条に基づき、都道府県労働局長が必要な助言、指導または勧告を行うことにより是正を図るものでございます。

西村(智)委員 第十四。その場合、過去の格差に基づく不利益改善はいかにして行うのでしょうか。

北井政府参考人 改正法が施行される以前に行われた措置について、遡及して第七条違反を問うことはできません。

 なお、そのような事案については、司法的解決として、民法第九十条等に基づき、間接差別法理を用いて格差の解消が図られることは考えられ得るところであります。

西村(智)委員 第十五。過去の格差に基づく不利益解消のため、行政として助言等はできないのでしょうか。

川崎国務大臣 均等法違反ではございませんが、均等法の趣旨に照らして望ましくない雇用管理制度については、従来よりポジティブアクションの実施を促す助言を行ってきたところであります。

 御指摘のような事案についても、同様に対応してまいりたいと考えております。

西村(智)委員 第十六。七条による差別救済対象となった場合の賃金格差の是正は、労基法四条ではなく均等法第七条に基づき行われることになるのでしょうか。

北井政府参考人 例えば、改正法案第七条違反の措置により一般職となった者については総合職との間に賃金の格差が生じますが、これらの第七条違反を原因とする格差については、労働基準法第四条違反ではなく第七条違反を原因とする格差として、第十七条に基づき、都道府県労働局長が助言、指導または勧告を行うことにより是正を図るものでございます。

西村(智)委員 第十七。募集、採用区分の違い、すなわち雇用管理区分による男女間賃金格差の是正は国連女性差別撤廃委員会の勧告でも取り上げられているが、区分が制度として明確になっていないなど実体もないのに賃金格差の理由をコースによるとして合理化してしまうケースについては、労働基準法四条違反として是正を求めることになるのではないでしょうか。

北井政府参考人 実質的に同じ雇用管理区分であるにもかかわらず、女性であることを理由として賃金が低くなっている場合には、労働基準法第四条違反となります。

西村(智)委員 第十八。コース区分が制度として明確になっているが、実際の取り扱いにおいては全く区別がない場合、例えば補助的業務に従事する社員と基幹的業務に従事する社員、転勤のない社員と転勤のある社員で異なる賃金テーブルを適用する制度にして、女性は低い賃金テーブル、男性は高額な賃金テーブルを適用したが、実際には男女で従事している仕事は同じで、高額な賃金テーブルの適用を受ける社員の転勤もそうないといった場合には、労働基準法四条違反になるのではないでしょうか。

北井政府参考人 雇用管理区分は別であるが、実質上同一の雇用管理区分として運用されている事案について、女性であることを理由として賃金が低くなっている場合には、労働基準法第四条違反となります。

西村(智)委員 第十九。ILOへの日本政府の回答では、百号に関連して間接差別を含めた議論について、研究会における報告書の取りまとめ、関係審議会での議論、その結果を踏まえた適切な対応をする予定と記載されています。この回答は、百号に関して、つまり同一価値労働同一賃金原則についての回答と理解しますが、それでよろしいでしょうか。その場合、今回の改正では間接差別に賃金が入らなかったことから、ILOに対する回答としては引き続き検討するということでしょうか。

北井政府参考人 御指摘の回答は、ILO第百号条約に関して、ILOの専門家委員会からの情報提供依頼に対する回答であります。

 今般の改正法案及びこれに基づく厚生労働省令で規定することを予定している内容については、この回答のとおり、労働政策審議会の公労使三者の一致した建議を踏まえ、間接差別について三つの措置を対象とすることとしたものでありますが、今後とも男女の賃金格差是正のために、ILO第百号条約の趣旨にのっとり努力をしてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 第二十。男女間の賃金格差、とりわけ非正規雇用労働者の賃金格差について、どのように対処するのでしょうか。

川崎国務大臣 男女間の賃金格差の生成に大きく影響しているのが男女間の職階格差や勤続年数格差であると考えられることから、ポジティブアクションの実践を促進することにより、企業において女性が能力を最大限発揮できるような雇用管理を進めるとともに、仕事と家庭の両立支援を行うことにより、女性が働き続けやすい職場環境を整備してまいりたいと考えております。

 また、働き方にかかわらず、だれもが安心して働くことができる環境を整備していくことは重要な課題であります。パート労働者の処遇については必ずしもその働きに見合っていない場合もあるため、使用者である企業側に対し、労働者に公正に処遇するよう粘り強く働きかけるとともに、今後のパート労働対策の一層の強化策については、さまざまな観点から十分検討してまいります。

西村(智)委員 第二十一。賃金差別問題について、均等法が労基法第四条の取り扱う範囲を狭めるものではないと理解するが、賃金差別問題に関する相談や訴えにどのように対処しているのでしょうか。

北井政府参考人 均等法が、賃金差別の問題について、労働基準法第四条の問題として取り扱うことができる範囲を狭めるということはございません。したがって、従前どおり、賃金について性別を理由とする差別的取り扱いがあれば、労働基準法第四条違反となります。

 また、配置、昇進について性別を理由とする差別的取り扱いがあったために、結果として賃金にも格差が生じた場合には、均等法第六条または第七条違反に基づき、是正を図るものでございます。

西村(智)委員 以上で質問は終わりますが、この均等法は、本当に、働く女性たちが二十年間、一日千秋の思いで待っていた改正であります。この均等法の改正審議の中でも、まだまだ大変多くの論点が山積みになっているということが明らかになりました。そもそも、やはりこの均等法の原則の中にワークライフバランスという柱をしっかりと通して、そして、同じ働きをした人に同じ賃金という同一価値労働同一賃金の原則、これを早急に確立することが我が国においても早急に求められていることだと考えております。

 厚生労働省は労働政策を所管する省庁だと承知をしております。労働者の権利を守るために、ぜひこれからもしっかりと取り組んでいただきたい。私たちも今後の議論にしっかりと加わっていきながら、一人一人が仕事と生活の調和のとれた働きができるように、そして、この賃金の問題は社会のありようを映し出す鏡だというふうに言われておりますけれども、その賃金の問題が、まさに一人一人の働き、生き生きとした働きを約束することができるように、人間の尊厳そのものを確保することができるように取り組むことを改めて決意いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨日参考人質疑を行って、改めて、立法府に身を置く者としての責務を痛感いたしました。

 均等法二十年。七九年の国連女子差別撤廃条約を初め国際的な流れと、日本の女性たちの闘い、それは企業を相手取っての裁判であり、国連に出向いて意見表明をする、そういう長い闘いの上に一歩一歩前進をしてきたものと考えます。そうした女性たちの成果を摘むようなことがないように、本当に喜べるものとなるように強く願って質問をしたいと思います。

 初めに、今回、いわゆる直接差別について、差別禁止の対象が、現行法では、募集、採用、配置、昇進、教育訓練、定年、解雇といった規定であるのに対し、これに加えて、降格、退職勧奨、雇用形態・職種の変更、雇いどめ、配置において権限の付与、業務の配分が含まれることが明確化されました。こうした直接差別の概念が拡大された背景には何があるとお考えですか。

北井政府参考人 昨今の雇用管理の複雑化あるいは近年の厳しい経済情勢の中において、雇用均等室に寄せられます性差別に関する相談事案はさまざまでございますが、そうした事案の中で、現行の均等法の範囲だけでは対応できない事案が見られるようになってきたところでございます。具体的に申し上げますと、今御指摘のとおり、降格、雇用形態・職種の変更、退職勧奨、雇いどめといったステージでございます。

 また、現行の均等法で対象になっております配置につきましても、権限の付与とか業務の配分について含まれるかどうかが不明確であるという御指摘もあったところでございます。

 こうしたことにつきまして、今般の改正法案におきましては、性差別禁止規定に追加あるいは明確化をするものでございます。これによりまして、これまで対応できなかったステージでの性差別事案にも対応できることになるものでございます。

高橋委員 直接差別の概念が拡大された、そのこと自体は大いに評価をしたいと思うんです。

 今その背景を伺ったわけですけれども、それに対して、雇用管理の複雑化、厳しい経済情勢という御認識があったと思うんです。

 やはり雇用の形態に大きく変化があった。それが、決して自然発生的に、いわゆる女性の労働者がふえたけれども、パートもふえた、非正規もふえた。それがあたかも何か厳しい状況の中でそうなったという話ではなくて、やはりこの間のさまざまな労働法制の流れの中で、派遣労働者が、例えば今二百二十六万人にもなっておりますが、十年間で三倍以上に伸びていることなど、そうした社会的な要因がある、労働法制の見直しなどもある、そうしたことをしっかりまず前提として考えて、そこにおいて求められる差別の克服ということに挑んでいく必要があると思っておりますけれども、こうした背景について、大臣にひとつ認識を伺いたいと思います。

川崎国務大臣 今回、間接差別の禁止も含めて、男女雇用均等法の改正を出させていただきました。

 全体の認識でございますけれども、我が国の経済環境、先ほども御答弁申し上げましたけれども、この十年の競争というのは、十五年になるかもしれません、極めて厳しい競争を我が国はしてまいりました。ある意味では、もう日本の国はたそがれどきだ、先進国であった日本が中国等のアジアの国々との競争に敗れていくことになるかもしれぬ、その危機感の中でさまざまな努力が経済界において行われたことは事実でございます。

 しかし一方で、その中でリストラがあり、その間、若者の雇用というものが、ある意味では正規雇用としてはストップした時代がございました。また最近少しずつ雇用がふえてきておりますけれども、なかなか企業が長期的な雇用に結びつけない。すなわち、これからの経済競争をしていく中で、日本の産業基盤全体が長期的にもつであろうか、こういう心配を企業の経営者が持っておられることも事実だろうと思います。

 そういった中で、少しずつ経済環境が回復されてきて、我が国の雇用は改善の兆しが見えつつある。しかしながら、一方で、先ほど申し上げましたように、若者の雇用なり、また女性の雇用なりというのはまだまだの状況になってきている。特に、女性の雇用はふえてまいりましたけれども、やはり非正規雇用が極めて多い。その処遇という問題も含めて、さまざまな議論がされていかなければならないということが一つ背景にございます。

 もう一つは、我が国の社会全体を考えていったときに、少子化社会でございますから、これからの我が国の労働力というものをどう維持しながら、またより高めていくかということになりますと、やはり女性の労働というものが一番大きな部分を占めていくことは間違いない。その女性の働き方ということを考えていったときに、やはり男女雇用均等というものがより強く打ち出されていかなければならないだろう。その中のいろいろな阻害になっている要件、例えば結婚による退職とか、また出産による退職とか、そういうのをまず解消しなければならない。あわせて、大きな課題となっておりました間接差別という規定も出させていただいた。

 そういう意味では、いろいろ御批判もあると思いますけれども、そうした時代の変化の中で、私どもはとれるべき方向ということで今日出させていただいたところでございます。

高橋委員 企業の行ったさまざまな努力をどう評価するかという点では分かれると思いますけれども、今のリストラや若者の雇用の状態、あるいは少子化社会の中で女性の活躍が期待されている、そういう認識においては同じかなと思って伺いました。

 そこで、次に伺いますけれども、ことし四月から施行となった改正高齢者雇用安定法では、年金の支給開始年齢が六十五歳までに段階的に引き上げられることに伴い、これに応じた定年の延長、あるいは定めの廃止、あるいは雇用継続制度、この三つのうちいずれかを選択することが義務づけられました。

 このうち、定年延長については、女性の年金支給開始年齢の引き上げは男性より五年おくれであります。しかし、高齢法の定めは、男女とも同一の六十五歳までとする、このようにされています。これは、年金支給開始年齢に合わせて女性だけ定年を早める、こうすると均等法違反になるからであります。しかも、直接差別であります。このことを確認してよろしいですね。

北井政府参考人 男女雇用機会均等法は、第八条におきまして男女別の定年制の禁止を明確に規定いたしております。厚生年金の支給開始年齢に差があることを理由として男性の定年年齢のみ延長するといったようなことは、この規定に違反し、均等法上の直接差別に当たるものであると考えております。

高橋委員 ありがとうございます。

 重ねて伺いますが、パート労働者においても同法は適用されると思います。また、その徹底はされているでしょうか。確認いたします。

北井政府参考人 均等法は雇用の分野における男女差別の解消を図るものでございまして、いわゆるパートタイム労働者など非正規雇用の方々にも適用されるものでございます。今般の改正におきましても、雇いどめについて規制の強化などを図っているところでございます。

高橋委員 ありがとうございます。この点は徹底をお願いしたいと思います。

 先ほどの議論を振り返っていくことになりますけれども、やはり、制度が変わり働き方が多様になることによって、求められる差別是正の措置、これも多様になると思います。問題は、それを混乱だととらえて差別の内容を初めから限定したものに絞り込もうとする、このことが、やはりそれでは前進しない、それではだめだということであります。

 既に大臣が触れておりますが、間接差別の問題について伺いたいと思います。

 間接差別の是正については、二〇〇三年の国連女性差別撤廃委員会から勧告を受け、ことし九月にはこれに対する報告が求められております。昨年十二月の分科会最終報告で最後までもつれ込んだ後、限定列挙という条件つきで間接差別の概念が入れられました。新聞各紙は、この最終報告を受けて間接差別の解消をという論説を張った、それは皆さんもそのように認識しているのではないかと思います。

 まず、確認ですが、あくまで今回の省令で列挙する要件は三つと決まったわけではない、いかがでしょうか。

北井政府参考人 この改正法案が成立した場合に制定する予定の厚生労働省令においては、御指摘の三つの措置を規定することを予定しているところでございます。

 なお、三つの措置以外の措置については、その後の状況を見て適時適切に検討を行っていくことになると考えております。

高橋委員 そうすると、手続的におかしいと思うんですね。やはり、立法府の責任が棚上げされている。初めから、審議会で局長が言うところのコンセンサスが得られた三つになるということが決まっている、委員会で何を審議しようとそれはもう決まっているということはおかしい。少なくとも、この委員会の審議を経て、国会での意見を受けて、改めて、この三つに確定するか否かを含めて、あるいはふやすか否かを含めて決定されるというのが正式の手続であると思いますが、いかがですか。

北井政府参考人 御指摘のとおり、手続的には、この法案成立後、改めて労働政策審議会の審議を経て厚生労働省令を定めることになりますので、私どもの考えとしては三つの措置を予定しているということを申し上げておりますが、手続としてはそういうことでございます。

高橋委員 ありがとうございます。そうでなければ国会が意味をなしませんから、そのことは強く指摘しておきたいと思います。

 局長は、参議院での審議の中で、衆議院に入ってからも幾つか説明されておりますけれども、間接差別の問題として一番国内外で指摘をされてきたのは、コース別の雇用管理における全国転勤要件であるとして、総合職について女性が事実上満たしにくい全国転勤を要件としている企業がかなりに上り、かつ要件としてもその必要性を十分検討されていないまま導入している企業が四割ある、今回の改正で全国転勤要件が禁止されると運用の改善が進む、そういう認識を示されました。

 では、この四割にもなる企業で、今回の法改正によって禁止措置が盛り込まれると、コース別雇用管理に名をかりた差別が改善されると考えてよろしいでしょうか。

北井政府参考人 今回、省令で列挙する一つに考えておりますコース別雇用管理における総合職の募集、採用に当たっての全国転勤要件、これを盛り込むことになりますと、合理的な理由がない場合には全国転勤要件を付した措置は違法となることでございますので、その業務の遂行上の必要性もないのに、念のためといったようなことで全国転勤要件を課しているようなケースについては問題になるということで、運用上の是正、改善が進むものと考えております。

高橋委員 ですから、今答弁の冒頭におっしゃられたように、合理的な理由がない場合、この言葉が問題なわけですね。現実には、その合理的な理由とは何か、これは新たに指針で定めることになると思います。しかし、その指針についても、分科会で審議をされてきました、昨日の川本参考人が述べたように、全国に支店や支社がない場合といった極めて限定的な要件となる。支社や支店がなければそもそも転勤する必要がないわけで、当たり前のことじゃないかと。そんな当たり前のことだけを要件として、それ以外は合理的な理由である、そうなれば、これは三つの要件を限定した上に、さらに指針をつくることによって狭められることになりはしませんか。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

北井政府参考人 厚生労働省令で定める措置についての合理性の有無の判断の考え方については、この法案成立後、労働政策審議会におきます議論を経て、指針において具体的な例を示していく考えでございます。

 その際にまた議論をしていただくことになると思いますけれども、例えば、コース別雇用管理について言えば、今御指摘のように、支店、支社がない、あるいはその計画もないにもかかわらず総合職の採用基準に全国転勤が可能なことを掲げることは合理性がないと考えるという建議も出ておりますので、そういうことも参考になります。

 また、一方で、均等政策研究会の報告では、全国に支店、支社等がある場合であって、異なる地域の支店、支社等で管理者としての経験を積むことが幹部としての職務能力の育成、確保に必要である場合や、人事ローテーション上、転勤を行うことが必要である場合など、と認められない場合は、合理性がないと考えられる場合もあるんじゃないかというような御指摘もなされていることでございます。

 こうした建議や均等政策研究会報告書の御報告などを参考にしながら、改めて検討をしていただきたい、そして適切な指針を定めていきたいということで考えております。

高橋委員 ですから、委員会の中では、四割の企業がやっている、そして、何かこれが一番の問題だからかなりの部分が救済されますよという印象を与えておきながら、終わった後の指針を決めてみたら、ほとんどそれは合理的な理由になってしまった、そういうことでは困るんです。しっかりと救済するつもりがあるのかということを聞きたいと思います。

 続けますから、それに対して答えてください。

 厚労省の平成十六年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況を見れば、総合職女性の採用は一割未満にとどまっています。一般職女性の採用は八割。もう歴然としています。平成十二年六月のコース等で区分した雇用管理についての留意事項に基づき雇用均等室が助言を行った企業は八七・八%にも達している。これをどう受けとめるでしょうか。

 コース別雇用管理制度が新たな差別拡大の引き金、あるいは均等法違反を避けるための隠れみのになったと言えないだろうか。

北井政府参考人 均等法で間接差別の規定を導入するに当たりましては、対象となる範囲を明確にする観点から、省令で対象となり得る措置を定めることとし、さらにその措置について、どういう場合に合理性があるのかないのか、その判断の参考となる考え方を指針で示すということにしているわけでございますので、これは、このやり方でもって、違法となる対象が狭まるという指摘は当たらないものと考えております。

 それから、コース別雇用管理につきましては、全国の雇用均等室におきましても、集中的に報告徴収をしてまいりました。その結果、その運用において、必要性の観点から改善が望まれるもの、あるいは法違反になるようなものもございました。そういう点でもって問題意識を持って取り組んできた結果、今回の法案の改正につながっているということであると思います。

高橋委員 問題意識を持って、そして、本当に救済されるのかということが問われていると思うんですね。

 局長は、同じく参議院の質疑の中で、間接差別の規定を設けた趣旨というところで、非常に率直に述べておられます。

 均等法制定以降、外見的にすぐ分かるような明白な差別は減少をしてまいりました反面、事業主によりましては、内心の意思としては女性を採りたくない、登用したくないというようなことで、そうした、しなくて済むように、女性が満たしにくい要件を課すといったようなことなど差別事案が非常に複雑化する中で、形を変えた差別への対応が課題となってきた

と述べておられます。

 非常にわかりやすいですよね。間接差別とはどういうものかということがここに尽くされているのではないかと思うんです。まさに、本当は採りたくない、登用したくない、企業の内心はこうだということを認めておられます。

 きのうの参考人の質疑の中でも、経団連の参考人である川本氏は、もともと我々は間接差別には反対だったということを繰り返して発言されました。

 ここで、本当に、使用者側が本当は採りたくないのよとわかっている、だけれども、それではだめなんだという立場で救済する、間接差別をしっかりと是正する立場に立つのか、あるいは、やはり、使用者側にそこまで言われたんだから、使用者側がいいよというところでお茶を濁すのか、その態度が問われていると思うんです。大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 労使間の話し合いでいろいろな議論がされてきたことは事実だろうと思います。もちろん、委員の皆さん方に御提案いただいたような声もございました。しかし、今回の提案は、そうしたいろいろなものを踏まえながら、最終的に建議いただいたものを土台としながら法律を出させていただいたということでございます。

 経済界にそのような声があったことは事実でございます。

高橋委員 事実だからということで、やはり、間接差別をなくす、ちゃんと救済できる、そういう制度にするという決意はありますか。

川崎国務大臣 そうしたことから今回の法改正を出させていただいた。先ほども御答弁申し上げましたように、まだ国民全体も、間接差別というものがどういうものであるか、よくわかっていない人たちも多いだろうと思います。まさに、労働現場また採用の現場で仕事をされる人たち、現実に差別に遭った女性の方々、こういう方々は御理解いただいていると思いますけれども、国民全体はまだよくわかっていない。

 こうした中で、間接差別という概念を今回法改正に入れさせていただいて、そしてその後、柔軟に対応しながら足すべきものは足していきたい、このように思っております。

高橋委員 これまでいろいろな女性たちの闘いがあったわけですが、最近のものとして、二〇〇六年の四月二十五日に、住友金属男女差別裁判、これが和解をいたしました。非常に教訓的な和解勧告をしていらっしゃいます。

 これは、住友金属が、従業員に知らせないまま、事務職の従業員を五段階に分けたやみの人事制度、これに基づいて能力評価、昇給、昇進について差別的取り扱いを行い、昇進、賃金の著しい男女格差を発生させたと認定をした裁判でございます。

 これは、イ、ロ、ハ、ニ、ホという五段階がございまして、女性は最初から一番下のホになっていた、そういう制度があることを従業員が全く知らされていなかったということがございました。

 このことを、和解勧告ではこのように言っております。

 過去の意識に支配された人事制度などが改正され、性中立的システムが構築されたかに見えながら、実際には、賃金、処遇等における男女間の格差が適正に是正されたとは言い難い現実があり、真の男女平等を目指す精神が、社会、とりわけ企業内に深く根付いていると楽観することはできない。

このように、まずここが一つの指摘ですよね。性中立的システムであるかのように見えるけれども、根深く差別というものはあるんだという指摘であります。

 それと、もう一つ大事なことは、続けて読みますけれども、

  このような現実は、真の男女平等に向けた意識改革が十分に深化することなく、均等法を受けて、表面的な整合性を追い求めることからくるものではないかと思われる。そのような意識改革の遅れが、新たな差別(間接差別や女性を中心とした非正社員化等)を生み出す土壌となることに十分な留意がされるべきであり、企業のみならず、社会においても、意識改革に一層真剣に取り組むことが求められる。

このような勧告をしておられます。

 この後段の方は、「均等法を受けて、表面的な整合性を追い求める」、これは、やはり行政に対して向けた言葉であろうと。法律ができた、しかし、その法律では救えないものがある。言葉だけ間接差別というものを盛り込んだというだけではなく、本当にそれが使えるものになるのかどうか、そのことが本当に行政に問われているのではないかと思っております。

 これを受けて、どのように行政として受けとめているのか、伺いたいと思います。

北井政府参考人 男女雇用機会均等法の施行に当たりましては、常に課題が出てまいります。そうした課題に適切に対処しながら、日々の全国の均等室における是正指導、あるいは紛争解決の援助に当たっているわけでございます。

 今後とも、私どもは、今回も改正法案を出させていただき、成立をさせていただいた暁には、この法律の円滑な施行に向けて全力を傾けていきたいと思いますし、特に、間接差別の問題については、今国会での数々の御指摘を踏まえ、十分対処していきたいというふうに思っております。

高橋委員 この間、間接差別については判例がないというようなことをおっしゃっておりました。確かに、その言葉が条文上にはまだこれまでなかったわけですから、裁判の中で、判例という、厳密に言えばなかったかもしれません、しかし、このように、和解という形で間接差別の精神がしっかり盛り込まれたものがある。今の局長の答弁を聞いていますと、これを重く受けとめてやっていくというふうに認識してよろしいですよね。

北井政府参考人 一つの和解の例、あるいは裁判例も十分勉強させていただくことは当然でございますし、今国会における審議を十分尊重して、私どもは対処をしていきたいということでございます。

高橋委員 毎回毎回、女性たちが何年も時間をかけて、多くのものを犠牲にして裁判をしなければ、一つ一つが証明されないのかということでは、やはりだめだと思うんですね。この成果を本当に現行法に生かして使えるものにするようにということを強く望みたいと思っております。

 さて、大臣は、この間、何度か説明の中で、男女間の賃金格差が依然として大きいと繰り返し述べておられますが、本法案でその趣旨がなぜ盛り込まれなかったのか、伺います。

北井政府参考人 雇用均等法は、賃金というステージを規定しておらないわけでございます。したがいまして、賃金の問題を間接差別として均等法上入れていくことについては、何度か御答弁を申し上げているところでございますけれども、直接差別のステージに入っていないものを間接差別に入れていくことは整合性の観点から難しいことと、そもそも、賃金について間接差別として入れていくということについていまだコンセンサスが得られていないという状況から、均等法上、賃金の問題を間接差別に導入していくということはしなかったわけでございます。

 しかしながら、もとより男女の賃金格差の問題は大きな問題だと認識しておりますので、ポジティブアクションの推進であるとかあるいはパート対策の強化等によりまして、男女間の賃金格差の解消に努めていきたいと考えているところでございます。

高橋委員 ここでもコンセンサスという言葉が出てくるわけですが、何度も指摘をされておりますけれども、やはり賃金というのは直接、間接による差別の帰結として起こってくる差別だと思うんですね。ここを本気で変えようとしなければ、やはりこの均等法改正の意義も生きてこないのではないかと思っております。

 平成十四年十一月の男女間の賃金格差問題に関する研究会報告では、この「はじめに」のところで、「職場における女性の進出が着実に進展しているが、男女間の賃金格差は依然として大きい。本研究会は、男女間賃金格差の本格的解消に向け、行政として初めてこの問題を真正面から取り上げたものである。」このように書いているんですね。各種研究会というのはありますけれども、「真正面から取り上げた」、研究会自身がそのようにうたっているというのは非常に珍しいのではないか。その覚悟がどこで生かされるのかということが改めて言われると思うんですね。

 例えば、ここで具体的に指摘をされているのは、さまざまありますけれども、「職能給、職務給等の基本給に係る賃金制度そのものは一般的にみて性に中立的とみられるが、職業能力や職務の評価の判定方法や業務の与え方、教育訓練等の運用面で公平性が保たれない限り、どの制度でも男女間賃金格差を生成する。」こういう指摘、あるいは「コース別雇用管理制度が男女間賃金格差を生み出している面があるため、雇用管理を点検するべきである。」こうした指摘がされております。

 これを受けて、厚労省としては平成十五年の四月二十二日にガイドラインというものも出されておりますけれども、これを本当に実効あるものにするために、やはり差別の帰結として来る賃金差別にしっかり取り組むというところがどこかに盛り込まれなければならないと思いますが、もう一度伺います。

北井政府参考人 今御指摘がございましたように、一つは、男女間の賃金格差を解消するために企業の労使で取り組んでいただくガイドラインをつくっておりますので、この周知に一層努めていきたいと思っております。

 また、法律上の問題としては、ケースによりましては労働基準法第四条の問題として、賃金における男女差別の問題として対処できるものもございますから、そうした場合は労働基準法の適切な施行によって対処をしていかなければならないと思っております。

 それから、均等法上の問題としては、配置、昇進に関して男女差別が起きた場合に、それに起因して賃金の格差ということも生ずることが多いわけですが、そうした場合については、均等法の六条なり七条において適切に行政指導をしていく、あるいは個別紛争の解決の援助を図っていくということで努めてまいりたいというふうに思っております。

高橋委員 指導の問題は後でもう一度伺いますけれども、労基法の四条があるじゃないかということが繰り返し答弁をされているわけですが、しかし、実際にはその四条が非常に厳し過ぎて送致まで至っていないということになっておりますし、それはILOの専門家委員会からも指摘をされているわけですよ。では、どこかで実効あるものにしなければならない、そういう問題意識はございますか。

北井政府参考人 労働基準法の施行に当たりましては、全国の労働基準監督官の監督指導によって制度の適切な改善や法の履行確保が図られるものと考えております。

高橋委員 答えになっていませんね。一件も送致をされていないのに適切な履行がされているだろうというふうにはちょっと答えにくいのではないか、その程度の認識だということが問題ではないかと思います。

 指導の問題はちょっと後でやりますから、続けますけれども、正規と非正規の問題ということも、さっき、午前の部で大臣が答えているわけなんですね。いわゆるパートの問題を指摘されたのに対して、それは男女の性差別の問題ではないというふうなことをおっしゃっているわけですね。

 しかし、例えば、今、三年前に比べて非正規の社員の比率が上昇した事業所が一九・一%で、パートがその中でも最も多いわけです。その理由に、賃金の節約のため、これが五一・七%。これは、ここにもう集約されていると思うんですね。働く中身は同じでもパートに置きかえることによって賃金を節約する、こうした傾向がこの間強まってきたのではないか。

 いろいろな相談がございますが、例えば、男性が今仕事が非常にない、だからパートでもいい、せめて短期でもいいから仕事がないかといって職安に行くと、表面上は男女となっているけれども、うちは女性しか採りません、こういうふうに明らかに、パートは賃金の安い女性にお願いする、そういう傾向が強まっているということも指摘をされているところです。

 大臣が言うように、切り口は賃金でも正規あるいは非正規でもいいけれども、いずれにしても、こうした形で賃金の格差を生じるということに対して救済できる道をつくるべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

北井政府参考人 均等法におきましては、例えば、非常に賃金の低い職に女性だけ求人をするというようなケースになると、まずそれは募集、採用についての女性差別ということで均等法違反となりますし、それから、求人は男女に出していながら、実は女性が採りたい、あるいは男性が採りたいというようなことで男女異なる取り扱い、例えば求人情報の提供であるとかさまざまな採用手続の過程において男女異なる取り扱いをして、実質女性を採る、あるいは男性を採るというようなことになっても、これは男女異なる取り扱いとして均等法上違反になります。

 そういうようなことで、かなりのところにおいて、女性について男性と異なる取り扱い、あるいは女性だけを対象とするとか女性だけを排除するというようなことについては、均等法違反として対処できるものであると考えておるところでございます。

高橋委員 ですから最初にお話をしたんですけれども、最初からパートだから女性募集といっているのはもう明らかに違反ですよ。そうじゃなくて、行ってみたら女性だけよと言われた、そういう事例が圧倒的に多いでしょうということを指摘しているんです。ここをしっかり受けとめていただいて、そうしたことがないようにしていただきたいということを言っているんです。

 パートであるということが間接差別になるかどうかということを、先ほど、コンセンサスが得られていないという局長の答弁が午前の部であったと思います。ただ、パート、アルバイト、派遣を問わず均等法は適用になりますよね。これは、厚労省が出しているQアンドAの中に明記をされています。

 しかし、昨日の参考人質疑の中でも紹介をされていましたように、例えば転勤要件が課されて、それによって労働形態が変わってしまう、パートを選ばざるを得なくなってしまう、それで結局、賃金の格差に結びつく、そういうように、パートであっても間接差別となることは十分ある、このことは確認してよろしいですか。

北井政府参考人 パートのさまざまな問題が間接差別の法理の対象からあらかじめ外れるということはないわけでございます。しかしながら、私どもとしては、パートの処遇格差の問題は、むしろ、性差別というよりも、正規とパート労働者との均衡処遇の問題として対策を講じていった方がいいと考えているところでございます。

高橋委員 ですから、民主党さんもパートの労働法を出しているように、それは十分やっていくべきなわけです。ただ、こっちでやっているからこっちは必要ないよと言ってしまうと、どこかにすき間ができるから、それはそうではなくて、間接差別となり得るのであればきちっと対応するべきだ、私はこのように言っておきたいと思います。

 そこで、先ほど来出ている指導の問題なんですけれども、やはり私は、均等室の権限を高めるべきではないのか、あるいは、独立した救済機関をちゃんと設けるべきではないのかと思っております。

 全国に四十七の均等室があって、一般の国民から見て、非常になじみが薄いわけですね。でも、実際には、労基署に相談に行くと、労基署が紹介をして、均等室に紹介がされるということを聞いております。

 ただ、やはり、均等室には労基署のような司法の権限がございません。そのために、いろいろ事業所を回っても、どこにそんな条文が書いてあるというような形で指摘をされたり、あるいは、被害者にとって非常に大事な差別を立証するための証拠書類などを、いわゆる証拠保全というんですか、そうした権限なども、あるわけではございません。そうすると、やはり、書類を置いてくるとか、行って、何とかお願いしますと言う程度にとどまらざるを得ないわけですね。ここを変えなければだめなんです。

 どのようにして権限を強化いたしますか。

北井政府参考人 男女雇用機会均等の実効性の確保を図るということは、重要な御指摘だと思います。この均等法におきましては、何よりも、労働者が継続をして勤務できるようにするということが重要であると考えておりまして、この法律の体系の中では、助言、指導、勧告といった行政指導という手法によって、粘り強く事業主に理解を求め、是正を促し、そして雇用管理の改善を図っていくということにしているわけでございます。

 そして、それを担保するものとして、勧告に従わない企業に対する企業名公表制度という社会的制裁措置を持っておりまして、これを伝家の宝刀としながら、行政指導を進めているところでございます。

 今回の改正法案では、一つは、この企業名公表制度の対象となる措置を、セクシュアルハラスメントや母性健康管理も対象に加えました。それから、この助言、指導、勧告をする前提として、必要な報告を求めなきゃなりませんけれども、御指摘のように、十分協力をしていただけない事業主もあったわけでございますが、今回の改正法案では、正当な理由なく報告徴収に応じないとか、虚偽の報告をするといったようなケースについては、罰則といいますか、過料を創設するといったことにしたわけでございます。

 こうした規制の強化も図りながら、行政指導によって、事業主に雇用管理の改善を促すということにしていきたいと思っております。

高橋委員 今回、過料を設けたこととか、一定の規制の強化をしたということは、多としたいと思います。しかし、それでもまだ足りないだろうという点では、やはり本気な取り組みとして、権限の強化、あるいは独立した機関について引き続いて検討していただけるように、指摘をしたいと思います。

 これと裏と表の関係になると思うんですが、事業所の側として努力をするべきポジティブアクションの問題ですけれども、これについては義務づけがないわけです。例えば、今、五千人以上の企業でこれを持っているところは七四%、三百人から一千人未満の企業で四六・七%にとどまっています。問題なのは、取り組む予定がないと答えたところが、五千人以上でさえも一〇%、一千人未満では一九・七%と、予定がないと言い切られてしまったわけなんですね。それではやはり前へ進まないだろう。ここを、この間、ポジティブアクションに対しての支援措置というふうなやわらかい表現をされていましたけれども、もう一歩進んで、義務づける、もっと強い措置をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 ポジティブアクションの進め方については、いろいろなやり方があるわけでございます。確かに、計画を出させる、あるいは義務づけるという方策もございますし、自主的な取り組みを援助によって促すという方式もございます。我が国の均等法では、事業主の積極的な、自主的な取り組みを促す、これによって、強制ではなくて、真の意味でみずからお取り組みをいただいて、女性の活躍を促すということにしているわけでございまして、今回の改正法案でも、そうした枠組みは維持することといたしたわけでございます。

 具体的な援助の内容といたしましては、個々の企業に対する相談はもとよりでございますけれども、経営者、トップに集まっていただきましての女性の活躍を促す協議会の開催であるとか、企業表彰の実施、それから、いわゆるベンチマーク事業と申しまして、個々の企業が実情に応じた目標を立てる際に活用できる情報提供事業といったものを進めているところでございます。

高橋委員 やはり、もう一歩進んで、企業がポジティブアクションを設ける、そして本当に前に進むという方向に、先ほど来言っているように、企業の言い分は取り入れるけれども、女性たちの願いはなかなか聞き入れられないということがないように、ここは強く指摘をしておきたいと思います。

 さて、最後に伺いたいのは、坑内労働の規制緩和の問題であります。

 今般、女性技術者が行う管理監督業務について、坑内労働が行えるよう規制を緩和するとしております。均等法の制定とともに、労基法の改悪、規制緩和がされてきたのが、女性の深夜労働の禁止など母性保護に関する規定であり、坑内労働は最後のとりででありました。残されたのは、文字どおり、妊産婦そのものであります。これではやはり、少子化対策というその背景にある女性の健康状態というところを本当にどう見るのかということが言えると思います。そもそも、雇用における平等とは、母性保護を当然の前提とするものであり、国連の女性差別撤廃条約においても、母性保護を目的とする特別措置を締約国がとることは、差別とみなしてはいけない、そういうふうにしていると思っております。

 そこで、まず伺いますが、坑内労働の規制がある背景には、粉じんなどの有害物質の飛散する場所での作業は、一般的な人体に対する影響以上に、子宮や卵巣などの妊娠、出産機能に対し有害な影響が大きいということが医学的にも認知をされてきた、そうしたことがあったからだと思いますが、見解を伺います。

北井政府参考人 今般の改正に当たりましては、学識経験者によります専門家会合において十分議論を尽くしていただいたところでございます。坑内労働については、施工技術の格段の進歩、それから法規制の充実などに伴いまして、安全衛生水準が向上いたしておりまして、現在では、女性の坑内労働を一律に排除しなければならない事情は乏しいとされたことを踏まえたものでございまして、母性保護につきましては、十分な検討が行われたものと承知をいたしております。

高橋委員 いや、まさかそこまでおっしゃるとは思いませんでした。

 現実に、第六次粉じん障害防止総合対策が進行中でありますが、じん肺根絶を願う関係者の運動は、引き続いて今も闘われております。今も、原告は提訴をしております。じん肺はなくなっておりません。

 今、適用事業場は四万四千五百十、有所見者の割合は確かに減ってはおりますが、現在でも、平成十五年の数字で七千三百四名、治らない病であります。健診を受けているのは十八万三千九百六十一名。影響を取り除くための措置、今おっしゃった安全衛生水準なるものかもしれませんが、さまざまな、いわゆる事業者に義務づけられております。それらに対して遵守違反は、建設現場で五七・五%、土木現場で五〇・二%に至っております。これが現実であります。

 これを私は、一般の労働者の健康自体がまだ守られている状況にはないと見るべきであるし、さらに、そこに女性の労働者も加えてリスクを高めるべきではないと思いますが、まず、現状の認識と、リスクを高めるべきではないということに関して伺います。

北井政府参考人 もちろん男女共通に粉じん対策ということは重要なことでございますが、女性の坑内労働に関する専門家会合では、坑内労働特有の状況、例えば落盤、落石、ガス爆発等のリスク、有害化学物質についての影響、それから高温、気圧、粉じん、筋肉労働についての影響等をもろもろ御議論いただきまして、そして、結論としては今申し上げましたように、一律に女性の坑内労働を排除しなければならないという事情は乏しいという結論になったわけでございます。

 今回の改正も、その女性土木技術者、これは坑内で管理監督業務に当たられるわけでございますが、この職域の拡大の観点から、女性土木技術者の方々から、それから関係業界も含めた強い御要望もあって、女性の職域の拡大の視点、その一方で、坑内労働の労働条件等の観点、それを十分踏まえて、科学的にも専門家による検討を経て、今回の改正法案では女性の土木技術者の管理監督業務についての規制緩和を図ることとしたものでございます。

高橋委員 まず、もう一度確認したいのは、リスクはまだあるということをちゃんと認めてくださいますかというのが一点です。

 それから、土木技術者の女性の会から要望があったことは承知をしております。女性の社会進出が進む中で、坑内労働の分野であっても、やはり技術を生かして職域を拡大したい、キャリアアップを目指したい、そういう方たちがいるということを決して否定するものではありません。しかし、使用者のねらいは全面解禁でありますから、これが引き金となっては困るんです。

 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害なものは除く云々という条項がございますけれども、かつて炭坑に多くの女性が上半身裸で入っていた、そういう時代とは決して違います。しかし、今回のことによって規制から除かれる範囲が拡大するということはあってはならない。先ほど来言っているように、管理監督に限定するということで確認してよろしいでしょうか。

北井政府参考人 今回の報告書では、安全衛生に関する管理が適切になされていれば、通常、女性がじん肺を発症することは想定されない、安全衛生の水準が保たれていることを前提とすればということで、現在では女性の坑内労働を一律に排除しなければならない事情は乏しくなってきていると考えるということでございますので、やはりじん肺の対策というのは重要なことであるという認識に立っております。

 それから、二点目の御質問の規制緩和の範囲でございますが、御指摘のとおり、女性の管理監督者の規制緩和だというふうに理解をいたしております。

    〔北川委員長代理退席、谷畑委員長代理着席〕

高橋委員 限定するものだということが確認をされたと思います。この点はよろしくお願いします。

 何か最初にお話しされた、安全対策を前提とすればなどという表現は、どうもプリオンの専門調査会の報告書に非常に似た書きぶりでありまして、そんな言い方をしないで、しっかりと安全確保をする、それで大丈夫であるとなった上でのことであるというふうに確認をしたいと思います。

 私は、今の母性保護の問題もしかりでありますけれども、最後までなかなか一致を見られなかった、仕事と生活の調和、これを盛り込むということ、このことがやはり本当に大事なんだなと改めて思っております。

 これまでの答弁は、雇用の場における性差別の禁止と切り口は違うものだというふうな表現で、別の法律に書いているからということを言っておりました。しかし、やはり抽象的な表現に思えるかもしれませんが、これは非常に大事な意味を含んでいる。分科会の中でも、労働側の委員が、男性の働き方に女性を合わせてはならないのだと主張してきた、そのことをしっかり受けとめるべきではないかと思います。

 男性並みに働くことが平等だとされて、それができない人は退職するか、あるいは短期労働者になりなさい、そういう形の差別が横行してきた。そして、そのことが男性にとっても働き過ぎの社会をつくってきたのではないか、こういうことが指摘をされてきたんだと思っております。

 均等法の中にこの仕事と生活の調和という具体的な措置が入っているか否か、そのことが問題なのではなく、このことが理念に据えられている、据わっている。そのことがすべての条文にかかわる大きな根拠となって、男性も女性も仕事と生活の調和がとれる本当に人間らしい働き方が保障される、そういうことにつながっていくのではないかと思っております。

 大臣は、かつて答弁の中で、その気持ちについてはにじませたいというような表現をされておりましたので、にじませたいではなくて、やはりもう一歩踏み込んで書いてほしいということを指摘して、時間になりましたので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷畑委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本法律案並びに民主党の皆さんのお出しになったパート労働法につきましては、パート労働法は衆議院段階での御提出と思いますが、とりわけ前者の法案につきましては、参議院からの審議を経て、本日の衆議院の審議過程の中でほぼ論点というものは、例えば間接差別をどうするか、あるいは今の高橋委員の御指摘のワークライフバランスをどう考えるか等々、論点は出ていながら一向に交わらず、すれ違い、そして、一体この改正は本当に物事を前に進め、女性たちの人生をもっともっと豊かにし、あわせてパートナーである男性たち、この世は男性と女性しかおりませんので、その男性たちの生き方も豊かにするんだろうかということにおいては、多くの疑念がまだのど元に突っかかったまま、審議の時間は過ぎていくということになっているかと思います。

 そこで、冒頭、私は川崎大臣にお伺いしたいですが、たしか六月の八日に閣議決定を経て発表されました内閣府の「男女共同参画社会の形成の状況」並びに「男女共同参画社会の形成の促進施策」という一種の白書がございます。その中で、特に私自身の注意を引いたものは、きょうお手元にお配りしてございます雇用形態の年代別変化で、昭和五十七年、一九八二年から、平成十四年、二〇〇二年までに至る、男性と女性を分けた、いわゆるアルバイト、パート等々の皆さんと、正規、正社員の占める割合の比率の推移でございます。

 ちょうどこの時代は、一九八五年に雇用均等法が制定され、一九九七年の改正を経て、そして今日この場に立っておるわけでありますが、このグラフをごらんになってもおわかりかと思いますが、とりわけ女性においては著しく正規雇用が減り、そして、本来でございましたらば、当然最初の立ち上がりのピークでございます十八から二十代の前半くらいにある正規の雇用の山が崩れて、なだれて、そして三十代、四十代の方の非正規もふえておるというグラフでございます。

 男性の方においても、もちろん正規はやや減り、非正規がふえるという形態はとってございますが、果たしてこの二十年、男女の働き方の均等ということを目指してやってきた一方で、こうしたデータが現実にあるということを、厚生労働大臣としてどうお考えでしょうか。お願いいたします。

川崎国務大臣 まず、男女雇用機会均等法、平成九年改正により、募集、採用について女性に対する差別を禁止したところでございます。

 一方で、この十五年間の我が国の経済の推移。一つは、サービス産業のウエートが極めて多くなった。製造業におきましては、アジア、初めはASEANの国々が多かったと思いますけれども、この六、七年は中国へほとんど行って、最近やっと帰ってきた、Uターンが始まった、こう言われております。そういう意味では、製造業における雇用形態がかなり崩れた時代。一方で、雇用自体がサービス産業を中心とした雇用になってきた。この変化が一番大きいように思っております。

 したがって、高卒の女性が高卒男子以上にパートタイム労働者として就職する者が多い。もう一つは、これが今回の議論でも大きな議論でございますけれども、女性が一回職場をやめてしまう、それからまた働き出すというときに、パートタイム労働というものが極めて多い。この二つが大きな現象として出ているだろうと思っております。

 特に、この高卒女子の就職分野が、卸、小売、サービス産業につく者が非常に多い、この形態がなかなか正規雇用になっていないということが一つの課題だろうと思っております。

 もう一つは、工場自体が最近人をふやしてきているわけですけれども、なかなかまだ経営者が将来展望について確信を持っていない、したがってなかなか正規雇用に行かないで、契約社員もしくは派遣というものにどうしても頼る。昨年ぐらいからでしょうか、変わりつつあって、少し変わってきた、こういう状況にあるというように思っております。

 したがいまして、お尋ねの男女雇用機会均等法施行二十年の総括としては、雇用の場における均等確保の必要性は今では広く社会に定着しつつあり、数値面での進展も認められるもので、この点については男女雇用機会均等法が意図した方向に一部向いていることは事実だろう。

 しかし、働く女性が性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境の整備ということに照らせば課題はあると考えております。男女雇用機会均等法や、その他の関連する法律、これは例えばパートタイム労働法、労働者派遣法、労働時間法制、また育児・介護休業法、こうした問題も含みながら、今回の改正も含めまして、一段と女性の雇用の問題、しっかりしていかなければならないだろうという認識をいたしております。

 そういう意味では、経済環境の大きな変化の中で、私どもがねらってきたような大きな成果は上がっていないということも、一つの事実だろうと思います。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

阿部(知)委員 今の大臣の御答弁は、例えば景気の変動、社会要因が今でもなお、そして雇用均等法ができて二十年の間にもなお、女性を多くのその矛盾の集約点として、むしろ女性がその矛盾をより多くひたすら背負う形になってしか機能していないということなんだと、私はこの結果を見て本当に愕然とするわけです。

 大臣にお伺いいたしますが、今、高校卒業の本当の初々しい十代から二十代の若い女性たちが非正規になる。これは、主には第三次産業分野が非正規化が進んだことによるというお答えでありましたが、そういうことは確かにございましょう。しかしまた、きっちりとした雇用均等法がありせば、機能しておれば、こういう形ではなかったろうとも思います。

 もう一点、お伺いしたいのは、この若い世代にもし非正規としてスタートいたしますと、これから後、正規化の展望はどうであるのか。そしてもう一つ、今、社会保険庁の問題でも大変に問題になっておりますが、年金。なぜ女性たちは男性に比べて今もなお低年金であり続けているのか。このことも引き続く大きな矛盾となっていると思いますが、このことについて、果たしてこの二十年、そしていろいろな景気変動の中で、女性たちの社会保障の将来像は改善されたとお思いになりますでしょうか。

 あるいは、今後です、私は逆に非常に案じます。若いころから非正規しかないという形でスタートする女性たちの人生が、果たしてどのようになっていくだろうかと。この点について大臣のお考えをお願いいたします。

川崎国務大臣 これはまず第一に、男女問わず最近の若い子の問題でございますけれども、できるだけ正規雇用にかえていく、すなわち厚生年金の適用にかえていくということであります。そこは非正規雇用そして国民年金適用というものから、できるだけ正規雇用、厚生年金の適用、そして、結婚したから会社をやめる、子供が生まれたから会社をやめさせられる、こういうことにならないように、安定した雇用につなげていく。

 今、男女差の大きなものとして、どうしても勤続年数が少ない、また職階制度の問題というのが大きな課題になっておりますから、やはり安定した雇用、また、長い間お勤めいただく、子育てをしながら仕事もしてもらう、こういう社会を実現していかなければならないだろう、これは大原則だろうと思います。

 一方で、この十年間の厳しい時代に就職期を迎えた方々、ここの問題を実は私ども、大きな課題として考えているところでございます。したがって、これも男女を問わず、再チャレンジの機会を会社側にもつくってもらわなければならないだろう、そして正規雇用化していくというところへ持っていかなきゃならない。若者といいますと何となく男を連想するようでございますけれども、これは男も女も問わずの話でございます。

 一方で、高校を卒業したとき、また専門学校に行くとき、やはり何を自分がやるのかという目標だけはしっかり、これからの若者に目標は定めてもらわなければならないだろう。そこのところもあわせながら、私ども、この十年のいろいろな経済環境の変化に対して、今、経済が少しよくなってきたところでありますから、まさに若者に対するみんなでのサポート政策を打っていかなければならないだろう、このように思っております。

阿部(知)委員 私がこのグラフから指摘いたしたいのは、やはりそうはいっても、若者の中でもとりわけ女性がまた不安定になっておるという現実であります。すなわち、非正規という働き方と男女の差別は歴然とドッキングしておるわけです。女性の方がより多く、若い人であっても非正規雇用に回されておる。

 私ども野党の修正案は、やはり、ここでワークライフバランスをきっちりこの法案にもう一度組み込んでほしいということも含めて、働くということ、当然ですが、そのこととこの男女差別ということ、働き方のあり方と男女差別ということを両眼的に見ていかなければ正しい解決はないだろうと思うわけです。

 このことについて大臣はどうお考えでしょう。再度お願いいたします。

川崎国務大臣 今御審議いただいている法律は、性差別の禁止、男女差別の禁止というものを御審議いただいているわけですから、ワークライフバランスという切り口、これは全体に通用する話だという御主張はよくわかります。しかしながら、この法律に位置づけるのかと言われれば、私は労働時間等に着目した法律の方に書いた方がいいだろうという御答弁を参議院でしてまいりました。

 さまざまな法律がございます。私ども、一本の法律で行政をするわけではない、さまざまな法律を組み合わせながらやってまいるわけで、その法律の組み合わせの中でワークライフバランスというのが大きな基軸になりますよという御提言は受けとめたい、このように思っております。

阿部(知)委員 これも平行線でございますし、大臣は最後にほんの少しだけ、サービス的な御発言でもありましたが。

 では、ちょっと観点を変えて伺わせていただきますが、大臣は、参議院で参考人として出席していただきました西村かつみさんという、住友電工の事件の裁判を起こされた当事者でもありますが、この住友電工事件というのを御存じでありましょうか。予告してございませんので恐縮ですが、もし、ある程度御理解があればちょっと御披瀝をいただきたいですが、急ですので、御無理であれば北井さんにお願いいたします。

北井政府参考人 住友電工事件でございますが、これは平成十二年七月の大阪地裁判決の後、平成十五年十二月に大阪高裁で和解が成ったものでございますが、これは、同時期入社、同学歴の男性社員との間で昇給、昇進に関して不利益な処遇を受けてきたと主張される女性たちが、これは違法な男女差別であるとして損害賠償の請求を求めたものでございます。結論といたしましては、和解で解決をいたしておりますが、たしか、住友電工については国も訴えられておりまして、結果的に国は敗訴を免れておりますけれども。幾つか住友関係の事件はございまして、私どもも、十分こうした事件も踏まえて、その後の行政の施行に当たってきたところでございます。

阿部(知)委員 私は幾つかの点で、もちろん、女性たちが本当に職場での不当な昇給や昇進の差別を訴え、裁判を起こし、実際に国際社会に訴え、地裁の敗訴判決を国際社会のいわば潮流が押し返し、和解に持っていった事件と心得ておりますが、今この事件を思いますと、もちろん、それまでのたくさんの女性たちのさまざまな闘い、この住友電工事件以外にも、住友化学とかあるいは野村証券の事件、同じように、いわばコース別管理で、採用も本社と事務所というような、採用別がまたコース別につながっていくというような中で起きた昇進やあるいは給与の差別の問題ですが、今から思いますと、実はその当時、いろいろ裁判を起こした女性たちは、少なくとも高校を卒業して正職として入社することができました。それでなおかつ差別を受け、コース別という名で賃金が二十数万円も違うような、あるいは昇進は本当に若い二十歳代の男性が自分の上司に来るような形になっておりました。

 本当に何度も言って恐縮ですが、果たしてこの二十年、雇用均等法があり、あるいは女性たちのもうしゃかりきな裁判があり、国際社会の訴えがあり、しかしその一方で、現状では高校を卒業した多くの女性たちがその正規の職員にも到達しない。こういう状態になっている社会背景は極めて深刻ですし、そういう時代だからこそ、この雇用均等法の見直しは、先ほど来の御答弁をずっと聞くと、例えば、コース別管理そのものは間接差別ではない、運用の仕方によって一部雇用均等法に問題になるようなこともあるだろうから、助言、指導していくというお話でしたが、私から見ますと、働くもとの条件がすごく悪くなってしまっていると思います。大臣は、そのあたりはいかがでしょうか。

 それからもう一つお願いは、この西村参考人、参議院でも非常に明確に参考人としての御意見を述べてくださっておられるので、いつもお願いすることですが、ぜひお目通しもいただいて、そしてなおかつ、その女性たちが次に送る女性たちに、もっと若い、さらに雇用、労働環境が悪化した女性たちのために、今雇用均等法の改正がどうあるべきかということでずっと傍聴してくださっているのだと思います。

 そうした状況を踏まえて、再度大臣の、果たして女性たちの働き方はいい方向に向かったろうか、ここについての明確な答弁をお願いします。

川崎国務大臣 この十五年もしくは十年を振り返りましたときに、男女問わず極めて厳しい雇用の状況にあったなというのは、私自身感じておりますし、また、少子化の一つの理由である。したがって、これを企業にもしっかり私どもが話をしながら、正規雇用にかえていくことによって安定した家庭というものをつくってもらう、そんな土台にしなきゃならぬ、こういうことは常に申し上げております。

 したがって、そういう意味では、この十年間、日本の全体、若者が置かれた立場というのがよかったのかといえば、厳しい時代であったという認識は私、持っております。そこをどう是正するかという問題と、もう一つは、去年ぐらいから、特にことしは、高卒におきましても大卒におきましても、かなり雇用が回復をしてきた。その中で男女というものがまさに同等の条件で仕事をしていき、そして会社の中でお互いの持ち場持ち場で仕事がしていけるという環境をつくっていくためには、我々しっかりウオッチをしていかなきゃならない、このように思っております。

 一方で、我々のことだけではなくて、若者にも、私どもの立場から言えば申し上げなければならない。それはやはり、約百万人の方々が就職に進まれるわけでありますけれども、今、高校から行かれる方はたしか二十万人ぐらい、専門学校を経由して行かれる方は三十万人ぐらい、大学を卒業される方が五十万人ぐらい。

 その中で、例えば委員のように、医師になりたいと初めからまさに意思が明確な方々と、何となく大学へ行ってしまったという方々と、ここが我が国の一つの問題点としてはあるだろう。これはドイツ等の比較の中で、もう少し職業意識というのを持った中で正規雇用に入っていくということが必要であろう。卒業する段階になって初めて自分は何をしたいというものを考えていくのではなくて、やはり高校時代もしくはもう大学へ入った時点で、自分はこういう社会を目指したいという目標だけは立てて若者は進んでいただきたい、こう思っております。

 社会として反省すべきところ、直すべきところ、また、若者もやはり反省をしてもらう点というものは、お互いに考えながら次の時代をつくっていかなきゃならないだろう、このように思っております。

阿部(知)委員 若者に反省を迫る前には、やはり教育のあり方というものがきっちりと、若者は、私は小児科医ですから思いますけれども、この世に生まれてくるとき、邪悪な子はいないわけですね。真っ黒けな心の子もいないわけです。でも、この社会という受け皿の中あるいは家庭という中でさまざまに自我が形成されていくときの問題、そして、長期的には自分の仕事観とか、どういうふうに自己形成していくかという中で、今日、日本の若者像はあるのでしょうから、教育の問題は、大臣もこの間ずっと厚生労働省と文科省の連携ということで御尽力いただいていますので、ぜひそのあたりでもまたリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 私が本日特に伺いたいのは、例えば、今大臣が私が小児科医であるということを御指摘いただきましたので、ちょっとだけ個人的な経験で申し上げさせていただくと、先ほど女性の働き方はよくなったのかとお伺いいたしましたが、若い男性の働き方も、心模様もやはり不安定ですし、非常に大変になっているんだと思うのです。

 その最もわかりやすいというか、極端な例だと思うのですが、大臣は、赤ちゃんに午前様というのがあるのを御存じでしょうか。午前様というのは、何を言っているか、みんな、へっと思われるでしょうが、十二時を過ぎて寝る子供たちですよね。普通は大人なんですけれども、でも今、私は小児科医で、育児雑誌とかの編集にもかかわり、いろいろなことを書いておりましたから、その中で、この近五年内外の調査で、実は午前の十二時を回って眠るゼロ歳児が、二千人の集計をすると千人を超しているんですね。ゼロ歳児の午前様が出現してきている。

 理由は、例えばお父さん世代、二十代後半から三十代のパパたちが帰ってくる時間が十時、十一時で、そして、そこから唯一の子供との接触時間がおふろに入れるということになっております。もしそれがなければ寝顔も見ずにまた次の朝会社に行くわけですから、お父さんとなっている若い男性たちもそこが唯一の自分の接触時間になるわけです。こうしたことは、少なくとも三十年前にはなかったですし、育児指導をやっておりましても、八時には寝かせなさいと言っていられたわけです。

 でも、今明らかに、親は子といる時間、子供と過ごす時間は本当に限られておりますし、子は親といる時間、これは人間としての当然の権利だと思います。特に子供にとってはかけがえのない両親、親だと思いますから、そういう時間が非常に少なくなっております。

 そこで大臣は、では、この働き方の問題、男女差別の問題じゃなくて、働き方、ある意味で、労働法制とかパート労働法でやるんだというふうにワークライフバランスのことをおっしゃいましたが、私どもはこの雇用均等法の中できちんと基本理念に位置づけてくれと申し上げておりますが、もし大臣のようなお考えをとるのであれば、例えばですが、ワークバランス基本法とか、もっと骨格的に、どんなふうな生活が一人の人間の仕事と家庭の調和をトータルに図れるのか。私は、すべての分野に及ぶ骨格法にしない限り、今大臣のおっしゃっているような形にはなっていかない。変な話ですが、こっちをふさげばこっちに出るみたいな形で、形を変えながら、実は労働環境というものがどんどんどんどん個人には厳しいものになっていくように思います。

 その一つの私の懸念を次には述べさせていただきますが、大臣のお気持ちの中には、ワークバランス基本法的に骨格的にやろうというお考えがおありなんでしょうか。

川崎国務大臣 私は、先ほど申し上げましたけれども、さまざまな法律の組み合わせの中で労働関係行政というのはやっておりますから、もちろん政治としてワークライフバランスをとっていこうという大きな方向性を持つことは大事だろう。しかし、その担保する法律というのはさまざまな法律があるだろうと申し上げたところでございます。

 一方で、労働法制だけでできるかということになると、私は実は日曜日のテレビでも申し上げた、私が言ったんじゃなくて大日向さんが言ってくれたんですけれども、正直、ヨーロッパの働き方と仕事の仕方ですね。

 二十四時間スーパーマーケットがあいている。朝、正月の元旦からすべての店があいてお客様にサービスを提供する。そういう体制の中では、どんな人でも真夜中に働いたり、元旦から働いたりという話になる。もちろん、例えば電車、電車という表現はよくないか、鉄道等の産業をされている方は、三百六十五日仕事を交代交代にされている。そういう分野がありますけれども、すべての分野が三百六十五日、二十四時間働かなきゃならないという方向に進みつつある我が国というものはどうであろうか。

 こういうものも全部あわせながら考えていきませんと、労働法制だけで、この男女雇用均等法だけで何とかワークライフバランスをせいと言われてもできないんだろう。

 そういう意味では、政治としてしっかりとした意思を持つことが大事なのかな。それは、ある意味では政治だけでは持てない、国民全体が今の我々の国が進んでいる方向がこのままでいいかということをお互いに考えていって、そしてまさに家庭というものを中心にしながら、もう一度我々の人生というものを変えていこうじゃないか、こういう議論というものをやはりしていくことが大事だろう、このように私は思っております。

阿部(知)委員 私どもの野党の修正案も、そうした全体の中にあってでも、特に働き方と雇用均等法の男女差別の問題は深くリンケージしているということで基本理念に上げさせていただいたことは、もう大臣は御承知の上での御答弁だと思います。

 そして、一点次にお伺いしたいのは、きのう、きょうの新聞等でも報道されておりますが、労働法制の見直しがこの秋に向けて始まるという中で、特にホワイトカラーエグゼンプションと呼ばれているような裁量労働のある種の拡大。

 例えば、メディアで見ますと、日経連の方たちは、年収四百万円以上の方くらいを目安に、いわゆる今までの自分での労働時間管理を、残業という形ではなく、自己の労働時間管理という形に置きかえて働くような働き方を、厚生労働省の労働法制で検討しておるというふうに出ておりますが、どこまでお考えが進んでおるのでありましょうか。

川崎国務大臣 基本的には、働くときは働かせてもらいたい。特にコンピューターのソフト関係の仕事をしている人、商社関係の仕事でどうしても集中的にこの二週間は働かなきゃならぬ、こういう職種があることは間違いないと思います。

 一方で、それではそういう人たちは有給休暇を使われているかというと、ほとんど有給休暇は使われない、こうした体系になっておりますので、そういう意味では、自分で自己管理をして、働くときは働く、しかし、その見返りとして、見返りという表現はよくないかもしれないけれども、当然の権利として休みはとってくださいよ、こういう方向に変えていったらどうだろうかという御提案だけ私どもからさせていただいて、今、労使関係のいろいろなお話をいただいているところでございます。今までのような一律管理のシステムではない、まさに職種が大きく変化していく中で考えていかなければならない課題だろうと思っております。

 一方で、それが一般的な労働者まで全部縛るような形でそこが労働強化になってしまう、これはもう避けなきゃならぬ話でありますから、そこの線をどこにしようかというところがもちろんあります。それが、今委員が四百万なんという話が一部出ているというところに、四百万というのは随分低いなという感じはいたしますけれども、そこは十分議論をしながらやってまいりたい、このように思います。

阿部(知)委員 大臣も御承知おきのように、今労働時間は二極化でございます。長時間労働と短時間低賃金という形に二極化しておりますので、私は、こうした労働形態を導き入れるときにもやはり大きな問題があろうかと思います。

 かつて大臣や私の時代、大臣はかつて御自身がサラリーマンとしてお仕事をしていたとき、今頑張れば今度はよくなるという、私たちの時代はまだそういう、前に少しよくなるという、経済もそういう時代を歩んでおりましたけれども、今若い人たちにとっては、そうしたものよりも、とにかくこのときを頑張らなくちゃという、追い立てられるような働き方にもなってございます。

 ここは、それゆえに私たちはワークライフバランスということを、今度の雇用均等法が男女双方向になったということを機に強く申し上げたいと思う理由でありますから、時代背景と、その中で時間管理といっても多くの残業、そしておまけに残業時間も三十時間以上でお払いになるというような案を出されれば、当然それ以内に抑えて、そこにぎゅっとまた残業の山ができたりすることもございます。ぜひ、いろいろに今の働く現場ということをもうちょっと詳しくごらんになって、私は御提案もいただきたいかと思います。

 次に、セクシュアルハラスメントの問題についてお伺いいたしたいと思います。

 皆さんのお手元の資料の二枚目の一番左の図をあけていただきますれば、ここには雇用均等室に寄せられた女性労働者等からの相談件数で、セクシュアルハラスメント関連の件数の推移が平成十一年から平成十七年まで出てございます。実に、平成十七年で六千五百五件と伸びております。これはいい伸びではないとは思うのですが、このセクシュアルハラスメント案件がふえておりますことと、もう一ページおめくりいただきまして、ここには相談全体の中でセクシュアルハラスメントの占める割合、これを提示してございます。一番下段、平成十七年度で四六・七%と、件数もふえているし、全体の相談件数の中に占める割合も、セクシュアルハラスメントがふえておるという実態でございます。

 このことについて、北井局長ないしは大臣でも、どのようにお考えか、お願いいたします。

北井政府参考人 今お示しをいただきましたように、全国の雇用均等室に寄せられる相談内容を見ますと、セクシュアルハラスメントに関するものが四割と最も高くなっておりまして、女性労働者からの相談の約半分を占めているところでございます。

 この原因につきましては、均等法の前回の改正によりまして、企業に、職場におけるセクシュアルハラスメント防止対策を配慮義務として義務化したところでございますことを契機に、社会的にセクシュアルハラスメントについての認識が高まったこと、それから二点目には、女性労働者自身が泣き寝入りをよしとしないという方がふえてきていること、こうしたことから相談が増加してきているものと考えております。

 また、今までお話しのように、非正規型の労働者が増加している、こうした方々は立場が弱いわけでございますので、こうした方々からの御相談も御相談の増加の一因であると考えております。

阿部(知)委員 引き続いて、グラフの真ん中にございますのは、同じようにこの雇用均等室に寄せられた、今度は母性健康管理関係という名前がついておりますが、実は妊娠とか出産を契機にさまざまな働く場での問題が生じているという案件ですが、これもまたふえてございます。

 セクシュアルハラスメントの場合と違って、セクシュアルハラスメントは、もちろんそういう概念が、今の間接差別と一緒ですね、だんだん浸透してわかってきて女性たちも泣き寝入りしないんだというふうに前向きにとらえることもできますが、一方の母性保護関連のことは、昔々から女性差別の、労働上の差別の非常に大きなテーマでございましたし、今さらに気づいたからではなくて、この案件がふえているということもまた、特に非正規雇用の中でも二十歳代の女性に多い派遣労働というあたりと私は大きく関連していると思います。

 大臣にお願いですが、やはり弱い立場、継続雇用が成るか成らないか、あるいは、本当に今までの人間関係や、例えばその中である、仲間のいろいろなサポートなくして働く現場に派遣されるという方が多いわけで、そういう場でセクシュアルハラスメントやあるいは妊娠、出産にかかわる差別的取り扱いということが起こるということは、これもまた実は雇用均等法の望んでいることと全く違う方向に案件がふえている。もちろん、発見され、相談され、解決されるのはよいことと思いますが、そうよいことばかりとも言えないこの働き方の非正規化の問題があると思いますので、どのように御対処いただけるか、御答弁をお願いいたします。

川崎国務大臣 先ほど委員からお話がありましたように、今まで潜っていたものが外へ出てくるようになった、ある意味では改善に向かって動いているのか、事象がもっと悪くなってきているんだ、これは見方がいろいろあると思います。しかし、現実的に、事象として外へ出てきているわけですから、それに対してしっかり対応していかなければならない。

 よくタウンミーティングをやっていますと、いろいろな御質問をいただきまして、それは男女雇用均等室に御相談くださいと回答をするんですけれども、それは明らかに法律違反ですよ、我々、御協力しますからと回答することは割合多いんです。

 したがって、実際相談をしていただければ解決できる問題も、なかなか中にこもっていることも事実だろう。そういう意味では、私ども、この法律の成立も含めてしっかりやらなきゃならないだろうと思います。

 近年、雇用形態の多様化の中で、パート労働者や派遣労働者などの非正規雇用者が増加しており、例えば、非正規雇用者が妊娠をしたと告げたら雇いどめをされるといった問題が生じている、こうした認識を持っております。このため、今般の改正法案においては、妊娠等を理由とする労働契約の不更新を含む不利益取り扱いを禁止することとしたものであります。

 一方で、法制度は整備されたけれども、それに基づく権利を労働者が主張できない、法律の効果が十分発揮されないということではいけませんので、先ほど申し上げたように、やはり相談体制というものがしっかりしけるように、そのためには、やはりもう少しPRをしっかりしておけということも含めまして、努力をしてまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 今大臣にも御紹介いただきまして、私が次に取り上げたい事案は、いわゆる雇用均等室の機能の強化ということでもございます。

 雇用均等室は、先ほど来問題になっております間接差別の案件でも、今回は限定列挙で三つの事案というふうに、大きく三つというふうに上げられましたが、審議会等々で問題になっていた全体の七つ、いわゆる間接差別については三つの限定列挙以外にもたくさんあるということは、北井局長も御答弁でありました。

 そこで、お伺いいたしますが、これまでの雇用均等室に寄せられた案件の中で、これは間接差別に当たるのではないかというような事案についての集積、分析はおありなんでしょうか。局長、お願いします。

北井政府参考人 雇用均等室に寄せられている相談の内容の中で、間接差別に関しての相談の件数とか分析については、把握を実施していないところでございます。

 ただ、雇用均等室において、コース別雇用管理を導入している企業について集中的に報告徴収を行った時期がございまして、その結果によりますと、導入企業の約九割がコース区分の要件に転勤の有無を設けており、さらにその要件の必要性を十分検討していない企業が大体四割に上っているということが、この報告徴収及び指導の結果からわかっているということでございます。

阿部(知)委員 具体的な案件の集約はないということでありましたが、今、北井局長が御答弁のように、そうした事態が起こりやすい環境というのはあると思います。そして、特に非正規雇用あるいはパート労働などに関係しては、私どもの野党案では非常にそこを、間接差別と非正規雇用ということをリンクして一挙に解決していきたいと思っておりますが、今後の行政サイドの取り組みの中でぜひお進めいただきたいとお願い申し上げます。

 そしてさらに、先ほど高橋委員は、ここにもう少しいろいろ権限強化をさせてはいかがかという御提案で、私もそれはいいなと思って聞いておりましたが、現状で四十七カ所で職員が二百三十八人で、職員数にいたしましても、東京は十一人ということで、平均は五人ということになっております。

 これからさまざまな、例えば間接差別までも含むさまざまなことに対応していくとなると、果たしてこの体制で十分に機能というかやっていけるのかということと、もう一つございまして、実は、多くの働く人にとって、ここの相談室が月―金であることは、土曜、日曜は相談ができないという体制でございます。毎週土日あけてくれとは申しませんが、せめて普通のウイークデー以外にも相談ができるような体制はどこかで御検討いただけまいか。これは、大臣でも局長でも結構です。お願いします。

北井政府参考人 雇用均等室の相談体制についての御指摘、十分踏まえてまいりたいと思っております。

 これまでもさまざまな法律改正が立て続いておりまして、その都度、改正法の施行に当たりましては、他の労働行政や労使の団体、地方自治体等の関係機関の協力を得ながら、できる限り効率的で効果的な周知業務あるいは指導業務、相談業務に当たってきているところでございます。

 今回の改正法の施行に当たりましても、労働者の皆様方が相談しやすい体制を整備することが重要だと思っておりまして、実施体制の充実強化のための一層の努力を続けてまいりたいと思います。

 また、これまでも出張相談なども実施しておりまして、相談しやすい体制ということに心がけてきたわけでございますが、特に土日の相談対応につきましては、今御指摘のように平均五人の体制で、シフトを組んで出勤ということはなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも、例えばファクスや文書で御相談を受け付けておくというようなことなどの工夫もやるようなことで努力をしていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 最後の質問になるかと思いますが、いわゆる、俗称かもしれません、フルタイムパートということが言われております。フルタイムでパートって何なんだということなんですが、呼び方を変えると、フルタイムで有期という言い方にもなるんですよと厚労省の職員の皆さんはおっしゃっておりましたが、よく経験する事案は、銀行等々で、労働時間は正職が八時四十五分から五時、フルタイムパートは九時から五時とわずか十五分しか違わないのだけれども、賃金においても、待遇、いろいろそのほかにおいても大きく違うというような働き方が、今もというか、むしろ金融業界等々では非常に多くなっていると思います。この実態につきましても、いろんな面で、例えばさっき大臣おっしゃったパート労働法等々で本当に改善するのかどうか、私は、きょう時間の関係でそれに触れられませんが、ぜひ問題の中に認識していただきたいと思います。

 ここで、皆さんにちょっと、実際に厚生労働省の中でこのフルタイムという形の有期という方たちがおられますので、この方たちの存在ということを問題にさせていただきたいと思います。

 お配りいたしました資料の四ページ目にございます、厚生労働省の本省の非常勤職員の状況でございます。この方たちを事務補助職員ということで命名してございますが、この方たちは、フルタイムで、労働時間は正規職員と同等の勤務時間としておりますが、いわゆる非常勤職員として採用されております。

 ここで人数の内訳を見ていただくとわかりますが、圧倒的に女性であります。男性十六人、女性二百七人。そもそも、この事務補助職員というのは何をしていらして、そして、ここに女性でなくてはいけないということはないですね、ちょっとだけ男性もおられるから。なぜこのような形になっているのでしょうか。御答弁をお願いします。

金子政府参考人 厚生労働省におきます事務補助職員についてのお尋ねでございます。

 この事務補助職員と申しますのは、今御指摘もございましたけれども、勤務時間は通常の正規職員と同じですが、雇用の期間が限られているというパターンの方が多くおるわけでございます。ただ、その一方で、短時間の方も若干名ではございますけれどもおられます。

 やっております仕事ということなんですが、これは、資料作成でありますとか書類の整理でありますとかデータの入力、あるいは受付、電話応対、さらにはいろいろな集計業務、こういったようなことを職員の指示のもとで行う、こういうようなことで採用をさせていただいているわけでございます。

 なぜ女性が多くなるかということなんですが、これは、私どもは採用いたします際には、ハローワークの方に求人を出しまして公募をしているわけでございます。委員御案内かと思いますが、ハローワークの求人票にはもとより男女の欄というのはございません。これは、均等法の指示でそういうふうになっておるわけでございます。しかしながら、実際に応募をしてこられる方ということになりますと、総じて申し上げればほとんどが女性であるというようなことで、そういった中で、男女の区別なく、応募されてきた方々については、その職務に照らして適性といったものを見せていただいて採用を決めているということでございまして、結果としてこういった数字になっているというふうに理解をしております。

阿部(知)委員 もちろん、募集をかけて、応募してくださる方の数に当然採用というのは規定されますから、意図的に女性を採ったとは思いません。ただしかし、結果的に見てこうした補助的仕事に多く女性が採用されるということも、私はいかがなものかと思います。これは、今般、均等法を作成しようとする厚労省の足元での出来事でございます。

 ちなみに、この方々がどのくらいの有期の年限であるのか、このことも教えてはいただきたいですけれども、ずっと続いてきている中で、結果的に女性ばかりがそこに採用され、補助的な役割で仕事を担っていく、こうしたことも、本来の目指す、男性と女性がともに働き支え合っていくということからは逸脱をしておるんだと私は思います。恐縮ですが、大体どのくらいの期間の有期なのか、そして何回継続されるのか、これを教えてくださいますか。

金子政府参考人 全体の状況について調べたものがございませんので、やや断片的なお答えになるかと思いますが、今、募集に当たりましては、任用予定期間というのを示させていただいて募集しているわけですが、通常ですと、大体三カ月程度というようなことで募集しているケースが多いようでございます。

 実際にどれだけ働いているかということになるわけでございますが、これは、人によってはそれが更新をされるということもあるわけでございますが、長くても一年ないし二年というところではないかなと。ただ、それぞれの、個々のケースで区々でございますので、ざっくりとしたことでお答えをさせていただきたいと思います。

阿部(知)委員 何度も申しますが、結果的に見てここに女性が多く採用され、そして、ここにいただいた表にもあるように、パートでお働きの方があるとお答えでしたが、このいただきました表にはございませんで、ほぼフルタイムで、同じ時間働き、そして平均二年でしょうか、それはまだお調べじゃないというのできっちりとした御答弁としてはいただきませんが、やはりこういう働き方、さっきの銀行の行員の皆さんも一緒ですね。銀行の行員の方が、もっと、仕事内容も同じであるのにフルタイムパートになっているものもあると思うのです。

 こういうところに女性たちが多く採用されるという現実、大臣はどのようにお考えでしょうか。そして、この雇用均等法の改正ということを今回受けて、もしも今後いろいろな改善点があれば、どのように行っていかれるのか、教えていただきたいと思います。

川崎国務大臣 一つは、今申し上げましたようにハローワークを通じての募集をいたしておりますので、男女差別ということは全くないだろうと思っております。

 一方で、例えば社会保険庁におきましても、推進員という形で、三カ月、半年の雇用の方々がいらっしゃる。これを全部私ども正規雇用にかえられるかということになると、官公庁もなかなか難しい問題を抱えていることは事実だと思います。

 多様な働き方という中で、進んでこういう仕事をしたいという方々も実際問題いらっしゃるでしょうから、そういった問題と、さあ、私ども、そういう補助的な仕事を正規雇用に切りかえて全体の雇用というものをふやすことができるかということになると、片っ方で財政の極めて厳しい縛りがかかっておりますので、許される中で今運用しているんだろうと思っております。

 社会全体の流れの中で、法律的には間違いないようにやっていかなきゃならぬ、したがって、厚生年金の適用、社会保険等の適用もしっかりやっていかなければならない、このように思っております。

阿部(知)委員 この法案審議の中で最も論ぜられるべきは、結果的に見て補助的な仕事に女性が多くかかわり、低賃金でそして有期の雇用になっているという現実が今もってあるというところが出発点でありました。いろいろな、雇用環境が厳しい折ですが、ここになぜ女性が多くなってしまうんだろうという目を持たないと、やはりこの法律には魂が入らないと思います。

 大臣に最後に一問お願いいたします。

 この法律の見直しは五年となっております。でも、私がここにきょう提示しましたような事案においても、もしかして、見直してみればいろいろな問題があるかもしれない現実があると思います。五年という見直しはちょっと長いんじゃないか、雇用労働環境も大幅に変わります、また大臣の御尽力でもっともっと正規化が進む方向に拍車がかかってくれよと思いますが、そうあっても、いろいろなところで、今回の改正を見直すには五年は長いという声が多く上がっております。

 このことを受けて、大臣としてはどのようにお考えになり、対処していかれるか、最後の御答弁をお願いいたします。

川崎国務大臣 例えば、昨年の介護保険制度につきましても四月からしっかり見直しをしなさい、こういう御要請をいただいている。もちろん、医療保険制度、きょう成立をいたしましたけれども、四月の療養病床の問題について、しっかりウオッチをしながら、問題点があれば法律改正まで考えなさい、これは当然各所からいただいている話でありますから、法律的には五年たったら見直さなければならないという理解、一方で、世の中の進展の中で変えなければならないものが出てくれば見直しをし、また、国会で御審議をするということは当然あり得るだろうと思っております。

 いずれにしましても、来年もかなりの量の労働法制を御審議いただくことになるだろう、またその中での御議論も通じながら、先ほどちょっと申し上げたように、この労働関係の仕事というのは大変奥の深い仕事でございますから、委員の皆さん方に来年また、私がやっているとは申し上げませんけれども、お世話になりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

阿部(知)委員 この男女の働き方における差別とは根深く、そして日常的で、差別と気づかぬものが数多くございます。改めて、今の大臣の御決意を受けて、長くやっていただくこともお願い申し上げて、もっと働きやすい環境にしていけますよう私どもも頑張りたいと思います。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。

 本日は、女性ばかりの質問者でございましたけれども、私が唯一の男性の質問者でございまして、男女雇用機会均等法のこの法案の審議をさせていただきたいなというふうに思います。

 個々人が性別にかかわらず社会の中で能力を発揮していく、こういうことはもとより大切なことでございますけれども、昨今、人口減少社会と言われる中で、ますますその重要性が増しているのではないかなというふうに考えておるところでございます。

 今回の均等法の改正、これは労働者が性別によって差別されることなく能力を十分に発揮させる、こういうことができるようにするためのものだというふうに聞いておるわけでございますが、特に、その実効性をどのように確保していくことができるのか、こういうことを中心に質問させていただきたいなというふうに思います。

 まず、男女雇用機会均等法が施行されて二十年たつ、このようなことでございますが、成立から今回の改正に至るまでの歴史について簡潔にお答えいただければというふうに思います。

北井政府参考人 男女雇用機会均等法は、我が国における女性の労働市場への進出や就業意識の変化、そして女子差別撤廃条約の批准の要請などを背景といたしまして、昭和六十年に、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律として成立をしたものでございまして、昭和六十一年に施行されております。

 この均等法の施行以降、それまでには見られなかった分野でも女性が活躍するようになり、女性が働くことに関する国民一般の意識や企業のお取り組みも大きく変化をしたわけでございます。しかしながら、法施行後十年を経過したころ、女子学生の就職問題など、雇用の分野において女性が男性と均等な取り扱いを受けていない事例が依然として見られ、大きな問題となってまいりましたことを受けて、平成九年に労働基準法とあわせて改正を行ったところでございます。

 その内容は、それまで努力義務でございました募集、採用、配置、昇進についての事項を禁止規定とすることや、企業名公表制度を創設すること、セクシュアルハラスメントを防止するための配慮義務の規定の創設、それから、母性健康管理措置の義務規定ということが設けられました。また、労働基準法や育児・介護休業法の改正によって、男女が同一の労働条件の枠組みで働くことができるように、家族的責任を有する男女労働者の深夜業の制限の規定の創設を図りながら、女性に対する時間外・休日労働や深夜業の制限規定を解消したところでございます。

 今回の改正は、大きな改正の二回目になるところでございますが、これまで女性差別禁止法でありましたところの片面性を解消して、男性も含めた、男女双方に対する差別の禁止という法律にいたしましたほか、差別的取り扱いを禁止する雇用ステージの明確化や追加、間接差別の禁止を含む性差別の禁止の範囲の拡大、妊娠、出産などを理由とする解雇その他の不利益取り扱いの禁止などを行うことといたしておりまして、改正法案により、さらなる均等の推進を図るとともに、人口減少局面を迎えている我が国において女性労働力を確保することにも資するということを考えております。

糸川委員 ありがとうございます。

 当初、努力義務だったこの規定というものが強化されて、いわば福祉的な法律から性差別禁止法へと変化してきた、こういうことだろうというふうに思いますが、この二十年で、この法律によって男女雇用機会均等というものはどの程度進んだのか、どのぐらい進んできたというふうに評価されているのか、この点についてお答えをいただければと思います。

川崎国務大臣 男女雇用機会均等法の制定以降、男女の雇用機会均等についての考え方は社会に広く浸透し、企業の雇用管理の見直しも進展したと認識しております。また、実態面でも、女性の雇用者数の増加とともに、女性の勤続年数の伸長、女性の職域の拡大、管理職に占める女性割合の上昇などが見られております。

 しかし一方、近年でいえば、女性に対する差別事案の複雑化、妊娠等を理由とする解雇や解雇以外の不利益取り扱いの増加、セクシュアルハラスメントの相談の増加等の状況が見られ、問題だと認識しております。また、改善しつつあるとはいえ、管理職に占める女性の割合の上昇テンポが緩やかであることや、男女間の賃金格差が依然として大きいことも大きな課題と考えております。

糸川委員 均等法は女性のみを対象とする、こういう法律であるといういわゆる片面性、これは制定当初から課題になっていたのではないかなというふうに思うわけでございます。今回、男性に対する差別も禁止されることによって、実際には性差別禁止法、このようになるのではないかなというふうに思いますが、そのような理解でよろしいのでしょうか。

北井政府参考人 御指摘のとおり、現行法は女性に対する差別を解消することによって雇用の分野における男女の均等取り扱いを図るという立場に立つのに対しまして、改正法案は女性に対する差別と男性に対する差別の双方を解消することによって均等確保を図ろうとするものでございまして、この点で、改正後の法律は、法律の性格が変わって性差別禁止法となるというふうに考えております。

糸川委員 例えば労働局雇用均等室に相談すれば、事業主に対する指導が行われて、あるいは紛争解決の援助制度、こういうものを利用できるというふうに言われているわけでございますが、雇用均等室の存在を知らない男性が多いのではないかなというふうに思うわけでございます。やはり、今までは女性のものであった、今度は男性も含むということであれば、男性は特にそういう存在を知らないのではないかなと。

 そのような人に対して雇用均等室の存在を周知する、こういうことが重要ではないのかなというふうに思うわけでございますが、この辺に関しましてどのようにお考えなのか、御見解をお聞かせください。

北井政府参考人 雇用均等室は、男女雇用機会均等法のみならず、既に男女双方が対象になっております育児・介護休業法などの施行機関でもありますけれども、お話しのとおり、これまで、均等法は女性労働者を対象としており、またこの育児・介護休業法に基づいて育児休業をおとりになる方々の多くも女性労働者であるというような現状から見て、確かに、男性労働者に対しては十分その存在は知られていないであろうと考えております。

 したがって、改正法案によって新たに法律の対象となる男性労働者に対しては、この均等法の施行機関である雇用均等室の存在を広く周知することが今まで以上に大切なことであるというふうに考えております。各地方自治体や労使団体、あるいは他の労働行政などの御協力も得ながら、できるだけのこの室のPRに努めていきたいというふうに考えております。

 また、例えば、男性がセクシュアルハラスメントの被害者となって御相談に来られるようなケースについては、同性の相談相手がいた方がいいようなケースもございます。雇用均等室はまだ女性職員が大多数を占めておりますけれども、これからは男性労働者が相談をしやすいようなことについても配慮、検討していかなきゃいけないのじゃないかというふうに考えております。

糸川委員 また、今回、新たに規定される間接差別、これにつきましては、我が国では余り知られていない概念ではないのかなというふうに思うわけでございます。また、わかりにくい概念であるために事業主が理解しづらいのではないかな、このように思いますが、これは実際どのような方法で規定の内容をわかりやすく示していくおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

北井政府参考人 間接差別は我が国で初めて法律に規定されるものでございまして、御指摘のように、十分知られていない面がございます。

 こうしたことから、改正法案が成立をいたしました場合には、法律、省令、指針、それから通達の内容について、政府広報はもちろん、ホームページ、リーフレット、パンフレットのほか、各種関係機関や団体の御協力も得ながら、説明会あるいは集団指導など、あらゆる手段によって周知を図ってまいりたいと考えております。

糸川委員 中小企業なんかはそういう情報を得るのがなかなか難しいところもありますので、ぜひ、その辺は周知に心がけていただきたいなというふうに思います。

 次に、妊娠、出産についてお尋ねをさせていただきたいのですけれども、女性労働者が妊娠ですとか出産を理由として解雇される、こういうケースがふえてきているというふうに聞いております。まず実態の確認をさせていただきたいのですが、実態としてはどのようになっているのか、お聞かせいただけますか。

北井政府参考人 均等法に基づきます全国の労働局長の紛争解決援助については、近年、妊娠等を理由とする解雇等に関する案件が増加をいたしております。

 具体的には、平成十二年度の五十三件から平成十七年度には百十九件と倍になっておりまして、紛争解決援助件数全体に占める割合も八割を超える状況にあるところでございます。

糸川委員 少子化が進む中で、妊娠ですとか出産を理由とした女性労働者に対する不利益な取り扱い、こういうものは禁止されるべきでありまして、また、その禁止される範囲というのは実際に問題となっている事案というものを十分カバーするべきものであるというふうに考えております。

 例えば、産休後に職場復帰しようとしたところ、一方的にもとの業務よりも処遇の低い補助的な業務に配置がえされたとか、そういうような例を聞くわけでございますが、これは、改正後の第九条に規定する妊娠、出産、こういうことを理由とする不利益な取り扱いの禁止に違反することに実際なるのかどうか、お聞かせいただけますか。

北井政府参考人 不利益取り扱いの判断に当たっての考え方は、この改正法案を成立させていただいた後、労働政策審議会における議論を経て定める指針で策定することになりまして、その中で明らかにすることとなるわけでございますが、こうした御指摘のようなケースについては、通常の人事異動のルールから十分に説明ができない取り扱いを行うという不利益な配置転換ということで、恐らく含まれることになるものと考えております。

糸川委員 ありがとうございます。

 次に、解雇についてお尋ねをさせていただきますけれども、妊娠中ですとか出産後一年以内に解雇された場合、この場合は事業主が妊娠等を理由とする解雇でない、こういうことを立証しない限り無効とされるわけでございます。これは効果的な規定ではないのかなというふうに考えるところでございますけれども、せっかく法律の効果として無効になって、働き続けられる、こういうこととなったとしても、例えば相談したことによって職場に居づらくなってしまったとか、結局やめてしまう、こういうことになってしまえば規定の意味というものが半減するのではないかなというふうに思うわけでございます。

 こうしたことが起きないように雇用均等室が適切に指導を行っていくことが重要であるというふうに考えておりますけれども、御見解をお聞かせいただければというふうに思います。

北井政府参考人 御指摘のとおり、妊娠中そして出産後一年以内の解雇に関する規定は、違法な解雇が行われないような抑止力となると考えておりますけれども、実際に解雇が行われた場合は、事業主が妊娠等を理由とする解雇でないことを立証しない限り無効となり、雇用関係が存続することになるわけでございます。

 しかし、雇用関係が存続をしても、事業主との間でのトラブルが起きたことが原因となって、結局労働者が職場に居づらくなるようなことは、当然あってはならないと考えております。

 改正法案が成立した際に、この不利益取り扱いの判断に当たっての考え方は、今御説明を申し上げましたとおり指針で示すことになりますけれども、こうした職場環境の悪化、就業環境の悪化ということもこの不利益取り扱いに当たるのではないかということで、こうしたことも含めて事業主に対して理解を促すとともに、適切に指導するようにしてまいりたいというふうに考えております。

糸川委員 実際、こういう不利益の取り扱いを行おうという事業主というのは、もともとそういうモラルが若干欠如しているというか、そういう人たちがいるわけですよね。

 ということは、例えば、そういう人が均等室に相談しに行って相談をして、その結果、本当に戻れるよという場合でも、逆に本当に事業主というのは、何だ、こんなことを国に言いやがってみたいな、そういう気持ちになるのじゃないのかな。そのときに、本当に相談してよかったというふうに思われるというのが今回のこの趣旨ではないのかなと思うわけですので、その辺、相談した結果、逆に不利益になったということが絶対にあってはならないわけですから、本当にしっかりとそれは、大臣、そこを注意していただきたいなというふうに思うわけでございます。

 これは、これからセクハラの話もするわけですけれども、セクハラでも同じだと思うんですよ。やはり、それを申告したから逆に悪化したとか、取り扱いが非常に悪くなったとか、職場に居づらくなった、そういうことがないようにしていかないと弱者というのは救っていけないのかなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 セクシュアルハラスメントについてお尋ねをするのですけれども、セクシュアルハラスメント対策、これにつきましては、平成九年の改正で初めて規定が置かれたということでございますが、それ以降、女性労働者からの相談件数、これについて先ほどもお話がありましたけれども、実際、どのような状況なのか、またお聞かせいただけますでしょうか。

北井政府参考人 セクシュアルハラスメントについての女性労働者などからの雇用均等室への相談件数は、均等法に事業主の配慮義務が導入され施行された平成十一年度以降、増加傾向にございます。

 平成十一年度には四千八百八十二件でありましたものが、平成十七年度には六千五百五件となっております。これは、女性労働者からの相談件数全体の四割を超えているところでございます。

糸川委員 今の件数の中で、この相談の中で、これはセクハラだというふうに認められた件数というのは実際どのくらいなのか、お答えいただけませんでしょうか。

北井政府参考人 申しわけございませんが、そうした数字をとっておりません。

糸川委員 済みません。ありがとうございます。

 このセクハラについては、個人個人で実際にとらえ方が異なるのではないかな、実際、非常に難しい問題ではないのかなというふうに考えているわけでございます、実際、私も会社の経営者でございましたので。女性との接し方の中で間違った概念というのを持ってしまうわけですね。例えば、年齢を聞いたらいけないのかなとか、そういうこともやはり気になるわけですね。

 そうすると、セクハラというのは実際何なのか、それから、どういう場合がセクハラに当たるのか。もちろん、体に触れたりなんかすればそれはセクハラだというのは、それはわかります。でも、年齢を聞いたとか、例えば結婚しているのと聞いたらそれがセクハラに当たるのかどうか、そういうところというのはだれも教えてくれるところではありませんので、非常に難しいのではないかなと思うわけでございます。

 現在、どのような基準で実際判断されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

北井政府参考人 均等法におきまして、事業主に配慮義務を課しておりますセクシュアルハラスメントは二つのタイプがございまして、一つは対価型セクシュアルハラスメントというものでございます。これは例えば、事務所内において事業主が女性労働者に対して性的な関係を要求したけれども拒否をされたために、その女性を解雇するといったようなケースでございます。それから二つ目は環境型セクシュアルハラスメントというものでございまして、例えば、事務所内で事業主が女性労働者の腰や胸などにたびたびさわったために、その女性労働者が苦痛に感じて就業意欲が低下しているといったようなケースでございます。こうした具体的内容につきましては、指針において明示をしているところでございます。

 性的な言動ということや就業環境が害されるといったようなことについての判断に当たっては、一定の客観的要件が必要であるということで、平均的な女性の感じ方を基準とするとともに、女性労働者が明確に嫌だ、意に反するということを示しているにもかかわらず、さらに行われる性的言動はセクシュアルハラスメントであるというふうな解釈をしているところでございます。

糸川委員 だから、先ほど、その相談件数で、これがセクハラに当たったのかどうかというのが実際にはわからないのかな、非常にその判断の基準が難しいのかなというふうにも感じるわけでございます。実際には、女性の主観ではなくて客観的に判断する、こういう考え方のようですけれども、個別のセクハラ事案、これはやはり微妙な場合もあって、事業主も対応に苦慮するのではないかなというふうに思うわけでございます。

 厚生労働省としましては、セクハラとは何なのか、また、事業主はどのようなことを講じればいいのか、こういうことについて、現在どのように周知行動を行っているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

北井政府参考人 前回の改正のとき以来、このセクシュアルハラスメントについての定義についての御関心や、あるいは講ずべき対策についての御質問が非常に多くなっております。したがいまして、雇用均等室においては、事業主に対する相談、指導や、法律や指針の内容の周知に努めてきたところでございます。

 具体的には、例えば、セクシュアルハラスメント防止に関する企業向けのチェックリストをつくりまして、いろいろな会議や、労働基準監督署、ハローワークの窓口を通じて配布を行っておりますし、企業や企業の管理職、従業員向けの意識啓発用の対策ビデオをつくりまして、放映をしたり説明会で使ったりしております。

 また、関係団体に委託をいたしまして、事業主や人事労務担当者向けに、具体的取り組みのノウハウや事例を提供するセクシュアルハラスメント防止実践講習をかなりの回数、開催していただいているところでございます。

糸川委員 私も、先ほどお話ししたように、今の議員の前、会社の経営をしているときなんかは、そういう情報をなかなか持っていないというのが現状でした。ですから、恐らく中小企業の事業主さんは、本当にそういう場に参加するという機会もほとんどないですし、実際、そういう悪質な例が生じるというのは中小企業の方が多いのではないのかなというふうに感じるわけでございます。

 実際、私もこういう指針をいただきましたけれども、私は今回それを読みましたけれども、もしこれが事業主だったら、本当に最後までこの小さい字で読むのかなというのも感じるところですね。やはり読みやすくしていく、せっかく渡したら、それをしっかり読んでもらえるようなものをつくっていかなければ、周知というのは難しいのじゃないのかなというふうに考えるところでございます。

 今回のこの改正は、例えば事業主の義務に関する規定を強化するものだということですけれども、例えば、ある男性労働者もしくは女性労働者がセクハラを受けた、このように主張して、もう一方の当事者はしていない、こういうような主張をして平行線をたどっている場合、事業主というものは懲戒処分などの、こういう措置のとりようがないのではないのかなというふうに思うわけございます。

 このような場合にも、事業主はとにかく何らかの措置を講じなければ改正法による義務を果たしたことにならないのか、御見解をお聞かせいただければというふうに思います。

北井政府参考人 今回の均等法改正についての検討の過程におきましても、セクシュアルハラスメントについては、密室で行われることが多くて事実関係の判断がつかないことが少なくない、そして、事業主として事後措置の対応に非常に苦慮する場合があるという議論があったところでございます。

 こうした議論を踏まえまして、労働政策審議会の建議におきましては、指針で、事実関係の確認をし、事実関係が確認できたときにはあらかじめ定めたルールにのっとり対応すべきことということを示すのが適当であるとされたわけでございます。

 したがって、事業主が誠実に事実確認を行ったけれどもセクシュアルハラスメントの行為の有無が確認できないようなときにまで、事後措置を講ずることを求めることにはならないというふうに考えております。

 なお、改正法案におきましては、調停の対象にセクシュアルハラスメントについての紛争を加えることといたしておりまして、この事実確認が確認できないような場合、難しい場合には、こうした調停に付していただく、そして第三者の機関の関与を受けるということも一つの方法ではないかというふうに考えているところでございます。

糸川委員 もうほとんど時間がございませんので、最後に大臣にお尋ねをさせていただきたいと思うわけです。

 今回のこの改正は、性差別の禁止、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱い、それからセクシュアルハラスメントの対策など、規定の強化が図られておるわけでございますが、これらが実際に効果を上げるためには、先ほどからお話ししているように、やはり十分な周知ですとかきめ細やかな指導、こういうものが重要であるのではないかなというふうに考えておるわけでございます。

 この点について、最後に大臣の決意をお聞かせいただければというふうに思います。

川崎国務大臣 質疑を通じながら、今委員からいろいろな角度から御指摘をいただきました。

 法律はその内容を広く周知することが社会に浸透させる上で重要であることから、改正法案が成立した場合には、速やかに、事業主や労働者に対し、その趣旨及び内容の周知に全力を挙げてまいりたいと考えております。

 また、男女雇用機会均等法の施行事務は雇用均等室において担当しておりますが、その実施に当たりましては、集団指導や計画的な事業主訪問による指導、労働者等からの相談に対する的確な対応に努めるほか、関係機関との連携を図るなど、さまざまな工夫をしながら法の効果的な指導に努めているところであり、改正法案の施行についても、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございます。質問を終わります。

岸田委員長 以上でただいま議題となっております両案及び修正案中、内閣提出、参議院送付、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。高橋千鶴子君。

高橋委員 私は、日本共産党を代表して、男女雇用機会均等法改正案並びに日本共産党も含む四党共同修正案について、両案に賛成、原案には意見を付して賛成する立場から討論を行います。

 政府提出の改正案は、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止、性差別禁止規定の範囲の拡大など、性別を理由とする女性労働者の不利益な取り扱いを是正させる上で幾つかの必要な規定が盛り込まれており、全体として、現状を改善するものであり、賛成したいと思います。

 ところが、本改正案には幾つかの課題が残されております。

 間接差別の禁止規定を置いたものの、原則禁止ではなく、何を間接差別とするかについては、男女雇用機会均等政策研究会報告で例示された七項目のうち、わずか三項目しか入っておりません。これでは、間接差別が狭く規定され、限定されている以外の間接差別を容認することになりかねません。

 また、間接差別に伴う賃金格差の是正については対象となりませんでした。

 仕事と家庭の調和の理念についても、九七年の改定で目的から削除されたままです。仕事と家庭の調和は男女平等にとって不可欠の前提であります。本改正案が男女双方に対する差別的取り扱いの禁止とする趣旨からいっても、取り入れるべきでありました。

 そして、格差是正のためのポジティブアクションの企業への義務づけは努力義務にさえなっておりません。

 このように、改正案は幾つかの前進面を持ちながらも、この間、多くの女性や国民が求めてきた改善充実の方向が十分盛り込まれたものとなっていないことは、極めて残念であります。

 この点で、四党共同修正案は、仕事と生活の調和、募集、採用時の性別による差別的取り扱いの禁止、間接差別の対象に賃金を加え、限定列挙をやめることなど、本改正案の問題点を解決する方向を示すものとなっております。

 本修正案への賛同を委員各位にお願いいたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案に対しては幾つかの意見を付し、また、社民党、民主党、共産党、国民新党提出の修正案には賛成の立場で討論をいたします。

 まず、男女雇用機会均等法改正案は、妊娠、出産を理由とする解雇と不利益取り扱いの禁止、セクシュアルハラスメント対策など、改善面はありますが、幾つかの面で大きな課題が残されたままとなっています。

 改正案における最も大きな問題は、間接差別について禁止規定を置いたにもかかわらず、その内容が三点のみの限定列挙とされていることです。昨年末、労働政策審議会が提出した建議で示されていた間接差別の定義が法案に明記されていないのも問題です。

 多くの女性たちが、裁判などを通して、必死になって雇用の場における男女平等を訴え続けてきました。そのかぎとなるのは間接差別の禁止です。

 差別は巧妙に形を変えて生き続けていくため、間接差別を限定列挙で後追いしても効力を発揮することができません。現実の間接差別の是正に役立たないばかりか、逆に、現在行われている間接差別を容認することにもなりかねません。

 働く女性たちが切実に解決を求めている事例のほとんどは、同じ仕事をしていながら、雇用管理区分が異なるから、あるいはパートだからという名目で行われている、賃金など待遇に関する是正です。改正案が、形を変えて広がる女性への賃金差別を間接差別禁止の対象としていないことは大きな問題です。

 欧州を初め多くの国々は、均等待遇を原則とし、パートタイマーの問題を含めて、直接差別では救済できない問題を積極的に救済する措置を講じています。それに比べて、本法案の間接差別を限定列挙で禁止するという方法は、余りにも後ろ向きと言わざるを得ません。

 また、改正案には仕事と家庭の調和の理念が織り込まれていませんでした。男性の長時間労働が常態化し、過労死がふえ続けている中で、今こそ人間らしい働き方が求められています。仕事と家庭の調和が図られる、人間らしい生き方の基準を示すものがなければ、女性にも男並みの過密労働、過労死が押しつけられることになります。

 格差を是正するためには、女性を登用するポジティブアクション計画の策定と実行が必要です。改正案では、ポジティブアクションが事業主に義務づけられず、努力義務にもならなかった点も指摘せざるを得ません。

 社会民主党、民主党、共産党、そして国民新党共同提案の修正案については、これまで述べてきた男女雇用機会均等法改正案の問題点を解決し、法の実効性を高めるものであり、賛成いたします。

 以上をもって討論といたします。(拍手)

岸田委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、小宮山洋子君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 この際、本案に対し、北川知克君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・日本・無所属の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。園田康博君。

園田(康)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 間接差別の法理・定義についての適正な理解を進めるため、事業主、労働者等に対して周知徹底に努めるとともに、その定着に向けて事業主に対する指導、援助を進めること。また、厚生労働省令において間接差別となるおそれがある措置を定めるに当たっては、国会における審議の内容、関係審議会における更なる検討の結果を十分尊重すること。

 二 間接差別は厚生労働省令で規定するもの以外にも存在しうるものであること、及び省令で規定する以外のものでも、司法判断で間接差別法理により違法と判断される可能性があることを広く周知し、厚生労働省令の決定後においても、法律施行の五年後の見直しを待たずに、機動的に対象事項の追加、見直しを図ること。そのため、男女差別の実態把握や要因分析のための検討を進めること。

 三 雇用均等室においては、省令で規定する以外の間接差別の相談や訴えにも対応するよう努め、これまでと同様の必要な措置を講ずること。

 四 雇用形態の多様化に鑑み、派遣元などあらゆる事業主に対する均等法適用の周知徹底を図り、実質的な格差解消のために、法の適格な適用・運用を図ること。

 五 改正後の均等法に基づく指針の策定に当たっては、雇用管理区分について、誤解を生ずることなく適切な比較が行われるようにするとともに、新たに禁止されることとなる対象事例等その内容がわかりやすいものとなるよう配慮すること。

 六 ポジティブ・アクションの一層の普及促進のため、事業主に対する援助を特段に強化すること。

 七 法の実効性を高める観点から、新たに措置された事項を十分活用し、事業主に対する報告徴収を始めとする行政指導を強化するとともに、調停等の一層の活用を図ること。

 八 改正後の均等法の円滑な施行を図るため、都道府県労働局の紛争調整委員会(機会均等調停会議)、雇用均等室等の体制を整備すること。

 九 男女労働者双方の仕事と生活の調和の実現に向け、仕事と家庭の両立がしやすい職場環境の整備を進めるとともに、特に男性労働者の所定外労働時間の抑制及び年次有給休暇の取得を一層促進するなど、長時間労働の抑制に取り組むこと。また、労働時間法制の見直しに際しても、男女労働者双方の仕事と生活の調和の実現に留意すること。

 十 パートタイム労働者が意欲を持ってその有する能力を十分発揮できるようにするため、正社員との均衡処遇に関する法制化を進めること。

 十一 男女の賃金格差是正のためにILO第百号条約に則り、施策の積極的な推進を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

岸田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、川崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川崎厚生労働大臣。

川崎国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。(拍手)

    ―――――――――――――

岸田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

岸田委員長 この際、請願取下げの件についてお諮りいたします。

 本委員会に付託になっております請願中、小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願第三三九二号につきまして、昨十三日、紹介議員田村憲久君から取り下げ願が提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十六日金曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.