衆議院

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第20号 平成19年5月16日(水曜日)

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平成十九年五月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      安次富 修君    新井 悦二君

      井上 信治君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      岸田 文雄君    清水鴻一郎君

      菅原 一秀君    杉村 太蔵君

      鈴木 馨祐君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    西川 京子君

      林   潤君    原田 令嗣君

      福岡 資麿君    松野 博一君

      松本  純君    松本 洋平君

      内山  晃君    枝野 幸男君

      大島  敦君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      田名部匡代君    筒井 信隆君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      柚木 道義君    坂口  力君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           川村 卓雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  清水美智夫君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     鈴木 馨祐君

  高鳥 修一君     安次富 修君

  柚木 道義君     枝野 幸男君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     高鳥 修一君

  鈴木 馨祐君     加藤 勝信君

  枝野 幸男君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     柚木 道義君

    ―――――――――――――

五月十六日

 パーキンソン病の療養生活の向上に関する請願(斉藤鉄夫君紹介)(第九〇六号)

 同(宮下一郎君紹介)(第九〇七号)

 同(高村正彦君紹介)(第九一九号)

 同(寺田稔君紹介)(第九二〇号)

 同(鴨下一郎君紹介)(第九四四号)

 同(石田真敏君紹介)(第九五六号)

 同(寺田学君紹介)(第九五七号)

 新・腎疾患対策の早期確立に関する請願(村上誠一郎君紹介)(第九〇八号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第九二一号)

 同(武部勤君紹介)(第九二二号)

 同(仲野博子君紹介)(第九七一号)

 同(古賀一成君紹介)(第一〇〇五号)

 同(杉浦正健君紹介)(第一〇一七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一〇一九号)

 同(田村謙治君紹介)(第一〇二一号)

 同(加藤勝信君紹介)(第一〇三一号)

 同(古川元久君紹介)(第一〇三二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇六七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇七〇号)

 障害者の福祉・医療サービスの利用に対する定率(応益)負担の中止を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第九〇九号)

 同(三井辨雄君紹介)(第九一〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第九二六号)

 同(阿部知子君紹介)(第九四五号)

 療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求めることに関する請願(三谷光男君紹介)(第九一八号)

 同(松本大輔君紹介)(第九五五号)

 同(河村たかし君紹介)(第一〇二五号)

 同(古川元久君紹介)(第一〇二八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇五二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇五五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇五六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇五九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇六〇号)

 労働法制の拡充を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第九二三号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第九二四号)

 同(日森文尋君紹介)(第九二五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九七二号)

 同(石井郁子君紹介)(第九七三号)

 同(笠井亮君紹介)(第九七四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九七五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九七六号)

 同(志位和夫君紹介)(第九七七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九七八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九七九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第九九一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九九二号)

 同(筒井信隆君紹介)(第九九三号)

 パートタイム労働者の均等待遇実現に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第九五〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第九五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九五二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九五三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九五四号)

 最低賃金法とパート法の実効ある改正と有期雇用の制限を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九五八号)

 同(石井郁子君紹介)(第九五九号)

 同(笠井亮君紹介)(第九六〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九六一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九六五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九六六号)

 安全・安心の医療と看護の実現を求める医療従事者の増員に関する請願(寺田稔君紹介)(第九七〇号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一〇三〇号)

 高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九八二号)

 同(石井郁子君紹介)(第九八三号)

 同(笠井亮君紹介)(第九八四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九八五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第九八七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九八八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九八九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九九〇号)

 最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇〇八号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇〇九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇一一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇一二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇一三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇一五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇一六号)

 児童扶養手当の減額を最小限にすることに関する請願(古川元久君紹介)(第一〇二九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六一号)

 化学物質による健康被害に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一〇三四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一〇三五号)

 同(郡和子君紹介)(第一〇七二号)

 体外受精等不妊治療の保険適用を求めることに関する請願(野田聖子君紹介)(第一〇三六号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一〇三七号)

 国民健康保険の充実を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇六二号)

 格差社会を是正し、命と暮らしを守るために社会保障の拡充を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇六三号)

 生活保護に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇六四号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇六五号)

 被用者年金制度一元化等に関する請願(村田吉隆君紹介)(第一〇七一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本年金機構法案(内閣提出第七八号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)

 歳入庁設置法案(山井和則君外五名提出、衆法第二三号)

 国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二四号)

 公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案並びに山井和則君外五名提出、歳入庁設置法案、国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局総括審議官川村卓雄君、事務総局人材局長鈴木明裕君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、国税庁次長加藤治彦君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁総務部長清水美智夫君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 大臣、おはようございます。きょうもひとつ、よろしくおつき合いのほどお願い申し上げます。

 先週の金曜日に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、付番、統合されていない年金手帳記号番号の五千万件の件につきましてお尋ねをさせていただきたい、こう思っております。

 前回、初めてこの資料を拝見させていただきましたので、よく精査をすることができませんでした。そして、きょうも、完全にできたかというと、時間的なものもありまして、まだまだお尋ねをしなければならない点がたくさんございます。

 前回もお聞きをさせていただきました生年月日が特定できない被保険者の記録、厚生年金に関しまして三十万件、そして国民年金に関しましては千百件程度でございますけれども、この記録というのが、なぜ生年月日が壊れた記録があるのかというその原因をもう一度確認したいんですが、いかがでございましょうか。

柳澤国務大臣 基礎年金番号を、国民年金の方々、あるいは厚生年金の方々、それから共済年金の方々、それぞれ、平成九年の一月にこれに付番をするときに、そのとき現に被保険者であるとか受給権者であるとかという立場でなかった方々については基本的にまず統合ができないというか付番ができなかった、これはそういうことであるわけですね。そして、もとより、そういう過去で違った番号を持っている方々は当然には統合できなかったわけでありますけれども、申し出をいただくこと、それから同時に、社会保険庁内部の作業として統合をしたということで、基礎年金番号に必然的に統合できなかった部分についてもできる限りの統合の努力をいたしました。その結果、残ったのが五千万件ということであります。

 この五千万件につきまして、できるだけ実態を把握しようということで、生年のグループ分けでもって整理をしたということでございます。そうしましたら、当然のことながら、年齢的にはかなりの拡散というか、そういう状況にあったことがわかったわけでございますが、そういう分析をする途中で、生年月日というものが必ずしも分明でないというものがございましたので、それは別途に分類をさせていただいて一応把握ができた、三十万件というのはそういう数字なのでございます。

 その原因やいかに、こういうことでございますけれども、結局これは、単純に言って、生年月日の項目が書いていない、生年、それから月、それから日というものが全部そろっていないということがあったのと、例えば何年九月三十一日というようなことで、あり得ない、そういう生年月日が記されているものもそこに分類をさせていただいたということでございます。

 その件数が三十万件ということでございますが、それがどうしてそういうことになったのかということについてお尋ねでございますけれども、これは今、その当時の状況というものがどうしてそういう不完全な記載を生んだのかということについては、ここでお答えするようなレベルで明確に我々は把握することができないでおります。

内山委員 事務方の方にもお尋ねをしたいと思います。青柳さん、その件につきましてお尋ねをしたいと思います。

青柳政府参考人 三十万件のお尋ねでございまして、その経緯につきましてはただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、繰り返しになる点がございますけれども、結果的に、生年月日の項目がまるで入っていない、あるいは、入っているんだけれども、あり得ない年あるいは日付になっておる、こういったものが実際に散見されるということでございます。

 これは、推測をいたしますれば、例えば入力の際のミスではないかとか、あるいは台帳そのものがそういう誤った日付に何らかの事情でなっていたのではないかとか、幾つか推測されるものはあるわけでございますけれども、残念ながら、現時点でそれぞれを特定することは困難でございますので、私どもとしては、その原因を究明するということもさることながら、まずは、現存している、残っている情報の中で一生懸命一人一人の記憶をいわば復元、統合するということに全精力を注がせていただきまして、丁寧な対応をさせていただくということを最優先の課題とさせていただきたいと存じます。

内山委員 健康保険と厚生年金は、資格取得の際、同じ用紙で書きますから、健康保険の方に生年月日が記載されないということは昔も今もあり得ないわけです。ということは、厚生年金のデータとして三十万件、生年月日が壊れているデータがあるということは、これは明らかに、紙ベースからデータを移しかえた際のミスが最大の原因だろう、私はこう推測するわけであります。ということは、これはやはり社保庁の責任であるということになるわけであります。

 事業所から資格取得届が出たとしても、そこで生年月日が記載されていなかったり、例えば十二月生まれが十三月生まれとかと書かれていれば、そして四月の三十一日生まれなどと書かれていれば、これは当然エラーになるわけでありまして、今のコンピューターですと、そういうあり得ないデータを入れればはじかれるわけでありますけれども、当時のデータ入力はそういったシステムにはなっていないと思います。ということは、これは明らかに、紙ベースから電算機ベースにデータを入れかえた昭和五十五年当時の膨大な処理の中のミスが最大の原因であろう、私はそう思うわけでありまして、ということは、この三十万件、これは社会保険庁に責任があるというわけであります。

 大臣、やはりこういう実態があるということを御認識していただきたいんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 年齢、あるいは生年月日ですが、生年月日の記載が完全でないというようなものがどのようにして生まれたかということが、被保険者の方、あるいは年金の受給者の方に起因するものであるか、あるいは、その方々は当局に対して、市町村なりあるいは社会保険事務所なりというところの接点でもって正しく書類を整えたにもかかわらず、その後における事務処理においてそうしたものを生じさせたのではないか、こういうことでございますが、今、内山委員のような、そういったことについて、この詳細、事務処理のありようというものをよく御存じの方からそういった御意見というか評価が行われるとすれば、私はそういうこともあり得ないということではないだろう、このように伺っていた次第です。

内山委員 ということは、まずこの五千万件の記録よりも前にできることがあるわけでありまして、被保険者の生年月日が特定できないデータでも被保険者番号が出ているわけでありまして、厚生年金の被保険者記号番号、都道府県名、そして社会保険事務所の番号で見れば、どこの県のどこの社会保険事務所から振り出された被保険者番号だということがわかるわけでありますから、この三十万件、どこの社会保険事務所で、だれだれというようなリストを早急に公開すべきだろうと思います。それはいかがでしょうか、大臣。

青柳政府参考人 三十万件につきましてのデータを公開してはどうかという御提案を今いただいたわけでございます。

 御指摘の、生年月日が特定できない三十万件につきましては、情報が不十分であるとはいうものの、これは立派な個人情報でございます。したがいまして、その情報の公開、公表ということについては非常に慎重でなければならない。私どもとしては、これを一律に公表するというようなことはできないというふうに認識をしております。

 したがいまして、先ほど来申し上げていることの繰り返しになりますが、御本人がいろいろお申し出をいただく際に、例えばこの不十分な情報につきましても、残されているものの中から一つ一つを丁寧に突き合わせをして、まさに統合、復元していくという作業を丁寧に進めさせていただくという形で、多少、お時間、お手間はとらせるかもしれませんけれども、私どもとしては、確実にそういう形で年金給付に結びつけてまいりたいと考える次第でございます。

内山委員 青柳さんに今のお尋ねをいたしますけれども、それは被保険者または受給者が役所を訪ねてから行うという手続ですか。

青柳政府参考人 これは既に御承知のように、私ども、おくればせではございますけれども、五十八歳通知、そしてこれに伴うターンアラウンドという形での情報の提供、そしてこれに基づく確認作業をさせていただいておりますので、そういう流れの中に乗ってくる方は、ここの段階でそういう形で確認をしていただければと思いますし、例えば既に年金受給権者になっておられる方については、大変にお手間をとらせて申しわけないわけでございますけれども、そういうおそれがある、あるいは疑いがあるという場合には、ぜひお申し出をいただいてと思います。

 なお、記録の確認そのものは、事務所においでいただかなくても、インターネットあるいは文書等によっての請求という形でもさせていただきますので、御活用いただければと存じます。

内山委員 青柳さん、そんなことじゃ事務処理できませんよ。同姓同名だって、コンピューターで開けば五百名から出てくるというんですよ。そこにキーワードとなる生年月日が入っていなければ、どうやって調べていくんですか。まず、あなた方の段階でわかっている記号番号から、どこどこ社会保険事務所から振り出されている被保険者番号であって、それが資格取得が何年何月で、どこの事務所でと、こういうデータをまず整理すべきでありますよ。それをやって、そこのところにお訪ねいただいた方から問い合わせをすれば、すぐわかるようにすべきだと思いますけれども、いかがですか。

青柳政府参考人 これは委員が既に御承知のことと思いますので、大変恐縮でございますけれども、この記録の統合あるいは訂正という作業につきましては、例えば、私どもが機械的に突き合わせをして自動的にやれば、それで済むという作業ではございません。そういう可能性があるものについては、お一人お一人に問い合わせをして一つ一つ御確認をいただいて、初めてこの記録を統合し、訂正するということが可能になってくるわけでございますので、最終的にはお一人お一人の確認を必ずしていただかなければならない作業であるという性格のものでございます。

 したがいまして、その限りにおきましては、もしそういう御疑念がある場合には、そういう方がまずお問い合わせをいただくことが、そういう方にとっても早く解決を得る道筋ではないかと思うものでありますので、そのようにお願いをしたいという次第でございます。

内山委員 質問の趣旨、答えが違います。三十万件を、こういう形で出ているわけですから、その人たちの部分をまとめて明確に、何年何月から何年何月までどこどこ事業所にいた、ただし生年月日がわかっていない、こういうものの一覧をつくって、問い合わせが全国の社会保険事務所や年金相談から来たところで、すぐにつなげるようにすべきだと言っているんです。

 オンライン上に全部わかるということは、キーワードとして生年月日がなければできないわけじゃないですか。私が書類を持っていって、そこで例えば同姓同名の何百人もいる中で待たせて、それでわかるんですか。事前の準備をするべきだ、こういうふうに申し上げているんです。

 村瀬さん、そこにいらっしゃるけれども、村瀬さん、いかがですか、社会保険庁長官として。

村瀬政府参考人 まず、ファイルの持ち方という問題で、今、内山委員の方からお話がございましたけれども、厚生年金であれば、厚生年金の事業所の中の従業員としていつからいつまで働いたか、こういう持ち方をしているわけですね。その事業所も、実務的な問題からいきますと、基本的には、何々株式会社の何々支店であるとか、何々株式会社の何々支店何々営業所であるとかという個別単位で昔はしていただいていましたので、そういう形でファイルを持っているという形になります。

 したがいまして、現在のやり方からいきましても、厚生年金であれば、お勤めいただいたときの企業名、場所、それからお名前が出てくれば、先ほどおっしゃったような形で仮に生年月日がなかったとしても、同姓同名が同じ企業内に、先ほどおっしゃった五百人なんていることはございませんので、相当数が手続は可能だろうというふうに思います。

 そのときに、今、内山委員がおっしゃったように、基本的にできるだけお待たせをしないような形でどうできるのか。それは、五千万のデータベースの中で、先ほどおっしゃった三十万の人について言えば、特別のデータベースをつくって検索できる機能を設けるということは、当然、業務をやっていく中では検討の一つだろう、このように考えております。

内山委員 今の段階でそれができないからそういう形でやるべきだ、こう申し上げているわけでありまして、まず五千万件をつぶしていくに当たって、できるところからやっていってもらわなければ困るわけでありまして、ここは既年金受給者ばかりじゃないんですよ。年金相談に行って、この五千万件の中の記録が結びつけば、年金受給に結びつく方だって当然いらっしゃると思うんですよ。その人たちの年金権だって守れないわけじゃないですか。

 これでいって日本の年金制度を守るなんていうことが、この五千万件が解決できなくて、できるわけがないですよ。新しい日本年金機構になって、こういったことが保障できるんですか。納付率なんか、ちっとも上がらないですよ、これは。看板のかけかえ、焼け太りになるのが精いっぱいですよ。はっきり言って、今の足元のことができなければ次のことはできないと私は断じて申し上げたいと思います。

 そして、きょう通告をしておりませんが、資料をお配りさせていただいております。ぜひ皆さんに見ていただきたいと思います。大臣のところにも資料が行っておりますでしょうか。

 これは、とある方の、国民年金の口座振替領収書というのがあります。この茅ヶ崎市役所から出ている領収書、後ろが問題でございまして、左側の「茅ヶ崎市役所」と大きく書かれているところの「国民年金保険料 保険年金課 内線二一四」、その隣の「五年」、「この領収書は、下記により大切に保管してください。」、保管期間が五年となっています。おわかりになりますでしょうか。左側の横書きになっている茅ヶ崎、領収書。市民税、固定資産税、軽自動車税、その下に国民年金保険料となっています。この保管期間が五年間。

 ですから、こういう当時のものは、五年を過ぎれば破棄をしてもいたし方ないわけでありまして、領収書がないからといって、逆に言うと、記録がなかったとしてもこれはもういたし方ないんですよ。五年で処分していい、こういう形で、捨ててしまっている人がほとんどだろうと思います。

 その反面、右側を見ていただきたいと思うんですが、今度は縦書きになっています。これは同じところですから、茅ヶ崎市役所として。国民年金の欄を見てください。市県民税、固定資産税、軽自動車、国民健康保険、そしてその下に国民年金保険料、この時効欄が何と先ほどと違うんですね。「年金請求時まで」となっているんです。領収書保管期間「年金請求時まで」、なぜこのような形に取り扱いが変わったんでしょうか。ぜひお答えをいただきたいと思うんです。

青柳政府参考人 ある市町村の書類についての今お尋ねをいただいたわけですが、最初に結論だけ申し上げますと、どうしてこのような扱いになっているか、私どもも承知をしておりません。

 市町村の仕事、国民年金の仕事に関して申し上げれば、いわゆる被保険者名簿という形で、市町村は、自分のところの住民の方についての記録を持つわけでございますが、これにつきましても、その方が転出入するなり資格喪失した場合には、そこから五年間は記録を残しておいてほしい、しかし、それを過ぎれば、それは必要ないという形での指示は私どもの方で具体的に統一的にしております。

 それ以外、例えば、こういう形で領収書の保存期限を年金請求時までとか、あるいは逆に、五年とかという形での個別の指示は、私は少なくとも承知をしておりませんので、これは例えばこの市が、独自の御判断でそういうことをされたかどうかということはございますが、先ほど申し上げましたように、私どもが具体的に指示しておりますのは、転出入、資格喪失のときから五年間の名簿の保管という次第でございます。

内山委員 青柳さん、そんなことを言っていいんですか。この茅ヶ崎の件、しっかりと調べて後ほど答えを出していただきたいんですが、理事会の方へ出していただきたいんです。

 委員長、この茅ヶ崎の保管期限、「五年」または「年金請求時まで」と書いてありますけれども、この調査をした結果を理事会に上げてもらいたいんです。

櫻田委員長 後刻、理事会で協議いたします。

内山委員 では、よろしくお願いします。

 青柳さん、何らかの指示があってこれは変えたんですか。それとも、仮に、これから調べていただければわかると思いますけれども、厚生労働省の方からはこういう指示は出ていないということで、明言できますか。

青柳政府参考人 にわかのお尋ねですので、きちんと調査をした上で最終的には御報告しますが、私が承知しておる限りでは、昭和四十六年の段階で、長期間保存をするようにという指示は出ておるようでございますので、その長期間が、具体的に何年という年数の定めはないようでございますけれども、いずれにしろ、そこを勘案して、市の方でこのような御判断をされたものと推察しております。

内山委員 だから、そういうものがあいまいであって、では、ここの五年を見れば、茅ヶ崎市役所のミスだということですか。五年で捨ててしまっていいと。そんなことを言えるんですか。だって、国がつかさどる年金制度でしょう。国の責任ってあるじゃないですか。国がきちっと指導しておかなくて、記録が消えている、領収書がありません、それはあなたの責任ですよ、そして、国の方は、捨てていいとは言ってなかったなんて、そんなふざけたことじゃ国の年金制度は守れませんよ。

 これはどういう流れで、一体、今まで最初の、通知、保管期限、そして、それが変わったのが、厚生労働省の方から何かアクションがあったのか、ぜひとも調べていただきたい、こう思っております。この続きはまた次回もやらせていただきたいと思っております。

 次に、テーマを変えまして、前回の質疑でも出ておりました年金事務費への保険料財源の充当の恒久化についてお尋ねをしたいと思っています。

 もう私が言うまでもなく、年金制度というのは国の事業ですね。しかも強制加入です。よって、法律上国庫負担が当然、税で行うのが当然であって、なぜ、年金事務費を今回の改正で恒久化することができるのか、明確な答弁をいただきたいと思います。

清水政府参考人 年金事務費についての改正の点についてのお尋ねでございます。

 保険の事務費につきましては、民間保険はもとよりでございますし、また、公的保険、雇用保険でございますとか、労災保険でございますとか、そういうようなもの、あるいは、諸外国の年金保険の例を見ましても、保険料財源で事務費を賄っているという例があるところでございます。

 このようなことを勘案いたしまして、今回の改正案におきまして、年金事務費について保険料で賄っていただくということを提案申し上げているところでございます。

 ただ、年金事務費、これは大事に使わなければいかぬということでございますので、無駄遣いはしないということで、さまざまな取り組みを進めるということもあわせて進めていく、そういう考え方でございます。

内山委員 答弁になってないですよ、あなた。

 税と保険料の違いを区別すべきなんですよ。国民皆年金なんですよ。強制加入なんですよ。国の税金で、国庫負担でやるのは当たり前じゃないですか。共済年金はどうなっていますか。

清水政府参考人 共済年金についても、厚生年金、国民年金と同様の考え方でございまして、国庫で賄うという考え方はあったわけでございますけれども、国の厳しい財政事情ということを勘案しまして、特例措置を重ねてきたわけでございますけれども、共済につきましても、今回の法案によりまして、厚生年金、国民年金と同様な形での恒久化ということを図る、そういう内容を御提案申し上げているところでございます。

内山委員 年金の財源というのはそんなに潤沢ですか。所得代替率を五〇から四六ぐらいに、低位推計だったら引き下げられてしまうじゃないですか。しかも、保険料だって平成二十九年まで段階的に引き上げられていくじゃないですか。それから、二十年間、マクロ経済スライドを続けていくじゃないですか。そんな中において、とらの子の貴重な年金保険料をこういったものに使っていくこと自体、いいんですか。国の財政が厳しいからと言ったって、決して年金の財政だって潤沢な状況じゃないはずなんですよ。

 それに、まして、年金相談や年金教育、広報、情報等の提供を行う事業にまで使っていくとなったら、これはとんでもない話だと思いますよ。絶対これは私は許せないですよ。国民の年金をそんなような形で使うことは、本当にいいと思っているんですか。さらに国民の年金不信を招く、こういう制度になりかねないと思います。

 大臣、こういう事務費というのは、恒久化してはだめなんですよ。年金保険料だって潤沢じゃないんですから。少子高齢化で、これから年金をどうやって賄っていこうかというときに、今の、一般会計が厳しいから、では年金の特別会計に手を突っ込んで使うということ自体が、やはりその発想をやめてもらわなければならないですよ。いかがですか。

清水政府参考人 国庫財政の厳しさといった理屈づけは、特例措置についての時代の考え方でございます。

 私ども、今回、恒久化を御提案申し上げていますのは、やはり、事務費、典型的に申し上げますと納付書でございますとか、年金証書でございますとか、年金手帳でございますとか、そのための封筒代、あるいはそのための切手代といったものでございますけれども、そういう年金給付と密接不可分なもの、そういうものにつきましては、保険料を充てるということもお願いすることも妥当なものではないか、そういう考え方でございます。

 また、国民年金や厚生年金の財政論につきましては、厚生年金保険法や国民年金法に基づく財政検証などを通じまして必要な検討が行われるべきもの、そのように考えてございます。

内山委員 前回の質疑にもありました、年金相談の繁忙期には相談員を保険料で雇うと。こういう決めがなければ、では、際限なく雇うことになるじゃないですか。年金相談の場所がなければ新たに建てる、こういったものにも使われることになるわけじゃないですか。その歯どめ、基準はだれが考えるんですか。

 大臣、年金相談の相談員をふやす、それから、建物が必要になってきた、それは、どこのだれが判断して、使うことを決定できるんですか。

柳澤国務大臣 委員が例示をされましたので、それが保険料で賄われる、相談等の経費であるということでお話し申し上げますけれども、結局、これは日本年金機構の予算ということで、その経費が計上をされて、そこでチェックを受けるということになろう、このように考えるわけでございます。

内山委員 だれの決裁で、だれの権限で決めていくんでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、予算は、その年度その年度で厚生労働大臣が認可をするということになります。

 もとより、その上位の歳出歳入、特会の歳出歳入という形とのもちろん関連があるわけですので、特会の歳出歳入ということになりますれば、その限りで国会の御審議をいただくということになろうかと思います。

櫻田委員長 内山晃君に申し上げます。

 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

内山委員 この続きは、また行いたいと思います。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 引き続きまして、日本年金機構法案ほかの法案につきまして御審議をさせていただきたいというふうに思っております。

 やはり、この年金の問題ということに関して、もう少し前向きにというか真剣に考えておられた方がよろしいんじゃないかというふうに私は思っております。今の大臣の御答弁を伺わせていただいても、新しい日本年金機構という機構ができれば、そこですべてやるんだから、ここにおいての説明責任はそれができてからだということでは、やはり私は国民の信頼は得ることができないのではないかなというふうに思うわけなんですね。

 したがって、まず、今までに何があったのかということをきちっと精査し、その中において何がまずかったのかという反省に立って、そして、ここを直していくんだというメッセージを私は大臣の口からお伺いできればなというふうに思うわけでございます。

 先ほどの内山委員の御審議の中においても、五千万件における年金の裁定が結びついていない部分、そこに関しても、この調査は当然やるべきであって、これは国の責任で、公的年金制度という中におけるいわば個人情報だから、その個人が言ってくるまでそれは開示できないというのは、当然、個人情報ですからそのような枠組みになるのであろうというのは、法律の枠組みとしては理解はできるわけであります。しかしながら、姿勢として、国民に対して、これだけ年金に対する不信感がまたさらに増大をしてしまった、これに対する大臣のメッセージとしては、私は大変不誠実な答弁になっているのではないかなという気がいたしてなりません。

 したがって、先ほどの調査の件も、しっかりと調査をする、そんなことを私は大臣からの言葉として、後ほどで結構でございますから、直接お答えをいただければなというふうに思います。

 そして、私も、引き続き、年金保険料の件につきましてお話をさせていただきたいというふうに思います。

 詳細につきましては先ほどの清水さんからの御説明がありましたけれども、一点、さらに、私はどうもまだ腑に落ちないところがございますので、その辺は後ほど詰めさせていただきたいと思うわけであります。

 まず、思い出していただきたいといいますか、おさらいといいますか、復習でありますけれども、年金福祉施設に関してさまざまな年金保険料が使われていたということでございます。グリーンピアの建設費や借入金利息、管理費三千八百億円やら、それから年金資金運用基金への支出、交付金が三兆三千六百億円、そして住宅融資事業費として九千三百億円、さらには年金資金運用基金へグリーンピア建設や住宅資金名目で出資金が一兆八百億円という状況が当時ありました。この委員会の中でもその御審議をしたことは、多くの委員が御記憶にあろうかというふうに思っております。

 さらには、長妻委員の質問主意書によりまして、社保庁の公用車であるとかあるいは本庁所有の公用車、これについても年金保険料が充てられていた。あるいは職員の外国出張費に対しても一億六千五百万円というものが使われていた。あるいは社会保険大学におけるゴルフ練習場の建設、維持費に一千二百万円、さらには、ゴルフクラブの購入、ゴルフボールの購入、こういったところにも八万円近くこれが使われていた。テニスコートの建設費等々ございました。

 大臣、私、昨日の質問項目の前に、一問、けさになりましたけれども、事前に通告をさせていただいたんですが、御用意はしていただいているというふうに理解をしておりますが、まず、このグリーンピアの現状の売却状況、これについて御報告をいただきたいというふうに思います。

 とりわけ、当時の建設費に要した金額、そして売却によって得た費用、これに対しての額の差額であるとか、あるいは売却後どのような活用がなされているのか、活用がされていない場合のその理由はどういったことであるのか、そして、売却時におけるその条件というものは一体どういうものがあったのかということを、まず、もし今お手持ちの資料があれば、この場で御報告をお願いしたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 グリーンピアにつきましては、被保険者等の福祉の向上を図るための保養施設として全国に十三基地が設置されましたが、民間の類似施設の普及等によりまして一定の役割を終えた、このことから、平成十三年の閣議決定等によりまして、平成十七年度に廃止をすることとされました。

 廃止に当たりましては、各施設が年金資金を用いた資産であることや、地域の活性化や雇用の確保等の役割を果たしてきたこと等を踏まえまして、各施設を地域で有効に活用していただく、そういう観点から、年金資金運用基金におきまして、地元の地方公共団体等への譲渡を優先的に行うこととし、これを推進するため、資産全体を一括して譲渡する、それから譲渡後も公共的用途に一定期間用いる、それから職員の雇用が確保されるといった条件の充足度に応じまして、不動産鑑定による時価評価額から一定額、これは相手が地方公共団体等であるということに配慮しまして、最大五割を減額して譲渡を行ったところでございます。

 また、地方公共団体等への譲渡が見込めない場合には、公募による競争入札によりまして民間団体への譲渡を行ったところでございます。

 以上の方針のもとで譲渡を進めた結果、平成十七年十二月の三木基地の譲渡により、十三基地すべての譲渡が完了するところとなりました。十三基地のうち十一基地、及び一基地の一部を地方公共団体等へ、その他を民間企業へ譲渡したところでございます。

 なお、グリーンピア事業に対する支出額は、建設費で千九百五十三億円でありましたが、それに対して、全十三基地に係る譲渡収入は四十八億円でございました。

 以上でございます。

園田(康)委員 千九百五十三億円かけて四十八億円でしか売れなかったということでございますね。これも年金保険料の運用資金の中から使われたということでございますので、私は、当然この中で損が生じたんではないかと。国民年金の保険料がそこの中で使われてしまったという形であるわけであります。

 それから、先ほど大臣、条件として、公共の用途に付するものであるということを条件に挙げられたわけでありますが、その譲渡先として、売ってはならない企業の体系であるとか、そういった条件はございませんでしたでしょうか。

柳澤国務大臣 直接に年金資金運用基金あるいは年金福祉事業団がこの譲渡先を選ぶ場合の条件として地方公共団体優先ということを申し上げ、これが売れない場合には公募による競争入札ということを先ほど申し上げたわけでございます。

 地方公共団体が持った場合に、一定期間は公共的用途に用いられるということがその際の条件でございますが、その一定期間が終了した後においてどうするかということは、それはもう地方公共団体の判断、こういうことになるわけでございます。

園田(康)委員 確認ですが、その一定期間というものは、どれぐらいの長さの期間でしょうか。

柳澤国務大臣 この一定期間につきましては、具体的にはすべて十年ということで決めたそうでございます。

園田(康)委員 そうしますと、その十年間は公共の用途に用いられなければならないという条件がつけられているわけですね。

 そうしますと、その当該の市が買って、そしてその間、十年間はそのように使われるということでありますけれども、その市が、仮に、これは和歌山県の事例でありますけれども、紀南基地、ここにおいては、那智勝浦町というところがこれは購入した事例だというふうに私は伺っておるわけでありますが、ここの議会において、まず、それを転売といいますかリースをした、町が買って、そしてそこから中国系のBOAO、ボアオという有限会社、中国系のリゾート会社というふうに報道で伺っておりますけれども、このリゾート会社に転売を決めたというふうに伺っているんですが、これは、購入から十年間転売を禁止するという契約条件に違反しているものではないかというふうに私はとらえるんです。

 この転売ということが事実でないということであるならば、当然、リースという形でなってくるんだろうというふうに思うわけでありますが、そのリースということが、十年間同じ会社にリースをされて、そしてその十年間のリース契約が終わったら無償でそのままそこの会社に対して譲渡される、所有権が移転されるというこの契約形態は、大臣、どのように今分析をされておられますでしょうか。

柳澤国務大臣 グリーンピア南紀の案件についてのお尋ねかと存じます。

 この案件につきましては、今委員からも御指摘がありましたように、那智勝浦町に所有権移転というか売却が行われたわけでございますが、その後におきましては、今、民間の企業であるところのボアオというところと賃貸借契約を締結しているということを承知いたしております。

園田(康)委員 その賃貸借契約の終了後について私はちょっと問題視をさせていただいているわけなんです。つまり、この十年間は転売はもちろんできません。これは条件によって決められているというふうに聞いているんですが、この十年間の間で、もちろん転売ができないものだから、その民間会社にあらかじめ賃貸借契約を町が結んで、そしてその後、ボアオという会社にそのまま所有権が移転されるということは、つまり、この時点からもう転売の形式がとられているということになりませんか、大臣。

柳澤国務大臣 現在は賃貸借契約を結んでいるわけでございますけれども、その期間中は、この賃貸借契約をボアオが誠実に履行をする、つまりは、賃料の関係でいいますと、最終支払いまで賃料が円滑に支払われるということが条件になるわけでございますが、この条件が満たされたと認められる場合には所有権が移転するという旨の契約になっているというふうに承知をいたしております。

園田(康)委員 それでは、なぜそういう転売を禁止するような条件を設けているんでしょうか。意味がないじゃないですか。

 民間の会社に、そういった、わけのわからないと言ったらちょっと失礼かもしれませんが、わけのわからない会社にそのような形で転売されて、それが公共の用途に供しない場合があり得る。だからこそ、その十年間は、市あるいは市町村が購入した場合、自治体が購入した場合は、きちっと十年間はその地域の公共の用途に供するようにということで、転売はさせないんだというふうに規定を設けていたんじゃないですか。にもかかわらず、では、賃貸借契約をするといったら何でもできるじゃないですか。こういう契約方法が果たして妥当なものであるのかどうか。

 当初の予定といいますか、この年金資金管理団体が行う、これは国民の年金の保険料で安く売却をしたわけですね。千九百五十三億円の建設費をかけて、そのほかに職員の宿舎であるとかあるいはさまざまな維持費であるとか、莫大なお金がかかってきて、そして売却益はたった四十八億円。だからこそ、これだけの差額で、では、国民の公共の用途に供しましょう、用いましょうということで、その十年間のきちっとした転売禁止を含めた条件づけがなされたんじゃないんでしょうか。

 だったら、そういう賃貸借契約でも何でも、その市、自治体が責任を持ってきちっとやるべきではなかったんでしょうか。もしくは、押しつけて売るということが、もう何でもかんでもいいから早く売却をしなければならない、そういったことで実際に圧力的にと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、買わせた、そういう実態はなかったんでしょうか。

 大臣、この契約方法が果たして妥当なものであるというふうに大臣自身はお考えでしょうか。

柳澤国務大臣 先ほど冒頭にお答えを申し上げましたとおり、売却に当たっては、地方公共団体に一時的に売却をして公共的用途に供するということが条件になっているわけでございます。

 そして、具体的に、この南紀の案件につきましては、今度の、ボアオに賃貸借契約を締結しているわけでございますが、この賃貸借契約の期間におきましては、公共的用途に用いるということもまた実現されなければならないということになっているわけでございまして、そういうものが十年間継続をするということの後において、引き続いてこのボアオというところに所有権が移転されるということ、そのことについては、私どもとして、この勝浦町の年金資金運用基金と締結した契約に反するということにはならないと考えるわけでございます。

園田(康)委員 南紀のこの譲渡価格は二億七千五万円ですね。そうすると、勝浦町が購入、譲渡価格二億七千五万円、それに対して、このボアオが賃貸借契約を結んだのは幾らでしょうか。十年間のリース契約、賃貸借契約、幾らになるんですか。

柳澤国務大臣 那智勝浦町とボアオの賃貸借契約によります賃料、十年間の賃料総計を累計いたしますと、一億六千万ということでございます。

園田(康)委員 すなわち、国から二億七千万円で譲渡をして、そのうち一億六千万円で、さらにここから賃貸借契約という形でこの民間会社に貸し付けられているということなんですね。そういうことですね。その差額の一億一千万円、これは一体どこに消えるんでしょうか。だれが負担するんでしょうか。

 そして、この十年間の賃貸借契約が終わったら、そのまま無償で所有権がそのボアオに移転されるというふうに契約書の中にあるんでしょう。要は、自治体が購入をされて、そしてそれを、なぜこのボアオという会社が選出されたのか。経緯はよくわかりませんけれども、調べていくといろいろな経緯があるというふうに報道では出されていました。その実態のところは私はきょうは申し上げるつもりはありませんが、この実態の事実だけ申し上げると、二億七千万円で買ったものを一億六千万円で、破格の値段で十年間でリースをしている。すなわち、それで後は無償で所有権が移転されるんだったら、一億六千万円でこのボアオという会社が購入したのと同じじゃありませんか。

 転売は現時点ではできないから、十年間のリース契約、そういう賃貸借契約にしておいて、最終的には、十年過ぎたらそこの会社の手に入ってしまうわけでしょう。この契約形態が果たして妥当なものと考えるんですかというふうにお伺いしているんですよ、大臣。

 何のためにこの年金保険料の無駄遣いをやめるんですかというふうに、どれだけ国民の皆さんから非難を受けたんでしょうか。このグリーンピア等々も、早く売却をする、もしくはただ単に早く売却をすればいいだけのことではなくて、きちっとその保険料が国民の用途、厚生年金あるいは国民年金、年金保険料を払っていただいた国民の皆さんに対して、きちっと公共の用途に供せよという形で、譲渡を、売却を計画してやっていたのではないでしょうか。こんなことでは、ただ単にその辺の民間会社にもうけさせるような話になってしまうじゃないですか。

柳澤国務大臣 御質問から私の答弁の準備の時間がちょっと短かったものですから、恐縮なんですが、もう一度ちょっと整理をいたしますと、今委員がお示しになられた二億七千五万円での売却、譲渡といいますものは、正確に言いますと、那智勝浦町と太地町という二町に対して行われているわけでございます。そして、このボアオが賃貸をする土地というのは、主として那智勝浦町に所在する土地、施設、こういうものにかかるものでございますが、太地町にも若干かかっている、こういうことでございます。

 しかしながら、太地町との間では、すべてについてそうした賃貸借というものは行われておりませんで、太地町から、細かいことはもうちょっとよく調べてからお答えしますけれども、事実上、那智勝浦町に利用をさせているものについてはそれなりの賃料を取る、太地町も取る、それは勝浦町から取る、こういうことになっているようでございます。

 いずれにいたしましても、一億六千万の賃料の対象となりますものは、那智勝浦町の部分が主でありまして、その那智勝浦町に対する譲渡価格は二億七千五万円のうち八千二百六十九万円である、こういうことであったようであります。

園田(康)委員 その実態はわかりました。

 そこで、私が問題視をさせていただいているのは、そういう事実上転売に付するような契約形態が果たして妥当かと。

 この年金保険料で建設された福祉施設も含めて、グリーンピアがそういう売却をされている。確かに、売却をするのは自治体までの売却で年金資金運用基金の仕事は終わるわけでありますけれども、その後の使われ方や契約、どういう形で転売をされていくのかというところまで、売ったらもうそれで後は知りませんよという姿勢は、私は、これまた国民の皆さんからの不信感をあおってしまうのではないかという心配をしているわけなんです。

 それで、そういうような契約の仕方が、それは自治体が契約をすることですよ、売った先の自治体が契約をすることですけれども、そういう契約方法が望ましいというふうにお考えかどうかという大臣のお考えをお聞かせいただきたいということなんです。

柳澤国務大臣 譲渡の際に、公共的用途に一定期間用いられる、こういう条件のもとで譲渡を行っているわけでございますが、率直に言って、こういう施設の運営に当たる者が、町が得手であるかというと、必ずしも得手でないということも考える自治体もあるようでございまして、そういう方々の中には、運営を委託する、そして目的はもちろん、委託契約で公共的目的、市民のためのいろいろな公共的目的に供するということではありますが、その利用の仕方について、そうした形をとっているところは他にもあるようでございます。

 本件の場合には、それを賃貸借契約ということで行う、そして運営につきましても事務の委託を行うという、そうした合わせた形の契約になったということでございまして、その中の契約の中身として、十年後に所有権を移転するという条項が入っている、こういうことでございます。

 これをどういうふうに考えるかということでございますけれども、結局これは、我々がつけた、十年間公共的目的で活用するようにということ、それから、それはあくまでも譲渡先である地方公共団体が所有した形でそういうことを行うようにということは確保されているということであるというふうに私どもとしては認識をしているわけでございます。

園田(康)委員 そうしますと、要は、どこの自治体でも確かにそういう経営をするということは難しいであろう、それによって破綻をしてしまうというのは、また第二、第三のさまざまな問題を引き起こすというふうになってくる、したがって、民間のそういう活力を用いるということは当然あってしかるべきだろうというふうに思うわけですね。

 だったら、大臣、最初から自治体をかませないで、きちっと競争入札をして、そういう厳しい審査のもとで民間会社が購入できるようにやっておけばよかったんじゃないでしょうか。直接国が審査をできる、そういうシステムをとっておけば、このような外国企業の資本に供じられて、いわば安く買われて、そしてまたさらに、どういう形になってまた転売されるかどうかわかりませんけれども、そういう形でどんどんわけのわからないところに行ってしまうよりは、最初から、この民間会社はきちっとそういう公共の用途に用いられるような使い方をするしっかりとしたリゾート会社ですねということを審査して譲渡しておけばよかったんじゃないでしょうか。

 わざわざというか、自治体をかませてしまったからこそそのような、こういう問題を、不信感をあおるようなというか、不信感を招くような話になってしまったのではないかなと私は思っております。

 きょうは、朝にこの通告をさせていただきましたので、ちょっと内容を、まだ準備が不足されておられるということでありますので、またこの問題といいますか、別途御説明をいただいて、中身をしっかりと私は精査させていただきたいと思います。

 それでは本題に入らせていただきます。

 年金保険料の流用というものを、私は一番最初、冒頭に申し上げて、問題視をさせていただいたわけであります。先ほど、内山委員からのお話でもありました。

 もう一度、大臣、日本年金機構の業務に要する費用、これが国からの交付金で賄われるというふうになっているわけでありますけれども、この当該交付金、財源の国庫負担と保険料の内訳、そういった仕分けについて、まず大臣としてどのようにお考えなのか、明確にお示しをいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 新しい機構法をちょっと引用させていただくわけでございますけれども、第四十四条に「交付金」というくだりがありまして、「政府は、予算の範囲内において、機構に対し、その業務に要する費用に相当する金額を交付するものとする。」二項に「政府は、前項の規定により交付金を交付するときは、機構に対し、その交付に充てるための財源の国庫負担又は保険料の別ごとの内訳及び当該財源の内訳に対応した交付金の使途を明らかにするものとする。」こういうことになっております。

 交付金として機構に対して政府はこれを交付するわけでございますけれども、その際には、しっかりとその財源が、この部分は国庫負担の財源であるよ、それからこの部分は保険料の財源であるよということで、財源の内訳に対応した交付金を交付するし、またその使途も明らかにする、こういうことになっているということが、法文上うたわせていただいているところでございます。

園田(康)委員 したがって、保険料の内訳の中でさまざまな科目が出てくるんだろうというふうに思っておりますけれども、その科目をできるだけ細かく規定しておいた方がいいのではないかというふうに私は思うわけなんですね。

 そこで、先ほどの議論にもありました、来年の四月から年金事務費への保険料財源の充当の恒久化というふうな措置が盛り込まれているわけでありまして、これについては、私どもも当初から、恒久化するとは何事であると。今までこれだけ年金事務費というものに対する不信感が出てきた、それに対して、しっかりとその使途を明確にしなければいけないと同時に、なぜこの年金事務費が、いわゆる謝金も含めて、謝金職員の人件費充当分も含めて保険料から出されるのかを私は少し詰めさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 まず、その前に、先ほど言ったような、職員の宿舎や公用車、職員の福利厚生費等の内部管理費が国庫負担、逆に言うならば、保険料の充当はやめて、これを国庫負担にされたわけですね、今回。国庫負担にしたその理由というものをどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

柳澤国務大臣 もともとは、基本的にこの事務費については国庫負担ということでスタートしたわけでありますけれども、その後、財政、これは一般の財政ですけれども、財政状況がきつくなるところから、ここから、保険料にお願いできる部分はどういうところであろうか、こういうことでの検討が当然行われたわけでございます。

 その間の道行きとして、いわば特例措置として行われたときには、若干の出入りというか、そういうことがあるわけでございますけれども、今回、最終的にこれを恒久化するということの中で、職員人件費、職員宿舎等の内部管理事務というのは、通常の行政事務として、行政経費としてこれは国庫負担をすべきものである、こういうように考えられた。そして、他方において、保険事業の運営に直接かかわる事務費部分については、これを保険料負担としてお願いしよう、こういうことで、今度の仕分けが改めて行われたというふうに私は理解をいたしております。

園田(康)委員 ですから、その国庫負担とした理由でございますけれども、当初は、年金事務費は国庫負担で始まっていたわけでありますけれども、保険料の財政状況から、これを充てることはできないだろうかというふうに変わってきた。しかしながら、やはりそこで拡大解釈が行われたので、さまざまな形で非難を浴びるような悪用をしてしまった、不適切な使用をしてしまったということから、それ以外のものについては国庫負担という形で戻したわけですね、ある面。そうですね。

 つまり、そうすると、国庫負担であることが本来の姿であるというふうに大臣も考えていただいているというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

柳澤国務大臣 経緯的に申しても、年金をスタートする当時の考え方としては、できるだけ年金の保険料というものはそのまま給付に回すということが、財政事情さえ許せばやっていきたいという気持ちが制度の面にもあらわれていたということは言い得ようと思うわけでございます。

 しかし、他方、そうした経費を負担する今度は国庫の方の状況というものも厳しさを増す中で、いろいろ考え方を整理して、保険料でお願いできる部分がないかというふうに考える中で、今委員が不適切なこともあったじゃないかというようなお話も御指摘いただいたわけでありますけれども、いきさつ的には少し出入りがあった後に、今回こうしたことで、本来の基礎的な行政経費というものは、これは国が負担すべきものということで明確にされたということであろう、このように考えます。

園田(康)委員 その本来国庫負担をすべき経費として、私は、この年金業務に携わる謝金職員の問題をちょっと取り上げさせていただきたいと思います。

 これは相変わらず年金事務費によって、恒久化に基づいて保険料から払われる対象となるものでございます。一問飛ばして、まず長官にお伺いをしたいんですが、謝金職員の内訳と、それから人件費が保険料から充当されているその理由というものを、村瀬長官、よろしいでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

村瀬政府参考人 まず、十九年度予算という観点で御報告を申し上げたいと思います。

 年金業務に携わる職員でございますけれども、年金事務費で雇用していますのは一千四百二人。具体的な中身は、大きなところだけお話し申し上げますと、国民年金保険料収納指導員、市町村照会事務員等でございます。一方、福祉施設費ということで年金相談を中心に謝金職員として雇用しておりますのが二千二百四十六人でございます。大きなところは社会保険相談員、それから年金相談員、社会保険相談指導員等でございます。予算額で申し上げますと、先ほどの年金事務費で二十四億四千五百万、それから福祉施設費で四十五億五千六百万でございます。

園田(康)委員 そうすると、それは厚生年金保険料、そして国民年金保険料から充当されているということでございますね。業務取扱費として、一千四百二人の先ほどお話がありました国民年金保険料収納指導員であるとか、あるいは国民年金適用事務指導員という方々がそれに当たるというふうになっております。

 これでいきますと、これは十七年、十八年度と、私の手元にきのういただいたわけでありますけれども、例えば平成十八年度予算、まずこの謝金職員について、これはいわば、先ほど少し内山委員からも指摘がありましたけれども、繁忙期のアルバイト職員というものがいらっしゃるわけでありますが、それとまた別途の方々で、これは当然、常態的に、ずっと職員採用という形で、労働契約を結んで契約をされていらっしゃる方々というふうに理解をしてよろしいでしょうか。

村瀬政府参考人 まず、非常勤職員ということで三つに区分けされておりまして、一つは、業務取り扱いの中の内部管理事務、この部分については国庫負担でございます。そして、保険事業に直接かかわる業務が保険料負担、それからサービス向上のための経費が保険料負担ということでございまして、先ほど委員御指摘の内部管理事務にかかわる職員については国庫負担として雇用をしております。

園田(康)委員 長官、この年金業務に携わる謝金職員の方々の身分というものは、どういう労働契約をもって採用されていらっしゃるんでしょうか。非常勤職員として契約を結ばれているわけでしょう。

村瀬政府参考人 一年契約の非常勤職員という形で雇用をしております。

園田(康)委員 そうすると、年金相談あるいは年金業務に携わる方々であったとしても、しっかりとした非常勤職員という形での労働契約が結ばれているということでよろしいですね。そうなりますと、これは立派な人件費ですね。私は、これを人件費というふうにみなすわけですが、なぜこの人件費たる謝金職員が保険料負担になるんでしょうか。先ほど、内部管理事務に関する人件費に関しては国庫負担というふうになっているわけでありますけれども、ここの仕分けが私にはどうもまだ理解ができないんですが、この辺しっかりと、どう違うんでしょうか。何がこの仕分けをさせているんでしょうか。

村瀬政府参考人 仕分けの仕方でございますけれども、事業運営に直接かかわるものにつきましては保険料財源を充てる、こういう整理をしてございます。

園田(康)委員 いや、ですから、それにしても、社会保険事務所の中で非常勤職員として契約を結ばれているわけですね。であれば、これは立派な職員の人件費じゃないですか。しかも、今回、次の質問と絡めてですけれども、日本年金機構に変わったら、この謝金職員の方々はどういう身分になるんですか。

村瀬政府参考人 まず、日本年金機構でございますけれども、日本年金機構ということで個々に雇用契約を結ぶという形になろうかと思います。その中で、機構の運営費用については、先ほどから大臣がお話し申し上げておりますように、交付金という形で交付をする。交付金の中身が国庫負担と保険料という形でございまして、その保険料財源ということに関しまして言えば、先ほどもお話し申し上げましたように、年金相談等、今まで謝金職員として非常勤で扱っていたものにつきましては同様の取り扱いにするという考え方でございます。

園田(康)委員 そうすると、公の、特殊法人という法人に変わって、そしてこの謝金職員の方々も非常勤のそのままの形態で契約を結ばれるということなんでしょうね。そうなりますと、今までは保険料財源であったわけなんですけれども、同じように保険料でまたさらに充当されるというふうになりますね。私は、今回、今現在においてもこの謝金職員の方々がなぜ保険料なのか、いまだにわからない。

 と同時に、今回、例えば平成十八年度の謝金職員のこのいただいたものでいきますと、千七百七十二人が業務取扱費として行われている方々であります。予算額が二十九億円、十八年度予算ですよ。それから、福祉施設事業費にかかわる年金相談員の方々については、二千六百二人で四十七億四千七百万円という予算額ですね。今回、平成十八年度から平成十九年度に、例えばさっき言った業務取扱費でいく方々の額が二十九億から二十四億に減りましたね。その額は減って、人数も一千七百七十二名から一千四百二名に減りました。この減らした理由は何でしょうか。

村瀬政府参考人 予算上の措置で、個々の業務、例えば業務取扱費、それから福祉施設事業費、個々の相談員ごとの人数を把握しておりまして、この人数に合わせて必要じゃないと見込まれるものについては減らしたということでございます。具体的に言いますと、適用指導員等については大幅に削減をしてございます。一方、年金相談員につきましても、ねんきんダイヤル等で相当数が電話等で対応できる、また、定期便並びにターンアラウンド等で実際の相談業務が減るという前提で、この段階においては予算計上し、減らしているということでございます。

園田(康)委員 予算計上では減らしている。しかしながら、人数が減っているわけですね、一千七百七十二名から一千四百二名、業務取り扱いの場合でいくと。にもかかわらず、その予算の減り方がどうも少ないんじゃないでしょうか。人数がこれだけ減っているんだったら、予算ももっと減額されてしかるべきじゃないでしょうか。ちなみに、割ってみますと、平成十八年度の場合でいきますと一・六三になって、十九年度の場合だと一・七四になるわけで、単価は上がっているんじゃないでしょうか、これは。

村瀬政府参考人 本件の予算上の人数は、年度末の人数でございます。したがいまして、逆に、十七年度と十八年度を比較していただきますと、大幅に人員増になっているにもかかわらず、予算はふえておりません。したがいまして、いつ採用されて、いつの人間かという形で計算をしていただかないと、一人頭のパーヘッドというところと合わないという形でございます。

 したがいまして、十八年度予算で計上される人数は、十九年度末にいろいろな施策を講じることによって減少していく、それを予算上込みにしている、こういう考え方でございます。

園田(康)委員 しかしながら、この福祉施設事業費においても同じような現象があらわれて、昨年度は、長官も御存じのとおり、特別強化体制という形で人員をふやしたわけですね。したがって、今年度からは、その人数が十七年度と同じような人数になってくるというふうになっているわけなんですが、でも、これでいきますと、福祉施設事業費に関しては、人件費、これはふえているじゃありませんか。四十二億から四十六億になっているじゃありませんか。昨年からすると減っていますけれども、十七年度からするとふえているじゃありませんか。これはどういうことでしょうか。福祉施設事業の方ですよ。

村瀬政府参考人 一人当たりの指導員並びに相談員の給与体系というのは一律に決められておりまして、正直言って自由度がありません。したがいまして、どういう現象かといいますと、その方が十二カ月働いたのか六カ月働いたのかによって予算額が違ってくる、こういう考え方でございます。

 したがいまして、予算という観点で、人数、予算というものを、べた張りでずっと人がいるという形ではなくて、十七年度の例えば社会保険指導員が三百五十九名になっていますけれども、これが、月単位で見た場合に、一月にして延べ何名になるのか、それに給与幾らというのを掛けていただきますと、それで統一な形で考えていただけるんじゃなかろうかというふうに思います。

 したがいまして、人数が少ないのに予算が多いだとか、人数が多いのに予算が少ないだとかということは、あくまでも予算の問題でございまして、あくまで、この範囲内で、いつ雇ってどれくらいの期間働いていただいているか、これによって総額の実額が決まってくる、こういうふうにお考えいただきたいというふうに思います。

園田(康)委員 そうすると、今度からできる日本年金機構の中において、ざっくりと交付金を渡して、その中に保険料もまぜ込んで、そして、その中で、こうした謝金職員がどれだけ使われるかというのも年度によってばらばらになってわからないということですね。

 そうすると、この謝金職員、それだけきちっと、私も見せていただきました、あの事業用費の内訳ですね。高い人では一万幾らだったかな、それで、一番下のが七千円ちょっとの人、そういうふうにきちっと決められている。それで、何カ月働いたからこれだけの値段と。それだけ決められて、しかも、先ほど、一番最初長官がおっしゃられたように、きちっと非常勤職員という形で契約を結んでいるんだったら、これは立派な職員じゃないですか。人件費としてなぜこれが見られないんでしょうか。

村瀬政府参考人 先ほども何回もお話し申し上げましたように、直接事業運営にかかわる経費について、非常勤職員の場合については保険料財源で充てる、こういう整理をしておりまして、したがいまして、非常勤職員が仮に一年間働いていただいたとしても、処理上は保険料を充てる、こういう考え方をとっているということでございます。

園田(康)委員 では、逆にお伺いしますけれども、直接業務に携わっている方々に対して国庫負担でできない理由は何ですか、保険料じゃなくて。保険料で充てていることにしているから保険料で充てるんですではなくて、では、国庫負担でこれができない理由は何ですか。

村瀬政府参考人 初めに大臣からも答弁させていただきましたように、平成九年度まではすべて国庫負担でやっていたわけでございます。それで、十年度に、特例法によりまして保険料で負担するものを決めた。その決めたときの整理の仕方の問題だというふうに認識をしております。

園田(康)委員 では、今現在、国庫負担でできるじゃないですか、大臣。この謝金職員の方々も、大臣、これは大臣にお願いしたいと思うんですが、国庫負担でやっても、仕切っても何の問題もないということですね。それを排除する理由はないということは、今長官がおっしゃったと同じように私は伺いましたけれども、どうでしょうか。

柳澤国務大臣 もちろん、一番最初は全部国庫負担であったわけでございますから、そういう考え方で整理するということができないということではないわけですね。

 しかし、その後の経緯で、これは累次の経緯があるわけでございますけれども、要は、年金事務費というものにつきまして、直接年金給付に関係する部分については、保険料でその経費を賄うということに整理をいたしたわけでございます。その整理の際に、やみくもにするということではなくて、先ほど来たびたび申し上げておるように、保険事業に直接かかわるということを一つの指標にいたしました。

 その考え方は、給付と負担という考え方を基本にとりまして、そして、それの明確化という意味もあるのではないか、こういう考え方がここに出てまいりまして、そういうことで、今長官からもるる申し上げますとおり、非常勤職員についても、一つは、国庫負担で賄う者もいる、これは業務取扱費の中で内部管理事務に携わる者だ。それからまた、保険料で負担をお願いする者もいる、それは保険事業に直接かかわる者であるというような、さらに言えば、今度の新しい分類で行う相談等あるいはコンピューター等という、そういうことで行う、これは保険料負担でお願いするわけでございますけれども、そうした三通りのものを、それぞれの職務の実態に合わせてその費用負担を行うということにいたした、こういうことでございます。

園田(康)委員 いや、ですから、大臣、先ほど、ちょっと私、気をつけて聞いていたんですけれども、内山委員と部長でしたかとのやりとりの中で、年金事務費をどのように使いますかというふうにお伺いをしたときには、何に使うんですかというふうにお伺いしたときには、この謝金職員の分類は入っていなかったんですね。わざと抜かしたのか、やましいことがあるのかどうかわかりませんけれども、そういう給付を行うときの何かレターであるとか、そういった用紙であるとか、そういったことに使う、年金事務費に使うんですというふうにおっしゃって、この謝金職員の人件費たるものが入ってこなかったんですね。

 それで、これだけの、業務取り扱いで二十四億、福祉施設事業費として四十六億、これがまた恒常的にこの先も、この日本年金機構になったときにはそのままずっと使われるということなんですよ。これがまた特殊法人という形になってしまって、毎年毎年、確かに、先ほど大臣、一番最初におっしゃっていただいたように、国庫負担とそれから年金保険料との仕分けをし、そして、その用途を明確にさせるというふうにおっしゃっておられるわけでありますが、だから、使い道は多分わかると思うんです。しかしながら、もっと細かい項目別でいったときに、我々の手元にきちっと毎年毎年そのことが入ってくるのかという不安もあるわけなんですよ。それがきちっと示されていない。と同時に、その時々の解釈によって、この内訳がまだあいまいなままずっといってしまうんだということなんです。

 一番最初は国庫負担でやっていた、そして次からは、保険料になってきた、とりあえずはこのままいかせてくださいということでは、私は納得ができない。それを否定するだけの論理というか解釈が明確に伝わってきていないんです。なぜ国庫負担でいけないのか、内部管理の部分とそれから給付に直接携わる部分の仕分けが、なぜこちらは、給付に直接携わる部分が国庫負担ではいけないのかということを、ちょっと時間がなくなりましたので、それを今度までに明確にしてほしい、宿題にさせていただきます。

 最後、これだけちょっとさせていただきたいんですが、政府管掌健康保険の保険料について、最終的にこの委託事業というものが、高額医療費の貸付事業交付金という形で今現在流れています、交付金という形が。この交付金の委託先の事業として、社団法人全国社会保険協会連合会と財団法人都道府県社会保険協会へ流れているわけでありますけれども、ここに流れているその内訳と、そして、その交付金のうち、この高額医療費貸付事業というものが今どういうふうに使われているのか。

 そしてもう一つ、最後、長官、これが今後、この日本年金機構になったときにどういう組織体になっていくのか、これだけきょうはお答えいただきたいと思います。

櫻田委員長 答弁は簡潔にお願いします。

村瀬政府参考人 委員にお答え申し上げます。

 まず、平成十八年度ということでお話し申し上げますけれども、まず、社団法人全国社会保険協会連合会に対しまして、交付金といたしまして、厚生保険特別会計から十億二千三百八十八万円交付をしてございます。そのうち、貸付額の増額に伴う貸付原資が五億四千八百十三万円、それから貸し付けに要する事務費が四億七千五百七十六万円でございます。

 そして、今後この組織がどうなるかということにつきましては、まさに高額医療費貸付事業というのは、今後、全国健康保険協会の方が管理する形になりますので、その中からどういう形で定めるのか。今までは国でやっておりましたので、国でできないということで協会へ委託をしておりましたけれども、今回は公法人になります。したがいまして、これは保険局が仕組みを設立委員会というので決めるんだろうと思いますけれども、独自でやることを含めて、どういう形で高額医療費貸付制度をやっていくかということは、検討の俎上にのっているというふうに考えております。

園田(康)委員 時間が参りましたので終わりますが、この問題につきましては、大臣、この問題はちょっと頭に入れておいてください。年金保険料の流用だけではなくて、この政府管掌の健康保険料、こちらの部分に関しても、交付金という名の人件費というものがその中で流れている可能性があるんだということなんです。これはまた、別途時間をいただいて質疑をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから三十分にわたりまして、質問をさせていただきます。

 今、資料を配付させていただいております。国民年金の納付率についての資料、そしてもう一つは、消えた年金についての資料であります。お手元で見ていただければと思います。

 この消えた年金の問題、一ページ目にお配りしました「私の視点」で、社会保険労務士の廣瀬幸一先生も書いておられます。朝日新聞の九月三十日、昨年でありますが、長年、年金保険料を納めたはずなのに、確かめてみたら記録の一部が抜け落ちていて、年金額が少なくなるということですね。ここで廣瀬先生が書いておられるのも、国民年金保険料の十年九カ月分の記録が消えていた女性のことが書いてあります。これは、やはり非常に深刻な実害になってきてしまうわけであります。言うまでもなく、老後にとって年金というのは、これはもう命綱なわけであります。

 その次の資料も簡単に御説明しますと、五月十二日朝日新聞、統合できぬ個人番号が五千万件ある、受給額が途中で変更になった、多くが、少なかったためにふえたわけですが、二十二万件というふうにあります。そして、三枚目は毎日新聞の報道でありますが、納めたはずが未納になっているということで、社会保険庁は二十四万件を訂正したということであります。

 そこで、具体例を挙げて少しお話をさせていただきたいと思います。私のもとにも何件もの相談が寄せられております。一例を読み上げさせていただきます。この資料にありますように、「消えた年金の実例」、本人は、名前は出さないでほしい、名前は出さないでほしいが、ぜひ柳澤大臣にこの私の思いを伝えてほしいということで、今回、依頼をいただきましたので読み上げさせていただきます。

 ここにありますように、昭和十五年六月生まれの六十六歳の女性、ひとり暮らしの方であります。前の夫が昭和五十四年に死亡をされまして、その後再婚をされます。そして、国民年金を五年半払ったはずなのが、今は払っていないということになっております。再婚をして、転居をされています。そして、領収書は処分されているということであります。

 そこで、ちょっとこの女性の方からの柳澤厚労大臣への訴えというものを読み上げさせていただきます。

  五年半、毎月毎月払いに行った私の国民年金が消えてしまいました。

  昭和五十四年五月四日に、私の前の夫は、亡くなりました。このため、遺族年金をいただくことになったのですが、そのときに老後のため国民年金を掛けておく方がよいといわれて、国民年金をかけることにしました。多分翌月から毎月一回、職場を遅刻して、市役所の支所まで国民年金と国民健康保険料を持って行くことといたしました。こうして、私は、昭和五十四年六月から昭和五十九年十一月か十二月まで毎月毎月、国民年金を支払いに市役所の支所まで行きました。

  その後、昭和五十九年十二月に再婚いたしまして、となりの市に引っ越しました。その再婚した夫も平成十六年に亡くなってしまいました。

  私は、六十五歳になる一ケ月前の平成十七年五月に国民年金をいただくため相談に行きました。すると、再婚前には、国民年金を支払っていた記録がないというのです。間違いなく、私は支払いにいっておりましたので、納得できませんでした。ですから、しっかり調べてほしいと頼みました。

  でも結局、「領収書がないからダメ」としか答えてもらえません。その領収書も平成九年まではとってありました。でも、年金手帳が一つにまとめられたので、もう領収書と古い年金手帳はいらないと亡くなった夫に言われて、捨ててしまいました。領収書をとっておかないと年金がもらえないことがあるとは、思いもしませんでした。

  「しっかり調べてほしい」と言うと、いつも、「コンピューターで管理しているので間違いはない」と言われます。でも間違いなく、私は払いに行きました。私の記憶は間違いで、コンピューターは間違いがないと決めつけられるのでしょうか。

  市役所に記録はないか聞いてみましたが、「そんな五年以上前の書類があるはずがない」と言われました。でも、私が領収書をとっておかないからダメと言われているのに、市役所は書類をとっておかなくてもいいのでしょうか。

  年金相談の方に、毎月勤め先を遅刻していたので、そのことを昔の勤務先に確認してほしいと言いましたが、「記録がない以上、そんなことをしても仕方ない」といわれるだけでした。

  それからも、何回も社会保険事務所に相談に行き、今も調査してもらっていますが、毎回記録がないという返事ばかりです。でも、私は間違いなく再婚前に五年半国民年金を払いました。それが、なぜなくなるのか、どうしても納得できません。

  領収書・年金手帳を処分した以上、自己責任であると柳沢大臣はお考えですか。

こういうふうな訴えであります。

 匿名の方でありますが、このような現状に対して、柳澤大臣、これは氷山の一角で、このような例が非常に多いと思うんですね。このような切実な訴え、おひとり暮らしの女性で、本当にとらの子のこの年金が、きっちり払っていった、ここにも書いてありますように、毎月わざわざ仕事を遅刻してまで払いに行った、間違いはないと本人はおっしゃっておられます。もちろん、もしかしたら、絶対に思い間違いをしていないということは大臣も判断するのは難しいかと思いますが、今回のこの間の経緯でも、領収書などで記録が、社会保険事務所や社会保険庁で不備があったことが明らかになった例も五十五例あります。

 この六十六歳の女性の方の場合も、記録の不備の可能性が高いのではないでしょうか。柳澤大臣、いかがでしょうか。答弁をお願いします。

柳澤国務大臣 これは、国民年金を五カ年間にわたってお払いになっている。再婚前ですから、再婚によって多分名字が変わっていらっしゃるんじゃないか、こういうように思いますが、これをしっかり、旧姓でもって市役所にお支払いいただいたということであれば、まず、その旧姓を申し述べていただきまして、そして記録に当たるということにしなければいけない、こういうように考えるわけでございます。

 そういうことをやっていただいて、これは市役所の記録がどういうふうになっているかということも、私、関心があるところでございますけれども、私どもとしては、まず、現在でしたら、磁気ファイル化されている被保険者の名簿というか名前、これを調べるということでございますけれども、もっと先の記録を、御不満だということであれば、本庁にまでそのことを上げていただければ、本庁におきまして、最高のエネルギー、マンパワーを差し向けて徹底的に資料に当たる、こういうことをいたさなければならなくなる、こういうことでございます。

山井委員 これは、消えた年金の一例ではないかと思うんです。

 今、名字が変わったということをおっしゃいましたが、ということは、こういう年金が消えるというリスクは、結婚して名字が変わった方の方がリスクは高いということですか、柳澤大臣。

柳澤国務大臣 これは、夫のいない期間、五年間、国民年金を払っておられた、こういうことで、お仕事、遅刻されたお仕事があるんだけれども、そこが厚年の適用事業所でなかったのかどうか。いずれにしても、国民年金をお支払いだった、こういうことでございますので、名字を旧姓でまず名乗って、そうした年金の加入記録、納付の記録というものを調べなければならないケースであるということは当然だと思います。

山井委員 今の話を聞いていたら、結局、名字が変わったりしたら年金が消えてしまうリスクがあるということだと思うんですが、そういう、仕事をかわる、あるいは引っ越しをする、結婚をする、これはある意味でごく日常的なことでありまして、そういうことで年金記録が見つからなくなるとか消えてしまうということがあったら、これは公的な年金としては許されないことだと思うんです。

 それで、大臣、この方を見てもらいますと、もう二年前から何度も何度も市役所や社会保険事務所で交渉されているんです。もちろん旧姓も言って、何度も何度も交渉されている。にもかかわらず、らちが明かない。本人は、もうあきらめ切れない、夜も眠れない、納得できない、二年間ずっと悩み続けている、余りにもひどい、ひとり暮らしで年金だけが頼りだということをおっしゃっておられるんですよ。わざわざ仕事を遅刻してまで払いに行った、それを今になって、領収書がないから年金を給付できませんよと言われても、なあなあでは納得できないと、御本人は悲痛なことをおっしゃっておられるわけです。

 実際、この方の訴えが正しいという前提で、この五年半を合わせて給付を考えてみますと、国民年金の四十年納付、満額としたら、年間七十九万円、そして、この五年半の部分を納付していないということになれば、年間約十一万円のマイナスになるんです。この方は今六十六歳ですから、平均余命であと二十三年生きたとしたら、何と二百五十四万円も年金給付が少ないということになるんですよ。

 新たな収入の当てもない、それに、本人は老後のために必死になって払ってきたわけですから、それを今になって給付できないと言われても、これは本人がお怒りになられるのは当然だと思うんですね。柳澤大臣、やはり、領収書がないから払えないでは、これは済まないんじゃないんですか。

柳澤国務大臣 消えた年金とか、そういうことはないんですね。

 我々が、九年一月に基礎年金番号を付番いたしたわけですが、そのとき時点で国民年金なり厚生年金に入っていないこのような方については、当然のこととしては、基礎年金番号が付番されません。付番されないわけですが、その後で、我々としては、ここに何らかの形で、基礎年金番号に統合されたと書いてありますから、この方の場合は、基礎年金番号はどうも付番をされたようですね。これはどういう経緯かはちょっとつまびらかでないんですが、そうなっている。その場合には、前に入っていた国民年金というものとの統合をしなければならない記録としてこれがレコードされている、記録されている、こういうことでございます。

 したがいまして、この九年一月時点に、納められた国民年金の被保険者になっていないものですから、そういういわば未統合の口座、口座と申しますか、年金の符号番号になっている可能性がこの方の場合はあるということでございます。

 したがいまして、そこまでこの窓口がやっているのではないかと思う反面、時系列で申しますと、そういう状況にある方だということが言えるわけでございます。

山井委員 消えた年金というのはないんですと簡単におっしゃいますけれども、事実上、この人の場合はその危険性が極めて高いわけじゃないですか。

 それで、五千万件統合されるとおっしゃいますけれども、いつまでにそれを統合するんですか。その五千万件の中に紛れ込んでいる可能性もあると今おっしゃいましたが、では、五千万件をいつまでに統合するんですか、柳澤大臣。

柳澤国務大臣 先ほども申したように、この方が旧姓でもって昭和五十四年から五十九年まで納付をされた国民年金の番号というものが統合されないまま残っている可能性があるわけでございます。それはなぜかというと、平成九年一月の付番のときには、御主人の三号被保険者としてこの方が、そういう形で付番をされているわけです。ですから、その付番とこの国民年金、昭和五十四年から五十九年までお掛けになったものが統合されないといけないわけでございます。だから、統合をされるように申し出ていただくことによって統合される、こういうことでございます。

 ですから、そのことを私としては、そういうことが申し出られているとしましたら、さらに調査をすべしということで、今申したように、場合によっては本庁の調査という、一番マンパワーを一人当たりにかけることになると思うんですけれども、そういう調査をしていただくようにお申し出いただく、そういうことで解決を図っていかなきゃいけないケースだということでございます。

山井委員 そうしましたら、この方は匿名ということを言われているんですが、実は本人からは、ぜひ調べてほしいということを私は依頼を受けておりますので、柳澤大臣、私はまた金曜日に質疑をしますが、それまでに調べていただくということでよろしいですか。

柳澤国務大臣 これは、やはり私がここで申し上げるということがまず適切でない、こういうように思います。と申しますのは、今、本庁の年金記録審査チームでやっておりますのが二百件以上ございますので、そういう中の一件として、私ども、調査をさせていただくということでございます。

 それは、一つの公正性というか、この二百件以上の方々も同じようなことを強くお訴えになっていらっしゃるわけでございますので、やはり順番、マンパワー、あるいは調査の先というものがどこまで広がればいいのかというような問題がありますので、今の委員の、せっかくのお立場からの期限かと思いますけれども、それを私がここで受け合う、そういうことにはならない、こういうことでございます。

山井委員 こういう問題をうやむやにして、組織がえも議論できないですよ。

 そうしたら、これはいつまでに回答してもらえるんですか、きょうお願いしたら。いつまでに回答が出てくるんですか。私は、その方から名前も渡してもらっていいと言われていますから、今渡しますので、いつまでに回答してもらえるんですか。

柳澤国務大臣 名前だけを知らせてもらうということではなくて、やはり一定の手続を踏んでいただいて、できるだけ情報を教えていただくことによって私どもの調査は進行するということになりますので、ぜひその方も社会保険事務所の窓口に行っていただいて、そして山井委員のそういうここでの話なぞもしていただいて、できるだけの情報をこちら側にもたらしていただいて、しかる後に調べた方が、これはもうお名前だけで調べるというよりもはるかに我々も調べやすいというか、要するに、双方が望んでいる結論に達しやすいということは、これは御理解いただきたいと思います。

 我々は、放置しておくとか、未統合のものが放置されているということを全然望んでもいないし、当然のことですけれども、できるだけ統合したいという気持ちで、一人の方といえども最大の努力を傾けて、お訴えについて調査をさせていただくという姿勢で臨みたい、このように思います。

山井委員 この方は、もう二年間、何回も何回も社会保険事務所も市役所も行って、お願いしまくっているわけですよ。それでらちが明かないから、私のところに頼んでこられているわけですよ。

 だから、きょう出しますから、そうしたら、いつ答えは返してもらえるんですか、柳澤大臣。

柳澤国務大臣 先ほども申し上げておりますように、私どもが一つの考え方のもとでシステムをつくっております。それに乗っかって、できるだけの情報を教えていただきたいということでございまして、その際、こんなに国会の場で御議論をしていただいているわけですから、山井議員から厚生労働大臣に直接訴えかけた案件であるからぜひ本庁の調査をお願いしたい、こういうことを言っていただくことによってそこにイヤマークが行われて、本庁調査の対象になるということは考えられようと思います。

山井委員 これは五千万件、こういう統合されていない年金記録があるわけですよ。その氷山の一角として、一例として話しているわけですよ。一々そんなものを国会で取り上げられるわけがないじゃないですか。

 ですから、今この資料をお渡ししますので、どういう状況になっているかということを本人にいつまでに返事をしてもらえるんですか。これを今お渡ししますから。

柳澤国務大臣 事務当局が言っていることは、今の状況がどうなっているか、そういうことは調べられる、しかし、それはやはり委任状を必要とするということでございますので、それは委任状をいただいて山井委員がそういうお立場に立たれれば状況はつまびらかにできるということでございます。

 しかし、それ以上に調査ということになりましたら、さらにまたいろいろこちらからのお問い合わせにもお答えいただいて、そして、先ほど申したような手続に乗せていただければよろしいかと思いますが、いずれにせよ、これも一つの例として山井委員がせっかくお取り上げになられるものですから、私としてそういうことを申しているわけであります。

 いずれにしても、そういうシステムのもとで統合されるものなのでございますよということを私は皆さんに御理解をいただきたいということでございます。

山井委員 そうしたら、本人から即、社会保険事務所に依頼をかけますので、そうしたら、次の質疑までにそれを本人には返答はしてもらえますか。その状況で結構ですから、現状を。

柳澤国務大臣 その方の状況にもよるわけですけれども、委任状を持たれてやれば、我々が該当の社会保険事務所に問い合わせをすることによって現状はその限りで把握できる、こういうことであります。

山井委員 この間、大臣は、申し出があれば対応するということを何度もおっしゃっていて、実際、この方のように二年間申し出てもらちが明かない。そして、らちが明かなかったら、五千万件の統合されていない年金番号の中にある可能性があると。では、それをいつまでに統合してもらえるんですかと言ったら、わからないと。

 それで、ほかの質問の形にしますが、そうしたら、去年の六月にこの五千万件分の宙に浮いた年金記録というのが出てきて、それから今日までに何件統合ができたんですか、五千万件のうち。柳澤大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 基礎年金番号に統合されていない記録につきましては、平成十九年四月一日現在で四千九百四十九万件でございまして、平成十八年六月時点の五千九十五万件と比較をいたしますと、約百四十六万件が統合されたというふうに申し上げたいと思います。

山井委員 ということは、五千万件のうち一年弱で百四十六万件統合できたということでよろしいですか。それは何カ月でやったんですか。

柳澤国務大臣 六月時点から三月三十一日と考えていただいていいかと思うんですが、そういうことでございます。

山井委員 これは九カ月で百四十六万件。ということは一年でほぼ二百万件ぐらい、ということは、五千万件あったら、これはあと二十五年かかるんですか、統合されるのに。大臣、いつになったら五千万件は統合されるんですか。

柳澤国務大臣 かねてから御説明を申し上げましたことでございますけれども、この五千万件の方々の番号というのは、こういう形で統合されるもののほかに、統合を要しない、もう死亡された方等がいらっしゃいますので、五千万件がすべて統合ということを想定して考えていくことは、必ずしもそれを要しないというふうに考えております。

山井委員 いや、いろいろな理由があるとおっしゃっても、実際百四十六万件しか明らかになっていないわけでしょう。そうしたら、このペースでいったら、あと二十五年かかるじゃないですか。これはいつまでに、この統合なり、明らかにさせるという作業は終わるんですか。一日千秋の思いで年金記録が見つからない人は待っているわけですよ。いつまでなんですか。

 そして、これはこのまま特殊法人に看板のかけかえをしたら、政府の監督も国会の関与も減っていくわけでしょう。今だったら自動的に村瀬長官も来られているけれども、今回、日本年金機構という特殊法人になったら、これは理事会の合意がなかったら、与党がノーと言ったら、新しい年金機構の理事長を呼ぶこともできないし、そういうふうにチェックもできなくなるわけでしょう。

 そういう意味では、看板のかけかえの前にこの統合のことにけりをつけないとだめだと思うんですが、柳澤大臣、いつまでに、五千万件の宙に浮いた年金記録の問題、きっちり明らかにできるんですか。

柳澤国務大臣 これも累次御質問に対してお答えを申し上げていることでございますが、これからにつきましても、五十八歳到達時であるとか裁定請求書の送付のいわばターンアラウンドの運営であるとか、あるいはさらに特別強化体制の実施等をいたすわけでございます。

 さらには、余り若いところまでは、この五千万件と関係が希薄になる傾向は当然あるわけですけれども、しかし、四十五歳というようなところでの年金加入記録の通知というようなものも、統合を促す、促進をする、そういう要素として私どもとしては期待できる、このように考えております。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

山井委員 最後になりますが、繰り返しますが、この方の場合は、五年半、毎月毎月払いに行ったということが、領収書がないというだけの理由で認められなかったら、年間十一万円、そして平均余命まで生きたら二百五十四万円もマイナスになるんですよ。

吉野委員長代理 時間が終了しました。

山井委員 これは権利なんですからね。こういうことをなあなあにして、そして二年間相談に行ってもらちが明かない、こういう状態で、年金の信頼回復もないんですよ。きょうの朝日新聞の世論調査でも、国会で一番力を入れてほしいのは年金と書いてありましたよ。払ったはずの年金がもらえない、こんなことで年金の信頼が図れるはずがないでしょう。このことは引き続きまた今後も質問させていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長代理 次に、枝野幸男君。

枝野委員 今の山井さんの質疑を聞いていて、ちょっと私からも聞きたいことがあるので、今の担当者、残っていてもらった方がいいと思いますが、今の御答弁の中で、本庁調査を二百件ほどやっていると。社会保険事務所や市役所に問い合わせて、社会保険事務所や市役所では調べられないけれども、本庁でその二百件、そういった形になれば、さらに突っ込んで詳しく調べられる、こういうシステム、状況であるという理解でいいんですね。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 今の枝野委員のお話で大体よろしいわけですけれども、要は、それまでにずっと積み重ねてきた調査をもう一度、本庁の、制度等をよく承知している、現場もよく承知しておりますけれども、そういうような別の目でもう一回レビューをする、こういうことでございます。

枝野委員 それは何人ぐらいでやっているんですか。

柳澤国務大臣 年金記録審査チームというふうに言っていただいてよろしいかと思うんですが、十五人くらいで当たっているということでございます。

枝野委員 それで、そこでの調査の結果として、現場ではわからなかったけれども、こういうところに記録が、断片がありました、くっつけることができましたとか、そういうケースとかは出てきているんですか。

柳澤国務大臣 現時点で、何か、現場第一線が調査をしたことが、格別漏れがあったような事案というのはないということでございます。

枝野委員 では、何のためにやっているんですか。

柳澤国務大臣 これはもう丁寧にやるということでございますから、違った目でそういう調査の結果をレビューするということも、私どもとしては本当に確認の上に確認をする、そういう観点からは有用である、このように考えております。

枝野委員 有用であるかどうかということについてはまた別途議論をしなきゃいけないと思いますが、先ほど山井さんの提起をした案件、御本人の記憶、それも具体性を持った記憶がしっかりとあって、ただ領収書がないからだめだと現場で言われ続けていて、二年間もそういう状態でやりとりされている。

 今のような仕組みがあるんだったら、当然のことながら、とっくの昔に本庁に上げて、その十五人のチームの中でチェックすべき対象に上がっていないといけないんじゃないですか。

柳澤国務大臣 照会をしていただくということで念査をするわけでございますけれども、その照会の申し出によってこちらがいろいろな調査をしております。そういう調査の中で、さらにこれは今の年金記録審査チームで審査するのが適切というようなことを判断してそうしたものを受け付けている、こういうことであります。

枝野委員 だれが判断しているんですか、上に上げるべきだと。

柳澤国務大臣 被保険者の強い意向というものを受けとめてそういうことを受け付けるということでございますので、ぜひ資料をつけていただいて、多分、これは推測ですけれども、資料についての評価というか、そういうものをめぐっての御議論ということになろうかと思いますので、それをさらに念査するためにこのチームが受けとめる、こういうことでございます。

枝野委員 強く要望しているじゃないですか。強く要望して、二年間もやって、それでらちが明かないので、私はこういうことは政治がやる仕事じゃないと思いますけれども、やむなく政治のところで、何とかならないかとまで強く言っているわけじゃないですか。

 しかも、少なくともこれは一方当事者からの、きょう出てきているのは、私が聞いているのは今の山井さんの質疑だけですから一方当事者の話だけですが、一定の合理性のある、つまり、ただ払いましたという話だけじゃなくて、これこれこういうふうなやり方で払いましたという具体性を持った記憶ですよ。

 しかも、これは大臣も今お認めになっていると思いますけれども、これは結婚とかなんとかのいきさつの中で、断片的に五千万件の中に入っている可能性のある案件ですよ。当然のことながら、本庁で再チェックするというような話の段階にこの二年間の間になっていない程度にしか現場は徹底されていないということですよ。違いますか。

柳澤国務大臣 今、山井委員が御質問の中で、お勤め場を毎回遅刻されたというようなことが具体的に語られるわけですから、私も、単に自分は保険料を納付したということを余り具体的な手がかりもなく言っているのとは随分違うというふうに受けとめさせていただきました。

 したがいまして、そういうことについて、本当はお勤め先の方のお話でもお聞かせいただければいいと思うんですが、そのお勤め場の方は、それはもうだめじゃないのみたいなことを言われちゃっているということで、まことにお気の毒でございます。

 先ほど来いろいろ、これは不規則発言かもしれませんけれども、何か我々が消極的であるということのお立場からのお声も聞かれるわけですけれども、私どもとしては、この五千万件の統合ということについては、もう本当に積極的にこれに取り組もうという気持ちでいるわけでございますので、できる限りの資料と、それからまたお申し出をいただいて、ぜひ、我々に解明をさせていただく、そういうことに努めていただければと思うわけでございます。

枝野委員 山井さんの案件で、昔の勤務先に確認してほしいと年金相談の方に言ったら、年金相談の方が、記録がない以上、そんなことをしても仕方がないと言ったんですよ。領収書がない、記録がない、だからだめですよと窓口は突っぱねているんですよ。

 窓口は徹底していないじゃないですか。そんなに社会保険庁の窓口の職員はモラルが高くて、職務を徹底してしっかりとやっているんですね、大臣。

柳澤国務大臣 ぜひもう一度お出かけいただきたいということを私はお願いしたいわけでございます。

 特別の窓口をしつらえまして、そうした方の申し出を受けとめさせていただくというのは昨年八月から始めたということでございます。その年金納付相談特別強化体制というものを我々がしつらえましたので、ぜひそこにお出かけいただきたいということでございます。

枝野委員 そういうところに行っているけれどもという話なんですよ。

 質問に答えてください。そんなにきちっと窓口は、今大臣は主観的にはそうお考えなのかもしれない、ちゃんと徹底して調べなきゃいかぬと思っていらっしゃるのかもしれませんが、本当に同じような高いモラルと能力を持って現場はやっていると思っていらっしゃるんですか。

柳澤国務大臣 山井委員のこの資料によりますと、「平成十七年五月に国民年金をいただくため相談に行きました。」ということでございます。そういうことでございますので、この強化体制というもので対応させていただいておりますので、ぜひお出かけをいただいて、我々として統合の努力をさせていただきたいということでございます。

 私は、我々の社会保険事務所の窓口というものが懸命な努力をしてくれているもの、このように思っているわけでございます。

枝野委員 現場がちゃんとやっていないから社会保険庁改革だったんじゃないんですか。違うんですか。この間も、公務員のままじゃちゃんとやれないから非公務員にするんだという話だったんじゃないんですか。言っていることを、都合いいところだけ都合いいようにやらないでください。どっちなんですか。

柳澤国務大臣 我々は、社会保険庁改革というものは、この強化体制の窓口が一生懸命やっていないからこの改革をするということではなくて、もっと総合的な問題として、ここしばらくの間、随分いろいろな問題が露呈したということを全体としてとらえて、今度の改革に臨んでいるということでございます。

 もうこんなことを枝野委員に申し上げるまでもないことですけれども、年金記録の相談の強化体制というものをしいているのも、社会保険庁の職員なりに今努力をしているということでございます。しかし、そういう内部的な抜本改革をまたない、そういう体制の強化だけでは幾つもの露呈された問題というものの根本的な解決にはならない、こういう考え方から今回の改革に臨んでいるということでございます。

枝野委員 今の形式的意味の公務員問題は後でやりますが、その前に、金融庁、金融担当の大臣政務官においでをいただいていますが、民間の生命保険会社で、最近、保険料の未払い問題というのが社会的な問題になりました。金融庁としてはどういう指導をして、今、生命保険会社はどういう対応をしているのか、お答えください。

田村大臣政務官 本年二月、生保全社に対しまして、保険金の支払い漏れ等、この件数、金額について報告を求めまして、四月の十三日までに報告書の提出を受けまして、現在、金融庁の方で精査しております。

 生保各社の公表によりますと、全三十八社中、三十七社におきまして、合計約四十四万件、総額約三百五十九億円の支払い漏れが認められていますが、現在、各社から引き続き調査中であります。

 今般の報告徴求におきましては、保険契約者等から保険金等の請求を受けた場合に、他の保険金等の支払い事由に該当するかどうか、これを確認せずに、つまり請求がなかったことを理由として、請求があれば支払うべき保険金の一部を支払っていないもの、これらにつきましても報告を求めております。

 また、支払い漏れが認められた生保各社に対しましては、徹底的な調査と十分な原因分析に基づき、実効性ある施策の策定、実施を求めているところであります。

 いずれにしましても、金融庁としましては、今後も引き続き、各社より提出された報告書を精査するとともに、生保各社で進行中の調査の進捗状況を注視し、適切に対処してまいりたいと思います。

枝野委員 確認をいたしますが、生命保険会社に対する金融庁の指導は、その場合に言う支払い漏れというのは、請求があったのに支払わなかったというケースだけではなくて、請求がなかったために支払わなかったというケースを含めて指導しているし、調査をしている、これでよろしいですね。

田村大臣政務官 繰り返しになりますが、請求がなかったことを理由として、請求があれば支払うべき保険金の一部を支払っていなかったものについても報告を求めております。

枝野委員 国民の皆さんが役所と生命保険会社のどっちを信用しているのかというのは、これはなかなか微妙な問題かもしれませんが、建前としては、役所の方が信頼度が高くないとおかしいと思うんですよ。民間の生命保険会社に対して、請求がなかったから支払わなかったというのじゃだめですよと内閣として指導をしているんですよ。年金だってそうじゃありませんか、柳澤大臣。

柳澤国務大臣 民間の生命保険あるいは損害保険は、保険事故というものを知る立場に保険者がないということで、基本的に請求主義というものをとっているわけでございます。

 我々の年金も申請主義というものをとっているわけでございますけれども、私どもは、それで請求がなければ払わない、申請がなければ払わないなぞというようなことはいたしておりませんで、私どもの方は、事前に、五十八歳通知、あるいは年金の裁定を行う場合には裁定請求の御通知というようなことを通じまして、皆さんの年金納付の記録というものの御確認の手続をとっているところでございます。

 そういう意味合いでは、生保各社と比較なぞするつもりはありませんけれども、御質疑でございますのであえて申し上げれば、保険会社は、あなたの契約についてこういうことですよというようなことをやったかやらないか、それに対して私どもの方は、あなたの契約に基づく納付は当方の記録によればこうですよということを事前にお知らせしているということでございまして、比較の上からおのずとおわかりいただけるものと考えるわけであります。

枝野委員 そうですか、柳澤大臣は金融担当大臣もされているから、生命保険の仕組みをわかっておっしゃっているんだと思いますけれども、生命保険の方は、本契約のほかに特約とかいろいろついています。いろいろ特約がついているのはみんなわかっているけれども、だけれども、今の金融庁の指導というのは、それをちゃんと、例えば亡くなりましたとか、ある病気になりましたと主契約に基づいての申し出があったら、あなたはこういう特約がついていますよ、こういう特約がついていますよ、あなたの契約全体であなたの権利はこうなっていますよということを生命保険会社の方でちゃんと言ってあげて、それで支払いをするべきだ、だから、それが支払われていないものは未払いだという扱いで、全部処理をしろとやっているわけですよ。

 そのために、大手生命保険会社は内勤職員の約半分近くを過去のチェックのために充てているんですよ。社会保険庁だって、いや、厚生労働省挙げて、内閣挙げてだって、職員の半分ぐらい使って五千万件チェックするのが、少なくとも生命保険会社との公正さ、イコールフッティングじゃないですか、大臣。

柳澤国務大臣 私どもの事務運営というものは、生命保険会社の保険事故とは違いまして、長丁場のものでございます。したがいまして、これから、特に被保険者の皆さんは、実際に受給資格が満たされるときまで時間的な、余裕と言うのは語弊がありますけれども、その間に処理するといういとまがあるわけでございますので、そういうことを前提として、私どもとしては、確認あるいは申し出というようなことを通じまして、年金の記録というものは真実でなきゃいけないわけですから、そういうものに取り組ませていただいている、こういうことです。

枝野委員 生命保険会社だって、例えば、こういう特約がついています、特約がついているのに請求が特約の方になかったな、だから、これは少なくて済んでいいや、なんというケースは、未払いのうちのほんの一部だと思いますよ。ほとんどは、生命保険会社の方でも、特約がこの契約についていた、だから特約でもっとプラスアルファをくっつけて払えるはずだったということを見落としていたりしたケースがほとんどです。そういうのを全部チェックしているんですよ。

 社会保険庁の場合だって、社会保険庁が過去の記録のトラブルの中で、本来納付していた記録が統合されていなかった、見落としがあった。見落としがあっても、未払いがあったら、やはり同じように、保険料を納めていた立場からは許されないんですよ。長丁場といいますけれども、例えば先ほど山井さんの挙げた事例のように、現に給付を受けている高齢者の皆さんはたくさんいるんですよ。その方の中に、その五千万件の断片になってしまっていて、本来もらえる額よりも少ない額しかもらえていない人がいるはずなんですよ。

 生命保険会社とのイコールフッティングだったら、五千万件全部チェックをかけて、ちゃんと支払い、御本人からの払っているはずなのになんという申し出を待たずに、役所の側でチェックをして、済みません、私たちが間違っていましたとお知らせをする。民間になるんだったら、これが常識じゃないですか。

柳澤国務大臣 私どもは、既裁定者の方々に対しましても、よく御自身の記録をもう一度確認してくださいということのお呼びかけをしているわけでございます。

 既に、先ほど言った年金記録相談の強化体制の中でこれを含めますよということを申し上げていると同時に、これからも、いわゆる年金の振り込み通知の中に、特にもう一度御注意をお願いするということで、重々確認の手間をとらせるわけですが、そういうことを行っていただいて、本当に納得する年金の受給をお願いしたい、こういうことを特にその用紙にうたわせていただいて、さらにまた真正な年金記録に基づく受給というものを実現してまいりたいと考えているわけであります。

枝野委員 生命保険会社が、未払い事例がたくさんあったので、皆さん保険金を受け取っていらっしゃるかもしれませんが、ほかの特約でもっともらえたかもしれませんから、あった人は申し出てくださいとやれと金融庁が指導していますというんだったら、今の御答弁とイコールフッティングだと思います。

 違いますね。生命保険会社は、特約などについてもらえるものをもらえなかったということについて、契約当事者からの申し出を待つのではなくて、生命保険会社の方で独自にそういうことがなかったかというのを全部チェックしろ、そして報告しろ、ちゃんと支払え、金融庁はこう言っているわけですよ。そうですね。

柳澤国務大臣 私どもは、私どもの側の記録に基づいては満額、当然のことですけれども、年金を計算してお支払いするということでございます。

 そういう我々の側の持っている記録というものと自分らは違う記憶を持っているという方に対して、そういうお気持ちだったらぜひ申し出をしてくださいということを申し上げているわけでありますので、私どもの持っている記録について、つまり、余り比較はいたしたくありませんけれども、そういうことで何か遺漏があるということではないというふうに、私どもはそういう前提でこの運営に当たっているということでございます。

枝野委員 いいですか、社会保険庁は、少なくとも五千万件、その中には、もちろん亡くなってしまってもうやむを得ないという件も入っているにしても、統合できない年金記録が五千万件あると認めているわけですよ。ということは、社会保険庁が把握をして皆さんに御通知をする。今社会保険庁として把握をしている記録の中に間違いがあるということを認めているわけですよ。だから、間違っている可能性のある人は申し出てくださいという話でいいならば、生命保険会社も、特約などについて見落としてお支払いをしたケースがあったと思いますので、そういう方は申し出てくださいとやりなさいというので、私はイコールフッティングだと思います。

 もし、すべての記録が正確だ、自信満々です、正確でないことを疑わせるような情報は何一つありませんというのであるならば、こういうことですけれども間違っていたら申し出てくださいという話もあり得るだろうというふうに思いますが、間違っている可能性のある記録を送りつけておいて、間違っている人は申し出てくださいと。本人が気づいていないから問題なんですよ。

 生命保険だってそうですよ。特約なんかのことは忘れていますよ。私だって、自分が入っている生命保険の特約なんか忘れているわけですよ。忘れているから申し出がない。申し出がないことについて、生命保険会社の方もうっかりして特約までチェックしていなかった。だから未払いが出ている。だから、忘れているということだけで支払わないのはおかしいから、申し出がなかったのもちゃんと払えと指導しているわけですよ。

 年金保険料の納付者だって、忘れているんですよ。先ほどの山井さんの指摘をしたケースのように、明確に記憶をしている、おかしいなとそのときに気がつく人はある意味では一部必ずあると思いますけれども、忘れている人の方が圧倒的多数というのは、三年前の今ごろここでも、委員会審議の中で、政治家、国会議員だってそうだったじゃないですか。一般の国民の皆さんに、三十年前、四十年前、この何カ月間か払ったかどうか。そんなもの、記憶を喚起しろという方が私は無責任だと思いますが、大臣どうですか。

柳澤国務大臣 五千万件の件は、先ほども御答弁申し上げましたように、実はもっと多かったわけでございます。そういうものについて、被保険者の側に、ほかに年金番号をお持ちではないでしょうかという問い合わせをし、それに対して九百十六万の方々に応答をしていただいた。それからまた、被保険者の側だけにそれをゆだねっ放しというようなことではなくて、我々の役所の中でもできるだけ統合の努力をいたしまして、九百二万件については自分らの手元で統合できた、その努力がそういう形をとった、こういうことでございまして、まだ相当残っているということでございますので、これについては、いろいろこれから統合の機会というものを手続上に設けて、その申し出に従ってこれを統合していくということでございます。

 私どもの手元で、五千万件は自分らで処理はしたわけです。できることはしたわけです。しかし、先ほど言ったように、九百二万件をやったわけですが、それがなかなかかなわない、こういうことが在庫としてありますので、これは個別の申し出に基づいて、これからいろいろな機会をこちらが設けることによりまして、統合の進捗を図ってまいりたい、このように考えている次第であります。

枝野委員 やれることをやっていないじゃないですか。マイクロフィルムに残っているものについて、手書き記録とコンピューター入力の記録を照らし合わせろとさんざん言っているのに、やっていないじゃないですか。やれることはやった。冗談じゃないですよ。そういうことを全部やって、これ以上できませんという話のときに今の答弁は成り立つのであって、我々がこれだけ求めているのにやっていないで、何を棚に上げて言っているんですか。

 田村政務官には、今の御議論もお聞きをいただいていたと思います。御答弁は結構ですので、生命保険会社各社がどういう対応をしているのか、相当頑張っていると思いますよ、これで信頼を回復しなければ民間はつぶれますからね。相当努力をされていると思います。ぜひ、その状況をしっかりと把握して、厚生労働省に教えてあげていただきたい、指導してあげていただきたい、そのことを申し上げて、質問は、内閣府は結構でございますので、お忙しければ退席いただいて結構です。

 さて、まず、これから聞きましょうか。きょうまた社会保険庁の職員が収賄で逮捕されたそうですけれども、当然、メモとか入っていらっしゃいますね、大臣。

柳澤国務大臣 厚生労働省といたしまして、報道のあった事実について把握をしていないわけでございますけれども、職員が収賄容疑で取り調べを受けているということは遺憾千万なことであるということでございます。

 厚生労働省といたしましては、捜査当局に全面的に協力をいたしますとともに、事実関係の解明を待って厳正に対処をしてまいる所存でございます。

枝野委員 時事通信の速報によると、逮捕をされたという報道になっております。

 お尋ねをしますが、これは収賄ですから公務員という地位に基づく犯罪です、日本年金機構になった場合、同じようなことが年金機構の職員について起こった場合は、収賄罪になるんでしょうか。

柳澤国務大臣 これはなるというふうに考えます。

枝野委員 年金の保険料の徴収業務というのは公の務めではありませんか。

柳澤国務大臣 公共的な仕事としてこれは組み立てられているというふうに認識をいたしております。

枝野委員 いろいろな辞書がありますけれども、小学館の大辞泉というこんな分厚い辞書によると、公務員とは「国または地方公共団体の公務を担当する者。」その前の項目が公務で、公務とは「おおやけのつとめ。」公の務めを担当する者は、日本語としては公務員だと。

 年金の徴収を担当する者は、日本語としては公務員ではないですか。

柳澤国務大臣 枝野委員も、私と同じ立場で実は、行政改革に当たっていただいたこともあるわけでございます。そのときのこととして、枝野委員と御一緒に仕事をさせていただいた後のことでございますけれども、私ども、公務について、つまり現在行政官庁が行っている仕事について、執行事務についてはこれをエージェンシー化する、イギリスの例なぞを見習ってそういうことを構想するということがあったわけでございます。

 そういう中で、公務なんですけれども、公務のうち執行の事務については、エージェンシーは、その後確定的な名称がつきまして、独立行政法人ということになったわけでございますが、独立行政法人というもので行わせようということになりました。そして、独立行政法人の仕事に当たる者については、これは公務員ということもあるんだけれども、非公務員型ということを選択しよう、こういう形もあらわれたわけでございまして、私どもは、したがって、公務についても、独立行政法人ということの中で非公務員型が選ばれるということもある、このように認識をいたしているわけでございます。

枝野委員 わかってとぼけているんですね。私は、日本語としての公務員には当たるんじゃないですかと申し上げたんです。

 国家公務員法上の公務員ではなくした。今回もそうです。それは認めます。国家公務員法上の公務員ではない、だけれども、公の務めを果たす仕事をこれからも年金機構の皆さんは行う。これは間違いない。問題は、それが国家公務員法上の公務員ではなくなるということにどんな意味があるのか、このことが問われるわけですね。違いますか、大臣。

柳澤国務大臣 私どもは、累次にわたって社会保険庁が問題を露呈してきた、これを改革するにはいかなる面の努力をしたらよろしいか、こういうことでいろいろと模索をしたわけでございます。

 そして、その中で、前回国会に提出させていただいた機構というのも一案でしたけれども、それをさらに進めまして、今回、このような日本年金機構というような形で組織改革案を提出させていただいているわけでございまして、これは、もちろん厚生労働大臣の権限とされる事務を委任を受けて全面的にやるということでございますので、公務を行うわけでございますが、それを非公務員型でもってやることによって、これに当たる職員の意識の改革であるとか、あるいは業務運営の弾力性というようなことを取り入れることによって私どもは改革の実を上げたい、このように考えているということでございます。

枝野委員 何で国家公務員法上の公務員じゃなくなると効率的になるのか、小学生にもわかるように、短く簡単に答えてください。

柳澤国務大臣 これは、何といっても、国家公務員法上の公務員でなくても、公務員ということになりますと分限というものでしか降任、降格あるいは解任というようなことができないという仕組みになっておりまして、それに対して、民間的な手法を入れました職員については、そういう人事面の制約ということから解き放たれまして、これについてはもちろん合理的な理由というようなことは判例等で示されているわけでありますけれども、そういうことにのっとりさえすれば、かなりの自由度を持って人事の管理ができるということがございます。

 それからまた、実際の仕事ぶりというようなことにつきましても、やはり、民間の社員と申しますのはもっと、例えば勤務時間であるとかそういったようなことについてもいろいろと工夫をして、非常に弾力的に仕事に対応できるというようなことが現にありまして、私どもは今、ある意味で民間委託というようなものもさせていただいていますけれども、そういうようなところで、なるほどなというような事例というものもございますものですから、やはり、意識の面、それから実際の仕事のやり方の面等々で、随分違った形がそこで期待できる、このように考えているというものでございます。

枝野委員 そんなに民間の方が立派だったら、自衛隊も警察も民間にすればいいのになと思いますけれども。

 今の話はうそですね。人事院に来ていただいています。

 国家公務員法、勤務成績が悪い者、サボっていいかげんな者、あるいは能力に欠ける者、適格性を欠く者、降格できますね、首にできますね。あるいは、予算の関係、財源の関係、このままでは財政が破綻する、首にできますね、国家公務員法では。違いますか、人事院。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員が免職等をされ得る場合としては、職務上の義務違反などの場合に、国家公務員法の第八十二条に基づいて、懲戒処分として免職等が行われる場合がありますほか、懲戒の意味を持たない処分といたしまして、いわゆる分限処分といたしまして免職等が行われ得る事由を国家公務員法は明定しております。

 これは、成績主義の原則のもと、職員が、全体の奉仕者として情実に左右されずに職務を行い、恣意的にその職を奪われるということがないようにするというものでありまして、公務の中立性、安定性を確保して、その適正かつ能率的な運営を図ろうとする趣旨によるものでございます。

 具体的には、おっしゃいましたように、国家公務員法第七十八条では、降任及び免職の事由につきましては、勤務実績がよくない場合、心身の故障のため職務の遂行に支障等がある場合、官職に必要な適格性を欠く場合、定員の改廃等により過員等を生じた場合の四つを規定しているところでございます。

 いずれにいたしましても、個別の処分に当たりましては、法律や人事院規則の規定にのっとって、事実等に基づいた判断により、裁量権の濫用にならないよう適正に行われることが必要であると考えております。

枝野委員 やっていないのは管理者なんですよ。能力がない、いいかげんなことをやっている、そういう公務員を首にしてこなかったのは管理者なんですよ。大臣であり、長官であり、地方の場合は知事や市長であり、制度のせいにしてはいけないんですよ。やってこなかった行政執行担当者の責任が、見識が問われているんですよ。通用しない、おかしな職員がいたら首にすればいいんです、ちゃんと規定はあるんだから。

 逆を聞きます。民間企業だったら勝手に首を切れるんですか。

松野大臣政務官 民間企業における解雇につきましては、労働基準法の第十八条の二に規定がありまして、具体的には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」というふうにされております。

 このように、民間企業におきましては、労働者を解雇できるかどうかは、この規定に沿って、最終的には個別具体的に判断をされるということでございます。

枝野委員 メディアの皆さんも含めて、世の中に勘違い、間違いはあるんです。民間企業だったら首が切りやすい、降格させやすい。能力のない者はおろす。やる気のない者は降格させる、首にする。民間の方がやりやすいというのは大きな間違いです。常識のうそです。

 やってこなかった行政執行担当者の能力と意欲の問題なんです。やればいいんです、民間と同じように、社会保険庁だって不祥事はたくさん起こっているんですよ。あるいは、やる気がなくていいかげんな仕事をやってきた人はたくさんいるんですよ。分限処分、しましたか、していないじゃないですか。まず分限処分をしてくださいよ。おかしな話じゃないかと思いますよ。

 政権を担っているのは、行政執行権限を持っているのは、少なくとも、社会保険庁に絡む行政執行責任を担ってきたのは、一九五五年以降、二年間を除いて全部自民党なんですよ。自民党がやる気がなかったんですよ。地方公務員の場合だって、圧倒的多数の知事や市長は、あるいは議会は、自民党が多数なんですよ。そこがちゃんと首にしなかったんですよ。そこのところを制度のせいにしてごまかさないでいただきたい。

 その上で、ではほかに、民間になったらいいことがあるんですか。給料はだれが払うんですか。確認しますが、給料は税金と保険料ですね。確認です、一言でいいです。

柳澤国務大臣 これは、独立行政法人という行政を行うものについて、これの職員を非公務員型にするという場合にも起こることでございますけれども、独立行政法人といえども行政事務の執行をつかさどるというか扱うということでございまして、運営交付金等の交付金でもってその人件費を賄うということは現に行われていることでございます。

 我々の今回の日本年金機構におきましても同様の考え方で、交付金を通じて……(枝野委員「大臣、時間をかけて質疑させてくれればいいのに。どうぞまた質問させてください、私に。どうぞ」と呼ぶ)

櫻田委員長 答弁中でございますので、御静粛にお願いします。

柳澤国務大臣 交付金でもって給与を賄うということは、それと同断のことでございます。

枝野委員 いいですか、答弁が長いから、こちらから言っていきますよ。

 国家公務員法上の公務員ではなくしても、仕事の中身は公務なんです、公務を担う者なんです。給料は、全額税金あるいは一部保険料、公金で賄われるんですよ。売り上げからじゃないんです。自分たちが努力をしたら収入がふえるという売り上げからではないんです。

 一方で、国家公務員法上の公務員でないことによって何が起こるのか。天下り規制が及ばない。社会保険庁から、関連する公益法人、関連するさまざまな民間企業、非公務員型というその一点で、幾らでもできるようになる。国の責任や関与が間接的になる。国会に対する出席義務がなくなる。焼け太りというんですよ、こういうのを。

 では、国家公務員法上の公務員じゃなくなることで何かプラスがあるんですか。先ほど申しましたとおり、首にする、降格させる、こんなことは、民間だって公務員だって、制度上は同じような仕組みで担保されているんですよ、できること、できないことは。やってこなかっただけなんですよ。結局、国が関与してトップを決めたら、同じやり方じゃないですか。

 私は、民営化できる役所は民営化すべきだと思います。徹底して小さな政府にすべきだと思います。一般論として、役所よりも民間企業の方が効率的だと私は思います。でも、それには理由があるんです。民間は競争にさらされているんです。

 日本年金機構は、競争関係にある業務を担うそうした機関、組織はありますか。簡単に答えてください。

柳澤国務大臣 独立行政法人の場合は、これは、独立行政法人の仕組みとしては目標管理というのをやろうと。競争では、これはディシプリンが働かないということで、中期的な目標を設定し、計画をつくらせて、それの遂行度、こういうものでもってチェックをしていこうということでございます。

 今お尋ねのように、厚生労働省所管の法人の例といたしまして、非公務員型の法人があるか……(発言する者あり)

櫻田委員長 答弁中でございます。御静粛にお願いします。

柳澤国務大臣 職員の給与が国庫負担される、そういうものがあるかということでございますが、独立行政法人国立健康・栄養研究所などは、非公務員型の法人で、正規の職員の給与は国からの運営費交付金で賄われているということでございます。

枝野委員 非公務員じゃないと言っているんですけれども。

 いいですか。民間企業は競争相手があるんですよ。自分のところがしっかり仕事をしなければ別のところに移るんですよ。電電公社はNTTになって、auとかソフトバンクとか、名前は途中でいろいろ変わっているけれども競争相手があって、いいかげんな仕事をしていたらauにシェアを奪われるんですよ。競争関係がある、これが民間なんです。だから頑張らざるを得ないんですよ。JRだって、競争相手のない部分はあるかもしれないけれども、東武鉄道や西武鉄道と競争があるんですよ。あるいは長距離便は、JALやANAとの競争があるんですよ。代替があるんですよ。

 ちゃんとやらなければ自分のところがつぶれてしまう、そういう状況にあるから、民間企業の方が役所よりも効率的な運営が行われる。だから、できるだけ官は小さくする、役所は小さくする、私はそうだと思います、そこは大賛成なんです。競争相手のない民間だなんていうのは、民間じゃないんですよ。

 ちなみに、これも、大臣、答弁が長過ぎるんです。事実関係だけ聞きますから。倒産法制、破産法制は予定されていますか、この機構に。ありませんね。どんなにいいかげんな仕事をしても、どんなにむちゃくちゃな仕事を続けても、国会のチェックもいいかげんにしか働かなくなる、国民からますます見えにくくなる、でも給料は税金で確保されるんですよ。

 民間企業というのは、いいかげんなことをしたら、倒産をして、失業をするんです。民営化、非公務員型というんだったら、倒産法制をくっつけてください。どうですか、大臣。

柳澤国務大臣 今、枝野委員のお話を聞きながら、ちょっと飛躍があるというふうに私はお伺いしました。それはどうしてかというと、国家機関と比較するのは民間会社、こういうことでございますが、その間に独立行政法人というものが現に存在しておるわけです。

 私どもが……(発言する者あり)いや、特殊法人、不規則発言にお答えするのはあれなんでございますが、独立行政法人という形態であります。それで、独立行政法人のうち、独立行政法人というのは、ある種固有名詞でもあるんですけれども、一般名詞なんですよ。それで、特殊法人というのは、独立行政法人形態の一形態なんですね。それで、そういうものでございますので、私どもは、いわば一般名詞としての独立行政法人の形をとっているということです。

 ただ、なぜ独立行政法人という名を冠しなかったかといえば、これは、厚生労働大臣の保有する権限をそのまま行わせるわけでございますので、総務省のようなところでこれを監督するということは、これはふさわしくない、厚生労働大臣がきちっと監督をしなければいけない。

 こういうことで、今回は特別の法律を制定して、ということがイコール特殊法人という独立行政法人の形態をとっているということでございますが、そういう形態をとっているということでございますので、なおお尋ねがあれば、お答えを申し上げたいと思います。

枝野委員 今の答弁は、非常にいい答弁をしていただきました。結局、厚生労働省から手放したくなかったんですよ。今、そういう答弁でしたね。

 つまり、これだけ不祥事を起こしたんだけれども、何十兆というお金を扱う、当然その保険料まで事務費に流用する。流用したお金で例えば事業を発注する、公共調達をする。利権が発生するじゃないですか、天下りが発生するじゃないですか。その天下り規制を逃れさせる。こんなもの、財務省に持っていかれたら、厚生労働省の利権がなくなる。だから、何が何でも厚生労働省のもとの機関にしなきゃいけなかった。でも、それでは通用しないから、名前だけ、肩書だけ公務員じゃないことにする。でも、中身は一緒じゃないですか。

 私は、独立行政法人という仕組みは否定しませんよ。独立行政法人という仕組みがあっても全然構わない。だけれども、まさに社会保険庁が問われているのは、長年にわたって社会保険庁というこの小さな箱の中で、よどんでしまっておかしなことになって、せっかく民間からトップをお迎えしたけれども、それでもなかなか改革できない。だから今回改革なんでしょう。

 結局、厚生労働省のもとで形だけ少しばかり分割したって、保険料徴収という軸になるところ、コアな部分のところをそっくり残して、そっくりそのまま肩書、名前だけ変えて、何が変わるんですか。

 本当に民営化するんだったら違うかもしれません。競争があって、倒産するかもしれない。いや、例えば年金機構みたいなそういう独立行政法人を十個、二十個ぐらいつくって、徴収の効率の悪いところはどんどんつぶれていきます、民間からも参入します、こういうのを民営化というんですよ、こういうのを非公務員というんですよ。

 税金で給料をもらって、競争がなくて、倒産することがありません、行う業務は公務ですと。目標設定をして、その目標の達成度に応じて云々かんぬん、そんなことは社会保険庁のままでもやってなきゃいけなかったのを、今までやってこなかった責任はどうなるんですか。社会保険庁ではできないんですか。今までだってやってきたじゃないですか、納付率を上げる目標設定してやってきたじゃないですか。それに基づく能力主義、成果主義の人事、今の公務員法だってできるじゃないですか。やってこなかったじゃないですか。

 何で看板をかけかえたらできるようになるんですか。看板をかけかえたらできるようになる、いや、看板のかけかえをするということについてのいろいろな説明をしているけれども、では、そのことによってよくなるということの説明は、一切きょうは出てきていないですよ。何がよくなるんですか。答えてください。

柳澤国務大臣 独立行政法人にし、非公務員化したということで、私どもとしては、他の独立行政法人と同じように、中期目標を立て、中期計画を立て、年度計画を立てという計画管理をしていく、こういうことでございます。

 そういうようなことで、何がよくなるかといえば、まず、先ほど来これはもう御説明をいたしておるわけでございますけれども、人事を公務員法の枠から外すことによって意識の改革というものを呼び起こしたい。それからまた、仕事の仕方ということについても、より民間のいろいろな弾力的な働き方というものを導入することによって、私どもとしてはこの改革の実を上げたいということを申し上げているわけでございます。

枝野委員 いいですか、計画管理だなんというのは役所だってやらなきゃいけないんですよ。やってこなかったんですか。やってこなかったことの方が大問題じゃないですか。中期計画を立て、年度計画を立て、やっているのが当たり前じゃないですか、役所だって。やってこなかったんですか。

 人事、弾力を持つ人事をやればいいじゃないですか。今の公務員法、だれもとめていませんよ。どこもとめていませんよ、法律上。何でやってこなかったんですか。

 仕事の仕方、それは公務員だって、役所だって、民間の仕事の仕方でいいと思ったらやればいいじゃないですか。だけれども、これがやられてこなかったんです、厚生労働省のもとでは。

 ますます厚生労働大臣の権限が一種強まるんですよ、国会の監督が弱まるんですから。国会の監督が弱まって、厚生労働大臣の監督だけになるんですよ。それはもう厚生労働省、万々歳ですね。そこから先の天下りはやりたい放題。税金、保険料、先ほど来の話のとおり、結局は事務費と名がつけば何でも流用し放題。まさに、離れですき焼きができる仕組みをよくうまいことつくりました。

 それじゃ格好がつかないから、名前だけ非公務員にした。本当に非公務員ならば、仕事に失敗したら、効率悪い仕事をして信頼を失ったら倒産をする。民間企業の皆さんはみんなそういう状況の中で頑張って働いているんです。自分たちがしっかりと効率よく収入を上げなければ自分のおまんまが食えない、これが民間企業なんですよ。非公務員型と威張るんだったら、年金機構もそういう仕組みにしてくださいよ。

 民間企業のように競争も働かない、民間企業のように倒産することもない、そういう状況の中で、今までできなかった計画管理や柔軟な人事や民間的な仕事の仕方が、民間のトップをお迎えしてもできなかった組織が、名前を変えて、肩書だけ変えて、看板だけかえてなぜできるようになるのか、そのことを説明してくださいと聞いているんです。

柳澤国務大臣 枝野委員も、独立行政法人というのは私も認めると先ほどおっしゃいました。私どもはその独立行政法人の組織形態をとるということでございます。

 ただし、いわゆる固有名詞としての独立行政法人というのは総務省が計画管理等を行います。したがいまして、我々の年金の業務につきましては、いわゆる固有名詞としての独立行政法人の形態をとれない。したがって、厚生労働大臣の仕事をそのまま委任をして行いますので、このような日本年金機構という、定義をあえてしろと言われれば、特別法をもって制定している組織でございますので、特殊法人と言わせていただくしかないわけでございます。

 考え方としては、一般名詞としての独立行政法人化をしているということでございまして、枝野委員もお認めいただくのであれば、そういうことによって行政を効率化し、また公正化していく、こういうこともあり得るということはお認めいただいているわけでございますので、そのお認めいただいているような形態に今回いたしておるということで御理解を賜りたいと思います。

枝野委員 僕は、独立行政法人だったら効率化されるだなんて今一言も言っていませんよ。これについてじゃなくて、一般論として独立行政法人という仕組みがあり得る、それは認めますよ。それはやはり競争原理を働かせる公務はあるんですよ。

 例えば、国立大学を独立行政法人化した、これはあり得ると思うんですよ。各大学相互で競争が働きます。だけれども、やはり私立の大学とは違った意味での国立大学という存在は必要だろう。これは競争が働く。競争が働く、だから独立組織にして、独立採算的な要素にして競争をさせる、これは独立行政法人にしたということについて一定の意味があると思いますよ。

 しかし、まさに役所の大臣の権限そのものをそっくりたった一つの組織に移して、お金は、人件費から何から全部税金で丸抱えをして、単に看板をかけかえただけじゃないですか。何が効率化をするですか。これで効率化ができるなら社会保険庁のままでも効率化はできる。

 我々はそう思っているわけじゃない。そもそも、厚生労働省の利権の中に入っているからだめなんですよ。何でこの機構だけは総務大臣のもとじゃだめか、まさに厚生労働省の利権を守りたいんですよ。お金を集める仕事としては税務署と一緒なんだから、これはこれで柳澤さん、それはそれで個人的にはいいかもしれないけれども、むしろ財務省に持っていった方がいいぐらいの話じゃないですか。だからこれは問題だし、まやかしだし、ごまかしだ。

 よくなるどころか、現状と一緒だったら、まだ我々もこんなに反対しない。

櫻田委員長 枝野君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力を願います。

枝野委員 しかしながら、今より悪くなるんですよ。社会保険庁と機能はほとんど一緒、人事管理などに対する法的仕組みは一緒、競争がないことは一緒、人件費は税金で担保されていることも一緒。だけれども天下りはやり放題、だけれども国会の関与は間接的で、国会に対する出席義務もない。まさに今よりもやりたい放題できる改悪、大改悪法案である。

 このことについては、まだまだきょう聞きたかったことが大臣の長い答弁でできませんでしたので、あと五時間ぐらいはさせていただきたい。当然そうした時間をとっていただけるということの前提で、きょうの質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十二日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 この消えた年金の納付記録の問題、我々がこういうふうに質疑をして資料要求している目的はただ一つ、被害者の方を一人でも多く救済したいということと、自分が被害者と気づいていない方がたくさんいらっしゃる、こういう方々にも注意喚起を呼びかけると同時に、社保庁の中にあるデータ、資料、これを突合すればより正確になります。まだまだ社保庁の中でやるべきことというのがたくさんある。精いっぱいやっているから、文句があるやつは来い、そうしたらば調べてやる、こういう姿勢ではもうだめですよ、大臣。ということで質問を申し上げます。

 まず、五千万件の基礎年金番号に結びついていないデータの件でございますけれども、以前、年齢階層別の統合漏れの資料をいただきまして、単純な足し算をいたしました。六十五歳から七十九歳で統合漏れのデータは、厚生年金、国民年金、何件あるか足し算すると、約一千四百万件あります。

 ということは、当然この中には、入力ミスで生年月日がないとか、データが不完全で統合したくてもできないデータがあるということはさきに明らかになりましたけれども、政府の言い方というのは、そういうことをほっかむりして一貫して言っているのは、裁定時には、つまり、年金をもらう、受給額を決めるときには統合がされますから大丈夫ですよ、こういうような、まあ、はっきり言ってうそです、うそを国民の皆様に言われているわけでございます。

 それでは、六十五歳から七十九歳というのは、基本的には年金をもらっているのではないかという年齢です。そして、日本人の平均寿命は八十歳を超えましたが、まあ、少なく見積もって七十九歳というふうにいたしましょう。そうしますと、一千四百万件ある。人数に、仮に一件が一人に対応しているとすれば、一千四百万人の方が、年金を今現在もらっている方ですよ、本来は、統合漏れがなければもう少し受給がふえたのに、ふえなかった。当然、この年齢の中で既にお亡くなりになっておられる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そういうようなこの一千四百万件というデータに関して、大臣はどういうふうにお考えですか。

柳澤国務大臣 私ども、統合されておらない年金手帳記号番号につきましては、とにかくできるだけ統合されるべきである、このように考えているわけでございまして、この一千四百万件につきましても、既裁定者あるいは受給権者の修正ということをできる限りお願いいたしまして、これが統合されるようにいろいろな仕組みを考えていきたい、このように考えているわけでございます。

 先ほども御答弁申し上げましたとおり、当面、年金の給付の御通知をする六月の段階で、もう一度よく御自身の年金記録を御確認いただいて、御相談されることをお願いするということを呼びかけたい、このように考えているところでございます。

長妻委員 先ほど枝野議員の質問でもそういうのを呼びかけているというようなことを言われましたけれども、まだやっていないんじゃないですか、六月に呼びかけると。しかも、何か通知の中に、下にちっちゃい字でそういうものをただ書くというような今御答弁だったと思いますけれども、ねんきん定期便というのは、受給者の方には送られるんですか、納付履歴は。

柳澤国務大臣 ねんきん定期便は、これまでの御加入になった記録と年金の受給見込みということをお知らせするという制度でございますので、既に受給が始まった方には、そうした対象とは考えておらないわけでございます。

長妻委員 柳澤大臣、いや、これは本当に、ぜひ送っていただきたいんですね、受給されている方にも、既裁定者にも。三十五歳、四十五歳、五十八歳通知のような納付履歴です、履歴。ただの月数だけじゃなくて、納付の履歴一覧をぜひ送って、緊急に点検してくださいと。

 大臣、せめてこれは前向きな答弁をしてください。これは本当ですよ。大臣、そのぐらいお願いしますよ。

柳澤国務大臣 定期便につきましては、我々としては、被保険者の皆さんに、御自身の記録を、常に意識を高く持っていただいて、納付についても積極的な気持ちをお持ちいただくようにということの趣旨でこの制度をつくらせていただきましたので、今ここで急にその方針を転換するという準備はいたしておりません。

長妻委員 どういう意味ですか、意識を高く持っていただくとは。(柳澤国務大臣「保険料の納付に対して」と呼ぶ)保険料の納付の意識を高く持てということですか。

 それは逆に、社会保険庁も意識を高く持ってほしいんですよ。中でめちゃくちゃな記録管理をして、そしてその被害者救済にも及び腰。せめて、今受給している人に納付履歴一覧を送って、点検してくださいと。このぐらい、大臣、本当にやってください。検討するというのでもいいですよ、今即座に答えられなければ。ぜひそういう答弁をいただけませんか。

柳澤国務大臣 私どもといたしましては、裁定の際に、本当に両者で確認をして、そうしたことでよろしいということで裁定の金額というものを決定させていただきました。もちろん、中には、もう記録のことについてはとりあえずこれでいいから先に受給させてくれ、あとまた補完をしようというようなこともありまして、これについては裁定の変更ということで対処をさせていただいておりまして、このシステムといたしましては、そういうことで対処をさせていただいておるということでございます。

長妻委員 答えていないですよ。検討するかしないかを聞いているんですから。答えてください。一回とめてください。

櫻田委員長 質問を続けてください。

長妻委員 検討するかしないか、どっちですか。

柳澤国務大臣 私は、今、年金のこの記録でもって、これについて……(長妻委員「大臣、ちょっと待ってください。ちょっと待ってください」と呼ぶ)発言中です。

櫻田委員長 長妻昭君に申し上げます。ただいま答弁中でございます。御静粛に。(長妻委員「今私が質問したことに全く答えていないで、違うことをずっと答弁されて、時間がどんどんなくなるんです」と呼ぶ)

 答弁者は大臣です。(長妻委員「大臣、検討するかしないか、答えてください」と呼ぶ)

柳澤国務大臣 だから、私が申し上げているのは、検討するということを申し上げる、そういう用意はないということを申し上げているんです。

長妻委員 そうすると、大臣、一千四百万件、先ほど申し上げました六十五歳から七十九歳での統合漏れの納付記録、これは、既に受給されている方で統合漏れの記録がこの中に入っているということも考えられますか、大臣。

柳澤国務大臣 これは区々だろうと思うんですね。この住所でもっては本来の受給権者にアプローチできないというものが、この千四百万件なんですね。ですから、これを減らすということを考えて年金記録をお知らせするということには、直接的な結びつきというのは、なかなか期しがたいと思います。

長妻委員 ちょっと質問に答えていただきたいんですけれども、この一千四百万件の中には、既に受給されている方の記録で、もしこれが基礎年金番号に統合されていれば、その方はもっと多くの受給額になっただろう、そういう記録も含まれていますかということなんです。

柳澤国務大臣 そういう可能性もございます。

長妻委員 それは今お認めになられましたので、ということは、本人も、気づかない方もいっぱいいらっしゃると思いますよ。それで、少ない金額を受給し続ける。やはりこれは送っていただきたいんですね、受給者にも、納付記録一覧。チェックしていただく。

 そして、ずっと政府は、この五千万件の記録の中で、亡くなった方はいいんだというような趣旨の発言もされておられますけれども、亡くなった方も、もしよく調べてみると、本人も気づかないで、未統合の記録があって、少ない年金をもらい続けて亡くなった、そういう方も私はいらっしゃるんじゃないかと思うんですよ。ですから、亡くなった方は除外していいです、いいですと、余りそういう発言もされない方がいいというふうに思うわけでございます。

 これは、引き続き、我々はあきらめません。受給権者に対しても、納付記録の送付、チェック、ぜひしていただきたいということは、これからもずっと粘り強く要請をいたします。

 そして、きょう午前中、内山議員からも質問ございましたけれども、茅ヶ崎市役所が国民年金の保険料の領収書は五年間保存しろということを通知にも書いていながら、その三年後の同じ方への通知では、同じ茅ヶ崎市役所が、今度は五年ではなくて年金請求時まで保管してくださいというようなことに変わっている。

 これは、五年ということを信じて、五年で領収書は余り意味がなくなるのかなと思われた方は捨ててしまっているということで、これは非常に、被害者救済でも、このポイントというのは大きいのではないか。当局、地方自治体も含めて、捨てていいよということをここで宣言しているわけでありますので、全国の市区町村で、こういう五年等、期限を区切って、保管期限は何年ですという通知を出した市町村がどれだけあるのか、これをぜひ緊急調査していただきたいと思うんですが、いかがですか。

柳澤国務大臣 本件につきましては、理事会におきまして御協議をいただいたということでございます。その理事会におきます決定といたしまして、社会保険庁が茅ヶ崎市に照会し、経緯を調べた上で御報告をするということになったと承知をいたしているところでございます。したがって、まず、その対応を行いたい、このように考えております。

長妻委員 全国の自治体でこういう例がどれだけあったのかという調査をしていただきたいと思うんですが。

柳澤国務大臣 まず、茅ヶ崎の例につきまして、その経緯を調査させていただきたい、このように申し上げて、その後におきまして、またどういうふうなことが一番いいかということを考えてまいりたいと思います。

長妻委員 そして、これは国民の皆様方に注意喚起のためにも、社会保険庁が入力をミスしている名前の読み方です。名前の読み方を違う形で入力した、これはミスしたことによって、名前が確認できなければ御本人に確認してきちっとした読み仮名を入力すべきであるのに、そうでないことによって、その記録が別管理されてしまう、こういう事例がございました。

 今、配付資料の一ページ目にございますけれども、これをぜひ説明していただきたいんですが、これはどういう資料でございますか。

柳澤国務大臣 この一ページ目に委員が御転載いただきましたものは、平成十九年五月十五日付の社会保険庁運営部企画課の作成に係る資料でございまして、五十八歳通知に係る本人からの照会によりまして、氏名の読み仮名が誤って収録されていると判断された被保険者記録の例でございます。

長妻委員 それぞれ、注意喚起のために、名前と名字でどういうものがどういうふうに間違って入力されているのかを御説明いただきたいと思います。

柳澤国務大臣 氏で申し上げますと、被保険者原票、名簿に記載されている漢字が例えば高田というもの、それが、申し立てた読み仮名はタカタである。ところが、被保険者記録上の読み仮名はタカダと濁っているというようなこと。それからまた、名前で申し上げますと、秀一で、申し立てられた読み仮名はシュウイチとお読みになるということでございますが、それに対して、被保険者記録上の読み仮名はヒデカズというふうになっている等、氏また名につきまして、漢字の読み方について、御自身の申し立てと我々の被保険者記録との読み方が相違しているということでございます。

長妻委員 非常にいいかげんでございますので、これは、国民の皆様方には、もし御自身がこういうケースに当たる名前、あるいは、これはほんの一例でございますので、その場合は、記録がないと言われたときに、窓口で、ではこういう読み方で検索してくれということを言わないと、なかなか社会保険庁の相談員、気のきいた人ばかりではございませんので、例えば、鶴田を、本当はこの方の名前はツルダという方なのに、ツルタと入力してしまった。仮名検索ですので、これはツルタでは出てこない。古谷は、本来はこの方はフルタニさんという方だったんですが、入力はフルヤになっている。あるいは向山、ムコヤマというのが本当の読み方ですが、ムコウヤマと入力してしまった。錦織、これはニシコオリが本当の名前の読み方なのに、ニシキオリと入力してしまった。

 名前の方では、信一という字はノブカズが本当だったけれども、シンイチにしてしまった。あるいは孝己という字、これはタカミをタカキと入力してしまった。佳子という字、これが、本当はケイコなのにヨシコと入力してしまった。成子、本来はセイコなのにシゲコと入力してしまった等々、確認しないでの入力が統合漏れの一つの原因にもなっているのではないかということで、こういうこともぜひ社会保険庁こぞって、百、二百、三百のこういう事例を出して、国民の皆様に、謝罪とともに、こういうお名前をお持ちの方は可能性がありますということもきちっと周知をしていただきたいということもお願いを申し上げます。

 そして、我々はかねてより、厚生年金、国民年金の手書きの紙台帳、納付記録が記されているものとコンピューターの中身を照合して、コンピューターの中で抜けているのがあるからそれを全部直すべきだ、こういうことを申し上げておりました。

 実際にどのくらいのものがコンピューターの中に収録されていないのかというのは、少ない数字は出てきましたけれども、それについてお尋ねいたしますと、例えば、この二ページ目にございます年金記録相談の強化月間でございました、窓口では確認できなかったけれども、本人の申し立てどおり別に調べたら記録が確認できたもの、これは一部も含めて三万九千五百六十一人。約四万人の方が、窓口では確認できないけれどもその後の調査で記録が発見されたということになりました。

 この四万人のうち、窓口で確認されないということは、これはコンピューターに入っていない、そして原票だけに入っていたという可能性も高いと思うんですけれども、四万件のうち、コンピューターの中にはなくて紙だけにあったものというのは何件ぐらいございますか。

柳澤国務大臣 年金記録相談の特別強化体制のもとにおきまして、これは昨年八月二十一日に始めたものでございますが、本年の三月末までの間に照会申し出を受け、これは、窓口での確認にまだ十分御納得いただけない方及び郵送分でございますけれども、五万六千九百九十九件でございます。そのうち、御本人の申し立てのとおり記録が確認できたもの及び御本人の申し立ての記録の全部ではないけれども一部が確認できたものの合計が、今委員が言われたとおり三万九千五百六十一件でございます。

 ただ、この内訳につきましては、私ども、どのようなところでの記録で確認されたかということは、今内訳を持っておらないわけでございます。

 御本人に確認をしながら行うということで、被保険者等からの依頼された調査に対しまして丁寧かつ確実に対応していくことが優先すべき仕事だというふうに考えているわけでございます。

長妻委員 いや、今の御答弁も本当に驚くべき答弁だと思うんですね。社会保険庁の中で受け付けをして、社会保険庁社会保険事務所等がその方の記録をやっと発見した。窓口では発見できない。では、どこからその記録を発見できたのか。それはわかりませんと。いや、大臣はわからないかもしれないけれども、社会保険事務所は把握しているわけですよ。それは報告を上げさせてください。

柳澤国務大臣 これは、委員のこうした類の御指摘に対しまして、大変恐縮でありますけれども、私ども、とにかく、申立人と申しますか、被保険者、受給権者、こういう方々の申し出に対してお答えするということが主眼でございますので、それがどこでどうしたものかというようなことを統計的に把握いたしていないわけでございます。

長妻委員 いや、大臣、どれだけコンピューターへの入力漏れがあるのかということで、これは分母もありますから、確率的にもわかるんですよ、その数字が出ると。そういう意味で、うがった見方をすると、かなり入力漏れが多いので、発表すると騒ぎになるから、今のところ社会保険庁は入力漏れは十一件しかありませんと言っているんですよ、公式答弁では。この前、大臣が自分で答弁されましたからおわかりになると思いますけれども、非常に少ない数字ですね、余り事を荒立てたくないという。

 これは一気にうみを出す必要があると思うんですが、四万件のうち、コンピューターに入っていなかった、紙台帳にあったから発見できたんだ、これは発見したのは社会保険庁自身ですから、どこから見つかったのか、コンピューターにはなかったという記録が何件か、大臣、このくらいは出してください。大きい数字になると思います。

柳澤国務大臣 先般、八十六件のうち三十一件は記録が見つかりましたということを申し上げましたけれども、このうち、庁が持っていた記録が十三件、市町村の帳簿というもので見つかったものが十八件ということも御報告をいたしておるところでございます。

 このように、実際にお申し出をいただきますと、私どもとしては、もちろん、電磁ファイルによる私どもの今依拠している記録というものにとどまらず、社保庁の持っている限りでございますけれども、台帳にも当たり、また市町村でたまたま保存していただいておる名簿と称せられるもの等に当たりまして、本当にベストの努力をさせていただいて、そして記録をいただいてお答えしているということでございますので、私ども、こういうことをぜひ続けさせていただくことによってこの解明に当たってまいりたい、このようにお願いを申し上げている次第でございます。

長妻委員 これは私は情報隠しだと思いますよ、大臣。何も無理難題を言っているんじゃないんですよ。どれだけ入力漏れがあったのか、つまり、紙にはきちっと納付記録が手書きで記されていた、しかしコンピューターには入っていないというのが何件あったのか。新規に調べろと言っているんじゃないですよ。もう回答しているんですよ。あなたの記録はありましたと四万人に回答しているんですよ。その記録があったのはどこにあったのかというのを聞いているだけなんですよ、紙だけにあったのが四万人のうち何人ですかと。

 与党の方も、これは出さないでいいと思われているんですか、こういう記録も。うなずいておられますね、与党の方々。信じられないですね。何でこの情報隠しを擁護するんですか。与党の方で出すべきだと思う方はいらっしゃらないんですか、だれも。(発言する者あり)いませんと今与党から言葉がありました。

 これはとんでもない話ですよ。四万件、社会保険庁が御本人に回答しているんですよ、ありました、窓口ではなかったけれどもと。そのうち、紙だけに書いてあった人は何件あるのかというのは、これは全然プライバシーでもないし、国家機密でもないし、出さない理由は大臣、何ですか。情報公開法とか、出さないでいい理由とか、法的にいろいろありましょう、個人情報とか。どんな理由ですか、法的には。

柳澤国務大臣 要するに、私どもの使命は、申し出に対してしっかりと対応するということでございます。そういう……(長妻委員「ちょっと委員長、今もう、私はこれは審議妨害だと思います」と呼ぶ)いやいや、それ、今話をしようとしているので……(長妻委員「大臣、審議妨害だと思いますので、出さない理由は何なのかということですから、出さない理由を」と呼ぶ)

櫻田委員長 答弁中でございます。御静粛に。

柳澤国務大臣 そういうことでございまして、今委員が言われるように、かつても私、御答弁申し上げたように、本当は、任務をする、申し出に対してしっかり回答するということと同時に、そういう管理に必要な事務を準備して、整えていくということがあってもよろしいかと思うんですが、私もそういうことも申しました。

 そういうことも申し上げているわけですけれども、そういうことをやる役所の風土にないと申しますか、管理事務というようなことが非常に手薄になっておりまして、今度やるということになりますと、また通常の事務を相当、納付率とか何とか、またいろいろな御議論をいただくわけですが、そういうようなこともやりながら、ルーティーンの仕事をやりながら、またそこに新たなロードをかけるということになります。

 そういう意味合いで、私としては、正直言って、当面、まず受給権者あるいは被保険者の申し出に対してお答えしていくということを重視して、優先してまいりたいということについて御理解をいただくべく御答弁しているということでございます。

櫻田委員長 長妻昭君、質問を続けてください。

長妻委員 大臣、今自分で、御自身の言われていることは御理解されているんですか。そんなに社会保険庁に甘いんですか。いや、社会保険庁はいいかげんだから、余り無理難題を言うと現場が混乱すると。無理難題じゃないんですよ。四万件を既に回答したんですよ、あなた、記録見つかりましたよと。紙から見つかったのか、コンピューターから見つかったのか、紙だけにしか入っていなかったのか、そのぐらいわかりますよ。

 我々、社会保険事務所に聞きました、全部じゃありませんけれども。そうすると、そういうデータを持っています、上が、社会保険庁が出せと言えば出しますよと言っていますよ、大臣。今言ってください、出せと。

柳澤国務大臣 今までずっと事務当局から聞いてまいったところによりますと、先ほど申したように、また、これは恥ずかしいことですけれども、私は国会審議の上では申し上げているんです。つまり、通常は、ちゃんと本来の仕事をしながら、管理をしっかりするために、管理の参考になるような数字というのを同時に並行して掌握していくという事務処理が本来あるべきなんです。あるべきなんだけれども、それが行われていない。

 それで、今委員が言われたようなところは、たまたまそういうことがあったかもしれませんけれども、全体としてそういうものが行われているということにはなっていない。そうだとするとどうなるかというと、また新しいことをそこにロードとしてかけていかなければならない、こういうことでございますので、当面、我々がなすべきことを優先してなすという、その優先順位について御理解をいただきたいということを申し上げているんです。

 ですから、最初からそういったことは私としても不満足なんです、しかし、そういう役所であったということが事実でございますので、その前提に立ってこの改革をしたいということを申し上げているということでございます。

長妻委員 いいかげんな役所だからこんなことは調べられないんだと。ちょっと開き直りのような答弁だと思うんですが、そうしましたら、今私の審議中に出せとは言いませんよ。そうしたら、これを調べるということは言ってください。そうしないと、これは審議できません。

 なぜならば、入力漏れがどの程度の規模であるのかというのが今最大の焦点になっているわけですね。それがわかる数字になるわけですよ。ぜひ調べるということを言っていただかないと、これは質問できません。

柳澤国務大臣 要するに、これは年金に関する事務をきちっとやるということが大事なんです。それには、被保険者及び受給権者に対してしっかり答えていくということが最優先課題だというように思います。そういう事務をこなしている。

 それで、先ほど、本当にちょっと、恥ずかしながらということで申し上げたんですが、同時にそれは管理者のいろいろな指標になるようなことを同時並行的に進めていくということであるべきなんだ、私は部内では随分それを言いました。ようやくそれがそういう体制になりつつあるというのが現状でございますので、それをやっていない時期のことについて、新たにロードをかけてそうしたことをやるということについては、ひとつ優先順位の点からいって御理解を賜りたいということを申し上げているわけでございます。

櫻田委員長 長妻昭君、質問を続けてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの件は理事会で預からせていただきます。

 長妻昭君。

長妻委員 これは、理事会の皆さんも忙しいんですから、そういうちょっとしたことで手間をとらせないでくださいよ。大臣が出すと言えば済むんですから。

 これはうがった見方をすると、我々は紙台帳とコンピューターの中身を全部突合してくださいと言っていて、大臣は検討もしないと突っぱねている。もしこの四万件の中で大量のデータ入力漏れがばれたら、大騒ぎになって、全件の突合をせざるを得なくなるから出さない、こういうふうに我々は疑いますよ。

 そうしましたら、では次に行きます、時間がどんどんなくなりますので。ぜひ、これは突合はしていただけますか、紙台帳と。

 このお配りした資料の四ページ目に、台帳はこういうものがあるという全部の一覧表を社会保険庁につくっていただきました。国民年金では、手書きの納付記録が書いてある特殊台帳、これは全部マイクロフィルムでとってある。そして、特殊台帳以外の普通台帳、これは捨てろという指示があったので、昭和六十年に全部捨てちゃった。しかし、捨てないで残っている台帳もたくさんあった。そして、もう一つ、国民年金被保険者名簿、これは今も保管している市区町村もある。

 そして、厚生年金、これは厚生年金保険被保険者原票というものと名簿というものがあって、そこの中に手書きで納付の記録が書いてある。これはすべてマイクロフィルムで保管されているということでございまして、この手書きの記録とコンピューターの中身が違ったケースが発見されていますので、これは全件突合して、コンピューターの中が違っていれば訂正をする、追加をする、こういう措置をぜひとっていただきたい。これに関して大臣はずっと拒絶をしてまいりましたので、では検討をしてください、検討を。どうですか。

柳澤国務大臣 まず、長妻委員の最初の方の質問に対してちょっとお答えさせていただきたいんですが、それは四月からは、もう私も随分言いましたので、本来の受給権者、被保険者に対する仕事と同時に、管理に資するための資料を同時並行的にとるという仕組みをつくり上げました。

 したがいまして、この四万件に相当するような、いわば再照会と申しますか、そういったことを四月一日以降申し出られて、それについて処理したものについては、それ以降のものをお出しするということも可能だ、こういうことでございます。だから、比率からいうと、そういうサンプル数は少のうございますけれども、場合によってはそういうことも御議論の資料として、きょうのきょうというわけにもいきませんでしょうけれども、ちょっとしたお時間をいただければ、それは間に合わせることができる。

 したがって、基本は、私は何か隠し立てをするとかそういう気持ちではなくて、私自身も、もっと管理に対する同時並行的な作業というものを仕事の中にちゃんとビルトインすべきだということをさんざん申し上げているわけでございます。そういうことで、ぜひ我々の努力ということについても御理解を賜りたいと思います。

 今申した、我々の電磁的なファイルのデータというものは、今委員が触れられました市町村における名簿、それからそれを当時は台帳という形でやりました、それをそれぞれ二回ほどチェックしながら、突合しながら、実は電磁的なファイルを仕上げているわけでございます。もちろんその中で何件かが……(長妻委員「では、生年月日が抜けているはずなんてないじゃないですか。生年月日は、では何で抜けているんですか」と呼ぶ)その話はまた五千万件の話ですから、そうではなくて、今……

櫻田委員長 長妻昭君に申し上げます。現在、答弁中でございますので、静粛に聞いてください。

柳澤国務大臣 基礎年金番号をしっかり付番されているものは、そういうプロセスを経てでき上がったものである。そういう中で、百万件くらいの間で十何件不突合の部分があったということで、また三千万プラス七千万のそういう一億ぐらいのものを、十何件、そういうことが見つかったから、一億を全部またひっくり返す作業をしろ、こういうようなことが優先されるべき仕事なのか。

 そうではなくて、我々、個々にできるだけ再突合を確認作業としてやっていますから、それについて申し出をいただいたものに対して、もっと徹底的に、誠実に、御丁寧にお答えしていくということがいいのか。こういう問題で、私どもとしては、私は責任者の立場から、それは後者を優先すべきだということをかねて申し上げているわけでございます。

長妻委員 今の言い方は、忙しいからやらないと。どういう神経なんですか、大臣。

 そうしましたら、我々は全件の突合を求めますが、では一つ提案いたしますよ。

 今、特殊台帳に関しては三千件のサンプル調査を、これは前回、分科会で私が質問した答弁で大臣がサンプル調査を約束されて、特殊台帳だけはされていると思うんですが、そうしましたら、特殊台帳も含めて普通台帳、国民年金被保険者名簿あるいは厚生年金の原票と名簿の数万件のサンプル調査をしてください、どれだけ間違えているのか。その比率がわかれば、全体で間違えている入力漏れが何件か推定できるじゃないですか。数万件のサンプル調査をしてください。それはいいでしょう。どうですか。

柳澤国務大臣 これは、特殊台帳は特殊台帳なんです。長妻委員もよく御承知でございましょう。

 どちらかというと、年金記録というものがずっと連続していないものが特殊台帳なんですね。ですから、その特殊台帳について、どっちかというと、加入履歴については難しい方の、そういう案件でございます。そういうもので全体を推しはかるということが、私は非常にミスリードされるおそれもあるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、私どもの電磁ファイルというのは、市町村、それから我々の社会保険庁が持っている台帳、それを何回もチェックしながらでき上がったものである。一億あるいはもっと多いんですけれども、そういうファイルを前提にして、サンプル的なものでありますが、百万件申し出があったものの中で二けた、十何件というようなことがあったから、これを全部ひっくり返して見させるべきだというのは、この仕事が本来、被保険者なり、あるいは受給権者なりにこたえるという仕事が同時に行われているということでございますので……(長妻委員「限度があります。柳澤大臣にちょっと申し上げたいと思います」と呼ぶ)

櫻田委員長 長妻昭君に申し上げます。答弁中は発言を妨げないように。(発言する者あり)答弁中でございます。

 長妻昭君、質問を続けてください。

長妻委員 私も委員長に御注意を申し上げますけれども、今やりとりを冷静に聞いていて、二重、三重の答弁があって、非常に時間切れを誘導する、誘発するような答弁の嫌いがあるんですよ。ですから、そこら辺、議事運営をきちっとしていただきたいということをお願い申し上げます。

 大臣、では厚生年金のサンプル調査、原票、名簿とどれだけコンピューターの入力が合っているのか、これはせめてしてくださいよ。これはされないんですか。ぜひしていただきたいと思うんですが。

柳澤国務大臣 前回、私は、サンプルということの意味を検討してみますということを申し上げたんですが、その後、そのことを私自身も考えましたし、また事務当局にもぶつけたわけでございますけれども、そういうことが本当に受給権者、それからまた被保険者の人にどれほどの意味があるのかということなんですね。(発言する者あり)

櫻田委員長 御静粛に。

柳澤国務大臣 そういうことでございますから、我々は、個々の実際に権利を持っていらっしゃる方を優先する事務運営を心がけたいということで申し上げているわけでございます。

 そういうことで、特に厚生年金については、厚生年金の台帳から電磁ファイル、今、電子化されている、コンピューターの中への名簿をつくっているということでございますので、これは市町村から上がってきた国民年金に比べると、事務処理の段階数も少ないんですね。そういうようなことをよく参酌して考えなければならない、こう思います。

長妻委員 今私が申し上げたのは、これはぜひ実行していただきたいんですが、厚生年金の原票と名簿、手書きの納付記録とコンピューターの中が合っているかどうか、ではサンプル調査してください。そして、市区町村が持っている国民年金被保険者名簿、これもサンプル調査してください、コンピューターの中と合っているかどうか。

 これは与党の方に本当にお伺いしたいんですけれども、厚生年金の手書きの納付記録とコンピューターの中が合っているのかサンプル調査するというのは、与党は反対ですか。どうなんですか。賛成なんですか、どっちなんですか。(発言する者あり)

 いや、これは本当に信じられないですね。何でこれをサンプル調査しないんですか。厚生年金あるいは市区町村が持っている手書きの名簿、これがどの程度間違っているのか、入力漏れがあるのかどうか。大臣、サンプル調査の検討もしないんですか。

柳澤国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございますけれども、私どもは、個々の国民の、年金権利者というものが大事だということを考えますときに、今現に起こっていることについて、具体的に言えば、申し出があって、御照会があって、それに対して答える際、どういうことが起こったかということについては委員にお示ししている限りの資料としてお出ししているんですが、そういう意味でそれもある種サンプリングだとも言うことができようと思うんですけれども、改めてサンプリングをするということがどういう意味があるか。

 我々が大事なのは、個々の権利者にしっかりした答えをするということが私は大事だと思っておりまして、その仕事を優先したいということを申し上げているわけでございます。

 そうして、同時に、管理的な仕事をもっと重視すべきだということについては私、指示をいたしまして、それで、最近になりまして、そういう日々の仕事をしながら、同時に管理のためのツールとしての統計取りというようなものは始めましたので、それについてはいろいろお答えすることができますということを申し上げているわけでございます。

長妻委員 これは本当に信じられない答弁ですので、引き続き強く要請をしてまいりますけれども、もう一つ、これも非常に信じられないような話を聞いたんですが、他人の納付記録が自分の納付記録に紛れ込んでいる。こういうケースというのは、社会保険庁、どの程度把握していますか。

柳澤国務大臣 これは、今回の年金記録相談の特別強化体制におきまして、他人の記録が混入していた事例が判明した件数が何件あるかということについては、これもまた把握をいたしておりません。そういうことでございます。

長妻委員 調査していただけますか、調査。

柳澤国務大臣 十八年の四月から十八年の十二月まで、このときには百万件近い件数があったわけでございますが、この中で申し上げますと、申請の人が名乗りを上げていましたので、それではということで、統合をしたものを再確認して、これは申請の人の申し出が正しいということで、この統合分から外したというものが四件ありました。百万件ぐらいの処理の中で、四件あったということでございます。通常の仕事の中ででございます。

長妻委員 いや、今の数字も、これも今初めて出てきた数字ですか、四件、少ないですけれども。

 つまり、私どもも聞いていますのは、社会保険庁に行って納付履歴を、自分の記録を出してください、納付履歴が出てきた。そうしたらば、全然自分が払った覚えのない記録が自分の納付履歴の紙に書いてあった。いや、これは私のじゃありませんよと言ったらば、社会保険庁が、ああ、そうなんですか、よくあることなんですと。こういう話を聞いているんですが、この四件というのはそういうことですか。他人の記録が統合されたということなんですか。

柳澤国務大臣 この四件のことでございますけれども、年金裁定の際に、同姓同名で同一年月日の生まれ、誕生日、そういうことで誤りが起こったとか、あるいは同姓同名で同一事業所に勤務していたということから誤って統合が行われた、こういうことだというふうに認識をいたしております。

長妻委員 いや、今までの社会保険庁の説明とは違いますよ、いずれきちっと統合されるから心配しないでくださいと。ところが、赤の他人に統合されちゃっているじゃないですか。これは私、氷山の一角だと思いますよ。全件調査していただきたいんですよ、こういう観点からも。

 そして、この六年間で二十二万件の再裁定が行われた、受給金額が変更になったということがございましたけれども、この中では、社保庁のミスで受給金額が減らされていたというケースはどのくらいございますか。あるんですか、ないんですか。

柳澤国務大臣 委員が今御指摘の裁定変更処理を行った件数は二十二万件ということで、平成十三年からのものでしたでしょうか、年度ごとの件数をお知らせし、またこれを合計いたしますとそういうことになるわけでございますが、これについても、本当に申しわけないんですけれども、変更理由のデータを保有しているということは実はないものですから、お答えができないということでございます。

長妻委員 ちょっと一つ前の質問に戻りますけれども、四件同姓同名等で統合が間違ってされたということでございますけれども、私の知っているケースでも、これは同姓同名ではないけれども、番号の打ち間違いで、自分が払ったのに違う方が国民年金の保険料を払っている、こういうことになってしまったというケースもございまして、これは、発見されたのが四件だということで非常に水面下にたくさんあると思いますので、この観点からきちっと調査をいただくということをもう一回明確に御答弁いただきたいと思うんです。

柳澤国務大臣 お申し出を勧奨し、そして、お申し出があったことについてはしっかりした調査をして、丁寧に対応してまいりたい、このように考えております。

長妻委員 そしてもう一度、冒頭に申し上げたこの五千万件の未統合、統合漏れの記録についてお尋ねしますけれども、先日は、生年月日が入っていないものが未統合の中で三十万件もあったということが発覚をいたしました。

 今お配りしている資料の十四ページに、この五千万件の未統合のデータというのはどういう項目が入っているのかというものが社会保険庁から示されましたので、厚生年金の場合はこの一から八、名前を初め、資格取得年月日や資格喪失年月日等々、八項目が入っている。

 国民年金のデータも八項目、保険料の納付実績等が、氏名を初め八項目入っているということでございますけれども、今回わかったのは、生年月日が入っていないというのが三十万件、これは統合に支障が出る可能性があるわけでございますが、それぞれ八項目ずつ、この項目が入っていないという項目がそれぞれ何件あるのか、そういう項目のデータ。これは統合に支障を来す不完全データ、つまり入力ミスの可能性が高いということになりますけれども、それぞれ八つずつ、それがないデータが五千万件中何件ずつあるのか。これは出せますでしょう。どうですか。

柳澤国務大臣 八項目ずつ、厚生年金、国民年金に記録される項目があるわけでございますが、そのうち、氏名だとか生年月日だとか性別だとか住所だとか資格取得年月日、喪失年月日、標準報酬月額等について、どのぐらい欠けているものがあるかというお尋ねでございます。

 私どもといたしましては、仮に、今お触れになられた生年月日において、その一部が欠けているというようなことが、あるいは場合によって全部というケースもあるのかもしれませんけれども、そういうものが欠けておりました場合であっても、申し出をいただいたときは、できるだけ他の項目において手がかりを得て、そして統合のための努力をさせていただくということを考えている次第でございます。

 そういうことで、各項目ごとに満足でないものがそれぞれ何件あるかというようなことについては、私ども、現在、件数を把握いたしていないわけでございまして、これはますます難しい問題であるというふうに申し上げざるを得ないのでございます。

長妻委員 今まで、大臣とは、前回のこの委員会でも、あるいは分科会等でもこのやりとりをさせていただきまして、当初は期待をいたしました。柳澤大臣は金融担当大臣もされておられるので、こういう問題に関しては、官僚の抵抗を押し切って、きちっと調査をしていただけるものだという前提で私も質問をずっと続けてまいりましたけれども、本当に今まで一連のやりとりの中で、今回の被害者救済のための措置、対策をとるのに障害となっているのが、最大の障害が私は柳澤大臣だと。ストッパー役になっているんですよ、調査や被害者救済。これに関して我々は……

櫻田委員長 長妻昭君に申し上げます。

 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

長妻委員 これに関して我々は、本当に、柳澤大臣、やめていただきたいと思うんですよ。この問題にふたをして、非常に障害、立ちはだかってしまう、官僚の抵抗に手をかして、調査を全然進めない、統合も進めない、消えた年金問題の、原票である手書き台帳とコンピューターデータとの突合も進めない。立ちはだかっているのは全部大臣なんですよ。大臣、本当にやめていただきたいと思うんです。

 引き続き質問を続けますけれども、きょうはこれで私の質問は終了いたします。粘り強く要請をしてまいります。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 今の長妻議員の質問の最後の方で、支給漏れ二十二万件についての答弁について一つ確認しておきたいことがございます。

 この支給漏れがわかって、支給額が修正になったのは、二〇〇一年から二〇〇七年までの最近のことですね、大臣。

柳澤国務大臣 裁定の変更ということで、これは予備的調査ということで、「平成八年以降の裁定変更の件数をご教示ください」ということでございましたので、その御要請にこたえて、今言ったようにお答えしたものでございます。

筒井委員 二〇〇一年から二〇〇七年、ことしは二〇〇七年ですから、つい最近の修正ですね。その修正の理由がわからないというのがそれこそわからないんですが、どうしてですか。

青柳政府参考人 再裁定処理につきましては、この委員会でもかつて御答弁申し上げたことがありますが、主な事例として御紹介申し上げたものが三つございます。

 一つは、御本人が、年金裁定の際に、一日も早く年金が欲しい、したがって、少し記録についてまだ明確でない部分はあるけれども、まずは年金裁定を二十五年の加入期間があるのでしてくれというふうにお申し出があったために、まずは裁定そのものの手続を早めて、しかる後に、判明した記録を後で追加いたして、その分の差額の年金も含めてお支払いをしたというケース。

 それからもう一つは、事情は必ずしも明確ではないんですが、何らかの事情で、裁定があった後に、御本人から、自分の方で忘れていた加入期間、記録があるので、これを捜して、あわせて年金を裁定し直してくれというふうにお申し出があったケース。

 そして三つ目としては、これは事例は少なかろうかと存じますけれども、事業主の方で、かつて出した賞与等の届け出に誤りがあった、したがってこれを訂正してくれというお申し出があったことから、反射的に被保険者の方の年金額が改定になったというケース。

 このようなケースを承知しておるところでございます。

筒井委員 そうすると、修正された理由は、すべて現在もわかるわけですね。今、代表的なものを言われましたが、わかりますね。

青柳政府参考人 これは、具体のそういった改正のものの中から比較的多いと思われる事例を申し上げたわけでございますので、二十二万件を今の三つのジャンルにきれいに分類して、何件ずつになっているか示せと言われますと、しばらくお時間がないと作業ができないということで御理解を賜りたいと存じます。(筒井委員「わかるね、資料はあるねと言っているんです」と呼ぶ)

 これは、一件一件の原議に当たれば確認は最終的にはできる、しかし、お時間はちょっといただかなければできないということでございます。

筒井委員 はい、わかりました。その点を確認したかったんです。

 それで、質問に移りますが、年金の支給を受けるためには、最初に、受給権が被保険者に発生をする。年金の受給要件を満たした時点ですが、保険料を二十五年払ったとか三十年払ったとか、あるいは六十五歳に達したとか、こういう受給要件を満たしたときに受給権が発生をする。

 しかし、受給権が発生しただけでは支給を受けることはできないので、その受給権者が裁定請求を今でいえば社会保険庁の方に出す、そして、社会保険庁の方で裁定をして、裁定通知を出して、その後支給する、こういう順序になるわけでございます。その裁定通知には、年金額が幾らだ、あるいは加給年金が幾らだ、要するに、年金額の中身がもちろん具体的に記載されて通知をされる。

 その請求の有無にかかわらず、請求の前に受給要件を満たすと、一定の中身を伴った受給権が自動的に発生しますね。

青柳政府参考人 年金の権利の発生にかかわるお尋ねということでございます。

 年金を受ける権利と申しますのは、いわゆる基本権と呼ばれているものでございますが、これはただいま委員の御紹介にもございましたように、法定の受給要件を満たすことによって観念的には発生をいたします。よく言われておりますのは、神の目から見れば権利があるというような言い方を間々することがあるわけでございますが、発生をいたします。

 しかしながら、これによって自動的に給付が開始されるというものではなく、あくまでも請求に基づく裁定を必要としており、この裁定行為がいわば確認行為として行われる必要があるというふうに御理解を賜りたいと存じます。

筒井委員 それでよろしいんですが、要するに、裁定は、発生した受給権を確認する行為であると。すると、発生する受給権というのは、これは、例えば三十年保険料を払ったならば、その納付期間に対応した、照応した年金の受給権が発生するわけですね。

青柳政府参考人 厳密に申し上げますと、通常の、大部分の年金は、今委員から御紹介がございましたように、まずは基本権が発生して、この基本権というのは、まさに法律上の要件が満たされた時点で、例えば三十年なら三十年の加入期間、三十五年なら三十五年の加入期間に応じた年金額という形で発生をするというものでございます。

 ただし、間々、障害年金の一部などに、例えばその方が請求権者の利益になるというようなことがあるために、請求に係らしめて基本権を発生させているものがあるということだけ、一言つけ加えさせていただきます。

筒井委員 今、例外的なことを聞いているんじゃなくて、基本的なことを聞いているので。

 だから、請求の有無にかかわらず、実際に納付した期間に照応した受給権が自動的に発生する、そして、社会保険庁の方はその発生した受給権を確認するだけなんですね。その確認が実際に納付した期間に照応していない、そういう裁定をしたとすれば、それは違法、不当でしょう。

青柳政府参考人 これはまさに確認というふうに委員が繰り返しおっしゃっておられる行為を、受給権者の方と私どもがいわば共同作業で、それの照合、突合をするわけでございますので、確認できなかったものが万が一生じたとしても、それが一方的に行政庁の不法な行為であるというふうにはなかなかならないのではないかと私思料する次第でございます。

筒井委員 何が共同作業ですか。裁定行為は行政庁の処分でしょう。それが何で被保険者との共同行為なんですか。

 今の社会保険庁には、実際の納付期間に照応した、対応した受給権を確認する法的な義務があるでしょう。だから、先ほどそのために確認したんだ、前段で。その法的な義務に違反したことになるでしょう、実際の納付期間に照応しないような裁定をやったら。それはだから法違反であるし、不当でしょうという質問なんです。

青柳政府参考人 個別具体の期間が確かにその方の年金権に結びつくかどうかということをまさに確認する必要があるわけでございまして、その際に、先ほどの御質問の中にも一部問題提起がございましたけれども、誤って他人の記録が混入するようなことがあってはならないわけでございますから、私どもは、裁定の際に、私どもの方で保管しておる記録はこういうものである、これで間違いないかどうかということを御本人にまさに確認していただいているという作業をさせていただいております。

筒井委員 その裁定する際には、さっきの五千万件の宙に浮いた記録とか、手書きの台帳とかあるいは市町村の記録とか、これら全部を突き合わせしなければ裁定はできませんね。

青柳政府参考人 これはあくまでも、御本人にそういう懸念なり御疑念がある際に、さまざまな記録を突き合わせて、その記録をまさに復元して統合するという作業をさせていただいているわけでございますので、私どもが、例えばこの方の記録とこの記録が同じではないだろうかと推量しただけでその記録を統合するということはできないというふうに御理解賜りたいと思います。

筒井委員 本人が懸念があろうがなかろうが、正しい納付期間に対応した受給権が既に発生していて、そこまでは認められている、それを確認する義務があることも認めている。とすれば、可能な限りの記録を全部調べた上で、実際の納付期間に対応したそういう受給権の内容を確認する義務はあるでしょうと言っているんです。

 本人の懸念のあるなしにかかわらず、正しい納付期間に対応した裁定をする義務があるんですか、ないんですか。それはないんですか。正しい裁定をする義務はないんですか。

青柳政府参考人 私どもが、例えば青柳なら青柳という人間の記録として保管をしておるもの、これに基づいてもちろん権利の確認というものをしていくわけでございますが、その際に、私どもが青柳という形で持っている記録とは別のものがあるということを御本人が申し出た場合には、午前中から御議論もありますように、その記録との統合、確認という作業が別途必要になってくるわけでございます。

 したがいまして、私どもは、あくまでも青柳という名前で私どもが管理をさせていただいております記録に基づいた権利の確認、裁定作業は、当然のこととしてさせていただいておるわけでございます。

筒井委員 まず、青柳という名前であるならば、では、手書き台帳とかあるいは市町村の記録とか、それとは突き合わせするんですね。

青柳政府参考人 一義的には、現在オンラインで管理しております記録が被保険者の原簿ということになりますので、この原簿に基づいてまずは確認作業をするということになります。

 しかしながら、その際に、午前中から話題が出ておりますように、他にも加入の可能性なりあるいは御疑念があるという場合には、そういったものを突き合わせをさせていただいて、記録をいわば完全なものに復元、統合した上で裁定をさせていただくという作業をさせていただいております。

筒井委員 疑念があるのかどうかを聞いているのではないんです。懸念がなくても客観的に正しい裁定をする義務があるのかどうか、まずこれについて答えてください。その義務はないと言われるのか。

青柳政府参考人 私どもが原簿という形で持っている以外の記録については、私どもがそれは正しいということをいわば判断するすべがございませんので、これは受給権者、被保険者の方の確認をいただきながら真正なものにしていくということをさせていただいている次第でございます。

筒井委員 一つのマイクロフィルム化された資料だけではなくて、いろいろな資料があるわけですよ。それは認められているわけですよ。それら資料があることを前提にして、客観的に正しい納付記録、一つのマイクロフィルムに書いてあるものに限定せず、客観的に正しい、納付期間をはっきり認定する、正しく認定する義務があるのかどうか、そんな義務はないのか、マイクロフィルムだけ見ればそれでもう法的な義務としては十分なんだと考えておられるのか、このことを確認しているんです。そのことについてだけ答えてください。

青柳政府参考人 繰り返しで大変恐縮でございますが、私どもは原簿に基づいて記録の確認をするというのが、私ども法律上課せられた義務でございます。

 その点から申しますと、原簿という形は、現在オンラインという形で記録しておるものが原簿というふうに一義的にはなります。この原簿が間違っている可能性というものがあるからこそ、逆に言えば、受給権者、被保険者の方に加入履歴を御確認いただいた上で原簿を正しいものに修正して年金を支給しているというのが現在の実務でございます。

筒井委員 そうすると、つまり、具体的に言うと、法的には原簿はマイクロフィルムだけですね。そのマイクロフィルムだけ確認すればいいんだ、それが法的な義務なんだという根拠はどこにあるんですか。

青柳政府参考人 国民年金法、厚生年金法、それぞれ、まさに原簿というものを備えつけなければならないということが法律上義務づけられております。原簿というのは、現在、オンラインの記録のことを原簿というふうに私ども扱わせていただいております。

筒井委員 だから、その原簿がマイクロフィルムに限定されているということの根拠は、今青柳さんがそういうふうに解釈していること以外に根拠はありますかという質問です。そんな、あなたの答えはさっきからわかっている。それ以外に客観的な根拠はあるんですか。

青柳政府参考人 これは、昔、紙の台帳で管理した時期はまさに紙の台帳が原簿でございましたし、オンラインでこの記録を管理しておる現在は、オンラインが原簿であるというふうに承知しております。

筒井委員 だから、私の質問に答えてくださいよ。マイクロフィルムだけが原簿であるという解釈をしていると言われましたが、そういう解釈の根拠はどこにあるんですかということなんです。

青柳政府参考人 現在、紙の記録では、まさに新しい方々の被保険者記録というのはつくらないことになっておりますので、その限りにおいて、オンライン上にある記録こそが原簿であるというふうに認識をしております。

筒井委員 あなたの認識じゃなくて、根拠を聞いているんだけれども。

 そうしますと、大臣が前から言っている、請求がない限り突き合わせをしない。その請求というのは、もっと払っているんじゃないか、それを調べてくれ、こういう請求に限定されるわけですね。裁定請求というのは、正しい年金を支払ってくれという請求ですね、少ない年金でいいからなんという請求じゃないですね。この裁定請求の中に、正しく年金を払ってくれ、自分の納付期間に対応した年金を払ってくれ、こういう要求なんですから、当然、記録も全部調べた上で、自分が支払った年金にきちんと対応した年金を払ってくれ、こういう請求なんじゃないですか、大臣。

柳澤国務大臣 これは国民年金、厚生年金ともに基本的な法律の骨格は同じでございますが、給付については「給付を受ける権利は、その権利を有する者の請求に基いて、社会保険庁長官が裁定する。」ということに、これは法律の専門家である先生に口幅ったい物の言い方かもしれませんが、そういうふうになっているわけです。

 つまり、申請主義と我々が申し上げているのがそれでございまして、その請求と申しますものは、その事項は省令で別途定められているわけですけれども、この給付を受ける権利、受給権者がみずから加入履歴みたいなものを申請してくる、こういうことが前提になっているわけでございます。

 それを受けて社会保険庁長官が裁定をするということになるわけでございますが、その裁定をするときに、当然、社会保険庁におきましても、その資料というものを有していなければならないということになっておりまして、それが先ほど青柳の方からお答えをさせていただいた原簿というものになっておりまして、その原簿を現在はオンラインと言ってみたり、いろいろな片仮名を申し上げて大変わかりにくいんでございますけれども、電磁的な手段を使ったファイルということになっている。

 したがいまして、我々の方は、権利を有する者、受給権者からの請求に基づいて裁定をする際、その原簿というものに基づいて我々の方の情報と突き合わせをするということが当然前提になっているんだろう、このように考えるわけでございます。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

筒井委員 だから、私が今聞いているのは、裁定請求する被保険者としては、自分の納付期間にきちんと対応した年金を支払ってほしい、こういう請求でしょう。そのマイクロフィルムに書いてあるものに限定してでいいから、そういう趣旨ではないでしょう。正しく自分が支払った納付期間に対応した年金を支払ってくれ、こういう請求でしょう、大臣。

柳澤国務大臣 それはそういうことでございますけれども、片や、社会保険庁長官の方は裁定をするという立場にあるわけでございます。そういうふうに裁量し決定をするということの資料としては、みずからがこの原簿を備えているということになりますので、請求に基づくわけですが、同時に社会保険庁長官はそれを裁定しますから、その裁定のときの資料をみずから持っているということが前提になった、そういう法律の枠組みなのではないか、このように考えております。

筒井委員 そういうふうに客観的に正しい納付期間に照応した年金を払ってくれという請求をしている、こういう趣旨であることは今お認めになられましたが、それをマイクロフィルムだけに限定しているというのは、その請求の趣旨に合いませんね。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 これは、裁定をしなきゃなりませんから、その裁定はやはり正しくなければいけないということで、その正しいことを担保する意味合いで、恐らく原簿の保有というものが義務づけられているということであろう、このように考えます。したがって、その請求と、それから裁定をするに当たっての資料であるところの電磁的な記録ファイル、これを突き合わせてこの裁定を行う、こういうことになるだろうと思います。

筒井委員 だから、マイクロフィルムにはこれだけたくさんの記入漏れ、記載漏れがあることがはっきりしているわけですよ。その中で、客観的に正しい納付期間に対応した年金を払ってくれという請求が出てきている。その請求に応ずるとすれば、ほかの手書きの台帳とか、市町村の記録とか、これと突き合わせをしなければ、その請求に応じたことにならないでしょうという質問です。

柳澤国務大臣 市町村の名簿、それからまたかつて私どもが原簿として使っていた台帳、こういうものは事実上残っているわけでございますけれども、法律の枠組みの中で裁定の基礎とすべき資料として求められているのは、現在の電磁的ファイル、オンラインとも言っているわけですけれども、そういうものだという枠組みでこの制度はでき上がっているというように考えます。

 ただ、現実の事実問題として、この請求というものがあって、そして、我々の、このオンラインとも言うし、また私は電磁的なファイルと申し上げているわけですが、それを突き合わせるときに、この電磁的なファイルというものがそもそもでき上がったいきさつの中に、市町村における名簿であるとか、あるいはかつて我々が原簿として考えた台帳であるとかというものが残っていますので、それも調査の場合には参考にするということで、事実上真正なものに、真正な記録に近づくという手法でそういったことを行っているわけですが、法の建前としては、やはり今原簿というものに基づいて裁定をするということが想定されていると思うわけでございます。

筒井委員 そうすると、今の答弁は、裁定請求があった場合には、マイクロフィルムだけではなくて、市町村の記録、手書きの台帳とも突き合わせをしている、調査をしている、こういう答弁ですか。

柳澤国務大臣 受給権者からの請求と私どもの原簿に基づいたことで裁定はできるという仕組みになっていると我々は解しておりますけれども、しかし、事実上、やはり納得をいただけないという方々からは申し出をいただいているわけでございます。

 したがって、その申し出に対しては、我々の方の電磁的な記録というものの真正の程度というものを確かめる補助的な手段として、それが成り立つ過程でつくられた市町村の名簿であるとか、あるいはかつて原簿として使っておった社会保険庁の台帳というものを同時に活用して、今申したように真正なものに近づく手段と補助的な手段としている。こういうのが事実上起こっていることでございます。

筒井委員 それは、前から答弁している、疑念を表明された場合には、突き合わせをしているという意味ですね。

 ただ、その関係で、ちょっと今横にずれる質問になるかもしれませんが、先ほど山井議員が出された例、それはまさに裁定後の例ですね。裁定後において、疑念を何回も言われている。だけれども、調べていませんね。本当にあの例、あれが事実とすれば、大臣が今まで答弁されていることとも矛盾しますね。

柳澤国務大臣 ですから、事実問題として、今、原簿に基づいて裁定を、原簿というか、現在はそれが磁気ファイルですけれども、磁気ファイルに基づいて裁定が行われたわけであります。その限りでは、法の運用として正しいと言わせていただきたいのでございますが、それに対していろいろ納得しがたいことがあるということで申し出られているわけですけれども、その際に、今の対応は、山井委員の御主張に基づいて申し上げさせていただきますと、磁気ファイルの段階を突き崩して、やはりこれは、もとのいろいろな資料を当たらなきゃいけないというところまでの心証を、恐らく相談担当者が持つに至っていないという状況なのではないか、こういうように思うんです。

 だから、事実問題として、それはやはり、山井委員にまでそれをお訴えになられるということからすると、そんなにいいかげんなことを言っているわけがないと私は思いますので、今度はよく、もう一回、我々の方が持っている他の資料、これは助けになる材料という意味でございますけれども、そういう助けになる材料にも当たって、御調査をさせていただかなければならないケースなのではないかということを先ほど来お答え申し上げております。

筒井委員 だから、そこを確認したいんですよ。先ほど山井議員の言われていること、御本人のあれが事実であることを前提にすれば、大臣の答弁とも矛盾をする。裁定請求した後においても、疑念をずっと何回も言われているんですから。市町村の残った記録とか、あるいは手書きの台帳とか、大臣の今までの答弁から見れば、それとの突き合わせを当然しなければならない事案ですね。

柳澤国務大臣 私が先ほど来申し上げていることは、その方が社会保険事務所にお出かけになられてお訴えになっていらっしゃることの、多分、心証と言わせていただいていいと思うんですが、それはなかなか、私の申し上げているような補助的手段をもって行うその調査が必要だというところまでいっていないということだろうと思うんですが、本日、山井委員にそれをお訴えになられたということからすると、やはりそれは再精査の必要があるだろう、私がそういう気持ちを持ったということを申させていただきました。

筒井委員 そうすると、大臣、今までの答弁とも違うんですが、疑念を表明された場合には、他の資料と突き合わせるというふうに何回も言われたんだけれども、疑念を表明されても、まあ必要ないわと現場において考えた場合には、その場合には突き合わせもしないんですか。どういう場合に、疑念を表明しても突き合わせをしないでいい場合があるんですか。

柳澤国務大臣 結局、事実問題だと思うんです。そこでお訴えになられることというものの、これは領収書とかそういうものはお手持ちにならないわけですけれども、そこで訴えられるいろいろなことを総合的に判断して、記録でもって、我々の裁定の根拠になっている電磁ファイルによる原簿というものに基づいて裁定したんだからということで、御理解をいただくように対応しているということだろうと思うんです。

 先ほど来申し上げますように、なお、いろいろ、現場のところでは裁定がえというところに至らないんだけれども、この方の言っていることについては、もっと調べる資料がないかなというようなことであるとか、そういうようなことを感じた場合には、さらに照会をするとかというような手続を今、事実上置かせていただいて、相談に対する対応を強化させていただいている、こういうことであるわけでございます。

筒井委員 最初の大臣就任のころよりも、わけのわからない答弁が上手になったようで。

 この件に関しては一つ最後に確認させてもらいますが、受給要件を満たしたら受給権が発生する、一定の納付期間に対応した受給権が発生する、それは自動的に発生する、それを行政の方で確認するのが裁定である。しかし、ずっと問題になっておりますように、実際の納付期間よりも少ない期間しか納付していないという電磁記録に基づいて裁定をした場合には、受給権と裁定した中身とが違う結果になります。これは別に、違法でも法律に反してもいないし、不当でもない。大臣、そういう判断なんですね。

柳澤国務大臣 これは、その権利を有する者の請求に基づいて、社会保険庁長官が裁定するということで、その裁定が、この電磁的なファイルに収録されている原簿というものに基づいて行われていれば、それはそれで違法でもないし不当でもない、このように考えます。

筒井委員 それを確認した上で、それで、そういうふうに裁定をして五年以上過ぎてから、ああ、やはりこれは支給漏れだったということがはっきりして、増額して支給する例がございますが、五年以上過ぎた分に関しては時効で消滅するという、これも一つ訴訟になっているようですが。本人が請求して、社会保険庁の方で、電磁記録に基づいてそんな期間は支払っていない、こういう判断でずっと低い金額を支給してきた。五年過ぎてから、ああ、やはり間違いだったということがわかって、しかし、五年過ぎた分に関しては時効で消滅させるんですか。大臣、これもやはり請求できないことになるんですか、間違いであることがわかった後。

青柳政府参考人 時効で支給できなくなる年金があるのではないかというお尋ねでございます。

 これは、実は、会計法におきまして、国に対する金銭債権は五年で時効消滅して、国は、その時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することはできないというルールが、これはオール・ジャパンのルールとして決まっておるわけでございます。言ってみれば、国のあらゆる歳入歳出に関する規範でございますし、年金給付の毎月の支給も例外なく適用されるということになるわけでございます。

 したがいまして、被保険者記録が訂正されて、それに伴い、年金受給権の裁定変更があったというケースにつきましても、特段の時効中断事由がない場合には、この会計法の規定が適用され、時効が消滅している期間分の給付については支給することができず、時効消滅していない五年間分に限りさかのぼって支給するということで運用させていただいております。

筒井委員 だから、時効を理由にして支給を今度は拒否するんですよね、誤りがわかった後においても。それが、今度も何か訴訟になっているようですが。

 しかし、これは時効が成立しないんじゃないですか。今、時効成立を前提にして援用しなきゃいかぬのだ、これが義務だと言われましたが、そもそも時効が成立しないんじゃないですか。社会保険庁の方で、年金額はこれだけですと。それで文句を言ったって、いや、誤りはありませんと支給は一切しない。そして、ずっと五年以上過ぎてきた。まさに請求権の行使が期待できない、こういう状況が五年以上続いたわけでしょう。請求権の行使が期待できない、不可能である、こういう時期は時効は成立しないんじゃないですか。

 請求権の行使が期待できるのに、可能なのにしなかった、権利の上に眠っていた、こういう場合に時効が成立するんでしょう。今のような場合には、まさに社会保険庁が、何回請求したってだめなんだ、それに領収書もない、否定して、あんたには払いませんと言って、その行使の上で裁定をしないんですから。請求権の行使が期待できない場合であって、権利の上に眠っている場合じゃない。これは時効が成立しないんじゃないですか。

青柳政府参考人 どのような場合に時効が中断するかという点につきましては、これは専門家である筒井先生の専門の分野でございますので私が今さら申し上げることではございませんが、いずれにしろ、個々具体的な事例に応じて時効が中断するかどうかを判断せざるを得ないだろうと思います。

 その際に、例えば年金の裁定請求に関して言えば、自分が裁定請求を受けたものに対して不服がある場合には、現に行政不服審査という形で申し立てをするということも道としては認められておりますので、例えばそういう手続をとった場合には時効が中断するというようなケースも生じてまいるわけでございますので、まさに、その方がどのような状況の中でそういう状況に立ち至ったかということを個別具体的に御判断させていただくべき問題と承知しております。

筒井委員 もちろん具体的、個別的な判断になるんです。しかし、一般的にも言えることを私は今言っているので、不服申し立てとか何かしたところで、領収書とか何かない限りは、これはもう相手にされないですよ、今までの形では。

 それで、社会保険庁の方では、記録に残っていないからだめです、何回言っても否定される。記憶にあるからと言っても否定される。先ほど、山井議員の例がまさにそれだ。そういう場合には、私は今、時効中断のことを言っているんじゃないんです。そもそも時効期間が進行しないだろうと言っているんです。何回も請求して、それで否定されている。きちんとした権利の行使が期待できない場合に当たるでしょう。

 大体、最終的に言えば、そして社会保険庁の方の間違いがわかって、やはりあなたは、さっきの例で言えば、再婚前五年半の保険料を払っていましたということが後でわかった、だけれども、五年間の時効でそれはまた否定します、今度は別の理由でもって支払い拒否する。これは、道義的にもおかしいけれども法的にもおかしい。大臣、この点はどう思いますか。

柳澤国務大臣 私どもは真正な加入記録に基づいて年金の支給をしなければいけない、こういう立場であると思います。

 今委員は、そもそも時効の進行はないんではないかというようなお話があったわけでございますけれども、私どもとしては、申請に基づいて、その申請の中身もよく調べさせていただいて、そして我が方の原簿にも照らし合わせて、そして裁定をさせていただく、こういうことでございますので、それだけをもって時効がそもそも進行しないというような法律構成をとりますと、大変大きな問題が出てくる、こういうように思っておりまして、時効の中断がそうした場合に考えられるかということであろう、こういうふうに考えます。そして、その中断については、先ほど委員も仰せになりましたように、個別具体的にこれは判断されるということではなかろうか、このように私は考えます。

筒井委員 こういうことは認められますか。請求権の行使が現実に期待することができないような特段の事情が存在する場合には、その権利行使が現実に期待することができるようになったとき以降において消滅時効が進行する趣旨である、こういうことは、青柳さんでも大臣でもよろしいですが、つまり、現実に請求権の行使が期待できる、そもそも期待できないようなときは時効期間は進行しないんだ、期待できるようになってから進行するんだ、こういう考えに立っているんじゃないんですか。

青柳政府参考人 一般論としての時効の進行については、これは専門家の筒井先生の御指摘に私が反論する余地はございませんが、事年金の権利に関してその点を考えるとすれば、例えば、非常に極端な例かもしれませんが、社会保険庁が受給権者の請求権行使を著しく困難にさせたというようなことがあった結果として五年経過した後に初めて受給権が発生するというような事例が仮にあった場合には、これはどちらかというと、消滅時効の主張が信義則に反して許されないというようなケースは想定することはできるだろうと思いますが、単に請求権の行使ができないという場合に、それがどのような事情においてその行使ができなかったのかということは、先ほど来繰り返しておりますように、個々のケースについて当てはめなければ御判断ができないかと承知しております。

筒井委員 それは個々の事例で考える。ただ、一般的な考えとしてはそういうことを、今読み上げたような、これは最高裁判所の判例ですから認めざるを得ないと思うんですが。今言われた、著しく困難にさせた、先ほどの山井議員の例、何回も何回も請求しても全く相手にせず、突き合わせさえしようとしなかった、これは著しく権利行使を困難にさせた例に当たりませんか。

青柳政府参考人 社会保険事務所の窓口における相談者の方への対応については、正直申し上げて、村瀬長官が社会保険庁長官に就任する前の各方面の評判は大変悪いものでございましたので、例えば、先ほど山井委員の方からお示しをいただきました個別の事例について、当時どうであったか、現在どうであるかということについて、私は、その個別具体のケースにきちんと当たらなければ、軽はずみなことは申し上げることはできないだろうとは思います。

 いずれにいたしましても、具体的に相談者の方から何かいろいろな材料を御提案いただいたりお示しいただいたりして、いわば口で御主張されるだけでなくて、そういう材料もある程度お示しをいただいたり、ヒントをいただきながら具体的にこうした記録の統合なり復元という作業をさせていただく必要がございますので、その意味では、仮に今まで社会保険事務所が不十分であったとするならば、今後はこの特別強化体制の中で、まさに先ほど来大臣が繰り返し申し上げておりますように、一件一件丁寧に御対応させていただいて、その記録の復元、統合をさせていただきたいと存じます。

筒井委員 今もちょっと、口だけではない、言葉だけではないと言われましたが、それは、書面とかそういう証拠が残っていなければそもそももう納付はなかったと判断する、そういう立場に立っているんですか。

青柳政府参考人 この記録の復元という問題が大変難しいということは前回の委員会でもちょっと触れさせていただきましたが、申し出をされている方は、確かに間違いないという御主張をされます。しかし、申し出をされている方のおっしゃっておられることが一〇〇%もし正しいのであれば、我々も記録の復元が大変容易なわけでございますが、その方が思い違いをされているようなケースも残念ながらございます。

 そういたしますと、客観的にある程度納得のできる材料を一生懸命私どももいわば知恵を出して捜して、あるいはヒントを出して、そうやって一つ一つ丁寧にこの記録を復元、統合していくということが必要である点をぜひとも御理解願いたいと存じます。

筒井委員 まず確認したいんだけれども、私は払いましたと口だけで言っている例の場合も聞くんだけれども、ほかの記録と突き合わせをするための要件は何ですか。口だけで言っている場合には、相手にしないで、突き合わせもしないんですか。納付を認める場合の要件と、それぞれについて説明してください。

青柳政府参考人 少しく年金の実務について、もともとのところから触れることをお許しいただきたいと存じます。

 そもそも、被保険者という形で適用になった方には、私ども、現在もそうでありますが、年金手帳という形で手帳を渡しております。これは、昔は国民年金は国民年金の手帳、厚生年金は厚生年金の手帳ということでございましたが、その後に、一本の手帳に各制度の番号を全部付記することができるようになりましたし、それぞれの手帳の時代から、例えば国民年金であれば、住所の移転があった際に、住所の移転届を各市区町村の窓口に行って届けるときに、その確認を市区町村の役場の方がされていました。そういう形で、いわば手帳の中にその方の履歴が、これは保険料の納付記録そのものではございませんが、例えばどういう市区町村からどこの市区町村へいつ移ったというようなことの記録、それから厚生年金でいえば、事業所が変わった際に、その事業所にいつ幾日適用になったというような記録を書き込む欄がございます。

 したがいまして、ある方が一たん受け取った年金手帳をずっと生涯お持ちだった場合には、まず番号も紛れがございませんし、そういった履歴についてもある程度トレースをすることができる、こういう前提がこの制度の中にはそもそも組み込まれております。

 したがいまして、私ども、そういったことも含めて、さまざまなその方の思っておられる御主張とオンライン上の電磁ファイル上の記録を統合するための材料というのは、まずは年金手帳はもちろんございますし、それ以外にも、午前中から話題になっておるような、市町村に残っているさまざまな書類、あるいは私どもが一部を保有しているマイクロフィルムによる書類、こういったものを突き合わせいたしますし、さらに加えて、それ以外に、客観的に、自分がどういう形でいつごろ例えばこういう会社にいたはずだ、あるいはこういうことで給料の源泉徴収の記録があるよといったようなものも含めて、ありとあらゆるものをお寄せいただいて、その中で、総合的に一つ一つ丁寧に復元、統合させていただいているところでございます。

筒井委員 別々に聞かないとあなたは抽象的に答えるから、まず、ほかの記録との突き合わせをする要件。

 先ほどの山井議員の具体的な事例だと突き合わせさえしていないようだから、これも確認したいんですが、ほかの記録と突き合わせするためには言葉だけではだめなんですか。言葉で、私は払ったはずです、払いましたと言っているだけではほかの記録との突き合わせはしないんですか。何かそのためにも一定の条件があるんですか。

青柳政府参考人 これは先日の委員会のときに内山先生からも一部現実の事務所における仕事のやり方の御紹介がございましたが、現実に御相談いただきます場合には、私どもは、その方のオンライン上、電磁ファイル上にもちろん記録されている加入記録はこうであるということをお示しするわけですが、その際に、その場でその方から、例えば私はこのぐらいの時期にこういうところに勤めていたはずだ、あるいはこのくらいの時期にこういう市区町村にいたはずだというお申し出が当然ございます。そういうことを、例えばそのお申し出の趣旨に基づいて、ほかの形で記録がファイルされていないかと、先ほど話題になったような、例えばお名前の読み間違いで記録されていないだろうかというようなことも含めて、私ども事務所では、ウィンドウマシンと称する機械の中で、まずは入っているものを全部照会させていただきます。これが、窓口で対応できるまず一義的な対応でございます。

 その後に、窓口では対応できない、しかしながら御本人がそういう申し出がある場合には、その申し出に基づいた記録が例えば市区町村やあるいはマイクロフィルムの中で保存されていないかどうかということを、それぞれの記録を管理している事務所や市区町村に問い合わせをするという形で第二段階の作業をさせていただいております。

 そういったものの中からお申し出と思われるような記録が発見されました場合には、これをまた御本人との間で、確かにその方のものかどうか、別の方のものが混入していないかどうかを確認させていただく、こういう段階で作業をさせていただいております。

筒井委員 私が聞いているのは、言葉で言っているだけでも直ちにほかの記録との突き合わせはするんですね、あるいはしないんですかという質問なんです。

青柳政府参考人 ただいま申し上げたような段階を必ず一通り踏みますので、その上でなおかつ御主張がある場合には何らかの客観的な材料をお持ちいただけないと、繰り返しということになってしまうというケースはあるだろうと思います。

筒井委員 今言われたまず第一段階のものは、言葉で言われただけでも調べるわけですね。先ほど、市区町村とかの記録と照合する、突き合わせすると言われたでしょう。それは、言葉で私は払ったはずだという申し出があった場合には必ずするんですね。

櫻田委員長 答弁は簡潔に願います。

青柳政府参考人 ただ、その申し出ている内容が、払ったはずだとか、つまりあいまいな内容であれば逆に検索ができませんので、検索ができる程度の内容のお申し出があれば、当然に検索をさせていただきます。

筒井委員 検索ができないという意味が、私はこの期間のあたり、それは厳密に何月何日までなんというのは覚えていないと思いますが、このあたりの時期においても払った、そういう記憶ですと言った場合には、では、あなたの名前の読み方が違ってほかの記録にあるかもしれない、そういう調査はすぐできるでしょう。それぐらいはするというのが今までの大臣の答弁だったんじゃないですか。もう一回、大臣。

柳澤国務大臣 結局、これはまさにケース・バイ・ケースの心証の問題で、言葉だからだめ、資料があればこれは非常に強いきっかけになると思いますけれども、言葉だから絶対にだめかと言われれば、私は、そういうものではないだろう、こういうように思うんですね。やはり言葉であっても、そこに非常に具体性があるというようなことがあるわけでございまして、そういうようなことをこちらが感じ取れるようなお話であれば、それは我々としては、丁寧な対応ということの一環として、当然そのお声に耳を傾けて、調査を進度あるものにしていくということになるだろうと思います。

 ただ、そういうふうに言ったら、ああ言葉だけでいいんですね、では言葉だけで私はこういうはずだというようなことでそうなるかと言われることについては、それは事務処理の問題としてなかなかそうはいかないということで、要するに、説得力というか、結局、そういう問題になるだろうと思います。

筒井委員 それは、年金の支給に関して今大臣が言われたことならわかるんです。年金を支給するかどうか、本人の申し出に基づいて、言葉だけの場合に、具体的な説得力があるかどうかの判断。だけれども、調べるに関しては、これは大体、記録をみんなばらばらにしているのは、全部を一カ所に突き合わせていないのは社会保険庁の責任なんですから、おかしいと言ったら全部調べるのが当たり前だと思いますよ。調べるのに関してはそうですよ。しかし、年金の支給に関しては、今度、それは、言われたからといって直ちに、ではその期間の納付を認めて年金を支給しますというわけにはいかない。しかし、それでも、どうも今までの社会保険庁の対応は、言葉だけじゃ一切だめですよ、どんなに具体性があるかとか説得力があるかなんて全然考慮しないで、領収書がなきゃだめですよとか書面の証拠がなきゃだめですよ、そういう対応をしていた。だけれども、大臣の今の発言は、説得力があって具体的なものであれば、言葉だけでも年金の支給を認める場合があるということですね。

柳澤国務大臣 要は、年金の加入記録に欠落があるということのお訴えだろうと思うんですね、基本的に。それについては、電磁的なファイルの中に実は五千万件、未統合のものもあるわけでございますので、これらはおおむね年金記録の欠落に対応するものではないかと私なんかは思っているわけです。したがいまして、そういうお訴えがあった場合に、すぐ市町村だとかあるいはかつての台帳だとかというところに行くまでもなく、私どもとしては、その電磁的なファイルの世界でいろいろなお申し出に従った検索をすることが可能なわけでございまして、そういうお調べはさせていただく、御調査はさせていただくということでございます。

 さらに、そういう中でなかなかきっかけが見つからないという場合で、また同時に、申し出をなさる方の申し出に、いかにも私どもが、これはさらに調査をしなければならないというようなものがあれば、それはさらにまた、市町村の手を煩わすわけですが、市町村にもお願いしたり、あるいはさらに我々の、この間にギャップがあるということはそもそも余り考えたくないことなんですけれども、しかし、念には念を入れてということで、私どもの手持ちのかつての台帳、かつての原簿、これに当たるというようなことに進んでいくということを申し上げたわけでございます。

筒井委員 年金の支給に限定して確かめますが、年金の支給に関しても、領収書等の書面がなければ絶対だめだということはない、言葉だけだったとしても、その具体性、説得性、説得力の判断によって支給する場合がある、これはそれでよろしいですね。

柳澤国務大臣 支給というふうにおっしゃられますと、これは受給権そのもの、基本権の裁定のことをおっしゃっているのか、あるいは裁定された基本権の欠缺の問題についておっしゃっておられるのかちょっと定かでないものですから、それが定かになって御答弁をさせていただければ……(筒井委員「両方ととらえる、共通です。要するに、言葉だけだと絶対だめだとは言えないでしょう」と呼ぶ)それはそのとおりでございます。

筒井委員 その点だけ確認したかった。

 それと、時間が来たので最後なんですが、今、社会保険庁は、給料は国から払われている。今度の年金機構の給料も、交付金という過程を経ますが、実質的に国から払われている。どっちにしても給料は税金から払われるという実質は変わらない。

 社会保険庁の雇用主は国ですね。まず、この点の確認。今度の年金機構だって実質的に国から払われるんですから、雇用主は国じゃないですか。

清水政府参考人 現在の社会保険庁職員の雇用主は国でございまして、任命権者は社会保険庁長官ということでございます。日本年金機構の職員の雇用主は機構でございまして、任命権者は理事長ということでございます。

筒井委員 時間が来ましたので、終わります。

櫻田委員長 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十四分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年のねんきん機構法案のときにも指摘をしたわけですけれども、私は、年金未納者に対して国保の短期保険証を発行するという制裁は絶対にやるべきではないと思っております。そもそも年金と国保は制度が違うものであり、リンクさせること自体がおかしいということです。同時に、国保の保険証取り上げは、命に直結する重大な問題であると思うからです。

 平成十八年六月一日の速報値で、国保の滞納世帯数は四百八十万五千五百八十二世帯、資格証明書が三十五万千二百七十、短期保険証が百二十二万四千八百四十九世帯に発行されています。これは、まだ青森県を初め八県で資格証明書を発行していなかった十年前と比較して、資格証明書で六倍、短期保険証が八倍にもふえております。

 まず最初に伺いますが、私は、昨年、この国保証の取り上げ問題について、その前から、尾辻元厚労大臣、川崎元大臣、そして小泉元総理にも繰り返し質問をし、特別な事情があって払えない人に機械的な保険証の取り上げはしないということを確認してまいりました。この点について大臣に伺いたいのですが、市町村の窓口で機械的な対応がやられていないだろうか、厚労省としてはこのことを徹底しているのかどうか、伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 国民健康保険の資格証明書の発給というものについては、これは、負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない方の未納分につきましては、他の被保険者の負担となりますので、被保険者間の公平性を確保する見地からしっかりとした収納対策を講じていく必要がありまして、資格証明書もそうした方策の一つであるということで御理解を賜りたいと思います。

 資格証明書を機械的に発給する等のことが現場で行われてはいないかということでございますけれども、これは法律の上におきましても、保険料を納付することができない特別な事情がある、災害であったり、あるいは親族の病気であったり、あるいは事業の廃止であるとか、そういう場合にはこれは交付をしないということになっておりまして、きめ細かな納付相談を行う中でこうした事情の把握に努めるとともに、生活にさらに困るというようなことであれば、最終的なセーフティーネットである生活保護にもつなげていくというようなことで、窓口の対応についてはこうしたことをしっかりとやるように周知徹底を図っているところでございます。

高橋委員 きょうは資料をつけておきましたけれども、平成十九年三月二十九日付の事務連絡で、「平成十九年度における国民健康保険の事務打合せ(指導監督)の留意事項について」打ち合わせという名の指導監督となっておりますが、その中で、三枚目をめくっていただきますと下線が引いてあります。これは私じゃなくて担当者に引いていただいたんですが、下の段のところに、「交付基準を定めることは必要ですが、滞納者に一律に交付するのではなく、個別事情を勘案しつつ、交付するよう助言して下さい。」というふうに書かれてございます。今大臣がおっしゃったことも、まさにここに尽きるのではないかなと思うんです。

 でも、実際は、現場ではなかなかそうはなっていないんです。きょうはその中身について触れることはしませんが、大臣も何度か委員会などで指摘をされていたとおり、保険証がないために病院にかかれなくなり命を落とした方が、わかっただけで今二十九名にまでなりました。そういう実態があるということで、引き続いてこの徹底を指摘しておきたいと思います。

 そうはいっても、今回の法改正によって、国保税を満額納めているにもかかわらず短期保険証を出すということになるんですね。これは局長、端的に答えてください。

青柳政府参考人 ただいまのお尋ねは、まず、国民健康保険の保険料を全額納付しているにもかかわらず国民年金保険料を納めていない数、つまり対象となり得る数はどのくらいかというふうにお尋ねかと存じます。

 これは、平成十四年の国民年金の被保険者実態調査結果によりますと、その一年前の平成十三年度の市町村国民健康保険の保険料をすべて納めている方のうち、平成十二年度及び十三年度における国民年金の一号被保険者期間の保険料を全く納めていない方の割合が一二・三%という数字を把握しております。

高橋委員 部長、私の質問は、そういう人にも短期保険証を出すということですねという質問であります。

青柳政府参考人 大変失礼いたしました。

 そのような方の場合には、今回の法案の改正によりまして短期被保険者証の対象者となりますが、最終的にその方にお出しをするかどうかは市町村が御判断をする問題というふうに承知をしております。

高橋委員 それで、今ちょっと先取りをして答弁をしていただいた、国保税を全月、満額納めている方のうち国民年金未納者が一二・三%である、これは十四年の実態調査によるわけですね。同じ調査で、角度を変えて、年金未納者だけれども国保税を全月納めている人は五八・三%、六割近くは国保税を満額納めているんだ、こういうふうなことを書いてあります。これはどちらも同じことだと思うんですね。つまり、数字を当てはめていくと、二百万人は下らないのではないかということなんです。

 つまり、さっき私がお話ししたように、現在百二十二万人に短期保険証が出されております。その倍近くの人が新たなターゲットになる、イコールではないけれども、短期保険証を出す対象者に、可能性がある人になるということでよろしいでしょうか。

青柳政府参考人 今回お出ししております法案の対象者という意味ではおっしゃるとおりでございますが、繰り返しになりますが、その方々に実際に短期被保険者証をお出しするかどうかは各市町村の判断ということでございます。

高橋委員 余り先取りをしてお話をしないようにしていただきたいんですが、まず、何度も市町村の判断とおっしゃるので、市町村は、この人は満額納めているんだから短期保険証を出す必要はないといったときには拒否できるということをおっしゃっているんですね。では、これを先に確認します。

青柳政府参考人 繰り返しの答弁で大変恐縮でございますけれども、最終的には市町村の御判断ということでございますが、この制度の趣旨は、国民健康保険の保険料を満額納めていたとしても国民年金の保険料を滞納しているという方に、現在、例えば、今後、国民健康保険の前期の高齢者の方の保険料についても年金から源泉徴収をすることになるということや、あるいは後期の高齢者の方についての保険料も年金からの源泉徴収になる、あるいは、介護保険の保険料、一号被保険者分は既に源泉徴収をさせていただいているということがございますので、年金の受給権に結びつくようなアプローチを市町村においても国民健康保険と連携させてやっていただくことによって、最終的にそうした市町村が徴収しなければいけない医療保険制度、介護保険制度の円滑な運営も図れるといったことが背景にございます。

 最終的には市町村の判断でございますが、市町村においては、適宜この制度の趣旨を御理解いただいて適切な運用を願いたいというふうに考える次第でございます。

高橋委員 結局は、まず、拒否はできると、今の脈絡からいってそうだと思うんです。ただ、御理解願いたいということで、市町村にはやはり納付督促などをお願いすることになるわけですよ。保険証がなければ病院にかかれません。年金も大事だけれどもそこまで手が回らない、そこまで大変なんです。多くの人の事情がそうです。だからこそ必死で納めているのに、満額納めているのに短期保険証が来た、なぜだ、そう思いますよ。それで市役所に相談に行くと、さあ来たぞとばかりに年金も納めなさいと言われるわけです。これでは、短期保険証を発行してきめ細かい納付相談に乗ると言ってきたのに、市役所からも足が遠のくのではありませんか。

青柳政府参考人 今回の国民年金の改正法案の趣旨は先ほど申し上げたとおりでございますが、例えば、国民年金の保険料を払えない何らかの経済的な事情がおありになる方の場合には、この方々を例えば免除制度にうまく結びつける、また、現在、国民年金では、段階的な免除という形で四分の一、二分の一、四分の三という形の免除もございます。

 その方のいわば所得の要件に合わせてそういった納付の方法をお勧めするということもこの制度の重要な趣旨でございますので、払えないから何か懲罰的に短期被保険者証を交付するというところに着目をされて先ほど来高橋委員からは御質問いただいているわけでございますが、そういった年金受給権の確保という点を我々としても十分にねらっていきたいというのがこの制度の趣旨であることを御理解賜りたいと存じます。

高橋委員 年金受給権の確保の問題に対して、国が責任を持たずに、市町村の窓口を活用して、受給権の確保のために大事なんだから市町村も協力しろということになるのは、それはまた別の問題ではないのかと言っているんです。

 それから、短期保険証は懲罰的なものではないとおっしゃいますけれども、今現実に何が行われているかといえば、三カ月ではないんです、一カ月、あるいはもっとひどい十日というのも実は青森県内でありましたけれども、そうやって、一回病院に行くたびに、保険料を払いに行かなければ保険証は切れてしまう、そういう形で実際の制裁につながるようなことがやられているんです。そこにやはり結びつけてはいけないのだということを重ねて指摘をしておきたいと思います。

 国保の収納対策については、平成十七年二月十五日付の収納対策緊急プランを発して、一層の締めつけを行ってきました。この中には、「特別調整交付金の算定に当たっては、資格証明書未発行の保険者を対象から除外していることに留意されたい。」というふうにただし書きがあるんですね。つまり、これは実質ペナルティーに当たると私は思うんです。国保の調整交付金を引き合いに出されると、財政難の自治体は非常に弱い立場にあるわけです。

 今回は、年金の督促に協力する自治体には交付金で何らかの援助をするというふうに書かれておりますね。そうすると、まさにあめとむちの仕組みなのではないかという形で、だんだんだんだん市町村も一緒になってやらなければならなくなるだろうということを言わなければならないと思うんです。

 資料の七枚目にあるんですけれども、今現在、国保の滞納者は全部のうち一八・九%、このうち強制処分は既に一・六四%、七万七千二百六十二世帯に滞納処分がされております。国税よりも既に多くのところで国保の分野だけでもされているのです。

 私は、国保法に短期保険証を出せるということを、省令に書いていたものを法定に格上げするという今回の措置によって、結果として国保そのものの収納対策も強まるのではないかと懸念を持っていますが、いかがですか。これは保険局長に答えていただきたい。

水田政府参考人 ちょっと今の質問の御趣旨がよくわからない面があったわけでありますけれども、短期保険証にいたしましても資格証明書にいたしましても、これは繰り返し御説明しておりますとおり、納付相談の機会をふやすということでございますので、そういう意味では、これは収納対策の一環としてとった手段でございますが、それ自体妥当なものだと考えております。

高橋委員 今回の措置によって、これまでは省令に落とされていたわけですけれども、法定される、短期保険証も出す、それに対して交付金も出すという形で、国保の世界でも強まるのではないのかということを指摘させていただきました。

 これは、皆さんはそれを当然のものだと思っているからなかなか、話がすれ違うわけですね。それが制裁だとも思っていないということをおっしゃっているんだと思うんです。私は、現場では実際に制裁になっている、行き過ぎになっているんだということにちゃんと目を向けてほしいということを指摘したいと思うんです。

 続けます。ここで、大臣に見てもらいたいものがございます。黄色い封筒、赤い封筒、黒い封筒がございますが、まず、こちらの黄色い封筒、これは福島県の会津若松市、今ちょっと、昨日のショッキングな事件で世間を騒がせていますが、国保の督促状の入っていた封筒であります。

 こちらは同じく会津若松市ですが、これは市税の滞納者に送った差し押さえ予告であります。これを受け取った六十三歳の女性は、この色を見ただけで動悸が激しくなったと言います。脅迫状のように思えた、いつも滞納を気にしており、年末までには何とか工面して納めたいと思っていたのに、心ない赤封筒にショックと怒りを覚えたと。住民団体からも強い抗議があり、地元紙にも紹介され、市議会でも取り上げられました。

 こちらの真っ黒な封筒、これは山梨県の韮崎市です。市民税や国保税滞納者に送った封筒であります。四十九歳の男性、こんな気持ち悪いもの、だれが送ってきたのかと見たら市役所でした、信じられません、さまざまな事情で税金を納められない人もいる、悪者扱いはおかしいと。これも市議会で我が党の議員が取り上げて、次回からは使用しないということを市の当局は述べています。ところが、この当局がこんなことを言っているんですね。通常の封筒では開いてもくれないので、目立つように赤や黄色など、ずっと色つきの封筒を使ってきた、くしくもことしは黒になったと述べ、インパクトが強過ぎた、行政が使う色ではなかったと認めているそうであります。

 大臣に率直な感想を伺いたいと思います。このような、市民を震え上がらせて納付を迫る方法は行き過ぎであり、あってはならないと思うが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 どこの自治体におきましても、現在、特に住民税等は、国から税源移譲を受けるというような形で税源としては地方に渡るわけですけれども、これは実は非常に厳しい状況になるわけでございまして、税源が渡っても本当にそれが税として具体的なものになるかというのは、これは徴収というか納付をしっかり確保しなければ、税源があるというだけで実際の税収には何もならない、こういうことでございます。

 そういうようなことで、各市町村ともに本気になって納付対策というものをいろいろと講じておられるということを私も見聞きしているわけでございます。そういう中で、今の封筒の色でございますけれども、これはちょっと、私としてもショッキングな色使いかなというふうに思います。

 いずれにいたしましても、地方公共団体といたしましては、これから住民税、これはいわゆる固有名詞の住民税じゃなくて、住民からいただく税の納付を確保しなければならないという努力はさらに強めなきゃいけないという立場に立っておりますので、住民の皆さんにしっかりサービスをして、その応益負担としての地方税というものがしっかり納付されるように、そういうことはいろいろな工夫でもって、別途の工夫でもって確保していくべきであると、私は、今その封筒を見まして率直に、ちょっとそれはきつ過ぎるんじゃないかというふうな感じがいたしました。

高橋委員 ありがとうございます。

 さすがに市役所の方だって認めているわけなんですから、こういうやり方ではなく、きちんと市民の理解を得、市民の相談に乗るという形でやっていただきたい。それは国保の世界においても年金の世界においても、あるいは国税の世界においても貫徹していただきたいな、このように期待をして質問させていただきました。

 そこで、きょうは国税庁の関係でもちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、実は、先ほど紹介したこの赤い封筒の中にはピンクの紙が入っておりまして、「差押予告」という強烈な文字で、これを見てどぎもを抜かれるわけですけれども、その後ろに書いてある言葉です。「このまま納付もしくは相談がない場合は、財産(給料、売掛金、預貯金、電話加入権、動産、不動産等)の差押えなどの滞納処分を行うことになります。滞納処分を受けることは、あなたの信用を失ってしまう事態にもなりかねませんので、速やかに納付してください。」ということが書かれていて、もう相当人格を傷つけられたという思いがしているわけです。

 その後に、「同封の催告書は地方税法に基づくものではありませんので、指定納付日前でも財産調査や差押処分に入る場合があります。」、ここまで書いているんですね。つまり、法律に基づくものではないと断りを入れた上で、期日前の差し押さえを示唆したりということが、市町村の裁量でここまでできるんだろうかなと。

 それで、ちょっと考え方を整理したいんですね。差し押さえとした場合に、今、電話も売り掛けも給料も全部入っておりますけれども、生業と生活に必要な最低限の資産については、当然これは守られるべきだと思いますけれども、国税庁の考えを伺いたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 強制徴収ということでございますが、私ども、国税徴収法の規定に基づいて強制徴収の事務を行っておるわけですが、この場合、まず、個別の滞納の状況を踏まえまして、必要に応じてやるわけですが、法律上、滞納者の最低生活の保障の観点から、一定の財産は差し押さえが禁止されているという部分がございます。また、実際に差し押さえを行った場合でも、事業の継続を困難にするおそれがあるなどの場合において、滞納者が納付について誠実な意思を示すと認められるときには、その財産の換価を猶予することができるという規定もございます。

 したがいまして、それぞれ個々の滞納者の実情に応じまして、法令の規定に基づきまして適切な執行を行っておるところでございます。

高橋委員 その中身についてはわかったんですけれども、実際には税務署の取り立てについて私自身も大変相談を受けておりますし、実際にいろいろなことが起こっていますよ。消費税の免税点の引き下げのことがあって、多くの中小業者の皆さんが新たに対象になったということで、国税庁としても滞納残額の圧縮ということの徹底もしている。

 例えば、売り掛け債権を差し押さえられる、これは営業がストップしてしまうわけですから、もうにっちもさっちもいかなくなるわけですね。納付計画も出して解除の申し入れをしても、だったら担保を差し入れろという形で強い指導をされる。それから、強制捜査の権限がございますね。そのために、その権限を振りかざして自宅に乗り込み、財布の中までこじあける、そういうことまでやられている。

 ですから、私は、あくまでも権限はわかる、しかし、少なくとも人権無視の問答無用の取り立て、あるいは、これを押さえられたら商売が続けられない、生業にかかわる資産まで取り上げる、こういうやり方はやめるべきだ、これを徹底するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 先ほど御説明申し上げましたが、私ども、国税徴収法の規定に基づいて適切な執行をする職責を担っておるわけでございますので、その法律の範囲において適切に執行しているということを申し上げたいと思います。

高橋委員 事例があると言っているのに、適切に執行しているというふうなお答えでした。

 では、逆に言うと、現場でそういう問題があれば適切に対応していただける、例えば、調査をしていただいて指導のやり方がちょっと行き過ぎだよとか、そういうことを約束していただけますか。

加藤政府参考人 国税庁といたしましては、適正な事務執行ということは私どもの必要なことでございます。

 ただ、個別のいろいろな事実認定の問題等で見解の相違等もございますので、そういうことも含めまして、個々のケースに応じて適切に対応するということでございます。

高橋委員 しっかりとお願いいたします。具体例があればまたお願いをいたします。

 そこで、厚労省にも確認したいんですけれども、社会保険庁も国税徴収法あるいは国税通則法に準じて強制徴収を行うことになっており、年金機構法案にも同様に書かれておりますけれども、同じことが厚労省もできるということでよろしいですね。

清水政府参考人 現在は社会保険庁において保険料の徴収を行ってございます。これにつきましては、厚生年金保険法それから国民年金法におきまして、国税徴収の例それから国税滞納処分の例によって行うということになっておるところでございます。

 それで、日本年金機構が今回の法案によって設立されたときはどうなるかということでございますが、日本年金機構と国、すなわち厚生労働大臣との間でのいろいろと権限、事務の配分がございます。

 具体的に申し上げますと、まず保険料の徴収についてでございますが、保険料の調査決定、納入告知書の送付それから滞納保険料の督促は厚生労働大臣の権限ということになるわけでございます。ただ、そのほとんどの事務処理は委託された機構が行う、そういう関係になるわけでございます。

 また、滞納処分について申し上げますと、これは機構に権限が委任されて新法人が行うということでございますけれども、それに当たりまして、厚生労働大臣は、三つの事前チェック、三つの事後チェックを行う。そういうもとで、機構が委任された権限に基づいて滞納処分を行う、そういうことになるわけでございます。

高橋委員 大臣は税務の方でございましたので、先ほどの国税庁とのやりとりは、何を言いたいのか理解をしていただいたと思うんですね。生業や生活にかかわる最小限のものに対して差し押さえするのではないのだということを確認させていただいたと思うんですが、今、社会保険事務所も、やはり同様のこと、あるいは下手すれば国税よりも厳しいぞということがやられております。

 兵庫県のある社会保険事務所の事案ですけれども、夫婦二人でやってきた旅行会社の預金口座が差し押さえられて、百十五万何がしが引き落とされました。わずか三カ月未納したことで、いきなり、通知もなしの差し押さえでありました。このお金はお客様から預かった旅行代金ですので、切符も買えないで、もう即重大な支障になりますし、もちろん生活費にもなります。

 土下座をして解除を申し入れたこの方に対して、社会保険事務所の徴収課長は、あなたが払ってくれなかったら私が首になるんだ、私の家族を路頭に迷わせるのか、どうしてくれる、こういうふうにどなりつけて、自殺しようが倒産しようがいいということかと聞くと、そうだ、知ったことじゃない、ここまで言い放ったそうであります。この方は、私にも生きる権利がある、こう主張して、一緒に交渉してくれた団体がいたので差し押さえの解除ができました。国税よりひどい社会保険庁だとこの方たちは言っています。

 大臣、先ほど強制徴収について、同じように権限があるということが確認されておりますが、こうしたことは許されないということで確認をしてよろしいでしょうか。

柳澤国務大臣 いつもそうですけれども、高橋委員は比較的そういうことが少ないかと思いますけれども、御党のお話というのは極めて具体的でございまして、これはどうかと言って尋ねられることが間々あるわけでございますけれども、それについて我々がコメントをするというのはなかなか難しい問題だなと私は常に思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、この保険料の徴収というのも、いつも、納付率について目標が達せられるかと厳しく迫られるわけでございますので、社会保険庁としては一生懸命保険料の徴収に当たっているということでございまして、それはそれとしてぜひ御理解をいただきたいわけでございます。

 保険料の滞納処分につきましては、今、国税の滞納処分に準じてという法律の文言になるわけでございますけれども、これに当たりましては、やはりいろいろな、法律上決められた枠内で、いたずらに苛斂誅求ということのそしりを受けることのないように、しかし、納付率は上げなければいけないということでございますので、そのあたりをしっかりと踏まえて対処させていただく、そういう所存でございます。

高橋委員 時間が来たのできょうは終わりますが、今回の改正で、年金未納者に対して、片や命にかかわる国保で制裁、片や泣く子も黙る国税庁をバックにと、なりふり構わぬ取り立てが、国民の財産権、生存権をも脅かし、国民の年金不信を増長することになるのではないか、このことを強く抗議して、終わりたいと思います。

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日も長時間の御審議、皆さん、さぞお疲れのことと思います。特に大臣には、ずっと集中しておられますのでお疲れと思いますが、あとしばらくのおつき合いをよろしくお願い申し上げます。

 ただいまの高橋委員の、もう本当に胸に迫る指摘と申しますか、一方の厳しい国税の取り立て、そして命にかかわる国民健康保険証の取り上げまで行いながら、しかしながら、社会保険庁の起こしたさまざまな不祥事には極めて甘く、看板のかけかえだけを行おうとする今回の法案は、やはりどう見ても国民からは信は得られないものと私は思います。

 冒頭やはり、このたびの審議で皆さんが大変熱心にお取り上げの、消えた年金と言われますが、本来どなたに所属し、どなたが給付を受けるべきかが定まらない五千万件に及ぶ年金の記録について、私は、きょうも大臣の御答弁を聞きながら、大臣がそんな姿勢ではこの問題は本当の解決を見ないだろうと強く思いましたので、まずその問題から御質疑させていただきます。

 きょう山井委員が提出されました資料の中に社会保険労務士の廣瀬さんがお書きになった、五千万件の消えた年金問題は昨年問題になった不正免除やあるいは不正不在処理などとはるかに質が違う、さらに深刻な問題なんだということを御指摘でありました。私も実にそう思うものであります。なぜなら、もともと手書きであった年金の記録がその後マイクロフィルム化され、あるいはオンライン化されて、今、記録保持方法が変わってきているわけであります。八五年からと見てよいと思いますが、その時代から約二十年余に及ぶ社会保険庁の業務上の誤りがここに来て一挙に噴出しているんだと私は思います。

 それに比べて大臣の認識は、現在、年金の給付の手当てのために、本当に目前のことに追われるようで、大変で、なかなか人手もままならないから、この部分については、気持ちはあるけれども後回しにせざるを得ない、簡単に言うとそのような御答弁でした。

 しかし、大臣に伺います。私はこの厚い日本年金機構法案参考資料というものを見ながら、果たして、年金の記録がマイクロフィルム化されたりあるいはオンライン化されたりしたときにその操作ミスで抜け落ちてしまった場合に、これは例えば厚生年金保険法の第二十八条、記録という部分です、この法律に違反する違法な処置であった、処理であったと私は思うわけです。大臣はよく御存じと思います。

 二十八条を読ませていただきますが、今回は厚生労働大臣と変わりますが、社会保険庁長官は、「被保険者に関する原簿を備え、」これは今大臣はマイクロフィルムないしオンライン化されたデータだとおっしゃいました。「これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬、基礎年金番号その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない。」とございます。

 すなわち、手書きのものからマイクロフィルム化するときに、今述べたような情報は記録されねばならないわけです。もしもそのとき、記録漏れ、操作ミスがあれば、当然、その行為自身が違法になるわけです。しなければならないと定められたことをしていないのは社会保険庁であります。なぜ大臣には、そうした社会保険庁の業務が犯した違法について厳しい認識がないのか、まず一点目はこれを伺います。

柳澤国務大臣 今、阿部委員が御指摘になられたとおり、先ほども筒井委員の質問に対してお答え申し上げましたけれども、私どもとしては、受給権者からの申請に基づきまして厚生労働大臣が年金の裁定を行うわけでございます。

 したがいまして、やはり裁定者としての責任を全うするためには、記録の保存ということが非常に大事でございまして、その意味で、二十八条で被保険者に関する原簿を備えなきゃならないということでございます。

 そういうことで、これまでも、国民年金及び厚生年金につきまして、記録を大事にして、最終的には、今委員の御指摘のように、オンライン化ということで電磁的なファイルをして原簿ということにいたしておるわけでございます。ただ、その過程で、人とそれぞれのコンピューター化のプロセスとの間で誤りが生じたということでございます。

 これにつきまして、今、我々の記録に腑に落ちないと感じられる方々については、ぜひお申し出をいただきたいということで、この申し出をいただいて、そして、今の我々の原簿であるところの磁気ファイルとチェックをして、まず第一次的にはこたえているわけでございます。

 そういうことでこたえているわけですが、なおまだいろいろ腑に落ちないというようなところにつきましては、私どもの記録の仕方というものにミスがあるのではないかということで、前の台帳、あるいは、国民年金についてはもっとさかのぼって、市町村にある名簿、こういうものをチェックしているということでございますので、これは何回もお話を申し上げたんですが、私どもとしては、この問題については、申し出を受けながら丹念にその一つ一つに対応していくということで対処をさせていただいているということです。

阿部(知)委員 その対処では法にのっとらないということを私は言っているんです。二十八条は、記録せねばならないのは社会保険庁なんです。その写しミス、これは今大臣もおっしゃったように、コンピューター化のときには必ず起こる出来事であります。どんなに注意してやっても起こり得ることではあります。ただ、こんなに多いかどうかはわかりません。

 そのために、先ほど来委員は、例えば幾つかのサンプルを摘出して、どういうタイプのミスが多いか、例えば八五年段階、すなわち昭和六十年段階のマイクロフィルム化のときにその記録が紛失したものが多いのか、あるいは、都道府県、市町村から社保庁に事務を引き揚げたときにそういうことが多いのか、あらあらサンプルを調査すれば、傾向と対策、何が起こったかが出るであろうということで要求されたわけです。

 大臣はそこをすっ飛ばして一挙に、申請してくれれば、申し出てくれればと、みずからの過ちを、給付を受ける国民の、受給者に転嫁するわけです。そんなずさんな行政はないと私は思います。

 二十八条は何のためにあるのですか。記録せねばならないのはだれですか。大臣、もう一度お願いします。そこを明確にしていただかないから、いつまでも先送りで、目先が忙しいという話になるわけです。しかし、そんな省庁に国民は大事な年金をゆだねられない。看板だけかけかえても、そんなものが同じ体質とシステムで続くのであれば、何ら安心の年金の仕組みにはならないのです。

 義務はだれにありますか。大臣、もう一度明確に言ってください。

柳澤国務大臣 阿部委員のお話を聞いておりますと、ファイル化の、原簿の整理の過程で何か大量のミスが起こったというようにちょっとお聞きしたのでございますけれども、そういうことはないわけでございます。

 むしろ、その転記と申しますか、先行の紙をコンピューターのための媒体に移す、あるいは、それからさらにコンピューター化するというところで起こったというのは、今わかるだけでも何十件というようなことではないかということで、五千万件というのは何を言っているかというと、付番をしたときに、これは平成九年の一月の段階で付番をいたしましたので、それ以前で途切れている記号番号というものが、そこで何の付番もされずに統合されるのを、いわば待っている状況にあるということなんです。

 ですから、それを早くしなければいけないのでございまして、それは社会保険庁でも必死になって、基礎年金番号にできるだけ統合しようということで、三本、氏名と住所と生年月日、三つの項目がぴったり合っているものはどんどん統合していって、しかし、それで事成れりじゃなくて、もう一回、これでよろしいですかということを確認されているわけでございます。

 しかし、その後の問題というのは、氏名であるとか住所であるとかあるいはそういう生年月日ということだけでは、これはまだ統合されていないものがありますから、それでそういう件数になっているということで、これをチェックしようということでも、もうチェックを一回はしてありますので、これから先も、皆さんのお申し出に従ってこれがだんだん融合されていくということでありますので、ぜひ、磁気ファイルに至る過程で起こっているミスと、付番のときに、もう九年一月の段階で、現に受給権者であるかあるいは被保険者であるかという人たちに付番をいたしましたので、それ前に途切れてしまった人は、今、余りこういうことを言うのは語弊がありますけれども、待っているという状況で、これもできるだけ今符合させようとしてやったんですが、まだそういう状況だということでありまして、この電磁ファイル化のプロセスでそういうことが起こっているということではないということをぜひ御理解賜りたいと思います。

阿部(知)委員 大臣は、データもなく、どうしてそういうことが言えるんですか。積み重なった結果がここに出ていると私は思うんです。

 そして、認識が非常に甘かった点は、それは、オンライン化するときには必ず起こることですから、やはり元データは紙ベースで残さねばいけない。特に、長い給付を扱う年金では、それは当然の構えなんだと思います。そこがなくて、今大臣がおっしゃったように、移したときの問題ではないとなぜ言い切ることができますか。

 もちろん、統合時の問題はありますよ。三つくらい年金番号をお持ちの方に通知が行って、基礎年金番号に統一しますから、幾つかお持ちだったらお申し出ください、そういうものもその中には含まれていますでしょう。でも、それだけではないはずです。だからこそ、サンプル調査をしてくださいといった委員の御指摘に、大臣は、何ら御自分たちのデータも持たずに、申しわけないけれども、勝手な推測で答弁になるわけです。

 しかし、受給権が消失した、あるいは間違いが常に起こることですから、そのことをダブルチェック、医療だってそうですよ、ダブルチェックしていってミスを少なくするんですよ。こういう当たり前の主義をとらない、手法をとらないでここまでやってきた。

 そして、申しわけありませんが、私はその後、事務費の問題を言わせていただきますが、事務費は保険料からどんどん負担されて、しかし、負担される一方で、給付のためのメリットは何にもない。ますますこんな五千万件の宙に浮いた年金記録になってくる。これでは、まじめに納めている人は全く報われない年金の制度になってしまいます。

 大臣には、ぜひ、今の御答弁の前に、せめて御自分たちで実態は、この二十年間のどこにどのような問題があったのか、大臣は、そういうのがあったからこそ市町村の記録も一回捨てないでくれと去年の秋の段階で発令されたのではないですか。やはり紙ベースのものもそこにあって、年金というのは、コンピューターライズされることによって安定になる部分と、そこに消えるかもしれない不安と、必ずあるものです。このやり方は、そういうことに余りにも意識が薄いと私は思います。

 大臣、どうですか。簡略な御答弁をお願いします。

柳澤国務大臣 このプロセス、最終的には磁気ディスクですか、とにかく電磁的なこういう手法によるファイリングというものが、原簿として持つに至る過程でいろいろプロセスがあったということは御指摘のとおりなんですけれども、その際も、社会保険庁としては何回も突合することによってやってきたということです。そのことと、阿部委員にちょっと御理解いただきたいのは、五千万件の話というのは、とりあえずはちょっと切り離してお考えをいただきたい。

 それは、基礎年金番号を付番するときに、では、例えば、私なら私が、どこか民間会社に勤めていて、それで今度は国民年金になり、今度は例えば共済年金になったというときに、私の九年の一月の厚生年金で私は付番されることになるんですね。そうすると、共済年金の時代、国民年金の時代というのが、私の住所、氏名でぱっとできればいいんですが、できない場合には、ここの年金の番号というのはほうっておかれるわけです。それなんです。

 それが五千万件になっているということでありますので、そのことと、このファイルを積み上げていくときに起こったこととは、ちょっととりあえず別にお考えいただいて、このファイリングの失敗ということについては、これは膨大なことになるものですから、とりあえず申し出によって、それはそんなに多くはないんですね、そのことはさすがに。社会保険庁はいろいろ失敗が多いわけですが、そんなにめちゃくちゃに、五千万件もファイリングで失敗していたら、そんなことでは原簿はできません、全部で一億ぐらいのものでございますから。そういうことではないということをぜひ御理解賜りたいのでございます。

阿部(知)委員 大臣、そんなことではなくて、逆に、五千万件も宙に浮く情報が出てくるわけはないのです。本当にこれは、大臣が今おっしゃったように、国民年金と共済年金と厚生年金と、その三つのおのおのがあって、それが一つに、基礎年金番号になっていないだけの話だとおっしゃいますが、今、そのもともとのデータ管理だって実は精度が問われているんですよ。だから、大臣の前提自身は前提にならない。これをちゃんと調べていただかないと、これは、だからこそサンプリングをやってくれと。それでなければ、山井さんがおっしゃったような事案は出てこないでしょう。

 だって、国民年金は納めていたんですよ、保険料。だけれども、あなた、領収書を持ってきなさいよ、納付書を持っていらっしゃいよと。そうやって、国民は納めた、納めたのにまた持ってこいと言われて、これでは本末転倒なのです。大臣、この一点もきっちり解決していただかないと、何度も申しますが、年金審議は、百年安心プランどころか、あすからもういつも不安な仕組みになりますよ。そして、年金論議が深まれば深まるほど不安のやみが広がるという悲しい事態です。

 大臣は、もうきょうはお疲れで、これ以上、その次の答弁が出ないかもしれませんので、私はあともう一点、大臣に認識を改めていただきたい点があります。

 きょう、皆さんのお手元に、資料の五枚とじの三枚目に出させていただいたのは、これは生年月日別の宙に浮いた年金が一体幾らあるかというデータでございます。これは、社会保険庁の方から出していただきました。大臣が、盛んにお知らせを出すから申請してくださいとおっしゃいましたが、しかし、この申請も、例えば五十八歳のときの年金のお知らせとか、これから受給権を取得される人はまだ可能性はありますが、きょうの午前中の御質疑の中でも、もう既に裁定されて受給されている方についてはそういうお知らせも行かないということでありました。それもそれでけしからぬです。やればできることですから、やっていただきたい。

 しかし、もう一歩さらに深刻なのは、申請をしようにも、これも例が挙げられました、例えば御高齢で痴呆等々の状態があって、御自身で御自身の申請ができない。では、言っていけない人は切り捨てていいんでしょうか、大臣。私は、これはすごい問題だと思うんです。

 例えば、ここに、八十五歳以上で、厚生年金保険百二十六万あるいは国民年金で六十万何がしの浮いた年金の記録があります。でも、大臣も御存じのように、普通に医学的常識でいえば、八十五歳以上の方は三人か四人にお一人はいわゆる高齢期の痴呆ということに我が国でもなっております。そうすると、大臣が申請してきてください、言ってきてください、まして、御家族のいないおひとり暮らしの場合だってあるでしょう、その方は、かつて一生懸命年金を納めたのかもしれません。でも、国の方では、宙ぶらりんになった年金記録がどこに所属し、どの方に給付されるのかわからない、こういう状態だから全く放置されるわけです。申請する能力が現状でない、あるいは後見人などがいない、こういう方々の年金権はどう担保されるのですか。大臣、お願いします。

柳澤国務大臣 痴呆症でみずからが、みずからでさえどういう人間かということがわからなくなってしまうというようなケースのときに、もし統合されない年金記録をその方がお持ちの場合にどうするかということで、真正面から言われますれば、これはやはりなかなか解決を、こうしますということは申しにくいのでございますけれども、しかし、その方の場合、例えば氏名とか生年月日とか、先ほど言った住所だとかというものが御一緒の場合には、我々の方で統合をした努力の中で解消をされているだろう、こう思うわけでございます。

 そうではなくて、何かそこの三つの事項の一致というものが図られなかった、そのどれかが欠けていたというときには、おっしゃるとおり、この五千万件の中の一件ということになってしまうわけです。わかる人がだれも近辺にいないということであれば、これはもう、私ども本当にお答えのしようがないわけですけれども、どなたかいらっしゃっていただければ、これから先、年金の支給の通知、年間を通しての金額の御通知の際にそういうことをうたわせていただきますので、ぜひそれをごらんになって、給付を受けられるというときに、そういうことが知らされてきたのでよく調べてもらいたいということをお近回りの方に言っていただければ、私ども、特にそういう方については丁寧な対応をいたしたい、このように思っております。

阿部(知)委員 大臣、おっしゃっていることがちっともリアルじゃないんですよ。

 では、例えば八十五歳以上の方でおひとり暮らしで、その方にはどんな通知がこれから行くんですか。年金は今、何がしかお受け取りかもしれません。その方に、この宙に浮いた年金についてどんなお知らせが行くんですか。今大臣、行ったならばと言いましたけれども、どんなお知らせが行くんですか。

 さっきの午前中の審議では、既裁定者、今、年金受給者には、あえてこれから、あなたの年金の受給権について確認してくださいというお知らせは行かないというお話でしたが、どんなお知らせが行くんですか。明確にお願いします。

柳澤国務大臣 毎年一回、六月に行っておる支払い通知というものがありますが、そこに、お知らせということで、ぜひ確認をさせてくださいということを御通知申し上げるつもりでございます。

阿部(知)委員 大臣、平成九年の段階で基礎年金番号に統合したのも社会保険庁がなさったことですよ。その行為によって宙に浮いてしまった年金がここに発生したわけです。

 そして、大臣は何度も、今のだって、最後はそれをもらったら何とかしてよねと相手に振っているわけでしょう。そうじゃないんだと思うんですよ。だからこそ、それは全部一遍にやれるとは思いません、社会保険庁の方からこういうプロセスを進めるべきではないですかというのが、みんな言っていることなんですよ。

 なぜ大臣は、そこがおわかりになって、申しわけないけれども、ごまかしておられるのか。だったら、もう一度真剣に考えてください。これは社会保険庁みずからがまずスタートしなきゃいけないんですよ。行って、それからあなたの申請をお待ちしていますという形では解決しないんです。

 私は、時間の関係で、この問題はまた後ほどにいたします。

 もう一つだけ、きょう絶対にやらせていただきたいことがあります。皆さんのお手元に配らせていただいた、これは大臣に先回宿題ですと申し上げましたが、「年金事務費の内訳」という、申しわけありません、ちょっと小さな、細かな字のものがございます。

 せんだっての審議の中で、年金の事務費につきまして、謝金職員などの給料は、国家公務員の常勤、非常勤とは違って年金事務費の中から支払われるということで、ここに分けて書いていただきました。「徴収対策専門員等の謝金及び保険料徴収等のための旅費」というところで、平成十年からずっと見てまいりますと、平成の十四年から大体倍増してございます。この倍増の意味は、地方自治体にお願いしていたいろいろな徴収事務を社会保険庁の方に引き揚げたからだというお話でありました。

 そして、午前中の審議の中で、この謝金の総額はお幾らですかということが聞かれて、平成十八年度で二十四億円というお答えでしたが、いただきました資料の中では五十四億円となっております。この差はどこから由来しているのでしょうか。

 これは、大臣がもし数値を読み込むまでのお時間があったら、事務方からお願いいたします。

清水政府参考人 お渡ししてございます資料の一番左肩の表題にございますように、この欄の合計数字は、非常勤職員の謝金というものが一つと、それから旅費、その二つを合算したものでございます。そのために、単なる非常勤職員の謝金だけの額ではなくて表示されているということでございます。

 謝金についてのみ申し上げますと、この資料では、平成十八年度、五十四億円という表記になってございますが、そのうち、謝金だけ取り出しますと三十一億円。平成十九年度、四十七億円となってございますが、謝金だけ取り出しますと二十七億円。そのようなことになってございます。

阿部(知)委員 御答弁で触れられなかったので、随分旅費の分が多いんですね、改めて見ると。五十四億円のうち、三十一億円が謝金で、残る二十三億円は旅費だと。実は、この旅費は、謝金職員の旅費だけじゃなくて、国家公務員の皆さんの旅費もここに入っているんですね。そんなからくりはどこでも言われませんでしたよ。それは、国家公務員としてお働きの方も移動する場合、タクシーなんかを使いますでしょう。その旅費も全部こっちにいつの間にか滑り込ませている。

 どうですか、この事実については。

清水政府参考人 この旅費は、基本的には保険料徴収というものが大部分を占めているところでございます。

阿部(知)委員 国家公務員として人件費手当てされている方の旅費もここに含まれるのかどうか。そして、そのような場合に、やはり私ども国民はわからないのですよ。いつ何がどこに滑り込まされて、あっという間に膨らんでいくんですね。こういうからくりがこれからも続くとしたら、この事務費の流用という問題は、知らないうちに何から何まで事務費で手当てされるようになるじゃありませんか。

 大臣、御存じでしたか。大臣にお願いします。

清水政府参考人 事実関係について、私の方から申し上げます。

 確かに、この旅費の中には正規職員が用います旅費も含まれておるわけでございますが、主たる目的は保険料徴収ということでございます。

 また、額につきましては、平成十年度、二十一億円で始まってございます。一番低い年は十八億円、一番高い年は二十五億円ということでございます。おおむね十年間で見ますと横ばい、そういうことになっておるところでございます。

阿部(知)委員 横ばいだからいいかどうかではなくて、そうやってわけのわからないうちに事務費を膨らませていくこの仕組みを厳然として温存して固定化する、だからこそ、この法案は大問題なんだと思います。

 私は、今大臣の御答弁を聞くことがもしかなえば、委員長がちょっとだけ許していただければ、大臣、どうですか。お願いします。

柳澤国務大臣 現状というか過去の経緯については、今事務当局が説明させていただいたとおりであるわけでございます。

 しかしながら、今後の日本年金機構になりましたときにどういう事務費を保険料で賄うかということにつきましては、今委員からいかにも不信の言葉を投げかけられてしまったんですけれども、そういうことのないように厳格に精査をしまして、財政当局とも、これは直接的に年金の給付に必要なものに限定していく。そして、それ以外の一般行政経費とされるものについては、これは厳格に国費でもって負担をするというようなことに、さらに一層、私ども、厳しい分別というものでもって対処をしていきたい、このように考えます。

阿部(知)委員 何から何までそのようにずさんで、ルーズで、隠して、一つ一つ追及されれば、あれもあった、これもあったという年金審議が続く限り、やはり国民は納得できないと思います。

 終わらせていただきます。

櫻田委員長 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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