衆議院

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第3号 平成19年10月31日(水曜日)

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平成十九年十月三十一日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      井上 信治君    石崎  岳君

      上野賢一郎君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    鈴木 淳司君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      とかしきなおみ君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    林   潤君

      福岡 資麿君    松本  純君

      松本 洋平君    三ッ林隆志君

      内山  晃君    枝野 幸男君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      三井 辨雄君    柚木 道義君

      伊藤  渉君    江田 康幸君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           細川 律夫君

   議員           山井 和則君

   議員           山田 正彦君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     寺村  映君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     鈴木 淳司君

  松浪 健太君     上野賢一郎君

  松本 洋平君     とかしきなおみ君

  三井 辨雄君     枝野 幸男君

  古屋 範子君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     松浪 健太君

  鈴木 淳司君     高鳥 修一君

  とかしきなおみ君   松本 洋平君

  枝野 幸男君     三井 辨雄君

  江田 康幸君     古屋 範子君

    ―――――――――――――

十月三十一日

 労働契約法案(細川律夫君外三名提出、衆法第一号)

同月二十九日

 消えた年金問題の早急な解決と最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七六号)

 同(石井郁子君紹介)(第一七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第二六一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二六八号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(武正公一君紹介)(第一八五号)

 中小自営業の家族従業者等に対する社会保障制度等の充実に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一八六号)

 同(寺田学君紹介)(第一八七号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第二〇六号)

 同(古賀一成君紹介)(第二〇七号)

 同(辻元清美君紹介)(第二〇八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二〇九号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二八号)

 同(重野安正君紹介)(第二二九号)

 同(田島一成君紹介)(第二三〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三一号)

 同(松本龍君紹介)(第二三二号)

 同(森本哲生君紹介)(第二三三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二七一号)

 同(金田誠一君紹介)(第二八一号)

 同(川内博史君紹介)(第二八二号)

 同(田名部匡代君紹介)(第二八三号)

 同(小川淳也君紹介)(第三一五号)

 同(下条みつ君紹介)(第三一六号)

 被用者年金制度の一元化等に関する請願(村田吉隆君紹介)(第一八八号)

 安全で快適な妊娠・出産・子育て環境確保に関する請願(大塚高司君紹介)(第二〇五号)

 同(細田博之君紹介)(第二三五号)

 同(稲田朋美君紹介)(第二七二号)

 同(新井悦二君紹介)(第二八七号)

 同(井上信治君紹介)(第二八八号)

 同(松本純君紹介)(第二八九号)

 同(河本三郎君紹介)(第三一七号)

 同(宮下一郎君紹介)(第三一八号)

 患者負担増計画の中止と保険で安心してかかれる医療に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二四八号)

 労働法制の拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四九号)

 同(石井郁子君紹介)(第二五〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二五三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五七号)

 医療に回すお金をふやし、保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二五八号)

 同(下条みつ君紹介)(第三一〇号)

 同(高木義明君紹介)(第三一一号)

 同(羽田孜君紹介)(第三一二号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二五九号)

 同(高木義明君紹介)(第三一三号)

 同(滝実君紹介)(第三一四号)

 安心で行き届いた医療に関する請願(辻元清美君紹介)(第三〇七号)

 同(松本龍君紹介)(第三〇八号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(下条みつ君紹介)(第三〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働契約法案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第八〇号)

 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第八一号)

 最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第八二号)

 労働契約法案(細川律夫君外三名提出、衆法第一号)

 最低賃金法の一部を改正する法律案(細川律夫君外二名提出、第百六十六回国会衆法第三四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として消防庁審議官寺村映君、厚生労働省大臣官房審議官黒川達夫君、医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、医薬食品局長高橋直人君、労働基準局長青木豊君、老健局長阿曽沼慎司君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。

松本(純)委員 おはようございます。自民党の松本純でございます。

 フィブリノゲン問題では、厚生労働省の対応のずさんさが指摘をされているところでありますが、私も全くそのとおりと思うところでありますし、この憤りを強く感じているところであります。

 私としては、この問題について、単に過去をほじくるということばかりではなくて、今現在、患者さんの置かれている状況を考えれば、いかに早くきちんと対応することができるかどうかということが極めて重要だと思っておりまして、それを含めまして何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、幾つかの数字が出ていて、もう一度整理をさせていただきたいのでありますが、この事実関係を明らかにしたいというところから、このフィブリノゲンの投与者数について、まずその数字をお伺いさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十四年三月四日付の三菱ウェルファーマ社からの報告によりますと、推定使用数量、これは昭和五十五年以降の卸業者が医療機関に納入した数量でございますが、この推定使用数量から一回当たりの平均使用量をもって、それで割り算をいたしまして推定の使用者数を推計したものが出されております。

 その資料によりますれば、平成十三年十二月末現在の数字で、フィブリノゲン製剤の推定使用者数は約二十八万人ということになっております。

松本(純)委員 この投与者に対して投与の事実をお知らせし、検査を勧奨すべきだと考えるんですが、これまでそのようにしてこなかったその理由はどこにあるのか、お伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 平成十四年調査の当時としては、広く肝炎対策の一環として肝炎検査受診の呼びかけを行っていく、そういう意識であったというふうに見ております。

 さらに、平成十六年十二月には、三菱ウェルファーマ社がフィブリノゲン製剤を納入したとされます医療機関の名称等を公表いたしますとともに、肝炎対策の一環として広く、フィブリノゲン製剤の投与を受けた可能性のある方やC型肝炎に感染した可能性が一般より高い方に対しまして肝炎検査受診の呼びかけを行ったところであります。

 この医療機関の名称を公表する際に、各医療機関に対しまして、元患者の方などからの問い合わせに際して可能な限り情報提供をしていただくこと、それから、カルテなどからフィブリノゲン製剤を投与された元患者の方が判明した場合は肝炎検査の受診を勧めていただくことなどを文書により要請いたしたところでございます。

松本(純)委員 それから三年間、改めてお知らせと検査の勧奨をすべきではないかと考えるのですが、どのようにお考えになっているかお伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、三年ほど時間が経過したわけでございますが、フィブリノゲン製剤が投与されたすべての方々に対しまして早急に投与の事実をお知らせし、一日も早く検査、治療を受けていただくための対策をとることが大変重要というふうに考えております。私どもとして全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、これらの方々をすべて特定することは現実的にはなかなか難しい面もございますけれども、製薬会社、フィブリノゲン製剤を納入された医療機関の協力を得ながら最大の努力を行っていきたいというふうに考えております。

松本(純)委員 他方、この投与者以外にも、二百万ほどのC型肝炎患者、感染者がおられます。この方々に対する支援措置は現在どのように行われているのか、お尋ねをします。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、肝炎対策といたしまして、まず、肝炎ウイルス検査体制の強化ということで、保健所や老人保健事業、これは市町村ですけれども、実施しております。それから、診療体制の整備ということで、拠点病院の整備をするというようなことで、現在、四カ所ほど整備を進めております。また、治療方法の研究開発などによる治療水準の向上、さらには国民に対する普及啓発、相談指導の充実などの取り組みを行っていまして、現在、七十五億円程度の予算で実施しております。

 以上でございます。

松本(純)委員 患者さんにとって、このような一般的な肝炎対策というのは行われているわけでありますが、それに加えまして医療費の問題が大変重要な問題だと思うのでありますが、厚労大臣はどのようにお考えか、お伺いをいたします。

舛添国務大臣 この対策について、ことしの六月に安倍総理が、従来の延長線上ではない新たな対策をやるんだということを明言されています。私も基本的にそれを受けて、松本委員御承知のように、従来からいろいろな対策がありますけれども、それに加えて、インターフェロン治療、これはもう非常に経済的な負担になる、ですから、これは与党のPTの皆さん方が今一生懸命取りまとめを行っていただいていますので、そういう財政的な支援策をきちんとやりたいというふうに思っています。

 今五万人ぐらいの方しかインターフェロンをお使いになってない。それはいろいろな理由があって、経済的な理由とかなんとかあると思います。それで、この支援策をやっていただいて、倍増する、少なくとも十万人の方がこういう治療が受けられるように、そのためにどれぐらいの支援があればいいか、所得の階層によってどういう支援をするか。これは今与党PTが本当に一生懸命やっていただいていますので、それを受けまして政府としてもやりたい。

 そして私は、こういうものは国民の皆さんにも一緒にやっていただきたい。ぜひ皆さん、自分の健康ですから検診してと。そのために、肝炎治療七年計画、つまり、七年たった暁には、治療を受けてないような人はいませんよ、そういう水準にまで持っていくように努力をしたいと思いますので、自民党、公明党の検討チームの皆さん方、できるだけ早急に案を取りまとめいただき、これは財政当局との話もしないといけない、各省庁との話もしないといけない。とにかく一日も早く一人でも多くの命を救う、そのために全力を挙げる思いでありますから、ぜひ皆さん、この肝炎治療七年計画に御賛同いただければと思います。

松本(純)委員 今のお答えにありましたけれども、与党PTが検討を進めている支援策に沿ってこの対策を取りまとめるということで受けとめてよろしいんでしょうか。

舛添国務大臣 基本的には、与党の検討チームの皆さん方の取りまとめをしっかりと受けとめまして、これを基本として、政府としても、今私が申し上げたような形の総合的な支援策を取りまとめしたいと思っております。

松本(純)委員 この七年計画がきっちりと進むということが重要なことだとは思いますが、医療費助成についてなんですけれども、所得階層別月額上限をどの程度にとどめることができるのか、また、この助成期間をどれほど幅広に持っていくことができるのか、その辺についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 これは大体七万円、インターフェロンの治療にかかるというように聞いておりますが、仮に所得が十万しかない方が、では七万の薬代を払えるかというと、それは生活できませんから、やはりそういう方は、これは全部与党のPTの皆さん方にまずお決めいただくことなんですけれども、例えばその負担が一万ぐらいになれば、十万の所得の中から九万残りますから、これは何とかやっていけると思います。

 だけれども、逆に、物すごい大金持ちの人がいて、むしろ、私の立場としては、そういう方に御支援申し上げるよりも、本当に困っている、貧しいがゆえに治療を受けられない、こういうことは先進国として絶対にやめないといけないと私は確信しておりますので、どうかそういう経済的に困難な理由で治療を受けられない人を優先する。それは、どこまで御支援申し上げるかということは早急に与党の皆さん方でお決めいただいて、その線に沿って全力を挙げたいと思っています。

松本(純)委員 次に、フィブリノゲン製剤によるC型肝炎問題についてお伺いをしたいと思いますが、国が感染の発生を把握したのはいつだったのか、また、十分情報収集をしてきたのかどうかについてお尋ねをします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点は、平成十四年八月二十九日に公表いたしましたフィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染に関する調査報告書の中で、その際にかなり調査いたしております。

 それによりますと、旧厚生省は、血液製剤による肝炎のリスクについては、使用上の注意としての記載があったように、これは知られていたものではありましたけれども、フィブリノゲン製剤が承認されてから昭和六十一年までの二十二年ほどということになりますが、その間に、具体的に認識をした肝炎の症例数は極めて少なかった可能性が高いというふうに考えられております。

 それから、昭和六十二年の青森県における肝炎の集団発生を契機にいたしまして、フィブリノゲン製剤をめぐる状況は一変いたしました。同県三沢市の医療機関からの連絡を受けて以降につきましては、旧厚生省は、全国調査の指示を初め、旧ミドリ十字社に対しまして、頻繁に報告を求め、また対応を指示していたことがうかがえ、速やかに対応していたのではないかというふうに考えられるということでございます。

松本(純)委員 それで、情報収集をされて、その当時、具体的にはどんな安全対策を打ち出して対応しようとされたのか、お答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 まず、昭和六十二年の三月二十六日に、青森県下の肝炎事故に関する調査を指示いたしております。

 それから、当時は、血液製剤全般にわたりまして、安全性の向上のために、非加熱のものから加熱のものへの切りかえが進められていたわけでございますけれども、加熱製剤を承認いたしたのが六十二年四月三十日でございます。それと同時に、非加熱製剤の回収の開始を行っているということでございます。

 それから、加熱製剤を承認した後も、その加熱製剤につきまして追跡調査をするようにメーカー側に対して指示をいたしております。その都度、四、五回ほど、肝炎発生例の報告を受けておりますが、昭和六十三年六月二日には、肝炎の症例数がやはり多いのではないかということから、緊急安全性情報の配付を指示いたしました。

 そういった経過をたどっております。

松本(純)委員 その後、十四年になりまして、調査報告書をまとめるに当たって四百十八名のリストを国が知ることになったということでありますが、この当時、一人一人にお知らせしようとする発想があってもよかったのではないかと思うんですが、それについてどのようにお考えだったのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、平成十四年の調査に当たりましては、当事者の意識という問題になりますので、それを現時点で私どもがどういうふうに見ているかということになりますが、平成十四年度からC型肝炎等緊急総合対策を開始したところでございまして、当時の担当者の意識としては、一般的な肝炎ウイルス検査の呼びかけを行っていくことの、その中の一つとして考えていたように見受けられるわけでございます。

 ただ、この点につきましては、今後、大臣に直属する調査プロジェクトチームの中で十分調査を行うというふうに聞いております。

 以上でございます。

松本(純)委員 舛添大臣、今の対応ということでありますけれども、十四年当時の国の対応がこれで十分であったのかどうか。私はそうではなかったのではないかと思うのですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 一般的な肝炎対策は講じたというのが今の役所の説明ですけれども、松本委員おっしゃるように、基本的に、投与された方がそれだけの危険があるというのは、当然、個々人に告知するという発想がなければおかしい、それが常識だろう。自分がその薬を投与されていたらどうですか、家族が投与されていたらどうですか。基本的な想像力の欠如というか、まあ、その表現がいいかどうかわからない。厚生労働省というのはやはり一人一人の国民の命を守るためにある組織ですから、基本的にその原点に立ち返ってやるべきであり、それは不十分だと思っています。

 そして、なぜこういう状況になったのか。私は、本当に愕然としたのは、松本委員御承知のように、その当時、調査したチームはだれですか、それがわからない。だから、何度も言いますように、組織の体をなしていない。担当がかわったら前のことはわからない。きちんとファイルを管理して引き渡すのは当たり前であって、これは相当な荒療治をやってきちんとした組織に立て直さないといけないというふうに思います。

 そういう意味で、直属の調査チームがもう既にフル稼働で動いておりまして、なぜこういうことが起こったのか、そして、今申し上げた、だれが調査チームだったのか。五年前ですよ。ですから、これも捜し出します。そういうことを今精力的にやっております。

松本(純)委員 検証作業というのは、やはり役人任せにしておくだけでは足りないということがそこにも示されていると思うんですね。そこで、政治主導で行うべきではないかと私は思うんですが、これについて大臣はどういうふうにお考えになりますか。

舛添国務大臣 今の私の問題意識からすれば、松本委員がおっしゃったとおりであります。

 そこで、私の直属の調査プロジェクトチーム、主査として今ここにおります西川京子副大臣を任命し、それから松浪健太、伊藤両政務官をその下に配置しました。そのもとに、役人は、例えば西川副大臣が直接ヒアリングをやって、どうなんだ、そういうことをきっちりやるとき、それから、この資料はどこにあるんだ、捜せ、そういう手足として動くのであって、役人主導ではやらせない。

 それから、守秘義務という難しい問題がありましたけれども、一昨日、二人の優秀な弁護士の方に外部から入っていただきました。この方々も、既に調査チームの中で、厳しい調査というか取り調べというか、そういうことをやっております。

 私は、これは、薬害エイズのときは厚生労働省の内部の人たちだけのチームでやったということを聞きました。私も、そうかなという形で、最初はそれで発足させたんですが、ちょっとこれではだめだと私は思いましたので、外部の二人の弁護士、そして政治主導、西川副大臣含め、我々の同僚の政治家がチェックをしますから、そして、この結果はひと月をめどに、私は、なるべく早くやれということで、一日でも早くこれを出したい。ただ、ずさんであってはいけませんから拙速はいけない、しかし徹底的に洗い出す、こういう思いで今作業を進めております。

西川副大臣 ただいま舛添大臣がおっしゃったとおりに、プロジェクトチーム、実は官僚だけで先週発足しておりますが、それではちょっとやはりなかなか思うようにはいかないだろうという大臣の御判断によりまして、私ども、きのうから発足させていただいております。

 そして、淡々と聞き取り調査、それはもう先週から始まっておりますが、私たちが入った時点で、それからもう一回、必要があれば再度お願いするということも含めて、徹底した聞き取り調査、それを淡々としたいと思っておりますので、しっかりした結論を出したいと思っております。

松本(純)委員 西川副大臣にも活躍を期待したいと思いますが、しっかり結果を出していただきたいと思います。

 次に、大阪高裁で和解の動きがあるようでありますが、これまでの厚生労働省の取り組み、対応についてお伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 C型肝炎の訴訟につきましては、九月十四日に大阪高裁が、当事者双方がどの程度譲歩の余地があるのかを確認、調整した上で、和解の可能性が全くないと考えた場合には和解勧告はせず、少しでも可能性があると考えた場合には和解勧告を行うこととしたいので、まず各当事者から早期に希望案を聞きたいので協力してほしいとの表明があったということでございまして、これを受けまして、私どもとしては、裁判所の意見聴取に応じることといたしまして、十月十五日に大阪高裁に現時点での国の考えをお伝えしたところでございます。

松本(純)委員 和解に当たって、原告側は、一つ、国の法的責任を認めて謝罪、二つ、原告に対する補償、三つ、患者、感染者の恒久対策などを求めていますが、大臣はどういうふうにこれに対応しようと考えていらっしゃいますか。

舛添国務大臣 これは、今、大阪高裁による和解のテーブルに着きまして、そして、それぞれの当事者の、関係者の、あなたはどういう立場ですか、意見を出しなさい、それは公表しないで出しなさいということですから、その大阪高裁の指示に従いまして、出して、今そういうことで、連日、大阪高裁のリーダーシップのもとに、今、松本委員がおっしゃったような点をどういうふうにして実現できるか、非常に前向きに検討をしております。

 そして、十一月七日には大阪高裁の所見が出ることが可能なように、これは交渉ですから、表には出すなという命令であり、そういうことでやりますけれども、精力的に、今委員がおっしゃったような点についても答えが求められ、大阪高裁の所見がきちんと出るように、全力を挙げて指揮し、努力をしている次第でございます。

松本(純)委員 今の一つ目の、国の法的責任を認めて謝罪ということについて、これは政府声明がちゃんと出されるべきだというふうにも思いますし、二つ目の、原告に対する補償については、一時金ないし見舞金を支払うのかどうなのか、そして、その他の患者さんとの整合性をどうとられるのかということについても、大臣にもう一度お伺いします。

舛添国務大臣 ちょっと一つ、私は言葉遣いを間違えましたので。十一月七日に大阪高裁が出すのは、所見ではなくて勧告という言葉だそうですので、法律用語でそう言うのであれば、今、勧告という、後できちんと精査しますけれども、私は所見という言葉だと思っていましたが、勧告だということなので。いずれにしても、何らかの御意見を大阪高裁から賜れるように努力をしているということでございます。

 それで、患者の皆さん、感染者の皆さんの恒久対策は、先ほど申し上げましたように与党の皆さん方が精力的にやっておられる。一日も早くこれを出していただく。つまり、例えば、きょうは十月最後の日ですけれども、近々に出していただけば、そういう対策を国がとるということは、それは大阪高裁もわかりますからということであります。

 それから、あと細かいことは、原告にどういう補償をするのか、国の法的責任を認めてどうするのか、謝罪をどういうような形でやるのか、これは少し、今細かい詰めをやっておりますし、大阪高裁のテーブルにのっておりますので、そこは公開できません。それはお許しいただきまして、しかし、今の委員の気持ちが実現できるように全力を挙げて対応をしているということを申し述べておきたいと思います。

松本(純)委員 予定の時間も残り少なくなってまいりましたので、次に、国民注視の大変大事な議論をしているところに、さまざまな動きがあって、誤解を生ずるようなことがあってはならないんだろうと思います。

 その中で、調査プロジェクトチームの会合なのでありますが、急遽中止とした日の翌日に、十月三十日でありますが、開催をしております。その経緯はいかがなものだったのか。また、前日に予定されていた会合は事前にマスコミに公開をされていたのに、十月三十日の会合は事後にマスコミに発表したということになっておりますが、その理由について大臣からお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 まず前提として、これは調査チームであります。それで、とにかく、先ほど西川主査も申し述べましたように、既に今、大車輪でこれは動いている。そして、きちんとした最終報告、できれば、時間が一月もかかるようであれば中間報告、こういう形で責任を果たしたいというふうに思っております。

 先ほど大阪高裁の話もありましたけれども、私は、支援策も訴訟の問題も含めて、一日も早く全面解決をしたい、そういう覚悟で就任以来臨んできましたし、今まさにその最後の努力を力の限り振り絞ってやっている。

 それで、月曜日のお昼に首相官邸に行きまして、そのための具体策をどうしてとるかというようなことの検討も行い、それで、まさに東奔西走、いろいろな交渉を含めて動き始めているということでございまして、大変申しわけなかったんですけれども、そちらを優先させていただいた。

 しかし、月曜日の会合は、これは外から二名の弁護士さんが来られる、その目的は、どうかよろしくお願いしますという委嘱状を差し上げて、それですぐ動いてください、そういうことをお願いする予定でありました。したがって、この委嘱状を渡してお願いすることを西川副大臣に託して、私は全面解決の方の仕事に全力を注いでいたということがまず一つ。

 そして、しかし、きちんとごあいさつもしない、委嘱状を渡して既に動いていただいているんですけれども、だから、少しでも時間が許すならば、夕方にでも何にでも、私は委員会がきのうはありましたから、先生方来れますかと。このお二人も弁護士会長をやられているような先生方です、大変お忙しい。それで急遽、夕方なら来れますよということですから、ではいらしてください。そして、まさに短時間、よろしくお願いします、しっかりこれは外の目でやりますということをお願いして、そしてお引き取り願った。その結果、こういうことをやりましたということをお知らせしたということであります。

 このチームは、会議をやるためのチームではありません。一日も早く実態を分析し、まさに、倉庫に入り、ヒアリングをやるためのチームでありますから、それに全力を注いでいただきたい。ですから、会議の時間、一日、一分でも惜しい、仕事をしろ、そういうことでございます。

 ただ、この間、私がいなかったこともあり、いろいろな連絡とかマスコミの皆さんに対する広報体制に不備がいろいろあったようであれば、すべて最高責任者である私の責任でございますから、今後こういうことがないようにどういう改善策がとれるか、そういうことも含めて検討します。

 ただ、作業をするチームは非公開でやる。つまり、ある意味で警察と同じで取り調べをやるわけですから、尋問をやっていく。それ全部に、後ろにマスコミのテレビカメラがいてはそういうことはできませんですから、私の責任においてこれは非公開にした。そして、私の責任においてきちんと発表する。その結果については私が最高責任者としてすべての責任を負う、そういう思いできちんとやっていきたいと思います。

松本(純)委員 情報の伝達ということについては十分御注意をしていただいて、患者救済に向けてしっかりと大臣には取り組みをお願い申し上げ、時間が参りましたので、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 自由民主党の清水鴻一郎でございます。ただいまから、舛添厚労大臣初め皆さんに御質問させていただきたいと思います。

 本当は質問したいことがいっぱいあるんですけれども、きょうは主に肝炎ということで質問させていただきます。しかし、本当は、産科救急の問題とか周産期医療の問題とか、喫緊の課題はいっぱいあるんです。

 まず最初に、ちょっと肝炎に入る前に確認といいますか、特に大臣に、与党の人間というのは、直接大臣に質問する機会というのは意外となかなかなくて、大臣がいらっしゃらないときに質問することが多いもので、いらっしゃるときに一度確認だけしておきたいと思います。

 きょうの新聞にも出ていますけれども、与党の高齢者医療のプロジェクト等で、いわゆる高齢者医療制度、特に、七十歳から七十四歳の方の一割から二割負担の一年間凍結、あるいは七十五歳以上の高齢者医療、後期高齢者の方の、保険料が新たに発生する方の半年間は猶予、半年後から半年間は九割減ということで、凍結ということが決まったようでありますけれども、その附則といいますか、その中に、その凍結というのは、もちろん激変緩和とかいろいろな意味の凍結もあると思いますけれども、やはり、本当にめちゃくちゃ正しいものであれば、これは当然凍結する必要はないわけです。

 やはり高齢者の方にこれが極めてなかなか影響も大きいし、ずっと保険料も支払ってきて、ほとんど若いときは病気もしないけれども保険料を払ってきた、しかし、いよいよ七十歳あるいは七十五歳になって、病気をしてしまう、そういう年齢になったときに、そこで新たな負担が急遽ふえるというようなことは、やはり国民の安心感という意味においては、まさに福田総理がおっしゃる老後の安心ということには余りつながらないんじゃないか。

 そのあたり、根本的な見直しということも検討課題に入るということで、プロジェクトチームとしてもされるんでしょうけれども、やはりその責任者である舛添厚生労働大臣の高齢者医療に対する姿勢、根本的な検討もやろうということかどうか、そのお考え、御所見をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 私は、与党の皆さん方の、今先生が引用なさったようなことも、言葉も含めて、与党の皆さん方としっかり議論をして、根本的にこれは考えてみたいというふうに思っていますのは、私も高齢者医療ということから政治家の道に入りました。

 今、高齢者は、本当に一生懸命若いとき働かれて、年を召されて病気になると、何だまた負担なのか、また負担なのかという、これは避けたいと思います。

 ただ、一方、若い人と年配の方々、この世代間の公平さをどう図るのか。それは年金の問題がまさにそうで、上の人だけいい思いして、我々はどうなんだといって若い人が払わなくなる。若い人の不満に対して世代間公平をどうするか。それで、例えば七十過ぎても大金持ちで、それこそ高級車に乗っているような人にまで支援していいのかな、こういう面はあると思います。

 それから、今、政府の中、与党の中で大変苦労していますのは、財源の問題でありまして、今、福祉、社会保障財源をどうするか、この議論が行われています。御承知のとおりです。

 その中で、私の認識は、例えば二千二百億円のマイナスシーリング、一律これで切ってしまう、御承知のように相当努力をして薬価基準を下げる、それから、被用者健保の間でのお金のやりとりをするような苦労をしながらそれをやってきていますが、もう限界だと。そして、市場経済原則だけで人の命、社会保障、医療をやることは不可能であると思っていますので、我々の問題意識として、まさにこの福田内閣、希望と安心、これを与える内閣にしようということでありまして、安心ということ。そして、若者が希望を持てないと、負担ばかり多くて、あんなお金持ちの年寄りが楽しているじゃないか、我々はこんな月給しかないのに何で払えるのか。これも考えないといけない。

 したがいまして、給付と負担のあり方を含めて、与党のプロジェクトチーム、しっかりやるということでございますので、私も、厚生労働省としても、しっかり議論の輪に加わって、どういう形での将来像が描けるか、そろそろ明るい未来に向かっての新しいビジョンをつくるべき時期に来ているというのが私の認識でございます。

清水(鴻)委員 大変積極的な御意見を賜りましてありがたいなと。まさに、市場経済の中でいろいろな問題はありますけれども、聖域なきという言葉がありますけれども、命にかかわること、やはり聖域はあるのではないのかなというふうに私自身は思っています。

 そして、高齢になる。残念ながら私も高齢になってきて、六十を過ぎて、やはり病気もする。僕も去年初めて大病をして、今まで医者だから患者さんの気持ちはわかるつもりでありましたけれども、やはり、大病をして初めて死というものと直面して、お金があるなしということもあるけれども、ちゃんと治療が受けられるのか、そしてまた、自分の今までの収入も当然病気をすれば途絶える、その中で家族や何かに対してどう責任をとっていくのかということも含めて、大変シビアな思いをしました。

 だから、大臣おっしゃるように、もちろん世代間の公平性、大事であります。しかし、今の高齢者はずっと約束を守って、ずっと払ってきた。将来はきっとこうなるだろう、七十歳超えれば一割負担で、何とか病気をしたときも安心な社会があるのだろうと思っていたら、その時点になったら、急遽上げますよということでは、ずっと将来設計、安心できないということも踏まえて、そしてまた、おっしゃったように、二千二百億マイナスシーリングということは限界があると思いますので、今大臣がおっしゃったこと、大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 後の質問がありますので、これはこの辺にさせていただきます。

 肝炎に入る前にあともう一つ、療養型病床削減の問題があります。

 例の、三十八万床を十五万床にということでありますから、半分以下、三分の一に削減する。そして医療療養型に統一する。その後は、受け皿としては、今までであれば、老人保健施設まで飛んでしまうわけですね。当然その間に、本来、二〇〇〇年、まだちょっと前ですよ、介護保険ができた、そのときに、医療を中心に介護をつける医療療養型、そして介護を中心に医療をつける介護療養型というものをつくって、本当にこれは国民の方々に安心の施設であったわけですよ。

 それを急遽、介護療養型はなくす、医療療養型を十五万床だけ残すということでございます。それで、例えば老健に変わっていけばいいじゃないか、医療強化型老健などということも言われています。

 しかし、大体、制度設計が最初から長期的に考えたとは言えないんですよ。というのは、医療療養型あるいは介護療養型、療養病床群は、面積要件が一床当たり六・四平米なんですよ。老人保健施設は八平米。移れといっても、そのままの基準では平米数が足らないんですよ。

 それでは、四人部屋を三人部屋にするのか。そうしたら、平米数は一応足りるんですよ。だけれども、ちゃんと四人入れるように四角くつくっているわけですよ、ちゃんと間仕切りもして。一人削減しても、そこはデッドスペースになるだけなんですよ。考えていただいたらすぐわかると思います。三十二平米の部屋、あるいは二十六平米の部屋は一床取って八平米は一応一部屋で確保できるけれども、そこは何も使えない、デッドスペースになってしまう。

 今度、例えば医療強化型老健というのは、もちろん老健という設定はあるんでしょうけれども、ソフト面で、つまり、お医者さんやあるいは看護師さんを強化して、みとりまでできる、今の介護型療養施設にかわるものとして機能させようということであれば、また別のジャンルの施設ができるというふうに考えた方がわかりやすいと思うんですよ。

 そういう意味で、今、二十三年度末は、六・四平米で、そのまま四人部屋で使ってもらっていいですよと。でも、二十三年度末ですよ。もうすぐ来るんですよ。今転換したところは、今度、二十三年度末になったら急に一人出す、ということは、百床あったら二十五床減らさなきゃいけないわけですよ。

 二十五人出てもらわなければいけない、そしてデッドスペースができる、こういう不合理がありますので、ぜひ、施設基準の見直しの中で、特に面積要件は、二〇〇〇年に介護保険に向けて新しくつくった療養病床がいっぱいあるんですよ、新しく二〇〇〇年に向かってつくった。まだ使用して六年、七年なんですよ。少なくとも耐用年数が来るまで、そんな急に部屋を、壁を押し広げるわけにはいかない。

 その辺も含めて、ぜひ施設基準、特に面積という、ソフト面はまだいじれますよ、看護師さんをふやすとか。そうでなくて、そういうことをしっかりと大臣に認識していただいて、転換を促すならば、そういうことを含めて、ちゃんと患者さんのために、あるいは介護を受けられる方のために、医療難民、介護難民を出さないために、そういうことをしっかりとやっていただきたい。その辺、大臣どうお考えですか。

舛添国務大臣 もうこれは、我が党でもこの療養病床の問題はずっと議論して、私もこれは自分の原点ですから議論してきて、やはり現場を見ていないと今おっしゃったようなことがわからないので。面積だって、四から三にしたらもったいないですね。そういう問題がやはりきちんとこういう国会の場で取り上げられて、現場でお医者さんとして仕事をなさっている委員のような方が指摘していただく、これは非常に重要だと思います。しかも、朝令暮改であってはいけない。それは、役所はこう決めて、次だとなっても、極端に言うと、ころころ変えていくというのでは追いついていかないわけですから。

 だから、そういう意味で、今おっしゃいました療養室の面積にかかわる経過措置の取り扱いにつきましても、二十四年以降についても、これは非常に柔軟に対応できるように、厚生労働大臣として検討させていただくことを約束いたします。

清水(鴻)委員 大変ありがとうございます。力強い言葉をいただきまして、介護療養を受けられる方には大変力強い言葉でございまして、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど松本先生からもありましたけれども、ちょっと重ねてお伺いしますけれども、先ほども、これはまあ公開の会議じゃないんだと。大臣の責任において、いわゆる調査チームですね。

 だけれども、新聞報道なんかだと、「「厚労相の都合」突然中止」とか「「命を軽視」」だとか、あるいは「薬害肝炎会合 中止理由「言えぬ」」とか、これまたスポークスマンの方は、大臣の都合で、そのときは、いつ今度は開催できるか、一カ月以内のいつかだというようなことも言っているようなんですね。厚労省、だれかスポークスマンがいらっしゃると思うんですけれども。そういうことで、一日だけかもしれませんけれども、大変大きな見出しで、次やったときは、小さく、やられました、翌日、行われましたというふうに書いてあるんですよ。

 これはやはり、今までのもそうなんですけれども、厚労省のやり方として非常にまずいし、国民の方にメッセージがちょっと伝わらない。これだと、大臣も、何かこれは、実は、この調査チームをやったけれども、余り熱心じゃないのかなと思ってしまって、ここだけ見て、次の日、ちっちゃな活字を読まなかったら、このままになっちゃうんですね。

 ぜひ、そういうことのないようにということで、もう一回、大臣、この辺のところを改善することを約束していただきたいなと思います。

舛添国務大臣 私の責任におきまして、広報体制をさらに整備させることをきちんとやりたいというように思います。

 そして、先ほど松本委員に対して御説明したとおりでありまして、私は、まさに、会議をする時間ももったいない、とにかく調査をする、そして、すべての問題点を洗い出す、これが最大の眼目であります。そこを御理解いただいて、いろいろな組織があり、いろいろな会合があります。例えば、外部の人が入った、厚生労働大臣が出ないといけない会合というのは、一日に十も二十もありますけれども、ほとんど非公開が普通です。

 ですから、どういう形で公開するか、どういう形で国民の皆さん方にお知らせするか、それは私の責任において決めますので、そこはどうか信頼していただいて、しっかりとした調査をひと月以内に完遂したい、そういう思いでございますので、今御指摘のありました広報体制について、改善すべきところは改善する、そういうふうにやりたいと思います。

清水(鴻)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、わかりやすい形で、国民に納得をしていただける形、透明性はできるだけ保ちながら、しかし、もちろん非公開でやらなきゃいけないところはあるでしょうけれども、発表できる、あるいは透明性を高められるところはできるだけスムーズにやっていただくのが一番わかりやすいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、肝炎のことにつきましてお尋ねします。

 肝炎、特にウイルス性肝炎というのは、近年、昭和六十三年にC型肝炎ウイルスが見つかりました。それまでは、A型肝炎、B型肝炎、私なんかが学生のときは、ノンAノンB、つまり非A非B、AでもBでもない肝炎があるらしいよと、その程度でございました。それが六十三年にC型が見つかった。その後、D型、E型というようなことまでウイルスが同定されてきて、どんどん研究が進んでいるわけであります。

 そしてまた、同時に治療法も随分進歩してきた。今、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法だと、難治性と言われるC型の1型でも五〇%ぐらいはウイルスが消失する、2型だと七、八〇%消失するという、治療法も大変発達してきたという中であります。

 一方、昭和三十九年に非加熱フィブリノーゲン製剤が製造承認されました。最初、紫外線照射でウイルスの不活化を図る。四十年からは、さらにBPLの処理をするというようなことで、最初は割とBPL処理もうまくいっていたのか、発症は少なかったと思います。しかし、BPL処理ができなくなったという時点から、どうも、違う方法でされたことも、厚労省に実は報告がなかったということもあったようであります。

 それから、昭和五十一年、フィブリノーゲンが、まさにフィブリノゲンというふうに名前を変えた。これはこの間もありましたけれども、名称変更した。名称変更すれば、新規製品と同じ取り扱いになる。そうすると、昭和五十二年に、実はその翌年なんですけれども、米国の食品医薬品局、いわゆるFDAでフィブリノゲン製剤は承認が取り消しになっている。

 もちろん、国内、いろいろな事情があります。ほかの欧米諸国では今でも使っているところもたくさんありますし、アメリカのこれだけが一つの例ではありませんけれども、しかし、リスクは結構あると。アメリカの報告では、一五%から二〇%ぐらい肝炎が起こるのではないかという報告もあって、この承認取り消しが行われた。向こうは、クリオ製剤、前の製品だけれども、アメリカではつくりやすい製品ですので使う、そういう事情があったわけです。

 これで、その昭和五十二年ですか、そのあたりで、昭和四十二年以降の薬についてはいわゆる再評価を行うということがありました。

 当然、これは昭和三十九年につくったものと全く同一のものなんですよ。ただ名前がフィブリノーゲンからフィブリノゲンに変わったというだけ。それで、新規と同じ取り扱いで、再評価の対象にはならない。

 では、新規製品として扱うなら、ちゃんとそれまでの臨床試験、あるいは、もうこれは本当に使った薬でありますから、ちゃんとした評価があって、新しく新規として名前は変える、そして、新規として認める以上、もう一度厳しい審査を受けてなったのかといったら、全くそういうことはなくて、名称変更だけだから、いわば手続上の問題として処理される、そして再評価の対象にもならない。これはおかしいんじゃないですか。大臣はどうお考えですか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 昭和五十一年四月、フィブリノゲン製剤につきましては、薬事法第四十二条の基準でございます生物学的製剤基準がフィブリノーゲンからフィブリノゲンに変更されたことに伴って、その販売名をフィブリノゲンとするための申請を承認いたしたところでございます。

 その後、委員御指摘のとおり、昭和五十三年に血液製剤も再評価に指定することとされたところでございますが、五十一年四月に名称変更のため新規承認された形となっていたフィブリノゲン製剤につきましては、昭和四十二年十月以前に承認された医薬品という範疇から外れていたことから、再評価の対象外とされたものでございます。

 これは、行政指導で行われました第一次再評価について、対象となる医薬品を特定するに当たり、承認日をもって機械的、画一的に処理することで、行政の恣意性を排除し、公正性と透明性を確保することとしたものというふうに考えております。

 あと、事情としては、昭和五十一年一月に、この再評価対象についての議論を中央薬事審議会でいたしておりますけれども、そのときには、これは補充療法に用いますので、血液成分であって、有用性には問題がないというふうにされていたというような事情もあったかというふうに思われます。

 それから、なお、昭和五十九年からの第二次再評価においては、これはその対象というふうになっているところでございます。

清水(鴻)委員 大臣、今聞かれて、行政指導だからしなかった、四十二年以前のものを機械的にした、だけれども、それは新規と扱っていた。おかしいと思いませんか、普通の常識からいえば。

舛添国務大臣 全く同じ内容でノーゲンがノゲンになったということであれば、常識的に考えれば、再評価するというのは私は常識だというふうに思います。

 ただ、今、こういう点もまさに大阪初めいろいろなところで問われている問題でもありまして、例えば大阪の判決を見てみますと、再評価に指定すべきであった。私は、今常識人として考えて、それは中身が同じだったら、やっておけばそこでもっといいチェックができたんじゃないかというように思います。ただ、行政として司法の中に介入できませんから、司法の判断が厚生大臣の規制権限不行使、つまり、そのときやらなかったのが著しく不合理だというところまで言えないというのが、これは大阪の判断、司法の判断です。

 私が常識人として判断したときに、委員がおっしゃるように、どうかなというように思いますけれども、今申し上げたような判決もあり、機械的に答弁をすれば先ほどの局長のような答弁になるかとも思いますが、こういうことも含めて、医薬行政全体をどうするのかということを今後の課題としてしっかりと検証し、そして、何らかのガイドラインのようなものもできないのかな、まさに名前がちょこっと変わっただけでやらないで済むのかな、こういうことは全く私は同じ疑問を呈していますが、今後の課題としてひとつ検討させていただきたいと思います。

清水(鴻)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 時間がちょっと迫っていますので、あと、この間もちょっとあったので重ねて質問にはしませんけれども、昭和六十二年の一月から三月、青森県で集団発生した。そして、六十二年の四月から加熱製剤が承認された。そして、六十三年六月に緊急安全性情報が配付されているんですね。それまでの一年数カ月の間、これは東京地裁の判決にもあるので重ねて言いませんけれども、やはりここは、集団発生した、そして、加熱製剤という新しいものが出た時点で、緊急安全性情報を配付すべきだったということをちょっと指摘しておきたいと思います。

 それから、平成十四年、いわゆる三菱ウェルファーマ社が提出した報告書、四百十八例。これも、大臣も、もちろん、担当者がいないということで、原本はないと答える。しかし、倉庫に行ったらあったとか。これは、僕が厚労省の担当者の方に聞きましたら、いや、その大臣の答弁を書いた者は知らなかったんだ、知っている者もいたんだと。

 だけれども、それは組織としてどうなんですか。特に担当者、書く担当者といったら、それに精通した一番詳しい人が書かなきゃ、大臣も責任持てないですよね。それは知らなかったんだと。それは言っていい弁解なのかな。組織としてあり得ないんじゃないですか。そんなこと言ったら、どんな会社だって、いや、私は知らなかったんだ、まあよくある、工場長は知っていたけれども私は知らなかったんだ。それは通らない。まして命の問題。

 同じことですので、もうあえて言いませんけれども、組織としてもう一度、本当に、HIVのときの教訓が生かされていないんですよ。これはやはり、二度三度やると、もう厚労省、だめじゃないか、社会保険庁もだめだけれども、もとの厚労省もだめじゃないかと思ってしまうんですね、国民も。

 だから、ここのところ、大臣には期待したいと思いますので、ぜひ、そんなことはない、だれかは知っていたけれども、だれは知らなかったんだ、そんなこと、万が一あっても、そんな弁解は言っちゃだめですよ。言うべきでないし、言うこと自体がおかしいと思いますよ。全面的に、やはりこれは反省。そしてまた、反省しても、これは命の問題ですから取り返しがつかない、そのことも含めて、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、そのときもメーカーに注意した、メーカーに注意して、医療機関を通じて患者さんにもその事実を伝えるようにやったと。患者さんに対してちゃんと説明が行き渡ったかどうか、確認されましたか。

高橋政府参考人 四百十八人のリストに載っている方々への投与の事実を今後お知らせしていくということについてでございますが、私どもとしては、患者の方々が、感染の事実及びフィブリノゲン製剤などの投与の事実を知り、必要な医療を受けることが重要であるというふうに考えております。

 現在、メーカーである田辺三菱製薬株式会社が医療機関を訪問し、患者の特定作業を開始いたしたところでございます。その後、可能な方から、フィブリノゲン製剤などの投与の事実のお知らせと肝炎検査の受診の呼びかけを要請していくことといたしております。

 厚生労働省といたしましては、医療機関に対しまして協力要請を行うとともに、製薬会社の取り組み状況を把握いたしまして、必要に応じ適切な働きかけを行うことなどによりまして、患者の方々に情報がきちんと伝わり、肝炎検査を受けていただけるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 今やっているかもしれないけれども、これは十四年の話でしょう。今十九年、五年前の話ですよ。五年前、わかっていて、注意したけれども、ちゃんと患者さんまで行き渡っているかどうかの確認がちゃんとできましたかと私は問うているんですよ。

 今やっているというのは、これは、いろいろ大きな問題が出てきたから、今やっているのは当たり前でしょう。五年間、病気している人はずっと進行していくんですよ。知らなかった人はいるんじゃないですか。

高橋政府参考人 大変失礼いたしました。

 五年前の平成十四年当時の私どもの調査のときには、当時は、広く一般的な肝炎対策の中での検診の呼びかけを行うということでございまして、個々の方々へのアプローチというものはなかったというふうに考えております。

清水(鴻)委員 そうでしょう。それは確かに、厚労省が直接患者さんに連絡して、あなたはそういうことだと言うのは、それはかえって唐突だし、びっくりされる。それはおかしいかもしれない。だけれども、ちゃんと、製薬メーカーを通じて医療機関、医療機関からその人に行ったかどうかの確認はとることはできるんじゃないですか。

 例えば手術のときでも、こういう説明を受けましたということは患者さんも署名するわけですよ。そういう署名でも何でもいい、説明をちゃんと受けましたという確認はやはりちゃんととるのが厚労省の仕事ですよ。国民に対して仕事をしているんですよ。製薬メーカーの管理責任もあるかもしれないけれども、国民のために働いているということをちゃんと自覚して、ちゃんとその患者さんに説明が行っているかどうかが一番大事なことなんだから、その確認はとるようにしっかりしてください。

 ほかに質問があるのでもうこれ以上言いませんけれども、それがなかったら、結局行っていなかったら、メーカーに言ったということだけでは言いっ放しになるんですよ。そうでしょう。最後までちゃんと行ったかどうかの確認をとることが一番大事なことじゃないですか。ほかの言いたいことがあるので、これはそこまでにしておきます。大臣、そういうことですので、よろしくお願いします。

 実は、C型肝炎ですけれども、キャリアの方は百五十万から百九十万人、患者さんは五十万人ぐらいと言われています。

 治療法、もちろん、肝炎という病名がつかないとインターフェロンとリバビリンの治療はできない、保険適用できないんですね。だけれども、今、実はキャリアで、ALTが動いていない、あるいは血小板、プレートレットが下がっていないけれども、この治療法を使うことによってウイルスが消失するという報告が結構、海外からもありますし、日本のこの間の学会でもあるんですよ。

 つまり、病気になってからだと、慢性肝炎という病名がつけば、これは慢性肝炎ですから、結構イリバーシブル、非可逆的な肝臓の障害を受けてしまう。もしその前に消失すれば、肝臓に障害を受ける前にキャリアでなくなる可能性がある。そして、治験には、いろいろな報告があるんですけれども、1型、難治性のものでも半分ぐらい、五割ぐらい、そして2型だと七、八割有効だという報告もあるんですよ。

 これはしっかりと、いつ肝炎になるのかな、なったら治療をしてもらえるんだけれどもというんじゃなくて、その前に、キャリアの段階で治療が可能だということであれば、その段階でしてあげれば、何年も肝炎になる恐怖に、あるいはこれが慢性肝炎、肝硬変、肝がんになるプロセスを待っているということでなくて、その前に治療ができる。

 これは、今の段階では保険適用もできませんよ。だから、もしやるとしたら、トライアルを自分で二百八十万なり払ってやるしかない。だけれども、これはやはり、もっと研究をしっかりしていただいて、エビデンスはかなり出てきているんですよ。そのエビデンスをしっかりと検証、研究推進をしていただいて、大臣、それをお願いしたい。そして、もしエビデンスがしっかり得られれば、これはやはり健保適用も含めて、やはりちゃんと、待ちの姿勢でなくて、積極的にやる。

 これは、もしかしたら、それは患者さんのため、国民のためにあるんですけれども、結果としては、肝炎になってから治療するよりも医療費だって安くなる可能性だってあるんですよ。待っている人から比べれば、これは物すごい、もしエビデンスがしっかり得られれば、大変な治療法だと思います。

 さらに、B型肝炎は、いわゆる集団の注射の打ち回しですね。これは、十万オーダーは違うんですけれども、C型だって可能性はあるんですよ、当然血液から。ただ、オーダーが十のマイナス三乗から十のマイナス八乗ぐらいで、十万倍ぐらい感染率がC型の方が少ないので、打ち回しによる影響は少ないと言われていますけれども、これもB型では集団発生して、それが訴訟でもちゃんと認められているんですよ。

 C型も、実はそういう集団的な打ち回しが行われた大体昭和五十年、最後までいけば六十数年まで、六十二、三年までやっていたんですけれども、多く打ち回しをやっていた五十年代までは、C型肝炎が実は多いんですよ。もちろんフィブリノゲンを打った人というのはありますけれども、これはもう一万人とか、ある意味ではそのオーダーが全然違います。

 そういうことも含めて、ちょっと一回、しっかりした研究をしていただきたいなと思います。

茂木委員長 舛添大臣、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

舛添国務大臣 いろいろな研究があることも承知しております。今、委員がおっしゃったような方向で、キャリアであっても症候が出ない、この段階で手が打てないか、例えばインターフェロンの治療が既に有効かどうか、しっかりと研究して、今おっしゃったエビデンス・ベースド・メディスン、そういう考えで、あらゆることを検討したいと思います。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 これは非常に、もしうまくいけば朗報でありますし、患者さんのためにも、今訴訟されている方、いろいろな方も、起こる前にということも含めて、ぜひしっかりやっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、萩原誠司君。

萩原委員 自民党の萩原でございます。

 この委員会に参加をして初めて質問に立ちますが、この間、委員会でいろいろな質疑を聞いていますと、まだ新米ですから、国民的な視点からよくわからぬことがたくさんありますので、そういったところから逐次、まずはC型肝炎についてお話を伺っていきたいと思います。

 一つの疑問は、四百十八名の方々の資料が突然紙として出てくる、出てこないという、ああいう問題なんですけれども、どなたにお聞きしていいかわかりませんけれども、この資料はたしか薬事法の六十九条の三項に基づいた報告ですね。それに基づいた報告をベースにしていると聞いておりますけれども、この六十九条の三項の類型に基づいて出てきた資料については、保存期間が何年ですか、どこで設定されますか、お答えください。

高橋政府参考人 平成十四年に三菱ウェルファーマ社から提出された報告書に含まれていた今回の四百十八名のリスト、これにつきましては、保存期間は五年というふうになっているものでございます。

萩原委員 御案内のように、役所というのは文書主義です。特に、法律に基づいて各種の報告があり、判断がされていく。そして、各種の判断資料及び報告資料については、公文書としての保管が基本的に義務づけられていて、それを各省ごとに、通常、官房総務課がヘッドになって保存期間の定めをしていくことになります。そして、その保存期間については、周知、公知の事実でございます。そして、当該資料につきましては、平成十四年の資料でありますから、ことしは何年でしたっけというようなことを聞くまでもなく、今残っているんです。これは間違いなく残っているんです。官房総務課の方々は、そのことを知らないはずがないんです。

 まずそういう原点を押さえた上で、なぜあんなことになったのかということを考えたときに、一番悪意で言うと、厚生労働省が資料を隠しているという姿を見せた上で、いろいろ頑張ったら出てきたという形をとるためにつるんでやったとしか思えない。多分そういうことはないと思いますけれども、いろいろな解釈があるんです。

 我々役人の経験者からいうと、資料というものが法律に基づいて出された資料である以上、保存期間があって、一定の保存期間だったら役所のどこかにあるということは一発でわかるんです。それを知りながら、ないと言った、ないものが出てくるというプロセスをつくって、あたかも薬害エイズと同じである、そういう形にさせた人がいるんじゃないですか。答えは要りませんけれども、私はそういう疑念を、この間の審議を拝見していて、強く持ちました。

 そういう観点から、文書の管理の仕方、実は文書の公開請求に対するシステムと通常の役所では連動しています。一発でわかります。ぜひ御検討をお願いしておきたいというふうに思います。

 また、資料を要求される各政党の方々におかれましても、できれば法律を読んでいただいて、その法律の定めにある文書かどうかという確認をしますと、当該役所に聞いて、保存がしてあるかどうかが一発でわかりますので、御参考までに申し上げさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 続いて、同じような制度論にちょっと話を移してみたいんですけれども、検証チームがある、そしてその検証チームでさまざまな議論がされていると承知をしておりますが、伺っておりますと、どうも組織論に話が偏っている、そんな気がします。

 常識としてこういうことはすべきであった、ああいうことは想像力が欠如していた、こういう議論も確かにあります。しかし、想像力の問題や内心の自由、殊に意図的に失敗させてやろうみたいなことはないとは思いますけれども、そういった行動を抑止するためには、組織論に加えて、やはりプロセスをくみ上げる制度論というものが必要になってくることは論をまたないわけでありますし、かつてから、薬事法を見ましても、いろいろな形で事件が起こり、問題が発生する、その問題の発生状況に応じたシステムの改善というのが起こっています。

 ただ、薬事法というのは内務省系の法律ですから、規制の対象が外に出ていて、自分をコントロールする、つまり役所の動きをコントロールするというのが弱い法律体系の典型なんですね。そこは、我々外部から見ますと、やはり厚生労働省の内務省系の法律だなというふうに言わざるを得ない。例えば、六十九条三項に基づいて資料が上がってきた、その上がってきた資料をどう取り扱うんだという規定がしっかりされていないですね。この辺は大いに改善をする余地が本当はあるんです。

 こういうことを言っている人がいます。厚生労働省の官僚自体は、薬害エイズ事件の教訓を生かしていないどころか、逆の教訓としているとしか思えない。つまり、投与した患者の特定につながる情報を徹底的に隠すという姿勢だ。この官僚による隠ぺい工作に打ちかつことができるか、舛添大臣の力量にかかっている。これを書いた人は御存じですか。これは前の厚生大臣の方でございまして、その方のブログでございますが、名前は特に言わずともわかるんですが。

 ところで、この議論というのは実は幾つかいい視点が入っていまして、一つには、情報というのはやはり隠すんじゃなくて使おうよ、最も妥当な形で使おうよというふうにしなければいけない。

 そして問題は、それはそれでいいんですけれども、前回ここで菅さんが話をしたときに、いろいろ議論をする、そして薬害エイズのときと同じじゃないかという表現を何度も使いました。そして、そうであるならば、同じ類型の問題が今起きている、かつても同じ類型の問題があった、そのときになぜ対策を講じなかったのかという論点もまた自然に出てくるわけで、私は、そのやりとりを聞きながら、これは何と変な委員会だと。前の大臣が出てきて、自分の失政について語っている。それを相手に対する攻め口として使っているというのは、見たことも聞いたこともないという感じを私は持ちました。(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

萩原委員 そして、もう少し申し上げると、なぜこんなことを言っているかというと、改正をするチャンスがあったんです、これは。省令レベルでは、その当時いっぱいチャンスがありました。

 そして、さらに言うと、平成九年に、大臣はかわりましたけれども、平成八年に起こった薬害エイズの問題をベースにしたさまざまな検討を踏まえて法改正がされています。そして、そのコアの中に、実は今議論をしているお薬、薬剤等について、当時は副作用しか報告対象にしていなかったんだけれども、感染病の可能性がある薬剤というものが、副作用に加えて、感染病の問題についても経常的に及び、たしか法律上、強制的に出すことができる、そういう仕組みに変えているんですね、これは。その変えたときに、なぜそのフォローアップのシステムを組まなかったかということが大いに疑問なんです。

 質問でございますけれども、当時はどういう議論があったのか。つまり、今と同じような問題、提供された情報というものをどう使うかということについて議論がなかったはずはないし、さらに、当時の国会における所信、平成八年の通常国会の所信ですけれども、こう言っているんですね。血液製剤によるエイズウイルスの感染の問題につきましては、「和解による早期解決に全力を挙げるとともに、責任問題も含め、必要な調査を行い、医薬品による健康被害」、つまり、今度は医薬品全般です。薬害に出発をして、医薬品全般についての「健康被害の再発防止に最大限の努力を尽くす所存」である、こう大臣所信が表明されている。

 この所信があれば、間違いなく内部においてこういう法制にしろ、こういう制度にしたらどうかという提案があったはず、私はそう思います。その提案の有無についてぜひお伺いをしたい。そして、その提案がなぜ実行されなかったのか。役所の怠慢があったのかどうか、場合によっては提案がなかったのか、ぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。

高橋政府参考人 御指摘の件は、平成八年の薬事法の改正の内容かと存じますが、平成八年の薬事法改正は、御指摘のとおり、非加熱血液製剤によりますHIV感染問題などを受けまして、医薬品製造業者などに対する医薬品などによる副作用または感染症の発生などの報告の義務化、医薬品などの回収に着手した場合の報告の義務化など、医薬品の市販後において副作用情報を的確かつ迅速に収集、提供できる体制の整備などを行ったところでございまして、そういった経験をきちっと生かしたものではないかというふうに私どもは考えております。

萩原委員 生かしたものじゃないかと考えているという御答弁でありますけれども、私ども法制実務をやっていた者からしますと、うちの出身、私は通産省ですけれども、緑本といって、改正にまつわるさまざまな経緯を事細かに記載し、大臣からはこういう御指示があって、こういう議論をしたけれども、審議会でこういうふうにもめたから、この法案についてはこの部分は盛り込めなかったというような経緯をきちっと書いて、後世の法制実務に貢献するシステムがありまして、そして、私どもの場合には、官房総務課の書庫、ないしは古いものについては地下三階か二階かは別にしまして、きちっと永久保管をされているわけでありますけれども、このようなものは厚生労働省にはございますか。今の質問のお答えが足りなかったので、お聞きをします。

高橋政府参考人 お答え申します。

 法制実務等、そういったものについて、もちろん私どもの役所でも持っております。

萩原委員 大臣、ということでございますので、ぜひ、制度についても、過去の流れもしっかりと把握を、検証した上で、すべき反省をする。その反省の中に、薬害エイズも含めて検証した上で、今後、こういった一連の問題が再発しないように、いい答えが、万全の答えが出るように御検討をお願いしたいと思いますが、御所見はいかがでございますか。

舛添国務大臣 社会保険庁にしろ厚生労働省にしろ、国民の目線に立った行政をする、そして、今出てきているような問題点を二度と起こさないようにする。そのためには、人も変わってもらわないといけない、意識を変えてもらわないといけない。それとともに、今委員御指摘のように、組織も変えないといけない、システムを変えないといけない。私が既に申し上げましたように、組織の体をなぜなしていないか。インスティテューショナルメモリーというか、組織としての記憶、そういうものがきちんと情報が管理されていない。

 今、通産省で行われていたような、そういう体系的なこと、これは私は当然だと思います。ただ、私は厚生労働大臣になってまだ二カ月ですから、そこまですべて把握し、検討する時間もございません。しかし、今回の調査チームを手がかりとして、今委員が御指摘になったことがちゃんとなっているのか。これは、大臣は、例えば一年おきにかわるようなことがある。大臣がかわったら、大臣が指示したことは次の大臣は関係ないのか。これでは話になりませんから、組織としての連続性、そして情報管理の徹底、できるだけ透明に公開する、こういうことについての指示をし、また検討をして、きちんと答えを出してまいりたいと思います。

萩原委員 今後の問題としての、先ほどから議論がございます肝炎対策でございますけれども、質問を、ダブらないように一、二点だけ確認的にお伺いしておきたいんですけれども、一つには、他の疾病との関係で、肝炎問題をどこまできれいに独立させることができるか、大変難しい問題があります。それをきちっとすることが、この対策の前進にもつながる論点であります。

 この点についてのお考え、そしてもう一つは、肝炎対策については、政治の世界でいえば、ほとんどだれも反対をしないというか、みんなでやっていこう、私はそういう問題であると。

 そういう認識のもとにお伺いしますけれども、民主党の皆さんも一生懸命努力されて、法案にすべきかどうかは別として、法案の形で提案が出ている。もちろん、与党のPTの議論が先行せざるを得ないということは理解をしておりますけれども、ぜひとも民主党の方々にも、よく辞を低く、頭を下げるだけ下げて、舛添スマイルでよく話を聞いていただいて、みんなで一致をして、いいものができるような、そういう議論の進め方についてお願いをできたらお願いをしたい、御所見を伺いたい。よろしくお願いいたします。

舛添国務大臣 二点ほど委員の御質問があったと思います。

 一つは、ほかの疾病との差別化をどうするか。これは、私は、難病対策も一生懸命取り組んでいますけれども、きのうも、HAMという難病指定をしていただきたいという方が来られた。本当に皆さん方困られているので、あらゆる疾病について、できるだけやりたいと思って努力はしております。

 ただ、財源の問題であるとか、いろいろな医学的な基準の問題とか、そういうことを一つ一つクリアしていかないといけない。そういう中で、やはり肝炎というのは国内最大の感染症であります。それから、インターフェロンの治療というのは、ここまで有効であるというのがわかってきた。そして、先ほど申し上げていますように、この治療の経済的御負担をなるべく少なくしていくというようなこともきちんとやっていきたい。

 そして、これをやれば肝硬変とか肝がんにならなくて済むわけですよ。そうすると、それをやることは、肝がんになる、肝硬変になると、患者さんの命も大変ですし、なるべく進まないように事前に食いとめる、大きな意義があると思いますので、国民的な御理解をいただいて、与党のPTの皆さん方がしっかりやっていただいていることをぜひ御支援いただいて、また、今二番目に御指摘がありましたように、これは人の命を一人でも多く、一秒でも早く救うということで私も全力を挙げておりますので、政争の具にすることなく、全会派一致して、大きなところで一致して、前にぐっと進めたいと思っていますので、皆様方の御協力を賜りたいと思います。必要なスマイルと、必要ないろいろなことはやりたいと思います。

萩原委員 もう一点、これもこの委員会で初めて学んだ問題なんですが、フィブリノーゲンとフィブリノゲン問題なんですけれども、裁判の話はお伺いしました。裁判上は無作為の違法というのはちょっとないなと。

 ところで、これは十四条の六で、範囲を決めて公示をするんですね、こういうものについては再評価ですねと。その中に時点というのが入ったわけですね、恐らく。種類といつからのものというのが恐らく入っていたので、先ほど清水委員からあったような抜け落ちみたいな話が起こったはずなんですね。

 それで、問題は、そんなことが起こっちゃいけないわけですから、起こったことがわかった時点以降、この公示の仕方については改めたのかなという疑問が当然わいてくる。そして、特にこの問題については、薬害エイズのときの議論とパラレルになっていますので、恐らく、当時の厚生大臣から公示の範囲について妥当にすべきであるという指示があったはずなんですけれども、その指示があったかどうかの有無、事実についてお伺いをしたい。よろしくお願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣の指示があったかどうかについてはちょっと今わかりませんが、現行の薬事法に基づく再評価につきましては、昭和六十年以来、薬効分または有効成分、もしくは処方別に行うこととしておりまして、承認日による区別をしていないということでございます。

萩原委員 いずれにしても、こういった一連の問題、特に平成八年、九年、先ほどの問題に絡むんですけれども、これは非常に大きな議論があったんです。国会の議論にもなっていました。そのときのレッスンを学んでいないという御指摘があるわけですから、そのときにどういう指示があったか、どういう議論を政治、大臣含めて事務方にしておられたのか、ぜひ資料を出していただくようにお願いをいたしておきたいというふうに思います。

 続いて、次の問題に移りますが、一つは、同じように和解の問題なんですけれども、私の友人の代議士から言われて、じん肺の問題について。

 この一年間弱、一生懸命に、自民党で議連をつくり、さらには、公明党のPTの方と連動して議論を整理し問題解決に向けて動き、そして、この六月のときに、柳澤大臣、そして安倍総理の決断という形をいただいて全面和解に向けた作業ができ、そして今、その和解を誠実に実行するために、厚生労働省の労働安全担当部局の方々を中心としていろいろな努力をしていただいている。しかし、まだ実は最終的な結果というのは出ていないんです。各種の省令の改正、試験研究、そういった問題が残っている。もし何もしなかったら大騒動になるんですけれども、患者の方々や弁護団の方々は、担当官庁の方々の思いを信頼して、今黙って作業に協力をしていただいている。

 柳澤さんの声は聞いた、安倍さんの声も聞いた、そして、舛添大臣はこの問題について御認識をどう持っておられるのか。役所の皆さんは頑張っておられるけれども、大臣からちゃんとやれよというお話をしていただいているのかどうか、あるいはこれからするのかどうか。じん肺最終解決、つまり、じん肺根絶のための制度整備についての大臣の御所見を、この場でぜひお伺いいたしたいと思います。

舛添国務大臣 萩原委員がじん肺対策について本当に積極果敢に取り組まれたこと、大変評価し、また尊敬申し上げます。

 その上で、今精力的に必要な省政令の改正ということをやっておりますので、パブリックコメントも含めて、必要な措置をできるだけ早く、できれば来年の春ぐらいまでには完璧を期したいということで、このじん肺対策についても全力を挙げて、私が先頭に立って実施していきたい、そして、そのように全役所に指示を出しているところでございます。

萩原委員 やや具体的になるんですけれども、来年の春ごろまでにはと言われても、今までの議論からすると、ちょっとぼやけちゃっていまして、我々としては三月の頭、三月一日の改正省令施行というものを目指して議論をしていますが、その点はいかがでございますか。

舛添国務大臣 来年三月一日に改正粉じん障害防止規則施行を実施したいと思います。そのためにスケジュールを組んで全力を挙げているところでございます。

萩原委員 どうぞよろしくお願いをいたします。

 続いて、財源論の中の一部なんですけれども、健康保険組合、先ほどの御答弁の中にちょっと出まして、四苦八苦をされている、そういう状況を承知はしているわけでありますけれども、この問題は、理屈があるようでなかなか理解できない問題でもありますし、また、プロセスの組み方に相当違和感があるというふうにも伺っています。これはもう経団連から連合まで含めて、何でこんな話が今出てくるの、こういうような唐突感というものがある、そんなふうに聞いております。

 まず、この問題については、背景に、先ほど大臣もおっしゃったように、財政の問題、特に、二千二百億をどうやって削減するんだという本当に厳しい状況があること、それは私ども承知はしておりますけれども、いずれにしても、健康組合のお金というのは、これは健康組合のものなんです、非常に簡単に言いますと。従業員の方々と会社が営々として積んできた自分たちの金である。そういう原点を考えると、なかなかこれは難しい問題なんですね。

 そこで、ちょっと一点だけ、御担当の方で結構ですから、お尋ねをしておきたいんですけれども、どこかのあれに似ていますけれども、格差是正をしろという声は、民主党の方々がいつもおっしゃっているのはよく知っていますけれども、この問題について、健保連など関係の方々から要請があったと私は聞いていないんですけれども、そういう理解でよろしゅうございますか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 現在、社会保障審議会医療保険部会におきまして、被用者保険における格差解消方策につきまして議論をしていただいているわけでございますけれども、これにつきましては、健康保険組合連合会その他の団体から特段の要請があったものではございませんけれども、被用者保険間の格差是正ということ自体はかねてからの課題でございまして、かつ、その保険者努力が及ばない要因による保険料の格差が拡大している、こういう現状にあること、それから、医療費適正化努力を強化する必要性、さらには、御指摘のありました国の財政の厳しい状況、こういったことにかんがみまして、厚生労働省として提案させていただいているものでございます。

萩原委員 ということは、厚生労働省が提案をしていて、みんな反対している、こういう理解でいるんですが、それだからそうなるのかどうかわかりませんが、その問題をたしか今、社会保障審議会の医療保険部会で議論をしているわけです。

 ここにその二十九日の資料をいただいてきているんですが、おもしろい構成になっていまして、「関係者の意見」という欄がありまして、委員の方々をベースにして、それは単なる負担転嫁じゃないかなんという意見があるんですね。いや、そうじゃないんだという意見が出るんです。その意見の上に「事務局の考え方」というキャプションが入っているんですね。これはいただけないんです、物すごく。

 この間、別の話ですけれども、経済財政諮問会議で、財務省が黒子で資料を出したんじゃないかという話があったですね。そういう批判があったんだけれども、これはむき身です。何のカバーもなく、事務局が意見を言って、中立的にまとめる努力をだれが一体するのかということがはっきりしない運営になっています。

 これも内務省的な伝統ではあるんだけれども、現代行政の常識からいうと、やはり審議会というものは、差し向き、賛成、反対の方々が寄って、さまざまに議論をして、そして事務局がそれを中立にまとめていく。もちろん、それと別途にその役所があっていいんですよ、役所は役所の意見があっていいんだけれども、事務局が運営をするという姿、事務局が意見を言うという姿を真っ正面から出しているのは、大臣、これはなかなか思い切った手法であると思って、大臣の御見解を伺っておきたいと思いまして、よろしくお願いします。

舛添国務大臣 いろいろな審議会、私も国会議員になる前には外から入ったりしています。

 とにかく何らかの形をまとめたいというのが取りまとめ役はいつもありますから、そういう形で事務局の考え方みたいなことを書くのがいいのか悪いのか、それはいろいろな議論があると思いますけれども、私が申し上げたいことは、まさにそういう意見を出さないといけないぐらいにこういう取りまとめについていろいろな見解があり、それをまとめて一つの政策に実行するということについて、私自身が厚生労働大臣として大変苦労をしている。

 ぜひその苦労を御理解いただきまして、ひとつ、これは国会の場でも、財源問題をどうするのかと。何度も申し上げますけれども、私はもう限界に来ていると思いますから、国権の最高機関であるこの立法府において、全議員参加のもとにきちんきちんとこの社会保障財源問題を議論すべきときが来ている、もう待ったなしだということをお答えさせていただいて、終わりたいと思います。

萩原委員 時間でございます。終わります。

茂木委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 久しぶりに厚生労働委員会で質問をさせていただきますが、本日は、今問題になっている肝炎問題を中心に質問をさせていただきます。

 血液製剤のフィブリノゲンによりまして肝炎に感染したと疑われる方々の資料について、二〇〇二年に製薬会社は作成をしていたけれども、また、厚生労働省はそれを受け取ったわけでございます。その段階で製薬会社は何の行動もとらずに、厚生労働省も個人への知らせもせず、フィブリノゲンを使ったおそれのある人は検査をするよう一般的に呼びかけただけだったとされておる問題でございます。

 早い段階で知らされていたなら病気の進行も防げた、先ほど来御質問もありますけれども、今も知らされていない人がいるかもしれない、こういうことが指摘されているわけでございますから、これは、行政においても、また政治においても、非常に大きな問題でございます。私も全くそのとおりであるという認識で御質問をさせていただきます。

 まず、肝炎は、御存じのように、長い期間かかって肝硬変、肝がんへと進む恐ろしい病気でございます。早い段階で治療できれば病気の進行は防げたかもしれません。国はなぜ情報を受け取った段階で本人を特定して知らせるように努めなかったのか。まず、今回の事実関係について改めてお伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、平成十四年の調査を行った、その当時の担当者の意識というものになりますので、この辺は、今現在の私どものある意味では推測の域を出ないということになりますが、このリストの対象となっている方々に限らず、肝炎対策の一環として広く肝炎ウイルスの検診などを呼びかけることによる対応が望ましいものというふうに考えていたものというふうに思われます。

江田(康)委員 今局長申されましたけれども、厚生労働省のお答えは、第一義責任は医者であって、患者に通知されたはずだ、また、国から個人の情報また医療機関のプライバシーにもかかわる問題には触れることができないと。確かに第一義責任は医者かもしれません。しかし、例えば、その医者が確実に通知していたかという問題が、これはずっと残るんです。

 きょうの新聞にもこれはございますけれども、当時において、産科医会の見解が述べられておりますけれども、八〇年代までは一過性の肝障害と考えられていて、その危険性を医会としても認識したのは九〇年以降と。フィブリノゲンが使われているのは主に八〇年代までですから、ほとんどの人たちは、その危険性の認識を持った医者の通知を果たして受けているのかというようなところが非常に危惧されているわけでございます。

 多くの訴訟の原告の方々も言われておりますけれども、医者から正しい説明を受けていないというようなことも伺っております。そういうような意味で、なぜ情報を受け取った段階で本人を特定して知らせるように努めなかったのか、これは大きな課題が、また問題が残るところでございます。

 フィブリノゲンが納入された全医療機関のリスト、この七千の医療機関、これを公表して、関係者に受診を呼びかけたのは平成十六年でございました。リスト入手後、これは二年かかっております。なぜ二年もかかったのか、これもまた遅過ぎる。これについていかがか、答えていただくと同時に、もう一つ。

 もっと言うならば、この副作用被害報告というのは六五年から始まって、八〇年代に大半が報告をされておるわけでございます。このように、副作用被害報告は随時上がってくるものですよね。なぜもっと早い段階で平成十四年のような報告命令を出さなかったのか。この平成十四年というのにおいても、私は、そこが適切であったか、遅過ぎるのではないかという疑問を大きく持っております。

 感染の早い段階であれば、本当に効果的に病気の進行を防げるわけでございますから、これらの点についてどのような考えをお持ちだったか、今お持ちか、教えていただきたい。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、平成十六年の医療機関の公表のお尋ねがございました。

 これは、平成十四年十二月に、厚生労働省が企業から報告を受けた文書のうち、フィブリノゲン製剤の納入先医療機関名が記載されている文書につきまして開示請求が行われ、これにつきまして、厚生労働省は医療機関のその名称などを不開示とする決定を十五年二月に行っております。

 当時の考え方といたしましては、情報公開法に基づき、フィブリノゲン製剤の納入先医療機関名について開示請求が行われたとしても、これらの情報が、その内容が不確実かつ一部の医療機関のみに係る情報であるため、公にすることによりかえって国民に誤解を与えるのではないか、あるいは、医療機関名を公にすることにより当該法人などの権利その他の正当な利益を害するおそれがある情報であるのではないか、あるいは、医療機関からの副作用に関する積極的かつ率直な意見等の聴取が困難となり、医薬品安全対策業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある、こういったことから、不開示といたしたところでございます。

 この一部開示決定に対しまして、開示請求者から異議申し立てが行われ、平成十六年二月に、内閣府情報公開審査会から、医療機関の名称等については公にすることが適切であるとの答申が出されたということでございます。

 その後、これは、四百六十九医療機関の名称でございましたが、この四百六十九医療機関の中の約三十の医療機関から、名称等の開示について異議申し立てを受け、平成十六年五月に開示の執行を一たん停止いたしました。それで、こうしたことから、開示請求を受けた医療機関だけではなく、フィブリノゲン製剤が納入された医療機関すべての名称を公表することが適当であろうというふうに考えたわけでございます。

 こうしたことから、その後、年末、三菱ウェルファーマ社から、製剤の納入先である約七千の医療機関のリストを受け取りまして、その後二回にわたり医療機関に対して意見照会を行った、その最後に、十二月九日に、約七千の納入先医療機関の名称などを公表いたした、これは事実経過でございます。

 それから、第二点目の、フィブリノゲン製剤による肝炎発生の報告は一九六五年ぐらいから始まって八〇年代に大半が報告された、なぜもっと早い時点で報告命令を出せなかったのかということでございます。

 この辺、ちょっと事実関係を申し上げますと、これは十四年八月のフィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染に関する調査報告書に基づくものでございますが、旧厚生省は、血液製剤による肝炎のリスクは、これは使用上の注意としての記載があったように、これは知られていたものであったわけございますが、フィブリノゲン製剤が承認されてから昭和六十一年までの約二十年間に、具体的に認識した肝炎の症例数は極めて少なかった可能性が高いということでございます。

 したがいまして、昭和六十二年の青森県における肝炎の集団発生、これが肝炎の症例発生が非常に多いということを初めて聞いたときでございますが、これを契機にフィブリノゲン製剤をめぐる状況は一変いたしました。それで、青森県三沢市の医療機関からの連絡を受けて以降について、旧厚生省は、全国調査の指示を行ったということでございます。それから、四月には加熱製剤の承認をして、より安全性の高い製剤への切りかえを進めようとしたということでございます。それから、非加熱のものについては回収を行うようにとの指示を行った。それから、加熱製剤につきましては追跡調査を行って、その後、肝炎の発生例の報告を求めたわけでございます。

 その過程で、これは後日、平成十三年ぐらいからわかったことでございますが、昭和六十二、三年ごろの肝炎発生例の報告の症例数が、現実に旧ミドリ十字が把握していたものよりは、報告されたものは少なかったという事実が判明したということでございます。

茂木委員長 政府参考人に申し上げます。

 質問に対しては、的確に、そして明確に、また簡潔にお答えをお願いいたします。

江田(康)委員 委員長、ありがとうございます。少々長かったと思います。

 この問題はさらに詳しく、今後も検討をさせていただきたいと思うんですが、昭和六十一年までのこの二十年間で症例数が余りにも少ない、そういうようなものしか上がってきていないということ自体が一つ大きな問題でございまして、これからの厚生労働行政においては、薬害エイズの問題もそうですけれども、やはり素早い、スピードのある対応が望まれているわけですから、こういう少ない症例しか上がらないというようなところを根本的に見直していくことも本当に必要ではないかと思うわけでございます。

 次に、今回のような四百十八名のリストですけれども、また個人情報、個人を特定できる実名入りのこの貴重な資料がなぜ倉庫に眠ったままになっていたのかという問題でございますけれども、感染者の命にかかわるこういう情報がこのようなことでいいのか。

 平成十四年にその報告命令をなされて、その報告を整理されて、医療機関の公表というのにつながるわけですけれども、それだけ重要なことをなされたこの資料が、このような倉庫に眠っていて、行政の中でも引き継がれていない、こういうようなことが今問題になっていると思っております。隠ぺいしたと言われても仕方がないのではないか、そのように思うこともございます。

 厚労省の情報管理のあり方、どうしてこのようになったのか、事実関係とその責任について、大臣にお伺いをさせていただきます。

舛添国務大臣 これは今、特別の調査チームを編成して、全力を挙げて、なぜまさにこうなったのか、もう委員御指摘のように、皆がこれは疑問に思う点であります。それから、情報管理のずさんさ、組織としてあってはならないこと。こういう観点から、一月以内にその原因究明を図って、皆さん方に御報告申し上げたいと思います。

江田(康)委員 もう一つ、大臣。

 一方で、これは所管省庁でございますので、製薬会社はこれまでどのように対応してきたのかということが、またこれも検証されていく必要があることでございますが、なぜ、今になって、実名、製薬会社が申し上げているのは実名百九十七人に及んでいます。イニシャルが百七十人。このリストが製薬会社から今回出ているわけでございます。

 今、これだけ特定できたのならば、当時も把握できていたはずではないかという素直な疑問があります。なぜその時点でもっと患者に知らせる努力をしてこなかったのか、所管省庁としての大臣のお考えを伺いたい。

 大臣は、二十二日に製薬会社に対して、医療機関と協力して患者本人への対応を依頼して、会社側は協力することを約したと聞いております。

 なぜこれまでできなかったのか、そして今後どのように協力させるのか、それを大臣にお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 二十二日に製薬メーカーを呼んで、実名百九十七、私も愕然としている。なぜ今なんですかと。一番大事なのは、直ちにこれを知らせなさいと。それで、きちんと向こうでもチームをつくって、今その作業を精力的にやらせております。そして、定期的に点検する。それから、私たちがつくったチームもそこに必要に応じて介入して、なぜ製薬会社はやらなかったのか、なぜきちんと報告がなかったのか、そして、報告はあったんだけれども実は厚生労働省が対応していなかったのか、そもそも報告はなかったのか、いろいろな疑問がありますから、徹底的に洗い出したいと思っております。

江田(康)委員 徹底的にメスを入れていくという大臣の、これまでの答弁もそうでございますので、このことを期待したいと思うわけでございます。

 もう一つ、今最も急ぐべきは、プライバシーへの配慮というのも大事ではあるかと思いますけれども、わかっている方には一刻も早くお知らせをする、これを大臣は何度も何度もおっしゃっていただいているわけでございまして、私もまさにそのように思います。

 大臣は、このリストにある四百十八人を含めて、血液製剤が投与された可能性のある二十八万人の追跡調査まで実施すると答弁をなされました。四百十八人についてはリストや資料があります。ですから、最優先でこの患者の特定化は急ぐべきだと思います。

 しかし、この二十八万人については、血液製剤が納入された約七千の医療機関を通じての情報収集となりますが、投薬されたのは八〇年代まででございます。もう大半の機関では記録が残っていない、カルテがない、そういう可能性がございまして、また、たとえ資料はあっても、その患者さんの住所が違う、移動されている、こういうような可能性もあるわけでございますが、この患者さんの追跡は、大臣もおっしゃっているように大変な困難を伴うものと思いますけれども、具体的にどのように進めていかれるのか、お伺いをします。

舛添国務大臣 先般、日本医師会に対して、現場のお医者さん、そして医療機関、全面的に協力をしてくださいと要請いたしました。そして、カルテの保存期間が五年なのでカルテ自体が残っていないところがほとんどかもしれません。しかし、医療機関については、きちんととっているところもあります。カルテのあるなしを問わず、全面的に日本医師会は協力するということで、直ちに動いてくれております。

 現場の医師、医療機関の協力を賜って、たとえ困難であろうとも、一人でも多くの人を捜し出す、そして検診していただいて、この病を治していただく、そういう思いで、困難だからやらないということではなくて、困難であっても最大限努力する、そういう意味で具体的に指示を出しているところであります。

江田(康)委員 今後、その方法についても詳細に詰めていかれると思いますので、またお伺いをしていきたいと思います。

 四百十八人の感染者リストにつきましては、厚労省が薬事法に基づく報告命令で三菱ウェルファーマから提出させたものでございます。そのもとになっているのが医療機関から報告させた六五年から九三年までの副作用報告で、うち七十三人分の症例は、八七年から八八年の段階で国にも報告をされていると聞いております。

 ここで確認をしたいんですけれども、やはり疑問として消えないのは、製薬会社から厚労省への副作用報告で、感染者への通知は今の厚生労働省はできないのかということでございます。

 これに関して、厚労省は、副作用報告はあくまで情報収集が目的である、逆のルートをたどって、国や製薬会社から医療機関に患者本人への説明を要請するものではない、また、個々の患者に対してより、使用上の注意や、先ほどもございましたけれども、緊急安全情報などで広く情報を伝えることが目的と説明をしてきているわけでございます。

 製薬会社から厚生労働省への副作用報告で感染者への通知は本当にできないのかということを伺いたいのですが、ちょっと時間がせっていますので、このことについて大変重要なことだと思っております。

 それで、関連するんですけれども、大臣にお伺いをいたします。

 さきの委員会質疑で、同僚の福島議員が指摘をなされました。薬事法の第七十七条の四、どういうことが書かれているかといったら、「保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知つたときは、これを防止するために廃棄、回収、販売の停止、情報の提供その他必要な措置を講じなければならない。」というように書かれております。まさに概括的な規定にとどまっている、だから、当時の担当者としては、副作用の被害の件数の分析が中心であって、個々人の被害を受けた方々についてどう対応するかという視点がない、行政としてどう対応すべきかというルールが確立されていない、ここに一番の問題があるということを同僚の福島議員は指摘をなされました。全く私も同感でございます。

 個々人の皆さんの利益に立って、副作用の被害についての対応をするという原則が厚生労働省になければならないと私は思うわけでございますが、国が承認した医薬品で被害を受けた国民の利益をどう守るのか、この視点が厚生労働行政に問われていると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃったような、個々人の国民の目線に立って、自分がある薬を受けて、何らか問題がある、それはいろいろなところから知らせてほしいと。ですから、そういう視点は非常に厚生労働行政にとって重要だと思います。

 ただ、例えばこれをどういう形で立法化するか、ルールづくりをするか。どうしても、患者さんの面倒を見ているのはお医者さんであるので、お医者さんの介入というのはやはり不可欠になると思います。

 例えば、私が厚生労働大臣で、こういうものがありますよと直接行けるのか。やはりお医者さんを介して、それはプライバシーの問題とかその患者さんの健康状態とかいろいろな、まあカルテ上に書かれているようなこともあると思いますから、これは委員、ひとつ検討課題とさせていただいて、例えば自民党、公明党で一つプロジェクトチームをつくられる、こういうことが法的に可能かどうか、立法上それが可能であれば、私は、こういう視点があるというのは極めて重要だ、そういう認識を申し上げておきたいと思います。

江田(康)委員 今大臣おっしゃいました、大変重要な検討課題として今後与党の方でも何ができるのかということを詰めていく、大変前向きな御発言でございました。ありがとうございます。大変重要でございます。

 時間もせってきておるんですが、私、実は肝炎の原告の皆さん方の中でも何人か、また、特に熊本の方でございますので、直接に親しい友人がおるわけでございます。

 その原告の一人の女性なんですけれども、Sさん、二十八歳のときに、六十二年八月に受けた手術で血液製剤フィブリノゲンを投与されて、C型肝炎に感染されております。その後、二人の女の子を出産されましたけれども、やはり疲れやすいんですね、そしてひどい倦怠感に悩まされる。そういう症状から、幼い子供たちと一緒に遊んでやることも満足にできなかったとよくおっしゃっておられます。家事もやはり十分にこなせずに、家族の理解も得られなかった時期もある。自分が怠慢だと自分を責めたこともある。家族にはずっと申しわけない気持ちでこの病気と闘ってきたけれども、今、子供さんたちも、本当にいいお子さんたちですが、お母さんを守って、またこの御主人も、この裁判の傍聴などを通じて薬害への理解を深めて、そのお母さんを支えておられるわけでございます。

 そのお母さん、Sさんがおっしゃっておられましたけれども、やはり私たちには時間がない、何年もかけて最高裁まで争っていたら死んでしまう原告もいらっしゃる、国がみずから、一日も早く全面解決に踏み出してほしいということを、本当に毎日毎日強い要望をお聞きしております。

 そのSさんのお言葉ですが、

 私にとって娘達は一番の宝物です。その娘達の将来に、いつまでつきあえるのだろうかという気持ちになります。将来、娘達が勉強や仕事で行き詰まったらアドバイスをしてあげたいけれど、それができるのだろうか。娘達の結婚式に出席できるのだろうか。お産のときに立ち会えるのだろうか、母親として当然見守ってあげたいときに本当に生きているのだろうか等々と考えてしまいます。体が動く状態でどうか生きていたいと願うばかりです。

そういう思いが、このSさんから直接に私もお聞きをしておりますし、また原告の皆さんからも、公明党のPTでも、与党PTでもお声を聞いております。これが原告の方々のそのままのお気持ちだと思うわけでございます。

 そこで、これが最後の質問になるかと思いますが、個々の患者さんや家族の状況を察した上で、薬害C型肝炎訴訟の原告の方々というのは、肝炎ウイルスの不活性化が十分でない血液製剤を使って感染した被害者でございます、国が承認したその血液製剤の被害者でございます。何の落ち度もないのに感染して、二十年以上が経過して、そして、肝硬変、肝がんへの不安にさいなまれて一日一日生きていらっしゃるわけでございます。大切なことは、現に苦しんでいる人をどう救うのかに尽きると思うわけでございます。さまざまな立場、思惑にとらわれて肝心な点を先送りしてはならないと思います。

 公明党は、全面解決に向けて、私もそうでございますが、政治的決断が図られるように繰り返しこれまでも発言をしてまいりました。

 大臣は、和解に積極的に取り組むと述べられたわけでございますが、この大臣の勇気を高く私は判断して拍手喝采を送ったわけでございますが、原告からも申されている国の責任を認めて謝罪し、また原告に対する補償、そういう国の謝罪と救済等についても、この和解に向けて、再度大臣の強い御決意をお伺いしたい、そのように思います。

舛添国務大臣 私のところにもいろいろな方からお手紙をいただき、私も、この方々の苦しみ、一日も早くこれはなくさないといけない。

 それから、総合的な対策も必要です。ですから、肝炎治療七カ年計画、これを打ち立てて、全力を挙げるとともに、訴訟の問題、人の命を救うということ、これが一番大事であって、訴訟に労力を使う、時間を使う、これはやめなくてはいけない。そういう思いで、できればすべての訴訟を全面的に解決したい、支援策とともに。

 先般、福田総理にもお会いいたしました。福田総理は、希望と安心、これが内閣のスローガンである、こういう問題を一日も先延ばししてはだめだ、しっかりやれと。内閣、政府全体を挙げて頑張りたい。

江田(康)委員 今、大臣の、すべての訴訟を全面解決するという強い決意をお伺いいたしました。

 今回のこの肝炎問題、大変に大きな問題で、これから、原因究明とか、厚生労働省の行政改革、これもあるでしょう。しかし、国民の命がかかっておる、一番大事なことでございます。一番苦しんでいる患者さん、国民への告知を急いで、そして、苦しんでいる訴訟の原告の皆さんの全面解決へ向けて、大臣の強力な陣頭指揮で、私ももう全面的に応援をしていきたいと思うわけでございますが、解決へ向けて尽力していただきたいことを最後に申しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田委員 このC型肝炎については、いわゆるフィブリノゲン、血液製剤が原因と今されておりますが、それが一番使われたころの三十年前にさかのぼってきょうは質疑させていただきたい、そう思っております。

 一般的に、医薬品の承認というのは通常どれくらいかかるものでしょうか。局長でも結構ですが。端的に。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般の新薬の承認審査につきましては、期間としては、総審査期間としては、二〇〇六年の中央値で通常約二年一カ月を要しております。審査側、これは先方はちょっと書類を、いろいろ作業をやっている期間もございますが、審査側の期間としては約一年四カ月ということでございます。

山田委員 手元にお配りした私の資料一と書いた部分、この中の六ページを見ていただきたいんですが、上の方に、これは一九八七年四月十五日、厚生省の担当者のメモです。これは公開されておりますし、裁判でも出された書類です。

 この中に、「加熱製剤の承認申請」、それまで非加熱製剤でどんどん肝炎が発生したということで、「加熱製剤の承認申請は、四月二十日を予定しており、四月三十日の血液製剤調査会で審議を行い同日付で承認する。」こういう厚生省のメモがあります。

 わずか十日間で非加熱製剤から加熱製剤への審議をやっている。これで薬の安全性は確かめられますか。大臣にお聞きしたい。

茂木委員長 高橋局長。(山田委員「大臣にお聞きしたい」と呼ぶ)私が指名をいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 フィブリノゲン製剤に関する加熱製剤への切りかえは、肝炎対策を契機に、当時問題となっておりましたHIVへの対応も念頭にあり、血液凝固第8因子製剤及び第9因子製剤でHIVの不活化に効果のあった乾燥加熱処理を導入するため、その審査を急いだところでございます。

山田委員 委員長、私の質問はいつも大臣が基本でして、大臣が答えられないときにいわゆる局長とかそういった方にお願いすることにしていますので、質問は私の権限ですから、それはぜひ御承知いただきたいと思います。

茂木委員長 基本的な御意向は了解をいたしました。議事進行については委員長にお任せをください。

山田委員 それで、資料の同じく七ページを見ていただけますか。この七ページの中にいろいろ書いています。この血液製剤フィブリノゲンについては、「FDAでアウトになっている」ここに書いていますね。アメリカでは、これはもう十年前から使われていない、当時、一九七七年から使われていない。この下に、上にもありますけれども、「本剤については、外国ではほとんど」、アメリカに限らず「外国ではほとんど使用されていないことから、医療上の必要性をミドリに再検討させ、将来的には使用の縮小の方向にもっていかせる。」これは厚労省のメモなんですね。

 これは本当に必要な薬だったのか、大臣の方からお答えできますか。どう思いますか、今になって。

舛添国務大臣 今の、これも私も既に事前に読ませていただいております。

 先般の、八月二十九日にこの調査報告書が出ていますが、これによれば、「旧厚生省は旧ミドリ十字社に対し、今後の方針等について説明を求めたとされている。このときの旧ミドリ十字社の説明や旧厚生省の指示の内容は不明であるが、前日に旧厚生省(生物製剤課)が作成したと思われる文書では、今後の方針として非加熱製剤の自主回収や加熱製剤への切替えが記載されていることから、これらに関して指示が行われた」と推測されるわけです。

 ですから、どこまで、今FDAでアウトになっている、それを考慮してこういう報告書になったか。私も、今の報告書を読んでいる以上のことが個人的にどこまで判断できるかということは、これは薬の専門家じゃないものですから、今の段階で今申し上げたようなことぐらいしか残念ながら申し上げられないととりあえずちょっとお答えをして、もし細かい専門的なことでありましたら御説明させたいと思います。済みません。

山田委員 十日間で、異例、いわゆる一年から二年かかる新薬の承認をやってしまった。

 ところが、資料三、十ページを見ていただきたいんですが、その下の方ですけれども、当時、四月十五日、申請がおりたのが四月三十日ですが、加熱処理製品を使って肝炎発生があったときにどうするか。厚労省自身が、非加熱を加熱にしても非常に不安だということが、このメモの中にはっきりと記されているわけです。

 私が聞き及んでいるところ、同じ資料の中に、七ページにありますけれども、「有効性に問題あり」、非加熱製剤を加熱製剤にしても、フィブリノゲンそのものの有効性に問題がある、こういうふうに当時の厚労省のメモの中にあるわけです。確かに、当時の、血液製剤調査会とございますね、その血液製剤調査会の議事録を見ましても、非常に、最終的には、有効性に問題があると指摘されております。

 ということは、フィブリノゲンを使っても、先天的にフィブリノゲンが不足している人には効果があるけれども、お産のときとか大手術のときに止血剤として使っても意味がないんだ、有効性がないんだ、こういう中身のことを、これから承認しようという前に、厚労省の、これは医薬局だと思うんですが、副作用情報室かどこか、その課の名前は書いてありませんので、この作成者も不詳ですが、厚労省のメモの中に記されているわけです。

 ということは、大臣の今の考えで結構ですが、こういう場合に、大臣としては、こういう承認をすべきであると思いますか、あるいはすべきでないと思いますか。

茂木委員長 高橋局長。

山田委員 委員長、ちょっと待ってください。委員長の指揮に問題あり。私は、最初から申し上げたように、大臣に質問する。

茂木委員長 まず、事実関係について局長から答弁した上で、大臣に答弁をさせます。

山田委員 いや、事実関係についても、大臣に僕は質問を投げております。そして、これは事実関係ではなく、今、大臣、そのことについてどう思うかということであって。

茂木委員長 感想でいいんですね。(山田委員「はい」と呼ぶ)

 舛添大臣。

舛添国務大臣 まず、私が薬の専門家じゃないということを前提にした上で、ただ、例えば、この前のムコ多糖症のようなときに、余りに新薬の承認が時間がかかり過ぎる、これは早めた方がいいだろうなと。ただ、早めて拙速主義であってもいけないと思います。

 私の限られた知識での理解だと、非加熱よりも加熱した方がそのときはより安全性が高まるという認識があったんだろうと思います。したがって、できるだけ非加熱から加熱へと。

 それから、アウトになっているという、そこに今委員が御指示のがありますが、アウトになっているということと有効性に問題がありというのは、ですから、加熱すれば有効かどうかということについて言っているのかなと。このメモだけではよくわかりません。

 ただ、これは、新しい薬を承認するときに、そのための審査会がありますから、そこできちんと議論をしていただいて、いろいろな方の意見がある、そういうことで総合的に、慎重に判断すべきだというのが私の、今の問われての感想であれば、そういうふうに思います。

 ただ、既にこういう問題点があるよということが省内でわかっていたならば、やはり専門家の意見をもっと聴取して、審議会なりそういうところで徹底的に議論を闘わせる。ただ、それが、一日も早く承認してあげた方が早く危険が除去できるという判断も一つにはあったんだろうと思います。それから、今先生指摘されたような、有効性とかいろいろな問題があったんだろう。

 それの迅速性、しかし安全性、こういうことのトータルな、総合的なバランスのとれた答えをどういうふうにして求めるか。今、新薬のための審査機構がありますから、こういうものを使って、そして広くと。私は、今の感想を求められれば、そういう形で一番いい答えを出すべきだというふうに思っています。

山田委員 私が提出している資料四、十一ページを見てくれますか。

 これは、厚生省の薬務局安全課の牧野さんのところに行ってのメモですね。日付も入っております。四月の十五日でしたかね。その中で、牧野さんがミドリ十字の人に対してこんなことを言っていますね。「理論武装の用意が必要と考える。」「血液製剤が使われた場合の患者の不利益についてやむをえないことを述べている文献を用意できないか。」「現在の学問レベルでは原因究明、予知は無理との文献はないか。」ミドリ十字、厚生省でこういう話し合いをしているわけです。

 そして、同じく私が出している資料三の九ページ。ここに、「再三申しているが、緊密に連絡をとりあって、情報の交換をいたしたい。」厚労省とミドリ十字が緊密に連絡をとり合って、何とかして血液製剤についての隠ぺい工作、まさに薬害エイズと一緒のことがなされている、こう思われますが、大臣、どうですか。一言でお答えいただければと思います。そうじゃないのなら、そうじゃないと。

舛添国務大臣 やはり患者さんの命を守るということが一番重要でありますから、これが全部そういう発言をしたとすれば、理論武装をするとか、やむを得ないとかいうのは、それは常識で考えたら、それより先に人の命を先にすべきだというふうに思います。

山田委員 これは、まさに薬害エイズの発生した直後というか、その後のことなので、一九八七年ですから、まさに同じ血液製剤で、同じような隠ぺい工作をやっていたんだと思われます。

 ところで、本当に十日間で、申請したその資料、加熱型のフィブリノゲンが実際に有効だったのか、有効というか、安全だったのかどうか。

 これは、私が提出しています資料、棒グラフを見ていただきたいと思います。資料七になりますか。大臣、見ておられますか。

 これは、四百十八名、この前、感染患者のリストが出ましたね。その四百十八名にフィブリノゲンの非加熱製剤あるいは加熱製剤、非加熱製剤は青、加熱製剤は赤、これで肝炎の発生件数を棒グラフにしてみました。そうしますと、一番使われた時期が八六年、八七年、八八年、八九年になります。この棒グラフに見えるように、ほとんどが加熱製剤で発生している、青の非加熱製剤の方が逆に少ないんですね。

 先ほど大臣は、加熱製剤の方が安全だろうと思って急いでやったんだろうと言いましたが、いかがですか、その結果は。どう思いますか。端的に答えてください。

舛添国務大臣 私が先ほど申し上げたのは、HIVのときに加熱で非常に有効であったので、恐らくそういう推測だろうと。私も素人ですからそこはわかりません。しかし、委員御指摘のように、まさに加熱でこういう事態が生じているということは、客観的な事実として、それは認めるべきだと思います。

山田委員 客観的事実としてそれは認めるということは、厚労省の責任を認めるということですか。一言でお答えくださいね。

舛添国務大臣 これは今、各地で、司法の場で裁かれようとしております。したがって、厳粛にその結果を受けとめたいと思います。

山田委員 これはどう考えても、非加熱製剤を加熱すればいいんだろうと、たった十日間でやってしまって、そして、それを多くの人にばらまいていったわけで、ばらまいてというか、それが加熱製剤なら大丈夫ということで、多くの方が使われていったわけです。それこそ何十万人という単位の方がこれを使われていって、四百十八名でも、このように加熱製剤でこれだけの感染がわかっているわけですから、これは大変な数だと思うんですね。

 例えば、薬害エイズの場合には、当時の生物製剤課長、これは大臣も御承知のように有罪になっている。そうすると、このときの生物製剤課長は、厚生労働省でどなたでしたか。質問通告をしておりますので。

舛添国務大臣 ちょっとお待ちくださいますか。済みません、ちょっとファクスだったもので。

 一九八七年当時の生物製剤課長は高橋透であります。

山田委員 これは恐らく大変な問題だと思うんですが、大臣は、この前、菅さんの質問に対して、たしか、非常にこの問題の追及については厳しいことを述べておりますね。

 平成十四年八月当時に被害者を特定して告知していれば、適切な治療を受けて、病気の悪化を防ぎ得た者が含まれていた可能性がある、この場合、被害者の特定と告知を怠ったことが刑事責任に該当する可能性がある、その可能性について調査し、該当する場合には責任者を刑事告発すると、一週間前にこの委員会ではっきり述べております。

 十日間で、拙速に、問題性が大変あるということを内部資料ではっきり指摘しながら、有効性にも調査会では問題ありとされながら、承認させた。そして、多くの方がC型肝炎にかかり、そして、死者もかなりの数が出てしまっている。これについて、大臣としては、今私が述べた事実についてどう処するつもりか、その意向をはっきりお聞きしたい。

舛添国務大臣 今、一つは、司法の場で、この件についても議論、そして審議がなされております。その結論をしっかりと受けとめまして、いろいろな角度から、この前の検証委員会をもとにして、とりあえず四百十八人のリストを突破口として、先ほど申し上げたような厳しい態度で臨んでいきたい、そういうふうに思っております。

山田委員 先ほどの棒グラフでも見てわかりますとおり、四百十八名のうち二百四名の方がこの非加熱から加熱製剤になって感染しているんです。そのほかにも、この四百十八名のほかでも大変な数の方がいて、そして、それこそ死者も出ているかもしれない。これだけは事実です。

 もう一度お聞きしたい。そのときに、このフィブリノゲン製剤、非加熱、加熱剤ともにですが、何人に使用され、何人が感染したか。端的に答えていただきたい。局長でもそれは構わないけれども、ただ事実だけ述べてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 フィブリノゲン製剤の投与による肝炎発生数の推定につきましては、平成十四年三月四日付の三菱ウェルファーマ社からの報告書によりまして、推定使用者数は約二十八万人、推定肝炎発生数約一万人という数字が報告をされております。

山田委員 約一万人じゃなく、前回は大臣がはっきり一万五百九十四人に感染と言っている。局長、もう局長は答弁しなくてよろしい。

 一つ、この発生率の根拠はどういうことで出されたのか。

舛添国務大臣 具体的には、昭和五十五年以降に卸売業者が医療機関に納入した数量から、実際の使用量とフィブリン糊としての使用量を仮定して、それぞれを一例当たりの平均使用量で割って使用者数を推定し、さらに、それぞれの使用における推定肝炎発生率を掛けて、肝炎発生数を推計したものを合計する。そのことによって算定しているということでございます。

山田委員 ミドリ十字にそれを頼んで、いわゆる加害企業にそれを頼んで、感染率を出させた。その感染率が三・七%、使用者に掛けると推定で一万五百九十四人だ、そういう説明だと思いますが、私がきょう提出しております資料五を見ていただきたい。これは、一番最初、青森の集団発生で、副作用情報室に最初に、その一九八七年の一月に電話で厚労省にかけているんですが、これは厚労省も認めております、その後出した書面です。

 この書面の中に、もうこれは読んでもらえば非常に意味深い書面なんですが、その二枚目、十三ページです。いいですか。一九八七年の四月十五日、ここに、八例中八人が発症、すなわち発症率一〇〇%、高率な副作用として、ここに届け出を提出しますと。

 ところが、厚労省の内部メモを見ると、八例中七人といつの間にかなっているんです。この中にありますから、後で確認してください。よく読んでいただければ。これは非加熱製剤のときです。

 次の資料六を見てください。これは加熱製剤になってから。十四ページです。これは、ミドリ十字の松本支店、そこから出されている報告書ですね。その中に、いいですか、この真ん中辺よりちょっと下の方です。四例、一〇〇%。これは全部、このフィブリノゲンを使ったら肝炎になったというんです、一〇〇%。

 ところが、この前の方の資料の、後で読んでいただければわかりますが、松本からの報告では、四例のうち三例といつの間にかなっています。これは厚労省がやったのかミドリ十字がそうさせたのか、よくわかりません。

 いずれにしても、これを使ったら一〇〇%感染するんだということになっているんですが、そういう報告が厚労省に行って、厚労省もわかっていながら、ミドリ十字、加害企業、この薬の本元のミドリ十字に感染率を出させて、アンケートをさせて、厚労省は、厚労省みずから、当時、いわゆる肝炎に対する有識者会議、お医者さんとか大学の法学部の教授とか大学の医学部の教授とかいっぱい並んでおりますが、これも私調べさせていただきました、そういうところに諮問しないで、なぜ加害企業にこれをやらせたのか。

 ここは局長に聞いても一緒なので、大臣、感想で結構ですから、どう思われますか。

舛添国務大臣 今、青森県の三沢と松本の例を引用なさいました。私もずっとこの問題を追っていて、青森県で八例出てきた、そして、そのお医者さんは、私が知っている限りはB型肝炎の専門家だったと思います。したがって、肝炎問題に非常に詳しいお医者さんで、フィブリノゲンに危険性が一割でも二割でもあるならば、自分が面倒を見た妊婦さんたち、お母さんたちを検査させた、そうしたら出てきた、そういう報告をきちんと出しているわけです。ちなみに、この前調べましたら、その中に八名の実名が、さらに加わった八名というのはそうでございます。

 そうすると、普通の常識からいえば、その段階で動くべきだ。お医者さんがそこまで調べた、八例中八例だ。今また松本の例もあります。だから、私の疑問は、なぜその段階で動かなかったのか、そこに何の問題があったのか、こういうことをきちんと答えを出してこれからの医薬行政に役立てないと、また何度も同じことが繰り返される。

 ただ、今私が厚生労働大臣でありますので、係争中でありまして、この件含めて、原告側から見れば被告の立場の代表者であります。したがって、司法が判断することについて私がここでこうだこうだということは言えない立場でございますけれども、私は、今委員が問題になさったこの指摘は、普通の常識で考えれば、なぜここで動かなかったか、そういう認識を持っております。ただ、厚生労働大臣としては、係争中のことについて司法に介入することはできない、そのことだけちょっとお断りした上で申し上げたいと思います。

山田委員 さらに隠ぺい体質について、では、つけ加えて申しておきますが、このメモの中に、マスコミに対しては十分注意しなきゃいけないとか、フィブリノゲン関係者の窓口は必ず一人に絞ること……

茂木委員長 山田委員、初めて提出された資料で大部にわたっておりますので、御指摘をいただくときは、どのページのどの部分をとおっしゃっていただいた方が的確な答弁ができると思いますので、お願いいたします。

山田委員 それでは、資料をちょっと、私の持ち時間もなくなると思うので、この中を見てもらえばよくわかりますが、この厚労省のメモの中に、いわゆるマスコミ関係には口を余り開いちゃいけないとか、注意することとか、あるいは、厚労省とミドリ十字がそれぞれ担当者を一人ずつに決めようじゃないかとか、そういうことがメモ書きされております。そういったことも考えていただければ、いかに当時の隠ぺい工作であったかということはよくわかると思います。

 その質問はそれにしまして、さらにもう一つ。資料八を見ていただけますか。写真です。この写真ですけれども、これはまさにフィブリノゲンを、血液製剤をつくるときにどうやってつくるかということの写真です。「血液製剤は一万人もの血液を混合して作られる。」「たった一人の血液が製剤全てを汚染する。」大臣もこの前の質問に対してそのような答弁をされておりますね。

 したがって、このフィブリノゲン、加熱剤も非加熱剤もそれを使用したとミドリ十字が推定している二十八万人、これは本当に調べればもっと多いのかもしれません。推定で約三十万人。大臣もこの前三十万人ぐらいというようなお話をしております。

 いいですか、この三十万人すべてがC型肝炎にかかった。これは最初、C型肝炎は、聞いてみますと、フィブリノゲンによる場合は、一時ぱあっとその症状が出て、出ない人もいるようですが、その後おさまっても、十年か二十年たってから慢性の肝炎になって、肝硬変になる、肝がんになる。これは、早い時期だったら、いわゆるインターフェロン治療したら七割は治る。ところが、肝硬変になってからはもう手おくれになってしまっている、こういう大変な病気ですね。

 それに対して、何らかの対策を打たずにここまで来ましたよね。それに対してどうしたらいいのかということについて、大臣、具体的に、端的に、何か、今調査チームをつくる、調査チームをつくると言っていますが、それだけじゃなく、こうしたい、そういうことはありませんか。

舛添国務大臣 まず、委員、その対策については、訴訟対策についてということではなくて、対厚生労働省の組織改革という面でございますね。

山田委員 組織改革、いわゆるプロジェクトチームをつくったり組織改革をやるといっても、エイズのときにあれほどやって、その後の生物製剤課長ですよ、このフィブリノゲンは。有罪になった課長の後の生物製剤課長が、このフィブリノゲン製剤をつくって、その後、このメモで見られるように大変な隠ぺい工作。

 その組織の中を云々じゃなく、厚労大臣として、三十万人の人に対してどうするかということを聞いているんです。

舛添国務大臣 これは、今委員が見せられた写真のとおり、こういう危険な、そしてこの中にたくさんのC型ウイルスを含めていろいろなものが入っている。ですから、全員、どんな困難があろうと捜し出す。

 したがって、今、日本医師会にその要請をいたしました。そしてさらに、いろいろな形で医療機関の御協力を仰ぐ。カルテが残っているのは捜す。ただ、いかんせん二十年たっている。どこまで成功するかわかりません。

 しかし、本当に一人一人最後まで捜して、早く検診を受けていただく。そのための財政的支援はこれはもう早々にまとめるつもりでありますけれども、全力を挙げてやりますので、こういう方法があればいいという国民の皆さん方のお知恵もまた拝借して、できる限りの対策をやりたいと思います。

山田委員 大臣、テレビでもいろいろなところでそういうお話をしているようですが、言うはやすい。格好いいことを幾ら言っても、実行しなきゃいけない。その実行が何かということなんです。

 今大臣もお認めになったように、今カルテがないとかなんとか、二十年前の話、三十年前の話ですから、そういうこともいろいろ言われております。しかしながら、当時このフィブリノゲンを使った医療機関だけは、七千四、明らかになっています。一回公表しました。

 今大臣がやるべきことは、その医療機関をもう一回新聞紙上でも公表して、そして多くの、その病院でかつて治療を受けたなという方に検診を受けてもらうこと、これが一番じゃありませんか。

舛添国務大臣 既に、七千余りの医療機関に対しては、再度調べなさいという指示を出しておりますが、今委員がおっしゃったように、広く国民にも呼びかける、何町の何という病院で使いましたよ、したがって、そこにその当時行かれた体験があればぜひお申し出くださいと。それは、全国いろいろな窓口を使うことができますので、大変いいアイデアとして、ぜひ実現の方向で検討して努力したいと思います。

山田委員 それでは、大臣、新聞紙上に厚生労働大臣舛添要一としてそれを出して、そして多くの患者の方に呼びかけて、そこの病院でかつて治療された方は必ず検診を受けてくださいと。

 そして同時に、厚生労働省そのものも、大臣が本当に、口先だけじゃなく、やる気があったら、相談窓口を使って、電話を何十本も引いてそういった方々に丁寧に対応する、それはまだやっていないんでしょう。

舛添国務大臣 社会保険庁の年金問題に対応する、これはきちんとやります。これと同じような方策を打っていきたいと思います。今委員がおっしゃったことを含めて、もちろん厚生労働省の窓口にきちんと対応させます。

 具体的な、どういう形で細かいことをやるか、それは早急に詰めたいと思います。

山田委員 しつこいようですが、医療機関七千四を新聞で広告して、広く国民に、三十万人の国民に呼びかけるということは実現していただけますね。

舛添国務大臣 それは実現したいと思います。

山田委員 それでは、大臣、もう一つ。

 先般、薬事法の中で制限があって、医療機関、病院とか、そういうところに対して、カルテを捜して、そして患者を特定するよう要請することはできないようなことを言っていましたね。そうでもないですか。この前の大臣の答弁では、立法によって解決してもらわないといけないようなことを言われませんでしたか、菅さんの質問に対して。

 大臣、そういう医療機関に対して厚生労働省として早急に、まだカルテが残っているかもしれない、そのカルテを処分しないで保管して、しかも、私が聞いている限りでは、カルテそのものについてもまだまだ、弁護士さんたちが病院に行くと、倉庫に入れてあるというんです。ただ、厚労省がアンケート調査とかいろいろすると、やはり、倉庫に入っているカルテを全部引っ張り出して一々調べるのは大変だから、倉庫に入れた時点で、カルテはない、そういう言い方をしているようですが。

 カルテだけじゃなく分娩の記録とか、いろいろな関係書類というのは、大体、弁護士さんたちが当たると、まだ三割は残っているというんです。これは大事なことなんですね。これに対して早急に、場合によったら、協力しない病院は立入検査までやるつもりはありませんか。

舛添国務大臣 先日、日本医師会の会長さんに来ていただいて、今委員がおっしゃったように、カルテのみならず、分娩の記録であるとか、お産ですから日にちがわかりますね、そういうところから逆に追跡するとか、あらゆる手を尽くしていただけませんかと要請をいたしました。

 それはきちんとやりますというお答えをいただいておりますので、日本医師会の方々、その傘下のお医者さん、医療機関の努力、これに期待したいと思いますが、私の要請に反して非協力的であるならば、今委員がおっしゃったようなことも含めて、これは薬事法、医師法、いろいろな法律の解釈、それは法を乗り越えてはいけませんけれども、その範囲内で、厚生労働大臣としてできることはやりたいと思います。

山田委員 先般の議論の中で大臣が、立法措置をとってもらわなきゃ大臣としては具体的な措置ができないんだということを言っているので、私もいろいろ調べさせていただきました。先般ミーティングをやっていますと、厚労省の課長がやってきて、薬事法ではそういうことはできませんと、大変偉そうに申しました。

 大臣、だまされちゃいけません。役人のおっしゃることをそのとおりのんで、そのとおり答弁し、それが本当にそのとおりできているとしたら、これはまさに大臣は要らない。大臣としてしっかりしてもらうためには、日本医師会の会長に言ったからそれで足りるものじゃないと思います。

 各医療機関に対して、指示、通達、措置命令、これを出す気はありませんか。

舛添国務大臣 委員は弁護士、法律の専門家であります。私も、まず法律をしっかりと読んで、そして解釈をして、その上でできるかどうか、そういうことを判断して、できるだけのことはやりたいと思います。

 また、いろいろな法律の判断について、例えば山田委員が、こういう解釈ができるんだ、こういう判例があるんだというようなこともまた教えていただければ。厚生労働大臣としては、気持ちは全く山田委員と同じで、やりたいことはやりたい。

 ただ、ここは法律の解釈上は、判例上もそれ以上できませんよといったことがあれば、それはできませんから、私がやりたくないということで申し上げているんじゃありませんし、また、役所が言うことは一〇〇%全部正しいと思ってやっているわけでもございませんので、いろいろな方々の御意見も賜って、とにかく全力を挙げますので、いろいろまたいいお知恵も拝借できればと思います。

山田委員 役所の担当課長は、偉そうに、そういうことはできないと言ったんですが、法律によれば、薬事法の第六十九条、厚生労働大臣は、「薬局開設者、病院、診療所」に対して、「厚生労働省令で定めるところにより必要な報告をさせ、又は当該職員に、薬局、病院、診療所、」「工場、店舗、」等々に対して、その「場所に立ち入り、その構造設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、従業員その他の関係者に質問させ、」もしくは必要なことができるとはっきり法文に明示してあるじゃありませんか。

 大臣、やられませんか。これは当然のことながら、そこまでやるつもりはありませんか。それとも、やらないで済ませますか。

舛添国務大臣 できるだけのことはやります。

 今先生が御指摘なさった条文、それを本当に今のような形でできると読むかというと、そうは読まないという解釈もありますので、少し時間を賜って検討させていただければというふうに思います。そして、その中でできるだけのことはやりたいという決意を述べさせていただきたいと思います。

山田委員 条文に明らかに書いていて、読まないという見解があるわけですか。私も弁護士だし、それこそこの条文を一生懸命調べましたよ。ほかの弁護士仲間にもいろいろお聞きしました。

 では、もう一つ条文を言いましょう。副作用の報告、第七十七条の四の二です。

 薬局開設者とか病院とか診療所、こういったところは、「医薬品」その他「当該品目の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害若しくは死亡の発生」死亡の発生ですよ、これは薬害肝炎で死亡が発生したかもしれない。「又は当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生に関する事項を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。」

 これは病院とか医療機関に対する義務なんです。そこまであるのに、法の解釈はどうも見方が違うという形でそういう措置をやらないというのは、やはり、旧ミドリ十字、今の三菱何という会社ですか、その会社を厚労省と大臣も一緒になって庇護しようというお気持ちでしょうか。

舛添国務大臣 今、私はそういう気は全くございませんで、七十七条の四の二は、医薬品なんかの製造販売業者が今言った副作用なんかの報告書を上げろということを書いてあるわけで、そうすると、お医者さんが例えばミドリ十字に副作用の報告書を送る、それが厚生労働省に来るという、そういうルートであろうというふうに私は七十七条については理解をしております。

 しかし、今申し上げましたように、法律の範囲内でできるだけのことはやるという決意、私は、何か、いろいろなことを隠そう、そういう意図であるということでは全くないということをここでしっかりと申し上げておきたいと思います。

山田委員 大臣、この七十七条、後でよく確認して読んでください。厚生労働大臣に報告しなければならないと書いてあるのであって、ミドリ十字に報告しなければならないとは書いていないんですよ。

 この前も厚労省の方は、製剤メーカー旧ミドリ十字に対して、いわゆる感染者、ミドリ十字が副作用報告を出させている、氏名のわかっている方に対して通知をしたい、厚労省はミドリ十字を通してやりたいと。加害企業と一緒になって大臣もやりたい、今のはそういうことになりませんか、大臣。

 私の持ち時間もなくなってきたので、もう一度言っておきますが、大臣、本当にこの三十万に対して、前回この委員会で、一秒でも早く告知したいと言ったんですよ。あれから一週間たっているんです。何にもしていないんです、大臣。

 いいですか。あなたは、あの四百十八名のリストのときに、それを告知しなかった、何で早く告知しなかったのか、その人に対しては刑事告発までしたいと言っているんです。保険料を横領した人に対しては、刑事告発すると言ってそれを刑事告発させた。あなた自身を刑事告発しなきゃならなくなるじゃありませんか。

 もし本当に、法律もこういうふうになっていながら、それを実行しない、すぐに、一秒でも早く行動に移さないということは、口先だけでそういうことをるる、一週間もたって何もできていないということは、そうとしか思えないと私は思う。

 そういう責任も含めて、最後に、大臣、所信を端的にお答えしていただきたい。そして、私の質問を終わらせていただきます。

茂木委員長 舛添大臣、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

舛添国務大臣 製薬メーカーに対して、先ほど申し上げたようにきちんと指示をして、今現実に動かさせているところでありますし、それはしっかりとチェックをしていきます。この問題に全力を挙げて取り組むことをお誓い申し上げます。

山田委員 では、最後に一言だけ。

 旧ミドリ十字に、加害企業に対して、相変わらず大臣はそこを通してやりたいと言っていますから、大臣が、いかにテレビで、新聞で立派なことを語っても、本音は、やはり旧ミドリ十字と一緒になって、これについての本質を一刻も早くやろうとしていないということがよくわかりました。

 以上、質問を終わります。

茂木委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 まず、現時点のお話から聞いていこうと思いますが、田辺三菱が把握をしている四百十八人のうち、実名を把握している人たちのリストについてまでわざわざ厚生労働省はイニシャルに書きかえさせて提出をさせたというふうに聞いています。なぜ実名のまま厚生労働省は田辺三菱から提出をさせなかったのか、端的に理由をお話しください。

舛添国務大臣 まずその前に、とにかく、今、山田委員の御説明にもありましたとおりでございますけれども、メーカーに対して、直ちに告知しろと。

 それで、実名、その場合にいろいろなプライバシーの問題が非常にあります。そういう中で、とにかく一日も早く、わかっているところから、先ほど何か私が企業とぐるになっているような話がありましたけれども、まずお医者さんがしっかりやる、メーカーがしっかりやる、そして国もしっかりやる、そういう態勢のもとにおいて、それでやっていただければいいのでありまして、委員、情報管理という観点から見て、甚だ残念ですけれども、今体制の立て直しを図っておりますが、私は情報管理ということを非常に念頭に置いてこういう措置をとらせました。

枝野委員 今の私の質問にはお答えいただいてないと思います。

 なぜ実名でとらなかったのか。今のをしんしゃくすると、厚生労働省が情報を持つと情報が漏れる危険があるからとらなかったということですか、情報管理ということは。厚生労働省、守秘義務をみんな持っているんですから、もちろん個人のプライバシー、このリストの実名、固有名詞を本人の了解なく第三者に知られたら困りますが、厚生労働省はみんな公務員で守秘義務を持っているんですから、厚生労働省が握ったからといってプライバシーに反することは何もないじゃないですか。

舛添国務大臣 私が情報管理ということを申し上げましたのは、甚だ残念で、私はトップとしての責任はありますけれども、今我が省が完璧に情報管理できるかというと、私は、これは、残念ながら、今立て直しを図っていますけれども、非常に問題があると。

 したがって、そういうことも含めて、なるべく実名を、これは今のような形では、しっかりとこのプライバシーを含めての管理をしたい、そういう観点からでございます。

枝野委員 今のは大変問題発言ですよ。

 厚生労働省が役所の中で握っている個人情報について情報管理ができないんだったら、この問題だけじゃなくて、厚生労働省は厚生行政、労働行政、あらゆる行政のところでたくさんの個人情報を、きょう今現在も入手しているんですよ、法令に基づいて。では、全部とめてくださいよ。このことの方がよほどとらなきゃならない緊急性がある話ですよ。

茂木委員長 舛添大臣、平成十四年段階で、なぜ実名でなくイニシャルでとったのかという話と、それから、現在の管理状況を分けて答弁をしてください。(発言する者あり)では、現在の管理状況について。

舛添国務大臣 現在の管理状況についても、これは全力を挙げて改善するようにしております。

 ただ、私の判断として、今はとりあえずイニシャルでもらっておく。私の今の判断は、告知をしていただく、しかし、もし、それがきちんとならない段階において、厚生労働大臣として、製薬メーカーに対して、何ができないのか、なぜできないのか、その段階で製薬メーカーがきちんと対応できないなら、私たちがきちんと実名をとって、それは対応する。そのことはやぶさかではありません。二段階で考えているわけであります。とりあえずそこまでの答弁とします。

枝野委員 現におくれているということを大臣は御存じないんですか。

 済みません、もう一括してミドリ十字と、その継承企業を全部ミドリ十字と言いますが、原告の方の中から、ミドリ十字に対して、私はこのリストに入っているんじゃないかという問い合わせをかけて、一週間以上放置をされているんですよ。

 厚生労働省が把握をして、もしその情報管理に心配があるんだったら、大臣と副大臣と局長とか、限定した人たちだけ持てばいいですよ。そうしたら、すぐわかるじゃないですか。何のたれべえさん、何月何日に投与を受けた、すぐに答えられるじゃないですか。現にミドリ十字は、二週間ですか、一週間以上にわたって、このリストに入っているはずだという問い合わせに対して回答してきてない、現におくれているんですよ。御存じないんですか。

舛添国務大臣 そういう形で今おくれている症例があるということをミドリ十字から報告を受けておりませんので、これは直ちに、この委員会終了後、現実にそういう問題があるかどうか、しっかりと問い合わせをいたします。

枝野委員 大臣、私は主観的には、大臣は一生懸命されようと思っているというふうに思います。しかし、やはり官僚にごまかされていますよ。

 今の話は、厚生労働省は知っているんですよ。私たちの対策本部の中で、中澤総務課長に対して、この問題はどうなっているんだということを何度も申し上げているんですよ。だから、医薬局の中澤総務課長はわかっているんですよ。それが大臣のところに伝わってないのです。中澤総務課長に聞いてもらえればいい話です。ミドリ十字なんかに聞く必要ないです。厚生労働省の課長はわかっているんですよ。課長がわかっているのに大臣に上がってないということですよ。全く把握できてないじゃないですか、役所の中を。

茂木委員長 高橋局長、事実関係について答弁をしてください。

高橋政府参考人 私どもとしては、百九十七名の方々のお名前を私どもで受け取ることについては、最初に大臣が申し上げましたとおり、プライバシーとの関係で慎重な対応が必要だというふうに考えているということでございます。そういうことでございます。

枝野委員 答えになってないというのは、皆さん、お聞きになってみんなわかると思うんですが、今私が申し上げたのは、原告の中で、私がこのリストに入っているんではないかということをミドリ十字に対して問い合わせをかけているんだけれども、一週間以上放置をされている、この問題を中澤総務課長は御存じです。それが大臣のところに伝わってないんです。ミドリ十字になんか聞く必要ありません。中澤総務課長に聞いていただければわかります。

 どういう管理をされているんですか、局長。局長のところにすら上がってないんですか、その話は。(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

高橋政府参考人 これは、三菱、ベネシス側の話のことかと思いますが、そちらの方でなぜ作業がおくれているのかについては、ちょっと私ども、まだ掌握しておりません。

枝野委員 委員長、指導してください。今、聞いたことと全然違うことを答えているわけですよ。三菱の方が、ミドリ十字の方がどういう対応をしているか、何でおくれているかということは聞いてないんですよ。中澤課長は知っているはずだ、そのことを、三菱に、ミドリ十字に問い合わせをかけても一週間以上放置をされているんだ、そういう事実については、中澤総務課長は我が党の対策本部のところでそういう話になっていると、何でわからないんだと。我々からも、だから、厚生労働省が直接把握して答えれば早いじゃないかということをやりとりしているんですよ、中澤課長が担当者としておいでになって。

 そういうやりとりがあったこと。つまり、ミドリ十字に対して問い合わせをかけているのになかなか答えが出てきていないという患者さんからの、原告の一部からの声を局長は知っているのか知らないのか。

 あるいは、一般論として、例えば民主党の薬害肝炎の対策本部でいろいろなことを申し上げていますよ。大臣は少なくとも主観的には一生懸命されようとしていると思っていますから、大臣にこういうふうに伝えてくださいとかということを幾つも申し上げていますよ。それをちゃんと把握しているんですか、局長。

茂木委員長 短時間で事実関係を確認させますので、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

茂木委員長 速記を起こしてください。

 高橋局長。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。申しわけございませんでした。

 遺族などからの個人情報の開示請求への対応につきましては、二十六日、メーカーに対しまして適切に対応するよう指示をいたしたところでございます。

 メーカーからは、遺族等からの照会については、メーカーが行っているフィブリノゲン製剤による肝炎……(発言する者あり)

茂木委員長 ちょっと、聞こえなくなりますから静かにしてください。

高橋政府参考人 メーカーからは、遺族等からの照会については、メーカーが行っているフィブリノゲン製剤による肝炎患者の特定に関する調査の一環としてお問い合わせいただいたものとし、本人及び遺族であることの確認ができれば、調査の上回答するといった取り扱いとしているとの報告を受けておりまして、適切な対応が行われているものと考えております。

枝野委員 大臣、これが今の厚労省の公式見解でいいんですか。

 十二日間、少なくとも放置されている人がいるんですよ。固有名詞を言って、何のたれべえでございますが、四百十八人の中に入っているんじゃないでしょうかと問い合わせをかけて、きのう時点までで十二日間放置をされている人がいるんですよ。

 今の答弁で厚生労働大臣として許されますか。

茂木委員長 高橋局長、まず事実関係を答弁してください。(発言する者あり)

 局長、大きな声で答弁をしてください。

高橋政府参考人 申しわけございません。

 それぞれの方について、お名前を特定するについては、いろいろな情報を総合して特定をするという作業が必要なはずですから、ある程度の時間はかかるものと考えます。もちろんこれは人によっているケースだと思いますけれども、今お話しのケースについて、どういった事情でおくれているのかについては、メーカーにちょっと聞いていきたいというふうに考えます。

枝野委員 いいですか。例えば住所が変わったとか、結婚して氏が変わったとか、いろいろなケースがあり得るかもしれませんが、当事者が私じゃないかと言って確認を求めているんですよ。当事者に電話一本すれば、あなた、名字が変わったり住所が変わったりしていますかと、すぐわかる話じゃないですか。

 しかも、何件来ているんですか。少なくとも、私がきょう、今この時点で質問をかけたのは、原告の中からそういう人がいて、答えが返ってこないという話を幾つも聞いていますと。分母は限られているんですから、全員問い合わせをかけたってたかが知れているじゃないですか。数件ですよ、実際にあるのは。

 明らかにサボタージュをしていると受け取られても仕方がないですよ。サボタージュをしていると受け取られても仕方がないことを、へえ、そうでございますかといって、厚生労働省、少なくとも局長レベルでは受けとめているということになりませんか、大臣。

舛添国務大臣 例えばAさんとかBさんという方がそういうお問い合わせをして、まだ回答が来ていない、そういう事例について、私は、残念ながら全く報告を受けておりません。それで、今私がお答えしましたように、そういうことであれば、事実はどうであるか、この委員会終了後直ちにメーカーに問い合わせをいたします。

枝野委員 時間がもったいないので、メーカーに問い合わせるまでもありませんよ。中澤課長に聞いてもらえば、我々の前で何度もやりとりしているんですから。厚生省としては、中澤課長レベルでは、今の話を、少なくとも二回ぐらいは、多ければ三回ぐらいはやりとりしていますから、我々の目の前で。返ってこないんだ、何なんだこれはと。

 だから、厚生労働省が直接把握をすれば、すぐできるじゃないですか。情報管理が心配だというんだったら、限定して、受け取ったものを、大臣なら大臣が、直接では大変だったら副大臣でも政務官でも、あるいは局長、今の局長でいいかどうかわかりませんけれども、限定すればいいじゃないですか、初めからその情報に接することができる人間を。そこは幾らでも対応のしようがあるんですよ。

 そして、今のお話のとおり、大臣が見ていてもおわかりのとおり、大臣が主観的に頑張っておられても、残念ながら、厚生労働省の事務方の方は大臣の思いが伝わっていないんですよ、少なくとも。ここは、幾らでも大臣をだまして、ごまかしてサボタージュできる立場にあるんですよ、やろうと思えば。そう思いませんか、今のやりとりで。

舛添国務大臣 今、数件ということを具体的に、これは本当に、四件、五件と、もっと正確な数字が欲しいぐらいでございますけれども、そいういうことはある。しかし、私にきちんとその報告は上がっていない。

 例えば民主党でそういう議論があって、きちんと議事録でもあるならば、ぜひ見させていただきたい。うちの中澤課長がこういうふうに言った、まさにそういう状況でありますので、直ちにメーカーに問い合わせて、例えば、そういうきちんとした対応がなぜできないのか、なぜ時間がかかるのか、正当な理由はあるんですか、そういうことを問い合わせて、きちんと、これはやっていない、もうこれは国がもっと指導をしないといけないということであれば、今委員がおっしゃったようなことも含めて、私は二段階、三段階にいろいろなことを考えています。

 最初からすぐ命令でこうするということではなくて、そのために向こうの社長を二人呼んだわけですから。やれということを言った。それで今言ったようなケースを早急に検討して、それがきちんとやっていないならその対策を、今委員がおっしゃったような提言も入れて早急に打ちたいと思います。

枝野委員 我々、議事録はとっていませんが、我々のやりとりは全部マスコミにフルオープンで、マスコミの皆さんが全部録画しておりますので、報道は守秘義務があるから出さないかもしれませんけれども、自信を持って申し上げているので、マスコミの皆さんが検証してくれると思います。

 今のやりとりを聞いていても、なぜ厚生労働省が直接やらないのか。それはミドリ十字が一番責任は大きいですよ、いずれにしても。ミドリ十字が自分たちで努力をしろ、それを厚生省として指導する、それは当然。それをやらなくていいと言っているわけじゃない。それが一番の責任だと思いますが、同時並行で厚生労働省も同じ情報を持てば、厚生労働省としても直接対応できるじゃないですか。

 例えば、任意で出してください、実名の入っているリストをミドリ十字に対して出してくださいと言ったら、情報公開法の解釈を間違えて、出せませんだなんて変なことを言ってきたときには、それは命令ということになるからそこは考えなきゃいけないかなということになりますが、指導はできるんです、任意で出してくださいと。そんなこと、何でやらないんですかという話ですよ。

 その話は、実は、先ほどの山田議員が聞いた、直接、医療機関なりに対して、カルテ、関連書類、あるものは全部とっておけ、全部捜してくれ、捜して医療機関から患者さんに告知をしてくれという話も、確かに医師会にお願いをしたって、医師会にはやる責任義務は必ずしもないわけですよ。現場の病院にもやる責任義務はないわけですよ。

 ただ、厚生労働大臣は、医師の免許であったり、病院の開設に対しての権限を後ろに、背景にしているわけですから、直接に、いきなり法律に基づいた強制力を持った処分として医療機関に対して何かやるかどうかは別としても、霞が関は大好きじゃないですか、行政指導というのが。何で行政指導しないんですか。医療機関の名前、全部わかっているじゃないですか。

 医師会を通じて、厚生大臣がこんなことを言っているのでよろしくといって要請が来るのと、厚生労働大臣から直接行政指導としての手紙が各医療機関に行くのと、各医療機関としたって、それは後ろに権限がくっついていますから、全然やる気もスピードも違うじゃないですか。何でそういうことをやろうとされないんですかというのが、我々とあるいは患者の皆さんのいら立ちなんですよ。そういうことぐらいされたらいいじゃないですか。

舛添国務大臣 私は、これはもう先ほど来申し上げている、オール・ジャパンで、この問題にすべてで取り組んでいかないといけない。

 したがって、先ほど言ったように、医師も医療機関もメーカーも、そして我々もしっかり取り組んでいかないといけない。そのときに今申し上げたことをやりたいということでありますけれども、今とにかく検証させてください。そして、今委員がおっしゃったような形で動かなければ動きます。

 ただ、現場の医師さんにしても、医療機関にしても、そういう行政処分が来ないと動かないというのでは、私はある意味で情けない、やはり一生懸命協力していただきたいなという気持ちがあるんです。ただし、サボタージュがあるようなことがあれば、私は今言ったことを含めてきちんと二の手、三の手を打ちたいと思います。

枝野委員 これは大臣自身もお認めになっていると思うんですが、まさに肝炎の患者さんは日々進行しているんですよ。もし患者さん本人に告知ができるならば一日でも早く告知をして、検査をしていただいて、治療が可能であるならば治療をしていただいてということを、一刻を争っている案件なんだと私は思うんですね。

 一刻を争ってないんだったら、まずは間接的にお願いをしてやってもらいましょう。それでやってもらうのが一番いいですよ、それは。やらなかったときに、では、次の手として公権力を背景にした強制力をもってということの段取りというのは、一般的には、行政の権力行使のあり方としては確かによくわかります。でも、一刻を争っている案件なんですよ。それでやってなかったから、では、今度は強制力を背景にしてということをやれば、その分明らかにおくれるじゃないですか。その間に病気は進行しているんですよ。

 この後やろうと思っていますが、少なくとも二〇〇二年のときにおくれて、そこから五年間おくれたという、もう既に厚生労働省には責任があるんですよ。だから、今回については、まさにあらゆる手段を使って、もちろん、多くの現場の医療機関は、別に、厚生労働省からの行政指導であろうが、医師会を通じての要請であろうが、一生懸命されるだろうとは思いますが、その中にそうでないところが万が一にもないようにと万全を期すのが、五年間おくらせた厚生労働省の責任である。だとしたら、何で厚生労働省として四百十八人の実名リストもとらないのか、何で現場の医療機関に対して直接何らかの形で要請をしないのか、指導をしないのか、私はまだ納得できる答えをいただいているとは思えない。

舛添国務大臣 私は、直ちに製薬メーカーの例えばトップを呼んで、指示、お願いをした。直ちにやります。しかし、先ほど委員がなされたように、聞かれても全く、数名の方についてまだ答えも出していない、こういうことは、申しわけないんですけれども、非常に残念に思いますが、我が省の先ほどの担当からは私のところには上がってきていない。したがって、直ちにこういうことについて、それは私の責任でもございますから、今委員がおっしゃったような方向を含めて、まず検証して、そしてやりたいと思います。

枝野委員 大臣が今のこの期に及んで、この問題について、ミドリ十字や厚生労働省の事務方に対して、私は性善説で接しているんだと思うんですよ。その大前提が私は間違っていると思うんですよ。あるいは、申しわけないけれども、大部分の医療機関のお医者さんは違うと思いますが、私は、医療機関の中にも性善説で見てはまずい対象の方もいるんではないかと思います。

 つまり、ミドリ十字は、一人でも患者が多く特定されれば、それだけ自分たちの加害責任の範囲が大きくなる可能性がある立場なんですよ。できれば患者は特定されない方が、ミドリ十字という会社の経済的利益から考えれば明らかに得なんですよ。そういう立場にあるんですよ。

 医療機関だって、これは場合によっては、何でこんな薬を打ったんだ、危ないということは一部でわかっていたじゃないかということになったら、当時その薬を使った病院だって法的責任を問われる可能性がないわけではないわけですよ。そういうことで慎重になるお医者さんだったら、できるだけうちの病院で打った先は特定されない方がいいと思う人が全くいないとは言い切れない、こういう状況にあるんですよ。

 だから、できるだけ特定されない方がいいということで、ミドリ十字は恐らくそう動く可能性が高いんだ、残念ながら医療機関の中にもそういう方がいる可能性もあるんだ、そういう前提じゃなきゃいけないし、厚生労働省だって、ある意味では、ここは大臣がかわるたびに、大臣のキャラクターによって相当方向性は変わったりする。だから今、舛添大臣の主観的な努力に対して私は期待をしたいんですが、でも、厚生労働省という組織とすれば、やはり、自分たちの先輩が過去にやった失敗の責任を問われるかもしれない、それはできるだけ小さい方がいいという方向にできるだけ動いてしまうのは過去の繰り返しじゃないですか。

 ですから、性善説じゃだめなんですよ。性悪説に立って、ちゃんとやらないかもしれない、ごまかすかもしれないという大前提に立ってやらないと、大臣の主観的な意図と出てくる結果にはどんどんどんどんずれが大きくなっていくと思いますが、どうですか。

舛添国務大臣 それも貴重な御意見として賜って、これからどういうふうにかじ取りをやるか、それに参考にさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、確かに、医療機関にしても、例えば現場で、帝王切開してDICになって本当に大変だ、一生懸命その出血をとめようと思って頑張ってやられたお医者さん、この方に私は罪があるのかなと。しかし、今おっしゃったように、いろいろな意味でちゅうちょをなさる病院もあるかもしれない。だから、性悪説というか、性善説というか、そういう言葉が適当かどうかは別として、きちんと対応しない機関があったり、医師があったり、メーカーがあれば、それは、私の方で断固とした態度で臨んでいくということでございます。

茂木委員長 枝野委員に申し上げます。

 特定の製薬メーカーについてされるときは正確な名前の方がいいと思いますので、田辺三菱製薬、そういう形でお呼びいただいた方がいいと思います。

枝野委員 わかりました。

 ちょっと余計なことなんですが、医師の皆さんがそういうことを心配せざるを得なくなっているというのも、実は広い意味での政府の責任ですからね。

 大臣、当然、福島県の大野病院事件、御存じだと思いますが、私は、法務委員会などで法務大臣に、指揮権を発動してでも公訴を取り下げろということを何度か申し上げています。

 これは別件ですけれども、ぜひ厚生労働大臣として検討して、場合によっては法務省に対して申し入れをしていただきたい。別件ですけれども、今、医師の責任という話が出てきたので、これはお伝えだけしておきます。

 その上で、この裁判の問題をしたいと思うんですが、先ほど午前中の質疑で、十一月七日に大阪高裁から出るものを、最初、所見とおっしゃったのを勧告と言いかえられましたけれども、大臣は違いがわかって言いかえられたんでしょうか。

舛添国務大臣 私の理解では、勧告は、一つの、こういう案ですよと。しかし、所見というのは、権限を持って大阪高裁がきちんと方向を出すというふうに理解しておりますが、むしろ、それで正しいかどうか、これは弁護士の枝野先生の方が正確であれば、きちんと、私が間違っていれば正していただければと思います。

枝野委員 これは、実は所見を受け入れていただかないといけないんです、どういう所見が出るかわかりませんが。

 つまり、裁判所が、これまでの証拠調べなどのさまざまな事実関係、確認した事実関係に基づいて、この事件はこういう事件である、こういう事実関係にあって、こういう責任があるんだという裁判所としての考え方を示すのが所見なんです。それに基づいて、だから、例えばこういうふうに金を払いなさいとかというような和解の勧告がなされるんです。

 本件については、お金で解決する話だとは、被害者の皆さんのほとんどの方は思っていません。つまり、もちろん、病気で生活が困窮をしている、治療のためにお金もかかるという状況ですから、経済的な補償もちゃんとしてもらわなければならないけれども、まさに、真相究明をして、そして責任の所在をはっきりとして、そして国がその責任に基づいて謝罪をしてもらう、そのことが大前提である。そのことが示されるのは所見の部分なんです、示されるとすれば。ですから、所見こそが重要なんですが、その御認識を十分にいただいているんでしょうか。

 午前中、答弁を後ろからの耳打ちで変えられました。まさに、事務方は、勧告は受け入れてもいい、つまり、経済的にある程度補償するという話については、あとは財務省とのやりとりの中で何とかなる、だけれども、所見の方には、厚生労働省の責任が明確になるかもしれない、そういうところはちょっと違うんだ、あくまでも受け入れるのは勧告なんだと。これはわかってやっていますよ。わかって言いかえさせていますよ、耳打ちは。(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

 きょうは傍聴人の方もたくさんいらしています。まじめに、粛々と審議を進めたいと思いますので、山井委員、不規則発言は慎まれるようにお願いをいたします。

舛添国務大臣 私も法学部で勉強した端くれですから、私は、一般的に、こういう和解案を出したときは所見を出すもの、そう理解しておりましたから、その所見を受け入れるとか、ちょっとこれは後ほど議事録で私の発言内容は精査をいたしますが、所見が出ますからという発言をしたと思います。それを受けるとか受けないとかいうことじゃなくて、十一月七日に大阪高裁の所見が出ますからということを申し上げたと思います。

 ただ、事務方の、要するに私に対する、言葉を訂正しろ、正確ではないというメモというか、これがありましたのは、今の大阪高裁は所見ではなくて勧告を出すというふうに言っているということを聞きましたので、私は、一般的に所見と思っていましたから、所見ということを申し上げた。もし、勧告を出すということが大阪高裁の正しい裁判上の言葉遣いであるかどうか、これは、今の担当している政府参考人がそういうことだということで、私はそれに従って、所見という言葉が正しくなくて、勧告という言葉、所見を出すのではなくて勧告を出すということであるならば、それならば言葉を間違えましたから、勧告ということを申し上げましたので。

 私は、だから、何もわかってなくて言ったのではなくて、一般的に所見だと思っていたから言いました。ですから、これは答えさせたいと思います。

高橋政府参考人 私どもが大阪高裁から伺っておりますのは、和解勧告をできるかどうか双方から意見を聞いて考えたいということでございます。ですから、私どもが大阪高裁から聞いているのは、和解勧告ができるかどうか考えるという言葉でございます。

枝野委員 厳密な、今の話の法律用語で言えば、裁判所は和解勧告をするかどうかということを言っている、別にそれで間違ってないんですよ。

 問題は、別に所見でも困らないんですね、一般的にここでやりとりしているところで。それをわざわざ勧告と言いかえさせたところには、所見が出てもらっちゃ困るんですよ、厚生省の事務方は。所見なしで、ただ、とにかく被害者の皆さんを何とかしなきゃならないから、こういうふうに金を払いなさいと、所見なしで勧告が出る可能性もあるんですよ。

 あるいは、厚生労働省としては、所見は受け入れないけれども、勧告本体部分の、金を払えというところだけは受け入れる、こういうこともあり得るんですよ。過去の例としてあり得るんですよ。

 だけれども、根本的に大事なのは、特に被害者の皆さんを精神的に一番過酷な状況にさせないためには、所見の部分こそが一番重要なんです。それは、うなずいておられるので、同じ認識だと。大臣、まずそこまでいいですか、所見が大事だと。

舛添国務大臣 私は、一般的に、所見というのは極めて重いと思っているので、先ほど所見と申し上げました。

 それで、ただ、政府の、局長がこれを担当していて、どういうやりとりで、なぜ先ほどのようなことを言ったかというのは、これは委員長、指名してください。

高橋政府参考人 先ほど大臣が午前中の答弁の中で所見というお言葉を使いました。私どもは、先ほど申し上げましたように、大阪高裁から聞いている言葉は、和解勧告という言葉ですので、十一月七日、本当に出るかどうかわかりませんが、和解勧告という言葉を聞いている、そのことで大臣に訂正をお願いしたということでございます。

枝野委員 大臣はまだ、先ほどのやりとりもあったにもかかわらず、厚生省を一生懸命、事務方を信用しておられるようですが、それでは私はこの問題は解決しないと思いますよ。

 別に私は、厚生省のお一人お一人の皆さんが悪人だとは思いません。皆さん一生懸命仕事をされているんだと思いますが、残念ながら、過去何度も、組織としては失敗をし、隠ぺいをしということを何度も、この薬の問題でも繰り返してきているんです。そして、過去の例から考えても、例えば、薬害エイズのときも、実はずっと、金銭的な解決については当時の厚生省はある程度やむを得ないと思っていたけれども、とにかく、責任を認めて謝罪をする、その部分はだめだというところを菅厚生大臣は乗り越えることができたんですよ。まさにそこがポイントなんですよ。

 大臣、言葉のやりとりはいいですよ。大臣、被害者の皆さんが何よりも求めているのは、国の責任を認めて謝罪をすることだ、これが患者の皆さんの一番の願いなんだということは理解をされておられますね。

舛添国務大臣 たくさんの皆さんからお手紙を賜り、いろいろな形で、直接的にはお会いはしておりません、その理由はいろいろ申し上げました。しかし、しっかりと皆さん方の言葉を受けとめております。それで今、全力を挙げて、何とか全面的に解決したい。そのときに、ただお金だけで解決する、そういうような態度ではだめだと。きちんとこれは検証した上で、何が問題点か、二度とこういうことを起こさない、そのためにはどうすればいいか、それはきちんとやります。

 ただ、問題は、私は、もうこの段階で申し上げておりますけれども、ただ大阪高裁の和解でどうするということではなくて、五つの訴訟全部をきちんとした形で解決したいと思っています。

 ただ、その五つの判決は、委員御承知のように全部微妙に違います。そして、最後の仙台判決は国の勝訴ということになっている。そういういろいろな違いを乗り越えて、最終的には、お金とかそういうことではなくて、皆さん方の本当の願いが実現できるように、先ほど私は福田総理のお言葉も引用いたしました、最終的には政府一丸となって断固とした決意で全面解決を図る、そういう思いでございます。

枝野委員 どうも少し歯切れが悪くなるんですね。

 大臣に申し上げておきたいと思います。

 責任は認めない、謝罪はしない、あるいはせいぜい認めても二〇〇二年の報告のおくれぐらいでということで、だけれども、被害者の皆さん、気の毒だからお金を払いますというのは、私は、ある意味では被害者の皆さんにもう一つ罪を重ねることだと思います。

 つまり、被害者の皆さんの望みは、期待は、責任があるなら責任をちゃんと認めて、謝罪をして、その責任に基づいて補償を受けることである。しかし同時に、被害者の皆さんは生活が非常に苦しい中にあって、治療を受けていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。だから、経済的にもちゃんと補てんを受けなければいけない。人間、食っていかなきゃいけませんから。

 だから、経済的な補てんだけで、責任の問題や謝罪の問題が棚上げをされるだけではなくて、自分たちの判断でそれを放棄しろ、和解とかそういうことになりますからね。つまり、責任は認めないけれども、お金を払うから和解に応じろと被害者の皆さんに迫るということは、今、目の前、治療を受けるためにはお金が必要だ、だったら、一番の願いである真相究明、責任問題の明確化ということを自分の判断であきらめろと。

 裁判所で責任がありませんと判決が出るのとでは意味が違うんですからね。自分自身で、さあ、お金をとるか真相究明をとるか自分で決断をしろということを被害者の皆さんに迫ることになるわけですよ。私は、そういったことは、これ以上、この薬害肝炎の被害者の皆さんにしてはいけないというふうに思います。その点の認識をお伺いしたい。

舛添国務大臣 お金をとるのか真相究明をとるのか、そういうような二者択一を迫るようなことがあっては絶対にいけないと思います。その点は枝野委員と私の認識は一致しております。

枝野委員 裁判所が今、特に大阪高裁が和解勧告、そして、それにどういう所見をつけるのかつけないのか、恐らく時期的に、裁判官は非常に今悩んでいる時期だろうと思います。当然、厚生労働省も、そこと折衝といいますか、意見聴取などを受けているんだろうと思います。

 私は、可能であるならば、裁判官と、この裁判の当事者、被告当事者は舛添厚生労働大臣です。あの局長じゃありません。それで、今、国民の皆さんに、そして傍聴されている被害者の皆さんに約束をしているのは舛添大臣です。お忙しいと思いますが、私は、大臣自身が裁判官とお会いになって、私はこういう気持ちでやっているということを直接お話しになられるべきだろうというふうに思います。

 裁判所としても、例えば所見を出した、勧告を出した、しかしながら、例えば国の方がそれでは受けられないとかということになったりしては、やはりいろいろな意味で困る。勧告をしたら、所見を出したら、それを受け入れてもらえるだろうかということは、私は多分大分気にしているだろうと思います。

 ですから、そのことについて、私は、大臣自身が、自分はこういう気持ちで仕事をしているんだということ、だから、責任がないのを責任があるという所見は出せないでしょうから、例えば、国に責任があるんだったら、ちゃんとそのことをきちっと所見で書いてもらったらちゃんと受け入れるんだとか、そういうことを含めて、直接お会いになってお話を、つまり、来月か何か意見聴取があると聞いていますが、十月十五日にあったというのか、局長が言っていますが、多分まだ機会はあるんだろうと思いますので、ぜひ、私は大臣が直接会われるべきだというふうにお勧めをいたしますが、いかがですか。

舛添国務大臣 これは、関係する原告、被告それぞれ呼んで、話を聴取し、そして何とか打開策がないかと、今大阪高裁は一生懸命おやりになっている。今、枝野委員がおっしゃったようなことが可能であり、そして私がきちんと答えられる可能性があれば、そのことも含めて検討したい。

 とにかく患者さんたちの気持ち、その原点に立ち戻って、私が最高責任者でありますし、しかも、私だけではなくて、先ほど来申し上げておりますように、福田総理も、これは一日も早く解決しないといけない、政府一丸となってやるということをおっしゃっております。そういう思いを裁判所に何らかの形で伝えることができ、そういうことがプラスになり、そしてまた公平な判断、大阪高裁の努力を実らせることにつながるならば、今御提言いただきましたことも考えて十分に検討してみたいと思います。

枝野委員 余り昔話をしたくないですし、それから、私も弁護士としての守秘義務や双方代理の問題とか注意して話さなきゃいけないんですが、薬害エイズのときには、私は政府側の人間ではありませんでしたので、当時の被害弁護団の副代理という形で裁判官とお会いをいたしました。もちろん、それは被害者側の代理人、副代理人という立場でお会いをしましたし、そこでの詳細は守秘義務上話すことはできませんが、当然、政治はどう考えているのかということについての私なりの認識をお話ししました。

 私が受けたそのときの印象では、行政ベースから伝わっていた情報と政治の認識とは、裁判官の方は、あれっという感じがあったと私は受けとめています。そういった意味では、政治の立場で、かつ副代理人として裁判官とお会いをしたことが何らかの意味があったのではないかと私は思っています。

 ですから、大臣が、あるいは大臣が本当に信用できる、だけれどもこれは厚生省、国の側の立場で出ていくためには、やはり何らかの政府の肩書がないと出ていけませんから、やはりこれは大臣がお出になるか、せめて副大臣か政務官がお出になるかということではないかというふうに、あるいは政務秘書官なら公務員だから出られるのかな、そういうことで考えられた方が私はいいというふうに思います。

 残りの時間で二〇〇二年の問題についてお話をさせていただきたいんですが、二〇〇二年になぜ患者本人に可能な限り告知をしなかったのかという問題でありますが、これも山井議員が何度か質問を申し上げ、質問主意書などが出てきています。きょう、何か答えがちょっとあいまいだったのでありますが、質問主意書の答弁、まず内閣としての正式な一番の答えは質問主意書の答えですが、十月二十六日付ですと、症例一覧表にある、四百十八人のリストにある患者については、多くの場合、医師は肝炎の罹患を話していたと考えられる、だから告知しなくていいんだという、これがつい先日までの厚生労働省の一貫した公式見解でありました。

 それから、当時の事実上の責任者だと思います、宮島医薬局長は、報道でこう答えておりまして、医療機関も当然自分のところで使ったらわかるわけですから、医療機関からのアプローチを期待しているというようなことは言っておりました。個別の人まで当たるということまでは当時考えていなかったと思いますがと言っていました。

 この個別の人まで当たるということを考えていなかったということの理由は、先ほどの公式見解を現時点でも維持されますか。つまり、個別の医師が罹患について既に伝えているんだという認識を維持されますか。これは局長でも場合によったらいいですよ。

高橋政府参考人 平成十四年当時の担当局長でありました宮島元局長が、その当時に、その当時のこととしてお話しになっているのは、一般の健診の呼びかけの中で検診をしていた、そういうようなことだったと思います。現実の医療の場面で患者さんがそういう肝炎罹患の事実や何かについて話は聞いているだろうかとか、そういうことについては私は詳しくは承知をいたしておりません。

茂木委員長 四百十八名に対する告知について、なぜ告知をしなかったのかと。つまり、医療機関の方から既に告知がなされているという認識であったろう、そういう見解を今も維持しますかという質問です。

高橋政府参考人 質問主意書の話でございますね。ちょっと私、取り違えて申しわけございません。

 私どもは、多くの場合は、医師は患者に対して肝炎に罹患していることなどを話していたものと考えるというふうにお答えしております。これは、四百十八人の方の一覧表を見ますと、当然急性肝炎の症状を発症していらっしゃいますので、医師の方からは肝炎にはかかっているというお話は当然なされているというふうに理解をしているということでございます。

枝野委員 これは、崩れていませんか、もうその答弁は。

 きょうも朝日新聞が報道していましたけれども、当時の厚生労働省医薬局が産婦人科学会、つまり、このフィブリノゲンの投与を受けた方の多くは、出産のときにフィブリノゲンの投与を受けているんですよ。つまり、治療を受けた、担当は、基本的には産婦人科の医師なんですよ。

 その産婦人科の医師の産婦人科学会に照会をかけたら、その当時は一過性のものだという知見しかありませんでしたと。一過性のもので、その感染をさせられた直後には肝臓は悪くなるけれども、多くは落ちつけばそれで治るものなんだ、一過性のものなんだというふうに当時は認識をしていましたと堂々と答えているじゃないですか、厚生労働省に対して。

 病院が、医師が告知をしていたから、だから改めて告知する必要はない。それは、その後になってこのC型肝炎の場合は一過性ではなくて、一度発症して、一度おさまったように見えても、潜伏して、肝臓がどんどん悪くなって、肝硬変、肝がんになっていくんだということがわかったのは、実際にフィブリノゲンの投与を受けて肝炎が発症したその時点ではなくてその後であるということは、資料、証拠上、厚生労働省はその当時はわかっていた、医薬局長はわかっていた、違いますか。局長、どうぞ。

高橋政府参考人 平成十四年当時の医学的知見ということでございますので、そのころから顧みますれば、昭和六十二、三年のころは、肝炎に関する知見というのは今日のようなものは確立されていなかっただろうという見方をしております。

 ですから、C型肝炎ウイルスが発見されたのは昭和六十三年、それから抗体検査などが導入された、その後でございますけれども、そういった治療の進歩の中で肝炎知見が発展したわけでございますから、平成十四年当時では、六十二、三年を考えれば十四年当時ほどの知見ではなかったということは理解をいたしていたと思います。

枝野委員 何か、何を言っているのかよくわかったようなわからないような話なんですけれども。

 二〇〇二年の時点、平成十四年の時点では、C型肝炎は、潜伏というか、発症しない状況でどんどんどんどん悪くなっていてという病気なんだということは、これはほとんどみんな知っていましたよ。しかし、この四百十八人のリストの多くの人たちが、先ほど山田議員の質問のとおり、八七年とかそのころなんですよ。その当時、実際にこの患者さんを診ていた産婦人科の医師の皆さんは、C型肝炎、当時はノンAノンBという言い方でしょう、それは一過性のものだと思っていましたと、二〇〇二年に、平成十四年に厚生労働省医薬局長あてに回答しているんですよ。その事実は認めますでしょう。

高橋政府参考人 けさ朝日新聞に載った報道に関してはもちろん承知いたしております。

枝野委員 報道じゃなくて、厚生労働省医薬局長殿で日本産婦人科医会などが答申しているんですよ。当時の局長は当然知っていなかったらおかしいですよ。

 もう一つ言いますが、当時の局長、宮島局長の時代に、実は、大臣、大事なことですよ、直接厚生労働省が事実上の指導をして、病院から感染者、カルテなどをたどって、感染のリスクのおそれのある人に対して告知をして検査をしたという例があるんですよ、第9因子製剤について。第9因子製剤については、研究班をつくって、研究班の研究という形で金もつけて、各医療機関を通じてカルテなどを当たらせて、そして患者さんに告知して検査させているんですよ。この事実もあること、局長、事実関係だけ認めてください。

高橋政府参考人 御指摘のとおりでございます。

枝野委員 時間も足りないので、大事なことを最後に言っておかなきゃいけませんが、当時の宮島医薬局長は、その二つの事実を知りながら四百十八人のリストを放置したんですよ。つまり、気がつかなかった、思いつかなかったなんというのは、報道に対して、テレビで答えるというのは大うそなんですよ。自分が局長としてこういう産婦人科学会からの報告を受けているんですよ。自分が局長として、第9因子については患者に対して直接アプローチしているんですよ。なぜかフィブリノゲンについては放置をしたんですよ、四百十八人。

 私は、大臣が例の年金の着服について刑事責任を含めてしっかり追及するとやられたのは、地方自治体とのいろいろなトラブルについてはいろいろな意見があるかもしれませんが、その大方針は正しいと思います。この宮島局長の、少なくともこんな、テレビで答えている言いわけは全く答えにならない。

 まず一つは、厚生労働省として、その調査チームのことも聞きたかったのですが、そもそも調査チームは何を調査するのか、よくわからないんですよ。どこまでが対象なのか、八七年の話までちゃんと入っているのかとか、全然わからないんですよ、あの調査チームの我々に対するブリーフでは。なおかつ、それをいつやったかすらマスコミにさえ伝わらないし、非公開だから何をやっているんだか何も言わないわけですよ。具体的に何月何日、だれにヒアリングしましたかとは言えないかもしれないけれども、もうちょっと何をやっているか言ってもいいと思うんですが。

 まず、そのチームでも刑事告発も視野に入れて宮島局長のこの不作為について調査をされるべきだと思いますし、厚生省の重職にあった人がテレビで堂々と大うそをついているんですから、委員長、この宮島元医薬局長は必ずこの厚生労働委員会で証人喚問していただきたいとお願いを申し上げて、質問を終わります。

舛添国務大臣 すべてのことを含めて洗いざらい、今調査を既に始めております。そして、きっかけは二〇〇二年の四百十八人のリストでありますけれども、及びその背景に関するということをきちんと銘打ってやっておりますので、今言ったことも含めて、それで、きちんとした報告の形で、長引くようであれば中間報告を出す形で国民の皆様に御報告したいと思います。

茂木委員長 枝野委員からお申し越しの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 「八人は三沢の患者か」これは、資料の1に示した地元紙東奥日報の十月二十六日付の記事であります。二十四日に大臣が当委員会で報告されました。「新たに実名が確認できたことを明らかにした八人の患者は、いずれも女性で、一九八六―八七年に三沢市の産科医院で起きた集団感染の被害者とみられることが二十五日、分かった。」と報道されております。

 二枚目に当時の記事をつけておきました。八七年四月十八日「「血液製剤」投与後に急性肝炎 止血用、産婦八人が連続」まさにこのことなのかと。きょう、発端が三沢であったということが繰り返し質疑の中でお話しになられております。

 この三沢の集団感染こそが、四百十八名のリストにもつながり、その後の一連の薬害肝炎問題の発端であったということで、改めて衝撃を受けました。まさしくこの八名こそが、大臣の二十四日におっしゃった方と同じであるということでよろしいですね。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

舛添国務大臣 リストの中にきちんと載っているこの方々、これはもう既に、先ほど申し上げましたように、お医者さんがB型肝炎の専門家でしたから、きちんと対応して、それで警告を厚生労働省に与えた。その手紙は資料にも先ほどついていましたけれども、そのとおりでございます。

高橋委員 このことは、実は担当官の方からは、公表されていないということでありましたので、今の答弁で確認をさせていただきました。

 これは、三枚目に資料をつけてありますけれども、先ほど来話題になっている平成十四年八月二十九日、二〇〇二年ですね、フィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染に関する調査報告書が発表されて、さまざまな資料が添付されておりますが、その中にあった青森県の集団感染に関する資料でございます。先ほど大臣が紹介をしていただいた医師があてた副作用報告書の表書きであります。きょうはその表書きだけをつけさせていただきましたけれども、八名分の個票も私の手元にございます。

 同時に、この医師は、ロット番号と発注した本数や発症日なども詳細に書いた記録も添付をされております。この私の手元にある個票はマスキングがされておりますけれども、当然、厚生省の医薬品副作用情報室あての文書でございますので、マスキングのない原本が八七年四月当時から厚労省にあったということを確認させてください。

舛添国務大臣 私自身、先般の調査でまず八冊のファイルを出した、それでも足りないんじゃないか、そして、今委員がおっしゃったものを見ました。そして、マスキングしていないところに実名が八名ありました。私がこの目で確認しました。したがって、これは厚生労働省にそのときからあった、間違いないと思います。

高橋委員 私は、最初は実名二名から始まって、八名ということが後で紹介されたんですけれども、こういう一塊で一つの事例として連続して報告された中にあったんだということ、しかもこれが発端の事例があったんだということを改めて考えるときに、このときの対応がどうだったのかということを検証すること自体が本当に重要であろうというふうに思われるわけです。

 そこで、医師の手紙を一部紹介したいと思うんですけれども、このように書いてあります。「昭和六十一年九月以降、フィブリノーゲンを投与した八例の全例が肝炎になりました。」とあり、「二例目が発症した時点で、フィブリノーゲンが発症原因とみて、ミドリ十字に対し、肝炎発症の報告を致しました。」つまり、もう二例目で報告をされているんですね。九月二十五日に発症しているということを確認しています。

 その後を読んでいただければわかりますが、しかも、患者及び家族から医療事故との苦情があったのに対し、ミドリ十字は、輸血もしていることでもあり、フィブリノーゲンは肝炎の危険性はあり得ると使用説明書にも書いてあり、お気の毒にもたまたま肝炎が続発しただけとの見解でありますとも書かれ、会社側の対応がいかに不誠実だったかが伺えます。この時点でもっと早く対処がされていたらと憤りを禁じ得ません。

 これは次をめくっていただければと思うんですが、医師は続けて、最後のところに書いてあります。「血液製剤である以上、肝炎の発症はある程度覚悟しておりますが、八例中八人が発症、即ち一〇〇%は高率と考え、また、他の医療機関に於いても多発するものと思われるので」云々とあります。

 この医師の思いが本当に生かされたのでしょうか、大臣。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃったように、私もこのときにもう少し、八例連続ですから、しかもB型肝炎の専門の先生がおっしゃっているわけですから、きちんと対応していれば相当防げたというふうに思って、大変残念でなりません。

高橋委員 本当に、今大臣がお認めになったとおりだと思います。この経験を何としても生かしていただきたいと思うんですね。

 この四月十五日以降、十五日というのは医師の手紙ですけれども、旧厚生省の対応については、二〇〇二年の調査報告書によれば、翌日には今後の方針について旧ミドリ十字に説明を求めたとされております。ところが、その当時の記述が大変あいまいで、会社の説明や厚生省の指示は不明だと書いているんですね。その上で、非加熱製剤の自主回収や加熱製剤に関して指示が行われたことが推測される、推測されるにとどまっているんですね。

 ところが、本当にそうだったのかなということが、もう一度先ほどの八七年の記事に戻っていただきたいんですけれども、最後のところに牧野利孝厚生省薬務局医薬品副作用情報室長の話が紹介されております。「製品を回収するとの連絡を受けたが、それは企業の判断。」という形で、厚生省の責任については一切触れておりません。当時の厚生省の対応について、推測でしかわかっていないこととあわせて、責任は重大だと思っております。

 私は大臣にお願いをします。原点をしっかりと調査してほしいということです。

 私が昨年お会いした原告は、まさにこの四月十八日の報道があって、もう集団感染がわかっていた後に投与された方なんです。匿名の原告です。職場にも感染を告げていない。現在も働いていらっしゃいます。その方が、その記事があったにもかかわらず、同じものをあなたに投与したと医師から告げられたということなんです。しかも、そのときにその人がどんなことができたかというんです。そして、母子感染はしないからと言われて出産をしましたけれども、結局、娘さんに感染しました。自分は間に合わなくても、娘だけでも救ってほしい、そう訴えられたことが私は忘れられません。そうしたことも全部踏まえていただきたい。

 一括和解、あるいは、きょうは全面的解決という表現を使われておりますけれども、原告全員を救済する決意であるのか、争われている第9因子も含めて救済をする意思があるのか、確認をさせていただきたい。そして今後、薬害の被害者たちが命を削って闘わなければ解決しない、そういう事態はもうなくすという大臣の決意を伺います。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 第9因子、クリスマシンも含めて全面的に解決したい、そして二度とこういうことを繰り返してはならない、その覚悟で全力を挙げます。

高橋委員 ありがとうございます。

 今の決意が本当に実行されることを、きょう、たくさんの方が聞いておりますので、必ず実現することを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 私にいただきました時間が十分で、この薬害C型肝炎、B型肝炎もエイズもございますが、この薬害C型肝炎の問題の全貌に迫るには大変に私には不服な時間でございますが、お約束事ですのでやらせていただきます。

 まず冒頭、舛添大臣にお願いがございます。

 実は、フィブリノゲンを初めとする、あるいはクリスマシンもそうですが、薬害肝炎問題は、一九七七年、アメリカのFDAでは既に使用が禁止され、そして今、高橋さんの御質疑にありました一九八七年の非加熱製剤、さらには加熱製剤にかわっても相変わらず被害が尽きることなく続いておったという、本当におぞましいの一言に尽きる実態でございます。

 そして、実は、私は先日厚生労働省に資料を求めました。その資料とは、加熱製剤による被害の実態調査というものが、昭和六十二年から平成四年までにかけて、これは三菱ウェルファーマですか、から出されておりますので、名前を正確に言わないと委員長に怒られますので、ウェルファイドでございます、失礼いたしました。ウェルファイド株式会社から厚生労働省に出されておりますので、加熱製剤による被害、医薬品の被害報告の調査報告書を出せと申しました。三十二枚あるときのう答弁を受けまして、では、持ってくるかファクスしてくださいと言い、今のこの質問のこの時間に至るまで持ってまいりません。

 きょう、山田委員も御指摘ですが、実は加熱製剤でも多くの被害が生じていて、それが報告という形で上がっているのであれば、当然この質疑の前段で持ってくるべきだと思います。

 大臣にはお願いがございます。省庁担当部局に言って、きょうは間に合いませんでした、私のところに必ず届けていただきたい。大臣、よろしいですか。

舛添国務大臣 なぜお約束どおり委員のところに届けないのか、そのことから始まって、これはきちんと襟を正し、そしてしかるべき対応をとりたいと思います。

阿部(知)委員 おくれた理由、届けぬ理由、何かを隠したいのか、いずれもきちんと御報告をお願いしたいと思います。

 私は、きょう、山田委員の御質疑の中で、大臣は、七千にわたる医療機関の公表ということをもう一回やろうという御答弁でした。大変いいことと思います。

 実は、この七千医療機関がわかりましたのは、厚生労働省の方で七千という数を把握されたのは、二〇〇一年の五月ということでございます。一回目の公表が二〇〇四年までずれ込んでございます。公表したのにまた公表しなきゃならないということがなぜ起こるのか、何が問題であったのか、ここをきちんと考えないと、また同じ轍を踏みます。

 そこで、きょうは大臣のお手元に、私の資料、五枚ございますが、めくって三枚目をおあけください。これは先ほど枝野委員も御指摘でありましたが、薬害エイズの問題において、いわゆる第9因子、クリスマシンやニチヤクなどの薬品における肝炎の発症を、これは厚生省みずからが研究班をつくりまして、上から七行目、読んでいただきたいと思いますが、「感染の実態を把握すること、」「実態を把握すること、」ここが非常に大事です。

 今は、フィブリノゲンの感染実態、あるいは場合によってはクリスマシンもまだ全貌、足らざるところがありますが、実態を把握したがらない厚生労働省があります。実態を把握すると同時に、感染者を発見し治療に資することを目的とする、この二つがきちんと制度として組み入れられないと、また同じ轍を踏むと私は思います。

 どういうことかと申しませば、まず医療機関の名前を挙げる、そのときに、一番当事者は、医者でもなく、薬剤会社でもなく、まして厚生労働省でもなく、命の全部の責任を負わされている患者さんその人です。だからこそ、その個々人に情報を返し、個々人が自分もそうかもしれないと来たときの受け皿をきちんとしておかないと、同じように、また公表だけして何の責任もとらない状態が続きます。

 では、どうすれば患者さんたちは公表されたときに、ああ、行ってみようかなと思えるか。

 まず、検診、C型肝炎のチェックの費用のことを伺います。その窓口はただであるのか。それから、当然ながらそこで、医師の方だってそうです、実は患者さんに負荷をかける検査等々はなかなか行えません。

 先ほど来、医者の中にもいい医者、悪い医者がいるというお話もありました。そういう向きもありましょう。しかし、制度そのものが、医師をどうやってこの仕組みの中で、全体を把握し、治療に向けるかということをやはり大臣みずからが制度としておつくりにならないと、これは可能にはなりません。

 二つ伺います。費用はどうするのか。アナウンスしました、新聞に出ました、検査は無料です。そこから生じた、あなたが肝炎とわかったとき、どんな体制がありますか。この二つが明示されないと、やはり今、経済的にも苦しい人、行くこともできません。二点についてお願いします。簡単なことですから大臣に。

西山政府参考人 済みません、事実関係だけ申し上げますと、検診ですけれども、保健所における検診については、原則無料としております。それから、老人保健事業ですけれども、これは市町村ごとによってばらつきがありまして、東京都であれば、八王子市が一部無料、あとは千円とか千七百円とか、ばらつきがございます。

阿部(知)委員 西山さん、それは通知してあったからお答えなんだと思うんですけれども、よく質問は聞いておいてほしいんです。私は、誠意には感謝しますけれども、大臣には今、七千医療機関を公表する、そこに検査に行った人の費用はどうなるんですかという問題を明確にしてもらわないと困るんだと聞いたんです。

 私の大事な質問時間です。好意には感謝しますが、聞いていただいて、大臣にお答えいただきたい。

舛添国務大臣 今、各自治体によって異なるという答えでありますけれども、少し時間を、なるべく急ぎますが、いただきまして、私はそれで、できるだけ早くこの医療機関を特定し、自分が投与を受けた可能性のある人、そういう人に対しては、インセンティブを与えるためにも、行けば無料でやれますというのが一番いいわけですから、こういう形の対策がとれるかどうか、できればとりたいと思いますので、これは総理を含め、政府全体でできることを早急に考えます。

阿部(知)委員 先ほどいただいた西山さんからの御答弁と合わせれば、今C型肝炎は、老人保健法の中で、五年ごとの節目健診以外に、自分が可能性があると思った方は、自治体が費用を半分負担し、国が半分負担するという制度で、無料で検査することができます。

 大臣がやらねばならないことは、それが各病院の窓口でも可能にするということとプラス、自治体負担ということをどう考えるかであります。

 とにかく、実態を把握するために、広く受診してほしいと思えば、決断が、決断というか、当たり前なんですが、私は必要だと思います。

 大臣には問題の所在を申し上げましたので、そのように必ずお取り計らいいただきたいし、それプラス、前の七千医療機関の公表では、そこに、間に薬剤会社が入り、そこでの集約を待っておりました。しかしそれでは、裁判との関係、因果関係、訴訟、いろいろなものがかぶさってくる中で、実態はやはり隠される方向に向くわけです。きちんと治療と結びつける。

 それから、私は、裁判のことは国がやはり謝罪してしかるべく対応すべきだと思いますが、この検診、チェックということについては、そこは薬剤会社ではなくて、先ほど申しました、クリスマシン等々の前例にならった、きちんとフォローアップ体制を国としてつくる。

 そして、最後に一つ。クリスマシンについても、実は非加熱のときのクリスマシンの調査しかないと思います、私が拝見する限り。加熱された場合のクリスマシン、いかがであるのか、これについて省庁に尋ねましたが、どこも正解を得ません。

 この問題は宿題にさせていただきますので、全貌がわかるようによろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

茂木委員長 第百六十六回国会、内閣提出、労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案、最低賃金法の一部を改正する法律案、本日付託になりました、今国会提出、細川律夫君外三名提出、労働契約法案及び第百六十六回国会、細川律夫君外二名提出、最低賃金法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 内閣提出、労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の各案につきましては、第百六十六回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 労働契約法案

 労働基準法の一部を改正する法律案

 最低賃金法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木委員長 細川律夫君外三名提出、労働契約法案及び第百六十六回国会、細川律夫君外二名提出、最低賃金法の一部を改正する法律案の両案につきまして、順次趣旨の説明を聴取いたします。細川律夫君。

    ―――――――――――――

 労働契約法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細川議員 私は、ただいま議題となりました民主党提出、労働契約法案について、提出者を代表して趣旨説明を行います。

 我が国は、働く人の八割を給与所得者が占める雇用社会ですが、近年、雇用就労形態の多様化や転職の増加に伴い、労働条件が個別に決定され、一方的に労働条件を変更されるなどのトラブルになるケースが多くなってきました。そうした中、問題が生じた場合、労使当事者が労働審判など紛争解決機関において迅速に自主的に解決し、個別の労働紛争を未然に防ぐため、これまで日本社会に欠けていた法律がありました。労働契約における公正かつ透明な民事上のルールを明確にする労働契約法であります。

 この労働分野の民法とも言える労働契約法に対して、二〇〇三年の労働基準法改正時以来、大きな期待が寄せられていました。しかしながら、今回政府が提出した労働契約法案は、二〇〇五年九月に今後の労働契約法制の在り方に関する研究会が取りまとめた報告書に比べて内容が著しく乏しく、せっかく二十一世紀の雇用社会にふさわしい新法をつくるというのに、意気込みと熱意が感じられないばかりか、目指すべき内容からほど遠いとしか言いようがありません。

 それに対して、民主党は、労働契約は労使合意によることを原則とし、労働契約の締結、変更から終了に至るさまざまな段階における権利義務を明確化する法案を策定しました。

 以下、法案の内容について説明いたします。

 第一に、労働契約の基本原則を定めます。労働契約は、労働者と使用者が対等な立場で、十分な情報と自由な意思に基づく合意によって締結または変更すべきものとします。また、労働契約を締結及び変更する場合は、就業の実態に応じて均等な待遇の確保が図られること、使用者は労働者の安全及び健康の確保に十分配慮しなければならないこと、使用者は、労働契約の締結もしくは変更または労働契約に基づく権利の行使に当たっては、労働者がワークライフバランスを保つことができるよう配慮することなどを定めています。

 第二に、労働契約の締結とその内容について定めます。労働契約の成立、就業規則と労働契約との関係、募集及び採用、採用内定、試用期間についてルールを定めます。また、労働契約において、使用者の安全配慮義務、労働者の就業環境への配慮、労働者の個人情報の取り扱い、労働者の兼業禁止義務、退職手当の減額及び不支給の制限、労働者の退職後の秘密保持義務及び競業避止義務、留学等の研修費用の返還の制限について定めることとします。

 第三に、労働契約の変更について定めます。労働契約の変更は当事者の合意によらなければならないことを原則とします。使用者が就業規則の変更をもって一方的に労働条件を変更することを防止します。また、労働契約変更請求権、就業規則の作成または変更と労働契約との関係等、転居を伴う勤務地の変更、出向、転籍についてルールを定めます。

 第四に、労働者の損害賠償責任及び懲戒について定めます。労働者の損害賠償責任の制限等、懲戒の原則及び懲戒の手続等について定めることとします。

 第五に、労働契約の終了について定めます。解雇の原則として、客観的に合理的な理由に基づき、社会通念上相当であると認められる場合でなければ解雇は無効とすることを掲げています。解雇の一般基準についての四要件、経営上の理由による解雇の基準、解雇の予告等について定めています。

 第六に、期間の定めのある労働契約について定めます。有期労働契約は、臨時的または一時的な業務、一定期間内に完了することが予定されている事業等、期間を定める正当な理由がある場合にのみ認めることとします。また、有期労働契約等を理由とした差別的取り扱いの禁止、有期労働契約における解雇、雇いどめの制限等について定めます。

 以上が、民主党案の概要です。

 労働契約法は、広範にわたって労使による労働契約の規範となる法律ですから、内容が充実していなければ意味がありません。本法案の趣旨を御理解いただき、御賛同いただけるようお願いし、私の趣旨説明を終わります。

 以上です。(拍手)

茂木委員長 次に、山井和則君。

    ―――――――――――――

 最低賃金法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山井議員 私は、ただいま議題となりました最低賃金法の一部を改正する法律案について、提出者を代表して趣旨説明を行います。

 ことしは最低賃金が平均十四円引き上げられましたが、それでも地域によっては最低賃金額が生活保護水準を下回るところもあります。我が国の最低賃金は他の先進諸国に比べても低く抑えられており、最低賃金が低いことが、まじめに働いても生計が立てられない、ワーキングプアと言われる低所得者層が増加する要因の一つとなっています。我が国における格差問題を是正するために最低賃金の引き上げが必要です。

 政府は、最低賃金の原則について「労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護に係る施策との整合性に配慮するもの」とする改正案を提出していますが、どの程度の引き上げを念頭に置いているか不明確です。それに対し、民主党案は、雇用就労形態を問わず、すべての労働者が安心して働き、生計を立てられる公正な賃金を保障されるために、最低賃金の原則を改正することを柱としています。

 以下、法案の概要を説明します。

 第一に、全国最低賃金及び地域最低賃金は、労働者及びその家族の生計費を基本として定めることとします。これにより、労働者が継続して働き、生計を立てられる最低賃金額となるものと考えています。

 第二に、全国最低の最低賃金のラインを決める全国最低賃金を創設します。全国最低賃金は、全国を通じすべての労働者に対し適用されるもので、現行どおり、公労使で構成される審議会の意見を聞いて厚生労働大臣が決定します。この全国最低賃金の額ではその地域で暮らす労働者及びその家族の生計費として適当でない地域については、全国最低賃金額を超える額で地域最低賃金が定められます。この地域最低賃金も、現行どおり、公労使で構成される各地の審議会の意見を聞いて決定されます。

 第三に、全国最低賃金及び地域最低賃金については、施行後三年間は最低賃金の決定の基準に関する経過措置を設けます。私たちは、最低賃金は、法施行三年後には全国平均で千円になることを目指しています。

 第四に、中小企業における新たな最低賃金の円滑な実施に配慮し、中小企業の経営を支援するための対策を別途実施することを附則で規定します。

 本法案の趣旨を御理解いただき、御賛同いただけるようお願いし、私の趣旨説明を終わります。

 以上。(拍手)

茂木委員長 以上で両案の説明は終わりました。

 次回は、来る十一月二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十七分散会


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