衆議院

メインへスキップ



第13号 平成20年5月14日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十年五月十四日(水曜日)

    午前九時十一分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      井上 信治君    石崎  岳君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    櫻田 義孝君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      鈴木 馨祐君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    原田 憲治君

      平口  洋君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      階   猛君    園田 康博君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      三井 辨雄君    柚木 道義君

      伊藤  渉君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   財務副大臣        遠藤 乙彦君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院事務総局次長  増田 峯明君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            吉田 耕三君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   藤岡  博君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      川原田信市君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           荒井 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 外山 千也君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     平口  洋君

  萩原 誠司君     原田 憲治君

  松本  純君     鈴木 馨祐君

  内山  晃君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     松本  純君

  原田 憲治君     長島 忠美君

  平口  洋君     西本 勝子君

  階   猛君     内山  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     萩原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案(内閣提出第五三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長吉田耕三君、総務省行政管理局長村木裕隆君、行政評価局長関有一君、財務省主計局次長真砂靖君、理財局次長藤岡博君、文部科学省科学技術・学術政策局次長川原田信市君、厚生労働省大臣官房審議官荒井和夫君、医政局長外口崇君、医薬食品局長高橋直人君、社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、保険局長水田邦雄君、防衛省大臣官房衛生監外山千也君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長増田峯明君、事務総局第二局長小武山智安君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩原誠司君。

萩原委員 皆さん、おはようございます。

 また、昨日は、本会議、大変お疲れさまでございました。なかなか勉強する価値のある本会議であったと思います。

 両院で協議をしようというお話がありました。本当はまさにそのとおりかもしれません。しかし、協議をしようとおっしゃったのが衆議院のサイドの野党の方々でありました。参議院において、本来、協議をする意向があれば、参議院の方からそういう議論があってしかるべき。

 私たちは、この間、例えば議長裁定の結果どうなるか、三月三十一日までに議論は決するという、そういう約束を信じておったり、あるいは、きのうについて言いますと、三十分で趣旨説明が終わるというお約束を信じていたり、信じたことがだまされている、信じる者はだまされるということにつながる、これではなかなか前に行かないなと。やはり、もしきのう合意をしたとしても、参議院のサイドが自分たちは協議を求めていないと言ったら、これはおしまいになってしまった。

 そんなことを含めて、私たちは、国民の前に、言ったことを守っていく、そういう慣行というものをもう一度両院において確立をしたい、そのことを強く感じた昨日の本会議でありました。

 きょうは、高度医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律について質問をしたいと存じますが、その前に、昨年の十二月に、若干の質問の残りといいますか、宿題をお願いした件がございます。

 ハワイの真珠湾沖に沈没をしている私どもの旧海軍の甲標的と呼ばれている特殊潜航艇、海底三百数十メートルにあることがハワイ大学により確認をされ、そして中には恐らく御遺体が眠っておられ、私どもの地元の岡山の御出身の片山兵曹長であるということがほぼ確実、そして、地元で引き揚げについてのさまざまな動きがあり、具体的に言いますと、署名活動が地元及び全国的に展開をされている、こういうことになっています。

 お尋ねしたのは、この遺骨収集あるいは船体の引き揚げについて、今まで我が国は海没性のものについては触れないという方針であったんだけれども、諸外国ではそのとおりになっているのかということでございました。アメリカの政策について若干の動きがあった、あるいは知見が得られたというふうに聞いておりますので、お答えをいただきます。

荒井政府参考人 お答え申し上げます。

 海没遺骨の収集の外国の取り扱いにつきましては、私どもは内部資料を見つけることができませんでしたので、先生の御指摘をいただきましたこともありまして、外国に関する調査をいたしました。

 まず、アメリカでございますが、アメリカにおきましては、国防総省の専門機関でございますJPAC、それから海洋大気庁などによりますと、日本と同様に、沈没艦船の遺骨収集は行っておらず、海が永眠の場所であるとされておるところでございます。また、ドイツでも同じような形で、遺骨収集はしておらないということでございます。また、イタリアも、沈没艦船については、神聖かつ触れてはならないものということで、海そのものが墓場であるという認識に基づきまして、遺骨収集は実施していないということでございました。

萩原委員 そういう基本方針については前からわかっていたわけでありますけれども、例外的というか、一定の状況があるとアメリカ等においては沈没艦船が引き揚げられているということもまた事実であります。

 どういう考えでアメリカ等においてその引き揚げが行われているか、御報告をお願いいたします。

荒井政府参考人 今委員御指摘の話は、二〇〇三年に引き揚げられました沈没戦艦モニターに関することだと存じますが、このモニターに関しましては、文化財である、そういう認識のもとに二〇〇三年に引き揚げを行ったということでございます。

萩原委員 今、皆さんお聞きになったとおり、原則的には各国同様の対応をとっているんですけれども、文化財でありますとか、歴史的な価値が非常に大きくて、そしてそれに対して国民の方々が引き揚げを望むという署名をしたり、いろいろな形で機運が上がってくる、さらには技術的に可能であるということになった場合に例外的に引き揚げているというのがアメリカの対応だというふうに理解をしております。

 そこで、この件につきまして、厚生労働委員会の問題だけではないさまざまな問題があるわけでありますけれども、いずれにしても、その発端が遺族の方々の強い思いでございますので、ぜひとも継続的にこの問題については厚生労働省にも御関心を持っていただきたい。大臣の御所見を伺います。

舛添国務大臣 今議論がありましたように、海が永眠の場所であるということでありますけれども、御遺族、御家族の気持ちをおもんぱかれば、何としても遺骨を持ち帰って自分のお墓に一緒に祭りたいというのはあると思います。

 厚生労働省としても関心を持って、今後とも引き続き何とかそこをできないか努力をしてまいりたいと思います。

萩原委員 大変ありがとうございました。

 この問題につきましては、今後とも私も多くの仲間とともにさまざまな議論を展開していきますので、御支援をよろしくお願いします。

 続いて本論に入るわけでありますけれども、今回の法律を拝見しますと、私は、過去の事例を含めて、非常に勉強のされたいい法律である、そんなふうに見ることができるというふうに思ってございます。

 かつて、たしか百七十、国立の病院あるいは療養所等がございましたけれども、例えば国立病院につきましては、国立病院機構ということで一括して法人化をされた。そのことはよかったかどうかわかりませんけれども、今回は、一括をするんじゃなくて、それぞれの機関が独立をしてやっていく。理事長あるいはそのトップの方々の思いというものが組織とともに一括していく。

 国立病院の場合においては、現場の病院の声を聞きますと、あれを一括してやったのはよくなかったんじゃないかなとか、上がおもしになっているんじゃないかな、単に管理するだけの機構であって、自分たちの政策を実現する場になっていないんじゃないかな、こういう声もあったりする。そういうことも反映されている。

 あるいは、国立病院というものは政策医療の場でありますから、今回の場合について言いますと、政策提言機能を恐らく現場からの意向でもって付与することができた。そうしますと、今度は、国立病院は一体どうするんだということがまた一つ論点になってくる。

 あるいは、今回の法律、高度医療だけではなくて、それの研究ということを付して、日本の医療界全体を、あるいは医療技術を前進させよう、そういう方向性が明確に出ているけれども、そうすると、今度は、医療制度あるいは医療制度の中にある技術とのかかわりについてのさまざまな施策が本当にしっかりしたものになっているのかというような疑問がまた別途わいてくるわけであります。

 非常に刺激的な法案、今後、さまざまなほかの分野、過去の分野も将来の分野についてもこの法案の中身を実現させていこうとすると、いろいろな配慮やいろいろな影響を相互に与えながら制度全体を前進させていく必要がある、そういう意味がある大きな法案であるというふうに私は思っております。

 まず、その絡みで、周辺の影響なんですけれども、今回の独法化法案が成立をし、二年後にはいわゆる独法になるわけでありますけれども、そうしますと、百数十あった国立の機関が、残るのは十三のハンセン病療養施設だけになってくるということでございます。

 そして、このハンセン病の療養施設につきましては、これも昨年お尋ねしましたけれども、入所者の方々の高齢化あるいはお亡くなりになるということを含めて非常に数が減少していて、その数の減少が質的な変化につながっている。しっかりしたサービスを確保するための人員配置ができるかどうかとか、あるいは入所者の方々が社会復帰を目指してきたけれどもできなかった、しかし、最後に何とか社会の方々と一緒に住みたい、そこで存念を果たしたい、そんな思いが高じてきている。

 そこで、社会復帰の一つの形態として、一般の方々にもこの療養所の施設サービスを開放して、いわば共存型の施設運営に移行しようじゃないかということを含む、その転換を求める基本法の制定の動きがあるわけであります。

 現場の実態をよく御存じの厚生労働大臣にはいつもこの点についてさまざまな御指導をいただいておりますけれども、この問題を含めて、今後のハンセン病対策の方向を示そうとする基本法の立案、超党派で動いておりますけれども、この際、改めて、こういった一連の問題についての厚生労働大臣の御所見を賜っておきたいと存じます。

舛添国務大臣 皆さん、大変御高齢になっておられます。毎回お会いしても、本当に御苦労をなさったそういう方々が老後をしっかりと送ることができる、そして、そういうために、国立であるということはそういうことを意味するわけでありますし、議員の皆さん方が、基本法でハンセン病の療養所について、これは国の政策の間違いからきた話でありますから、それに手当てを今後もきちっとやるということは私は大変評価しておりますので、立法府の皆さん方がおやりになることでありますけれども、厚生労働大臣としてもしっかりとこれは関心を持って見ていきたいと思いますし、厚生労働省としてできるだけのことはやりたい。

 そして今後、時間が許せば、なかなか国会に行っていたりで体があきませんが、できるだけ多くの療養所を訪ね、そして皆さん方の現場をもっと理解し、施策に結びつけていく努力も重ねていきたいと思っております。

萩原委員 ありがとうございます。

 今大臣の口からできるだけ多くの現場施設に行ってみたいというお話がありました。私ども岡山は全国でも珍しく一つの市町村に二つの施設がございまして、お出ましをいただければ極めて温かく歓迎をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、本論の第一点でありますけれども、先ほど申し上げましたように、今回の法案、かなりよくできているなということを感じるわけであります。それはなぜかといいますと、単に独法になるだけではなくて、独法になることを契機として前向きな政策転換をしていこうじゃないかという意図が随所に感じられるからであります。

 具体的に言いますと、さまざまな面で六つのセンターというものを機能強化しようということになっている。そして、機能強化の第一項目は、私の資料を拝見しますと、人材の確保、優秀な人材あるいはさまざまに必要な人材の確保ということが今までよりもスムーズに、柔軟にできる、そういう環境をつくるんだということであります。

 現状では、例えば給与面での給与表の硬直性ということがございますので、世界トップクラスの研究者を獲得するということが困難、あるいは、優秀な外国人の方を、権力行使じゃないところはいいんですけれども、トップ近くに任用するというのは、これはできない。あるいは、もっと手近な問題で申し上げますと、現在各センターの方々の意見を聞いておりますと、医師の皆さんの労働環境は結構過酷だという話もありますし、また、さまざまなサポートスタッフの人員が不足をしている、そういうことも言われています。雇用の形態に関しても、事務職の方々に始まり、研究の補助の方々など、例えば、見ておりますと、パートタイムの人員に頼っている、そういう状態も顕在化をしているというふうに聞いております。

 こういった一連の問題、優秀なトップから、あるいはサポートの人材に至るまで、さまざまな人事上の工夫ができようということになっておりますけれども、独立行政法人化に伴って、定員、職種、あるいは常勤、非常勤の選択、配置等々、経営の自由度をどこまで拡大していこうと考えているのか、お尋ねをいたします。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

外口政府参考人 独立行政法人化後の国立高度専門医療センターにおきましては、国家公務員法、給与法等の制限が外れることにより、組織、定員、予算等について、各国立高度専門医療センターが自己の責任において中期目標を達成するために自律的、弾力的に対応することが可能となるものであります。

 例えば、各国立高度専門医療センターの判断により、大学や企業との人的交流、すぐれた能力を持つ外国人の幹部クラスへの登用などが可能となりますほか、給与法にとらわれない処遇をすることによる人員の補充なども可能となるものと考えております。

萩原委員 それはそういうことであるというふうに思います。

 確かに、例えば国家公務員全体の人数を規律している総定員法の枠から外れる、あるいは給与法の枠から外れるということなんですけれども、一方で、独立行政法人そのものについては通則法があって、ここではやはり合理化をしろとか人員削減をしろとかそういう圧力がかかることになっているはずなんですが、それは大丈夫なんでしょうか。その点も考慮した上でこの自由度は発揮されるとお考えでしょうか。

外口政府参考人 既存の独立行政法人の人件費につきましては、平成十八年に成立した行革推進法において、役職員に係る人件費の総額について、平成十八年度以降の五年間で五%以上を減少させることを基本として、人件費の削減に取り組むこととされております。

 この趣旨を踏まえつつ、独法化後の各国立高度専門医療センターにおいては、国立高度専門医療センターの役割が適切かつ効率的に発揮されるよう、組織のあり方、給与制度、外部委託の検討など、業務運営の見直しの中で適切な人件費となるよう必要な取り組みがなされるものと考えております。

 効率化すべきところを効率化しつつも、必要な部分は確保していきたいと考えております。

萩原委員 これは、言うはやすく行うはかたしという典型的な表現でありますけれども、全体として今回のナショナルセンターの問題については、やはり日本の医療というものをさらによくしよう、あるいは日本の医療を取り巻く各産業、医療機器でありますとか薬品とか、いろいろな産業も含めて、前向きなチャレンジをさらにしていくセンターになるんだという趣旨が根本にあるわけでありますから、もう少し積極的な位置づけをしなければいけないのかもしれない。

 削るべきところは削る、確かにそうかもしれないけれども、本当に削るべきところがそんなにあるのかということを考えたときに、運用の態度というものを、我々議会としても、この法案を通す際にどう考えていくのかということを議論する必要がありますけれども、もう少し積極的な観点からこの運用というものがなされるべきではないかというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

 そしてもう一つは、その自由度が確保された場合においても、給与表は直しましたよ、高い給与を払えるようにしたんですというようなことを言ってもいいんですけれども、資金がなければ給与は払えないわけでありまして、国の方からいわばじゃぶじゃぶと新しい支援をできる状況にあるかどうかというと、必ずしもそうではない。そうすると、次の論点になりますけれども、今回の独法化によりまして、いわゆる新しい資金ルートができる、そういうことになっている、外部資金の導入がより容易にできるということになっておりますけれども、それは一体、見通しとしてちゃんとしたものがあるんでしょうか。そのところをお伺いしたいと思います。

外口政府参考人 独法化後の国立高度専門医療センターは、引き続き、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に関して、臨床研究、医療の均てん化などの不採算な業務を適切に実施するため、まずは国からの運営費交付金等により必要な財源を確保することも重要であると考えております。

 現在、各国立高度専門医療センターは、国の機関であるために寄附金の受け入れが制限されているところでありますが、独法化の後では、寄附金を初めとする外部研究資金の受け入れにより、民間企業等との共同研究の実施なども推進していきたいと考えております。

 例えば、民間企業も利用可能な開放型研究拠点、いわゆる医療クラスターを国立高度専門医療センターに整備することとし、そのために必要な予算は平成二十年度においても確保しているところであります。当該拠点を積極的に活用して共同研究を推進すること等により、資金の受け入れが期待できると考えております。

萩原委員 そこまでは読めばわかるんですけれども、見込みがあるんですかとお聞きをしている。見込みがあるかどうかについては、もちろんこれからのことですからなかなかあれなんですけれども、いや、もうお尋ねがあったんだとか、提案が実はあるんだとか、あるいは逆に、独法化を予定しているここのセンターはこういうところで実は提案をしようとしているんだとか、そういうところをちょっと伺っているわけでございますので、もう一度答弁をお願いします。

外口政府参考人 今までの実績を申しますと、例えば国立循環器病センターなどにおきましては、人工補助心臓の開発等、かなりの成果を上げております。それから、国立がんセンターにおきましても、例えば肺がんを見つけるためのヘリカルCTの開発とか、そういった開発においても多大な成果を上げております。ただ、国立の機関であるがゆえに今までいろいろな制約がありました。だから、そういった今までの実績を踏まえますと、今まで以上にそういった共同研究の引き合い、それからオファー、そういったものはふえていくものと考えております。

萩原委員 今お話があったように、医療機器関係のところは結構確かに今までも実績があります。ここのところをぜひ生かしていただきたいし、その際、世界的な視野を持って、日本だけではなくて、どこでも組んでいくんだ、そして、その技術を日本に定着させ、日本の技術を世界一にするんだと気合いを込めてチャレンジしていただきますようにお願いをします。

 また、今回の法案の資料を見ますと、研究成果の実用化の推進ということも非常に強い期待ができる内容になっているというふうに存じています。医療現場への新技術の導入のニーズというもの、これはますます高まるというのが一般的な考えでございますけれども、その際に、技術や製品に関するトレーニング、これも必要ですし、それのみならず、専門家に来ていただいて、現場でその技術についてのサポートをしっかりする、正しく的確に技術が使われるようなサポートをしていく、そういう必要性も高まるというふうに考えられております。

 そこでお尋ねしますけれども、このような医療現場そのものの高度化やあるいは複雑化、さらには多様な専門家とのかかわりに関して、新しいセンターにおいてそれぞれの役割、責任の分担など、どのように進めていくべきかということ。つまり、医者の方がおられる、看護師もおられる、一方で機器や薬品等についての専門家も中に来なきゃいけない、そうすると、今度は新たなチームの構成が必要になってくる。そういったチーム構成というものが機能的にどうできるかというのが実は非常に大きな課題なんだけれども、その辺の認識をどう現場として持っておられるか。

 また、一般論になりますけれども、今、日本の医療を見ますと、いい面も悪い面もありますけれども、そういったチームの責任というものがほぼすべて医師の方に帰属をしている、医師に責任と権限が集中をしている、そして、逆にその結果として負荷が集中するというのが現状というふうになっている。そこで、ある種のシステムとしての分業体制というもの、他の分野の専門家を交えたチームとしての合理的な責任分担ということを考えていくべきではないかという指摘がさまざまなところからあります。

 一般論と個別論、お答えをいただきたいと存じます。

外口政府参考人 臨床の部門におきましても研究開発部門におきましても、他職種の方がチームで成果を上げていくということが大変重要になってきております。そして、臨床部門におきましては、近年一番問題になっているのは、病院に勤務する若手、中堅層の医師を中心に極めて厳しい勤務環境に置かれているということでもあります。

 これに関しましては、もともと医療はチーム医療でございますので、医師と医師以外の医療関係職種との間で適切な役割分担と連携を進めていくために、例えば二十年度予算、あるいは診療報酬改定、さらには、昨年末には、医師でなくても対応可能な業務について整理して通知を発出することによって、医療機関による医師と医師以外の職種が連携して医療を行う、進めるという取り組みを促してきたところでございます。

 それで、国立高度専門医療センターにおきましては、これは、独法化後、当該通知等の趣旨を踏まえまして、臨床部門におきましても適切に役割分担を進め、高度で良質な医療を継続的に提供することが期待されております。もちろん、これは研究開発部門でも同様でございまして、各職種がそれぞれの特徴と、それから連携を図ることによりまして切磋琢磨していい成果を上げていくよう、また高度専門医療センターにおいてもよく意を用いてまいりたいと考えております。

萩原委員 ありがとうございます。

 よく意を用いていただきたいんですが、どう違うんですか。聞いていて、一般論と個別論、ほとんど差がないように聞こえたんです。いや、同じなんだというのでもいいんですよ。結局は一般論で、適切な役割分担をすべての医療現場や研究現場に求めているのであるので、その範囲内の話なんだとおっしゃるのか、それとも、違うんだ、ここは政策提言機能もあるので、チーム編成や責任分担のあり方についてもチャレンジングなことをやってみて、いいものがあったら提言するんだ、そういう意気込みでやっていくんだというのとは、ちょっと違うんですよ。

 もう一度お答えを願います。

外口政府参考人 実例で申し上げますと、例えば国立がんセンターの研究所長さん、研究のトップの方、これはもう薬学の専門家であります。それから、国立循環器病センターの研究所、これも薬学の専門家であります。従来は、こういう医療機関に附属した研究所長さんというと医師が中心でしたけれども、やはりそれぞれの分野を代表する人については、トップリーダーはトップリーダーとして必要な人を充てて、その下で医師、薬剤師の方、それから工学部門の方、そういった方がそれぞれお互いに刺激し合って活躍できるような、そういった体制を今まで以上に組んでいきたいと考えております。もう既にそういった取り組みを始めているところでございます。

萩原委員 ということで、やはりこの新しいセンター、今でもそうなんですけれども、こういった仕事の仕方、体制の組み方についても、日本の先端を行く、あるいは日本の新しい分野を開く、そういう意気込みでやっていくんだということを確認させていただきました。ありがとうございます。

 続きまして、先ほどのお話にもありました、民間との共同研究は医療機器の分野が多いんだという話でございますけれども、医療機器などの分野につきましては、開発を担当しておられる企業やメーカーの方々、そして医療現場が非常に密接に連携をした形で研究開発を進めなきゃいけない。先ほどお話があったように、工学系の方がセンターの役職、トップ近くに行く可能性もあるんだということがそれをあらわしているわけです。

 そこで、いろいろな疑問があるわけですが、開発が最終段階に入ったときに、薬事法の承認申請を目指して行われる治験というものがあります。そのさらに前に、臨床現場で試作品を使用するなどして治験前のデータを取得していく、非常に重要な段階が治験前にはあるわけであります。

 こうしたいわゆる治験以前の臨床研究に関して、医師は使用する機器を個人輸入の形で入手せざるを得ないなどという話もたまに聞きます。そういういびつな形になっているんだという不満を聞くことがあるんですけれども、試作品の適正な提供のもとでスムーズな実施が本当は図られなきゃいけない。試作品は正式にみんな使えるんだ、個人輸入で密輸みたいなことをしてやっているんだというような話ではちょっとこれは困るんですけれども、こういった問題について、厚生労働省において今一生懸命取り組みがなされていると聞いておりますけれども、現状について御報告を賜りたいと存じます。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましては、必要に応じまして、ただいま御指摘のありました薬事法制との関係につきましても、それぞれの臨床研究の実施に関する計画を伺いまして、試作品の提供に関する事前の相談あるいは助言などを行っているところでございます。

 試作品を提供することにつきましては、未承認の医療機器の授与、販売などを禁じる薬事法との関係では一概に違反になるというものではございませんけれども、その提供などの態様はさまざまでございまして、薬事法上問題となるケースも間々あり得るということでございます。

 このために、薬事法との関係につきましては、個別のケースごとに提供方法あるいは提供の際の演述などを踏まえました総合的な判断が必要であるわけでございますが、先ほど申し上げました、試作品の提供に関する事前の相談あるいは助言などを適切に行い、また充実して、新たな医療機器の開発に向けた臨床研究が円滑に行われるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

萩原委員 今のお答えでわかることは、要するにこれからも個人輸入が継続されるだろうということなんですね。

 つまり、個別の問題なので、あるいは薬事法の問題があるかないかよくわからないので常に総合的に判断して適時適切にやっていくんだということであると、予見可能性がほとんどないんですよね。だからこそ、ある具体的な問題があって、この問題を上げていくとノーになるだろうから個人輸入でやっていこうみたいな話が起こってしまう。現に起こっているというわけですから、今のお答えはやはり今後の問題として非常に不十分だということを思わざるを得ない。

 もう少し明確な形、予見可能なスキームというものを治験以前のさまざまな研究について形式化していく必要があると思うんですけれども、いかがでございますか。もう一度お答えいただきます。

高橋政府参考人 すべてのケースが個人輸入になっているわけではないと思いますけれども、薬事法の原則として、未承認の医薬品、医療機器は科学的に有効性、安全性が確認されていないものでございますので、そこの原則は曲げるわけにいかないと思います。

 ただ、おっしゃるとおり、医療機器は医薬品とは違いまして、いろいろな試行錯誤の過程がありますので、その点についてどういうふうにやっていったらうまくやれるか、薬事法との関係に触れないようにしていくかということを考えなければいけないということで、やはりどうしてもそこに事前の相談が必要になるわけです。

 ただ、一般論としてこういうふうにしろというのは、私どももいろいろなことを考えているんですけれども、きょう、この場でこういうふうにやりたいというところまでまだ話ができていないということは御理解賜りたいと存じます。

萩原委員 局長も考えておられるということなんですが、もちろん薬事法で承認されていないものは確認をされていないというもとの原則があるんですけれども、一方で、海外では使われているとか、そういったカテゴリーもあるわけですね。あるいは、新しい機能があるんだけれども材料的には過去において承認をされたものだとか、さまざまな分類をしていくと予見可能性がふえていく分野がありますので、ぜひとも今後の課題として御研究をいただけたらと思います。

 ところで、こういった問題についても今回の独法化後の新ナショナルセンターの方々が役割を果たすことになるんだろうか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。

外口政府参考人 国立高度専門医療センターにおきましては、これまでも、治験中核病院として、国際共同治験や医師主導治験を実施するなど積極的に治験や臨床研究を推進してきたところであります。

 国立高度専門医療センターが独立行政法人化した後におきましては、寄附金等民間資金の受け入れや人事交流等も可能となります。こういった独法化のメリットを生かして、医師主導治験や高度医療評価制度等も活用しながら積極的に共同研究を実施することで、基礎研究の成果の臨床への応用研究や、未承認医薬品、医療機器を用いた臨床研究が実施しやすくなる体制となるものと考えております。

萩原委員 ありがとうございます。

 そういうことなんですが、さらに申し上げたいのは、先ほど申し上げてきたように、これは制度論が絡むんですね。事前に薬事法との関係を総合的に判断するという制度になっているんだけれども、その制度論に対して、現場として、あるいは日本の一番先端をやろうとしている新センターとして、制度そのものについても見直しをしたり、あるいは新しい変更を加えていくことを今度は提言できる機能がありますよね。そこを含めてどんな意気込みでやられるか、もう一度お答え願います。

外口政府参考人 国立高度専門医療センターについては、我が国の医療を総合的かつ戦略的に展開するため、その業務を実施する上で明らかになった課題や我が国の政策医療の展開について、国に政策の提言をすることができることとしております。

 このため、今後、御指摘のような課題も含めまして、国立高度専門医療センターにおける今後の医療や研究の成果によってさまざまな提言がなされるものと考えております。厚生労働省としても、こういった政策提言を参考として、適宜必要な検討、対応を行っていきたいと考えております。

萩原委員 そういう意気込みでしっかりとやっていただきますよう、お願いをいたします。

 ところで、先進医療技術に関しましては、先ほどからもるるお話をしておりますように、たまに未承認のものを研究段階で使う、あるいは医療現場で実地に適用してみるといったことが起こるわけでありますけれども、場合によっては、不幸にして何らかの健康被害というものが発生しないとも限らない、そういうときに被験者の方をどう救済するかということを考えておくこともまた重要な論点だというふうに考えます。

 そこで、医療機器等を用いた臨床研究や治験の際の健康被害についてはどういった補償を考えておられるのか、その点について厚労省の考え方をお伺いしておきたいと存じます。また、この点についても新センターがどういう役割を政策的に果たしていくのか、これについても意気込みを御披瀝いただきたいと存じます。

外口政府参考人 医療機器の治験を行う際には、当該治験を依頼する企業等は、医療機器の臨床試験の実施の基準に基づいて、被験者に健康被害が生じた場合の治療に関する費用そのほかの補償のために、保険への加入等の措置を講じておかなくてはならないとされております。このような民間保険により、被験者に対して補償が行われます。

 なお、被験者に対しては、治験に参加する前に、あらかじめ治験の内容等について説明を行い、文書による同意、いわゆるインフォームド・コンセントを得る必要がありますが、この際、健康被害の補償に関しても説明することとされております。

 また、医療機器を用いた臨床研究を行う際には、臨床研究に関する倫理指針において、被験者からインフォームド・コンセントを得る際に臨床研究に伴う補償の有無について説明するよう求めているところであります。臨床研究においては、健康被害が発生した場合の補償措置については、薬事法の治験と同様の補償保険を含め、現在、当該指針の改正に関する厚生科学審議会の審議において検討を進めているところであります。

 今後とも、治験及び臨床研究について被験者保護が適切に図られるよう努めてまいりたいと思います。特に、国立高度専門医療センターにおきましては、我が国のこういった研究開発をする施設の模範となるべき施設でございますので、特にそのセンターにおいては皆の模範になるような行動を示していきたいと思っております。

萩原委員 ということで、今まで全部の問題ではありませんけれども幾つかの問題についてお尋ねしましたが、結論は、この法律が通れば、いいことが可能だ、可能性が高まるということなんですが、可能性だけではだめなわけですから、現実にそれがならなきゃいけない、その際にやはり、現場の方々が一体どうしてくれるかということが最後の論点としてどうしても出ざるを得ないわけです。

 そこでお伺いしておきたいんですけれども、この法案をつくる際に現場の方々の意見が反映をされている、あるいはこの法案ができたときに現場の方々が、これはいいから頑張るんだと言っているのか、あるいはちょっとこれは大変だなと言っているのか、ぜひともお伺いをしたいんです。

 まず、有識者会議の話がありましたが、これについてどう反映されているのか。あるいは、今の時点において現場のトップの皆さんはこの問題、この法案をどう評価しているのか、それを厚生労働省としてどう認識しているのか。あるいは、現場で働いておられる組合員の方々もおられると思うんですけれども、その方々は一体何を言っていて、それに対して皆さんはどう考えておられるのか。お答えをいただきたいと存じます。

茂木委員長 外口医政局長、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

外口政府参考人 現場の意見でございますけれども、まず、法案の作成に当たりましては、各国立高度専門医療センターの総長さん方からいろいろな意見をいただきました。そして、この国立高度専門医療センターをそれぞれの施設で独立した法人形態とすること、それから、大臣に政策提言できる仕組みを設けること、こういった意見をいただいて、盛り込んでいるところでございます。もちろん、それぞれの総長さん方は、この独立行政法人化するためのメリットについてよく考えていただきまして、この趣旨に賛同していただいておるところでございます。

 また、現場の労働組合の方の御意見でございますけれども、これは十八年一月十一日に、独立行政法人化の方針を撤回すること、そして、国立高度専門医療センターの独立行政法人化についての情報を公開し、労使協議に応じること等の内容の申し入れをいただいているところでございます。

萩原委員 時間です。終わります。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、林潤君。

林(潤)委員 自由民主党の林潤です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、地元より国会に送っていただいた神奈川四区、鎌倉、栄区、逗子、葉山の皆さんに心より感謝を申し上げ、質問を始めさせていただきます。

 本日は、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案について質問をいたしますが、まず初めに最近の医療を取り巻く状況について何点かお聞きした後、本題に入りたいと思います。

 さて、この四月からスタートいたしました後期高齢者医療制度については、七十五歳以上になったら強制加入、あるいは制度自体が高齢者の切り捨てで現代のうば捨て山ではないか、あるいは保険料を滞納したら保険証を取り上げる、ほかにも、自由に医療機関を選べなくなるなど、事実とそして誤解と両方まじってたくさんの厳しい指摘を受けているのも事実です。

 無論、医療費の抑制と将来にわたって持続可能な国民皆保険制度を維持するという、そうした制度の趣旨は十分に理解をしておりますので、法案に賛成した与党議員の一員としては、この悪い点ばかりクローズアップされておりまして、情報が伝わらない、こういう歯がゆさは感じております。

 やはり、従来の制度を続けていけば、いずれ各保険組合はつぶれてしまいまして、高齢者保険の拠出金も払えなくなってくる、現役世代もまた、病気になっても医者にかかれない、高齢者を社会的に支えることもできない、こんな危惧があるわけでありまして、ここで立て直しをしていかなければいけないわけです。

 特に、七十歳以上で医療費全体の約七〇%を占めているという現状がありますので、七十五歳以上のお年寄りにも一割だけ負担してください、残りの四割を現役世代の保険料から、五割を税金から賄います、だから、団塊世代が十五年後に七十五歳以上になっても一人当たりの保険料はそれほど高くならず、制度も破綻しませんという主張は、それなりの説得力は持っていると思います。

 ただし、私は、制度の趣旨、根幹は、きちんと説明されれば理解をされるものの、制度を導入した時点で地方自治体や国民に制度の周知徹底が十分ではなかったと思うわけです。

 例えば、国民にとって一番の関心事は、納める保険料が国保のときに比べてどのくらい増減をしたのか、そして、改めてこの新しい保険証を持ってお医者さんに通う段階で、担当医制度の問題も含めて制度がどんな感じで変わっていくのか、フリーアクセスが制限されるとか一部報道があったりしましたけれども、こういう二点について周知が十分でないまま制度を移行したようにとられたと思いますけれども、所感をお聞かせください。

舛添国務大臣 今、林委員が御指摘いただいたような諸問題について、この制度自体は二年前の六月に既に決まっていたものでありますけれども、やはり、いろいろな点で周知徹底、この説明が十分できていなかったということは、きちんと反省をしないといけないというふうに思います。そして、制度の利点もあるわけですから、こういうことについてもきちんと御説明を申し上げたいというふうに思っています。

 それで、特にこれは広域連合の皆さん方にも頑張ってもらわないといけないので、市町村、広域連合、都道府県ですけれども、こういうところからの照会に対して土日も含めて対応できるようなホットラインを厚生労働省にも設けましたし、けさ、この午前中、全国の広域連合事務局長を集めまして、その会議で、現状がどうなっているか、こういうことをきちんと踏まえた上で、必要な見直しをするところがあればする、しかし、その前に制度を正しく理解していただくということが必要だろうと思います。

 それから、個々の人、個々の国民の立場に立って見たときに、各自治体によって補助があったりしていますと、その補助金の分を各自治体で今回これを機に廃止するということになれば、その補助金の分が実は大きく安くなる理由だった場合に、結局個々人から見ると高くなったじゃないか、こういうこともあると思いますので、できるだけ今実態を調べて、そしてきちんと対応してまいりたいと思っております。

林(潤)委員 ぜひ大臣にも、今後とも正しく理解をさせるための努力を続けていただきたいと思います。

 また、今回、保険料を年金から天引きされるということについても厳しい御指摘をいただいております。

 徴収する側から見れば、徴収するコストも省けますし、介護保険料と同じように天引きだし、どうせ払わなくてはならないものだから天引きの方が合理的ではないかという認識もこれは理解できると思います。しかし、取られる側からすると、既に働いていない、年金しか収入がない世代から有無を言わさず取るのか、きちんと徴収するなら年金問題も片づけなければならないし、天引きに際して従来より何らかの優遇措置があるべきだ、こういった御指摘を地元の有権者の方からもいただきました。

 日本は、国民皆保険を導入しているような先進国からすると、消費税の税率も比較的低いですし、健康寿命が世界トップクラスということは、私は誇りだと思っています。そこで、被保険者全体にコスト意識を持ってもらい、治療から予防へ、そして医療費抑制につなげるならば、医者になるべくかからないように持っていけるような取り組みというのも重要じゃないかと私は思っています。

 例えば、七十五歳以上の方で、私が地元で接した方で見ますと、老人会に出席してカラオケを元気で歌っていたり、歩け歩け会で非常に高齢なのに何キロも元気で歩いていたりとか、そういった医者にかからないで元気なお年寄りもおりますし、一方で、薬漬けや寝たきりのお年寄りというのもいるわけです。同じ保険料でありながら、トータルの医療費それから介護費が大幅に違うというような現状は、健康なお年寄りから見ると不公平感もあるのかもしれません。

 そこで、国としても、医者に余りかからないお年寄りに対して優遇措置を設けるような制度にした方が医療費の抑制につながると私は思うのですが、いかがでしょう。

 例えば、民間の自動車保険だと、保険を使わなければ等級が上がり、保険料の掛金も下がりますし、生命保険でも、数年に一度ボーナスがもらえる制度もあります。自動車の運転免許さえ、更新が五年に一度でよいゴールドカードを導入し、事故や違反抑制のモチベーションにつなげています。

 現在、七十五歳以上というのは一くくりにされていますけれども、医療費が年間一定の金額以下には、保険証を何か、例えば免許証と同じようなゴールドに変えるとか、何かを優遇するとか、ボーナスを支給するとか、医療費抑制に貢献した元気なお年寄りが健康づくりをみずから主体的に楽しめるような努力というのがあった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、そういった見解をお聞かせくださいませ。

舛添国務大臣 かつては、例えば会社で健康保険組合をやっているときに、一年間通じて一度も病院にかからなかった、これは保険組合から見ると大変貢献してくれたことになりますので、記念品を差し上げたりとかいろいろなことをやっていました。

 要するに、社会保障として考えた場合に、例えば民間の自動車保険と違うのは、本人が不注意で何度も事故を起こす、これは懲罰的に重くなります。しかし、もう何年も事故を起こさない、慎重な運転をしていただいている、民間の会社はそういうことにインセンティブを与えるということはやっています。

 ただ、日本の社会保障は自助、共助、公助ということで、私たちも、一生懸命努力しても、自分の責任で病気になるかというと、それはもうどういう形で病院にかからないといけないかということで、いつ病気になるか、だれが病気になるか、これはわかりません。そのときのために、まずみずから健康づくりに努力はします、今おっしゃった、歩いたりとか。だけれども、ひょっとしてかかった場合に、みんなでやはり助けましょう、そして税金も必要なら使いましょう、こういう形で成り立っていますから、私は、そういう発想は悪くはないと思いますけれども、国がやる社会保障制度で、自助、共助、公助という組み立てがある社会保障制度になじむかなというと、少しなじまないんじゃないかなと思います。

 ただ、健康で長生きできるというのは本当にいいことですから、そういう意味で皆さんが努力をなさるということは、それは何らかの形で高く評価をする必要があると思いますけれども、社会保障制度として言ったら、今のような、いつ、だれに、どこで起こるかわからない、そういうことに対する保障だということであれば、広くみんなで支えるという発想であって、そこにインセンティブや逆のモチベーションが働くのはちょっとなじまないかな、そういう感じを持っております。

林(潤)委員 もちろん、大臣の言うことは十分に、おっしゃるとおりでして、国がやる社会保障制度のあり方というのは当然考えなきゃいけないわけですけれども、ただ一方で、ビタミン剤がちょっと欲しいからお医者さんにかかってみたりとか、風邪でも、一日休めば済むようなものをあえて行ってしまうとか、そういったことの防止に役立てればということであくまで提言したわけでありまして、とにかく、病気をすれば健康保険証一枚でいつでもどこでも医者にかかれるというのが我が国の誇りでありますし、元気なお年寄りでいることが、医療費抑制に貢献できるということが誇りになるような明るい制度設計をさらに続けていただきたいと思います。

 続いて、これも四月から始まったものですけれども、メタボリックシンドローム予防のための特定健診についてです。

 当然これは、制度について医学的な見地からも論点は多々あるわけです。メタボ定義が身長、体型を余り考慮していないとか、一律にウエストを基準にするのはいかがなものかとか、あるいは本当に予防の有効性に向けた検証がなされているのかとかそういったことを含めてなんですけれども、ここでは、私、受診率の低い自治体がペナルティーとして科せられる後期高齢者医療制度への負担増のシステム、これについてちょっと伺いたいと思っています。

 五月十二日に読売新聞の朝刊で出ていたんですけれども、全国の市町村のうち、健診を無料にするのが二六%、保健指導を無料にするのが八五%に上っていたということが判明したといいます。受診率を引き上げるために自治体が無料化に踏み切ったんでしょうけれども、無料化は当然、市町村の財政を圧迫いたしますし、保健指導の質や福祉予算の削減も招きかねず、そうなると、制度自体が、ねらいが本末転倒になってしまいます。

 こうした市町村は、当然、国に対する財政支援とペナルティー制度の廃止を求めておりますけれども、国の考えをお聞かせください。

水田政府参考人 特定健診、それから保健指導に関するお尋ねでございますけれども、考え方そのものは、こうした健診等の取り組みが進みますと、結果として、健康で医療の必要性が低い高齢者が増加することになる、そして、そのために、こうした健康な高齢者を長寿医療制度に送り出した保険者には後期高齢者支援金の減算を行う、こういう考え方に立っているわけでございます。

 ただ、その加算、減算のあり方につきましては、平成二十五年度からの実施でございます。まだ時間がございます。その間に、御指摘の点も含めまして、特定健診、保健指導の実施状況を確認しながら、関係者とよく相談していきたいと考えてございます。

 それから、補助のことがございましたけれども、この費用につきましては補助を行うこととしておりまして、その上で、費用負担につきまして、それを軽減するといたしましても、各保険者がみずからの財政事情等も考慮して、無理のない範囲で計画的に行われるべきものである、このように考えております。

林(潤)委員 無理のない範囲で計画的に行っていただきたいと思います。

 ちょっと長くなりますけれども、本題に入る前に最後に一個だけ、お産のことについてちょっと伺いたいんです。

 私の地元の鎌倉市でお産に関して新しい構想が進んでおりまして、鎌倉市医師会立の産院を来年一月めどに開設しようとしています。鎌倉市は今年度の予算に新規事業として約三億二百万円を計上し、市が建物改修などハード面、医師会が運営や医師、スタッフの確保のソフト面を担うという構想であります。

 鎌倉というのは人口十七万人ちょっとなんですけれども、現在のところ、市内の総合病院の湘南鎌倉病院だけが分娩を扱っておりまして、年間千二百ぐらい分娩数があるうちの七割は市内で分娩することができません。

 構想では、鎌倉市医師会の産院というのは、ベッド数が九床程度で、五、六日の入院期間で年間三百人の出産対応を見込んでいます。帝王切開を含む通常のお産が対象で、産科医三人、小児科医一人、助産師七人など十八人の常勤スタッフが常駐をいたします。

 このように、人口十七万という決して大きくない規模の地方自治体と地元医師会が協力して新たに産院を立ち上げるというのは、全国的にも珍しい例だと思っております。

 こうした思いはあるんですけれども、ただ、本当にずっと継続していくことができるかという厳しい指摘があるのも事実でして、国も、少子化対策、国を挙げて実施していくということは何の異論もないことだと思いますけれども、万一、せっかく立ち上げたこの産院が懸念どおりに人材難や経営難で閉鎖してしまう、こういう事態に陥ったならば、続くような自治体ですとかこういったお産に関心がある国民からも大きな失望を招くのではないかと思います。

 そこで、こうした自治体や医師会の独自の取り組みで産院を新たに立ち上げようとすることに対し、国としては何らかのバックアップなどはできないものか、ぜひ前向きな答弁をお願いいたします。

西川副大臣 お答えさせていただきます。

 周産期医療に関しましては、本当にさまざまな点で医師不足の問題がずっと叫ばれておりまして、大変御迷惑をおかけしております。

 その中で、長期的な政策としては、もちろん、大学の定員をふやしたり、あるいは女性医師がやめないで済むような、院内助産所をふやしたりとか、いろいろな長期的な政策は出しているんですが、とりあえず短期に、今どうするんだ、そういうことで、今回、この鎌倉市の取り組み、本当にある意味でありがたいな、そういう思いも持っております。

 昨年五月に緊急医師確保対策を早急に取りまとめましたが、その中で、今回、大幅に医師確保対策の予算をふやしました。一・七倍、百六十一億円の予算を今年度は組んでおります。その中で、今おっしゃったように、鎌倉市が僻地に当たるか、それはちょっと判断が分かれるところですが、地方の、数は少ないんだけれども絶対にお産を確保してほしい、そういう病院に対してはある程度予算面の補てんをする、そういう制度も今回つくっております。

 それから、院内助産所をつくるのに補助を出したり、そういうことをしております。それから、診療報酬自体を、もちろん産科の診療報酬を大幅に、少し今回上げさせていただきました。

 それから、ベッド数の策定はその市町村、自治体が決めるわけですが、それもある程度、一定の枠を超えても産科に関しては新規につくってもいいしふやしてもいい、そういういろいろな方策を今考えておりまして、精いっぱい応援をさせていただきたい、そういうふうに思っております。

林(潤)委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 こうした医師確保の予算をふやして、僻地というような対象だったんですけれども、自治体でも医師会と連携して取り組んでいるようなところにもぜひ枠というか対象を広げることも今後検討して、こうした独自でやるような取り組みがどんどん促進されるような形で、国のバックアップをお願いしたいというふうに思います。

 さて、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案ですが、国の医療政策に対し国民の厳しい視線が注がれる中、国立高度専門医療センター、以下NCと呼びますけれども、これについて、行革推進法ができたから単純に独法化しました、だから今までより人事や資金などでちょっと改善をされますよというのではなく、これを機会に、国の医療政策と一体となって日本の医療全体を牽引していくような、志の高いものにしていただきたいと思うわけです。

 そこで、NCを独法化してそれだけ志高いものにできるのかというのが大きな問題になってきます。

 私は、大きなポイントは、国が近年、医療政策で、民間の病院に対しまして、診療報酬を通じて看護師の配置基準や患者の在院日数を見直すなど、正直に言えば、やはり厳しい経営を強いていると言っていいと思います。

 こういう一方で、国立がんセンター初め六法人は、事業規模の約二割から四割を一般会計から繰り入れして、つまり税金の補てんを受けて初めて成り立っているということです。さらに、独法化をしたとしても、これまでの一般会計から繰り入れと同じ規模の運営費交付金を受けて運営するわけで、結局のところ、これまた税金を補てんするということには変わりないわけです。

 つまり、国民からはこんな素朴な疑問が出るでしょう。民間の病院は診療収入や寄附などで成り立っているから、運営コストを一円削るのにも必死になり、なおかつ医療の質を落とさないように努力しているところがほとんどなのに、国立病院は独法化しても診療収入で足りない部分は依然として税金で補てんされるのかということです。

 例えば、民間の美術館や博物館などは、個人で運営し、事業収入だけで経営するのには非常に困難な事情があります。しかし、国が運営するならば、民間にはないような国宝級の展示品や企画もあるし、そもそも事業収入ではペイしないという前提に立っているので、国立美術館を独法化しても理解が得やすかったように思います。

 しかし、病院の場合は、民間は診療収入できちんとやっているような事情がありまして、それには国ならではの特別な付加価値がつくべきだと私は考えております。独法化する理念は非常に強く理解はできますけれども、国民から、これなら税金を補てんしてもいいなと思われるような独立行政法人にしなくてはなりません。

 例えば、国立がんセンターは、日本一の臨床例を持ち、国内最大級のがん治療専門施設として多くの患者さんがかかっておりますけれども、約四百五十億円の事業規模のうち二二%を税金で補てんしています。当然、がん予防・検診研究センターなど研究機関も併設しているわけでありますが、そもそも、この独法化は、治療を目的としているのか、それとも研究や技術開発などを主眼にしているのか、わかりにくい部分もあります。

 治療だけなら、民間と同じように、診療収入だけで独立採算制にするという考え方があってもよいと思いますし、臨床例を多く欲して医学の向上に役立てるということならば、民間の大学病院でも普通にやっていることですが、民間とどう違うのか。税金を投入するなら、民間と大きくコンセプトも技術も違うということが必要かと思います。

 私は、治療よりも研究や技術開発、そうした機能をもっと特化していただき、国立ならではの最先端技術で国内の医療技術の大いなる発展に尽くしてもらいたいと考えておりますけれども、この独法化の目的や趣旨はどこにあるのか、お聞かせください。

西川副大臣 お答えさせていただきます。

 国立医療センター、これが今回独法になりますけれども、研究か治療かと。もちろん研究が主でございます。我が国の高度の医療政策をこれから引っ張っていくための基礎研究を含めた中での研究がもちろん大きな、一番大切な仕事だと思っております。その中で、臨床研修ということがやはりまた不可欠なことも事実でございまして、その大きな研究成果を臨床の場でいかにうまく実証していくかという、相互の効果というんでしょうか、そこがやはり一番大事なんだろうと思うんですね。そういう意味で、やはり、独法になったこの医療センター、ナショナルセンターの意味というのは大変大きいと思います。

 その中で、独法化されて何がいいかというと、国立でしたら、国家公務員法によって人材交流が大変規制がかかっていたわけですけれども、その辺のところが自由になるということで、いろいろな人材の交流が非常に頻繁になる、まずこれが大きいと思います。

 それから、もちろん、特別会計から会計的に少し担保されているという、その部分は確かにあるんですが、もう少し民間からの寄附とかそういうことが自由に受けられる、これはやはり先進的な研究に大いに寄与する、そういういろいろなことがあると思います。

 その中で、非公務員型の独立行政法人になることによりまして、ベンチャー企業あるいは産業界との連携、そういう、いわば非常にアグレッシブにこの国立医療センター、ナショナルセンターが動いていく、そのことが大いに期待されると思います。

 翻って、それを臨床という場でしっかりと担保した上で、先進医療の大きなリーダーになってもらいたい、そういう思いでおりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

林(潤)委員 研究が主であるということ、よく理解しました。そしてまた、そのためには臨床の研修、サンプル数も多く必要だということも理解をいたしました。

 こうした中、昨年度、国立がんセンター中央病院の麻酔科医師が、十人が常勤だったんですけれども、五人が退職してしまったというニュースについて、私は衝撃を受けました。非常勤で対応するにしても、当然、手術には支障が出るわけです。

 麻酔科医師の大量退職の大きな原因は、給与の基準にあります。やめた医師たちは、退職後、ほかの待遇のよい民間や県立の病院へ転籍するということで、がんセンターの麻酔科医師の給与は三十代中堅で年収七百万から八百万だったと聞いております。麻酔科医師は全国的に不足しており、大阪府内の公立病院では年収三千五百万で常勤医を募集した例もありますし、麻酔科医師の年収は、県立なら一千万円強、民間病院なら通常は千五百万円から数千万円が相場です。非常勤でも週百万稼げる例もあると聞いております。

 無論、外科医に比べて、手術中しか対応しないために患者さんからも感謝されにくく、朝から何回も手術に立ち会って相当数こなしていることで、精神的にもなかなか大変だと思いますけれども、これも、国立がんセンターにいるという誇りで続けてきたんじゃないかなと思っています。

 一般的に官民格差という言葉があります。その官民格差、例えば、地方の中核都市ぐらいですと、市営バスがありますが、その市営バスの運転手の給料と、その同じ地域の民間のバスの運転手の給料を比べてみますと、ひどいところは二対一とか、そういう状況もあるわけで、二対一以上になっているところもあると思います。

 公務員と民間とを比べて、同じ仕事をしているのに民間の給与が安いという官民格差はたくさん指摘されていますけれども、今回は、逆官民格差という珍しい逆転現象じゃないかなというふうに思っています。当然、ラスパイレス指数による国家公務員ゆえの制約というのもあったんでしょうけれども、こうした、専門的であっても給与が平均水準以下に抑えられていたということで、人材流出を招く結果となってしまいました。

 独法化した場合、こうした国立施設としての制約を取り払い、より優秀な医師の確保が可能だと聞いておりますけれども、こうした麻酔科医師の給与を一般的な賃金へと大幅に上げることもできるのでしょうか。国内最大規模のがん施設が優秀な人材を確保し切れなかったということは残念だと思いますけれども、大臣の感想と、それから今後の見通しについてお聞かせ願います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

舛添国務大臣 産科の場合も外科の場合も、麻酔科医が一緒にいないと、例えば帝王切開なんというのはできませんね。そういう意味で非常に重要なお医者さんたちが五名一度にやめたというのも、今委員御指摘のように、待遇、処遇、給与、それに尽きるわけであります。それで、皆さん方は民間に行かれる、都立や県立に行かれる。それの方が給料がいいからであります。

 やはり私は、こういうところはきちんと直していくべきだというふうに思っておりまして、これは、国家公務員ですから、この給与を決める組織は人事院であります。したがいまして、五月九日付で人事院に対しまして、国立高度専門医療センターに勤務する医師の給与が余りに民間に比べて少な過ぎる、したがってそれを改善していただきたいという要望を出したところであります。

 こういうことはやはりきちんと要求をする、そして人事院も、やはり、重要な職務を担っている方々が国家公務員であるがゆえに民間に比べて余りにも低い処遇しか受けていないということは、私は改善すべきだと思いますので、この要望が実現するように、引き続きさらなる努力を続けていきたいと思っております。

林(潤)委員 大臣の、こういうところを直していくべきだという言葉で私は勇気づけられました。

 本当に、私、七百万、八百万と聞いたときに、ショックでしようがありませんでした。友達にも医者がたくさんいますけれども、どうしてそんな給料で死ぬほど働かされているのか。

 麻酔科医の勤務の一日とかをまともに見ていったら、そんな七百万とかでできるような仕事じゃないというふうに私は思います。超過勤務は表示で出ている以上のものがあると思いますし、実際の仕事、勤務が終わってからも、レセプトをやったりですとか、また別の仕事もしていかなければいけません。そうしたことも考慮して今回人事院の方にきちんと要望いただいたということで、また人材も奮い立つんじゃないかなというふうに私も思っております。

 今後、必ず見届けて、民間とほぼ同じ水準を、これは本来民間よりもっともらえて当然だというふうに私は思っております。そういうところはめり張りをつけて、優秀な医師確保に向けてさらに所管大臣として努めていただきたいというふうに強く要望申し上げます。

 また、これまで外国人幹部の登用にも制限がありまして、独法後は外国人の参入もできるというふうにしておりますけれども、現状の受け入れはどうなっているんでしょうか。そして、今後は外国の極めて水準の高い医師をセンター長に受け入れるようなことも法的に可能だということなんでしょうか。

外口政府参考人 まず、外国人の受け入れの現在の仕組みでございますけれども、我が国では、医療の質を確保するため、医師国家試験において、受験者の国籍にかかわらず、臨床上必要な医学及び公衆衛生についての必要な知識及び技能等を有しているかを確認し、そして、医師国家試験に通った方は外国籍であっても医療施設に従事することは全く構わないのでございまして、二千三百七十七人の方が今外国籍の医師でございます。

 この外国人医師の受け入れについては、今後も、国籍にかかわらず、医師国家試験により受け入れていくことが基本でございますけれども、これに加えて、日本で外国人医師が医療に従事する方法の一つとして、臨床修練制度というのがございます。この臨床修練制度におきましては、医療に関する研修等を目的として来日した外国人医師が、指定病院において日本人の指導医の指導監督のもとで行うなど一定の条件を満たす場合には、日本の医師免許を受けなくとも医療行為を行うことが認められている、こういう制度でございます。

 それで、そうは申しましても、やはり処遇面とかをかなり配慮しませんと、特に特別な能力を持った方を受け入れる、特に研究開発部門ではそうでございますけれども、そういったことはなかなか困難でございます。そこで、今度、国立高度専門医療センターが非公務員化ということになりますと、今は所長、副所長クラスであると全く無理なのでございますけれども、かなりのハイランクのところにもまた新たにポジションを設けてというようなことも含めて、国内の医療水準向上のために刺激になる方には大いに来ていただいて働いていただきたい、そのように考えております。

林(潤)委員 ぜひ、現行制度もしっかりあるわけですし、弾力的運用と、また独法になることで待遇が改善できるということで、日本人、外国人にとらわれず、優秀な人材をどんどん入れていただきたいなと思っています。

 それで、NCごとに法人化をすることでさらなる効率性を追求できるほか、センターの研究員がベンチャー企業と技術連携をいたしまして人材交流を通じた研究体制を強化する、こんなことが期待できると思いますけれども、そうした方向性を大切にしてもらいたいです。

 さらに、ただ、せっかくですから、厚生労働省内の医療機関だけじゃなくて、我が国全体の医療技術、科学技術の発展に寄与できるような機関にはならないものなのでしょうか。

 例えば、国立国際医療センターは、感染症など細菌についての研究もしておりますけれども、防衛や治安の観点からしても調査研究の成果というのが生かせるかもしれません。当然、防衛省の管轄でも、独自でテロを想定しました感染症や細菌の対策をしているでしょうけれども、せめてこうしたNCを機会といたしまして、そうした人事交流なども促進できないのかというふうに思いますけれども、米国のNIH、国立衛生研究所などの例も挙げながら、構想をお聞かせください。

外口政府参考人 国立高度専門医療センターは、研究開発を中心とする方向を今度強く出しているわけでございますけれども、やはりこれは、限られた国立高度専門医療センターに引き続き税金をつぎ込む以上は、ほかの医療機関にないことをやるんだ。一般の医療で治療法のある病気であれば、これはそれぞれの医療機関が一生懸命頑張ってできるわけですけれども、やはり一番難しいのは、治療法のない病気をどうするか、患者さんが治療法を待ち望んでいることにどうこたえていくかだと思います。

 また、新型インフルエンザの場合もそうですけれども、未知の感染症のように、一つの医療機関がどんなに頑張っても対処できないような状態があります。こういった場合にも、だれかがこたえなきゃいけない。こういったことにこたえていくのが、やはり税金をつぎ込んでいる国立高度専門医療センターの使命であると思います。

 そういった使命を実施していく過程においては、人材交流も今までどおり以上に行い、それから、研究開発を進めるに当たっても今まで以上の柔軟性を発揮していく、こういったことを進めながら期待にこたえていく、そういった施設にしていきたいと考えております。

林(潤)委員 ぜひ柔軟に対応してもっと門戸を広げていただきたいのと、あと、先ほど使命というお言葉をお聞きしましたけれども、やはりこれは非常に大事なことだというふうに思います。

 最後に、今後の各独法について、経営とか運営の見通しがどのようになるかということをお聞きしたいんですけれども、時代の流れからして業務の効率化や経費の縮減というのは当然だと思います。ただ、運営が理事長と構成される理事でなされるということなんですけれども、その理事の大半が医師や研究者など医学的専門を持った方がなると聞いております。しかし、ある程度の効率化や経費縮減などを考慮するならば、専門性に頼り過ぎるよりも、文系の、企業経営や医療政策の専門家、あるいは経営コンサルタントなどにも幅広く運営に携わってもらった方が偏りがないのではないでしょうか。

 また、寄附金も受けられると聞いておりますけれども、本来、寄附を得た分は、交付金を減額するなどして将来的には交付金の事業費に占める割合を下げていくべきじゃないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

 経営、運営の見通しをお聞かせください。

外口政府参考人 経営の見通しでございますけれども、確かに安定的な経営を支えるための財源というのは大変重要でございます。

 やはりセンターの性格上、どうしても不採算な部門というのを抱えることになります。それは一般の研究部門もそうでございますし、それから、神経難病とかそういった難病関係の病気の医療というのはやはり不採算部門になります。さらには、競争型の、研究開発費をもらえるような華々しい研究はいいんですけれども、地道な研究もやはり国の使命としてやっていく必要があるわけでございます。そういった不採算部門については、御理解をいただいて、やはり運営費交付金ということで確保していきたいと考えております。

 それから、そうは申しましても、やはり一般部門については収支相償というのが原則でございますので、それを進めていくために、やはり経営感覚というものは御指摘のように大変大事でございます。確かに理事は、恐らく総長、院長、研究所長といった方がそのまま理事になるのが基本でございますけれども、自律的、効率的な運営を行わなくてはならないことから、経営感覚を有しているということも条件として大変大事でございますので、理事については、独立行政法人化後の各国立高度専門医療センターの長が最終的に決定するものではありますが、業務運営の効率化、質の向上等を図る観点から、これを各総長の責任において定めていきたいと考えております。

林(潤)委員 私も、使命を忘れないということがあれば不採算はどんどんあってもいいと思います。そういう形で研究技術開発に大きく貢献するということが不可欠だと思います。

 今回の独法化を契機に、日本の医療政策をリードしまして、中央の高度技術を地方にもぜひ波及していただきたいと要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

吉野委員長代理 次に、福島豊君。

福島委員 どうも御苦労さまでございます。

 国立がんセンター、また循環器病センターを初めとするナショナルセンターは、日本の医療の水準を高めるための牽引車として頑張ってきたということは間違いがないと思っております。今回のこの独立行政法人化を経ましても、こうしたセンターが今まで担ってきた機能というものをしっかりと維持しなければいけませんし、そしてまた今まで以上に強化をしていく必要がある、これがまた時代の要請であろうというふうに思っております。

 そうした視点から確認的にお聞きをしたいと思いますが、今回のナショナルセンターの独立行政法人化の趣旨、またメリット、そしてまた非公務員型となるわけでありますけれどもその理由について、政府の御見解をお聞きしたいと思います。

外口政府参考人 国立高度専門医療センターについては、行政改革推進法等において非公務員型の独立行政法人とすることが決定されており、この法案はそのための所要の措置を講じるものであります。

 国立高度専門医療センターを非公務員型の独立行政法人に移行させれば、大学や企業との人的交流、すぐれた能力を持つ外国人幹部の登用などが可能となることや、国の機関ではなくなるために寄附金など民間資金の受け入れが容易となること等から、研究部門につきましてはより積極的な研究の実施などが可能となり、迅速な研究成果を得ることができると見込まれております。

 これによって、研究機能を中核とする国立高度専門医療センターにおいては、国の医療政策と一体になって我が国の医療を牽引し、かつ世界の保健医療の向上にも寄与するものと考えております。

福島委員 いろいろと可能性がある、いかにそれを活用するかという話なんだろうと思います。また、そろばん勘定だけでやったのではその本来持っている機能というものは衰退していってしまう、こんなふうに私は思います。

 先ほどもありましたけれども、ナショナルセンターを独立行政法人化することで、研究においても特許が取れたりとか知財の関係で収益が上がる、こういった採算性が重視されることになって、なかなか成果が出ない地道な研究というものがかえって光が当たらなくなるんじゃないか、こういう懸念は、実際にナショナルセンターで研究に携わっている方々にもあるだろうと思います。

 例えば疫学的な研究、これはなかなか特許に結びつくとかそういう話にはなりにくい話でありますけれども、しかしながら、例えばがんの治療であれば、こういった疫学的な研究というものは日本のがん医療を向上させるためには不可欠なものであります。

 こういった基礎的な必要な研究、こういうものもしっかりこれからも確保できるように頑張っていただきたいと思いますが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。

    〔吉野委員長代理退席、宮澤委員長代理着席〕

外口政府参考人 国立高度専門医療センターにつきましては、独法化後におきましても、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に関して、臨床研究の推進、医療の均てん化などを行うことにより、我が国の医療政策の牽引車としての役割を果たすこととしております。

 そのためには、研究開発のリスクが高い等、不採算な研究であっても、我が国の医療技術の向上を図る上で必要な研究については、引き続き実施される必要があると考えております。もちろん疫学部門も、同じように非常に地道な研究ではありますけれども、これも絶対に必要な研究でございます。

 こういったことを踏まえまして、厚生労働省におきましては、中期目標の指示、中期計画の認可、長の任免、予算の確保などを通じて、地道に続けるべき必要な研究も含めて、こういった大事な研究が行われるよう努めてまいりたいと思います。

福島委員 しっかりと中期計画をつくっていただきたいと思います。

 ただ一方で、財政的な基盤がしっかりしませんと、それぞれの独法化されたナショナルセンターにおいてもさまざまな変化があるんだろうと私は思います。

 独立行政法人化後の各ナショナルセンターの経営の見通しは一体どうなるのか。とりわけ、財政融資資金から、平成十八年度でも二千四百十一億円の借入金が存在いたしております。こういったものが経営に影響を与える、このことも間違いないというふうに思いますし、また、各センターはそれぞれ担当しておる疾患の領域が異なっております。そういう意味では、各センター間でまた経営の格差というものが生じてくるんじゃないか。こういったことが中長期的に研究のあり方にも影響を与える懸念もあるわけでありますけれども、この点についての見通しをお聞かせいただきたいと思います。

外口政府参考人 現在、各国立高度専門医療センターでは、国立高度専門医療センター特別会計で運営を行っております。平成二十年度の予算では、国立高度専門医療センター特別会計の歳入は全体で千五百二十億円であり、このうち四百三十八億円については一般会計からの繰り入れ、繰入率ですと二八・八%となります。

 独法化後の各国立高度専門医療センターの収支見込みにつきましては、まだ未確定な要素もありますので単純に推計することはなかなか難しいわけでございますが、国からの運営費交付金を初めとして必要な財源を確保するとともに、経営改善策等を着実に図ることにより安定的な運営を目指していきたいと考えております。

福島委員 行革推進法第三十三条第二項におきましては、「借入金に係る債務の処理その他これらの機関の事務及び事業の適切かつ安定的な運営を維持するために必要な措置を講じた上」、このように規定されております。先ほど借入金のことは指摘をさせていただきましたが、今後具体的にどのような措置を講ずるのか、お考えをお聞きしたいと思います。

外口政府参考人 国立高度専門医療センター特別会計におきましては、例えば建物及び医療機器の整備に要した長期借入金の債務が存在しております。これらの債務の法人への承継に当たりましては、行革推進法第三十三条第二項の規定の趣旨を踏まえ、独法化後の各国立高度専門医療センターの安定的な運営の維持という観点から、適切に対応する必要があるものと考えております。

 具体的な措置の内容につきましては、今後、経営状況や資産、負債の状況などを見きわめた上で、行革推進法の趣旨を踏まえつつ、財政当局を初め関係機関と調整を進めてまいることになります。

 私どもといたしましては、安定的な運営という観点から、関係機関とよく協議をしていきたいと思っております。

福島委員 借入金の償還の負担というものが経営のあり方そのものに悪影響を与えないように政府全体としてしっかりやっていただきたいというふうに思いますし、また、先日、国立精神・神経センターの方に行かせていただきましたが、実際行ってみると、新しい建物もありますけれども、かなり老朽化しているところも多いというふうに思います。こういったものも、独立行政法人化するのでその中でやりなさいというだけでは済まない部分というのはあるだろうというふうに私は思いますので、これは、本日、財務副大臣もお越しでございますけれども、よろしくお願いいたしたいというふうに私は思っております。

 また、財政再建の中であらゆる分野において聖域なく支出のあり方について見直しをしていく、これが今の政府のあり方なんだろうというふうに思います。しかし、その中にありまして、こういう研究型の独法については、その役割ということを考えた場合に、通常の事務的な効率化を図るという観点からだけでは律し切れない部分があるというふうに思います。また、そういったことを踏まえた上で立法的な措置を講ずるべきである、こういう動きもあるわけでありまして、ここのところは今後の流れの中でしっかりと考えていただきたいと私は思っております。

 きょうは、財務副大臣また総務副大臣、お越しでございますので、それぞれ、所管は若干異なっておりますけれども、研究型独法についての財政再建上の措置についてのお考えをお聞きしたいと思います。

 具体的には、研究型独法につきましても運営費交付金に効率化係数を掛ける、一方で政策係数というのもあるわけでありますけれども、効率化係数によってやはり交付金そのものが削減をされていく、こういう話が一つあります。

 また、行革推進法第五十三条で言うところの人件費の五年間での五%の削減、こういったこともあります。これは、研究者の方々が研究を続けていくということについては非常に大きな影響を与えているということも指摘をされているところであります。

 また、積立金の処理についても、一生懸命頑張ってもそれを召し上げられてしまう、せっかく頑張ったものは研究のために再投資をするようにしっかりしていただきたい、こういう要請が現場であるわけであります。

 それぞれ所管の立場から、今後の取り組みについてお考えをお聞きしたいと思います。

遠藤副大臣 研究開発につきましては、これは我が国の成長力強化の最も重要な要素の一つと考えておりまして、財政状況が大変厳しい折ではありますけれども、選択と集中、めり張りということを徹底して、柔軟に対応していきたいと考えております。

 例えば、独法全体の支出につきましては、予算で今回四・二%減っておりますけれども、この中で、科学技術振興費につきましては御承知のように一・二%の増になっておるわけでございます。また、例えばiPSの研究プロジェクトにつきましては前年比倍増の二十億といったお金もついているわけでありまして、決して機械的に対応しているわけではないということも御理解いただきたいと思っております。

 現在、与党におきまして、研究開発独法等の研究開発力強化に向けて法案を御議論いただいているものと承知をいたしております。

 研究開発独法につきましてもできる限り運営の効率化を図ることは当然であると思いまして、運営費交付金の算定上、効率化係数を掛けることは基本ではございますが、委員御指摘のように、各年度の具体的な運営費交付金につきましては、政策係数等も踏まえて総合的に勘案して決定してまいりたいと考えております。

 また、今後も、研究開発独法の運営費交付金につきましては、その効率化を図る一方で、真に重要な研究開発を推進することは大変重要でありますので、それが可能になりますように適切に協議にあずかってまいりたい、そういった思いで財務省としても取り組んでまいりたいと思っております。

谷口副大臣 福島委員の御質問でございますけれども、独法の人件費の削減につきましては、行政改革推進法に基づきまして、十八年度以降五年間で五%以上の人件費の削減というようになっておるわけでございますが、おっしゃるように、研究型の独法については別途配慮をすべきではないかというようなお話だったと思います。

 例えば競争的研究資金、これによりまして雇用された任期つき職員につきましては、これが公募によって決められるものですからそもそも見込むことは困難であるということ、それにつけ加えて、この資金の政策的な意義、これをかんがみて、人件費削減対象からまずこれを省いておるわけであります。また本年二月に、イノベーション25、これが閣議決定されたわけでありますけれども、この結果、受託研究、共同研究のための民間からの外部資金による任期つき職員についても、同様の観点から人件費削減対象から除外をするとしたところであります。独法の人件費削減については、これらを踏まえまして、適切に処理をしてまいりたいと考えております。

 後段の方の積立金処理の御質問がありましたけれども、独法の利益が出た場合にはまず繰り越した損失を補てんする、残余がある場合にはこれを積立金として処理するということが原則でございますが、独立行政法人の経営のインセンティブを引き出すというような観点で、主務大臣が経営努力による利益として承認をした額につきましては、中期計画にあらかじめ定めた使途の範囲内で目的積立金として翌年度以降の使用が可能ということになっております。

 このような目的積立金につきましては、平成十八年七月に、経営努力を一層促進するために経営努力の認定基準を策定いたしまして、より一層わかりやすくいたしたわけでありまして、十九年七月にはその運用の一部を緩和いたしております。

 具体的に申し上げますと、例えば特許等による知的財産収入に基づく利益のすべてを経営努力として認めるということにいたしましたし、また、前年度の利益を実質的に下回った場合に、従来は認められておらなかったわけでありますけれども、そうなりますと過去の利益をずっと更新し続けなければならないということにもなりかねませんので、そのようなことも念頭に入れて、前年度の利益の実績を下回った場合であっても、合理的説明が可能な場合には経営努力として認めるということにいたしたところでございます。

 福島委員のおっしゃったことを十分念頭に入れて対応させていただきたいと思っております。

福島委員 合理的な説明ということが非常に大事なんだと思いますが、適切に運用していただきたいというふうに思います。

 両副大臣、御退席いただいて結構でございます。お忙しいところ、ありがとうございました。

 続いて、寄附金また民間からの研究資金、これはただいままでも御指摘ありましたけれども、新たな財源を積極的に受け入れていかなきゃいけない、これについては戦略的な取り組みをぜひ進めるべきである、こういうふうに思っております。この点についての取り組みの方向についてお聞かせいただきたいと思います。

外口政府参考人 独法化の後の国立高度専門医療センターにおきましては、国の医療政策と一体となって我が国の医療を牽引し、かつ世界の保健医療の向上に寄与するために、それぞれの専門分野の特性に基づく臨床研究等により一層取り組むことが重要であります。このために、競争的研究資金のさらなる獲得や寄附金を初めとする外部研究資金の積極的な受け入れなどを推進していくことになるものと考えております。

 競争的研究資金の確保につきましては、公的機関等が募集するのはもとより、共同研究等の実施という形でも積極的に取り組む体制が整備されていくと考えております。

 また、寄附金の受け入れについては、現在は国の機関は制限されているところでありますが、独立行政法人へ移行することで容易となるものであります。

 なお、これに関連しまして、独法化後の国立高度専門医療センターにおいては、医薬品、医療機器メーカー等からの研究目的の寄附金については、これは国民の理解を得つつ、公正かつ適正に活用できるような受け入れのルールの策定等も行うべきものと考えております。

福島委員 後段にありましたように、癒着と言われないように、そのあたりはルールをつくって透明にやっていただきたいと思いますし、また一方で、ナショナルセンターで治療を受けた患者さんの方々とか、寄附したいと思っている方もたくさんおられるというふうに私は思います。そういったことも、現場での取り組みでありますので、ぜひ積極的にやっていただければというふうに思います。

 そしてまた、政策医療ネットワークの話であります。

 これは、独立行政法人化をするということで逆に全体としての統合性というものが損なわれるんじゃないか、こういう懸念もあります。そしてまた、それぞれの取り組みを調整していかなきゃいけない、こういう話も出てくるだろうと思います。このネットワークの維持、そしてまた強化ということについて、どのような形で取り組まれるのか、お聞きしたいと思います。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

外口政府参考人 政策医療につきましては、これは医療分野ごとに、診療、臨床研究、教育研修、情報発信の全国的なネットワークを構築することによって医療の確保と質の向上を図ってきたところであります。

 独法化後の国立高度専門医療センターにおいては、医療の均てん化等を推進する観点から、がんや循環器病等の各医療政策における都道府県の中核的な医療機関等との連携をより一層図るとともに、引き続き、国立病院機構との政策医療ネットワークとの連携も図ることとしております。

 なお、この政策医療ネットワークのあり方については、平成二十年度に国立病院機構の中期目標の期間が終了することを踏まえて、同年度中に今後の方向性に向けての議論を深めてまいりたいと考えております。

福島委員 昨今の医療の状況を踏まえて、どういった分野をカバーするのかといったことも含めて、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 本日の委員会では、長寿医療制度の話についてもこれからいろいろと御議論になろうかというふうに思います。まず大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、総理から総点検の指示が出されまして、そしてまた、どう運用を改善していくのか、こういうことについての検討が進められていく、こういう話になっておりますけれども、大臣としての取り組みの御決意をまずお聞きしたいというふうに思います。

舛添国務大臣 新しい制度が入りますと、定着までにいろいろな混乱があったり、それから個々人によってプラスがあったりマイナスがあったり、それはある意味で避けられない面があると思います。しかし、制度の根幹の理想というものはやはりきちっと守っていかないといけない。そういう中で、まずは現状をきちんと把握する必要があろうかと思っています。

 六月十三日に第二回目の天引きが行われますので、それまでの間に、保険料負担がどうなっているのか、これについては、単に保険料負担だけではなくて、市町村によって補助金を出していたところがございますね、こういうこと等も同時にその統計の中に入れられないか、こういうことをまずやりたい。それから、保険料の徴収に誤りがあるようなところはないか、これも見たいと思います。それから、保険証はだんだん到達していますけれども、まだお手元に届いていない方はいないか。こういう問題について、きちんと情勢を把握した上で、そして、何が問題なのか、どういう点に批判が集まっているのか、そういうことをきちんと検証した上で対応をとりたいと思っております。

 そして、これは国だけではなくて、各自治体、とりわけ責任の主体であります広域連合にも対応してもらわないといけませんので、きょうの午前中、広域連合事務局長を集めまして、厚生労働省で今会議をやっているところでありまして、きちんと情勢を把握するために、彼らからの意見の聴取も行っているところであります。

 いずれにしましても、現状をしっかり把握した上で、しかるべき対応をとりたいと思っております。

福島委員 この高齢者の医療制度をどうするのかということについては、相当長い時間をかけて検討してきたわけであります。そしてまた、現在、いろいろな方が反対だとおっしゃっておられますけれども、例えば、日本医師会にしましても、連合にしましても、日本経団連にしましても、そしてまた全国の自治体の関係者にしましても、高齢者医療制度をどう維持していくのかという観点から、これであれば了解できるということで、了解した上でこれは行っているわけでありまして、中には手のひらを返したようなことをおっしゃっておられるところもありますけれども、この経緯というのは再度十分確認すべきであるというふうに思います。

 もちろん、この制度は、どこのところが特段得になる、こういう話ではありません。そうではなくて、むしろ、どうやってその持続可能性を高めるのか、ここのところで皆がどういうふうにその痛みをシェアし合うのか、こういうことが原点にあったんだろうというふうに思います。その原点のことをすっかり忘れてしまって今議論がなされているということが、今の議論を見ていて大変情けないというふうに思わざるを得ないと私は思っております。

 ただ、具体的なことでいろいろと問題を起こしていることも事実でありまして、例えば、障害者の方々が老人保健制度ではそちらの対象になっていた、今回、長寿医療制度に強制的に移行する、そのことによって負担がふえる場合もある、逆に、そちらに行かなければ障害者としてのさまざまな形での支援というものは得られない。ここのところはそれぞれの自治体がきちっと整理をしていただく必要がある、こういうふうに思うわけでありますけれども、この点についての報道もありました。厚生労働省としてのお考えをお聞きしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 長寿医療制度におきましては、六十五歳から七十四歳までの障害認定を受けた方が障害認定申請の撤回を行いますと、被用者保険の被扶養者の方であれば、従来どおり保険料負担のない被扶養者として被用者保険にとどまれる仕組みとなってございます。

 この場合、自治体が独自の財源によりまして実施している医療費助成事業の対象から外れるということがあることは承知しております。この点につきましては、障害者の方が長寿医療制度に加入するかどうかについて、長寿医療制度、それからこれに関連する自治体の単独事業の内容を踏まえて適切に障害者の方に判断していただくように、必要な情報を提供するよう自治体に対して指導を行っているところでございます。

 ただ、自治体が単独事業として実施している助成事業でございますので、これは自治体独自の判断により行われておりまして、基本的にはその自治体の障害福祉施策をどのように考えていくのかという問題でございます。ただ、この点につきましてさまざまな御指摘があることについて私どもとして問題提起をしていきたい、このように考えております。

福島委員 例えば、保険料の問題にしましても、私の地元の守口市は、七割、八割の方は国保のときよりも下がっております。ただ、これも、では実際に自治体が出しているかというと、地元の地方議員会の議員の方がどうなるんだと一生懸命調べて、そして整理して一覧表をつくりまして、ああ、確かにこうなるじゃないか、こういう作業をして皆納得した、こういう話があります。

 ですから、そのあたりの説明を十分果たすということも自治体が十分やっていないんだろう。大和市は何かそういうことをされたというふうに、この間報道を見ましたけれども。そういうことも含めて、今、地方自治の役割がやはり問われているんだというふうに思います。

 これは実際問題として、国がすべて決めたんですよ、多分こうではないんです、医療保険に関して言えば。地方が、例えば国保の保険料にしても、今までのずっと長い経緯があって、どの程度の保険料にとどまっているのか、どれだけ支援をしてきたのか、こういう話があるわけであって、それはすべて国が決めているという話では全くないと私は思います。そのことを改めてそれぞれの地方議会も考えなきゃいけませんし、そしてまた、それぞれの自治体の住民の方も、一体今どうなっているんだということを考えなきゃいかぬ、私はそう思います。

 そういう意味では、国としてやるべきことはやるべきだと思いますけれども、同時にまた、それぞれの地方が、医療保険というのは、市町村国保にしましても、今回広域連合になりましたけれども、それぞれの自治体がどういうふうにして負担を分かち合いながら支えていくんだ、こういうことが非常に大事なわけでありまして、ですから、この問題についていろいろと御批判がありますけれども、どういう方向で解決していくのかということは、国と地方自治体、それが両輪になって、そして国民の皆さんと対話しながら結論を出していくしかないというふうに私は思います。

 その上でといいますか、それだけ申し上げて、また御議論があると思いますが、安心と希望の医療ビジョンということで今御検討を大臣に進めていただいておりますけれども、今後の運びと決意について、新聞でもいろいろと報道されておりますので、簡単に御説明いただければと思います。

舛添国務大臣 その前に長寿医療制度について一言。

 今福島委員がおっしゃったことはまさに正論でありまして、私は、やはり医療や介護というのは地方自治そのものであるというふうに思っています。はしの上げ下げまで厚生労働省がやる時代であるんだろうか、こういう問題提起もしておきたいと思います。

 そこで、この安心と希望の医療確保ビジョン、本日の夕方に第八回を開催しまして、ビジョンの方向性をまとめたいと思います。

 私は、やはり、医療サービスの量も質も上げる必要があろうかというふうに思っております。そのために財源の措置が必要な場合もありましょうし、財源がなくてもできる。例えば、住民の立場から見たときに、コンビニ診療と言われているようなことをやめるということが医師の確保にもつながっている。これは本当に一円もかかっていません。こういうことも含めて大きな方向づけ、それは、医療のサービスの質と量をふやす、そしてスキルミックス、コメディカルを活用する、そして住民も一緒に頑張る、夢と希望に満ちたそういう新しい医療ビジョンを、きょうの会合を行い、できれば五月の末か六月初めにはきちんと国民の前に公表したいと思っております。

福島委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 最後に、ナショナルセンターの中には国立精神・神経センターというのがございます。先般も決算委員会で、日本における児童精神医学の取り組みというものは非常に諸外国に比べるとおくれている、こういう話を申し上げました。発達障害、また自閉症も含めて、ナショナルセンターとして今までどのような取り組みを行っているのか、この点について御説明いただきたいと思います。

外口政府参考人 児童精神医学、発達障害、自閉症などについてのナショナルセンターの取り組みでございますけれども、発達障害に係る研究につきましては、昭和六十一年四月に国立精神・神経センター精神保健研究所に児童・思春期精神保健部が設置され、自閉症に対する診断法や治療法の開発などに取り組んでいるところであります。

 また、発達障害に係る診療については、主に国立精神・神経センター、それから国立国際医療センター国府台病院、これは国立精神・神経センター時代からのをそのまま引き継いで児童精神部門については行う予定でございます。さらには、国立成育医療センターにおいて取り組んでいるところでございまして、引き続き診療や研究体制の強化に力を入れてまいりたいと考えております。

福島委員 決算委員会では、大学における児童精神の講座をぜひつくっていただきたいというようなことを申し上げました。今を去ること四十年ほど前に、そうした児童精神の講座を大学に置くべきだと。これは諸外国ではあります。日本はない、日本が珍しいと私は思いますが。当時、いろいろな医学界の力学関係の中で、なかなか講座の創設というものが認められなかった。そしてまた、日本の精神医学界の中でも、児童の精神というのが非常に大事だということについてなかなか理解が得られてこなかった。

 今日、その児童精神の領域に対してのニーズというのは極めて大きいということは間違いがないと思います。全国各地で、診察していただくだけで二年待ち、三年待ちである、こういうことが平然と語られている。日本の国の姿としてはそれは余りにもおかしい、私はそう思います。

 その中で、発達障害情報センターというものを厚生労働省はつくっていただきました。さまざまな情報を求めている人がたくさんいる、情報発信をしなければいかぬ、こういうことで設置をしていただいたというふうに存知しておりますけれども、この取り組みについて簡単に御説明いただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 発達障害やその支援方法につきましての情報が、発達障害者御本人や御家族、さらには支援をする専門家に対しましてもこれまで十分に提供されてこなかったという状況がございましたので、国として情報を適切に提供するために、国立精神・神経センターや国立成育医療センター、国立秩父学園などの協力を得ながら、信頼の置ける知見を集約した上で、本年三月二十八日に発達障害情報センターを厚生労働省内に開設したところでございます。

 まずは、発達障害者御本人や御家族に向けて、発達障害の気づき、発達障害の理解、相談窓口などの情報をホームページを通して提供しているところでございます。支援者に向けての内容につきましては、今後整備を進めることとしております。

 本センターにつきましては、本年十月に国立身体障害者リハビリテーションセンターが国立障害者リハビリテーションセンターに組織名称を変更することにあわせまして、発達障害情報センターにかかわる定員を確保した上で移管することとしております。

福島委員 ぜひ、しっかりとやっていただきたいと思います。

 最後に、どこの所管になるのかちょっとあれでありますけれども、四月二日が世界自閉症の日、初めて今回第一回目が行われました。諸外国の状況というものを聞いておりますと、例えば、アメリカでは近年、自閉症の支援法というものが成立をした。実際に、先ほども言いましたように、日本では児童精神医学の講座が大学にすらない。こういう中で、例えばアメリカを見てみれば、カリフォルニアにはマインド・インスティテュートというような非常に強力なセンターがある。またそれぞれの、各州ごとと言っていいほど、そういう医学的なセンター、そしてまた教育と連携したセンターがあります。イギリスであれば、有名なのはインスティテュート・オブ・サイカイアトリーというのが有名でありますし、またケンブリッジにも、オーティズム・リサーチセンター、こういうものもあります。

 そういう意味では、彼我の格差、専門家の層の格差は極めて大きなものがあると思います。そしてまた、専門家の格差というのは一朝一夕ではなかなか追いつきません。地道にセンターをつくってそこで人材育成をしていく、こういうことが時代の要請なんだろうというふうに思います。

 独立行政法人化をしてナショナルセンターのあり方というのも大きく変わっていくと思いますけれども、ぜひとも、こうした新しく、そしてまた非常に重要なこととして上がってきている政策課題に対して、今後も機動的にしっかりと対応していただきたい、このことを申し上げる次第でございます。何か政府からありますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えしましたように、発達障害情報センターの情報発信機能といたしまして、現在、センターのホームページを活用いたしまして情報提供を行い始めたところでございます。本年十月からは、情報提供に関する専任者も確保することとしておるところでございます。

 今後とも、普及啓発の方法に関する検討を進めるとともに、発達障害にかかわります支援者に向けた専門的な情報の提供を行うなど、できるだけ多くの方に発達障害者支援に関する情報が行き届きますように、センターの情報発信機能の充実に努めてまいりたいと考えております。

 また、議員から御指摘がございましたように、児童精神医学の分野における人材不足や養成機関の確保は重要な課題であると考えておりまして、発達障害情報センターを国立障害者リハビリテーションセンターに移管することによりまして、情報発信のみならず、診療機能も担わせることとしておりますし、現在の国立精神・神経センターにおける研修を引き続き推進しながらも、発達障害情報センターにおきましても、国立成育医療センターや国立精神・神経センターなどの発達障害者支援にかかわります国立の施設の協力を得ながら、専門的人材の養成に取り組んでいきたいというふうに考えております。

福島委員 よろしくお願いいたします。

 若干時間を残しておりますが、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうはナショナルセンターの法案の審議でありますけれども、問題が多いと思います。この問題は後で幾つか指摘をしていくとして、法案の中身について少しお尋ねをしていきたいと思います。通告をしております順番に従ってお伺いしていきます。

 まず、平成十一年三月に、国立病院等の再編に当たり、政策医療の分野を十九分野に特定しておりますが、今回の独法化によってこれらの政策医療をどこがどういうふうに担っていくというふうにお考えなのか。

 例えば、がん対策について言えば、がん対策基本法の第三条には、国は、がん対策を総合的に策定し、実施する責務を有する旨の規定がなされていますが、こういった責務を国が果たしていかなければいけないという中で独立行政法人化するということは、国としてこの責務が果たせなくなるおそれもあるのではないかと懸念をするわけであります。そういった点については今後どのようにされるのか、お答えをいただきたいと思います。

外口政府参考人 今まで果たしてきた政策医療、委員御指摘のがん対策もそうでございますけれども、そういったことにつきましては、今回の独法化によっても、引き続きナショナルセンターがその中核を担っていくべきものと考えております。

 政策医療につきましては、御指摘のように、国立病院機構が医療分野ごとに、診療、臨床研究、教育研修、情報発信の全国的なネットワークを構築することにより、医療の確保と質の向上を担ってきました。

 独法化後の国立高度専門医療センターにおいては、医療の均てん化等を推進する観点から、がんやエイズ等の各医療政策における都道府県の中核的な医療機関等との連携をより一層図るとともに、引き続き、国立病院機構の政策医療ネットワークとの連携も図ることとしております。

 政策医療ネットワークのあり方については、平成二十年度に国立病院機構の中期目標の期間が終了することを踏まえて、同年度中に議論を深めてまいりますが、今まで続けてきた政策医療につきましては、ナショナルセンターが引き続き担っていきたいと考えております。

岡本(充)委員 そういう意味でいうと、やはり、国が行うべき政策医療を定めておいて、なぜ今回六つのナショナルセンターなのかという懸念もあるわけですね。ほかにもさまざまな疾病、疾患を政策医療として挙げられている中で六つだということでありますけれども、この第三条、国立高度専門医療研究センターの目的で、疾患を六疾患として他の疾患を採用しなかった理由。また、そのほかにも国が治療研究を行うべき疾患があると考えていますが、それに対する見解はいかがですか。

外口政府参考人 まず、六つのセンターは、今行っているナショナルセンターの機能として、がんや循環器や精神・神経、あるいは成育医療等をそのまま引き続き行っていくわけでございます。これが一つでございます。

 それから、これ以外の疾患をどうするかという御指摘でございますけれども、これは今後の医療あるいは国民ニーズがどう進むかにもよるわけでございますけれども、仮に新たに政策的に必要だということになりますと、国立国際医療センターが総合的な診療機能、医療機能を持っておりますので、ここが中心となって対応していくことを考えております。

岡本(充)委員 新たな独立行政法人並びに国立の研究所、病院等は今後はつくらない、こういう見解だと理解してよろしいのでしょうか。

外口政府参考人 現在のところは、今あるこの六つの施設を中心に使命を果たしていきたいと考えております。

岡本(充)委員 現在のところじゃないです、将来のことを言っているんですね、今後どうするのか。今の、きょうあすの話じゃないんです。未来に向かって長いビジョンで考えなきゃいけないことがたくさんあるし、現に今多くの患者さんが待ってみえていて、なかなか治療が進まない、研究が進まない疾患もあるわけですね。こういう人もみえる。

 そういう中で、現在はという今の話で片づけずに、将来にわたってどういうビジョンか、これは大臣にお答えいただきたいと思うんですけれども、どうでしょう。

舛添国務大臣 委員御承知のように、政策医療として、採算ということではなくて、やはり高度の研究を行っていくということをきちんとやっていかないといけないというふうに思っています。

 先ほど福島委員の方から、発達障害について特に研究を進める必要があるんじゃないか、例えばそういうことは私も考えております。これは、だからみんなで議論をした上で、将来にわたってどういう形で政策医療を担うのか。そういうことで、先ほど局長が答えましたように、今のところは数が決まっている形になっていますけれども、将来国民の側から来るニーズ、それに応じた形で柔軟な対応をすることの方が私はむしろよろしかろうと思っていますので、そういう課題については、また今後、この国会の場でも議論をしながら前に進めていきたいと思っております。

岡本(充)委員 ということであれば、今後、新しい独立行政法人でいくのか、それとも国、国立でいくのか。大臣は、どちらがよりふさわしいというふうにお考えですか。

舛添国務大臣 それは一長一短あって、先ほど来議論をしていますように、いろいろな民間の資金を受け入れる、それから例えば外国の優秀な研究者を受け入れる、こういうところのプラスマイナスがあります。

 私が東大の先生をしていたときは、これは全く国立でした。もう少しこういう講座が欲しいなというようなときも制限がありましたが、独法になってそこがやはり自由になっています。しかし、恐らく委員が御懸念の、ナショナルなセンターが、国が主導して本当に必要な政策医療ができるのか、これは議論があろうと思いますけれども、私は、今、国際化しグローバル化された中で優秀な人を引きつける、そして何もかも税金でやるというのは、御承知のような非常に厳しい財政状況の中で難しい、やはり民間の寄附も潤沢に得られるような形でやれればと。そういう両方を兼ね合わせながら考えていきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 大臣、そう言いますけれども、今、民間の寄附も潤沢にあるわけじゃないんですよね、なかなか集められませんよ。

 それで、ちょっと確認したいんです。私がちょっと拝見したところ、外国からの研究者も実際に今在籍しているようですね。今の現状でも外国からの研究者を受け入れられないわけではないようであります、実際にみえるわけです。

 今言ったように、お金も民間から必ずしもそれだけ潤沢に来るかどうかわからない。国の責任をほうり投げているんじゃないかという指摘は、ある意味当たるんじゃないかと思っていますよ。研究費は出せない、人件費も出せない、民間でやってください、民間から金を皆さん工夫してとってください、競争的資金を集めてくださいと言って、国の責務を投げているのではないかという批判も私は出てくると思う。

 本当にこれからそういう政策医療を進めていこうと思うのであれば責任を持って、特に最初の、まさに助走期間というか、一番最初から、立ち上げた後は独法でやってくださいという話ではなかなか難しい。例えば、最初のしばらくは国立でやって、もちろんある程度安定すれば、その後は独法ということはあるかもしれないけれども、助走期間もないままに、いきなり最初から独法というのは厳しいんじゃないか。そういう意見についてはどう思われますか。

舛添国務大臣 それも一つの御意見だと思いますけれども、私自身が国立大学に籍を置いていて、プラスマイナスは今おっしゃったようにたくさんございます。しかし、本当に窮屈で、もう少し自由度があったらどうかなと。

 私は法律の方ですけれども、例えば株なんかの証券法、こういう問題について研究なさる方がおられなかった、やはり国の予算ではなかなか出ない。しかし、今考えてみると、あのサブプライムの問題にしても、新しいヘッジファンドの問題にしてもいろいろ出てきている。こういうことをきちんとやはり学問的に取り入れる、こういうことをその当時、では国が主導してできたか。それはもう国に先見の明があるかどうか、そのトップの、大学の学長さんにあるかどうか、そういうことにもかかわってきます。しかし、結局は冠講座のような形で、ある程度民間の資金が入った形でこれが可能になりました。

 ですから、私は、最終的に国が責任を放棄するということであってはいけないと思いますけれども、独法になったから全くすべてできないかどうか。今おっしゃったように、助走のときにどう助けるか、これはまた知恵を働かせたいと思います。こちらの組織でないと絶対できない、独法にしたらこれはもっとよくなる、そのまた逆であるということではないと思いますので、それはちょっと知恵を働かせながら動かしてみたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 そういう意味でいうと、今回の六法人の中で、設立時期にすごく差があるんですね。まだ設立して間もないところもある。まさに助走期間だと言われているときに、いきなり独法だと言われているわけですね。ここはちょっと知恵を働かせてもらえないものなんですか。

舛添国務大臣 行革推進法という形で、これはもう、こういう形でやろうという政府・与党全体の方針で決まった枠組みの中でやっております。しかし、運用をやりながら仮にも障害が出るような、差しさわりがあるようなことがあれば、それはきちんと対応していきたいと思っております。

岡本(充)委員 ぜひ、設立時期の違いによる差も勘案してもらわなければいけません。全く同じようにここで、用意ドンでどうぞというスタートではない。それは局長にもお願いをしておかなければいけません。

 その上で、今お話がありました行革推進法の話ですが、そもそも、「国として担うべき医療を行う機関の間の緊密な連携を阻害しないよう留意しつつ、高度かつ専門的な医療センター、ハンセン病療養所等特に必要があるものを除き、独立行政法人に移行すべく具体的な検討を行う」、中央省庁等改革基本法においてそのようなこととしていたと私は承知しています。改めて聞くわけですけれども、今回、行革推進法でこの方針を転換した理由は何なんですか。

外口政府参考人 平成九年の行政改革会議におきましては、国立高度専門医療センターにつきましては、国立高度専門医療センターが行う先駆的医療は不採算であること、研究がその業務において高いウエートを占めていることから、平成十六年四月に旧国立病院・療養所が独立行政法人となった際にも、これらと区別して、国の施設等機関として残すこととしたものであります。

 しかしながら、国立高度専門医療センターの担う高度先駆的な医療に係る機能を充実強化していくという観点からは、大学や民間企業との連携、人事交流や民間資金の活用において利点が考えられることなどから、今般、国立高度専門医療センターは非公務員型の独立行政法人とすることとしたものであります。

 なお、行革推進法においては、既に、国立高度専門医療センター特別会計を平成二十二年度に廃止すること、国立高度専門医療センターを必要な措置を講じた上で独立行政法人に移行させることが決定されているところでございます。

岡本(充)委員 いや、もう話が決まっちゃったからみたいな話ではなくて、これまで必要なものだという例に挙げていたにもかかわらず、なぜ今回方針を変更し、なおかつ、ハンセン病療養所が今回この法案には入っていない理由は何なのかということをもう少し私は突き詰めなきゃいけないと思っている。

 まさか、定員純減しなきゃいけない、ちょうど五千六百人、この辺純減できそうだから、人数合わせでちょうどいいからなんということで独法化するということでは、これはやはりけしからぬですよ。そういうことであってはいけない。財務当局から言われているからどこか純減しなきゃいけない、そういう人身御供にするようなことではいけないと私は考えているんですね。

 その上で、では、国立病院や療養所は公務員型の独立行政法人であるのに、なぜナショナルセンターは非公務員型とするのか。また、実際、現在でも民間からの資金導入、共同研究は間接的なものを含めて不可能ではないと考えていますが、どうでしょうか。また、外国人の研究者は何人在籍しているのか。一般的に独立行政法人になるメリットと言われているこの二点、これについてお答えをいただきたいと思います。

外口政府参考人 まず最初に、国立病院・療養所が公務員型なのに、なぜ国立高度専門医療センターは非公務員型にするのかという理由でございます。

 国立高度専門医療センターについては、これは、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律及び国の行政機関の定員の純減についてという閣議決定において、非公務員型の独立行政法人とすることとなっております。この独立行政法人の職員の身分を非公務員化することによりまして、大学や企業との人的交流、すぐれた能力を持つ外国人幹部の登用などが可能となることや、国の機関ではなくなるため、寄附金など民間資金の受け入れが容易となること等から、より積極的な研究の実施などが可能となり、迅速な研究成果を得ることができると見込まれております。

 このように、国立高度専門医療センターは、独立行政法人化することにより、国の医療政策と一体となって我が国の医療を牽引し、かつ世界の医療水準の向上にも寄与すると考えております。

 そして、外国人研究者また外部資金の受け入れのお話でございますけれども、まず外国人研究者については、今、計二十六名在籍しております。(岡本(充)委員「国家公務員としてですか」と呼ぶ)いや、これは常勤の研究者が五名で、非常勤職員が二十一名でございます。これは任期つき研究員の形になっております。

 この外国人の受け入れでございますけれども、やはり組織を独立行政法人化かつ非公務員化とした方が、処遇、それからポストの増減とかそういったことで柔軟性ができますので、これは、独立行政法人化かつ非公務員化の方が受け入れはやりやすくなると思っております。

 それから資金の方についてでございますけれども、確かに、外部資金ということで、例えば治験のような委託の形の資金の受け入れは可能でございますけれども、寄附金の形の受け入れというのはこれはできないわけでございまして、こういったことでも、独立行政法人化の方がより柔軟になると思っております。

岡本(充)委員 受託研究はできるわけですよね。実際に外国人の研究者は在籍しているわけですよね。これは別に独立行政法人にしなくても、現状でもできている話です。

 それから、一般会計にできないのかどうかですけれども、これは確認したいんですけれども、ハンセン病療養所は一般会計であるということでよろしいんですね。なぜハンセン病療養所は一般会計であるのか、その理由。

 また、ナショナルセンターも、特別会計を廃止して一般会計とすることが技術的に可能なのかどうかということをまず答弁を求めた上で、施設整備費などで多額の資本的支出を求められるナショナルセンター、例えば、現実的にもう施設改修が進んでいる成育並びにがんセンターのようなところ、また、今後これらの費用が大きな負担となることが予想されるところに手当てはするのか。また、この独法化に伴って、これから施設整備に費用を投じなければならないナショナルセンター、具体的には、長寿センターなどは施設整備がこれからまだ必要だと思います。こういうところは費用の捻出が独法化で逆に難しくなると考えられるわけですけれども、こういうところに対する手当ては、今回の法改正後、何らかとられるのでしょうか。

茂木委員長 外口医政局長、うなずくのではなくて言葉でちゃんと答えてください。

外口政府参考人 まず、一般会計でどうなのかという御指摘でございますけれども、国立ハンセン病療養所、これは一般会計でございます。

 国立ハンセン病療養所につきましては、これまでの歴史的経緯を踏まえ、国みずからが責任を持って運営する必要がありますので、基本的に診療収入をもってそれに必要な経費に充てている通常の病院事業とは区別して、一般会計で経理をしております。

 国立高度専門医療センターの運営を一般会計で行うこととした場合、どうなるかということでございますけれども、まず一番困るのが、これは高度医療に対応するための施設整備や大型医療機械について、財政融資資金、いわゆる財投による整備が困難になります。また、ハンセン病療養所と違って、ナショナルセンターぐらいの規模になると会計規模も大きくなりますので、経費節減を図っても、その成果は国庫に返還されるという一般会計の仕組みですと経営上のインセンティブが働きにくいということもございますし、また、弾力条項とか剰余金の積み立てによる経営の弾力化が難しくなるということもございます。

 こういったことを踏まえますと、一般会計で経理することはなかなか難しいのではないかと考えております。

 次に、施設整備のお話でございますが、施設整備に関する財源につきましては、これは収益を上げることが可能である病院部門においては原則自己財源、それは財政融資資金からの長期借入金等で行います。ただ、研究所等の不採算部門においては、施設整備補助金により整備することがこれまでと同様に原則となるものと考えております。

 この具体的な措置の内容については、今後、財政当局を初めとする関係機関と協議、調整を進めていくわけでございますけれども、御指摘の例えば長寿医療センター、これは一番最後にできた施設でございます。そういった意味で確かにハンディがあるわけでございまして、そういったことを踏まえてどうしていくかということも、これもまた財政当局等とこれから調整を進めていくわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり安定的な運営ということが大変大事でございますので、そういったことを踏まえて協議を進めていきたいと考えております。

岡本(充)委員 確認なんですけれども、別に、大型機械や医療機器を買うのは建設国債を発行して一般会計で賄うことも可能なはずです、財投債が使えなくても。そういう意味では、資産になるわけですから、そういう方法をとれば技術的には不可能ではないんじゃないかと私は考えているんです。

 技術的に不可能なのか不可能じゃないのか、そこをお答えいただきたい。

外口政府参考人 技術的には不可能ではないと思いますけれども、大変使いにくい制度であると思います。

岡本(充)委員 何でハンセン病療養所が一般会計でできるのか。これは、まさか、これまた指摘をして国会では答弁できないかもしれませんけれども、例えば予算規模が小さいからとか、財務省にお金を出してもらえる理由が明確だからとか、こういう理由でよもやハンセン病療養所だけ残っているということではないであろうなということを私は懸念するわけですね。つまり、国としての責務でやらなければいけないことは何なのか、これを考えたときに、本当に、人数合わせやお金の話だけで話を進めていくと非常に不合理が出てくると思っています。

 その一例が、それぞれのセンターは研究所や高度な専門性が求められる病院が附属してあったり、また、例えば医療の成果の均てん化を図るなど、こういったものはなかなか、採算を評価しろといっても難しいですね。どのように均てん化したのか、これで採算を図っていけというのは、なかなかこの業績評価は難しい。こういった業績評価をどうやって行っていくのか、中期目標にどうやってこれを反映させるのか、これは難しいですよ。

 それから、ナショナルセンターがその機能を果たしていくためには国の支援は不可欠だと思うんだけれども、今回、ほかの独立行政法人と同じように運営費交付金を算定して、毎年毎年一%ずつ減らしていくという仕組みをとっていくと、先ほどポストをふやすと言ったけれども、逆に、ポストがふえることにはならない。むしろ何を減らしていくかといえば、後ほどもちょっとお話ししますけれども、財政の状況を考えると、やはり人件費を減らすという話にどうしてもなってくる。こういうことで本当にいいのかということを大臣にもお考えいただきたいと私は思っています。

 また、今回の独立行政法人は、ほかの独立行政法人とは異なる支援方法もしくは運営費交付金の算定を想定しているのかの答弁もお願いをしたいと思います。

 また、平成十八年六月の閣議決定で、国の行政機関の定員の純減について、「機能を的確に果たせるよう、必要な制度的・財政的措置を講じた上で」独立行政法人に移行するとしているけれども、今回、必要な制度的、財政的措置というのはどういうことを想定しているのか、これについてもお答えをいただきたいと思います。

外口政府参考人 最初に、不採算部門の評価についての御指摘でございます。

 国立高度専門医療センターについては、独立行政法人化後においても、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に関して臨床研究の推進、医療の均てん化などを行うことにより、我が国の医療政策の牽引車としての役割を果たすこととしております。そのためには、不採算な研究や医療であっても、我が国の医療技術の向上を図る上で必要な研究や医療については引き続き実施される必要があります。

 これらの業務の評価については、法人の政策目標達成状況、国民生活及び社会経済の安定等への寄与、利用者、受益者等のニーズとの整合性、効率化や質の向上等の達成状況といった観点から、評価委員会において適正な評価がなされるものと認識をしております。

 それから、ほかの独立行政法人とは異なる支援方法、あるいは十八年六月の閣議決定についての御指摘でございます。

 国立高度専門医療センターに対しては、難病等に対する診断や治療、研究、研修等の不採算な業務の実施に必要な経費の財源として、一般会計から所要額の繰り入れを行っております。今の繰入額は収入のうちの約三割でございます。

 独法化後の国立高度専門医療センターにおいても、これらの不採算な業務を引き続き実施するために運営費交付金の交付は不可欠であり、また、閣議決定の趣旨を踏まえ、各センターがその機能を的確に果たせるよう適切に対応する必要があるものと考えております。具体的な運営費交付金の算定基準及び方法等の措置につきましては、独法化後の各国立高度専門医療センターの業務が確実に実施できるよう、財政当局を初めとする関係機関と調整、協議を進めてまいりたいと考えております。

舛添国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように国立大学におりましたけれども、その中にいて、国際的な研究をする、人事交流をする、もっと自由な形で競争性が入れられないのかなというのが常に問題意識としてありました。

 国立大学を独法化する過程においては、今委員がおっしゃったようなことも含めていろいろな議論がありましたけれども、財源的なことは今局長がお答えしたとおりでありますけれども、私は、やはり国立の機関といえども、大きな使命は担っている、しかし改善すべきは改善すべきだろうというふうに思っています。

 例えば、外国人の非常にすぐれた研究者の方を登用するのに、いわゆる客員的な形では使えるんですけれども、本当に日本人と同じようにやると、それは国家公務員法の規定にひっかかって、特別権力関係だみたいなことを言われちゃうわけですね。ですから、今回独法化することによってそこの柔軟性が担保された。

 確かに、潤沢な資金が民間から来るかどうかというのはそれはありますけれども、枠組みとしてはそういうことも入れることができるようになったと思いますので、利点を生かし、委員が御指摘になったような問題点については財務当局とも話をし、運用の面で支障を来さないように努力をしてまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

岡本(充)委員 人件費の話についてちょっともう一点だけ確認しておきたいんですけれども、人件費削減について、ナショナルセンターは平成二十二年から独立行政法人に移行することとしていますけれども、平成十八年から五年間で五%削減するという行政改革推進法第五十三条はどのような適用になるんでしょうか。

外口政府参考人 独立行政法人の人件費については、御指摘のように、平成十八年に成立した行革推進法において、役職員に係る人件費の総額について、平成十八年度以降の五年間で五%以上を減少させることを基本として、人件費の削減に取り組むこととされております。

 独法化後の各国立高度専門医療センターにおいてもこの趣旨を踏まえることになりますので、中期目標の達成や必要な診療機能の低下の防止などに配慮しながら、組織のあり方や給与制度、あるいは外部委託の検討などの取り組みがなされるものと考えております。でございますので、外部委託などを活用しながら、人件費の削減の方向ということの趣旨は踏まえつつも、必要な部分、拡充すべき部分については、これは工夫しながら実施していきたいと考えております。

岡本(充)委員 答弁になっていませんよ。

 十八年から五年間で五%削減と言っているんです。十八年の段階では独立行政法人でなかった今回のこの各六センターが、本法案が成立した後、何を基準に五%という話になってくるのか、それとも、そもそも五%という数字はかからないのか、ここをはっきり答えていただきたいんです。

外口政府参考人 十八年度以降のこの考え方でございますけれども、事実関係を申し上げますと、今、関係省庁と細部について協議中でございます。私どもといたしましては、やはり国立高度専門医療センターの使命を果たすべく、ここのところをできるだけ柔軟に対応したいと考えておりますので、その観点で協議を続けているところでございます。

岡本(充)委員 大臣、どうされますか。

舛添国務大臣 行政改革ということは、党でも、それから御党を含めてみんなで議論をしてきました。この行革法は「簡素で効率的な政府を実現するための」という冠がかかっています。やはり個々の、私が先ほど国立大学について例を申し上げましたように、自由な競争をして、優秀な人がきちんと仕事ができる、そのためにはもちろん業績の評価も必要です。しかし反面、非常に非効率的、そういう方々が、身分が安定しているという保障のもとにあぐらをかいて仕事をしない人を私は現実に見てきた。こういうことに対して、やはりある程度の刺激が必要であろう。

 したがって、私自身がこの法律の作成にかかわったわけではありませんけれども、立法者の意思としては、五%の削減を五年間においてかけるということで、今私が申し上げたような、組織の中である意味で腐敗した部分、このことに対する一つの対応をとれということが立法者の意図であろうというふうに思っております。

 したがって、実態を見て、それは外国の優秀な方が同じ給料でもっといい仕事をしてくださるということがあれば、そういう方をお招きしてもいいし、しかし、日本の研究者の方がしっかりおやりになっているということであれば、一律に、何もかもしゃくし定規に五%ということはないと思いますから、これは先ほど申し上げましたように、財務省とも協議をしながら、運用の面でこういうことはやっていきたい。

 しかし、人件費について五年で五%ですから、人件費というのは研究者だけではありません。いろいろな一般の事務的な方、それから、例えば運転をなさる方もおられるでしょう。そういうときに、全部何もかも自分で抱えるということをやらなくても、外注、アウトソーシングをすることによってよくなる。それはもう道路関係でも何でも、我々は余りにひどい状況を見てきて、何もしないでぼけっとしている、それなら外注した方がいいじゃないかという議論をむしろやってきましたね。

 ですから、こういうことを含めて全体的に見て、使命を果たすに当たってこの条項がきちんと立法者の意図どおりに動くようにするということをまずやるべきであって、そして、いや、実態はそうじゃありませんということであれば、それはきちんとそこの場において対応したい、そういうふうに思っております。

岡本(充)委員 大臣がそう思っても、独立行政法人になったら、大臣のそういう意思は働かなくなってきますよね。働かない。結局、優秀な人にはお金を出して、今言われた、言葉が適切かどうか知りませんけれども働きの悪い人、私はそう言わせてもらいますが、働きの比較的よくない人、この人たちにはお引き取りを願うということで人件費の総額を減らすという方式が本当にとれるかというと、そうはいかない、なかなかいかなくて、一律にカットという形になることが往々にして多いわけですよね。

 例えば運営費交付金、国立大学だって今は法人になって国から出てきていますけれども、では、学部間をまたいで、あなたの学部はこれだけ削減しなさい、うちの学部はこれだけ頑張っているんだから削減しませんよなんということはなかなか言えないんですよ。これは大臣も御存じのはずです。そうすると、どうなっているかというと、大学の中で一律にみんなで、全部の学部を横断的にこれだけ減らしましょうみたいな話になって、頑張っている頑張っていないなんか関係なく、これがある意味、日本人のいいところかもしれないけれども、こういう平等意識が働いてしまうと、結局、一生懸命頑張っている人も減ってくるという話になるんです。

 ところが、大臣はそうしたいと思っても、その意思が独立行政法人になったら働きませんよ。だからこそ、本当にこのまま独立行政法人にしていいのか。はっきり言いますけれども、ここで、わかりました、すぐ賛成、そういう話じゃないんじゃないかという懸念を私は強く持つわけなんですね。どうぞ。

舛添国務大臣 五年間で五%ですから一年間で一%、そうすると、例えば百万円というお金の一%は一万円ですから、それを今おっしゃったような研究者レベルで下げるということではなくて、事務的なことを含めて、その組織がやらないと絶対にできないのか。私はアウトソーシングという手で減らすことも十分可能だと思いますから、中核的な研究のセンターとしての本来的な使命を果たす方々についてはきちんと業績評価をした上で仕事をしていただく、だけれども、周辺の、それをサポートするロジ的な側面について、私はやはり外注もあっていいんじゃないか。

 ここのところずっと行政改革の議論をしてきて、何もかも役所が抱えている、何もかも大学が抱えている、そのことによる無駄。先ほどどなたかが御質問なさって、バスの運転手さんの例があって、市営の、町のバスの運転手さんと民間で比べるとはるかに町の方がいい、そういう例がございましたね。

 これは大きな議論でありますけれども、何もかもそういうふうにして組織が持つのか、外注するのか。私は、例えば優秀な研究者は残す、そこの人件費は削減しない、しかし、ロジ的な面で外注できるものを外注することによって例えば年間一%は捻出できるのではないか、そういうことも考えております。

岡本(充)委員 私が指摘しているのは年間一%じゃない、これは十八年と比べて五%というのに、二十二年からスタートして、二十三年には五%減らせという話は無理がありますよねということの確認をしている。それは確認はさせてもらいました。

 その上で、後ほど話そうと思っていましたけれども、今、研究所にみえる研究員の常勤の方は少ないですよ、一つの部門で三人とか。一つの部門でそんな形でみえて、あとは、本当にさまざまな資金を捻出する形で人件費を払っているポスドクの人たちがたくさんみえるわけですね。だから、そこを、そこのロジをちょっとアウトソーシングにしましょう、そういうことはやはりできない。これは後でお話しします。

 それから、確認しなきゃいけないことをもう二点ぐらい確認しておきます。

 研究所の今の人材確保ですけれども、これは現場からの声でありましたが、例えば大学と違って学生さんがいないから、人材確保も結構大変なようであります。例えば医学部の臨床実習などで来る方はみえるようですけれども、それ以外で、例えば基礎医学や医学部以外の学生実習などで大学から学生を受け入れている実績はどんな感じであるのか。また、大学における単位認定をそれでしているのかどうか。また、大学院機能を持たせて修士等の学位授与など、どのような実績があるのか。

 そういった形で、今後どういう形で、要するに学生にこの研究所が一つの研究機関として、自分の働き口として、研究場としてどのように認識をしてもらって、この研究所が新しい人材を確保していけるのか。これも重要な課題だと思っておるわけでありますけれども、実績を踏まえ、今後のとるべき政策について答弁を求めます。

外口政府参考人 国立高度専門医療センターは教育機関ではありませんので、例えば学位授与等ができないなど、一定の制約はあるわけでございます。ただ、御指摘のように、新たに日本の医学、医療を担っていただく方にこういった施設をよく見ていただく、あるいは、できれば何らかの形で参加していただくことは大変重要だと思います。

 現状を申し上げますと、例えば研究所の部長が大学の客員教授を併任するなどによって、いわゆる連携大学院の形で大学院生の受け入れ、こういうものは可能でございます。(岡本(充)委員「実績は」と呼ぶ)実績については、今ちょっと細かい数字までは把握……(岡本(充)委員「通告しているはずですよ」と呼ぶ)ちょっと待ってください。

 一部紹介いたしますと、国立循環器病センターにおいては、例えば阪大の併任教授となっている心臓生理部長が毎年一人学生を受け入れておりますし、同様の形式で、循環器形態部長は八名から十名を受け入れている。バイオサイエンス部長は三名から四名、放射線医学部長は四名から五名、あるいは研究機器開発試験室長も二名ないし三名を受け入れ、そういう実績がございます。国立精神・神経センターにおきましても、部長が早稲田大学の理工学部の大学院の客員教員という形で併任をしまして、やはり数人受け入れているようでございます。そういった実績がございます。

 それで、国立高度専門医療センターの人材育成に当たりましては、これは、臨床研究とか基礎研究の成果を臨床での実用化につなげる研究等の領域において、他の研究機関や医療機関において指導者の中のまた指導者、そういった方を輩出できるよう、また明確なキャリアパスというものもつくっていくことが大事でございますので、こういった連携大学院を通じた大学等の交流についても推進していきたいと考えております。

岡本(充)委員 もう少しまとめたものを後刻でいいので、いただきたいと思います。お願いします。

 その上で、一人、二人、なかなかそれでは人材確保も難しいでしょう。それから、世界各地から優秀な研究者にと先ほど大臣言われましたけれども、今の給与体系ではとても難しいし、独立行政法人になったからといって、人件費削減だと言われている以上は、これはますますもって難しい話なんですね。片一方で人件費を上げなさい、上げて、いい人を採ったらどうですかと。でも実際のところ、それぞれの部門には三人しか定員の枠がない、これもまた人件費を減らしなさいという話がかかっていて、しかも、いい研究者は世界から高い給料で雇いなさいと。無理がある。言っていることが矛盾しているんですよね。これは考えてもらえばわかる話なんです。

 それで、この話は、また恐らく他の委員も指摘をされると思いますからこの辺にして、次の話なんですけれども、第二十四条の厚生労働大臣の業務実施要求権は、中期計画に規定する業務より優先して行う必要のある緊急的な業務と解するんですけれども、具体的には、どのような事態に、どのような業務を想定しているのか。

 また、新型インフルエンザの審議がこの前ありましたけれども、では、国際医療センターにおいてどの程度の対応が実際に可能なんでしょう。収容可能病床数や外来での診療可能人数、一日当たりで結構です、具体的な数値での答弁を求めたいと思います。

 また、今回、中国での大地震やミャンマーでのハリケーン災害など、大変な災害が各地で起こっています。こういったところに対して、具体的にどのような災害医療支援をする予定であるのか、また、先方国にどのような申し入れをしているのか、派遣する職種の詳細、人数や派遣日数等の規模を含めて答弁を求めたいと思います。

外口政府参考人 最初に、第二十四条の厚生労働大臣の業務実施要求権でございますけれども、これは、第二十四条が定める緊急的な事態及び業務としては、未知の感染症が発生した際に現地に専門家を派遣すること、あるいは災害発生時にPTSD対策の専門家を派遣すること、また、災害発生時に避難所に避難している高齢者の方が廃用症候群を起こさないように、廃用症候群の予防の専門家を派遣することなどを想定しております。

 次に、新型インフルエンザ対策の関係でございますけれども、御存じのように、国際医療センターは特定感染症指定医療機関の指定を受けておりますので、新感染症の所見がある者または一類感染症もしくは二類感染症の患者の入院を担当させる医療機関としての役割を担っているところでございます。

 もちろん新型インフルエンザの患者が発生した場合には、特定感染症指定を受けている病床というのは非常に少なく、四床でございますので、実際には、患者の発生状況に応じて、他の病棟を専用病棟として設定して、一般の患者さんとインフルエンザの患者さんを分離して診療に当たるなどの対策になると考えております。

 それで、人数等につきましては、これは新型インフルエンザの患者が発生した場合は可能な限り受け入れることとしておりまして、患者を制限するような数値設定は現在のところ行っておりません。引き続き、この新型インフルエンザの昨今の動向に合わせまして、さまざまなシミュレーションをしていきたいと考えております。

 次に、災害派遣の問題でございますけれども、これは、中国での大地震やあるいはミャンマーでのサイクロン災害も最近起きておりますけれども、被災地への派遣については、国際緊急援助隊の派遣に関する法律に基づいて、被災国政府等からの要請により、独立行政法人国際協力機構、JICAを通じて派遣を行う形式となります。

 なお、今回の災害に関しては、現段階ではまだ被災国政府等からの派遣要請はないために、国立国際医療センターでは対応しておりませんが、過去同様の案件があったときには、医師及び看護師等を派遣しているところでございます。

岡本(充)委員 大臣、日本国から出します旨、申し入れをしていないんですか。向こうから言われなきゃやらないという今の局長の答弁ですよ。

 それから、局長、何人収容可能なのか、これは人数をお答えいただきたい。それから、外来は何人まで診られるのか。

舛添国務大臣 まず、先ほど局長の答え、今の最後の点をお答えいたしますけれども、病床は四床しかございません。しかし、そういう事態、新型インフルエンザ患者が発生した場合には、他の病棟をこの専用病棟に設定することによって病床をふやすという措置をとりたいと思っています。

 昨日、私は、官邸に夕方、新潟の国際会議が終わって戻ってきました。そこでもこの問題を確認いたしましたけれども、ミャンマー政府に対して、サイクロンの被害に対してこちらからの申し出は行っておりますけれども、昨夜段階では全く何の返答もありません。大変遺憾だというふうに思います。そしてまた中国の方からも、今のところはまだ何も人的な派遣要請はございません。それが現状であります。(岡本(充)委員「こちらからアプローチは」と呼ぶ)

 ミャンマーについては、こちらからのアプローチをしております。中国につきましては、これは五億ドルの支援を行うということを既に政府として決めて、そういう意味ではアプローチを行っておりますが、そこから先、今現状としてどれだけの被害があるのか、そして、例えば瓦れきの下に埋まっている方々、こういう方をまず救出するのが最初でしょうから、そうすると、災害派遣のそういう専門家、自衛隊を含めてそういう方がまず先になろうと思います。

 今のところ、感染症、こういうものに対する要請ないし現状がそういうことであるという状況がまだ我々の段階ではつかんでおりませんし、また、そういうことの報道も含め、中国政府からの情報もございません。しかし、もし仮に感染症、そういうことで我々が支援できることがあれば、それは中国に対して直ちにアクションをとりたい、こちらから、そういうことについて意見を求めるということはやりたいと思います。

 ミャンマーについては、先ほど申し上げました、もう既に感染症が起こっていますから、既に行っておるところでございます。

外口政府参考人 国立国際医療センターで行っている一つの想定としては、例えば、現在のICUとセンターの十二階から十六階までをインフルエンザ専用とする。そうすると約二百床になります。そういった想定をしておりますけれども、これも大分状況によって変わりますので、まだまだ、もっと詰めたシミュレーションが必要だと考えております。

岡本(充)委員 今入っている二百人の方がどこに行くのかも考えなきゃいけないんですよ。だから、これはやはりシミュレーションをしておかないと、きょう私が指摘しましたから、またこういう話を聞かせてもらいますよ。しっかりシミュレーションをしておいていただきたい。そういう、それぞれの病院に機能が求められているわけです。

 きょう資料をお配りしました。これは、それぞれの病院がどういう患者さんを受け入れているか。

 例えば国際医療センター国府台病院は、なぜか三分の二の患者さんが精神疾患なんですね。これは、国際医療、災害医療の話とはちょっと違うんじゃないか。実際に診ている患者さんと現状が違う、こういう状況になっている。この経緯も私はきょう本当は問いたいところであります。肝炎対策のためという話を聞いておりますが、別に、肝炎の治療をするに当たって、必ずしもこの病院である必要はなかったはずでありますが、それぞれの医療機関の状況をこれはどう峻別していくのか。

 おめくりいただいて、一枚、二枚、三枚、四枚、五枚目ですけれども、ここにC型肝炎の、全国C型肝炎診療懇談会報告書において、国がどこを中核医療機関として定めるかというところが書いてありますが、真ん中以降に、国の感染症の拠点である国立国際医療センターにこれらの中核機能を担わせることが適切であるが、現在の敷地は手狭であるとともに、病棟の建てかえ整備により病床数が減少することから、同敷地内でできない、したがって国府台病院にしましょうか、こういう紙も出ているわけですね。

 こういう話で機能病院を決めていくというのはどうなのか。本来の機能とかけ離れて、とりあえず場所があいているからという話では困るんです。

 また、それぞれの診療圏、どこから患者さんが来ているか。これは下の段ですけれども、例えば長寿医療センターには、これは特徴的なんですが、他府県からの患者さんが非常に少ない。がんセンターや循環器病センターに比べると他府県の割合が少ないです。

 実際に、一枚めくっていただいて、関西の地図が出ております。この地図で見ますと、循環器病センターでは、兵庫県や京都府その他の都府県からも患者さんが、約四分の一ぐらいの方が来られています。それに対して、一枚めくっていただいて、長寿医療センターにおいてはもうほとんどが近隣市町村に限られています。こういう形で、本当に長寿医療の研究を担う医療機関としてふさわしいのか。

 アルツハイマーの研究をしているそうです。アルツハイマー、全国にあるはずです。全国からアルツハイマーの患者さんが集まる医療機関になっているというのであればわかりますが、近隣の患者さんが集まるだけの医療機関ではやはりまずい。こういう部分の交通整理をやはり国としてもしていかなきゃいけないんです。これは近隣の方ばかりなんですよ、大臣、よく見てください。

 めくっていただいて、では、どういう方が入院していますかと、これはヒストグラムを厚生労働省につくってもらいました。比較的若い方も入っているんです。

 そもそも、局長、長寿という定義が厚生労働省はないんじゃないですか。アルツハイマーの研究はやっている。では、アルツハイマーと長寿が関係するのか、こういう話にもなってくるわけです。長く生きていくということだけがいいわけではないと言いたいんでしょうけれども、これは後ほどぜひ御答弁いただきたいと思います、長寿の定義。ちょっと続けさせてください。

 こういうような機能分担をきちっとしていくべきだという話があり、二枚めくっていただきますと、今のナショナルセンターの経営試算を出しています。これは、ごらんいただきますとわかるように、施設の建てかえをしたところ、例えば先ほどお話ししました成育医療センター、資本的支出の部分の、いわゆる国債整理基金特会への繰り入れと書いていますけれども、いわゆる建てかえをしたことに伴う費用は大きく負担が出ておることがおわかりだと思いますが、二十六億六千八百万ですか、かなりなお金です。また、国立がんセンターも同様に支出が七十二億一千四百万円と多額になっており、赤字の原因になっています。こういったお金を独立行政法人になったらだれが持つのか。

 その一方で長寿医療センターは、先ほどの、まさに助走期間中ですから支出が少ない。つまり、きのうも私行ってきました、まだ穴があいている通路の渡り廊下の壁がありましたよ。ああいうところも整備しなきゃいけない。そういうところをどう見ていくかですよ。

 ここまでのところで、局長、今の長寿の定義についても含めて何か御答弁があれば。

外口政府参考人 最初に、国府台病院の肝炎センターの関係でございます。

 御存じのように、国府台病院が国立国際医療センターの組織になったのは本年四月でございますので、御指摘の入院患者さんの比率につきましては、過去の国立精神・神経センターの影響が入っているわけでございます。

 もちろん、国府台病院、この十月に肝炎・免疫研究センターを設置するわけでございますけれども、そうかといって、国立の精神・神経センター時代に培った児童精神とか精神科救急とかそういった、その地域にやはりどうしても必要な組織についてはこれは残した上で、新しい使命の方に次第に切りかえていく、そういうことになると思います。

 それから長寿医療センターでございます。

 まず、長寿の意味でございますけれども、これは国立長寿医療センターをつくったときの設立検討委員会の考え方としては、長寿については、高齢者が自立した生活を営むために必要な医療としておりまして、その対象となる疾患の範囲は、御指摘のアルツハイマーあるいは骨粗鬆症、そういった老化に伴う疾患が挙げられているところでございます。

 この国立長寿医療センターはナショナルセンターとして、高齢者の心と体の自律を促進して、健康長寿社会の構築に貢献することを理念として、病院においては、高度先駆的医療や高齢者の特殊性を考慮したモデル医療のほか、研究所と一体となった臨床研究の推進等の提供を行っているところでありますし、また、今後、在宅医療を推進していく上での拠点的な役割も期待しているところでございます。

 ただ、近隣に一般の市民病院等がないせいもあって、これはどうしても、長寿医療と申しましても、例えば救急の患者さん等が来られた場合に断るというのはこれはなかなか難しゅうございまして、また、そういったことはある程度やむを得ないのかな、そういうふうに考えております。

 それからあと、施設整備等を今後どう考えていくかということでございますけれども、資本収支とかいろいろトータルで見ると一応それぞれ黒字でございますので、そこはいろいろな工夫をしながら、借入金等を上手に使いながら必要な整備を進める。また、研究所等、そういったものについては補助金も活用し、そういったことで整備していきたいと考えております。

岡本(充)委員 今入院患者さんの話が出ましたけれども、続いて、長期入院もこうやってたくさんみえるんです。めくっていただいて、最後の方の縦紙ですけれども、国府台病院もこれだけの方が一年以上入院している。この方を、では肝炎対策になりましたから出ていってください、そう簡単になかなか、そういうことは難しいんじゃないか、私はこれを指摘しておきたい。こういう方の処遇も含めて考えなければいけないと思っています。

 続いて、その先が給与の話です。医師の給与がここに書いてあります。

 三十六歳をモデルとしたのは、私がもし勤めたら一体幾らになるのかということで出してもらいました。月収六十二万。私の同僚が、同級生が勤めていますから聞いてみましたら、まあ、こんなものだと。しかも、愛知県の長寿センターの場合はこれだけのいわゆる地域手当が出ませんから、七十九万円にはとてもならないという話です。

 こういう状況であるからこそでありましょうけれども、これが一つの原因だと思いますが、アルバイト、これだけやっているんですね。この下を見てください。同じ日にすごくやっています。特に、二枚ほどめくっていただいて、循環器病センターの臨床研究開発部長、この方はもう連日ですよ、連日。金額も十万円以上。これは詳細を見せてくれと言ったら、十時間討論したとか、国会でも一時間趣旨説明すると大分ブーイングが出るようでありますけれども、十時間討論をするというのはなかなか物理的に難しいし、五時間講演をするというのは、聞いている方も嫌になる。本当にこれだけの講演をしたり原稿用紙の枚数を書いたりしているのかどうか。これは確認をしているのか。これは後でしっかり答弁いただきたいと思います。

 また、委員長に、理事会で諮っていただきたい。

 この臨床研究開発部長、まだ御在職のようでありますから、ぜひ参考人で、どういう勤務状況でこんな連日行けるのか、理事会で、お呼びいただけるかどうか御協議いただきたいと思います。

吉野委員長代理 その件については、理事会で協議をいたします。

岡本(充)委員 その上で、最後に、研究者の処遇についてもです。最後は研究者です。

 研究者、先ほどもお話ししました、一つの部門について五、六人から、少ないところだと一人というところもある。論文も、ファーストオーサーで見ますとそれぞれに御努力はされているようでありますけれども、かなり濃淡がある。こういった中で、先ほどの話で、優秀な研究者を高い金額で集めるというのは難しいし、きょうは人事院にもお越しいただいています。給与体系のあり方も、本当に優秀な方を獲得するのであれば、この給与ではやはり安いんじゃないか。

 また、そういう意味では、ポストについてもちょっとお伺いするということで来ていただいていますけれども、ポストも、日本が本当に研究開発をして、日本のある意味での知的財産をより高めていくためには、今のポスト数では少ないんじゃないか、こういう懸念を持っています。

 先ほどの話、もっと海外から優秀な研究者が来られるようなそういうポストの設定、それから給与体系のあり方。それから、医師もこういうふうなアルバイトの状況、これはけしからぬ話なんです。この実態は、後刻もう少し詳しく報告を求めるようにしていますし、どうやら、きょうの夕方でよろしいんですね、きょうの夜には資料がいただけると私は聞いておりますけれども、この現状も含めてごらんいただいて、これではやはりまずい。そういうことも含めて、今の給与水準を含め、さらなる見直しをお願いしたいと思います。

 それぞれ三方から御答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

吉田政府参考人 今先生の方から医師の給与水準についての御質問がございました。

 国家公務員である医師の給与につきましては、基本給である俸給月額を初めとしまして、地域手当の特例措置、これは全国一律に一五%の水準にするということにしております。そのほか、医師の人材確保のために、初任給調整手当ということで、事実上俸給に相当するような額を積み増しておりまして、全体として、民間の勤務医の給与水準との均衡や公務の人材確保の必要に配慮して水準設定を行ってきている経緯がございます。

 先生今お話がございましたように、現在、国立高度専門医療センターの三十代半ばの医師の月収は約六十二万円、超勤手当等込みで約七十九万円、年収で申しますと約九百九十万円、超勤手当込みで約千百九十六万円ということになっております。これは、民間の方について、最新の賃金構造基本統計調査、平成十八年のものでございますが、これと比べた場合に、同じ年齢階層、三十五歳から三十九歳というところで見ますと、月額で七万円ぐらい民間が上回っておりますが、年収で見ますと逆に公務員の方が六十万円程度高くなっているという状況もございます。

 近年の国立病院の独法化の結果、非現業の公務員の医師の数は減少しておりまして、高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所など特定の組織に限ってきております。こうした状況を踏まえますと、国の機関に勤務する医師の給与につきましては、民間準拠を基本としつつ、既に独法化されたこれらの組織の医師の給与との均衡も考慮していく必要があると考えております。

 今般、厚労省からは、民間や国立病院機構の医師の給与の状況及び人材確保の必要性を踏まえて給与の改善要望が行われておりますので、近年の医師をめぐる情勢の急激な変化の中で、御指摘のように、これらの医師の処遇の不満というようなものがございますれば、人材確保に支障が生ずる状況があるかどうか等を含めて、詳細な検討をしていきたいというふうに考えております。(岡本(充)委員「研究職についても検討する」と呼ぶ)まだ特に要望を受けておりませんが、必要に応じて対応してまいりたいと思います。

川原田政府参考人 先生御指摘の、研究者のポスト、給与の件でございますけれども、研究者あるいはポスドクなどの職務内容というのは非常に多様でありますので、能力、実績の公正な評価に配慮しつつ、受け入れた各研究機関において定められているというものでございます。

 ただ、文部科学省としましては、優秀な研究者が十分に活躍できる、そういう場を提供して、その能力に応じた給与の措置、あるいは強力な研究支援体制の整備が重要であるというふうに認識しておりますので、例えば、第三期の科学技術基本計画等を踏まえまして、ポストドクターなどの若手研究者に対する経済的な支援とか、あるいは若手研究者の自立して研究に専念できるような環境の整備とかといったことに引き続き取り組んでまいりたいと思っておりますし、その能力を最大限に発揮できるような施策の充実に努めていきたいというふうに思っています。

外口政府参考人 アルバイトの問題でございますけれども、講演等を行う場合には勤務時間外等、日常業務に支障がない範囲内で行い、平日の勤務時間内に講演を行う場合には年次休暇を取得して行うこと、これが必要でございます。

 御指摘の事例につきましては、出勤状況等を調査するようにという御指示をいただいておりますので、今調査中でございます。

岡本(充)委員 ぜひそれを早急にお出しいただいて、審議をまたさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。園田康博君。

園田(康)委員 ありがとうございます。民主党の園田康博でございます。

 午後も高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案の審議に入らせていただきたいと思っております。皆様、午後もしっかりと審議をしたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 午前中の同僚委員の議論を伺わせていただいておりまして、この高度専門医療センターの独法化というものがいかに今後の研究の分野に対して寄与するものであるかというところが議論になっていたというふうに私も思っております。ただ、その中でちょっと私自身もまだしっかりと理解ができていない部分がございまして、その点も少し御指摘をさせていただきながら、しっかりと、今後の国民の医療あるいは専門性に特化したセンターの存続も含めて、これからの我々の議論を深めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それで、公務員型あるいは非公務員型という議論が午前中もございました。国立病院機構、これに関しても、当初は公務員型でスタートをしたわけでございます。その中で議論になっておりましたのは、やはり公務員型で行うことによってその専門性の意義を高める、あるいは他の医療機関ではこれを行うことができない、そういう指摘の中で、やはり公務員型を採用していってはどうかというところからスタートしたものではなかったかなというふうに思っておるんですが、そのときの議論をもう少し私自身も勉強のために教えていただきたいというふうに思っております。

 きょうは総務省においでをいただいておりますので、総務省の行政評価局にお伺いをしたいと思います。

 この国立病院機構に関しまして、昨年の年末、十二月に勧告の方向性というものを打ち出しておられます。このことに関して、公務員型に関してはどのような指摘があったのか、まず総務省からお伺いをしたいと思います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 国立病院機構は、現在、公務員型の特定独立行政法人でありますけれども、行政改革の推進に関する法律第五十二条におきまして、業務を国家公務員の身分を有しない者が行う場合の問題点の有無を検証し、その結果、役職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められないときには、非公務員型に移行させることとされております。また、昨年八月に厚生労働省から提出をされました国立病院機構に係る見直し当初案におきましても、非公務員型の独立行政法人への移行に向けての問題点を検討するとされておりました。

 政策評価・独立行政法人評価委員会といたしましては、これらを踏まえた上で検討を行いました結果、昨年十二月に取りまとめた主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性におきまして、行政改革推進法の趣旨を踏まえ、平成二十年度に所要の検証を行い、非公務員が担うものとすると指摘をしたところでございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 そして、その勧告の方向性が出て、さらには十二月二十四日の閣議決定といたしまして、やはり非公務員化について二十年度中に結論が得られるよう、そのための所要の検討等を行うという形になったわけでございますが、厚生労働省にお伺いをいたします。現在の検証状況というものはどのような形になっておりますでしょうか。

外口政府参考人 平成二十年度中に結論が得られるよう、現在、国立病院機構において実務の現状等について検証等を進めているところでございますが、この検証の中で特に検討していくべき事項といたしましては、非公務員化することにより、職員に争議権が認められても災害や緊急医療などに支障を来さないための体制整備や運営のあり方、現在の国家公務員法体系にとらわれない弾力的な雇用形態、これは採用とか勤務条件等になりますけれども、こういった雇用形態を生かしたより効率的、効果的な組織運営のあり方などが、検討していくべき事項として今検証を進めているところでございます。

園田(康)委員 そうすると、これは二十年度中ということは、もう今年度、入っているわけでありますけれども、今年度中にこの結論を得るということで理解をさせていただいてよろしいんでしょうか。

外口政府参考人 そのとおりでございます。

園田(康)委員 先ほど総務省行政評価局からの御指摘にもあったわけでありますが、厚生労働省が、この国立病院機構に際して、公務員型でスタートをしたわけでありますけれども、そこから目標を非公務員型に変えていこうという形の計画が出されたというふうに今おっしゃっておられたわけであります。

 では、そもそも、当初この公務員型でスタートしたときの理由、ほかの独法と違ってこの国立病院機構だけ、だけではありません、ほかにもありますけれども、厚生労働省管轄において、この国立病院機構において公務員型を採用したときの理由を教えてください。

外口政府参考人 国立病院機構の独立行政法人化の際に公務員型とした理由でございますけれども、国立病院機構については、国の危機管理の際に確実な対応をとるとともに、結核など、他の設置主体では必ずしも十分な対応が困難な患者さんに対する医療を確実に行う必要があることなどから、公務員型の独立行政法人としてこれまで業務運営を行ってきたところでございます。

園田(康)委員 後でちょっと総務省さんにもお伺いをしたいと思うんですけれども、そうすると、国立病院機構そのものがスタートするときに、他の設置主体、他の機関では十分な対応が困難である患者に対する医療を確実に行う必要があるという理由がまず一つありましたね。それから、国の危機管理の際に確実な対応をとる。これはすなわち、恐らく、例えば新型インフルエンザ、先般も議論になっておりましたけれども、それが発生した際に、その病院機構からの医療従事者の方々に長期間入っていただいて、そしてその治療等に当たるということからすれば、かなりの大きな協力をこの中でいただかなければならない。

 そういった場合に、やはり公務員という形の方がよりスピーディーに、あるいはより機能的にできるのではないかという評価、結論ではなかったのかなというふうに私は理解をしているんですが、厚生労働省さんはそれでよろしいでしょうか。

外口政府参考人 国立病院機構を設立した当初においては、御指摘の理由によって公務員型が採用されたわけでございますが、現在、設立より四年間以上が経過をしております。独立行政法人としての組織体制やその運営も軌道に乗り、発足時よりも災害や緊急事態等への対応力は高まっているものと考えております。

 このため、非公務員化の件につきましては、平成二十年度中に結論が得られるよう、現在、国立病院機構において、実務の現状等についてさらに検証を進めているところでございます。

園田(康)委員 そうしますと、今の国立病院機構そのもの全体、総体で議論をいたしますと、要は、業務の効率化等々も行いながら、その理由が今の国立病院機構には当てはまらなくなってきたのではないかというふうに検証されていると私は理解をいたしました。

 そこで、でも、当初この二つの理由を掲げたということは、すなわち、ほかの設置主体ではできないものという特殊性を当初はこの中で見出していたという形でありますから、当然その理由をもって、今般の高度専門医療センターに係る公務員型を採用するのかあるいは非公務員型を採用するのかということは、そういう観点からも評価をするべきではないのかなというふうに私は思っております。

 その点、総務省行政評価局さんにお伺いをしますが、病院機構に関する評価の内容に関して、どのような内容で評価をされていらっしゃいましたでしょうか。

関政府参考人 昨年十二月の勧告の方向性におきまして、さまざまな事項を指摘しております。

 「国として必要な政策医療の提供・全国への均てん化や、それぞれの地域で求められる医療の提供という機能を今後とも的確に果たしていく観点から、現行の国立病院の体制や規模については、不断に見直していく必要がある。」とまず指摘をしております。

 このため、個々の病院ごとに、次期中期目標期間、これは二十一年度から始まるというふうに理解をしておりますけれども、この開始後二年程度を目途に、政策医療を提供するという機能の発揮状況、地域の医療事情、それから経営状況等を総合的に検証いたしまして、その結果を公表し、必要な改善措置を講ずること、その際に、近隣に厚生労働省所管の独立行政法人が運営する病院、これは現在のところ国立病院それから労災病院ということになりますけれども、それがある場合には、診療連携の構築を初め効率的な運営の可能性等について検討を行うこと、また、次期中期目標期間終了時までに病院配置の再編成を含む総合的な検討を行うことを指摘しております。

 またさらに、国立病院機構が担っております政策医療の均てん化の観点でございますけれども、国立病院機構のネットワークを活用した診療情報データベースの早期確立と民間を含めた利用の促進、それから監査体制の充実、さらには、長期債務残高の存在や老朽化する病院施設、医療機器設備の更新等に要する将来の資金需要等にかんがみまして、事務事業の効率化の徹底を行うこと、このようなことを指摘しているところでございます。

園田(康)委員 そこで、私は、まず今回のこの法案を提出していただいた厚生労働省さんに再度確認をさせていただきたいんですが、高度専門医療センターはなぜ非公務員型を当初から採用したのか、ここがやはり一つのポイントではないかなというふうに考えております。

 すなわち、国立病院機構の場合は、先ほども確認をさせていただいたように、一、まず国の危機管理の際に確実な対応をとるということ、それから、結核等さまざまな、この中には新型のインフルエンザ等々も含まれるというふうに思っておりますけれども、他の設置主体では十分な対応が困難な患者に対する医療、これを確実に行う必要があるということの理由から当初は公務員型を採用した。ところが、今はそれが当てはまらないということでありますけれども、殊さらこのナショナルセンターに関してはこの理由がそのまま当てはまるものではないかというふうに、私自身は問題意識として考えているわけでありますけれども、その点、厚生労働省としてはどのようにお考えでしょうか。

外口政府参考人 国立高度専門医療センターも、国立病院機構に所属する医療施設におきましても、政策医療という観点、あるいは危機管理という観点、これが大変重要であります。ただ、国立高度専門医療センターに特に要求される機能としては、やはり研究開発というものがあると思います。

 たくさんの病気が医学の進歩で大分治るようになってきましたけれども、まだまだこれから治療する方法を開発しなければいけない病気はたくさんあります。がんでも、胃がんとか肺がんとかは大分治療は進みましたけれども、膵臓がんあたりになると、まだまだ診断法、治療法も開発しなければいけません。神経難病についても同様でございます。こういったことについて、患者さんが待ち望んでいる医療について、これは国立高度専門医療センターのようなところが率先して研究開発を進めていくべきだと考えております。

 この点で、独立行政法人の職員の身分を非公務員化するという今回の方針は、大学や企業との人的交流やすぐれた能力を持つ外国人幹部の登用などが可能となることや、国の機関ではなくなるために資金の受け入れも容易となる、そういった柔軟性も発揮しつつ、積極的な研究の実施が可能となるわけでございますし、また迅速な研究成果を得ることができるとも考えております。

 このように、国立高度専門医療センターは、ほかの国立病院にないそういった研究開発という使命を達成するためにも、そして、国の医療政策と一体となって我が国の医療を牽引して、世界の医療水準の向上に寄与するためにも、独立行政法人、非公務員化というものが適していると考えているわけでございます。

園田(康)委員 国の責任というものがどこまで行うのかという議論にも発展するかもしれませんけれども、私自身は確かに独法化のいいところというのはあるというふうに考えております。

 今、局長がおっしゃっていただいたように、さまざまな業務の広がり、あるいは、研究者をその中から幅広く募集をかけ、そして専門的な医療をその中で行っていく。ただ、その中で根底にあるところは、やはり国が責任を持って、研究開発というのは、この日本の国、我が国においてまだまだおくれている分野がたくさんあるというふうに私は認識をいたしております。

 その中で、国の政策が、この分野に関しては研究を特化させていくんだということで極めて戦略的、政策的に投資をし、そして研究者を集めてそれを行っていくということの重要性というのは、ある一面、私はもう一方の一面ではあるのではないかと。

 アメリカの政策研究者とそれから我が国の研究者、その違いの中で、アメリカの場合はかなりの予算的な措置と、そしてそこから戦略的なものが国の政策としてきちっと打ち出されてくるというところが根底にはあると私は思っております。

 それが公務員という形でいいのかどうかというのは、もう少し私も議論をさせていただきたいとは思っておりますけれども、その点をしっかりと踏まえた今後の高度専門医療センターのあり方というものの検討を、さらに深めていただきたいというふうに思っておるところでございます。

 総務省にもう一度お伺いをいたしたいと思います。

 今回は六法人の形が出てくるわけでございます。この法律によって六法人、先ほど来、各法人ごとに中身の問題点というものがいろいろ指摘をされているわけでありますけれども、今後、総務省としては、その六法人一つ一つの中身、政策をきっちりと評価し、そしてそれごとによって、いわば内容的にそれぞれの評価が変わってくるというふうに私は思っております。

 当然、どの法人も独立行政法人だからといって一律に他の法人と同じような、例えば先ほどおっしゃっていただいたような業務の効率性であるとかそういったものを一律性で評価するということではないのではないかというふうに思うわけですが、その点の総務省の見解としてはいかがでしょうか。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 政策評価・独立行政法人評価委員会におきましては、毎年度、各独立行政法人の中期目標、中期計画の達成状況の評価を行っております。また、中期目標期間の終了時におきましては、それぞれの独立行政法人の主要な事務事業の必要性等に関し見直しを行いまして、勧告の方向性を取りまとめております。このように、個々の独立行政法人ごとにその役割、機能や組織体制、事務事業の特性等を十分に踏まえて評価を行ってきているところでございます。

 今度の改正によりまして、六つの医療センターそれぞれが独立行政法人になるということでございますので、当然のことながら、個々の法人ごとにそれぞれの評価が行われるものになるというふうに理解をしているところでございます。

園田(康)委員 そこで、大臣にお伺いをしたいと思います。

 今回、六法人のうち、先ほども少し議論になっておりましたけれども、精神・神経センター、私はこの専門医療センターに着目をさせていただいているわけであります。

 福島委員からも先ほど御指摘があったわけでございますが、ここでは発達障害等も含めてかなりの研究が行われている。いわゆる難病であるとか、あるいはそういったまだまだ未知の解明をされていない病気等々を、この精神・神経センターが担っているというその役割、これは、このセンターとしては今後も当然存続しなければいけませんし、ここが我が国における難病対策のいわゆるナショナルセンターという位置づけになっていかなければいけないというふうに私は考えておるところでございますけれども、このセンターに対する大臣の御見解はいかがでしょうか。

舛添国務大臣 今の園田委員のお話もそうですし、先ほどの福島委員のお話もそうですけれども、発達障害を含めて神経難病、これの研究の中心センターは今後ともきちっとやってもらいたいというふうに思っています。

 今、病院と研究所が連携しまして、筋ジストロフィーそれからパーキンソン病等の神経筋疾患の病態の解明、さらに治療法の開発を行って、数々の成果が既に上がっております。最近は、筋ジストロフィーに対する遺伝子治療法の開発、難治性の神経疾患である多発性硬化症に対する免疫療法の開発等、世界的にも注目されるような研究成果が上がっておりますので、精神・神経センターは、基礎から応用まで重要な役割を担っておりますので、今後ともさらなる発展をさせるように、私の方からもきちんとしかるべきこの政策を行っていきたいと思っております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 事細かに、筋ジストロフィーであるとかあるいはパーキンソン病まで大臣からも御指摘をいただいたわけでありますけれども、このセンターの大変大きな役割というものは私も認識をさせていただいております。

 先ほど同僚委員から国府台病院の話が出ておりました。国府台病院も国際医療センターにことしの四月から改編をされて、その役割というものをしっかりと担っていくという形になっているわけでございますので、その点は精神・神経センターとともにこの病症の治療研究というものをさらに発展させていただきたい。

 そのために何が必要になってくるかというと、先ほどからも議論になっておりますいわゆる運営費交付金というものが、裏づけとしてきちっと研究費も含めてなければ、やはり将来的なこのセンターの発展というものはなかなか見込まれないのではないか。

 特に、今回は独法化させて、基本は診療収入によって各センターが独自に独立独歩でやってもらいたいというのが、そもそものこの考え方の根底にはあったわけでございますけれども、しかしながら、そうなると、先ほど総務省さんからもおっしゃっていただいたわけですけれども、一つ一つ評価をしていくと、診療収入とそれから支出の面とで採算が合わない、そして先ほど医政局長からも、採算の合わないところもあるというふうにおっしゃっていただいたところでございます。したがって、そういったところに運営費交付金がしっかりと入っていくのかどうかというのが、一方では私は心配をいたしておるところでございます。

 精神・神経センターの予算の推移をいただきますと、やはり診療収入に対して、他の独法、がんセンターであるとかあるいは国際医療センター、長寿医療センター、成育医療センターと比べて、一般会計からの借入金あるいは一般会計からの受入金というものが運営費交付金という形で極めて高い依存度がある。

 ちなみに、ことしの平成二十年度でいきますと、診療収入が五十七億円に対して六十二億円の受け入れというものがございます。そうすると、歳入に対して大体四一%を超える一般会計からの運営費交付金が入っているという形になるわけで、半分まではいきませんけれども、半分近くは受け入れをしなければいけないという形になります。

 十九年度からさかのぼっていっても、ほとんど四〇%を超えている現状がこの精神・神経センターにはあるということからすると、先ほど来話が出ております運営費交付金に対する効率化係数、毎年毎年一%の係数が減額という形でかかっていってしまえば、これがだんだん先細りになってしまうのではないかという懸念を私は抱いております。

 したがって、先ほど確認をさせていただいたように、行政評価局としても、それぞれのセンター独自の内容を評価して、そしてそれが一律に一%の減額がすぐさまかかるものではないのではないかというふうに私は理解をさせていただいているんですけれども、その点、医政局としてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

外口政府参考人 国立高度専門医療センターに対しては、現在も、難病等に対する診断、治療、研究、研修等の不採算な業務の実施に必要な経費の財源として、一般会計から所要額の繰り入れを行っております。

 独法化後の国立高度専門医療センターにおいても、これらの不採算であるけれども必要な業務については引き続き実施していくことが大切でありますので、運営費交付金の交付が必要となると考えております。

 運営費交付金の具体的な算定のルールにつきましては、独法化後の各国立高度専門医療センターの必要な業務が確実に実施できるよう、財政当局とも調整中でございますけれども、私どもの立場としては、あくまでも、こういった必要な事業が実施できるよう、安定的な運営ができるようということを念頭に置いて、関係当局と協議を進めたいと考えております。

園田(康)委員 それはもう当然ながら、行政改革推進法の三十三条の二項にも書かれているわけでありますけれども、きょう財務省さんにはお話はしておりませんけれども、当然この規定によりまして安定的な運営というものがきちっと図られていかなければいけない。

 すなわち、国立病院機構のように、当初は公務員型でスタートをしたわけでありますけれども、だんだんそれが効率化係数というものがかけられて、そして運営費交付金も毎年毎年削られていく、その中でも確かに、五年で五%あるいは毎年毎年一%ずつというそれぞれのバリエーションに応じた、独法の特色に応じた効率化というものが図られてはいるわけですけれども、その係数そのものがこのセンター、六法人それぞれにおいて一律的に適用されるということではないというふうに私は理解をさせていただいております。

 したがって、先ほど来きちっと業務の内容を見ていただいているわけでありますので、独立行政法人化、独法化になった後もしっかりとこの内容等を吟味していただいて、財政当局との交渉というものにしっかりと当たっていただきたいと強く要望をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、これは六法人それぞれが独立した会計によって今後行われるものでありますけれども、そういった場合に、ことしの平成二十年度の予算ベースにおいても、積立金がまず十七億円、これは歳入として入っておりますね。これはもう全体の特別会計予算という形で入っております。それから、借入金においても、伺いますと、平成十九年度末現在においては一千八百七億円が借入金という形で、この六医療センター、総額で見込まれているわけでありますけれども、これが独立行政法人化になった後はどういう形で配分がなされていくんでしょうか。その点、今もし今後の予定などがありましたら、教えていただきたいと思います。

外口政府参考人 独立行政法人化後におきましては、会計は各センターごとになるわけでございます。

 それで、まず平成十八年度に生じた決算剰余金の十七億円でございますけれども、積立金でございますけれども、これは平成二十年度の歳入に繰り入れて執行することになります。

 それから、国立高度専門医療センター特別会計において、建物や医療機器の整備に要した長期借入金債務が存在しておりますけれども、これらの債務の法人への承継に当たっては、これは国立高度専門医療センター特別会計に係る剰余金及び積立金の各法人の承継の配分方法や、長期借入金債務の法人への承継に当たっての具体的な措置内容について、現在、財政当局と調整協議中でございます。

 それで、まだ細かいことまで決まっておるわけではないのでございますけれども、やはり行革推進法第三十三条第二項の規定の趣旨を踏まえて、適切な運営ができるよう協議を進めていきたいと考えております。

園田(康)委員 ぜひセンターそれぞれの特色、特徴を加味していただいて、先ほど申し上げた借入金あるいは積立金は、これは二年ごとで決算から繰り入れられていくということでございますので、それもあわせてしっかりとした運営が行われることを強く要望をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 高度専門医療センター、ナショナルセンターの独法化についてですけれども、平成二十一年度で特会が廃止されて一般会計による財務運営ということになると、なかなかセンターの維持管理というのが困難になってくるという政府の説明というのは、ある意味で理解をさせていただくところです。

 しかし、これまでも午前の議論でもありましたけれども、この医療崩壊のさなかに十分な予算措置がされないまま、そして臨床研究についての法的な環境整備もなされないまま、産学連携による機能強化というのは余りにも無理があるんじゃないだろうか、そんな気がしてなりません。

 まず第一に、予算措置をしっかりとしなくちゃいけない、この独法化が医療崩壊にさらに拍車をかけることになりかねないんじゃないかということをまず指摘させていただいて、質問に入らせていただきたいと思います。

 法案によりますと、これまでの医療センターがすべて、独立行政法人国立がん研究センターというように、何々研究センターという名称に変わるわけです。私たちが高度な医療を受けようとしてこれらの病院にかかるときに、一体、自分は高度な医療を提供してもらえるのか、あるいは研究の対象になるのかということが、これでは患者は理解できないんじゃないだろうかということが実は患者会の方々から上がっているところです。

 それから、研究者の方々ですけれども、次に述べる四つの点が研究推進の障壁となっているとして、これまでも改善を求めています。しかし、きょうお配りいたしましたこの表でございますけれども、四つの課題、問題点というふうにさせていただきましたけれども、今回の独法化にあわせて、これらの改善の見通しというのが立っていないということを指摘したいと思います。

 この四つの点につきましては後ほど触れさせていただきますけれども、このまま十分な予算を充てんすることなく、産学連携によって医療センターみずからが資金を稼げということでは、日本の医学研究も崩壊しかねません。こんな不合理な体制というのは独法化の前に終わりにしなくちゃいけないんじゃないか、そんなふうに思っているところです。

 もう一つ重要な課題がございまして、独法化が予定されている国立国際医療センターの宿舎の下に、第二次大戦中の人体実験の犠牲になった中国人の人骨が埋まっている可能性というのがかねてから指摘されているところです。過去の清算もできておりません。きょうは、この点について質問をさせていただきたいと考えています。

 まず予算措置、それから臨床研究の制度的な問題、人骨問題でございますけれども、予算措置から伺わせてください。

 午前の審議の中でもございました。法案説明の折には、国家公務員法、給与法等による制約がなくなって、優秀な人材を高いお給料で雇うことができるんだというふうな説明でしたけれども、行革法五十三条に基づいて人件費の五%以上の削減が求められています。午前中、舛添大臣は、しゃくし定規では決めないんだというふうな答弁がございましたけれども、私には全く釈然としない答弁だったと思っています。

 また、運営費交付金についても効率化が図られることになっておりまして、国立病院機構は毎年一%の削減、これも大変厳しいというふうに聞いています。また、大学法人は、病院関係費が二%削減、教育研究経費が一%削減です。

 政策医療の推進を図っていく、これは不採算の事業が多いわけで、これをやっていく、また、民間でも手が出しにくい、そういうような分野の研究の推進を求めつつ、こうした財政効率化のルールを一律に適用するということは大変危惧されるのですけれども、また改めて大臣に、財政措置についてどういうお考えなのかを伺わせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 午前中も申し上げましたけれども、国立のセンター、これが今まで担ってきた使命があります。それは、採算ということではなくて、ナショナルでないとできない先端研究であるとか、それはそれで一つございます。しかし、やはり行政改革全体、政府の機関でありますから、これを効率化するということもまた同時にもう一つの要請としてあります。

 それは国立大学についても同じですし、独法化というのはいろいろなところでやってきましたけれども、それは今言った二つの大きな理想をどう調和させながら実現していくかということでありますので、私も国立大学に身を置いていた者として、全く完璧に非効率なものがなくやっていたかというと、いやいやそうじゃない、もう少し効率よくしないといけないものがある。

 そういう中で、例えば人件費の五%を五年間で削減にしても、先ほど私が申し上げたのは、例えばアウトソーシングという形でやる手もあるだろう。ですから、立法の趣旨からいうと、簡素で効率的な政府を目指してということでありますから、その立法者の趣旨として、その一つの手として五%の人件費削減ということがあるわけですから、それはそれで実現をさせながら、しかし、いろいろな意味で、やり方はアウトソーシング含めてあると思います。

 ただ、ナショナルな使命を果たす、この大事な使命を果たすということについて、どういう形で財源をきちんと保障していくかということでありますけれども、これは、財務当局を含めきちんと関係諸当局と調整をしていって、いささかもその研究に支障を来さないように、そういう努力は今後とも続けてまいりたいというふうに思います。

郡委員 いささかも影響がないようにというふうなことであれば、なおその辺のところを明確に、これは必ずしも削減ありきではないのだということをはっきり御明言いただきたいというふうに思います。

 次に、利益相反の問題について伺わせていただきたいと思います。

 このところ、研究者が製薬会社などから寄附金を受けたりするということが大変問題視される傾向が著しくなっているわけです。例えば、国立循環器病センターの医師が、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の副作用・感染等被害判定第二部会の委員をお務めになりながら、講演料などおよそ七千万円の報酬を受けて、うちおよそ四百回の講演による五千万円が実は製薬会社三十二社から支払われていたというようなことがありました。この問題につきましては、昨年、我が党の小宮山泰子議員、そして長妻議員も指摘をさせていただいたところです。

 企業からの報酬や寄附金を適切に受け取る範囲なのかどうかということも、これはやはり利益相反委員会をつくってしっかりと評価することが必要なんじゃないかと思うんですけれども、独法化されれば、ますますその必要性は高まってこようかと思います。

 そこで伺いたいんですけれども、現在ナショナルセンターにこの利益相反委員会というのは設置されていますか。

外口政府参考人 御指摘のように、研究開発を推進するためには、公的な研究費のみならず、民間企業等を含めた外部の研究資金も受託されるわけでございますので、それが公正でいささかも国民の皆様からの疑問を持たれることのないような使い方にしなければいけないわけでございます。

 客観情勢としても、議員御存じのように、厚生労働省で平成二十年三月三十一日に、厚生労働科学研究における利益相反の管理に関する指針というものも策定しております。そこで、平成二十二年度以降の厚生労働科学研究費の支給要件として、研究者の利益相反を審査するための委員会の設置を定めているところであります。

 これにも増して、各国立高度専門医療センターはこういった厚生科学研究以外の部分も取り扱っていくわけでございますので、今、各国立高度専門医療センターの中でこうした利益相反の委員会の設置に向けた具体的な検討に着手したところでございます。

郡委員 端的にお答えいただきたいと思います。つまり、設置に向けて検討しているというお答えでしたから、現在ないということですね。ありますかと私はお尋ねさせていただきました。ないということでよろしいんですね。

茂木委員長 外口医政局長、質問に対して端的に答えてください。

外口政府参考人 現在はまだないところでございます。

郡委員 それではだめです。やはりしっかりとつくっていただかないとだめだと思います。強力に指導力を発揮していただかないと困ります。

 今局長がお話しになった利益相反の管理に関する指針ですけれども、この指針策定の検討会で宮田満委員は、この方は日経BP社でバイオベンチャーの支援をメディアで継続的にずっとなさっている方なんですけれども、利益相反のマネジメントが機能しないと産学連携は成り立たないと繰り返し御発言になっています。

 現時点で、いまだこの委員会というのがどのセンターにも一つも設置されていないというのは、大きな問題だと思います。しっかり取り組んでもらいたいと思います。

 ところで、この宮田委員、臨床研究の推進のためには被験者保護法が必要不可欠であるということもこの委員会の中で、検討会の中でもそしてまたほかの場所でもお話しになっておられるんですけれども、私もこの件について現在取り組ませていただいているところですが、未承認の医薬品を保険と併用しながら法的に管理された臨床研究として使うことができるようにする制度というのが、研究者の方々から強く御要望として出ておりまして、この課題との関係で、実は厚生労働省に問い合わせをしておりました。

 大変遺憾な対応をされましたものですから、ここで一言、委員長、異議を申し述べさせていただきたいと思います。これについては答弁は結構でございます。

 現行制度が未承認薬の臨床研究を行おうとしている研究者にとっていかに問題があるかということを明らかにするために、私のところから、厚生労働科学研究費、厚労科研費ですけれども、これによる未承認薬の使用状況について、これは厚労省に上がってくる研究の申請書、それから終了の報告書、また既に承認を受けた医薬品の情報などを照らし合わせて、厚労省は概要を把握することができるはずだから、これについて大まかな数を教えてもらえないかというふうに問い合わせをいたしました。既に半年近く前のことでございます。

 ナシのつぶてだなというふうに思っておりましたところ、厚労省は、具体的な調査方法ですとか調査内容を私に知らせることなく、研究者に直接問い合わせをしてしまったんですね。私はこのことをマスコミの問い合わせで初めて知ることとなりました。しかも、私の依頼とは全く違う調査対象で、調査内容には私の問い合わせの内容や意図と全く無縁の事柄も含まれておりました。しかも、その一連の調査の過程で私の名前が使われていたということでございます。これは一体どういうつもりだったんでしょうか。全くもって遺憾なことでございます。

 きちんとした制度の枠組みということを設計する上で、研究者が法にのっとって適正に堂々と保険を使って臨床研究を行える制度を立案しようというふうにしているときに、私の名前を出したりすることで、研究者の方々を不要に萎縮させることになってしまっていたり、また正確な情報が表に出にくくなるようなそういう動きを厚労省はしているんじゃないか、そんなふうに私は思えてなりません。

 国会議員の政策立案のための調査活動に対するこのような厚労省の対応については、ぜひその非を正しておきたい、指摘させていただきたい、そんなふうに思います。

 いずれにいたしましても、冒頭で述べましたように、未承認薬を使う臨床研究については、先ほどお示ししました四つの課題が解決されない限り、独法化して、またスーパー特区など政策優遇しても、研究の推進には結びつかないんじゃないだろうか、そんなふうに私は思っているところです。

 ここに挙げました四つの論点ですけれども、これまでも、総合科学技術会議や科学技術振興機構研究開発戦略センターにおける提言ですとか各種の審議会で研究者からの要望としても示されてきたものだと心得ています。

 第一の論点について質問させていただきます。

 臨床研究の被験者に健康被害が起こった場合に無過失でも補償できるようにしてほしいということが研究者から要望されていました。臨床研究に関する倫理指針の見直し作業の中でも検討されていたと思っていますが、無過失補償ができる見通しは立ったのでしょうか、お尋ねします。

外口政府参考人 臨床研究で被験者に健康被害が発生した場合の無過失補償につきましては、薬事法の治験と同様の補償保険を含め、現在、御指摘の臨床研究に関する倫理指針の改正に関する厚生科学審議会での審議において検討を進めているところでございます。

 この審議会、審議継続中であるためまだ具体的な結論は出ておりませんが、現在、補償の範囲や保険等のあり方について、保険会社からのヒアリングも含めた具体的な検討を行っているところであります。適切な被験者保護が図られるよう、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。

郡委員 スーパー特区については、補償が可能になるような措置というのはとられているんですか。

外口政府参考人 先端医療開発特区、いわゆるスーパー特区においても、ほかの臨床研究とこれは同様のものになると考えております。

郡委員 ことしの四月二十四日に開催されました第一回革新的創薬等のための官民対話で、内閣府、文科そして厚労、経産省が合同で提出された資料がございます。「先端医療開発特区(スーパー特区)の創設について」という資料ですけれども、この中には、臨床研究に対する補償保険に加入しやすい環境を整備するというような記述もありましたけれども、こういうような絵そらごとを並べ立てて、産学連携で自分でお金を稼ぎなさいといっても、こういったような環境では共同研究ができないんじゃないでしょうか。ますます資金難に陥ることが懸念されると思います。

 次に、未承認薬を使用する臨床研究、保険点数のついていない手術方法などについてなんですが、臨床研究の倫理指針の見直しによって、それに準拠することで保険併用が可能になるようにしてほしい、こういう要望もまた研究者の方々から上がっていたはずですけれども、この点についてはどうなりましたでしょうか。臨床研究の倫理指針に従って研究すれば保険を併用できるようになったのでしょうか。

水田政府参考人 現行制度におきまして評価療養として保険診療との併用が認められている医療の類型といたしましては、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、一定の安全性、有効性が担保されたものとなってございまして、臨床研究の倫理指針に適合することをもって直ちに保険診療との併用が可能になるものではございません。

 ただ、もう少し申し上げますと、ある医療技術の類型について保険診療と併用しまして当該医療技術の費用の徴収を可能とするためには、保険外併用療養費の対象となる評価療養として位置づけられることが必要になるわけであります。

郡委員 私の方でもいろいろと調べてわかったことですし、それから、厚労省の方々御自身がよくおわかりになっておられることだと思うんですけれども、実際に未承認薬を使った臨床研究というのはたくさん行われております。それらすべてがこの評価制度の中に入ってくるのか、高度医療評価制度に申請してくるのか、私は必ずしもそうではないんじゃないだろうかと思います。

 なぜならば、今は、言葉が言葉かもしれませんけれども、脱法的に混合診療をやらないと多くの研究が実はできない状況にあるわけなんですね。それを研究者の方々自身が問題であるというふうに訴えていて、臨床研究の倫理指針の審議会などでもそれらをみずから研究者の方々が述べていらっしゃるわけですよ。そして、厚労省はそれを知っていながらちゃんとした制度をおつくりになろうとしない。国に一つしかない専門委員会で審査をして、それでまた各施設の倫理委員会で審査する、こういうことをやっていたら、研究はなかなか進まないというふうに言っている方もおられるわけです。この高度医療評価制度についても、まともにちゃんと回っていくのかどうか非常に疑問を持っております。

 さらに高度医療評価制度についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、先ほどの官民対話での提出文書の中で、スーパー特区においてこれを活用するということが書かれております。これは、高度医療評価制度として臨床研究を実施することをスーパー特区において優先的に認める優遇措置をとるということなのかどうか、お尋ねしたいと思います。

外口政府参考人 高度医療評価とスーパー特区の関係でございますけれども、高度医療評価制度についてスーパー特区において特別な措置を講ずるものではありませんが、同制度を特区において実施されるほかの関係施策とあわせて活用することによって開発の促進が図られるものと考えております。特別な優遇措置は考えておりません。

郡委員 そうですね。特別な優遇措置はないんですね。活用を奨励するというだけですね。

 先ほどの無過失補償も今の高度医療評価制度も、何ら優遇措置がないということであれば、このスーパー特区構想、大変いいことなんでしょうけれども、全くこれは絵にかいたもちになってしまうんじゃないですか、どうでしょうか。

 高度医療評価制度についてさらにお尋ねしますが、患者の薬剤費の負担、これはこの制度においてあり得るのかどうか、お答えいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 高度医療である医療技術が先進医療として認められた場合には、当該医療技術に要する費用については、これは保険外給付の部分として保険診療部分とは別個の費用負担が発生するわけでございます。そのため、当該医療技術において用いられている薬剤の費用の負担につきましては、基本的には当事者間の合意により定められることとなるものでございまして、医療機関の負担あるいは製薬企業の負担となる場合のほか、患者の負担となる場合もあり得るものと考えております。

郡委員 そうですね。医療機関、研究者あるいは製剤メーカーあるいは被験者ということですね。

 高度医療評価制度では、未承認薬使用の薬剤費の部分について、これもまだ承認されていないわけですから三割負担のルールというのは適用されないのだろうと思いますし、それからまた、患者の費用負担の適切性というんでしょうか、どれぐらいだったらいいのか、高過ぎるのかというような審査というのも行われないというふうに承知します。

 一体この制度の中で、患者が本当に望む医療にアクセスできる機会がふえることになるのかどうか、研究者が研究しやすい体制がつくれるのかどうかというのは、私はちょっとわからないなというふうに思うわけです。

 そこで、もう一つ伺わせてください。

 この制度で、患者が強く望んでいる、国内では未承認だけれども国際的には世界標準薬となっているような薬に限って保険を使えるということになるのかどうか、それと、全く新規の、有効性も安全性も未確立な薬剤についても保険を併用できるのかどうか、この点を聞かせていただきたいと思います。

外口政府参考人 まず、日本ではまだ承認されていないけれども、海外で承認されて普通に治療に使われているような薬をこの高度医療評価の制度を使って使用することは可能ですし、実際、そういったニーズは非常に大きいと思います。

 それから、もう一つの、新規の製剤についてですけれども、これについてはかなり慎重に審議することになると思います。実際、新規の製剤を扱う医療技術については、医療機関の体制や当該技術に関する文献や使用実績もありますし、それから安全性や有効性の観点というのも大変重要でございますので、これを専門家で構成する高度医療評価会議で審議することになります。使用実績のない新規の製剤については、安全性等の確保の観点から、慎重な審議が必要と考えております。

郡委員 しかし、そこで認められれば、高度医療評価制度に乗って保険併用されるというふうなことですね。

外口政府参考人 慎重な審議の上で、なおかつ要件を満たせば、それは高度医療評価制度の対象となります。

郡委員 この高度医療評価制度というのは、治験という制度に乗せるかどうかを決めるための全くの新規化合物のスクリーニング目的の臨床試験というふうなことにも使えるということを今おっしゃったのだろうと理解いたします。

 これはどういうことでしょうか。高度な医療というふうにそれは言えるものなのかどうか。私にとっては、これは人体実験とも言えるものなんじゃないだろうかと思うんです。全く新しい薬を人間を使って実験をする、そういうものになるんじゃないでしょうか。こういうものにもこの高度医療評価制度の枠内で保険を使うということが本当にできるんでしょうか。そういう中で、非常に高い薬剤費は患者に払わせていいとされるんでしょうか、どうでしょうか。これはお答えいただきたいと思います。

外口政府参考人 まず最初に、新規化合物については慎重な審議が必要と申し上げました。確かに、理論的には高度医療評価制度の対象となることはあり得ますけれども、実際には、この新規化合物については慎重な上にも慎重な審議をすることになりますし、例えばスクリーニングというお話がございましたけれども、一般的に動物実験等により行われるような新規化合物のスクリーニングの延長といった、そういった目的でこの制度が利用されるということは想定外でございます。

 いずれにいたしましても、国内外での使用実績がない新規化合物の使用については、安全性の確保の観点から、専門家により、より慎重な審査をする必要があると考えているところでございます。

郡委員 局長、今想定外だというふうにおっしゃいましたけれども、その前段、これは入ることもあるのだという、この制度の中に組み込まれて保険併用できるような、そういうこともあるのだと言っておきながら、それは想定外だと言うのは答弁としておかしいと思いますね。

 治験の第一相よりも前の段階の、本当に全くわからないような薬のスクリーニングがここでもし行われるようなことになるとすれば、安全性を確保するというふうに言っておられるけれども、これは制度の対象となり得るわけですから。局長もそういうふうに答弁されましたけれども、これはやはり問題だと思います。しかも、補償制度はないわけですよ。また、GMPという製造物の品質保証を確実にするためのルールというのも適用されないんですよ。そういう中で行われるわけですよ。これを人体実験と言わずして何でしょうか。

 私は、この制度について、規制改革会議などから強い働きかけがあったんだろうと思いますけれども、余りにもなし崩し的につくられてしまって、本来は国会の場でしっかりと議論をした上でつくっていくべきであったんだろうと思いますけれども、これは本当に問題が多い、そんなふうに思っています。

 次に、高度医療評価制度の枠内で行われた臨床試験の結果ですけれども、これは承認申請のデータとして使えるのかどうか、お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品、医療機器の承認の申請に当たりましては、投与量の設定根拠や有効性、安全性が客観的に評価できる資料として、いわゆるGCPに従って実施された臨床試験の資料が原則として必要とされております。これは欧米でも同じでございます。

 他方、この高度医療評価制度における臨床試験は、GCPよりもデータチェックなどの基準が緩いほか、その試験の内容につきましても、一般に治験でいうようなプラセボとの比較などを行う、そういった治験ほどの厳密なものでない場合も多いのだろうと思います。ここは臨床試験の設計の問題ということになるわけでございます。

 このために、高度医療評価制度における臨床試験結果は、薬事法の承認データにそのまま使ってくるというようなことは、一般論としてはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。

郡委員 データには使えないということですね。そのまま使えないということですね。承認申請のデータには使えない。

 二課長通知というのがあって、これについては公表された論文などがあれば使えるということですけれども、今大方はですから使えないということなんだとすると、未承認薬はいつまでも承認申請を出さないまま患者の方々の負担でずるずると使われることになるということも出てくるんじゃないでしょうか。これは私自身、この点も非常に問題だと思っています。

 それから次に、四番目の問題点として指摘させていただいたところです。

 現行制度では、薬事法の五十五条が医療機関外の施設で製造した未承認の製剤を医療機関に提供して使うということを禁じております。治験の場合は例外的に認められている。このことは、たとえ品質保証できる施設であっても、そこでつくってもらった研究用の薬剤を医療機関で使えないということで、これもまた研究者の間で問題とされてきたことです。

 そこでお尋ねするわけですけれども、高度医療評価制度の枠組みで実施することを認められた臨床研究にはこの薬事法五十五条というのは適用されるのでしょうか、されないのでしょうか。

高橋政府参考人 薬事法の五十五条は、未承認の医薬品あるいは医療機器の販売あるいは授与を行うということを禁止いたしておるわけでございます。

 この高度医療評価制度の枠組みで、この薬事法五十五条が抵触するか否かについては、臨床研究がそういった高度医療評価制度の中で枠内で実施されるかどうかといったことにかかわらず、この五十五条というのはそういう未承認の医薬品の一般的な流通を禁止するということでございますから、これは当然五十五条の適用はまだあるということでございます。

 ただ、個別のケースごとに、それが本当に未承認の医薬品を一般に流通させようとするような行為に該当するかどうかの判断をするということでございます。

郡委員 局長も説明されましたけれども、五十五条というのは、なりわいとすることを禁じるわけですね。反復継続して未承認の薬を医療機関の外に渡すということを禁じているわけですよ。

 それでは伺いますけれども、例えば臨床研究、この評価制度の中に組み込んでほしいとして、始まります。これが三年間、例えば毎月、国内、国外で未承認の抗がん剤を患者に投与していく研究だと。三年間毎月毎月、反復継続して。これを反復継続に該当しないというふうにおっしゃるのかどうか。法解釈としては多分無理なんだろうと思うんですよ、三年間毎月毎月使っていく研究ですからね。

 そういうケース、これは先ほどケース・バイ・ケースで判断するというふうなお返事でしたけれども、こうなりますと、役所が恣意的に判断することにもなりかねませんし、例えば、こういうことだったら認めましょう、こういうことはだめですよという、ガイドラインといいましょうか、判断基準というものをつくってもらわなきゃ困ると思うんですけれども、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 薬事法の五十五条、これは先ほど申し上げましたように、未承認の医薬品の流通を禁止する。つまり、これは有効性、安全性に関して科学的にまだ十分確認されていないものの流通をとめるということでございまして、これは大原則でございますので、ここの原則を私ども曲げるわけにはいかない。

 ただ、個別のケースについて、三年ほどでどうかというお話がございましたけれども、例えば病院の中で、お医者さんが全く自分の独自の研究で、御自分でお薬をおつくりになって、御自分の病院で提供する、そういった行為ですともう本当に医療行為の中の話になってしまいますので、薬事法としては、一般論としてこれは普通対象にはいたしません。もちろん、外へ出ていって流通ということになりますと問題になるということでございまして、一般的にガイドラインで示せというお話でございますけれども、これはなかなかその一般論が確立しづらいから私どもとしても大変この辺、頭を痛めているというところが現状であるということは、御理解いただきたいと思います。

郡委員 例えば高額な科研費を使って細胞の培養施設、加工施設などもつくられています。そういうところでつくられた細胞を使った研究を共同でやりましょうというふうにしても、これだとまたできないわけですよ、五十五条の制約があって。これを何とかしてほしい、こういう研究者の声が大きいということも申し上げました。

 確かに、これは当局も頭を痛めておられるのでしょう。だからこそガイドラインが必要なんじゃないですかと申し上げているんです。

高橋政府参考人 私ども、そういったいろいろなケースにつきまして研究側あるいはいろいろな方からもお話がございますけれども、それぞれの臨床研究の実施に関する計画を伺って、そのやり方とかそういうものについて事前の相談とか助言などを行っているということでございまして、確かにガイドラインで、午前中もいろいろなお話がございましたが、私どもとしても、ある程度のカテゴリーで決められるのかどうかといろいろ考えていますけれども、やはり違反事例というのは千差万別でございますので、このケースはいいよとか、なかなかそういったカテゴライズが非常にしにくいということはひとつ御理解いただきたいと思います。

郡委員 ですから、計画を立てても、これは認められないということもあったりすれば、計画も立てられないんですよ。どういう基準だったら計画を立ててできるのかなということさえもわからないんですよ。

 ガイドラインをつくるべきだと思います。重ねてお尋ねしますけれども、いかがでしょう。

高橋政府参考人 例えば、現実に研究や何かでいろいろ進められておりますので、すべてのケースが何か薬事法の五十五条でとまってというようなケースは、私はないと思います。

 ただ、先ほど申し上げましたように、そういった円滑な臨床研究が進められるように、私どもとしても、いろいろな事前の助言なり相談というものをきちっとやっていきたいというふうに考えております。

郡委員 この薬事法五十五条の問題についても非常にあいまいな御答弁でございましたし、このままだということであるとすれば、なおのこと、この高度医療評価制度という枠組みは、このまま見切り発車されるというのは本当に問題があるんだろうと思います。こういう中で、スーパー特区などというのはますます絵にかいたもちになる、企業との共同研究が進むとはとても考えられないということを申し上げたいと思います。

 薬事申請データとしても使えないということであれば、何が企業にとってインセンティブになるんですか。何もならないじゃないですか。こういうことではやはりだめだということを重ねて申し上げたいと思います。

 やはり研究者の方々がこれまで要望してこられましたように、独法化して、患者を対象とする臨床研究を産学連携で進めていくということに当たっては、この臨床研究を法制化し、健康被害の補償もできるようにする、そして堂々と保険も使えるようにする、臨床研究の結果は承認申請のデータとして使えるようにする、そして、薬事法五十五条も、臨床研究の法律に従って行う以上は適用しないであるとか、ある程度のガイドラインをしっかりと示す、こういったようなことが必要なんだと思うんです。

 大臣に伺わせてください。

 法制化についてですけれども、これまでもいろいろと御指摘がございました、前にも同じ質問をさせていただいておりますけれども、産学連携の強化との関係で今度はお尋ねしたいと思います。法制化についてはどういうようなお立場でしょうか。

舛添国務大臣 たしか昨年の暮れだったと思いますけれども、御議論をさせていただきました。

 私もヨーロッパにおりましたから、ニュルンベルク綱領とかヘルシンキ宣言、こういうことの中身をどういう形で具体化するかということで、臨床研究に関する倫理指針が、平成十五年だったと思います、これはできておりますけれども、今委員がおっしゃった方向で、二つの目的、一つは、治験者になるような方々をどう保護するか、それから片一方で、どうしてもやはりドラッグラグというか薬の承認が遅くなる、この二つの目的をともにかなえるためにどうするかといって、今実は厚生科学審議会でこの平成十五年のガイドラインの見直しについて検討を行わせておりまして、夏ぐらいにはその答えを出したいというふうに思っています。その上で、その規制のあり方について、法制化も含めて検討をしてみたいというのが今の状況でございます。

郡委員 はっきりとした御返答はいただけなかった。検討をしていきたいということで、それがいつまでなのかどうなのかということにも言及されなかったのが大変残念でならないわけですけれども。

 これは「臨床研究の新しい潮流」という「医学のあゆみ」の別冊なんですけれども、これに京都大学の先生が論文を書いておられます。川上浩司教授ですけれども、法制化の必要性について述べられていまして、「医薬品機構の人的リソース不足とシステム・法的権限の不備、そして未承認薬の臨床研究を審査しないために事例経験が不足しているなどといった理由から、審査の遅れと対応の不十分さが強く指摘されている。これが、国内のいわゆる“治験の空洞化”を招いている根本的理由のひとつとなっている。」こんなふうに指摘されています。

 私も全くの同感だと思います。一日も早く動き出すことを望んでいるわけです。これがないまま独法化が進められるということについては、非常に心配をしております。

 時間が余りなくなってしまいましたので、人骨の問題についてなんですけれども、国立感染症研究所の敷地内で発見されました人骨問題なんですが、時間の都合上、これは大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 これまで大臣もお目通しいただいたと思いますけれども、さまざまな資料を実はお示しさせていただきました。防衛省の管轄になっている建物の中にも新たな調査の手がかりというのもこの人骨問題では出てきているわけでございますし、それから、これらの標本については、赤十字条約、国際法に触れる行為でもあろうかと思うところです。

 そこで、大臣に、日本国としてこの人骨の調査をどういうふうに責任を持って進めるのか、それからまた、標本とされた人々の身元確認に最大限努力すべきだと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 今大切に保管されています人骨の身元確認、これはさらなる技術革新その他の手を用いまして、できるだけ身元確認につながるような努力を今後とも続けていきたいと思います。

 それから、この人体標本、その土地の所有者は国になっておりますので、これはもう独法化するとかなんとかいう問題とは全く切り離して、きちんと国として対応してまいりたいと思っております。

郡委員 そうなんですね。独法化されてしまうとこれはどうなってしまうのだろうと本当に心配をしております。独法化される前に、宿舎の移転も決まっているようでございますから、一日も早く、さまざまな資料で提示させていただきましたところの調査については、なお進めていただきたいと考えているところです。よろしくお願い申し上げます。

 では、ちょっと時間が残りましたけれども、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 質問に入る前に、今、私も、質問するときはわかりやすくするために配付資料というのを配付させていただいているんですが、今配付されている資料を見てちょっとびっくりいたしますのは、三ページから始まっておりまして、一、二ページが取れている。しかも、これはだれが切って張った、事務局が張ったというふうに言われたんですけれども、勝手にタイトルが三ページ目の上に切って張られているということで、この一、二ページ目が抜けているというのはなぜですか、委員長。

茂木委員長 私は答弁者ではありませんが、委員会において配付される資料につきましては、理事会において合意された資料について配付をされております。

長妻委員 これは配付資料が取られていて、質問ができないんですが。

茂木委員長 申し上げたとおり、理事会において合意された資料について委員会で配付をいたしております。

 その経過等々につきましては、既に野党の理事の方も御存じでありますから、御説明を受けられたらいかがですか。

長妻委員 そうしましたら、これは議事録に残りますので、委員長から経過をお話しいただければと思います。

茂木委員長 申し上げたとおりであります。(長妻委員「いや、経過、何でこれは取られたのか」と呼ぶ)私は答弁者ではありません。必要なことについては申し上げております。

長妻委員 でも、委員会で質問するための配付資料が私の了解もなく二枚取られる、それで切り張りで張られてしまうということで、どういう理由なのか、理由を私は委員長に説明をしていただきたい、議事録に残るように。そういうふうに要請しているだけです。

茂木委員長 申し上げたとおり、委員会における資料の配付につきましては理事会の協議事項になっております。協議事項の中で適切と判断された資料については配付をされております。

 また、与党のものにつきましても、きょうも不適切だというものについては配付はされておりません。

長妻委員 そうすると、私の資料のその一、二ページ目のどこが不適切だったんですか。

茂木委員長 それは与野党間で議論したことであります。

長妻委員 でも、ここで教えてください、議事録に残るように。

茂木委員長 理事会の協議事項です。(発言する者あり)野党の理事において説明をしてください、必要でしたら。(長妻委員「議事録に残すように」と呼び、その他発言する者あり)それだったら理事会をやる意味がありませんから。

長妻委員 これは私もちょっと理解ができないのは、茂木委員長は、私の当委員会での発言を職権で削除したり、あるいは二枚資料を取ってしまったり、つまり、単純な……

茂木委員長 長妻君、私が取ったわけではありませんから、先ほど言ったように。(長妻委員「今私の発言中ですからちょっと黙ってください」と呼ぶ)正しく先ほどからきちんと説明していますから、そのことを踏まえて発言をしてください。

長妻委員 この資料を取ってしまったり、そういうことというのは、簡単に行われておりますけれども、大変これは重大なことだというふうに思うんです。

 この二枚の資料というのは何の資料か申し上げますと、茂木委員長が私の発言を職権で削除された、その発言の中身というのは、「与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、政府の。」これを削除された。私は茂木委員長に理由を聞くと、不規則発言に対して長妻委員が与党席に対して発言したものであり、いわゆるやじに対し応酬をしたものである、先例集には「発言者は、私語に応酬することができない。」となっている、これが理由で削除したということを言われました。

 私は、これは前例があろうとなかろうととんでもないことだと考えておりまして、ただ、先例を調べてみようということで、衆議院と参議院を調べましたら、そういう前例はありませんでした。その資料を一枚ずつつけて配付をしようとしたわけで、つまり、衆議院でも、発言者の了解も各会派の合意もなく、職権でやじに対する応酬に対して議事録を削除した例はない、参議院でもない。この資料を配付しようとして、それが取られてしまうというのは非常に腑に落ちないわけでありますけれども、これは、委員長、私の議事録の削除というのを撤回していただけないでしょうか。

茂木委員長 再三申し上げておりますが、まず、資料の配付につきましては理事会での協議事項でありまして、理事会において協議が調ったもの、合意がされたものについては配付をいたしております。

 きょうの件につきましても、与党の資料につきましても、不適切だ、そういう意見が与党の理事から出まして、それについては配付できない、こういった形で、私は、厚生労働委員会の理事会は非常に公平な運営がされている、このように考えております。

 そして、御指摘の件でありますが、既に三月二十六日の委員会におきまして私の見解は申し述べたとおりでありますが、重ねて申し上げますと、今回の取り扱いは、衆議院規則第七十一条の秩序保持権に基づき、そして委員会運営のルールにのっとり、総合的に判断したものであります。

 そして、過去におきまして、不規則発言への応酬部分を削除した事例はあるということであります。その際、発言者は、恐らく、衆議院規則そして先例集等をしっかり勉強されて、不規則発言への応酬はいけないということを率直に認めて削除に至っているわけであります。

 一方、不規則発言、やじに応酬した部分を発言者本人の合意がなく削除した例が見当たらない、こういう御指摘でありますが、これは、これまでの事案では、発言者みずからがルール違反を認め、みずから取り消しているからそういう事例がないということだと思います。

 私といたしましても、長妻君には既に申し上げましたとおり、過去の発言者同様、みずから削除に応じていただくよう要請をいたしましたが、応じていただけなかったのは極めて残念であります。

 いずれにいたしましても、本件は、既に整理させていただいたとおり、理事会協議事項となっております。

長妻委員 そうすると、やじに応酬した発言というのは、ほかの委員会でも当委員会でもある。しかし、削るものと削らないものがある。しかも、茂木委員長は前例のないことをされているわけでありまして、つまり、茂木委員長との質疑の中でも明らかになったのは、やじに応酬したものをすべて削るわけじゃない、中身も勘案するということで、私が推測しますと、「与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、政府の。」これが、自分たち、特に自民党にとっては都合の悪い発言だということで私は削除したというふうに認識せざるを得ませんので、これからも継続してこの削除撤回というのを求めていきたいと思います。

 それでは質問に入ります。

 まず、後期高齢者医療制度の問題ですが、舛添大臣に聞きますけれども、これに対する見直しというのは、今のところ、どういうところを見直す予定でございますか。

茂木委員長 その前に申し上げます。

 私は、内容について、いい、悪いということじゃなくて、最初三月二十六日にも申し上げましたとおり、長妻君の発言は本来の議題とは関係のない発言で、そもそも、委員が主張される言論の自由の問題とは趣旨を異にするものであり、従来から禁止をされているものだ、そして、その削除につきましては衆議院規則第七十一条の秩序保持権に基づいて行った、このように何度も申し上げております。

 舛添大臣。

舛添国務大臣 この後期高齢者の医療制度は、二年前の六月に制度は法律の形で決まりました。

 それで、新しい制度を導入しますと、新しいことですから、それはさまざまな混乱も生じる可能性があります。それから、個々の国民にとって、例えば保険料ということから見ると負担がふえたり減ったり、いろいろなことがございます。しかし、この間、さまざまな御批判も賜っておりますし、また、制度について途中で激変緩和措置のようなものを政府・与党で入れましたから、非常に複雑になっております。そして周知徹底、広報の努力が足りなかった、これは認めないといけない。

 そこで、保険料の負担について、今現状はどういうふうになっているのか。また、例えば保険証がまだ届いていない方がどれぐらいおられるのか。それから、市町村によって徴収する金額にミスがあるかないか。こういうことを六月の半ばぐらいをめどに今調査をしているところでございまして、そういうこともしっかり調査をし、さらにその上で、さまざまな方からいろいろな御批判をいただいております。そういうことを勘案して、どこをどういうふうに見直すべきか、改善するところがあるとすればどうなのか、そういうことを検討してまいりたい。

 今は、まず実態をしっかり把握をしていきたい、そういう状況でございます。

長妻委員 そうすると、制度そのものの見直しというのは一切考えておられないということでございますか。

舛添国務大臣 制度そのものというときの制度が、どれぐらい、どこまでをどう制度というかなんですが、いろいろな目的がありまして、私は絶対に守りたいのはやはり国民皆保険。保険証一枚で、いつ、どこでも、どの地域でも日本国内であれば保険を使って診療ができる、これを守りたい。そうすると、当然のことながら、財源を含めてきちんとこれは将来見通しを立てないといけません。そういうことが大きな一つの目的であります。

 それから、その制度ということで、では、根幹として今申し上げた国民皆保険を守るためにはどういう制度にするのか。ずっと過去十年ぐらい議論が続けられた上に、二年前に、いわゆる突き出し方式とか、後期高齢者だけを特出しする方向とか、ガラガラポンで全部一緒にする方向とかいうのが議論されて、そして今の制度に落ちついたわけでありますから、この制度の根幹部分については基本的に維持をした上で、そして激変緩和措置で、不十分なものがある、またはいろいろ御高齢の方々にとってこれは少し改善してもらいたいというものがある、こういうところについて、きちんときめの細かい対応をしたいというのが今の状況でございます。

長妻委員 二点だけお伺いするんですけれども、健診の市町村に対する義務づけが七十五歳以上は外れたというのが四月から起こりました。これを例えばもとに戻す、あるいは終末期相談支援料、これを考える、この二点はどうですか。

舛添国務大臣 もともと、いろいろな市町村からの御要望がございました。例えば天引きも、市町村がやってくれということをしきりに言われてこれはやったわけです。

 今御質問の二点について申し上げますと、健診、特にこれは委員は人間ドックなんかのこともお考えだというふうに思います。これは、今まで市町村によってさまざまな補助がございました。今回、こういう新しい制度が入るのを契機として、切った市町村があります。突き放して言えば、それは市町村の自治ですから。私は、先ほども申し上げましたけれども、何もかも国が、はしの上げ下げまで市町村レベルで言う時代であるのかな、介護とか医療というのは地方自治の問題がある、そういうことも考えた上で、しかしながら、今言ったような観点についても何らかの手が打てないものであろうかと。

 つまり、これは財政の問題ですね。交付税の措置がどうなっているか。例えば、一般財源からこれを市町村がやったのか、国保の運営はどうなのか、こういうことを少し細かく今検証してみたいと思っていますので、そういうことを見た上で、基本的には市町村の仕事ですよ、しかしながら、何らかの救いの手を差し伸べることが可能かどうか、これは私は検討してよかろうと思っております。

 それからもう一つは、終末期の医療ですけれども、これは私自身は、大臣になる前ですから、リビングウイルというものを法制化しよう、そういうことで、やはりターミナルケアというのは諸外国に比べて非常におくれているというのは、そういう認識を持っております。今でも持っております。

 したがって、ターミナルケア、終末期医療については力を注ぐべきだというふうな考えでありますけれども、やはり御高齢の方から見ると、終末期という言葉は何かもう、あなたはもうすぐ終わりなんだという言葉のニュアンスがあったり、遺言を書きなさいみたいな話にとられちゃうと、いやいや、私はまだかくしゃくとしている。これは、ヨーロッパのように若いときから遺言を書くような伝統があるところなら別ですけれども、こういうことは私は非常に御高齢の方々の気持ちを痛めた面があるのではないかというふうに思っていますから、こういう点についてもどういう形で改善できるのか、それは検討課題とさせていただきたいと思っております。

長妻委員 この終末期相談支援料に絡んでの動きだと私は思っているんですけれども、昨年の五月、厚生労働省が、終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインという、これは大げさに言えば歴史的な文書を出されたと思うんでございますが、そこの中を拝見しますと、「生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない。」こういうふうに書いてございます。

 つまり、この文書を逆に読めば、消極的安楽死を昨年五月のガイドラインは対象としていると読めるんですけれども、国というのは今現在、そのガイドラインに書いてあるような消極的安楽死は認めるという方向に変わったということでございますか。

舛添国務大臣 これは、私の記憶が正しければ、たしか東海大学の安楽死事件の判決において今の積極、消極という言葉遣いがなされたのをこのガイドラインで役所が引用したんだろうと思います。

 私は、国として積極的とか消極的な安楽死、そういう概念そのものは、政策とか立法過程においてもそれはないと思っておりますから……(長妻委員「ガイドラインに書いてある」と呼ぶ)いや、そのガイドラインは今申し上げた判決をもとにしておりますけれども、積極的安楽死はよくないけれども消極的安楽死はいい、そういうことは全くございません。少なくとも、厚生労働大臣はそういうことは認めません。

長妻委員 非常に不思議なのは、でも文書として、表紙に「平成十九年五月」「厚生労働省」というクレジットの上にこのガイドライン、厚生労働省、国のガイドラインとして提出されているということで、これは、消極的安楽死は認めているんだというふうにとっておられる医療関係者もおられますよ。そういう非常にあいまいな中で、医療費削減ありきで終末期相談支援料を入れていく、終末期の定義も安楽死の議論も、あるいは延命治療の定義もないまま入れていくのは拙速ではないかということを申し上げておきます。

 そして、三十三ページでございますけれども、もう一つこの後期高齢者医療制度の本質的問題だと思うんですけれども、三十三ページの表を厚生労働省からいただきました。これは、加入者一人当たりの保険料の見通しという推計数字をつくっていただいたわけでございます。

 これを見て首をかしげますのは、後期高齢者は、平成二十年度から平成二十七年度まで一人当たりの保険料の伸び率が三八%伸びる。これは事務費を除いた金額ということでございますけれども、平成二十年度は一年間に六・一万円が、平成二十七年度には八・五万円になる。

 では、若い方、若い方というのは七十四歳以下でございますけれども、その方の一人当たりの保険料の伸びはどうなんですかとお伺いしましたら、政管健保に入っている若い方は、一人当たりの保険料が同じ七年間で二六%伸びます。健保組合の方は、一人当たりの保険料は二八%、七年間で伸びます。共済組合に入っておられる若い方は、七年間で一人当たりの保険料が二八%伸びます。市町村国保に入っておられる若い方は、七年間で一人当たりの保険料が二三%伸びる。当然、それぞれには後期高齢者支援金も含んだ金額でございます。

 そうすると、これまでは、ことしの三月までは、老いも若きも同じ保険者であれば一人当たりの保険料の伸びの比率というのは全く同じでありました、老いも若きも同じ保険者の中では。ところが今回は、一般の方は、七十五以上の方そして六十五歳以上の任意で加入された障害者の方、この方だけを切り取って集中管理のような形にして、そこだけ保険料の伸び率が大変高い。三八%、四割といたしますと、市町村国保は二三%、二割といたしますと、倍近い伸びになっているということであります。

 後期高齢者という方は、普通、常識的に考えると、その方の収入というのはなかなかふえない方が多いと思います、年金受給者で。そのふえない方々に対しては急カーブで一人当たりの保険料を課していく、伸び率でありますけれども。この発想というのは哲学が違うんじゃないかと私は思うんですが、これは、なぜこういうことにして、舛添大臣はこれでいいというふうに思われておられるんですか。

舛添国務大臣 これは制度決定時の二年前の資料を私もちょっと調べてみました、なぜそういうことになったのか。

 これは、財務当局に対してどういう伸びの見通しが出るかということを出すというときに、平成十八年にですよ、医療給付費ベースで一人当たりの保険料を試算してこういうふうになった。それは当然、年齢が上がれば病気になる確率も一般的にですけれども高くなりますから、そういうことであるということですから、それをそのままこれに比例させて保険料を出したということでこういう数字になっているというのが、二年前のデータを調べたときの説明でございます。

長妻委員 いや、私が聞いておりますのは、今までは老いも若きも一人当たりの保険料の伸びは同じように伸びていた。ところが、ことしの四月から後期高齢者だけ切り分ける形の保険が始まったことで、そこだけ一人当たりの伸び率が倍近く伸びる。こういうことをなぜされて、そして、それは本当にいいことだ、これが制度のねらいということなんですか。

 つまり、医者にかかればかかるほど一人当たりの保険料の伸び率が若人よりも倍近く急速に伸びて首が絞まる、それで総額の医療費を抑制する、こういう考え方だと私は理解したんですが、その発想というのは、厚生労働省という、厚生という意味からして本当によろしいのかということをお尋ねしております。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、医療給付費ベースで積算したのがまずあるということ。

 ただ、私は、医療費や疾病率が高くなることは、一般論ですけれども、それは年をとれば当然そうなります。だからそのときに、では、どういう形でこういう方々も含めて国民皆保険を守っていくかということで、全体の財政負担を一割にとどめて、そして四割が現役、五割が公費だということでありますから、哲学としては、そういう九割をほかのお金で見るということの哲学は、むしろ保険という概念を超えているというふうに思っています。

 そして、この伸び率については二年前にそういうことで計算したということですから、今日それがどういうふうな哲学になっているかというのは、私が今申し上げたように、きちんと、むしろ保障として後期高齢者の方々の保険制度を守っていく、そういう哲学につながるわけであります。

 したがって、これはあくまで医療費ベースの比例ですから、直接的にそこに、この保険料がどんどん伸びていって大変なことになるということではないような抑えをきちんときかせるということが、私が申し上げたいことであります。

長妻委員 いや、そうは言いますけれども、保険料の算定の考え方の基礎となる資料がこれなわけですよ。

 それで、市町村国保は、若人というのを七十四歳以下と定義すると、若人は平成二十年度は一人当たりの年間保険料が七・九万円、平成二十七年度は九・七万円ということで、平成二十七年度を比べますと、若人の市町村国保は九・七万円、後期高齢者の一人当たりの保険料は八・五万円ということで、後期高齢者の一人当たりの平均保険料の方がまだ安いわけでありますが、伸び率が倍違いますので、このトレンドでいきますと、いずれは若人の一人当たりの保険料よりも後期高齢者の一人当たりの保険料の方が高くなってしまう。

 こういうような発想で、後期高齢者にも痛みを知っていただくという本当のねらいを話された厚生労働省の課長補佐もおられましたけれども、私自身は、広域にするのはいいと思います。保険者を市町村で細かく区切るのではなくて、広域にする。しかし、老いも若きも、基本的には年齢で別枠にするという考え方は容認できない。地域で別枠にするのであればするというような発想が必要ではないか。リスクの高いグループを一くくりにして保険にするというのは、そもそも保険の理論からいっても間違っている、リスクが少ないものと高いものを混在させていくのが保険の一つのあり方ではないかというふうにも私は考えております。

 そして、こういう集中的に後期高齢者に伸びを課していく、つまり、医者にかかった責任を後期高齢者だけに集中的に押していくというのは、これは私はかつて金融の問題、財務金融委員会にも所属しておりましたけれども、これは金融の一つの管理の手法と似ているということで、ちょっと、ぞっとする部分もあるわけです。例えば、そういうところを一つに集中管理して、別枠にして集中投下とそこに負荷をかけていく、こういうことでは、これは生身の人間でありますので、そういう発想は捨てていただきたいというふうにも思います。

 そして、きょう、法案の審議でございます。

 この法案の対象となる国立病院を調べてみますと、私自身は、談合の体質があるのではないかという疑義を持ってしまうわけでありますが、そこをちょっとお尋ねしていきたいと思います。

 まずはこの三ページでございますけれども、日本の医療費、三十三兆円とも言われておりますが、どういう内訳になっているのかといいますと、大体、医療サービス従事者、お医者さん、看護師さんなどの人件費で四八・八%、これは平成十七年度でございますけれども、医療費の約半分が人件費だと。あとの半分はいろいろな物品役務などであるということでございますが、その中でも、全体の二割が医薬品の費用となっておりまして、よく言われているのは、日本は世界でも医薬品の価格が高い国だ、薬価が高過ぎるのではないかということを言われて、私もそう考えております。

 そして、医療材料、医療機器とかいろいろな材料というものや、委託費あるいは経費、光熱水費などが続くわけでございますけれども、医療の質は落とさずに、いいものを安く買う、これも一つ医療費を下げる方策ではないか。

 四ページ目も見ていただきますと、医療機器も、この表は厚生労働省につくっていただいた表でございますけれども、PTCAカテーテルという全く同じ商品を比べると、例えば医療経済研究機構の調査では、日本は二十五万円、アメリカは七万円、イギリスは五万円から八万円、ドイツも七万円から十四万円、フランスも三万円から五万円。

 そして冠動脈ステントというのも、全く同じ商品でございますけれども、ジェトロ調査では、日本三十五万円、アメリカ二十万円、イギリス十万円、ドイツ十万円、フランス三十万円。

 あるいはペースメーカー、これも全く同じ商品でございますけれども、ジェトロ調査で、日本は百六十万から百七十万、アメリカ六十万から七十万、イギリス三十万から三十五万、ドイツ三十万から三十五万、フランス四十万から五十万、韓国も六十三万から七十万。

 この表だけで見ると、日本が非常に高いということでございます。

 そして七ページ目でございますけれども、今法案が審議されております国立高度専門医療センター、この病院すべてを集めた契約状況を表にしていただきましたところ、全契約でいいますと、これはトータルは九ページに書いてございますけれども、全契約数一千六百五十一、金額が四百八十四億円、平成十八年度でございますけれども、こういうものを買っている。うち天下り先と契約しているのが、百七十四契約が天下り先。つまり、契約先の一〇%に天下りがいるということでございます。

 そして、それぞれの契約を一般競争入札と指名競争入札に分けて考えてみますと、一般競争入札は七百九十三件、二百五十億円。そのうち落札率九五%以上が五百六十八件もあって、一般競争全体の七一%、七割以上が落札率九五%。落札率一〇〇%が百四十五件もある。一般競争入札全体の一八パー、二割弱も落札率一〇〇%。

 予定価格というのは、絶対外に出してはいけない価格です。これを公務員が出したら犯罪になります。これは漏れていないはずでございますけれども、こういう形になる。

 指名競争入札に限って言うと、二百七十四件、百億円のうち、指名競争入札全体のうちの九六%が落札率九五%以上、指名に限っては。落札率一〇〇%というのが一〇%、二十八件もあるということで、落札率が非常に高い。

 そしてもう一つ、国立病院機構。こちらは一足先に独法になりました。これは十ページから契約資料を集めましたけれども、百四十六の国立病院を束ねる独立行政法人国立病院機構、平成十八年度の契約でございますけれども、全体の契約数が一万一千七百二十四件、二千四百七十五億円。うち天下り先契約が千七百三十五件。件数だけで言うと、全契約のうちの一五%に天下りがいるということでございます。

 一般競争入札五千六百五十六件、一千五百十七億円のうち、落札率九五%以上が四千五百十七件で、一般競争入札全体の件数の八割が落札率九五パー以上。ちなみに、落札率一〇〇パーのものが千百六十二件。一般競争入札のうちの二割が落札率一〇〇%。

 指名競争入札だけで見ますと、四百四十五件、八十一億円のうち、落札率九五%以上四百十件。指名競争入札全体の九二%が落札率九五パー以上。指名競争入札のうち落札率一〇〇パーが二百三十二件ということで、指名競争入札全体の五二%、半分ちょっとが一〇〇%の落札率。落札率九九%以上は三百五十一件。指名競争入札の七九%、八割が落札率九九パー以上ということでございます。

 きょうは公正取引委員会にお出ましいただいておりますが、私も、これほどの数字を見た記憶というのは余りないんですが、非常に高いと思うんですが、いかがでございますか。

竹島政府特別補佐人 落札率につきまして、公正取引委員会は業種別に悉皆的な統計を持っているわけじゃございませんけれども、今御指摘の数字は、一般的に、私の経験からいいますと、確かに落札率が高い方に偏っているなと。

 公共工事、建設、土木の場合はこれはかなりばらけておりまして、入札制度の改革が進んだ県におきましては八割近くまでいっている、一方、そうじゃないところはまだ九〇%台にあるというようなことになっていますが、分野は違いますけれども、確かに高いなという感じはいたします。

長妻委員 これは舛添大臣にお伺いしたいんですが、この落札率一〇〇%とか九九%以上がこれほど高くなった理由というのは、つまり、これは問題ないということでありますか。合理的な理由があるのでございましょうか。

舛添国務大臣 これは個々のケースを全部精査してみないとわかりませんが、例えば薬品の場合、医療機器の場合、こういうもので委員がおっしゃるような談合体質があるようなことがあれば、これは断じてやめないといけないと思いますが、何回も複数入札をやらないと予定価格に達しないというやり方をしていった場合に、一〇〇になることはあります。それから、大体、前の回の契約の数字をもとにしてやるようなときも、そういうケースはあると思います。

 しかし、これは本当にその一つ一つの契約について、談合があったり、先ほどおっしゃった公務員の再就職先との、天下りですね、これとの絡みがあったりするということは、これはもう本当に一つ一つ精査してみないといけないと思いますが、今申し上げました天下りの問題や談合体質、そういうものがかかわっているとすれば、それは断固改善していかないといけないと思います。

長妻委員 ぜひ調査を一度、先ほど竹島委員長も言われたとおり、建設業は何度もいろいろ言われて、マスコミも含めて監視の目がいろいろある、まだまだそういう体質があるところもあると思いますけれども。ただ、医薬とかこういう医療費のところはすっぽりと抜け落ちておったわけでありまして、舛添大臣、ぜひ、この機に調査を徹底的にしてみるというような御答弁をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 普通は、明確な違法行為があれば、これは調査に踏み込むのは当然なんですけれども、しかし、今のような疑義が公正取引委員長の方から、一般的に見てこれは高いという数字もありますから、ちょっとそれは調べてみたいと思います。

 それから、先ほどの委員の資料の四ページでお示しいただいたことなんですが、実はこれは、私はアメリカ政府とも協議をし、アメリカの製薬業界ともいろいろな機会に協議をしますが、特に医療機器について、我々はもっと安いものを提供できるというような話もあって、若干、貿易摩擦的な面もありますが、逆に、保険制度をきちっと守っていって、根幹の国民皆保険を守ろうというときに、では、安ければ何もかも外国のものでいいのかということもあります。

 したがって、薬品は相当競争力が出ているんですけれども、特に医療機器について、これは委員がお示しになったとおり、これだけ価格差があるんですね。これは私も自分の独断で、だからオープンにしてどんどん入れましょうというわけにいかないさまざまな問題がありますので、また、こういう委員会の場でも議論をしていただいて、一番国民に納得いく形で、特に医療機器の問題は議論すべき時期に来ているというふうに私は思います。

長妻委員 先ほどの資料は、一応、購入を五つのカテゴリーに分けて、それぞれ詳細にこれは資料が出ておりますので、ぜひごらんをいただきたい。薬剤費と診療材料費、医療器械費、役務費、その他に分けております。

 私がよく聞きますのは、日本の医療機関は非常に小口に買うから非常に高くなってしまうと。例えば、せっかく国立病院機構という独法ができて百四十六の国立病院を束ねているにもかかわらず、一部は共同購買になりましたが、いまだにそれぞれ小口に分けて買っているケースが多いということ。

 こういうことと、あと、大臣も冒頭言われましたけれども、前回の入札と同じ予定価格をのんべんだらりと何年も続けているから落札率一〇〇%が多い、こういうことを私もお役所から説明を聞いて、本当なのかと調べましたのが十一ページでございますけれども、例えば国立病院機構の指名競争入札で、落札率一〇〇%のものが五割あるというところは、二百三十二件のうち前年と同じ予定価格のものは四十六件しかありません。初めお役所はほとんどそのような、前年と同じ予定価格だから同じになったんだという説明をしておりましたけれども、これはもう全然そうじゃないわけでありまして、いろいろなほかの要因があると思います。

 ぜひ、竹島委員長におかれましては、下調査というか、こういうところに関する、医療費に関する調査というのも今後きちっと見ていくんだということを御答弁いただきたいと思うんですが。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、医療の分野、それにかかわる産業、これは国民経済、国民生活上大変大きなウエートを占めておりますので、公正取引委員会といたしましても、そういう分野において独禁法違反的なことが行われているか、いないかについては大きな関心を持っております。過去十年間を見てみましても、十五件排除措置命令を出しておりまして、これからもよく目を光らせていきたいというふうに思っております。

長妻委員 ぜひ強力にお願いをいたします。

 公取の資料でございますけれども、六ページ目でございますが、こういう談合事件を摘発すると購入価格が幾ら下がるかという資料でございます。

 入札談合事件の単純平均では、摘発後は一八・六%安くなる、安く買えるということですよ。入札談合・カルテル事件の単純平均でありますと一六・五%安くなるということで、薬価も含めると、全体でいうとすごい金額ですから、きちっとやれば、こういうところも価格が安くなる可能性も出てくるのではないかというふうにも思います。

 そして、天下り体質で申し上げますと、では企業への天下りはどうなのか。医薬品メーカーですね、二十八ページでございますけれども、これは厚生労働省に調べていただきました、国内売り上げ上位三十社、二〇〇六年度。この医薬品メーカーへの天下りというのは十九社に天下っておりまして、かなり天下っている。こういうことも薬の価格が上がっている原因だとすると、非常にとんでもない話ではないか。

 その次のページでございますが、医療機器メーカー、売り上げ上位十社、二〇〇五年度。ここは三社に天下っておりました。

 そしてもう一つ、厚生労働省の体質でございますけれども、三十四ページ、最後のページでございますが、ここには十一件の厚生労働省も認めた不適切な会計処理が出ております。これは、会計検査院から照会文書による質問を受けた事項のうち決算検査報告に掲記されなかった事案であって、厚生労働省において不適切と認める事案でありまして、一切これは公表されていません。世の中に全く出ていない。十一件でございます。

 これはちょっと舛添大臣に聞きたいんですが、上から四番目の百八十万円の不適切な補助事業、熊本大学に対するもの、これは具体的に、中身はどんな補助事業でございますか。

舛添国務大臣 これは、会計検査院の照会文書の内容そのものが不開示情報であるということで、この内容については不明であるというのが今の私が持っている答弁であります。

長妻委員 これは私も事務方から説明を受けてびっくりするわけですが、私、別に、何か会計検査院の内部文書を出せなんて言っていません。厚生労働省が不適切と認めた会計処理だということなんですよ、熊本大学への百八十万円、平成十八年度。信州大学への平成十八年度百万円、この補助事業も不適切だということで、全額返還請求をしている。では、この金額は何の補助なんですかと言うと、それはマル秘です、言えませんと。それは許されないですよ。

 ぜひ、舛添大臣、教えていただきたいと思うんですが。

舛添国務大臣 今私の手元にございません。したがいまして、これは調べて後ほど何らかの形でお伝えすることにいたします。

長妻委員 きょう会計検査院も来られておられますけれども、これは会計検査院が口どめしているという話も聞いたんですが、では、この百八十万円、百万円の中身を公表するということは当然よろしいんですね、会計検査院。

増田会計検査院当局者 お答えを申し上げます。

 私どもの照会文書につきましては、その内容は不開示情報ということでございます。

 この判断については、最高裁判所の判決あるいは私どもの審査会の答申でも是認されているところでございますので、そういう金額も含めて照会文書の内容につきましては、私ども、各省におかれましても、説明の際には、照会文書の内容が類推されるような説明、あるいは照会文書の内容と関連づけた説明は差し控えていただくようにお願いをしているところでございます。

舛添国務大臣 もともとは会計検査院の指摘でありまして、今、会計検査院から、公表するなという御指示でございますから、それに従わざるを得ません。

長妻委員 そんなばかなことがあるんでしょうか。最高裁の判決を私も読みましたけれども、それは、会計検査院が役所にこういうところはどうなんですかと、検査の前提となる文書そのものを開示するのはだめだという判決なんですよ。私、その文書を欲しいなんて一言も言っていません。

 百八十万円と百万円が不適切だと厚生労働省が認めたわけですよ。税金ですよ。それを、どういう趣旨の金であるかというのを表に出すのを会計検査院が口どめするというのは、これはおかしいんじゃないでしょうか。全省庁口どめされています。表に出ない。どうしてですか、会計検査院。

増田会計検査院当局者 私ども会計検査院は、各府省がみずから不適切と判断した会計経理を公表するかどうかについて、意見を申し上げる立場にはございません。各府省におきまして判断されるべき事柄であるというふうに考えております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、私どもが発しました照会文書の内容につきましては、件名であるとかあるいは金額でありますとか、こういったようなことにつきましては、先ほど申し上げましたような理由から、各府省がそういう説明をする際には、私どもの照会文書の内容が類推されるような形での説明は避けていただきたい、そのことのみお願いをしているところでございます。

長妻委員 これは異常ですね。つまり、不適切な会計処理が発覚した経緯が、自分のところで調べて発覚したのは好きに公表してください、ところが、会計検査院が指摘して、それで自分のところで反省して不適切だと思ったものはここまでにとどめて、金額の中身も言っちゃいかぬと。

 聞きましたよ、私、下から二行目の「物品の購入」で不適切な処理があったというのを。何の物品ですかと聞いたらば、物品も教えられない、ヒントもだめだと。では、かたいものかやわらかいものか、それもだめだと。こんなクイズみたいなこと、何で会計検査院は隠ぺいするのか、本当にさっぱりわかりません。

 舛添大臣、ぜひ、これは別に会計検査院ともう関係のない、手が離れている話ですから、開示するというふうに言っていただきたいと思うんですが。

茂木委員長 舛添大臣、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

舛添国務大臣 私は開示すると約束をしたら、そういうことはいけないという御指示でございます。

 会計検査院自身が、ある意味で政府と独立した機関でもありますけれども、日本国政府の一つの機関でもあると思っております。そういう中で、きょうの問題をどうするかということは内閣全体としても少し議論をしてみたいと思いますし、また、これは立法府、行政府の、特に立法府においても、きょうこういう問題が長妻委員から提起されましたので、きちんと対応して何らかの答えが出る、やはり国権の最高機関がこの国会でありますから、ここでの情報はできるだけ公開にして、そして、国民の目の前できちんと正すべきは正すというふうに私は思っておりますので、そういう方向で政府の中で発言をし、努力をしてまいりたいと思います。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、会計検査院には、消えた年金問題、これの検査も入っていただきたい。そして、この国立病院の、先ほどの体質の検査にも入っていただきたい。それと、下関、愛知・半田でコンピューターのデータを盗むような形で受給額をふやしていた、そういう事例も出たやに聞いておりますので、そういうものもきちっと検査をしていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、後期高齢者医療制度について若干伺います。

 今わかっているだけで、制度見直しを求める署名が五百五十万筆を超え、自治体決議が五百七十を超えました。五月三日の毎日新聞の世論調査では、制度を評価しないと答えた方が七七%、自民党支持者の六四%、公明党支持者の七〇%が評価しないと答えているそうです。与党支持者の方々もあるいは与党の皆さんも、このままではいけないと受けとめているのではないかと思います。

 感想も含めて大臣に伺いたいと思うんですが、例えば三月二十二日付の朝日新聞の読者欄に、横浜市の七十八歳の男性の方が次のように書いております。後期高齢者医療被保険者資格取得のお知らせと一緒に被保険者証が送られてきた、申請もしていないのに資格取得という、努力して何かの資格を取ることは喜ばしいが、今回はうれしくない、さりげなく死期の近いことを悟らせ、そろそろ死に支度をしなさいと促されているようで落ちつかない、このように訴えています。まさにこの方の表現がぴったりではないでしょうか。

 私は資格取得という言葉に非常に驚きましたが、この方が感じているように、そろそろですよ、そろそろお迎えが来ることを自覚せよというところが実はこの制度の核心部分である、ここに国民の怒りが集中しているのではないか。単に制度の周知が足りないという問題ではないと考えますが、いかがですか。

舛添国務大臣 いろいろな御批判があることは私も承知をしております。

 先ほど申し上げましたように、この制度ができるに当たって十年以上にわたって議論を進めてきた、そして、天引きの問題にしても、全市町村が何とかやってくれということで踏み切った、例えば今のような事情は全く説明されません。そして、市町村もこんなの大変だ、大変だと言う。

 だけれども、例えば保険証をちゃんと送らなかったり、ミスをしたのは一〇〇%の市町村のうちのわずか七%ぐらいなんですね。九三%はしっかりやっている。しっかりやるのが当たり前で、ミスするところはやはりおかしいわけですよ。ですから、そういうことも含めてやはりきちんと実態を、これは調査を今やっております。そして、直すべきところは直す、正すべきところは正す。しかし、国民皆保険をきちんと守っていくということが必要だと思います。

 先ほど私が申し上げましたように、いろいろな情緒的な反応があるのはわかります。今おっしゃったように、お迎えがもうすぐ近いんだなと。それは、後期とか終末期とかいう言葉や遺言などと聞くとそういう気になるというのはよくわかりますから、そういうことも含めて改善すべきは改善する。しかし、この限られた財源の中で世界に冠たる国民皆保険をどうして守っていくか、この点もまたしっかりと、忘れないでやらないといけないというふうに思います。

 先般のNHKの世論調査を見ていますと、全部廃止しろという数よりも、この根幹は残した上で改善しろ、私が今申し上げた意見の方が最も数が多くて、半分近くあったということに私は非常に心強く思いました。

高橋委員 ミスの七%が多いか少ないかというのはちょっと考え方があると思いますけれども、私は、確かに制度が始まったときの混乱というのはさまざまあるだろう、それと同時に、制度がもたらす複雑さというか、問題点がもたらしている今の混乱もあるだろう。しかし、今言いたいのは、そうは言っても、大臣は、最後におっしゃったように制度の根幹にさわる気はないんだということですね。やはり、ここに私は非常に問題があるし、ここに国民が怒っているのではないかということなんです。

 それで、伺いますけれども、後期高齢者診療料六百点の算定について、既に二十七都府県の医師会が異議を唱えております。後期高齢者診療料の医療機関の届け出状況がどうなっているのか、数で教えてください。

水田政府参考人 後期高齢者診療料の全国での届け出件数についてのお尋ねでございますけれども、四月十四日現在の速報値で八千八百七十六施設でございます。この件数は、内科を主たる診療科とする診療所の約二四%に相当するものでございます。

高橋委員 今、八千八百七十六医療機関、二四%ということで、私は二割は超えないだろうなと思っていたが、若干超えたということでありました。

 東北六県のデータで見ますと、四月末現在、ですから今より事態が進んでおります。河北新報が調べた数字で、青森県は一の〇・一%から、一番多い福島で百八十三の一四・三%。この青森の一がゼロになったということをきょう確認いたしました。このように、実は、国が進めようとしているもともとのところの診療料が皆さんが思うようには進んでいないというのが実態だと思うんですね。

 もともと高齢者の医療の確保に関する法律は、第一条の目的のところに医療費の適正化のためと書いてある。ですから、先ほど、大臣、皆保険を維持するためとおっしゃっておるわけですけれども、ともかく医療費適正化が目標ということは最初から書かれてある。

 ですから、何度も国会で指摘をされたような基本的な考え方、高齢者の特性というのはやがて避けることのできない死を迎えるんだ、ここを自覚せよということで、三つのツール、病院から在宅へ、そして二つ目の終末期、そして三つ目の今の診療料にあらわれる包括払い、この問題が具体化されたのではないかと思います。

 ただ、〇六年六月の資料で見ますと、老人医療費、一件当たりの点数は千六百三十二点、そのうち後期高齢者診療料に包括される医学管理、検査、画像診断、処置などを合計すると六百九十八点です。そうすると、現状で既に六百点を超えているということになります。もちろんそれは、これより少ない人もいるだろうし、もっともっとかかる人もいるということになるわけですね。ただ、それを六百点で包括するということは、当然、少ない方には六百点にさせてもらおうかとか、あるいはもっと多い人に対しては受けられる医療を抑制するのかと医師の良心が問われてしまう。医は仁術というけれども今は医は算術と言った方がいいのだと言う医師がおりました。

 選択できるのだとか、規制はしていないと言うのであれば、これ以上、算定はしませんと言っている医師会に対して広げることはやめていただきたいと思います。患者さんから見て二人のかかりつけ医師を選ぶことはできません。主病は一つと決められています。出来高払いとどっちがいいかなどは、患者さんには選択だと言われてもよくわからない。六百円で済むというんだったらその方がいいと思ってサインしてしまうかもしれません。現在、算定届け出機関が二四%にとどまったとはいえ、これで道がついた、次のステップに踏み出すということになってはいけません。都道府県や医師会などに対して、届け出をふやすような口出しは今後一切しないと約束していただけますか。

水田政府参考人 後期高齢者診療料をとるかとらないか、これは医療機関の選択でございます。その点につきましてはそういうことで対応したいと思っております。

 それから、この中身につきましては中医協の場において結果を検証するということになっておりますので、その運用状況につきましては十分に検証していきたい、このように思っております。

高橋委員 選択でありますからということでしたので、これ以上医療機関に対して届け出をせよ、ぜひしてほしいと言うことはないということを確認させていただきたいと思います。

 それでは、国立高度専門医療センター、NCと略しているようですけれども、この独法化の問題について質問させていただきたいと思います。

 〇六年の行政改革推進法により、六つのNCを二〇一〇年から非公務員型の独立行政法人に移行するということ、同時に国立高度専門医療センター特別会計が二〇一〇年度から廃止することとされました。

 まず確認をしたいのですけれども、先ほど来幾つか同様の趣旨の議論があったかと思いますけれども、一つは、〇四年に国立病院機構に移行した際、NCを国の機関として残したのはなぜか。二つ目には、国立病院は単一の独立行政法人へ移行したのにNCはそれぞれ個別に独立行政法人としたのはなぜか。

外口政府参考人 まず最初に、国立高度専門医療センターを国立病院機構のほかの病院と分けて国立のまま残したのは、ハンセン病の医療機関も一緒でございますけれども、これは政策目標としての高度専門医療センターの意義等を踏まえてそういったことにしたわけでございます。それはそのときの判断でございます。

 それから、一法人ではなく今度六法人にしたことについては、これもかなり議論をした上での結論なのでございますけれども、一法人に六つの全く役割の違う法人をあわせてしまうことのメリット、デメリットを考えた場合に、やはり六法人の方が、大学もそれぞればらばらでございますけれども、地域も別ですし、やる役割も別でございますので、その方がそれぞれのセンターの長所を強く出せるであろう、そういったことから六法人としているわけでございます。

高橋委員 今の後半の方の答弁について先に伺いますけれども、そうすると、長所を強く出せるんだということで、ただ、今まで国立病院機構という一つの機構が間に入っていたのとは違って、国と個々の独立行政法人という、ダイレクトな国と独法との関係になるということでは、国の関与もこれまでの国立病院よりは強まるということになるのか、国の関与、あるいは責任といいましょうか、あるいはそれぞれの独法の理事長の裁量権、これも国立病院機構に比べ高まるということになるのか、伺いたいと思います。

外口政府参考人 それぞれの新しいナショナルセンターに対する国への働きかけの距離と申し上げればいいかもしれませんけれども、それについては、もちろん六法人の方が、一つにまとめてそこの理事長を経由してそれぞれの施設にさまざまな政策的なお願いをすることについては、これはもう個別にやった方がはるかにダイレクトな指示ができるわけで、きめ細かく対応できると思っております。

高橋委員 きめ細かくと。何か、ちょっと聞いたことにダイレクトに答えていただいていないような気がするんですけれども。

 なぜそういうふうに聞くかといいますと、今、国立病院のそれぞれの院長さんがほとんど独自の見解を持たれない、機構の判断なんだろうということが非常に、例えば人員配置の問題ですとか、さまざま、そういう場面に出くわすわけなんですよ。でも、今回あえてこうして個々にやったということは、理事長さんにそのくらいの裁量があるんだというふうに受けとめていいんじゃないかと思ったからなんです。いかがですか。

外口政府参考人 御指摘のとおりでございまして、新しい六つの法人の施設長たる理事長についてはそれぞれの独自性を十分に発揮していただきたいと考えております。

高橋委員 わかりました。

 その上で、最初の方の答弁ですね。なぜ国の機関として残したのか、そのときの意義があったんだ、そのときの判断だったということで、ちょっと心細くなってきたわけですけれども、いわゆる医療政策の牽引車でもあり、均てん化などの核でもあり、重要な役割があって国として進めなければ、国の責任においてやらなければならないんだという当時の答弁があったのではないか、そのことを簡単にお答えになったと思うんですけれども、そのときの議論の意義は基本的に変わらないばかりか、むしろ強まっている。つまり、国の医療政策が、例えばがん対策基本法ができたりですとか、感染症が対策が強まっているですとか、そうした点でも、個々に見ても、むしろ強まっていると私は思っているんです。

 〇五年の十一月二十一日の財政制度審議会「特別会計の見直しについて」の中で、基本的な考え方として、国として行う必要性がない事業については独法化、民営化等をすべきであるという方針を示し、これを受けて、同年十二月の閣議決定、行政改革の重要方針で独法化と特別会計の廃止が決定をしたわけです。

 そうすると、政府は、NCは国として行う必要性がないと決めたということなのか。私は、前段の財政制度審議会の考え方は逆に必要性があれば一律に独法化しなくてもよかったんだということではないのかと思いますが、いかがですか。

外口政府参考人 国として行う必要性というのとその必要性を行うに当たっての手法について、公務員型で行うのか国の機関で行うかというのは、これは必ずしも同一のものではないと思います。

 もちろん、政策医療、がんでありますとか循環器医療でありますとか、そういったことの研究を進めることは、これは国として進めていくべきことだと考えておりますし、特に、もう医療として確立している部分はいいんですけれども、医療として確立していない部分の治療法のない患者さんたちにどう対応していくか、治療法を望んでいる患者さんに対してどうやって治療法を開発していくかというのは、これはもう国が率先してやっていくべきことだと考えております。

 それを進めるに当たって、確かに、平成九年のときには、国立高度専門医療センターが、先駆的医療は不採算、あるいは、研究がその業務において高いウエートを占めている、こういった理由で国立の機関として残したわけでございますけれども、今、やはり、この研究を進めていく過程においては、国の役割として進めていくにおいても、非公務員型の独立行政法人という形で進めていけば、今までと違って、企業との人的交流、大学との人的交流、あるいはすぐれた能力を持つ外国人幹部の登用であるとか、それから民間資金の受け入れとか、研究開発という面ではさらに進むことが考えられるわけでございます。

 そういったことを勘案すると、国の使命は国の使命として進めますけれども、この国立高度専門医療センターについては、独法にして非公務員化にするのが今は一番ふさわしいのではないか、そのように考えてこの法案を提出しているわけでございます。

高橋委員 今のお答えは、国としてやる必要がないという判断ではなくて、非公務員型の独法として進める方が研究開発が進むんだ、つまりメリット論が優先しているというお答えだったと思うんですね。これは、やはり重要な見解だと思うんです。

 行革推進法の中で議論されてきた問題でありますから、やはり削減先にありきなんですよ、メリットというよりは。そこから出てきて、皆さんが今そう言う理由が出てきたんじゃないか。本当にそのことによって進むものもあるかもしれないけれども、しかし、本当に果たせる役割が担保されるだろうかということを議論していかなければならないと私たちは思うんですね。

 続けますけれども、国立病院機構と違い、非公務員型ということでありますから、先ほど来議論されていますけれども、私からも確認させてください。

 五年間で五%純減の枠からは外れるというのが当然だと思います。違うのでしょうか。午前の質疑でもこのことが明らかになりませんでした。今回やっちゃえば五千六百人純減も果たすわけです。それなのに、なぜその上に五%をかける必要があるのですか。根拠がないんですけれども、いかがですか。

外口政府参考人 御指摘の五年間五%の人件費削減についてでございますけれども、これは、平成十八年に成立した行革推進法で、役職員に係る人件費の総額について、平成十八年度以降の五年間で五%以上を減少させることを基本として、人件費の削減に取り組むこととされているものでございます。

 独法化後の各国立高度専門医療センターにおいては、中期目標の達成や、必要となる診療機能の低下の防止などに配慮しながら、組織のあり方、給与制度、外部委託の検討などの取り組みをしつつ、そういった趣旨も踏まえつつ、そうはいっても、やはり充実すべきことは充実する、こういったことを両立させるべく、いろいろな工夫をしていきたいと思っております。

高橋委員 全然はっきりしないんですけれども、五%は根拠がないというのはいいですよね。

 ですから、趣旨を踏まえつつですから、維持する、拡充するということもあるし、減らすにしても〇・数%とか、そういうこともあるわけで、並びになるわけではないということで確認してよろしいですか。

外口政府参考人 人件費の総額について、効率化していくという趣旨はやはり踏まえなければいけないと思いますし、効率化するべきところは効率化すべきだと考えております。

 ただ、この趣旨を踏まえつつも、やはり医療とか研究に必要な人員というのは確保していくことが必要だと考えておりますので、今、関係当局といろいろ調整、協議をしておりますけれども、こういった外部委託など、人件費総額を削るのに役に立つようなところについては、いろいろ工夫しながらも、必要なところについては確保できるようにということで、いろいろと検討を進めているところでございます。

高橋委員 大臣は、午前の岡本委員の質疑の中で、私が耳で聞いたので正確にあれかもしれませんけれども、非効率的という働き方をされている方々が安定の上にあぐらをかいて仕事をしてきた、このような表現をされました。私は、これは絶対に許されないと思います。

 仮に、大臣の言うような方がいるとして、大臣の職場にいたかもしれません、しかし、そういう人が周りにいることをもって全体がそうであるかのような言い方をするべきではないと思うんです。

 実態については、実は、私、次回、参考人も踏まえて質問するつもりでしたけれども、この問題はちょっと不問にできません。

 まず、必要な医療提供体制をきちんと整えて初めて効率化の議論はできるのではないでしょうか。

 例えば、あるNCでは、妊婦さんが産み月まで夜勤をしています。休むとかわりがなく、ほかの人に負担をかけるからです。自分が死ぬかやめるかどちらかの選択しかないんだ、そこまで言われている職場です。新卒の離職率が二三%にもなり、夜勤九回、十回がざらで、かつ二人夜勤です。七対一どころではありません。こうした事情を把握されているのか、あるいは把握しているとするならば、どう改善しようとしているのか、伺います。

舛添国務大臣 医療制度全体の大改革をやる、医療サービスの質と量を上げる、そのためにビジョンをつくる、きょうの夕方もその作業をやります。そして、二千二百億円のマイナスもこれは限界に来ているということを申し上げている。そういう大きな努力はありますが、簡素で効率的な政府をつくっていくんだという行政改革の理念は私は正しいというふうに思っております。

 そして、高橋委員も限られた、神様じゃないですから全部が見られるわけじゃありません。私も全部が見られるわけじゃありませんけれども、私は国立大学というところに奉職をしていて、余りにもひどい状況を見てきて、そうでなければやめておりません。辞表をみずから出したのは、まさに、その身分、三十歳で助教授になったら、六十まで論文一つも書かなくたって教授が務まるというような、そして、国際競争をやらない方がはるかに楽ですから、外国人が入ってくると自分の語学力、能力がないことが見えるから嫌だ、そういう抵抗勢力に囲まれておりましたので、そういうところはやはり変えていかないといけない。恐らく、独法になって東京大学も少しはよくなったと思いますよ。

 そういう思いを込めて、改革はすべきである。しかし、それが立法の意図ですから、あの五%、五年間でというのは、そういう立法。そして、何度も言いますけれども、集中と選択というのは、企業だけではなくて行政組織においても必要なんです。アウトソーシングできるものをやったって悪いことじゃないじゃないですか。

 私は、そういうことも含めて、しかし、根幹である命を大事にする、研究をしっかりやる、このことはしっかりやるべきであって、ロジや何かで、まさに、そういうきちんとしようとしない人がいれば改革の対象にすべきである、そういうことを申し上げた次第であります。

高橋委員 東大の教授の話は知りません。必要な医療提供体制をきちんと整えてから出発すべきだということです。その問題について答えてください。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、医療サービスの質と量をふやすべく全力を挙げております。

 しかし、どちらが先ではなくて、きちんと効率もちゃんとこれは追求していかないといけないということも申し上げさせていただきたいと思います。

高橋委員 次回、続きをやります。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の一日の長い審議を伺いながら、外も寒かったけれども、やはり、今、この日本の中で医療を取り囲む環境というのは極めて貧しく寒いなと思いながら、私はきょうの御答弁等々を聞いておりました。

 大臣は、今夕にも、医療のサービスの質と量の向上、もっと夢をというふうにおっしゃいますが、そうした夢を抱くためには、こんなにせせこましく独立行政法人化等々といって、人件費も削減するわ、あるいは一般会計からの補てんもどうなるかわからないわみたいな、医療現場には不安と、そして先行き不透明感を与えるような法律を通すべきではないなと、まず冒頭強く思います。

 中身を言わないで結論だけ言ったのでは申しわけないので、具体的なことでお伺いを申し上げます。

 まず、大臣には、四月八日でしたか、私ども社民党の党首の福島みずほが参議院で御質疑をさせていただきましたが、国立の長野病院が、八月からお医者様がいなくなるということで、大臣もその隣の飯田等々を御視察くださって、国立の長野病院については、閉鎖というか、人がいなくなる時期までにやはり何らかの手当てを絶対にしなければならないというふうなお考えだということを御答弁で、私は頼もしくも読みました。

 大臣も、そのときの御答弁で、御存じのように、この地域、長野県の東になりますが、約二千件の分娩があって、そのうち、国立長野というところは、ハイリスクを中心に四百七十件を年間扱う、いわゆる地域の周産期母子医療センターであります。そこから八月になると一挙に四人お医者様がいなくなる。周辺二千のお産を三つの医療施設で扱う、一人のお医者様が三百件のお産を取り上げなきゃいけない、そんなことは実際不可能だし、やはり何とかせねばならぬということなんだと思います。

 さて、この国立長野病院の産科医の後任人事について、どこまで、何がどのように進んだのか、まず担当部署からお願いいたします。

外口政府参考人 国立病院機構長野病院の産科医確保でございますけれども、これは当初は二十年三月末に引き揚げという状況でありましたが、これを、派遣元大学との協議により、まず、七月末まで派遣を継続することといたしまして、引き続き今協議を続けているところでございます。

 実際に、現在も産婦人科医の派遣元である大学あるいは近隣大学への働きかけを行っているところでございまして、これはもちろん病院はもとよりですが、国立病院機構の本部も含め、もちろん私どもも応援しておりますけれども、そういったことで、今あらゆる方面から働きかけをしているところでございます。

阿部(知)委員 大臣が、それにさかのぼるところ、各地の特に産科、小児科の閉鎖状況等を調べてごらんなさいとおっしゃってくださって、ここにこの問題が浮かび上がり、浮かび上がったからには、これは大臣にどうかお願い申し上げます。

 地域は不安でならないということであります。まして、国立病院は、かつて平成十六年に独法化されるときに、衆議院と参議院でおのおの決議が上がってございます。その決議の内容とは、医師の人事については、独立行政法人本部において責任を持って行うことという決議でございます。何でこんな決議が上がったかというと、平成十六年の独法化当時も、やはり将来の医師の確保、このことが大変になるのではないかと懸念されましたので、衆議院では十四年の十一月二十七日、また参議院では十二月十二日、おのおの同じ決議が上がっております。

 大臣に再度確認いたしますが、こうしたことも踏まえて、大臣としては、この件は責任を持って解決をしていただけると思ってよろしいでしょうか。

舛添国務大臣 今委員が引用なさった平成十四年の衆参の附帯決議、このとおりに国立病院機構本体がきちんと人事をやる。それでも非常に難しゅうございまして、今、私は、例えば文部科学大臣にも、総務大臣にも、それで防衛医官もありますから防衛大臣にも御協力をお願いして、何としても産科医不足による分娩施設の閉鎖ということは避けたいというふうに考えております。目の前の大変困った状況、全力を挙げてそういう事態が起こらないようにしたいと思います。

 それとともに、長期的に構造的な改革をやっていって、産科医不足、例えば小児科も外科も同様の問題がございますけれども、これにもきちんと対応してまいる決意でございます。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

阿部(知)委員 大臣は、これから私が申し上げるようなデータを御存じかどうか、ちょっと予告してございませんので、御答弁いただきたいですが、実は、平成十六年の四月一日、いわゆる国立病院が独法化されて以降、二十年の四月一日までの間に、救急や小児科を扱う一般の国立病院の方で、約五十六病院中、産科、婦人科が分娩を中止した病院が十一、そして小児科を廃止、休診した病院が七、おまけに麻酔科を廃止、休診した病院が三ございます。平成十六年といえば、わずか四年前でございます。

 私が今挙げたデータ、私もきのう伺って改めてびっくりいたしました。あれだけ約束して、衆参で決議を上げて、もちろんそのときは大臣は現在の立場ではございませんが、しかし、これまで、あの決議にもかかわらず、産婦人科は十一病院なくなる、小児科は七病院なくなる、麻酔科も三病院なくなる、これでは政策医療の云々もないものだと、本当に医療現場からすれば思います。

 大臣は、そもそも国立病院の独法化自身を、この時点で、この数値も含めてどう総括しておられましょうか。今回、ナショナルセンターの独法化ですが、やはり現状、医療提供体制が崩壊の危機でございます。後期高齢者医療制度のような医療保険制度も、非常に私はこの制度は皆保険を逆に崩壊させると思っておりますが、その件についてはきょうは触れません。提供体制のみについても、特に国が、平成十一年度でしたか、政策医療を十九に絞り込んで、これを行わせるために平成十六年度に独法化し、そして政策ネットワークをつくってやるんだというところからぼろぼろぼろぼろ抜け落ちていく病院がこれだけある。一体、独法化は何をもたらしたんだろうと。

 私はまたその次、私なりに考えるところを言いますが、大臣はどうでしょう。

舛添国務大臣 これは、その因果関係が、阿部委員、独法化したから、今言った、たしか十一、七、三という数字になったのか、なぜ産科の問題がこれまで大きくなったか、それは訴訟リスクの問題から始まって、女性医師の比率が高くなった、さまざまな理由についてはずっと列挙をしてきました。

 しかし、国立病院機構、これが独法化したことがその引き金になったかどうか、これについては少し検証をしてみる必要はあると思っていますが、もし今委員が推論なさったように、独法化がそれの引き金となったならば、ではどこが悪かったのか、どうすればそれを改善できるのか、それはきちんと検証してみるに値をすると思いますが、ほとんどの場合、もうお医者さんが退職した、国立だったらいるけれども独法になったから私は退職したという理由なのかどうなのか、ちょっとこれは精査をしてみたいと思います。

阿部(知)委員 大臣が精査する必要があるとおっしゃってくださっただけでも私は前進だと思います。なぜなら、日本の医療の今日の危機的状況は、もちろん背景には医療費抑制策という諸外国に恥ずかしいような政策が続き、そして、かけてあわせて、やはり医師教育を長期の展望に立って計画してこなかった国のツケがここに至っておると私は思いますが、個別、独立行政法人化については、私もこの長野病院に行ってみて驚いたのですが、非常に立派な建物が、鉄筋コンクリートといいますか、ちょっと遠目で恐縮ですが、遠くから見ていただくと、外側は非常に立派な病院が、これは平成九年完成ですからまだ十年そこそこの病院が建っております。

 そして、中を案内していただきましたが、二階の一フロアが、まるで病棟を閉じておりました。なぜですかと伺ったところが、先ほどの、五年間で五%の定員削減がかかっていて、人を減らしていかざるを得なかったと。

 大臣もよく御存じのように、医療は、やはり医者がいて、看護師がいて、そのことで提供して初めて栄えるものなのです。医療の中で人をどんどん減らしていけば、これはもう本当に目に見えて基盤が揺らぎ、やがてつぶれていきます。

 実は、南横浜病院というのも独法化してから初めて閉院になります。感染症、結核や、あるいは今度インフルエンザがはやったらどうなるんだろうと思いますが、そうしたことを提供していく病院も閉鎖されていく。私は、身をちぎられるように正直言ってつらいです。私はもともと医者ですから、一生懸命診療して何がしのものかなのに、その規模を縮小することを求められていくわけです。そうすれば、階段はもう落ちていくしかないのです。規模を縮小して栄えたところなど見たことがございません。私は、この五%削減が平成十六年度独法化された以降のいろいろな病院に及ぼす影響、これをぜひ大臣は見直してみていただきたいと思います。

 これまで、例えば、大臣は大学の独法化の問題をおっしゃいました。私もいい面ももちろんあると思います。ところが、医療現場のように人が人を支える現場で人を削っていけということは、すなわち収益も減りますし、やれる仕事も、本当に一人減ると、それは五人のうち一人減ったから五分の四になるんじゃないんです。本当に減るんです。ここはもう現場の感覚です。そこをぜひ大臣には、きょう私が申しましたことを覚えていていただいて、そういう面の見直しをお願いしたいと思います。これは先ほどの御答弁で結構です。

 引き続いて、そういうことの中で、今度ナショナルセンターが同じように独法化されるということであります。そこで、例えばがんセンター、これは多くの日本国じゅうの患者さんが、やはりあそこで治療してほしい、あそこで手術してほしい、一番治るための最新の治療を受けたいと思って全国から押し寄せる病院でありますが、大臣、御存じでしょうか、ここで、ことしの三月まで十人いた麻酔科のお医者様が、一たんは五人に減って、そして一人は採用がかなうようですが、十人が六人と非常に減ってまいります。麻酔科医が減るということは手術ができないということです。

 一般の病院、市中病院で小児科や産科や麻酔科がいなくなる、これは予兆。いよいよ本丸のセンター病院ですら麻酔科医が空席になってくる、そういう時代と認識せねばならないと思いますが、大臣はこの件についてはどうお考えか、またどのように対処されるのか、お願いします。

舛添国務大臣 産科、外科含めて、オペをやるときにはどうしても麻酔科の先生方が必要で、一気に五人もおやめになるというのは大変深刻だと思います。理由を調べると、それは給料の問題、処遇の問題に尽きるわけでございますので、五月五日、担当の課長の名前で人事院に対してこの処遇の見直しを要請したところであります。

 こういう問題も含めて、私は月末から来月の初めに大きな長期的な医療ビジョンを国民に問いたいと思います。それをもとにして、必要な数字の裏づけをやるときには財源の問題も考えないといけない。そして、きょう出てきたようなさまざまな問題についても、これはきちんと議論をして、この国権の最高機関で新しい法律をつくるということであれば、それが新しい政策になるわけですから、そういうことの一つのアイデアを提起したいというふうに思っております。

阿部(知)委員 大臣は思いがあるとは思います。しかし、現場はもっと早く崩壊しているんだと思います。ナショナルセンターにおける麻酔医不足というのは、日本の国の代表部で医師がいないということであります。

 大臣のお手元の資料の二を見ていただきたいと思います。一枚目は先ほどの国立長野病院の案件でしたが、二枚目は各国立高度専門医療センターの手術件数、麻酔医の立ち会い件数の総数です。

 平成十五年から統計をいただきまして、平成十九年まで、一番上段が国立がんセンターでございますが、四千五百九件余りあった平成十五年度に比べて、平成十九年度では五千百四十四件。ちなみに、数だけ申しますと、平成十五年度は麻酔科医は六人でございました。この五千台をいっているところは十人の医師がおられました。今また五人ないし六人ですから、ペースからいってもやはり厳しくはなってまいります。

 と同時に、大臣はもう重々御承知でしょうか、今、医療はどんどん高度化して、麻酔というものも緊張する非常に高度なものになってきて、そもそも、これまでも、給与の面だけじゃなくて、本当に十人でこの五千件近くをきちんとやりながら、例えば、ナショナルセンターですから、研究もおやりなさい、若手も教育しなさい、いろいろなことが要求されるわけです。そこで、いろいろな意味で、自分が医師としてそうした能力を発揮するのに果たして十分な環境であったかどうか。この面をきちんとお聞き取りいただきたいんです。

 医師不足というと、お金の問題ばかりが取り上げやすいから取り上げられます。もちろん、だれだって年俸一千万より三千万、五千万の方がいいに決まっています。でも、そうした側面だけで医師が行動するわけではありません。積もり積もった蓄積疲労や、本当にその病院の中でやっていても、自分がもっともっと他のいろいろな研究もやりたいと思ったときにやれない状況もそこにあったのではないかと思うわけです。大臣は、直接いろいろなところをヒアリングもなさることと思いますから、どうか表向きではない本音のところを聞いていただきたいです。

 ちなみに、私個人のことを申し上げますと、私は今から二十五年ほど前、国立成育医療センターなる、昔は小児病院と言いましたが、やはり厚生省管轄の病院にレジデントとして月収十三万で勤務をしておりました。呼吸器の間に寝るような、要するに、その場を離れたら患者さんが急変するから、呼吸器と呼吸器のついた患者さんの真ん中に毛布を敷いて寝るような仕事をしてまいりました。

 私は、せんだって担当部署に、こういう各センター病院の常勤、非常勤、ちなみにレジデントはそういう意味では非正規に入りますから、人数の分布を見せていただきましたが、見るところ、今でも常勤の数はほとんどふえず、レジデントが非常に多くなってきている。レジデントはワーキングプアで重労働。しかし、自分たちが勉強したいからいるわけです。しかし、私は自分がやってきて思いますが、日本の病院のゆとりのなさ、本当にこれでいいんだろうかと。そして、いよいよそれが二十数年経て、今の若い人たちが、もうこれじゃやれないと。私の時代よりもっと医療が高度化し、もっと大変になったと思います。

 ですから、金曜日には参考人もお呼びいたしますが、本当にこの陣容は、きちんと医療を支え、研究をし、若手を育てるのに十分なのか。大臣には私は検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、処遇という中に、ただ単に給与面だけではないというのはまさにそのとおりでありまして、十人で五千件のオペをやるというのは一人で五百件ですから、休み時間を入れると一日に二回近くやらないといけないというので、労働条件自体は非常に過剰だと思います。

 今、二十八万人のニーズがあるところで二十六万人しかお医者さんの数がおりません。そのギャップはやはり埋めるべきであるというふうに私は思っています。即効性はありませんよ、きょう、あした、すぐふやせるわけじゃありませんから。しかし、十年の長期的な計画の中には医師の数をふやすということを当然入れていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 そういうときに当たって、診療スタッフの待遇や、あるいは診療していることによってもっている病院の機能を、今度は診療を従属的にして研究を主にするということが本当に今ナショナルセンターに求められるべきかどうかもお考えいただきたいと思います。

 時間がないので、申しわけありませんが、もう一点お願いいたします。

 これは、先回、インフルエンザのパンデミックのことで御質疑を申し上げましたときに、子供の治験、医師主導型治験というものが行われておりますが、そこにおける同意のとり方が、十分なインフォームドではなくてミスリーディングなんじゃないかと私は思いまして、きょうはこれを取り上げます。

 なぜかというと、今度、国立センターがもっと治験が多くなり、医師主導型治験も多くなるときに、その原点には、患者さんにどんなことをインフォームドしたか、正しかったかどうか、ちゃんと伝えたか、ここがなければ、すべて屋上屋を重ねても、私は治験そのものが成り立たないと。

 ごらんになっていただきますと、左側が患者さんのお母さんにもともと配られた要旨の中の書きぶりです。一言で言えば、「新型インフルエンザワクチンの健康小児を対象とした臨床試験」というふうにうたわれておりますが、大臣もよく御承知のように、今あるワクチンは新型インフルエンザワクチンではありません。これを新型インフルエンザワクチンの健康小児を対象とした臨床試験であると銘打って、全部の文章が書かれています。

 私は、担当部署にお願いして右のような訂正を全部していただきました。これはプレパンデミックワクチンであり、抗体の上がりぐあいがどうであるかを見るためのものであって、新型インフルエンザそのものを予防するかどうかはわからない、ここまで言って、それでも親御さんが協力しましょうといった場合に初めて成り立つのだと思います。

 済みません、時間の関係で次のページをお願いします。

 では、こんな言い方は子供の親に対してだけなされたのかと思ったら、その前の医師主導型治験でも全く同じでした。大人に対しても。この大きな字の中ほどですが、「しかし、新型インフルエンザウイルスは、全く新しいウイルスであるため、現在接種されているインフルエンザワクチンでは効果が期待できません。」そのとおりです。そこで、新型インフルエンザウイルス出現に備えて、新型インフルエンザに対するワクチンの開発を行うことになりました、そして、治験の御協力をとなるわけです。

 これでは、協力したワクチンは新型インフルエンザのワクチンだと患者さんが思って当然ではないですか。何でこんなものが倫理委員会を通り、また治験として承認されたのか。おかしいと私は思います。

 どう改善すればいいか、時間の関係で、大臣に、明確にお願いします。

舛添国務大臣 例えばインフォームド・コンセントというような概念がもう一般的になっているように、要するに、きちんと情報を伝えるということは最低限必要な前提でありますから、こういうことに対して、研究者のレベルで認識がまだそこまでいっていなかったのかなと、非常に残念に思います。

 したがって、こういう問題についても、正しい情報をきちんと伝えるように、早速改善をしてまいりたいと思います。

阿部(知)委員 問題は多岐にわたると思います。同意書は、治験をする医師自身が作成して患者さんに提示します。それがミスリーディングであっても、どこにもチェックされずに治験のお墨つきがついてしまうわけです。

 検証すべき点は多岐にわたりますので、きょうは時間の制約で、今の大臣の御答弁で、また追って、どのように改善されたかを伺いたいと思います。

 ありがとうございます。

田村(憲)委員長代理 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.