衆議院

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第30号 平成19年6月13日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年六月十三日(水曜日)

    午前十時五分開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    岸田 文雄君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    高木  毅君

      高鳥 修一君   戸井田とおる君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      西川 京子君    橋本  岳君

      林   潤君    原田 令嗣君

      福岡 資麿君    松本  純君

      松本 洋平君    三ッ林隆志君

      内山  晃君    大島  敦君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    田名部匡代君

      筒井 信隆君    長妻  昭君

      細川 律夫君    柚木 道義君

      坂口  力君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   参議院議員        阿部 正俊君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   総務副大臣        田村 憲久君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 新井 英男君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十三日

 辞任         補欠選任

  福岡 資麿君     橋本  岳君

  松野 博一君     高木  毅君

  柚木 道義君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     薗浦健太郎君

  橋本  岳君     福岡 資麿君

  長妻  昭君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     鈴木 淳司君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     三ッ林隆志君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林隆志君     松野 博一君

    ―――――――――――――

六月十二日

 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案(参議院提出、参法第三号)

 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第八六号)(参議院送付)

 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)(参議院送付)

同日

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(岩屋毅君紹介)(第一五七〇号)

 同(藤村修君紹介)(第一五七一号)

 同(松本龍君紹介)(第一五七二号)

 同(阿部知子君紹介)(第一六二八号)

 同(赤澤亮正君紹介)(第一六二九号)

 同(赤松正雄君紹介)(第一六三〇号)

 同(井上義久君紹介)(第一六三一号)

 同(伊藤渉君紹介)(第一六三二号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第一六三三号)

 同(岩國哲人君紹介)(第一六三四号)

 同(江藤拓君紹介)(第一六三五号)

 同(大塚高司君紹介)(第一六三六号)

 同(大野松茂君紹介)(第一六三七号)

 同(大前繁雄君紹介)(第一六三八号)

 同(岡下信子君紹介)(第一六三九号)

 同(岡田克也君紹介)(第一六四〇号)

 同(岡本充功君紹介)(第一六四一号)

 同(鍵田忠兵衛君紹介)(第一六四二号)

 同(河井克行君紹介)(第一六四三号)

 同(菅直人君紹介)(第一六四四号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一六四五号)

 同(木原稔君紹介)(第一六四六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一六四七号)

 同(岸田文雄君紹介)(第一六四八号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第一六四九号)

 同(小平忠正君紹介)(第一六五〇号)

 同(古賀一成君紹介)(第一六五一号)

 同(後藤斎君紹介)(第一六五二号)

 同(近藤基彦君紹介)(第一六五三号)

 同(塩谷立君紹介)(第一六五四号)

 同(重野安正君紹介)(第一六五五号)

 同(篠田陽介君紹介)(第一六五六号)

 同(下条みつ君紹介)(第一六五七号)

 同(園田康博君紹介)(第一六五八号)

 同(田名部匡代君紹介)(第一六五九号)

 同(高井美穂君紹介)(第一六六〇号)

 同(高木義明君紹介)(第一六六一号)

 同(武正公一君紹介)(第一六六二号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一六六三号)

 同(辻元清美君紹介)(第一六六四号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一六六五号)

 同(徳田毅君紹介)(第一六六六号)

 同(中川正春君紹介)(第一六六七号)

 同(中川泰宏君紹介)(第一六六八号)

 同(仲村正治君紹介)(第一六六九号)

 同(萩原誠司君紹介)(第一六七〇号)

 同(浜田靖一君紹介)(第一六七一号)

 同(日森文尋君紹介)(第一六七二号)

 同(平井たくや君紹介)(第一六七三号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第一六七四号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一六七五号)

 同(古屋圭司君紹介)(第一六七六号)

 同(保坂展人君紹介)(第一六七七号)

 同(細川律夫君紹介)(第一六七八号)

 同(松木謙公君紹介)(第一六七九号)

 同(松野頼久君紹介)(第一六八〇号)

 同(松原仁君紹介)(第一六八一号)

 同(松本洋平君紹介)(第一六八二号)

 同(三谷光男君紹介)(第一六八三号)

 同(森本哲生君紹介)(第一六八四号)

 同(森山裕君紹介)(第一六八五号)

 同(山崎拓君紹介)(第一六八六号)

 同(吉田泉君紹介)(第一六八七号)

 同(渡部篤君紹介)(第一六八八号)

 同(綿貫民輔君紹介)(第一六八九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七七一号)

 同(池田元久君紹介)(第一七七二号)

 同(石破茂君紹介)(第一七七三号)

 同(宇野治君紹介)(第一七七四号)

 同(上田勇君紹介)(第一七七五号)

 同(上野賢一郎君紹介)(第一七七六号)

 同(江田康幸君紹介)(第一七七七号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一七七八号)

 同(小川淳也君紹介)(第一七七九号)

 同(大串博志君紹介)(第一七八〇号)

 同(太田和美君紹介)(第一七八一号)

 同(岡本充功君紹介)(第一七八二号)

 同(金子恭之君紹介)(第一七八三号)

 同(金田誠一君紹介)(第一七八四号)

 同(川条志嘉君紹介)(第一七八五号)

 同(倉田雅年君紹介)(第一七八六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一七八七号)

 同(河野太郎君紹介)(第一七八八号)

 同(郡和子君紹介)(第一七八九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七九〇号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第一七九一号)

 同(佐藤錬君紹介)(第一七九二号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一七九三号)

 同(笹川堯君紹介)(第一七九四号)

 同(笹木竜三君紹介)(第一七九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七九六号)

 同(実川幸夫君紹介)(第一七九七号)

 同(杉田元司君紹介)(第一七九八号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一七九九号)

 同(田島一成君紹介)(第一八〇〇号)

 同(田嶋要君紹介)(第一八〇一号)

 同(田村謙治君紹介)(第一八〇二号)

 同(滝実君紹介)(第一八〇三号)

 同(武部勤君紹介)(第一八〇四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一八〇五号)

 同(中山泰秀君紹介)(第一八〇六号)

 同(仲野博子君紹介)(第一八〇七号)

 同(丹羽秀樹君紹介)(第一八〇八号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一八〇九号)

 同(平口洋君紹介)(第一八一〇号)

 同(平田耕一君紹介)(第一八一一号)

 同(藤井勇治君紹介)(第一八一二号)

 同(細野豪志君紹介)(第一八一三号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一八一四号)

 同(牧義夫君紹介)(第一八一五号)

 同(松本大輔君紹介)(第一八一六号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第一八一七号)

 同(村井宗明君紹介)(第一八一八号)

 同(山岡賢次君紹介)(第一八一九号)

 同(山口壯君紹介)(第一八二〇号)

 同(山井和則君紹介)(第一八二一号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一八二二号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一八二三号)

 パーキンソン病の療養生活の向上に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第一五七三号)

 安全・安心の医療と看護の実現を求める医療従事者の増員に関する請願(重野安正君紹介)(第一五七四号)

 同(下地幹郎君紹介)(第一五七五号)

 同(寺田学君紹介)(第一五七六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一五七七号)

 同(小川淳也君紹介)(第一六一一号)

 同(岡本充功君紹介)(第一六一二号)

 同(園田康博君紹介)(第一六一三号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一六一四号)

 同(松野頼久君紹介)(第一六一五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七四六号)

 同(石破茂君紹介)(第一七四七号)

 同(大串博志君紹介)(第一七四八号)

 同(岡本充功君紹介)(第一七四九号)

 同(金田誠一君紹介)(第一七五〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七五一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七五二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七五三号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一七五四号)

 同(細野豪志君紹介)(第一七五五号)

 同(松本大輔君紹介)(第一七五六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七五七号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患に対する総合的対策の早期実現を求めることに関する請願(秋葉賢也君紹介)(第一五七八号)

 同(泉健太君紹介)(第一五七九号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一五八〇号)

 同(江田康幸君紹介)(第一五八一号)

 同(鴨下一郎君紹介)(第一五八二号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一五八三号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第一五八四号)

 同(竹本直一君紹介)(第一五八五号)

 同(寺田学君紹介)(第一五八六号)

 同(中野正志君紹介)(第一五八七号)

 同(中山成彬君紹介)(第一五八八号)

 同(西博義君紹介)(第一五八九号)

 同(野田聖子君紹介)(第一五九〇号)

 同(林田彪君紹介)(第一五九一号)

 同(村田吉隆君紹介)(第一五九二号)

 同(石田真敏君紹介)(第一六一六号)

 同(川条志嘉君紹介)(第一六一七号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一六一八号)

 同(高村正彦君紹介)(第一六一九号)

 同(塩谷立君紹介)(第一六二〇号)

 同(下条みつ君紹介)(第一六二一号)

 同(園田康博君紹介)(第一六二二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一六二三号)

 同(松野頼久君紹介)(第一六二四号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第一六二五号)

 同(吉田泉君紹介)(第一六二六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七五八号)

 同(宇野治君紹介)(第一七五九号)

 同(金田誠一君紹介)(第一七六〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七六一号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第一七六二号)

 同(園田博之君紹介)(第一七六三号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一七六四号)

 同(中山泰秀君紹介)(第一七六五号)

 同(仲野博子君紹介)(第一七六六号)

 同(広津素子君紹介)(第一七六七号)

 同(福田良彦君紹介)(第一七六八号)

 同(藤井勇治君紹介)(第一七六九号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第一七七〇号)

 ウイルス肝炎総合対策の推進を求めることに関する請願(園田康博君紹介)(第一六二七号)

 じん肺とアスベスト根絶に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七二二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一七二三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七二四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七二五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七二六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七二八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七二九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七三〇号)

 てんかんのある人の医療と福祉の向上に関する請願(川条志嘉君紹介)(第一七三一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一七三二号)

 同(郡和子君紹介)(第一七三三号)

 同(園田康博君紹介)(第一七三四号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一七三五号)

 同(山井和則君紹介)(第一七三六号)

 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七三七号)

 同(石井郁子君紹介)(第一七三八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七三九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七四〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七四一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七四二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七四四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七四五号)

同月十三日

 児童扶養手当の減額を最小限にすることに関する請願(古屋範子君紹介)(第一八三八号)

 安全・安心の医療と看護の実現を求める医療従事者の増員に関する請願(岡本充功君紹介)(第一八三九号)

 同(吉良州司君紹介)(第一八四〇号)

 同(羽田孜君紹介)(第一八四一号)

 同(岡本充功君紹介)(第一九一〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九一一号)

 同(三谷光男君紹介)(第一九一二号)

 同(横光克彦君紹介)(第一九一三号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一九八〇号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患に対する総合的対策の早期実現を求めることに関する請願(赤松広隆君紹介)(第一八四二号)

 同(石川知裕君紹介)(第一八四三号)

 同(木村義雄君紹介)(第一八四四号)

 同(北側一雄君紹介)(第一八四五号)

 同(坂本剛二君紹介)(第一八四六号)

 同(玉沢徳一郎君紹介)(第一八四七号)

 同(羽田孜君紹介)(第一八四八号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一八四九号)

 同(古屋範子君紹介)(第一八五〇号)

 同(三原朝彦君紹介)(第一八五一号)

 同(柚木道義君紹介)(第一八五二号)

 同(稲葉大和君紹介)(第一九一四号)

 同(河村たかし君紹介)(第一九一五号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第一九一六号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第一九一七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九一八号)

 同(橋本岳君紹介)(第一九一九号)

 同(平野博文君紹介)(第一九二〇号)

 同(牧義夫君紹介)(第一九二一号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第一九二二号)

 同(飯島夕雁君紹介)(第一九八一号)

 同(内山晃君紹介)(第一九八二号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一九八三号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第一九八四号)

 同(二階俊博君紹介)(第一九八五号)

 同(船田元君紹介)(第一九八六号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第一九八七号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一九八八号)

 新・腎疾患対策の早期確立に関する請願(柚木道義君紹介)(第一八五三号)

 同(二階俊博君紹介)(第一九八九号)

 マッサージ診療報酬・個別機能訓練加算の適正な引き上げを求めることに関する請願(細川律夫君紹介)(第一八五四号)

 同(柚木道義君紹介)(第一八五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九二三号)

 同(内山晃君紹介)(第一九九〇号)

 同(園田康博君紹介)(第一九九一号)

 労働法制の拡充に関する請願(柚木道義君紹介)(第一八五六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一九九二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一九九三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九九四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九九五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九九六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九九七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九九八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九九九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇〇〇号)

 ウイルス肝炎総合対策の推進を求めることに関する請願(木村義雄君紹介)(第一八五七号)

 同(古屋範子君紹介)(第一八五八号)

 同(柚木道義君紹介)(第一八五九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九二四号)

 同(赤松正雄君紹介)(第二〇〇一号)

 同(内山晃君紹介)(第二〇〇二号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(赤松広隆君紹介)(第一八六〇号)

 同(石川知裕君紹介)(第一八六一号)

 同(大口善徳君紹介)(第一八六二号)

 同(岡本芳郎君紹介)(第一八六三号)

 同(吉良州司君紹介)(第一八六四号)

 同(北側一雄君紹介)(第一八六五号)

 同(坂本剛二君紹介)(第一八六六号)

 同(神風英男君紹介)(第一八六七号)

 同(関芳弘君紹介)(第一八六八号)

 同(高木陽介君紹介)(第一八六九号)

 同(竹下亘君紹介)(第一八七〇号)

 同(谷口隆義君紹介)(第一八七一号)

 同(玉沢徳一郎君紹介)(第一八七二号)

 同(寺田学君紹介)(第一八七三号)

 同(西博義君紹介)(第一八七四号)

 同(西村康稔君紹介)(第一八七五号)

 同(野田佳彦君紹介)(第一八七六号)

 同(羽田孜君紹介)(第一八七七号)

 同(原田義昭君紹介)(第一八七八号)

 同(冬柴鐵三君紹介)(第一八七九号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第一八八〇号)

 同(増原義剛君紹介)(第一八八一号)

 同(望月義夫君紹介)(第一八八二号)

 同(山田正彦君紹介)(第一八八三号)

 同(柚木道義君紹介)(第一八八四号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第一九二五号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第一九二六号)

 同(石関貴史君紹介)(第一九二七号)

 同(稲葉大和君紹介)(第一九二八号)

 同(漆原良夫君紹介)(第一九二九号)

 同(大島理森君紹介)(第一九三〇号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一九三一号)

 同(太田誠一君紹介)(第一九三二号)

 同(岡本芳郎君紹介)(第一九三三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九三四号)

 同(梶山弘志君紹介)(第一九三五号)

 同(木村太郎君紹介)(第一九三六号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一九三七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九三八号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第一九三九号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第一九四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九四一号)

 同(田村憲久君紹介)(第一九四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九四三号)

 同(谷川弥一君紹介)(第一九四四号)

 同(西村真悟君紹介)(第一九四五号)

 同(橋本岳君紹介)(第一九四六号)

 同(林田彪君紹介)(第一九四七号)

 同(原田憲治君紹介)(第一九四八号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第一九四九号)

 同(松浪健四郎君紹介)(第一九五〇号)

 同(松本剛明君紹介)(第一九五一号)

 同(三谷光男君紹介)(第一九五二号)

 同(水野賢一君紹介)(第一九五三号)

 同(矢野隆司君紹介)(第一九五四号)

 同(山本公一君紹介)(第一九五五号)

 同(横光克彦君紹介)(第一九五六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九五七号)

 同(あかま二郎君紹介)(第二〇〇三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二〇〇四号)

 同(新井悦二君紹介)(第二〇〇五号)

 同(伊藤忠彦君紹介)(第二〇〇六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二〇〇七号)

 同(石崎岳君紹介)(第二〇〇八号)

 同(内山晃君紹介)(第二〇〇九号)

 同(太田昭宏君紹介)(第二〇一〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇一一号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第二〇一二号)

 同(黄川田徹君紹介)(第二〇一三号)

 同(小島敏男君紹介)(第二〇一四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇一五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇一六号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第二〇一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇一九号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第二〇二〇号)

 同(田中良生君紹介)(第二〇二一号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第二〇二二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇二三号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第二〇二四号)

 同(土井亨君紹介)(第二〇二五号)

 同(長島昭久君紹介)(第二〇二六号)

 同(二階俊博君紹介)(第二〇二七号)

 同(船田元君紹介)(第二〇二八号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第二〇二九号)

 同(三日月大造君紹介)(第二〇三〇号)

 同(三井辨雄君紹介)(第二〇三一号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第二〇三二号)

 同(山口俊一君紹介)(第二〇三三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇三四号)

 同(渡部恒三君紹介)(第二〇三五号)

 てんかんのある人の医療と福祉の向上に関する請願(柚木道義君紹介)(第一八八五号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第一九五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九五九号)

 同(内山晃君紹介)(第二〇三七号)

 同(三井辨雄君紹介)(第二〇三八号)

 被用者年金一元化にかかわる既裁定年金削減の中止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一九〇九号)

 妊婦と新生児を中心に据えた医療連携システムの確立に関する請願(戸井田とおる君紹介)(第一九七四号)

 格差社会を是正し、命と暮らしを守るために社会保障の拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九七五号)

 同(石井郁子君紹介)(第一九七六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九七八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九七九号)

 じん肺とアスベスト根絶に関する請願(金田誠一君紹介)(第二〇三六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働契約法案(内閣提出第八〇号)

 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)

 最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)

 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第八六号)(参議院送付)

 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案(参議院提出、参法第三号)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長青木豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 おはようございます。自民党の木原誠二でございます。きょうは、労働三法ということで、三十分お時間をいただいております。

 この国会は、当初、労働国会ということが言われながらスタートした国会であります。育児休業給付の引き上げを伴う改正雇用保険法、あるいはパート労働者の待遇改善、あるいは正社員化の促進といったことを内容とするパート労働法の改正等々重要法案、しっかりと審議をして成立をさせてきて、いよいよ労働三法へと我々は足を進めてきたわけでありますけれども。

 きょう、私、この委員会に参りまして、大変残念に思いますし、びっくりしたところであります。どういう思惑があってのことかわかりませんけれども、野党の皆さんが、この大変重要な労働問題、今、格差社会といったようなことも言われる中で、この労働三法についての審議に御出席いただけない、このことについては、大変残念である、このことをまず申し上げたい。そしてまた、大変遺憾である、このように申し上げたい、このように思います。

 そこで、労働三法についてですけれども、私は、きょうは特に労働契約法を中心にお伺いをしてまいりたい、このように思っております。

 この労働契約法、本則で十九条という極めてコンパクトな法案でありますけれども、しかし、労働契約の内容を事前にある程度定めておく、そういう基本的なルールを定める法律、私は大変意義のある法律であろうかと思います。そういう意味ではまだまだ論点が出尽くしていないような感もいたしますので、きょうは少し条文に沿いながら御質問させていただければと、このように思っております。

 大臣の趣旨説明の中にもございました、今、就業形態が多様化をし、また経営環境も多様化をしている。同時に、労働組合の組織率も低下する中で、集団的な労働条件の決定、その仕組みもなかなか機能していない。そういう中で、まさに個別の労働紛争というものが増加している、そういうような現状にあるのかな、このように認識をしております。

 もちろん、裁判での解決、あるいは裁判外のさまざまな迅速な解決方法、いわゆる判例法理に基づいた解決方法というのは発展しているわけでありますけれども、他方で、個別の労働紛争というのは、個々具体的な状況に応じて、これまた判例法理だけではなかなか解決できない。しかも一たん紛争が起きますと、労働者には多大な損害があること、これは間違いありませんし、経営側にとっても経営コストが増加する。そういう意味で、労使双方にとって、これはマイナス面が大きい、こういうことであろうかと思います。そういう意味では、今回、法律で労働契約に関する基本的なルールを定めて紛争を未然に防止する、こういう内容でありますので、そういう意味でも、この労働契約法、しっかり審議をしなきゃいけないな、このように思っております。

 そこで、前提として、私は、今回、労働契約法の一つのキーワードはやはり就業規則。この就業規則を通じて、労働契約の内容、条件の決定、あるいは変更といったものをどう進めていくか、こういうことであろうかというふうに思っております。

 もちろん、本来は、労働契約も通常の契約同様、当事者の間、個々の合意というものが不可欠なわけですけれども、一方で、経営環境というのは日々、刻一刻と変わっていく、そういう状況でありますから、実態上は就業規則が労働条件を定める一つの大きな根拠になっているんだろう、このように思います。

 まず、現在、就業規則というものがこの日本の労働市場、労使関係の中でどの程度の役割を果たしているのか、その現状認識からまずお聞かせいただきたいと思います。

青木政府参考人 就業規則のお尋ねでございますけれども、現在、労働基準法第八十九条によって、常時十人以上の労働者を使用する使用者につきましては、就業規則の作成が義務づけられております。

 就業規則の作成についての実態を見ますと、十人以上規模の企業の約九割五分が就業規則を作成いたしております。そのうち、労働者との間の個別の労働条件を設定することがない、そういう企業が約六割存在いたしております。また、労働条件を変更したことのある企業においては、就業規則の変更によりこの労働条件の変更を行ったとする割合が約七割と、最も多いということになっております。我が国においては、就業規則によって集団的に労働条件を決定したり、あるいは変更することが広く行われているというところでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 就業規則を制定する義務がかかっている企業のうちの九割五分がこれを制定し、そして、個別の労働契約でなく、就業規則で労働条件を定める企業はそのまた六割である、こういう御説明ですから、就業規則が労働条件を決定する幅広いツールとして活用されている、そういう労働慣行、労働実態である、そういう意味では、今我々の、この日本の労務管理というのは就業規則を通じて行われているという御答弁であったかと、このように思います。

 他方で、この就業規則は、見てみますと、労働基準法において、今まさに局長から御答弁いただいたように、十人以上の労働者を使用する企業は定めなきゃいけない、義務化が定められております。また、就業規則を定めるときには、過半数の労働組合の意見を聞かなければいけない。あるいは、就業規則に一定、周知をしなければいけない等々、そういう手続については定められているわけでありますけれども、就業規則が、個々の労働条件との関係でどういう法的効果を持つのか、民事的効果を持つのかということについて、どこにも定められていない。これが今の現状であろうか、そのように思います。そういう意味では、今回、この労働契約法の中で、就業規則による労働条件の設定、あるいは変更ということについての条文、七条から九条、十条と定めていただいた、こういうことであろうかというふうに思います。

 そこで、少し条文の中身に沿ってお伺いをいたしたい、このように思いますけれども、この条文の九条、十条のところ、「就業規則による労働契約の内容の変更」というところがございます。この部分は、これまでも最高裁の判例等々も積み重ねられてきて、合理性が必要であるとか、あるいはしっかり周知をしなさいよといったようなことを、今回しっかりと法案に書いていただいた、こういうことであろうと思いますけれども、いわゆる変更の場合ではなくて、労働条件を設定する、いわば七条の部分、この部分については、この七条の適用範囲について、まだいろいろと議論があるように感じております。

 というのも、この七条の前、六条のところは「労働契約の成立」となっていますので、六条、七条がセットになって、いわば労働契約が成立する場面だけに限定をしているかのような読み方もあるように思いますし、他方で、本会議でもありましたし、それからこの委員会でも野党の議員から御質問がありましたけれども、この七条のところに、労働契約の内容、就業規則について、当初「周知させていた場合」ということで諮問をしていたものが「周知させた場合」ということに変わったことによって、何か適用範囲が変わったかのような御議論もあったわけですけれども。

 ここで確認をいたしたいと思いますけれども、そもそもこの第七条が適用されるというのは一体どのような場面なのかということについて、少しわかりやすく御説明いただければというように思います。

青木政府参考人 労働契約法第七条の規定は、既に就業規則が存在する事業場に新たに労働者が採用される場合など、その労働契約の成立の場面において適用されることを主に念頭に置いているわけであります。そうした場合に、個別の合意で労働条件を明確に取り決めなかった場合の就業規則と労働契約の関係を定めたものでございます。そのほか、これまで就業規則を制定していなかった事業場において新たに就業規則を制定した場合についても、第七条の規定は適用されるものというふうに考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今の局長の御答弁は、もともと就業規則があって、そこに新たに新卒の人が入ってきたといったような場合は主として適用範囲であるよと。しかし、同時に、これまで就業規則がなかった場合であっても、新たに就業規則をつくったという場合もこの条文が適用になる、こういう御答弁だったというふうに思います。

 当然のことながら、十人規模以下の企業という場合には就業規則の作成の義務がありません。しかし、他方で、労使慣行が煮詰まるというか、ある程度固定化をしてきて、就業規則に落としていこう、十人規模以下の企業であっても新たに就業規則をつくるということは当然に想定をされるわけで、この法律の条文の中にも、当然のことながら、今局長に御答弁いただいたように、就業規則を新たに制定される場合というのも含まれるというのは、私はこれは当然のことであろう、このように思います。

 重ねて確認をいたしたいというふうに思います。

 野党の質疑の中に、もともと労働政策審議会に厚生労働省から諮問をしたときの条文が「周知させていた場合」、それが今回の法案では「周知させた場合」に変わったことによってそういう効果が生じたんじゃないかというような議論があるわけですけれども、この文言の修正によって今御答弁いただいたような状況になったのかどうか、その点を一点確認させていただきたいというように思います。

青木政府参考人 今お話にありましたこの七条の「就業規則を労働者に周知させた場合」という文言でございますけれども、これは労働政策審議会に諮問した要綱では「周知させていた場合」となっていたわけでありますけれども、こういった規定ぶりでは、いつの時点から「労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」という効果が生ずるのか定かではなくて、法的効果が発生する時点を明確にする必要がある、こういうことから、「周知させていた」ではなくて「周知させた」というふうに改めたものでございます。したがって、「周知させていた場合」も、あるいは「周知させた場合」、どちらの場合も意味するところは同じでございまして、法的効果の発生時点を明確にしたというだけの意味でございます。

 したがって、文言の変更によってこの第七条の適用範囲そのものが変更されるものではないというふうに考えております。

 就業規則を制定していなかった企業において新たに就業規則を制定した場合についても、七条が適用されるということであります。

 しかし、個別具体的な事情によりこの条項については判断されるものでありますけれども、一般的に申し上げますと、既に就業していた労働者との間では、労働契約の合意により個別に労働条件を決定していることが多いというふうに考えておりますので、このような場合には、七条本文というよりも、七条ただし書きが適用されて、その合意が優先されるということになるというふうに考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今、局長、丁寧に御答弁いただきまして、この七条の扱いをめぐって今一番心配があるというのは、新たに就業規則を制定したときに、それまで存在をした労働契約の内容が不利益に、自由に変更されてしまうのではないかということが、そもそもの問題意識だろうというふうに思います。そういう意味では、今、質問の中身を超えて御丁寧に御答弁いただいたわけですけれども、そういうことはないんだよ、その場合は七条のただし書きが適用になるんだよということであったというふうに思いますので、ここで改めて確認をさせていただきたい、このように思います。

 そこで、七条についてはこの程度にいたしたい、このように思いますけれども、いずれにしても、就業規則が労働契約の内容を決めるという労使慣行、労務慣行がある、こういうことでありますので、それが労働者にとっていたずらに不利益にならないんだということを、この七条の法文の、あるいは八条、九条、十条の条文の中身、趣旨といったものを労使ともにしっかりと周知していただきたい、この点をお願いしておきたい、このように思います。

 時間も限られておりますので、次の点に進みたいと思います。

 この条文の中で、四条というところがありまして、労働契約の内容の理解の促進、そしてまた書面での確認というところがございます。

 もうこれは言うまでもありませんけれども、労使関係というのは、やはりある種巨大な権力を持つ経営者と、それから一個人、一使用人、雇われるという労働者、いわば対等の立場では必ずしもない、交渉力も情報力にも差がある、そういう二つの関係を規定するものであります。そういう意味では、多くの労働者の皆さん、残念なことでありますけれども、現実には、みずからの労働契約の内容というものを、あるいは労働条件というものについて理解されている、あるいは理解した上で契約をされているという方は恐らく少ないのではないかな、こんな気がしております。それがまた労働紛争が多発をする一つの要因であろうかと、このように思います。

 今回の労働契約法案においては、労使の立場をある種対等にできる限り近づけていく、そういう意味で、使用者が、労働条件について、あるいは労働契約の内容について労働者の理解を求めるということが含まれているわけで、これがまさに第四条の趣旨であろうか、このように思いますけれども、この第四条に基づいて、契約当事者、労使双方に、具体的にどういう場面でどのような措置を講ずるということが求められているのか、御説明をいただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 今御質問がございました第四条の「労働者の理解を深める」あるいは「できる限り書面により確認する」という条文でありますけれども、この四条は、ある特定の場面で特定な具体的措置を講ずることを求める規定ではございません。

 しかし、一項の「労働者の理解を深める」の内容としては、例えば、転勤等の、就業環境や労働条件が大きく変わる場面において、その内容を明確にするため、使用者が労働契約の内容となる労働条件等をしっかりと説明を労働者にしたり、あるいは、労働者が説明を求めた場合に使用者がこれに誠実に回答をするということなどが考えられます。

 また、二項の「できる限り書面により確認」という規定でございますけれども、これは労働基準法の十五条で、労働契約締結の際に賃金や労働時間などの重要な労働条件については書面交付を求めておりますが、これとは異なり、書面で確認する場面や労働条件の範囲が限定されるものではございませんで、労働契約締結の場面以外の場面、例えば、転勤等の就業環境や労働条件が大きく変わる場面において労働者が受けられることになる手当だとか、賞与だとか、あるいは休暇制度とか、福利厚生の仕組みなどについて、労働者が確認したいと考えたときにおいて、労使で話し合って、使用者が適宜労働契約の内容を書面で示すことなどが考えられるということでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 特定の場面に特に固定化しての規定ではないということでありましたけれども、いずれにしても、大切なことは、労使双方、当事者が契約の内容をしっかりと確認をする、あるいは理解をしておく、そのことによって契約意識が高まっていくということが今後非常に重要であるな、こんなふうに思います。

 四条について、一点だけ、細かい条文の内容になって恐縮ですけれども、お伺いをしておきたいというふうに思います。

 この条文、「使用者は、」「変更した後の労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」、「変更した後の労働契約の内容について、」というものがまた書き以降に入っているわけでございます。ここだけを読んでしまうと、使用者が一方的にこの労働契約の内容を変更して、そして労働者に通知をする、理解を求める、こんなことが可能であるかのように読めてしまうんですけれども、確認ですけれども、この「また」以降の部分、四条と、後での八条「労働契約の内容の変更」という部分の関係について簡潔に御説明いただければというふうに思います。

青木政府参考人 労働契約法の第四条は、労使の間には情報力において格差が存在している、そうした格差のある労使間の実質的な対等を確保するため、情報力において優位を持っている使用者に対しまして、労働契約の内容について労働者の理解を深めることを基本的な責務として求めている規定でございます。

 労働契約はある程度長期的に継続する性質のものでございますので、契約の締結後にその内容が変更されることもあり得るわけであります。この第八条は、労働契約の内容の変更は契約当事者である労使の合意によるという原則を規定したものでございます。このため、契約の内容が変更される場合については、四条ではございませんで、お触れになりましたように八条から十条までに規定するルールが適用されることになるものでございますので、八条に定めるとおり、労働者及び使用者の合意によって、労働契約の内容の変更がなされるというものでございます。

木原(誠)委員 四条、このことによって、使用者側が労働条件を一方的に変更することはできない、そういう根拠規定にならない、そういう御答弁であっただろうと思います。当然のことだろうというふうに思います。

 労働契約法についての質問はもうこれで終わりにしたいと思いますけれども、最後に、大臣に一問だけお伺いをしておきたい、このように思います。

 この労働契約法の法案、いわば労働契約についての一般的なルールを定める我が国においての初の試み、こういうことでありますから、私は、きょうも審議をしているわけですけれども、できる限り早期にこれを成立させて、実現を図っていくということが大変重要であろう、このように思います。

 一部には、冒頭も申し上げましたけれども、今回の法案が本則で十九条と極めてコンパクトな法案でありますから、不備もあるんではないか、あるいは不足部分がかなりあるんじゃないか、こんなことを指摘する意見もございます。ただ、一方で、我々が直視をしなければいけないのは、労働紛争が毎年毎年増加傾向にある、そういう中で、完璧な法案というか、すべてを網羅したような法案しか成立できないのかというと、そこを待っているような余裕は我々はもうないんじゃないかなというのが正直な感想であります。そういう意味では、できる限り早くこの法案を成立させて、紛争の未然防止に資する法案をしっかり我々の力で成立をさせていくということであろうかというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いをしたいのは、この法案が成立したその後には、この法案の内容、法律の内容は当然もちろんのことでありますけれども、これまでのさまざまな判例であるとか、あるいは裁判外でのさまざまな事例、そういったものを国民にしっかりとわかりやすく示して、紛争の未然防止に努めていくということが、厚生労働省そしてまた政府の果たすべき役割ではないか、このように考えるわけでありますが、労働契約法案の今後の国民への周知について大臣の御決意、また御意見をいただければというふうに思います。

柳澤国務大臣 我々が社会人になるころというのは、労働争議が炭鉱の閉山を中心にして非常に多発をいたしておりました。木原さんはお若いので、その当時のことは御存じないかと思いますけれども、赤旗が林立して、大変な労働争議が起こったわけでございます。それは、しかし、集団的な労働関係の中で起こった争議であったということが言えるかと思います。

 それに対して、最近の労働争議あるいは労使紛争といったものは、極めて個別的なものが多くなってきた。これは恐らく、労働形態あるいは就業の形態というものが多様化する中で、そうして個別的に満足できない、納得できないというような労働契約関係が惹起している、こういうことであろうと思います。

 そういうことを前にして、今回、新たに労働契約法を制定させていただきまして、労働契約に関する基本的なルールを明確にする、そして、それの実効性を上げるために、労使双方に対してその趣旨の徹底を図っていく、このことによって個別的労使関係の安定を実現していこう、こういうことでございます。

 しかし、これは、今も委員から御指摘がありましたように、通常の労働関係の中で、双方が自分たちがどういうルールを守らなきゃいけないかということについて熟知しているということがやはり必要になるわけでございまして、そういう意味では、新しい法律案が成立した暁におきましては、その法案の趣旨とともに、その近くにある判例法理であるとか、実務に適した法律の解釈、運用、実務的な面のわかりやすいパンフレットを作成するということが大事だ、このように思っております。これを活用するということであります。

 そして一方、しかし、そのパンフレットだけを読んでいてもなかなか、すべてこれでもって羅針盤ができるというわけにはまいりませんから、都道府県労働局の総合労働相談センターというところが設けられておりますので、もしそうしたことについて納得のいかない契約関係があるということであれば、ここにぜひ御相談を投げかけて、ルールを十分に説明して、理解の促進に努めていただきたい、このように考えております。

 こうした体制をしくことによって労働契約法というものが、新法でございますので、新しい機能を新しい労使関係の中に、また労働市場の中に、いい影響をもたらすことを心から期待しているものでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 パンフレットをつくっていただき、また総合労働政策局というんでしょうか、窓口でもまたいろいろ対応していく、そういう御決意であった、このように思います。

 時間がもう数分ですので、最後に、ちょっと最低賃金法について一つだけお伺いをしておきたいというふうに思います。

 今回、三十九年ぶりに最賃法が改正をされる。このことによって、地域別の最低賃金の制定が義務づけをされる、あるいはまた生活保護との整合性に配慮をしなければいけない、あるいは罰則も強化をされる、こういうことでありますから、その中身については私は多としたいというふうに思いますし、ぜひこの点も早期に成立をさせなければいけないな、こう思うわけでありますけれども、同時に、やはり法案が成立した後、これもまた実施面というのは大変重要であるというふうに思います。現実にこの最低賃金がすべての労働者に適用されて、すべての人々、国民が最低賃金以上の賃金の支払いを受けるという状況をつくっていくことが重要であろうかというふうに思います。とりわけ、一部の企業の中には、パートタイマー、パートで働く方や、アルバイトの皆様には最低賃金が適用されないというふうな、誤った認識を持たれている方もまだおられますし、労働者の中にも、自分自身が最低賃金が適用されるということを必ずしも十分認識していない方もおられるわけであります。

 そういう意味では、今後この最低賃金法が成立をして、最低賃金が一部では引き上げられるんだろう、このように思いますけれども、実際にどのように使用者、そしてまた労働者、労使双方に最低賃金法の中身を周知し、そしてその実効性を確保していくのか、その点について最後に確認をさせていただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 最低賃金の周知徹底につきましては、この十九年二月に定めました成長力底上げ戦略におきましても、中小企業底上げ戦略の一環として盛り込まれております。最低賃金の国民への広報の推進及び最低賃金遵守のための事業所に対する指導の強化が直ちに取り組むべき施策とされております。このため、今月、最低賃金の遵守に関する集中的な周知広報を行うと同時に、また、最低賃金の履行確保を図るための一斉監督もあわせて行っているところでございます。

 周知広報につきましては、政府広報による新聞広告の掲載合計六十八紙二千六百八十八万部、それから、モバイル端末広告の実施、都道府県労働局における懸垂幕、リーフレットの配布、公共交通機関におけるポスターの掲示、地方公共団体及び各業界団体における周知への協力依頼なども行っております。一斉監督につきましては、最低賃金に関して問題が多い業種を重点として、全国一万事業場を対象に実施しているところでございます。

 最低賃金の履行確保という観点からは、おっしゃいましたように、周知広報、監督指導が重要と考えておりまして、今後とも引き続き一生懸命取り組んでまいりたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。終わります。

櫻田委員長 次に、福島豊君。

福島委員 公明党の福島豊でございます。

 本日は、労働関連法案について質疑をさせていただくわけでありますが、まことに残念なことは、本日の委員会におきましても、野党の各党の合意が得られずに、民主党の委員の方々また社民党の委員の方々が欠席をされているわけであります。

 社会保険庁の問題また年金記録の問題、大変大切な課題であることは間違いございませんが、現に今参議院におきまして法案の審議がなされておりますし、そしてまた、さまざまな課題について着実にその解明が進められている、そういう中にあるわけであります。

 この労働法案、社会保険庁の問題も非常に大事でありますけれども、同時にまた、国民の生活にとって重要な法案であることは間違いがないわけであります。私どもは、この労働法案について、いたずらに政争の具とするのではなく、現にこうして提出されているわけでありますから、着実に審議をし、成立を図るということが立法府の責任である、そのように強く痛感をするわけであります。

 その意味で、この委員会におきまして、民主党の委員また社民党の委員の方が欠席をされているわけでありますけれども、しっかりと立法府としての責任を果たすために出席していただいて質疑をしていただきたい、このことを強く申し上げたいと思うわけであります。(拍手)

 ここから私の質問に入らせていただきます。

 我が国におきましては、少子高齢化が進行し、労働力人口の減少が見込まれております。この少子化の流れを変えるためにも、不安定、低所得の雇用の改善、またワークライフバランスの実現を図ることが喫緊の課題であります。

 私は、労働者の皆様方、特に若い人たち、現に子育てを行う方々の働き方を見直し、次世代を担う子供たちの笑顔があふれる日本をつくっていかなければならない、そのためには、我が国の労働者の方々が皆、子育てや家庭などを顧みながら人間らしく安心、納得して働けるようにすること、こうした環境を整備していくことが我々政府・与党の責務である、このように考えます。

 公明党としても、昨年四月に割り増し賃金率引き上げ等による長時間労働の是正等を内容とする少子社会トータルプランを公表するなど、累次にわたって、不安定、低所得雇用の改善やワークライフバランスの実現のための長時間労働の抑制の必要性を訴えてまいりました。

 そこで、まず、今回の労働基準法の改正法案において、どのような取り組みによって長時間労働を抑制し、仕事と子育てが両立するような環境を生み出していくこととしているのか、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 少子高齢化が進行しまして労働力人口が減少する中で、子育て世代の男性を中心に、長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していることに対応すること、それから、労働者が健康を保持しながら労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう労働環境を整備することが重要な課題となってきているというふうに考えております。

 このため、今回の労働基準法の改正案におきましては、中小企業にも配慮しつつ、月八十時間を超える時間外労働について法定割り増し賃金率を五割に引き上げるということが第一点、それから、大臣告示を改正いたしまして、そこで定められた限度時間を超える労働時間をできるだけ短くするよう労使双方に努力義務を課すということ、またあわせて、時間外労働の削減に積極的に取り組む中小企業に対する助成金を創設するなどの取り組みを行うことによりまして、長時間労働を抑制し、仕事と子育てなどが両立するような環境を整備していくことといたしているところでございます。

福島委員 今回の労働基準法の改正法案では、割り増し賃金の引き上げ部分に関して、中小企業についての猶予措置が設けられております。

 中小企業は、数でいえば我が国の企業の大半を占めているわけでありますから、我が国全体で子育てを行う方々の労働環境を整備して少子高齢化に対応していくためには、中小企業に対しては何らの措置を講じないというわけにはいかない、このように考えるわけであります。働き方改革、これは極めて大事な課題でございますけれども、企業の規模によってもまた企業の経営によっても、どう対応していくのか、さまざまな課題があることは事実でありまして、特に中小企業については、その経営状況を考えながら実質的な対応をしていくということが必要でございます。

 そこで、中小企業についてどのような考えで長時間労働を抑制していくのか、この点についての政府の考えをお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 中小企業についての御質問でございます。

 今申し上げました、月八十時間を超える時間外労働についての法定割り増し賃金率、これを五割に引き上げることについては、御指摘がありましたように、経営体力が必ずしも強くない中小企業におきましては、業務分担の見直しだとか新規雇い入れとか省力化投資等の対応が難しくて、負担も大きいということも考慮いたしまして、今回、中小企業に対しては適用を猶予することといたしているところでございます。

 御質問の中小企業における長時間労働の抑制についてでございますが、まず、これは大臣告示を改正しまして、そこで定められた限度時間を超える労働時間について割り増し賃金を引き上げるということ、あわせて、時間外労働そのものをできるだけ短くするよう労使双方に努力義務を課すということ、それから、時間外労働の削減に積極的に取り組む中小企業に対する助成金を創設することといたしておりまして、こうした総合的な取り組みを通じて、中小企業についても長時間労働抑制の実効を上げていきたいというふうに考えておるところでございます。

福島委員 何より大切なことは、生産性をいかに上げていくのか、そしてまた、長時間労働を抑制するための経営上の資源というものをどうやって生み出していくのか、こういうところにあるんだろうと思います。

 成長力底上げ戦略の中では、中小企業の生産性をどう向上するかということが非常に大きな課題になっております。この点については、政府を挙げて取り組んでいく、これが必要でございますけれども、将来にわたってどのように変わっていくのかということも十分にフォローして、この長時間労働の抑制に対しての政府の今回の助成策についても適切な見直しを随時行っていただく必要がある、そのように思っております。

 続いて、仕事と生活のバランスを図っていくためには、長時間労働の抑制だけではありませんで、年次有給休暇を有効に活用することも重要だと思います。

 日本における年次有給休暇の取得率というのは決して高くないということが現状だろうというふうに思います。特に子育てをしながら働いている方々にとっては、子供の学校行事また育児のために年次有給休暇を有効に使っていただいて、子育てと仕事を両立させていただくことが重要な方途であろうというふうに考えております。

 今回の労働基準法の改正法案におきましては、年次有給休暇を時間単位で取得できるようにするとされておりますけれども、今回の改正によってどのような効果が期待できるのか、お考えをお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 労働基準法に定める年次有給休暇につきましては、現行法では日単位以上で取得することとされております。

 そういった中で、特に子育て世代の女性から時間単位の取得の希望があった、そういったことを踏まえまして、今般、労使協定により、五日を限度としてこれを可能とすることとしたものでございます。しかし、年次有給休暇はまとまった単位で取得するという本来の趣旨がございますので、それを妨げないよう、五日という上限を設けたところでございます。

 そういうことで、これによりまして、子供の学校行事あるいは通院など多様な目的で有効に活用できるようになりまして、労働者のワークライフバランスの実現に資するものというふうに考えております。

福島委員 この年次有給休暇の取得率につきましても、ぜひ完全取得に近づくように引き続き政府として努力をしていただきたい、そのように要望いたしたいと思います。

 次に、最低賃金法の改正法案について伺いたいと思います。

 改正法案では、地域別最低賃金について、生活保護との整合性を考慮することを明確にしております。この四十年余りにわたりまして改正がなされなかったわけでありまして、今回の改正はまさに大きな一歩だというふうに思います。

 働く人の最低限度の水準の賃金を保障する最低賃金が、最低限度の生活を保障するために国家が支給する生活保護を下回るというのは適切ではないと私は思います。今回の改正による、生活保護との整合性に配慮するという規定については、最低賃金が生活保護を下回らないようにするものと解釈すべきだと考えておりますけれども、この条文の趣旨について、政府の見解を確認したいと思います。

青木政府参考人 地域別の最低賃金につきましては、三つの要素、労働者の生計費、それから労働者の賃金、通常の事業の支払い能力、この三つを考慮して決定するものと現在されております。

 改正法案では、この三つの決定基準のうち、労働者の生計費、これについて、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ということを法文上明確にすることとしたわけでございます。

 生活保護との関係は、これは地方最低賃金審議会における審議に当たって考慮すべき三つの要素の一つということでありますので、法律上の規定としては、「生活保護に係る施策との整合性に配慮」というふうに規定をいたしているわけでありますが、御指摘のように、その趣旨は、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮する、こういう趣旨だというふうに考えております。

福島委員 この委員会でも前回いろいろと議論がありましたけれども、地域別最低賃金の具体的な額については地方最低賃金審議会の審議により決定される、こういうことになっているわけであります。今回の法改正がこの地方最低賃金審議会の審議にどういうふうに影響を与えていくのか、このことについては政府としても十分なフォローをしなければいけない、着実に最低賃金がこの法案の改正に盛り込まれた趣旨のように引き上げられていくかどうかということについて責任を持っていただく必要があるというふうに思います。

 この点について、どのように政府としてフォローしていくのか、御見解をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 最低賃金の具体的な水準につきましては、今お触れになりましたように、地方最低賃金審議会、公労使三者構成で成っておりますが、これにおける審議、地域の実情をも踏まえた審議を経て決定されるということであります。

 今回の法案が成立した暁には、法改正の趣旨に沿いまして、まず中央の最低賃金審議会から引き上げ額の目安が提示されまして、それから各都道府県の地方最低賃金審議会において、これを参考にしつつ、地域の実情も踏まえて審議が行われて、その結果、適切な引き上げ等の措置が講ぜられるということになるわけでございます。

 従来の地方最低賃金審議会の審議におきましては、必ずしもすべての地方最低賃金審議会で生活保護についての十分な資料が提出されているわけでもありません。また、地域によっては、生活保護との整合性について十分に配慮した審議がなされていないところも見受けられておりました。今回の法案が成立した暁には、地方最低賃金審議会において、生活保護に関する十分な資料が必ず提出され、その上で法改正の趣旨に沿った、より適切な審議が行われるということになるわけであります。

 そういうことが行われるよう、私どもとしても、都道府県労働局に対しまして指導を行ってまいりたいというふうに思っております。

福島委員 次に、罰則の規定の問題でございます。

 使用者が最低賃金を支払わなかった場合の罰則について、現行法におきましては、長らく法改正がなされなかったということもありまして、最高でも二万円の罰金が科されるにすぎないようになっております。最低賃金に対する罰金がわずか二万円では、最低賃金違反で人を雇っても、罰金を払う方が安上がりだということにもなりかねず、余りにも低過ぎて実効性がないと言わざるを得ないと思います。

 今回の法案におきましては、罰金額の上限を五十万円に引き上げるとされておりますけれども、その趣旨をお伺いいたしたいと思います。また、実効性の確保の面でこれで十分かどうか、この点についても御認識をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 最低賃金法の罰則についてでございますが、今委員お触れになりましたように、昭和三十四年の法制定以来、罰金等臨時措置法による見直しのほかは見直しが行われておりません。この間の貨幣価値の変動等により、罰則の制裁的効果が著しく低下しているというふうに考えております。

 さらに、最低賃金法は、最低賃金に強行的、直律的効力を付与しておりまして、最低賃金不払いというのは、同時に、労働基準法の賃金の全額払い違反にもなります。現在、賃金の全額払い違反に係る罰金額の上限が三十万円ということになっておりまして、それよりも、最低賃金不払いに係る罰金額の上限が低いというような状況でございまして、実質的に、最低賃金法の罰則が機能する場面がない、あるいはほとんどないという状態になっております。

 このため、罰金額の上限額についても見直しを行って、罰金を五十万円に引き上げるということとしたものでございます。

 最低賃金の不払いの罪数については、労働基準法における賃金不払いの罪数と同様に、犯意が単一であると認められないときは各支払い期ごと及び各労働者ごとに一罪が成立するということになってありますので、この罰金額の上限を五十万円に引き上げることで十分その実効性が確保されるというふうに考えておるところでございます。

福島委員 ただいまの政府参考人の御説明ですが、五十万といっても、一人当たり五十万ということであれば、これは掛け算されていく、トータルで五十万というわけではない、こういうお話だろうと思います。一人だけに限って最低賃金法の違反をしているということは多分実態としてはないわけでありますから、今回のこの罰則の引き上げによりまして相当な程度のやはり強化がなされている、こういうふうに認識をさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、問題は、最低賃金法に違反している事業所、資料で拝見しますと六%を超えるような数字であるというふうに認識をいたしておりますけれども、必ずしも、現場で働いておられる労働者の方々、みずからの地域の最低賃金が一体幾らかよくわからないで働いておられる方も多々おられるんだろうというふうに思います。公益通報制度というものができましたけれども、こうした最低賃金に関しての情報、知識、こういうものがなければ、まだ相談するということにも至らないわけであります。当然、法律の中には、労働者に対して最低賃金について周知する、こういう規定があるわけでありますけれども、そもそも最低賃金法の違反をするような事業所においてはこうしたこともしっかりとなされていないというふうに想像することが妥当であろうというふうに思います。

 そういう意味で、先ほども政府参考人から御説明が木原委員に対してありましたけれども、周知を図っていく、最低賃金制度がこう変わりました、そしてまたこういう水準です、こういうことを幅広く知っていただくということが何よりも大事なことであろうというふうに思います。

 今回の法律の改正、一日も早く成立させるべきだと思いますが、同時にまた、周知広報するということについて積極的な取り組みをお願いいたしたいと思いますが、この点についての政府の御見解をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 ただいま御指摘になりましたように、最低賃金の周知広報というのは大変大切だというふうに思っております。従来から、ポスターの掲示だとかリーフレットの配布だとかホームページへの登載などを行っているところでございますが、また、地方公共団体や使用者団体に対する広報紙への掲載依頼なども行って、周知広報活動を全体として一生懸命やっているところであります。

 今般、成長力底上げ戦略がこの二月に策定されましたけれども、これにおきましても「最低賃金の国民への広報の推進」ということにも取り組むべきこととされておりまして、この六月、今月、最低賃金の遵守に関する集中的な周知広報を行っているところでございます。

 具体的には、政府広報による新聞広告の掲載、あるいはモバイル端末広告の実施、あるいは都道府県労働局における懸垂幕、あるいはリーフレットを二十万部程度用意しまして配布する、あるいは公共交通機関におけるポスターの掲示、あるいは地方公共団体及び各業界団体に対する周知への協力依頼なども行っております。

 引き続き、私どもとしては積極的な周知広報に取り組んでいきたいというふうに思っております。

福島委員 年々、労働組合の組織率というのは低下していっております。また、雇用形態も多様化している。そういう中にありまして、労働者の方々の権利をどう守っていくのか、これについては従来の取り組み以上に、個々の働く方々をどうやってエンパワーメントしていくか、こういうことが政府にとっても非常に大事だというふうに思います。個別労使紛争についての解決のための制度の整備がなされてきておりますけれども、それもそういう一環だろうというふうに思います。そういう意味で、こうした個々の労働者の方々をどういうふうにしてエンパワーメントを進めていくのかということについて引き続き政府の努力を促したい、そのように思うわけであります。

 続いて、就業形態の多様化の一つの象徴といたしまして、派遣労働者の増加ということがあると思います。今回の最低賃金法の改正法案におきましては、派遣労働者に対する最低賃金の適用関係を改めるとされておりますけれども、派遣労働者に対する最低賃金の適用について、現在の取り扱い、また今回の改正の趣旨について、政府の見解をただしたいと思います。

青木政府参考人 派遣労働者につきましては、賃金の支払い責任が派遣元事業主でございますので、労働者派遣法の施行時からずっと、派遣元の事業場の所在する地域や産業、これに適用される最低賃金が適用されるということになっているところでございます。

 しかし、このような取り扱いにつきましては、派遣先の事業場がある地域と派遣元の事業場がある地域が異なる場合、あるいは派遣先の事業場において産業別最低賃金が適用される、派遣元には産業別がないというような場合に、派遣労働者は、派遣先の他の労働者と同じ場所で同じ使用者から指揮命令を受けて現に働いているにもかかわらず、派遣先の事業場の地域別最低賃金とか産業別最低賃金が適用されないといった問題が指摘されていたところでございます。

 派遣労働者については、現に指揮命令を受けて業務に従事しているのが派遣先でありますので、最低賃金の適用についても、派遣先の事業場の所在する地域あるいは派遣先の事業場の属する産業の最低賃金を適用することに今般変更することとしたものでございます。

福島委員 この委員会でも、障害者の授産施設の工賃、賃金についていろいろと議論されております。

 障害によりまして著しく労働能力の低い者や基礎的な認定職業訓練を受ける者に対する最低賃金の適用については、現行法におきましては、都道府県労働局長の許可を受けた場合には適用除外、このようにされているわけでありますけれども、今回の改正法案におきましては、許可を受けたときには最低賃金を減額して適用する、こういうことに改められているわけであります。

 このような取り扱いとした趣旨につきまして政府の見解をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 改正法案におきましては、最低賃金の安全網としての機能を強化する観点から、地域別最低賃金については、すべての労働者の賃金の最低限を保障するものとして、行政機関に決定を義務づけるということにいたしております。

 こうした観点からは、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲なものとすることが望ましいというふうに考えております。減額措置が可能であるならば、適用除外とするよりも最低賃金を適用した方が労働者保護に資するということでございますので、適用除外に係る規定を廃止いたしまして、減額措置を講ずることができる旨の規定を設けることとしたものでございます。

 なお、現行法におきましても、実際の運用において、適用除外の許可を受けたからといって、極端に妥当性を欠く低賃金となることがないよう、労働能率を勘案して一定額の減額措置というような運用、そういったことも行っているところでございます。

 こういったことも踏まえまして、今回改正法案においてそういう規定をお願いしているところでございます。

福島委員 障害のある方でも、実際に働いておられる現場に伺いますと、大変作業能力が高いといいますか、健常な方と比べて遜色なく仕事のできる方がおられることも事実でございます。「障害により著しく労働能力の低い者」に対して減額する、こういうことになっているわけでありますけれども、個々の障害者の方々の労働の実態をよく見て適切に行うことが重要だろうと思います。

 例えば、自閉症の方で、社会性、コミュニケーションについては一定の障害があるけれども、作業能力自体は非常に高い、こういう場合もあるわけでありまして、実際にどういう仕事をしているのか、そしてまたその仕事をするに当たってどれだけのパフォーマンスがあるのか、こういう、個々の事例に応じて適切に判断するということが必要だと私は思いますけれども、どのような考え方に基づいてこのような方々の減額を行っていくのか、この点について政府の見解をお聞きいたしたいと思います。

青木政府参考人 障害者に対します最低賃金の適用につきましては、障害により著しく労働能力が低い労働者についても一般労働者に適用される最低賃金をそのまま適用するということになりますと、こういった方々の、労働者の雇用の機会をかえって奪い、かえって労働者に不利益な結果を招くということになりますので、都道府県労働局長の許可を条件として減額を認めることと今しているわけであります。

 減額については、その障害の程度が、その労働者を従事させようとする業務の遂行に直接支障を与えることが明白であり、その支障の程度が著しい場合のみ許可することといたしまして、また、その場合には、労働者の労働能率に応じた減額のみ認めることを予定いたしております。さらに、減額の許可に当たりましては、個別に実地調査を行いまして、その労働者の労働能率等の実態を十分把握した上で慎重に判断を行うこととしております。今後ともしっかりと運用をしてまいりたいというふうに思います。

福島委員 できるだけ幅広く最低賃金法の対象となって、障害のある方でもしっかりと所得を得ることができる、そういう方向を目指して頑張っていただきたいというふうに私は思っております。

 最後に、労働契約法案について一点お伺いいたしたいと思います。

 多くの企業において、労働時間関係の規定などの労働条件は就業規則によって定められているものと承知をいたしておりますが、現行法上は、それによって労働契約の内容がどうなるかわかりません。これでは法律関係が不明確ではないかというふうに思います。したがって、今回の労働契約法案においては、労働契約と就業規則との関係を規定すること、これ自体については私も合理的な判断だろう、そのように思います。

 一方で、労働契約法案の議論をめぐりましては、就業規則に関するルールを新たに設けることにより、使用者による一方的な労働条件の切り下げが容認されることになるのではないか、こういう懸念が示される、そういう意見をお聞きすることがあるわけであります。

 労働契約は合意が原則であります。どんな場合であっても、労働者は使用者の言いなりに労働条件の変更を受け入れざるを得ないという内容であれば、それは問題である、そう言わざるを得ません。

 この点、労働契約法案におきましては、どのような規定を置くことにしているのか、そしてまた、それは労働者の保護に資する内容となっているのかどうか、この点について確認をさせていただきたいと思います。

青木政府参考人 労働契約法のお尋ねでありますが、労働契約法の六条、八条におきまして、労働契約は、労働者及び使用者の合意により成立し、変更されるものである旨の、いわば合意原則をまず明確に規定しているところでございます。

 その上で、就業規則による労働条件変更に関する最高裁判所の判例法理に沿って、原則といたしまして、使用者が労働者と合意することなく、就業規則の変更により労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできない旨をまず規定いたしまして、さらに、変更後の就業規則が労働者に周知されており、かつ、就業規則の変更が合理的なものである場合に、労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとする旨、それぞれ九条、十条で規定しているところでございます。

 このように、労働契約法案は、労働条件の変更に関しまして、労働者及び使用者の合意を原則としつつ、現在の判例法理に沿ったルールとするものでございます。

 また、就業規則による労働条件の変更ができる場合の合理性の判断要素として、「労働者の受ける不利益の程度」という、個々の労働者にとっての影響でありますとか、「労働組合等との交渉の状況」という、就業規則の変更に当たっての労使協議の状況を明示しているなど、労働者の保護に十分配慮したものとなっているというふうに考えております。

福島委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

櫻田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柳澤国務大臣 ただいま議題となりました社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 社会保障協定を実施するに当たりましては、従来から社会保障協定を締結するごとに厚生年金保険法等の特例等に関する法律を制定してきており、その数は既に七本に達しております。これらの特例法は、いずれも、医療保険制度及び年金制度の適用並びに年金を受ける権利を確立するための期間の通算に関する社会保障協定上の規定の実施につき、国内法の規定との間の調整を要する事項を定めることを主たる内容とするものであり、その形式及び内容は、おおむね定型化されてきております。

 このような状況にかんがみ、社会保障協定に係る法制の簡素化及びその的確かつ円滑な実施を図るため、これまで各国ごとに制定されていた社会保障協定の実施に関する諸法律を統合するとともに、今後締結する社会保障協定の実施に備えて、公的医療保険各法及び公的年金各法について必要な特例を一般的に定めることとした次第であります。

 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一は、被保険者の資格に関する特例であります。

 社会保障協定の相手国から我が国に一時的に派遣された者などは、公的医療保険各法及び公的年金各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。

 第二は、給付の支給要件に関する特例であります。

 公的年金各法の給付の支給要件について、社会保障協定の相手国の年金制度に加入していた期間を我が国の年金制度に加入していた期間に算入するなどの特例を設けることとしております。

 第三は、給付の額の計算に関する特例であります。

 ただいま申し上げました特例により支給要件を満たした場合、我が国の年金制度に加入した期間に応じた額を支給することとしております。

 最後に、施行期日でありますが、一部を除き、平成二十年三月三十一日までの間において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

櫻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官新井英男君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 自民党の木原誠二でございます。

 社会保障協定法案の審議に入ります前に、年金記録の問題について数点まずお伺いいたしたい、このように思います。

 きょうもまた新聞紙上あるいはまた朝のテレビでもいろいろな課題が浮き彫りになっている、そういう状況だろうかというふうに思います。大変残念なことでありますけれども、二十四時間の電話相談、コールセンターも、四十七万件というアクセスというか電話があったにもかかわらず四%程度しか対応ができなかったというようなことも、きょうの報道があったわけでございます。

 今、この状況は、本当に国民の間に不安と動揺がどんどんどんどん広がっている、こういう状況であろうか。そういう意味では、今求められることは、危機管理の能力というのが非常に求められている、こういう状況であろうというふうに思います。

 三点、私は必要であろうと思います。一つは、国民一人一人、あるいは受給者、被保険者お一方お一方に丁寧に対応していく。そういう意味で、お一方お一方の不安を取り除いていく。二点目は、それとは別に、やはり制度全体をとらえた不安の解消策。そういう意味では、政府としては、既に、五千万件、未統合の年金記録、これを来年の五月までに突合していきますよということ、あるいは時効の撤廃というようなことで対応を進めているところでありますけれども、それが二点目。そして三点目は、やはりこういう事態に陥った場合は、責任の所在、これまでの経緯、責任をどうやってとっていくのかということ。この三点が私は危機管理として大変重要だ、このように思っております。

 その中で、きょうは特に一点目の、お一人お一人に対する不安の解消というところ。

 私は、二十四時間の電話窓口を置いていただいた、あるいは土日をあけてもらっている、あるいはターミナル駅に臨時の出張所をつくって対応している、それぞれいいことであるというふうに思いますけれども、やるからには徹底してやってもらわなければいけない。せっかくやったのに、それがかえって不安をあおるという結果は私は本末転倒だと正直申し上げざるを得ないというふうに思います。

 そういう意味では、冒頭申し上げたように、電話をおかけいただいた方々がなかなか電話がつながらないということについては、やはりもっと十分な準備をして、そしてまた回線を引き、そしてまた、それこそ社会保険庁のOBの方にもお願いをして、しっかりとした体制整備をすべきであろう、このように思います。

 そのことはまた、答弁の中で、いろいろあればおっしゃっていただきたいというふうに思いますけれども、私は、きょうは一つだけお伺いをしたいというふうに思います。

 というのは、私の地元で、六十代の方ですけれども、この電話相談、コールセンターにお電話をされた方がおられます。意を決して電話をした、そういう言い方を私にされておりまして、いろいろな資料を集めて、集めているうちに夕方になっちゃいました、そのうち、夜になっちゃいました、御飯を食べてから電話をしました、こういうふうに言っておられました。電話をかけて、お話は聞いていただいた、極めて丁寧に聞いていただいた。しかし、もうコンピューターがおりているんです、その場では記録を確認できません、こういうふうに言われたと言うんですね。

 私は、二十四時間電話のこれを開いているということは、当然、かけた時点でやはり年金記録が確認できるということが大変に重要なことだろうというふうに思います。電話をかけるということは、実は、非常に簡単なように見えて、かける前にはやはりそれなりの準備と決意が私は要るんだろうというふうに思うんですね。かけたところが、コンピューターはもう動いていません、あした以降通知をさせていただきますでは、やはり私は国民の不安というのは解消されない、このように思います。後で届いたときには、またもう一度自分の気持ちを奮い立たせてその記録を読まないといけないわけですね。そういう負担をやはり私は国民の皆さんに与えるべきではない、このように思います。

 いろいろ問題があるのは重々承知をしておりますけれども、二十四時間のコールセンターをやるからには、コンピューターでの記録確認というのも二十四時間できる体制をぜひ構築していただきたい、早急にやっていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 年金記録相談につきまして、ただいま委員からも御紹介ございましたけれども、大変国民の皆さんに御不便をおかけしているということを、まずもっておわびを申し上げなければならないと思います。

 ただいま委員から、せっかく、二十四時間オンラインが動けるようにしてはどうかという御提案をいただいたわけでございますが、実は、社会保険庁の記録管理システム、いわゆるレガシーと言われておりますシステムでございまして、大変不便、不自由がございます。

 特に、その中でも、二十四時間運転ができないかということに関しましては、実は、一日ごとに、いわばシステムダウンをして、それから立ち上げてという切りかえを行うことによって、日付日付ごとの記録が、その日に確かに記録されたということが記録されるような形になっておりますので、実はこの運転そのものが、いわば、そういう立ち上げを行い、システムダウンするということを前提にできているプログラムだということが一つの問題としてございます。したがいまして、それを全部見直しをするということになりますと、この記録管理についてのニーズ以外の、リアルタイムで変更しておりますさまざまな諸変更についても非常に大きな影響が出てまいりまして、にわかには残念ながらできないという問題を抱えてございます。

 ただ、そうは申しましても、委員の御指摘にもございましたように、やるからには徹底的にということを私どもも心がけなければならないと思っておりますので、二十四時間連続でというのはなかなか難しいところがありますが、作業計画の見直しをいたしまして、できる限り稼動時間を延長いたしまして、年金記録に対します国民の皆様の御不安や疑問におこたえをしていくということは、この間も少し延長させていただくということで心がけさせていただいております。

 また、具体的には、フリーダイヤルのねんきんあんしんダイヤルで、土日を含めた二十四時間電話相談、これはコールバック方式ということで、後で記録を届けさせていただくということで、御不便をおかけしておりますが、対応させていただいております。それから、ねんきんダイヤルの対応は、そういうことで夜の十時まで今延長ということでさせていただいております。

 また、社会保険事務所においでいただいて御相談をいただく場合には、これは、従来は月曜日だけ七時までということにしておったのを、平日も毎日七時まで受け付けをさせていただくという形で延長させていただいております。また、本当は土日にもシステムを動かすことができますと、またお暇なときにおいでいただけて大変よろしいわけなんですが、実はこのシステムそのものは、そういった土日の日などについては、大きな法律、制度改正のためのいわばテストを行ったり、そのプログラムを改修したりするというところにスケジュールを組ませていただいていますので、可能な限り、土日についても、今後、そのスケジュールのすき間をあけて、なるべくシステムが動くようにさせていただきたいと思いますが、直ちには対応できないという点を重ね重ねおわびを申し上げさせていただきたいと存じます。

木原(誠)委員 部長、正直申し上げて、やりますと言いながら、なかなか難しいですよ、努力はしますけれども、しかしこういう問題がありますよと、そういうことを言っている場合じゃないんだろうと思います。やれることはぜひ全部やっていただきたい、こう思います。

 その中でも、土日、今あけていらっしゃるという話がありましたけれども、これはすべての土日じゃないですね、まだ。すべての土日、今あいているという理解でよろしいですか。

青柳政府参考人 従来は第二土曜日のみ開庁しまして、ここはシステムも動くという形の対応をとっておりました。現在はすべての土日を開庁しております。ただし、システムが動かないものですから、御相談を受けて、記録についてはコールバックの方式で後ほど返させていただく、こういうやり方をさせていただいております。

木原(誠)委員 わかりました。

 いずれにしても、やはりこれは人員が必要なことだろうというふうに思います。そういう意味では、冒頭も言いましたけれども、やはりOBの方なんかにもぜひ参加をしていただく、もちろん社会保険労務士の皆さんに御協力いただくというのも当然だろうというように思いますけれども、ぜひやっていただきたいなというふうに思います。

 私も実は税務署長をやっていたことがあるんです。税務署は、確定申告のときになると臨時開庁してかなりの体制拡充してやるわけですね。私は、これは、少なくとも今後三、四カ月、集中的に人員を配置して、コンピューターもやはりそちらに振り向ける形で、ぜひ徹底した個別の対応をやっていただきたいな、このことをお願いしておきたいというように思います。

 それからもう一点。先ほど私三点申し上げましたけれども、二点目の制度の改変については、これから多分多くの議員の方から御議論があろうかというように思います。私は、むしろこの責任の所在ということについて、ぜひ、今この時点、できるだけ早い時点で明らかにしていただきたい、このように思っております。

 当然のことながら、事ここに至ったということについては、さまざまな労働慣行があった、このことはこの質疑の中でも明らかになっている。パソコンの稼動時間が短いとか、何分やったら何分休むんだとか、いろいろな労働慣行がある、このことは重々理解をしております。したがって、だからこそ、与党として、あるいは政府として、もう親方日の丸ではだめなんですよ、これはもう非公務員型にするんです、そういう法案をお諮りをし成立をさせていただいたんだろう、このように思っております。

 しかし他方で、そういうまさに現場で働いていらっしゃる人たちにそういうふうに非公務員になっていただいて、これからもう少ししっかり働いていただく、そういう責任をとっていただく、これは当然のことだろうと思いますけれども、同時に、現場を指揮してきた人たちにも当然責任をやはりとっていただかなければいけないと私は思います。

 とりわけ、もちろん歴代の厚生労働大臣というのも、これももちろんそうだと思います。しかし、やはり現場を指揮してきた、これは庁でございますから、独立の外局ですから、社会保険庁長官にしっかり責任をとっていただくということ、私は、歴代の社会保険庁長官に責任をとっていただくということは重要だ、こう思います。

 今、外部有識者にゆだねる、こういうことになっているようですけれども、ぜひ大臣、厚生労働大臣として、この社会保険庁、歴代の長官の責任のあり方ということについて一言御答弁いただきたいというように思います。

柳澤国務大臣 今日、国民の皆様の大事な年金につきまして、このような事態、つまり、年金記録について御信頼をいただけるような体制を完璧にしいていないということで、いろいろなところで、そごあるいはミス、こういったものが露呈をいたしておるという事態、まことに申しわけなく思っております。

 長い、年金は昭和十七年に厚生年金が始まり、また、拠出制ということになりますと、昭和三十六年に国民年金が始まったわけでございますけれども、それ以来、その制度設計のそもそものとき、それからまた手書きのいろいろな作業をしておったその手書きの事務処理要領、さらには、コンピューターの発展に合わせてこれをコンピューターで管理するといったときの、手と、それから機械のインターフェースの処理の問題、それからさらに、コンピューターをオンライン化するというときの問題、そして最後に、基礎年金番号ということで一元的に管理をする、そういうときに、これまであった幾つかの年金記号番号の統合をするという問題、そういう、そのときそのとき、節々で、本当にしっかりした周到な制度設計が行われたのか、それからまた、その制度設計のもとにおけるフォローアップの進捗管理というものがしっかり行われていたのか等々、ざっと考えてみましても、非常にいろいろな、それぞれの決定、決断というものが行われて今日の姿になっているということでございます。そういう意味合いでは、今木原委員の御指摘にございましたように、これは私は関係者全体の責任ということだと思います。

 そういうことですけれども、また、今御指摘になられた総指揮官である長官、あるいはそれの監督責任のある大臣、こういうようなものすべてについて、私は、何がしかの責任がある、こう言わざるを得ないと思います。

 しかしながら、長い経緯を持つ問題でございまして、複雑な、いろいろな事務処理の進展もございましたので、これらの詳細については、今度新しく総務省に検証委員会が発足することになりました。もう既に発足をいたしたので、迅速にこれを御検証いただいて、そしてしっかりした、今回の事態に至る経緯それから原因、責任の所在、こういったものを明らかにしていただきたい、このように考えているところでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。ぜひ、リーダーシップを発揮していただいて、検討いただきたいな、このように思います。

 法案の審議ですので、最後に一問だけさせていただきたいと思います。

 私自身は、今回の社会保障協定法案、有意義なものであるというように思います。とりわけ社会保障協定、我が国の場合余り進んでいませんから、この一括法によって迅速な処理をできるようにするということは、私は大変前向きにとらえたいというように思いますけれども、今、この社会保障協定、我が国は少ないという現実を踏まえて、今後、この法案に基づいてどういう体制で、そしてまたどういうふうに進めていくのか、その決意をまたお述べいただければというように思います。

柳澤国務大臣 今回御審議をお願いいたしております社会保障協定のいわば締結に伴う国内法制の整備でございますけれども、これにつきましては、二重負担の解消、それから保険料の掛け捨て問題というものが生じないよう、加入期間を通算するという、この二つの柱でもって今回の法案の御審議をお願いしているわけでございます。

 今日まで、私どもの国では、ドイツと一番先に社会保障協定を結んだということがございますけれども、その後、協定または署名済みの国は八カ国に上っているわけでございます。しかしながら、先進国のこうした体制の整備ぶりに比較いたしますと、今委員の御指摘のとおり、取り組みがおくれている、そういう現状になっていることは否めない事実でございます。しかし、グローバリゼーションの進展の中、人的交流、それから経済活動のさらに国際的な取り組みというものも非常に進んでおりますので、率直に言って、いろいろとその要請も高いというふうに受けとめております。

 ただ、一つだけ申し上げさせていただきますと、日本の国が非常に縁の深い近隣の国々というのは、社会保障制度の成熟度というものが、我が国と、率直に言って少しおくれている、そういう面もございまして、その間の通算とか通則とかというようなものを必ずしも必要としないというような状況もあるわけでございまして、押しなべて非常に社会保障制度が成熟をしている、例えば欧米の国々との間に比べますと、ややこの面で客観的に我々は制約されるというようなこともございます。

 しかし、その状況に甘んじないで、これから、必要なところについては迅速に、今回の法律ができ上がりますと、マンパワーの点で、今までの国内法制の整備よりもそういう協定の締結の方に力が割けますから、そうした意味で、できるだけこの面の締結の数の、あるいはネットワークの促進というものを進めてまいりたい、このように考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、社会保障協定の実施に伴う包括特例法案について質問してまいりたいと思います。

 本法案の質問に入ります前に、昨日明らかになりました国民年金被保険者台帳のサンプル調査についてお伺いをしてまいります。

 社会保険庁は、国民年金の過去の手書きの納付記録から三千九十件を抽出いたしまして、コンピューターに正確に入力されているかどうかというサンプル調査を行い、その結果、四件、記録の食い違いがあるということが明らかとなりました。

 今回のサンプル調査は、国民年金の保険料に未納期間があったり、未払い分の保険料を後からまとめて納付するなど、納付記録が複雑になっている人を別枠で管理している特殊台帳約三千二百万件の記録でございます。この特殊台帳すべてをマイクロフィルム化して保存するなど、一般の台帳に比べて厳格に管理をされていると伺っております。

 今回、食い違いがあった四件、いずれも、保険料を支払った期間の不一致であったとのことでありますが、このサンプル調査の結果につきまして、大臣の御見解をお伺いいたします。

柳澤国務大臣 私どものオンラインのシステム、基礎年金番号、それから五千万件に上る未統合の記号番号というものがございますけれども、特に、基礎年金番号のオンライン化の記録と、それから、もともとそれの、電子的な処理をしたもとの原稿ですね、その原資料、これとを突き合わせまして、ちゃんとインプットがされたかどうか、これを調べるということは、私ども、今回の取り組みの中で、本格的にこれに取り組むということを既に決めているわけでございますけれども、それに先立ちまして、対照する相手も非常に特定されていて、きちんと整理をされているという、今委員の御指摘の特例納付の台帳というものがございます。したがいまして、これと突き合わせるということは割と能率的にいくはずではないか、こういう御提案を委員会審議の中で受けまして、それをやってみることにしますということで今回やってみまして、その結果を御報告させていただいたわけでございます。

 対照記録の全件は三千九十件でございましたけれども、マイクロフィルムに対応するオンライン記録がない、つまり、もう頭から、記号番号やら、住所氏名とか生年月日とか性別とかというものがすぽんとすべてなかった、そういう事例は、当然のことながらありませんでした。それから、生年月日、住所、性別という、個人を特定する記載についても、まず、まあまあ食い違いというようなことはなかった、こういうことでございます。ただ、三千九十件のうち四件について、やはり、納付情報の一部につきまして食い違いがあったということを私ども発表させていただいている次第でございます。

 いずれにいたしましても、この特例納付というのは、先ほど委員もお触れになられたように、いわば特例的な納付をするということで、きちっきちっとレギュラーな納付をする記録とはちょっと違う記録でございますので、難しさもあるわけですけれども、しかし、そういうことを言いわけにするのではなくて、どんなものであってもきちっと一〇〇%オンライン記録にそれが移行しているということでなければならないということを考えますと、このことについても、私どもは遺憾である、このように考えます。

 これからもまた、全部のもと資料、台帳だとかマイクロフィルムとの照合というものをしっかりやっていく必要がある、このように考えております。

古屋(範)委員 さまざまなものを照合して、一〇〇%照合を完了させていくというお答えでございました。

 今回、明らかになりました記録の食い違い、これは、昨年八月から年末まで行いました年金記録相談の特別強化月間の中で、約百万件の相談のうち、二十九件、不一致が見つかっております。こうしたサンプル調査、そしてこの二十九件、いずれにいたしましても、厳密に復元をされていかなければいけない、このように考えますが、この具体的手順についてお伺いをいたします。

青柳政府参考人 ただいま、オンラインの記録と実際の納付実績が食い違っている場合についての、どのようにこれを復元していくかということについてのお尋ねがございました。

 社会保険庁におきましては、既に新対応策として公表させていただいておりますけれども、社会保険庁のマイクロフィルム、それから市町村がお持ちであるところの被保険者名簿等の記録、これを、社会保険庁のオンライン記録と突き合わせを計画的に行う。ただ、それについては、現時点でいつまでにどのようなということをお示しできないものですから、その進捗状況を半年ごとに公表させていただくというふうに既に公表させていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、これは相当膨大な記録にもなりますし、また、その記録の存在場所が、私ども社会保険庁の中でも、本庁にあるもの、それから、各県の社会保険事務所にあるもの、さらに、市町村にそれぞれあるものというふうな形で散在をしております。したがいまして、この全体像を一日も早く整理いたしまして、この全体像を前提に、最も効率的な突き合わせの方法というものを早急に組み立ててまいりたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、そういうふうにいたしまして突き合わせをいたしました結果、食い違いが生じております場合には、記録を確認の上、私ども、順次オンライン記録の方にこれを収録してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 この年金記録につきましては、市町村が保有する台帳の記録、また社保庁のオンライン記録など、チェックを速やかに行われて、その進捗状況、今おっしゃいましたように逐次公表しながら、計画的かつ徹底的に調査をしていただきたい、このことを強く要望いたしておきます。

 また、社会保険庁、十一日に開設をいたしました記録照会専用フリーダイヤル、ねんきんあんしんダイヤルに相談、問い合わせが殺到しているということでございます。電話がかからないという苦情が起きております。国民の年金に対する不安解消のためにも、この相談業務、ぜひとも拡充をさせ、国民の申し出に応答できるよう、体制を強化させていただきたい、このこともあわせて要望しておきたいと思います。

 次に、市町村におけます被保険者名簿等の調査に対する回答、これが発表をされました。被保険者名簿の保管の有無につきまして、保管ありと回答する市町村千六百三十六、そして保管なしと回答するのが百九十一市町村であったということでございます。この点についての御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

青柳政府参考人 ただいまお尋ねのございました、市町村にございます国民年金の被保険者名簿でございますが、これは、平成十四年まで市町村が国民年金の保険料の徴収業務を行っておられたということで、市町村の方でその徴収業務を行うために、いわば控えとしてその記録を残しておられたもの、これでございます。

 これにつきまして、ただいま委員からも御紹介がございましたように、現在どのような保管状態になっているのか、平成十四年から既に五年を過ぎようとしている段階で、みんな廃棄されていないであろうかということから調査をさせていただいたものでございます。

 保管の有無につきましては、保管ありとの回答が一千六百三十六市町村、保管なしとの回答が百九十一市町村でございました。また、その名簿の保管の方法、媒体としてどのような媒体で保管しているかにつきましては、紙の形で保管されているところが一千三百九十三市町村、それからマイクロフィルムで保管されているところが六十六市町村、そして磁気媒体で保管されているところが五百七十九市町村でございました。

 また、被保険者名簿以外にも、当時徴収業務を行っておられた市町村が各種の資料を保管しているだろうということで、あわせてお尋ねをいたしましたが、保険料の検認カードあるいは保険料の検認簿という形での保管をしているという御回答が七百五十の市町村からちょうだいできました。また、保険料の領収済み通知書、これは、領収書そのものは御本人の手元に残るわけでございますし、また、途中で、これを支払ったときの金融機関にもその控えが残るわけでございますが、最終的には保険料領収済み通知書というのが市町村に残るわけでございまして、これが三百五十五市町村で保管しているというふうに御回答いただきました。

 なお、この被保険者名簿については、そういうことで、既に廃棄をされている市町村も残念ながらおありになるということでございますけれども、私どもといたしましては、これは、被保険者名簿が廃棄をされていればもう調べるすべはないということではなく、私どもの方が逆に保管をしております国民年金の、先ほど話題に出ましたいわゆる特殊台帳等の記録もございます、こういったものをすべて突き合わせいたしまして、きちんと記録を復元していくということでございます。

 また、仮に、御本人も領収書がない、私どもの方にも台帳を含め何の記録もないというようなケースにつきましては、先日来御議論をいただいておりますけれども、いわゆる第三者委員会を今後総務省の方に設置していただくことになりましたので、ここで十分に御本人の申し立て等を丁寧にお聞き取りいただき、あるいは私どもも協力をいたしまして、関連資料を徹底的に調査、分析するというプロセスを経て、一つ一つ丁寧にこの記録の復元というものに取り組んでまいりたいと考えております。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 国民の側は、市町村での記録が廃棄をされた、そのことだけを聞きますと非常に不安になっているというふうに思います。ぜひとも丁寧な、正確な説明というものを行っていただきたいというふうに考えます。

 次に、この社会保障協定の実施に伴う包括特例法案についてお伺いをしてまいります。

 世界経済のグローバル化に伴い、企業活動が世界じゅうに広がっていく、我が国の企業が海外企業と競争していくため、より自由で柔軟な活動を可能にするビジネス環境の整備、これが急がれていると思います。このような中、これまでも社会保障協定が七カ国と締結をされまして、相互の経済交流も一段と活発化をしております。

 今回、社会保障協定にかかわる包括実施特例法案が制定されることにより、社会保障協定発効までの手続が迅速化をされると考えてよろしいのでしょうか。本法案制定の意義についてお伺いをいたします。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで社会保障協定の締結ごとに、協定と国内法制を各国ごとに整備してまいりましたが、ことしの二月まで含めまして、従来七カ国でありましたのが八カ国と協定または署名というところまでたどり着いております。それらの経験の中から、国内法制の対応が定型化され、各国ごとの法律の内容をすべて網羅することができるのではないかということで整理をさせていただきましたのが、今回御審議賜っております包括実施特例法でございます。

 これによりまして迅速かつ機動的な国内法制の整備が可能ということになりますので、協定の発効までの過程の迅速化、多数国との積極的な協定締結に向けた機動的な交渉が可能となるということで、本来の国際協定締結への加速化ということが私どもとして今まで以上に実現できるというふうにその意義を考えております。

古屋(範)委員 本法案が社会保障制度における二重負担の解消また保険料の掛け捨て防止などを目的としている、そのことの関係団体、関係者への十分な理解が不可欠であると思います。今後ともぜひこの法案の内容の周知広報活動に取り組んでいただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 最後の質問に参ります。

 私もこれまで、海外から日本に働きに来られている方、特に中国の女性などとも交流がございまして、やはり年金問題は非常に関心のあるところでございます。特に、高学歴で、日本に来てからまた大学、大学院に行く、職業につくのが遅い方々に関しましては、それほど長くならず、十年足らずで帰国してしまう、そのような方々もいるわけでありまして、受給資格がある二十五年に満たないために掛け捨てになっている、このような実情もございます。

 人的交流が多く、また今後ともこうした交流が増加を予想されるアジア諸国を中心とした、社会保障制度が未成熟な国との社会保障協定についても今後進展を考えていかなければいけない、このように思うところでございます。これにつきまして、最後、柳澤大臣に御見解をお伺いいたしたいと思います。

柳澤国務大臣 それぞれの国が、近代化を進める中で、国民の福祉の向上のために社会保障制度というものを逐次整備されていっております。今委員から御指摘のありました、アジアの近隣の国々においてもひとしくそういう動きが見られるところと言ってよろしかろうと思います。

 そうした中で、今回、私どもが社会保障協定の国内法制を包括法制とさせていただきました。このことによりまして、これまで、社会保障協定を結ぶごとに国内の法制度をまた個別の制度として整えてまいりましたけれども、今回この包括的な制度をぜひ成立させていただくことができますれば、これはもうそこに割かれていた力、マンパワーというものを社会保障協定そのものの締結のためのエネルギーにむしろ転換していくことができる、そういうようなことでございますので、私どもとしては、今委員が御指摘のような、アジアの国々との関係におきましても、その可能性をより広範に検討していくことができる体制ができると思います。

 ただ、なかなか、社会保障制度の成熟というのは少し時間がかかることでもございますので、それらの成熟の度合いというものをよく見ながら、そしてまた、現実のニーズ、経済界等からこれは上がってくるわけでございますが、そういう声に十分耳を傾けて、できるだけ前向きに、そして、人的な交流がさらに安心した形でできるように私ども努めてまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

櫻田委員長 次に、山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則です。

 これから一時間にわたって、消えた年金問題を中心に質問をさせていただきます。

 きょうは、資料を二つお配りしております。

 一つ目の資料は、衆議院厚生労働委員会山井和則一ページ目と書いてありまして、「五人の消えた年金被害者の事情―民主党に寄せられたお手紙から―」ということで、毎日数十通、メール、手紙、ファクス、電話、いろいろなものが届いておりまして、これはその一部ですけれども、毎日多くの方々から、納付記録が十カ月欠けている、あるいは十年欠けているという悲痛な叫び、相談が民主党に寄せられております。

 それともう一つの資料は、十ページ目からになっておりますが、「マイクロフィルムに関する調査回答票」ということになっております。

 この資料を入手した経緯についてはるる申し上げますが、柳澤大臣、私はきょう、徹夜でこの質問に立っております。なぜ徹夜をして質問しているかということも今から申し上げたいと思っております。

 きょうの新聞も、見ておりますと、「三千九十件中四件にミス」「年金サンプル調査」ということで、こういう調子でいくと六万件ぐらいのサンプルに間違いがあるのではないか、そういうふうなことが報道で言われております。これは無作為の抽出でありますので、三千九十件のうち四件が間違っているということは、特殊台帳は三千二百万件あるわけですから、計算上は四万件以上の食い違いが存在する可能性があるということであります。

 この調査は、もともと我が党の長妻議員が三月の段階から要望していたわけで、本来、社会保険庁改革関連法案の審議の最中に当然出てくるべきであったわけであります。それが出てこないままに強行採決になり、強行採決が終わってからもう二週間たってやっと出てきたという、いわくつきの資料であります。

 そして、例えば、きょうの資料に配付しております中村正見さん、中村美津子さん御夫妻、このお二人は、正見さん、御主人が七年八カ月、中村美津子さんが四年四カ月、一括納付、特例納付で払ったものが一気に消えてしまった。その結果、二十年間で、このパネルにありますように、二十年間の被害総額は、御主人が二百七十七万円、そして中村美津子さん、奥さんが二百万円、夫婦で、この特例納付の期間のものが見つからなければ四百七十八万円年金の不払いになってしまうという、これは大変なケースであります。

 そして、その次に出ておりますU夫妻、これもこの週末、我が党に手紙で相談が来たケースであります。昭和五十年十二月に夫婦で年金を特例納付で納めた。特例納付というのは、今まで何年か未納であった部分を一括して納付するということであります。夫の分が十一年八カ月、妻の分が九年六カ月、一括で大金を納付した。お便りによりますと、余りに大金だったので、役所の人が、本当にこんな大金、一気にお支払いになっていいんですかということまで念押しをされているわけであります。にもかかわらず、夫十一年八カ月分、妻九年六カ月分、合わすところ二十一年と二カ月分が納付されていないということになってしまっております。

 皆さんも考えてもらったらわかると思いますが、一カ月納めたかどうか忘れたな、二カ月納めたかどうか忘れたなというのはあろうかと思います、三十年前。しかし、十一年八カ月分、御主人、奥さんが九年六カ月分、一緒になって納めに行って、役所の人が、こんなにたくさん一気に払って大丈夫なんですかということも聞かれた。これでうそをついているというふうには普通は考えにくいのではないかと思います。

 朝日新聞や毎日新聞の報道でもありますが、このような特例納付、一括納付というのが、例外的な事務であったので非常に消えてしまっている確率が高いというふうになっております。柳澤大臣も、月曜日の質疑の中で、このことに関しては早急に調査をするという答弁もされました。

 そして、今回調査になったこの三千九十の多くがこの特例納付の特殊台帳なんですね。これだけばたばたと特例納付が消えている。毎日のように民主党の年金一一〇番に特例納付で消えているお便り、メールが来る。また特例納付が消えたのか、毎日のように私はそう思っているわけです。にもかかわらず、今回は、三千九十件中ミスがたった四件しかないということで、私もちょっと不思議に感じたわけであります。

 それで、このことを通じて、昨日の理事懇談会、五時の時点で、この三千九十件中四件という結論だけをペーパーで見せられてもわからないから、もとの生データを提出してくださいということを、与野党合意で、理事懇談会の名においてお願いしました。その際には、集計や加工をすると、またもとのデータはどうだったんだという議論になるから、もう四月二十七日にメールで三百九の社会保険事務所に頼んで、五月二日締め切りで、返ってきているわけです、多くが。だから、その返ってきたとおりでいいから、そのもとのデータをくださいということを、夕方五時の理事懇で、与野党合意で社会保険庁にお願いしました。

 そして、菅原政務官が社会保険庁の方に相談したら、まあ十時か十一時に出せるということになりました。その際に、理事からは、あしたこの質問を午後したいから、できるだけ早く出してほしい、その資料が出てから質問取りになるわけだから、最悪十一時、でも、できれば十時ぐらいに出してほしい、余り遅くなると質問取りで社会保険庁の方にも迷惑がかかるからということになったわけであります。

 それで、十時から、私のみならず、多くの理事は待機をして、待っておりました。十一時になっても連絡はありません。十二時になっても連絡はありません。一時になっても連絡はありません。新聞の朝刊の締め切りが一時過ぎでありまして、もう間に合わないな、それにこんなことをしていたら寝られない、だから、もう電話をして、出ないんだったらしようがないからもう帰らせてもらいますということで、電話をしようと思ったその瞬間、一時十五分に、今完成しました、今から届けに参りますという電話が榎本さんという方からございました。

 ああよかった、二時間十五分おくれだったけれども、一時十五分まで待っていてよかったな、社会保険庁からは車で五分でありますから、一時十五分に電話があったから一時二十分か二十五分に来るのかなと思って待っていた。待てど暮らせど参りません。来たのが二時十五分。二時十五分。十一時と言っていたのが、出てきたのが三時間十五分おくれであります。榎本さんが来てくださいました。

 そして、榎本さんからいただいたのが、きょうお配りしておりますこの「二時十五分受取」という資料、これ、六ページ版であります。

 このときに、ちょっと説明が長くなりますが、私は、えっと言いました。というのが、この頭紙、十六ページには、「サンプル調査に関する各社会保険事務所からの回答書の集計について、お届け致します。」と。それで私は言ったんですね、理事懇で要望したのは集計じゃないと言ったでしょう、加工したら、またもとのデータはどうかということになるから、加工せずに、もうメールで来たままの、生のデータをくださいということになっているでしょう、なぜ集計したのを三時間十五分も待たせて持ってくるんですかと聞いたら、榎本さんは、さて私にはわかりませんということをおっしゃいました。

 それで、でも来てもらった以上は、レクが待っているわけですよね、レクが、これを踏まえて。だから、説明を聞かせてくださいと。この資料を見て、皆さんわかりますか。たくさん、いっぱい食い違っているわけですよ。三千九十件中四件しか食い違いはないと言っているのに、いっぱい食い違っているわけですよ。説明を一個一個聞かせてくださいと言ったら、榎本さんは、私が作業したのではありませんので私は詳しくありませんとおっしゃるんですよ。

 そうしたら、何で詳しくない人が来るんですか。資料を持ってくるということは、渡したら説明してくださいという話になるに普通決まっているじゃないですか。(発言する者あり)

 それで、今も高橋委員が待っていたとおっしゃいましたが、阿部議員も待っていた、高橋議員も待っていた。みんな、これを踏まえてきょうの午後質問をするんですから、これが来なかったら質問通告できない。そして、お一人お一人帰られて、山井さん頼むよ、山井さん頼むよということで、私は最後まで残っていたわけですよね。

 それで、やっと二時十五分に来たから、説明を聞かせてくださいと言ったら、私が作業したのではないから私は詳しくないと。それで、私は申し上げました、もうここまで待った以上は、それは説明を聞かないわけにいかないと。私も、与党も含めた全理事の代表として待っているんだから帰れない。帰れないと。(拍手)それで、説明できる人を連れてきてください、それと集計前のもとデータ、加工しなくていいんですよ、それを持ってきてくださいと。

 そうしたら、今からとりに行きますとおっしゃったので、私は、待ってくれ、次いつ来てくれるんですかと。もう帰ってこなかったら、帰れないから。三時十五分に帰るとおっしゃったので、何分ぐらいでそれが、資料ができるかと聞いたら、電話をされて、三十分ぐらいで帰ってこられるとおっしゃったので、わかりました、今三時十五分ですから三時四十五分ぐらいですね、待っていましょうということを言って、待っておりました。待っておりました。

 そうしたら、その次に、榎本さんと業務センターの企画調整課の嶋崎課長と神宮主査が来られたのは、この資料の十七ページ目にありますように、「五時十分受取」。ちょっと私も意識もうろうとしておりましたので不確かですが、五時十分ごろに三人でやってこられたわけです。それで、やっとそのとき私は、要望してから、五時に要望してから十二時間十分たって、やっとこれを入手したわけですね。こっちの、これが原本です。四十七都道府県から四十七枚来ているわけです。

 そうなんですよ、もと来たとおりでいいのに、何で頼みもしないのに集計して、頼みもしないのに勝手に集計して九時間もおくれてくるんですか、もとからこれあるんでしょう、何でこれを出してくれなかったんですかと言ったら、その嶋崎課長も、山井議員、違うんですよ、この四十七枚を打ち出す方が時間がかかるんですと。逆に、このまとまった六枚ペラは既にあったんですとおっしゃるんですよ。それで、ちょっと待ってください、既にあったんですか、この六枚ペラは。では、いつこの六枚ペラの集計はできていたんですかと言ったら、この集計をもとに、昨日理事懇に、四件しか給付漏れに関係する入力ミスがなかったという結果を出したベースとなるのがこの六ページのペーパーです、だから月曜日にはこの六枚の集計はできていました、こうおっしゃるわけですよね。

 それで、神宮主査にも確認して、嶋崎課長にも、月曜日にあったんですか、月曜日にあったものを、五時の理事懇で要求して、何でそれから七時間か十時間かかるんですか、あったらすぐに持ってきてくれたらいいじゃないですか、この消えた九時間は一体何だったんですかと言ったら、精査をしていたと言うんですよ、もう一回。でも違うでしょう、精査は既に、四件しか給付に関係する間違いがないということを理事懇で十時に発表する時点で既に精査は終わっているんだから、精査をしたからマスコミにも理事懇にも参議院にも提出しているわけなんですよね。それを衆議院の理事に出すから、もう一回九時間かけて精査するというのは一体どういうことだと。それで、精査をしてどういう修正があったんですかと言ったら、修正はありませんと言うわけですよね。そうしたら一体何をやっていたんですかと。

 それで、もうその時点で五時十分を過ぎておりました。でも、あした質問しないとだめなわけですから。五時十分。朝の部会は八時から始まるわけですね。朝の部会は八時から、民主党は。でも、もうここまで来たら説明を聞かないと帰れないじゃないですか。五時十分だけれども、説明を聞かせてくださいと言って説明を聞きました。私は、ここにいろいろ書かせていただきました。一件一件、これはどうだ、これはどうだといって、書かせていただきました。

 そうしたら、また嶋崎課長と神宮さんが、いや、このデータも、最初に来たのと修正があったりしていますからなかなかよくわからないんですよと言うから、ちょっと待ってくださいと。これがもとのデータじゃないんですかと言ったら、いや、もと来たデータを多少修正したのもあるんですと言うから、ちょっと待ってくださいよと。だから、もとを出してください、十二時間前から言っているでしょう、まだこれよりもとがあるんですか、そうしたら、そのもとを持ってきてくださいよ、もう六時じゃないですか、朝のと。

 それで、そうしたら一回出直してきますと言うから、ちょっと待ってください、出直して本当に帰ってきてくれるんでしょうね、私は八時から部会なんですよと。そうしたら、いや、往復の時間もあるけれども七時過ぎには戻りますと言うから、頼みますよ、七時過ぎには。八時からもう部会なんですからということを言ったわけですよね。そうしたら、七時十分になっても帰ってこない。七時半になっても帰ってこない。もう八時から民主党の厚労部会ですよ。厚労部会に行った。

 そうしたら、八時十分に持ってこられたのが、きょうの配付資料の最後にあります「八時十分受取」で、要は、長野と京都と岐阜と、三つだけが最初より修正をされていました、三件だけです、三つの社会保険事務局だけですと言うから、さっきと話が違うじゃないですかと。かなりいろいろな修正を加えたからよくわからないと言っていた割に、たった三つですか、たった三つに何で二時間かかるんですか、三十分ぐらいで戻ってこれるじゃないですかと言ったら、探しても見つからなかったんですと言うわけですよね。これはほんまかいなということなわけですよ。

 それで、八時十分に至って部会が始まって、九時五十分から理事会で、私はずっと起き続けているわけです、きのうから三十何時間。

 それで、まず大臣にお伺いしたいんですけれども、当たり前の資料を理事会の与野党合意で出してくれとお願いして、菅原政務官が、責任を持って、早ければ十時、無理でも十一時には必ず届けます、その後質問通告をしてくださいと言っておいて、私たちが要望したもとのデータが来たのが、最終的に来たのが朝の八時十分。こういう状況。

 もしかして、大臣に言うのはお門違いかもしれませんが、でも、これが現状なんですよ、まさしく。大臣、今の話をお聞きになられて、どう思われますか。

柳澤国務大臣 私といたしましては、今回の事案というのは、随分経緯のある話で、必ずしも今、今日起こっていることではない、こういうように思うわけでございます。したがいまして、昔の資料をそれぞれの担当者が照合する、あるいは、場合によっては、そこの地域の担当者によっては正確な処理ができないということで、本庁のより経験を積んだ係官、担当官がこれを読み解くというようなことが古い資料だけに必要である、そういうプロセスもあるんだろう、このように考えます。そういう意味で、必要な読み取り方のための作業に時間を要するということは、これは山井委員も認めてくださるのではないか、このように思います。

 しかし、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今回の年金記録問題に対しては、基本的に、国会のいろいろな先生方による御議論の上で必要だというような資料につきましては、でき得る限り努力をして提出させてもらう、こういうことでなければならないというふうに考えているわけでございます。

 ただ、それにもかかわらず、これを出せと言われたときにおまえは出さないじゃないかといっておしかりを受けることを承知でこれだけのことを申させていただいているわけですが、かねてから私申し上げておりますように、コンピューターに改めてソフトを、プログラムを組んで、それで命令をしないとそういうデータを出せない、析出できないということがありまして、私は、就任当時は随分それを、なってないということで、厳しく注意をしたわけでございます。

 私は昔、大昔でございますが、税務署の署長ということをやったことがありますが、とにかく、外に行く日数と、中でいろいろな資料をきちっと整理して整える時間、内部事務と申したんですが、それはもうほぼ半分ぐらいやはり内部事務に時間を要して、管理のための資料というのはそこで調製をするわけで、そういうようなことを君らも知っているだろうということで、もっと必要な資料を私にも、私が指示した資料をすぐ調製して出してくれと言っても、コンピューターがそういう仕掛けになってないから出ません、こういうことでございました。

 同じことを国会の先生方にも申さなければならないというのは大変遺憾だと思いますけれども、そういう事情もありまして、なかなか思うように資料が出ない、そういうコンピューターが、レガシーと、何か非常に優雅な名前で呼ぶんですけれども、このレガシーなんてものは全く古くさい型ということでございまして、それは今現在、改善をするというか新しく入れかえるということで予算措置もいただいているわけでございますが、今現在はそう。

 私が申し上げたいのは、管理のための資料がなかなか出にくい体制にあるということと、それからもう一つは、非常に長い経緯のある問題ですから、やはりそれについては専門家がいろいろと見ないと結論が出ないというようなことが折り重なって、そのように、山井委員にも随分御迷惑をおかけしたということでございまして、この点については、私、深くおわびをして、こうした体制を早く、社会保険庁及び社会保険庁のオンラインのシステムというようなものを改革することによって、そうでない形に早く持っていかなければならないと考えているということを申させていただきたいと存じます。

山井委員 それで、一つの大きな疑問は、四月二十七日に、マイクロフィルムとコンピューターの記録を、三百九の社会保険事務所、十ずつチェックをしなさい、そして五月二日締め切りで、このメールのフォーマットで、十のうち九つが一緒で一つが不一致だったとかというのを返事しなさい、こうなっているんですね。締め切りは五月二日なんですよ。多少おくれて来たのはあるのかもしれませんが。

 ところが、きょうは六月十三日なんですよね。この四十日間、皆さん、委員の方は御存じだと思います、長妻議員初め、採決までに出してくれ、審議までに出してくれ、出してくれ、出してくれと言っても出さなくて、四十日かかって、何か知らぬけれども、きのうの晩までかかっている。

 これは、たった三千九十件で四十日、朝から晩まで専門家がかからないと正確にできないということであれば、五千万件がどれぐらいかかるかと計算したら、大臣、何年かかると思いますか。何と千七百年かかるんですよ、五千万件きっちり見るためには。つまり、コンピューターだけで済まないわけですよね。今おっしゃったように専門家がきっちりとやらないと。コンピューターでできる部分もあるけれども。

 それで、この調査はもともと、マイクロフィルム、もとの台帳を写したもの、マイクロフィルムとコンピューター記録がどれだけ不一致しているかという調査なんですよ。この紙がその調査のときの社会保険庁からの依頼票です。不一致は何件かという調査だったわけですよ。

 では、柳澤大臣、お伺いします。今回、三千九十件のうち、マイクロフィルムとコンピューター記録が不一致だったのは何件でしたか。

柳澤国務大臣 社会保険事務所から、不一致とされるという社会保険事務所なりの評価の回答がありましたのは、百九十三件でございました。

山井委員 そうでしょう。

 先ほど何か、食い違いは四件と。四件と新聞にも書いてあるじゃないですか。

 食い違い四件なのと不一致百九十三件、この四件と百九十三件の違いはどういうことですか。

柳澤国務大臣 その百九十三件の保険事務所の評価というものを専門的に検討した、こういうことでございまして、その結果、これはどのように考えても納付記録の不一致と認めなければならないものは四件であるということになったということです。

 では、その間は何かということですけれども、これはむしろ、不一致という見方が誤りで一致と考えるべきである、こういうようなこと。それから、その次は、オンラインに収録をした後、オンラインの上では新しい記録が付加されていくわけですから、その付加されたものと、かつての特殊台帳、これは何もいじるわけじゃないですから時間がとまっているわけですが、時間が進行したことを反映したオンラインの記録と時間がとまっている特殊台帳との記録のいわば食い違いであるというようなものであるとか、あるいは、オンライン収録後におきまして、これは便宜の問題でございますけれども、一括納付したものを一括納付という形で表示をするということも、そういうことも選択としてあるんですが、そうではなくて、それだったら各月納付というような形で収録をするという便宜の問題で、そこに表現上、表示上の食い違いがあった、こういうようなものとか、あるいは、氏名の濁点で、本人の特定は十分可能であるというようなものがそれぞれにあったということでございます。

 そうしたものを除外いたしますと、結局、納付記録の不一致というふうに、これはミス、それからそのミスが現実にこれからの給付にも影響がある形でミスが起こっている、こういうものとして四件ということが出てきた、こういう経緯でございます。

山井委員 委員の皆さんも今の説明をお聞きになってわかったと思いますが、不一致は事実としては百九十三件なんですよ。その百九十三件の中から、この不一致は問題ない、この不一致は問題ないって判断されているんですよね、勝手に。

 でも、調査というのは、何件不一致なんですかというのをそもそも出さないとだめなわけですよ。今まさに答弁されたように、百九十三件不一致でした、四件じゃありません、百九十三件違っていました、でも、そのうち、例えば、マイクロフィルムの後、結婚された、引っ越しされた、転職されたから変わって、何の問題もない不一致が何件ですというふうにちゃんと報告したらいいわけなんですよね。ところが、なぜか、これだけの調査をやって、納付漏れにつながる不一致しか公表はしないわけなんですね。

 そこで、お伺いをします。

 では、給付漏れとか給付に関係しない入力ミスは何件あったんですか。給付に関係する入力ミスは四件でしたよね。では、給付に関係しないけれども入力ミスだった、これは何件あったんですか。

柳澤国務大臣 納付に関係しないものというのが、ミスというか、一致しちゃっているのも百九十三件の中にありましたので、そういうものもひっくるめて、地方から百九十三件として上がったもののうち、給付に関係のない、そういうものは結局四件との差額がそうだ、こういうことを先ほど御説明させていただいたわけであります。

山井委員 ということは、柳澤大臣、百九十三引く四で百八十九件が納付に関係しない入力ミスというわけですか。

 でも、後で引っ越ししたり結婚したり転職して変わったものは、それは入力ミスとは言わないでしょう。当たり前の訂正じゃないですか、それは。ミスじゃないじゃないですか。

 ここにあるじゃないですか、いろいろ、納付漏れとか生年月日不一致とかそういうのが。そういうミスのことを言っているわけですよ。そういう、当然、結婚とか転職とか引っ越しで変わったんじゃなくて、給付の漏れにはつながらないけれども入力のミスは何件なんですか、柳澤大臣。

柳澤国務大臣 先ほど山井委員は、百九十三と言っていろいろ解説をしていればいいじゃないか、こういうふうにおっしゃられましたけれども、私どもとしては、同じことなんですけれども、四と言って、今私が言ったように、百九十三のうちその差額はかくかくしかじかです、こういうふうに言ったわけでございまして、これはもう何もかも明らかにしているということで、その点は御理解いただきたいと思います。

 氏名の濁点等、本人の特定は簡単なんだけれども、氏名の濁点等がないというようなものは五件です。

山井委員 その五点はこれのどれか、言ってください。五点はどれのことですか。

柳澤国務大臣 山井委員の持っているものですぐ特定できるかどうかわかりませんが、申し上げます。静岡の最後の……(山井委員「生年月日不一致ですか」と呼ぶ)そうです。これは一日、生年月日が違う。それから、その次が京都の上京ですね。(山井委員「上京の生年月日が違うということですね」と呼ぶ)はい、そうです。オンライン収録後の記録。それから、岡山の高梁ですか。(山井委員「一番下ですね。氏名振り仮名相違」と呼ぶ)はい。それから、福岡の大牟田の、これは四名いるんですが、オンライン収録誤りですね。(山井委員「そうですね、これが四」と呼ぶ)ええ。それから、五は、中福岡……(山井委員「オンライン収録誤りですね」と呼ぶ)はい、そうですね。(山井委員「それで五人ですか。五件ですか」と呼ぶ)はい。そういうことです。

山井委員 ただ、これは言い出したらなんですが、ぱぱぱっと読み上げますよ。

 一ページ目の函館、免除種別誤り、これは誤りですよね、これは入力ミスですよね。免除種別誤り、これは誤りじゃないですか。それと、二ページ目の荒川区、昭和四十八年度一カ月納付記録誤り、これも誤りじゃないですか。それと、四ページ目の大津、未納月別が不一致、不一致じゃないですか、これは。大津。それと、例えば五ページ目の愛媛の松山東、上から十五ぐらい、愛媛の松山東、前納をオンラインは定額と収録。そして、愛媛の新居浜も、前納をオンラインでは定額保険料として収録。それと、この下、五ページ目の下、大分の日田、免除種別の収録誤り。かつ、大分の佐伯、納付月数誤り、取得年月日の誤り一件。そして、最終ページ、これは鹿児島の鹿児島北の納付月の相違。

 これは挙げ出したら切りがないんですが、一応、夜中に説明を聞いて、納付漏れには結びつかないけれども入力ミスというのは二十三件あるというふうに確認をさせていただきました。

 私が申し上げたいのは、なぜ、そういうことを、せっかく調査したのにもかかわらず情報を出さないのかということなんですよね。繰り返しになりますが、納付漏れに関係する入力ミスは四件と言うのと、あとプラス五件なり二十三件は納付漏れにはつながりませんけれども入力ミスはありましたよと言うのでは、また違うわけなんですよね。だから、そういう意味では、やはりこの間の経緯を見てみても、本当に、非常に何か信じられないという部分が私にはあるわけです。

 それと、これは後ほど長妻議員もおっしゃると思いますが、これは長妻議員がおっしゃることですが、そもそも長妻議員は、こんな調査、全く要望していないんですよ。長妻議員は、一つの事務所丸ごと、例えば墨田の社会保険事務所だったら二万件あるから、そのマイクロフィルムとコンピューター記録をやってくれと。なぜならば、無作為に十件選んで、その十件が間違っていないか調べろといったら、本当に十件無作為に選んだのか。普通間違っているのを選びますか、そんな、十件選ぶのに。その時点で、もうこの調査の信憑性自体が非常に疑われるわけですよね。

 さらに、これを見てくださいよ。例えば大阪。大阪、四ページにありますが、大阪なんか十のゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロじゃないですか。ずっとゼロじゃないですか、大阪は。不正免除もあったから、一番、もしかしたら何かトラブルもあるんじゃないかというところがゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ。姫路は、逆に、合っているのは二件、間違っているのは八件でしょう。それで、その次のページの福岡のところも、西福岡も二件、南福岡も二件、食い違いがいっぱいある。大牟田なんか、合っているのが六件で、食い違いが四件。中福岡も、合っているのが六件、食い違っているのが四件。ところが、お隣の佐賀、長崎になると、十、ゼロ、十、ゼロ、十、ゼロ、十、ゼロ、十、ゼロ。これはどう理解をしているんですか、この調査を。

 それで、これを作業された担当者の方にきのうの夜中聞いたら、理由はさっぱりわかりませんと言っているわけですよね。分析不可能じゃないですか、こんなの。

 話は戻りますが、これはやはり、マイクロフィルムとコンピューターが合っているか間違っているかというサンプル調査は、その一個一個によって、二百万とか五百万とか、お年寄り一人一人の老後や人生がかかっているわけですよ。だから、サンプル調査をしてくれと言っているのに、調査もいいかげんだし、発表方法も非常にいいかげん。おまけに、これだけ待たせて待たせて、採決までにも出てこない。これは非常に問題があると私は思います。

 ですから、改めて、後で長妻議員もおっしゃいますが、一言で言えば、今回の調査は信用できない、これじゃ。信用できない。信用しろと言っても無理ですよ。一つの事務所丸ごと、これは早急にできますからね、それこそコンピューターソフトを使えば。ぜひ、一つの社会保険事務所を例にとって、そこのマイクロフィルムと台帳と、ぜひこれはチェックしてほしい。はっきり言って、特例納付がこれだけぼろぼろ消えているんですからね。マイクロフィルムにあってコンピューター記録にないのはないはずはないんですよ、はっきり言って。

 柳澤大臣、今の提案について、いかが思われますか。

柳澤国務大臣 このサンプル調査は、委員会において、長妻委員と私との質疑応答の中から、そうしたことを検討しますという私の言葉、答弁に端を発してやらせていただいたものでございます。

 今委員は、今度は一つの社会保険事務所単位でやったらどうかということでございますけれども、私どもは、それにとどまらず、すべての社会保険事務所について、今回、しかも特例納付の特例台帳だけではなくて、すべての台帳、マイクロフィルムとオンラインの記録とをもう一度突き合わせる、こういう作業をやろうといたしておりますので、いずれ、社会保険事務所の突き合わせ作業についても、その一貫として行わせていただくことになるわけでございます。

山井委員 このことはまた長妻委員からも要望があると思いますが、改めて申し上げておきますが、無作為に十サンプルを選んだというので、だれが信じますか。だれが間違っているデータを社会保険庁に上げますか。本当にずさんな調査だと思います。

 それでは次に、ちょっと話題を変えますが、先週金曜日、週刊現代で、三鷹の事務所の倉庫に一億件の台帳が眠っているのではないかという報道があったわけです。私もわかりません、そのことについては裏はとっておりませんので。ただ、そういう報道があって不安に思われる人もいるので、柳澤大臣に調査をしていただきたいということをお願いしたんですが、その週刊現代の記事にあるように、三鷹の倉庫に一億件の台帳というのは見つかったんでしょうか、なかったんでしょうか、いかがですか。

柳澤国務大臣 これはどういうものを指すかというのは必ずしも分明でないわけでございますが、こういうことであろうというふうに私どもが考えたものは、台帳のうちで、いわゆる旧台帳のうちの現存台帳というものだろう、こういうように考えているわけでございます。この現存台帳は、台帳のまま磁気ファイル化されたというものでございますが、磁気ファイル化された後も、その台帳が台帳という紙のまま保存をされているというものでございます。

 この現存台帳のボリュームですけれども、私どもといたしましては、千七百七十万件ぐらいであろう、こういうように考えているということでございます。

山井委員 ということは、コンピューターの記録に入っているということですね。わかりました。

 このことについては、また今後お聞きしたいと思っております。

 それでは、きのうも参議院で問題になりました、ここに、手元にあるんですが、今電話相談がもう満杯だということで、アルバイトを雇って、電話相談に乗ってもらおうということで、ここにも、トランスコスモス株式会社、東証一部上場、「オープニングコールスタッフ大募集! 国民年金、厚生年金保険に関する電話でのお問合せにお答えするお仕事です。官公庁から委託されるお仕事なので、安心して始められますよ。」「「ねんきんダイヤル」の受電対応をして頂きます。年金受給者からの、年金のお受け取りに関する手続き、制度や加入記録に関するお問合せ等に対応。百五十名の募集です。」それで、時給千五十円ということになっておるわけです。

 要は、対応する人が足りないからアルバイトを雇っているということなんですが、ここで大臣にお伺いをしたいと思います。

 この方々に支払われるアルバイト代は、これは委託費なのかもしれませんが、財源は保険料ですか、税金ですか。

柳澤国務大臣 これは、委員も御指摘になられたように、直接にアルバイトを雇用するということではなくて、委託会社を介して行いますので、私どもといたしましては、委託料という形になろうかと思います。

 その費用をどこで賄うかということでございますが、私どもとしては、今回のいわゆる年金記録問題、この問題として、従来の通常事務とは別に、別個に生じた事務処理の費用というものは、これは保険料ではなく、私どもの既定の経費を節減することによってその費用に充てたい、このように考えているところでございます。

山井委員 ということは、税金ということですか。

柳澤国務大臣 これは、社会保険庁の一般財源と申しますか、保険料ではなくて、国庫からの支出の予算、そういうものを節減して充当する、こういうことでございます。

山井委員 いろいろ聞きたいことがありますが、次の話題に移らせていただきます。

 それで、先ほども申し上げましたように、この第三者委員会、ここが天国と地獄を分けるわけですね。

 この週末に届いた民主党への手紙でも、先ほど言ったみたいに、Uさん御夫妻は、特例納付で記録が消えたせいで、御夫妻で二十年老後を暮らせば八百五十八万円の年金の不払いになってしまう。

 そして、ここの資料にもありますが、Mさんという方は、何と、六十歳のときに、あと二カ月掛けたら二十五年になりますから年金がもらえますよといって、二カ月払った。それで、六十五歳になって、ああ、二十五年たったから年金をもらおうと思ったら、二カ月足りませんよと。いや、六十歳のとき二カ月払ったじゃないですか、いや、記録がありません。それで、一銭も年金をもらっていられません。この方は一銭ももらっていないから、一千百五十二万円の年金の不払いになります。

 さらに、一番下のTさんは、この方も二十五年に達していないということで、年金をもらわずしてもう亡くなってしまわれましたが、一応この手紙に書いてある内容では、会社の経営者で、最近では、三十年間年金を払っていたということが明らかになったというふうに手紙には書いてございました。もしそれが本当であれば、一銭も年金をもらっていないわけですから、三千七百万円の不払いかもしれない。

 この額を見てもらっても、柳澤大臣、この第三者委員会が天国か地獄かの分かれ目だということは御理解をいただけると思います。

 それでは、お伺いします。

 領収書がない場合、これらの方々が記録を訂正してもらえるか、要は年金をもらえるのかもらえないのかという最終判断は、第三者委員会がするんですか、社会保険庁がするんですか、どちらですか。

柳澤国務大臣 そのようなお立場の方につきましては、従来は、最終的に社会保険庁の本庁の審査チームによって、これまでの調査、第一次段階、第二次段階の調査が適切なものであったかといったような評価を含めて、第三回の調査をするということになっておりましたが、今回、これにかえて、総務省に設置をされる第三者委員会の有識の方々、この有識の方々の公正な立場、しかも、国民の側に立って、そしていろいろとお考えいただく、また御判断もいただく、こういうことを考えているわけでございます。

 私どもといたしましては、この御意見、最終的な御判断というものを尊重して、それを社会保険庁長官の裁定、あるいは、それが訂正という意味の再裁定であれば、そうした再裁定に結びつけていこう、このように考えているところでございます。

山井委員 柳澤大臣、端的にお答えください。領収書がない方に年金を払うか払わないかという最終判断は、社会保険庁がするんですか、第三者委員会がするんですか。端的にお答えください。どちらですか。

柳澤国務大臣 実質的に、非常に重い判断を第三者委員会にお願いし、それを尊重する形で、社会保険庁長官が今申した手続上の処分を行うということになるわけでございます。

山井委員 ちょっとこだわりますが、最終判断をするのはどちらなんですか。二つに一つなんですよ、最終判断と聞いているんですから。最終判断は、第三者委員会か社会保険庁か、どちらがするんですか。

柳澤国務大臣 実質的には、そうした状況であることから、第三者委員会の先生方の御判断ということになろうと思いますが、法形式的にはやはり、これはどこまでいきましても社会保険庁長官が行う、その間のつなぎはどうするかといえば、これは尊重するという形で担保される、こういうことになろうと思います。

山井委員 柳澤大臣、これは今大変な問題になっているんですよ。というのは、二ページ目にもございますが、例えば金曜日に参考人に来られた中村さん御夫妻も、とにかくこの第三者機関がわからない、ここが私たちの老後のすべてを握っている、にもかかわらず中身がさっぱりわからないということをおっしゃっていられるんです。全国の消えた年金記録の被害者が、その第三者委員会の判断がどうなるかということを今言っているんです。

 それで、柳澤大臣、私、実はきのう総務委員会に行って菅大臣に聞いたら、菅大臣は、最終判断は社会保険庁だということをおっしゃいました。しかし、今の柳澤大臣の答弁を聞いていると、実質的には第三者委員会だとおっしゃっているわけです。結局、これはたらい回しじゃないですか。菅大臣に聞いたら、最終判断は社会保険庁だと言うし、柳澤大臣に聞いたら、実質的な最終判断は第三者委員会で、総務省の方にあると言うし、これだったら、まるで宙に浮いた第三者委員会じゃないですか。厚生労働委員会では、第三者委員会に聞いてくれと言う、総務委員会に行ったら、社会保険庁が最終判断だと言う。被害者のみならず、国会議員までたらい回しに遭っているじゃないですか。いい加減にしてくださいよ。一番の根幹じゃないですか、この被害者救済の。

 柳澤大臣、そうしたら、これは、実質的に第三者委員会が判断をするということになるなら、繰り返しになりますが、額がめちゃくちゃ大きいですよ。三千万給付するかどうか、一千万給付するかどうか、五百万、八百万。何十万人、何百万人のことの実質的な判断を、法的根拠がほとんどない総務省の第三者委員会で本当にできるんですか。住民相談のあっせんという法的根拠しかないんですよ。そんな法的根拠で、それぞれのお年寄りの人生を決める、天国か地獄かを決める、そして、何百億円か、それぐらいの単位の出費を決める。そんなことを、あっせんという法的根拠しかない第三者委員会が本当にできるんですか。政府の時効特例法案にも、一字たりとも第三者委員会という名前すら入っていないんですよ。

 柳澤大臣、本当にそれで実質的にできるんですか、法的根拠があっせんというだけで。柳澤大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 総務委員会における、山井君とここには書かれていますけれども、山井先生と総務大臣との質疑応答におきましても、第三者委員会の判断が当然尊重されるべきだと思いますよ、それで判断を私どもは社会保険庁に申し上げるわけですから、その結果に基づいて社会保険庁が支給するということになる、こう思いますよということで、ここに表現された趣旨は、私の今の答弁と軌を一にしているというふうに存じます。

 私どもといたしましては、この第三者委員会の方々の御判断、もちろん、そのときには社会保険庁がどういう調査をしたか、その調査の結果はどうであるかというようなことも、これは残らず協力ということで御提出を申し上げるわけでございます。もちろん、国民の皆様の側は、直接いろいろな資料をそこにいろいろな形で御提示もできようかと思いますが、私どもは、必要であれば、その我々の調査の際にそれぞれの国民の皆さんが御主張になられたことも含めて提供をさせていただく。そして、その結果で、総理も言われるように、本当に国民の皆様の側に立ってこれをどういうふうに判断するかということで、そういう立場で御判断をいただく。

 そういう結論というか判断が伝えられるということの中で、私どもとしては、当然それを尊重して、社会保険庁長官の再裁定というものにつなげていく、あるいは、被保険者であれば経歴の訂正ということにつなげていく、こういうことになろうと思います。

山井委員 時間が来ましたので、一問だけ最後にお聞きします。

 そうしたら、第三者委員会の判断と最終判断の社会保険庁の判断が食い違う……

櫻田委員長 山井君に申し上げます。

 既に持ち時間が経過しておりますので質疑を終了してください。

山井委員 食い違う可能性はあるんですか、ないんですか。柳澤大臣、お願いします。

柳澤国務大臣 ないということになろうと思います。

山井委員 そうしたら……

櫻田委員長 以上をもちまして、山井和則君の質疑を終了させていただきます。(山井委員「第三者機関が最終判断じゃないですか」と呼ぶ)

 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 前半を社会保障協定について、あと、後半を一連の年金問題についてお尋ねしたいと思います。

 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について、包括実施特例法の制定後、海外にある日本企業に現地採用された日本人はどのような扱いになるのか、まずお尋ねをしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の現地採用の日本人につきましては、一般に、就労地国のみの社会保障法令の適用を受けており、その国の保険期間のみを有しているという扱いであろうと思います。

 一方、今の御質問にありました点をもう少し敷衍いたしますと、そうであれば、この協定との関係でどういう接点があるのかというお尋ねではないかと思いますので、その現地採用の日本人の方が、その後、日本に戻り、日本の年金制度に加入するという事態になりました際、日本における保険期間を有したということでございますので、日本における保険期間と、その前までおられた当該国のもとで適用されていた保険期間と、今回のこの法律も含めてでございますが、社会保障協定と相まって、両国の保険期間の通算という法的な効果を発揮して、それぞれの国の最低加入期間を満たすことを通じて、両国の年金をそれぞれ受給することができるようになる、こういう接点になるのではないかというふうに考えます。

内山委員 それでは次に、海外で現地採用の日本人の従業員の配偶者の年金はどのような扱いになりますか、お尋ねをしたいと思います。

渡辺政府参考人 現地採用の日本人被用者の配偶者につきまして、相手国の法令のみが適用され、日本の法令の適用はないということになりますが、この配偶者が二十以上であって、日本国内に住所を有しないという要件でございますので、現在、国民年金法にあります任意加入をするということが可能でございます。

内山委員 それでは、次に、日本国内で日本企業に勤める外国人が日本の厚生年金保険の被保険者となっている、その場合にその配偶者というのは国民年金保険法の第三号被保険者ということに取り扱われると思いますけれども、その配偶者が帰国したときに、その配偶者はどのような年金を受けるのか、例えば老齢基礎年金というような形になるんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。

渡辺政府参考人 申し上げます。

 海外から日本にいらして被用者として働いておられる方、日本国内で短期間の就労ということですと、社会保障協定上、一時派遣の規定に該当することがあり得るわけでございます。そうした場合には、原則として、その被用者の配偶者につきましては日本国の法令の適用が免除されることとなり、国民年金の被保険者というふうには自動的にはなりません。が、希望により加入が認められているという状況でございます。したがいまして、それに基づいて、日本国の国民年金の負担と給付という関係になろうかと存じます。

内山委員 長期になりますと、これはどうなるんですか。

渡辺政府参考人 御質問の趣旨は、そもそも、その一時派遣者が長期になった場合ということであろうかと思います。

 そういたしますと、はなからは一時派遣者ということを予定していたのだけれども、最初はそういうことを予定していたのだけれども、事情により長くなったという場合には、一定の手続を経て、一時派遣の取り扱いが延長されるということが社会保障協定上認められておりますので、そういうふうに、長くなった場合には長くなったなりに先ほど申し上げた関係になろうかと思います。

内山委員 次に、包括実施特例法制定後、配偶者加給年金の支給要件についてお尋ねをしたいと思います。

 例えば、支給要件として、厚生年金加入期間二十年というところで発生をいたしますけれども、この扱いはどのような形になりますでしょうか、お尋ねをします。そして、海外での外国保険加入期間はどのように取り扱うのか、お尋ねをしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の被用者年金制度の期間だけで配偶者加給の加算の要件、委員御指摘の二十年ということを満たせない場合でございますが、老齢年金と同様、協定の相手国期間を通算することによって二十年の要件を満たした場合には、配偶者加給が支給されることになります。

 なお、協定を適用して初めて加給の要件を満たした者の加給年金額につきましては、老齢年金同様、国内において被用者年金制度に加入していた期間のみを算定の根拠とするとの考え方に立ちますので、加算の要件である二十年に対する、実際に加入した日本の被用者年金制度の比率を配偶者加給年金額に乗じて得た額を支給することとしております。逆に申しますと、相手国期間というのは、配偶者加給の資格を得る期間としてカウントされるのみということでございます。

内山委員 そうしますと、加給年金は、今ですと大体年間四十万円近くになりますけれども、この金額が、六十五歳になりますと振りかえ加算となりますけれども、その振りかえ加算、かなり低額ということになりますでしょうかね、どうでしょうか。

渡辺政府参考人 おっしゃるように、六十五歳のところで振りかえ加算というルールがあるわけでございますが、これも、この配偶者加給年金額というものと平行移動するものと考えておりますので、その分小さくなるのかというお尋ねでございますが、関係の算式は同じであろうというふうに思います。

内山委員 続きまして、年金の受給資格についてお尋ねをしたいと思います。

 厚生年金の加入期間ですと、全加入期間で二十年、中高齢特例ですと十五年から十九年という状況になっているかと思いますけれども、外国での海外保険加入期間、これをどのように扱うのか、中高齢特例または受給資格の二十年というところを教えていただきたいと思います。

渡辺政府参考人 御指摘のとおり、年金制度が未成熟な時期の被保険者であった一定年齢以上の方、例えば昭和二十二年四月一日以前に生まれた方につきましては、二十五年より短い期間で老齢給付を受給することができるという中高年齢特例があるわけでございます。

 社会保障協定により日本の年金制度の保険期間とみなされる協定相手国の保険期間は、この特例の適用に当たっても同様に取り扱われる二十五年の要件のみならず、この短縮された特例の要件を満たすためにも、協定相手国の年金制度の保険期間を日本の年金制度の保険期間とみなして通算して、そうした特例の扱いが発動される、こういうものであると思います。

 なお、先ほどと同様でございますが、実際に給付される額につきましては、実際に日本の年金制度に加入した期間に基づいて、計算式に当てはめ、計算されることになるということでございます。

内山委員 それでは再度、ちょっと確認をいたしますけれども、四十歳以降の中高齢特例、男性ですと四十歳以降十五年、女性ですと三十五歳以降十五年ですけれども、この十五年の中には、日本の保険、厚生年金に加入した期間と海外の、外国保険加入期間と合わせて、例えば十五年でいいという判断でよろしいんでしょうか、確認をします。

渡辺政府参考人 先ほど少し長々申し上げて失礼申し上げました。

 今御指摘のとおりでございます。

内山委員 それでは、年金の話に話題をかえていきたいと思います。

 皆さんのところに資料をお配りしております。ごらんいただきたいと思います。パネルをつくってまいりました。

 この資料、厚生労働省が自民党に提出をした五年超遡及に係る件について質問をいたします。

 週刊ポストの記事が報じております、「老齢基礎年金・老齢厚生年金にかかる五年超遡及新規裁定件数・金額」という表でございます。この資料、週刊ポストの記事によりますと、平成十六年の年金改正法を議論している二〇〇四年二月六日、厚生労働省から、自民党の総務会の際に一部の議員に配付された資料であると。当時幹事長でありました安倍晋三さんもごらんになっているというような形で記事が載っておりますけれども、この資料、どのような内容なのか、詳しく御説明をまずいただきたいと思います。お願いします。

渡辺政府参考人 今配付を受けましたこの資料でございますが、年金の新規裁定件数の中で五年を超えた遡及がある、そういう事案が何%あるのか。

 例えば平成十五年でいう全体の新規裁定件数、百七十六万余りの件数に対して、当該五年超遡及裁定件数は二万一千件余りである、割合にして一・二%である、こういうことが書かれております。また、五年超遡及裁定における平均時効消滅金額が百三十三万円であり、その裁定における総時効消滅金額が二百九十億円であるというふうに書いてございます。

 なお、週刊誌の記事につきましては、そのような記述があることは承知いたしましたが、当時の与党の総務会においてこれが配付され、議論されたという事実関係はなかったのではないかというふうに承知しております。

内山委員 この資料というのは、厚生労働省がおつくりになっている資料でしょうか、確認をいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 この日付はきょうの日付でございますので、こういう日付の入っていない資料でございますが、当該資料は、三年前に私どもの方で調製をいたしまして、お求めのあったところにお届けした資料であるということでございます。

内山委員 この資料を皆さんもお手元でごらんいただければと思うんですけれども、実は平成十五年のときの新規裁定の件数が百七十六万四千三百三件、このうち、五年を超えて遡及する裁定請求の件数が二万一千七百五十六件、割合にしますと全体の数の一・二%が遡及している。そして、一人頭の、一件当たりの時効になる平均金額が百三十三万円、平成十五年でいきますと、何と総額が二百九十億円になっている。これは大変な額だなと思うわけでありまして、この二百九十億円、とてつもない金額になっておりますけれども、今回、自民党が提案をしております時効特例でこの人たちは救済されるんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 週刊誌に報道のあった、そして今提出いただいております、当時私どもの役所で調製した資料でございますが、この中身には、新規裁定者のうち、御本人の何らかの事情で請求がおくれたことにより、五年を超えて時効により消滅した金額をすべて取りまとめたものであるというふうに考えております。

 なお、参議院において御審議を賜っております議員提案によります時効特例法案の所要給付額が九百五十億円というふうに記されておりますが、当該時効特例法案は、いわゆる記録の訂正に基づく時効の扱いについて、自動消滅をさせなくて、受給をしていただくとした場合の所要額について、既存の、これまでの記録訂正による時効というものを、実績を推計いたしまして、そして求められたものと承知しておりますので、この資料におけるさまざまな数値とは、前提となっている、時効を超えたことにより消滅した金額というものの意味合いが違っているものと考えております。

内山委員 長い答弁でありましたけれども、的を得ておりませんで、もう一度確認をさせていただきますけれども、要は、今の資料の人たちは時効特例で救済をされますかということを端的にお答えいただきたいんですが。

渡辺政府参考人 議員提案の法案でございますので、私どもが確定的な立法意思を述べる立場にはございませんが、法案の題名及び趣旨等からいたしまして、記録訂正を伴わず、単に請求がおくれたために時効が完成していた者については、今回の特例法案の対象とされていないものと理解をしております。

内山委員 そうなんですよ。時効特例法の附則の第二条というところには、記録の訂正をした方だけが救済をされる、国年法の十四条、厚年法の二十八条、この部分の訂正をされた方だけが対象となって、ここにありますのは、単なる請求漏れ、請求のタイミングが遅くなった、こういう方たちは一切救済されないんですよ。

 大臣、ちょっとお聞きいただきたいんですが、ここの、五年間の時効になりました金額、これを見てみますと、平成十五年では二百九十億、平成十四年では二百九十八億、十三年では二百五十七億、十二年では百六十一億、十一年では百四十九億、合わせて千百五十五億円、時効で給付を受けることができない。大変な問題だろうと思うんですよ。

 今回、与党の議員が議員提案をしました時効撤廃が二十五万人に対して九百五十億、これをこの五年間だけでもう超えちゃっているじゃないですか。こういう人たちに対して、大臣、どういうふうに思われますか。大臣の率直なお考えをお尋ねしたいと思います。

柳澤国務大臣 今回議員の皆さんが御提案されたものと申しますのは、これは、今回私どもが大きな問題として直面しております年金の記録の問題、この問題に端を発したという経緯があることはもう既に御案内のとおりでございます。

 そして、記録の訂正が、調査の結果行われた。それにもかかわらず、遡及できるのは五年限りで、それ以上は遡及できない、こういう会計法の規定を適用しないということをしているものでございまして、我々が直面している年金記録、これについて社会保険庁の側にもいろいろ不手際というものがあるということをたくさんの先生方から指摘をされて、我々もそのとおりだということで反省しているわけですけれども、今回のこの時効不適用の法案というものは、そうした事態に対応する法案であるということでございます。

内山委員 十六年の年金改正法のときには、もう厚生労働省から自民党の方に渡って、説明を受けていた。こういう被害者が出ているということは知っていたわけじゃないですか。知っていたにもかかわらず、今回記録の訂正をした方だけが対象となる、しかもそれは二十五万人しかいない。むしろ、こういうところの方が救済をすべきなんじゃないですか。

 本来もらえる年金が、請求手続が遅くなってしまった、それでなぜ五年しかさかのぼれないんだろうか。いかに会計法の適用が当てはめられるからといっても、少し前までは、年金を受給されるときに何ら国からの通知は行っていないんですよ。あなたが年金をもらえますよという通知を国が送るようになったのはつい最近じゃないですか。

 国からの何の連絡もしていない状況において、会計法の適用をして、さかのぼることができない。何か非常に疑問を感じるんですけれども、大臣、いかがですか。そこら辺、もう一度答弁いただけませんでしょうか。

柳澤国務大臣 もう重ねて申し上げるほかないんですけれども、要するに、今回の時効に関する会計法の特例と申しますのは、やはり年金記録問題、この問題について我々が取り組む、その取り組みの中から生まれてきたというものでございまして、そういう取り組みの中で、消滅時効というものをこの記録の訂正についてだけは適用すべきでない、こういう御判断があったものと考えております。

内山委員 なぜ記録の訂正にこだわるんですか。もうこういう被害者が出ているじゃないですか。これは非常におかしいんですよ。本来自分がもらえる年金手続を遅延してしまった、そういう人を何で五年で打ち切ってしまうんですか。本来、受給資格が発生したところまではさかのぼって払うべきじゃないですか。

 私は常々、この件というのは、現役開業社会保険労務士として、遡及が五年しかできない、不思議だな、なぜこういう仕組みなんだろうかと。でも、改めて考えますとやはりおかしいですよ。払うもの、自分が納めてきたんですから、当然、手続が遅くなったって、さかのぼって、五年という壁を設けずに払うべきなんですよ。(発言する者あり)いや、そうとは言えませんね、やはり自分の納めた記録なんですから。そこで五年という形で、国が払わない。

 お尋ねをしますけれども、この総額、たったの五年間で千百五十五億円ですよ。これは相当、さかのぼったら、国が払わなくて済んでいる金額……(発言する者あり)そういう金額をぜひ知りたいなと思うんです。うがって考えると、そういう金額があるからこそ無駄な施設をつくったんじゃないんですか。保険給付に充てる必要がないと思って、こういう時効の部分はもうけとしてつくったんじゃないんですか。私はそんなふうに今思いますよ。

 大臣、お尋ねをしたいんですけれども、五年間の数字が出せるということは、過去にさかのぼって、資料として、時効になった総額、出せると思うんです、ぜひ出していただきたいんですが、いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 今御要請のありました、もっとさかのぼっての資料があるか、今手元にそれが、確実に計算してできるという材料はございませんが、御要請に対して極力努力したいと思っております。

内山委員 前回、また前々回の委員会の質疑でも、この時効特例のときに、再裁定をした、そしてさかのぼって払わなければならない人たちのデータが出せるかと私は聞いています。そのとき、出せないという回答がたしかありました。しかし、こんな数値がもう平成十六年のときに出せるんじゃないですか。あの十六年の年金改正法というのは、大変な議論をしたわけじゃないですか。なぜこういうものを広く公開しないんですか。ここは非常に、我々、何度も言いますけれども、野党の議員も国民の負託を受けて国会に来ているんですよ。ばかにしちゃいけませんよ。我々をばかにするということは国民をばかにすることですよ。きちっと資料を出してください。

 時効特例の法案の中身についてお尋ねをしたいと思います。

 時効廃止特例の附則の第二条の、記録の訂正というところが書いてあります。厚生年金保険法の二十八条、国年法の十四条というところでありますけれども、具体的に何をどのように訂正をしたら記録の訂正というのか、一度答弁をいただきたいと思います。お願いをいたします。

渡辺政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘の時効の特例法案において、記録の訂正という文言は、附則の二条だけではなく、本則の第一条、二条にも出てまいりますが、記録の訂正とは、裁定または裁定の訂正に結びつくもの、すなわち、年金の受給要件や年金額に影響を与える記録の訂正を含む広い趣旨であるものと理解しております。

 被保険者資格の取得、喪失の年月日、標準報酬や保険料の納付状況の訂正、こういうことや、生年月日の訂正等によりそれまで年金受給権に結びついていなかった記録が受給権者本人のものと確認され、年金額が増額される場合の記録の訂正などが含まれるものと考えております。

内山委員 具体的に、実務的なところをお尋ねしたいと思うんですが、今現在、厚生年金基金に加入されている方で基金の請求漏れという方が結構いらっしゃいます。厚生年金基金に加入をされていて基金の請求漏れをしている。

 例えば、新たに厚生年金の加入期間が見つかった、そして、それを含めて、既裁定者でありますと、再裁定ということを行えば当然記録の訂正を行ったと判断できるわけでありますけれども、厚生年金基金の加入員であった者は、代行部分、この代行部分も五年の時効というのを超えて遡及して年金が払われるのか、お尋ねをしたいと思います。

渡辺政府参考人 少々紛らわしい話になるかもしれませんが、厚生年金基金の加入員の給付、これは厚生年金基金が政府管掌の保険者ではございませんので、いわゆるその給付に関する債権の位置づけというのは民法に基づくものとなります。したがいまして、民法に基づく五年の時効はありますが、厚生年金基金の判断により、時効を援用せず、時効期間経過後においても給付を行うことが可能である、こういうふうに解されます。

 一言で言えば、会計法の規定は国の債権債務についての縛りであるというふうに理解をしております。

内山委員 具体的に、代行部分の五年部分というのはもらえるのかというふうにお答えをいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 厚生年金基金の給付には、代行部分と上乗せ部分、両方含まれますので、当然今申し上げたとおりでございます。

内山委員 それでは、あと数問、同じように、具体的に基金絡みでお尋ねをしたいと思います。

 厚生年金基金の加入はわからなくて老齢厚生をもらっている既裁定者というのは、女性に特にあります。昔、数年とか数カ月とか勤めていて、本体の厚生年金も請求されていないということであります。基金の加入をわからず、厚生年金基金に対し裁定請求を行っていなかった。改めて厚生年金基金の裁定請求を行う。これはやはり、本体の期間もわかるわけでありますから、当然これも再裁定というふうに考えて、本体の厚生年金が訂正になりますから、さかのぼりの支給が受けられるというふうに考えていいでしょうか。

渡辺政府参考人 今回の社会保険庁による年金記録の訂正に関連いたしまして、御指摘のように、厚生年金基金の給付との兼ね合いが出てくる方がいらっしゃいます。

 各厚生年金基金の加入者や受給者の給付、さらに代行返上した厚生年金基金の加入者や受給者の給付に影響がある、その可能性があるということを踏まえますと、今回の記録訂正の内容につきましては、各厚生年金基金に対しまして、社会保険庁からの的確な情報提供が必要であり、それを踏まえて給付の復元ないし再裁定、こういうようなことが発生し得る、こういうふうに考えております。

内山委員 裁定請求者で既に年金を受給されている、厚生年金基金加入者で厚生年金基金の請求漏れになっている、老齢厚生の裁定請求は行っています、ただし、昔勤めた厚生年金基金の加入期間が未請求である、こういうものは、社会保険庁の方ではデータ上把握できるんでしょうか。いいですか、お尋ねをしたいと思います。

櫻田委員長 政府参考人は渡辺年金局長のみでございます。

 渡辺年金局長。

渡辺政府参考人 少し勘違いいたしまして、失礼いたしました。

 社会保険庁から御答弁申し上げる話かと思いましたので失礼いたしましたが、社会保険庁におきましても、今御指摘のようなケースを含め、個別の事例について、その年金記録、厚生年金基金との関係、これは把握できるというふうに承知をしております。

内山委員 そうしましたら、早速、それはすぐ厚生年金基金の請求漏れの人たちに対して注意を喚起していただきたい、こう思うのであります。

 大変な数の方たちが、厚生年金基金というのを請求することすらわからない。厚生年金の本体だけ請求すれば、もうそれで終わってしまう。基金というのは別途に裁定請求書をつくって請求しなければならないという知識を持っていないんですよ。そういう人たちに対して、大至急通知をしていただいて、その人たちは厚生年金の本体の期間も未請求で残っているかもしれません、再裁定に該当する方になるかもしれません。早急に連絡をしていただきたい、こうお願いを申し上げますが、いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 御指摘のとおりでありますので、早急に注意喚起をさせていただきたいと思います。

内山委員 それでは、ちょっと話題をかえまして、被保険者記録の三億口の年金記録のことからお尋ねしたいと思います。

 当初、平成九年のときに、三億口の年金記録がありました。そして、一億口に基礎年金番号を付与し、二億口を十年間で、一億五千万口を統合した、そして、現在五千万口が残っている、こういう発表でございます。

 この十年間の統合の推移というのは、柳澤大臣は、年度ごとの、時系列的に、何年に幾つ統合していったかということを、他の委員会で、参議院の方でしょうか、数字は把握できていないというような答弁をされたというふうに聞いております。

 私が事務的に確認をいたしますと、被保険者記録を統合していくということは、何番の番号と何番の番号を一緒に合わせて何番の番号にした、社会保険事務所でこういう記録が残っているはずでありますから、社会保険事務所別で記録がとれるはずだろうと思います。そうすると、どういう経緯で五千万口まで減っていったのか、この記録はとれるはずだと思いますけれども、できるようでありましたら資料を出していただきたいんですが、いかがでしょうか。大臣か、どなたか。

柳澤国務大臣 これは、今委員御自身も私の答弁を引用していただいているわけですけれども、いずれにしても、膨大な記録ということでございますので、コンピューターの中でできるかどうかということであろうと思います。

 いずれにいたしましても、現時点でそのような記録をいたしているということは遺憾ながらございません。

内山委員 ですから、今後、社会保険事務所ごとに、この番号とこの番号を統一してこの番号になった、そういう記録がとれるはずですよね。ですから、そのデータをお示ししていただきたい、こういうふうに資料で出していただきたい、こうお願いをしたいんですけれども。

柳澤国務大臣 委員の御関心も、私として理解できないわけではないですけれども、私ども、これから先、将来に向けて、もう少ししっかりした管理のためのデータを通常のコンピューターのシステムの中から常に資料として抽出できるように、そういうプログラムを今考えているところでございます。

 しかしながら、これは項目が多くなればそれだけ時間もかかる、プログラミングに時間を要するということも聞いておりますので、他方、私ども、突き合わせを急ぐということの中で、その兼ね合いをどの辺にとるかということについて今検討をいたしております。

 そういうことを考えますと、今の委員のお話につきましては、大変申しわけないんですが、今後のこととしては、私どもそうしたことも取り組まなきゃならないかということはありますが、もう少し私どもの検討にゆだねていただきたいんですが、そういったことについて優先順位を高くとるということはなかなか困難である、このように申し上げざるを得ないわけでございます。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

内山委員 それでは、そのデータを、今すぐにとは言いませんけれども、ぜひおとりをいただきたいな、こうお願い申し上げます。

 ここのところ、例えばこういう問題が大きくなりまして、やはり社会保険事務所にいろいろな方が行かれていると思うんですが、ここで、名寄せとか、五千万件のデータの中から基礎年金番号に統合された、こういった実績が出ているでしょうか。当面、例えば一週間とか、直近で、あればお話をいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 私ども、五千九十五万というものが十八年六月一日現在にあったわけですが、それが十九年四月一日で四千九百四十九万件になった。したがって、十カ月間で約百四十六万件の統合が行われたということを残高比較で見ているわけでございますが、いずれにいたしましても、これ自身もまたコマンドをかけてやっているという状況でございますので、ここ一週間の統合件数を今ここで明示するということは、大変申しわけないと思いますが、できかねるわけでございます。

内山委員 時間が大分少なくなってきましたので、飛ばしてお尋ねをしたいと思います。

 先ほども他の議員も聞かれておりましたけれども、ねんきんあんしんダイヤルについてお尋ねをしたいと思います。

 新聞記事に、やっぱりつながらないねんきんあんしんダイヤル、何度かけても、しばらく待ってからおかけ直しくださいの繰り返しでは、安心どころか不安が増すばかりと新聞が書いています。二十四時間体制で行うフリーダイヤルの電話相談にはどのような知識レベルを持った方が対応されているのか、ぜひお尋ねをしたいと思います。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 ねんきんダイヤルからねんきんあんしんダイヤルということで、トールフリーのフリーダイヤルを設けておるわけでございます。

 大変国民の皆様に申しわけないんですけれども、現在、総呼数、呼び出し、コールの数でございますが、これが、当然のことながら非常に多数に上っておりまして、私どものこれに応答する件数というものが相対的に非常に少ない状況にございます。そういうことで大変御迷惑をおかけしているということで、我々、今必死になってこの応答の比率をもう少し上げたい、こういうことを考えてやっておるわけでございます。

 その際、では、どういう人員をこれに投入できるかということでございますが、現在のところは、急場ということで、社会保険庁の現役職員をこれの応答に向けたりしておるわけでございますが、これに加えましてさらに増加をするということになりますと、どうしても外部の力をかりるということになります。

 その外部の方々がこの分野にどのくらい通じているかということですけれども、これはできるだけ通じた方をお願いしたいということでやっておりますけれども、これもまた、ここのところにそう大きな期待をかけるということも実際上できないということです。

 それともう一つは、ウィンドウマシンが動く時間というものはいずれ制約があるわけでございまして、この際には、いずれにしても、コールバック方式と申しますか、再びこちらからいろいろな形で御通知を申し上げ、それにお答えいただくという形をとらざるを得ません。したがって、その役割ということになりますと、これはある程度マニュアル等で対応できる、そういう面もあろうということで、わずかな研修ですぐそういうコールバック方式の記録、申し出者についての情報の記録といったようなことについてはそういう方々についてもお願いをするというようなことで……

櫻田委員長 大臣、答弁は簡潔にお願いします。

柳澤国務大臣 はい。

 いろいろな意味で、できるだけレベルの高い方ということでございますが、今とにかく応答率を上げたいということで一生懸命やらせていただいております。

櫻田委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、内山晃君の質疑はこれをもちまして終了いたします。

内山委員 質問が残りましたので、この続きは後日またお尋ねをさせていただきます。ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。本日も質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 内山議員の今の問題提起がございまして、受給の申請漏れでございますが、平成十一年度から十五年度まで、五年の時効でもらえなくなってしまった金額の合計というのは一千百五十五億円で間違いございませんか。

柳澤国務大臣 これも、そこの注書きにございますように、いずれにいたしましても推計値でございます。したがって、そういう制約のもとで、これは十一、十二、十三、十四、十五を総計した金額が今委員が御発言になられたような金額だということではないか、このように考えます。

長妻委員 この資料というのは、自民党の部会にいつ出した資料ですか。

柳澤国務大臣 これは先ほどの質疑応答の中でも政府参考人から明らかにさせていただきましたように、私のメモでは、二〇〇四年二月六日に総務会の一部の方にこれを御手交申し上げた、こういうことだというふうに私は理解をいたしております。

長妻委員 総務会というのは、どこの総務会ですか。

柳澤国務大臣 自由民主党の総務会でございますが、当時総務に属されていた方その他ですか、その方々に配付したのであろう、こういうことでございます。

長妻委員 そうすると、その総務会以外には、政府として独自に発表するということは一切なかったわけでございますか。

柳澤国務大臣 これは、他に配付するというような、そういう性質、あるいはそういう筋というか、そういういきさつで要求されたものではなかったということです。

長妻委員 私も、普通の、いろいろな調査の資料を民主党だって自民党だって請求していると思いますけれども、ちょっとこれは、びっくりする、すごく重大な資料だと思うんです。そういう意味では、こういうものはやはり自発的に公表する、あるいは、国会議員であれば、こういう資料を入手したら何らかの形で世間に公表するというのは、私はこの資料の重大性から見て当然だと思うわけでございますけれども。これを見た方は、多分ほとんど感度がない方ばかりだったのかもしれませんけれども。

 二〇〇四年の二月六日といいますと、ちょうど、これはたしか年金のいろいろな問題が発生していたときではないかと思います。うがった見方をすると、これが表に出るとまた新たな問題、議論が出るので出さないということがあったのかどうか、私もわかりませんが。

 そして、この申請漏れでございますけれども、結局、以前は、申請漏れに関して、それを促すような、注意を喚起するような郵便物というのは出てなかったんじゃないのか。平成十七年の十月から初めて、その三カ月前に、申請してください、あなた様は三カ月後に受給権が発生しますよ、こういう通知を出したのが平成十七年十月だと聞いているんですが、これで間違いございませんか。

村瀬政府参考人 今委員御指摘の、裁定時におけるターンアラウンドのことだと思いますけれども、おっしゃるように、十七年の十月から出させていただいております。

長妻委員 そうすると、それ以前は、もうあなたそろそろ受給の資格が出ますから申請したらどうですかというのは、事前には郵便というのは行かなかったのでございますか。

村瀬政府参考人 委員御存じのように、五十八歳通知というものを十六年のたしか三月からやらせていただいたと思いますけれども、このときには、五十八歳時の記録をお送り申し上げて、そのときに確認をしていただくという形をさせていただいております。

長妻委員 全然違うことを言わないでください。我々は煙に巻かれませんよ。五十八歳通知は、受給を促すものとは全く関係ありません。

 つまり、平成十七年十月以前は受給を促すような通知は一切なかったということでございますけれども、とすると、これは、十七年十月から始まったときに、当然以前の方には通知をしておられないわけでございまして、昭和二十一年一月生まれ以降か昭和十六年一月生まれ以降の方には多分行ったのかもしれませんけれども、それ以前の方にはいまだに一度も受給を促す通知が来ていない、こういうようなことでよろしいんですか。

村瀬政府参考人 年金の場合には、六十歳になりますと御本人から請求をいただくという前提で物事を進めておりますので、十七年十月以前につきましてはそういう御通知はないというふうに考えております。

長妻委員 ちょっと村瀬長官、大変申しわけないんですが、年金のことが全然おわかりになっておられないんですね、基本的なことが。

 つまり、平成十七年十月から通知を出したということは、一度も受給を促すような通知をもらっておらない方が今もいらっしゃるわけです。それは何年生まれ以前の方ですか、こういうふうに聞いているわけです。

村瀬政府参考人 二十一年一月以降お生まれの方に対しまして御通知を申し上げております。

長妻委員 そうすると、昭和二十一年一月生まれ以前の方には何にも促す通知が来ていない、あるいは、平成十七年十月以前はそういう通知が全くないので、非常に冷たい国だと私は思います。

 本人が企業年金部分が年金の本体だと錯覚をして申請しておられないという方もいらっしゃると思いますので、これは実態調査ですね、平成十五年度は二万一千七百五十六件の方が時効にかかるような形で、かなり長く、五年以上申請忘れ、漏れがあったということでございます。

 社会保険庁の職員の方をお呼びすると、こういうことを私に言っておりました。この中には大金持ちの方で年金など必要ない方も含まれているんです、こういうふうに社会保険庁の方が言われましたので、私は、そういう方というのは本当にいらっしゃるのかなと疑問に思いますので、二万一千七百五十六件がどういうような方なのか、これをぜひ調査していただきたいと思うんですが、いかがですか。

村瀬政府参考人 今回、五千万の記録と、それから、年金受給者の方々並びに被保険者の方々とを名寄せをいたしまして、特に年金受給者の皆さん方に対しましては……(長妻委員「その二万一千ですよ。その話じゃありません」と呼ぶ)いえいえ、同じだと思いますからちょっと聞いてください。年金受給者の方々に対して記録をお送り申し上げるという作業をさせていただきます。その中で、五千万で年金を請求されない方々が……

櫻田委員長 長妻昭君、答弁中でございます。

村瀬政府参考人 もしいたとすれば、その中で手だては講じられるのではなかろうかというふうに思っております。

長妻委員 ちょっと村瀬さん、本当に申しわけないんですが、全然おわかりになっておらないんですよ。

 この二万一千七百五十六件の中にお金持ちで要らない方がいらっしゃるというふうに社会保険庁は言われておりますので、どういう方なのか、これを実態調査してくださいと。柳澤大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 今私どもの社会保険庁がいろいろな形で御批判をいただいておる年金記録の正確を期した上で、その必要な訂正をしていく、またいくべきである、こういうことに今全力を傾注しているところでございます。そういうことで、我々、かなり今このことに力を注いでいるという次第でございまして、そういうことをぜひ御理解賜りたいと思います。

長妻委員 忙しいから余計なことは頼んでくれるな、簡単に言うとこういう答弁だと思いますけれども、いろいろな問題が起こっていますので、フル稼働して一気に情報を表に出していただきたいということも重ね重ね申し上げます。

 そして、山井委員も指摘を申し上げましたサンプル調査の要求でございますが、四件誤りがあると出てまいりましたけれども、この四件以外に、五件、漢字、生年月日等の誤りがあると。四件以外に五件ある、こういうことでよろしいのでございますね。

柳澤国務大臣 これは、もちろん本人の特定は容易でございますけれども、氏名の濁点、あるいは生年月日の例でいえば一日ずれとかというようなもので五件あるということでございます。

長妻委員 それは、柳澤大臣、四件以外で五件ということでございますか。

柳澤国務大臣 四件は、納付記録が一致していないというものでございます。

長妻委員 そうすると、社会保険庁が皆様方にお配りした調査報告書が、ちょっと事実と違う記述がある。平成十九年六月十二日、これは昨日お配りされた。

 といいますのは、この配付された資料の中の四ページに、「調査の結果」と書いてありますけれども、対象記録の全件について、「2氏名、生年月日等の本人の特定に関する記載に食い違いのある事例は、いずれもなかった。」こういうふうに書いてあります。ところが、生年月日は一日ずれている、氏名の濁点が違う。これは、氏名、生年月日等の本人の特定に関する記載に食い違いのある事例じゃないですか。

 これは、山井議員が追及しなければ四件だけでふたをされた、こういうことではないんですか。

柳澤国務大臣 私どもの表現は今委員が御指摘になられたとおりでございますけれども、私ども、本人の特定に支障がないということで、それを不一致、相違ということであえて申し上げるというに至らないというふうに認識をしたわけでございます。

長妻委員 私は、はっきり言います。それは日本語でうそというんですよ。うそです、これは。だって、「氏名、生年月日等の本人の特定に関する記載に食い違いのある事例は、いずれもなかった。」と。

 五件あるじゃないですか。

 大臣、これはうそですよね。虚偽だ、虚偽を書いてしまって申しわけないというふうに謝罪してください、大臣。

柳澤国務大臣 私どもといたしましては、今回の調査と申しますものも、結局、国民の皆さんの給付に結びつく、そういう記録の誤りというものを一番重視しているということでございまして、そういった意味合いで私どもとしては今回の結果を御報告させていただきましたし、また、きょうは、そういういろいろな御批判もいただくような、そういう資料をすべて開示させていただいているということであります。

長妻委員 そうすると、五件の中で、名前の間違いと生年月日の間違いは、それぞれ何件ずつでございますか。

村瀬政府参考人 今、大至急調べますので、しばらくお待ちください。(発言する者あり)

櫻田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 村瀬長官。

村瀬政府参考人 失礼しました。生年月日が二、住所が三でございます。(発言する者あり)

櫻田委員長 再度、村瀬長官。

村瀬政府参考人 失礼しました。氏名が二、生年月日が二でございます。(長妻委員「あとの一は」と呼ぶ)住所でございます。

長妻委員 生年月日はどんな間違いですか。(発言する者あり)

櫻田委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 村瀬長官。

村瀬政府参考人 静岡で本人特定生年月日の一日の相違と、京都上京で本人特定生年月日の四日の相違でございます。

長妻委員 そうすると、氏名の間違いというのは、個人情報ですのでお名前は言われなくても結構でございますので、二件というのは具体的にどんなような状況ですか。

村瀬政府参考人 氏名につきましては、濁点が振ってあるのと振ってないのの違いでございます。(長妻委員「二件とも」と呼ぶ)二件ともそうでございます。

長妻委員 そうすると、それは、氏名、生年月日等の本人の特定に関する記載に食い違いがある事例。

 これは柳澤大臣、食い違いがあるというふうに思わないですか、今の事例は。ここで書いてあるんですよ、政府が。

柳澤国務大臣 その方の特定に支障がないというふうに私どもは解して、そのような位置づけをさせていただいたということでございます。

長妻委員 では、もう一回聞きます。大臣、本当に過ちは認めた方がいいですよ。こういう細かいところで私も時間を費やしたくないんですよ。進めましょう。

 記載に食い違いがあると書いてあるんですよ、記載に。これは、五件というのは記載に食い違いがあるわけですから、この表現は適切ではない、そういうふうに言ってください。

柳澤国務大臣 私どもは本人の特定ということに支障がないというふうに位置づけをしたということを先ほど来申し上げているわけでございますが、濁点がないじゃないか、それから生年月日が一日違うじゃないか、こういうことを重大であると考えるとすれば、それは、私どもこの記述が十分でなかった、このように考えます。

長妻委員 今回サンプル調査は事実を出していただきたいというんです。つまり、大臣の答弁は、入力ミスはあったけれども、大事には至らないミスだから、それは隠していたんだと。

 そうじゃなくて、細かいミスもどれだけあるのかというのを全部正直に出すというのが今回の調査の主眼ではないのかと思うわけでございまして、この、記載に食い違いのある事例はいずれもなかったと、これをもし山井委員が追及しなければ、やみに消えた話ですね、この五件というのは。

 我々もリストをいただきましたけれども、こういうたくさん間違いがあるような、いっぱいあるんですね、この中身として。

 これは本当にその五件だけでございますか。ほかにはもう一切ないと、これは明言できますか。

村瀬政府参考人 先ほどの中で、五件ということ以外には、一応間違いはございません。(長妻委員「一応ですか」と呼ぶ)間違いはございません。

長妻委員 そして、この四件が、この表現、四件というのは「マイクロフィルム記録とオンライン記録が一致していないもの」という表現であれば、本来はあの五件も入れるべきですよね、これ。「一致していないもの」と書いてあるわけでありますから。非常にトリックみたいな手を使わないでいただきたいと思います。

 この四件に関しては御本人に社会保険庁から連絡をする、こういうことだと思うんですけれども、これまで、社会保険庁みずから、申請を待つという姿勢じゃなくて、具体的な個別のデータの誤りを直接連絡する、こういう行動というのは過去とったことがありますですか。

村瀬政府参考人 個々人に対しましては、例えば年金給付の誤りであるとか事務処理のミスであるとか、個別に御本人に御連絡申し上げ、了解をとった上で公表等もしてございます。

 ただ、トータルとして多数の方々に対して御連絡を申し上げるという仕組みは公式には持っておりません。

長妻委員 三千九十件の調査で四件が給付に影響するとすると〇・一三%。特殊台帳は全国で約三千二百万枚ございます。そうすると、〇・一三%を掛けますと、四万一千件も特殊台帳に給付に影響するようなミスがある、こういうことじゃないですか。

 これ、全部特殊台帳をやってください、早急に。早急にですよ。また十年とか二十年とか言わないでくださいよ。これは大臣、お約束いただきたいと思うんですが。

柳澤国務大臣 私どもは、この年金記録問題に対する新しい対応策ということで、マイクロフィルムあるいは紙台帳のままで残っているもの、さらには市町村の名簿、こういうようなものとオンラインのデータを突合する、そういうことをやるということをはっきり私ども決定をいたし、また、公表をいたしているところでございます。そういうことの一環として取り組みたい、このように考えております。

長妻委員 それでは、特殊台帳の三千二百万件。これは四万一千人の人が潜在的被害者の可能性がありますよ。

 大体、めどはどうですか、三千二百万件のコンピューターとの照合でコンピューターを直すと。どのぐらいですか、期間のめどは。

村瀬政府参考人 現段階におきましては具体的なスケジュール化まではいっておりません。

 その中で……(長妻委員「大体何年ぐらいですか。」と呼ぶ)いや、全く今お答えできる状況ではございません。

 ただ、一つお話し申し上げたいのは、委員も御存じのように、記録を確認ということで電磁ファイル、それから電磁ファイルにないものにつきましてはマイクロフィルムで、台帳までさかのぼりまして記録を見ておりますので、第二段階においては、マイクロフィルムを見れば一応その補正はできるという形で、年金の給付についてはその部分では可能だというふうに考えております。(長妻委員「大体何年ぐらいですか。大体でいいです」と呼ぶ)いや、全くそれは、今言いまして、例えば十年がいいのか一年がいいのかといっても、できないことを言うわけにもいきませんし。(長妻委員「大体どのぐらいかもわからないんですか」と呼ぶ)いや、だから、わからないものを言えとおっしゃっても、それは……(長妻委員「ではいつわかるんですか」と呼ぶ)

櫻田委員長 長妻昭君、答弁中でございます。

長妻委員 それでは、村瀬長官、いつになれば期限のめどが出るんですか。

村瀬政府参考人 本件につきましては半期ごとに公表するということでお話をしていまして、そのために、まず、すべてのもののデータを集めて、中身を見た上で、マンパワーも含めて計算しない限りは出ませんので、それを今出せと言われても、ちょっと申しわけないんですが、お答えできかねます。

長妻委員 これは村瀬長官にも申し上げますけれども、私はきょう村瀬長官を呼んでおりません。これは最後の責任追及、一年前の村瀬長官の私の質問に対する責任追及のところだけ答弁願いたい、こういうふうに申し上げているところでございまして、答弁されないでください、柳澤大臣にお聞きしますので。

 それで、私はこの調査に関して、調査手法が途中でねじ曲がってしまったということに大変不信感を持っております。

 私どもが申し上げましたのは、配付資料の五ページ目にもございますけれども、東京社会保険事務局の例えば墨田社会保険事務所にはマイクロフィルム、特殊台帳、何枚ありますかと聞きましたら、二万六百七十四件あると。ですから、この事務所に限らなくても結構ですけれども、一つの事務所を丸ごと、マイクロフィルムをコンピューターの中のデータと照合してください、こういうふうに申し上げました。

 当然、私の要求が、一〇〇%この事務所でということに固執するつもりはありませんけれども、ところが、出てきて、突然、いや、各三百九の事務所から、十枚ずつマイクロフィルムを出させて、その事務所の中で合っているか合っていないかコンピューターで照合して、本部に送らせると。こんな仕組みは私は全く聞いておりませんし、提案もしておりませんし、いつからそういうふうになったのか。

 これは、性悪説に立つとすれば、もし、その事務所の所長さんなどが、余りミスが多いとまずいということで、十枚ピックアップしてコンピューターと照合したらかなり間違いが多いから、では、もう十サンプル持ってこよう、あるいは、もう十サンプル見て間違いが少ないものを本部に形で送ろうというふうに考えれば、すぐにそれができてしまうような、そういう非常に操作が加えられやすい調査方法に、私ども要求した当事者が全く知らない間になってしまった。こういうことに強い不信感を持っております。

 そこで、この墨田社会保険事務所、せっかく件数が出ておりますので、この二万件を調査してください、コンピューターと。いずれやるということでありましょうから、これを早急にやってください。いかがですか、大臣。

柳澤国務大臣 私ども、重ねて申し上げることになりますけれども、今回の年金記録問題につきましては、一つのパッケージとして新しい対応策を発表させていただいております。そこの中で申し上げることですけれども、マイクロフィルム、それから台帳、さらには市町村における名簿、こういうようなものに当たりまして、オンラインとの突き合わせをして、オンラインの記録というものの正確度というものを確認し、また、訂正すべきを訂正して、その正確度を引き上げていくということを考えて、それを実行する、こういうことにいたしております。(長妻委員「墨田事務所はどうですか」と呼ぶ)

 当然、その中には墨田事務所もその一環として入るということを申し上げたいと思います。

長妻委員 ですから、そういう十年、二十年かかる仕事の一環でやるという趣旨で申し上げているのではありませんで、サンプル調査として、我々が要求しているわけでございますから、きちっとやっていただきたいということを要求しております。これはあきらめません。

 そして、もう一つの観点でありますけれども、配付した資料の一ページ目にこういう資料を添付させていただきました。

 つまり、今、コンピューターにある厚生年金、国民年金、オンライン上にある納付記録というのは三億件ある。三億件、この中には、五千万件、宙に浮いた未統合の記録もある。当然、その五千万件の中には平成九年の基礎年金番号付番前に亡くなられた方もいらっしゃる。その方々の記録、統合されていなくてもこれは仕方のない記録でありますが、しかし、よく考えると、付番前に亡くなられた方も、複数の番号を持っている方もいらっしゃる、果たして、基礎年金番号もない当時、本当に満額をきちっともらっておられたのかどうか、当然、こういう懸念も残るわけでございますけれども、そういう記録も入った上での五千万件でございます。

 そういう意味では、基礎年金番号に統合されているのが一・五億件、あるいは基礎年金番号そのものの記録が一億件、合計三億件。ということは、四件に一件が基礎年金番号にいまだ、十年たった今でも統合されていないということでございますが、今回の四件のミス、給付金額にかかわるミス四件というのは、この三つの記録のカテゴリーのうちのどこが四件間違えていたんですか。

柳澤国務大臣 今回の三千九十件のサンプル調査におきまして、収録されている納付情報の一部について、マイクロフィルム記録とオンライン記録が一致していなかった四件の事例と申しますのは、今、委員の分類、基礎年金番号導入時に付番した記録に入っているというものが二件、それからまた基礎年金番号制度の導入後に統合されたというカテゴリーに入っている記録が二件というふうに認識をしているところでございます。

長妻委員 何でこういう質問を申し上げたかといいますと、今、五千万件が問題だと。これはもちろん問題です。我々が、民主党が問題提起したわけでございます。五千万件のうち、データの間違いも多い。三十万件が生年月日を間違えていた。しかし、今世間的には、基礎年金番号の記録そのものは問題ないんだ、あるいは基礎年金番号に統合されさえすれば問題ないんだ、こういう意識を持っておられる方もいらっしゃるので、我々は、そうではないということを申し上げたいわけでございます。

 今、大臣の御答弁では、この五千万件じゃないところ、基礎年金番号記録で二件のミスがあった、統合された記録の中で二件のミスがあったということで、この記録の中も精査しなきゃだめだと我々民主党は前から前から、紙台帳とコンピューターの中のすべての照合をしてコンピューターを正す、これが重要だということを申し上げているところでございます。

 そして、この三ページ目でございますけれども、これは社会保険庁の年金相談の強化体制の中で、社会保険庁のコンピューターには入っていないけれども、社会保険庁が持っていた手書きの紙台帳にはあったというのが十一件ございました。この十一件の入力のミスというのは、当然、検索にひっかからないものも入っていたと思うのでございますけれども、この十一件はこの記録の三つのカテゴリーからいくとどこでございますか。

柳澤国務大臣 これらの事例でございますけれども、これは基礎年金番号の記録や基礎年金番号の統合済みの記録に入っているというように考えております。基本的にそういうものであります。

長妻委員 そうすると、この十一件というのは、二・五億件の統合記録あるいは基礎年金番号記録のどちらかに十一件はあるということなんですか。本当にそれでよろしいんですか。

柳澤国務大臣 ちょっと私、読み違えまして、十一件の分類として申し上げますと、長妻委員の分類による、一億件の、当初の、導入時の基礎年金番号の記録に属するものが五件、それから一・五億件の統合済み記録に属するものが五件、そしてオンラインに統合を記録されていないものが一件、それで合計十一件でございます。

長妻委員 今お話しいただきましたけれども、つまり、この十一件のケースというのは、基本的にマイクロフィルムには、紙台帳にはあった、コンピューターにはなかったということだけれども、後からコンピューターの中を精査に精査を重ねたらば、十一件のうち十件は実はあった。単に検索にひっかからなかっただけなのかもしれません。それは、基礎年金番号の記録で五件、統合された記録で今の話では五件。しかし、コンピューターの中にも全くかけらすらないというのが一件あった、こういうことでよろしいんですね。

柳澤国務大臣 要するに、その納付記録がマイクロフィルムで見つかったということでございますが、そこが抜けている、マイクロフィルムで見つかった部分が抜けている番号とそれから履歴とが導入時のものにあるものが五件、それから、その後、統合されたものにもともとの、母体とあえて言わせていただくと、そういう母体があるものが五件、それから、コンピューターにまだ統合されていない、そういう段階のものにとどまったものが一件、こういう分類です。

長妻委員 ですから、この基礎年金番号記録そのものが間違えていたのが五件。抜けていた、あるいは入力ミスだと思いますけれども。統合されたものでも五件。非常に少ないサンプルしか私どもに政府は出してないんですけれども、そういう少ないサンプルの中でも、今の政府は、五千万件だけに解決の焦点を絞る、しかもコンピューターの中だけで照合していく、こういうことに限定した解決策というのを、解決策ではないと思うんですけれども、出されている。

 しかし、統合されたから安心だということではないんです。統合された記録でも、ミスがあれば元も子もない、受給額に影響する、こういうことが明らかになっているわけでありますので、ぜひこの紙台帳をすべて、埋もれている紙台帳も含めたものも、時間のめどをきちっと立てていただいて実行していただきたいということを申し上げます。

 そして、政府は、一年でコンピューター上で照合する、これは既に平成十年から十八年にやられていた手法を踏襲するということで、それがうまくいかないから五千万件残ったわけでございますけれども、それが何か抜本解決のようなイメージを振りまいて出しておられます。

 そして、一昨日、安倍総理大臣は参議院でこういう発言をしておられます、特に、旧台帳一千四百万件については、もう相当お年を召されておられるでしょうから、優先して対応させていただきたい、このように思っているところでございますと。これは、私どもの調査で旧台帳一千四百三十万件の存在が、大臣も認められましたけれども、ということは、一年以内に一千四百万件も照合する、こういうことでよろしいんですね。

柳澤国務大臣 私どもは、これは手短に話しますが、五千万件の未統合の記録というのは、平成九年の一月の基礎年金番号をそれぞれに付番したときに、実は受給権者の突合というのをしなかったのです。これは、裁定手続というものを重く考えて、裁定をされた方は裁定時に年金履歴というものがしっかりと確認されているということでありましたので、平成九年の一月の基礎年金番号の付番のときには、そこのところの実は突き合わせというものをしなかったわけです。したがって、今度最も優先的にそれをしなくてはならないだろう、こういう考え方に立っているということでございます。

 それと同様に、千四百三十万件の旧台帳それから資格喪失をされた方の記録、これは千四百三十がすべてそうしたものというふうなことではないということはたびたび申し上げている。それは一時金で清算をしてしまったものも多いんではないかというようなことも私ども敷衍をしつつも、しかしなお、そこに現在の受給者とかかわりを持つ記録が入っているかもしれない、これも一生懸命やらなきゃいけないということで、この部分については、私ども、最も最優先でこれを取り上げなきゃならない、こういうことを申し上げているわけでございます。

長妻委員 受給者と突合しなかったというのも本当にとんでもない話だと思うんですけれども。

 ということは、安倍総理が、総理の発言は重いわけで、一昨日、旧台帳一千四百万については優先すると。当然これも一年以内に入ってくるわけですね、一千四百万件は。

柳澤国務大臣 私ども、このデッドラインというものも、できるだけそうしたことを実現したいと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、この面でのデッドライン、めどというものを申し上げる、まだそういう用意というものを十分整えていないということでございますが、いずれにしても最優先で取り組まなきゃならない課題である、このように考えております。

長妻委員 ちょっと今の発言はおかしいと思うんです。つまり、安倍総理は五千万件は、これは私は本当に不十分だと思います、コンピューターの中だけでやるわけですから。ただ、五千万件は一年以内でやると言われている。しかし、五千万件よりも一千四百万件を優先するというふうに言われていますから、当然一千四百万件は一年以内、これは論理的にもその考えでいいと思うんですけれども。

 では、一千四百万件は何年以内なんですか。でも、これが最優先じゃないんですか。

柳澤国務大臣 私どもは、いずれにしても、かなりの年齢になっていらっしゃる方々の記録であるということをしっかり受けとめまして、これに最優先に取り組むということを申し上げている次第でございます。

長妻委員 いや、ですから、五千万件よりも優先されるということですから、一年以内に一千四百万件は対応すると。単純なことを聞いているんです。一年以内ですね、一千四百万件は。

柳澤国務大臣 私ども、これは現在マイクロフィルムにおさまっている記録でございますが、マイクロフィルムにつきましては、オンラインの記録との突き合わせというものを一生懸命やるということでございますが、その中で最優先で取り組むということを申し上げているということでございます。

長妻委員 一千四百万件は一年以内、これでいいんですね。

柳澤国務大臣 私どもといたしましては、マイクロフィルムにおさまっているということで、ある意味で定型的な照合資料ということもありますので、できるだけ効率を上げて、これを最優先に突き合わせをしていこう、こういうように考えているわけでありますが、先ほども申したように、終期についてのめどを申し上げるような準備はいたしておりません。

長妻委員 これで答えなかったら、ぜひ委員長、御配慮いただきたいと思うんですが。つまり、五千万件よりも一千四百三十万件を優先させる。そうすると、では、五千万件が一年よりもずれ込んじゃうということですか。二年、三年になるということですか。どういうことなんですか。では、一千四百三十万件は一年以内でできなければ、もっと五千万件はずれ込むということなんですか。

 ですから、一千四百三十万件は一年以内でやるのかやらないのかだけ、お答えください。

柳澤国務大臣 私どもがこのパッケージの新しい対応策で申し上げていることでございますが、五千万件に取り組む、これはコンピューター対コンピューターの突き合わせの仕事でございます。

 それに対して、この千四百三十万件というのはコンピューター対マイクロフィルムの突き合わせの仕事でございまして、それをどっちが先でなければならない、そういう構造には仕事の性質上なっていないと私は申し上げたいのでございます。したがいまして、両方とも最優先でこれを行うということでございます。

 コンピューター対コンピューターの突き合わせということについては、これはめどが立つわけでございますけれども、しかし、コンピューター対マイクロフィルムということになりますと、これをめどを申し上げるだけの準備というものが我々にはまだ持てていないということを申し上げているわけでございますが、いずれにしろそれを最優先でやるということは、もう何回も繰り返し申し上げているところでございます。

長妻委員 ちょっと私は意味がわからないんですね。この一千四百万件は、総理も言われましたように、七十歳以上の方も多くおられるんですよ。これは緊急ですよ。優先されると言ったんだから、五千万件が一年以内であれば、そこに加えて一千四百万件も、五千万件よりも先に一年以内になる、こういうふうに考えるのが自然じゃないですか。

 ですから、では一年を超えるということでよろしいんですね。五千万件もそれに伴って一年を超えるということですか。そしたら、五千万件の照合は一年を超えないんですね、柳澤大臣、この一千四百万を優先しても。

柳澤国務大臣 大専門家でいらっしゃる長妻委員に申し上げるのも何か恐縮なんですけれども、五千万件の未統合の記録とオンラインの記録とは、これはコンピューターの中に入っている資料の突合なんです。それに対して……(長妻委員「柳澤大臣、申しわけないです。大臣、ちょっと申しわけないです。時間がちょっと、ないので、もう一回質問させてください。ちょっと大臣、時間がないので、もう一回……わかっております。ちょっと大臣、もう一回質問させてください」と呼ぶ)

櫻田委員長 長妻さん、長妻君に申し上げます。答弁中でございます。

柳澤国務大臣 答弁中なんです。これに対して、オンラインとマイクロフィルムの突合というのは、これはコンピューター同士ではないんです。仕事の性質は全然違う。したがって、これをどっちが優先でなければならないということを言わなければならないような構造にはなっていない。こっちをやっても、同じようにこっちも手がけることはできるわけでございますから、そういう意味で、両方を並行してやるわけだけれども、その部類に属する仕事については両方とも最優先でやりますよということを言っているんです。非常に明快だと私は思うわけでございます。

長妻委員 そうしますと、大臣、五千万件よりも優先して一千四百万件をやる、こういうことを昨日総理が言われた。

 では、こう聞きましょう。五千万件は一年以内にやるということですね。五千万件は、こういう一千四百万件が出てきても一年以内でやる、それは変わらないということでよろしいんですね。

柳澤国務大臣 そのとおりでございます。

長妻委員 そうすると一千四百万件も、優先するわけでございますので一年以内、こういうことですか。

柳澤国務大臣 これは恐らく、もうすぐに始めますから、着手は両方とも同じ時期にスタートするということを、後々また振り返っても一緒に始めたねということが言える、そういうタイミングで両方始めることになるだろうと私は考えます。

 しかし、この終期については、片方の五千万件はコンピューター対コンピューターの記録の照合でございますから、今めども立つわけでございますけれども、片方、確かにマイクロフィルムというのは定型的な資料でございますので、本当の紙よりは能率的に運ぶだろう、私はこのように思いますけれども、今ここでめどを立てろということにお答えできるような準備が、大変恐縮ですが、ない。しかし、我々は、これは本当に優先的に処理するということで努力をするということを申し上げているということでございます。

長妻委員 そして、これ、総理が優先すると言った意味が全然違っちゃっているじゃないですか、それじゃ。この問題も我々はあきらめませんけれども、次に移ります。

 もう一つ。政府が、年金の相談、膨大なデータが今集まっておられると思います、それをなぜ隠しているんだ。我々は柳澤大臣に四月分の資料を出してくれと、これも前から前から、大臣、覚えておられますよね、四月分は集める仕組みをつくったからと。まだ出てきていない。

 我々も調査をいたしました。例えば、埼玉県の川越事務所、ことし一月二十二日から六月一日まで、約四カ月で。コンピューターにはなかった、コンピューターでは発見できなかったけれども、そのうち二十四人が、市区町村が保管をしている被保険者名簿に手書き記録があった。あるいは、九人が、コンピューターにはないけれども、国民年金の手書き台帳に記録があった。二人が、年金手帳に記録があった、コンピューターにはないけれども。そして二人は、社会保険庁の中に記録がないけれども、領収書を持っていた。こういうような情報を聞きましたけれども、これは確認しておられますか、大臣。

柳澤国務大臣 当然、私は、四月の一日以降の照会申し出に対し回答したもののうち、記録を確認する際に参考とした資料については、これを公表申し上げるということを発言させていただいているわけでございます。

 それはどうなったかということで、中間報告を申し上げますと、四月一日以降に受け付け、四月中に回答した二千八百五十五件の照会申し出のうち、マイクロフィルム等により記録を確認したものの件数は、七十一件報告をされております。

 なお、この七十一件につきましては、まず、マイクロフィルム等により記録を確認し、訂正などの処理は終わっておりますけれども、オンラインシステムにその記録が本当にないのかどうか、あるのかといったことについては、現在、一件一件確認中であるということでございます。

長妻委員 川越の数字は確認しておりますか。

柳澤国務大臣 これは、タイムスパンが違っておりまして、一月二十二日から六月一日までのことなんだそうでございますけれども、一応そういうものとしてはここに確認の記録がございます。

長妻委員 もう一回、では、その数字を言っていただけますか。

柳澤国務大臣 ここにメモがありますけれども、私は、この御質問は初めてここでお伺いいたしますので、そのことについて私として、責任を持ってお答えするということは、ふさわしくないというように思います。したがいまして、私自身がメモとして入れられたものをそのままここで申し上げるというのは、ちょっとはばかられるところでございます。

長妻委員 川越事務所の情報として、そういうような今の数字を聞きましたので、それが確かなのか確認をしたい、こういう質問をしているわけです。そして、数字も持っておられるのであれば、何でここで言われないんですか。前提条件をつけてもいいですよ。こうこう、こういう前提でこういう数字だということを言っていただいても結構ですよ。どうぞ。

柳澤国務大臣 長妻委員の方の数字というものを、私ちょっと聞き漏らしておりますので、そちらの方から言っていただいて確認させていただきたいと思います、それと同じかどうかだけをですね。(長妻委員「いや、まず言ってください。クイズじゃないんですから。クイズじゃないんで、まず言ってください。さっき言いましたよ。そんなばかなことあるの、答弁で」と呼ぶ)

 いや、これは、私としては、この質問というのはここで初めてお受けするわけでございます。そうして、長妻委員が今おっしゃられましたね、幾つかの数字を。そうしたら、それを言っていただければ、私がメモとして差し出された数字とは、合っています、合っていません、これは言えます。しかし、私は、私の責任においてこの川越社会保険事務所の数字をここで申し上げるだけの準備を実はしてきておらないのでございます。私は、そういう意味で、こういうことを責任を持って、この数字をここで申し上げるというのは適切でない、このように判断している。

 ですから、長妻委員がもしその数字をどうしてもこの場で把握したいということであれば、長妻委員の方がおっしゃっていただければ、私はそのメモを、その長妻委員の仰せられるその数字と、私が、今メモとして差し出されたものとが、これは照合されていますということはお答えできるということを申し上げたのでございます。(発言する者あり)

櫻田委員長 席にお戻りください。席にお戻りください。(発言する者あり)山井君に申し上げます。席にお戻りください。

 柳澤厚生労働大臣。

柳澤国務大臣 私は、先ほども、本当に恐縮なんですが、長妻委員が……(発言する者あり)

櫻田委員長 御静粛に。

柳澤国務大臣 次の御質問で私にそういうことをお問いになるということを、ちょっと知りませんでしたので、長妻委員がおっしゃったときにたまたま、私できるだけメモすることにしていますが、そのメモをとっていないので、長妻委員が、大変恐縮なんですけれども、もう一回おっしゃっていただければ、私がメモをとって、そのメモとこの私が今差し出されたメモとが合致しているかどうかということは、これは言えますよということを申し上げたんです。

櫻田委員長 長妻昭君、申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。(発言する者あり)御静粛に。

長妻委員 私、国会で何度も質問させてもらっていますけれども、非常に奇妙な答弁というか。

 では、どうぞ、副大臣。

石田副大臣 では、私の方からちょっとお答えをさせていただきますので、御確認をいただければと思います。

 一月二十二日から六月一日まで、国民年金照会申し出者数百三十四件、国民年金被保険者台帳マイクロフィルムにより確認したのが九件、市町村被保険者名簿により確認が二十四件、国民年金手帳により確認が二件、領収書により確認が二件、全部判明が三十七件……(長妻委員「どこですか、どこの事務所」と呼ぶ)川越というお尋ねじゃないんですか。だから川越でお答えしているんですけれども。マイクロフィルムにより一部判明一件、判明せず二十三件、調査中七十三件。こういうことでございます。

櫻田委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、長妻昭君の質疑は終了いたします。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私も、質問時間を十五分しかいただいておりませんので、答弁はなるべく簡潔に、そして委員長も公正な采配をしてくださるように、最初に要望をいたします。

 私も、昨日、三千件のサンプルデータの調査結果を持ってくると言ったので、延々と一時半まで待っておりまして、その結果が出ないために通告もできませんでした。このような形になってしまったということを非常に怒りを持って抗議をしたい、こう思っております。

 フリーダイヤルの年金相談に四十七万件も一日に殺到し、つながったのは一万七千人しかいなかった。しかし、この数字は、いかに国民が年金問題、この問題に関心を持ち、そして強い不信感をあらわしているかということのあらわれだと思うんですね。

 しかも、政府は、もう先ほどの大臣の答弁もそうですが、安倍総理が答弁したことと微妙に食い違っている。一晩でころころ変わることもある。だから、全然もう、きょう答弁されたことがあしたはどうなっているかわからない、こういう状態になっているんです。そして、今回のデータが出されなかったということ。これでは、幾ら何でも、総理が安心してくださいとか、一年で解決しますと言ったって、信じられるはずがないじゃないですか。本当にもうそれは強く指摘をしたい、このように思うんです。

 私は、このサンプルデータの結果、先ほど来お話ありますけれども、マイクロフィルムとオンラインとの突合で、三千九十件のうち、いろいろな不一致が百九十三件あったけれども、政府が発表したのは四件だった。これが、信憑性がないじゃないかとか、長妻委員が要望した資料とは違うものじゃないかとか、さまざま思っています。

 しかし、そうはいっても、このサンプルをとることによって、ミスというのは全体どのくらいあるものだろうか、あるいは地域的に偏りがあるんだろうか、全国、全体にあるのだろうか、どういうときにミスが起きるんだろうか、いろいろな傾向が読み取れるのがサンプル調査だと思うんですね。だからこそ、それは生のままで、できたらすぐに発表しなければ意味がなくなる、そういうことなんだと思うんですね。

 そこで、あえて大臣に伺いますが、今回のサンプル調査の結果から引き出すべき教訓は何だと思いますか。

柳澤国務大臣 今回のマイクロフィルムとオンライン記録の突き合わせの結果、今委員が言われるように、サンプル調査といえども一つの動かしがたい結果がここで読み取れるということでございまして、それはやはりこの入力が必ずしも一〇〇%正確に行われていないということでございまして、私どもとしては、今回新しい対応策の中で明らかにしておりますこのオンライン記録とマイクロフィルム、その他台帳との突合というものを、やはりしっかり取り組んでいかなければならないということを、ある意味で改めて確認をしたということでございます。

高橋委員 私は、もしや、たった四件と思っているかもしれませんが、大臣の今の答えはそうではなかったかと思うんですね。五千万件に割り戻すと六万を超えるじゃないかという指摘がございますし。

 今回は手作業ではなくて、オンラインデータとの突合だと。私は、それだけでもやはり出るんだなということをむしろ思うわけですね。まずそれを、データをきちんとする。あるデータを突合するというだけでも、何万という方が受給に結びつくのではないかということがまず読み取れるんではないかと思うんです。

 それから、先ほど問題になった、社保庁が無視したデータですね。入力ミスだというのにそれを数字として出さなかったミス、これも私は、例えば記録の訂正、つまり、オンラインに移行してしまってから何らかの形で、結婚して姓が変わったとか、いろいろな形で記録を変えたときに、もうオンラインに入っちゃっているので原票は直してないということが中心だと思うんですね。いじってない。

 ということは、逆に言うと、オンラインにミスがあれば、要するに後で見直しをした方は、突合しても発見されない。つまり、オンラインは絶対にミスがないという前提でなければ、その後の見直しをした方は発見されないということを示すことだと思うんですよ。今回の方は、特にそれが問題なかったかもしれないけれども、そういうことを意味するのではないかというのをまず一つ伺います。

 それで、三千二百万件も特殊台帳があった、それをマイクロフィルムに入れているわけですが、マイクロフィルムには入れていない普通台帳というのは、もともとは何件あったんでしょうか。

青柳政府参考人 まず、最初のお尋ねにつきましては、確かに年金裁定の際に、五十八歳通知のときから始まるわけでございますが、年金の加入記録を確認していただいたところで、御本人がもしそれにお気づきにならなかった場合には、確かに私どもも発見することは難しいという意味では、委員の御指摘のとおりかと存じます。

 それから、二点目につきましては、まことに申しわけございませんが、普通台帳の存在の数を廃棄の前に確認をしてということがございませんでしたので、現在、たまたま廃棄を逃れて一部の普通台帳が残っているということは、現在その数を精査、確認中ではございますが、廃棄されたものも含めた普通台帳は幾つあったのかということについては確認できないということをおわび申し上げたいと思います。

高橋委員 私、このことをとても驚くんですね。市町村が廃棄したとかしないとかという前に、もともと普通台帳が何件あったのか、数字がないんですよ。それ自体が余りにもずさんではないか。

 市町村に任せていた、それで全体像がわからない。では一体どのくらい失われたのかがわからないじゃないですか。本当にそのこと自体が非常に責任があると思います。

 これは特殊台帳をつくるときに、特殊台帳と普通台帳、普通台帳というのは一年間を通して全く未納か、全く納入か、一切出入りがない人のことを言うわけですよね。何か特別な未納、何カ月欠けているとか、そういう人は特殊台帳に入っている。ですから、私は、多分普通台帳の方が多くないだろう、一千万件くらいなのかなと思うんですけれども。それをわざわざ分けて、それで今になって大問題になっているということ、何でこういうことになっちゃったのかなと、強く指摘をしなければならないと思うんです。

 それで、消えた、消えていないということが随分論争になりました。消えた年金と言えば、そうじゃない、オンラインの中に入っていると言います。しかし、与党ももう御承知のように、消えた年金記録と、消えていないけれども統合できない、いわゆる宙に浮いたと言われる記録とは別個のものなんですよね。そうであれば、それぞれ幾らあるんでしょうか。宙に浮いたと言われるいわゆる五千万件、今ちょっと減ったと言われていますが、幾らになって、消えた年金は何件ですか。

青柳政府参考人 今の委員のお尋ねが、これから私どもがやろうとしておりますマイクロフィルムあるいは被保険者名簿等と突き合わせたその結果として、例えばオンラインの上に載っていないが、それらの台帳には残っているもの、これをあらかじめ、いわば予測、推測をして答えよというお尋ねであれば、大変恐縮でございますが、ちょっとお答えのしようがないというのが正直なお答えでございます。

高橋委員 今わかる数字で答えてください。

青柳政府参考人 いわゆる宙に浮いているものというふうに言われております五千万件、これはこの十カ月ほどで、御承知のように百四十六万件、統合によりまして、それが見事基礎年金に移ったというような形の実績も出ております。

 したがいまして、こういう形で整理をしていったときに、宙に浮いたものがそれぞれ減少をしていくということは今後も続いていくと思われるわけでございますが、例えば、その数をあらかじめ推測をすることはなかなか難しゅうございますし、また、先ほど申し上げましたように、いわゆる消えたという形で、台帳との食い違いという形の数字についても、私ども、現在それを推測するためのすべをちょっと持ち合わせていないというのが正直なところでございます。

高橋委員 ですから、消えていないんだという議論は非常に不十分だということを言えますよね。数字が言えないけれども、それはあるんだということですね。

 きのう私が説明を受けたのは、民主党が行った予備的調査の中の百万件で、いわゆる書類が一切見つからない、台帳にも見つからなかった五十五件は間違いなく消えているというお話でありました。

 そうなると、今殺到している相談者の中で、記録が見つかったとか、消えていたとか、いろいろのことがあっているんですけれども、多分、消えた年金というのは、ふえているんだろうということがあるわけです。消えていたということが改めてわかったということがふえていますね。いいですか。数字は今出せないのであれば、ふえたか、ふえていないかだけ答えてください。

 それから、昨年の相談体制の中で、領収書がなくて却下をされた二万人、私が再調査をしないのかと伺ったこの二万人は、どっちに入りますか。宙に浮いているんですか、消えたんですか。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

青柳政府参考人 まず、最初のお尋ねでございますが、御承知のように、五十五件は昨年の十二月末までの強化体制の中で発見された数字でございますので、これはその後も調査のお申し出がございますので、五十五件がふえているであろうということは容易に推測ができようかと存じます。

 それから、二つ目のお尋ねは、二万件がどこに入っているのかと、こういうお尋ねでございます。

 この二万件につきましては、いずれにしろ、今の段階では、オンライン記録になり台帳の中には該当するものが見当たらないという結果だけがわかっておるわけでございまして、これについて、最終的に、それが御本人の御記憶なりお申し出のとおりであるということが確認できますれば、今後は第三者委員会その他のお助けをかりてこれを確認していくわけでございますが、これができますれば、これは結果的に、翻ってみれば、消えた年金記録であったということが確認できようかと思います。

高橋委員 だから再調査をしてくださいと言っているんですよ。

 あなたたちが、消えた、あるいは消した、そういうふうにやろうとしているということを言わなければならないんですよ。消えていない消えていないと言いながら、どんどん消しているんですよ。そのことが今だんだんわかってきている。そして今、五十五件はふえていっているということをお認めになったと思います。

 この問題を続けますけれども、その前にもう少し確認したいことがあります。

 基礎年金番号が重複も二万件という数字もきのう出ておりますけれども、そもそも基礎年金番号は今何件、一億二千万件くらいでしょうか。平成九年に一億人に送ったときに、居どころ不明で戻ってきた件数はどのくらいあったでしょうか。

 それから、無年金者で受給年齢に達している方は、オンラインデータとマイクロフィルムを突合するにも、突合するべき一方のデータがございません。どうしますか。

青柳政府参考人 数字については今確認をしておりますので後ほどお答えするとして、まず、二番目のお尋ねの方からお答えいたします。

 もちろん、無年金者の方については私ども住所を持っておらないので、直接にお尋ねができないというのは委員の御指摘のとおりかと存じます。

 そこで、既にこれも公表させていただいておりますが、無年金者の方々であれば、介護保険の一号被保険者として普通徴収の対象になる方々が大部分であろう。したがいまして、介護保険の普通徴収の保険料の通知を市町村からいたしますときに御協力をお願いいたしまして、あなた方の中にもし無年金ということでいられる方がおられれば、加入記録の確認が今できるから、ぜひお申し出をしてくださいというふうに御案内をすることによって御通知をさせていただきたいというふうに思っております。

 それからもう一つ、先ほど委員が御確認でおっしゃった基礎年金番号の現在の数でございますけれども、十八年五月現在で一億四百二十六万件、また、平成九年一月時点で付番をした番号は一億百五十六万人になっております。(発言する者あり)申しわけありません、すぐ……。

 失礼いたしました。お答えを申し上げます。――申しわけありません。(発言する者あり)

伊藤(信)委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤(信)委員長代理 速記を起こしてください。

青柳政府参考人 大変失礼いたしました。

 基礎年金番号について照会をいたしましたけれども、未回答という形で御回答がいただけなかった方、五百六十五万件になっております。

 大変失礼いたしました。

高橋委員 部長、済みません。質問の意味がわかっていないんですよ。

 送ったときに、住所があて先不明で戻ってきた件数は何件ですかと聞いたんです。それはわかっていないと私は聞いています。わからないでしょう。

青柳政府参考人 大変失礼いたしました。

 先ほどの五百六十五万件は、いらっしゃるんだけれども返ってこなかったことを含めた件数でございました。まことに申しわけございません。

高橋委員 ですから、番号があればそれでいいんだということじゃないんだということをいろいろな角度から指摘したかったわけです。

 ですから、単純に一年でやるんだという話だけをしないで、もっと厳密に見て、そして、実態をきっちりと皆さんにお知らせをして、有効な対策を立てていくべきだということを強く指摘して、終わりたいと思います。

伊藤(信)委員長代理 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 思えば、この社会保険庁改革問題、あるいはきょうは社会保障の、各国に共通するような新しい制度の設計についての審議でありますが、年金問題が論議に上がるときはいつもいろいろな数字が飛び交って、その一つ一つが、実はこうした場で、主には野党側の質問によって明らかになる。そしてそれは、国民の一人一人にとっては、生きていく一人一人の人生をあらわす数値である。

 私ども野党は、昨夜も非常に深夜まで、山井さんは徹夜までなさって、社会保険庁からのデータを求め、得られず、本日は、質問の通告も十分にはできない状態での質疑を交わさねばならないわけです。

 しかし一方、考えれば、まだ、こうした形で資料を求め、求め、求めて、質疑ができるだけいいかもしれません。なぜならば、これから後、社会保険庁は解体され、あるいは年金の積み立ての運用機構は独立行政法人となった途端に、こうした国会の審議の中での一つ一つの数値の確認、あるいは責任者のこの場への出席すらままならなくなる。そして、国民には多大な不安を残したまま、年金はやみからやみに消えたり、あるいは浮いたり、あるいは隠されたりしていくんだと思います。その意味で、私は、今参議院で審議中の法案は即刻凍結すべきである、国民の安心、その一言のために凍結すべきであるということをまず申し上げたいと思います。

 そして、冒頭の質問は、先ほど長妻委員が御質疑でありました、一千四百三十万件の、いわゆるマイクロフィルムに残されている、そしてオンラインには統合されていない記録、私どもは、この審議の中で、もうほかにはよもよもそういうものはないでしょうね、今わかっているものは、オンラインにあるもの、あるいはここでマイクロフィルムにあるもの、そして紙ベースにあるものは基本的にはマイクロフィルム化されていると考えて、しかしながら、物によっては一部残っているかもしれない、この三つくらいだろうと思ってまいりました。しかしながら、昨日の参議院の審議の中で、私ども社民党の党首の福島みずほがお伺いいたしました三十六万件の船員保険、このデータは一体どこにあるんでしょうか。どこにどのような形で隠れているか、置かれているか。青柳さん、お願いします。

青柳政府参考人 昨日の参議院の厚生労働委員会で、今委員から御紹介ありましたように、船員保険のデータについて御指摘がございました。私ども、急遽調べさせていただきました。結論、わかったことを申し上げます。

 これは、船員保険の被保険者のマイクロフィルムでの情報の管理数でございまして、三十六万件、全体でございます。この三十六万件は、マイクロフィルムの作成時点では磁気データ化をしておらないということでございます。

 その内容は、昭和十五年から昭和二十五年の四月一日までに船員保険の被保険者資格を喪失した方の船員保険の被保険者台帳でございまして、例示として申し上げれば、厚生年金保険における一千四百三十万件と同様の性格のものというふうに承知をしております。

阿部(知)委員 すなわち、千四百三十万件以外にも、またここに全くオンラインからは外されて、載せられもせず、眠らされたデータがあるわけです。

 大臣、この一つとて、私たちが審議の中でもう本当に探し出しているんです。それは、国民の不安を解決したいから。千四百三十万件も、長妻さんが一生懸命過去の社会保険庁の歴史を読み、見つけてきました。もしこの作業がこの国会でなければ、すべてはなかったことにされかねません。

 今また三十六万件の船員保険、昭和十五年から二十五年までのものと伺いました。しかし、これも全くオンライン化されておりません。千四百三十万件だけではありませんでしたね、大臣。どう思われますか。大臣にお願いします。

柳澤国務大臣 千四百三十万件は、これは旧台帳それから資格喪失者の台帳ということで、そもそも長妻委員が御紹介いただいたときのあの資料にもございましたように、利用の頻度が低いというような位置づけをされておりました。

 そういうことで、それはどうしてかといいますと、結局、昭和十七年に厚生年金がスタートをして、以後、昭和二十九年ということですから、その間、十二年間のことでございます。したがいまして、当時の二十年の資格取得の期間、あるいはその後における二十五年の資格の取得期間ということを考えますときに、やはりそれは、多くの方はかなり一時金ということで決済をされたのではないかというようなことが背景の認識としてございまして、そういう位置づけになっていたんだろう、このように考えるところでございます。

 そしてまた、三十四年の三月末まで、さらにはその後においてもう一度お勤めになられて厚生年金の資格を取得したという方がいらっしゃいまして、特に、二十九年から三十四年の五年間に再取得したという人の記録は、この千四百三十万件からまたこのオンラインの方に移行しているとも考えられますので、非常に対象は少ないのではないかということでございますが、なおやはり、今委員が言われるように未統合のものもございますから、我々、これについてはオンラインとの照合をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

阿部(知)委員 私が申したいのは、あれこれこうやって野党側の委員が探してこなければ、社会保険庁が一切みずから明らかにしようとしない、その問題を指摘しているのであります。

 大臣は今るるおっしゃいましたが、それでも、たとえその中に一人でも受給権が消える方があれば、私はそれはもう意図的と思わざるを得ません。三十六万件は磁気ファイル化されていません。オンラインに行こうにも行く道がないのです。

 大臣は、この間の審議の中でいろいろな数値が行き交う中で、本当に、例えば制度改革の問題、今、年金制度だって、例えば今OECD諸国の中で、我が国の公的年金は給付のレベルが四〇%を割っているんじゃないかという指摘があるような、本来の年金の問題に一日も早く行きたいと思っておられると思うんです。しかしながら、相次ぐこうしたデータの、ある意味での、結果的に見てデータ隠しです。これが相続く限り、私は、その中でいわば強権的な採決がなされて、社保庁が解体されていってもだれも喜ばない、みんな隠されちゃうと思うわけです。

 きょうは、大臣にこのことを強く申し上げて、三十六万件、さらに一千四百三十万件プラス三十六万件がここにマイクロフィルムに残されたままであるということを大臣にも確認していただきたいと思います。

 次いで、私は、きょう質疑の中で大変気になったことをあと二点伺いたいと思います。

 いわゆる第三者機関の問題であります。

 今度総務省に置かれる第三者機関によって、いろいろ、例えば領収書がない場合等々も含めて、その方の年金の受給をどうするかということに見解が述べられ、最終的には、厚生労働省で裁定、社会保険庁の、今度どんな名前にするか知りません、裁定をされるわけですよね。

 そうすると、その裁定に不服な場合、違うんじゃないかとやはり思う方はおられるわけです。これまでも裁定に不服申請をなさっている方はおられます。しかし、今度はダブル責任逃れになります。判断は、先ほどの大臣の答弁では、第三者委員会がした、それを今度の裁定において厚生労働省は追認するんだと。果たして裁定の最終責任はだれがとれるんでしょうか。だれがその方にきちんと、例えば裁判が起こったときに面と向かって説明をしたり、あるいは責任をとれるんでしょうか。

 私は、こんな権力の二重構造みたいなことをしたら、ますます受給権からは遠くなる。あちらが判定したんですから、私たちはそれを受けてやりましたと言うだけでしょう。総務省の方は、厚労省が裁定したんですから、私たちは第三者委員会として意見を述べただけですと。

 大臣、普通に考えても、こんな無責任構造をとるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。大臣にお願いします。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 これは、今委員は裁判の際なぞというお話でございますが、当然、日本国民は、自分の財産権をめぐっては、最後は司法の場で判断を仰ぐという権利を有しているわけでございますので、そういうこともあり得ないわけではない、あり得るという前提で申しますが、そういう場合には、これはもう逃げも隠れもいたしません。社会保険庁長官、あるいはその地位を引き継ぐ者、これが裁定者としての責任を負う。それで、裁判等の場合には、社会保険庁長官がこの被告ということになる、こういうことでございます。

阿部(知)委員 だったら、大臣、それは法的には裁定の最終責任者は厚生労働省あるいは社会保険庁あるいは新日本年金機構になるわけですよ。そして、その間の第三者委員会というのは、果たしてどんな意味を持つのか。最終の裁定まで責任を持たねば、事はそこに金銭が発生し、受給権が発生することですから、私は、こんなあいまいな組織はとっていただきたくないと思います。

 もう一つ、大臣はおっしゃいました、法的なことで、これだけは確認しなきゃいけません。特例の時効法案のことに関して、大臣の言葉、私がメモしました、社会保険庁の不手際等々があったためにこのたびは時効法案にしたんだと。社会保険庁に不手際があったら時効は停止するんですよ。そのための時効法案なんておかしいじゃないですか。大臣、自分の御答弁をきちんと読み直していただきたい。私は、これは、時間がこれきりですから、それではお願いします。

柳澤国務大臣 要するに、これは、最初の問題提起のときに私がお答えしたように、会計法という非常に強固な法的な枠組みがあるわけです。それに対して、一方、信義則、こういう民事法の法理に、非常にこれもとうとい理念としてあるわけです。これが対立するわけです。

 その場合に、信義則を援用して時効を不適用にするということは、これは非常に難しい、これは個別判断である、どちらかというと司法の判断を仰がなければならないようなケースが多い、こういう、非常に会計法の枠を突き破るのが難しいんです。一般的には難しい。だから、一般的にこれを難しいこととしないで、むしろこちらの方が強いように、会計法の壁を破れるような、そういう法律が必要だ、こういうことで今回の立法が行われたということでございます。

阿部(知)委員 そんな法律だったら、本来とるべき社会保険庁の責任、手落ち、不手際は社会保険庁側にあるんですからその時点で停止するんですよ。大臣、そういう、今までのそれがルールで、今まで以下になるじゃないですか。よくよくお考えになっていただきたいと思います。

 以上で終わります。

櫻田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まずは冒頭、田村副大臣にお越しいただきましたので、田村副大臣にお尋ねをさせていただきます。

 今回のこの年金記録の訂正に関しましては、本人の領収書等の証拠がない、こういう場合でも、周辺の状況等を勘案して、総合的に判断できる第三者委員会を総務省に設置することとしておるわけでございます。

 この第三者委員会は、総務省という、これまでの年金運営の業務の流れにない組織に設けられることになっておるわけですが、この法的な位置づけを明確にする必要があるのではないかなと思うんですが、まずそこを副大臣にお尋ねしたい。

 そこで、この第三者委員会を設置する根拠、それから、実際に記録訂正を行う社会保険庁との関係はどのようになるのか、お伺いしたいと思います。

田村副大臣 今委員おっしゃられましたとおり、今度、総務省のもとに第三者委員会が設置されるということでありますが、法的根拠といいますか、設置の根拠というものは何であるかという話で、これは、いろいろともうお話が出ていると思うんですが、総務省設置法におきまして、所掌事務、第四条の二十一号、「各行政機関の」「業務に関する苦情の申出についての必要なあっせんに関すること。」というところでございまして、そういう意味では、しっかりと申し出をされる方の立場に立って、これに対して判断を下した上で、それをあっせんさせていただくという形になろうと思います。

 それから、社会保険庁とのかかわりという話でありますけれども、当然、社会保険庁の方ではこれはだめであるというふうに判断されたものがこちらに来るわけでありますから、その中において、我が方で判断をした上で、それをこういうような判断が出されましたということで社保庁にお返しをさせていただく。ただ、社保庁は、いろいろと御答弁をいただいておるのをお聞きいたしておりますと、それを受け入れるという話でございますから、そのような形で我々の判断を尊重していただけるというふうに思っております。

糸川委員 そうすると、副大臣、実質裁定をすることになるわけではないのかなと。その法的根拠は、あっせんの第四条の二十一号でそこまでできるということになるんでしょうかね。その条文で裁定までができるというふうに解釈してよろしいんでしょうか。

田村副大臣 あくまでも法的にはあっせんの話でございますので、設置ができる根拠というものは、この総務省設置法の中における、今言った号の中で設置ができる根拠はあるということです。それと、設置をするための根拠とはまた別の話でありますから。

糸川委員 では、今度大臣にお尋ねしますが、現在の年金等の社会保険に関する処分、これは先ほどからも何度も出ておりますが、この処分に対する不服申し立て、これは法規に基づいて社会保険審査会に対して行うことができるわけでございますが、さらに第三者委員会を設けることは、同様の目的を持つ第三者機関、これを並立させることになりまして、国民の混乱を招くのではないかなというふうに思いますし、また、税金の無駄遣いにもつながる可能性があるわけですね。

 この第三者委員会と社会保険審査会との役割分担、これはどのように整理されていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 まず、今回の年金の記録の問題で、いろいろ国民の皆様に御心配をいただいているわけですが、個々のケースは、具体的に言うと、まず被保険者のケースがあるわけです、つまり受給をするに至っていない方のケースがあります。この場合に、記録の問題についていろいろ社会保険庁との間でやりとりをするというのは、まだ処分をめぐる段階ということではございませんので、これは社会保険審査会とは関係がない。関係がない中で、今言ったような、いろいろな主張の相入れないところを調整する、こういうことになります。

 それから、受給権者の場合はどうかといいますと、受給権者の場合は、裁定がありますと、これは処分が行われますから、処分に対する不服の審査というものを申し立てる権利が国民にできるわけですが、これは処分後六十日間という非常に厳しい期間的な制約がございます。したがって六十日間以内、それでも六十日間以内にこれを自分がやるんだという場合には、これは実際上審査請求もできるし、この場合には、第三者委員会というものを自分は選ぼうということであれば、これは両者が選べる。どちらかいずれかが選べるし、また場合によっては両方やるということも不可能ではない、こういうことになろうかと思います。通常はどちらかを選ばれるんだろうと思います。六十日間を超えますと、第三者委員会ということしか道がない、こういうことになるわけでございます。

 したがいまして、今度、再裁定が行われた、今の第三者委員会で再裁定が行われた、それが不満だということで六十日間以内に審査請求をしたいということになれば、これは審査請求もできるということで、あくまでも審査請求についての権利というものは認められるということになろうかと思います。

糸川委員 大臣、ちょっとお尋ねしますが、そうすると、まず第三者委員会に、自分が、どうもおかしいんじゃないか、この記録、納付記録と、間違っているんじゃないか、見直してほしいと言って第三者委員会に出しました。第三者委員会で、いや、あなたのこれは資料が全部そろっていないからだめですと言われたら、じゃ、もう一回、再審査請求を社会保険審査会に、受給権者であるならばそこに出すことができるわけですね。できないんですか。第三者委員会でノーだと言われたら……(柳澤国務大臣「処分じゃない」と呼ぶ)どうしてですか。

 受給権者が、今大臣の答弁だと、処分後六十日間以内であるならば請求できるとおっしゃられましたよね。ということは、第三者委員会で、あなたの提出した資料では納付期間を認めることができないと言った場合、いや、それはおかしいじゃないかと言って、今度は、社会保険庁の、今厚労省に設置されている社会保険審査会の方に再度、もう一回審査してくれという再審査の請求はできないんですか。

柳澤国務大臣 変更の裁定請求というものを出されて、そして、それに対して却下の処分が、社会保険庁長官、それはもちろん第三者機関が背後にいるわけですが、社会保険庁長官がそういう処分をするということになったら、それに対してはもちろん不服申し立て、不服審査の請求ができるということでございます。

糸川委員 そうすると、再審査をした場合は、社会保険庁長官が、もしくは引き継ぐ方が責任を負うということになるわけですよね。

 それから、じゃ、場合によっては、これは厚労省からいただきましたけれども、平成十六年から平成十八年に係る再審査請求、年金納付記録の訂正にかかわるものというものでいただきました。平成十六年度は六件の再審査請求がございました。認められたものはゼロでした。それで、平成十七年度は六件の再審査請求があって、一件認められました。五件は棄却されました。平成十八年度、五件また審査請求があって、一件は認められて、四件は棄却をされているわけですね。

 こういうものに関して、先ほど大臣は両方かけることができるとおっしゃるわけですから、じゃ、今度は、ここで棄却されて不服だと、今度は第三者委員会にこれを持っていって、覆ることはあるんですか。

柳澤国務大臣 理論的にあり得ないわけではないと私は思いますけれども、やはり原処分官庁の処分が自分は不服だという場合には、それはそういうことになる可能性は大であると比較的に思いますけれども、いわば原処分庁の処分が不服であると言って不服審査機関に申し立てて、不服審査機関がノーと言った場合に、第三者機関でこれを覆すというのは、私は、なかなか事実上困難であろう、このように思います。それは、審査請求というものの重みというものを考えていただきたい、このように思います。

糸川委員 そうしたら、大臣、第三者委員会に、これは、十六年度の方、六件とかというものを、再審査請求された方がいらっしゃるわけですよね。ということは、私はいただいていないので、もしいただけるならば、棄却の理由をいただけませんでしょうか。どういう理由で再審査請求棄却、認められないということになったのか。

 これは納付記録の訂正にかかわるものということで出していただきました。ということは、自分は払ったはずだということでこれはやはり申し立てているわけですよね。ところが、認められていない方がいらっしゃるということは、いや、これは社会保険庁としてもう最終判断をしたんですと言って切り捨てたときは、例えば領収書等の提出が必要だったということなわけですよね。でも、今はそれがなくても、客観的に判断をして、総合的に判断して、場合によっては認めることもあるということですよね。

 では、こういう一回棄却されちゃった方は、どういう救済の手段があるんでしょうか。

渡辺政府参考人 行政不服審査の手続をすべて終えてもなお不服があるという場合の救済の道というのは、委員御承知のとおり、司法にお願いする、裁判に出るということだと思います。

糸川委員 そうすると、今、年金局長の話ですと、第三者委員会にそれを戻していいという話ではないわけですね。第三者委員会に自分の記録を持っていって、もう一回総務省の、先ほど田村副大臣がおっしゃられた第三者委員会にこの記録を持っていって、不服だと言うことはできないんでしょうか、どうなんでしょうか、田村副大臣。こういうことは可能なんでしょうか、不可能なんでしょうか。

田村副大臣 これから制度設計しますから明確なことはまだ言えないですけれども、現状においては、第三者委員会にお持ちをいただくことは、それは可能だという話だと思います。

糸川委員 そうすると、大臣、審査請求が終わった後も、今、年金局長は、いや、これはもうその後は司法の手にということですけれども、お持ちいただいて、第三者委員会で客観的に判断したらオーケーだと言われた場合はどうなるんですか。大臣、どうなっちゃうんでしょうか。第三者委員会が、いや、司法の手じゃないですよ、第三者委員会がいいですよと言った場合には、最初は大臣もこれは覆らないということがないわけじゃないがということをおっしゃられましたが、ということは、場合によっては覆る可能性もあるということですよね。

柳澤国務大臣 今回の年金記録の問題に関する限り、私は、第三者委員会というものは事実上の救済を考えるという機関でしょうから、したがって、全く門前払いをされるということはないだろう、このように考えます。

 しかしながら、原処分官庁の処分が争われるわけではないんですね。不服審査機関の処分でございますから、私は、覆る可能性ということについてはかなり狭められているのではないかということを先ほど申し上げたわけでございます。

櫻田委員長 糸川正晃君、時間が終わっていますので。

糸川委員 ありがとうございました。

 もう質問いたしませんが、そうしますと、大臣、過去の審査請求をした方々、やはりこの方々はもう既に受給権者の方々です、場合によっては納付をされていた記録がどこかにあるのかもしれない、そういう方をぜひ救済していただけるように。

 そして、年金局長の話との整合性がどうもついていないような気もします。田村副大臣との話もまだついていないような気がします。早い時期にこれはきちっと話をして、統一をしていただきたいと思います。

 以上です。終わります。

櫻田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

     ――――◇―――――

櫻田委員長 次に、参議院提出、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院厚生労働委員長代理者理事阿部正俊君。

    ―――――――――――――

 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

阿部参議院議員 参議院の阿部正俊でございます。委員長にかわりまして御説明申し上げます。

 ただいま議題となりました救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘリは、事故あるいは急病や災害等の発生時に、消防機関、医療機関等からの要請に対しまして、医師等がヘリコプターに搭乗して速やかに救急現場等に出動することができて、搬送時間の短縮のみならず、救急医療に精通した医師が、救急現場等から直ちに救命医療を開始しまして、高度な救急医療機関に至るまで連続的に必要な医療を行うことによりまして、救命率の向上あるいは後遺症の軽減に顕著な実績を上げております。

 政府は、平成十三年度からドクターヘリ導入促進事業として、都道府県に対しまして補助事業を実施することによりまして、ドクターヘリの導入を進めておりますが、現在までのところ、十道県十一機が運航するにとどまっておりまして、全国的に整備されるに至っておりません。

 そこで、本法律案は、ドクターヘリを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別の措置を講ずることによりまして、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与しようとするものであります。

 次に、本法律案の概要につきまして簡単に御説明申し上げます。

 第一に、この法律におきまして、救急医療用ヘリコプターとは、救急医療に必要な機器及び医薬品を備えたヘリコプターのことであり、かつ、救命救急センターにおきまして、その医師が直ちに搭乗することのできる場所に配備されているものをいうこととしております。

 第二に、この法律による施策は、救急医療用ヘリコプターにより速やかに救急医療を行う態勢を、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備することを目標としております。

 第三に、厚生労働大臣は、医療法の基本方針に救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する事項を定めるものとし、都道府県は、医療計画を定める場合に、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保について定めるときは、その目標等を定めるものとしてございます。

 第四に、都道府県は、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供に関しまして、傷病者の状況等の連絡に関する基準の作成等のために関係者が協議する場を設ける等、関係者の連携に対し必要な措置を講ずるものとしております。

 第五に、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供に要する費用に対する補助の制度を定めることとしております。

 第六に、民間からの寄附に基づく基金を設けまして、全国的に助成金を交付する非営利法人を登録する制度を設けることとしております。

 第七に、附則に検討条項を設けまして、政府は、この法律の施行後三年を目途として、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供に要する費用のうち診療に要するものにつきまして、健康保険法等の規定に基づく支払いにつきまして検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。

 なお、この法律は、一部を除きまして、公布の日から施行することとしてございます。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十二分散会


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