衆議院

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第7号 平成19年3月23日(金曜日)

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平成十九年三月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    上野賢一郎君

      大塚  拓君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    岸田 文雄君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西川 京子君    西銘恒三郎君

      林   潤君    原田 令嗣君

      福岡 資麿君    増原 義剛君

      松野 博一君    松本  純君

      松本 洋平君    御法川信英君

      内山  晃君    大島  敦君

      菊田真紀子君    北神 圭朗君

      郡  和子君    園田 康博君

      田名部匡代君    筒井 信隆君

      細川 律夫君    柚木 道義君

      坂口  力君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   厚生労働副大臣      武見 敬三君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     大塚  拓君

  石崎  岳君     上野賢一郎君

  加藤 勝信君     西銘恒三郎君

  西川 京子君     増原 義剛君

  御法川信英君     長崎幸太郎君

  柚木 道義君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     石崎  岳君

  大塚  拓君     井上 信治君

  西銘恒三郎君     加藤 勝信君

  増原 義剛君     西川 京子君

  北神 圭朗君     柚木 道義君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房技術総括審議官西山正徳君、医薬食品局長高橋直人君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則です。

 これから四十分間、国民年金法等の一部を改正する法案の審議、それと、きょうは午後二時に東京地裁の肝炎判決が予定をされております、そのことについても質問をさせていただきたいと思っております。

 それでは、まずこの法案についてでありますが、今資料をお配りしておりますので、お目通しをいただければと思います。詳しくは後ほど園田議員から質問があるかと思いますので、私からは、概略についてちょっとだけお伺いをしたいと思っております。この国庫負担の引き上げということに関して、まず大臣にお伺いをしたいと思っております。

 私たち民主党は、年金の抜本改革、一元化というものを目指しております。そしてまた、今までこのような引き上げの財源に定率減税の廃止などが使われたことに関して、私たちは大きく遺憾の意を感じております。

 そこで、今後のことについてお伺いしたいんですが、特定年度において国庫負担を二分の一にするために必要な財源の見込み、今後の見込み、柳澤大臣、どのように考えておられますでしょうか、まずお伺いします。

柳澤国務大臣 私ども政府・与党におきましては、基礎年金の国庫負担を平成二十一年度に二分の一に三分の一から引き上げるということを国民年金法等の一部改正法の附則でもって定めているわけでございます。したがいまして、これはある意味で、法律で定められた、我々政府・与党の負うている義務というふうに心得ておりまして、そのために一体どういうふうにするか、そのための財源を一体どのように調達するかということが非常に大きな課題であります。この課題に対して、与党の方の税制改正大綱等では累次にわたりまして言及をいたしておりまして、それは十九年度をめどとして税制の抜本的な改革を行う、そのことの中で基礎年金の国庫負担の増額に対する財源的な手当てを行う、こういうことを表明いたしている次第でございます。

 私は、ですから、与党側の税制大綱にたびたびうたわれた措置が滞りなく円滑に実現されることを期待いたしている次第でございます。

山井委員 何かあいまいもことして、理解ができない答弁であります。

 園田議員からも後ほど質問させていただきますが、もう一点、このことに関連して、平成十九年度をめどに特定年度を定めることになっているが、いつ、どのように、だれがこれを決めていくことになるんでしょうか、お答えください。

石田副大臣 基礎年金の国庫負担割合の引き上げにつきましては、平成十六年の改正におきまして、平成十九年度を目途に、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに二分の一に引き上げる、御指摘の二分の一に引き上げる特定年度につきましては、別に法律で定める、こういうことになっておりますので、税制の抜本的な改革に係る動向を踏まえつつ、二十一年度までに引き上げを実施できるよう所要の法案を提出し、最終的には立法府の判断を仰ぐ、こういうことになると思います。

山井委員 この財源問題については後ほどまた園田議員が質問をさせていただきますので、私からはこれまでにさせていただきますが、年金ということに関連して、柳澤大臣にお伺いをしたいと思います。

 先日、年金の給付見通し、出生率が下がったことに対する給付見通しというものが発表されました。あれは、要は出生率が下がったにもかかわらず、将来見通しは五〇%を上回る、逆に見通しが上がっている、そういう部分があるわけですね。やはりこういう一つのやり方を見ると、いかにも恣意的に年金の給付見込みを決めているのではないかということで、逆に年金の信頼というものを失うのではないかというふうに思っております。

 このような年金の給付見通し、これは余りにも、賃金の引き上げや経済成長率、楽観的過ぎるのではないか、この点について、柳澤大臣、答弁をお願いいたします。

柳澤国務大臣 年金につきましては、平成十六年度改正におきまして、長期的なフレームワークと申しますか、仕組みというものができ上がっていることは山井委員も御承知のとおりでございます。今度の、次の年金の財政の検証というものが法律上明記されておりますが、それは平成二十一年度において行う、こういうことになっているわけでございます。

 ところが、昨年末に、実はその前年の国勢調査を受けまして、新しい将来人口推計というものを発表させていただいております。これによりますと、二〇五五年の合計特殊出生率でございますけれども、十六年度改正のころの二〇五〇年時点の合計特殊出生率に比べて、残念ながらそれが引き下げられる、一・三九から一・二六に引き下げられる、こういうことが明らかになったわけでございます。もとより、これは中位数という、人口推計上の低位の推計、高位の推計というものの中での中位の推計でございますが、そうした数字が得られました。

 そこで、そういう人口推計を発表した以上、これらについてのいろいろな影響というものについても国民が早く知りたい、こういう期待があることは十分予想されることでございますので、私どもとしてもその国民の期待にこたえていく必要があるということで、正規の財政検証ではないわけですけれども、その正規の財政検証をこれから御議論いただくための、いわば議論の参考資料としていただくために暫定試算というものを公表させていただくことにいたしました。

 この暫定試算というのは、年金への人口、経済の影響がどういう方式でもたらされるかということの、方式についてはもう前回の十六年度改正と全く同じ方式を踏襲するわけですが、その数字だけを新しく判明した数字によって置きかえる、こういうやや機械的な、評価を交えない機械的な推計をいたしたわけでございます。

 その結果につきましては、これは何通りも発表をさせていただいているわけでございまして、大きく分けますと、経済が、あの十六年度当時よりも若干足元、それから将来見通しとも好転しているということですから、そちらのケースと、それから、いや、もう経済の変動については一切考慮しないで、人口の新しい推計の結果だけを入れかえるという場合にはこれがどうなるかというような、大別してそうしたタイプの推計を、暫定的な試算を発表させていただいたわけでございまして、これによって何か、国民の皆さんに無用な楽観論を振りまいたり、あるいは無用な悲観論を普及させたりというようなことをするつもりは一切なかったということを御理解賜りたいと思います。

山井委員 この国民年金に関しては、御存じのように、納付率が年々、実質下がっております。反転したように見えているのは、御存じのように、免除、猶予をふやして、見かけ上の公表数値は上がっておりますけれども、実質上の、払っている方のパーセンテージは下がっているわけであります。こういう国民年金自体の崩壊をどうやって防ぐのか、このこともしっかり議論しないとだめだと思っております。

 年金については、また後ほど話は戻りたいと思いますが、ちょっと話題を変えまして、先ほども申し上げました肝炎判決についてお伺いをしたいと思います。

 柳澤厚生労働大臣、武見副大臣、石田副大臣、この間、この肝炎問題についてはなかなか進展はないものの、内心、非常な思いで、さまざまな、どうすれば解決できるかということに頑張ってきてくださったと私は信じております。

 ただ、残念ながら、表面的に見れば、福岡で敗訴し、大阪で敗訴し、にもかかわらず国が控訴をしている。そして、まさにきょうが、二時ごろに東京地裁でC型肝炎訴訟の判決が下されるわけであります。裁判結果はどうなるかわかりませんが、私は、当然国が敗訴するものと確信をしております。

 ここで大臣そして両副大臣にお伺いしたいのは、これは本当に裁判だけに任せておいていいのかということなんですね。国会議員として、政治家として、人の命を救うために、今こそ党派を超えた国会議員の決断、ひいては柳澤厚生労働大臣、武見副大臣、石田副大臣のリーダーシップが私は求められていると思っております。

 少し議論を整理したいと思いますので、二枚目のペーパーを見ていただければと思います。

 これは、読売新聞の今週の連載であります。ここに出ております原告番号十三番の女性、当時五十七歳の方は、柳澤大臣も御記憶あるかと思いますが、私が昨年の委員会で最期の言葉を取り上げた方でありますが、残念ながら、きょうの判決を聞く前に、C型肝炎からがんになって、判決、そして判決のみならず早期全面解決を首を長くして待ちわびながら、この世を去ってしまわれました。

 そして、その次のページを見ていただきますと、「出産日が一転、感染日」。つまり、出産の際の止血に使われたフィブリノゲン、当時アメリカではもう、C型肝炎に汚染されて肝炎のリスクがあるということがわかっていた。また、この記事、一々読みませんが、こういう、日本各地でもこのフィブリノゲンを処方した方が、妊婦が、出産した女性が連続して肝炎になったということがわかっていた。にもかかわらず、そのまま放置をされて被害を拡大させた。

 そして、きょうの判決のもう一つの大きな焦点はクリスマシンであります。

 昨日も私は、判決前夜の集会に行って、このクリスマシンを投与されて出産の際にC型肝炎に感染した二十代の若者の方々の話を聞きました。ここにも書いてありますように、不必要な投与、原告側は、単なる止血剤として、使う必要のなかった患者に使われたということを強く主張しているわけであります。

 そして、次のページをお願いいたします。

 B型肝炎が多く見て百五十万人、C型肝炎が多く見て二百四十万人、合計約三百九十万人。国民の約三%、第二の国民病と言われております。そして、既に発症している方が、答弁によりますと、合計六十二万一千人、そのうちインターフェロン治療中がたった五万人、八%。大臣、なぜこんなに少ないのかということですね。

 これは、きのうも集会で多くの方々から声が聞かれましたが、治療費がなかなか出せない、また副作用が強い、仕事を休まねばならない、生活が成り立たない、何よりも治療費が非常に高い。自己負担で、C型肝炎で年間約八十万円かかるわけですね。

 さらっと私の考えだけ申し上げます。

 次の六ページをお願いいたします。

 そんな中で、これは、こういう治療費助成も含めて、やはり早急に政治が決断をすべきだと考えております。

 これは、確かに、司法になると何よりも時間がかかります、そして微妙な年代で区切ったりということになります。かつ、これはカルテがない人は裁判もできない。しかし、ぜひ御理解いただきたいのは、今闘っておられる原告の方々は、自分たちに賠償金を払ってほしいということが主な目的じゃないんです。治療費助成、安心して治療が受けられる、そういう体制をつくるために、国が動いてくれないから裁判をするしかない、そういうやむにやまれぬ思いで今裁判をされております。

 そして、七ページを見ていただけますでしょうか。

 昨年十一月に答弁いただいたように、現在五万人がインターフェロン治療を受けておりまして、その方々の自己負担が年間二百億円。下から四行目に書いてあります。年間二百億円なんですね、ある意味で。そして、肝炎問題の研究班の熊田教授の報告にもありますように、こういうインターフェロン治療をすれば、中長期的には、本来なら肝硬変、肝がんになって八兆円ぐらいかかる国民の医療費が五兆円で済む、そういう統計も出ていることは、昨年の答弁でも、柳澤大臣も御存じかと思います。そういう意味では必ずしもむちゃな要求をしているわけではありません。

 そして、かつ、これは毎年二百億円かかるという話ではなくて、御存じのように、今は非常に薬の効果も出ておりまして、七割ぐらいの方が一年でウイルスを完全に除去できる、そういうこともわかってきているわけですね。

 そこでお伺いをしたいと思います。

 柳澤大臣、昨日も私、原告の方々にお目にかかりましたが、きょう判決が出て、これで三度目の正直です、これでも政治が動かなかったら、私たちはもう国会から地元には帰らない、命がけで国の治療費助成や救済のために働きかけを続けるということを患者の方々、原告の方々はおっしゃっておられました。

 大臣にお伺いします。きょう二時から判決が出るわけですが、やはり今こそ、司法だけに任せるのではなくて、政治の出番ではないか、やはり政治的な判断が必要ではないかと思いますが、柳澤大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 この肝炎の問題につきまして、山井委員が非常に、私の就任当初のころからでございますけれども、いろいろな角度から研究をなさり、また患者さんの声をじかにお聞きになる中で、御質疑の形で今おっしゃるような御主張をたびたび聞かせていただいているということでございまして、このことについては、私として、本当に敬意の気持ちを持って、毎回ですが、聞かせていただいております。

 ただ、何回もそうしたお訴えに積極的に対応しない答弁ばかりしておるということを本当に申しわけないとは思いますけれども、現実にこのフィブリノゲン製剤というものは非常に有効な医薬品であったということでございますし、それからまた、患者を救うための医薬品において生じた問題については、その時代その時代の医学的な知見に照らして、裁判において厳正な司法判断を求めざるを得ないというのが行政の立場でございまして、その責任者の立場にいる私も、その考え方というものをむげに否定するということはできない、そういう立場であると私は自分自身認識をいたしているわけでございます。

 ただ、訴訟の問題とは別に、肝炎対策を推進するということに対しては、私どもは積極的にこれは、当然のことでございますけれども、努力をしたい、このように考えておりまして、これまで申したことで申しますと、早期発見、早期治療の促進、さらには治療水準の向上というような観点から、診査体制、診療体制、それから治療方法の研究開発、こういうようなことの進展のために総合的な取り組みを推進していきたい。今までも推進してまいりましたけれども、今後さらにそうした取り組みを強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。

山井委員 フィブリノゲンが有効な薬だということをおっしゃいましたが、この記事にも書いてありますように、大臣、その薬のせいで多くの人がC型肝炎に感染しているわけですよ。その人たちの人生はどうなるんですか、命は。有効な薬では済まないでしょう、それは。

 きょうも傍聴席に、この八ページの記事にあります、出産時に血液製剤フィブリノゲンを投与されて肝炎に感染した森上さん御夫妻もお見えになっております、あそこにマスクをしておられますが、来週水曜日からまた入院。肝臓移植もして、本当にもう、目もなかなか見えない。そしてまた、これも委員会で取り上げましたが、移植前には医師から保険が適用されるはずだと言われていたのに、その後しばらくたってから、厚生労働省から、保険はききませんと。全額一千万円以上払ってくださいということになってしまった。そういう問題も出てきているわけですね。

 そして、もうお一方、先日も私取り上げさせていただきましたが、昨日の集会に行って、この二ページの、きょう判決が出ます原告番号十三番の女性、当時五十七歳の長女の方、そしてお母さん、妹さん、お姉さんにもお目にかかりました。こういうものをお借りしてくるのはどうかと思いましたが、私はやはり、柳澤大臣、石田副大臣、武見副大臣に、きょうの判決を聞くことなくお亡くなりになられた原告十三番の方のお顔を見ていただきたいと思うんですね。

 柳澤大臣、ここにそのお写真がございます。きのうの集会、長女の方がお母さんのこの遺影を抱いて来ておられました。そして、昨年私がこの委員会で取り上げたと言ったら、非常に感謝してくださいまして、きょうもこの遺影をお借りすることになりました。きょうも、長女の方、お姉さん、そして亡くなられた原告の方のお母さんもこの傍聴席にお見えになっております。

 前回も申し上げましたように、亡くなる直前にこうおっしゃっているわけですね、原告十三番の方は。

 ちょっと説明しますと、一九八四年七月に出産して、一カ月後にC型肝炎に感染していることがわかり、フィブリノゲンを出産のときに投与されていた。そして、二〇〇〇年八月にガンを発病し、二〇〇二年十月から東京原告になられた。しかし、きょうの判決を待つことなく、二〇〇三年の六月十二日にお亡くなりになった。それで、最後のビデオを長女の方が撮影された。それはなぜかというと、まさにこうやってその声をだれかが行政に届けてほしいという思いなんですね。

  私は二十年間、どこに相談の窓口があるか分からず、苦しみ、闘ってきました。ようやく、闘いの窓口にたどりつきました。が、もう体がついていきません。どうか裁判を早く終わらせてください。そして製薬会社の人たちも、自分達のしてきたことを認めてください。国は争うことなく現実を見つめ、人の健康と命の重さを認めてください。私はとにかく元気になりたいんです。そして、この問題を各ひとりひとりが、自分の問題として受けとめて下さい。

  わたしは、こんなふうになりたくなかった。平凡でもいいから走り回り、みんなで…、楽しく、笑い転げながら、これからも生活をしていきたかった。

 そして、二〇〇三年六月十二日、三人のお子さんの名前を最後呼びながら、安らかに天国に召されたわけであります。

 この原告十三番の女性の方の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 大臣に申し上げたいのは、この人一人じゃないんです、原告だけじゃないんです、多くの方々が国が控訴している間にガンを発症し、インターフェロン治療がもう手おくれになり、そして亡くなっていっておられるんですよ。

 大臣、司法判断とおっしゃいますが、多くの人が亡くなってしまわれているわけです。

 きょうも森上さんが来られているのは、もっと早くインターフェロン治療が治療費助成があって受けられていたら、自分は肝臓移植までしなくて済んだのに。だから、自分は体調が悪いけれども、自分の命をかけてでも、この現実を見て、一人でも多くの人がインターフェロン治療やいろいろな十分な治療が受けられるように国に動いてほしい、そんな思いで来られているわけです。

 柳澤大臣、お聞きしづらいですが、判決が出た、そして将来的に動いた国が、でも、そのときまでにもう患者さん、原告は亡くなってしまわれていたとなったときに、その判決はどういう意味があるんですか。

柳澤国務大臣 山井委員は、きょう二時、裁判の判決が出るということを前提といたしまして、その後の展開の中で一つの想定をお立てになられて、仮にその想定のとおりに、国が何らかの手だてをしたときに、そのタイミングとの間で不幸にして亡くなられるというような方が起こったときにどうするんだという、まことに切実なお話を承ったわけでございますけれども、本当にそうしたことを申し上げるのは心苦しいということを感じつつ申し上げますけれども、私どもとしては、行政としては、やはりこの判決が出ましたら、判決の内容について子細な検討を加えて、そして関係省庁とも話をして、その後の対応を決めていくということを行っていくことになるだろう、このように思います。

 私どもといたしましては、とにかく、そうしたこととは別に、先ほど来申したように、一般的な肝炎対策をさらに一層強化していくというこの取り組みに専心をするということになろうと思う次第でございます。

山井委員 もう言うまでもないことですが、一番患者の方々が求めている治療費助成が入っていないじゃないですか、その中に。このままいかれたら、どんどん亡くなっていくんですよ、悪化していくんですよ。

 そして、この原告十三番の方もインターフェロン治療をされていたんですよ。一回目やって、そして二回目やったけれども、子供の進学のころと重なって治療費がもう続かなくなって、それを断念されたわけですよ。そして、がんになられて五十七歳で亡くなられたんですよ。当時治療費助成があったらまだ生きていられたかもしれない。きょうもその亡くなられた方のお母さんがお見えになっているんですよ。何で母親を置いて娘さんが先に亡くならないとだめなんですか。

 やはりこれは、厚生労働省そして厚生労働大臣のお仕事というのは、救える命を救うことではないですか。武見副大臣、石田副大臣からも、このことについて一言御答弁をいただきたいと思います。

武見副大臣 今までのお話、非常に深刻かつ重く受けとめて聞かせていただいております。

 そして、その上で、私自身も副大臣の立場として、訴訟の問題について、これはやはり大臣と同じ立場をとるということは申し上げなければなりません。

 そして、その上で、やはりこうした肝炎にかかわる問題というものを一刻も早く解決するために可能な予防措置から始まる、改めて早期診断、早期治療、そしてその治療のためのさらなる技術開発というものとその普及、これらを徹底して行うための諸策というものは、やはりでき得る限り国としても努力をし、そしてそのため万全を期すという考え方を、私自身、政治家として持っております。

石田副大臣 今、山井委員からお話を伺っておりまして、私は、実は薬害エイズのときにちょうど委員でおりまして、随分そのときにいろいろなことも勉強もさせていただきました。現実に司法の場で争っているということ、これは事実でありますから、きょうの二時の判断をこれは待たなければいけないということは事実でありますけれども、私は、それと同時に、現に苦しんでいる患者さんがいらっしゃるということは厳粛に受けとめていかなきゃいけない、こういうふうに個人的には思っております。

山井委員 救える命を救うためにこそ国会議員がいて、そしてこの厚生労働委員会もあるんだと思います。党派を超えて、この政治決断のために、やはり今こそ行動するときだと思います。今動かなかったら何のために国会議員がいるのか。多くの患者さんの方々を見殺しにすることはできない。後で治療費助成をしても、後でインターフェロン治療をしても、もう後でやっても手おくれなんです。このことは今後また、判決が出てからこの委員会で議論をしていきたい。

 ただ、最後に本当に申し上げておきますが、これはもう患者の方々、原告の方々も命をかけて闘っておられます。そして、繰り返し申し上げますが、自分のためじゃないんです。だれかが原告となって名前を出して、偏見に耐えながらも、だれかが裁判をして勝たないと国が動かないからなんです。三百九十万人の肝炎患者のために原告は闘っておられる、そのことをぜひ御理解いただきたい。ここまでしないと政治が動かないというのは、国会議員として非常に恥ずかしいことです。

 あと少しだけ時間がございますので、タミフルのことにちょっと触れさせていただきます。

 タミフルも似たような構図じゃないですか。先週、今週と、我が党の田名部議員、柚木議員がタミフルと異常行動の因果関係等々質問しました。しかし、因果関係は認められない、認められないと言って、しかし、一転してその判断を今厚生労働省は変えようとされている。それだったら、昨年の十一月、昨日も私お目にかかりましたが、タミフル脳症被害者の会の軒端代表などが昨年末に使用制限をしてほしいと言ったときに方針を決めていたら、例えば、この二月にタミフルを投与後転落死されたお子さんの命は失われていなかったんじゃないですか。

 そこで、お伺いをしたいと思います。

 私の地元でも、三十八歳の方が亡くなられました。タミフルを服用し、その日の晩十時に寝て、夜中一時には布団の中で亡くなってしまわれました。このことについて、私も厚生労働省に問い合わせをし、要望したことがあります。しかし、厚生労働省は、因果関係は認められないの一点張り。本当、けんもほろろでした。

 今回異常行動ということをまた調べ直されるということですが、こういう、異常行動じゃなくて、そのまま寝て亡くなられた突然死というのもこの調査の対象にぜひ入れてほしいと思います。

 大臣、単に異常行動という範疇でなく、こういう突然死というもの、そして、これも、タミフルに関係ない関係ないといってはねられ続けているんですよ。そういう例が日本じゅうにいっぱいある。ですから、こういう突然死というものも入れていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 タミフルのことにつきましては、二月に少年の男女がほとんど、もうきびすを接するように、この短い間にお二人、高層の住居からの転落という形でとうとい命を落とされたということがございまして、私も大変ショックを受けまして、二十七日に最後の、二回目のそうした死亡事故がありましたので、即二十八日の日に、いわば注意をさらに喚起いたしたわけでございますけれども、三月になりまして、またさらに、それは不幸中の幸いというか、死亡事故には至らなかったんですけれども、同様の異常行動が見られるということの中で、私も、これはもうとにかく緊急の安全性情報という、特別の注意喚起というか、そういうことをせざるを得ない、こういうことで決断をいたしました。

 そして、現在の考え方は、この個別の症例の検証によって、そこで因果関係が何か見つかるかというと、それはむしろ否定的だと。それから、疫学の調査においても、タミフルの服用があったかなかったかでそうした行動をとった人の数が有意に差が生ずるかというと、それもないというようなことで、私ども、これは因果関係は定かでないというか、因果関係はむしろない、こういう立場でございました。

 これ自身を今すぐどうこう変えるということではないんですけれども、もう一度しっかりと検証し直すということをやってみたい、こういうように考えて、これから早急にその調査を、あるいは検証作業を進めるわけでございますが、その中には、今山井先生が御指摘になられたような、突然死というようなことも当然に検討の対象にさせていただくということの中で、検証、調査にできるだけのことをしてまいりたい、このように考えております。

山井委員 もう時間が来ましたので終わらせていただきますが、このタミフルの問題は、これはきっちり集中審議をやるべきだと思いますので、そのことを委員長に要望したいと思います。よろしいですか。

櫻田委員長 理事会で協議させていただきます。

山井委員 そして、最後に申し上げますが、できればやはり党派を超えて、人の命を守るのが国会議員の最大の責務でありますから、この肝炎の早期全面解決のために頑張りたいと思います。

 しかし、万が一与党が、このような、次々と失われ行く命を放置するのであれば、それは私としても絶対に黙って見ていることはできない、そのような民主党の思いを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 この際、休憩いたします。

    午前九時四十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十四分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 先ほどに引き続きまして、私からも大臣に、国民年金法等の一部を改正する法律案に関しまして質問をさせていただきます。

 ただ、質問に先立ちまして、先ほど山井委員からも薬害肝炎に関する判決のさまざまなお話がございました。厚生労働行政にかかわる基本的なお話があったわけでございます。そういった関連で、恐縮でございますが、私からも何点か、判決が迫っているもの、あるいは判決が既に昨日下されたもの、それに関する質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 これに関しては、昨日の段階で通告をさせていただいているというところもありますので、大臣も恐らく判決文等もごらんをいただいているものであるというふうに思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 そして、ちょっと順番を変えさせていただきまして、原爆症認定の判決からお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 仙台の判決、そして昨日の東京地裁の判決がございました。大臣も御承知のとおり、この原爆症認定判決におきましては、広島あるいは大阪、そして名古屋という形で、これまで長年にわたってさまざまな形で議論がなされ、そして、司法の場においても、この却下処分に対する判決というものが下されていたわけでございますけれども、その中で、厚生労働省、いわば国の責任として、敗訴を続けてきた、負け続けてきたという、この観点を少し重大に今回も重く見ていただきたいというふうに思っております。

 これで、昨日の東京地裁も含めて五例目でございます。これだけ司法の場において、国の対応が、いわば認定基準、審査基準のあり方について疑問を呈するという形の判決が出されてきたわけでございます。これに関して、やはり私は、大臣、ここで一定の政治判断をそろそろ下していかなければいけない時期になってきたのかなと。これを、同じことを繰り返すと、また控訴、また控訴。そして、御承知のとおり、この原告の方々が大変高齢になってきている。そういう現状からすれば、ここを打開するためには、やはり一定の政治判断というものが求められるのではないかというふうに私は思っております。

 このことは、我が党だけではなくて、自民党の寺田委員もしっかりと取り組んでいらっしゃるということは私も伺わせていただいているところでありまして、今、超党派でといいますか、党を超えて動きがあるのかなというふうに思っております。

 認定基準そのものに関しては、それぞれの考え方があるのは私も今現実的なところにおいては認識をしているところでありますけれども、ここをやはり、組織といいますか、厚生労働省という省の立場と、それから、それに対する大臣としての、政治家としての立場というものは、ある面、大きな決断をできる立場ということに関してはかなり違いのある、あるいは重みのある大臣の御決断が迫られているものだというふうに私は思っております。

 そういった観点で、まず、昨日の東京地裁判決でございますけれども、昨日の段階でありますので、私自身がまだ判決要旨しか拝見をいたしておりません。その中で、これまで厚生労働省が国の認定基準としてきましたいわゆるDS86、審査基準でございます。被曝線量計算システムというふうに言われておりますけれども、それに関しては、長年、かなりの確率で、これを一〇〇%この被爆認定に使えるものであるということは言えなくなってきた。あるいは、それに対して、改良型と言われておりますけれども、DS02に関しても、まだまだ一〇〇%これが認定基準として採用できるものであるということが言えないのではないか。

 つまり、これは、いわば厚生労働省が審査をする段階において、審査において申請を却下するための基準ではないんだ、そういう却下することのできる基準ではないという形が言われてきているというふうに私は理解をいたしております。すなわち、これを認定という方向に考えていくならば、一〇〇%それが関連性がない、原因確率の面でも関連性がない、病気とそれから被曝線量において関連性がないと言い切れないものだというふうに私は受けとめさせていただいているわけであります。

 いわば、判決の中においても、これを逆に言うならば、数値的にはこのDS86をすべて否定するものではありませんが、しかしながら、まず直爆における初期放射線量の評価については、千三百メートルないし千四百メートル以遠、それよりも遠いところにおいて線量を過小評価している可能性があるという問題点、これについては現段階においてもなお完全には払拭されていないという判決の文章でございました。

 そして、小括といたしまして、このDS86につきましては、これが参考資料の一つとなるにすぎないのであって、その評価結果に限界があることも既に指摘したとおりである、つまり、このDS86というものを用いて、そしてそれが審査の基準で、すべてこれに基づいて判断をするということはもう難しくなってきたんだということが、この判決で読み取れるわけであります。

 広島、長崎の被爆者に対して、このDS86による計算値を超える被曝が生じている可能性がないと断定してしまうことはできないのであって、客観的な資料に基づく合理的な判断が必要である、放射線による急性症状等が生じていると認められる事例が存在するのであれば、これは個別的に見ていくんだというふうに判決が出されているわけでありますが、その事実を国は直視すべきであって、それがDS86による線量評価の結果と矛盾するからといって、この評価、DS86の評価こそが正しいと断定することはできない、ここまで言い切られているんです、大臣。

 判決が下されて、国が敗訴をして、そして控訴を繰り返す、それによって時間がたって、さらには、今、原告の方々の高齢化が進み、最終的にはきのうの判決を聞くことなく亡くなられてしまった方々もいらっしゃるわけであります。いつまでこのことを繰り返されるんでしょうか。もうここは大臣としての、政治家としての判断がいよいよ迫られたものである。五連敗をされているんです、五連敗。幾つ続けるんでしょうか。

 大臣、昨日のこの東京地裁判決、これに対する考えと、それから政治家としての判断、これに対する大臣の所見、直接お伺いをしたいと思います。

柳澤国務大臣 今、委員が御指摘になられましたとおり、特に、昨日の東京地裁、先般の仙台地裁の判決につきましては、現在、判決内容を精査中でございます。

 東京地裁の判決につきましては、今委員もるる御指摘になられましたけれども、いろいろな論点につきまして、国側の主張について、例えば、DS86は有益なものとして評価されるべきものであるが、遠距離において過小評価である可能性を完全に否定できない云々とか、そういったことで、かなりいろいろなことをおっしゃっているということは、私も報告を受けているところでございます。

 国といたしましては、かねてから申し上げておりますように、これまでの科学的な知見に基づいて原爆症の認定を適正に行ってきているというふうに考えているところでございます。具体的に、原爆症の認定の審査に当たりましては、原因確率等を機械的に適用するだけではなくて、当該申請者の既往歴、環境因子、生活歴等も総合的に勘案して個別的に判定しているものであるというようなことで、いずれにせよ、国としては、先ほど来言うように、科学的知見に基づいて原爆症の認定を適正に行っているという考え方でございます。

 したがいまして、今回の判決につきましても、これからの対応としては、判決を精査して、関係省庁とも協議した上でこれからの対応を決定していく、こういうことでございます。

園田(康)委員 その根拠としておられた原因確率、そしてそれにおける審査の基準、それがもう既に崩れてきているんだということなんです。それに対して厚生労働省が、その原因確率等々に対して、今までの科学的知見というふうにおっしゃっておられるのは、それはそれで一定のものがあるんだろうというふうに私は推察をいたしますが、それはあくまでもこのネバダ州におけるDS86の、直爆における知見に基づいてつくられた基準であろうというふうに私は思っております。

 大臣、これが、入市被爆者であるとか遠距離被爆者であるとか、あるいは直爆を受けていない方々がどういう形でその後爆心地に入られて、そして、遺体の収容であるとか、あるいは身内を捜してさまよい歩いておられたとか、そういう状況をどこまで把握されていらっしゃいますか。

 そして、このDS86の科学的知見というものそのものがもう疑問視されてきたからこそ、五連敗という形の判決が出てしまったのではないでしょうか。これは、知見に基づいて判断するというものは、もうここでやめなければいけない時期に来たんだということなんです。

 大臣、ハンセン病のときを思い出してくださいよ。幾つも幾つも判決が出て、そして控訴を繰り返してそれを長年放置してきた、その厚生労働行政に対する政治的な決断があったからこそ、被害をこうむられた方々がそこで命を、あるいは人権が救われた。大臣、少しここは政治的な決断というものが必要になってきた。

 何度も繰り返しますけれども、判決文と、そしてそれをしゃくし定規な科学的な知見のみに基づいて判断する、それを乗り越えるだけの技量と政治的な力量というものが大臣に求められているんだと私は思います。

 どうでしょうか、大臣。もう一度お考えを直す、あるいはそこに向けて努力をする、政治家として努力をする、その旨のお考えはないでしょうか。

柳澤国務大臣 いろいろな角度からの委員の御意見の表明をいただいたわけでございますが、これは争点が科学的な問題なんですね。

 例えば、DS86についても、世界の放射線防護の基準の基礎となっていて、その正しさは最近の研究によっても再検証されているとか、あるいは原因確率や閾値についても、大規模な疫学調査やこれまでの科学的知見の集積に基づいて作成されたものであるということを私は聞いているわけでございまして、いろいろと、政治的にとおっしゃるわけでございますけれども、こういう科学的な知見を争う場合に、それ以外に何か、どうした要素を盛り込んでくるのかということも、私は非常に判決との関係では難しい問題を提供されている、こういうように考えているところでございます。

 今御指摘のように、いろいろな方がいろいろな御意見を与野党を問わずおっしゃっているということにつきましても私はよく承知をしているところでございますが、私としては、ただいま冒頭に申し上げた答弁、国としては科学的な知見に基づいて適正な処理をしているということを主張させていただいておるわけでございます。

 判決そのものについては、なお、これは、私ども、中身の精査という作業が当然残っておりますし、それに基づいて今後の対応を裁判については考えていくということでございます。

園田(康)委員 その原因確率、この判決の中にもありますけれども、その科学的知見を機械的に当てはめて、そして放射線起因性を否定してしまうということは相当ではないんだということがきちっと記載をされているわけですよね。したがって、大臣、これは検討の余地は十分ある話だというふうに思いますよ。この科学的知見だけに基づいて、それに当てはまるか当てはまらないかだけの問題でこれをすべて切り捨ててしまうということを、これをまた繰り返していたら、そこでははかり知れないところを救うのが、やはりこれは、私が申し上げている政治的な決断がこの中にあるんだということなんです。

 例えば、この齋藤先生の資料から抜粋をさせていただきますが、原爆の災害調査報告というものがございます。ここにおける梶谷・羽田野報告でありますが、このときに、確かに、距離でいきますと、大体、嘔吐であるとか脱毛であるとか、そういった症状については、二キロ以内、これはもうDS86でも証明されておりますけれども、二キロ以内においては極めて低い。爆心地から離れていけばいくほど低い数値になっていくという結果が出ておりますが、しかしながら、これは下痢という症状を見ていただきたいんですよ。大臣、これも一度調査報告を見ていただきたいんです。下痢という症状は、今度は、確かに発生率は二キロ地点まで下がっていきます。そのかわり、二キロからさらにふえていくんです。そういう結果も同時にあらわれているんです。

 つまり、人によっての症状もあり、あるいは、先ほど大臣がおっしゃった、ただ単に直爆をするだけではなくて、その後にどういう形で入られたか、あるいは黒い雨が降る中を遺体収容のために入ったり、あるいはけがをされていらっしゃる方のために救援に入ったり、あるいはちりぼこりが舞う中でそれを捜し求めながら、いわば、じん肺でも一緒でありますけれども、私たちにははかり知れないほどの対流をしたちりを吸っていた、汚染をされたちりを吸っている、そういう可能性だってなきにしもあらずであります。しかも、それは場所によって違うわけであります。ただ単に距離だけではかり知れるものではないんだということを、これは私、検討する余地があると思いますよ。

 大臣、ただ単に、しゃくし定規的な、一方通行的な科学的知見だけを用いて判断する、そういったことをもうここでやめるという判断を下していただきたいんです。まず、今回出された判決、東京地裁あるいは先般の仙台地裁、広島、大阪、名古屋、これからまだまだ続きます。全国で十一カ所の地裁においてこれが争われています。ここで一つ大臣の決断がなされれば、私は、長年苦しんでいらっしゃる、あるいは判決を聞くことなく亡くなられた方々、その人たちの名誉も私は回復できると。

 そして、恐らく、今回、この控訴期日が四月の上旬という形に迫ってくるであろうというふうに思います。この時期までに、大臣ぜひ、先ほど関係省庁とお話をするというふうにおっしゃいました。ただ単にそれだけでおさめないでいただきたいんです。大臣、当事者の方々、原告団、直接お話を聞かれたらどうでしょうか。あるいは、それを弁護されていらっしゃる弁護団の方々も含めて、一度協議の場というものを設置していただきたい。そして、よくその人たちの状況を聞いていただいて、その上で政治的な判断というものが私はあり得るんだろうというふうに思います。

 その協議の場、それを大臣として決断するおつもりはありますか。大臣、お聞かせをいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 これは従来から申し上げていることでございますけれども、裁判で係争中の事案の当事者が裁判外でいろいろお会いしてお話をするということは、やはり裁判というものの筋というものを混乱させるというおそれなしとしないわけでございまして、これはちょっと適切でないと私としては考えているわけでございます。

 そういうことではなくて、いろいろ御事情を聞かせていただくということについては、これは、つまり、裁判の争点ということではなくて、いろいろ御事情を聞かせていただくということについては、またいろいろ、省の者にそうした役を果たさせるということはあり得るわけでございますけれども、基本的に私は冒頭申し上げた考え方を維持していきたい、このように考えております。

 先生から、非常に御懇篤な、考え方についての御示唆のようなものも含めまして、いろいろ御意見を賜ったわけでございますけれども、やはり、もし科学的な知見にそうした異論があるということであれば、それはまた科学的に再検討していただくということがあり得るかどうか、これはまた考えてみなければならない問題だ、このように考えます。

園田(康)委員 大臣、大変恐縮でございますけれども、厚生労働省としてはそういう御返答になるんだろうというふうに思いますが、私は、一般論として、この問題だけではなくて、この原爆症に対する大臣の姿勢というものを一度政治家としてお示しをいただきたいわけであります。

 係争中に関しては、確かにそういう態度といいますか、対応しかできないのかもしれません。しかしながら、この問題をこのままほっておいていいということにはならないというふうに私は思いますよ。であるならば、一般論としての協議会というものを設置していただいて、その中においてこれをきちっと、この問題を直視しながら、解決に向けてどのようなものがあるのか、直接の被害者の方々、長年苦しんでいらっしゃる方々からのお話を、大臣が、最終的に控訴するかしないか、それを判断する前に私は行っていただきたい。一般論としての、この問題に対して取り組む姿勢というものが大臣としておありかどうか、検討していただきたいんです。大臣、検討は一度してください。どうでしょうか。

柳澤国務大臣 要するに、この原爆症認定の問題というのは、争点が科学的な知見についての争点なんですよ。ですから、その土俵のところ以外で、政治的に解決するとかというようなことは非常に考えづらい性質の問題だと私は考えるわけです。

 私も非常につまびらかというわけではありませんけれども、例えば、ある給付について所得制限していた、そういうものを広げたらどうか、こういうのはまさに政治の判断、決断でもって動かすことができやすい性質のものだと思うんですけれども、そうしたものではなくて、科学的な知見について争いがあるというようなことになりますと、これは、もしそうでないという異論を挟む方がいらっしゃれば、それはもうそういう、原点になった議論をしていただく方々に、先生、こういう反論というか異論が出ているわけですが、これはどういうふうに評価されるでしょうかというような話になるんだろう、私はごく自然にそういうふうに思うわけでございます。

 実際に、いろいろ与党の中でも御意見を言われる方がいらっしゃって、その方々の御意見も私は承知をしているつもりですけれども、どうもそこのあたりは余りにも問題がすれ違っちゃっているんじゃないかというようなことで、今本当に委員が一生懸命、そういったことを考えたらどうかという御示唆をいただいているわけですけれども、なかなかそこのところは、正直言って考えにくいというのが現在の私の心境です。

 もちろん、今後ともいろいろと勉強、検討はしていきたいとは思いますけれども、基本的に、非常に性質の難しい問題なのではないだろうかというのが私の感想です。

園田(康)委員 その科学的な知見というものが、根拠があるかないかということに対して異論がある、その異論に対して司法の場からも指摘を受けている、ここまではよろしいですね。

 したがって、この異論があるということが、なぜそういう異論が出てくるのかということをまず当事者の方から意見を聞いてください。大臣、自分たちの殻の中だけで判断するのではなくて、まず、どういう形で異論が出ているのか、どういう形でその人たちが主張をされておるのかということを、当事者の方から聞いてみてください。それによって大臣がどのように判断されるかというのは、後は私は大臣の御判断というものをお願いしたいというふうに思うわけであります。

 その科学的な知見、タミフルの事例もそうでありますけれども、いわば科学的な知見が、自分たちの範疇の中だけでしか検討はしていない。そして、これしかないんだ、これしかないんだということでずっとやってきた。それによって、覆されるような事例が幾つも出てきて、ようやく、危ない、これはまずいということで、後手後手に回ってきたのが今までの厚生労働の行政のあり方ではなかったでしょうか。その反省をもう繰り返していただきたくないんです。

 大臣、もう一つ、判決、訴訟について。トンネルじん肺、余り時間がありませんけれども、これも一つ取り上げさせていただきます。

 来週の水曜日あるいは三十日、トンネルじん肺について判決が行われる予定になっております。今まで東京、熊本、仙台、ここにおいても、やはりこれも同じように、訴訟において国が敗訴をする、そういう判決が下されたわけであります。これに対する厚生労働省の対応は、いずれもやはり控訴という形で、まだ争うという形になってまいりました。これも、やはり、司法の場において、もっと早く国としての対応を行っていればこのような被害が防げたのではないか、そういう指摘であったわけであります。

 大臣、このトンネルじん肺訴訟、来週出るわけでありますけれども、この対応についてのお考え、そして今までの対応について、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 トンネル工事などにおきますじん肺対策について訴訟が提起されまして、国側が控訴をいたしているわけですけれども、その主張の要点は、それぞれの時代の科学的な知見や技術の状況を踏まえて必要な対策を順次講じてきた、したがって、地裁判決が言うような省令制定権限の不行使というようなものはなかったというのが国側の主張でございます。

 もう一つ、三地裁、東京、熊本、仙台の地裁判決が、内容がそれぞれ異なっているというようなことになっておりますこともございまして、控訴を取り下げるというような対応は、現時点では考えていないということでございます。

園田(康)委員 やはりこれも、今くしくも大臣がおっしゃいましたけれども、科学的知見、そして、いわば対応を行ってきた、そこが争いになっているというふうにおっしゃいました。

 しかしながら、この科学的な知見というものもきっちりと証明されているわけではないんだ、しかも、このトンネルじん肺訴訟においては一九七九年に旧労働省において粉じん障害防止規則という省令を制定した、そこを根拠に、厚生労働省は対応を行ってきたというふうにおっしゃっておるわけでありますが、これは、実際、実効性はどのぐらいあったんでしょうか。つまり、省令で粉じんマスクであるとか湿式のそういったものを取り入れていくというような義務づけを行ってきたというふうにおっしゃっておるわけでありますけれども、それが実効性を伴っていないからこそ、それだけ分の被害者が続発してきたのではないでしょうか。

 平成十七年の段階で、どれだけの被害者あるいは療養者、療養が必要だというふうにおっしゃっておる方々がいらっしゃるでしょうか、人数的に教えてください。

武見副大臣 平成十七年において、トンネル建設工事業の労働者でじん肺により要療養とされた者は、再申請者を含めまして百四十五人という数字でございます。

 そして、要療養者、これは、昭和五十八年の六百二十六人に比べると確実に減少してきておりまして、粉じん対策は効果を上げてきているというふうに考えております。

 また、在職者の新規有所見者、昭和五十六年の三百五人から平成十七年の四人まで減少しているところでございます。

園田(康)委員 確かにこれはだんだん減少はしてきている。対策をとられている。でも、その当時の責任として、累計でいきますともう九千人余りの方々がこのじん肺に苦しむ生活を余儀なくされ、職を失ってきたわけであります。

 そして、おっしゃるように、七九年のこの厚生労働省の規則、この省令の制定当時に実効性はどのぐらいあったんでしょうか。この当時、罰則がありましたか。義務づけはやりましょうというふうに言っているわけでありますけれども、これによって罰則と、さらにその対応策がどのようになされてきたのか。その証明がきちっとできていますか、どうでしょうか。

武見副大臣 罰則はつけられてはおりません。ただ、失礼しました、罰則は、すべてに関してついているそうであります。

 そして、御指摘の、それぞれの処置についての義務づけ等の件であります。

 特にマスクの使用の義務づけに関連してのことでございますけれども、まず、粉じん対策につきましては、昭和二十二年に制定、施行された労働安全衛生規則において、使用者は注水その他粉じん防止の措置を講じなければならないこと、それから、使用者は労働者に使用させるために呼吸用保護具を備えなければならないこと、そして、労働者は呼吸用保護具を使用しなければならないこと、これらをそれぞれ義務づけていたところでございます。

園田(康)委員 義務づけは行って、罰則はあるんだけれども、それを検証して、さらに徹底させるというところまで実効性が伴っていなかったというふうに私は伺っております。つまり、形式だけの省令と罰則をつけただけであって、それに対するきちっとした実効性が伴っていなかったわけです。だからこそ、どんどんどんどん工事現場でそういう被害者が続発してしまった一つの原因になったのではないでしょうか。

 同時に、では副大臣、粉じん濃度測定というもの、これに対する省令がつくられていますか。そして、それに対する罰則はありますか。

武見副大臣 まず、従来、大型重機が頻繁に動き回り、常時移動するトンネル工事に適した粉じん濃度測定に関する技術的な知見、方法が確立していなかったということがございました。このような中で、厚生労働省は平成十二年に、トンネル等の建設工事の粉じん対策に関するガイドラインというものを策定いたしまして、その中で、トンネル工事に適した粉じん濃度測定として、換気対策の効果を確認するための測定を行うことを定めております。そして、このガイドラインによる粉じん濃度測定、その結果に基づく換気対策等の徹底に努めているところでございます。

園田(康)委員 徹底に努めるというのはいいんですが、それに対するきちっとした罰則、そしてそれに実効性を伴わせるための対策というものが行われているんですかということをお伺いしているんですが、副大臣、いかがでしょうか。

武見副大臣 現状においては、今申し上げたとおり、こうしたガイドラインという形での行政指導というものを徹底して行うという立場でございます。

園田(康)委員 それではしっかりとした環境の中で仕事をしているというふうに担保できないじゃないですか。ただ単にガイドラインで指針を示し、そしてこれに沿ってやりなさいねと言っているだけにすぎなくて、それがきちっと守られているかどうか、そして守られていなかったら厳しい罰則を科す、そこまでやらないと、私は、この環境そのものが守られないのではないかという大変な危惧を持っております。

 それと同時に、この測定方法でありますけれども、残念ながら、聞くところによりますと、当初言われていた十メートル間隔で測定機器を四カ所設けるというところから明らかに後退している形でそのガイドラインが作成されているのではないか。切り羽の五十メートル後方で測定器を使って、そこでその粉じんの濃度を計測する、それで本当に切り羽の、十メートル、二十メートル、三十メートル、現場の最先端でやっておられるところのそういう人たちの粉じん対策に十分なものであるということが言えるでしょうか。私はこれに大変な疑問を持っております。どうでしょうか。これは実証されているというふうに言い切れますか。

武見副大臣 この濃度の測定の義務づけということに関しては、測定及び評価の方法というのが確立しているわけではございません。それから、トンネルと鉱山という、またそれぞれ現場の作業環境が異なるということもありまして、義務づけというのが困難というふうに認識をされております。

 その上で、こうした濃度測定というものを、切り羽の近くでそれぞれ測定をするといったようなことなども過去に幾つか検討はされてきております。しかし問題は、安全上のことがございまして、実はこの測定者の安全上の問題が一つの大きな障害にもなって、こうしたことをどこまで行政で規制していくかという点についてさまざまな議論があった上で今日の段階に至っている、こういうことでございます。

園田(康)委員 まだちょっと納得ができないわけであります。なぜ五十メートルなのかということもさらに検証を進めていただきたいというふうに私は思うわけであります。

 三十メートルあるいは十メートルという段階において、粉じんの量が、これはトンネル内は対流しますからね、さまざまな形で。そして、そこにおいて、五十メートルの地点では確かに薄いかもしれないけれども、その直前の三十メートル地点、十メートル地点ではさらに増大をしている。あるいは時間によって、あるいは場所によって、さまざまな形で量が変わってくる。たまたまそこにいた方が、五十メートルでは大丈夫だ大丈夫だというふうに言っていても、三十メートル地点で粉じんをそのまま吸ってしまうという状況もかなりの確率で私はあるのではないかというふうに思うわけでございます。

 したがって、このガイドラインに関してはさらにさらに検討を進めていく、私はそのことを強くお願い申し上げたいなというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

武見副大臣 私は、委員の御指摘はやはりきちんと重く受けとめたいというふうに思っております。

 この件に関しては、やはりガイドラインの定着の状況を見きわめつつも、こうした最新の科学的な知見や技術というものが確実に開発されて出てくるわけでありますから、こうした状況を踏まえて、引き続き、粉じんによる健康障害をより一層効果的に防止するための対策、そのあり方を検討したいと思います。

園田(康)委員 ぜひこれはお願いを申し上げておきたいと思います。

 と同時に、大臣、これに対しても一連の判決がるるございました。先ほどの原爆症の判決とともに、私は、やはりこれも厚生労働省を所管する、あるいはそれに対する政治家としての政治的な判断というものを、決断をお願いしたいというふうに思うと同時に、裁判をしなければその人たちのじん肺の症状を認めない、そして国の責任も認めないという形で、ずっと長年これで苦しんでこられた方々がいらっしゃるわけであります。

 だからこそ、言うなればこれも政治的な判断で、救済、あるいは補償基金なるものの早期創設というものを考えておく必要もあるのではないか。一々判決が出るまで待たなければいけない、そういった状況にかんがみて、補償制度を考えることをぜひお願いしたいと思うんですが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

柳澤国務大臣 じん肺に罹患された労働者の方、あるいは不幸にしてその方がお亡くなりになった後残された御家族に対しては、これは労災の補償保険によりまして、それに該当されるケースということで、療養補償の給付、休業補償の給付等の補償を行っておるところでございます。したがいまして、新たな補償基金制度を創設することは考えておりません。今後とも、こうした労災補償制度によって必要な補償を行っていくことに努めていきたいということでございます。

園田(康)委員 だから、その労災認定を受けるまでの間も、あるいは国の責任がこれだけ問われている状況の中で、やはりこれも政治的に補償制度というものを考える余地はあるのではないのか。全くもってそこで門戸を閉ざしてしまうということの姿勢を改めていただきたい。

 これも連敗に次ぐ連敗に、厚生労働省として少し反省をしなければいけない時期になってきたというふうに私は思っております。大臣、これも一つの宿題としてお考えをいただきたいというふうに思うわけでございます。

 質問時間が残りわずかとなってまいりました。本来ならば国民年金法等の審議をしなければいけないという状況でございます。

 一点、タミフルだけ。これは質問はいたしませんが。

 先ほど山井委員からも御指摘がありましたとおり、このタミフルの問題に関して、やはりこれも、厚生労働省の今までの対応でいきますと、後手後手に回ってしまった。

 死亡例だけを取り上げて、それ以外の異常行動、本来ならば平成十六年の二月の段階においてもう既にそういう報告が上がってきているはずなんです。にもかかわらず、それに対応することなく、死亡例だけを取り上げて、そしてそこだけに対応してきた。そのことに対してまず反省をし、さらには今回の、昨日の辻事務次官の発言にもあるように、今までのこの知見は誤っていた、だからこそもう一度この検討をするということに対して、私は、もっともっと大臣が主導権を発揮して、早急にこれも行っていただきたい、このことを強く要望を申し上げておきたいと思います。

 それでは、国民年金法等の改正についてでありますが、今回、この二十一年度までのいずれかの年度で国庫負担割合を二分の一に完全に引き上げるというふうになっております。

 まず、先ほど山井委員からも御指摘がありましたけれども、この平成十九年度をめどにというものはいつまでのことを指すというふうに大臣お考えでしょうか。この附則の第十六条において書かれているこの十九年度をめど、これをいつまでというふうにお考えでしょうか。

柳澤国務大臣 税制の抜本的な改革の時期でございますが、これは、本来、厚生労働省の担当分野ではないというお断りをした上で申し上げるわけでございますが、本年秋以降、本格的に具体的な議論を行いまして、平成十九年度をめどに、消費税を含む税体系の抜本的な改革を実現させるべく取り組まれるというふうに承知をいたしております。

園田(康)委員 税制の抜本的な改正というものは確かに厚生労働省の所管ではありませんが、この年金法の解釈でいきますと、これは厚生労働省として解釈をしなければいけないというふうに私は思っておりますので、まず、この附則の十六条の十九年度というものをめどにというふうに考えていた場合には、最終期限としてどこまでをというふうに考えていらっしゃいますか。解釈をされていらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 こうした文章は与党の文章を引いておるかと思うわけでございますけれども、いずれにせよ、平成十九年度をめどにと書いてございますので、みんなそれは本当に、関係の皆さんはそれを頭に何回もたたき込んでおりますので、文字どおり十九年度をめどに、自分たちが税体系の抜本的改革を行わなければならないということでは、みんな非常にしっかりした認識を持っている、このように私は考えております。

園田(康)委員 そうしますと、通常、私が理解をさせていただきますのは、ことしは十九年でありますので、十九年度といいますと、来年の二十年三月三十一日が最終的な期限というふうに思うわけですが、大臣、その考えでよろしいですね。

柳澤国務大臣 国民年金法等の一部を改正する法律の附則の方では、特定年度を定めるということを規定しているわけでございまして、特定年度については、平成十九年度をめどに税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までの間のいずれかの年度を定めるものとする、こういうことでございます。

 したがって、抜本的な税制の改革というのは、平成十九年度をめどに行うということが皆の認識になっているということは、先ほどお答えしたとおりでございます。

園田(康)委員 質問時間が終了いたしました。

 大臣、今回のこの年金法の改正にかかわる財源として、約二分の一までのあと残りの財源が二兆五千億というふうに私は伺っております。この二兆五千億を埋めるための議論というものは、やはりこれは国民的な議論でありますので、大臣も税制にお詳しいといいますか、金融のスペシャリストとして拝察をさせていただいております。この議論をやはり一刻も早く国民の目に見える形の中で行う必要があるということを強く申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 国民年金法の一部改正案は、基礎年金国庫負担の割合を今年度の三五・八%から三六・五%へと引き上げるものではありますが、十年をめどに二分の一まで引き上げるとした九四年の国会決議を既に裏切っていること、その財源も、老後の安全、安心を保障する年金でなければならないはずなのに、年金課税強化など高齢者に重い負担増を求めていることなどから、賛成できないものであります。社会保険庁の改革法案も今国会に再提出される予定でありますが、問われているのは、国民の年金に対する信頼をどうかち取るのかということだと思います。

 きょうは、そうしたことから、関連する社会保険病院と厚生年金病院について伺いたいと思います。

 今、全国の病院関係者、地域住民、議会、医師会などから存続への強い要望が上がっていることは御承知のことだと思います。社会保険病院は、健康保険法第百五十条を根拠法に、全国に五十三病院が設置されております。しかし、平成十四年七月の健保法改正に伴い、附則に病院のあり方の見直しが盛り込まれました。同年十二月には「社会保険病院の在り方の見直しについて」が発表され、各病院が三年間で経営改善計画を策定し、その後の経営状況を見ながら、今年度中に整理合理化計画をつくるとされてまいりました。平成十八年度中、すなわちあと一週間であります。整理合理化計画はできるのでしょうか。

青柳政府参考人 社会保険病院についてお尋ねがございました。

 社会保険病院につきましては、ただいまも御紹介ございましたように、平成十四年に、私どもの厚生労働省の方針といたしまして「社会保険病院の在り方の見直しについて」というものを策定いたしましたが、これに基づきまして、平成十五年度から十七年度の三年間における経営実績などを勘案して、十八年度に整理合理化計画を策定することとしておりました。

 この計画の策定に当たりましては、こうしたこれまでの経緯とあわせまして、平成十七年に、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案を審議いただきました際に、本衆議院厚生労働委員会におきまして、附帯決議によりまして、地域の医療体制を損なうことのないよう、厚生年金病院の整理合理化を進めるというようなことが決められたわけでございまして、こういったことから、社会保険病院につきましても、これと平仄を合わせていく必要があるというふうに私ども考えている次第でございます。

 このため、これらの病院が現に地域において果たしている役割をどのように維持していくかということを念頭に置きまして、各般の御意見を踏まえながら検討を進めているところでございますが、現在までのところ、整理合理化計画を策定するに至っておりません。

高橋委員 つまり、今年度中には間に合わないということでありますね。これは、今、もう一度立っていただくまでもないかなと思っております。

 そこで、この間、与党議員も含めて、社会保険病院、厚生年金病院については、現在の公的病院の形、公的機能を維持しながら存続をという質問や要請が相次ぎ、そのたびに、青柳部長初め厚労省は、今答弁されたとおり、附帯決議を踏まえて、地域の医療体制を損なうことがないようにと答弁をされてきたことだと認識をしています。

 しかし、現実にあと一週間、今お答えがあったように今年度中は無理だということがはっきりしております。病院関係者は、現在、それでなくても深刻な医師不足、看護師不足、これは全国的に起こっている問題でありますけれども、自分たちの今後の見通しが決まらなければ、要するに人材募集をしても集まらない、見通しが全く持てないという、大変不安の声を上げているわけです。

 そういうことを踏まえて、一体いつまでにどのように示すのか、またこの地域の医療は守られるのか、重ねて伺いたいと思います。

青柳政府参考人 重ねてのお尋ねをいただきました。

 御承知のように、先ほど経緯を述べさせていただきましたような状況の中で、これは、社会保険病院の平成十四年の当時におけるさまざまな事情の中で定まったスケジュールに加えまして、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案の際の国会における御議論というものを踏まえて、私ども、いわばそういった付加された条件の中での検討をさせていただいているわけでございますので、その意味では、いましばらく、これらの病院が現に地域において果たしている役割をどのように維持していくかという点が、さまざまな御議論とうまく整合性のとれるような形になるように検討させていただきたいということをお願いする次第でございます。

高橋委員 社会保険病院は、この間、十五年から三年間の経営改善計画を見て、存続、売却、あるいは経営自立などの方針が決まるということで、どの病院も血のにじむような合理化を行ってきたと思います。結果、収支状況は改善されていると思いますが、確認をいたします。

青柳政府参考人 社会保険病院の収支状況についてのお尋ねがございました。

 社会保険病院につきましては、先ほど来申し上げておりますように、平成十五年度を初年度とする三カ年の経営改善計画を策定いたしまして、その経営改善に取り組んできたところでございます。

 具体的に、経営改善前の平成十四年度の数字と比較をいたしますと、平成十四年度の単年度収支につきましては、社会保険病院全体では約十九億円の赤字でございました。一方、累積では三百八十八億円の黒字という状況でございました。経営改善計画を策定した平成十五年度以降につきまして、毎年、建物更新費用といたしまして約九十五億円を積み立てた上で、経営改善の最終年度である平成十七年度の数字を申し上げますと、単年度収支では約七十三億円の黒字、累積では約六百三十八億円の黒字ということになっておりますので、社会保険病院全体においては一定の経営改善が図られたものと認識をしております。

 しかしながら、平成十八年度に入りましてから収支が悪化している病院もございまして、その経営状況は必ずしも楽観できる状況にはなっていないというふうに私ども認識をしている次第でございます。

 いずれにいたしましても、社会保険病院の整理合理化に当たりましては、今後、各般の御意見を踏まえながら、できるだけ早く整理合理化計画を取りまとめてまいりたいと考えております。

高橋委員 経営状況が改善しているというお話でありました。もちろん、楽観できないというお話は当然ありますよね。それは、今の診療報酬の引き下げだとかさまざまな状況があるのと、先ほど指摘をした、見通しが持てないということによるものが大きいのではないかと思っております。

 この経営改善をするに当たって、やはりリストラや賃下げなどの激しい合理化計画の結果であるということは当然のことだと思うんですね。それは、今年度のうちに方向が出るんだ、それまで何としても存続に必要な状況をクリアしよう、経営を改善しなくちゃいけない、そういう目標に向かって頑張ってきたことの結果ではないかと思うんです。

 どこでもそうなんですけれども、例えば福島県の社会保険二本松病院、十二の診療科を持ち、年間五百件の分娩を扱う地域の基幹病院であります。十五年度から経営改善に取り組み、十六年度末で三千三百万、十七年度末で四千五百万の当期剰余を出して経営改善が進んでおります。

 この額だけを見ると小さく見えますけれども、それプラス、今部長から報告があったように、建物更新費用一億五千万円を毎年積んでおるわけです。保険料財源は施設に入れない、こういう方針のもとで、現実に予算も変えている、それでも黒字に転化をしているわけですよね。このことは、手放しで喜べる実情ではありません。それだけの犠牲を払ったということであります。

 退職者不補充、労使協定で確認された諸手当もすべて打ち切り、増員のないまま二交代夜勤、土曜診療をふやすなど、労働条件悪化が進みました。これでは、安全、安心の医療が守られないというのは当然であります。皮膚科が二年以上休診、他の診療科も医大からの週二回派遣などでやっと切り抜けているということであります。

 重要なことは、これは全国の社会保険病院に共通した問題であります。地域の医療を守りたいから、三年頑張って存続の見通しが持てるから、そう思ってこれまで労働条件の悪化に耐えてきた、しかし、そこでゴールが見えなくなってきた、そうすると、これ以上どうするのかということが現実に突きつけられているわけですね。この点について、どう答えていくのでしょうか。

青柳政府参考人 社会保険病院の今後のことを考えてまいります際には、これまで経営改善計画三年間を一生懸命やっていただいた、これはさまざまな要因がもちろんあろうかと思います。一番大きな問題は、従来、健康保険やあるいは年金、こういったものの保険料で病院の施設整備を行うということを前提に事業を行ってきたものから、それをいわば自前で更新費用という形で積み立てるというところに形を切りかえる、そのためには、例えば給与等についても、全社連系の病院で横並びというような形になっていたものを、それぞれの病院の実情に応じて適切に見直しをする、こういったことの結果として、先ほど申し上げたような十七年度末での数字が出てきたものと思います。

 しかしながら、この病院は、十八年度において、さまざまな環境の変化があったとはいうものの、再び収支の悪化を招いているところが一部あるということは、やはりその経営改善というものが他の民間病院等に比べれば、まだまだ必ずしも進んではいないということの一つの証左ではないかというふうに、私ども深刻にこの問題を受けとめております。

 したがいまして、もちろん、整理合理化計画を一日も早く明らかにして、その行く末というものをきちんと示すということは努力をさせていただきたいと思いますが、それと並行して、各現場の病院において一層の経営改善努力というものをお願いするということも、またお願いしていかなければならないというふうに考えております。

高橋委員 ちょっと今の答弁は、かなり厳しいものではないのかなと。

 先ほど述べたように、三月で一定の方向が見られる、そのためにかなりの努力をしてきたと。ゴールは示さないけれども、努力は足りないと今おっしゃったわけです。それでどうやって頑張れるんですか。現実問題として、そうでしょう。見通しが持てないのに、お医者さん来てください、看護師さん来てくださいと言ったって、それは難しいですよ。退職者が出たって、どうして補充できるんですか。そういうことじゃないですか。もう一度。

青柳政府参考人 将来、この社会保険病院がどのような形で事業を継続するにせよ、これまで続けてきた経営改善計画、合理化の進め方、これはやはり引き続き進めていただく必要があるわけでございますので、もちろん、私ども、先ほど来繰り返しておりますように、その整理合理化計画を一日も早く示すということについては努力を惜しまないつもりではございますが、しかし、その結果、新しい姿が示されたとしても、そこにおける経営合理化を推進していくということについて変わりはないということを申し上げさせていただいたつもりでございます。

高橋委員 新しい姿が示される見通しがまだ見えないから、どこまで頑張ればいいのかということを指摘しているんです。

 厚生年金病院は、昨年の三月に計画を出すはずが、依然として宙に浮いております。まさにこちらの方は、もう一年以上見通しが持てないから、深刻な状態が続いております。先ほど述べたように、まさに医師、看護師、職員の確保、見通しが持てないと悲鳴が上がっております。

 一方、これらの病院は、テレビで紹介された湯布院を初め、リハビリ、小児救急、腎臓治療など、地域にとってなくてはならない医療を担っています。また、この間、委員会でも話題になってきたように、全国的にも要望が強いにもかかわらず、これがだんだん穴があいていく、そういう分野ではないでしょうか。お願いしてでもそうした病院には維持してもらいたい、それらの診療科をしっかりやってもらいたい、そういう状況ではないかと思うんです。

 社会保険庁の改革案が一たん廃案になり、今国会に再提出されておりますが、社会保険病院と同様、厚生年金病院を社会保険庁改革いかんとは切り離して公的病院として存続の道を探るべきと思いますが、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 社会保険庁の改革案との関係で、今、病院の姿をどうするかというお尋ねがございました。

 社会保険庁の改革案は、現在、国会に提出しておるわけでございますが、これは平成十六年度以降、私ども、法律に盛り込んだものも盛り込んでいないものも含めて逐次進めてきたものでありますし、その意味では、平成十七年に御審議をいただきました、いわゆる年金・健康保険福祉施設整理機構法案もまた社会保険庁改革の一環であったというふうに私ども受けとめておるわけでございます。

 したがいまして、社会保険病院、厚生年金病院のあるべき姿というのを整理合理化計画という形で一日も早くお示しするということは、繰り返し申し上げているように、私ども、引き続き一生懸命努力をしてまいりたいというふうに考えておりますが、そのことは、いずれにしても、社会保険庁という組織が新しい姿に変わっていくというものの重要な一環であるということをしっかり受けとめて取り組んでまいりたいと考えております。

高橋委員 自民党の厚生労働部会あるいは社会保険庁ワーキンググループの合同会議を受けての二月二十七日の尾辻座長の記者会見の中でも、これは法案とは切り離して検討したいということが表明をされておりますので、これは世論の反映なんだろうということは多分感じているんだと思うんですね。その点は強く指摘をしておきたいと思います。

 最後に大臣に伺いたかったんですが、残念ながら時間が参りましたので、次の機会にしたいと思います。

 全国の陳情書があります。百二十三ページ、これは全部つづったものですが、そのうち五十ページが、大臣のおひざ元である静岡県と関係自治体からのものであります。三つの社会保険病院があるということで、医師会が地域にとってなくてはならない病院だと強く要望していますし、議会からも繰り返し要望が出ている、地域にとってなくてはならない病院だとみんなが認めている病院は、やはりそういう形で維持するというのが望ましいだろうという点で、大臣にも強く英断を迫りたい、重ねて指摘をして、終わりたいと思います。

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日審議されます国民年金法等の一部を改正する法律案につきましては、現在、国民的に最も関心事であります基礎年金部分の国庫負担を二分の一に引き上げる過程であるということは評価しつつも、その財源手当ということにおいて、本来的に抜本的な税制の見直し、例えば所得税の累進度の見直しやあるいは法人課税そのものの見直し等々の税制の改革の中で、きっちりとした安定した財源が確保されるべきと考えております。そして、法案の対応は反対とさせていただきます。

 では、引き続きまして、私に残されました時間の中でタミフルの問題を取り上げさせていただきます。

 タミフルが引き起こしましたさまざまな混乱事象ということにつきましては、既にこの国会冒頭の二月の予算委員会で、私は柳澤厚生労働大臣にも質疑をさせていただきました。この間の厚生労働省の対応は、恐縮ながら後手後手に回ったといいながらも、起きてきている国民の不安にこたえようとしているものとは思っております。しかしながら、対応そのものの中で、よりきちんとした、タミフルという薬が使われている現状を把握し、必要であれば、例えば薬害被害に遭われたという申請を出されている方々への対応も含めて、再度私は仕切り直しがなされるべきと思いますので、本日は、そのような観点から質疑をさせていただきます。

 まず冒頭、大臣に伺いますが、きのうも辻事務次官ですか、会見をなさっておられました。その中で、タミフル発売以来、二〇〇〇年のことですが、厚生労働省には、いわゆる現場から上がった副作用報告が、件数において千八百件上げられているそうであります。これを見直されるという御発言でありましたが、大臣の見解は同じでありましょうか、これについてお願いいたします。当然だと思いますが。

柳澤国務大臣 タミフルにつきましては、阿部委員からは非常に早い段階からいろいろ御指摘をいただきまして、私どももいろいろ啓発されたりあるいは勉強したりする機会を御提供いただいた、このように認識をいたしております。

 二月の末に、立て続けに、本当にかわいそうに、若い中学生が異常行動で転落死するという不幸なことがありまして、直後に私ども、これについて医家向きの注意文書を出したわけでございますが、今週の火曜日に再び、これは不幸中の幸いで死亡には至りませんでしたけれども、やはり同様、二階から飛びおりてけがをされるということが起きた、加えまして、また同様事例が製薬会社からもたらされたということで、即刻決断をしまして、緊急安全性の注意をさせていただいたということでございます。

 そういう中で、今後どうしていくかということでございますけれども、やはり個別の検証やさらにはまた疫学的な調査等々、万般にわたりまして見直しの調査をしなければならない、このように考えております。

阿部(知)委員 私は、見直していただく場合に、これまで厚生労働省に上がっている、報告された事例、まずこれをきっちりと検証していただくことが先決かと思います。

 大臣のお手元に、そして皆さんのお手元に配らせていただいたのは、例えば、平成十八年の一月一日から平成十八年の三月三十一日まで三カ月間で上げられた副作用報告であります。これは、臨床現場の医師たちが投与して、その間、患者さんに起こったこと、あるいは親御さんの方からおかしいんじゃないかという声が上げられたことの具体的なものであります。

 ページを一ページおめくりいただいて、これは、この資料はもともと医薬品等安全対策部会というもので検討されたもののもと資料でありますが、下段からリン酸オセルタミビルという形で、いわゆるタミフルについての集計がございます。

 まず、一ページ目は、激越、これは激しく興奮することをいいます。二ページをあけていただきまして、上から順次チェックしたものをまず読ませていただきますが、健忘、自殺未遂どころか自殺既遂、錯乱、譫妄、妄想、意識レベルの低下、うつ病、情動障害、易興奮性、そして幻覚、あるいは感覚鈍麻等々。次のページをあけていただきます。またここにも並んでおりますが、これは躁病、そして落ちつきのなさ、自殺念慮、そして視覚障害、退行行動、異常行動なんと三十五例、そして精神症状三例。

 ここにチェックいたしましたもの以外にも、例えば、中枢神経にかかわります症状として取り上げられますものは、けいれんや見当識障害、構音障害、嚥下障害等々ございます。

 何と、こういうものを集計いたしますと、恐らく医学的に見て、中枢神経に何らかの影響を与えたと思われる事案は百二十五件となっております。

 一方、このデータの中にも、皆さんにぜひ見ていただきたいのですが、骨折という記載や、あるいはページで四と打ってございますが、外傷性骨折、脳挫傷など、普通、タミフルを飲んでなぜ脳挫傷したり骨折をするか、こういうものは非常に奇異な副作用に見えるわけですが、薬剤を投与した後、例えば飛びおりられれば脳挫傷し骨折をいたします。

 実はこれだけの事案が、この十八年一月一日から三月三十一日までの安全対策部会に上げられております。

 しかしながら、その後に行われました安全対策部会では、ただの一言も、このタミフルのタの字も出てこず、何ら検討がなされていません。私は、昨日、現場の担当者にも伺いました。そうしましたら、異状死等々がなかった、死亡ではなかったと。死ぬまで、死んで初めて薬害として検討がなされるというような体制は本当におかしいと思います。

 これは大臣も本当に虚心坦懐に見ていただきたい。こんなに累々とです。異常な副作用の数々であります。また、低体温十一例というのも、医学的に見れば中枢神経障害です。これを集めて、千八百件あるわけです。まず、このデータの全貌をきっちりと解析する、このようなお気持ちがおありかどうかを、私は先ほど伺いました。大臣の御答弁は、直にそのことを御理解いただいていなかったようですが。

 実は、私がこのように申しますのも、我が国と、例えばよく引き合いに出されます米国FDAでは、薬害や、起こった不測の事態に対しての対応の迅速さ、あるいはデータ処理の仕方が圧倒的に違っております。先ほど、山井委員がお取り上げになりましたフィブリノゲンの問題でも、既にFDAでは、一九七七年に発売中止。我が国では、その後、最終的には八七年でありましたでしょうか、約十年を経て禁止がされております。そのおくれの間に、どれだけの人が被害に遭ったか。

 私は、これからの薬事行政において、この安全性についてやはり抜本的に改めるということがなければ、数多い方々の被害は報われることがないと思います。

 まず、大臣、先ほど私が伺いましたが、このような累積した悲惨な症例の数々を見直して、そして、これまで、この医薬品機構の中で副作用として申請しながら否定されてきた御家族が四家族あります。当然ながら、見直されればそうした方々の申請についても、却下ではなくて見直すこともあり得るのかどうか。これは科学的な知見をきっちりしてくれということであり、同時に、今までの医薬品機構の中で却下されてきたものについても、当然見直されるべきだろうということでありますが、御答弁を伺います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでのタミフルに関する副作用の症例、これにつきましては、死亡症例につきましては、これまで審議会での審議などを経まして検討いたしたところでございますけれども、それ以外の症例につきましては、やや不十分な点があったのではないかというふうに私どもは考えておりまして、その点は再度精査をいたしたいというふうに考えております。

 それから、今お話の二点目にございました、これまでの救済給付の申請の申し立ての件でございますけれども、これは、その中身につきましては、実際に私どもの医薬品副作用判定部会の方できちっとした審査をやっております。その点について、ちょっとどういう扱いにするか、その点につきましては、少しお時間をいただいて、検討させていただきたいと思います。

阿部(知)委員 何度も申しますが、先ほど御紹介したような累々たる副作用報告があって、医薬安全対策部会では一言も、一行も触れられていないんです。そういう中で、勝手に、これは副作用ではないとして却下してきたわけですから、本当に真剣に見直されるべきです。もちろん第一段階は、この千八百件の報告を見直すということだと思います。

 大臣には、その点の確認を後ほどお願いしたいですが、もう一つ、御質問があります。

 実は、今、このインフルエンザのタミフル使用ということに関して、先日来取り上げている研究班がございます。平成十七年度と十八年度の二年間にわたって研究をしておられますが、十七年度の報告は何ら有害な事象として判定されないと、一応そういうふうにはなっておりますが、よく読めば問題があるという部分も指摘がされております。ところが、ここにかかわります研究班員の教授八人のうち三名が中外製薬から寄附を受けておられたということが判明いたしました。

 今後の、例えばこの千八百件を見直していただくにも、同じように中外製薬から寄附があった方がまた見直していただくというようなことが出ると、国民にとっては非常に信頼のできない見直しだということになってまいります。

 大臣として、こういうのを利益相反と申しますが、研究にかかわる方と、その方が受けておられる背景の経済的なバックグラウンド、それについて、今後、厚生労働省としてどんな見直しをしていかれるのか。

 特に、この研究は厚生労働省が指名なさって研究をお願いした方です。よもやそうした背景を御存じなくて指名されたのか、そして、そういうことが繰り返されては困りますので、厚生労働省としての対応を伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 私は、言うまでもないことですけれども、医薬については、効能というか、期待される効果もあるかわりに副作用もあるものだという基本的な認識を持っております。しかし、その副作用が、やはり人間の生命あるいは健康に重大な障害があるということでは、安全性の観点からこれは許されないことでございます。

 そういう意味で、安全は第一にいたしたい、こういうように考えておりまして、今、委員が指摘されるように、これまでいろいろな形で報告がありました副作用という報告につきましては、逐一これの見直しを行うということでございます。

 それから、その見直しを行う機関について、寄附をいただいている先生がいたけれどもこれはどうするかということでございますが、これは、当然除外をして、新しい体制の機関にいたしまして、そして、いささかも公正性において疑われるようなことのない体制を構築して、この見直しに当たらせたい、このように考えております。

阿部(知)委員 もう一点、伺いました。異常行動死二名、そして突然死二名は、これまでの医薬品の救済機構の中では却下されております。極めて不当な判断だと思います。この点もあわせて、大臣にはよろしく御検討をお願いしたいと思います。

 終わります。

櫻田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党を代表し、国民年金法等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。

 本法案は、基礎年金への国庫負担率を引き上げるために、二〇〇七年度の国庫負担積み増し分を千百二十四億円とし、国の負担割合を〇六年度の三五・八%から三六・五%へとわずかな引き上げにとどめるというものです。

 言うまでもなく、基礎年金国庫負担の拡大は当然のことであり、一九九四年の国会附帯決議では、国庫負担二分の一への引き上げを九九年を目途に実現することが全会一致で決まっておりました。ところが、この合意は先送りされ、前回の年金改正法附則では、二〇〇七年度を目途に所要の安定した財源を確保する税制の抜本改革を行い、二〇〇九年度までに引き上げることとされました。

 本法案では、この間の合意や附則を無視して、国庫負担の増額をごく少額にとどめ、国庫負担二分の一の実現をまたもや先延ばししていることは、国民への公約違反、怠慢と言わざるを得ないものです。

 そして、その財源については、与党税調の〇四年度税制改正大綱に盛り込まれた年金課税の適正化や定率減税の縮減、廃止を国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源とし、国庫負担を二分の一にするためだから、高齢者増税も定率減税の廃止などもやむを得ないとしてきました。

 ところが、実際には、高齢者増税と定率減税の廃止によって国税分だけで二兆七千億円も財源がふえたのに、年金への国庫負担は〇七年度までに約五千億円しかふえていないのです。これでは、国民をペテンにかけたことと同じではありませんか。

 しかも今度は、消費税増税の口実にこの基礎年金国庫負担引き上げを使おうとしています。この点は、安倍総理が総裁選さなかに、日本記者クラブの討論会で、二〇〇九年には基礎年金の国庫負担引き上げの財源が必要だから、〇七年秋から消費税増税の議論を始めると述べていることからも明らかです。

 国庫負担引き上げを高齢者増税、定率減税の廃止の口実に使うだけではなく、消費税増税の口実にも使うなどは、偽りの証文で庶民から税金を二度取り立てるようなものだと言わざるを得ません。

 以上指摘をして、反対討論といたします。

櫻田委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

櫻田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

櫻田委員長 次に、内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柳澤国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、平成十九年十月から、年金の支給額を引き上げることにより、援護の一層の充実を図ろうとするものであります。

 改正の内容は、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるとともに、障害年金、遺族年金等の額の自動改定に係る規定を整備すること等であります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

櫻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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