衆議院

メインへスキップ



第5号 平成19年3月16日(金曜日)

会議録本文へ
平成十九年三月十六日(金曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      阿部 俊子君    新井 悦二君

      井上 信治君    石崎  岳君

      越智 隆雄君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    岸田 文雄君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉田 元司君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君   戸井田とおる君

      冨岡  勉君    西川 京子君

      林   潤君    原田 令嗣君

      広津 素子君    福岡 資麿君

      松野 博一君    松本 洋平君

      御法川信英君    森  英介君

      内山  晃君    大島  敦君

      菊田真紀子君    小宮山泰子君

      郡  和子君    鈴木 克昌君

      園田 康博君    田名部匡代君

      高山 智司君    細川 律夫君

      柚木 道義君    井上 義久君

      坂口  力君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   厚生労働副大臣      武見 敬三君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            高橋  満君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          奥田 久美君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     阿部 俊子君

  木原 誠二君     越智 隆雄君

  木村 義雄君     広津 素子君

  杉村 太蔵君     杉田 元司君

  松本  純君     森  英介君

  園田 康博君     鈴木 克昌君

  筒井 信隆君     小宮山泰子君

  細川 律夫君     高山 智司君

  坂口  力君     井上 義久君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     石崎  岳君

  越智 隆雄君     木原 誠二君

  杉田 元司君     杉村 太蔵君

  広津 素子君     木村 義雄君

  森  英介君     松本  純君

  小宮山泰子君     筒井 信隆君

  鈴木 克昌君     園田 康博君

  高山 智司君     細川 律夫君

  井上 義久君     坂口  力君

    ―――――――――――――

三月十五日

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長青木豊君、職業安定局長高橋満君、職業能力開発局長奥田久美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田康博君。

園田(康)委員 おはようございます。民主党の園田康博でございます。

 ただいま委員長からの御指名によりまして、本日の雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、先日に引き続き質問をさせていただきます。

 その質問の前に、冒頭、私から、この委員会に臨む気持ちも含めて、少しお話をさせていただきたいと思います。これは質問ではございませんので、大臣、気楽にという話ではありませんが、少しお聞きをいただきたいと思います。むしろ、これは、大臣に、政府にといいますよりも、私は、ここにいらっしゃる委員の皆様方全員、国会議員としてのその考え方につきまして、少し私から思いをお話しさせていただきたいというふうに思っております。

 すなわち、昨日でありますが、私が次席理事を務めさせていただいております日本国憲法の調査特別委員会におきまして、公聴会の開催をめぐって職権で立てられ、その職権によって強行に採決をされたという事態が生じました。

 一昨日、与野党の国対の委員長会談が行われ、今日までの予算委員会等々も含めて、平成十九年度の予算の審議に基づいて大変混乱をいたしました、衆議院では、いわゆる不正常な状況でずっと続いていたわけであります。私も、この状況は一刻も早く打開していかなければいけないものではないかというふうに考えたと同時に、それに向けて与党ともに努力をしたものであるというふうに私は受けとめさせていただきました。

 ところが、いわば正常化の合意がなされたその直後に、今まで七年にわたって憲法の調査会、そして今回の調査特別委員会という形で、この衆議院という院の中で、与野党の議員諸君が我が国の日本の将来、あるいは国民の生命、身体、財産、これをしっかりとこれから国の形を含めて考えていかなければいけない重要な委員会の中において、そのような、合意がなされた、正常化がなされた直後に、すぐさま、委員長職権によって委員会の持たれ方がつくられ、そして昨日、まだ合意もできていない状況の中で強行採決がなされたということに対して、私は大変な憤りを感じております。

 この問題につきましては、各委員あるいは各会派、各党、さまざまな考えがあったわけでありますが、総じて、この国民投票法に関する考え方は、しっかりと議論をし、そして国民全員、総員で考えていかなければいけない重要な法案であったわけであります。

 したがって、議員立法という形でこれは私ども責任を持って提出をさせていただき、そしてその中において、いわば現場の雰囲気としては、与党の皆さん、あるいは自民党、公明党さん、そういった方々と、考え方は少し、若干違うところはありましたけれども、合意に向けてこれは話し合いを真摯にしていたつもりであります。

 しかしながら、それが昨日、いわば与党の国対の方で、野党といいますか、民主党ともう協議をすることはできないというような形で打ち切られてしまったわけであります。私は、こういう形が本当に正常な状況の中で行われたものであるのかどうか、あるいは、国民の生命、身体、財産、これを考えた上においては、こういう形が本当に望ましい形であったのかどうか、やはりもう一度考えていただきたい、そのことを強く冒頭申し上げておきたいなというふうに思うわけであります。

 したがって、本当であるならば、この厚生労働委員会におきましても、やはり、国民の生命を、あるいは生活を考える重要な委員会でありますので、しっかりとした形の中で私は行いたいというふうに思っておりますし、心情的には今ここの発言席に立てる状況ではありませんが、しかしながら、きょう、与野党の合意の中において御努力をしていただいたその中で、私も質問時間をいただきましたので、その範囲で厚生労働大臣にお伺いをしていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 そして、先ほどから申し上げましたけれども、与党の皆様方、これはこの厚生労働委員会だけの話ではありません。議員全体としての、国会全体の考え方として、しっかりとこれから、合意に向けた、あるいは国民に向けた議論を行っていただきたい、その御努力を最後の最後まで私は行っていただきたいというふうに思うわけであります。

 以上、冒頭少し申し上げました。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 質問通告という形で、昨日は残念ながら細かいところまで大臣に通告をすることができませんでした。その点はおわびを申し上げたいというふうに思っております。しかしながら、この質問の中でつまびらかにしていきたいことも幾つかやはりございますので、その点は大臣のわかる範囲で、あるいは事務方の協力を得ながら、これを進めさせていただきたいというふうに思っております。

 先日の私の質問で、二点ほどちょっと宿題を申し上げたことがございます。一点は、雇用保険料の国庫負担のあり方についてであります。したがって、今回は大臣も御提案をされておられますけれども、本来の負担額、二五%、四分の一、ここからさらに五五%まで引き下げるという御提案をされておられますけれども、その引き下げの根拠について、私からどういった根拠があるのかということをお尋ねさせていただきました。

 その際に、大臣の御答弁でいきますと、過去に国庫負担の縮減をした例、これは平成十年度から十二年度まで本来額の五六%にしたという例がございましたということで、まず御答弁をされておられました。そして、さらに、現在の雇用保険財政の状況というものも踏まえて、今回のこの改定というものを行ったというふうに御答弁をされておられるわけでございます。

 しかしながら、私は、この御答弁に対して、やはり前回の引き下げた根拠もあるわけでございますし、そして今回の引き下げた根拠もあるわけでございます。そして、引き下げる根拠というものがあるならば、今度はそれをまたもとに戻すということも、これまた状況が整えば考えられるのではないかなというふうに思うわけであります。

 したがって、数値的に四分の一があるから国の責任として失業保険の責任を担っているんだということだけではなくて、国が担う役割としての責任がこの数字の中にあらわれるということであるならば、その引き下げる根拠と、それから引き上げる根拠というものが、もう少し明確になっていなければいけないのかなというふうに私は思うわけでありますが、その点の大臣のお考えはございますでしょうか。お伺いをしたいと思います。

柳澤国務大臣 今回、私ども雇用保険法を改正させていただきまして、まず、国庫負担につきまして、これは当然基本的な給付に係る国庫負担でございますけれども、四分の一というものを五五%に今回は削減させてもらうということにいたしたわけでございます。

 その理由はいかんということでございましたけれども、私は、その際、三つのことを御指摘申させていただいたということでございます。

 まず第一に申し上げたことは、この国庫負担という制度、このことは、失業が政府の経済政策であるとか雇用対策というものと無縁ではないので、政府もその責任の一端を担っているという、その基本を揺るがすものではないということが第一点でございます。

 しかしながら、第二点といたしまして、行政改革の推進法というのが先行して制定されまして、その制定された推進法の趣旨を踏まえる必要があるということがございます。

 かたがた、当面の雇用保険財政の状況を見ますと、雇用保険財政は、これを削減いたしましても、すぐ苦境に立つというような状況には当面ないというふうに考えられる。それから、今後とも雇用保険の安定的運営の確保ということを前提にして審議をした。こういうことでございまして、今申した、政府の責任についての基本的な考え方を踏まえた枠組みは維持するということで国庫負担の縮減を図ることとして、この縮減幅については、過去の縮減幅、こうしたものを参考にいたしまして、関係者の合意もとるという手続のもとで今回のような削減幅を結論として出した、こういうことをかねて申し上げていたつもりでございます。

園田(康)委員 そうしますと、四五%削減したことの根拠というものが、前回引き下げをした、それに見合ったという形で理解をするべきなんでしょうか。それか、今回、雇用保険財政の中からいきますと、総額ベースでの話で、このぐらいが適当であろうというふうに判断したということで理解をすればよろしいんでしょうか。

柳澤国務大臣 基本的にそういう御理解でよろしいということでございます。

園田(康)委員 そうしますと、ちょっとこれは数値的な話でありますので、お願いを申し上げたいと思うんですが、国庫負担の今回の引き下げに基づいての財政的効果、四五%削減したことによってどれだけの負担額が引き下がったのかということは数値的にお持ちでしょうか。もしわかればお聞かせをいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 今回の国庫負担額、五五%に引き下げたことによる財政的効果はマイナスの千五百三億円です。それから、高年齢雇用継続給付をストップいたしましたので、そのものが百三十九億円ございまして、都合、その他もありまして、国庫負担の削減額としては、十九年度は十八年度に比べて約千八百億円の減額である、こういうことでございます。

園田(康)委員 前年度に比べ千八百億円ということであります。

 この国庫負担の削減はいわば暫定措置という形でも行われるということで、ここにおいても当分の間というふうにおっしゃっておられるわけでありますけれども、これは全体の保険財政の状況を見ながら、これがまた悪化する状況があれば国の負担もここでまた引き上げるというふうに私は受けとめさせていただいたわけでありますが、そういう形で考えてよろしいんでしょうか。

柳澤国務大臣 委員の御指摘のとおりでございまして、雇用保険制度の安定的な運営を確保するために必要が生じた場合には、その時点での雇用保険財政の状況や雇用失業情勢、それに加えて国家財政の状況等を踏まえまして国庫負担のあり方を適正に検討することになる、こういうことでございます。

園田(康)委員 そうしますと、雇用保険財政がここで改善したということであるならば、二〇〇三年の改正のときに切り下げた基本手当がございますけれども、この給付をまずもとに戻すということが先に考えられるのではないかなというふうに思うわけですが、そういった検討はこの時点でなされたでしょうか。検討があったかどうか、まず聞かせていただきたいと思うわけです。

柳澤国務大臣 基本手当の給付水準について、十二年、十五年と続けて改正が行われ、カットが、削減がされてきましたけれども、これを今回機会で少しでも戻したらどうか、こういう御提案でございます。

 私どもとしては、雇用保険制度の安定的な運営を図ると同時に、労働者の生活及び雇用の安定を図る、それから早期再就職を促進するというようなことからして、改正以前の状況に給付の水準を戻すということよりも、今回とった措置をとることの方を選択すべきである、このように考えた次第でございます。

 もとより、そういう道を今後全く考えないかといえば、そういうことではございませんで、いずれにしても、改正の効果をさらに見きわめて適切に対処していきたいということでございますが、当面このような措置をとらせていただいたということでございます。

園田(康)委員 これは少し考え方の違いといいますか、国庫負担の責任というものが、決してここで引き下げなければいけない、あるいは引き下げ幅をもう少し柔軟に考えておけば、失業給付を受ける方々に対する給付というものを、いわば国庫負担率をここまで引き下げるのではなくて、もう少しこれを柔軟に考えれば、上乗せを、失業給付を受ける方々への基本手当、これに対して、もう少し拡充をすることが今回ひょっとしたらできたのではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 したがって、何が何でも国庫負担を今回下げなければいけなかった、あるいは五五%に引き下げなければいけなかったということが私にはまだ明確になっていない。あるいは、千八百億円を行うのであるならば、私も、まだその半分でもひょっとしたらよかったのかな、その辺の兼ね合いをもう少し精査していただきたいというふうに思うわけであります。

 なぜこんなことを申し上げるかといいますと、今、話題といいますか課題となっております格差社会の中において、非正規雇用であるとか、あるいは生活保護も含めて、社会のセーフティーネットというものをきちっとこれから構築していかなければいけないというふうに考えるわけであります。したがって、そのセーフティーネットが、我が国の中において、諸外国と比べて、いわば、この間も少し指摘をさせていただきましたけれども、失業扶助制度というものがきちっとしていないといいますか、これがないということになっているわけでありますけれども、これもあわせて、漏れた方々をしっかりとセーフティーネットで行わなければいけないというふうに考えるわけであります。

 したがって、その漏れた方々に対して、いわゆる失業手当というものが大変重要な施策になってくるわけでありますので、この基本手当の給付の拡充というものもやはり少し考えておかなければいけないであろう。全体的な、財政的なところも加味しながらということでありますけれども、その点はやはりしっかりと念頭に置いておいていただきたいというふうに思います。

 そして、そのセーフティーネットの話でありますけれども、いわば正規雇用と非正規雇用と、まず考えられる社会のセーフティーネットとしては三つの、三段階というものがあるんではないかというふうに思うわけであります。

 第一のセーフティーネットといたしましては、今回の法改正の中にも少し盛り込まれておりますけれども、いわば正規雇用と、それから非正規雇用との格差というものが今言われているわけであります。とりわけこの五年間の間での非正規雇用者の増加数というものは大変憂えているわけでありますけれども、ここの部分を、まず正規雇用の増大ということをしっかりとやることが第一のセーフティーネットであろうというふうに考えるわけであります。

 その中において、非正規雇用が、いわば今、全労働者人口の中の大体三割にも達してしまっているというところにおいて、いわゆる偽装請負であるとか、あるいは派遣労働の違法な派遣が増大をしている、あるいはワーキングプアの出現といったものも、この中では問題点としては掲げられているわけであります。これに対する対策をしっかりと行うことによって、まず正規雇用の増大というものが行われる。そこで、まず第一のセーフティーネットとして救われることになるんではないか。そしてそこから、それでも漏れてしまった方々がいるわけですね。そこにおけるいわば社会的な保険、被用者保険というものがそこで存在をし、そこで第二のセーフティーネットとしてこれが救われるという形になっていくわけであります。

 今回、被用者保険の拡大というものも、あわせて適用拡大を行うということでありますけれども、それもしっかりとこれからやる必要があるんではないかというふうに考えるわけであります。したがって、現在の雇用保険制度が、働く者にとって、社会のセーフティーネットして十分であるかどうかというものの検証をまずしっかりと行っていただきたいというものがあります。

 そして、先ほど申し上げた第一段階と第二段階のこの施策の中で、被用者保険制度、健保や年金、雇用、あるいは労災といったこの適用拡大、これを総合的に行うという施策は、今厚生労働省として何かお考えがあればお聞かせをいただきたいなというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 今先生がおっしゃられたように、正規雇用を希望の方々についてはできるだけ正規雇用に持っていくということも、やはり一種の、広い意味のセーフティー雇用としてそれを推進すべきである、こういうことをお話しになられましたが、それは私どもも同じように考えておる次第でございます。

 それから、第二番目の、失業あるいは雇用保険というもののその前段階として、従来、社会保険の方に外れておった、そこに包摂されておらなかった労働者について、何かセーフティーネットというような意味で拡大をした面があるのか、こういうお尋ねでございました。

 御案内のように、従来は、雇用者年金というものの限界条件というものは、通常の労働者の週の労働時間の四分の三というあたりが基本の分界ということで画されておりましたけれども、今回、このような方々に対して厚生年金を拡大すべしというような安倍総理の御指示もございまして、現在検討をし、その結果をいよいよ国会方面に出そうとしている最終の場面だと言ってよろしいかと思うわけでございます。

 三十時間ではなくて、もう少し短い週当たりの時間である者についても、これを厚生年金の被用者年金として包摂しよう。ただ、その場合に、そのまま時間だけで包摂していいかということについては、なお、何か本当に被用者の仲間に入るということになると、そこのところにもう一つ何か制約を置いた方がいいか。例えば、収入基準というようなものを考えてそこに分界を画した方がいいかというようなことで今慎重に最終の詰めが行われている、こういう状況でございます。

園田(康)委員 その点は、また法案等々が出てくればお話を、この場で審議をさせていただきたいと思います。

 それから、非正規雇用の雇用保険の加入条件の緩和というものが今検討されているというふうに伺っております。

 例えば、今回の法改正の中では、非正規雇用、いわゆるパート労働でありますけれども、同一の職場において、同一といいますか一つの職場において、二十時間以上が短時間労働者という形でいわゆる適用が行われているわけでありますけれども、これが、条件としては二十時間以上働くことが必要というふうになっております。しかしながら、パート労働の中には、週二十時間同じところで働くという方々もさることながら、二つあるいは三つの職場で働いているという方々がいらっしゃるわけでございます。

 例えば、一つの会社の中で週十五時間働いている。そしてもう一つの職場で、夕方からはまた別のところに行って、週七時間というふうに働いている。足せばこれは二十二時間になるわけですので、本来ならば適用といいますか、条件そのものは時間数でいえばこれに当たる、適用されるというふうになるわけであります。

 しかしながら、これが同一の職場という形での制約があるというふうになっているわけでありますが、これを条件緩和して、まず二つを合算して、二十時間以上のパート労働の方々に対してもこれを適用するというような話で検討されるということが今行われているというのは伺っておりますが、その点の方針はいかがになっておりますでしょうか。今のわかっている範囲でお答えをいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 今委員御指摘のように、週の所定労働時間は一応二十時間以上、一年以上の雇用見込みを適用条件の下限にしているというのが現在の雇用保険の基本的な考え方でございます。これについて、もうちょっとこれを拡大すべきではないかというような御議論もないわけではございませんで、今回の雇用保険制度の見直しに係る労政審の雇用保険部会報告におきましても、今後の課題ということでこれが掲げられているということでございます。

 他方、第二にお取り上げいただきましたいわゆるマルチジョブホルダーというような勤務形態をとっている、そういう労働者に対してどのような雇用保険の適用を考えるかということでございます。

 これにつきましても、なかなかこれはさらに難しい問題があるというふうに私ども考えておりまして、結論的に申し上げると大変がっかりされてしまうのかもしれませんが、失業とは一体何だという問題、それからまた、給付の程度は一体どうすべきなのかというような問題等、非常に難しい問題があるというふうに認識しておりますので、これまた先ほどの問題同様に、引き続きの課題ということで今回結論を出すに至らなかった、こういうことでございます。

園田(康)委員 さまざまな雇用形態がこれから考えられるというふうに思っておりますし、また、それがライフワークバランスという形の中の広い議論の中で議論がなされていかなければいけないのかなというふうに思っておりますので、第一弾の、二つの事業所で働いている、それを合算して二十時間で適用するということは早急にやはり行っていただきたいなと。

 しかも、恐らく大多数の方々がいらっしゃる、私はこの統計を見ておりませんけれども、恐らく多くの方がここにまたさらに入っていくんではないかな、入っておられるんではないかなというふうに思っておりますので、これの加入を拡大ということは、できればこの法律の審議の中で明らかになればというふうに思ったわけでありますけれども、今後、労働政策審議会の中で精力的に議論が行われるということを私も期待したいと思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。少し順番を変えさせていただきまして、雇用保険三事業につきまして少しお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の雇用保険三事業の中において、いわば雇用福祉事業を廃止することというふうになっております。これは、平成十二年の雇用保険法改正のときには、福祉事業としてもうこれを行わないということをまず第一弾として決めさせていただいておりまして、いわゆる施設の新設はもう行わないということになりまして、今までのそういう施設におきましては、特殊法人等の整理合理化計画によりまして、いわば福祉施設を平成十七年度まで処分をしなければならないということで、これは既に完了しているということでございました。

 その総額が大体四千七百億円だったでしょうか、建設費総額が四千七百億円で、その売却益というものがいわば百数十億円という形の数字であったというふうに承知をいたしているところでございますが、もうこの福祉施設を建設しない、新設についてはしないということの、今回の法改正の中でその根拠はどこに読み込まれて、もうそういったことは二度としないんだということがどの時点で明らかになるのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 雇用保険のいわゆる三事業につきましては、多くの方々から非常に財政資金の無駄遣いではないかというような厳しい御指摘をいただいておりましたことや、あるいは、行政改革推進本部におきまして、明示的に三事業の廃止を含む見直しということがうたわれておりまして、今回私どもの提案する法案におきましては、雇用福祉事業というものを廃止するということを明示させていただいた次第でございます。

 もとより、雇用福祉事業の中では、本来の、失業給付を抑制する等、あるいはさらに、本当の意味でもっと直接的に雇用労働者の福祉を増進するための施策も盛り込まれておりましたので、それらは編成がえした後になお継続させていただくということにいたしておりますけれども、しかし、基本的に雇用福祉事業を廃止するということを申して、そして他方、ああした物的な施設物について、どこもこれを継続して遂行するような事業というものは既になくなってしまったということでございますので、これをもってそうしたことを再び行うことはもうできないということを明らかにしているというふうにお受け取りをいただきたい、このように思います。

園田(康)委員 そうしますと、雇用安定事業や能力開発事業、これは見直しを含めて継続をされるわけでありますけれども、この中ではそういったことは、新設等は行えない、行うことができないということで理解をしてよろしいでしょうか。確認をお願いいたします。

柳澤国務大臣 重ねて申し上げますけれども、雇用安定事業、能力開発事業でいわゆる勤労者福祉施設といったものは、これを事業として行うことはできません。これはもうはっきりいたしております。

園田(康)委員 ちょっとくどいように確認をさせていただきましたのは、いわゆる年金保険料の流用問題の中において、それがまだ継続される可能性が、まだ危惧を持っているところもありましたので、この点についてはないんですねということを確認させていただきました。

 次の質問で、独立行政法人の運営交付金について少しお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。

 私どもの民主党から、昨年、予備的調査によりまして、各独立行政法人のさまざまな運営主体、それから人件費等も含めて調査をさせていただきました。そして今回、この雇用安定事業と能力開発事業の中に、雇用・能力開発機構の運営交付金と、それから高齢・障害者雇用支援機構の運営費交付金等が出されております。

 雇用・能力開発機構の運営費交付金は、平成十九年度で予算が七百九十六億九千百八十万円という形で計上をされておりますけれども、三事業廃止後、雇用安定事業で扱うものであるのか、あるいは能力開発事業で雇用・能力開発機構の運営費というものが行われるのか、この点はどちらで行うというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。

柳澤国務大臣 今委員の御指摘のとおり、雇用勘定の方から運営交付金を支出している独立行政法人は三つございまして、その中に、今御指摘の雇用・能力開発機構というものがございます。

 これは、公共職業能力開発施設の運営や中小企業の雇用管理に関する相談、援助等を行っている、そうした独立行政法人でございますが、その平成十九年度の金額、およそ七百九十七億円でございますけれども、これらは先ほどの三事業の雇用安定事業及び能力開発事業によって支給される、こういうことになっております。

園田(康)委員 少し細かい数字をお伺いしたいんですが、このうち常勤職員の、あるいは非常勤職員も含めて、人件費総額は幾らで計上をされておられるんでしょうか、お伺いをしたいと思います。

柳澤国務大臣 ちょっとそこまで詳細な資料が手元にございませんので、後ほどにまた、もしお時間があればそれを提出いたしたいと思います。

園田(康)委員 わかりました。またわかれば資料を出していただきたいと思います。

 つまり、この独立行政法人に対する運営交付金というものが支払われているわけでありますけれども、その内容までつまびらかにしておく必要があるというふうに私は考えております。すなわち、この雇用・能力開発機構によって、今までいわゆる事業評価がいろいろされておるわけであります。

 中期計画というものの中で目標を立て、そしてそれに対する評価をし、チェックをしていくということが今後必要になってくるのかなというふうに思うわけでありますが、この中期計画の数値目標の中で、いわゆる当初は六百名の人員削減をするというふうに中期計画で立てられたわけでありますけれども、これが、発足当時におきましては四名、そして、一年目の十六年度におきましては百五十五名に削減をしたというふうになっております。昨年の十七年度では幾ら、何人削減をしたというものは報告が来ているでしょうか。

柳澤国務大臣 独立行政法人雇用・能力開発機構運営費のもとにおける予算の執行として人件費がどのくらい頭数で減少になっているかということでございますが……(園田(康)委員「いや、人数が何人減っているか」と呼ぶ)人数でどのぐらいか。マイナスの百五十ということのようです。(園田(康)委員「十七年度ですか」と呼ぶ)十七年度でございます。

園田(康)委員 そうしますと、六百名の目標を立てて、まだ三百名強ということしか削減になっていないというふうに私は見ているわけなんですが、これにつきましては、やはり当初の目標がまだまだ不十分である、半分ぐらいしか満たっていないというところからすれば、もっと努力が必要ではないかなというふうに思うわけであります。

 さまざまな中期目標があるわけでありますけれども、大臣、この目標値、さまざまあるわけであるし、あるいはその事業一つ一つの目標も立てられているわけであります。

 そのうち、例えばですが、これは大臣の主観的な評価でも結構でございますが、雇用開発、相談等という事業がございまして、それに対する目標がいろいろ掲げられております。その際に、最終的にはその相談等の利用者に対してアンケート調査を行うわけでありますけれども、そのアンケート調査を実施し、八〇%以上の者から就職活動を進める上で役立った旨の評価が得られるようサービスの質の向上を図るというふうになっているわけであります。まず、これが目標。それに対して、では、例えば十六年度はどうであったかというと、アンケート調査を行って、例えばこれは沖縄県でありますけれども、沖縄県において、相談員に相談があったのが八百二十三件、アンケート調査を行って、九六・九%の者から、就職活動等を進める上で役に立った、あるいは、どちらかといえば役に立ったという旨の評価を得たというふうに書かれているんですね。

 これを一見見ますと、目標は八〇%以上の方からの評価を得ること、それに対して九六%、約九七%ですね、九七%の方から評価を得たというふうになれば、これはいわば事業がしっかりと運営されているというふうに一瞬見てとってしまうわけなんですが、実は、有効回答者数が九十六名なんですね。八百二十三件相談があって、アンケートでいただいたのが九十六人、実に一〇%ちょっと、一割強の方からしかそのアンケートの用紙が返ってきていなくて、そして、有効回答者数として一割強のうちの九六%からの高い評価ということでありますので、これは全体からすると決してしっかりとした事業が運営されているかどうか、あるいは有効に運営がなされているかどうかの評価というものが、私はこれは適切なものとして評価はできないのではないかなというふうに思うわけですが、大臣の主観として、この評価に対してどのようにお感じになり、あるいはまた、これをさらに有効的なものにしていくにはどういうふうにしていったらいいかという大臣のお考えをお聞かせいただきたいなというふうに思います。

柳澤国務大臣 これは、非常にこれからも工夫の余地がある問題だと思います。

 私、実は行政改革も結構首を突っ込んでいたことがありまして、実はこの独立行政法人、イギリスではエージェンシー、こういうふうに言ったんですが、エージェンシーによる行政の総元締めはサッチャー内閣のときにヘーゼルタインという副首相格の人がなっておりまして、その人と個人的にも、実際目標管理というのはどうやってやるんですかと言ったら、一番大事なのは担当の大臣がへとへとになることだということを言われました。

 それはどうしてかというと、へとへとになるまで自分がそのエージェンシーにやらせることをきっちり掌握して、そして現状がどうなっているかということを掌握して、しかる後に中期目標を書くんだ、だからそれはもう並大抵のことではないんだよということを私は実はアドバイスを受けまして、そういうことを持って帰っても日本で本当にできるのかしらんとやや思いつつも、とにかく企画立案と執行を分離して、執行についてできるだけ民間の手法も取り入れて行政の効率を上げていくということのためには、これはもう何が何でもやっていかなきゃいけない、こういうように思って、それの推進に努めてきたわけでございます。

 これは、非常に中期目標の設定の仕方が難しいんです。こういうふうにやると、今言ったように、アンケート調査でこの程度が目標だということになると、今言う未回答者はどこに行っちゃったんだというような話になるわけでございますが、みんなそれぞれ心して、各担当者が、評価の衝に立つ担当者がそういったことがあるということをみんな自覚して、今後着実に、この制度にもう踏み切ったわけですから、その制度を通じて効果が上がるようにこれを磨き上げていくということではないか。

 あえて、個人的にとおっしゃられたので、私の個人的な感想を申し述べました。

園田(康)委員 もう全くその点は、大臣と私も共有をするものであります。

 この雇用・能力開発機構だけの運営費においても七百九十六億円という大変膨大なお金が使われているわけでありますし、これはもう保険料から行われているわけでありますので、それをやはり一円たりとも無駄にしてはいけないものであろう、そしてその事業の評価が、事業がしっかりと行われているかどうかというものは、これはエージェンシーであったとしても、しっかりと所管がチェックをするということは私は必要なことであろうというふうに思うわけであります。これはもうねんきん事業機構においても私はそうではないかというふうに思うわけでありますので、大臣、その点はしっかりと心して取り組んでいただきたいというふうに思うわけであります。

 もう一つ、私のしごと館についても同じようなことが言えるわけでありまして、これについてもやはりアンケート調査をしている。これは質問ではありませんので、指摘だけしておきます。アンケート調査を実施して、そのうち評価を受けたのが八四%というような数字が出ているわけでありますけれども、ここに対する有効回答数というものが記載されていないわけでありまして、本当にどれだけの方からこういったアンケートが、そういう評価を受けたのかというものが私には見えておりません。したがって、この点は目を光らせておく必要があるのかなと思うわけであります。

 もう一つの大きな問題として、雇用・能力開発機構におけるいわば役職の方々の手当という問題が、私はまだきちっとしておかなければいけないというふうに思うわけであります。

 まず、この役員、役職の中で厚生労働省からの天下りの方々というものは何人ぐらいいらっしゃるか、確認をしておきたいと思います。

柳澤国務大臣 独立行政法人雇用・能力開発機構の役職員のうち厚生労働省OBは、役員で二名、職員で十二名でございます。役員の総数は、減員になって七名でしょうか、もとは八名ということでございます。職員は四千三百七十一名、そのうちで十一名か十二名がOBである、こういうことでございます。

園田(康)委員 そして、この職員の退職金の平均支給額というものは、発足当時は常勤で二千四百万円、一年目の十六年度におきましては二千二百万円、そして二年目の十七年度におきましては一千百万円ということで、少しずつ下がってはきておるわけでありますが、いまだに高額なものではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 すなわち、二年目の理事の方で、給与が月額八十九万円を支払われているという理事の方もいらっしゃるわけでありまして、こういった高額が私たちの感覚からすれば本当に適切なものであるのかどうかということを、やはり第三者機関あるいは厚生労働省の中において、本当に必要なものであるのかどうかというものもあわせてチェックをしていただきたいというふうに思っております。

 そしてもう一つ、高齢・障害者雇用支援機構、ここにおいても同じことが言えるわけであります。人数が少しずつ減ってはいるわけでありますけれども、まだ七百人を下っていないというところもありますし、必要な事業の中において必要なものが与えられなければいけないだろうというふうに思うわけでありますが、一つ一つの事業の中において、この職員の方々が本当に必要なものであるのか、あるいは、役員の中において報酬の年額もまだ高額なものだというふうに私は受けとめております。

 まず、十五年の十月から十六年の三月、この半年における報酬額においては、理事長で八百三十万円、それから理事長代理においては七百五十万円、これが半年間に支払われているという額でございます。そして、年額にいたしますと、十六年度においては一千九百万円、それから代理においても一千七百万円であります。

 この理事長と代理がどういう方々かというふうに見てみますと、理事長の方が元労働事務次官の方でありました。それから、代理の方が大臣官房審議官の方でありました。OBの方が入ってこれだけの高額の報酬を受けておられるということ。そして、十七年度になってようやく一千万円を切って九百四十万円、それから代理においても八百六十万円という形の額になっているわけであります。

 この中で指摘をさせていただきたいのは、障害者の、今さまざまな問題になっている障害者自立支援法の中において、いわゆる障害当事者の方々の年金、障害年金のあり方あるいは雇用支援のあり方、雇用促進の中において、なかなか報酬が得られない、生活もさらに苦しくなっている。そういった中で、それに対してやはり一割定率負担をかけていくということと、それからこの役職員の方々がまだこれだけの高額な報酬をいただいているということに対する整合性といいますか、私は何か不合理を感じるわけでございます。

 大臣、これも大臣の所感で結構でございますけれども、この額に関しての根拠と、それからそれが大臣にとってどういう位置づけにあるかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 私は、何と申しますか、独立行政法人というものの仕事については、一般の私の同僚議員なんかともやや違う考え方をあるいは持っているのかもしれません。それは、一番最初のころに、私は独立行政法人というかエージェンシーシステムというのをかなり研究して、どちらかというと最初の言い出しっぺでありますので、そういう意味で、それのいきさつを引きずったような考え方を今もって持っているのかもしれないな、こういうふうに考えます。

 それはどういうことかというと、独立行政法人というのは、まさに行政そのものを実施する行政機関であるという考え方でございます。しかし、その行政機関なんだけれども、行政機関だからといって民間の手法が全く受け入れられないものではないだろうということで、民間の手法も受け入れたところで行政を執行してもらおう。しかし、それは民間の手法を入れればかなり自由度を与えることになるから、外枠のところで目標管理をがっちりしておかないととんでもないところへ行ってしまうおそれがある、これはまずい。こういう仕組みで独立行政法人というのはつくられておるわけでございまして、ですから、独立行政法人というのは、一般に、企画立案をした制度のもので、目いっぱい民間の知恵を、民間的な手法を使って効率的に行き届いた行政をするということが眼目である、私はそのように思っているわけでございます。

 そういう意味合いからして、当初は、ある程度独立採算でやるから、やる気のある職員には給料を弾んでもいいよ、あるいは成果を上げた役人にはある程度ボーナスを弾んでもいいよくらいのところまで議論としては行ったわけでございます。しかし、なかなか日本の現実の中で、一般の行政との比較の中ではそういったことを際立って行うということが難しいということの中で、また、月給が高過ぎるとか職員の給与が高過ぎるとかという横並びの話がまたずっと出てきているのであって、これは時間をもうちょっと経て、皆さんの議論の中でもっといい行政執行の体制としての独立行政法人というものをつくっていくべきだと思っております。

 したがって、どこの時点の基準を私の基準として今の委員の御質問に答えればいいかということで、ちょっと戸惑うのでございますけれども、私は大勢順応の人間として申し上げるとすれば、そうだとすれば、やはりそこにはおのずとバランスがあって、この行政の対象になる方々に対する支援と無関係に役職員の報酬が決まってくるというようなことは、今現在の基準に照らせば、やはりそういったことは適当でないという結論になるのではないか、このように思います。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 少し心強い御意見をいただいたのかなというふうに思っております。

 さらに、もう余り時間がありませんので、最後の御指摘だけにとどめさせていただきたいと思います。

 先般、渡辺行革担当大臣が、天下り規制といいますか、これに対しての、何というんですか、少し理解のできないテンションで何か本会議場でおっしゃっておられたようでありますけれども、予算や権限を背景とした押しつけ的あっせんによる再就職の根絶を必ず実現しますというふうにおっしゃっておられました。

 この押しつけ的あっせんによる再就職というものは、厚生労働省で本当に行われているかどうかということでありますけれども、この定義も少しあいまいなのかなというふうに思っておりますが、これを今後進めるという安倍内閣の中においては、厚生労働省の所管大臣としてのお考えというものがもしあれば最後にお聞かせをいただきたいなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 私は、いわばオリジナルバージョンの、私が当初、日本の国の中でエージェンシーというものを導入して行政改革をしたらどうだろうかというふうにかなりドラスチックに考えていたころの基準では、要するに、独立行政法人といえども行政機関なんですね。ただ、執行を受け持つので民間的な手法を大いに入れるということにしようよ、こういうことでございますね。

 そういうことでございますので、したがって、何というか、そこの長に現職の何か役人が、私は、これはあくまでも企画立案の人間が行くのはよくないと思っているんですね。企画立案の人間は横並びで民間の企画立案の人間ともっと交流すればいいのであって、企画立案が何か執行よりも上手に立つから執行の長になるなんというのは全くおこがましい話で、執行は執行のプロですから、したがって、執行をやるについての最高のノウハウを持っていらっしゃる方ですから、その人たちが上に行くというのが当たり前のことだと私は思っているわけですね。

 ですから、幾ら企画立案をした人間といえども、何も執行の長になるとか理事者になるなんということが当然のように行われるというのは、何というか、お金とかなんとかということと関係なく、人材配置として余り適当ではないんじゃないかというふうにすら思っている人間です。

 しかし、問題は変わってきておりまして、先ほど言ったように、私はもはや大勢順応型の頭になっておりますので、またそこで私がその衝の責任者になれば別ですよ、それは私は自分の考え方を実現するんですが、今横にいますから、ですから大勢順応の考え方をとっているわけです。それからすると、何か本省からそういうエージェンシーに行くということを天下りというような観念でつかんで、それをどう規制するかというようなことをやっていらっしゃるんですが、私は、ちょっと私の今までの考え方とはなかなかうまくそぐわないものですから、私の気持ちの中では難しい問題になっちゃっているんですけれども、何というか、渡辺大臣の蛮勇で御処理いただくのがベストではないか、このように思っております。

園田(康)委員 ありがとうございました。

櫻田委員長 この際、休憩いたします。

    午前九時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑を続行いたします。三井辨雄君。

三井委員 民主党の三井辨雄でございます。

 まず冒頭に、先ほど園田議員からも申し上げましたが、私も、一日も早く正常化してこの議論を深めたい。残念ながら、正常化になった途端に、国民投票法案においてまた不正常の状態になってしまった。私も、谷畑筆頭とも何度も協議してまいりまして、一日も早く議論を深めたいということを話してまいりました。

 きのうの毎日新聞の川柳を見ていましたら、「好きなよにやらせておこう選挙まで」という川柳がございましたけれども、そういう心境で、まずは好きなようにやらせておこうかな。しかし、選挙では、今に見ていろよ、野党の立場でこういうぐあいに思っているところでございます。

 これまで雇用保険の審議状況を見ていまして、私たちも雇用保険についてはさまざまな問題点があるなということを感じているところでございます。特に、今回の政府案の目玉であります失業給付の国庫負担の大幅削減というところが私たちにとってはやはり大きな問題であると思いますし、また、底上げ戦略ということでありますけれども、私たちから見れば切り下げということになるんじゃなかろうか。

 また、こういうぐあいに見ていますと、政府の底上げ戦略というのは、むしろ私は、そこのけそこのけ安倍総理というような、何かそんな感じがして、底抜けじゃございませんよ、そこのけそこのけ安倍総理というようにしか感じられないんですけれども、まさに、余りにもこういう状況で、数の力でやっていいのかということを感じているところでございます。

 そこで、本題に移らせていただきますが、田名部委員そして園田委員も十四日から質問されておりますけれども、私も北海道選出の議員としまして、特に特例一時金について質問させていただきたいと思います。

 これは、なぜ季節労働者が発生するのかということを改めて考えてみますと、特に今、平成十七年の中で二十三万五千人という方が受給されているわけでございますね。それでまた、北海道だけでも十三万四千人、五七・一%ということで、北海道に至っては大変多い人数になるわけでございますけれども、その中でも建設業にかかわる方が五七・五%ということで、圧倒的に多いわけでございます。

 こういう中で、やはり北海道そして東北、田名部議員のところも東北でありますけれども、積雪寒冷地独特の制度でありますけれども、その中で、十月から五月というのは北海道は特に積雪の時期でございますし、また気温も、まさに冬眠と言われていますけれども、十二月から三月までというのは氷点下になるわけでございまして、それとまた凍結深度というのが、十二月から四月まで、期間が長いわけでございます。

 私も、自分で自分のところの施設なりなんなりつくるとき、通年で建物を建てるとなりますと、冬場にやりますと大体工事費が一割から二割増しということになるわけですね。そうなりますと、どうしても春先に建設をしようということになるわけでございまして、そういう北海道独特のものがあるということを申し添えたいと思います。

 そこで、大臣にお伺いしたいのは、この北海道の季節労働者の実態をどのように把握されているのか、また認識されているか、お伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 積雪寒冷地ということで、冬期に失業を余儀なくされる季節労働者は、十七年度の数字ですけれども、建設業を中心に全国で約二十三万五千人に上っているということですが、そのうち、六割近い約十三万五千人が気象条件の特に厳しい北海道に集中をしているというふうにとらまえております。

 北海道における季節労働者の業種別の割合としては、今委員が御指摘になられたとおり建設業が六一%ということで、半分以上が建設業であるというようであります。

 これらの季節労働者は、近年減少してきておりますものの、毎年、失業と再雇用を繰り返すなど、不安定な雇用状態が長期にわたって継続するケースが多く、このような不安定な雇用状態を是正するためにも、通年雇用化ということが一番重要な課題だと認識をしているところでございます。

三井委員 そこでお伺いしたいんですが、この季節労働者のいわば専業者というのはどれぐらいいらっしゃるか、これで生活している方がいらっしゃるか、把握していますでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 季節労働という形で働くものを専業とする方がどれくらいいるかというお尋ねでございますが、ちょっと、専業としてやっておられる方というものの正確な実態については把握はいたしておりませんが、いわゆる季節労働者として短期特例被保険者の資格を得ておられる方というのは、その中の相当数が専業という形で働いておられるというふうには認識いたしております。

三井委員 先ほど申し上げましたように、北海道でいえば、十三万五千の中で九五%の方が専業なんですね。これでまさに生活されているわけです。

 それでは、生活実態について御存じでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員も御指摘ございました北海道の経済部で実施をいたしました実態調査で見てまいりますと、収入という面でとらえてみますと、年間収入階級別のデータがございますけれども、一番多いのが二百万円台の方が三三%程度、それから三百万円台の方が二一%等となっておると承知しております。

三井委員 それは、局長、その中に特例一時金も含まれておりますか。

高橋政府参考人 特例一時金も含めた数字だと理解をいたしております。(三井委員「大体平均でどれぐらいですか」と呼ぶ)

 特例一時金の受給額でございますけれども、平均といたしまして二十五万円というふうになってございます。

三井委員 まさに今局長がお答えになりましたように、私の持っているデータでは、二百万円前後というのがもうほとんどなんですね。そうしますと、今お話しされましたように、特例一時金は二十万円前後です。ですから、やはりこういうきちっとしたデータを把握しながら、そして、この特例一時金というのは、今、五十日からいきなり三十日にする、その中をとって四十日だと、余りにも短絡的なことをすべきでない。そのことを大いに反省していただくと同時に、これは五十日を継続すべきでないか。

 そして、田名部議員が大臣に御質問されましたように、当分の間ということで、その当分の間というのはいつまでですかという御質問をされていましたけれども、私たちも本当に、当分の間というのはいつまでなんだろうと。例えば、五十日は三年間やりますよ、園田議員も質問していましたように、きちっと受け皿ができた、ある程度通年雇用が解決された、そういうことであれば、私たちも、あるいは北海道の季節労働者の方も納得するんじゃないでしょうか。

 そういうこともなく、常に私は厚労省に申し上げたいことは、例えば療養型病床群もそうです。三十八万床から十五万床に減らす、二十三万床削減する。余りにも、激変緩和と言っていいのかわかりませんが、こういうようなことを常にやり過ぎだと私は常々思っているわけでございまして、まさに北海道の経済にも影響しますし、また、今北海道も、特に夕張問題を含めて大変景気が悪いんです。そういう中で、この特例一時金というのは季節労働者にとっても大事な、生活にかかわってきているわけでございますから、ぜひまた御検討していただきたいと思います。

 そこで、皆さんのお手元にあると思いますけれども、北海道で申し上げますと、これは東北六県との比較を対比したものを出させていただきましたが、十月ぐらいが山としますと、一月、二月というのはまさに谷なんですね。一四・五%ぐらい工事があったものが、一月、二月になりますと三・九。十年度は、若干山が高いですけれども、谷が低い、こういう状況になっているわけでございます。

 この中で、本当に、先ほど私も冒頭に申し上げましたけれども、例えば通年で工事をやるということになりますと、一割、二割は高くなってしまう。民間の事業もなかなかとれない。特に、今、公共事業が削減される中で、公共事業も減ってきている。そういう実態も大いにやはり検証していただきたいと思っております。

 そこで、雇用保険の制定されたときの附帯決議について御質問したいと思います。

 この季節労働問題は、もう私もずっとかかわってまいりましたが、歴史が長くて、昭和四十九年からですから約三十年近くになるわけでございます。私もそのころをよく存じていませんが、これは極めて重要な課題としてこれまで議論されてきたわけですけれども、聞きますと、当初九十日ということだったのが五十日になった。今回は五十日が三十日。まさにそういう中でどんどん日数が下げられてきているということがございます。

 そこで、昭和五十二年の社会労働委員会において、雇用失業対策に係る参考人質疑という中で、その議事録によりますと、参考人の方がこのように述べているんです。

 北海道の場合、債務負担行為、つまり前倒し事業です、などで早期に仕事を出して、一年間働けるようにしてもらいたい、これは北海道民のだれしもが願っているところでございます。私どもは、失業給付だけに頼って生活したいというふうには毛頭考えておりません。冬期間も何とかひとつ内地のように通しで働きたい、そして安定した生活をしたい、これが私どもの心からの願いでございます。このような意見を切々と訴えておられるわけでございまして、季節労働者の皆さんが、今も同じでしょうけれども、働けるところがあれば本当に働きたいという思いがあるわけです。

 そこで、昭和四十九年のこの雇用保険法成立当時の附帯決議が、政府は、雇用保険制度の適切な運用を図るため、次の事項を実現するよう、なお一層努力すべきであるということが第一番目の項目に書いてございます。短期雇用特例被保険者の特例制度の実施に関し、通年雇用の促進、農業政策その他の産業政策、地域政策を総合的かつ強力に進めることとあるわけでございますけれども、これは、季節労働を解消するため、通年雇用、つまり、季節条件にとらわれず年間を通して就労できる環境を政府の責任においてしっかりやりなさいという意味だと思います。

 お手元にありますように、その附帯決議を添付させていただきましたが、これについて、大臣、この特例一時金の見直しの大前提であります通年雇用化の問題、この制度が、先ほど申し上げましたように、創設以来、課題になっているわけでございますけれども、この三十年間、通年雇用化に向けてどのように取り組んでこられたのか、また、どのような努力をされてこの問題について解決したのか、お答え願いたいと思います。

高橋政府参考人 季節労働者の通年雇用化の問題でございますが、委員御指摘のとおり、これまで三十年以上にわたりまして、私どもも、建設業等の季節的業務を中心に、通年雇用安定給付金制度を初めといたしました各般の施策の実施に取り組んでまいってきたところでございます。

 ちなみに、この通年雇用安定給付金制度のうち、中心になります通年雇用奨励金制度、これによりまして、過去の実績等々を御紹介いたしますと、例えばこれまで、多い年では年間二万人から三万人程度、また、この数年間におきましては年間七千人から八千人程度の季節労働者の通年雇用ということが実現をいたしておるわけでございまして、一定の効果があったものというふうにも受けとめておるわけでございます。

 また、従来からも、北海道を初めといたします自治体あるいは関係機関とも連携しながら、季節労働者の通年雇用対策といたしまして、求人の確保、公共職業訓練の実施などに取り組んでまいったところでございますし、また、冬期間の工事の減少ということを踏まえての年間の工事の平準化という観点からも、関係省庁に対して協力を依頼してきておるところでございます。

 こうした努力等々もありまして、結果といたしまして、季節労働者も、平成七年度から平成十七年度までの十年間で見ますと、全国で四十一万七千人から、先ほど大臣も御答弁ございました、十七年度では二十三万五千人という形で、着実に減少してきておるというふうに理解をいたしております。

三井委員 先ほども私は申し上げましたけれども、国会に議席を得まして七年間になるわけでございますけれども、この間、今御答弁されました高橋局長のところにも、あるいは歴代の大臣のところにもこの問題については再三要請に参ったわけでございますけれども、これはやはり通年雇用化へ向けてしっかりと取り組むということの姿勢をもっと示すべきだ。今まで繰り返し繰り返し、私も、北海道から季節労働者の皆さんがいらっしゃるたびに参りました。しかし、そこで本当にいい回答が出てこない。

 そしてまた、パッケージ事業とかそういう事業も北海道でまずは取り組みなさいということで、北海道で新しい事業に取り組んでいるわけですけれども、私はなかなか、そういう中でいい成果が出ていない、こう思うわけでございます。しかし、今答弁もありましたけれども、柳澤大臣はこういうことをおっしゃっているんですね。ひとり雇用政策が担うものではなく、政府、地方自治体による地域経済振興策、あるいは地方企業の自助努力の結果として実現されるのだ、このような見解を述べられているわけですけれども、私もずっと聞いていまして、厚生労働省の皆さんはいつもこのようなことをおっしゃるわけですね。ですから、私は、その中で、やはりこの三十年間の縦割り行政を、もっと政府が一体となって取り組むべきだと思っておりますし、また、受け皿ができなかったのかということを申し添えたいと思っております。

 北海道民の皆さんも、まさにそういう中では、この制度の一時給付金については決して期待しているわけではありませんし、私自身のことで申し上げれば、私自身も今まで地方の地域医療に取り組んでまいりましたけれども、そこにやはり雇用の問題とか、もう地方はどんどんどんどん、大変疲弊していっております。そういう中で、地元の高校を卒業した人たちの就職先がない、あるいは高齢者の就職先がない。そういう場合には、私どもの施設ですとかあるいは病院ですとか、そういうところで優先的に採用していっているわけです。やはり政府としてもそういう取り組みが必要ではないか、私はこういうぐあいに思っているわけでございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、これはいつでしたか、北海道の市町村長が、百十団体が大臣の方に、厚生労働大臣、財務大臣、国土交通大臣、農林水産大臣あてに、雇用保険の特例一時金の廃止、改悪に反対する、国の季節労働者対策の強化を求めるという意見書をこういう束にして大臣のところにお持ちしたと思うんですけれども、これは中を見ていただきましたでしょうか。

柳澤国務大臣 特例一時金に係る要請書ということで、この削減に反対をされ、国の季節労働者対策の強化を求めるという要請書をファクシミリでもって多数いただいたというふうに承知をいたしております。

 地方の団体の長として、この動きに対してこれは意見を申さねばならないという切迫感があるということと同時に、私以外にも、総理はもとよりですが、尾身財務大臣、冬柴国土交通大臣、松岡農水大臣にもこれが提出をされておりまして、それは、先ほど申した季節労働者対策を一層強化することということとの関係であろうというふうに推察を申し上げる次第です。

 それは、先ほど来委員が御指摘になられた、第七十四回臨時国会におきます雇用保険法案に対する附帯決議にもうたわれているところでございますけれども、通年雇用の促進と同時に、農業政策その他の産業政策、地域政策を総合的かつ強力に進めることということでございまして、雇用政策だけでやることにはおのずからある種の限界もあるということを、この点、先取りしまして、やはり雇用の場を確保するということが大事であるから、その意味では、農業政策、産業政策それから地域政策、こういったようなもので総合的に取り組む必要があるということを当初からもう皆さんお気づきでそういう施策を要請されておるわけですが、今回も同様の見地から、私以外にも国交大臣とか農水大臣に対して御要望がなされているもの、このように承知をいたしております。

三井委員 大臣、そこで、全道各地の六千名の季節労働者の皆さんから、五十日の現行給付を維持してほしいというはがきが大臣のところに届いたと思うんですが、ごらんになったでしょうか。

柳澤国務大臣 事務当局を通じて、いただいております。

三井委員 そこで、パッケージ事業が新しい事業としてできました。そういう中で、季節労働者の通年雇用というのはどれだけ今後振り向けられるのか、そしてまた、具体的にこれを示していくことをぜひ私はしていただきたいと思うんですけれども、御答弁願います。

高橋政府参考人 私ども、季節労働者対策といたしまして、いわゆる通年雇用に向けた奨励金制度を中心としての通年雇用化に向けた努力ということを来年度に向けて強力に行っていきたいというふうに考えておるところでございますが、また同時に、いわゆる地域におきます雇用の創造の取り組みということを通じて多様な雇用機会というものをつくり出していく。そういうことによって、季節的業務以外の一般的な業務にもこの季節労働者の方々が転職することを通じて、安定した雇用機会を得ていただくということを考えているわけでございます。

 今委員御指摘のありました、パッケージ事業でどれくらいというお話でございますが、これは、それぞれの市町村等が、市町村等の発意によりまして、こういう取り組みによって地域の雇用の創造を図りたいということに対しまして私どもが事業の委託を行うというスキームで実施をいたしておるものでございます。

 そういう意味では、それぞれの市町村におきましてそうした自主的な取り組みということをぜひお願いする中で、私どもも十分そうしたスキームの中でのせていけるものはのせていきたいというふうに考えておるところでございます。

三井委員 今も御答弁いただきましたが、大臣、先ほど私が申し上げましたように、五十日を三十日という、将来的にはなるんでしょうが、今その中をとって四十日でございますけれども、これは大臣としては大体どれぐらいの、当分の間ということをおっしゃっていますけれども、大体どれぐらいの期間なり、あるいは附帯決議に盛り込むとか、何らかの方法というのは、大臣、お考えでしょうか。

柳澤国務大臣 結局、いついつまでということについてめどが立てば、その日付を少しのアローアンスをいただきながら書き込めばよろしいわけでございますが、そういうことができないというところから当分の間という言葉を使わせていただいておる、こういうことであろうと思います。

 この当分の間の期間として、それではどういう条件が考えられるのか。それを、当分の間という言葉であらわした期間を何か条件づけるものがあるだろうかというふうに考えると、それは、積雪寒冷地に対する地域雇用対策の効果がどのくらい上がってきているかということ、それからまた、給付を受けている季節労働者の実態の動向等、これは、先ほど来職業安定局長からお答え申し上げましたとおり、かなり実は数は北海道の皆さんにおかれましても減少をしているわけでございまして、そういう季節的な労働者の実態の動向というものを踏まえまして期間を決めるということ等が、これを決める主たる条件になるのではないか、こういうように考えるわけでございます。

 そういうことで、政策の効果との相関関係で決まってくるということであろうと思います。

三井委員 どうもありがとうございました。

 ぜひ、特にこれは格差の是正の中の最たるものだと思いますし、今大臣の御答弁の中で、減っているとおっしゃっていますけれども、私から見れば、やはり高齢者がどんどんその中で減ってきたということだと思うんです、季節労働者という中では建設業でございますから。そういうことを申し添えて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 三月十四日の質疑の続きから始めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 同じような質問をいたします。

 自己都合離職の場合、受給資格を被保険者期間六カ月から十二カ月以上とした根拠、理由は何でしょうか。

柳澤国務大臣 短時間労働者とそうでない労働者との受給資格要件の一本化を考えよう、こう考えたわけでございます。これは、言うまでもないことですけれども、公労使三者構成の労働政策審議会において議論を行ったわけでございます。

 そうしまして、やはり、循環的な給付や安易な離職を防ぐということがこの制度を決める場合の非常に重要なポイントであるということなんです。しかし、また他面、解雇、倒産など労働者の側から予見ができない離職、失業といったようなことについては特段の配慮が必要である、こういうことがこの問題のポイントとして浮上してきたわけであります。

 そういう意味合いにおいて、自己都合による離職者の場合には十二カ月にしよう、しかし、解雇、倒産等による非自発的な離職の場合には六カ月にすべきだ、こういうことでございまして、それらの御論議の結論も尊重しながら今回のような決定をさせていただいたということでございます。

内山委員 自己都合で退職している人は離職者全体の六割程度と私は推測をしておりまして、今大臣の御答弁の中にありました、循環的な給付や安易な離職を行っている者のデータというものは、ぜひ根拠をお示しいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 複数回、基本手当を受給した人というのは、率で申しますと、過去三年間で受給者数の三・四%ということでございますけれども、人数で申しますと十九万五千人というような状況になっております。

 それから、一年未満で、自己都合あるいは重責解雇により離職した者の割合というのは、十七年度の実績でございますが、受給資格者の三・六%ということでございました。

 これが審議会の議論のときのデータでございます。

内山委員 今御答弁をいただきました数字ですけれども、調査対象受給者数五百七十二万八千四百六十人のうち、十九万四千七百四十四人が複数で受給をしている。構成比率でいうと三・四%。

 これが循環的給付が多いという裏づけの数値になりますか。どうもおかしい。もう一度、その辺はお話をいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 確かに、今委員がおっしゃられたとおり、受給者数は五百七十二万余りということでございますけれども、二回以上という方々が十九万四千七百四十四人いらっしゃる、こういうことでございます。

 審議会の議論の際に、複数回、基本手当を受給した者の割合を参考のデータとしてお示ししたんですけれども、どの程度、複数回、基本手当を受給した者がいるかにかかわらず、循環的な給付や安易な離職を防ぐことが重要であることには変わりないのではないか、こういう御指摘もいただきまして、今回のような考え方によりまして改正内容を固めたということでございます。

内山委員 今のお答えですと、本当に、まともに審議したのかと、非常に疑問を感じますね。五百七十二万に対して約二十万、三・四%の数字で複数回受給をしている人がいる。それが、循環的な受給が多いと言える数字ですか。おかしいじゃないですか。

 今、一般被保険者の場合には、一年に六カ月の被保険者期間があれば受給資格は得るわけですよ。それを、十二カ月ないと得られない、しかも自己都合であれば。今までと大きくやはり差が出るわけです。そういう大きな変更に対して、たったこういったデータで変えていく。とても信じられない。

 では、もう一度違った側面からのことをお尋ねしたいと思います。

 被保険者期間一年未満で、自己都合で離職されている方の人数というのはどのくらいいるでしょうか。

高橋政府参考人 今の御質問でございますが、先ほど大臣も御答弁ございましたとおり、被保険者期間一年未満の者で、自己都合、重責解雇により離職した者が、これは平成十七年度の実績でございますが、二万二千四百五十五人ということで、この基本手当の受給者実人員六十二万七千八百三十七人に占める割合が三・六%である、こういうことでございます。

内山委員 法が改正になりますと、一年未満で、自己都合で離職をする人たちは、被保険者期間が十二カ月ありませんので基本手当を受給することができない。今の数字の方たちは受給することができないことになるんですよ。受給資格期間を、短時間労働被保険者と一般被保険者の区分をなくして被保険者期間を六カ月にする。それは、短時間被保険者の方は有利になります。しかし、一般被保険者の自己都合離職者は、受給資格期間が六カ月から十二カ月というふうに延びるわけで、極めて不利になるわけであります。

 そもそも、離職理由によって受給資格期間に差をつける、受給資格に差をつける、おかしいじゃないですか。なぜ離職理由によって異なる扱いをするのか、そこをお尋ねしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険制度の基本というものに立ち返って考えますときに、やはり、予期せざる失業に対して十分かつ的確な給付を行っていくというのが雇用保険制度の基本でございます。

 そういう意味では、これまでの改正の経緯の中でも、あらかじめ失業が予見をされる、つまり自発的な離職の方と、あらかじめ予見されない形で解雇される場合の受給者との間で、やはり雇用保険制度としてはそれなりの制度的な違いというものを設定していく必要があるということでございまして、先ほど大臣からも御答弁ございました、雇用保険部会におきまして御提出させていただきました資料、数字というものも、これもある意味では、例えば複数回の受給者というものが、この方がすべて安易な云々ということでは当然ないわけでございます。実態として複数回受給している方がこれぐらいおられる。

 そういう中で、先ほど申し上げましたような雇用保険制度の基本というものを踏まえて考えるならば、安易な離職でありますとか循環的な離職というものと、いわゆる予見されずに解雇される等々の離職とは、おのずから受給資格というものは異ならせてしかるべきではないか、こういうようなことでございます。

内山委員 答弁、矛盾しますよ。安易な離職というのが三・四%じゃないですか。離職理由によって受給資格が違うというのはおかしいじゃないですか。もう一度答弁してください。大臣でお願いします。

柳澤国務大臣 確かに雇用保険というのは、離職をしたときに、その後の生活をある一定期間助けてもらうということでございますけれども、やはり基本のところは、非自発的な離職、失業ということを我々としては重視していくべきであろう、このように考えます。

 これはもう、そう私は思いますので、今回のことが、雇用保険の原点に立ち返ったときに、そう無理なことをお願いしているという筋のものではないのではないか、私はこのように考えるわけでございます。

内山委員 雇用保険法の第三十三条に、安易な離職を防ぐための給付制限というのが今でもあるわけです。それが十分機能しているはずです、安易な離職を防ぐ、循環的な給付を防ぐために。それをどういうふうに考えますか。

高橋政府参考人 確かに、御指摘のとおり給付制限というものの仕組みがあるわけでございます。

 これもまさに、先ほど大臣が御答弁いただきましたような雇用保険制度の原点ということを踏まえて給付制限制度というものがあるということでございまして、したがいまして、今回の受給資格の資格要件の見直しも、その雇用保険制度の原点ということに関しましては同一の考え方というふうに理解をいたしております。

内山委員 答えになっていないんです。

 短時間労働被保険者の非自発的な離職に対しては十二カ月から六カ月に救済をする、それはとてもいいことです。ありがたいことです。しかし、一般被保険者の離職に関して、六カ月でやめたとして、現在三カ月の給付制限があるじゃないですか。十分そこで機能しているじゃないですか。その整合性はどうやって判断するんですか。大臣、お願いします。

柳澤国務大臣 これは、循環的な離職であるとかというものを防ぐということの中で、しかし、そういうことではあるんだけれども、やはり非自発的な失業ということを大事にしていこうということでありまして、今度の、その前の在職の期間についてそこに一定の見方の差を設けることと矛盾をするということではないと私は思います。

内山委員 非自発的離職の人を守る、それだけでいいじゃないですか。何で一般被保険者の受給資格が六カ月じゃだめなんですか。今までどおりでだめなんですか。雇用保険法第三十三条で給付制限が三カ月あるじゃないですか。それで十分機能するじゃないですか。理由になっていないですよ。質問が続けられない。きちっと答弁してください。

柳澤国務大臣 受給期間制限があればそれですべて足りているということで、それ以外のそうした区別はもう絶対存在することはあり得ないんだという考え方に立たれているかもしれませんけれども、私どもは、こういう制度で、両方それぞれが成立をしてそれぞれの機能を果たしていくということはちっとも、御議論の対象にはなり得ても、それじゃ片方の議論が全く成り立たない議論かといえば、そうは考えないのでございます。

内山委員 答弁と質問がかみ合わないですね。

 いいですか、現在でも十分給付制限で機能しているんですよ。非自発的離職の人は十二カ月から六カ月にしてもらう、これはありがたいことです。だけれども、一般被保険者の受給資格をなぜ十二カ月に引き上げるのか。おかしいじゃないですか。循環的な給付、安易な離職、それは現在だって給付制限で十分ブレーキがかかっているんですよ。今の説明、大臣も担当者の説明も全然答えになっていない。質問が続けられないですよ。

高橋政府参考人 給付制限は、これは自発的な離職及び重責解雇の方についての規定でございますが、今回の受給資格に係る離職理由による受給資格要件の違いというのは、被保険者期間が六カ月から一年の間の方々について、従来、一般被保険者の場合ですと、六カ月でよかったものが十二カ月必要になってくる。逆に、短時間の方につきましては、十二カ月必要だったものが、自発的以外の、いわゆる非自発的な場合には六カ月で受給資格が出るということでございまして、給付制限の問題と受給資格要件の問題というのは、それぞれ独立して設定はされておりますが、先ほど来申し上げておるとおり、循環的なと申しますか安易な離職を防ぐという意味でのそれぞれの側面からの一定の雇用保険制度の原点を踏まえた規定というものは当然併存し得るというものでございます。

内山委員 循環的な給付や安易な離職を防ぐために六カ月から十二カ月に延ばしたんでしょう、受給資格を。だから、おかしいじゃないですか、言っていることが。

 そもそも今、給付制限がある。それが十分機能しているんですよ。安易な離職や循環的な給付、これを防ぐために延ばした。だけれども、現に今機能している部分があるんですよ。だから、こんなことをやる必要はないじゃないですか。

高橋政府参考人 給付制限についての御指摘はそのとおりでございますが、これは、雇用保険部会におきますさまざまな議論の中で、給付制限というこの制度だけで安易かつ循環的な離職というものを防止していくということに関して、雇用保険制度の基本に立ち返ったときに十分かということで、今回、あわせてこの受給資格要件についても一定措置をすべきだ、こういうような御議論の結果、今回こういう形で御提案をさせていただいているというものでございます。

内山委員 もう一度聞きます。

 六カ月から十二カ月に引き上げたその理由は何ですか。

高橋政府参考人 六カ月から十二カ月に受給資格要件を引き上げたというのは、今申し上げましたとおり、短期間で離職をされるというものをできるだけ防止していくことが必要である、こういうことで、今回こういう形で提案をさせていただいているというものでございます。

内山委員 今、答弁にありました、防止をするためにと。

 では、雇用保険法の第三十三条の給付制限はどういう役割になるんですか。

高橋政府参考人 給付制限は、まさに自発的な離職というものをできるだけ、自発的な離職というものが当然あり得るわけでございますが、非自発的な方々との比較対比の中で給付制限が設けられているということでございます。

内山委員 だから、機能をしているということでしょう。だったら直す必要はないじゃないですか。そこは全くおかしいですよ。

 では、聞きますよ。

 例えば、今、正当な理由がある、自己都合退職でも給付制限を受けない場合の取り扱いというのがありますね。例えば、被保険者の身体的条件に基づく退職、妊娠、出産、育児等により退職する場合、受給資格九十日を延長する場合、家庭の事情が急変したことによる退職をした場合、配偶者等との別居生活の継続が困難になったことにより、これらの者と同居するために通勤が不可能または困難となる住所へ移転した場合の退職、こういった扱いはどうなるんですか。

高橋政府参考人 自発的な離職をした方につきまして、その中で、その理由にかかわりまして、正当な理由がある場合は給付制限というものはかかっておりません。

内山委員 では、改正法になりますと、この人たちは被保険者期間何カ月で受給資格が発生するんですか。

高橋政府参考人 その場合につきましては十二カ月が必要であるというふうに考えます。

内山委員 大変不利じゃないですか。大変不利でしょう。

 いいですか、正当な理由がある受給資格の場合には、今は給付制限をかけないんですよ、私が申し上げたところで。その人たちは六カ月で受給資格が発生して、すぐに失業給付、基本手当を受けられるんですよ。それを十二カ月に引き上げた上で、さらにこういう扱いをする。おかしいじゃないですか。(発言する者あり)

櫻田委員長 お静かに。

柳澤国務大臣 受給資格要件と支給期間の制限とが全く関連し合わなければならないものか。私は、それはそうではないと思います。先ほど来、そういう前提で、内山議員、論を展開されておりますが、受給資格要件というのは、過去にどれだけ勤めてくださっていたかということを、離職する際に、給付をいただく要件として認めるかどうかという問題です。

 実際に、今度は自己都合の場合、今度の場合には十二カ月の被保険者期間が必要だということですが、それで始まった支給について期間を一ないし三カ月制限するということとは、別段、両立する話でございますので、こういう支給期間の制限がある中でも、過去の被保険者期間というものによって、理由によって差等を設けよう、そういうことによって一定の政策目的を達しようということに何か大変な矛盾があるようなお立場での議論というのは、私どもはちょっと理解ができないのでございます。

内山委員 大臣は現場のことがわからないから、今そういう話をされたんでしょうね。でも、大変大きなことですよ。

 私が事例で申し上げました、例えば、被保険者の身体に基づく退職とか、妊娠、出産、育児によってやむを得ずやめる、こういう人たちは非自発的離職と同じ扱いになるわけですよ。だけれども、その被保険者期間、受給資格を得るのに、今は六カ月でいいにもかかわらず、十二カ月ないと失業給付が受けられない、基本手当が受けられない。大きな問題ですよ。

 もっと細かい問題でいいますと、通勤不可能な地域へ行く。例えば、結婚をして住所が変わる、育児に伴う保育所の関係で転居する、それから事業所が通勤困難な地へ移転をする。まだまだ読み上げるといっぱいあるんですけれども、こういう事案でやむなくやめた、自発的にやめた。それは、今の扱いでは六カ月で基本手当を受給することができる。しかし、その人たちは十二カ月ないと基本手当を受けることができない、受給資格が発生しないというのは、物すごく影響がありますよ。

 何も私は、六から十二、こういう数字のことを言っているんじゃないんですよ。六カ月という今までの定着した中で、この仕組みは社会に浸透しているんですよ。それを十二に引き上げて何の影響もないみたいな答弁は、これは実際、大臣は現場をわかっていない証拠ですよ。

柳澤国務大臣 何回も同じようなことを申し上げる結果になりますが、仮に自己都合で退職をされるというときに、自己都合ですから、あらかじめいろいろ予定もありましょうということです。そういう方が、過去、六カ月でもよかったものを、今回は一年、被保険者期間が必要ですということを我々は今度申させていただいているわけでございます。

 そういうことは、先ほど来申し上げているように、何といっても自己都合ですから、循環的な給付や安易な離職を防ぐことが重要だという審議会等の御議論、こういうものを踏まえてそういうことにしたということでございます。

 そして他方、解雇、倒産等の場合など労働者が予見できない失業ということについては、私どもは、労働者がみずからの意思で離職をするわけではないんですから、これについては六カ月というものを、今度は短時間労働者の被保険者といえどもこれを認めていこうという考え方に立って整理をしているわけでございます。

 きのうもこれは申し上げたことですけれども、要は、労働者が予見できない失業ということにつきましては、いろいろ世の中には事情があるでしょうから、そういうものの中で、これはもう省令ですから、そこはよく検討して、実情に合った規定を設けようということは、昨日も私が申し上げたところでございます。

内山委員 大臣は、非自発的離職と正当な理由がある自己都合離職、これが混同されていますね。整理されていないですよ。

 私が今事例を申し上げたのは、正当な理由がある自己都合離職なんですよ。正当な理由があるんですよ。やめたくてやめるんじゃないんですよ。家庭の事情が急変した、自分の事情じゃない。転居できないところに行かざるを得ない、会社が転居してしまった、通勤できない、本人の理由じゃないんですよ。倒産、解雇じゃなくて、自分でやめたくなくてもやめざるを得ない、通勤、事業所には行けない、こういったものが正当な理由のある自己都合離職なんです。

 その自己都合離職と非自発的離職、これは大きく区別をして考えなきゃならない。だからこそ申し上げているのは、正当な理由がある自己都合離職は、今までは六カ月で基本手当をもらうことができた。だけれども、十二カ月の被保険者期間がなければもらえない。これは非常に大きな改正なんですよ。改悪なんですよ。

柳澤国務大臣 内山委員の提起された具体的な事案がどういうものであったかということをちょっとつまびらかにしないままに申し上げるんですが、現在の特定受給資格者の解雇等の要件としても、例えば、事業主が労働者の配置転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続的な就業に必要な配慮を行っていない、配置転換をして、もう実際上、就業を継続できないというような場合には解雇等に準ずるということで、これはもう、どちらかというと非自発的な離職、失業という範疇と同一視している。

 こういうことでありますので、そういったことをこれからも参考に、具体の例についていろいろな、世の中は動いておりますから、それらを的確に拾って、省令によって手当てをしていこう、こういう考え方であるということを申し上げているんです。その具体の事案について、拾いますとかということは私は申し上げてはおりません。

内山委員 法が改正されれば、受給資格を六カ月から十二カ月に引き上げるわけでしょう。今大臣が申し上げた点はたったの一つですよ。だけれども、私が申し上げた、結婚だとか出産だとか、交通事情の問題等によって通勤できない、これは正当な理由がある自己都合離職なんですよ。その人たちを六カ月から十二カ月に引き上げるというのは大きな改正だと言っているんですよ。

 では、政省令で、その人たちを、十二カ月未満でも六カ月と同じような扱いで、給付制限もかけずに受給資格を発生させるようにするんですか。

高橋政府参考人 今大臣からもお答えございましたとおり、やめたその背景事情として、例えば賃金が大幅にダウンしたとか、それから今大臣からも御紹介がございましたとおり、配置転換等に際して職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないとか、さまざまな事例の考え方を省令で規定いたしまして、こうした場合には、みずからやめたとしてもそれは非自発的な失業に準ずるものということで、特定受給資格者として定めておるわけでございます。

 それで、個々具体の事例に即して、ここで、これはどうか、あれはどうかというのはお答えはしかねるところでございますが、いずれにしましても、よくその実態を把握した上で、省令の中できっちり、特定受給資格者に当たると考えられる正当な事由についてはしっかり書き込んでいく、こういうふうに考えております。

内山委員 私は、厚生労働省の皆さんの政省令でお任せするということは全く信用していません。

 十六年の年金改正法のときにでも、ことし、十九年の四月から年金の離婚時分割ということを議論しました。しかし、そのときには全く触れていなかった、例えば、第一号改定者からいただいたみなし被保険者期間が第二号改定者の受給資格期間に使えない、しかし、第二号改定者に支給されるべき老齢基礎年金の振りかえ加算が、第一号改定者の被保険者期間と第二号改定者の被保険者期間が二百四十月以上になるものは振りかえ加算を支給しない。こんなこと、十六年の年金改正法のときには全く審議しなかったじゃないですか。政省令で書きますみたいな形で法案が出てきて、ことし、十九年の四月、もう来月ですよ、大きな問題になっていますよ。

 加給年金が六十五歳から振りかえ加算になって、それをもらって離婚をしよう、こういう人たちが、実は、自分自身の厚生年金の加入期間と、夫から来るみなし被保険者期間が二百四十月以上になると振りかえ加算がもらえない。年間十三万から十六万円の大きな金額。こんなことを政省令で皆さんに任せていたら、とんでもない仕組みになりますよ。ここできちっと議論をしなければならないじゃないですか。

 どうも、審議会で何をやっていたのか。公労使三者構成の労働政策審議会は、一体どのくらい議論して、どういう議案をきちっと話をしていたんですか。こういったところは基本の基本じゃないですか。なぜ、今こうやって質問をして、すぐ答えられないんですか。個別の事案なんというのはいっぱいあるんですよ。一つ一つ今ここで求めましょうか、私が。それをどうするのか、どうしないのか、答えをいただけますか、高橋さん。

 被保険者の身体条件に基づく退職はどうするんですか。答えてください。

高橋政府参考人 従来の六カ月から一年になることによりまして、それに伴って、仮に正当な事由に当たるような方々について不利益な扱いにならないように、そこはこれから省令の中で、そうした今委員の御指摘等々も頭に置きながら、不利益にならないような形で設定をしていきたいというふうに思っています。

内山委員 今六カ月で受給資格が発生しているのに、十二カ月以上とする。ならないように、では検討する。きちっと出してもらわなきゃ、ここでとてもこれは法案審議できませんよ。おかしいじゃないですか。国民に大きな影響がありますよ、大臣。

 こういうことをやっていますと、これから、受給資格が発生しないで失業保険をもらえない人たちがいっぱいふえてきますよ。新しい社会問題が起きますよ。

櫻田委員長 内山晃君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

内山委員 答弁をしてください。

柳澤国務大臣 法律の答弁は、先ほど来、繰り返し申し上げているところでございます。

 今回、受給資格要件を統一するということを考えました。これは、短時間労働被保険者が、これまで、十二カ月なければ、仮に解雇、倒産されたときでも失業給付の対象にならない、こういうことで、これを救済しようということの中で受給資格要件を統一することにいたしました。

 その際、基本は、解雇、倒産等の場合の被保険者期間を六カ月にいたしたわけでございますけれども、自己都合離職者等については、従前の短時間労働被保険者の場合と同様に十二カ月にして、そういうことを通じて、循環的な給付や安易な離職を防ぐということが重要だという指摘にこたえよう、こういうふうにしたというのが今度の立法の趣旨でございます。

内山委員 柳澤大臣のおっしゃることはもっともです。ですから、私はそのとおり聞いています。しかし、一般被保険者の受給資格を、十二カ月未満の方は、今こういう正当な自己都合離職があるにもかかわらず救済されない。だからおかしいんじゃないか。短時間労働被保険者の人を十二カ月から六カ月にして、非自発的離職、救済をすることは、当然、改善でいいことだと思います。だけれども、一般の人、今ある一般被保険者の人を、あえてこれは条件を非常に悪くするんですよ。ここが問題だと言っているんですよ。

 離職理由によって受給資格が異なる、そもそもそこもおかしい。十二カ月未満の人たちで、自分の都合じゃない正当な理由があるにもかかわらず失業保険をもらえない、基本手当をもらえない人たちがたくさん出てくる。それはどうやって救済するんですか。これから政省令で書きますと言ったって信じられないですよ。

柳澤国務大臣 今、内山委員は、自分の都合ではない正当な理由、こういうことをおっしゃられました。そのことについては、私どもは、省令を制定する段階でよく吟味をさせていただくという御答弁を申し上げているわけでございます。

内山委員 空手形を切るようなものじゃないですか。中身がわからないじゃないですか。中身がないものを私がお金を出して買うようなものじゃないですか。中身がないものを国民が買うようなものじゃないですか。

 だから、中身をきちっと見せてくださいよ。全部出してからやりましょうよ、この続き。重要なことですよ。

柳澤国務大臣 ですから、たびたび申し上げておりますとおり、自己の都合によらない正当の理由があることについて、これはもうケースとして非常にいろいろ、内山委員はお詳しいわけですから、たくさん例を挙げていただきましたけれども、私どもとしては、やはり省令でこれを書くということになりますと、これは一般規範でございますので、それなりの注意を払いながら書くということになりますので、そういうことは必ず書かせていただきますということを御答弁申し上げているわけであります。(発言する者あり)

内山委員 ここの場で審議しなければ、いつ審議するんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにいろいろな事由、千差万別あるわけでございますが、委員が先ほど御質問の中で御指摘のございました、例えば出産でありますとかあるいは育児でありますとか、そういう事由でやめられた方につきまして、従来ですと六カ月あれば確かに受給資格が出てくる。これが仮に、今回の提案のように十二カ月の被保険者資格が必要だ、こうなりました場合に、こういう事由について、現在の特定受給資格者の範囲からは確かに規定がございません。しかし、こうした方々については、今回の改正を受けての省令の中には追加をしていきたいというふうに私ども考えておる次第でございます。

内山委員 就業規則だって不利益変更は認められないんじゃないですか。これは不利益変更じゃないですか。就業規則を出すときに、後で細かい部分は出しますよと、青木さんがちょうどおられるが、それで通りますか。

柳澤国務大臣 現行の制度のもとにおきましても、解雇、倒産につきましては、特に解雇ということについては、もろもろのバラエティーのある事由が省令で規定をされているところでございます。したがいまして、先ほど内山委員がおっしゃられた自己の都合でない正当な理由がある場合はどうかということについては、私どもは、できるだけ具体的にこれを省令で規定するという考え方で進んでいきたい、このように考えております。(発言する者あり)

櫻田委員長 内山晃君、質問を続行してください。内山君、次の質問をどうぞ。(発言する者あり)御静粛にお願いします。

 内山君、質問を続行してください。

内山委員 不利益変更なんです、不利益変更。これをどういうふうにするんですか。後で書きますでは、ここでは納得できないですよ。どんなふうにやるんですか。きちっと明確に出してください。

高橋政府参考人 六カ月から十二カ月の範囲内で従来受給資格が出たものが、十二カ月になることによって受給資格が仮に失われるようなケースの場合、この中で正当な、まさに正当な理由があるものについては、今回すべて、省令を改正することによって新たに盛り込んでいくということは考えておるところでございます。(発言する者あり)

櫻田委員長 内山晃君、質問をしてください。答弁は一たん終わっておりますので、内山君、質問を続行してください。

内山委員 不利益変更ですよと言っているんです。ですから、内容をきちっと出して明示してくださいと言っているんですよ。

高橋政府参考人 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、従来の特定受給資格者の範囲として定められております解雇等に準じたさまざまな事由、これに加えまして、新たに六カ月から十二カ月になることによって受給資格が出てこないような方々につきまして、不利益変更にならないよう、すべて、正当な理由がある場合についてはそれを新たに盛り込んでいくということでございます。

内山委員 そもそも法案を審議するときに、そういう骨子だけを審議するということは国会軽視ですよ。私は、非常に十六年の年金改正法のときにも強く思いましたね。与党の皆さんは、まだこれから細かいところを、細部を調整するから担当の参考人は言えない、こう言っていますけれども……(発言する者あり)委員長、不規則発言があります。

櫻田委員長 質問を続けてください。

内山委員 きちっとこういうところは、物すごく重要なことなんですよ。そういうものを全部挙げて審議すべきじゃないですか。皆さんにそっくりお任せして、いいものができたためしがありますか。私は、年金改正のときには非常に最悪だと思っていますよ。(発言する者あり)いや、離婚時分割なんか、条文をよく見てください。とんでもない仕組みになっている。こういう仕組みだからこそ、今細かいところをきちっと確認させていただいているんですよ。

 これは大変なことになりますよ、大臣。もう一度申し上げますけれども、十二カ月未満で受給資格が発生しない失業者がいっぱい社会現象としてあらわれますよ。そういったときに、大臣、どういう責任をとるんですか。大臣の答弁を求めます。

柳澤国務大臣 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、短時間労働被保険者と短時間労働被保険者以外の方々がこの点で差等をつけられているということについて、今回是正をして、短時間労働被保険者の方々も一般と同じように六カ月でもって解雇、倒産等の場合には給付を受けられる、そういう資格を持ってもらおう、こういうことで考えた法改正でございます。

 そして、今回、循環的給付やあるいは安易な離職を防ぐということは重要だよ、こういうことを審議会の委員からも指摘されていることもございましたので、今回は、短時間労働被保険者か否かを問わず、自己都合の方についてはこれを十二カ月の被保険者期間を必要とするという改正を法律上することにいたしました。

 今委員の御指摘は、そうは言い条、実は自己都合でない正当な理由があるがために六カ月でやめる必要が出てくる方々も出てくるじゃないか、こういう方々をどうするんだ、こういう問題提起がございました。私どものねらいは、循環的な給付や安易な離職を防ぐということが目的でございますので、そういうことでないということが確かめられるような、自己都合でない正当な理由、安易な離職をして循環的な給付をもらおうというようなことでない、本当に正しい理由がある者については従来と同じように救済ができるような規定を省令の中に規定していこうということでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

内山委員 大臣の今の答弁を確認させていただきたいと思います。大変重要なことですから、よく聞いていただきたいと思います。

 今お話をいただきました中で、正当な理由がある自己都合の離職の場合には、被保険者期間が六カ月しかなくても、十二カ月未満であっても給付ができるようにする、こういうふうなお話でよろしいんでしょうか。

柳澤国務大臣 私の話は、先ほどの解雇等の理由のところを主に御説明したつもりですけれども、答弁全体において、別段誤りをしているとは私は思っておりません。

内山委員 確認をしているんです。大臣、よく話を聞いてください。

 大臣が今おっしゃった中で、私はこう理解をしたんです。正当な理由がある自己都合離職の場合、被保険者期間が十二カ月未満であっても、基本手当、失業給付を受けることができるんですねと確認をしておりますので、答弁してください。

柳澤国務大臣 短時間労働被保険者で自己都合の場合には、十二カ月以上で受給資格要件が発生するということです。(内山委員「全然違う、答えになっていないですよ」と呼び、その他発言する者あり)

 自発的に離職した者につきまして、我々にとって重要なのは、循環的な給付や安易な離職を防ぐということが重要なんです。ですから、自発的に離職した者についても、そうしたことでない、正当な理由があるというような、あえて言えば客観的な、そういう自分勝手なことでないような正当な理由がある場合には、これは解雇等と同じように救うような規定を省令に盛り込んでいきますということを申し上げたんです。そのとおりでしょう。

内山委員 後ろの担当者の方はうなずいておられますから。

 もう一度聞きますけれども、正当な理由がある自己都合離職の場合、給付制限を受けない扱いはいろいろ先ほど述べました。でも、これは、被保険者期間が十二カ月未満の人でも受給資格が発生するような措置を講じるということでよろしいわけですね。

高橋政府参考人 正当な理由があると判断する場合には、そのようにさせていただくということでございます。

内山委員 ほかの問題を抱えてきておりましたけれども、大島さんの時間までいただきました。

 これで質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。時間が限られておりますので、端的に伺います。

 積雪寒冷地などで季節的に雇用される季節労働者の特例一時金が五十日から三十日に減額される、当分の間、四十日間というものがございますが、これには、まず北海道議会を初め、多くの市町村議会から意見書が上がっております。

 まず、その数がどのくらいであるのか、大臣はこれらの意見書をどのように受けとめられるのか、伺います。

柳澤国務大臣 本件改正案につきまして、要請書等が提出をされたり、あるいは実際に役所にお見えになって要請の趣旨を口頭でお話しになられたことがあったようでございます。

 要請書等によるものは、合計百十件ということでございます。

高橋委員 ですから、その要請を受けて大臣の感想を伺っております。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

柳澤国務大臣 これは、地域的にも広がりが限局されているということもございますので、その地域の方々が熱心に御要請になられたということを感じます。

高橋委員 ちょっと、今の答弁は非常に驚きました。熱心に、その程度の感覚ですか。私は、これはちゃんと通告しておりますので、もう少し誠意ある答弁がいただけると思っておりました。百十件ですよ。道内百八十市町村のうち、過半数を超えているんです。道議会からも寄せられている。それを熱心だと。それは、まさに命と暮らしがかかった請願に対して、その程度の認識は本当に不謹慎ではないかと思っております。

 季節労働者二十三万四千三百三十九人、最も多い北海道における季節労働者は十三万四千九百六十人です。北海道の平成十七年十月一日の失業者数が十三万六千人です。つまり、全道の失業者数と丸々同じくらいの数が季節労働者だ、大変な影響力だと思うんですね。地域によっては、雇用者に占める季節労働者の割合が十割を超すところもあると思います。季節労働者の趨勢が地域経済に与える影響が大きいと思いますが、いかがですか。

高橋政府参考人 今回の特例一時金の給付水準の見直しにあわせまして、同時に、通年雇用化を促進する施策を強化いたしますとともに、ハローワークを初めとして地域レベルでの相談支援体制の強化等々を図るなど、自治体あるいは業界団体との連携を十分に密にする中で、季節労働者の通年雇用化に向けた各般の取り組みを行うことといたしております。

 また、これらの施策とともに、雇用情勢が厳しい地域に支援を重点化するための地域雇用開発促進法の改正案を今国会に提出させていただいているところでございまして、この改正地域雇用開発促進法に基づく施策等も含めて、総合的に地域対策を講ずることによりまして、地域におきます雇用の確保ということに実効性を期してまいりたいと考えておるところでございます。

高橋委員 これも聞いたことに答えておりません。北海道全体の雇用者数に占める季節労働者の割合は五・八%です。ただ、安定所別に見ますと、例えば紋別が一三・五%、稚内一一・四%、岩内一〇・五%というように、非常に大きいところがございます。地域の中で季節労働者の占める割合が大きい、そういうところは本当に地域経済に与える影響も大きいということをお認めになりますね。

高橋政府参考人 地域に与えるそうした影響ということも当然頭に置きながら、今御答弁申し上げたような各般の施策を講ずることによりまして、地域におきます雇用機会の確保ということに万全を期していきたいと考えております。

高橋委員 そうした中で、今回の減額というのがどれほどの影響があるかということを指摘しなければならないと思うんですけれども、まず、今回、この問題が提起されるに当たって、特例一時金が循環的な給付である、あらかじめ失業が見込まれているものだ、そういうふうなことが言われております。確かに、データを見ますと、十回以上の給付が五一%を超えているなど、長く繰り返し受ける方もいらっしゃいます。しかし、それはそういう事情があるわけです。

 まず、ここで伺いますが、新たに季節労働に入ってくる人はどのくらいでしょうか。また、その理由は何でしょうか。

高橋政府参考人 北海道庁が十六年三月に実施をいたしました季節労働者実態調査報告書によりますと、毎年、毎年といいますか、その年でございますが、大体、おおむねそういうことだろうと思いますが、全体の中に占める、新たに季節労働者になられた方というのが五%程度と承知をいたしております。

 季節労働者になった理由でございますが、やはりこの調査に基づきますと、常用の仕事がないためが最も多くなっております。他方、仕事内容が自分に向いている、あるいは冬期間休暇がとれる等の理由で季節労働者になった者も一部見られるというところでございます。

高橋委員 今の局長が御紹介してくださった資料、皆さんのところにつけてあります。三枚目の資料でありますが、北海道庁が昨年調べた季節労働者の実態調査でありますけれども、ことしからが四・七%、昨年からが五・二%というように、やはり毎年のように新しく季節労働に入る方がいらっしゃるという実態がまずございます。そして、圧倒的に多いのが、常用の仕事がない、四七・二%、そして、それを始める前の雇用形態は、常用雇用だったのが三七・四%、家業の有無が、なし、九五%、こういう実態であって、まさに先ほど三井委員がお話をされたように、専業であるということもあるわけですね。そのことをまず見るときに、新しく季節労働に入らなければならない、常用雇用であったけれども入らなければならない事情が発生しているんだということをまず見る必要があると思います。

 そもそも、北海道は昨年度の設計労務単価が一万五千三百五円、全国一低い。同じ北海道庁の調べによると、季節労働者の年収は二百万以下が三五・六%、百万円以下も九・五%もいらっしゃいます。こうした中で、平均二十五万円くらいという特例一時金はまさに命綱になっているんです。それでも春まではもちません。半年の失業期間は生きている心地がしないと悲鳴が上がっています。

 例えば、苫小牧の四十三歳の男性、子供さんが一人いらっしゃいます。十八年通年雇用された中堅クラスの企業を退職しました。現業から事務部門へ配転されて、仕事になじめませんでした。季節労働者になって百五十万円も年収が減った。もう一度通年雇用になりたいと面接に行くと、今より安い派遣会社しか求人がありません。子供二人目はとても産めない、七十過ぎた母がひとり暮らしと途方に暮れています。この方は最後に、私の希望は、仕事が通年雇用され、安心して生活できる収入を得て、親子三人が細々でも生きていけることです、ぜいたくでしょうか、私たちを助けてくださいと訴えております。

 二枚目に事業所の調査を載せていますが、積雪地のため事業の継続ができないと答えた事業所が六五%もございます。こうした地域的な深刻な実態があること、それでも多くの方が、今紹介した方のように、できれば通年で働きたいと思っているんです。意見書を読んでいただければわかりますが、北海道としても市町村としてもそのために努力はしている。しかし、それだけでは足りないから国の支援が必要なんだ。本人が好んで季節労働になり、特例一時金で楽をしようとしているのではありません。大臣、この思いに答えるべきではないでしょうか。

柳澤国務大臣 循環的な給付でありますこの特例一時金につきましては、かねてより実は見直しの必要性が指摘されてきたところでございます。

 今回の改正におきましてはそういう見直しを行ったのでございますけれども、見直しの後の給付水準としては、ほかの被保険者とのバランス等を考慮して決めさせていただきました。しかし、それに加えまして、やはり実際のこの関係の受給者の労働者の実情等に照らしまして、当分の間、四十日間ということにさせていただいた次第でございます。

 積雪寒冷地を初めとする雇用情勢が厳しい地域の雇用対策につきましては、事業主が行う通年雇用化を支援する施策等の充実強化によりまして、季節労働者の通年雇用化を、現にかなり少なくなってきましたが、一層促進するとともに、雇用情勢が厳しい地域に支援を重点化するために、地域雇用開発促進法の改正案を国会に提出しておるところでありまして、これらを通じまして地域雇用対策の拡充を図ってまいりたい、このように考えております。

高橋委員 今大臣、真ん中のところで、実際の労働者の実情に照らしてとおっしゃいました。私、今、ほんの一部ですけれども、労働者の実際の声を紹介させていただきました。最初に大臣に感想を求めたときに、熱心なことだという感想でありましたけれども、決してそうではない。本当にこれが命綱なんだという必死な思いをしっかり受けとめていただいて、当然、総合的な対策は必要だけれども、しかし、そこにたどり着くまでの命綱を切るべきではないということを重ねて要望しておきたいと思います。

 さて、出稼ぎ労働者も、ピークだった昭和四十七年の五十四万九千人から、今は三万三千人まで減少しています。こちらの方は青森県がトップ、九千六百十三人となっています。しかし、その背景は、単に景気がよくなったとか仕事がふえたということではありません。農家人口そのものが減少している。通年出稼ぎになっている。出稼ぎ先そのものが減少している。こういうふうに、決して出稼ぎしなくてもよい環境になってきたのではないんです。厚労省の出稼ぎ労働者実態調査を見ても、一割が女性です。そのうち三十歳未満が六割を超えている。これも大変驚かされる実態であります。

 そうした中で、今回、都道府県への補助が廃止をされました。今年度は八千七百万円ありました。出稼ぎ就労前の健康診断、地域相談指導員などの事業が行われていました。季節労働だからこそ、健康診断の確実な実施、その後のフォロー対策が重要であります。また、県への補助がなくなれば、市町村への補助がなくなるなど、影響が出るのは避けられないのではないかと思います。この点について伺います。

高橋政府参考人 出稼ぎ労働者対策のお尋ねでございますが、出稼ぎ労働者の減少でありますとか、これまでの実績等を踏まえまして見直しを行いました結果、平成十九年度におきましては、御指摘のとおり、都道府県事業に対する補助金を廃止させていただくことといたしております。

 今後、この出稼ぎ労働者対策につきましては、新たに出稼ぎ労働者就労支援員を送り出し地及び受け入れ地に配置いたしまして、必要な対策をとっていきたい。

 と同時に、健康管理対策についてのお尋ねがございましたが、出稼ぎ労働者に対しまして健康診断を実施しております受け入れ事業所は七割強となっておりまして、かなり既に実施をされている実態がございます。ただ、健康診断未実施の事業所もまだあるということでございますので、そうした事業所に対しましては、この出稼ぎ労働者就労支援員を活用いたしまして、必要に応じた健康診断の実施等について助言指導を行いながら、出稼ぎ労働者の健康の確保に努めてまいりたいと考えております。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

高橋委員 私の大先輩に当たる青森県の故津川武一代議士が、七〇年代、米とリンゴと出稼ぎ者を守れと、聴診器を持って東京の飯場を歩いて健康診断をやり、また、出稼ぎ者の声を繰り返し国会で取り上げました。今の職場の健康診断の問題やあるいは立てかえ払い制度などが整備をされてきた、そのことに津川さんのこうした活動が生かされているということは本当に誇りに思うし、また、それが今心細くなっているということに大変懸念をしております。

 今の若い人たちの働かせ方、派遣や請負、期間雇用などということを見ると、また新たな現代的な出稼ぎという問題が想起されているのではないか、そのことを本当に考えております。大臣、そのことの問題意識もしっかり持っていただいて、今の出稼ぎ対策を維持していただくように要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 柳澤大臣にも、連日、昼食もとらずの激務で、本当にお体も大事にしていただきたいと思います。

 一昨日、私がこの委員会でお願い申し上げました、タミフルをめぐる研究班の、特にいろいろな研究費の助成の問題についても、大臣はお調べいただくという御答弁でありましたし、残念ながら、きょうまだ御報告はいただいておりませんので次回にさせていただきたいと思いますが、その際、二点にわたってお願いがございます。

 実は、このタミフルをめぐる研究班のあり方は、大きく二つ問題がございます。

 一つは、先ほど大臣が何度も申されました独立行政法人というもののあり方が深く関与しております。大臣も御承知かと思いますが、平成十五年度から国立大学が独立行政法人化されました。そのことによって、従来であれば、一度文部科学省に入っておりました製薬会社からの寄附金等々の詳細は、現状では、実は公表されなく、管理されなくなっております。しかし、このことは、一体だれがどのような、どの大学がどのような寄附金を受け、研究者がどのようにそのこととかかわっているのかということを一定見えなくさせてしまっております。

 横田教授は横浜市立大学の教授でございますし、私どもで横浜市立大学に情報公開を求めまして、その結果、中外製薬からの寄附の概要も出てまいりましたが、これとて、実は求めるまでになかなか手数がかかりました。

 こうした独立行政法人化されて以降の研究費が、どのように可視化、市民に見える形になるかということについても大臣には深くお考えいただきたいと思います。

 これを申し上げますのは、大臣が先ほどから、独立行政法人というこの組織形態については深く思うところがあるというお話でした。よりよいものとして定着させていくためには、情報公開ということが不可欠であります。

 ぜひ、この一点、どのように今後、特に研究分野にかかわりますお金の問題ですから、どのようにされるのがいいかという長期的視野を持って、きょうでなくて結構です、御見解もいただきたい。

 第二点目は、実は、このタミフルにかかわります研究班は、各研究者が応募して行われたものではありません。厚生労働省の科研費、科学研究費の中にもいろいろな分類がございますが、このタミフルの初回の研究班は、行政政策研究分野ということで、厚労省の方から選んでお願いした研究であります。

 そういたしますと、選ぶときに、その科学者の背景、お金との関係、こうしたことにどの程度目配りができているのか、これもまた極めて問題が多うございます。

 その点も含めての、次回あるいは次の、なるべく早急がありがたいです、今国民的にも非常に懸念が上げられております、お返事いただきたいと思いますが、大臣、よろしいでしょうか、今の二点。御理解でしょうか。

柳澤国務大臣 従来の大学が、例えば私のところですと静岡大学、静岡大学とは一体何なんだというと、文部省の一つの機関ですと。こういうことで、どういう法律行為をする、何か契約をするにも、それは文部事務官の人が来て、多分事務局にいるんでしょうけれども、その人が契約をする、つまり文部省が契約する。こういうようなことで、大学はみんな文部省の一機関ということでありました。

 私は、聞くところによるわけですけれども、これも本当に、各大学はそれぞれのところに立地して、一つのまとまりを持っているのに、なぜ主体性を持っていろいろな行動が自分の判断でできないだろうか、これを何とかそうしたいというのは、大学制度が始まって非常に早いころからの、ある種悲願としてそういう考え方を持っていた方もいらっしゃるということでございました。

 それで、独立行政法人というものが始まる中で、最初はそういう動きに乗ることに非常に消極的だったように見えた大学が、ここはもう乾坤一てき、そういう流れに乗って、自分たちもそれぞれ独立の主体性を持つべきだ、こういうお考えになられたようでございまして、それはごく一部だったという説もあるようですが、私、全部これは人から聞いたことでございますが、私の頭の中にあることですから申し上げているんですが、そういうことで、非常にそれぞれの大学が独立をしていろいろな判断をするというようなことになった。

 お金の使い方などについてもかなり自由裁量の余地を持ったわけですが、反面、それをそのままにしておくわけにいかないので、やはり独立大学法人の中期目標というものをきっちりと提出させて、その中期目標というものがどれだけ実現されるかということでもって、公的なお金が行くことの裏づけというか根拠にする、こういうシステムで独立大学法人が始まった。

 これは、長いことの今後の歴史的な検証を経て最終的な評価を期待せざるを得ないと思いますけれども、少なくとも、今までのところは非常に活性化しているというか、活力を持ち始めているというふうに私は見ているわけでございます。

 したがって、研究費等については、それぞれの主体ができるだけ情報公開をして、市民社会というか地域社会の、それぞれが立地している地域社会の支持を得ていかなければいけない、こういう面もありますので、私は、情報公開による信頼の確保というのはもう必須の条件だ、このように思っております。

 タミフルのことでございますけれども、このタミフルのことにつきましてはいろいろ報道もありまして、私どもの役所もいろいろ勉強はさせていただいているようですが、私といたしましては、これは、やはり全部の姿というものを把握した後に、どこが問題なのかということで対策を考えていくべきだと思っておりまして、ぜひ、いましばらく時間をかしていただければと思います。

阿部(知)委員 では、引き続きの質問に入らせていただきます。

 きょうは、私はまた、派遣という働き方についてお伺いしたいと思います。

 大臣のお手元にもお配りしてございますが、ここには「雇用形態別、各種保険の適用」ということで、上から正社員、非正規社員、その中の分類も、契約、嘱託、出向、派遣、中には登録、常用と分けまして、そうした働き方の皆さんの雇用保険、あるいは社会保険の健康保険や厚生年金についての適用率が書いてございます。

 ここで派遣と大くくりいたしましたものの適用を見ますと、七七から七五%ということで、実は、一九九九年の同じ調査よりは少し改善しておりますが、大臣、やはり七〇、八割を欠くような雇用の保険の実態ということはいかがかということについて一点。

 引き続き、時間がないので、恐縮ですが、私が先日お尋ね申し上げました日雇い派遣等々は、また、ここの実態には浮かんでこないもののように思います。派遣で認可された会社、二万八百六十四社ありますが、また、そのうち日本人材派遣協会に加盟している派遣会社、七百二十七社でありますが、実は、厚生労働省の方では、この日雇い派遣の実態というものは、この認可された派遣会社のどれだけが行っているのかということについて、実態把握はしておられるかという二点、続けてお願いします。一点目は大臣に、八割欠けているがどうかという方ですね、大臣にお願いします。

高橋政府参考人 雇用保険の適用の実情にかかわっての問題でございますので、まず私の方で御答弁させていただきます。

 まさに今お示しのあった実態調査にも示されているとおり、派遣の中での登録型の派遣で七七・七%というような雇用保険の適用の状況にあるわけでございますが、雇用保険におきましては、派遣事業か否かということにかかわりませず、週の所定労働時間が二十時間以上であって、一年以上の雇用見込みがある場合には、雇用保険の一般被保険者となり得るわけでございます。

 したがいまして、日雇い労働被保険者の部分は別といたしますと、一〇〇%から七七・七%を除いたその二十数%、これらの方がどういう状況にあるか、これは、まさに適用漏れなのか、適用の条件がクリアできていないのか、必ずしも判然とはいたしませんが、他の社会保険に比べますと高い割合になっているのかなと思っています。

 なお、本来適用される者であるにもかかわらず、何らかの事由で未適用となっている方につきましては、本人からの申し出がなされた場合につきまして、確認日の二年前の日までを限度として被保険者資格を確認するということも、私ども、対応させていただいているところでございます。

阿部(知)委員 私が大臣に伺いたかったのは、こうやってデータ上に出てくる現状の、登録派遣として比較的把握されている実態の中でも八割を欠いておる。恐らく日雇い派遣はここには、実態はせんだっても申しましたが、ほとんどわかっておらない。

 大臣、一言で結構です。そうした、この前大臣は、それは労働者派遣法にのっとって正しくやっていくとおっしゃいましたが、なかなか、実は厚生労働省に何回こうやって聞いても、この中に日雇い派遣が含まれているでしょうかどうでしょうか、わかりませんねと。今のも結局わからないということなんですね。

 あわせて、私は、労働基準法にも抵触するような働き方も含まれていると思うのです。ここはぜひ厚生労働省として、もちろん、労働者派遣法に抵触するかどうか、派遣か請負、今問題になっております偽装の問題、それも一方でございますが、こうしたスポット派遣等々の日雇い派遣の方の労働実態、労働基準法から見てどうかということも、あわせて、これから厚生労働省として鋭意真剣に努力していくという御答弁を一点いただきたいと思います。

柳澤国務大臣 彼らも、携帯を持って、派遣元との連絡はとれる状況にある、何か仕事があったら派遣元から自分に対して連絡があって、どこどこの派遣先に行ってこういう仕事があるからやってくれ、こういうことでございますので、その意味では、今委員からいただいたこの分類によれば、派遣労働者登録型ということになるんだろう、このように考えます。

 この派遣労働者登録型につきまして、近来、非常に、特に若い人たちを中心として、余り健康的でもない、そういう生活をしながら、今言ったような労働に従事するというようなことがあるということの指摘をいただいておりまして、私どもとしては、全く手がかりがないわけではなくて、それもまた、恐らく、この中に入っているかどうか、それを確かめろと言われると、今役所の職員が説明したようなことになるのかもしれませんが、とりあえず、まず派遣の業者を通じまして、一体どういうことが起こっているんだということは調べるというか、日常の業務の中で何とか把握をいたしたい、こういうように考えているところでございます。

 もちろん、それよりもまた違う、派遣の登録も何もしていない業者によるものについては、これはまた別途の努力が要ると思いますので、これについては、果たして私どもの方だけでできる話かどうかを含めて、少し内部で検討しないとならないんじゃないか、このように考えます。

阿部(知)委員 私は、こうした若者の貧困化あるいは働き方の崩壊と同時に、今の日本の若者で、さまざまな、いわゆる心の崩壊と申しますか、なかなか働くことと自分を結びつけられない若者も多いと思います。

 きょうは、あと一点、ヤングジョブスポットについて取り上げたいと思いましたが、時間の関係でかないません。厚生労働省のお仕事としては珍しくと言うと変ですが、上手にいっていると思うのにやめるというお話であります。これも残念ですから、さらに、もうちょっと前向きにやっていただきたいと思うことを申し添えて、終わらせていただきます。

櫻田委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 これから三十分間質問をさせていただきます。

 まず最初に、午前中、園田議員からもお話がありましたように、一昨日やっと国会が正常化したということで三井筆頭理事とともに本当に喜んでおりましたが、まさにその翌日、昨日、憲法特でああいう強行採決がされました。このことに関しては、あの水曜日の正常化は一体何だったんだということで、本当に、言い知れぬ怒りを感じております。そのことをまず強く抗議申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 柳澤厚生労働大臣、雇用保険三事業の福祉事業の中で、都道府県の労働相談事業についてお伺いをしたいと思います。

 今回、雇用保険三事業が見直しになる、このこと自体は必要であると思います。もちろん、必要な事業あるいは問題のあった事業、両方あったわけですから、見直し自体を否定するわけではありません。しかし、今全国の都道府県で問題になっておりますのが、この補助金がカットされることによって委託事業が廃止になって、都道府県の労働相談事業が、昨今の都道府県の財政状況からして、これ以上都道府県の負担を強いるようなことになれば労働相談事業に深刻な影響が出るのではないかというふうな問題が全国各地で今巻き起こっております。例えば大阪では、平成十八年度の相談件数は六千九百四十七件であり、相談事業の総事業費は三千六百五十八万円、そのうち国庫補助は一五・三%を占めると聞いています。

 今回、労働相談事業に係る国庫補助金が廃止されることにより、厚生労働省として、どのくらいの影響が労働相談事業に出るとお考えでしょうか。

柳澤国務大臣 労働相談事業は、今委員が御指摘のように、従来、三事業の雇用福祉事業で行われてきたということのようでございます。これは、都道府県の労政事務所を窓口とする相談事務について、国の今申した雇用福祉事業からの補助が行われていたというのが現状でございました。

 ところで、これは都道府県が自治事務として行っている事業でございますので、これに対する国の関与につきましては、地方分権の趣旨にかんがみまして、事業が定着するまでの援助としては行うのは相当であるけれども、中小企業福祉事業費補助金については、創設後相当期間が経過して、各都道府県においてもそろそろ体制が整い、十分に定着したというふうに認めるに至りました。そこで、もとから補助金としては少額でありまして、そうした今の趣旨からいっても、改めて補助金を継続していくという必要はないものと考えたわけでございます。

 しかしながら、厚生労働省としては、必要な情報提供、都道府県労働局との連携という形で、今後ともその仕事そのものについては、補助金の廃止に伴う悪い影響は余り出ないように努めてまいりたい、このように思っております。

山井委員 確認ですが、労働相談事業に悪影響が出るというふうに認識されているんですか、それとも、出ないというふうに認識されているんですか。

柳澤国務大臣 ただいま申し上げましたように、私どもとしては、都道府県の労働局との連携という形で必要な情報提供等も行うということで、余り大きな影響が出ないように努めてまいりたい、このように考えているということでございます。

山井委員 都道府県の労働相談事業は、労働者にとっては身近な駆け込み寺として非常に重要な役割を果たしており、この委託事業の廃止で都道府県の相談窓口が廃止縮小されるのではないかと懸念が広がっております。しかし、住んでいる場所から近く、何かあったらすぐに駆けつけることのできる相談窓口は労働行政として大変重要であり、これがなくなると市民生活にも大変大きな影響があると思いますが、大臣、この労働相談事業の重要性について、いかが思われますか。

柳澤国務大臣 中小企業は、大企業と比較しまして労働条件や福利厚生面の状況というものが厳しいというようなこともありまして、中小企業労働者の雇用の安定であるとか労働条件の改善であるとか労働福祉の向上、さらにまた労使関係の安定、労務管理の向上といった各般の面でいろいろと相談をすべきことも多いのではないか、このように推測を申し上げます。

 しかしながら、この面については、今も重ねて申し上げましたように、各県に都道府県の労働局がございますので、その出先を通じて必要な情報提供等を密接に行うことにより今度の委託事業の廃止に伴うマイナス面を補ってまいりたい、このように考えております。

山井委員 そのマイナス面があると困るわけです。労働相談事業の重要性ということを認識していただいて、この三事業の見直しにおいては、この間、主として保険料を負担している使用者団体の意見を聞いて行われたと聞いておりますが、この委託事業が廃止されることで、労働者、労働行政にとって本当に必要な相談機能が低下することがないのかというのが一番深刻な問題であります。

 改めて大臣にお伺いしますが、労働相談窓口のこのような機能が今回の法改正によって低下することがないのかどうか、ないようにちゃんとしてもらえるのかどうか、そのことを明確に御答弁ください。

柳澤国務大臣 都道府県に置かれる労政事務所については今後ともその事業が継続するわけでありまして、その事業が十分、中小企業者あるいは中小企業に働く労働者にとって頼りがいのある相談事業というか、そうした相手方として今後とも機能するように、いわば厚生労働省としては、都道府県労働局等にバックアップをしていくということで、事業の運営に遺憾のないように御協力申し上げていきたい、このように思います。

山井委員 ぜひこれは、労働相談機能が、非常に重要な労働相談窓口ですから、この機能が低下することがないようにしていただきたいと強く申し上げます。

 それとともに、筋論としましては、今まで雇用保険財源で労働行政を担っていたわけですが、今回のようにそれを縮小するのであれば、一般財源で労働相談事業への補助金を続けるべきではないかと考えますが、大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 労政事務所の運営と申しますものは、行政改革の上では自治事務と一応されたものでございまして、法定受託事務とは違うということでございます。

 もとより、自治事務であるあるいは法定受託事務であるということの区別は、ストレートには財政措置とは絡ませないということがあの当時の行革担当者等の認識でございましたけれども、しかし、大きな意味では、なるべく自治事務に対して国の関与を縮小していくということは、決してこれは筋の違うことではないというようなこともありまして、そういう意味では、新たに補助金を一般会計の中でつくり上げるというのは非常に難しい問題だろうというふうに考える次第です。

山井委員 もう一度確認します。

 労働行政にとって必要なこういう相談機能が低下することがないようにするということでよろしいですか。

柳澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、厚生労働省といたしましては、必要な情報提供あるいは都道府県労働局との連携という形で今後ともできる限り協力を行い、このことを通じまして、相談事務等に地方が十分力を発揮することを支えてまいりたい、このように考えております。

山井委員 ぜひこれは、相談窓口の機能が低下することがないようにしていただきたいと思います。

 次のテーマに移りますが、今回の雇用保険改正法案の第六十一条の四の六項についてお伺いしたいと思います。

 この項については、御存じかと思いますが、育児休業期間に関しては算定基礎期間に算入されないというふうに今回新たに制度を創設しようとされているわけであります。育児休業をとった期間に関しては雇用保険の加入期間から外すということなんですね。大臣、このことは非常に重大な問題だと私は思うんです。

 大臣、ちょっと聞いていただきたいんですが、要は、私なりに解釈をしますと、雇用保険の所定給付日数は、被保険者であった期間が一年未満あるいは一年以上五年未満あるいは五年以上十年未満という期間によって給付日数が当然変わってくるわけですね。ですから、一例を申し上げますと、例えば、五年九カ月の被保険者期間がある女性の方が倒産、解雇によって離職を余儀なくされた場合、本来、百八十日の給付日数なんですね。しかし、十カ月その間育児休業を取得したとすると、十カ月引いて四年十一カ月になってしまって、本来あるべき百八十日の給付日数が九十日に半減するということになるわけなんですが、今回の法改正で育児休業期間について算定基礎期間に算入されないということは、こういうことになるというふうに理解してよろしいですか。確認です。

柳澤国務大臣 今度の育児休業給付につきましては、比較的長時間給付を受けるということ、それから、その間賃金が支払われない場合が多いわけですから、したがって保険料の納付が行われないわけでございます。

 そういうようなことを踏まえまして、被保険者間の公平性の観点から、算定基礎期間、今委員の言われたような給付日数の算定の基礎期間でございますけれども、育児休業期間の被保険者期間を差し引くことに改正いたしました。

 この措置により、将来失業した際に所定給付日数に差が出てくるケースがありますけれども、基本手当の受給資格要件自体に影響があるわけではなくて、被保険者にとって著しく不利益となるものではないのではないか、このように考えております。

山井委員 これは著しく不利益になるじゃないですか。今言ったように、五年九カ月の被保険者期間の方が、百八十日、本来給付日数があるはずが、十カ月の育児休業をとったら五年未満になってしまって、九十日に半減するじゃないですか。これは著しい不利益じゃないですか。大臣、もう一回答弁してください。

柳澤国務大臣 五年すれすれだった方が、今委員のおっしゃるように、ちょうどそこの育児休業の期間によって五年未満になってしまう、もし育児休業期間を算入すれば五年以上だった、こういうようなケースを考えますと、確かに百八十日間給付日数があるものが九十日間になる、こういうことになるわけでございます。

 しかし、それは、今も申したように、賃金が支払われなくて、したがって保険料の納付が行われていないということがございますので、そのことを被保険者間の公平性という観点に照らしますと、やはりそういう扱いが公平を実現することになるのではないか、このように考えて、今回、育児休業期間の被保険者期間というものを算定基礎期間から差し引くことにいたした、こういうことでございます。

山井委員 柳澤大臣、これは割と重大な問題ですよ。子育て支援をやっていくということを片や言いながら、今の話を聞いていると、今回の改正によって、育児休業をとった人は給付を受けるのが不利になる不利益変更を今回するということじゃないですか。

 柳澤大臣、ということは、育児休業をとっている人は雇用されていないということなんですか、失業しているということなんですか。そこの認識を聞かせてください、大臣。

柳澤国務大臣 育児休業をされている方は、その企業の中における地位は保全されているわけでございますが、仕事をしていないということで賃金が支払われない、したがって保険料も支払われない、そういう状態であるということでございます。しかし、育児休業期間が終了すればそれはまた雇用が継続する、こういう位置に立っているものだと理解をしております。

山井委員 先ほどの内山議員の質問もそうでしたけれども、今回、この法案、不利益変更が多々あるじゃないですか。育児休業をとる人を支援する改正というふうに説明しているんじゃないんですか。それがなぜ、その境界にいる人は給付日数が半数になってしまうんですか。

 今、地位は保全されると言っていますが、柳澤大臣、もう一回聞きますが、育児休業をとっている人は雇用されているんですか、されていないんですか。明確に答弁ください。

柳澤国務大臣 雇用契約のもとにはあるんだろう、雇用契約関係というものはあるんだろうと思いますが、しかし、休業しているわけでございますので、これに対する賃金が払われない状況にある、こういうことでございます。

山井委員 雇用契約の最中にあるならば、算定基礎期間から除くのはおかしいんじゃないですか。大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 これは、要は、保険料が納付されていないということで、その他の保険料を納付している被保険者との公平性の観点から、先ほど申したようにこの期間については差し引く、こういうことを御提案している次第でございます。

山井委員 公平性とかおっしゃっていますが、育児休業をとられる方に対して非常に冷たい改正を今回されるんですね、公平性という名のもとに。何か、今まで柳澤大臣が国会でおっしゃってこられたことと矛盾するようなことをされていて、私も本当に、非常に心外です。

 九八年には、産休や育児時間を不就労とみなし、女性への経済的な不利益をこうむらせたことは公序良俗に反するという趣旨で、産休、育児休業の一時金カットを違法と判断する地裁レベルの判決が示されたという例もあるわけですね。そういう意味では、子育て支援を言っている柳澤大臣の今までの政策にこれは逆行するんじゃないですか。

 子育て支援と大ぶろしきを広げるのであれば、育児休業給付を上げて、よい顔をする裏側で、雇用保険給付の給付日数に直接関係してくる算定基礎期間をこっそり減らすようなこそくなことはやめた方がよいと思いますが、大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 別にこっそり減らしているわけではなくて、この問題も審議会で審議を、公労使三者構成の審議会において俎上にのって論議されてここに提出をされているということでありますので、別段、何かこっそりこの規定をどこかへ忍ばせていたということはございません。

山井委員 算定基礎期間に算入されないことによって給付日数が減るケースがある。

 そうしたら、育児休業をとる人にとって、算定基礎期間に算入されないということは不利益変更であるということはお認めになりますか。

柳澤国務大臣 今までのそうしたことにかかわりのなかった制度に比べますと、そこのところは、今度の改正によって、期間の算定上そこが除外されるという事実は残るということであります。

山井委員 大臣、もう一回これはお聞きしますが、ということは、不利益になるということですね、育児休業をとられる方にとって。

柳澤国務大臣 今度給付の率もふえるという面もございまして、どこどこの部分だけをとってこれは有利かこれは不利かというような議論ではなくて、やはり総体として、私どもは少しでも、これは本来は失業等給付の抑制ということが本旨でございますけれども、それが同時に、若い育児中の世帯に対して経済的な支援になるという考え方で給付の率をふやしたということでございます。

 したがいまして、そういうものを総合的に判断していただくとありがたい、このように考えます。

山井委員 百八十日が九十日になるという、この九十日の半減は非常に大きいですよ。子育て支援と片や言いながら、一方では非常にこういう冷たいことをするということに対して怒りを禁じ得ません。

 そして、先ほどの内山議員の質問の続きとなりますが、同じような不利益変更、これについて先ほど一時間にわたって内山議員は質問されましたが、改めて柳澤大臣に確認したいと思います。

 正当な理由のある自己都合の離職者については、非自発性離職と同様に六カ月の被保険者期間で受給資格が発生する、そのようなことをするということでよろしいですか、先ほどの答弁は。確認です。

柳澤国務大臣 被保険者期間が六カ月以上十二カ月未満で離職者が出た、その場合に、自己都合というか、決して会社側の都合ではないわけだけれども、やはり正当な理由がある、客観的に見て。つまり、私どもが申し上げているのは、循環的な給付が起こることを防ぐということでございますので、そういうものではないということの関係で、正当な理由がある自己都合離職者ということであれば、それは解雇、倒産等と同様の取り扱いとなるように省令の中に盛り込む、こういうことでございます。

山井委員 確認ですが、今おっしゃった非自発性離職と同様にということは、六カ月の被保険者期間で受給資格が発生するということでよろしいですか。

柳澤国務大臣 受給資格要件は六カ月ということでございます。

山井委員 そこで確認したいんですが、この正当な理由の自己都合退職ということですが、今までの雇用保険法第三十三条の不支給の例外、除外規定として、次のとおりあります。

 一、被保険者の身体的条件に基づく退職である場合。二、妊娠、出産、育児等により退職し、受給期間延長措置を九十日以上受けた場合。三、家庭の事情が急変したことによって退職した場合。四、配偶者等との別居生活の継続が困難となったことにより、これらの者と同居するために、通勤が不可能または困難な地へ住所を移転し退職した場合。また、次の理由により、通勤不可能または困難となったことにより退職した場合。一、結婚に伴う住所の変更。二、育児に伴う保育所等への保育の依頼。三、事業所の通勤困難な地への移転。四、強制立ち退き、天災、自己の意思に反しての住所または住居の転居を余儀なくされたこと。五、鉄道、バスその他の運輸機関の廃止または運行時間の変更。六、事業主の命による転勤または出向に伴う別居の回避。七、最後ですが、配偶者の事業主の命による転勤もしくは出向または配偶者の再就職に伴う別居の回避。このようなことが、今答弁された、正当な理由がある自己都合退職というふうに理解してよろしいですか。

柳澤国務大臣 私、今、山井委員がおっしゃられたことを一応ちょっと私の手持ちの資料と照合しておりましたけれども、ほぼ間違いございませんので、それでよろしいかと思います。

山井委員 ありがとうございます。

 それでは、もう時間がありませんので、最後に一つだけ、ちょっと法案と関係ないことをお聞きしますが、三月十三日に日本年金機構法案を閣議決定されました。大臣、あの法案について、何点ぐらいのできだと思っておられますか。

 今回、非公務員型にされたということで、私、ちょっと心配をしております。先日、社会保険事務所に行ったんですが、あれだけ組織をばらばらにしてやっていったら、逆に徴収率が低下するんじゃないか、あの改革は、何か社保庁を壊すことが目的の法案なんじゃないか、そんな声を現場で聞いたんですが、大臣としては、あの法案について何点ぐらいと思っておられるか、そして、徴収率が低下したり、そういう本来の年金徴収の機能に支障を来さないとお考えなのか、そのことについて最後お伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 私は、社会保険庁の改革の理念というか、そういうものは二つあったというふうに思っております。

 一つは、やはり社会保険庁、組織としてもいろいろな経緯をたどってきたということの中で、企業文化というか企業風土というか、そういうようなものがかなり、全国的に言うと、やや統一性に欠けるというような面等、いろいろとこれはもうやむを得ない事態だったとも私は思うんですけれども、今日の社会保険庁という国の機関として見ると、いろいろな面で問題があった。意識の面、そういうようなことであるいは問題があったのかもしれない。そういうようなことで、それをしっかりと正していくということが一つの目的である。

 それからもう一つの目的は、やはり非常に難しい国民年金の徴収だとかあるいは厚生年金の適用だとか、そういう徴収の関係、こういうようなことについて、従来の社会保険庁に比べて、その実績が本当に改善されるということがやはり大きな眼目であるというふうに思っております。

 そういう観点から、これは率直に言って、与党の先生方も非常に、その改革の途上であるにかかわらず、いろいろと問題が社保庁の中から露呈してきたことを受けて、どうしたら一番いいものができるだろうというようなことで寄り寄り知恵を絞ってくださった。それから、我々の方の社保庁の担当者も、村瀬長官初め、御自身のこれまでの御奮闘の経験に照らして、こういうものならばというようなことで案を練っていただきました。

 そういうようなことからして、私は、とにかくそれを取りまとめて、今回、日本年金機構法案ということで御提出をさせていただいたものでございます。(発言する者あり)

 これはもう本当に、また皆さん御議論をいろいろされて、さすがにいいものだというような御感想を持っていただけるように我々努めたい、このように思っております。

山井委員 私は、年金不安を拡大させる改悪であるというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。

櫻田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 民主党・無所属クラブの柚木道義でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行います。

 その討論の前だからこそ、あえて私からも一言申し上げます。

 国民の声なき声に謙虚に耳を傾けるという態度は、与野党、きょうお集まりの皆さんすべてに共通のものであると思います。にもかかわらず、国会正常化翌日の憲法特でのあの強行採決は、議会運営上のルール崩壊を招くものであります。とりわけ、それがまさに国民の皆さんの声を聞くための国民投票法案に係る審議委員会で行われたことに対し、今後の民主的な議会運営への重大な危惧を抱くものであることを強く申し上げた上で、反対討論に入ります。

 私が本改正案に賛同できない理由は大きく三つあります。

 第一に、失業給付の国庫負担の引き下げによって、政府が雇用政策の責任を放棄している点、第二に、本当に必要な人に給付が行かないという問題点、そして第三に、働く者の貴重な雇用保険料の無駄遣いをそのまま放置している点でございます。

 第一に問題なのは、失業給付に係る国庫負担を本来の負担額の五五%に削減した点です。

 一部地域で雇用情勢が好転してきているものの、依然として雇用情勢が厳しい地域も多く、また不安定な非正規雇用がふえていることは御承知のとおりです。例えば、私の地元岡山県でも、有効求人倍率は確かに好転はしてきていますが、正社員の雇用はふえておらず、短時間労働や派遣労働などの非正規雇用がふえております。政府は景気回復を宣言しておりますが、働く人たち、生活する人たちの豊かさの実感が乏しいのが現状でございます。

 先日、主要各社による賃上げについての集中回答がありましたが、賃上げも高度成長期とは異なり、本当に微々たるものであります。依然として、働く人たちや生活者に不安定な社会状況にあって、財政削減の名のもとに失業給付の国庫負担をこのように大幅に引き下げることは、国の雇用政策への責任放棄ではないでしょうか。

 第二の問題点は、本当に必要な人に給付が及ばないところです。

 本法案では格差是正への効果の望みは薄いと言わざるを得ません。より具体的に言えば、まず、雇用が不安定な非正規労働者は、失業給付の受給期間を終えても就職できなかったり、正規雇用の労働者と比較して教育訓練給付の受給者が極めて少なかったりと、雇用保険は正規雇用への道が開けるような支えにはなっておりません。

 さらに、政府案の受給資格要件、十二カ月への引き上げによって、先ほど我が党の内山議員が再三再四指摘したように、正当な理由がある自己都合離職の方が失業給付を受給できないという新たな社会問題が発生する重大なおそれがあるのです。この点については特に強く指摘をしておきます。

 次に、育児休業給付の拡充も場当たり的です。

 政府案では、育児休業給付の額が引き上げられますが、三年間の暫定的な措置であります。非正規労働者が育児休業を取得しにくいこと、育児休業給付と企業からの賃金保障を合わせると、育児休業給付率が失業等給付を上回るという問題があります。審議会の中でも、育児休業中の所得保障を含め、子育て支援策については雇用保険制度以外の枠組みで検討すべきとの意見が出ていますが、政府はいまだその検討を始めていません。それだけではなく、先ほど山井議員からの指摘もありましたように、この問題についても、不利益変更となる、まさに子育て支援と逆行した改定となってしまいかねないものでございます。

 また、積雪寒冷地等の季節労働者に給付されている特例一時金の支給期間が五十日から四十日に短縮されます。冬期雇用がいまだに厳しい地域において特例給付金の水準が下がれば、労働者の生活が脅かされかねません。

 さらに、雇用保険の適用対象を広げていない問題もあります。短時間のパートを複数かけ持つマルチジョブホルダーや請負労働者は雇用保険の適用外ですが、雇用が不安定なことから、こうした方々こそ雇用保険制度の適用対象とすべきです。

 そして最後に、私が挙げる三点目の問題は、雇用保険をめぐる無駄遣いが本法案では根絶し得ないという問題です。

 一昨年十二月には、労働保険特会については、原則として純粋な保険給付事業に限り本特会にて経理するものとし、労働福祉事業及び雇用保険三事業については、廃止も含め徹底的な見直しをするとされていましたが、本法案では、雇用保険三事業は雇用福祉事業だけが廃止され、労災保険の労働福祉事業も形を変えて存続します。安倍総理は、所信表明で、行革を推進し筋肉質の政府を実現すると述べておられましたが、これではまさしく改革の看板倒れです。労働保険特別会計に徹底したメスが入らず、我が党の園田議員や長妻議員も重ねて指摘しておりますように、いわゆる天下りは温存されたままですし、働く者の雇用保険を流用して無駄な経費に費やされたりする余地を残すものであります。

 以上申し述べたとおり、政府案は、第一に、雇用をめぐる責任放棄の問題、第二に、本当に必要な人に給付が及ばず、格差是正に役立つものではない点、そして第三に、特会を使った無駄遣いを温存する問題点があり、さらに、本日だけでも続々と問題点が明らかになっております。

 こういった問題の改善なくして、働く者の安心、安定なしとして、このままでは政府案には全く賛同できないことを強く表明し、私の討論を終わります。(拍手)

櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法等の一部改正案に反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、雇用保険への国庫負担の五割削減によって、制度への国の責任が大きく後退しているからです。

 また、今回、暫定措置として国庫負担全廃が示唆されておりますが、大臣も全く想定していないと答弁されたとおり、絶対にやるべきではありません。そもそも、失業給付への国の責任は、勤労権を保障した憲法二十七条に根差しています。大企業のリストラや非正規雇用の拡大など深刻な雇用情勢のもとで、国の役割はますます重要なのではないでしょうか。

 二兆八千億円余の積立金残高に示された雇用保険財政の好転は、この間の保険料率の引き上げや給付率の削減など、受給者、受給額を絞り込んできた結果であることは明白です。求職者給付の受給率は二割強にすぎず、多くの労働者が雇用保険から排除されている実態を直視すべきです。財政状況が改善されているというなら、給付の改善を図り、若者や高齢者への就労支援などを強く行うべきです。

 反対の第二の理由は、受給資格の被保険者期間に持ち込まれた離職理由による差別を一層拡大するからです。

 これまで一般労働者で六カ月、パートで十二カ月であった被保険者期間を、今回、自発的離職の場合に限って十二カ月にしました。そのため、一般労働者では六カ月の就労で受給できた受給資格の権利が奪われることになります。

 安易な給付を防止するという説明ですが、六割の給付を得るために六カ月の短期離職を自発的に繰り返すなどはあり得ないことで、むしろ、リストラ等の会社都合離職が自己都合にゆがめられたり、自己都合離職の給付を三カ月おくらせる待機の押しつけなどの差別的扱いが是正されるべきであります。

 反対の第三の理由は、積雪寒冷地の被保険者等への特例一時金の削減です。

 この制度は、冬期に仕事のない季節労働者の命綱であるにもかかわらず、通年で働ける措置がないままに削減が進められており、季節労働者の生存権が脅かされていると言わなければなりません。

 さらに、雇用福祉事業、三事業についても、今回廃止される五十二施策の中には、出稼ぎ労働者の健康診断などに対する地方への補助や小規模事業所の雇用保険事務代行への助成制度が廃止されるなど、雇用福祉施策の後退が見られます。育児休業の基本手当の算定基礎から育児休業期間を除外することについても、少子化対策と逆行するものであり、認められません。

 以上指摘して、反対討論といたします。(拍手)

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、内閣提出の雇用保険法改正案に対し、反対の討論を行います。

 今回の雇用保険法の改正は、行政改革法に対応し、雇用保険制度の安定的な運営を確保し、直面する諸課題に対応するために行うものと聞いております。

 しかし、非正規雇用の大幅な増加、ワーキングプアの増加という雇用情勢の変化に対応した施策は全く手つかずのまま、ただただ財政的な理由だけで国庫負担を削減するもので、雇用保険のあり方そのものをゆがめるものであると言わざるを得ません。

 反対理由の第一は、失業等給付に係る国庫負担を二五%から一三・七五%と大幅に削減することです。

 景気の回復によって雇用保険財政は余裕が出てきたとしていますが、これは、雇用保険から漏れているフリーターや日雇い派遣など、この間、急激に拡大した非正規雇用の人たちに十分雇用保険が行き渡っていないために生じたものです。

 政府は、昨年六月に策定した骨太方針二〇〇六で、国の一般会計予算における社会保障関係費の伸びを圧縮するため、今後五年間で一兆一千億円を削減することを決め、そのうち来年度は二千二百億円削減するとしました。しかし、介護保険制度や医療制度改革も実施したばかりで、取れるところがないため、雇用保険財政に目をつけ、国庫負担を削減するとしたのではないでしょうか。こうしたやり方は、雇用保険そのものをゆがめる以外の何物でもありません。

 反対理由の二つ目は、非正規雇用の急激な拡大、とりわけ、パート労働者だけでなく、フリーター、派遣労働者、さらには偽装請負、日雇い派遣と言われる人たちが雇用保険の網の目から漏れているにもかかわらず、全くと言ってよいほど手が打たれていないことです。

 例えば、日雇い派遣は、従来の日雇い労働者と異なり、携帯で仕事の手配を行うというものもあり、若者の間に急速に広がっております。当然、日雇い雇用保険の対象として検討されるべきですが、そもそも実態把握すらされていない現状です。フリーターも同様です。雇用保険に入っていないため、失業給付も受けられない人たちが今や圧倒的になってきています。

 今回の施策の中では、雇用安定事業の対象に被保険者になろうとする者を加えることになりました。この点は、フリーター対策の点からは一定評価できます。しかし、これは教育訓練給付などに限定され、失業給付とは無関係なものになっております。

 また、育児休業給付制度の拡充として給付率をアップさせるとした点も、一歩前進と見えながら、しかしながら、給付の対象はすべて雇用保険加入者です。日雇い派遣、フリーターなど、雇用保険外の、らち外に置かれた人々に対しては一円の給付もないのです。派遣労働者の七七%しか雇用保険には加入していません。四分の一が未加入という状況です。

 しかし、質疑の中でも、本当にあきれるばかりに、当局の認識は、他の年金や医療保険制度等の加入率よりはまだ高いとして、現状において極めて危機的であるという認識を全く欠いています。

 雇用情勢の大きな変化に対応し、セーフティーネットを張りかえることが求められています。そのためにこそ雇用保険のあり方を問い直すべきです。これまでの施策を点検し、どこに不十分な点があるかをチェックすることが緊急に求められていると考えます。

 政府のやり方は、財政再建をすべてに優先させており、時代の要請に全くこたえることができません。二十一世紀にふさわしい雇用保険行政の確立を強く訴え、反対討論といたします。(拍手)

櫻田委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

櫻田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

櫻田委員長 次に、内閣提出、児童手当法の一部を改正する法律案及び国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 児童手当法の一部を改正する法律案

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柳澤国務大臣 ただいま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、児童手当法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭を経済的に支援することが喫緊の課題となっております。

 このため、三歳に満たない児童に係る児童手当等の額を引き上げることにより、これらの児童の子育てを行う家庭の経済的負担の軽減等を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 三歳に満たない児童に係る児童手当及び附則第六条第一項の特例給付の額を、一月につき、一万円に三歳に満たない児童の数を乗じて得た額に引き上げることとしております。

 なお、この法律は、平成十九年四月一日から施行することとしております。

 次に、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 平成十六年に成立した年金制度改正法においては、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げることとされております。

 この法律案は、これを踏まえ、平成十九年度以降における基礎年金の国庫負担割合を引き上げるものであります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 基礎年金の国庫負担割合について、現行の三分の一に千分の二十五を加えた割合から、平成十九年度以降は、三分の一に千分の三十二を加えた割合に引き上げることとしております。

 なお、この法律は、平成十九年四月一日から施行することとしております。

 以上、二法案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

櫻田委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.