衆議院

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第11号 平成20年12月22日(月曜日)

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平成二十年十二月二十二日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田村 憲久君

   理事 上川 陽子君 理事 鴨下 一郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 西川 京子君

   理事 三ッ林隆志君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 桝屋 敬悟君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      金子善次郎君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      とかしきなおみ君   戸井田とおる君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      長勢 甚遠君    西本 勝子君

      林   潤君    福岡 資麿君

      村田 吉隆君    安井潤一郎君

      山口 泰明君    市村浩一郎君

      内山  晃君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      柚木 道義君    福島  豊君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   参議院議員        小林 正夫君

   参議院議員        津田弥太郎君

   参議院議員        松野 信夫君

   参議院議員        吉川 沙織君

   参議院議員        福山 哲郎君

   参議院議員        近藤 正道君

   参議院議員        亀井亜紀子君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          草野 隆彦君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二十二日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     安井潤一郎君

  大野 松茂君     山口 泰明君

  高鳥 修一君     長勢 甚遠君

  萩原 誠司君     村田 吉隆君

  三井 辨雄君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  長勢 甚遠君     高鳥 修一君

  村田 吉隆君     萩原 誠司君

  安井潤一郎君     遠藤 宣彦君

  山口 泰明君     大野 松茂君

  市村浩一郎君     三井 辨雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第七号)

 派遣労働者等の解雇の防止に関する緊急措置法案(参議院提出、参法第八号)

 雇用保険法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第九号)

 期間の定めのある労働契約の規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一〇号)


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     ――――◇―――――

田村委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案、参議院提出、派遣労働者等の解雇の防止に関する緊急措置法案、参議院提出、雇用保険法の一部を改正する法律案及び参議院提出、期間の定めのある労働契約の規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長外口崇君、労働基準局長金子順一君、職業安定局長太田俊明君、職業能力開発局長草野隆彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。

村田委員 おはようございます。自由民主党の村田吉隆でございます。

 この参議院の皆さん方がお出しになった四法案でございますが、いずれも雇用に関する大変重要な内容を含んでいるというふうに思いますが、参議院での発議、発案の状況あるいは質疑の状況を見ると、大変乱暴な、そして、国会もあと二、三日しか残っていないという状況の中で強行採決をしてくる、こういう民主主義の手続を全く無視した形で衆議院に送られてきております。したがって、我が党の中にも、こんなものは全く審議にも入らないで廃案にしてしまえ、取るに足らないという強い反対意見がございます。

 しかし、現下の雇用情勢は大変厳しいものがある、国会がそうしたものに対して真剣に受けとめているということを示さなければならない、こういうふうに思うがゆえに、私どもは皆さん方の提案された法案の内容を真剣に議論しよう、こういうことになったわけでございます。

 しかし、考えてみますと、こんなせっぱ詰まって、何で今ごろ出すんだと。我が党は、八月二十九日に安心実現のための緊急総合対策、十月三十日には生活対策、そして十二月九日には新たな雇用対策を着々と出しまして、雇用問題に対して機動的な対応を示してきた、こういうふうに思っております。

 さて、十一月の二十八日には、やっと民主党代表の小沢さんが応じまして党首討論が開かれました。あの党首討論の内容を見ていた者はすべてわかりますけれども、あの内容は中身がない。補正予算を早く出せ、そして解散を早くせい、それだけで四十五分、終わったじゃないですか。中身は何にもなかったですよ。雇用問題がそんなに重要なら、何で小沢代表は一言たりとも、雇用問題が重要なんだからもっと臨時国会を長くやろうじゃないかという発言をすべきではなかったんでしょうか。

 そして、十一月二十八日、本会議で、野党の皆さん方は臨時国会の延長に反対をいたしましたね。そのときも、雇用問題が大切なら、なぜ反対をされたのでしょうか。

 それから、延長国会の中で、十二月五日金曜日に予算の集中審議が行われました。テーマはたしか、記憶するところによりますと、年金・医療、そして金融・経済の問題であったと記憶いたします。まあ経済問題の中に雇用問題が入っているといえば入っていますが、なぜ皆さん方は、四法案を急に出すということになるならば、そこのときに雇用問題というテーマを特別に追加しなかったのでありますか。

 もちろん、集中審議の中で菅委員が少しだけ、ちょっぴりだけタッチする形で雇用問題の言及はございました。だけれども、私どもは、本当に雇用問題に対して皆さん方が重大な認識があったのならば、いずれ今申しましたような流れの中で、民主党あるいはほかの野党の皆さん方がこの問題について大きな声を上げるべきではなかったかなということを思うわけでございます。

 福山さん、いかがですか。

福山参議院議員 村田委員にお答えをさせていただきます。

 まずは、本日、衆議院で我々の提出をさせていただきました雇用関連四法案の審議にお入りいただきましたことを、与野党の委員の先生方に心から御礼を申し上げる次第でございます。

 村田委員にお答えします。

 我々といたしましては、まず、この臨時国会に第二次補正予算が提出されることを期待しておりました。なぜなら、それは雇用問題にまさに直結をすると思っていたからでございます。

 しかしながら、補正予算が結局提出をされずに、なおかつ臨時国会が延長されるに至りまして、十二月に入って、何としても雇用危機に対応しなくては国会の責任を果たせないというふうに考えておりまして、かねてから準備をさせていただきました雇用関連四法案を急ピッチに法制化をし、社民党さんそして国民新党さんと協議をさせていただきまして、十二月の十五日に提出の運びとなりました。

 十二月十五日の我々が提出をさせていただいた段階で、政府が既にやっていると言われている政策について、実は何ら政省令の改正はなされておりませんでした。なおかつ、十二月の九日に麻生政権が発表されました新たな雇用対策では、二次補正、二十一年度予算において速やかに実施とあり、一体いつになったらこれらの対策が実施されて、財源はどこからか、全く不明の状況でありました。

 我々としては、いち早くこの臨時国会でこれらの法案を成立させることが何といっても焦眉の課題と考え、先週の十八日、参議院の厚生労働委員会で採決をさせていただきました。

 なぜ急いだかというと、法案成立を最優先したいからでございます。先週の木曜日の採決をもしおくらせますと、参議院の定例日は火曜日と木曜日でございますので、あすはなかなか審議がしにくい状況になります。あさっての水曜日は定例日ではないので、審議は二十五日まで送られてしまいます。二十五日の木曜日は御案内のように国会の閉会日に当たります。これでは衆議院での審議、採決の時間が全くとれません。本日、まさにこの衆議院の厚生労働委員会の委員の皆様にこうやって御審議いただけること自体が我々の思いであり、感謝をいたしているところでございます。

 参議院の審議の中でも、共産党の小池委員から、与野党は一日でも早く、一つでも多く対策を具体化すべき、与党もそうだと言うんだったら、もっとまじめな議論をして、やはり一致点を探る努力を私はしていただきたいというふうに思うという指摘がありました。社民党の福島委員からも、今回の四法案はかなり賛成していただける中身があるんじゃないか、いかがですか、私は、この法律を参議院で成立させ、衆議院で修正でもいいですよ、ともに成立させるために力を合わせるべきではないでしょうかというような御発言がありました。

 我々も、もとよりこのことを否定するつもりはありません。本日の一日の審議を通じて、修正すべきところがあればぜひ御指摘をいただき、与野党ともに御賛同いただいて、この現下の厳しい状況をかんがみて、何としてもこの四法案の成立にお力添えをいただきたく、心からお願い申し上げる次第でございます。

村田委員 それならば、本当に成立をさせたいというならば、やはり手続を踏んで、そして内容をしっかり説明して、そうしたことを参議院でもしっかりやってくるべきだったじゃないですか。片手でびんたを張っておいて、後で自分の意見をのめというようなことをやっておいて、成立する見込みはありっこないじゃないですか。

 参議院で坂本委員の質問に対して、衆議院に行って、それでは成立、可決される見込みがあるんですかと言ったら、福山さんが、失礼じゃないですか、通る見込みはありますと言ったけれども、どこにあるんですか。普通の日常生活におきましても、相手に自分の意見を聞いてもらうためには、懇ろに説明をし、丁寧に根回しをしてやるのが当たり前でしょう。こんな強行採決をやって、形だけ、パフォーマンスを示すだけのことをやってきたではありませんか。

 そのことについて、やり方が間違っている、内容も、見る限り、我々が既に提案したことの内容をそのままそっくりコピーしている、あるいはこれを実現したら労働市場に有害となるような内容でございますよ。この後、私の後に同僚議員が、内容がいいかどうか議論していただきますが……(発言する者あり)

田村委員長 御静粛にしてください。お静かに。

村田委員 審議の手続というものは、民主主義を担保する、そういう一つの手続でございますから、これはしっかり参議院でも守っていただきたい、こういうふうに思います。どうかよろしくお願いします。(発言する者あり)

 それでは、これで質問を終わります。

田村委員長 山井委員に申し上げますが、野党の方もこれぐらいの時間オーバーは認めておりました。

 次に、長勢甚遠君。

長勢委員 おはようございます。久しぶりの厚生労働委員会でございまして、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 何か険悪な雰囲気でございますが、今、雇用情勢が大変深刻である、緊急の事態であるということについては、我々みんな認識を共有するものだと思います。私は、自民党の雇用・生活調査会長という役割を務めておりまして、今年の春ごろから、特に中小企業の労働者の方々が非常に深刻な状況にあるということで、党にホームページも立ち上げまして、中小企業に働いている方々、あるいはその経営されている方々の切実な声をホームページにメールで寄せていただいております。また、特にこの秋になって、国際金融危機の影響で、これは今回は物すごくスピードが速いですね、下請まで影響が出てくるのがすごく速い、大変に厳しい深刻な状況であるということを切実に感じておるわけでございます。

 こういう問題意識を共有する中で、今回皆さんが雇用対策法案を提出されたということにつきましては、それなりに敬意を表したいと思います。ただ、今、村田委員からもお話がありましたが、せっかくのこういう大事な問題がこのような乱暴な形で議論をされ、短期間に強行採決されるという形で議論されるのは非常に残念なことでありますし、さらに、政府・与党は何ら対策を講じていない、スピード感がないといういわれなき批判がされておることは大変残念に思います。こんなことが国民の誤解を招いて不安を増大することになれば、私は、そういうことがあってはならない、このように思います。しかし、せっかくの機会でございますので、国民の御理解をいただくということも含めて、忌憚なく議論、質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 申し上げるまでもなく、雇用情勢は大変厳しいわけでございます。政府・与党は、今、村田委員からもるるお話がございましたが、十一月二十七日だったと思いますが、総理の指示もいただいて、十二月九日に新雇用対策を取りまとめて、今鋭意その実現を着々と進めているところでございます。この十二月五日には、三年間で二兆円、そして雇用を維持してもらう、あるいは失業した方には再就職の支援を行う、失業給付の改善等々、生活保障やあるいは能力開発を一生懸命やる、もう一つ大事なことは、何といっても仕事がなければならないわけでございますので、雇用創出もきちんとやるということに向けて、三年間で二兆円の規模をもって総合的な対策を打ち出しております。

 今回御提出の四法案を見ますと、派遣労働者を中心にしてその住居の支援など、私どもがまとめたものに比べますと、極めて狭い範囲のものにとどまっておるという印象は否めません。これからの深刻な事態、どんどん深刻化をしておる、またその心配があるわけでありますから、雇用対策は総合的なものでなきゃならぬ、このように思うわけでございます。どうも今回の法案は、当面マスコミ等で話題となっておるものに応急的に対応しようというふうに見えて仕方がないのでございます。

 こういうことは、これからも具体的に質問させていただきますけれども、法案の中には、既に政府が実施しているものとか、あるいは早急に実施すべく準備中のものが多いわけでありまして、今度の法案を出すことによって何が変わるのかということがよくわかりません。同じことではないか、政府がやっていることにむしろ邪魔になるのではないかとすら思うわけでございます。

 そういう意味で、この法案はこれからの総合的な雇用対策の中でどういう意義を持つものなのか、そしてまた今回、急にこのようなことを出されることはどういう意味があるものか、御説明いただきたいと思います。

福山参議院議員 長勢委員にお答えをさせていただきます。

 長勢委員におかれましては、長年にわたり労働行政に携わってこられました大変造詣の深い先生と承っておりまして、ぜひ御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど村田委員から御指摘があった点について一点だけ、事実関係だけ申し上げます。

 参議院での法案の事前説明は、自民党さん、公明党さんともに事前の説明をさせていただいたという事実があるということだけは、誤解があればいけないので、まず申し上げたいというふうに思います。

 それから、今の長勢先生の御質問に対してでございますが、我々としても、現下の雇用情勢の悪化については同様の認識だというふうに思います。リーマン・ショック以来、もうとにかく採用内定の取り消しや派遣切り、雇いどめ、そういった報道が毎日我々の目の前にあふれています。坂道を転げ落ちるように日本の経済が悪くなっているという実感は、我々だけでなく国民も感じておられると思います。

 我々としては、政府がこの間発表されました、例えば派遣労働者や期間労働者の解雇、契約打ち切りの人数、約三万人と見込まれていますが、この見通しでさえ実はまだ甘いのではないかと思っております。一昨日の報道によれば、福島県内では、年度内の削減を予定する非正規労働者が、今、予定だけで三千人を超えておりまして、十一月下旬の集計、十一月の下旬というとまだ半月しかたっておりませんが、この集計に比べて四倍も急増しているという実態がございます。

 本当に私どもは、このことについてはスピード感と実効性とそしてセーフティーネットの対象拡大こそがとりあえず急ぎの課題だと思っております。政府が生活防衛のための緊急対策として雇用対策を講じようとされていることに関しては、我々も評価をさせていただきたいと思います。別に与野党で手柄争いをする必要はないわけですから、どちらがいい施策かを言い合っても、それが実行されれば国民のためになりますので、それにこしたことはないと思いますし、長勢委員がまさにおっしゃられましたように、余り変わらないことがあるならば、逆に言うと、この法案を成立させていただいてもいいのではないかなというふうに思います。

 ただ、なぜ政府の今の対策について我々がこの法案をもって議論をいただきたいと思うかについて、一つ御紹介をさせていただきます。

 例えば、政府は、新規学卒者の例の内定取り消しの防止のために、雇用調整金について、雇用保険の被保険者期間が六カ月未満の方も対象とすることにより、この新規学卒者の採用直後から、例えば休業とか教育訓練を行った場合にもそういうことができるようにするというようなことを今考えておられるようです。

 また、年長フリーター支援のための特別奨励金の対象に特例的に追加するということも考えておられるみたいですが、実は、その省令改正はまだ行われておりません。

 例えば、緊急の住宅確保対策ということで、十二月の十五日から雇用促進住宅への入居相談やあっせん、そして住宅・生活支援の資金貸し付けの相談を実施されて、社員寮等への入居継続を可能とするように事業主に要請をするというようなことも、ハローワーク等を通じてやられているようでございますが、これに対する助成措置については補正予算の中身になりますから、まだ提出をされておりません。もしくは本予算の中身になりますので、まだ実は我々は議論もさせていただいておりません。もっと申し上げれば、省令改正もまだなされておりません。

 一方、我々が法案を出しますと、政府は、参議院の審議におきましても、審議会において議論すべきことではないか、労使の合意が必要ではないかというふうに言われるのですが、そのような審議会の議論を待つようなスピード感でいいんでしょうかというのが我々の実態の認識でございます。

 政府が対策を講じると発表される、麻生総理が発表される、このことについても私は全く否定をするものではありませんが、補正予算はまだ出ていません、法改正もされていません、省令改正もまだ実際にされていない状況の中で、やっている、やっていると声高におっしゃることは、それは問題なのではないかと私自身は考えております。

 この政省令改正について申し上げますと、政省令改正はまだ行われていないのに、十二月の九日に遡及をして実施をするんだとおっしゃっているのですが、これは実は改正も行われていないし、補正予算の提出もされていないのに、実際として事業を執行するようなことが本当にこれは許されることなのでしょうか。

 もしそういうことが自由になれば、総理が何か言っただけで、役人が、役所がばっと動き出して、後になってから政省令改正をしたり、後になってから予算や法律の審議をして遡及をするようになれば、全くもってこれは議会の権能を侵すことになりますし、私は、そのことをもって、やはり法律によって、まさに長勢先生が余り変わらないとおっしゃるなら、この法律を通していただくことによって、国会の意思としてすぐに動けるようにする、そして国民の皆さんに、とにかく国会は動いたよということを示すことによって、この冬の状況、厳しい状況で、失業や、住まいをひょっとしたらなくすリスクや、不安に思っている国民に一定の思いを届けることが立法府にいる我々としての務めではないかというふうに思っておりまして、我々としては法案を提出させていただいた次第でございます。

長勢委員 今のお話ですと、省令改正がおくれているから法律を出すんだという趣旨にも聞こえましたけれども、これは同じことなんですね。法律があろうがなかろうが今どんどん進めておるわけでありますので。しかも、省令でやるべきことを法律で決めるという部分もありますし。まあここの点はこれから議論させていただきますけれども。

 それと、私の質問は、我々の今考えて進めておることは、今おっしゃったように、これからますます深刻になるだろうと。

 かつて一番雇用情勢がひどかったときというのは平成十五年ですけれども、完全失業率が五・五%になる、三百八十五万人の完全失業者を生むという状況でした。現時点ではまだそこまではいっていないわけで、十月時点では三・七%、二百五十五万人ということでございますけれども、今後、過去と同じくらいのひどいことになるということも想定をしながら、そうなると百万人以上の完全失業者の増大を見ることになる。そういうことにも備えるように、先ほどお話しいたしましたように、百四十万人の下支えを行うという方針で今やっておるわけで、そういう観点に立った法案ではないのだなということが今明確になったわけでございます。

 そこで、具体的な議論に入らせていただきますけれども、まず、派遣労働者解雇防止緊急措置法案というのを御提出いただいておるわけでございます。これは御説明を私がするわけにはいかないのかもしれませんが、派遣労働者等について、雇調金等を適用して雇用の維持をきちんとやっていこうという趣旨のものだと思います。これは当然のことでありまして、既に、雇用調整助成金、長い間の経過を持って、しかも、この緊急の事態に対応するために既に拡充を図り、それを実施してきておる、これが現実だと思います。

 今、どういうふうに現実にやってきておるのか。安定局長、来ていますか。ひとつ説明してください。

太田政府参考人 雇用維持のための雇用調整助成金、もう既に第一次補正予算で大幅な拡充を行っているところでございますので、その点を中心にお話をさせていただきたいと思っております。

 この雇用調整助成金でございますけれども、先ほどお話ございましたように、特に中小企業が厳しいという状況がございますので、中小企業向けの中小企業緊急雇用安定奨励金を設けまして、助成率につきましては、一次補正予算で、中小企業の場合には、例えば教育訓練とか休業を行ったときの賃金、手当の五分の四、八割まで補助するという形で大幅な拡充を行って、既に十二月一日から実施をしているところでございます。

 また、支給要件につきましても、生産量要件の緩和でございますとか、中小企業の方々にとって使いやすく、それによって中小企業におきまして雇用の維持ができるような対策も講じているところでございます。

 大企業につきましても同じような形で、助成率は若干低いわけでございますけれども、雇用調整助成金について対応を行っているところでございます。

 あわせて、こういう雇用調整助成金を活用して事業主団体にも雇用の維持をしてくださいということを、大臣を先頭に要請しているところでございます。

 さらには、政府・与党の十二月五日、九日の対策を受けて、雇用調整助成金につきましては、雇用保険の加入期間が六カ月未満の方も対象とするという拡充措置を年内、これは十二月二十六日に省令改正を行うことを予定しておりまして、十二月九日からさかのぼって適用し、非正規労働者の雇用の維持を支援することとしております。

 この予算措置につきましては、本予算、一次補正予算で予算措置をしておりますので、省令改正で対応が可能なものでございます。

 このほか、さまざまな若者支援対策の助成金、あるいは中小企業における障害者の雇い入れ助成の引き上げ、さらには、地域で中小企業が創業したり雇い入れするものにつきましては、既に一次補正予算で措置しておりますので、十二月一日から実施をしているところでございます。

長勢委員 今政府側から説明がありましたけれども、派遣労働者についても万全の体制でこれが適用できるように着々と進めておるということが明らかになったと思うわけでございます。

 これについて、今回の法案ではそことどこが違うことになるのか、ひとつ端的に御説明いただきたいと思います。

福山参議院議員 委員にお答えいたします。

 今まさに政府から答弁がありましたように、中小企業雇用安定助成金の創設について、我々も決して否定をしているわけではありませんが、答弁のとおり、被保険者期間が六カ月未満の者については、これは十二月二十六日の政省令改正ということですから、実はまだされておりません。それから、恐らくですが、その状況では派遣労働者は対象になっておりません。

 そして、政府は、被保険者以外の者も、週の所定労働時間が二十時間以上の方に限っては対象にするということを準備されていますが、私が聞き及んでいるところによりますと、これは年明けの政省令改正と承っておりまして、これでは実は、今ばっさばっさと切られている派遣労働者に対する対応は間に合いません。

 我々の法案としては、この派遣労働者に対しても、二月以上働いている方に対してはこの雇調の対象者にしようということで緊急的に対応する準備をしているところでございまして、ぜひここは政府・与党におかれましても、今まさに雇用が切られているのは派遣の方が圧倒的に多いわけですから、その方に対して、被保険者としての対象拡大をいち早くやらなければいけない。これは年明けといってもよくわからないんですね。

 そして、さらに言えば、これは政府の対策に書いてありますからあえて申し上げますが、政府の対策には、このことを第二次補正予算と本予算で対応すると書いてありますが、実はそれでは全くもって遅いというのが我々の認識でございます。そこは長勢委員はよく御理解をいただいていると思いますので、ぜひ御協力をいただきたいとお願い申し上げます。

長勢委員 雇用保険の加入期間が六カ月未満の方々についても雇用調整助成金の対象にするということが今政府側からも説明があったわけで、今の御答弁は、派遣労働者も含めて十分対応できるというふうに思います。

 それ以上に、この雇用調整助成金は、創設以来ずっと省令でその状況に応じて弾力的に対応してきたからこそ、緊急に今実行ができるわけでございます。これをわざわざ法律事項にして、法律にするという趣旨の意味がよくわかりません。

 そして、今委員がおっしゃるようなことであったとしても、結局、省令でやるということになるのであれば同じことである、むしろ政府よりも遅くなる、これすら思うわけでございますが、どうですか。

福山参議院議員 長勢委員にお答えいたします。

 先ほど言われたように、政府の言っている六カ月未満の対象者については、これは被保険者が対象でございますから、派遣の方は入っておりません。派遣の方については、週二十時間以上についてやると政府は言われているんですが、政省令改正、私が聞き及んでいるところでは、十二月二十六日の予定には多分なっていないと思います。

 そうすると、さっき長勢委員が言われたように、そこも大丈夫だということは、大丈夫ではないんです。だから我々は、法律でこの派遣の方々に対象を拡大するということを早く決めたいというのが思いでございます。

 補足答弁を津田議員からしていただきます。

津田参議院議員 おはようございます。

 長勢議員におかれましては、旧労働省の御出身ということで、私の出身組織の先輩である鍵田節哉元衆議院議員が大変お世話になりまして、特にホームレスの問題でも大変お世話になっておりましたことを感謝申し上げたいというふうに思います。

 今御指摘をしていただいた点は、参議院でもお答えをさせていただきました。省令改正によって可能ということと、省令改正で行うことが望ましいということは別問題であります。

 重要事項については、法律により政府に明確に義務づけることによって、そもそも非正規雇用労働者に対しても各企業は、安易に中途解約や雇いどめを行うことなく、教育訓練、出向、休業などの手だてを尽くし雇用を維持すべきであるということを、国権の最高機関の強い意思として示すことができるのであります。これは、アナウンス効果や社会に対するメッセージ性において、省令改正とは雲泥の差があるものと理解をいたしております。

 法律が有しておりますこのような重要な役割を、衆議院厚生労働委員会の委員各位におかれましてぜひ強く認識していただきたい、私はそのように思っておるところであります。

 先ほど福山議員がおっしゃいましたように、政府においてはこの省令改正がまだされておらないことは、もう御案内のとおりであります。

長勢委員 若干というか、ほとんど見解を異にいたしますが、一つだけ、皆さんの法案提出に当たってという文章では、この制度は六カ月間の緊急措置というふうに位置づけられておるようですが、何で六カ月なんですか。

福山参議院議員 実はこれは、派遣労働者の方、簡単に言うと雇用保険料を今まで払っていらっしゃらない方も適用しようというものでございますので、それはやはり余り長期間はふさわしくない。逆に、我々は、雇用保険の適用の対象者、雇用保険料を払っていただく方をふやすことによって、派遣の方もちゃんと雇用保険の対象になるように制度設計を変えていきたいと思っております。

 これはあくまでも現状の、派遣労働者に対する雇用が切られることに対しての緊急措置でございますので、余り長期間ということを念頭に置いているわけではありません。

 そして、政府の方が三年間という時間で今の雇用対策をされていることに関しては、私は、先ほど長勢委員がおっしゃられたみたいに、長期的にこの雇用対策は、経済がマイナスになっていく中で重要だと思っておりますが、このことに関しては急を要しますので、とにかく六カ月の時限でやりたい。

 別に期間に関しては、その後延ばせばいいだけの話でございますので、余りそういう細かいことよりも、今対策を講じることの方が重要ではないかなと私は認識をしております。

長勢委員 まず雇用調整助成金の性格ですけれども、雇用保険の二事業ですよね。二事業について、これは性格上、後からも出てきますけれども、被保険者でない方々を対象にするということは基本的にできないという仕組みになっているわけですね、法律が。そこを直すということですか。それだと雇用保険法の改正にはなりませんね、これは。

津田参議院議員 お答えを申し上げます。

 雇用安定事業とは、そもそも、被保険者及び被保険者であった者及び昨年の法改正で加えられました被保険者となろうとする者、これに関し、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るための事業であります。

 今回提出をさせていただいております四法案では、派遣労働者等について、広く雇用保険の被保険者としていくこと、あるいは住宅支援を行うことなども一体的に盛り込んでいるわけでありますが、特に、本措置につきましては、派遣労働者等を安易に中途解約や雇いどめを行うことなく、教育訓練、出向、休業などの手だてを尽くして雇用を維持しようと頑張っている事業主を支援するものであり、雇用安定事業として実施するわけであります。

 なお、二事業のための保険料は事業主が千分の三支払っているものでありますが、現在、雇用安定資金として使用されずに積み立てられているものが約一兆七百億円あることから、かかる雇用失業情勢に対応するため必要な財源はここから調達することとしました。このことは、雇用安定事業という本来の目的にかなった使い方であると考えるわけであります。

 なお、雇用安定事業として行うという点では、政府が十二月九日に打ち出されました新たな雇用対策でも同様の位置づけがなされているものと承知をいたしております。

長勢委員 政府の考えでは、二カ月以上に限らず被保険者になれる人はすべて採用から雇用期間が短くても対応していこう、こういう考え方で進めておるわけでございます。ぜひこのことも御理解いただきたいのと、今、積立金のお話がございましたが、三年間使うとすれば、どれだけの費用が要るかということも考えれば、それがあるから何をしてもいいという議論はまことに無謀なお話だと思います。

 次に、雇用保険法の改正案について御質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

田村委員長 与野党ともに、質問が聞こえませんので、静かにしてください。

長勢委員 この法案、住まいと仕事の確保法案というような名前も言われているようですが、一つは、住宅確保、生活支援対策が盛り込まれております。住宅支援対策、寮を出されるという本当に深刻な事態がたびたび報道されておるわけで、緊急に講ずべきことだと思います。

 政府もこれは既に実施をしておるというふうに聞いておりますけれども、具体的にどういう内容をやっておるのか、御説明いただきたいと思います。

太田政府参考人 今御質問ございましたように、住宅・生活対策ということで、年内の対策、仕事もない、住まいもないという方が出てきておりますので、最も重要な対策であるというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、やむを得ず離職した方々に対する住宅・生活支援対策といたしまして、今月の十五日から、全国の主要なハローワーク百九十カ所におきまして、住宅と安定的な就労機会の確保等に係る相談、支援のための窓口を開設いたしまして、雇用促進住宅の入居相談、あっせんや、住宅・生活支援の資金貸し付けの相談を実施しているところでございます。

 また、本日から全国の労働金庫の窓口におきまして、住宅・生活支援の資金貸し付けの申請受け付けも開始したところでございますので、融資事業も開始したところでございます。

 この相談に係る実績でございますけれども、窓口を開設しました今月十五日月曜日から十九日までの一週間の実績でございますけれども、住宅確保に係る相談件数は六千四件でございます。うち、住宅費用に関する相談は二千六百六件ということでございます。さらには、雇用促進住宅への入居に関する相談は二千五百七十三件でございまして、実際に雇用促進住宅への入居決定件数が七百五十二件という形で実績が出てきているところでございます。

 さらにまた、今後、年内、全国五十六カ所のハローワークにおきましては、十二月二十九日月曜日あるいは三十日火曜日にも年末の緊急職業相談の窓口を開設いたしまして、雇用の不安を抱える非正規労働者に対する職業相談を実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 私ども、このような形でございまして、年内におきましても、やむを得ず失業された方々ができる限り安心して年を越せるように、これらの対策に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

長勢委員 法案の具体的な仕組みが特に明示されておりませんので正確にわからないところもありますけれども、住宅、寮を出されるという方々に対しては、緊急に政府において施策の実施を始めておるというのが今の御説明だったと思うんです。そうなると、ここの雇用保険法の一部改正案の第一のところはもう相当終わってしまっておるというふうにさえ感ずるわけでございます。

 具体的にどういうことをお考えになっているのかもわかりませんし、それから、公布一カ月後施行ということになっているように伺っておりますが、これでは政府よりずっとおくれるということになるんじゃないですか。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

小林参議院議員 御回答いたします。

 政府の施策との違いについてですけれども、政府の施策と方向性は同様であります。

 ハローワークに派遣労働者等の住居確保も含めた生活相談窓口が設けられ、全国労働金庫協会において就職安定資金融資制度が始まったと報道されておりますけれども、国民は、政省令改正と言われても、どのぐらいの重要度で政府が施策を進めているのかぴんときません。新聞報道でも、法律が成立したとは書いてありますけれども、省令を変えたとか規則を変えたという記事は見かけません。私どもと同様のメニューであるならば、法律を根拠に強力に実行すべきだと考えておりますので、ぜひとも御賛同いただきたいと存じます。今本当に困っている人たちに一番必要な施策が絵にかいたもちとならないようにするのが政治の役割であります。

 その上で、具体的な内容について申し上げたいと存じます。

 まず、住まいと仕事の確保対策における対象者は、解雇等に伴い、雇用主または労働者派遣の役務の提供を受けている者から提供されていた住宅からの退去を余儀なくされる派遣労働者や、失業等給付を受給することができずに生活に困窮している失業者などであります。これらの方々はあくまで例としてお示しさせていただいており、当然これに準ずる方も対象となります。

 どのような支援内容を実施するかと申しますと、再就職のための職業紹介及び職業指導、公営住宅への入居における特別の配慮等住宅への入居の支援、生活上の支援その他必要な援助を一体的に行うことを想定しております。この支援は、労働者としての能力と意欲を維持していくことを前提としておりますので、次の三点をセットとして行うことを想定しています。

 まず、職業教育訓練あるいは職業紹介、次に住宅の確保を含めた生活支援、そして生活支援金の給付であります。厚生労働省は、今のところ、雇用促進住宅のあっせんを中心にされているようです。私どもは、公営住宅への入居についても特別な配慮等が必要と考えており、現在、市営住宅などを通常の家賃の半額で貸し出したり民間宿舎を年度末まで無償提供するといった取り組みが全国各地で行われていると伺っておりますが、そうした施策を強力に後押しする必要があると考えております。

 さらに、住宅に関しては、アパートやワンルームマンションの借り上げといった施策も重点的に展開する必要があると考えております。法人契約を継続する事業主に対しては、家賃助成等も想定しておりますが、知恵と工夫で法人契約をしていたアパートやワンルームマンションについて、引き続き労働者個人の賃貸契約に変更する方法も検討し、支援策を実行すべきだと考えます。そうでなければ到底数が足らないと思います。

 こうした施策の実施主体として、私どもは、住まいと仕事の相談機能の一元化、あちこち行かないで済むようなワンストップサービスが望ましいと考えており、当面ハローワークでの実施を考えております。

 受給要件等については、私どもは、過去半年以内に雇用の実績があり、現に生活する居住の確保が難しいこと、ハローワークで求職登録をして相談や助言、情報提供を受け、個別就業支援計画のもとで職業指導や職業訓練を受けることができ、職業に結びつける意欲が見込まれることなどを想定しております。生活保護給付の際に実施されるような厳格な資力調査などは想定しておりません。

 毎月の支援金も、地域事情やその方の預貯金の状況を勘案して、月三万円から最高月額十万円といたします。(長勢委員「ちょっと短くやってくださいよ、条文読んでいるだけでしょう、これは」と呼ぶ)

三ッ林委員長代理 簡潔にお願いします。

小林参議院議員 当面は半年間の貸与を考えていますが、今後の雇用失業情勢において、さらに半年間延長することも考えております。ハローワークを通じて安定した雇用についた場合や、熱心に職業訓練を受講しているといった一定の要件があれば、返済免除もすることとしております。

 私個人的には、二兆円をばらまくぐらいなら、こうした支援金も貸与じゃなく渡し切りにすべきだと考えております。財源は、労働保険特別会計の二事業の雇用安定資金から調達いたします。これは現在、一兆七百億円の余剰があり、政府とはその方向性が同じなのですから、法案を成立させればすぐにでも施行可能でございます。

 聞くところによりますと、本日二十二日より、政府の要請にこたえ、全国の労働金庫において就職安定資金融資制度の取り扱いが始まるそうであります。そうした施策の後押しをするためにも、法律による担保が必要と考えております。

 以上です。

長勢委員 今の御説明は、この条文を読んだ部分以外は法律に何も書いていないわけですね。しかも、それを、アナウンス効果のために法律を出すんだということであれば、今言ったようなことは何もわかりませんよ、そんなことは。それは省令で決めるのか何で決めるのか知りませんが、結局、政府が今やっていることと全く同じことに近いものであって、だからこの法案が必要だというふうには全くならない、このように思います。

 それから、生活支援給付金は、先ほども申し上げましたが、今の二事業にはなじまないものでございます。だからこそ、今政府は、労働金庫で貸し付けという形で、また、場合によっては返済免除という形をとって、困っておられる方々に緊急に対応しようとしておるわけでございますから、このことはよく御理解をいただきたいものだと思います。

 次に、雇用保険制度の拡充について、法案に盛られておりますので、それについて若干御質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、雇用見込みが一年未満の者すべてを被保険者とするということになっておるようでございますけれども、これは、皆さんの法案でも、受給要件は六カ月の被保険者期間ということになっているはずでありますから、これは保険料だけを負担しなきゃならぬということを生ずることになるのではないか。そういう意味で、ちょっと適当ではないのではないかと思います。

 もう一つ、派遣労働者を短期特例労働者というふうにしようというお考えのようでございますが、これは、短期保険労働者は、従来、冬期にだけ働くような方々を中心にして成立し実行されてきた制度でございまして、こういうものをこういう形にするということに、かえって、派遣労働者その他の非正規の方々がそれを繰り返すとか、雇用の安定を阻害する、むしろ、そういうことのないようにしていかなきゃならぬというのが基本ではないかと思います。

 法文を読むのはわかりましたから、ちょっと簡単に説明いただかないと質問の時間がなくなってきますので、よろしくお願いします。

津田参議院議員 お答えを申し上げます。

 現行の雇用保険法では、失業給付の受給要件を被保険者期間十二カ月以上としておりますので、保険料を十一カ月分負担したが、失業給付を受けられないということも生じ得るわけでございます。

 今回の法案では、失業給付の受給要件を六カ月に短縮しておりますので、保険料の払い損になるケースが大幅に減る、それと同時に、払い損になる保険料の額も、最大十一カ月分から五カ月分へと半分以下に減少することになります。

 このように、今回の法案は、現行の雇用保険法が有している問題点を大幅に改善するものであります。

 また、三カ月契約の期間工は、今回の法案においてもなお、保険料を払うだけで、当該契約の満了時には失業給付を受けられないことになりますが、このことは現行の雇用保険法でも全く同じであります。現行の保険法では、三カ月どころか十一カ月契約の期間工でさえ失業給付は受けられません。しかし、今回の法案が成立すれば、十一カ月契約の期間工は失業給付を受けられることになるわけであります。短期雇用の期間工については、むしろ、このような雇用情勢が野放しにされ、簡便な雇用調整の手段、不安定雇用の温床になっていることこそが真の問題であります。

 今回の三党提出法案では、期間の定めのある労働契約の規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案をあわせて提出し、有期労働契約の締結事由を制限し、問題の本質的解決を図っていくこともつけ加えさせていただきたいというふうに思います。

 それから、現在、短期の派遣労働者を特例被保険者とすることについてのお尋ねがございました。

 現在、登録型派遣労働者は、一年以上継続して雇用されることが見込まれるときに限って雇用保険の一般被保険者とする取り扱いがなされております。このような取り扱いは雇用保険法に定められているわけではなく、厚生労働省が、運用によって、短期の登録型派遣労働者の雇用のセーフティーネットである雇用保険から排除しているものであります。

 しかし、雇用保険法は労働者の雇用と生活安定を図ることを目的とする法律でありますから、そこに言う労働者には派遣労働者も当然含まれているはずであります。そのことを明確にし、厚労省による不当きわまりない運用をやめさせるために、三党案では、労働者の定義規定を改正し、労働者には派遣労働者も含まれることを明確にしました。これにより、登録型派遣労働者は、一年以上継続して雇用されることが見込まれるか否かにかかわらず、雇用保険の被保険者となります。その上で、三党案では、短期の雇用につく派遣労働者を短期雇用特例被保険者とすることにしました。

 そうした判断に至った理由については、基本手当は四週間分後払いとなっているのに対し、特例一時金は、一時金を離職の認定の日に支払われるという違いがございます。派遣労働者については、正社員が失業した場合と異なり、資産、貯蓄が少ないことが想定され、派遣労働契約の終了とともに住居を失うケースが多いこと等の違いがあるため、このような後払いの基本手当と一時金の形で離職認定日に支払われる特例一時金とでは、派遣労働者であった者の失業中の所得保障としては、特例一時金の方が有益である場合も考えられるわけであります。

 そうした観点と、例えば登録型派遣労働者については一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すという点において、現行法では短期雇用特例被保険者となっている方と同様の生活実態を有することが多いということなどもあり、短期雇用の派遣労働者につきましても特例一時金を支給した方がよいという判断に至りました。

 なお、派遣労働者の雇用契約が更新され、一年以上継続して雇用されるに至ったときは、短期雇用特例被保険者から一般の被保険者に移ることになります。

長勢委員 今現在、政府では、雇用保険の適用基準あるいは受給要件、これを緩和するということを我々も提案し、その方向で議論をされておるわけでございます。

 今、特例被保険者について非常に長い御説明がございましたけれども、簡単に言うと、登録派遣労働者は短期特例被保険者にしようということのようでありますけれども、正直言って、こんな話は労働政策審議会でも聞いたことがないのではないかと思うんです。

 それとも絡むんですけれども、今、政府で、雇用保険制度の拡充について労働政策審議会で議論されている、三者構成で労働側も入って議論をされておる、至急に今結論を出す段階に来ているやに私は伺っております。この法案というのは、もちろん、立法府ですからいろいろなことができるという考えもあると思いますけれども、特に労働政策については審議会で政労使の意見を聞くというのがILOでの基本的な考え方でもありますし、それはそれとしても、労働政策審議会、労働組合側の代表も入っておる意義をどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

福山参議院議員 短く御答弁します。

 労働政策審議会の存在、そしてまた十二月の十何日かにも御議論いただいたと承っておりまして、私も議事録を拝見いたしました。

 その議論の流れに私どももさお差す気はありませんし、その審議会は審議会で動いていただければ結構でございますが、政治の責任として、審議会がいつ結論を出すのかもわからない、審議会で例えば結論が出たとしても、その後、法案の改正手続をして、与党内で協議をしていただいて、閣法で出てきて、閣法を審議してと言っている間に、実は、失業や雇用が切られて苦しんでいる、生活不安になっている国民がたくさんいるという現実を目の当たりにすることになるわけでございます。

 私は、長勢委員のおっしゃる労働政策審議会の存在も議論も否定するわけではありませんが、我々は立法府の人間でございますので、なぜそんなに審議会の議論を、別にいいかげんにしろというわけではありません、審議会の議論は大事ですが、しかし、我々立法府の人間がほとんど平仄を同じにして、方向は同じだと、まさに先ほど私は我が意を得たりだったんですが、長勢委員みずからが雇用保険の対象の拡大は必要だとおっしゃった。さらに言えば、三年間では財政がどのぐらいになるかわからないとおっしゃった。だから我々は、緊急に半年というふうに区切ったわけです。そして、だから我々は、派遣労働者の方も対象者にするように、今回緊急に法律を出させていただきました。

 労働政策審議会、何度も言いますが、否定をしませんが、そこはこの法律に立法府のお立場としてぜひ御賛同いただきたい。私は長勢先生の言っていることと余り変わらないことを言っていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

長勢委員 ちょっと、いろいろ答弁されて、すれ違いというか、違ったことを御答弁されている点もありますが、審議会について申し上げますと、今やっているんでしょう。全然やっていないとかという話じゃなくて、もう結論も出ようというときにこの法案を出して、立法府は何してもいいというのはそのとおりですよ、そのとおりですけれども、今、この状況下でやるということは単なるパフォーマンスではないかということを申し上げておるわけでございます。

 一番最初に、雇用対策は総合的にやらなきゃいけないということを私申し上げたのでございますが、今、政府が進めている中の一つの大きな柱は、能力開発、職業訓練であります。これについて御党の今回の法案には余り述べられていないということが第一点。

 もう一つ、やはり今、仕事がないんですよ。仕事がないから会社の方も大変厳しい状況になっている、それで雇用情勢も厳しくなる。こういうことでありますから、やはり雇用創出ということが大変大事であります。今、政府の方は、地方公共団体に基金も積み、また地方交付税の増額も図り、そして雇用創出に全力を挙げることにしておる。こういう問題について皆さん方の法案では余り触れておられないわけでございますが、こういうことは余り緊急に考えなくてもいいというお考えのようだと伺ってよろしいんでしょうか。

福山参議院議員 雇用を創出しなければいけないことはもとよりでございます。何ら否定することもございません。我々は、我々のマニフェストで、解散・総選挙になれば、どういった形で雇用をつくっていくか、新たに国民の皆さんの可処分所得をどうふやしていくか等については、国民にお約束をさせていただくつもりでございますが、そのことを法案に書き込むというよりか、我々のこの法案は、今の現下の情勢に対してどのような形で国民の皆さんに、不安でいっぱいな方々に対して安心感を与えて、立法府として、政治としてメッセージを出すかということが焦眉の課題だという認識でございますので、雇用の創出を否定するようなことは全くございませんので、そこは御理解をいただきたいと思います。

長勢委員 先ほどホームページのお話をいたしましたけれども、景気回復期と言われた時期がありましたね。ここ何年かありました。その間、何が起きておったか。

 大企業は大きな利益を上げる、そしてそこでは株主配当がふえる、役員報酬がふえる、留保金もふえると同時に、大企業の労働者の賃金も上がってきている。ところが、一方の中小零細企業は全く収益は上がらない、働く方々の給料も下がっている。こういう中で、ここに来て一気に下請企業に仕事がなくなっている。こういうことが大企業と中小零細企業の格差を生み、中央と地方の格差を生んできておる。

 このことを考えますと、この緊急事態に、今これから春闘も始まるようでありますけれども、中小零細企業、下請企業あっての大企業でありますから、元請企業でありますから、春闘が始まりますけれども、大企業は、社会的責任とまでは申し上げませんけれども、やはり身を削ってでも、労使とも身を削ってでも中小零細企業に、下請企業に仕事を回すという覚悟がぜひ必要ではないか。ここで賃金を上げろ賃金を上げろと言っておるだけでいいのか、もっと中小零細企業のことを考えるべきではないかということを考えますが、どうでございますか。

福山参議院議員 我々は、今臨時国会に、経済対策の一環として、余り言葉はいいかどうかわかりませんが、中小企業いじめ防止法案ということで、下請法の改正をして、今まさに長勢委員がおっしゃられたことを念頭に置きまして、下請に対する大企業の発注を不当に切られたりすることを防止する法律を実は参議院に提出をさせていただいておりますが、まだ審議をしていただいておりません。大変残念なことでございます。

 まさに長勢委員御指摘のとおり、そのようなことが行われないようにするのも我々立法府の責任だというふうに認識をしておるところでございます。

長勢委員 しかし、今行われていることは、春闘において、大企業においては賃上げ要求が行われているわけですね。株主配当や役員報酬も考えてもらわなきゃなりませんけれども、そういうことをやっていると、結局、その大企業労働者のことが下請労働者の首切りにつながるということが起きつつあるわけですよ。そのことを私は申し上げておるので、先生も私と同じ意見だということですから、よく指導していただきたいと思います。

 今、いろいろ御議論させていただきましたけれども、ずっと聞いておりますけれども、時間も余りなくて細かいところまできちんと議論ができない点がありましたが、政治の役割として法律を出すということはいいですよ、しかし、これはアナウンスのためだけだという趣旨の話が総じて多かった。また、その中身も、今政府がやっておることをただ後追いをするとか、あるいは中身がほとんどやろうとしているところを書いておるということが多々ありました。

 正直言って、内定取り消しの問題とか、これはもう少し取り上げたかったんですけれども、後で同僚議員が取り上げられると思いますので差し控えますけれども、こういう法案というものを何のためにここで皆さんは出されるのか。意欲はわかりますよ。政治が国民に理解をしてもらうようにするということであれば、我々も、我々のやっている政策をもっと理解されるように努力をしなきゃならない。しかし、法律を出してやるというのは、やり方として適切なやり方かどうかということを私は大変に疑問に思います。これによって、何もしない、しないということを国民に誤解を与えるというパフォーマンスだけのものであってはならない。また、今回の法案はそういう性格のものであるということが、私はますます深い確信を持つに至りました。

 ただ、大変今深刻な事態、さらにさらに深刻になっていくと思いますので、生活の基盤である雇用を守るということは政治の責任だということについては、我々は共通の認識を持っておるということは、もう明らかになったと思います。そのことは私どもも全力を挙げてこれから努めていきたいと思っておりますし、これは政局などを考えないで、政党政派を超えて、やはり国民のために頑張っていくのが我々の責務であると思いますので、ぜひ政府・与党がそのために全力を挙げておるということを国民の皆さんにも十分御理解をいただいて、また、野党におかれましても、これから予算また関連法案の審議が始まるわけでありますので、ぜひ国民の立場に立って早期成立に御協力をいただくことを切にお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 最初に、先ほどからの議論を聞いておりまして、参議院の提案者の皆さん方の御努力にまずは敬意を表したいと思います。

 ただ、私も十五年ぐらい国会におりますけれども、参議院からこういう法案を、中身ではありませんよ、こういう形でお届けいただいたということは初めての経験でありまして、先ほどから、こうしなければ政府は動かない、おくれているということをるるおっしゃったわけでありますけれども、そのお気持ちを理解しないわけではありませんけれども、それにしてもひどいやり方で回してこられたなと。

 作業をされた提案者の皆さん方も、内心、随分ひどいやり方だなと多分思われたと思いますが、良識の府参議院は一体どこへ行ったんだろう。(発言する者あり)中には、私も議事録を見ましたけれども、あとは衆議院で修正してもらいたいなんというような発言が出たり。そんなものは参議院でちゃんと決着をつけてもらいたい、生煮えの形でこちらへ回されても困るなと、正直ちゅうちょを覚えないわけではありません。

 ただ、皆さん方の気持ちは私も共有をする、現下の雇用、経済情勢に対する危機感というものは、それは先ほど議論されました同僚の長勢議員もそうでありますし、その危機感は全く同じくするものだな、こう思っているわけであります。

 ただ、良識の府と言われたかつての参議院の姿は一体どこへ行ったんだろうと、あの場面を見て思ったのは私一人ではないだろう、こう思っておりまして……(発言する者あり)野党の皆さんもああいう場面はなかなかおなれになっていないなというのを、私はテレビを見ながらつくづく思ったのでありますが……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。こっちでせっかく提案者としっかり議論をしたいと思っているのでありますから。

 そこで、先ほど長勢委員もおっしゃったのでありますが、百歩譲って皆さん方のそういう努力を認めるとして、それはやはり、ただいま政府・与党にも大きな影響を与えているわけでありまして、皆さん方がお出しになる前から、もちろん八月の時点、あるいは総理が発表になりました十月三十日の生活対策、さらには十二月九日の新たな雇用対策などなどに私は少なからず影響を与えている、そこはある意味では評価をしたいというふうに思っているんです。

 ただ、いつも、この前の長寿医療の廃止法案の議論をしたときもつくづく思ったのでありますが、現下の厳しさを思う余り極端な法制化を進められても、後から議論いたしますけれども、それはそれでなかなか悩ましいな、こう思っているわけであります。

 そこで、最初にお伺いしたいと思っているんですが、我々も必死です。全く危機感は共有でありまして、我が公明党においても新たに緊急・雇用対策本部を立ち上げまして、太田代表を先頭に、中小企業の現場の皆さんあるいは製造業の現場の皆さん、ハローワーク、さらには雇用促進住宅であるとか現場を回りながらさまざまな政策提言をいただき、それを毎日のように官邸に届ける、こういう作業を今繰り返しているわけであります。その中には皆さん方が御指摘されたことも大いに念頭に置いて、我々与党としても懸命に取り組んでいる、こう思っているわけであります。

 きょう先ほどの議論を聞いておりましても、総括的に言うと、皆さん方はやむにやまれない思いでこれだけの法律を出した、後の対策はもちろん抜けもたくさんある、少々問題があるかもしれない、だけれども、そこは政府でしっかりやってくれという、残念ながら、ただいま野党のお立場としての姿勢かな、こういうふうにも感じたわけでありまして、私は、同じ思いであればできるだけ実現をするという方向で前に進めなきゃならぬのではないか、国家国民の皆さんがそれを望んでおられる。(発言する者あり)本当に無礼な声が多いね、きょうは。真剣に議論しているんだから、頼みますよ。

 それで、まずは、今日まで皆さんの御提言もいただいて取り組んでいる政府あるいは与党の取り組みに対して、皆さん方はどう評価されているのか。足らざる部分はさっきいろいろおっしゃったから、わかりました。それはそれで評価されているんじゃないかな、しっかりやれ、こういうお気持ちじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。短く簡略にいきましょう。

福山参議院議員 桝屋委員に御答弁をさせていただきます。

 我々答弁者の意を酌んでいただきまして、大変ありがとうございます。

 先ほどの長勢委員の質疑でもありましたが、我々は、重要な御指摘、積極的に取り入れる御指摘があれば、それは謙虚に受けとめていきたいと思います。何よりも重要なのはこの法案の成立を図ることだと思っておりまして、もっと申し上げれば、先ほどの審議でも明らかになりましたように、今のままでは派遣労働者の方々に対しては被保険者としての適用がまだ見えてきません。これは大変な問題だと思っております。

 政府の対策についての評価ですが、政府がいち早く対策を講じられていることに対しては評価をしたいと思います。しかしながら、我々から見ると、補正予算も出さずに、政省令改正も行わずにさっさとやっていますよというのは、立法府の人間としていかがなものかなと思います。もっと言えば、我々が法案を出すよという話になってきてから、どっちが先かとか、どっちが追いついてきたのかというのは余り意味のある議論ではありませんが、政府の方も、我々の法案を見てこれは派遣労働者を対象に入れなきゃいけないなといって、突然、ホームページのところに実は字がふえたような部分とかもあるんですね。

 現実の問題としては、それだけ平仄が合って今の状況について共有の認識があるならば、この法案については、ぜひ焦眉の課題として成立をお願いしたい。その後は、それこそ二次補正それから本予算の審議の中で、しっかりとした中長期の雇用対策の中身については与野党ともにしっかりと議論をすればいい、私はそのように考えております。

桝屋委員 今の御答弁の中で、政府・与党が懸命に取り組んでいる、この内容についてはお認めをいただいた。ただ十分ではない、こういう御主張かなと承っておりまして、先ほどから、政省令、いまだ姿が見えないではないか、こういう御指摘もいただいた。きょうのこの議論も、そういう意味では大変大事な議論だな、こう私は思っているわけであります。

 そこで、具体的な話に入りたいと思っておりますが、先ほどの長勢委員との議論を聞いておりまして、最初に、具体的な話として雇用調整助成金の議論が先ほどありました。聞いておりまして、なるほどと思ったわけでありますが、一点確認なのは、先ほどの議論の中で長勢委員が、六カ月の緊急対応というよりも政府は三カ年と言っているということについては、先ほどのお答えでは、三カ年ということはそれはそれで評価している、必要だ、必要であればやればいい、こういう御答弁だったかなと思うんですが、いかがでしょうか。簡単に。

津田参議院議員 お答えを申し上げます。

 本法案では、六カ月間はこのような緊急措置を行うことを立法府の強い意思として政府に義務づけるものであります。本法案を成立させていただき、雇用失業情勢が一刻も早く改善の道をたどることを私は期待いたしておりますが、仮に必要があれば、現行法の第六十二条一項の規定に基づきまして、省令で期間の延長を行うことは可能となっておるわけでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 したがって、こうした対策については、六カ月で決着すればいいんだけれども、やはり三カ年という政府の方針もそれは大いに結構だ、ぜひやってほしい、こういう姿勢かというふうに承らせていただきました。

 それから、先ほどの議論の中で一つだけ気になるのが、皆さん方は、派遣労働者等の解雇の防止に関する緊急措置法の中で雇調金の適用対象につきまして、現行、被保険者六月以上、これを二カ月以上勤務している非正規労働者も対象とする、こういうふうにされているわけであります。してみると、皆さん方の法案というのは、先ほどからお答えがありますように、被保険者ということではなくて、まさに雇用の実態に着目をして二カ月以上、こうされているわけであります。

 そうしてみると、参議院でも議論がありましたけれども、二カ月未満はどうなるのかということでありまして、とりわけ皆さん方が一番御心配をされている新規学卒者などの対応についてはどのように考えているのか。この点は我々政府・与党としては、被保険者ということでありますが、六カ月未満すべてを対象に、こういうふうにしているわけでありますが、そこはどのように国民に御説明されるのか、とりわけ新規学卒者の対応について御説明をいただきたいと思います。

 短く、それ全部読むのじゃなくて、趣旨で答えてください。

津田参議院議員 お答えを申し上げます。

 現行制度では雇用保険の加入者のみが助成対象となっておりますが、本法案では、例えば二カ月以上の勤務をしていることを要件とするため、雇用保険に加入していないことの多い非正規労働者の休業等も対象となり、この点がまさに派遣労働者等の解雇の防止につながるということで、極めて必要性が高いものと考えます。

 なお、法文上は、継続雇用期間が二カ月以上の派遣労働者の休業等が対象であるとの例示を行った上で、その後に、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して必要な助成及び援助を行うこととされておりまして、必ずしも二カ月以上の継続雇用が助成の要件とされているわけではありません。有期やパートについても同様でありまして、本法案の成立後に、仮に、政府内で十分に必要性を検討した上で、省令において継続雇用期間の短縮を行うということについて否定するものではございません。

 新卒者については別途お答えします。

桝屋委員 質問者はこっちですから。わかりました。

 私が伺いたかったのは、今からお答えがあるかもしれませんが、新規学卒者の取り扱いをどうするかということで簡略にお答えをいただきたい。

福山参議院議員 これは実は、政府が新規学卒者の内定取り消し者に対して雇調を使ってという議論は、一つのアイデアとしてはあり得ると私は思います。

 しかしながら、これは、僕は大学の就職関係者とかに実はヒアリングをしました。これは一つの選択肢としてはあるんですが、新卒のこれから就職しようという学生の未来に、おまえ、雇調対象者だということで、本当に無理して受け入れられていいのかどうかという議論があるんです。

 雇調の年限が切れたら彼はどうなるか。ちょっと不安定になります。それは実は新卒者のキャリア、要は就業キャリアに傷がつく。例えば、幾ら企業側の都合でそういう扱いになったとしても、もしそこで一年か二年たって切られたら、それは自己都合かどうかわからないので、この問題は、実は非常に慎重に扱わなければいけないと私どもは認識をしておりますので、今の段階でいうと、我々の法案にお示しをしたように、無効にしていただく方がより学生のためだと思っております。

桝屋委員 わかりました。結論としては、新規学卒者の対応はこれで考えていない、こういうことですね。先ほどの答弁と若干食い違うんですが、それでお答えはわかりました。皆さん方の今お出しになっている派遣労働者等の解雇の防止に関する緊急措置法案、この中では新規学卒者の対応までは考えない、考えない方がいい、慎重にした方がいい、こういうお答えかと思います。

 そこで、そこまで真剣にお考えになるのであれば、皆さんの法案を見て一番私が悩んでいるのは、雇調金は安定事業ですね。これは労使折半じゃない。使用者側が負担しているわけでありまして、そうしたものを被保険者以外の方を適用対象にする。さっきるるその説明がありましたけれども、しかし、そこを、労働法制の根幹にかかわる、今の枠組みの根幹にかかわることを、たとえ六カ月といえども軽々にやっていいのか。

 そこで伺いたいのは、参議院でも議論がありましたけれども、まさに政労使でしっかり議論しなきゃいかぬテーマ、先ほど慎重にとおっしゃったけれども、まさにこの部分は慎重に議論しなきゃいかぬ部分だろうと私は思っております。そういう意味では、経団連に菅さんが行かれた、それで一定の理解を得たというふうに言われていましたが、これは具体的におっしゃって理解を得たのかどうか、簡単にお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

福山参議院議員 済みません、一つだけ。

 新卒者に対して我々は何も考えていないわけではありません。そこは誤解がないように。

 それからもう一点重要なことは……(桝屋委員「ちょっと委員長、やめてくださいよ、もう理解しているんだから、こっちは」と呼ぶ)

西川(京)委員長代理 福山君、簡略にお願いいたします。

福山参議院議員 被保険者以外の者に対しての保険適用については、政府も今前向きに、そのように準備をしていると言われています。だから今の御質問はそのまま、実は与党にもかかわりますので。

 菅代表代行との関係については小林議員から。

小林参議院議員 簡潔に答弁いたします。

 十二月十二日に、日本経済団体連合会に、党の緊急雇用対策本部の菅直人本部長が、採用内定取り消しの防止、二つ目には、労働契約を途中で解除せず、労働契約終了まで雇用責任を全うする、三つ目には、雇用契約打ち切りと同時に社宅や寮からの退去を余儀なくされ、住まいを失う人々が続出している事態を踏まえ、企業が空き室となっている社員住宅や寮を求職者に提供する取り組み、こういうことを中心に緊急雇用対策の取り組みを要請して、先方の回答を私たちが理解するところによれば一定の御理解はいただけた、特に住居の関係についてはそういうような思いを強く持っております。

桝屋委員 もう一回お答えいただきたいと思います。

 被保険者以外を扱うということについてちゃんと議論されたのかどうか、その点を伺いたいと思います。イエスかノーかでお答えください。

小林参議院議員 今回の申し入れは、先ほど言った緊急の雇用の三つを中心に申し入れたものでございます。

 以上です。

桝屋委員 やはりこうした問題は、まさに労働法制あるいは今の体系の基本でありまして、ここは先ほどの新卒者の扱いと同じで、慎重に議論しなきゃならぬことだと私は思っております。

 それから、もう一点具体的に、先ほどの議論を聞いておりまして、非正規労働者の雇用保険の受給資格についても議論がありました。

 現行の被保険者期間十二月を一律に六月に短縮をされる。ここも先ほど長勢議員との議論がありましたが、政府・与党では雇用保険制度の機能強化をするということで、問題となっております非正規労働者については六月以上に緩和をして、さらに、契約更新がされなかった有期契約の場合も、受給資格要件を一年から六月に緩和するということも予定をしておりまして、私は、ほぼ方向性は同じじゃないかなとさっき聞いておったわけであります。

 ただし、一点だけ御説明をいただきたいのでありますが、提出法案によりますと、雇用見込み一年未満の労働者も一律に雇用保険の被保険者となる、こういうことでありますが、受給資格要件は六月でありますから、三カ月雇いどめ規定のある派遣労働者あるいは期間限定のアルバイトの場合など、保険料だけ取られて給付が受けられないという事態は生まれるのではないかな、こう懸念を持つのでありますが、その点はどのように説明をされるのか。簡潔に。

津田参議院議員 私どもの案でございますと、雇用期間が二カ月から三カ月の労働者であっても、離職の日以前一年間の被保険者期間が通算されるわけでありますから、納付した期間の保険料が決して無駄になるわけではなく、履歴として残ります。仮に、三カ月のパートが勤務を終了した後に他の事業所で三カ月契約を新たに結び、そこでの勤務が終了した場合には失業給付を受けられることになるわけであります。

 一方で、政府案では、同様のケースでは雇用保険の適用対象とならず、通算すれば保険給付を受け取れるはずの方も給付を受け取れなくなってしまうことにもなりかねません。つまり、引き続き雇用のセーフティーネットの枠外に置かれてしまうことになるわけであります。

 有期労働者の中には、二カ月から三カ月のみ働いてその後働かないというのではなく、細切れで働く場合の方も多く、その意味では必ずしも不利とは言えないのではないかと考えるわけでございます。

桝屋委員 端的にお伺いします。

 この局面において、今私が申し上げました、保険料だけ取られて給付がないという事例は生まれないと考えていいんですね。簡単にお答えください。生まれるか生まれないか、はっきり。

津田参議院議員 一〇〇、ゼロの話は、余りこのお答えとしてはかなわないと思います。

桝屋委員 私は懸念を申し上げたわけであります。

 それから、派遣労働者等に対する住宅や生活支援について、今長々と原稿を読まれましたから、私も負けずに読まなきゃならぬな、こんな気持ちになるわけでありますけれども、法案では、現在の雇用安定事業に追加して、再就職のための職業紹介、あるいは公営住宅入居への配慮など必要な支援を一体的に行うというふうにされているわけであります。派遣労働者を解雇後も引き続き居住させる場合の助成を行うということも入っているわけであります。

 これも、政府・与党は既に十二月から、雇用促進住宅への受け入れの開始、こうしたことに取り組んでおります。あるいは住宅入居費用等の貸与、これは労金と協力して、先ほどお話がありましたように、就職安定資金融資として十二月二十二日から開始をするということにしているわけであります。さらには、離職後に引き続き住宅を無償提供する事業主への月額四万から六万円の助成、これも十二月九日にさかのぼって実施をしたいと予定しているわけであります。

 こうした政府・与党の対応はほぼ皆さん方と気持ちは同じじゃないかな、こう思っているわけでありまして、さらに、こうした地方での取り組みを支援するため、先ほどお話がありましたように、二次補正予算では緊急雇用創出事業交付金、千五百億でありますが、あるいはふるさと雇用再生特別交付金、二千五百億による対策を講じることとしておりまして、皆さん方にとっても御評価いただける事業ではないか。

 まだ補正が、こうおっしゃるかもしれませんが、年末年始等におけるこうした対策については特別交付税を活用する。皆さん方がなかなか法案や予算に賛成していただけない国会でありますから、その中では、何とか政府・与党として対策を講じたい、こう思っておりまして、そうした通知も政府において既に発出をされている、こういう状況であります。

 ほとんど同じじゃないかと思うんですが、どうでしょうか、皆さん。

小林参議院議員 基本的に、十二月十九日に発表された生活防衛のための緊急対策は、私ども三党の正しさを政府が理解されたものと認識しております。

 政府の施策と方向性は、先ほども述べましたとおり、基本的には同様であります。ただ、こうした施策は本来、政省令改正にとどまらず、法律を根拠に進めるべきと考えております。

桝屋委員 法律、法律とおっしゃるけれども、労働法制の基本は、見ていただいたらわかりますように、基本は法律で定めて、あとは、皆さんがおっしゃるようにスピーディーと言うならば政省令で整備すべきこともたくさんある。要は時の政権がどういう姿勢で臨むか、こういうことでありまして、いかにも政治の姿勢で、政省令にしたらすべておくれてしまう、それは皆さん方が政権をとられたらどういうふうにおやりになるか私はしっかり見ていきたいな、こう思っております。(発言する者あり)ちょっと静かにしてくださいよ。

 それで次の、最大の問題、私が気になっているのは、えらいやじがひどかったものですから頭が混乱しておりますが、もう一点、保険料の引き下げの問題。

 ここは実は皆さん方の対策には入っていないのでありますけれども、我々政府・与党としては、現下の状況でありますから、できることはやりたい、こういう思いでいるわけでありますが、保険料につきまして、これも政府の対策について皆さんの御意見をいただきたいと思っているわけでありますが、経済の下支えのために、平成二十一年度に限って〇・四%引き下げる、こういう対策を今出しているわけであります。

 この点については、先日我が党も連合の皆さんと議論をしまして皆さん方の思いも、いわゆる保険というロジックから、皆さん方も簡単には評価いただけないのかな、こう思っているわけでありますが、しかし、今日の状況であります。できることは何でも行うべきだ、このように考えておりまして、この点、賛同いただけるのではないかと思っているのであります。

 とりわけ、労働保険の特別会計、約五兆円の積立金があるわけであります。十九年度、単年度で決算を見ますと七千二百九十七億円の剰余となっているわけであります。今回の我々政府・与党が考えております保険料引き下げ分、約六千四百億円の財源、財政効果だと思っておりまして、十分対応も可能だ、またこうしたときにこそ行うべきではないかな、こう思っているのでありますが、提案者各位の御意見を伺いたいと思います。

津田参議院議員 お答えを申し上げます。

 この雇用保険料の率の引き下げの問題について、雇用失業情勢がさらに厳しくなる状況を踏まえて、雇用保険財政を維持した上で、なおかつ一層の充実した施策を行うべきという立場から、現段階での引き下げについては慎重に検討すべきではないかというふうに考え、この法律には盛り込みませんでした。

 今後、このいわゆる未曾有の危機の状況というのは、どんな雇用情勢になっていくか、これは恐らく委員もなかなか想像がつかないことではないか、そういう点では、この〇・四%引き下げというのはやはり行わない方がいいのではないかというふうに考えるわけであります。

 政府は、生活対策の中で、家計緊急支援対策の一環として、国民の負担軽減の観点から、平成二十一年度の失業等給付に係る雇用保険料率について、弾力条項による引き下げ幅を超えて〇・四%までの幅で引き下げることを早急に検討することを打ち出しているわけでありますが、労働者の雇用保険料率は〇・六%、これは月収に例えるならば月に千二百円です、月収二十万円なら。健康保険料や介護保険料あるいは年金保険料といった社会保険料や光熱費に比べてかなり少ない金額でありますから、雇用保険料率が家計負担の軽減にどれだけ効果があるのか疑問を感じるわけであります。

 そういう意味では、ガソリンの暫定税率の廃止とか高速道路の無料化など思い切った政策が望ましいのではないかというふうに考えておりまして、私が十二月二日の参議院の厚生労働委員会で舛添大臣にこのことを問いかけましたら、大臣も大いに理解できるというふうに答えておられました。

桝屋委員 今の御答弁が民主党のお考えかな、こう伺わせていただきました。

 私どもとしては、現下のこの厳しい状況であります。雇用保険財政を眺めてみると十分対応可能でありまして、現下において打てる手はすべて打っていくということ、そしてそれが国民、経済界に与える影響というのを私は期待しているわけであります。

 もう一点、特別会計改革の話でありますが、私どもも特別会計改革にずっと取り組んできたわけであります。先ほどもやじが飛んでまいりましたけれども、とりわけ、労働保険特別会計雇用勘定あるいは労災勘定、ともに人と金の流れが非常にわかりにくい、こういうこともあるわけでありまして、実に複雑であります。皆さん方の、きょう先ほどやじを言われた方々の声も含めて、やはりここは改めていかなきゃいかぬな、こう思っているわけであります。

 民主党の皆さんの中には特別会計そのものをやめるべきではないか、こういう声もあるように仄聞をしているわけでありますけれども、今回その特別会計をどうするか、こういう議論であります。しっかりここはやはり維持した方がいい、今こういうお声が聞こえるわけでありますが、その点、いかがでありましょうか。

津田参議院議員 お答えを申し上げます。

 将来的な方向性としてはともかく、現に二事業が存続している以上、緊急的な雇用対策の財源としてこれを活用していくことは何ら矛盾するものではないと考えております。

桝屋委員 将来へ向けての決意のほどが余り伝わってまいりませんけれども、先ほどやじにもありましたように、改革すべきは私どもも改革しなきゃいかぬ、ある意味では、こういうときがいいチャンスだなと私は思っているわけでありまして、現下の状況だけに目を奪われることなく、やることは両方やらなきゃいかぬのではないか、いいチャンスが来ていると私は思っているわけであります。

 それからもう一点、先ほども議論がありました内定の取り扱いであります。

 それで、労働契約法の改正案、私はこの厚生労働委員会を昨年は外れておりましたけれども、よそから見ておりまして、あの議論を思い出しております。あのときの民主党の対案を再びおっしゃっているな、率直にそう感じているわけであります。あのときさんざん議論して、自民党、公明党、民主党の共同修正を経て成立をしたものであります。与野党の協議は一体何だったのかなと感じているわけであります。

 その点、民主党の皆さん、参議院の審議を見ておりますと感じておられるな、にじんでおりまして、その点は理解しているつもりなんですが、何を言いたいかというと、やはり労働法制というのは私は大事だと思うんですね。そんなにころころ変えていいわけではない、やはり基本というものは、国民や経済界に与える労働法制の影響というのは極めて大きいわけでありまして、そうした思いを持っているわけであります。

 そこで、参議院の審議で、我が公明党の山本議員が指摘をされた、内定を辞退すると労働契約の解除として学生が損害賠償を受けるのではないか、こういう懸念がありますよ、こういう質問に対して、松野議員でしょうかお答えをされて、推定はみなしではない、推定は反証することで抗弁できる、このようにお答えがあったわけでありますが、今の我が国の契約、社会は決してそういう状況ではないと思っておりまして、幾つかの内定をもらうという学生がいる中で反証責任を学生に負わせるというような労働法制、それでいいのかなというのは率直に思うわけでありますが、この点、お答えをいただきたいと思います。

松野参議院議員 ただいまの質問で、学生に反証を課すのはちょっと酷ではないか、こういうような御指摘かと思いますが、実際のところ、みなすという形ではなくて推定ということですから、これは双方から、企業の側からも学生の側からも双方、反証ということで変更することが十分可能なわけですね。

 企業の側からする場合には、これはかなり厳しい立証責任が出てくる。ただ、学生の場合は、仮に学生の方から反証するというふうに考えた場合は、労働契約が一応推定で成立している、これをひっくり返すということになりますと、労働者の場合はいつでも自由に、これをやめます、退職するということは基本的には自由にできるわけです。

 企業の場合は、ある意味では首を切るということは、これはかなり制約があるわけですけれども、労働者である側の方はいつでも、やめますということはそういう意味では自由にできるわけですので、よっぽど不心得の、よっぽど信義則に反して学生側がひっくり返すというのでなければ、そういう損害賠償の問題だとか、学生側に特段不利を及ぼすということは考えにくいだろう、このように考えています。

桝屋委員 今のお答えを聞いておりまして、先ほど議論がありましたように、労働者の立場ということからいたしますといかがかなと。それは確かにいつでもやめられますよ。しかし、先ほどから何度も皆さんがおっしゃっているように履歴は残るわけでありますから、私は、そういう法制度をお考えになるというのは……。

 それともう一点伺いたいんですが、仮にこうした取り組みを行うとしても、公布三カ月で施行ですから、現下の採用内定取り消し問題には何ら対応できないじゃないか。そこはどうするんですか。まさか遡及して適用するなんということはできないわけでありまして、そうしたお答えを最後にいただきたいと思います。

吉川参議院議員 桝屋委員にお答え申し上げます。

 先ほど松野議員の方からお答えをさせていただく前に、労働契約法が一年前に成立したばかりなのに、あれだけさんざん議論をして何で今回また出すんだという……(桝屋委員「それは聞きましたよ、参議院の答弁で」と呼ぶ)済みません、ありがとうございます。

 ただ、今回、こういう厳しい経済状況になって内定取り消しが相次いでいる、こういう状況をかんがみれば、新たな法案をこの時期にまた用意できたということは、私どもの方に先見の明があったのではないかと思っております。

 また、今の御指摘についてでございますが、私自身が就職活動を行いましたのは今から十年前、超就職氷河期と言われた世代で、その前年に千人以上が内定取り消しの憂き目を見ました。将来の道が閉ざされるその姿をすぐ上の先輩に見てまいりました。

 採用内定の取り消しというのは、未来ある生徒、学生の人生を大きく狂わせてしまうものであることにほかならず、新卒という肩書が使えるのは、学校を卒業する一度しか使えません。このときに内定取り消しという事態になれば、選択肢は、残されたほんのわずかな期間で就職先を探すか、わざと留年するかぐらいしかありません。内定取り消しという事態は、あってはならない問題です。

 生徒、学生は、学生ですから社会に出る前の状態です。労働法の知識もなければ、委員も御存じのとおり最高裁の判例の知識もありません。今手元に内定通知書を持っていますが、これには自己の責任に帰すべき理由以外、例えば卒業できないとかそういった場合を除いては、学生の皆さんは四月から社会のスタートラインに立てると強く信じています。

 社会に広く発信するためにも、法律として規定することが必要だと思っております。

 以上でございます。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

桝屋委員 ちゃんと答えてくださいよ。質問したじゃないですか、私は。何で答えないんですか。(発言する者あり)

田村委員長 では、もう一度御質問ください。趣旨が伝わっていないようでございますので。

桝屋委員 時間がないからもうやめますけれども、要するに、今の現下の状況に対応できないじゃないですか、今からやるのでは。そこはどうお考えになるんですか。

吉川参議院議員 桝屋議員にお答え申し上げます。

 現状を改善せず何もしないよりは、より適切な制度をつくって定めることができれば、法律の改正を行い、できる限り早い段階で施行することが重要であると考えます。この法案を提出する意義がないということにはならないと思いますし、何より、企業に要請するよりも法として定めてそれを社会に広く発信することによって、泣き寝入りをする生徒、学生、そして不安に駆られている親御さんをお一人でも少なくすることができる、そういうふうに強く信じておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

桝屋委員 したがって、さっきから何度も言っておりますように、私どももこの現下の問題については対応しなきゃいかぬと。時間がないからそれはもう申し上げませんが、現下の厳しさだけに目を奪われて極端な法制度をつくる、あるいは昨年つくり上げた法制をさらに簡単に変えてしまうというようなことについて、いかがですか、こう申し上げているわけであります。先ほど指摘もありましたように、現在、政府部内において雇用保険法の改正の検討も進んでいるわけでありまして、そんな先ではないわけであります。

 今の状況の中で法律としてやるべきことは何なのかということは、しっかり政労使で協議をしながら進めていく、こういう姿勢が大事ではないか、こう思っているわけであります。わざわざ今回法律をお出しになることによってむしろ対応がおくれてしまうという事実もあるだろう、こう私は思っております。

 国民向けのパフォーマンス、こういう指摘を免れないのではないかと思っておりまして、この点を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川律夫であります。

 今、我が国は、いわゆる派遣切りや期間工の雇いどめによりまして、この冬を住まいなしに越さなければならない人、あるいは生活にも困窮している人、こういう人が本当に急速にふえているところでございます。マスコミも連日このことを取り上げまして、政府あるいは国は何をやるべきか、いろいろと報道もされているところでございます。

 こういうときこそ政治が早急に手を差し伸べるべきであり、民主党、社民党、国民新党の三党がこれらの緊急雇用対策法案を策定して、そして急いで提案をいたしましたことは、国民の皆さんからも強く評価を受けている、私はこのように感じているところでございます。

 そこで、今、桝屋議員から最後の方でも御質問がありました、まずは内定取り消し規制法案について御質問をいたしたいと思います。

 御案内のとおり、最高裁の判例などもこの件についてはございます。大日本印刷事件と言われるものでありまして、それには、特段の意思表示の予定がなければ、企業からの採用内定通知が労働契約申し込みに対する承諾であり、労働者からの誓約書提出と相まって、労働契約が成立したとしております。そして、一たん労働契約が成立をいたしますと、その取り消しは解雇ということと同様でありまして、解雇権濫用法理を規定いたしました労働契約法の十六条が適用されるものと思います。

 そこで提案者にお聞きをいたしますが、こうした判例法理を法律に格上げするということ、こういうことについてどういう意義と効果が期待されるのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。

 そして、第十三条の二で、「使用者が、労働者になろうとする者に対して、就労に先立ち、採用する旨の通知を発したときは、その時において労働契約が成立したものと推定する。」こういうふうに「推定する。」というふうにありますけれども、この推定としたことの意味を尋ねたいと思います。

 先ほどは、なかなか時間がなくて答えられなかった点もあるかと思いますけれども、ゆっくり存分に御説明をお願いいたします。

吉川参議院議員 細川委員にお答え申し上げます。御配慮をいただきまして、ありがとうございます。

 今、細川委員の方から、そして皆様も御存じのとおり、最高裁の判例というものがございます。その最高裁の判例に従いまして、また先日の参議院の質疑の中でも、労働契約法の十六条の解雇の中に今回の内定取り消しも含まれるということで、今回は規制ができるという政府側の答弁もございましたけれども、もし、その解雇の条項が広く世間に、そして学生生徒、その親御さんに知られているのであれば、安易とも言える内定取り消しは今ほど横行していないはずです。

 また、十年前と今起こっている内定取り消しの性格というものが若干違うように見受けられます。先ほどはちょっと時間がなくて十分な答弁ができませんでしたけれども、十年前は、経営破綻そのものによるやむを得ない、本当にやむを得ない内定取り消しが八割以上でした。でも今は、経営破綻そのものではなく、どちらかといえば、経営悪化がこの経済状況によって見込まれる、そのことによって、予防的措置として安易に学生生徒の未来を閉ざしている、泣き寝入りをさせている、そういう状況があります。

 ですから、十六条とは別個に内定取り消しの項目を起こすことで、広く社会に、今のこの時期にこの国会で何としてもこの法案を成立させることによって、泣き寝入りをすることのないように、そして、少しでも光ある人生が学生生徒の皆さんに開かれるようにという意味で、今回この法案で格上げをするという意味でございます。

 そして、推定というお尋ねにつきましては、先ほど松野議員の方からも関連して御答弁がございましたけれども、この推定につきましては、この推定の条項によって、企業側の安易な内定取り消しあるいは労働契約の成立を否定することを制約するために置いたものであります。

 なお、あくまで推定ということにしておりますので、反証が許されるという点において、みなすことと違うという点を申し添えたいと思います。

 この法案、与党の皆さんにも理解をしていただけるものと思っております。将来が閉ざされるようなことのない学生生徒さんを一人でもふやすために、ぜひとも御理解をいただければと思っております。

 以上でございます。

細川委員 昨年の臨時国会で、この労働契約法案、閣法と民主党の対案、この委員会で審議をしたところでございます。その際、修正協議がございまして、私もその担当として修正協議をさせていただきました。その相手側が、今委員長の田村議員でございました。

 私は本当に、今、答弁者の話を聞きまして、あの修正協議のときに、内定取り消し規制のこの部分を、あのときに田村委員長に御理解をいただいて入れられていたら、今この内定の取り消しが頻繁に行われることはなかったのではないかということで、まことにじくじたる思いがございます。

 しかし、どうぞこの法案、あのときには修正で入らなかったんですけれども、委員長を初め与党の皆さんにぜひここの点は御理解をいただいて、ぜひ成立に向けてお願いをいたしたいというふうに思っているところでございます。

 次に、雇用保険の改正法案についてお尋ねいたします。

 現在、多くの派遣やパートなど非正規労働者が雇用保険の被保険者になっていないということは、もうこの場でも議論されているところでございます。仕事がなくなれば最も困窮する可能性のある人がセーフティーネットから外れているということは、この日本の社会にとっても大変な問題でございます。

 政府も、従来の適用基準である一年以上の雇用見込みを六カ月以上とするというふうに聞いておりますけれども、そうすれば、今度は三カ月の有期はどうなるかとかいうような問題が出てまいります。私は、いわゆる日雇い派遣が適用される三十日以内の労働者を除きましてすべての労働者に雇用保険の加入を義務づけるという今回の提案は、本当にすばらしい提案でありまして、賛成するものでございます。

 ただ、先ほどからも議論されておりますように、一部には、受給資格要件が通算して六カ月以上になるのに六カ月未満の有期労働者に加入を義務づけることは問題だというような意見があるようでございますけれども、この点についてもう一度、提案者にここのところを丁寧に御説明いただきたいと思います。

津田参議院議員 お答え申し上げます。

 本法案では、三十一日以上の雇用期間があるすべての労働者に雇用保険を適用することとしており、これによって、これまで雇用のセーフティーネットから外れてきた非正規労働者を中心とした人たちをすっぽりと雇用の安心網で覆うことが可能になるわけでございます。

 先ほど長勢議員や桝屋議員からも質問がございました。現行の雇用保険法では、失業給付の受給要件を被保険者期間十二カ月以上としておりますから、保険料を十一カ月負担したけれども失業給付を受けられないということが生じるわけでございます。しかし、今回の法案では、失業給付の受給要件を六カ月に短縮していますので、保険料の払い損になるケースが大幅に減るとともに、払い損になる保険料の額も最大十一カ月から五カ月へと減少することになるわけでございます。このように、今回の法案は、現行の雇用保険法が有している問題点を大幅に改善するものであります。

 また、私どもの案ですと、雇用期間が二、三カ月の労働者であっても、離職の日以前一年間の被保険者期間が通算されるわけでありますから、納付した期間の保険料が決して無駄になるわけではなく、履歴として残ります。仮に、三カ月のパートの勤務が終了した後に他の事業所で三カ月契約を新たに結び、そこでの勤務が終了した場合には、失業給付を受けられることになるわけでございます。この点が政府案とは異なる点であります。

細川委員 よくわかりました。

 それで、この三党の案では、住宅からの退去を余儀なくされる労働者への支援ということも、これもまた規定がされているところでございます。一方、政府も、ハローワークの安定就職コーナーで住宅確保の相談をし、一部では雇用促進住宅への入居あっせんをしているというふうにも聞いております。また、厚労省は、離職者住居支援給付金というのを創設いたしまして、十二月九日にさかのぼって適用するということを先週も公表したところでございます。私は、とりわけ住宅支援は本当に緊急の課題でありまして、こうした政府の措置も、いろいろ問題がありますけれども、これはいいことだというふうに思っております。

 そこでお伺いをいたしますけれども、特に雇用保険法改正案のうち住宅支援について、この三党案と、それから現在政府が行っております、あるいは行おうとしております施策の相違点はどこか。また、三党案で、住宅を失った労働者に提供する住宅はどういうものを検討しているのか。この違いと、それからどのような住宅を提供するのか、この点について詳しく御説明をいただきたいと思います。

小林参議院議員 細川先生のおっしゃるように、住宅問題は待ったなし、このように考えております。

 先ほどの御質問に答えましたけれども、政府の施策と方向性は基本的には同様だと理解をしております。ただ、こうした施策は、本来、先ほど言ったように、政省令改正にとどまらず法律を根拠に進めるべきだ、このように考えております。

 提供住宅では、雇用促進住宅や旧公団住宅の空き家、公務員住宅も含めて、政府系のすべての住宅を利用していきたいと思っています。

 特に強調したいのが、民間の住宅の活用でございます。

 派遣労働者の場合、仕事の少ない故郷を離れて他府県の工場などで働いている方も多くいらっしゃいます。そうした方々は、派遣先はたくさんあるから職場と住居の心配はない、こういうふれ込みで派遣労働者として働き始める方がほとんどでございます。その方たちがお住まいのアパートやワンルームマンションは、派遣業者による法人契約がされており、解約されればその方たちは出ていかなければならない、こういう状況にございます。

 こうした法人契約を継続する事業主に対しては、家賃助成等も想定しておりますけれども、さらに検討しなければならないのが、法人契約を事業主が継続しない場合の個人契約への変更方法でございます。

 家主としては、労働者に預金があって次の仕事が見つからなければ個人契約への変更も難しいというのが実情でありましょう。しかしながら、雇用促進住宅も、政府方針で廃止が決まっているもの以外の入居を可能としていますから、地域によっては入居できる部屋がないという状況が既に出ているわけでございます。これは、雇用の創出を人口増につなげてきた市町村にとっても、人口が減るという死活問題であります。雇用促進住宅にしても公営住宅にしても、入居可能な部屋数や地域に偏りや限界があることは、厚生労働省も最初からおわかりのはずでございます。

 退去には引っ越しの費用もかかります。家主にとっても、家賃の補助などが明確となれば、必ずしも契約変更は困難とは言えないと思います。ですから、雇用の契約解除をされた労働者の方々が、現在お住まいになっておられるアパートやワンルームマンションに継続して入居できるよう、法人契約しているところを個人契約に変更できるような支援策について、必要な要件等を含めて省令等で早急に詰めて実行に移すべきだ、そうでないと追いつけませんよ、こういう意味で申し上げていることでございます。

細川委員 もう連日マスコミでは、派遣切りや雇いどめで住居を失って本当に住むところがない、困っておられる方のことが報道されております。こういう人たちを何とか、住めるように、住居が提供されるように、本当にこれはもう年内の問題だと思いますので、ぜひこの点についても与党の皆さんの御理解をいただきたいというふうに私は思っているところでございます。

 次に、有期の労働契約、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 現在、非正規雇用は全労働者の三分の一以上になっておりまして、そのほとんどが有期労働契約と考えられます。一昔前は期間の定めのない契約が一般的でありましたけれども、現在は大きく変わってしまいました。その背景はいろいろありますけれども、一つは、この非正規雇用が雇用の調整弁として企業にとっては大変使い勝手がいい、そういう理由があろうと思います。景気が悪くなって仕事が減ればいつでも首を切れる、こういうことであります。

 しかし、労働者は物ではないのであります。衣食住が必要である生きた人間であります。また、収入で家族を養っているものでもあります。企業にとって使い勝手がいいということは、個々の労働者から見ればたまったものではないわけであります。

 いわゆる規制緩和論者は、正規社員の待遇がよ過ぎて解雇規制が厳し過ぎるから非正規がふえた、こういうとんでもないことを言っております。私は全く間違いだと思います。解雇を規制するということは、労働者の人権の問題であり、人としていかに尊重するか、こういうための規制であります。本来、正規だから規制はきついとか、あるいは非正規は規制は緩くするとか、そういうものではないはずでございます。

 この三党案は、有期労働契約の労働者に対して企業の都合によって安易に首切りが行われないようにするという点では、本当に評価できる法案でございます。また、こうした規制ができれば、企業が非正規の社員をより多く雇っていくという傾向にも歯どめがかけられるだろうと信じております。

 そこで伺いますけれども、この三党案では、有期労働契約について、まずその締結の場合を限定して、契約の際は必ずその理由を明示することとなっております。その趣旨はどういうところにあるのか、御説明をいただきたいと思います。

松野参議院議員 ただいま細川委員の方から、非正規の問題点等々るる御指摘いただきました。私も全く同感でございまして、現在行われているいわゆる派遣切りだとか雇いどめだとか、大変不当なこういう解雇が行われている。これは、ある意味では、小泉構造改革、規制緩和路線の行き着く先でありまして、政府・与党の方で、ある意味では無策の状態で、セーフティーネットも設けずにどんどんと非正規あるいは派遣を拡大させた、それの結果ではないか。

 ですから、やはりこれにはしっかりとしたルールをつくって歯どめをかけなければいけない。これまで政府・与党が無策であったところを私たちはしっかりとしたルールをつくろう、これが原則でございます。

 そもそも労働契約というものは、労働契約法三条で、労働契約の原則としては、「労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきもの」、このように規定がされているんですけれども、実際はそうなっていない。一方的な、企業の恣意的な首切りがなされている。雇用の調整弁に使われている。こういうことを改めなければいけない。当事者間の本当の意味の、実質的な対等性をしっかり確保する、担保する、こういう観点に立って原則を定めているわけでございます。

 その大原則としては、やはり、委員も御指摘のように、雇用は期間の定めのない直接雇用が原則だ、これをしっかりと打ち立てて、期間の定めがあるいわゆる有期雇用契約については、その例外として限定列挙し、しかも、その手続、契約内容をしっかり明示するようにとか解雇の制限だとか、そういうような手続的なところでも限定をしたわけでございます。今回の法案の趣旨は、そういうところにございます。

細川委員 よくわかりました。

 しかし、経営者側から見ますと、景気はいいときもあるし悪いときもある、また、仕事は忙しいときもあれば暇なときもあるということで、いつも同じ数の労働者を雇い続けることはできない、こういうような批判もあるわけでございます。そして、そういう経営者の側からは、一定程度の有期労働者は必要だ、こういうことでありますから、その点については、そういう考え方を私も完全に否定するというものではないわけでございますけれども、この法案そのものは、お尋ねしますが、有期労働を原則なくすのではないかというようなそういう経営者の皆さんの心配、これに対して提案者はどのようにお考えになっているのか。

 それからまた、法律の施行が公布より一年以内という、比較的ほかの法案よりも長目になっているのでありますけれども、その理由についてお伺いをいたしたいと思います。

松野参議院議員 今委員も御指摘ありましたように、私どもの法案もこの有期雇用契約というものを全く否定するというわけではございません。必要な場合、ちゃんとした理由がある場合には有期労働契約を認めよう、しかし、これを野放しにやることは避けなければいけない、こういう観点に立って、第十六条の二の第一項には、一号から八号までさまざまなケース、企業の側のニーズあるいは労働者側のニーズ、それぞれに応じた形を設けているわけでございます。

 例えば、一号について言えば、臨時的または一時的な業務に使用する場合、こういう場合には使えますよ、また、労働者の方が一定の期間だけの雇用でお願いしたい、こういう場合にも対応する、こういうふうにしているわけでございます。

 それから、施行が公布より一年以内、こういうふうにしているわけでありますが、今回の法案というものは、必要な場合の有期雇用、これを例外的に認めましょう、こういう観点に立って、原則は期限の定めのない契約ですよ、こういうことでありますので、極めて重要な内容を伴う改正であるということでございます。

 また、労働者の皆さんに不利にならないよう、きちんと書面で契約の内容とか更新の問題とかそういうものも明示しなさい、こういうことで、技術的、手続的なところの改正も含んでおりますので、これはやはり一年程度の十分な周知徹底が必要であろう、こういう観点から定めたものでございます。

 以上です。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

細川委員 経営者の皆さんにも十分配慮したそういう法案だということがわかりました。

 もう時間がございませんからこれで終わりにいたしますけれども、いよいよ雇用情勢はさらに悪化するということが予想をされます。私は、雇用調整は一切行うべきではないというような、そのような極論を言うつもりはございません。しかし、生産調整の局面に入った場合でも、企業の方で何とか労働者の首を切らないような最大限の努力はしてもらいたい、そう願っております。そして、万一職を失うような人が出た場合には、社会全体で助け合っていく仕組みがやはりどうしても必要だというふうに考えるものでございます。

 そういう観点からいたしましても、やはり早急に、年内にこの対策が打てるようにこの法案を成立させていただいて、そして年内、本当に苦しむ人たちを何とか助けてあげる、そのことが私は今の国会にとって一番大事なことだというふうに思っております。

 与党の皆さんにもぜひぜひ御理解をいただいて、この四法案が成立できますように心から願いまして、私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

田村委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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