衆議院

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第8号 平成21年4月8日(水曜日)

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平成二十一年四月八日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 田村 憲久君

   理事 上川 陽子君 理事 鴨下 一郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 西川 京子君

   理事 三ッ林隆志君 理事 藤村  修君

   理事 山井 和則君 理事 桝屋 敬悟君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      浮島 敏男君    遠藤 宣彦君

      大野 松茂君    金子善次郎君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君  とかしきなおみ君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    福岡 資麿君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      三井 辨雄君    村井 宗明君

      柚木 道義君    横山 北斗君

      福島  豊君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           後藤 茂之君

   議員           上川 陽子君

   議員           福島  豊君

   議員           古屋 範子君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 武川 恵子君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  薄井 康紀君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  林   潤君     浮島 敏男君

  園田 康博君     村井 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     林   潤君

  村井 宗明君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  横山 北斗君     園田 康博君

    ―――――――――――――

四月七日

 年金記録問題の実態等に関する予備的調査要請書(平成二十年衆予調第九号)の提出者「長妻昭君外百十二名」は「長妻昭君外百十一名」に訂正された。

    ―――――――――――――

四月八日

 後期高齢者医療制度廃止法案の衆議院での速やかな審議と可決を求めることに関する請願(亀井久興君紹介)(第一三八五号)

 同(武正公一君紹介)(第一三八六号)

 同(中川正春君紹介)(第一三八七号)

 同(高井美穂君紹介)(第一四三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四六七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五八四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六五〇号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一三八八号)

 同(亀井久興君紹介)(第一三八九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一三九〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四六八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六五二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七五〇号)

 パーキンソン病患者・家族の生活の質の向上を求めることに関する請願(郡和子君紹介)(第一三九一号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一三九二号)

 同(松本洋平君紹介)(第一三九三号)

 同(尾身幸次君紹介)(第一五八五号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一六五三号)

 社会保険病院・厚生年金病院等の存続で、地域医療の確保を求めることに関する請願(郡和子君紹介)(第一三九四号)

 人間らしい働き方と暮らしの実現を求めることに関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一三九五号)

 同(重野安正君紹介)(第一三九六号)

 同(内山晃君紹介)(第一四三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六五七号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(赤澤亮正君紹介)(第一三九七号)

 同(遠藤宣彦君紹介)(第一三九八号)

 同(小川淳也君紹介)(第一三九九号)

 同(大口善徳君紹介)(第一四〇〇号)

 同(岡本芳郎君紹介)(第一四〇一号)

 同(亀井久興君紹介)(第一四〇二号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第一四〇三号)

 同(吉良州司君紹介)(第一四〇四号)

 同(古賀一成君紹介)(第一四〇五号)

 同(郡和子君紹介)(第一四〇六号)

 同(笹木竜三君紹介)(第一四〇七号)

 同(重野安正君紹介)(第一四〇八号)

 同(田島一成君紹介)(第一四〇九号)

 同(武正公一君紹介)(第一四一〇号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一四一一号)

 同(土井亨君紹介)(第一四一二号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一四一三号)

 同(中川秀直君紹介)(第一四一四号)

 同(中山太郎君紹介)(第一四一五号)

 同(仲野博子君紹介)(第一四一六号)

 同(西村真悟君紹介)(第一四一七号)

 同(野田毅君紹介)(第一四一八号)

 同(平野博文君紹介)(第一四一九号)

 同(広津素子君紹介)(第一四二〇号)

 同(藤井裕久君紹介)(第一四二一号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第一四二二号)

 同(松本文明君紹介)(第一四二三号)

 同(松本洋平君紹介)(第一四二四号)

 同(三日月大造君紹介)(第一四二五号)

 同(森本哲生君紹介)(第一四二六号)

 同(柚木道義君紹介)(第一四二七号)

 同(石川知裕君紹介)(第一四三六号)

 同(石崎岳君紹介)(第一四三七号)

 同(上田勇君紹介)(第一四三八号)

 同(内山晃君紹介)(第一四三九号)

 同(遠藤武彦君紹介)(第一四四〇号)

 同(太田昭宏君紹介)(第一四四一号)

 同(川内博史君紹介)(第一四四二号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一四四三号)

 同(篠原孝君紹介)(第一四四四号)

 同(末松義規君紹介)(第一四四五号)

 同(園田康博君紹介)(第一四四六号)

 同(田島一成君紹介)(第一四四七号)

 同(高木毅君紹介)(第一四四八号)

 同(仲村正治君紹介)(第一四四九号)

 同(福島豊君紹介)(第一四五〇号)

 同(渡部篤君紹介)(第一四五一号)

 同(稲田朋美君紹介)(第一四七〇号)

 同(岡田克也君紹介)(第一四七一号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一四七二号)

 同(岸田文雄君紹介)(第一四七三号)

 同(倉田雅年君紹介)(第一四七四号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第一四七五号)

 同(長島忠美君紹介)(第一四七六号)

 同(林田彪君紹介)(第一四七七号)

 同(伴野豊君紹介)(第一四七八号)

 同(藤井勇治君紹介)(第一四七九号)

 同(三日月大造君紹介)(第一四八〇号)

 同(三原朝彦君紹介)(第一四八一号)

 同(愛知和男君紹介)(第一五八九号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第一五九〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一五九一号)

 同(飯島夕雁君紹介)(第一五九二号)

 同(糸川正晃君紹介)(第一五九三号)

 同(稲葉大和君紹介)(第一五九四号)

 同(今井宏君紹介)(第一五九五号)

 同(江田康幸君紹介)(第一五九六号)

 同(小此木八郎君紹介)(第一五九七号)

 同(加藤公一君紹介)(第一五九八号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一五九九号)

 同(小坂憲次君紹介)(第一六〇〇号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一六〇一号)

 同(近藤洋介君紹介)(第一六〇二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六〇五号)

 同(階猛君紹介)(第一六〇六号)

 同(田島一成君紹介)(第一六〇七号)

 同(辻元清美君紹介)(第一六〇八号)

 同(寺田学君紹介)(第一六〇九号)

 同(中井洽君紹介)(第一六一〇号)

 同(西本勝子君紹介)(第一六一一号)

 同(前原誠司君紹介)(第一六一二号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第一六一三号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第一六一四号)

 同(上野賢一郎君紹介)(第一六六九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六七〇号)

 同(木村太郎君紹介)(第一六七一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一六七二号)

 同(久間章生君紹介)(第一六七三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六七四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六七五号)

 同(西銘恒三郎君紹介)(第一六七六号)

 同(松本大輔君紹介)(第一六七七号)

 同(三谷光男君紹介)(第一六七八号)

 同(水野賢一君紹介)(第一六七九号)

 同(武藤容治君紹介)(第一六八〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六八一号)

 同(江田憲司君紹介)(第一七五四号)

 同(大島理森君紹介)(第一七五五号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一七五六号)

 同(篠田陽介君紹介)(第一七五七号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第一七五八号)

 同(関芳弘君紹介)(第一七五九号)

 同(仙谷由人君紹介)(第一七六〇号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第一七六一号)

 同(羽田孜君紹介)(第一七六二号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一七六三号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第一七六四号)

 同(宮下一郎君紹介)(第一七六五号)

 同(山口俊一君紹介)(第一七六六号)

 同(横山北斗君紹介)(第一七六七号)

 同(和田隆志君紹介)(第一七六八号)

 全国ペアーレ施設の存続を求めることに関する請願(田島一成君紹介)(第一四二八号)

 同(田島一成君紹介)(第一四五二号)

 同(田島一成君紹介)(第一六一五号)

 介護労働者の処遇改善を初め介護保険制度の抜本的改善を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一四六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四六五号)

 同(糸川正晃君紹介)(第一五八三号)

 社会保険二本松病院を公的病院として存続させ、地域医療の確保を求めることに関する請願(佐藤剛男君紹介)(第一四六九号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(赤澤亮正君紹介)(第一五一三号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第一五一四号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第一五一五号)

 同(石関貴史君紹介)(第一五一六号)

 同(糸川正晃君紹介)(第一五一七号)

 同(江田康幸君紹介)(第一五一八号)

 同(江藤拓君紹介)(第一五一九号)

 同(小野次郎君紹介)(第一五二〇号)

 同(尾身幸次君紹介)(第一五二一号)

 同(大塚高司君紹介)(第一五二二号)

 同(奥野信亮君紹介)(第一五二三号)

 同(金田誠一君紹介)(第一五二四号)

 同(亀井静香君紹介)(第一五二五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一五二六号)

 同(木原誠二君紹介)(第一五二七号)

 同(木原稔君紹介)(第一五二八号)

 同(木村隆秀君紹介)(第一五二九号)

 同(岸田文雄君紹介)(第一五三〇号)

 同(北川知克君紹介)(第一五三一号)

 同(小坂憲次君紹介)(第一五三二号)

 同(古賀一成君紹介)(第一五三三号)

 同(後藤田正純君紹介)(第一五三四号)

 同(高村正彦君紹介)(第一五三五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五三六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一五三七号)

 同(近藤洋介君紹介)(第一五三八号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第一五三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五四〇号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第一五四一号)

 同(重野安正君紹介)(第一五四二号)

 同(階猛君紹介)(第一五四三号)

 同(神風英男君紹介)(第一五四四号)

 同(園田康博君紹介)(第一五四五号)

 同(田島一成君紹介)(第一五四六号)

 同(田村謙治君紹介)(第一五四七号)

 同(高市早苗君紹介)(第一五四八号)

 同(高木毅君紹介)(第一五四九号)

 同(高木義明君紹介)(第一五五〇号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一五五一号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第一五五二号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一五五三号)

 同(玉沢徳一郎君紹介)(第一五五四号)

 同(寺田学君紹介)(第一五五五号)

 同(寺田稔君紹介)(第一五五六号)

 同(土井亨君紹介)(第一五五七号)

 同(土井真樹君紹介)(第一五五八号)

 同(中井洽君紹介)(第一五五九号)

 同(中川正春君紹介)(第一五六〇号)

 同(丹羽秀樹君紹介)(第一五六一号)

 同(西博義君紹介)(第一五六二号)

 同(西本勝子君紹介)(第一五六三号)

 同(萩原誠司君紹介)(第一五六四号)

 同(平井たくや君紹介)(第一五六五号)

 同(平口洋君紹介)(第一五六六号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第一五六七号)

 同(藤村修君紹介)(第一五六八号)

 同(古屋圭司君紹介)(第一五六九号)

 同(細野豪志君紹介)(第一五七〇号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第一五七一号)

 同(松本龍君紹介)(第一五七二号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第一五七三号)

 同(宮路和明君紹介)(第一五七四号)

 同(森本哲生君紹介)(第一五七五号)

 同(保岡興治君紹介)(第一五七六号)

 同(山口俊一君紹介)(第一五七七号)

 同(山口壯君紹介)(第一五七八号)

 同(山崎拓君紹介)(第一五七九号)

 同(山本公一君紹介)(第一五八〇号)

 同(山本拓君紹介)(第一五八一号)

 同(吉田六左エ門君紹介)(第一五八二号)

 同(安住淳君紹介)(第一六八二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六八三号)

 同(稲田朋美君紹介)(第一六八四号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一六八五号)

 同(宇野治君紹介)(第一六八六号)

 同(上野賢一郎君紹介)(第一六八七号)

 同(遠藤宣彦君紹介)(第一六八八号)

 同(小川淳也君紹介)(第一六八九号)

 同(大前繁雄君紹介)(第一六九〇号)

 同(太田昭宏君紹介)(第一六九一号)

 同(岡田克也君紹介)(第一六九二号)

 同(奥村展三君紹介)(第一六九三号)

 同(加藤紘一君紹介)(第一六九四号)

 同(川内博史君紹介)(第一六九五号)

 同(木村太郎君紹介)(第一六九六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一六九七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一六九八号)

 同(河本三郎君紹介)(第一六九九号)

 同(郡和子君紹介)(第一七〇〇号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一七〇一号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第一七〇二号)

 同(坂本哲志君紹介)(第一七〇三号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第一七〇四号)

 同(実川幸夫君紹介)(第一七〇五号)

 同(鈴木俊一君紹介)(第一七〇六号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一七〇七号)

 同(西村康稔君紹介)(第一七〇八号)

 同(広津素子君紹介)(第一七〇九号)

 同(福岡資麿君紹介)(第一七一〇号)

 同(福島豊君紹介)(第一七一一号)

 同(古川禎久君紹介)(第一七一二号)

 同(細川律夫君紹介)(第一七一三号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一七一四号)

 同(松本大輔君紹介)(第一七一五号)

 同(三谷光男君紹介)(第一七一六号)

 同(三原朝彦君紹介)(第一七一七号)

 同(水野賢一君紹介)(第一七一八号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第一七一九号)

 同(武藤容治君紹介)(第一七二〇号)

 同(村田吉隆君紹介)(第一七二一号)

 同(森山裕君紹介)(第一七二二号)

 同(谷津義男君紹介)(第一七二三号)

 同(山井和則君紹介)(第一七二四号)

 同(渡辺喜美君紹介)(第一七二五号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第一七六九号)

 同(井上信治君紹介)(第一七七〇号)

 同(飯島夕雁君紹介)(第一七七一号)

 同(遠藤武彦君紹介)(第一七七二号)

 同(小野寺五典君紹介)(第一七七三号)

 同(大野功統君紹介)(第一七七四号)

 同(岡本充功君紹介)(第一七七五号)

 同(岡本芳郎君紹介)(第一七七六号)

 同(河井克行君紹介)(第一七七七号)

 同(倉田雅年君紹介)(第一七七八号)

 同(近藤基彦君紹介)(第一七七九号)

 同(坂本剛二君紹介)(第一七八〇号)

 同(笹木竜三君紹介)(第一七八一号)

 同(篠田陽介君紹介)(第一七八二号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第一七八三号)

 同(関芳弘君紹介)(第一七八四号)

 同(仙谷由人君紹介)(第一七八五号)

 同(田中良生君紹介)(第一七八六号)

 同(高井美穂君紹介)(第一七八七号)

 同(とかしきなおみ君紹介)(第一七八八号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第一七八九号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一七九〇号)

 同(徳田毅君紹介)(第一七九一号)

 同(長島昭久君紹介)(第一七九二号)

 同(野田毅君紹介)(第一七九三号)

 同(羽田孜君紹介)(第一七九四号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一七九五号)

 同(原田令嗣君紹介)(第一七九六号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第一七九七号)

 同(松本剛明君紹介)(第一七九八号)

 同(三日月大造君紹介)(第一七九九号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一八〇〇号)

 同(宮下一郎君紹介)(第一八〇一号)

 同(村井宗明君紹介)(第一八〇二号)

 同(山口泰明君紹介)(第一八〇三号)

 高齢者差別の後期高齢者医療制度の撤廃を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第一五八六号)

 現行保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(西本勝子君紹介)(第一五八七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六五六号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六五四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六五五号)

 レセプトのオンライン請求に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六五八号)

 同(石井郁子君紹介)(第一六五九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六六〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六六一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六六五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六六六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七五三号)

 七十五歳以上を差別する後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一六六七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六六八号)

 療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一七四七号)

 医師・看護師不足など医療の危機打開に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一七四八号)

 大量解雇の中止・撤回、緊急の生活支援と労働者派遣法の抜本改正を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一七五一号)

 労働者派遣法の抜本改正を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第一七五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(後藤茂之君外三名提出、第百六十八回国会衆法第六号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、第百六十八回国会参法第一号)


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     ――――◇―――――

田村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、第百六十八回国会、後藤茂之君外三名提出、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び第百六十八回国会、参議院提出、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長尾西雅博君、内閣府大臣官房審議官武川恵子君、総務省行政評価局長関有一君、厚生労働省老健局長宮島俊彦君、保険局長水田邦雄君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁総務部長薄井康紀君、運営部長石井博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 おはようございます。自由民主党の木原誠二でございます。

 きょうは、この大変重要な二分の一への引き上げの閣法に絞って質問させていただきたいと思います。

 舛添大臣におかれましては、本当にお忙しい中、お時間をちょうだいいたしましてありがとうございます。お昼を挟んで、また厳しい質疑が大臣はおありだろうと思いますので、私の方はスローなスタートでやらせていただきたい、こう思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 もう既に、年金の給付というのはまさに五十兆という世界に入っております。GDPの一割を占める大変重要な課題でありますし、これまでは余り経済と関連づけて議論されることはありませんでしたけれども、今見ておりますと、やはり経済にも大変大きな影響を与える。消費が伸びてこない一つの要因として、やはり将来の不安、その一つが年金ということであろうと思いますので、大変重要な法案である、このように認識をしております。

 きょうは、三つの点に絞って少し議論をさせていただければと思っております。

 一つは、そもそも、この法案の国庫負担の問題、二分の一に引き上げることの意義というようなこと。それから二点目は、二分の一に引き上げて、さらにそれが三分の二、あるいはまたさらに税方式といったようなことまでたどり着く可能性があるのかないのかという点、これが二点目。三点目の問題として、まさに運用というか、運営の課題としての年金記録の問題、私自身は五千万件の記録について少しお伺いをしてまいりたいというふうに思っております。もう既に多くの論点がこの委員会でも議論されておりますけれども、多少重なるところがあると思いますが、おつき合いいただければと思っております。

 まず、端的に申し上げまして、日本の年金制度は社会保険方式で運営されているわけでありますが、イギリスのように、社会保険方式で運営しながら国庫負担がないというのもまたあるわけでありまして、そもそも、なぜ国庫負担が制度発足当初から国民年金に導入をされていて、そして今回二分の一へ引き上げるということの意義を、これは最初のスタートでありますし、もう一度確認したいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、基礎年金部分に国庫負担がある意義、あるいは二分の一の意義ということについてお尋ねがございました。

 我が国の公的年金制度は、もう長い歴史になりますが、基本的に、当初から、みずからの老後に備えるという自立自助の考え方を基本として、すべての国民の老後の生活の安定を図るという考え方で、国民全体で保険料を拠出し合う社会保険方式を採用してまいりました。こうした公的年金制度の運営についての国の責任の具体的表明として、給付水準の改善、保険料負担の軽減などの観点から、費用の一部に対して国庫負担を行ってきたものと理解をしております。

 また、制度もさまざまに変遷がございますが、現行の公的年金制度においては、全国民共通の基礎的給付であり、すべての世代が負担する税財源を投入する合理性があると考えられる基礎年金部分に集中して、三分の一余りを国庫で負担しているということでございます。

 二分の一にすることに関連して申し上げれば、平成十六年の年金制度改正において、保険料、給付水準等とあわせて所要の安定財源を確保しつつ、基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げで、将来世代が負担可能な保険料水準とするとともに、長期的な給付と負担の均衡を図り、持続可能な制度とするということがねらいでございました。

 これが実現いたしますと、基礎年金の国庫負担二分の一ということで、基礎年金においては、世代間の支え合いに基づく部分は保険料を財源とする、それから、全国民の支え合いに基づく部分は税財源とするというものが等分となるように設計されるということになりますので、この等分の関係で世代間と全国民の支え合いというものを表現していくということが、国の公的年金制度の運営についての責任の果たし方として、最も安定的でわかりやすいのではないかという考え方であると思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今、幾つかキーワードをいただいたというふうに思います。そもそも、まず基本にあるのは自助自立である。他方でしかし、国の運営者としての責任というものも示さなければいけない。そのときの示し方として、やはり公助の部分というものを半分までは示す必要があるであろう、そしてそのことが年金の長期的な安定にも資するものである。今の局長の答弁、四つぐらいに私なりに御理解をさせていただきました。

 そこで、特に四つ目の点、長期的に安定的な運営に資するものであるという点に関してお伺いをしたいと思いますが、今回、仮にこの法案が成立を果たせない、そして二分の一への引き上げが先延ばしをされるといったような事態があった場合に、どの程度財政に影響を与えるのか、年金全体に影響が出るのかということについて御答弁いただければと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 年金財政につきましては、現行法上、五年に一度、財政状況、将来の展望をチェックし続けるということで、財政の安定度というものを見ていくということになっておるわけでございますが、五年前と同様、この二月の、先般公表いたしました財政検証においては、基礎年金国庫負担を二分の一にすることを前提として、今回の検証としては長期的な給付と負担の均衡が確保されるということが確認されたわけでございますが、それは、この二分の一を前提としてという計算でございました。

 二分の一に上がらず、現行の基礎年金国庫負担割合のままで据え置かれた場合につきましては、財政検証本来のというよりも、参考試算としてお示しをさせていただいております。

 厚生年金、国民年金二つを見た場合に、積立金の額が、国民年金は十兆円に満たないということで非常に少のうございます。そうした中で、二〇二七年度、今から十八年先には、国民年金の給付に対して保険料と国庫負担が足りないという状態になりますので、この国庫負担の足りない部分が影響して、二〇二七年、十八年後には積立金が枯渇する。

 基礎年金というのは、厚生年金、国民年金を通じた統一的な制度でございますので、その一部分が給付ができないということになりますと、基礎年金全体が瓦解しかねない、そういう厳しい事態を迎えるというふうに考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 この委員会でも、財政再計算というか、正しくは財政検証というんでしょうか、大変前提が甘いんじゃないかという指摘があります。私自身も、例えば運用利回りの点なんかはやはりちょっと楽観的過ぎるかなという思いを率直に持ちますし、就業率、女性の雇用率等々も本当に大丈夫かなという点を持つわけでありますが、そういう甘い楽観であってもなお、やはり二分の一の引き上げを伴わない場合は二〇二七年には給付ができない状態になる、こういう状況であります。したがって、私自身は、やはりこの法案はできる限り早期に成立をさせて、いろいろ議論はありますけれども、少なくとも二分の一への引き上げということについては実施をしなければいけないのであろう、こう思っております。

 そういう認識を前提に、ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、既に平成六年の改正をするときに、二分の一への引き上げということを検討すべきであるということが盛り込まれていたというふうに認識をしております。委員会でも、附帯決議等々、衆参両方の厚生委員会でついていたものと思いますが、それ以降、平成六年にその議論が始まって既に十五年、これだけの月日を要した。

 本来、もうちょっと早く引き上げることが可能になっていれば、財政的な影響ももう少し緩和できたのではないかと思いますが、そもそも、これだけかかってしまったということについてどのような認識でおられるか、その原因は何にあるのかといったことについて御答弁いただければと思います。

舛添国務大臣 残念ながら、年金記録問題という問題がここまで大きくなり、今、一生懸命取り組んで解決に向かっておりますけれども、年金問題というのは、そういう不祥事の面から見ても大変な国民的な関心事になった。メディアのカバー率も非常に大きい。では、仮に平成六年、これほど年金に人々が注目しただろうか。もちろん受給されている方はそうですけれども、これは全国民の問題ですから。平成六年、例えば木原委員は、大蔵省に入っておられれば別ですが、そういうことを仲間内で、同窓会で会ったときに年金の議論をしたかというのは、ほとんどやらなかったと思います。

 したがって、そういう国民的な関心の薄さということがあるとともに、これは安定財源を確保しないといけません。端的に言えば私は消費税だと思っておりますが、今やっと工程表というようなことが出てきましたけれども、しかしながら、今この二分の一法案にしても、今回は臨時的、一時的な財源での手当てをするわけですから、やはり安定財源で消費税率を上げるというようなことになれば、それは非常に政治的な問題になりますし、国民の納得もしていただかないといけない。そして今のように、その時々の経済情勢もある。そして、参議院、衆議院、それから大きな統一地方選挙まで入れるとしょっちゅう選挙をやっていますから、なかなか選挙のときに税率を上げる、増税ということはなじみにくい。

 さまざまな要因があったんだろうと思いますけれども、先ほど委員がおっしゃったようにGDPの一割、五十兆ということになると、これはやはり国民全体で真剣に考えて、負担がなければ給付がないわけですから、正面から議論するべき時期に今来ている。それは麻生総理もそういう御認識で、三年後という話ではありますけれども、そういう御提案をなさっているんだと思っています。

 過去について言うと、今言ったようなことが理由ではなかろうかと思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 当時、確かに、今ほど年金に対する関心が高くなかったという一点、それはまさにそのとおりであろうと思いますし、大臣が後半の部分でお述べいただいたように、一方で二分の一への引き上げというのは財源を伴うわけでありまして、この財源の議論がなかなか深まっていかない。あるいは、さまざまな政治状況の中で非常に難しい、とりわけ消費税ということになっていくと非常に難しい政治的な要因をはらんでいる、こういうことであろうと思います。

 大臣からまさに御答弁いただいたように、今回もなお安定的な財源というものの確保には至っていないという現状でありますので、またこの点については後ほど税方式のところでも議論をさせていただきたい、このように思っております。

 大臣に一点だけ確認をしたいと思いますが、先ほど局長の御答弁の中で、今、二分の一を公助、二分の一を恐らく自助ないしは共助というので押さえるというのが一つのバランスだ、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、簡潔に、大臣の御認識はどうかということについてお答えいただければと思います。

舛添国務大臣 それは、日本の社会保障が自助、共助、公助ということで成り立っている。まず自助で、一生懸命、それは貯蓄をしたりいろいろあると思います。共助の側面は、恐らく社会保険料方式、つまり世代間の助け合いという意味で共助と言っていいんだろうと思います。

 しかし、生活保護も含めてですけれども、最後のセーフティーネットとしての公助というのはそこにありますが、今、では六万六千円ぐらいでやっていけるんですかという話になると、なかなか東京では難しいだろう。そうすると、基礎年金額をアップするようなことも含めて、最低保障機能も含めて、やはり年金というものの最低保障機能を高めないといけないという議論が出てきたときに、では、これは共助でやるんですか、世代間の助け合いだけでいくんですか。やはり公助という概念を入れないと無理ではないか。それから無年金者、こういう方をどう救うかというようなことも含めて、それは公助の側面でやるべきだろうということで、しからば三分の一を二分の一にしないといけないだろう、そういう認識でございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 そこで、税方式について少し議論をしたいなと思います。

 さまざまなメリットが指摘をされておりますし、私も非常に魅力的な案だなと率直に思うときがあります。その中で、三つぐらいきょうはお聞きをしたいと思いますけれども、一つは、先ほどお話のあった年金制度としての安定性というか、財政の安定性ということについて。

 今、年金に対する不信の多くは、運営の問題、もちろんございます。しかし同時に、保険料がどんどん上がる、他方で給付はどんどん下がる、本当にこれでもつのかね、平成十六年の改正をもってしてもなお本当に大丈夫かと。そして、財政再検証をしてみると、やはり仮定があって、かなり高くないともたないんじゃないかといったような、財政的な安定性ということについてまだまだ不信感があるんだろうというふうに私は思います。

 それを解消する一つのメリットとして税方式というものは議論されているんだと思いますが、私は、大変基本的なことでありますけれども、税方式にした際、財政再計算ないし財政再検証という仕組み、仕事はなくなるのか、なくならないのかということについてまず局長の御答弁をいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 平成十六年の年金制度改正を振り返りますと、五年ごとの財政検証をしながら、また、保険料は一定程度は上げるがそれで固定をし、それ以上は、現役世代の負担能力ということを考え、年金制度の持続可能性を確保するための新しい仕組みとしてマクロ経済スライドという、年金に具備されたスライドの仕組みを一部調整するという仕組みを導入したわけでございます。

 こういう形でこの少子高齢化の中で持続可能性を維持していくということでございますが、世界にも類を見ない高齢化の進展でございます。御指摘のとおり、今後ますます増大すると見込まれる年金給付費をどのように賄うのかという制度の持続可能性を考えた場合に、現行制度を維持する場合であっても、基礎年金を税方式化する場合であっても、国民全体、特に現役世代の負担により高齢者の年金給付を賄うことになるという点については変わりがないものと思っております。

 したがいまして、年金に要する費用をどのように安定的に確保するかという極めて重要な課題をこなしていく上で、税方式であった場合であっても、マクロ経済スライドという手法を講ずるかどうかはともかくといたしまして、給付を何らかの形で調整するか、あるいは税率を上げて国民の御負担をさらにお願いするか、そうした手段を講じていかなければ、年金給付と現役世代の負担とのバランスは保っていかれないと思われます。

 社会保障国民会議のシミュレーションにおいても、過去の納付状況に関係なく一律給付するという税方式、最もシンプルな形でございますが、その場合でも、二〇〇九年と二〇五〇年を比べますと消費税率換算で五%から七%に上がっていくということでございますので、やはりそうした負担の増大ということを五年ごとの財政検証でどのように見通して、そして財源的な手を打っていくかということは、どうしても必要なことだろうと思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 私もまさにその御答弁のとおりだと思います。つまり、財源が保険料であれ税であれ、少子高齢化の影響というのは避けられないわけでありまして、恐らく、税方式に移行したとしても、当面は積立金が残ると思いますので、積立金の運用利回りも仮定しなきゃいけないんだろうと思います。将来的にはそれはなくなるとしても、少なくとも雇用率、それから就業率あるいは平均余命等々、いろいろな仮定を置いて計算をし、そしてどこかで調整をしていかなければいけない。

 そのときに、私自身は先ほど大臣から御答弁いただいたとおり、まさに税を常に上げられるか、御負担をお願いできるかというと、なかなかこれは政治状況的に難しい、かえって年金財政を縛る可能性が高いんじゃないかなということをちょっと危惧するわけでありますが、今の局長の御答弁、また私が今申し上げたことを踏まえて、もう一度大臣に、今二分の一まで引き上げます、将来的にこれが税方式に移行する可能性があるかないか、現時点での感触をいただければというふうに思います。

舛添国務大臣 もちろん税方式のメリットもたくさんありますけれども、解決しないといけない問題が山積しております。例えば経過期間をどうするか。仮に消費税でやるならば、こつこつ掛金を掛けて受給している今のお年寄りは、何だ、また取られるのか、この御不満だけでもすごいと思いますよ。

 そういうこともありますし、やはり賦課方式でやってきたことの意味は意味で、あると思います。全部が積立方式であったなら別ですよ。だけれども、賦課方式ということも考えたときに、今言ったような問題をどう解決するか。それはさまざまな知恵を働かせて、社会保険料方式、税方式のいいところをミックスして最低保障機能を高めるような知恵は働かせられると思いますけれども、単純にすぐ税方式というのは、例えば経過措置を含めて、問題は多いなという気はしております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 もう一点、財政的な安定性ということに関して言いますと、これは局長に御答弁いただければと思いますが、この委員会でも議論になるのは、未納の問題が常に指摘をされます。四割の未納が国民年金についてあるわけでありますけれども、他方で、年金全体に関して言うと影響は大きくないという意見もあるし、しかしまた、そうはいったって、生活保護の世界に入っていったらやはり影響は大きいじゃないかという議論もあります。

 厚労省として、未納を解決するために税方式を入れるということをおっしゃる方もいる中で、未納の問題というのはどの程度インパクトがあるというふうに理解をされているか、御答弁いただければと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣の方からも少しお触れになりましたように、我が国の年金制度がその発展の過程で賦課方式を採用してきているということ、これは世代と世代の支え合いでございます。

 そうした中で、未納という問題は、社会の他の構成員に対する影響、賦課方式の制度に対する影響ということで、やはりこれは重大な問題であるというふうに考えております。まして年金制度が、とりわけ国民年金制度の法律の第一条に書いてありますように、防貧機能ということを大事にしておりますので、その点を考えますと、未納が続いて無年金になる、低年金になるということは、何とかこれを最小限のものに抑止していかなければいけないというふうなことであると思います。

 そういうことと別に、では、財政にはどのぐらいの数量的な影響があるのかということは、また冷静にこれは見きわめなければいけないことだと思っております。

 財政への影響という点につきましては、私ども、納付がなければ給付がないんだから、基本的には大きな影響ではないと従来から御説明してまいりましたが、昨年五月、官邸に設けられました社会保障国民会議において示された試算結果によりますと、納付率が上下一五ポイント変化したとしても、所得代替率に与える影響は一ポイントにも満たないというところをお示しいただいたということがございます。

 そういったところを見てみますと、年金財政をマクロ的に管理していくという面では大きな影響があるものではない、しかし冒頭申し上げましたように、そもそもの制度の趣旨という観点から、これはゆるがせにできないというものだと思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今、税方式化について二つの点、一つは、長期的な財政の安定性ということでいうとやはり財政再検証が必要であろうということ、もう一点、未納の問題についても、少なくとも財政という側面に関して言うと、必ずしもそれで年金が破綻をするということではないということであったかというふうに思います。ただ、今まさに局長が御指摘いただいたように、やはり最低保障機能ということを考えたときには、これが無年金、低年金につながるとすれば、非常に問題があるんだろうと思います。

 私自身は、最後の制度論として、税方式にしたときの最低保障機能ということについてちょっと議論をしたいと思いますが、そもそも今回の法案でも、最低保障機能を高めるために、免除を受けていた期間の年金額に加算をする、あるいは反映させる率、三分の一から本則の国庫負担の二分の一まで引き上げるという措置が入っているわけでありますけれども、この規定の意義について局長から御答弁いただければと思います。

渡辺政府参考人 現在の制度は、低所得などの理由により通常の保険料を納付できない場合には、所得に応じて、きめ細かな多段階の保険料免除の仕組みが講じられており、例えば、全額免除を受けた期間分については国庫負担相当部分、現行制度ですと満額の三分の一を支給することとされております。

 本法案におきましては、基礎年金の二分の一を国庫で負担することとあわせて、こうした保険料免除者の老齢基礎年金の額の計算について、この四月以降に保険料の免除を受けた期間については、例えば全額免除の場合は保険料納付済み期間を二分の一で算定するということなどの措置が講じられております。

 現行法では、安定財源を確保して二分の一になる、恒久化が図られるときまでは三分の一だとされておったものでございますが、今般の臨時の財源による二分の一の実施にあわせて、繰り上げてかさ上げの算定をして給付の充実を図り、最低保障機能を今直ちにできる範囲内で、こうした形で実現したいという内容を込めさせていただいております。

木原(誠)委員 今の局長の御答弁は大変慎重というか、最後につけ加えていただいたのはまさにそういうことで、免除して税金が入っている部分は本来戻るべきものでありますから、そんなに胸を張って言えるようなことではなくて、多分、本則で恒久財源が確保されなくとも、この二年間について財政融資資金からの積立金を活用するような、こういう臨時的な期間であっても二分の一まで引き上げたということに意義がある、こういうことであろうと思います。

 逆に言いますと、三分の一から二分の一に引き上げた、これは重要なことでありますけれども、しかし、もともと、国庫負担三分の一を二分の一に引き上げる、当然これはやらなければいけない措置でありますから、そのこと自体にそれほど、胸を張ってこれはすばらしいことだと言うだけのことはないんだろうと思います。

 むしろ、私は、まさに免除期間というのは払えないからこそ免除期間がある、そして払えない、お支払いができない、そういう経済状況にないということについて、国としてまさに認定をして、それで結構ですということを言っているということであるとすれば、この期間についてぜひ、免除された部分を全部とは申し上げませんが、八割なら八割あるいは半分なら半分、税金で穴埋めをしてあげるということがあってもいいんではないかというふうに思います。

 当初、昭和三十六年時点では、まさに国庫負担は拠出時の負担であったというふうに理解をしております。それが給付時の負担に順次変わっていったわけでありますけれども、税方式に移行するまでのこともなく、非常に貴重な財源、税源を本当に必要なところに集中的に入れるという意味でいえば、ここの免除された部分をやはり税金で穴埋めしていただくということが考えられていいのではないかというふうに思いますけれども、最低保障機能の強化ということが附則の中に盛り込まれておりますから、今の点について御答弁をいただければというふうに思います。

渡辺政府参考人 今御指摘の点につきましては、私どもも、制度のいろいろな構想をする際の一つのパターンだと思っております。

 現に、昨年十一月に社会保障審議会年金部会の中間的な整理をいただいた意見の中でも、「保険料拠出時に所得に応じて保険料の一部を軽減し、軽減された後の保険料納付を求める一方、軽減された分を公的に支援する」仕組みということを保険料軽減支援方式として検討してはどうか、さまざま論点、問題もないわけではないが、検討してはどうかという御意見をいただいております。

 これは免除と違いまして、本来払うべき額をそもそも軽減するということであり、免除は、本来払うべき額は一万四千円ですよというものでございますので、百八十度逆のアプローチでございますが、無年金、低年金対策ということで、所得に応じた低い保険料でも満額の基礎年金につなげていくという、理想に近づく一つの方策ではないかという御提案だと思っております。

 実際には、こういうパターンの制度というのは、国民健康保険の軽減保険料制度がまさしくそういうようなものでございますので、制度的には議論の余地が十分あるものだと思っております。そこは先生、重々御承知のとおりですが、そのためにも安定的な、恐らく税財源が必要であろうということでございますので、そうした検討が進んでいく過程の中で、また大いに御議論をいただくべき問題であると思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 私は、二分の一に引き上げることにこれだけの労力を使ってきた、十五年をかかって使ってきた、さらに税方式に行くことに、本当に今現実的かなというちょっとした疑問を持っております。であれば、今まさに局長から御提言いただいたような、保険料を支援する軽減支援制度といったようなものをぜひ考えていただきたいな、こう思っております。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 とりわけ、もともと、まさに拠出と負担、負担と拠出が対応しているからこそ、今まで若年世代、高齢世代が負担をやはり納得をしてきたんだろうと思います。引き上げについても、何となく納得できないけれども仕方ないなと思ってきた。この関係を一たん切ると、私自身、恐らく、むしろ最低保障機能というのは弱まる可能性があるな。というのは、同じ年収を受けながら、自分が何で今まで拠出もしてこなかった人にまで払わなきゃいけないんだという不満を持つ方はかなりふえるだろうと私は思います。

 したがって、税方式にすれば自動的に最低保障機能が強まるということは、私はちょっと疑問かなというふうに思っておりますので、同じ税を使うのであれば、限られた税源でありますから、繰り返しになりますけれども、ぜひ集中的に使っていただきたい、最も必要なところに使っていただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 時間が残り五分ちょっとですので、何問か飛ばして、ちょっと記録の問題をお伺いしたいと思っております。

 さまざま、年金記録については問題が出ております。正直申し上げて、国民は、社会保険庁の運営について、ほとんど信頼感は今ゼロだろうなと率直に申し上げざるを得ないというふうに思います。すべての問題を一気に解決できればいいわけですけれども、なかなかそうもいかないという事情があるだろうと思いますので、私は、やはり最大の発端である五千万件の記録の問題ということ、もう二年たとうとしておりますので、これはまずしっかりと手当てというか解決をしていただかなければいけないし、解決されるんだという思い、その印象が国民に伝わるようにしていただかなければいけない、このように思っております。

 特別便を送って、それぞれいろいろな対策をしていただいているわけでありますけれども、名寄せをして、この記録はこの方のものである蓋然性が非常に高いなということで送っていただいたにもかかわらず、まだ八百万件弱、七百七十万件ですか、統合されずに残っている記録があります。恐らく調査中であったり、回答が返ってこなかったり、いろいろな原因があるんだと思います。しかし、これは皆さん、あなたの記録ですよ、蓋然性が非常に高いということで、名寄せの後で送られたものでありますから、少なくともここはまず解消されなければいけないところであろうと思いますが、どのように取り組んでいかれるのか、御答弁いただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず全体の状況でございますけれども、昨年十月までにすべての受給者、加入者、一億九百万の方にねんきん特別便を送付しまして、本年一月末時点で七割の七千二百万人から御回答をいただいた。このうち、九割の六千五百万人の記録確認作業が終了しているということでございます。

 御指摘の、残る方についての対応でございますけれども、基本は、何しろ記録確認作業を速やかに迅速に進めていくということでございまして、先月末の関係閣僚会議にお示しした具体的方針では、本年三月までに受け付けた回答につきましては、日本年金機構の発足までを目途に、これらの確認作業を完了することを目指すというふうにしてございます。

 やや個別の話でございますけれども、具体的な取り組みとして、ねんきん特別便に訂正なしと回答された受給者あるいは未回答の受給者の方のうち、御本人の記録である可能性が高いと考えられる未統合記録がある方については電話等でフォローアップをさらに進める。それから、名寄せ特別便の送付対象である、現役加入者で未回答の方のうち、やはり可能性が高いと考えられる記録に該当する方につきましても、今月より送付を開始したねんきん定期便に、記録及びその確認についての注意喚起の文書、それから回答のお願いの文書、そういったものを同封してまいることにしております。

 このほか、住民基本台帳ネットワークを活用した調査など、記録の内容にも着目しながら対応していきたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 相手のあることでありますから、しかしまた相手のあることとはいえ、責任の一端はやはり社会保険庁にあるわけでありますので、ぜひ、今の電話の話等々、集中的に実施をしていただきたいなと思います。

 あわせて、これは大臣に、ちょっと確認の意味も込めて一点お伺いしたいと思います。先週の委員会の議論の中で私自身がどうも理解できなかった点がありますので、その点、御説明いただければと思います。

 五千万件の宙に浮いた、あるいは未統合記録のうち住基ネットを活用して解明を進めている、その中で、約千人という数字が出てきていたように思います。新たに受給権が発生したんだということが御質疑の中でございました。

 私もこれを伺っていて、これは要するに原因がどこにあるのかということについてはいま一つはっきりしなかった。社会保険庁の記録の管理の問題なのかどうか、そのことについてもう一度御答弁いただければと思います。

舛添国務大臣 御本人にいろいろ確認していただくためには、基礎年金番号がわかっている人は送るけれども、そうじゃない人をどうするか。これはいろいろな手でやりますけれども、住基ネットでヒットさせてみたら出てきた人がいる。

 その中で、なぜ受給期間二十五年を満たしているのにほっておいたかというと、これはこの前もお話ししましたけれども、私の姉の場合もそうであって、全部払っていない、それで忘れていたから、空期間が通算されるんですけれども、そのことを知らなかったので、社会保険事務所に行ってみたら、あっ、そこはありますから、あなたは引っかかりますよと言われて帰ってきて、ああ、よかったと。それは相当前の話なんですけれども、そういうことがあったりしていることが理由であるわけなんです。

 いずれにしましても、この二万五千人の方々にお知らせを送りまして、約九千人の方々からこれは自分の記録であると。そして五千四百人について記録は調査完了して、そして、新たに年金受給に結びつく方々が正確に言ったら千四十八人。この前、千八十人というようなあいまいな数字しか出ませんでしたけれども、さらに調べますと千四十八人であって、これらの方はすべて、基礎年金番号を導入した平成九年以前に被保険者でなくなっている方であります。

 この前、十事例をピックアップしてちょっと調べろということで調べてみたんですけれども、先ほど私の姉の例で言いましたように、国民年金で免除期間が長い方が多く含まれているとか、それで、御本人が受給できるのにそのことを知らなかったとかいうことで年金が受給されていないままになっているというような、いろいろな理由があると思います。

 今後、さらに、既にお知らせした方に続きまして、新たに年金受給につながる可能性が高いと考えられる方にもお知らせを送付したい。具体的には、この未統合記録の加入期間が十年以上の方々に対しても、今作業を急がせていますので、できれば六月中にも送付を開始したいということで、少しでも可能性のある方、この方々を一日も早く救済するという趣旨でやりたいと思っております。

木原(誠)委員 詳細に御説明いただきまして、ありがとうございました。

 もう時間が来たようでありますので、これで終わりにしますが、今、まさに少しでも可能性のある方には迅速にやりたい、こういうことでありました。ぜひきめ細やかに対応をしていただきたい、このことをお願いいたしまして、時間が参りましたので、質疑を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、赤池誠章君。

赤池委員 自由民主党の赤池誠章でございます。

 きょうは、続きまして国民年金法の改正案の質問をさせていただくんですが、その前に、四月五日に発射されました北朝鮮のミサイルに関連して、衆議院では昨日四月七日に、我が国の断固たる抗議の意思を国会決議という形で明確にしたわけであります。

 今回の北朝鮮のミサイル発射問題に際して、厚生労働省としてどのような対応をとったのか、お聞かせ願いたいと思います。

舛添国務大臣 これは、万々が一に備えまして、仮に、その飛翔体が落下して災害のようなことが起こったときに災害医療対応が行えるように、広域災害救急医療情報システム、EMIS、イーミスといいますけれども、これを通じた警戒態勢に入っておりました。それで、発射時には私も直ちにこの連絡をいただきましたし、厚生労働省からは技術総括審議官が、官邸危機管理センターに緊急参集いたしました。

 このように今回、幸い、落下物が落ちたりというようなことで被害はありませんでしたけれども、我々の持っているあらゆるシステムを使って、厚生労働省としても万全の体制を整えたいと思っております。

赤池委員 厚生労働省としても万全な体制をとられていたということであります。

 今回、災害対策という形の中でEMISの話も聞かせていただいたわけなんですが、これは厚生労働省の問題というか、政府全体の問題だと思うんですけれども、私は、防災業務計画に基づいた対応というよりも、やはりこれは有事、国民保護計画に基づいた対応をとるべきではなかったのかなということを感じております。

 当然、国民保護計画の中には、いわゆる核、生物、化学兵器も含めてしっかり対応をとるということが明記されているということでありますので、これは、厚生労働省単体の問題ではなくて政府全体、与党も含めての問題だと思いますが、今後、いわゆる災害対策ではなくて、きちっと有事対応でやっていくということをぜひ御議論もいただきたいなというふうに思っております。

 それでは、本日の議題であります国民年金の改正案について質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の、国民年金の国庫負担二分の一引き上げということでありますが、この目的、意義というのは、単に引き上げということにとどまらないで、年金制度全体の、平成十六年の改正というものの総仕上げという意味も持つというふうに聞いております。改めて、年金制度改革の全体像を、大臣の方から国民にわかりやすくお伝え願いたいと思います。

舛添国務大臣 年金制度は老後の生活の安心の一番大きな源ですから、これが持続可能、英語で言えばサステーナブルである必要があるわけです。

 では、どうすれば持続可能になるかというと、保険料はどんどんウナギ登りに上がっていくというんじゃ、それはとてもじゃないけれども負担できませんよ、今度は逆に、調子が悪くなれば給付がどんどん減らされていく、これは生活できませんよ、この二つがないようにするということ。それから、積立金がありますからこれも活用しましょう。そして最後は、先ほどの木原委員との議論にもありましたように、やはり生活の最後の基本を守っていくということで、国庫負担を二分の一にして安定的な財源というものを確保していこうという仕組みであります。

 これで、ああ、こういうことで改革をしてもらえばこの日本の年金制度は持続可能なものになるな、安心して老後が過ごせるな、こういうことのための十六年の改正でございます。

赤池委員 国民にとって今回の法案の持つ意味というのを説明するときには、やはり全体像を明確にした上で、だからこそ、三分の一が二分の一だ、必要だということを言っていかないといけないのかなというふうに思っておりまして、これは、私自身も地元で説明するときにそういった全体像をしっかり説明していたかなというと、ちょっと反省するところもあるわけであります。

 今、舛添大臣御指摘になったように、負担の上限は、平成二十九年からはもう上限固定だ、その反面、給付の分ですね。所得は完全に、平均所得の半分はやりますよ、やはりこういうことをしっかり言っておかないと、先ほど大臣御指摘のとおり、年金を出してももらえなくなるからもういいや、こういう年金不信につながりかねないということであります。そういう面では、積立金の活用もございますが、やはりきちっとそういうことを、全体像をしっかり訴えていくということが改めて大事かなというふうにも思っております。

 そういう面では、今聞かせていただいた年金制度の全体像をどう国民に知ってもらうのか、理解してもらうのか、そういう面での広報をどういうふうな形でやっているのか。本法案がまだ通っていないということもあるにしても、全体像はもう既にあるわけでありますから、どういう形で広報を展開していくのかということを当局の方から御見解をお伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 御答弁申し上げます。

 平成十六年改正、既に五年近く前になりますので、その間にもさまざまな改正事項も実施してまいりました。そして、今回が最後の一番大きな山ということでございます。この十六年改革の主要な柱である新たな年金の財政の枠組み、こういったものを、御指摘のとおり、わかりやすく対外的に説明をする、また、役人自身がやったのではいけなければ、さまざまな方々の言葉で言っていただく、そういうような機会を設定していくことが大変大事でございます。

 したがいまして、私どもの役所のホームページの活用はもとよりでございますが、あるいはパンフレットの作成、配布はもとよりでございますが、セミナー等の開催や、あるいは大きな政府の動きとして、例えば官邸で設けられた社会保障の在り方に関する懇談会もございましたし、昨年は社会保障国民会議ということもございましたが、そういう場におきましても、この十六年改正の意義と中身、そのポイントということをるる説明し、さまざまな資料にそれを反映させていただいた。今般、もし早期に御審議の上御可決賜りますれば、この二分の一ができたということも含めて、しっかりとさらに努力してまいりたいと思います。

 が、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私ども自身が語るということ以外にも、振り返ってみますと、平成十六年以降、さまざまな論文や書籍あるいは新聞各社の報道はもとより、積極的な御提言などの形で、年金制度のあり方に関する議論が活発に行われてまいりました。そういうことも、間接的ながら国民の皆様方の理解を深め、意識を喚起していくという大きな役目を果たしていただいているものと考えております。

 それから、角度は違いますが、国民に対する広報、周知というような観点から申しますと、十六年改正で、厚生年金保険法等に新たな条項が加わりました。それが、この四月から行っておりますねんきん定期便の根拠規定でございます。

 厚生労働大臣は、例えば厚生年金保険制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、被保険者に対して、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報をわかりやすい形で通知するものとする、こういう根拠条文が設けられ、準備にさまざま努力させていただいて、この四月からやっと本格的に実施されていく。こういう中で、さらに、国民的な議論の素地を具体的な保険料負担と給付という形でお示ししながら、そして制度の枠組みについて、広報をさらに強めてまいりたいと考えております。

赤池委員 今局長の方から、広報に関してお話をいただいたわけであります。ホームページ、パンフレット、セミナー、またさまざまな機会を通じてということなんです。この法案が通ったら、さらにやりたいということなんですが、今回いろいろホームページも見させていただいたんですが、やはりちょっと不十分かなというのが率直な感想であります。

 これだけ、年金記録問題をきっかけにしてかつてないほどの、これは言ってみれば年金不信ですね。その年金不信がさらに社会保険庁不信になり、厚生労働省不信になり、これが政府全体の不信になり、これはまさに政権与党を含めて国家そのものへの不信につながって、不信の連鎖、悪循環、拡大みたいな形がこの年金から出てきたわけでありまして、そうじゃないんだということの中でのしっかりとした改革、そして将来像を改めて国民に伝えていく。

 これは、まさに私ども自身もしっかりやっていかなければいけないということでありまして、そういう面では、本法案を待たずともやれることはたくさんあるわけで、ぜひ、広報ツールも含めて予算をかける、かけなくてもいろいろなことが工夫はできると思っておりますので、さらなる広報の努力をお願いしたいというふうに思っております。

 そんな中で、改めてそもそも論につながっていくわけでありまして、年金制度改正の全体像ということはもちろんなんですが、そもそも年金とは何かというところに、改めて、国民への広報、周知をする上でつながってくるのかなということを感じております。

 年金をいただいている方々にとっては、年金というのが当たり前過ぎて、当然、自分が掛けた保険をもらって当たり前というのも出てきますし、こういう不況の中であれば、年金を納める方の立場に立ってみれば、なぜこの大変なときに保険料を納めなきゃいけないのかなという思いも出るわけであります。そういう面では、こういう時期だからこそ、改めて年金制度の理念、目的、これは国際的な厳密な比較はできないのかもしれませんが、世界一と言っていいこのすばらしい制度に関して、改めてしっかりと、意義、理念、目的を含めて伝えていくということが大事なのかなと。

 年金制度になると、本当に細かいテクニカルな話がどんどんふえていくわけであります。それは個別の相談で、それぞれの専門家と相談する中で自分自身確認をしていくということなんですが、やはりその根幹にある理念が、残念ながらちょっと国民の中では誤解もあり、ずれもあり、それがまた不信にもつながるきっかけ、原因にもなるのかなというふうにも感じておりますので、これはわかり過ぎる話ではあるんですが、改めて大臣の方から、わかりやすく年金制度の意義に関してお話をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 私も諸外国で生活をしてきましたけれども、日本の何がいいか、何を守らないといけないか。社会保障制度について言うと、国民皆保険、国民皆年金、これは何があっても守っていきたいというふうに思って今努力をしているところで、これは、ここにおられる党派を超えてすべての委員の方々も同感ではなかろうかと思います。

 それで、先ほどの広報の話について言うと、自分たちの子供に、国民皆保険を知っているか、つまり保険証を持って病院に行けばどんなところの病院でも、いつでも、どこでもその保険証一枚で診てもらえる、そして、それが三割負担なり二割負担なりの窓口負担で済む、これが私たちの健康を支えている。子供は知っています。年金は知りません。それは年をとってからもらうこと。

 ただ、諸外国は、年金について学校できちんと教えている。私は、これは文部科学省のお力もかりないといけないと思いますけれども、こういうことをちゃんとやるべきなんですね。例えば株の問題にしても、株式市場というものについて、学校で教えるのと教えないところでは全然認識が違ってきます。

 こういうことの問題もあると思いますけれども、国民皆保険、国民皆年金、これを守るということは大きな旗として掲げていいと思います。

 その中で、かつては仕送りという形で、子供が親に対して仕送りした。私も若いころはそういうことをやっていたことがございます。それは、年金制度というのがちゃんと確立していなかった。しかし今、年金が確立したということは、社会全体での仕送り制度をつくった。今、若い人に仕送りという言葉は死語になりました。仕送りしていない。つまり、若い世代から御高齢の世代に対する仕送りをしている、我々が年とったら、今度は若い世代が仕送りしてくる、この賦課方式でやっている。

 その中で、国民皆保険、国民皆年金ということを申し上げたのは、例えば保険料を払えない方だって免除のシステムがありますから、みんな保険証を持てば、いつでも、どこでも、だれでも、どんな病院でもかかれます、それと同じように、免除のシステムがありますから、非常に生活が困窮していて保険料を払えない方でも年金の対象者になるということが非常に重要なので、国によっては保険料を払った人しか年金の対象にならないということがあるわけです。皆年金というシステムを入れているというのは、まさに、まず自助があって、次に共助があって世代間の助け合い、そして最後は公助がある、この三つの自助、共助、公助という理念が実現したものであると思います。

 まだまだ、さまざま不十分な面はたくさんありますけれども、今後とも、これをさらに確実なものにし、さらに拡充していくということが国民に安心を与えるということだと思っております。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

赤池委員 大臣の方から、国際的な体験を踏まえて御説明をいただきました。まさに、皆保険も含めて皆年金ということと、社会保険方式であり世代間の助け合い、社会全体の仕送りという非常にわかりやすい言葉で御説明をいただきました。

 そういう日本人として本来持っている、お互いさま、助け合うということは、これはだれしもわかる話なわけでありますが、それがどういうわけか、年金という話になった途端、年金制度そのものが何か個人の欲望を刺激して、自分さえよければいいとか、今だけよければいいというような、本来助け合うべきものが逆に助け合いを妨げる、そういうようなきっかけにもなりかねない。相互不信であったり、国家のきずなが逆に分断のきっかけになってしまうというようなことも散見されるなというふうに感じております。

 そういう面では大臣がおっしゃった、学校でしっかり教えていく、これは学校という制度にとどまらず、まさに社会教育を含めて、税もそうですし、保険もそうですし、年金にとっては特に、直接お金の絡む話でありますから、やはりしっかり教えていく。教育ということ、大臣御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、そういう面では、今どういう形でこの教育が行われているか、現状と課題を教えていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども社会保険庁といたしましては、文部科学省との連携のもとで、年金に関する教育というのを進めてきてございます。

 基本は、御指摘のとおり、年金制度に対する国民の信頼を確保する、そして保険料の納付意識を高めていく、そして、将来的に制度の安定的な運営というものを確保していくというようなことから、公的年金がなぜ必要なのか、なかったらどう困るのか、そういったことを中心に理解を広げようということでの取り組みでございます。

 具体的には、中学生、高校生、大学生、それから本当に小さなお子さん向けの取り組みと内容が分かれるわけでございますが、例えば中学生や高校生に対しましては、年金制度の仕組みあるいは基本理念を理解してもらおうということで、社会科の担当の先生などに対して私どもの方から研修の場を提供申し上げると同時に、そういう先生方が今度は直接生徒さんたちを指導する、教育をするというようなことを、平成五年度から、いわば学校教育の場ということで取り組んでございます。

 それから十八年度、比較的最近からでございますけれども、間もなく社会人となる年齢層の大学生に対しましても、公的年金制度への参加意識の醸成というのが大事だというようなことで、これは御要請を受けての対応でございますが、大学におきまして年金セミナーを開催させていただいているということでございます。

 ちょうどそれと同じころでございますけれども、さらに、御家庭にいる本当に小さなお子様向けに、社会保険庁ホームページにキッズコーナーというのを設けまして、アニメなどを駆使した御案内もさせていただいているわけでございます。

 キッズページはともかくといたしまして、学校教育の場をベースといたします年金教育を推進するために、都道府県それから市町村の教育委員会の皆様方の御協力がぜひとも必要でございますので、各社会保険事務局ごとということでございますけれども、年金教育推進協議会というのを社会保険の関係者、それから教育の関係者で構成いたしまして、連携を強めながら対応してきているというのが実情でございます。

赤池委員 社会保険庁として取り組まれているということはわかりました。

 その中で、今回、これは中高生向けですか、「二十歳になる前に知っておきたい年金のはなし」という資料もいただいて、読ませていただきましたし、ホームページも見せていただいているわけでありますが、先ほど大臣が御指摘したような、もっとわかりやすく、社会全体の仕送りとか、なかったときの親は我々がみんな家族で面倒を見ていた、それがこういう形になったとかを含めて、やはり、そもそも論をもっとしっかり、こういった資料なりホームページで掲載すべきかなというふうに思っていまして、そういうところが弱いような気がいたしました。

 ですから、細かい話になれば本当に専門的な話になって、幾らでもそういう話にはなるんですが、やはり基本的なことが子供の教育にとっては大事ですし、それは大人になっても同じことであります。自分の年金という意思だけではなくて、助け合っているということがなければ、これは損得だけで年金問題を議論すると成り立たないということがございます。

 先ほども、厚生年金の改革の中で、根拠法もできたということでありますから、ねんきん定期便も始まったわけでありまして、単に個人に通知するというだけではなくて、そういった広報であったり教育の視点も入れて年金の理解を広める、一大国民運動ではありませんが、ぜひ取り組まれていただきたいなというふうに思っております。

 お金をかけなくても、これはそれぞれの現場現場で、個別相談の中では当然説明がなされるとは思うんですが、全国各地の職員の方々、年金記録問題で今大変なときとは存じますけれども、草の根講座ではないんですが、ぜひそういった形での普及啓発を含めてやっていただくことが、時間がかかっても年金制度の信頼回復につながってくるのかなというふうに思っておりますので、改めて努力をお願いしたいというふうに思います。

 それで、年金の教育の問題と絡めたときに、これは同僚議員からも質問がありました、未納の問題にもつながってくるのかなというふうに感じております。年金の未納者の現状とその対策について、改めて当局からお伺いをさせていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金におきます未納の現状と対策ということでございます。

 平成十九年度末現在の状況でございますけれども、未納者は三百八万人ということになってございます。

 平成十九年度末時点での納付率の方でございますけれども、現年度分ということで申し上げますと六三・九%ということで、大変恐縮でございますけれども、十八年度と比べましてマイナス二・三%の結果ということになっているわけでございます。

 この未納問題というのは、やはり制度に対する信頼を損ねますし、また、将来、無年金者、低年金者の増加という事態を招くことにつながりますので、徹底した対策を講ずる必要があるというふうに考えております。

 これまで、国民年金保険料の収納対策といたしまして、一つには、口座振替の利用とかあるいはコンビニエンスストアでの納付促進、そして比較的直近ではクレジットカードによる支払いというようなことなど、保険料を納めやすい環境をきちんと整備していくということに取り組むとともに、もう一つは、市町村から所得情報を提供していただけるようになりましたので、これを活用いたしまして、十分な負担能力がありながら納付義務を果たさない方については、最終的には強制徴収による厳正な対応をする一方で、負担能力が乏しい方々については、免除とかあるいは納付の特例措置がございますので、それらを御案内して確実に受給権に結びつけるというようなことに取り組んできております。

 引き続き、そういうようなことで、きめ細かな対策の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。

赤池委員 厚生労働省の調査、社会保険庁の調査によると、未加入者や未納者というのは、当然所得の低い方もいらっしゃって、特にこの現況の中では、所得が低い方が払えないということもあるのかもしれませんが、データによると、決して所得がそれほど低いとは言えない。所得面で未納者、納付者にそれほど大きな差がない。未納者の半分以上は生命保険や個人年金に加入していて、相当額の保険料を支払っている場合もある。

 むしろ、未納者と納付者の間には以下のような老後生活への意識、公的年金への理解に差がある。つまり、所得面より意識面に違いがある。未納者は納付者に比べて、公的年金を当てにする者が少ない。未納者は、老後について特に考えていないとする者が多いというようなことがホームページに掲載されておりましたが、現状の認識としてはそういう形でよろしいんでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点でございますけれども、私どもの認識としては、特に、未納者の中身を見ますと所得の高い方もいらっしゃる、負担能力の高い方もいらっしゃって、まさにそういうような意識面での、制度側から見た問題があるというふうに思っております。

 そういうことでございますから、具体的な対応といたしましては、例えば強制徴収ということで、いろいろな形で働きかけをさせていただいているわけでございますが、最終的な、例えば差し押さえは免れたい、その前に払いましょうというようなときなども、単にその年の対象の分だけお支払いいただくのではなくて、あわせて制度の趣旨なんかも説明しながら、例えば口座振替を御利用いただくというようなお約束も同時にいただきながら、その場で終わるということのないような対策も同時に打ちつつ対応してございます。

赤池委員 経済危機の中で、所得面から負担できない方に対しては、これもそういった制度があるわけであります。

 ただ、一面、所得があるにもかかわらずまさに年金保険料を納めないという方々に、これは先ほどの問題にもつながるのですが、いろいろな形で、電話したり、手紙を出したり、戸別に訪問したりなさっているというふうに思っているわけですが、これはしっかり年金制度の意義と理解を、それだけ所得のある方は社会的にも当然活動なさっている方でありましょうから、そういう面をしっかり訴えていっていただく。それでもとなれば、先ほど御指摘になったように強制的な徴収というのも、これも当然しっかりやっていただきたいなというふうに思っております。

 そんな中で、もともと年金の難しさというのは、先ほど大臣も社会的な仕送りと言ったのですが、やはり顔が見えない部分というのが相当、人間というのは顔が見えると感謝もすれば、逆に納めがいがあるみたいな損得じゃないところが働くと思うんです。そういう面では、社会保険庁のホームページには、お年寄りの方々の年金をいただいた喜びの声みたいなものが実名で載っておりましたけれども、そういった声を、最後の参考資料ではなくて、広報や教育のときには冒頭に挙げて、保険をいただくことによってこれだけの方々が助かっている、喜んでいただいているということもしっかり普及啓発をしていただきたいなというふうに思っております。

 最後に、既にこれも何度か議論になっておりますが、年金記録問題について触れさせていただきたいと思っております。

 ちょうど、四月三日からねんきん定期便の送付が始まったということであります。改めて、目的、効果について見解をお聞かせ願いたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 ねんきん定期便の目的、それから効果についてでございます。

 ねんきん定期便の導入の契機といたしましては、委員御案内のように、平成十六年の年金法改正の際に、年金制度に対する国民の皆様の理解と信頼を向上させるとともに、現役の若い世代にも公的年金制度を実感してもらう必要があるのではないかということを目的として、現役の加入者お一人お一人に対して、その方の保険料の納付の実績だとか、あるいは一定の推計ということになるわけでございますけれども、そのままずっと将来に向けて延ばしていった場合にはどういうような年金額の見込みになっていくのかといった情報などを、個人情報でございますけれども、わかりやすい形でお知らせする、そういうことをすべきだという規定が国民年金法、厚生年金法に設けられたということで、これまで取り組んでまいったところでございます。

 そういうことで、このねんきん定期便でございますけれども、現役加入者の年金制度への参加意識とか信頼感あるいは制度の理解というものをはぐくむことが期待できるのではないか。それからもう一つは、年金記録を定期的に御確認いただくことによりまして、年金記録の正確性というものを確保していくということについても非常に役に立つのではないか。そういうような効果も同時にある、大変重要な施策だというふうに考えているところでございます。

赤池委員 私も、地元でいろいろな方々に国政報告会をするときに、年金記録問題のときに、特別便、そして四月三日から始まった定期便、お一人お一人、ぜひ御確認くださいと。これを自分の口で言うのも残念なことなんですが、社会保険庁に任せておいたらだめだ、これは自分のものだからぜひ自分で確認してほしいと、今言わざるを得ない状況であります。

 そういう面で、現在、先ほども紙台帳とか、さまざまな形でのチェックということは政府の責任として当然やらなければいけない部分がある反面、やはり基本は、これだけの問題、また、いつどういう形で解決のめどがこれから議論の中で立っていくのかどうかわからないわけでありますので、そういう面では、特別便、そして今回の定期便、しっかり一人一人御確認いただきたいということを言わざるを得ないということであります。そういう面で、今回改めて送付が始まったわけですので、しっかりとした対応をしていただきたいなというふうに思っております。

 きょうは国民年金法の改正について質問をさせていただいたわけでありますが、最近、「なぜGMは転落したのか」という本が出ました。「アメリカ年金制度の罠」という本なんですが、その本によりますと、世界一の自動車メーカーとして君臨して、優秀企業の代名詞であったゼネラル・モーターズがなぜ経営危機に陥ったのか。当然、我々の認識だと、昨年九月からの急激な低迷というふうに一見思われるんですが、実は、その最大の原因、元凶というのは、巨額な会社負担を伴う手厚い企業年金制度であると。

 半世紀にわたる経営者、労働組合、政府の無策と妥協によって膨れ上がった退職者へのコスト、年金や医療費の支払いは、会社の利益を食い尽くして債務超過へと転落させるのであった。そして、同様の現象が今、アメリカの優良企業や地方自治体を次々と破産させていく、そういう本であります。これが本当かどうかというのは、またそれぞれいろいろな立場、議論があるにしても、このアメリカの事例を紹介して、改めて私たちにとっての教訓というのが幾つかあるのかなというふうに思っています。

 一つは、その中にも書いてありましたけれども、アメリカは、日本のように競争条件が一緒じゃない。つまり、日本は公的年金がしっかりしているという形の中で、これは改めて日本の公的年金制度がよかったなということにも、いい面として感じる部分があるわけであります。

 ただ、その反面、将来にわたってしっかり、先ほどから議論させていただいた持続可能な年金制度をどう確立するかということの中で、そのための平成十六年度の年金改正、いわゆる負担の上限をしっかり決めていく、給付もマクロ経済スライドを含めてやっていくということでありますから、今回の二分の一への国庫負担引き上げというのが必要だということにもつながるのかなというふうに感じております。

 また、年金というのはアメリカ経済のブラックホールというふうにこの本で紹介をされておりまして、これも、マイナス面としては人ごとではないのかなというふうに感じております。先ほどの議論もありました、日本の国家予算の中で最大の事業が年金事業ということになっているわけであります。急激な少子高齢化の中で、これは毎年一兆円ずつ自然にふえていくという状況でありまして、言ってみれば日本がGMのようにならないためにも、さまざまな各種改革、そして今回の法改正が必要になってくるというふうに思っております。

 GMというのは、年金の給付をめぐって、労働組合の際限なき要求、そしてそれに伴う経営者の言ってみれば妥協ということが、結局こういうふうになった。日本はこれをしっかり他山の石としなければいけないと思っておりまして、そういう面では、これを置き直せば、まさに国民の皆様方に、それはできるだけ年金は欲しい、多い方がいい、しかしそれに対して我々が、民主主義だから、選挙があるからということで安易に妥協するととんでもないことになる。当然無駄があってはいけないし、さまざまな問題があるにしても、その辺はしっかり見きわめていかなければいけないのかなというふうに思っています。

 改めて、きょう大臣にも御質問させていただきましたが、日本というのは世界一長寿で、老後、障害、遺族の安心を保障した年金というのは、日本の国家そのもののまさにすばらしさを国民にわかっていただく大変重要な部分と同時に、一歩間違えれば、逆に、国民の、個人の欲望を制限なく、際限なく要求を繰り返して、我々がどんどん妥協していけばまさに国家破綻に追い込みかねない、もろ刃の剣ということになるのかもしれない。

 その分かれ道というのは、きょう御質問させていただいて、改めてしっかり教育という形で、我々を含めて自戒を込めて、きょうの質問を締めさせていただきたいなというふうに思います。

 今国会におきましてできるだけ早く、大至急、年金改正案の成立を期して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

上川委員長代理 次に、福島豊さん。

福島委員 大臣、大変御苦労さまでございます。

 本日は、年金制度、そしてまた社会保障制度全般についてお尋ねをいたしたいと思っております。

 まず、本法案の意義ということでありますけれども、年金国庫負担を二分の一に引き上げる、極めて大きな、そしてかつ重要な改革であります。

 年金制度は、高齢期の所得保障の基盤として、国民の生活の安心を支える重要な制度であります。将来にわたってこれを堅持していかなければならない、こう思います。

 我が国の年金制度は、しかしながら、人口構造の大きな変化の中で大変厳しい環境に取り巻かれている。平成十六年度改革は、こうした人口構造の大きな変化に対していかに対応するのかということについて衆知を集めた一つの結論であったというふうに思っております。そして、その改革の中で、国庫負担を二分の一に引き上げるということは極めて重要な柱でありまして、平成二十一年度には確実にこれを実施する必要がある、このように思っております。

 一方で、その財源の確保についてどうなんだ、こういう議論があります。この財源について、安定した財源を確保する、この議論をずっと続けてまいりました。しかしながら、現在我が国が、そしてまた世界が直面している経済危機というものは極めて厳しいものでありまして、現下の経済状況の中で直ちに答えを出すわけにはいかない、これも私はやむを得ない判断なのではないかというふうに思っております。

 しかし一方で、年金制度の将来、そしてまた国民の安心ということを見据えた上で、国庫負担を二分の一に引き上げる、この約束はしっかりと果たさせていただいて、そして国民の皆様に、年金制度は大丈夫だ、こういうメッセージを発するということも大切であるというふうに思っております。

 先般、財政再計算の結果が示されました。その中で、国庫負担を二分の一に引き上げる、このことがいかに重要かということが示されていると思っておりますが、この点について、政府の考えをまずお聞きしたいと思っております。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生るる御説明いただきましたように、この年金国庫負担の二分の一の実現ということは、我が国の年金制度の将来に向けての安定を確保する上でどうしても実現しなければならない課題であると同時に、それが実現できないということでありますれば、肝心かなめの基礎年金制度そのものがかなり早期に瓦解してしまうおそれすらある、非常に大きな影響のあるものであると思っております。

 重ねて申し上げますが、保険料は年々引き上げさせていただいております。上限は打たせていただいております。それから、物価などが戻ってまいりますと給付水準を自動調整する仕組みを入れさせていただいております。したがいまして、国としてのお約束をきっかり果たし、財政を安定させ、基礎年金を永続させていきたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 今の日本の政治に課せられた最大の課題は、この経済危機からいかに早く脱出をするかということが一つ。そしてまた、経済危機を脱すると同時に、その後財政再建をいかに図るのか、この課題であるというふうに思っております。そうした一連の流れの中で、安定した財源の確保ということについて明確な道筋をつくっていく必要がある、このように思っております。

 また、年金再計算について、再度お聞きをしたいと思っております。

 所得代替率、これは五〇%を維持できることが示されたというふうに思っております。

 もちろん、これは年金数理計算の話でありますから、前提の置き方によっては結論の数値は変わってくる。出生率はどうなのか、経済成長はどうなのか、物価の上昇はどうなのか、こういったことがすべて影響するわけであります。さまざまな議論の中で、五〇%を維持するために数字をつくったのではないか、ためにするようなこういう議論もございますけれども、政府として、将来の経済成長等の見通しについては一貫した数字を用いているわけでありまして、年金再計算のためだけに何か数字をいじくったというふうに考えることは妥当ではないと私は思っております。

 そしてまた一方で、五〇%をようやく維持するにすぎない、こういう指摘も当たっているんだろうというふうに思っております。五〇%ということで、どれだけ国民の皆様に納得していただけるか。この点については、これからの経済成長をいかに確保するのか、そしてまた少子化対策を通じて出生率についてどのような改善を図っていくのか、まさに、政府を挙げて取り組まなければならない課題、そしてまた国民を挙げて年金の充実のために努力しなければならない、こういう課題であろうというふうに私は思っております。

 続いて、社会保障制度全般の話、年金制度も含めましてお話をしたいと思っております。

 大臣、私は今、日本の社会保障制度というものは改めて再構築をしなければならない、こういう時期に来ているというふうに思うんです。

 昭和三十六年、国民皆年金の達成。国民年金であり、また国民健康保険であり、成立をいたしました。戦後、日本は、混乱の後に、こうした社会保障制度というものをしっかりと構築することによって、極めて安定した社会をつくってきた。私どもの先人の努力というものは極めて大きかったというふうに思っております。

 そしてまた、自民党が長きにわたりまして政権を担当してきた、この理由は一体どこにあったか。国民の支持をかくも長きにわたって確保することができた理由はどこにあったか。私はそれは、自民党の戦後政治というものが、保守政治ということもありますけれども、総中流社会というものを所得再分配を極めて上手にやることによってなし遂げてきたところに大きな理由があるのだろうというふうに思っております。

 この所得再分配というのは幾つかの柱があるわけでありまして、一つは、終身雇用、そしてまた経済成長を通じた市場経済の中での所得再分配が非常にうまく機能していたと思うんです。そして二つ目は、地方交付税や公共事業といったものを通して、都市から地方への所得再分配というものが極めてうまくいっていた。そして三番目が、社会保障という制度を通じて再分配が、例えば高齢者に対しての再分配が非常にうまく機能していた、こういうことなんだろうと思います。

 そしてまた、この社会保障に係る所得再分配機能というものは、戦後、高度経済成長の中で国富はどんどんふえていきます、そういう中で、必ずしも国民に直接的に、明示的に負担増を求めることなく給付の拡大をするということが可能であった。そしてこのことは、非常に人口構造が若かった、そのことも一つは背景にあると思います。

 ですから、五年ごとに年金再計算が行われて年金制度改革を行ってきた、そのときの国会の議論というものは、給付をいかに充実するか、そして負担はいかにふやさないか、実は、せんじ詰めて言うと、その議論をずっとしてきたんだろうというふうに私は思います。現在の年金制度が非常に世代間格差を内包している、その結果となっているのも、こうしたある意味で非常に優しい政治というものが行われてきた結果なのではないかというふうに私は思っております。

 そしてまたもう一つは、こうした社会保険制度が成立する背景として、日本の社会が極めて均質で、そしてまた国家に対しての帰属意識といいますか社会に対しての帰属意識が高い集団であったということではないかと思っております。国民健康保険にしても国民年金にしても、かつて高齢者の方々の、今でもそうですけれども高齢者の方々の納付率というのは極めて高い。しかし、今やそういった条件は失われていると言わざるを得ないわけであります。こうしたことを背景として日本の社会保障制度ができてきたけれども、今我が国においてはそうした戦後の社会保障制度の発展を支えてきた諸要素というものはどうなっているのか。失われていると言わざるを得ない。

 一つは、人口構造は急速に高齢化をしている。かつてのように若い人口構造ではなくなっている。経済も低成長経済になった。そして、国家財政というものは極度な悪化をしている。かつて私は社会保障改革の三重苦というようなことを申し上げたことがありますけれども、今までの右肩上がりの社会の中から右肩下がりと言ってもいいような社会構造になったときに、この社会保障というものをどうしていくのかということが問われているんだと思います。

 この数年間、年金制度改革や、また介護保険制度改革、医療保険制度改革をやってまいりました。こうした一連の改革は、決して評判がよくありません。さまざまな御批判をいただいておる。こうした改革が必要であるということについて、国民の理解が必ずしも十分に得られていないと私は思います。

 それは一つには、先ほど五年ごとの年金改革の議論を申し上げましたけれども、給付と負担の関係ということについて、国民の理解というものは必ずしも十分に得られていない。

 昨年の社会保障国民会議そしてまた経済財政諮問会議で示された日本の社会保障給付に占める公費負担割合は、三十兆円を超えております。しかし、その三分の一は赤字国債で賄われているという事態、これは私は、非常に深刻な事態、そして改めなければならない事態、こういうふうになっていると思います。

 そしてまた、もう一つ指摘しておきたいことは、かつて均質な社会の中で社会保険というものが比較的よくワークしておりました。しかし、今の日本の社会は、例えば働き方でいえば、非正規雇用がふえて、そして所得格差が広がっている。そしてまた、かつて中曽根元総理が砂のような社会になってしまったということを言っておりますけれども、コミュニティーの力も弱くなっている。そういう中で、社会保険制度そのものもほころびを生じ始めている。こういう中で、私は、総合的な改革をやはりやらなければいけないと。そして、大臣は非常に活力のある方でございますから、そうしたビジョンというものをしっかりと示していただく。

 そして今、高齢者の方々、金融資産が千五百兆ありますね、なぜ使わないか。贈与税控除枠を拡大すると使うのかと、こういう話になりますとですね。比較的、例えば大企業にお勤めであったサラリーマンの方々、所得も高くて、そして退職金もある、何千万という資産を持っております。使わないんですね。心配ですから使わない。私は、そういう資産がたくさんあると思う。もちろん大金持ちの人もいますけれども、そうではなくて、総中流社会の中で、お一人お一人が非常に勤勉に働いて貯蓄していただいた金融資産がかなりある。しかし、それは不安があるので使えない。ですから、ここのところをどう解消するのかということに向けて、社会保障制度全般にわたっての再構築という作業をしていただかなければならない。

 そしてまた、今ほころびつつある社会保険については、現在の社会がかつての社会とは違う、第一次産業そして自営業が多い社会とは違うんだ、コミュニティーのしっかりした社会とは違うんだ、その中でどういう制度をつくればきちっとワークするのかということを考える。厚生労働省の話を聞いておりますと、実はこういう制度になっておりますからこういう改革はできませんという話が多々あるわけでありますけれども、そういうことを一度総ざらえしていただいて、そして合理的な制度に改めていただく必要がある。

 このように思いますが、大臣、御見解いかがでしょうか。

舛添国務大臣 福島さんがおっしゃったことはそのとおりだと思いますが、一、二、つけ加えますと、なぜこういう状況になったか、それはやはりグローバル化ということも観点に入れないといけない。

 特に、日本の場合は、もう八割以上でしょうか、その方々がいわゆるサラリーマン。ということは、帰属意識は企業にあった。日本の社会保障の大きな身近なところの役割は企業が担ってきた。一部分は、おっしゃったように、それは年功序列賃金体制であり、終身雇用体制であり、労働組合について言うと企業ごとの組合であった。具体的に言えば、福利厚生のさまざまな施設、さまざまな手当、これは企業が提供していた。

 しかし、これを続けていくとグローバル競争に負けるということで、いわゆる日本的経営なるものが壊れていった。したがって、賃金体制もそうであるし、年功序列も終身雇用もなくなっていく。フリンジベネフィットはどんどん切っていく。そして、選択と集中という形での企業の国際競争力を高めることになってきた。

 そうすると、セーフティーネットを担える企業というものの役割が低下したら、だれかがそれをやらないといけない。それは政府以外にあり得ないわけで、中央、地方を問わず、その政府がやるべきである。しかし、その政府のコストはだれが払うかというのは、税金です。そこが、先ほどおっしゃったように、負担は低くて給付だけが拡大するというような、玉手箱のような楽しい高度経済成長は終わったわけですから、そこは国民も認識しないといけないというふうに思っております。

 千五百兆円の金融資産についても、それはセーフティーネット機能を高めることによって安心と安全、そして、将来への不安を取り除くということが、お金を使うインセンティブにつながる可能性はあります。

 しかし、そこで一つの可能性は、私はセーフティーネット論の陥穽、落とし穴ということを言っているのですが、最終的にはお金はどこかから稼いでこないといけません。この少資源国で、一億二千五百万人も人口がいるような国で自給自足できませんから、油も食料も買ってくる。では、そのお金、外貨をどこかで稼がないといけない。経済成長をして外貨を稼ぐという戦略が片一方になければ、セーフティーネット論は砂上の楼閣になります。

 今一時的に千五百兆円使ってもいいですよ、将来的にどうするんですかということで、経済成長戦略、これは医療の分野もそうでありますし、低炭素社会であるとかさまざまな取り組みを政府がやっているのはそういう意味でありますので、やはりこのあたりで、ペリーもマッカーサーもいませんが、我々は外圧がなくても今まさに大きく国家百年の大計を立てるべきで、その中の一つの柱が社会保障である、そういうふうに思っております。

福島委員 大臣のおっしゃることはまことにごもっともでございまして、私も同感であります。二つの両輪を回転させていかなければならない、そのために政治家は知恵を動員し、そしてまた勇気ある決断、改革をなし遂げるべきだというふうに思っております。

 端的に言いますと、再構築のために、私は六つほどきちっとやらなきゃいけないんじゃないかと思っています。

 人口構造の変化に対応して、各制度の改革をしなきゃいかぬ。そしてまた、給付と負担の均衡の回復をしなければいけない。

 また、社会構造も、グローバル化ということも含め、大きく変化しました。そうした変化に対応して、社会保険制度、社会保障というよりも社会保険のあり方をどう改革するか。

 そしてまた、社会構造の変化に対応して、実は今の日本の社会保障制度、まだまだ足りない部分がたくさんあります。雇用対策でも、雇用保険のセーフティーネットでカバーできないところがある。非正規雇用がふえてきて、雇用保険の給付の対象にならない。それに対しての第二のセーフティーネットをどうつくるんだという議論を、与党のPTの中で私どもはさせていただきました。

 また、少子化対策、家族政策も甚だおくれていると言わざるを得ない。また、近年の社会保障、歳出とそしてまた財政再建とのせめぎ合いの中で、医療におきましても介護におきましてもほころびが出てきている。こういうものに対してどういうふうに対応するかといったような機能強化の側面。

 そして五つ目は、国民の理解なんですね。どうやって国民の皆様に社会保障の改革について理解を深めていただくか。

 そしてもう一つは、社会保障制度全般のガバナンスということも含めて、地方分権改革と、そしてまた行政の効率化。再分配をするということは、再分配をするための行政組織が肥大化してきたという歴史を持っております。そして、この肥大化した行政組織に対して、適切な見直しが行われなかった。グリーンピアにしてもスパウザ小田原にしても、あれもこれもしかりであります。当時は、そういう再分配に対しての非常に強い国民の求めもありました。しかし、そうした肥大化した行政組織というものの見直しが十分に行われていない。こういったものを同時にやっていただく必要がある。

 先般、大臣のもとで、厚生労働省の行政改革の今後の道筋についてお示しいただきましたけれども、ぜひともこれはやり遂げていただきたいと思いますし、そして、国民の社会保障制度また厚生労働行政についての信頼を回復していただきたいと思っております。

 次に、年金制度に関して言いますと、こうした中で、社会構造の変化に対応した年金制度の拡大ということが一つの課題。

 これは、十六年度改革以降に残された課題として、例えばパートでありますとか非正規の方々に対してどれだけ広げるかという話をしっかりしなければいけません。これは、法案は提出されておりますけれども、一体いつになったらどうなるのか、こういう話でありまして、私は、これは立法府としての責任をしっかりと与野党問わず果たしていかなければならないというふうに思っております。

 第二は、社会保障国民会議、そしてまたその後の中期プログラムでも示されておりますけれども、年金の最低保障機能の強化ということをどう図るか。

 かつて、日本の社会は、第一次産業に従事する人も多かった、そしてまた自営業の方も多かった。そういう中で、年金というのは、高齢期の所得保障の全部ではなく一部である時代だったわけですね。しかし、今や年金というのは、高齢期の所得保障の全部であるという人がふえてきているわけです。そういう社会にあっては、少なくとも基礎年金の水準、そしてまた生活扶助の水準、そしてまたもっと若い世代に目を向けると最低賃金の水準、こういうものは恐らく一つの水準に収れんをしていくべきなんだと私は思います。それが年金制度に対しての信頼を深めることにもなる。生活保護に行った方がいいじゃないか、こういう制度ではやはりだめなんだと私は思います。

 そういう意味では、公明党としては、年金の最低保障機能の強化、例えば低所得の、低年金の方、加算年金をつくってはどうかというような話、そしてまた、そもそも年金水準を低くしないために、受給資格期間を短縮する、さらには追納期間を延長する、こういった手だてを講じるべきであるというふうに申し上げてまいりました。

 今回の法案の中には、附則として、今後の取り組みをどうするのかということについて課題が示されております。これはもちろん、非常に財源のかかる話でもあります。ありますけれども、しかし喫緊の課題でもある、このように思っているわけでありまして、こうした引き続いての年金改革に向けての厚生労働省としての取り組みの道筋を示していただきたいと思います。

渡辺政府参考人 ただいま先生御指摘いただきましたように、今御審議いただいております法案の附則において、年金を含む社会保障給付等の機能強化及び効率化を図るために、公的年金制度について、基礎年金の最低保障機能の強化等に関する検討を進め、制度として確立した場合に必要な費用を賄うための安定した財源を確保した上で、段階的にその具体化を図るということが明記されているわけでございます。

 これは、先生御承知のように、年末にかけてさまざまな御議論の末閣議決定された中期プログラムにおいて取り上げられてきた考え方であるというふうに理解しておりますし、それに先立って、社会保障国民会議あるいは私どもの役所の社会保障審議会においても、より専門的な観点からの御議論などをいただいたものでございます。

 今後の道筋ということでございますが、やはりキーワードは、安定財源を確保した上で段階的に具体化を図るということであると思います。その意味で、課題はさまざまに提起をさせていただきました。また、それが、既に成熟過程に入った年金制度において、振り返って、しっかり新しい時代にふさわしいものに微修正していかなきゃいけないという課題であると理解しておりますが、今後、きょうのような国会での御議論を含め、あるいは官邸でさらに懇談会もございますが、税制抜本改革の動向を踏まえて、それと足並みをそろえながら、私ども、議論をさらに具体化してまいりたいと考えております。

 それと並行しつつ、党派を超え、国民的な御議論が国会の中でも進められますことをお祈り申し上げる次第でございます。

福島委員 国会もねじれて、政局も漂って、なかなかこの議論が定まらないところでありますけれども、後世に、きちっとした議論をしているな、こういうふうに評価されるようなしっかりとした取り組みをしていただきたいと思いますし、いたずらに時間を浪費することなく議論を詰めていただきたいというふうに思っております。

 三番目は、社会保険のほころびをどう正すかという話なんです。

 未納の問題、これは年金財政そのものに影響を与えるという話ではありませんけれども、社会保険が特に若い世代のところでやはりうまくワークしていないという話だと思います。また、これから経済状況が厳しくなって失業者の方がふえると、こうした方々も保険料をどう納めていただけるのかな、こういう心配もあります。国民健康保険も同じです。滞納率が非常に多い。昨年の国会では、こうした家庭の子供さんに対してどうするかということが議論になった。そういうことが議論になる時代になったということでもあるんだろうというふうに思います。

 ですから、今までと同じように、制度発足当時と同じような意識で社会保険を維持しようと思っても、ほころびが出てくる。ここのところは、では、いきなり税でやる制度をつくるかという話も一方でありますけれども、社会保険そのものをもっとしっかりするということがまず大事だろうと私は思っているんです。

 ですから、社会保障番号、社会保障カードの導入というのは、これは何かいつまでも検討が続いているような気が私はいたしておりまして、これは期日を区切って、いつまでにやりますというぐらいのことをしないとだめなんじゃないか。

 そして、あらゆる制度にこういう社会保障番号を導入する、いっときそういう話もありました。保険料を滞納していると資格取得に影響がある、こういうペナルティーということでなくてもいいと私は思うんですね。自動車の運転免許を取得するときにそういう番号をちゃんと書いてくださいとか、大学に入学する試験ではそういう番号を書いてくださいとか、こういうような、制度を統合するような話ですね。ペナルティーでもない、別にメリットがあるわけでもないけれども、そこに事実としてくしが刺さっている。

 これは政府を挙げてやらないと始まらない話なんだと思うんです。しかし、それをやらないと、この社会保険のほころびというものを正すすべというものは今ない。コミュニティーの力に改めて頼るというわけにも私はいかないというふうに思っておりますが、この点については厚生労働行政の改革の中に示されておりますけれども、大臣の御所見をお聞きできればと思います。

舛添国務大臣 よその国ですけれども、社会保障番号があっても年金記録問題が相当起こっているという報告も聞いております。ましていわんやということでありますから、私も、やはり一日も早くこれはそういう付番をしていく、つまり、おぎゃあと生まれた瞬間に、あなたのソーシャル・セキュリティー・ナンバーは何番ですよということをやっていかぬといけないと思います。

 これはいつまでに、ターゲットを決めてということ、そうでもしなきゃなかなか進まないのは、いろいろな反対論もまだあります。だけれども、私は、その番号の有効性というのはまさに年金記録問題に今七転八倒していて思い至っておりますから、これは皆さん方ともよく相談をして、いつまでというのを決められるかどうか、総理ともまた御相談して、これはやはり大きな政策目標になると思いますので、党派を超えてぜひ賛成していただきたいと思いますので、検討させていただきます。

福島委員 ですから、仮に民主党の皆さんが、年金税方式にする、こういう話があっても政策論ですから私はいいと思うんですけれども、土台になるものは共通するわけです。土台になるものはつくらなきゃいけない、そういう話だと思います。

 次は、年金とそれからほかの社会保障制度、各制度の関係ということでちょっとお尋ねをしたいと思います。

 問題意識は、基礎年金のみの単身高齢者の方々、今さまざまな制度で御負担を求めております。保険料負担ということもあれば、例えば医療であれば医療サービスを利用したときの自己負担限度額という話もある。こういうものは果たして適切なのか、妥当なのかということについて、再度私は検討する必要があると思っております。

 お手元には、高額療養費の自己負担限度額ということについて書いてあります、お配りしました。これは、七十歳未満の方と七十歳以上の高齢者で違う。七十歳以上の高齢者は軽減されております。

 問題は、早急に見直した方がいいと思うのが、私は、七十歳未満の一般医療対象者の方々の高額療養費の水準というのは果たしてこれでいいんだろうかという問題意識なんですね。

 かつては、高額療養費の対象になるような医療というのは、例えば入院して手術をするとか、そういうある意味でワンポイントの治療というのがあったんだろうなと僕は思うんですね。ただ、現在、例えば、大臣もよく御存じのように、肝炎で抗ウイルス剤をずっと使う。これはずっと使うわけですよ。結構高いわけですね。これはどうするんだ。抗ウイルス剤だけじゃなくて、抗がん剤の治療もそうです。外来の抗がん剤の治療で結構高い薬をずっと使わなきゃいけない、こういうことが起こるわけです。ですから、ワンポイントだけでないんですね、ずっと続く。これをどうするかという問題があるわけなんですね。

 ここの低所得者の住民税非課税のところ、例えば六十五歳を超えた基礎年金だけの受給者だとすると六万六千円ですか、それに対して三万五千四百円を払うということになるんだと私は思うんです。四カ月目から、多数該当で二万四千六百円です。保険局長、そういうことでよろしいんでしょうか。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

水田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のとおりでございます。収入が老齢基礎年金のみの場合、高額療養費制度におきましては低所得者に当たるわけでありまして、三万五千四百円という自己負担限度額になるわけでございます。基礎年金六万六千円といたしますと、その比率はおおむね五割強、五三・六%、このようになります。

福島委員 そしてまた、住民税非課税を超えて一般に入って、所得税の課税最低限よりも少ない方々がいるんですよ。そこのところは八万百円、そして多数該当でも四万四千四百円、この自己負担の所得に占める比率というのも決して少ないものじゃないです。そして、厚生労働省の御説明では、医療費の控除制度がありますよという説明がよくあるんですけれども、所得税の課税最低限よりも少なければ、税での対応はない。低所得のところの税での対応はない。払うだけですね。

 ですから、ある意味で、こういう方々は、それによって生活保護に行くのか、それとも子供に助けてもらうのか、それとも治療をあきらめるのかとか、いろいろなケース・バイ・ケースだと私は思いますけれども、少なくとも、こういった負担の構造については、年金だけで生活するという人がふえてきているわけですから、そしてまた医療は高度化しているわけですから、どう対応するんだということを考えていただく必要がある。

 特に、低所得者のところの水準をどうするか。そしてまた、一般は八万百円でくくられていますけれども、ここの所得の幅もありますよ。たくさんあります。その下の方のところをどうするかということ、これは考える必要がある。でないと、医療保険としての機能を十分に果たせない、こういう話になると私は思うんですが、局長、いかがでしょうか。

水田政府参考人 この高額療養費支給制度でございますけれども、昭和四十八年に導入されたものでありまして、当時は一月三万円という限度額でございました。これは、当時の家計の月収の五割の水準というふうに置いておりました。それを、累次の改正によりまして、現在は月収の二五%というところまでいわば改善を結果としてしてきたわけでございますし、昭和五十八年に健康保険本人一割負担を導入した際に、多数該当でありますとかあるいは世帯合算でありますとか、そういった改善策を講じたわけでございます。したがいまして、傾向としては改善の道をたどっていると客観的に言えば言えるかと思います。

 ただ、先生御指摘のような事例もございます。その場合には、やはり健康保険、医療保険でございますので、保険者の給付と負担、その関係の中でどう見るかという側面も考えながら取り組んでいくと申しますか考えていくべき課題だ、このように思っております。

福島委員 一般の世帯でも二五%なんですね。低所得のところは五割でしょう、五〇%。そもそも、低所得のところだから、本来は二五%よりも少ない水準にするぐらいでないといかぬのだと私は思いますよ。ですから、そこのところは、今どうせいこうせいという答えを直ちに求めませんけれども、一般のところも含めて、ここのところはどう見直しをするかということを大臣も含めてしっかりと考えていただきたい、このことを要望いたしておきたいと思っております。

 それから続いて、時間も限られてきましたので。

 今、失業者がふえてきている。これは与党の雇用対策の、長寿医療制度のPTの中で、失業して国民健康保険や例えば長寿医療制度に移ってくる場合に保険料をどうするのか、これはこの厚生労働委員会での附帯決議でもお示しありましたように、そこのところは条例減免なりできちっと減免していただく、こういう措置を確実に講じていただきたいということで対応させていただきたいと思っておりますが、年金のことも同じなんですね。年金についてもきちっと減免措置を適用していただいて、この期間が加入期間から漏れがないように適切な対応をしていただく必要がある。

 ただ、失業してどうするのかと非常に厳しい状況の中で、年金のことまでなかなか思いが及ばないという方が多いのも事実だろうと私は思います。家もどうするんだ、こういう話になる場合もあります。ですから、ハローワークにおきまして、しっかりとこういった社会保障にかかわる部分についてもきちっとアドバイスをしていただき、適切な対応をしていただきたいと思っておりますけれども、この点についての御説明を求めます。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 失業期間中の年金の未納、未加入を防ぐ対策という観点からの取り組みというふうに受けとめました。

 それで、失業によって保険料を納付することが困難な場合には、申請によりまして、前年の所得がどうでありましょうとも納付が免除されるという制度がございますので、この制度を活用していただいて受給権の確保につなげていくことが大切だ、こういうような観点から、制度の周知をきちんと図ろうということで取り組みをしてございます。

 現時点で、幾つか御紹介いたしますと、一つは、ハローワークにおける雇用保険受給者への初回の説明会などにおきまして、免除のための申請書あるいは制度周知用のチラシ、そういったものを配布させていただくとか、あるいは国民年金の手続等に関する説明を実施するというような取り組みを行う。それから、雇用保険の基本手当の支給に係る最初の認定日における来所時に、免除のための申請書の提出を呼びかけるチラシをお渡しするというようなこと。あるいは、そもそもハローワーク内にチラシを備えつけさせていただくというようなこと、そういったことをハローワークとも連携しつつ取り組んでいるところでございます。

 また、昨今の厳しい経済情勢の悪化、非正規労働者の雇いどめの要因などから、今後も失業者の増加が予想されます。引き続きハローワークと連携するように、社会保険事務局、各県の組織に指示をするとともに、市町村に対しましても、国民年金の加入手続に来所なされた失業者の皆さんに対しまして免除制度の案内を行っていくなど、さらなる制度の周知をお願いしているところでございます。

 引き続き、免除制度の周知徹底について特にしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

福島委員 ぜひ、きめ細かい対応をしていただきたいと思います。

 残り時間が少なくなってまいりましたので、通告した質問につきまして若干割愛させていただきます。

 きょうは内閣府にお越しいただいておりますので、私は、成人の日に年金制度についてしっかりPRすべきじゃないかと。毎年私も成人式に行くんですけれども、そのときにぜひ若い方々に知っていただいたらいいんじゃないか、こういうふうに思っております。

 先ほど年金教育のお話がありまして、大臣おっしゃられましたように、例えばスウェーデンの教科書、年金に関しての記載というのは大変わかりやすい。そしてまた、自分で社会保険事務所に行って、自分の年金がどうなるのか、これが課題です、そういう実践的な教育をしている。日本はなかなかそこまで行かない。例えば、積立方式がどうだ、賦課方式がどうだ、こういうことを教えても余り意味がないんだと私は思っています。

 そういう意味では、実践的な、節目になる成人の日にぜひPRすべきだというふうに思っているんですが、今どんな取り組みをされているか教えていただきたいと思います。

武川政府参考人 青年期の方々に対しまして年金制度に対する意識をしっかり持っていただくということは、大変重要なことだと思っております。

 内閣府が中心となりまして、昨年末に策定いたしました青少年育成施策大綱におきまして、青年期について、社会の一員として自立した生活を営むとともに、公共に参画し、貢献していくことが重要であるとの考えに立ちまして、必要な施策を盛り込んでおります。

 その中で、御指摘の年金制度につきましても、若者に対して制度の意義や役割の周知を図ることとしておりまして、厚生労働省からは、取り組みの一例といたしまして、成人式における年金制度に関する小冊子の配布ということが挙げられているところでございます。

 内閣府といたしましても、わかりやすい広報を行っていくことが必要であると思いますので、厚生労働省と連携をとりつつ、大綱の内容に沿った取り組みがなされるように努力してまいりたいと思います。

福島委員 それで、どんな資料をつくっているんだと聞きましたら、資料をお配りしていませんけれども、大臣、こういうものをつくっているわけですね。「二十歳になったら国民年金」、これを配っていただいても結構ですよと。しかし、これはとても難しくて、「国民年金の加入手続きは、どこで行えばいいの?」「毎月の保険料はいくら?」「口座振替が便利でお得!」、こういうことは書いてあるわけです。ただ、これは手続の話で、とにかく払いなさいという話で、なぜ年金制度があるのか、これを読んでもちっともわからない。

 また、大体百十万人の人が成人する。その中で半分ぐらいは自分でちゃんと届け出ていただける。残り半分は強制適用、職権適用という形で通知を送る。そのときに、この「国民年金・厚生年金 被保険者のしおり」というのを一緒に同封して送るんだそうです。戻ってくるというか、ちゃんとやっていただけるのがその中で十万人ぐらい。これを私も読みましたけれども、とても難しいです。わからない。これは多分、一ページ開いた途端に閉じるという話になるかなという気がします。

 若い世代の方々にもうちょっとわかりやすく、漫画を使えとまでは言いませんけれども、そういう工夫をしていただく必要があると思いますが、最後、簡単にそのあたりよろしくお願いいたします。

舛添国務大臣 漫画も一つの手だと思いますので、どういう形で広報するか、これは検討させていただきたいと思います。

福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。

田村委員長 次に、山井和則君。

山井委員 質問の機会をいただきましてありがとうございます。一時間、年金問題に絞って質問をさせていただきたいと思います。

 年金の所得代替率が五〇%を上回る、これが最大の政府の約束なわけであります。しかし、私たち民主党が一番深刻に思っているのは、長妻議員も指摘されておられます、国民年金がもう非常にがたがたになってきているということです。私の尊敬する山本孝史参議院議員は、この国民年金の問題を抜きにした年金改革というのはあり得ないと。やはり改革というのは、一番危機に瀕している部分に真っ先に取り組むということがなければ改革とは言えないんだというふうに思います。その意味では、今回の三分の一から二分の一の中で、この後質問しますが、国民年金の納付率の前提が八〇%となっているということは、前回も長妻議員が指摘をされましたが、非常に非現実的だというふうに思っております。

 そこで、まず舛添大臣にお伺いしたいんですが、現在、最新で、平成十九年度、国民年金の納付率六三・九%であります。ところが、これは分母対策といいまして、免除や猶予をどんどんどんどんふやすことによって見かけの納付率をふやしているわけでありまして、実際、分母から免除や猶予の人を除くと、国民年金の納付率は機械的に計算すると何%になるでしょうか。

 もう一回きっちり言いますと、納付率の分母に全額免除や猶予の人を加えた場合、納付率というのは機械的には何%になりますでしょうか、平成十九年度で。

舛添国務大臣 機械的に計算しますと、四七・三%です。

 ただ、全額免除や納付猶予、これを分母に含める方がいいかどうかというのは、それは議論があるところでありまして、もともとこの人たちは免除されているわけですから、払うべき人が何人いて、そのうちで払わない人が何人という数字の方がむしろ、目的というか、納付率を出すときにはそちらの方が適当じゃないかと思っていますが、御質問には四七・三%というお答えをいたします。

山井委員 これは二つ問題点がありまして、一つは、御存じのように、六万円と言われている国民年金の受給が、免除や猶予をされていくと、どんどんどんどん額が減っていくわけですね。だから、六万円でも生活できないと言っているのに、もっとそれよりも下回ってしまうということ。それと、そもそも加入者の四七・三%、二人に一人も満額年金を払っていない。これで国民皆年金ということが言えるのかという深刻さを物語っていると思います。その意味で、私たち民主党としては、この四七・三%が、機械的計算というよりは、国民年金の実質納付率だというふうに認識しておるわけです。

 そこでなんですが、一ページ目、きょう配付資料が多いんですが、順番に行きますと、八〇%に納付率を上げるという目標を毎年出しているにもかかわらず、この表紙の資料にもありますように、年々下がっているんですね。六三・九%というふうに下がっているわけです。

 そこで、まず舛添大臣にお伺いしたいんですが、きょうの配付資料にあります二ページ目、三ページ目、今回の、五〇・一%が基本ケースの所得代替率というのが三にありますね。今回の将来見通しの中で、長妻議員も質問をされましたが、国民年金の納付率を八〇%を前提に計算してあるということは、どこかに書いてあるんですか、この報告書に。

舛添国務大臣 それは、この前もお話ししましたように、社会保険庁の行政目的であると。

山井委員 いえいえ、この報告書にそのことが明記されているんですかということを聞いております。

舛添国務大臣 委員のお配りになった二ページ目の資料でいきますと、下から二行目、「(四)その他の前提」、そこに「これらの諸前提は、被保険者及び年金受給者等の直近の実績データ等を基礎として設定している。」というところに含まれているということでございます。

山井委員 大臣、それでは改めてお伺いします。直近の国民年金の納付率の実績は何%ですか。

舛添国務大臣 これは、だから、委員がお示しになりましたように、十九年度、六三・九%であります。

山井委員 ですから、そこなんですよ。直近の実績は六三・九%ですから、今回のこの五〇・一%は六三・九%を前提に出してあるんじゃないんですか、この資料から見れば。大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 委員の出された二ページ目に、さっき読みましたけれども、「直近の実績データ等」、データを基礎としてじゃなく「データ等」。「等」の中に入っている。

山井委員 ちょっと、いいかげんな答弁やめてくださいよ。直近の実績は六三・九%だけれども、では、「等」の中に何が書いてあるんですか、「等」の中に。

舛添国務大臣 いや、それはいいかげんじゃなくて、この紙の中のどこにあるかと言うから、ある場所を示したんです。

 三番目は経済前提。これは経済前提委員会がいろいろな経済の前提をとっている。ありますね、物価上昇率、賃金上昇率云々と。それで、「その他の前提」の中にもろもろのがあって、社会保険庁の行政目的として納付率八〇%を目指す、それがこの「等」の中に入っている、そういうことであります。

山井委員 いや、そういうのは国民には通用しないでしょう。通用しないですよ。直近の実績データがないんだったらあれですけれども、六三・九%と今大臣は答弁されているじゃないですか。

 「等」をどう読めば、そこに八〇%と読めるんですか。もう一回、ちゃんと明確に答弁してください。

舛添国務大臣 いや、何度も繰り返しになりますけれども、この紙の中のどこにあるかと言うから、あるなら、ここにあるということを言っているわけで、「等」というのは何でも入るんですよ、役人のつくった文章ですから。「等」というのはそうなんですよ。ですから、あなたがどこにあるか言えと言うから、ここにあるということです。

山井委員 いや、でもそれは、普通に読めばそれは虚偽でしょう。ここの「等」の中に八〇%が入っているなんて読めないですよ。「直近の実績データ」と書いてあるじゃないですか。

 そしたら、舛添大臣、質問の仕方を変えますが、なぜ直近の実績データを使わないんですか。

舛添国務大臣 例えば出生率にしてもそうですけれども、これは低目に見積もっていますよ。こういうデータをどういうときに推計するかというのは、いろいろなとり方があります。ですから、では、直近が例えば六九%、七〇%ないしは極端に言って四〇%、十年後の姿をやるときに、そのままでいいんですか。そんな、要するに五割で低迷したままで満足するんですか。民主党が政権をとって、もっと上げるように努力するでしょう。私も努力して八〇%まで上げるということを言っているので、来年の話をしているんじゃないんですよ。長期の目標で言っているので、どこかから数字はとってこぬといかぬですよ。それは、その数字の根拠がおかしいと。出生率だって、低く見積もったって、何が原因で、私がやった妊婦健診の公費負担の十四回、これを全部見よう、このおかげでばっと出生率が上がるかもしれないじゃないですか。こういうときは今よりもっと上がる。

 だから、これは一つの計算で、専門家がいろいろなデータを使ってやる。そのデータが、それは私がやろうとしていることの意図に反して、八〇じゃなくて四〇とかがっと減ってしまえば、それは下がりますよ。ですから、どういう数字をとるか。経済前提委員会がとるデータがある。それが平成二十七年度にどう変わっているかというのは一つのシミュレーションですから、定点観測でやって、五年ごとにやっているわけなんで。

 だから、委員の問題意識は、山井さんの問題意識はよくわかりますよ。そういうデータを使って、今がそのまま行くとしたら問題じゃないか、それはそのとおりなんですけれども、今がそのままじゃなくて、十年後、二十年後、先を見据えてやっているんですから、そういう行政目的を使うということは、逆に、行政目的である八割という数字を使うとこれは絶対間違いだということを言えますか。ですから、これはそういうデータを使った、それは今後とも、まさに使う以上はそこに向かって努力をしろ、そういうことであります。

 きちんと質問していただいたので、きちんと、きちんとというのは、紙の上のどこかということがあったのでああいう議論になったんですけれども、そうじゃなくて、正面から答えればそういうことです。

山井委員 いや、私は納得できません。これはだましじゃないですか。

 それだったら、正々堂々と、実績や目標値というふうに書くべきじゃないですか。「等」で八〇%を読めなんか、読めませんし、舛添大臣、はっきりお聞きしますが、この「等」の中に八〇%が入っているというのは御存じでしたか。

舛添国務大臣 要するに、シミュレーションは、どこからどういう数字を持ってくるか、いろいろなことがありますから、その「等」の中に入っている。それはもう、すべてそうであって、そして、その六九・三、それで今、ほかの計算をすると半分にも満たないじゃないかということですけれども、それは、やはり年金記録問題に対する不信感もあり、そういうことはいろいろ問題があるんです。

 それからまた、今景気は非常に悪い。景気は今からよくなる、年金記録問題もだんだん片づいていく、そういう中で、啓発活動ももっとやっていく、そして、国民年金の納付率をどんどん上げていく、そういう方向を目指す。そのことを前提に、そういう政府の政策を前提にシミュレーションをやるということは、決して間違っていて、だますことにはならないというふうに思います。

 ただ、今あるこの低い数字というのが問題である、これは改善する努力をしないといけない、そう思っています。

山井委員 いや、私は納得できません。

 これは、だれが読んでも、こんなところに八〇%が潜んでいるなんて読めませんよ。なぜ正直に、ここに目標とか書かないんですか。「直近の実績データ」と書いてあるじゃないですか、明確に。そして、直近の実績データがあるじゃないですか。

 大臣、このペーパー、修正してください。そこまでおっしゃるならば、直近の実績データや目標ということを正々堂々と正直に書いてください。

舛添国務大臣 八〇という数字を使ったのに使っていないと言うなら、だましですよ。だけれども、使ったと堂々と公表して言っているわけじゃないですか。ですから、紙の上のどこにあるのかといったら「等」の中に含まれるということを言っているので、だますつもりも何にもない、とにかく今の数字を使ったということですから、公表していますから。

 それについていろいろな御批判をなさるのは結構ですけれども、ことしのシミュレーションをやっているんじゃないんですから。先の話を、十年後、二十年後、三十年後、そういう見通したシミュレーションをやっているわけですから。そうすると、こんなことをやることは無駄になっちゃいますよ。すべてのシミュレーションというものはそういうものでしょう。

山井委員 いや、私は、国民をだますなと言っているんですよ。

 そうしたら大臣、この表現は適切だというふうに大臣は思われるんですか。「直近の実績データ等」と書いてあるのに、六三・九じゃなくて八〇を使うということは適切だと思われるんですか。

舛添国務大臣 いや、何度も申し上げているように、その「等」の中に入っているということですから。

 だから、八〇を使ってやったわけですから、そうじゃない、例えば一〇〇なんという数字を使って八〇と言ったらだましだけれども、八〇を使ったということを言っているわけですから、それは何の問題もないと思いますよ。

山井委員 そうしたら、「直近の実績データ」なんて書かなかったらいいじゃないですか。こう書いてあったら、直近の実績データと理解するのが当たり前じゃないですか、日本語だったら。

 なぜ私がこんなことを言うのかというと、ここに直近の実績データの六三・九%を使うと、五〇・一%を下回るんですよ。そこがここの問題の深刻さなんですよ。

 それで、これは八〇%が前提ですが、では、六五%にした場合の計算を去年五月の社会保障国民会議の試算では出していますが、その場合はどういうパーセンテージになりますか。

舛添国務大臣 昨年五月の社会保障国民会議において示された定量的シミュレーションの結果によれば、今おっしゃった六五%という保険料の納付率の場合には、最終的な所得代替率は五一・一%となる、そういう数字であります。

山井委員 もうちょっと正確に答弁してください。

 では、八〇%から何%に下がるんですか。

舛添国務大臣 この五一・一%という数字は、納付率が八〇%の場合の所得代替率よりも〇・五ポイント低いということであります。

山井委員 配付資料に書いてございますが、要は、去年の五月のときには、四ページにありますように、下線を引いてあります、六五%、実績程度で書いてあるんですよね。五月の資料では実績として六五%と書いてあって、今回の資料でも、直近の実績データと書いてあって、今回は八〇%にしてある。

 それで、五ページ目、昨年の五月のときには三つのケースで試算されていて、五一・六%が五一・一%に、納付率が一五%下がると〇・五%下がる。

 次のページ、お願いします。六ページ。これは、正式に年金局からもおととい回答をいただいております。つまり、八〇%から六五%に一五%国民年金の納付率が下がったら、所得代替率は、この黒三角、〇・五%下がるんです。

 そこで、舛添大臣にお伺いします。

 今、基本的ケースと言われている五〇・一%は八〇%が前提ですが、六五%を前提としたら何%になりますか。

舛添国務大臣 これはまさに、コンピューターを動かして計算しないといけないので、今計算をさせているところで、まだちょっと答えが出ていません。もうちょっと時間がかかると思います。

山井委員 いつ出してもらえますか。

舛添国務大臣 やっている最中ですから、これは正確なところはやってみないとわかりませんが、恐らく一週間程度だろうというような感じです。

山井委員 きょうは水曜日ですから、では、来週の水曜日の審議までには出してもらえるということでよろしいですか。

舛添国務大臣 まさにやってみないとわからないので、その前までかどうなのか、ちょっと正確に申し上げられませんですけれども、大体そういうことを目安にやりたいと思っております。

山井委員 何で私がここにこだわるかというと、話は戻りますが、三ページにあります基本ケース五〇・一%、この五〇・一というのは非常に重いんですよ。なぜならば、七ページにありますように、平成十六年の国民年金改正法案、強行採決になった一番大変な法案ですよ。この法案のみそが、下線が引いてあるように、二分の一を上回ることを給付水準とすると。下回ったら法改正せねばならないという、非常にこれは重要な部分なんですよ。

 重要な部分が、これは今、五〇・一%と言っているわけですが、実際、実績データでやれば五〇%を下回るんじゃないかということです。こういう根本的なことが明らかにならない限りこの年金の法案の審議も終わらないから、私は急いでくれと言っているんですよ。

 舛添大臣、もっと早く、これは今週中にデータを出してもらうわけにいかないんですか。

舛添国務大臣 最大限の努力はします。そして、わかり次第、公表いたします。

山井委員 これは遅くなればなるほど、採決がもうできなくなって、審議が長引きますから。今、岡本議員も、このことに関する資料要求をされているそうですが、資料が出てこない。

 いや、もう出てこないんだったら、ずっと審議をやり続けさせていただきますから。そこは当然、セットですから、審議の前提となる資料を出されないのであれば、出てくるまでお待ちしますから、こちらは。そこはぜひ協力をしていただきたいと思います。私たちもいたずらに引き延ばそうと思っているのではありません。

 そこで、舛添大臣、正式なのは来週の火曜日までに出していただくとして、もう一度この私の資料の六ページを見詰めていただきたいんです。ここに書いてありますように、八〇%の場合は五一・六%だったというのが昨年の社会保障国民会議。しかし、六五%に一五%下がると〇・五%下がると。算数ですね。五一・六が五一・一に〇・五下がると。

 そうしたら、五〇・一は、舛添大臣、大体何パーぐらい下がりますか、六五%になれば。大体でいいです。

舛添国務大臣 いや、これは前提がありますから、大体といっても、それはコンピューターをはじいてみないといけないので、私が今何ぼ下がるということは言えないですよ、それは。だから、むしろ委員がおっしゃってください。

山井委員 それでは申し上げます。五一・六が五一・一に〇・五下がっているんですから、恐らく五〇・一も〇・四、五%下がるんでしょう。

 さらに言うと、そうなると、恐らくですよ、これは計算をやってみなければわかりませんが、四九・六とか四九・七になるのではないかと私は推測しますが、大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 その推測が正しいかどうか、頑張って一週間以内に数字を出したいと思います。

山井委員 これ以上は言いませんが、要は、直近実績データと書きながら、それと大きく違う数字を使い、そして、そのことによって本来なら五〇%を切っているのを無理に五〇・一%に引き上げているんじゃないかというような心配を持ってしまうわけです。疑って申しわけないんですが。

 ここは、先ほども言いましたように、今の年金制度の根幹ですから、二分の一を保障するというのは。ここは来週火曜日じゅうにはぜひ出していただきたいと思っております。

 それでは次、未払い年金のことに移らせていただきます。八ページですね。

 私のところには、多くの被害者から手紙がやってまいります。これは、舛添大臣、昨年の十二月に予算委員会でも質問しましたので、舛添大臣も覚えておられるかと思いますが、四国地方にお住まいの七十六歳の男性です。三月に訂正をしてもらった、そうしたら、三カ月ぐらいで払いますよと言われた。六月に行った。もう三カ月待ってくださいよと言われた。九月に行った。そうしたら、一年ぐらいかかるんですよと言われたと。ここまでは前回予算委員会でやりました。

 それで、一年たちました。それでまた手紙が来ました。皆さん、これを見てください。係員の返事は、一年たった三月に電話をくださいとのことでした。一年たっているんです。それで、二月四日に行ったら、年間十六万円ちょっとで十六年で二百五十万円ぐらいですねと。正直言ってこの方も非常につらい生活をされているんです、今、経済的に。二百五十万円、それは払ってほしい、当たり前の話ですけれども。これは権利ですから。

 それで、「丸一年過ぎた三月十日に電話をしますと、「消えていた年金は統合されておりますがまだ計算が出来ていませんのでもう少し待って下さい」との言葉でした、「長くても一年と聞いておりますが」との問いに「計算のむつかしいものについてはそれ以上かかるものもあります」との事、「ではいつ頃との返事は貰えませんね」と言いますと「もう少し待って下さい」の返事が結論でした。」ということなんです。

 舛添大臣、これはやはり早く支払ってもらわないと。今回、政府・与党で景気対策、内需拡大とおっしゃっています。私たちも趣旨には大賛成ですが、本来もらえるべき年金をいち早く払う、こういうのは景気対策の前提だと思うんですが、大臣、いかが思われますか。

舛添国務大臣 本当にこういうようにおくれているのは申しわけないと思っていまして、今、一万人体制ということで人数をふやして、全力を挙げてこのお支払いするまでの期間の短縮を図っておりますので、さらなる努力を続けたいと思います。

山井委員 続けさせていただきます。九ページ。

 これも、御家族の方が私のところに相談に来られました。百三歳の方が、一年八カ月抜けていて五百万円未払いと。要は、三十八年分、年間十三万円ということなんですが、この資料を見ていただきたいんですけれども、念のために御本人の了解を得てコピーをさせていただきました。十一ページですね。ある研究所に勤めておられた一年八カ月が漏れていたと。それで、十二ページ、念のために見ていただきますと、六十五歳からプラス年間十三万円もらえるはずだったということで、百三歳、五百万円。この方は最近百四歳になられました。ところが、これは一年たったんですが、まだ支払われていないんですね。四月二十一日、もう一年たとうとしておりますが、まだ支払われていないんですよ。

 これは、こう言っては何ですけれども、お相手は百四歳の方なんですよ。それで、当たり前の話ですが、生きているうちに払ってほしいと。これは当たり前の話ですよ。

 それで、十三ページ、見ていただけますか。また私のところに手紙が来ております。これは、なぜ手紙が来るのかというと、本当に困っておられるわけなんですよ。

 この方は、お姉さんが八十六歳で寝たきり、それで、本来なら五十五歳で年金がもらえるはずだったんですね。それで、この十三ページの下からいきますと、実は私の義理の姉が、平成十三年八月、脳内出血で倒れて、口もきけずに入院中ですと。今八十六歳。ところが、年金をもらっている気配がないので社会保険事務所で調べてもらった、すると、昨年の七月の時点で年金がもらえるということがわかったと。そうしたら、家が一軒建ちますね、これは三千万円ぐらいだというんですね。

 それで、なぜ抜けているかといいますと、次の十五ページを見ていただきますと、この方はずっと銀行に勤めておられた、ところが銀行に勤められた昭和二十年代の数年間が抜けていたわけです。それで、六十歳を過ぎたころに、もらえますかと言ったら、その五年間が宙に浮いていたらしくて、二十五年にかからないからもらえないとなっていた。それで、仕方なしに、本来五十五歳から年金をもらえるのに無年金だったから再就職をされて、中央市場の朝早くからの仕事をずっと七十九歳までやり続けられて、それで脳出血で倒れてしまわれたわけですよ。それで、七年後に、いや、実は年金が宙に浮いていましたということが弟さんが行かれたらわかったと。

 それで、七月にそれがわかって、一月に五年分だけ数百万円支払われたわけです。それで入院中のところに弟さんが行かれて、メモで、寝たきりのお姉さんに、年金がやっと来たよとおっしゃったけれども、意識も非常にもうろうとされている、長年の寝たきりなわけですから。

 大臣、やはりこれは本当に、生きているうちにというのは当然なんですけれども、健康なうちに払ってもらわないと困るんです。

 もう一つだけ事例を言います。十六ページ。

 これも私はたまたま会った方ですが、息子さんからのお便りです。八十歳で大病もなく元気だった父が昨年秋から体調を崩して、ことしの一月一日に他界しましたと。ところが、他界する前から、自分が亡くなったら社会保険事務所に行ってくれと言われていたから、何かなと思って行ったら、何と二十年分十七万円が欠けていて、三百四十万円の年金を、お父さんは八月に記録訂正して待っていたということがわかったわけですね。体調を崩しておられたので、何か詳しい言い方を聞かなかった。

 それで、いつ支払ってもらえるのかと言うと、八月に申請なので来年の三月、ことしの三月ぐらい、しかし、もう亡くなったから六月ぐらいまで遅くなりますと。また延びているわけですよ、お父さんが亡くなったら。それでここに、下から六行目に書いてありますが、「税金の遅延には金利が発生するのに、年金未払い分には金利が発生しないと聞きましたが、理解に苦しみます。」と。

 次のページ、十七ページ、上から二行目。それで、三百四十万円もの未払いの年金を心待ちにしていたということを知った息子さんが、「思わず担当の方に、亡くなってからでは意味がない、大至急改善することを現場の意見として訴えてほしい」、こうおっしゃった。「父は真面目に、こつこつと中小企業での木工職人、機械管理等をやっていたので大金を手にしたことはありませんでした。晩年には葬儀代は確保してあるが何も残せず申し訳ないと言っていました。闘病生活に入ってからも色んな面で迷惑をかけると気ばかり遣っておりました。もし、生前に差額支給があれば父は安心して私達に今後の使い方を指示出来たと思います。残念でなりません。」こういうふうに、亡くなっておられるんですね。

 これで年金をもっと払ってくださいとか幾ら言ったって、こういう状況があったら、これは本当になかなか気が進まないですよ。やはり納付率を上げろと言うんだったら、セットで、せめて生きている間、元気な間に払う。もっと言えば、百歩譲って、見つかったらすぐに払うというのがないと。見つかってからも一年待っても払われない、百三歳の人が一年たっても払われない、これはもう高齢者虐待じゃないですか。国家的な詐欺ですよ。こんなことをやったら、民間の銀行だったら絶対つぶれますよ。

 大臣、最新の調査で、記録訂正から支払われるまでに今何カ月かかっているんですか。

舛添国務大臣 今、山井さんがおっしゃったように、こういうケースがないように今全力を挙げたいというふうに思っています。最初の方は、幸い、三月に五年分まとめてお支払いすることができたと報告を受けております。

 今、社会保険事務所における再裁定の申し出の受け付け後、業務センターに進達するまでに、十二月で、大体全国で二カ月かかっています。それから、再裁定については、この一月時点で、進達されてから支払いまでにやはり七カ月たっているんですね。

 それで、さまざまな事情がありますが、そういうことを考えますと、先般、四百七十名の職員を再裁定処理に当たらせておりまして、今、一月当たりの処理件数を二十万件まで上げるところまでいきました。これは、先ほど民間の例が出ましたけれども、民間だと大体二、三カ月ぐらいでいきますし、総理もちょっと長過ぎるということをおっしゃっていたので、夏までに、進達してから三月程度で解決できるように、これはもう全力を挙げたいというふうに思っていますので、システム改善、それから人の手当て、今やっているところでございます。大変申しわけないというふうに思っていますので、できるだけ早く、生きているうちに、そして、御高齢者からもちろん優先的にやっていっておりますので、さらに取り組みを進めたいと思っております。

山井委員 私、昨年の十一月からこの問題は国会で取り上げているんですが、夏までに三カ月と言われても、もう時間がかかり過ぎなんですよ。私が怒っているというよりも、お年寄りは待ってくれないわけですよ、寿命は。

 ついては、先ほどの話を聞いたら、社会保険事務所から業務センターまで二カ月、そして社会保険業務センターで七カ月、かつ、それに時効前の部分が三、四カ月ですから、一年かかるわけです。それではやはり困るんですよ。

 ついては、舛添大臣、この七カ月というのは一月の調査だと思うんですが、もう四月になっているわけですから、早急にもう一回これは調査してくださいよ。というのは、私たちが困るのは、夏までに三カ月のはずだと言っていたけれども、夏になったら、いや、実は六カ月にしか縮まっていませんでしたではこれは本当に済まないんですよ。ですから、これは早急にもう一回調査してください。

舛添国務大臣 直近の数字をちょっと調査して、公表したいと思います。

山井委員 この三月、四月から二十万件処理体制になっている、そういう見込みなわけですから、ぜひ、全国の三百以上の社会保険事務所に調査指令を出して、最新の情報を調べていただきたい。そして、進捗状況をちゃんとチェックして、一日も早く払われるようにしていただきたい。

 それともう一つ、舛添大臣、私が深刻に思っているのは、私の知り合いの社会保険事務所の方々によると、この人、やっと再裁定がおりた、年金を払われたと電話しようと思ったら、もう死亡届が出ている、ああ、間に合わなかった、この人も亡くなった、あの人も亡くなった、そういう問題点が今現場で起こっているんです。ある方が怒っておられましたが、じゃ、私が亡くなったらどうするんですかとおじいさんが聞かれたら、社保事務所の方が、御安心ください、御遺族にお支払いしますから、こう言ったと。御安心くださいじゃないんですよ、年金は本人のものなんですから。全然御安心じゃないんですよ。

 ですから、大臣、未払い年金を待っている間に亡くなった方というのは、大体どれぐらい発生されているんですか。

舛添国務大臣 これ、ちょっと御質問がありましたので調べさせましたが、全件数については把握できていない。ただ、昨年の五月一日から十二月末日までの間において、記録訂正により新たに年金受給権を得ることとなった方、七十四件のうち一名が年金の支給前にお亡くなりになっている。九十三歳の女性です。

山井委員 それは、無年金だった人が年金受給権を得られて、五月から九月の間にということで、九十三歳の方が亡くなられた、それも、支払いが一千三百万円あったのに一銭も受け取らずに亡くなってしまわれたという悲しいケースですが、長妻議員も指摘された、例えば、千八十人も無年金の方で受給権が発生した人がいるわけですよ。その中でも何人かいるわけですし、私が今聞いたのは、必ずしも無年金から年金をもらえるようになったんじゃなくて、未払いの年金の支払いを待っている間に亡くなった人は何人かと。これはそんな一人というけたじゃないんですよ。

 舛添大臣、頼みにくいことを頼みますが、これはやはり国の責任においてどういう実態かというのを私は把握する責任があると思いますよ。なぜならば、年金というのは、基本的には生きているうちに払う最大限の努力をするのが国家の責務だからなんですよ。だから、大臣、全国の社会保険事務所に通知を出して、待っている間にお亡くなりになられた方、正確にとは言いません、一件残らずとは言いませんから、大体何件ぐらい現時点で発生していますかという調査をやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 この年金記録の訂正という作業に取り組んだのが一昨年の七月からで、私が大臣になってずっとこれに取り組んでおります。ですから、昨年五月からというデータが来たのは、恐らく、裁定、再裁定、それから、さまざまな手続で時間がかかって、そのプロセスにおいて行われた人ということがあると思います。それから、恐らくそういうことではなくて、もう年を召されたので、ちょっと社会保険事務所に立ち寄ってみようということでやられて、そこでわかったケースもあると思いますので、どれぐらい正確に実態を把握できるかわかりませんが、これは努力をしてみます。

山井委員 ぜひ調査をしていただきたいと思います。

 私も本当にこれはショックを受けるんですが、無年金だった方の、寝たきりになっておられる方の弟さんの話を聞いても、本来だったら五十五歳で年金がもらえていたと。本来だったら年金をもらって、温泉にも行ったり趣味を楽しんだり。本来、年金生活というのはそういうものなわけですね。ところが、年金が消えていたせいで、そういう生活が本当にできなかった。やはりこれはもう国家として許されないことなんだと思うんです。

 そこで、せめてということで、年金の遅延加算金法案というものを民主党は今用意しております。この内容は、きょうの配付資料の三十六ページに説明、三十七ページに要綱、三十八ページに図表があります。これは、与党が今おつくりになっておられます、逆に保険料の延滞の金利を低める法案とともに、今、与野党協議を前向きにしております。正式には、この法案は、この委員会では今週金曜日以降議論をするということですので、実際の議論は金曜日以降にしたいんですが、与党の協議の担当者の方々にも先ほど相談して御了解いただいて、一問だけ質問をさせていただきたいと思います。

 この修正協議を賛成させる上での前向きな質問として一問だけさせていただきますが、この法案、ちょっとだけ趣旨を言いますと、国に責任があるから賠償を払え、そういうある意味で厳しい法案ではありません。せめて物価上昇率分ぐらいは払うようにという法案でありまして、三十八ページにありますように、二十年前にもらうべき十万円が二十年おくれて今もらえた。ところが、二十年前の十万円の経済的価値は、物価が上がっていますから、今は十一万三千円なんですね。そうしたら、せめて十一万三千円を払うのが当然でしょう。なぜならば、今の消えた年金の被害者は二つの被害をこうむっているんです。

 一つは、もらえる年金が遅くなってしまった。それと二つ目は、おまけにもらえる年金の実質価値が下がっている、ダブルパンチだ、これはあんまりだろう。今のまま放置すれば、消えた年金の回復作業が遅くなればなるほど、国の年金財政は助かって、被害者は損をする。それはどう考えてもおかしいんですね。

 そこで、こういう法案に関して、こういうコンピューターソフトを開発するにはどれぐらい期間がかかって、幾らぐらいの費用がかかって、また、こういうふうな制度を組むと幾らぐらいの人手が新たに必要になるのか。このベーシックな数字だけを聞かせてもらうということで先ほど与党の方にもお許しをいただきましたので、そのことについて御答弁をいただければと思います。

舛添国務大臣 お尋ねの点ですけれども、システム開発期間で大体二十カ月程度、それから費用として二十三億ないし二十五億円程度という見積もりでございます。

 それから、どれぐらいの人員が要るかということで、これはなかなか、人数については詳細が述べられないというか見通しが難しいんですけれども、一定の仮定を置いて推計して、例えば、平成十九年から二十一年までの再裁定件数とか、システム対応できないものの割合、これは、コンピューターで全部できればいいですけれども、やはり人手が要るものですから、そういうことについて、今までの例を推定として置いたときに、一年にわたって一日に五百人程度、プロフェッショナルな能力を持った人が必要だろうというのが大体の見積もりでございます。

山井委員 詳しくはまた金曜日以降、議論をさせていただきたいと思いますし、このことに関しては、与党の法案等もあわせて前向きに協議も進めさせていただきたいと思います。

 それでは、次、ねんきん定期便なんですが、今回、このオレンジレターとこのブルーレターが送られたわけですね。それで、改ざんが疑われる百四十四万件の人たち、そして記録が浮いているという名寄せ便に入っていた方々は、注意という意味でのオレンジレター。聞きますと、四月はこれを五万通ぐらい送っておられるということですから、十二カ月すると、オレンジレターは六十万通ぐらいになるんではないかと思うんですが、オレンジレターを受け取りますよね。では、その中で、例えばこの中にありますように、改ざんされている可能性があるものが出ているわけですね。ページ数でいいますと二十ページ。標準報酬月額が今回入りましたから、ここでがんと下がっている、そこは朱書き、赤で書いてある。あっ、これは確かにおかしい、急に下がっているのはおかしいと思ったら、その場合はどこに行けば、そして、今後どういう手続を、そちら側、社保事務所なり業務センターなり国側はとられるのか、御説明をお願いします。

舛添国務大臣 手続の御質問ですけれども、まず記録訂正の申し出を社会保険事務所に電話なりなんなりでやっていただく。そして、社会保険事務所において、その申し出に基づいて、事務所が保有している記録などを確認して、誤りが判明した場合には、そこで記録の訂正を行う。それでもやはりいろいろデータがないということで判明しない場合は、御本人に当時の給与などがわかる資料を確認するとともに、これは雇用保険の方からもアプローチをしまして記録調査を行って、社会保険事務所段階における記録訂正に該当するものについては、積極的に社会保険事務所で記録訂正を行う。それができない、つまり社会保険事務所段階における記録訂正が行えないものについては第三者委員会に送付をする、こういう手続になります。

山井委員 そこが問題なんですね。

 そうしたら、二万件の訪問調査を昨年の十月からされましたが、その結果、今おっしゃった社会保険事務所段階で職権訂正できたのが、ここにありますように、ページでいいますとこれですね。

 それなら、ちょっと大臣から答弁をしてもらいましょう。職権訂正できたのが何件で、第三者委員会に行っているのが何件、最新の数字をお願いします。

舛添国務大臣 御指摘の二万件の戸別訪問の中で、今、三月末時点の数字の集計作業を行っているところで、まだ最終確認ではございませんけれども、社会保険事務所段階の数字はおおむね百二十件程度、それから第三者委員会に送付した件数は、二月末時点での件数が五百二十五件、三月は今集計中でまだ出ておりません。

山井委員 この二十五ページにありますように、二月末時点では三・五%、四十五件なんですね。二万件の訪問調査の中の、全部ではないけれどもやった中で、千三百一件というのが下から二行目、線を引いてあります。千三百一件のうち、職権訂正、つまり社会保険事務所その場で訂正してもらったのはたった三・五%。大部分は第三者委員会に行くんですよ、舛添大臣。

 それで、第三者委員会では二つのハードルがあるんです。一つが、今おっしゃったように、給与明細とかそういう資料の提示が求められるということと、もう一つは、第三者委員会でどれだけ時間がかかるかということを見てみますと、きょうのこの配付資料に入っていますが、二十一ページ、まず、社会保険事務所から第三者委員会に行くまでに平均で八十一日、平均で三カ月。これは長妻議員の質問に対して回答が来たんですが、何と千葉県なんか、社会保険事務所から第三者委員会に行くまでに平均百九十日、半年以上かかっているんですよ。

 私が何が言いたいかというと、オレンジレターを送ってくださるのはいいんです。その先えらいことになるんですよ。それで平均三カ月。おまけに第三者委員会で、これが次の二十二ページにありますように七カ月半。合計十カ月なんですよ。合計十カ月かかって、さらに支払われるまでには半年とかまたかかるわけですね。

 それと、おまけに、オレンジレターが来た人が訂正されたらまだいいですよ。ところが、二十三ページにありますように、年金記録の回復三五%。しかし、これは一般的な年金記録であって、実際、改ざんに関しては訂正率はもっと低いんです。きっちりと全部見られます。資料の三十二ページにありますように、改ざんに関しては、数多くの事案の中で、全国でたった百六十件しかまだ認められていないんです。

 つまり、オレンジレターを見て、改ざんだというふうに本人が思っても、社会保険事務所に行ってほとんど訂正されなくて、ほとんどが第三者委員会送りになって、第三者委員会で一年近くかかるわ、おまけに今のままだったら多くは却下されるんですよ。というのは、昔の給与明細なんか多くの人は持っていない可能性が高いですからね。大臣、これはどう思われますか。

 もちろん、オレンジレターが行って、あっ、記録が間違っていると。そうしたら、間違っていた人は、ある意味で、今回はこれは加入者ですけれども、受給者も含めて言いますと、やった、年金がふえるはずだというふうに思うじゃないですか。思って、例えば七、八割の人がふえるんだったらいいですよ、ところが今のままいくと、オレンジレターを受け取ったりした人は、受給者の方で訪問調査を受けた人の多くは一年以上待たされたあげく、多くの人が却下されるんですよ。却下されるんですよ、給与明細をちゃんと持っていない以上。

 となると、これは舛添大臣、訪問調査を受けたりオレンジレターが来た人にすると、甚だ迷惑な話だと思いませんか。極端な言い方をしますよ。却下する可能性が高いんだったら、逆に知らなかった方が幸せな人がいるかもしれないですよ、結果論としては。

 そこは大臣、では訪問調査に限ってお伺いしますが、訪問調査へ行った、多くの人が昔の給与明細がない、そうしたら一年ぐらい第三者委員会にかかったあげく却下される可能性が高い、これは訪問調査を受けた七十、八十、九十のお年寄りに対して失礼だというふうに思われませんか。

 そして、大臣は十月に、訪問調査をするときに、被害者救済を一日も早くするために訪問調査をするんだとおっしゃったじゃないですか。それがこんな状況になっている。今のこの状況を変えないとだめだと思われませんか。

舛添国務大臣 過去何十年にわたる社会保険庁の不祥事から生じた記録問題は取り組んでいかないといけないので、オレンジ便であれ水色便であれ、これはきちんと送る。送ることが迷惑だとはまずは思いません。これは職権で、仕事としてやらないといけない。国民に対する約束です。

 その上で個々のケースを調べてみると、極めてこの標準報酬の改ざん問題というのは複雑で、それはもう今おっしゃるように、給与明細とか預金通帳、そういうのがそろっていれば問題ないんですよ。だけれども、では、おまえどうだと、私だってそんな昔のはとっていません。それから、要するにどういうルートで改ざんしたか、本当にそこの例えば経営者が悪者であったのか、社会保険庁の職員がどこまで関与していたのか、いろいろなことを含めて調査してみないとわかりません。それに時間がすごくかかっているわけなんです。

 だから、漫然としてやっているわけじゃなくて、証拠も何もない、ではこれはどうするかということについて今考えているのは、できるだけ証拠を集める、それで、先ほど申し上げましたように、いろいろなルートがないかなと。つまり、雇用保険という方向からのアプローチも、そちらに証拠があれば、これは雇用保険率から逆算できますから、あらゆる手を尽くして証拠を探すということをまずやっています。

 その上で、これは第三者委員会に送るのに時間がかかる。第三者委員会だってなかなか査定が厳しい。そうすると、社会保険事務所の段階で、ある程度の職権できちんとできないか。しかし、それについては勝手気ままにやるわけにまいりません。ある程度のルールが要ります。だから、そのルールは、まさに例えばこういう国会の場でこうだと決めるということが必要だと思いますので、これはもう少し議論をして、基本的に一日も早く救済するということについては全く異論はありません。

 そして、アンケート調査も行いましたけれども、従業員の中にも、わかっているけれども訂正しないでいいと言ってくる方もおられるんです。いろいろな事情があると思います。だから、そういうこともすべて含めて、少しでも早くするように努力をしたいと思います。

山井委員 ではそこで、時間にも限りがありますので、二十八ページ。

 まさに大臣がおっしゃったような法改正を、私たちは今民主党で参議院に提出しているんですよ。年金記録回復促進法案。一言で言いますと、証拠主義の限界なんです。無理があるんです。そして、かつ、今の三分の二が却下されているという話は、証拠がないなら却下するというのは、もともと二年前の参議院選挙で安倍元総理が、被害者を救済するために第三者委員会をつくったという趣旨、それと、梶谷委員長が、被害者の立場に立って不合理でなかったら救済するという趣旨から大きく逸脱しているんですよ。

 ですから私たちは、津田弥太郎議員が中心になってつくられた法案ですが、こういう法案を出して、社保庁や第三者委員会の現場をこれ以上苦しめるのではなくて、証拠がなくても、まさにもともと梶谷委員長がおっしゃったように、不合理でなかったら幅広に認めていく、こうしないとこの問題は収拾がつかないんですよ。それで、もし甘過ぎるという国民からの批判があるならば、それはお役人の方々に浴びてもらうんじゃなくて、与野党を超えて政治家の責任でやろうじゃないか、そういう法案を提案しております。参議院でも与党の方々にぜひ審議に応じていただきたいと要望いたします。

 そこでもう一つ、先ほど舛添大臣がいろいろなパターンがあって難しいとおっしゃいましたが、今回の二万人の調査で百五十九人の関与した人の具体的な名前が明らかになったわけですね。二十六ページにありますように、改ざんに社会保険事務所の職員の関与をうかがわせるという回答をされた方が千五十六件、具体的に内容のある回答をされた方が百五十九件。

 そこで大臣、きょうも質問通告をしていますが、こういうパターンで社会保険事務所の方々から改ざんの提案があったなり、こういう形で改ざんになったという具体的な事例を、十パターンでいいので、差しさわりのない形にしてで結構ですから、ぜひ十パターンぐらい公表していただきたいんです。もう百五十九人も特定できているわけですから。そういう話を公表していただいたら、オレンジレターをいただいた方々も、あっ、そういえば自分たちの会社もそういう状況だったなあということとかがわかってくるんです。ぜひ大臣、十パターン、これを公表していただきたいと思います。

舛添国務大臣 職員関与について具体的な回答があったのは、今おっしゃったように百五十九件あります。今これを一つ一つ事実であるかどうかを含めて、つぶしているというか細かく調べていっている段階でありますので、その一つ一つのパターンをきちんと見た上で、ただ十パターン取り上げてどうということではなくて、きちんと調査をした上でどういうことであったのかということをきちんと公表したい。そういう方向でやりたいと思っております。

山井委員 いや、オレンジレターはもうどんどんこの四月に行っているわけですから。きっちりとしたものでなくていいんです。大体こういうパターンが改ざんとしてありましたよということでいいんですが、早急にそれを公表していただきたいんです。いつ公表してもらえますか。

舛添国務大臣 パターン化できるかどうかもまだわかりません。ですから、一つ一つについてそれは証言を求めて、こういうふうに思う、この人にこう言われた、ただ、本当にそうなのか、相手に当たって調べてみないといけない。

 ですから、そういう手続をきちんと踏んだ上でパターン化できるかどうか、それが必要だというふうに思いますので、ぜひ国民の皆さん方、オレンジの封筒が来たら、よくよく見ていただいて、そこから先は全力を挙げて我々はその解明をいたします、そういうことであります。

山井委員 極めて被害者に冷たいんですね。それぐらい公表してくれていいじゃないですか、幾つかのパターンぐらい、被害者のためになるんだったら。こんな改ざんのことなんかわからないんですよ、一般の人は。おまけに、これを申し込んだらほとんどが第三者委員会送りになって、待っていたらいいんじゃなくて、いろんな昔の証拠を出せ、証拠を出せと言われるわけでしょう。なかったらだめでしたと却下されるんでしょう。そんな不誠実なやり方は私はないと思いますよ。

 せめて幾つかのパターンを公表して、オレンジレターが来た人が判断しやすくする。実際、百五十九人の方が具体的な証言をしているんですから。言っちゃ悪いですけれども、それを公表されないと言うんだったら隠ぺいですよ。何で隠すんですか。発表できない理由を言ってください。全部でなくていいんですよ。幾つかのパターンを発表してください。発表できない理由を言ってください。

舛添国務大臣 パターン化できるかどうかもわからないので今調査中だということでありますから、片一方だけの話を聞いているわけではなくて、全体を見ないといけない。

 そしてこれは、私も相当調べていますけれども、まさにさまざまなケースがありますよ。それで、本当にどうしようもない経営者がこういうことをやったというのもあるし、それから、職員の関与がどこまでどうだというのは、これは本当によく調べないとわかりません。どこまで証拠が残っていますか、そういうことを含めた上で、きちんとこれは一つ一つ調査をして明らかにします。

 一日も早く救わないといけないんですから、一日も早くオレンジの封筒を送って、皆さんの協力を仰いでいるわけです。ですから、きちんと我々はやっていく、その言葉に偽りはありません。

山井委員 では、いつその結果を公表してくれるんですか、どういうパターンがあったなり、どういう実態で改ざんが行われたという。これはもう二月には百五十九件と出ているんですから。いつ発表するんですか。明確に言ってください。

舛添国務大臣 半分ぐらい、今実態調査が相当進んでいると思いますから、できるだけ早く全体像が明らかになったところでお知らせをしたいと思います。

山井委員 できるだけ早くと言って、私たちは一年ぐらい待たされる案件が多いんですよ、この年金の関係は。

 いつごろですか。四月末までには出してもらえますか。

田村委員長 舛添大臣、時間が来ておりますので、最後の答弁でお願いします。

舛添国務大臣 調査の結果がわかり次第やりたいと思います。

山井委員 本当に被害者救済のことをもっと真剣に考えてくださいよ。一日も早くとか言うんだったら、明確に時期を言ったらいいじゃないですか。

 以上で終わらせていただきます。

田村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 舛添大臣、お疲れのところ、一時間おつき合いをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、大臣にお尋ねをしたいことがございます。

 雇用調整助成金、全国で百八十六万人の申請が出されている、どこのハローワークも大変な思いで処理をされているということをお聞きしております。私も、厚生労働省の担当者からこの雇用調整助成金に関してレクを受けまして、やはり多くの皆さんにこの内容を周知させていただきました。

 せんだって、担当者にまた再度ちょっと確認をと思ってお電話を申し上げましたら、担当者が何と異動でいないんですね。何で、この雇用調整助成金、百八十六万人も申請が出ているこういう真っただ中に異動をされてしまうんだろうか。非常に優秀な担当者でして、各労働局に通知を出すとか提出書類の照合省略なんかを積極的にやっていた方なんですよ。

 やはりこういう時期には人事異動、定例のといえば仕方がないかもしれませんけれども、少し配慮をするとか、そういったところが国民を向いた行政ということを考えれば行われてしかるべきだな、こう思うんですけれども、御所見をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 指定職というか一定職以上の人事じゃないと私のところまで上ってこないものですから、そこまで完全に把握しておりませんでしたけれども、委員の御指摘を重く受けとめて、今後、人事政策をきちんとやりたいと思います。

内山委員 続きまして、もう一問舛添大臣にお尋ねをします。

 三月三十一日に、麻生総理は年金記録問題に関する関係閣僚会議で、記録確認が終わっていない、年金支払いに時間がかかるという問題は、来年一月に日本年金機構がスタートするまでには決着をつけておきたい、こう話されていますけれども、どのように決着をつけるのか、主管する担当大臣にどのような指示があったのか、お尋ねをしたいと思います。

舛添国務大臣 これは、年金閣僚会議の席でも総理もおっしゃいましたけれども、やはり年金記録問題を一日も早く解決したい。

 新しい組織ができるわけです。もちろん、それまでに全部は片づきません。さまざま残った問題もあります。しかし、例えば、ねんきん特別便、一億六百万人に送って、約七千万人に御回答をいただいて、そのうちの九割、つまり六千数百万人がもう自分は解決したとおっしゃっていただいている。これをさらに数値を高めていって、皆さんどうですか、年金記録問題はと言ったら、ほとんどの人が、いや、私はもう解決しましたというところまで持っていって、一区切りをつける。

 そういう意味なので、人員も一万人体制にふやして全力を挙げてその目的を得るように、もちろん、だからといって新しい年金機構で一切記録問題をやらないんじゃなくて、残った問題はきちんと処理します。そういう方針でございます。

内山委員 安倍前総理も、在任中といいますか三月までと大見えを切って、やはり失敗をしてしまったわけであります。一月にある程度決着をつける、これは私なんかが見ると相当不可能だろう、こういうふうに期日を設けること自体がさらにやはり混乱を招いてしまうのではなかろうかと本当に危惧をしておりまして、ぜひその辺はしっかりと国民を向いて仕事をしていただきたいな、こんなふうにお願いを申し上げます。

 それでは、ねんきん定期便につきましてお尋ねをしたいと思います。

 四月三日より送付が開始されましたねんきん定期便、国民年金と厚生年金の現役加入者七千万人に対してねんきん定期便が送付をされました。封筒はオレンジ色と水色の二色で、オレンジ色の封筒で届いた方は、記録に漏れや誤りがある可能性が高いとのことであります。水色の封筒で送付された方にも、オレンジ色と同等に記録漏れや誤りのある方もいると考えられますけれども、封筒の色違いで区分けした基準を説明していただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 ねんきん定期便の送付用封筒の色分け基準ということでございます。

 今も委員の方から若干お話がございましたように、今月から送付を開始しておりますねんきん定期便、一定の注意喚起の書面を送付しているわけでございます。

 それは、具体的には、一つは名寄せ特別便に回答なさっていない方、あるいは訂正なしということで御回答をされた方の中で、名寄せされた記録が特に御本人の記録ではないかと思われる可能性の高い方である場合、それからもう一つ、標準報酬の遡及訂正処理事案というものがございますけれども、これに一つでも条件として該当するものの延べ数が百四十四万ということになってございますが、この百四十四万件に該当する記録の持ち主、そういう方々に確認していただく必要があるということでお送りしているのが、注意を比較的引きやすいオレンジ色の封筒ということでございます。

 水色はそれ以外の通常の方ということでございますけれども、今もお話ございましたように、水色の封筒であるからといって、これは誤りがないということには必ずしもならないわけでございまして、まずはお送りした標準報酬月額の記録をよく確認していただいて、そして、もし誤りがあれば、その旨を回答票の方に御記入の上、御返送いただくというようなことでお願いしている次第でございます。

内山委員 ねんきん定期便の、今お話しいただきました標準報酬月額の月別状況の見方というところをお尋ねしたいと思います。

 注意を要する記録、こう書かれておりまして、朱書きで印字された部分をどのように見たらいいのか。これは私も朱書きで書いてある現物を見ましたけれども、どうやら三パターンで書いてあるようでして、その三パターンが、どれがどのようなパターンになるのか、これは一般の方に読めといってもわからないんじゃなかろうかと非常に危惧しているんですけれども、わかりやすく説明をいただけますでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 標準報酬の不適正な遡及訂正処理、これにかかわる条件は三つあるわけでございます。

 一つは、標準報酬月額の引き下げ処理というものが行われた日あるいは翌日に資格喪失処理というものが行われているという条件、それから次が、五等級以上遡及して標準報酬月額が引き下げられているという形の条件、それから三つ目が、六カ月以上遡及して標準報酬月額が引き下げられているといった三つの条件、いずれかに一つでも該当する方については文書を同封しております。

 それで、この三つの条件に従って見ればわかるような形になっているかというと、そこのところは必ずしも、一目でぱっと見て、そうか、自分はこれに該当するのかというような形にはなってございません。そこのところは、パターンによっては、例えば、資格喪失日のところが資格喪失というふうに一連の記録の中で書いてある部分が、月があります。その部分も朱書きであれば、これは今申し上げた中の一番目の条件ですね、標準報酬月額の引き下げ処理と同日もしくは翌日に資格喪失処理が行われている、こういうパターンだということはわかるんですが、それ以外のパターンについてはわかりにくいということ、これは事実でございます。

 そこで、御案内した文書の方にも書いてあるのでございますけれども、表の上の部分に当たりますが、箱でくくった囲いの部分がございます。そこに、コールセンターまたは最寄りの社会保険事務所の方にお問い合わせをくださいというふうに御案内申し上げておりまして、具体的にどういうようなパターンでの遡及訂正の対象なのかというのは、大変恐縮ですが、そういう形でお問い合わせをいただくことで確認をしていただく、こういうことでお願いをしているところでございます。

内山委員 ただいま御説明いただきましたけれども、私は、見本は手元にあるんですけれども、これは朱書きで書いてあるといっても、全然わからないですよ、全く。だから、これをいただいた方がすべて電話で相談をかけるとしたら、また膨大な相談受け付けが起こり得るんじゃなかろうか。

 さらには、今、オレンジ色と水色ということで封筒を分けていますけれども、オレンジ色はこういう形で朱書きの、三つの条件、標準報酬月額の引き下げの処理と同時にもしくは翌日に資格喪失処理が行われている、標準報酬月額を遡及して五等級以上引き下げている、六カ月以上遡及して標準報酬を訂正している、この三つのパターンはこの部分では読み切れない。

 かといって、水色の方の封筒で送られた方にはこういう朱書きの部分はないわけでありますから、この方たちがこの三つに該当しない範囲で自分の記録と正しくないものがあっても気がつかないんじゃなかろうか、こんなふうに危惧をしているわけですよ。

 例えば、五等級未満、それから遡及六カ月未満というのは書かれないわけでありますから、そういう人たちに対してさらにこれは注意喚起をしなければ、この同封しているものでは全く読めない、そんなふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、今回送付を始めましたねんきん定期便に盛り込んでおります、さまざまなお一人お一人の個人情報となる記録でございますけれども、一つ一つをきちんと理解して、そして御自分が御承知の自分のヒストリー、加入履歴、そういったものと突き合わせて正確に理解するというのは、通常の感覚でいえば、これはなかなか難しい方の部類の確認作業になるんだろうというふうに思います。

 私ども、そういうようなことは一応前提とさせていただいた上で作業を進めておりまして、封筒に注意喚起の文書を入れたりすることで、あるいはリーフレットを入れることで十分だというふうには思っておりません。そういうような観点から、やはりさまざまな形で周知、広報をきちっと図っていくということが同時に必要なんだろうというふうに思っております。

 例えば、先月の二十二日になりますけれども、政府広報ということで、新聞紙大の四ページ物の折り込み広告、これは三千万部以上でございますけれども、全国の御家庭の方に折り込みという形で入れさせてもらうとか、あるいは、もうお目になっているかと思いますけれども、報道機関においても、さまざまなところにいろいろアクセントを置いていただきながら御案内をちょうだいしているというようなことで、大変ありがたく思っているわけでございます。

 そういうような政府広報等を通じた国民の皆様への御案内あるいは広報というのは、引き続ききちっとやっていく必要があるだろう。その中で、この封筒の意味とか、あるいはその中に入っているものを読むときの注意点、水色だからといって決して誤りがないということにはなりませんというようなことをきちんとお伝えしていきたいというふうに思っております。

内山委員 ぜひ、水色の部分の記録、水色の封筒で送られた方にも誤りがあるということを強く記載して注意をしていただきたい、こうお願いを申し上げます。

 それから、ねんきん定期便の中に、見込み額を書かれている欄があります。しかし、この年金見込み額、老齢年金の見込み額、記載されていない方も多くいると思われます。

 それはなぜかといいますと、大臣の午前中のお話にもありましたけれども、合算対象期間というものを把握しておりませんから、空期間を使う場合には、年金の受給資格として役所の方では把握していない、だから年金額が記載されていない。ここで年金額が記載されていないという人は、なぜだろうとさらにやはり疑問を生じると思うんですね。

 ぜひそこは、このねんきん定期便では年金の受給資格を判断していませんということをやはり強く注意を喚起すべきだと思います。いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、五十歳以上の方に向けてお送りしているねんきん定期便、こちらにございます年金見込み額の欄が空欄のケースがございます。

 それは、一部繰り返しになりますけれども、まさに定期便を作成した時点において御加入なさっている制度に引き続き六十歳までその方が加入なさったとして、私どもの管理させていただいている年金記録、これからすると二十五年に満たないととらえられる場合には、そこのところの表示をしないということにしてございます。

 しかしながら、その中には、御指摘のあったいわゆる空期間をお持ちの方とか、それから共済期間がある方とか、そういうことで、それらを加えれば受給資格期間を満たすという方は少なからずいらっしゃる、これは紛れもない事実なんだろうというふうに思います。したがって、そこに表示がされていない方すべてが一概に年金をお受け取りできないというようなことにはなっていない。それで、同封しておりますリーフレット、この中にその点についても説明をつけさせていただいています、御案内というふうに申し上げた方がいいと思うのでございますけれども。

 つまり、もう委員も御承知のことでございますけれども、これらの期間がない方でも、受給資格期間が六十まで満たせないからといって、さらに延長措置がございますね、六十歳の方であれば六十五歳とか、それから七十歳とか、そういうような形で任意加入していただくことで加入期間が延び、それによって受給資格期間が満たされるということで、将来、年金をお受け取りいただける場合もあるものですから、見込み額の記載がない方については社会保険事務所などに御相談くださいということをリーフレットに記載させていただいているということでございます。

 ここのところ、丁寧にやっていきたいと思います。

内山委員 リーフを見せていただきました。率直に言ってわかりにくくて、一般の方は多分読めない、そんなふうに判断をしました。ですから、見込み額を書いていないのは年金受給資格を判定していないからだということを強くやはりもっと吹き出しに書くべきだと思います。ぜひそれは検討していただきたいなと思います。

 それから、同じように、厚生年金基金に加入された方、年金基金に加入された年金額は、やはりこの見込み額に入っていないと思います。

 私ども、年金の相談をしますと、社会保険事務所の年金見込額照会回答票というのをとりまして、初めて自分の年金額が幾らになるのかを見ますと、厚生年金の基金の加入が長い方は額の低さに大変驚くんですね。それはなぜかといいますと、社会保険事務所等から出てくる見込み年金額の中には、加入している基金の代行部分が入ってこないんですね。

 今回のねんきん定期便の年金見込み額の欄にも恐らく代行部分が計算されてこないだろうと思うんですけれども、そこが入っていないということは、あの送られている書類を見ても判断できないんですよ。ここは、やはり基金加入分に関しての年金額は含まれていないということをもっと大きく注意を喚起すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘の点も、私ども、非常に重要かつその取り扱いに苦慮した点でございます。なぜ苦慮したのかといえば、これも委員御案内のように、厚生年金基金の加入期間がある方の年金でございますけれども、基金が国に代行して支払う額は、それぞれの基金独自の上乗せをあわせて支払うという形になっているわけでございますね。基金によって計算方法が異なっているということで、私ども、一律的に個々の基金における計算方法などを把握することがなかなかできないものですから、結局、社会保険庁ではこれはお示しできないということで、今回、そのような取り扱いをしたわけでございます。

 それにかわる情報として、これもねんきん定期便のリーフレットに書かせていただいておりますけれども、基金の加入期間のある方の年金見込み額というのは、加入していた厚生年金基金あるいは企業年金連合会、こちらから支払われることになっていて、その部分は除いていますということをお断りさせていただいているということと、それから、お問い合わせ先は加入期間の長さに応じて基金あるいは企業年金連合会、こういうことになりますということの御案内をさせていただいているということであります。

内山委員 今御説明がございましたけれども、厚生年金基金の代行部分というのは計算できるはずですよ、加算部分はできないとしても。だから、せめて代行部分を含めて計算の中に入れるとか、そういう努力が必要だと私は思いますけれどもね。

 代行部分は社会保険事務所で計算して、厚生年金基金加入期間は厚生年金に加入していたものとみなして計算することは今のシステムでもできるはずです。ただ、加算部分に関しては、それぞれの厚生年金基金に問い合わせしなければわからない。だから、せめて代行部分だけでも入れておけばよかったんじゃないか、そんなふうに思うわけであります。

 これから、七千万、五月雨式に出してくるんでしょうから、改善できるものは早急にやはり改善されていかないと、相談窓口が今だってパンクしているんじゃないんですか。ねんきん定期便のこの相談窓口、実はねんきん特別便の相談窓口と一緒じゃないですか、電話番号が。だから、私も何度かかけましたけれども、全くつながらない。これは一体どうなっているんですか。四月三日からやって、電話がつながらない、こういう状況になっていますよ。これからどういう増員体制、相談体制をしくんですか。答えてください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 ねんきん定期便の専用ダイヤルというものを設置させていただいております。これは、十九年の十二月から送付を開始して、そして昨年十月末をもって送付を完了しているねんきん特別便に係る御相談に対応するための電話相談体制があったわけでございますが、これを引き継いでいるということでございます。しかし、引き継いでいるといいましても、今申し上げましたように、特別便に係る相談のピークはもうはるかに過ぎてございますので、現在、そういう形で引き継いでも、メーンはねんきん定期便に係る御照会が中心ということになるんだろうというふうに思っております。

 それで、どのような体制を組んでいるかということなのでございますけれども、ねんきん特別便を送付したその時期における被保険者の皆様からの照会件数の実績、これを一つ参考にして、電話相談のいわばある一定期間における量というものを見込んで、そして定期便においてもそれに近い姿が、お問い合わせがあったとしても一定の幅で対応できるように体制を組むということで組んでおりまして、具体的には五百席の電話相談体制を組んでいるところでございます。

 それで、直近のところの応答率をちょっと御報告しますと、四月の三日金曜日に送付を始めております。それで、休み明けのおととい、六日月曜日ですね、ここのところのコールセンターの応答率は四五・五%、それから昨日は五九・一%というふうな形になっております。

 これは、先ほどもちょっと触れましたけれども、各方面において広報をしていただいているということで、一定程度の御関心もある、それから内容についていろいろ確認したいこともある、こういうようなことでのお問い合わせかと思いますが、こういう状態がずっと続くというふうには思っておりませんで、大体週に二回、コンスタントに分散させながら発送していきますので、私どもの見込みとしては、全体、最終的に特別便の場合には九〇%を超えるような応答率になったわけでございますけれども、それに近い状態で今後推移していくのではないかというふうに思っています。

内山委員 このねんきん定期便に同封した「あなた様の年金加入記録に結び付く可能性のある記録のお知らせ」についてお尋ねをしたいと思います。

 年金制度に加入した期間のみで、勤務していた会社名が書かれていないんですよ、記録だけで。なぜ会社名を書かないんですか。ぜひそれをお尋ねしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 結びつく可能性のある記録の情報をどういう形で提示申し上げるか、ここのところはいろいろな考え方があるんだろうとは思います。

 今御指摘があったのは、厚生年金については事業所名、国民年金であれば市町村名をお知らせすべきなんじゃないのか、こういうことかと思います。

 そのことについては、一つは、お知らせをお送りする相手というのは現役加入者の方々でいらっしゃいまして、結びつく可能性がある記録も比較的新しいものでございます。そういうことで、記憶を喚起しやすい方々というふうに申し上げてよろしいのではないかというのが一点。

 それからもう一つ、情報の提供は、同時並行的に、電話とかあるいは社会保険事務所などにおけるフェース・ツー・フェースでの相談、そういうところでも具体的にやっております、結びつく可能性の記録というのはこうですよと。そのときに、今お話があった事業所名とか市町村名をお伝えしております。そういうことで、代替の手段は、電話という簡便な方法も含めて、ございます。

 それから三つ目に、事業所名まで表示をするとなりますと、やや技術的な話になりますけれども、プログラム開発というのを改めてしなければいけないということになりまして、そうすると、やはり開発のための作業に一定期間要する。

 これらのような事情から、お知らせについては事業所名などを記載することはしなかったということで御理解願いたいというふうに思っております。

内山委員 ねんきん特別便、名寄せ特別便のときでも、事業所名を最初書かなかったわけですよね。それでなかなか注意が喚起できずに、自分の記録を送られたにもかかわらず、自分のではない、確認できず。また、当初は、社会保険事務所の年金相談の窓口に行っても、勤めていた記録、会社名等は教えなかった。それで、かなりやはり二度手間、三度手間になったケースがあったわけじゃないですか。

 せっかくねんきん定期便で送るのに当たって、どのくらいそのプログラム開発とか費用がかかるかわかりませんけれども、ここで会社名があれば一回で済むものを、さらに、これで自分の記録ではないという形で、訂正なしの方にも送るわけでしょう、回答していない方にも送るわけでしょう、そうしたら、そこで自分の記録ではないと気がつくチャンスを失ってしまうじゃないですか。やはり会社名を書くべきなんですよ。そうしなければ、送った意味がないじゃないですか。

 これは、どのくらい費用がかかるか後で教えていただきたいと思いますけれども、名寄せ特別便の一千三十万人のうち、未回答は二百八十九万人、訂正なしの回答のはがきを送った方は二百六十六万人、合計で五百五十五万人。名寄せ特別便というのは、五千万件の宙に浮いた年金記録から、コンピューターで管理、検索し、基礎年金番号と結びつく可能性の高い、九九・九%みたいな方に送付したわけじゃないですか。にもかかわらず、五四%の人が年金記録の訂正に至っていないわけでして、こういうことをやっていると、またその二の舞になるんじゃないかと非常に危惧するわけでありますよ。

 今後出すのに当たって、会社名を書くというのができないんですか。どうなんでしょうか。

石井政府参考人 お答えいたします。

 ここはやはり、これが受給者であれば、受給者も年齢の幅がずっとあって、相当御高齢の方もいらっしゃいますし、記憶が薄らいでいる、あるいはない状態から思い出していただく、そのよすがとして具体的な名称を入れるというのは必須かと思います。

 けれども、繰り返しになって大変恐縮ですけれども、基本的には、六十歳までの方、今の五十代、六十代というのは、こう言ってはなんですが、かつての同じ年齢の方々よりははるかに記憶の点でも、こういう比較はあれですけれども、悪いということはない。生理的な年齢そのものも、かつての同じ年齢の方に比べればいいコンディションのもとにあるんじゃないかというふうに思うわけですね。何しろ年齢よりも若い、そういう状態にある方が、五十代、六十代にいらっしゃいます。六十代はあれですけれども、五十代、四十代はいらっしゃいます。

 そこら辺のことを考えますと、お問い合わせをいただければ情報を提供させていただくという手段も別途講じておりますし、それから、何も情報を提供しないわけじゃなくて、加入制度、その制度に加入した年月、それから加入しなくなった年月、要するにここまでの情報は御提供申し上げておりますので、やはり、定期便に添付しております注意喚起文書もお読みいただければ、これは何かがあるということはおわかりいただけるはずなので、そこのところは、恐縮でございますけれども、プログラム開発というようなことで対応するよりは、直截にお尋ねをいただくというようなことで対応していきたい、また、そういうようなことで対応させていただいているんだということをきちっと広報していきたいというふうに思っております。

内山委員 それは注意深く見せていただこうと思います。

 名寄せ特別便、全員特別便を一億九百万人に送付した状況で、平成二十一年一月三十一日の数字で申し上げますと、未到達が二百八十万人いるわけですね。住所が不明だということで届かなかった。こういう届かなかった人に、今後どういうフォローアップをするのか、それをお尋ねしたいと思います。

石井政府参考人 お答えいたします。

 ねんきん特別便をお送りして、その到達しなかった約二百八十万人の方々に対する対応でございますけれども、基本的には、そのような方々については、お届けいただいている住所が正しいものでないということが原因で、住所不明で戻ってきているというふうに思っております。そういう方にありましても、やはり早急に特別便をお届けして確認をしていただく必要がありますので、いろいろその取り組みをやってまいりました。

 順々に申し上げると、まず一つは、住所変更届というものをいただいているんじゃないだろうか、それと行き違いになったんじゃないだろうか、そういうような観点から、戻ってきた方に関して、それまでの間に住所変更届の有無をまず確認いたします。お届けいただいている場合には、当然のことながら新しい住所に速やかに再送付する。

 それから次に、そういった変更届をいただいていないというケースがございますけれども、これは社会保険事務所において、住基ネット情報を活用する、あるいは市町村、事業主の御協力を得ていわば住所の調査をさせていただくということで、把握できた場合には新住所に送付するというようなことをやっております。

 並行して、住所が変わったらできるだけ早くお届けくださいということを政府広報でおととしの秋からずっと続けておりますけれども、引き続き、その広報も初めとして、さまざまな方法でお届けをしていただくことの大事さの広報をしていきたいというふうに思っております。

内山委員 同じく、全員特別便の、加入者六千四百四十八万人の人たちに対して未到達が二百二十二万人おられるわけですね。この二百二十二万人に対しては、今回のねんきん定期便も届かないわけじゃないですか。これはどういうふうに対応するんですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 この方々につきましても、今るる申し上げましたけれども、基本的には同じような方法で丁寧に、まずは、今現在の住所がどういうふうになっているのか、そこのところの調査をきちんとするということをやって、それで把握した新住所にお送りするということで対応するということかというふうに思っております。

内山委員 その処理の仕方によっては、ねんきん定期便が、住所が不透明な方には届くのが大分おくれる、または届かないということになるわけでありますね。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 ねんきん特別便のときもそうでございましたけれども、何らかの理由で特別便が届いていない方というのはいらっしゃるはずでございます。そういう方々に向けては、特別便が届いていなければどうぞ御連絡をくださいということを、昨年の十月以降ですけれども、ずっとやってきております。それと同様のことをこのねんきん定期便についてもやるのが一策かというふうに思います。

 つまり、御案内のように、この四月から、毎誕生月ごとにお送りするわけですね。ですから、四月生まれの方が、六月になっても七月になっても定期便が来ないということは、やはり何かトラブルがあったというふうに考えていただくべきだと思います。

 私どもの方も、そういうことがないようにいろいろ注意していきたいと思っておりますけれども、仮にそういうようなケースが発生した場合においては、やはり社会保険事務所なりに御連絡をいただくというようなことも、あわせていろいろお伝えしていくということが一策かと思います。

内山委員 二百二十二万人もいらっしゃいますので、それはもう本当に全力を挙げて進めていただきたいな、こうお願い申し上げます。

 同じく、今度、ねんきん定期便ではなく、年金受給者の方にはお知らせというものを年内に送付するようでありますけれども、厚生年金と国民年金の受給者にはどういうものをお送りするのか、お尋ねをしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 受給者の皆様に、それぞれの方の年金支給の基礎になっている年金情報の中の標準報酬の記録を送付する、時期としては本年中に送付を開始する、こういうお約束をしているわけでございますけれども、中身についてはまだ具体的に固めてございませんで、どのような形で整理するのがいいのか、なお検討中ということでございます。

内山委員 先ほどは、加入者に関しては会社名を書かないと。だけれども、今度は受給者に対しても記録を送るわけですよね。そうすると、会社名は受給者にも書かないんですか。標準報酬を訂正されている受給者の方は当然いらっしゃいますよね。どうでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 現役の加入者については、先ほど申し上げたようなことを勘案いたしまして、事業所名などを記載するということはしていない、そういう形での記録の御提供になっているわけでございますが、受給者の皆様ということになると、これは事情がやはり違うんだろう。

 先ほど申し上げたように、相当御高齢の方も送付の対象になってまいりますので、したがって、記憶を喚起していただきやすいような形という観点から申し上げれば、私どもが持っているそういった事業所名などの情報、これはむしろ御提供申し上げる方向で取り組むのが基本ではないかというふうに思っておりますが、現在なお詰めているところでございます。

内山委員 ぜひそこはわかりやすいものを明記していただきたいな、こうお願い申し上げます。

 それでは、日本年金機構の件に関して二点ほどお尋ねをしたいと思うんです。

 来年一月から日本年金機構がスタートいたします。社会保険庁解体になりまして余剰となる職員の再就職あっせんというのは今どうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。

薄井政府参考人 お答え申し上げます。

 日本年金機構設立時の職員の採用につきましては、民間の有識者より成ります職員採用審査会の意見を聞いて、設立委員会の方で採否を決定する、こういうことになっております。現在、職員採用審査会の方でその審査が進められているところでございます。

 この審査の結果、機構に採用されないこととなる職員が出ますれば、それにつきましては、昨年七月に閣議決定をいたしました日本年金機構の基本計画に基づきまして、退職勧奨なり、あるいは厚生労働省への配置転換、官民人材交流センターの活用などによりまして、分限免職の回避に向けましてできる限りの取り組みをしてまいりたいと考えているところでございます。

内山委員 続きまして、日本年金機構の年金相談業務というのは社会保険労務士会に委託をするというようなことが言われておりますけれども、現在、社会保険事務所で年金相談を要請されて派遣をされている社会保険労務士会の話を聞きますと、なかなかなり手がいないんだということなんですね。

 それはなぜかといいますと、極めて報酬が低い。年金記録確認第三者委員会のお手伝いをしている方と報酬の開きが物すごくありまして、これからねんきん定期便の相談、さらには特別便のまだまだ積み残しをしている部分、こういったものを考えますと、国民に大変重要な年金相談業務を行う人たちに対してそういう低い報酬でいいのか、そんな思いを持っているんですけれども、いかがでしょうか。

薄井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、全国五十一カ所に設置されております年金相談センターでございますけれども、日本年金機構の基本計画におきまして、これは外部委託を行うということと整理をされているところでございます。

 その委託条件等につきましては今後決定をしていくことになるわけでございますけれども、委託先におきまして的確な年金相談ができるように、委託条件等につきましても、予算面の制約もある中ではございますけれども、今後よく検討してまいりたいと考えているところでございます。

内山委員 それでは、国庫負担割合二分の一の質問をさせていただきたいな、こう思っております。

 家計消費の二割が年金の地域もありまして、マクロ経済に占める年金の割合というのはとても大きいわけであります。高齢者世帯所得の七割が年金で占められ、高齢者世帯の六割が年金しか収入がない、こういう生活をしているところもあるわけでありまして、今回、基礎年金国庫負担割合が二分の一になりますと年金財政がどのようになるのか、国庫負担を二分の一に引き上げる意味というのは何なのかということをお尋ねしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の国庫負担の二分の一への引き上げというのは、年金財政の長期の安定のためにどうしても欠かすことのできない、非常に大きな役割を果たすものだというふうに理解をしております。

 御承知のとおり、平成十六年の年金制度改正においては四つの柱がございました。一つは、毎年保険料の上昇をお願いするけれども、将来は上限を固定します。それから、その範囲内でやれるように、給付水準を自動的に調整する特別の仕組みを導入します。それから、従来は積立金はそのままという原則でございましたが、積立金を活用して給付に充てますという三つの原則に加えて、国として基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げを行って長期的な財政均衡を図ろうというものであり、結果として、現役世代の負担を過重なものとしないというものでございます。

 これは、本来は恒久財源を持ってきちっとやるということだとは思いますが、二十一年度からしっかり二分の一にしていかなければ年金財政が非常に将来に向けて安心なものとならないという認識に立ち、二十一年度からの二分の一は国民に対する約束であるという位置づけのもと行っておるものでございます。

 今御審議をいただいているわけでございますが、仮にこれが成就しないということでそのまま推移いたしますと、参考までに今回の財政検証の際に試算をいたしましたところ、基礎年金はあと十八年で給付ができなくなる部分が発生するということでございますので、将来の安定のために、ぜひ二分の一の国庫負担というこの提案を実現させていただきたいというふうに思っております。

内山委員 国庫負担割合が二分の一ということで大きく構えますと、これで社会保険方式なのかと。基礎年金の半分を税方式で、残り半分を社会保険方式に変換をしたのか、こうもとらえるわけでありますけれども、その辺はいかがでしょうか。

渡辺政府参考人 我が国の年金制度は、長い歴史の中ですが、自立自助の精神のもとに、そして支え合いの仕組みに参加することというのを大変重要視しておりまして、拠出方式、つまり社会保険方式を基礎としておるわけでございます。

 今回の二分の一の措置、基礎年金についてでございますが、そうした参加して拠出をするという社会保険の世代間の支え合いの部分と、それから受給者も含めて全国民がこの制度を国としてしっかり下支えするために税で負担するという面が一対一の関係になるわけでございます。

 社会保険方式というものの原点は、やはり参加して拠出することによってその実績が給付に反映されるというものであると思いますので、一対一の関係で運営していく中で、この社会保険方式のメリットあるいは必要な特性というものは発揮されるものと考えております。

内山委員 平成十六年改正によります年金財政の確立のため、所要の安定財源を確保する税制抜本改革を行った上で基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げるとしていました。今回、財源は財投特会を二年間使用するということで、十六年改正法附則に反しないのか、こんなふうに疑問を持っているんですけれども、答弁を求めます。

渡辺政府参考人 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、今般、二十一年度から国庫負担を二分の一にするということが年金制度の持続可能性を確保する観点で極めて重要であるというふうに考えたための措置でございます。恒久財源が得られるまでこれを先送りするという判断はとらなかったわけでございます。

 しかしながら、本来、御指摘のとおり、十六年改正の際には、恐らく立法者の意思といたしましては、十九年度あるいは二十年度に税制の抜本改革が行われるであろう、したがって、二十一年度は四月から満年度でそうした税収というものを利用できるだろうという想定のもとであったと私どもも理解しておりますが、残念ながら、経済の情勢あるいは財政の状況等々の中で、十九年度、二十年度という税制の抜本改革は、現時点ではできていないわけでございます。

 その意味で、中期プログラムを定め、二〇一一年度に向けて景気を回復するよう全力を尽くし、経済状況を好転させることを前提にして、遅滞なく税制抜本改革を実施し、二分の一を恒久化できる安定財源を確保していくということを明らかにした上で、所得税法等改正それから財源確保法とあわせて、三つの法律一体として、今回、国会に提案させていただいたわけでございます。

 そうした大きな枠組みの中で、あえて十六年改正法の定めるところを、今回、一部改正法という形で書きかえさせていただいて、二十一年度、二十二年度においては、二分の一は実現するが、臨時の財源、それを法律上、財政投融資特会の一般会計への繰り入れということで確保いたしまして実現を図っていくということにしたものでございますので、必要に応じたぎりぎりの政策判断として御理解賜りたいと思います。

内山委員 御丁寧に御説明をいただきましたけれども、これから聞こうとするところも答えていただきましたようです。

 単純な質問をいたします。財投特会は安定財源なのでしょうか。

渡辺政府参考人 先ほどもちょっと触れたかもしれませんが、位置づけとしては、私ども、臨時の財源という位置づけでおります。

内山委員 安定財源ではないですよね、臨時の財源ですから。ここはやはり、十六年改正法附則の部分に反しているんだろうと僕は思うわけであります。

 さらには、十六年改正法の附則に明記され、これまで安定財源による国庫負担二分の一の恒久化をしてこなかった政府の責任というのは大きいんじゃないかと思うんですよ。定率減税廃止による増収分を国庫負担二分の一の財源にすべきではなかったんでしょうか。どうでしょうか。

渡辺政府参考人 今御指摘の点でございますが、十六年度改正の際に、十六年度において、三分の一国庫負担に加えて、年金課税の見直しの当該年度分でございますが、二百七十二億を法律上明記して、追加国庫負担としたところでございます。

 この状態で、当時の十六年度の財政再計算というものを行い、今日に来ているわけでございますが、十六年改正法では、御承知のとおり、訓示規定ではございますが、平成十七年度、十八年度において段階的な引き上げを行うよう努めることとされておりました。そのことと、加えてさらに平成十九年度においても、国庫負担の引き上げを行うという措置を講じてまいりました。ここの部分は、今御指摘いただいたような定率減税の見直しの財源もあるということで、一定程度の引き上げを図ってまいりました。

 結果といたしまして、約三三・三%であったもともとの国庫負担割合が、現在は約三六・五%にまで引き上げられてきたという経緯でございまして、法律の定めるところにより、努力分も含めて逐次国庫負担を引き上げてまいりましたが、現状ではまだ二分の一に遠いところでございまして、この二十一年度以降につきましては、臨時の財源をもってしても、しっかり二分の一を実現してまいりたいという形で案をまとめたわけでございます。

内山委員 まあ、厚労省の皆さんは手足を縛られてやっているようなものですから。保険料も水準固定、それから所得代替率も決まっていますから、なかなかやりようがないというのは事実でありまして、やはりここに政治が大きく関与しなければならないなと。

 定額給付金は二兆円使うわけでありまして、道路千円乗り放題は五千億使うわけであります。こういったものを合わせれば二兆五千億。さらには道路特定財源、十年間で五十九兆を使う。こういったお金が年金財源に回せないんだろうか、こう思うわけでありまして、やはり政治が変わらなければよくならないんだなと強く思うわけであります。

 お配りした資料で、ちょっと時間が来てしまいましたので、そちらの方を先に行いたいと思います。

 皆さんのところに、「在職者にかかる厚生年金保険の老齢給付の状況」という資料をお配りいたしました。これはどういう資料かといいますと、在職老齢年金の仕組みで支給停止になっている年金額の総額、十九年度分で一兆六百八十八億円になっている、こういう意味なんです。

 この金額、在職老齢年金の支給停止にならなければ六十歳以上の国民に支給され、所得税も納めたでしょう、地方税も納めたでしょう、老後の安心した資金づくりにも回るでしょう、消費にも回って経済の活性化に使えるお金ではなかろうか。他方、支給停止によりまして年金財政に寄与しているということも理解はできますけれども、どちらの方が国のため、国民のためになるんだろうか。

 私も、年金相談を六千人ほど受けさせていただきまして、非常にやはり、就労可能年齢なんですね、六十五歳までというのは。ここに在職老齢年金というような仕組みがありますから、せっかく働ける人が年金が減額になってしまう。そういう意味で、労働力不足なんというのも他方言われているわけでありまして、六十五歳まではどんどん働いてもらって、年金は老後のためにそのままカットせずに支給をする。諸外国でも在老という仕組みを持っていないところもあるわけですから、やるべきじゃないかと常日ごろから非常に疑問を持っておったわけでありますけれども、大臣、どうでしょうか。所感で結構です。

舛添国務大臣 私の個人の所感ということで、これが今から厚生労働行政や年金行政を縛るものではないということを申し上げた上で、申し上げます。

 私も非常に委員の御所見に賛成でありまして、私が昨年後半に六十になりました。仲間がたくさんいます。団塊の世代です。みんな働きたい。しかし、最大の問題は、働くと年金がもらえなくなる。では、年金をもらえるぎりぎりしか働かない。そうすると、これは人的資源の無駄遣いになる。それから、やはり外で働いている方が病気になったりしないですし、健康も保てる。そして、皆さんそれぞれに家庭の事情がありますから、それは資金に余裕があった方がいい。ですから、これは私は真剣にプラスマイナスを検討すべき時期に来ていると思いますので、少しやってみたいと思います。

 ただ、そのときの問題は、おっしゃったように財源問題。これで年金財源一兆円どうするのかね、そのときに説得できるだけの反論ができるか。

 一つは、世代間の公平ということで、年とった世代がたくさん稼いでいるのに、若者は保険料ふえるのかねということにならないようにするためには、今委員がおっしゃったように、それが消費に向かう、所得税は総合課税しますから所得税に向かう、そして結局、国庫の中に入っていって、それが国庫負担二分の一を支えるということになれば、その分だけ負担をふやさなくて済む。これは世代間戦争にならない。

 若い世代の負担にならない形で国庫で面倒を見て、最終的には、今言ったように一石三鳥にもなるわけですから、国の富を増すんだという計算ができれば、私は政治的判断はやっていいと思いますので、真剣にちょっと検討させていただきたいと思います。

内山委員 この次、ちょっと実務的なことでお尋ねをします。

 在職老齢年金の支給停止の仕組みというのは、年金をもらえる方が社会保険に加入して働くと支給停止になります。しかし、社会保険の加入がない事業所に勤めますと、これは幾ら稼いでも支給停止にならない。これはなぜかということをお尋ねしたいと思います。

渡辺政府参考人 ある意味で釈迦に説法なのかもしれませんが、厚生年金保険の適用事業所に働いている方の話では、おっしゃるように、こういう制度が働く。そうでない方の場合はどうかというと、この制度がそもそもでき上がってきた経緯からすると、働いていると年金は出さないというところからスタートしているものでございますから、一定の条件のもとで、こういうときには年金は出します、しかし、それは調整させてください、その財源はきっと若い人たちが負担をすることになりますのでということで、限定的に始められて今日まで来ているという制度のこれまでの経緯ということを申し上げたいと思います。

内山委員 大臣も先ほど検討をされると話しましたけれども、片や社会保険の適用がある事業所に勤めると減額がある、しかし、同じような報酬をもらっても、社会保険の適用がないところに勤めれば減額にならない、これは非常に不公平ですよね。この不公平な仕組みがやはり生きているわけですよ。

 再就職をするときによく聞かれるんです、給料を幾らもらったら年金減額になるんですかと。幾らもらったらじゃなくて、社会保険の適用のあるところに勤めれば、仮に十万円だって減額になる可能性がありますよ。だけれども、社会保険の適用がないところだったら、それこそ百万円もらっても減額にならない。ここは非常におかしいと思っています。だから、ここも今の時代に合わせて、やはり、在老という仕組みを取っ払ってしまえば社会保険の適用のない会社にお勤めになるのと同じことだと思いますので、ぜひともそれは労働力の人的資源の活用ということも考えて検討をしていただきたいな、こんなふうに思っております。

 きょう、二分の一国庫負担の質問をさらにつくってきたんですけれども、時間が来ておりますので次回に回したいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。端的にお答えをいただければ幸いでございます。

 まずは無年金の問題を質問させていただきますけれども、これも前から申し上げているわけでございまして、社保庁の資料によると百十八万人もの方が、皆年金の国、日本で無年金になっておられるということで、それに対して調査等々を要求いたしますと、人、物、金がないんだ、こういう返事が返ってくる。しかし経済対策を見ると、これは必要でありますけれども、十兆、二十兆という巨額の金が景気よく躍る。

 何も年金をふやしてほしいと言っているわけじゃなくて、本来あるべき年金に戻す、これに人、物、金をかけてほしいと言っているのに、それは金がないからできない、人手がないからできないということでずっと拒絶をされておられるというのは、どう考えても、国民の皆さんの不信、不安を取り除くという意味からいっても納得ができないものであります。ぜひ、きょうは前向きの御答弁をいただければありがたいと思っております。

 まずは、きょう総務省にお越しをいただいておりますけれども、かつて総務省が平成十九年の十月に、五千万件の宙に浮いた記録のサンプル調査というのをやっていただいております。これについて、資料三ページ、二ページを配付しておりますけれども、まず総務省に概要を説明いただけますか、期間について。

関政府参考人 このサンプル調査は七千八百四十件につきまして行ったものでございまして、その内訳で申しますと、通算加入期間の割合を出しましたけれども、加入期間が二十五年以上とされたものの割合が一%ございました。それから、加入期間が十年以上とされたものの割合は一〇%ということでございます。二十五年以上の一%はこの一〇%に含まれている、そういう状況でございます。

長妻委員 今となっては非常に貴重な調査をしていただいたわけでございます。

 まず二十五年を超える記録、これは一本の記録で、一つの記録で、一件の記録で二十五年以上の期間があったということで、それが一%ということでございます。では、五千万件に直すとというか、当時のサンプル調査のもとというのが、五千九十五万千百三件からサンプル七千八百四十件を抽出したということでございますが、そうすると、五千九十五万件から見ると二十五年超の記録というのは推計何件ぐらいと思われますか。

関政府参考人 全体で五千九十五万件ということでございますから、この一%を掛け算をいたしますと、約五十一万件という数字になります。

長妻委員 この五十一万件という数字は、では人数とイコールなんだろうかというふうに考えると、二十五年を超える記録を二つ同一人物が持っている、しかも二つとも抜けてしまっているというのはちょっと考えにくいわけでありますので、恐らく、ほぼ五十一万人というふうに推計されるのではないかと思うんですが、これは舛添大臣、五十一万人と推計するということについてどう思われますか。

舛添国務大臣 委員おっしゃったように、二十五年ですからほぼ一人でしょうね。ですから、五十万なら五十万、五十一万なら五十一万、ダブってということはないと思いますね。

長妻委員 そうすると、このサンプル調査の数というのは全体を推計する有意的な数であるというふうに言っておりますので、五十一万人の方が推定すると無年金になっている可能性が高いというふうに考えております。

 では、今現在、無年金の方の記録が戻って、社会保険事務所の窓口も含めて、受給権が発生したという方は何人いるんですかと聞きましたら、きょう午前中の御答弁でもありましたけれども、千四十八人。それに加えて、社会保険事務所の窓口では昨年五月から昨年十二月末までに七十四人ということで、これは足し算しても、大体千百人ちょっとだけ。

 しかし、推計五十一万人の人が非常にお気の毒な状態、お困りになっておられるのではないかというふうに考えておりますけれども、これは舛添大臣、推定で結構ですけれども、どこに行ってしまったんだ、なぜ表面に出てこないんだと思われますか、五十一万人の方が。

舛添国務大臣 これは、本当に五十一万かどうかは、まさにサンプル調査の推計から推したので、それはわかりません。

 それで、まさにどうなっているのかというのを今一生懸命、いつも私が申し上げるように、片一方では国民の皆さんに確認していただく、もう一つの車輪を回しているのは、住基ネットを使ったり、データから解析する。そういうことを今やっているわけでありまして、大変こつこつと積み上げていかないといけない作業ですが、今それをやっているということでありますので、一つ一つ解明していくしか手がありません。

長妻委員 これは、ぜひ与党の方も御同意をいただければありがたいと思うんですが、百十八万人の無年金者がおられるという社会保険庁の資料ですけれども、そこで、全員を当たるべきだと私は思うんですが、それは物理的に無理だということで、せめて三千人をサンプル調査をして、どうなっているのか。

 これは私、経済対策で十兆、二十兆使うのであればここにも、ちょっとしたお金だと思いますから、人、物、金を使うというのは、与党の方も絶対やるなとは思われておられないと思うので、舛添大臣、前向きに御答弁いただけないですか。

舛添国務大臣 とにかく人をふやしていただく、システム改善をしていただく、それは、資源をそこに注入して、来年の新しい機構が発足するまでには何とかある程度のめどはつけたいということでやっているわけですから、そこには人的資源を投入していただくように、それは与野党含めてお願いしたいと思いますが、サンプル調査をやるよりも全数調査をやる。つまり、資源の有効な配分なので、では、サンプル調査をやりました、先ほどの推計で何万人いました、それでどうなるんですか。救われないじゃないですか。その時間と手間暇があったら一人でも早く救った方がいい。

 そこがいつも長妻さんと私が違うところで、解決しようという意欲は二人とも同じなんです。方法論が違う。そこは、私は、その手間暇があればまさに一人でも多く救う、そっちの方がいいと思います。

長妻委員 いや、その考え方は違うと思うんですね。官僚の厚い壁を突破するには数字がないとできないんですよ。五千万件の数字を出してくれというときも役所は同じ論理でしたよ。つまり、そんな数字を調べる時間があれば一人一人救うから、そんな数字をコンピューターを回して調べる時間はありませんと。これをずっと言って、この数字が出たから政府は動いたんですよ。

 つまり、百十八万人の中でサンプル調査をすると、何%がこれほどひどいことになっているんだというのがわかるんですね。また、我々も全くわからない状況がわかるわけですよ。そうすると、このパーセントがおかしいということは、百十八万人に当てはめるとこれだけの方々が今この日本でお困りになっているという実感が出て、それでやっと政府も本気になるわけですよ。

 無年金の件なんて、私が要求しても、政府は今全く相手にしていないですよ。今も、プログラムをつくった、今の工程表をそのまま行くだけです、無年金の問題はまあ後からいろいろやります、こういう後回しになっているんですよ。

 ですから、その三千件、先ほど舛添大臣も、この無年金の問題は、五十一万、でもいろいろ複雑でわからないこともあるというのであれば、これは大臣の権限で三千件そのサンプル調査をして、大した話じゃないですよ、そして表に出すと、間違いなく官僚の人たちは慌てて動きますよ。これは世間も、大きく非難あるいは驚き、こういうのが出てくると思います、あるいは気づくと思います。大きい話になりますので、ああ、自分もひょっとしたら受給できるのかもしれないと。こういう効果があるんですよ。

 だから舛添大臣が、仮に、いや、もう穏便に事を荒立てないでふたをしていこうという発想であれば、それはやらないという選択肢もあるかもしれませんけれども、ぜひ、三千件、大臣主導でやるということを言っていただけないですか。

舛添国務大臣 私は穏便にふたをしようなどと思っていなくて、とにかく一つ一つ着実に優先順位をつけてやりたいということでやっているわけですし、相当これは突破しないといけない壁も突破をしてきて、今着実にこれをやっている。そして、隠しているなら別ですけれども、先般の三月三十一日の関係閣僚会議でも、今こういうふうにやっていますよ、三百十一万はこうですよ、そしてやっていますよと。

 それで今、さらに、午前中木原委員の御質問に対してお答えしたように、それは二万五千人もあるけれども、とにかくそれは二十五年からやっていったわけですけれども、十年を超えたらとにかくお知らせしてやろうと。これはやはり御本人の確認もいただかないといけない。だから先ほど言ったように、本人の御協力、つまり個人で確認してもらいますし、もう一つはデータで、その二つを回していっていますので、これはサボっているわけでも何でもありません。

 一刻も早く、一人でも救いたいと思ってやっていますから、さらなる人的資源の投入もしたいと思っております。

長妻委員 いや、これは私も別に当てずっぽうで言っているわけじゃなくて、さっきの総務省のサンプル調査でもおわかりのように、五十一万人が、本来は受給権があるのに抜けている記録で無年金になっている可能性がある、こういう推計数字というのがあるわけで、百十八万人という、これも今現在無年金という社保庁の資料もあるわけで、だから調査してほしいと。

 私は、もう今、無年金の方で受給権を回復しているのが、四十万人ぐらい回復しましたというのであれば、ああ、ちゃんと進んでいるんだなと思いますが、まだ千人。これは全然手つかずと同じなんですよ。

 そして、実はもう一つ、政府が出してきた数字でヒントになる数字が出たのは、きょう午前中も言われたように、無年金の方から新たに年金受給権が回復した方が千四十八人おられる。これは、二十五年超などの記録で住基ネットで照合された二万五千四百五十七人の中で、まだ調査中もあるけれども、わかったものが千四十八人ということです。二・五万人の中の千四十八人というのは四・一%に当たりますので、つまり、二十五年超の記録で既に政府として実績があるのは、四・一%が受給権が発生している方、受給年齢に達しているのに無年金だったということがもう確実に事実として出ているわけです。

 そうすると、この四・一%という数字を先ほどの五十一万人と仮に掛け算をいたしますと、二万人という数字が出てくるんですね。ですから、政府の実績値を援用すると、少なくとも二万人の方は、受給年齢に達しているのに記録がないことで無年金になっている、こういう推計もできると思うんです。

 これは舛添大臣、二万人をどうやって、いつまでに、どういう手法で補償をしてくるんですか。天国と地獄なんです、無年金の方というのは。

舛添国務大臣 今長妻委員の推定なさったのは、先ほどの二万五千人のうちの九千人を抜いて、五千四百人について調査完了で、千四十八人というので、そのまま二・五万から千四十八を比べるのは若干問題があるかなというふうに思います。

 ですから、推計自体がいかがなものかというのはありますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、十年を超える加入期間の未統合記録の方にも、ちょっと急がせまして、六月中には発送を開始したいというふうに思っていますから、本当にこれも一つ一つ積み上げてやるしかないので、できるだけ早くその作業を開始したいと思っております。

長妻委員 二十五年超の記録で、実際、受給年齢に達してかつ無年金という方が四・一%ということでございますけれども、では、先ほどの五十一万人という方の中で、生きている方と亡くなっている方というのを見ますと、今政府は、五千万件の記録の中で、ほぼ死亡されているのではないかという記録は何件ぐらいだというふうに推計しておりますか。

舛添国務大臣 五千万件の未統合記録のうちで、千六百十六万件が一定の解明がなされたとされていますけれども、死亡が判明した記録は六百三十三万件であります。

長妻委員 そうすると、五千九十五万件から死亡が判明している方の記録を除くと四千四百六十二万件になって、その一%でも四十四万六千人が、現に生きておられる方の中で無年金になっている可能性が高いということで、これは、本当に看過できない大きな数字だと私は思います。今本当に手を打たないと、また後から後からこういう問題が出て、結局は何十年もかかってしまうということになりかねない。

 そしてもう一つは、この問題の背景には、基礎年金番号がついていないという方がたくさんおられるんじゃないかということであります。

 住基ネットに照合して生存が確認された方の記録というのが三百十四万件ございましたけれども、そうすると、この方々が仮に一件一人だとすれば、少なくとも三百万人程度は基礎年金番号がない人が日本にいる、こういうふうに考えてよろしいのでございますか。

舛添国務大臣 住基ネットを使って生存者と判明したのは、今おっしゃったように三百十四万件。その未統合記録は、基礎年金番号との名寄せによって該当する記録がない、これが一つ、そして住基ネットとの突き合わせによって氏名と生年月日が両方一致して、生存者と確認された記録であります。

 したがって、こういう方々は基礎年金番号を付番されていない可能性が高いというふうに考えられます。ただ、若干例外があるのは、既にお知らせを送付した二・五万人の方々を調査したところ、基礎年金番号は持っておって、障害年金等を受給中の方も含まれている。その人たちの数が若干そこに含まれております。

長妻委員 先ほど言われたように、三百万人ですか、これは基礎年金番号がない可能性が高い。こういう可能性が高いということでよろしいんでございますか、舛添大臣。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、障害年金を持っているけれども、基礎年金番号も持っているという方を除けば、そういう基礎年金番号を付されていない可能性は高いと思います。

長妻委員 これも政府がサンプル調査やきちっとした調査をしないので推計数字ばかりなんですけれども、結局、こういう事実というか推計数字、かなり大きいものが出ているわけであります。

 今現在の年金記録問題の政府の取り組みの大前提になっているのは、基礎年金番号に統合する、これが大目標なんです。すべてその筋で動いている。つまり、基礎年金番号がない人は統合しようがないということでありまして、まずは基礎年金番号を着実につけるということが、これはどう考えても重要だというふうに考えているんです。

 今度、政府は、三十四歳と四十四歳については基礎年金番号がない人につける、そういう対策をとるというふうに聞いておりますけれども、これはどんな対策でございますか。

舛添国務大臣 まずその前に、私は、最終的にはソーシャル・セキュリティー・ナンバー、社会保障番号を生まれたときから付していくということで、午前中も議論ありましたけれども、これが一番確実な手だと思います。

 それで、ちょっとデータは古いんですけれども、十八年五月一日現在の二十歳以上の総人口が一億三百七十四万人に対して、基礎年金番号を付番されている件数は、それより多くて一億四百二十六万件あります。その中に、先ほど言ったように例外的なこともあるし、それから外国に居住している日本人がいるとかさまざまな数字がありますから、先ほど言ったように、必ずしも全員が、三百十四万件全部が基礎年金番号が付されていないとは言えないというふうに思いますが、いずれにしても、今委員おっしゃったように、とにかく基礎年金番号が基本ですから、できるだけ早く、やはりソーシャル・セキュリティー・ナンバーというのを導入するということが必要だというふうに思います。

 それで、お尋ねの三十四歳、四十四歳の方々について言うと、今、これを短縮しようという議論も出ていますけれども、二十五年ないと期間を満たしませんから、三十四歳の方、今頑張れば、あと二十五年今からやれば大丈夫ですよ、それから四十四歳も、七十歳まで大丈夫ですから、将来の年金受給のために全く年金の掛け金を払っていない、じゃ、今やれば間に合いますからという節目の年である三十四と四十四を特に勧奨するということで、そういう節目の年齢で三十四、四十四というのを出したわけであります。

長妻委員 そうすると、三十四歳、四十四歳にどういうふうにするのか。郵便を送って、最終的に職権で加入手続をするというふうにも聞いているんですが、そういう形なんですか。

舛添国務大臣 まずその前に、二十になった方々に対しては、住基ネットワークから情報をいただいて加入勧奨を行うとともに、届け出をいただけない方は職権により適用を行うなどして未加入者の防止をやる。同じようなことを三十四歳、四十四歳それぞれ、あと二十五年で六十歳になる、任意加入を含めれば七十歳まで可能ですから七十になる、こういう方に対して加入の勧奨を行う、そういうことでございます。

長妻委員 先ほど舛添大臣は、二十の方の基礎年金番号の付番の率を人口と比べておられましたけれども、これは、きちっとついているのは当たり前なんですよ。先ほど言われましたように、二十は未加入の方にずっと勧奨をやっていますよね。これは、官僚の方は一番きちっとしている年齢のところを持ってきて大臣に資料を出すんですけれども。

 それで、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーを入れればいいというお話がありましたけれども、これは私も賛成ですが、基礎年金番号もまともにつけられないのがソーシャル・セキュリティー・ナンバーですなんといったって、これもめちゃくちゃになりますよ。これは大学の授業みたいなものですよ、ソーシャル・セキュリティー・ナンバー。小学校の算数の話が、基礎年金番号付番というのもできないのに、これが基礎になるわけで、基礎年金番号がついていない方に、今、三十四歳と四十四歳になったときに、誕生月に毎月送るということだと思うんですけれども、そうすると、これは四十五歳以上の基礎年金番号のない方にはもうほったらかしですか。

 だから私が言っているのは、むしろ無年金の方というのは、もう受給年齢に達している方で、それで基礎年金番号のない人が、ここが一番大変なんですよ。一番大変なんです。何でその人には一切送らないで、四十五以上は何にもなし、これはおかしいと思われませんか、大臣。

舛添国務大臣 ちょっと、今委員のおっしゃる意味がよくわからないので。

 節目節目の年に、今きちんとやれば年金をもらえますよということ、これはこれで一つの政策としてやればいいわけですよ。

 それで、今おっしゃったことはさまざまな、今、住基ネットを回したりして、今度十年以上の方にはお知らせするわけですから、そういう手だてを使ってきちんとやっているわけですから、これは何も矛盾しないと思いますけれども。

長妻委員 それは、今本当に、すべてきちっと年金記録が管理されていればそのとおりですよ。社保庁が頭の中で考える理想の年金運用、理想というか当たり前の年金運用がなされていればそのとおりなんですが、なぜ受給者に基礎年金番号をつけなきゃいけないのかというと、抜けている記録を統合するためにつけるんですよ、別に二十五年の話じゃなくて。

 それで、お伺いすると、三十四歳、四十四歳にどういうふうにするかというと、社保庁にある基礎年金番号記録と住基ネットの記録を突合して、照合して、基礎年金番号がない人が確実にわかるので、その人に手紙を送ったり加入を促す。加入しない場合は、職権で基礎年金番号をつけて手帳を送ってしまう、こういう対応をするということなんですね。私は、これはいいことだと思います。いいことだと思います。

 そういう意味では、三十四と四十四歳だけじゃなくてこれは全年齢に、特に、受給年齢に達している方にもこれをやる。こうしないと、そもそもの年金記録問題の土台、基礎年金番号と統合するという、これは基礎年金番号がない人は全く救われないんですよ。これは大臣、どうですか。

舛添国務大臣 だから、先ほど申し上げたように、二十五年を満たすという要件で今回はやっている。もちろん、二十は、あなたは大人になったからやりなさいということでやっている。

 だから、すべての年代について言う、それは、御承知のように平成九年に基礎年金番号を導入したわけですけれども、そのときに漏れている方がおられたわけで、そういう方々について市町村においてどんどん付番してくださいよということをやっているので、なぜ、どういう理由で漏れているのか、そういうことも含めて全体像をつかむ必要があるというふうに思います。

 ただ、少なくとも、今基本は二十五年ですから、例えば空期間を忘れていただとか、そういうことについてはまたきちんと窓口で対応できますから、具体的にどういうふうにするのかということの施策については、ちょっとそれは検討させていただきますけれども、節目節目でやるということと今おっしゃったこととの整合性というのは、ちょっと私は余りイメージができないので、もう一遍説明してもらえますか。

長妻委員 大臣は根幹がちょっと全くおわかりになっておられないので、非常に不安になるんですけれども。

 今私が申し上げているのは、別に二十五年ルールを徹底させるために基礎年金番号をつけろと言っているんじゃなくて、記録が抜けている方が基礎年金番号を持っていなければそもそも統合がないわけですよ。そもそも基礎年金番号を持っていない人はもうアウトになるような、今政府はそういう進め方をしているので、そうであれば、基礎年金番号をきちっと全員につけるというのも同時並行的に、優先的にやるべきだ。三十四歳、四十四歳も重要ですが、こういう受給年齢に達した人で基礎年金番号がついていない人は無年金になっちゃいますよ、無年金に。特別便も送られませんから。一切送られません、基礎年金番号がない方は。

 だから、受給年齢に達した人、あるいはほかの年代も含めて、やり方は簡単なわけですから、住基ネットにある情報と基礎年金番号の情報を突合して、住基ネットだけにある、基礎年金番号がない方に加入をしていただく、申し込みがない場合は職権でする、こういうことなので、これはもう、どう考えても早急にやらなきゃいけないんですよ。どう思われますか。

舛添国務大臣 だから、平成九年に基礎年金番号を入れて、みんなそこで入っておかないといけないんですよ。入っていないので今まさに苦労しているので、五千万件を統合して特別便を何で送れないかというのは、年金番号がないからなんです。

 だから先ほど来言っているように、苦労して住基ネットで氏名と生年月日を一致させたわけですから、こういう人たちを加入させる、そしてちゃんと年金番号を付していくという、これは当たり前の作業ですから。どういう形でやるかについてちょっと具体策は検討しますが、これは当然、やっていかないといけない前提だと思っています。

長妻委員 しかも、これは早くやらなきゃいけないんですね。三十四歳、四十四歳にはことし十一月から郵便物を発送する。これは基礎年金番号をつける。同時並行的に今、統合作業をしているわけですので、早目に全員に基礎年金番号をつける。これは皆年金でありますので、かなり前向きに踏み込んだ御答弁をしていただくと官僚組織は動きますから、国会の議事録に残れば。

舛添国務大臣 ですから、五千万の作業をしましたね。基礎年金番号がある人たちにはどんどん特別便を送っていって、もう七千万返ってきています。そのうちの九割はオーケーというか解決しましたから、ない人を住基ネットとか旧姓で捜したり、漢字仮名変換で捜しています。

 それで、例えばある人の記録を二十五年とか確定して、あなた、実は権利があるんですよ、これだけの権利があってこれだけお支払いします、そのやるプロセスにおいてあなたは何番とつけていく、これでいいでしょう。

長妻委員 それは今やっているんですよ。そういう意味では、社保庁に資料を要求すると二十人の方が、たった二十人ですけれども、基礎年金番号が全くなかったけれども、偶然というか、郵便物が来てたまたま気づいたというケースが多いと思うんですけれども、見つかって、それで基礎年金番号をつけて、めでたく無年金から受給者になったという方は二十人いるんです。

 だから、そういう偶然というか、本当に気づいて見つかった方はいいんですけれども、さっき申し上げたように、そうじゃない方が推計数字でたくさんおられるわけで、そういう意味で基礎年金番号を、簡単にできるんですよ、仕組みとしては。大臣、それを前向きに御答弁いただけないですか。

舛添国務大臣 ですから、基礎年金番号を持っていない方を発掘しながらやっていくわけです。

 それともう一つは、実を言うと、介護保険料の納入告知書を送付する際に、これは市町村を通じて、皆さんどうですか、確認してみてくださいよということをやって、相当の市町村でこれをやっていますから、そういう手は使ってやっていきますけれども、だれがどう、あなたは持っていないですねというのをまず本人が知ってくれないといけません。ですから、そういう調査を、まさに年金の記録を確立する過程においてやっていきます。

 これをできるだけ早く促進するということについて、どういうふうに具体的にやるかは検討させていただきます。

長妻委員 これはどう考えても、基礎年金番号がなかったら全然統合しようがなくて、今回のスキームの話の外になっちゃっているんですよ。

 見つけるのは簡単なんですよ、だって、三十四歳と四十四歳は見つけてやるわけですから。ですから、難しいことをするということを申し上げているんじゃなくて、三十四歳と四十四歳と同じような扱いを、受給年齢に達した方あるいはそれ以外の方にも早急にやってほしい。いかがですか。

舛添国務大臣 一番最大の目的は失われた年金を回復することでありますから、その作業は今やっていく。その過程で、この方は番号を付されていないな、だからこういうことになったんだなということで付していきます。

 ですから、あと全年齢についてということは、全国民について、二十以上の人を全部もう一遍総ざらいをしてやるということですか。(長妻委員「もちろん、当たり前です」と呼ぶ)いや、それだけの手間暇をやるならば、その年金の記録を確立する段階で、つまり一番大事なのは、長妻委員に申し上げているように、ほったらかされるんじゃないんですよ。要するに、正しく年金をお支払いするわけですから、そっちを優先してやる必要があるでしょう。そのプロセスにおいてやるということを言っているんです。

長妻委員 ちょっと大臣、認識が全く違うと思うんですよね。

 つまり、日本が皆年金じゃなかったらいいですよ、希望者だけ入る。ところが、日本は皆年金という国なんですよ。どなたも公的年金制度に入らなきゃいけない。しかも、今回記録の問題が起きたということで、しかも、さっきのやりとりの中でも、ひょっとすると数百万人の基礎年金番号をつけるべき方がついていないという現状がある可能性があるんですよ、大臣の答弁もあるように。これを放置しちゃいけないんですよ、基礎年金番号がないと受給は一円もできませんから。公的年金制度に入っていないということになるんですよ。

 だから、全員、二十以上を調べるのが面倒くさいとか言われていますけれども、面倒くさくないんですよ。社保庁にコンピューターがあって、基礎年金番号を持っている人の名前、住所とか情報があるわけですね。そして、それと住基ネット、今住んでおられる方の記録を照合すると、合致する方はいいんですが、合致しないで住基ネットだけにある方というのは基礎年金番号がない方ですから、そういう人に、入ってください、入らなければ職権で加入してもらって基礎年金番号をつけて、日本は皆年金だから全員につくという当たり前のことを平成九年一月の基礎年金番号導入のときに、ずっとそれ以降も手を抜いていて、これだけのツケがたまっているので、それは当たり前のことなんですよ、基礎年金番号を全員につけるというのは。そういう認識をぜひ持っていただきたいと思うんです。

舛添国務大臣 そういう認識を持っていますし、未加入対策をしないといけない。無年金、それから先ほど来山井さんと議論したように、国民年金の納付率が低い、こういうものをどう解決していくか。それは未加入というのを徹底的にやらないといけないので、先ほどの三十四、四十四歳というのは、未加入対策をきちんとやるということです。

 それから、一億九百万人に送って御本人に確認をいただいていますから、もう一遍、一億九百万人、住基ネットでヒットさせるんですか。だから、五千万人のわからない人たちに対してやっているわけですから、私は、物事は優先順位があるので、そんなに、要するに優先順位は失われた年金を取り戻すことですから、そっちからやった方がいいんじゃないですか。

長妻委員 だから、基礎年金番号がなかったら統合できないわけですよ、その人は一生。記録があってもばらばらになっていて、手帳番号のままで、全然だめじゃないですか。皆年金というのをもうちょっとよく認識していただいて、ぜひ、基礎年金番号を全員につける対策を早急にとっていただきたい。

 そしてもう一つは、不在者設定ということで、国民年金で今行方不明者になっている方のうち、不適切な処理で行方不明になってしまっている方というのは何人ぐらいおられるということですか。

舛添国務大臣 不在者、居所未登録者ですけれども、これが、平成十八年の国民年金保険料の免除等に係る事務処理に関する第三次調査報告書に基づいて、今おっしゃった不在者の適正な管理を徹底するために、同年十月にこの事務処理基準を策定するとともに、そのときで六十九万件いた、これの再点検を開始したところです。

 十八年の十月に六十九万人、そして今、十九年四月現在で五十七万人が居所未登録者、つまり不在者ということでありますが、この当時の関係書類が現存していないので、具体的にその経緯というのは、なぜそうなったかというのはなかなか解明するのが困難だという報告をもらっています。

 今、六十四万件については調査は終了しておりますが、今なお集計作業中ということでありますので、居所未登録者の解除を行った件数の取りまとめまでには至っていない、そういう報告をもらっています。

長妻委員 ということは、今現在五十七万人の方が行方不明者になっているんだけれども、実は行方不明じゃなくて、納付率を上げるための操作で、かつてはそういう問題がありましたので、そういう方もまだ含まれている可能性があるということなので、ぜひこの方も、私は基礎年金番号がついていない方がこの中にかなりおられるのではないかと思いますので、確認をしていただきたい。

 そしてもう一回総務省に、サンプル調査、五千万件のお尋ねをしますけれども、このサンプル調査の中で、記録の期間が不明というものが何%ぐらいあって、五千万件に引き合わせると何件になって、期間不明という意味は何なのか、それを教えていただけますか。

関政府参考人 サンプル調査におきまして通算加入期間等の割合を出したもののうち、加入期間不明とされたものの割合が二・五%でございます。これを五千九十五万件と掛け算をするということですと、約百二十七万件ということでございます。

 この不明の理由ですけれども、私どもの方でサンプルの標本につきまして当初の加入年月日、それから最終脱退年月日をチェックしていったわけですけれども、最初に入った期間について記録がない、あるいは終わりについて記録がない、こういうものがございましたので、それは加入期間がどのくらいかということについて、わからないということになったということでございます。

長妻委員 舛添大臣、どっちかが欠落して肝心の記録の期間がない、これが推計で百二十七万件あるということで、これはどういう対策を講じるおつもりですか。

舛添国務大臣 これはもう、最終的に、画像処理を今年度やりますけれども、八億五千万枚の紙台帳とコンピューターとの突き合わせをするようなことを通じて解明するしか手はないと思っています。

長妻委員 こういう案件は、我々も申し上げているように、紙台帳の照合というのが不可欠になります。あるいは、この百二十七万件に該当するものを住基ネットと照合して、その方に送って、ここの期間が抜けていますから思い出されますかというような対応をするというのはお考えになりませんか。

舛添国務大臣 ちょっとそこは、なぜそこが始めが欠けたり終わりが欠けたりで不明なのかというのは、先ほどの総務省の説明を聞いても全くわからないので、今長妻さんが言ったような手がいいのかどうなのか。

 私は、最終的にはやはり紙台帳の突合だろうな、そこまで行き着かないと解明できないんじゃないかなというような感じを持っています。

長妻委員 前回の金曜日も質疑させていただいた障害年金の話ですけれども、これも、私もいろいろな方に、障害年金を受給されている方等にお話を直接お伺いしましたけれども、これはかなり問題は大きいと思います。

 つまり、告知が不十分なので、実際に受給できる方で受給されていない方が膨大な数に上るんではないかということで、この問題を前回指摘しまして調査をお願いいたしましたら、調査をするというようなお返事でしたので、どんな調査をするおつもりか、具体的にお願いをいたします。

舛添国務大臣 これは、いみじくも今委員がおっしゃったように、やはり周知徹底がちゃんとなされていなくて制度を知らない、そういうことがあると思いますから、障害者手帳の制度の担当部局と十分連携をしながら、窓口で大体どういうことでこういうことになっているんだ、どういう周知徹底をしているんだ、ちょっとそれを洗いざらい調べてみたいと思います。

 指示を出したところですので、どういう経過でこうなっているのか、どういう周知をしているのか、ちゃんと障害者の方々に必要な情報を与えているのか、こういうことを今解明して、状況を把握して、また御報告、公表したいと思っております。

長妻委員 これは当たり前の話ですけれども、障害手帳を渡すときに、障害年金というのはこういう仕組みでこうですよ、あなたは多分該当するかもしれないから、診断書等も含めてこういう手続をしてください、こういうことがあると全く違うのに、そういう説明がないという問題もあるというふうに聞いております。

 そして、前回も申し上げましたけれども、例えば一つの事例で「両眼の視力の和が〇・〇四以下のもの」は障害年金が受給できるわけであります。

 障害手帳を持っている〇・〇四以下の方というのが二十三万五千三百六十人いるけれども、障害年金を受給している方が十万三千十五人ということで、推計すると、実際に半分ぐらいの方が受給できるのに受給していないんじゃないかという疑いの数字も役所から出てきているので、例えば目に限って、多少というかこの中を調べて、本当に受給できる方が何割ぐらいいるのか、こういう調査もぜひ大臣、していただきたいと思うんですが、いかがですか。

舛添国務大臣 まずその前に、ちょっと私も調べてみまして、各自治体でどういう対応をしているかというと、手元にこのコピーを入手したんですけれども、手帳をお渡しするときに障害福祉のパンフレット、こういうものがありますよと、きちんと、例えば川崎市もそうです、札幌市も仙台市も、私が持っているのはそうですけれども、これを見ると、ああ、こういう年金があるんだなと全部書いてあるんです。

 これを、総務省の御協力、各自治体の御協力もいただいて、すべての自治体でこういうパンフレットをつくって、障害者手帳を交付するときに必ずお渡しして、例えば視力の障害のある方にはきちんと、それを説明する補助者をつけるというようなことを徹底させたいというふうに思います。

 それから、この両目の視力ですけれども、これも少し、一級、二級それぞれどういう状況になっているのか、そしてきちんと本当に説明したのかということも含めて、少し調査をしたいと思います。

長妻委員 ぜひきちっと調査をしていただきたいと思います。官僚の方も、その数字を見て、おくればせながらびっくりして動くというのが日本のパターンでありますので、ぜひよろしくお願いします。

 そしてもう一つ、日本の年金の最大の問題の一つが、国民年金の問題、本当に生活できる年金なのかということであります。

 過去に国民年金が始まったとき、昭和三十六年四月から始まりましたけれども、そのときの国会議事録なども読んだり、あるいはそのときの年金局長が書いたパンフレットなどを拝見しますと、例えば十二ページでございます。これは小山さんという年金局長が、時事通信社ですけれども、一九五九年出版の「国民年金法の解説」という本の中で書いておられることでありますけれども、ここの中に、四角で囲んだちょっと後半部分ですけれども、こういうふうに書いてあります。

 これは、国民年金は定額でございますので、「保険料を定額としたことについて」ということです。「所得比例の拠出原則をとろうとしても、わが国の現情では全国的規模においてこれをおこなうことが技術的に見て不可能だと判断したからである。したがって、条件が整ったら所得比例による拠出に移して行きたいというのが立案の当初からとられている考え方で、これは国会における審議の際にも明らかにされている。」

 ということで、これは議事録も見ると、何度もこの年金局長や官房審議官が、例えばこの国会の議事録は、昭和三十四年三月五日の社会労働委員会でも再三にわたってそういうことを言っているんですね。あるべきは所得代替率の考え方、報酬比例だと。国民年金もですね。所得に応じて保険料を徴収して、受給も所得に応じて変わると。しかし技術的に、所得捕捉とかなどができないので、そういう問題があるから、ある意味では暫定的に固定にしているんだという趣旨でございます。

 もうこの暫定が四十七年間もずっと固定のまま、いろいろ問題をはらみながらも、そうしたら今度、今ここで審議している法案は、四十八年前にこういう暫定で始まったものをまた百年続ける、百年安心だということで、それで税金を逐次投入というか、足りないから、埋蔵金からちょこっとつまんで入れましょう。こういうパッチワークでまた百年続けるというのは、一番初めの国民年金の趣旨からいってもおかしいと思うんですが、これは大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 これは非常に大事な問題で、やはり少し国民的な議論が必要だろうというふうに思っています。

 要するに年金一元化の話をどうするか、最終的にはそこにも行き着くんですが、私は、国民年金というのは、最終的にみんながお世話にならないといけない大きな土俵だというふうに思っていますので、勤めている方も定年退職すればそこに入っていく、それから途中退職して自前の商売をおやりになる方も、会社組織なんかを持たなきゃそこに入っていくわけですから。

 そのときに、要するに所得比例というのは、今委員もおっしゃったように所得の捕捉をどうするかということ、これはもちろん、被用者の場合に比べるとはるかに難しいことは確かです。特に源泉徴収をぴしっとされるサラリーマンに比べて、自営業者の場合はどうするのかということがあるので、この技術的な問題はやはり解決せぬといかぬだろうというふうに思っています。それから、医療保険の場合は市町村単位でやっていますが、いかんせん、国民的レベル、ナショナルなレベルでやっている年金制度でこの所得比例に、所得の捕捉はトーゴーサンとかクロヨンとか言われている中で本当にできるんだろうかということがやはりあると思いますね。

 ですから、そこはまさに税か掛金かという問題も含めて、恐らく、この問題をやろうとすると、年金をめぐるあらゆる争点をその中に入れないとできないような気がします。ただ、私は、今委員がおっしゃるように、議論すべき時期には来ているというように思いますから、そういう中でもう少し国民的な議論をやってみたいと思っています。

長妻委員 いや、大臣、今みたいな議論というのはよくいろいろな方が言われるんです、所得捕捉が難しいということを。

 ただ、よく考えなくても、国保、国民健康保険は、自営業の方の所得を捕捉して、ある程度一定の基準を置いて、それで所得に応じて健康保険料を取っているわけですね、保険料を。これはもう全国的にやっているわけですよ、国保。こういう考え方を精査して導入すればできないことはないんですね。私は、納税者番号もプライバシーを配慮して入れるべきだと思っておりますけれども、そういうことをすれば、もう国保でやっているわけですので。何で年金でできないんですか、国保でやって。

舛添国務大臣 それは先ほどちょっと申し上げましたが、国保というのは、それぞれ保険料率だって、この前、県ごとの新しい料率にするときに相当差ができますから、これは激変緩和措置をやったんですけれども、そこに見られるように、市町村単位でやっているのとナショナルなレベルでやっているというのはやはり規模が全然違いますから、どういう形でやるのか、私は技術的な問題も含めて非常に難しい問題があると思いますよ。

 それで、今、基礎年金と厚年の場合の二階建て、さらに三階建てにまで行くものがありますけれども、そこについて、税でやるのか、どこまでの負担にするのか、そういうあらゆる議論がないと、これだけ取り上げてやれるのかなという困難点、問題点というか、難しさというのはやはりどうしても、私自身が今やれと言われてもちゅうちょする理由にはなります。ただ、検討はしたい。

長妻委員 これは諸外国でも、確かに自営業の方などの所得を捕捉するというのは大変苦労していますが、一定の、ある程度コンセンサスを得るような形で自営業の方の定義をつくってやっているわけであります。そういうことを検討しながらやれないことはないにもかかわらず、つまり、当初の国民年金法の審議の中でも年金局長が答弁している、あるいは書いているように、条件が整ったら所得比例による拠出に移していきたい、こういうふうに何度も言っているわけで、もう四十年以上たってしまって、これは政府の怠慢だと思いますよ。

 これは、国会も、与党も百年安心プランといってこれを変えない変えないということではなくて、もうかじを切って、期限を決めてやはり検討をきちっと始める、そういうことが何よりも重要だというふうに思います。

 そしてもう一つは、九ページ目でございますけれども、閣僚会議に出てきて、どういう意味だろうと思いましたのは、年金記録がわからないものはもう全部インターネット上で公表して、それで終わりにしてしまうというように読めるような記述があるのですが、これはどういうことでございますか。

舛添国務大臣 今、ねんきん特別便、それから定期便という形で個々人に確認していただくことをやっていく、それからデータ処理をやっていく、そういう形で、何とか一日も早く正しい記録、正しい年金を払うということをやっているわけですけれども、まずはこういうことをきちんとやりたい。

 そして、最終的には、何をやっても手がかりすらつかめない、極端な例を言いますと、架空の人物を従業員としてでっち上げているような例もあります。こういう方について、まだ具体的に何も決めていませんよ、まずやることをやった上でということを申し上げた上で、どういうイメージかというと、例えばそういう方がおられて、何の何々さんという方、これは捜したけれどもいません。

 それで、例えばインターネットでもどういう形でも全国民が見られるところに知らせて、一年間ずっと見て、御本人であれば言ってください、親類でこういう人がいると言ってください。それでもなお見つからないというときには、これは今申し上げたようなでっち上げの場合もあるわけですから。

 私のイメージはそういうようなことを思っていますけれども、まだしかし、それをやるより前にやることが山ほどありますから、今全力を挙げているのはこの解明作業の方であります。

長妻委員 ちょっと今の発想は、今までの政府の見解からいうと驚くんですけれども、つまり、ねんきん特別便にさえ、あるいはねんきん定期便にさえ、先ほど内山議員も質問しましたけれども、抜けている記録のヒント、これは会社名を入れない、厚生年金という制度だけ、これはなぜかというと、成り済ましでとっちゃうからだと。では、インターネットでそんなのを出したらもっととっちゃうじゃないですか、不特定多数だから。そんな発想であれば、では定期便に社名を入れてくださいよ。何だかちぐはぐであります。

 あと、山井議員が先ほど質問した十事例でございますけれども、厚生年金記録改ざん調査委員会は、百五十九人の社保庁の職員が改ざんに関与している、具体的にそういう証言があったということで百五十九人を挙げている。山井議員は、そのうちの代表的な十事例を公表して手口を明らかにすることによって、オレンジレター等々の問題を、国民の皆さんにどこのポイントを見ればいいかをおわかりいただくという、これはもう必要不可欠だと思うんですが、なぜそれを公表しないのか。

 それはそうです。社保庁に任せておくと、自分たちの身内の犯罪的な行為を暴くというのにはすごく今消極的です、いろいろなことが漏れ聞こえてきておりますけれども。

 これは大臣直属というか、もう直轄管理でこれをやらせるということにしないといけないと思いますね。まずは十事例を出して突破口を切り開くということで、ぜひ、これは来週の半ばぐらいまでに出していただけないですか、十事例。

舛添国務大臣 その前に、インターネットの話は誤解がないように。

 だって、インターネットに掲げて、違う人が来ているかちゃんと調べますから。ああ、これでもらえるなというような、そんなことはしません。これだけさんざん捜して、ない、幽霊というかでっち上げかもしれない。だから国民に広くお願いして、国民の皆さんの参画も得て、一人一人が特別便や何かで確認する、それからもう一つはデータを解析する。最後の一人まで解明しようといってどうしても解明できない、もっと手はありませんかということで国民にさらす。そしてだれかが成り済ましで来たら、そんなもの一発でわかりますよ。証拠の挙証責任はそちらにあるわけですから、挙証責任をやってもらわないといけないんですから、本人が本人だというなら挙証責任がありますから。

 ですから、何でもかんでも、こっちがちぐはぐだとか悪い意図でやっているんじゃなくて、いい意図でやっているわけですから、それは御理解いただかないといけないと思いますよ。

 それからもう一つの、先ほど来、山井さんの話は、今一つ一つ調査をし、法と証拠に基づいて、必要な処罰はする、やみ専にしてもきちんと告発をしてやったわけですから。ただ、今十事例を設けてどうしろということではなくて、一つ一つ具体的に解明する、これが一番重要だと思っております。

長妻委員 これで終わりますけれども、私は、インターネットでいろいろな条件をつけて公表するというのを否定しているんじゃないんですよ。そういう考え方であれば、定期便とか特別便というのは一番要件が、もうほぼ持ち主だと断定されている方ですから、そこにはもちろん、もっと踏み込んで内容を提示するべきじゃないかということを申し上げているまでで、ぜひ十事例は公表してください。そうしないと本当にやみに葬られるという危惧を持っていますので、ぜひ政治主導でお願いをいたします。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、記録問題について伺いたいと思います。

 四月三日からねんきん定期便が、加入者でかつ誕生月の方に順次送られるようになりました。テレビ報道もあり、大変関心が高いことだと思っております。

 ところが、特別便が来たときに、自分は年金記録の漏れや訂正があると回答した方にも、前と同じ内容の定期便が来ました。自分が申し入れたにもかかわらず何の反映もされていないじゃないかという苦情が来ておりますが、どういうことでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のように、ねんきん特別便は、一昨年の十二月から昨年の十月末まででございますけれども、一億九百万人の方々に送付をした。特に、この過程の中で、昨年の六月から、名寄せを行ったんだけれども、つけ合わなくて、浮かび上がるような可能性のあるものが出なくて、しかし、その方の加入履歴というのを送るべき、現役加入者に対する送付というのが六月から十月末まであったわけでございます。

 傾向として、受給者の皆さんと違いまして、回答の状況が反応的に少し悪い状態で推移してきているということも一つはございまして、もちろん、私どもの方の処理体制の問題もございますけれども、そういうようなことで、訂正ありということで御回答いただいた分のうち一定のものがなお調査中という状態にあることは事実でございます。

 他方、以前からの予定のとおり、この四月から定期便を送るということ、これはこれで大事なお約束でございます。そういうことでお送りをしておりまして、加入履歴そのものをごらんいただいて、漏れとか間違いがあるというお気づきがあれば、それはそれで回答していただくということを始めているわけでございます。

 それで、反映されていないじゃないかということなんでございますけれども、調査中でございますから、それはその反映はできていないわけでございますけれども、その点は幾つか御案内申し上げておりまして、例えば、定期便の様式の最初のページに、あるいは政府広報において、そのように調査を行っている過程にある方は定期便には反映をいたしておりません、特別便への回答に対する調査結果については別途お届けさせていただきますというようなこと、あるいは同封のリーフレットにおいても、漏れや誤り等のお申し入れをいただいている期間については改めて申し入れをいただく必要がないという趣旨のことを朱書きで記載するといった対策を講じさせていただいております。

高橋委員 九割見つかった、あるいは整理されたといっても、調査中が六百九十八万件あると。その中での今起きている問題だと思うんですね。

 だから、まず一点確認しますが、調査中はすなわち未回答と同じ扱いになるのか。定期便には、今おっしゃったように、ただし書きが確かにあります。しかし、わざわざオレンジ色ではなく水色で送ることになるわけですよね。記録訂正があるよというお知らせとか、注意書き、注意喚起だけのものとか、中に入れるものが二種類、封筒が二種類、二掛ける二で四パターンあるわけですね。こんな芸の細かいことをわざわざしておきながら、結局、自分が答えたことに整理がされていないという返事が返ってくるんですよ。そうしたら、無用の混乱を招くだけではありませんか。

石井政府参考人 今ほどもお答え申し上げましたけれども、特別便を契機としてちょうだいしている訂正ありのお申し入れに関する調査作業と、それから、定期便を発送する作業と、ちょっと時間的に非常に接近、あるいは重なっているものですから発生している状況なわけでございますけれども、ここのところは、さりとてほかに有効な方法もないわけでございまして、そこのところはそういうような事情にあるということを私どももよく伝え、そして、例えば、定期便の最初のページの頭のところに書いてあることとか、あるいはリーフレットに書かせていただくこととか、そういうことを丁寧に皆様にお伝えしていくことによって、混乱というものが生じないような対応で進めていきたいと思います。(高橋委員「最初の質問、未回答と同じ扱いか」と呼ぶ)未回答と同じという扱いではございません。

高橋委員 同じ扱いにならないんですか。あなたは調査中ですという回答が来るんですか、定期便に。今のはおかしいんじゃないんですか。

石井政府参考人 こういうことでございます。

 繰り返しの答弁で大変恐縮でございますけれども、特別便に対して、訂正ありという御回答をいただいたと。それで済んでいる方はいいわけですが、なお調査中の方については、調査が済むまでは、具体的にお申し越しいただいている記録に関しては調査が完了していないわけですから、とりあえずそれはお預かりという状態になっています。そういう意味で、その方の加入履歴というのは調査が続いている間は従前どおりというのは、それは御指摘のとおりでございます。

 だからといって、未回答ということではございません。回答いただいた場合には、私ども一件一件きちんと事跡の管理をしておりまして、この方はこういう回答をいつ幾日いただいているということをきちんと管理しながら、対応しているということでございます。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

高橋委員 ですから、反映していないという苦情が来るということは、あなたは調査中なんですという一言がないということなんですよ。その一言があるのとないのでは全然違うんです。待っていただきたいと言って、書いていればわかるんですけれども、結局、自分の言ったことは無視されたのかなというふうに思うんですよ。

 さっきから言っているように、きめ細かく丁寧に説明をしていますと言っているけれども、肝心なことが抜けているんです。だから、回答票に、例えば、特別便をいついつ送ったということをあえて回答させる欄をつくるとか。ないですよ、この回答欄にはそういうものが一切。差別されておりませんから、そういう工夫をしなさいということを言っているんです。来月からやるんですから、来月からまた次の新しい人に行くんですから、そこは改善してください。時間がないので、ここは要望にいたしたいと思います。

 次に、長妻委員もずっとこだわっている無年金の問題、私も以前から大変訴えているところなんですけれども、例えば、一昨年六月十三日の本委員会で、無年金者で受給年齢に達している方は、オンラインデータとマイクロフィルムと突合するにも一方のデータがないがどうするかという質問をいたしました。そのときに、先ほどちょっと大臣が触れましたように、介護保険の普通徴収の保険料通知と一緒に案内をしたいということをおっしゃいました。

 きょうの資料の一枚目がそれでございます。これが、介護保険の普通徴収の方、年金がないか月一万五千円未満の方たち、みずから銀行などに行って払う方たちに同封されるものでございます。波線がありまして、「過去に国民年金保険料を納めたことがある方、会社にお勤めになられたことのある方につきましては、年金をお受け取りになれる可能性がございます。」ということで、漏れや間違いがないか御心配の方は御相談くださいということで、通常、役所が出す文書にしては大変字が大きく見やすいわけでございますが、これで実際に成果が上がったのか、この通知がいつ、どのくらい発送され、何らかの実績があったか、伺います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がございましたように、社会保険庁におきましては、いわゆる無年金の方の氏名住所、そういった情報を把握してございませんので、そういった方を多く含むと考えられます介護保険料の普通徴収の対象の方々に対しまして、年金記録の確認を呼びかけるチラシというのを送付したところでございます。

 具体的には、今し方御紹介がございましたけれども、市町村におきまして、平成二十年度の、ですから昨年度のことでございますけれども、平成二十年度の介護保険料納入告知書を送付する際に、年金記録の確認を呼びかける、今御紹介いただいたチラシを同封させていただくなど、すべての市町村の御協力をいただくもとで、昨年の三月から十月にかけまして実施いたしました。同封に御協力いただいた市区町村の数でございますけれども、一千八百九市区町村、送付枚数は三百二十三万枚に上っております。

 ただ、この数字の外でございますけれども、ちょっと同封が技術的に、例えばはがきによるお知らせだったために自分のところではできませんということで御連絡があったのは、別途社会保険庁の方で引き取って、しかし同様に御連絡をしておりまして、これは九市町村分、送付枚数にして二万枚、こういうことでございます。

 それで、このチラシをそういう形で送付することで、注意喚起を内容とする一般的な広報をしたということでございますけれども、大変恐縮でございますが、社会保険事務所への相談、当然これはチラシを契機としてあったというふうに思っておりますけれども、そのようなチラシを契機としてなされた相談かどうかというのは個別に調査、把握してございません。

 なお、これはあくまでも参考でございますけれども、平成二十年五月から十二月までの八カ月間で、七十四名の方が相談などを契機とした記録訂正によって新たに年金受給権が発生している、そういうことがございます。

高橋委員 ですから、さっきから、無年金者、つまり、特別便も定期便も来ない方に、可能性があるじゃないかということをどうやって結びつけていくのかということを話しているわけですね。

 今、七十四名が新たに受給権者になったと。これは、昨年の通知だと三十三名が普通徴収者ということで見つかったということがあるわけですね。だから、そういう形で国民から協力をいただければもっとできるんじゃないかと提案しているんだけれども、それが効果があったかどうかもよくわからないという中で進んでいくということは、どうしてそうなるのかということが言いたいわけですよ。ですから、これはもう一度検証して、ことし同じようにやっていく必要があるのではないかと思います。

 さらに、その際、二枚目に裏面を載せてありますけれども、「基礎年金を受けるためには、原則として、「保険料を納めた期間」と「保険料納付を免除された期間」とを合算して、二十五年以上の期間が必要ですが、様々な方の状況に応じた特例制度なども設けられていますので、」また御相談くださいということになって、これは要するに、特例制度と言っていますけれども、例えば免除があったり、先ほど来話題になっている空期間があれば二十五年をクリアする方もいるんだ。ですから、相談の多いのは、自分はもともと二十五年も払っていないからもう無理なんだろうと、自分から問い合わせようとしない人たちがたくさんいるわけですね。そういう方たちにきちんと自覚を持たせていく、そういう取り組みが必要ではないか。

 大臣が何度もおっしゃっているように、住基ネットを回して無年金者も見つけていくんだということも言っているわけですが、一方で国民の協力もいただくと言っているんですから、そういうことをもっと効果的にやるべきだということで、さらにこれを進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 それはぜひやりたいと思います。

 まず、この前、ねんきん特別便が届いていない方で大分そういう方が発見できたので、それは、周りで話していて、ああ、私だけ届いてないわよ、どうしたのかしらと言ってくださって、番号が付されていなかったりとか全く違う住所に行っていたりとかがあるので、ぜひこれは広報体制をさらに進めていきたいというふうに思います。

 それから、先ほど最初の方の質問で、オレンジの定期便の中身、ちょっとこれは工夫をさせていただきます。委員御承知のように、最初は受給者から特別便を送ったものですから、定期便は加入者ですね、後ろに送ったのが加入者だったもので、まだ調査中の人がダブってというか、結果が出ないうちに来ているので、それは混乱があり得ると思います。

 だから、基本的には、答えが来ていない人はまだ調査中だということなんですが、委員がおっしゃったように、私はもう何月何日に出しましたよというような書く欄をつけるというのも一つの手なので、これは早速検討させていただきたいと思います。

高橋委員 しっかりとお願いしたいと思います。

 次に、きょうは日本年金機構について質問をしたいと思います。

 来年一月一日から立ち上がることになるんですけれども、資料の三に「日本年金機構設立時の正規職員の人員数」という資料をつけておきました。ここでは、まず左側を見ていただきたいと思うんですが、二十一年一月ごろ採用内定ということで、社保庁の正規職員が今一万三千百十人程度である。二十二年一月、機構の設立時には、社保庁からの採用数が九千八百八十人である。その差が三千二百三十人ですけれども、その三千二百三十人を外部委託、有期雇用化、そして外部からの採用ということで振りかえるということになると思います。

 まず、単純な確認ですが、現在、実際の社保庁の定員数は幾らで、そして、その定員に対してどのくらい不足していることになるでしょうか。

薄井政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険庁の平成二十年度末の定員でございますけれども、一万三千七百三十人でございます。

 今お手元に配られております資料でございますが、正規職員一万三千百十と書いてございますけれども、この下に米印で書いてございますように、厚生労働省に年金機構の管理部局等が移りますので、その分等が除かれている数字でございます。

 今申し上げました一万三千七百三十人に対しまして、二十年十二月末現在の職員数の数字がございますけれども、一万三千四百八十五人、こういうことでございます。

高橋委員 一万三千四百八十五人。私は不足数は幾らかというふうに聞いたんですけれども、これを単純に引きますと二百四十五人が不足する。ただし、それプラス病休の方がいらっしゃいますね。

薄井政府参考人 先ほど申し上げました職員数の中には、これは育児休業とか病気休職者も入っている数字でございます。

高橋委員 そうすると、もう一回聞きますが、では二百四十五人でよいという意味ですか。

薄井政府参考人 二百四十五人に加えまして、今申し上げましたような休職者等が欠員となっている、こういうことでございます。

高橋委員 今おっしゃったように病気休職の方がいる。これは、いただいた数字を私なりに足し算をしていきますと、単純に引いた頭数が二百四十五人、プラス長期病気休暇が三百七十五人になるかと思うんですね。そのほかに、二十二年のときは、外部採用というのは外出しになって九千八百八十人の中には入りませんので、プラス七百人で、実際は、社保庁の正規定員から見て千三百二十人足りていないということになるのかと思いますが、いかがでしょうか。

薄井政府参考人 年度末時点ではそのような、正確な計算をちょっとしなければいけませんけれども、おおむねそういう数字になろうかと思います。

 なお、いわゆる欠員分につきましては、任期つきの職員の採用というのをこの四月一日にも行っておりますので、そういうふうな欠員の補充は行ってきているところでございます。

高橋委員 次に、実際に採用される九千八百八十人に対し、採用内定名簿登載者数、つまり、そこから選考されることになるわけですよね。その名簿に載った数、それから名簿に載らなかった、懲戒処分の方などもいらっしゃると思うんですが、希望者数というのはさらにその外にあると思いますが、何人でしょうか。

薄井政府参考人 日本年金機構の職員採用につきましては、この二月の十六日に、社会保険庁長官から日本年金機構設立委員会の委員長に対しまして、職員の採用のいわば候補者の名簿というものを提出したところでございます。

 この名簿に登載した人数でございますけれども、これは、日本年金機構の職員の採用審査会におきます採用審査の内容にかかわる事項ということでございまして、設立委員会でも非公表の取り扱いとなっておりますので、審査が進められております現段階におきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

高橋委員 先行しました全国健保協会は、設立後、公表されておりますね。その差を教えてください。

薄井政府参考人 健保協会につきましては、大きな数字でまとめて申し上げますと、約四千人が応募をいたしまして、千八百人が採用内定というふうに承知をいたしております。

高橋委員 今の数字ですと、二千二百人がはみ出してしまったということかと思います。

 それで、今のこともこれあり、今のこの資料にある、二十一年一月ですと、要対応分二千九百三十人、この中のかなりの人たちが、希望をしたけれども、配置転換などの分限免職回避の努力、この枠に入るのであろう、また、処分者が八百四十八人おりますけれども、それもこの中に入るのであろうかと思っておるんですね。

 先ほど来伺ったように、定員から見て千三百人不足をしている中で、一方では千四百人の有期雇用などをするわけですから、もともと人手が不要になった、過剰である、そういう理由がないということはまず今の話から明確にうかがえると思うんです。

 そのことをまず指摘をした上で伺いますけれども、日本年金機構の採用基準には、社保庁職員からの採用に当たっては、懲戒処分を受けた者は採用しないと書いております。懲戒という処分を一度受けた者の分限処分、これは二重処分になりませんか。一律にこれを規制することが許されるでしょうか。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

薄井政府参考人 日本年金機構の基本計画におきましては、今御指摘のございましたように、懲戒処分を受けた者は機構の正規職員または有期雇用職員には採用されない、こういう取り扱いとされております。これは、機構が国民に信頼される組織としてスタートするために、新たに設立される機構には法令遵守等の面で問題のあった者を採用しないという機構の職員採用における取り扱いの話でございまして、二重処分には当たらないと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、機構に行かない職員につきましては、分限回避に向けましての努力というのは必要であろうと考えているところでございます。

高橋委員 日弁連は、昨年十二月十九日、「日本年金機構の職員採用に関する意見」を発表しました。過去一度でも懲戒処分を受けた職員は、処分の理由やその内容、程度のいかんにかかわらず一律不採用にするという絶対的基準を設けていることは、「かかる画一的基準によって社会保険庁職員の意に反してその雇用上の地位を一方的に喪失させることは、我が国の労働法制・国家公務員法上重大な疑義があり、法治主義の観点からも慎重に検討されるべき」と指摘をしています。

 きょうは、人事院に来ていただいておりますので、一般論でお聞きします。国家公務員法は、民間で言う整理解雇に当たる分限免職を七十八条四号で定めておりますが、実際にこの分限免職が行われたのは、一九六四年の三名以来、初めてのことであります。省庁再編、独法化、郵政民営化などもこの間やられた中で、こうした分限免職はなかったと思いますが、その理由は何でしょうか。また、本来、二重処分はあり得るのでしょうか。

尾西政府参考人 まず、一般論としてお答え申し上げますと、懲戒処分と分限処分の関係でございますけれども、懲戒処分といいますのは、公務員関係の秩序を維持するために、非違行為を行った職員に対して行われるものであるのに対しまして、分限処分の方は、職員の責任の有無にかかわりませず、公務能率維持の観点から行われるものでございまして、両者は、制度の趣旨、目的の異なるものでございます。したがいまして、懲戒処分を受けた者が分限処分を受けるということはあり得るところでございます。

 それから、もう一点の御質問の方でございますが、確かに、私どもが把握をしているところでは、昭和三十年代後半以降のデータで見ますと、分限処分があったのは、昭和三十九年に合計六人ございました。その後はありませんが、これは、その時々の組織改編の中でいろいろ雇用努力が行われてきたものだろうと思っていますけれども、今回も、昨年七月の閣議決定におきましても、配置転換その他分限回避の努力を行った上でということで書いてある、そういうことでございますので、そういう努力を行われた上で、ただ、それでも仕方ない場合には分限もあり得るというのが今の制度かと思います。

高橋委員 分限回避の努力を行った上でということは、先ほど来答弁があったんですね。だけれども、問題は、最初から、懲戒があった者は採用としないと一律に書いていることがおかしくはないかと言っているんです。

 先ほど伺ったように、年金機構は社会保険庁の承継法人であり、これまでの例とは基本的に変わらないはずなんですね。しかも、さっき指摘をした、先行実施した全国健保協会の採用基準は、懲戒処分を受けた者及び社会保険庁の改革に反する行為を行った者については、その内容などを踏まえ、勤務成績及び改悛の情を考慮して、厳正に判断するものとあり、個別に審査をしていたのではないでしょうか。

薄井政府参考人 全国健康保険協会の採用について、承知しているところで申し上げますと、昨年の十月の協会設立の段階での採用に当たりましては、今おっしゃられたような形で整理されていたと承知しております。それから、実は、船員保険の関係で今回も健保協会の追加募集が若干ございますけれども、そちらの方は、年金機構の今回の要件と同じような要件が定められているというふうに承知をいたしております。

高橋委員 全然答えになっていないんですよね。

 大臣にぜひ伺いたいと思います。年金機構になれば民間法人ですので、今後、労働法制の適用になると思います。客観的、合理的理由がなければ解雇は無効、今、派遣切りが盛んに行われている中で、厚労省が何度も何度も通知をしている内容であります。所管大臣として、今回の事例は解雇権の濫用になりませんか。

舛添国務大臣 結論から言えば、解雇権の濫用になりません。それは、新しい組織への採用基準を決めることになるわけです。これは昨年七月二十九日の閣議決定で職員採用についての基本的考え方を定めて、それはさんざん議論をしました。今のような法的側面も含めて議論しました。

 しかし、きょう一日議論があったように、ここまでずさんなことをし、国民の大事な年金について記録がずさんである、そして政府や国家に対する信頼を失わせた、そして、特に覚書に象徴されるように、とにかく国民をほったらかしてサボることに全身全霊を捧げるような、そういう連中を新しい機構の職員に採用することはできない。そういう観点から「懲戒処分を受けた者は機構の正規職員及び有期雇用職員には採用されない。」という重い閣議決定を行ったわけでありまして、労働法制上も何ら問題はないと考えております。

高橋委員 先ほど来お話をしているように、まず、民間法人になったら当然それは解雇権の濫用に当たるのではないか、そこをちゃんとわきまえて。それが、解散して新しい法人になったんだから、ほとんど継承して、退職金まで継承しているけれども、全然関係ないんだ、そんなことが許されるのであったら、国が法律を変えれば国家による首切りが可能になるということになるではありませんか。そういう立場に立って、ちゃんと冷静に考えるべきだと思うんです。

 さらに、基準の中には、採用内定後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には内定を取り消すとあります。設立委員会の長である奥田さんに向けて誓約書を書かせ、仮に採用内定後に国家公務員法に基づく、内定を取り消されても異存はありませんと約束させます。処分は承継され、身分は承継されない。絶対におかしいではありませんか。

 厚労省は、今、採用内定取り消しを厳しく規制して、「労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定取消しは無効とされる」と通知をしているではありませんか。

 大臣は、厚労省の服務違反調査委員会報告書、昨年の十一月四日、やみ専従について、「服務違反と不祥事の因果関係が証拠上必ずしも明白とはいいがたい」、「長年にわたる同種行為を公訴時効で区切り、時効完成前の者のみ刑事罰を問うのは公平性の観点から問題なしとしない。」こういう報告が出ているにもかかわらず、告発をし、二月二十七日、東京地裁は不起訴処分にしたではありませんか。

 こういう経緯がありながら、言ってみれば時流に乗って、とにかく一律だという考え方は改めるべきです。一言ありますか。

舛添国務大臣 虚偽の誓約を行った者は労働契約を解除することがあるということを閣議決定で決めることは、何ら問題がありません。国家に対するこれだけの信頼を失い、国民に対する裏切りを続けてきた連中を看過することはできない。そして、先般も司法の場できちんと、今のやみ専従について言うと、ちゃんとそれは提訴するだけの理由がある、それでやったわけで、最終的に不起訴処分というのは司法の判断ですから、それは私が責任を持ってやったことであり、閣議決定を行ったことで何ら問題はないと思っております。

高橋委員 不起訴処分であり、かつ、厚労省の報告書にも、大臣はそこからもはみ出ているということを指摘したわけです。誓約書に違反であるとかではなく、そのような誓約書を書かせること自体問題である、このことを指摘して、また次に譲りたいと思います。

 終わります。

田村委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、大臣初め委員長も長時間の御審議、大変お疲れさまです。私で最後ですので、よろしくお願い申し上げます。

 私は、本日、冒頭は、年金の制度設計のことについてお尋ねをいたします。

 先ほど、高橋委員のお取り上げになりました社会保険庁のさまざまな職員の問題、そしてそれ以上に、逆に、社会保険庁がきちんとその担当省庁として機能してこなかったことの根底にもかかわる問題とも連動いたしますが、私は、そうしたことを考えても、今、一方で行われております論議、いわゆる国民年金の納付率が大変に低迷、むしろ目標とは遠く、低下しておる、財政的にも大変である、だから消費税にして、国民の年金の未納問題を一挙に解決できるのではないかというふうな論法には、やはり大きな落とし穴があるように思います。ここで一番抜けているものは、この社会の基本的な構成要員である企業の振る舞いということについて、果たしてどのような社会的責任をとりながらこの社会を支えていくかということにおいて、私は、消費税に全部振り向ける論議ということに賛同をしかねるものであります。

 大臣は、これまでの予算委員会などの答弁で、こうした全額税負担方式については、経団連も提案でありますし、また、去年のたしか暮れでしょうか、自民、民主の七議員が同様の全額税負担を提案もしておられますが、それに関する御答弁に関しても、例えば理念や生活保護との関連、財源、移行措置などの問題点をこれまでも御指摘でございました。私は極めて的確な認識と思っておりますが、プラスもう一点、きょうは私は、大臣にぜひちょっと考えていただきたい企業負担ということで、図をお示しいたしました。

 お手元にございます一枚目のページには、基礎年金を税方式にした場合の家計への影響ということで三つのケースが表示されております。これは、実は前回の質疑の折に、たしか高橋委員もお示しでございましたが、企業は保険料を免れる分、果たして勤労者の負担はどうであるかという観点からの高橋委員の御指摘であったかと思います。

 ここではさらに、例えば一番下段にございますケースは、これは駒村教授の試算ですが、現在、約四兆円弱でございましょうか、企業が負担している基礎年金部分にかかわります保険料を全額負担せず、逆に消費税にして、六・数%上げた場合の勤労者家計への影響です。これは当然、消費税のみ上がって、保険料については、例えば今、保険料で五%下がるとすると、企業の負担二・五、勤労者の負担二・五ですから、二・五のマイナスと、上がる消費税のプラスマイナスを掛けると、いずれも負担は増加するというケースです。

 すなわち、企業負担がゼロになれば、基礎年金部分から企業負担が抜けていけば、どの階層にとっても、保険料がその分、二・五%下がっても、負担は増大するというケースです。

 真ん中のグラフは、では、企業負担の保険料の浮いた分を企業が賃金に転嫁させた場合はどうであろうかというのが真ん中の図であります。

 この場合は、実は消費税にして六・数%の値上がり、すなわち一一%とか一二%の消費税想定で換算でございますが、この場合は、年収五百万円あたりで分岐ができてまいります。すなわち五百万円以下の、低所得といいますか、今では中所得以上だと思いますが、そうした勤労世帯にとっては、もしも企業が保険料負担分を今度は全額給与に上乗せしたとしても、年収五百万円の世帯ではまだまだ。すなわち、今の保険料負担、逆にそれがなくなって、なおかつ消費税にかわった場合にもマイナスである、負担の方が大きい。五百万円以上の年収であれば、プラスマイナスすればその方が、企業がもし全部保険料を賃金に転嫁してくだされば少しはいいだろうという図であります。

 一番上のグラフは、現在の企業負担の全くない皆さんについては、消費税でやった方が当然ながら負担は軽減されるという図であります。

 一点伺いたいのですが、消費税をもって今の基礎年金部分というものを全額税方式に持っていった場合です、税方式にも消費税以外の税目がありますから。これは全額消費税の税方式にした場合にこのようなプロフィールが出るという試算でありますが、大臣は、この全額税方式、消費税方式についてお考えのとき、こうした実態についてはこれまで御認識がおありであったでしょうか。一点目、お願いします。

舛添国務大臣 それはこの図が示すとおりでありまして、私は、移行措置が問題だというようなことを申し上げてきているのは、実はこのことが念頭にあって、企業の負担は減りますから、それは企業はいいですけれども、ではそれを今おっしゃるように賃金にはね返らせてもらえるならばいいんですけれども、そうでなければ個人の負担がふえるということですから、こういうことをきちんと議論した上でないと、税か保険かという議論はできないと思っております。

阿部(知)委員 大臣のおっしゃるとおりで、プラス私が今申し上げたのは、もし企業負担分を賃金に転嫁したとしても、賃金の低い階層にはまだまだマイナスの方が多いという実態であります。

 これは慶応大学の駒村教授の試算でありまして、ある発表を経たものであるので信頼性も強いと思いますから、ぜひ検討項目の中にはこうしたことも勘案していただきたい。

 そして、理念で申しますと、これは企業の社会的責任にかかわる部分でありますが、大臣もよく御存じの北欧諸国では、もちろん、いわゆる大きな政府で福祉も充実という言い方をされますが、それ以上に私は、現状の日本と一番違う部分というのは、企業がこうした保険料負担について非常に前向きであるということであります。

 例えば、フィンランドで有名なノキアの経営陣にいたしましても、フィンランドで働く人々の教育的な資質を高めて、そしてよく言われる日本では企業が社会保険料負担が高いから外国に行ってしまうというような論に対しても、フィンランドでの労働者の教育、しっかりした社会保障、そのことが健全で能力ある産業の担い手をつくるんだという、これはもう理念の定まった方向だと私は思います。

 さて、大臣は、これから今後、我が国はもちろんグローバル化経済の中で多様に、今は大変なことはあるとは思いますが、しかしまたピンチはチャンスとよく言われます。そういうときにあって、このフィンランド等々でいわばコモンセンスとなっております、こうした優秀な人材を教育し、獲得し、そして社会を安定化させるために、企業の社会保険料負担は、それは過分であってはいけませんが、適切にきちんと行われるべきだというふうな考え方については、どのようにお考えでしょう。

舛添国務大臣 企業の社会的責任ということは、私はよく申します。例えば今、雇用調整助成金、百八十七万の方が二月に申請された。これは、だれが出しているか、経営者が二事業の拠出金として出しているのでやっている。それは、みんなで助け合って雇用を守っていこうということであるわけですから。この保険料の拠出、雇用保険二事業もそうです、失業保険は労働者と折半ですけれども。

 それからもう一つ、午前中の議論でも言ったと思いますが、これまでの日本企業はみずからセーフティーネットを張ってきた、フリンジベネフィットという形で張ってきました。今、社宅もなくなり、海の家もなくなり、さまざまな福利厚生施設がグローバル化の名のもとになくなっていった。せめて社会保険料ぐらいきちんと面倒を見るのが企業の社会的責任ではなかろうかと。雇用の問題について先般、政労使合意があったときに、雇用をきちんと守ってくださいよということを強硬に政府として申し上げたのは、そういう理念が後ろにあるからであります。

阿部(知)委員 私は、年金の空洞化の一番の本当の原因は、やはり非正規雇用の増大によって、企業負担が全くない方々が、いわば自分の収入に比して高い保険料を払わねばならないという状況に追い込まれていったところにあると思いますので、これはやはり社会を支えるお互いの役割というところで重要になってくると思いますので、大臣には、重ねてその点についてはよろしくお願いしたいと思います。

 そして、次に、何人かの方がお取り上げになりました静養ホーム「たまゆら」の問題に移りたいと思います。

 実は、基礎的な暮らしを保障する年金というものは、いずれの財源を取り入れるとしても絶対に不可欠なところですが、しかし、この「たまゆら」問題は、現状で日本の、例えば生活保護をお受けの御高齢者や低所得の御高齢者が、現実には人間が生きていくための福祉的基盤の最大のものである住居というものに本当の意味でアクセスできていないということを反映したと思います。

 一つお伺いしたいですが、この間調査をなさいましたよね。三月三十一日までの締め切りということで、とりあえず自治体に無届けあるいはさまざまな形で問題になっておりますような住居の方も含めてどのような実態であるかという、三月三十一日調査、タイトルは「社会福祉各法に法的位置づけのない施設・共同住宅に関する実態調査について」ということですが、これは前々回ですか、山井委員の御質疑ですが、報告はまとまりましたでしょうか。また、出ていないとすれば、いつごろを目途にしていらっしゃいますでしょうか。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 「たまゆら」の火災があって以降、厚生労働省の方で直ちに、一週間以内で全国の各県から無届けの有料老人ホームと思われるもの、とりあえず何カ所あるか箇所数だけは知らせてくれということで、三月二十七日現在で五百七十九施設というふうに報告を受けました。

 今後、これらの施設の実態把握を行わなければならないと思っていまして、県によっては追加調査を行ってもおりますし、それから介護のサービスが受けられているのかどうか、要するに入所者の方の処遇の状況がどうか、それから防火安全体制の点検等はどうなのか、こういったことについても今各県通じて調査をお願いしておりまして、今月末までに報告を求めて、改めて公表したいというふうに思っておるところでございます。

阿部(知)委員 では、資料の二ページ目をあけていただきたいですが、今、局長がお答えになったので、今月末ですか、報告はお待ちいたしますが、これは四月七日付の神奈川新聞の報道で、やはり実態把握はなかなか自治体にとっては進まないという記載であります。

 これは、入居者の皆さんも自分の入っていらっしゃる施設がそうした無届け状態でやっておるということがわかり、今度は施設整備にお金がかかってくる場合に、今あるお金、今ある額で入れるんだろうかどうだろうかという御不安もあるということも背景にこれあるということで、本当に今お進めの調査が実態ということにどこまで迫れるかというのは、これはもうやっていらしておわかりと思いますけれども、なかなか制約があることとは思います。

 そして、そうした調査はお調べいただく一方で、私はもう一つ、この間、御高齢期が、特に御高齢者の貧困問題が我が国でも大きく問題になっているさなかに、高齢化と貧困化、その両方に対処すべく、我が国の住宅政策はどう進められてきたか。

 低所得あるいは生活保護等々の御高齢者の受け皿といたしましては、こうした無届けで、火災で亡くなるというようなことはとんでもないわけですが、しかし一方で、全体を見た整備も、またこれ手がおくれているのではないかと思うわけですが、担当部局にあっては、こうした低所得あるいは生活保護の御高齢者の居住という受け皿については、どのようなお考えがおありでしょう。

宮島政府参考人 こういう低所得者の方の受け入れ先といたしましては、老人福祉法に基づきます養護老人ホームあるいは軽費老人ホームというものがございます。それぞれ、養護老人ホームは措置による入所ということで、軽費老人ホームは契約による入所ということでございます。

 現在、この両施設については、三位一体改革等によって、十八年に都道府県に整備費が移るとか、措置費は市町村に移るというようなことで、県あるいは市町村の老人福祉計画で整備がなされている、そういうような状況になっているところでございます。

阿部(知)委員 今お答えいただきましたように、三ページめくっていただきますと、資料三、養護老人ホームの整備状況というものを見ていただきますと、一応、世の中全体高齢化しておりますし、特に生活保護受給の御高齢者もふえておりますから、受け皿としては少しずつなりともふえていってくれないと、先ほどのさまざまな条件の悪いところに行かざるを得ない方もふえるわけですが、見ていただけばおわかりのように、平成十八、十九と、実は施設数も減ってきており、定員数も減ってきておる。

 これは、御高齢者が減るのであれば、あるいはどんどん豊かになっているのであればまだしも、今お答えにございましたように、養護老人ホームや軽費老人ホームが一方の受け皿であるのですが、しかし、現状は、十八年度から約五百六十七億円の養護老人ホームにかかわる補助が三位一体改革で地方にゆだねられ、地方のお金の苦しさの中でそうしたこともあるでしょうが、現実には減ってきておるという実態がございます。

 さらにあけてめくっていただきますと、これは生活保護受給者の皆さんの中で、いわゆる介護状態、要介護になって介護扶助をお受けの方は果たしてどのくらいおありだろうかと見ていただきますと、これはどんどんふえていく一方であります。平成十二年から十九年までをたどりましても、六万六千八百三十二人であったものが、平成十九年度は十八万四千二百五十八と三倍増しているわけであります。これは生活保護受給の御高齢者ですが、果たしてこの方たちがどこで暮らし、どこで介護を受け、どこで本当の意味で安全と安心を得るかという問題に、私は養護老人ホームを初め施設整備が追いついていないのではないかと思うわけです。

 見ていただくと、今、介護保険をお使いで御高齢で生活保護をお受けの方が入れるのは、指定介護老人福祉施設と書いてありますが、これが特養です。介護老人保健施設というのが老健です。次の介護療養型医療施設というのがいわゆる療養型病床群ですが、これはおのおの合わせても、一万六千、一万三千、六千二百ですから、せいぜいが四万といかない。

 そうすると、全体十八万何千人おられる介護を必要とされ、介護扶助を受けている方のうち、こうした既にある施設にお入りの方はそれだけの数で、残る方は、養護老人ホームか、軽費か、ケアハウスか、はたまた「たまゆら」か、こうなってきますが、実は「たまゆら」は施設としての許可を受けておりませんので、介護保険は使えないという施設にもなるわけであります。

 私は、こうした実態を見ますと、やはり高齢化やあるいは貧困化に国の高齢者福祉政策の特に住宅政策全体が追いついていっていないのではないかというふうな懸念を強くいたします。

 老健局長に伺いますが、こうした養護老人ホームについて、その機能をもう一度きちんと見直し、前向きに評価し、逆に高齢化や貧困化の中で前向きな位置づけをさらに与えていくということについては、果たしてお考えになったことがおありでしょうか。

宮島政府参考人 今、大変難しい質問をいただきましたが、養護老人ホームについては、十八年までは身体上もしくは精神上の理由というのが入居理由にありましたが、その後、十八年の改正で環境上及び経済的理由というようなことで改められて、介護については、介護保険の方で特定施設あるいは外からのサービスによるというような位置づけになりました。そういうようなこともあったからですが、確かに御指摘のとおり、養護老人ホームの整備は、平成十三年から十九年までほぼ横ばいということになっております。

 それで、今回の「たまゆら」の事件の中で、「たまゆら」に入所されていた方を見ると、低所得である、あるいは生活保護であるという方の類型、それからもう一つは、介護が必要である方、それから介護が必要でない方というような類型があって、こういう方たちがああいう形で行きどこなく来たということでございますから、そういう人たちをどう受けとめていくかということになりますと、やはり厚労省の中にある施策としては養護老人ホームあるいは軽費老人ホームというのが選択肢だろう。

 ただ、私どもの軽費とか養護だけで本当に受けとめ切れるのかどうか。都市部の高齢化がこれからどんどん進んでいくときに、住宅というか住宅政策というか、国土交通省などとも話を進めながら、もう少し広い視野からの取り組みも必要なのではないかというように考えているところでございます。

阿部(知)委員 もちろん、全部を受けとめ切れるだけの、今高齢化の急速な進展、そしてもう一つ、貧困化かですよね。生活保護受給の皆さんの半数以上が高齢者世帯であるということは、これは極めて深刻なことでありますし、今局長がお答えのように全部がここで受け入れられるかどうかはもちろんわかりません。しかし、多様なものを用意していかないと本当に行き場がない御高齢者がたくさんできると私は思います。

 私は、大臣はこういう養護老人ホームというのはごらんになったことがあるかどうかわかりませんが、私もこれまで二カ所ほど行かせていただきました。そのうちの一カ所で、お手元の次の資料ですが、「施設の方針・概要」と書いてございまして、ここは私が行っても本当によくやっておられると思いますが、もちろんそれまでの措置という制度と、介護保険ができてサービス利用という概念ができた中で、養護老人ホームの中でも介護が必要となる方は、むしろ介護保険を御利用いただくために特定施設という形にお名前を変えて振り分けているわけです。

 定員百人のうち、養護老人ホームが七十八人、特定施設が二十二人。しかし、この内訳を見ていただきますと、平均年齢は八十一・八で最御高齢は百二歳と、本当に御高齢者たちのよりどころというか安心の拠点になっておるようなところです。その次の要介護度別利用者数を見ていただきますと、実は自立というふうに評価される方は四十四名しかおられず、半分ですね。それ以下、要支援、要介護等々を合わせますと、五十六名が要支援、要介護で、そのうち介護の認定の特に高い方が別枠で特定施設というふうに、同じ構内で名を変えて介護保険を御利用なのであります。実に、もちろん従来の経済的な問題、環境上の問題で養護老人ホームにお入りになる、同時にその方たちがやはり介護も必要となるという像をあわせ持っております。

 その次のページもごらんいただきたいですが、私はここで厚生労働省に実態の把握をしていただきたいと思うのですね。そうした養護老人ホームにお入りの方の実像をよくごらんになって、どういうふうに改正していけば、それ全部は賄えないかもしれないけれども、間口を広げられというか、もっと規模も、そして数もふやせるかということ。

 これは実は平成十八年の改正前のデータですが、お示ししたように、日常生活動作の状況が問題、精神の状況が問題、家庭の状況が問題、住宅が問題と四パターンあります。家庭の状況というのは虐待等々であります。精神的には、精神疾患の方もおありだろう。こういう方も従来はおられたわけですが、だんだん狭められ、そして一方で介護も重症度を増す。本当に私は日本の高齢社会の縮図を見るようで、そしてしかし、日本はそういうことを支えてきた歴史があるわけです。

 最後の質問になりますが、大臣にはぜひお願いがありますが、実は厚生労働省で、養護老人ホーム及び軽費老人ホームの将来像研究会というのが開かれ、報告書が出たのが平成十六年の十月の二十八日。もう五年近くもさかのぼるわけです。その後、何回か制度改正もあり、高齢化がまずさらに進み、貧困化がさらに進み、多様な問題を抱えた高齢者がいて「たまゆら」のような事案が起きる。もう一度これを見直すというか、視点を、フォーカスを当てて、よりよい利用方法や充実に向けて大臣がそうした采配をとっていただくことができまいかというお願いでありますが、御答弁をよろしくお願いします。

舛添国務大臣 「たまゆら」の大変悲しい事件について善後策をどうとるかということで、一つは、やはり老人施設、これは養護老人ホームや軽費老人ホームを含めてですけれども、全体の底上げを図らぬといかぬなということでありますから、交付税措置をできればと思っておりますし、今度の新しい経済対策にも何らかのことが入らないかと今努力をしているところであります。

 そして、措置制度の中で特定施設として介護保険を使うというのも、これは便宜上やっているわけですから、ついの住みかとなって生活、住居、そして健康、介護、こういうことができるようなトータルなプランをやはり見直すべきだと思いますので、また委員のアドバイスも入れながら、少し検討させていただきたいと思います。

阿部(知)委員 日本では、住宅施策は福祉的な視点よりも、国土交通省が管轄するということにあらわれておりますように、とにかく量をふやして、人口急増期に合わせて量の拡大ということが第一であって、今のように高齢化が進み、貧困化が進み、そして、実はそこがないと、この前のあの派遣村の問題でも大臣はよくおわかりであろうかと思いますが、勤労者においてもこの住宅という問題が福祉的な範疇に極めて深くリンクしているんだという実態があると思います。

 私は、大臣が自由民主党なのでもしかして御存じかなと思いますが、これを勉強するに当たって調べましたところ、一九六〇年代に自民党の中で、紅露と書いてコウロとお読みするんでしょうか、そういう名前で老人福祉政策の全体を見直された案がおありなんだそうです。私も余り昔で中まで調べられませんでしたが、その根幹には、福祉政策の根底に住宅を置くということが書かれているそうであります。私も、今こそそういう時期であると思いますので、この点についてもよろしく御検討のほどをお願い申し上げて、質問を終わります。

田村委員長 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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