衆議院

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第14号 平成20年5月16日(金曜日)

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平成二十年五月十六日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      阿部 俊子君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      石崎  岳君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    坂本 哲志君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      篠田 陽介君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本  純君

      松本 洋平君    三ッ林隆志君

      盛山 正仁君    安井潤一郎君

      若宮 健嗣君    内山  晃君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      三井 辨雄君    柚木 道義君

      伊藤  渉君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   文部科学大臣政務官    原田 令嗣君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 岩橋 理彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤木 完治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   参考人

   (国立がんセンター名誉総長)           垣添 忠生君

   参考人

   (帝京大学医学部名誉教授

   医療技術学部教授)    大村 昭人君

   参考人

   (日本医療機器産業連合会会長)          和地  孝君

   参考人

   (全日本国立医療労働組合国立成育医療センター支部長)           岸田 光子君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  木村 義雄君     坂本 哲志君

  清水鴻一郎君     盛山 正仁君

  杉村 太蔵君     篠田 陽介君

  西本 勝子君     阿部 俊子君

  福岡 資麿君     若宮 健嗣君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     安井潤一郎君

  坂本 哲志君     木村 義雄君

  篠田 陽介君     杉村 太蔵君

  盛山 正仁君     清水鴻一郎君

  若宮 健嗣君     福岡 資麿君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     西本 勝子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、国立がんセンター名誉総長垣添忠生様、帝京大学医学部名誉教授・医療技術学部教授大村昭人様、日本医療機器産業連合会会長和地孝様、全日本国立医療労働組合国立成育医療センター支部長岸田光子様、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず垣添参考人にお願いいたします。

垣添参考人 おはようございます。国立がんセンターの垣添です。

 私は、資料なしで、メモを通じながらお話をさせていただきたいと思います。

 国立高度専門医療センター、ナショナルセンターの独法化に関する意見ということで、三つのパートでお話をしたいと思います。一つはこれまでの流れといいましょうか、それから二つ目は独法化そのものについて、三つ目は私の意見を中心にお話をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初の、従来からの流れであります。

 平成九年、橋本内閣当時、行政改革会議で国立病院・療養所の独法化が決まりましたときに、国立高度専門医療センター、ナショナルセンターは、その研究機能とか国民の健康を守る上での重要性等から、引き続き国立でいくということが決定されました。これは、世界の情勢を考えますと、米国とかフランスとかドイツとかイタリアとかあるいは韓国とか、先進国の多くが国立のがんの研究機関あるいは行政機関を持っているということと対応して、大変ありがたいことだというふうに考えておりました。

 平成十八年、小泉内閣当時、小さな政府、国家公務員定数削減といった方針に基づきまして、厚生労働省としては、ナショナルセンター合わせて五千六百名の定数を削減して大いに寄与するということが求められまして、特段の議論なくそれが承認されたこと、私は当時、現職の総長でありましたが、大変不満に思いました。

 それは、ナショナルセンターというのは、日本人にとって、国民にとって大変重大な健康上の問題、例えばがんだとか循環器あるいは精神・神経疾患、こういったさまざまな疾患に対して、国と一体となって研究を進め、日本じゅうの医療機関とネットワークを組み、医療の均てん化を進めていく、その面で大きな成果を上げてきたというふうに自負しておりますし、また、そのことを国民は支持してくれたというふうに考えておりましたからです。

 このような中で、平成十八年の行革推進法、そして平成十九年の特別会計に関する法律によって、国立高度専門医療センター特別会計は平成二十一年度末で廃止が決定されております。そういたしますと、国立ということだけが残って、財政面でありますが、一般会計化されますと大変なことになるということで、だとすると、一体、独法化するとしたら最善の独法は何かということを、その当時から大変一生懸命考えるようになりました。

 ナショナルセンターを独法化しろという求めに対して、当時、そのような話が降ってわいたときに大変慌てましたが、六つのナショナルセンターの総長が集まって、厚生労働省ともいろいろ打ち合わせをしながら、どんなふうに対応していくかということを議論を続けてまいりました。私は、現在は名誉総長でありますけれども、この問題に関しては強い関心を抱いているということであります。

 これが、従来からの流れということであります。

 それでは、独法化そのものについて考えてみますと、当然、メリットとデメリットがあるかというふうに思います。

 独法化のメリットというのは、私は、一つは資金調達ルートが広がるということがあるのではないか。それは、財投の借り入れも可能でありますし、それからみずからも機関債を発行することができるとか、あるいは市中銀行からの借り入れもできるといったことがあるかと思います。

 それから、組織の活性を維持していく上では優秀な人材を得るということが何よりも大事であるというふうに考えられますが、その面からいって、例えば、外国人研究者の優秀な人を採用してくるとか、国家公務員ですと禁じられている兼業の禁止が緩まるとか、あるいは給与の面でも、民間の〇・七掛けといったことで、やはりある程度の給与を保障しないと優秀な人材は確保できない。そういった面で、優秀な人材を確保するという面で自由度が高まってくるのではないかということが考えられます。

 それから、産業界からの寄附金を得るということが比較的自由になるでしょうし、産業界との人事交流とかあるいは研究体制の強化ということが割合自由にできるようになるのではないか。そして、何よりも、臨床研究とか高度医療への柔軟な迅速な対応ができるだろうというふうに考えられます。

 こういった、資金調達ルートが広がるとか、優秀な人材を確保するとか、産業界との共同研究あるいは人事交流等がスムーズにいくといった点が、やはり独法化の非常に大きなメリットではないかと考えられます。

 しかし一方、デメリットとして私どもが一番心配いたしましたのは、従来、ナショナルセンターの旗印であった国の医療政策と一体になってという部分がもし保障されなくなったら、つまり、国立でなくなった場合に、そのことによる求心力の低下が一番懸念されたわけでありますが、それに関しましては、現在議論されております法律の中に政策提言機能という言葉が明記されております。つまり、国の政策医療と一体になって政策提言を行うということが保障されたというふうに考えておりますので、その意味で、私が一番心配しましたデメリットの部分は随分解決されたのではないかというふうに考えております。

 三番目に、では、最善の独法は何かということで私の意見を申し述べたいと思います。

 まず、運営費交付金の話があります。

 先行した独法として、例えば国立大学機構では、毎年二%運営費交付金が削減されている。このために旧国立大学は大変苦労しておりますし、特にそこが抱えている病院の苦労というのは、その管理者からじかにいろいろ話を聞いております。この轍を踏みたくないということがあります。

 もう一つ、国立病院機構も、一%ずつ毎年運営費交付金が削減されているということで、これがやはり病院経営に相当大きな影響を与えているということでありまして、このナショナルセンター、国立高度専門医療センターが求められる機能を果たす上では、むしろ増額も考慮されるべきでありますし、少なくとも対前年度同額の運営費交付金が必要であると私は考えています。これは、理想的な最善の独法を考える上で最も大事なポイントではないかというふうに考えます。

 つまり、これはナショナルセンターが独法化したときには国立高度専門医療研究センターと、研究という言葉が入るようになるかというふうに考えられますが、こういう研究開発型の独法というのは事業型の独法とは違うというふうに考えています。基礎研究とか臨床研究で大きな成果を上げて、国じゅうにその成果を均てん化するという上で、無謀な運営費交付金の削減を避ける、あるいは、弾力性を持った運営費交付金の運用が必要であるというふうに考えています。

 それから、研究開発型の独法というのは国家の礎をつくる機関であるというふうに考えております。今、運営費交付金のお話をいたしましたけれども、それだけではなくて、剰余金の扱いに関しましても、あるいは人件費の削減に関しましても、柔軟な特段の配慮をいただきたいというふうに考えます。

 例えば、国立がんセンターが抱えておりますがん対策情報センターという組織がありますが、ここでは、情報提供とか研修の提供といったオール・ジャパンを考えたいろいろな対策を進めておりますけれども、そういう活動に関しては、引き続き一般会計からの繰り入れを強く望みたいというふうに思います。

 三番目に、国立がんセンター初め、どのナショナルセンターもかなり大きな借財をしょっております。この借金をそのまま丸々抱えたままで独法化いたしますと、その後の活動の大きな足かせになるのではないかというふうに考えております。

 国立がんセンターの場合を考えますと、毎年六十億近い借金を支払っておりますが、これに関しても、やはり何らかの特別な配慮をしていただきたいというふうに考えます。

 最後に、国立高度専門医療センターは、私は六法人で進むべきであるというふうに考えております。そのように法律が出ておりますけれども、再度強調しておきたいのは、各ナショナルセンターの機能とか目的がナショナルセンターごとに全然違うということがありまして、もしこれを一つの統合法人とした場合には、管理本部をつくったり、あるいは本部理事長とか理事をつくるということで、屋上屋を重ねるような事態を招くことになりまして、そのことは、人件費の面でも意思決定の迅速性の面でも大変不利な事態ではないかというふうに考えます。したがって、ぜひとも、やはり六法人で進むのが妥当ではないかと私は考えております。

 以上、従来からの流れ、国立でいくということが独立行政法人になったということでありますが、だとすると、二番目は、独法化する場合には独法化のメリット、デメリットをよく考えた上で、最善の独法をどう考えるべきかということでありますが、特に運営費交付金の面と、それから、研究開発型の独法というのは事業型の独法とは違うということで、やはり特段の配慮をいただきたいということと、過去の借財を何らか考慮していただきたいということ、そして、六つのナショナルセンターはそれぞれ独自に六つの独法として進むべきであるというふうに考えております。

 以上、私の考えを述べさせていただきました。御清聴どうもありがとうございます。(拍手)

茂木委員長 ありがとうございました。

 次に、大村参考人にお願いいたします。

大村参考人 帝京大学の大村でございます。よろしくお願いします。

 垣添参考人が独法化のメリット、デメリットを明確にお話しいただきましたので、私は、ちょっと自由な立場から、違った角度からお話をさせていただきます。

 ナショナルセンターの独法化ということに関しては、もちろん、そのメリット、デメリットは検討に値すると私は思っておりますが、皆さんよくお聞きのように、医療が今現場では非常に大変なことになっている。医療崩壊という言葉がしばしば使われるわけですが、こういった困難な問題をまず明確にして、そして、これをどう解決すべきかというきちんとした目標を持った上で、これの共通認識を持った上で独法化の議論をしないと、机上の空論になるというような懸念を持っております。

 本日は、ナショナルセンターの中でも特に国のかかわりが、役割が大きい必要があると考えられますがんセンターを中心に私の意見を述べさせていただきます。

 まず、国家としてのがんの対策というのは、垣添先生を初め多くの方々が努力をしているにもかかわらず、先進国の中では決して十分ではないというのが現状でございます。まず、人員が何といっても少ない。ほかの先進国の五分の一から十分の一であるということがございます。

 私が皆さんにお配りいたしました資料の四ページを見ていただきますと、その中段の左側に、アメリカのテキサス大学関連のM・D・アンダーソンという有名ながんセンターがございますが、このがんセンターと愛知県がんセンターの比較がしてございます。本当はここへ国立がんセンターを持ってきたかったんですが、垣添参考人が横におられますので、ちょっと遠慮いたしまして愛知県がんセンターにいたしました。

 両方とも病床数が、五百十二床、片や五百床とほぼ比較できる状態ですが、愛知県がんセンターの医療従事者、スタッフの数は九百五十人前後である。ところがM・D・アンダーソンは、病床数は同じながら医療従事者数は一万六千人、年間七万九千人のがんの患者さんの診療に当たっている。これほど大きな違いがあるわけです。実は国立がんセンターも、愛知県がんセンターと余り大きな違いはないわけでございます。こういった人材が少ないという状況で、本当に日本のがん対策ができるのかという疑問がございます。

 同じ四ページの中段の右図と左下を見ていただきますと、日本と欧米、特にEUの国々の医師の週の平均勤務時間が出ております。日本は平均勤務時間が七十時間を超えております。これは非常に異常な事態である。ところが、EUでは大体四十から四十五時間。これが、非常に激務で患者さんの命を預かるという観点からすれば適切な時間だろう。ですから、こういったオーバーワークになっていることが非常に日本では問題になっておるわけでございます。

 これはナショナルセンターも例外ではないということで、昨年、国立循環器センターの集中治療医がみんなやめてしまったとか、それから、ことしに至っては国立がんセンターあるいは東病院の麻酔科医がやめてしまったということも、こういった背景があるのではないかというふうに考えます。

 がん診療は、がんセンターのみでなくて、多くの診療機関がこれに参加する必要があります。がんセンターの役割としては、先ほど垣添参考人が言われましたように、臨床だけではなくて研究という大きな任務を持っております。それだけではなくて、私は、がんの専門医の養成も実は引き受けるべきであると考えております。

 というのは、日本でまず、がんの専門医が非常に少ない。特に薬物療法、化学療法に関しては二百名ちょっとしかいないし、それから放射線治療医というのも、これはがん、腫瘍ということに限りますと千名前後しかいない。ところが片方では、放射線治療を受けている患者さんは年間二十万人もいるわけです。これは発展途上国並みの、医療の需要に対する供給体制だということがあります。

 また、大変残念なことに、大学病院にオンコロジーという、欧米で見られるような腫瘍専門医を教育する科が日本にはないわけです。これはもちろん改善しなくてはいかぬのですが、今すぐに大学病院にこういった総合的ながん専門医を養成しろというのは無理なことです。そこはやはり、国立あるいはナショナルセンターに担っていただきたいというところがあるわけです。

 また、日本全体のがん対策というのを考えますと、各都道府県あるいは二次医療圏にこういった、がんを集中的に、総合的に、集学的に治療するような、診療するようなセンターが望ましいわけですが、今、都道府県四十七を見てみましても、三十ぐらいしかないというのが現状でございます。昨年策定されました都道府県がん対策推進計画というのがございますけれども、三月三十一日の期限を過ぎても、七つの府県がまだその対策案をつくっていない。

 ただ、都道府県の怠慢を責めるのは簡単でございますけれども、医療費が削減される中で、なおかつ地方自治体の財政が非常に困難な中で、こういったことを地方自治体が本当に実行する能力があるのか、環境があるのかという問題がございます。

 また、がん検診率五〇%達成目標ということが国の施策であるわけでございますけれども、これは多くの自治体が達成不可能としております。大腸がんとか乳がんとか胃がんの対象年齢に対する検診率は実は一〇%に達していないという、非常に悲惨というか、悲しい現状があるわけです。欧米の、例えば乳がんの検診率が六〇%から八〇%なのを見ますと大きな差がある。自治体はこういったことに対して、予算が足りない、機材が足りない、住民の関心が低いというようなことを言っている。

 これはもう、先ほど垣添参考人からありましたように、がんの情報、啓蒙をがんセンターとして大いにやっていかなきゃいかぬ、力を入れていかなきゃいかぬわけですが、まだまだ今の人材とか資源では難しい面があるという現実がございます。こういった点からしまして、がんの対策というのは非常にまだ日本はおくれている、不十分だということをまず認識する必要がある。

 それから一方では、ちょっと話はそれますが、喫煙の問題がございます。

 喫煙というのは、発がんという点では非常に大きな役割を果たすということが明確な証拠で出ているわけです。がんだけではなくて、いわゆる慢性閉塞性肺疾患、日本で五百万人ぐらいいると言われていますが、それから心臓血管病、いろいろな形で喫煙の害は物すごく多いわけです。

 こういった事実があるにもかかわらず、健康日本21とかがん対策推進基本計画から、具体的な喫煙率の低減という数値目標が外されてしまった。私から言わせると、政治が、垣添参考人を初め現場で努力している人たちの足を引っ張っているのではないかという印象を持っているわけでございます。

 喫煙による経済的な損失は、厚生労働省の試算でも年間五兆円弱、それから医療経済研究機構の評価でも七兆円強。これは、健康とか火災とかいろいろなことがあるわけですが、こういう大きな経済的な損失を抱えている中で、もし日本がイギリスやドイツのように、たばこ税、これは日本は非常に低いわけですが、二百円上げれば一兆四千億円の税収が、いわゆる増収があるわけですね。こういった形の資源も確保できるという現実もございます。

 このように、非常に今のがん治療、がん診療は問題が山積みであるということがございます。そして、その問題をまず認識して、これをどこまで達成すべきか、あるいはどこまで達成可能なのか、それにはどうしたらいいかというきちんとした青写真がない状態で独法化が先行する、公務員の削減とかそういったこともあるのでしょうが、独法化が先行するということは、私の考えでは、まさに家が火事になって一大事であるにもかかわらず、リフォームを検討しているというような印象を受けるわけでございます。

 こういったことをきちんと認識した上で独法化のメリット、デメリットを検討していただきたいというふうに思います。これが私の意見でございます。

 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

吉野委員長代理 ありがとうございました。

 次に、和地参考人にお願いいたします。

和地参考人 日本医療機器産業連合会会長をしております、テルモの会長の和地でございます。

 きょうは、このような発言の場を与えていただきまして、大変ありがたいというふうに思っております。

 私の方からは、企業経営の立場から、医療機器産業から見たナショナルセンターへの期待という観点でお話をさせていただきたいと思います。

 初めに、医療機器産業の現状についてちょっとお話しさせていただいた上で、それを踏まえてナショナルセンターへの期待を述べたいというふうに思います。お手元の資料をごらんいただきながらお聞きいただければと思います。

 資料の一ページですけれども、これはもうよく御存じと思いますが、世界の医療機器の市場規模をあらわしておりまして、世界全体で二十兆円の市場規模がありますけれども、そのうち約半分を米国が占めております。日本は、約一割の二兆円でございます。左側のグラフをごらんいただくとわかるとおり、米国、欧州、そしてアジアの市場規模が拡大しているのに対しまして、日本はほぼ横ばいの状態になっております。

 御承知かと思いますが、GDPに占める総額の医療費の割合も、日本は約八%で、米国の一五%を初めとする先進国の中では最低でございます。ちょっと前まではイギリスが最低だったんですけれども、ブレアがふやしたものですから、日本が最低ということです。

 二ページ目の資料でございますけれども、これは、医療機器の日本の国内市場の状況をお示ししたものです。先ほど申し上げましたとおり、国内出荷額はほぼ横ばいの状態ですが、輸入比率は着実に増加しておりまして、全体の約半分が輸入品となっております。

 三ページをごらんいただければと思います。

 医療機器は、大きく分けまして、CTとかMRIなどの診断機器と、カテーテルとかあるいは人工臓器などの治療用の機器に分けられます。診断用の機器につきましては輸入比率は約三〇%でございますけれども、治療用の機器は、何と六〇%が輸入品です。御承知のように、心臓のペースメーカーとか心臓の人工弁、こういった埋め込み型の治療機器は一〇〇%が輸入というのが実情でございます。

 このような治療用の医療機器につきましては、現状では、医療機器メーカー単独では開発が難しい局面になっております。例えばペースメーカーを例にとりますと、LSIとか、あるいは電池とか、あるいはソフトウエアの技術など、さまざまな要素技術が必要となります。医療機器メーカー自前ですべてこれらを持つということは難しい面がありますので、基盤技術を持った企業に協力をお願いするわけですが、埋め込み型の医療機器については、直接命にかかわるということで、大体の企業がヘジテートいたします。農耕民族のせいかわかりませんけれども、万が一のことを考えて協力を得られないというのが実態です。

 ちなみに申し上げますが、日本ではすぐれた要素技術はたくさんございます。そのような意味で、国産品がない重要な医療機器については、オール・ジャパンの開発体制の構築を考える時期に来ていると私は思っております。

 次に資料の四ページでございますが、医療機器の医療に対する貢献が認識されるようになりましたのは最近のことでございます。以前は、医療機器というと単なる医療の道具というふうにみなされておりましたが、最近では、医療機器の発展が医療の進歩に直結することが認識されるようになってきました。

 ここではカテーテル治療と内視鏡を使った手術を例に挙げますと、心臓疾患の治療の際に、以前は、ここにドクターがたくさんいらっしゃいますが、開胸手術をしてバイパスを埋め込む手術が主流でした。これは現在でもすぐれた治療法でございますが、手術自体が患者さんに大きな負担をかけますし、長期の入院も必要です。

 これに対して、PTCAという、医療用の細いチューブの先端に風船をつけたカテーテルを血管に通して、詰まっている心臓の血管の中に入れまして、風船を膨らませて、詰まったり細くなったりした血管を広げる。あるいは、ステントという、言ってみれば土管のような医療機器を、広げた血管の中に置いて補強したりする治療方法。これが医療機器の進歩によってできるようになりました。これならば、体に大きな傷をつけることはありませんし、入院の期間も非常に短くなっております。結果的に医療費も少なく済んでおります。また、内視鏡を使った手術も、これは皆さんよく御存じのように、患者さんの負担や入院日数を大幅に軽減することができております。

 しかしながら、まだまだ医療機器の特性につきましては十分御理解いただけていないというのが現状でございまして、きょう、こういう機会にお話しさせていただくのはそういう意味でございます。とかく医療機器を薬の延長で物を考えているということが、いろいろなシステムの中でも散見されます。

 資料の五ページに、医薬品と医療機器の違いをお示しいたしました。

 医療機器と医薬品は、病気の診断とか治療に使われるという点では目的は同じでございますが、この表に示しているとおり、本質的に異なる点も多々ございます。

 特に、医療機器は約三十万品目と言われておりまして、私が会長をやっております団体も、MRI、CTスキャンから、目から歯から、治療機器すべてが入っておりまして、非常に多様でございます。それから、薬は約一万七千品目と言われておりますので、大変その辺が違います。また、使い方、操作方法によって、効果や安全性に大きな影響があるという点でも医薬品と異なります。繰り返し使う医療機器については保守点検が必要だという点も、全く薬と異なります。

 さらに言いますと、医薬品の場合は薬学部という専門の教育課程がありますが、医療機器学部というのはございません。人材の層という点でも大きく異なります。

 そして、医療機器の最大の特徴は、改善、改良が容易である。これは日本人が非常に得意とするところでございます。つまり、医療機器は使いながら進化させることが可能だということです。

 資料の六ページでございますが、先ほど述べたとおり、医療機器は多種多様でございますが、その背景となる技術も、ここに挙げましたとおり、多様な要素技術の集合体であると言うことができます。すぐれた要素技術と物づくりの文化を持った日本にふさわしい産業と言ってもいいかと私は思います。

 最近になってようやく医療機器に光が当たるようになってまいりまして、骨太方針とか、あるいは革新的医薬品・医療機器創出に向けた五カ年戦略など、国家戦略のレベルで医療機器が取り上げられるようになりましたことに対しまして、ここでお礼を申し上げたいと思います。

 また、日本発の革新的な医療機器の開発に向けて、医療技術産業戦略コンソーシアム、通称METISという活動を六年ほど前から産官学連携のもとで進めてまいりまして、重点分野を七つの分野に絞り込んで、現在、第三期の活動を行っております。

 それでは、医療機器の開発の課題は何かということですが、資料の七ページに日米の開発プロセスの違いをお示ししました。日米を比較した場合に大きな相違点が二つあります。一つは、米国に比べて日本では、センター・オブ・エクセレンス、つまり症例の集中化が進んでいないということです。そして二つ目がベッドサイドの開発ということです。

 具体的に申し上げますと、米国では、例えば心臓の手術を行う施設の集約化が進んでおりまして、一つの施設で年間数百症例から数千症例の手術が行われております。それだけドクターやスタッフの専門性が深まり、それを支えるインフラも整備が進んでおります。また、そのようなインフラがあるので、臨床研究や治験が容易に実施できます。一方、日本では、日本全国どこの施設でも手術が行われておりまして、症例が分散してしまって、米国ほどの専門性の強化やあるいはインフラの整備が進みにくい環境にあります。

 また、ベッドサイド開発、すなわち、医師と開発者がイコールフッティングのパートナーとして、ベッドサイドで開発に取り組む環境が米国にはあります。日本では、いろいろ努力をされておりますが、まだドクターと開発者がイコールパートナーとして一緒に開発を進める環境はありません。このことによって、開発のスピードに大きな差が生まれております。

 このような環境整備が、米国での実用化推進の原動力の一つになっております。日本の医療機器開発における最大の課題は、実用化のためのインフラが不十分であることです。アイデアを生み出す段階、あるいは臨床研究や治験の段階、審査の段階などに壁があって実用化に至っていない、出口が見えないというのが実情でございます。

 資料の八ページはその一例でございますが、クリーブランド・クリニックでは年間約二千五百件の臨床研究が実施されておりますし、コーネル大学では年間約千件の臨床研究が実施されております。これに対して、日本では、主要な五十二の病院の平均が年間約五十件というデータもあります。米国では、このような膨大な数の臨床研究を行うために、サポート体制や研究者へのインセンティブなどの環境が整っているからだというふうに思います。

 資料の九ページでございますが、ナショナルセンターが独立法人化されることによって、経営的な意識が入ることになり、効率化が進むというふうに思います。また、活動の自由度が上がることによって、そこで働く人の意識の向上、モラールアップが期待できると思います。また、企業や病院同士の連携とか、あるいは人的交流が促進されることが期待されます。

 医療機器産業の現状や米国との違いを踏まえまして、ナショナルセンターへの期待を具体的に五つほど申し上げたいと思います。

 一つは、何といいましても、医療機器の実用化の中心拠点として機能していただきたいということです。このためには、ナショナルセンターがセンター・オブ・エクセレンスとなって、つまり、症例を集約化することによって専門性の向上やインフラ整備を促進するとともに、実用化に向けた臨床研究や治験についても積極的に受け入れること、そして、企業等の開発者ともイコールフッティングのパートナーとして臨床の現場で開発を行える環境を整えていただきたいというふうに思います。

 二つ目は、臨床上のアンメットニーズ、つまり、これまで気がつかなかったようなニーズ、患者さんにとってメリットのあるニーズに基づいたアイデア創出を期待したいと思います。魅力あるテーマであれば、企業としても共同開発への参画や実用化に向けた投資が可能と考えております。

 三つ目は、冒頭でオール・ジャパンの開発体制ということを申しましたが、医療機器産業以外のすぐれた要素技術を持った企業から、医療機器開発のための技術の集積を推進いただきたいと思います。それによって、ナショナルセンターと異業種を含めた企業の連携を深め、いわゆる医療クラスターとしての機能を果たせるものと考えております。

 四つ目は、みずから治験を行うだけでなく、治験の中核施設として、他の医療機関の指導や取りまとめの役割を担ってほしいということです。

 そして最後に五つ目ですけれども、医療機器を扱うトップレベルの医療機関として、医療機器に精通した専門人材を育成し、最も重要な人材のインフラ整備に尽力いただきたいということでございます。

 さらに、現在検討が進められておりますいわゆるスーパー特区に指定されることによって、審査の迅速化などの適用対象となることで、よりスピーディーな医療機器の実用化推進を担っていただきたいというふうに思います。

 以上、医療機器産業の現状を踏まえまして、今後のナショナルセンターへの期待を述べさせていただきました。他の先進国に比較しまして規制が厳しい我が国のナショナルセンターが独立法人化されることによって、活動の自由度が拡大し、さらに高度な医療の提供が可能となるとともに、実用化推進の中心となる役割を担っていただくことを強く期待したいと思います。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

茂木委員長 ありがとうございました。

 次に、岸田参考人にお願いいたします。

岸田参考人 岸田といいます。

 国立成育医療センターで看護師として働いています。旧小児病院から勤務をして、看護師になって三十三年目を迎えました。

 きょうは、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案審査での参考人として意見を述べさせていただきます。よろしくお願いします。

 国立成育医療センターは平成十四年三月一日に開設され、七年目を迎えています。高度専門医療センターとして、病院と研究所が連携して運営されています。成育医療は、受精、胎児から始まって新生児、小児、思春期という子供の枠を超えて、健康な胎児から大人への成長、発達を図る総合的かつ継続的な医療であり、その成育医療を実践する場として開院されました。

 センターの概要や組織図は資料でお配りしております。

 成育医療センターは、診療部が、総合診療部を初めとして、専門診療部である小児内科系の第一診療部、外科系の第二診療部、こころの診療部、特殊診療部、手術・集中治療部、年間四千五百例の手術を行っています、周産期診療部、分娩件数は千六百を超えております、放射線診療部に大きく分かれ、診療科はさらに細分化されて、外科、内科、神経、呼吸器、循環器、アレルギー、眼科、リハビリテーションなど二十三科で構成されて、チーム医療を担う体制がつくられております。

 具体的に言いますと、不妊診療科や、慢性の病気を持っている女性の妊娠前、妊娠中、産後のケアを行う母性内科、胎児診断に基づき、胎児の手術を含めた治療を行っている胎児診療科、NICU・新生児診療、遺伝診療科、腎臓、肝臓等の移植免疫診療科、救急センターや緊急搬送チームのある二十四時間体制の救急診療、小児腫瘍科等、高い専門性と総合的な医療が、看護師を初め専門職を含めたチームとして医療が実践されています。まさに、安心して子供を産み育てるための医療と、我が国だけでなく世界でトップレベルの医療を目指して実践されています。

 政策医療として、また、どこの地域に住んでいても標準的な医療が受けられるように、モデル医療も実施しています。難病の子供たちを長期間にわたって見守る、全国の小児医療機関等と機能的連携を図る、小児救急医療体制における中核的な病院のあり方を示しています。病院は二十四時間、三百六十五日、成育医療を必要とする患者さんたちのために開かれています。

 さらに、この医療を担う小児科、産科医、こころの診療医、専門医、指導医、医師を初め看護師、助産師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師などの人材の育成も行っています。加えて、情報の集積、発信の役割も担っています。

 今、少子化が叫ばれている中で、こうした国立成育医療センターが国民医療に果たすべき役割はますます重要となっており、国が果たすべき責任も大きくなっています。本来は国が運営することが必要だと考えます。

 成育医療を実践する現場で、チームとしてかかわる看護師の喜びとかやりがいは、患者さんの笑顔であり、また家族からの感謝の言葉、子供たちの成長、発達していく場面にかかわれることです。看護師として技術や知識の向上のために努力することはもちろんですけれども、患者さんや家族に多くのことを教えられ、看護師も成長していくことができていると思います。

 患者さんや家族によい笑顔で接するためには、私たち看護師が、心も体も健康であることが大切だと思います。また働き続けていくことが、その経験を積み重ね、専門性を高め、よい指導者になっていく道だと思います。これは個人のレベルだけでなく、チームあるいは看護部、病院全体のレベルを上げることにつながっていくと考えます。ほかの職種にも通じることかもしれません。

 こういう点から考えますと、働き続けていくための環境づくりとしての現場の勤務体制は決して十分なものではなく、なかなか改善が進みません。

 当センターにはいまだに、二人夜勤病棟が三個病棟あります。勤務前の情報収集時間や勤務後の残業を含めると、一日の半分病棟に拘束されている状態が慢性化しています。夜間、手術後の患者さんの受け入れや緊急入院の受け入れは常にあります。夜間、もし患者さんの急変で緊急処置があった場合、一人の看護師がつきっきりになります。残りの、重症、要注意の患者さんを含めて約三十数名の患者さんをもう一人の看護師が見ていくことになり、事実上、一人夜勤状態となってしまいます。

 六月になり、新人看護師と夜勤を組むことになると、新人看護師の業務と患者さんを見ていかなければならず、看護師の緊張感と精神的な負担は想像を超えるもので、患者さんに安全な医療、看護を提供していく上で問題があると思います。休みの日はほとんど眠っていることが看護師は多いと聞きます。この状態が続くことは、常に疲労感が残り、体調管理も難しいばかりでなく、看護師の働きがいや意欲を奪うものです。

 また、厳しい状況下ではありますが、看護師は個人目標を立てて係の仕事や研修に参加し、研究など活動もしています。新人教育や現任教育、学生指導、手順や基準、看護記録、クリニカルパス、業務改善等の委員会活動にもまじめに取り組んでいます。まさに燃え尽きる寸前で医療現場を支えているという状況です。

 ことしの三月で、ある二人夜勤病棟は、十七名中五名が退職しました。ここは四十床で、六歳から二十歳代までの患者さんが対象で入る病棟で、一般外科、あと移植の患者さん、それから腹膜透析、循環器、糖尿病、耳鼻科、泌尿器科、こころの診療部など多くの科の入院を受け入れており、呼吸器装着患者さんや気切患者さんが常にいます。

 こういった二人夜勤体制を、まず三人にすることが必要です。三個病棟を三人にするためには十五名以上の増員が必要です。また、ほかの母性病棟や外科病棟、乳児病棟の夜勤体制の強化も求められています。

 昨年十月の全医労による夜勤実態調査結果では、月平均夜勤回数八・四回。これは、実際九回に近い夜勤回数で、夜勤者総数の五五%が九回以上の夜勤をしています。四十年前に出された人事院判定は複数月八日ですが、医療が高度化された現在でもいまだに実現されていません。明らかにマンパワーが不足しています。

 ほかの国立高度専門医療センターでも同様の状態です。資料を見ていただくと、五九%が三・三完全夜勤以下の実態となっています。

 国立高度専門医療センターの独立行政法人化の法案審議がされていますが、職員は、自分の身分がどうなってしまうのか、賃金や労働条件はどうなってしまうのか不安を持っています。看護師の私たちにとって最も切実な要求は、三人以上の夜勤体制を実現してほしい、そのための人員配置です。独立行政法人化移行後、研究費の保障はされるかもしれませんが、先行して独立行政法人となった国立病院機構では運営費交付金が毎年削減されると聞いていますので、必要な予算確保は不安です。また、採算、効率化が優先される独立行政法人で、看護体制の充実、三人以上の夜勤体制は保障されるのでしょうか。

 今でも厳しい看護職場で、看護師の退職が相次ぐ中で、離職防止、働き続けていくための勤務条件整備に不安があります。

 成育医療センターの看護師の退職者数は、平成十八年四月から十九年三月末の一年間で六十九名でした。その退職者の平均年齢は二十九・二歳です。平成十九年四月から二十年三月末の一年間では六十五名が退職し、平均年齢は二十九・九歳という状況です。平均年齢から予想すると、中堅あるいは指導的立場の看護師が退職していると言え、非常に残念な状況です。看護師総数に比較すると、約一四から一七%になります。

 新採用者も、一人前になっていない状況でも五月から夜勤トレーニングに入ります。非常に不安でしようがないわけです。妊娠しても夜勤をせざるを得ない実態の改善、退職者や病休者などの後補充が保障されることが必要です。夢を持って就職した若い看護師が退職しないで済むように、立派な建物の整備だけではなく、十分な人員体制、そして職場の環境整備が重要だと思います。

 当センターでは、看護師だけでなく、女性の医師も多いのが特徴です。女性が働き続けるためのサポートとして、保育所はどうしても必要なものです。保育所がない中で、子育て中の看護師はベビーシッターや病児保育を利用し、経済的負担をして勤務しています。

 具体例を言うと、子供が病気のときや、自分が夜勤で夫が出張だったりすると、ベビーシッターに依頼をして、帰宅までの間子供を見てもらうわけですが、一時間千六百円、二人だと千八百円、十時間で一万六千円から一万八千円の出費です。これでは夜勤手当は飛んでいってしまいます。また、病児保育に預けると一日一万円だそうです。安く預かってもらえても、弁当持参だったり、時間が十七時半までで迎えに行けず、利用が難しかったりだそうです。

 現在、世田谷区が認可保育園を成育医療センター敷地内に、複合型子ども支援センターを建設中ですが、院内保育所として職員が利用できることを強く希望し、望むところです。

 先行して独立行政法人化された国立病院機構では、独立行政法人への移行時に、中高年の職員とりわけ看護師にも、最大月四万円を超える賃金の切り下げが強行されました。独法化に際してこのような処遇切り下げが強行されれば、若い人の離職に加えて、病院を支えているベテラン看護師の離職が憂慮されます。このような勤務条件の切り下げがないようにお願いしたいと思います。

 国立成育医療センターが非特定、非公務員型独立行政法人となって、医師や看護師が増員されて患者サービスが向上するのか、また、成育医療センターに対して運営に必要な予算が十分確保され、必要な運営費交付金が措置されるのか、そのような保障がない中では独立行政法人化は納得しかねます。

 成育医療や、がんを初めとする高度医療、政策医療を担う国立高度専門医療センターは、本来は国民医療、政策医療です。その点から、国立として残し、充実すべきだと思います。そのことを訴えて、参考人としての意見陳述を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

茂木委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

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茂木委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長崎幸太郎君。

長崎委員 自由民主党の長崎幸太郎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 参考人の先生方、本日は大変貴重なお話を承りまして、心より感謝申し上げます。

 まず初めに、垣添先生にお伺いしたいと思います。

 先ほど、ベストな独立行政法人をつくるためには、運営費交付金、これはむしろ研究開発型のものに配慮して場合によっては増額も図られるべきだ、剰余金については特別の配慮を行うべきだ、それから、借金の承継についてもNCの運営に支障がないようにしっかりと配慮すべきだというお話でありました。私は全くそのとおりであると思います。研究開発型独立行政法人は、その他現業とは違って、特別の配慮を行わないとむしろ本来の役割を果たせない、このように思います。

 ただし、これを行うためには、やはり国民の理解というものが必要不可欠ではあるかと思います。独法化をして特段の配慮をしたけれども、何もよくなっていないじゃないか、全然これまでと同じじゃないか、こういうことになっては、恐らくそういう国民の理解というものは得られないんだと思います。この国民の理解を得るために一番重要なのは、研究開発型独立行政法人で生み出されるであろう成果だと思います。

 そこでお伺いいたしますが、この成果を出すために、ナショナルセンターの運営のあり方、特に運営に携わるべきリーダーとして、経営者として、どのようにその運営を行っていくべきなのか、どのように独立行政法人はみずからを律していくべきだと思われるのか、ぜひ、先輩としてアドバイスみたいなものを、お考えをいただければと思います。

垣添参考人 長崎先生、御質問ありがとうございます。運営費交付金とそれから剰余金とか借財に関して御理解いただき、大変うれしく存じます。

 御質問の、国民の理解を得て第一級の、最善の独法をつくっていくということは全く御指摘のとおりでありますけれども、その中で、やはり独立行政法人が上げる成果が国民の理解を得る上で最も重要であるというのは、全く同感であります。

 それで、私どもナショナルセンターというのは、やはり研究に根差した診療ということでありますから、その成果を上げていくという上では、研究所と病院が非常に密接な連携をしていくということがとても大切だ。これは現在でも最善を尽くしておりますけれども、さらにその成果を求められる、それから、お願い申し上げたとおりの特段の配慮がいただけたときには、その成果をさらに上げていくという意味で、今の病院と研究所の連携というのは一段と大切になってくるというふうに考えます。

 それで、先ほどほかの参考人からもちょっと御指摘がありましたように、今の医療現場というのは大変忙しいということで、研究意欲が非常にあっても臨床に忙殺されて研究所との連携がとれないといった現場がたくさんあります。私は現在は名誉総長でありますが、現職当時、現場を常に歩いていて、じかにそれは感じていることでありますが、やはり、病院、研究所の連携を強化して新しい成果を上げていく、新しい医療機器を開発する、あるいは新しい医薬品を開発するとか、そういった目標を達成する上では、人員をきちんと配備して、しかも、活動を支えるようなお金をつけるということがとても大事であると私は考えます。

 大村参考人ががん対策が十分でないということを冒頭言われましたけれども、私どもの努力に対して実際に得られている成果というのは必ずしも十分でない。でも、それを達成するには、今のがんの医療にかかわる現場の意欲からしますと、きちんと予算化され、それから必要な人員が配備されたら我が国でも必ず成果を上げることができるというふうに考えておりますが、その成果という観点に関しては、やはり病院と研究所の連携が最も大切であると考えます。

 ありがとうございました。

長崎委員 ありがとうございました。

 この改革を機に、ぜひ人員と資金の充実というのがしっかりと図られて、それがゆえに、むしろ成果を出せるような環境整備を我々政治に携わる者としてはしていくべきじゃないかなと今思いました。

 次に、大村先生にお伺いしたいと思いますが、先ほど、がんを事例にとられて、政策の方向性が揺らつく中で独法化を先行しようとしている、これはいかがなものかというお話がございました。

 その中でも、先生もおっしゃるように、むしろ政治が現場の努力を台なしにしているというようなところもありまして、やはり我が国の医療政策は、専門家たるお医者さんあるいは研究者の先生方、そういう方々がむしろ主導権を持って推進していく方が国民の医療水準の向上には適切ではないかなとも思われます。

 今回の独法ですが、政策提言機能というのを有しております。こういうものを活用して、新しくつくられる独立行政法人が我が国の医療政策を引っ張っていくんだ、厚生労働省あるいは国、国会は独立行政法人の出した政策提言というものを最大限尊重するべきなんだ、こういうふうな形で物事を考えていけば、より現場に根差した運営ができる独立行政法人というのは国民の健康水準の向上に寄与するのではないかと思うんですが、先生のお考えはいかがでしょうか。

大村参考人 御質問ありがとうございます。

 大変いいことをおっしゃったと思うんですが、ただ、独立行政法人に移行するときに、既にこれだけの難問を抱えている状態で移行しますと、人材的な資源を投入するあるいは財政的な資源を投入するということがない状態で、現場の、少なくとも診療そのもの、研究そのものがそこで破綻する可能性があるわけですね。だから、そこをきちんと担保した上でそういう政策提言とかいうことができるのであれば、これは現場の医療従事者は大いに喜んでやるだろうと思うんです。ですから、そこを何とかきちんと手当てしていただきたいというのが我々の気持ちでございます。

 どうもありがとうございます。

長崎委員 ありがとうございました。

 もう一回考えを整理すると、先ほど垣添先生にもお伺いしましたが、財政基盤、例えば運営費交付金の額、それが例えば効率化係数といいまして毎年毎年減るんじゃなくて、研究開発型に根差したようなあり方をとるんだ、剰余金が出たらちゃんとそれはしっかり次の研究に回せるんだ、それから最初の借金の部分、これが経営を圧迫しないようにするんだ、こういうような財政基盤が整えられれば、政策提言機能というものを活用してそれを国が尊重するということでやれば、これはある意味ベストな、理想的な制度に一歩近づくのではないか、こういうお考えということで整理してよろしいでしょうか。

大村参考人 そのとおりでございます。もうそこをきちんとやっていただきたい。大前提でございます。

長崎委員 ありがとうございました。

 次に、和地会長にお伺いしたいと思います。

 本日は、医療機器開発におけるNCへの期待ということで、これは大変重要なお話であったと思います。お話にもありましたとおり、世界市場の一〇%を我が国は医療機器マーケットとして占めているわけですが、にもかかわらず輸入比率は右肩上がりでふえている、こういう現状に大変大きな憂慮を抱くわけです。今後、例えば中国、あるいはインドなんかも、こういう人口大国がどんどん所得水準を増してくれば、医療機器マーケットというのがグローバルに広がる中で、これはもう会長おっしゃるように、我が国の次世代の主力産業にもなるべきものなんだ、これはまさしくおっしゃるとおりだと思います。

 こういう重要な医療機器産業の発展に関しまして、ナショナルセンターが果たすべき役割は大きい、これはもう会長のおっしゃるとおりですが、他方、ナショナルセンターにとりましても、産業界からの資金に大変期待するところがあるのではないか。今回の制度改革も、そういう期待の上にある意味成り立っているようなところがあると思います。

 いただいた資料の中でも、従来の開発プロセスにおきまして、医工あるいは産学の連携が不足しているんだというお話がありました。ここで、きょうお伺いしたいのは、産業界の目から見まして、これまでも国立研究所はあったわけですけれども、どこが、どういう点が連携がとりにくかったのか、その点について一点、教えていただければと思います。

和地参考人 結論から申し上げますと、かなり産官学連携が進んできております。

 先ほどちょっとお話ししましたように、METISというのを産官学連携でやっておりまして、それぞれに、現在の医療の問題、特に医療機器上の問題について忌憚ない意見をやっておりますし、その中で、日本が何をこれから重点的にやっていく必要があるかということで、今、七分野に絞って進めておりますので、徐々に変革しているということは事実でございます。

 ただ、長い歴史の中では、御承知のように薬が医療の中心でございましたので、医療機器に焦点が当たったのはごく数年と言って差し支えないというふうに思います。

 それともう一つ、薬は、語弊がある言い方ですけれども、ワンパターン、ツーパターンですけれども、医療機器というのは、MRI、CTスキャンから、目から歯から、おむつに至るまで、非常に多岐に分かれている。また、そこに所属している業界も、四千から五千企業あるんですが、ほとんどが中小零細企業。こういうことで、非常に今まで日が当たらなかったと言っていいのではなかろうかと思いますが、先ほども御説明しましたように、内視鏡とかあるいはカテーテルとかそういうものを使うことによって、医療の質が抜本的に改善され、患者さんにも優しい、あるいは医療費にも貢献するということが見直されて、急速に変わってきているということでございます。

 先生の御指摘のとおり、まだまだ問題はありますけれども、徐々に改善されているということが現状でございます。

長崎委員 ありがとうございます。

 ちょっとお伺いの仕方を変えて、例えば、今後、医療機器業界として、ナショナルセンターに対して資金投下をしていきましょうということを考える際に、どういうものがあればより高いインセンティブになるのか。

 つまり、ナショナルセンターは、これまでの国会の議論の中でも、独法化するメリットの一つとして、外部からの資金を受け入れることができますと。恐らく、その外部からの資金の出し手として最も期待されるのが、製薬会社さんと医療機器メーカーさんが一番最初に挙げられるのではないかと思うんですが、その医療機器産業の目から見て、こういう条件が整えばもっと資金提供しよう、より資金提供して一緒に共同研究を推進しよう、何かそういう条件整備、条件的なものというのは、考えられるものはありますでしょうか。

和地参考人 やはり私企業というのは、短期か中期かは別として、プロフィットが上がらないとこれは株主さんからしかられます。そういう意味では、ナショナルセンターとの共同研究においてもそこが約束されるということが大事なので、研究がそれでおしまいになってしまうとか、あるいはいつまでたってもプロフィットが出ないというような、見通しが立たないと非常に企業としては難しいと思います。

 ただ、それぞれの立場での意見交換、研究というのは、私は非常に意味があるというふうに思いますので前向きに取り組んでいきたい、このように思っております。

長崎委員 ありがとうございました。

 いろいろ現場とかでも意見を聞きますと、研究者の皆さんが今考えているのはF1のようなもので、なかなか、大きなニーズにマッチする、よりニーズにマッチするようなものというのは余り日が当たらない。むしろ産業界と連携することで、マーケットがあるということは需要があるということですから、連携することでより多くの人のQOLが向上することを私は望みたいと思います。

 最後になりますが、岸田参考人にお伺いしたいと思います。

 きょうのお話は、医療現場の最前線に携わられる方の御意見として大変切実な問題であり、かつ深刻な問題であり、政治としても対処していかなければならない問題だと思います。看護師さんの不足問題、大変深刻なものだと認識しております。

 ただ、一点お伺いしたいのは、これまでの国立施設におきましては、いろいろな法律があります、行革推進法あるいは総定員法というものがありまして、定員というのは、ほかのものと一律に、徐々に削られていくような形になっております。

 こういうふうになってしまいますと、例えば、看護の質を向上させるために夜勤のシフトを、今でも全く十分じゃない中で、これをちゃんとしたものにしましょう、そのために人員を増強しましょう、あるいは、今後、看護の質を高めていこうという際に、学会に出ましょうとか、あるいは研修を受けてもらいましょうというときに、これもシフトがあったりすると、人員不足の中ではそういうシフトすら組めなくなるような状況なのではないか。

 こういうことがあると、医療本来の目的である患者さんに対してもなかなか十分なサービスが提供できなくなる。これはシステムの問題であり、それを今何とか解決しようと思って現場の看護師さんたちが一生懸命されているのもよく理解しているところであります。

 私は、こういう人員不足の問題を解決するという点でも、実は独立行政法人というのは一つの知恵じゃないかなと思っております。これは運営度は高まりますので、例えば職員数についても、総定員法、法律の縛りから外れることができるので、増加させるということも可能になってまいります。例えば、国立病院機構ですけれども、独法化後、看護師さんを毎年約三%前後、逆にふやしている形になっているようです。

 こういうことから、独立行政法人にすれば、これまでの人数を減らせという法律の縛りから外れますので、人員不足を解消して、看護師さんに対する過剰な負担を緩和することができる。あるいは、そういうことによって夜勤のシフトもしっかりとることもできますし、場合によっては研修なんかにも十分な余裕を持って人を出すことができるようになるのではないか。こういうメリットもあると思いますが、岸田参考人の御意見を伺いたいと思います。

岸田参考人 まさに行政改革と現場との問題はぶつかり合う部分だと思うんですね。かといって、では独立行政法人になったときに、先生がおっしゃるようにバラ色の人員体制があるかということでは、非常に不安があります。やはり、独立行政法人化の目的が効率性と採算というふうなところから考えますと、成育医療というのはまさに不採算の医療ですし、これから国立として成育医療を発展させて充実させていこうという、そういうところに来ているところで、逆に、ではそういう不採算の医療を民間になって担っていけるのかどうかというところは、すごく不安があります。

 成育医療というのは周産期と小児医療ですけれども、やはり、今地方では、産科の先生がいないとか小児科の先生のなり手がいないとかという状況を抱えているからこそ、政策医療として国が成育医療を発展させて、それを地方に還元していくということが私としては必要じゃないかというふうに思っていますので、独法化になって人が充実するのかというところでは、もともとの効率化、採算という点からは、非常に私は疑問を持っています。

 以上です。

長崎委員 ありがとうございました。

 参考人の先生方のお話を伺いますに、やはり当初の財政基盤の確立というのが大変重要な問題であって、これがなければいろいろな障害が起こる、研究開発の面においても、病院経営の面についても大変な不安が残るんだということで、我々としては、やはりその財政基盤の確立というものには十分配意をしないといけないということが、きょうのお話を伺って痛感いたしました。

 ありがとうございました。以上です。

茂木委員長 次に、福島豊君。

福島委員 公明党の福島豊でございます。

 本日は、各参考人の皆様には大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。

 そもそもナショナルセンターを独立行政法人にするものかね、こういうのが垣添参考人また大村先生から御指摘ありまして、私もそのような思いは共通いたしております。

 ただ、最近考えますには、日本の医療というのは約三十兆円、そして、ほとんどが医療保険、診療報酬の支払いによって賄われている、窓口負担もありますけれども。その中で公費がどの程度役割を果たしているのか。これは医療保険に投入される公費もあるんですけれども、直接的な形で公費がどの程度投入されているんだろうか、こういうことを先般、私も予算委員会で取り上げたんですが、厚生労働省の所管の予算ですと二百億もいかない、その程度の話だと思います。救急医療であるとかそうした政策医療の分野に投入されている。地方自治体、公立病院がたくさんございます。これは総務省経由等々で投入されておりますけれども、これでも数千億だと思います。

 実際に医療提供体制をしっかりと支えていくのに当たって、私は、日本では直接的な公費の投入というものの役割が今まで十分に検討されてこなかったんじゃないかという思いがいたしております。民間の医療機関もそうなんですけれども、戦後、昭和三十六年に皆保険、こういう体制になりまして、医療施設、医療提供体制の充実というのは、専ら診療報酬という回路を通じて医療機関に資金の蓄積をもたらす、これによって整備をしてきた。

 ただ、昨今の状況の中で、診療報酬をどこまで上げられるか。これは保険料にもつながっておりますし、そしてまた患者の負担にもつながっているわけでありまして、なかなか自由度がきかない。本来であれば、医師不足であるとか看護師不足であるとかありますから、もっともっと診療報酬を上げるべきだ、これは一つの話として非常に筋道は通っているんですが、ただ、そのときに、一方で、また窓口の負担であるとか保険料の負担とかがふえてきてしまう。

 ですから、これからの医療提供体制を考えたときに、もっともっとダイレクトな公費の投入ということをどう考えるかという仕切り、仕分けをして考えた方がいいんじゃないかなというふうに私なんかは思っているんです。

 そういう意味では、ナショナルセンターという存在は、その組織のあり方ということと、もう一つ大事なことは、公費をいかに投入するかという話なんだろうなというふうに思います。公費をいかに投入するかということがしっかりと裏打ちされていれば、運営費交付金だけには限りませんけれども、逆に、独法化するということによって自由度が増す。ただ、自由度が増した後、診療報酬でやりなさい、こういう話になると、私は、ナショナルセンターとしての役割というのは十分果たせないんじゃないか、こんなように思うわけであります。

 ここは垣添参考人にお聞きしたいのでありますけれども、医療基盤をどう支えるのかということで、今まで、公費がどの程度の役割を果たすべきか、こういうことが十分に議論されてこなかったのではないかと思いますが、このあたりを包括的に、やはり実際に現場で指導的な立場で働いておられる先生からぜひ御発信をいただきたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

垣添参考人 福島先生、御質問ありがとうございます。

 私も、先生御指摘のとおり、医療経済の中に占める公費投入というのは、これまで決して十分でなかったということを感じます。したがって、このナショナルセンターの独法化に際しましても、公費による基盤の強化というのを強くやはり期待いたします。

 診療報酬の方で医療費全体を上げていくというのも恐らく限界があると思います。これまで、我が国の医療費が今三十兆円、これが、高齢者がもっとふえていって、高齢な人たちがどんどん病気になるとすると、一体どこまで膨らむか、そうすると、経済が失速して、我が国の存立が揺るぎかねないといったことを、繰り返し、特に財務省を中心とした主張があって、言ってみればそういう低医療費政策が頭に刷り込まれているような感じがいたしますが、ナショナルセンターの独法化を契機として、我が国の今語られている医療崩壊を食いとめて、本当に日本に生まれてよかったと国民に感じていただくためには、やはり医療に公費をもっと投入すべきであると私も感じます。全く先生の御指摘のとおりだと思います。

福島委員 そしてまた、今回の独法化に当たって十分にやはり配慮しなければいかぬのは、例えば成育医療センター、先ほども岸田参考人からありましたように、診療報酬ということで考えると非常に基盤が弱くなってしまうわけですね。私は、精神・神経センターなんかもそういう嫌いがあるんじゃないかというふうに思います。

 各センターが独立して、財政上の運営をしていくということになりますと、診療報酬ということではおのずと格差が出てきてしまいますから、そういう意味では、十分配慮して公費の裏打ちをしていかなきゃいけない、それぞれの特性を踏まえてやらなきゃいかぬのだろうと思いますけれども、この点についても垣添参考人から少し御意見をいただければと思います。

垣添参考人 これも御指摘のとおりだと思います。

 私、冒頭の意見を述べます際に、各ナショナルセンターが負っている機能とか目的が全く異なるということがあります。特に、不採算性の強い成育医療とかあるいは今御指摘の精神・神経とかそういった部門と、ある程度採算性もあるがんとかあるいは循環器との間に、診療報酬から考える上ではやはり違いがありますから、そこの部分を勘案した、つまり各ナショナルセンターごとの状況に応じた対応というのをぜひお考えいただければありがたいと私も考えます。

福島委員 次に、大村参考人にお尋ねしたいんですけれども、日本の医師は非常に働き過ぎというか、働かせ過ぎというふうに私は思いますけれども、本当に、ある意味で日本の医療というのは悲惨な状況に今あるんだろうというふうに思います。そして、このことは、現場の先生方の発言が近年非常に大きくなって、国民の多くが理解するに至っているんじゃないかというふうに思います。そして、今こそ、十年なら十年、五年なら五年で、一定の期間をかけて日本の医療のあり方を徹底して再構築しなきゃいかぬ、こういう取り組みを国を挙げてなすべきなんじゃないか、そんなふうに思っております。

 ただ一方で、国民の側で、私も地元でいろいろと話をすると、医療費はやはり高過ぎるんじゃないか、こう言う人もまだたくさんいます。医者はもうけ過ぎだよ、こう言う人もたくさんいる、私も医者ですけれども。どうもまだまだ、日本の医療費というのは高いんじゃないかとか、もうけ過ぎているんじゃないかとか、こういうふうに思っている国民というのは結構多いわけで、このあたり、ぜひ先生の口から率直にまた御発言いただければと思います。

大村参考人 御質問どうもありがとうございます。

 だんだん質問が、大分生々しい質問になってまいりましたけれども、医療費に関しては、全体的に日本の医療費はまだまだ安いということがございます。

 先ほど公費の話が出ておりましたけれども、純粋に、日本の医療費三十兆円の中で、実際に国と地方自治体が出しているのは十兆円程度である。例えばアメリカなんかの場合には、メディケア、メディケードという二つの公的保険で六十兆も公費を使っている。日本の医療費が高いというお話ですが、これは確かに、一割から三割というふうにどんどん上がってきてしまったということで、国民には非常に負担感が強いだろうということはわかります。ただ、全般としてほかの先進国の中で比べますと、日本の医療費が特別ずば抜けて高いわけではない。

 ただ、これが徐々に徐々に、今度の高齢者医療でもあれですけれども、負担感を増すような政策が出てきて、一方ではそれを裏打ちするような政策が並行してなされていないというところが一番問題でございます。GDP比でいえば、日本の医療費はもう二十二位、二十三位というところまで下がってきている、明らかに無理がある、限界が来ている、これをどういうふうに出すかということは、これはいろいろな工夫ができると思っております。

 先ほどたばこの例も挙げましたけれども、日本の保険組合というのは余りにも細切れになっておりまして、これを全国を通じて、要するに豊かな組合と貧しい組合を全部統合する。まさに、後期高齢者医療制度は広域連合というのをつくったけれども、あれは、あそこでつくるのではなくて、いわゆる日本の保険組合全部をああいう形にすれば、もっともっと資金が出てくるということも十分考えられる。これは日医総研のあれでもそういうふうに出ております。

 それからもう一点、医師がもうけ過ぎというお話。

 これは、医師の中にもいろいろな医師がいるということは先生よく御存じだろうと思います。我々、残念ながら病院勤務医師の状況を声を大にして言うような組織が今まで十分ではなかったというところに一番大きな問題があるということで、どこが力を持っているかということは私は今申し上げませんけれども、こういったところが一番の問題点ではないかというふうに思います。

福島委員 私思うんですが、医療というのはそもそも費用のかかるものである、コストのかかるものである、こういう意識がもっとなければいかぬのだろうなという気が私はするんですね。貴重なものであると。

 先ほども、検診率が日本では非常に低いという話がありましたね。これも、ある意味では自分自身の健康をどう守るのかということについて国民の意識がやはり私は乏しいんじゃないかと。国、地方自治体の周知、広報とかいろいろとありますけれども、それ以上に、国民が、自分の健康はどう自分で守るのか、こういう意識をもっと涵養しなければならないし、そしてその上で、やはり医療というのは非常に貴重なサービスなんだ、濫用してはいかぬ、こういう意識も必要なんじゃないかと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。

大村参考人 おっしゃるとおりだと思います。そのとおりでございまして、国民の健康意識ということ、特に生活習慣病とかメタボリックシンドロームとかいったようなことに関する啓蒙というのは大変大切なことだろう。やはり医者にかからないような健康な体を自分で築き上げていくというのは国民一人一人の責任でございますから、それはとても大事なことです。

 それで、医療というのは国にとって非常に重要であり、これは労働生産性とか国の経済活性化の一番のかぎになるわけでございますね。一方では、先ほど和地参考人からも少し出ましたけれども、こういった医療にお金を投入することで実は経済が豊かになるんだという現実がございます。これはEUの国々でもそれは証明されておりまして、私、実は集中治療室とか手術室の医療機器のISOの委員、日本の代表をしておりますけれども、そこへ行っていつも残念なのは、ヨーロッパあるいはアメリカなんかは非常に医療にお金を使って、なおかつ、それで税収をふやすという形で成功している、どうして日本はそれができないのかということで、非常に肩身の狭い思いをしております。

 そういう意味で、医療は決して国の負債ではなくて国の経済の活性化の大きな原動力になり得るんだという、特に北欧の国々の例を学んでいただくと、こういった医療費抑制政策だけで突っ走るような政策は出てこなかったのではないかというふうに思います。

福島委員 全く同感でございます。

 和地参考人にお話をお聞きしたいんですが、独法化する、今まで以上にナショナルセンターは医療機器の開発等々に大きな役割を果たしていただくべきだと思っておりますし、今、大村参考人からもありましたように、経済の成長の一つのエンジンにするためにはやはりそういう分野の拡大こそが求められている。独法化されたナショナルセンターに対して、先ほどもいろいろと御説明ございましたけれども、医療機器の開発等々におきまして、ここのところはぜひ拡充をする必要がある、この点について再度、和地参考人から御意見をお聞きできればと思います。

和地参考人 やはり独法化することによって経営的な視点というのが入ってくるというふうに思います。それから、ある意味で自由度が増すということがあるので、これは大変に期待できるのではなかろうかというふうに私は思います。

 ただ、やはりビジネスというのは、あるところで成果を上げるという見通しをきちっと持っていませんと、課題だけがあってそれを研究していつまでたっても成果が出ない、これが一番悲劇になりますので、そういう視点をやはり独法化を契機により強く持っていただく。先生方には大変失礼な言い方かもしれませんけれども、やはりそこのところが大事だと思います。

 それからもう一つは、経営をやっていく場合に、やはり世界を見ていろいろな自由な発想でやらないと、日本だけの視点でやっていくとどんどん負けます。そういう点では、私のところは世界百六十カ国を相手にやっておりますが、その辺の自由な発想と、それからスピードですね、そういうことを考えてやっていかないとなかなか国際競争力には勝てないんじゃないかなというふうに思います。ちょっと尊大な言い方でございますけれども、そういうふうに思っております。

福島委員 例えば具体的には、見通しもなくやるわけにいかぬわけですから、一定のプランといいますかビジョンといいますか、こういう分野でこういう研究を進めていこう、それに当たっては独法もこういう形で関与してもらう、また国も、厚労省だけではなく経産省、文科省も含めてバックアップしていく、こういう総合的なビジョンみたいなものをきちっとつくって、そして産官学、民間と官とが協力しながらやっていく、こういうことが一番必要じゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。

和地参考人 先生おっしゃるとおりでございまして、今、その前段階としてMETISという、これは先ほどお話ししましたが、産官学でやっておりまして、その中で議論を詰めていきまして、七つの重点分野というふうに絞りました。これを実践し実行しようということでございます。

 ちょっと時間の関係上、この七つが何かということをお話しできないんですが、例えば、ゲノム科学、たんぱく質科学やIT分野技術等を活用した遺伝子チップ等の簡易診断機器とか、あるいは超音波関連装置やカテーテル等の医療機器を用いるDDS・標的治療とか、七つを絞って進めておりますので、これはこれからのナショナルセンターの独法化とも非常にいい影響が出てくるのではなかろうかと私は思います。要は、こういう分野で日本発の世界に普及する画期的なものを開発していきたいという志を持ってやっております。

 そういうことでよろしゅうございますか。

福島委員 しっかりと御意見を踏まえながら、政治は政治の場でしっかりと応援をさせていただきたいと思います。

 最後に、岸田参考人にお尋ねいたしたいと思います。

 私はやはり、国だから大丈夫という時代ではもうだんだんなくなってきているんだと思うんですね。社会保険庁を見ておっても、国だから全然大丈夫でない、こういう世界になるわけでありまして、むしろ独法化して、その中で、自由度もある、さまざまな交渉もそれぞれのセンターでできる、政治の場として言えば、しっかりと財政的な支援をしなければいかぬというふうに思いますけれども、そういう観点から、ぜひ今回の独法化というものをまたとらえていただきたいなと思いますが、この点について、先ほどと重なりますけれども、御意見をお聞きしたいと思います。

岸田参考人 さっきと同じような話になると思うんですけれども、患者さんの立場から考えると、やはり国立ということでは本当に大きな安心感が一つはあると思いますし、政策医療をやっていくというところでは、成育医療というのは一番不採算で縮小される対象の医療ではないかというふうに私は思っているんですね。ですから、そういう点では、国が本当に成育医療を発展させて全国に国民医療として充実させていくという立場をとるべきではないかなという考えは持っています。

 以上です。

福島委員 私ども、少子化対策をずっといろいろと取り組んでまいりまして、医療の分野ではこの成育医療というのは極めて重要だというふうに思っております。そして、その中で、小児医療の抱える不採算性ということは十分踏まえながら、そして成育医療センターがしっかりと発展していくように頑張っていかなきゃいけないというふうに思っております。

 ただ、その中にありまして、個々の組織の運営ということについては、独法化のメリットというものを十分生かしていただいて、そしてまた現場でもそうしたメリットを生かしながら取り組みを進めていただければ、このように思う次第でございます。

 以上で御質問を終わらせていただきますが、きょうは本当に貴重な御意見をお聞きできまして、重ねて御礼を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 おはようございます。民主党の郡和子でございます。

 四人の参考人の皆様方には、早朝から本当に貴重な御意見をお聞かせいただきまして、私からも改めて御礼を申し上げます。また、日ごろ、最善の医療に国民がアクセスできるようにさまざまな場所でさまざまな御提言もいただきながら業務に当たられていることにも改めて感謝を申し上げたいと思います。

 これまでのお話、また委員との議論を聞かせていただきましたけれども、やはり独法化というのは急いですべきなのかどうなのだろうかということも、また私自身感じるところが多かったわけでございます。

 国立がんセンターについて申しますと、先ほども触れられておりましたけれども、麻酔科の先生が次々におやめになられていったという状況もございました。日本のがん治療の最高峰の場でありながら、緩和医療、また手術でも欠かすことのできない麻酔科の先生がおやめになるということは、ゆゆしき事態なんだろう、そんなふうに思っております。

 厚労省は、今回のこの独法化につきまして、非公務員型の法人にすることによって優秀な人材を高い給料で雇うこともできるようになるのだからというふうに説明をされているわけですけれども、がんセンター中央病院の土屋院長も、まずその前に、医師の絶対数をふやす政策が不可欠なんじゃないだろうかということもコメントしていらっしゃったのも拝見をさせていただきました。医師不足、医療崩壊の中で、もう少し知恵を絞っていくべきである。そして、政治の責任というのも、これまでの議論を聞かせていただきながら、改めて痛感したところでございます。

 幾つか御質問させていただきたいと思うんですけれども、実は、今回のこの独法化によりまして、それぞれが、国からの研究費の投入ももちろんのことではございますけれども、産学連携ということがより重要な課題となってまいります。研究機能に係る経費を産業界から入れることが重要になってくるということになるんでしょうけれども、その問題で、これまでも実は、産業界と研究者との間でのさまざまな寄附金をめぐる報道が取りざたされて、国民の間でいろいろな疑問が持たれているという状況もあるわけでして、ここについても、利益相反のことですけれども、独法化するに当たっては、しっかりとした体制をとらなくちゃいけないんじゃないだろうか、そんなふうに思っているところです。

 先日、委員会の中でも政府とやりとりをさせていただきましたけれども、現在、ナショナルセンターは利益相反を審査する特別な委員会はお持ちでない、IRBの中でそれぞれがやっているというふうに聞いておりますけれども、今後、産業界から研究費を投入するに当たって、この利益相反の問題についてどんなふうに考えるべきなのか、まず垣添先生からお尋ねしたいと思います。

垣添参考人 御質問ありがとうございます。

 利益相反の問題は、これから我が国が産学連携といった研究とかあるいは事業を進めていく上で、極めて重要な部分だと思います。必ずしも、これまでその対応が十分でなかった領域かというふうに思います。

 ナショナルセンターの中で利益相反を審議するような委員会がないのは、少なくとも国立がんセンターに関しては事実で、内容的には倫理審査委員会の中で議論しているのも、御指摘のとおりだと思います。

 しかし、これから、特に産業界との連携を進めていく際に、利益相反の話が必ず出てまいりますが、現状では、その成果が例えば論文発表されるときに、これこれの企業とこういう関係にあったということを表明するような、デクラレーションする形で対応しておりますけれども、これからは事前にそういうことをきちんとチェックしていくということが必要で、それが、透明性のある企業とのつき合い、国民の目から見て不審に思われないような研究協力体制を生んでいく上で非常に大事であるというふうに思います。御指摘のとおりだと思います。

 ありがとうございます。

郡委員 この問題というのは、もう不可避的にやはり生じてくる問題なんだろうと思います。

 大村先生もいかがでございましょうか。

大村参考人 この点については垣添参考人のおっしゃるとおりでございまして、大学病院と企業の関係の間でもこういう不祥事が時々出てくるということで、これは、きちんとした、これを管轄するというか、監視するような装置を今後やはりつくっていかないと、独法化とか制度を変えるときには非常にそごが出てくる可能性がある。おっしゃるとおりだと思います。

郡委員 また同じ質問を、それでは、産業界の立場から和地参考人にお尋ねします。

和地参考人 私も全く同感でございます。

 やはり、企業倫理というのをきちっと守らない企業はこれから滅びるということは間違いないというふうに思いますし、私は、臨床研究段階における倫理審査委員会とか、そういう形できちっとやっていく必要があると思います。

 これは何も医療に限らず、やはり、透明性と説明責任、これは企業の持っている一つの責務だというふうに思いますので、そういう視点で充実していくのが当然だと私は思いますし、逆に言うと、冒頭に申しましたように、企業の存続にかかわる問題だというふうに思っております。

郡委員 ありがとうございます。

 これから企業と研究所、研究団体との連携というのが深まることによって、人的な交流も深まってくれば、その人材を通してまた新たなベンチャーの創設ということにもつながってまいりましょうし、このことはやはりしっかりと取り組まなくちゃいけない課題なんだろうなというふうに思っております。

 次に、大村先生の「医療立国論」という著書の中で、医療機器のことについてもさまざまの御提言をされておられます。薬事法の二〇〇五年の改正というのが関係者の間では余り評判がよくなかったようでございまして、医薬品と医療機器とを同じようなレベルで考えていることがまずもって問題ではないかというふうなことも御提言されておりますし、医療機器というのが、お薬とは違って、機器それだけでの害というよりも、ヒューマンエラー、その使い方によってのエラーも出てくるわけで、この辺のトレーニングのシステムというのがまだまだ不十分である、ここにもやはりしっかりとした投資を行わなくちゃいけないということも御提言されております。

 この点について、今、治験、臨床研究の中でもまだまだ不備がございます。もう少し詳しくお話をお聞かせいただきたいと思うんです。

大村参考人 和地参考人もおっしゃっていましたが、医療機器というもの、今、郡先生がおっしゃったように、これは薬とは全く違うということでございまして、そして、日本発の医療機器、特に治療機器でございますけれども、年々減少しておりまして、輸出がどんどんパーセンテージが下がって、もう二〇%以下になってしまった。

 治験ということについても、改正薬事法が余りにも安全ということを重視し過ぎて、がんじがらめにしたものですから、恐らく、開発がほとんど難しくなってきた。和地参考人のような大きな会社ではまだその余力があるけれども、医療機器産業の恐らく九〇%以上が、非常に小さな小企業、せいぜい中企業ぐらいでございます。ここに、改正薬事法で出てきたような安全管理責任者とか販売責任者とかいった一定の人員をそろえなくちゃいけないとか、そして、いろいろな形での安全に対する厳しい取り決めが小企業の画期的な、ベンチャー的な開発を妨げているというのが、非常に大きな問題だろうと私は思っております。あれは改悪薬事法ですので、この辺はぜひ変えていただきたい。

 それから、皆さん御存じかどうかわかりませんが、厚生労働省がいわゆるマスターファイル制度というのを、アメリカでうまくいっているから日本でやっているということでございますけれども、マスターファイル制度というのは、個々の材料メーカーが全部FDAに登録して、そこできちんと審査して通っているものは、新しい機器を申請する場合には、それを使って番号だけ出せばよい。日本もそれをやれば簡単ではないかという理屈なんですが、実際、日本でマスターファイルに届けているような材料メーカーというのはほとんどないわけですね。ですから、やはり最初から全部安全性を確かめなくちゃいかぬというような無用なことを小企業のいわゆる新しいベンチャー技術の開発にやらせて、ブレーキをかけてしまっているということがございます。

 繰り返して申し上げますけれども、医療機器というのは、小さな企業が新しいいいものをつくるという例が非常に多いわけで、そういった環境整備をぜひ日本でもやっていただきたいというふうに思います。

 そして、先ほど郡先生がまさにおっしゃいましたように、医療機器での死亡事故とか傷害というのは、もう八十何%がヒューマンエラーだということがはっきりしております。これは薬害と全然違うわけですから、その辺も考慮して別の法律をつくっていただきたいというふうに思います。

郡委員 同様のことを和地参考人にもお尋ねするわけですけれども、日本ではこの承認を得るまでに時間が大変かかるということもございます。その割には医療機器自体のライフサイクルが大変短い、すぐ新しいものになってしまう、こういう矛盾したところもございますし、政治としても解決を図っていかなくちゃいけない大変重要な課題なんだろう、そんなふうに私も思っております。

 今回は、あわせて、スーパー特区構想というのも政府の方から打ち出されまして、これについては、医療機器に特段の配慮をするということでございましたけれども、これも一昨日の委員会の質疑の中で、例えば、無過失補償制度についてはどうなのだろうか、あるいは臨床試験を迅速に進めるためのシステムは本当に整っているんだろうか、特段の配慮というのはなされるのだろうかということを伺わせていただいたんですけれども、実はまだ何も決まっていない状況であるわけです。

 このことについても、業界の中でもさまざまな御意見が寄せられているかと思うんですけれども、その点について詳しくお話ししていただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。

和地参考人 先生おっしゃるとおり、医療機器と薬というのは本当に違うんですね、目的は同じですけれども。その辺の理解がまだまだ足りないというのが、私は、業界の会長をやって、常に申し上げているところでございまして、先ほどの私がお配りした資料の中でも、医薬品と大きく違うんだというものを幾つか掲げてございますけれども、審査の仕方とか仕組み、いわゆるインフラはほとんど薬のままというのが実態でございます。さらに言いますと、まだ行政的にも医療機器専門の課というのはございません。そういうことで、要望を言い続けております。

 ただ、私は、基本的には、日本人の特性というのは、いい医療機器を、世界に冠たる医療機器をつくる特質を持っているというふうに思っておりますので、この辺は引き続き主張してまいりたいと思いますので、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。

 スーパー特区につきましては、まだできたばかりというのか、これからだと思いますが、私は、一つの考え方としてはいいのではなかろうかと思います。現状の延長線上でやっていても遅々として進まないところがございますので、やはりスーパー特区のような発想で、医療機器の特性を踏まえて、ある意味では大きな視点で問題を解決していくということが私は不可欠だろうというふうに思います。

 具体的にお話しするにはまだまだ固まっていないところがございますので、控えさせていただきたいと思います。

郡委員 わかりました。

 独法化されることによって、それぞれの医療機器についても迅速な、私たちが安心して使えるような最新の医療の開発につながっていく、そういう御期待もきっと和地参考人のお言葉の中には含まれているのだろうなというふうに理解をさせていただきました。

 今回、ナショナルセンター、六つをそれぞれ独法化するということで、それぞれの経営基盤はそれぞれの自助努力でということになるわけでございます。先ほど垣添参考人は、六つ別々であることがいいというふうな御意見だったと思います。一方で岸田参考人は、採算のとれないところじゃないだろうかと大変心配を表明されていたと思うんです。

 私も、感覚的なものですけれども、がんですとか循環器系のセンターは大変需要が多うございますし、実際に一般会計からの繰り入れを見ましても、その割合が多いのが、採算性がとれない、いわゆる政策医療としてやっているところの精神・神経、そして成育センターなんですね。この辺のところが自立してやっていけるのかどうか、この辺のところが大きな課題なんだろうと思うんですけれども、もしそれぞれ御要望として何かお持ちであれば、伺わせていただきたいと思うんですが、これは垣添参考人と岸田参考人にお尋ねしたいと思います。

垣添参考人 先ほども申し上げましたとおり、やはり六つのナショナルセンター、それぞれの目的と機能が違う、それで、がんや循環器疾患に対して、精神・神経とか、あるいは成育医療との間の特に財政基盤というのは全然違うというところはよく承知しております。

 しかし、これを一つにしたからといって、それぞれの弱い部分が強化されるかというと、私はそうではないというふうに思っておりますが、先ほど福島先生からお尋ねのように、やはり公費投入というのがそれぞれのナショナルセンターの特性に応じて考えられる必要があると私は考えております。

岸田参考人 私も、国立小児病院時代からかんがみますと、今の成育医療センターというのは非常にすばらしく発展して、これから十カ年計画でいろいろなことを事業計画を立てているということを一職員として知っているわけなんですけれども、そこを、これからというときになぜという、やはり現場ではそういう気持ちがあるんですね。政策医療、国民医療として、小児、周産期の医療をリーダーシップをとって中心的な役割をこれからやっていくんだ、病院として発展していくんだという時期に、なぜ今独法化なのかと。なおかつ、独法化は、採算、効率化と言われている中で、成育医療が本当に生き残っていけるんだろうかというのが現場の率直な意見なんですね。

 だから、逆に言えば、そこをどういうふうに保障していただけるのかというところになると思うんですね。マンパワー、これだけ診療科がそろって、チーム医療をやって、高度専門医療、あるいは、どこに住んでも同じ小児医療や周産期の医療が受けられるというところをどうやってつくっていくかという課題も含めて役割があるとすれば、やはりそこを、縮小ではなくて、独法化になってさらに発展させていけるという保障がやはり必要じゃないか。現場でいえば、最低三人の夜勤体制はどうしてもやはり必要だということも含めて、公的医療、予算を投入していただけるかというところだと思います。

 以上です。

郡委員 ありがとうございます。

 今お話ありましたけれども、やはり国としてどういうふうに予算を充当していくのか、大きな課題なんだろうと思います。これまでの議論の中でも、その点はいささかも後退することがないようにしたいという政府側の答弁もございましたけれども、さらにこのところを私ども明らかにしていって、急ぐべきか、そうせざるべきなのかというところも踏まえて、しっかりと議論を続けさせていただきたいと考えております。

 きょうは本当にありがとうございました。四人の参考人の皆様に、重ねて御礼を申し上げます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、四人の参考人の皆さん、本当にお忙しい中、本委員会に出席をいただきまして、貴重な御意見を伺うことができました。ありがとうございました。

 時間が限られていますので、早速質問をさせていただきたいと思います。

 初めに垣添参考人に伺いますけれども、やはり私、ナショナルセンターに期待される役割ということが、例えば医療の均てん化、そしてネットワークの核となる、そうしたことが期待されると思うんですけれども、国立がんセンターにおいて設置をされているがん対策情報センター、そして同時に、地域の拠点病院の相談支援センター、こうしたものの役割がどうなっているのか、そして、現状も踏まえてお話ししていただけたらと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

垣添参考人 国立がんセンターのがん対策情報センターというのは、ここ数年来、がんの患者さんや家族あるいは広く国民から、がんになったときに最も欲しい情報、自分のがんはどうなのか、あるいは家族のがんはどうなのかということに対して、正確で信頼に足る情報が十分でないという声を受けて、国立がんセンターの中にがん対策情報センターができたということであります。

 先ほどちょっと意見陳述のときに申し上げましたように、これは、オール・ジャパンを考慮して情報提供をするとか、あるいは、がんの診療を進めていく上で必要な人材を育成するための研修を進めるとか、がん登録とかそういうことの研修とか、いろいろなことをやっております。

 がん対策情報センターが提供する情報というのは、どこの医療機関でも使えるような、あるいはがんの患者さんや家族、広く国民が使えるような一般的な情報を提供する。その際に、医療従事者だけで考えますと理解に苦しむような情報も出てくる可能性がありますので、がんの患者さんや家族も委員の中に加わっていただいて、この情報を本当に提供していいかどうかということを議論した上で提供するということをやっているわけです。

 ですから、がん対策情報センターは一般的な情報を提供する、それに対して、地域がん診療連携拠点病院の相談支援センターでは、個々の患者さんや家族あるいは県民とかそういう方々の悩みや相談に応じるということで、一応の頭の中でのすみ分けはそのようにされています。ただし、やはり国立がんセンターに直接相談をかけてこられる方もおられますし、それから相談支援センターで受けた相談だけで十分でないという御意見もいろいろあります。

 まだ制度として十分定着していないところがありますけれども、目指すべきところはそういう方向で、日本全体をカバーして情報に関するネットワークをつくっていくという上での核がこのがん対策情報センターであり、それを個別に受けるのが地域がん診療連携拠点病院の相談支援センターである、そのように考えております。

高橋委員 ありがとうございました。

 この情報のネットワークといいますかこうした機能が、がん対策基本法も成立をして、まさにこれから本当に浸透していくし、つくっていくんだというやさきの今の独法化の問題であったのではないか、先ほどの垣添参考人の意見陳述の中にもそうしたニュアンスが含まれていたのかなと思っております。

 先生が、雑誌「新医療」二〇〇七年一月号のインタビューの中で、日本の医療に対するナショナルセンターが果たしてきた意義について何の議論もなく独法化が決定されたことに強い憤りを覚えます、このように述べていらっしゃいます。また、その前段のところで、これは単なる数合わせではなかったのか、こういう指摘もあったわけですけれども、そこら辺について一言伺えればと思います。

垣添参考人 これも冒頭の意見陳述のところでちょっと抑制をかけながら申し上げましたけれども、やはり、国家公務員の定数を削減するというような大方針、あるいは小さい政府を設けるといった大方針に抵抗することはなかなか難しかったわけでありますが、そのときに、ナショナルセンター六つの正規の職員を合わせると五千六百人で、厚生労働省に求められた定数削減数にちょうどぴったりだということで、本当にほとんど議論もなく独法化が決められたというふうに聞いております。

 やはり、それまでに各ナショナルセンターが国民の健康を担う上で果たしてきた役割というのは非常に大きなものがあるというふうに考えますので、大変残念であった。ただ、事がここに至っては、独法化するときには、では最善の独法は何かということを考えざるを得ないということであります。

高橋委員 ありがとうございました。大変言いにくいことだと思いますが、失礼いたしました、ありがとうございます。

 そこで、もう一言、垣添参考人と、そして同じ趣旨で大村参考人にも質問させていただきたいと思うんです。

 垣添参考人は、先ほど紹介した雑誌の中でも、例えば、人手の確保を思い切ってふやして先端医療の開発に力を入れることや、検診などを保険に組み入れる、そうした形で、もっと公費をふやすことによって結果としては医療費削減は可能なんだという議論をされているかと思うんですけれども、この辺について御紹介をいただきたいのと、大村参考人もまさにそういう趣旨で医療立国などを提案されていると思いますので、一言御意見を伺えればと思います。

垣添参考人 高橋先生の御質問のとおりだと私も思っております。

 やはり、例えば国立がんセンターの機能を果たしていく上で、あるいはがん検診一つ考えていく上でも、公費をきちんと投入していくということが目標を達成する上で一番大きい。例えば、今がん検診、日本では国が行っている検診は五つありますけれども、その市町村での平均の受診率は二〇%を切っているわけです。がんの検診というのは、健康な一定の年齢の人たちに検診を提供して、がんが体の中にあっても早く見つけて、それを治療的に介入すれば、がんになっても本当は一週間か十日で元気になって社会復帰できる、がんになっても死なないというのが目標でありますが、先ほど来の議論の中で、国民に十分それが浸透していないということがありました。

 それは私どもの努力が不十分だということもあろうかと思いますが、しかし、その検診の原点に返れば、特に市町村財政が非常に悪い状況で、がん対策推進基本計画に挙げられている五〇%を達成するのは非常に難しい。企業検診を入れてもせいぜい三〇%になかなかいかないでしょうから、これを二〇%上乗せする上にはやはり公費の投入というのはどうしても避けて通れない部分ではないかと私は考えております。

大村参考人 いい質問をありがとうございます。まさに垣添参考人のおっしゃったとおりだと思います。

 特に、がん対策という点では非常にいろいろな理想的な案が机の上に出されておるけれども、実質的な、財政的な裏づけがないために、今言ったように実効が上がっていない。垣添参考人は二〇%とおっしゃっていますが、この中には恐らく企業検診が入ったり、地方自治体によっていろいろな発表の仕方がございまして、既にほかの病気にかかっている人たちを全部分子に入れて膨らませている、厳密に評価すると一〇%いっていないという数字があちこちで出されております。ですから、これはもうやはり国として公費を投じざるを得ないだろうと。

 それと同時に、また、今の診療抑制で地方自治体の非常に財政悪化の状態では、これは無理なことをやれと言っているのと等しいわけで、やる気があるならば、そこは決して避けて通れないということで、次はその財源をどう確保するかという議論まで真剣に考えないと、理想論だけ机の上にのせていただいて議論するのは非常にむなしい感じがいたします。

高橋委員 ありがとうございました。大変参考になりました。

 そこで、次に和地参考人に伺いたいと思います。

 大変興味深い御意見だったと思います。医療を通じて社会に貢献しますというテルモの企業理念にあるように、私たちのだれもが医療機器に対して恩恵を受けているわけで、国内でのそうした医療機器の開発というのがもっと進むことも望ましいことではないかと思っております。

 参考人は、ナショナルセンターの今後のあり方についての有識者会議の委員でもありました。昨年五月の第一回の会合で、当時の辻厚生労働事務次官が、当時の安倍内閣のイノベーション戦略の一丁目一番地に医薬品、医療機器が掲げられているというふうに強調されたわけですね。きょう参考人がおっしゃった、NCに期待しているということと政府の考え方が響き合っていたのかなと思っているわけです。

 ただ、一方、同じ席上で製薬業界代表の委員からは、企業は基本的に自分だけが先に走りたいわけです、常に抜け駆けが我々のキーワードですと大変正直なことをおっしゃっておりますね。実は、外部資金や共同研究というときに、先ほど利益相反の話もありましたけれども、企業間の激しい競争の中でNCがどこを選択していくのかという点では、公正中立性を保っていくバランス感覚というのは非常に難しく問われるわけですけれども、その点について御意見を伺いたいと思います。

和地参考人 今最後に先生がおっしゃったバランス感覚というのが非常に大事だと思うんですね。これはほかの産業とはちょっと違って、医療というのはやはり国民にとって非常にベーシックな産業であるわけですから、私は、その辺のバランス感覚というのは不可欠だろうというふうに思います。

 当社の例を挙げて申しわけないんですが、当社の場合には、医療を通じて社会に貢献するという企業理念を八十数年間ずっと続けてきましたし、今でもそれは絶対に捨てちゃいけないというふうに思っています。ただ、社会に貢献するというのを継続的にやるには企業業績を上げていかなきゃいけないわけなので、そういう点では、高い経営力、あるいは高い業績を保ち続ける、この二つのことを同時にやっていくというのがテルモの考え方ですし、これは私に言わせると医療の考え方に通ずるんではなかろうかというふうに思っております。

 私は、ナショナルセンターの独立法人化に賛成な一つの考え方としては、もうちょっと自由度を持っていただいた方がいいんではなかろうか、人的な問題とかあるいは活動の自由度とか、こういうことをもっと広げることによって、ある意味での国際競争力も高まってくるんではなかろうかというふうに思います。

 現状で一生懸命やっていらっしゃるのはよくわかるんですが、やはり企業との連携によって、物の考え方とかその辺のディスカッションができるというふうに思いますし、あるいは人的な交流も可能になるということですし、あるいは、東大病院でもやりましたけれども、外国から人を招いてくるというようなことによって大きなイノベーションを起こしていくという時代ではなかろうか、そういう意味で、私は独立法人化に対して賛成をしております。

 ただ、では民間にしたらどうかということです。民営化にしたらどうかということに対しては、私はやや疑念を持っておりまして、それはやはり国益に沿った医療の開発というのはあるはずなので、それは必ずしも民間でできるというふうには私は思っておりませんので、やはりその中間の独立法人化というのが今のステップとしてはいいのではなかろうか、このように私は思っております。

高橋委員 ありがとうございました。

 関連していろいろなことを今言いたいなと思いましたけれども、ちょっと時間がなくて残念ですが、次に進みたいと思います。

 岸田参考人に伺いたいと思います。

 まさに現場の深刻な実態について御報告をいただきました。私は、やはり御案内いただいた夜勤の実態ですとか、本当に大変だと思うんですね。それと同時に、今のこの人員の体制が不十分であるということが、自分に余裕が全然なくて、新しい人が入っても育てることができないですとか、新しい人にしてみても、教えてもらえないままいきなり現場に行かなきゃいけないとか、そういう問題があるということや、患者さんのナースコールにこたえることができなくて、自分もつらいし患者さんも我慢をしているとか、そういう現場の実態をよく聞くんですけれども、そうした、いろいろな角度から見て非常に問題があると思うんですけれども、その点のことをもう少し詳しくお話しいただいて、また、どうすべきかについても御意見を伺いたいと思います。

岸田参考人 センターの病院としての目標というのがあると思うんですけれども、それを実現していく、目標を達成していく課題は医療現場にも当然あるわけですね。その目標を、よりセンターの充実というところでそれを実現していくという課題を持っているのが医療現場でありますから、そこをやはり大事にしてほしいというのが一つあります。

 看護師だけではなくて、医師も二十四時間体制で医療をやっているわけですから、そこを、やはりマンパワーの部分を充実していくというところが一番今抜けているというか、見てもらっていないんじゃないかというのが実感としてあります。ですから、本当に医師も看護師も燃え尽きるんじゃないかというすれすれのところで現場を支えているという、この実態をぜひ改善していただくことが、ひいては病院全体を充実していくことにつながっていくんじゃないかなというふうに思っています。

 強調して言わせていただければ、今、昼間の医療も夜間の医療ももう差がないくらい、二十四時間同じ治療が続けられているという点から考えますと、日勤帯が九人いて夜は三人しかいないというのは非常に問題があるんじゃないかなというふうに思いますから、その点で、二人夜勤というのは非常に大きい問題だと思いますので、そこを何とか、やはり最低レベルでも夜三人で見ていくというところをぜひお願いしたいというところです。

 以上です。

    〔吉野委員長代理退席、田村(憲)委員長代理着席〕

高橋委員 ありがとうございました。

 昼も夜もほとんど差がないのに、夜勤で非常に手薄な状態をやられているということ、非常に重要な指摘だったかなと思っております。

 そこで、独法化されることについての懸念についても表明がされたと思うんですけれども、独法化で、法律上は常勤職員は継承されるという規定になっているわけですけれども、一方、賃金職員については理事長が処遇を決めるということになっております。そうすると、国立病院機構に移行したときに、賃金職員は非常に大きな問題があったと思います。そうした教訓も踏まえて、懸念されることについて御意見を伺いたいと思います。

岸田参考人 独立行政法人化になったときに、国立病院機構では移行時に、一つは、中高年の一般職員、看護師が圧倒的に多いわけですけれども、最大月四万円を超える賃金の切り下げが行われたと聞いています。これは、独法化に際してこのような処遇切り下げがありましたら、若い離職に加えて、中堅層の指導者の熟練看護師も退職、離職が憂慮され、医療の質の低下や患者サービスの低下を引き起こすのではないかというふうに非常に憂慮するところであります。

 あと、賃金職員についても、今、病院の中に賃金職員が働いております。その人たちが独法化のときに切り捨てられるということはあってはならないというふうに思いますし、一職員として雇用をきちんと守っていくということは、医療を守るというところでも一致していると思いますので、その切り捨てということはぜひないようにお願いをしたいというふうに思います。

高橋委員 ありがとうございます。

 大変申しわけありません、残念ながら時間が参りましたので、もう一問伺いたかったんですけれども、国立病院機構で行われた処遇の非常に極端な低下ですとか、そうしたことが行われないように求めていくと同時に、やはり独法化そのものに対して、我々も反対をしているわけですけれども、その点でさらに議論を深めていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

田村(憲)委員長代理 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、四人の参考人の皆さんに、私はいろいろな思いを抱きながら、お話を聞かせていただきました。

 まず、大村参考人にお伺い申し上げます。

 実は、私は、大村先生が書かれた「医療立国論」という御本を、ちょっと席を外しておられますが、民主党の山田先生からこんな本があるよと紹介を受けまして、よくよく見たら、あっ、私の先輩だったと思いました。私は今、実は小児科医を長くやりまして、国会に来て八年目ですが、国会に来て、日本の政治には医療における国家戦略がないと政治の中に来てしみじみ思うんですが、少子高齢社会を迎えて、これから日本は、逆に医療を武器に、国内経済の立て直しも国際的にも打って出るべきだ、私はそう思って国会にやってきたんですけれども、逆に、毎回の審議は本当につまらなくなることばかり、削減、縮減、この独法化も手順が違っておると私は思うのです。

 まず一点目は、先生に、日本の医療の国家戦略ということをどうお考えか、大変大きな問いでちょっと申しわけないのですけれども、でも、私は、そこが定まらないと、この国はずっと財務省の財政抑制政策のもとに厚生労働省がひれ伏し、私たち政治家はほとんど意味のない改革を改革という名でやるんじゃないかと。

 きょうは思いのたけを言わせてもらいますので、よろしくお願いします。

大村参考人 阿部先生、大変ポイントをついた御質問をありがとうございます。

 大変大きな内容の質問でございますけれども、医療だけではなくて、福祉とか、こういった子供とか女性の社会進出とか、総合的な政策というのが非常に今望まれる時期に来ているだろうと思います。

 この医療の役割という中で、特に日本は少子高齢化で労働力が減ってきているというのは議論が盛んになされますけれども、ヨーロッパなんかでは、高齢者がいかに働くか、それをいかに支援するかということを政治家が腐心しておられるということで、私も既に、あるいはここの垣添参考人も同じ年でございますけれども、六十六で高齢者の部類に入っておりますけれども、まだまだあと十年や十五年は頑張って働けるという自信を、老害にはならないようにしますけれども、持っておりますし、日本では働きたいという高齢者はいっぱいおります。こういう人たちの健康を守って、そして医療がそこで面倒を見て、そして元気になったらまた働くんだ、そうすれば、労働力が足りなくなるという問題はもうすぐに解決してしまう。

 もう一点、医療が支えなきゃいけないのは、やはり女性の問題。これは福祉もそうですが、日本で未就労の看護師が五十五万人おります。それから、私どもの大学にもたくさんの女性の医師がおられますけれども、結婚して子供ができたりすると、本当に働くのは不可能なような社会環境がございます。

 そして、保育園一つをとっても、特に都市部ではなかなか自分の希望のところに入れない。結局、それでもう断念して非常勤になったりする、あるいは、場合によっては一〇〇%家庭に入ってしまう。貴重なお金をかけてこれだけ立派な養成をした医師や看護師たちが社会の役に立っていないという非常に経済的な損失がある。

 これも、医療、福祉を支える形で国が大きな政策をとってくれば、非常に労働生産性も上がりますし、国が豊かになって、高齢者が自分で保険料を払う、あるいは税金を払うということで、自分で自分を支えるような世の中が出てくるではないか。何も、若い人が高齢者を支えなきゃいかぬ、そういう話ではないのではないかと私は思っております。

 現にその例として、ヨーロッパ、EUの国々は非常に社会福祉に力を入れております。昔はこれは、経済学者の間では、市場原理主義で、こういったことをやれば国はだめになるということが当たり前のように語られていた。今はそうではありません。特に北欧の国々は、医療とか福祉に大いにお金を注いで、これを経済成長の原動力にしている。

 先ほど私は、ISOの委員をしていると申し上げましたけれども、ここに、北欧の小さな人口一千万以下、五百万程度の国々が、たくさんの医療関係の大企業を背景にしてやってきている。そこに女性がたくさん来ます。子供がいても堂々とそういうところに出てきて発言をするチャンスがある。そして、そういったことを国が支援している。これが日本のこれからの少子高齢化社会の将来ではないかというふうに思いますので、特に、医療を負債と考えないで、医療とか福祉とか、そして女性の社会進出を支援するということに力を注いでいただきたい。

 ちょっと一言、言い忘れましたのでつけ加えますが、スイスのいわゆる世界経済フォーラムというのがございますけれども、ここはダボス会議の主催者ですが、ここで、いわゆる女性の男女格差、社会進出度を百二十八カ国の中でランキングをつけておりますが、日本は百二十八カ国のうち九十一位である。そして中国は七十位台、そしてベトナムが四十二位と。これもやはり医療、福祉を国の負債とする考え方のツケが回ってきているので、ここにお金を注ぐ、財源を投入すれば、国が豊かになるチャンスは幾らでもあるということをもう一度政治家の先生方にぜひ考えていただきたいというふうに思います。(拍手)

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

阿部(知)委員 質問して拍手すると委員長に注意されそうなので、ちょっとやめました。

 そして、この独法化問題も、私は、先生が救急蘇生をやっておられたので思うのですが、患者さんに輸血が必要なときに、要するに今、医療現場はマンパワーが足りないわけですよ。垣添先生のがんセンターだって麻酔科医がやめちゃう、とんでもない時代ですね。

 そこに独法化という手段は私は手順が違うと。医療は手順を間違えば患者を殺しますよね。独法化する前にやることがあるんじゃないか。私も、国立の病院や文科省のもとの大学に勤めましたから、不自由度はいっぱい経験していますが、それでもなおかつ、今独法化すべきかどうかと聞かれたら、手順が違うと思うんです。

 恐縮ですが、繰り返しになりますが、独法化ということをどういう段階で、何を優先して行うべきか。あるいは、私自身は、国家戦略から見ればもっともっと後でもいいと思いますが、そのあたりは先生はどうお考えでしょうか。

大村参考人 ありがとうございます。臨床の小児科の現場にあった先生の言葉だから、非常に私は重みを持ってお聞きいたしました。

 まさにおっしゃるように、先ほどの意見陳述の中で申し上げましたけれども、今この日本の医療が極めて危機的状況、崩壊している。そこの中をどういう問題点を明確にして、そしてどういう解決をするという目標を決める。それをやるにはどうしたらいいかという議論の手順でやっていただければ、独法化も一〇〇%私は反対いたしませんけれども、今の議論は、そういったところを抜きにして独法化をやる。

 ですから、先生がまさにおっしゃった、救急蘇生をやっているときに、輸血かどうかとやっているときに、周りの体制はどうしようかなんというような話で、私が申し上げましたように、家が火事になって一大事のときにまさにリフォームの相談をしているような印象を受けるわけです。

 ですから、独法化、まずこれが先にあるということではなくて、今の医療をどうしたらいいかということをまずきちんと青写真を出して、そして独法化の議論をしていただきたいというふうに思います。

阿部(知)委員 次に、和地参考人にお伺いいたします。

 私は、和地参考人のテルモという会社の注射針を使って子供に点滴をしておりましたので、ああ、この会社のこの会長がこうした品格ある企業のリーダーであるということをとてもうれしく思いました。

 実は、私が医療は国家戦略だと申しますのは、例えばですが、キューバなどは、非同盟諸国百六十八カ国に医師を派遣して、いわゆる医療外交をしておるわけです。日本もこれから、人間の安全保障とか、やはり国際医療貢献とかいった場合に、テルモを含めたいろいろなところが開発している治療用の医療機器というのは私は大変望まれていると。

 ちなみに、キューバはほとんどの医療機器を日本から輸入しております。私はそのことはとてもうれしいと思いますし、そして、例えばタイに行けば、低開発諸国を支援しておりますが、その支援の中で一番問題になるのは、欧米の高い機器を買うと本当に医療を普及できないんだ、やはり日本に望まれるものが多いという話をアジア諸国からも聞きます。

 先ほど、薬品の開発と医療機器の開発は違うんだとおっしゃいましたが、確かにそのとおりで、しかし、多くの中小企業が支えてくださるこの医療機器の開発分野に国は必ずしもきちんとしたインセンティブを与えていないというか、サポート体制をつくっておられませんし、まして、この独法化の中で、ある程度企業規模の大きいところはよろしゅうございましょうが、そこに自分たちがある程度寄附をして、その見返りで成果をすぐ上げなきゃいけないというのは、これはちょっと厳しいところも正直言ってあると私は思うんです。

 私は、国家戦略とは、まず、そうした開発も含めて、イノベーションも支えることをもっと国が戦略に位置づけた上で、そして、人体を初めとする、医療機器というのはもろ人間にかぶってきますから、そうした分野にもっときちんとしたマンパワーを補充しながら行っていくということが大事ではないかと思うのです。

 だから、和地参考人が独法化に期待してくださる部分も本当にわからないわけではないです、現状不自由がいっぱいですから。でも、恐らく、多くの開発を担う中小企業の皆さんにも十分な国の国家支援がないんじゃないかと私は思いますし、そのままでいけば、非常にドネーションも貧しいものになる。要するに、寄附したらすぐ見返りを求めるような中で、私は人間を対象とする開発をやってほしくない。やはりもっとロングタームで、きちんと腰が据わって、本当にやり抜いていけるようなものをつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

和地参考人 基本的には先生のお考え、全く同感であります。

 正直言いまして、医療機器に光が当たってきているのはこの数年でございまして、それまでは本当に道具扱いですし、舞台裏にいました。でも、やっと、先ほどもお話ししましたように、内視鏡やらカテーテルができて、医療というのはこれだけ患者さんに優しくて、最後は医療経済的にも非常にプラスになるということが認識されたのはごく最近でございます。

 ただ、例えば、医療機器というのは改善、改良なんですけれども、改善、改良を行うのは、いまだにドクターが承認を得てからしか使えないのですね。非常にばかな話でして、開発の途中でドクターの意見やら患者さんの意見やら聞きながらやっていかなきゃいけないのですが、そういう足かせが物すごくあるというのが実態でございます。

 先生がおっしゃるように、私は、日本人の特性を踏まえると、医療機器というのは世界の国家戦略として非常に有効だと思います。これは悪口を言うわけじゃないですけれども、私どもも海外に十五の工場がありますから、アングロサクソンの人たちの特性と我々の特性とはかなり違います。発想はアングロサクソンというのは非常に優秀ですけれども、きちっと物をつくる、品質を確保するというのは、これは悪口を言っているわけじゃなくて、特性として非常に苦手です。それに対して、やはり農耕民族のせいか、我々日本人の品質に対する感度あるいは文化、それは相当に高いものだと思います。この特性を生かしていかないと、これからの日本の国家戦略というのは本当に私はもったいないなというふうに思っておりますので、基本的には先生がおっしゃるとおりだと思います。

 私が今危機感を持っていますのは、国産品のない医療機器というのがあるのですね、さっきのペースメーカーやら弁とかそういうたぐい。この種は、今の時点においてはやはり国家戦略としてオール・ジャパンで開発していかないと、いつか後悔するときがあるのではないかというふうに私は思います。

 ただ、私がいわゆる独法化に賛成の意見を申し上げたのは、やはりもっともっと自由度を増し、もっともっと人的交流があって、もっともっといろいろな異業種との交流の中で発想が出てくるという時代ではないかなと。そういう意味で、独法化先にありきと言っているのじゃなくて、やはりそのくらいに考え方を変えていかないと、この日本の医療あるいは医療機器の将来に対してもったいないな、私はそういう観点で申し上げています。

阿部(知)委員 和地参考人の御趣旨はよくわかったつもりでございます。工学系の知恵もかりなきゃいけないし、この日本のいろいろな人材を活用できないのは本当にもったいないと思います。

 私は医療現場におりましたから、一方では、患者さんに対して、人体を用いたいろいろな機器の開発というものの必要性も十分承知しております。一方で、逆に患者さんにとっては、自分が治るということと、治療を受けている、そのサポートをする人材が非常に重要で、それが、岸田さんを初めとするナースだったり、あるいは垣添先生のような医師たちでもあるわけです。

 しかし、私は、実は二十数年前、岸田さんと一緒に働いていて、きょうは懐かしく思いましたが、よくぞあの重労働の中で続けていただいたなと本当に思いました。母子入院ではないので、子供たちだけを預かって、夜中に泣く子、状態の急変する子、それを抱えながらも、看護婦さんたちは聖母マリアかと思うような働きをしてくださいました。

 でも、きょう見ても、まだこんな体制で夜勤をしておるのかと。この国は一体、本当に医療を支える人材にこれだけ目を配らず、心を配らず、そして、その害は結局患者さんに行く、医療事故等々の多発にもなると思うのです。逆に、看護師さんたちというのは、例えばそれが治療実験的なことであっても、その分、不安が強い患者さんたちに対して、御家族に対して、きちんとその訴えを受けとめてやっていただくためのキーパーソンになると思います。

 私は、もしも今度の独法化を機に看護師さんがもっとふえるのなら、医師がもっと自由に採用できるなら、これは一つの光かと思いますが、そのあたりは岸田さんにも、総人件費の例えば枠がはめられたり、非公務員型といえども、やはり運営費交付金も人件費も厳しく絞り込まれるのではないかという懸念を私も抱いております。現場におられて、再度になりますが、その点をどうお考えか、本当に貴重なお仕事をしてくださっているので、きょうはちょっと最後に伺いたいと思います。

岸田参考人 意見陳述でも少し触れたのですけれども、十八年度と十九年度で約七十名の看護師が退職をしています。平均年齢は二十代後半ということで、今の現状でも、中堅層あるいは指導者的な看護師が去っているところです。全部が全部、厳しい中で退職を決めたわけではないにしても、今後やはり独法化になる中で、こういった熟練看護師の離職というところが本当に起こるのではないかというのが一つ大きな不安としてあります。

 あと、成育医療という国民医療、政策医療としての役割がある反面、独法化になってそれが役割として果たせていけるのか。病院の方針としても、安心して子供を産み育てる医療と、我が国だけでなくて世界的なレベルで医療を目指して実践していくという目標を掲げておりますし、また、どこの地域に住んでいても、小児医療、同じレベルの医療を受けられるようなモデル医療も実施して、リーダーシップをとってこれからやっていく、そういう課題を持っていることを考えますと、非常に不安があります。独法化になったことによって縮小されたり診療科がなくなったり病床が縮小されたりというような、そういう懸念が非常に強くありますので、そういう点では、やはりそこのところを、マンパワーはもちろんですけれども、本当に保障がされているのかというところを十分に審議していただきたいというふうに思います。

 以上です。

阿部(知)委員 よい研究も開発も、しっかりした臨床の上にあるという御指摘だったと思います。

 垣添参考人には、いろいろな胸のうちがおありだと思いまして、あえて質問をちょっと控えさせていただきましたが、これからも貴重な政策提言を、特にがん、国民病ですので、お続けいただきますことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

茂木委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、四人の参考人の皆様方、大変貴重な御意見をありがとうございました。私は最後の質疑者でございます。どうぞ忌憚のない御意見をいただければというふうに思っております。

 まず、垣添参考人に質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案でございますが、各ナショナルセンターはそれぞれ個別の独立行政法人となることとされております。この個別の法人となるメリットの一つとして、各センターの独自性、専門性を生かせる、こういうことがあるというふうに思いますけれども、参考人から見まして、国立がんセンターの独自性、これはどういうものが挙げられるのか、また、その独自性をさらに高めるための、このナショナルセンターが個別の独立法人となることによっての取り組みというものがあるのならば、それはどういうものなのかということをお聞かせいただけますでしょうか。

垣添参考人 今、糸川先生が御質問されたとおり、これまでも何度もお話し申し上げていますが、六つのナショナルセンターそれぞれが帯びている目的と機能といいましょうか、目標が異なるということで、国立がんセンターの場合に、その帯びている独自性といいましょうか、それはやはり、ちょうどがん対策基本法ができ、それに基づいてがん対策推進基本計画がつくられたということで、言ってみれば、今、我が国は、政治に基づいた、あるいは法律に基づいたがん対策が進められるまさに元年に立っているのではないかというふうに考えられます。

 そういう法律に基づいたがん対策を進めていく上で、国立がんセンターは、やはりがんの診療と研究と研修、そして情報提供ということにこれまで一生懸命取り組んでまいりましたけれども、その機能をさらに強化していく上で独法化がどうしても避けられないとしたら、その中で最善の独立行政法人を求めるということを繰り返しお話し申し上げてきたつもりです。

 研究に関しても、診療に関しても、そして情報提供に関しても、そして人材育成に関しても、やはり負うべき独自性というのは明確にある。がん医療が成功すれば、ほかのナショナルセンターがカバーしている、日本国民にとって重要な疾患にそれぞれ大きなモデルになるだろうというふうに私は考えております。

 以上です。

糸川委員 ありがとうございます。

 平成十八年に成立しましたがん対策基本法におきまして、がん対策の総合的な実施というのが国の責務、このように定められておるわけでございます。

 今回の独立行政法人化によって、例えば、厚生労働省の施設等の機関であるときと比べて、自主的かつ弾力的な業務運営それから組織運営が可能になるというふうにも考えられるんですが、今後、国立がんセンターの役割のさらなる充実強化に向けて新たな取り組み、そして、名誉総長が先ほど、独自性を生かすためにいろいろな新たな取り組みをしなきゃいけないと。例えば、研究、研修、そういうものも含めて、日本のリーダーで、がんの最先端であるということを今後行っていく上で、今回、例えば国からの財政支援というのが従来よりも限定的になるわけですね、この独立行政法人化によって。

 そういうことが、例えばその危惧があるのであれば、その危惧をしている点も教えていただきたいというふうに思っております。

垣添参考人 冒頭の意見陳述の中でもお話し申し上げましたけれども、現在、国立がんセンターは、中央と東を合わせての話ですが、年間約四百五十億くらいの予算で、そのうち、九十八億ですから、二二%くらいの国の一般会計からの繰り入れをいただいています。それをいただいた上で初めて、先ほど申し上げたようないろいろな公的な活動を行っているということであります。

 繰り返し私は最善のとかベストの独法ということを申し上げておりますけれども、独法化した際も、国立がんセンターに国民から求められている機能や目標をきちんと達成していく上では、やはり国からの公費の補助というのがどうしても避けて通れない。

 したがって、運営費交付金の削減はあり得ないんじゃないか。できれば、むしろ増額を考えていただきたい。少なくとも前年度同額で、毎年下がっていくということが、国立大学機構あるいは国立病院機構でどんな苦労をしているかというのはよく承知しておりますので、それがあったら、やはり国立がんセンターに求められる機能は果たせないということになりますので。

 そういうことであります。

糸川委員 今参考人がおっしゃられる、特に、がん対策に関しましては、国が責任を持ってどのようにしていくのかということを明確にしなきゃいけないわけでございますから、財政的な話を先にすることよりも、これからの研究そして国民の皆様の命を守るということで、何が必要なのかということを先に考えていきたいというふうに考えております。

 次に、大村参考人と和地参考人にお伺いをしたいと思うんです。

 医療技術立国を目指して、高度な医療技術それから医療機器の開発を進めるに当たっては、また、それと同時に、優秀な医師そして研究者、そして医療機器を扱う技術者、こういう方々を育成する必要があるというふうに考えております。

 ただ、実際には、病院の勤務医の方々は、過酷な労働環境に耐えかねて退職をされたり、そして開業医となられてしまう、こういうような事例が多いわけでございます。最先端の医療を行う病院の勤務医が少なくなってしまえば、高度な医療技術の普及というのが進まない、そして後継者も育たないということでございます。

 この根底には、やはり医療従事者が圧倒的に不足しているのではないかなというふうなことがありますが、大村参考人の「医療立国論」というこの文も読ませていただきました。この中にも書いてございますが、日本の人口千人当たりの医師数、これは二〇〇四年のデータですけれども、OECD加盟国の三十カ国の中で二十七位ということでございます。欧米に比べて極端に少ないということでございます。

 また、医療技術が高度化すればするほど、現場の医師、そして看護師に要求される業務のレベル、これが上がってくるわけです。作業量も増加するということになりますから、今後さらに人員を増加しなければならない。そうしなければ現場はもうもたない。パンクしてしまうということになります。

 医療立国の実現に向けて、高度な医療技術を駆使できる人材の育成と労働環境の改善、これが急務だというふうに考えておりますが、この点についてお二人の参考人の御意見をお伺いしたいというふうに思います。

大村参考人 御質問ありがとうございます。

 医療立国ということで、今、医療従事者の問題、それから技術を開発するその技師たち、研究者たちの問題という話が出ましたけれども、まず、医療従事者が圧倒的に不足しているということは、これはもう間違いのない事実でございまして、厚生労働省は長年日本の医師は足りている、日本医師会もかつてはそう言っていた。実際に今、OECDの平均の医師数に比べますと、三分の二程度であるということがございます。

 アメリカと日本は一対〇・九だという議論を盛んに厚生労働省がやってきたんですが、アメリカは週二十時間以上勤務する医師をOECDに報告しております。日本は、全く研究だけをやったり、家庭に入っている医師も数えておりますし、そういったことで全く現実的でない数字を出しているということがございます。

 それから、看護師も全く足りない。実際に、先ほどから岸田参考人からもお話がございましたように、夜間の医療のニーズというのは、特に小児医療とか救急医療では非常に増しております。しかし、病棟も診なくてはいけない、外から来る救急患者も診なくてはいけないということで、ニーズと、それから供給体制を考えますと、これはこういう言い方をしては大変申しわけないんですが、日本の急性期医療の夜間は無医村に近い状態というふうに言っても過言ではないような状況がございます。

 そして、今度は、そういった医療従事者がもっと余裕を持って診療し、なおかつ技術開発にも力をかせるような状況というのは、こういったところに資源と人を投入しなければ絶対にできない。

 医学部の学生も、これは大幅にふやす。ブレアは、サッチャーが壊した医療制度を改革するために、二〇〇〇年に医学部の学生の枠を五〇%ふやすという大決断をしました。そして、毎年六・何%、全体的には五〇%医療費をふやすということで、八年間やってきてもまだイギリスの医療は満足ではない。でも、イギリスの経済は一つも悪くなっていないという事実がございます。そういったことで、その辺の考え直しが必要だということもございます。

 一方では、先進医療をどんどん開発するという意味では、先ほどから申し上げておりますように、九〇%以上の日本の医療機器の産業、それがもうほとんど中小企業でやっている。こういった人たちが医師と相談しながらいろいろな技術開発や改良をやっているんですが、これを商品に乗せるには莫大な費用がかかる。それは、改正薬事法の中で非常にブレーキがかかっているということがございます。

 例えば、アメリカ、ヨーロッパの例を挙げますと、こういった制度が非常に簡単に通るようになっている。そのかわり、先ほど言いましたように、医療機器は安全でなければいけないけれども、医療機器による事故というのはほとんどヒューマンエラーで、これは教育体制とかむしろ現場の疲弊した医療体制の問題であって、機器に責任があるわけではないわけですね。

 こういったものを例えばもっと簡単に通すというようなシステムがあって、しかも、なおかつそのフォローアップを、何かあったときにすぐそれに対応する。これは、薬害肝炎にしてもそうですけれども、薬も同じです。そういった体制をつくる方がもっと重要であって、入り口で締めてしまってということは非常によくないというふうに思いまして、こういったところにも大きな改善の余地があるのではないかというふうに考えております。

和地参考人 やや個人的な意見でございますけれども、私は、教育と医療というのは国家の品格にかかわる問題だというふうに思いますし、この二つがだめになると何十年単位で回復するのに時間がかかる、大変な問題だというふうに思っております。にもかかわらず、今やはり、かなりの限界に来ているという危機感を私は個人的には持っております。

 日本の場合、医療の向上に対しての志を持っている人は結構おります。これは当社の社員ばかりではなくて、やはり何とか医療をよくしようという志がたくさんいるというのが事実でありますし、また、医療というのは、御承知のように先端医療も大事なんですが、医療機器の場合は、改善、改良というのが非常に大事なんですね。最初から一〇〇%パーフェクトな商品というのはなかなか出てこない。それを改善、改良して、患者さんに優しい、あるいは使いやすいというようなことをやっていくのは、日本人の特性としては非常にいいと私は思います。

 やっと国家戦略として医療機器というのが認められてきたわけですけれども、ちょっと具体的なお話をさせていただきますと、やはり教育のシステムができていない。例えば米国は、医療機器に精通したサポートスタッフを充実するために、バイオメディカルエンジニアリング、ここのところを非常につくっております。教育のシステムの中に入れております。ところが日本は、先ほどお話ししましたように、医療機器学部さえない、こういう状況でございます。

 そういう意味では、これからのナショナルセンターのスタッフの充実というのは必要最低限の条件でございますし、また、私どもは実はやっておりますが、医師のトレーニングのシステムというのがほとんどないんですね。ところが、医療機器がどんどん進化すればするほど、トレーニングをしていかないと医療事故につながる、ここの危機感を私は非常に持っております。余りにも進まないので、テルモ自体でもうつくってしまったわけです。先生方が土日を中心として大入り満員ということですが、こういうやはりプラクティスをするような仕組みを含めて、志のある人材を育てていくというのが、国家戦略あるいは日本が生きるためにも不可欠なことだ、私はこのように思っております。

糸川委員 ありがとうございます。

 時間も少なくなってまいりましたが、和地参考人にもう一問お聞きしたいんです。

 これは薬も同じなんですけれども、せっかく先端医療の機器をつくったとしても、なかなか、日本というのは医療機器の承認というのが遅いというんでしょうか、大村先生のこの論文にも出ておりますけれども、非常にその承認が遅いということでございますが、この審査制度等について、これは日本医療機器産業連合会の会長としての立場というのも含めて、どういう要望があるのかということをお聞かせいただけますでしょうか。

和地参考人 事実、日本の審査、承認までは非常に時間がかかります。内外との時間差というのは非常に大きいものがあるわけですが、だんだんそれが認識されまして、今は改善されつつあるということが実態でございます。審査段階では十四カ月ぐらいの差がありますが、全体をとりますと二年から数年の格差があるというのが実態でございます。

 だんだん医療機器の審査の体制も整いつつあるんですが、私の個人的意見として一つこれは解決しなきゃいけないと思うのは、すべての責任が国になるというのは、先進国の中では日本だけだと思います。そうすると、幾らシステムをつくっても、責任はすべて国だということになると、どうしてもブレーキを踏みながらやるということになってしまうので、今から、ある企業の責任、それからドクターの責任、そして国の責任、これをきちっと分けることによって普通の先進国並みのシステムにしませんと、この問題は単純なるシステムの問題ではなかろう、あるいは審査の人数の問題ではなかろうというふうに思っております。

 若干、個人的発言でございますが、以上でございます。

糸川委員 ありがとうございます。しっかりまた勉強させていただきたいというふうに思います。

 最後に、岸田参考人に質問させていただきたいと思います。

 先ほどずっとこの委員会を聞いておりましたら、職員の待遇、そして、これからまた独法化されることによって人が削減されてしまうんじゃないのか、そのしわ寄せがさらに来るのではないかという御心配、御懸念をされていたと思いますが、実際問題、現場に今立っていらっしゃって、そういう不安の声というのが多く岸田参考人のもとに届いているのかどうか、そして、職員の待遇が独立行政法人に移行することによって実際どのように変わるというふうに認識をされていらっしゃるのか、そして、今回の非公務員化について御意見をいただくのと同時に、労働組合として今後どのような対応というのを考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいというふうに思います。

岸田参考人 高度先駆医療をやる国立センターになって七年目なわけですね。だから、これからという時期、国立病院として高度医療を発展させていくという目標を掲げて七年前に開院したわけで、毎年内容を充実していくという病院の方針に基づいて現場の職員はやってきているわけですね。そこに突然独法化ということが、現場の受けとめ方としては、なぜ突然独法化なのかというのがやはり正直なところです。

 今の医療現場の職員、特に、新人というよりは中高年、指導者的な立場の看護師にとっては、先に独法化にいった国立病院機構の状況というのはやはり深刻なところがありますし、独立法人化の目的が、効率化と採算というところでうちの病院が本当に独法化になって持ちこたえられるんだろうかというのが、正直な職員の声です。

 ですから、そこのところがどういうふうになっていくのかというところの保障がはっきりされていないということと、もともとが、病院の採算というところでは、私たちが担っている成育医療というのが不採算医療であることから考えても、本当に未来があるのか、保障がない中でどうなのかというところは、本当にはっきり正直言って、現場の抱えている不安です。

 そういう点からいいますと、確かに今も厳しいんですけれども、現場の体制が、ふたをあけてみたら病床数が減ってしまったとか診療科がなくなってしまった、今の成育医療センターの特殊医療とか、診療部あるいは二十三の診療科を抱えて全国的に成育医療のリーダーシップをとってやっていこう、そういう目標が独法化になってどうなっていくのかというところと、あと、それに伴って、離職、退職、看護師が少ない中で病院経営が本当にどうなっていくのかというところの不安がはっきり言ってあります。

 あとは、古い話になりますけれども、小児病院時代、私が就職したのが一九七五年ですので、その八年後、一九八三年ごろには最低三人夜勤を実現できました。しかし、今は、どんなに頑張っても、七年かけても二人夜勤を解消できないわけですね。これは病院長とか総長の責任ではないわけです。

 その当時と比較しますと、その当時は院長が採用権を持っていました。労使交渉で、必要だということで三人夜勤を実現したわけですけれども、現在は全く採用権を持っていない。人をふやしてほしいと言っても、本省と交渉せざるを得ない。本省で、この実態、きょう訴えた内容を交渉で訴えます。厚労省も認めるわけです、二人夜勤を三人夜勤にしたいと。しかし、予算要求をしても削られるんですと。僕たちも同じ立場で、実態を踏まえて要求を財務省で訴えても、切り捨てられるんだということなんですね。ですから、一九八三年当時と現在とでは、医療に対する国の考え方が本当に後退しているんだなというのが私の実感です。

 しかし、国民医療というか政策医療を充実していくためには、やはり国として考え方をはっきりしていく必要がありますし、そこは、今の現場を厳しくしてきているのは行政改革なんだなというのが、はっきり言って私の実感です。

 以上です。

糸川委員 時間が参りました。本日は、参考人の皆様方、大変貴重な意見を本当にありがとうございました。終わります。

茂木委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官岩橋理彦君、文部科学省大臣官房審議官藤木完治君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官上田博三君、医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部俊子さん。

阿部(俊)委員 自由民主党の阿部俊子でございます。

 本日は、このような質問の時間をいただきましたことにまずお礼を申し上げまして、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案について、三十分間質問させていただきたいと思います。

 初めに、ナショナルセンターの独法化後の医療提供についてお伺いをしたいというふうに思います。

 本法律案には、新法人の業務として、医療の提供は、調査、研究及び技術の開発に密接に関連する医療の提供と規定されており、新法人の役割として、研究重視のあり方が規定されているところであります。

 ナショナルセンターの業務運営は、その収入の約六割が病院の診療収入などによって賄われていますが、不採算な医療分野や教育や研修などの業務については診療収入を得られないことから、これまで一般会計から繰り入れが行われてまいりました。独法化後は、原則として一般会計からの繰り入れを行わず、業務上運営に必要な財源については、運営費交付金による財政支援を受けることとされています。

 ナショナルセンターは、日本の医療の最後のとりでとも言われておりまして、がんや脳卒中、心臓病など医療費の多くを占める国民的課題に対する医療の提供や、救急患者の受け入れ、民間での対応が難しい疾病分野や困難事例の受け入れなどの役割を担ってまいりました。今後は、独法化により独立採算となることで、個々の病院が経営の黒字化を急ぐ余りに、例えば不採算部門の縮小や不採算診療科の閉鎖、あるいは医療従事者の人件費の抑制などが起こることが懸念されているところであります。

 そこで、独法化後の医療提供がどのように担保されるのか、独法化後の医療従事者の処遇がどのように担保されるのかということについてお伺いしたいというふうに思います。

外口政府参考人 現在、各国立高度専門医療センターについては、難病等に対する診断、治療、研究、研修等の不採算な業務の実施に必要な経費の財源として、一般会計から所要額の繰り入れを受けております。平成二十年度予算で申し上げれば、繰入額は約四百三十八億円、収入のうちの約三割となっております。

 独立行政法人に移行した後の国立高度専門医療センターがなすべき医療については、厚生労働大臣が指示する中期目標や、法人みずから作成する中期計画において定めることとしております。独立行政法人移行後においても、各国立高度専門医療センターでこれらの不採算な業務を引き続き実施されるためには、中期目標において必要な配慮をするとともに、運営費交付金を初め、必要な財源を確保していくことが重要であります。

 なお、人件費については、中期目標の達成や必要となる診療機能の低下の防止などに配慮しながら、基本的には、組織のあり方や給与制度、外部委託の検討により、効率的な業務運営への取り組みを進める中で考えていくべきものと認識しております。

 必要な運営費交付金の確保については、安定的な運営の観点からも、関係省庁とよく協議を進めていきたいと考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 独法化後も、業務効率化だけに走ることなく、ナショナルセンターがこれまで担ってきた医療の提供、その担うべき役割を果たしている場合においては、そこで働く医療従事者の処遇についてしっかりと守っていただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 次に、専門性の高い医療従事者の養成についてお伺いをいたします。

 先に独立行政法人化をされました、国立高度専門医療センター及び国立ハンセン病療養所を除く全国百五十四カ所の国立病院、国立療養所につきましては、独立行政法人国立病院機構が、医師の負担の軽減や医療従事者の役割分担を目的として、高度な臨床実践能力を有する専門性の高い看護師の雇用などが検討されており、そのための養成課程を創設することについても検討が進められているというふうに伺っています。

 ナショナルセンターが担う役割のうち、すべてのナショナルセンターに共通する役割の一つに人材養成というものがございます。それぞれの専門分野におきまして高度専門医療を担う、専門性の高い医療従事者や臨床家や研究者といった高度専門家の養成はナショナルセンターの大きな責務でもありまして、それは、独法化後も変わることがないものと考えます。

 そこで、今後、独法化しましたナショナルセンターに関しまして、専門性の高い医療従事者の養成がどのように検討されるのか、国全体の取り組みとナショナルセンターの取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

外口政府参考人 独立行政法人化後の国立高度専門医療センターでは、我が国の医療政策の牽引車としての役割を継続的に担えるように医療、研究の専門家を育成するとともに、医療の均てん化を推進する人材の育成を担う必要があります。このため、いわゆる指導者に対する指導者の育成や、地域の医療機関で指導的役割を担う人材の育成も行うこととしております。

 具体的には、各研究領域においてトップレベルの指導者を輩出できるキャリアパスの構築、大学や都道府県との連携を図ることによる必要な指導的人材の明確化、モデルとなる研修や講習の開発及び普及などに取り組むことを想定しております。

 なお、人材育成について必要な事項につきましては、医療政策の牽引車としての役割を果たせるよう、独法化後の国立高度専門医療センターの中期目標に定めることも考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 専門性の高いすぐれた医療従事者の養成については、それぞれの基礎教育を充実させることもさることながら、卒業後、免許取得後に、働きながら臨床現場で研修を受けることができる体制の整備が不可欠だと思っています。

 医師に関しましては、平成十六年に、二年間の卒後臨床研修が制度化され、医学教育六年と合わせて八年間の教育が行われているところでありますし、歯科医師に関しましても平成十八年から、一年間の臨床研修が制度化されました。

 医師や歯科医師以外の専門性の高い医療従事者の養成に関しまして、独法化後もナショナルセンターが率先して担っていくべきであると考えますが、医師、歯科医師以外の医療従事者の卒後臨床研修制度については現在どのような検討がされているのか、国全体の取り組みとナショナルセンターの検討状況をお聞かせいただきたいと思います。

外口政府参考人 新人看護師への卒後臨床研修につきましては、平成十五年度に開催した新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会の報告におきまして研修の指導指針及び到達目標が示され、これを普及するため、平成十六年度から教育担当者等への研修を実施してきているところでございます。

 今年度の事業では、新人看護師、新人助産師及びその教育担当者を対象とした実務研修をモデル研修事業として、新人看護師については延べ六十一施設で、新人助産師については延べ三十二施設で実施することとしております。

 看護の質を確保、向上させ、目覚ましい医療技術の進歩への対応や医療安全の確保等を図るため、新人看護職員に対して卒後臨床研修を実施することは重要であると考えており、こうした事業を通じて、新人看護職員研修のあり方についての検討をさらに進めてまいりたいと考えております。

 また、ナショナルセンターにおきましても、その中で果たすべき役割についてよく検討し、看護の質の確保、向上のためにも努めたいと考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございます。

 医療の質というのは人の質でもございまして、やはりチームがどのように全体の質の向上を図っていくかが大切でありますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、国立精神・神経センターに関連いたしまして、現在七万二千人の精神障害者の社会復帰、医療観察法に関して二点お伺いをしたいというふうに思います。

 平成十一年の患者調査では、精神病棟の入院患者約三十三万人のうち、入院の必要性が薄く、条件が整えば退院可能な者が七万二千人いるという推計が出されたところであります。その後、平成十五年度に策定されました新障害者基本計画及び重点施策実施五カ年計画、新障害者プランにおきまして、今後十年間で七万二千人の退院、社会復帰を進めていくという方針が出されたところであります。

 七万二千人の社会復帰に関しましては、これまでも、国立精神・神経センターが中核となって取り組むべき政策医療として重要な課題とされていたところでありますが、この七万二千人の精神障害者の社会復帰という点について、まず現在の進捗状況がどのようになっているか、また、その後もこの数値は変化していないのかということなどについてお聞かせいただきたいというふうに思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の数につきましては、患者調査によりますと、平成十七年時点で一年未満の入院患者さんも含めまして約七万六千人となっております。このうち、一年以上の入院患者さんの数は約五万人となっております。

 受け入れ条件が整えば退院可能な方を含めました精神障害者の地域生活への移行、定着につきましては、厚生労働省が平成十六年九月に策定をいたしました精神保健医療福祉の改革ビジョンに基づきまして、入院医療中心から地域生活中心へとの基本的な考え方のもとで、障害者自立支援法によります福祉サービスの整備でありますとか、診療報酬改定によります地域移行や在宅医療の評価の充実など、総合的な取り組みを行ってきたところでございます。

 その一環といたしまして、精神障害者に対しまして、入院中から退院に向けた支援を行う事業を実施してきておりますけれども、平成二十年度予算におきまして見直しを行い、精神障害者地域移行支援特別対策事業といたしまして、退院に向けた個別の方の支援に加えまして、受け皿の確保を含め、地域において実効ある体制づくりができるよう事業内容の充実を図るとともに、全国のすべての地域において本事業が展開されるよう、必要な十七億円の予算を確保しております。好事例の収集でありますとかマニュアルの策定、研修を通じまして、地域におけるこうした事業の活性化を促しておるところでございます。

 こうした取り組みに加えまして、今般、四月の十一日から、地域移行の一層の推進など、今後の精神保健医療福祉のあり方についての検討の場を設けたところでございまして、精神障害者の方々に地域において安心して自立した生活を送っていただけるよう、今後、地域生活支援体制の確保を初めとする具体的な方策の検討をさらに積極的に進めてまいりたいと考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 精神障害のある方々、既に数十年間病院に入院生活をされている方もいらっしゃいますし、地域の方々も、その方々を受け入れるということに非常に不安を感じていらっしゃるところも、偏見もございますので、ぜひとも着実な目標達成に向けて、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 また、続きまして、国立精神・神経センターと関連いたしまして、医療観察法の指定入院医療機関についてお尋ねをしたいわけであります。

 平成十七年七月に心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、いわゆる医療観察法が施行されまして、重大な他害行為を行った者の治療と社会復帰を担う指定入院機関に関しては、都道府県もしくは都道府県以外の地方公共団体が設立した特定地方独立行政法人と規定されています。

 現在、国立精神・神経センター病院を初め、国立病院等国関係では十二カ所、都道府県関係では二カ所が整備されているところでありますが、全国で必要とされている病床数七百二十床に対して、現在整備されている病床数は三百五十四床と半分以下にとどまっています。こうした中で、現場では、必要な病床の確保は厳しく、遠隔地の入院を余儀なくされている例もあると聞いています。

 国立精神・神経センターについては、独法化後、非公務員型となりますが、政令等で手当てが行われ、引き続きこの役割を担っていくとお伺いをいたしましたが、今後、医療観察法の指定入院医療機関の医療のあり方について、設置主体の問題とあわせてどのようにお考えであるか、お聞かせをいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 指定入院医療機関の整備につきましては、平成二十年四月現在で申し上げますと、国関係で十二病院三百三十二床、都道府県関係で三病院五十五床、合計三百八十七床が整備されておるところでございますけれども、都道府県関係の病床の整備がおくれているなど、病床確保は依然厳しい状況にございます。

 厚生労働省といたしましては、まず、国立病院機構に対しましてさらなる増床の要請を行い、国関係の病床整備を進めていくこととしております。特に、国立精神・神経センター武蔵病院につきましては、平成十七年七月に三十三床の病棟を整備したところでございますけれども、さらに、主として合併症を有する対象者を受け入れる三十三床の病棟の建設準備を進めておるところでございます。

 また、整備のおくれております都道府県関係につきましては、先月二十三日に大臣から知事会に整備の要請を行いましたが、専門病棟の整備のほか、都道府県立精神科病院の病棟の一部を活用した小規格の病棟の整備について緊急の要請などを行っており、これらにより都道府県関係の病床の整備を進めていくこととしております。

 設置主体についての御質問がございましたけれども、現在、医療観察法による指定入院医療機関の設置主体は、国、都道府県、特定独立行政法人、特定地方独立行政法人に限定されておるところでございます。

 国立精神・神経センターにつきましては、非公務員型の独立行政法人に移行するわけでございますが、引き続き医療観察法の指定入院医療機関として役割を担っていただく必要があると考えておるため、国立大学法人について政令で国とみなしておるように、同じような所要の措置を講ずる予定にしております。

 なお、民間医療機関への設置主体の拡大につきましては、今後十分な検討が必要かというふうに考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 医療観察法の対象となる患者さんの治療や社会復帰については、引き続き国の責任において手厚い専門的な医療が提供できるよう、よろしくお願いいたします。

 次に、新型インフルエンザなど感染症対策についてお伺いいたします。

 ナショナルセンターには対応すべき重要な課題として、感染症対策があります。特に国立国際医療センターにおいては、ほかのナショナルセンターが網羅できない感染症の対応を行うという使命を有しています。

 先日、秋田県の十和田湖畔で発見された白鳥の死骸から毒性の強いH5N1型鳥インフルエンザウイルスが検出され、我が国でも新型インフルエンザを初めとする感染症対策が喫緊の課題となっています。先般、新型インフルエンザの発生時に強制入院などの措置を可能にする感染症法と検疫法の一部改正案が参議院本会議で可決、成立したところでありますが、このような非常事態におきましては、危機管理に対応する医療従事者の確保のため、国立や自治体立の医療機関が公務員の立場で医療従事者を確保しておくことが重要だというふうに考えます。

 産業医科大学などが、六都府県の七つの大学病院などで働く一万人を対象に実施した調査では、新型インフルエンザが大流行した場合、医療従事者の二六%が転職を考えているという結果が発表されました。また、医療従事者の七五%が、仕事で感染するリスクがあるのは仕方がないと考えている一方で、二六%が、感染リスクがあるなら転職も考えたいと考えていることがわかっています。特に、転職を考える人は、患者と最も身近に接する看護師が三一%と最も多く、次いで技師、事務職員が二三%、医師が一七%で、患者に接する機会が多く、インフルエンザの予防知識が十分でない人ほど不安を強く感じる傾向が見られました。

 このような結果から、現状では医療従事者の予防に関する知識が必ずしも十分ではなく、不安が先行している感があり、新型インフルエンザに対する教育研修などの取り組み、不安を取り除くような対策とともに、国や自治体の責任において、人材の養成確保についても有事の対応を考えていかなければならないと考えます。

 ナショナルセンターの独法化において、非公務員型となることで、感染症対策としてパンデミックに対する備えは十分なのか、今後の感染症対策についてお考えをお聞かせください。

外口政府参考人 国立国際医療センターにおきましては、高病原性鳥インフルエンザのヒト感染例の迅速検査法の開発などの、新型インフルエンザ対策を初めとした感染症対策に取り組んできたところであります。独法化した後におきましても、感染症等に係る医療技術の開発等を推進していく予定でございます。

 また、実際に新型インフルエンザの患者さんが発生した場合には、特定感染症の指定を受けている病床に入院させるほか、パンデミック、いわゆる大規模流行となった場合に、患者さんの発生状況に応じまして他の病棟を専用病棟として設定するなどの対策を講じることとしており、現在、マニュアルの改定等を重ねているところでございます。

 さらに、本法案におきましては、厚生労働大臣は、災害の発生や公衆衛生上の重大な危害の発生などの緊急の事態に対処するため、独法化後の国立国際医療センターに対し、必要な業務の実施を求めることができることとしており、新型インフルエンザの発生のような緊急事態にも確実な対応がとれるようにしているところであります。

 なお、新型インフルエンザ等の感染症対策に対して確実な対応が図れるよう、これは中期目標にも必要な事項を示すことを考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 感染症対策につきましては、引き続き国の責任のもと、しっかりとした対策をよろしくお願いしたいと思います。

 最後になりますが、ナショナルセンターにつきましては、本法案が成立後、厚生労働大臣が示す中期目標に沿った形で、本センターの新理事長のもとでそれぞれの政策目標が立てられることとなります。この際、目標達成状況に関する評価項目をぜひ明確にしていただきたいと思うわけであります。

 例えば、新法人の最も重要な業務である研究分野について、論文数、その内容、ほかの大学附属病院と比較して遜色がないものでなければいけないと思っています。現在ナショナルセンターが発表している論文数、インパクトファクター、さらにはファーストオーサーの部分を今データとしていただいているところでありますが、ファーストオーサー、すなわち第一執筆者としての、研究の責任者でもある方が非常に少ないナショナルセンターもあります。そうしたときに、ナショナルセンターがナショナルセンターであるべくこの評価項目を明確にするということが、税を入れた形での研究機関として研究分野にしっかりと力を注ぐことになりますので、ここはぜひともお願いしたいと思います。

 また、ナショナルセンターが独法化したときに、診療部門に関しましては、ほかの病院で診ることができない患者さんたちを診ていくということを本当にやっているのであれば、これに関しましても、どういう患者さんたちを扱っているかという評価項目が重要であると思いますが、そのことに関しては、不採算になってもしっかりと国がナショナルセンターとして守っていくということも、独立行政法人化した後も重要だと思っています。ぜひともこのことをお願いして、きょうの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 まず、今まで私自身が力を入れて取り組んでまいりました女性の健康という角度で質問をさせていただきたいと思います。

 少子高齢化の進展に伴いまして、女性のライフスタイルは大きく変わってきております。今後、女性の社会進出がさらに進み、女性の活躍を求める声が強くなる一方で、日本の現状を見ますと、女性が健康で、また子育て、仕事など生きがいを持って生きていくことができる、そのためにはさらに多くのサポートが欠かせない、まだ足りないのが実情でございます。

 そこで、公明党女性委員会では、このたび、すべての女性が安心と希望を持って暮らせる社会づくりを推進するために、政策提言、女性サポート・プランを取りまとめました。そして、一昨日、浜四津代行また松委員長とともに、福田総理に、その実現を求めて要望書を提出いたしました。

 そこに、五項目挙げさせていただきました。女性の健康パスポートの発行、女性総合カウンセリング窓口の設置、女性健康研究ナショナルセンターの設立、仕事と生活の調和推進基本法の制定、これはすべて仮称でございますけれども、そして、幼児教育の将来の無償化に向けて、まず就学前一年間の無償化を実現することなどでございます。

 本日は、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に係る医療に関して、調査、研究及び技術の開発、そして関連する医療の提供や技術者の研修等を行う独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的といたしました高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案の審議でございます。今回の審議におきまして、私たちの女性プランの中で提案をしております女性健康研究ナショナルセンターというものの設置について、ぜひ実現をしてもらいたいという気持ちで質問してまいります。

 女性の医療につきまして、公明党はこれまでも、性差に基づく女性の医療の実現に向けまして、女性専門外来の設置ですとか乳がん検診の推進、また不妊治療の推進など、さまざまな施策を推進してまいりました。

 女性の健康につきましては、一九九四年のカイロにおける国際会議でリプロダクティブライツ・ヘルスが取り上げられて以来、国際的な関心を呼び、欧米では官民を挙げて女性医療の充実に乗り出しております。

 日本でも女性の健康に関する関心が高まりまして、厚労省におきましても、厚生労働科学研究や、また昨年十二月に立ち上げた女性の健康づくり推進懇談会、私も聞かせていただきましたけれども、このような女性の健康づくりを国民運動として展開し、さらに有識者会議において性差医療の本格的な検討が始まることとなったと聞いております。まさに、男性と女性の違いによる性差医療はこれからであると思います。

 女性は、思春期、妊娠、出産、また更年期と、生涯にわたってホルモンバランスが大きく変わるわけでして、画一的に医療を行うには難しさがあると思います。性差に基づく医学という視点を持ち込むことで、女性のためではなく、ひいては男性の体質や特質も明らかになって、医学全体の質の向上につながると思います。

 大臣、日本における男性と女性の違いによる性差医療についての御見解をお伺いいたします。

舛添国務大臣 性差医療の問題に入る前に、最初の方で委員がおっしゃいましたように、日本の社会において女性が生き生きと仕事をし、そして社会に参画していく、そういう体制が十分ではないんではないかという思いがありまして、先般、私のもとにあります人生八十五年ビジョンの検討会で、ビジョンをまとめたところであります。

 その中で、とりわけ女性の社会参画、そして女性をめぐる環境を改善するということを一つ大きな柱としてうたっております。そして、これは、ただビジョンに終わるのではなくて、これからの厚生労働行政の中に生かしていく、そういう思いであります。

 そのような中で、性差を考慮した女性の健康支援ということは、今御指摘ありましたように、女性の健康づくり推進懇談会も設置をしておりますし、とにかく研究を支援したいということで、この体制も整えつつあります。さまざまな支援策をつくりました。

 先般、総理に公明党の皆さん方が、女性サポート・プランの実現を求めるという要望書をお出しになりましたけれども、そこに盛られているようなさまざまな御提案がこれからの厚生労働行政に生かせるように取り組んでまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 大臣から人生八十五年というお話がございましたけれども、既に日本の女性は八十六歳近い平均寿命がございまして、やはり女性が健康である、それも健康で長寿を生きるということが非常に大事になっている、男性以上に大事だというふうに感じます。

 そこで、女性の健康や医療について調査研究をする、先ほど申し上げた女性健康研究ナショナルセンターについてでございます。

 私たち公明党は、性差を考慮した医療、医学の推進を目指しまして、例えば性差医療の第一人者である千葉県衛生研究所の天野先生、また千葉大学医学部の龍野先生などから、日本における性差医療のあり方について学んでまいりました。

 その中で、米国における性差に基づく女性医療は、既に一九八五年、すべての年齢の女性において、女性特有な病態について医学、生物学的研究の必要性が報告されまして以来、さまざまな取り組みが行われております。

 一九九〇年には、女性の疾病予防、また診断、治療及び関連する基礎研究を支援する目的でオフィス・オブ・リサーチ・オン・ウイミンズ・ヘルスが開設をいたしました。また、一九九六年には全米六カ所に、女性医療の女性の健康にかかわる研究、教育、医療を先駆けるための学術的な健康センターを、センター・オブ・エクセレンス・イン・ウイミンズ・ヘルスとして整備され、二〇〇六年までに全米で既に二十カ所設立をされています。

 アメリカでは国土が広いこともありますし、人種ですとかライフスタイル、生活習慣、食生活などにより、女性の疾病、健康といっても地域によってさまざまな特徴があるそうで、そのために州につくっているということでございました。

 日本でも米国に十年おくれて一九九九年に、天野先生が、性差を考慮した医療の概念を日本に紹介して始まったわけでございます。

 平成十七年度子ども家庭総合研究事業報告書における女性外来実態調査では、平成十八年一月現在の全国における女性専用外来の設立数は三百五十六施設となっております。平成十三年五月に、鹿児島大学に初めて性差医療に基づきます女性外来が設置をされてから五年間で、全国に次々と誕生したことがわかります。

 しかし、女性専用外来の現場で提供されている医療を見たときに、積極的に性差の視点を取り込んで新しい医療を展開しようとしている医療機関等においては、担当医師、スタッフの性差医療に取り組む理解も進んでいる一方で、一部の県立、市町村立病院の中には、相談業務の振り分け外来としての機能しか持たない中途半端な実態もございます。こうした問題を解決するためにも、ひいては日本における性差医療を推進するために、担当医師に性差に基づく女性医療の重要性の自覚を促す教育が必要であると考えます。

 そこで、日本でも、女性医療の中心となる女性健康研究ナショナルセンターを設置して、深くこの研究を推進する必要があるのではないかと思っております。昨年四月の新健康フロンティア戦略にも、女性のニーズに合った医療の推進として、国立成育医療センターを中核とした情報提供という項目も盛り込まれております。

 そこで、今回の法案では、独立行政法人国立成育医療研究センターは、国の政策医療として、成育に係る疾患に関する高度かつ専門的な医療の向上を図ることが目的の一つとされております。この成育という観点に着目をいたしまして、女性の生涯にわたる医療の中心として、私たちが主張しております女性健康研究ナショナルセンターの機能を成育医療センターに設置してはどうかということを提案しております。

 性差を考慮した医療、医学の推進のためにもぜひこれを実現させたいのですが、この点に関しましてはいかがでございましょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣が申されたとおり、女性の健康づくり推進懇談会ということで幅広く現在検討していまして、その中核的な議論は、性差の医療を中心にして検討しております。

 今先生お尋ねの、女性の健康づくりを支援する研究を推進し情報提供していくこと、これは非常に重要だと考えておりまして、現在でも、例えば国立成育医療センターでは、妊娠中の胎児発育と母体との関係の研究など、女性の健康に関する課題にも取り組んでおります。

 今後とも、その充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、私たちの主張しております女性健康研究ナショナルセンターを成育医療センターに設置していただきたい。再度要望をしておきたいと思います。

 今回の法案で重要なことは、こうしたナショナルセンターでは、医療の最後のとりでとも言える重要な機能を担っています。その医療の質の確保、また効率化をどう両立させていくかという問題ではないかと思っております。

 例えば成育医療研究センターでは、もともと不採算な医療分野を担うことに加えまして、ほかでは行っておりません時間をかけた診療やコメディカルの関与などの試行的な医療を提供していることを、診療報酬の観点だけでなくてどう評価できるのか。こうした良質で試行的な医療をすればするほど赤字になってしまう。小児医療の発展に寄与する取り組みは、逆に、今後萎縮をしてしまうのではないかとの懸念がございます。

 さらに、ナショナルセンターには、臨床研究を基盤に医療の進歩に貢献するエビデンスの構築、発信という役割がございます。しかし、現状を見ますと、臨床研究を担うべき医師は、診療に追われ、臨床研修の時間が確保できないのが実態でございます。十分な臨床研究を行うことができる体制がなければ、ナショナルセンターである意義もなくなってしまうのではないかと思います。

 現在の小児科医不足、また専門医の育成等、人材の確保、養成は最重要課題でございます。そのためには、良質な医師を育成する研修体制の充実、また計画的な研修医の増員、国内外からの指導医の招聘、交流を充実する必要があると思います。

 この医師の研修は、できれば独法会計とは別建てにしまして国の予算を確保するといった思い切った取り組みが必要かと思いますが、この点はいかがでございましょうか。

外口政府参考人 医療に対する安心と信頼を確保し、質の高い医療サービスを提供していくためには、医療を取り巻く状況の変化に応じて、医師の資質を確保し向上させていくことが重要であると考えております。その点、医師に対する研修というものは大変重要でございます。

 このため、診療に従事しようとする医師に義務化されている臨床研修におきまして、医師に必要な基本的な診療能力を身につけることができるよう、国としても、指導医の確保等指導体制の充実や、医師不足地域や産科や小児科における研修等に対する補助を行い、研修の充実を支援しているところであります。

 また、臨床研修修了後の研修は、各医師の専門性向上等の観点から、各病院において積極的に取り組まれていると承知しておりますが、国としても、このような研修を通じて資質の向上を図ることが重要と考えており、二十年度予算では、地域の拠点となる病院を活用した研修への助成も行うこととしており、大学病院における専門研修の取り組みなども通じて、今後とも医師の研修のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 ぜひとも、今後ともこうした医師の研修のさらなる拡充を、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、女性の生涯にわたる健康を守るという観点から、女性の健康パスポートについて質問してまいります。

 私は、平成十六年十月の本委員会におきまして、女性の健康づくりという観点から質問いたしました。その中で、健康診査制度についても、年齢、職業によってばらばらに実施をされている健康診査では、せっかくの健診データが生涯にわたる健康づくりに役立っていないのではないかと指摘をさせていただきました。

 そして、健康増進事業実施者に対する健康診査に関する指針に、「将来的には統一された生涯にわたる健康手帳の交付等により、健診結果等情報を継続することが望まれる」とありますように、生涯にわたる健康手帳等による健診体制の構築について質問いたしました。現在では母子手帳というのがありますが、母親が持っていて大きくなったとしても、小学校ぐらいになりますと、そこら辺で大体、さまざまな病歴や健診の記録がとまってしまうのではないかという気がいたします。

 そのとき、副大臣からは、お一人お一人の生涯にわたる健診体制の履歴をきちっと把握した上で健康の増進に努めていくという観点は、非常に大事だという御答弁をいただいたわけでございます。

 本年二月でございますけれども、小児科医会副会長の松平先生より、東京都医師会でつくっている生涯健康手帳というものをいただきました。これは、生まれてからそして晩年に至るまで、それぞれに疾病ですとか、またそういった健診などをすべて記録できるような、そして、いつ、何をすべきかというようなことも盛り込まれておりまして、非常によくできているものでございますけれども、ここには、自身の家族歴、手術、渡航歴、アレルギーの記録、予防接種、感染症等の記録、また病気や薬の記録などができるようになっております。

 平成十六年に質問いたしましてから三年半もたっております。国としても、まずは妊娠、出産などを経験する女性を対象に、生涯にわたる健康手帳、健康パスポートとして発行して、予防接種、病歴、治療歴、出産、健康診断などの記録を記載して、あわせて女性特有の病気の予防なども情報提供するよう、具体的な検討を急いでいただきたいと思っております。

 こうした健康パスポートの発行について、厚労省のお考えをお伺いいたします。

西山政府参考人 先ほど来申し上げています女性の健康づくり推進懇談会は六月にまた開催いたしますけれども、その際に、今先生が言われた健康パスポートについても審議したいというふうに思っています。

 女性の健康上の特性に配慮して、また健康診断の記録や病歴の記載というような手帳は、非常に重要だと思っています。一方で、日本産科婦人科学会あるいは日本産婦人科医会もそういった手帳を発行しておりまして、そういう方々の御意見を聞きながら、次回の懇談会で検討したい、こんな予定でございます。

古屋(範)委員 ぜひ前向きな検討を、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、政策医療として取り組んでいただきたいアレルギー疾患に関する問題について質問をいたします。

 このたび、文部科学省が監修をいたしまして、財団法人日本学校保健会が発行した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」について厚労省に要望がございます。それはこのようなものでございます。

 これは、文科省の調査検討委員会が全国の公立小中高校で行った調査をもとにいたしまして、昨年四月、学校におけるアレルギー疾患への取り組み推進に向けた方策を提言したことを受けまして、具体的な取り組みを示した指針でございます。

 文科省の報告によりますと、食物アレルギーの児童生徒は全国で約三十三万人おりまして、重いアナフィラキシー症状を起こす子供は一万八千三百人と報告をされております。命を脅かす可能性があるアナフィラキシーショックに備えまして、私たちは、その治療薬でありますエピペンというアドレナリンの自己注射でありますけれども、本人にかわって、身近にいる担任や養護教諭などに打ってほしいという要望をこれまで再三してまいりました。

 それが、このたび、このガイドラインにおきまして「医師法違反にならないと考えられます。」と明記をされまして、「人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定によりその責任が問われないものと考えられます。」と明確に示されました。こうした画期的な取り組みは、教職員の不安を取り除きまして、子供、保護者も安心できるということで大変に喜ばれております。厚労省の皆様の後押しが実現に結びついたと、御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 そこで、このガイドラインとともに作成をされました学校生活管理指導表も大変に重要でございます。これは、家庭や医師の情報共有が進みますように、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー・アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎、この五疾患を対象にして、給食、運動、宿泊を伴う校外活動など学校生活の各場面で特別な対応が必要かどうか、留意点を記入するようになっております。

 このガイドラインと管理表は、国公立の幼稚園、小中高校、教育委員会などに配付をされることになっております。アレルギー疾患は特に乳幼児期に多いことを考えますと、ぜひ、幼稚園だけでなく保育所にもこれは配付すべきではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

大谷政府参考人 保育所におきましても、入所をされておられるお子さん方、その生活時間の大半を過ごす場所でありまして、アレルギー疾患を有するお子さんに対して適切に対応するということは、非常に重要なことだと考えております。

 今御指摘がありましたように、本年四月に文部科学省において、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインというものが取りまとめられて、指導表もまとめられた、また、各学校や幼稚園に送付されているということも承知しているわけであります。

 あと、保育所でどう考えるかということでありますけれども、学校における児童の活動と保育所における保育内容というのは若干相違があるということには留意する必要があると思いますが、この内容、参考にすべき点が多々含まれておるわけでありまして、保育所においてこのガイドラインをどういう形で生かしていくか、これについては検討してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 幼稚園、保育園にいらっしゃるお子さんのアレルギーへの対応は、それほど違いはないのではないかというふうに私は思っております。

 ここの中にも具体的な説明がございまして、例えば牛乳パックリサイクルで、教室で洗いましょうというようなことになりますと、牛乳のアレルギーのあるお子さんは非常に大変なわけでございますし、また、そばアレルギーのあるお子さんにとっては、そば打ち体験学習などというものは致命的なものでございます。そういうことも具体的に載っているものでございますので、ぜひ、省庁の壁を越えて御活用いただきたいというふうに考えております。

 次に、アレルギー物質を含む食品に関する表示についてお伺いをしてまいります。

 近年、国内で初のBSE感染牛が確認をされまして以来、牛肉の偽装、また賞味期限、消費期限の改ざんなど、食品の表示偽装の事件が相次いでおります。こうした問題も非常に重要なわけでございます。しかし、これによる具体的な健康被害の報告というものは聞いていないわけでございます。

 この一方で、加工食品に含まれるアレルギー食品表示の義務違反は、重大な健康被害を招くことが報告されております。食物アレルギーには、アナフィラキシーショックという命を脅かす非常に重大な被害がありまして、食物アレルギー患者にとっては、アレルギー食品の表示は命にかかわる重大な問題でございます。

 アレルギーを引き起こした食品の特定原材料の判断、その残品の有無、行政処分の検討、情報の提供等を各都道府県に対して通知する対応をされておりますが、私が聞いた中では、こうした表示がないためにアナフィラキシー症状を起こしてしまったという事例を聞いております。そこの保健所は、こうしたアレルギーまたアナフィラキシー症状への認識というものが浅かったのではないかということが懸念をされるわけでございます。

 また一方で、本年一月、仙台市で起きました、いちごミルク大福に牛乳の表示をしなかった和菓子店に対しまして、営業の一部停止処分を下した、そういう保健所もあるわけでございます。各地域、保健所によって、こうした健康被害が出た場合でも対応がまちまちである、表示義務違反などへの対応でも、保健所の対応に地域差が生じていると思います。

 アレルギー食品表示制度がスタートをいたしまして六年になりますけれども、厚生労働省は、こうした表示義務の運用、具体的な対応につきまして、自治事務として都道府県、政令市、中核市に任せず、運用の実態について早急に全国の実情を調査すべきと考えますけれども、いかがでございましょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、食品に起因いたしますアレルギー症状の発生を防止していくというのは、大変に重要であるというふうに考えております。そういう中で、食品のアレルギー表示の制度につきましても、この間、かなり広がりを見せて、消費者の皆さん方の御認識というのも高まっているというふうに理解をいたしております。

 そういう中で、行政として、特に食品安全衛生行政の第一線であります保健所、自治体においてどのようにこの問題に取り組んでいるのかという御質問だろうというふうに理解いたしておりますが、これにつきましては、制度発足時点で、私どもから地方自治体に通知を出してございます。その通知に従ってさまざまな対応がとられているということになろうかと思います。

 アレルギー物質を含む食品表示に関する有症苦情者あるいはその家族からの申し出に対する対応でございますが、まず、具体的な内容といたしましては、医師によって食品衛生法に基づく義務表示のあるアレルギー物質が原因でこのような症状が起きているということの診断が行われた場合でございますが、そこからスタートいたしまして、当該患者さんの摂取した食品に特定原材料が含まれていたものと判断をして特定していく、こういう作業になってまいるわけでございます。

 その具体的な方法としては、アレルギーの症状及び摂取から発症するまでの時間、さらには当該患者のアレルギー症状の既往、アレルギーを引き起こしたと考えられる特定原材料、あるいはアレルギー症状発症前の行動及び喫食した食品、食品・容器包装等の残品の有無等の情報を収集しまして、それらをもとに総合的に判断していくということになります。

 このようなことで原因がはっきりして、本来表示されるべきこれらのものが表示されていなかったということになりますと、これは表示義務違反になってまいりますので、当然にまた指導が必要になってくるということになってまいります。

 私どもとしては、その措置に行かないで済むように、通常の監視指導において、今申し上げたような、表示すべきものがされていないということのないような監視指導を行っております。これは、食品衛生法第二十二条に基づいて定めた食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針というのがございまして、これに基づいて、アレルギー物質を含む食品表示を重点監視指導項目と位置づけておりまして、特に夏期及び年末におきます全国的な一斉取り締まりなどを中心に点検していただいているということでございます。

 それで、先生の方から、どのような処分といいましょうか措置をとっていくのかということ、あるいは実態をどう把握していくのかということでございますけれども、まず、実態の把握に関しましては、今申し上げましたようなプロセスを経て表示違反というような問題が確認されれば、これは私どもの方に情報をいただくようにしております。

 また、当該自治体における対応といたしましては、まずは、今申し上げたような特定原材料が含まれるという表示がされていないという、表示が訂正されるまでの間は当該食品等の販売を行わないように指導するということになっております。

 もう少し申し上げてよろしいですか。

茂木委員長 時間です。

藤崎政府参考人 済みません。

 また、必要に応じて、食品衛生法第五十五条に基づきます営業の禁停止等の厳しい措置も、対応によっては検討してまいることになります。そして、当該違反食品の出荷または販売先が不特定または多数である場合には、食品等事業者に対しまして、社告……

茂木委員長 答弁は簡潔にお願いします。

藤崎政府参考人 申しわけございません。

 というようなことをいろいろやりまして、監視指導の徹底に努めてまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 最後、要望だけにとどめますけれども、こうした健康被害を招いた事例における原因特定のための検査の実施、違反事例の公表、被害を受けた当事者への情報提供、また、保健所職員や食品関連企業のリスクマネジャーに対する研修の義務化、こういったことをしっかりと徹底していただきまして、こうした健康被害、またアレルギーの発症の再発防止に努力をしていただきたい。

 ぜひ、再発防止に向け、改善措置を徹底させる行政処分なども積極的に行うべき、このことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 一昨日に引き続き、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案についての質疑をさせていただきます。

 まず、一昨日も指摘をさせていただいたとおりでありますけれども、そのときに十分指摘し切れなかった部分として残っておりましたのが、ナショナルセンターにおける医療の必要な方に対する集中、また、センターで得られた知見の均てん化、こういったことがどのようになされているか。もっとわかりやすく言えば、一般の市民病院とナショナルセンターの病院との違いは一体何なのかということを問わせていただいたわけであります。

 そのときには、きょうはおつけしておりませんが、配らせていただいた資料の中で、長寿医療センターにおける外来受診の患者さんの割合が、他府県からの外来患者さんがみえないこと、この特殊性を指摘しました。アルツハイマーの研究をしている、であればこそ、全国からアルツハイマーを患う皆さんが来られてもよかりしに、そういう状況になっていない現状、また、他府県からの入院も極めて少ないお話をさせていただきました。また、その一方で、国際医療センターにおいては、災害医療の観点での取り組み、また、今後はウイルス性肝炎の治療の拠点となるんだ、こういう話があるにもかかわらず、実際の国府台病院には精神疾患の患者さんが現在そのおよそ三分の二を占めている実態をお示しさせていただいたわけであります。

 きょうお配りをさせていただいたのは、さらに成育医療センターや循環器病センター、長寿医療センターにおいて、特定日でありますけれども、どのような患者さんが夜間救急に実際受診をされ、その転帰がどうなったかであります。

 特に注目していただきたいのは、成育医療センターであります。患者さんが来られているのは市内がかなり多い状況でありまして、その病名も必ずしも高度の専門性を有するかどうかが疑わしい、そういう症例も多うございます。中耳炎だとかじんま疹だとか、さらにいえば湿疹だとか、その多くも転帰として帰宅になっています。

 つまりは、市内もしくは区内でありますけれども、入院する必要のない患者さんが来られて、お断りできない中、実際には市民病院の夜間救急外来と変わらない、単なる時間外診療になっているのではないかと指摘せざるを得ない、こういった状況、結論として、この日は一晩に九十七名来られておりますけれども、そのほとんどが帰宅をされているわけであります。

 こういった現状で、本当に高度専門医療を行う状況にあるのかという指摘をさせていただきたいわけでありますが、これについて、大臣、どのようにお考えになられますか。

舛添国務大臣 今、成育医療センターの例が出ました。私も利用者でありまして、近くに、世田谷に住んでおりまして、それで、これはナショナルセンターだけの問題ではありません。ですから、緊急医療体制をどうやるかということで、成育医療センターは、まずトリアージということをやって患者さんをそこで分けます。しかし、まさに委員がおっしゃったように、緊急医療体制の中の第三次医療というところで、そこに組み込まれています。そして、現実に子供を持ったその地域の親の立場に立ってみますと、とにかく、ではどこに連れていくかというときに、緊急医療体制が不足しております。だから、むしろ、こちら側の整備をしないといけない。

 私も何度かここに行って、まさに一日に九十何件というのはよくわかります。ほとんどが帰宅ですというのもよくわかる。看護師さんが全部トリアージをやるんです。だけれども、親御さんの立場に立ってみれば、例えば、結果的に中耳炎であっても、とにかく引きつけを起こして大変な状況になって高熱が出る。では、どうしたらいいのか。それでまず救急車を呼びます。そして、私もこの地域に住んでいますけれども、救急車が搬送するところがここになるということで、見ていて、現場のお医者さんもやはり大変な過重労働だと思います。

 理想を言えば、委員がおっしゃったように、私は、例えば産科とか小児科とかでは、本当に世界的水準にある、ナショナルなレベルにある研究というのはやはりそれに伴った臨床があってしかるべきだと思いますが、残念ながら、今言ったような現状は、委員が御指摘するとおりでありまして、これはナショナルセンター自身のあり方というよりも、日本全体の緊急医療体制のあり方だというふうに思っています。

 そして、トリアージも、中に入ってトリアージをやるんですけれども、その前の段階でトリアージができるような、先般、県立の柏原病院のお母さんたちがつくっているパンフレットを見せていただくと、その段階で非常に上手なトリアージをやって、お子さんの状況を、こうだったらまず救急車を呼んでください、そうじゃない場合はこうしてくださいと。だから、そういうことから始まって、やはり地域医療、一次、二次、三次、この医療体制を早急に構築して、そして、私も、理想は委員がおっしゃったとおりだと思いますので、なるべくこういうナショナルセンターでは高度の研究と臨床ができるように、今言った大きな医療体制の改革という中で取り組んでまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 つけ加えて言わせていただきますと、来られている方は、四名の方が産科であって、残りは全部小児科なんですね。それで、場所がここで果たしていいのかということもあるわけなんです。これが、この場所でこういう名称で病院があれば、やはり行きたくなるという気持ちはわからなくもない。

 しかし、高度に専門化した医療をやって、それを全国に均てんする、こういう高い理想のもとで展開をされている、これはほかの医療センターでも同じでありますが、それに比べて、確かにがんセンターなどは、立地条件等もあって、こういう夜間外来にはなっていないと私も承知をしております。

 そういう意味で、今回の法案の中での現在地の場所の問題、どうしてここを選んだか、また、それが本当に高度専門医療をするのに適切な場所なのかどうか。たまたまそこに今病院があるから、このままやりましょうみたいな話ではなくて、本当に大臣がこういう専門性が必要であると考えられる、政策医療の中でも重点化を置く六分野だとするならば、もう一度そこも考え直していただく必要もあるんじゃないですかということを私は問いかけているわけです。

 ちなみに、今私がざっと数えさせていただいたら、九十七例中、八例が入院をし、一例は残念ながら亡くなられたようでありますけれども、基本的に九割以上の方がきょうは大丈夫だからお帰りくださいという状況になっているという実態です。

 大臣、最後にもう一つだけこの問題については指摘をしておきます。

 ですから、これは現場の医師が感じていることなんです。現場の医師が、これは厚生労働省の方で何らか対策をとってほしい、我々はそういう高度専門医療をやりたいと思っていながら、本当に一般の市民病院とどこが違うのか。大臣は県立柏原病院の話を例に出されましたけれども、県立柏原病院とはその役割も意義も違うわけです。であるからこそ、国立であったし、これからも独法でやっていこうと思っているわけですから、このあり方を考えていただかないと、政策医療とは何なのかということになると思いますよ。

 したがって、ぜひこの実態の改善を目指すべく、取り組んでいただきたいと思います。

舛添国務大臣 近隣の住民、私にとってもそうですが、あるいは、昔は御承知のように国立小児病院というので、皆さん非常に使っておられました。そういうことの連続性もあると思います。

 もちろん、委員のおっしゃるように、トップレベルの研究をするところは例えば非常に人里離れたところでやるというのも一つの手なんですが、ただ、そうしますと、先ほどのアルツハイマーなんかの研究の場合もそうですけれども、知見というか、お医者さんに向かって釈迦に説法ですけれども、やはり患者さんがいて、その体を診ながら、治しながら研究ということがあるんだと思います。

 そのときに、では、全国で難病度が非常に高いお子様だけをそこに集めるのかということになると、これはまたその方々をどういうふうにしてそこに連れてくるかというような話もあると思いますので、どういう形でそれが理想を掲げてやれるのか。

 委員が御指摘になった問題は、普通の一般救急と変わらないじゃないかというのは、これは、非常に重要な御指摘でございまして、どういう形で解決できるか、現場の医師の皆さん方とも相談をし、また住民の皆さんの希望も聞きながら、検討させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 続いて、一昨日やはり質問をさせていただきました国立高度専門医療センターにおける連携大学院生等の受け入れ状況を含む新しい研究者の育成とか、確かに教育機関ではありませんけれども、新しい研究者をどのように確保するかという観点での質問の続きをさせていただきたいと思います。

 一昨日、外口医政局長からは一部分を紹介していただきましたが、その詳細を後刻持ってきてくださいということで、持ってきていただきました。

 国立がんセンター中央病院、国立がんセンター東病院、国立循環器病センター、国立精神・神経センター、国立国際医療センター戸山病院、こういったところは、それぞれ国立のまたは私立の大学の客員教授を併任していたりする例もあるようですが、受け入れ学生は極めて少ない実情であります。また、国府台病院や国立成育医療センターではこういった併任事例もないし、国立長寿医療センターに至っては、平成十九年度はわずか一名の学生の受け入れ状況であります。これでは、次の研究者が育ってくるとは言えないし、一部分紹介はしていただいたようでありますが、極めて不十分ではないかという指摘を受けると私は思います。

 そういう意味で、新しい研究者、そういった皆さん方がここで研究をしようという意欲を持っていただくためにも、もっとこれを促進していくべきではないかと考えるわけでありますが、局長のお考えをお聞きしたいと思います。

外口政府参考人 新しい独法になって、そのメリットを生かしつつ、さらに研究を進めていくためには、共同研究や人材の交流、また、先生御指摘のような、新しい若い未来のある研究者を育てていくことが大変重要だと思います。

 確かに、御指摘のように、循環器病センターはそれなりに努力していると思いますけれども、それと比べて、ほかのところではまだまだこういった努力は足りないと思いますので、循環器病センターとかの先進事例も踏まえながら、各センターにおいてやはり同じように若い研究者が育てられるように、連携大学院生もそうですし、それからリサーチレジデント制度もそうであります、そういった制度を活用しながら研究の推進に努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 これは独立行政法人になるかならないかはこの法案の成否によるわけでありますけれども、少なくとも、政府提出法案でもまだ時間はかなりあるわけであります。今年度がどうなるのか、来年度がどうなるのか、そういったところでぜひ実績を上げていただきたいと思います。

 続いて、めくっていただきまして、また前回と同じ話でありますけれども、贈与等報告調査一覧表というのを出させていただきました。今回、改めて私は問わせていただきたいんですが、大臣、きょうはじっくりと見ていただきたいんです。

 これは、平成十八年の十月から十二月、三カ月間のお一人の講演料と、そして座長等ですか、その他、討論とか書いていますけれども、こういった何らかの報酬を受け取った一覧表であります。

 これを見させていただくに、この方はかなりの収入も得てみえるようでありますし、相手先も、そのほとんどが製薬企業であります。そういう意味でいいますと、まさに全国への高度医療の均てん化という観点でいえば、必ずしも均てん化とは言いがたい、一部に偏っているのではないかと思われる、そういう講演先でもあります。こういった実態を見るに、本当にこの人はどういう勤務状況をしているのかと問いたくなるわけであります。

 例えば、一例を挙げさせていただきますと、十一月十日、これは札幌支店で四時間、そして十八枚の原稿を使ったということで十五万円の報酬を受け取っております。これは金曜日であります。金曜日に普通に勤務して、札幌で四時間講演をするのは、どう考えても私は無理だと思います。きのう通告しました。どういうふうにしたら行けるのか、これは実態はどうなっているんですか。

 例えば、十一月三十日、これも同様に、三共株式会社北関東支店で三時間の講演を行っています。そして、翌日は、十二月一日金曜日でありますが、また出勤をされたのでしょう、出勤をされた後に福岡の第一製薬株式会社の福岡営業所で三時間講演をされ、また十五万円もらわれています。これは、実態は、どうやればこういうことができるのか。

 十二月十五日も同じです。道央第二営業所というのは恐らく北海道ではないかと私は推察するわけでありますが、この方は、やはり金曜日に、勤務を終えてからか勤務の前に話をされたのかは知りませんけれども、三時間講演をする。これは、北海道に着くだけでも夜になります。そこから真夜中に講演を三時間、四時間やったら、聞いている人も夜帰れなくなっちゃいます。

 これは本当に実態を反映しているのか、どういう確認をしたのか、まずその事実関係を御説明いただきたいと思います。

外口政府参考人 御指摘のように、この講演の日程を見ると、普通に考えると、これはどういうふうにしたのかという疑問を持つわけでございます。

 それで、まだ全部調べているわけではございませんけれども、一例を申し上げますと、十月十九日に一日四回講演しているわけですね。これをちょっと聞いてみますと、例えば、ちなみにこの日は国際高血圧学会があって、その日に、朝の七時に講演をして、あと夕方から夜遅くまで講演を三つ立て続けにやって回っている、そういう状況なわけでございます。

 それから、そのほかのところも、例えば午後三時間年休をとったりとか午前一時間年休をとったりとか、それから早朝とか夜遅くとか、何かそういう形で聞いているんですけれども、申しわけありませんが、まだ断片的な情報しか私どもは把握しておりませんので、ここはもう少しよく調べさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 少なくとも、私が内々に聞いた話では、ほとんど年休をとられていないと聞いています。そういう意味では、私の指摘をした札幌までの行き方、この日もほぼ正規の時間の勤務を終えて札幌まで行って、その日のうちに四時間講演をして、どうやったらこれができるのか。

 それから、先ほどの話、ほぼ正規の勤務を終えて、北関東支店と言われるから、東京を通り過ぎて多分もう少し、循環器病センターは大阪ですから、大阪から東京を通り過ぎて北関東まで行って、次の日、またほぼ普通に出勤して、そして福岡でしゃべっている。これはやはり出勤簿を確認する必要があるし、もっと言えば、どうしてこういうことができたのか。

 例えば、原稿だってそうですよ。普通では考えられない原稿も出ています。例えば、実はこの方だけではありませんで、そのほかにも、ちょっとおめくりをいただきますと、その二枚ほど先に、平成十八年十月から十二月、一件二万円を超える贈与等報告を十回以上出された方がここに載っていますけれども、この方々も、一時間のうちに原稿を八十枚読んだ、こういうような報告を出してみえる方もみえるわけですね。一時間に八十枚、四百字詰め原稿用紙を読もうと思ったら、どういう読み方をするか。これは想像を絶するスピードですよ。その原稿を使って講演しているんですよね。だから、そういう意味では、これはちょっと想像を絶する。

 こういうことを許していてはいけないんじゃないかといって、実は、平成十九年十二月二十一日に、厚生労働省職員の職務に係る倫理の保持のための体制整備ということで、事務次官から各内部部局長に対して通知が出ていまして、「職員が行う講演、討論、講習、研修における指導又は知識の教授及び放送番組への出演に対する報酬の上限額は、一時間当たり二万円程度とすること。また、職員が行う著述に対する報酬の上限額は、四百字当たり四千円とすること。」これが出た。

 ただし、これまでは要するにダブルで受け取っていたわけですね。原稿料、例えば八十枚書けば、これだけで三十万円の報酬を得ることができ、それに一時間しゃべったということでプラス二万円というような報酬の計算になるものですから、先ほどお配りをした紙の中にありますように、例えば一回の講演で三十万円を超えるような講演料を得ることができる。

 私が調べた範囲では、この十月から十二月だけでも一日で八十万円得ている職員がいるわけです。これは、もしかしたら大臣の一日当たりの日給よりも高いかもしれません。大臣が幾ら収入を得てみえるか、私はにわかには知りませんけれども、これは大臣よりも多いかもしれない。そういう意味でいうと、これはやはり少し過度ではないか。

 したがって、十二月二十一日の、体制整備等についてという通知では、この後に、「講演等の打合せ時間」や「講演等のための準備資料や配付資料等」、また「講演等の関係者との懇親等を目的とする意見交換会への参加」、「講演等の関係者のみによる会議で、その内容が発表されていないものへの参加」、こういうものについては報酬を受け取ってはならないものとするという通知が出ています。

 逆に言えば、私が推察するに、それまでは、懇親会等を目的として札幌まで行って、懇親会と称して飲食して、それで金をもらって帰ってくるということは、これはあり得たということになるわけですね。だから、こういう通知、こういう報告書が出てくるということになるわけです。

 これは、やはりちょっと行き過ぎていますし、返還をさせるなり何らかの対応を考えないといけないのではないかと思うわけでありますが、大臣の見解を求めたいと思います。

舛添国務大臣 今私も資料を見させていただきましたし、昨年の十二月には、きちんと襟を正せということで次官名でこういう通達を出させました。

 私も研究者であったので、研究者の仕事というのは、その本来求められている研究に資することがあれば、それは例えば学会に出て同じ研究者と意見を交わすとか、そういうことは十分あり得るし、そういうことは本来の目的に資すればいいわけですけれども、国民の疑惑を招いたり、今委員がおっしゃったように、どういうふうにしてこれは移動できたんだろうかというようなことを含めて、私もかなりのスピードで原稿を書きますけれども、一時間で四百字で二十枚書くのが限度ぐらいですかね、それでも多い方だと思いますが、そういうことはさておき、やはりきちんと襟を正さないといけないのは、依頼元との利害関係にかかわって、したがって、そこと、利益相反の問題なんかがそうですけれども、そういうことであっちゃいけないし、本来求められている職務に支障があるようなことであってはいけないと思います。

 もちろん、それは今のところ、ちゃんとルールに基づいて年休もとって、しかるべき出張届も出してやっているという報告は受けておりますが、少し細かく精査した上で、国家公務員としての職務の使命にもとるようなことがあれば、それは厳しく対処をしたいと思っております。

茂木委員長 見ている限り松本清張の「点と線」みたいですから、しっかり調べてください。

岡本(充)委員 委員長からお口添えいただきましたけれども、これだけじゃないはずですよ。この方を含めて、これは平成十八年の十月から十二月の第三・四半期分だけです。これは、平成十八年度分、十九年度分、この贈与等報告書の一覧を同じようにつくって、私はいただきたいと思うんですけれども、その資料はいただけますでしょうか。いつまでにいただけるか、もらえるなら。

外口政府参考人 すぐ作業に取りかかって、でき次第報告したいと思います。

岡本(充)委員 いつまでにいただけるかをはっきりしていただきたいと思います。

舛添国務大臣 これはもう、作業の時間がどれだけかかるか、いろいろなことがありますけれども、私は指示を出して、できるだけ早くお答えするようにいたします。

岡本(充)委員 この状況では、本当にこの人はどういう働きをしているのかなと思うわけですね。

 実は、前回もお出しをしましたけれども、ほかの部署でも同じようなことがあります。二枚めくっていただきますと、先ほどの成育医療センターの部長も医長も三カ月で十回以上、講演やら何やらほとんど製薬メーカーを相手にやってみえるという状況です。

 この人たち、実際、外来はどうなっているんですか。診察は、待ち時間というか、要するに、この人に診てもらいたいけれども、診察が例えば一週間待ち、二週間待ち、一カ月待ちとかいう状況になっていないんですか。これだけ外に出てみえたら、外来で例えば週一回診察といっても、かなりの方をお待たせしているんじゃないかと思うんですが、本来業務に支障を来していないのかどうか。来してはいけないと大臣は言われましたけれども、今、どのような外来での予約状況か。例えば私が受診をしたい、もしくは子供さんが受診をしたいといった場合に、受診ができるような状況なんですか、お待ちをいただいているんじゃないですか。

外口政府参考人 ちなみに、一番最初に問題になった循環器病センターの先生でございますけれども、この方は週に二回、外来患者の診療日がございまして、この外来診療を制限して出張や講演会出席に出向くことはないということは、その周辺の方から聞いておりますけれども、これも含めて、疑念を持たれないように、改めてよく調べたいと思います。

岡本(充)委員 成育医療センターなどは、小さなお子さんを持つお母さんが、その受診を一カ月待ってくださいと言われる実態があると私は聞いています。そういう意味では、患者さんを待たせて、診察を制限して、それで製薬メーカーへの講演をし多額のお金をもらっているとすれば、まさにそれこそ本来業務に影響を来しているということになります。それはきちっと調べてもらわなければいけないです。さらに、その精査も求めたいと思います。

 こういった実態、実はほかにも公務員は贈与等報告を出しながら、いろいろと報酬を得ているようです。きょうは保険局長にもお越しをいただいています。実際、ここでも同じでありますけれども、保険局、医政局などで何人かの職員が原稿料をもらって、そして著述をしていたり出版物を出しています。その出版物をそれぞれ厚生労働省でどのくらいの金額、購入をされているのか、明らかにしていただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年度の第三・四半期の贈与等報告によりますと、社会保険実務研究所というところから著述、原稿料を得ている者が保険局におりましたけれども、平成十八年度及び平成十九年度について調べたところ、保険局におきましては当該書籍は購入してございません。

岡本(充)委員 医政局はどうですか。

外口政府参考人 平成十八年度第三・四半期の贈与等報告で上がっている職員について、厚生統計協会及び社会保険実務研究所からそれぞれ著述、原稿料を得ている者がおりますけれども、この十八年度第三・四半期で一対一対応というのは難しいので、とりあえず十九年度の厚生労働本省及び社会保険庁において、どのぐらい厚生統計協会と社会保険実務研究所から書籍を直接購入しているかを調べましたところ、厚生統計協会からは六十万四千二百六十円分の書籍を、社会保険実務研究所から一千五百三万五千四百円分の書籍を、それぞれ直接購入しております。

 それで、医政局では、このうち厚生統計協会の「国民衛生の動向」を市中の書店から二冊購入しております。

 以上であります。

岡本(充)委員 大臣、ぜひこの実態も調べていただきたいんですね。厚生労働省の職員が原稿料をもらって本を書いて、書いた本を厚生労働省が買っている。よもや、その本がほとんど厚生労働省に納入をされているということがないかどうか。ないとは信じたいですけれども、そういう実態がないかどうかもあわせて調べていただかないと、これはいけないと思うわけです。

 大臣、調べていただけますね。

舛添国務大臣 国民の疑惑を招くようなことがあってはならないと思いますので、きちんと調査をしたいと思います。

茂木委員長 それから、先ほどの医政局長の答弁は、かかわった本とその購入した本が一対一対応しているわけじゃないんでしょう。

外口政府参考人 医政局の職員が書いた本と、それから財団法人厚生統計協会や社会保険実務研究所から買った書籍というのは、一対一対応ではございません。

岡本(充)委員 一対一対応でないとしても、その中に含まれている可能性もあるわけです。だから調べてくださいということですので、調べていただけるということで、お待ちをしております。

 続いて、研究費の実態についても少しお話をしたいと思います。

 おめくりいただきますと、「国立高度専門医療センターにおける研究実績等」です。

 この中でも、研究をされていた方は御存じかもしれませんが、研究費は、いわゆる競争的な研究資金、そういうものの名称でさまざまあるわけですけれども、こういった研究費をそれぞれの部局で得て研究をしております。上に書いてありますのが研究費の合計、公的な研究費。これは後ほどお話をしたいと思っていますが、厚生労働、文部科学両省それぞれ、またそのほかにもありますけれども、科学研究費補助金と言われるものであります。

 また、その結果として、いろいろな切り口はありますけれども、これだけで切るのは忍びないところはありますが、ある程度数値化ができるものということで、論文についているインパクトファクター、それは論文の価値ではありませんけれども、世界でどのくらい引用をされる論文なのかというものを点数化したものでありますが、その足し算、そしてその部にいる定員、年間発表論文。これを、ファーストオーサーということですから、主として執筆をした者がこの部局にどのくらいみえるかということを調べました。

 調べてみると、研究資金を一定集めておいても、年間発表論文数がゼロであったり、インパクトファクターがゼロである、こういう研究部署が幾つも認められます。そういう意味では、たまたまこの年度にそういう出版物が出なかったという説もあるかもしれませんが、逆に言えば、何人も在籍をしていて一つも出ていないということであっては、やはりその業績評価は問われることになります。

 こういった中で、その一方、多額の研究資金を得てみえる方ももちろんみえます。億単位の公的な研究資金を受け取られていて、その使い道は一体どうなっているのかということ。私は、きょうはこのインパクトファクターの部分については余り言うつもりはないですけれども、それぞれの部局にこれは頑張っていただかなければいけない部分です。いい結果が出るようにぜひ政府としても応援をしていただきたいと思いますが、このお金の使い道が一体どうなっているのかということです。

 しばらくおめくりいただきますと、「競争的資金の間接経費の執行に係る共通指針」というのがあります。

 実は、厚生労働そして文部科学、それぞれ競争的資金というのを持っています。それぞれ幾らずつ総額はあるのか、お答えいただけますか。

茂木委員長 岡本君、次からは、膨大な資料の場合はページ数を入れていただけると皆さんが見やすいと思います。(岡本(充)委員「はい。ページですね」と呼ぶ)

上田政府参考人 厚生労働省では、厚生労働科学研究費補助金というのを持っておりますけれども、その総額は四百二十八億円ございまして、その大部分が競争的資金というふうに考えております。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の科学研究費補助金、平成十九年度は総額で約千九百億円ございます。そのうち、間接費は二百九十五億円ということでございます。

岡本(充)委員 図らずも間接経費が二百九十五億円ということを言っていただきましたが、例えば、文部科学省は二百九十五億円と言ってみえますが、厚生労働省の科学研究費補助金もそうでありますけれども、この指針に従うと、五番ですが、「直接経費の三〇%に当たる額とすること。」というふうになっています。

 きょうは内閣府にもお越しいただいておりますが、これはなぜ三〇%というふうになっているのか。もっと言えば、弾力的運用。つまり、一つの研究所で要するに多額の間接経費を集めているところもあるわけですね。なぜこれがそもそも三割にほぼ固定をされているのか。これをもう少し弾力的に運用する必要があるのではないかと思っています。その問題点は後ほど指摘をしますが、その理由をお答えいただきたいと思います。

岩橋政府参考人 お答え申し上げます。

 間接経費でございますが、この間接経費というものは、競争的資金による研究の実施に伴って研究機関の管理等に必要な経費が発生いたします、この必要な経費を手当てすることによりまして、競争的資金をより効率的、効果的に活用するとともに、競争的資金を獲得した研究者の研究開発環境の改善や研究機関全体の機能の向上に活用することにより、研究機関間の競争を促し、研究の質を高めるために計上され、また交付されているものでございます。

 米国の研究大学におきます間接経費比率を調べてみますと、四四%から六四%になってございます。こういった数値を参考といたしまして、平成十三年度から始まりました第二期科学技術基本計画において、三〇%程度を当面の目安といたしているところでございます。さらに、平成十七年度から始まりました第三期科学技術基本計画におきましては、すべての競争的資金制度において三〇%の措置をできるだけ早期に実現することといたしているところでございます。

茂木委員長 岩橋さん、なぜ三〇%ということに対する答えになっていないですけれども。

岩橋政府参考人 先ほど御説明させていただきましたけれども、この間接経費の比率につきましては、先行して研究開発の実績を上げております米国の例を調べてみました。その結果、米国におきましては、米国は大学がほとんど私立大学でございまして、政府等のグラントによって研究開発を実施しているわけでございますが、こういった研究開発のグラントにおいて、間接経費として、先ほど申し上げましたように、グラントを受託いたしますと、それに係る事務等で大学の本部機構等にいろいろな経費が発生いたします。そういったことを踏まえまして、アメリカでは四四から六四%程度が措置されているということを参考として、日本では当面三〇%程度に措置しようということになったものでございます。

岡本(充)委員 今のは説明になっていませんね、何で三割か。アメリカは四四だったら、何で日本は三〇なんですか。

 時間がないからちょっと進めますけれども、問題は、これは使ったお金に領収書が要らないんですよ。何にでも使えるんですね。

 めくっていただくと、「間接経費の主な使途の例示」と書いてあります。これは、旅費でも使える、人件費でも使える、極論を言ったら、会議費という名前で飲食でも使える。これは何でも使えて領収書が要らない。

 それで、どれだけ集まっているかという話ですね。あと二枚めくっていただきますと、施設ごとですけれども、非常に多額のお金が入っている研究機関もあります。これだけのお金。厚生労働科学研究費はこの分。

 それから、めくっていただきますと、済みません、ページをつけていないので大変恐縮ですが、文部科学に関する研究開発費の方は、一位が東京大学になっていますが、間接経費が載っています。三十三億九千二十七万円、これだけのお金が領収書が要らないわけですね。何に使ったかわからない、こういう形になっている。これはやはり問題じゃないかと私は思っています。

 一律三割というのはどうなのか。それで、こういう領収書も要らないということはやはり問題だと思っています。

 それからもう一つ。研究者がもらっている直接経費の部分も多額にもらっている人がみえるんですね。厚生労働科学研究費上位十名が載っています。

 厚生労働科学研究費、ある研究をするに当たっての研究資金ですが、これは、今、国立のセンターの場合には、ほかからお金が入ることは無理ですよね。個人の寄附や企業の寄附等でこの研究資金を上乗せすることは無理ですよね。どうですか、局長。

外口政府参考人 寄附を直接受け入れることはできません。

岡本(充)委員 このお金を、研究資金を得ておいて、では、返還をされた金額はどのくらいあるんですか。

上田政府参考人 研究の終期といいますか、大体、年度末に会計報告をいただいております。その結果、与えられました研究資金に対して余った場合には、返還をさせていただいております。

 その総数でございますけれども、毎年、約数十件、研究費そのものが大体千二百件ほどございますが、三十数件ぐらいあったのではないかというふうに思っております。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学研究費補助金でございますけれども、最近では繰り越しの制度がよく利用されてございまして、実際には、全体の予算の約一%程度、十六億円程度が翌年度に繰り越されてございます。これは、研究の都合により、研究が若干おくれた等によって翌年度に送られたものでございます。そして、研究の最終段階になりまして、研究が終わった段階でなおかつ研究費が余る事態となった場合については、最終的に不用額を確定の上、返還させております。

 件数といたしましては、大体十万件ほどの科研費の件数がございますけれども、約千数百件の返還件数がございまして、かつ、その返還金額は全体の約〇・一%程度であったかと記憶しております。

岡本(充)委員 それは通告しているので、後でしっかり資料を下さい。

 それで、言いたいのは、この見積もりを出した金額どおりで、よそからもお金は入ってこない、お金も余らない、ぴったりの金額に、〇・一%の確率でぴたっとはまるという。これは研究をしていた人はわかると思うんですけれども、それはあり得ない話なんですね。

 これは、お金の使い方が本当にこれで正しいのかということを内閣府はもう一回検討するべきじゃないですか。直接経費の部分も問題がある、間接経費は領収書が要らない、こういうことでは、やはり国民の皆様から見て、透明性のある使い道でなきゃいけないとわざわざうたっておきながら、透明性がなくなっていますね。これはお願いをしたいと思います。どうですか。

岩橋政府参考人 間接経費の使途についてのお尋ねでございますが、間接経費につきましては、直接経費と同様に、実績報告書によりその使途を報告することになってございます。

 また、大学等においては、領収書等の会計書類を保管するとともに、内部の監査を義務づけ、その他、実地検査、会計検査等の実施により経費の適切な使用が担保されているところでございます。

岡本(充)委員 その研究費が一体どこに行くかも大変不透明なんですね。

 実は、きょう、文部科学省にお越しいただいていますが、藤木さんの部署であるかどうか、私もちょっと定かではないんですが、橋渡し研究支援推進プログラム、藤木審議官の部署のようでありますけれども、ここは、例えば平成二十年度は十七億円、平成十九年度は十五億円の研究資金を分配したわけですけれども、どこへ分配をするかということを決める委員の大学なり研究所が結果として全部選ばれているわけですね。

 要するに、どこへ分配をしますかと。私は研究資金が欲しいですと言って二十三カ所ぐらい手を挙げてみた。ところが、実際に選ばれたところはどこかというと、どこへ配るかを審査する委員の大学に全部配られているんです。残りの大学は結果として落ちているわけですね。きのう、いろいろ言い分があったようです、それはたまたまですとか言われますけれども。

 結局、どこへ分配をするかを決めるのは専門家が決めていますというのが文科省の言い分ですが、これは専門家が決めて、結果として自分たちのところに全部配分されているという話では、やはり国民から見ても、だれに研究費を渡すか、そして今の、どう使うか、ここの透明性を高めないと、これは大変大きな疑問というか、国民から見ての不信感を生むわけです。

 もっと研究費を投じた方がいいと私も思っています、総額は。だけれども、こういう選び方、それから使い道は問題だと思いますが、いかがでしょうか。

原田大臣政務官 橋渡し研究支援推進プログラムにつきましては、日本の医療における基礎研究で世界的なレベルにあるものが臨床を通じて日本発の世界的な医薬品や世界的な技術になかなかつながらないということで、平成十九年度から公募によって実施されているわけであります。

 本プログラムでは、橋渡し研究の一流の知見、経験を有する有識者を選考委員に登用いたしまして、そしてその一方で、橋渡し研究のポテンシャルのあるすべての機関を幅広く公募して選考をしております。ですから、そういう意味で、選考委員からあらかじめそれら機関に所属する有識者を事前に排除することはなかなか困難であるというふうに考えております。

 このため、選考、公募の審査に当たりましては、提案課題と利害関係の委員が一緒の場合には、その委員を該当する提案の審査から退席させまして採点を行わせて、公平性を期しているところであります。

 結果として、選考委員の所属する機関が採択されている、さっきは全部とおっしゃいましたけれども、全部ではありませんで、一部採択をされておりますけれども、当時の採点結果を見ますと、当該委員が他の機関からの提案に不当に低い点をつけているという実態はありません。また、当該委員の採点を全部排除して再集計を行った場合でも採択機関は変わらないというのが実態であります。

 そういう意味で、選考の方法には御指摘のようにいろいろ工夫すべきことはあるかと思いますけれども、今回の選考は適切に行われたというふうに考えております。

岡本(充)委員 もうこれで終わりますけれども、一言だけ言わせてください。

 選考委員の中で、自分の大学で手を挙げた大学は全部選ばれているんですよ。それは後で役所から聞いてください。自分の大学で手を挙げている選考委員、つまり、選考委員の中で大学出身の人もいます、しかし、あるA大学が手を挙げていなければ当然選ばれませんが、手を挙げている大学から選ばれた選考委員の大学はこの中に入っているわけです、座長を含めて。それが、選び方に問題があるということを指摘しているわけで、よく検討をいただきたいと思います。

 終わります。

茂木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 これから四十五分間、舛添大臣、西川副大臣、よろしくお願いをいたします。

 きょうは、三つのことについて御質問させていただきたいと思います。

 国立がん研究センター、これはもう本当にこれから一番重要な機関であると思っております。

 そして二番目は、国際医療研究センター国府台病院、この国府台病院が国の肝炎治療、肝炎研究の中核機関となっていくということでありまして、舛添大臣にもこの間、薬害肝炎問題、肝炎対策、本当に御尽力いただいておりますが、まさにこれからが本番で、その研究、臨床の拠点になるのがこの国立国際医療研究センターの国府台病院であります。

 きょうも、薬害肝炎の原告の方々九名がお越しになっております。昨日、一昨日と各政党を回って、与党の肝炎対策基本法、そして民主党の肝炎医療費助成法をぜひ一本化して成立させてほしい、そしてまた、インターフェロン治療の医療費助成をもっと充実させてほしい、そんな要望にこの二日間回られておりました。きょうも、そういう引き続きで傍聴にお越しいただいております。

 そして、まさに薬害肝炎の原告の方々の思いは、今回、薬害肝炎に関しては一定の和解になりましたけれども、これからが本丸で、三百五十万人とも言われる肝炎の患者、感染者の方々、またカルテのない方々、あるいはインターフェロン治療が効かない方々、肝硬変、肝がんになっておられる方々、こういう三百五十万人すべての方々の治療をどう支援していくのか、そういう意味では、まさにこれからが肝炎対策の本丸であると思っております。

 そして三つ目は、この法案の中の、愛知県にございます長寿医療研究センターとも関連して、まさにその長寿医療の制度であります長寿医療制度についてもお聞きをしたいと思っております。

 それでは、西川副大臣にお伺いをしたいと思います。

 がん研究センターについて、三点質問通告をしておりますが、一括して三つとも聞いてしまいたいと思います。端的に申し上げます。本日の朝の参考人質疑で、垣添がんセンター名誉総長からも要望がございました。次の三点であります。

 一点目。一般の独立行政法人では運営費交付金を毎年二%削減するということになっている、しかし、国立がん研究センターは、ほかの独法とは違って、まさにこれから、肝臓がんのみならず、がん研究というのはますます日本国民にとって大事なものであるわけですから、逆に、二%削減できるのではなくて、毎年交付金をふやしてほしい、こういう要望がございました。これが質問その一。

 そして、二番目については、垣添参考人がおっしゃったのは、がん対策情報センター、これはオール・ジャパンで、がんの患者の方々の情報を集めて分析して、また患者の方々にお返しするという非常に重要な役割を握っている、引き続き一般財源からの繰り入れをお願いしたい。

 そして三点目は、借金を抱えて、年間六十億借金返済をしているけれども、ぜひ、独法になる際には、この借金返済について特別の配慮をしてほしい。

 この三点について、西川副大臣から続けてお答えいただければと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

西川副大臣 きょう、肝炎の原告の方も傍聴席においでで、政府の大きな判断のもとに和解が成立いたしまして、本当に私もほっとしております。今回、肝炎対策、治療、新薬開発その他、一にかかってそのことがこれからの課題だと思っております。

 その中で、先ほど山井議員から御指摘がありました国立がんセンターの問題ですけれども、今回、この独法化の流れの中で、国立がんセンターも独法化されます。がんセンターその他は、難病の診断、治療、研究、研修などという大変不採算な業務を担当しておりますので、この分野に関しまして一般会計から繰り入れが行われております。

 全国立高度専門医療センターに対しては、繰入額が総額で四百三十八億円、収入のうちの約三割が一般会計から繰り入れされております。そして、国立がんセンターでは九十八億円ということで、収入のうちの約二割が一般会計から今現在繰り入れされているわけですが、今回、こういう大変不採算な部門の研究開発ということですので、これが独法化された後も、運営費交付金としてしっかりこれは対応していきたい、そういう方向で考えております。

 特に、がん対策基本法ができました中で、このがんセンターは、法律にも書いてあるように、拠点病院、まさに中心的拠点だという判断のもとに、これからのがん対策の中核的な機関として位置づけられておりますから、今後も必要な財源はしっかり確保していくことが必要だ、そういう考えを持っております。

 がんセンターに関してはそういうことで御認識いただきたいと思いますが、その中で、がん対策情報センターについての予算ということですが、現在、がん対策情報センターについての予算としては十七億円が確保されております。これは、がん対策推進基本計画に基づきまして、がん患者及び家族に対する最新情報の提供、医療従事者に対する研修、研究者に対する必要な研究支援、それから、がん対策に関する情報の収集、分析などが主な仕事となっておりますが、このがん対策情報センターを設置いたしまして、その中枢の仕事を担っていく。そのためには、この必要な財源十七億円、今後もしっかりと対応していきたいと思っております。

 それから、先ほどもう一つおっしゃいました垣添参考人からの御質問で、今回の国立高度専門医療センターが独法化するときに、今現在、六十億円の借入金を返済している最中だ、これが独法化後どうなるんだということでございますけれども、具体的に、今後、行革推進法の趣旨を踏まえながら、同センターが安定的な運営ができるということが一番の大事な点でございますから、この借入金のことをどうするかということで、今財務省とまさに折衝の最中でございまして、一般財源の方に少し残して、ある程度これを運営費交付金として一部は補助していくのか、その辺のところを今検討中でございます。

 いずれにいたしましても、国立高度専門医療センターがしっかりと役目を果たしていけるように対応していきたいと思っております。

山井委員 私も、がん対策基本法を二年前につくったときに、がんセンターへヒアリングに行かせていただきましたが、やはり、独法になって、ある意味で職員の待遇が悪くなるのではないかということで、非常に不安に思っておられました。やはり民主党としては、こういう国でやるべきことは国でしっかり、国立のままやったらいいのではないかというふうに考えております。

 そのことからも、次に問題になりますのが、国際医療研究センター国府台病院。まさに肝炎の研究、臨床の中心となっていくわけであります。肝炎対策の推進、健康管理の推進と安全、そして肝硬変、肝がん患者への対応ということで、私の配付資料の六ページに書いてありますが、国においてもこれらの拠点病院を支援する肝炎中核医療機関を設置するということです。ことしの十月からこの肝炎研究がスタートする。しかし、スタートすると決まっていながら、国立じゃなくて独立行政法人になってしまう。うがった見方をすれば、国がまさにこういうことは責任をとってやるべきことを、何か国の責任を放棄するのではないか、そんなことになってはならないと思います。

 西川副大臣にお伺いしたいんですが、それが証拠に、この十月にスタートしても、肝炎の研究者が三人、また、きょうの資料の七ページにもございますが、まさにその国府台病院が拠点となるわけですが、肝炎関係の入院患者が〇・八%、たったの三人しかいないということなんですね。そういう意味では、かけ声はいいけれども、研究者三人、肝炎の患者の方も三人ということで、本当に三百五十万人もの肝炎感染者の方々を救うための新薬の開発、新しい治療法の研究をしっかりやってもらえるのか、やはりそれが多くの患者や感染者の方々の不安だと思っております。

 実際、インターフェロン治療が効かない方もたくさんおられます。その方々にとっては、やはりそれにかわる治療法の発見、これは本当に悲願、命がけの思いで願っておられますし、またインターフェロン治療も、きょうも患者の方がインターフェロン治療の副作用に苦しみながらも傍聴にお越しいただいておりますが、やはりそういう副作用のない、そして成功率の高い、治癒率の高い薬ができないのか、そういう患者の方々の思いと期待が詰まっているのが、この国府台病院にできます肝炎・免疫研究センターであります。それが今の体制では甚だ心もとないと私は思っております。

 このことに関して、今後どのように充実させていくおつもりなのか、西川副大臣にお伺いしたいと思います。

西川副大臣 今御指摘の国立国際医療センターは、まさにこれからの肝炎対策の中核になっていくわけでございますけれども、厚生労働省の全国C型肝炎診療懇談会報告書、これは昨年の一月に出たものでございますが、まさに肝炎対策の均てん化を一層推進するために中核的な医療機関となるということが報告されています。

 その中で、今回整備されたわけでございますけれども、今回の肝炎対策の中核的な医療機関、国立国際医療センターは、情報提供機能、それから拠点病院間の情報共有支援機能、いわばここのセンターでの情報を全国の各県の中核病院と情報を共有する、それから研修機能、この三つが大きな機能として図られます。

 ですから、今御指摘のように医師が三名しかいない、それは、いわば集中的に全国の肝炎患者がここに来て、そこで医療の提供をするということでしたら当然もう全く足らないんですけれども、そうではなくて、現場の治療自体は各県の拠点の病院でしていただく。そのための情報提供あるいは研修、お医者様の人材育成、それを主としているのがこの国立国際医療センターの役割でございますので、私は十分これから機能していくと思っております。

 その中で、なぜ独法化するんだと。独法化のメリットというのは……(山井委員「もうそれは結構です」と呼ぶ)いいですか。はい。いわばお金と物、これが非常に有機的にうまく動いていく、優秀な人材が出入りできる、そういうことも含めての、将来を見込んだ上での措置でございますので、よろしくお願いします。

山井委員 まさにこの国府台病院では、これからインターフェロン治療のことなども、どうすれば副作用ができるだけ減るか、また、インターフェロン治療が効かない患者の方々への支援ということも研究をしていただきたいと思うわけです。

 そこで、舛添大臣にお伺いします。

 今回、インターフェロン治療の医療費助成、一万、三万、五万という予算措置が決まりました。我が党は今までから、この所得別の、低所得者、中所得者、高所得者、一万、三万、五万では高過ぎる、これでは経済的な理由で受けられない方が多いということを言ってまいりました。残念ながら、そのとおりになっているような気がします。

 昨日、厚生労働省に、どれぐらいの方がこの四月から医療費助成を受けているのかと聞きましたら、まだ実態は把握していないということですが、八ページの資料を見てください。毎日新聞。肝炎治療費助成の申請二十六人、出足鈍く、高い自己負担に批判もと。なぜ出足が鈍いのかということで、こう書いてあります。

 「ただ、助成を受けても治療にはなお高額の負担が必要で、受診をためらう患者も多いとみられ、制度自体の問題点を指摘する声も上がっている。」そして、その次の下線、出足が鈍かったことについて県の保健予防課は、「助成を受けられるのが生涯に一回、期間が一年間と限定されるため、患者が慎重になったと見ている。 しかし、患者からは「そもそも自己負担が高すぎる。これまで利用してきた高額医療費の払い戻しを受けると規定の自己負担額よりも負担は軽い。」今までの方が軽かったと。「助成制度自体が無意味だ」というような声まで上がっているんです。

 実際、私も患者の方々から聞いたら、世帯単位で所得が把握されるために、多くの方々が一番高い五万円になってしまう。今までが七万円か八万円だったから、余り軽減になっていないんですね。

 そこで、舛添大臣に要望と質問をお願いしたいんですが、ぜひとも、これはやはり早急に、一万、三万、五万をもうちょっと安くする、来年度からではなくて、年度途中でも安くする。そうしないと、舛添大臣がお約束になった、経済的な理由でインターフェロン治療が受けられない人をなくす、今まで五万人だったのを十万人にふやすというのが達成できないどころか、これ、地方自治体の予算が余ったりしたら大問題ですよ、治療を受けたい人がたくさんいるのに。舛添大臣の英断をお願いしたいと思います。

舛添国務大臣 皆さん方の御努力で、この総合的な肝炎対策、何とかことし予算をとることができて、スタートできました。これをまず第一歩として、新しい制度を発足させたときに、患者の皆さん方もいろいろな症状があり得ると思います。そして経済的な状況についてもいろいろあると思います。検査に来られる段階からこういう助成の制度がありますということを周知徹底するように、医療機関、各市町村にも申し上げておりますので、周知徹底をする。

 その上で、どうしても予算措置が必要でございますので、今年度予算はもう決定されて実行しておりますが、この一年間の実施状況をきちんと把握して、そして、現実にどういう御要望があるか、そういうことを踏まえて、そしてまた、皆さん方と御協議をしながら、この新しい制度でさらに改善すべき点があればそれはきちんとやっていきたい、そういうふうに思っております。

山井委員 いや、大臣、これは命がかかった問題なんですよ。一年間様子を見て、五万人から十万人にふえると言っていたのが、二万人しかふえませんでした、予定よりも三万人治療が受けられませんでした、三万人の方々は治りませんでした、そのまま肝硬変、肝がんになりました、見込みが甘かった、それで済みませんよ、これは人の命がかかっているんですから。逆に予算が余ったらどうするんですか。ですから、ぜひ年度内に、これは早急に実態を把握して、実態がわからないという話じゃないでしょう、新聞に実態が書いてあるじゃないですか、出足鈍いといって。

 そこで、大臣にもう一つお願いしたいと思います。

 もう一つ患者の方々が本当に困っておられるのは、これは一年間しか助成がないんですよ。ところが、いざインターフェロン治療をやってみたら、あなたは七十二週、一年半必要だと言われるケースが今続出しているわけですよ。そうしたら、一年間しか補助が受けられなかったら、一年でやめられないわけですよ、もう始めているんですから。ここは余りにもしゃくし定規だと思うんです。逆に、その方が治らなかったら、結果的には医療費がもっとかかるわけですから、マイナスになるわけですよ。

 そういう意味では、ぜひここも舛添大臣の英断で、一年じゃなくて一年半に延ばしていく、それによって救われる命が確実にふえるわけですから、舛添大臣、一年半への延長をぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 これはスタートしたばかりで、四十八週ではなくて、今委員おっしゃったように七十二週というケースもあり得ると思います。すべてきちんとした予算の裏づけがないとできません。したがって、私は、そういうことも含めて、今現に何が起こっているか、それは新聞の報道もありますけれども、さまざまな形で調査をし、実態を把握した上で、そして、そういう形で改善するということがこの改善方向としてしかるべきことであるということであれば、それはもうそういう検討をしたいと思います。

 しかし、とにかく今スタートしたばかりの制度です。これの問題点を、今委員が御指摘のように指摘していただき、そして、改善すべき点があればそれはきちんと対応する、そういう方向で検討したいと思います。

山井委員 ぜひ見直していただきたいですし、まさに今回独法になる国府台病院でも十月から研究がスタートするんですが、それまで待てないんですよ。

 舛添大臣、ぜひわかっていただきたいのは、きょうもお見えになっていますが、例えば薬害肝炎の訴訟が和解した、全然一件落着じゃないんですよ。患者の方々は残されて、毎日副作用にもがき苦しみながら、一年、一年半、C型肝炎のウイルスと闘っておられるわけですよ。やはりその方々が病気が治らない限り、大臣、和解した意味がないじゃないですか。幾ら国会議員が、和解した、よかったと言ったって、患者の方々が病気が治らなくて、苦しんで、悪化したら、これは逆に国会議員の責任ですよ。

 そういう意味では、入り口なんですから、患者の方々の病気が治ってこれは解決なんですから、まさにこの解決のスタートを切られたのが舛添大臣だと、私は本当にある意味で感謝をしておりますので、患者の方々が治られるように、この医療費助成をぜひとも前向きに見直していただきたいと思っております。

 それで、この二日間、原告患者の方々が各政党を回られて一番要望されたのが、なぜこの予算措置でも不十分なのか。繰り返しになりますが、予算がもう決まっていると言うけれども、このままいったら予算は余りますよ、十万人までいきませんから。そういう意味では、根拠となる法律がないのがやはり問題だと。

 そういう意味で、与野党、ここはある意味で政党間の違いを超えて、一本化して、肝炎対策、肝炎医療費助成の法案をこの国会で成立させてほしい、そういう三百五十万人の方々につながる解決の道筋が出ないと本当の解決にはならないと、原告の方々もおっしゃっておられます。

 このことについても、この国会で一本化すべき、これは与野党で当然話し合いますが、ぜひ大臣の思いも一言お聞かせ願いたいと思います。

舛添国務大臣 昨年以来、この問題については節目節目で立法府の皆さん方がきちんと話をしてくださって、そして最後も議員立法という形で道を開いてくださったことは、大変感謝を申し上げております。

 そういう中で、私が今、行政府の長として、立法府にこうしなさい、ああしなさいと言う立場ではございませんけれども、与野党、会派を超えてよくお話をしてくださって、そして、きちんとした形で、肝炎に苦しまれている方々をどうすれば一日も早く救えるか、そういう観点からのお話し合いや協議がまとまることを、これは切に希望しております。

 そして、私は常に申し上げておりますように、和解ですべて解決したわけではない、これから検証作業もやる。検証委員会もきょう発表いたしましたけれども、きょうお見えになっている原告団の方々にも御参加いただいて、みんなの力で公平公正な検証をやりたいと思います。そして、とにかくこの病と闘うんだ、それは研究開発して新しい治療法の開発ということもありますし、それはみんなの力を合わせて大きな目標に向かって進んでまいりたいと思います。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

山井委員 それで、大臣、原告の方々が今一番苦しんでおられることがあるんです。そのことについて、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

 それは、国との和解は成立したんですが、企業との和解がまだ成立していないんです。その理由は、和解合意の内容において企業が拒んでいるのが二つあるんです。

 一つが、四一八リストを二〇〇二年から放置した、あの大問題になった四一八リストの放置責任というものを謝罪しない。それともう一つは、一九八七年に最初の薬害肝炎の事例がわかってから、対策をとるのが非常におくれたわけですね。その放置責任。この二つの放置責任をぜひとも謝罪してほしい、それを合意文書に入れてほしいと原告患者の方々は言っているんですが、企業は、それが入るんだったら和解しないと突っぱねているわけです。

 私は、だれが考えても、放置したことは、患者の方々にとったら、一歩間違うと、見殺しにされた、されかかったという話ですから、これはやはり謝ってほしい、うやむやでは済まされないというのが患者の方々の思いだと思うんですが、この点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 企業というのは、ただお金もうけをすればいいというのではなくて、崇高な使命と社会的責任があると思います。そういう社会的責任を実行できない企業は生き残れない、私はそういうふうに思っております。そういう中で、きちんとした反省の上に立って新たな地平が開かれる。

 そういう意味で、今委員がおっしゃったように、謝罪すべきは謝罪し、反省すべきは反省して、そして薬の開発をする。それは人の命を救うために一生懸命やっておられる面があるわけですから、そういう大きな使命を果たす意味でもそれをきちんと実行していただければと思いますので、誠意を持って原告そして原告弁護団の方と協議をしてくださって、一日も早くいい形で和解をしていただけるように私も希望いたしております。

山井委員 ぜひ大臣からも企業の方に言っていただきたいと思います。国との和解は終わっても、まだ企業との和解が終わっていないんです。やはり最後の最後まで、もうこういう裁判というのはだれしも終わらせたいわけですから。

 次の議題に移らせていただきます。

 今回、長寿医療研究センターという愛知県の病院、これが一つの大きな議論になっております。そこで、この長寿医療研究センターでは、高齢者にふさわしい医療というものを研究するということで、今回、長寿医療制度、つまり後期高齢者医療制度も導入をされたわけであります。まさにそれと車の両輪になるのがこの研究センターだと私は思っております。長寿医療制度の中でどういう医療をしていくのかということがまさに研究されるのではないかと思っております。

 そこで、まず一つお伺いしたいのが、大臣、長寿医療制度の被保険者の保険料は何割ぐらいの方が下がるんですか。過半数の方は下がるんですか。

舛添国務大臣 これは今、現実にどうなっているかを調査させているところでありますけれども、まさに地域によってさまざまで、下がるというときに、今までの保険料の中に、例えば地域によっては市町村の補助が入っている場合があります。そういうものを捨象した上で、どれだけ下がるか上がるか。それから、例えば東京都のように算定基準を住民税をもとにしていますと、これもまた違った数字になります。今、そういうところを六月の半ばまでに、既に調査票を発出いたしましたので、どれぐらいの規模になるかということを調査させて、実態調査をやっているところであります。

山井委員 まさに大臣がおっしゃったように、今実態を調査していると答弁をされました。しかし、大臣、実際にはその点については調査していないんです。

 十二ページを見てください。つまり、何割の人が安くなっているのか、過半数の人が安くなっているのか高くなっているのかというのが一番国民の関心であるにもかかわらず、福田総理も実態調査をしろと指示したにもかかわらず、この十二ページの下、調査項目、何をするかといったら、基礎年金受給者、厚生年金受給者のモデルケースについて、保険料の変動について試算を行ってもらい、粗く推計。つまり、モデルケースがどうかというだけですから、そのモデルケースに当たるのが何割かがわからないわけですから、結局のところ、これをやっても実態はわからないんですよ。

 福田総理が実態調査をしろと指示しているのに、大臣、なぜ何割の人が安くなったかがわかるような実態調査をしないんですか。

舛添国務大臣 千三百万人の方がこの後期高齢者医療制度の対象であります。一番単純なやり方は、千三百万人の方に、今まであなたは幾らでしたか、そして今回幾らになりましたかということを、例えば一人一人にお手紙を出してそれをやるということになると正確な数字がつかめると思いますが、しかし、モデルケースについて、大体こういうトレンドであるということをつかむというのが、つまり、コストとの絡みも考えないといけません。

 今申し上げた千三百万人について、すべてにそれをやるということをやらない限りは、しかし、その中も、補助金が例えば名古屋市のケースのように入っているケースもありますから、個々人にとって幾ら払って幾らになったかということをやるのか、それとも、単身の家庭で年金だけが収入の場合はどうなのか、それから御夫婦の場合で年金以下の場合はどうだったのか、そして、それは算出方式を国保方式で、これで八割ぐらいの市町村はやっていますけれども、この方式だったらどうなのか。そういう形でやって、ある程度の実態はつまびらかにできるというふうに私は思っております。

茂木委員長 山井君、きょうは法案の審議でありますから、国立長寿医療センターについて聞きたいんだったら、そのこともしっかり聞いてください。

山井委員 はい。

 国立長寿医療研究センターにおいては、包括診療になったらどうなるかとか、そういう医療がどうなるかということも大事になってくると思います。まさに医療が長寿医療制度でどう変わるかがポイントだと思うんですね。

 それで、今、説明では、六千円の包括診療については選択制ということになっています。ただ、二年ごとに改定がありますが、これは選択制ではなくて、将来、誘導や強制になるということはないのでしょうか。というのは、長寿医療研究センターでも全国の病気のデータを集めて長寿医療の解析をすると聞いておりますが、今回、七十五歳以上のデータは除外するということになっているらしいんですね。なぜ除外するのかというと、こういう包括診療になるからだということも聞いております。

 ついては、今選択制なのが誘導や強制になることはないのか、そのことについてお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 それは全くございません。

 今後とも選択制をとっていける、かかりつけ医を自分で指定する、しかも包括的な支払いではなくて出来高払いでやることもできる、それは明確にここでも申し上げておきたいと思います。

山井委員 それは本当に言い切れるのかどうか。これはまた中医協とか広域連合が決めることですから、大臣がなぜ言い切れるのか、私は不安です。

 どういう医療が受けられるかと関連してくるのが、年間の平均保険料なんですね。これが長寿医療制度では高くなって、それによって、今までの医療、サービスを受けていたら保険料がアップしますよということになってしまうわけです。

 そこで、資料の十一を見ていただきたいと思います。今までの厚生労働省の説明では、平成二十年度では六・一万円、平成二十七年度では八・五万円と言っていましたが、これは舛添大臣、所要保険料、医療給付費ベースで実際には今もう七・二万円になっているんですね。六・一万円と言っていたのが事務費とかが入って今七・二万円となっているということは、一・一八倍に現時点でふえています。この計算でいけば、平成二十七年には、八・五掛ける一・一八倍で十・三万円になるんです、実際に被保険者が払う保険料は。

 この保険料がどうなるかによって、受けられる医療が大幅に変わってきます。このことについて、舛添大臣、平成二十七年度の給付費ベースは八・五万円ですけれども、被保険者が払う保険料は今から七年後に幾らぐらいになるんですか。今私が単純に計算したような十・三万円ぐらいになるんでしょうか。

舛添国務大臣 軽減後の数字で申し上げますと、軽減前の保険料の医療給付に対するあれがありません、軽減前はないんですが、軽減後で計算しますと、二十年度も二十七年度も約八%という試算でございます。(山井委員「それは次の質問の答弁です」と呼ぶ)大変失礼いたしました。

 御指摘の年間平均保険料が七・二万円、これをもとにした二十七年度の保険料試算は役所は行っていないということです。

山井委員 これは、新しい保険制度を導入して七年後に保険料が幾らになるか試算も行っていないというのは、ちょっと余りにも無責任ではないですか。

 それで、舛添大臣、要は、先ほども言いましたように、長寿医療研究センター、愛知県のこのセンターでは、これからカルテのオンライン化とかがされますから、全国の情報を集めて、それでどういう医療が適切かということもこれからやっていくわけですよ。ところが、問題なのは、七十五歳以上だけは除外されているんですね。なぜかというと、包括診療とかになって十分な治療ができないおそれがあるからということで除外されているわけですよ。だから、やはりそこが私は非常に問題があると思っています。これは私の感想です。

 それで、大臣にお伺いしたいんです。

 次の十二ページ。つまり、そういう包括診療が誘導されるおそれが保険料が高くなればなるほど高いんです。今までの老人保健制度での老人医療費だった当時と今回と、公費というのはどう違っているのか。十二ページに書いてありますね。平成二十年度、制度改正なしだったら公費五・一兆円、そして制度改正ありだったら四・九兆円。つまり、公費は二千億減っております。そしてまた、七年後には七・七兆円になる予定だったのが七兆円になって、七千億円公費が減っております。

 ということは、長寿医療制度になることによって公費負担はこのように減っているということで理解してよろしいですか。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃいましたとおりで、公費の比率でございますけれども、後期高齢者給付費に対する公費としては、二十年が四・九兆円、二十七年が約七・一兆円。そして、国保の後期高齢者支援金に対する公費としては、平成二十年が一・〇兆円、そして二十七年が一・四兆円ということであります。

 そういう意味で、この公費でありますけれども、これはただ全体の医療費適正化によるところが大きいわけで、公費が減るからそれを後期高齢者に転嫁しよう、そういう感じの数字ではございません。

茂木委員長 山井君に申し上げます。

 先ほどの注意を踏まえて質問をお願いいたします。

山井委員 はい。

 それで、まさにこういうことを議論しているのが長寿医療研究センターなんですが、実際、現場の声を聞いてみると、市民病院のように一般の方の外来が非常に多くて、まだまだ長寿医療に特化されていない。まさに本気で長寿医療制度をいいものにするんでしたら、どういうのが本当の意味で後期高齢者にふさわしい医療かというのはやはり研究しないとだめなんですね。

 今少なくともそういう現状になっていないということに関して、大臣、どう思われますか。

舛添国務大臣 先ほどの岡本委員の成育センターとある意味で同じで、片一方ではそういう特化した形でのナショナルな研究をやるということがあるんですけれども、これは、しかし、対象は生身の人間ですから、こういう方々が遠くからそこまで通えません。近くの方で例えば認知症を患っている患者さんが来られる。そういうことの研究の蓄積の上に、例えば七十五歳以上はこういう形でケアをすればいいだろうというのは出てくると思いますから、臨床ということを非常に重視してやれば、ある意味で一般の病院のように受け付けることがすべてだめなのかというと、それは議論があるところだと思います。

 ですから、症例を重ねながら、エビデンスを重ねながら、そして何が一番長寿医療センターにふさわしいか。私も定期的に必ず、あそこが出している研究の出版物のようなものは、できたばかりですけれども見ています。それなりに研究の成果を上げつつあるというふうに思っていますので、今後とも、例えば後期高齢者医療制度をさらによくするためのいろいろな必要なデータがそこから提供されるという形で、大きく発展するように支援をしたいと思っております。

山井委員 後期高齢者医療制度をよりよいものにするためにこの研究センターが有効だということなんですが、やはりそういう現状になっていない。先ほど言ったように、肝炎の日本のナショナルセンターとなる国府台病院も、研究者はたった三人、肝炎の患者はたった三人、これではだめだということを言っているわけです。

 それでは、舛添大臣が先ほど間違って答弁された質問に行きたいと思います。

 十三ページですね。今までの厚労省の説明では、五対四対一だ、公費五、若年者からの支援が四、そして高齢者が一、五、四、一だと聞いておりました。しかし、実際、この十三ページの下を見ると、平成十九年度では〇・八兆円、つまり七・三%なんですね。町村官房長官も、今までどおり一割は後期高齢者に負担してもらいますということをおっしゃっていました。でも、今までどおりは、この資料は厚労省の資料ですよ、七・三%じゃないですか。

 ということは、七・三%から一〇%に高齢者の負担はふえたんですか。それとも逆に、先ほど厚労省からの説明を聞くと、いや、一割、一〇%というのは間違いで、低所得者対策を入れたら八%なんだという説明を聞いたんですが、一割じゃなくて八%ということに訂正をされるんですか。でも、訂正されても、もともとは七・三%ですから、何で七・三%から八%に一〇%アップするのか、説明していただきたいと思います。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは軽減後で八%ということであります。

 それで、一割、四割、五割というこの数字は基本的に間違っておりません。そして、仮に後期高齢者制度が導入されなかった場合に、後期高齢者が実際に支払う保険料が一割でなくなぜ八%になるかということをお尋ねだと思いますが、それは、若人と同様に、国保制度上の低所得者に対する保険料軽減措置の影響を受けることになるからでありまして、今申し上げましたようなことは、実際に支払うこととなる保険料がこの軽減措置によって一割から約八%へと低下する。

 それから、今委員がお示しくださったその数字は、たしか平成十四年の数字に基づく平均値であるというふうに思っていますけれども、端的に言えば、軽減措置の結果こういうことになった、そういうことでございます。

山井委員 今のは説明になっていません。私が聞いているのは、七・三%がなぜ八%に一割アップしたのかということを聞いているわけであって、軽減措置のためというのは答えになっていないと思います。

 それで、先ほど大臣は、愛知県の長寿医療研究センターで後期高齢者医療制度をよりよいものにするための研究を行うということをおっしゃったわけですけれども、今お答えを聞いてみても、少なくとも厚労省の資料からは、今まで七・三%だった高齢者の負担が八%に上がっているということが一つ。それと、みんなで痛みを分かち合うと言っておきながら、十二ページの資料によると、国庫の負担が二千億ことし減り、七年後に七千億減る。つまり、国が一番得をしているのではないかということ。それと、七年後の保険料が幾らになるかもわからない。

 また、今回実態調査をしても、舛添大臣、六月中旬に実態調査したら、また国民から聞かれますよ。結局のところ何割の人が安くなったんですか、半数以上の人が安くなったんですかと言ったら、また、いや、モデルしか調べていませんからわかりませんということになったら、私は、やはり国民の方々は納得しないのではないかと思っております。

 それで、話は戻りますが、そもそもがん研究や長寿医療研究、こういう本当に国民にとって大切なことというのは、やはり国立のままでいい、国が直営でやるべきだというのが民主党の考え方なんです。民間でできることは完全に民間にしたらいい。でも、本当に国がやらないとだめなこと、肝炎研究、きょうも原告の方々もお越しになっていますが、独立行政法人みたいな不安定な形じゃなくて国が責任を持ってやってよというのが思いだと思うんですが、このような不安に対して大臣はいかが思われますか。

茂木委員長 舛添厚生労働大臣、時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

舛添国務大臣 さっきの七・三、八というのは、これは先ほど申し上げましたが、正確に申し上げられなかったと思いますけれども、十四年の数字をもとにしていますから、そこの誤差が出ています。

 それから、後期高齢者の方々の保険料が上がるというのは、これは試算のベースで要するに医療費の給付がふえる。それは、病気にかかる回数がふえればふえます。それのトレンドを十八年度で計算して、こうなりますよという数字を出したからなります。しかし、例えば若者のふえ方と後期高齢者のふえ方が余りに格差があって、後期高齢者の方々にとってこれはとても耐えられないというようなことになれば、それは政治的な決断として、どういう形で激変を緩和するかは十分考え得るというふうに思います。

 それから、今申し上げたナショナルセンターについては、いろいろな意味で緊急医療の代替をやっている面もあります。しかし、どういう形で一番最高水準の国際的な研究が肝炎についてもその他の疾病についてもできるかということについて、国立、今のような形であったらできるけれども独法にしたらできなくなる、そういう単純なものではない、どういう形態であれきちんとやるべきことはやる、それを私は申し上げておきたいと思います。

山井委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十四日の質疑に続きまして、医療提供体制の問題でまず最初に伺いたいと思います。

 効率化の前に、まずこれがしっかりとられているかが出発点だという指摘をいたしました。きょう午前の参考人質疑でも、同様の趣旨の発言が多かったと思っております。

 国立成育医療センターの現役の看護師である岸田光子さんが、いまだに二人夜勤が二病棟ある、一日の半分は病棟に拘束されている状態が蔓延していることや退職者がふえていることなど、るる紹介がありました。

 岸田さんが示してくれた資料にもあるとおり、国立高度専門医療センターの夜勤体制は、成育医療センターは二人夜勤が二三%、がんセンターは八二%、国際医療センターも六五%にもなっています。しかも、月九回以上の夜勤が、成育医療センターで五五%、国際医療センターで五八%です。看護職員確保の基本指針では月八回以内が努力義務とありますが、こういう状況を本当に放置していていいですか。大臣に伺います。

舛添国務大臣 これは、医療センターだけではなくて一般の病院についても、勤務医の方々、看護師の方々、その他医療提供者の方々が大変過酷な勤務条件にあるということは十分認識をしております。そういう中でどうすればこれが改善できるか。これは、医療センターだけじゃなく、全体の問題として今取り組んでいるところでありますし、その厳しい状況についてはきちんと私も認識しております。

高橋委員 国が責任を持ってやっている。今独法化の話になっているわけですけれども、そのセンターでやはりきちんとモデルとなるべき体制をとるべきだという趣旨で私はお話をしています。そのことが全体に波及するであろうということであります。

 看護職員の不足や忙しさというのは、患者さんにとっても本当につらいことです。筋ジストロフィーはナショナルセンター武蔵病院と国立病院機構二十六病院にしか病棟がなく、そのすべてが障害者自立支援法に基づく療養介護事業に移行しました。そこで療養介助職という新たな形態が導入されたんです。

 深夜の看護師が介助職に振りかえられ、看護師二人の体制にされてしまった宮城県の国立西多賀病院に昨年行きました。そのときに、患者さんが一日がかりでパソコンを打って、私に手紙を託してくれました。その一部を紹介したいと思います。この方は、入院四十二年目です。

 「医療の進歩や人工呼吸器の使用で」「昔とは比べられない程の延命が可能になりました。」「夜間の二時間置きの体位交換、急を要し命に関わる大切な気管切開患者の痰吸引・頻繁な呼び出しコールの対応など、看護師の休む時間も無い程のとても忙しい様子は日々の現実です。」「このような状況の中で、」「夜間の介護態勢の看護師二人と吸引や呼吸器に触れることが出来ない介護助手二人で果たして今まで通りの医療事故のない対応が可能なのかを思う時、それはとても不安と疑問です。」そして、この方は最後に「私は病気の進行によって時折、限界を感じるこの頃、残された大切な日々は穏やかに、静かに過ごして行きたいと願っています。」「どうかこうした思いを少しでも理解をして頂き、病棟の看護師の増員による充実した一日を過ごせるように」お願いしたいとあるんです。

 忙しく飛び回る看護師さんを見ていて、患者さんはどんな思いでいるのか。この「残された大切な日々」という言葉を真摯に受けとめる必要があると思います。

 十四日の質疑で、大臣は、筋ジスを初め神経性疾患の治療法についても医学の進歩があったという答弁をされました。大いに期待するものです。しかし同時に、現場でこうした患者さんと日々向き合う看護師、医師の努力あってこその進歩ではないかと思います。この点で一言伺います。

舛添国務大臣 薬や医療機器や治療法がいかに進んでも、やはり現場のお医者さん、看護師さん、こういう方々の努力で初めて病気も治るわけでありますから、そういう方の勤務条件の改善、これに全力を挙げてまいりたいと思います。

高橋委員 具体的には、障害者自立支援法でいいのかということが問われてきますので、現場の対応をしっかり求めていきたいと思います。

 続けて、今度は医師の問題なんですけれども、資料の二枚目を見ていただきたいと思うんですが、ナショナルセンターの病床数と医師数の推移であります。上が〇二年、下が〇八年、定員そのものはふえて百二十人増しになっておりますけれども、新しい方が定員割れが非常に大きくなっているのがわかるかと思います。

 またあわせて、資料四にあるように、国立病院の再編、統廃合、経営移譲などで、八九年からの十年間で八十七施設が減。では、統合された先の病院が充実しているかといえば、東北に限って今抜き出して書いておきましたけれども、ごらんのように半分が標欠、こういう状態であります。

 医師を初め医療提供体制を確立すること、少なくとも、医療職の削減は、たとえ効率化係数がかかるとなっても除外するべきと考えます。大臣に伺います。

外口政府参考人 独立行政法人化になった際に、運営費交付金でございますとか、それから人件費についてそれを効率化していくという一つの方向性があるわけでございますけれども、やはり必要な医療は必要でございますし、不採算な医療については必要な運営費交付金等を確保していきたいと考えております。

 ちなみに、国立病院機構全体で見れば、国立病院機構は独立行政法人化したわけでございますけれども、平成十六年度、医師四千九百七十三のところを平成十九年度は五千四と、これは減っておりません。看護師は、平成十六年度二万八千五百八十三人のところを平成十九年度が三万一千五百六と、二千九百二十三名ふえております。

 ということで、効率化すべきところは効率化しながらも、独立行政法人という柔軟性の中で、必要な職員の数は確保していきたいと考えております。

高橋委員 ありがとうございます。

 減っていないというのは、トータルではまさにそうで、個別に見ると先ほど紹介したような状況になっているわけですから、改善が必要である。

 さっき大臣に私がお話しさせていただいたように、やはり国がしっかりモデルとして確保していくことによって全体の体制がとれるのではないかという指摘をさせていただきました。その際に、やはりこの効率化係数をかけないんだということが最低条件だろうということで、あえて確認をさせていただきました。

 そこで、資料の三枚目を見ていただきたいんですが、これは、平成十一年三月に「国立病院・療養所の再編成計画の見直しについて」が発表されました。その中に、がんや循環器、神経、精神など各疾患について、ナショナルセンターを核とした政策医療のネットワークが示されました。今、全部ではなく、これはがんと神経・筋疾患の二つをあらわしてみたわけです。

 まず、単純な質問です。この平成十一年の政策医療のネットワーク、これは今も生きておりますか。

外口政府参考人 現在も政策医療ネットワークは生きております。

高橋委員 ありがとうございます。

 問題は、生きているけれども、絵にはなっているけれども、現状がどうなっているかというのはしっかり見ていく必要があるのではないかと思います。

 なかなか、このネットワークが示された時点で病床数をどうするのかという数字がなかったものですから、比較が非常に難しかったんですけれども、一応比較をしてみました。

 といいますのは、〇二年三月の時点で、例えばがんですと、総病床数二万五千四百五十が、現在二万四千九百九十で、四百六十減っている。うち基幹医療施設が二十減っている。がんの方はまだ減りが少ない方ではないかと思うんですね。下の方の神経・筋疾患における病床数においては、総病床数で千百十、うち基幹医療施設で二百七十九、これは一割近い減になっております。例えば、この図の一番左端、北海道の基幹医療施設「西札幌・小樽・札幌南」となっておりますが、これも今一つになるというふうな形で統合がどんどん進んできているわけですね。

 その中で、昨年十二月に整理合理化計画が出されました。「次期中期目標期間開始後、二年程度を目途に個々の病院ごとに、政策医療、地域医療事情、経営状況等を総合的に検証し、その結果を公表し、病床数の適正化を含め、必要な措置を講ずる。」として、ネットワークの再構築を求めております。一枚目に整理合理化計画をつけておきましたけれども、これを読みますと、やはり病床利用率や採算ベースで今後さらに病床削減、再編がされるのではないかという危惧を持っているんです。

 ちょっと具体的な話をします。きょうも、また十四日も何度も取りざたされた国立国府台病院ですけれども、言われていないことがございます。

 ことしの四月からこの国立国府台病院が国立国際医療センターに組織再編、そのことによって六人の神経内科医師が全員退職しました。このために、神経難病の患者さんが、通院、入院ともに地域外の病院に転院を余儀なくされたわけです。医師不足と地域医療の崩壊の中、わずかなベッドを削減され、神経難病の患者が行き場を失い、悲鳴を上げています。多発性硬化症のある方は、急に悪化して入院が必要になったけれども、脳外科のベッドがなく、差額ベッド代十七万円も取られた、こういう声が上がっているんです。

 少なくとも、国立病院が役割を果たし、政策医療におけるネットワークをしっかり維持していく必要があると思いますが、いかがですか。

外口政府参考人 まず、国府台病院の神経内科のお話でございますけれども、これは国府台病院の病棟構成の見直しによりまして、一部の神経内科医の方が近隣の他の病院に移りまして、これらの医師の方から、自宅療養等が可能なため退院となった患者さん以外の二十五名の患者さんを責任を持って診療に当たるとの申し出がありましたので、それらの患者さんについて、その医師の移転先の病院に転院していただいたところでございます。

 精神・神経センターから新たに国立国際医療センターに変わったわけでございますけれども、こういった移行につきましては、円滑に進みますように、特に国府台病院は児童精神部門と精神科救急の部門は残しますけれども、国立精神・神経センターとよく連携しながら進めていきたいと考えております。

 それから、政策医療ネットワークについてでございますけれども、今の政策医療ネットワークは確かに分野ごとに濃淡がございます。例えば、がんとか循環器はかなり熱心に活動しておりますけれども、ほかのところはそれぞれ差があります。

 やはり、独法化後の国立高度専門医療センターにおきましても、医療の均てん化の推進という観点がございますので、国立病院の政策医療ネットワークはもとより、都道府県の中核的な医療機関ともよく連携をしながら、日本全体の医療レベルの底上げができるように、政策医療ネットワークのあり方についても、平成二十年度に国立病院機構の中期目標の期間が終了することを踏まえまして、同年度中に議論を深めてまいりたいと考えております。

高橋委員 今、全体の底上げということをおっしゃいました。当然なんですね。均てん化やネットワークが大事だということを、これまでも私もるる主張してきたつもりであります。

 そのためにも、やはり国立病院がそのネットワークから現実にこぼれていく、今何か近隣のお医者さんが何とかしていますというふうなお話をされましたけれども、現場の方たちが悲鳴を上げているんです。まして、それが今地域で一斉に起こっている問題なんです。神経内科、神経外科という限られたベッド、そして、難病ですからなかなか対応も自宅でというのは簡単ではありません。そのことによって、自分たちが地域医療からはじき飛ばされてしまうのではないか、そういう声を上げているときに、国立病院がきちんとした役割を果たすべきではないかということを重ねて指摘して、時間が来たので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、午前中に参考人の皆さんにお話を伺い、また、午後に審議のお時間をいただきました。

 しかしながら、私は、審議が進めば進むほど、現実の医療の崩壊状況、今高橋さんも御指摘でありますが、がんセンター関係のがんの基幹的な施設すら病床数を減らしておるという現状、あるいは、神経疾患等々では医師が国府台からおやめになっている等々、もう一つ言わせていただければ、国府台は昔から小児の精神疾患で有名なところでしたが、平成十八年の四月から産科と小児科はもう休止をしております。何だか、ここで論じていることと現実がこんなに乖離していて、これこそ机上の空論と言うんじゃないかなと思います。

 ナショナルセンターを研究中心に、そこに国立の研究センターとわざわざ研究を入れたとしても、足元、土台が崩れてしまえば、研究も何も、私は本当にこれで日本は大丈夫かなと思うものであります。

 きょうは、特に長寿医療と申しますか、今大変問題になっております後期高齢者医療制度を含めて、今日本で喫緊に政策化しなければいけない御高齢者医療についてお伺いを申し上げたいと思います。

 まず一点目は、五月の二日でしたか、東京新聞で報道されましたが、脳卒中や認知症で御入院中の一般病床から九十日以上を経た患者さんを、いわゆる包括払い、後期高齢者であるからといって後期高齢者特定入院基本料を算定する、従来の入院費より、出来高払いで行っておりましたものを約三分の二に減らすということをやり始めた病院がある。その理由を患者さんに説明するときは、私が今申しました後期高齢者、最近は何でも後期高齢者なんですが、後期高齢者特定入院基本料だということで御説明がされているようです。

 これは担当部局で構いませんが、なぜ七十五歳以上になると、三カ月たつと包括払いになるのか、年齢による差別ではないですか。一点目、どうでしょう。

水田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の後期高齢者特定入院基本料についてでございますが、これは、平成十年に老人長期入院医療管理料といたしまして老人診療報酬に創設されたものでございまして、今般の改定で新しく創設されたものではないということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、御指摘の点数項目が設けられた理由についてでございますけれども、これは、高齢者の場合、急性期を対象とする一般病床におられても、一たん入院されますと、若人と比べまして、生活機能の低下等が起こりやすく、入院が長期化する傾向が強いということから、一つには、提供されるケアに応じた療養病棟並みの評価とする、第二に、このことも通じまして、高齢者の長期療養のための環境の整った療養病床等での療養を促進することを理由としておりまして、こうした考え方のもと、現在に至っているものでございます。

阿部(知)委員 今のを建前というので、差別じゃないかということには一言も答えていないわけですよ。老人保健制度下で平成十年からやっていたからいいんだと。

 私ども野党は、このたび、この廃止法案を準備しておりますが、それは、例えば、老人保健制度下でやっていたからいいかどうかじゃなくて、本当に七十五歳という年齢をもって包括払いに持っていくことが現状で御高齢者の生存や医療を奪っているんじゃないかということも含めて、土台からきちんと話し合おうということですから、今の水田さんのは答えにはなっていないと思いますね。

 そして、現状で、長期化するとか生活能力が落ちると。だから出していいんですか。だから一般病棟からは出た方がいいと。一体どこに行くんですか。お願いします。

茂木委員長 水田保険局長、答えになっていないということですから、しっかり答えてください。

水田政府参考人 こういった後期高齢者特定入院基本料というのは、まさにそういった長期療養に該当する、相当するような状態にある方をケアするのに必要なサービスを提供するのに必要な診療報酬であるということから設けられているものでありまして、差別をするということではございません。

 それから、今御質問になりました、こういう人たちはどこに行くのかということでありますけれども、一つには、まず、そもそも論でありますけれども、一般病棟は急性期の入院医療を提供するための病棟でありまして、九十日を超える長期の入院患者に対しましては、そのための療養病棟と同程度の入院料を算定することとしているわけであります。

 しかしながら、難病患者でありますとか重度の障害者等の特殊な疾患によりまして長期の入院医療を必要とする患者に対しましては、上記の取り扱いの対象から除外をいたしまして、九十日を超えても一般病棟入院基本料を算定することができる、このようにしてございます。

 それから、それでは、こういう除外例に当たらない方はどうするのかということをさらにお尋ねかと思いますけれども、そういう方につきましては、よりふさわしい、回復期リハビリテーション病棟、あるいは長期の療養環境の整った療養病床等の施設類型が既に存在しておりますし、今回の改定におきまして、例えば、脳卒中の患者さんにつきましては地域連携クリティカルパスの対象疾患にしたところでございますし、また、入院時から退院後の生活を見越した退院支援を行えるように計画を策定し退院調整を行った場合の評価というものを新たに創設したところでございます。

阿部(知)委員 るるお話しになられましたけれども、それで平成十年からやってきたことがどうであったかということを見直さないと、今回の後期高齢者医療政策、三文安と言われるところの、そして現状でニーズを満たしているかというところが全く浮かんでこないわけです。そこで私は伺ったんです。

 まず、お手元の資料の一枚目を見ていただきたいと思います。

 これは、厚生労働省のある優秀な官僚の方がつくられて、私はよくできていると思うんですが、七十四歳以下と七十五歳以上で、今後、この政策のままでいった場合に、一体我が国はどんな患者さんがどんなふうに発生していかれるだろうかという予測図であります。右側に七十五歳以上でございますが、二〇〇五年段階で二十万弱の脳血管障害の患者さんは、二〇二五年、中ほどに行けば、二倍、四十万から五十万になる。これは、ちなみに、今の政策以上のものをもっと組み立てていかねばという前提つきですが。

 大臣もごらんになってわかるように、まず、一番政策のターゲットはこの脳血管障害。見ていただけば、もう私たちの世代はまさにここに当てはまります。ここをどうやって、例えば、治療介入からアフターケアからその方の本当の診療の場、治療の場までをどうプログラムしていくかというところが問われている。だからこそ、この十年を見直すべきだと私は冒頭申し上げました。

 そして、二枚目、おめくりください。

 ここには、では、これまで国が提供してきたさまざまなスキームはどんなものがあるか。先ほどの水田さんのお話で、一般病床から、九十日たったら、重い人はそこでちょっと除外はしてあげましょう、しかし、重いか軽いかの判断も全く示されずに、ある方は回復期リハに行ってください、またある方は障害者病床に行ってください、あるいは療養病床に行ってください、あるいは運よく在宅ができる方はしてくださいと。このほかにも特養や老健がありますが、それも足りていないのは大臣は御存じだと思います。

 しかし、今、このいずれもが目詰まり状態なんです。行くに行けないんです。例えば、回復期リハに行こうと思っても、回復期リハの評価が、その受け入れた患者さんをどれだけ在宅に帰せたかということで、非常に厳しい算定制限があります。障害者病床は、余りに高齢者が来るので、これを来るなと押し返しています。療養病床は、ここを削るというお話になっています。行き場がない人が現状で生まれているのではないか。

 大臣は、その御認識はおありですか。お願いします。

舛添国務大臣 これは、数だけ見ればそういうことはあると思います。

 ただ、少しこの実態をよく調査してみたいというのは、大まかに言うと、例えば、そのうちでいわゆる社会的入院的なものがどうなのか。

 それで、阿部委員がおっしゃったように、急性期でぴっしり治して回復期のリハをやる。急性期をだらだらだらだら何日間もやるというのには私は余り賛成じゃありません。それは、早くもとに戻して回復期をやればいい。

 ただ、では、例えば回復期リハから追い出されるというけれども、御自宅でやれる方がこの中にどれだけいるのか、ちょっとこれは実態もよく調べてみたいと思います。

阿部(知)委員 まさに大臣がおっしゃったとおりなんだと思うんです。

 私は、この十年の実態を出してほしいんですね。その実態に基づいて次の制度設計をしなければ、今、世上、ちまたですよ、病院からもう出される、行き場がない、重い患者さんが大変に悲鳴を上げているということです。

 大臣、次の三枚目をごらんください。

 これは、今おっしゃったとおりの、今後のみとりの場はどうなっちゃうんだろうか。このままでまいりますと、自宅は少々はふえてまいりましょうが、これは核家族化しておりますから、二〇三〇年度でもそうはふえることはかないません、看病も介護も必要なんですから。

 その次の介護施設も、今の倍あったとして、これは、ちなみに何のグラフかというと、二〇三〇年、年間亡くなられる方の数が百六十万として、どこで亡くなられるか、まさにみとりの問題です。大臣、医療機関が現状の九十万から減らないとしても、四十七万人が今のままでは行き場がないんですよ。

 私は、だから、今本当に政策化する必要がある。そして、その政策のターゲットはリハビリだと一つには思います。やはり改善できる人は改善してさしあげる、それは非常に重要です。

 しかし、先ほどの山井委員との質疑の中でびっくりしたんですけれども、本当に長寿医療センターは七十五歳以上の方のデータ統計をおとりにならないんでしょうか。包括医療になっていたらもうデータをとらないのかどうか、まず一点教えていただきたい。

 もう一点、大臣には、政策医療というのは疾患体系別で十九ですね、しかし、リハビリはどこに位置するのか。国の政策医療の中にリハビリをもっときちんと私は位置づけていただきたい。

 時間の関係でもう一つ。そうしたことを担っている厚生年金病院、各所にありますよ。私は、それを安易に民営化したり、今この段階でですよ、政策医療が何かも何も見えない中で、五里霧中の中で、せっかくの財産をほうり出すべきではないと思います。

 大臣には二つ。リハビリ医療の政策化、厚生年金病院。

 また、長寿医療センターについては、七十五以上の高齢者の集計は、データはどのように処理されるのか。お願いします。

外口政府参考人 まず最初に、リハビリテーションの政策的な位置づけでございますけれども、平成十八年の医療法改正において、都道府県が医療計画において医療連携体制を構築すべき四つの疾病の一つとして脳卒中をまず位置づけております。

 昨年七月に厚生労働省が示した医療計画策定のガイドラインにおいて、脳卒中について、急性期の治療から回復期のリハビリテーションを経て生活の場に復帰するまで、切れ目のない医療を提供することが必要として、リハビリテーションを担う医療機関の役割や重要性について明記をしております。こういった形でリハビリテーション、特に脳血管疾患にかかわるリハビリテーションを位置づけているところでございます。

 長寿医療センターの七十五歳前後に特化した研究について……(阿部(知)委員「前後じゃなくて、後です」と呼ぶ)済みません。特定の研究についてまだ詳細承知しておりませんので、よく調べてまた報告させていただきます。

舛添国務大臣 リハビリの重要性ということは政策医療的にもきちんと位置づけたいと思っています。

 それから、厚生年金病院、そのほかの社会保険病院についても、地域の医療が損なわれることのないようにそれは合理化する、これはもうきちんと押さえたいと思います。

 それからもう一点、先ほどのみとりの場なんですけれども、我々はどうしても、自宅かないしは病院か、こういうことになってしまいますけれども、例えば、外国だとナーシングホームのようなところでみとりの場がある、ホスピスというのもあります。だからこそ、終末期医療についてきちんと議論をすべきなんです。

 ところが、不幸なことに、終末と言ったら、私をうば捨てにするのかとか、それから、遺言と言っただけでそれは感情を害されるかもしれません。ですけれども、私は、この問題についてはやはり広く国民的な議論をやるべき時期に来ている、そのことだけは申し上げておきたいと思います。

阿部(知)委員 リハビリもきちんと政策医療ネットワークに位置づけて、チャートしてみてほしいんですね。そうすると、大臣、どこに何が欠けてはいけないか、出てまいりますので。

 質問を終わります。

茂木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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