衆議院

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第4号 平成21年3月18日(水曜日)

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平成二十一年三月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田村 憲久君

   理事 上川 陽子君 理事 鴨下 一郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 西川 京子君

   理事 三ッ林隆志君 理事 藤村  修君

   理事 山井 和則君 理事 桝屋 敬悟君

      赤池 誠章君    秋葉 賢也君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      井上 信治君    遠藤 宣彦君

      大野 松茂君    金子善次郎君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      とかしきなおみ君   戸井田とおる君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    林   潤君

      福岡 資麿君    安井潤一郎君

      内山  晃君    逢坂 誠二君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      郡  和子君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      柚木 道義君    福島  豊君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           細川 律夫君

   議員           山井 和則君

   議員           大島  敦君

   議員           郡  和子君

   議員           阿部 知子君

   議員           糸川 正晃君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           戸谷 一夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          草野 隆彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           阿曽沼慎司君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     秋葉 賢也君

  井上 信治君     葉梨 康弘君

  木村 義雄君     安井潤一郎君

  高鳥 修一君     長島 忠美君

  西本 勝子君     丹羽 秀樹君

  園田 康博君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     赤池 誠章君

  長島 忠美君     高鳥 修一君

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

  葉梨 康弘君     井上 信治君

  安井潤一郎君     木村 義雄君

  鈴木 克昌君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  田村 謙治君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     園田 康博君

    ―――――――――――――

三月十七日

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

三月十八日

 雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案(細川律夫君外六名提出、衆法第五号)

は委員会の許可を得て撤回された。

同日

 高齢者差別の後期高齢者医療制度の撤廃を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第九九八号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第九九九号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇四七号)

 同(川条志嘉君紹介)(第一〇四八号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇四九号)

 難病患者などの医療と生活の保障に関する請願(平井たくや君紹介)(第一〇〇五号)

 医療難民をふやす悪法である後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇一二号)

 現行保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(高井美穂君紹介)(第一〇一三号)

 同(中川正春君紹介)(第一〇一四号)

 同(細川律夫君紹介)(第一〇一五号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一〇八六号)

 同(田島一成君紹介)(第一〇八七号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇八八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一二三号)

 同(内山晃君紹介)(第一一二四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一二五号)

 同(郡和子君紹介)(第一一二六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一二七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一二八号)

 社会保険二本松病院を公的病院として存続させ、地域医療の確保を求めることに関する請願(吉田泉君紹介)(第一〇一六号)

 同(坂本剛二君紹介)(第一〇八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九〇号)

 同(郡和子君紹介)(第一一二九号)

 社会保険病院・厚生年金病院等の存続で、地域医療の確保を求めることに関する請願(高市早苗君紹介)(第一〇一七号)

 同(滝実君紹介)(第一〇一八号)

 同(細野豪志君紹介)(第一〇一九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇九一号)

 人間らしい働き方と暮らしの実現を求めることに関する請願(高井美穂君紹介)(第一〇二〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇九二号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一〇九三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇九四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九五号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一三〇号)

 物価に見合う年金の引き上げ、最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇二一号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇二二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇二三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇二四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇二八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇二九号)

 レセプトのオンライン請求に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇三〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇三一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇三二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇三三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇三七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇三八号)

 介護労働者の処遇改善を初め介護保険制度の抜本的改善を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇三九号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七八号)

 同(村井宗明君紹介)(第一〇七九号)

 同(柚木道義君紹介)(第一一一八号)

 後期高齢者医療制度廃止法案の衆議院での速やかな審議と可決を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇四一号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇四二号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇四三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一二一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一一二二号)

 社会保障の二千二百億円削減計画を撤回し、安全・安心の医療を保障するよう求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇四四号)

 同(保坂展人君紹介)(第一〇八三号)

 パーキンソン病患者・家族の生活の質の向上を求めることに関する請願(後藤茂之君紹介)(第一〇四五号)

 同(小坂憲次君紹介)(第一〇八四号)

 後期高齢者医療制度の廃止など国民の暮らしを守ることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇四六号)

 後期高齢者医療制度の即時廃止を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇五〇号)

 同(保坂展人君紹介)(第一〇八五号)

 特別養護老人ホーム等介護福祉施設の介護報酬引き上げに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇五一号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇五二号)

 七十五歳以上を差別する後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七七号)

 医師・看護師不足など医療の危機打開に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇八〇号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇八一号)

 じん肺とアスベスト根絶を求めることに関する請願(保坂展人君紹介)(第一〇八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案(細川律夫君外六名提出、衆法第五号)

 求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案(大島敦君外七名提出、衆法第六号)

 内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(細川律夫君外七名提出、衆法第七号)

 雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案(細川律夫君外六名提出、衆法第五号)の撤回許可に関する件

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――

田村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案、細川律夫君外六名提出、雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、大島敦君外七名提出、求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案及び細川律夫君外七名提出、内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官戸谷一夫君、厚生労働省大臣官房総括審議官森山寛君、健康局長上田博三君、労働基準局長金子順一君、職業安定局長太田俊明君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、職業能力開発局長草野隆彦君、雇用均等・児童家庭局長村木厚子君、社会・援護局長阿曽沼慎司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、先回、一般質問で質問をさせていただきました厚生労働省所管の独立行政法人の資産売却の話からまず入りたいと思います。

 皆様に資料をお手元にお配りさせていただきました。一枚目、二枚目、これは厚生労働省からいただきました売却によって損益が出たもの、そしてその詳細について載せさせていただいた資料です。もちろん、利益が出たものもこれ以外にあるわけでありますが、損益が出たものだけでもこれだけの金額が、平成十六年、平成十七年、そして平成十八年、平成十九年と出ているわけであります。

 中には、これはかなり話題にもなりましたけれども、一万円で自治体に売却をしている体育館や施設がありますし、十万五千円で売却をしているものもあり、かなり廉価ではないかと思われますが、こういった施設はそれぞれきちっとその後も使われているのかどうかということを大変危惧するわけであります。

 こういった売却した施設すべてを確認することはなかなか難しいとは思いますけれども、きょうのきょうで、今ここでどうですかと言ってもこれはなかなか答えられないと思いますから、こういったものがどういうふうな状況になっているのか、ぜひ一度またお調べして教えていただきたいと思うわけですが、局長で結構です、後刻状況説明にお越しいただけるか、お答えください。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のあった点につきまして、どのような形で使用されているのか、あるいは転売されているのか、確認できているものもありますけれども、網羅的に確認できてはおりませんので、把握した上で、御報告できるものは御報告させていただきたいというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 それぞれの施設がどうなっているかは把握できるはずですね、所在地がわかっているはずですから。

 それで、大臣、これだけの赤字を出したという実態を踏まえると、改めて役所としても今後資産の売却のあり方、それから、お金が若干あるからといって、もう今後雇用福祉事業をやらないといっても、場合によっては、今、雇用保険二事業関係収支状況を見させていただくと、平成二十年度の第二次補正後でも九千九百億円、二十一年度予算案が成立して施行されたとしても九千五百八十四億円の安定資金残高があるわけですから、こういったお金の有効活用を含め、ぜひ反省を含めて行っていただきたい。まずその御決意をいただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 まず、きょうは雇用・能力開発機構、それから雇用保険二事業についての話なんですが、私が役所のこういう資料を見ていて思うのは、私も民間の会社を経営しておりましたから、民間で言う財務諸表がありますね、BSとかPLとか、こういうものの考え方というのがどこまで取り入れられているのか。

 例えば簿価の計算だって、期末簿価、期首簿価をちゃんと書いているのか、減価償却をどういうふうにしているのか。それから、不動産鑑定の仕方だって、今は収益還元法でやってみたり、周辺の参考価格でやってみたり、いろいろ方法があります。

 そういう最新の簿記というか、そういうものくらい、役人は会社経営をしているわけじゃないからわからないと思いますけれども、一度やはりこういうのをきちんと精査して、少なくとも、事業主から預かった大切なお金ですから、無駄がないようにということをやるために、これからは公務員もそういう財務諸表の見方ぐらいはちゃんと勉強せぬといかぬなという感じがしていますので、一度これはきちんと見てみたいというふうに思っております。

 そして、約一兆円のこのプールしているお金がありますけれども、あくまでこれは雇用を守っていく、そのために雇用調整助成金を含めて使い道がたくさんあるわけですから、有効活用していくということでしっかりとこれは監視をしていきたいと思っております。

岡本(充)委員 この勘定だけではないわけですね。厚生労働省にかかわるその他資産の売却のあり方も含め、今回は雇用保険ですからこの話に特化してお出ししましたけれども、これまでの反省を踏まえて、やはり貴重な資産、そしてまた積立金の使い道、それを安易な方法で考えていただきたくないということをお願いしているわけです。

 四ページ以降は、今指摘をさせていただいた独立行政法人の役員の報酬、そして、これは前職等というふうに書いていますが、公務員の天下りがあるのかどうかということを七ページ、八ページにわたって載せさせていただきました。

 これを見ると、やはりかなり天下りをしてみえる方もみえるなと思うわけですけれども、そういった中、例えば独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構、こちらの理事長の給与は、平成十五年の十月の段階では月額九十四万四千円だったものが、二十年の三月には百一万一千円と七万円ぐらい給与が上がってきているわけですね。

 昨今、ベアもなかなか厳しい、こう言われている中、こういう理事長は七万円も給与が上がるのかということを非常に、一般の国民からすれば、うらやましくもあり、しかもねたましくもあるような話であって、こういう給与のあり方も含め、これはぜひ見直していただきたい。今、民間はこういう状況じゃないわけですからね。大臣、そういうことについて御決意いただけませんか。

舛添国務大臣 これも全体に、こういう独法の理事長を含めて、きちんとやはり国民的な議論をして見直しすべきだと思います。

 私、参議院の政審会長のときに同時に国会同意人事の委員長をやっていまして、国会で人事で同意される方々の給料を見ていて、決してねたみで言うわけではありません、月額百万円とか、すごいんですね。やはり、それだけのお仕事をなさっているのか、それに値するのか。そして、普通の民間のサラリーマンだったら、定年退職して再就職をした場合に、普通は給料が下がるんですね。

 だけれども、そういうことも含めて、それはそれなりの仕事をすればいいですけれども、私は、一度これは国会の場を含めていろいろなところできちんと国民的な議論をして、国民にコンセンサスを得られる形の説明がつかないと、やはり処遇についても問題あるなという問題意識は国会同意人事の委員長をやったときから持っておりますので、一つの検討課題とさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 もう一つ、天下りの問題で、わたりの問題を私は前回も問わせていただきました。

 実際に、これは八ページをごらんいただきますと、独立行政法人労働政策研究・研修機構のB理事のところには、マークが右側に二つついています。このマークは何かというと、退職公務員でその後独立行政法人等の退職者、つまり、公務員をやめた後、どこかの独立行政法人に行って、今ここのB理事になっているという印なんですね。役所の方はいろいろ事情があると最後に説明をしていかれました。しかし、こういった形で把握をしているのであれば、こういう人数もぜひ御報告をいただきたい。

 先般、私が質問させていただいて、総務省の方にお越しをいただいたときに、内々に聞いたところだと、厚生労働省はもう調査を終えて、大体わたりの人数は何人ですよということを総務省に報告したと伺っていますが、その中で、人数については前回の報告と変わりませんということは、一人だという報告だと思うんですね。したがって、その一人なのかということをただしたら、これは役所の方でわたりにカウントしていません、こういう話なんですね。

 こうやって、退職公務員で、このように独立行政法人を一つか二つか知りませんけれども経た後再就職しているということが役所として把握できるわけですから、こういった数値も含めて、大臣、一度調査をして教えていただけませんか。こうやって出ているわけですからね。これを拾えばいいんですから。大臣、それをお願いします。

舛添国務大臣 きちんと調査して、これは国民的な関心事でありますから、きちんと公にするというのは当たり前だと思っていますので、やってみたいと思います。

岡本(充)委員 また後刻、そのデータをもとに私も質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、それとは話はまたかわりまして、九ページ以降ですけれども、日雇労働求職者給付金というものについて取り上げたいと思います。

 さまざまな雇用保険の議論が出てきましたけれども、その中でも、日雇いの労働者に対する雇用保険のあり方ということは、私、これはこれで大変重要なテーマなんじゃないかなと思っています。必ずしも日雇い労働をしている方が給料が安いというわけではないとは思いますけれども、総じて見ると、常用雇用されている方よりも金額は低い傾向にあるのではないかな、そう推測するわけでありますが、こういう形で日々働いてみえる方のいわゆる雇用保険である日雇労働求職者給付金、この周知、広報は政府としてどのようになされているのか、お答えをいただきたいと思います。参考人で結構です。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のございました日雇労働求職者給付金制度でございますけれども、これは、雇用保険の中で、日々または三十日以内の期間を定めて雇用される日雇い労働者のための制度としましてできているものでございまして、この制度を周知するためのリーフレット等によりまして、事業主に対する周知を図っているところでございます。

 また、この日雇い労働者への雇用保険の適用につきましては、日雇いという就労形態の特殊性にかんがみまして、労働者本人が日雇労働被保険者手帳の交付を受ける、こういう仕組みをとっているところでございまして、これは労働者本人への周知も含めて引き続き努力している、周知徹底を図っているということでございます。

岡本(充)委員 大臣、私は役所の方にお越しいただいて聞いたんですけれども、リーフレットというけれども、多分ホームページに載っているこのことを差しているんだと思うんです。後ろの方に、私の資料で十七ページ以降、これは三重労働局ですけれども、こういうものが載っておりました。十七、十八、十九ですね。これをリーフレットと呼んでいるのではないかと私は思うわけですけれども、ちゃんとしたポスターだとか啓発活動等は行っていないんですよね、局長。端的にお答えいただけますか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたリーフレットにつきまして、厚生労働省のホームページへの掲載あるいは派遣元事業主を通じて本人に対しても制度の周知に取り組んでいる、そういう形での周知を行っているという……(岡本(充)委員「ポスターとかないんでしょう、渡すものは」と呼ぶ)ポスターについてはございません。

岡本(充)委員 いや、やっていないというふうにお認めになられたわけですから、そのようにお答えいただきたいんですね。

 それで、何を言うかというと、まず手帳をもらわなきゃいけないという話。実は、十二ページから皆さんに見ていただきたいんですけれども、こういう雇用保険被保険者手帳というのを入手して、そして十四ページにあるいわゆる雇用保険印紙という三種類あるものをこの十三ページに貼付しまして、捺印をもらって、日数、何日働いたかをカウントする、こういう仕組みになっています。

 ところが、この手帳を交付してもらうためには、まずは住民票が必要であり、なおかつ本人が申請に行かなければいけないという話になっているにもかかわらず、本人への周知というのが雇用主を通じてしか行われていないという現実、そしてまた、住民票がなければ入手できないということは、本当に日々宿所に苦労をされている方からすると現実的ではないという指摘もあるわけですね。

 例えば、保健所に登録している簡易宿泊所や公営緊急宿泊施設などに泊まってみえる方にこの手帳は交付をされるんですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の住民票の件でございますけれども、基本的には、この手帳の交付に当たりましては、いわゆる成り済ましという不正受給を防止するという観点から、本人確認が不可欠であるということで、住民票の写しを提出していただくということにしております。これが原則でございますけれども、住民票の写しがない場合にも、例えば運転免許証とかあるいは国民健康保険の被保険者証または国民年金手帳で代替することも可能でございますので、今の簡易宿泊所におられるような方につきましても手帳の交付はできるようになっているところでございます。

岡本(充)委員 いや、それは年金も払っていたり健康保険証を持っていたりするような方であればいいでしょうけれども、本当に日々の生活を大変苦労されている方からすると、手帳がまずもらえない。雇用保険でありながら被保険者になれないという話ですから、これはやはり働いている人がどなたも加入できる方法に見直していく必要があると思うんですよ、大臣、申しわけないですけれども。そういう検討もぜひしてもらいたい。最後に意見を聞きますからまだいいです。住民票が必要で、住民票も取得できないという方はなかなか被保険者になれない、こういう状況。

 それから、その前のページ、雇用側、事業主の方は十ページにあるこういった印紙の購入を郵便局等で行えることになっているようでありますけれども、実際に印紙はどのくらい売れているのか、その累計はどうなっていますか。それから、全国どこの郵便局でも買えるんですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、印紙の貼付枚数でございますけれども、平成十九年度の数字がございまして、二百八十三万七千五百九十八枚、約三百万枚近くということでございます。

 また、郵便局につきましては、基本的には郵便局で購入が可能という……(岡本(充)委員「どこでもですか」と呼ぶ)基本的にどこでも可能でございます。

岡本(充)委員 では、いわゆる購入をする雇用主側のこの通帳ですけれども、実際に今どのくらい交付をされているんですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 通帳の交付件数でございますが、平成十九年度の数字がございまして、三千七百七十七件でございます。

岡本(充)委員 大臣、私が言いたいのは、日雇い労働者を雇用している事業主はもっとあると思うんですね。

 今からちょっと指摘をさせていただきたいんですけれども、その中でも日雇い派遣については、平成十九年の秋から新しく出たということであります。十七ページ以降にこういう周知も載っていますけれども、日雇い派遣の労働者については、この雇用保険の被保険者になっているのが何人で、通帳を受け取っている事業者は何社か、ちょっと改めてお答えいただけますか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 日雇い派遣労働者につきましては、手帳の発給件数が四件、受給件数が一件でございます。

岡本(充)委員 通帳を出している事業者は何社ですか。もう僕が答えます。八社だと聞きました。

 大臣、日雇い派遣をやっている事業主というのが全国で八社ということはないんですね。日雇い労働者で受給できている人が一人で、全国ですよ、手帳を持っている人も四人しかいないんですね。これで周知徹底ができているとはとても思えない。こういう実情で周知徹底していますという話では、どうなのかという疑問を感じるのは当然のことだと私は思うんですね。

 今お話をさせていただいたこういう十七ページから十九ページまでの周知徹底もあわせて、二十ページ、実は、日雇い派遣労働者に係る指定安定所、ここへ来いというんですね。ここへ来いというのは、平成二十年十二月三日現在、六カ所なんですね。これ以外の地区で日雇い派遣を受けている場合は、この職業安定所に行かなければ受け取れない。しかも、局長、週の一番最初の仕事のなかった日は給付が受けられないんですよね。

太田政府参考人 今お尋ねの件は御指摘のとおりでございます。

 それから、職業安定所の数は六カ所でございますけれども、これは日雇い派遣労働者のニーズに応じまして今後さらに指定していくことが可能でございますので、ニーズに応じてふやしていきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 それで、週の最初はもらえない。要するに、きょうは働いて、きょう、お休みくださいというときには、これはまた前日までに派遣元のところに行って証明書をもらわなきゃいけないんですよね。この仕組みも非常に難しい。前日までにこれをもらってこいというのはなかなか難しいんじゃないですか。

 十七ページの6のところの2に書いていますけれども、労働者派遣契約不成立証明書を前日までにもらってこいと。これをもらいに行く交通費もかかる。そういうことも含めて非常にやりにくいのではないかと思うんですね。こういう仕組みも今の件数が少ない理由になっているのではないかと私は思うわけです。

 ちょっと時間の関係で次に進みますけれども、またこれはいつか取り上げたいと思います。

 二十一ページ、この給付額や賃金日額区分というのも、実は長いことずっと見直されていません。二十二ページをごらんいただきますと、ほかの雇用保険の基本手当日額は、このようにふえたり減ったりはあるものの、見直しが行われておりますけれども、こちらについてはずっと同じで、年齢ごとに見直されているわけでもなく、その給付水準も決して高くない、こういった状況になっていますけれども、そもそも、給付日額の決め方、賃金日額区分の決め方、どういう理由なのか、お答えいただけますか。それから、保険料の設定の計算方法。これを三点、端的にお答えください。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、賃金日額につきましては、一級、二級、三級とそれぞれの区分に分かれて日額が決められているところでございます。

 それから、今お話のございました日額の改定でございますけれども……(岡本(充)委員「いや、違う。どういう根拠で数字を決めているのか」と呼ぶ)これは、もともとの平均給与額に基づきまして決めたものにつきまして、その後の毎月勤労統計の平均定期給与額の変化に応じて変更してきているところでございます。(岡本(充)委員「変更していないじゃない、だってずっと一緒だもの。二十二ページを見てください」と呼ぶ)はい。

 この変更につきましては、通常の保険の日額とは違う決め方をしておりまして、通常の保険につきましては、毎年、毎月勤労統計の平均定期給与額の変化に応じてやっておりますけれども、日雇い労働者の場合には特別の制度を設けておりまして、賃金の変動に伴い絶えず給付水準を改正することは手続上煩瑣になるということ、あるいは日雇い労働者にとっても、給付水準が大きく変更することによる不利益をこうむることが大きいということで、上昇または低下が一定割合以上、上昇の場合は百分の百二十、それから低下の場合が百分の八十三、それ以上の幅からはみ出したときに給付水準を改定するということでございますので、最近変更していないのはこの幅の中で変化しているということで、変更していないということでございます。

岡本(充)委員 答えていないです。賃金日額区分の一万一千三百円の根拠、七千五百円の根拠、例えば印紙の価格の百七十六円の根拠、これを聞いているわけで、これをお答えいただきたいんです。端的にお願いします。時間がないです。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 給付日額は、先ほど申し上げたとおり、第一級が七千五百円、第二級が六千二百円、第三級が四千百円でございまして、これは、平均給与額、日雇い労働者の給料、賃金を勘案して、それを基礎に決めたものでございます。

岡本(充)委員 いや、だから、そのほかは答えていないじゃないですか。賃金日額区分。

 委員長、言ってくださいよ、これ。答えてないですよ。

太田政府参考人 先ほどお答えしましたとおり、この日雇い労働者の賃金の状況、また、この一級、二級、三級というのは賃金の分布の状況を基礎に日額を決めている、そういう算定根拠でございます。

岡本(充)委員 いや、だって、何で一万一千三百円になるのか、七千五百円になるのか、百七十六円になるのか、その計算式を含めて教えてくれとさっき言っているわけですから。どういうふうに計算してこうなるのか教えてくださいと言っているわけですよ。

太田政府参考人 賃金日額区分一万一千三百円以上について七千五百円、あるいは八千二百円以上一万一千三百円未満について六千二百円、それから八千二百円未満が四千百円ということでございまして、それぞれこれは日雇い労働者の賃金分布に応じて区分を決めて、日額を決めているということでございます。(岡本(充)委員「保険料は」と呼ぶ)

 保険料につきましては、印紙保険料、第一級については百七十六円、第二級につきましては百四十六円、第三級につきましては九十六円ということでございまして、それぞれの賃金日額に応じて保険料を、労使折半でございますけれども、算定して、保険料を決めているものでございます。

岡本(充)委員 算定の方法を教えてくれと言っているわけで、今の話はこれを読んでいるだけです。二十一ページを読めばだれでもわかる話です。これを読んでいるだけなんです。そうじゃなくて、何でこうなっているのかということを聞いているのに、答えてもらっていないんです。

田村委員長 時間が来ております。最後の答弁をしてください。

太田政府参考人 この保険料の算定根拠、あるいは賃金日額の区分につきましては、今現在お答えできることは先ほど申し上げたとおりでございますので、さらに詳しく調べて、後日お答えをさせていただきたいと考えております。

岡本(充)委員 最後に大臣、一言だけ聞かせてください。こういう状況で、最後に大臣の認識を聞かせていただきたいんですけれども、大臣としては貧困というのはどういうふうに思ってみえるのかということを聞きたいんですね。日本が……

田村委員長 時間がもう過ぎておりますので。

岡本(充)委員 はい、わかりました。

 ぜひ、こういう状況で今働いてみえる方がたくさんいて、その認識を含めてお答えをいただいて、今後見直していただくという決意もいただいて、終わりたいと思います。

田村委員長 簡潔に答弁ください。

舛添国務大臣 日雇い労働者の問題についてさまざまな問題が今提起されましたけれども、これは検討させていただきます。

田村委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 きょうは、二度目の雇用保険法改正等の質問に立たせていただきますけれども、内定取り消しのことについて中心に伺わせていただこうと思います。

 この三月、新規学卒者の内定取り消しの件数、厚生労働省が二月十九日現在で発表したところによりますと、高校生、大学生合わせて、三百四十二の事業所、千五百七十四人が内定取り消しを受けたということでございました。

 悪質な内定取り消しについては、職業安定法施行規則で、企業名の公表ということが一月十九日からスタートしております。厚生労働省の取り組みの方向性としてはまずは了としたいというふうに思いますが、新卒者の内定取り消しを行おうとする事業主に職業安定局長が定めた様式によってハローワークに通知することになっております。

 冒頭申し上げましたように、きょうお配りした資料、厚生労働省の発表のものですけれども、三百四十二の事業所、千五百七十四人、これはまさにハローワークに通知された、その数を集約されたものだと思っています。

 宮城県内で、私の事務所が独自に県内の大学に調査をさせました。大学生の内定取り消しは、厚生労働省の発表では千二百八十人ということですけれども、県内で答えをもらった九つの大学で十四人が内定取り消しを受けておりましたけれども、そのうちハローワークに報告したというのはたった一件だけでございました。おわび金など示談が成立したケースもあったようですけれども、その後も内定先が決まっていない学生が少なくございません。ハローワークが把握する内定の取り消しというのは現実よりもかなり少ないのだなというのが、私が行った調査の結果実感したところです。相当数の学生が泣き寝入りをしているというふうに考えられます。

 新卒者の内定取り消しを行った企業名の公表制度については、五つの場合いずれかに該当するとその公表を行うということで、きょう、資料の二ページ、三ページ目でありますけれども、ここに五つのケースということで挙げられていますが、まずここのところ、根拠を伺わせていただきたいと思います。

 同一年度において十名以上の者に対して内定の取り消しが行われたものというふうにあるわけですけれども、なぜ九人は除かれて、十人以上なんでしょうか。その根拠をお答えください。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 採用内定を行うに当たりましては、確実な採用の見通しに基づいて行っていただくことが必要でございますけれども、同一年度内に十名以上の内定取り消しを行った場合については、採用計画や採用内定の確実性に問題があると考えているところでございます。

 十名以上の内定取り消し事案がすべての内定取り消し事案に占める割合、これは取り消された人数では五割程度となっているところでございまして、このような取り消し事案の防止が非常に重要であるとともに、学生の就職活動全体に与える影響も大きいということで、これから就職活動を行っていく学生生徒に情報提供することが必要であると考えたところでございます。

 これらのことを勘案いたしまして、労働政策審議会の答申も踏まえて、内定取り消しの対象者の安定した雇用を速やかに確保した場合を除いて、同一年度内において十名以上の者に対して行われたものを、企業名を公表することができる場合として設定したものでございます。

郡委員 ですから、なぜ十人から公表されるのか、九人は公表されないのかの根拠がまだいま一つはっきりしていないじゃないですか。その根拠をお尋ねしているんです。

 次は、理由について十分な説明を行わなかったときというふうにありますけれども、十分な説明というのは具体的にどのような説明をいうんでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークにおきましては、やむを得ず採用内定取り消しを行う事業主に対しましては、内定取り消しの対象となる学生等に対しまして、内定取り消しの経緯、理由等を含めて明確かつ詳細に説明するよう指導しているところでございまして、学生等に対しまして誠意を持って説明することを指導しているところでございます。

 公表の対象となる、内定取り消しの対象者に対しまして十分な説明を行わなかったときとは、具体的には、単に内定を取り消す旨の電話一本のみであったとか、あるいは、単に内定を取り消す旨が記載された通知のみで、学生の問い合わせについても説明を行わない、こういった場合が該当するものと考えているものでございます。

郡委員 新卒者の内定の取り消しが行われた場合に、事業主はハローワークとそれから学校長などの施設の長に通知書をもって通知することになりましたよね。その通知書も、きょうの資料のその次のページに配付をさせていただいておりますけれども、この通知というのは周知されているんでしょうか。そして、この通知はちゃんと行われているのでしょうか。周知されているのか、しっかり行われているのか、いかがでしょう。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたように、本年一月十九日に職業安定法施行規則の改正を行いまして、新規学卒者の採用内定取り消しを行おうとする事業主はハローワーク及び施設の長に通知するというふうにしたところでございます。

 この通知制度の履行を徹底するために、通知制度につきましてのリーフレットを作成して、ホームページに掲載する等によって周知を行っておりますし、また、大学等への問い合わせ等を行いまして採用内定取り消しに係る情報が得られた場合には、事業主への確認等を行って、採用内定取り消しを行おうとするにもかかわらずハローワークへの通知がされていない場合につきましては、通知を行うよう事業主に対して指導しているところでございまして、大学等とも連携しながら、この通知の徹底について指導を行っているところでございます。

郡委員 私の事務所の調査によりますと、これが周知されているとはとても言いがたいんですね。それで今こういうふうに聞かせていただいたわけです。

 通知書による通知というのをハローワークあるいは施設長に行わなかった場合、例えばこれは実際にあったケースですけれども、この二月に電話一本の通知で内定の取り消しが行われたケースがございました。こういった場合にどのような措置がとられるんですか。

太田政府参考人 今のハローワークに対する通知でございますけれども、これは、今お示しいただいたとおり、所定の様式によって通知することとされておるところでございますので、電話による通告があった場合には、所定の様式によって通知するように事業主に対して指導するということでございます。

郡委員 ですから、それをどうやって知るわけですか。大学の担当のところでは、学生がこの二月に電話一本で内定の取り消しがあった、しかし、それはハローワークにも伝えていないんですよ。これは、ハローワークに相談するなり、学生側から、あるいは学校側から申告しなかった場合というのは、そもそも知り得ないわけですから、何も指導できないということになるじゃないですか。この通知について、学校及び学生に対して十分に周知されていると思われますか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたとおり、ハローワークに相談があった場合には当然企業に対して指導するわけでございますけれども、大学とも十分連携を図る中で、学生から大学等にも相談があったという場合につきましては、大学と十分連携をとりながら、事業主に対しても指導を行っていきたいと思っております。

 ただ、御指摘のとおり、まだまだ周知徹底が十分でないということもありますので、内定取り消しについてのハローワークの指導についての十分な周知徹底をさらに図っていきたい、大学との連携もさらに強化していきたいというふうに考えているところでございます。

郡委員 ですから、相談がなければこれは知り得ないわけでして、指導もできないわけですよ、通知を出さなくちゃいけないんですよということも。これが、今申し上げましたように、例えば電話一本で内定の取り消しをされても、それが周知されていなければ、そして届け出なければ指導も行われないわけですから、もう少し努力していただかないと困ると思います。

 この通知書には「内定取消しを実施しなければならない理由」の記載項目が書かれております。いろいろな事業主の方々が理由をここに書くことになっているわけです。この記載ですけれども、採用内定した学生、つまり内定を取り消される学生に対して、しっかりと同じようなものが書面で明示されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。そしてまた、学生が、こういう形で、書面でその理由をはっきり示してもらいたいといった場合には、速やかに事業主がそういった書面を提出すべきだと思いますけれども、どうでしょうか。

金子政府参考人 採用内定を取り消した場合の理由についての書面交付についてのお尋ねでございます。

 これは、採用内定によりまして労働契約が成立していると認められる場合におきましては、採用内定取り消しは解雇に当たるわけでございます。この点につきましては、労働基準法に規定がございまして、労働基準法二十二条におきまして、労働者が解雇の理由について証明書を請求した場合には遅滞なくこれを交付しなければならないということになっておるところでございます。この規定につきましては、罰則がついておる規定でございます。

 こうしたことが適切に実施されるよう、労働基準監督機関としても適切に対応してまいりたいと思っております。

郡委員 大臣にもここでお尋ねしようと思いましたけれども、もう少しやりとりをさせていただいた後でお話を聞かせていただくことにいたします。

 次は、自宅待機ということでございます。

 内定の取り消しのほかに、内定取り消しには至っていないけれども企業から何らかの連絡を受けた学生数というのが四百五十六人に上っておりました。

 宮城県内の新卒者の内定取り消しの相談窓口でもあります仙台学生職業センターによりますと、内定取り消しには至っていないのだけれども、内定の辞退の示唆というのが一件、そして、そのほかにも、学生に対して何らかの事業主側からのアプローチがあった、ゆゆしき問題であるというように考えている件が二十件程度あったということでありました。

 昨年来、内定の取り消しに対する批判また懸念の声が高まることで、そしてまた、厚生労働省が社名の公表に乗り出すということもあってか、内定の取り消しではなくて、実質的には内定の取り消しに当たる、また、内定辞退の強要がふえているというふうに感じざるを得ません。実際、この相談センターの方もそういうふうに指摘をされていました。

 厚生労働省では、こうした自宅待機の実態は把握されていますでしょうか。各大学への調査、学生への支援、こういうことをすべきだと思うんですが、いかがでしょう。

太田政府参考人 今お尋ねの自宅待機でございますけれども、これは学生の卒業後の職業生活に影響を与えかねない大変重要な問題でございますので、この自宅待機の事案を確認した場合につきましては、新規学校卒業者の採用に関する指針等に基づきまして、一つは、ハローワークにおいてこれを極力回避するよう指導するということ、もう一つは、回避が困難な場合でも、休業手当につきまして定めた労働基準法第二十六条等の関係法令に抵触することのないように十分留意するように指導する等の対応を行うこととしているところでございます。

 自宅待機の事案の件数につきましては、現時点では全数的な把握ができておりませんけれども、大学等とも連携しながら迅速な把握に努めてまいりたいと考えております。

 また、事業主に対しましては、自宅待機の状態にある者の就業開始の見通し等につきましては、本人やハローワークに随時連絡するよう指導することとしているほか、できる限り早く就業を開始できるように、待機期間の短縮についても働きかけてまいりたいというふうに考えているところでございます。

郡委員 文科省は調査していますよ。厚労省は調査していないということでしたけれども、文科省は調査しています。自宅待機を命じられた学生数十四人ということで、文科省で発表されております。

 今御答弁にありましたように、厚労省の立場としては、自宅待機ということであっても、労働基準法に抵触しない、いわゆる給与の六割ですか、これを払えば抵触しないのだからよしとするような見解でしたけれども、待機期間を明示して、そして待機後はしっかりと雇用するんだということが約束されればよしとするのでしょうか。

 また、待機期間に制限というのはあるんでしょうか。自宅待機命令が適切、そして適法だと判断される要件、あるいは悪質と判断される要件というのはどのようなものがあるんでしょうか。一部の新聞報道によりますと、厚生労働省の若年者雇用対策室のコメントとして、待機が一年以上に及ぶなど、悪質と判断すれば会社名も公表しなくちゃならないということを検討するというふうにありましたけれども、いかがでしょうか。

金子政府参考人 内定者に対します自宅待機命令に関しましてのお尋ねでございました。

 これは、労働基準関係法令におきまして、今御指摘のございましたような待機後の就業の約束でございますとか自宅待機の期間の制限、あるいは悪質とされる要件、こういったことについて、現在、労働関係法令上、特段の規定は置かれておりません。

 ただ、これは先ほど職業安定局長も答弁申し上げましたけれども、法律関係のことで申し上げますと、企業の都合によって就労の時期が繰り下げられるということに通常当たるわけでございますので、労働基準法第二十六条に定めます使用者の責めに帰すべき休業ということに相なりますので、この間につきましては、労働基準法第二十六条によりまして休業手当の支払いが必要になるものでございます。

 この点につきましてはよく周知に努めたいと思いますし、また、支払いがなされていないということであれば、その是正を徹底してまいりたいと思っております。

郡委員 休業手当がもらえたとしても、本当にその後ちゃんと雇用してもらえるんだろうか、そしてまた、自宅待機がいつまで続くんだろうか、不安な学生さんが大勢ですよ。あるいは、別の就職先を探した方がいいんじゃないだろうかと大変お迷いになっている方々も多いんですね。結局、何がこれが悪質なのかどうかということも判断する材料が何もないということでした。

 これは、学生さんがそれこそ裁判に持ち込むしかないということであっては、何のために今回こういうふうに内定の取り消しに対して規制をかけていくというふうな方向になったのか、全くわからないというふうに思います。安易な内定の取り消しを防止することにはならないということを重ねて申し上げたいと思います。

 次に、ちょっとお話が出ましたけれども、入職時期の繰り下げについてです。

 採用時期の後ろ倒しというふうに言われるものですけれども、これも文科省は調査しております。四十三人おりました。入職時期の繰り下げを行う事業主は、これも一月十九日の職業安定法の施行規則の改正によって、ハローワークあるいは学校長にちゃんと通知をしなくちゃいけないというふうになりましたけれども、これもきょうの資料の中に、後ろにつけ加えさせていただいていますが、この通知書、これにのっとった形で通知をしなくちゃいけませんが、この履行状況はどうでしょうか。実数は把握されていますでしょうか。そしてまた、撤回に向けた指導というのは行っているのでしょうか、行うのでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございました新規学卒者の入職時期の繰り下げにつきましては、一月十九日の職業安定法施行規則の改正によりまして、あらかじめハローワーク及び学校長に通知することとしたところでございまして、今、事業主への周知を図り、通知の徹底を図っているところでございます。

 入職時期の繰り下げ事案の件数につきましては、今お話ございましたように、文科省で、大学について四十三人、高校については、連絡があった者が三十七人、検討する旨の連絡があった者が二十三人ということで、学校とも連携しつつ、共有しているところでございますけれども、さらに迅速かつ的確な全数的な把握、できる限りの把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

郡委員 さらに、文科省の調査では、企業から内定辞退の示唆を受けたという学生が二百七十四人にも上っています。六〇・一%です。個別の案件について調査し、精査した上で判断する必要はあろうかと思いますけれども、悪質な内定辞退の強要もあり得ると考えています。厚労省では、こうした実態を調査、そしてまた把握しているんでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 内定の辞退を学生に求めること自体は内定取り消しではございませんけれども、しかし、やはり本人の意思に反して内定の辞退を強要するようなことはあってはならないというふうに考えているところでございます。

 この内定辞退を強要した事案の件数、全体については把握していないところでございますけれども、個別具体的にはいろいろな御相談もあるところでございますし、また、大学で把握しているものもありますので、大学とも連携して、迅速かつ的確に情報を把握した上で、さらに必要な指導をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

郡委員 労働契約法上、大変な問題なんだと思います。いわゆる退職勧奨につながるようなことなのだろうと思います。これを厳しく指導してもらわないといけないと思うんですけれども、これは、パンフレットなどを用意しているというだけでは大変生ぬるい対応なのだというふうに思っています。

 それから、文科省の調査では、自宅待機、採用時期の後ろ倒し、内定辞退の示唆以外の連絡を受けた学生たち、その他というくくりであらわしているんですけれども、その他、つまりどういうことかと言いますと、職種や勤務地など、採用された時点での条件とは異なるものをさらに後日改めて提示される、例えば給与、賞与、諸手当の減額、あるいは現在の経営状況の説明、大変厳しいのだから何とかしてほしい、あるいは勤務地を変えてもらいたい、あるいは職種を変えてもらいたい、こういうようなものが行われているようなんです。

 これはまさに不利益変更だと思いますが、労働契約の変更というのは双方の合意が必要なはずだと思いますけれども、合意が得られなかった場合、どうなるんですか。

金子政府参考人 二つお尋ねがあったかと思います。

 一つは、内定辞退の強要に関する労働契約法上の扱いでございますが、これにつきましては、労働契約法上の定めはございません。

 ただ、これに関連するような事案といたしまして、退職を強要したような例につきましては、最高裁判所において裁判例もあるようでございます。いずれにいたしましても、労働者の自由な意思決定を妨げるような退職勧奨は違法とされるというような判示でございまして、内定辞退につきましても、現在のところ、判例は承知しておりませんけれども、同様の判断をされる可能性があるのではないかと考えております。

 ただ、こちらは民事上のルールでございますので、私どもとして、法令に基づいた指導等はできないものでございます。最終的には、裁判所で御判断いただく必要があるというふうに考えております。

 それからもう一点、内定によって定められた労働条件を変更する場合でございます。これは、議員から御指摘ございましたように、労働契約法では、労働条件の変更につきましては、原則として労働者の合意を得ることが必要だという考え方でございますので、こうした労働契約法に定められた方法によりまして行う必要があるわけでございます。

 ただ、それぞれのケースについて言いますと、労働契約の定め方もさまざまでございます。個々の事案に即しまして、職種、勤務地等の一方的な変更が違法かどうかについて、なかなか一概に判断することは難しいわけでございまして、この対応につきましての一義的なお答えというのはなかなか難しいものだということで御理解を賜りたいと思います。

郡委員 もうこれは退職の勧奨と何ら変わりません。そういうふうに思います。そして今、学生も、民事上のことだから裁判をしなさいということをおっしゃったわけですね。これは本当に厚労省としてどういうふうに考えておられるのですか。裁判でしかこれは解決する道はないわけですか。それでよしとするんですか。

 大臣、時間がなくなりましたけれども、今まで企業名の公表は一例も行われておりません。実態調査も不十分であると思いますけれども、いかがお思いになりましたでしょうか。

舛添国務大臣 まず、企業名公表の最大の目的は、まさに内定取り消しをやらせないこと、その抑止力として大きくこれが意味を持つということがまず第一点でございます。

 それから、今の議論のやりとりを聞いていまして、実態調査、これは文部科学省とも連携し、またハローワークの機能も強化して、もう少し克明に調べる必要があるというように思っています。

 それから、これはもうすべての制度についてそうですけれども、取り締まりを強化すると、必ず、今おっしゃったような自宅待機とか、隠された、陰にこもったものが出てくる、これをどういぶり出すというか、そのことも今後、重要な課題として検討させていただきたいと思います。

郡委員 厚労省のやる気というのを疑わざるを得ないなと私は今回とても痛感いたしております。第二のロストジェネレーション世代というのをつくってはいけないわけです。これを政治の責任として、しっかりとやっていただきたいと思います。

 質問を終わります。

田村委員長 次に、上川陽子君。

上川委員 おはようございます。自由民主党の上川陽子です。

 質問に先立ちまして、昨日、雇用保険法の改正案の修正をめぐり、与野党が合意に達した点につきまして一言触れておきたいというふうに思います。

 昨今の大変厳しい経済情勢のもとで、雇用問題は国民にとって最大の不安要因であり、そのためのセーフティーネットを強化することは、国民の安心、安全を確保する上で欠かせない喫緊の政治課題でございます。幸い、与野党が足並みをそろえ、この問題に協力して取り組むということになったわけでございますが、政府としても、そうした政治的な合意の意味合いというものを十分に踏まえていただきまして、しっかりと対応していただけますように強く希望するものでございます。

 さて、昨年の秋にアメリカで発生した世界的な金融危機は、我が国の実体経済にも深刻な影響を及ぼしております。先日発表されました三月の政府の月例報告では、景気はなお急速な悪化を続けており、大変厳しい状況にあるとのことであります。また、先行きにつきましても、企業の急速な減産が大幅な雇用調整につながることへの懸念も表明されたところでございます。

 私は、四カ月前の十一月十四日にこの場に立たせていただきまして、一般質疑をいたしました。その折、現下の経済情勢、景気状況ということで大臣と議論させていただいたこと、あれから四カ月たっておりますが、大変厳しい中で、政府としても着々と対策を講じながらそのフォローアップをしているということでありますし、また、雇用情勢の厳しさに合わせて、新たな施策ということについても手を抜くことなく対応していく、こういう姿勢で取り組まれていることを私としては評価させていただいております。

 こうした中で、政府としては、雇用調整助成金の拡充、そして離職者の住宅・生活支援対策、離職者訓練の強化と訓練期間中の生活保障、また都道府県を通じた雇用の創出など、さまざまな雇用対策に取り組んでおります。しかしながら、雇用環境の悪化が余りに急激であるということでありますので、政府の対策が後手に回らないように、セーフティーネットとしての機能を十分果たしているかどうか、このことについては絶えず検証をしながらその成果を上げ、また、国民の皆さんに安心と安全を届けていくということが大切であるというふうに思っております。

 先ほど挙げました政府の雇用対策、幾つか柱がございましたけれども、現在までの実施状況と、そして対策開始後の状況に合わせての改善点について御説明をお願いします。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、雇用失業情勢が厳しさを増す中で、補正予算においてさまざまな緊急雇用対策に取り組んでいるところでございます。その中で、主なものにつきましての実施状況あるいは改善点について御説明申し上げたいと思います。

 まず一つは、雇用調整助成金でございます。これは助成率の引き上げを行ったわけでございますけれども、その後、利用者の方々の要望を踏まえて、生産量要件の緩和あるいは雇用量要件の撤廃、さらには申請事務の簡素化等、できる限り使いやすくするような措置をとったところでございまして、休業等の実施計画の対象労働者が平成二十一年一月では八十七万九千六百十四人に上るなど、その活用がかなり進んできているところでございます。

 それから二つ目は、離職者の住宅・生活支援でございます。雇用促進住宅の入居手続につきましてもかなりの簡素化等を行っておるところでございますけれども、三月十六日現在の入居決定が五千二十四件でございます。また、民間賃貸住宅入居費用等の貸し付けにつきましての決定件数も四千八百十九件に上っておるところでございまして、この手続につきましても可能な限り簡素化して、利用しやすくするように改善を図っているところでございます。

 三点目でございます。訓練関係につきましては、追加の委託訓練を順次開始しているところでございますが、訓練期間中の生活保障給付制度につきましては、三月十三日現在で貸付決定件数が十三件ということで、まだまだ非常に少ないという状況でございます。このため、この制度の活用促進を図るために、年収要件の緩和でございますとかアルバイト禁止要件の解除といった見直しを行ったところでございます。

 最後に四点目は、都道府県を通じた雇用創出でございます。これは、基金の受け入れ準備が整った都道府県から順次交付決定を行っているところでございまして、昨日までに、ふるさと雇用再生特別交付金で二十九都道府県、緊急雇用創出事業で六道府県の交付が決定しているところでございます。残りの都道府県につきましても近日中に交付決定される見込みとなっておりまして、今後、この基金の活用によりまして雇用が創出されることを期待しているところでございます。

 私どもとしては、これらの対策の実施に万全を期してまいりたいと考えておりますけれども、実施過程でさまざまな要望があったり、あるいはもっと使いやすくという御要望もございますので、必要に応じて見直しを行って、より効果的な実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。

上川委員 それぞれの制度の実態についての御説明、ありがとうございました。簡素化の努力、使い勝手のよいものにしながら利用の拡大を図る、さらに、新たな要望があればそれに加えて政策の厚みを高めていく、こういう御努力をこれからもぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今、雇用調整助成金と離職者の住宅・生活支援はかなり浸透してきているという話でしたけれども、離職者訓練の強化と訓練期間中の生活保障、及び都道府県を通じた雇用の創出などの対策、こういうことにつきましては緒についたばかりではないかというふうにも思うわけでございます。

 そういう意味では、政策を途中でチューニングしていくというところについては、制度が変わったことについて現場の担当者の皆さんもよく理解していただかなければいけませんし、それを踏まえての説明についても間違いのないようにしていただかなければならないわけであります。また、後者の方につきましてもできるだけ早期にスタートができるように、そのための御努力もあわせてお願いしたいわけでありますが、私としては、地元でいろいろな皆さんからお話を聞いてみましても、まだまだ、全体としての浸透度という意味では十分ではない場面もあるなというふうにも感じるところでございます。

 こうしたときだからこそ、役所としてはしっかりとした広報戦略を立てて、そしてしっかりと広報の効果が上がるような施策を重点的にやっていただきたいというふうに思うわけでありますが、求職者、事業主に対しての、きちんとした対策の理解のための広報への取り組み状況につきまして説明をいただきたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 広報への取り組み状況についてのお尋ねでございますけれども、お話ございましたとおり、雇用対策について実効あらしめるためには、積極的かつ効果的な広報活動を通じまして、広く国民に対して施策の周知を図って、知っていただくことが何よりも重要であるというふうに考えているところでございます。

 このため、第二次補正予算関連施策等につきましては、例えば新聞、テレビ、ラジオ、インターネット等のマスメディア媒体を活用するとともに、詳細につきまして御関心のある方に対しましては、厚生労働省ホームページで、特設バナー「緊急雇用対策」という形で表示して掲載しておりますし、さらには都道府県労働局による助成金の説明会の開催、ハローワークにおけるパンフレット等の配布など、広く周知を図っているところでございます。

 雇用調整助成金などにつきましては、かなり周知されて活用が進んでいるところでございますけれども、お話ございましたように、政策全体についてまだまだ周知徹底が必要だと考えておりますので、こうした取り組みを通じまして、各種支援が必要な方々が確実に支援を受けられるように、より一層の周知、広報の徹底に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

上川委員 それでは、ぜひ、力をさらに加えていただきまして、効果が上がるようによろしくお願いしたいと存じます。

 本年の一月の有効求人倍率、これは全都道府県で一倍以下ということであります。雇用情勢は全国的に悪化しているという状況でありますし、私は静岡県でありますが、東、中、西で雇用状況はかなり違いがあります。このことを考えてみましても、全国的にも各県での状況というのはまちまちであるということであります。

 先ほどの御指摘もありましたけれども、大きな予算を県に配賦して行う事業として、四千億円の基金創設による雇用創出事業があるということでありますが、ふるさと雇用再生特別交付金の場合には二十九都道府県ということで先ほど御説明がありましたし、緊急雇用創出事業ということで六道府県、こういう申請があったというお話がございました。

 この四千億円の基金の予算の配分の仕方、各都道府県で雇用情勢が非常に違いがあるという中で、どのような物差しを使ってこの配分計画を立てているのかということについての御説明。あわせて、各地域の雇用状況につきましても急激に変化が見られます。こういうことを十分に反映したものになっているかどうか、このことにつきましても御説明いただきたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 現下の悪化する雇用失業情勢の中で、ただいまお話ございましたように、都道府県に総額四千億円の雇用創出のための基金を造成したところでございまして、各県で順次利用が進んでいるところでございます。

 この配分方法でございますけれども、これは、補正予算成立時におきます各都道府県の直近三カ月の有効求人倍率でございますとか有効求職者数等を踏まえて算定したものでございまして、各地域の雇用失業情勢をきめ細かに反映した配分となっているものと考えているところでございます。

 また、各都道府県におかれましても、先ほど静岡のお話がございましたけれども、地域によってかなり雇用失業情勢に違いがあると思いますので、各都道府県が市町村に配分する際につきましても、それぞれの市町村における雇用情勢あるいは地域ニーズを踏まえて算定されているものと考えているところでございます。

上川委員 今の御説明で、直近三カ月ということでございますけれども、第二次補正が決められてからの前の直近三カ月ということになりますと、最新時のデータについては少しラグがあるかなというふうに思います。

 先ほど、私が質問したのは十一月ということで、あれから四カ月たっている中でも想像以上に厳しい状況が、それぞれの地域の産業構造等の違いによってあらわれ方にラグがあるということでありますので、そういうことを考えてみても、絶えずアップデートする形でのチューニングというのは非常に大事ではないかというふうに思うわけでございます。

 今後、追加的な措置がとられるかもしれませんけれども、その際におきましては、先ほど御説明いただきましたように、地域の雇用状況をしっかりと、直近のものも踏まえていただくことができるようにできるだけ努力をしていただきまして、配賦額等の上乗せなども検討していただく時期が必ず来るというふうに思いますので、その点もよろしくお願いしたいと存じます。

 そこで、雇用情勢が大変厳しい中で、生活保護の受給世帯も大変急増しているということでございます。一口に生活保護受給世帯と言っても、その背景はまちまちであろうかと思います。どのような世帯が生活保護を受給しており、どのような世帯が受給の増につながっているのか、また、その伸びの背景につきましても御説明いただきたいというふうに思います。

阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。

 生活保護の受給世帯についてのお尋ねでございますが、一番直近のデータで言いますと、昨年の十二月でございます。その速報値で、世帯別に四つの区分をしております。

 まず、高齢者世帯が四五・五%でございます。それから傷病者、障害者、病気あるいは障害を持っておられる方の世帯が三五・六%。それから母子の世帯が八・二%ということで、それ以外の世帯が、私どもはその他世帯と呼んでおりますけれども、一〇・七%という構成になっております。大体一割強ということでございます。

 最近の伸び率の状況でございます。対前年同月比という伸び率で見ますと、全体の世帯数では四・二%増ということになっておりますが、今申し上げましたその他の世帯、いわゆる一般の世帯でございますが、その伸び率は九・七%ということでございまして、特に顕著な伸びとなっております。

 この背景が何かということでございますけれども、これまでのデータを見ますと、保護をされている方の数と失業率の間には一定の相関が見られるのではないかというように私ども考えておりまして、このように世帯数が増加しているという背景には、雇用情勢の悪化が影響しているのではないかというふうに推測をいたしております。

上川委員 ただいまの実態の御説明の中では、高齢者、そして障害者の皆さん、そして母子世帯というところが大きな比重を占めているということでありますが、それに加えて、最近の失業状況と相関の高い関係の中で、その他世帯の比率が大変伸びている、こういう御指摘だったと思います。

 雇用情勢の悪化の影響と思われる、一般の生活保護受給者がふえるということでありますけれども、私は、本来ならば、ここの世帯につきましては生活保護受給者になる必要はないかもしれないというふうに思うわけでございます。ですから、できるだけ早くその受給から脱却をしていただくということが大変大事なことであろうと思いますし、そのためには、職業的な自立、そして職業訓練、こうしたものの重要性は高いというふうに思います。生活保護に陥らないためにも、社会の基本的機能としての職業訓練とその間の生活保障をしっかりと位置づけていくということが必要ではないかというふうに考えるわけでございます。

 先般、労使からは、雇用保険等の給付を受給できない者が職業訓練を受講する際の生活安定を確保するため、就労支援給付制度の創設について提言されたということでございます。今指摘がございましたような生活保護受給者の状況を見ましても、こういった施策の早期実現が求められると考えておりますし、また、その実現について与野党の足並みも、方向性としては出てきているのではないかというふうにも思うところでございますが、こうした提案に対しましての大臣の御見解をお伺いいたしたいと存じます。

舛添国務大臣 まずは雇用保険のセーフティーネットを張りめぐらす、そして、いよいよ最後のとりでとして生活保護があるわけで、今委員おっしゃったようにその中間的なものを、これは民主党の皆さん方もおっしゃっておられます、どうするか。

 とりあえず、政府は、今年度の補正予算で訓練期間中の生活保障給付制度ということを入れていますので、それで一定の条件、例えば、八割方きちんとコースを受けるというようなことがあれば返還免除ということもやっております。

 ですから、やはり再就職をしていただく、これが一番大切なので、そのための雇用保険なりネットワークですけれども、そのネットワークでかばい切れなかったときに、今政府が行っているような生活支援の給付制度をさらに拡充するというようなことについて、これは三月三日に労使の代表がいらっしゃいましたし、そして今月中に政労使の三者の話し合いをまとめたいというふうに思っています。それから、与野党を通じて貴重な提言をいただいておりますので、具体的にどういう形でこれを実らせるか、真剣に検討させていただきたいと思います。

上川委員 恐らくこの分野は、新しい考え方にのっとって、これからの社会のあり方としての大変大事な土台になっていくというふうに思いますので、十分なる検討をお願いしたいというふうに存じます。

 今、そうした就労支援給付金制度のようなものがなくて、失業者の方々が緊急避難的に生活保護に至っているというふうに考えられるわけでございます。このような方々を就労に結びつけていくための対策ということについて、先ほど少し触れられましたけれども、もう一度丁寧に御説明いただきたいし、また同時に、こうした方々は今後増加するものというふうに懸念されるわけでございますが、私は、こうした対策を広く行うためには、NPOを初めとした民間の活用というのが不可欠ではないかというふうに思うわけでございます。

 ソーシャルビジネスという新しい分野については、日本の中ではまだまだ定着されていないように思うわけでありますが、まさにこうした就労に結びつき、また生活を支援していくということを地域のコミュニティーの中でしっかり支えていく組織としても、こうしたNPOを初めとした民間セクターの役割は大変重要になろうというふうに思います。

 この二点につきましての大臣の見解をお願いいたします。

舛添国務大臣 生活保護に行き着く前に救うということで先ほどの話をしました。今度は、生活保護の方がいかにそこから脱却するか。それは就労支援が非常に必要なわけですから、今、就労支援専門員というのがあります。これを活用して、福祉事務所などで就労支援プログラムということで支援をやる。それが一つ。それから、福祉事務所とハローワークが連携した形で、生活保護受給者等就労支援事業というのもあります。こういうものを活用したいというふうに思います。

 それから今御指摘の、やはりNPO法人の方々のノウハウを活用して、こういう方に参画していただくというのは非常に私も有効だというふうに思っています。というのは、なかなか直接行政に行きにくいというのはあるんですね。NPOの方に声をかけられた方が対応しやすいという生活保護の方々の気持ちもあります。

 就労経験も余りない、就労意欲もないというような方に関して、そういう就労阻害要因を抱えている方々、それから地域の事情によって、今までの就労支援策ではなかなか支援を受けにくいというような方々に、まさにそこにNPOの方々が入っていける。つまり、細かい事情があるんだけれども、これは役所に言いたくない、それはNPOの方々が聞いてくださるというようなことで、この二十一年度からは、就労意欲喚起等支援事業というのをNPOの皆さんの力を活用する形で新たに行うこととしておりますので、NPOの方々とも連携を図って、生活保護者に対して適切な支援を行っていきたいと思っております。

上川委員 大変重要な政策が二十一年度予算にも盛り込まれているということで、この就労意欲喚起支援事業につきましても、現場で動いていらっしゃるNPOの皆さんの実態をよく声を聞きながら、制度そのものの設計と運用ということについて力をぜひ尽くしていただきたいというふうに思うところでございます。

 今、不況ということでございまして、日本の国民にとりましても、また世界にとっても大変厳しい時期であるというふうに思うわけでありますが、しかし一方で、将来のあるべき社会を構築するための準備期間という側面もあるのではないかというふうに思うところでございます。

 離職者を短期間で、可能な限り早期に就職させる、今までの職業訓練の考え方は、できるだけ短期間で、早く就職に結びつけるという観点から専らつくられた制度であったというふうに思いますが、例えば介護や農業など大変雇用のミスマッチが起きている分野を見てみましても、なかなかシフトできない理由というのを考えますと、それは、可能な限り短期で就職することができにくい分野というふうにも言えるかと思うわけであります。

 それぞれの分野での就業に必要な能力を習得するためには、農業一つとってみてもいろいろな、作物によっても習得するための時間に差があるということでありますし、そういう意味では、長期間、またその中身についても十分な対応をしていくことが大切ではないかというふうに思うわけであります。

 この点につきましての大臣の認識をまずお聞かせいただき、また、介護分野につきましては、二十一年度から長期訓練を設定したコースがスタートするということでございますが、農業分野においての取り組み状況につきまして御説明をしていただきたいというふうに思うところでございます。

舛添国務大臣 これまで、職業訓練、三カ月で短期速成ということでしたけれども、これだと今おっしゃったような問題があります。

 まず、介護の方は、二万六千人という目標を掲げまして、介護福祉士二年間、これをきちんとやり、その間の生活も見るし、もちろん訓練の費用は無料であります。それから、例えば一級ヘルパーさん六カ月、二級ヘルパーさん三カ月、こういうメニューもそこに入っておりますので、これはまた活用させていきたいと思います。

 農業については、委員おっしゃるように、春に種まいて秋に収穫することまで見ないと、それからまた、秋に種まいて今度は春に収穫するという作物もありますから、やはり一年ぐらいきっちりやらないとだめだと思います。

 これは、二月の十八日に農林水産省との間で連絡調整会議を設置しまして、この分野、職業訓練を含めた農業分野への就労支援等についての意見交換を行っているところでありますので、この農業の分野の訓練でも農水省と連携を図り、また、これは石破農林水産大臣とも、よく今後とも協議をしたいと思います。

 それから、やはり地域の力が必要ですから、都道府県に対しても協力をお願いして、農業分野の職業訓練、これは厚生労働省としても取り組んでまいりたいと思っております。

上川委員 特に介護、そして農業という分野においては、後継者の問題も含めまして、また職場の環境の改善ということも含めまして、大変、これからまだまだ改善しなければいけない、そして、若い世代も含めて夢を持って、しっかりと働きがいのある仕事場ということで、積極的にこの分野でも仕事を継続していただくことができるようにという意味では、総力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございます。

 現在実施されている職業訓練の基本的枠組みということでありますが、先ほど、短期でできるだけ早期に就職させるというような形の中で、私は、ある意味では長期のものも含めて、今、社会のインフラとしてそこを位置づけていくという方向に大きくかじを切りかえられてきているというふうにも思うところでございます。

 今までの職業訓練の基本というのは、終身雇用という枠の中で、企業内の訓練を前提として行われてきて、その補足、あるいはそこの部分では補うことができない分野というのを職業訓練という形でつくられてきたというふうに思います。

 雇用・能力開発機構の廃止ということの議論の中でも、職業訓練については、この機能を産業政策とも、また教育政策とも明確にリンクしながら位置づけていくということの大きな方向性については、私はとても大事なことだと思いますし、この厳しい状況の中で、職業訓練につきましても、新しいあり方を模索していく大変大事な時期ではないかというふうに思っているところでございます。

 そういう意味では、将来のあるべき社会というものを構築するための準備期間であるとするならば、その職業訓練のあり方についての抜本的な見直しをするチャンスというふうに前向きに考えていただきまして、中長期的な視点に立ちまして、経済、社会の構造変化をある意味で促すことができるような職業訓練のあり方につきまして、その創生、創造の大事な時期にあるということをぜひ御認識いただきまして、このことに対して大臣に大きな力を発揮していただきますように期待させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 御決意を、最後に一言だけお願いします。

舛添国務大臣 社会の安定ということと社会のダイナミックな活力というのは時として矛盾することがあります。雇用の安定があるというのは非常に重要ですけれども、片一方で、今おっしゃったように、新しい時代に即した新しい職業訓練のあり方、そして職種間で移動がある、ソーシャルモビリティーが高まる、これはある意味で活力を高めることなので、このバランスをどうとっていくか。

 そのためには、大学なんかでサバティカルイヤーというのがあって、もう委員御承知のとおりで、一年ぐらい休んで自分の力を蓄えるということがあって、社会全体でそういうゆとりがあって、第二、第三のチャレンジができる。もう人生八十五年時代ですから、そういうようなことも、今はとにかく不況を脱出しないといけないですけれども、落ちついてきたら、これは大きな国の課題としてみんなで考えたいと私は思っております。

上川委員 ありがとうございました。

田村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、雇用保険法の改正案、そしてさらなる雇用対策につきまして質問してまいります。

 本改正案は、失業者救済という緊急性の高い法案であることを踏まえまして、与野党で精力的に議論を行ってまいりました。雇用失業情勢の厳しさが増す中で、政府は政策を総動員して、雇用不安を広げないよう手だてを講ずるとともに、失業者への救済支援策を充実するため、今回の改正案を一刻も早く成立させるべきと申し上げます。

 初めに、今回の法案でございますが、雇用失業情勢が厳しい中で、セーフティーネットを強化することを目指しているものと思っております。その中には適用範囲の拡大がございます。

 まずは基本的なことを確認しておきます。現在、雇用保険は、いわゆる正社員やフルタイムの期間工であればすべて加入となるという認識でよろしゅうございますか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険制度は、みずからの労働により賃金を得て生計を立てている労働者につきまして、失業時に必要な給付を行うことによりまして、生活の安定を図りつつ求職活動を支援するための制度でございます。こうした観点から、御指摘のとおり、いわゆる正社員やフルタイムの期間工でございましたら、これは雇用見込みを問わず、全部適用対象となるところでございます。

古屋(範)委員 今回の改正では、それ以外の非正規労働者で雇用保険に未加入の約一千万人のうち、約百五十万人が新たに加入できることとなります。また、非正規労働者が拡大をする中で、非正規労働者が雇いどめになった場合の受給資格について、十二カ月から六カ月に緩和することとされております。

 今後、多くの非正規社員が契約期間の満了で雇いどめになることが予想されております。そうした方について、一刻も早く法律を成立させ、必要な支援が受けられるようにすべきではないでしょうか。法案を早期成立させ、セーフティーネット機能を強化することについて、改めて大臣の御決意をお伺いいたします。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、非正規労働者に対するセーフティーネット機能を強化する、それから離職者に対して再就職の支援をすることを強化する、これが非常に重要でありまして、こういう点を盛り込んだ形での改正案でございます。

 今おっしゃったように、六カ月以上の雇用見込みということで、これを緩和することによって給付の対象となる労働者の数をふやす、それから今度は、地域や年齢その他さまざまな点を考慮して、重点的に再就職に支援が必要な方には、個別に六十日間の給付日数の延長を図るということでございますので、セーフティー機能の強化、まずこの第一歩として、この法律の改正ということをぜひお願いしたいと思っております。

古屋(範)委員 大臣の御決意を伺うことができました。

 雇用の重要なセーフティーネットである雇用調整助成金について、さらにお伺いをしてまいります。

 昨年の十一月、その対象者は八千八百人ということでございましたが、一月に入って百倍に激増をいたしております。二月は百万人を超すのではないかという推計もされております。経済情勢が急激に悪化する中で、雇用調整助成金の利用が急増しております。

 雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、解雇を避け、休業等により雇用を維持する場合に、手当の一部を助成するというものでございます。休業を開始してから実際に助成金が支給されるまでに、通常、二、三カ月程度かかると言われております。

 しかしながら、事業活動の縮小を余儀なくされて雇用調整助成金の申請を行う企業の中には、助成金が実際に支給されるまでの運転資金の確保にも御苦労されていると伺っております。経営状況が苦しい中でも雇用の維持に懸命に取り組まれている企業に対して、ぜひ積極的な支援を行うべきと考えております。

 この助成金を利用する事業主の運転資金の確保に対して何らかの支援が必要と考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

舛添国務大臣 まずその前に、雇用調整助成金、一刻も早く申請手続を簡素化、迅速化するということが必要なので、これはやっております。ただ、今おっしゃったように、この二、三カ月のつなぎをどうするか。

 昨日、金融庁、中小企業庁などの関係省庁に対しまして、そういうつなぎ資金について、ぜひ円滑に融通してくれということの協力要請を行っておりますので、政府を挙げまして、そういう事態に対して対応したいと思っております。

古屋(範)委員 関係省庁に要請をしてくださったということでございます。

 有効求人倍率がさらに低下をする中で、前月、完全失業率が四・一%と若干下がったということでございますが、こうしたセーフティーネット機能、これがきいているものというふうに考えております。さらに雇用調整助成金の利便性を高めていただきたい、このように要請をしておきたいと思います。

 次に、育児休業給付の見直しについてお伺いをしてまいります。

 我が国の女性の労働力人口、平成十九年におきまして二千七百六十三万人と、四年連続で増加をしております。また、女性の労働力率が四八%と、前年と同じになっております。また、育児休業制度取得率は増加しているものの、妊娠、出産を機に離職をする割合が七割にも上っており、女性が働き続ける環境整備はまだ十分には整っていないというのが現状でございます。

 こうした中、今回の改正において、第六十一条の四では、育児休業者職場復帰給付金を廃止し、育児休業基本給付金に統合される。すなわち、全額が休業期間中に支給されるとなったわけでございます。さらに、附則第十二条では、育児休業給付の暫定措置、給付率四〇%から五〇%への引き上げが継続されることとなりました。前回の改正、平成十九年に育児休業給付が四〇%から五〇%に引き上げられましたけれども、これは、平成二十二年三月三十一日までに育児休業を開始した者という暫定の措置でありました。

 私は、さらなる拡充をすべきと訴えてまいりました。少子化が急速に進んでいる我が国において、少子化対策の総合的な取り組みの強化が求められております。こうした中、雇用保険制度においても、育児休業を取得しやすくなる今回の暫定措置が当分の間延長されることとなったことは、一応の評価はできると思っております。

 また、一括給付については、昨年四月に公明党女性委員会が作成した女性サポート・プランにも盛り込んでおります。働きながらの子育てを応援しよう、育児休業制度取得率一〇〇%を目指し、育児休業給付を一括給付するよう、これも総理、舛添大臣に申し入れを行ってまいりました。この育児休業給付の一括支給が今回の法案で実現することになったことに、子育てをしながら働き続けたいと願うお母さんたちからさらに喜びの声が、また雇用主の方々からも、申請の手間が省けたという声をいただいております。関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

 今回の育児休業給付の見直しを恒常的なものとすべきであるか、あるいは少子化対策の中できちっと位置づけるべきであるかという課題もございますが、いずれにいたしましても、決して制度を後退させてはいけないと思います。大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 まず、少子化対策の面からも、第二子、二人以上の子供を持ちたいときに、女性がどうしても今の状況だと持てない、それから働き続けたいというときに問題があるということで、これはもう複合的な多くの問題がありますので、一つ一つ解決しないといけないですけれども、職場復帰後に支給するお金を一括して支給するということは、今、そのことだけが原因で、そのお金をもらえるかもらえないかだけで復職するかを決めるわけじゃないので、これは一番困っているときに必要なものをきちんと給付する。

 それから、四〇%から五〇%、やはりこういう時代ですから、これはもう当分の間続けさせていただくということで、今後ともこういう施策を積み重ねながら、育児をし、そして仕事ができる、そういう体制を整えたいと思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 今回の改正案で、育児休業給付五〇%が、暫定措置ではありますが、当分の間継続されて、その全額が育児休業期間中に支給される。少子化対策の一助となるものと、そのように期待をしております。

 一方で、不況にあえぐ企業が人員削減をするために、育児休業中の正社員を解雇するという事例が広がっております。育児・介護休業法に抵触する疑いが強いが、被害者の多くは再就職の妨げになることを恐れて泣き寝入りするケースが多いと言われております。法令で守られているはずの働いて産み育てる権利が脅かされている状況は、何としても変えていかなければならないと考えております。

 厚生労働省が一昨日公表した調査によりますと、妊娠、出産のために育児休業を申し出たら退職を強要されたなどとして、全国の労働局などに寄せられた育児休業中の解雇の相談件数が、ことし二月末までの十一カ月間で一千百七件に達したということがわかりました。十一カ月で一千百七件、非常に多いというふうに感じております。昨年度一年間に比べても二五%以上増加しておりまして、相談件数は既に過去最高となっております。

 こうした事態に、厚生労働省は、男女雇用均等法や育児・介護休業法に違反する事例には厳正に対応するよう全国の労働局に通達しておりますが、実効性ある対応が必要と考えます。労働局が育児休業にかかわる不利益取り扱いのケースとして是正指導したのは既に四十七件、三十八件を是正させておりますが、解雇撤回にこぎつけられた事例はまだ少ないのが現状です。

 育児休業法第十条に、事業主は、労働者が育児休業申し出、介護休業申し出をし、または育児休業、介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないとあります。しかし、この法律には、違反した企業に対し罰則の規定がなく、実際は労働者側が泣き寝入りをするしかないというのが実情でございます。

 このような現状を許さないため、現行の育児・介護休業法に違反した企業や雇用主に対して罰則規定を設けるなど、実効性を持たせる措置が必要であると考えますが、厚労省のお考えを伺います。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御指摘をくださいましたように、育児休業法では、育児休業の取得等を理由とする解雇等の不利益な取り扱いは禁止をしております。こうした中で、現下の雇用情勢のもとで、育児休業中の解雇等に関する相談もふえておりますし、私どもが指導する件数もふえているところでございます。

 こうしたことから、今月の十六日でございますが、各都道府県労働局に対しまして、こういった不利益取り扱いについて厳正な対応をするようにということで、まず、労働者からの相談への丁寧な対応、それから法違反の疑いのある事案については迅速かつ厳正な対応をすること、それから、どうしても企業から何か言われて泣き寝入りをするという場合がありますので、事前の予防が非常に大事ということで、非常に簡単なリーフレットをつくりまして、事前の予防ということで企業に配布をするというようなこともやるということで指示を出したところでございます。

 また、委員が御指摘になりましたように、この条文には罰則はございません。そうした中で、企業の多くは、行政が指導に入れば是正はしていただけますが、なかなか思うに任せない、なかなか言うことを聞いていただけない企業もやはりあるということもございます。

 こうした中で、昨年の十二月に、育児・介護休業法の見直しに関しまして労働政策審議会から建議が出されております。この建議の中で、法の実効性の確保に関しまして、一つは、育児・介護休業法違反に対する勧告に従わない場合の企業名公表、もう一つといたしまして、都道府県労働局からの報告徴収に応じない場合や虚偽の報告を行った場合の過料の創設が盛り込まれたところでございます。

 この建議を踏まえまして、厚生労働省におきまして育児・介護休業法の改正を検討しているところでございます。

古屋(範)委員 育児休業中の解雇に対する厳正な対処を推進していただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 平成十九年度の雇用均等基本調査によりますと、女性の育児休業取得率八九・七%、二年間で一七・四ポイントも上昇しております。当然、今は九〇%を超えていることは容易に想像がつきます。また、男性は一・五六%とまだまだ取得率が低い。これも二年間で三倍の取得率になっております。こうした中でのこうした育児休業中の解雇は、女性だけでなく男性にとっても人ごとではないと思います。

 未曾有の経済危機の中で、職を失う、住むところがない、ワーク・ライフ・バランスどころではない、そういうムードが高まっているのかもしれませんが、私は、こういうときこそ逆に、社会の価値観を大きく転換させる好機だ、このように考えております。

 内閣府が二十六日に発表いたしました少子化対策に関する特別世論調査によりますと、下がり続ける日本の出生率に危機感を持つという回答が八三・〇%、前回調査より六・三ポイントふえております。少子化対策で期待するものとして多かったのは、仕事と家庭の両立支援、子育ての経済的負担軽減でございました。妊娠・出産の支援も五四・六%で、前回調査からほぼ倍増をしております。

 仕事と家庭の両立を可能にする職場環境を整備することは、出産、育児を行う女性が退職することなく働きたいという希望をかなえるものでございます。それは、女性の就業継続を促進して社会の支え手をふやすことにもなります。少子化対策の中で最も多くの方が期待しているように、仕事と家庭の両立支援は、社会を担う人々をふやすことにもつながります。雇用対策としても積極的に取り組む必要があると考えております。

 先日、二月の二十三日なんですが、公明党女性局で、中央区にあります株式会社エトワール海渡を訪問いたしました。ここは、一九七七年に、非常に早く企業内保育所を開園いたしまして、育児短時間勤務制度の導入など、出産と育児、仕事との両立を積極的に支援している企業でございます。

 具体的には、育児短時間勤務制度は、朝の混雑時に子供を保育園に預けるために出勤することは避けようということで導入した制度でございます。育児休業明けから三歳まで、八時間の勤務時間に対して三時間短縮が可能、さらに、小学校三年までは二時間の短縮が可能ということになっております。

 また、男性に対する出産、育児への支援策は、出産前後と子供が一歳になるまでの期間、五日間ずつ、計十日間の有給休暇の取得を認めておりまして、現在、時短社員百十二名、非常に多いんですけれども、社員全体の一四・二%、女性社員の二一・五%がとっているということでございます。

 この育児休業制度に対しまして、短時間勤務制度の義務化、残業の免除など子育て中の働き方の見直し、また、父母ともに育児休業を取得する場合の休業期間の延長や、出産後八週間以内の父親の育児休業取得を促進させるための要件緩和、また、子の看護休暇制度の拡充などを含んだ育児・介護休業法の見直しを私も早急に行うべきだと主張いたします。

 大臣、この育児・介護休業法改正案の早期提出また成立を、ぜひお願いしたいと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 今委員がお触れくださった昨年十二月二十五日の労働政策審議会の建議、内容は今おっしゃっていただいたとおりであります。

 やはり、仕事と子育てを両立させることができる、そういう社会をつくるために、これは一日も早く法案をまとめたいと思っております。

古屋(範)委員 ぜひ、女性にとっても、また男性にとっても、育児、家庭と仕事が両立できる社会の構築を目指して邁進していただきたい、このように考えております。

 さらに、先月の二月二日でございますけれども、公明党の緊急・雇用対策本部で、東京新宿区にございます東京非正規労働者就労支援センター、東京キャリアアップハローワークを視察いたしました。この日は本格オープンをした当日でございました。このキャリアアップハローワーク、非常に多くの人であふれておりました。

 月平均の有効求人倍率、平成十八年度、十九年度に比べ二十年度は下降し、求職者は増加をいたしております。この東京キャリアアップハローワークは、離職を余儀なくされている非正規労働者の増加に対応するため、さまざまな支援でワンストップを行う専門施設として、この日に本格業務がスタートをいたしたわけでございます。

 ここで担当者も非常に熱心に、またきめ細やかに職業相談、職業紹介に取り組まれているなというふうに感じました。利用者に応じた就職活動の進め方、企業選び、また履歴書の作成指導、各種セミナーの開催、住宅の確保、こういうところまで行ってくださっておりました。昨年十二月十八日から一月末までの仮オープンの期間中、七百六十件の相談が寄せられておりまして、本格オープンの日、この日もたくさんの人が訪れておりました。

 太田代表とともに、視察終了後、担当者と質疑応答をしてみました。求職の傾向として、住み込みの求人をかき集めて待っていてくださったわけなんですが、実際は、解雇になった方というのは住み込みは避ける傾向があるということでございました。まず住むところを確保したいというのが真情のようでございました。一方で、企業が求めているのは即戦力となる人材である。既に最初の書類選考で落とされてしまうことが多い。こうした両者の要望に、懸命に担当者も奮闘してくださっているということでございました。

 センターの職員の方々からは、本年度第二次補正予算に盛り込まれた、非正規労働者を正規雇用した企業に対し、労働者一人当たり百万円助成する制度については、企業が非正規労働者を雇いやすくなり、就職率の向上につながると意見をいただきました。また、企業では、操業を短縮して従業員を休業させて休業手当などの一部を助成する、先ほど申しました雇用調整助成金を利用しながら頑張っているという企業もございます。

 視察で考えさせられたことは、二度と非正規では働きたくない、正社員になりたい、こうした人々が本当に多いということでございます。労働者三人に一人が非正規という現実に対して、やはり安心して働ける社会をつくることが最優先の課題と考えます。

 そこで、年長フリーターや非正規労働者を正社員として雇用する場合の助成措置について、現場ではまだまだ本格的に活用されていないと聞いております。この周知徹底を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のございました非正規労働者の正規雇用化を促進するために、平成二十年度二次補正予算によりまして、年長フリーター等や派遣労働者を正規雇用した事業主に対しまして、中小企業の場合には百万円を支給する助成制度を創設したところでございます。

 これに伴いまして、この助成金の活用促進を図るために、まず一つは、助成金の概要を紹介したリーフレットを作成してホームページへ掲載するということ、また、新聞やテレビCMを活用しました政府広報によります集中的な周知、さらには、ハローワークにおける求人受理、求人開拓等のあらゆる機会を通じた事業主に対する周知や利用勧奨に取り組んでいるところでございます。

 何といいましても、やはり周知、知っていただくことが大事でございますので、助成金の積極的な周知を行いつつ、正規雇用化への支援に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 非正規社員を正規社員へ、この転換のためにせっかくつくった制度ですので、多くの企業に利用していただき、正規社員を一人でもふやせるよう、その対策を重ねて要望しておきたいと思います。

 次に、雇用保険の給付の対象とならない失業者に対して生活支援と職業訓練を一体的に給付する、就労・生活支援給付の創設についてお伺いをしてまいります。

 ことし一月の完全失業率は二百七十七万人に上りますが、失業手当の受給者はたったの二割程度でございます。ここから漏れた人たちの最後のよりどころが生活保護というわけです。しかし、健康で働くことができる現役世代が生活保護を受けるというのは困難でもあり、この安全網も十分機能しているとは言いがたい状況です。雇用危機が深まる中で、労働市場の規制緩和に雇用のセーフティーネットの整備が追いついていないのが現状であります。

 こうした事態に対応する一つの方策といたしまして、政府は、昨年十一月、雇用保険の受給資格がない年収二百万円以下の非正規雇用者に対し、月額十万円を上限に職業訓練中の生活費を貸与する制度を創設し、本年一月からは、上限十二万まで増額いたしました。しかし、余り利用されていないようでございます。低賃金で短期雇用を繰り返し、雇用保険の受給資格を得られなければ、職業訓練で技能を身につけてよりよい仕事につきたくても、その間の生活資金がない、訓練が受けられないというわけであります。

 そこで、今回の改正案でも、加入のハードルが高い方々がいることを踏まえて、雇用保険と生活保護の間に、新たな支援制度が必要であると考えます。

 公明党は、三月十日に、雇用セーフティーネットの強化策として、雇用保険の加入期間が短いために失業手当がもらえない人々や受給期間を過ぎた人に対し、生活保護に至る前の新たな再就職支援策として、就労・生活支援給付の創設を提案いたしました。この制度は、職業訓練を受けることを前提として生活支援を行うものであり、予算の規模においても一兆円という大台に乗せて、万全な対策を講ずるべきであると考えております。

 ヨーロッパでは、就職せずに手当を受給し続けるモラルハザードも起きていると言われておりますが、失業中の中でも、単純労働に従事した非正規労働者にとって職業訓練は重要でございます。訓練で資格や技能を取得すれば、より安定した職業につくチャンスが生まれるはずです。職業指導を徹底し、できるだけ早期に就労させる仕組みに重点を置いた、国民の生活を守る公的セーフティーネットを構築すべきであると考えます。

 雇用保険と生活保護のすき間を埋める雇用の新たなセーフティーネット、就労・生活支援給付の創設に取り組むべきと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃった、雇用保険と生活保護のすき間を埋める就労・生活支援給付、これは公明党の皆さんからの御提案もいただき、また各党、与野党を含めていただいておりますし、三月三日には労使の代表も同様の提言を持ってこられましたので、政府としましても、そういう方向で真剣に検討を進めたいと思っております。

古屋(範)委員 そろそろ時間でございますので、このセーフティーネットをしっかり張っていただきますよう希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、三井辨雄君。

三井委員 民主党の三井辨雄でございます。

 現在の日本経済は、百年に一度と言われる未曾有の危機的状況にあり、雇用もずたずたになったわけでございますけれども、今も御質問にありましたように、今こそやはり雇用のセーフティーネットをしっかり張るときだと私も思うわけでございます。

 そこで、介護や医療の分野だけでなくて、今、一次産業でも人材が大変不足している。一方では職をなくする、しかし、一次産業ではまた人が足りない、そういう状況にあるわけでございますけれども、しかしながら、就業のときに仕事のミスマッチということが随分発生しておりまして、その原因は、やはり賃金だとか雇用保険ですとか労働条件、あるいは労働環境の改善が働いているんじゃないかなと思われます。

 現在のように緊急に新たな雇用の受け皿となる産業に対して、どのような労働環境を整備していくのか。また、新規就労者をただ単に送り込むだけではなく、働く場を与えるだけでもなく、働きたくなる魅力ある職場にしていくことが新規就労者の定着率を高めていくことであると思っております。

 そこで、森林・林業への再就職の件についてきょうは特に質問させていただきたいのであります。

 先日、東京新聞の二月二十三日付でしょうか、「不況林業には「好機」」、元トヨタ系二十九歳再就職という見出しで報道されていましたが、長野県の根羽村の根羽村森林組合に派遣契約を打ち切られた二十九歳の男性が就職しました。この男性は、半年契約の更新を重ねて四年ほど勤めたトヨタの工場から一月末に派遣契約を打ち切られ、再就職先を探したところ、林業に興味を持って応募をしたそうであります。急なことで深く考える暇もなかった、今はとにかく仕事を始めることであります、こうおっしゃっているわけでございます。山の仕事というのは、なれない人にとっては新しい生活でもありますし、収入面、あるいは何もかも手探りの中で今やっていらっしゃるわけでございますけれども、この青年だけではなくて、長野県の林業労働力確保支援センター、ここが二月一日に開いた説明会には、前年同時期の七十七人を大きく上回る五百九十七人が参加したという。大変多くの方がやはり参加されたわけでございます。

 ここの支援センターの方がおっしゃっているのは、景気が悪くなるとこれまでも希望者はふえたけれども、好況になると給料がいい都会に去っていってしまう、こうおっしゃっているわけでございまして、林業の仕事は特に屋外の作業や、また急な山での作業が中心でありますから、伐採とかかかり木による災害や、あるいは振動病、ハチ刺されなど、危険を伴う業務に対してしっかりした技術とか、あるいは職業訓練が必要であります。

 また、林業の場合、就労者の生活基盤の問題として、住宅の確保、多くの地域から要請されているわけでございますけれども、地元の人でないとなかなか山の職場まで通勤時間がかかります。山奥に行くとアパートはありません。住宅の手当てをしないと、県外や他の地域からの就労が難しいのが実態であります。

 そこで、雇用保険法だけでなくて、今ある関係法律、林業労働力の確保の促進に関する法律をどう生かしていくのか、課題になると思われます。この法律は平成八年に制定されましたが、十二年たっても雇用管理の改善、雇用の安定、事業体の育成整備などが進んでいないという声が林業現場から寄せられております。

 林野庁と厚生労働省の共管法とのことでありますが、せっかくあるこの法律を有効に活用していく、林業の労働力確保に生かしていくことが肝要でありますが、この法律はどのように活用していかれるのか、お答えください。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたとおり、林業労働につきましては、気候や天候など自然の制約を受けやすくて不安定であるという面もございますし、また、高齢化の進展等を背景としまして、林業労働力の減少や高年齢化が進んでいるところでございます。

 これらを踏まえまして、厚生労働省といたしましては、林業労働力の確保の促進に関する法律に基づきまして、労働条件の改善や雇用の安定を図る施策、さらには、林野庁とも連携をいたしまして、林業への就業希望者を対象に、作業体験や職業相談等を通じて円滑な就業を支援する施策等を実施しているところでございます。

 林業につきましては、環境保全や雇用の受け皿としましても大変重要な分野であると認識しているところでございまして、林業現場の実情等の把握にも努めながら、この法律の適切な運用を図って、雇用管理の改善や雇用の安定を推進してまいりたいということでございます。

三井委員 今、御説明いただきました。

 そこで、林業労働力確保促進法、各都道府県の労働局が管内の林業労働力確保支援センターに委託しているわけでございますけれども、地域林業雇用改善促進事業において、支援センターに配置された林業雇用改善アドバイザーが、森林組合や企業などの事業体に対して労働条件の改善や労働安全に関する指導を行っているということでありますけれども、この林業雇用改善アドバイザーですか、随分長いものばかり出てくるんですけれども、アドバイザーとは、どういう資格、経験を持って、どのような実効性を上げているのかお伺いしたいと同時に、平成十九年の十一月、我が党の津田弥太郎参議院議員の質問にこたえて、舛添大臣の肝いりで、各県の労働局に林業雇用改善推進会議というのが設置されたと聞いております。しかし、実態がよくわからない。それで、この会議が現在どのように運営されているのか、どのような効果が上がっているのか、お尋ねしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、林業雇用改善アドバイザーでございますけれども、具体的に必要な資格等が定められているわけではございませんけれども、基本的には、労働関係法規や各種支援制度、あるいは林業労働力の実態等につきましての知識と経験を有する者に委嘱しているところでございます。

 このアドバイザーは、雇用管理の改善につきまして、事業主や労務担当者等に対する相談、指導を行っているわけでございますけれども、この相談、指導によって例えば労働保険とか健康保険の加入率が高まるなど、雇用管理改善の推進に効果を上げているところでございます。

 次に、林業雇用改善推進会議でございますけれども、これは、地域の実情を踏まえた林業の雇用管理改善等を効果的に推進していくために、学識経験者、森林所有者等の代表、さらには林業労働者の代表、また行政職員の四者を構成メンバーとしまして、各都道府県における林業雇用管理改善のための取り組みの現状及び今後の対応のあり方を基本的なテーマに懇談する場として設置しているものでございまして、平成十九年度以降は全労働局に設置して議論を行っているところでございます。

 この会議は、地域の林業関係者が一堂に会する中で、林業に関する情報交換や意見交換を通じまして相互の理解を深め、連携して林業の雇用管理改善を図っていく上で有効に機能しているものと考えているところでございます。

三井委員 平成十九年の十一月ですから、これまで何回ぐらいこの会議は開かれたんですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 本会議の開催につきましては、年一回以上開催することを全国会議や文書等によりまして労働局へ指示しているところでございまして、その開催回数につきましては各県によって異なるところがございます。

三井委員 これは、冒頭に質問しましたように、機能していない。しかし、今局長は機能しているとおっしゃっているんですが、ここをやはり明確にしていかないと、実際に地方なりで労働局がおやりになっているのなら、その成果なりなんなりやはり逐次報告することが必要だと思いますけれども、ぜひそういう方向で進めていただきたいと思います。

 次に、大臣に決意をお聞きしたいんですが、水を治める者は国を治めると言われておりますけれども、特に、良質な水資源を供給し、国土の安全、環境対策の見地からも、森林・林業を守ることは大変重要であります。これすなわち日本の国家基盤を守ることだと思います。しかし、林業就業者は、平成七年に八万五千八百二十四人でありましたけれども、平成十七年には四万六千六百十八人と、十年前の六割の水準になっているということが報告されております。なかなかこの減少傾向に歯どめがかからないというのが実情でありまして、また高齢化も進んでいるという中で、平成十七年で六十歳以上の労働者が一万八千百七十七人、全体の三九%となっているのが実情であります。

 こうした森林・林業及び林業労働の抱える状況に対して今度どのように取り組まれるのか、とりわけ定着化対策に向けて大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 実は、私のライフワークの一つは、ボランティア活動について言うと林業なんですね。岐阜県を舞台に岐阜森林愛護隊というのをつくって、五百人ぐらい最盛期メンバーがいましたが、もう二十年以上やっていて、今は国会議員としての公務が忙しくて数年離れていますけれども、自分で枝打ちも下刈りも間伐も全部やりますし、いろいろな若い人の指導もしてきました。

 そういう中で、今、山林にみんなの目が注がれているというのは大変ありがたいことですけれども、まさに複合的な、山ほど問題がありますので、これはもう国民的課題として、国土をいかに守っていくか、水をどう守っていくか。

 そして、例えば杉の木一本切って売っても千円にしかなりません。人件費の方がはるかに高いです。それから、物すごい過酷な作業で、今、枝打ちのロボットなんかもありますけれども、なかなかやはり大変です。ですから、そういう意味で、都会と山林との交流というようなことも含めて、より多くの国民の皆さん方に参加していただく。

 そして、フルタイムでなくても、私のところのボランティア活動も最初は若い人が多かったんですけれども、高齢者、定年退職の方がだんだん入ってきていただいて、若者との交流ということもありますので、総合的な施策をやらないといけないので、各都道府県の知事さん、市町村長さん、そしてまた我々を含めて政治に携わる者が、これは国民的課題であるよということできっちりやる必要があると思います。

 住宅の確保は、山林に行けば、あいたうちが山ほどあります。ですから、ふもとの、都会から通ってこられるならそこに住宅が必要ですけれども、むしろ入り手がいないぐらいの状況なものですから、もうこの問題点はしゃべらせれば今から一時間でもしゃべれるぐらい頭に入っていますが、厚生労働大臣としても、今三井先生の御指摘を受けて、極めて大切な問題なので、これは政府全体として取り組めるように、農林水産大臣初め関係省庁とも協議を重ねながら取り組んでまいりたいと思っております。

三井委員 ありがとうございます。

 私も最近、特に林野の皆さんから話をお聞きしますと、確かに環境の整備とか、また大変な事故も多いんですね、年間五十人ぐらい亡くなっていらっしゃると。そういうことを考えたときに、やはり教育、あるいは、今大臣、大変林業にお詳しいということでございますので、ぜひこの辺、一時間ぐらいはおしゃべりになるということでございますけれども、時間があれば一度議論をさせていただきたいなと思います。その前に社会保障も大事でございますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 そこで、今回の、今も質問させていただきましたように、雇用情勢というのは大変厳しい状況にございますけれども、民主党初め野党提案の雇用対策関連法案が、私もずっと見させていただき議論に参加させてもらいましたけれども、本当にすばらしい、最善の策だと思っております。まさに自画自賛できる法案だと思っております。

 審議時間も残り少なくなってまいりましたので、求職者支援法案による求職者の能力開発給付について、確認、質問させていただきたいと思います。

 最初に、求職者等能力開発給付は、国が能力開発訓練を受ける者に対して行う給付であります。その内容は、能力開発手当であります。失業状態にある受給資格者が就職または新たな事業の開始の促進をするために必要な教育訓練として厚生労働大臣が指定する能力開発訓練を受ける場合に、その受けている期間中、日額五千円、扶養家族がいる場合は日額六千円、月にして最高十二万円程度を支給して受給資格者の能力開発を支援することにより、就職または新たな事業の開始を促進し、もって生活の安定を図ろうとするものであります。

 能力開発手当の支給期間は、原則として受給資格の認定を受けた日以降三年間、支給日数は七百三十日、すなわち二年が限度となっておりますが、派遣労働者などのうち雇用保険に入っていなかった人も即このスキームの対象に組み込まれるのかどうか、お伺いしたいと思います。

大島(敦)議員 御質問ありがとうございます。お答えいたします。

 本法案の対象者は、基本的に、雇用保険の受給者だった人と、非自発的な事由で廃業した自営業者、そして、以上二つの要件に準ずる者であります。したがって、本来、労働者として雇用保険に入るべきでありながら、一年以上の雇用の見込みがないという理由で雇用保険に入ることができなかった元派遣労働者等、非正規労働者も含みます。

 ただし、本法案において、能力開発手当が支給されるのは能力開発訓練を受講した日のみです。したがって、私どもの想定としては、失業後、当面の住まいと生活の基盤を一から立て直す必要があれば、まずは、民主党が提案している住まいと仕事の確保法案において対応し、その上でなお長期にわたる能力開発訓練を受ける意思があれば、本法案の対象になることとなります。

 以上です。

三井委員 次に、この能力開発手当の支給に当たり資産や所得は勘案しないのかどうか、お伺いしたいと思います。

大島(敦)議員 お答えいたします。

 いたしません。

 本法案は、主に、雇用保険の求職者給付が終了した失業者のうち、なお引き続き失業状態にある者を対象としています。

 雇用保険の受給に際して、受給者は、働いて得た収入については報告義務がありますが、遺産や不動産所得、株式配当などについては報告義務がありません。このため、本法案では、雇用保険の受給と同様、遺産や不動産所得、株式配当などについては報告義務を課さないことといたしました。

 また、本法案における手当は訓練を受講した日のみに支給されることから、訓練日以外のアルバイト等の一時所得については報告義務等を課さないことといたしました。

三井委員 そこでまた、この能力開発手当について、一般会計から出るとありますけれども、資産や所得を持っている人に支給することについて国民の理解が得られないのではないかという気がするんですけれども、また、資産や所得の上限を決めた方がよい、貸し付けにしてはどうかという意見もございますが、どう答えられますでしょうか。

大島(敦)議員 ありがとうございます。

 本法案において、受給を受けられる方は、ハローワークにおいてカウンセラーによる相談や助言、情報提供を受け、個別就業支援計画のもとで職業指導及び教育訓練を受け、かつ、就職に結びつける意欲が見込まれる方です。

 また、能力開発手当は訓練を受講した日のみに支給されるものであり、一日の拘束時間も六時間から八時間を想定しています。雇用保険の受給のように、働く意思だけあれば自動的に支給されるという趣旨のものではありません。雇用保険の給付の単純な延長ではないのです。

 提案者としては、毎月の認定に当たっては、能力開発訓練への八割ないし九割相当の出席率等も要件とすべきと考えており、訓練を怠けるなど、アルバイト等にいそしむ状態であれば、認定の際に、支給対象となるか否かについてチェックされることとなります。当然、不正受給等に対する罰則も設けられております。

 訓練の受講に当たって希望者が一番ちゅうちょするのは、訓練が終わった時点で借入金を抱えなければならないことではないでしょうか。さきに挙げたような手続を経てもなお能力開発訓練に従事するという意欲がある失業者であれば、資産や所得に着目する必要はない、貸し付けではなく支給でもよいというのが私どもの考え方であります。

 さらに、実務的にも、所得や収入をどのように判定するかという認定の問題が出てきます。たまたま親の遺産が入った、配偶者が働いている、親が年金を受給しているといった理由で、能力開発訓練の途中で手当の対象から外されるというのも合理的とは思えません。ただし、判定等に要する事務費用等が余計にかからず、端的に認定できる手だてがあるのであれば、謙虚に耳を傾けたいと思っています。

 提案者としては、こうした訓練をまじめに受講する失業者が、日本全体の景気が回復すると見込まれる数年先に真っ先に対応できる人材として育成されることを期待するものであります。

三井委員 能力開発手当の受給資格者がほかの類似の制度の受給資格を有した場合の取り扱いはどうなるんでしょうか。

大島(敦)議員 能力開発手当の支給を受けることができる方が、同一の事由により、他の法令や条例に基づく能力開発手当に相当する給付の支給を受けることができる場合については、能力開発手当は支給しないこととしています。

 ただし、他の類似の給付の額が能力開発手当の額に満たないときは、能力開発手当の額からその類似の給付の額を控除した残りの額を能力開発手当として支給することができることとしています。

三井委員 次に、ハローワークを実施主体としたのはなぜなのか、また、ハローワークにおけるカウンセラーによる相談や助言、情報提供等はなぜ必要なのか、お伺いしたいと思います。

大島(敦)議員 今回、ハローワーク、職業安定所、職安を実施主体としたのは、対象者の多くがそれまで雇用保険を受給していた失業者であり、月に一度、失業認定のため通っていたこと、また、各種手続がワンストップで可能なことが重要であると考えるからです。例えば、訓練先の紹介等に当たり、地方公共団体の職員や能力開発訓練先の担当者がハローワークに常駐していることを妨げるものではありません。

 本法案の成否は職業相談の成否にかかっていると言っても過言ではありません。ハローワークにおいてカウンセラーによる相談や助言、情報提供を受け、個別就業支援計画のもとで職業指導及び教育訓練を受け、かつ、就職に結びつけるという一連の流れをワンストップサービスで実施することが重要であると考えます。マンツーマンで、職業相談の支援体制を整え、できれば雇用保険の受給期間中から、就職に向けて何が必要か、どのような職業訓練をすれば目標とする就職に近づくのか、そうしたきめ細かい個別の相談体制を整備する必要があり、そのためのカウンセラーによる相談や助言、情報提供等を想定しています。

三井委員 時間が余りございませんので、あと一問だけ質問させてください。

 能力開発訓練としてふさわしいか否かについてだれが判断するのか、お伺いしたいと思います。

大島(敦)議員 政省令の制定とあわせ、審議会での迅速な審議が必要と考えます。

 法施行時において、私どもが想定する対象者数である二十万人分の訓練先が確保されているとは考えておらず、昨今の雇用失業情勢を考えれば、官民の力を合わせて能力開発訓練先を確保しなければなりません。

 審議会のメンバーは、公労使に加え、農林水産業や学校関係者等、訓練先等も想定した、多様な人材による協議が必要と考えます。また、厚生労働省にとどまらず、省庁の枠を超えた英知の結集も期待したいと思います。

三井委員 ありがとうございます。

 もう一問だけ質問させてください。

 例えば看護師の国家資格を取るにはかなりの費用がかかりますけれども、これについても二事業からすべて拠出するのでしょうか。

大島(敦)議員 特に医療や介護の分野においては雇用のミスマッチが生じていますが、二事業は事業主の拠出によって成り立つものです。看護師のように国家資格の取得が不可欠である職種に対し、他の職種と比べて手厚い訓練費用の拠出が許容されるかどうかについては、政省令の制定過程において、審議会での議論が必要と考えます。

 提案者としては、日々に必要な学費に相当するものについては二事業から拠出すべきと考えます。これ以上の費用、また支出限度日数を超えてかかる費用については、他の職種とのバランスを勘案しながら、融資制度も創設すべきと考えます。

三井委員 時間もございませんので、最後に、大臣、実は私も、昭和四十九年に大変な病気をしまして、失業保険をいただきました。そのときは、まさに今雇いどめですとかあるいは解雇とかありますが、私も製薬会社で結構猛烈な社員でありましたから、働いて、そのときに、三カ月で、給料は来月から支払いできませんと。当時は給料袋ですから、大変ありがたく、病室に支店長に持ってきていただいたんですが、その当時は、給料袋の中から多少、かみさんに渡さないで、そこから抜いたんですが、給料明細書が入っていたのをすっかり忘れていまして、今でいえば政治献金していたと言えるんでしょうけれども、それで大変しかられたこともございました。

 そこで、今、きょうこれまで議論になっていますように、やはり雇用保険あるいは求職者の支援というのは、私のその当時とは制度は違いますけれども、子供が七歳と五歳でしたから、ここで切られたらどうやって生活してこの子供たちを食べさせていくんだと大変悩んだ経験がありました。一日も早く病院から退院させていただいて社会復帰を図りたいな、そういうことがありましたけれども、これから、政治的な責任の中で、私が経験したようなことにならないような、生活の安定とか雇用の安定とか、しっかりとしたセーフティーネットをしいていかれることをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

西川(京)委員長代理 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川です。

 閣法として雇用保険法の改正案、そして、民主党、社民党、あるいは国民新党からの三本の法律案、大分審議もいたしまして、いよいよもう終盤を迎えております。大体議論は出尽くしたかというふうにも思いますので、確認的なところから御質問をいたしたいというふうに思っております。

 これは三月十四日の朝日新聞でありますけれども、政府・与党は、緊急人材・就職支援基金をつくって、ハローワークを中心に月十万から十二万程度を支給する仕組みを検討、四月にも打ち出す予定の〇九年度補正予算案に必要な予算を計上し、年内にも実施に移す、こういう新聞の記事でございます。

 私たちは、今、大島議員が筆頭者として答弁をしておりましたように、求職者支援法という法案を提案いたしておりまして、その求職者支援法の内容とほとんど類似をしている、似ている、こういう提案を政府もされようといたしておられます。

 そこで、お聞きをいたしますけれども、この構想というものは一体具体的にはどういうものであるのか、そして、これは予算措置で行うのか、あるいはまた新しい法律をつくって行うのか、これらについて御説明をいただきたいと思います。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 今委員が御指摘の新聞記事は私も読みましたけれども、今与党の中で具体的にどういう検討がなされているのかというのは、私はまだ聞いておりません。そして、その具体策が決まったということもまだ聞いておりませんので、そういう問題意識を持って与党の中で検討されているということは聞いておりますので、具体策がつまびらかになった段階でまたこれは考えたいというふうに思っていますが、こういうアイデアについては、三月三日の労使の皆さんの共同提言もありますし、各党からも出ておりますので、真剣に検討してまいりたいというふうに思っております。

細川委員 今大臣が答えられたのは与党の方のお話でありますけれども、新聞記事によりますと、「政府・与党」、こういう形で、政府の方もきちっと検討をしているということでの記事になっているんですけれども、政府の方は検討していないんですか。

舛添国務大臣 厚生労働大臣は私ですから、私は関与していませんから、これは「政府・与党」ではなくて、与党はというふうに記事を正確に書かれた方がよろしいんじゃないかというふうに思います。

細川委員 今までの議論の中で、大臣の方からは、今後これについてやっていくというような、そういう話じゃなかったんですか。政府の方はこれからやっていくというふうに答えておられたということでの私の認識なんですけれども。

舛添国務大臣 ここにその新聞記事のコピーがありますが、「政府・与党は「緊急人材育成・就職支援基金」(仮称)を作り、ハローワークを中心に月十万〜十二万円程度を支給する仕組みを検討。」と、「政府・与党」と書いていますが、与党は与党でおやりになっているというのは聞いていますが、我々は、与党を含めて各党の御提案、労使の御提案、こういうものを真剣に検討するということを言っているので、今政府・与党は一緒になってこういう検討作業を進めているということではありませんので、これはあくまで与党の皆さん方が検討しているというのが今の状況であります。

 ただ、だから知らぬと言っているのではなくて、記事は正確に書いてもらいたいということを申し上げているので、真剣に検討してやりますということは何度も申し上げているわけですが、この記事を御引用なさいましたから、そういう意味で、「政府・与党」と、政府・与党が全部一緒になってという感じに書いているので、それは違いますよという事実の確認を申し上げただけでございます。

細川委員 私はただこの新聞を引用しただけであって、政府の方が検討しておるかどうかということが質問の本来の趣旨であります。

 では、政府はされているんですか、されていないんですか。されているとしたら、具体的にどのようなことを検討されているかをお話しください。

舛添国務大臣 議院内閣制でもありますし、そしてまたこの厚生労働委員会でも今議論が進んでおりますので、そういう皆さん方の御議論もきちんと念頭に置いた上で、そして、どういう形でやるかということはまだ、細かい具体策は今つまびらかにできるだけのものは持っておりませんけれども、さまざまな提案、先ほど申し上げました労使の提案もあります、そういうものを参考に、真剣にこれはどうするかということを考えておるという状況でございます。

細川委員 慎重に、真剣に考えておられるということは承りました。

 そこで、私たちの求職者支援法、これは、先ほど大島委員が答えられておりましたけれども、失業して失業保険をもらって求職活動していてもしかし仕事が見つからない、こういう人が期間が切れても、生活費も含めて就職のための職業訓練などをさせてあげる、そういう制度でありますし、それから、自営業者が倒産とかそういうのをした場合にも、これまたそういう人たちのために生活支援もしながら職業訓練を受けて求職活動をしていただく、こういうような内容でもございます。具体的な金額なども決めて提案をしているわけなんです。

 そういう内容のようなことを今真剣に検討されておるというふうに考えていいですか。

舛添国務大臣 民主党の皆さん方が法案を出されて、今言った求職者を支援する、こういう方向については、それは大変結構だというように思います。

 ただ、いつも申し上げていますように、社会保障制度全体について言えるんですけれども、これの拡充をする、深化、深めることをやるというときに、どうしても二つの課題に突き当たってしまう。

 一つはモラルハザードとの闘いをどうするか、もう一つは財源をどうするかということでありますから、こういう面について、例えば、先ほどちょっと大島さんもそういう議論をしていたと思いますけれども、資産とか所得の状況の把握との絡みでモラルハザードが起こらないようにする仕組み。それから、私も申し上げたように、出席率八割とか九割とか、これはまじめにやってもらわなきゃだめですよ、そういうことのチェック機能がきちんと働くか。それから、恒久的なものにしたときに恒久的な財源が必要なわけですから、これをどこから持ってくるのか。それは雇用保険の二事業で基本的にカバーできないところについて、しかもそれは生活保護に行かない中間段階についてということですから、一般財源というようなことを考えたときに、ではこの財源をどこに求めるのかということの議論もやらないといけないので、そういうことを勘案しながらどうすればいいかということを考えていますので、皆さん方がお出しくださったいろいろな提案、これは十分に参考に値すると思っております。

細川委員 雇用保険法の改正案だけでは労働者の人たちが失業したときなど救えないようなことがあり、生活保護のところまで落ちていく、そういうところをきちっと救わなきゃいかぬということで、雇用保険と生活保護の間に第二のセーフティーネットを張っていく、こういうことについては、この委員会の中での議論では大体皆さん合意が得られているのではないかというふうにも思います。そういう意味では、これまでこの委員会で検討、審議をされましたその結果をぜひ今度の政府の方針に反映させていただきたいと心から願っております。もう一度、この点について確認をお願いします。

舛添国務大臣 セーフティーネットを二重にも三重にも張りめぐらさないといけない、そしてセーフティーネットからこぼれ落ちる人があってはいけない、こういう認識については共通しておりますので、今後の雇用政策を含め、そういうセーフティーネットを張りめぐらす作業において、このことはこの委員会も含めてのみんなの共通認識であるという前提に立って施策を展開してまいりたいと思います。

細川委員 それでは次に、施行日のことについて質問をさせていただきます。

 政府案は施行日が四月一日というふうになっております。私どもの法案については十二月までさかのぼるというようなことにもなっているんですけれども、施行日を四月一日にしたこと、これについて、理由はどういう理由だったか、確認のためにお願いします。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 急速に悪化しつつある雇用失業情勢のもとで雇用保険制度のセーフティーネット機能の強化を迅速に図っていくことがまず第一に必要であると考えているところでございます。ただ、一方で、円滑に改正後のセーフティーネットを機能させていくためには、ハローワークを中心としました事務処理体制を整えることでございますとか、あるいは、事業主、労働者に周知することが必要でございまして、本来的にはやはり一定の準備期間も勘案しなければならないところでございます。このため、今回は、急速に悪化している雇用情勢を踏まえて、混乱の防止に努力しつつ、できるだけ早く支援の拡大ができるよう、施行時期を最大限早めて四月一日施行としたものでございます。

細川委員 今現在の経済状況、このもとで大変な失業者が続出をしている、これは本当に深刻な事態となっております。そうしますと、事務的なことから四月一日施行、こういうことではこれまで大変な不況の中で解雇や雇いどめになった人たちを救うことができない。そういう意味では私たちの法案の方がよりいいんではないかというふうに私たちは思っておりますけれども、しかし、事務的なことなどを考えて四月一日、こういうことにしたのならば、それを少しでもさかのぼらせて、とりわけ今年度の末、ここに雇いどめなんかで大変な失業者が出るだろう、これはどの人たちも言っている、どの政党の方も言われている、そういう人をきちっと救うということでさかのぼらす、それは事務的にできないのかどうか、これについて聞きます。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げたとおり、一定の準備期間は必要ではございますけれども、年度末、例えば三月三十一日の離職について調べてみますと、平成十九年度の雇用保険記録を用いた推計によりますと、年間の離職件数の一二%というのがこの一日で出てきているということがございますので、三月三十一日に離職する者から措置の対象とするということにいたしますと、カバーされる範囲が相当数拡大するものと考えております。

 実際にそれが可能かどうかということでございますけれども、現実的な対応の可否について、システム面での対応を早急に準備し直すなどの必要がございますので、仮にそれより前の法律の成立を前提として、一定の準備期間をいただければ何とか対応を間に合わせることはできるのではないかというふうに考えているところでございます。

細川委員 三十一日ならば何とか無理してでも対応できる、こういうことならば、それはそれで、当然たくさんの方々が失業される可能性があるわけですから、その方たちを救うという意味で、これはさかのぼらせていただくように修正をする、こういうことで合意になっているところでありますから、よろしくお願いいたします。

 それから次に、政府の方は、今回の雇用保険法の改正に伴って、二十時間以上四十時間未満の短時間労働者の適用基準を、一年以上の雇用見込み、現在そういうふうになっているんですが、これを六カ月に短縮する、こういうこととしております。一方、私たちは、三十一日以上の見込みでないとすべての労働者にセーフティーネットの網をかけることができない、そういう提案をいたしておるところでございます。この点についてはいろいろこの委員会の中で審議されまして、いろいろ論点にもなっているところでございます。

 そこで、お聞きをいたしますけれども、先週の金曜日の委員会で、渡辺副大臣はこのように答弁になっております。仮に雇用保険の適用基準を三十日以上雇用見込みとした場合に、一時的、臨時的に雇用される者までも適用されることとなりまして、保険料だけ負担をして給付が受けられない、そのようなケースが多数発生する可能性もあり、問題を含んでいるもの、そのように考えているというふうな答弁をされております。

 私、この答弁は保険の何たるかを全く御理解されていない、そういうような議論だというふうに思っております。

 まず、現在でも、週の労働時間が四十時間以上の労働者については仮に雇用見込みが三カ月であろうと雇用保険に加入している。その場合、就職をして十一カ月後に自己都合で離職した場合、あるいは五カ月後に会社都合で退職を余儀なくされるというような場合には、保険料だけ負担をして給付が受けられないということになるわけなんです。そうすると、このことは問題にならないか、こういうことになるわけでしょう。

 また、元来、保険というものは共助の制度でありますから、負担しても給付を受けられない、そういうことは当然出てくるわけでありまして、例えば、終身雇用で、定年まで同じ会社に勤めて円満退職した人が、負担ばかりして損をした、こういうことにはならないはずなんですね。

 したがって、先ほどの副大臣のこの発言というのは、私は、保険の趣旨を理解していない発言じゃないかというふうに強く思うところでございます。

 こうした保険の趣旨からいたしまして、負担があるのに給付がされないのは問題だというのは、こういう議論は余り成り立たないんじゃないかと私は思いますけれども、副大臣、どうですか。

渡辺副大臣 雇用保険の適用基準でございますけれども、週所定の労働時間が、通常の労働者、いわゆる正社員よりも短い場合においても、先ほど委員もお話がございましたけれども、週所定労働時間が二十時間以上であり、かつ一年以上の雇用見込みがあることとなっておりますけれども、その所定の労働時間が週四十時間であるなど通常の労働者と同じ場合においては、雇用見込みを問わずに適用する、そのようになっておるわけでございます。

 このような雇用保険の適用基準を設けているのは、雇用保険制度が、御存じのとおり、みずからの労働により賃金を得て生計を立てている労働者について、失業時に必要な給付を行うことにより、生活の安定を図りつつ求職活動を支援するための制度であるということに基づいているものであります。

 つまり、長期勤続を前提として雇用される通常の労働者でなくても、委員がおっしゃるように、それと同様の働き方をしている場合には、通常は、常時働いて、みずからの労働により賃金を得て生計を立てている労働者に該当する場合が多いと考えられるためであります。

 その一方で、問題になるのは、週所定労働時間が短く、かつ雇用見込みが短期の方については、学生アルバイトや主婦のパートの方なども相当含まれているものでありまして、みずからの労働により賃金を得て生計を立てている労働者に該当しない方も多いことから、さらにもう一つの観点では、給付と負担のバランスも一定の配慮をする必要があるということで、適用対象に加えることは慎重に検討すべきである、そのように考えておりまして、そのような答弁をしたわけでございます。

細川委員 アルバイトとか主婦の方が、生計を支えるのではなくて、生活の補助的な収入を得るために働く場合には雇用保険は適用されないと。それは、週の労働時間が二十時間以下は全然適用されないわけでしょう。副大臣が言われる、アルバイトとか主婦で、生計を支えるようでないような人たちは大体二十時間以下なんじゃないですか。

 だから、二十時間以上四十時間以内の人たちについては、これは生計を支えている人たちが多いというふうに考えて、当然そこも雇用保険に入って、安心して働けるようにしてあげることが当然ではないですか。

渡辺副大臣 今回の改正でも、雇用保険の適用範囲を拡大するということでやっているわけでございますけれども、委員がお話しになったような条件で、アルバイトとかそういうものに該当しない者で、まさにみずからの労働により賃金を得て生計を立てている労働者については適用範囲を拡大しようという試みをしているわけでございます。

 先ほどもお話をしましたけれども、それでも雇用保険の対象に該当しない者も含まれてきてしまうというおそれがあるので、給付と負担のバランスということもしっかり考えながら、適用範囲を考慮しているところでございます。

 また、当然ながら、保険集団としての構成員である労使の意見も踏まえた形で対応をするということでございます。

細川委員 全然答えになっていないのではないか。三十一日以上の場合にこれを適用していくということになると、一時的、臨時的に雇用される者まで適用されることになりまして、それはよくないと。これはおかしいじゃないですか。私は、副大臣のせんだっての答弁というのは許されないんじゃないか、逆に、反省していただきたいというふうに思っております。

 働いている人たちというのは、それによって収入を得て、家族を養っているわけなんですよね。そうすると、いつ解雇されるかというのは本当に不安なんですよ。解雇されたら何の保障もなくなるわけですから。そこで、働いている人たちは雇用保険に入る。入って、しかし短期間でやめたらそれはもらえない。しかし半年間仕事をすれば受給資格が得られる。そこでモラルハザードもきちっと解決をして、私たちの法案については、その点についてはきちっとやっているというふうに思っております。

 そういう、働く人たちが安心して働けるというセーフティーネットをしっかり張っていくということは、これは働いている人たちにとって非常に大事なことであって、そこはぜひ政府の要職にあられる方は御理解をしていただきたいというふうに思います。何かありますか。

渡辺副大臣 委員のおっしゃるように、働いている方々の生計を安定させる、そういうセーフティーネットを広げることに関しましては、厚生労働省としてもしっかり対応していきたいと考えております。

 先ほどお話がありました六カ月未満の場合でございますけれども、そういう中には、アルバイトとかそういう方々以外に、一時的、臨時的な労働者の中にはたまたま特定の期間に週二十時間以上働くような方もあるということで、こういう場合にはなかなか雇用保険の適用になじまないこともあるということでお話をさせていただいたわけであります。

 そういう意味では、今回の政府の方の適用基準の拡大に関しましては、労働者そして使用者の両方の御意見もいただきながら適切に拡大の方向を図ったということでありまして、労働政策審議会においても労使の意見も踏まえてこのような形になったものでありまして、労働者側の御意見も十分考えて適用範囲を決めていったというのが実情でございます。

細川委員 その答弁については、大変私どもは不満でございます。

 もう時間が終わりましたが、私は、三十一日以上にすると事務が煩雑だから、だからしない、そういう理由からこれをやらないというふうに厚生労働省の方は考えて、我々の主張に対して頑固に反対したんじゃないかと思いますよ。あれはとんでもないと思っています。

 やはり今大事なことは、働く人たちが安心して働けるということが大事なんですよ。だから、この適用基準についてはぜひ今後検討していただいて、ぜひ安心して働けるようにお願いをしたいというふうに思います。

 大臣、この点、ぜひ積極的に前向きにお願いしたいと思います。

田村委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

舛添国務大臣 労使の間の御議論も、バランスとして六カ月かなという答えが出ております。これを三月にするのか四月にするのか。これは、全体の給付と負担のバランス、それから、私は、やはり常用雇用が普通であるべきであって、三カ月とか二月とか、ましていわんや日雇いという形はできればない方がいいと思っていますから、それを常用雇用に持っていく方向のインセンティブも必要だと思いますので、そういうことの総合的な判断の中で、この委員会の総意をきちんと念頭に置きながら、施策を展開したいと思っております。

細川委員 終わります。ありがとうございました。

田村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、新規学卒者の就職内定問題について伺いたいと思います。

 高校生は、既に卒業式を終えました。間もなく四月が来るにもかかわらず、企業の採用内定取り消しや、あるいは現在の雇用失業情勢の急激な悪化の波に巻き込まれ、この春まだ仕事を見つけられていない学生、高校生はどのくらいに上るでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年三月の大学卒業予定者の二月一日現在の就職内定率が八六・三%でございまして、前年同期を二・四ポイント下回って、五年ぶりの低下でございます。

 同じく、高校卒業予定者につきましての一月末現在の就職内定率が八七・五%でございまして、これも前年同期を一・九ポイント下回って、六年ぶりの低下でございます。

 ことし三月の新卒者の就職内定率につきましては、学卒求人の伸び悩み等から、昨年十一月末現在の調査以降、前年を下回る状況が続いているところでございまして、景気後退に伴います雇用情勢の悪化が新規学卒者の就職内定状況に与える影響は、就職できないで卒業する方もかなり出てくるのではないかということで懸念しておりますし、十分な注視が必要と考えているところでございます。

高橋委員 通告したのは、どのくらいですかということであります。

 厚労省が発表した今の数字ですね、就職内定率。これは、就職希望者から内定者を引きますと、大学と高校合わせて十一万七千百人、私の計算ですとそうなります。そのくらいですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の就職内定の状況によっても変わりますが、一定の数値を置いて試算いたしますと、大学生の場合が約四万二千人ぐらい、高校卒業者の場合が八千三百人ぐらいではないかというふうな試算をしているところでございます。

高橋委員 そうすると、今私が述べた数字は、三月十三日の厚労省が発表したデータに基づいて述べておりますので、当然、その後の改善があるだろう。それにしても、五万人という方たちが、学生、新卒者がこの春仕事を見つけられていないのだということからまずスタートしたいと思うんですね。それを本当にどう手当てをしていくかということを考えなければならない。

 文科省に伺いますが、次年度の新卒採用を目指して大学に残る学生がどのくらいで、その際、当然授業料免除などがあってしかるべきと思いますが、どのようになるでしょうか。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、一たん、一月五日現在ということで就職内定取り消しの状況についての調査を行いまして、その後、そのフォローアップといたしまして、三月一日現在の就職内定の取り消し状況についての調査を今しておるところでございます。

 そういったことでございまして、全体の数につきましては、今現在どの程度になるかということについてはいまだ把握はしておらないということではございます。

 ただ、私どもの調査の観点といいますのは、内定取り消しの方の数がどうかということだけではなく、むしろ、そういう支援を必要とする学生がどういうふうになっているのかということで、具体的に大学がどのように取り組んでいるのか、そういったようなことについても調査をいたしておりまして、今、一部集計中でございますけれども、そういった中では、各大学におきまして、例えば就職内定取り消しに伴いまして留年等をする、あるいは卒業延期をする、そういった方々に、授業料減免あるいは相当授業料を割り引くといったような措置をとっている大学もあるといったような実情については一部把握をしておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、例えば私立大学におきまして、そういう内定取り消しに伴いまして留年あるいは卒業延期という学生さんがいらした場合に私立大学がそういう経済的な支援を行うといった場合におきましては、私立大学の経常費助成といった中におきまして、私立大学が行った授業料減免等に対しまして一部助成を行う、そういったような措置も今とっているというところでございます。

高橋委員 一月五日現在の文科省の調査だけでも、内定取り消しを受けた学生のうち留年する予定の者が三十三人でしたね。ですから、これは非常に限定的な調査でございますので、実際は、おっしゃるように、取り消しではなく、先ほど郡委員の指摘もあったように、取り消しにまでは至らないけれども実際は待機よとか、さまざまな形で実質仕事に至らない、あるいはもともと仕事が見つからない人たちを考えると、もっとけたが大きくなるのであろうということは当然予想されるわけなんです。

 そのときに、今おっしゃったように、私立大学が個々に授業料免除をやっている、卒業延期などもやっています。それで、そこに行って、補助しますよ、二分の一補助ですね、五億円増額をいたしました。それはいいんですけれども、当然やるべきなんですけれども、もっと主体的に文科省がどうするのかということが大事なんだと思うんです。

 昨年度の授業料減免の実績が、国立大学八十五万人、私立大学は二万三千人。今年度は、経済状況の悪化によってさらにふえているのは容易に想像できるわけです。増額とはいえ、まだ二分の一補助である。まして、国立大学は運営費交付金において減免予定があるというのを一定考慮するというだけでありますから、実際は、大学は、学生の状況を考えれば減免は必要だと当然わかっている、でも、それは大学の自腹を切る、そういうことになるわけですね。そこでもう悲鳴が上がっているわけです。

 文科省の二月二十五日付、高等教育局長通知では、制度があることを周知徹底せよとあるのみであります。これは、周知徹底せよではなくて、減免を大いに活用しましょう、そのための財政支援は考慮する、そういう立場に立つべきではありませんか。

戸谷政府参考人 先生に御指摘いただきました今ある財政的な措置につきましては、二十年度の予算あるいは二十一年度の予算案に今計上しているところにおいてはそういったことになっているということでございますけれども、当然、先ほど申し上げましたように、ともかく、三月一日現在で本当にどういうふうになっているのかといったような実情を見て、そういった中で、文部科学省として何をどこまでできるのかということについてさらに具体的に検討していきたいというふうに考えております。

高橋委員 その後の調査も踏まえて、必要であれば拡充をして、主体的に取り組んでいただきたいということを重ねて要望したいと思います。

 厚労省に戻りますけれども、新規学卒者も三月までは各自の大学や高校で進路相談を受けておりましたが、今後はハローワークに一般の求職者と一緒に並ばなければならないわけです。もともと、一月には一般用求人に高校生が応募してもいいよというふうにサイクルというものはあったわけですけれども、今は、ハローワーク自体がもう大変な混雑であるわけです。就職も就職活動も経験がない新規学卒者にとって大変つらい体験だと思いますけれども、新卒者向け就職相談体制がどのようになっているのか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 就職が決まらないまま卒業した新規学卒者につきましては、一般のハローワークとは違う形での特別な支援をさせていただきたいと思っております。

 具体的には、例えば未就職のまま高校を卒業した生徒に対しましては、これはハローワークにおきまして高卒者専門の職員等が支援を行うということ、また、未就職のまま大学等を卒業しました学生に対しましては、学生職業センター等において支援をさせていただくということでございます。

 さらに、具体的には、例えば就職面接会の開催、あるいは求人情報の提供、あるいは職業相談等、個別の就職支援の実施等々特別の対策を実施しているところでございまして、こうした取り組みを行いまして、一人でも多くの未就職卒業者が速やかに就職できるように、これは学校とも連携する中で十分な支援を行ってまいりたいということでございます。

高橋委員 大臣に一言伺いたいと思うんです。

 先般の委員会で、採用内定取り消しの学生などに対しては特別相談窓口を設けてやるのだというお話がありました。私は、四月になれば、内定取り消しだけではなく、五万人とも言われる新卒者が仕事を求めなければならないのだということを今問題にしているわけですが、就職相談員のようなことをやるのだという答弁でございました。

 実際には、大阪、愛知、静岡、宮城、京都、姫路などの、例えばジョブステーションや若者サポートステーション、こういったところに事務所から聞き取りをしてみました。そうすると、特に新卒者向けの窓口をつくっているわけではない、若年者向け正規雇用化特別奨励金の活用を呼びかけて、活用している企業に就職をあっせんするのが中心である、これが学生職業相談室の答えであります。

 その中で出ているのは、例えば、会社から、採用はするけれども仕事がないから待機してもらう、それでもよければと本人に連絡があり、本人が、それでは先が見えないから別のところを探したいと相談に訪れた、こういう企業が奨励金を使ってくれないので歯がゆい。あるいは、この時期は新卒者向けの新規求人も来ない、新卒者向け求人も少なくなり、内定取り消しを受けた学生に対してはハローワークの一般求人で探してもらわざるを得ず気の毒である。あるいは、就職がなかなか決まらず、本人が挫折してしまい、就職活動そのものをしなくなってしまったために、心配した親が相談に来る、そういう事例があると。

 ですから、例えば今回、雇用調整助成金を新卒者向けにとの案もありますけれども、初めての仕事が待機では、やはりそれは、次善の策とはいえども、今紹介したように、挫折する、希望を失ってしまう、就職活動をやる意欲を失ってしまう、そういうこともあるわけですよ。ですから、なるべくそれはしない方がいい。やはり特別な開拓が必要なんだと思うんです。新しい人を入れていくということが必ず企業の将来にとってもつながるものだという立場で、やはり特別な体制をとるべきだということを重ねて提案したいんですが、一言お願いします。

舛添国務大臣 高卒の方、大卒の方専門の窓口へ人を手当てするということは既にやっております。

 ただ、中小企業を含めて経営者の方で誤解があったりするのでこれは周知徹底させたいんですけれども、今のようなケースで、人をとりたい、しかし待機してくれというようなことがあれば、そうじゃなくて、とって採用してください、雇用調整助成金を使って。どっちにしても新卒者というのはきょうからすぐ働けるわけじゃなくて、どこの企業も半年ぐらいは訓練しないと普通だめです。だから、それを雇調金を使ってやってくださいと。この仕組みもやはり活用していただきたいと思っています。

高橋委員 それが、本当に実践に結びつく訓練であればいいですよね。これは後でお話ししますけれども、雇調金の訓練というのが、従来の訓練でなければいいのだということで、かなり幅広くとっておりますので、事実上待機に近いものであればやはり見直すべきではないか。繰り返しますけれども、そういう観点の開拓ということはやはり特別に取り組んでいただきたいと重ねて述べたいと思います。

 時間が限られておりますので、二つ重ねて質問をいたします。

 失業の長期化ということが非常に懸念をされるわけですけれども、今、完全失業率が四・一%、若干改善したという声も聞かれるわけですが、御存じのように、少しでも仕事やアルバイトなどをしていたりすると完全失業者からも除かれているわけで、実際失業状態にあるというのはどのくらいいるのかというのが一つです。

 それから、今回の法改正では、再就職が困難な地域や離職者に対して最大六十日の延長を設けている。その理由として、給付が切れた後二カ月で再就職している人が多いと答えてきました。この二カ月の根拠を伺いたい。

太田政府参考人 まず一点目の失業者でございますけれども、総務省の労働力調査によりますと、平成二十一年一月の完全失業者数、これは原数値でございますけれども、二百七十七万人ということでございます。

 二点目でございますけれども、雇用保険受給資格の決定者でありまして支給終了後に就職した者のうち二カ月以内に就職した者の割合が五割ということでございます。これは、平成十六年度の受給資格決定者のうち支給終了後に就職した者の就職時期につきまして、平成十九年三月末の時点でその状況を特別に調査したものでございます。

高橋委員 最初の答弁、ちょっとおかしくないですか。完全失業者の数ではなくて、失業状態にある者と。

 労働力調査でいけば倍近くなるんじゃないですか。

太田政府参考人 これは、完全失業者数ということで申し上げたわけでございまして、労働力調査の完全失業者数ということでは二百七十七万人でございます。

高橋委員 なぜ答弁を避けるのですか。

 最初から通告しています。完全失業者で聞いたのではありません。

田村委員長 質問の趣旨、わかりますか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの聞いている通告としましては、現在失業者数が何人いるのかということでお聞きしておりますので、総務省の労働力調査の完全失業者数二百七十七万人をお答えしたものでございます。

高橋委員 委員長、これは要望にしたいと思います。この問題は非常に重大です。

 失業者が一体どのくらいあるのか。完全失業者というのはどういうものかというのは最初に私述べたじゃないですか。しかも、通告しています。どれだけ失業の状態にあるかということをきちんとまず認めることによって、その対策がとられるわけですよ。八百万人、九百万人という数字もありますよね。

 大臣、どうですか。

舛添国務大臣 何をもって失業状態と言うのか、統計学的に何を基準とするのか、そういう難しい問題があるから完全失業率という数字が出ているのだと思いますから、これは、さらに具体的なことをもっと検討しないと、即答はできないと思います。

高橋委員 あえてきょう総務省を呼ばなかったのは、そこで時間をとりたくなかったからなんです。こんなことで時間をとるとは夢にも思っていませんでした。理事会で諮っていただきたいと思います。

田村委員長 理事会で協議をいたします。

高橋委員 その上で、ちょっとその分、今の時間を考慮していただきたいと思うんですが、二つ目の答えなんですね。二カ月の根拠を聞きたいと述べたときにお答えになった資料が三。皆さんのところにつけてございます。

 平成十六年度の受給資格決定者のうち支給終了後に就職した者の就職時期、これは平成十九年三月末時点の状況を見たものであると。そうすると、就職者のうち七二%が六カ月以内に就職している。二カ月以内というのは四九・五%、過半に足らないということで、一年以上でさえも一二・八%もいるんですね。

 ところが、これは、下に書いてあるように、未就職者は八三万人、四二%となっているんです。ですから、もともと就職していない人をはじいて、就職した人の中で計算をするとこのくらいだという計算なんですよ。そうすると、実際にどうかというと、二八・一%、二カ月以内で就職に結びついた人は三割にも満たない。これを認めますか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今のような計算をいたしますと、そのとおりだと思いますが、この未就職者の中には、もう仕事を探さないで、労働市場から退出されたという方も含まれているというふうには考えております。

高橋委員 ちょっと待ってくださいよ。八十三万人、四二%。それはいますよ、労働市場から退出された人。だけれども、それがほとんどみんななわけではないわけですよ。そういうのを、ちゃんとしたデータも示さずに、これで了解してくださいと。大臣、何度も答弁していますよ、失業給付が切れた後大体二カ月で再就職していますからと。こんな話がありますか。

 これも、昨年十一月二十六日の労政審の雇用保険部会で、この資料が配付をされて、支給終了後六カ月以内で大体七割程度が再就職しております、こう説明をしているんですよ。でも、実態はこうじゃないですか。だったら、もっと失業が長引いているんだということをちゃんと認めて、まして、ことしは就職難である、もっと悪化をする、こういう立場に立つべきではありませんか。

 大臣に伺います。

舛添国務大臣 統計の問題は、それは御指摘の点もあると思いますけれども、一日も早く就職してもらう、再就職してもらう、これが最大の眼目ですから、そのためのインセンティブをふやす、そうならないための、それを阻止するような障害要因があればこれは排除するということですから、そういう全体のバランスを考えて、六十日の延長というのはちょうどバランスのとれた数字だと思っております。

高橋委員 六十日がいいか悪いかを議論する以前の問題だと思うんです。つまり、失業の長期化が現実にあるということ。このデータだけで見ても、一年を超えている人が一二・八%、だけれども、実際には未就職四割もいるんだ、そういうことが十九年三月の時点ですので、今はもっと深刻じゃないか、そのために必要な対策はどうなのか。あるいは、一カ月のうちに一定仕事はしているけれども、ほとんど求職活動、求職、働くつもりがある人たち、求職、失業状態にある人たちはもっといるんじゃないか、やはりそういう視点に立って思い切った手当てをしなければならないと思うんです。

 きょうは、時間がなくて、雇調金の話ができませんでしたけれども、八十八万人の雇用の維持ができたと言います。でも、それは、ある意味、離職者予備軍でもあるわけなんですね。一年や三年の給付期間を過ぎて、それが本当に雇用の維持、企業が盛り返して、雇用の維持になったかどうかの調査がないわけなんですよね。そういう中では、失業予備軍でもあるのだという点では、やはり、短期就労を繰り返すような今の緊急雇用対策ではなく、思い切った、公的就労も含めた対策が必要であろうということを提案して、終わりたいと思います。

 以上です。

田村委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日、私は、冒頭に、きょう午前十時に広島地裁で原爆症の認定をめぐって起こされております訴訟の地裁判決が出ましたことについて大臣にお伺いしたいと思います。これは通告外ですが、きょう判決が出たということもあって、大臣にお伺いいたします。

 大臣も私もずっとこの部屋におりましたので、まだ担当部署からの御報告を受けておらないかもしれませんが、いかがでしょうか、もし御存じなければ担当部署に概略を私が求め、説明を短時間でしてもらいますが、その方がよろしゅうございますか。

舛添国務大臣 私もこの委員会におりましたので、たしか十時に判決があるというのは聞いていますけれども、詳細はつまびらかになっておりません。

 それで、担当、来ていますか。来ていれば、説明が可能なら説明してもらいたいと思います。

上田政府参考人 まだ私ども十分に精査をしておりませんが、本日の判決は、一部国の主張が認められましたけれども、一部認められなかったということと考えております。

 今後の対応につきましても、判決を詳細に検討した上、関係省庁と協議した上で決定したいと考えております。

阿部(知)委員 そんな、木で鼻をくくったようなことは説明にもならないのです。時間を返してほしい。当たり前ですよ。訴訟をしていて、一部認められ、一部認められないと。

 ただ、この間ずっとこうやって、認定されない患者さんたちが、平成十五年から集団訴訟という形で、十七の地裁になりますでしょうか、またそこから高裁に行きという形で、戦後六十三年たって、あの日の、八月六日と九日に起きた、それが体にもたらした、もう亡くなった方もいますよ、しかし、それを原爆症と認めてほしいという必死なところでの裁判を起こされているわけです。

 大臣はせんだって、我が党の党首の福島が、先週の十二日でしたか、東京高裁で、これは千葉で訴訟を起こされた患者さんで、肝硬変、肝臓にも障害を及ぼしたという事案の初の高裁での認定、原爆症として認定してしかるべきだという判決を受けて、そのときも少しコメントをしてくださったかと思いますが、私がきょうのこの広島地裁のを拝見すると、もちろん、高裁判決において、肝疾患、肝硬変、肝炎等々について原爆症との起因性を認めたものは先週の千葉が初めてと思いますが、地裁でも少なくとも三件、C型肝炎や慢性肝炎ということで、この広島地裁は判決として、これは認めるべきだということを言っておると思います。

 あわせて、私もこれをさっき見ましたから、十分な理解かどうかはまだわかりませんけれども、ここに国家賠償上の違法性が認められるということがついているんですね。これは、この患者さん、肝硬変の患者さんじゃなくて、食道がんということを認定しなかったケースと、それから熱傷による拘縮を認定しなかったケースと、そして一つは白内障のケースなんです。

 私がこの間、こうした裁判を見ていて、国家賠償上の違法性が認められるという記述は、千葉の患者さんではなかったことですし、大臣、国家賠償上の違法性というのは、これは厚生労働大臣は、この間のいろいろ分科会が採用する放射線起因性の判断基準や、分科会における資料の収集、認定、判断に不十分な点がある場合は、判断基準の是正を促したり、みずから必要な調査を行ったりする等の措置をとるべき義務を負っている、その義務にのっとっていないということで、これは国家賠償上の違法性が認められるという判断なんだと思うんです。すなわち、今の認定の方式でやっていて、大変長い時間待って、あげくに認定もされていない、これは認定方法等々もしかるべく見直した方がいいんじゃないかという指摘なんだと私は思います。

 そういう点も含めて、これは本当に担当部署は迅速に、一つ一つの裁判、なぜ患者さんは裁判を起こさねばならないのか、体も悪いのにです、戦後六十数年もたってです。

 大臣には、この場所におられたからということはありますが、これは私が拝読する限りそう読めますし、検討していただきたいのと、きょう、お手元の一枚目、これは担当部署にけさ緊急でつくっていただきました。その点についてはお礼を申し上げますが、二十年の四月から判定基準というか認定方式が少し変わりまして、そのことによって逆に申請数も非常にふえまして、このグラフは、五月、六月、申請数と、その中で処分というのは認定、未認定も含めるでしょうが、とにかく判断がおりたものですが、逆に言うと、それまでの年間の申請数は月に直すと七十から百だったものが、ここに来て千というオーダーにがんと上がるわけですね。

 申請して処分が決定されるまでの待つ時間、待っている人々がたくさんふえている。そこで裁判も起こされているわけです。大臣には、日ごろ大臣の前向きな姿勢を私は評価いたしますから、もうこれだけの方が逆に判断を保留されて待っておるんだという状況は、さらに急げということなのです。

 そして、いつも判決に押されて、事を後手後手に行政がするのではなくて、これこそ、原爆の被爆者に対する厚生労働行政を大胆に見直して、今まで、先ほど申しましたように、肝炎等々は、他の例えばC型肝炎であるとか、排除されてきたわけですよ。

 ぜひ、認定のあり方ということも含めて、大臣には、体制も含めてこの際見直していただきたいが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 けさの判決、全部、今伝え聞きですから、これはよく検討して考えないといけないというふうに思います。

 今お示しいただいたグラフにありますように、申請者もふえていますけれども、これは相当頑張って認定をやっていますので、さらにこれは体制の迅速化ということを図りたいと思います。

 それから、一点、非常に難しい判断は、お医者さんたちや学者の専門家の皆さんが科学的、医学的根拠に基づいて原爆症の認定をやるわけですから、それはそれで一つの専門家の御意見があります。ですから、ただ単に大臣が政治的な判断でどうこうということだけであってもだめだと思いますから、そこのところも含めて、これは皆さん、大変御高齢になっていますし、状況もよく存じ上げておりますので、できるだけの努力はやりたいと思っております。

阿部(知)委員 私は、そこがまさに、挙証責任はだれが負うかということなんだと思うんですよ。原爆に被爆した、そしてある御病気になった。これを病になった側が一生懸命証明しようとしても、逆に、本当にしかるべく、ほかに排除される理由がなければ積極的に認めていくという、それこそ政治の意思がなければ、医学はいつまでも後追いをするだけなんですね、残念なことに。

 だって、最終、白黒決着できないことがたくさんあるわけですよ。そこにこれだけの方が認定されずにたまってしまうという構造があり、何回も認定方法の見直しが繰り返され、しかしですよ、しかしまた、これだけふえてしまっているという悪循環、イタチごっこだと思いますね。

 聞き及ぶところによりますと、河村官房長官は、ことし五月、東京高裁と大阪高裁の判断が出たら見直さなきゃいけないだろうなとおっしゃいますが、その間にも人は亡くなるし、待つ人にとっては一日千秋なんですね。

 大臣がさっきおっしゃったように、医学と政治の間をそういうふうに考えるのは、私はちょっと、医学の立場にいても違うと思うんです。これは国の被爆という現実に対しての方向性をしっかり政治が持つこと、それが繰り返す裁判の判決の全部のトーンにあるんだと思います。医学がつくってきたさまざまな基準は、最終的にはどんどん変わっていくものであり、認められないか認められるかというところも変化してきているわけです。しかし、時代は待てない、人は亡くなっていく、ここできちんとした判断を出してほしいというのが被爆者たちの願いです。

 大臣には、これも我が党首がお願いしたと思いますが、きょうは各地から原告団の方々がたくさん、ここの国会に来られています。大臣はきのうも福島に、会う時間等々の調整を考えていただいているふうに御答弁いただけたと思いますが、それは万難を排してそのような方向に御検討であるというふうに、もちろん大臣はお忙しい、わかっておりますから、その上でです、そういう意思がおありなんだというふうに受けとめてよろしゅうございますか。二問目です。

舛添国務大臣 長崎にも広島にも行きましたし、皆さん方とも何度もお会いをしております。時間が許す限り、きちんとお話はお伺いしたいと思っております。

阿部(知)委員 時間が許せるように御尽力をぜひぜひ賜りたい。お体を押して全国から来られるということは、もうこれは大臣に会って話をしたいということですから、よろしくお願いしたいと存じます。

 引き続いて、保育所の問題に少し触れさせていただきます。

 この間、雇用情勢の悪化、経済情勢の悪化等々これあり、特に若い、小さなお子さんをお持ちの世帯でも、お母さんも働かないと暮らしていけないというような緊急な事態も積み重なったこともあり、東京都等々では、認定保育園と言われる、国がやっている認可保育園以外のものも大きくあふれてきているというふうな状況も伝えられ、またそれに対して舛添大臣は極めて迅速に対応していただいた。

 我が国の保育体制は、保育に欠ける子という表現から始まり、そしてある程度の基準を持った認可保育所と無認可があり、さらに市町村や自治体がやっている認定保育園と、三段構えになっているわけですが、大臣は、こうやってあふれる子供たちに対して、東京都を初めとして、迅速な対応をするために、この間幾つかお取り組みをいただいたと思うんです。私はその中で、特に今、認可、無認可と分けられているところを、なるべく無認可も基準をクリアできるようにエンパワーしていくというふうな方向性で御尽力いただいたと思いますが、この間の取り組みについて御答弁をお願いいたします。

村木政府参考人 もともと非常に待機児童が多い中で、昨今の経済情勢を受けてさらに待機児童がふえているわけでございます。

 私ども、もちろん認可の保育所をふやすということがまず基本でございますので、そういった対策に加えまして、特に緊急に、すぐに保育の定員をふやせる対策といたしまして、新たに保育所を建てる形ではなくて、建物を借りるような形で保育所をつくっていただくというような対策、それから、いわゆる無認可保育所の中で最低基準をクリアしている保育所に対しましては、そういった賃借料その他の財政的な措置をするということをお願いしているところでございます。

 また、最低基準をクリアできる形で定員を弾力化できる保育所もまだあるようでございますので、この定員の弾力化の活用も重ねてお願いをしているところでございます。

阿部(知)委員 それは余りに色気のない御答弁で、どういうことかというと、無認可であっても、ある程度、条件を少しでも緩めて賃貸等々の補助もするように東京都でもなってきておる、それは安心こども基金とかで取り組みたいんだと大臣が言ってくれれば、これは前向きな答弁になるわけですよ。

 大臣のお手元に、二枚目、認可保育園と認可外保育施設の推移というのが載せてございますが、これも本当に雇用均等・児童家庭局に御尽力いただきましたが、つくっていただいてありがとうございます。

 見てみると、認可の保育園は、特に公立認可保育所はちょっと減ってきて、私立での認可保育所でクロスしてちょっと上がっていっておりますが、その一方で、無認可の施設は、下にあるベビーホテル等々、事業所あるいは認可外というものはふえてきておる。下に実数も集計していただきましたが、認可保育所、少しはふえているけれども、この間、主に認可外がふえて、合計で三万三千八百七十四カ所ということですね。

 もちろん場所だけあればよいのではなく、子供を預ける大事な保育施設ですから質も重要ですが、やはりこの間、認可と無認可の格差というものも大きいし、ここを縮めて必要に応じて子供たちをサポートする体制というのは不可欠だと私は思いますので、大臣には、ぜひこの点、画期的にお取り組みいただきたいです。

 まず、それに際して、やはり金の問題じゃないか、お金がないからといつも言われますので、これも試算をしていただきましたが、認可、無認可の格差問題とはちょっとずれますが、では、保育に、国が出すのは金がかかる、かかると言うけれども、現状の保育サービスで、特に認可保育園の親御さんの自己負担分、これを全額国が出すようにしたら幾らかかるのかを試算していただきました。時間がないので短くお願いします。

村木政府参考人 現在の保護者の方の負担分でございますが、認可の私立分でざっくり四千三百億ほどでございます。今、公立は一般財源化をされておりますが、同じような形でざっくり試算しますと三千三百億ほどになります。

阿部(知)委員 これは合算して六千億とか七千億のお金ですけれども、これをこの国の未来投資として多いと見るか少ないと見るか、これは政治の意思だし、価値観の持ち方だと思います。

 私は、特に三歳までのお子さんをお持ちの御家庭、この中からさらに段階を分けてやっていってもいいし、とにかく若い世帯にとっては保育料の問題が非常に大きくなっているし、国が積極的に支援してやぶさかでないと思います。

 大臣、方向性について短くお願いします。

舛添国務大臣 今、経済情勢が非常に悪くなってきて、お母さん方が外に働きに出ないと家計がやっていけない、こういう状況で待機児童がふえております。この待機児童対策、十年計画でありましたけれども、福田総理のもとで、これは三年に縮めようということで三年に縮めています。

 今三歳までということをおっしゃいましたけれども、例えば保育ママ、就学まで延ばすということも弾力化の一つで入れておりますし、雇用対策との絡みでもありますから、今後の政府の施策として、阿部委員の意見もきちんと念頭に置きながら、何らかの手を打ちたいと思っております。

阿部(知)委員 保育に欠ける云々でなくて、女性たちも働き、この社会をこれから一緒に支えていく。そして、子供たちは社会が育てるんだという意思が必要と思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後になりますが、日雇い労働のことについて。

 先ほども、岡本委員は日雇いの派遣の皆さんについての言及でございましたが、私は、これまで例えば港湾の荷揚げ等々を担ってきておられる日雇い労働と呼ばれる皆さんの問題で、ちょっときょうは、その問題でというよりそこにあらわれた現象から、今、日雇い労働がどういうセーフティーネットを持っているかということでお尋ねをしたいと思います。

 皆さんのお手元には、この間の新潟での港湾労働の皆さんの実労働日数、一体何日くらい働いたろうかということの集計が、昨年からことし一、二月まで出してございます。実は同じような数値を横浜港でもとってございますが、要は、仕事量が減っちゃうから、一月に稼働、働いているのがひどいと五日とか、今まででも長くはなかったわけですか。

 こうしたことに対して日雇い保険という給付金がございまして、でも、二カ月の間に二十六枚、二十六日といいますか、働いて印紙をもらってこないとできない。ところが、こうやって仕事量が減ってくるとなかなか二カ月で二十六枚が到達できないんだという声が上げられております。実は、昔は二カ月で二十八枚だったのが平成六年に見直されて二十六枚。減じても、とにかく現実の労働時間に応じてセーフティーネットを張ろうということでありました。

 恐縮ですが、時間が来てしまいました。こうした雇用情勢の悪化で、日雇い労働等の現場の労働量も変わってきている。では、日雇いの保険としての給付金のあり方について、この現状を把握した上で、逆に、一体何日働けば失業給付等々に結びつく実際のリアルなセーフティーネットがつくれるのかということについて問題提起をいたしますので、最後ですので大臣に御答弁をお願いいたします。

舛添国務大臣 先ほど細川さんにもお答えしましたように、あらゆるセーフティーネットやあらゆる社会保障を考えたときに、特にこういう問題について、私は日雇いという不安定な就労状態をいいと思っておりません。だから、安易にそれを繰り返すよりも、やはり常用雇用化へのインセンティブを与えた方がいい。

 二カ月で二十六枚の印紙、多いか少ないか、これはいろいろな議論があると思いますけれども、そちらの方、つまり安易に不安定な就労に甘んじないようなことのインセンティブというのも片一方で考えながら、今の阿部委員の問題提起を受けとめたいと思っております。

阿部(知)委員 とりあえず、セーフティーネットを張らねば人は生きられません。そこだけ、大臣、よろしくお願いいたします。

 終わります。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、お諮りいたします。

 細川律夫君外六名提出、雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 ただいま議題となっております各案中、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、後藤茂之君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。後藤茂之君。

    ―――――――――――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤(茂)委員 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、雇用保険法による基本手当の支給に関する暫定措置等について、離職の日等が平成二十一年三月三十一日から平成二十四年三月三十一日までの間である受給資格者をその対象とすること。

 第二に、船員保険法による失業保険金等に関する事項の改正について、雇用保険法と同様の修正を行うこと。

 第三に、原案において平成二十一年四月一日となっている施行期日を平成二十一年三月三十一日に改めること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田村委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、後藤茂之君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田村委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、本案に対し、後藤茂之君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山井和則君。

山井委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 今後、雇用保険に未加入の非正規社員等及び失業給付の期間終了後においても職につけない者に対して、厚生労働委員会において審査中の「求職者支援法案」(民主、社民、国新提出)の趣旨を最大限尊重しつつ、新たに求職中の者の生活支援を含めた雇用対策について早急に検討し実施すること。

 二 今後、すべての労働者に対して雇用保険の適用を目指し、雇用保険法業務取扱要領によって定められている雇用保険の適用基準については、非正規労働者に対するセーフティネット機能の一層の充実強化のため、さらなる緩和を検討すること。

 三 今後、失業と同時に健康保険等の無保険者が出現する恐れがあることから、組合健保等の任意継続被保険者となることや国民健康保険への確実な加入が行われるよう、保険料の軽減等適切な運用を行うとともに、周知徹底などあらゆる方策を講じること。

 四 離職者の離職理由が事業主と離職者とで異なる場合には、離職に至った経緯を十分に考慮する等、実態をよく把握して適切な対応を行うこと。

 五 失業等給付などは、今後、雇用失業情勢のさらなる悪化によって安定的な財政運営に支障が出る恐れがあり、現在、百分の五十五に軽減されている国庫負担の暫定措置については、本来の四分の一に戻すことを検討すること。

 六 雇用情勢の急激な悪化に伴い、日雇労働者の求職活動が厳しさを増していることにかんがみ、日雇労働求職者給付金の受給要件の見直しを含め制度が活用されるよう一層の周知徹底を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、舛添厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

田村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

田村委員長 内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

舛添国務大臣 ただいま議題となりました戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 戦没者等の遺族であって、平成十七年四月から平成二十一年三月までの間に、同一の戦没者等に関し公務扶助料、遺族年金等の支給を受けている者がいなくなったものに対し、弔慰の意を表するため、特別弔慰金を支給することとし、この法律案を提出した次第であります。

 改正の内容は、特別弔慰金として額面二十四万円、六年償還の国債を支給するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

田村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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