衆議院

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第2号 平成20年3月26日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十年三月二十六日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      赤澤 亮正君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      伊藤 忠彦君    石崎  岳君

      上野賢一郎君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君    徳田  毅君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    平口  洋君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君   山本ともひろ君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      柚木 道義君    伊藤  渉君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 榮畑  潤君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           土屋 定之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          新島 良夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  吉岡荘太郎君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   政府参考人

   (社会保険庁首席統括管理官)           貝谷  伸君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           佐藤 正典君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 見上  彪君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     赤澤 亮正君

  西本 勝子君     平口  洋君

  萩原 誠司君     上野賢一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     徳田  毅君

  上野賢一郎君     萩原 誠司君

  平口  洋君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  徳田  毅君     伊藤 忠彦君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

 山本ともひろ君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

二月二十六日

 社会保障の拡充等に関する請願(志位和夫君紹介)(第一五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五六号)

 医療に回すお金をふやし、保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(牧義夫君紹介)(第一五七号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第一九二号)

 同(郡和子君紹介)(第一九三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九四号)

 同(伴野豊君紹介)(第二〇七号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五八号)

 同(石井郁子君紹介)(第一五九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇一号)

 同(岡本充功君紹介)(第二〇八号)

 同(河村たかし君紹介)(第二四七号)

 同(岡本充功君紹介)(第二六五号)

 同(阿部知子君紹介)(第二八五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二八六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二八七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八九号)

 同(篠原孝君紹介)(第二九〇号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(牧義夫君紹介)(第一六七号)

 同(郡和子君紹介)(第一九五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九六号)

 同(赤松広隆君紹介)(第二〇九号)

 同(伴野豊君紹介)(第二一〇号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二九一号)

 公的保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(三井辨雄君紹介)(第一六八号)

 同(山井和則君紹介)(第二〇二号)

 同(太田和美君紹介)(第二二一号)

 同(田島一成君紹介)(第二二二号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第二六六号)

 医師・看護師不足など医療の危機打開に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七三号)

 同(石井郁子君紹介)(第一七四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八一号)

 医療危機打開と患者負担軽減を求めることに関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一八二号)

 消えた年金問題の早急な解決と最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八三号)

 同(石井郁子君紹介)(第一八四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇三号)

 後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二〇〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八四号)

 社会保障の充実を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二九二号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を求めることに関する請願(萩原誠司君紹介)(第二四六号)

 同(三谷光男君紹介)(第二六七号)

 同(村井宗明君紹介)(第二六八号)

 同(山田正彦君紹介)(第二六九号)

 同(阿部知子君紹介)(第二九三号)

 高齢者が安心して暮らせる、社会保障の充実を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二六四号)

 高齢者の医療費引き上げをやめ後期高齢者医療制度の凍結・見直しを求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二七八号)

 子育ての充実を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二八二号)

 パーキンソン病患者のQOL(生活の質)向上に関する請願(福田昭夫君紹介)(第二八三号)

三月七日

 建設労働者の労働条件向上を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二九七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二九九号)

 後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第三〇〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四二四号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(岩國哲人君紹介)(第三〇一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三三号)

 同(階猛君紹介)(第四三四号)

 同(日森文尋君紹介)(第四三五号)

 後期高齢者医療制度など高齢者医療費負担増の中止・撤回と公的医療費の拡大を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三二八号)

 同(辻元清美君紹介)(第三二九号)

 国民健康保険の充実を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第三三〇号)

 医療に回すお金をふやし、保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三三一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八一号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第四二三号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三三四号)

 同(武正公一君紹介)(第三三五号)

 同(赤松広隆君紹介)(第三五二号)

 同(細川律夫君紹介)(第三五三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八五号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三八六号)

 同(神風英男君紹介)(第三九八号)

 同(大島敦君紹介)(第四二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四二六号)

 同(日森文尋君紹介)(第四三六号)

 公的保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(内山晃君紹介)(第三三六号)

 同(山田正彦君紹介)(第三五四号)

 同(田名部匡代君紹介)(第三九九号)

 同(広津素子君紹介)(第四〇〇号)

 社会保障の拡充等に関する請願(笠井亮君紹介)(第三三七号)

 社会保障の充実を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第三三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三九号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を求めることに関する請願(柚木道義君紹介)(第三四〇号)

 同(園田康博君紹介)(第三五五号)

 働くルールの確立を求めることに関する請願(柚木道義君紹介)(第三四五号)

 同(郡和子君紹介)(第三五六号)

 同(辻元清美君紹介)(第三五七号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八七号)

 同(園田康博君紹介)(第四〇一号)

 同(保坂展人君紹介)(第四三八号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(阿部知子君紹介)(第三四九号)

 同(郡和子君紹介)(第三五〇号)

 同(園田康博君紹介)(第三五一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三八八号)

 同(石井郁子君紹介)(第三八九号)

 同(岡本充功君紹介)(第三九〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第三九一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九七号)

 同(田名部匡代君紹介)(第四〇二号)

 後期高齢者医療制度を中止し、抜本的な見直しを求めることに関する請願(菅野哲雄君紹介)(第三七八号)

 国民が安心して受けられる医療制度の確立に関する請願(志位和夫君紹介)(第三七九号)

 小児救急医療を実現するために医師不足・診療報酬の改善に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三八〇号)

 身近な地域で、安心して産める場所の確保に関する請願(鈴木俊一君紹介)(第四二二号)

 同(吉野正芳君紹介)(第四三九号)

 パーキンソン病患者のQOL(生活の質)向上に関する請願(棚橋泰文君紹介)(第四三七号)

同月十七日

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(石井郁子君紹介)(第四六〇号)

 行き届いた福祉の実現のために人材確保施策の充実等を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第四六一号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(階猛君紹介)(第四六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第四七八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五一一号)

 同(石井郁子君紹介)(第五一二号)

 同(笠井亮君紹介)(第五一三号)

 同(黄川田徹君紹介)(第五一四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五一五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五一六号)

 同(志位和夫君紹介)(第五一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五一九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五二〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五四〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第五四一号)

 同(笠井亮君紹介)(第五四二号)

 同(黄川田徹君紹介)(第五四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五四四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第五四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五四七号)

 同(階猛君紹介)(第五四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五四九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五五〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第五五九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五七二号)

 病名や健診データなどプライバシーの漏えい、流用につながる診療報酬オンライン請求義務化の撤回に関する請願(吉井英勝君紹介)(第四六三号)

 働くルールの確立を求めることに関する請願(重野安正君紹介)(第四六四号)

 同(石井郁子君紹介)(第四八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第五五四号)

 格差社会を是正し、命と暮らしを守るために社会保障の拡充を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第四七三号)

 療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四七四号)

 後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第四七五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四七六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第五三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五三九号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を求めることに関する請願(田島一成君紹介)(第四七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五五三号)

 同(太田和美君紹介)(第五六一号)

 同(中川泰宏君紹介)(第五六二号)

 同(村井宗明君紹介)(第五六三号)

 高齢者が安心して暮らせる、社会保障の充実を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四八〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第四八一号)

 同(笠井亮君紹介)(第四八二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四八四号)

 同(志位和夫君紹介)(第四八五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四八六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四八七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四八八号)

 身近な地域で、安心して産める場所の確保に関する請願(阿部知子君紹介)(第四九〇号)

 同(田島一成君紹介)(第四九一号)

 同(谷畑孝君紹介)(第五五五号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第五七四号)

 安心で行き届いた医療に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五〇二号)

 同(石井郁子君紹介)(第五〇三号)

 同(笠井亮君紹介)(第五〇四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五〇五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第五〇七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五〇八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五〇九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五一〇号)

 社会保障の拡充等に関する請願(志位和夫君紹介)(第五二一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五二二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五二三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五二四号)

 医師・看護師不足など医療の危機打開に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五二五号)

 同(石井郁子君紹介)(第五二六号)

 同(笠井亮君紹介)(第五二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五二八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第五三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五三二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五三三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五五二号)

 パーキンソン病患者のQOL(生活の質)向上に関する請願(萩生田光一君紹介)(第五三四号)

 医療に回すお金をふやし、保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五三六号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五五一号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(内山晃君紹介)(第五七三号)

同月二十六日

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(伴野豊君紹介)(第六一四号)

 同(神風英男君紹介)(第七二〇号)

 同(武正公一君紹介)(第七二一号)

 同(大島敦君紹介)(第七四九号)

 同(日森文尋君紹介)(第七五〇号)

 同(細川律夫君紹介)(第七五一号)

 社会保障の拡充等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六一五号)

 同(石井郁子君紹介)(第七二二号)

 同(笠井亮君紹介)(第七二三号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第六一六号)

 同(階猛君紹介)(第六一七号)

 同(馳浩君紹介)(第六一八号)

 同(寺田稔君紹介)(第六六六号)

 同(寺田学君紹介)(第六九一号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六一九号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六六四号)

 同(石井郁子君紹介)(第七〇一号)

 同(岡本充功君紹介)(第七〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第七〇三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七〇四号)

 同(志位和夫君紹介)(第七〇五号)

 同(下条みつ君紹介)(第七〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七四八号)

 公的保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(土肥隆一君紹介)(第六六五号)

 身近な地域で、安心して産める場所の確保に関する請願(寺田稔君紹介)(第六六七号)

 同(川端達夫君紹介)(第七〇八号)

 後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六九九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第七〇〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第七四七号)

 医師・看護師不足など医療の危機打開に関する請願(志位和夫君紹介)(第七〇七号)

 同(笠井亮君紹介)(第七二四号)

 消えた年金問題の早急な解決と最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七二五号)

 同(石井郁子君紹介)(第七二六号)

 同(笠井亮君紹介)(第七二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七二八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第七三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七三一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七三二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第七三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長見上彪君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君、警察庁刑事局長米田壯君、総務省大臣官房審議官榮畑潤君、行政評価局長関有一君、文部科学省大臣官房審議官土屋定之君、厚生労働省医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、医薬食品局長高橋直人君、職業能力開発局長新島良夫君、保険局長水田邦雄君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁総務部長吉岡荘太郎君、運営部長石井博史君、首席統括管理官貝谷伸君、農林水産省消費・安全局長佐藤正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。

 本日は三月二十六日の水曜日ということで、舛添大臣の所信表明を受けてから大体一カ月ぐらいが経過をしたわけでございますが、こうして大臣所信に対する質疑をきょう一日、与野党ともに六時間コースでできるということを大変うれしく思っております。セットできたのがきのうの夜でございましたので、そういう意味では急なことでありましたが、与野党ともに各委員の皆様には御苦労いただきましたことを、心から敬意を表したいというふうに思っております。

 私どもに課せられた使命は、厚生労働関係、国民生活に直結したこの分野で審議を深めて、さらに施策を前に進めていくということだろうと思っておりますので、またきょうを皮切りに濃密に議論を進めて、よりよい成果を上げていきたい、そのことをまず申し上げておきたいというふうに思っております。

 きょうは、私、年金問題と医療の問題を中心にお聞きをしたいというふうに思っております。

 まずは、年金問題について最初にお伺いをしたいというふうに思っております。

 年金問題は、この三月末が一つの節目ということであるわけでございます。これは、三月十四日の金曜日に年金記録問題に関する関係閣僚会議が開かれ、そこで三月末にはこういう形になるということを発表されました。五千万件の名寄せは三月六日に完了し、そして三月二十一日までに一千三十万人に対するねんきん特別便が発送されたということでございます。もちろん、今日に至るこれまで、関係者の皆様の御努力については多としたいというふうに思っておりますが、ただ、もちろんこれは途中経過でありますし、まだまだこれからということがたくさんございます。国民最大の関心事と言っても過言ではないこの問題でありますし、国民すべての皆さんが注視をしているということでございます。

 膨大な作業でありますけれども、とにかく全力を尽くしていただいて、一歩でも二歩でも前に進めていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思いますし、私どもも、これは政府だけの作業ではありませんから、国民すべての皆さんに関係をしていくものでありますから、我々も、こうすべきだ、ああすべきだ、こうしろ、ああしろという指示は常に与党としてもしっかりとやっていきたい、そのことをまず申し上げておきたいというふうに思っております。

 全体像につきましては、これはもう公表されている、いろいろな場で、予算委員会等でも大臣の方からも常に毎日毎日答弁をいただいているというふうに思っておりますので、全体像はまたここであえて触れることはいたしませんが、ポイント、ポイントについて率直なところをお聞きしたいと思いますし、申し上げたいというふうに思っております。

 まず第一点は、ねんきん特別便について、これは回答が返ってくる数も、まだまだ残念ながら、三月四日現在でまだ三分の一ぐらいということでございますか、その中でやはり気になるのが、訂正ありの回答が余りにも少ないということでございます。そのうちのさらにまた三分の一ぐらいということでございますので、一割に満たないということでございます。

 これはまた後ほどちょっと申し上げたいと思いますが、やはり特別便の内容が、これはいろいろなところから指摘をされておるように、私もこれはもうちょっとわかりやすくできないのかということを再々申し上げたわけでありますけれども、余りにも内容がわかりにくいからじゃないかという指摘がございます。

 そういう意味で、郵送だけではなくて、電話や訪問による入念照会も開始したということであるわけでございまして、この入念照会の実績もこんな状況だということも報告を受けているわけでございますけれども、これは、回答があったのが三分の一、その三分の一が訂正ありで、残りはだから、訂正なしというのが三月四日現在で八十三万人もおられるわけでございまして、こうした入念照会は具体的にどう進めていくのか。この後、電話とか訪問とかいろいろなことをとにかくやって追っかけていくということでありますけれども、そのマンパワーは確保できるのか、具体的にどう進めていくのか、めどはあるのか。

 この具体的な対応策、年金記録問題はまさに実務の積み重ねですから、それを具体的にどう進めていくのかというのをまずお聞きしたいというふうに思っております。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今、大村委員の方からいろいろ御指摘いただきましたように、ねんきん特別便の回答状況でございますけれども、こちらの方は一月の初旬、二月の初旬、それから三月の初旬というふうに定点的に状況の把握をしてございまして、上昇傾向をたどってきてはおりますけれども、まだまだ十分な数には達していないということを踏まえて、これまで進めてきた対策に加えまして、今御指摘のあった入念照会、これについての取り組みも強化していきたいというふうに思っております。

 その状況でございますけれども、入念照会については、各社会保険事務所によりまして処理の進捗状況に大きな差があるわけでございまして、したがって、ここをきちっと是正して取り組む必要があるということから、今月中を目途に実施計画を策定いたしまして、作業がおくれている社会保険事務局の作業の加速化を図りながら全体的な促進を図るということで、本年夏ごろを目途に終了したいというふうに考えております。

 マンパワーの方でございますけれども、今申し上げましたように、その進捗状況がいいところと悪いところとあるわけでございますが、取り組みの体制、具体的には一社会保険事務所における入念照会に携わる職員の、いわば従事者の人数、これに差があるというところにそういった疎密の原因があるわけでございます。

 したがって、取り組みのいい社会保険事務所、こちらの取り組み状況というものを基本的には参考にしながら、その取り組み体制に向けて、他の、それよりも取り組みの実績が低い状態にある、そういった社会保険事務局、事務所、これを引き上げていくという方向でマンパワーの確保を進めていきたいということでございまして、必要な人員等につきましては、職員等の間でのシフトを組んで対応するということとか、それから社会保険庁のOB、そうした者の活用もさらに進めていくことで対応していきたい、かように考えているわけでございます。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

大村委員 三月までに計画をつくって、夏ごろをめどに入念照会を終わらせていくということですので、これは絶対やっていただかなきゃいけないので、今のマンパワーの確保、シフトとか、OBの活用というのは大変いいことだと思うので、ぜひそれは計画的にしっかりとやっていただきたいということを申し上げておきます。

 それから、二つ目。その特別便の話なんですけれども、最初の特別便とその対応が、最初の、十二月から出したもののその内容と対応が、やはり不親切で役所仕事でそっけなかったという指摘があるわけでございます。この特別便の様式とか書き方も、やはりこれは見直すべきじゃないかという強い意見がある。私もそう思います。

 特に、本人の記録、要は、複数と当たった、ヒットしたというものならまだしも、本人の記録と結びつく可能性のある記録が一対一でヒットをして、期間の重複もない、まさにすぽっとはまるようなそういったものについては、その人の記録の可能性が高い。要は、入念照会の調査で追っかけたのも、そういうものを追っかけたらやはり八割近くは確認できた、こういうデータがあるわけですから、そういった方については、その人にきちっと当たる可能性が非常に高いわけでありますので、そもそも、最初からその分を赤字か何かでそこに書き込んで送ったらどうなのか、そのくらいのことをやっても批判はされないだろうということを、私はもう何カ月も前から言ってきた。そのことを、だから……(発言する者あり)あなたもたまにはいいことを言うなと思う。それは、いいものはいいと。あ、いかぬ、済みません、やじに答えちゃいかぬ。やはりこういうのはやるべきだ。

 相手が何十万、何百万というような話だと、やはりシステムを組まにゃいかぬということになるんでしょう。だから、今決めないと、これから何カ月も、二カ月とか三カ月だとしても組むのにかかるというような話だろうと思うので、これはやはりやるべきだ。だとしたら、やるということを今決めて、そのシステムを組むのをスタートさせたらどうかというふうに思いますけれども、この点についてはいかがですか。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

茂木委員長 まず、大村委員に申し上げます。

 本会議先例集二六三には、「発言者は、私語に応酬することができない。」このようになっておりますので、以後、御注意ください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 大村委員から今御指摘のあった点、内容的には二点あったかなというふうに思っておりまして、一つは、ねんきん特別便のあり方、特にその改善についてであろうかと思いますけれども、十二月の十七日にその送付を始めましてから、それ以前も含めてですけれども、いろいろな御意見をちょうだいしておりまして、回答状況などをにらみながら、私どもなりに、外部の方の御意見もいただきつつ、改善を図ってきたつもりでございます。

 封筒に注意書きを明記するということとか、それからリーフレットについても、回答をしやすくするような観点から、いろいろなチェックポイントの資料を加えるとか、さまざまな改善を図ってきたつもりでございますけれども、これからもそうした御意見については、いいものは進んで取り入れていくというようなことで対応させていただきたいというふうに思っております。

 結びつく可能性がある記録、名寄せで浮かび上がってきた場合にそれをどういう形で扱うかということでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども、ねんきん特別便については、今申し上げたようなさまざまな工夫をすることで、未回答の割合というものが、例えば一月の七日現在の数字ですと、六五・七というような高さだったわけでありますが、これが二月経過した三月四日現在では、五二・五%というふうに低下をしてきているわけでございまして、そういった努力というものも相まって、そういう推移になっているのではないかというふうに思うわけでございます。

 そういう中において、未回答の方を含めてでございますけれども、結びつく可能性がある記録の内容をお送りするということについても検討をさせていただいたということは、これは事務的にあるわけでございますけれども、その結果といたしましては、やはり新たなプログラム開発が必要になる。どうしても時間がかかってしまって、例えば、現時点で取りかかるとすれば、それは七月あるいは場合によっては八月にかかるかもしれないというようなことで、なかなか、迅速にこの問題を解決していくという観点からすると、不十分ではないかなというような判断があるわけでございます。

 そういうような観点から、三月十四日に関係閣僚会議においてお示しした工程表においても明記してございますけれども、何しろ速やかに督促をさせていただくことを優先させていただいて、四月の下旬それから六月の下旬にはがきでの督促をするということを明記させていただいているというところでございます。

 今後、委員も御案内のように、この年金記録問題については、四月からは国民お一人お一人に御自身の記録を確認していただく、お一人お一人のアプローチというものと、それから二千万件の今後解明を進めるべき記録、これをその記録の内容に応じて解明していく作業と、車の両輪のようにして進めていかなければいけないわけでございますけれども、御指摘いただいたような記録そのものをお知らせするといった方策につきましては、ただいま申し上げましたような取り組み全体の状況というものを踏まえながら、さまざまな方々からの御意見もいただきつつ、大臣の御指示を仰ぎながら検討していきたいというふうに思う次第でございます。

大村委員 今の答弁では、正直言って納得できません。要は、あなたが言っているのは、入念照会を夏までにやって全部済ませちゃう、こういうことでしょう。そうではないんだよ。だってその回答が三分の一しか来ていなくて、そのうちの三分の一、全部で一割弱しか訂正依頼がない。その後、入念照会をやるといっても、それもだから結局やってもやっても残るわけですよ。

 確かに、プログラムをつくらにゃいかぬ、システムをつくらにゃいかぬというのはわかるので、だから早く今決めてやれと。どうせ残るんだよ。夏で全部、だから、一千三十万人から全部回答が来て、こうなりましたなんて多分ならないでしょう。だから、これは何百万件残るから、そういうのを、結びつくものは、一対一のものはもう知らせてやったらどうかというふうに言っているわけですよ。そうしないと、多分やっていけないよ。そのことについていかがですか。

舛添国務大臣 そのお考えは、これは私も十分よく理解できますし、実は、作業委員会においてもこれを検討しました。そうしたら、むしろ作業委員のメンバーの方々から、例えばこの入念照会をして八割が確認できた、やはりまだ二割残っている、そうすると、いろいろな意味でまだ問題があるんじゃないかということで、逆に作業委員会の先生方の方からストップがかかっている状況なので、私も最終判断がそこは至っておりません。

 というのは、窓口に来ていただく、また電話をかけていただく、そしてそのやりとりにおいて、もうほとんどのことをお知らせしますから、そこで確定をしていく。その作業をやはりやった方が、不正であるとか間違いであるとかいうことが起こる可能性がまだあるよということで、今そういう議論の段階で、委員がおっしゃるように、システム開発には時間がかかるので、夏なら今ぐらいから始めないといけないので、ちょっとこれは今、その議論を進めているところで、いま少しお時間を賜ればというふうに思っています。

 そして、これは私のもとの作業委員会、特別チーム、こういうところにお諮りしながら、最終的には関係閣僚会議においてそういうことをやるかどうかを決めたいと思っていますので、むしろ今の議論だと、作業委員会の方から、やはり窓口に来てもらって、電話で入念にやった方がより安全というか、問題が起こらないんじゃないかという意見がありましたものですから、ちょっと今、保留しているということで、ただ、真剣に検討させていただきます。

大村委員 検討の経過は、十分御議論いただいたということは今承知をいたしましたが、ただ、私の感じとして、作業委員会の皆さんがどれだけ世の中の空気をわかっているかということだろうと思いますよ。

 世間は、今大臣が言われた不正だとか間違いだとか、確かにそれは、行政は公正にやっていかなきゃいけないというのは当然のことであるわけでありますけれども、この年金記録問題について、一対一で結びつく可能性が非常に高いということであったら、私は、一歩踏み込んでやる、送るということは、これを前進させていく一つの大きな大きなポイントだと思います。ですから、関係閣僚会議云々ですが、我々与党としても、当然のことですが、これはきちっとこれからも詰めていきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

 それからもう一点。三月二十一日に五千万件の特別便の発送を終えた、これからさらにこれをフォローしていくということでありますけれども、四月から秋まで、十月までに、残りの九千万人の方ですか、特別便を発送するということになるわけでございます。

 これにつきましては、実務上のいろいろな課題はあると思いますけれども、国民の関心が高いということもあって、私は、この四月からのものをもっともっと前倒ししたらどうか、ちょっとでも、一日でも早く、三月から前倒しでやったらどうかということをずっと申し上げてまいりました。これが国民の皆様への誠意ある対応だ、その誠意を示す意味でも、少しでも前倒しということを言ってきたわけでございます。

 四月以降の発送というのは、五千万件のものとコンピューター上もヒットしなかったということですから、今あるものをそのまま送るというわけですから、もちろん、コンピューターシステムのいろいろな都合とか事情とかはあるのかもしれませんけれども、三月二十一日で終わったら、何で一週間とかなんとか前倒しができないのか。

 私は、確かにそれは四月のきちっと日を決めてという意見もあるのかもしれませんが、やはり国民の皆さんに誠意を見せるという意味で、一日でも一週間でも、ちょっとでも前倒しでやりますということが何でできないのかということを前から思っておりましたし、これはやれるんじゃないかというふうに思います。

 この点について、要は、私は、四月からということであればあれですけれども、例えば十月までというんだったら、もっとこれは早くやる、もっと前倒ししてやる、作業はどんどん前倒ししてやるんだということを、ぜひこれは国民の前に示していただきたい。それがやはり、政府としてのこの年金問題に対する誠意を示す一番大きなポイントだと思います。

 ですから、そういう意味で、これについての考え方を大臣からお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 基本的には、昨年の七月五日に決めた政府・与党の工程表、これはきちんと守ってやっていくということなんですが、今委員がおっしゃったことを私もずっと検討しております。

 ただ、二つ問題というか考え方がありまして、一つは、例えば三月、一日でも早く可能ではないのかと、もう名寄せの結果が終わったならば。ただ、拙速主義でいろいろな手落ちがあってもいけないということがまずありますから、これは完璧を期したいということが一つ。それから、コンピューターのキャパシティーが限られておりますから、どうしても、作業手順や何かを考えたときに、なかなかそれがうまく、予定どおりというか、今委員がおっしゃったような希望どおりにいかないという点もあります。

 しかし、そういうことを踏まえた上で、一日も早く国民のもとに記録を届ける、そういう意気込みでやっていくということは、これは十分必要だと思いますので、今後、特に三月までの分は名寄せの結果であって、これの、出てくる問題点、さまざまなことを一つ一つつぶしながらやっているものですから、急いでやればそれは、例えば、きょうが二十六日ですから、きょうからでもできないこともないんですけれども、四月一日に日にちを合わせるということではなくて、この名寄せの結果を送らせていただいた特別便について、こういう問題が残っているよ、こういう点についてきちっと完璧にして、そして名寄せにかからなかったことについてさらに万全を期したいということですから、これは、十月までに送る分は、そこから先はどうということは、名寄せと名寄せじゃないという区別がありませんから、これは、今委員がおっしゃったことを念頭に置いて、少しでも早められるかどうか、真剣に検討したいと思います。

大村委員 私は、四月からの分は確かに、五千万件の、コンピューター上ヒットしなかったということなんで、今あるものを送るということなんですね。だから、そういう意味で、正確を期してと、その考え方もわからないではないんですが、やはり今このときに、国民の皆さん全員に年金記録を自分で見ていただきたい。だって大臣も言われているじゃないですか。それは、政府の方も一生懸命頑張るけれども、送られてきたら、国民の皆さんも自分の年金を御自身でも御確認いただいて、両々相まってのもので年金記録をきちっとしたものにしたいということなんですね。

 だから、そういう意味で、この四月以降、九千万人の方に送るものについても、これは正しい、そういう可能性が非常に高いということなんだと思いますが、できるだけ早く送って、一遍にここで見てくれということをやっていくのが、やはりこの問題に対する政府としての誠意の示し方なのではないのかなというふうに思います。それでもって、私はいろいろな方から私なりにもいろいろ御意見を聞いても、そういうことの御意見の方の方が圧倒的に多いだろうというふうに思います。

 物理的な能力とかコンピューターの能力と今言われましたけれども、もしそれがコンピューターのキャパとかそういうのがあれば、それを増強すればいいのであって、そういうものがネックだからなかなかできないなんということは、私はむしろ逆だと思いますね。

 ですから、そういう意味で、この点について政府の誠意ある姿勢を見ているわけですから、それはやはりしっかりとやっていただきたいということを申し上げておきたいと思いますし、これは我々も自民党、与党として、引き続き、毎週毎週きちっきちっとフォローさせていただいておりますから、これはきちっと注文をつけていきたいというふうに思っております。

 次に、年金記録第三者委員会についてお聞きをしたいと思います。

 三月末までに大体五万件近い受け付けということで、大体今、処理といいますか対応が、あっせん、非あっせんも含めて五千件を超えたというふうにお聞きをいたしました。ただ、残りがやはり四万件以上あるわけですね。これを残り一年で、来年三月までにやる。でも、一年もかかるのかという国民の皆さんの声の方がやはり多いんじゃないかと思いますが、とにかくこれはもうできるだけ早くやっていただきたいということなんですけれども、問題は、その対応する体制なんですね。委員数とか事務局の職員数を倍増してその審議チームを倍増したというふうに言っているわけですけれども、それで本当に十分なのか。本当にこれは四万何千件ができるのかということは、皆さんそうです、私も素朴な疑問として本当かなという気がいたします。

 今までの行政の常識と枠組みに頼るんじゃなくて、やはりこういう緊急時なんだから多くの皆さんに御協力願いたいということで、もっと体制強化が抜本的にできないのか。それから、そういう意味で、市町村とか団体とか企業、労働組合の皆さんとか、ありとあらゆる皆さんに全国津々浦々で年金記録を確認していただき、協力していただくというふうなことができないのか。これは、この第三者委員会の総務省の方からもやはりそういう目で対応していただきたいと思います。

 この体制強化、この点についてお考えをお聞きしたい。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 年金記録確認第三者委員会の処理の状況でございますけれども、昨年の七月以来、徐々に処理のペースを上げてきております。昨年の十二月には五百十七件でございましたけれども、ことしの一月には七百三十件、二月には千四百三十一件、三月は、二十四日現在でございますけれども千六百九十一件と、ペースは上がってきております。しかしながら、今先生おっしゃいましたように、今後処理すべき案件は累積しております。

 体制につきましては、昨年の秋以来、委員それから事務局職員をほぼ倍増いたしまして、審議チームも倍以上にいたしたところでございますけれども、特に大都市を中心に非常に申し立て件数が多いものですから、今後さらに処理のスピードアップが必要になりますその大都市を中心に、審議チームを五十以上ふやそうということで、今、関係方面にお願いをいたしておるところでございます。

 それから、徐々に、処理の熟練度といいますか、上がってきておりますので、そちらの方も一層高めていきたいと思っております。

 それから、先生お話がございました関係団体の協力ということでございますけれども、国民年金につきましては市町村の協力ということが大変重要になります。市町村に協力をお願いいたしておるところでございます。

 それから、厚生年金の事案につきましては、これは企業の御協力をいただくことが非常に重要でございますので、日本経済団体連合会それから日本商工会議所等を通じまして企業の御協力をお願いしているところでございますけれども、これらを通じまして、何とか今申し立てられております件数を迅速に処理していきたい、かように考えておるところでございます。

大村委員 とにかくその体制強化はきちっとやっていただきたいと思いますし、我々も、第三者委員会はどういうふうにやっているか、どういう仕事ぶりなのかを一回ちょっとお伺いしたいなというふうに思っておりますので、またそれはぜひ御相談をしたいというふうに思っております。しっかりフォローしていきたいと思います。

 それから、年金問題、最後に、第三者委員会の体制の拡充強化、これも私は前から口を酸っぱくして言ってきましたが、そのことももちろんなんですけれども、三月までに五万件近いものが来る、それは、四万何千件を一年で対応するということになりますと、どれだけふやしたとしても、今言われたように大都市とかはいろいろ大変だ、やはりマンパワーを確保するのが大変だということはそうだと思いますよ。

 だとしたら、第三者委員会で事例とか判例、あっせん事例集、いっぱい積み上げてきていると思うので、そういったものをベースにしながら、第三者委員会に送るということじゃなくて、定型的なものは、例えば期間が短くぽこんとあいているとか、それでもって御家族の方が、だんなさんは抜けているけれども国民年金を奥さんは払っているとか、定型的なものである程度これはそうだなというふうなものは、第三者委員会に送るまでもなく社会保険事務所で職権で対応したらどうなのか。

 要は、社会保険事務所の前処理とか前対応、前さばき、前さばきという言葉が一番いいと思いますが、そういったことを大々的にやって、受け付けた件数を第三者委員会に送るのではなくて、社会保険事務所で前さばきできちっと対応していくということをやって、飛躍的に対応件数、処理件数をふやすということが私は必要だというふうに思います。

 ですから、これは一つの切りかわり、この四月が切りかわりだとすると、今ここで、ここでこういうふうにするんだということを決めて、今まで社会保険事務所は、こういったものは第三者委員会に送るんだ、何か、何となしにこれはそうかなと思うようなものまで全部送っていたというように聞いていますけれども、一たんここで対応を変えて、そういった定型的なものは社会保険事務所で前さばきできちっと職権でやるんだという大方針をつくって指示をしたらどうですか。

 そのことについて、これは絶対に直ちにやるべきだというふうに私は思いますけれども、御見解をお聞きしたいというふうに思います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 第三者委員会は、中央、地方を通じまして、昨年の七月以来、二千件を超えるあっせんを行ってまいりました。これまでのそのようなあっせん事案等を踏まえながら、社会保険事務所段階における処理の促進ということをぜひやっていただきたいというふうに考えております。

 現在、第三者委員会では、これまでの事案等を踏まえまして、申し立て内容に対応します確定申告書の控えがある場合、それから申し立て内容に対応する家計簿がある場合、さらに申し立て内容に対応する口座振替記録がある預金通帳や金融機関の出金記録がある場合、このような場合、かなり機械的に処理しやすい国民年金事案ということでございますけれども、社会保険事務所段階におきます年金記録の職権訂正を行うことが可能であるかどうか、今検討を進めておるところでございます。

 近々、年金記録確認中央第三者委員会におきまして方針を決定していただいた上で、これは社会保険庁に御連絡をいたしまして、社会保険庁において速やかに実施していただきたい、かように考えておるところでございます。

大村委員 今局長の答弁では、定型的なもの、こちらに控えがあるとかそういったもの、今まで第三者委員会に来ていたけれども、そういったものはこれからは社会保険事務所で、窓口で職権で処理をしてもらう、そのことを第三者委員会の中央委員会にかけて方針を決めて指示をする、こういうことでいいんですね。

 そういうことで確認をいたしましたので、ぜひそれはできるだけ早くやって現場におろしていただきたいというふうに思っております。

 この年金記録問題は、まさに現場の窓口の対応が一番大事だと思うわけでございます。そういう意味で、これは後ほど同僚議員が質問すると思いますが、例えば今回の社保庁のやみ専従問題とかああいったことが起きてくると、やはりまた、本当に職場の現場が大丈夫なのかという疑念も浮かんでくるわけでございます。年金問題のこの社会保険庁、年金問題の一番のポイントはやはり現場、現場の職場規律が、この三十年、四十年、当局も労働組合もある意味でもたれ合って、要は公務員組織に守られて、仕事をしないようにしないようにということをやってきたのではないか、そのツケが今回ここへ来ているんだろうというふうに思うわけです。

 だから、そういう意味で、今回は、この問題はもちろん全力を挙げて取り組むわけでありますが、年金問題、国民の信頼を回復するためには、やはり職場の規律をしっかり回復する、現場をしっかり立て直すということが一番大事だと思いますから、これは引き続き我々もきちっとフォローしていきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

 年金問題がずっとなりまして、本当は医療の問題をたくさん聞きたかったんですが、何点かだけ残りの時間で聞きたいと思います。

 今回、診療報酬改定、二月に決定をいただきました。我々も与党としていろいろな意見も申し上げさせていただいたわけでございますが、今回は勤務医の負担軽減対策に重点的に対応していただいた、これは大変結構なことだったというふうに思っております。

 その際に、一つお聞きしたいのは、最近よく問題になっております救急医療と搬送の問題で、たらい回しといったことがよく起こっているということが言われております。自民党においても、救急医療と搬送に関するプロジェクトチームをつくって、こういったものの対策の拡充強化を検討しているところでありますけれども、これを解決していくためには、救命救急センターとかの救急医療の体制整備、一次、二次、三次、そういったものをきちっと整備していくこと、それと、医療機関と搬送側の情報のマッチングを行う救急医療情報システムの整備、これもあわせて必要なわけであります。

 さらに、今回の診療報酬改定で、リスクの高い救急医療も診療報酬改定においてしっかり評価を位置づけたというふうに私どもも承知をしておりますけれども、この点について、具体的に、もう時間がありませんから、もう一つ聞きたいので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

水田政府参考人 今回の診療報酬改定におきまして、救急医療も重点評価の対象でございます。

 具体的には、お話しありました救命救急センターの入院医療を評価いたしました救命救急入院料におきまして、医療資源を多く投入している極早期の評価を引き上げる、こういった見直しを行っているところでございます。

 さらに、妊娠状態の異常が疑われて救急搬送された妊産婦をかかりつけ以外の医療機関で受け入れた場合の評価を創設するということもしておりまして、産科、小児医療に係る救急医療に対します診療報酬の充実を図ったところでございます。

大村委員 もう一つお聞きしたいと思います。歯科医療についてお聞きしたいと思います。

 これは、今回の診療報酬改定ということの中でも一つ議論になったと思いますが、前回の改定で、いわゆる文書による情報提供というのが、いわゆる紙出しにつきましては、これに大分時間がかかった、手間が割かれて診療時間が減った、こういった話があるわけでございます。一方で、患者さんの方は、そういった情報提供がきちっとあってこれはよかったという評価があるわけでありますけれども、やはりそこはバランスの問題もあるかと思います。

 今回のこの改定において、この歯科診療の文書提供についてはどうなったか、これについてお聞きしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年度の歯科診療報酬改定におきまして、お話のありました文書による情報提供につきまして、中医協の診療報酬改定結果検証部会によります調査結果を踏まえまして、そのあり方の見直しを行ったところでございます。

 具体的には、医療機関の負担あるいは患者の療養の質を勘案しながら、患者への文書による情報提供の時期、頻度及びその内容等について見直しを行いまして、全体で合計二十二項目ある中で、十三項目につきまして文書提供を要しないことといたします。それから、三項目につきましては、頻度を月一回から三カ月に一回以上に軽減したところでございます。

 今回の対応によりまして、歯科診療において、患者に対し必要かつ適切な情報提供が行われるものと期待しております。

大村委員 時間がもうなくなりました。

 診療報酬については、これは医療を支える大変大事な制度でありますから、引き続き、よりよいものにしていくために、関係者の皆さんの意見を聞きながら、我々としてもしっかりフォローしていきたいと思います。

 特に、四月から後期高齢者の医療保険制度がスタートいたします。在宅医療の支援とか慢性疾患への対応、終末期医療などの、そういった後期高齢者にふさわしい医療体系が整備できたかどうか、こういったことも引き続き我々はフォローをしていきたいというふうに思っております。

 また、もう一つ本当はお聞きしたかったんですが、今回、薬害肝炎問題の解決で、関係者の皆さんは大変御努力をいただきました。心から敬意を表する次第であります。舛添大臣初め行政当局はもちろんでありますし、一月に、与野党ともに全会一致で薬害肝炎救済法案を成立させていただいたということを心から感謝申し上げたいと思いますが、問題はこれからの再発防止対策ということでありまして、これについて、薬事政策をこれからどう位置づけていくのか。

 私ども自民党では薬事政策のあり方検討会というのをつくって、私、座長でやらせていただいておりますが、こういった、いわゆる薬の安全性の評価、承認審査、それから市販後の安全対策、そういったことをやはり抜本的にこれは拡充強化していかなきゃいけない。

 それから、一方で、業としての製薬産業なり医療政策を所管しているところとの牽制関係をどうしていくか、こうしたこともやはりしっかりとつくっていかなきゃいけない。そういう牽制関係、緊張関係はやはり持っていく、そういった薬事政策のあり方を早急に詰めて、また政府の方に、これは私ども与党として指示をしていきたいというふうに思っております。

 そういったことを申し上げ、年金、医療、大変たくさん課題はありますけれども、舛添大臣を先頭にして、厚生労働、しっかり頑張っていただきたい。また、私どももしっかりとフォローし、チェックをし、叱咤をしてやっていきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 自由民主党の田村憲久でございます。

 大臣の所信に対する一般質疑ということでありますが、もう時間が少ないものですから、質問量が多いので、さくさくと質問させていただきたいと思います。

 今、大村委員からも話がありました、日本の医療は非常に厳しい状況になってきておるという御認識は、大臣もお持ちであると思います。救急をどうするか、また地方の医療体制が壊れかけてきている、さらには診療科によって医師の配分というものがおかしくなってきておる、いろいろな問題があるんですが、根底には医師不足というものがあるんだろうと思います。

 日本の国は、OECD諸国でよく言われるんですけれども、医師の数、千人当たり約二人、これは正直言いまして、OECDの中で加重平均しても、OECDは二・六人、単純平均三人ですから、そう思うと非常にお寒い状況であるんです。一方で、医学部の定員の問題が、ずっと減らしてきておりまして、ピーク、昭和五十六年から五十九年八千二百八十人が、平成十九年までどんどん減っていって七千六百人余りというふうに、八%ぐらい減ってきたという経過がある。

 これは、厚労省だけではなくて文科省といろいろと協議もしていただきながらの話だと思うんですが、医療費が非常にかかるという中での一つの考え方であったんだろうと思うんですね。これはさすがに厳しいということで、三百九十五人定員をふやしていただくということで、現在、随時、医師を養成しようという方向に変わってきておりますので、多分、厚労省も医師が不足しているという認識になられたんだと思うんですが、大臣、今、医師の現状をどのようにお考えでありますか。

舛添国務大臣 医師の数が人口当たりどれだけいれば十分か、不十分か。これは、例えば諸外国と比べて制度も違いますから、一概には申し上げられません。

 しかし、就任以来、私がいろいろ医療体制の問題について取り組んでいく中で、やはり医師の数は不足している、そういう認識でもって、今抜本的な改革をやりたいと思って実行しております。

田村(憲)委員 とはいいましても、急に医師はふえるわけじゃありませんね、これは養成課程、かなりかかりますから。今あるマンパワーで何とかしなきゃならないんですね、これは。

 そういう意味からいたしますと、今回の診療報酬、今、大村さんがおっしゃられました、いろいろな救急医療に対して点数をつけた。それから、医療クラークというような形で、医師がやらなくていい本来の、雑務と言ったら怒られるんでしょうけれども、事務的なもの、こういうものに関してもしっかり点数をつけて確保していただこう、さらには、コメディカル含めて、医師と医療関係のいろいろな業種、これとのすみ分けをしっかりやって、本来、医師が患者に対して対応できる時間をふやしていこう、こういうことも考えておられると思います。

 さらには、救急では、自殺等々で担ぎ込まれる方が結構おられる。そういう方々は、救急で手当てしても、また二度三度同じような形で心の病から同じ行為を繰り返す、こういう話も今クローズアップされてきております。これに対しても、たしか診療報酬の中で、今回、そういうような精神診療といいますか、そういうものに対しても点数をつけるというような話だったと思うんですが、この診療報酬改定で、医師不足、救急、また地域等々のいろいろな問題にどのように対応しているのか、代表的なものを幾つかお答えください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年度の診療報酬改定におきましては、お話のありました医師確保対策、それから救急医療対策、自殺対策、いずれも重点的な評価を行う項目として見直しを行ったところでございます。

 医師確保対策として、御指摘のありました医療クラークでございますけれども、地域の急性期医療を担っている病院におきまして、医師の事務作業を補助する職員、いわゆる医療クラークを配置している等、病院の勤務医の負担を軽減する体制、これを評価するということがございます。

 そのほか、夜間等の軽症救急患者の診療所での受け入れを促進するために、診療所での夜間、早朝等の診療の新たな評価ということも行ったわけでございます。

 それから、救急医療対策につきましては、先ほども申し上げましたけれども、救急搬送後、極早期の救急医療に対する評価を充実させたところでございます。

 また、自殺対策といたしましては、早期の精神科への受診につながる紹介を評価すること、それから、自殺未遂者等への救命救急センターにおける精神医療の評価、こういったことを行ったところでございます。

田村(憲)委員 いろいろと対応していただくということでありますが、一方で、医師が足らないということで、緊急に早期に対応しなきゃならないというので、緊急臨時医師派遣の制度をつくったと思います。

 それから、もう一方、マグネットホスピタルというような概念で、今医師が足らないところに医師を派遣できるような、そんなシステムをお考えいただいてスタートいたしておると思いますが、これに関して、現状、どういう状況でありますか、どれぐらいの派遣がありますか。

外口政府参考人 緊急臨時的医師派遣につきましては、昨年五月の政府・与党の緊急医師確保対策に基づきまして、これまで二回にわたり、全国の五道県八病院への派遣を決定したところでございます。これらの派遣については、例えば、休止が予定されていた分娩や救急患者の受け入れが継続あるいは再開するなどの成果を上げているものと承知しております。

 また、昨日も、全国的な実態調査に基づきまして、産科医確保対策のため、厚生労働省のほか、文部科学省、防衛省などが連携して、産科医の派遣等を行うことにより、地域においてお産の継続などが可能となるよう取り組んだところであります。(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

外口政府参考人 なお、医師確保のために、地域の中核的病院において、医師のキャリア形成を担い、医師不足地域に医師を派遣する取り組みを実施しているところもあると承知をしております。

 平成二十年度予算におきましても、国や都道府県の決定した医師派遣に協力する病院を支援する事業等を盛り込んでいるところであり、引き続き、医師確保に努めてまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 同僚議員からもいろいろな声が上がっています。ちゃんとこれは機能してもらわないと意味がないので、しっかりこれはまた私もフォローしていきます。きょうは時間がないのでこれ以上突っ込みませんが、また別の機会に質問させていただきたいと思います。

 あわせて、これも質問いたしませんが、救急患者受け入れのためのコーディネーターという事業も始めていただくという話をお聞きいたしております。要は割り振りですね。割り振りがなかなかできないという中で、そこでコーディネーターという方を入れて、多分医療関係者といいますか、医師の方が入ってこられるんだと思います。

 その方の顔に期待をしながらということもあるんだと思うんですよ。やはり人間関係的な、信頼関係みたいなものが必要だと思いますので、その方が言っていただければ結構入れていただける、そういうような病院も出てくるんじゃないか、こういうところをねらわれておるんだと思うんですが、本来からいうと、そういう、顔で動かずにちゃんとシステムとして動かないと救急医療というものは成り立ちませんから、これはこれで評価しますけれども、やはりトリアージ等々を含めてどうしていくか。必要のない方々が行っているという事例もあります。

 これは総務省、消防庁の方との関係もあるので、一概に厚労省だけではないんですが、こういうこともこれから私もしっかりフォローをしてまいりたい、こんなふうに思います。

 いずれにいたしましても、日本の医療なんですが、なぜこんなになっちゃったか。本来、日本の医療のコストパフォーマンスは非常にいいんですよね。例えば盲腸の手術なんかでも、アメリカと比べると、もとからの医療行為にかかる報酬が違います。全く違う。これはもう五倍、六倍、下手すれば物によっては十倍ぐらい違うんですね。ですから、非常に効率のいいパフォーマンス、こうだったわけなんですね。しかも、医師の数も少なかった。でもちゃんと回っていて、WHOに評価を世界一といただいていた。それが今壊れかけてきているわけですね。

 これは、要するに例の社会保障の財政の問題があって、五年間で一・一兆を切りました。それに見習って、さらに二千二百億円ずつあと五年やろうという改革が行われてきているわけですね。このシーリング、本来伸びるべきものを二千二百億円は伸ばさない、ここに大きな問題があると私は思う。これを何とかしないと日本の医療の崩壊はとまらないと思っているわけでありますが、大臣は、この二千二百億円のシーリング、何としても再来年度に向かってはこれをとめるという御意思があるのかどうか、お聞きをいたしたいと思います。

舛添国務大臣 政府全体で決めた一つの方針があります。その中で私は、この二千二百億円のマイナスシーリングというのはほぼ限界に達している。相当な努力をやって、今回もいろいろな方に御迷惑をおかけし、やりましたけれども、しかし、国民の命を守るという意味での社会保障制度を確立するためには、やはりこれは考え直すべき時期に来ているのではないか、検討すべき課題である。

 もちろん、効率化、無駄の排除、こういうことは引き続き努力をしないといけないですけれども、これは国民の御理解を賜って、何が大事なのか、国民の命が一番大事ですよ、そういう観点から施策を進めてまいりたいと思います。

田村(憲)委員 これは二千二百億円マイナスシーリングをやめさせるという御意見であったというふうに私はお伺いをいたしました。我々も協力しますからね。大臣をバックアップして、こういうような悪政はとめなきゃならぬ、こういうような思いでありますので、ともにこれは頑張ってまいりたい、このように思っております。

 これはいろいろな流れの中で出てきた結果起こったことですから、それに対して、我々は反省すべきことは反省してやるんですよ。そういうことでありますから、これはしっかりとやるということを私はここで宣言をしてまいりたい、このように思っております。(発言する者あり)やじは気にいたしません。

 さて、次でございますが、これは今、大村委員の方からもいろいろ社会保険庁の年金問題が言われました。

 今回、また悲しい事件といいますか問題が起こってきた。それは何かというと、例の社会保険庁のやみ専従であります。この時期に出てきたというのは、いろいろな経過があって出てきたと思うんですが、正直言って、今まで大阪市だとかいろいろな問題がやみ専では話があったんですが、あれはながら専従なんですね。仕事をしながら労働組合運動に、本来は給料をもらわずにやらなきゃいけないんですけれども、国から給与といいますか、税金で給与をもらいながら労働組合運動に専従していた。

 ながらとやみ専従の違いは、仕事をしながらは、仕事もやっていたということですね。やみ専従というのは、仕事を一切やっていない。つまり、本来は籍がないのにそこに籍を置いて、税金から給料をもらいながら労働組合運動をやっていた。これはちょっと問題があるどころの話ではない。

 これは、この間記者会見で、労働組合の幹部の方、トップがやめられるというような事件にまで発展し、これは自治労も含めてあったということをお認めいただいた。これは私は、労働組合は認めたんですから評価すべき、隠したわけじゃありませんから、評価というのは言い方がおかしいですけれども、正直だった、こういうふうに思うんです。

 ただ、問題は、これは言ったからいいという問題じゃないですよ。非常に厳しい問題だと思いますよ。公金横領に近いかもわからない。はっきり言いまして、これは下手すれば詐欺罪が適用されるような、刑事事件に発展してもおかしくないような案件なんですが、今、事実関係はどこまでわかっていますか。それから、どういう調査を今やっていますか。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十一月に、年金業務・組織再生会議から、社会保険庁職員によります服務の状況、その服務違反行為全般につきまして調査を行うよう要請があったところでございます。

 これを受けまして、外部の弁護士も参加します調査班を全国に設置いたしまして、過去十年間におけます無許可専従、いわゆるやみ専従を含め、社会保険庁職員によります服務違反行為全般についての調査を現在行っているところでございます。その調査の経過につきましては、年金業務・組織再生会議に報告することとしております。

 一方で、先生御指摘のとおり、去る三月十七日に自治労及び全国社会保険職員労働組合が社会保険庁職員の無許可専従の状況について発表され、これが報道されたわけでございます。これによりますと、平成九年から平成十六年までの間に全部で二十七名の職員が無許可専従、いわゆるやみ専従を行っていたということでございます。

 これにつきましては、私どもとして、労働組合から詳細な状況を聞きますとともに、先ほどの再生会議からの指示に対応いたします、さらに必要な調査を早急に進めてまいりたい、このように考えております。

田村(憲)委員 調査はいいんですけれども、これは組織ぐるみの可能性があるんですよ。つまり、管理職も絡んでいる話じゃないですか。多分そうだと思いますよ。だって、勤務評価をやらなければいけないわけでしょう、これはいない人を評価できないですよね。それがボーナスにも影響してくるだろうし、退職金にも影響してくる。そういうことが平然と行われていること自体、これは組織ぐるみですよ、はっきり言って。労働組合も悪いでしょう。しかし、社会保険庁自体もこれは悪い。

 これは、先ほど来大村委員が言われているとおり、組織ぐるみでやはりこの役所はおかしかったんじゃないか、こう思わざるを得ない。だから、調査する人も、仲間内、身内で調査していたら隠すんですよ。ちゃんとした方に調査をしてもらうように、これは要望いたしたいと思います。

 一方で、今までやみ専というのはないと言われていたんですね。ながら専従というのは公務員の労働組合であるだろうと言われていましたけれども、仕事をしながらというものですね。全く仕事をせずに専門で労働組合で仕事をされておられる、こういう方はないだろうと言われていたんですが、これは今回自治労さんがお認めになられたんですね。十年間に関して、労働組合自体がお認めになられたということですね。

 ということは、これは他の公務員の労働組合、ここでもないとは限らない。多分社会保険庁の方は、中でこれから調査を、他ではないかというのを今一生懸命やっていると思います。出てくるか出てこないかはわかりません。しかし、しっかりとやっていただくという期待を私はいたしておりますが、これはほかの労働組合もないとは限らないわけですね。これに関して、あるという事実が今回、労働組合自体が、これは一部の労働組合ですけれども認めたわけでありますから、他の部分に関してもこのようなやみ専従があるかどうかということを本来調査しなきゃいけないと思いますね、過去の分とはいえ。

 大臣には、ぜひともこれは閣僚会議か何かで、こういう問題に関して全体的にもう一回チェックをする必要があるのではないか、こういうことを発言していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 まずはこの社会保険庁のやみ専従の問題をきちんと調べ厳正に対応するということをやりたいと思いますし、今の委員の提起くださった問題については検討させていただきたいと思います。

田村(憲)委員 いずれにいたしましても、公務員というものは税金がかかっております。そしてその組織、この問題は労働組合だけではなくて組織全体の問題にかかわってくるわけでありまして、国民の信頼問題にもかかわってくるわけでありますから、しっかりと対応していただきたい、このように要望いたしたいと思います。

 さて、今度は年金の中身の話、制度の話に若干入りたいのですけれども、今、基礎年金の税方式という話が各政党で出てきております。政党の中でも、自民党の中でもそういうことを言われる方がおられる。私はどうなのかなという思いがあるんですけれども、しかも、中身が非常にファジーなんですね。税方式といってもいろいろな方式があるので、一概にどうだ、民主党さんが言われているのも税方式といえば税方式かもわかりません、あと、各新聞社が言われておったりだとか経済団体が言われておったりだとかいろいろなことがあるんですが、確かに、税でやれば何かすべて解決するみたいな錯覚にはとらわれるのですね。

 しかし、やはり税でやるということは、その分だけ税金もどこかで充てなきゃならぬわけでありますし、一方で、今までの社会保険方式というのは共助でありますから、みんなで社会をつくっていく、連帯の意識というものが生まれるのですが、しかし、税という形になると、税もみんなで払っているじゃないかとは言われるんですけれども、その払っているという意識というものはやはり保険料よりか低くなるのであろう。給付と負担という意味では因果関係ですね。そういうふうに思いますと、なかなか、税はどうなのかなと思うんです。

 しかしながら、いろいろと税という話が出てきておりますのであえてお聞きをするわけでありますけれども、当然、税になれば保険料は取りません。そうすると、その分はどこかから充てなきゃならない。税で充てるのだと言うのですが、新たにどれぐらい財源が必要になるのか。税源ですね。つまり、保険料にかわってどれぐらい税が必要で、それを消費税で充てればいいということを言われている方々がおられますが、消費税で充てると新たにどれだけ消費税を上げなきゃならないのか、これに関してお聞きしたいと思います。

渡辺政府参考人 今、さまざまなところで行われている議論について私ども政府の方から一々コメントするということは、慎重であるべきポイントもいろいろあると思いますが、今御議論ございました御質問に対して、可能な範囲でお答え申し上げたいと思います。

 税方式の基礎年金という考え方、さまざまに出てはおりますが、これについて、今おっしゃられたような、新たに必要な財源はどうかという考え方で物を見ることも大切でございます。ただ、今さまざまに出ている議論は、そもそもそれにどのぐらいの財源が必要なのか、財源規模はどのぐらいなのか、こういうような議論も出ております。おっしゃられたように、そこを仕分けして議論していかなきゃいけないと思っております。

 そもそもどのぐらい必要なのかというのは、六万六千円なのか七万円なのか、もっと高いのかという、給付水準をどうするかということとか、これまでの未納期間の評価などさまざまな論点がございますが、一番はっきりしておりますところは、既に社会保険方式の基礎年金を受けておられる方々に対してしっかりこれまでの給付を保障し続ける必要がある。ところが、税方式に切りかえた途端に、賦課方式でやっているこうした基礎年金を支える保険料収入がなくなるという事態が発生する。そういう中で、いわゆる移行措置の必要性という論点と重なることであるというふうに理解しておりますが、そうした意味で、どうしても必要な、今社会保険方式で受給されている方々の財源を切りかえて引き続き保障していくというその点で申し上げたいと思います。

 平成二十年度の基礎年金額が全体で十九兆三千億円と見ておりまして、国庫負担等で賄われている部分がそのうちで七・五兆円でございます。差し引き約十二兆円、厳密に言いますと十一兆八千億円が保険料で賄われていることとなっておりますので、仮に税方式に移行した場合には、この保険料財源で賄われている部分に対して追加的な財源が必要となります。

 保険料収入がございませんので、これを全額消費税で賄うと仮定した場合、現行の五%の消費税に対応する、国、地方を合わせた消費税収全体が平成二十年度見込みで約十三・二兆円ということでございますので、それをベースに、今の約十二兆円の部分を賄うための消費税ということになりますと、四%台半ば程度の新たな税負担を注入しなければ、現在いただいている人たちの給付を保障していくことができない、こういうふうに考えております。

田村(憲)委員 これは、言われたとおり、六万六千円なのか七万円なのか、さらに言えば、今まで保険料を納めていなかった方々全員に満額給付するのかによって金額が違ってくるので、最もおとなしいパターンで多分言われたんだと思うんですが、問題が幾つかあると思うんです。

 さっき言った連帯の意識という問題もあるのですが、一方で、税でやった場合には、やはり、財政的に厳しくなれば給付を抑えるというインセンティブが働いてくる。ですから、今のような保険料で、財産権の問題があって、給付をある程度確約できる方式と、公的扶助みたいな形になるわけですから、財政が厳しくなったから給付を切るよ、水準を切るよ、こういう問題になったときには、どうしても保険方式より弱くなっちゃう。これが一点。

 それからもう一つは、今言われたように、四・数%、さらには、これからもっと上がっていくのでありましょう。消費税にはいろいろな使い道がある。医療の問題も今ありましたよね、大臣。介護だってこれからあるんです。さらに言えば、障害者福祉、これも今からもっともっと我々は拡充していかなきゃならぬと思っている。そのためには財源が必要だ。

 そのときに、消費税で年金をわっと使われちゃうと、日本の消費税は何%になっちゃうのだろう。今は低いですよ、ヨーロッパから比べればまだまだ低いけれども、国民負担率もはっきり言って低いですよ、まだ四〇%ぐらいですね。潜在的国民負担率でも四二、イギリスで四六、七ですか、フランス、ドイツでもう五〇を超えています。ドイツは六〇を超えているかな。こう考えれば、国民負担率は低いですから、まだどこかでやはり負担をお願いしていかなきゃならぬのですが、そのときに全部消費税というわけにはいかない。今、保険料としてもらっているものも、これも国民負担率の中には計算されています。これをやはり、どういう負担をしていただくかというバランスの中で考えていく必要があるのではないのか。

 そこでこれは、頭の体操でちょっと局長に聞いていただきたいのですが、私自身が思っている年金制度の改革案、どういうことかといいますと、今、国民年金の保険料は徐々に上がっていますけれども、これ以上上げるか上げないかという議論が一つあると思います。しかし、上げなかったら、財政再計算上、年金の給付が厳しくなる。そこをどうするかという問題がまず一点。

 それからもう一つは、今、免除者、減免者が、仮に自分の減免分、全く免除されていた場合には三分の一しか年金がもらえません。将来的には、二分の一に上がれば、そのように加重平均してもらえるような形になっていくのだろうと思うんですが、それだと今度は生活水準に満たないようなそういう年金給付になる。これは生活保護との関係が出てくる。

 そこで、パスポートじゃないですけれども、参加料として、免除の方はゼロになるのかもわかりませんが、減免者で例えば三分の一しか保険料を払わない、こういう方でも、参加していれば全額もらえるようにしてはどうか。つまり満額の六万六千円、七万円にするか六万六千円にするかというのはこれからのいろいろな議論はあるのかもわかりませんが、それを確保できるようにすればどうだ。そして、保険料をこれ以上上げるときついというのならば、それも今の国民年金の保険料の水準でとめるということもあるかもわかりません。しかし、少なくとも今の保険料は確保できるのですね。先ほどの国民の負担のことを考えれば、何で国民に負担をお願いしていくかという話でありますから。

 私は、やはり年金制度というのは、参加しているという意識がなければだめだと思うんですよ。だから、自分で払える範囲で払う、しかし給付はちゃんと満額確保してあげる。その財源は何かと考えれば消費税である、税である。これは考え方としてはあるのだろう。全員が税というのは問題があるけれども、こういうような形で、公的な扶助とそれから社会保険方式との中間的なそういう年金制度というものはこれから検討に値するのではないのかなと私は思うんですが、局長、この考え方はどう思われますか。

渡辺政府参考人 国会での御審議の場でございますので言葉はいろいろ慎まなきゃいけないと思いますが、今御指摘のあった御提案の骨格的な理解をさせていただきますと、国民年金保険料は、現状ということですと、間もなく四月一日でございますから、一万四千四百十円で固定をする。そうすると財政が賄えなくなるので、二分の一国庫負担に加えて、今後の保険料引き上げ予定分については税財源を投入してはどうか。それから、免除制度、現在、全額の免除から、四分の一、二分の一、四分の三とこうございますが、そういうところでの免除手続をして、保険料を安く、あるいは払わずに、いわゆる国庫負担分だけの給付につなげておられる方々、ここについても満額の六万六千円を税財源により保障してはどうか。こういうような御趣旨だというふうに理解をいたしました。

 あえて申し上げれば、その場合でも、保険料を支払った方と、低所得とはいえ保険料を支払っていない方とを全く同じ給付水準とすることについて、所得を極力少なく見せて満額給付を得ようとするようなインセンティブを与えないかなど、慎重に検討をすることが当然必要だと思っております。

 ただ、一方、今御主張のように、社会保険方式を税財源の投入の工夫によって支えていくということはできないのかという点についていえば、現行の免除制度自身が、社会保険方式のもとで税財源によりその弱点を補う制度的工夫ということが言えようかと思っております。

 いずれにせよ、こうした観点も踏まえながら、追加的に必要となる安定した税財源が確保されることが前提となるわけでございますので、そこは押さえながらも、御指摘の点を含めて十分研究を深めてまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 大臣、ぜひとも、こういう方式もあるのではないかということで御検討をいただければありがたいと思いますので、あえてお答えは求めませんけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それともう一点。この制度の中で、これは私の個人的な意見で、できるかどうかは別なんですが、年金物価スライドがかかっています。今はマクロ経済調整で、〇・九ぐらい上がっても上がらないというふうに抑えられちゃうんですが、この物価スライドが消費者物価指数を使っているんですね。

 私、気になるのは、お年寄りの生活必需品、いろいろなものがあるんですが、若者の物価とはちょっと違うんですね。医療だって五倍近く医療費がかかる。こう考えると、医療がいろいろな意味で上がる。それからまた、一方で、下がっているものというのは、コンピューターだとか、携帯電話だとか、通信料ですね、こんなものは若者と比べるとお年寄りは使わないですよ。例えばマクドナルド、名前言っていいのかわからないですけれども、ファストフードですね、ああいうものが下がっているのがどう影響するんだ。余りお年寄りは食べないですね。

 こう考えていくと、お年寄り寄りの消費者物価指数を出して、それをスライドに使わないと、生活の安定という意味を考えた物価スライドというその本来の趣旨にそぐわないのではないのかなと私は思うんですが、もう時間が来ましたので、また別の機会にこの議論はさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、第三者委員会、ちょっときょうは質問できませんでした。これは私が副大臣のときにつくった委員会でございます。期待をいたしておりますのでしっかりと、大村先生からもありましたけれども、ぜひとも期待にこたえられるように頑張ってください。エールを送りまして、終わります。

茂木委員長 次に、後藤茂之君。

後藤(茂)委員 後藤でございます。

 国民が安心して暮らしていける社会を構築していくために、セーフティーネットとしての社会保障施策が非常に重要な課題であることは言うまでもありません。しかし、今全国を回っておりますと、地方の悲鳴が聞こえてまいります。学校や病院がなくなる、あるいは地域の雇用がなくなる、商店街がなくなる、地域社会が崩壊する、大変に心を痛める事態が発生をいたしております。

 特に地域の皆さんにとって大変に心配で苦しんでいることは、病院がなくなること、産婦人科がなくなること、これが大変に大きな問題になっております。こうした医療の現場を見るにつけまして、この非常に深刻な事態に対して、やはりしっかりと対応していかなければならないというふうに思っております。

 産婦人科については、ことし一月以降、二十四都道府県の七十七カ所で産科を休止したり、あるいは件数を制限したりするというようなことが起こっておりまして、緊急の対応も必要でありますし、そもそもの対応が必要であるというふうに思います。

 医師の不足の原因としては、大学の医師派遣をする力が落ちたとか、あるいは勤務医の皆さんの勤務の状況が余りに過酷だとか、女性の医師がふえられたことはいいことですけれども、しかし、産科、婦人科、小児科で働いておられる多くの女医の皆さんが出産や育児を機会に離職をしてしまうとか、あるいは訴訟リスク、争訟リスクが非常に高まっているとか、非常に大きな要因があります。即効性のある具体的な対策というのは難しいということはよくわかっておりますけれども、総合的な、やはり医療の構造をしっかりと見詰めて対策をとっていくということが必要だというふうに思います。

 また、医師不足だけではなくて、医師を助ける医療スタッフの不足も深刻でありまして、同様に対応が必要であります。

 さて、こうした人的な問題につきましては、今これまでも質問が出ておりますから重要性を指摘しておきますが、こうしたスタッフ、人の問題に加えまして、病院がなくなる、産婦人科がなくなる、そういう状況に対応していくためには、やはり公立病院のみならず、医師会等を初めとしまして、民間の病院の役割も非常に大切だというふうに考えます。そうした観点から、少し民間の病院にかかわる具体的な問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 さて、第一でありますけれども、今般の公益法人制度改革におきまして、税制の取り扱いが昨年末決まりまして、法律等も出ております。各公益法人につきましては、本年十二月以降に、公益社団、公益財団、あるいは一般社団、一般財団、どういうふうに選択をしていくのか決めなければなりません。

 このような中で、医療行為というものは、社会的には、全体としては公益性の高いものであることは言うまでもありませんけれども、公益目的事業とはならないということで、オープン病院を持つ地方医師会等では、公益認定を受けられないということで、今後しっかりとした活動ができなくなるのではないかと大変な不安や混乱が起きているということを聞きます。

 地域にとって非常に重要な役割を果たしておりますこういうオープン病院事業のことを考えていきますと、オープン病院事業を行う地方の医師会等についてどういうふうにしていくのかということは非常に重要な課題であります。昨年税制上の措置も行っておりまして、このオープン病院事業を行う医師会は、一般社団、一般財団になっても、実を言うと、これまでどおりの活動には何の支障もないという形になっていると思いますけれども、まず、この点につきまして大臣に御確認を申し上げたいと思います。

舛添国務大臣 今委員から御指摘ありましたように、これは、公益法人改革でその認定を受けるか受けないかということにかかわらず、その公益性にかんがみて税制上は優遇措置を継続する、その内容、措置が税制改正法案に盛り込まれております。

後藤(茂)委員 今まさにおっしゃったとおりでありまして、公益認定を受けるか受けないかという問題はありますけれども、公益認定を受けずに、一般社団、一般財団であっても活動に支障はないというわけでありますが、この点についても十分な理解が得られていないのではないかというふうに思います。

 新しい公益法人制度のもとにおきましては、主務大臣という概念はなくなるわけではありますけれども、これまでの主務大臣として、今後、全国にあるこれらの医師会、オープン病院を持つ地方医師会等の運営形態について、責任を持った統一的な指導助言を行うことが必要なのではないか、そういうふうに考えますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 公益法人制度の改革、これにさまざまな問題があるから改革をしたわけですけれども、それに伴って主務大臣という概念がなくなる。しかしながら、各地域の医師会の皆さんが非常に頑張っておられる。いろいろな団体と協議をしながら地域の医療を守っていく、そういうことについては、私は、主務大臣という概念はありませんけれども、医療制度、国民の命を守るという社会保障の担当の大臣としてきちんと指導を続けてまいりたいと思います。

後藤(茂)委員 ぜひ、きちんと、地方の医師会等から不安やあるいは混乱が生じるというようなことがないようにしていただきたいというふうに思います。

 それから、地域の医師会においてはこうしたオープン病院以外にも、看護師等の医療関係者の養成所等もやっているわけでありますが、こういうものについても公的な支援を引き続きしっかりと続けていくということで、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから次に、医療法人の問題について少しお伺いをしたいと思います。

 公立病院がいろいろ再編統合されていく中で、地域医療を確保していくために、医療法人がこれまで以上にしっかりとした活動をしていかなければならない。そうした観点から昨年末与党で取りまとめまして、今回審議をお願いしております来年度の税制改正におきましても、社会医療法人が行う医療保健業につきまして法人税を非課税にする、あるいは非営利性を徹底した医療法人についての贈与税の課税基準の見直しを盛り込んでいるところであります。

 特に、この社会医療法人制度につきましては、救急医療や周産期医療あるいは小児救急医療といった地方で本当に今確保が問題になっている、そういう重要な医療を担う法人として大変期待が大きいものだというふうに思います。その普及が非常に重要だと考えますけれども、その問題についての見解をお願いいたします。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

舛添国務大臣 採算の確保が非常に困難であったり、緊急医療をやっている、災害の医療をやっている、僻地の医療をやる、小児医療をやる、周産期医療をやる、こういう要件を満たして御努力くださっている社会医療法人、これは、今審議中の税制改正法案において、本来業務である医療保健業においては法人税の非課税、それから収益業務についても軽減税率、つまり二二%を適用する、それから収益業務からの収益については、一定限度内で本来業務へのみなし寄附金として損金算入ができる、こういう措置が盛り込まれているわけでありますが、それはまさに地域の医療をしっかり担う団体として認めているわけでありますから、より多くの医療法人が社会医療法人の認定を受けるように促したいと思いますし、地域医療の確保ということに努力をしてまいりたいと思います。

後藤(茂)委員 時間もないので少し急いで、次に移りたいと思います。

 最近、救急患者がたらい回しをされまして死亡に至るという大変痛ましい事件の報道が相次ぎまして、社会的にも大変な問題になっております。国民の安心を確保していくためには、救急医療の確保ということが非常に重要な課題になっているというふうに思います。

 政府としても、空床情報の適切な把握あるいは搬送先の選定等、いろいろな問題に対しまして対応を考えているというふうに思います。早急に手を打つべきだというふうに考えますけれども、それについての見解を伺います。

舛添国務大臣 昨年十二月以来、数次、こういう体制の確保に努めてまいりまして、今言った受け入れ情報、これは例えば診療報酬改定でメディカルクラークというものを置く、事務補助、こういう人も情報のインプットができるようにするというようなこと、それからコーディネーターを、つまり、ある地域でコーディネーターがちゃんといて、どこの病院があいているということがわかっていれば早いわけですから、こういうことで、来年度予算には約百億円の予算を盛り込んでいるわけでありまして、例えば消防庁を含め関係の省庁と連携しながら、さらなる緊急医療体制の充実に努めてまいりたいと思います。

後藤(茂)委員 緊急医療を確保するためには、緊急医療を支える医師の確保が前提になるというふうに思います。最近発生しているたらい回しの背景には、やはり構造的な問題として、医師の不足の問題があるというふうに思います。

 緊急医療体制を確保するためにも、医師不足問題について早急に手を打つべきだと思いますけれども、改めてその辺についての見解を伺います。

舛添国務大臣 昨日、産科医療の現状について御報告申し上げまして、分娩停止などの措置をとらざるを得ないようなところが七十七近くある、しかし、七十は地域で何とか対応できる、七つは国の関与が必要だと。

 これも今全力を挙げてやっているところでございますけれども、あくまでこれは緊急措置であります。この四月から分娩停止にならないための緊急措置でありますので、やはりこれは抜本的、構造的な問題の解決が必要でありますので、昨年五月の政府・与党の緊急対策案を踏まえまして、医師派遣をどうするか、ふえてきている女性医師に対して、例えば保育所を診療所内に設置するとか、そういう手当てを整える。それから、やはり訴訟リスクに対してどうするか。これは死因究明制度をつくる。それから無過失補償制度をつくる。

 こういうような総合的な対策を整え、そしてまた長期的に、医師の数を含めてどうするのか。これは、私のもとに安心と希望の医療ビジョンの懇談会をつくって、今、長期政策についても検討しているところでありまして、これはもう本当に構造的、抜本的に改革をしたいと思っております。

後藤(茂)委員 今大臣がおっしゃられましたけれども、長期的なビジョンを掲げながら現下の緊急の課題に対応していく、そういう姿勢は非常に重要だと思います。目先一、二年の問題だけではなくて、十年あるいは二十年を見通して、しっかりとした構造的な対応が必要だと思いますし、それに当たりましては、現場をよく見る、そして現場のお医者さんの意見をよく聞きながら、そうした対応をしていく必要があるというふうに思います。

 それでは、次に年金制度の問題について話を移したいと思います。

 現在、多くの国民が将来に対する大きな不安を抱いているというふうに言えると思います。こうした不安が国民を貯蓄に走らせ、消費を控えさせるという形で内需中心の安定的な経済回復を阻んでいる要因だ、そういうふうにも指摘をされているところであります。

 国民の将来に対する不安を払拭する、そして生活の安心を得ていくためには、さまざまな問題点が現在指摘されている年金制度について、その基本からきちんとやはり議論をする、老後の生活をしっかりと支える持続的、安定的な制度として国民に認知されるということが大切だというふうに思っております。

 年金制度については、平成十六年に抜本的な制度改正を行っております。一言で申し上げれば、おおよそ百年という極めて長期の財政見通しのもとで給付と負担のバランスを図る、そして持続可能な制度にするというものでありました。細かいことは申し上げませんが、この改正は、それ自体極めて画期的な改正であったというふうに思いますが、それでは、なぜ、今日これほど年金への不安や不信が国民にあるのでしょうか。

 年金記録問題が大きく影を落としているということはもちろん間違いないことだと思います。しかし、年金制度自体についても国民の間に不安があることも否定できません。これについて、二つの側面からちょっと考えてみたいというふうに思います。

 一つは、年金の財政面からの問題意識であります。つまり、制度改正以降の社会経済情勢は、十六年の年金改革の当時と比べて、財政状況が基本的に変わっているのではないか。つまり、わかりやすく言えば、十六年の財政フレームが崩れているのではないか、そういう観点であります。

 例えば、平成十八年十二月に発表されました日本の将来推計人口では、十六年当時一・三九と見込んでいた将来の合計特殊出生率は一・二六と落ち込んでおりまして、少子化が急速に進んでいるという深刻な状況にあります。また、近年、賃金や物価というものが上昇しない。そのことは実を言うと、これは裏表ある話でありますけれども、鳴り物入りのマクロ経済スライドも実際には発動されない。

 こうした状況を背景として、年金財政は破綻している、だから保険料を払っても給付があるかどうか不安だという声が上がりまして、報道等を通じて国民の間に広く浸透している。そのことが国民の不安を招いているというふうに考えられます。

 政府として、年金財政の将来見通しをどう考えているのか、十六年の財政フレームは崩れていないのか、大臣から国民にわかりやすくその辺のところを、明確に説明していただきたいと思います。

舛添国務大臣 私は、実は十六年改正のポイントというのは、片一方で給付を抑え、しかも同時に負担はふえるというような改革なんですね。しかし、それをきちんと国民が理解して受け入れてくださったということは、先進国の国民の意識としては極めて評価に値すると、まず思っております。

 その中で、今おっしゃったマクロスライドという制度を入れた。これはいろいろな社会的な条件、労働力の実態、出生率、こういうことを含めてでありますけれども、今、まだこれは発動するところまでは至っておりません。しかしながら、その新しい制度を入れたことにより、十六年の財政フレームは長期的に維持できているし、持続可能な大きな年金制度改革であった、そういうふうに私は評価をしております。

後藤(茂)委員 十六年の財政フレームは崩れていないのかどうかということについては、どうでしょうか。

舛添国務大臣 所得代替率にしても、直近の数字は五〇%を超えていますし、そういう意味で十六年の財政フレームについては崩れていない、そういうふうに認識しております。

後藤(茂)委員 年金財政として現時点で直ちに心配すべきではない、そういう状況ではあるということで、私もそのとおりだというふうに思っておりますけれども、少子化傾向に歯どめがかからないということになれば、年金制度の基盤が危うくなるという国民の心配ももっともなところでありまして、少子化の問題、しっかりと取り組んでいく必要があると思います。

 少子化の問題は、単に年金制度への影響にとどまらず、社会経済全体の活力を損なうことになりますし、国の衰退をもたらすことだというふうに思っておりまして、少子化への対応がしっかりとなされていかなければならないというふうに思いますが、きょうは少子化の問題についてはこれ以上は申し上げずに、また次回に譲りたいと思います。

 次に、年金の制度的な問題として幾つか指摘をしたいと思いますが、まず、十六年改正で残された課題といたしまして、基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げという重大な問題があります。

 その前に、政府は今国会に、基礎年金国庫負担の引き上げを図る法案を提出しておりますけれども、この内容がどのようなものであるのか、さらに引き続きまして二分の一に今後引き上げることについて、どう考えているのか、改めて大臣に伺いたいと思います。

舛添国務大臣 国庫負担比率を二十一年までに二分の一に引き上げる、これはしっかりと決めた方針ですから、これを堅持していく。

 さらに、まず十九年度は、三分の一の今の割合に千分の三十二を加えた、つまり三六・五%に既になっております。そして平成二十年度、今審議している法律案では、〇・八%引き上げる、つまり三分の一に千分の四十を加えるわけですから三七・三%、これを提案しております。そして、二十一年には二分の一に引き上げる、この既定の方針を堅持したいと思っております。

後藤(茂)委員 基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げは、十六年の財政フレームにおいても重要なパーツでありまして、これは国民との約束であります。しっかりと議論をして、実現をしっかりしていくことというふうに考えます。

 いずれにしましても、少子高齢化の進展に伴う年金、医療、福祉、そして少子化対策、大変に需要がふえているわけでありまして、こうした需要増に対しまして、現在のような厳しい当然経費のカットをいつまでも続けていくということは、そろそろ限界が来ているのではないかというふうに率直に思います。国民に対しまして、社会保障制度による受益と国民負担の責任ある組み合わせを政治としてもしっかりと示す、そして国民が国の形を選択するという抜本的な大改革が必要な時期が、やはりもう来ているというふうに考えるところであります。

 さて、制度的な問題として議論されている二つ目の問題に移りたいと思います。これは、いわゆる税方式の議論であります。

 社会保険方式におきまして、保険料が未納となる方やあるいは制度に加入しない方がおられる、そのことは、将来、年金を受け取れない方や年金が著しく低い額になる方が出てくるという懸念を生むわけであります。これに対しまして、国庫負担を二分の一に引き上げるという議論を進めていくと、いっそ全額国庫負担としてしまえば、保険料の未納やあるいは未加入の問題というのはなくなるのではないか、そういう発想から税方式の議論も提案されているのではないかというふうにも思います。

 日本では長年にわたりまして、社会保険方式で年金制度が運営されてきておりまして、税方式についてはなじみがないわけでありますけれども、現実の問題としてよく議論をしていかなければいけないというふうに思いますが、税方式のデメリットとメリットにつきまして、政府としての見方を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今委員御指摘がありましたように、また、先ほど田村委員からも御指摘がありましたように、もちろん、税方式にすると未納、未加入問題というのはなくなる、それから第三号被保険者の問題も解決する。

 しかし、やはりこれは、自立自助、自助、共助、公助、こういう社会保障の考え方に立ったときにいかがなものかなと。それから、生活保護との関連についても考えないといけないし、計算のやり方次第ですけれども、先ほどの計算だと、もし消費税で賄うとすると四%以上の消費税負担がふえる。それから、これは、財源が確保できなくなったら給付を減らすよ、こういうことになる。これは介護保険の導入のときもそうですけれども、税方式か保険料方式か、やはり自分が保険料を払っているんだということで権利の主張ということができる、こういうことがあると思います。

 それから、移行措置が実は非常に問題で、今までこつこつと年金掛金を払ってきた、七十五になって、はい、では今からあなたは消費税で賄ってくれ、私は今まで払ってきたじゃないか、この不満に対してどうするか、そういう移行時における公平性の確保ということがありますし、サラリーマンについては企業が半分負担してきました、これをどうするか。

 こういうさまざまな問題についてきちんと議論をした上で、この問題を解決する必要があると思っております。

後藤(茂)委員 具体的に考えていかなければならない問題が多数あるというふうに思います。

 税方式につきましては、御承知のとおり、民主党からも提案がなされております。そのマニフェストによれば、税財源による最低保障年金や全国民に共通の報酬比例年金を設けることが示されておりまして、意欲的な御提案であるというふうに思っておりますけれども、なお一緒によく議論すべき点もあるのではないかというふうに思っております。

 今ちょうど大臣からも御指摘がありましたいろいろな問題もあります。税方式とするための巨額の財源の確保はどうやったら本当に可能となるんだろうか。年金制度を統合するといいますけれども、負担や給付の仕組みが異なる自営業者とサラリーマンとの間で制度変更についての合意が得られるのか。あるいは、保険料を消費税に切りかえるといいますが、今現在、消費税は医療や介護やその他の部分にも充てられているわけでありまして、では、別途この財源はどうするのか、消費税を上乗せするということになるのか。最低保障年金の水準はどうなるのか。移行期の問題はどうなるのか。そうしたことをしっかりとお互いに、一緒によく議論すべきなのではないか、そんなふうに思います。

 年金は国民生活に直結する問題であります。政権交代があるとは思っておりませんが、しかし、政権交代があったとしても、政権交代をするたびにころころと年金制度が変わるというわけにはまいりません。そういうような議論をするべきでもありませんし、実際にそんなことが起こったら国民生活は大変なことになります。

 平成十六年当時にも、与野党の合意によりまして、年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議を設置するということで、八回にわたって与野党で真摯に協議を行った、そういう例もございます。また、政府では、社会保障国民会議で幅広い議論が開始をされているところであります。

 また、去る二月七日には、スウェーデンから国会の社会保障委員会の議員の皆さんがおいでになりまして、意見交換をする機会がありました。その中で、スウェーデンにおいて年金制度の抜本改革が行われたときには、与野党が協議をして、年金問題を政争の具とはしないということで、しっかりと合意をした上で議論を行って、本当に重大な年金制度の改革をやり遂げたというすばらしい話も聞いております。

 年金制度については、日本においても長期的な視野に立った国民的な議論が必要であり、そのことによって国民にしっかりとした安心感が生まれるというふうに思います。年金制度のあり方については、政争の具とすることなく、与野党を超えた誠実な議論を行うことが必要なのではないか、そういうふうに思うわけであります。本日は、各党の皆様から御答弁をいただいたりという場ではありませんけれども、そのことを強く申し上げたい、そんなふうに思っております。

 また、年金制度について、国民に開かれた議論をしっかりとしなければならない、そういうふうに思いますけれども、その点につきまして、政治家としての大臣のお考えを伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今、福田総理のもとで社会保障国民会議を開いております。この中で、さまざまな意見をいただきまして議論をしているところであります。

 私は、今、税方式にかかわる問題点というのを幾つか挙げました。例えば移行措置について。これも、与野党含めて知恵を働かせれば解決できない問題ではなかろうというふうに思っておりますので、率直にさまざまな意見を出し合って、そして最後は、私たち国会議員というのは、国民の代表として、国権の最高機関で法律を通じて新しい制度をつくっていく、そういう任務を帯びておりますので、胸襟を開いて広く意見を賜った上で議論をして、何が国民にとって最適な制度なのか、こういう観点から政治家としても努力してまいりたいと思います。

後藤(茂)委員 給付と負担の両面から、年金制度を将来にわたってきちんとした制度にしていくということは、国民の安全、安心にとって、安心感にとって一番重要な課題であると思いまして、そのことを与野党を挙げて一緒にしっかりと議論をしていきたいと、改めて申し上げたいというふうに思います。

 次に、年金記録の問題について伺いたいと思います。

 現在、政府では、昨年七月に政府・与党で決定をいたしました方針に基づきまして、本年三月末まで、もう一応そのことは達成しておるわけでありますけれども、五千万件の未統合記録と約一億人のすべての年金受給者と加入者の方々の記録をコンピューター上で突き合わせて、その結果を記録が結びつく可能性のある方々へ、ねんきん特別便を送付するということを行いました。

 また、コンピューター上の突き合わせだけでは持ち主を特定できない記録、これは二千二十五万件あることが三月十四日に明らかになっておりますけれども、こうした記録については、今後、四月から十月までの間にすべての受給者、被保険者に、九千万人、ねんきん特別便を送付する。それとともに、これと並行して、記録の内容に応じた調査、照会などの対策を講じていくことにより記録の統合を行っていくということにしております。国民の信頼を取り戻していくためには、この約束をまずしっかり果たしていくことが重要であるというふうに思っております。

 昨年の七月、政府・与党で決定をいたしましたそうした内容につきまして、いろいろな議論が行われます。例えば、コンピューター上の突き合わせだけでは持ち主が決まらなかったじゃないか、あるいは、ねんきん特別便を送付しても未回答や訂正なしがあるじゃないか、五千万件は解決していないではないかというような公約違反の議論をおっしゃる方がありますが、しかし、本当に約束したことが何であったのかということを考えた上で、前向きに、現実的に、国民にお約束したことをしっかりやっていくことが重要だというふうに思っております。

 それから、舛添大臣は就任時に、五千万件の未統合記録の問題につきまして、最後の一人、最後の一円までという決意を述べられました。これは、担当大臣として当然の決意の御発言であったというふうに考えております。取り組みが進んでいく中で、例えば、コンピューター上の突き合わせだけでは持ち主が特定できない記録が二千二十五万件あることが明らかになっていっているわけでありますけれども、それについてもさらなる解明作業が、本当に、まさしく最後まで粘り強くやっていくということが必要であります。

 もちろん、国民からの適切な応答なくしてはこの解明の作業は進んでいかないということは、そのとおりでありますし、人的、物的コストが非常にかかる、そういう意味でも、さまざまな制約要因がある問題であること、的確に国民に対して説明をしていくことは必要なことだというふうに思います。しかしながら、これから国民生活に直結するこの問題に全力で立ち向かう、立ち向かっているというときに、大臣が、できないかもしれないが頑張りますというような、あきらめ半分ともとれるような発言をもしするとすれば、責任ある態度とは言えないというふうに思います。

 基礎年金番号に未統合であった五千万件の記録について、この二千二十五万件の記録の解明を中心として、今後どのように取り組んでいかれるのか、改めて大臣の決意を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃってくださいましたように、私は、この問題は、政府に対する信頼、国家に対する信頼の基盤を揺るがす大問題であると思っていますので、全力を挙げて今も取り組んでおります。

 いかんせん、五千万件の問題を初めとして、ふたをあけてみないとわからない非常に困難な作業をやっております。しかし、お約束したとおり、名寄せはコンピューター上で終わりました。千三十万人の方々に今特別便をお送りしている。最近では若い方々が、私ももらいましたと、随分たくさん言ってこられております。

 そして、残された二千二十五万件につきましても、コンピューター上で、例えば山田さんという女性が結婚して田中さんになったら、田中で探したって出てくるわけはないんです。ですから、私は結婚して山田が田中に変わりました、ないしその逆ですというようなことをおっしゃっていただければより早く結果が出ますので、今、二月、三月というのを、婚姻で姓を変えられた方に対する特別キャンペーンというのをやっております。そういうことを通じて、そしてまた、かつて働いておられた事業所に照会する、市町村に照会する、あらゆる手を使います。

 そして今、いろいろな各団体の御協力をいただいております。社会保険労務士の方々は全面協力をしてくださる。それから、私のもとに直属の作業チーム、特別チームがありまして、これが今フル稼働をしております。そういう形で、あきらめることなく最後の一人までやっていくという決意に変わりはありません。

 そして、実を言うと、そういう調査、発掘の過程において、脱税が目的であったり、いろいろな不正で架空の人物をでっち上げたという例もあります。これは世の中にいないわけですから、探しても出てきません。こういうことの解明に全力を挙げる。

 そして、国民の皆様方に対するこの責任を果たしていって、まず記録問題で国民の信頼を回復する、その上で、与野党を超えた議論を通じて、きちんとした持続可能な年金制度の確立ということに全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

後藤(茂)委員 そういう御覚悟で、大変に難しいところもあると思いますけれども、作業をしっかりとやって、国民の信頼を回復していきたいというふうに考えます。

 それから、今ねんきん特別便が、記録が結びつく可能性のある方にこれまで送られておりまして、実を言うと、その方々からぜひ記録の訂正の申し出をいただきたいということで作業をしているわけであります。しかし、現在の回答状況を見ますと、三月十四日現在で、三百五十六万人の発送をした方のうち戻ってきたのは、百十六万人の回答がありまして、そのうち、訂正ありの方が聞くところによると約三十三万人、九・三%しかいないという話を聞いております。

 ねんきん特別便は年金記録問題につきましての政府の対策の柱でありまして、これを受け取った方がきちんと御自身の記録を確認していただいて変更していただく、これによって初めて記録の統合も着実に進んでいくという大変重要な問題であります。大臣も、年金記録問題検証委員会において、国民の目線に立った対応を進めておられるというふうに承知しておりますけれども、ねんきん特別便の実施状況を踏まえながら、よりよいものにやはり改善していくという努力がますます必要になっていくというふうに思います。

 訂正なしと回答されている方たち、これが私の感じからいうと非常に多いなという感じがいたしておりまして、その中には、関心がないとか、どうせ少額だとかいろいろな理由がある中で、特に関心がないという方もかなりの数おられると思います。こうした方々に関心を持っていただくためには、例えば年金が増額される具体例をお示しするとか、やはりいろいろな知恵を出していく必要があるというふうに思っておりまして、このような広報活動も含めまして、国民にねんきん特別便に対して正しく回答していただくために、今後どのように対応していくのか、大臣のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

舛添国務大臣 実は、直近の三月十七日から三月二十日まで新聞の広告を出しました。その中には、「もれている可能性のある記録をお伝えして、記録を訂正いたします。 その結果、年金支給額が増える可能性があります。」という一般論でそこは申し上げております。

 ただ、今おっしゃいましたように具体的な、こういう方が窓口に来られて、きちんと協力して年金の記録を確認したところ、月額何千円上がった、年額何万円上がった、こういう例は、また記者会見を含めていろいろなところで御披露して、国民の皆様方の御協力をさらに賜りたいと思います。

後藤(茂)委員 いろいろな工夫をしていただきたいと思いますし、中には、窓口へ行くと、また非常に冷たい扱いを受けて、嫌な思いをするのではないかといって忌避されている方もおられるのではないかと思います。そうしたことも含めて、国民の信頼を回復するための作業に、今後とも大臣を先頭にしっかりと取り組んでいただくように、また御指示もいただきたいと思います。

 これで終わります。

吉野委員長代理 次に、福島豊君。

福島委員 大臣、副大臣の皆様、大変御苦労さまでございます。

 私は、まず初めに、個別の問題でありますけれども、線維筋痛症の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。

 昨年の十二月に、線維筋痛症の患者の会でありますところの線維筋痛症友の会から要望書が内閣総理大臣、財務大臣そしてまた厚生労働大臣に提出をされております。その要望書にはこのように記載されております。

  「線維筋痛症」は原因不明の難治性の全身的慢性疼痛です。ICD10にも記載された人口比の極めて高い、最も一般的な慢性疼痛疾患にも関わらず国内での認知度は極めて低く、いまだ特定疾患はおろか医療保険の適応にすらなっておりません。日本では二年前、厚生労働省研究班の疫学調査により人口の一・六六〜二%、すなわち二百万人、なかでもステージ4、5にあたる重症患者は五万人いることが明らかとなりました。

こうして書かれております。

 先日、友の会の代表の方にも私はお会いさせていただきましたが、マスコミ関係の方が出産後に線維筋痛症でみずからの子供すら抱くことができない、こういったことで自殺をされた痛ましい事件もありました。いろいろとお話を聞いておりますと、シャワーを浴びることも痛くてできない、寝ていても自分の重さがまた痛みになる。そういう意味では大変困難な生活を強いられる疾患であると。私も医者でありますけれども、よく知りませんで、そんなに大変なんですかと、こういうお話をお聞きしました。

 アメリカでも、九〇年代以降にこの線維筋痛症の問題というのがクローズアップされて、さまざまな取り組みがなされてきたというふうに伺っております。

 国会におきましては、今から五年前、平成十五年、五島正規先生、同じく医師でございますけれども、この線維筋痛症の問題を取り上げられました。調査班をつくって、適切な治療、対策、予防というものを打ち立てるべきだ、このような主張でありまして、当時の坂口厚生労働大臣からは、検討会をつくって検討したい、こういう答弁がありました。

 そういったことが契機になりまして研究班が設置をされたのだと思いますけれども、この間の経過について御説明いただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣の御答弁から二カ月後でありますけれども、平成十五年九月から、厚生労働科学研究費補助金によりまして研究班を設置しております。これまで研究班への助成は毎年継続しておりまして、疾病概念の整理、それから患者数の把握など実態の解明、また、これまで試みられている治療法の評価等を行い、適切な治療の確立に努めている、このような状況でございます。

福島委員 この患者の団体からの要望事項にはさまざまなものがあるのでありますけれども、一つは、線維筋痛症という名前では保険請求が難しい。いわゆる保険病名という言葉がありますけれども、線維筋痛症というものをそのままレセプトに病名としてつけるということではなくて、例えばがんの疑いであるとか、こういう疑い病名ばかりで処理されている、こういう現場の対応があるようであります。

 これにはいろいろな理由があると思いますけれども、線維筋痛症という疾患と、そしてまた医療保険上の位置づけ、これについて簡単に説明いただければと思います。

水田政府参考人 線維筋痛症につきましては、先ほどお話ありましたとおり、現状では発症原因が不明であるということから、有効な治療法が確立していない、さらに、薬事法で承認されている治療薬もないという現状にあると認識をしてございます。

 保険適用との関係でございますけれども、ただ、この線維筋痛症によって生ずる痛みの症状について処方される鎮痛剤につきましては診療報酬は支払われるわけでありますし、他の疾患にかかっていないことを診断するためのMRI検査などにつきましては、実施された場合には診療報酬が支払われる、保険が適用されるということに整理されているわけであります。

福島委員 薬事法上の適用については、これはこれから治療法の開発と同時に積極的な対応が必要だと思いますが、今の政府参考人の御説明ですと、線維筋痛症という病名を使ってさまざまな請求をするということについて障害があるというわけではない、こういう御説明だろうというふうに思います。

 ただ、実際のところ、臨床の現場のお話をお聞きしておりますと、なかなか線維筋痛症は知られていないということで、そういう病名を使うことによってレセプト請求自身がはねられる心配があるんじゃないか、こういう懸念も多分あるんだろうと思いますし、そういう意味では、線維筋痛症についてやはり広く知っていただく、こういうことが必要だろうというふうに思います。

 そしてまた、実際に線維筋痛症の患者さんを診る医師が少ないということもあるようであります。私の大阪におきましても実際に診ていただけるドクターは二人ほどしかいない、こういう話で、そこに患者が集中する。そしてまた、なかなか疾患の診断が難しいということもありまして、いろいろなところを回るんだけれどもなかなか診断がつかない、こういうたらい回しのような状況を余儀なくされている、こういう実態もあるようであります。

 二百万人と推定される患者の数があるわけでありますから、より疾患を診ることができる医師というものをやはり育てていく必要があるというふうに思いますけれども、このあたりの実際の治療にかかわる体制はどうなっておるのか、現状をお聞きしたいと思います。

西山政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、医師は非常に不足している状況にあると私ども思っております。

 その理由として、先生も御指摘ありましたけれども、その概念が、国際的にも比較的新しい、また、診断が一般的な血液検査、画像検査では明確になりにくいという難しさがあるというふうに承知しております。

 このため、私ども、研究費補助金で行う研究班の活動の一環としまして、線維筋痛症の診察を行う医療機関の情報を収集しまして、地域ごとに医療機関名、大阪でありますと九カ所しかないわけでありますけれども、いずれにしても、そういったことで医師名をホームページに公開することによりまして、患者さん方が円滑に診察を受けられるように努めているところであります。

福島委員 そういった情報提供におきましても、患者団体との共同作業といいますか、こういうものにぜひ積極的に取り組んでいただければというふうに思います。

 そして、先ほど厚生労働省としての取り組みの経過について御説明いただきましたけれども、まだまだこの線維筋痛症につきましては、どのように診断するのか、診断のためのステップ、ガイドラインといいますか、どういうふうにフローチャートをつくっていくのか、こういう問題もあるだろうと思います。そしてまた、治療についても、恐らくこれは中枢性の薬剤によって何らかの改善を図るしかないんだろうというふうに思いますけれども、そういったことについても研究を進める必要がある。

 そうしたことから、研究班につきましても、これだけ多くの患者がおられるわけでありますから、引き続いて精力的な研究を進めていただきたい、このように思いますけれども、政府としての御見解をお聞きしたいと思います。

西山政府参考人 先ほどお答え申し上げました十五年から研究班を設置しておりまして、十九年度末で一たん予定した研究期間を終えることになっております。

 今後でありますけれども、平成二十年度に向けまして、研究計画の公募及び専門家による研究計画の評価を行いまして新たに三カ年計画をつくりたい、線維筋痛症の発症要因の解明及び治療システムの確立と評価に関する研究というようなことで助成してまいりたいというふうに考えております。

 この研究班におきましては、先生御指摘のとおり、この病気の病態の解明あるいは治療法の研究に一層取り組む、それから、これらの研究の成果によりまして、診断、治療法の確立、ガイドラインまでいけばいいと思いますけれども、そういったものの作成や一般医師への普及が進むように期待しているところでございます。

 研究班等への助成を通じまして、今後とも、この病気に関する医療の向上に努めてまいりたいと考えております。

福島委員 ぜひよろしくお願いいたしたいというふうに思います。

 また、難病の指定ということについても、さまざまな経緯もありますし、また問題があるということも事実でありますけれども、特にステージの重い方、4でありますとか5でありますとか、日常生活に相当の制約を受ける、就労するということも非常に厳しい、こういうようなことから、何らかの形で支援ができないか。特に日常生活上の困難がある人については、例えば介護保険における介護サービスというようなものが利用できないかとか、より幅広い視点で御検討いただければというふうに要請をさせていただきたいと思っております。

 続いて、年金記録の問題でございます。

 先ほど来、各委員から御質問がありました。昨年の夏に方針を決定して、そして、この三月で可能性のある方についての特別便の送付が終了する、大変大きな前進であるというふうに思っております。まだまだ膨大な、今後解明を進めなければいけない記録が存在するということは事実でありますけれども、一年を切る期間の中で、どこからどこまで整理をしなきゃいかぬのか、こういうことが極めて明確になったということにおいても大きな前進であるというふうに思います。

 この間、どのような取り組みをするべきかということについては、八億五千万枚の旧台帳、紙台帳から全部まず照合すべきだ、こういう御指摘もありました。しかし、やはりできることからやっていく、そして一日も早く国民の皆様に通知すべきは通知する、こういうステップをとったことは決して間違っていなかったし、正しかったと私は思います。八億五千万枚の問題からストレートにいきますとどのくらい時間がかかったか、私はわからないんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味では、まだまだ一里塚であるというふうに思っておりますし、今後も引き続き全力を挙げて、国民の信頼が回復できるような取り組みをしていただかなきゃいかぬというふうに思っております。

 その中で、幾つか改めて問題になっているところがあります。特に、今まで厚生労働省の説明の中で解明済みである、こういうふうに言われているものが本当に解明済みなのか、こういう御指摘があろうかというふうに思います。特に、死亡が判明した者等の記録、これは、直近の数字ですと、既に解明済みであるということで三百七十五万件、そしてまた、氏名等補正中であった記録の中でも七十七万件、こういうぐあいになっているわけであります。

 この中で、本当にすべてが済んでいるのか、特に、死亡してしまったけれども支給されていない年金があるのではないかとか、そしてまた、遺族年金の問題もあります。そういったことまでさかのぼると、これをいつまでも解明済みだという位置づけにとどめておくわけにはなかなかいかない、そこのところの仕分けをしっかりとしなければいけないというふうに思うわけであります。

 今後新たな給付に結びつくことは皆無ではないけれども可能性が低い記録、これはどの程度低いかということがよくわからないわけでありますが、厚生労働省からいただいた資料でありますけれども、こうしたことについて今後どうするのかということについて、簡単に御説明いただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員の方から御指摘いただきました死亡の届け出がされている記録についてでございますけれども、これは私ども、解析の作業を進める中におきましてこの部分の分析を行いました結果、国民年金あるいは厚生年金の被保険者の資格喪失の原因が死亡ということで届けられている、そういう記録であるということが判明したわけでございまして、そういうようなことから、内容を解明済みの記録というふうに整理して、今月十四日に公表しました未統合記録の全体像の中に明記させていただいたという経緯でございます。

 一般的に、社会保険事務所に対しまして、被保険者の方が亡くなった場合の届け出でございますけれども、これは国民年金の被保険者であれば市町村を経由いたしますし、それから厚生年金の被保険者であれば事業所を経由するということでございます。いずれにいたしましても、通常は、市町村なり事業所の方に亡くなりましたという届け出が遺族よりなされた場合には、遺族年金あるいは未支給年金の手続の案内が行われているわけでございまして、そういうことからすれば、特段の事情がない限り、そうした年金へ受給が結びついていると考えて差し支えないのではないかというふうには考えているわけでございます。

 したがって、これらの年金について見ていった場合に、支給されていないということになっているとすれば、それは一般的には、遺族年金あるいは未支給年金を受けられる遺族の方そのものが当時いらっしゃらなかったという可能性が高いということで、それを前提にすれば、今後新たな給付に結びつく可能性は低いというふうにも考えているわけでございます。

 けれども、何らかの事情で遺族年金あるいは未支給年金につながるような手続を踏んでいただけなかったというようなケース、そういうものも皆無ではないんだろうというふうに私ども考えておりまして、そういうことからいたしますと、例えば公示などによりまして、遺族年金などを受けることができる方のお申し出を受けるといった対応をしていく必要があるのではないか、そういうふうな考え方でこれから検討をしていこうというふうに考えている次第でございます。

福島委員 この点についても、今後の検討の中で、国民の皆様から、それだったら納得できる、こういうところに到達していただきたいというふうに思っております。

 また、先ほど来、なかなかこの訂正に結びつかない、こういう御指摘がありました。入念の照会を全国で格差なくしっかりとやっていただく、こういう御答弁でありました。最終的にどこまでそれがいくのかな、こういう話だろうと思います。当然、国民の皆様お一人お一人の御協力ということも必要だというふうに思っておりますし、これは先般も大臣に、ぜひしっかりやっていただきたい、こういうお話をいたしました。

 その上で、ある程度作業が進んだ段階で、夏ぐらいになるんでしょうか、最終的に、こうした訂正がされない残された記録というものについて、それを例えば国の責任で統合するのかしないのか、こういったことも含めて、やはり私は、ぜひとも検討すべきであると。それをそのまま、訂正がありませんでしたということでいつまでも残しておく、しかし、それを乱暴に統合するという話も、これはまたならぬ話でありますから、そこのところは、この間よくよく御議論していただきたいなというふうに私は思っております。

 また、何よりも大事なことは、新しい組織をいかにつくるのか。今、社会保険庁の皆さんは、この五千万件の記録の問題をどう処理するかということで本当に御苦労されていると思います。またそれは、今まで半世紀にわたっての業務がこういったことをもたらしたのだから当然やらなきゃいけない、こういう話でありますけれども、一方で、新しい組織をどうつくるのかということについても、これは全力でやはり頑張らないといけない、こういう話だろうと思います。

 先ほども取り上げられておりました、やみ専従の問題でありますけれども、こうしたことも明らかになってきたわけであります。こうした職員の方について、では新しい組織ではどう採用するのかということについても厳正に対応していただかなきゃいけない、こういう話だろうというふうに私は思っておりますが、日本年金機構の創設に向けた取り組みの現状、そしてまた職員の採用に係る厳正な姿勢ということについて、御見解をお聞きできればと思います。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

西川副大臣 お答えさせていただきます。

 先ほどから、社会保険庁に対するこの数年来のさまざまな不祥事、その中でも、徹底してこれは廃止、解体、そして新しい組織をつくるんだということになりました。その中で、二つの組織に分割する、いわば、年金と健康保険、両方やっておりましたから、これを二つに分割するということになりました。その中で、日本年金機構、これが今回の年金を主に扱う機構として新たに誕生するわけですが、平成二十二年一月に設立することとして、今準備が行われているところでございます。

 その中で、やはり基本的な一番のこととしては、職員がもう公務員ではなくなる、民間人としてなるということで、能力と実績による人事管理、これを徹底して導入する。そして、職員の皆様の徹底した意識改革、まずこれが一番大事だと私も思っておりますので、それを徹底して図るということ。それと、いわゆる情報提供その他、いわば国民の側に立ったサービス向上、本当にこのことを徹底したい。それから、いわば組織そのものが非常にレガシーなコンピューターシステムなどを使っていたということで、この刷新を図ります。それから、事務の集約化。そしてもう一つは、やはり民間への外部委託ということを考えていこう。

 そして、一番大事なことは、今先生がおっしゃいました職員の採用の問題ですけれども、これをこのまま、今の職員がそのまま移行するということは避けたい。その中で、どういう職員をきちんと採用していくのか、このことが一番問題になるわけでございますけれども、日本年金機構の職員の採用と業務に関しましては、内閣官房のもとに設置されました年金業務・組織再生会議におきまして議論をずっと続けてきたところでございます。昨年の十月と十二月に中間整理をしていただきましたところでございますが、本年の五月を目標にいたしまして最終整理が行われまして、六月に基本計画を策定する予定でございます。

 その中で、運営方針や職員の採用基準、労働条件の決定、このあたりを、きちんと各方面から選出していただきました設立委員のもとに決めていただきまして、職員の採用は、実際問題としては長官がそれぞれの御意見をちょうだいした中で名簿を提出するということになると思いますが、しっかりと対応して、この問題、設立準備を進めていきたいと思っております。

福島委員 年金の問題について、あと二つだけ、これは質問ではなく要望でありますけれども、消えた年金の実態というのが明らかになってきています。きょうの日経新聞でも、三千八百件程度あることがわかった、こういうふうに書いてありますけれども、一つ一つ、これはどういう経緯で消えてしまったのか、どこに責任があったのかということについてつまびらかにすべきである、このことを申し上げておきたいと思います。

 また、年金記録の訂正、第三者委員会に頑張っていただいております。先ほど来、その迅速化を図る、こういうことで見直しをすべきだ、こういう御指摘がありますが、一方で、また、この第三者委員会、実際に相談者の方から相当いろいろな形でプレッシャーを受けるといいますか、そういう事態があることも事実でありまして、訂正に当たりまして、やはり厳正さは求められなければいけない、こういう話で、やすきに流れるということは余りよろしくないんだろうなというふうに思います。そういったことを十分勘案の上、御対応いただければというふうに思っております。

 続いて、医療の話でありますけれども、医師不足の話、各委員からそれぞれまた御指摘がありました。特に最近、私が思っておりますのは、兵庫県の県立病院での小児救急に関して、行政ということではなくて、むしろ患者サイド、保護者のサイドが立ち上がって、コンビニ受診というものはやめようじゃないか、コンビニ受診を続けていくと小児救急のドクターが倒れてしまうという運動がスタートしました。NHKでも報道されておりますし、幅広く知られるようになっておりますけれども、ある意味では、医療を利用するユーザー、患者のサイド、こちらの意識もやはり変えていく必要がある、救急車の利用についてもそうでありますけれども。

 特に、医療法の改正によりまして、都道府県ごとの医療計画について改めてつくり直す、こういう流れになっております。その中では、患者、市民の声を反映させるというようなことがありますけれども、こうしたことを契機に、市民みずからが、住民みずからが、自分の地域の医療というものをどう考えるのか、そしてまた医療の実態ということを踏まえて、患者自身が、そしてまた市民自身ができることはやっていく、こういう国民的な運動をぜひとも起こすべきなんだろうというふうに私は思っております。

 そのためには、やはり各地域でつくられるところの医療計画の策定に当たって、市民の声をどう反映させ、そしてまた、市民の意識の変革にどう結びつけていくのか。今までのように、単に行政の中だけでつくればいいということではなくて、そういった幅広い視野を持って取り組みを進めるべきである、このように思っておりますけれども、この点についての政府の見解をお聞きしたいと思います。

外口政府参考人 先般の医療法改正におきましても、患者の視点に立った医療提供体制の確保を図るという観点から、特に、がん、脳卒中、救急医療などの医療に関する連携体制の構築に当たっては、医療従事者や介護サービス事業者に加えて、住民の方を含めて協議を行うよう求めているところであります。

 意見聴取や協議は、地域の実情を反映した医療計画の策定の推進に資するとともに、医療資源の状況、当該地域の医療提供体制のあり方について、住民の方に御理解していただく重要な機会になるとも考えております。

 この一月にも、全国の担当部局長会議で、医療連携体制構築への住民の方、患者の方の参画をお願いしたところでございますが、こうした取り組みが進むよう、さらに機会をとらえて、都道府県に対して要請してまいりたいと考えております。

福島委員 ややもすると、同じような形でつくり続ける心配が多々あるなというふうに私は思っております。形だけ整えればいいというものではない、こういう時代になっているというふうに思いますので、ぜひまた進捗状況をよく御指導いただければというふうに思います。

 続いて、療養病床の見直し、これはいろいろな御意見がありまして、今、最終的な取りまとめのプロセスにあろうかというふうに思っております。

 その中で、一方で診療報酬では、十八年の改正で特殊疾患病棟というものについては見直しをするんだ、これは二十年の改定におきましては、存続します、こういう流れになりました。これはある意味で別の話でもあるんですけれども、やはりつながった話でもある。特に療養病床の見直しということにおいては、政策決定の上において、どのような患者が入院しているのかという全体像の把握の上でさまざまな判断がなされたというふうに思っております。

 ただ、その中で、実際、神経難病のような方で、特に、年齢も若くて何とか一日でも長く生きていただきたい、こういう思いで家族の方がケアをしておられる方もたくさんおるわけであります。それは、全体の比率でいうと、脳卒中の方が多いとか認知症の方が多いとか、そういう話になるのでありましょうけれども、しかし一方で、こうした神経難病の方もある程度の比率で必ずおられる、こういう実態があるわけであります。

 実は今、こういう特殊疾患病棟の見直しという流れを受けて、その後、十八年以降、各地の医療機関からこの特殊疾患病棟というのは消えていっております。それは、見直しをしたとしても、一たんやめた場合には、またもとに戻るという話にはならないだろうと私は思います。そういうときに、こういう神経難病のような方の受け皿をどうするのかという話になるわけであります。

 療養病床について将来像をどうしていくのかということもありますけれども、その中で、こうした医療ケアが非常に必要である、ニーズが高い、現場的に言うと手間がかかるという話になるわけでありますけれども、そういう方についてしっかりとケアができる体制をどう考えるか。それは全体のマルメの話で済まないところだろうというふうに思います。

 最終的に、こうした改革を進めるに当たって、必要なものはしっかり確保していく、こういう視点を忘れずにやっていただきたいと思いますけれども、この点についての政府の見解をお聞きしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 まず、療養病床の再編成につきましては、先生御指摘のとおり、現在、各都道府県におきまして検討をいただいているところでございますけれども、神経難病のように重度の疾患の患者に係る病床につきましては、当然、医療の必要度の高い方々のための病床として療養病床の目標病床数に織り込んでいただくべきもの、このように考えております。

 また、御指摘のありました特殊疾患療養病棟についての診療報酬改定でございますけれども、平成二十年度におきましては、重症心身障害者の方々それから神経難病の患者の方々を中心に入院医療を提供している施設に限定した上で、存続させるというふうにしたところでございまして、今後とも、このような長期の医療を必要とする方々に対して必要かつ適切な医療が提供されるように努めてまいりたいと考えております。

福島委員 先ほど少し言葉が悪かったんですが、現場ではそんな言い方をする。本当に医療ニーズが高い、必要な方について、これはこれからの例えば療養病床の診療報酬の決定のときにも、そういう要素もある、そういう方がやはりなかなか受け入れられませんよと。

 こういう話もありました。私が相談を受けたところは、寝たきりの、正確に言いますと失外套症候群、意識はある、しかし何もできない、その中で角膜炎、結膜炎を起こすわけですね。そこで、こういうことを言われるわけです、移ってくださいと。特殊疾患病棟があるところは眼科医もいるので診てもらったんですけれども、療養病床に移ってください、こういう話になりますと、そこには眼科医はいないわけです。眼科医はいないけれども移らざるを得ない。そうすると、命が大切なんですか、それとも目が大切なんですか、どっちですか、こういうことを現場では言われる。それはどちらも大事なんですね。

 そういうさまざまな医療ニーズのある方がいるんだ、それを全体の改革の中でどう位置づけるのかということは厚生行政、医療行政にとっては極めて大事な話だというふうに思いますので、きめ細かい対応をしていただきたいと思います。

 時間も限られておりますので、ちょっと質問を前後させていただきまして、この四月から後期高齢者医療制度がスタートいたします。その保険料の問題については与党としてもいろいろと取り組みをさせていただきましたが、一方で、後期高齢者の方が抜ける国保の方はどうなんだ、こういう話が一つあります。気がついてみたら何か国保の保険料も上がっていますよ、後期高齢者医療制度というのをスタートしたのは、むしろ現役世代の負担を軽減するためにやったんじゃないんですか、しかし逆に国保の保険料は上がっているじゃないですか、これはどうなっているんだ、こういう指摘が現場からはあります。

 ここのところはきちっと御説明いただく必要があります。後期高齢者医療制度というものが国保の財政、国民健康保険の財政にどのような影響を与えるのか、この点について簡単に説明いただきたいと思います。

水田政府参考人 新しい高齢者医療制度が国保財政あるいは国保の保険料に与える影響についてのお尋ねでございますけれども、まず一つは、老人保健拠出金が後期高齢者支援金に変わるということがございます。この場合、老健拠出金の方は高齢者に係る医療給付費の五割であるのに対しまして、高齢者支援金の方は四割でございますので、拠出額が減少するということがございます。

 それからもう一つ、前期高齢者の財政調整制度がございますけれども、この場合、これは御存じかと思いますが、医療保険者は前期高齢者の加入割合が全国平均であるものとみなして財政調整をするということになるわけであります。国保は前期高齢者の加入割合が高いわけでございますので、一般的に交付金が交付されることになるわけでございます。これまでは退職者医療制度というものがございましたが、これは、サラリーマンOBに対する財政調整に限定されていたものが、今回は前期高齢者全体に対象が広がるということでございます。

 以上、総合いたしますと、新しい高齢者医療制度そのものにつきましては、国保財政、国保保険料に与える影響としましては、全体としてプラスと考えております。

 ただ、個々の市町村をとって考えますと、やはり、当該市町村の医療費の動向でありますとか、財政運営の、基金の状況がどうであるとか、あるいは一般会計からの繰り入れをどうするかとか、いろいろな個々の事情があろうかと思います。そういうもろもろの影響が国保の保険料に最終的に来るわけでありますけれども、少なくともこの新しい高齢者医療制度そのものについてだけ見ていただきますと、これは財政にとってプラスである、このように考えております。

福島委員 それで、現場的にはどう理解されているかといいますと、四月からの保険料の通知で、医療分は賦課限度額四十七万円、そして介護分は今までもありまして、これはちょっと省きますけれども、それに支援金の賦課限度額ということで十二万円という話になりまして、どうも、後期高齢者医療制度がスタートして、改めて何か支援金を取られているんじゃないか、こういう話になっている。

 実は、今まで拠出金ということで医療分の中に丸められていたわけです。それが外に出されたという話なんですけれども、必ずしもその説明がしっかりとなされていないし、そしてまた、今まで五十六万円でしたか、その限度額を、今回、足し算すると五十九万ですから、三万円引き上げたということになりまして、それがそのままいきますと、やはり保険料が上がったんじゃないか、こういう話になる。

 実際には、限度額いっぱい取っておられる市町村は少なくて、五十三万のところがほとんどだというふうに思いますから、五十三万からすると六万という話になってしまうわけでありまして、ここのところは、実際、限度額をそう決めるということと、どのようにそれを運用するかという話は、また別な話であります。

 もちろん、市町村の国保の財政状況によっても、どうするか、こういう話も当然あるわけでありますけれども、そこのところの関係をきちっとしないといけませんし、説明をしていただく必要もありますし、そしてまた、ただ単に、賦課限度額もいっぱいまですぐ取ります、こういう話も、私はとても乱暴な話だろうなというふうに思うわけであります。

 この点について、国として、それぞれの自治体国保についてどのような御指導をしていただいているのかということについて御説明いただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 後期高齢者医療に対する支援金のお話でございますけれども、これは、制度の説明をさせていただいておりますように、若い人が給付費の四割、それから高齢者の方が一割を負担する、その四割につきましては、社会連帯ということで現役世代から支援金を拠出していただく、このような仕組みになっているわけでございます。

 各医療保険制度におきましては、この高齢者に対する支援金の負担を明確にするということから、まず健康保険におきましては、前期高齢者納付金を含めまして、特定保険料という区分を設けたところでございます。それから、お話のありました国民健康保険におきましては、保険料の中に後期高齢者支援金分というものを設けまして、保険料の内訳を明示したところでございます。

 これもただいま委員の方から御説明ありましたとおり、従来の国保の保険料の構成といたしましては医療分と介護分の二区分であったものを、今後は、医療分をいわば現役分と支援分というふうに二つに分割して三区分にしたということでございまして、これは新しく負担がふえたということではなくて、考え方として、これまで二区分だったものを三区分に変更したということでございます。

 この点につきましては、これは都道府県なりの担当者会議におきましてこの趣旨というのはよく説明しているつもりでございますけれども、それが必ずしも徹底していなかったということがありますとすれば、さらにこの考え方をきちんと説明するように徹底したいと思います。

福島委員 いずれにしても、後期高齢者医療制度がスタートするということで、高齢者の方々御本人にも説明は大事ですし、それ以外の方々についても、何のためにどう変わったのかということについてわかりやすくぜひ説明をしていただきたいというふうに思うわけであります。

 最後に一点、個別の案件でありますけれども、今まで私もずっと地元の視覚障害の方々の団体とおつき合いがありまして、視覚障害の方々、聴覚障害の方々、ITの技術によってさまざまな活動の場が広がるということで、ぜひそういった障害者の当事者団体にも、さまざまな形でそういうITの講習ということについてそれを広げるチャンスを与えていただきたい、こういう要望がありました。それは経済的な支援ということも当然あるわけでありますけれども、この点についての政府の取り組みについて最後にお聞きしたいと思います。

新島政府参考人 お答えいたします。

 IT技能習得を目的とした職業訓練についてでございますけれども、視覚障害のある方の職域を拡大して就労の可能性を大きく広げるという趣旨から、全国に十九カ所設置されております障害者職業能力開発校におきまして、OA事務、ソフトウエア管理等の訓練科を設けて職業訓練を実施しているところでございます。

 また、障害のある方が、居住する身近な地域で職業訓練を受講できるように、企業、社会福祉法人、民間の教育訓練機関等、民間を活用した障害者委託訓練を全都道府県で実施しておりまして、IT技能習得を目的とした訓練コースも多数設定をいたしておりまして、視覚障害のある方も受講しているところでございます。

 今後でございますけれども、障害者職業能力開発校におきまして、視覚障害のある方の受け入れ体制をより一層整備していくということと、それから、効果的な訓練あるいは指導技法の普及等に取り組むことによりまして、視覚障害のある方の受け入れが可能な委託訓練のコースの設定を進めてまいりたいというふうに思っております。

福島委員 柔軟に、また充実した対応をしていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、一時間の時間を賜りまして、ありがとうございます。

 委員長にお聞きしたいのですが、議事録強制削除というのは、なぜ削除されたんですか。

茂木委員長 私は答弁者でありませんので、長妻委員の方から御意見をいただいた上で、説明が必要であったらきちんと説明をさせていただきます。

長妻委員 いやいや、御意見というのは、今委員の皆様に配付をした資料の四ページ目でございますけれども、我が党の山田理事、山井理事と私の連名で議事録削除に厳重抗議をして、回復をしていただきたいということを申し上げているんですが、なぜ削除をされたんですか。

茂木委員長 それで御意見はよろしいですか。(長妻委員「はい」と呼ぶ)

 それでは、私の方から説明をさせていただきます。

 本件につきましては、長妻委員の御発言のありました昨年の十月二十四日当日の理事会におきまして、与党理事より問題発言として削除要求が出され、理事会等において協議をしてまいりました。筆頭間でも協議をしていただきました。しかし、合意に至らず、三カ月近くが経過をすることになりました。

 この間、長妻君の発言問題、会議録にしまして一・五行分が決着しないことから、広く国民に委員会での議論を知ってもらうことに資するべき会議録全体、質疑時間にして六時間分、ページ数でいえば三十九ページ全体が三カ月発行できないという異常事態に陥っておりました。

 そこで、会期末の本年一月十五日を迎えるに当たりまして、野党理事にこういった状況を説明の上、長妻委員本人にも連絡をとっていただきました。

 確認していただいたのは、問題となっている発言については、長妻委員御本人がみずから削除していただくのが望ましいが、それができない場合は委員長の職権において処理せざるを得ないという内容でしたが、野党理事より、御本人よりは削除しないとの御回答がありましたので、事前に野党理事にもお話しした上、最終的に、衆議院規則第七十一条に基づき判断をしたものであります。

 衆議院規則第七十一条の秩序保持権に関して申し上げれば、今回の長妻君の発言の場合、御本人も認めているとおり、また、当日の状況及び会議録にも明らかなように、議場からの不規則発言に対して長妻委員が与党席に対して発言したものであり、いわゆるやじに対し応酬をしたものであります。

 本会議先例集二六三には、「発言者は、私語に応酬することができない。」となっております。この本会議先例集は、当然、各委員会運営にも適用されるものであります。

 つまり、長妻君の発言は本来の議題とは関係のない発言でありまして、そもそも、恐らく委員が主張されるであろう言論の自由の問題とは趣旨を異にするものでありまして、従来から禁止をされているものであります。

 以上が、本件に関するこれまでの経過及び判断の根拠であります。

 本件は、委員会運営にかかわる問題でありますので、もし委員より御要求がありましたら、理事会において協議をさせていただきます。

長妻委員 おかしな理由が今何点もあるのでございますけれども、まず、議事録が発行できない、だからこういう措置をしたというような御発言がございましたけれども、別に、発行するしないは委員長の判断で、つまり、この発言を残したまま発行する、こういう判断もできたわけにもかかわらず、なぜ削除するのかということであります。

 そして、もう一点目はこの発言の中身でありますけれども、当然、これはやじが出たというのはその当時の状況としてありましたけれども、私は、この質疑席で申し上げているわけで、これまでの政府に対するあるいは与党に対するいら立ちを自分の政治信念に基づいて発言をしたわけでございまして、この発言が秩序を保持するために果たしてなぜ消さなければいけないのかということであります。言論に対しては言論で、これが間違っているのであれば委員長なりの反論をしていただければと。

 もう一回読みますけれども、「与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、政府の。」これは私の信念で発言したわけでございまして、何でこの言葉を秩序保持のために削除しなきゃいけないのか。委員長の、この言葉、発言に対して、なぜなのかということをもう一回明言いただきたいと思います。

茂木委員長 衆議院規則そして先例集に基づいての私の判断については御説明を申し上げたところでありますが、長妻委員、二月八日の衆議院の予算委員会におきましてその点を指摘されております。そして、長妻委員が今引用されました、「与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、」その前段の部分で、長妻委員はこのように言っております。それは何の発言かというと、このような状態になって、紙台帳照合を私が執拗に迫ったら、与党からやじが飛んだので、私がこういう発言をいたしました、こういう話であります。

 長妻委員がおっしゃるのが、御自身が、確かにミスター年金と呼ばれる大変重要な人物でありまして、規則は適用するな、特別扱いをしてほしい、こういう御趣旨なのか、それとも、規則そのものを変えて、やじに応酬できるようにする、そういうふうに規則を変えて、その規則の変更を過去にさかのぼって適用しろ、こういう御趣旨なのかよくわかりませんが、いずれにいたしましても、理事会において協議をさせていただきます。

長妻委員 何か今看過できない発言がありました。非常に、自分だけ特別扱いしてくれと言わんばかりの発言が今ありましたけれども、全く違いまして、秩序保持のためには私の了解もなくこれをいきなり削除する、それ以外でも秩序保持というのはいろいろな手法というのはあると思うんですが、この発言自体に対して何か問題があるということで削除されているんですか。

 国会の議論で、当然、やじがいろいろ飛んだときに、その思いを質疑者が質問の中で言うというのはよくある話でありまして、それがすべて削除されたとは聞いたことがありませんので、多分、この発言の中身に問題があったんだと私は推察をして、そして言論の観点から抗議をしております。これは我が党の国対委員長の名前で、本日、茂木委員長や自民党の国対委員長あてに再度抗議文を送りました。

 これは、過去の例を見ますと、二〇〇二年の十一月、衆議院政治倫理特別委員会で、社民党議員が、自民党政治につきものの利権政治、こういう発言があって、これが同じように、本人の同意も理事会の同意もなく強制削除を自民党委員長によってされたという先例もある。

 削除は戦前にもありまして、日米開戦二年近く前、一九四〇年二月、衆議院の本会議、これは歴史に残る、民政党の斎藤隆夫議員の支那事変処理に関する代表質問、これが議長によって半分以上が議事録から削除された。その中身の中には、ただいたずらに聖戦の美名に隠れて国民的犠牲を閑却しというくだりや、あるいは、政府の首脳部に責任観念が欠けている、この発言が問題になったと言われて、いまだにこの議事録は回復をされていないということでございまして、これはぜひ回復していただきたいと思うんですが、いかがですか。

茂木委員長 御発言の内容につきましては、理事会におきまして、それぞれ与野党で意見がございました。

 ただ、私の判断基準につきましては、先ほど申し上げましたように、衆議院規則第七十一条の秩序保持権に関して行ったものでありまして、そして、もう一度申し上げます。本会議先例集二六三には、「発言者は、私語に応酬することができない。」このような決まりになっております。つまり、長妻君の発言は本来の議題とは関係のない発言で、そもそも、今、長妻君が引用された部分の言論の自由とは問題を異にするものでありまして、従来から禁止をされているものであります。そういう禁止をされているものに対して問題となりましたので、最終的な判断をさせていただいた。

 さらに申し上げますと、突然というお話でありますが、私といたしましては、丁寧に、委員会運営の問題でありますから、野党の理事の方ともお話をした上で、事前に、こういうことをします、そういうお話もした上で削除はさせていただいております。

長妻委員 そうすると、ここは「与党というのは」というのが主語になっていますけれども、これが、じゃ、別に、野党というのはであっても、別に与党、野党、この文章の中身ではなくて、やじが飛んだときにちょっと黙っていてくださいということも削除を今後は全部する、こういう話になってしまうわけですか。

茂木委員長 それぞれの委員会の運営の問題につきましては理事会で協議をさせていただいております。そうした理事会の協議も経まして、私として最終的に委員長の職権において判断をさせていただきました。

長妻委員 そうすると、先ほどのちょっと……

茂木委員長 長妻君、指名をしてから発言をしてください。

 長妻君。

長妻委員 そうすると、先ほどの話との整合性の意味でお尋ねするんですが、つまり、やじに対する応酬をすべて削除するわけじゃなくて、理事会なり与党の理事の意向や、あるいは委員長の意向で決めるという話でありますけれども、その取捨選択の基準であります。

 そういう意味では、ここの中身ですね、「与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、政府の。」と。この中身も勘案して削除したということも含まれるわけですか。

茂木委員長 その前に、私の申し上げていることを御理解いただきましたか。

 本会議先例集二六三には、「発言者は、私語に応酬することができない。」このような決まりになっております。そして、この先例集につきましては、議運委員会での合意を経まして各委員にお配りをしてあります。そういった国会のルールであります。その国会のルールにつきましては、各委員に私はお守りをいただきたい。きょうは与党の理事にも同じような趣旨で注意をさせていただきました。そのような形で、厳正、公平に今後も委員会の運営を行っていきたいと思いますので、各委員の御協力、よろしくお願いをいたします。

 何にいたしましても、この問題につきましては委員会運営にかかわる問題でありますから、理事会において協議をさせていただきます。

長妻委員 いや、委員長こそ私の質問を今理解できましたか。

 というのは、委員長が言われているのは、やじに対する応酬だからという話でありましたけれども、やじに対する応酬をすべて削除するわけじゃないわけでありまして、やじに対する応酬でも、その中身を見て、内容を勘案して削除しているというふうに私は思うわけで、やじに対する応酬でも削除するものと削除しないもの、これがあるわけでありまして、これをなぜ、じゃ、私のところは削除したのか。この中身に関する委員長の御判断があったと私は思っているわけで、その判断を教えてください、こういうふうに聞いています。

茂木委員長 委員会の運営に関しまして、理事会で問題が提起をされました。その問題提起に対しまして、国会法、衆議院規則、そして先例集に基づいて、委員長としての判断をさせていただいたわけであります。

 ですから、長妻委員も、御自身が規則を破られた、何で規則を破って悪いんだと言われても、答えようがございません。

 理事会において協議をさせていただきます。

長妻委員 そうすると、その理事会、与党からの発言、理事会での要請の中には、やじへの応酬プラスこの発言に対する、内容に対する問題点というのも指摘があったわけですか。

茂木委員長 指摘はございました。それにつきまして、与野党で丁寧にお話をいたしました。

 さらに申し上げますと、削除後、野党の理事から、理事会等におきまして、一度もこの問題についての問題提起は行われておりません。(発言する者あり)理事会においては行っておりません。(発言する者あり)いや、やじには応酬していません。

 御静粛に願います。

長妻委員 そうすると、明らかになったのは、つまり、やじへの応酬でも削除するものとしないものがある、二種類に分かれる。そうすると、委員長は、これを削除したのは、与党の理事の要請にもあったように、中身の発言の内容の問題というのも委員長は勘案をしたということも含まれるわけですか。

茂木委員長 冒頭申し上げましたように、私は答弁者ではありません。内容につきまして、私の判断、それから、これまでの経過につきましては十分皆さんにもおわかりいただけるように説明をさせていただきました。

 今後の取り扱いにつきましては、理事会において協議をさせていただきます。

長妻委員 いや、これは百年後にもこの議事録は残るので、これは国会の恥になると思うんですね。

 これは、委員長、この発言の削除をしたのは、この中身も、内容ですね、発言内容も勘案して削除ということをされたのかどうか、そこだけ我々は聞きたいわけです。

茂木委員長 私の判断基準については明確に御説明を二度にわたって申し上げました。

 質問を続けてください。

長妻委員 いや、委員長、都合の悪いときは逃げるというのはちょっとおかしいので、これは非常に重要な問題ですので、この発言の中身も勘案して削除に及んだ、こういうことでよろしいんですね。

茂木委員長 違います。私が申し上げたのは……(発言する者あり)御静粛に願います。

 衆議院規則第七十一条の秩序保持権に関して申し上げれば、今回の長妻君の発言の場合、本人も認めているとおり、また、当日の状況及び会議録にも明らかなように、議場からの不規則発言に対して長妻委員が与党席に対して発言したものであり、いわゆるやじに対し応酬したものであります。

 本会議先例集二六三には、「発言者は、私語に応酬することができない。」となっております。この本会議先例集は、当然、委員会運営にも適用されるものであります。

 つまり、長妻君の発言は、本来の議題とは関係のない発言で、そもそも委員が主張される言論の自由の問題とは趣旨を異にするものであり、従来から禁止されているものであります。

長妻委員 いや、ですから、質問に答えておられないんですね。

 つまり、そういうやじに対する応酬でも、削除される発言と削除されない発言が存在する、これが削除されたのは中身も勘案して削除したのかという何度にもわたる質問について、委員長は答えられない。こういうことでその判断を逃げておられる。私は、これはもう絶対あきらめずに削除を回復させるべく今後とも取り組んでまいりたいというふうに思います。

茂木委員長 長妻委員に申し上げますが……(長妻委員「ちょっと、発言の途中ですので。発言の途中です。本題に入りますから」と呼ぶ)いや、私からだってあれですよ。では、規則は守らなくていいんですか、何度も申し上げているように。規則は守らなくてもいいんですか、長妻委員だけは。

長妻委員 いやいや、そんなことはないですよ。そんなことはない。ただ、秩序保持であれば、削除する以外にやりようがあるんじゃないですか、ほかにも。理由を言ってください。――この問題、引き続き我々はあきらめずに取り組んでまいります。

 消えた年金問題の質問を申し上げますけれども、この三月末公約というのがございました。その中に、自民党が選挙の前に配布したビラ、自民党機関紙によると、こういうことが書いてございました。「政府・与党は今後一年間で全ての統合を完了させます。」こういうふうにありますが、今後一年間というのはいつまでの約束でございますか。

舛添国務大臣 昨年七月五日の政府・与党の決定では、三月までに五千万件のコンピューター上における名寄せを行う、その後十月までかけてねんきん特別便をお送りするということは、正式な文書として決めたところでございます。

 この選挙のときの資料、これはいろいろ、例えば統合とか突合とか名寄せ、その後もですけれども、いろいろな説明の仕方をした、それが非常に国民に誤解を生むようなやり方であった。そういうことについては重ねて私の方から謝罪を申し上げているところでありまして、「今後一年で未確認の年金記録五千万口の名寄せを全て完了」とも書かれてあったり、今後一年で問題解決と今御指摘のように書かれていることでありますけれども、これは、一年間で五千万件の年金記録と一億人の記録をコンピューター上で突き合わせる、そういうことを七月五日の政府・与党の決定では決めていたわけでございます。

長妻委員 そうしますと、この「政府・与党は今後一年間で全ての統合を完了させます。」というのは、これは間違いの記述であった、こういうことでございますか。

舛添国務大臣 名寄せという言葉を使ったり突合という言葉を使ったり統合と、これは我々自身もいろいろな使い方をした。しかし、今申し上げましたように、五千万件についての年金記録と一億人の記録をコンピューター上で突き合わせをする、そして一億人の方に、この三月までは名寄せができた方はお送りする、そうじゃない方を含めてこれは一億人へ十月までにはお送りする、そういう意味であります。

長妻委員 では、これは間違いであって、撤回するということなわけですね。そうですね。

 そして、この政府の、今、平成十九年七月五日の年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会取りまとめという文書を言われたんだと思うんですが、ここにはこう書いてあります。「「五千万件」の記録とすべての方の記録との名寄せ」「「五千万件」の記録とすべての年金受給者及び現役加入者の方々のコンピュータの記録との名寄せを実施する。(平成十九年十二月から平成二十年三月までを目途)」「五千万件の名寄せの結果、記録が結び付くと思われる方に対し、その旨と加入履歴をお知らせする。」これも「(平成十九年十二月から平成二十年三月までを目途)」と書いてあります。

 記録が結びつくと思われる方ということでいうと、結局三月末までに千三十万人、千百七十二万件ということでございますけれども、そうすると、記録が結びつくと思われる方というのは千三十万人ということでよろしいんですか。それ以外はいないということですか。

舛添国務大臣 これは、コンピューター上の突き合わせを委員御承知のようにやりました。そして、千百七十二万件を特定して、千三十万の方にねんきん特別便を今お送り終わったところであります。

 残る記録につきましては、コンピューター上でできません。例えば、先ほども申し上げましたけれども、田中さんという名前だったのが山田さんに変わった、そうすると、山田さんという名前でコンピューターを検索しても田中さんは出てきませんから、そういう方はぜひお知らせくださいと。今、二月、三月、婚姻で名前が変わられた方の特別キャンペーンをやっておりますので、そういう方がお申し出くださって、そして調べてこれは統合が進んでいくということでありますので、そういうきめの細かい一つ一つのケースについて段階を踏んで行っておりますので、そういうことがこの七月五日の工程表であり、私はそれを忠実に実行していると考えております。

長妻委員 いや、私が聞きましたのは、記録が結びつくと思われる方というのは千三十万人以外にいないというふうに政府は考えておられるのか、いると考えているのか、どちらかということです。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、山田さんが田中さんに変わったというようなケースで、これが結びつけば結びつくということであります。

長妻委員 大体何人ぐらいいると推計されておられるんですか。

舛添国務大臣 それはまさに、今、例えばこの二千二十五万件が、これは三月十四日に発表いたしましたように、今から解明しないといけない記録と言っています。その中に、例えば今の婚姻によって名前が変わられた方でお申し出があった、それでどれだけこれが解明できるのか、これはまさにやってみないとわからないので、今、一生懸命やっております。

長妻委員 やってみないとわからないというのは、やるべきことをぎりぎりやって、それでもわからないというならわかりますが、我々が提言したことをやっていないでそういう発言をなされるのはいかがなものかというふうに思います。

 そうすると、結局、一番皆様が公約だと言っておられるこの政府・与党連絡協議会の取りまとめであっても、記録が結びつくと思われる方に対してお知らせするということで、それが三月末、今月末、千三十万人にとどまっているということで、それ以外にも記録が結びつくと思われる方がいるというふうに認めておられるわけで、そういう意味では、一たん、三月末の公約は実現ができませんでした、そういうふうに謝罪をする、公約が守れなかったということを一たん認めるということが私は非常に重要だというふうに思います。

 つまり、我々が申し上げておりますように、紙台帳との照合を並行的に早くから続けていればこういう結果にはならなかったというふうにも私は思っておりますし、なぜ公約を守れなかったかというふうなことを認めて謝罪が重要かといいますと、このまま公約は守った守ったというふうに強弁をしてそのまま時間が過ぎると、これまでやってきた手法が、つまり、去年の七月五日に決めたスケジュールあるいは手法をほとんど変えずにそのまま突っ走ってしまう、こういう危惧を我々は持っておりまして、一たんここで公約が守れなかったということを認めて謝罪をすれば、政府の中にも、これまでのやり方が不十分だった、見直そうという機運が高まって、方向転換をする、非常にいい方向に物事が生まれると私は思うんです。

 一度、公約が守れなかったということを率直に大臣として認めて国民の皆さんに謝罪をする、それで手法を変えて、もっと十分な手法をさらに強力に取り組むという宣言をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

舛添国務大臣 もうずっと私は、一貫して御説明申し上げていますように、七月五日の政府・与党の取り決めというのは、今委員がまさしく御説明してくださったように、まず三月末までにコンピューター上の名寄せをやる、そこでわかった方にねんきん特別便をお送りする。これは今確実にやって、千三十万人に行っています。

 そして、そのほかの、つまりコンピューター上の名寄せは今やったわけですから、そうじゃなくて、これは住民基本台帳に当たってみる、いろいろな手段があると思います。それから、今言った、婚姻によって姓を変えられた方に申し出ていただいて、変えてみる。それについても着実にやっていって、そして十月までには、すべての年金受給者、加入者、一億人に今の年金の状況について特別便をお送りする。そして、その過程において、いろいろな作業も今はやっています。少しでもこの全貌が明らかになって一人一人の年金記録が再確立できるように、それをやっている過程です。

 もちろん、委員おっしゃったようないろいろな手段があると思います。しかし、限られた人員と限られたコストの中でどういう手段でいくのが一番早くこの問題解決に至るのかな、それは、政府・与党として、その手段がよかろう、つまり、可能性の高いところからやっていく、まさに可能性の高いところからやっていって、少しずつ、あきらめずに最後までいろいろな努力をやっていく。

 したがって、そういう意味では、マンパワーとお金が無尽蔵にあればそれはできますけれども、やはり政策というのは優先順位のつけ方であろうと思います。私どもは、政府・与党は、こういう優先順位をつけて今やっております。そして、その過程で、長妻委員を含めて、いろいろないいアイデアを皆さんからいただいていますから、それも取り込めるだけは取り込んでさらに前に進めてきたところでありますし、今後とも、皆さん方の御意見を賜りながら、全力を挙げてこの問題の解決に努めてまいります。

長妻委員 そうすると、大臣は、以前、エンドレスというような発言もされましたけれども、時期はいつですか、終了めど、解決めどは。

舛添国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、昨年七月五日の工程表に基づいて、一つ一つ着実にこの問題を解決していくわけですから、それはいつ終わるとかいうことを、今からいつ終わるということではなくて、十月までにはこういうスケジュールでやりますということでやっていく。

 そして、私は、それはいろいろな評価があると思います。半年もやって千三十万人の人の記録しか見つけることができないのか、そういう批判もあることは承知しております。しかし、これは、厚生年金自体が昭和十七年に始まった、残念ながら、何十年にわたる社会保険庁の無責任さと使命感のなさ、こういう積もりに積もったものを、我々はきちんと責任を持って一つ一つ解決しております。

 そして、その解決の過程において、今ここまでやりました、毎月私は、ここまでどういう件数を解明しました、これから解明しないといけないのはどういうものですということをきちんとやっておりますから、私は、一つの大きなめどですよ、最後の解決とか言いません、めどは、十月までに一億人すべての加入者、受給者に送れば、あとどういう問題が残っているのか。

 それはまさに、最初から、この問題はこれだけあってこれだけ片づければわかるというならだれも苦労しません。未知の問題に、だれも中身を知らない問題に今一生懸命取り組んでいるわけですから、その過程過程において、一月に一遍国民の皆様に、こういう状況です、ではどうしましょうか、いろいろな御意見も賜りたい、そういうことで進んでおりますから、私は、このやり方が間違っているとは思っておりません。

長妻委員 普通、こういうプロジェクトをやるときは、どこの企業でもそうですけれども、それは不確定なことというのはいっぱいあります。ただ、最終的に解決という目標はこうこうこうで、それが期限がどのぐらいなのかを決めて、人、物、金はトータルで幾らなのか、そしてプロジェクトを始める。途中での微修正はもちろんありますけれども、到達の目標もわからない、あるいは期限もわからない。我々は、社保庁解体の二年以内に、できる限りの対策、紙台帳との照合も含めてやるべきだと提言をしておりますが、それを余り聞いていただいていない。

 そうすると、三月末の公約というのは守られたのか守られていないのか、端的にどちらなんですか。

舛添国務大臣 先ほど委員が御指摘になった選挙のときのビラ、こういうものが不正確な記述をしていたということについては、何度も私は謝罪しておりますし、これは政府・与党、きちんと反省しないといけない、そして、正しい広報活動を行わないといけないと思います。しかしながら、七月五日に決めたことについては、私は、忠実にその約束に従って作業を進めているわけであります。

 そして、三月が終わったからそれで終わりだとかいうことではなくて、きちんと、今もまた、きょうもまた毎日これに取り組んで、一人でも多くの国民の皆様の年金の記録を確立する、そういう努力を続けております。(発言する者あり)したがって、七月五日の政府・与党が決めた公約はきちんと守っております。

茂木委員長 山井委員に申し上げます。

 この後、御自身の質問の時間がありますので、御意見はそこでおっしゃってください。

長妻委員 これは、与党も先ほどからやじを私に対して言っているわけで、それもきちっと注意していただきたいと思います。

茂木委員長 午前中から皆さんも見ていただいているとおり、与党に対しても野党に対しても、必要な注意はしております。

長妻委員 それで、今、公約は守られたというふうに言われましたけれども、ただ、この政府・与党連絡協議会の約束でも、記録が結びつくと思われる方にお知らせするということで、その方は千三十万人じゃないんですね。もっとおられるというのは政府も認めておられるわけで、その点からいっても公約は守られていないということをきちっと認めて、手法を抜本的に変える必要があるということを私は強く申し上げます。

 そして、大臣はいつもこういうことを言われるんですね、マンパワーと金が無尽蔵にあればと。今も言われましたし、前回の予算委員会でお尋ねしたときも言われたんですが、そういう抽象的な言い方ではなくて、そうであれば、マンパワーと金が無尽蔵にあればと言われるのであれば、どれだけ莫大な金がかかるのか、人数とお金の規模というのはどのぐらいなものを大臣の頭に想定されておられるのですか。

舛添国務大臣 それは、細かく一つ一つの作業について詰めていかないと、大体どれぐらいということは言えません。例えば、コールセンターの人の数が今百人でやっていて、これを三百人体制にふやす。そうすると、一人の人件費、一日に一万なら幾らという計算をして積み上げていくわけですし、それは今、コールセンターはたくさんねんきん特別便に対するお答えが参っている、それをふやしていく、そういう観点で積み上げていって、そして全体でどうという数ですから、それは今漠然とどれぐらいということは申し上げることはできません。

長妻委員 いや、そうであれば、大臣のこの発言というのは非常に無責任なんじゃないでしょうか。いや、やればできるんだけれども、マンパワーと金が無尽蔵にあればできるよ、こういうふうに国民の皆さんに、あたかもすさまじい金がかかるからそれは非効率的だと言わんばかりの発言に聞こえるのですが、何にも数字を持っていなくて、マンパワーと金が無尽蔵にかかるからなかなかできないんだ、こういう発言というのはおかしいんじゃないですかね。

 幾らぐらいかかるのか。国民の皆さんは、やはり自分たちが本来もらうべき年金がもらえなくなっているわけで、責任追及も含めてきちっとやった上でその経費を表に出して解決に進むということが重要であって、その金がよくわからないで、ただマンパワーと金が無尽蔵にあればできるよと言わんばかりの発言は慎んでいただきたい。

 そして、この五千万件の内訳を発表されましたけれども、国民の皆さんにも非常にわかりにくいんですね、政府が発表した内訳。そこで、三つに分けるのがわかりやすいんではないかと我々は考えておりまして、五千万件を三つに分ける。

 一つは、統合済みの記録。もうその方に記録が戻った、記録が回復したという方が、二月末で五千万人中四百十七万件。しかし、これもたった八%で、非常に、紙台帳との照合をしないためにこれほどの数字になっているということもゆゆしき事態でありますけれども。二番目のカテゴリーは、今後新たな給付に結びつかない記録。そして三番目は、現時点で新たな給付に結びつくかどうか不明の記録。

 こういうふうに三つに分けるのが非常にわかりやすいんではないかと思うんですが、とすると、今後新たな給付に結びつかない記録というのは五千万件中何件だと政府は考えておられますか。

舛添国務大臣 これはいろいろな分類の仕方がございます。私たちがやったのは、七月五日の工程表に基づいて、まず名寄せをコンピューター上でやってみる。そのことによって内容の解明がなされたものが幾らあるか。それから、解明しても、亡くなった方もおられる。しかし、その中でねんきん特別便をお送りしないといけない件数の方が幾らいるか。それでさらに二千二十五万件を今後解明を進める。こう分けて、それをブレークダウンしていっているわけですけれども、統合済みの記録は、これは特別便を送ったからということだけではなくて、この年金記録問題が大きく世に出てきたときから、直接御自分で窓口へ行かれてチェックしたら、これは記録が間違っていた、そして統合された、これは約四百十七万件ございます。

 それで、新たな給付に結びつかないことが確定したということをたしかおっしゃったんですが、それは、死亡一時金を受給している方が、記録が約六十万件あります。それから、脱退手当金の受給などにより新たな受給に結びつかない、これはもう脱退手当金をもらっているわけですから、と考えられるような記録は約五百八十八万件であります。

 さらに言えば、今後新たな給付に結びつくことは、皆無ではないけれども、可能性は私は低いと思っている記録は、例えば、死亡の届けがなされている記録、これが約百九十四万件おられます。これは、死亡届、例えば、我々の親が亡くなったときに届けに行くと、そのときに、必ず年金の手続もしてくださいよということを窓口で言ってくれますから、そういうのが百九十四万件。

 それから、死亡の届け出をされている記録または……(長妻委員「新たな給付に結びつかない記録を聞いています」と呼ぶ)

茂木委員長 勝手にお互いにやりとりを、大臣も、それから質問者もしないでください。

舛添国務大臣 失礼しました。では、ちょっと一遍やめます。

長妻委員 そうすると、今お話があったように、今後新たな給付に結びつかない記録というのが、死亡一時金を受給している記録六十万件、脱退手当金等を受給した記録、既に給付等に反映していると考えられる記録、納付期間のない記録五百八十八万件、足して六百四十八万件ということでよろしいのでございますね。

舛添国務大臣 委員が御指摘のとおりです。

長妻委員 そうすると、結局、政府の見解というのは、統合済みの記録が四百十七万件、そして、今申し上げた、今後新たな給付に結びつかない記録が六百四十八件、そして残りの四千三十万件が現時点で新たな給付に結びつくかどうか不明の記録というふうに考えられると思うんですが、我々が問題にしたいのは、本当に六百四十八万件、今後新たな給付に結びつかない記録と分類されていいのかということでありまして、ぜひサンプル調査を要求いたします。

 つまり、政府が今後新たな給付に結びつかないというふうに分類している記録のサンプル調査、死亡一時金を受給している記録をピックアップして、紙台帳まで当たって、あるいは御本人まで確認して、本当にもらっているのか確認する。あるいは、脱退手当金等を受給した記録も、紙台帳まで当たって、御本人にも確認して、本当にもらったかどうかを確認する。既に給付等に反映していると考えられる記録もサンプル調査をして、その方が本当に年金を受給されているのかを確認する。納付期間のない記録というのもその中には入っておりますから、ミスではないか紙台帳や御本人に当たって確認をする。

 今申し上げたこの四つのカテゴリー、今後新たな給付に結びつかないという四つのカテゴリーのサンプル調査は、これはぜひしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

茂木委員長 長妻委員、先ほどの御発言の中で、結びつかない記録六百四十八件と言っていますが。(長妻委員「六百四十八万件です」と呼ぶ)万件でよろしいですね。

舛添国務大臣 例えば、死亡一時金を受給されている記録、これはもう、普通、常識で考えれば、一時金を受給しているし、死亡ということですから、それはもうあっても本当に数が少ないだろうと思います。

 ただ、今はとにかく二千二十五万件の解明に全力を挙げたいというふうに思っています。この件については、今その過程で、私は、先ほど来申し上げていますように、この作業に優先順位をつけてやりたいということですから、その優先順位をつける作業手順というのが重要だと思いますので、この件は、今のところは二千二十五万件の解明に全力を挙げる、そのことがまず先だろうというふうに思います。

茂木委員長 サンプル調査についてはいかがですか、質問のあった。

舛添国務大臣 今のところは、サンプル調査をやる前に、二千二十五万件の解明、そして一億人全員に対して加入記録、そして加入者全員に、受給者全員に送るという作業を十月までにまず完遂したいと思います。それから、今委員が御指摘くださったようないろいろな残された問題についても、これはサンプル調査を含めて、その段階で検討したいと考えております。

長妻委員 いや、そうであれば、六百四十八万件は今後新たな給付に結びつかないなんて断定しないでください。これは大変なことになりますよ。五千万件だって初めは、全員が死んだ人の記録です、こういう発言を生のテレビ番組に出た社保庁の課長がおられるわけです、そういう発言をした。そういう決めつけが非常に問題を大きくしているわけで、ぜひこの四つのカテゴリーのサンプル調査を、では、十月過ぎにはするという話でありますが、もっと早目にしていただきたい。する前に、それは新たな給付に結びつかないという断定は今後一切やめていただきたいということもお願いを申し上げます。

 そして、新たな数字が出てまいりましたのが、平成十九年九月までの累計、一年間の窓口の受付等で、国民年金千五百四十一件が、本人は本物の領収書などを持っていた、しかし、社保庁のコンピューターにも、あるいは社保庁や自治体の紙台帳にも何にも記録がない、本人の領収書などの証拠以外は世の中に何にもないというのが千五百四十一件あったということで、ここに今資料、先ほどいただきましたけれども、本当は配付資料にしたかったんですが間に合わずに、分類をこれは出していただきました。

 この分類の中で、一番長い抜けというのが八年半もあったということでして、これは、例えば納めた場所が集中しているとか、そういう傾向も含めて御報告をいただきたいと思うんです。

舛添国務大臣 今言った件についてちょっとポイントを申し上げますと、八年半という数字があったような訂正の月数で、最も短いものが一カ月です。それから、最も長いものが百二カ月。それから、領収場所については、納付組織を含む市区町村が千二十一件、金融機関が四百六十四件、郵便局が百九十件、社会保険事務所が二十二件、不明が三十三件。さらに、三番目といたしまして、記録訂正に至った被保険者等が保有していた資料につきましては、領収書が九百六十件、年金手帳が七百二十六件、領収済み証明書が四十七件。以上でございますが、それぐらいでよろしゅうございますか。

長妻委員 そうしましたら、あらかじめ申し上げていたんですけれども、市区町村、消えた年金の多い市区町村、上位十というのはどんなものがありますか。

舛添国務大臣 これは、市区町村につきましては、市区町村ごとの集計をしていないために、直ちに今この場ではお答えできませんが、取りまとめ次第、事務方の方から回答をさせていただきたいと思います。

長妻委員 郵便局や社会保険事務所も集中している可能性があると思いますので、それもあわせて取りまとめいただきたい。

舛添国務大臣 郵便局につきましては、社会保険庁で個別の郵便局名は今把握できていないためお答えが出ないと思いますが、社会保険事務所につきましては、国民年金東京社会保険事務所が三件、東京都国民年金部が三件、国民年金神戸第二社会保険事務所が三件、小倉社会保険事務所が二件、鹿児島社会保険事務所が二件、以上でございます。

長妻委員 集中している可能性もあると思いますので、ぜひ調査をして公表をいただきたい。

 なぜこれを申し上げたかというと、この社保庁の調査でもう一点わかることは、例えば同じ平成十九年の九月末で、結局、社保庁や自治体の紙台帳には発見された、しかしコンピューターにはなかった、全くなかったというものも同時にデータが出ました。それが二千九百四十六件であります。二千九百四十六件は、紙台帳にはあるけれどもコンピューターに入っていない。これは常識的に考えると、入力ミスなどが原因であります。

 だからこそ我々は、紙台帳との照合というのが喫緊の課題だというふうに申し上げているところで、これももう再三再四いろいろなところで申し上げておりますが、社会保険業務センターの三鷹庁舎に三億データの厚生年金、国民年金の納付記録が入力されております。五千万件が宙に浮いたということで今回大問題になりましたが、二・五億件は持ち主がわかっているから安心だとは言えない。これも、紙台帳からの入力ミスで受給額が減る入力ミスが発見されておりますので、そういう意味でも、根本的対策の一つが、八・五億件ある紙台帳とコンピューターデータの照合だと何度も申し上げております。

 社保庁解体の二年以内にやってくれと申し上げておりますが、これは見積もりをつくる、二年以内にやるにはどれだけ人、物、金がかかるかという見積もりをつくるというのを、昨年十月二十四日の当委員会で舛添大臣は私の質問で言われております。これは、いつまでに見積もりはつくっていただけるんですか。

舛添国務大臣 先般、三月十四日の関係閣僚会議におきまして工程表を示しましたけれども、まず、特例納付など複雑で特殊な記録であります国民年金の特殊台帳の記録、これが約三千三百万件ございます。これについて、平成二十年度において突き合わせを行う。それから、市町村が保管する国民年金の被保険者名簿の記録、これは約一億四千万件ですが、これにつきましては、平成二十一年度以降の作業の具体的な実施方法の検討や実施のための準備作業を進める。そして、厚生年金の被保険者名簿等の記録については、これは六・八億件でありますが、これは三月までにサンプル調査を、今行っております、実施し、四月以降、その結果の分析を行った上で、突き合わせの優先順位や効率的な実施方法などの検討を進めるということになっております。(長妻委員「見積もりはいつごろ」と呼ぶ)

 四月以降、その分析した結果、どういう方法でやるかということを検討し、今の状況の上に今後の方策をとりたいと思っております。ですから、四月、出てきて以降、検討させていただきます。

長妻委員 これは見積もりですから、早目に。

 結局、今回、ゴールはわからない、人、物、金もさっぱりわからない。ふたをあけてみなきゃわからないという発言、午前中にも大臣からありましたけれども、なぜかというと、そういうサンプル調査を先延ばしにしているから、やみ夜を懐中電灯も明かりも持たずに歩いているのと同じ状態です。サンプル調査を多用して、どういうところに問題があるのか。今忙しいからサンプル調査しないんじゃなくて、今こそサンプル調査をいろいろして、明かりをつけて走るということが必要だというので、本当におかしな対応を続けられているということで懸念を持っているところであります。

 そして、もう前からもお願いしているんですけれども、この二・五億データのサンプル調査もぜひ至急していただきたい。持ち主がわかっている二・五億データをサンプル調査、国民年金、厚生年金ピックアップして、それをさかのぼると、例えば、何%は紙台帳は全く存在しませんというデータもあると思いますし、何%が紙台帳とコンピューターが違っていて受給額が減る入力ミスが発見されましたということもわかるんですね、二・五億データのサンプル調査をすれば。そうすると、五千万件プラス、これも大きな問題だということがわかって、全容がわかるわけでありまして、一番重要なサンプル調査がこれだと思っています。

 二・五億データのデータをピックアップして、入力ミスがどれだけあるのか、紙台帳までさかのぼって。このサンプル調査をぜひ、これは早目にしていただきたいと思うんですが、いかがですか、大臣。

舛添国務大臣 実は、十月までに一億人の受給者、加入者について一人一人データをお送りする、そして、そのプロセスにおいて一人一人その記録を再確立していくという作業をやる過程においてその点は明らかになると思いますので、サンプル調査だけやっても、全体の全部がわかるわけではありません。そういう意味で、私は、先ほど来申し上げていますように、まず一億人の方にすべて送ることが最優先であろうと思っています。

 それから、やみ夜に光がないんじゃないかということをおっしゃいましたけれども、これについては、私の直属の特別チームをつくって、そして、今のような点も含めて、サンプル調査ということよりも、全体の問題点に別の角度から、あらゆる角度から切り込めないかということを今やっておりますから、そういう意味での努力は続けているということは、これはお伝えしておきます。

長妻委員 いや、これは絶対手法が間違っております。サンプル調査を、今申し上げた最低限のものをどんどんやって、サンプル調査ですから、すぐにできるんです、やろうと思えば。そうすると、全体像がくっきりと浮かび上がってくるんですね。ふたをあけてみなきゃわからないという発言は、それは非常に無責任じゃないでしょうか。

 そういう意味では、今問題になっている標準報酬月額の変更あるいは喪失というのがさかのぼってなされている案件がいっぱいありますが、さかのぼってなされている案件をサンプル調査する、これも重要なんです。

 そういう、今申し上げたサンプル調査を、十月の後、まあぼちぼち考えようじゃなくて、それこそ今全容を明らかにして、昨年七月に立てた計画を、そのまま突っ走るんじゃなくて、柔軟に変更していく、補強していくという姿勢が今ないんですね。お役人は硬直的ですから、これは政治家のリーダーシップがないと絶対できません。ぜひそれを、大臣、決意を表明していただいて、十月とは言わずに、その前にも必要であればサンプル調査をするということを、一言お願いします。

舛添国務大臣 政治主導でこの問題を片づけないといけない、そして、これは与野党の党派を超えて国民的な課題としてオール・ジャパンで取り組まないといけない、その点については私は長妻委員と意見が同じであります。したがって、私のもとに直属の作業委員会を設け、また特別チームを設けました。

 そういう力を使い、そしてまた、節目ごとに、長妻委員のいろいろな提案をいただいておりますので、そういう提案も御検討させていただいて、私の判断でどういう優先順位でやるかということで、今後とも全力を挙げて取り組んでまいります。

長妻委員 領収書がない方を審査する総務省の第三者委員会、何か暴力団の方が入っていて事件化するというような話も聞きましたが、本当でございますか。

関政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような行政対象暴力等の事案につきましては、全国的に見ますと、威嚇、恫喝、脅迫、金銭等の不当な請求など、数十件が発生しているところでございます。

 第三者委員会の判断に当たりましては、このような行為の影響を受けることなく公正な判断を行うことが求められているところでありまして、行政対象暴力等として、委員会委員及び職員に対して直接的危害が及ばないよう、また不当な要求が行われないよう、所轄の警察等と連絡をとり合う等、対応をとっているところでございます。

長妻委員 これは、具体的事例を一、二、三例ぐらい、ちょっと紹介いただけますか。

関政府参考人 今、手元に具体的な事案についての資料を持ち合わせておりませんが、これまで職員から聞きましたところ、委員会にやってまいりまして、委員会の職員がいろいろ御説明をして相当丁寧に対応をいたしましてもなかなか帰らないというような事案があるというふうに聞いたことがございます。

 それから、第三者委員会にやってこられた方が、事務局からの説明に対しまして、その発言がおれの精神状態を傷つけたものであるということで、慰謝料の請求をするというようなことを主張しておられる方もあるというふうに聞いております。

長妻委員 いずれにしましても、これは時間が長引けば長引くほど、いろいろなモラルハザードも含めて、国民の皆さんの政府に対する信頼がどんどん揺らいできて、本当に国家の危機に直結するということになると思いますので、二年以内のできる限りの抜本的解決策、そして、サンプル調査を多用して全体像を早目に浮かび上がらせる努力というのは政治主導でなければできないというふうに考えております。

 本来は、社保庁の課長クラスがやる事務ミスの話なんです。こういう国会まで来て総理大臣まで出てくる話じゃありません。社保庁の課長がきちっとやっていれば済んだ話が、ここまで大きくなって国家の危機に結びつこうとしている統治機構の欠陥、これは政治家が解決する必要があるので、ぜひ舛添大臣や総理大臣にきちっとした解決、政治のリーダーシップを求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 きょうは一般質問ということで、特に取り上げさせていただきたいのは、食の安全の話。そして地方の病院の大変な疲弊の状況を踏まえた、病院への今後の支援、とりわけ勤務医の先生が医師を続けられるようにしていただきたいという思いからの質問。そして後期高齢者医療制度、これは大変不安と不満が強いわけでありますが、この制度についての確認。そして療養病床の廃止について、それぞれお伺いをしていきたいと思います。

 まず、食の安全についてでありますが、きょうは農林水産省の佐藤消費・安全局長にもお越しをいただいております。

 振り返れば、国民の皆様が大きな不安を持ったのは、日本国内でBSEが発生をしたことが一つの契機でありました。また近日もBSEの新しい症例が出てきたと承知をしています。平成十二年生まれということでありますが、これまでの政府の見解からすれば、飼料規制が行われた平成十三年の秋以降は、それ以後に生まれた牛では新たなBSE発生はないというふうな理解をしてよいのか。

 今、これは平成十二年生まれですから、もうぎりぎりまで来ておるわけでありますけれども、ここの点の確認と、そもそも、これはいまだに解決をしていないというのは大変残念なんですが、原因がいまだにわからないということなのか、今でも究明中なのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。

 委員御指摘のように、三月二十四日に確認されました三十五例目のBSEの陽性牛につきましては、現時点におきまして、平成十三年十月の飼料規制の強化以前の平成十二年十月十二日生まれの牛であるということが確認されておりますし、北海道内沙流郡平取町の肉牛経営で生産されたものということも確認されているところでございます。

 北海道において当該患畜あるいは同居牛の由来等々につきましての調査をしておるところでございまして、農水省としても、北海道と連携しながら原因究明を行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

 それから、感染原因の関係のお尋ねもございましたけれども、三十二例目までのBSEの感染原因と、それからBSEのリスク管理措置の再点検等を行うための委託研究ということで、昨年十二月十四日に開催されました第五回のプリオン病小委員会におきましてこの委託研究の説明が行われまして、その結果が妥当とされたところでございます。

 その中身といたしましては、幾つかの感染経路の可能性が示唆されておりますけれども、平成十三年の十月以降、飼料規制等のリスク管理措置を講じてきた結果、十四年四月以降に生まれました群では感染が確認されておらず、我が国もBSEの封じ込めに成功することが見込まれるというふうにされているところでございます。この委託研究の報告書にそのように記載されているところでございます。

 農水省といたしましても、厚生労働省と適切に連携をいたしまして、今後ともBSEに対する適切なリスク管理措置の実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。

岡本(充)委員 原因は、例えばどこの業者がつくった代用乳だったのかとか、一体どういう飼料だったのか、どこの肉骨粉だったのかということも経路を特定するべく努力をしていると、かつては言っていました。もうその経路の特定をすることをあきらめたということでいいんですか。端的にお答えいただきたい。

佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。

 先ほど御紹介をいたしました感染経路に関する調査の中で、幾つかの群に分けまして調査が行われているところでございますけれども、A群ということで記載されております一九九五年から九六年までに生まれました十三例につきまして、この中で、統計学的には共通の飼料工場で製造されました代用乳が原因となった可能性が考えられるが、オランダの疫学調査の結果及び欧州食品安全機関のリスク評価等の科学的知見を踏まえますと、オランダ産の粉末油脂を感染原因とする合理的な説明は困難であるというふうな説明がなされているところでございます。

 なお、その後につきましても、三十三例目、三十四、三十五と陽性牛が出てきておりますけれども、新しい事実あるいは新しいタイプのようなものが出てきた場合には、また改めて調査を行うことも考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。

茂木委員長 佐藤局長、説明には端的に答えてください。

岡本(充)委員 あきらめたということではなくてと言ってはいるようですけれども、実質的に究明できていない、そして、さたやみだということでは困るわけなんです。

 これは、今回話題になりました毒入りギョーザの問題も同じなんですね。あっちが悪い、こっちが悪いと言って、結局何だったか原因がよくわからない、対策が何を打てばいいのかわからないということにもつながってくるわけです。

 きょうは警察庁にもお越しをいただいております。

 中国政府は、二月二十八日に中国公安当局が記者会見で、メチルアルコールや水で薄めた六〇、三〇、一〇、一%の濃度のメタミドホスを使用して、密封した袋の外側に塗って、温度をギョーザの保存、輸送時と同じ零下十八度に保って十時間置くと、六十二袋調べたうちで八七%の袋の内側からメタミドホスが検出された、ここまで詳細なことを記者会見で発表しています。当然、承知をしているはずであります。

 ところが、日本は、なぜか気温二十一度、冷凍ギョーザの保温の温度ではありません、室温でありますから。ギョーザを室温に置いて、そして実際に検出された濃度の百倍濃い濃度を袋の外側に付着させて十二時間見たけれども、浸透しなかったと言っている。

 これは実験経過が全然違うわけでありまして、本来の保存温度で通るかどうかを確認するべきところを、これはやっていないんでしょうか。中国がこれだけ詳細に説明をしているわけですから、ここは確認をするべきだと考えるわけですが、なぜ確認をしていないのか。もしくは公表すらしていない。これは中国政府に、まさかおもんぱかっているわけではないだろうとは思いますけれども、日本の国民の食の安全にかかわることですから、明確にお答えをいただきたいと思います。

米田政府参考人 私どもの実験につきましては、メタミドホスが最も浸透しやすいであろうという条件でとりあえずやったものでございます。そして中国は、先ほど委員御指摘のような実験をやったと公表しております。当然、中国側の発表で知り得る限りのことで、こちらももちろん実験はしております。もちろん浸透はしておりません。

 ただ、中国側がどのような条件でやったのかという詳細がなければ同じような実験はできないということで、中国側にいろいろな資料の提供を求めまして、今、逐次来ております。そして、昨日から中国の鑑定の専門家が来日をしておりまして、現在、私どもの科学警察研究所の担当官と専門家同士の意見交換をやっております。そういうことを通じて、浸透するとかしないとかといったことについては解明を図ってまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 私が先ほど発言をした実験は既にやっており、その実験では透過をしなかったということでよろしいんですね。端的にお願いします。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

米田政府参考人 さようでございます。

 中国がやったものと同じ条件であるとは言えませんけれども、中国が発表した時点で、我々の知り得る限り、それに似た条件でやったということでございます。

岡本(充)委員 これについては、しっかり国民の皆様にも発表するべきじゃないかと思うんですね。きちっと日本も追加実験をして、そうじゃないんだということを反証しなければ、これは原因がまたわからないという状況になる。今度の胡錦濤主席の訪日やその先の洞爺湖サミットをにらんで、事を荒立てたくないと思っているんじゃないかと、うがった見方も一部ではささやかれているようであります。こういうようなことでは困る。だからこそ、一刻も早く原因の特定をしてもらわなければいけない。

 そういう意味では、内閣府にもきょうお越しいただいておりますけれども、これは実際に再調査に行くべきではないかという声も上がっています。袋の工場には今回、日本政府の調査団は行っていないと承知をしています。袋にメタミドホスがそもそも付着をしていた、この可能性が排除できないのではないかと思うわけでありますが、この点について再度確認をする御意思はないのでしょうか。

西村大臣政務官 御指摘の冷凍食品に係る薬物中毒事案につきましては、国民に深刻な健康被害をもたらして、食品の安全に関する不安感が広がっておりますことから、事案の発生が報告されました一月三十日以降、中国への調査団の派遣を含めて、政府としてでき得る限りの対応を図ってきておるところでございますが、いまだに原因が究明されたわけではございません。

 原因究明に関しましては、日中の警察当局における捜査とともに、日本側調査団が二月に訪中いたした折にお願いをいたしました資料が三月十三日に届きましたので、その資料の分析を今全力を挙げてやっているところでございますので、したがいまして、そうした取り組みをまず第一に進めて、中国への再度の調査は、こうした取り組みの結果を踏まえて必要性を考えてまいりたい、そういうふうに考えております。

岡本(充)委員 そこはやはり政治家の判断だと思う。先ほどの長妻委員の質問でもありましたけれども、政治家がリーダーシップをとってやるかやらないかというところもかかっている。

 国民の皆さんがまだ疑念を払拭できていない。しかも、袋を調べていないというところが厳然として残っている。なぜここを調べないのかという声があるわけですね。そこはリーダーシップを発揮して、調査に乗り出すということは不可能ではないはずであります。ぜひそのリーダーシップをとっていただきたいと思うわけですが、いかがですか。

西村大臣政務官 そうした委員御指摘の点も踏まえまして、まず、今までいただいた資料の翻訳を進め、そしてまた専門家による分析を今進めておるところでございますので、この結果を待ちながら、議員が御指摘の件もしっかりと検討してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 いつまでに結果を出しますか。

西村大臣政務官 まず、先ほども申し述べましたように、いただいた資料の科学的分析、これの結果を待ちたいと思います。(岡本(充)委員「いつまでにと聞いているんです」と呼ぶ)

 今、この科学的分析は、先ほどの警察庁を含めた関係省庁がやっておりますので、その結果を踏まえてやらせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 いつまでにと聞いているんですから、時間がないんですから、的確にめどだけでも出してください。そうしないと、国民の皆さん、この問題、一体いつまで続くのかと不安に思ってみえますよ。いつまでに、この場ではっきりさせてください。

宮澤委員長代理 言えるなら言える、言えないなら言えないと言ってください。

西村大臣政務官 日付に関しましては、今の段階では申し上げられません。

岡本(充)委員 今の段階では言えないということであったら、では、いつまでにめどを立てるか、それぐらいははっきりさせてください。

西村大臣政務官 できるだけ早期に、この結果をもってやりたいと思っております。(岡本(充)委員「それはだめですよ。それくらいちゃんと、委員長、答弁させてくださいよ」と呼ぶ)

宮澤委員長代理 今伺っておりましたけれども、めどが立たないものを国会の場ではっきり言うことはできないということのようでございましたので、それ以上は少し無理だと思います。

岡本(充)委員 めどだけでも。いつまでに、めどをはっきりさせてください。

宮澤委員長代理 それも非常に、なかなか難しいことと私は印象として聞いておりました。

岡本(充)委員 ちゃんとめどだけでも示してもらわないと、国民の皆さんはこんな話いつまで続くのかと思っているし、実際、中国の輸入食品を扱っている業者だって、えらい迷惑をこうむっているところがありますよ、まじめにやっているところもあるし。そういう皆さんが待っているわけだから、せめて、いつまでにその調整をつけることを、大体このぐらいになりそうだという報告ぐらいは、例えば今月中には、例えば大体四月の終わりぐらいになりそうですよとか、こういう話を言っていただきたいということです。そのめどぐらいは言っていただけるでしょう。

西村大臣政務官 検査がまだ終わっておりません。早急にするように督促いたしておりますので、この分析結果を待って早期にやらせていただきたいと思っております。

宮澤委員長代理 岡本充功君。(岡本(充)委員「検査なんてそんなにかからないんだから、科学的な検査なんて。だって、十時間塗ればわかる検査なんだから」と呼ぶ)

 指名したんですけれども、質問がないわけでございますか。(岡本(充)委員「そこはちゃんと答弁してもらわないと、次を続けられない」と呼ぶ)

 今承っていて、めどまでといいましても、正直、言える範囲のことはすべて言っていただいてということで、もう一度答弁してください。

西村大臣政務官 日付を委員の方で求められているようでございますけれども、この分析を科学的に今やっているところでございますので、早急に、これができ次第ということで御理解いただきたいと思います。

岡本(充)委員 では、分析が終わっているのか終わっていないのか、それぐらいは答えてください。分析だって、そんなに時間はかからないはずですよ。

西村大臣政務官 分析は、今のところまだ終わっておりません。翻訳を終わらせて、科学的な分析にちょっと手間取っているというふうに承知しております。

岡本(充)委員 これは、いつまでに出すのかはっきりしてもらわなければ、待っている人たちはたくさんいるんだから、早急にやってもらわなければ困る。

 これは、日付をいつ出せるのか、理事会で一度協議をしてください。それで次の質問に移ります。

宮澤委員長代理 後刻理事会で協議いたします。

岡本(充)委員 この話はこの辺にして、もう時間がないので、次に移ります。農水省の局長、ありがとうございました。

 そうしましたら、続いて、病院の件に移りたいと思います。

 今回、公立病院を含めて、さまざまな病院で医師不足が叫ばれている中、私としましても各地の病院をいろいろ見させていただいております。そういう中で、昨年末に、職能分担について新たな医政局長通知が出されたと私は承知をしております。

 年末ぎりぎりに出た通知でありますけれども、これに基づいて職能分担をきちっとやっていこうという話になっているにもかかわらず、実は、大学病院では、いまだに静脈注射を医師がすべて行っている病院も多いし、また中には点滴をつくるのも医師の仕事であるということで医師の業務が多かったり、また、胃カメラでとりました検体のいわゆる運搬、病理の検査室まで持っていく運搬も医師が行っている、こういうような実態があります。

 職能分担をしっかりやっていけという声とは裏腹に、一向に進まない大学病院における実態でありますけれども、この再調査、今後の取り組みについて文部科学省から明確に、これは日付をつけてお答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 御説明いたします。

 先生御指摘のとおり、大学病院における医師の過重労働を緩和すること、これについては、医師の負担の軽減あるいは医師確保の観点から極めて重要な課題と認識してございます。

 静脈注射を初めとする医療行為につきましての御指摘でございますが、この静脈注射については、実施病院については十八年の三月にまず調査をさせていただいて、昨年の三月にもその結果を取りまとめさせていただいて、増加はしておるところでございますが、必ずしも大きな増加というわけではございません。これについては、それぞれの病院における研修の実施、あるいは施設内基準、看護手順の見直しなど、そういう実施のための準備というのが必要であり、それが原因で早急に全体の実施に至らないというふうに思ってございます。

 このため、文部科学省といたしましては、本年一月に、医師を初めとする各職種の専門性が十分に発揮できるための勤務環境の改善あるいは効率的な業務運営の実施に努めるよう、文書により求めたところでございます。また、二十年度予算におきましても、大学病院に勤務する医師の過重労働を軽減するための財政措置を行うことなどをしており、各大学病院の業務実態に応じた判断のもとで、職員間の適切な業務分担が進展するように努力してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 努力をしているというより、ただ期待をしているだけじゃないですか。この話はもう何年私、聞いていますか。審議官、私はこの問題をいつから取り上げているか御存じですか。

土屋政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年より御指摘をいただいているというふうに認識してございます。

岡本(充)委員 もう平成十八年の三月からずっと指摘をしております。

 それで、当時から、もう既に平成十四年に医政局長通知があって、病院における静脈注射は看護師でいいんだという通知が発出されておりながら、大学病院においてはこれが遵守されずに、医師がほかの業務に手を割かれているという状況が続いている。これでは大学病院に幾ら医師がいても足りない、こういう話をずっとしてきたわけですよ。

 ちょうど医政局長と目が合いましたから、やはりこれは、医政局長通知、大学病院にも徹底をしてもらう必要がありますよね。端的にお願いします。

外口政府参考人 あらゆる医療機関に徹底していきたいと思います。

岡本(充)委員 今の答弁をしっかり現場に伝えて、これは徹底をしてもらわないと困る。改めてスケジュールはまた、進捗をしていただきたいと思いますが、きょうの答弁のとおり、調査をしてもう一度報告に来ていただきたいと思います。うなずいていただいておりますので、次へ移ります。

 そしてもう一つ、公立病院における病床数に応じた交付税の措置がなされていると私は承知をしております。

 病院事業に係る地方財政措置について、普通交付税の措置額の中で、いわゆる密度補正ということで、病床数に応じた補正を行っている。公立病院のガイドラインが示される中、今後、休床しているベッドがある場合、この休床分については密度補正をしないという方向性も言われておるし、その一方で、一床当たりのいわゆる金額、今大体一ベッド当たり約五十万円だそうでありますが、この金額について、ふやそうという議論もあるようであります。

 私、今回、地方の病院を回ってまいりました。周防大島という島に行ってまいりまして、そこに町立病院がありました。この町立病院などは本当に一生懸命やっている。本当に一生懸命やって、小さいながらも町の皆さん方の大きな期待をしょっている。こういう病院が今後ともしっかりやっていけるようにするためには、やはりそれ相応の援助が必要なんですね。効率化だ、集約化だといったって、島の端から端まで一時間かかる、そしてバスは最寄りの駅から片道千三百円から千四百円する、これでは通院ができないわけです。

 こういうところにおいてそれなりの努力をしてやってきている病院、例えばそういった病院が休床をした場合、そのいわゆる休床分の密度補正、まさか削減はしないとは思うんですが、そのお言葉を一言、きょうはいただきたいと思っております。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

榮畑政府参考人 ただいまの御質問でございますけれども、確かに、現行では地方交付税等々はその公立病院の規模に比例した形で算定してございます。したがいまして、こういうふうになりますと、あいているところに関しても算定することになるというふうなことで、こういう点を改めてはいかがかというふうな御指摘というのもさまざまな点からあったところでございます。

 ただ、それをあいているところに出さないというふうになりますと、まさに今お話しのとおり、山村、それから離れ島等々の小さなところにつきましては下がってしまう結果にもなるだろうということで、私ども、実は、これは大きな検討課題だと思っております。

 今後、交付税というのをどういうふうに算定するかということに関しましては、山村、離島等に対しましてどういうふうに措置していくかというふうなことも含めまして、今後の検討課題というふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

岡本(充)委員 山村、離島はもちろんですけれども、二次医療圏ごとの地域の主幹病院があるわけです。こういう病院にもきちっと交付税措置を、算定方法は変わったとしても、これまでどおりの額は確保できるようにしていく。端的でいいです、その決意で間違いがないかどうか、イエスかノーでお答えいただきたいです。

榮畑政府参考人 ただいまのお話のように、山村、離島だけではなくて、その地域に本当に必要な公立病院に関しましては、必要な財政措置というのはやはり続けていかなければならぬだろうと思っております。

 ただ、一方で、その地域に本当に必要なところというのはどういう指標でとっていくのか、実は悩んでおるところでもございまして、今後、ただいまの御指摘なんかも含めまして、どういうふうにすればいいかというのを十分考えていきたいと思っておるところでございます。

 以上でございます。

岡本(充)委員 続きまして、勤務医の皆さんから大変御関心を集めております医療事故調のことについてちょっとお伺いしたいと思います。

 三次試案を今後出すという話でありますが、その概要を、おおよそ話せる部分があればお話をいただきたいと思います。

 とりわけ、厚労省の事故調が病院に直接乗り込むという部分については修正がなされるのかどうか、それを中心にお答えをいただきたいと思います。

外口政府参考人 昨年提示いたしました第二次試案に続きまして、現在、現時点での考え方を示すために、第三次試案を早急に提示するよう準備を進めております。

 その中では、何点か申し上げますと、医療死亡事故の届け出の範囲を明確化する、それから、委員会と捜査機関との関係については、故意や重大な過失のある事例、そのほか悪質な事例について通知を行う仕組みとする、医療機関から医療死亡事故の届け出を行った場合は異状死の届け出との重複を避ける、行政処分はシステムエラーの改善に重点を置くといった考えを盛り込む予定であります。

 なお、詳細につきましては現在、さらに詰めているところでございます。

岡本(充)委員 大臣、これは第三次試案をいつごろ出そうとお思いなのかという話と、もう一つ、これもそもそもの話のきっかけともなりました福島県の大野病院で、今回、関係した医師に対して、禁錮一年、罰金十万円の求刑が行われたと聞いています。これに対する感想。これがたとえ有罪と確定したとしても、今度は行政罰を下すかどうかは一つ決断のあるところだと思うんですね。その辺については、大臣、どう考えておられるか。

 三つですね。三次試案がいつなのか、それから感想、それから行政罰をこの医師に科すつもりはあるのか。

舛添国務大臣 順不同にお答え申し上げますと、福島県の大野病院の件は公判中なので、大臣の私が司法に対して云々というコメントは避けたいと思いますが、私自身、実は大野病院の件をずっと、大臣になる前から検討課題としておりまして、産科の改革というのをどうするかという問題意識で取り組んできておりまして、その後大臣になっても、その問題意識は薄れておりません。

 そして第三次試案について。いろいろ一次、二次について意見があります。いつ出るかということは、できれば来週にでも出せないかと思って今調整を進めていますので、ちょっと何月何日という細かいデータは申し上げられません、来週にでもということで申し上げておきたいと思います。

 それで、問題は、実は委員もお医者さんであります、私もずっとここのところ産科のお医者さんと毎日のように議論をしている。そうしますと、どうしても、大野病院のお医者さんを含めてお医者さんの立場はよくわかるんです。そうすると、今度は患者さんの立場に立つと、全く逆の側面から問題提起されて、やはりこれは医療の提供者と受益者、医者と患者の間の相互不信感が、特に医療事故に遭われた方の御遺族なんかの話を聞くと、もう本当にお医者さんを信じていないというようなことがあるので、この両方の意見を承った上でどうするか。

 それで、私は、今の行政処分云々に関しては、個別の病院の名前は言いませんけれども、例えば帝王切開、胎盤の前置癒着、こういうような話にしたって、そのお医者さん個人のオペが悪かったのか。では、麻酔医はいたんですか、輸血の体制はどうだったんですか。やはり私はシステム全体の問題だと。だから、個人の医師に対して行政処分というようなことはできるだけ慎んで、システム全体を問題にすべきだというふうに思っております。

 それから、やはりこれも第三次試案で今検討中ですが、医師法二十一条、これはこのままでいいんですかという問題意識がございます。そういう意味で、お医者さんたちが、医療事故調査委員会ができたということのために医療行為を萎縮するということだけはあってはならない、そういう思いで今詰めをやっているところでありますので、広く現場の御意見も、医療提供者側のお医者さんの意見も聞き、そしてまた患者の側の意見も聞いて、大所高所に立って、できるだけよいシステムになるように努力をしてまいりたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

岡本(充)委員 私も、医師個人に行政罰をかける、もしくは刑事罰をかける、それがよほどの悪意だとか故意があった場合は別ですが、そうでなければ、そこにかけるというのは問題があると思っています。

 そもそも、医療行為がいわゆる刑法の違法性を阻却されているということもあわせて考えれば、よほどのことでなければ、これは本来、先ほど医政局長は、故意、悪意のあるものについては警察当局に通知をするという話でありましたけれども、この判断もなかなか難しいところです。

 実際に集められた証拠が、事故調に集まってきた証拠が、場合によってはそのまま、検察による起訴の段階で証拠として、公判で証拠に採用されるという話になってくると、真実が語られない可能性もある。こういうこともぜひ踏まえた上で、その調査のあり方、厚生労働省がそもそも乗り込んでいくことが妥当なのかどうかを含めてよく検討をいただきたいと思うんですが、局長、端的にお答えをいただきたいと思います。

外口政府参考人 この委員会の制度を成功させるには、医療関係者、また患者、遺族の立場の方、それぞれの皆様方の合意を得ることが大事だと思いますので、よくよく御意見を踏まえて対応していきたいと思います。

岡本(充)委員 続いて、後期高齢者医療制度について確認をしたいと思います。

 後期高齢者医療制度、そもそも私はこの制度の始まりの時点から、後期高齢者だけを切り分けて保険として成り立つはずがないんだという話をしてきました。医療費が、七十五歳より前と七十五歳以降では格段に七十五歳以降の方がかかる現実の中で、ここだけ切り分けて保険としてやっていくというのはなかなか厳しいんじゃないか、これから高齢者がふえる中で、ここの医療費はふえてくるんじゃないですか、こういう話をしてきました。

 確認をしたいんですけれども、この保険証、場所によっては青だったり紙だったり、いろいろあると思います。これまでいろいろ、政管健保、それから組合健保、国民健康保険、共済もあった、こういう健康保険の種類によって受けられる医療に差がなかったはずであります、この五十年以上にわたって。

 しかしながら、よもやでありますけれども、今後、新しい診療報酬の点数というのはつくっていくということですが、今現在では、例えば外来における後期高齢者診療料、これは六百点でありますが、これを選択すれば、六千円以上の検査をした場合は足が出るということになるわけですね、簡単に言えば。ということであれば、実質的に、頭のCTは撮れたとしても、それとともに血液検査をする、もしくは場合によってはMRIを撮ろうと思ったらこの六百点を超えてしまうと考えると、いわゆる後期高齢者診療料の方に設定をされている高齢者は検査が受けられなくなるんじゃないかという懸念もあるわけですね。

 こういうものを広げていくと、この保険証では検査ができません。まあ、できますよ、お金は病院が自己負担してくれればいいですよ、病院が泣いてくれればいいですよ、こういうことでは困るんです。今後とも、とりあえずこの二十年度会計だけじゃありません、これからも、厚生労働省が中医協に諮問していく、こういう中で後期高齢者が必要な医療を受けられなくなることがないようにしてもらわなければいけない。その確約をいただきたいと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 後期高齢者医療の診療報酬の創設に当たりましては、社会保障審議会の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会でおまとめいただきました後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方に基づきまして、診療報酬内容について中医協で議論をいただき決定したわけでございます。

 この一連の検討におきましては、高齢者に対する医療についても、国民皆保険の一環として、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという理念に沿って行っているものでございまして、今後も、後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療が提供できるよう、この理念を堅持した上でそのあり方を考えていきたいと考えております。

岡本(充)委員 適切な医療というのがくせ者です。必要かつ適切なというのがくせ者で、高齢者には適切ではないとか、高齢者の心身にふさわしい医療、これはふさわしくないよということで切り分けていく可能性がないわけじゃない。

 懸念しているのは、例えば、今はないですけれども、七十五歳以上に新規に透析導入しても、その予後に差がないというエビデンスがもし出たとする。そうしたら、予後上差がないらしいですから七十五歳以上は新規の透析導入はしませんと、できないような保険にされたら困るということなんですね。これからどういうエビデンスが出るかわからない。適切なという言葉、ふさわしいという言葉、これがくせ者。

 必要な医療については必ず提供できるということを御確認させていただきたいということです。

水田政府参考人 まさにこの必要かつ適切な医療を行うということが、国民皆保険の理念として、例えば規制改革会議に対しても申し上げてきたものでございますし、まさに必要な医療は行われるわけでございます。

岡本(充)委員 高齢者に切り分けて、適切な医療が違うという話になることは避けてもらわなきゃいけない。例えば、共済の方と政管健保の方、適切な医療に差はないはずであります。だからこそ、受けられる医療に今まで差が基本的になかったわけですね。

 ところが、今度の後期高齢者は新しい健康保険証になって、これも健康保険証の一つの種類です。この種類は、この医療は受けられないということになることを恐れている。検査、治療、投薬のどれもが、医師が必要と判断をすれば相応の報酬をもって、それは過度な報酬を払えというわけじゃない、相応な報酬をもって医療機関が積極的に検査ができる、こういう保険制度を維持するんだと、大臣、ぜひ決意をいただきたい。

舛添国務大臣 日本の誇るべき点は、国民皆保険をやってきた、みんながどこにいても、どういうときでも保険証一枚で医者にかかることができる、このすばらしい制度をきちんと守っていきたいと思います。

岡本(充)委員 そういう抽象的な話じゃないんですよ。はっきりしていただかないと、この二十年度改定では確かにそういうことはなかったかもしれないけれども、二十二年度改定のときに、いやいや、これは後期高齢者だけ統計を出してみたら、えらく金がかかっています、ここを減らさなければいけませんという話になってくるんじゃないですか。医療費の削減にきゅうきゅうとされているようでありますけれども、そもそも、その考え方でいけば後期高齢者の医療を絞るのが一番手っ取り早いという話になりかねないんだ。だから、これはないんだということをはっきり明言いただきたい。

舛添国務大臣 国民の命を守ることが第一優先順位でありますから、必要な医療はきちんとつけられる、そして保険証の種類が違うからといって、それで差別を受けることはない、そういうことであります。

岡本(充)委員 最後に、療養病床削減について一つだけ聞かせてください。

 療養病床削減も、そもそも政府が平成十八年度のいわゆる医療改革で、二〇二五年に五十六兆円になる医療費を四十八兆円に削減する一つの目玉として、療養病床削減で四千億円お金を浮かすということを目標としていた、もしくは計画していたはずであります。

 しかし、各都道府県がこの三月までに出してきた療養病床削減計画、とてもできないと言っているところがあるんじゃないですか。例えば新潟や京都、大阪、奈良、高知、宮崎、どうなっているんですか。そして、これらの適正化計画が出ていないところ、本来、法律で、これはことし平成二十年の四月一日に医療費適正化計画を出さなきゃいけないんじゃないのですか。

 実際には、例えば厚生労働省がきのう私にファクスしてきた山口県の例を挙げますと、いただいたのは、山口県もパブリックコメントの終了であって、実際に山口県が決定、公表するのは四月になってからだ、策定、公表は四月になってからだと言っているのにもかかわらず、この持ってきた表で見ると、二月四日にはあたかも終わっているかのようになっている。国の法律で定めておきながら、そしてなおかつ、五年間一期ということでいくと平成二十四年度末までの計画で、これはことしの四月一日には策定しなきゃいけないのに、これができていない、なおかつ、この目標値も達成ができない都道府県が大変多い。

 こういう中で、厚生労働省は平成十八年に掲げた目標を見直した、もしくは計画を見直したというふうにとらえても差し支えないのかどうか。そして、これが万一達成できなかった都道府県は、診療報酬一点十円が減らされると聞いておりますが、これはどうしても減らせないという病院も多いです。先ほどの地方もそうだ。そういうところにペナルティーを課していくということはぜひ見直していただきたいと思うわけですが、この二点について答弁をいただきたいと思います。

水田政府参考人 まず、療養病床の適正化目標として、十五万床ということを法案審議時においてお示しをしたわけでありますが、これは目標ではございませんで、医療の必要性の高い方の病床数を当時のデータに基づいて推計してお示ししたものでございまして、目標値として示したものではございません。目標値につきましては、現在まさに都道府県において作業が進められております、それを踏まえて今後対応していきたいと思っております。

 それからもう一つ、四月一日に全部そろうのかということでございますけれども、これは、高齢者の医療の確保に関する法律の施行期日が二十年四月一日であることを踏まえて、各県に対しまして早期に計画を公表できるようにお願いをしているところでありますけれども、法律上、厳密にこれは四月一日でなければならないという日切れのようなものではございませんので、そこは若干の余裕はあろうかと思います。

 それから最後に、ペナルティーのことがございました。

 これはむしろ中間評価なりを踏まえて考えなきゃいけない事柄でございますけれども、医療費適正化計画は医療費そのものを目標としたものではございませんで、医療費が目標を超えたからといって単価を減らす、こういうキャップをかけるという発想に対しては、私ども、この法案をつくるときに政府部内でもそういう意見がございましたけれども、そういうことに対してはむしろ反対をして、医療を効率化することによって結果として医療費を適正化していこう、こういうことを考えてきたわけであります。

 そのコンテクストで申し上げますと、都道府県別の診療報酬というのも、これは例えば在宅を進めるのであれば、在宅に関する診療報酬をどうするか、こういったことが考えられるんじゃないかと思っておりますが、少なくとも、いきなりペナルティーで係数でもって掛けて減らすというようなことは考えられておりません。

岡本(充)委員 終わります。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

茂木委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 短い時間ですので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、年金記録確認第三者委員会委員に対する圧力の件につきましてお尋ねをしたいと思います。

 群馬地方第三者委員会における委員、開業の社会保険労務士さんです、この委員の発言に対し、群馬社会保険事務局の保険課長が圧力をかけた事案の調査が社会保険庁と総務省で発表されましたけれども、それぞれ内容が異なっております。

 社会保険庁の調査は身内の保険課長から事情聴取のみで、第三者委員の事情聴取をしておりません。余りにも一方的な内部調査の結果でありまして、いかにも社会保険庁らしいな、こう思っております。一方、総務省の方は第三者委員に対し事情聴取をされているようでありますけれども、まず、社会保険庁の調査、保険課長が委員に対しどのようなことを言ったのか、具体的にここでちょっと発表してください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 若干経緯もつまびらかにお伝えしたいと思っておりまして、できるだけ簡潔を旨としたいと思いますけれども、御説明申し上げます。

 私どもにおきまして調査したところの内容でございますけれども、まずもって最初のきっかけは、昨年、平成十九年七月十三日に開かれました年金記録確認群馬地方第三者委員会におきまして、群馬社会保険事務局の年金課長が説明者として出席をした。その際、今回第三者委員会の委員ということでいろいろとかかわり合いが発生しておる方でございますけれども、そちらの委員から、収納率を意識した遡及全喪処理などで、従業員が保険料を控除されていた場合の取り扱いはどうなるんだろうかという御質問があったやに聞いておりまして、出席していた年金課長からは、具体的な事実関係をよく調べてみないと何とも言えませんという回答をその場では申し上げた。

 この年金課長は、そういう経緯があったということを群馬社会保険事務局の方に持ち帰りまして、それで報告をした。そうしましたところ、その御発言に関連しては、具体的事案があれば改善する必要があるというふうに群馬社会保険事務局自身が考えて、それで、具体的な行動として、担当課長であります当時の保険課長が、七月の十七日ということですから、発言がおありになった四日後になるわけですけれども、その委員の方に事前に面談の申し入れをさせていただいて、御了解をいただいた上で、その方の事務所の方に御訪問申し上げて説明を行った。問題の発言というのは、その折の話ということになろうかと思うわけでございます。

 そのときのやりとりということでございますけれども、私どもの方で、当時の保険課長それから随行した者両名から聴取をしたところ、第三者委員会の委員の方に対しましてはこういうことを言ったと。社会保険事務所の職員が勝手に全喪届を作成することはありません、全喪届は事業主または事業主から委託を受けた社会保険労務士が届け出るものであるということ、収納率を意識した遡及全喪と言われると職員が勝手に作成しているように誤解を招きかねません、そういう説明を行ったというふうに私ども把握してございます。

 このように、当時の保険課長は、委員会における委員の質問に対して、本人の意識としては事実に即した説明を行った。その折には、委員の御発言に対して、社会保険事務所の不利になるようなことを発言しないようにというようなことを述べた事実は、要するに、私どもの確認では認められなかったわけでございます。

 ただし、当時の保険課長が、収納率を意識した遡及全喪と言われますと職員が勝手に作成しているように誤解を招きかねませんと説明したことが、お話し申し上げた相手の委員において、社会保険事務局に不利な発言をしないようにというような趣旨で受けとめられた可能性は、それはあるかもしれないということも申しております。

 いずれにしましても、そういうような経緯、そしてその内容の聴取を私どもとしてはさせていただいておりまして、なお、この調査結果を踏まえまして、私どもの一つの再発防止の対策として、今後、第三者委員会の委員の皆様に対して、第三者委員会にかかわる事項について社会保険事務局から個別に説明を行う必要が生じたような場合においては、第三者委員会事務局と十分な連絡をとらせていただいて、こうした誤解を招くことがないように、全国の社会保険事務局に対して注意喚起を行っているところでございます。

内山委員 それでは次に、総務省の方、第三者委員会の委員がどのような形で話されたか、具体的にここで公表していただきたいと思います。

関政府参考人 総務省の調査結果におきましては、当該委員から、年金記録確認中央第三者委員会事務室及び群馬委員会事務室の職員が事情を聴取いたしました。

 その結果でございますけれども、群馬社会保険事務局保険課長から、委員は、収納率を上げるためにさかのぼって社会保険を喪失と委員会で発言をしているが、そんなことは言わないようにとの発言があったと記憶しておるということでございます。それから、この発言について圧力と感じたとお述べになっておられます。

 一方で、当該委員は、保険課長の発言によってその後の群馬委員会における自分の発言に影響はなかったというふうにお述べになっておられますし、この問題を余り大きくしたくないとも述べておられるところでございます。

内山委員 総務省の調査と社保庁の調査、一方は圧力はなかった、一方は圧力があったと、相違点があるわけであります。どちらかが甘い調査をしているか、どちらかがうそつきであるということでありますけれども、この結論は、私は、実は委員からしっかりと、どのようなことを発言したのか、メモでいただいております。

 そのメモを見ますと、当方が困ることを言わないでくださいと。社会保険庁の群馬社会保険事務局の保険課長が、まず、第三者委員に対して、当方が困ることは言わないでくれ、社労士だって困るだろうと。ここは強迫と感じたそうですよ、圧力じゃなくて強迫。さらに、マスコミの耳にでも入れば大変なことになると。

 こういう三点を言っていて、社保庁の調査、何ですか、これは。それに、総務省の調査にしてもやはり甘過ぎますね。圧力があるということは、社保庁の調査よりは非常に前進でいいと思います。しかし、社保庁の調査というのは余りにも身内をかばう内部調査で、これはなってないですよ。許せないですよ、これは。これを圧力と言わずして何と言うんですか。社会保険事務局という強い立場で、開業の社会保険労務士を牛耳る行為をしているんですよ。断じて看過できないですよ。

 さらに、社会保険事務局が行っている滞納保険料の圧縮行為の隠ぺいをしようとする社会保険事務局ぐるみの不正行為の発覚を恐れたからではないんですか。ここに事の重大さがあるんですよ。毎日新聞が三月十六日に報じています。「年金滞納解消やっぱり不正 社保事務所 改ざんに証拠資料」と。こういう事実が発覚するのを恐れて、委員に対して圧力をかけたんですよ。非常に大変な問題だと感じなければならないんですよ。

 九十三万円の月給を十一万円に減額した。麹町社会保険事務所が、事業所の意向とは異なり、年金を脱退させ、遡及して標準報酬月額を少額に訂正し、それまで滞納していた保険料を圧縮した事案を報じているわけですよ。この毎日新聞の記事は正しいですか、どうでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生年金保険におきましては、標準報酬月額の変更などを行う場合、事業主の届け出に基づいて行うものとされておりまして、事務所において事業主の届け出と相違する取り扱いをすることは許されていないということは、これは私ども職員の共通の鉄則でございます。

 お尋ねの三月十六日に報道された事案についてでございますけれども、これは、記事の内容が私どもの目から見て非常に具体的であるというふうにも考えられましたので、即日調査を開始してございまして、この報道において扱われている事象ですが、これにかかわった職員の特定もできておりますので、早速調査を開始してございます。

 また同時に、関係者からの御協力も仰ぎたいということで要請をしつつ、詳細な事実関係の把握に努めている、こういう状況でございます。

内山委員 こういう事実が三百十二ある全国の社会保険事務局で行われているんですよ。だからこそ、群馬の社会保険事務局でこういう正しいことを指摘した委員に対して圧力をかけて、自分たちの隠ぺい工作がわからないようにした。物すごく罪が重いんですよ、これは。

 大臣、先ほども長妻議員も言いました。こういう保険料を滞納して社会保険を脱退した、この会社の調査をぜひしていただきたいんです。多くの事案が多分出てくるはずなんです。御意見をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 まず、お答えする前に、総務省の調査と社保庁の調査にそごを来している。しかし、そこにおられた委員が圧力とかおどされたと感じたことは極めて重要でありますから、その点は私は間違いないと思いますので、これは厳重に事実関係を調査したいと思います。

 それから、今おっしゃったようないろいろな案件について、私も実はこれを知らぬといかぬ立場にあります。それで、特別チームを今編成しまして、この点もきちんと調査するように指示を出したところでございますので、また結果はわかり次第お伝えしたいと思います。

内山委員 それともう一点、社保庁の方に申し上げておきますけれども、この総務省の調査と社保庁の調査の相違点、社保庁の調査が非常に甘いんですよ。身内をかばう甘い調査をした社保庁に対し、大臣、厳罰な処置をしてください。

舛添国務大臣 事実関係をきちんと精査した上でしかるべき措置をとります。

内山委員 それでは、次のテーマでお尋ねをしたいと思います。

 四月からのねんきん特別便、こう新聞でも出ておりますけれども、今までのねんきん特別便の封筒が水色とすれば、四月からがウグイス色、緑になっております。

 まず、単純なところですけれども、なぜ色の違う形にしたのか、お尋ねをしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 封筒の色を三月までの発送分は青、それから四月からの発送分は緑というふうにしているわけでございますけれども、これは、一つには、特別便を業務として取り扱う社会保険事務所、それから業務センター、その他関係の部署における対応が三月までの分と四月以降の分とは違うということを明確に意識して、その点の認識をきちっと持っていただいて、それで、それぞれその内容の違いに応じた処理をしてもらう、取り扱いをしてもらう、こういう趣旨から出たものでございます。

 その違いについては、申すまでもないかもしれませんけれども、あえて申し上げれば、三月までの特別便というのは、コンピューター上の突き合わせを行って、そして結びつく可能性があり得るということで浮かび上がってきた記録、これが要するにあり得ますということのお知らせをしているもの。それから、四月以降のものは、そういう形ではあらわれてはいませんけれども、なお、加入履歴をお送りしますので、誤りあるいは漏れ、そういった点についての御確認をお願いしますと、こういう趣旨の違いによるということでございます。

内山委員 うがった見方で考えておりまして、まさかこの青で一件落着をした、こういう思いで切りかえたんじゃなかろうか、私はちょっとへそ曲がりですからそう思ったわけでありまして、決して終わっておりませんからね。終わっていないという認識をしっかりと持っていただきたいと思うのであります。

 さらに、社会保険料の納入告知書の中に、「事業主の皆様へ」というアンケートが今同封をされています。このアンケートに四月十一日までに答えるように、こういうふうなものが入っておりますけれども、このアンケート、答えるか答えないかによって何か対応が違ってきますか、お尋ねをします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 六月から十月にかけまして現役の加入者の方々に送付いたしますねんきん特別便につきましては、これは受給者以上に異動が多いというようなことも勘案いたしまして、何しろ加入者の方々に確実にお届けしなければいけないというふうに考えると同時に、加入記録を御確認いただいた上ででありますけれども、漏れとか間違いとかそういったものがあるのかないのかの御回答、これもまた確実にちょうだいしたい、こういう点を非常に重要と考えて行おうというものでございます。

 このために、第二号被保険者分につきましては、各事業主の皆様の御協力のもとに、私どもとしては、原則として、事業主経由にてねんきん特別便の配付、それから回答票の回収、これをお願いしたいというふうに考えておりまして、既にこれまでの取り組みとして、各種経済団体の方にも広く御協力をお願いしてまいっております。

 それで、できる限り多くの御協力をいただきたいというふうに考えてはいるわけでありますけれども、諸事情によりましてやむを得ず配付、回収に御協力いただけないというような場合には、違いということになるわけでございますけれども、私どもとしては、加入者に直接ねんきん特別便を送付する、それからまた、加入者の方から直接年金加入記録の回答票というものを社会保険庁の方に御提出いただく、直接のやりとりという形に切りかわる、そういう点が違いということになってまいります。

内山委員 アンケートの中身を見ますと、「ねんきん特別便の実施に関する協力」ということで、一と二、するかしないか、こういう形で聞かれているわけでありますけれども、例えば、送付は協力するけれども回収は協力しないよとか、それぞれの事業所によってはいろいろ事情があろうかと思いますけれども、そういうところで対応はどうでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今も申し上げましたように、私どもとしてはできる限り、お届け、それから回収、いずれの面においても事業主の皆様に御協力を賜りたいというふうには思っておるわけでございますけれども、確かに、諸事情によりましてやむを得ず回収には御協力いただけないという場合もあろうかと思います。

 そういう場合には、ねんきん特別便に返信用封筒を同封しておりますので、それに年金加入記録回答票をお入れいただいて、直接社会保険庁の方に御返送いただく、こういうふうな取り扱いということで進めようというふうに思っております。

内山委員 事業所経由で回収するとなりますと、これは従業員の個人情報の保護というところの問題が生じると思いますけれども、その辺はいかがですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の個人情報の保護に関してでございますけれども、年金加入記録回答票を事業主に提出する際の取り扱いでございますけれども、今も申し上げましたが、この特別便に同封されております返信用の封筒、これに回答票をお入れいただいてきっちり封緘していただいて、そしてそれを事業主の方にお渡しいただくということをきちっとやっていただければ、個人情報保護上の問題は基本的にはないのではないかというふうに考えております。

内山委員 国民年金の第三号被保険者に対する対応はどうなりますか。

石井政府参考人 第三号被保険者に対する対応でございますけれども、これは、配偶者であります第二号被保険者との関係がさまざまでございます。それで、第三号被保険者につきましては、基本的には直接送付を申し上げるという形をとらざるを得ないのかなというふうに考えているわけでございます。

内山委員 コストのことでお尋ねをしたいと思います。

 この四月十一日までに回答票をどれだけの事業所が送って協力を申し出るか、非常にわからないところでありまして、ねんきん特別便を見ればいい事例があるかと思いますけれども、まず、被保険者全員にこの特別便を直接送った場合と、すべて事業主経由で送った場合とでは、コストの差がどのくらいありますか、お尋ねをしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、被保険者の方々を対象に送付するねんきん特別便を事業主経由でお届けして、かつ回収するということの趣旨でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、コストは主たる目的ではございませんで、何しろ異動の比較的多い現役の被保険者の方々については、やはり会社経由でお届けするのが郵送よりも確実な方法であろうというふうにまず考え、かつ、回答についてもそれは同様だろうというふうに考えて行うものでございます。そういうことで、実はコストの計算というのはさほどきっちりしているわけではございません。

 ただ、今お話にございましたように、どのくらいの御協力が得られるかにもよるわけでございますけれども、例えば郵送経費だけを考えますれば、すべて事業主経由で送付した場合の方が、それは経費の軽減が図れるものであろうと思っておりますけれども、一方では、事業主の方々に一定のお手間とかあるいは御協力をいただくわけでございまして、私ども、要するに、自分たちのコストだけで物を考えるというわけにもまいらぬだろうというふうに思っているわけでございます。

 いずれにいたしましても、そういうことで、被保険者の方々を対象にお送りする特別便、これは何しろ確実にお届けし、回収するために行うものであるということを御理解いただきたいというふうに思います。

内山委員 驚きですね、コストは主たる目的じゃないというので。随分潤沢に費用があるんですね。それでいいんですか、本当に。

 最後に、このねんきん特別便のことでもう一度お尋ねをします。

 封筒のところに、全国の社会保険労務士会でも無料相談を開設しております、こう赤く書かれておりますけれども、それに伴いまして、都道府県会の社会保険労務士会に一台のウィンドウマシンを貸与して特別便の年金相談をする、こうあります。そのオペレーターは事前に登録をされた方、五人と聞いておりますけれども、その方しか動かすことができない。情報、機密を守るということでしょうかね。しかし、そのオペレーターが、実は国より報酬を払われないんだというふうに聞いておるんです。

 オペレーターとして都道府県会の社会保険労務士会に常勤している、詰めなければならないということは、やはり非常に拘束時間が長かったりするわけで、負担が大きくなると思います。普通の相談員と同じようにこのオペレーターにも費用を払うべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 年金記録問題の解決には、やはり特別便の送付を契機として、お一人お一人に記録の確認をしていただいて統合を進めることが最も有効というふうに私ども考えてございます。そういう趣旨から、大臣こちらにおられるわけでありますけれども、先般、舛添大臣より、全国社会保険労務士会連合会会長に対しまして、社会保険の専門家として国家資格をお持ちの労務士の皆様による特別便に関する年金相談の実施について、協力を要請したという経緯があるわけでございます。

 それで、この大臣からの要請に対しまして、全国社会保険労務士会連合会の会長の方からでございますけれども、全面的な協力をするというお言葉をいただいたわけでございます。「全国の社会保険労務士が一丸となって、社会に貢献し、国民の皆様の期待に応える役割を果たすことが必要」という意気込みがあわせてお示しされたわけでもございます。

 今回の、各都道府県社会保険労務士会に対するウィンドウマシンを貸与しての相談事業でございますけれども、まさにこの連合会の会長の御趣旨というものをベースにしたものでございまして、私どもとしては、そういう意味で、社労士会の多大なる御協力を前提に行われている事業で使用するという性格上、そのオペレーターの報酬等については積算をしていないところではございますけれども、このウィンドウマシンの貸与に当たりましては、別途一定額の管理費をお支払いさせていただくということにもしておるわけでございます。これが一つ、オペレーションにかかわる一定のコストに充当されるべきものというふうに考えているわけでございます。

 なお、冒頭、内山委員の方からオペレーターの登録人数についてのお話がございましたけれども、五名程度から始めていただいているところが多いようでございますが、私どもの方からは、登録人数に制限は設けてございません。そこら辺は、各都道府県の社会保険労務士会の実情というものに応じて増員していただくことが可能なような、そういうような枠組みでやろうということでございます。

内山委員 ほんの少ししか時間が残っておりませんけれども、大臣にお尋ねをしたいと思うんです。長妻議員も聞きました、私も聞かせていただかなければなりません。そして、山井議員も聞かなければならないと思います。年金記録問題の件でございます。

 大臣は、三月十四日の記者会見で、三月までにコンピューター上の名寄せをやるというのはきちんと終わった、約束はお守りした、三千万件は明白になったが二千万件は解明作業を続けないといけない、作業を工程表どおり進めることに最大限の努力をしている、公約違反の批判には当たらないと述べておりますけれども、蒸し返すようですけれども、なぜ公約違反には当たらないと考えるのか、答弁をください。

舛添国務大臣 その点は、先ほど来御説明しているように、まずコンピューター上で名寄せをする、そしてそれで名寄せが終わった方に特別便を送る、この作業をきちんとやり、しかもコンピューター上でできないことについては四月以降も続けていく、今も努力を続けておりますので、そういう意味で七月五日の工程表から外れていません、そういう意味での公約違反ではないということでございます。

 それから、ちょっと先ほどの点で、前の質問でつけ加えさせていただきたいと思いますが、社会保険労務士の皆さん方に大変な御協力をいただいております。

 先般、作業委員会、これは社労士の代表の方もおられますので、きちんと仕事をしていただく、特に専門性を持ってしていただくことについては、どうか遠慮なくこれだけのコストがかかりますとおっしゃってください、それで、きちんとそれはお支払いしないといけないと思います。

 それから、ウィンドウマシンについても、数が足りないから貸さないということではなくて、必要な仕事であれば、極端に言えば、今あるのを引きはがしてでもやります。それから、古いバージョンと新しいバージョンでさまざまな機械の制約があってできないとか、いろいろな技術的な問題もありますけれども、それをまずクリアするように努力をしようということでありますので、今後とも、先ほどの、事業主が一括して回収してくださる、送付してくださるような件についても御協力を賜らないといけないので、どんなことでも、細かい御要望があって、これは国民のために働いていただいているわけですから、それに全力を挙げて大臣として御期待に沿うようにやりますので、どうかいろいろな御要望をお寄せいただきたい。

 そして、御協力を重ねて感謝申し上げます。

内山委員 大臣の発言に、作業を工程表どおりきちんと進めることに最大限の努力をしている、こうありましたけれども、工程表のスケジュールを守るためにいかに粗っぽい仕事をしたか、このねんきん特別便でよくわかると思うんですよ。訂正なしで戻ってきた件数を見れば明らかですよね。

 私たちはこの委員会で何度も何度も、いろいろな議員が提案をしました。こういうものを送って本当に年金記録の加入期間を呼び起こす材料になるんですか、もっと精査してわかりやすいものを出すべきじゃないですか、何度やっても税金の無駄遣いになりますよと、まさしく指摘したとおりになったじゃないですか。

 これは、今、ねんきん特別便を送付した三百五十六万人のうち、訂正なしで戻ってきているのが八十三万人ですよ、四分の一近くが訂正なしで戻ってきた。三月末までに届く人は、何らかの年金、漏れている部分につながる可能性の高い人に送っているわけじゃないですか。にもかかわらず、四分の一近くの人が戻ってきている。これは、いかに粗い仕事をしたか。これは責任重大だと思いますよ。しかも二度手間、これから電話をしたり訪問をしたり、こういうことをやるとしたら膨大な費用がかかるんじゃないですか。

 大臣、この管理者として責任を感じませんか。

舛添国務大臣 訂正ありなしは、いつも御説明申し上げていますように、送られたねんきん特別便に印字、プリントアウトされていることについての訂正ありなしです。

 しかし、そこに、前から申し上げている、これは不正があったりいわゆる成り済ましがあったりと、いろいろな配慮から、発見した記録については書いてありません。だから、そこが非常に混乱を生むところであったので、そういう点については、いろいろな配慮、どの配慮を優先させるか、しかし、やはり個人情報の保護とかいろいろなことも優先させてそうなりました。しかし、システム開発の問題もあり、またいろいろな優先順位のつけ方もある。そこで、問題点について窓口できちんと対応するというような形で今やってきておりますし、幸い、日を追うごとに回答の件数もふえてきております。

 今後とも、いろいろな御批判をいただきながら、そしてきちんと仕事をしていく。そして、これは、最初からこうやれば完璧だということがわかっていれば私も苦労しません。ある程度試行錯誤をやりながらやっている面がありますので、いろいろな御批判もあると思いますけれども、全力を挙げて一人一人の年金の記録を確立していく、これが私の最大の責任だと思っていますので、そこに全力を挙げたいと思います。

内山委員 さっきも言いましたとおり、委員会でさんざんこうすべきだと指摘をしたんですよ。それを皆さん、聞く耳を持たなかったじゃないですか。工程表のスケジュール、スケジュール、スケジュールで三月までに送る。いかにハートのないねんきん特別便を送ったかなんですよ。

 どこどこと書けなければ、空白のところに何か、ここが漏れていますよ、御注意くださいとか、やりようは幾らでもあったはずなんです。それを全く聞く耳を持たずにこういうことをしたから、まさしく私たちは先が読めたことを提案したんですよ。そのとおりになったじゃないですか。

 これは国に損害を与えるわけですよね。これはやはり非常に大きいんじゃないですか。職員の皆さんのボーナスの返上程度では済まないんじゃないのですか。やはり責任をとらなきゃだめだと思いますよ。もう一度おっしゃってください。

舛添国務大臣 いろいろな御批判は受けますけれども、しかし、今、私の最大の責務は一日も早く皆さん方の年金の記録を再確立することにあると思いますので、そのことに全力を尽くして、責任をそこで果たしたいと思います。

内山委員 以上で終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから三十五分間にわたって質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いをいたします。

 今の内山議員の質問の中でも触れておられましたが、我が党は、一年前から、さかのぼれば五月三十一日の長妻議員の本会議の席においても、ヒントを入れて送らなければ意味がないということを、かれこれ十カ月間言い続けてきた。そして、ヒントも入れずに送ったら税金の無駄遣いになりますよ、そういうことを言い続けてきた。

 また今回それを入れて送らなかったばかりに、ねんきん特別ダイヤル、大臣も一回電話してみてください、私、きのう、おとついと二十回ずつ電話しましたが一回もかかりません、そういう状況です。社会保険事務所に行ったら、二時間待ち、あるいは最高五時間待ちというのもあります。そして、今言ったように、送っても、未回答が六割以上、訂正ありというのはたったの九%、惨たんたる大失敗に終わっていると言わざるを得ないのではないかと思います。

 私、一番罪だと思うのは、年金相談ダイヤルの方や社会保険事務所の現場の人がかわいそうですよ。答えやヒントを入れて送っていたら、その記録は私のものですと、電話三分で済みますよ。ところが、それを入れていないから、三十分かかる、事務所に行かないとだめだ。どれだけの労力、どれだけの年月、どれだけの税金の無駄遣いをしているんですか。こういうことにおいてもだれも責任をとらない。

 そもそも、見つかった年金記録を入れて送っていたら、そんな労力はかからないじゃないですか。そもそも、かけなくてもいい労力をかけている、効率は悪い、いつ終わるかもわからない。おまけに、民主党が、そうなりますよ、年金記録のヒントや見つかった記録を入れて送るべきじゃないですかということを、もう十カ月前から言い続けているにもかかわらず、それを無視して、失敗するとわかっている方法をとった。本当に私は情けなくてたまりません。

 私、この質疑の中で一番申し上げたいのは、公約を守ってほしいということです。なぜならば、きょう、資料の正面に書いてあります、安倍晋三当時の総理、「最後のお一人にいたるまで、責任をもって年金をお支払いする」ということをおっしゃいました。

 当時から、民主党の消えた年金相談窓口には、電話、ファクス、メール、手紙、来訪で数百人の方の相談が来ていました。私、今でも忘れられません。この安倍総理の発言を聞いて、ある被害者の方が涙を流して喜ばれたんです。一年以内に全額支払いと自民党のチラシにも書いてあります。一年以内に全額支払い、全面解決。やっと消えた年金が戻ってくるんだと涙を流して喜んでおられたわけですよ。ところが、実際、その公約どおりにいっているんでしょうか。

 また、舛添大臣もこうおっしゃいました。資料の三ページ、御自分の発言ですから覚えておられると思います。八月二十八日、記者会見、ここに書いてありますね、「公約の最後の一人最後の一円まで確実にやる」、一番下の行には「本当に命がけでやりたい」ということをおっしゃったわけです。

 そこで、まず舛添大臣にお伺いします。この最後の一人までやる、最後の一円まで確実にやるという公約、舛添大臣は守っておられますか。

舛添国務大臣 今もその決意できちんと、まさに命がけでこの仕事に取り組んでおります。

山井委員 そうしたら、この公約を守っているということですか。確認します。

舛添国務大臣 安倍総理にしても私にしても、最後の一人、最後の一円に至るまで全力を挙げてこの問題に取り組むと。今大きな未知の山に向かって登山を進めている、そして一つ一つ確実に歩を進めている、そういうことでございますので、きちんとこの公約を守って今も実行していると私は確信しております。

山井委員 二ページの安倍総理の七月五日の決意の中で、「必ず早期に解決をし、最後の一人までチェックして」と書いてあります。「必ず早期に解決」となっております。公約を守っているとおっしゃるならば、早期に解決、いつまでに解決するんですか。

舛添国務大臣 基本的には七月五日の工程表、これは政府・与党が決めたものですから、これに従ってきちんと動いております。

 そして、先ほど来申し上げておりますように、それはいろいろな批判があります。例えば、年金記録の見つかったのをそこに書いた場合に、不正をやったり、複数の人が言ったときに、そのことのリスクはどうするか、そういうことも考えてこれは決定したわけですけれども、やってみれば問題が出てきた。これは、最初からそうなるんだというのはわかっているということをおっしゃいましたけれども、それは私はやってみないとわからない、やってみて問題があれば一つ一つ訂正をしていく、そういうことでありますから、それは私たちの努力がまだ足りないという批判は受けますけれども、しかし、この半年間努力して、コンピューター上の名寄せで千三十万人の方の記録を回復して、今特別便をお送りしているところでありますから、一生懸命努力しているということはお認めいただきたいと私は思います。

山井委員 もう一度お聞きします。早期に解決、いつまでに解決するんですか。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、十月までは工程表がきちっと決まっておりますから、それをきちんとやっていく。

 そして、早期にということは、できるだけ早くやるということですから、今やっている作業をいつまでにやれるかというのは、本当にいろいろな、毎日のように新しい問題が出てくる。ああ、こういう問題があったのかなと。そういうことでありますから、例えば、これは社会保険労務士の方からの情報でもありますけれども、架空ででっち上げているケースがあるのではないかというようなお話も聞いております。そういうことも含めてやっていって、まさに、最後は公示というような手段を通じてでも、これは最後の一人まで、最後の一円まできちんと取り戻す、そういう努力を進めていっております。

 ですから、何月何日までにということを申し上げられるような性格の作業ではありません。しかし、少なくとも、責任者として申し上げないといけないことは、昨年七月五日の政府・与党の工程表をきちんと守りながら作業を進めていく、そして、その過程において改善すべきものがあれば改善していく、そういうことでございます。

山井委員 工程表に書いてある主なことは、ねんきん特別便を送るということなんですよ。私が問題を指摘しているのは、送っても持ち主が特定できるのは余りにも少ないじゃないですかということなんですよ。

 舛添大臣、国民の方々は送るだけでは満足しないんですよ。本来の持ち主が特定されて、正しい年金がもらえるのが解決なんですよ。そこが実はずれているんですよ。送ったら公約を達成したではないんですよね。

 ですから、お聞きしたいと思います。千三十万人、名寄せができました。では、このねんきん特別便を送ったという千三十万人の名寄せができた方のうち再裁定が終わった方、あるいは、記録が訂正されて正しい年金を既にもらったと確認された方は何人おられるんですか。

舛添国務大臣 これはちょっとプロセスから説明させていただきたいと思いますけれども……(山井委員「いや、答えだけでいいですよ」と呼ぶ)いやいや。

 ねんきん特別便をいただく、そして社会保険庁の事務所に来ていただく、電話で話をする、そして、これは山井さんだと確立した。その段階で、それから裁定のための書類をつくり、その作業をやる。今、大体六カ月かかっております。したがって、最後裁定して、年金の支払いに届く最後の作業が完了するまで大体半年かかります。それを今何とか三カ月までに縮めようとしておりますので、十二月から送っておりますので、まだ半年たっていませんから、今作業中の人はおりますけれども、完了した方はまだ当然のことながらおりません。

山井委員 とにかく確認します。千三十万人、ねんきん特別便を送った人のうちで正しい年金を既にもらわれたと確認した人はゼロですか。

舛添国務大臣 記録が確定した方は、要するに窓口で対応して確立した。しかし、そこから年金をきちんともらうまでに、先ほど申し上げましたように、作業手続は半年かかりますから、まだそういう意味ではおりません。

山井委員 だから、私はそこを言っているんですよ。国民が求めている解決は、正しい年金をもらえることなわけですよ。この名寄せをして可能性が高いと言われている人も、まだ一人たりとも正しい年金を受け取っていないじゃないですか。それで公約達成じゃないでしょう。

 そして、もう一つ申し上げますよ。では、いつになればねんきん特別便の第一号の方が正しい年金をもらえそうなんですか。いつごろなんですか。

舛添国務大臣 ですから、例えば、十二月、一番最初にもらった方が窓口で失われた記録を再確立した、これで正しいですよと。それで今作業を、いろいろな書類を出していただいたりして裁定という手続を行う。今は残念ながら半年かかっていますから、一、二、三、四、五、六、恐らく六月ぐらいには最初に裁定して受け取る方が出てきます。

 だから、これは手順を踏んで一つ一つやっていっているわけですから、その手順に時間がかかっているということでありますので、それは御理解いただければと思います。

山井委員 ですから、改めて申し上げますが、送ったらいいとか、そういうことじゃないんですよ。

 そして、私のところにも何件も苦情が来ています。年金が見つかったといっても、いつ年金をもらえるんですかと言ったら一年かかりますと言われていると。ですから、この四ページにありますように、再裁定が終わったら年金証書がもらえるんです。今、これをもらえるのに半年から十カ月かかっているんですよ。これをもらわないとお年寄りの方々は納得できないんですよ。くっついたといっても、また社会保険庁のことだから本当にくっついたかどうかわからない、証拠をくれと言ったら十カ月待ってくれと。何なんだそれはということになっているわけであります。

 では、五千万件のうち、年金記録の持ち主が特定されて年金給付に結びつくことが確定したのは何件ですか。そして、結びつかないと確定したのは何件ですか。

舛添国務大臣 五千万件のうち、持ち主が特定された記録が、平成十八年六月一日以降、約四百十七万件でございます。

 それから、結びつかないと確定した記録の方もお尋ねになったと思いますが、これは、死亡一時金を受給している記録が約六十万件、脱退手当金の受給等により新たな受給に結びつかないと考えられる記録が約五百八十八万件、合計約六百四十八万件でございます。

山井委員 今のは非常に重要な発言です。持ち主が特定されて年金給付に結びつくと確定したのが四百十七万件。

 資料の六ページを見てください。この一番上の四百十七万件ですね。そして、厚生労働大臣がおっしゃる、結びつかないということが明らかに、私たちはそうは思っていませんが、少なくとも社保庁、厚生労働省が言っているのが、この2に分類される六百四十八万件。私、わざとここに手書きで書きました。そうしたら、舛添大臣の認識では、この1、2の千六十五万件に関してはもう解決した、結びつくという意味で解決した、結びつかないということで解決した。この二つについては解決したと認識している、こういう認識でよろしいですか。

舛添国務大臣 解決という言葉ではなくて、私たちが使っているのは、コンピューター上の名寄せ作業をやって解明できたかできていないかという意味で、解明できたというのがそこにあるわけです。

 もちろん、先ほど長妻委員の御質問にお答えしましたけれども、死亡一時金を受給しているという記録が出てきた場合に、常識的にはこれはもうこの問題は解決したと思っていいと思いますよ。ただ、しかし、人間のやることですから、そこに何らかの人的ミスがあるということも可能性はあると思います。しかし、私は、その可能性は極めて低いということで、こういう分類をさせていただきました。解決というより解明が終わったという意味です。

山井委員 そうしましたら、この1、2の千六十五万件が解明が終わったということですか。それでいいんですか。

舛添国務大臣 3につきましても、死亡の届け出とか、死亡の届けが出されている記録または死亡一時金を受給している記録と同一人の可能性が高い記録及び国内最高齢超の記録ということで、それぞれ百九十四万件、百四十七万件についてもこれは解明が終わって、今申し上げているのはコンピューター上のですよ、そして今後、解明を進めないといけない記録は二千十九万件と六万件を足した二千二十五万件、こういう分類をしているわけであります。

山井委員 舛添大臣、多分わかって答弁をされているんでしょうけれども、わざとごまかさないでください。

 国民が関心を持っているのは、解決済みと未解決なんですよ。何がややこしいかというと、この間社保庁は、解明済みと言いながら、未解決の件数をそこに入れているから話がややこしいんですよ。だから、国民が知りたいのは、もう持ち主を特定して年金給付に結びつくと確定しているのか、その記録が何件で、不明なのが何件なのか、それを知りたいわけですよ。

 ですから、舛添大臣、もう一回確認しますよ。持ち主を確定して年金給付に結びつくということが確定したのが四百十七万件でしょう、大臣の答弁では。結びつかないというふうに判断したのが六百四十八万件でしょう。ですから、一千六十五万件はもう結びつく、結びつかないというふうに解決しているわけですよ。ところが、要は、3、4、5、6の四千三十万件はまだ解決していないじゃないですか。「今後新たな給付に結びつくことは皆無ではない」と3も書いてある。つまり、私が言いたいのは、解決が一千六十五万件で、3、4、5、6は未解決でしょうということを言っているんですよ。

 大臣、だから一点だけ、ごちゃごちゃ言わないで答えてください。3、4、5、6のこの四つの分類はまだ未解決ですよね。新たな給付に結びつく可能性があるんですよね。それだけ答えてください。

舛添国務大臣 先ほど来申し上げていますように、何をもって解決とするかということは、委員は統合というところで解決という定義をなさいました。私は解決というのをそういうふうには見なくて、今私の責任は、解明をしていく。解明をして、今千三十万人に送っております。そこから先は国民の皆様方の御協力も賜らないといけない、婚姻によって名前が変わった方もそういうことで御協力を賜らないといけない、そしてここからは共同作業で一つ一つ、最終ゴールであるまさに再裁定まで終わって統合するというプロセスを歩んでいかないといけないので。

 今は確かに四百十七万件です、委員の定義でいえば。しかし、これはみんなで協力してその件数をふやしていく。千三十万人に送ったことによりいろいろな反応が今来ています。そして、これが着実に解決にも通じていけば、この四百十七万件は今後着実にふえていく、私はそういう確信をいたしておりますから、そういう意味で全体像の把握ということを申し上げているわけであります。

山井委員 大臣もわかっておっしゃっているんでしょうけれども、大臣の仕事は解明じゃないんですよ、解決なんですよ。つまり、最後の一人、一円まで確実にやると言っているじゃないですか。解明しても持ち主が特定されなかったら、解決にはならないんですよ。

 ですから、この私の資料にも書いたように、今、社保庁の問題は、特定困難なものが二千万件とか未解明が二千万件と言っているけれども、そうじゃないんです。実際に解決したのが一千六十五万件で、3から下の残り四千三十万件は未解決なんですよ、給付に結びつくかもしれないわけですから。今うなずいておられますが、手はつけていないわけでしょう。未解決なんですよ。ということは、五千万件中、まだ四千万件、八〇%は未解決なんですよ。それを何か、三千万件は解明できた、残りは二千万件だと。解明できてもだれのものか特定できていなかったら、全然それは解決になっていないということを言っているわけです。

 このことと、もう一つ、先ほどの一対一の調査のことも申し上げたいと思います。

 ですから、舛添大臣、今申し上げたように、未解決は八〇%だとこの表を見たらわかりますよね。3もまだ結びつくことは皆無ではないと言っているわけですから、未解決は残り四千万件だということを少なくとも認識してもらわないと、大臣自身が誤解することになりますよ。残りの問題は二千万件じゃないですよ、四千万件ですよ。

 おまけに、くしくも大臣が今おっしゃったじゃないですか。この2の死亡一時金を受け取っていたり脱退手当金を受け取っていても、実は受け取っていないケースがある。きょうの資料にも入れましたよ。第三者委員会で二人が、脱退手当金を受け取ったという記録はあるけれども、実際は受け取っていなかったと認定されたと。七ページ。

 おまけに、第三者委員会には千五百七十件も、脱退手当金を受け取ったことになっているけれども受け取っていないと、これだけ苦情が来ているんですよ。ということは、先ほどの長妻議員の話のように、この2の部分についても、死亡一時金は本当にもらったんですか、脱退手当金は本当にもらったんですかというサンプル調査をしないと、実は解決したかどうかわからないんです。

 ということは、それも聞いていったら、五千万件のうち、今解決したと言えるのは八%、四百十七万件にすぎないのであって、残りのトータルの件数、つまり、四千六百七十八万件という九二%はまだ解決されていないんですよ。そのことを大臣が認識されないと、最後の一人まで、最後の一円まで確実にやるという公約は実行したことにはなりません。

 それに関連して次の質問に行きたいと思いますが、今このように、ねんきん特別便、訂正なしの回答が二三%、未回答が六六%。おまけに、この訂正なしの人に、可能性が高い人に入念照会をすると、八割がやはり自分の記録だったということがわかったわけですね。

 大臣、これは今、御存じのように、訂正なしの中の可能性の高い人、つまり、一対一対応の人しか入念調査をしていないんですよね。でも、一対二対応の人でも入念照会をすべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 何度もこれも申し上げますけれども、訂正なし、訂正ありの回答というのは印字された部分についてなので、そこが非常に、御批判いただいているようにわかりにくいところであります。

 ただ、その入念照会、今、これは大体夏ぐらいまでをめどに懇切丁寧にやっていく、それから、都道府県によっても若干差がありますけれども、これも余り差がないような形で入念照会もかけていくということで、できるだけの努力はやっていきたいと思います。

山井委員 ですから、私が聞いているのは、訂正なしの中で一対二対応とかの可能性の低い人も、そして、未回答の人でもかなり記録が確からしい人はいるわけでしょう。今回送っている人は、八割、九割方はヒットすると言われているわけですよね、記録に当たると。うなずいておられますが。

 ということは、訂正なしで可能性が低いと言われている人や未回答の人にも全員入念照会、つまり戸別訪問か電話をすべきであり、そうすることが最後の一人まで確実にやるという公約だと私は理解していますが、未回答の人や訂正なしの人全員に戸別訪問、電話という入念照会はやるんですね。

舛添国務大臣 回答がない方に対しては、これから二回、催促のはがきを出させていただく、これはもう確定してやっております。

 そして、何度も申し上げますけれども、可能性の高いところからやはり順番にやっていく。だから、重複期間がぴったり一致している、もうほぼ完全にヒットするだろう、にもかかわらずきちんと回復できていない、こういう方に対してまず優先的にやる。

 そして、私が今申し上げているのは、三月までに受け取った方々は、ほとんど皆さん、何らかの形で皆さんの記録をこちらで回復して見つけ出しましたから、どうか皆さん窓口にいらしてください、そして電話をおかけください、そういうことをやっていますので、今、優先順位を、先ほど申し上げたように可能性の高いところからやっていく、そういう過程において、催促のはがきも出す、そして全体的に前に進めていくという作業を進めていきたいと思います。

山井委員 改めて大臣にお伺いしますが、明らかに逃げの答弁なんですよ。

 私が聞いているのは、優先順位の話じゃないんです。最後の一人まで、最後の一円まで確実にやると公約で大臣がおっしゃった以上は、いつの時期かは別として、最後には未回答の人にも訂正なしの人にも全員に戸別訪問か電話相談はするんですねということを確認しているんですよ。

舛添国務大臣 今ずっと毎日、この回答状況をチェックしています。最初は年金を受給している御高齢の方だった、今はそうじゃない現役の方々、急速に回答率も上がってきております。ですから、こういう作業を今やっている、そういう過程において、今委員がおっしゃったことについても、その進行状況を見た上で検討をしたいと思います。

山井委員 検討じゃないんですよ。最後の一人まで、最後の一円までと公約として既に言っているんですよ。だから、公約として最後の一人まで、一円までとおっしゃったから、少なくとも名寄せでヒットした可能性の高い人たち一千万人には、連絡がなくても最終的には電話か戸別訪問をするんでしょうという当たり前のことを私は聞いているわけですよ。それを検討するという答弁は、公約は守るか守らないかわからないということになってしまうわけですよ。

 それに大臣、質問主意書で聞いたら、今、一日のペースが千三百人です、入念照会が。可能性が高い人が合計一千三十万人です。今のペースでやったら、何とこれは二十年かかりますよ。だから、優先順位とかじゃないんですよ。いつまでにこれは終わらせるんだ、今のペースだったら二十年かかる、それを年金機構に変わる二年以内にやるには今のスピードを十倍にしないとだめだとか、その工程表をつくっていかないとだめなんですよ。

 私がなぜ必死で言っているかというと、公約で最後の一人まで、最後の一円までとおっしゃって、公約は守っているとおっしゃっているんでしょう。守っているとおっしゃっているんだったら、ちゃんとそのスケジュールを出してくださいよ。それが出ていないのに公約を守っているとおっしゃっているから、おかしいんですよ。

 今のままでは二十年かかります。いつまでに、少なくともこの一千万人に電話や戸別訪問の入念照会をするんですか。

舛添国務大臣 公約をきちんと、そして一日も早くそれを実現するためにはどういう優先順位で作業を進めればいいかということを考えておりまして、人員にも限りがあります。財源にも限りがあります。そういう中で、もうこれは、未回答の方には二度にわたる再催促をやるということをやっております。そして今、入念照会の実施計画を今月いっぱいにつくることにしておりまして、それでこの全体的な把握を夏ぐらいには掌握したい、そういうふうに思っております。

 そして、今まさに、すぐ御回答がもらえなくても、まだまだこれは催促をする。そしてまた、訂正なしという答えが来られても、それは、一度訂正はありませんよと来たら二度と訂正があると言ってはいけないかというのは、そういうことはありません。いつでもお受けする体制をつくっておりますから、私は、限られた資源の中で、一日も早いやり方をやっていっているというつもりで頑張ってまいっておりますので、入念照会については今月中に実施計画をつくってみたいと思っております。

山井委員 舛添大臣、だから、一対一対応の確率の高い人には年金記録を印刷して送るようにということを十カ月前から言っているんですよ。そうすれば、戸別訪問なんかは少なくて済むんですよ。電話も少なくて済むんですよ。すごく効率的じゃないですか。お金もかからないんですよ。手間もかからないんですよ。

 どうですか。一対一対応の人には記録を入れて送る、その決断をしないと二十年かかりますよ。大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 そのお考えは、先ほど自民党の大村委員も同様なことをおっしゃったと思いますけれども、今、作業チームや私の直属の特別チームにおいて、この点に対してどういうプラスマイナスがあるか、それを含めてきちんと検討しております。

 とりあえずは、国民の皆さん方に申し上げたいのは、三月までにこの特別便を受け取られた方は、まず電話ください、そして、この窓口においでください、そこできちんと年金の記録の確立作業をやりましょう、こういうことを今やっているところで、そのことによってもまた確実に、この記録の再確立ということができていくというふうに思います。

山井委員 舛添大臣は御存じないでしょうけれども、実は一年前からこの議論をこの委員会でやっているんですよ。一年前から、ヒントを入れて送るべきだという議論をやっているんですよ。そのたびに検討、検討と言って、やらなくて、大失敗して、お金と労力とを無駄遣いして、その繰り返しなんですよ。本当にいいかげんにしてほしいと私は言いたいですよ。こういう話をするのはもう十遍目以上ですよ、私、委員会だけでも。いつまで検討、検討とやって失敗をしているんですか。

 そして、このねんきん特別便の新聞広告、これは、必ずお電話くださいと書いてありますね。大臣、必ずお電話しなさいと言いながら、電話したら有料なのはやめてくださいよ。なぜ無料にしないんですか。年金記録を宙に浮かして迷惑かけているのは社保庁じゃないですか。

 おまけに、ここに書いてありますように、普通の年金相談ダイヤルは〇一二〇で無料なんですよ。普通の相談ダイヤルは無料なのに、ねんきん特別便だけ有料。なぜかと社保庁に聞いたら、ねんきん特別便の相談は長時間かかるから有料にしましたと。逆じゃないですか。長時間かかったら無料にしないとだめじゃないですか。

 おまけに、これは最後の資料にもつけましたが、固定電話は三分で八円ですけれども、携帯からかけたら三分で九十円ですよ。十五分間相談に乗ったら四百五十円かかるんですよ。消えた年金の被害者であろう可能性の高い方々が、必ず電話しろと言われて電話したら金まで取られる、そこが不親切だというんですよ。行ったら、答えも教えてもらえない、二時間待たされる、五時間待たされる。やっと見つかったら、いつそれを証明してもらえるんですか、証書が行くのは一年先です、年金をもらえるのは一年先ですと。

 いいかげんにしてくださいよ。どこまで年金をまじめに払ってきた人たちをばかにしたら気が済むんですか。八割、九割の確率なんでしょう、ねんきん特別便の行っている人の年金が訂正される可能性は。そういう方々に電話を必ずしろとまで言うんだったら、無料にすべきですよ。それが社保庁の受給者に対するせめてものおわびのしるしじゃないですか、誠意じゃないですか。

舛添国務大臣 これは私自身がよく考えました。それで、長くなったらということで、とにかく固定電話でかければ八・五円です。そして、確かに携帯でかければ九十円かかります。それで、ちょっとでも長くなったら、おたく様のお電話番号をお聞かせください、すぐこちらからかけ直しますということで、全部かけ直しをやらせて、長くなればそうしています。

 というのは、このねんきん特別便、先ほど申し上げましたように、だんだんだんだん、こちらも電話をとる体制は整えていますけれども、それに追いつかないぐらいに大量の電話がかかってきます。そして、それはもちろん、その中に、無料にした場合のケース、先ほどおっしゃったように、普通の電話の場合、そうですけれども、そのときに本当に世間話的に長くなられる方がおられるんです。そういうことも含めて、私は、これは国民に御協力をいただきたい、八・五円の御協力をくださいと。そういう意味で、私の決断であり、しかも、それが長くなったらこちらからかけるという指示をしております。

 失敗、失敗とおっしゃいますけれども、私は、国民が協力してくださると。それはもちろん、委員が御指摘のように、社会保険庁の積年の責任感の欠如等問題はあります。それはきちんとお認めいたしますけれども、しかし、どうか国民の皆さんにも御協力を賜りたい。婚姻によって姓が変わられたら、一言言ってくだされば、探し出すのが早くなります。

 みんなの年金ですから、我々も全力を挙げています。社会保険労務士の方々が大変協力してくださって、みんな今、国民の諸団体の方も協力してくださっているので、どうか国民の皆さん、あなたの年金ですから、そういう意味で、積極的にこの国民的な作業に参加してください、そういうお願いがそこにあり、これは私は批判をお受けいたしますけれども、このねんきん特別便については、私のそういう思いで決断したところでございますから、私の指示でやっていることでございます。

茂木委員長 既に持ち時間が経過しておりますので。

山井委員 はい、終わります。

 大臣の考えは絶対におかしい。協力じゃないんですよ。消えた年金問題に関しては、社保庁が加害者で、受給者は被害者なんですよ。にもかかわらず、被害者からお金を出せというのはおかしい。

 最後になりますが、ぜひこういうことも含めて、公約問題について年金の集中審議を衆議院の厚生労働委員会でやっていただきたいと思います。

 委員長、お願いします。

茂木委員長 理事会において協議をさせていただきます。

山井委員 以上で終わらせていただきます。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、肝炎問題について質問をさせていただきます。

 薬害肝炎救済法が成立をしたのは、ことしの一月十一日でした。私は、局面が大きく動くときの運動と政治の力というものを強く実感することができました。

 しかし、これに先立つ一月八日の本委員会の質疑では、特定血液製剤の投与の事実を証明できない方あるいはそれ以外の原因によるウイルス性肝炎の方をどう救済するのかが問われました。私は、原告の皆さん自身がそのことを強く望んでいただけに、与野党の協議が進んで恒久法が成立することを期待しておりました。委員会の意思として、「約三百五十万人と推計されているウイルス性肝炎患者・感染者が最良の治療体制と安心して暮らせる環境を確保するため、医療費助成措置等の早期実現を図ること。」などという決議を行っており、一刻も早く実行に移されることを求めたいと思います。

 そこで、まず質問の第一は、薬害肝炎救済法の成立を受けて、新たに提訴の件数、内容などはどうなっているでしょうか。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 救済法が施行された一月十六日以降、昨日の三月二十五日までの時点で、十四カ所の裁判所から九十二名の方々について訴状等の送達を受けたところでございます。

高橋委員 この間、私自身も、各地を歩いていて、何十年も前の母子手帳を持ってきて、自分も血液製剤を投与された、どうしたらいいのかということ、あるいは、カルテがないけれどもどうしたらいいのか、そういう相談を受けました。あるいは、肝友会の皆さんなどのところに電話相談が殺到している、そういう事実もございますから、この提訴の数が今後もふえていくだろうということは非常に予想されるわけです。

 問題は、現場では、あれほどの委員会の確認があったにもかかわらず、やはり、では投薬証明書を持ってきなさいなど、厚労省が何らかの資料を持っているにもかかわらずそういう対応がされるという問題が起こっております。私は、やはり厚労省が全面的に協力すること、また、企業に責任を求めることも含めて厚労省の役割が大事だと思いますが、この点での大臣の決意を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 これは、今委員おっしゃったとおりで、ことしの一月に、医療機関に対しまして、元患者の方々へ、投与の事実のお知らせと検査の勧奨、それから、今保有しているカルテは保存しておいてくださいということを依頼しております。

 それから、製薬企業に対しましても、製剤投与の事実に関する資料を持っているのであれば、これを積極的に医療機関に情報提供するよう指示をしたところでありまして、救済法の対象となる方が必要な手続をとって救済を受けられるように、この制度の周知徹底を今後とも続けて行ってまいります。

高橋委員 三月十四日に、医薬食品局血液対策課が追加調査について発表しております。そこでは、医療機関六千六百九施設に追加調査を行ったうち、五千百二十八施設、九五%から回答があり、投与の年月について、九千三百一人について具体的な回答があったということであります。

 そうすると、今大臣、お知らせと勧奨を進めているとおっしゃいましたけれども、この九千三百一人は少なくとも名前がわかっている。当然これらの方たちは争う必要がないのだということをまず確認をしたい。

 それから、この三月の発表の時点でも、投与の事実のお知らせの状況は、五九%がお知らせをしていないと答えております、医療機関。これを急速に進める必要があると思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の資料、私どもが三月十四日に公表いたしましたフィブリノゲン製剤納入先の医療機関の追加調査の結果でございますが、今お話しのとおり、これは六百四十四医療機関において九千三百一人の元患者の方々の記録が残っているということでございます。

 ただ、これは記録が残っているということでございまして、まさにそこに、かかった方々が医療機関に照会されて、現実その方が肝炎に罹患されていて、それがまさにそういった過去のフィブリノゲン製剤の投与によるということで確認されれば、これは当然救済法の対象になるということだと思います。

 それから、第二点の御指摘の、お知らせしていない方々、約六割ほどいらっしゃいますが、これらの方々については、投与後にすぐに死亡されているという方が約二割ほどいらっしゃいます。あるいは連絡がつかないという方もいらっしゃいますが、こうした方々については、今後、医療機関を、私どもの方で今研究事業を進めておりますが、そういった中でこういった方々の投与の事実のお知らせを進めていきたい、かように考えております。

高橋委員 今、五九%のうち投与後に死亡した方が千八百四人いらっしゃると。そのこと自体がこの間の問題の解決がおくれたことの非常に重大な結果であるということを指摘させていただきたいと思います。

 今、少なくとも、この方たちが当然救済されるべきであるという答弁をいただきました。しかし、あて先がよくわからないですとか、求めている患者さんと資料を持っている医療機関とのマッチングというんですか、そこに対してもっと厚労省の力は必要なんだろう、あるいはアナウンスが必要なんだろうと思っております。一言でよろしいので、大臣、そのことを確認させてください。

舛添国務大臣 この一月の基本的な和解以来、全力を挙げてこの残された課題について取り組もうということでございますから、そういう点も含めて、きちんと厚生労働省として取り組みたいと思います。

高橋委員 よろしくお願いします。

 そこで、来年度予算案が成立をすれば、法案としては成立はしていないけれども、与党の基本法、これによる枠組みの医療費助成が具体的に動くことになると理解してよろしいでしょうか。その内容について、また、自治体負担がどうなるのかについて、具体的にお答えください。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 肝炎については、もう御存じのとおり、我が国最大の感染症であります。また、インターフェロン治療が奏功して、肝硬変や肝がんに移行することが少なくなるわけですけれども、この議会でも議論がありましたように、インターフェロンは非常に高額でございます。具体的には、B型及びC型肝炎のインターフェロン治療について、患者の負担額をその所得に応じて月一万円から五万円までに軽減するというようなことで、平成二十年度予算に必要額百二十九億円を計上したところであります。

 お尋ねの地方財政措置についても、もちろん都道府県の負担についても、二分の一でありますけれども講じております。

 四月実施に向けて、円滑な制度開始というようなことで取り組んでいるところでございます。

高橋委員 直接お答えにならなかったんですけれども、与党の枠組みでということでよろしいですよね、今予算が決まっているのは。よろしいですか。

西山政府参考人 基本的には、与党PTの御意見を受けて予算案に反映したものというふうに考えております。

高橋委員 私たちは、一万、三万、五万というこの分け方について、もっと負担を軽減するべきだと思っております。引き続いてここは検討を続けていただきたい、予算が成立した後も、補正も含めて対応を検討していただきたい、このことをまず最初に言っておきたいと思うんです。

 医療費助成の拡充を本当に待っていらっしゃる方はたくさんいるんです。拡充といいますか、今まで助成がそもそもなかったということで、そのことをきょうはお話ししたいと思うんです。

 先般、福島県の平田村というところに行ってきました。昭和の時代から、村の中の特定の地域に、肝機能検査で異常値の割合が極めて高いということが注目されて、平成三年、四年とC型肝炎検査を行ったところ、四十歳の総合健診時検査で陰性が三百五十八人中百八十一人、四九%の高率だったんですね。これは非常に驚く数字でありまして、十九歳から三十九歳でも、千百九人中八百八十二人、二割の確率で判明をいたしました。

 その後、村は、肝炎対策会議などを持ち、四十歳の総合健診の際に必ずウイルス検査を組み入れること、また、保健指導を徹底してまいりました。ですから、今後は四十歳以降にはほとんどない、今ゼロではありませんけれども。それと、妊婦健診などでも一切出ていないというところまでたどり着いているということです。

 問題は、この患者さんたちが今非常につらい治療と闘っていらっしゃいます。患者さんに集まっていただいて、少しお話を聞く機会がございました。皆さんも本当にこういうことはいろいろな形で原告の皆さんなどからもお話を伺っていると思うんですけれども、改めてそのつらさに私自身も非常に衝撃を受けたんです。やはり、インターフェロンの治療そのものが、つらい副作用との闘いであると同時に、仕事や家族を犠牲にせざるを得ない、そうした状況に追い込まれているということです。

 六十三歳の女性は、一年間インターフェロンをやり、それで次にペグインターフェロンをやったと。頭痛、目まい、吐き気、うつ、寒けがひど過ぎて、雪の中に裸でほうり投げられるような状態、布団がわさわさと震えるような状態だったと言いました。それでもよくならないで、三回目のインターフェロンを勧められたけれども、さすがに断って、今は薬の治療であると。その方も、その隣にいた方も、死んだ方がよかったと思うくらいつらかったというふうにお話をされました。

 五十一歳の女性は、一月からインターフェロンの治療を始めて、週一回、朝六時に家を車で出て九時に病院にたどり着く、その三時間、冬の雪道も自分が病気を抱えながら運転している。ただ、驚くことは、この方は両親も祖母もC型肝炎、夫は三年前インターフェロンで治癒をしたけれども、実家のお嫁さんもC型肝炎、家族そろってC型肝炎である。そういう状況があった。

 また、インターフェロンが効かず、強力ミノファーゲンCを週三回、十八年続けている方、もう針が腕に入らず、穴のあいた腕も見せられました。行くたびに血液検査や血圧の薬を必要とするので、そのための治療費が非常にかかっているということも言われました。

 大臣にまず伺いたいんですけれども、こういうつらく苦しい治療経験を聞く機会があったと思います。高額のインターフェロンが中心になるということは非常に大事なことではありますけれども、それだけではなく、やはり総合的な対策が必要だと思います。投薬治療あるいはそのたびに使われる検査、心のケアなど、総合的な対策に助成をする考えはないか、伺います。

舛添国務大臣 これは、インターフェロン以外の治療法はないか、そういう新たな治癒、治療法の研究開発、こういうことにも予算の措置をとる、しかるべき措置をとる、今、精神的なケアとかいろいろなことをおっしゃいましたけれども、これはまさに総合的な肝炎対策として取り組んでまいりたいと思います。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

高橋委員 そこがもう少し具体的に、今度は数字で出てくるようにお願いをしたいと思うんですね。

 次に、今の平田村に関連して伺いますけれども、実際このように肝炎患者が集中しているような地域について、全国でどのくらいあるのか、その地域について何らかの研究をしたことがあるのか、伺います。

西山政府参考人 通告を受けてから調べてみましたけれども、これまでに国が計画的なそのような調査を行ったというようなことはなかったと記憶しております。

高橋委員 調べてみましたがなかったと言われたのはちょっと残念なお答えでありました。

 九三年三月に日本消化器病学会総会の記録をまとめた臨時増刊号の中に平田村も載っておりますし、また、透析患者のC型肝炎ですとか、高齢者のC型肝炎ですとか、さまざまな研究論文が載っておりました。ここでは、研究に参加した病院で、平田村の場合ですけれども、HCV抗体陽性者が百四十六名、一四・三%であるのに対し、そのうち五十七名、三九%が平田村の在住者であり、そのうちの八割が特定のある地域にあるという研究の成果を述べておる。それで、この地域での今後の肝炎、肝硬変の増加が予想され、厳重に観察していきたいというふうなことを研究で述べられているんですね。

 その半年後に、資料の二枚目でありますけれども、朝日新聞で「特定地域で多発」という記事が載っております。「「注射器が原因」濃厚」と書いておりますが、この問題、きょうは原因については争うつもりはありません。問題は、ここを読みますと、真ん中の段に「多発地域は少なくとも二十五カ所、北海道から鹿児島県まで全国にまたがっている」と書いているんですね。配っていませんけれども、もう一面のところには、氷山の一角ではないか、まだまだこういう地域はあるんだというふうな指摘を朝日新聞はしております。

 それに対して、左側に書いている厚生省の結核・感染症対策室長、「医原病との特定困難」というふうなコメントが載っており、「地域によって肝炎の発生率が高いという研究があることは聞いている。しかし、感染の時期などがはっきりしておらず、医原病と特定するのは難しいのではないか。C型肝炎は、輸血以外の感染経路がまだはっきりしていない。まずそれをきちんとすべきだと考えている。」その次です。「現段階で厚生省として実態調査することに、どんな意義があるか判断しかねる。」と。

 私は、どんな意味があるか判断しかねる、やる気がないと言っているわけですけれども、本当にこれでよかったんだろうか、今でもそういう考えでいいんだろうかということを伺いたいと思います。

西山政府参考人 御紹介の新聞記事ですけれども、C型ウイルスが発見されたのは一九八九年ということで、その四年後の日本肝臓学会等の各地の調査でありまして、これは私も当時非常にショッキングにこの新聞記事を見ました。公衆衛生学上の大きなトピックスであるというふうに考えております。

 これからの問題ですけれども、調査を国がしたらどうかというような御意見ですけれども、実はこの調査には、問診だけではなく、採血によって血中のウイルス抗体価を測定するという手間とか費用、あるいは本人の同意が必要であるというようなことから、現時点で実施するというのはかなり難しいのではないかと考えております。また一方で、御案内のように無料検査を実施しておりまして、多くの方に受診を呼びかけているところでございます。

 こうした検査結果からも、ある程度でありますけれども、議員の指摘する地域特性の把握は可能ではないだろうか、かように考えているところでございます。

高橋委員 その検査を始めるまで十年近くかかっておりますよね。そこに、今局長が、調べたけれどもなかったと最初にお答えになって、その後、この記事はよく覚えているとおっしゃったので、非常に残念だな、そうであればもう少し手当てができたのではないかと思っております。

 きょう持ってきたのは、長野県の原村、C型肝炎対策事業十年間のまとめということで、一九九三年から二〇〇二年まで、平成十四年の冊子であります。大変感動的な中身であります。厚労省がウイルス検査を位置づけたのは平成十四年から、原村のこの十年間の取り組みがあってからのことであるということをまず指摘しておきたいと思います。

 原村は、悪性新生物による死亡者数のうち肝がんの割合が、昭和六十一年には他の市町村が三から一二%のときに二七%、平成四年、ほかの市町村が八から一五%のときに三八%という非常に高率な発生だった。そういうところでC型肝炎という病名にたどり着くまで、原因不明の原肝だとか、水が悪いんじゃないかとか、さまざまな誤解があった。しかし、医原性の病気ということがはっきりしたことによって、これは知るよりも知らぬが怖いC型肝炎なんだ、これを克服していくんだというもとでこうした取り組みを始めたわけですね。

 資料の三枚目にありますけれども、三十歳の健康診査のお勧めという形で、三十歳のときに、働き盛りのときにこれを発見しておけばその後の人生にとって大きくプラスになるということでお勧めをしている。あるいは、中学生が卒業して村を出ていって、そのときに、ずっとたってからわかるよりも、卒業する時点で検査をしようということを実施して、そのときはゼロだったんですね、陰性。そういう結果になっている。そういう取り組みをずっと続けて、資料にあるように、今は陽性率がゼロというところまでたどり着いている。

 これは、検査と同時に、県と原村独自の医療費助成がある、ここに貢献をしていて、結局、最初の検査と医療費助成が早期に手当てをされることによってその後の重篤化を防いで、結果として医療費適正化に結びつく、こういう教訓にもっと学ぶべきではないかと思いますが、一言最後にお願いして終わりたいと思います。

茂木委員長 西山健康局長、持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

西山政府参考人 今のは長野県の原村の例でありますけれども、先生おっしゃるように、確かに先駆的な取り組みというようなことで、今回の私どもの措置がこの村に対しましても助成という形で機能していくのではないかと思っております。

 以上でございます。

高橋委員 終わります。

 引き続いてよろしくお願いします。

茂木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、舛添厚生労働大臣に所信に対する質疑ということで、実は三月も末でございまして、幾多お伺いしたいことはございますが、喫緊というか、火急の件のみ、きょうはお尋ねを申し上げたいと思います。

 まず一点は、分娩にまつわる、いわゆる産科の、出産のできるような病院や診療所数の減少ということに関して、昨日、毎日新聞にも報道、そして厚生労働省の方からも発表資料をいただきましたが、七十七施設が休止ないし制限というデータでございました。この件は他にも委員がお取り上げでございますが、私は、こうしたデータを厚労省がみずから発表なさるということは、ある意味で大変意味がある、わからないでおいておけば、そのまま消えてなくなって、お産がどこでもできないということが、次々とここのところ拡大しておりますから、しかし、二つの点において、きょうはちょっと大臣にお考えをいただきたいと思います。

 この七十七施設は特に病院や診療所をお調べでありました。私は、これまでもこの委員会の中で、いわゆる助産師さんがやっておられる助産所の、これもまた周産期ネットワークの中に位置づけて、きちんとこれからのお産を支えていただくマンパワーとしても活用すべきだということを申し上げてまいりました。既に平成十八年、柳澤厚生労働大臣のときにも質疑いたしまして、そういう地域ネットワークの中に助産所を位置づけるという御答弁もいただきました。

 さて、大臣、本当に残念なのですが、なぜ厚生労働省がお調べになるここには助産所という目がないのでしょうか。

 そして、時間の制約で、二点目を伺います。

 助産所もまた大事な資源であるということで、小池晃参議院議員が質問主意書をお出しいただきまして、その中で、現状二百八十四ある助産所のうち約一割が提携医療機関や医師との提携ができないために存続が危ぶまれているというふうな主意書の御答弁がありました。私はこれを拝見して、厚生労働省に伺いまして、どうなっているんだ、地域医療ネットワークに組み入れると言ったじゃないか、もし助産師さんのところがどこにも連携機関がないとしたら、これは行政がきちんと対応すべきことじゃないかと。

 大臣もいつぞや私におっしゃいました、お医者さんの前で、もし患者さんになったりしていろいろ言うのは大変なことだと。これは医師と助産師の間でも実は同じような関係がございます。助産師さんが頼み込んで、お医者様に個人的に連携をしてほしい、あるいは病院に個人的にお頼みしてというのはなかなかやはり労苦の多いものであります。

 大臣には、一点目、今後はこうしたネットワーク形成に助産所もきちんと調査する、そして、もし新たな開業や存続が本当に危ぶまれる場合は行政みずから努力する、この二点を明確に御答弁いただきたいと思います。

舛添国務大臣 助産所が大切でないなんということは全く思っていなくて、先般も助産師の代表をお招きして、私の医療改革ビジョンに来ていただきました。今回、実は一月に長野県の市立の飯田病院を視察して、それですぐ、とにかく病院や診療所で閉鎖されるところはないか大至急調査をしろということをやりましたので、その結果が今度出たわけですけれども、きちんと今後、また助産師についても助産所についても対応してまいりたいというふうに思います。

 それから、医療法の十九条の問題がありまして、助産所の運営その他でいろいろな問題が指摘されていることもよくわかっておりますので、これは弾力的に嘱託医については運用するようにということで指示をしておりますので、今委員の御指摘の二点についてはきちんとやってまいります。

阿部(知)委員 もう出産ができる場は一つでも減ってはならないと同時に、やはり自然なお産を求める、人生の大事なスタート、どうこの世に生まれ出るかということは、赤ちゃんにとっても、お母さん、お父さんにとっても大事なことですので、必ずこうした調査のときには助産所を入れていただく、そして連携を組んでいただくようお願い申し上げます。

 あともう一点は、私はこの記事からとらせていただきますが、実は、比較的人口集中地にある長野県と静岡県と群馬県の三病院が、この七十七の施設のうちで、次の手だてが立っていない。この三病院を合わせると約一千八百件のお産ができなくなるという状況で、手当てのついた病院もあるけれども、お医者さんが二十年の六月でおやめになるとか八月でおやめになるとかがわかっていて、その施設は分娩数が六百とか八百ある、もうこれは非常に深刻なことであります。

 厚生労働省としても、特に大臣を筆頭に鋭意御尽力いただいていることと思いますが、実は、大臣お気づきになりましたでしょうか、この中に、藤枝の市民病院というのが挙げられております。きょう私が取り上げさせていただくのは、これも大臣の御記憶にあればですが、実は、この藤枝の市民病院は、昨年、平成十九年の十月に、インプラントという歯の治療に関係しまして、保険医療機関の取り消しを一カ月間ですが処分されるという立場に立ちました。その後、現在に至るまでも歯科は再開されておりませんし、また、今般の産婦人科の手当てがつかないということと直接は関連しないとは思いますが、やはり病院にとって保険指定機関の停止を受けるということは、私は現場におりましたから、はっきり言って死刑宣告のようにも思います。

 この藤枝市民病院が、歯科の先生がインプラントという技術を用いて患者さんにやってさしあげたときに、それを保険適用するしないの判断はもちろんできないものですけれども、それ以外に幾つか関連して、不正請求であるというふうな言い方で、病院自身が処分されました。しかし、市民レベルから見れば、確かにインプラントに保険を適用したのは誤っていただろう、でも、それとても患者さんの負担を考えたという側面もないわけではない、これはぜひ大臣に知っていただきたいのですけれども。

 そしてその結果、一番被害を受けたのは市民で、安心して身近にかかれる病院がなくなって、たとえ一カ月にしろ、いろいろな応急、緊急避難的な処置はやっていただいたと思いますが、やはり市民は、なぜこれが取り消し処分になったんだろうということは、今もって疑問があるということを私は聞きました。

 そこで、大臣に、きょうの資料の見開きを見ていただきたいと思いますが、見開きの一枚目には、いわゆる医療の監査。医療機関は、それが適正に医療が行われているかどうか、保険診療請求の適正さはあるか等々において監査というものをみんな受けております。定例的な監査もございますけれども、中段以下の「事前通告」「監査」と書いてございます部分は、何らかの問題が指摘されて監査に入るということでございます。

 この監査を受けますと、その後、調書のような調査書がつくられまして、それを地方の社会保険医療協議会というのにかけて、処分が相当であるということが受け入れられて、それがさらに弁明のようなものですね、病院に聴聞という形でされて、最終的に処分が下されるというプロセスなのですが、実は、この監査内容あるいは社会保険医療協議会での協議内容が、市民からはなかなか見えません。いわば、今、法廷は可視化と言われています。全部を見せるように、情報公開の時代です。しかし、監査内容や協議会でなぜ取り消しまで至らなきゃいけないのか、そんなに作為的なのか、犯罪的なのか、問題なのかと。これが市民サイドからは見えません。

 私は大臣に、以前に明細書の発行ということをお願いしました。私は、これから医療はすべて可視化すること、納得すること、見える化すること、これによって、やはり本当の意味での医療費の削減も、それから必要な医療の定着も行われると思います。

 さて、これは原局でも結構です。私はけさも伺いました。ここの監査内容を、もう既に終わったものですし、藤枝市民病院のケースです、医療協議会、地域医療協議会の内容もお示しくださいと言いました。これは住民が情報公開法を用いれば手に入るものです。すなわち、公開できるものです。しかし、当局はお示しくださいませんでした。住民が情報公開法を用いて出せるものを、なぜ私ども議員には、そして、私は次にも伺いますが、非常に医療機関にとっては深刻な保険の取り消し問題がかかわっているときにお示しいただけないのか、明確にお答えください。

 そして、大臣にはお願いがありますが、既に処分が下った案件で、私は知る権利があると思いますから、これは出していただきたい。出されなければ、もちろん私も市民の一人として情報公開法を用いますが、私は、行政が今行っていることを立法府がチェックしたいからこそお聞きしたので、これは余りにこの間の省庁対応は不適切と思いますから、二点おのおのにお願いします。

舛添国務大臣 政府参考人の登録がないそうなので、私の方からお答えします。

 その前に、藤枝の市立病院の件は私がかかわってやりました。

 それで、まず一つは、やはりルールに基づいてきちんとこれは処置をしないといけないということで、ルールの厳格な適用ということは御理解いただけると思います。

 しかし、藤枝市の中核になっているこういう病院について、市民の皆さん方に御迷惑をかけないという観点から、現実に診療に来られた方に、例えばそこで全額払うということではなくて、今までどおり三割の負担でいいようにして、後で市と病院と健康保険組合との間でのやりとりをやるという形で、直接市民に御迷惑はかからない。いや、一万円かかった、三千円で済むはずなのに一万円出さないといけないのか、これはないようにいたしました。

 そして、今後どう立て直すかということについてきちんと書類を出していただいて、極めて迅速に、つまり一月のうちに再開をさせていただいた、そういう努力をいたしたことは御理解いただければと思います。

 その上で、この監査なんですけれども、私も委員の問題意識はよくわかりますけれども、監査をするときに、では診療報酬の不正があったんじゃないか云々ということで、これはレセプトを見るとか診療のカルテを見るとかいうようなことがあると、一つは個人情報保護法の観点からどうするかということで、そこで極めてビジビリティー、可視化ということをおっしゃいましたけれども、そことこの個人情報の保護というのをどう両立させるかということであります。

 それと、監査に入って、そして問題があれば処分する。しかし、いろいろなことで監査に入ったけれども、いや、この病院はきちんと適正にやっているということになれば、これは問題ないわけですけれども、監査に入ったということだけで風評被害のようなことがあってもいけないなという配慮もございます。そういうことで、監査中は少し今のような配慮をしないといけない。

 そして、今もう一つおっしゃったのは、処分を下した後、これは私は説明責任があると思いますから、かくかくしかる理由で、どういう法律に違反しているからどうだ、これはきちんと説明するべきだと思います。

阿部(知)委員 私が今お願いしたのは、もう藤枝市民病院は処分が下った後ですから、それの監査内容と地方医療協議会の内容をお示しくださいと言ったのが来ないという問題であります。

 そして、私は、大臣が非常に医療のことは関心をお持ちだからあえてこんな複雑なことを伺うのですが、やはり、藤枝市民病院の場合ですら、迅速に行ったというところですら、本当にこの取り消し処分が適当かどうか、そこは疑義があると私は思っております。

 引き続いて、なぜそう思うかというところを言わせていただきますが、お手元に大きな地図がございます。これは市立宇和島病院の地域別利用者状況という、今度、処分がメディア上はうわさに上がっております宇和島市の市立病院と徳洲会病院、私はきょうは市立病院に焦点を絞って伺わせていただきたいと思うのですが、ここでは病気腎移植ということをきっかけにやはり同じように監査に入り、病気腎移植以外にもいろいろな不当請求があったからということでございました。

 まず、この立地を見ていただきますと、これは四国の、愛媛県の本当に突端部分で南予と言われる部分のセンター病院で、愛媛を三つに分けますと、大学病院の愛媛大学医学部附属病院、そしてこの市立宇和島病院、さらには県立新居浜病院という三拠点で三次救急を回しているわけでございます。大臣にはぜひ認識していただきたいですが、運営基盤も弱い市立病院が三次救急までおやりになるということは、非常に頑張っておられる、本当に百年の歴史のある病院であります。こうやって頑張っておられる。

 そして外来患者数は、例えば右側を見ていただきますと、地域別で非常に広範な、高知からもいらしておりますし、入院の患者さんは大体年間で一万五千人。これは延べではございません、実数です。外来患者さんも十五万人。延べではございません、実数でございます。この地域で本当にここが基幹であるというところでございます。

 では、そんな大きな病院で、そんな歴史のある病院で、そんな立派な病院で、立派といっても、行っていただければわかりますが、建物は百年継ぎ足し継ぎ足して、本当によく頑張っている。今度新築されるそうですが、そういう病院です。そこでの保険請求の問題がなぜこんなことになるんだろうということを考えるために、大臣のお手元にもう一枚資料がございます。ここには、「病院事業の経営主体別業務の委託状況」、何を言っているかというと、病院が、例えば県立、市立、町立、いろいろございますが、その業務をどのように外部委託化しているかです。アウトソーシングです。

 大臣も御承知のように、この間、公立病院では採算を強く言われ、また、医療費の削減の中で、とにかくアウトソーシングしないと運営上も厳しい状態に置かれる中で、病院が多くアウトソーシングしたのが、医事請求、保険請求にかかわる部分でした。ここを見ていただきますと、県立病院などは何と九七・六%管理会社に、有名なところですとニチイとかNICとかございます。そこが問題があったとか言っているわけではございませんが、そういうところに全部外部委託しているわけです。ほとんどの公立病院がそうやっております。

 厚生労働省が監査に入られたときに、これが問題、あれが問題といっぱい指摘をされます。しかし、私も医療機関で短いが病院長をやらせていただきましたが、なかなか医療請求の細かな事務まで病院の管理運営者が携わってはおらず、そして、細かな部分は外部委託されております。私は、数多い、例えば宇和島の市立病院でも百以上のとか、二百とか三百の違反があると言われますが、それはもしかして、おのおの委託している業者も十分に内容を理解されずに請求しているようなものも実は多いと思います。

 私は、一例ありますが、もう時間の制約で言いません。大臣には、処分とかそういうことをお考えになる前に、ぜひこういう自治体の構造を見ていただきたいんです。

 そして、病院の管理運営者、病院長以外に市から職員が来て医事に入られます。でも、この方は医事の専門ではございません。専門の人を育成できるほど公立病院には余力がございません。私は、もしかしてどこの病院でも市立病院は問題があって、極端ですが、監査に入れば全部取り消しができると思います。そういう構造下に置かれているんです。

 医療基盤を一つでもなくさないという観点から、大臣、総務省と早急に御連絡をとられて、どうやって外部委託の質の担保に努めるか、まずこの点を厚労省みずから努力していただきたいですが、いかがでしょう。

舛添国務大臣 まず、宇和島には私も何度も行っております。それから、愛媛の知事さん、国会議員の皆さん方からもいろいろな御要望をいただいております。

 不正な請求を含めて違反は許さないという立場と、しかしながら地域医療の確保、これを念頭に置いて対処する、これはしっかりやりたいと思います。

 そして、今委員が御指摘になった外注、アウトソーシングの構造、こういうものも含めて、特にこれを見ますと、公立、特に都道府県立なんて九七%で多いわけですから、私はこういうことこそまさに長期的な視点に立った医療改革をやる一つのターゲットになると思いますので、これはまた、委員の御指摘を受けまして、総務省ともしかるべき協議をして、どのような手が打てるか、今後とも課題として取り組んでまいりたいと思います。

阿部(知)委員 地方にとっても、地域にとっても、病院にとっても処分は死刑宣告です。よくお考えの上、大臣らしい御結論をお願いいたします。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会


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