衆議院

メインへスキップ



第2号 平成20年11月12日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十年十一月十二日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 田村 憲久君

   理事 上川 陽子君 理事 鴨下 一郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 西川 京子君

   理事 三ッ林隆志君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 桝屋 敬悟君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      遠藤 宣彦君    大野 松茂君

      金子善次郎君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      とかしきなおみ君   戸井田とおる君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    福岡 資麿君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    寺田  学君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      三井 辨雄君    柚木 道義君

      笠  浩史君    福島  豊君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 間杉  純君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  三井 辨雄君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  笠  浩史君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     三井 辨雄君

    ―――――――――――――

十一月十一日

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田村委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官河野正道君、厚生労働省医政局長外口崇君、健康局長上田博三君、医薬食品局長高井康行君、労働基準局長金子順一君、職業安定局長太田俊明君、雇用均等・児童家庭局長村木厚子君、社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之君、老健局長宮島俊彦君、保険局長水田邦雄君、政策統括官間杉純君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川京子君。

西川(京)委員 おはようございます。自由民主党の西川京子でございます。

 質問の機会をいただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 舛添大臣、厚生労働行政、本当に多難な、次々と大きな問題を抱えた中で、大変お疲れでございますけれども、ぜひこのまましっかりと支えて頑張っていただきたいと思います。

 私も、昨年の八月末から、舛添大臣のもとで厚生労働の副大臣を一年間務めさせていただきました。就任直後からさまざまな大きな問題が発生いたしまして、本当に厳しい一年だったなというのが正直なところでございます。

 厚生労働行政というのは、本当に国民の皆様の毎日の生活に直結する分野、それもあらゆる分野を含んでいるという、予算にして二十兆以上の、二十四兆近い予算を持っている大変大きな省庁でございますのでそれは当然のことなのですが、その中で、一年間を振り返りまして、やはり分けますと三つの分野における大きな問題が出てきたなという思いがあります。

 私が就任させていただいて、最初に大臣から座長となってしっかり頑張れと命令を受けましたのが、例のC型肝炎の問題でございました。この一年間、このC型肝炎の問題もそうですが、後ほどお伺いします長寿医療の問題もそうです、年金の問題もややそういうものも含んでいるかもしれませんが、本来議論されるべきいわばきちんとした理念的な問題の議論よりも、やはり、情というんでしょうか人間の感情論、こちらの方に流され続けた一年だったなというのが、正直申し上げてそういう思いがあります。

 やはり政府としてしっかりとした説明責任を果たして、本来の制度そのもの、今回のいろいろなトラブルの問題、しっかりした説明を国民の皆様にわかっていただいた上での議論というのが本来は必要なことだと思いますが、まず最初に、報道のかなり先行した部分があるかもしれませんが、許せないというような感情論がやや先走り過ぎたような感じを正直言うと持っています。

 その中で、実は、C型肝炎の問題も、多分委員会での大臣答弁がそのきっかけだったのではないのかなと思うんですが、四百十八名の命のリストという、その辺から問題が大きくなっていったという認識を持っておりますけれども、本来、C型肝炎で苦しんでいらっしゃる皆様の問題解決とこの四百十八名のリストとは、ちょっと違う話だったような気がいたします。

 私は、十四年、十六年のC型肝炎の過去の厚生労働行政を振り返ってしっかり検証しろという御命令を大臣からいただいて、このチームをつくって、あらゆる立場の方から御意見をちょうだいしました。そしてまとめを提言もさせていただきました。

 その中で、やはりこの四百十八名のリストというのは、いわば副作用報告。そういう中で、決して個人名を言う話ではない、いわばいろいろな治験の検査結果、患者の実名やイニシャルや住所など個人情報を入れるものではもちろん当然ないわけでして、そういう中で、そのリストがきちんと管理、維持されていたら問題はなかったんですが、そのときに、過去、十四年、十二年のときに、この問題に関しての大きなチームができまして、民間の方ももちろんみんな入っていました。もちろん報道関係の代表の方も入った中でのこの委員会の、結果としての厚生労働行政のそのときの行動がありました。広く一般の新聞紙に八千医療機関すべても公表しましたし、もちろんこのリストの存在を公表もしております。

 そういう中で、そのときに、この問題に関して、肝炎対策というのはやはり個人に一人一人周知する問題ではない、それで、まして周知するのはお医者様の役目であるのが当然でしょう。そういう中での厚生労働行政としては、当時、そこまでが限界ではなかったのかなという見解をやはり持たざるを得なかったわけですね。当時は、あらゆる人たちの意見を聞いた結果としてそういう行政をしました。しかし、この間、去年の段階ではそれがすべておかしかったという話になった。

 そして、実は、肝炎で苦しんでいらっしゃる患者さんの御意見も、原告団の方々の御意見も全部ちょうだいしました。その中で、本当に、この問題リストそのものは実は皆さん知っていたという現実が追跡調査でわかっております。ですから、そういうことに関してはもう少し、マスコミ報道にしても、冷静にきちんとした検証をした上での報道というのはやはり必要だと思います。

 そのことをあえて申し上げまして、今回、この問題について一言御意見をちょうだいしたいと思いますが、その結果として私が一番重く受けとめたのは、原告団の一人の方が、フィブリノゲンで感染したということがもっと早くわかっていたら私の人生は変わっていたかもしれない、この一言はやはり私も大変重く受けとめました。ですから、厚生労働行政が、行政上はそこの部分は、肝炎対策としてはやるべきことはきちんとやったということは事実なんですが、あえてそういう患者さんの思い、そういうものを常に受けとめた中での厚生労働行政はどうあるべきか、そのことを一番問われていたんだ、そういうふうに思っております。

 そのときに私が提言申し上げたのは、では、そういう患者さんの思いということをしっかり受けとめた中でのこの肝炎対策、そして医薬行政、いわばこの治験の結果などを日本の戦略上も早く出していかなきゃいけない中で、そういういろいろな個人の医薬事故に対する思い、その辺の整合性をどうとったらいいのか、これが最大の課題だと思いますけれども、そのことに関して提言を、私は、広く一般の方にそういう第三者委員会のようなものをつくって検討してくださいということを申し上げました。

 そのことについてのその後の御報告をぜひお願いしたいと思いますので、よかったら大臣、ずっと出ていらっしゃるとお聞きしていますので、お願いいたします。

舛添国務大臣 まず初めに、西川委員、フィブリノゲン資料問題の調査プロジェクトチームの長をお務めいただいて大変御苦労をいただき、今おっしゃったような報告書をいただきました。

 それを受けまして、ことしの五月に、薬害肝炎の原告団からもお二人入っていただく、それからサリドマイドの被害者の代表にも入っていただくような形で、医療関係者、有識者から成ります委員会を設置いたしました。そして、七月には中間取りまとめを緊急対策でいたしました上で、十月以後、きちんと事件の検証をして再発防止をどうするか、今おっしゃった告知の問題についても議論しています。

 実は、昨日の午後もこれが開かれました。私も出席し、直接皆さん方と議論を重ねておりますので、全くタブーを設けず、忌憚のない意見を出してもらって、どうすればこういう事件が二度と起こらないか、こういうことで今鋭意努力をしているところでございます。

西川(京)委員 ありがとうございます。私も、ぜひこの経過その後はしっかりと見守ってまいりたいと思います。

 その中で、この肝炎の問題は、結果的には、舛添大臣も大変御苦労されて御尽力いただいたと思いますけれども、総理の一つの大きな政治的判断で全員救済という和解が決着したわけでございます。大変苦しんでいらっしゃる方々を考えたら、この結果は本当によかったな、その一語に尽きるわけでございますけれども、それに至る経緯、検証の仕方、その辺に関しては、余りに感情に走るような、そういう問題の検証の仕方というのはやはり慎むべきだろう。もう少し冷静に、しっかりとした、きちんとした議論、それが上での問題解決というのが、これからの特に厚生労働行政、そういう毎日の、非常にお一人お一人の国民の感情と問題とのせめぎ合いの中でその辺のところをきちんとしていくという大変厳しい道筋と思いますけれども、その辺のところをしっかり頑張っていただきたい、そういう思いでおります。

 その次に続きまして、この一年通してずっと問題として、責任のある立場として大きくのしかかってまいりましたのが、年金問題でございます。

 もちろん、今まさにそのまだ最中でございますけれども、この年金問題に関して、いわば政権与党が、そして政府が、公約違反ではないかと随分責められたわけでございます。

 そのときに政府は、もちろん三月末までに五千万件の記録とコンピューターの記録の名寄せを終了するよということだったんですが、これが党の広報のビラとかその他の整合性がとれないということで非常に責められた経緯はありますが、これは、総理自身も、しっかりと最後の一人、最後の一円まで確実にやるということを、そういう意気込みで大臣も取り組みたい、そういうことをしっかりおっしゃっているわけで、これ自体、決して公約違反ではなかった、私はそう思っておりますけれども、大変厳しい、着実に一歩一歩しっかりとやっていくしかない問題でございますので、今後の御奮闘を期待したいと思います。

 その中で指摘しておきたいのは、この日本の年金制度そのものの信用をなくすということ以上に問題なのは、やはりその現場で働いていらっしゃる方々、その人たちの意識に非常に問題があったということ、このことをしっかりと私たちは指摘しておきたいし、そういう中で、社会保険庁の中の、いわば働かないということを旨とするような労働組合の方々の意識というのが最大の大きな問題だったように私には思えます。

 そういう中で、やみ専従の問題その他、大臣も大きな取り組みをしっかりしていらっしゃいますが、この問題に関して大臣の御見解をちょうだいしたいと思います。

舛添国務大臣 これまで、社会保険庁のいわゆる積年の病弊と言われるものがたくさんございます。その中で、今委員が御指摘になった職員のモラルの問題、働き方の問題、そういう中で、やみ専従の問題を御指摘になりましたけれども、私のもとに服務違反調査委員会を設置して調査をしました結果、新たに四人の無許可専従が判明しまして、既に判明していた者と合わせて三十四名という事実が明らかになりました。これは極めて申しわけないというふうに思っております。

 国民の負託にきちんと公務員としてこたえないといけない、しかも、公的年金制度の運営に対して国民の信頼を裏切った、そういうことでありますので、これらの行為者及びその関係者に対して、法と証拠に基づいて厳正なる対応をしてまいりたいと思っております。また、新たに生まれ変わります日本年金機構の基本計画においては、懲戒処分を受けた者は採用しないという方針で臨みたいと思っています。

 いずれにしましても、きちんとやはり国民の信頼をかち得るような職員から成る新しい体制をつくらなければ、政府に対する信頼、国に対する信頼、これまでが損なわれることになると思いますので、二〇一〇年一月の新機構の発足に向けて、今全力を挙げてそういう方向で努力をしている次第でございます。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 本当にこの問題は、やはり新しく日本年金機構としてスタートする上でも、働く人たちの意識改革は徹底してやっていただかないと、またもとのもくあみになるわけでございますから、ぜひリーダーシップを持って頑張っていただきたいと思います。

 それからもう一つ、この問題はなぜここまで感情論としてなってしまったのかなというものの一つが長寿医療の問題でございますけれども、私もこれは正直申し上げて、現場にいて、三月まで年金、年金、年金と、厚生労働省はいわば年金一色でずっと来たようなところがあるんですね。そして、三月三十一日までが期限だよという中で、公約を果たさなきゃいけないという中で、四月から長寿医療がスタートする。この中で、四月になって一気にこの問題が噴き出してきたわけですね。

 これは、野党の方々も多分、その間、法律が成立してから二年間あったわけですが、ほとんど一度も、長寿医療に関しての御質問はそんなになかったと思いますし、もちろん、それに対して市町村、各現場での対応、二年間あったにもかかわらず、きちんとした現場での対応がやや不足していた。そして、マスメディアも余りこの問題を取り扱っていないんですね。ということは、やはり年金対応ということに、厚生労働省はもちろんですが、メディアも、あるいはいろいろ国会の人間たちもすべてがそっちに行っていた中で、四月から新たにスタート。

 そして、多分一番の問題が後期高齢者というネーミングの問題で、これはやはり一つの感情論として……(発言する者あり)いや、制度自体の根本制度は間違っていないと私は思いますから。その中で、このネーミングの問題がかなり感情論として先行したと思うんですね。

 これはやはり、現場でこの制度を十年かけてあらゆる立場の人たちが議論していた中で、その年齢ではない方々がやっていたという一つのあれもあると思いますが、本当にその立場になった人たちの思いという、その辺に対する配慮が足りなかった。この辺は与党も大いに反省しなければいけない、そういう思いで改めて御質問させていただきます。

 今回、この問題は、後期高齢者の問題に関してやはりマスメディアも、実は四月一日にあるテレビ局の人が、保険料が全部上がりますとはっきり明言しているんですね。それは、恐らくマスメディアの人たちも、高齢者の方々が現実に今までも一割負担していたという現実をよくわかっていらっしゃらなかった、あるいは東京都のだけを取材した結果でああいうのが先行してばあんと出てしまった。結局、六月には、調査した結果としては六九%の人たちが下がったという現実があったわけですね。

 そういう中での、やはりある意味では感情論による先行の話がどんどん広がり過ぎたという中で、本来の制度そのものの説明がなかなか国民の皆様にわかっていただけなかったという嫌い、このことは非常に私自身も反省点として、厚生労働省としても反省しなければいけない。そして、各市町村、県、広域事務組合、それぞれの人たちの責任が非常にあいまいだったような気がいたします。

 その辺のところをしっかりとやはりチェックしていく中で、今回、舛添厚生労働大臣が大幅な見直しということを掲げられました。いろいろ中央公論その他にも書かれていらっしゃる御意見もちょうだいしていますが、その辺のところを、そういう議論を踏まえた中で、根本的なこの制度そのものは、私は骨格のところは決して間違っていないと思いますが、そういうさまざまな要因の中で随分の御批判をいただいた中で、今の大臣の今後の取り組み、一年間、皆様のいろいろな御意見をちょうだいして見直しを図るということをおっしゃっていますので、そこのお話をちょっと聞かせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 私は、この後期高齢者医療制度、いわゆる長寿医療制度の実施責任者でありますので、利点についてはきちんと説明をこの国会、さまざまな場で申し上げ、そして、よりよいものにということで努力をしてまいりました。しかしながら、現場の責任者として国民の皆さんと接していますと、やはりいろいろな意味で御高齢の方々の心情にそぐわない面があったのではないか、これは謙虚に反省しなければいけない。

 そういう中で、最も大きな二つの点は、七十五歳という年齢で区別をするということでございました。それからもう一つは、年金記録問題がまだ残念ながら全面解決に至っていない中で、天引き、特別徴収という保険料の取り方の問題。この二つで非常に心情にそぐわない。では、そういうことであれば、どういう形で変えるべきか。それからもう一つは、当然、世代間の費用負担。国民の間でどういう費用負担をするのであろうかという議論もあるだろうというふうに思います。

 したがいまして、非常に今回の後期高齢者の医療制度でプラスになった点もたくさんございます。しかしながら、今言った点を踏まえて、さまざまな御意見をちょうだいして、一年を目途に見直し案を考えてみたい。それで現実に、そのための、私のもとに検討会を設けて今精力的にやっております。各委員の先生方がこういうようなのはどうだということで、私にも、大臣はどういう考えを持っているかということで、一つの私案として出させていただいて、後期高齢者と国民保険のある意味で一本化、県を単位にしてやる形を提示させていただいておりますので、例えばこれも一つの可能性としてみんなで議論をし、そしてよりよいものにというふうに思っています。

 もう一つの点を申し上げますと、終末期医療の相談料がございます。これは非常にいい意図から導入していますけれども、終末期というのは何となくやはり、ターミナルケアという横文字よりも終末期とよく使う、そうすると、七十五歳以下と切り離したことと相まって、非常に不評でございました。

 しかし、私は、終末期の医療というのは国民全体で考えるべきであって、まず七十五歳から入れたというところでやはり先ほど言ったような問題が起こったんじゃないかと。それで、今凍結をしまして、次にこれを入れるときは、例えば末期がんの方が四十歳で終末期であることもあるわけですね。ですから、国民大に広げるためにあえて、むしろ凍結をしたということでありまして、そういう精神で、さらによりよいものに皆さんのお知恵を拝借してつくり上げていきたいと思っております。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 特に最後の終末期の問題、大臣から大変本質をついたお答えをいただけたと思います。

 人間の尊厳ある死、そのことに初めて一番正面から向き合ったのが今回のこの案だと思うんですね。ですから、確かに、人生の後半を迎えている方々には、その問題が非常に身近な問題としてやや冷たく映ったということがあると思いますが、この問題は医療制度を考える上で欠かせない話ですので、ぜひ根本的な議論をこれからもしていただいて、いい制度にしていただきたいと思います。

 そして、続きましてもう一つ医療の問題で、非常に今国民の皆様に不安や不信を招いているのがやはり救急医療の問題と医師不足の問題。この問題、本当に、結果として、いろいろな要因が考えられるわけですが、研修制度が変わった問題とか、いわゆるお医者様になる若い人たちの意識の変化といういろいろな問題もあるでしょう。そういう、非常に国民の皆様の要求も多様になっている、いろいろな問題がある中で、やはり医師不足の問題と救急医療、そして周産期の問題、もうこれは全部一緒になった話でございますので、この問題の解決というのが大きな課題であるわけです。

 その中で、大臣が、一つの英断と思いますが、閣議決定を覆して、医師の増員ということで大学の定員をふやされました。このこと自体は、いろいろな、医師不足といっても格差があるわけで、地方での格差の是正だけではなかなか済まない問題、やはり基本的に足りないだろうという、これは正しい、間違っていないと思うんですね。ただ、永久にこれが続くとまた問題になるわけで、ある程度の期間を区切ってという話になるかと思いますが、これは御英断だったと私も思います。

 その中で、ただこれは、やはり一人前のお医者様になっていただくには十年ぐらいかかるわけですから、すぐ、今の状況に対応するにはなかなかいかない。そういう中で、短期的に今の医師不足を、いろいろな格差の是正、このことに関して、ぜひ厚生労働省としては、いろいろな考え、そして現場との意見調整をした中でいい考えを出していただきたいんですが、私自身が感じたのは、女性医師の問題というのは大きいと思うんですね。特に周産期の場合は、若いお医者様が七割ぐらい女性でいらっしゃる、受かってこられる方が。その方々が大概、結婚あるいは子育てのときに現場を離れて、今、いわば現場で働かなくなっている方が非常に多いという。この方々に早急に復帰していただくというのが一番早い話なんです。

 ただ、要するに、短時間正規雇用制とかいろいろなアイデアがおありになるんだろうと思うんですが、その中で、現場の産科の先生方から随分私もお話を聞かせていただきましたが、やはり一度離れてしまうと、産科というリスクの高い科にはなかなか戻らないよ、ちょっと研修したぐらいでは戻らないよと、大変厳しい御意見が多かったです。その中で、私は、一番やはり手っ取り早いのは、今いる人をとにかくやめさせないことだ、これは男女限らずですね。そしてそれには、この過酷な状況の中で、日本という国の少子化対策という大きな目的がある中で、やはり産科の人たちや小児科の人たちには診療報酬をよそよりずっと多くする、それが一番手っ取り早いよ、こういうお話も伺いました。

 この問題、今の私の意見に対するお答えも含めて、ぜひ、短期の医師不足対策、救急医療対策、周産期も含めて、このことをそれぞれお二人の局長さんからお聞きしたいと思います。

外口政府参考人 現在、全国的に、産科、小児科などの診療科については医師不足問題が深刻となっており、地域に必要な医師を確保していくことは喫緊の課題であります。この医師不足の背景には、御指摘のように、複合的な要因が関係しております。短期的、中期的、長期的、そして偏在の問題等を含めて、きめ細かく対応していく必要があると考えております。

 この対応といたしましては、安心と希望の医療確保ビジョンや骨太の方針二〇〇八、五つの安心プラン、また本年四月の診療報酬改定等さまざまな仕組みを通じて、具体的には、産科医の手当に対する財政的支援でありますとか、短時間正規雇用や交代制勤務等の導入を図る病院に対する財政支援、あるいは院内保育所の整備、また産科医療補償制度の創設など、こういった医療リスクに対する支援体制の整備も含め、二十一年度概算要求において実効性のある対策を実施できるよう予算要求を行っているところであります。

 また、このたびの補正予算でも、医師不足が深刻な地域への医師派遣や、勤務医の労働環境の改善等を支援する事業について計上したところであります。

 引き続き、産科、小児科を含めた医師の確保に向け、さまざまな施策を組み合わせながらきめ細かく対応してまいりたいと考えております。

水田政府参考人 お答えいたします。

 医師の確保、とりわけ産科や小児科におきます救急医療体制の確保は重要な課題であると認識しております。このために、平成二十年度の診療報酬改定におきましてさまざまな措置を講じているところでございます。

 具体的には、産科、小児科を初めとする病院勤務医の負担軽減を図るために、医師の事務作業を補助する職員の配置等を行った病院に対する評価を新設したことがございます。そのほか、リスクの高い妊娠の管理に対する評価の新設、あるいは救急搬送された妊婦を受け入れた場合の評価の新設、さらに、高度な小児医療を提供する医療機関の評価の引き上げなどを行ったところでございます。

 今後も、関係者の御意見を伺いながら、産科、小児科におきます救急医療が確保できるように適切に対応してまいりたいと考えております。

西川(京)委員 今のそれは私も承知していることでございまして、いわばアピールする、特別にその分野に大幅な診療報酬アップ、それをぜひ検討していただきたいということをあえて申し上げておきたいと思います。

 それと、最後にもう一つ。今回、児童福祉法の改正も上程されますけれども、その中で、やはりちょっと保育の問題を一言だけお願い申し上げたいと思います。

 いわば今いろいろな、もちろん保育所が足りないという現実もたくさんあるのは現実でございます。しかし、地方の方ではもうほとんど余っているという現実があります。その中での認定こども園の話とかいろいろな話が出ているわけですが、その中で、面積基準を変えるとか、ある意味では認定しやすくするためのそういう話なんだろうと思いますが、実は、やはり私はそこにいる子供中心に考えなきゃいけないと思うんですね。少なくとも、環境が悪くなるような方向の基準改正というのはあり得ないと思いますね。これだけ豊かになってきて、基準を改正するのなら、より広く、いい環境のための改正であってしかるべきでありますから、その辺のところをちょっと一言お願いしたい。

 それともう一つ。保育園で今一番問題になっているのは、ある意味では、非常識な親。戦後、私たちの世代が育てた若い親たち、親としての自覚にやや欠けている親たち、この問題が子供たちの問題以上に、子供に影響を与える親の問題というのが今さまざまなところでいろいろな物議を醸しているわけですね。

 この親育てという問題に関して、実はそういう人たちは、いろいろな研修や、学校でPTAやあるいはいろいろなところでやっても、ほとんど出てこない。こういう出てこない親たちをどうするか。唯一の接点の場が保育園なわけですね。ですから、この保育園の場で親育ても一緒に、お子様たちを預かるプラス親育ての場でもありたい、その辺の思いをぜひ込めたいと思うんですが、その中で、埼玉県で今、上田知事のもとで実施されています一日保育士体験、これは……

田村委員長 西川君、申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

西川(京)委員 はい。

 これは、最初にもう義務的に、親にとにかく参観でなくて保育士を一日やっていただく。これがかなり現場との、保育士の方も、ああ、あの親でもと変わる、そういう非常にいい効果を出しているんですね。

 この問題についての御意見、ぜひ全国にこれを広げてほしいと思いますので、よろしくお願いします。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所制度についてはさまざまな意見が寄せられております。現在、社会保障審議会少子化対策特別部会におきまして、保育所のあり方を含む次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた議論を精力的に行っております。先生おっしゃられるように、子供の健やかな成長ということを基本に置いた議論をしっかりしていきたいというふうに考えております。

 それから、一日保育士体験でございますが、非常におもしろい実践だというふうに、私どもも勉強させていただきまして思っております。

 親の養育力の向上ということについては、私どもも非常に重要な課題ということで、今回改正をされました保育所保育指針におきましても、新たに、「保護者の養育力の向上に資するよう、適切に支援する」という項目を一つ入れたところでございます。この指針の研修の中で、一つの取り組みの例として、先ほど御紹介のありました一日保育士体験などもテキストに記述をしまして周知をしているところでございます。

 いずれにしましても、各地域で親の養育力の向上に向けた取り組みがしっかり行われるように、私どもも努力をしていきたいというふうに考えております。

西川(京)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

田村委員長 次に、井澤京子君。

井澤委員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。

 先ほど西川委員より、この厚生労働行政というのは幅広い分野でさまざまな課題が山積みになっているというようなお話がございました。きょうは私、限られた三十分という時間でございますので、特に医療の分野について、そして、人間は生まれてから亡くなるまで、本当に多くの広域な厚生労働行政、そして毎日の生活の中でも一番密接なものが厚生労働行政ではないかと思っております。きょうはその中でも医療の分野、生まれて、そして病にかかるということに重点を置きながら質問させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、やはり触れなければならないのが、先日起きました妊婦の死亡事例に関連してでございます。

 先月の十月、妊娠中に脳出血を起こした女性が八つの病院に搬入を断られて、胎児は生まれたものの、その三日後にそのお母さんである女性は亡くなるという大変痛ましい事件が起きました。最終的に搬送された墨東病院は、リスクの高い妊婦に対する総合周産期母子医療センターに指定され、また一般救急、ERも併設されていたにもかかわらず、一度断られ、そして多くの大学病院からも断られ、またそこで受け入れられる、子供は生まれたけれどもお母さんが亡くなるという本当に悲しい事件が起きました。

 振り返れば、昨年も奈良で、また昨年の十二月には大阪でもお年寄りにそのようなことが起き、この九月にも東京で妊婦が受け入れを拒否されたという事実が報道等で明らかになっております。これまでの教訓が本当に生かされず、このようなことはもう二度と起こしてはならないということ、早急に対応を行わなければならないと思います。

 今回の事例を含めまして、どういうことが現場で起きてしまったのか、いろいろと関係者などからもお伺いしましたけれども、妊婦の容体が変化したときに、それは産科医なのかあるいは救急医での連携が必要なのか、そこのあたりがまだ明確さがないのか。あるいは、症状、病状をどのような形で受けとめて分析をして認識をするのか、そういう病状認識の違いがあったのではないか。また、搬送先をすぐに検索する、この現代の情報化時代の中に、搬送先がなかなかすぐ検索できないシステムの問題なのか。ハード的には、産科医やベッド数が足りないからなのか。あるいは、病院勤務医の過剰労働の問題が根っこにやはりあるのか。医療リスクの問題等、数えたら、今現場で起きているたくさんの問題が重なり合っているのではないかと思います。

 先日、遺族の御主人が記者会見でこんなことをおっしゃっています。妻が死をもって浮き彫りにしてくれた問題を無駄にしないでほしい、当直医には産科医としての人生を全うしてほしい、産科医がこれで減ってしまうようなことはなくしてほしい、そして最後に、この問題をきっかけに都や国などが力を合わせてこの問題を改善してほしいという、本当に胸に詰まる、御家族がその救急車の中でどんな思いの中、奥様のことをごらんになっていたのか、その心情を察すると、今すぐにしなければならないことがたくさんあり、そしてできるのではないかと思っております。

 先ほど西川委員からも、女性医師についてお話がありました。また、先ほどもお話がありましたように、多くの若い二十代の女性医師、七割が産科医としてスタートをしたいという思い、志を持っています。しかし、現状を見ると、女性医師は少なく、また、自分が子供を産めばまた職場復帰も難しくなるというような現状です。私も女性の視点として、ぜひこの問題は大臣にお伺いをしたいと思っております。中でも女性について、先ほども短時間労働、保育園の設置の問題などがありましたけれども、女性医師の復職というのがまず必要なのではないか、そういうようなきっかけをつくるような支援が早急に急がれるのではないかと思っております。

 そこで、舛添大臣にお伺いいたします。

 今回、妊産婦の事例の墨東病院を視察されたと伺っております。その視察現場に行かれた御感想とともに、平成二十年度の補正予算の中で今回取り組まれます女性医師対策や医療体制の整備も含めましてお伺いするとともに、平成二十一年度の概算要求、では実際その予算がどのように実現、具体化されていくのかも含めてお教えください。よろしくお願いいたします。

舛添国務大臣 今回、東京都において大変痛ましい事案が生じました。私は、大臣就任以来、特に産科、小児科の問題を集中的に努力してまいった中でまたこういうことが起こったということで、大変事態を重く見まして、すぐに現場に飛びました。江戸川の医師会の皆さん、これは六月にも実はお会いしていたんですけれども、そのときは一次、二次の救急までで、三次のところまでは話ができていないときにこういうことが起こりました。

 それで、墨東病院は、産科の先生にも、また救急の先生にも具体的に状況をお伺いいたしました。実際にNICU、新生児の集中管理ユニットも見ましたけれども、例えば、十五ユニットあるんですけれども十二しか稼働していません。なぜか。看護師が足りない。だから、お医者さんだけではなくて、今休眠状態にある看護師の皆さん方にも復職していただく手だてをとりたいと思っていまして、これは早急に看護協会とも協力して実態調査をして、医師のみならず、いわゆる医療提供の側の方々、そういう方も何とか現場に復帰していただきたいというふうに思っています。

 そして、お尋ねの女性医師の問題ですけれども、例えば墨東病院は院内保育所があります。非常に女性の医師にとっては評判のいいところでありますけれども、こういう院内の保育所を含めて、二十年度の補正予算で、院内保育所を設置する病院への助成、それから、いわゆる短時間正規雇用を導入する病院への助成、それから、メディカルクラークというのを今度入れましたけれども、それを配置するような助成。つまり、お医者さんがお医者さんの本来の仕事ができて、事務作業はそういう方にやっていただく。こういういろいろな病院を私は見ていますけれども、そういう方がおられるときは、非常にお医者さんが本来の仕事ができる。

 それから、今、救急医と産科医の連携の問題が出てまいりました。その両方のお医者さんを集めて緊急に私のもとに今検討会を設けて、精力的に議論をし、十二月を目途に提案をまとめていただきたいという形でやっております。それから、先般、どこにどれぐらい空きベッドがあってお医者さんが何人いるかというようなことについて二階経済産業大臣と話をしまして、IT技術を活用してそういう制度の整備を行いたいということで、これは直ちにスタートしたところでございます。

 そういうさまざまな施策を講じながら、二度とこういう件が起こらないように努力をしてまいりたいというふうに思っています。

 そして、先ほど、二十年度補正予算についての項目は、これは二十一年度の概算要求を前倒しして計上したものでございますので、今後とも予算的にも努力をしてまいりたいと思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 次に、難病対策についてお伺いいたします。

 私のもとには、ことしに入りましても、さまざまな原因不明の病気の方々やいわゆる難病と言われる方々、そしてその御家族、御本人からも多くの要望や意見が届いております。その中でも、現在は特定疾患に指定されていないので、早く指定して治療の研究や治療費助成を行ってほしいというものがやはり多くあります。例えば、死に至る病ではないものの、人口の約一・七%、約二百万人の患者さんがおられる線維筋痛症という病気や、先日も、私の地元京都府の宇治市にお住まいの、遠位型ミオパチーと闘っておられる中岡亜希さんという三十代の女性に直接お会いしてお話を伺いました。

 この遠位型ミオパチーとは、百万人に二人か三人、日本では現在三百人から四百人の患者さんがおられると推定される希少の進行性筋疾患であります。体の中心、心臓から離れた部位で足先や指先から筋力が低下をして、二十代や三十代で発症すると十年前後で歩行が困難となり、さらに日常生活の動作にも影響を及ぼし、やがて寝たきりになる可能性もあるというような難病です。

 確かに、患者数の少ない病気に対して研究対象にするというわけにはいかないのが現状だと思いますが、現在、調査研究対象である難治性疾患克服研究事業が百二十三疾患、これが医療費の公費負担助成対象となるほかにも、特定疾患治療研究事業が四十五疾患あると伺っております。まだまだ十分な難病対策ではないのが現状ではないかと思っております。

 舛添大臣は、私が先ほど紹介しました中岡亜希さんにこの八月に直接お会いになったと伺っております。今回の所信表明の中でも、難病研究の大幅な拡充など難病対策の一層の推進を図っていきたいというお話がありました。国としても、まずは難病の調査研究はよりさらに進めていくべきではないかと思います。大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 今お話があった中岡さんにもお会いしましたし、いろいろな難病で苦しまれている方々にお会いして、何とかこれは研究し、治療法を開発して一日も早く治してあげたい、そういう思いで取り組んでおります。

 御承知のように、難病の克服研究事業、これは、患者の数が少ないとか原因が不明であるとか治療法が未確立であるとか長期にわたる生活への支障、これを満たすものをその条件にしてありますけれども、今約二十五億しか予算がついておりません。私は、これを来年の概算要求で百億円という要求をしております。そして、それを検討する総合的な科学技術の会議にも私はみずから出まして、いかにこれが必要なのかということを力説しております。

 そういう中で、これからの予算編成過程において、さらに努力をして、難病の研究事業四倍増ということでやりたいと思っていますので、井澤先生初め委員の皆さん方のまた御支援を賜りたいと思います。私も全力を挙げて、この難病研究、難病対策の一層の拡充に努力をしたいと思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 次に、がん対策推進基本計画についてお伺いいたします。がん対策の推進基本計画策定から一年以上が経過いたしました。その現状について、御報告を兼ねてお伺いしたいと思っております。

 平成十九年四月に施行されたがん対策基本法に基づいて、その二カ月後、六月にがん対策推進基本計画が策定をされたと伺っております。私から申し上げるまでもなく、日本人にとって死因の第一位はがんであり、年間三十万人以上がお亡くなりになっております。また、国立がんセンターの推計では、生涯でがんになる可能性は、男性の中では二人に一人、女性も三人に一人かかるという可能性がある、身近に存在する大きな病気でございます。

 私も、実は二十年前に母を国立がんセンターで亡くしておりました。その当時、がんセンターでは、診察を当日受けるために朝六時前からその診察の順番を待つ、番号を待つ、それをとるために六時前から診療の受付で待つ、私もその一人であったのですが、そのときのがんセンターの状況を見まして、私も、この医療の問題、何かの形で将来取り組まなければならないなという思いがそのときからございました。当時も大変お世話になった先生が今も現役でいろいろな形で研究をされていらっしゃいます。それだけに、私もがん対策の推進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 この基本計画の策定に当たりましては、がん対策推進協議会が設置され、その委員には四人の患者の方々も入り、患者の立場からの意見を反映しているということは、今までにない非常に重要なポイントではないかと思います。

 この基本計画では、平成十九年度からの五年間、平成二十三年度までを対象にして、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策を実施し、特に、放射線療法や化学療法の推進、そして何といっても専門的に行う医師を養成していくことが必要である、また、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進など、以上三点を重点課題とされています。

 そこで、舛添大臣にお伺いいたします。

 基本計画決定から一年以上が経過いたしました。現在までの進捗状況と、特に、基本計画の趣旨にはこのように書かれております。がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会の実現のために目標を達成していきたいと書かれております。この点も含めまして、大臣のお考えをお聞かせください。

舛添国務大臣 委員御指摘のように、昨年六月にがん対策推進基本計画が閣議決定されました。毎年随時、がん対策推進協議会を開催いたしましてその時点までの進捗状況を確認しておりますが、本年七月四日に開催しましたがん対策推進本部におきまして、基本計画において各年度ごとに取り組むべき事項を取りまとめ、年度ごとの施策目標を明確にし、基本計画を着実に実施するとしたところでございます。なお、来年度末を目途に基本計画の中間報告を取りまとめることとしております。

 井澤委員、御家族の例も引用なさって、いかにがん対策は国民的な課題であるかということをおっしゃいました。これは、まさにみんなが、国民が総力を挙げて取り組まないといけない課題だと思っていますので、がん患者を含めた国民が、今おっしゃったように、がんをまず知る、そしてがんと向き合う、がんに負けることのない社会、このスローガンを実現するために全力を挙げてまいりたいと思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 引き続き、がん対策についてもう一問お伺いしたいと思っております。

 この基本計画の重点課題にも挙げておられますがん緩和医療についてです。

 終末期のみならず、がんの治療というのは、初期の段階から心身ともに緩和ケアをするという医療分野がもっと注目をされていいのではないかと思います。がん患者の多くは、がんと診断され、その疑いがあるという時点から、身体的にもまた心理的な苦痛も大変抱えており、御本人のみならず、その家族も大きなつらい思いをずっと抱えることになります。

 これまで我が国では、がん治療の初期の段階から、痛みや心のケアを受ける機会が非常に少ないというのが現状ではないでしょうか。英国やカナダなどの欧米先進諸国と比較しても、緩和ケアに対する取り組みはまだまだおくれていると聞いております。やはり、がん患者とその家族が可能な限り質の高い診療を受け、そして治療、療養生活を送れるようにするには、緩和ケアが治療の初期段階から全国どこでも安心して受けられるような体制が必要ではないかと思います。言いかえれば、病気の治療と痛みの軽減ががん治療の両輪になることだと思います。

 この緩和ケア推進に向けた厚生労働省の取り組みについてお伺いいたします。

上田政府参考人 がん対策推進基本計画におきましては、治療の初期段階からの緩和ケアの実施が重点的に取り組む課題の一つとして掲げられております。御指摘のとおり、がん患者、家族の方々が緩和ケアを治療の初期段階から全国どこでも受けられるようにすることが、患者の療養生活の質の向上のために重要であると認識しているところでございます。

 厚生労働省におきましては、緩和ケアが全国どこでもがん診療の早い時期から適切に提供されるよう、まず、がん診療に携わるすべての医師を対象とし、緩和ケアの基本的な知識の習得を目指す緩和ケア研修会の全国展開、さらに国立がんセンターにおける専門的な緩和ケアに関する研修について充実強化を行うとともに、がん診療連携拠点病院の指定要件を見直しまして、専門的な緩和ケアを提供する医療従事者を配置することや、外来設置などの義務化の対策を講じてきたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、がん対策推進基本計画に基づきこうした取り組みを進め、がん診療における緩和ケアの全国的な提供体制の充実に努めてまいる所存でございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 次に、少し話題をかえまして、社会保障カードについてお伺いいたします。平成二十三年度の実用化を目指す社会保障カードの導入についてです。

 昨年から、先ほど西川委員からも年金問題について指摘がありましたが、この問題について、未統合である記録五千万件の解明、統合、約八・五億件の紙台帳とコンピューター記録の突き合わせ、年金記録の改ざんの問題がまた新たに発覚したり、あるいは無年金問題など、まだまだ多くの課題が残されております。このような年金記録のずさんな管理体制を解決する一つの具体策として社会保障カードの導入が必要なのではないかと思っております。

 麻生総理のお話の中にも、国民の皆様の年金を正しくお支払いするために手間と暇を惜しまず徹底的にこの問題に取り組む、最後の一人まで解決に結びつくよう政府が全力を挙げてあらゆる手だてを講じていく必要があるとも、先日の所信表明でおっしゃっていらっしゃいました。

 現在は、年金は年金手帳で、医療は健康保険証、介護は介護保険証といった制度ごとに運営をされています。これらの情報を一体的に常時確認できる一枚のカードに集約をして国民全員に配付するというものが社会保障カードです。

 例えば、国民一人一人が、このカードが導入されれば、各自がこの制度、一つ一つの制度の保険料をこれまで幾ら納付をして、医療などの公的サービスをどれだけ今まで受けてきたのか、将来年金は幾ら受け取れるのかといった情報をいつでも確認を自分ができるというものです。みずからの情報や社会保障制度に関するさまざまな情報の可視化、透明化や双方向性という意味でも、国民の利便性が向上し、社会保障制度全般に対する信頼の向上につながるものと私も期待をしております。

 他方、これを導入するに当たって、制度の横断的な取り組みに対する不安の声、プライバシーの問題もあります。情報一元管理への抵抗の問題もあるかと思います。導入するに当たってさまざまな課題をどのように検討していかなければならないのか、いろいろ問題も提起しなければならないと思っております。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 今回の社会保障カードの導入に当たり期待される効果とプライバシー等の問題点も含めて、導入に当たっての検討の進め方についてお伺いいたします。

舛添国務大臣 これはもう平成二十三年度中を目途に導入したいと思っておりまして、昨年九月以来、有識者による検討会を開いておりまして、年度内を目途に基本計画の策定を目指しております。

 これが入りますと、年金だけじゃなくて医療、介護、社会保障全般について情報化の共通基盤ができるということでありまして、今委員がおっしゃったように、みずから情報を簡単に入手できる、それから非常に効率的で細やかなサービスも可能になる。ただ、やはりプライバシーの侵害やその他の問題もありますから、これは、さまざまな工夫を凝らしてその点の解消ができるように努力をしていきたいと思います。関係省庁とも協力しながら、この点を配慮しながら、さらにこの目標に向かって邁進してまいりたいと思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 最後の質問をさせていただきます。雇用政策についてお伺いいたします。

 今回、麻生内閣のもと、景気対策、景気についてが今取り組むべき一番大きな課題である、景気対策イコール雇用対策と言ってもいいのではないかと思っております。私から今のアメリカ発の世界金融不安についてお話しするまでもありませんが、これほどまでに世界の中での日本というものを考えることはなかったのではないかと思っております。

 アメリカ発のサブプライムローン問題や世界金融不安、全世界がいまだに落ちつかない、揺るがされ続けている。今後、年末に向けて、またいろいろな形で大企業を初め中小零細企業が大きな影響を受けざるを得ないのではないかと思っております。先日も大手自動車メーカーの二〇〇九年三月期連結決算の営業利益が約七割減との見通しも発表され、また、一部の報道では自動車メーカーは非正規社員を半減させるのではないかとも言われております。

 先日私が読みました読売新聞の記事で、地方分権改革推進委員長でもあります丹羽宇一郎伊藤忠商事会長は次のようなことを述べていらっしゃいますので、ちょっと抜粋をさせていただきます。

 現在、派遣などの非正規労働者は、全労働人口の三三%で、三人に一人が非正規雇用である。このように上下に二分化されつつある所得の中間層を再構築していかないと、長期的に国力は損なわれる。日本の技術力は、経験豊かな中間層の正規社員が引き継いできたものである。企業や国に求められることは、まず機会の平等、そして教育機会の平等でもある。東大生の親は富裕層が多いという調査結果は極めてまずい。

 他方、働く側にも辛抱がなくなっているのではないか。正規で雇っても、上司と合わないなどの理由で派遣に転じる人が実に多くなってきた。また、進んで派遣をやっている人や、派遣を禁止すると困るという人など、事情はさまざまだから、ハローワークはこれから極めてきめ細やかな対応が必要になってくる。

 中間層が分厚く、都市化も今ほど進んでいなかったころの日本の社会というものは、きずなのようなものがあった。しかし、今は富裕層、貧窮層の間では対話がなく、孤立化がどんどん進んでいくというようなことが新聞記事として取り上げられていました。

 麻生総理は、この間の所信表明演説でも、日本の強みは勤勉な国民である、困っている若者に自立を促し、手を差し伸べるための、若者を支援する新法を検討する、最低賃金の引き上げと労働者派遣制度の見直しも進めるべきである、こう述べていらっしゃいました。

 やはりこの雇用政策というのは、個別に縦割りというのではなくて、金融や経済、産業、そして教育、社会保障、労働というあらゆる広い分野の中で、横ぐしにして、総合的に連携をして有効な対策を早急に打ち出していかなければ、これは景気対策イコール雇用対策も進まないのではないかと思っております。

 舛添大臣はもともと国際的な政治や経済を専門にしていらっしゃいました。日本の経済の復活のかぎは、若者からお年寄りまでが元気で、目標と生きがいを持って生涯現役で働くということがまず雇用政策の一つではないか。これが雇用政策だというような何かお考えを、今までの御経験も含めてお聞かせいただければと思います。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃったように、日本社会が活力を保っていくためには、マクロ経済政策もありますけれども、やはり雇用政策、労働政策が極めて重要であると思います。そういう観点から私もいろいろな施策を進めてまいりました。

 その中で、新雇用戦略というのをつくりまして、一つは、いわゆる就職氷河期に正社員になれなかった若者、彼らに安定雇用を実現する、それから団塊のジュニアが働きながら子育てできるような環境を整える、それから、私もまさに団塊の世代の一員ですけれども、我々の世代が今から六十代を迎えていく、そういう中で、その能力、経験が発揮できる仕組みをつくっていく、こういう新雇用戦略を強力に進めている中で、御承知のように、アメリカ発の金融危機が起こった。

 これは極めて深刻な状況でございますので、先般、十月末に生活対策ということで、まず年長のフリーター、これは二十五歳から三十九歳を対象とした求人枠を設けて雇用する事業主に対して奨励金を差し上げる、それから、事業活動に悪影響が出ている中小企業の雇用維持のための助成金を新たにつくる、さらに、地域の活性化ということで、ふるさと雇用再生特別交付金を創設する、こういう施策を盛り込んで雇用情勢の改善に努めてまいっておりますけれども、まさに委員が御指摘のように、みんなが能力があり、そして働く意欲はある、こういう方が全員参加できる、こういう社会こそが理想的な社会だと思って努力を続けてまいりたいと思います。

井澤委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

田村委員長 次に、林潤君。

林(潤)委員 自由民主党の林潤です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、厚生労働行政の先頭に立って解決に尽力をされている大臣初め皆様に敬意を表するとともに、地元より国会に送っていただいた神奈川四区の皆様に心より感謝申し上げまして、質問を始めさせていただきます。

 本日は、百七十回国会の厚生労働委員会の大臣あいさつに対する質問ということで、まず初めに、最近の医療を取り巻く厳しい現状について、何点かお聞きをしたいと思っております。

 さて、この十月に、脳内出血を起こしました東京都内の妊婦が、八つの病院に診療を断られて出産後に死亡したことは、まことに痛恨のきわみであります。今回も医師不足や救急対応の不備などで妊婦が命を落としましたことは、一昨年にも奈良県で、分娩中に脳内出血を起こした妊婦が十九もの病院をたらい回しにされたあげくに死亡した事案、これが思い出されまして、同様の悲劇が繰り返されるということに、医療体制の一刻も早い立て直し、これを痛感せざるを得ません。

 また、今回は、医療体制が最も整っていると思われる東京都内でこうした事案が発生したことで、根深い深刻さを露呈いたしました。無論、現場の医師や医療機関だけを批判しても事態の解決にはつながりません。妊婦の搬送を最終的に受け入れた都立の墨東病院が、当初、症状が重くないことや当直医が一人しかいないことを理由に断りましたが、妊婦や胎児の緊急治療に対応する総合周産期母子医療センターに指定されておりまして、なぜ初めから搬送を受け入れることができなかったのか、この背景を検証するとともに、国と都道府県が連携して、産科救急を早急に立て直しをすることが求められております。

 このセンターが制度化されて十二年たちまして、今では全国で四十七施設が運営されています。しかし、全国周産期医療連絡協議会の調査によりますと、受け入れ要請のあった母体搬送のうち、全体では六七%を受け入れているということなんですけれども、東京や大阪に限っては、平均で四四%しかこたえ切れていないと聞いています。当然、集中治療室が満床だったり、あるいは診察可能な医師がいないなど、こういった理由があるんでしょうけれども、大都市ほど搬送を拒否されるというような実態に驚かされるとともに、妊婦にとってこういう最後のとりでとなるべきセンターの指定を受けた病院が、基本的に搬送の受け入れを拒否しない、させないといった取り組みが必要なのではないかと考えます。

 舛添大臣も、事案発生直後に病院を視察されまして、院長からあるいは幹部から経緯を聴取したと聞いておりますが、行政のトップがこうして現場まで足を運ぶ迅速な判断に対しまして、大臣の問題解決に取り組もうとする強い決意を感じるとともに、委員の一人としても、心より応援をしたいと思っております。

 こうした事態に対しまして早急なる対応を期するべきと考えますけれども、厚生労働省の取り組みはどのようにしておりますのか、伺わせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 私も現場に参りましたし、江戸川の医師会の皆さんとも議論をしました。それから、厚生労働省を挙げて、都と協力しながら、例えば受け入れを拒否した病院はどういう事情であったのか、こういう調査も精力的に行って、そこから反省すべき点を今抽出しているところでございます。

 そして十月二十七日には、都道府県に対しまして、周産期母子医療センターの状況をきちんと報告し、改善策があればそれを出しなさいということで、たちどころに通知を発出したところでございます。そして、私のもとに周産期医療の専門家と救急医療の専門家を集めて、今、どうすればいいのか、具体的な提言ということで、十二月までに提言をまとめていただこうとしております。それから、経済産業省とも協力して、特に情報伝達システム、これをさらに改善していきたいというふうに思っています。

 委員御指摘のように、背景には産科、小児科の医師不足があったりさまざまな、看護師の不足ということも、先ほど申し上げましたように、NICUというユニットがあっても、そこに人がいなければ動きません。立派なセンターをつくって箱物をつくっても、働くお医者さんや看護師さんがいなければ動きません。まさに墨東の場合は、土日に一人しか宿直がいない。複数が望ましいという形で書いていますけれども、では、それを義務化すればどうなるのか。そうすると閉鎖せざるを得ない。閉鎖すると、東京東部地域の第三次救急の拠点がなくなってしまう。

 その中で、例えば地域の開業医の皆さんに応援をいただくというようなことも含めて、それから勤務医の皆さんの処遇改善、さまざまな問題がございますので、中長期、短期、そういう問題も含めて、全力を挙げてこの問題に対応していきたいと思っております。

林(潤)委員 国を挙げて実施している少子化対策には、産科医を充足させることのほかに、出産を控えた妊婦が安心して子供を産むことができる体制というのを総合的にやることがあると思いまして、大臣おっしゃいましたような特に情報伝達システムなんかは、ソフトにそんなに時間がかからないんじゃないかと思います。医者を養成して実際に働いてもらうようになるまでには時間がかかると思います。そうした一日でも早くできますソフトの充足を、たくさんの専門家の意見をまとめながら進めていっていただきたいと思います。

 次に、産院のバックアップのことについてなんですけれども、こうして国が少子化対策に力を入れているということを受けまして、地方でも独自の努力を続けている自治体が数多くあります。産科医が足りない診療所などに自治体が実際に補助をするというような形で独自にバックアップする例もありますし、私の地元の鎌倉市では、市と地元の医師会が連携をして産院を開設する独自の構想が進行中であります。私は、半年前の厚生労働委員会でもこの構想について質問をさせていただきましたけれども、当時の西川副大臣からも前向きな答弁をいただきまして、ありがたく思っておりました。

 この産院は、鎌倉市医師会の医師会立でありまして、来年一月をめどに開設しようとしておりまして、今現在も医師、スタッフの確保などに奔走をしているところであります。ベッド数が九床程度、五、六日の入院期間で年間三百人の出産対応を見込んでいる状況です。こういうふうに、人口十七万という決して大きくない規模の地方自治体と地元の医師会が協力して産院を新たに立ち上げるのは珍しい例だと思いますけれども、ここで国の見識を伺いたいと思っております。

 再度の質問となりますけれども、国は、今年度よりさらに、こうした自治体の取り組みに対しバックアップを充実させると聞いております。こうした独自の取り組みで産院を新たに立ち上げようとすることに対し、どんなバックアップをしていくつもりなのか、さらなる前向きな答弁をお聞かせください。

外口政府参考人 産婦人科などを中心に医師不足が深刻な状況となっている中、地域に必要な産科医療体制を確保していくことは喫緊の課題と認識しております。

 このため、厚生労働省としては、平成二十年度予算において、地域の実情により分娩件数が少なく採算がとれない産科医療機関に対する支援、院内助産所や助産師外来の設置の支援等を行っており、平成二十年度診療報酬改定においても、産科医療の重点的な評価を行ったところであります。

 また、本年六月の安心と希望の医療確保ビジョンや骨太の方針二〇〇八等に基づき、大学医学部の入学定員を増員するほか、緊急に取り組むべく、平成二十年度補正予算において、短時間正規雇用を導入する病院に対し必要な経費の支援、事務作業を行う医師事務作業補助者を設置、養成する際に必要な経費の助成事業などを計上したところであります。

 今後の二十一年度の予算も含めまして、引き続き、地域の産科医療体制の確保に向けて、現場で頑張っている産科医の皆様をバックアップするべく、都道府県の取り組みも含めて支援してまいりたいと考えております。

林(潤)委員 その言葉どおりに、平成二十一年度の予算についても、ぜひ、この地域の実情をかんがみて、こうした分娩数が少なく採算がとれない地域を初めといたしまして、しっかりバックアップの手を緩めず、併用して行っていただきたいと要望を申し上げます。

 続きまして、ことしの九月の末に全面休止となりました銚子の市立総合病院について質問をさせていただきます。

 ここは病床数が約四百という地域の中核病院でありましたけれども、ここの破綻というものは、財政や近隣自治体に与える影響もさることながら、受け皿が定まらずに入院や治療を継続できなくなった地域の患者、そして家族がやはり最大の被害者と言えると思います。

 同病院が破綻に至った経緯は、大学病院へ医師が引き揚げられたことと聞いておりますけれども、そのほかにも、毎年十億円近い資金を銚子市から投入しなければならない長年の不採算の体質や、あるいは行政の責任感の欠如も問題があると思っております。

 当然、中核病院が破綻した場合、地域医療のサービスをいかに低下させないように取り組むかという視点が不可欠だと思いますけれども、この破綻の連鎖をほかに波及させないようにということも大きな課題であります。つまり、今回の市立病院の破綻は全国の自治体病院に共通した課題でありまして、経営面や医師不足で、全国的に危機に瀕している自治体病院は数多くあるということであります。

 この銚子市立病院の医業収益に対する給与比率というのが八〇%でありまして、普通から考えれば、民間が五〇、公立が大体六〇というラインを考えますと非常に高コスト体質でありまして、さらに医師不足が追い打ちをかけたという二重三重の悪循環が重なって、こうした不幸なことになったんだと思います。

 自治体の病院というものは全国の病院の中でどれくらいの割合かということを考えてみますと、病院数で一一%程度、病床数で大体一四%程度を占めているというふうに聞いております。そしてまた、約八〇%の自治体病院が赤字経営だというふうにされております。

 総務省は、合併、縮小、民営化、こうしたものを推奨していると聞いておりますけれども、厚労省としては、こうした事態を把握し、指導や対応をしているんでしょうか。診療休止や破綻を食いとめるためにどのような方策を施しているのか、お聞かせください。

舛添国務大臣 先般、先ほど話題になりました東京都の妊婦の死亡事件につきましても、都立の病院、例えば産科関係だと、広尾のあたりにはたくさん産科の大きな病院があります。それから、これは産科じゃありませんけれども、例えば東京の中でも御茶ノ水かいわい、たくさん大学病院があります。そういうことから見ると、やはり再編とかネットワーク化も考えないといけない。

 この再編、ネットワーク化を含めて、総務省が公立病院改革ガイドラインというのを設けておりますが、今の再編、ネットワーク化とともに経営の効率化、今、人件費比率についてお話がありました、それから経営形態の見直し、こういうことで、やはり改革は進めていかないといけないと思います。しかしながら、地域に必要な医療を確保するという観点から、公立病院が廃止、休止するときには、やはりこれはきちんとその後のことについて考える必要があるだろう。

 そういう意味で、我々も、必要に応じて地域医療の専門家を派遣する、そして総務省と連携しながら、改革を進めながら、しかし地域医療の確保をやる、そういう方向で今後とも努力を続けてまいりたいと思っています。

林(潤)委員 自治体病院を抱える自治体というものは病院経営の効率化に努めるべきである、これはまさに私もそう思っておりまして、再編とネットワーク化、さっき大臣がおっしゃいましたことですね。それとともに、一方で経営しているのが自治体側であり、医師を派遣しているのが大学病院側というケースでありました。

 今回、この院長の権限といった問題もあると思いますし、人事権や経営権が十分でない、経営権とマンパワー、そうしたものが今ばらばらになっているところで私は無責任体質につながったのではないかと思いますので、地域の実情を配慮して措置をしていただいて、患者さんや家族が突然の閉鎖で困ることがないように、自治体病院が健全に経営できますように、国の一層のアプローチというものをお願いいたします。

 ここで、長寿医療制度についてちょっとお伺いをさせていただきます。

 大臣は、この制度につきまして、高齢者の方々の心情にそぐわない点があったと考え、心情に配慮しつつ、よりよい制度へ改善したいとおっしゃられておりますけれども、見直しの具体的な視点といたしましては、年齢のみで区分しないというイメージになるのでしょうか。また、国保との一体化や財源の問題等もあわせて、どのように見直しをするつもりなのかお聞かせください。

舛添国務大臣 七十五歳以上で区切ったということに対して、非常に心情にそぐわないという御意見をいただきました。

 例えば、六十五歳というと、これは基本的には現役から引退して年金生活に入るというようなことになれば、大きな人生の生き方、働き方の転換点ですから、これはすんなりある意味で受け入れられる。ところが、一たんそうなった上で、さらに今度は七十五でもう一遍というのはどうも受け入れがたいということですから、後期高齢者、長寿医療制度とともに国保を県単位で再編するという案を私は私案として持っておりますとともに、いわゆる突き抜け型も、これは受け入れる企業があれば、それも許容していいのではないかなというふうに思っています。

 基本的には、世界的な流れとして、介護は市町村に、医療は県単位でというような大きな流れがあると思いまして、もちろん、解決しないといけない問題も多々あります。なぜ広域連合にしたか。それは、県の方で受け入れるのに問題があったからしたわけでありますけれども、広域連合になれば、場合によっては責任の所在が明確でない、こういう問題点もあります。

 それから、今委員御指摘の財政調整の問題をどうするか。これは、大きな社会保障財源の問題との絡みもありますし、世代間の公平な負担をどう考えるのか。それは個々人にとってみると、若いときに元気で働いていますから、まず保険料をたくさん払って、だんだん年をとってくれば漸減していくというのは一つの合理性もあります。

 そういうことも含めてきちんと考えたいというふうに思っていますので、これは一年を目途に広くいろいろな方の知恵と議論をいただいて、そして、国民が納得できる制度に変えていきたいと思っております。

林(潤)委員 大臣がおっしゃるような県単位というのは、当然、財政基盤のことを考えてのことでありましょうけれども、この後期高齢者医療制度の根幹的な不安の源というのはやはり、今後何年この制度がもつんだろうかという問題に私は尽きるんじゃないかと思います。

 もちろん、この四月に導入した時点で、周知の不足もあったと思いますし、天引きによる怒りもあったと思います。そして、今回出たような年齢で区切ることの心情的な問題、そして保険料が一部の方は当然はね上がってしまった。

 そうしたもろもろの要素があると思いますけれども、今、保険料の試算というのが八年ですか、七年か八年まで先しか試算がされていないということも、やはり高齢者の方々にとっては、将来は一割以上に、一割から二割に負担が増大するんじゃないか、そして現役世代にとっても、五対四対一という四の部分を単純計算して割っていっても、これから私たちの負担は何倍になるんだろうか。

 そういうことを考えてみますと、やはり私は、この長寿医療制度をやっているうちに国民的な議論を盛り上げて、本当に安心できる形でやらなければいけないと思います。今不明確になっているのが、ある程度説明を受けたり新聞を精読したりすればわかりますけれども、どのような制度に変わっても、だれがどのように、どの世代が高齢者を支えているかということをやはり明確にして、現役世代にも高齢世代にも双方が納得できるような制度構築をさらに追求をしていただきたいなというふうに思っております。

 ここで、まだ仮称ということですけれども、国が二〇一一年度を目標に導入を進めております社会保障カードについて質問をさせていただきます。

 私個人としては、こうした年金手帳や健康保険証、そして介護保険証を統合したカードには大変期待をしていると同時に、日本の社会保障政策全体に画期的な影響をもたらすものだと信じております。

 国が医療情報やあるいは年金記録といった個人情報を一元管理するということに、確かに懸念の声もあります。しかし、例えば、住民基本台帳のネットワークと連携をすることによりまして、住所変更や結婚して姓が変わった場合など、今の年金記録の記載ミスで受給漏れが起こるケースなどは防ぐことができます。逆に言えば、個人情報といっても、受給や申請に必要なデータが適正に扱われさえすれば、国民にとっても受給権をしっかり保障されるものだということも言えると思います。

 消えた年金や消された年金といった問題が完全に解決をしないまま、今、記録に対する国民の信頼が大幅に揺らいでおります。これが社会保険庁から日本年金機構に変わったといたしましても、やはり国民の年金記録に対する絶対的な不信、これはまだまだ根深いものがあると考えます。当然、このために過去のデータを完全なものに仕上げることについても、今後も地道な作業が必要だと思います。

 そこで、この社会保障カードの導入によりまして、過去の分も含めまして、もちろん今後は私は絶対にないというふうに思います、この年金記録問題の解決につなげまして、年金記録問題という問題はもうクリアにすべきだと私は考えております。今、この記録の問題のみならずそれ以上に、やはり今の国民年金で生活していけるのかとか、これから十年後、二十年後の年金の財源の問題もあります。こうした記録のことにエネルギーをとられるものではなく、財源のことをもっと真剣に議論をしていって、恒久的に年金を受け取れるんだ、そういう安心感を国民全体で共有できる議論の方が私はもっと大切だと思います。

 社会保障カードを通じて、単純にこれは手続的な問題ではなくて、やはり国家が日本国の威信をかけて社会保障カードを導入してもらい、もう年金記録の問題は大丈夫なんだ、安心なんだ、そういうことをもたらしていただきたいと思っておりますが、大臣の決意をお聞かせください。

舛添国務大臣 社会保障カードにつきましては、平成二十三年を目途に導入したいと思って、今精力的にこの検討を進めております。

 一方、年金記録問題につきましては、さまざまな問題をまだ抱えておりますので、着実にこれはこれで解決していく。

 そして、今委員がお話しになりましたような、将来の年金制度をどうするのか、こういうことも極めて重要でございますので、きちんと議論をし、国民が納得のいく制度をつくり上げていきたいと思っております。

林(潤)委員 社会保障カードは、本当に、手続的な問題ではなくて、もうデータに関してはきっちり管理されて安心ですということをもたらせるようなものにつくっていただきたいと思いますけれども、私は、これは非常に多岐にわたって応用できるものと考えております。医療や介護の還付金も忘れる心配がありませんし、そして、本人に成り済まして病院で受診するようなケースもなくなると考えられます。

 また、これは別の面で、ああ、なるほどと思ったんですけれども、聴覚障害の団体の方からは、障害者手帳は今回入っていないはずなんですけれども、障害者手帳の情報もカードに入れてもらったらどうですかと。聴覚障害ということを示す文言をカードに記載をちゃんとしてもらえれば、災害時のときにも役立つというふうに提案をしておりました。

 また、医療費削減の観点からも、受診の記録の確認や、あと重複の投薬がないように、今お薬手帳なんかもあると思いますけれども、こうした残薬の情報なども確認すべきだ、そういうふうにできればよろしいのではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

間杉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生からいろいろな、社会保障カードでこういうふうな情報も閲覧できればいいのではないかというふうな御指摘もちょうだいをいたしました。

 私ども、基本的には、年金記録、レセプト情報それから特定健診情報、こういったものをいつでも自宅などからオンラインで見られる、そういうふうな体制を二十三年度中に導入したいということで、今現在、検討会をつくって鋭意作業を進めているところでございます。

 先生の方からもお話がございましたけれども、私どもといたしましても、基本的な物の考え方といたしまして、社会保障カードというのは、社会保障制度全体を通じて国民がみずからの情報にアクセスをする、そのための共通基盤をつくっていくんだ、そのための社会的な投資だというふうに考えてございまして、国民の皆様方全体の合意を前提として、先生が御指摘の点も含めて、さまざまな社会保障に関する情報を閲覧することが可能になるような仕組みを検討してまいりたいと考えてございます。

 先生が御指摘の中で、レセプトの関係で薬剤の御指摘もございましたけれども、現在、保険者が保有しているレセプト情報には、医科、歯科の診療報酬のほかに薬局での調剤報酬に関する明細、こういったものも含まれてございます。そういったことも閲覧の対象にできるように検討を進めてまいりたいと考えている次第でございます。

林(潤)委員 実際に実用化されるには数々の課題を克服しなきゃいけないと思いますけれども、犯罪に使われないということ、それから個人のプライバシーにかかわる情報流出をいかに防ぐかというのが大切であります。

 クレジットカードのスキミング被害も一時期多発をしておりましたし、現在も、健康保険証が身分証明書として不正に偽造をされまして、銀行口座あるいは携帯電話の契約、こうしたものに悪用されております。これを防ぐには顔写真なんかは最低条件だと考えますけれども、また、悪意を持った人がお年寄りの家に上がり込んで、データを読み取って悪用するケースも想定されると思います。ぜひ、こうした防犯対策についても厳重に考え、議論をしっかりやって、実用化に向けてもらいたいなと思っております。

 最後に、障害者自立支援法のことについて質問させていただきます。

 この自立支援法の利用者負担については、施行後に補正予算で千二百億円を計上したほか、これまでにも各種の負担軽減策が講じられてきました。しかし、中度や重度の利用者にとってはなお負担感が大きいものと思われまして、これらの障害者の安心という観点が不可欠だと思います。

 折しも、先日、東京都など全国から障害者二十九人が原告団となりまして、障害者自立支援法の福祉サービス料の一割を利用者に負担させているという現状、これが障害者の生きる権利を侵害して違憲だということで、国や自治体を相手取り、そして負担の廃止を求めて一斉に提訴をするようなことが起こりました。もちろん、昨日聞いた話では、厚労省の方にはまだ訴状が届いていないと聞いておりますけれども、この問題は私は支持政党に関係なく、障害者の方々の定率負担に対する切実な思いというものが非常に伝わってきます。

 一方、この法律によって目指していた一般就労への支援のことについてはどんな成果を上げてきたのかということもちょっとお聞きをいたしましたけれども、二年余りが経過したままで、就労支援の実績を評価するには十分でないということだったんですけれども、ただ、数値で興味深かったことが、一般就労への移行率別に施設数の割合を見てみますと、〇%が最も多く、全体の三五・七%となっている。その一方で、二〇%以上というのが二一・四%となっておりまして、つまり、一般就労のノウハウが十分でない事業所と軌道に乗ってきた事業所と二極化しているように感じています。

 そういった、さらなる成果を見守りたいと思っておりますけれども、障害者の方々の生活を守るために、現行の負担軽減策をさらに継続させていく必要があると考えますけれども、見解をお聞かせください。

大村副大臣 障害者自立支援法の施策につきまして御質問いただきました。

 林委員御指摘のように、障害者自立支援法の利用者負担につきましては、この負担が過大なものにならないように、所得に応じた負担上限額を設定しているところでございます。

 さらに、特別対策ということで、平成十九年から通所や在宅サービスの利用者負担の上限額を引き下げるといった措置、そしてさらに、ことし二十年七月から緊急措置ということで、負担上限額につきまして、世帯全体ではなく障害者本人及び配偶者のみの所得で判断をする、そしてまた負担上限額を所得の低い方にはさらに引き下げまして、月千五百円、そうした措置も講じたわけでございます。

 そういったことで、平均的な負担は、この七月からは二・八%という水準になっているのは御案内のとおりでございます。

 そういう中で、昨年十二月、与党プロジェクトチームにおきまして、この負担の見直しといいますか軽減というのは二十一年度以降も実質的に継続すべきだという御指摘もいただいております。そういう意味で、今、自立支援法の三年目の見直しに向けまして審議会で議論をいただいているところでございますが、この点につきましては、ただいまの林委員の御指摘も十分踏まえまして、適切に対応をしてまいりたいというふうに思っております。

林(潤)委員 ぜひ継続をしていただいて、障害者の生活を守ってください。

 時間となりましたので質問を終わります。ありがとうございました。

田村委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 久々に厚生労働委員会で議論をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣には、私、ずっとほかの委員会からこの委員会を見ておりましたけれども、まあ次から次に、年金記録問題、薬害肝炎問題、医師不足とか緊急医療体制の整備、医療への対応ですね、あるいはフリーターや派遣労働などをめぐる問題、これは大臣がこの前おっしゃった所信の中の文章でありますが、次から次に、本当に御苦労さまでございます。ぜひ頑張っていただきたいと思うわけであります。

 きょうは、そうした中で医療の問題、例の無保険の子供の取り扱いについて、この時間議論させていただきたいと思っております。

 先般、厚生労働省は、国保の資格証明書の発行に関する調査を行った、その結果を公表されたわけであります。

 ことしの九月十五日現在の全国の滞納世帯が約三百八十万ぐらいですね。正確には三百八十四万五千五百九十七世帯ということでありまして、全国保世帯に占める割合というのは一八・五%。そのうち、資格証明書交付世帯は約三十三万世帯、これが八・六%ぐらい。その中で、子供のいる世帯が一万八千二百四十世帯、滞納世帯全体の〇・五%、あるいは資格証明書交付世帯のうち五・五%ぐらいという数字であります。あるいは、そうした世帯の中で中学生以下の子供の数は三万二千九百三人。これが報道されているわけであります。

 こうした実態について、この割合、数字を多いと見るか少ないと見るかという議論もあるかもしれませんが、やはり私は、これは重く受けとめる必要があるだろうと思っているわけであります。とりわけ最近の傾向は、滞納世帯あるいは資格証明書の交付世帯もともに増加をしているということがあるわけでありまして、子供の医療あるいは児童福祉という観点からも看過できない問題ではないかと感じたわけであります。

 そこで、そもそもこの資格証明書はどういう目的で交付されているのか、まず基本を確認しておきたい。そしてその上で、今回の調査された結果について、どういう問題を認識されているのか、どんな問題が浮かび上がっているのか、まずは事務方から御報告をいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 まず、国保の資格証明書について申し上げますと、そもそも、国民健康保険、これは被保険者全体の相互扶助で成り立つ社会保険制度でございまして、年齢あるいは就業形態にかかわらず、受益と負担能力に応じて一定の保険料を負担していただいております。子供を持つ親の方々にも公平に負担していただくということがまず必要であるわけであります。

 一方で、所得が一定水準以下の場合には保険料を軽減する制度がございまして、所得に応じて最大七割軽減されることになっております。さらに、保険料賦課後に事業の休廃止あるいは病気など、保険料を納めることができない特別な事情がある場合には、条例に基づきまして、市町村の判断で減免を行うことも可能になっているなど、低所得者の負担に十分配慮しているところでございます。

 その上で、事業の休廃止や病気など保険料を納付することができない特別の事情がないにもかかわらず、長期にわたり保険料を滞納している方には、この資格証明書を交付しているわけでございます。

 お尋ねの、その目的についてでございますけれども、これは、市町村の窓口に来ていただくことによりまして、保険料を滞納している事情をお伺いし、保険料を払えない事情があれば、通常の保険証への切りかえを行ったり、保険料の減免や分割納付など現実的な納め方の相談を行うなど、個別の事情に応じたきめ細かな対応をすることを目的としたものでございます。

 なお、この資格証明書が発行された場合におきまして、医療機関の窓口では一たん医療費の全額を払っていただくことになるわけでありますが、後に市町村から保険給付相当額の償還を受けるものでございまして、無保険というものではないわけでございます。

 それから、この調査結果の内容でございますけれども、資格証明書の運用につきまして、多くの自治体で工夫をしながら取り組んでいることがわかったわけでございますが、その一方で、滞納世帯数に対する資格証明書の発行数の割合、これはかなりばらつきがあるということも判明したところでございます。

桝屋委員 えらい簡単な総括をされて、私が聞きたかったのは後半部分でありまして、今回のこの実態調査、この把握について、どういう問題が浮かび上がったのかということを伺いたかったわけでありますが、今御答弁がありましたのは、滞納世帯の中で資格証明書を交付している割合というものは相当市町村によって区々がある、大きな違いがあるということでありまして、では、それはどういうことなのかということであります。

 なかなか厚生労働省ではお答えできないのかなと思っておりますが、もし重ねて、今の問題意識、この後そうした問題点に対して厚生労働省としておとりになった対応、通知をお出しになっているわけでありますから、その内容も伺いたいと思いますが、その通知の認識のもとになっているお考えをもう一度、おっしゃることがあれば伺いたいと思います。

水田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、かなりこの資格証明書の発行は各市町村によってばらつきがあるわけでございます。その中で危惧しておりますのは、先ほど申し上げましたように、特別な事情があって払えない方については減免をする、そういった適切な措置を講ずるわけでございますけれども、それがなされているかどうか、あるいは場合によっては機械的な運用がなされているのではないかという点を危惧しているわけでございます。

 したがいまして、先ほど言いましたように、特別な事情がない方につきましては、これはやはり公平の原則から負担をしていただかなきゃならないわけでありますけれども、特別の事情がある方について、特にお子さんがいるところにつきましては、やはり適切な対応をとっていただきたい、このように思っているわけでございまして、そうした認識のもとに、お子さんのいる滞納世帯に対しましては、きめ細かな対応も図るように求めたところでございます。

 具体的に、特に子供のいる世帯につきましては、まず、資格証明書の発行前に、短期被保険者証の活用などによりまして滞納者との接触を図りまして実態把握に努め、多様な相談機会を確保するなど予防的な対応を図ること、これが一点でございます。二点目は、子供の養育に問題のある世帯を把握した場合には、福祉部局と連携をとるなど福祉的な対応を図ること。それから三点目は、世帯主から、子供が医療を受ける必要が生じ、かつ医療費の支払いが困難である旨の申し出があった場合に、短期被保険者証を発行するなど緊急的な対応を図ること。

 こういった三点でございますけれども、実情に応じて適切な対応をとるように依頼したところでございまして、今後、その徹底について指導してまいりたいと考えております。(発言する者あり)

桝屋委員 ちょっと静かに。せっかく私の頭が今整理されつつあるときに。

 それで、今ちょっと速い御答弁だったんですが、今局長が御答弁になったのは、十月三十日付で、課長名で各都道府県に発出された「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点について」という点をお答えになったんだろう、こう思います。御答弁の中では、予防的な対応、あるいは福祉的な対応、さらには緊急的な対応というふうに整理をされてお話をされましたが、私は、実は、すぐにこの対応策というよりも、この文書を発出された背景といいましょうか、どういう認識をお持ちいただいたのかなと。

 先ほど局長の御答弁では、特別の事情がないにもかかわらず滞納になっているというケースについては、これはしっかり、まずは払っていただくということが前提ですよ、そして、特別の事情がある方についてはもちろんそれなりの対応をしよう、こういう御答弁でありましたが、今回発出された文書については、冒頭私が申し上げたように、児童のいる家庭については特段の配慮、資格証明書の交付あるいは滞納世帯に対して、児童のいらっしゃる世帯については特別の配慮が要るという認識をお持ちになったんではないかなというふうに理解しておるんですが、その点どうでしょうか。もう一回確認をさせてください。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今医療が必要なお子さんに医療を確保するということは、これ自体大切なことでありますので、やはりそういうお子さんがいる世帯につきましては、滞納世帯であってもよりきめ細かな対応が必要である、こういう認識に立ってあの通知を発出したわけでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 局長、先ほどからなかなか御答弁に、何とも言えない雰囲気でありますが、それはよくわかるんです。

 この問題については、私は、社会保険システムの中で負担をいただく負担と給付の関係ということは、これは公平性の観点からきちっとしなきゃいかぬ。滞納されている方については、とりわけ、特別の事情がないにもかかわらず、悪質といいましょうか、滞納が続いているケースについては収納対策をしっかりやらなきゃならぬという一方の制約がある。

 もう一方は、今回の調査で浮かび上がりましたように、相当数の児童がいる家庭があるということもわかったわけでありますから、やはりそこは丁寧な対応をしなきゃいかぬ、特別の配慮が必要、こういう整理だろうと思うんですね。まさにこの二つのバランスをどうとっていくのかということが私は求められているんだろうと思うんです。

 今回出された文書の中で、予防的な対応、あるいは福祉的な対応、緊急的対応、私はいずれも極めて重要なことだろうと思っておりまして、ぜひとも、これが現場においてきちっと徹底されるようにお願いをしたい。とりわけ、先ほど局長がおっしゃった、私もずっと全国、全市町村の数字を見ましたけれども、本当に驚くような、ここは恐らく機械的に対応しているんではないかな、一律に対応しているんではないかな、中には、文書催告すらなく資格証明書が出されているというようなケースもあるわけでありまして、ここは本当に現場において今回の通知、文書の趣旨が生かされることが必要だろうというふうに私は思っております。

 ただ、その前にちょっともう一点だけ確認したいんですが、今回の通知の中で、やはり国保の事務というのは市町村の自治事務でありますから、こうしろということは明確に言えないわけでありますが、しかし、通知の中で、ぜひこのように努めてもらいたい、あるいは可能な限りと、とりわけ短期被保険者証の取り扱い等についてはそうした特段の配慮を求めているわけでありますが、果たしてそれで現場の市町村あるいは保険者がその趣旨を十分酌んでいただけるかどうか、そこが一番大事なわけであります。

 それこそ、先ほど言いましたように、今回のデータを見てもここは間違いなく本当に、私も数字をある程度見ましたけれども、例えば、滞納世帯の中での資格証明書の交付率が中には五〇パーを超えているような事例があったり、あるいは子供のいる世帯の割合が二五%を超えているというような事例はもう一目瞭然わかるわけでありまして、こういうところは恐らく、私も現場におったからわかるのでありますが、相当ぎしぎしやっておられるんじゃなかろうか、一律の対応をされているんじゃなかろうか、こういう気がするわけであります。

 したがって、本当に今回の通知の内容が生かされるかどうかという点でもう一度お答えをいただきたいのですが、とりわけ収納対策については、厚生労働省のホームページから要綱集、通知集をずっとひもときますと、滞納対策については六十一年十二月二十七日の通知、保険発第一一三号、国民健康保険の保険料滞納者に対する措置の取り扱い、これがやはりベースになっているようでありまして、しっかりやりましょう、収納率を高めるために取り組みを進めよう、こういうことなんですが、こうした基本的な措置の取り扱い、滞納者に対する措置の取り扱いの中に今回の通知がきちっと生かされていくのかどうか、私はその点もあわせて心配をしております。

 今回の通知は確かに出たけれども、基本はこうよというのでは現場はそんなに動かないわけでありまして、その辺、現場の状況を大変心配しておりますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 まず、この資格証明書の運用についてでございますけれども、これはまさしく御指摘のとおり、機械的な取り扱いを行うのではなく、繰り返しになりますけれども、保険料を納めることができない特別の事情の把握に努める必要がある、このように考えております。特にお子さんのいる世帯につきましては、こういった事情の把握について、より細かに見ていく必要があると考えております。

 こうしたことにつきまして、今回、各都道府県に対しまして、個別市町村に対する指導監査に当たって、この資格証明書の運用についても留意するように通知したところでございまして、御指摘の個別の市町村に対する指導につきましても、今後とも目配りをしていきたい、適切に運用されていくように私どもも見守っていきたい、このように考えております。

桝屋委員 それで、もう一つ。

 一つの考え方として、全国の市町村の実態を見ると、恐らく機械的に一律的に取り扱っているケースがあるのではないかという心配のある、懸念を持たれる市町村もあるわけであります。と同時に、それではというので、逆に一律に、保険証を返還していただく世帯については、例えば児童がいる家庭については、一律その児童用の保険証を出してはどうかという考え方もこの永田町にあるようでありますが、そうした考え方については逆にどのようにお考えになるのか。私は、これはこれでまた問題が出てくるのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのように、例えば十八歳未満の方について、一律に年齢のみをもって資格証明書の対象にしないということについて考えますと、やはりこれは、まず、子供がいる滞納世帯につきまして、接触を図る機会がその分減少するという問題があるわけでありますし、それから、そもそもきちんと保険料を支払っていただいている他の被保険者との公平性が損なわれ、不公平感が高まるのではないかという心配、それから、保険料の納付にかかわらず被保険者証を交付することになりまして、悪質な滞納を助長するのではないかという問題も出てくるものと考えているのでありまして、先ほど申し上げましたように、緊急に医療が必要なときには緊急の対応をする、こういったことを通じて、一方で医療を確保しながら、他方できちんとした収納の努力というものはそれはそれでするということが大切かな、このように思っております。

桝屋委員 今の問題点、私も共感をいたします。しかし、さっき言いましたように、収納対策の厳正な実施、それからやはり先ほど申し上げたように、子供がいる家庭への医療の提供ということは、この二つは本当に難しいバランスだろうと思っております。

 そこで、重ねてのお願いでありますが、先ほど申し上げた六十一年の通知、これが監査やさまざまな市町村の現場における基本通知のようでありますから、ここには児童のいる家庭に対する特別の配慮ということはないわけでありますから、あわせて、基本通知の中にこうした配慮が含まれている、こういう認識を現場が持つような取り組み、先ほどおっしゃった指導監査の方針等についてはぜひ入念に進めていただきたい。

 大臣、ここから大臣と最後に議論をしたいのですが、最近の厚生労働省を見ておりますと、厳しい野党の追及もあっていたし方ないのかなと思うのですが、私はどうも過度に過ぎると。やはり全部が一律というのは簡単なことではないわけでありまして、では、この問題を解決するために、全部の家庭に子供用の保険証を出せばいいではないかというのは一律に過ぎる。むしろ、収納対策と同時に、市町村、保険者の現場において私は丁寧な対応をしていただく必要があるだろうと。

 今回のデータの中に、私はいいところもあると思うのです。いい事例も大分発表していただいております。資格証明書を出しておきながら、子供世帯がほとんど見られないケースもあるわけで、ここはやはり児童家庭に特段の配慮をしたんだろうな、こう私は感じる市町村もあるわけでありまして、現場でそこはきめ細かな対策をすれば、この問題は多くの問題が解決できるだろう、私はこう思っているわけであります。いや、そんなのじゃ手ぬるいという声もあるかもしれませんが、逆に、一律にしますと公平性を欠くという問題があるな、こう思っているわけであります。

 そこで、大臣との議論でありますが、ぜひそうした特段のリーダーシップを発揮していただいて、現場における取り組みの改善策をお願いしたいと思っておりますが、大臣、これは児童だけではなくて高齢者世帯も同じでありますから、やはり真に医療の必要な人が本当に大変だということで、窓口に行っても追い返される、受け付けてもらえないという実態も私は聞いておりますので、そうしたことがないようにぜひ取り組んでいただきたいのです。

 我々も、公明党は全国三千名以上の地方議員がおります。黄色信号がついている市町村は明らかでありますから、全国、組織を挙げてこの問題に取り組みたいと思っておりますが、ぜひ大臣にもお取り組みをお願いしたい。

 そこで、その決意と同時に、先ほどの議論、同僚議員の議論にちょっと戻りますけれども、大臣は、長寿医療の見直しの中で、県単位で保険者を統一したらどうか、こういう議論がありました。私も一考に値すると思っておりますが、こうした問題を見るにつけ、保険者というのは、もちろん保険の数理の議論もあるけれども、被保険者の一人一人に適切な医療を提供するということからいくと、私は県よりも市町村で、現場で保険者が運営されるということがやはり必要なのかな、そこでの解決しかないというふうな感じもするわけでありまして、あわせて大臣の御見解を、御決意を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 先ほど、後期高齢者、いわゆる長寿医療制度について申し上げましたのは、むしろ財政基盤の問題、財政単位の問題として申し上げました。現実に県の職員がきめの細かい対応ができるかといったら、そうではありません。したがって、例えば、担当をする市町村の職員を県の職員に併任するというような形できめの細かさを担保できるのではないか、これはこれからの検討課題でございまして、あくまで財政の単位として申し上げました。

 それから、今の三万三千人の資格証明書の子供たちの問題ですけれども、悪質な滞納者に対しての問題、つまり、負担をなさっている方との公平性の問題が一つあります。しかし、高齢者を含めて、やはり子供の命をどうやって守るかという大切な問題もあります。したがって、そこは、例えば児童について言うと福祉の分野との連携が必要であります。

 もう一つこういう問題も出てくるんじゃないかと思っているのは、仮に資格証明書を発行するだけで終わってしまう、そうしたときに、本当はその家庭に大変な問題があるんだ、これは児童の福祉という観点からはその家庭に入り込まないといけない、それは虐待問題を含めて、そういうケースがあるかもしれません。そのときに、やはり現実に御相談をしていただくということが必要なので、それは短期の被保険者証でとりあえずということはありますけれども、その短期被保険者証も期限を区切っているのは、必ず相談してくださいよ、更新のときにこうしますよということが必要ですから、最終的にはそれぞれの自治体のきめの細かい施策ということになります。

 もちろん我々も必要な指導、ガイダンスはやっていくべきだし、今後とも、委員の御意見も参考にしながら、通達の中でそういうことができればやりたいと思っております。しかし、いろいろな要請をバランスをとった上で、そして最後はどうやって子供たちの福祉、お年寄りの福祉、命を守るかということを総合的に判断していきたい。つまり、きめの細かさ、これが一番大事だと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。大臣とほぼ同じ思いであります。

 今大臣が出された事例については、恐らくほとんどの市町村では、いい市町村、窓口対応をきちっとやり横の連携がとれているところ、児童相談所やほかの機関との連携がとれているところは、もう既に問題は今そんなに出ていないんですね。

 今回、せっかくここまで実態調査をされ、子供のいる滞納世帯の実態が明らかになったわけでありまして、そこはやはりこの問題が明らかになったときに思い切った手を、市町村に対して、保険者に対して徹底をしていただく必要があるだろうと私も感じております。

 最後になりましたけれども、大臣、一点、障害者自立支援法絡みで、大臣に決意と協力をいただきたいと思って申し上げる点がございます。

 障害者自立支援法、今、抜本の見直しに向けて作業中でありますが、前回の十八年のときに、精神障害者の皆さんが三障害一緒と大いに喜んだわけでありますが、簡単ではありません。

 そこで、象徴的にはやはりJR運賃の割引制度、精神障害者の皆さんが、手帳制度が始まり、写真も貼付するようになったということでありますけれども、JRが民営化されたということもあって、ここが穴があいておりません。前回、十八年も厚労省、随分努力をいただいたと思っておりますが、先ほど裁判の話もありましたけれども、ここが一歩動けば、私は、相当精神障害者の皆さん方、大きな明るい気持ちを持っていただけるのではなかろうかと思っております。

 ただし、簡単なことではないと思っております。我が党を挙げて今から、大臣にも御協力をいただいて、国土交通省やJRに対して、あるいは運輸業者に対して力強い働きかけをしていきたいと思っておりますが、大臣の御所見を伺って、終わりたいと思います。

舛添国務大臣 三障害平等にということで、写真を貼付するというようなことで、精神障害の方々は外から外見でわかりにくいものですから、努力はしております。そして、例えば東京都、徳島県、こういうところにおいては都バスであるとか徳島バスについて一部割引制度が、たしか昨年の四月から入りました。

 しかし、今おっしゃったように、JRが民営化されたということで、なかなか強制的にこうだということが言えません。国土交通省と協力しながら、さらに強力にJRを初めその他の公共交通機関に働きかけを行って実現したいと思っておりますし、また、この点については、ぜひ広範な国民世論の皆さん方のお支えがいただければと思っております。

 今後とも努力を続けてまいります。

桝屋委員 ありがとうございました。

 この点は、できない理由を並べると役所は見事でありますから。少なくとも厚労省にはそういう意見はないと思っておりまして、しっかり連携をいたしまして、与党の一員として取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田委員 きょうは久しぶりに、大臣、前回の通常国会で後期高齢者医療制度を一時間半、介護をまた一時間ぐらいやらせていただきましたが、労働問題は初めてなんですが、ひとついろいろまた聞かせていただきたい、そう思っております。

 最初に、今こういう金融恐慌といいますか不況になって、大学生の就職の内定者、これがかなりの率で採用取り消し、そういうふうになっているようです。ちょっと私も調べてみましたが、厚労省の実態調査で、現金五十万もらって採用の取り消しに応じてくれとか、今、新聞にも載っていましたが、女子学生が就職の窓口に半泣きになって来ているとか、大変深刻なようです。

 これはもともと、一たん内定したものを取り消すということは、最高裁判例もあるし、違法じゃないかと思うんですが、大臣、これについて厚労大臣としてどういうふうに対応されるおつもりか、それからお聞きできれば。

舛添国務大臣 今委員が御指摘のように、アメリカに端を発する金融危機、これが残念ながら実体経済にまで移ってきている。さまざまな統計も見ております。特に雇用の統計を見ていますと、かなり下降局面に来ている。私は、これは大変深刻な問題だと思っています。

 そして、今委員が御指摘のように、せっかく内定した方が取り消されるというようなことも報告をされております。まずは、どういう実態があるかをきちんと調べた上で、労働契約法上、この内定というのがどういう状況に当たるのか、こういうことを含めて、これは文部科学省、特に大学を抱えておりますから、文部科学大臣ともよく相談をして、何らかの手が打てるか、法的にもまたその他の側面でも検討してみたいと思います。

 いずれにしましても、大変深刻な労働問題、雇用情勢ということを認識せねばいかぬというふうに思っております。

山田委員 それを聞いているわけじゃないんだけれども。

 局長でもいいんですが、いわゆる最高裁の判例がありますよね。内定当時に内定取り消しに至るであろうということが予測できたかどうか。これは、知っていたか、知り得たか。知り得なかったとしたらやむを得ないとしても、こういうサブプライムローンは既にはじけておるという状況下の中での採用だから、これについては、最高裁の判例では、内定して、それを取り消すことは違法である、内定した以上、採用しなければならない、そうなっているんだけれども、それについて、今現在の調査で、そういう人がどれぐらい数がいて、それをこれからどう対応するか、そこを聞いているので、一般的な、ただ対応したいとか相談したいということを大臣に聞いているわけじゃないんだ。

太田政府参考人 今委員から御指摘のような内定取り消しの状況というのが出てきておりますので、現在、全国のハローワークで把握をしているところでございます。

 当然ながら、合理的な理由なしに内定取り消しということはできないわけでございますので、そういうケースにつきましては、ハローワークで、内定取り消しをすることのないようにきちっと指導したいと思いますし、それから、全体の状況も把握した上で、合理的な理由なく内定取り消しのないように、しっかりと指導してまいりたいと考えております。

山田委員 ただしっかり指導していくというだけじゃしようがないので、大臣、そういう大変深刻な状況になっていることも踏まえて、大臣から、ハローワークでももちろんだけれども、そういう大手の各企業等に対してきちんとした、通達とまではいかなくても大臣所信みたいなものを発する気持ちがあるのかないのか。そのイエスかノーだけで結構。

舛添国務大臣 近々経団連にも参りたいと思っています。こういう経済団体に対してもこういう要請を発し、そしてきちんと対応してまいりたいと思っている。答えは、はいでございます。

山田委員 今すごいリストラといいますか、新聞等によると、トヨタでも期間工を六千人から三千人に、日産でも二千人から千人にとか、いろいろなところでリストラ、これについても載っているようですが、もともと、自動車会社、こういうところは期間工、いわゆる期間を決めた従業員、三カ月か四カ月というのが多いと聞いております。こういったところから、あるいは派遣労働だけでかなりの数に上っていると思います、これはこれから聞いていくことにしますが。

 その中で、私、この前、ちょっと連合静岡から話を聞いて、実際に相談員に当たった人から具体的にいろいろ詳しく聞いてみたんですが、私が出している資料一を見ていただければと思います。この二番目のところですね。「今朝(十月二十七日土曜日)会社から寮に五人来て、ドアをがんがんたたいて、開けろというので開けたら、踏み込んできて、」家財道具、独身ですから小さなものだと思うんですが、「運び出して自動車に乗せ、自分も乗せられて、台風の雨の中、駅前で放り出された。」と。

 実際にその本人と連絡をとってみたんですが、これはもう携帯がつながりません。当時、連合静岡の浜松の相談員が、期間工で仮にやめさせられたとしても、宿舎との契約は権利があるんだから出ていくな、それをこうしてほうり出されたら、違法行為だから警察に行けと言ったそうです。それで、本人もやむなく警察にそのまま行ったそうですが、警察では民事不介入だといって全く取り合ってもらえなかったと。こうして、この方は寮から追い出されたら住むところがない。そうなると、当然、ネットカフェとかマックカフェとか、そういうふうに転々としなきゃならない。

 こういう人がかなりの数いると思うんですが、今、そういった派遣労働者とか期間工の実態、これを厚労省として調べているはずで、私の質問事項にもあったので、大臣の方で答えられたら、今どういう実態にあるか、数その他、教えていただければと思います。

舛添国務大臣 まず、総務省の就業構造基本調査によりますと、製造業における契約労働者、いわゆる期間工でございますけれども、三十五万八千人、これは平成十九年の調査であります。また、都道府県労働局からの十月の報告によりますと、派遣労働者、請負労働者、またいわゆる期間工の約五千人が、雇いどめや中途解除または解雇されていると報告されております。

山田委員 期間工で三十五万人と言っていましたが、派遣労働者でどれくらいいますか。

太田政府参考人 今ちょっと手元に具体的な数字を持っていませんが、概数で申し上げますと、製造業における派遣労働者は大体五十数万人という状況でございます。

山田委員 製造業を聞いているわけじゃないんだけれども、全体の派遣労働者、では、私が調べました資料二を見ていただければと思います。

 大臣もよく見ていただきたいんですが、この派遣労働が、平成七年から平成十八年度までの推移、今既に三百二十一万人。特に見ていただきたいのは平成十七年から十八年の数字、これが約百万近くふえているわけです。そうすると、この統計、平成十九年、二十年になるとはるかに四百万人を超しているんじゃないか。今は四百万人から五百万人に派遣労働者がなろうとしているのではないのか。これは大変な問題だ。

 最近、二、三日前の新聞にも載っていましたが、非正規社員が、今まで三分の一ぐらいあるんじゃないかと言われておったけれども、もう既に四割を超えている。それに対して一体どのような、例えばやめさせられた、さっき言ったように、荷物をほうり出されて、台風の雨の中に人間までほうり出される。そういうやめさせられ方をして、人間らしく、派遣労働とか期間工が失業保険をもらって何とか憲法で言うところの最低の生活、これができるような状況になっているのかどうか。

 大臣、どう思われるか。これについては、私も質問通告をしたつもりなので、ひとつ具体的に、抽象的じゃなく、お答えいただきたい。

渡辺副大臣 雇用保険の適用状況についてでございますけれども、就労形態ごとに把握する仕組みになっていませんので、当省が実施した調査によれば、派遣労働者が雇用保険に加入している割合は八八・七%、契約社員については八一・九%となっております。

 以上でございます。

山田委員 それは違うんじゃないのか。私の手元にある中では、日雇い労働者数五十八万人、この数字も違うと思うんだけれども、そのうち日雇い労働者の被保険者数というのが二万四千六百三十八人。これは、厚労省がつくってきた数字だけれども、うち日雇い派遣労働者の被保険者数というのはたった三人となっている。

 派遣労働者数百五十二万人のうち、これも数字がちょっと違うと思うんだけれども、これはみんな厚労省の数字なんだけれども、みんな違うんだな。何を把握しているのか、本当に。そのうち雇用保険の加入者は五・三万人とあるから、一割にも満たないじゃないか。それが何で八〇%以上加入しているんだ。それを明らかにしてほしい。

渡辺副大臣 失礼いたしました。

 日雇い派遣労働者に対する日雇いの雇用保険の適用状況につきましては、委員お話ありましたとおり、現在のところ三名ということであります。本年の九月末現在におきまして、そのとおりでございます。

山田委員 そうすると、今は本当に、我々にとって、先ほどの話のように、それこそ映画のドラマじゃないけれども、ドアをドンドンたたいて、あけて、入ってこられて、追い出されて、車に乗せられて、駅でおろされる、そういう状況でそういう人たちは一体どうやって生活するのか。

 これは、大臣、期間工の人もかなり多いと思うんですよ。それについて厚生労働大臣としては一体どういう対応をするつもりか、ひとつお考えを端的に、きょうは質問事項がいっぱいあるので、端的に答えていただきたい。

舛添国務大臣 日雇い派遣についての雇用保険の適用が進んでいない、これは御承知のとおりでございますけれども、昨年の九月以降、派遣元の事業者に対して、その雇用する日雇い派遣労働者へ日雇労働求職者給付金制度の周知を行うことを指導してきたところでございます。

 引き続き、この周知方法が徹底していない面もございますので、さらに周知をしていきたいというふうに思っております。

 委員御承知のように、いわゆる派遣社員と日雇いというのは統計上別になっております。一カ月未満の雇用契約で働く派遣労働者というのが、一日当たりで換算すると五万三千人というのが先ほどお渡しした資料でございます。

 とにかく、今申し上げましたように、雇用保険の適用が進んでいない方々に対して、この給付金制度の周知ということを徹底するように、さらに努力を重ねてまいりたいと思います。

山田委員 先ほど、たった三人しか日雇い派遣のうちに保険に入っている人はいないと言いましたが、この日雇い派遣とか期間工もそうですが、もちろん本工の、本工というか正社員の四割ぐらい給料は安い、しかもボーナスも将来の望みもない、こういう、リーマン・ブラザーズの破綻以来、真っ先に切られていくのが派遣労働であり期間工である。

 そんな中で、若い人はどういうふうになっているか。ちょっとこの前の秋葉原事件、八王子事件、これはみんな派遣労働者だ。大臣、これは大きな社会問題になりつつある。あの二人とも自殺志望だった。

 では、若い人の死亡率、自殺はどうなっているのか。資料にはつけていませんが、私が調べたところだと、この十年の間にかなり、一・五倍ぐらい上がっていますね、ふえています。中でも、自殺がふえているのは三十から三十九歳。平成八年に二千五百一人いたのが、平成十九年には四千七百六十七人、約二倍近く上がっているんです。若い人が、何でこんなにこのところ急に自殺しているのか、そして、ああいう秋葉原事件みたいなことを起こすのか。

 また、お年寄りもついでに言いますと、六十歳以上がやはり一・七倍か八倍ぐらいまで上がっています。これは、後期高齢者医療制度、大臣の責任もあると思っているんだけれども。

 厚労大臣、きょう聞きたいのは、若い人がこういう状況に陥って、三十歳から三十九歳の若さで特にふえているということは、フリーターとか日雇い派遣とかいわゆるネットカフェ、マックカフェ、そういった人たちが、世の中に失望して秋葉原みたいなそういう事件を起こしたり自殺している。大臣、これに対して大臣としてどう責任をとるつもりか。

舛添国務大臣 雇用政策というのがこれからますます大事になってくる。そして、今委員が御指摘の問題は、私も本当に深刻にとらえております。

 そこで、雇用の面では、新雇用戦略ということを設けまして、そのうち、三つぐらい柱がありますけれども、一つは、いわゆる就職氷河期に正社員になれなかった若者に安定雇用を実現しようということであります。

 今、秋葉原事件なんかに関連して委員が、三十歳から三十九歳とたしかおっしゃいましたか、その年代の方のことを言及なさいましたけれども、先般、十月の末に生活対策として取りまとめた中に、いわゆる年長フリーター、年長フリーターと我々が言う場合に二十五歳から三十九歳を対象といたしますけれども、こういう方を雇用してくれた事業主に対して奨励金、具体的に言うと、中小企業については一人採用していただくと百万円、大企業については五十万円、こういう奨励金を創設して、今言った年代の方々に対してもきちんと対応したいというふうに思います。

 それから、先ほど、追い出されたと冒頭の資料一で御説明ありました。住居を失って、まさにネットカフェなんかに寝泊まりする、こういう方々に安定的な就労をやっていただくために、チャレンジネットという専門の窓口も設けました。

 その他、さまざまな施策を講じてその問題に対応していきたいと思っております。

山田委員 フリーターとかそういう人たちに対して、採用した場合に百万とか幾らか中小企業にやると言うんですが、局長、その実績、一体そういうのは何例あったか、教えていただきたい。

太田政府参考人 今大臣から申し上げました、年長フリーター等を対象とした求人枠を設けて雇用する事業主に対する特別奨励金の創設、今般の生活対策で打ち出したものでございますので、まだ補正予算等の設定がなされておりませんので、今、奨励金の創設をするという対策を打ち出したところでございます。

山田委員 これまでもいろいろあったのに、今の話ではまだ何もやっていないということじゃないか。大臣、どう思われますか。

舛添国務大臣 いや、先ほど申し上げましたように、新雇用戦略でさまざまな手を打っている、そして、それに加えて、先ほど申し上げました生活対策ということで今申し上げた奨励策をやったということで、フリーター対策、ネットカフェにおられる方の対策、こういうことは着実に手を打ってきたところでございます。

山田委員 これから本気でこの問題に取り組まないと、我々厚生労働に属する者としては大変だと思うんだけれども。

 一つ、派遣労働者の中で、ちょっと私も日雇い派遣の仲間と一緒にネットカフェに行ったりマックカフェに行ったり、そして、これは働いている現場も見せていただきました。その中で彼らが話しているのは、本来、派遣労働で禁止されている建設現場、もう一つは港湾の荷役、これが一番多いんじゃないか、私が当たった範囲では。本当の日雇い派遣で、ネットカフェで寝泊まりしている連中です。

 これは明らかに違反なんじゃないか。これは一年以下の懲役、百万円以下の罰金に処せられるはずで、それについて厚労省は一回でも立入調査をしたことがあるかどうか、労働基準監督署は。

太田政府参考人 委員御指摘のように、労働者派遣法におきましては、港湾運送業務、建設業務などにつきましては労働者派遣事業を行ってはならないということになっているわけでございまして、罰則も当然ついているわけでございまして、法を遵守されるように広く周知を図っているところでございます。

 この法違反の実態につきましては、労働者からの申告に対応するのみならず、派遣元事業主等に対する定期的な指導監督を行って積極的に把握をするように努めているところでございまして、法違反があれば厳正な指導を徹底しているところでございまして、十九年度の指導監督件数一万件の中で文書指導件数は六千五百件、うち禁止業務に係る指導は六十五件というところでございます。

山田委員 今、いわゆる派遣元というか派遣業者だけで五万か六万か届け出だけであるでしょう。ところが、静岡県だけで調べてみると、二千ぐらい派遣業者がいるというんだ。ほとんどがやみだ。届け出なしで派遣業を行っている。しかも、港湾の現場というのは、七割から八割は派遣労働者で占められているというじゃないか。それを単なる書面の報告書とか、そういう指導とか監督じゃなく、実際にその実態の立入調査を一回でもやったことがあるのかないのか、それを聞いているんだ。

太田政府参考人 今申し上げました一万件の指導監督件数、基本的には現場に立ち入って調査を行っているということでございまして、その中で文書指導件数は六千五百件、禁止業務に係る指導は六十五件、こういう状況でございます。

山田委員 実際に港湾の現場で立入検査をしたことがあるのかないのかと聞いているんだ、事前に報告を求めるじゃなく。大臣、答えてほしい。どうなんだ。聞かれたことにきちんと答えてくれればいいんだ。

太田政府参考人 派遣元事業主等に対する定期的な指導監督でございますので、実際の現場で、入って調査も行っているという状況でございます。

山田委員 そうじゃない。やみの業者もいっぱいあると言っているじゃないか。ただ建設や港湾で働いている労働者のところに立入調査して、派遣労働なのか直接雇用なのかという実態の調べというのは、僕が労働基準監督署に聞いた限りで一件もやったことがない。局長、もういい。

 大臣、それぐらいこの派遣労働とかそういう現場においては、大臣としては、厚生労働省としては、まさに形式的な報告とかそういったものを求めているだけで、実際に現場はどうなっているかということも大臣みずからそこはしっかりと考えていただきたい。いいですか。

 それで、次に聞きたいのは、先ほど三人しか保険に入っていなかったと言うけれども、この失業保険の実態、これが大変厳しくなってきている。私が調べた限りでは、平成十二年までは失業給付は九十日から三百日あった。ところが、それ以後、いわゆる解雇された場合と解雇じゃない場合、自発的退職というような言い方をしていますが、それを分けてきて、これは解雇以外の退職の場合ですが、九十日から百八十日に減らされている。支払いをどんどん減らしてきている。

 そして、もっと大事なことは、先ほどの期間工にしても三カ月とか四カ月だ、日雇い派遣はましてそうだけれども、失業保険をもらうには一年間失業保険を納付していないともらえないことになった。だから、三カ月四カ月の期間工そしていわゆる派遣労働者というのは、失業保険が全くもらえないことになる。こういう大改正を、いわゆる失業保険がもらえないようなひどい制度を、大臣、この厚労省はやっているわけだ。どうしてこういうことをしたのか、お答えいただきたい。

舛添国務大臣 まず、日雇い派遣制度について先ほど来議論がありますけれども、私は、やはり正規雇用、常用雇用が主であるべきだということで、日雇い派遣の原則禁止をやりたい、これが大きな政策の柱であります。

 その中において、この日雇い派遣の方々について、先ほど三人という数がありましたのは、周知徹底もされていないというようなことであるとともに、まさに日雇いだということで、保険制度の適用を事業主がなかなか、我々が指導してもやっていかないというような状況でありますので、先ほど申し上げたように、これは引き続き周知徹底したいというふうに思っております。

山田委員 大臣、私が聞いているのは、日雇い派遣にできるだけ保険に入るようにと言っているのではなくて、厚労省は平成十二年から法改正をして、そして、一年間保険料を払わなければいわゆる失業保険をもらえなくしている。言ってみれば期間工とか派遣労働者がどんどんふえて四百万人とか五百万人に達しているときに、そういうことをやっていよいよもって失業給付がもらえなくなっている、これは厚労省、厚労大臣に責任があるじゃないかと言っているんだ。

舛添国務大臣 雇用保険制度をどういうふうにしてつくり、変えていき、時代の要請に即したものにするか、これはさまざまな配慮をやらないといけないと思います。

 先ほど委員御指摘の十二年の改正は、確かに、離職理由を問わないで九十日―三百日としていたのを、自己退職とか定年退職などを九十日―百八十日とするかわりに、倒産とか解雇、つまり自己都合じゃない方々に対して三百三十日まで日にちを延ばしているわけですから、まさにそういう方に重点的にやるという政策の変更でございます。

 それから、平成十五年の改正についていうと、やはりいつまでも失業者であってもらうよりも一日も早く再就職ができるように、再就職がやりやすいようなインセンティブ、具体的に申し上げますと、再就職したときの賃金よりも雇用保険、つまり失業保険の額の方がはるかに大きければ、いつまでも失業を続けていくということになりかねないので、そういうことを含めてできるだけ早く、それはもちろんいろいろ御支援申し上げますので、再就職してください、そういう政策を打ってきたところでございますので、そういう流れの中での時代に即した政策の変更であるということを強調しておきたいと思います。

山田委員 大臣の言っていることは若干違うような気がする。

 いいですか。いわゆる自発的退職と解雇、これはほとんどの場合は、やはり解雇というのはなかなか、ほとんど自分で退職するようにしむけたり、だからめったに、次の前歴も出てくるわけだから、解雇というのは厳しいわけですよ。それがあいまいであり、そういう分け方をすること自体が、本来失業保険というのは、どういう理由であれ会社をやめたときに、次の就職ができるまでの間は保険を掛けてきちっと生活できるということが前提だから、分け方自体もおかしいし、そして、いわゆる給付率も、かつて六割から八割だったのが四・五割から八割まで減らしている。いいですか、大臣。

 ところが、私のこの資料六を見ていただきたい。この失業保険の収入というのは、大体この十年間毎年二兆円前後だ。そして支出も、多いときで大体二兆六千とか二兆七千億になったけれども、最近減ってきていますよね。その中で、積立金、これが平成十九年度で四兆八千億もあるんだ。一番失業者が多かったとき、平成十四年、失業率が五・四%。そのときですら四千億は、十分積立金があったんだ。とすると、失業保険の財源はかなりあったんじゃないの。財源はどんどん膨らんでいるのに、わざと給付とか期間とかそういったものを減らしていき、資格も制限していった。これは大臣、どういうことなのか。

 そしてついでに、今現在、いいですか、これは僕は埋蔵金だと思っているんだけれども、積立金残高、この失業保険で一体幾らあるのか。それをちょっと、今現在のわかっている範囲で結構だ、明確に答えてもらいたい。

太田政府参考人 失業給付の本体給付の積立金でございますけれども、十九年度末の決算で約四兆九千億円という状況でございます。

山田委員 そんなものじゃないだろう。僕は、調べて答えるように言っているんだ。一番新しい資料で答えてほしい。

太田政府参考人 今申し上げましたのは十九年度決算でございますので、約四兆九千億円というのが、いわゆる失業給付に充てる積立金残高でございます。それとは別に雇用保険二事業がございますので、この積立金残高が約一兆円を超えたという状況でございます。

 ですから、両方足すと約七兆円ということでございますけれども、最初に申し上げたのは、失業給付の本体給付の積立金残高が四兆九千億円ということでございます。

山田委員 大臣、福田内閣のときに、行政支出総点検会議というのは大臣も御存じでしょう。そのワーキングチームの資料を私は入手しました。この中にこう書いてあるんですよ。いわゆる二事業分については一・二兆円を超えている。そして、雇用保険の積立金だけで五・四兆円に迫ろうとしている。ここにはっきり書いていますよ。この行政支出総点検会議、これは内閣府に置かれているはずだ。大臣、これが間違いなのか、今の局長が言うのが正しいのか。

太田政府参考人 私が申し上げたのは十九年度決算の確定した数字でございます。今委員お話しの数字は二十年度予算の数字でございますので、まだ確定していない、いわゆる推計値でございます。私が申し上げたのは、十九年度決算の確定した数字で申し上げたものでございます。

山田委員 私の示している資料七を見ていただきたい。

 この保険二事業、これはほとんど意味のない事業で、官僚の天下りを食べさせるための事業じゃないかと思って、これから明らかにいたしますが、その中で、今一兆六百七十九億、積立金があります。これは、毎年収入が五千億、支出が三千億です。これは両方合わせて確かに七兆ぐらい。これは、普通一般に保険の収入と保険の支出はほぼ一定なのに、どんどん積み立てて、積み上がってきたのがこの雇用保険等々で七兆円ある。大臣、これがいわゆる埋蔵金じゃないのか。

舛添国務大臣 積立金が約四兆九千億円、それから安定資金が一兆一千億円ですから、先ほど局長、七兆と申し上げましたけれども、これは正確に六兆円でございます。

 それで、二つを分けて考える必要があります。積立金について、これは政府の中でも断固守っていく、つまり埋蔵金ではありません。つまり、大事な大事な、必要なときの準備のお金ですから、今から雇用情勢が残念ながらどんどん悪くなっていって、失業者が町にあふれるようになると、これを原資としてそういう方々の生活を支えないといけないので、この四兆九千億円に手をつけようという意見がさまざまなところから出ているやに聞いておりますけれども、厚生労働大臣としては、この積立金は労働者の生活の安定を図る基本でございますから、ここについてはしっかりと守っていくべきだというふうに私は思っております。

 それの関連で、では保険料率をどうするのか、こういう問題もあるし、それからもう一つの御指摘の、雇用安定資金の積み上げの問題、一兆一千億円については、これは例えば私のしごと館であるとか、いろいろな箱物についての御批判もございました。しかしながら、例えば職業訓練をやるようなときに使うということについてはいい、きちんと積極的に活用したい、そういうふうに私は思っております。

山田委員 まず、六兆円じゃないかと言うけれども、それでは、いわゆる行政支出総点検会議のこの資料が間違いなのか、大臣。

舛添国務大臣 先ほど局長が御説明いたしましたように、予算ベースの推計と、これは十九年度の決算が確定した数字で私は申し上げておるわけでございます。

山田委員 ともあれ、一番最新のというか、先月から今月、発表された行政支出総点検会議の資料によれば、二事業分、雇用安定資金の方は一・二兆円に積み上がっている、そして雇用保険の方は過去最高水準の五・四兆円に迫っている、そう書いているので、約七兆、埋蔵金がある。

 しかし、埋蔵金じゃないと言うけれども、大臣、失業保険の場合に、最高に給付されても二兆七千億、五・四%の失業のときに。この私の資料を見てもらいたい。資料の六です。常に二兆三千億ぐらい入ってきているんだから、幾ら積み立てしても、いざという場合に、失業が一番最高のときに備えたって、五千億も積み立てておくか、あるいは一兆円積み立てておけば十分過ぎるほど十分なんで、あとはいわゆる必要のない積み立て、霞が関の埋蔵金なんだ。

 では、これを話していてもしようがないので、次の質問に移ります。

 二事業の部門です。資料の四を見ていただきたい。

 この中で、雇用保険が入ってくる中で、一応、失業保険とかいろいろなものに使われている部分は、育児休業給付とか介護休業給付とかそれはまあいいとしても、この二事業、雇用安定事業、これが問題なんだけれども、この表でいくと三千三百五十七億円。そこに使われているもの、雇用安定事業の雇用調整助成金、これは確かに、労働移動やそういうものに使われるお金は大事だと私は思う。それに使われているお金は、金額にして幾らなのか。雇用調整と労働移動と財形、これぐらいは確かに必要かなと思うんだけれども、その三つについて数字を、答えるだけ答えていただければ。

太田政府参考人 今手元に具体的な数字がございませんので後ほどお届けしますが、雇用調整助成金は雇用情勢によって変化するものでございまして、過去、かなり多額に出たときには、雇用情勢が悪いときには五百億円ぐらい。今は大体百億を切っているような数字ではないかと思っております。

山田委員 質問通告しておったつもりだけれども。

 局長、知らないと言うけれども、雇用調整、これはこれから先、大変大事になってくると思うんだ。こうして失業がふえてくるときに、大企業ができるだけ失業者を出さないように、この保険の中から雇用調整金をもらって被雇用者をつなぎとめていくということは大変大事なこと。ところが、これに使われているお金はわずかに二十三億だ。財形でも五億ぐらいだったと思う。移転費に、移動費に九億か。あとは何に使われているか。

 さっき言った私のしごと館、大臣が少し話しましたけれども、いろいろな福祉施設等にかなりの金額が使われている。今までの労働福祉施設にどれくらいの金額を使って、私のしごと館みたいな施設がどれくらいあったか、その数字を述べていただきたい。局長でいい。

太田政府参考人 雇用保険事業にかかわります施設整備に関しましては、過去、全体の総計で、出資金として約七千六百三十九億円でございます。

山田委員 全国二千七十カ所に体育館とか福祉施設とか、箱物をつくっていった。スパウザ小田原ですか、四百五十五億でつくって八億で売っている。いいですか。それで私のしごと館、五百八十一億円かけてつくって、今でもそのままにして、毎年十五億、運営費をこの保険の中から払っている。川越の体育館は、これは千五十円で売ってしまった。七千五百億ぐらい保険の中から金をかけて、それが二束三文に売られようとしている。この設備費に七千五百億だったか、そういう金額がかかったことはわかるけれども、運営費、例えば京都にある私のしごと館、ここには今でも我々の雇用保険の中から運営費として十五億円拠出されている。

 今までにそういう箱物の運営に保険がどれだけ使われたか、それを明らかにしてほしい。これは大事なところだ。

太田政府参考人 施設関係の運営費につきましては、今手元に資料がございませんので、資料を整備した上でお届けしたいと思っております。

山田委員 大臣、僕は昨夜質問通告しておった、これは大事な質問だから。運営費は一体どれぐらい今入れているのか、過去どれぐらい入れてきたのか。これはもうわかっているはずだ、きのうさんざんそれをやっているんだから。

田村委員長 だれか答えられる人いますか。

 太田職業安定局長。

太田政府参考人 過去の累計につきましては、質問通告をいただいておりませんので、今手元に数字はございませんが、例えば独法の能力開発機構の一般勘定の運営費交付金につきましては七百九十億円、それから、施設整備関係の補助金に関しましては十七億円という数字がございます。

山田委員 単年度なんですね。

太田政府参考人 平成十九年度の予算額でございます。

山田委員 いいですか、我々の雇用保険の中で、雇用安定事業、二事業と呼ばれているんですが、これは千分の三、小さな商店も中小企業も払わされているんだ。それがこのような使い方をされている。

 資料八を見ていただきたい。大臣、よく見ていただきたい。雇用保険の中から、先ほどの能力開発機構に対する交付金も含めて、こういう社団、財団法人、独立行政法人に対して二千百七十三億二百二十六万一千三百九十一円、毎年払われている。そこに天下っている官僚の数が五百八十五名だ。

 大臣、大臣は厚労大臣として、我々の雇用保険、中小零細企業を含めて千分の七から、そして働いている人も千分の七、一生懸命一生懸命働いてそれを支払っていっている。特にこの雇用保険とか社会保険はちょっとでもおくれたら差し押さえが来る。中小零細企業は頭を抱えているんだ、毎月。それが天下り法人に二千百七十億も毎年使われて、先ほどの箱物の運営費に九百五十億だったか、ちょっと数字を忘れちゃいましたが、それぐらい使われている。こんなばかなことが許されると思うのか。大臣、答えていただきたい。

舛添国務大臣 今委員がお示しいただいた法人の一覧表がございます。それぞれ一つ一つの法人が、独立行政法人が、どういう仕事をし、そしてどういう効果を上げているか、こういうことについてきちんとやはり検証をやるべきだというふうに思っております。

 PDCAサイクルによる目標管理をきちんとした上で、個々の政策効果について検証し、効果の低い事業については廃止する、または縮減する、そういうめり張りのきいた効率的な事業運営を行っていきたいというふうに思っています。すべてが全く何の役にも立っていないということではないと思っております。

山田委員 大臣、僕にしてみれば、大臣の今の言葉はそらぞらしい。

 大臣、この保険料率を見てもらいたい。資料五。これまで雇用保険で国庫負担があった。最初は三分の一あったのが四分の一になった。今や一三・七五%だ、国庫負担がある分は。

 保険料率も随分変わってきている。その中で、まず千分の三・〇、昭和五十年から、いわゆる天下り官僚を太らせるための事業としか思えない、これを中小零細企業から取ってきた。これは即刻廃止すべきだ。本当に雇用者のために、事業のためになっているのは、さっき言った雇用調整金の二十三億とか、わずかなものだ。保険料率も、高過ぎる部分は幾らかでも負担を軽くさせてやらなきゃいけない。これはぜひ考えてほしい。

 そして、もう一つ保険の中で私が言っておきたいのは、先般、サンマ漁船の漁労長がやってきた。六人やってきて、東北から来たんですが、サンマ漁船に乗っている人たちというのは、六カ月働いて、その期間中、季節によっての漁ですから、保険を払って、あと三カ月部分は失業保険でやって、それをずっと繰り返してサンマ漁は成り立ってきた。

 ところが、このところ、去年からか、それを厳しく規制して、三回以上はだめだということになって、私の出身地である五島列島においても、田舎で仕事がないから、小さな工務店とか建設業者においてもそれなりに、そのような人たちを六カ月何とか無理してでも雇って、あと三カ月は雇用保険で食べなさいよ、そういう形で過疎地においてはやってきた。それが切られてしまった。

 サンマ漁船の漁労長は、サンマ漁になじんだそういう人たちが、もう雇用保険が三カ月出ないのならといって、よその仕事に行って、サンマ漁に行く働き手もいなくなった、何とかならないのか、国は財源がない、財源がないといろいろ言っているが、保険もお金がないんですかと聞かれた。いわゆる被保険者の特例措置もあることはある。ところが、これも五十日あったのを四十日に減らされた。

 これだけ積立金も、七兆円に埋蔵金もならんとしている中で弱者いじめ、これは大臣、ここで改めよう、そういう気持ちがないかどうかお聞きしたい。

舛添国務大臣 今サンマ漁船の例を挙げましたが、いろいろ各地で、例えば北海道でも、スキー場で働く、そうすると雪のあるときだけに限られる、その残余の期間は失業保険でということでありますけれども、いわゆる循環的な離職者というカテゴリーの中で、同一事業主において再就職、再就職していくという形のカテゴリーをつけて今厳しくしたわけでございますけれども、今委員も御指摘のように、短期雇用特例被保険者ということで四十日間の特例を、一般被保険者じゃなくて短期の雇用特例被保険者として扱うというような形での救済を考えております。

 これは、委員、全体的に、雇用保険の料率をどうするのか、そしてこれからの経済情勢に対してどういう見通しを行うのか、そのときの判断で雇用保険料率を下げることは容易ですけれども、では、深刻になったときに再び上げるというときには、前の例から見ても非常に厳しいものがございます。

 だから、これもすべてバランスの問題で、委員のおっしゃる問題意識はしっかり私も持った上で、何らかの対応ができるか検討したいと思いますけれども、しかし、全体の雇用保険の制度をできるだけ負担を少なくしてきちんと運営していくというためにはどうすればいいか、これは雇用保険制度だけのあり方ではなくて、例えば今の漁船の乗組員の方々の生活のやり方、離島の特殊な事情もあると思います。そのようなさまざまな総合的な施策でこれは対応すべきで、雇用保険だけの問題ではなかろうかと思っていますが、委員の問題意識はしっかりと受けとめて検討させていただきたいと思います。

山田委員 雇用保険は、改定時に法律で変えたり、弾力運用で変えたり、この弾力運用というところも非常に気になるところだけれども、実際にその実態に合わせて保険料率を変えることはできるわけだ。それは大臣も認めていると思う。私も法律を調べてみたが、そのときの状況によって保険料率を上げたり下げたりすることはできるようになっている。

 そうしたら、このように二事業合わせて七兆円もの積立金を持つんじゃなくて、本当に必要な金額だけをその年その年に積み立てていけばいいのであって、特に二事業で今使われている箱物の運営費とか、いわゆる天下りに使っている何千億かのお金というのは絶対に不要なものだから、こういったものをどんどん切り捨てて保険料率を下げていき、または、いわゆる住宅手当とか、この後話させていただきますが、そういう手当を考えなきゃいけないんじゃないか、そう思います。

 もう一つ雇用保険で聞きたいのは、雇用促進住宅だ。今これがどういう状況になっているか、資料九を見ていただきたい。

 今ここにどれくらいの部屋数があって、そして入居がどれくらいで、空き部屋がどれくらいあるか、質問通告しておったので、お答えいただきたい。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 全国で千五百十七宿舎、約十四万強の所有でございますけれども、そのうち入居しているものが十万でございますので、約四万ぐらいが空き部屋という状況でございます。

山田委員 これに保険からどれくらいのお金が使われたか、それを明らかにしてほしい。我々の雇用保険からこの住宅をつくるためにどれくらいのお金が使われたか。

太田政府参考人 雇用促進住宅は昭和三十六年度から運営開始しておりますけれども、昭和三十六年以降の累計額、建設費と土地取得費でございますけれども、整備費計で約九千五百億円でございます。

山田委員 大臣、先ほど箱物で、私のしごと館とかいろいろなものでやはり一兆円近いものを使い、雇用住宅でさらに一兆円近いものを我々は使われてきたんだ。これはやはり大変なことだと思う。

 資料十を見ていただきたい。写真だ。この中に、雇用促進住宅、四階建てだったかな、二棟、これは私の地元の大村の寿古というところに建っている雇用促進住宅だ。まだきれいだ。この八十戸の中に、今半分、約四十戸に人が住んでいる。この五年間に、三万の家賃が毎年上がって四万円になった、家賃だけで。

 そして、この写真の二番目にあるように、卵が一つある写真がある。これはハトの卵だ。ハトのふんだ。管理が全くなされていない。家賃は払わされて、毎年上がって三万から四万に。そして、シャワーの設備もないので、何とか自費でもつけたいと言うと、絶対だめだと言って断られる。ハトのふんとかクモの巣とかを掃除したいからかぎを貸してくれ、あるいは廊下の掃除をさせてくれと言うと、掃除させないと言うんだ。早く出ていってくれと。厚労大臣、これは鳥インフルエンザの心配もある。

 それで、一番驚いたのは、ことしの二月に入居したら、ことしの四月に出ていってくれと言うんです。そして、敷金はどうなるんでしょうかと言ったら、敷金はもらいますよと言うんですって。

 この管理が、例えば電灯とか電球とか云々が切れたりすると、管理人室みたいなところがあるんですが、そこに全部置いてあって、行ってみたら、そこに業者の名前が書いてあるんだね。そこに直接電話しなさいと。管理人が二カ月に一回来るか来ないか。家賃も全部振り込みだ。こんなずさんな管理をやっている。部屋そのものはまだきれいだ。八十戸入る、そのうち四十戸しか入っていない。それを取り壊すんだという話だ。

 こんなばかなことを、大臣、雇用促進住宅がそういう状況にあるということは知っておられたか、調べたことがあるかどうか。きょうの私の質問はこの問題をやると言っていたので、聞いていると思う。

舛添国務大臣 私は、直接雇用促進住宅に行って、例えば今のようなハトのふんが散らかっているというのを実際に視察したことはございません。ただ、今写真も見せていただきました。

 個々のこういう雇用促進住宅について管理がずさんであれば、必要不可欠な修理、管理はやらないといけないわけですから、これは雇用・能力開発機構に対して適切に対応するように指示をしたいと思います。

山田委員 大臣、管理そのものも、この天下りの団体の中には入っていないけれども、財団法人雇用振興協会、ここに今まで随契で何百億か、ことしから競争入札にしたとかと言っていたけれども、本当かどうかわからない。いずれにしたって、そういう能力開発センターからさらに雇用振興協会が下請になって、これは見るところ、雇用振興協会からさらに業者に対していろいろな委託をしていって、ずさんな管理になっているんじゃないか。

 雇用振興協会は、今この雇用保険の天下り団体の中には入っていない、これは雇用保険からの給付がないから。ところが、能力開発機構から行っているのと、家賃の収入、いわゆる我々の保険でつくった雇用促進住宅の収入から天下りたちが食べていっている。こういうものが幾らでもあるんじゃないかな。

 これは、大臣、徹底して雇用促進住宅の中身について調べていただきたい。調べるか調べないかそれだけでいいから、ちょっとお答えしていただきたい。

舛添国務大臣 現状がどうなっているか、調査はしてみたいと思います。

山田委員 次に、労災保険についてお聞きしたいと思う。

 今、労災保険のいわゆる積立金はどれくらいあるのか、お答えいただきたい。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年度末の積立金の見込み額でございますが、約七兆九千四百億円でございます。

山田委員 私が調べたところ、八兆円を超えている。これも私は埋蔵金だと思うんだ。

 では、毎年、去年とことし二カ年でいいし、ことしだけでもいい、いわゆる労災の保険料収入が幾らあって、そして幾ら支出されているか、収入と支出を答えていただきたい。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 十八年度につきましては、保険料収入が一兆三千七百七十七億円。それから、支出につきましては一兆三千三百二億円でございます。

 十九年度につきましては、収入が一兆四千三百二十七億円、支出につきましては一兆三千百四十三億円、こういう見込みとなっております。

山田委員 大臣、資料十一を見ていただきたい。これは特別に私の方で表につくっていただいた。わかりやすいと思うんだ。白い部分が支出、黒く斜線を塗った部分が収入、そして積立金の額が点々のものだ。

 積立金が、平成五年度は四兆かそこらだったと思う。四兆もなかった、三兆幾らだ。ところが、十九年度で八兆円近くまでこれは上がっていますよね、積立金だけで。一方、支出というのは減ってきているんだ。平成十五年度から収入と支出は変わらないんだ。大臣、そうでしょう。よく見てくださいよ。そうであったら、大臣、八兆円も積み立てる必要があるんだろうか。どう考えますか。

舛添国務大臣 委員御承知のように、業務上の事由とかまた通勤途上において負傷する、疾病にかかる、それで、例えば重度の障害が残った労働者、これはずっと生涯その方の生活を見る、それから、お亡くなりになった労働者の遺族に対して労災年金給付を行うということでございますので、そういう将来分も含めた積立金としているという意味で、私は、これはきちんと検討する必要があると思いますけれども、今からの、もちろん労災の防止ということで大変な努力を続けていることも一つあります。しかし、そういう中で、この積立金が潤沢にあるということが、やはり労働災害に対しての、労働者に対して安心を与えることになるというふうに思っております。

山田委員 大臣、考え違いをしてもらっては困るんだけれども、この積立金というのはあり余ったお金じゃないんだよね。これは、いわゆる働く人と中小零細企業の人が血のにじむような思いで支払った金額、税金なんですよ。

 その税金が、労災事故というのは年々減ってきているんだ、実際には。平成十五年、その前、平成五年度から見ればわかるとおり、支出は一定なんですよ。二兆円までいかないんだ。一兆五千億ぐらいなんだ。せいぜい二兆円までの積み立てなら、一兆円ぐらいの、一年分ぐらいの積み立てを余計にしている分ならわかりますよ。八兆も積み立てしているんだよ。これはまさに霞が関の埋蔵金じゃないか。

舛添国務大臣 この労災保険の保険料率も、それは払う方からすれば、事業主にしてみれば少ないにこしたことはございませんけれども、どういうふうにこれを決めているかということを申し上げますと、過去三年間の災害率などを考慮して業種ごとに定めることと決められておりまして、おおむね三年に一回、公労使三者で構成される労働政策審議会の審議を経て決められているところでございます。

 ですから、今、平成十八年度は千分の七・〇です。平成元年度を見ますと千分の十一・三です。さっと言いますと、十一・三、四年が十一・〇、七年が十・〇、十年が九・一、十三年が八・四、十五年が七・三、十八年が七・〇。恐らく平成二十一年度、そういうことで公労使の審議を経てこの料率を決めたいというふうに思っておりますので、恣意にそれを決めているわけではございません。

山田委員 恣意に決めているわけではないと言うけれども、労災についてもまさに埋蔵金の問題。これについては埋蔵金じゃないとかと言っていたけれども、いわゆる行政支出総点検会議で埋蔵金という言葉を使われているので、大臣、よく読んでいただきたい。行政支出総点検会議でこの労災の問題も問題にされている。

 大臣、本当に大臣を真剣に務めるんだったら、あそこの指摘、行政支出総点検会議の文書ぐらい読んで、きちんと対応して答弁しなければ、今のような答弁だと、官僚のつくった作文を読み上げているだけじゃないか。ではもういいよ、大臣、それはそれで。

 労災の資料の十三、労災保険がどういうふうに払われているか。九千百七十四億円が、療養とか休業とか傷病手当等に払われています。これはまあまあそれでいいと思うんですが、社会復帰促進事業として九百六十九億円、この使い方が問題だ。これは全く無駄な、官僚の天下りのいろいろな月給とか退職金とか、そういったものも含めた無駄な使い方を毎年されていると私は思う。

 それについて、そうでないと言うんだったら、ひとつ大臣、お答えいただきたい。

舛添国務大臣 この社会復帰促進事業が全く無駄であるという御説でございますけれども、例えば、労働災害を受けられた方の義肢、車いすなどの支給に使われる。やはりこの車いすがあることによって社会復帰できる。それから、遺族の援護をするために、そういう遺族の方が学校に行くときの援助をする。それから、やはり精神的にもいろいろなショックは受けられておりますので、そのメンタルヘルス対策などを行うということでありますから、私は、これは全く無駄だというふうには思っておりません。

 しかしながら、この大きな目的と必要性に応じてきちんとやっているか、これはPDCAサイクルを通じて検証し、特に、お金を払っているのは、費用負担しているのは事業主でありますから、事業主の意見もきちんと聞いた上で必要な措置をとりたいと思っております。

山田委員 今、義肢と言ったけれども、義肢に使われているお金は二十六億円だ。あと何か遺族のケアとかなんとかと言っていましたけれども、それに使われているお金は三十三億だ。ところが、実際に社会復帰促進事業としてそういうものに使われているお金は、私の資料十四、十五、十六で整理したので、それをよく見ていただければわかると思う。そこにすべて書いてある。この中で気になるのは、いわゆる労災病院とか化学物質のがん対策とか産業医学振興とか、本来医療の分野から出なければいけないものがここから出ているということなんだ。ここはぜひきちんと調べていただきたいと思う。

 大臣、その中で、天下り、いわゆる社団法人、財団法人が一体どれくらいこの労災保険にぶら下がっていて、この労災保険から支払わせて、どれくらいの数があってどれくらい天下りの官僚がいるか、それを調べるように質問通告してあったのでお答えいただきたい。

金子政府参考人 平成十八年度におきまして労働保険特別会計労災勘定において国から補助金等の交付を受けている独立行政法人あるいは公益法人等でございますけれども、ここには、十九年四月一日現在の国家公務員の再就職者数でございますが、九百五十二人でございます。対象の法人は八十三法人、交付額は八百二十五億円というふうになっております。

山田委員 大臣、毎年、労災保険でいろいろな社団法人、財団法人に対して八百億、雇用保険から九百億、このように支払われている、我々の労災、雇用保険から。これはどう考えられるか、大臣。

 しかも、そこの天下りが労災保険だけで九百五十二名だ。月給百五十万から二百万、二年いたら二千万、三年いたら三千万退職金をもらうという。八十歳まで渡り歩くという。こういうものにこれだけのお金が使われているわけだ。大臣、どう思うか、お答えをいただきたい。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、必要な事業、その目的がきちんと到達されているかいないか、無駄がないか、効率的に行われているかどうか、そういうことをきちんと検証し、無駄であれば廃止をする、縮減する、そういう方向で進めてまいりたいと思っております。

山田委員 大臣は、大臣に就任してもう三期目かな、どれくらいになりますか。その間に一度もこのことについて、きちんと点検したのかしていないのか、その辺もお伺いしたい。

舛添国務大臣 昨年の八月に就任いたしましたから、一年とちょっとこの職にあります。

 それで、さまざまな課題について対応しておりますし、この問題についても、特に天下り、独立行政法人のあり方については厚生労働省のみならず内閣全体としていずれの内閣も取り組んでいるところでありますし、例えば私のしごと館、雇用・能力開発機構については、これも今きちんと、どういう形で整理するか、行っているところであります。

山田委員 大臣、もう一回最初に戻りますが、ガンガンとドアをたたかれて、三人踏み込んできて、台風の中、駅前に連れ出されてその宿舎からおっぽり出された、こういう人たちが今も何千人も何万人もいるわけだ。いわゆるネットカフェ、私もそこに行って一晩一緒に過ごしてみた。マックカフェ、いわゆるマクドナルドのお店に行って、どういう寝心地になるのかやってみた。

 そういうふうに今、働き手で家のない人、もともと雇用促進住宅制度というのは、いわゆる就労者のための住宅支援だ。そういった就労者のための住宅支援というのを思い切って、例えば生活保護はもう百万人ぐらいで打ち切りだ。それで、まともに何とか働いて食べていける人はいい。しかし、失業保険もない派遣労働者、これは今物すごい数がいる。そして期間工、そういった人たちに対して、期間工も期間工をやめるということになると寮を出ていかなきゃいけなくなるんだ。そういった相談もいろいろと私のところにも来ている。そうすると、どうしてもこの住宅支援、住宅手当、これが必要なんじゃないのか。

 例えば、そういう雇用、日雇い派遣労働者の皆さん方、そういった方に一人六十万やるとして、仮に一万人に支払ったとしても六百億だ。天下り法人をやめてしまえば、これは五万人の人にだってできるんじゃないのか。大臣、こういったいわゆる就職支援のための働く人の住宅手当、そういったものは考えられないだろうか。

舛添国務大臣 今ネットカフェの問題なんかをおっしゃいました。このホームレスを含めての住宅支援をどうするかということでありますけれども、今の政策は、ホームレス自立支援法というのがございまして、これに基づいて自治体がホームレス自立支援センターを設置して、ここで宿舎や食事の提供を行う。それから、今ネットカフェにおられる方々に対しては、行政もそうですけれども、NPOの皆さん方にもお手伝いいただいて、とにかく求人のときに、例えば寮がついていますよ、賄いつきですよと。それから、常用雇用をやはりやっていただくということで支援をする。それから、アパートに入居するとき、先ほど敷金の話が出ました、こういうことの貸し付けを行うということをやっております。

 こういうことを総体的にやりながら、ホームレスの方々それから住居が不安定な就労者の方々に対して、とにかく職業についていただく、そして安定した雇用を得ていただく、そして住宅の支援もそういう形でやっていくという方向で今は政策を行っておるところでございます。

山田委員 政策を行っているところで、まだ国からはやっていない。実際に東京都はわずか、それについて上限六十万までで、六十人ぐらいまでやっているようだけれども、我々政治家として、厚生労働に属する者として、この就業支援のための住宅手当、これをぜひこの雇用保険のうちから何とか、これだけの霞が関の埋蔵金、両方合わせると八兆と七兆で十五兆円だ。これだけあれば本当にその住宅支援等々はできるはずだ。それをぜひお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

田村委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川でございます。

 舛添大臣には、お疲れのことと思いますけれども、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 まず、私の方は、雇用情勢の問題をお聞きして、次に労働基準法の改正案についてもお尋ねしたいというように思っております。

 さて、最近の雇用情勢でございますけれども、これが非常に不安でございます。既に昨年来、失業率はじわりじわり上昇いたしまして、求人率も低下をいたしているところでございます。九月の有効求人倍率は〇・八四倍となり、四年ぶりに低水準となっております。さらに、アメリカ発の金融危機、金融不安の影響で、急速に雇用の情勢が悪化してきているところでございます。

 特に、これまでも議論になりましたけれども、非正規労働者の皆さんは簡単に使い捨てされまして、多くの若者が路頭に迷うようなそんな状況も出てきております。とりわけ自動車、電機、そういうところでは、派遣契約が解除されたり、あるいはまた多くのパートなどの有期の契約社員も、これまた雇いどめなんかで非常に不安を抱えているところでございます。

 派遣とか契約社員などの非正規労働者が雇用のいわば調整弁に使われておりまして、こうしたことがこの不況下の中では大きな社会問題を引き起こす、こういうことになっております。

 そこで、ちょっとお聞きいたしますけれども、こういうような状況について、大臣は、現在雇用の実態がどういうふうになっているか、現場を含めての大臣の認識というものがどうなのか、まずはお聞きをしたいと思います。

舛添国務大臣 現在の雇用情勢、大変深刻に見ております。委員御指摘のように、有効求人倍率〇・八四倍、これは四年ぶりの低水準でありますし、前月比と見ても〇・〇二ポイント悪化しております。それから、九月の有効求人倍率について申し上げましたが、同じ九月の完全失業率で四・〇%、これは前月に比べて〇・二ポイントの低下であります。

 それから、十月に全国の公共職業安定所でヒアリングを中小企業を対象に行いました。とりわけその中で、やはり派遣社員の過剰感が出ているということで、今委員がおっしゃったように、非正規労働者を対象とした雇用調整が急速に進んでいるというふうに思っております。したがいまして、とりわけ非正規労働者をめぐる雇用情勢が悪化をしている。

 こういう中で、先般成立しました二十年度の補正予算において、特に非正規雇用の安定ということを図る施策を行っているところでございますので、今後引き続き、この深刻な雇用情勢に正面から取り組んでまいりたいと思っております。

細川委員 今の雇用の問題は、大臣が認識されているよりももっともっと厳しいんではないか。きょうの新聞などでは、昨日、東京商工リサーチが発表した倒産の問題など、これは、企業倒産が五年五カ月ぶりに高水準、あるいは、街角景況感などでは最悪というようなそういう調査も出ておりますし、最近の新聞などでも、例えば見出しで、「派遣切り加速 不況・円高直撃「簡単に使い捨て」」あるいは「通知書一枚「派遣」クビ 自動車業界人員削減加速」、あるいはまた「派遣解雇容赦なく 自動車王国・東海 進む雇用調整」。これなんかもひどいですね。例えば、「午後三時「全員解雇します」」こういうような見出しでいろいろな問題が報道されております。例えばこれは、「「派遣」消え街ガラ空き 福岡・トヨタ工場の地元」。本当に深刻な実態が報道されておりまして、大臣の認識よりももっともっと厳しいんではないかというふうに私は思っております。

 以前は、景気が悪化をいたしましても、一定程度の企業の中で緩衝帯のようなものがありまして、大幅な雇用調整とかいうところまでは余りいかなかった。あるいはまた、高度成長期などは農村などが割と調整弁になっていたというようなこともあったわけなんですけれども、しかし、これまでの最近の政策によりまして格差が拡大をしてまいりまして、地方なんかにもそういう余力もない、こういうことになっております。

 このことは、非正規の労働者がふえたということ、それから、その非正規の人たちを安易に雇用調整のように使うことになったのが最大の原因でございます。

 それで、派遣契約の解約というのも、これはもう日常茶飯事になっておりまして、この派遣法の改正、これも私は非常に重要なことだと思っております。政府の方からは派遣法の改正案が出ておりますけれども、あれでは本当に生ぬるいといいますか、あんなことでは私は派遣の問題は解決しないんではないかというふうに思っておりまして、民主党の方でもこの派遣法の改正案をつくって、準備をいたしております。

 派遣もさることながら、有期雇用のあり方も私は問われているんではないかというふうに思っております。特に、有期契約を繰り返す場合には、雇いどめになりますと退職金ももらえない。そうすると、つなぎ資金にも事を欠くようになりまして、再就職もなかなか困難だということもありまして、非常に危機的な状況に追い込まれる。こういうことになってくるところでございます。

 こうした不安定な雇用形態そのものを何とかしなければ日本の社会そのものもだんだんおかしくなっていくというふうに私は思っておりますけれども、大臣はこの点についていかがお考えか、お聞きをいたしたいと思います。

舛添国務大臣 私も常日ごろ、やはり恒産なければ恒心なしという言葉がありますように、きちんと安定した職業生活を送るということが生活の安定につながると思っております。そういうことで、日雇い派遣の原則禁止という法案を提出させていただいております。非正規雇用者の安定化、特に正規雇用化を図るためにさまざまな今施策をやって取り組んでいるところでございます。

細川委員 大臣の方は、ある程度やっておられるというふうに考えておられるかもわかりませんけれども、しかし、現実は、なかなかそんなものじゃなくて、大変厳しいということだけはしっかりと認識しておいてもらいたいというふうに私は思います。

 先ほど山田委員の方からもお話がありましたけれども、制度論は別にしまして、今喫緊にやらなければいけないこと、今言われておりますことは、うわさでは、この年末には池袋とかあるいは渋谷なんかではホームレスの方がどんどんふえて大変な事態になるんじゃないかとか、そういうような話も聞くわけなんです。

 したがって、こういう人たちをどう救済するか、あるいは支援するか、こういう緊急対策も今必要だと思うんですけれども、先ほどのような話では全然解決にはならないと思いますので、このまさに緊急の対策についてはどのようにお考えなのか、述べてください。

舛添国務大臣 これは、先般十月末に生活対策ということで一連の政策パッケージを発表しましたが、その中で、年長フリーターなどに対して、これを求人する雇用主に対して奨励金を創設する、それから非正規労働者就労支援センターを設置し、就労支援体制をさらに拡充する、さらに事業活動に悪影響が出ている中小企業に対する雇用維持のための助成金を拡充する、それから地域の雇用の創出のためのふるさと雇用再生特別交付金を創設する。こういうことで、今おっしゃいました緊急対策を強力に遂行していきたいと思っております。

細川委員 私はその程度では全然対策にもならないんじゃないかと。現実は本当に厳しい状況でございますから、もっともっと踏み込んだ大胆な対策でやってほしいと強く要望しておきます。

 次に、基準法の改正案についてこれからお尋ねいたします。

 昨年の通常国会に提案された基準法の改正案ですが、この委員会でも法案審議が行われまして、その中で、我が党の同僚の委員からもいろいろな質問がなされました。

 その中で、月八十時間を超えた時間外労働について割り増し賃金の率を五〇%に上げるという、この八十時間というラインは国際標準から見ても妥当ではないのではないかというような強い指摘がなされたところでございます。

 我が民主党の中では、かねてから時間外労働についての割り増し賃金は、時間外労働が発生したそのときから五〇%にすべきだ、こういう議論が重ねられてきたところでございます。この月八十時間というのは過労死認定の際のラインとも言われるものでありまして、そもそもこんな内容の改正案を内閣の方から提案すること自体、私はとんでもないことだと思っておりました。

 そこで、八十時間というこのラインをもっと下げるべきではないか、こういうことは与党の中でも出ておったようでございますけれども、この八十時間をもっと下げるということについては大臣はどういうようにお考えなのか、まず聞かせてください。

舛添国務大臣 私も過労死の問題や何かで現場を見ておりますので、今委員が御指摘のように、八十時間という、これはもっと抑制すべきじゃないかという御意見だと思いますが、私は、そういう御意見にはやはりきちんと、これは考慮に値するというふうに思っております。

 今の委員の御指摘もありますし、また今与党の話もなさいました。与野党の中にもさまざまな御意見がございます。やはり仕事と生活の調和のためにはどれぐらいの労働時間の抑制が必要なのか。今、限度基準というのを設けて中間的な四十五時間以上については指導しておりますけれども、しかし、きちんとした形で御議論をしていただいて、与野党の御意見をきっちり踏まえて、そしてよりよい形の法案にしていただいた上で、早期にこの労働基準法の改正案を成立させていただきたい、今そういうふうに思っております。

細川委員 もう一つ、この法案には、労使が自主的に割り増し賃金率の二五%を引き上げるようにその努力義務を課すという規定があります。この数字は法案には書いてないわけですけれども、これまでの国会答弁や役所の出してきましたペーパーの中では、月四十五時間を超える部分について制度的な枠組みをつくるということになっております。

 私たちの考えでは、かなり長い時間から割り増しというように法定するなら、せめてその努力義務というのは、最初から、時間外労働が発生するそのときから労使で二五%以上にする、そういうことを協議する努力義務、こういうものにすべきだ、こういうことを考えております。

 では、まずお聞きしますのは、四十五時間というふうに決めた理由はどこにあるのか、そしてそのラインをもっとぐっと下げるべきではないかという点について大臣はどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたい。

舛添国務大臣 これは、一つは、労働の実態を見たときに、例えば五時で終わるのを一、二時間残業することがどうしても必要な場合がございます。したがって、どこまでを努力義務とするか、四十五時間というのはそういう判定であります。

 それからもう一つは、とにかく一時間でも残業が始まったら割り増しということになりますと、例えば五〇%の割り増しということになると、労働コストという形ではね返ってくる。つまり、とりわけ中小企業の経営ということがあるものですから、例えば私がそういうことを言うと必ず中小企業の方々から、いや、それでは大臣、もう我々は人を雇えませんよという声があるんです。ですから、そういう声にも耳を傾けながら、しかし、働く人たちの労働条件をさらによくする、そういうバランスだと思って、そのバランスが四十五時間ということでございます。

細川委員 それでは、例えば、今の改正案は、八十時間を超えた場合に割り増し賃金は五〇%にということですね。そして、四十五時間を超えた場合に労使の協調義務がある、こういう内容ですね。

 そうしますと、例えば、その八十時間を六十時間にとか、あるいは五十時間とかに下がってきた場合、労使での努力義務、これをさらに下げるということを私は当然考えていいと思いますけれども、例えば三十時間以上にするとか、あるいは二十五時間以上たったら、これはもう労使で努力して変えていく、こういう努力義務、この時間をさらに下げるというふうに当然考えていいと思いますけれども、その点、大臣はどのようにお考えですか。

舛添国務大臣 そこは、ですから、先ほど申し上げたように、委員のおっしゃりたいことはよくわかるんですけれども、片一方で、どうしても中小企業の方々から、大臣、それじゃもうとてもじゃないけれども人が雇えませんよという声があるんでございます。ですから、先ほど申し上げましたように、私のこの苦渋の中での線引きが四十五ということでございますので、御理解いただければありがたいと思います。

細川委員 中小企業の皆さんに対する配慮ということは、これは私どもも考えなければいけないということは、それはもう当然なんです。しかし、中小企業に対するいろいろな配慮というのは、また別の面で私どもはできるんではないか。いろいろ中小企業にかかる負担についてどれぐらいになるかとか、金額を出しまして、そういうことを中小企業対策として出したらどうかというようなことも、我々のところは検討してきたわけでありまして、そういうことを含めてやはりこのことは考えていって、そしてそのラインを下げるということを私は当然やるべきだというふうに考えております。

 そこで、問題は、この法案では、中小企業の適用除外、これが規定をされております。先ほども申し上げたように、私は、中小企業に対しての配慮から一定の猶予期間を設けるということについては異存はないわけですけれども、しかし、中小企業に対する猶予の期間を当分の間と。この当分の間というのは極めてあいまいであって、長時間労働の抑制という視点に立った場合には、余りにも無責任な当分の間ということではないかというふうに私は思います。

 労働基準法というのは、労働基準の最低基準というものを規定するものでございますから、同じように働いていて、労働基準法が適用される場合とされない場合とかいうように分けるのも、これは私はおかしいんではないかというふうに思っております。

 そこで、労働省に伺いますけれども、この規定に従った場合、この法案が適用される労働者の割合はどれだけか。八十時間以上ならば五〇%上げるこの規定ですね、これによって適用される労働者はどれぐらいですか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からは、猶予した場合に、実際にどのぐらいの方が適用になるのかという数字だろうと思いますので、お答え申し上げます。

 現在、中小企業の範囲につきましては、中小企業基本法に基づいたものとしております。これにつきましては、中小企業庁の行った試算が私の手元にありますが、この中小企業に該当するものの労働者の割合は全体の約七割でございます。裏を返しますと、この猶予の期間、適用になる大企業を中心にした労働者の方の割合は、全体の三割ということになります。

細川委員 そうしますと、この法案で割り増し賃金が上がる、こういうことになってくるのは、この法律が適用されるのは三割、あと七割の人たちは適用されない、こういうことですね。これじゃ、ほかにも、管理監督者の中には名ばかり管理職とかそういう人たちもたくさんいますから、そうしますと、適用される人たちというのはもっともっと少なくなるんじゃないですか。せっかく法律をつくっても、これは労働基準法の改正ですから、もっとみんなが適用されるようにならなきゃ私はおかしいと思いますよ。

 だから、中小企業の人たちにも配慮しなきゃいかぬことは十分わかりますよ。だけれども、当分の間なんていったら、特定財源の暫定のあの三十四年間ですか、そういうこともあるんですから。だから、例えば三年間猶予する、その三年間の中でしっかり対策を立てればいいと私は思いますよ。どうでしょうか。

舛添国務大臣 今の委員の御指摘ですけれども、この法律の附則に、三年経過後に法の施行の状況や時間外労働の動向等を勘案して、改めて検討するという検討項目が三年後になっておりますので、そこできちんと検討した上で結論を出したいというふうに思っております。

 それから、もちろん、私は中小企業の悲鳴というのを聞いておりますから、それにも配慮したということを申し上げておりますけれども、しかしながら、中小企業においても、こういう働き方をさらに改善するということは必要なわけでありますから、必要に応じてこれは指導をし、また労働基準監督署による重点的な監督を行っていきたいと思います。

 先ほど、名ばかり管理職の話が出ましたけれども、私は、こういうことはあっちゃいけないということで、厳しくこれは指導しろということで、相当の企業でこれが今解消されました。それと同じように必要な指導を行っていきたいと思っております。

細川委員 今大臣が言われました、三年後には見直しですよね。そうしますと、中小企業については三年間猶予する、こういうふうにしておいて、本体としての見直しもあるんですから、当然、そこで見直しをすればいいじゃないですか。そのときに、いや、中小企業はもっと猶予しなきゃいかぬということならば、私は、そのときの判断でさらに延ばしていいだろうと。

 しかし、当分の間という何だかわけのわからぬ法文での規定というのはおかしいし、まずはきちっと三年というふうに決めて、三年後に見直しになっているんですから、そこで見直しをすればいいと私は思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

舛添国務大臣 今申し上げたような法律の仕組みになっているのは、三年後に検討する、これは附則で決まっています。そして、その検討結果によってどうするかという、これはそのときの経済状況やさまざまな状況により、それから、今から三年間であれば、三年間の経過を見ないといけないので、ひとつ御理解いただければと。そういう意味で当分の間という文言になっております。

細川委員 こういう労働基準法、基準法というのは最低のラインを決める、そういう法律でございますから、その法律が適用される人と適用されない人があって、まして、この法案では適用されない人が多いというようなことでは本来おかしいというふうに私は思っておりますから、いずれこの点についてはしっかり私どもも考えてやっていかなければというふうに思っております。

 私は、この法案そのものは、大変失礼ですけれども、これは今の労働者の皆さんにとっても大変不満あるいは不信を買うような、そんな内容であるというように思いますので、私は賛成できない法案でございます。そのことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

田村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 厚労省が、国保の資格証明書の交付世帯のうち子供のいる世帯について、十月三十日、初めての調査結果を発表しました。午前に桝屋委員も御紹介をされておりましたけれども、ちょっと立場が違います。滞納世帯数三百八十四万五千五百九十七世帯、交付世帯数三十三万七百四十二世帯、うち子供のいる世帯数は一万八千二百四十世帯で、三万二千九百三人という数字でございました。

 大臣にまず伺いたいのは、子供には責任のないことなのに、お金のあるなしで子供が医療を受けられないことはあってはならないと思いますが、その点についての大臣の見解を伺いたいと思います。子供を無保険にしないために資格証の交付対象から子供を外すなど、国としての対策を考えるべきと思いますが、いかがですか。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

舛添国務大臣 これは午前中にも議論をいたしましたけれども、悪質な滞納者ときちんと大変な生活の中から保険料を払っている方との公平性をどう維持するかという問題と、今おっしゃった、何の責任もない子供をどう救うかということの、両方の解決をしないといけないというふうに思っております。

 子供について、いろいろなさまざまな事情が家庭におありでしょう。そういう中で、直ちに資格証明書ということではなくて短期の保険証を渡す、そして、きめ細かく各自治体の窓口で相談をしていただいて、あるいは、そういう相談がなければ発見できないような家庭の事情とか、虐待の状況とかあるかもしれません。そういうことで、本当に困っている方々に対しては温かい手を差し伸べるという形での、自治体に対する指導を今後とも続けていきたいというふうに思っております。

 子供がいる滞納世帯について、やはり接触をしてきめ細かいことをやるということが大きな目的でありますので、そういう意味で、我々は今言ったような形での政策を行っているということを申し述べておきたいと思います。

高橋委員 テレビでこの問題が特集されていましたときに、若い夫婦が出てきて、子供さんのぐあいが悪くなって病院に駆けつけたときに、やはり資格証だったがために治療を受けられなかったと。夫婦は、リストラされて今収入がないような状況になっているわけですね。それでも、自分たちはいいから、子供だけはちゃんと保険を適用してほしい、そう言っているわけですね。先ほど来、労働者のお話もずっと続いてきましたけれども、今現実に、若い夫婦だってリストラで不況の波にのまれて苦しんでいるわけですよね。

 そういう中で、子供がなぜ犠牲になるのか。それはきめ細かくといっても、しかし、そこに特別な、虐待とかそれはもちろん当然そんなことはあってはならない。でも、そういうところにだけ手当てをするのではなくて、基本的に子供がそこに巻き込まれてはならないのだ、そういう姿勢を設けるべきではないか。

 滞納世帯のうち、資格証交付世帯の割合が一・六%に対し、子供のいる世帯に対する交付割合は〇・九%と低いことを見れば、自治体がさまざまな配慮をしているということはうかがえます。

 資料に先ほど来お話があった通知をつけておきましたけれども、一枚めくっていただきますと、最後のところにこう書いてありますね。

 緊急的な対応としての短期被保険者証の発行

  世帯主が市町村の窓口において、子どもが医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況であると考えられること、資格証明書が納付相談の機会を確保することが目的であることにかんがみ、緊急的な対応として、その世帯に属する被保険者に対して、速やかな短期被保険者証の交付に努めること。

これは結局、ぐあいが悪くなってから市町村に駆け込んで、説明をしてわかってもらって短期証をもらって、それから病院に行くんです。それではとても手おくれなんですね。ここをしっかりと見てやらなければならない。その点、もう一度、どうですか。

舛添国務大臣 緊急な事態のときにはそれなりの対応をきちんとするように、今のこの方策も含めてやっていく。例えば、それは救急車で担ぎ込まれてそういう冷たい扱いは、医療機関にしろ各自治体にしろ、しないようにきちんと指導していきたいと思っております。

高橋委員 自治体の判断で子供には資格証を交付しない、そういう取り組みがかなりありますけれども、これに対して、少なくとも国は口出しをしないということを確認させてください。

水田政府参考人 それにつきましては、まず法令にのっとって考えますと、やはり保険証というのは世帯ごとに出されるものでございます。保険料の支払いというのも世帯ごとに見るわけでございますので、まず申し上げたいのは、法令に従えば、子供だけに保険証を出すという取り扱いは、現在の法制下では難しいということでございます。

 ただ、一方で、こういう措置をすることの意味といたしましては、やはり世帯全体で市町村の窓口と接触する機会をできるだけ多くするという観点からも、こういった取り扱いは妥当なものであると考えております。

高橋委員 そこは柔軟にやっていいということでよろしいんじゃないですか、大臣。

舛添国務大臣 法律の枠内でどこまで弾力的な運用ができるか、そういうことを検討したいというふうに思っております。

高橋委員 ありがとうございます。

 そこを、本当は、子供の医療費無料化制度を国の制度としてしっかりやっていければ、そもそもこういう問題は起きないのにな、そのことを、私、あえて指摘したい。もう少しここが前に進むようであってほしいなと思うんです。参議院では四回も請願が採択をされています。

 すべての自治体で何らかの助成制度をやっておりますけれども、確認をしますが、まず都道府県段階で最も多いのはどのあたりか。つまり、何歳のところで無料化をやっているのか。それから、市町村レベルでは、小学校まで、あるいは中学校卒業までなど無料化をやっている自治体も大変多いですけれども、それぞれどのくらいでしょうか。

村木政府参考人 まず、都道府県でございます。委員御指摘のように、ちょうど就学前までを対象としている都道府県が一番多うございまして、通院で申し上げますと二十県、入院で申し上げますと三十四県、それ以上の年齢を含めますと、それぞれ二十二県と三十七県になるところでございます。

 それから、市町村でございますが、これは就学前までやっているところが、通院で九百三十一市町村、入院で千百二十九、さらにそれ以上の年齢のところを含めますと、千二百九十三と千五百八十七市町村になるところでございます。

 それから、中学校以上というところは少のうございまして、それ以上の年齢まで実施をしているところを含めまして、都道府県では、通院はゼロ、入院については一県。市町村で見ますと、通院については七十九市町村、入院については百七十市町村でございます。

高橋委員 今、少のうございましてとおっしゃいましたけれども、百七十のところで、入院について既に中学校卒業までやっている、これ自体は非常に大きな意味があると思うんですね。

 問題は、自治体でせっかく無料化をやっているんだけれども、償還払いであると、窓口で結局現金を払わないとだめなわけなんですね。そうしないと後でお金が戻ってこない。幾ら無料であっても、一たんは払わなくちゃいけない。そうすると、もちろん、さっきの資格証の問題も同じことになってしまうわけですよ、せっかく無料化制度があっても。そこにやはりもっと踏み込んだらいいのではないかと思っているわけなんですね。

 まず聞きたいのは、窓口払いなしの現物給付をやっている自治体がどのくらいあるのか。そのために、国は、これは自治体がやっている制度なんですけれども、国保に対する負担分を減額するという形で、私たちはペナルティーと呼んでいますけれども、これをやっております。この減額は幾らですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 地方単独事業によりまして医療費の窓口における無料化等を行っている場合には、行わない場合に比べまして一般的に医療費の増大が見られるということがございますので、それに応じて国庫負担がふえることになります。

 このため、制裁措置としてではなくて、限られた財源の中で国庫負担を公平に配分する観点から医療費の調整を行っているところでございます。

 平成十八年度におきまして、この乳幼児医療費の軽減措置を行いまして国庫負担額が調整された市町村数は千三百七十四でございまして、調整額は約六十四・九億円でございます。

高橋委員 六十四億九千万円減額をされている。これは、国にとっては、申しわけないけれども、微々たるものではないか。自治体にとっては、これは非常に大きいわけなんです。せめてこれを除いてくれ、減額はしないでくれという声がございます。

 このことで大臣に伺いたいと思うんですね。千三百七十四もの市町村が、減額されても現物給付をやっている、この意味を受けとめていただきたい。

 大臣は、十一月四日の記者会見でこんなことをおっしゃっております。妊娠、その後の健診、そして出産に対して、貧しいからとか、今手元にお金がないからということであきらめるということがあってはいけません、若い夫婦が子供を持ちたいと思ったときに経済的理由でそれを断念するということは絶対あってはいけない、そういうことで、無料の妊婦健診を十四回でやりたいということをおっしゃって、その後に、次は出産一時金の改革であると。出産証明書等、さまざまな書類をそろえて後でそのお金を償還してもらうという形になっている、これを直接払いにすることによって、一度自分のポケットから三十五万円を出さないといけない状況は改善する、こうおっしゃっている。

 非常に大事な視点だと思うんです。私もこういうことを、乳幼児医療費でも同じじゃないかということを言い続けてきたんです。大臣、どうですか。

舛添国務大臣 御質問の趣旨はよくわかります。

 だから、私は出産について、まさにポケットにお金がなくても妊娠、健診、出産できるという方策を今やろうとしておりますけれども、今の議論は、自治体と国との費用分担のあり方にかかわっているというふうに思いますが、そういう理解でよろしゅうございますれば、その後お答えしたいと思います。

高橋委員 二つのことを聞いております。

 できれば現物給付が望ましいと大臣は思っているのではないかということが一つであります。

 国がそれに対して何もしないというのであっても、自治体は独自に現物給付をして、若い子育て世代を助けたいと思っている。そこに減額給付という形で国がやらなくてもいいのではないかということです。

舛添国務大臣 減額給付については、国が何か地方自治体、医療費を部分的にしろ無料化しているところに対して制裁を加えるという意味でやっているのではございません。まずそのことをはっきりさせたいと思います。

 そして、当然のことながら、医療費を無料化した場合に受診の比率が上がり、そういう意味では、これは一般的な統計でございますけれども、統計をとりますと、医療費全体が上がっていく。そうすると、国庫負担分というのは、全体の自治体の、全部を見てやるわけですから、そういう意味で負担の調整をやるという、その調整のメカニズムがそこにあって減額措置ということをやっている、そういう仕組みでございますので、決してこれは制裁措置としてやっているのではない、調整のメカニズムであるというように御理解いただければと思います。

高橋委員 大臣、前段に答えていただかなかったと思うんですよ。現物給付がいいか悪いかということをまず一つ伺いました。その御意見を一つ伺いたいということと、制裁を加えるという意味ではないとおっしゃいますけれども、自治体にとっては事実上の制裁に近いものになっている。だって、お金を減らされるわけですから。

 ただ、私は、この問題は二〇〇四年からずっとしゃべっているんですけれども、先ほど伺ったように、市町村が無料化の取り組みはかなりしている。かなりしていることと、現物給付に踏み込んだ自治体も、さっきあったように千三百七十四とかなりふえているわけですよ。

 当初は、やっているところとやっていないところの不公平感があるじゃないかと。つまり、やっているところにはより医療費が上がって国のお金が入っちゃうみたいなことを言われていたんだけれども、もうそうではないんだ、どこでもやっていることだと。そして、それをもっと長い目で見れば、それこそ特定健診じゃございませんけれども、早期発見、早期治療にもつながるよい結果が出るのではないか、そういうことも着目するときに来ているんだと思うんです。

 もう一言お願いします。

舛添国務大臣 いわゆるこれは長瀬効果というようなものがどこまであるのかという議論にもつながると思いますので、確かに委員がおっしゃるような無料化によって早期発見、そして、それが最終的には医療費の膨張を抑えるという面もあろうかと思います。

 そういうことも全体的に検討した上で、しかし、地方と国の負担のあり方をどういう議論をするか。これはもう前から高橋委員が問題提起されていますので、私もこの問題をよく熟知して、何らかのさらなる、先に一歩進めないかというのは考えております。

 そして、現物給付云々についても、これはやはり実態をよく踏まえて、私が出産一時金のことを申し上げたのは、三十五万円という、東京だと五十万近くのものをやはり若い御夫婦がすぐそろえるというのは難しい、そういう意味で申し上げましたので、きちんとこれは状況を見た上で、しかるべき改善が図られれば努力はしたいと思います。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

高橋委員 乳幼児医療費はきょうはここまでにして、次に期待をしたいと思います。

 ちょっと話を戻しますけれども、資格証の問題で、先ほどの通知の一枚目のところに「悪質な滞納者については、従前どおり、滞納処分も含めた収納対策の厳正な実施に努めること。」というふうに書かれております。

 私たちの考え方は、それは悪質な滞納者という概念は実際にはあるだろう、それは否めないことだと思っております。だから、全部が全部、やるなというふうなことを言っているわけではないんです。もちろん、それは効果的なという意味ですよ。

 だけれども、言いたいのは、この調査で出た例えば三十三万何がしの世帯が一体全部悪質な滞納者なのだろうか。どれほど数字と現実は近いのだろうか。局長にまず伺います。

水田政府参考人 今回の調査におきましては、そこまでの踏み込んだものはやっておりません。

 ただ、今回、まさに子供のいる世帯においてはより丁寧にそれぞれの世帯の状況を見るように、お金が、特別な事情の有無につきましてきめ細かく見るようにということを指導しておりまして、その指導状況、都道府県を通じてやるわけでありますが、その結果についてもフォローしたいと思っております。

高橋委員 そこで、資料の3を見ていただきたいと思うんです。これは、宮城県の社会保障推進協議会が自治体に問い合わせをしまして資格証を発行されている世帯の所得の状況を調べたものをわかりやすくグラフに落としてみました。

 このA市、資格証が発行されている五十二世帯のうち、百万円以下が六七・三%でございます。これは、実は三十三万円以下という世帯も三十二世帯もあるんです。そういう数字であるということです。それから、B市は百万円未満が六四・六%。いずれも六割を超えようとしております。

 先般発表された、厚労省の平成十九年度国民生活基礎調査によると、最も多い所得分布は三百万から四百万、これが一三・二%で、百万未満というのは六・二%なわけですね。それと比べても、片や、全体は六・二%、こっちは六割を超えているわけですから、極端に多いのは歴然としていると思うんです。

 こうして見ていくと、少なくとも、担税力がありながら滞納しているとは言えない人が資格証の発行世帯にはかなりの部分含まれている、そういうふうに見る必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 ただいま委員がお示しになったこの資料の内容につきましては私ども承知をしておりませんので、コメントはいたしかねるところでございます。

 先ほどお話ありましたとおり、三十三万というような年間所得であれば、それは生活保護の対象になろうかと思います。そのあたりの取り扱いがどのようになっているのか、ちょっとわからない点がございますので、コメントは差し控えたいと思います。

高橋委員 では、大臣に伺いたいと思うんですけれども、少なくとも、これはもっと厚労省自身がモデル的にも分析を深めるといいと思うんです。実際には、国の発想からして、三十三万で暮らしているはずがないじゃないかと言うかもしれませんけれども、現実に、数万の年金で暮らしているお年寄りがたくさんいらっしゃるということもあるわけですよね。

 だから、そういうことを踏まえて、まだまだ、悪質な滞納者と言えない方が機械的に資格証を発行されているのではないか、せめてその問題認識を持っていただけるだろうか、そのことだけであります。

舛添国務大臣 今、高橋委員が御指摘になった問題についてもしっかりと認識をして、きめの細かい対応をとっていくという施策を続けていきたいと思います。

高橋委員 ありがとうございます。

 残された時間で、少し介護保険の問題を伺いたいと思います。

 今回発表された生活対策の中で、介護報酬の三%アップということが提案をされているわけであります。聞くところによりますと、介護の従事者の賃金が、二万円の引き上げにつながるのではないかということも言われております。これは、四月に本委員会で介護の従事者の処遇の改善ということが随分議論されて、条文のない法律を全会一致で通しました。あの成果が一つあらわれたのではないかということを感じているわけですけれども、まず確認をしたいのは、三%が確実に介護従事者の賃金引き上げにつながるのかどうか。

舛添国務大臣 これは、基本的に各事業者がどういう形で介護従業者の賃金を引き上げるかということになるわけでありますから、各地域の状況であるとか、企業の事業所ごとの経営実態、そういうものを調査した上でないといけないと思います。

 しかしながら、やはり目的は介護の現場で働く方々の処遇を改善するということのためにやっているわけですから、きちんとそれに結びつくように、この施策を総合的にとりたいと思っています。

 具体的には、二十一年四月の介護報酬改定において、給与水準の地域差を適切に反映するための仕組みとか、特に経営が苦しい小規模事業所への対応、それから、手厚い人員配置を行う事業者や有資格者を多く配置する事業者に対する評価も行う。それから、一つやはり経営モデルを作成して提示する。そして、実際に介護従事者の給与の改善が図られたかどうか事後検証も行う。そういうことで、雇用管理改善を行う事業主に対する支援を行う。そういう総合的な対策をやりながら、介護従事者の処遇の改善に確実に結びつくように、全面的に努力をやっていきたいと思っております。

高橋委員 まずは処遇の改善に結びつくようにというお話でありましたので、この点では前進であるということで受けとめたいと思っております。

 同時に、各界からは、三%では足りないのだということが随分指摘をされているわけであります。四月の本委員会の質疑の中でも私が指摘をしたのは、二回にわたる介護報酬の引き下げ、〇三年の二・三%、〇六年の二・四%、この引き下げの影響で、やはり今の賃金の低水準ですとか離職者の大きさですとか、影響があるのではないかという指摘に対して、大臣自身が、二回にわたる引き下げということが影響している可能性は十分ある、こういう答弁をされたと思っております。その水準から見ると、まだ三%というのは若干小さいということがまずございます。

 それで、その上で、先ほどお話の中に若干あったかと思うんですけれども、処遇の改善のうち、配置をどうするのかということです。国が今まで言われている三対一でそのまま計算をするのであればうまくないよと。例えば、平成十六年の厚生労働省の統計でも既に、現実にやられている配置は二・三対一であると。限りなく二人に、二対一に近づいているというのが現場の声なわけです。それに、もし言われている二万円ということになれば、三・九から四%引き上げが必要ですよという指摘がございます。

 あるいは、日本医師会などは、公務員との格差というのはまだ四、五万あるんだぞと。それを見ると、まあ五%くらいは必要であると。いずれにしても、これが給付費分科会での検討によって決まると思うんですけれども、逆に、三%が前に出てしまったがためにその枠内になってしまっても困るわけですよね。

 ですから、そういう点で、打ちどめではなく、総合的に判断して上がることもあるのだということがどうかというのと、最初に聞いた配置の問題ですね、この点、どうでしょうか。

宮島政府参考人 まず、介護報酬の改定率。今回、三・〇%ということでございますが、今、高橋委員の方から、過去二回の改定がマイナス二・三それから二・四ということで、合わせて四・七だというお話がありました。

 しかし、十八年の改定は、二・四のうちの一・九は入所者の食費、居住費を自己負担化したという部分が一・九なので、それを除くと全体の費用についてのマイナス改定幅は〇・五になっているので、実は、過去二回の改定率の合計はマイナス二・八ということですので、今回の三・〇はこれを上回っているということでございます。ありていに言えば、過去二回のマイナス改定分は今回ので取り戻しているということではないかというふうに思っております。

 その中で、この介護報酬の三%の引き上げを従事者の処遇の改善に結びつけていくということでございまして、ここについては介護給付費分科会の方で御議論いただいておりますが、今言われました、職員の手厚い配置をしているところの評価ですね、基準の三対一ではなくてもっと厚く配置しているところの評価も必要じゃないかというようなことについても、現在、議論がされておりまして、そういう手厚い配置ですとか有資格者を多く配置するとか、あるいは介護従事者の給料のアップに結びつくような諸方策、あわせて検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

高橋委員 手厚い配置への評価など、これらも大事だと思うんですけれども、問題は、介護保険の枠の中で、要するに、手厚くやろうとして、あるいはそこを評価しようとすれば保険料にはね返るという仕組みが非常に問題であるということがかねがね指摘されているわけですよね。

 今二次補正が、まだ出ておりませんが、今回は千二百億国費で手当てをするのだ、しかし、これは一回きりで、半分で、だんだん減っていきますよということであって、だから、それはやはりその枠組みを一たん立ち破らないと、うまくないんではないかという指摘が随分されているわけですよ。その考え方をどう見るのか。

 例えば、この間もずっといろいろな実態を紹介してきましたけれども、最近、私どもの仙台の共産党市議団が介護の事業所にずっと調査をした中で寄せられた声を聞きますと、本当に、報酬が上がらないために賃金が下げられて、質が低下しているということはみんながおっしゃる。その先が何と言っているかというと、私たちのホームもみんなベッドに寝かせきりとなり、食事と排せつ時のみ介護者が無言で巡回するということになるのではないかと不安になってしまう、こういう訴えとか、介護疲れによる殺人などがなくならない世の中だ、私たち介護サービス事業所は何のためにサービスを行っているのでしょうか、年をとったら生きていけない世の中なのでしょうかと。こういうふうに、単に経営が苦しいとか処遇が大変だというだけではなくて、介護の崩壊ということ全体に対しての危機感を言っている。

 そのことを考えれば、やはりこれは枠内だけではないのだということも一定メッセージが必要なのではないか。いかがでしょうか。

田村委員長 もう既に時間が経過しておりますので、答弁を簡潔にお願いします。

舛添国務大臣 はい。

 私たちの社会保障制度は、自助、共助、公助という三本柱で成っております。そういう中で、医療保険にしろ、介護保険にしろ、フィフティー・フィフティー、五〇%ずつでやっていくというのが今の仕組みであります。これを、例えば税金の方の比率を高め、保険料の比率を例えば四にして、税金は六にする、こういういろいろなことも今後は検討課題としてあり得るというふうに思っております。

高橋委員 多分消費税の増税云々という話だと思いますが、そういうことにはならないようにということと、二千二百億円の福祉の切り捨て、削減計画は撤回をしてほしい。その上で、財源はもっと生み出す方法があるという議論をまた別な機会でやりたいと思います。

 終わります。

田村委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 先ほど、舛添厚生労働大臣は昨年の八月に御就任ということでございましたが、自来三人の総理のもとにお仕えになることになりました。わずか一年ちょっとの間に、本当に御苦労さまなことだと思います。

 と同時に、今、本来は、国民は一日も早い解散・総選挙で民意を問うてくれということを切に願っておる中であります。私どもがこうした中で審議する中にあっても、そうした国民の声を一方でしっかりと受けとめながら、またしかし、しっかりした審議が国民に対して、今、空洞化しがちな国会の審議状況を超えて成果を出すことを祈って、私はきょうの質問をさせていただきます。

 最初に、冒頭、昭和五十三年三月二日の予算委員会の第三分科会での質疑を少し御紹介させていただきます。質問者は社民党の、それ以前、社会党という名で存在していたころの、何と言ったらいいんでしょう……(発言する者あり)済みません、立派な社会党時代の山本政弘委員でございます。その後の社民党も立派でございますが。

 この年、五十三年の一月二十四日二十二時、夜の十時、杉並区の救急搬送の事例でございます。

 六十六歳の女性が救急車を呼び、心筋梗塞の既往があったため意識がなくなったので、かかりつけでありましたが、東大病院に運んでほしいと頼まれました。当時、杉並から東大は遠いということで、この救急搬送は、一たん近くの河北病院あるいは前田外科病院、荻窪衛生病院と、三分から五分の距離のところを紹介されましたが、いずれも満床で、救急車は動くことなく断られました。

 次いで、救急センターの方から西荻中央病院という、ちょっと遠うございますが、そこを紹介されて移動いたしました。ところが、その病院に着いたら、そこは満床であるということで、またその先の転送先を求めることになりました。今度は新宿の榊原記念病院というところに行けと言われて、しかし、行くスタートをする前に向こうからまたお断り。そして七つ目、東京大塚病院というところにまたこれは行けと言われて行ったら、もうベッドが満杯でということで、計七カ所をたらい回しされた。

 そして、御家族の希望で神奈川県の登戸にある病院に転送を頼みましたが、当時、消防庁は県境を越える転送はできないということで、実は、この女性は、消防車によって運ばれるのではなく、個人の民間の寝台車によって神奈川まで運ばれて、神奈川で亡くなった事案について山本政弘さんが御質疑をなさいました。

 その質問の後、大臣に見ていただきたいのですが、私がつくった「周産期医療と救急医療の現状」という、三つの丸がある、これはおのおの、救急医療は厚生労働省、救急搬送は総務省という二つの省庁がつかさどっておるわけですが、当時のこの事案は、総務省と厚生労働省の病院の管理部門の連携が悪く、なおかつ、総務省は自治体ごとですので県境を越えないということでこの女性は亡くなったわけです。ちょうど三十年前の事例でございます。そして、実は私の母でもあります。

 以降、この国会の中では、県境を総務省の管轄であっても越えるように、あるいはもう満杯とわかっている病院に患者さんを運ばないようにと、遅々たる歩みであったとしても、少しずつ進んできたのではないかと私自身は思いたいと思いますが、しかし、そうした中で、このたび起こりました東京都の墨東病院の事例というのは、まだまだ実際には患者さんの命、助けてほしいと思う方の命が助けられない現状、本当に政治の、私にとってはやはり政策的問題があるように思うわけです。

 実は、二年前に、ちょうどこれもこの委員会で私が、当時の厚生労働大臣であります柳澤大臣に奈良での大淀病院事案を質問いたしましたときに、私は大臣に、いわゆる母子、子供の周産期センターと大人の救命救急センターがおのおの、この図にございますように、片方は雇用均等・児童家庭局が周産期母子センターの配置をつかさどり、医政局が大人のというか、一般の救急をつかさどっている、こういうある意味で行政的なばらばらの対応の中で、脳出血をされたお母さんの救命がスムーズに運ばなかった事案ではないかということをただし、この両者の省庁内のリンケージをもっと図ってくれということを申し上げました。

 一点目、行政担当にお伺いしたいですが、当時の総合周産期センターのうち、逆にいわゆる救命救急センターの機能をあわせ持つものは一体どのくらいあるのかということを伺いました。当時、六割と言われました。逆に、残る四割は、お母さんにも問題があるようなケースは総合周産期母子センターで受けても対処できないということでありますが、現状、この二年間でどのように変わりましたでしょうか。

村木政府参考人 平成二十年十一月一日現在の数字を申し上げます。

 全国の総合周産期母子医療センター七十五施設のうち、救命救急センターの指定も受けている医療機関は五十三施設でございます。割合にしておよそ七割ということだと思います。

 それ以外のところにつきましては、救命救急センターには指定はされていませんが、脳神経外科や心臓血管外科などの診療科を有しているような総合病院が一定程度あり、あるいは、そういったものを持っていないものは外部の医療機関との連携でやっているというような状況でございます。

阿部(知)委員 もちろん両方あわせ持ったものが望ましいですが、持っていなくても、今お答えのように連携が本当にあれば、大臣、逆に今回のような事案は生じていないのではないかと思うのですね。

 私は、先ほど言いました総務省との間の、救急搬送と医療機関との間の一つの改善は三十年をかけて行われてきたと思います。今は、たらい回しといっても、行く前に救急車が動けない状態なんですね。行って断られるというのは、ないわけじゃないけれどもごく少ない。

 しかし一方で、今度はお母さんの問題と赤ちゃんの問題と両方あった場合には、同じ厚生労働省内の管轄でありながら、本当に密な連携ができているんだろうか。ぜひ大臣には、この医政局の行政的部門と雇用均等・児童家庭局の扱う周産期ネットワークの現状、今おっしゃったように、本当に両方兼ね備えていなければ、移すことができる、あるいはどこと本当のパイプがあるということがあれば、もっと私は今回の事案は違ったように思いますが、その点について大臣はどうお考えでしょう。

舛添国務大臣 委員御承知のように、この周産期の問題、救急医療の問題、ずっと就任以来取り組んでまいりました。そういう中で、私は全く委員と同じ問題意識を持っておりまして、厚生労働省の中で児童家庭局と医政局、もちろん連携はやるように、きょうも二人局長が来ていますけれども、常に指導はしておりますけれども、私はそれを超えて、組織の改編を含めてやるべきだということで既に指示を出しております。組織改編を含めて、一元化してできるようにやりたいと思っています。

 それから、お医者さんに対して釈迦に説法でございますけれども、やはり妊産婦の場合、今回のような脳出血の場合ですと、妊娠からきているものなのか別のことなのかが非常にわかりにくうございます。例えば、足の骨を折ったというならそれは外科に連れていけばいい。そういう難しい問題もあって、この点について、救急医と周産期の担当のお医者さんとで今検討会を設けて、十二月を目途に一つの考え方をまとめようとしております。

阿部(知)委員 大臣も今おっしゃったように、妊娠という事態は確かに病気とは違うものであるのですけれども、おなかに赤ちゃんを宿すことによって、母体の側の血流もふえたりいたしますし、第一、十キロ近いものを産む間際はおなかに持って動くわけですから、さまざまな負荷が加わるわけです。

 いわゆる周産期と申しましても、赤ちゃん側にフォーカスを当てた施策はある程度行われてきたとしても、お母さん側がどうであったかということが今まさに問われておって、例えば妊産婦死亡率のデータ一つ、実は実像を伝えていないのではないかということを私はもう一つ指摘させていただきたいと思います。

 皆さんのお手元の資料の二ページ目にございますが、例えば二〇〇五年、いわゆる妊産婦死亡数として挙げられておりますものは、約百万ちょっとの出産に対して六十二名ということになっております。しかし、これを調査方法を変えまして、大体十代から四十九歳までの女性の死亡数、この年の一万六千を、逆に、その女性が実は妊娠や出産ということをあわせ持って亡くなっていたのではないかというふうに、そうした目で見直してみますと、実は、この六十二名以外に二十二例の妊娠に伴う直接、間接的な死亡があったということであります。この年の妊産婦死亡率は、六十二名だとすると五・七になるのですが、この二十二名を加えると七・四と上がってしまう。私たちがデータとして見るもの一つ、大幅に違ってきているわけです。

 と申しますのも、死亡の届け出票に、例えば脳出血とは書いても、その方が妊娠しているという記載がなければこの妊産婦死亡率からははじかれてしまいます。これではお母さんの側の情報、妊娠に伴う負荷、一体何が起きているのかがつまびらかではないだろうと思います。

 この点について、今後どういう改善点を考えておられるのかということと、あわせて大臣の方には、実は私はこうした事案をきっかけに、やはりお産にまつわるさまざまな診療録、あるいは何が起きて何がどうなったかということがより明示的にわかるように、お母さんの大事な健康管理のためにも、今後、健康保険の適用ということをお考えいただきたいと思うのです。

 きょうは時間がなくて全体を申し上げられませんけれども、やはり今お母さん方は、高齢出産になったり、あるいは体外受精がふえていたり、妊娠に伴う合併症で、いつから健康保険適用をするのか、いつまでは自由診療の枠内なのかということのグレーゾーンが実は多く生じて、記録も抜け落ちるケースも多くございます。その前に、いい分娩とは何かというところのモデル像を持たねばいけないと思いますが、とりあえず、この死亡統計一つ、どう改善するのか。あるいは、大臣にはきょう私が宿題としてお願いいたしますから、女性たちの健康を本当に守るために、生涯を守るために何をすればいいかという点でお考えをいただきたいが、いかがかという二つお願いします。

村木政府参考人 先ほど委員が御紹介をくださいました統計データに関する研究、昨年度の厚生労働科学研究でございます。委員が御紹介いただいたような結果が研究結果で出てまいりました。

 したがいまして、厚生労働省としましては、妊娠に関連する脳血管障害などの疾患を把握する仕組み、それから予防、治療法を確立するための調査研究をさらに今後続けていきたいというふうに考えているところでございます。

舛添国務大臣 実は、出産一時金の直接支払い、先ほど高橋委員からもあった話を検討したときに、私もやはり出産ということについて、それは正常分娩だから、病気じゃないからということで保険適用ではありませんので、保険の適用をすることによって解決しようという案を模索いたしました。

 ただ、そのときの問題は、出産に伴う費用は地域により非常にばらつきがある。そうすると、いわゆる診療報酬的な概念になじまないではないかということで、むしろ今回の措置ではその手はとりませんでした。

 しかしながら、委員がおっしゃったように、例えば帝王切開する、そこからはどうだという、そこからはもう保険適用になるわけですから、そういう点も含めて、これは十分検討に値する課題だと思っております。

阿部(知)委員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 実は、地域によるばらつきをある意味で均てん化していくためにも、健康保険適用というのは重要なことなんだと私は思うのです。今、東京都のようにお産の高いところと地方で安いところがあって、ある意味で格差であります。これを自治体が今の一時金、給付金の差額を埋めていくという形になればなるほど、実は格差が広がっていくように思いますので、きょうは時間の関係でこの程度で終わらせますが、大臣とはぜひ、これを今後とも私は論議させていただきたいと思います。

 きょう私が後段取り上げたいのは、産科補償制度でございます。

 これは先ほど民主党の山田委員がお取り上げになりましたが、例えば労災保険にしても、あるいは失業保険にしても、保険料の保険外給付といいますか、本来、例えば労働災害に対して給付される、あるいは失業に対して給付される以外の使い道が、実はいろいろなところで抜け穴のように行われているのではないかという御指摘が山田委員からありました。

 私も、実は今回の産科補償制度にはそのような形に陥りやすい幾つかの問題があると思いますし、また、医療現場にあれば医療事故というのは大変な、やはり大きな重荷であります。それが本当の意味で軽減されていくような道につながるためにも、ちょっと今の制度は一たんストップしていただきたいと思う観点からお伺いいたします。

 現状の制度は、皆さんももうこの間報道されておりますから御承知かと思いますが、分娩給付金、一時金の中に組み込まれたお金のうちの約三万円を妊産婦さんが病院にお支払いになって、その病院が三万円ずつを一つの分娩に対して負担して、約百万人の出産ですから三百億円の原資を集めて、それを民間損保会社が運営して、脳性麻痺児が生まれた場合に三千万補償をするという制度であります。

 私は、この制度にあって最初から疑問でしたが、なぜ民間の損保会社をお使いになるのか。それから、あくまでも給付金というのは妊産婦さんに、健康保険上も来るものであって、分娩費用という意味だけじゃなくて、出産育児手当金という名目ですから、それが本人のどんな了解のもとに保険、自分が入った覚えがない保険に入るほどおかしなこともございませんし、どういう説明、インフォームド・コンセントがあり得るんだろうかということをずっと考えてまいりました。

 そして、もう一点懸念の点は、例えば、きょうお手元の資料を配らせていただきましたが、このかわいい赤ちゃんとお母さんの手がこれから母子手帳に挟まれるということですが、これを読んでも本当に、何度も申しますが、なかなかよくわかりません。

 では、医師向けには、これは当然医師も加入する、医療機関の医師に対してどのような説明がされているか。「本制度創設の大きなポイント」というものが、これは日本産婦人科医会の方で御説明にお使いになっているものをいただきまして、ちょっと読み上げさせていただきますが、星印の三番、「無益な紛争を減少させる効果があるのか」ということでるる説明がされております。

 もし、この制度で「医療的に問題が無い事例、あるいはほとんど無い事例は、そのように記述され、これを患者側鑑定人が覆すことは困難であろう。」逆に言うと、これだけをお母さん側から読むと、実は医療訴訟に対しても、一たんここで裁定がおりてしまえば、自分が訴えたくたって、おかしいと思ったって、不利益になるのではないかというふうに受けとめられかねない医師側の説明になっていると私は思います。

 あわせて、次のページです。このたび分娩費は値上がるわけです。ではなぜ値上げになるのという説明のところで、これもるる書いてございますけれども、上段の一、二、三は、これまでも多くの諸事情で値上げはしてきたし、保険料の出所を説明したいときは、国が関与して、保険料三万円に見合う給付金の値上げもあるからという形の説明、三番目には、三万円を超える値上げがもし医療機関で行われたら、それはもっとお産が安全にできる環境整備のためだと言いなさいと、るる書いてあるんですけれども、やはり本当のところ、この説明というのは親御さんにはなかなか通じない。すとんとこない。

 そして、下を読むと、もっとこれは誤解のもとだと思うんです。分娩費値上げの理由は、分娩費の増額は「母体と胎児に対する医療安全のための経費として」という説明マニュアルが医師たちの間で流れておるわけです。

 でも、先ほど私が質問させていただきましたようなお母さんの脳出血事案は、これの対象ではありません。親御さん側がどう受けとめるか、やはり私はそこの説明と同意の中身が重要だと思います。ちょっと私の前ぶれが長くて恐縮ですが、大臣は、こうした現状についてどういうふうにお考えで、どう改善されようとしているのか、一点お願いします。

舛添国務大臣 いわゆる無過失補償制度、これは私は、福島県の大野病院の産科の医師が医療ミスということで逮捕されるということがありました、これ以来ずっと、要するに、訴訟リスクに対する何らかのいい方策はないのかという中でノーフォールト、いわゆる無過失補償制度、これをなるべく早く入れたい、そういう思いで行っております。

 そういう中で、一つは、なかなかやはりこの制度について熟知されていないわけですから、とりあえず原資の三万というのを三十五万に上乗せしてやる。それで、とにかく一刻も早くこれを実現させたい。そのためには保険のノウハウを持っている民間の損保会社を使ってやってみようということでやってみたので、まず第一歩を踏みたい、第一歩を踏んだ。そこから先、特にこれは五歳になってみないと、脳性麻痺の子供が生まれても五歳からですから、幾らかかるのかどうなのか、余るならば減らせばいいし、足りないならばふやさないといけない。

 そして、さらにそこから先は、私は実は理想を言うと、正常分娩の脳性麻痺だけではなくて、もっと広げていく、産科だけではなくて、もっと無過失補償制度というのを広げていくということが国民の安心、安全につながるならば、そういう方向を目指したいということであります。

阿部(知)委員 私は、そのためにも民間損保会社を今使うべきではないんだと思うんですね。

 理由は、大臣、自動車の自賠責がありますよね、事故が起きたときの賠償のための。その場合は、ちゃんと法律で自賠責法という法律をつくって、金融庁がこの自賠責で集めたお金の運用をきちんと審査する審査会を設けているわけです。一つは法律がある、そして金融庁の管理監督下の審査会があるということですよ。それからもう一つ、厚生労働省がお持ちの医薬品の安全をめぐる機構においても、法律があって、その法律にのっとってなされているんですね。

 今回の民間に投げられた、丸投げと私は思いますが、損害保険会社に投げられた、この保険法は、何の法の担保もないんですね。それから、実は金融庁の管理監督もこの中身については全く行われないんですね。

 金融庁に来ていただいていますから、金融庁がこのたびこれをある種の民民契約として、医療機関と民間損保会社の契約としてお認めになったということですが、一体どこを審査されて、何を認められたんでしょうか。

谷本副大臣 金融担当の谷本でございます。

 この産科医療補償制度全体については、もう委員御存じのとおり、厚生労働省の方でしっかりと監督をするというものでありますが、この中の部分で、保険会社が産科医療補償責任保険の引き受けを行う、この部分については金融庁が審査監督をする部分でございます。

 まず、新たな保険商品に対しては、それぞれ保険会社が保険業法百二十三条に基づいて届け出をする、それに対して百二十五条に基づいて金融庁が審査をする。基準は、業法五条の方に基準があります。

 この審査は、その保険自体が保険数理に基づいてしっかり妥当な計算がなされているか、適当なものになっているか、この部分を検査するもので、このたびはそれを審査して認定したということでございます。

阿部(知)委員 今の御答弁は、ちょっと私は違うんだと思うんですね。

 最後のページを見ていただければわかりますが、金融庁が審査されたのは、妊婦さんと、分娩機関と、そして運営組織である日本医療機能評価機構というのがございまして、ここまでで保険商品の制度設計はされているわけです。ここまでの保険商品の制度設計については、金融庁は全く中身を見ていないわけです。

 例えば、三万円ずついただいて、百万人からいただいて三百億集めて、幾ら給付が起こるか。今までの自賠責だったら全部そういうことも、金融庁が審議会でよしあしを認めてきたわけですよ。だって、不当に高い保険料があっては困るわけですよ。そして、保険料は給付以外に使われたら困るわけですよ。そうした保険商品の健全性をいわば金融庁は担保したんだと思うんですね。

 ところが、この制度設計にあっては、前段の部分、この図の左半分までは厚生労働省が全部手のうちに置いておられるんですね。そして金融庁は、日本医療機能評価機構と損保会社の間できちんと金が払われたかどうかを管理監督するだけなのであります。

 副大臣、もう一度お願いします。そうした、どこかの省庁が保険商品をつくって、それを金融庁が外から、あくまで外からですよ、その省庁を信じて、中身はチェックせずに審査するというようなことは前例があるんでしょうか。一言でお願いします。

谷本副大臣 金融庁といたしましては、繰り返しになりますが、審査というのは保険業法五条の基準に基づいてやっておりますので、出てきたその保険の内容について、それがしっかり保険数理に基づいて合理的であるか、妥当であるかという審査は行っております。

阿部(知)委員 申しわけないけれども、私の時間も限られているし、私の質問をよく聞いていただきたいんです。

 保険商品の制度設計は何も審査しておられないんですよ。私はわざわざ細かく言ったじゃないですか。三万円ずつ集めて、百万人の出産で三百億。しかし、恐らく初年度はそんなに発生いたしませんから、余剰金が出てまいりますでしょう。その余剰金のチェック一つ、金融庁は残念ながら何の管理監督権もお持ちじゃないわけですよ、全部日本医療機能評価機構にあるんですから。国会も関与できないんですよ。

 国民から見て、そうしたグレーゾーンにお金をため込む。もちろん日本医療機能評価機構は、例えば、五歳まで脳性麻痺かどうかわからないからお金をため込んでおくというふうにはおっしゃるでしょう。しかし、そうやってため込むお金が発生する場合は、国民の前に、国会に明らかにできるような、あるいは金融庁がきちんと管理監督するような形に置かねば、やはりお金のグレーゾーンになると私は思います。

 先ほど来たくさんの質問が、やはり財団法人や公益法人や独法化の中にお金が吸い込まれて見えないんだと。天下りもありますよ。実は、日本医療機能評価機構には厚生省関連の方が何人も関係しておられますよ。それは、もし厚労省がそうした思いはなくても、国民から見た場合は非常にグレーに、天下りして、自分たちでお手盛りで制度設計したんじゃないかと思われても、これは仕方がないと思うんですね。

 金融庁としては、例えばこれまで医賠責という、医療事故が起きて保険お支払いという場合に、この医賠責についてだって国民に情報公開していないんですよ、幾ら保険料が取られ、幾ら給付されたか。そういうところで、またもってますますグレーゾーンに追い込むようなこういうものを、五条に基づいてしっかりとなんて言わないでくださいよ。何も審査していないじゃないですか。審査したのは最後のここだけですよ、日本医療機能評価機構から損保会社に金が行くか。損保会社の運営が健全かどうかだって、だれもチェックできないんですよ。

 大臣、こんな制度がどうして他の医療事故や医療被害に波及効果ができるとお思いですか。国がやるべきでしょう。いかがですか。

舛添国務大臣 この無過失補償制度の運営を行っておりますのは産科医療補償制度運営委員会、これは外部の方々によって組織されております。例えばC型肝炎訴訟の弁護士の方、高名な方ですが、その方も入っておられます。議事は公開で行います。そういう形で、どういう運営をしているかということは外からきちんと見えるようになっているということが一点。それから、定期的に報告をさせ、厚生労働省としてきちんと指導する。

 私の思いは、そういう何か天下りをつくるとか余剰金でうまいことをしようというんじゃなくて、一日も早く無過失補償制度のスタートを切りたい、そういう思いでやったわけでございます。

田村委員長 既に時間が経過しております。阿部さん、手短にお願いします。

阿部(知)委員 済みません、一言だけ。申しわけありません。

 急がば回れで、やはり法律をきちんとつくること、そして、運用の透明化のために金融庁がきちんと、そうした保険商品のノウハウを持っているんですから、そういう査察の目が入るようにしないと、幾ら第三者委員会と言ったって、大臣、それは何の担保にもなりません。

 終わります。

     ――――◇―――――

田村委員長 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 児童福祉法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

舛添国務大臣 ただいま議題となりました児童福祉法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国における急速な少子化の進行、児童虐待等の問題にかんがみ、次代の社会を担うすべての子供が健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図ることが喫緊の課題となっております。

 このような状況を踏まえ、地域における子育て支援の充実、要保護児童等に対する支援の強化、地方公共団体及び事業主の取り組みの強化等の措置を講ずることにより、総合的な次世代育成支援対策を推進することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、地域における子育て支援の充実であります。

 サービスの質を確保しつつ事業の普及促進を図るため、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業及び家庭的保育事業を児童福祉法に位置づけるとともに、都道府県による指導監督を行うこととしております。

 第二に、要保護児童等に対する支援の強化であります。

 養子縁組を前提としない養育里親の制度化等の里親制度の見直し、小規模住居型児童養育事業の創設など、要保護児童に対する家庭的環境における養育の充実を図ることとしております。

 また、児童養護施設の職員等が入所児童等に対して行う被措置児童等虐待について通告義務を設けるとともに、都道府県は通告等を受けたときは必要な措置を講ずることとしております。

 第三に、地方公共団体及び事業主の取り組みの強化であります。

 地方公共団体の取り組みについては、市町村行動計画において保育の実施の事業等に係る目標等を定めるに当たっての参酌標準を国において設定することとしております。

 また、事業主の取り組みについては、一般事業主行動計画の策定等の義務づけの範囲の拡大、当該計画について策定等の義務が課せられる一般事業主に対する公表及び労働者への周知の義務等を規定しております。

 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き平成二十一年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

田村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.