衆議院

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第10号 平成20年4月23日(水曜日)

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平成二十年四月二十三日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      赤澤 亮正君    新井 悦二君

      井澤 京子君    石崎  岳君

      稲田 朋美君    上野賢一郎君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    北村 茂男君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    鈴木 馨祐君

      鈴木 淳司君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君    冨岡  勉君

      中川 泰宏君    永岡 桂子君

      長島 忠美君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      林   潤君    広津 素子君

      福岡 資麿君    藤井 勇治君

      藤田 幹雄君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    石関 貴史君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      鈴木 克昌君    園田 康博君

      田名部匡代君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      山口  壯君    吉田  泉君

      伊藤  渉君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 博三君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤木 完治君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (国立感染症研究所ウイルス第三部長)       田代 眞人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           谷口  隆君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           本川 一善君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     鈴木 淳司君

  木原 誠二君     藤田 幹雄君

  清水鴻一郎君     広津 素子君

  高鳥 修一君     長島 忠美君

  冨岡  勉君     橋本  岳君

  長崎幸太郎君     赤澤 亮正君

  萩原 誠司君     北村 茂男君

  内山  晃君     山口  壯君

  菊田真紀子君     田名部匡代君

  三井 辨雄君     石関 貴史君

  柚木 道義君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     長崎幸太郎君

  北村 茂男君     上野賢一郎君

  鈴木 淳司君     鈴木 馨祐君

  長島 忠美君     稲田 朋美君

  橋本  岳君     冨岡  勉君

  広津 素子君     清水鴻一郎君

  藤田 幹雄君     中川 泰宏君

  石関 貴史君     三井 辨雄君

  田名部匡代君     鈴木 克昌君

  山口  壯君     内山  晃君

  吉田  泉君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     高鳥 修一君

  上野賢一郎君     永岡 桂子君

  鈴木 馨祐君     井上 信治君

  中川 泰宏君     藤井 勇治君

  鈴木 克昌君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     萩原 誠司君

  藤井 勇治君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官上田博三君、外務省領事局長谷崎泰明君、財務省主計局次長香川俊介君、文部科学省大臣官房審議官藤木完治君、厚生労働省医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、医薬食品局長高橋直人君、医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、保険局長水田邦雄君、国立感染症研究所ウイルス第三部長田代眞人君、農林水産省大臣官房審議官谷口隆君、生産局畜産部長本川一善君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 自由民主党の清水鴻一郎でございます。

 きょうは感染症等の法律について質問をさせていただくわけでありますけれども、その質問に入る前に、舛添厚生労働大臣がいらっしゃっていますので、今一番ある意味で社会の関心といいますか、高齢者の方にとって一番関心のある後期高齢者医療制度、いわゆる長寿医療制度について、大臣、ちょっと一言といいますか、誤解も大変あるようで、何か誤解がますます誤解を生んで、またマスコミの方もその誤解を非常にオーバーに報道されることもあって、本当に高齢者の方を非常に心配な立場に追い込んでいると思います。

 もともと後期高齢者制度をつくるに当たっては、いろいろな論議がありましたけれども、やはり七十五歳以上の後期高齢者はどうしても病気を複数持つとか、一つの病気だけではなくていろいろな病気を持つ、そういうことを含めて、若い人とは違う医療制度といいますか、医療を受けやすいように何とかしなきゃいけないんじゃないか、特に日本は世界に類を見ない少子高齢社会という中で、もちろん十分な医療をしていく、だけれども、やはりある意味では持続しなければいけないということも含めて、検討したわけであります。

 今一番誤解を生んでいるのは、七十五歳以上になったら特別、七十五歳までの人とは違った医療、つまり限られた医療しか受けられないんじゃないか、あるいは、いわゆる担当医制度、主治医制度ですけれども、これも、それを決めなきゃいけない、決めたらその人以外には診てもらえないんじゃないか、その人の紹介がなければほかのお医者さんには行けない、いわゆる日本が誇ってきたフリーアクセスが制限されるんじゃないか、そんな誤解もあるようであります。

 その辺のところ、確かに厚労省の方が工夫してつくられたと思いますけれども、このパンフレットを見ても、これは小さい字もありますし、高齢者の方は字が読めるのかな、これはなかなかわかりにくいですね。準備期間は本当は二年間あったんですけれども、本当に周知徹底が、このパンフレットだって私もごく最近見ましたし、そういう状況の中でスタートした。

 それから、ちょっと私は方法論としてまずかったのかなと思うのは、いわゆる年金から天引きするという制度を最初からとったということですね。そうすると、説明されないままにまず天引きが起こってしまう、あるいは説明していたんだけれども、十分理解していただく前にいわゆる天引きがされてしまう。だから、高齢者の方にすれば、よくわからないうちにお金だけ先取りされてしまった、そんな感じになってしまう。

 だから、年金から天引きするなら、それは手続をしていただいて、あるいはこちらからそういう手続をしますよということで、最初は十分対面で納得してお支払いいただく。あるいは、そのお支払いいただくときに十分説明をして、国民健康保険では今まで幾らお支払いになっていたけれども、この制度になったらこれだけになります、少し下がる、所得によって下がる方も多いわけでありますから、下がるんだよということ、あるいは所得が現役並み以上にあるから少し応分の負担をお願いします、そんなことも含めて十分説明できたんじゃないかなと思うんですね。

 その辺のところは、今、現地の方といいますか、地方からそういうクレーム、私も実は昨日、京都の方から、応援していただいている方から、ちょっと今、清水さんの自民党と書いた看板は近所に恥ずかしくてあれだからおろすというふうに電話がかかってきまして、大変親しくしていただいて、僕にとってはその人が私を応援しないはずがないと思う方がそういうふうにおっしゃって、近所に恥ずかしい、そんなふうにおっしゃって、こんなに冷たい施策を与党がとったというふうに思っておられるんですね。これは十分な説明責任が果たせていなかったと思うんです。

 一つ確認したいんですけれども、担当医制度というのは、持ちたい場合は担当医を持って、その方に十分な相談をしたり気軽に相談できる、主治医を持てる、外来主治医制ですね。そういうものだけれども、別にそれは自分の選択によって、持ちたくなければ今までどおりフリーアクセスで、もちろん担当医を持ったからといってその人を介さなければいけないということは全くないということも含めて、その辺のところは今後も含めて大臣の方から。

 それから、ちょっと医療関係者の方も誤解がありまして、今はそうだけれども、将来は主治医制一本、つまり、そこを通さなければ、後期高齢者の方のフリーアクセスをできなくしてしまうのではないか。それも、今の六百点という中で、本来六百点では難しいところまで過重に、主治医になったために、いわば持ち出しを含めてやらなければならない。高齢者の方も遠慮しなきゃならないし、その主治医になった人もいわば犠牲的精神でなければならない。そんなふうな、押し込められるということも心配されているんです。

 その辺のことは、今後ともフリーアクセスが確保されることを含めて、舛添大臣から、決意と、それから、誤解について十分なことをおっしゃっていただきたい。どうぞよろしくお願いします。

舛添国務大臣 新しい制度のもとでいろいろな制限があるような報道が一部なされたことがありますけれども、そういうことは全くありません。私が一番気にしている、心がけてこれまでもやり、今後もやるのは、現在の医療水準を下げない、今受けている治療、今かかっているお医者さん、これが、どのような制度であれ新しい制度が入ることによって制限されることは一切あり得ない、むしろ選択肢が広がり、さらにいい医療が受けられる、そういう観点からすべての制度設計をやるということであります。

 これは、ある新聞記者さんも書いていたし、テレビの記者さんも言っていましたが、反省を込めて報道の人たちも、二年前の六月にこの法律が成立したときに、自分たちはどれだけの量の報道をしただろう、ほとんどやっていない。そして、この期に及んで大洪水のごとくやる。しかも、その中に極めて誤解が多い。私は、テレビを見て気がついたら一々訂正しています。局の方が言うのではなくて、要するに、今までのお医者さんにかかりつけできません、こういうことを言っちゃうわけですよ。そういうことを言っている報道に対しては一つ一つ訂正を要求します。それは当然のことです。したがって、そういうことはありませんと。

 かかりつけ医をなぜ設けたかというと、私も母親の介護をしてきました。夜中の訪問看護、来てくれませんよ。電話だけですよ、お母さんどうですかと。今度来てくれるようになるんですよ。それから、年寄りですから、私の母親も八十でぼけましたからね。嚥下性の肺炎をやったり、入退院を繰り返すんですよ。そのたびに、出たはいいけれども、次はどこの病院にやるんだと。うちでしばらく見られるけれども、見られません。それはだれもやってくれない。今度は、かかりつけ医が、あなたのお母さんは退院したら次はどうですよ、こういうことを見てくれる。それから、歯医者が来てくれなかった。今度は、これで来てくれるわけですよ。

 そういうことについて私はいろいろなところで説明はしていますけれども、しかし、十分そういう説明が周知徹底していないことは確かです。ですから、これは今後きちんと議論をしていかないといけない。医療水準を下げない、今までの医療を続けていく、そして、国民皆保険を守るためにはどうするのか。

 それから、日本医師会の方々にも、先生もお医者さんですから申し上げますけれども、これはそもそも、こういう制度をつくったらどうですかという日本医師会からの提案があっているわけですよ。ですから、そういうこともあって議論をしたわけです。

 そして、国会の場できちんと採決して通っているわけですよ、二年前の六月に。その間の二年間、いろいろな周知徹底をしないといけない。しかし、急激に御負担がふえることを避けるために凍結をしたり、いろいろなことをやってきたわけです。

 そういうことによって、これは、いろいろなシステムを組むときに、市町村の方も大変だっただろうと思います。しかし、圧倒的多数の市町村はきちんとやってくれているわけですよ。ミスをやっているところは数えるぐらいしかないんです。ですから、そのことはそれで指摘して、例えば保険証が届かない方が六万人いて、今四万人ぐらいですけれども、免許証でいいですよ、こういう手当てはきちんとやります。

 しかし、大きなところから見て、後期の高齢者の方々の健康をきちんと守るためには財源的なことできちんと手当てをする。一割ですから、一割が高齢者の負担、四割が現役の負担、五割は公費を入れるわけです。保険というのは自分のお金でやるのが普通の保険なんですよ、保険料で。九割まで入れるというのは、保険というより、参議院の西島議員の言葉で言うと、むしろ保障だろう。

 そういうことで、さまざまな手を打っておりますから、少なくとも、話をまとめますけれども、今までの医療が受けられない、今までかかっていたお医者さんにかかれない、そういうことは一切ありません。そのことは明言しておきたいと思います。

茂木委員長 清水君、時間も経過してきておりますので、議題の質疑に入ってください。

清水(鴻)委員 ありがとうございました。

 今、舛添大臣の決意といいますか、それは当然のことでありますけれども、その周知徹底、誤解ということがよくわかりましたので、その辺のところを国民の方に安心してもらえるように私も頑張っていきたいと思います。

 ただ、この高齢者医療制度、それから、リンクして今度出てくる療養型の病床の問題もありますね。今まさに大臣がおっしゃった、お母さんを介護していて嚥下性肺炎で入院する、その後、次に行くところがない。これはまさに療養型ともリンクしますし、必要性のある療養型はちゃんと残すということも含めて、またよろしくお願いしたいというふうに思います。

 では本来の、きょうは感染症のことでありますから、感染症の方に入らせていただきます。

 今一番、感染症で毎日みたいに報道がされていることで、いわゆる新型インフルエンザの問題があります。きょう参考資料をお配りしましたけれども、特に日本に近い東南アジア、参考資料一にありますように中国や、まさにこの十五日、数日前にも報道がありました、韓国にも今鳥インフルエンザが起こっています。ベトナム等を含めて東南アジア、日本に本当に近いところで多発をしている。日本にいつ新型インフルエンザが上陸してもおかしくない状態が今あります。参考資料を見ていただいたら、一応皆さんにお配りしていますけれども、かなり厳しい状況にある。

 さらに、参考資料の二ページでも、高病原性の鳥インフルエンザで実際に感染者や死亡者が出ている。中国では既に二十名という死亡者が出ていますし、インドネシアでは百七名という死亡者が出ています。ベトナムでも五十二名。だから、この状況を見ても、既に、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザからの感染でかなりの方が亡くなっていることは、これは感染症情報センターからとったデータでありますけれども、この二枚目のデータを見ていただいてもよくわかるところであります。

 しかしながら、この新聞報道、ページ三のところにもあると思いますけれども、なかなか予防策に決定打がない、日本で起こった場合は、国民の四分の一が感染する可能性が想定されているわけですね。つまり、三千二百万とかそういう数字が出ている。そして、かなりの人数が亡くなる、六十四万人の方が亡くなるという想定もされているところであります。

 四ページ、参考資料の四枚目、新聞報道を含めて、これはもちろん厚労省等が出されたデータに基づいているんですけれども、三千二百万人の感染が予想されている、死者は最大では六十四万人になるということであります。

 そして、五ページ目に入れておりますけれども、四月十五日の新聞報道でありますけれども、今まさに韓国に鳥インフルエンザが拡大している。日本も警戒態勢をとって、今フェーズ3。フェーズ3というのは、4になれば厳戒態勢、つまり、感染がいつ起こるかわからない。フェーズ3まで今来ている。日本は警戒態勢をとっているということも今報道されているところであります。

 しかしながら、この六枚目の資料を見ていただきますと、東京都議会なんかでも、むしろ国の方が少しのんびりしているんじゃないかというようなことで、都議会は都議会としての対応をとっているということでありますし、足りない予想型ワクチンも含めて、今度三千万人、今二千万人、それから予備として一千万人、三千万人分だけのいわゆるプレパンデミックワクチンがあるということでありますけれども、この間、ようやく行動指針も含めた会議も開かれたようであります。

 その点、今参考資料を見ていただいて、新型インフルエンザにつきましては、日本の国内ではまだ発生はしていないけれども、海外、今見ていただいたように、鳥から人はもう当然ある。人から近親者の人、DNAが非常に近い人にはもうヒト・ヒト感染も起こっているという状況でありますから、いつ近親者でない人に感染するか、いつ起こるかわからないというのが学者の、専門家の見解であります。

 そうした場合には、ヒト・ヒトが起これば爆発的な流行が起こる可能性というのは、今もうXデーは近い、いつ起こってもおかしくない。これは、パンデミックが起こるか起こらないかわからないけれども、いつ起こってもいいという認識のもとで対策を進めていっていただかねばならないと思います。

 我が国の対策を見ると、四月九日に内閣官房が水際対策、地域封じ込めの具体策を発表されました。そして、四月十五日には舛添大臣が記者会見をされまして、プレパンデミックワクチンの事前接種を行う旨も発表していただいております。これはもう大変評価のできることであると思います。

 しかしながら、四月十六日に開催されました厚生労働省の専門家会合におきましては、プレパンデミックワクチンの事前接種について、まず平成二十年度に六千人に投与する、そして安全性の確認をした後に、平成二十一年度に一千万人に事前接種を行う、そういうスケジュールが発表されています。

 最近の報道では、まさに今見ていただきましたように、韓国で鳥インフルエンザ被害が大変拡大している、そういう脅威がもう非常に高まっているわけですね。いつXデーが来るかわからないと思っているんですけれども、厚生労働省としては、これは二年計画等で十分な対策だというふうに考えられているかどうか、その点、いかがでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお話しされたプレパンデミックワクチンでありますけれども、御指摘ありましたように、十八年度補正予算におきまして一千万人分、それから十九年度補正予算において一千万人分、これは株が違うわけでして、新たに専門家会議から別の株を一千万人分用意したらどうかという提案を受けております。それに基づきまして、現在私ども検討しております。

 私どもの対策でございますけれども、内閣官房が中心になりまして、水際対策ですとか封じ込め対策、あるいは、私どもも、今回の法律改正におきまして、新型インフルエンザについて新しいカテゴリーを設けまして、健康監視を進めるですとかあるいは外出の自粛をしていただくだとか、そういう多面的な対策を現在とっている、あるいはこれからもとっていきたい、かように考えている次第でございます。

清水(鴻)委員 ただ、今おっしゃったけれども、この瞬間にも新型インフルエンザが起こる可能性がある、そして、いつ起こるかわからないものに対して二年間かけて医療従事者などから順番にやっていってというのは、かなり悠長な感じがするんですね。もう少しスピード感を持って、これはもうはっきり言って、この新型インフルエンザ、これはもう三千数百万人がかかる可能性がある。一種の危機管理だと思うんですね。これは国家の危機管理、単なる感染症対策というよりは危機管理だと思うんですけれども、大臣、その辺はどうですか。

舛添国務大臣 これはもうナショナルセキュリティーというか、国家の安全保障そのものであります。したがって、水際対策から含めて、いざ発生したときにどういうふうに政府としてこれに対応するか。それは、国民の方にもいろいろな備蓄をお願いしたり、例えばマスクをすることを含めて個々の感染対策をやらないといけないというふうに思っていますので、今考えていますのは、この法案を速やかに可決していただいて、その上で、政府全体で一度、例えばフェーズ4になったときのシミュレーションをきちんとやってみたいと思います。何度か小規模の訓練やシミュレーションをやりましたけれども、本格的なことはまだやるところまでいっていませんので、そういうことを含めて、総合的に国家の危機管理体制をさらに進めてまいりたいと思います。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 それで、実際、プレパンデミックワクチン、例えば最初の六千人ですか、それはそれとして、あと、一千万人等に対しましては、医療従事者あるいは社会機能維持者ということですけれども、実際に具体的な接種順位とか優先順位というのはある程度もう考えておられるかどうか、いかがですか。

西山政府参考人 結論から申し上げれば、まだこれからということであります。

 ただ、今一千万人と先生御指摘がありましたけれども、私ども、ことしからでありますけれども、現在のプレパンデミックワクチンの有効性ですとか持続の期間ですとか、あるいは交差免疫の程度等について調査研究をすることにしております。具体的には、約六千人を対象としたプレパンワクチンを用いた臨床研究を実施するというようなことで、この期間に約一年ぐらいかけて有効性や安全性について評価をきっちり行いたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 できるだけスピード感を持って、あした起こった場合というようなことも含めて、起こらなかった場合で粛々と一年、二年かけて準備されている、それはそれでいいわけですけれども、もしあすあるいは来週起こったときにはどうするか、そういう対応もマニュアルを常にやはり考えておく必要があると思いますけれども、いかがですか。

西山政府参考人 このプレパンデミックワクチンでありますけれども、薬事法の承認がおりていまして、先生御指摘のように、きょうあした起こったといった場合には、これは新たな次元に入ってまいります。つまり、人数分足りないわけですね、二千万人分しかないわけですから。

 したがって、仮の話ですけれども、きょうあすということであれば、外国からの輸入ですとか、あるいは希望者に関して一斉に打ち始めるとか、あるいは、インフルエンザでありますから、やはり、手洗い、うがい、それから外出自粛、お子さんであれば学級閉鎖、恐らくこういうことになろうかと思います。

 仮定の話で恐縮ですけれども、私の意見はそういうところでございます。

清水(鴻)委員 スイスなんかでは、全国民の人数分プレパンデミックワクチンを用意して、そして接種して、国民の七割が免疫を持てばいわゆる大流行、パンデミックにはならないというようなデータもあるわけです。

 今、新たな段階に入って、外国から買う方法も含めてということですけれども、スイスとかアメリカとかは、製薬メーカーとも事前に、起こった場合にはそれだけの確保をするということも、既に契約等も含めて事前の準備をしているようでありますけれども、日本の場合はそういうことはちゃんと準備をされているわけですね。

西山政府参考人 我が国の場合はまだでございます。

 ちょっと補足いたしますと、世界各国のプレパンデミックワクチンの備蓄でありますけれども、アメリカは、二千万人分を備蓄目標として一千三百万人分を備蓄済みだということであります。この中身について、企業から購入するのか、あるいはアメリカ政府全体がつくっているのか、それについてはまだわかりませんけれども、あるいは、スイスでは御指摘のように八百万人分が備蓄済みだというようなことであります。ただ一方、カナダなんかは備蓄していない、そういうような国もありまして、それぞれ国によって政策が違うというふうに認識しております。

清水(鴻)委員 備蓄していない国があるから日本は備蓄しなくていいというのは、ちょっとおかしいんじゃないですか。一番対応をきちっとしている国に近い準備をするのが当然だと思うんですけれども、今、カナダはしていないから、そういう国もあるんだ、だからいいんじゃないかという話で、日本もまだ、外国からの買い付けも含めて在庫をどう確認しているか。もし起こった場合には、どこにどれだけの在庫があるんだということも含めて、少なくとも情報として知っていなければ対応できないんじゃないですか。いかがですか。

西山政府参考人 今、諸外国の例を申し上げただけで、私どもの国としては、大臣も申し上げておりますように、プレパンデミックワクチンを増産して、それから足らず前については外国から購入して、基本的には全国民に接種していく、こういう基本的な方針を持っております。

清水(鴻)委員 プレパンデミックワクチンですけれども、今現在、日本の場合、完成品として三千万人ですか、それとも、いわゆるタンクの中にあるバルクという状態ですかね、半完成品という。どういう状況で、どんなバランスで備蓄されているわけですか。

西山政府参考人 先ほど申し上げましたように、ベトナム株、インドネシア株について一千万人分、それから中国株について一千万人分、したがって二千万人分ございます。

 先ほど申し上げた専門家会議の御意見ですけれども、この株とは違った、クレードの2・2という株をもう一千万人分必要なのではないかというような専門家会議の御意見を承ったわけです。それについては、私ども、今年度予算でどうするか検討しているところでございます。

清水(鴻)委員 今私が申し上げたのは、もちろんそうなんですけれども、完成品としてすぐ打てる状態で幾らあるのか、半製品としてどれだけあるのか。その半製品の場合は、完成品にするのにどれだけの期間が必要なのかということを私は質問しているわけですけれども。

高橋政府参考人 現在、プレパンデミックワクチンにつきましては、ベトナム株、それからインドネシア株、それから……(清水(鴻)委員「それは聞きましたよ」と呼ぶ)

茂木委員長 要するに、先ほどの質問とダブりますから、完成品としてどれだけあるのか、それとも、半完成品で、例えばタンクの中に入っているのはどれだけあって、そのタンクから今度は完成品にするのにどれだけの時間がかかるかという質問ですから、それに答えてください。

高橋政府参考人 ですから、あとは中国安徽株についての備蓄を行っておりますが、これが全体で二千万人分、これが原液の状態でございまして、直ちに使えるということではございません。その原液から、さらに実際に投与する場合の注射の型のバイアルに移すという作業は当然かかります。

 そういった場合に、要する期間といたしましては、バイアル化に要する期間として大体二カ月前後の期間ということでございます。

清水(鴻)委員 完成品が幾らあるかというのを答えていなかったですね。原液で幾らあるというのがあって、それは二カ月というのは本当ですか。私の持っているデータでは、半年から一年かかるというふうに聞いていますけれども。

高橋政府参考人 ですから、これは原液の状態が、先生おっしゃる半完成品ということでございますが、これを……

茂木委員長 完成品はどれだけあるかと聞いているんだから、完成品がないんだったらないと答えるなりしてください。

高橋政府参考人 完成品は、現在、臨床研究用のために一部バイアル化したものがございます。これは七十万人分ほど現在ございます。

茂木委員長 それから、後半の部分も答えていない。

高橋政府参考人 原液を製剤化するためには、これは先ほど申し上げましたように二カ月、大体一カ月から二カ月要するということでございます。

清水(鴻)委員 今、完成品七十万人で、一、二カ月。つまり、もしパンデミックが起こった場合、少なくとも、本当のパンデミックワクチンはもっとかかりますよね。ウイルスを同定してからパンデミックワクチンをつくるには、恐らく半年とか、あるいは場合によっては一年単位でかかる。その前に、プレパンデミックワクチンで対応するという場合については、今、完成品では七十万人、そして半完成品、原液の状態で一千万人分、それは二カ月ぐらいかかる。その状況で、もし、あす、来週起こっても一応対応できる、それでいいわけですか。

高橋政府参考人 ちょっと御答弁の前に、先ほどちょっと言い間違えました。完成品七十万人分はこれから製剤化するということでございます。失礼いたしました。

 それから、パンデミックワクチンにつきましては……(発言する者あり)済みません、ちょっと先ほどは勘違いいたしました。申しわけございません。

 それから、パンデミックワクチンにつきましては、御指摘のように、長時間を要するということであります。

茂木委員長 高橋局長、大切な問題ですから、きちんと数字をもう一回答えてください。

高橋政府参考人 パンデミックワクチンの方につきましては、これは卵の確保から製造期間につきまして長期間を要する、大体一年半から二年近くかかるのではないかというふうに見ております。

清水(鴻)委員 委員長、今聞いていただいたと思いますけれども、では完成品はゼロということですか。それであす起こって大丈夫なんですか。本当にゼロなんですか。少なくともゼロとは聞いていませんよ、今まで担当者からは。

 今、七十万人も完成品じゃないとおっしゃいましたよね。では、完成品はゼロということでいいんですか。それで日本の対応はできるんですか。本当ですか。これは、そうだったら大変な問題じゃないですか。

茂木委員長 ちゃんと打ち合わせして、最終的な答えを言ってください。

高橋政府参考人 厳密に申し上げます。(清水(鴻)委員「厳密に最初から言ってくださいよ」と呼ぶ)はい、申しわけございません。

 七十万人分につきましては、原液から製剤化をした。ただ、国家検定が残っているので完全な完成品ではない。最終的に、今、直ちにきょう打てるという形にはまだなっていないということでございます。

清水(鴻)委員 では、打てるというのにはどれだけかかるんですか。

高橋政府参考人 ちょっと御質問の趣旨が、打つということは、実際にそれぞれの方に対して打つ期間がどれぐらいかかるかということでございますか。

茂木委員長 違う。そうじゃなくて、完成品に近いものがあると言ったとき、今打てる状態じゃないと答弁したわけでしょう。それに対して清水委員の方から、では、打つのにどれくらいかかるんだと聞いているんですから、実際に打てるまでにどれだけかかるかということを答えればいいんですよ。

舛添国務大臣 済みません。きちんとした答弁が政府委員の方でできないので、私の方から申し上げます。

 まず、先般、専門家会議がございまして、プレパンデミックワクチン、どういう方針でやるかということなんですが、平成十九年度、つまり、もう二十年度に入りましたから、昨年度に、北里研究所、阪大の微生物病研究所のワクチン原液から合計七十万人分弱は製剤化しております。

 したがって、基本的に製剤化しているということは、これは厚労の科学研究でやっていますから、それを持ってきて使うということは可能だと思います。

 しかし、それ以上について、きょう、あした起これば、それ以上の対策はできません。したがって、平成二十年度に、まず六千人を対象にして有効性、安全性について研究をやる、そして、この結果、安全性、有効性についてきちんとした評価ができれば、平成二十一年度、来年度に一千万人に事前接種を、安全性、有効性があれば実際にやってみる。そして、これで非常に安全性も有効性も確かめられたということになれば、それから先は希望する国民にこれをさらに接種していく、そういう計画でありますから、今委員が御指摘のように、きょう、あす来たときには、このプレパンデミックワクチンということについての対応は、それしかできません。

 したがって、完全にこれはどういうウイルスであるかということが確定されたら、それをもとにして、今度はパンデミックワクチンを製造しないといけません。したがって、今、有精卵を使ってやっていますから、当然その有精卵の確保はできますけれども、一億二千万人分確保しろということになると、準備をスタートさせて、一年半から、つまり、きょうもしヒト・ヒトというのが起こった場合には、それから一年半から二年間かかるというのが今の状況でございます。したがって、さまざまな対策を今後とろうということであります。

清水(鴻)委員 大臣まで出ていただいて、これは本来、政府参考人の方に答えていただければよかったんですけれども、ただ、政府参考人の方の、すぐに使える状態じゃないということ、ちょっとその辺はまたきちっと整理しておいていただきたいと思います。先ほどは、すぐ使える状態じゃない、少し時間がかかるんだということでしたけれども、それはそれで、時間もありませんし、本来はもっと先へ進む予定だったので、ここで本当は時間をとめてほしいぐらいのものでしたけれども、しようがないので、それはわかりました。

 ただ、やはり七十万人という数字がいいのかどうか。それから、有効性については、大臣おっしゃいますけれども、確かに阪大の微研でつくるとか、日本の国産製についての治験は、治験といいますか、そういう有効性についてはあれですけれども、少なくとも、プレパンデミックワクチンでは、海外ではそういうデータはありますから、いつも、このごろ、また日本でわざわざやるのかということも含めていろいろありますから、その辺のところはかなりやはり弾力的に、日本でというよりか、外国でのデータの積み上げも含めて参考にして、特にこれはまさに危機管理でありますから、よろしくお願いしたい。

 では、プレパンデミックワクチンについては、ぜひその辺のところ、七十万でいいのかということを含めて、それからそれが本当にすぐ使えるかどうか、また後ほど私に知らせてください。よろしくお願いします。

 あと、私、京都で府会議員をやっていましたけれども、そのときに京都で鳥インフルエンザが起こりました。そのときに、京都府の職員の方も現地に処理のことで出かけるときに、もうしようがないので、プレパンデミックワクチン等はその当時ありませんでしたから、タミフル、いわゆる抗インフルエンザ薬を予防的に飲んで、そして出かける。実際に発症はしなかったけれども、やはり抗体を持った方が後で何人か出たんですね。

 つまり、プレパンデミックワクチンが七十万人と少しお寒い状態でありますから、今後起こったときには、タミフル等も予防的にも使わなければいけない、治療的にももちろん使わなければいけない。今、そういう抗インフルエンザ薬のタミフルあるいはリレンザの備蓄状況はいかがですか。

西山政府参考人 タミフルにつきましては、受診者用の二千五百万人分、それから予防投与用の三百万人を合わせて二千八百万人、備蓄してございます。

 それから、今般の十九年度の補正でもリレンザについては新たに追加をいたしまして、現在、タミフルの耐性菌用としてリレンザを百三十五万人分備蓄している、このような状況でございます。

清水(鴻)委員 予防投与に対して三百万人ということですけれども、実際に起こった場合、かなり予防的投与に使われると思うんですけれども、三百万人で十分でしょうか。

西山政府参考人 タミフルについては、投与の量と期間等がWHOでいろいろ検討されています。したがいまして、それに合わせて耐性菌の関係も含めて検討いたします。したがって、三百万人分で足りるかどうか、これをあわせてまた検討したいと思います。

清水(鴻)委員 今、非常に脅威、いろいろなところでも毎日みたいに、韓国のことも含めて、鳥インフルエンザが中国でも起こっていますし、トリ・ヒトはもう既にある、近親者ではヒト・ヒトも起こっている。そういう状況の中で、検討中ということだけでは大変厳しい状況があるだろうと思います。

 そして今、タミフルの備蓄状況はそれはそれとして、リレンザは百三十五万人。このバランスについては、やはりもう少しバランスよく備蓄する必要があると思いますけれども、いかがですか。

西山政府参考人 リレンザについては、タミフルの国の備蓄量の一割相当を考えていまして、それに合わせてまた追加的に備蓄を進めたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 今、タミフルの二千八百万人分、どこに、どんな形で、いざ起こったときはどういう流通経路でという、そのマニュアル等についてはいかがですか。

 実際、例えば、京都で狂犬病が起こったんですね。そのワクチン、あるはずだと厚労省は言う。だけれども、どこを探しても、京都にもあるはずだ、問屋さんにある、あるいは京都府立医大にある、府立医大には六人分とか十人分しかない。少なくとも、病院に来られた、狂犬病に接せられたと考えられる職員の方、百人余りに打ちたいということだったんですけれども、実際にはどこにあるかわからないんですよね、あるはずだと。

 今、タミフル等の備蓄状況を含めて、どこに、どんな形で、今すぐ起これば使える状態にあるのかどうか、いかがですか。

西山政府参考人 タミフルにつきましては、流通備蓄薬と県の備蓄薬と国の備蓄薬、三つございます。それぞれについて、在庫情報の把握方法ですとか、都道府県や卸との協議ですとか進めておりまして、どこにあるかということは、危機管理者、各県あるいは厚生労働省、その方だけが知っているということで、場所については一般的に特定できないようにしております。

清水(鴻)委員 特定できないというのは、どこどこの、ここの、厚労省の何号室にあるとか、そんなことは別にいいですけれども、少なくとも、どういうところの責任下で管理されているということぐらいわからなければ、これは我々も知れないんですか。それでいいんですか。

西山政府参考人 責任者でございますけれども、まず、県におきましては県のインフルエンザの担当部局、それから国であれば我々でありますけれども、そういう者が知っているということで、先生方が知れるかということにつきましては、現時点ではお知らせすることはない。

 と申しますのは、やはり、一たびインフルエンザが起こったときに、タミフルの奪取合戦といいますか、奪い合いになってしまうというふうなことを避けるために、私ども、そのような方針できちっとそのときには対応できるようにしておりますけれども、場所等については、ここだというふうなことについてはお知らせしていない、そういう方針でございます。

清水(鴻)委員 わかりました。でも、その対応は、いざというときには十分していただけるということをぜひお願いしたい。

 時間も来ましたので、あと、もし実際に起こってしまったという状況で、もうこうなったらプレパンデミックワクチンを何とか接種したいという希望が例えば全国民にあったときに、日本としては、可能性として、少なくともどれぐらいあれば全国民分そろえられるか、海外の輸入も国産も含めてですけれども、それだけ最後にお聞きして終わりたいと思いますが、いかがですか。

茂木委員長 西山局長、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

西山政府参考人 先ほど来申し上げていますように、現在は二千万人分ワクチンがあります。それから、海外から購入ができるかどうか。こういうことを勘案しますと、やはり全国民に打つにはまだ時間がかかるだろう。

 したがって、一言で申し上げれば、もっと国内で生産できるような体制、ラインをつくるということは、先ほど大臣からもお話がありましたように、細胞培養の製造ラインをつくる。これに関しては、米国でも五年間かけてやるというふうなことです。まだ技術が開発されていませんので、これから大至急、技術開発をしたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 新型インフルエンザに関しましては、パンデミックということも含めて、国民に危機感がすごくあります。それだけに、今までは国内では抗インフルエンザ薬を生産していなかったんですけれども、きょうの新聞では、何か国内でも生産をするという方向でという新聞報道がありました。そのことも含めて、これまた高齢者医療の問題と違って、起こったときの危機管理ということを含めて、ぜひ大臣を中心に、きょう、ちょっと何か少し、プレパンデミックワクチンに関しても、政府の方の答弁もしっかりしない点があったと思いますので、もう一度しっかりとその辺を精査していただいて、いつ起こっても何とかできるだけの対応ができるということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

宮澤委員長代理 次に、川条志嘉君。

川条委員 自由民主党の川条志嘉でございます。

 本日は大臣がお出ましくださっているので、最初に、質問項目で申し上げたこととはちょっと違うんですが、私も、後期高齢者医療のことについて大臣に直接お聞きしたいと思います。

 本当にこの制度が始まって以来、老人会の集会に出たら、真綿で首を絞めるような制度だ、どこのお医者さんも自由に行けなくなるんじゃないかとか、フリーアクセスの禁止ですね、それから、高齢者担当医というのが気に入らない先生でも決められて、そこしか行けなくなるんじゃないかとか、あるいは、例えば二カ月で年金を二十万もらっているんだけれども、そこから介護保険と国民健康保険と合わせて二カ月で二万三千円引かれてしまうんだ、昔は六公四民と言われたけれども、六公四民でも、これさえ払えば住むところは保障された、今は、残ったところから家賃を払わなあかんから、住むところも保障されない、どないしてくれんだ、おまえがこんな悪い制度を決めたんだろうと。

 ふだん私が自民党内でどんなことを言っているか、党内の議論をここに持ち出すつもりはないですけれども、地元の方は御存じないですから、そういうふうに言われるわけですね。

 したがって、やはりまず必要なのは、フリーアクセスがきちんとできるということです。それから、さっき大臣がおっしゃってくださったので、もう何度もおっしゃっていただこうとは思わないんですけれども、現在の医療の水準を下げない、これを約束してくださったということ。やはりこれはきちんと地元に私も周知徹底する必要があると思いますし、また、年収二百万円以下とか三百万円以下の低収入の人に対して、今のままの保険料でいいのか。今だったら、年十八万の年金をもらっている人しか免除にならないわけですね。そういった免除のあり方などについてもぜひ考えていただきたいと思うわけです。

 というのは、私は庶民の家で育ちました。やはり庶民の声というのが国政にどれだけ届きにくいかというのを、これまで三十八年間、身をもって経験してきました。そういった意味で、地元の、ちょっとなあ聞いてやという声もここでお届けしたいと思います。大臣、いろいろ申し上げて申しわけありませんが、ぜひお耳をおかしください。よろしくお願いします。

 さて、本題の質問に入らせていただきます。(発言する者あり)大臣、もしよろしければ御答弁だけいただけますでしょうか。済みません。

舛添国務大臣 新しい制度を導入するに当たって、さまざまな混乱があったり、きちんと説明が周知徹底しなかった、これはきちんと反省して、政府・与党、これはきちんとチームワークを組んで説明をしていかないといけないというふうに思います。

 ただ、先ほども申し上げましたように、今までかかっていたお医者さんにかかれないとか、今まで受けていた治療が受けられない、そういうことがないように、そして、最終的に国民皆保険をきちんと守るというための仕組みを考えてやっているわけでありますし、さまざまな利点があるわけですから、そういうことも御理解をいただいて、ぜひこれを、本当に長生きしてよかったな、日本人として生まれてよかったな、そういうように思える社会をつくる一つの制度としてきちんと定着をさせてまいりたいというふうに思います。

 そしてまた、新しい制度、これは介護保険制度もそうですけれども、実際に動かしてみて、いろいろな問題が起こります。それは最初から完璧な制度設計はできません。しかし、そのたびにきちんと国会の場で議論をして、しかるべき修正を加えていく。最終的には、御高齢の方々の生活を、その地域に根差した医療や介護をもってどうして守っていくのかということが最大の眼目であり、そして私は、この国民皆保険という制度をきちんと守っていく、こういうことを軸に、原則にして、これからさまざまな努力をしていきたいと思いますので、御高齢の方々、いろいろ御心配がおありでしょうけれども、どうかお任せいただいて、きちんとした制度をつくり上げていきたいと思います。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

川条委員 ありがとうございます。

 今、介護保険の見直しの例も踏まえていろいろ御配慮くださっているという、本当に大臣の思いやり深いお言葉をお伺いいたしました。地元の人も、この言葉をきっと中継などで聞いて安心してくれることと思います。ありがとうございます。

 さて、本日の本題に入りたいと思います。

 きょうは、感染症法の質問ということで、まず鳥インフルエンザなんですが、本来は、鳥から人へ、人から人へとうつる感染症についての対策なんですが、そのベースにあるのは鳥から鳥への感染だということなんですね。この鳥から鳥への感染を繰り返していくうちに、いつの間にか遺伝子の型が変わって鳥から人に感染するようになる。その鳥から鳥への感染の間に、ある意味、封じ込めてしまうことも一つの大きな予防策と言えると思います。

 そういった意味で、鳥から鳥の感染に関して、最近、違法ワクチンが使用されたという話がありました。今お配りしましたお手元の資料の三枚目、四枚目をごらんください。茨城で発生した鳥インフルエンザで、調べてみれば、南米型のウイルス株が発見された。茨城から南米まで非常に遠い距離ですから、渡り鳥が運んだとは考えにくい。しかも、正規で出回っているワクチンの型とは違うんですね。したがって、違法ワクチンが使われた可能性があるというのが、その記事の概要でございます。調査の結果、どのようなことがわかったのか、まずお伺いしたいんですね。

 それで、農林水産省のワクチン使用の方針に関して御見解をお伺いしたいと思うのと、あともう一点、きのう入れなくて申しわけなかったんだけれども、ワクチンの導入を考えているとか、あるいは使用しようとしている会社が今あるのかどうか、もしそういった会社が発見された場合どういう対応をとっていかれるのか。その辺もあわせて御見解をお伺いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、平成十七年でございましたけれども、茨城県及び埼玉県におきまして発生いたしました高病原性の鳥インフルエンザにつきましては、弱毒タイプのウイルスによるものでございましたけれども、徹底した防疫対策を講じますとともに、専門家による感染経路究明チームにより調査を実施したところでございます。

 その結果でございますが、残念ながら原因は特定はできなかったものの、ウイルスの性状等から、先ほど委員御指摘のように、中米由来ウイルス株から作出をされました未承認ワクチンが持ち込まれ、不法に使用された可能性は否定できないという結論はいただいたところであります。

 また、調査報告とは別でございますけれども、その後の研究によりまして、感染鶏から分離されました弱毒タイプのウイルスを用いまして、鶏のひなに感染試験というものを繰り返しましたところ、鶏に対しまして強毒タイプに変異をするということが確認されました。そういうことも踏まえまして、御指摘のように、やはりそのワクチンを使うということは余り好ましくないという見解をもちろん持っております。

 農水省の立場でございますけれども、高病原性鳥インフルエンザのワクチンにつきましては、まずその発生の抑制そのものには確かに効果はあるとされておりますが、感染を完全には防止し切れないというのが一点。それから、予防的な使用ということによりまして、本病の発生を見逃しまして、多くの家禽に感染が拡大することで、これは養鶏の経営にも莫大な被害を及ぼす可能性もございます。そういったことから、防疫指針におきまして、感染家禽の早期の発見と迅速な殺処分というものを基本といたしております。発生予防のためのワクチン使用というのは、農水省としては認めていないところでございます。

 最後に御質問の、そういう使おうとしている会社というんでしょうか、そういったところがあったときにどうするかということでございますけれども、基本的に、今申しました農水省の立場を養鶏農家、それから関係する会社等に十分に御説明を申し上げまして、そういうことは戒めるようにという立場をとっておりますので、そういうことが今後ともないように目を光らせていきたいと思っております。

川条委員 ありがとうございます。

 確認なんですが、弱毒株から弱毒株への感染を繰り返すうちに強毒株に変異するおそれがある、また、感染を防止し切れない、したがって、農水省の立場としては、ワクチンの使用は認めない、そういう方向でよろしいんですね。しかも、もし、ワクチンの使用をしていこうという会社が出てきた、あるいは団体が出てきたというときは、今申し上げたような方針をもって指導される、やめてくださいという指導をされるという方向でよろしいんですね。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。

川条委員 ありがとうございました。

 さて、鳥から鳥への感染について確認申し上げた上で、次に、人から人への新型インフルエンザの感染について質問を進めていこうと思います。

 まず、海外拠点との連携、それから、水際対策、ワクチンの対策、情報の収集、発信、医療体制の順番に質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどから清水先生の御質問も聞きながら、新型インフルエンザ対策の要点というのは、要するにワクチンを接種して症状の重篤化をおくらせて予防すること、あるいは、感染者の入国を水際で阻止して感染の拡大をおくらせ、患者数と死者の増加を防ぐことだと言われていますね。つまり、時間を稼いで、その間に有効なワクチンを開発して全国民に接種する。この時間の問題が先ほど非常に大きな問題になっていたので、どのぐらいかというのが大きな問題だなと認識したんですが、結局、時間を稼いで、その間に有効なワクチンを開発して国民に接種して予防していこうということだと思います。

 ところで、新型インフルエンザに本当に有効なワクチンというのは、現段階の技術では、発生してからじゃなかったら製造に着手できないということになっていますね。現在、WHOの新型インフルエンザの発生状況を発表しているものでは、ヒト・ヒト感染はないかまたはすごい近親者で限定されたものであるというフェーズ3の流行の段階だということなんですね。世界的なその発生状況というものを見ていれば、先ほどもありましたが、やはりもう危機的段階に入っていると言えると思います。

 ベトナムで平成十六年にトリ・ヒト感染が起こったのを皮切りに、インドネシアとかタイとか中国とか、アジアを中心に十四カ国で発生した。人への感染が三百七十三例見られて、六割以上の二百三十六人もの死亡者が出ている。

 先日、四月十六日の第七回新型インフルエンザ専門家会議で、フェーズ3の段階では、トリ・ヒトウイルスで製造したプレパンデミックワクチンの備蓄を始める、フェーズ4では、ヒト・ヒトウイルスで製造したパンデミックワクチンの予防接種が検討されている、こういうことを認識しております。

 全国民に必要なワクチン製造というのが、これは大体一年だと私は聞いているんですが、これを考慮に入れれば、新型インフルエンザ対策というのは本当に、国内問題だけじゃなくて、国際協力というのが必要になってくると思います。世界的な情報収集とか、こういった体制の整備が必要になってくると思うんですね。

 この件に関しましては、同僚の冨岡先生から非常に多くの御指導をいただきました。この場をおかりしてお礼申し上げたいと思います。

 現在、タイと大阪大学、タイと動物衛生研、ベトナムと長崎大、あるいは中国と東大、インドと岡山大、インドネシアと神戸大、ザンビアと北大、こういった連携ができているということですが、研究拠点となる現地の施設整備や研究者、事務職員などの配置とか協定の締結、こういった協力体制の整備をするために、予算を充実し、拡張していく必要があるんじゃないかと私も思うわけです。

 また、これまでの海外での情報及び成果が国内の感染症対策にすぐにフィードバックされて、国内で、あるいはフェーズ4に入ったという有事の際には、具体的な協力体制がとられる必要があるんじゃないか、そういった体制の整備とか計画の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

岸副大臣 ただいま先生がおっしゃられたとおりだと思います。新型インフルエンザは国境を越えた世界規模での感染拡大が懸念されるということでございますから、特にアジア諸国との情報交換とかあるいは国際協力、我が国の国民を守る上でもこれは非常に重要なものと考えております。

 そのため、現在、一つは、アジア諸国の政府及び研究機関との連携の強化、これは例えば、平成十九年の四月に、日本、中国、韓国の三国保健担当大臣が協定書を交わして、相互の情報支援や連携の強化をお約束して、協議をしております。それから、国際保健機関、WHOが国立感染症研究所等各国研究機関と構築しているネットワーク、これはGOARNというんだそうですけれども、そこからの情報収集、それから、外務省を通じましての、在外公館からの情報収集などの体制を構築いたしております。

 また、厚生労働省といたしましては、アジア諸国の対応能力強化のための専門家派遣や我が国への研修員の受け入れ、さらに、日中韓の政府及び研究機関との連携の強化、WHO、国連などへの人的貢献や財政貢献などを通じて、国際的な感染症対策に積極的に参画しているというのが実情でございます。

 なお、予算というお話でございましたが、二十年度の予算におきまして、WHOに対する拠出金の中で、鳥・新型インフルエンザ対策を含む新興・再興感染症対策強化事業として約三億六千万円を確保しているところでございます。

 今後とも、お説のとおり、各国政府や研究機関、WHOなどの国際機関等と連携しながら、この対策をしっかりとやっていかなきゃいけない、こう思っております。

川条委員 ありがとうございます。

 ところで、大学間の連携の方についてもお答えいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員の方から、各大学と、中国、ベトナム等の各国との大学レベルにおける協力のお話がございました。

 平成十五年にSARSの流行がございましたけれども、それをきっかけといたしまして、感染症に対する研究、特に国際間の連携の研究の必要性、そういうことが深く認識されるようになったことで、平成十七年度から、新興・再興感染症研究拠点形成プログラムというものを開始してございます。

 このプログラムは、日本の大学あるいは公的な研究機関、そういった機関と、実際に感染症が起こっておりますアジア地域を中心とした諸外国の現地の研究機関と連携いたしまして、現地に研究拠点を整備して、そしてその拠点を活用した共同研究を行うということを通じて、この鳥インフルエンザ等の分野の研究人材の育成、あるいは感染症に対する基礎的、基本的な知見、あるいは非常に現在的な情報、そういったものを適時的確に得るといったことを図ることを目的としているものでございます。

 このプログラムは、もちろん日本にとってもそういったメリットがございますけれども、相手方の国にとりましても、そういった感染症に対する知見の蓄積、あるいは研究能力の向上や人材の育成といったことで、発生国におけます感染症対応能力が高まるという観点からも非常に有意義なプログラムであるというふうに受けとめられていると考えております。

 御指摘のとおり、現在、タイ、ベトナム、中国、インドネシア、インド、ザンビアの六カ国にこの海外拠点を形成しておりまして、そのうち五カ国におきまして、鳥インフルエンザに関する研究プログラムを、現地に日本の研究者も常駐いたしまして、現地の研究者とともに実施しております。

 今後も、このプログラムによる現地研究機関との共同研究を確実に推進していきたいと思いますし、拠点の数がふえておりますので、それらの間のネットワークも構築するようなことによりまして、また、国内のさまざまな研究機関、それから厚生労働省等の関係の府省庁とも連携を図ることによりまして、こういったプログラムが着実に効果を上げるようしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

川条委員 ありがとうございます。ぜひそういったプログラムが推進されていくことを私も願っている一人でございます。

 次に、水際対策について少しお伺いしたいと思います。

 フェーズ4に移行したとき、まず時間を稼ぐ、水際で食いとめる、こういった点で非常に重要になってくるのが、感染後発症していないとか感染が疑われた人の抽出に関して、どういった検疫が行われるのか、遺伝子検査までどの段階で行われるのか、そういった具体策をお伺いしたいと思います。

 また、その水際対策で確実に感染していると診断された人は隔離、入院という措置になるんだと思いますが、そういった感染した人に濃厚に接触した人、あるいは感染が疑われた人、こういった人を停留する、十日間ほど停留するという措置がとられるということですが、この停留施設の現在の状況と見通しなどについて具体的に教えていただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 新型インフルエンザの発生時におきましては、空港等における検疫でございますけれども、まず健康質問票の徴集、それからサーモグラフィー等の体温測定、それから有症者の有無の呼びかけ等を行うこととしております。

 これらによりまして発熱等の症状が確認された有症者については、まず一つ目としまして、呼吸器症状や新型インフルエンザが疑われる者との、今先生が言われた濃厚接触者でありますけれども、接触の有無、それから質問票に基づく医師の問診及び診断を行いまして、新型インフルエンザと疑われる場合には停留措置を行うとともに、PCR検査によるウイルスの遺伝子の検出を行うこととしております。

 それから二点目のお尋ねですけれども、感染が疑われる者につきましては、検査の結果、有症者が陽性の場合には、同行した家族及び友人、飛行機等で濃厚に接触した者についても感染の可能性があるため、潜伏期間内の停留が行われるようになっております。

 さらに、機内での有症者の有無等の感染のおそれの度合いに応じまして、朝夕の体温報告の健康監視ですとか体温、身体に異常が生じた場合の健康監視のいずれかの措置を行う、そういうことで施策を進めています。

 最後のお尋ねの停留場所でございますけれども、もちろん真っ先に感染症指定医療機関でありますけれども、それにはとどまらず、今回の法律では、近隣のホテル、宿泊所、こういった場所を想定していまして、現在、その管理者ともさまざまな形の協議を進めている、そんな状況でございます。

川条委員 ありがとうございます。

 今、少し気にかかりましたのは、遺伝子検査のためのキットの今の備蓄数ですね、そういったものが足りなくなるんじゃないかというおそれがあるんですが、その状況をちょっと一点教えていただきたいのと、あと、健康監視の人員に関しても、これはふえてきたときにどれぐらい必要になるのかを大体シミュレーションしておられるのか、その辺の状況について教えていただきたいと思います。

西山政府参考人 まず、PCR検査におきますウイルスの遺伝子検出でございますけれども、これは全検疫所に配置しております。

 それから、健康監視でございますけれども、これは、いわゆる感染症法に基づいて今回提案していますけれども、新型インフルエンザに特有の健康監視を行うということで、保健所の職員を想定しています。

 今、川条先生御指摘の、どの程度の人員が必要でどの程度の人員を確保したのかという点でありますけれども、保健所には医師、保健師、それから検査技師、さまざまな方がおられますので、現行の体制で足りるかどうか、現在、地方公共団体を通じて調査をしている段階でございます。

川条委員 ありがとうございます。では、その調査の結果を待ちたいと思います。

 さて次に、新型インフルエンザワクチンについて御質問させていただきます。先ほど清水先生の方からプレパンデミックワクチンあるいはパンデミックワクチンの備蓄について詳しい問いがございましたので、私の方はそれを引き継ぐ形で進めたいと思います。

 まず、パンデミックワクチンにしてもプレパンデミックワクチンにしても、遺伝子型が変化した株、亜型と呼ばれる株についての効果はどれぐらいあるのか、教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 プレパンデミックワクチンは、現在、インドネシア株とベトナム株と中国の安徽省でとれた安徽株の三つでつくっておりますが、もちろんそれぞれのとってきたもとの株のウイルスに対しては特異的にきちっと免疫反応を起こすということでございますが、系統樹を変えますといろいろな型がございますので、そのほかのものに対しては必ずしも特異的ではないということで、それでもある程度の免疫反応を示すのではないかという専門家の意見もございますが、その程度は、実際にどれぐらいのものかというのはまだよくわかっていないということでございます。

川条委員 ありがとうございます。

 やはり効果の程度がわからないとか効果がないと言われているものに対してすごい不安が起こるとともに、もう一つ、亜型と言われる株について効果があると言われているワクチンが開発されているという話を聞きました。そのワクチンについてこれからお伺いしたいと思います。

 これは、国立感染症研究所の長谷川先生が開発されておられるワクチンで、この質問に関しては長谷川先生に御指導いただいたものでございます。この場をおかりして長谷川先生にお礼を申し上げたいと思います。

 流行株の予測が不可能なプレパンデミックワクチンとして威力を発揮することが期待されるとともに、毎年のインフルエンザの流行に対しても効果を発揮すると期待されているワクチンなんですね。鼻に一吹きと、きのうの参考人質疑にあった、あのワクチンでございます。

 このワクチンのいいところは、IgA抗体というものがつくられて粘膜の外に抗体を分泌する免疫反応を起こすため、感染前に効力を発して感染を防止することができるというものなんですね。今までの注射型のワクチンだったらIgG抗体ができるだけのため、感染後にウイルスが血中に入ってきて初めて効果を発することができるんですが、新しいものはウイルスが入る前に防御してしまう。

 また、H5N1型の遺伝子の一部が異なったら、今高橋局長がおっしゃいましたように注射型のワクチンでは効果が低くなるということが予測され、ワクチンの株を採取してから製造するまでに半年なり一年なり期間がかかるということが今大きな問題となっていると認識しておりますが、新しいワクチンだったら、これと一つの株を決めてしまったらある程度の効果は見込めると予測されるわけなんです。

 新しいものを導入するときに問題となるのが副作用なんですが、かつて、ワクチンの補助剤に大腸菌毒素を使ったものについてはスペインで副作用が起こったことがある。しかし、今回使ったものはアメリカで安全性が確認されたRNA製剤だということで、安全性に関しても動物実験では大体証明されているということです。

 こういった基礎的な実験に対してはなかなか日本では光が当たらないというのが実情だそうです。また、光が当たっても、実際に世の中で使われるまでには非常に時間がかかる。長谷川先生から送っていただいた資料では、舛添大臣もごらんになっていると思いますが、認可、承認まで二〇一〇年から治験を始めて大体七年かかる、国家プロジェクトとして期間を短縮しても三年半かかるというふうに書かれています。もちろん、人に対して使うワクチンですから、臨床治験において安全性を確認しなければいけないというのは、これは大原則の大原則だと思います。こういった大原則を守った上で審査、承認の期間の短縮を図る必要性があると思います。

 具体的にどうやって短縮を図るのかといえば、例えば、要らない実験をしなくても済むように臨床治験に当たって申請に必要な項目の数を明示していただくとか、あるいは安全性についての具体的指針を明示していただくとか、必要な症例数は、百必要なのか五百必要なのか千必要なのか一万必要なのか、そういった具体的な項目も示してほしい。そうすることで、治験を推進していく、治験の期間を短くしていく、要らない治験をしなくて済むようにする、そういった必要性があると考えられますが、まず現場の、担当されておられる局長さんの御意見をお伺いした上で、大臣の御見解を承りたいと思います。

高橋政府参考人 御指摘のお話は経鼻ワクチンでございますけれども、この研究開発につきましては、もちろん私どもとしても、十九年度から助成をやっております。

 それから、審査の過程で早くやるということが、では具体的にどういう場面でどういったことでできるか。これにつきましては、個々、それぞれのワクチンについてお話ししなければいけないわけで、その場合には、新型インフルエンザワクチンについては優先的に相談に乗っていくというような取り組みを現在行っているところでございまして、今後そういった新しいものにつきましても、出てくれば、当然そういった対応をいたしたいというふうに考えております。

川条委員 具体的な例でちょっとお示しいただきたいんですが、例えばプレパンデミックワクチンなんかに関して、どれぐらい短くなったのか、具体的な例を示して、簡潔に教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 審査のプロセスといたしましては、新型インフルエンザワクチン、現在二つのメーカーのものを承認しておりますが、申請が昨年の一月になされまして、承認は秋、十月になっております。これはほかのものに比べれば非常に早い。どの段階でどういうふうに早くしたか、今ちょっと具体的な資料を持ち合わせておりませんが、ほかのものに比べて大変早かったということは言えるかと思います。

茂木委員長 今のあれ、新型インフルエンザワクチンじゃないでしょう。

 では、舛添大臣。

舛添国務大臣 すべてまとめてお答えをいたしたいと思います。

 プレパンデミックワクチンじゃなくて、新しい、今普通、私たちが打つインフルエンザワクチン、これについては、今局長が申し上げたのは、そういうことについても優先的に承認期間を短くいたしましたということが、過去の実例というのはあります。

 それから、国立感染症研究所へ私、行きまして、研究室長である長谷川さんとも話をしました。現場でいろいろ意見交換もしました。要するに、鼻から噴霧器でぱっとやることについて、免疫を誘導するアジュバント、これについての開発が非常に難しいんですね。

 そういう点について、普通どおりやれば、これは承認の期間とか治験とかを省略する云々より前に、研究開発にやはり七、八年かかるだろう。ですから、これを、予算をさらにつけ、人をもっと投入することによって、研究開発期間を短くするということもやらないといけません。そして承認を早めるという、優先的に承認するということをやらないといけません。

 そういう意味で、予防接種のような注射針ではなくて、鼻を通じての、気管に直接噴霧するというやり方が非常に有効であるし、プレパンデミックワクチンの有効性も高まるということですから、これはこれで、ひとつ大至急、研究を進めていきたいし、それは促進させたいと思っています。

 それからもう一つは、有精卵を使うことによるものよりも細胞培養の方が早い、早いというかいろいろな利点があります。国立感染症研究所で今研究を進めているところでありますけれども、これも、今のペースで研究開発すれば七年とか八年かかる。だから、これについてもさらに促進をし、加速化させたい。

 そういうツールとしての経鼻型のワクチンの開発と、それから細胞培養という形で、ワクチンの製造そのもののやり方を革新する、そういう二つの研究開発を進めていますので、これをサポートしていきたいと思っております。

川条委員 ありがとうございます。ぜひともこういった基礎研究を進めていただきたい、そのために大臣もお力をおかしいただきたいと思います。

 時間も短くなってきたので、最後の質問に行かせていただきたいと思います。

 先ほどからありましたが、発症が疑われる人というのは、一般病院じゃなく、保健所を通じて発熱外来とか発熱相談センターで受診する、診断が確定すれば入院する。この発熱外来をどこで、どんな形態で設置するのかお伺いしたいと思うし、また、この診断された人を隔離、治療するための病床数ですが、今、結核感染症者のための病床数が一万五千だということを考えると、また感染予想者が一日十万人ということも考えると、足りないんじゃないか。あるいは人工呼吸器が足りなくなるんじゃないか。あるいはタミフルの備蓄量は大丈夫か。そして大規模感染が起こった際、医薬品とか病床数とか、こういったことをひっくるめて、総合的な医療のあり方について、申しわけありませんが、もう一度大臣に決意と御見解をあわせてお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 先ほど清水委員にもお答えいたしましたように、これは国家として危機管理をきちんとやらないといけません。

 今御指摘の病床の確保ですけれども、結核病床というのは一万五千近くありますから、これも活用する。それから一般病院も活用する。さらに、軽微な方は自宅で療養してもらう。それから医療機関以外の、いよいよ足りなくなったら、ホテルのような宿泊施設を借り上げるというようなことも含めて、これはやらないといけないというふうに思っております。

 それから、さまざまな医療機器、タミフル、例えばマスク一つとっても、十分あるかというようなことがありますので、一度きちんとシミュレーションをやり、政府全体として、各省庁の協力も得て、場合によっては自衛隊の出動を願わないといけないこともあり得ると思います。こういうことの、これはまさに緊急事態なんで、緊急事態に備えて、現実に実際のシミュレーションをやってみて、そして遺漏なきように、国家としての危機管理体制を政府全体でやってまいりたいと思っております。

川条委員 ありがとうございます。

 このインフルエンザ対策に対しては、もしフェーズ4に入った場合の感染者の広がりの状況等を含め、本当にいろいろなシミュレーションが必要となってくると思います。

 そんな中で、大臣がそのように御認識されておられるということに敬意を表しますとともに、大臣のお考えどおり、これからのシミュレーションがうまくはかどって、国家としてきちんと計画を立てていかれるよう、私も必要であればいろいろ御協力させていただきたいと思いますし、また、心からその計画を推進してくださるようにお願いしたいと思います。

 以上、お願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、福島豊君。

福島委員 公明党の福島豊でございます。

 大臣、副大臣、連日御苦労さまでございます。

 この四月、長寿医療制度が大変問題になりました。私も地元で繰り返し懇談会をさせていただいて、説明もさせていただいております。

 最近、つくづく感じますことは、国に対しての国民の信頼が揺らいでいるというのは事実なんでしょうね。そしてまた、メディアの取り上げ方も一面的であると私は思いますし、何よりも実感したのは、なぜこの制度をつくらなければいけなかったのか、老人保健制度にはどういう問題があったのか、こういうことについてきちっと取り上げているメディアというのがほとんどないということだろうと私は思います。

 現行の制度の問題点、そして何のためにやったのか。老人保健制度も、これは知っている人はほとんどいないですね、何がどうなっているのか。それは表に見えない制度、財政調整の制度であるがゆえに表に見えません。こういう裏側で調整をするという仕組みを今まで厚生省、厚生労働省はつくってきました。基礎年金制度もそういうことでありましょう。これは一面、非常にすぐれた制度であるという側面がありますけれども、一方で、制度を国民にとってはわかりにくいものにさせている。何が起こっているのかわからない。これはまた制度改革のときに大きな障害になるんだろうなと私は思います。

 これからさらに高齢化が進みます。年金制度も、現行の改革を前提とした上で次にどうするのかということも問題になりますけれども、何よりも大切なことは、私は今まで、よらしむべし、知らしむべからずの厚生行政というようなことを言ってきたんですが、大変優秀な官僚組織の皆さんが整合的な制度をつくる、それだけでは済まないのがこれからの時代であって、国民にいかに理解してもらうのか、こういうことがなければ制度改革も思うように進まないということであろうというふうに私は思っております。

 そういう意味で、厚生労働省にとって今大切なことは、広報部門の抜本的な強化を図る必要がある、そしてその制度を国民によく理解していただく。自治体任せでもいけません。やはりこれは、今大臣は本当によく頑張っていただいていると私は思っているんです。先頭に立って御説明いただいている。しかし、それだけにとどまらずに、今までの広報体制のあり方、制度の改革にしても周知のあり方、こういうものはだんだん予算上厳しくなってきておりますけれども、これからどういうふうにこれをやっていくのか。民間人の活用ということも当然必要だというふうに思っておりますし、テレビをどう使うのかということも非常に大事であります。

 特に新型インフルエンザの話にしましても、この永田町、国会の中で議論していますけれども、どこまで一般の国民の方がわかっているのか。こういうことも考えると、ぜひ、広報体制の強化ということについてはしっかりとお取り組みいただきたいというふうに要請をさせていただきたい。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

舛添国務大臣 私も全く委員と同じ認識を持っていまして、就任六カ月、半年たちましたところで厚生労働省改革準備室を立ち上げました。

 そして、それとともに、まさに国民と情報を共有するという姿勢が足りないということで、各部局に私が直属で任命した広報委員を置きました。したがって、今、各メディアの方々もそういう広報委員と直接情報の共有をする、そしてまたこちらからも、例えば誤解が非常にあるようなことについてはメディアの方々と議論する、この体制をきちんとやっております。今、ホームページも完全に刷新しようと思ってやっております。

 ただ、広報はきちんとやりますとともに、もう一つは今委員がおっしゃった制度設計なんですが、例えば健康保険を、国保もそれから組合の保険も全部一元化する。物すごくシンプルです。だれが見てもわかります。しかし、経済的に困窮の方、困った方々、きめの細かい手当てはしましょう。したがって政府・与党で凍結措置なんかを決めました。そうすると、きめの細かい手当てをすればするほど制度は複雑になります。しかし、しなければいろいろな、今回の案にしても、健保は健保でやりなさい、国保は国保でやりなさい、引退した方も縦割りで突き抜け型でやりなさいという制度もあるかもしれない。しかし、後期の高齢者だけを別建てにする制度もある。今度はそれをとったわけです。

 したがって、制度設計のときの単純さとともに、もう一つの要請は、きめの細かい政策を政策としてやっていくということになったときに、これをどう両立させるかということが非常に重要であって、そこに実は広報の重要性があるし、私はメディアの方々の責任もあると思いますし、それ以外の学者とか評論家、こういう方々の御理解もいただかないといけないと思いますし、私たち国会議員一人一人が、そしてまた政府はきちんと広報、周知、こういうことをやっていかないといけないと思いますので、今回についてはさまざまな点で反省点がございます。今後さらに努力を続けてまいりたいと思います。

福島委員 ぜひしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。

 まず、新型インフルエンザ対策についてお尋ねをいたしたいと思います。

 先般、水際対策を政府としてどのように進めるのかということについて、いろいろと政府の方針が示されました。発生国からの帰国のプロセス、そしてまた空港や海港などにおける検疫体制の集約化、また検疫後の停留措置など、いろいろなことの方針が示されました。これが実際に発生したときには一番私は大変なんだろうなというふうに思っております。まずは、国民の皆さんにやはり十分、政府の考え方、こういう方針でやりますよということをわかっていただく必要がある。これをどういうふうに進めていくのか。

 先ほど申しましたように、あの二年前に決めた医療制度改革ですらなかなか伝わらない、こういう話でありまして、できれば、例えばこのゴールデンウイーク、海外に渡航する方もたくさんおられますし、そういう機会に、飛行機の中というのは比較的手持ちぶさたでありますから、見ていただくような簡単なパンフレットをつくって、航空会社は嫌がるかもしれませんね、客が減ったら困るという話もあるかもしれませんけれども、そういう機会に、こういうことがあるんです、政府としてはこういうことを考えていますということを、事前にやはりできるだけ周知していただいた方がいいんじゃないか、こんなふうに思いますけれども、政府のお考えをお聞きしたいと思います。

上田政府参考人 内閣官房の立場から、まず少しお答えをさせていただきます。

 海外で新型インフルエンザが発生した場合、我が国への侵入を阻止する水際対策は極めて重要でございます。先般、関係省庁対策会議において、この案を取りまとめたところでございます。

 新型インフルエンザの感染が拡大する、その状況によりましては、停留場所など国内での十分な受け入れ体制を確保することができず、発生国における在外邦人が速やかに帰国できない、こういう事態も生ずることが想定されるわけでございます。

 このため、新型インフルエンザが発生した場合には、できれば在外邦人の方には、現地にとどまるのか帰国を希望するのかをあらかじめ想定しておいていただくことが望ましいこと、さらに、帰国を希望する場合には、できるだけ早い段階で帰国していただくことが望ましいことなどについて、事前に周知徹底をしておくことは非常に重要だというふうに考えております。

 私どもとしましては、関係省庁のホームページ等の広報、旅行会社や航空会社等への説明、在外邦人や日系企業に対する在外公館からの情報提供など、水際対策についての政府の考え方について、あらゆる手段を通じてわかりやすい周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

福島委員 ぜひしっかり頑張っていただきたいと思います。

 また、在外邦人の対応につきましては、大使館での対応が非常に重要であります。とりわけ中国のように膨大な邦人がおるところで、そしてまた地域も非常に広大である、こういうところで、どういうふうにして緊急の対応というものを徹底していくのか。事前にある程度のシステムづくりといいますか、そのプロセスを考えておかなければ、その場になってから考えようということでは済まない部分がこれはあろうと思います。この点についての我が国の政府の考え方をお聞きしたいと思います。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問のありました件でございますけれども、在外公館において、在留邦人の方にできる限りきちっといろいろな情報を周知徹底するということは非常に大事なことだろうというふうに思っております。

 先ほど答弁がありましたけれども、大使館の方におきましては、ホームページを使いまして周知徹底するということをやっておりますけれども、そのほかに、国によりまして言い方は変わっておりますが、現地の在留邦人の代表者を集めました海外の邦人安全対策連絡協議会というようなものがございます。

 中国の場合をとってみますと、在留邦人の代表者の方で安全対策連絡協議会というのがございます。一カ月に一回くらい開催されておりますけれども、その場を通じまして、できる限り詳細な、鳥インフルエンザあるいは新型インフルエンザについての情報提供をするということをやっております。これは、北京のみならず、総領事館のございます各場所においてもできる限り頻繁に行うというようなことをしております。

 それから、先ほどありました、いざ問題が発生したときの対応策でございますけれども、これは水際対策ということで、今政府の方で詰めている段階でございますけれども、最終的な案ができる前から、大体今考えておりますことはこのようなことでありますというようなことを在留邦人の方に周知徹底していくということに努めていきたいというふうに考えております。

福島委員 いろいろとやっていただいておりますが、多分、そうした回路でカバーされる人というのは一定の割合に恐らくとどまるんだろうなというふうに私は思います。ですから、いざというときに、今までの回路でカバーできない方がどの程度おるのかということぐらいは考えておかないと私はいかぬのじゃないかなという気がしますね。

 日本人会とか、現地にありますでしょう。大企業中心でしょう。それ以外の方もたくさんおりますから、そういうところをどうするのかということを、やっていますという答弁はできるんだけれども、それ以外にどの程度の人がいるのかということは認識しておかないと私はいかぬのじゃないかなというふうに思っております。

 また、検疫の体制の話なんですが、これは、るるいろいろなところで御説明を聞いて、ちょっとわからないところがあるので確認をしたいのです。

 サーモグラフィーで発熱のチェックはできる、こういう話になりますけれども、ウイルスの迅速検査を実際に検疫のところでやるのか、やらないのか。やれるという説明をちょっと聞いたような気もしているのですけれども、やれるということとやるということと、これはまた別でありますし、手間も非常にかかるので、これは実際にどういう方針で検疫のところでチェックしようとするのか。発熱だけのチェックになるのか、もう一つ先に進んでやるということになるのか、そのあたりの方針をお聞かせいただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 高熱とせきを伴う入国者に対しまして、検疫所で、リアルタイムPCRによるウイルスの遺伝子検出検査を実施することとしております。咽頭ぬぐい液等の検体を採取しまして、今申し上げたリアルタイムPCR、大体五、六時間程度を要するわけですけれども、それを実施するというような予定でございます。

福島委員 ということは、こういうことでいいんでしょうか。

 熱のある人については、まず検疫のところで停留していただいて、リアルタイムPCRを全部かけて、それで陽性か陰性か調べて、陰性だったら無罪放免というか、構いませんよと。陽性だったらどうするんですか、入院するということになるんでしょうか。このあたりの問題。

 そしてまた、熱が出ていない場合についてはPCRでチェックするということはしない、こういう理解でいいんでしょうか。

西山政府参考人 実は、一概には言えないわけでして、今申し上げたリアルタイムPCRの話ですが、高熱とせきでありますけれども、いわゆる症例定義という言葉を使います。すなわち、フェーズ4となった場合に、どこかの国である新型インフルエンザがはやった、そのときの情報をいち早くWHOや当該国から得まして、どのくらいの熱でどのくらいのせきが出るかというような意味での、インフルエンザの中でもある一定の症例の定義ができるだろう。それをもとにしまして検疫所の検疫医官が問診をしたりするというような前提であります。

 したがいまして、そういった方たちに対しまして停留を行う。したがって、ほかの国から、例えばアメリカから来た方等に関しまして、仮に熱があってせきがあったからといって、リアルタイムPCRを行うわけではないということでございます。その方たちがもしも症例的に合った場合には、そういった検査を行いまして、その後は、感染症法に基づく指定医療機関に対する入院をお願いするというか入院措置になる、このようなストーリーを考えております。

福島委員 もっと細かく聞きますけれども、リアルタイムPCRというのは、ですから、これは一番最初の段階は、検疫のところが集約化されない段階の話になるのかなと私なんかは思うのです、今の話ですと。やはりある程度きちっと整えておかなきゃいけませんけれども、それは整っていますか。大丈夫ですか。

西山政府参考人 おっしゃるとおり、集約化した後のことで考えております。

福島委員 後の話。

 そして、次は封じ込め対策なんですが、これは政府からいろいろとお話をお聞きしても、なかなか私もイメージがよくできてこないんですね、具体的にどういうふうにやるのか。また、その中で、自宅待機ということもあれば医療機関への入院ということも当然あると思うのですけれども、どういうケースで入院させて隔離するのか、どういうケースは自宅なのか、このあたりの具体的なプロセスについて御説明いただけますか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 封じ込めという言葉、耳なれない言葉でありますけれども、地域を封じ込める非常に強力な手段でありますけれども、よく誤解を受けますのは、例えば東京だとか大阪だとかはできるのかという話になる。これは実はできないわけです。

 今、内閣官房と私どもで相談しておりますのは、ある限定した地域、人口密度が低く、交通量が少ない地域において新型インフルエンザが発生したと、想定上、かなり限定した想定であります。その場合に、今先生がおっしゃられたような感染拡大のための封じ込め対策を行うということであります。

 したがって、そこで封じ込められた場合には、例えば、ある特定の島だとか、外に出られないし入れないというような状況になって、では、医療機関がなかったらどうするのか、患者さんは見殺しにするのか、そういういろいろな問題が出てきます。

 それについては、各自治体ともこれから協議しまして、どういう場面で起こるのか。我が国でいきなり新型インフルエンザがどこかではやるというようなことは、私どもとしては極めてまれなケースだと思っております。先ほど来申し上げておりますように、水際対策は非常に大事でありますけれども、いわゆる地域封じ込め対策も一応検討の俎上に上がってきている、そんなレベル、段階でございます。

福島委員 封じ込めというか、要するに医療機関の果たす役割というのは何なのかというのが、ずっと政府の説明を聞いていて、いま一つよくわからないのですよ。

 最初、若干、限られた患者が出てきたときには入院させると。特に陰圧室のあるようなところで隔離をきちっとするという意味だろうと思いますけれども、収容する。そういう役割をどうも医療機関は担うんでしょうね。

 抗ウイルス薬を投与するとか、そしてまたワクチンを投与するとか、これは別に、そういった隔離とは関係なくできる話になりますね。ですから病院である必要は全くない、そういうことに対応するのは。

 ある程度患者の数がふえたら、逆に、もうそうやって一々入院させる必要は多分なくなりますね、ある程度ふえたら、余り集めると余計また広がるみたいな話になる。ただ、数がふえていくと、重症の患者がその中でどんどん出てくる。そうなると、今度は、重症の患者をどう救命するのかというところに医療機関の役割というのは多分シフトしてくる。

 となると、そのときは、この新型インフルエンザは私はよくわかりませんけれども、呼吸不全で亡くなるのか、多臓器不全で亡くなるのかよくわかりませんが、全身管理、特に呼吸管理が非常に大事になる。そこまでいった場合には、実際、呼吸器の数とか、きちっと呼吸管理ができる医療機関というのはそんなにあるんだろうか、足りるんだろうか、こういう話になる。

 だから、フェーズ、フェーズで医療機関が果たす役割というのは多分違うんだと思うのですけれども、政府の説明ですと、何か、入院するとその後はそのままブラックボックスみたいな話になっているものですから、どういうふうにお考えなんですか、このあたりをちょっと説明していただけますか。

西山政府参考人 段階を追って御説明申し上げます。

 まず、水際対策のことで、例えば成田空港であれば、成田日赤の役割というのは、停留先、隔離先の医療機関ということでこれははっきりしています。

 いわゆる点が面に広がってきた場合でありますけれども、これにつきましては、いろいろな患者さんが来られるということで、私ども、発熱外来、それから保健所に設けます発熱情報センター、こういうセンターで、まず患者さんは外来に来るだろうということであります。

 それから、お尋ねの話でありますけれども、患者がさらにふえた場合は、入院患者が重症化していくわけですから、その場合には人工呼吸器を備えた医療機関の役割は重要だろう。ところが、人工呼吸器がきっちり備わっているかどうかについては、現在、都道府県を通じて医療機関調査を行っております。予測としてはまだまだ不十分だろうというふうに思っていますけれども、いずれにしても、新型インフルエンザ感染におきまして、細菌感染による肺炎が進行している場合、重症化した場合などは抗菌剤の投与が必要となる、いろいろなバリエーションがございますけれども。また、肺への障害が大きい場合には人工呼吸器が必要になる。

 こんなことで、医療機関についても、診療所、感染症医療機関、それから一般の公的な医療機関、それぞれ役割は違うわけでして、それについて、これまた遅いというふうにおしかりを受けるかもしれませんけれども、現在、都道府県とワーキンググループをつくったりしていろいろと話し合いをさせていただいているということで、地域地域に応じた医療体制をそろそろ早目に決めていかなきゃいけない、そんな段階に来ております。

福島委員 今、精力的に御検討いただいているということで安心しましたが、そのステージ、ステージで異なってくる役割ということについて、どう対応するのかということについてしっかりと詰めていただきたいと思います。

 また、発熱外来等をつくりますが、問題はですから、熱があって来てそこで診断できるかどうかという話ですね、インフルエンザなのかどうなのか。となると、熱が出ているのはだれが見てもわかる話ですけれども、検査体制が裏腹になっていないと、集めても、抗ウイルス剤を投与するだけという話になるのか、そのあたりはどういう対応をするのかわかりませんけれども、集めたときに何ができるのか、何をするのか、そこまでやはり詳しく決めていただきたいなというふうに思います。

 それから次に、自治体の話なんでありますが、長寿医療制度もなかなか、自治体ごとによっていろいろなことがありまして、このインフルエンザの話もやはり自治体がどう考えるか。特に、都道府県が保健所を所管しますね。すると、保健所の対応とそれぞれ自治体の対応とがどう役割分担をして、保健所がすべてカバーできるほどマンパワーがあるとは私は思いません。実際に拡大をしたときには市町村がしっかりやってもらわなきゃいけないというところが出てくる。このあたりの政府の考え方を確認したいと思います。

西山政府参考人 先生御指摘のとおり、地方自治体の役割がこの新型インフルエンザについては非常に重要でございます。首長が危機意識を持って取り組んでいただくというふうなことであります。

 お尋ねの計画でありますけれども、国の行動計画に基づきまして、都道府県における行動計画の策定を要請しているところでございまして、現在、全都道府県におきまして行動計画が策定されています。その中で、各種ガイドラインの作成をするわけですけれども、保健所と市町村保健センターあるいは知事部局等の役割、こういったものが明確化されていく、そのように考えております。

福島委員 明確にしていただきたいと私は思いますが、明確にすると同時に、なぜしつこく言っているかといいますと、役所だけわかっていても仕方がないわけであって、いざとなったときにどういうふうに動いてくれるのかということについて、やはり一般の住民がある程度知っておかなきゃいけないという話になりますから、早く決めて、あらゆる機会を通じて、住民と自治体とのいろいろな接触の場面の中で、こういうことを考えていますよということはある程度事前に周知する必要があるだろう、こういうふうに思っております。

 また、医療機関の役割について先ほど御質問しましたけれども、実際に抗ウイルス薬の投与でありますとか、ワクチンの投与でありますとか、これがある程度拡大したときにはどういう形でやるのか。行政が主導してやっていくという話になるんだろうなというふうに私は思うんですね。個々の医療機関と患者さんの関係ということではなくて、まさにマスのインフェクションのコントロールということで対応を考えなきゃいけない。また、どこかの時点でこれも切りかえなきゃいけないとかいう話になってくるんだろうと私は思うんですけれども、この点については、政府はどのようにお考えですか。

西山政府参考人 お尋ねの点、ちょっと誤解があるかもしれませんけれども、ワクチンの接種につきましては、現在、予防接種法に基づく接種にするのかどうかを検討しております。

 したがいまして、仮に予防接種法でやるとすれば、市町村の職員の方々に、特に保健師さんの方でありますけれども、インフルエンザに関する知識を持ってもらわなければいけない。研修会も必要だろうし、もうちょっと時間をいただいて制度的に決定したいというふうに考えております。

福島委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、ワクチンのお話をお聞きしたいんですが、今、予防接種法に位置づける形にするのか、それとも任意の接種という形にするのか、これは先ほど申しましたように、そのステージによってもまた変わってくるのかもしれませんが、よくよく御検討いただきたいというふうに思います。

 その中で、時間も限られておりますので若干はしょらせていただきまして、先ほどの重複については避けたいと思いますが、六千人の方に投与をする、こういうお話が出ておりましたけれども、具体的にこれはどういうふうに進めていくのか。昨日も参考人の質疑の中でありましたけれども、政府の考えをお示しいただきたいと思います。

西山政府参考人 六千人の臨床研究につきましては、現在、国立病院機構の病院長の庵原先生に主任研究者をお願いしていまして、これまでの株について、先ほど来議論があります、交差免疫ですとか、あるいは感染抗体価の持続性ですとか、六カ月後に再度注射しましていわゆるアジュバント効果を見るですとか、それから安全性、四つぐらいの研究計画を立てています。

 これにつきましては、五月になって早々に班会議を開催させていただいて、どういう方に、六千人をどういうふうに選ぶかというようなことについて検討させていただきたいというふうに思っております。

福島委員 そして、これはどのようにこのワクチンが位置づけられるかにもよるんですが、健康被害を受けた場合にどのような責任を負うのか、こういうことも明確にしておく必要があるというふうに思っております。

 プレパンデミックワクチン、そしてまたパンデミックワクチン。パンデミックワクチンについては、先般の新聞報道では、検定を省略して迅速にやらなきゃいけないという考え方も示しておられましたけれども、ある意味で、徹底してその安全性を確認する前に実際の臨床使用をしなきゃいけない、こういうことも事態としては考えられる。その中で起こってくる健康被害について、なかなか今の時代ですから、それはやむを得なかったねというふうに言ってもらえるものでもないのが今の時代だろうな、こういうふうに私は思っておりますけれども、そういう中で、健康被害に対して、これにどういう枠組みで対応するのかということについてお考えをお示しいただきたいと思います。

西山政府参考人 先ほども申し上げましたように、予防接種法に仮に基づくとすれば、御案内のとおり、健康被害救済制度において、適正なワクチン接種により生じた健康被害に対して救済を行っているという方法が一つ。それから、任意接種の場合には、医薬品医療機器総合機構における副作用救済制度の活用を図るんだろう。このどちらかで、万が一そういった事態が起こった場合には救済していくんだろうというふうに考えております。

福島委員 その場合に、緊急の場合の中で、検定について省略するとか、一定の手続の簡素化をするということを迫られるんだろうと思うんですね。ただ、これはやる前は、やれ、やれと人は言うんですけれども、やった後に健康被害が起こると、それはきちっとやらなかったから国が悪いんだ、こういう話になる可能性が十分ある。

 ですから、そのあたりのところは、どこまでが免責されるというか、そういう考え方も整理しておかなきゃいかぬのだろうなというふうに私は思いますけれども、何かお考えがありましたら、検討中かもしれませんが、よろしくお願いします。

西山政府参考人 法的な枠組みになると思います。今委員からもお話がありましたように、これについては早急に検討させていただきたいと思っています。

福島委員 ありがとうございます。

 先ほど来ありましたように、経鼻粘膜投与ワクチンでありますとか細胞培養ワクチン、こういった新しいワクチンの開発でありますとか、そしてまた抗ウイルス剤の研究ですとか、こういうことについて研究開発を促進しなきゃいけない、こういうことがさまざまに指摘をされております。

 具体的な臨床利用ができるようにするためには、やはりしっかりと資源を投入して緊急体制を強化すべきである、このように思いますけれども、現在の政府の取り組みについてお教えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 新たなワクチン、経鼻粘膜ワクチンその他でございますが、こういったものについては、例えば経鼻粘膜投与型のインフルエンザワクチンの研究開発につきましては、十九年度より厚生労働科学研究費補助金による助成を開始したところでございまして、また組織培養ワクチンの研究開発についても、その支援に努めているところでございます。

 それから、治験などの円滑化についても、新たな治験活性化五カ年計画の中でまたそういうことを考えていきたいというふうに考えております。

 また、現実的に、その審査などにつきましても、昨年十月に承認をいたしました新型インフルエンザワクチンについては優先審査を行うなどの対応をしたところでございまして、また今後とも、そういった迅速かつ適切な対応を図りたいというふうに考えております。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

福島委員 どうもありがとうございます。

 いずれにしましても、新型インフルエンザ対策は大変複合的な、そしてまた包括的な取り組みが必要でございます。国民の協力も当然必要でありまして、混乱なく対応するためにも、繰り返し申しますけれども、事前に徹底した国民に対しての周知ということが何よりも大切だろうというふうに思います。

 これは外務省におかれましても、在外邦人に対してしっかりとお取り組みを進めていただきたい、このように要請をいたします。

 続いて、それ以外の感染の問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 この二十年ほど、院内感染症ということが繰り返し問題になってまいりました。抗生物質の医療現場における使用によって、多剤耐性菌がさまざまに、弱毒菌においても出現をしてきている。

 これに対しては、抗生物質の使用についてより厳格化すべきであるということが繰り返し指摘をされてきたわけであります。医療水準が非常に上がったとしても、こういった院内感染によって命を落とすというようなことがあるのでは、何のための医療の進歩か、こう言わざるを得ないわけであります。

 この点について、現状がどのようになっているのかということについてお教えいただきたいと思います。

外口政府参考人 院内感染は、医療機関におきましてさまざまな原因により発生しており、国民の健康を守る上で極めて重大な問題と認識しております。

 状況でございますけれども、まず多剤耐性菌の状況は、これは感染症法に基づく届け出、約四百五十カ所の定点報告のデータがございますけれども、それに基づきますと、主な多剤耐性菌の発生動向は、平成十一年から平成十三年にかけて増加を認めておりますが、最近の五年間は、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症は約六千件で横ばい、それからメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、いわゆるMRSA感染症は約二万件で漸増、薬剤耐性緑膿菌感染症は六百件から七百件で横ばいという状況となっております。

 また、院内感染につきましては、これと別に院内感染サーベイランス事業、これは二百床以上の病院の約四分の一の施設の協力を得ておりますけれども、この中で、入院患者さんの耐性菌による感染、また薬剤耐性の頻度のデータの収集等を行っております。

 こういった現状を踏まえながら、院内感染対策中央会議等での専門家の先生方の議論を通じて、院内感染対策のより一層の強化、充実を図ってまいりたいと考えております。

福島委員 最近、病院を訪れると感じますことは、さまざまな消毒薬の使用にしましても、手指の洗浄にしましても、そういった感染を媒介することに対しての対応というのは非常に厳格になされるようになってきたな、こういう印象を受けております。

 ただ一方で、抗生物質の使用については、このあたりは改善しているんだろうか。これはさまざまな診療報酬上の取り扱いも、包括化とかいろいろなことが行われてきましたので、昔のような乱用ということはやはり少なくなっているのではないかと思いますけれども、この点についての現状をお聞きしたいと思います。

外口政府参考人 院内感染対策におきましては、御指摘のとおり、手洗いの励行や清掃といった基本的な対策と並んで、抗生物質の適切な使用が重要でございます。

 このため、厚生労働省では従来より、厚生労働科学研究において、抗生物質の適切な使用を含む科学的知見の周知、平成六年以来、全国の医療機関における院内感染対策の支援を目的としたファクス等による院内感染対策相談窓口の設置、また平成十二年以来、院内感染対策サーベイランス事業による院内感染の実態の把握と薬剤耐性菌の情報等の提供、こういった取り組みを続けてきているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、院内感染対策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

福島委員 ありがとうございます。

 感染症、私も、昔医者をしておりましたころには比較的安易に抗生物質を使っていたなと思いますけれども、最近感じますのは、やはり基本的なことが大事だ、院内感染においては、手指の洗浄とか、そういう基本的な衛生的な手技が非常に大事だと。

 と同時に、例えば高齢者であれば口腔内の衛生というのが非常に重要だ。特に、肺炎にしても、口腔内の細菌が嚥下されることによって肺炎を起こす。今でこそ、歯周病の予防ということは大事だということが言われて大分広がってきましたけれども、これを徹底してやると、やはりもっと感染は減るんだろうなと思いますね。先日、虫歯のばい菌が、細菌が血中に入って脊椎炎、背骨の炎症を起こした、こういう方が身近におりました。こういうことは、気づかれずに、何だかわからない不明熱になっている場合もあるんじゃないかというふうに私は思いますけれども、やはり徹底して取り組むということが非常に重要なんじゃないかなというふうに私は思っています。

 また、細菌感染というと、医学教育、昔は抗生物質の使用だ、こういう話になっておりましたけれども、今言ったように、どう予防するのかということがまず一つ。高齢化がどんどん進んでまいりますので、抗生物質を使えばいいという話じゃない。事前にどう予防するか。

 もう一つは、ワクチンをどういうふうに活用するかという話が非常に重要だろうというふうに思います。例えば肺炎の肺炎球菌のワクチンにしても、欧米ではさまざまな形で、感染症に対してワクチンをどう活用してそれを防いでいくのかという選択肢が非常に広がってきているんだろうと私は認識をしております。

 そういう意味では、まだまだ日本は、そういう治療のツールを広げるという意味においては取り組みがおくれているのではないか。この点についての現状と、そしてまた政府としての今後の取り組みについて、時間が限られておりますから、まとめて御説明いただければと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃいますように、我が国におきますワクチンの開発状況でありますけれども、予防接種法がいわゆる義務接種だった時代にはいろいろな企業がワクチンを開発していた。これが勧奨接種になったために、例えばインフルエンザをとってみても、はやるときは売れるけれども、はやらないときは在庫が残ってしまうというようなこともあったんでしょう。したがいまして、結論から申し上げれば、開発利用がおくれてきている、欧米に比べておくれてしまっているという状況でございます。

 現在、私ども、新型インフルエンザのワクチンをつくるに当たりましても、検討会の専門家の意見を聞きまして、今後の戦略をいろいろ考えていこうじゃないかと。先ほど来話がありましたような経鼻ワクチンですとか、あるいは細胞培養の方法だとか、さまざまな宝がそこにあるわけですから、検討会の専門家の意見を聞いて、早急に結論を出したいと思っています。

福島委員 しっかりと取り組んでいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。

 以上で終わります。どうもありがとうございました。

茂木委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 前回、十八日の委員会においての答弁が時間の関係上できなかったということで、きょうは、委員長のお許しもいただいて、前段、少し前回の質問の続きをさせていただいてから本題に入りたいと思います。

 まず、前回、最後の質問で、大臣が答弁で手を挙げられておったわけです。きょうは年金局長にはお越しをいただいておりませんけれども、いわゆる全国の社会保険事務所に、国民年金の保険料を払い過ぎた人に返還をする国民年金過払い還付法案を民主党が提出した後に、この過払いの分を運用面で返還しよう、こういう話になったのはどうしてか、同じ日なのは余りにもひどいじゃないか。

 これまでの答弁でも、運用面で見直していくというよりは、運用面で何とかならないかという思いはお持ちだったのかもしれませんが、しかし、我々がこの法案を出したその日に、あえてこういうことをぶつけるということは大変に政治的にも、もっと言えば、国会での審議に対してもどうなのかという思いを持つわけであります。

 そういう意味で、そもそも、運用面で改善できるのであれば運用面で見直しますと、従前の参議院の厚生労働委員会や予算委員会で答弁をされておればよかりしになと思うわけでありますが、それについて、大臣が手を挙げてみえましたので、御答弁をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 四月一日の委員会でそういう質問がありましたから、運用面で何とかできないか、これを指示するということを答えました。ちょっと私、手元にありませんから、予算委員会か厚労委員会か、ちょっとそれは後で確認しますけれども、それで直ちに指示をし、運用面で何とかできないかということをずっと検討させてまいったところであります。

 そういう過程において、事実関係からいいますと、民主党の法案が出る二日ぐらい前に、大体、運用面でこれでやろうということを私が指示したところでありますから、時間の前後関係で、それを他党が法案を出すから何とかと、そういうことは全く私の中にはありません。それで指示をしました。

 そして、しからば十六年の法改正の趣旨はどうかということになりますと、基本的に、余分に払う分は任意で払うわけですから、強制的であれば法律のそういう強制性がありますけれども、任意で払う分について、結局、十七年から法律でもう拒否する、過払いにならないように拒否するという形でやりましたけれども、しかし、その前の方はどうするんですかということで、法律の趣旨に照らし、何とかできないかということで、私が前向きにお答えしたので、それで運用面でやりたいということで、そういう決断を下したという事情でありますから、他党が法案を出すからどうということは、全く私はそういうことを考えていない。四月一日の委員会の発言をもとにしている。

 これまでも全部そうなんですね、私が国会の場できちんとこういうふうに検討しますということは、きちんと検討し、検討状況について逐一、全部報告をさせております、それで、おくれた場合にはどうだということで。やはり国会の場というのは、与野党含めて提案があったり、質問があったり、いろいろなことがあります。そういうことで、いいものはどんどん取り入れていかないといけない、年金の問題にしろ、きょうのインフルエンザの対策の問題にしても。

 したがって、そういう問題で、これはさすがに、十六年の法律で前の人と後の人を皆さん方おっしゃるように区別、差別するというのはやはり公平性に欠ける、何とかできないか。そこで、法改正というのも一つの手なんですけれども、そうすると、これはやはり時間がかかります。したがって、運用の方が早くできれば運用の方がいいんです。そういう形で、私の指示に基づいて行ったということでございますので、御理解を賜ればと思います。

岡本(充)委員 また、四月一日の方の委員会で、法文上も「十七年三月以前に納付されたものについて納付自身は適法なものであるという位置付けで、さかのぼって還付するという扱いとはしていない」、しない、こういうふうに御答弁をされておるわけです。

 そういう意味では、逆に言えば、これを受けて我々が作業に入ったというところもあって、私は、ぜひまた一度議事録も御確認いただきたいと思いますけれども、政党として、また議員として、政府の答弁を受けて立法作業に、我々だって変な話、運用で済むのであればそれでお願いしたいと言ってきたわけですから、それをわざわざと言ってはあれですけれども、法案にして出したということは、これはこのままでは見捨てておけないという思いでやったということもぜひ知っていただきたいと思います。

 それと、残った質問のところで、きょうも水田保険局長にお越しをいただいておりますけれども、保険料の推計の問題、それから運用の問題について、前回の質問での、後刻お答えをしますという話があって、その後、十八日の委員会の時点では御報告がないという状況でありましたから、十八日の委員会で指摘をさせていただいたわけです。

 改めて問いたいと思いますが、まず一点目、ちょっと順序が逆になりますが、病院において、後期高齢者医療制度で保険証が未着で、まだその方が三万人ぐらいみえるという話でありますが、この未着の方に対して、運転免許証でも受診できるよ、こういう通知を出されておりますが、実際、病院として確認をする、しかし確認ができない時間帯もある、そういう中で、やはり病院に最終的に損金が発生しないようにしていただかなきゃいけないんじゃないか。

 病院の方も大変危惧しているところであります。運転免許証の書きかえをしていないとか、転居等で現住所となっていないなど、そういう方もみえると思います。そういった方が受診をされ、後刻確認をした場合に、確認がとれない等の事情で病院が医療費を請求できない、そういう事態に陥らないように、どのように厚生労働省として万全を期していくのか、お答えをいただきたいと思います。

水田政府参考人 被保険者証未達の場合の取り扱いについてのお尋ねでございます。

 この長寿医療制度の被保険者証が七十五歳以上の方々のお手元に届いていない場合、これは、先生今御指摘になったとおり、従来の被保険者証あるいは運転免許証等の氏名、住所、生年月日、こういったものを確認することができる場合には、医療機関におきまして、通常の窓口負担により保険診療を継続していただく、こういう御配慮をお願いしているわけでございます。

 その際、医療機関におきましては、従来の被保険者証等を活用して、受診時に各都道府県の後期高齢者広域連合に照会していただくことによりまして、診療報酬の請求に当たって必要な被保険者番号等を確認いただくことができると考えております。そのために、基本的に医療機関が損害をこうむる事態にはならないものでございますけれども、厚生労働省といたしましては、まずはこの被保険者証を高齢者の方々のお手元に一刻も早くお届けをする、医療現場が安心して保険診療を提供できるように全力を尽くすこと、これが基本でございます。

 それから、応用問題が幾つか考えられるわけでございます。一つは、広域連合に確認をするといっても、夜間診療とか救急医療、こういった場合にはどうなのかということでございます。

 これは、従来の健保、国保でも、被保険者証を持たないで、こういった場合どうするかということがあるわけでありますけれども、こういう場合には、基本的にはやはり、一時的に預かり金等により診療を受けていただくケースもあると思われます。その上で、事後的に当該患者の被保険者資格を確認させていただいた段階で、事後の精算によるということで、病院、被保険者ともに、被保険者であるという状況に応じた費用の負担になるわけであります。

 それから、仮に、当該患者が医療機関に対しまして氏名、住所、年齢、これらについて証明することができなかった場合どうするかという今御指摘があったわけでありますけれども、この場合には、大変恐縮でございますけれども、やはり一たん全額をお支払いいただくわけでありますが、被保険者サイドにつきましては、事後的に、被保険者証の提示をすることができなかったことにつきやむを得ない事情があったわけでございますので、保険者から当該患者に対しまして必要な療養費の支給がなされる、こういう手順になろうかと考えております。

岡本(充)委員 償還払いで対応するということでよろしいわけですね。今の話はそういうふうに理解をさせていただきました。

 その上で、残っていた質問のうち、いわゆる後期高齢者保険証を得るための保険料の上がった人間、下がった人間の数。世帯ではありません、これは人一人ずつでありますから、こういう数という意味で、質問主意書でも私は四月二日に問わせていただいておりますが、その答弁の中では、当該制度の円滑な運営に支障を来しかねないから調査ができないということでありましたけれども、そろそろ調査をしてもいいのではないかと思って、これもお尋ねしたところでありますが、それについてはいかがでしょうか。

水田政府参考人 保険料の制度改正前後の比較ということでございますけれども、実際にどの程度の方の保険料負担が上がり、どの程度の方の保険料が下がるかということは、これは制度の仕組み上、国保については市町村ごとに決まってくる、さらに言えば、個々人の世帯の状況によっても違ってくるということで、詳細な事実関係を知るためには調査を全国の自治体にお願いしなければならなくなるわけでございますけれども、現状認識といたしましては、今は自治体の方々には、むしろ制度の周知でありますとか、先ほどの話にありました被保険者証を確実にお届けするということに力を傾けていただくべきときと考えております。

岡本(充)委員 ぜひ調査もしていただきたいと思います。

 もう一点、後期高齢者の強制加入の問題ですね。

 新聞でも報道されましたが、十県で、ある意味実質的に、後期高齢者医療制度に六十五歳から七十四歳の重度障害者が加入をしなければ従前どおりの窓口負担にならないというような形をもって、ある意味、強制的に加入を求めている実態があるという指摘をされております。これに対して厚生労働省として対処をとられるかどうか、お答えいただきたいと思います。

水田政府参考人 この長寿医療制度におきましては、六十五歳から七十四歳までの障害認定を受けた方が障害認定の申請の撤回を行えば、従来どおり、保険料負担のない被扶養者として被用者保険にとどまれる仕組みとなっているわけでございます。

 その場合、今の被用者保険にとどまった場合には、自治体が単独事業として実施している医療費助成の対象から外れるということがあることは承知しているわけでございますが、こうした事業は、自治体独自の判断によりまして固有の財源で行っているものでございますので、国として、その事業内容について指導する立場にはないわけでございます。

 ただ、障害者の方がどちらの制度を選ぶかにつきましては、長寿医療制度、それからこれに関連する自治体の単独事業の内容を踏まえて判断していただくべきものでございますので、必要な情報を障害者の方に提供するよう、自治体に対して指導を行っているところでございます。

岡本(充)委員 十の都道府県だけでこのような状況になっていて、そうでない都道府県もあるということでありますから、これはきちっと対応していただかなければいけないと思っています。

 加えて、療養病床の削減の話も残っている質問がありました。

 療養病床を三十八万床から十五万床に減らしていくという当初の話で、これは平成十八年の医療制度改革の中で、四千億円の医療費削減効果があるのではないか、こういうお話がありました。しかるに、現時点で四十三都道府県がまとめた医療費適正化計画によると、現時点でも二十万床療養病床があって、残りの四府県の数を足せば、当然二十万床を超えてくる数になってくるわけであります。

 こうなってきますと、そもそも、いわゆる転換効果ももちろんでありますが、二〇二五年の医療費を五十六兆円から四十八兆円へ減らすという一つの指標でもあったいわゆる平均在院日数を、一般病床で相当短縮しなければならない病床が出てくるのではないかという指摘をさせていただいて、その場合、一般病床では、つまり転換が進まない県、もしくは厚生労働省の思っているような平均在院日数を達成するために、一般病床で一番短く目標値を設定しなければいけない県はどの県になって、それは一体何日になるのか、それを質問通告してあったはずでありますが、お答えいただきたいと思います。

水田政府参考人 医療費適正化計画におきまして、短縮すべき平均在院日数が大きい一方、参酌標準を上回る療養病床の目標数を設定している県ということをお尋ねだと思います。

 例で申しますと、大きいところで申し上げますと、鹿児島県の事例でございまして、平均在院日数の短縮目標は七・六日減とされておりますけれども、療養病床の再編成による縮減効果は〇・二にとどまっております。

 残り七・四日についてどういうふうに取り組むかということになってくるわけでありますけれども、理論的にはもちろん他の病床を減らすということも考えられるわけでありますけれども、その場合には、病床を減らすということもありますし、また一方で、地域連携クリティカルパスの活用、こういったことを通じました医療機関の機能分化、連携の推進、あるいは在宅医療の推進、そういったことに努めることによりまして在院日数の短縮を進めていくということが考えられるわけであります。

 それからもう一つ、療養病床につきましても、医療費適正化計画におきまして中間評価ということを行うことになっております。そういった中間評価等を通じて得られた結果をもとに、必要があればさらなる転換支援策を考えていきたい、このようなことで取り組んでいきたいと思っております。

岡本(充)委員 いや、質問したことにお答えいただいていないんですよ。

 その場合には、では一般病床の平均在院日数は一体何日に、例えば鹿児島県、いわゆる療養病床の転換効果による平均在院日数の短縮効果が少ない県はしなければならなくなるのか。これを数字でお答えいただきたいと思います。

水田政府参考人 七・六、それから療養病床の削減で得られる効果が〇・二ということで、残りの七・四をどうするかということでありますけれども、その中身につきましては、まだ今の段階では確定をしておりません。どういう形で対応するか、第二期の計画でどうするか、そういったことを含めまして、どの病床で対応するかというところまで詰め切っているわけではございません。

 それからもう一方で、実は、さまざまな要因が考えられると思いますけれども、全国で見ましても、毎年約一日ずつ平均在院日数は減少しております。特に鹿児島県の場合には一・二日という形で減っておりますので、そういった基調的なものも織り込みながら、今後検討していくべき課題だと考えております。

岡本(充)委員 七日を超える平均在院日数の短縮というのは、極めて一般病床では厳しいわけですね。現実的に考えて厳しい中で、五十六兆円を四十八兆円に、療養病床の削減やいわゆる平均在院日数の短縮で実現をするというこの計画自体が、現時点ではもう厳しいんじゃないかと私は指摘せざるを得ないわけです。そういう意味で、この場であきらめたとは言えない、多分、今後とも目指すと言われるんでしょうけれども、余りに無理な、そういう一般病床への逆に締めつけということはやっていただきたくない、私はそのように考えているわけであります。

 局長、この四十八兆円は、現時点のこのままではもう、平均在院日数の短縮等で実現するのは、この部分だけで見れば厳しいと言わざるを得ないということはお認めいただけますね。

水田政府参考人 二〇二五年時点の医療費適正化計画の効果で、医療給付費につきまして、五十六兆を四十八兆に下げるということがございます。

 この中で、平均在院日数の短縮による効果は四兆円と見込んでいるわけでありますけれども、これはあくまでも、平均在院日数は病院全体の話でございまして、療養病床の再編成による適正化効果は、その平均在院日数短縮の効果の一部に含まれているものでございます。先ほど申しましたように、短縮する手段といたしましては先ほどの再編成以外にもあるわけでありますし、それから、基調として下がっているという現実もございます。

 こういった全体の医療の効率的な提供の推進を図るということでございますので、この療養病床の再編成の数のみが全体としての適正化効果に大きな影響を及ぼすとは現時点では考えておりません。

岡本(充)委員 今お話を聞いておりましても、その一部に療養病床削減が、医療費適正化計画の、いわゆる四十八兆円の給付費の削減に至るための一つのファクターになっている以上は、それが達成できないということは、この四十八兆円の実現は厳しいと言わざるを得ないと私は思っています。

 持ち時間の半分、委員長のおかげで残りの質問をさせていただきました。

 これより、議題となっております、新型インフルエンザを含む感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案についての質疑に入らせていただきたいと思います。

 まずは、きょうは農林水産省にもお越しをいただいています。

 日本における鳥インフルエンザの発生というのは、今、鎮静化をしているように見受けられます。特に養鶏業者の皆様方が、一たん発生するとさまざまな御心配を持たれて、実際に、かなり経営上も大変な思いをされるということがあると私は聞いております。今、鳥インフルエンザが日本でいわゆる発生の抑制に成功しており、そしてまた今後発生をした際にも、経済的な面で養鶏業者に打撃というか、損害額が多大に及ばないように万全を期していただきたいと思います。

 そういう意味でいうと、養鶏業者に対する対策、いわゆる互助会等もあると聞いておりますけれども、もう一度素びなを入れて養鶏業を再開しようという方と、もうこれを機に養鶏業から撤退をされるという方においての経済的支援にも差があるのではないかとか、また、この制度自体も、従前から見直しが進んでいない部分もあるというふうに承知をしておりまして、こういう部分についても不断の見直しをしていただきたいと思うわけでありますが、この二点。現在の抑制の状況、それから経済的な支援策のあり方についてお答えをいただけますでしょうか。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、昨年一月以降、鳥インフルエンザが発生していないという状況についてでございます。

 国内の高病原性鳥インフルエンザの発生予防対策につきましては、平成十九年の発生事例を踏まえまして、高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針の見直しを行いますとともに、防鳥ネットの整備でございますとか、それから養鶏場への都道府県の立入調査等によりまして、飼養衛生管理の改善指導を行っているということ、さらに、早期発見、早期通報など、危機管理体制の構築と強化などを行っているところでございます。

 また、海外での発生を踏まえまして、水際対策といたしまして、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認をされました場合、直ちに発生地域からの家禽肉等の輸入の停止でございますとか、空港や海港、こういったところにおきまして、高病原性鳥インフルエンザの発生国からのすべての入国者及び車両に対しまして、動物検疫所が靴底消毒及び車両消毒を実施いたしております。こういったことによりまして、本病の侵入防止に努めているという状況でございます。

 それから、農家への支援の話でございますけれども、家畜伝染病の発生農場につきましては、殺処分をいたしました家畜への家畜伝染病予防法に基づきます手当金の交付、それから経営の再開に必要な家畜の導入また飼料の導入等に要します資金の低利融資、それから経営を再開するために新たな鶏の導入等を支援する家畜防疫互助基金に対しまして国から二分の一の補助をしているところであります。さらに、経営が一時的に悪化をしたところにつきましては、経営の維持安定に必要な資金を機動的に融通いたしますために、農林漁業セーフティーネット資金を措置しておるところでございます。

 私どもといたしましても、引き続き、発生予防と発生時の蔓延防止対策の整備を進めますとともに、万一の発生時には、これら支援体制の円滑な運用によりまして、経営に対する影響の軽減に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

岡本(充)委員 私が指摘をさせてもらったのは、これを機に養鶏業を廃業しようという方のお声としては、互助会の制度の中でも、いわゆる素びなの購入の部分でも、養鶏業を継続しさらに経営を続けていく方と比べての支援のあり方に若干差があるのではないかなということも指摘をさせていただいたわけで、そういう意味で、休業している間の生活保障の問題等、いろいろ不安は尽きないわけでありますが、不断の見直しをしていただきたいと思うわけです。

 そういう中で、実際、人に対する新型インフルエンザが日本でよもや発生することはないとは思いますけれども、日本のいろいろ習慣も含めて考えると、ないとは思いますが、そういうことにならないように万全を農林水産省にもとっていただかなければなりません。

 そうしますと、他国で新型インフルエンザが発生するという場合を次に想定するわけです。同僚議員が後ほどいろいろ質問をすると思いますので、私は、まず早期の対策として、発生国から帰ってきた皆さん、飛行機に乗っている中で、どなたかがどうも新型インフルエンザらしいという症状を示してみえる、こういうことが航空会社から検疫所に通報があった場合、さあ、どうするのかということを少し問いたいと思います。

 今回の法改正でも、空港近隣のホテル等に要請をして、その場においての停留もできるようでありますが、実際にその発生国から多数の航空機がやってくれば、あっという間にそういったホテルはいっぱいになるのではないか。どこまでの方を停留するのか。これは人権にもかかわる話でありますから、ある程度明確にしておいていただかなければいけないと思っています。

 検疫所長の判断ということでありますけれども、どこまでがいわゆる停留を求められる人となるのか。WHOの基準やら、また新型インフルエンザの専門家会議等の資料等をいただいたりもしましたけれども、厚生労働省として、本改正案が成立した場合の、いわゆる航空機等、比較的閉鎖された空間において、ある程度距離を置いて空間を共有した者はどこまで停留の対象となるとお考えか、お答えをいただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 二点ほど御質問がございました。一つ目の御質問でございます、航空機から着陸する飛行場に、機内でそれらしい方が発見された、どういう手続で停留するのかということであります。

 これについては、フェーズ4Aと言っていますけれども、他国で新型インフルエンザが発生した、その国から来た方で高熱があり、また、せきがあるというふうな方については停留をしていただくということであります。したがって、その国以外の別の国から来た方で、仮に高熱があってせきがあった方については、法律上、停留の措置はとらないというふうな区分けにしております。

 もう一点のお尋ねでございます航空機内での濃厚接触者についてでありますけれども、これは最終的にはまだ結論を出しておりませんけれども、私どもが考えていますのは、「新型インフルエンザの感染を疑う者に同行した家族及び友人、渡航中行動をともにした集団・添乗員、搭乗中に世話をした乗務員」とガイドライン上は定義しております。これでいいのかどうか、さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 そうしますと、その検討はいつまでに出るのかということもお答えをいただかなければいけませんし、続いて、今、発生した国からの帰国者という話でありますが、場合によっては、帰国はその発生ではない国からの航空機で帰ってきたとしても、それ以前に発生国を旅行していたという可能性も否定はできないわけであります。

 また、国境周辺でさまざま交易が、陸路でつながっている国などでは交流等もあり、必ずしも当該国へ入国していなくても、その国境周辺というのはボーダーラインになるんじゃないか。現時点、例えばベトナムなんかでも、今北部でトリ・ヒト感染が発生しているという報告を聞いております。ベトナムの北部となってきますと、山岳地帯も多くて国境線も定かじゃない。旅行者が本当に行くのかという声もありますが、しかし、旅行やさまざまな商業、商売等で行かれる方はみえるわけでありまして、こういった判然としない線引きもあるのではないかと思います。その辺についての運用はどのようにされますか。

西山政府参考人 いわゆる第三国からの、発生地からの経由であります。

 一つは、私が先ほど申し上げたような高熱があって、せきがあって、その国は発生国じゃないけれども、発生国に行ってから非発生国に寄って日本に来たというような方でありますけれども、恐らく、非発生国におきましてもサーベイランスシステムは整っております。したがって、先ほど来議論がありますけれども、私ども国際的な協力体制の中で早期発見に努めていきたいという観点が一つでございます。

 もう一点は、お尋ねのような、四十度を超すような熱でせきが物すごいという方には、やはりサーモグラフィーを通るなり、先ほど御答弁したリアルタイムPCRをとるなり、それなりの疑似症として法律上措置をするというようなことも実は念頭に置きつつ作業を進めたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 サーモグラフィーは歩いている人を見ればわかりますけれども、リアルタイムPCRをとろうと思ったら採血等をしなければいけないわけで、そうルチーンにできる検査方法でもありません。そういう意味では、より有効でかつ弾力的な方法をやはり考えていかなきゃいけないんだと思います。

 その上で、現在、感染症指定医療機関の指定状況でありますけれども、特定感染症の指定医療機関は、成田の赤十字病院、国立国際医療センター、そして大阪府にあります市立泉佐野病院、この三つだ。そして、病床はわずか八ベッドしかないわけですね。第一種の感染症指定医療機関、これも二十六医療機関で四十九ベッドしかない。これではいかにも数が少ないんじゃないか。

 また、では全国で、新型インフルエンザと診断をされ、そして陰圧化された、結核病床等の陰圧ベッドにどれだけの方が入院できるインフラ整備がされているのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、特定それから第一種、第二種でそのような数でございます。

 陰圧病床でございますが、これは数的にはまだ足りないということで、各地方自治体を通じて、どの程度必要なのか検討、協議を重ねているところでございます。したがいまして、感染症の指定医療機関以外に、やはり一般病床も活用しなきゃいけないということで、こういった国立病院や社会保険病院、パンデミックになった場合でありますけれども、その活用を考えているところであります。

岡本(充)委員 陰圧病床の数はお答えいただけないんですか。

西山政府参考人 陰圧病床の数でありますけれども、全体として医療機関がベッド数一万三千九百七十一のうち、陰圧病床の病床数が四千三百四十二、このような数字になっております。

岡本(充)委員 本当にそれだけあるのか、私も改めて確認をしてまいりたいと思いますけれども、四千三百あったとしても、極めて少ないと言わざるを得ないし、パンデミックという状況において一般病床を利用すれば、当然広がっていってしまう。

 その前の段階で、航空機を本来の目的地と違って、場合によっては、発生国からやってくる航空機の中に新型インフルエンザの症状を有する方が乗っている場合には、例えば成田行きをやめて、一カ所に集中をさせて着陸させるということも検討していると私は聞いておりますけれども、その場所が、成田、中部、関空、福岡の四つであるというふうに聞いておりますが、まずこれは正しいでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 検疫所については、その四つに集約しようと考えております。

岡本(充)委員 しかし、中部国際空港におりても特定感染症指定医療機関がないし、また福岡空港は町の真ん中にありまして、着陸をした周辺にはおうちもたくさんあります。そういう意味では、これは本当に飛行機を回してそこに着陸させるのが妥当なのかなということも疑念を持ちますし、初期の対策が重要であるという以上は、この点をぜひもう一度検討してもらいたいと思います。

 ワクチンの点についても確認をしたいと思います。

 今、日本全国で、ワクチン用の有精卵は一年間に一体どのくらい確保できるのでしょうか。

高橋政府参考人 日本全国で何個確保できるかは、ちょっと私ども詳細を承知しておりませんが、新型インフルエンザワクチン生産用に有精卵が何個必要かということにつきましてお答え申し上げれば、新型インフルエンザワクチン一千万人分を製造するのに必要な有精卵の個数は、これまでのウイルス株の増殖性をもとに試算をしますと、およそ一千万個から二千五百万個程度が必要というふうに考えているところです。

岡本(充)委員 きょうは農林水産省の生産局の畜産部長もお越しでありますけれども、有精卵全体としては、一体日本でどのくらい生産されているんですか。

本川政府参考人 私どもが各都道府県から調査をしたものが、十九年三月時点で取りまとめた資料がございまして、いわゆる種卵ふ化業者という方々がつくっておる卵で、大体十二億個弱ございます。そのうち、ワクチン製造用として七千万個程度が利用されているという状況でございます。

岡本(充)委員 きょうは医薬食品局長がお越しでありますから、一度農林水産省とも協議をしてもらえないかなと思っておりますのは、本当にたくさんある有精卵、もちろん、ワクチン用というのは特殊な飼い方をしている鶏から生まれた卵だと聞いてはおりますけれども、その中で、例えば養鶏業者として食用ないしは素びな用に生産をしている卵であっても、場合によっては規格上合致するものがあるかもしれない。

 一体どのくらいのものが、いざというときに、本当にパンデミックになってパンデミックワクチンをつくらなきゃいけないというときに、今、一千万人分でも場合によっては二千五百万個、卵が要るわけですね。これだけの卵が一遍にできるとはとても思えない。したがって、ここは一度協議をしてみて、どういう卵ならいざというときに使えるのか、こういうことを考えていただきたいんですよ。

 こういう答弁ですから、ここは大臣の方がいいかもしれない。大臣、この新型インフルエンザ対策の会議を内閣府等でやっていると聞いております。そこで、パンデミックワクチンのときに必要な卵、はなから衛生面だとか規格だとかで使えない有精卵ももちろんあると思いますけれども、今は畜産業の中で流通している卵でも、使える規格のものがあるのかないのかぐらい、ぜひ一回調査してみてはいかがですか。そうすることで、たくさんの卵が確保できるかもしれませんよ。一度それを検討していただけるか、お答えをいただきたいと思います。

舛添国務大臣 今の私の理解ですと、特定の農家にきちんと生産管理を頼んで、安全性や何かということがございます。ただ、今、緊急事態にそういう契約している農家以外のものが使えるかとか、それは検討させてみたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひ前向きにお願いをいたします。

 それともう一点、今回、この法案に、我々としても緊急性が高いということで賛同していく方向に検討は入っておりますけれども、しかし、これで終わりではなくて、やはりこれも不断の見直しをしていただかないといけないということをつけ加えさせていただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 お昼、おなかのすいてくる時間ではございますけれども、大臣そして政府の皆さんたち、また委員の皆さんたちも、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思います。

 それでは質問させていただきます。

 新型インフルエンザがいつ発生するかわからない、いつ発生してもおかしくないという状況にあっての感染症法の改正ということですけれども、未知の感染症のリスクをどれだけ最小限に抑えられるかどうかが問われているわけです。

 政府が御提案になりました案を拝見させていただきまして、研究開発の促進や薬事法に基づく製造販売の承認に関する措置が果たして十分なのかどうか。また、きのうの参考人質疑におきましても指摘されました、新型インフルエンザ対策だけでなく、通常のワクチン開発、また通常の治験や臨床研究の迅速化、通常医療の適正化につながるような対策も必要なのではないか、また、国際協力の重要性、そしてこうした対策を図っていく中での人権擁護などの重要性も明らかにされたわけでございます。

 さまざまな問題があるわけですけれども、中でもワクチンの問題というのは、効くかどうかというのは実際にパンデミックになってみなければわからないわけですけれども、十全の準備を備えておかなければパニックになるおそれもあります。また、今後の医薬品の研究開発全般との関係でも重要であるという意味におきまして、私はこのワクチン開発の政策を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、四月の十六日に開催されました第七回の専門家会議で、新型インフルエンザ対策におけるプレパンデミックワクチンの方針案が発表され、同日、舛添大臣も記者会見を行ったわけでございます。

 私の資料を配付させていただきましたけれども、まず初め、一枚目に提示させていただきましたのが、昨年の三月二十六日の新型インフルエンザワクチン接種に関するガイドライン。これは、フェーズ4の宣言の後、プレパンデミックワクチンを医療従事者、社会機能維持者などに打つというふうな対策だったわけですけれども、それが一年後、新型インフルエンザ対策、プレパンデミックワクチンの方針ということで、今年度中に、六千人を対象に、まだフェーズ3の段階から打つというふうに変わったわけでございます。

 十九年度に北里研究所、それから大阪大学の微生物病研究会が承認を取得しましたワクチンを、二十年度に検疫所職員など水際対策に従事する者、感染症指定医療機関職員、六千人を対象に事前接種し、有効性、安全性を評価する研究を厚生労働科学研究として実施するというものです。さらに、良好な結果が得られれば、平成二十一年度には医療従事者、社会機能維持者、一千万人に事前接種を検討するという方針であります。

 三枚目、四枚目は新聞資料をつけさせていただきましたけれども、舛添大臣は、さらにそれ以外の国民にも事前接種を拡大していくことを表明されたわけでございます。

 まず、安全性、有効性も未確認なワクチンを人体に投与する研究を行うことについて、きのうの参考人質疑においても議論をされたわけですけれども、これらのワクチンが承認された際の審査報告書、私、手元に持っております。これによりますと、北里研究所におきましては、ウイルスの活性を失わせる、すなわち不活化を検証するための試験の分析バリデーションのデータに不備があるということが指摘されていたり、また、阪大の方では有害事象が実に九四%も発症しているというのがこの審査報告書の中にまとめられており、指摘されているものでございます。また、重篤な有害事象ではないというわけですけれども、モニタリングや監査報告書の不備などについてもこれは指摘されております。

 これらは、通常の企業治験による通年型のワクチンであっても了承し得る範囲であったのかどうかをまず確認させていただきたいと思います。と申しますのは、すなわち、異常事態ということで特別扱いがあったのかどうかの確認でございます。お願いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 審査報告書の中では幾つかの点について指摘をしておるわけでございます。その中身をちょっと申し上げれば、インフルエンザウイルスの不活化工程の試験方法につきましては、継代培養した追加試験成績から、申請書に記載されている方法によってウイルスの不活化を適切に検出することができるということが、後でもう一回資料を提出いたしましてそれがはっきりいたしまして、試験法の妥当性については了承しているということでございます。

 それから、副作用につきましては、たしか発現率が一〇〇%近いものもございますが、これは疼痛とか赤い斑点というようなもので、重篤なものは見られていないということでございまして、これはそういった軽症のものであるということでございます。

 それから、モニタリングや監査報告にも一部不備が見られましたけれども、これは、実は治験そのものが、治験を早くやるために、治験のネットワークを使うために医師主導治験という形をとっておりますが、何分、医師主導治験はこれまで非常に例が少のうございまして、若干ふなれな点があって、手続上、書類上の記載ミスや何かがあったということで、これは実体の中身の方については問題はなかったということは後の確認をいたしておるところでございます。

 そういったところを総合的に勘案して問題がないという判断をしておりますが、これは特別な扱いをしたということではございません。

郡委員 わかりました。特別な扱いではなかったということですね。パンデミック前夜ということで、急いでということでは必ずしもないという御答弁だったかと思います。

 今御説明いただきましたように、ウイルスの不活化、有害事象の問題なども、これは通常の治験でも想定し得る、承認し得る、そういう程度であったということなのでしょう。であるならば、日本のワクチン企業それから研究者の方々、医師主導治験をなさっている方々ですけれども、この皆さんたちにとっては、ある意味で朗報と言えるような側面もあるのだろうというふうに思います。つまり、今の治験の制度というのは、さまざまな手順も含めまして大変複雑になっているんですけれども、簡単にといいましょうか、そういう意味で承認を得られたということになりましょうから。

 また、通常の治験と比べますと、この審査報告書の内容が果たして本当は十分だったのかどうかという反対の側面も、心配される側面もあるというふうにも感じているところです。また、一般に研究をなさっている方、きのう聖マリアンナ大学の清野先生がガイドラインの制定というのを望んでおられましたけれども、これは欧州のガイドラインを評価に使っているというふうにされています。これらのことも十分に研究者の方々に知らせるべきだろうというふうにも思います。

 今回承認された二つのワクチンについては、オーファンドラッグの制度を適用されたということ、それから、第一相が百二十人であった、第二相、三相については合計三百人の被験者の方々であったということ、それから免疫原性を評価尺度として承認された、すなわち、本当の意味での有効性を確認したということでは必ずしもないということも言えるということだろうと思います。

 まだ検討が不十分であった側面も否めません。国内でのガイドラインを整備していくなどの御要望もあるわけですから、その辺も含めて、さらに検討が必要なのだろうとも思います。きのうの参考人質疑でもありましたように、経鼻ワクチン、細胞培養などによる製品の研究開発が進むように、さらに体制整備、そしてまた継続的な助成などを拡充していく必要があるんだろうというふうに思います。

 一方で、これはBBCのインターネットのニュースの配信版なんですけれども、この二つのワクチンを舛添大臣が予防接種するということにつきまして報じたものなんですけれども、ここには、センシブル・オア・オーバーセンシティブ、分別があるのか、良識的なのか、あるいはまた敏感過ぎなのか、過剰反応なのではないかというような記事が書かれておりまして、WHOの担当の方のコメントは実に、大変私は、ほうと思いましたけれども、無駄なかけというふうな、そういうコメントもされております。つまり、WHOはとめはしないけれども、日本はやりなさいよと、まあ、やりなさいというふうに冷たく見ているのだなということに、ある部分、衝撃を受けました。

 と申しますのも、今この二つのプレパンデミックワクチンができたということで、私たちは、早く予防接種してもらいたい、もう使えるようになった、安心だというような誤解が、そしてまた政策が十分に推進されているような誤解が広がってしまっているのではないかと、実は恐れを持っているところでもあります。

 ヒト・ヒト感染が始まったフェーズ4におきましては、日本で承認されたワクチンが十分な有効性を示さなかった場合、新たなパンデミックワクチンが必要とされた場合に、供給が不十分である、あるいは、さまざまなケースを想定して、海外での有効なワクチンをどう国内に入れるのかということも検討すべきなのだろうというふうに思います。

 例えば、以下のようなケースを想定した場合ですけれども、どんなふうに考えられるか。日本で承認されたプレパンデミックワクチンに有効性と安全性上の問題が明らかになった、または、量が足りない状況で、海外で有効性、安全性にすぐれたワクチンが大量に製造されたという場合です。

 一番目として、製造販売業者が薬事法の特例承認で輸入販売承認取得を希望した場合に、これは適用が可能なのかどうか。二番目として、その場合に、薬事・食品衛生審議会、新型インフルエンザ専門家会議、また新型インフルエンザ対策本部などの意見聴取と意思決定の手順というのは明確にされているのかどうか。それから、業者による申請ではなくて、国家が国としてワクチンを買い上げて供給しようとする場合に、法令上、制度上の根拠があるのかどうか。また、海外ワクチンの評価、それから予算措置、また意思決定の手順、これらが明確になっているのかどうか伺わせていただきます。

高橋政府参考人 御質問の第一点目についてお答え申し上げます。

 製造販売業者は、日本で足りなくなった場合に海外のワクチンを特別に輸入できるか、こういった問題でございます。

 薬事法におきましては、承認申請されました医薬品が、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品である、それから、当該医薬品の使用以外に適当な方法がない、その医薬品を承認している国が日本と大体同等の承認制度を有している、この三つの条件を満たした場合には、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いた上で、通常の承認審査手続によらずに、特例的に承認を与えることができるということが明確に規定をされております。

西山政府参考人 残る三点でありますけれども、国がワクチンを買い上げることはできるのか、そのときの法的な整備はどうかということでありますが、海外からワクチンを買い上げて供給する必要がある場合には、直接海外から買い上げるというのはなかなか難しくて、業者による申請を受けて薬事法の特例承認、今の話ですけれども、薬事法の特例承認につなげていくというふうな考え方をとっております。

 それから、審議会とか専門家会議、対策本部等の関係ですけれども、まず、対策本部、関係閣僚対策本部ですとか新型インフルエンザの対策本部がございますけれども、そこで、どの程度のワクチンが必要かということを決定いたします。その次に専門家会議で、その中で一番有効性が高い株はどれかというようなことを専門的な立場から検討いたします。

 そういう手続で進めてきております。そういったものを関係省庁に周知徹底するというようなところで関係省庁の対策本部があるというふうに御理解いただきたいと思います。

 最後の、海外ワクチンの評価、予算措置、意思決定の手順、手続でございますが、これについてはまだ十分検討しておりませんので、今後の検討課題とさせていただきたいというふうに考えております。

郡委員 再度確認をさせていただきます。

 国家の安全保障上の問題でもあります。国として大量のワクチンが必要になった場合にも、国家として買い上げるのではなくて、医薬品メーカーに特例承認、薬事法の十四条の三の特例措置を使って輸入をさせるということですか。国としては動くことは全く考えていないということでしょうか。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 予算的には国がもちろん確保するということであります。その後、例えばイギリスの会社あるいはアメリカの会社、そこから我が国にいただくわけですから、そういう意味では輸入手続というような点と、それから特例承認というような薬事法の手続が必要だろうというふうに考えていまして、国としては予算を確保して購入する、こういう役割は非常に大事ですし、考えているところでございます。

郡委員 公衆衛生上の問題として、これは、国が国民をいかに守るかという観点からも、今、予算は国が出すのだからということでございましたけれども、薬事法を飛び越えれば枠の外になるということなのだから、いや応なしにそういうふうな御答弁になっているのだろうと思いますけれども、今回、感染症法の改正、関連法の改正もあるわけですから、同時にやはり考えておくべきことではないのかなと、これは私の意見としてとどめさせていただきたいと思います。

 それから、六千人を対象といたします臨床研究についてですけれども、これは、通常の医薬品が治験を行って承認された後に義務づけられております製造販売後臨床試験という枠組みでもありませんで、また、新型インフルエンザ対策としてフェーズ4になったときに適用されます新型インフルエンザ対策ガイドラインに基づく健康状況調査票を用いた安全性情報の収集とも異なっているもの、そういうふうに理解をしております。

 つまり、投与を受けた人に対して、きちんとした副作用の評価、それから報告システムというのがこの場合、臨床研究であることによって確保されないのではないかという懸念があるわけでございます。

 それからまた、新型インフルエンザ対策ガイドラインに基づきます健康状況調査票、これも手元にございますけれども、これには、薬事法上の副作用をいろいろと収集する折に記述が必要になっている併用薬、あわせて飲んでいるのはどういうような薬なのかですとか、それから臨床の経過、また因果関係の判定などの記述、これを医療者が記述をするところがないんですね。これでは本当に十分と言えるのかどうかということも、あわせて指摘をさせていただきたいと思います。

 仮にフェーズ4に至らなくても、この健康状況調査票を用いて安全性情報を収集する場合に、薬事法による副作用報告と重複するのも大変煩雑なものになろうかと思いますし、ここで確認をさせていただきたいのですけれども、今回行われるという六千人に対する臨床研究の安全性情報の収集ですけれども、これはどのように検討されておられるでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 六千人の調査研究、国立病院機構の庵原先生にお願いしますけれども、この安全性に関する点が一番の研究班のターゲットでございます。

 今先生がおっしゃられた健康状況調査票は、これはガイドラインでつくったものでありまして、ちょっとそういった、もっと細かな安全性情報をとれないものですから、研究班会議を五月にも開催していただいて、きちっとした安全性がとれるような様式を別途定めて、必要な情報を集めて公開していきたいというふうに思っております。

郡委員 五月に、改めてどういうことを報告させるのか決めたいという御答弁でございました。

 さらに、この臨床研究の研究デザインについてお尋ねをしたいと思います。

 例えば、先ほどもちょっと御紹介申し上げましたけれども、今回、ワクチン承認に当たって審査をされた審査報告書の中で、有害事象の発生率が高いということが示されているわけですけれども、これは、プラセボ対照試験をすることによって、本当にワクチンによってこの有害事象が発生しているのかどうか、ワクチンに対する反応として起こっているのかどうかということも明らかになるんだろうと思います。

 また、北里研究所での製品と阪大微研での製品、審査報告書の中では、阪大の方の有害事象が九四%とかなり高い確率で出ていることが報告されているわけです。これは、皮下注射あるいは筋肉注射であったからであろうというようなことも言われているわけですけれども、本当にそれがそうであるのかどうかということも、プラセボ群を用いた試験というのが重要になってくるんじゃないかと思うんです。そういうようなことを計画しないと、本当の安全性というのは確認をされないんじゃないだろうかと思います。

 また、北里の製品それから微研の製品、これをランダム化するなど、この研究のデザインについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、安全性というのをどういうふうに確認していくつもりなのか、厚労省にお尋ねしたいと思います。つまり、行き当たりばったりのような、見せていただきました専門家会議に出されたようなああいう形では、到底ちょっと心配が多いということなんですけれども、いかがでございましょうか。

西山政府参考人 今先生が、専門家会議に出した資料をごらんになっているということですから、重複は避けますけれども、まさに、プラシーボ効果を見るためにどの程度の規模、六千人のうちの内数でありますけれども、把握するのか、あるいは交差免疫、免疫持続性の調査、ブースト効果の調査、どのくらいの対象者についてやるのか、男女別はどのぐらいにするのかというようなことは、まさしくその班会議でこれから議論するというようなことであります。

 したがいまして、議員御指摘の安全性の調査についても、別途様式を定めて、かなり細かな比較対照試験をしてまいりたいというように私どもは思っております。また、これについては主任研究者の庵原先生と十分相談させていただきたいというふうに考えております。

郡委員 今局長が御答弁されました、これから、どういうような研究デザインにするのかということも詳しくお決めになるということなんだろうと思いますけれども、それはいつごろまでに示されて、実際に臨床研究に入られるのはいつごろというふうに見込んでおられるのか。その辺についてはいかがでしょうか。

西山政府参考人 なるべく早く研究を終結したい、あるいはその結果を出したいと考えています。したがいまして、五月に班会議を一回開きまして、それから対象者の選定、御協力いただくというようなことです。

 ワクチンを接種するのが、今の段階では何とも言えませんけれども、八月あるいは九月ごろになるだろう、このように考えております。

郡委員 わかりました。接種をする対象者も含めて検討していくということでしたけれども、そもそも、社会機能維持者という言葉も気になるところです。

 先ほど岡本委員からの指摘もありましたけれども、アジアが新型インフルエンザの発生源になるのであろうという予測が立っているわけですけれども、日本で発生するということも全くないわけではない。そういう意味においては、それこそ、今、医療従事者ですとかいろいろなことが言われていますけれども、それであれば鶏を飼っていらっしゃる養鶏業者の方々も入るのかどうかも含めて、やはりどういう方々に打つべきなのかということも戦略的に考えていかなくちゃいけないんじゃないだろうかということも思うわけでございます。

 これからプロトコールが示されて、それにのっとった形で八月、九月ぐらいには実際に臨床試験をスタートさせていくということでございましたけれども、それで、実際にそのプロトコールにのっとって試験が進められるのかどうかということを審査する倫理審査委員会というのがまた重要な役割を担ってくるのだろうと思います。

 新型インフルエンザ専門家会議というのは、個別の臨床研究について、その計画を審査する権限のある機関ではございませんので、ここがするのではなく、検疫所なりそれから各医療機関なり、それぞれの施設の倫理委員会が、今ございます臨床研究に関する倫理指針に準拠して審査することになるのだろうというふうに考えるわけです。また、小児を対象とする治験も早晩始まるというふうに報じられているところですけれども、この治験の場合ですと、それぞれの治験審査委員会が審査することになるのでしょう。

 しかし、臨床研究の倫理審査委員会も治験審査委員会も、その審査の質が確保されていないというようなことですとか、判断にばらつきがあるというような指摘もこれまでにさまざまなされているところでございます。そこで、臨床研究を被験者の人権を保護しながら迅速に進めていくための制度のあり方として、次は大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回の六千人を対象とした臨床研究。また、成人での安全性の確立というのも十分とは言えない中で、小児を対象として開始されようとしている治験。

 これらの倫理審査については、北里、阪大の申請に際しての審査報告書に示されるような科学的データも十分に吟味した上で、感染症や一般医療の専門家、そしてまた倫理や法律の立場の専門家、また、子供やお年寄り、一般市民の立場を代表するような人たちも含めた質の高い倫理審査が必要なのではないかというふうに思うんです。その高い倫理性のもとで、対象となる人の人権を保護して迅速に研究を進めていくべきと考えていますが、これについてどのような御意見を持っておられるのか。

 さらに、もう一問つけ加えさせていただきまして、今後、パンデミックに近い状況、つまり、ヒト・ヒト感染が少数ずつですけれども見られてきたという場合におきまして、すわ、プレではなくパンデミックワクチンをつくっていかなくちゃいけない、そういう意味での研究もしていかなくちゃいけないというような状況の中で、複数の施設で共同で臨床研究を迅速に行う必要性も出てくるだろうと思われます。

 質の高い倫理審査委員会、しかも一カ所の倫理審査委員会で質の高い判断をして、複数の施設による共同の臨床研究を迅速に進めていく必要性があるのではないかというふうに私は考えているのですけれども、これについても大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 これは、片一方で迅速性という要請があって、しかし片一方で、今委員がおっしゃったような質の高さがこの倫理審査について求められているわけでありまして、御引用なさった臨床研究に関する倫理指針、これの中には、「学際的かつ多元的な視点から、様々な立場からの委員によって、公正かつ中立的な審査を行えるよう、適切に構成され、かつ、運営されなければならない。」ということですから、このことがきちんと確保されればそれは十分できると思いますから、人選に当たって、こういうことをしっかりと確保するということが必要だと思います。

 それから二番目の御質問ですけれども、共同で審査するようなこと、これも十分可能だというふうに考えております。迅速性を求める余り、倫理審査において手抜きがあってはいけないし、中立公正性は確保しないといけないと思いますので、今後、こういうことについてきちんと検討して調整していきたいと思っております。

郡委員 この臨床研究の倫理指針がなかなか遵守されていないという報道もあるわけでして、やはりその辺のところをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。今回のような、国家危機管理にも対応できるような法整備というのでしょうか、そういうものが重要なんじゃないだろうかと思っておりまして、私もこの問題に取り組ませていただいております。この問題についてはきのうの参考人質疑の中でも指摘されたことですので、さらに議論を進めてまいりたいと考えております。

 さらに、臨床研究の後には、一千万人規模に投与を広げていくという計画でございます。この場合、新たに発生する費用、その財源などについては検討されているのでしょうか。費用の見積もり、財源の目安などが立っているのであればお示しをいただきたいと思います。

 それから、これは任意接種になる場合ですが、公費で無料で接種を受けられるのかどうか、その点についてもお考えをお尋ねしたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 来年度の予算の話でありますけれども、一千万人規模での接種、これはあくまでも任意で接種していただくというようなことを考えております。そのときの費用負担のあり方でありますけれども、もちろん、受けられる方から費用を取るというようなことは考えておりません。

 ただ、接種に要する経費ですとか、そういうものについては、どの程度かかるのかこれから試算をして、必要な額については予算要求をしていくことになるだろうというように考えております。

郡委員 概算要求を出さなくちゃいけない時期も近づいているわけで、北里と阪大のワクチンの開発の費用を見させていただきましたけれども、これが確かだということではないんでしょうけれども、一人当たりに換算いたしますと九十三万円、百万円弱だと思います。それから、さらにさまざまな、注射器ですとか移動の経費ですとか、そういったことも含めますと、貯蔵する冷蔵施設の設備ですとか、これなども考えますと、今、何もないということでびっくりいたしましたけれども、しっかりとした対策をやっていくんだというふうに掲げられているわけですから、それがしっかりとできるような、予算要求もできるような準備というのをやはり進めるべきだろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。

西山政府参考人 御指摘の点について、詳細について早急に勉強して、検討したいと思っています。

郡委員 では、次の質問で、新型インフルエンザに罹患した患者が出てきたといった場合の現場の医療体制、指揮命令系統についてお尋ねをしたいと思うんです。

 実は、机上訓練に参加をした方からの感想を伺いましたら、指揮命令系統がはっきりしないで訓練の体をなさなかったというような、そういう感想も私は聞かせていただきました。

 新型インフルエンザフェーズ4以降対策ガイドラインには、医療体制や感染対策などが示されているわけですけれども、個々の医療機関あるいはそれぞれある保健所などにおきまして、指揮命令系統や役割分担というのが平時から明確にされておくべきであろうと思うんです。こういうこともガイドラインにしっかりと書き込んでおくべきではないでしょうか。

 都道府県、各自治体がまとめる行動計画などを見ましても、指揮命令系統までしっかりと書き込んでいるところというのは少のうございます。実際に対応が必要な状況になったときに機能しないという懸念もあるわけで、この辺についてはどのように考えておられるのか、どう対策をとられるのかお聞きしたいと思います。

西山政府参考人 その前に、先ほどの答弁で、一千万人の予算の話でありますけれども、四月十六日に専門家会議からの提言を受けました。委員の方で、何もないのかということでありましたけれども、その十六日を受けて、私ども早急に検討してまいりますので、御了解いただきたいと思います。

 今のお話でありますけれども、おっしゃるように、平素から指揮命令系統、役割分担は必要であります。このために、地方公共団体に集まっていただきまして、ワークショップを三月に開催しました。

 ブロック別にワークショップを開催しまして、県のどういう行動計画がつくられているのか、あるいは各県ごとにどう違うのか、それから、各県における保健所と、検疫所もある県がございますから検疫所の役割、それから知事部局等の役割、こういったものの議論を進めています。さらに、それぞれの県におきまして、これは市町村も重要でございますので、連携について議論を重ねていっていただくというようなことで今作業を進めている、こんな状況で御理解いただきたいと思います。

郡委員 いずれにいたしましても、それこそ、そのときに備えてやはり十分な制度設計をしていくべきであろうということを重ねて申し上げたいと思います。お願いをしたいと思います。

 それから、最後の質問になりますけれども、四月の八日に、ソウルで日中韓の保健担当者の会議が開かれました。その中で、日中韓で共同研究を進めていこう、そういうことの重要性も話し合われたということでございました。

 日経新聞では、日中韓が基金をつくっていくというような、担当大臣の一致した意見でまとまったというようなことも報じられているわけですけれども、何がこの場で合意をされたのか、そして今後の展望はどうなっているのか、アジアでの共同研究におきまして日本が果たす役割というのは重要になっているんだろうと思いますので、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

舛添国務大臣 昨年の四月八日に、第一回の日中韓三国の保健大臣の会合が催されまして、新型インフルエンザへの共同対応に対する覚書が署名されたところであります。それに基づいて、その後何度か会合を重ねております。

 WHOも、アジアの中心になるのは日本であるということで、日本の研究にも非常に高い期待を寄せております。

 そういうことで、ことしの後半に日中韓共同で机上訓練をやろうということで、韓国から提案がありました。来月、ソウルで第七回の事務的な会合が開かれますので、そこでそういうことについても議論をするということで、やはり、お隣の韓国で今、鳥インフルエンザが発生しているわけですから、本当に一衣帯水というか、中国もそうですね、私のふるさとの福岡なんかは東京よりも韓国の方が近いわけですから、そういう意味で、これは国際協力をきちんとやっていく、そして中心的な役割を日本が果たしていく、そういう思いで全力を挙げてまいりたいと思います。

郡委員 ぜひ、お取り組み、よろしくお願いをしたいと思います。

 今般、政府から御提案のありました感染症、検疫法の改正、これを拝見いたしますと、もちろん水際での封じ込め対策が重要であることは言うまでもありませんけれども、総合的な、きょう私が指摘させていただきましたような点についても、さまざまなところで穴があいているように思えてなりません。この後に私どもの同僚の委員からもいろいろと質問をさせていただくことになろうかと思いますけれども、不備な点、これもやはり迅速にお考えいただきたい、私どもは修正案というものも御提示できるように準備をさせていただくということになっておりますけれども、お考えをいただきたいと思います。

 特に、実際に罹患してしまった方々に対する医療体制でありますとか、きょう私がテーマとさせていただきましたワクチンの開発、抗ウイルス剤、治療薬の開発などについても、さらなる国としての推進策を進めていただきたいものだというふうなことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。三井辨雄君。

三井委員 民主党の三井辨雄でございます。

 本題の感染症に入る前に、四月からの特定健診、特定保健指導の義務化について再質問させていただきたいと思います。

 保険者に義務化された特定健診、つまりメタボ健診と言われますけれども、その制度そのものが大変理解するのが難しいということを私は四月の十一日に質問させていただきました。舛添大臣からは、制度の周知徹底に努力する、また保険者にきちんと指導するという御答弁がございました。また、水田保険局長からも御答弁がございました。それでも私は、これは、前回の議事録の御答弁を見ましてもなかなか理解できないということで、確認をさせていただきたいと思います。

 この制度では、腹回りの基準値が、男性が八十五センチ、女性が九十センチという人たちがまず選ばれる、さらに、血糖、血圧、高脂血症の値が二つ以上超えるとメタボ該当者、そしてまた、一つだと予備軍と判定されて保健師と面談する、目標を立てて生活習慣の改善に取り組むということになっております。

 しかし、前回も私は申し上げましたように、腹回りが基準値以下でも糖尿や高血圧などの生活習慣病の予備軍はいると思うんですね。そうなれば、男性で八十五センチ以下、女性で九十センチ以下の皆さんは、この特定保健指導は受けなくていいのかということと、この特定健診の対象者の見つけ方といいましょうか、その指導の内容についてもっと検証していく必要があると思いますけれども、この件について御答弁願いたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度改正でありますけれども、議員御案内のように、内臓脂肪というものに着目して、平成十七年に日本内科学会等八学会で有識者によって決めていただいた、また厚生労働省も検討したということであります。

 今御指摘の、腹囲が、例えば男性で八十五センチ未満の方についてはどうするのかということでありますけれども、受診を促すほどの重度の高血圧ではないものの、生活習慣の改善を行う必要がある者については、健康増進法に基づきます市町村事業である個別健康教育を従来どおり実施していただくというようなことで考えております。

三井委員 科学的根拠はないと言う方もたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、ここに、これは東京新聞ですか、むしろ太目の人の方が長生きする、コレステロール値が低い方の方が寿命は短いんだ、こういうデータもあるわけですね。ですから、一概に腹回りが八十五だ、女性は九十だ、私も八十五以上ありますから、当然メタボ健診の対象になりますけれども、しかし、これはなかなかやせたくてもやせられない。それと、脂肪がついていると、幾らやっても腹回りは年齢とともに余計なものがついてしまうんですね。ですから、この腹回りでとか、これは私はいかがなものかと。それできょう質問させていただいたわけです。

 それと、実際に保健指導に携わる人材をどのように確保されるのか、これはまた課題だと思うんですね。厚生労働省さんは、市町村に対して、保健師四千三百人分の財源を手当てしたと。そうしたら、現在何人ぐらいの方が確保できたのか。

 それから、保健師の体制が整わないと保健指導が十分にできないために、特定保健指導の実績が上がらないということになると思うんですね。そうしますと逆に、例えばコレステロール値を下げる薬の投薬量が、一説によりますと、日本で約三千億ぐらい使われている。そうなると、むしろ医療費が膨らむんじゃないかという心配もあるんですけれども、ここはいかがでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり内臓脂肪に着目し始めたのはここ数年でして、したがって、腹囲というものが一つのメルクマールというようなことで、私も、学生時代にはそうならなかったのでありますけれども、高血圧だとか高脂血症の値だとか、そういうことでありました。ただ、世界的に見て、やはり外形的にわかりやすい基準としては、実は私もメタボですけれども、腹囲でやるというようなことで進めていきたい。これは私ども、科学的に見ても、内科学会の味方をするわけではありませんけれども、一定の効果が出てくるのではないかと期待しています。

 保健師の数でございますけれども、四千三百人の財源を手当てしたということで、これは老人保健事業からの振りかえとしての約二千九百人に、新たに措置された地方交付税の措置で一千四百人ということでございます。

 お尋ねの、どのくらいいるのか、足りるのかということでありますけれども、平成二十年度におきます保健師の新規採用者数についてはこれからでございます。市町村において雇用していただいて、最終的には、私どもの推計でございますけれども、栄養士さんと合わせまして、それから今回、保健指導をアウトソーシングするというようなことで民活をしますので、その数を合わせまして、恐らく一万二千六百三十九名程度になるだろうというふうに予測しております。

三井委員 健康局長もメタボだというので安心しましたけれども、ぜひお立場上、少なくとも腹回りは八十五センチ以下にしていただきたいと思います。

 そこで、なぜ私はしつこくやるかといいますと、今申し上げたことと同時に、罰則があるんですね。前回質問させていただいたときにこの御答弁はいただかなかったのでございますが、保健指導の実施率、それからメタボ該当者、予備軍の減少率、これを保険者ごとに目標を立てるということを伺いました。この目標が達成できなかった場合に、健保組合には、後期高齢者医療制度へ出す支援金を最大一〇%ふやす、そういう罰則を五年後から実施するということを伺っておりますが、こういうペナルティーが本当に必要なのか、一体その罰則は、どういう基準を設けて、どういう中身になるのか、御答弁願いたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

水田政府参考人 長寿医療制度への支援金の加減算についてのお尋ねでございます。

 私どもの考え方をもう一度整理して御説明させていただきますと、まず、このメタボリックシンドロームの該当者の方々は、放置しますと、糖尿病を経て脳卒中あるいは腎不全を発症するリスクが非常に高いわけであります。ただ、その間に、運動や栄養面での生活習慣の改善があれば予防が可能であり、この点に着目して、現役世代の保険者に健診、保健指導の実施を義務づけたものでございます。

 このような健診等の結果、取り組みの結果がよければ、結果として、健康な高齢者、すなわち医療需要の小さい方を長寿医療制度に送り出すことになるわけでございますが、今回の仕組みは、ありていに言いますと、こうした費用のかからない方を送り出した保険者には軽い負担を求める、そうでない保険者には相対的に重い負担を求める、このように整理したわけでございます。

 ただ、具体的な運用のあり方についてのお尋ねでございましたけれども、この支援金の加減算の実施は平成二十五年度からでございまして、それまでの間、弊害がないか等を確認しながら、関係者とよく相談して決めていきたい、このように思っております。

三井委員 水田局長、この機会にぜひこの罰則というのを私はやめていただきたい。前回も質問させていただきましたけれども、交通違反の違反とは違うわけですから、この規定をぜひ見直していただきたいということを申し上げたいと思います。

 この制度は、確かに苦肉の策といいますか、経済財政諮問会議からのかなり強い圧力がかかったんだと思いますけれども、しかし、こうやって見ますと、これは、国民の健康を考えてというよりも、厚生労働省の都合でできたようなメタボ健診だと思っております。

 本当に中身のある、本当に健康を考えるような中身にするためには、今申し上げた罰則というのはぜひ取りやめるべきだということを私から申し上げたいと思います。

 いよいよ本題の方に入らせていただきますが、感染症であります。

 備えあれば憂いなしという古いことわざがございますけれども、午前中の審議状況、御答弁を聞いていまして、まさにこれは、本当に備えがあるのかな、危機意識を持っておられるのかなと私は率直に感じました。それで、これは、国民の立場から申し上げても、むしろ憂いの方が強いんじゃないかという気がいたします。

 そこで、質問させていただきますけれども、この新型感染症が発生した場合に、その拡大を水際でいかに抑えるか、極めて重要な課題であると思います。改正案でも、都道府県を中心として、検疫所長との連携、あるいは指定医療機関との連携、厚生労働大臣への報告をベースにした国との連携について明記されておりますけれども、実際に実効性のある取り組みとなるように検証が必要だと思います。

 特に、感染者の発表、検査等については、ここは大事なんですが、個人のプライバシー保護に対しても十分配慮する必要があると思います。

 そこで、公的機関がどのように機能するかについて今後どのように検証されていくのか、お尋ねしたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、各機関の連携と、それから体制整備というようなことが非常に重要でございます。

 現在、新型インフルエンザが発生した場合には、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官及び厚生労働大臣を副本部長、そのほかのすべての国務大臣を本部員とした新型インフルエンザ対策本部が即座に設置されるというようなことでございます。関係省庁間の迅速な連絡体制が築かれることとなってございます。

 それから、対策本部を軸に、検疫所、都道府県、それから国立感染症研究所等の関連機関が円滑な連携を図る。ストーリーとしてはこういうことでございます。

 ただ、これが、委員御指摘のように、具体的にどう検証するんだというようなことについて、私ども、訓練をやる必要があるだろうということで、十八年九月に関係省庁による机上訓練を行いました。それから、十九年の二月、昨年の二月ですけれども、関係省庁と徳島県による総合訓練を行いました。それから、十九年十一月に成田空港検疫所及び千葉県による総合訓練を行っています。

 こういった訓練を通じまして、関係省庁職員の意識の向上、あるいはこのシステムの問題点、課題について再認識をしたところでございます。これらについて再度検証するために、引き続き訓練を実施していきたいというふうに考えております。

三井委員 非常時になった場合に、もしパンデミックが起こった場合に、やはり日ごろから訓練していなければ、私は、まさに即対応できるとは思えないんですね。ですから、午前中の御答弁でもありましたように、市町村の実態等を調べながらこれから取り組んでいくということでございますけれども、これはもっと積極的に、スピーディーにやっていただきたい、こういうぐあいに思います。

 それと、午前中も、実際の封じ込め対策の質問がございましたが、住民だとかあるいは学校だとか、あるいは出社することもできなくなる場合に、自治体やあるいは治療を行う医療機関だけでなくて、民間の企業等に対しても、在宅勤務ができるような業務体制の整備だとかあるいは公的な役割としての物資の調達ですとか、社会機能の低下を最小限にするために積極的な協力を求めていく必要があると思うんです。また、移動制限の中で、地域の民間企業に何らかの役割を担っていただく、企業側の準備体制を整える必要があると思うわけでございますけれども、こうした連携体制をどのようにつくっていかれるのか、お尋ねいたしたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおりでございます。私どもとしましては、関係省庁が所管する事業者に対して事業者ごとの計画の策定を要請しているというような段階でございます。

 特に、社会機能の維持にかかわる企業において、現在、電力・ガス会社などの一部の企業におきまして、新型インフルエンザのための計画が策定されているところであります。

 しかしながら、企業の認識はまだまだ高くございません。したがいまして、今後とも、関係省庁間あるいは関係団体を通じまして、政府の行動計画あるいはガイドラインの周知の徹底を図りたいというふうに考えております。

三井委員 先ほど申し上げましたように、やはり企業等にもまだまだ周知徹底されていないというか、これはやはり、厚生労働省の責任として、民間企業にも協力していただくような訓練をすることも必要だ、こういうぐあいに思います。

 次に、パンデミックが発生した場合に、患者の治療は本当に迅速に行わなければならないと思います。

 そこで、抗インフルエンザ薬ですとかあるいはパンデミックワクチンの十分な生産体制を確保することが極めて重要だということは、午前中の質問でもございました。しかし、パンデミックワクチンの生産は感染者が発生してからになることを考えると、本来、より重要なのは、そもそもそのような大流行を国内で発生させない、むしろそこで抑制する、抑えてしまう、そのための手段が予防のためのワクチンでありますプレパンデミックワクチンの接種であると思うわけでございます。

 そこで、こうした治療薬の生産、備蓄については、国の計画に基づいて各自治体ごとに計画をつくっていると先ほどお聞きしましたけれども、備蓄計画がどのように進んでいるのか、御説明ください。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

西山政府参考人 まず、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄でございますけれども、タミフルについては、政府備蓄が治療用として一千五十万人分、予防投薬用として三百万人分、それから、都道府県備蓄としまして治療用として一千五十万人分、流通分として四百万人分、合計二千八百万人分ございます。

 それから、タミフル耐性のためのリレンザでございますけれども、これは政府備蓄のみで百三十五万人ということでございます。

 それから、ワクチンについては、先ほど来申し上げていますように、平成十八年度に原液で約一千万人分、それから平成十九年度に原液で約一千万人分、合計二千万人分備蓄している、このような状況でございます。

三井委員 アメリカあたりは、これは私も資料をちょうだいしましたが、本当に欧米では、人数分を製造メーカーときちっと契約して確保しているというデータもいただいております。日本の場合も、やはりしっかりと、国内で生産する製造工程の中で、先ほども御答弁ありますように、時間がかかるわけですね。ですから、それまでの免疫力をつけるだとかそうなったときに半年かかる。さっき高橋局長の御答弁にありましたように、例えば、これを承認いただくまでには二カ月間、あわせて免疫力をつけるのにはやはり私は半年かかると思うんですね。だから、その準備というのをきちっとすべきだと思います。

 それと、以前は、この新型インフルエンザの死亡者数というのは最大で六十四万人だと言われておりましたね。ところが、最近のアメリカ政府のメディアに行った説明会では、感染率を二〇から四〇%、そして致死率を二〇%としますと、約五百万人から一千万人という大変な大惨事になるわけですけれども、このようなことをとらえられているかどうか、私は質問にしておりませんが、もし御答弁できるのならお願いしたいと思います。

西山政府参考人 致死率の推計は、私ども、スペイン風邪、アジア風邪等々のときの死亡率、これで〇・五%から二%という数字を用いています。

 米国では二〇%であります。二〇%という数字になりますと、これは米国民三億人おられますからそういう推計なのかなと、私どもちょっと首をかしげるのでありますけれども、アメリカ政府の言い方からすると、これは机上訓練のときの数字だということであります。

 したがって、それをもとにして米国でもワクチンを備蓄している。米国においては、二千万人程度のワクチンの備蓄ですから、我が国と同じぐらいであります。人口は三倍でありますけれども、我が国と同じぐらいということであります。

 したがって、致死率の考え方はさまざまなことがございますけれども、私ども、たまたまといいますか、今申し上げたような過去の例を引いて死亡率を推計している、こんな状況で御理解を賜りたいと思います。

三井委員 今、西山局長は、米国では二千四百万人とおっしゃっていましたね。

 これは、国立感染症研究所の田代さんのインタビュー、これを見ますと、米国では、対外的には公表していませんが、既に全国民分のプレパンデミックワクチンの備蓄が終わったという状況報告があるという話ですね。

 ですから、今その御認識でいらっしゃるのであれば、やはりこれはちょっと違うんじゃないかなと思います。ここにも、海外の状況という中で、二〇〇七年にはペンシルベニア州で一億接種分のワクチンの製造施設を建設完了したとあるんですよ。ですから、これはもう一度御答弁してください。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生あるいは田代先生の言われていることは、アジュバントという方式を用いて、ある免疫増強剤を加えますとその力価が十倍、二十倍になるというアジュバントという方式を用いてやれば、現在の米国でも、私どもの考え方でいう二千万人分に対して三億人分ぐらいの効果が出るというふうな表現であります。

 したがって、それは私どもも承知していまして、そのアジュバントという方式が本当に効果があるのかどうか、これについては米国も今検証しているというふうに聞いております。

三井委員 これはやはりアジュバントは導入するべきというか、今後進めていくべきだと思うんですね。ですから、今検証されているということでございますけれども、ぜひ強く推進していただきたいなと思います。

西山政府参考人 おっしゃることを踏まえまして、国立感染症研究所を中心に、ぜひ研究をしていただくように努力したいと思います。

三井委員 時間がなくなりましたので急いで行きますが、このプレパンデミックワクチンが特に人体に対して重篤な副作用があると、このワクチンの有効性とか安全性は、やはり先ほどからありますように、徹底した検証をして、全国民を対象とできるような生産、備蓄体制を整えるべきだと思います。

 さらに、有事には、より迅速な対応を図るために、国内未承認薬の特例承認や、ワクチンの製造、販売の早期承認、ワクチンの集団接種の組織的な対応等についても、一定のルールのもとに柔軟な取り組みが行えるように体制整備を進めておく必要があると考えますけれども、いかがでございますか。

西山政府参考人 御指摘のとおりでございまして、私ども、四月十六日に開催されました専門家会議の御意見を踏まえまして、今年度から六千人を対象とした臨床研究を実施しまして、安全性、有効性についての検証を行い、その後については、一千万人に対する接種について検討してまいりたいというふうに考えております。

三井委員 今、国内で三カ所でこれを製造されているわけでございますね、ワクチンについては。そこで、今まで欧米に頼っていたワクチンが多いわけでございますけれども、しかし、国内の、一社と聞いているわけですけれども、一社でこれをすべて賄うというのは大変だと思いますので、これはやはり政府がしっかりとここと契約をして、そしてここにもっともっと浮力をつけさせるというんでしょうか、実力をつけさせるような、国産製のワクチンをつくるべきだと思います。これは御答弁は結構でございます。

 そこで、感染症の発生時でございますけれども、パンデミックが発生した場合、その規模によっては、感染者を隔離し治療する施設が医療機関だけでは足りなくなるほど一気に感染が拡大する危険性もあります。十分な情報伝達、関係機関の連携を図らなければ、深刻なパニックに陥ることとなるわけでございますけれども、大正七年に世界で約四千万人が亡くなったというスペイン風邪の大流行のときには、学校や工場などが隔離病棟になったとも聞いております。

 すべての国民が正しい知識に基づき冷静な行動がとれるよう、日ごろから情報提供や関係機関などのネットワーク化が求められると思いますけれども、新型インフルエンザ対策行動計画やガイドラインが絵にかいたもちにならないように、国、地方自治体、企業、医療機関、すべての段階において具体的な連携のあり方を徹底していく必要があると思います。総合的にどのように取り組まれるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

 と同時に、さらに具体的に申し上げますと、有事の際に、備蓄されたワクチンを感染者にどう配付するのかがやはり問題になると思いますし、その配付体制に当たっては、自治体、保健所だけではとても十分な体制を担えるものではないと思います。そこで、薬剤師と自治体、保健所が連携して迅速な対応を図る、薬の専門家としての薬剤師の活用についてどのようにお考えか、あわせてお尋ねしたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 新型インフルエンザの対策といたしまして、政府の具体的な対応方針の検討やマニュアルの整備、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄、ワクチンの開発等、総合的に今準備を進めているというようなことで答弁させていただきました。

 また、新型インフルエンザの発生を想定いたしまして、新型インフルエンザ対応総合訓練を実施するというようなことで、絵にかいたもちにならないように、相互の連携を図っていくというようなことでございます。さらにその訓練を進めてまいりたいと思っています。

 それから、最後の方のお尋ねですけれども、薬剤師さんの活躍も、ワクチンの備蓄のときに、保険薬局、医療機関に備蓄されていますので、そういう意味ではさらなる御活躍をお願いしたいというようなことで、日本薬剤師会とも協議をしつつございます。

 以上のようなことで、総合的に対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

三井委員 最後に、今度は接種の順位の問題だと思うんですが、アメリカの場合の階層は一階級、二階級、三階級、サブ階層でA、Bという、この資料をいただいているんですけれども、しかし、日本の場合はどうなっているか。

 アメリカは、例えば一階層のサブ階層のAでは、一、ワクチンや抗ウイルス薬の製造業者及び製造に欠かせない者や製造をサポートする重要な者。これは四万人以下。こういうぐあいに分類されているわけです。また二番目に、医療従事者や公衆衛生の従事者で患者に接している者、患者に接触するケアの補助者及び予防接種担当者。こういうぐあいになっているわけです。

 日本の場合を見てみますと、一、二、三、四、五という分類の中で、医療従事者、社会機能維持者等ということで、これはたくさん書かれているわけですけれども、この人数というのは掌握しているんでしょうか。これは御答弁いただくのは結構ですけれども、もっときちっと人数を確認するとかしなければ、アメリカのはこういうぐあいにきちっとなっていますよ。やはりこういうことをするべきだと思います。

 いずれにしましても、パンデミックが日本に来ないことを祈るわけでございますけれども、冒頭申し上げましたように、備えあれば憂いなしということで、しっかり厚生労働省には取り組んでいただきたいということを申し上げまして、最後に大臣から御答弁いただければと思います。

舛添国務大臣 この問題は、国家の安全保障、国家の危機管理として、各省庁、自治体、民間企業、国民の皆さんと連携をとりながらきちんとやっていきたいと思います。

 そして、法案が可決しました暁には、一度きちんとシミュレーションを政府全体でやってみたいと思っています。

三井委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

茂木委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 私も、引き続きまして、感染症予防法そして検疫法の一部改正案、これについての質疑を進めさせていただきます。

 質疑に入る前に一問というふうに質問すると、茂木委員長からの御指示と違う形になってしまいますので私自身は質問はいたしません。案件に関することのみという御指示があるというふうに私は思っておりますので質問はいたしませんが、やはり後期高齢者医療制度、これについて一言だけ申し上げさせていただきますと、残念ながら、今般の厚生労働省の取り組みで、周知徹底を図ってきているというふうにおっしゃってはおられましたけれども、しかしながら、いわば一部混乱をしているところからすると、私は、厚生労働省としての対応はこの間大変まずかったのではないかという指摘はさせていただきます。

 特に、午前中の岡本委員の御指摘にもあったように、重度障害者の方々に対する周知徹底が必ずしも図られていたとは言えない。大変わかりにくいパンフレットに基づいて、それを配ったからもうそれでいいんだというような状況では、本人が障害認定の撤回をしないとこの制度に入れられて、そして従前県単で行っていた医療費助成制度が受けられないというような状況になってしまっている。そういったところはやはり考え直していただきたいというか、反省をしていただきたいというふうに私は思っております。

 感染症予防法についての質問でございます。

 今現在、いわゆるヒト・ヒト感染を疑う事例として一体何件ぐらい、我が国ではといいますか、その報告をWHOも含めて確認をされていらっしゃるのか、まずその数字から教えていただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在までに東南アジアを中心に、主に感染した鳥と濃厚に接触した人が鳥インフルエンザに感染した事例が報告されております。

 一方、これまでに、ベトナム、タイ、インドネシア、パキスタン、中国においてでありますけれども、鳥インフルエンザに感染した人から別の人へウイルスが感染したことが否定できない事例がございます。

 これらの感染につきましては、鳥との接触歴が確認されなかったなど、感染源の調査において原因が特定されておりません。したがって、考え得る可能性の一つとして人から人への感染が否定できないものとされていると承知しております。

 しかしながら、いずれの事例も、感染者が家族内に限定していること、また、ウイルスの遺伝子解析の結果、分離されたウイルスは人から人に容易に伝染する性質を持つものではなかったなどのことから、新型インフルエンザではないと判断して差し支えないというふうに考えております。

園田(康)委員 現在のところは新型インフルエンザとは確認をしなくてもいいのではないかという御見解でありました。

 したがって、私どもも、言われておりますこの新型インフルエンザがいつ発生をするのか、そういったところをやはりきちっと注視をしておかなければいけない、そして、起きた際にはそれに対する対応策を速やかに行っていかなければいけない、そういう意味で今般の法改正が行われたというふうに私も理解をさせていただきました。

 ところで、新型インフルエンザの潜伏期間というものを一体どのように今推計されていらっしゃいますでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 新型インフルエンザの潜伏期間でございますけれども、発生しておらないために、トリ・ヒト感染を起こした鳥インフルエンザのデータから予測するしかないだろうというふうに考えております。

 専門家がまとめたフェーズ3のガイドラインでありますけれども、トリ・ヒト感染を起こした鳥インフルエンザの潜伏期間は二日から八日とされております。

園田(康)委員 そうすると、何らかの形で発症した形で我が国に入ってきたという場合には、先ほど来、検疫所の体制の中で、サーモグラフィーであるとかあるいはPCRのようなものを使ってそれをいわばチェックすることができるという形でありますけれども、潜伏期間の中で入ってくるという可能性も否定はできないという形で理解をしていいのかなというふうに思っております。

 そこで、幾つか質問を進めさせていただきますが、まず、今般の改正案の六条の七項であったと思いますが、再興型のインフルエンザ、これも対象としていかなければいけないというふうに書かれているわけであります。この再興型のインフルエンザ、ここでいくならば、かつて世界規模で流行したインフルエンザであってというような形で書いているわけでありますが、先ほど来出ているスペイン風邪であるとかアジア風邪あるいは香港風邪というようなものが挙げられるのかなというふうに思っております。

 具体的にこの再興型インフルエンザというものはどのようなものを想定されておられるのかということと、それから、挙げられるその再興型のインフルエンザが現在どういう状況になっているのか、そして再興型が発生する可能性というものがどのぐらいあるのかという、その三点、あわせてお答えをいただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 再興型のインフルエンザでありますけれども、改正感染症法に記載をされている定義のとおりであります。

 私ども想定していますのは、一九五七年から五八年に流行したアジア・インフルエンザ、これはH2N2型でありますけれども、その流行の終息後、流行が確認されていないことから、五十代以下の方には免疫がなくて、再興型のインフルエンザとなり得ると考えております。

 二番目のお尋ねでありますけれども、このインフルエンザ、血清亜型が先ほど申し上げたH2N2でありますけれども、一部の大学あるいは研究機関で保管しているというふうに承知しております。保管をしているということであります。(園田(康)委員「発生する可能性は」と呼ぶ)

 これは、H2N2については、今のところ、近未来で発生するということを言われる専門家は実はおりません。

園田(康)委員 可能性は少ないというか、あるというふうには認識をしていないということでございましたけれども、そうしますと、先ほど、一部の研究所でいわば保管をされているというふうにおっしゃっておられたのですが、それは確認をされて、もうちゃんと把握をされていらっしゃるというふうに認識をしていいんでしょうか。

 といいますのは、この再興型インフルエンザのウイルスがどのような形で我が国の国内で存在しているのかということをきちっと厚生労働省で把握をされているというふうに私たちは認識をしていいのかどうか、その点、もう一度お答えをいただきたいと思います。

西山政府参考人 この病原体の保管につきましては、一昨年の臨時国会で感染症法を改正いたしました。一種から四種に分けて、それぞれの型において、保管場所、保管方法、保管するときの温度等についてきちっと規定されています。

 私ども、現在、それについて、どういう医療機関あるいはどういう研究機関でどういう病原体が保管されているのかというようなことを調査しておりまして、どこにどういうものがあるかというのは大体把握をしております。ただ、その名前を公表するとかそういうことについては、あのときのはバイオテロに対する防御に関する法律ですから、その公表についてはいたしておりません。

園田(康)委員 一昨年の法改正のときも私も質疑に立たせていただいた記憶があるんですが、これでいきますと、恐らく感染症予防法の五十六条の三以降の規定に基づいて、今局長がおっしゃった病原体の適正管理が行われているというふうに理解をさせていただいています。

 ところが、ちょっと私がここで気になったのは、今把握をされておられるというふうにおっしゃったんですが、法律上の規定によると、一種病原体、二種病原体、三種病原体、四種病原体、この四つの類型がまずありますね。そして、この四つの類型のうち一種は所持等の禁止がうたわれています。二種は所持等の許可が言われています。三種については所持等の届け出がきちっとした形で国に届け出、あるいは都道府県を通じてでしょうか、いわば国がしっかりと見ることができる。

 ところが、四種については、この禁止であるとか許可であるとか届け出の規定外になっていますよね。そうすると、四種の病原体は、ただ単に、基準を遵守してくださいね、守ってくださいねという形で法律上はうたわれているだけで、これを把握しなければならないというふうにはなっていませんね。

 そして、この四種病原体の中に、一覧を見せていただきますと、インフルエンザウイルスの、先ほど局長がおっしゃったH2N2、あるいは今般のH5のN1、H7のN7という形で、このインフルエンザウイルスは四種病原体の中に入っているというふうに私は理解をしておりますが、これで間違いないでしょうか。

西山政府参考人 先生の御指摘で間違いございません。したがって、私の方の言い方がちょっと悪かったんですけれども、鳥インフルエンザH5N1については、感染症法上においては四種病原体に位置づけるということでありますから、その場合には、先生御指摘のとおり所持の届け出を不要としている、そういう法律になっております。

園田(康)委員 そうしますと、大臣、私は急いでとは申し上げませんけれども、先ほど局長も、再興型のインフルエンザがここで発生する危険性を指摘する研究者はいないというふうにおっしゃいました。確かにそうであろうというふうには思いますけれども、ただ、ウイルスが存在していないとは言い切れないわけですね。実際にあるんですよね。一部の研究所で保管されている。

 ところが、それが何らかの形でどこかから出ていく可能性もある。しかも、それが保管をされている研究所は、規制の対象外と言ったら語弊がありますけれども、一応規制の中には入っているんですけれども、届け出の義務までは発生をしていない。つまり、国内の研究所で持っているか持っていないかすべて把握をできていない。私は、逆に言うならば、これは把握をしておく必要があるというふうに思っております。

 したがって、今回の法改正の中には含まれておりませんけれども、運用面でこれは、先ほど、チェックをかけるといいますか、調査をするというふうにおっしゃっていただいておりますけれども、あらかじめこれも法律事項の中に置いて、きちっと、いわば最低でも届け出の義務を課すぐらいの規制をこのインフルエンザウイルスに関してはやっておく必要があるのではないかな、見直す必要があるのではないかなというふうに思っておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 インフルエンザなんかの病原体を一種や二種じゃなくて四種としているわけで、何種に指定してどれだけ規制をかけるかということ、これはいろいろな要素を考えないといけません。

 もちろん管理に手抜きがあってはいけませんけれども、例えば、もしはやった場合は、早急にその株を用いてワクチンをつくらないといけないというようなときに、非常に重い一種なんかだと、それは物々しい厳戒態勢で移動させないといけないですから、輸送にも時間がかかるというようなことがあります。それから、やはり、私も国立感染症研究所のP3という非常にセキュリティーレベルの高いラボの中に入りましたけれども、余りに厳しい規制だと、研究者の立場から見ると自由な研究ができなくなる。そういうようなマイナスの面もありますから、そういうバランスを考えた上で、危機管理全体の中でこれは位置づけるということで、四種にしたから甘くていいということではないと思います。

 ですから、万全の体制はとりますけれども、片一方でワクチンの製造とか研究者のさらに研究を助けるというような意味での過度な規制をしないということもまた一つのプラスになるわけで、そういうバランスを考えてやっているということであります。

園田(康)委員 確かに、過度の規制になるとさまざまな研究分野に支障を来すというのは、私も一方ではわかります。であるならば、別に一種にしなければいいわけでありまして、三種の届け出、これだけでも一歩前進になっていくのではないか。

 国民の安心をつかさどるということからすれば、この四種のままでいいのかどうか、もう一度少し御検討はいただきたい。とりわけ、今般新型インフルエンザあるいは再興型も今回の法改正の対象になっているということからすれば、これが一部広がればどれだけの被害が出るかということは念頭に置いておかなければいけないのではないかというところでございます。

 次に移らせていただきます。

 新型インフルエンザが発生した場合の被害を最小限に食いとめるために、発生直後に必要な対策を迅速かつ確実に実施するための法整備が求められるという形で今般の法改正が行われているわけでありますが、まず、水際対策としての検疫体制に対して、今回私がいただいたこのガイドライン、新型インフルエンザ対策ガイドラインのフェーズ4以降の規制の部分がございます。

 このガイドラインの中にさまざまな対応策が書かれているわけでありますが、仮にフェーズ3の場合の、これはもうフェーズ4以上でありますけれども、特に私がいただいているのは、これはフェーズ4のAというものでございますけれども、フェーズ3のBあるいはAの段階においてもこの水際対策というものは、検疫体制というものは確立をしておかなければいけないというふうに思っておるわけでございますが、どのような対応がとられているでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 フェーズ3、すなわち鳥インフルエンザの患者さんが諸外国で発生している状況、現時点の状況でございます。もう先生御案内のとおり、検疫所におきまして、患者発生国からの入国者に対するサーモグラフィーを活用した体温計測、それから発熱等の症状のある方の入国者に対する質問、診察、検査等の措置を行う、こういうことで、検疫体制の強化を図っているところでございます。

園田(康)委員 そうすると、私がいただいている行動計画、去年の十月に改定したものでありますけれども、ここでいうところのフェーズ3のAの部分においても、「サーモグラフィー等」というふうに書いてあるわけでありますけれども、ここで、「等」の中にそれだけの対応策が盛り込まれているというふうに理解をしてよろしいですね。はい。ありがとうございます。

 それから検疫法の十八条の一項から三項において、感染したおそれのある者で停留されないものに関しての規定が盛り込まれております。この感染したおそれのある者で停留されないもの、それを判断する者と、それから何によって、停留をされない、感染したおそれがあるんだけれども停留はされないというふうに判断する、その手法はどのような形でされるんでしょうか。これはフェーズ4の段階ですね。

茂木委員長 西山局長、さっきうなずいた部分もきちんと答弁で答えてください、議事録に残りませんから。

西山政府参考人 先に今の問いについてお答え申し上げますけれども、感染したおそれがある者で停留されないものというようなことであります。

 感染したおそれがある者というのは、有症者に同行した家族及び友人や一定の距離内にいた者などの濃厚接触者が感染したおそれがある者。感染したおそれがありながら停留しない方というのは、それ以外の同乗者や流行地からの航空機等において、新型インフルエンザの感染を疑う有症者が乗っていなかった場合などは、感染したおそれがある者であるが停留されないものとなります。

 それから、停留の判断は、検疫官、医師等が質問票をもとに問診及び診察を行い、症例定義等を確認して行うというようなことになります。

 先ほどうなずいた部分でありますけれども、ガイドラインに載っておりますフェーズ3のサーモグラフィーについては、その「等」の中で読んでいるというような状況でございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 そうすると、一番の先端で検疫官等が判断をする。法律上は所長が最終的な判断をそこで下すという形で、責任体制はここの所長が担うというふうに理解をいたしました。ありがとうございます。

 それから、フェーズ4の場合の感染症の指定医療機関で、十六条と十五条の関係でありますけれども、十六条でまず停留を判断するわけですね。指定医療機関に対してその停留を命じるというか、そこへ委託をする。停留をして、そこで検査をして、その疑いを持たれた方が今度は有症者になった、インフルエンザウイルスが有症という形で判明をした場合に、恐らく十五条の規定に従って隔離をされるというふうに私は読み取っているんですが、この場合、十六条で停留をしておいて、十五条で隔離に移行するとき、これはだれがどういう形で、いわば届け出の義務を負う。

 すなわち、予防法の十二条では、医師がそれを確認したときには、保健所を通じて都道府県知事に対して報告の義務を十二条で負っていますよね。ところが、検疫法でいきますと、十六条で読むのか十五条で読むのか、ちょっとはっきりしないものですから、この点の根拠、法的な部分の根拠はどちらにあるのか、あるいはどのように考えていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 十六条と十五条の違いでありますけれども、十五条が隔離、十六条が停留という区分けでございます。

 まず、改正検疫法によりまして、医療機関以外の宿泊施設等に停留を行っていた者が発症する、医療機関において発症した方はその医療機関で治療を受ければいいわけですけれども、医療機関以外の宿泊施設に停留を行った者が発症した場合、これは医師の診断でございますけれども、検査を実施して、医療機関へ搬送を行う、さらにPCR等の検査の結果、新型インフルエンザと確定した場合には、検疫法十五条に基づく隔離というふうなことを実施する、こういうような法律的な要件になってございます。

園田(康)委員 そこで局長、私がお伺いしたのは、その届け出の根拠は、すなわち保健所を通じて都道府県知事に報告をするんですよね、停留から隔離にいく瞬間。そうですね。それは十五条の中で読み込むのか十六条の中で読み込むのかということをお伺いしているのです。どっちを根拠に報告をするんですか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今のは検疫法上の、今の法律上の規定でございます。

 一方、感染症法上は、医師は新型インフルエンザ及びその疑いのある者を診察したときには、保健所を通じて都道府県知事に知らせろということですから、法律がそこでスイッチしてしまうということですから、検疫法を読んでも、その届け出をどうするという話は出てこないのであります。

 したがって、今回の法律改正で、検疫法と感染症法のリンクを行うということでの法律改正がそこにあるということで御理解賜りたいと思います。

園田(康)委員 わかりました。したがって、私の認識でもよかったんだなと思いました。

 つまり、僕は、感染予防法の十二条に基づいて医師が届け出をするのかなというふうに思っていたんですけれども、検疫法の十五条と十六条にも同じような規定があるんだけれども、その届け出の義務がこの中で規定上課せられていない、発覚した場合の。発覚しない場合の届け出、あるいは解除はこの十五条、十六条では書いてあるんだけれども、有症者として発見して、それを届け出するという場合の、その法的根拠が明確にここから読み込めなかったので、今の局長の答弁でいくと、その瞬間、感染予防法の十二条の規定にスイッチするというふうに考え、今の答弁だとそのように受けとめさせていただきました。それならそれで納得をいたします。

 それから、最後の質問になるかもしれません。

 では、検疫で水際対策をすり抜けた場合の、今度は新型インフルエンザ患者発生時のサーベイランスでマニュアルがございますけれども、これがマニュアルとして機能するというふうに解釈をするわけでありますが、発見の初期段階において、医療機関は、新型インフルエンザの要観察例と疑う場合、保健所への情報提供というふうに書いてあります。

 保健所への情報提供というものは、今般の毒入りギョーザの事件でも、千葉の事例を見て、これは保健所の体制が二十四時間体制になっていない。すなわち、年末年始の状況の中で、本来ならば、昨年末に報告が行っていたにもかかわらず、留守で、もう休みに入っていた。それで、年が明けて一週間、検査体制がおくれてしまった、初動態勢がおくれてしまったという事例があったものですから、果たしてここで、机上でこのようには書いてはいるんですけれども、保健所への情報提供をして、そこからさらに衛生研究所であるとかそういったところにも連絡をするというような形がとられる。

 ところが、初期の段階の保健所への情報提供といった場合に、果たして、情報の受け手側としての保健所が二十四時間体制になっているのかどうか。今の体制について、どのように見ていらっしゃいますでしょうか。

西山政府参考人 患者さんの流れは、おっしゃるようなことでございます。

 保健所の二十四時間体制でございますけれども、先般の輸入食品をめぐる問題がさまざまございまして、私どもの方から、各自治体、これは百三十ございます、県と政令指定都市、保健所を有する特別区、百三十自治体にアンケートを行いまして、二十四時間体制をしいてください、あるいは、しいている自治体はどのぐらいありましょうかということでアンケートをとりましたら、百二十七自治体が二十四時間体制を行っています。残っているのは三自治体だけということでございますので、その三自治体に対してお願いをしているというような状況にございます。

園田(康)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。その三自治体のところでも起きないという可能性はないわけでありますので、逆に言えば、起きる可能性だってあるわけであります。したがって、そういう二十四時間体制をとる必要があるのではないか。

 これは、伺いましたら、平成十三年にもう既に地域健康危機管理ガイドラインというものがあって、二十四時間、三百六十五日の対応体制をとりなさい、保健所においては、いかなる場合においてもそういった情報を迅速に伝達することが可能であるようにする必要があるというふうに、もう平成十三年の段階で指針が出ているわけなんですね。

 にもかかわらず、今般のギョーザ事件のように、とれていなかったということで、今般、二十年、ことしになってから、二月の十五日に、保健所における健康危機管理体制の整備の徹底についてということで、改めて厚生労働省から、総務課長からその通知が出ているわけでありますけれども、「技術的助言である」というふうにここに書いてあるんです。助言だけでは困るわけでありまして、しっかりとした法整備も含めて、この二十四時間体制、監視体制というものをしっかりととっていただきたいというふうに思っておりますけれども、最後に大臣、そのことについての御見解はいかがでしょうか。

舛添国務大臣 中国産のギョーザのときに、今委員がおっしゃったように、この体制をさらに指示したわけであります。そういう意味で、迅速に危機管理ができるように、二十四時間体制ということを保健所に対して指導してまいりたいと思います。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 以上で終わります。

茂木委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 端的に御答弁をいただければ幸いでございます。

 まず、茂木委員長に厳重抗議を申し上げたいのでございますけれども、ことしの一月十八日にも厳重抗議の文書を提出いたしましたが、これは、私のこの委員会での発言が削除された、発言者の了解もなく、理事会の合意もなく削除された、これを撤回していただきたい、こういう厳重抗議文を出しましたが、何の行動もとられておりません。

 この削除された発言といいますのは、昨年の十月二十四日の当委員会での私の発言で、「与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、政府の。」こういうことが削除されたわけでございます。

 茂木委員長は、言論に対しては言論で反論すべきだ。これは言論の府でありますので、強くこの撤回を求めます。

 そして、この新型インフルエンザでございますけれども、本日は、国立感染症研究所の田代ウイルス第三部長にもお出ましをいただいておりますけれども、新型インフルエンザがパンデミックとなったときに、部長の御発言などでは、最悪の数字だと思うんですが、日本国で大体六百四十万人の死者が出る可能性があるんじゃないかと。

 私どもは、やはりこういう危機管理の場では最悪の数字を検討する、当然、最悪という注意書きのもと、そういう発想をしなければだめだということを年金のときも申し上げておりました。年金のときでも、最悪のシミュレーションをしないで、非常に楽観的な思考をしてこれだけ大きな問題になってしまったわけで、もう失敗は許されませんので、最悪の数字を出して議論をするということが必要だと思うんです。

 これは田代部長にお伺いしますが、六百四十万人ということで、この見積もり根拠というのはどのようなものでございますか。

田代政府参考人 今の長妻先生の御質問にお答えいたします。

 現在の鳥のH5N1型のインフルエンザウイルスが人に感染した場合の致死率は、治療したにもかかわらず六三%です。発症した人の六三%が死亡する、そういう病原性の非常に強いウイルスです。

 これがヒト型になって、新型インフルエンザとして人の間で大流行した場合ですけれども、ヒト型に変化するための遺伝子の変化と強い病原性を規定する遺伝子とは別です。独立しています。ですから、ヒト型になった場合に病原性が弱まるという可能性は、直接には関係ない可能性があります。もしそうなった場合に、最悪、現在の六三%という致死率のウイルスが出てくるということは全く否定はできませんけれども、非常に強い病原性の場合には、恐らく患者さんが寝込んでしまいますので、世の中でウイルスが広がるということはほとんどないと思います。

 ここで何かしらの遺伝子の変化が起こって、病原性がある程度低下してきたときに大きな流行に結びつくだろう、どのくらいまで下がったら大きな流行になるかというところが、大体一五%から二〇%くらいだろうというふうに考えられています。

 そうしますと、そこで、最悪の病原性がどのくらいかというその区切りを見ますと、二〇%くらいの致死率が最悪だろうと考えられます。そのときに、現在、厚労省の計画に入っています発症率、それが二五%、国民の二五%が病気になる、そういう推定にその致死率を当てはめますと、大体六百万人から六百四十万人、そういうような数字です。

 これは、昨年の一月、二月に、アメリカで報道機関を対象にしました机上訓練が行われましたけれども、そのときのシナリオでは、致死率二〇%ということで行われました。

長妻委員 最悪の数字、六百四十万人ということでございますが、第二次世界大戦で我が国は三百十万人の死者を出しましたので、その二倍になる可能性もあるということでございます。

 これは舛添大臣に端的にお答えいただきたいんですが、日本では六十四万人ということで、過小評価の数字ではないかと私は思うんです。この死亡者の推定というのを、もっと最悪の、現実味のある形に変えて、そこから戦略を練り直すということが必要だと思うんですが、この六十四万人というのを例えば六百四十万人というふうに修正するというお考えはありませんか。

舛添国務大臣 厚生労働省のこの六十四万人という数字の根拠は、第七回ヨーロッパ・インフルエンザ会議という国際的な専門家会議の勧告に基づいて、国民の二五%が罹患し、致死率が過去の新型インフルエンザと同程度であったと仮定しての数字であります。

 いずれにしましても、これは、こういう専門家の会議であるとか、今の田代部長の御意見であるとか、さまざまな意見がありますから、想定がそのまま正しいということではないと思いますから、参考人のお話しになったようなことも踏まえて、あらゆる状況を想定した上で、万全の危機管理を行っていきたいと思います。

長妻委員 そうしますと、六十四万人の死者というふうに厚生労働省は発表していますが、この数字というのは最悪の数字ではないということでございますか。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、ヨーロッパのインフルエンザ会議の数字ということでありまして、イギリス、オーストラリア、アメリカ、日本、大体同じような数ですから、何をもって最悪とするかということは、これは研究者によっても違います。(長妻委員「平均」と呼ぶ)そういう意味で、依拠したのは、新型……

茂木委員長 答弁が終わってから質問してください。

舛添国務大臣 依拠したのは、今言ったこの専門家会議の数字を使い、各国もそういう数字を使っているということであります。(長妻委員「答えていない、六十四万人が最悪かと聞いているんだよ」と呼ぶ)

茂木委員長 長妻君。長妻君、質問をしてください。(長妻委員「いや、答えていないですから、答えさせてくださいよ」と呼ぶ)もう一度質問してください。(長妻委員「何で、時間がなくなるじゃないですか」と呼ぶ)質問をしてください。

長妻委員 最悪の数字ですか。

舛添国務大臣 何をもって最悪とするか。全員が死ねば一億二千万人ですから。だから、何をもって最悪とするかだけれども、いろいろな研究者のいろいろな推定に基づいて数字を出している。

 ただ、何度も申し上げていますように、そういう推定に基づいてということではなくて、あらゆる、危機管理というのは、そういう推定を超える場合があるわけですから、そういうことを考えてやりましょうということを言っているわけであります。

長妻委員 非常にあいまいで、大臣も腹に落ちておられるのかどうか非常に疑問であります。

 そして、きょうも、午前中、午後といろいろ質疑が出たと思いますけれども、やはり抗ウイルス剤タミフル、あるいはプレパンデミックワクチン、いろいろ予防的なものはあるのでありましょうが、やはりそれは、本当にパンデミックが起きたときに効くか効かないかというのはなかなかわからない、こういうことだと思います。

 やはり最も効果が高いのは、パンデミックワクチンを全国民の皆様に早急に打つということが本丸の課題だというふうに思いますけれども、政府の答弁を聞いておりますと、全国民の皆様にパンデミックワクチンが行き渡るまでに、製造着手から大体二年弱、一年半から二年弱かかるというような見解がありますが、大変遅いと言わざるを得ません。

 大体、普通のインフルエンザでは、十二月ぐらいから流行が始まって、一、二月流行して、三月にピークアウトするというような形で、二カ月半から三カ月が流行の山ではないかというふうに思います。配付した資料の二ページ目にも、一カ月から二カ月がピークであるというような資料もございますけれども、そうすると、一年、二年というのは、もう多くの方が感染をしてお亡くなりになった後、ほぼ終局に向かったときにやっとできますと。そして、日本の人口の半分に行き渡るパンデミックワクチンはどのくらいでできるんだと聞きましたら、一年二カ月から一年半という厚生労働省の回答も返ってまいりまして、非常に遅いというふうに言わざるを得ません。

 まず、提案でありますけれども、このパンデミックワクチンを、着手から全国民分を完成するまでの期間として、米国並みに六カ月、六カ月を目標に、人、物、金の工程表をきちっとつくる、こういうことが重要ではないかというふうに思います。六カ月というのも先ほどのインフルエンザの流行のパターンからいたしますと遅いわけでありますけれども、少なくとも、長くとも六カ月ということを目標にすべての取り組みを組み立てていくということが必要だと思うんですが、舛添大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 もしあしたにでもやってくれば、これはすぐ対応できないのが今の現状であります。したがって、来年度予算に向けてどういう体制をとっていくかということを今考えているわけでありまして、今の一年とか一年半という想定は、今のインフルエンザ、国内での製造能力、それから有精卵の確保、こういう諸条件を勘案してそういう数字が出ているわけでありますけれども、これは例えば海外から購入することはできないか、こういうことも考えられるわけでありますから、この点について、委員のこの今の御提案もいただきまして、早急に検討してまいりたいと思います。

長妻委員 では、六カ月という目標を政府は立てるということでよろしいんですね。

舛添国務大臣 これはさまざまな条件が、先ほど申し上げたようなこともありますから、全く架空の想定の上で物事を組み立てることはできませんから、では海外にどれぐらいこのワクチンがあって、それは購入を許してもらえるものなのか、それぞれがナショナルセキュリティーの問題ですから、そういうものがある。それから、外のメーカーがさらに増産することができるか。

 だから、少しこれは条件整備のための時間をいただいて、その上で、大体どれぐらいでできるかということを、これは政府全体で検討したいと思います。

長妻委員 ですから、そういう官僚任せの手法であるから二年弱ということが抜けられないわけで、やはり一つの目標として、六カ月でやるとすればどういう問題があるのか、全部、全省庁から出させる。そして、人、物、金がどれだけかかるのか、ネックとなる技術開発はどういう部分があるのか、あるいは法的な課題はどういうものがあるのか、そういうものを、まず六カ月ということを決めてから出さなければ、これは二年弱で完成しても私はほとんど意味がないというふうに思いますので、これは田代部長に、その六カ月という期限を区切ってこういう発想をするということについて、御意見をいただきたいと思うんですが。

田代政府参考人 お答えいたします。

 現行の発育鶏卵を使用したワクチン製造方法ですと、最悪の場合一年半以上かかる可能性があります。というのは、これは数億個という数の有精卵を短期間に供給することが現時点では時期的に非常に難しいという状況があります。

 これを解決する一番根本的な方法は、有精卵に依存しない新しい組織培養を利用したワクチンの製造というのが一番現実的であると思います。ただし、日本では、残念ながらまだそれに必要な組織培養の開発が進んでおりません。(長妻委員「六カ月というのは」と呼ぶ)

 その組織培養を使用した場合には、新型インフルエンザが出てきてから六カ月でワクチンの供給が可能になると思います。

長妻委員 ですから、舛添大臣、まず政治家がリーダーシップを持って、アメリカはそれでやると言っているわけでありますから、そういう目標を立てて、課題を出させる、そういう手法をしなければ、いつまでたっても二年、こういうことになると我々は危惧いたします。

 この一ページ目、配付資料でございますが、これは厚生労働省につくっていただいた資料です。全国民分のパンデミックワクチンを半年間で製造するとした場合に必要な措置は何かというと、主に二つあるということでありまして、まずは「短期間でワクチン製造を可能とする製造技術開発(細胞培養等)」と書いてあります。有精卵ではない方法。

 あるいは、有精卵にしても、それを養鶏場から確保する、あるいは、今食用の無精卵の養鶏場を緊急に有精卵の養鶏場に変えるような予算措置や準備をあらかじめしていく。

 あるいは、今国内に四社、ワクチンメーカーがありますけれども、この四社と事前契約すら今しておりません。ほかの国は事前契約をきちっと、カナダやイギリスというのはあらかじめしているわけです。そういうことも怠っている。

 あるいは、舛添大臣が、今、思いつきなのかどうかわかりませんけれども、海外メーカーといろいろ協議するということでありますが、これもどんどん具体的に進めていただきたい。事前契約をしていただきたい。しかし、海外メーカーは、日本で承認されているワクチンというのはありませんので、そういうメーカーは。その場合、厚生労働省に聞きましたら、いや、承認が出ていないから海外とはできないんです、こんなばかなことを言っているわけで、承認が出ていないのであれば、交渉して承認申請を促すような、そういう働きかけもやっておられないということです。

 この六カ月という国家目標を決めて組み立てれば、課題や法的な限界等が幾らでも浮かび上がってくるので、そこをリーダーシップでやる、こういうことを言われないというのは本当に残念なことだというふうに思いますので、ぜひそれを明言していただきたいと思うんですけれども、お願いします。

舛添国務大臣 いろいろな御提案は貴重なものとしてお受けしますけれども、政治のやり方としては、現状をしっかりと把握して、我々が持っている手段は何があり、どういう研究開発をやればいいかということをまずしっかり押さえる必要がございます。したがって、私は、国立感染症研究所にみずから赴きました。P3という非常にセキュリティーの高いラボにも入らせてもらいました。今おられる田代部長のお話も聞きました。

 そういうことでありますから、そういうことをきっちり踏まえた上で計画を立てないとまさに砂上の楼閣になるわけですから、そういうことをきちんとやった上で、来年度予算編成に向けてしかるべきリーダーシップをきちんととっていく決意でございます。

長妻委員 まあ、これはちょっと本当に残念な話で、日本だけがまた政治のリーダーシップのなさで大変な被害をこのままだとこうむる懸念を私は強く持ちました。

 次に、後期高齢者医療制度でございますけれども、これは舛添大臣に端的にお伺いしたいんですが、この制度の中で、半分の方の保険料はこれまでよりも下がる、これは言えるわけでございますね。

舛添国務大臣 私は、これはもう前から申し上げているように、正確な数字はわかりません。それは一つ一つ調査してみないとわからない。それから、市町村について言っても、名古屋のようなところとか東京なんかは、今まで補助してきた一人一人にとっては、保険料は下がったんだけれども、その補助がなくなったものを入れると高くなったというようなケースがございます。そういうことを申し上げておるわけで、ただ、七割、八割という数字が出てきて……(長妻委員「半分下がるのか」と呼ぶ)

茂木委員長 勝手にやりとりはしないでください。

舛添国務大臣 はい。失礼いたしました。

 したがいまして、私は、今のところ正確な数字は持ち合わせておりません。

茂木委員長 長妻委員も、質問をするときはきちんと質問をして、答弁を聞いた上でまた質問をしてください。

長妻委員 いや、全然答えないからですよ。時間がどんどんたっちゃうじゃないですか。

 新しい後期高齢者医療制度に入ったときに半分の方がこれまでの保険料が下がるかどうか、これもわからないと。安くなるようなことを言っておいて、半分の方が下がるかどうかすら全くわかりませんというのは、これまでの説明というのは何だったのかというふうに思います。

 そして、天下り団体がありますけれども、八ページでございますが、社会保険診療報酬支払基金、この天下り団体にまた金が流れる仕組みが、ことしの四月、後期高齢者医療制度とともに発生するということでございまして、これまでは二百万人の被扶養者は保険料は不要だったけれども、これからは保険料が発生するということで、その情報収集の手数料ということで、一件百六十七円を広域連合がこの基金に払うという仕組みができて、初年度は、この十一ページでございますが、三・三億円、広域連合からお金が基金に自動的に流れる、次年度からは三千万円が流れるということでございます。

 この基金の理事長は元社会保険庁長官ということの資料をいただいておりまして、常勤の天下りの方がたくさんおられて、年収も、月額の九十四万八千円しか教えてはいただけませんでしたけれども、かなりのものになるというふうに思います。

 そういう意味では、また天下り団体を肥え太らせるような仕掛けが広域連合、基金の間にあるのかなというふうに疑ってしまうわけでございますが、大臣、一言お約束いただきたいんですが、この広域連合には、もう相手から要請されてもOBの天下りというのはしない、こういうふうに明言していただけますか。

舛添国務大臣 広域連合というのは、都道府県というか、これは要するに、後期高齢者の広域連合は地方自治法に基づく特別地方公共団体ですので、そもそも国家公務員が退職後に再就職するというのは考えられないというふうに思います。

長妻委員 ただ、今出向していますよ、沖縄の事務局長に厚労省の人が。官僚の方に聞くと、要請されれば行くこともあるかもしれませんと私には説明されましたよ。

 だから、要請があっても行かせないというのを言ってください。

舛添国務大臣 沖縄の例は、自治体との人事交流の一環としてそれが行われているということでありますから、基本的に、広域連合、特別自治体に行けるはずはないので。ただ、沖縄県と厚生労働省の間で若手の人事交流をやるのは、これは全く悪いことではありません。そうして、人事交流……(長妻委員「だから、天下りのことを言っている、OBの」と呼ぶ)天下りじゃありませんよ、これは若い職員ですから……(長妻委員「いや、天下りじゃなくて、天下りはしないと」と呼ぶ)

茂木委員長 何度も委員長が注意を申し上げておりますが、聞かれたことに大臣は答弁してください。また、質問があるのでしたら、長妻委員もきちんとその答弁が終わった段階で質問をするようにしてください。(長妻委員「これ、舛添大臣も」と呼ぶ)長妻君、指名をしてから質問をしてください。

 長妻君。

長妻委員 これ、舛添大臣も何かこう非常に、私は、沖縄の方が天下りなんて一言も言っていませんよ、出向だと言いましたよ。

 だから、天下りはもう受け入れない、天下りを出させないということを明言していただけないので、これ、ちょっと次の質問に行きますけれども……(舛添国務大臣「委員長、委員長」と呼ぶ)いや、だめですよ。また無駄ですよ、時間が。(舛添国務大臣「無駄じゃないよ。委員長」と呼ぶ)そして、この十七ページ……

茂木委員長 終わっていないので、舛添大臣、答弁をしてください。

舛添国務大臣 天下りはそもそも法的に無理です。当たり前のことです、そんなの。

長妻委員 官僚の方の説明では、要請があれば行くこともあり得ると言っていますが、これはどちらが正しいんでしょうか。

舛添国務大臣 人事交流の一環として現役が行くことは可能でありますけれども、天下りが行くことは不可能であります。

長妻委員 次に、この十七ページでございますけれども、今回の新しい後期高齢者医療制度の中で、七十五歳以上の方だけ、あるいは障害をお持ちの任意加入の六十五歳以上の方だけに後期高齢者終末期相談支援料という二千円の新たな報酬が、ある意味では日本の医療史上初めて入ったということでございますけれども、これは終末期における相談ということで、延命治療等の実施の希望を聞くということでございます。ひな形はどういう文書なんですかと言いましたら、厚生労働省が、十五、十六ページの文書を持ってまいりまして、これですということであります。

 まずは、患者さんとお医者さんでじっくり話し合ってこういう文書を交わす。四番ですけれども、「予測される生存期間」(1)二週間以内、(2)一カ月以内、(3)数カ月以内、(4)不明、どれかに丸をつけて余命を患者さんにお知らせする。その上で、二枚目の紙を患者さんに書いていただく。人工呼吸器は、希望する、希望しない、どちらかに丸をつける。蘇生術は、希望する、希望しない、どちらかに丸をつける。御自宅の方は、急変時に搬送の希望があるかどうかを丸をつけていただく。こういうことを促進するような診療報酬になっているんです。

 お伺いするんですが、そもそも、この終末期あるいは延命治療という言葉の定義、これは国としてあるんですか、ないんですか。

舛添国務大臣 定義はありません。

長妻委員 これは非常に、定義がない、ある意味では病院ごとにまちまちの形でこういうことが行われると、私は、医療費削減のためにある意味では安楽死的な、そういう懸念も強く持つものであります。

 そしてもう一つ、二十一ページでございますが、これは、厚生労働省が昨年の五月に出しました終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインということでございまして、この中の記述で、「積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない。」と書いてありますけれども、ということは、厚生労働省というのは、消極的安楽死というのは今認める立場に立ったということでございますか。

舛添国務大臣 これは、厚生労働省がそういうことに定義しているわけではありませんし、積極的安楽死とか消極的安楽死については、厚生労働省としての定義はございません。

 それから、先ほど委員が、十五ページ、十六ページで引用なさいました資料ですけれども、誤解がありますので、誤解を正しておきたいと思います。これは、厚生労働省がつくったものではございません。日本病院協会が作成したものであります。(発言する者あり)

茂木委員長 山井委員に御注意申し上げます。

 あなたは委員会の理事であります。委員会の円滑な運営に御協力をいただく役員でありますから、発言には気をつけてください。(発言する者あり)

 理事の問題ですから注意を申し上げています。(発言する者あり)静かにしてください。

 長妻君。

長妻委員 これは、だって厚生労働省が、これがモデル文書ですよ、例えばこういうのを交わすと二百点がつくんですよということで、私のところに持ってきた資料ですよ。何を今さらそんなことを言っているんですか。

舛添国務大臣 これは、何らかの資料があるかということであるので、日本病院協会の資料ですとクレジットをつけてやった。だから、クレジットが抜けている、そういうことです。

長妻委員 クレジット、書いてあるじゃないですか、「保険局医療課調」ということで。これは日本病院協会の資料だということで持ってきましたけれども、しかし、これがモデルペーパーですよ、例えばこういうもので締結すると二百点なんですよということで私のところに持ってきたわけじゃないですか。

 そして、この解説本も出ているんですね。新しい診療報酬をなぜ導入しなければならなかったのかということで、十八ページでございますけれども、これは土佐さんという、厚生労働省のまさに後期高齢者医療制度を導入したところの室長補佐、中核の方が、なぜかということで書いてあるわけであります。読みますと、

 後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が一時間でも、一分でも生かしてほしいと要望して、いろいろな治療がされる。それが、かさむと五百万円とか一千万円の金額になってしまう。その金額は、税金である公費と他の保険者からの負担金で負担する。どちらも若人が中心になって負担しているものである。

  家族の感情から発生した医療費をあまねく若人が支援金として負担しなければならないということになると、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある。それを抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題である。

ということで、「後期高齢者の診療報酬体系の必要性」という章でこういうことを言っておられるわけであります。

 つまり、ほかの国のように尊厳死法があるとか、きちっとルールがあるというのなら別でありますけれども、終末期の定義も延命治療の定義もない、消極的安楽死、いい悪いも、定義も何もない。そういう中で、医療費削減先にありという、解説の中でこういうものが出てくるというのは、ある意味では、どうせ死ぬんだから医療費節約のために早く死んでくれと言わんばかりの危険性を私は非常に感じるわけであります。

 そして、同じ課長補佐、これは制度をつくった中核の方ですよ、ことし一月に金沢市で開催されたフォーラムでこの制度のねらいをこういうふうに述べておられます。

 もともと今回の医療制度改革は、医療費が際限なく上がり続ける、その痛みを後期高齢者みずから自分の感覚で感じ取っていただく。今まではそういう仕組みがなかったので、なかなか感じ取れなくて、一カ月のうち二十五日病院に行く。やはり医療費の高いところには高い保険料を支払ってもらう。

 つまり、痛みを感じさせるためにこれが入ったんだというふうに言われており、そして、終末期というのもどのくらいなのかという定義がないんですね。

 これは、先ほどの解説本では、一時間でも一分でも生かしてほしいというのがかなり医療がかかってという記述がありましたけれども、例えば終末期に関しては、予想生存期間が五年でも終末期ということはあり得るというふうに厚生労働省の担当者は私のところに説明に来たわけでありまして、定義がない中でどれだけのものが終末期なのか。

 そしてもう一つ、私の資料の二十五ページに日経ビジネスという雑誌の記事がございますけれども、これは一九九九年の記事でございますが、これは実話が載っておりまして、この方は、自分は日本で、喉頭がんであと二年の命だと宣告された、しかし、念のためにアメリカのテキサス州の大学に行ったら、何のことはない、その後治って再発していないということで、非常に終末期あるいは告知に対する問題というのがあるんじゃないか。告知にしても、本当にすべての患者さんが望んでいるのか。

 こういうようなこともあるわけでございまして、ぜひ慎重に、まず削減ありきで終末期医療を語るというのはやめていただきたいということを申し上げます。

 そして、年金の問題でございます。

 この資料の一番最後のページにつけておりますが、脱退手当金の問題でございます。これも、我々民主党の部会でも、脱退手当金をもらっていない方がもらっていることになっている、こういう実例を議論いたしましたけれども、そのときに、社会保険庁は、脱退手当金の裁定請求書というのは五年の保存期間で捨ててしまう。では、私が調べたら、国家公務員の共済年金はどうなんだろうと思いましたら、同じような資料は保存期間が十年になっている。二倍長い。しかも、この二十七ページの二行目でございますが、運用上、永久保存としているんですね、国家公務員の共済に関しては。

 国民の台帳は捨てても、書類は捨てても、国家公務員のものは、運用上、永久保存するということで、今後、国民年金、厚生年金の関連書類、特に国民の皆様から上がってきた書類は永久保存する、こういうふうに方針転換していただきたいんですが、大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 年金関係の書類をどうするかということでありますけれども、今の永久保存ということになりますと膨大な量になります。例えば、新規裁定年間百七十万件、それから厚生年金の資格取得届は年間五百八十万件。そのスペースとかいろいろな問題もございます。そういうことをまず検討しないといけない。それから、もしスペースのことを解消しようとすると、電子化するというような方法がございます。

 そういうことを含めて今後どうするかということは、実は上川大臣のもとで、こういう公文書の保管のあり方について、今、政府全体で検討しておりますので、そういう中で検討していきたいと思います。

 それぞれに保管期限を設けているのは、恣意的にやっているわけではなくて、今言ったような理由に基づいてやっているわけですから、今後の検討課題とさせていただきます。

長妻委員 ぜひ、運用上、永久保存、今はもう電子化というのは、大臣御存じのように幾らでもできるわけでありますから、もう永久保存するというふうに言い切っていただかないところが非常に歯がゆいわけであります。

 最後に、この後期高齢者医療制度で、駅で会った車いすの方から、レシートの裏にこういうふうにメモ書きをいただきました。ちょっと読ませていただきますけれども、女性の方です。

 私は七十八歳、車いすですが、今、小学五、六年生の指導書を書いています。老人ではありません。戦時中を生き抜いて、戦時を働き抜いて税金を納めた七十歳以上の老人を切り捨てるのか。うば捨て山か。天下り道路が老人より大事か。

 こういうのをいただいたわけです。(発言する者あり)いや、何でかというか、こういうのを書いて、いただいたわけですよ。それを読ませていただいているわけです。

 それで、天下り道路が老人より大事かというふうにその方は書いておられるわけでありますが、ここに厚生労働省の天下りの全リストを持ってまいりました。今、厚生労働省の全リストは、平成十八年度でございますけれども、七百二十四団体、この天下り団体に四千十六人が天下って、そこに、平成十八年度一年間で七千六百三十七億円流れております。契約あるいは補助金等、交付金などでございます。そのうち、契約に関して見ると、九九・八%が随意契約で流れているということであります。

 そして、道路に関しては、今回、暫定税率が下がって、もう背に腹はかえられないということで、天下り団体を整理を、政府はやむにやまれず始まったわけでありますけれども、道路関係の天下り団体には、政府は、一年間の支出を半分カットする、こういう方針を出しました。私はそれでも不十分だと思いますけれども、道路については半分カットする。

 とすれば、厚生労働省もやってやれないことはない。負担を求めるのであれば、自分たちもやはり身を切る必要があるということで、今申し上げた一年間で流れているお金が七千六百三十七億円でございますから、その半分をカットするといたしますと、一年間に三千八百十八億円、お金が節約できる、その金を別のところに回せるということにもなるわけで、これをやるというふうに、大臣、明言していただきたいんですが、いかがでございますか。

茂木委員長 答弁の前に、財務省の香川主計局次長を呼ばれていますが、もうよろしいですか。質問されますか。よろしいですか。(長妻委員「はい」と呼ぶ)

 申しわけございません、せっかく来ていただいたのに。結構です。

 舛添大臣。

舛添国務大臣 先般、閣僚懇談会の場におきまして、総理から、政府全体のいろいろな無駄を排せ、政策についてももう古くなっているものは棚卸しをしろ、それから公益法人についてもメスを入れろということでございます。

 私は、この改革をしないといけないということでありまして、こういうことに今メスを入れさせております。そして、いささかでも国民から疑義を得るような天下り、これは断じてだめである、再就職のルールをつくり直す、こういうことを今指示しているところでありますから、今、数字が半分どうということは明言いたしませんが、というのは、きちんと調査をして、何が必要か、何が不要であるか、そういうことを調査した上で、長妻議員の思いを共有いたしますので、この改革の大なたを振るいたいと思います。

長妻委員 済みません、まだ時間が若干ありますので、財務省の方に来ていただきましたので。

 財務省は国家公務員共済年金を御担当されておられますが、これは十年の保存期間でありますけれども、ほとんどの書類を永久保存されておられるんですか。また、その理由は何でございますか。

香川政府参考人 国共済におきましては、国家公務員共済組合法施行規則で、脱退一時金請求書等の書類につきまして十年間保存するという規定が設けられておりますが、実際の国共済連合会での運用におきましては、当該書類等が給付決定に必要な関係書類であり、処理が終わった後も関係者からの問い合わせ等に対応できるようにすることが望ましいという考えから、実際には永久保存をしております。

 それで、厚生年金の方は五年というふうに伺っておりますが、裁定件数が、国共済の場合には累計で今まで百四十五件、厚生年金の方は累計で六百四十万件というふうに伺っております。

 それで、先ほど大臣がお答えになっておられましたが、スペースとかそういう問題も関係しているんじゃないかというように思います。

長妻委員 質問を終わりますけれども、余りにもそれは差がつき過ぎなんですね。自分たちの年金は完璧に守られていて、その守られている人が厚生年金、国民年金の保険料事務を扱ってずさんにするというのはもうやめていただきたい、同じ扱いにしていただきたいとお願いを申し上げます。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先日の参考人質疑は大変貴重な意見を聞くことができたと思います。しかし、本当に新型インフルエンザのパンデミックがいつ起こってもおかしくない段階に来ていることを考えれば、もっともっと議論することはたくさんあるだろう、その機会をいただきたいということをまず一言言っておきたいと思います。

 ワクチンに関する議論などはきょうかなりされましたので、きょうは、水際対策と国内対策について中心的に伺いたいと思います。

 今日、延べ一千九百万人の日本人が外国へ渡航し、八百万人の外国人が入国すると言われております。そうした人の移動が激しい中で、水際対策は決定的です。

 四月九日、内閣官房は、「新型インフルエンザ発生初期の水際対策について」、案でございますが、を発表しました。WHOが、どこかの国で新型インフルエンザが発生と発表した場合、在外邦人の早期帰国と、外国人の入国を制限するといいます。「定期便が運航停止される場合、在外邦人の帰国手段を確保」すると書いております。民間機、チャーター便などの代替手段について検討されると聞いております。

 そこで、ウイルスの侵入防止と国内での蔓延を可能な限り防ぐという命題と、希望する在外邦人は速やかに帰国させるということがどうすれば両立するのか、その考え方を伺います。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 水際対策を検討するに際しまして、今委員の方から御指摘のありました点が、まさに議論の一つのポイントでございます。

 在外におられる方々に対しては、我々在外公館を通じましてできる限り早く情報を提供し、的確、適切な対応をしていただくということで、特に途上国の場合におきましては、医療機関等が十分ではないというようなこともございますので、できる限り、御本人たちが自己の判断でもって、必要に応じて日本に帰国されるというようなことについても十分な情報を与えようというふうに考えております。

 他方、国内の受け入れ体制ということがございますので、そこの点につきまして、まさに日本側の受け入れを超えるようなことになる場合も理論的にはあり得るということでございますので、そこの兼ね合いをどうするかという点がまさに議論のポイントでございます。

 そこは、両方を整合的に保ちながらやっていくということでございますので、我々外務省としましては、やはりできる限り、国内における対応が十分処理できなくならないうちに、早期な形で、現地の医療事情を考えた上で退避していただくということが必要かというふうに考えております。

高橋委員 そこで、逆に、国内にいる外国人が既に発生している国に帰国したいとした場合、これはむしろ国内にとめ置く方がいいのではないかなと思うんですけれども、説明を聞くと、それは主権の問題なので、あくまでもその国の政府が考えることだというふうなお話でありました。

 この点については、やはり国際的な問題でありますので、それぞれの国がそれぞれの国民を守るという基本の問題と同時に、対応は統一された方がよろしいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

谷崎政府参考人 委員の方から今御指摘のありましたとおり、基本的にはその国の主権の問題ということがございます。他方、やはり混乱をできる限り避けるという意味においては、各国がそれなりの、法令の範囲内での適切な措置をとるということが必要なんだろうというふうに考えております。

 恐らく、いろいろな国際機関、具体的にはWHOを通じまして、そこのところの移動についてどういう形がいいのかというようなことについて、そのフェーズごとに適切な勧告等が出てくるのではないかというふうに期待しておりますので、それがある意味での国際的な相場観をつくっていくのかなというふうに考えて、期待しております。

高橋委員 先ほど紹介した水際対策の考え方の最後のところに、これは余り想定はないとは思うけれども、「我が国で感染が生じた場合、国際的責任の観点から、感染者を国内に封じ込める」という表現がございますね。

 ですから、もし我が国が発生国になってしまえば、それはどこの国の方だろうと当然封じ込める、それは国際的な責任なんだという考え方があるわけで、同じように、日本で発生しているわけではないけれども、戻ると危険ですよということがあってもよいのではないかというふうに考えております。今の御答弁がありましたので、それは国際的な議論を煮詰めていただければよろしいかなと思っております。

 私は、今、国が違う中での人の移動ということは非常に難しいことだなと考えております。法務省に聞くと、入国管理局でビザのチェックをするんだ、しかし、ビザのチェックといっても、今ビザの免除をしている国が多数ございますので、それは段階に応じて、免除ではないことを、一たん解いてその上でチェックをする、そして場合によっては検疫に差し戻しをするんだというダブルのチェックの体制になっているということがお話にありました。なおさら検疫の役割、最初の水際体制が非常に大きいのかなというふうに思っております。

 そこで、全国の検疫所、十三カ所、三百四十四人の検疫官が配置をされておりますが、当然、扱うものは人間だけではありません。非常に今、仕事がますますふえております。健康相談に従事する医師などのスタッフは検疫所に一体どのくらいいるのか、また、水際対策を強める場合、これをふやす考えがあるのか伺います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のように、全国に現在、百八カ所の検疫所に三百四十八名の検疫官を配置いたしております。

 医師の数が何人かという内訳をちょっと今手元に持ってきておりませんので、また後ほど御報告させていただきたいと思います。

 いずれにしましても、鋭意この人員の確保については努力いたしておるところでございますが、先生御指摘のように、やはり水際において国内侵入をどれだけ防げるかということが、国内での新型インフルエンザ対策を十分に準備するという意味で極めて重要だろうと思っております。

 そういう意味で、これまでさまざまな取り組みをしておりますけれども、ちょっと一例を御紹介いたしますと、サーモグラフィー、PCR等の機器、こういうものを整備していく。そして当然でありますが、防護服、マスク等の備蓄。そして、検疫だけでなくて、入管、税関、自治体あるいは保健所等々の関係機関との連携が必要でございますので、このための連携強化の取り組みを進めております。

 そして発生時、フェーズ4になりますと、新型インフルエンザ発生国から国内に入ってくる場合に、すべての空港あるいは海港において対応するのは困難でありますので、集約していくということで、四空港及び三海港への集約化を踏まえました各検疫所の応援体制の整備といいましょうか、こういうことの準備もいたしてございます。

 そういうことを総合的に進めながら、先生御指摘のような水際での対応が十分にできるようにこれからも努力をしていきたい、このように考えております。

高橋委員 鋭意努力されているということを御紹介いただきましたが、ちょっと確認だけさせていただきます。これは大臣にも通告してございます。

 フェーズ4になれば空港の集約化をすると。私は、そういう段階になった時点では、やはり集約化は必要なことだと思います。ただ、今の病院の問題ではありませんが、集約化するからそのときは間に合うんだということでは、多分間に合わないんだろう。準備の段階でも必要な体制はとっておかなければならない。その点、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 それは集約化だけじゃなくて、連携をどうするか、国と地方自治体、民間企業、国民、さまざまな問題があります。

 それで、やはり机上の訓練だけではわからないと思うんですね。ですから、この法律が可決された暁にはできるだけ早く実地の訓練を、大がかりに政府全体でやってみたい。そのことも含めて、そういうシミュレーションによってこの問題点をさらに浮かび出して対応してまいりたいと思います。

高橋委員 訓練はいろいろな段階で何度もやる必要があると思います。しかし、何度も言うように、人も大事だということを指摘しておきたいと思います。

 それで、今大臣の答弁の中にもあったように、連携が大事だということで幾つか議論を進めていきたいと思うんです。

 潜伏期間内に検疫所を通過した場合は当然発見が不可能であり、入国後の体制、連携が当然求められると思っております。

 先日、国立国際医療センターで特定感染症病床と渡航者外来を見てまいりました。病床の方は、SARSのときに、実際には発症していなかったんですけれども、その疑いがあるということで入院受け入れを行った実績がございます。

 外来の一般患者との接触を防ぐ、一切出入りを別にするという考え方。二つ目に、外来に万が一紛れ込んでしまったときに、速やかに陰圧式の車いすやストレッチャーで搬送して隔離をするという考え方。そして三つ目に、陰圧調整、排せつ物なども全部一般の病床とは分けるという徹底した隔離を行う。と同時に、人権にも配慮をして、家族とのコミュニケーションもとれる体制をとっている。非常に重要な中身だなと思って拝見をしました。

 また、渡航者外来の方は、月五百人くらい利用しているということで、まだ日本にとって未知の菌あるいはウイルスを外国から運んできた方、そういうおそれのある方を診察する、こういう体制も非常に重要であるなと思いました。

 ふだんは使わない病床ですので、維持のために大変莫大なお金がかかります。しかし、これは採算上で考えてはいけないんだろう。初動の成功のためにはどうしても必要ではないかと思っております。

 こうした特定感染症指定病床などをどのように位置づけ、またふやそうとしているのか、伺います。

西山政府参考人 お尋ねの国立国際医療センターにおける渡航外来の現状は、おっしゃるとおりでございます。当センターにおきましては、毎月の受診者数は、平成十八年度において約四百名程度となっております。

 こういった特殊な感染症につきましては、まずその治療が大事でございまして、まだ東京で国際医療センター一カ所でございます。これにつきましては、今後計画的に整備をしていく必要があるだろうと思っております。そういうことで、そのスタッフの教育あるいはそういった医療の充実等について、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

高橋委員 指定感染症病床の方もあわせて。

西山政府参考人 失礼しました。

 指定感染症病床についても現在の数では少ないだろうというようなことで、現在、全体として、機関数としては六百五十一医療機関、それから病床数としては一万三千九百七十一というようなことでございます。これは結核病床に基づく指定医療機関も含めてでありますけれども、そういった症状、疾病ごとの特殊性もございまして、さらにこの数についても見直しを図っていくという必要があるだろう。

 先ほども答弁いたしましたように、陰圧施設についても四千三百四十二というようなことで、新型インフルエンザ対策を行う上ではまだ少ないだろう。こういうことで、計画的な整備を今後図っていきたいというふうに考えております。

高橋委員 もちろん、大流行が発生してしまえば幾ら備えても足りないというのが現状でありますけれども、やはり初動の段階での封じ込めが大事だという点では、今お答えいただきましたので、きちんとした整備を進めていただきたいと思います。

 そこで、国内対策について伺いたいと思うんですけれども、やはり最前線は都道府県の窓口である、ここの体制がどうなっていくのかということが非常に大事だと思っております。

 まず、新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議が、総理を本部長として対策本部に繰り上げされるのはどの段階か。そして、その段階と同時に、間髪を入れず都道府県にも本部が立ち上がるようになっているでしょうか。

西山政府参考人 総理を本部長とする新型インフルエンザ対策本部が設置される時点というのは、我が国で新型インフルエンザが発生した時点というようなことで、その時点で早急にその本部を立ち上げる、総理官邸にはあらゆる部署から情報が提供されまして、可及的速やかにその本部を立ち上げるということでございます。

 都道府県におきましてはまだ、行動計画の中で各自治体において現在検討していただいている、そういう状況でございます。

高橋委員 直ちに都道府県も立ち上がるようになるんだと言ってほしかったですね。ちょっとこの時点でこれが、どうなのだろうかということなんですね。

 WHOの世界インフルエンザ事前対策計画によれば、パンデミックアラート期、フェーズ3の段階で、医療保健当局や省庁その他の関連組織の間で、何がわかっていて、何がわかっていないのかを含めた適切な情報が、確実に、迅速に共有されるようにするということを国家の目的と定めております。私は、これが非常に大事ではないか、最前線にそれが伝わっているのかが疑問でございます。

 資料の一を見ていただきたいと思います。

 東京都の感染症予防計画からとらせていただきました。東京感染症アラートとなっておりますが、これは、WHOから新型インフルエンザの発生が発表された時点で速やかにアラートが発動されるということを想定している。その上で、都が独自の体制として、発生国からの帰国者など感染が疑われる者に、本人の同意を得て速やかに検査を実施する、それで患者発生を早期に把握する。図にあるように、医療機関、保健所、検査の実施機関、そして感染症対策課、行政、この統一的な連絡体制をとっている。

 情報の共有化を万全にするということが非常に大事だと思いますが、この点で、できれば大臣の意見を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 各自治体も、いろいろこういうお取り組みをやっておられるわけですけれども、危機管理体制をやるときの基本はこれは情報の共有ということでありますから、厚生労働省も、広報体制を今強化しております。正しい情報を、これは報道機関を通じて出す。そして何よりも、委員が先ほどおっしゃっている最前線の地方自治体、これとの連携をきちんとやらないといけませんので、この次のシミュレーションには、地方自治体との連携についてもきちんとやはりその実を上げたい、そういうふうに思っております。

高橋委員 よろしくお願いします。

 その中で、東京都は先進的にガイドラインや行動計画などを整備してまいりました。とはいえ、対策といっても何をどれだけ備えればいいのか、そのための財政的措置がどれだけあるのかというのがわからないという中で非常に困っている。

 そこで、疫学調査や患者搬送の際に従事者が感染することを防止するため、感染防護服、医薬品、消毒薬などの確保が必要となります。都道府県はどのくらい備えているのでしょうか。国はどのように備えろというふうに説明しているのでしょうか。

西山政府参考人 私どもの新型インフルエンザ対策行動計画に基づきまして、各都道府県におきましても、都道府県独自の新型インフルエンザの行動計画をつくっていただいております。すべての都道府県でこの行動計画を作成していただいております。その中で、私どもとしては、医療資材を初めとするさまざまな備蓄、例えばマスクですとか感染防護具の確保等々について、十分準備をしてほしいというようなことをお願いしている段階であります。

 それで、数量的な話でありますけれども、現在私ども、各都道府県、医療機関に配置されているわけですから、そういったマスクですとか防護服について、どの程度医療機関に配備しているんだろうかというようなことを都道府県を通じて調査をしております。調査をかけたところでありまして、その結果がまとまり次第、不備な点があれば、また各都道府県、自治体とも相談していきたいというような段階でございます。

高橋委員 十分と言われても、それがどの程度かがわからないと言っているんです。しかも、今の説明ですと、都道府県が十分備えよ、それがどの程度か今調査をかけているということで、実態が全くわかっていないということなので、それがどうなんですか、今の段階でどうなんですかということを言いたいわけです。

 例えば、東京都は既に、個人防護で五十万セット、これは区市町村に補助をして備えております。想定患者数が三百七十八万五千人だというんですね。防護服はもちろん使い捨てなわけですから、全然足りないのはわかるわけですけれども、では、もっともっとふやせばいいのか、あるいはもっと限定的にせざるを得ないのかというのを一定示す必要があるわけですよね。いかがですか。

西山政府参考人 いずれ、近々そういう段階が来ると思いますけれども、現在は、都道府県、自治体の方とワークショップを開いて、各県でどこの医療機関が中心になるのか、あるいは発熱外来をどの医療機関に設けるのか、その点について、地域内でのバランスをとりながら、今精査をしていただいています。

 私どもとしては、御記憶にあると思いますけれども、十九年度の補正予算で個人防護衣を六億円、予算を確保しております。これにつきましては、感染症指定医療機関三百五十カ所に配備をするというような予定でございます。ただ、先生おっしゃるように、それを各都道府県、自治体がどう計画的にこれから考えていくのかというようなことは、私どもは相談に乗りますけれども、各自治体がそれぞれの医療機関の特性を踏まえてしっかりしたものをつくっていただきたい。

 先ほど東京都の例がございましたけれども、東京都は先進的な自治体でございます。ですから、ほかのところにつきましても、それぞれの自治体について、早急にそういった医療機関の体制について整備してほしいというようなことを現在は要請しているところでございます。

高橋委員 早急に目安を示して、また財政的な面でも検討いただきたいと思います。

 今ちょっとお話の中にありました発熱センター、発熱外来の問題ですけれども、資料の二枚目に東京都が描いたものがございます。これも、なるべく一般病院に行かないように、まあ全部行かないということはあり得ないだろうなと思うけれども、発熱センター、発熱外来を設置して、そこに誘導していくということが非常に重要な位置づけになるかと思いますけれども、具体的に何を備えていれば発熱センターとして役割が果たせるのか。これは、徹底ぶりですとか、どのようになっているのか伺います。

西山政府参考人 発熱外来ということで、ちょっと耳なれない外来の名前でありますけれども、おっしゃるように、新型インフルエンザ患者と他の患者の接触を最小限にするというようなことで、医療機関においても外来を分けていただくというような構想でございます。

 現実的には、そこに来た発熱患者への診察、投薬等を行うということですから、まずはタミフルの用意ですとか、あるいは重症化に備えて人工呼吸器の用意、そういったものを念頭に置きながら、自治体を中心に整備をしていただいている。

 現在、十九年十二月末日現在で行った発熱外来の調査でありますけれども、確保された外来数は三百五十七カ所というようなことになってございます。

高橋委員 発熱センターは、基本的に保健所にということでよろしいですか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 発熱相談センターとガイドラインでは呼んでおりますけれども、基本的には各保健所に設置するという予定でございます。

高橋委員 失礼しました、発熱相談センターを保健所に設置するということで、新しい建物ではなくて看板が一つふえるのかな、仕事がふえるのかなというふうに思っております。やはり役割が大きくなる上で、保健所の機能そのものも問われるのではないかと思っているんです。

 実は、三月十八日付の東奥日報、地元紙なんですが、「県内六つの保健所に勤務する計八人の公衆衛生医師(うち六人は所長)のうち、三人が三月末で退職する。県は昨秋以降、後任を探してきたが、医師不足のため一人も補充できない状態だ。」このため、二〇〇八年、「弘前、五所川原の両保健所長を兼務とする異例の措置を決めた。」という記事がありました。あっ、ここにも医師不足の問題がと思ったんですが、実は、全国で既にこのことは進んでいる。

 資料の三枚目にございますが、保健所長の兼務数について。都道府県と指定都市、政令市の合計が、〇六年度、足していきますと三十四になって、先ほど新しい数字をもらいました、〇七年が三十八というふうに兼務がふえているわけです。保健所の数は〇五年度五百四十九から、〇六年度五百三十五、〇七年度五百十八と大幅に減っているのに、兼務はふえている。そして、直接医師数で見ますと、この六年間で百九十六名減っているという状況なんです。これをどのように改善していこうとしているのか。

 あわせて、地方分権改革推進会議などで、保健所長医師資格要件の廃止と。住民の健康と安全を確保するためには、保健所長は医師でなければならないというのが国の主張であったけれども、場合によっては、地方公共団体の判断で、医師ではない者を充てるという選択肢も認めるべきであるとして、事実上必置規制はなくなりました。

 ここまでしてきた議論を踏まえれば、やはりドクターを配置し続けるべきだと私は思います。こういう点で、保健所の医師体制をどうしていくのか、大臣に考えを伺いたいと思います。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 今委員が引用なさった地方分権のそういう提案に対しまして、私は、保健所長は医師であるべきであるということを明言し、その主張を今も続けております。

 そして、これは、まさに医師不足もこういうところに影響を与えているわけでありますから、私は、医師の数は不足している、したがって医師の数をふやすということを申し上げている。そうすると、ふやし過ぎると困るんじゃないかと。だけれども、例えば、医師が病院で診療だけではなくて、医師のやるべき仕事は公衆衛生という意味からたくさんあるんですね。

 ですから、まさにこういう発熱外来の相談センターを保健所に置くということになれば、ますます重要な命を守る拠点になります。そして、長野県が平均寿命、健康寿命が一番長いというのは、やはり地道な保健所の活動によるところもあると思います。したがって、まさにそういう点を考えて、保健所の機能の強化、そして医師の確保に全力を挙げてまいりたいと思います。

高橋委員 ありがとうございます。ぜひ、その答弁のとおりに頑張っていただきたいと思います。

 昨日の参考人質疑の中で、やはり医師や専門家の体制の問題、あるいは医療の提供体制全体を引き上げなければならないという議論がされたわけですけれども、国立感染研の岡部参考人は、一たん動き出してしまったら、つまり流行がもう始まってしまったら、それは専門家が用意したシナリオに沿って多くの方が動き出すんだ、しかし今は準備の段階で、準備が求められている段階にこそ専門家が必要なんだということをおっしゃって、私はそのことが非常に大事なのではないか、さっきの検疫所の集約の話ではありませんが、準備の段階にこそ大事なんだということを重ねてお話ししたいと思います。

 その上で、深刻なシナリオをしっかりつくって体制を整えていくと同時に、やはり国民がパンデミックを必要以上に恐れ過ぎないということ、同時に、のんきに構えて何も動かないではこれも困るわけで、適切な広報が必要であろうと思われますけれども、その点での大臣の見解を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 私は若いころ、スイスという国で仕事をしていました。危機管理ということについては徹底した国で、シビルディフェンスという、民間防衛というパンフレットがこれは各家庭に置いてあります。それを見ると、例えば敵の軍事的攻撃が起きたときとか、いろいろな問題があるときにどう危機管理すればいいか。だから備蓄もいろいろなところでストックしているわけですね。それから病人をどう介護すればいいか、そういうことも克明に書いています。

 私は、やはりこれだけ自然災害の多い国でありますし、今度の新型インフルエンザについても、備蓄を含めて、やはり国民一人一人がきちんとやるべきことをやる、そして、国民のできない、政府がやらないといけないことは政府がきちっとやる、そういう意味での国民の皆さん方の御協力もぜひ賜りたいので、例えばそういう各家庭に配布するようなパンフレットをつくるとか、そういうことも含めて、広報体制に全力を挙げてまいりたいと思います。

高橋委員 終わります。しっかりお願いします。

茂木委員長 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私にいただきました時間三十分の中で、冒頭、実は予定外のことですが、後期高齢者医療制度で大臣が清水委員にお答えになりましたことについて、私は、ちょっとそのまま議事録に残ると誤解が生まれるんじゃないかなと思う点があるので、再質疑をさせていただきます。

 今回の後期高齢者医療制度、支持者から看板も断られるという清水先生のせつないお話でしたけれども、国民にとってやはり一番大きな点は、七十五歳という年齢で、ある日突然、例えばお誕生日のその時間から切り離されていくような感覚を受けているということが一番大きい。家族がばらばら、御夫婦がばらばら、世帯がばらばらという、そこの受け取った側の感覚というのは、ぜひこれは厚生労働省の皆さんにも実感として受けとめていただきたいと私は思うんです。

 そういう庶民の直截な直観以上にまた問題なのは、この制度設計が、保険料がこれからも上がり続けざるを得ないという構造をとっています。そうなると、これは、大臣は今、保険料が下がったところも上がったところもあるよというふうにおっしゃいますが、私はそれはデータで示していただきたいとお願いしていますが、経時的に見ても、これから先、私や大臣が後期高齢者になるときにはもっと保険料は高くならざるを得ない構造になっております。

 この問題も、払えない方が出てくるから大変に問題なんですが、私は、やはり一番はかかれる医療の問題なんだと思います。

 そこで、先ほど大臣は、これまでと変わることはないし、むしろよくなるくらいなんだ、アクセス制限もないし、例えば、これまでは往診などはしていただけなかったけれども、これからはこの制度のもとでお医者さんも来るようになるんですよというくだりです。

 私は、その前段に大臣が、かかりつけ医というのは、実は医師にとっては六百点、換算しますと六千円でお受けする制度で、その実際の金額の中でやれるのはレントゲンを撮ったり採血をしたり、ある本当に限られたものだと思います。実は、往診をしたりは別料金でございますし、そしてそれは従来の厚生労働省の行政の中でも、往診についてはそれなりの点数がついておりました。

 何だか、この制度のかかりつけ医と連動してそうなるんだよというふうに受け取られかねない文脈でありましたので、これはやはり大臣に、そこは国民が本当はだれだって、夜中だって来てほしいし、願いだと私は思います。しかし、仕組み上はやはり、往診ということとかかりつけ医は別でございますから、そこの誤解が生じないように、もう一度その点の大臣の御答弁をお願いします。

舛添国務大臣 私が申し上げたのは、診療報酬を改定いたしました、今度の新しい医療制度に伴って改定し、かかりつけ医が、かくかくしかじかのことができますよと。

 それは、お医者さんは診療報酬がこれで幾ら点数がつきますねとわかるんですけれども、そういう説明ばかりを厚生労働省はやりがちなものですから、私は、国民の側から見たら、それはどういうメリットがあるんですよということを申し上げたので、もちろん、それは、本当によくやってくださっている先生方は往診するということはあるわけですから、それは今委員がおっしゃったように、誤解のないように申し上げておきたいと思います。

 ただ、保険料の多寡について言っても、これは今調べていますけれども、平均的な数字を、これは平均値ですから、どこにもそれは個別に存在しません。それを申し上げた。

 ただ、阿部委員と私は同級生ですけれども、我々は、あなたと私は同時に、同じ年に後期高齢者になりますので、団塊の世代で我々がどかっとお年寄りになっていったときは、それはやはりお金がかかりますよ。ですから、そういう意味で、いかにしてこの国民皆保険を守っていくか、そういう大きな、我々の老後も考えてのことでございますので、そこもぜひ御理解いただければと思います。

阿部(知)委員 まさに私ども団塊世代のお話で、そして大臣、そのようにおっしゃるのなら、私たちは逆に七十五まで、あるいは何歳かまでずっと保険料も納めてきたわけですよ。急にある日、ゼロが七十五歳になるわけじゃないんですね。

 そうすると、その間ずっと保険料を納めてきた、さあ七十五になった、これからはあなたの保険料と給付、受けられる医療の見合いを考えなさいと。何で、そんなこと言われる覚えはないという怒りなんですね。これまで納めてこなかったならまだしもであります。納め続けて、それは年をとれば自分の体は病気をするだろうと思い、そして社会連帯だからと思って納め続けてきて、七十五になったらはしごを外されて、ここからはあなたたちの医療費を抑制してくれと。

 私は、無駄な医療があれば国民全体で抑制していくべきだと思います。この制度の一番の問題点は、やはり長年の保険料、年金ではありませんよ、医療だって保険料を掛けてきたわけです、払ってきたわけです。その先にある年齢になる、生きて暮らして苦労して、そして七十五になるんです。そこへの配慮がないということも私は大きな問題だと思います。

 そして今私がお尋ねしたいのは、そのかかりつけ医なるものも、今、医師会の中で富山、秋田、茨城あるいは市町村では青森、宮崎、神戸などの医師の団体の方から、この制度はどう見ても、この先もっともっと、逆に言えば包括払い、マルメですからどんどん単価も下がるし、それでは自分たちが安心して医療を提供し続けることができないという思いにもなっています。

 大臣、ここで明言してほしいんですが、これはアクセス制限でもないし、この先全体に強制することは絶対ない、この先ですよ、この先。いかがですか。

舛添国務大臣 アクセス制限もなければ、いろいろな強制もありません。

 私が申し上げたいのは、いかにして今の医療水準を保っていくか、そして国民皆保険をきちんと守っていくか、そして私が高齢になったときもきちんと、いい日本社会であっていくためにやっているわけですから、ぜひ、医師会の皆さん方もよく御理解いただいて、御協力を賜ればなと思います。

阿部(知)委員 大臣、そうはおっしゃっても、例えば病院の半径四キロに診療所があると、その病院の医師はかかりつけ医になれないんですよね。私はそのように説明を受けていますが、患者さんにしてみれば、あの病院の、あのお医者様を私のかかりつけ医にしたいわと思っても、半径四キロを見渡して診療所がないという要件が書かれていましたが、これは撤回されたんでしょうか。これだってフリーアクセスなんですね。だって自分の、この先生がいいわという先生にかかりたいわけです。これが一つ。

 では一つずつお願いします。まず、これは撤回ですか、四キロメートル以内に診療所があるところの病院の医師はかかりつけ医にはなれない。

舛添国務大臣 基本的に、制度設計をしたときに、いわゆるホームドクター、かかりつけ医、その身近な先生をまず選ぶ、そして自分の体をチェックしてもらって、いや、これは大きな総合病院に行かないとだめですよ、そういうルートを想定しています。したがって、今のところはそういう原則でやっておりますけれども、これは介護保険制度と同じで、入れてみて、さまざまな不備があったり、これは実態に即していないということがあれば柔軟に変えていくという姿勢は持っております。

阿部(知)委員 入れたことがアクセス制限なんですね。だって、自分のかかりたいお医者さんにかかれないんですもの。それをやってみてといったら、アクセス制限しちゃったんですよ。そこが大臣の認識の違うところなんだと思うんです。

 そして、例えば、ここで開業されている先生が糖尿病の患者さんを一カ月六千円でケアしようと思う。たまたま来られたときには何も症状らしいものがなくて、でもレントゲンは撮り、採血はした。大体、六千円だとそのくらいでとんとんと言うと変ですが、収支が合う。ところが、その晩、誤嚥をされました。御高齢者に一番多いんです。変なところに入っちゃう。何か苦しい。きょう午前中にお医者様に行って大丈夫と言われたけれども、もしかしてあの先生はだめだったのかな、では隣のB先生に行きたいわといったとき、このB先生はかかりつけ医じゃないんですよね。

 大臣、わかりますか。このB先生に今度は勝手に行くことができないんですよ。よっぽど、例えばA先生から紹介状をいただくとか、A先生がもう一度診るのは可能ですが、もう一回検査したらお金は足りなくなってしまいます、病院にとって。

 かかりつけ医があるということはよい面と、しかし、こんなときはB先生に行ってみたい、そして病院に行ってみたいと患者さんが思って選ぶことがフリーアクセスなんですね。この点はどうですか。

舛添国務大臣 それもケース・バイ・ケースで、私は、今申し上げたように、基本的にはかかりつけ医を一つの拠点としますけれども、だからといってさまざまなアクセスが制限されることはない、そういう方針でやります。

 それで、先ほどの病院と診療所の関係ですけれども、病院と診療所の連携を今一生懸命やろうとしていますし、そうしなければ医師の数が幾らあっても足りないわけです。そして、一般的に言えば、やはり近くのホームドクターに見せて、例えばそこの病院の眼科の先生が常にかかりつけということは余りないと思います。

 ただ、これから変えようとしているのは、標榜科目で総合科というのを設けて、例えばそういうことをきちっと設置すれば、その総合科の先生がかかりつけ医になる、たとえ病院にいても。そういうことも可能だと思いますから、先ほど申し上げたように、柔軟に国民のニーズに合わせて変えていく。しかし、大きな制度設計はやらないといけないですから、そういう意味で申し上げております。

阿部(知)委員 柔軟に国民が選べないからアクセス制限なんです、大臣、今度つくったものは。そこが一番大きな問題なんです。

 だって、かかりつけ医のA先生で六千円、では、B先生からは今度は保険診療で同時に、開業医の先生同士です、同じ病名です、同時に請求できるでしょうか。本当に私は混乱すると思います。そういうリアルなことをお考えになっていなくて、そして、アクセス制限というのは何も縄でここに縛りつけることじゃなくて、患者さんたちが自由に、きょうはこちらの先生、あしたはこっちかもしれないんです。

 でも、それでも私は、日本の患者さんたちは上手にかかっておられると思います。ちょっときょうは何か体のことが心配だから大きな病院に行っておこうとか、きょうだったら、ふだんだから、風邪も軽いしこちらに行っておこうとか、それはあくまで患者さん側が選ぶ、それをフリーというんです。

 でも、今の厚生労働省の方針だと、なるべく近くのかかりつけ医に行くのが望ましいから、そういうことで点数設定をして、さっきのA医院とB医院が生じたとき、本当にどうするんですか。同じ病名です。例えば糖尿病で肺炎かもしれません。片一方はかかりつけ医、片一方は普通の診療、混乱すると思われませんか。私たち医師がそういうことを心配するんですよ。

 そして、今まで本当に日本の医療を、確かに大臣が御心配くださるように、今医師不足ですよ、そして日本の医療教育の中で、学生の時代から、総合的な体を見るという教育はすごく薄かったです、専門分化しているんですもの。この問題は、まず医師の養成課程、教育から手をつけるべきですよ。

 そして、かかりつけ医は、ゼロ歳の赤ちゃんからだってあった方がいいと思います。でも、七十五になって急にかかりつけ医、それも、さっき言いました四キロメートル以内に診療所があるところの病院の医師はだめ。結局、結果はアクセス制限なんですよ。どうですか、大臣。

舛添国務大臣 全くかかりつけ医を持たないという選択肢も残されているわけですから、そういう意味では、それを選択すればできないことはない。

 それから、今の制度だって、全く同じ病名で複数の医者にかかることを勧めてはおりません。そういう体制になっていますから、それは御理解いただければと思います。

阿部(知)委員 そんなことを勧めていると言っているんではないんです。でも、症状は変わるんです、人間は生もの、生き物。そのときに、今は普通に、均等にかかれる条件があるということです。今度からは、かかりつけ医を持った途端にもう一方の選択肢がなくなるということなんです、患者さんにとっては。そこの現実の感覚を理解しないと、最初の、七十五歳になったらある日突然と同じような国民の側からの反感が当然生まれ得ることだと私は思います。

 しかし、これを長くやると、もう委員長がそろそろだという顔をしていますので、この辺で終わらせていただいて、私は、今度の感染症法のことについても、国民の自発性とある強制的な制約措置のせめぎ合いという側面があると思いますので、あながち違う問題ではないと思って、次に移らせていただきます。

 きょう皆さんお取り上げいただきました、鳥インフルエンザが人に感染し、人が人に感染するようなタイプのものは、恐らく、これまでの経験則ではアジア、北東アジアもありますし、東南アジアもありますし、アジアからのウイルスの侵入が多いであろうということが予測されるということはどなたも御指摘で、また、国際協調の大切さも御指摘されました。

 一つ具体的に、今インドネシアでは鳥から人、そして人から人感染の症例が大変に多いわけですが、なかなかインドネシア自身の国内体制でこの対策が、はたから見ればうまく進んでいないのかなと思われる側面もあって、私は、ぜひ大臣に、日本の厚労省、農水省がともに、インドネシアの厚労省や農水省の皆さんと政治レベルで話をして協力し合っていく。私は、パンデミックになってからの話をする以前に手をつけておかなければならない基本的な事項があると思うんです。

 先ほど大臣は、中国と韓国と日本で保健相同士の会合を持った、とても重要なことです。同じように、例えば、今インドネシアはヒト・ヒト感染のウイルスをWHOには出したくない、なぜなら、そこから情報を得られたって、自分たちの国で使えるだろうか、低開発諸国は当然そう思うと私は思うんです、お金の問題や医療体制の問題。でも、そこは、実はアジアの蔓延を抑えるという意味では日本の働き、役割、働きかけが大事だと思います。

 大臣の念頭にはこのインドネシア問題、日本とインドネシアは非常に親密な国ですし、何とかあの国でも、鳥インフルエンザから人へ、そして、もうそれが常在化しているんですね、アジアにおける人にうつった鳥のインフルエンザはある程度定着傾向にあるんですよ。大変なことだと思うんです。特に今、インドネシアを一例挙げましたけれども、もう少し積極的に、厚生労働省、農水省と先方の行政府と、どういう状況なのか、何を日本が手助けできるのか、WHOとは必ずしもそううまくいっていない中で、大臣のお考えを伺いたいです。

舛添国務大臣 先般、京都の国際会議に私、出まして、そこで一分野で感染症の問題をやりました。そのとき私はかなり厳しくインドネシアを批判したのは、インドネシア株というか、それを外に出さないんですね。つまり、これは知的所有権じゃないけれども、これは自分のところのもので発展途上国の武器だ、これを出しちゃって、それでワクチンを先進国がつくって自分らには回ってこない、その気持ちは非常によくわかるんです。しかし、これはやはり国際協力で出してくださいということは訴えておきました。

 そういう中で、例えばSARSのときなんかはベトナムに対して非常に日本が貢献をしましたので、日中韓はありますけれども、ぜひ、ベトナム、インドネシア、こういうところの国際協力体制を構築したいと思いますので、外交ルートも通じて、保健省、厚生労働省、こういう専門家の間で協力体制を築いてまいりたいと思います。

阿部(知)委員 私は、その中にぜひ農水省も入れていただきたい。実際の庶民が生活している中で起きていて、それは、鶏を飼ってそれを食べて、あるいは仕事として養鶏をしたりしているわけですから、お願いしたいと思います。

 さて、きょうの一日の審議の中でも盛んにプレパンデミックワクチンという言葉が使われていますが、果たして、プレパンデミックワクチンということを国民が聞くと、パンデミックというのは大流行ですよね、プレだから前、ああ、それに効くワクチンなんだな、いわゆる大流行に効くワクチンなんだなと素朴には思うわけですよね。

 でも、これは学者の意見でもそうですが、効果はやってみなければわからないわけです。これはいたし方ない。そうすると、国民が受けとめている、ああ、大流行に効くんだなという感覚と、実際はまだまだいろいろな山を越えていかなければいけないという事実との間を厚生労働省はしっかり埋めていただきたいと私は思うんですね。なぜなら、メディア報道は、本当に申しわけないけれども、危機あおりみたいな印象の新聞記事も多いです。

 そうなると、私は、こういう危機管理の第一は、さっき大臣がおっしゃったけれども、国民の一人一人の正しい知識なんですよ。スイスがしっかりしているとすればその点なんだと思うんですね。自分たちの自覚と知識を持って臨めば、危機も本当のどさくさにならずに、やはり整然と対処できると思うんです。

 もともと、今プレパンデミックワクチンと呼んでいるものは、プロトタイプワクチンとか、鳥インフルエンザワクチンの人にうつったプロトタイプとか、違う呼び方だったんですね。この呼称、プレパンデミックをもしこのまま使い続けると、世界でも使っていないわけではないんです、でも、日本でこれから大量のワクチンを打つというようなことが言われているときに、正しく国民に伝わるかと懸念いたしますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 呼称の問題を含めて、これはきちんと国民に伝えないといけないと思います。

 既に出版物なんかもたくさん出ています。テレビなんかでシミュレーション番組もやって、相当多数の国民の皆さんが見ておられますけれども、パンデミックワクチンとプレパンデミックワクチン、これの違いというのは、やはり委員がおっしゃるようにきちんと説明して、その二つのダブルトラックで実は危機管理の準備をするんだと。

 そして、委員おっしゃるように、必ずしも、例えばインドネシア株でつくったプレパンデミックワクチンが次に来るパンデミックワクチンに効くかどうか、それはわかりません、ある程度の効果はあると思いますけれども。そういう限定を加えた上で、過剰な期待、過剰な危機意識、こういうものもまた避けないといけないと思いますので、正しい知識の普及に努めてまいります。

阿部(知)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 そしてきょう、かなり郡委員が一生懸命、いい視点で取り上げていただきましたが、六千人への「プレパンデミックワクチン」の使用について、実は、四月の十六日の新型インフルエンザ専門家会議で方針として決定され、今後はまだ、どういう研究の計画にするかなど、あるいは倫理委員会審査をどうするかはこれからのことであるということが審議の中でも明らかになりました。

 私は、この新型インフルエンザ専門家会議というものが、実はある意味で、専門家会議なので医師に偏っている、医師側情報に偏っているということを懸念するわけです。

 感染症はいつも人権問題とのせめぎ合いでした。ハンセンもそうでした。私は、この専門家会議の中に、この段階になったらやはり感染症と人権保障という視点の方を入れて専門家会議もやっていただきたいと思うんです。今ある中にはメディアの方とかは入っておられますが、例えばハンセン病の検証でも弁護士の方を入れたりしてやったわけですから、ここは大臣の采配一つですから、これから一番のせめぎ合いは人権だと私は思います。これは治験の問題もそうだし、隔離の問題も、封じ込めの問題もそうですから、ぜひ、そうした専門家をこの新型インフルエンザ専門家会議の中に入れていただきたいですが、どうでしょうか。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

舛添国務大臣 先ほど郡委員との質疑応答でも、私も同じようなことを考えておりましたので、ぜひ、そういう形でこのメンバーの拡充を図りたいと思います。

阿部(知)委員 そして、おまけに、この六千人のワクチン計画のこれから研究計画ができるということですが、当然ながら副反応が起こるわけです。医師主導型の治験でやった結果も、阪大微研株では、発赤とかも含めれば九四%くらいが出た。そういう軽い副反応でなくても、大臣のお手元の二ページ目を見ていただきたいですけれども、これは、従来のインフルエンザのワクチンで、平成十六、十七、十八年と、医薬品救済機構の中で実際に救済を受けた方の副作用の実例であります。

 例えば、大臣もよく御存じでしょうが、急性散在性脳脊髄炎などは、これを理由にして日本脳炎のワクチンは今中断しているわけです。数を見ていただくと、平成十六年二名、平成十七年四名、平成十八年六名と、これは打つ母集団がふえたということもあるでしょうが、ある確率でやはり起こり得るんだと思います、神経を好むウイルスであれば。

 そうしたことを考えると、今度行われます臨床試験において患者さんに被害が出た場合は、当然、医薬品救済機構にのるわけでありますが、でも、本当はワクチンは予防接種かなと思うが、実は予防接種の救済制度という方で救済されるわけです。救済一つとっても中身が違うんですね。

 これがまだ試験段階で、臨床試験で、あくまでも安全性についても、あるいは抗体の上がりについてもこれからなんだということをしっかりとお伝えした上で、そして、特にお願いしたいのは、これは郡さんもおっしゃいました、ある職種の人、例えば税関職員とか医師とか、つかまえやすい団体と言うと変ですが、水際になるそこの母集団だけをつかまえるんじゃなくて、広くやはり国民にこれはボランタリーですから求め、そしてコントロールスタディーができるように、例えばインフルエンザの抗体価の上がりを見ていくわけですが、これだけで見ても、例えば従来のインフルエンザの抗体の上がりはどうであるのかとか、必ず試験にはコントロールスタディーが必要なんです。

 そういうしっかりした制度設計、インフォームド・コンセント、危険も含めてしっかり伝える、そして、ちゃんとこの対比をとるという形で今後やっていただきたいが、これは健康局長でしょうか、お願いします。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 六千名の調査研究、今年度からやらせていただきたいということで、先ほど来答弁していますけれども、今言われたとおり、安全性、交差免疫性、免疫持続性、ブースト効果、これがまだわかっていないんです。したがいまして、委員がおっしゃいましたようなことで、ランダムスタディーを含めながらその研究計画を策定していきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 こういう研究計画の中にも、医師側だけの専門家ではなくて、被験者になる方の、患者さんの人権問題についても見識をお持ちの方をぜひ入れていただきたい。これは、大臣が先ほどの専門家会議でもおっしゃってくださいましたので。

 あわせて、もっとさらに問題、これも郡さんがお取り上げいただきましたが、子供については今度は臨床試験じゃなくて、医師主導の治療実験で行うという発表まであるわけですが、大臣、安全性もまだわからない、抗体が上がるかどうかを見るんだよ、その段階で、子供ですからお母さんに多くは同意をとるわけですよね。私が懸念するのは、もしそこで先ほど述べましたような重篤な被害が起きた場合に、お母さんは、自分の判断でまだ十分安全でもないものに子供をさらしたと、絶対に自分を責めてしまう。

 おまけに、この場合の補償は、医師主導型の治験は公の補償じゃないんですね。これは医師たちが入っている自賠責のような保険、例えて言って恐縮ですが、医師たちが個別に入っている保険なんです。当然、給付額も減ります、補償額は減ります。しかし被害は起こるかもしれません。

 大臣、子供について、私はもうちょっと後でもいい、ある程度安全性と抗体を大人で見てからだって遅くないんじゃないでしょうか。それは、受ける親側の懸念も含めてですが、どうお考えでしょう。

舛添国務大臣 今委員おっしゃいましたように、六千人、これは医療関係者などでまず臨床研究をやります。それのデータをきちんと見た上でやるということが、私は、若干時間はおくれても適切じゃないかというふうに考えていますし、今おっしゃったように、親の同意を得るといっても、今のような世論の状況だと我先にという形になって、結局、例えば脳脊髄の病を得たりするときになると、自分を一生責めるということになりますから、そこは慎重に対応してまいりたいと思います。

阿部(知)委員 厚生労働省の、本当に国民に正しい情報を伝える御努力をさらにお願いいたします。

 ありがとうございます。

茂木委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 この際、本案に対し、大村秀章君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大村秀章君。

    ―――――――――――――

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大村委員 ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、無症状病原体保有者について、新型インフルエンザ等感染症の患者とみなすこと。

 第二に、国は、新型インフルエンザ等感染症に係るワクチン等の医薬品の研究開発を促進するために必要な措置を講ずるとともに、これらの医薬品の早期の製造販売の承認に資するよう必要な措置を講ずるものとすること。

 第三に、国は、新型インフルエンザ等感染症の発生及び蔓延に備え、抗インフルエンザ薬及びプレパンデミックワクチンの必要な量の備蓄に努めるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

茂木委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、大村秀章君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

茂木委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

茂木委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 この際、本案に対し、大村秀章君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山井和則君。

山井委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、発生が時間の問題とされている新型インフルエンザの脅威から、国民の生命及び健康を守るため、次の事項について対策を講ずるべきである。

 一 新型インフルエンザが発生し、国内で大流行した場合の感染者数、受診患者数及び死亡者数等の推定については、諸外国の研究事例等を参考とし、様々な感染力や病原性を持つウイルスを想定したシミュレーションも行った上で試算を行い、これに基づいて行動計画及びガイドラインの再点検を行うこと。

 二 プレパンデミックワクチンについては、その有効性や安全性を研究するとともに医療関係者等優先接種対象者への優先順位や接種体制、接種時期等の接種の在り方について、早急に検討すること。また、これらの者以外であって接種を希望する者に対する接種について、ワクチンの安全性や接種体制の確保等を踏まえ、検討を行うこと。プレパンデミックワクチンの備蓄については、必要な量の確保に努めること。なお、副作用被害については、医薬品副作用被害救済制度の活用を周知すること。

 三 新型インフルエンザの感染予防対策の重要性にかんがみ、経鼻粘膜投与技術及び細胞培養による大量生産技術の開発等を推進すること。また、新型インフルエンザが出現した場合に、速やかにワクチンを大量に生産できるよう、必要な有精卵を確保するため、これらを生産する養鶏業者に対し、鳥インフルエンザ等の感染予防対策を支援するなど、必要な措置を講ずること。さらに、新型インフルエンザの大流行時において、全国民を対象に迅速かつ適切にワクチン接種ができるよう、薬剤師及び保健師等を活用した投与の在り方についても検討すること。

 四 抗ウイルス薬について、必要に応じ、新型インフルエンザへの一人当たりの投与量の見直しを検討した上で、必要な者への投与が可能となる備蓄量の確保を図るとともに、備蓄体制及び配布方法等を見直すこと。併せて、期限切れによる無駄等が生じることのないよう、安全性・有効性を担保しつつ有効期限の延長について検討すること。

 五 都道府県における感染症指定医療機関の指定及び協力医療機関の確保を支援し、必要な医療提供体制を整備すること。その際、これらの医療機関における院内感染防止策等入院患者の受入体制の整備や人工呼吸器等必要な医療機材の確保について必要な支援を行うこと。また、新型インフルエンザの流行初期における診断・治療体制を確立するため、都道府県による発熱相談センター及び発熱外来等の設置準備の進捗状況を総点検するとともに、これらに従事する医療関係者に対する研修・訓練等を実施すること。

 六 新型インフルエンザの流行時においては、医療及び救急搬送等に従事する者を含め国民生活の基盤を支えているサービス業務に従事する社会機能維持者が感染等により大幅に不足する可能性を想定した上で、地域ごとに医師会をはじめ関係団体との協力体制の確立に努めること。

 七 医療機関のみならず企業及び学校等集団生活を行う場においてもマスク等医療資材の確保に努めるよう普及啓発を図るとともに、必要な支援を講ずること。

 八 新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに係る海外の情報収集については、WHO及び諸外国の関係機関との一層の連携を強化し、最新の情報の入手・分析体制を確立するとともに、都道府県、保健所及び検疫所等の関係各機関相互の情報ネットワーク化を強化すること。また、緊急の場合において、各機関が適確な情報収集及び分析を実施できるよう体制を整備すること。

 九 ホームページの掲載等をはじめ、随時、国民に対して新型インフルエンザに係る情報を提供するなど積極的な広報活動に取り組むことにより、国民の理解と協力を促し、もって、その不安感の軽減に努めること。

 十 感染による健康への被害が大きいと考えられる子どもに対して、家庭、学校、地域において総合的な新型インフルエンザ対策を推進すること。

 十一 水道、電力等基盤産業や国及び地方の行政機関等による社会機能活動の維持に不可欠な業務を継続するための計画の策定について、当該機関に対して周知徹底を図り、策定を促すこと。

 十二 都道府県が策定した行動計画に基づく新型インフルエンザ対策の準備・進捗状況について総点検し、必要に応じて当該行動計画の見直しを含めた指導及び支援を行うこと。

 十三 海外からの新型インフルエンザ感染者の入国を水際で防止するため、各国際空港・海港における検疫所、入国管理局及び税関等関係機関の連携・協力体制を強化すること。また、検疫所においては、新型インフルエンザの発生状況に応じて機動的な対応が可能となるよう、サーモグラフィ等の機器の効率的な活用及び検疫官の応援態勢の整備等により体制の強化に努めること。

 十四 国立感染症研究所について、人員の配置等や地方衛生研究所等との連携の強化及び研究の支援等体制の強化を図るとともに、東南アジア諸国の感染症研究の支援・研修交流を推進すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

茂木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

茂木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、舛添厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

茂木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前十一時四十分理事会、午前十一時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十二分散会


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