衆議院

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第2号 平成21年11月18日(水曜日)

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平成二十一年十一月十八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    菊田真紀子君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    中林美恵子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      福田衣里子君    藤田 一枝君

      細川 律夫君    三宅 雪子君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      室井 秀子君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    山井 和則君

      あべ 俊子君    小里 泰弘君

      菅原 一秀君    武部  勤君

      棚橋 泰文君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      江田 憲司君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     石井 信芳君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     中林美恵子君

  田村 憲久君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  中林美恵子君     菊田真紀子君

  小里 泰弘君     田村 憲久君

    ―――――――――――――

十一月十七日

 新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法案(内閣提出第七号)

同月十八日

 肝炎対策基本法案(川崎二郎君外八名提出、衆法第二号)

同日

 後期高齢者医療制度廃止や母子加算復活などを求めることに関する請願(黄川田徹君紹介)(第一八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二二号)

 同(本多平直君紹介)(第二五四号)

 同(松崎哲久君紹介)(第二五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇一号)

 後期高齢者医療制度を廃止することに関する請願(松崎哲久君紹介)(第一八三号)

 同(中野譲君紹介)(第二二三号)

 同(川内博史君紹介)(第三〇二号)

 同(武正公一君紹介)(第三〇三号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(大山昌宏君紹介)(第一八四号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一八五号)

 同(石田芳弘君紹介)(第二五六号)

 同(辻惠君紹介)(第二五七号)

 同(吉田統彦君紹介)(第二五八号)

 同(大西健介君紹介)(第三〇四号)

 同(伴野豊君紹介)(第三〇五号)

 同(牧義夫君紹介)(第三〇六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三〇七号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(玉木雄一郎君紹介)(第一八六号)

 同(辻惠君紹介)(第一八七号)

 同(松崎哲久君紹介)(第一八八号)

 同(山崎摩耶君紹介)(第一八九号)

 同(柚木道義君紹介)(第一九〇号)

 同(中後淳君紹介)(第二二四号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二五九号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二六〇号)

 同(大西健介君紹介)(第三〇八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇九号)

 同(津島恭一君紹介)(第三一〇号)

 同(福田衣里子君紹介)(第三一一号)

 同(室井秀子君紹介)(第三一二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三一号)

 同(中島政希君紹介)(第三三二号)

 同(中根康浩君紹介)(第三三三号)

 医療・介護・年金など社会保障の拡充を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二〇五号)

 現行保育制度に基づく保育施策の拡充を求めることに関する請願(生方幸夫君紹介)(第二〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇七号)

 同(橘秀徳君紹介)(第二〇八号)

 同(樋口俊一君紹介)(第二〇九号)

 同(柚木道義君紹介)(第二一〇号)

 同(柴橋正直君紹介)(第二六一号)

 同(松木けんこう君紹介)(第二六二号)

 同(松崎哲久君紹介)(第二六三号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第二六四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第三一三号)

 同(武正公一君紹介)(第三一四号)

 同(橋本清仁君紹介)(第三一五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三一六号)

 同(今井雅人君紹介)(第三三五号)

 同(斎藤やすのり君紹介)(第三三六号)

 同(重野安正君紹介)(第三三七号)

 同(瑞慶覧長敏君紹介)(第三三八号)

 同(高木義明君紹介)(第三三九号)

 同(土肥隆一君紹介)(第三四〇号)

 同(中島政希君紹介)(第三四一号)

 同(松本龍君紹介)(第三四二号)

 同(山口壯君紹介)(第三四三号)

 七十五歳以上の高齢者と子どもの医療費を無料にすることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二一一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四四号)

 労働者派遣法の早期抜本改正を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二一二号)

 人間らしい働き方と暮らしの実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二一六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二一号)

 後期高齢者医療制度を中止し、廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三四号)

 細菌性髄膜炎関連ワクチンの定期接種化を求めることに関する請願(加藤紘一君紹介)(第二二六号)

 雇用促進住宅の存続を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二四九号)

 レセプトオンライン請求義務化の撤回に関する請願(宮本岳志君紹介)(第二五〇号)

 医療崩壊を食いとめ、患者負担の軽減により安心して医療が受けられることに関する請願(石田芳弘君紹介)(第二五一号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二五二号)

 同(吉田統彦君紹介)(第二五三号)

 同(大西健介君紹介)(第二九九号)

 同(伴野豊君紹介)(第三〇〇号)

 育児・介護休業法等の改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二八六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八七号)

 国の責任で国民健康保険を改善することに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二八八号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二八九号)

 最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二九〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二九一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二九四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二九七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二九八号)

 後期高齢者医療制度の廃止など国民の暮らしを守ることに関する請願(古賀一成君紹介)(第三二八号)

 保育所の増設等子どもの貧困克服を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三二九号)

 じん肺とアスベスト被害の根絶を求めることに関する請願(重野安正君紹介)(第三三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法案(内閣提出第七号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として消防庁審議官石井信芳君、厚生労働省職業安定局長森山寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根委員 おはようございます。民主党の中根康浩でございます。

 持ち時間十分ということでございますが、有能な我が党の初当選議員の皆さんの思いも込めて精いっぱい厚生労働行政について質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 鳩山内閣の使命は、まさに格差解消、貧困対策、弱者対策、生活第一という我々のお訴えを実現するには、まさにこの厚生労働委員会が主戦場になるものと思っております。この観点から、四点についてお尋ねをいたします。

 これは、長妻大臣の大変な御功績でもあると思われます。もし政権がかわらなければ恐らく永久に出てこなかったかもしれない我が国の相対的貧困率が十月の二十日に発表されました。二〇〇七年で一五・七%、子供のいる世帯では一二・二%、一人親世帯では五四・三%。国際比較でも極めて高い数字、深刻な状況だと言えると思います。発表したからには削減の努力が求められると思いますが、具体的な削減目標を具体的な数字でお示しいただければありがたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

 二点目。生活保護世帯の母子加算、これも長妻大臣の御英断で復活をいたしました。来年の四月以降、来年度からはどうなるか。ぜひ継続をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。あわせて、子ども手当が民主党の主張どおり実施された場合にどうなるか、この点についてもお答えをいただきたいと思います。

 三点目。障害者自立支援法について。

 障害が重ければ重いほど負担が重くなる、立法過程で当事者の声が反映されなかった、財政抑制が先行し利用抑制ばかりが際立っていた、さまざまな悪評がつきまとうこの法律であるわけであります。大臣はこれまでもさまざまな場面で廃止を表明しておられますが、改めて、この厚生労働委員会におきましてもしっかりと廃止に向けての御発言をいただきたいものと思っております。

 あわせて、民主党のマニフェストにも盛り込ませていただいておりますが、当事者の声が十分反映された制度づくりのため、障がい者制度改革推進本部、これについては我が党の園田議員が極めて力を入れて取り組んでいるところでありますけれども、この本部を内閣に設置するということについての閣議決定、これについては、予算委員会でも議論が展開されておったとは思いますけれども、改めてこの厚生労働委員会の場におきましても、一日も早く閣議決定をしていただき、当事者の方々に光をもたらしていただけますようにお願いを申し上げたいと思います。この点についてお伺いをいたします。

 四点目。ことしは派遣村の再現を許さないという決意で取り組んでいただいておると思いますが、その意味でも、十月に緊急の雇用対策をお決めいただきました。あわせて、自殺対策、派遣労働のあり方の見直し、生活保護のあり方の見直しも国民目線で御検討をいただいているものと思っております。

 その中で一つ、今極めて問題視されているのが、貧困を食い物にしている、あるいは生活保護費をピンはねしているのではないかと厳しい目で見られているのが、社会福祉法第二条の三項八で定められているいわゆる無料低額宿泊所。これについては、全国で約一万四千人が利用し、九割の方が生活保護受給世帯である、劣悪な居住環境、あるいは行き過ぎた金銭管理、近隣の相場を無視して住宅扶助の額に高どまりをしている利用料、あるいは暴行、暴言、虐待、利用料の使途、内訳が不明朗である、多額の利益を上げ過ぎている、情報が不開示、さまざまな問題点が指摘をされております。

 今や、この無料低額宿泊所については、届け出制ではチェックし切れない、法規制が必要なのではないか、あるいは悪徳なものについては御退場いただく、やめていただく、そういったことも含めて厳しい姿勢で臨まなければならない局面に差しかかっているのではないかと思われますけれども、この無料低額宿泊所のあり方について厚生労働省の御見解を伺いたいと思います。

 まずはここまで質問させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

藤村委員長 残り五分以内になりました。

長妻国務大臣 中根議員におかれましては、厚生労働行政にこれまでも貴重な御意見、アドバイスをいただきまして、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

 今、多数のお尋ねがございまして、端的にお答えいたしますと、まずは貧困率、全体でいうと一五・七%、初めて公表させていただきました。この貧困率の原因なども詳細に分析をして、我々としては、これを減らすということを一つの柱として政策を遂行していこうと考えております。

 ただ、具体的な数値目標をどうするかにつきましては、これは今後議論を重ねる必要があると思いますが、結果としては、我々が今政策として考えております子ども手当、来年度からでございますが、等々の、消費者の皆さん、生活者の方に直接届く政策が結果的に貧困率を改善するものであるというふうに認識をしております。

 母子加算につきましては、ことし十二月から復活をさせていただこうということで、予備費を使わせていただくということとなりました。我々としても、概算要求でも、もちろん来年度もそれを継続するということで要求させていただいておりますので、私としては、その要求が実現するよう全力で努力をしていくということでございます。

 障害者自立支援法につきましては、私どもは廃止をしようと。自立支援という名のもと障害者の方に御負担を、特に重度の障害者の方ほど御負担が高くなるという、障害者の皆様方のある意味では尊厳をも傷つけるような考え方ではなかったのかという反省に立って廃止をする。そして、その後の新しい制度は、応能負担を基本とし、制度の谷間がない、つまり難病の方々も含めた新しい考え方に基づく制度が必要であるというふうに考えております。

 ただ、その制度移行の前にも、来年度の概算要求で、自己負担の軽減をまず実行していこうということで、その措置の予算要求もさせていただいているところであります。

 そして、派遣村につきましては、私どもとしては、緊急雇用対策本部もつくりまして、まずは十一月の三十日、今月三十日に、全国の御協力いただく自治体の方々が、ある地区のハローワークにおきましてワンストップサービス、そこでは職も御相談に乗るし、生活保護あるいは住宅手当あるいはつなぎ融資などなども、市役所の職員の方あるいは社会福祉協議会の方々が御協力いただいて、一カ所に集まっていただいて、一カ所である程度御相談に乗れるという体制もつくっていきたいというふうに考えております。

 そして、いわゆる貧困ビジネスという言葉があって、これは余りよくない言葉だと思います。先ほど御質問にございました無料宿泊施設などなどもそういう問題もはらむケースもあるというふうに聞いておりますので、山井政務官中心にプロジェクトチームをつくって、それについては今対応し、ヒアリングを続けているところでありまして、必要があれば山井政務官が御答弁を申し上げるということでございます。

藤村委員長 山井政務官、時間が来ておりますので。

山井大臣政務官 はい。端的に一点だけ補足をさせていただきます。

 この無料低額宿泊所、これは貧困ビジネスの中でも悪質なものが非常に多いと言われておりまして、こういうことによる生活保護費のピンはねというものがどんどん放置されると、生活保護行政に対する国民の信頼もなくなってまいりますので、このたび、私を主査とするプロジェクトチームを厚生労働省内に設置しまして、先ほどおっしゃった、届け出制ではなく許可制へという法改正の是非も含めて検討をしてまいります。

長妻国務大臣 一点お尋ねから抜けたものがございました。申しわけございません。

 御指摘をいただいた障がい者制度改革推進本部、これを内閣府に設置しよう、こういうことについて今準備を進めておりまして、これは障害者の福祉、雇用を所管する厚生労働省としても積極的に協力をするということでございますので、また御指導いただきたい。これは、国連障害者権利条約の批准に必要な国内法の整備を行うこと等も検討するというところでございますし、障害者施策を総合的かつ集中的に改革する、こういうような役割を担う本部でございますので、今後とも御指導いただきますようお願い申し上げます。

藤村委員長 中根君、時間が来ておりますので、短く。

中根委員 無料低額宿泊所につきましては、行政も都合がいい、利用者も当面都合がいい、経営者ももうかる、変なウイン・ウイン・ウインのような関係になっておりますが、これは明らかに厚生労働行政の怠慢を指摘されているということでもありますので、ぜひとも厳しく対応していただきたいと思いますし、あわせて、きょう質問したそれぞれの事項につきまして、長妻チームの誠実なお取り組み、そしてしっかりと結果を出していただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、いただきました二十分で三問御質問をいたしますので、大臣にはなるべく短目に御答弁をお願い申し上げます。

 一点目は、保育の問題であります。

 昨年十月の地方分権推進委員会の第三次勧告を受けまして、これは、主には保育の現状、非常に待機児童が多い中、保育にかかわりまして、地方分権の観点からより自治体の権能を強めていこうという趣旨でございますが、それに対して、十一月の四日、厚生労働大臣名で御発表されたのは、特に東京都など待機児童が多いところについては、待機児童解消までの一時的措置として、居住面積基準をある意味では標準として、スタンダードを決めるがあるときはそれを下回ることがあるかもしれないということを認める方向の御発言であったと思います。

 簡単に御説明のために皆さんのお手元に資料を配付してございますが、一枚目、ここには、認可の方が無認可より条件がいいと言われます、その認可保育園の面積基準のイメージ図でございます。ゼロから一歳児であれば六畳間に三人。しかし、ここにはベッドもあり、さまざまなものがあって、その空間で子供が暮らし、プラス保育士がおられる。二から五歳児になりますと六畳間に五人。そこにいろいろな荷物を入れる道具箱、そして保育士がおられるということで、現行の認可保育園の面積ですら、子供の健全なる発育という観点からいえば非常に問題が多いものと考えます。

 そして、そうした認識は、めくって二枚目にございます児童福祉施設最低基準ということの取り決めの中に、これは自治体が専ら設置するといたしましても、下線が引いてありますが、「最低基準を超えて、その設備及び運営を向上させるように勧告することができる。」と。国ができることは、最低基準を下回らないことではなくて、それを超えてよりよくしていくと。これは、ひとえに子供の健全なる発育にかかわる子供の権利保障の観点からであると思います。

 さて、長妻大臣が、一時的にではあれ、待機児童の解消のためにこの面積基準の低下を、起こり得ることも含めてお認めになっているやの御発言でありますが、そもそも大臣にあっては、現状この面積が非常に少なくて、子供たちにとっては、狭いところにいっぱい詰め込まれると本当にいさかいが多いし落ちつかない子になるし、さまざまな発育の問題によい影響はないという御認識はおありでしょうか。

長妻国務大臣 今の御質問でございますけれども、私どもとしましても、最終的には保育の質を上げる、そこで入所されておられるお子様方にも広いお部屋で保育をするということはもちろん目指しております。

 ただ、今回の件につきましては、地方分権の観点から、三次勧告ということで、いわゆる義務づけ、枠づけということでお話がございまして、我々すべてを地方にお任せしたわけではございませんで、例えば保育士さん一人に対して園児は何人までだ、こういう人員についてはこれはもう国がきちっと決めます、こういうことを申し上げておりまして、面積基準について、一定の時限的な措置、つまり、一定期間、待機児童が解消のめどが立つまでの間、しかも、東京等の地価が高いなどなどそういう面積がとりにくいところを、全く手放しではなくて、地方自治体の条例で責任を持ってお決めをいただきたい、こういう地方に責任を負っていただくということですので、我々の趣旨も十分お伝えした上でそういうお話を申し上げたところです。

阿部委員 たとえ趣旨をお伝えになっても、先ほど広いとおっしゃいましたが、そんなに広い空間を求めているものでなく、最低限の、本当に子供と子供がぶつかり合わない、そこでさまざまないら立ちが起こらないための空間の確保でございます。

 では、一時的にとおっしゃいましたし、待機児童解消までの間というお考えでありましょうが、そもそも前政権がおつくりになった待機児童の基準というもの、これは、今までは認可外保育園にお入りの方とか、あるいは企業の保育所にお入りの方も待機児童としてカウントされておりましたものを、簡単に詰めて言いますが、どこかにとりあえず入っていれば待機児童にはカウントしないという方法で、表面、待機児童数はいっときは減ったやに見えました。そういう基準の変更をしてもなお、現状で保育を求める親御さんの数は多うございますから、待機児童はふえてございますが、今政権にあっては、待機児童の定義ですね、簡単に定義を変えて現実を変えることは、できるけれどもやってはいけないと私は思うんですね。

 実態をきちんと把握しなきゃいけませんが、待機児童というのはどういうふうな定義でお考えか、どういうふうにみなすのか、そして、ここには、御答弁には一時的措置とありますが、それでは待機児童をなくすために具体的に何が必要とお思いか。本当に申しわけないんですが、短くお答えください。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 待機児童の定義の問題でございますけれども、今、無認可保育所に入っておられる方で認可保育所に行きたい方、これはもちろん待機児童としてカウントをしているところでございますが、例えば、都道府県によっては、認証保育所、つまり都道府県が認定をする保育所、そこに入っておられる方は待機児童としてはカウントしないということになっております。これにつきましては、自治体においても独自の施設整備や配置基準を設定している、あるいは自治体が運営費等を補助することで利用者負担の軽減等を図っているなど、自治体の関与のもとで認可保育所にかわる適切な保護が行われている、そういう考えのもとそういうカウントをしているところでございますが、そういう認証保育所も含めた人数というのは、これはきちっと我々もお示しをしていくということでございます。

 そして、何が必要かということでありますけれども、これはもちろん質の高い保育施設をふやすということで、私どもといたしましても、概算要求におきましても、前政権以上のスピードでそれをふやしていきたいということで、今そういう政策を立案、そして実行をしようと考えているところであります。

阿部委員 大臣の待機児童の実態の御理解というのがちょっと私は違うと思いますが、申しわけないがここは時間がないので、もう少し、今後、非常にこれは重要な問題になっておりますし、例えば無認可に入っておられると、それは一時的にもどこかに措置というか預かられているという形で待機に数えていかれないということ、あるいは直接契約等々で待機という形に入らないという現状もございまして、今、保育をめぐっては多様な実態がございます。ぜひ新政権にあっては、どういう方が待機児童としてカウントされて上ってくるのか、ここが現実で大変重要ですので、大臣のさらなるお取り組みを申し上げたい。

 あと一言付言すれば、子ども手当につきまして、御党では二・六万円、我が党は一万円ですが、とりあえず子供のための手当ということには賛成いたしますが、結局、子供に対する支援は、現金給付、現物給付すなわち保育あるいは医療、そして働き方、この三つがパッケージでないとうまくいきません。現下の財政を見ますと、大体一般会計支出における保育にかかわります支出は〇・四%と非常に低くなっております。ここでもし子ども手当が、フル、満額で五・四兆円とかになってまいりますと大変バランスを欠いてまいりますので、これもまた来期の御審議の中で私から御質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 二点目でございます。三党の政策合意に基づいて新たな政権が発足して、社民党も今、政権運営の一翼を担わせていただいておりますが、その三党合意の中でも重要な部分に、労働者派遣法の改正問題がございます。この労働者派遣法の改正問題は、大臣が御所信の中で、労働政策審議会の審議の結果を受けてという御発言が、一文がございましたが、さて、ではこの労政審のメンバーが本当に公平で公正な人選になっておるかということについての懸念がございますので、御質問をいたします。

 去る十月七日に開かれました労政審の職業安定分科会で、公益委員になっておられます征矢さんが御発言された中に、登録型派遣について、本当に登録型が公共の福祉に反するのか踏まえて議論すべきで、原則禁止とする場合は、主婦、高齢者など利用している人たちがいるのに利用できなくなる、本当に公共の福祉に反しているのか危惧されるという御発言がございます。

 実は、この征矢さんは、一九九八年のあの労働法改正の時点で厚生労働省の事務次官となっておられまして、この派遣法の改正をいわばリードされた方であります。本当にこの方が公益委員というお立場にふさわしいのかどうかでございます。

 時間がないので引き続いて御説明いたしますが、いわゆる職業安定分科会は〇一年から開催されまして、公益委員が七人おられますが、そのうち必ずお一人はいわゆる労働省出身の指定ポストのようになっておる実態がございます。

 皆さんのお手元に資料を配らせていただきましたが、資料の三枚目には、この征矢さんを初め、白井さんから続く四代の方々は、他の公益委員が皆さん三年、四年であるにもかかわらず、この厚生労働省OBの皆さん方は二年間でくるくる交代していかれる。

 次のページをおめくりいただきたいですが、ここには、いわゆる厚生労働省からここの公益委員となられた方、何と二〇〇一年から九年までで三十七人おられます。

 私は、労働政策審議会というところは、かように例えば厚労省で労働政策を担った方が行かれて公益委員として発言する、それも派遣法の改正を見直そうとするときにこういう人選が引き続くということは公平性を少なくとも欠くと思いますが、そしてまた代々二年置きに厚生労働省から指定ポストのようになっているということについても、長妻大臣の御所見を伺います。

長妻国務大臣 私自身も、一般論で言っても、その審議会の委員の方々にOBの方が自動的につかれるというのはいかがなものかというふうにも思っております。

 この労働政策審議会、労政審と言っておりますけれども、これはILOも含めて、いろいろな労働政策、法案も含めて、それを提出、提言するときには、公益の方々、そして労働者側の方々、使用者側の方々、そういう方がきちっと議論した上で結論を出しなさい、こういう国際ルールもございます。

 こういう審議会での審議ということでございますけれども、今、具体的に名前が挙がった方等につきましては、ことしの四月に任命があり、二年の任期ということもございまして、もちろんこの方一人で全部決めるわけではございませんで、多くの委員の方のディスカッションの中で議論が進んでいくというふうに承知をしておりまして、これまでの例で言うと、大臣などが任期の途中で強制的にかえるという例はなかなかないのではないかということもありますし、そういう趣旨で国際ルール上設置されたものでもあると聞いておりますので、この二年の任期を終わった後に、今後、任期がかわる状態の中で、今申し上げたような私の懸念を払拭できるような人事を行っていきたいというふうに考えております。

阿部委員 確かに、途中で云々はルール上問題がございましょう。ただ、大臣に知っておいていただきたいのは、代々三十七人にわたって、ある意味で指定ポストになっておるわけです。これはいかに何でも公平性を欠くだろうという御認識が大臣にないと、そこでの答申を受けてやりますと言っても公平性を欠くことになると思います。

 最後の質問でございます。

 現下、経済情勢が厳しく、さまざまな分野で政府も緊急雇用対策等を打っておられますが、特に公共事業分野あるいは建設事業分野におきましては、経済情勢が厳しい上に、元請、下請、孫請と、どんどんどんどん孫請化されていく中で、いわゆる職場の安全ということに非常に配慮を欠くような事態も懸念されてまいります。

 お手元の資料の終わり二枚を見ていただきたいですが、ここには建設現場のポンチ絵というか写真と絵がございます。二メートル以上の高所で作業をしておられる方の場合は転落事故ということが大変多く起こりまして、この絵の真ん中にございます横一本、胸の高さに置かれた棒、上の手すりと申しますが、この手すりがあるやなしかで転落事故の頻度が大変多く違ってまいります。

 最後のページを見ていただきますと、上のグラフ、いわゆる建設業における死亡災害発生状況の中で、足場からの転落というものが五年間で二百十七人。下を見ていただきますと、手すりや筋交いからの転落もこれありますが、手すりもなし、安全ベルトもしていなくて、とにかく人間が落ちてしまうという事故が大変多発しております。

 この件に関しまして、厚生労働省では本年六月一日に安全基準を見直しまして、二つの取り決めをいたしました。安全規則の改正と、そしてそれに基づく通達をお出しになったわけであります。

 しかし、この通達が本当に守られているのかどうかが問題であります。落ちれば、転落は死亡事故に直結いたします。今、労働安全衛生規則の方は罰則を伴いますので比較的よく守られていますが、安全衛生部長通達というのは必ずしも、業界の皆さんのお調べだと五%くらいしか守られていない。手すり一本が人の命を守るかどうかという極めて大きな問題で、この通達を義務化すべきではないか。そして、実態調査、これは業界の皆さんがなさるだけでなくて、厚労省がやっていただきたい。

 加えて、ここの数値には一人親方等々は出てまいりません。とにかく守れる命ですから、長妻大臣にお伺いいたします。通達を義務化すること、そして、まず厚生労働省みずからの手で現状を調査すること。それは、統計に上がってこない一人親方等の転落、あるいは亡くなる以外にも重度の頸椎損傷などで後遺症で苦しむ方もおられます。そうした実態調査についての御答弁をいただきたいと思います。

長妻国務大臣 お答えを申し上げます。

 今配付資料でお配りをいただきまして、幅木というものと下さんというものにつきましては、御指摘のようにことしの六月から義務であるということで義務化をしたわけでございますが、上さんという、胸以上ですか、胸前後のところにあるものについては、ことしの四月二十四日に通達を出させていただきまして、これは義務ではございませんが、より安全な措置として、この上さんというものも追加するという通達を出しました。

 そして、御指摘のように、私どもとしても実態把握を早急にしたいというふうに考えておりまして、年内をめどに、この普及状況の調査、あるいは、一人親方の方々がどういう事故に遭っておられるのかというのはなかなかこれまで把握できませんでしたけれども、これについては年内かどうか、来年にこの調査はずれ込む可能性もありますが、それについてもできる限り把握をしていきたいということで、この事故の実態調査あるいはこの上さん、下さん、幅木の普及状況などの実態把握をしていこうというふうに考えております。

阿部委員 命を大切にする鳩山政権ですから、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 終わります。

藤村委員長 次に、大村秀章君。

大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。

 この臨時国会におきまして、きょうが最初の質疑ということになろうかと思います。自民党、そしてまた野党側のトップバッターとして、質問を順次させていただきたいと思います。

 まず、長妻大臣初め、副大臣、政務官の皆様方におかれましては、御就任おめでとうございます。厚生労働政策、国民にとっては大変大事な政策でありますから、これはぜひ前進をさせていただきますように、御尽力をいただきますように、心からお願い、御期待を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、私ども、この委員会等々を通じて、特にこの課題、問題点はたくさんありますから、これを実りのあるものにして政策を充実していくように、しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。その上で、この臨時国会、そしてまた通常国会が本番になろうかと思いますが、十分濃密な議論をさせていただきますように、これはまた委員長を初め関係各位にお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 さてそこで、通告に従いまして、きょうは五点ほど質問をさせていただきたいと存じます。

 まずは、天下りの定義について御質問をさせていただきたいと思います。

 これは、お手元に私、配付資料を用意させていただきました。まず資料の一枚目に、先般、十一月六日に、これは政府が、鳩山内閣としての天下りの定義について明確にすべきだという私どもの主張に対してお答えを出していただいたものでございます。統一見解ということでございます。

 それを見て、正直言って私はびっくりいたしました。多くの方が、一体何だこれはというふうに思われたのではないかというふうに思います。ちょうど真ん中のところに、「公務員が、法令に違反することなく、府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や職務内容等に照らし」「再就職をすることは、天下りには該当しない。」ということでございました。要は、天下りの解禁宣言に等しいのではないかという指摘もございます。

 率直に言って、民主党はマニフェストで天下りの禁止というのをうたっていたんではないでしょうか。これはマニフェストを破るということにまさに直結する、つながるということではないんでありましょうか。この点について、長妻大臣の率直なお考えをお聞きしたいというふうに思います。

長妻国務大臣 この天下りの問題というのは、本当に税金浪費の温床であるということで、我々もかねてより厳しい措置をとるべきと申し上げてきたところでございます。その意味で、ここにございますように、「府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させること」ということを私どもは天下りというふうに申し上げているところであります。

 ただ、私もかねてより申し上げておりましたように、あっせんがなくとも指定席になっている、例えば、我々の調査で明らかになりましたけれども、五代続けて同じ役所の方が、同じ指定席に自動的にそこに就任をする。それに関しては、あっせんを受けているケースもあるし、OB同士が引き合っているケースもあるんではないかというふうに考えておりまして、こういうものは私は問題なしとは言えないというふうに考えております。

 厚生労働省としては、既に、五代続けて指定席がある天下り団体についての見直し作業を行っておりまして、まずは補助金を縮減できるのではないのかということで、補助金等については半額を、これは団体によってはでこぼこがありますけれども、トータルで五代続いた指定席については半分の金額を既に削減したということでございまして、今後とも、あっせんを受けないで例えば指定席化しているもの等について、不断の見直しをしていこうというふうに考えております。

大村委員 長妻さんらしくない答弁だと思います。

 私が配付した資料の四ページをごらんいただきたいと思います。これは、あなたがことしの二月四日の衆議院の予算委員会で質疑をした議事録でございます。アンダーラインが引いてあります。

 中央省庁がかかわっていない、水面下でOB同士でやられる天下りも問題だ、それから三段目に、天下りというのは、あっせんを受けていなくても、それはあっせんを受ける受けないにかかわらず問題なんだ、あっせんをしなければ、OBの引きでどんどん指定席の天下りにオーケーということになると、これは続きますよということを言っております。また次のページでは、もうやめてくれということも言っております。

 これは今御答弁されましたが、五代続けてというところになると、ではそれ以外はいいのかという話になりますし、まさにこれは、この二月四日の長妻さん自身が発言をされていたことと、今回この資料の一番上に私が配付させていただきました、この鳩山内閣の見解というのは全く真逆じゃないかというふうに思います。

 例えば三ページの、これは毎日新聞の社説ですけれども、「「天下り」規制後退」。ここは冒頭、これは変節ではないか、なし崩し的に後退しているということをはっきりと書いております。事実上、天下りの解禁宣言となるおそれがある見解だと。

 さらに二段目の一番後ろの方で、平野官房長官は、天下りのあっせんをする府省庁について、閣僚、副大臣、政務三役や官僚OBは該当しないと。これだと、役所がやらなくても皆さんが、政務三役と称する方々があっせんをする、またOBがあっせんをする、引くということであったら全然問題ないということになるんではないか、こういうふうに指摘をしております。我々もそう思います。そういった指摘に対して、どういうふうにお答えになるんですか。

 あなたはこれまでずっと、この二月四日にありますように、天下りはあっせんを受けていなくても問題なんだ、OBの引きでもだめなんだということをずっと言ってきたわけです。この鳩山内閣の十一月六日の解釈、定義というのは全く真逆だと思いますが、いかがですか。そうじゃないと言えるんですか。

長妻国務大臣 いや、私自身も、これは問題だと言っております。あっせんを受けないで、例えば指定席として自動的に、OBが引き合ってそこに行く、あるいはわたりといって、あっせんを受けないでも渡っていって、不透明な補助金、持参金型天下り、人質型天下り、創業型天下りと私は分類しておりますけれども、あるいは口ききというのが仮にあるとすれば、これはもう言語道断のことでございます。

 ここにお配りいただいた資料にも「職務内容等に照らし適材適所の再就職」ということを書いてありますけれども、私が今申し上げた自動的な指定席というのは必ずしも適材適所であるかどうか、これは一つ一つ見ると、もちろん適材適所じゃないケースもあるというふうに考えております。

 私どもとしましては、政権交代後、天下りを受け入れる団体、あるいはシステム経費等々を見直して、二週間程度で一千億円以上経費を削減することができたわけでありまして、天下り等に厳しいのは自民党よりも我々の政権であるというふうに自負をしておりますので、よろしくお願いいたします。

大村委員 問題をそらさないでもらいたい。問題をそらさないでもらいたい。あなた方が言ってきたことと十一月六日のものが全く違うだろうと言っているんですよ。違わないんですか。あなたは全部反対だと言ってきたじゃないですか。ところが、この十一月六日の鳩山内閣の定義は、これは役所じゃなくて、政府というか政務三役がやる、それから役所がみずからやらなきゃいいんだ、こう言い切っているわけですよ。

 それでもって、具体的に、日本郵政の社長に齋藤次郎さんという方を持ってきた。そして、その齋藤次郎さんの務めていた東京金融取引所の社長の後任には元大蔵省の印刷局長、こういうのをわたりとあなたが言ってきたんじゃないのですか。その全部を認めているでしょう。そういったこと一つ一つがまさにマニフェスト破りだというふうに言っているんです。

 こういう見解が出たことについて、あなたは今の答弁で、十一月六日の鳩山内閣のこの定義はいいんだ、これでいいんですというふうに言っているふうに聞こえます。それでいいんですね。これでいいんですね、天下りは。今まであなたが言ってきたことと全く違うと思いますが、いいんですね、これで。明快に、簡潔に答弁してください。もう時間がないので、次に行きますから。

長妻国務大臣 ぜひ御理解をいただきたいと思うのでございますが、今お配りの資料にもございますように、「公務員が、法令に違反することなく、府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や職務内容等に照らし適材適所の再就職をすることは、」というふうに書いております。

 これは先ほどの繰り返しになりますけれども、これは各省庁の責任者が判断することになろうかと思いますけれども、私も厚生労働省所管の天下り団体について、例えば五代続けて、私は四代続けてがいいとは言っておりません、まずは五代続けて指定席になっているところを見ますと、その中には適材適所の人材ではないケースもあるというふうに問題視をして先ほどの措置をとっているところでありますので、適材適所でない場合はそれは問題にする、こういうことであります。

大村委員 ということは、適材適所なら四代でも五代でもいいということですか。今そう言われましたね。適材適所ならいいということですか。適材適所なら、ずっとずるずるいってもいいということですか。それは、あなたが今まで言ってきたことと違いませんかということを申し上げているんです。

 それで、こうした定義が出るときに、あなたは、こんなことおかしいじゃないかということは言われたんですか。それとも、これを見せられたときに、ああ、もうこれで結構ですということにされたんですか。そのことだけちょっと簡潔にお答えください。

長妻国務大臣 お答えを申し上げます。

 私の感覚では、五代続けて同じ役所から、しかもその団体は同じポストで自動的に行かれるというのは、これは私は、すべて適材適所とはやはり言えないのではないかというふうに思います。

 そして、この見解につきましては、繰り返しになりますけれども、「再就職先の地位や職務内容等に照らし適材適所の再就職」、こういう文言がかかっていますので、それについては適正に大臣が判断をしていくということになろうかと思います。

 といいますのは、先ほど大村委員が言われたように、では、五代はだめで四代続けての天下りはいいのか、三代はどうなのだ、二代はどうなのだ、初めての天下りだって、私は適材適所でない部分だってあるというふうに感じておりますので、それは適切に、その所管大臣が判断をしていくということになろうかと思います。

大村委員 私は、長妻さんが、あなたがずっと言ってきたことと違うということで、大変苦しい答弁だというふうに思います。

 最後にあなたが言ったのは、適切に各所管の大臣が判断をするということならいいんだということを言われましたですね。ということは、各役所の大臣がこれはいいんだと、とにかく、大臣があっせんをしていく、あっせんというよりも、大臣が決めればもういいんだということですね。というふうに、まさに言われたというふうに思います。

 私は、まさに、これは民主党の公然としたマニフェスト破りだというふうに思います。もう時間がありません、次に行きますけれども、そのことをまず指摘させていただきたいと思います。まだほかにもマニフェスト破りがぞろぞろありますので、また、さらに次に質問をさせていただきたいと思います。

 続きまして、日本年金機構についてお聞きをいたしたいと思います。

 日本年金機構、これは民主党のマニフェストでは、社会保険庁を廃止し、国税庁と機能を統合して歳入庁を創設するというふうにしております。これは長妻大臣も国会での発言等々で再三言われております。

 また国会の議事録をちょっと見ました、だれが何を言っているかなというふうに思って見たのでございますが、お手元の資料の六ページ、七ページですね。ここで、ぴったりしたものとしては、歳入庁をつくるというのは皆さんそれぞれずっと言っておられますが、私がまずちょっとお聞きしたいのは、歳入庁をつくるというふうにマニフェストに言っているにもかかわらず、今回、日本年金機構にそのまま移行するということになりました。

 これについて、例えば六ページには、これは参議院でございますが、蓮舫議員が、私たちは、これは日本年金機構はもう一回白紙に戻しますというふうにはっきりと言われております。それから七ページには、中村委員が、私たち民主党は、もし政権をとらせていただいたら日本年金機構は直ちにやめるということを言っております。また、八ページには、歳入庁をつくる、これは長妻さんのインタビュー記事でございますが、そういったことをずっと言っておられる。一回白紙に戻すんだというふうに言っておられるわけでございますが、ここまで言っているのに、今回、私は臨時国会ですぐ廃止法案を出されるんだろうというふうに思っておりましたが、それがないということでございます。

 大臣は、よくその理由として、民間からの採用内定者が多数に上っているというようなことを言っておりますが、これは昨年の七月二十九日の閣議決定の基本計画にも、外部人材の積極採用ということをうたっているわけです。また、正規職員のうち、おおむね千人程度を外部採用ということもそこで明記をいたしております。実際、五月十九日には社保庁からの採用内定も発表しています。七月二十八日も、外部の正職員の内定もいたしております。

 要は、選挙の前に、既に外部からこれだけ入れますよ、内定しましたということをこれはもう決めているわけですね、外部に発表しております。ですから、そういったことが選挙が終わってからわかったからということは、私は理屈にならないというふうに思います。これまで民主党マニフェストに歳入庁をつくるというふうに言い切ってきたのに、何で今回出されないのか、そのことをまずお聞きをしたいと思います。

長妻国務大臣 ちょうど説明の機会をいただいて、ありがとうございます。

 歳入庁をつくるというのは、これはもちろん変わっておりません。やはり一つの問題点といたしまして徴収機能が弱いというところもございますので、年金保険料と税金というのは一緒に集めていく。イギリス、スウェーデン、カナダでも同じ方式でございます。

 ただ、そこに移行するときに、日本年金機構を一たん設立してから移行するのか、社会保険庁のまま移行するのかということでございますけれども、確かに、当初我々は、日本年金機構では年金記録問題がうやむやになるのではないかという懸念を申し上げておりました。そして、おっしゃられたように、昨年そういう閣議決定が出ましたけれども、政権交代の直前まで内定がどんどんどんどん積み上がってきたのも事実でございまして、仮に日本年金機構をつくらないとすると、千人以上に上る内定者の方々について、内定切りというのは、これはもう我々厚生労働省が民間企業について自粛をしてほしいと言っている立場からしても、それはあってはならないことである等々のいろいろな判断を加えて、日本年金機構を発足させる。

 そして、我々が懸念しておりましたのは、日本年金機構は、前政権の段階では年金記録問題を差配していく人手というのがまだきちっと措置されていない、こういう懸念もございました。私どもとしてはそれも改善をして、人手をきちっとそこに設定をしていこう。あるいはコントロールが弱くなるという懸念もございましたけれども、厚生労働省と一体となって運営をしていくなどなどの工夫も今後していくということでございまして、基本的には歳入庁に移行するということは変わっておりませんし、内定者の方々をお守りするという方針のもと、判断をさせていただいたということでございます。

大村委員 それは、今私が申し上げました、こういうことで移行をしていくことについて、これだけ要員を採用して内定を順次やっていくということはもうわかっているわけですよ。だったら、今長妻さん、あなたが言うんだったら、民主党のマニフェストを選挙前に変えればよかったじゃないですか。それはしなかったわけですね。一回ですぐにやると。でもって、国会の質疑でも、そういうことをすぐやめるんだということを言ってきた。それは私はやはり明確に違う、マニフェストが違っていたと。

 要は、今まで言ってきたから、もう格好悪いから今さら変えられないということか、もしくは見通しが悪かった、しようがないんだ、その程度の政策能力なんです、こういうことなのか、どちらかだというふうに思います。

 なお、これは、したがって民主党最初のマニフェストの変更だということを申し上げざるを得ないというふうに思います。それも、九月に政権が発足をして九月のうちに、実際、長妻さんが日本年金機構にするんだということはたしか十月の八日かな、言われたと思いますが、実際に新聞報道等々でその方針を固めたというのは九月ですよ、九月二十九日の新聞報道でそういうふうになっている。ということは、政権が発足して、その同じ九月に、もうこのマニフェストを変更しているということでございます。

 これは、いろいろな厚生労働省の年金関係の委員会の委員もやっている岩瀬達哉さんも、この問題は長妻大臣の最初の踏み絵になるんだということを明確に言い切っている。その踏み絵を踏み破ってといいますか踏みにじってというか、これで日本年金機構に移行するということになると思います。これは、まさに最初のマニフェストの大変更だということを申し上げたいというふうに思っております。

 そして今、いずれは歳入庁にするんだというふうに言われました、歳入庁にするんだと。ただ、するすると言っても、どうやって歳入庁にするのか、その道筋は全くないわけですね。それと、一たん非公務員にしたものをもう一回公務員に戻す、純然たる公務員組織にするんだということが本当にできるのか。やるのであれば、こういうふうにやっていくんですというロードマップを示さないというのは、私はまさに無責任のきわみだというふうに思います。

 そういう意味で、日本年金機構にした上でもう一回歳入庁にしていく、これはどういうふうにやっていくのか。これは法制度的には無理があると思いますが、その点についてはいかがでございますか。考え方をお聞かせいただきたいと思います。

長妻国務大臣 歳入庁に移行する手法なり道筋というお話でございますけれども、海外の事例も参考に、今、厚生労働省と国税庁、財務省と打ち合わせを事務方レベルでしているところでございまして、いずれにしましても、非公務員の方々から、これも自動的に全員の方が歳入庁に行くということになるのかならないのかも含めて、法律で措置をすれば、もちろん歳入庁をつくるときは、法律事項でありますので、国会での御審議を経てそれをつくっていく。

 今現在、厚生年金の適用事業所が少ないというか、適用漏れの事業所が多いことを一つとっても、税務情報が社保庁にないということで大変徴収が不十分であるという問題意識も持っておりますので、こういう問題についても、我々としては、今詳細を国税とも打ち合わせして、その実現を図っていきたいというふうに考えております。

大村委員 要は、まさに全く何も絵はない、これからだ、検討中だと。まさにミスター検討中ということでいいわけですね。そこまでマニフェストに書いてあるなら、すぐそういうふうに何でおやりにならないのか、そのことを指摘させていただきたいと思います。

 それと、公務員組織に戻すというのであれば、国家公務員の定数も大幅に減少することで、国家公務員総人件費を二割以上削減するという民主党のマニフェストがあるわけです。だから、そういったものとも矛盾をするということで、これは二重の意味でのマニフェスト破りだということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 そして、さらにもう一点お聞きをしたいと思います。

 この民主党マニフェストでは、社保庁の職員は厳しく審査して移管する者を決定するというふうにしております。また、長妻さんは「情報隠しや仕事をしなかった人は当然、分限免職処分にすべきだ。」ということを、私がつけております資料八ページの産経新聞のところでもそういうふうに指摘をしております。また、ちょっと前の、とあるテレビ番組、私も一緒に出たところではありますけれども、長妻さんは、とにかく首にしろと言っているんだということを声を張り上げて言っておられます。

 その点は、この方針は今でも変わらないということでよろしいんですね。確認をしたいと思います。

長妻国務大臣 それは、保険料を猫ばばしたり、そういうことが明らかになったり、あるいは悪質な情報隠しが発覚をしたりする場合というのは、これはもう厳しい処分があってしかるべきだ。猫ばばした場合は、これは基本的にやめていただくということは一つの考え方であると思います。

大村委員 代表的なといいますか例を言われましたけれども、これについて私の資料十ページに、十月二十三日の記者会見で、懲戒処分歴のある人が入るのはいかがなものか、閣議決定を見直すつもりは今のところはないということを言っておられます。今のところというふうに言っておりますが、これは変わらないんですね。確認をしたいと思います。

長妻国務大臣 閣議決定は、今のところ見直すということではなくて、ずっと見直さないというふうに考えております。

大村委員 確認をいたしました。

 その上で、九ページに新聞記事の切り抜きを載せさせていただいております。

 新聞報道等々では、聞くところによりますと、九月二十四日、連合と自治労の委員長と会談をして、何らかの形で雇用の維持をというふうに要請をされた。それから、十月十三日に自治労の委員長は、ここにちょっと書いてありますが、機構の設立については「民主党マニフェストの重大な転換と認識する」というふうにも言い切っておりますが、それはそれとして、一部職員の不採用を決めた閣議決定の見直しを求めた、大臣と意見交換の場を持ちたいというふうに言っております。

 連合、自治労からそういう働きかけがあったのか。それから、こういった労働組合と相談をする場を持つのか。そして意見を変えることはあるのか、そのことをお答えいただきたいと思います。

長妻国務大臣 いろいろな御要望をいただいていることは事実でございますけれども、私の意見を変えることはございません。

大村委員 確認をいたしました。こうしたことも引き続きチェックをしていきたいと思います。

 なお、日本年金機構に移行するということについて、この自治労の委員長も、民主党マニフェストの重大な転換だと認識するというふうに言っておられます。ですから、日本年金機構、先ほど申し上げましたが、やはりこれはだれが何と言ったって、先ほどの天下りの定義と同じくマニフェスト破りですよ。マニフェストの違反ですよ。

 いや、私は、マニフェストについてこういうことだ、ごめんなさい、済みませんでした、足りませんでした、十分な検討ができませんでしたということをはっきり言えば、まあまあ、それでいいかどうかは別にしますけれども、マニフェストを破ったということについて、これは十月二十八日の本会議の代表質問で、マニフェストが達成できなかったら責任をとるというふうに鳩山総理は言いました。

 天下りの定義は政府全体として、この日本年金機構について、いわゆるマニフェストを破ったということについての責任というのはお感じになりませんか。全くこれでいいと思っておられますか。マニフェスト破りの責任というのをぜひお聞きしたいと思います。

長妻国務大臣 繰り返しになりますけれども、歳入庁に移行するということはもちろん変えていないところでございます。

 その中で、私も大臣に就任をして、内定者千人以上の方々、続々と直前まで内定が出ている、そういう方々に御遠慮いただくことはできるのかできないのか、ぎりぎりお一人お一人確認をいたしましたけれども、それは基本的に難しい。こういうこともあり、我々としては日本年金機構を設立して、そして私は、この日本年金機構が本当に国民の皆さんに最終的に胸を張れるような、年金の信頼を一定程度回復する中核の組織にするべく、今全力で取り組んでいるところであります。

大村委員 日本年金機構を企画し、つくって、いわゆる社保庁のたるんだ職場、現場をたたき直してしっかりとやっていこうというふうに提案をし、つくったのは我々がやってきました。そしてずっと、閣議決定をし、つくってきたわけでございます。そういう意味で、この点について我々は引き続き、日本年金機構をしっかりとやっていくということを皆さんぜひ進めていって、きちっとやれるかどうかチェックをしていきたいというふうに思っております。

 ただ、今長妻さんが言われた日本年金機構をしっかりやっていくということと、マニフェストは歳入庁と言っているわけですよ、それで、やめるというふうに言っているわけですよ。そのことはもっともっと責任を感じてもらって、そこはしっかりと認識をし、またきっちりと追及をしていきたいというふうに思っております。

 そして、もう時間が参りますので、次に参ります。続きまして、年金記録問題について申し上げたいと思います。

 年金記録について、民主党マニフェストでは、国家プロジェクトと位置づけ、二年間、集中的に取り組むというふうにしております。しかし、先般の概算要求では四カ年計画とし、括弧書きで、最初の二年間で集中的に取り組むというふうにしております。二年でやるというふうに皆さん言われてきたんですから、二年でやるということでいいんではないのでしょうか。何で四年なのか、これもマニフェストの変更だというふうに解釈をしてよろしいのかどうか。

 また、具体的にどう進めていくのか、その行程表も明らかにしていただきたい。既にいろいろ資料とかで聞きましたけれども、しかし、その資料ではどうもあやふやでよくわからない。もっとはっきりと明確に示していただきたいと思います。

 そしてまず、二年なのか四年なのか。二年だというふうにずっと言ってきましたね。それは違うということで、それも変えたということでいいんですね。

長妻国務大臣 お答えを申し上げます。

 私もマニフェストを常に胸ポケットに入れておりますけれども、正確に言いますと、私どもが二年と申し上げておりますのは、二年間、記録問題への集中対応期間というふうに考えておりまして、集中的に二年の間に人、物、金を投下していくということでございます。そして一期四年の中で一定程度の年金の信頼を回復していく、こういうことをかねてより申し上げているところであります。

 二年の間に我々が集中的に人、物、金を投下して、四年以内に一定程度の信頼を回復するということの中は大きく四つのカテゴリーに分かれます。

 一つは実態解明。いまだに実態解明が不十分であるということで、無年金の方が百十八万人というデータもございますけれども、つぶさにそれを分析してみましたところ、ひょっとすると、その中で受給年齢に達しておられる方の五十万人が、実は無年金ではなくて、空期間を算入したりあるいは任意加入という手法を使えば、二十五年ルールにのっとって年金の受給権が発生するかもしれないということがわかりまして、その五十万人の方に通知を出して、最終的にサンプル調査で訪問をするということも考えているところでありまして、等々含めて、解明もいまだ残っているものもある。

 そして、もう一つは回復基準でございまして、証拠がない場合の回復基準というのは、今はある意味では三十年前の同僚を捜してきてくださいということで、そこまでして、しかも年金保険料を振り込んだのかどうか、給与明細もないとなかなかというようなことも含めて、あらゆる問題がありまして、回復基準を簡便に見直していく。第三者委員会でも判例が積み上がっておりますので、これは一定の政治判断が必要であるということであります。

 そして、来年から紙台帳検索システムが稼働をし始めます。これはまず第一弾なんでございますけれども、例えば北海道の倉庫に入っている紙台帳は今なかなかすぐ見られませんが、すべての紙台帳をイメージでコンピューターのスキャナーで読ませて、キーを、名前や生年月日を入れると画面上にその方の紙台帳が表示されるということで、担当者が目で本来の記録と紙台帳をその場で照合できるような仕組みをまず導入していく。

 そして四番目のカテゴリーとしては迅速化ということで、今、年金の記録がくっついても、お金が払われるまでなかなか時間がかかるということで、私の大臣室にグラフを張っておりまして、毎月、一定期間、そのグラフの期間が下がるように、短くなるように今取り組んでいるところでございます。

 そういうことを中心に、そして地方自治体の協力もいただかなければならないということでございまして、これは、行き先あるいは所在が御不明な方でも、実は地方自治体の介護保険のデータあるいは国保のデータと照合するとわかるということもございまして、そういうもろもろの対応をとって信頼を回復していきたいということでございます。

大村委員 時間も限られているので、簡潔に答弁をお願いしたいというふうに思います。今何点か言われましたが、きょうはちょっと時間がないので、またきちっと別の時間に詰めたいと思います。

 それと、例えば民主党マニフェストに、一括補償するとか、あと年金記録回復促進法案の成立を図るとか、いろいろ書いてあります。でも、年金記録回復促進法案って出てこないですね、この臨時国会には。

 要は、選挙の前には、皆さん参議院で出してこれを可決しているわけですよ、強行的に。そういうふうに可決したものだったら、何で今回出さないのか。今長妻大臣が言われたのは、その中身については今一生懸命何か詰めているというようなことの一端を言われたような気がいたしましたが、選挙前に出したものが何で出てこないのか。

 選挙前に出した年金記録回復促進法案というのは、我々は、いろいろな問題点があるからこれは難しい、極めて問題だということを申し上げましたが、皆さんは強行的に参議院では可決をしてきた。しかし結局、政府・与党になったら、これは極めて問題が多いから出せない。要は、詰まっていないんだということを認めるようなものだというふうに思います。もし違うんだったら今すぐ出されたらいいじゃないですか、閣法で。ただ、閣法でとても出せないようなひどい代物だったということをみずから認めたということを我々は言わざるを得ないというふうに思います。

 これは次の機会にまた一つ一つ詰めさせていただきたいと思いますが、要は、一つ一つは全部検討中だということで、そういうことではなかなか議論が深まっていかない。さらに中身を詰めて、あなたなんかは今まで、自分たちがやればすぐできるんだというようなことをずっと言っておられたと思いますよ。だとしたら、今、皆さん方がやる立場になっているわけだから、それは検討中、検討中ではなくて、早く出していただきますようにお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 それと、この問題で、一つだけこれは提案をいたしたいと思っております。

 私の資料の十一ページと十二ページ、特に十二ページは、週刊東洋経済の記事で、三木雄信さんという方のものをちょっとここに出させていただきました。これは、データの照合だけでは記録問題は解決しないということを三木さんという方が言われておられます。もともと、九月までもそうした年金記録問題でお手伝いをしていただいた方でございますが、引き続き十月以降も、年金記録回復委員会なるものの委員になられておられるというふうにお聞きをいたしております。

 この三木さんが言われるのは、紙台帳との突き合わせだけで統合に結びつくケースというのは、入力ミスなど、紙台帳は正しいけれどもオンラインデータが誤っているという場合に限られる。中には、そもそも紙台帳自体のデータが事実でないものもかなりの割合で含まれる。八・五億件の紙台帳を突き合わせるよりも、むしろインターネットを活用した情報提供の徹底を提案したいと。

 十一ページは、これはちょっと私が整理したんですが、紙台帳がばっと七パターンありまして、Aという形で正しい。それを記録するときに、正しいもの、間違ったものに移しかえて、それが今コンピューター上では正しいもの、誤ったものなどなどになっているという七つのパターンが考えられる。この段階で、コンピューター上のオンラインデータで誤っているものは三、四、六、七でありますけれども、紙台帳との突き合わせだけでわかるのは七番目、この記録のときに誤っているというものだけでございます。

 ですから、こうした考え方を我々自民党は選挙の前に、「インターネットなどの利用により残された記録の内容をプライバシーに配慮し、国民に開示する。」ということをマニフェストにうたわせていただいております。

 これは端的にお聞きをしたいと思いますが、インターネットによる記録の開示というのを行う考えはありませんか。専門家等々の識者のいろいろな意見を加味いたしますと、紙台帳とオンラインデータとの突き合わせというのは、これももちろんやっていく必要があるということで我々も準備をいたしましたが、あわせて、やはりインターネットでの開示ということが非常に有効ではないかということで、これを提案させていただいております。

 こういったものについてどう考えるのか。全くこんなものは必要ない、紙とオンラインだけで突き合わせれば全部問題は解決するんだというふうに言われるのかどうか、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。もう時間がありませんので、簡潔にお聞きしたいと思います。

長妻国務大臣 本当に貴重な提案をいただきました。

 この三木さんは、回復委員会、私が諮問機関、検討機関としてお願いをしているところのメンバーでもございまして、私もその会に出ておりますが、本当に貴重な御意見をいただく方でございます。

 今のインターネットにつきましても、非常に考えるべき選択肢の一つであるというふうに考えておりまして、我々も、もう与党、野党問わず御提言をいただき、専門家の方のお知恵もいただいて、適切な判断をしていきたいというふうに考えております。

大村委員 これは、私どもはずっと、こうやってやろうというふうに考えておりました。また、たまたまといいますか、今回三木さんもそういう御提案をされておられるというふうに聞いております。

 したがって、私は、この突き合わせということは確かにこれまでの経過等々から、これはやっていく。その時間をどのくらいかけるかということはありますけれども、正直言って、二年で一気にということよりも、むしろインターネットでの開示をシステムを組んで急いだ方がより合理的、効率的ではないかというふうに思いますが、それは次の機会にしっかりとまた議論をしていければというふうに思っております。それが一点。

 それと、もう時間がなくなりましたので、以上の点はまた次の機会に申し上げたいと思いますが、最後に、インフルエンザ対策について、きょうは足立政務官にもお越しをいただいて、大変恐縮でございますが、もう時間がなくなっちゃいました。また次のインフルの質問のときに申し上げたいと思いますが、正直言って、ワクチン接種の方針が何でこんなにころころころころ変わるのかということなんですよ。その点について、医療現場なり都道府県の行政の関係者は、本当にその都度その都度翻弄され困っている。

 新聞記事を載せておりますが、十四ページ、十五ページで、「官の「結論」政が「待った」」「外科医の政務官覆す」。また十五ページは、「政治主導」で、また長妻さんの記者会見のものだと思いますが、専門家は中高生も一回だと言っているけれども二回にしたというようなこととか、どうもその決定過程が不透明ではないか、そして何でこんなにころころ変わるのか、こういうことが言われております。この点についてぜひ、また次の法案の審議の機会でしっかりとただしていきたいというふうに思います。

 それと、きょうできたらと思いますが、我々は、自民党、公明党そしてまたさらに各会派と共同して、このインフルエンザ対策について政府に対する要求をつくりたいというふうに思います。

 その際に、我々はインフルエンザプロジェクトチームというのをずっとやってきまして、接種費用等について公費投入の枠組みをつくれということを言ってまいりました。特に優先的接種者というのをつくったわけでありますから、そこについては今のままの実費の徴収でいいのか、諸外国はすべてただではないか、その点をやはりこれからしっかりと要求していきたい。要求をし、そして実現をしていきたい。何でのめないのかということになると、皆さん予算がないとかなんとかと言われるんでしょうけれども、補正予算をあれだけ執行停止にしたり、これからそれを、目くらましか何か知りませんが、二次補正をやるというようなことがあるなら、その中にしっかりと入れていけばいいというふうに思います。

 そのことをこれからしっかり要求していくということを申し上げて、また次のインフルエンザ法案の審議でしっかりとただしていきたいと思います。

 以上です。

藤村委員長 次に、あべ俊子君。

あべ委員 ありがとうございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 今回、二年生、二回生でございまして、前回は与党でございましたが、今回野党になりました。厚生労働委員にはずっとしていただきたいと時の総裁・総理、さらには幹事長の方にお願いをしておりましたが、君は詳し過ぎるから厚生労働委員には入れられないということを何度も言われました。今回野党になりまして、めでたく厚生労働委員に入れていただき、また質問時間も与党は非常に短くなっておりまして、与党・政府案、自分たちの中でやっているからこそ余りにも批判ができないという立場でございましたが、今、野党となりまして、言いたい放題ではございませんが、しっかりと国民のために質問をしてまいりたいというふうに思っております。

 まず最初に、後期高齢者医療制度に関しまして質問させていただきたいというふうに思います。

 特に、さきの選挙で、民主党の政権公約、マニフェストの中に後期高齢者医療制度の廃止が盛り込まれておりました。大臣の所信表明でも、制度本体の見直しをするという点で、七十五歳という年齢に着目した診療報酬の見直し、資格証明は原則として交付しないということを、大臣の所信表明はかなりファジーなものの中でもこの部分だけは明確になっていたということを見ておりますが、長寿医療制度の根本の問題点は実はこのことにあるのではないんだというふうに私は思っております。

 大臣は、厚生労働省が十年以上もかけて計画を立てたこの制度のそもそもの問題点はどこにあったんだと認識をしていらっしゃいますか。大臣にお聞きしたいと思います。

長妻国務大臣 医療の現場で御奮闘された御経験を持っておられるということで、今後とも御指導いただきますようよろしくお願いをいたします。

 この後期高齢者医療制度の問題点を一つ挙げろと言われれば、やはり、七十五歳以上という病院にかかりやすい方々を一くくりにして、それを一つの保険にしてしまうということは、これはだれが考えてもわかることでございますけれども、ほかのグループに比べて保険料は急速に上昇していくという御負担がかかる。御負担を避けるには、病院に皆さんが通わなければ御負担は下がるということで、医療抑制につながるということで批判が出たというふうに認識しております。

あべ委員 ありがとうございます。

 実は、その医療費抑制ともう一点ございまして、いわゆる財源構成の問題が一番大きかったと私は思っておりますが、大臣はこの財源構成の部分ではどうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 やはり私も感じますのは、長期的に見ると、医療費というのを公費の部分をふやしていかなければならない。つまり、現実では、先進国とGDP、国内総生産の比率でいうと、日本国は医療費の部分が非常に低いということもございます。その意味で、後期高齢者医療制度につきましては、公費の部分の負担をもっとふやす必要があったのではないかというふうにも考えているところであります。

あべ委員 ありがとうございます。

 特に、高齢者の方々は病気をしがちだということ、さらには、若い方々が支払っている保険料の部分を使い過ぎていたことに対する抑制をするという効果が後期高齢者医療制度の中にはありましたが、これを廃止するときにここの財源構成の部分をどうお考えか、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

長妻国務大臣 私どもといたしましては、廃止をすると同時に、一期四年以内に新しい制度に移行をしていくということで、これを検討する会、高齢者医療制度改革会議というのを、実は今月の三十日に厚生労働省内で第一回目を開きます。これは、我々、後期高齢者医療制度で反省があると思いますのは、やはり高齢者の方々の御意見を聞くのが不十分だったのではないかということが根底にございますので、基本的には、七十五以上という一つの区切りで保険を決めるのではなくて、できる限り広く薄く御負担をしていただく、多くの方々に御負担をしていただく、こういう考え方を一つ今議論していただこうというふうに思います。

あべ委員 すなわち、廃止をする以前は移行期として現状を維持するということでよろしいのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これは現状を維持するということではございませんで、二段階を考えております。

 冒頭おっしゃっていただきましたように、まず、今の制度そのものに対する問題点、診療報酬体系で、七十五歳以上だけに適用する、私は問題があると思う診療報酬体系も幾つかございますので、それはもう来年度廃止をしていただくように中医協にもお願いを申し上げてまいります。そしてもう一つは、例えば人間ドックの助成が七十五以上だけ打ち切られる、こういう問題も起こり、七十五歳以上だけ健診が義務づけではなくなった、こういうこともございまして、健診も従来どおり受けていただくような措置もとらせていただくということで、できる限り現状の問題点を是正していくということをまず第一段階に実行する。

 そして、第二段階は新しい制度、七十五歳以上の区分をなくす制度をつくっていこう、こういう考え方でございます。

あべ委員 制度の根幹の部分のいわゆる財源構成、すなわち、後期高齢者医療制度の中で達し得たことの一つに、国保、さらには被用者の部分の保険と切り分けたところに問題があります。すなわち、高齢者を守るだけではなく、少子高齢化の中で、高齢者の方々がお亡くなりになった後の、現役世代のいわゆる負担の部分をどう整理するのかということが一番の問題でございまして、これに関して大臣はどのようにお考えでしょうか。

長妻国務大臣 これにつきましても、先ほど、お年を召した方の御意見もお伺いするのは重要だと申し上げましたが、と同時に若い方の御意見も重要でありまして、若いメンバーもこの改革会議に入っているところでもございます。その意味で、我々といたしましては、財源、これは国民的議論に基づいてきちっと結論を出していきたいと考えております。

 これは、事医療だけの問題ではないかもしれませんが、根底にあるのは少子高齢化の問題もございます。そういう意味では、少子化対策というのも長期的に見て非常に、つまり、社会保障の担い手が少なくなっている現状では、どんな制度をつくっても御負担が軽くなるということはなかなかない。重い方向、重い方向に動いてしまう。こういう問題もございますので、トータルな政策をつくって、少子化の問題、社会保障の担い手がどんどん減っていくというこの重大な問題にも取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

あべ委員 後期高齢者医療制度に関連いたしまして、もう一つ。

 私は、サービスを受ける側がいわゆる行政の縦割りによって分断されることに対して非常に懸念をするものでございます。後期高齢者医療制度の廃止にあわせて、介護保険と医療制度をこれからどういうふうにお考えかをお聞きしたいと思います。一言でお願いいたします。

長妻国務大臣 今のお尋ねは、確かに介護の現場と医療の現場というのは近い現場でもありますし、連携をするべき部分もたくさんございます。いろいろな識者の方の中には、介護保険と医療保険を合体するべきであるという御意見があるというのを承知しておりますけれども、まずは医療なら医療の制度をきちっと是正していく、介護であれば介護の制度をきちっと是正していく、その間にも連携する施策を進めていく、こういう手順が重要ではないかというふうに考えております。

あべ委員 ありがとうございました。

 さらには、先ほど阿部知子議員の方からも質問がございました子育て環境の整備について質問させていただきたいというふうに思います。

 子ども手当がいわゆるマニフェストの中に入りまして、これが大きく影響し、これまで選挙に行かなかった方々もかなり大フィーバーがあったのではないかと思っているところでございますが、やはり女性が、今、労働力が非常に不足している中働けと言われ、さらには子どもが足りないから産めと言われ、やはり、これはお金だけではなく、いわゆる子育てに関する環境整備、インフラ整備も含めてやっていくべきではないかということが言われております。

 しかしながら、待機児童の問題、都会だけに今回限定されていると言われているのはいいわけでございますが、少子化が進む中でこれを条例化し、いつまでやるかわからない。待機児童がなくなるまでという。待機児童の定義があいまい。阿部知子先生がおっしゃっていたように、この定義をもっとしっかりと、もう一度お聞かせください。

長妻国務大臣 まず申し上げたいのが、これは地方分権委の第三次勧告に対する厚生労働省側の回答を申し上げたわけでございますけれども、内閣全体の決定、正式決定ではございません。今、厚生労働省の意見としてそれを申し上げ、関係各省庁と議論をして決定を出すということでございますので、その決定の中で適切な判断がなされるというふうに考えております。

 これは社民党の阿部委員からも御質問があった件でございますけれども、我々が申し上げておりますのは、面積の基準についてはすべてを手放すということではございませんで、東京等の、待機児童が大変多い、そして地価が高く、面積がなかなか今の時点ではとりにくいというところに限定して、その地方の議会で条例として、その地方自治体が責任を持ってもらう、責任をとっていただくという前提で面積基準をお決めいただきたい、こういう非常に限定的な発想で私どもは案を出しております。

 分権委は、それは期間も限定せずにそういうことにしてほしいという御要望があったんですが、我々はそれを断って、限定的な部分については待機児童の皆さんの問題もあるということも含めて判断を申し上げたということでございます。

あべ委員 質問に答えていただいていないのですが、待機児童というのは、何を指して待機児童があるというふうにお考えなのかというのが一点目でございます。

 さらには、本当に限定つきでやるのであれば、私は、いわゆる保育体制の、インフラ整備も含めて何年までにやるべきであるという計画と、その計画を出しながら期間限定つきでこのことに関しては対応するというのが国の責務であると考えます。

 大臣、その一点目の待機児童ということに対する定義、さらには、限定をするのであれば、いわゆる保育のインフラ整備の計画を立てたものとセットにして期間限定にすべきではないかということに関して、ぜひともしっかりとお答えいただきたいと思います。

長妻国務大臣 待機児童の定義でございますけれども、正式には保育所入所待機児童というものでございますが、これは、入所申し込みが提出されており、入所要件に該当しているけれども入所をされておられない方、こういうような形で我々はカウントをしているところでございます。

 そして、今の後段のお話でございますけれども、保育所整備は本当に喫緊の課題だというふうに考えておりまして、待機児童ゼロ作戦というのは前政権でもお取り組みをいただいた作戦の名前であるというふうに考えておりまして、前政権でお取り組みいただいたいい部分は我々もさらに増強をしていくということで、一定期間の中で待機児童の皆様方の御要望を満たしていく、こういう計画が必要であるということは我々も認識をしております。その上で、概算要求におきましても、それをさらに加速させる要求をさせていただいているということであります。

あべ委員 待機児童の中でも、いわゆる複数出しているところをちゃんとしっかり考えていらっしゃるのかなども含めて、ぜひ保育所整備の計画とセットで御検討いただきたいと思います。

 特に、保育室の面積が一人当たり二・五平方メートルの場合、三・三と比べまして子供のぶつかりが多く、さらには保育士が疲労感やいら立ちを感じるという調査結果も出ております。これは、待機児童が減った、量は確保できたが質は下がるということがあってはならないので、いわゆる限定つきで、考えていただくではなく、国がしっかり整理する部分は整理をしていただきたいというふうに思うわけであります。

 さらには、もう一つ質問させていただきますが、保育所のいわゆる栄養士配置でございます。

 これに関しましては、食育基本法という観点から、これは二〇〇五年に制定されたものでございますが、幼少期における食事というのは、子供の成長、健全な育成に非常に大きな影響を及ぼすものでございます。

 片や国会議員の食生活は非常に大変なことになっておりますが、それはさておきまして、やはり子供たち、特に幼少期において栄養指導を行うということは非常に重要な部分でございまして、特に、保育所で子供に給食の提供が行われて、一日の大半を過ごす保育園の子供たち、この子供たちにとって給食は大切な保育の一環でございます。

 そうした中におきまして、保育者を含めた対応、指導が重要なときであります。特に、ある保育士さんにお聞きしましたら、お弁当を持ってくる時間があって、お弁当箱をあけたらピーナツしか入っていなかった、さらには、遠足に行った子供がカップラーメンを出してきて、遠足なのでお湯がどこにもなかったという話もありまして、やはり食育、親の教育もあわせて、子供たちも一緒に指導していく必要がある。

 親になってからでは間に合わない部分がやはりありますので、ここはしっかりと職員の配置の中に栄養士を入れるべきだと私は思っておりますが、食育基本法が出されたにもかかわらず、栄養士の配置は、全国でフルタイムで換算すると三割しか満たされていない、今いわゆる給食の方々の給与をそのまま栄養士に充てているところが多い中に、大臣、保育所に対して栄養士配置、これからどうお考えかを聞かせていただきたいと思います。

長妻国務大臣 委員がおっしゃられましたように、食育の重要性というのは私も同感でございます。

 その中で、栄養士と調理員という二つございますけれども、まず、調理員についても第三次勧告では廃止または参酌すべき基準、つまり地方に自由にやってほしいという御指摘をいただきましたが、さすがにこれは、厚生労働省として調理員はきちっとお子さん何人当たりに一人という基準は譲れませんということで、お断りをした形でお出ししているところでございますが、これについても今省庁間で交渉をしている段階であります。

 その中で、栄養士となりますと、今も基準はございませんけれども、これは重要だというふうに私も感じております。今現在、全国の保育所で常勤換算で調査しますと、栄養士が六千七百五十八人勤務をされておられる。これは、ある意味では自主的に栄養士の方をお雇いいただいているところもあるというふうに考えております。

 私どもとしては、地方自治体あるいは園の判断で栄養士の方々をできるだけお雇いいただきたいというふうに考えておりますけれども、今、調理員の議論を関係各省庁としておりますので、まずは調理員の確保をきちっと、国の基準を揺るがせないということに取り組んでいきたいというふうに考えております。

あべ委員 ありがとうございます。

 職員配置基準の保育所の部分では、調理員が例外的に置かないことができる職員というくくりになっておりますが、これを職員配置基準の中に入れ込むということを今おっしゃったのだと思っています。ですから、逆に言ったら、例外的に置かないことができる職員の中に栄養士もしっかりと前向きに検討していただくということで今の大臣のお答えを理解しましたが、それでよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 ちょっと私の答弁で誤解を与えたとしたら、申しわけございません。

 基本的に調理員というのは、今の例外規定以外では、お子さん何人当たりに何人置かなければならないという規定が従来どおりありますので、その従来の基準は変えません。変えろと言われても変えませんということでお答えをしたということでございます。

 栄養士につきましては、一律国の基準で栄養士を加えていくというのは、今の時点では私は大変難しい問題があるというふうに考えておりますので、国の一律基準としては考えていない、地方の自主性に任せるということでございます。

あべ委員 ということでございますが、大臣、非常に食の大切さも御理解いただいておりますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。年金問題でございます。

 大臣の所信表明の中に、年金制度、透明でわかりやすいものを平成二十五年までに法案を提出するということを言われておりますが、透明でわかればいいというのが年金制度ではないと私は思っておりまして、信頼性をしっかりと構築していくということがまずは大切であると思っております。

 特に、いわゆる年金制度の一元化ということを今回のマニフェストの中にはしっかりとは入れ込まれておりませんが、ぜひ大臣のこの御見解に関しまして聞かせていただきたいというふうに思います。

長妻国務大臣 本当に、この少子高齢化の中で年金制度というのは非常に重要性が高まっております。

 今、世界でも年金の改革をなし遂げた国は幾つかございますが、その改革の流れは三つ原則がございまして、一つは、若い方でも無理なく払える、持続可能性のある制度、二番目は、ライフスタイルの変化、転職を繰り返しても変わらない年金制度、三番目が、最低保障機能がある、この三つでございます。

 残念ながら、現行制度は不十分であると考えておりますので、この三つを満たすという意味で、今一元化のお話がございました。基本的には、今は年金制度がつくられた時代とはさま変わりで、転職をされる方が多いわけでありますので、公務員から自営業、自営業から民間サラリーマン、サラリーマンから自営業等々の転職があっても、パートさんでも、一元的な一つの年金制度に御加入いただく、こういう一元化というものを考えているところであります。

あべ委員 一元化を考えるときに、国民年金の一元化が、私はいわゆる雇用者負担の部分をだれが払うかという整理が一番難しいと思っております。私は、段階的に、この年金の一元化をまずは共済年金と厚生年金から始めるべきであると思っておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

長妻国務大臣 結局、年金制度の一つの問題といたしましては、年金制度を同時に改革しないと、一部のところにひずみが出てくるという問題もあるわけでございます。

 事実、今現在でも、国民年金御加入の方というのは、普通は自営業の方がほとんど入っておられると思いがちでございますけれども、自営業の方の比率は今減りまして、パートの方とかアルバイトの方が国民年金は多いわけでございます。なぜならば、一つは、事業主負担があるということで、事業主の方々が厚生年金ではなくて国民年金の方にお入りいただくようなこともあるのではないかというふうに推察をしているところであります。

 その意味では、ひずみが起こらないように、年金制度によって働き方が左右されるというのは本末転倒でもございますので、私どもとしては同時に一元化を実行していきたいというふうに考えております。

あべ委員 私は、一度にやるのは本当に難しいのではないかというふうに何度も申し上げているところでございます。

 特に、若い世代を考慮されているのも結構でございますし、いわゆる最低社会保障をお考えで、七万円は保障するということもわかりましたが、一生懸命頑張った、頑張らなかった、まあ理由もあるでしょうが、最後、結局、何をやっても終わりだったら、何をやってもいいんじゃないかという方が出てくることを私は非常に懸念しております。

 そこの部分の、一生懸命頑張って自分の年金を積み立てる方と、いろいろな理由があってできない方、また、理由をつけてしない方、ここのすみ分けをどうお考えなのかをぜひお聞かせいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これは、新しい年金制度になっても、当然、今年金保険料を払えるのに払っておられない方とまじめに払っておられる方、全く同じ対応にするわけにはまいりません。それはモラルハザードが起こりますので、新しい年金制度になっても、払っていない方と払っている方は区別せざるを得ないわけでございます。

 ぜひ、国民の皆様方、特に若い方に申し上げたいのは、これから年金の信頼を回復いたしますので、年金保険料は払っていただきたいということを申し上げたいわけです。

あべ委員 すなわち、大臣は、払っていなくても最低七万円保障するとおっしゃっている中、払った方とはしっかり差をつけるということで、払っても払わなくても七万円ではなくて、きちんと支払った方はもっと上になるということをおっしゃっているんでしょうか。

長妻国務大臣 最低保障年金は上限が七万円で、それより上になるということではございません。

 ただ、その年金制度へ移行するときに、例えば四十歳の方が、新しい制度が入ったときには、お支払いいただいた四十歳の時点までの保険料、古い制度で払った保険料は古い制度のままカウントする、四十歳からその後新しい制度で払った保険料は新しい制度に払ったとカウントするということで、その方が老後になったときには、古い制度の年金も受給すると同時に新しい制度の年金を受給して、それを合算した金額を過渡期には受給されるということでありますので、ある意味では、古い制度で年金保険料を払えるのに余り払っておられなかった方はその部分の受給額が減る、こういうことでございます。

あべ委員 ありがとうございます。

 年金の一元化の中で、一度にされるということをおっしゃっておりましたが、特に、給付と負担の部分で一番不公平感が出ているのが共済年金の追加費用でございまして、大臣、この件に関していかがお考えか。中の部分、これからどうされるかも含めて教えていただけたらと思います。

長妻国務大臣 これにつきましては、国会の議論などでも、特権なのではないか、いろいろ問題があるのではないかという議論も承知をしておりますので、財産権との問題も含めて、我々も現状をきちっと把握していきたいというふうに考えております。

あべ委員 国共済、地共済、いわゆる現行制度が創設される以前の公務員の恩給制度の恩給期間、これは、昭和三十四年以降、国または地方公共団体が追加費用として、国民の納めた税金によって当該恩給期間分の給付の負担を行っているところであります。

 ずっと批判がございました国会議員の互助年金、ベテラン議員は自分たちはとっておき、我々はみんな国民年金に移行したわけでございますが、この批判を受けた七割、これと別に、これ以上の額が、実は税金が入っておりまして、国の共済では七四・五%、地共済ではさらに上という高い公費が投入されているところなので、これは一元化をする以前に、いわゆる国民の公平性という観点から、ぜひ途中でも対応をしていくべきではないか。五十年後には自然消滅するのが恩給でございますが、やはりその前段階で、今少子高齢化の中で大臣がどのように対応されるか、ぜひお答えいただきたいと思います。

長妻国務大臣 やはり、これは税金でもございます。しかし、その一方で、約束されているということでもございます。

 いずれにしましても、かなり大きい金額でもありますので、私としても、その中身を詳細に調査して、それを把握して、どうするかを判断していきたいというふうに考えております。

あべ委員 ありがとうございます。

 この費用、年間二兆円になっておりまして、いわゆる注目を浴びている仕分け以上の額でございますので、ここはしっかりと皆様にお願いをしたいところでございます。

 本当に、マニフェスト違反ではないかということも責められて、大臣、私はおつらい立場ではないかと思います。野党のときは控え目でなくてもいい部分がかなりありまして、私の質問もかなり過激にできるところでありますが、与党になりますと、本当に発言も控え目にしなければいけない、責任を持つがゆえに大変だということでございますが、やはりこの国のためには、一たん出したマニフェストでも国民のために引っ込めるという勇気も必要であると私は思っております。検討をしていただくことも大切でございますが、マニフェストを書きかえていただくという勇気をお持ちいただくことが私は皆様に国民全体が今期待していることだと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

藤村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

藤村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 昨日の本会議に引き続きまして、質問をしてまいります。本日は、特に補正予算の見直しの課題、それから来年度予算の確保等について、長妻大臣にお伺いをしてまいります。よろしくお願いいたします。

 先週十一日から始まりました政府の行政刷新会議によります事業仕分けでありますが、昨日まで前半五日間の日程を終えたということでございます。経済効率性を重視した判定結果にさまざまな波紋が広がっております。

 無駄削減の取り組みは、私たち公明党としても政党として初めて提案をいたしまして、行政改革推進法に明確に規定したものであります。制度の中身にも踏み込んだ仕分け作業を行えば、恒久的な制度改革、またコストの縮減に結びつくものかと思っております。

 しかしながら、明確な判断基準も示されずに、事業の廃止あるいは見直しを連発する作業グループの手法には、各方面から疑問の声も上がっております。パフォーマンスが過ぎるのではないか、仕分け人が各府省の官僚を一方的に断罪するかのような姿が目立ち、公開裁判のようだ、財務省主導の査定が果たして政治主導と言えるのか、そして、査定時間も一項目当たり一時間程度にすぎず、まともな議論は不可能といったものがございます。

 事業仕分けは、あらゆる事業で聖域なく徹底して行うという全体の構想が必要であります。どういうスケジュールで事業仕分けを全事業に及ぼしていくのか、その上で、今回、四百四十七事業を選出した基準も、国民の理解を得るために考えを示すべきだと思います。

 また一方で、国民生活にマイナス影響を及ぼす査定結果では、国民の不安を招きかねないと思います。例えば、深刻な医師不足や救急、周産期医療の過酷な勤務環境などを解決するために地方自治体などを補助する医師確保、救急、周産期対策の補助金等の半額計上は、さきの補正予算の地域医療再生臨時特例交付金の削減もあり、自治体をさらに不安に陥れるものかと思います。

 また、乳がんなど女性特有の病気の予防対策をモデル事業として地方自治体に委託する女性の健康支援対策事業委託費の廃止は、女性の生涯を通じての健康づくり支援に積極的に取り組もうとしている自治体の意欲をそぐと思います。

 女性の社会進出に伴う妊娠、出産年齢の上昇による病気あるいは健康上のトラブルの多様化など、平均寿命が大幅に延びている中で、女性の生涯を通じての健康支援の必要性はさらに高まっているというふうに思います。女性が生涯健康で生きがいのある生活を送るためにも国の支援が重要だ、このことは言うまでもございません。

 幾つか例を述べてまいりましたけれども、今回の仕分け作業による来年度予算の削減は、もともと九十五兆円に水膨れした来年度予算の概算要求をいかに減らすかという焦りが拙速な事業の廃止や見直しを招いているとすれば、これはやはり本末転倒であると思います。現場目線の欠けた乱暴な事業仕分けは、国民生活あるいは地方行政に混乱をもたらします。

 こうした事業仕分けについて、長妻大臣、どのように思われますか。率直な御意見を伺いたいと思います。

長妻国務大臣 お答えを申し上げます。

 この事業仕分けというのは、私は、一言で言えば、非常にすばらしい、画期的な取り組みであるというふうに考えております。

 といいますのも、これまでは密室的に予算の査定が財務省主計局と各省庁で行われ、あるいは無駄削減という観点から厳しい指摘というのはなかなか世間の皆様の目に触れなかったということもあり、今度は衆目、傍聴者も入れ、そして、私も拝見しましたが、インターネット中継でも仕分け人の方々の議論が全面公開されるということであります。

 私としては、そこでいただいた厚生労働省分野の貴重な御指摘を踏まえて、今後どういう形にするか、私なりの結論を出す。

 あるいは、考え方として二つのことを感じましたのは、一つは、事業仕分けで御指摘をいただいたのは必要性の低い事業で、その事業そのものがもう必要性がないんじゃないのか、こういう御指摘。もう一つは、今るるおっしゃられた事業目的というのは私は必要な事業目的だと思います、その事業目的、政策目的は正しくて、やらなければいけないけれども、果たしてこの団体を通してやるのが効果的なのか、あるいは直接、もっと効果的な方法があって、そこに貴重な税金を使う手法の方がいいのではないか、政策目的は間違っていないけれどもそのプロセスに浪費があるのではないかという御指摘。二つに分けて考えていく必要があるというふうに考えております。

古屋(範)委員 大臣から二点について御説明いただきました。

 確かに無駄削減は必要なことでありますし、また、それを国民の前に公開していく、これも重要なことかと思います。

 しかし、最後におっしゃられたように、政策目的が正しい場合、その手法をどうしていくか、また、その判断基準、そして財源の規模、こうした物の考え方というものを今後予算編成に向けてしっかりと明らかにしていっていただきたい。このことを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、各論に入ってまいりますけれども、平成二十一年度補正予算の中で、地域医療再生臨時特例交付金の削減についてお尋ねをしてまいります。

 今、私たち公明党は、生活現場に根差して現場の声をしっかり聞いていこうということで、全国三千人の議員の意見を私たち国会議員が各県に出向きまして吸い上げる、こういう作業を行っております。

 私も、十月、長崎県に行ってまいりました。そこでの地方議員との政策懇談会におきまして、さまざま県下の議員から御意見をいただきました。介護、医師不足、あるいは中小企業支援、保育など、非常に現場からの率直な御意見を伺ってまいりました。特に、長崎は離島の多い県でもありますので、医師不足問題が非常に深刻であるということであります。

 全国にあります九百五十七自治体立病院の約八割が赤字決算という状況の中で、期待が大きかったのは地域医療再生臨時交付金であります。鳩山政権によりまして、全事業一律二十五億円に削減をされました。地方では非常に落胆の声が広がっております。

 長崎県でも、当初、離島の病院の再編ですとか研修医の確保、教育などをセットにした事業に百億、また佐世保・県北の救急医療体制整備に二十五億という計画を立てておりました。百億円事業の中止の連絡があって、急遽、離島、研修医の事業を二十五億円規模に縮小しまして、佐世保・県北分も二十五億円を維持したまま一部修正をしたということでございます。

 また、対馬では、病院の統合に伴う事業費九十億円のうち、五十三億円を基金から充当予定でありましたが、二十億円に減額をしたとのことで、市の負担が増す可能性が出てまいりました。また、研修医の確保、教育では、長崎大病院あるいは国立病院機構長崎医療センター、佐世保市立総合病院に設置予定だった地域医療研修センターの建設と新たな研修プログラムの運用、合計十億円を断念しました。

 長崎県では、新たな研修プログラムの運用など、基金がなくても取り組むべき事業については進める方策を関係者と協議をしたいと、この削減のしわ寄せに自治体は非常に今苦慮をしております。

 大臣、地域医療崩壊が進む地域を根本的に立て直していくためには、二十五億円規模ではやはり解決が困難で、自治体の取り組みを中断させることになってしまいます。政府は次の診療報酬改定時に十分な対応を行うとしておりますけれども、その展開は示されておりません。今回の措置が自治体財政の破綻への引き金とならないよう、十分な財政支援を行うべきであると考えます。

 この臨時特例交付金の削減の影響、また地域医療再生への取り組みについて、大臣のお考えを伺います。

長妻国務大臣 まず、大前提として申し上げたいのは、鳩山政権、鳩山内閣におきましては、医療を再生していく、地域医療の立て直しをするという明確な意思を持っておりまして、例えば、医師不足にも医学部の定員を一・五倍に引き上げていく、あるいは、産科、外科、小児科、急性期医療、これを集中的に支援していく等々のことは大前提としてありまして、地域医療を立て直すということは私も全く同感でございます。

 ただ、そのときに、この地域医療再生臨時特例交付金、基金でございますが、限られた財源でもございまして、私どももこれについては、当初は三千百億円の計画でございましたが、すべて削るというわけではもちろんございませんで、七百五十億円を停止にして、二千三百五十億円はそのまま使っていただくということであります。

 考え方といたしましては、当初は百億円プロジェクトが十地域、二十五億円プロジェクトが八十四地域あったんですが、この百億円についてはまだ場所が決まっていないという段階でもございましたので、地域の数は九十四地域、一つの都道府県に二カ所、二十五億円のプロジェクトをつけさせていただくという形で、箇所数は変えずに百億円の部分を二十五億円ということにさせていただいたところでございまして、その意味で、それぞれの計画も拝見しておりますけれども、病院の改修、増築にもそのお金が使われるということであります。

 いずれにしましても、後段でおっしゃられましたとおり、診療報酬が改定、二年に一度のものが、年末に向けてその取り組みが本格化してまいります。中医協のメンバーもかえて、今議論を進めております。政策目的は質問者と私も同じでございますので、地域医療の立て直しに診療報酬の観点からも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 医学部の定員増ということでありますが、大学を卒業し、また研修医を卒業してくるには、少なくとも十年ぐらいはかかるかと思います。それまで地域の医療の再生というのは待っていられない状況。その中で、今回補正予算でこれだけのものを確保したわけです。

 大臣もその重要性はおわかりになっていて、箇所数は変えずに一部執行停止をしたというふうにおっしゃられていますけれども、病院の建てかえ等、先ほども具体例を申し上げましたけれども、こういう形で地方自治体としてはその分を予定して事業の組み立てをしていたというところもございます。

 診療報酬の改定、これも一つの政策であります。私たちもその観点は、病院の勤務の改善ですとか自治体病院の支援、こういうことを考慮に入れて、こうした政策目的も当然今までも進めてきたわけですが、なかなかそれだけでは賄い切れない地域医療の崩壊というものがございます。ですので、ぜひとも来年度の本予算の中でこうした地域の医療再生に伴う予算の確保、これはしっかりと確保していただきますようお願いをしておきたいというふうに思います。

 続きまして、救急医療の方に移ってまいります。

 私、十月に奈良県へも行ってまいりまして、救急安心センターを訪問してまいりました。

 御記憶にあるかと思いますけれども、奈良では平成十八年に町立大淀病院の入院妊婦の救急搬送依頼が十九の医療機関から受け入れられずに死亡したという事件もございました。その後も何件かこうした救急搬送に伴う事件が奈良で起きました。

 そこで、ことしの十月一日から、看護師らが二十四時間体制で救急医療の相談を受け付けるという救急安心センター事業、シャープ七一一九というものを開始いたしました。たったの二十五日間で一千三百三十六件の相談が寄せられたということであります。医療全体を底上げしていく、体制整備をしていくということも大事ですが、ソフト面の事業としてこういうモデル事業を導入されたわけであります。

 この奈良県版の救急安心センター事業、これはモデル事業として予算が約一億二千万円ということで、一〇〇%国費で実施をされております。救急安心センターという組織が中核となりまして、救急相談員、看護師、消防経験者がそこに常駐をいたしまして医師と相談する体制の中で、県民の方がシャープ七一一九を押すと、県民からの医療や救急搬送に関する相談に、二十四時間、三百六十五日対応することとなっております。搬送先の手配についても相談に乗るということでありました。

 出動要請があったら、重症患者、中等症患者、軽症患者などに仕分けをする、管制をする、トリアージをする、このことをセンターで行いまして、中くらいの患者さんでしたら二次病院、重篤な患者であれば三次病院、救命センターに紹介するというような事業であります。さらに、今後、このシャープ七一一九に情報も入れ、そこで県民の方の救急の受け入れ、それの仕分けのセンターを整備していくよう目標を立てているというお話でございました。

 奈良県では、この救急安心センターを救急医療情報システムの構築の第一歩と考えておりまして、県民の安心、安全の確保が進むことが大いに期待をされております。特に、新型インフルエンザの流行もありまして、そうした相談件数も非常に多くなっているということでありまして、今年度のモデル事業であるために、次をどうするかということが非常に大きな課題となっております。恒久的な制度にしていく必要があると思われます。

 本年度の消防庁の重点施策の一つとして、この三つの地域で実施されているモデル事業の成果を生かして十分な予算を確保していく上で、救急安心センター事業を全国的に展開していくべきと考えております。モデル事業の現状、そして今後の取り組みについて、消防庁にお伺いをしたいと思います。

石井政府参考人 救急安心センターモデル事業について、奈良で実情をごらんになり、事業内容についても今かなり詳細にわたって御指摘をいただいたところでございます。

 私ども、この事業のポイントは、住民の方が救急車を呼ぶ必要があるのかどうか、呼んだ方がいいのかどうか迷われる場合に、そういう不安におこたえできる窓口を全国的に展開を図っていきたい、そういう必要があるだろうということで、まずは今年度、愛知県、大阪市、奈良県の三つの自治体でモデル事業を始めたという経過でございます。

 御指摘もございましたけれども、十月一日からこの三自治体ともにスタートさせておりまして、スタート一カ月の状況ということで地元からお聞きしておるところでは、三つの自治体いずれにおきましても数多くの救急相談が寄せられておるということでありまして、事業の手ごたえを感じておるところでございます。

 今年度のこのモデル事業の予算につきましては、約三億六千八百万ほど計上をお認めいただき、この事業を今年度実施しておるわけでございますが、ぜひこのモデル事業を来年度も続けたいということで、三カ所程度モデル実施の箇所をふやす形で、来年度さらにこの事業の充実を図っていきたい、こういう方針でおるところでございます。

古屋(範)委員 来年度はさらにこのモデル事業をふやしていくことをお考えということでございます。

 人の命にかかわる事業でございますので、私たちもしっかりこの予算の確保を求めてまいりたいというふうに思っております。ぜひ全国展開していただきたいというふうに考えております。

 次に、子育て応援特別手当について質問をしてまいります。

 この子育て応援特別手当、廃止をされました。政府が補正予算に盛り込まれた子育て応援特別手当の凍結に対しまして、国民の失望と、また地方の反発が強まっているということを大臣も実感されているかと思います。

 子育て応援特別手当は、公明党が強力に推進をして、既に欧米諸国で実施をされております幼児教育無償化への第一歩として期待をされておりました。一部の自治体では既に申請手続も始まっておりまして、自治体が支出済みの事務費、また凍結に伴う事務費や広報費用なども必要であります。こうした事態に、全国知事会など地方六団体も抗議声明を提出し、強い懸念を示しております。

 一方では、支給凍結による混乱を防ぐために、市独自で支給をする、こういうことを決めた自治体もありまして、今回の凍結について、地方自治体の実情を一切考慮せず、公約を実現するための財源確保のみを考えた行為だという猛烈な批判の声も上がっております。

 さらに、京都市議会では、支給を心待ちにしていた子育て世帯の期待を踏みにじるもの、地方の実情を聞くことなく一方的に執行を停止したことは国と地方の信頼関係を大きく損なうと、この執行停止を撤回するよう求める抗議の意見書が、自民、公明両党、そして民主系会派の賛成多数で可決をいたしております。

 長妻大臣、一番の問題は、期待をして待っている、本当に当てにしていた国民が失望し、政府に対する信頼を失う、このことが大きな問題かと思います。子育て世代や地方の反発を押し切ってまでも強引に凍結した子育て応援特別手当、この政策の変更理由とともに、執行停止の判断基準についてお伺いをいたします。

長妻国務大臣 まずもって、御指摘の子育て応援特別手当の執行停止につきましては、期待をされておられた皆様、あるいは事務作業をされておられた地方自治体の皆様に心よりおわびを申し上げます。私の方からも、私が書いたおわび状を地方自治体にも発送し、支給対象者の皆様へのおわび状も私自身が書かせていただいたところでございます。

 なぜ執行停止にしたかということでございます。

 この趣旨というのは、おっしゃるとおり、お子様の応援、子育てへの応援ということで、これも私も全く同感をするところでございますが、この子育て応援特別手当については、小学校就学前三年間に属するお子様一人当たり三万六千円支給する、ただ、一回限りという措置でもございます。

 私どもは、政権交代を機に、来年度から子ども手当というものを、これは一回だけではございませんで、中学三年生までのお子様方に対して毎月支給をしていこう、こういう子ども手当、ある意味では子育て応援の恒久的政策も控えているところでございます。限られた財源の中でそういう政策も我々はございますわけでありますので、それも勘案をして、今回、執行停止額が一千百一億円という非常に大きいお金でもございます、そういう趣旨を生かそう、子ども手当の考え方にこの財源を生かしていこう、こういう趣旨で停止をさせていただいたということで、おわび状の中にもそれを明記し、御理解を求めているところであります。

古屋(範)委員 社会全体で子育てを応援していこう、これは私たちも今までも進めてまいりましたし、児童手当、これは公明党が地方から創設をしてきたものでございます。また、累次の拡充も行ってまいりました。その中で、子育て応援特別手当、確かに一回限りではございますが、各家庭にとっては、非常にそれを予定して家計のやりくりというものをしてきたかと思います。

 政権がかわったからといって、そうした一人一人の家庭、あるいはさまざまな影響が及ぶ、こういうことに関しましてはやはり責任を持って執行していただきたい、このように思います。また、子ども手当につきましては、今後、その財源問題ですとか税制の改正等、さらに議論をしっかり深めてまいりたい、このように思います。

 次に、子宮頸がんワクチンの公費助成等について質問してまいります。女性特有のがん対策についてであります。

 現在、日本では、毎年約八千人の方が子宮頸がんに罹患をし、約二千五百人が死亡しております。私たち公明党では、女性特有のがん対策といたしまして、子宮頸がんワクチンの早期承認を一貫して求めてまいりました。そして、ようやく十月十六日に正式に承認が決まりまして、この予防ワクチンの販売が待ち望まれております。

 世界では、このワクチンの有用性を重視いたしまして、接種費用に対する公費助成を行い、子宮頸がんの減少に取り組んでいる国がたくさんあります。収入の多少にかかわらず、より多くの女性に公平な接種機会の提供、そして、希望者全員が受けられるよう、子宮頸がんワクチンへの公費助成を創設すべきというふうに考えます。

 また、私たちが進めてまいりました子宮頸がん、乳がんの無料検診クーポン、これは受診率の向上に非常に役立つ制度であります。この制度をぜひとも来年度以降も継続をしていただきたい、このように思います。

 大臣のお考えをお伺いいたします。

長妻国務大臣 今御指摘をいただきました子宮頸がんワクチンでございますけれども、これは民主党のマニフェストにも「子宮頸がんに関するワクチンの任意接種を促進する。」というのを入れさせていただき、そして、政権交代後の十月十六日に子宮頸がんワクチンについて薬事承認をさせていただいたところでございます。

 これについての公費助成等々に対する御指摘でございますけれども、そういう御指摘も踏まえて、子宮頸がんの予防を図っていくためにどういう方策が効果的か、総合的に我々も議論をしていくということであります。

 子宮頸がんは、御指摘のとおり、二〇〇七年には二千四百四十一人の方がお亡くなりになっておられるというデータもございます。その中で、これは前政権から御検討いただいていた子宮頸がん及び乳がんの無料クーポン券事業というものがございます。これは私も非常にいい政策であるというふうに考えておりますので、もちろん来年度以降も継続をしていくということであります。

古屋(範)委員 最後の質問になります。肝炎対策基本法案についてお伺いをいたします。

 十日に自民、公明両党で肝炎対策基本法案を提出いたしました。この全党一致での成立というものを今目指しております。また、肝炎対策に対する十分な予算の確保をしていきたい、このように考えております。

 民主党におかれても、これに係る法案を既に提出されているところでございます。ぜひとも、肝炎対策に対する十分な予算の確保、これをお願いしたいと思いますが、この肝炎対策基本法の成立、そして予算の確保について、大臣のお考えをお伺いいたします。

長妻国務大臣 今、肝炎対策の御指摘、御質問がございましたが、きょうも傍聴席に来られておられます。先日は、首相官邸で鳩山総理、私もお邪魔しましたけれども、お会いをさせていただいたところであります。

 この基本法案につきましては、今、各党各会派で御議論をいただいて、それが結論を得るということを私も期待をし、そういう議論が進んでいるということを承知しております。

 そして、厚生労働省としては、来年度予算において、C型肝炎の皆様方のインターフェロン治療の自己負担額上限の引き下げのための予算要求もさせていただき、B型肝炎の核酸アナログ製剤の治療薬も助成対象に追加をしようということで、今財政当局とも交渉しているというところでありまして、私としては、そういう助成をきちっと実現してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 肝炎対策の予算の確保を強く求めまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 まず冒頭、長妻大臣初め、副大臣、政務官、少し時期がたちましたけれども、御就任を改めてお祝い申し上げる次第でございます。

 また、大臣におかれましては、先日の本会議でも御答弁をいただきまして感謝申し上げますとともに、鳩山献金問題に対する大臣らしい答弁を期待したところでありますけれども、大変残念な思いをいたしました。

 きょうは、子ども手当をベースに、子育て、少子化対策、こういった問題について、まず大臣のお考えをお聞かせいただきながら議論を深めさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、そもそも、子育ての責務あるいは役割はだれが担うべきなのか。いろいろなお考えがあろうかと思いますけれども、今、少子化社会対策基本法というのを御存じだと思いますけれども、そこには、第一義的責任は父母その他の保護者が有する、こういうふうに書かれているわけであります。

 私も、四人子供がおります。十分に子育てをしているかどうかというのは別にいたしまして、本人の思いとしては、できる限り、私ども夫婦でやれる、あるいは家族でやれることはやっていきたい。また多くの皆さんがそう思っているのではないかと思います。

 そういった気持ち、またそういった思いをベースにして、足らないところを、不足するところを、さまざまな形で国が、あるいは地方公共団体が、地域の皆さん方が御支援をしていく、そんな姿が望ましいのではないかな、今それが十分できているかどうかというのはこちらに置いておいて、ひとつそういう姿というものを、やはりより一層追求していくべきではないかというふうに認識をしておりますけれども、大臣において、その辺の御認識をまずお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 今御指摘をいただきました法律がございまして、少子化社会対策基本法という中にも「少子化に対処するための施策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下」と書いてあるわけで、私もこの考え方は堅持をするということでありますけれども、では、費用の問題であります。

 これまで我々は、子供を育てる費用というのは基本的に親が負担をする、こういう考え方が日本国では昔から当たり前の考え方でありましたけれども、お子様というのは社会保障の担い手でもあります。社会の宝という言葉もございますけれども、そういう意味では、お子様を育てる基本的な経費は社会全体で見ていく、そういう発想を転換する時期に来ているのではないか、こういうふうに考え、私どもとしても、子ども手当等々の政策を打ち出しております。

 一義的な子育ての責任というのはまさに親にあるという法律も、保護者にあるという法律もございますが、その経費、その費用の分担についての考え方というのが時代とともに変わってきているのではないかというふうに考えております。

加藤(勝)委員 今の話、大変重要なところもあると思います。これからその辺も議論をしたいと思います。

 ただ、私、いろいろと世代間でも考え方が違うのかもしれませんけれども、私どもの世代等で話をすれば、やはりまずは自分たちが子供の教育費、育つ費用、それはしっかり負担をしていく。ある意味では、それも私どもが仕事をする一つの動機にもなっているというふうに思いますし、また、そういう姿を見て、子供たちが次の社会人として立派に育ってほしいな、こういう気持ちを持っている方は今でもたくさんおられるんじゃないかな、こういう思いがいたしております。

 それから、次の世代の社会保障の担い手だからという、やや投資財的な見方というのはいかがなものなのかなという思いも、今のお話を聞きながら若干感じたことを申し上げたいと思います。

 その上で、子ども手当の問題について少し話を進めたいと思います。

 マニフェストにおいて、子ども手当の政策目的として、「次代の社会を担う子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援する。」「子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる。」あるいは先般お出しになられました子ども手当法でも、「次代の社会を担う子どもの成長及び発達に資することを目的とする。」こういうように目的規定が書かれているわけでありますけれども、そもそも、これだけの費用、最終的には五兆円を超えるという費用を投入されるわけでありますから、やはり先ほど大臣がおっしゃったように、目的、そして政策手段がそれに適しているか、そういうことをこの問題についてもしっかり議論をしていかなきゃいけないというふうに思います。

 まず、その前提として、この子ども手当、その目的を挙げればいろいろなことを挙げられると思いますけれども、主たる目的、何をねらっているのか、そのことを御答弁いただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず一つは、例えば二〇五五年、そう遠くない将来でございますが、私が仮に生きているとすれば九十五歳であります。加藤委員は何歳でございましょうか。

 既に、二〇五五年、今のまま日本国が推移するとどういう状況になるかというのは基本的に見えておりまして、人口は九千万人程度になる、そして高齢者を支える現役の方が、現役の方一・三人が高齢者お一人を支える、こういう時代になるというのが見えているところであります。今現在は、人口は一億二千万強、そしてお年を召した方を現役世代三人が支える、騎馬戦のような形でお年を召した方を支えておりますが、二〇五五年は肩車ということで、一人の現役世代がお年を召した方一人を支える。

 今ですら、社会保障の担い手論としても、非常に財政が厳しいということもあり、あるいは財政に限らず社会全般、経済も含めて、日本の国の全般で少子高齢化の影響というのもあるというのは事実であります。

 そういう状況が見えている中で、政治として手をこまねいていていいのか。今までも、前政権も含めて大変な御努力をいただいて、少子化対策というのは、いろいろな政策を打ち出してこられたというのは私もよく認識をしておりますけれども、劇的とまでは言わないものの、なかなか改善が難しいという中で、私どもとしては子ども手当ということを考えて、海外の例も参考にしながらそういう政策を立案して、今、実行に移すという状況になっているということを御理解いただければと思います。

加藤(勝)委員 二〇五五年には私は百歳になっているわけでありますけれども、今確認させていただきました。目的は少子化対策である、このことをまず確認をさせていただけたというふうに思いますし、またそこをベースに議論をさせていただきたいと思います。

 その上で、民主党さんの子ども手当、最終的には一月当たり二万六千円、来年度は一万三千円ということであります。そういう数字が出ておりますが、この二万六千円というのはどういう根拠に基づいた数字なのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

長妻国務大臣 この数字につきましては、これは選挙前、政策を立案する過程の中で、基本的なお子様を育てる経費というものを、これはいろいろな考え方がございますけれども、一定の整理のもと、この金額ということを我々としては打ち出させていただいたというふうに理解しております。

加藤(勝)委員 ということは、いろいろな数字は若干あるのでありましょうけれども、考えとしては子供一人に必要なお金、経費であるという御答弁をいただけたというふうに思います。

 ですから、先ほど申し上げましたように、その金額をすべて本当に国が負担しなきゃいけないのか。そこのところは、先ほど申し上げました、やはり基本はまず親が、苦しいけれども子育てをしっかり頑張っていく、その経費も負担していく、私はそういう考え方を持っておりますから、とても全額まで、若干を負担していくというのはこれまでも児童手当はありました、もちろん所得制限がついての話でありますけれども、どうもそこはなじめないものを持っていることを申し上げたいと思います。

 その上で、先日、にっぽん子育て応援団というところが主催しているシンポジウムに行ってまいりまして、私だけではなくて民主党からも、あるいは政府からも福島少子化担当大臣もおいででありましたけれども、そこには各地区で子育て支援を積極的にやっておるNPO等の皆さん方が、本当に北から南から結集をされて集まっておられました。

 その中での議論で、今回、子ども手当というのを民主党さんがマニフェストの中に入れて主張された。そのことによって、子育てというもの、あるいは子育て支援に対してスポットを浴びたことは大変評価する、ありがたいことである。しかし、やはり言われているような金額を、現金給付である子ども手当に集中されたのでは、我々は、というのはその方々が進めているさまざまな子育て支援、そういったものが進まなくなってしまうんじゃないか。逆の言い方をすれば、まず自分たちがいろいろやっている支援をしっかり応援してほしい。その上で、余裕があれば、力があればそういう現金的な給付もしてほしいという声が圧倒的に多かったというふうに思います。それから先ほども、社民党の阿部委員からもそういうお話があったように私は承らせていただきました。

 また、多分、市町村においてそれだけのお金がもしあるのなら、保育所あるいは学童保育の整備等々をもっとやってみたいという声の方が私は強いのではないかなと。

 そして子育てをされている方とお話をしても、もちろん、いただけるものはありがたい、しかし今のような厳しい財政事情の中で、こうした対策に充て得るお金に限りがあるとするならば、やはりもう少し違う方面にも目を配ってほしい、いわゆる現物給付としてのさまざまな支援、あるいは先ほどお話がありましたように、安心して働くことのできる環境整備、こういうことが私は圧倒的に多い声ではないかなというふうに思うわけであります。

 一度決めてしまうと、あるいはもし皆さんがこれから、来年度、再来年度、決めてしまったものをまたもとに戻す、あるいはお金がなくなってほかが必要だからというようなことは、やはり私は適切なことではないというふうに思っております。

 そういう意味で、ここでお聞きをさせていただきたいのは、結果的に、この問題だけが非常に具体的で、そして非常な金額を持っている。それでは、それ以外の子育ての支援サービスであります、例えば保育サービス、もちろんその中には病児保育とか一時預かりも入っているわけであります、放課後児童クラブ、あるいは居場所づくり、地域子育て支援拠点事業等あるわけでありますけれども、これを今の状況で十分だとは思っておられないと思います。

 では、これをどういう水準まで持ち上げていくのか。そしてそういう中で、それもやりながら、おっしゃるような子ども手当、一人二万六千円を毎月払う、そういう姿が本当に描けていけるのかどうか。やはりこのことに対する心配は多くの皆さんが持っておられる。

 二十二年度の概算要求を見ても、残念ながら、今私が申し上げたものは事項要求というレベルなんですね。財務大臣のお言葉をかりれば、いや、単に書いてあるだけだよ、こういうような話でありまして、そういう事業を支援されている皆さんからすれば、まさにこれでは本当に一点豪華主義、マニフェストに書いてあることはやるけれどもということになっては困る、こういう切実な声があることを大臣はどのように受けとめておられるのか。

 そして、今申し上げた現金給付以外のさまざまな施策について、これから何年かけて、どういう水準に設定していこうとしておるのか。そして、それに対してどのぐらいの費用を考えているのか、そういった点についてお話をいただきたいと思います。

長妻国務大臣 今御指摘をいただきましたとおり、子育て支援、少子化対策というものは一面的な政策だけで実現できるわけではない。

 具体的に言えば、大きくは三つあるのではないか。子ども手当のような現金の支給による政策が一つ。もう一つは御指摘いただいたような現物給付ということで、保育所の整備や放課後クラブの整備、病後のお子様も預かるような保育所の整備、質の高い保育サービス。そして三番目は、いわゆるワーク・ライフ・バランスと言われております仕事と生活の調和、この三つがセットで初めて政策が実現できるということは私も心得ております。

 その中で、なかなか出生率が、かなりのスピードで改善をするというところまで今日本はいっていない。しかしその一方で、お子さんを産みたいという希望を持っておられる方はいるけれども、結果的にはなかなか産めない、そういう状況が今起こっているのも現実でございます。その中で、子ども手当というのを一つ大きな政策の柱として、現状を打開する政策として我々は掲げております。

 そして、今言われた保育サービス、学童クラブも含めた現物給付の部分につきましても、これは前政権も待機児童ゼロ作戦というのを進められておりまして、その部分の非常に有効な部分は私どもも、今後ともそれを継続させていただくということでございまして、さらに保育所の整備を加速していこうということで、これは御指摘のように事項要求ということでございます。

 まさに、加藤委員は主計局でらつ腕を振るっておられた過去があるので、そこら辺の財務省の厳しさというのはよく御存じだと思いますけれども、それを乗り越えて、私どもといたしましては、そういう財源をつけて現物給付の部分も取り組んでいくということは、これは前政権の有効な手段を引き継いだ上で、さらに取り組みを進めてまいる所存でございます。

加藤(勝)委員 私が申し上げたかったのは、現金給付がだめだということを言っているのではなくて、やはり全体のグランドデザインを示す中で、そして当然、それには負担がかかってまいります。まずそこのグランドデザインを、少なくともこうした少子化対策というパッケージの中で、できれば医療、介護、年金等、全体の社会保障の姿をお示しいただいて、そして大体このぐらいになるよ、現金給付はこのぐらいですよ、そのかわり現物給付あるいはワーク・ライフ・バランスもこういった形で支援ができますよ、やはりそういう姿を見せていただかないと、これだけのお金をある部分だけ、はい、どうぞと言われても、わかりましたというふうには私はなかなか言えないのではないか。

 これは私だけじゃなくて、多くの皆さん方が先ほど申し上げたようなお話をされる。それから新聞の論評を見ても、そういう論評が多いですね。その背景には、事のよしあしというよりは、やはり将来のデザインをしっかり決める中でこれだけ大きい歳出というものを位置づけていかなければ心配なんだ、そういう切実な声があるということを御認識いただきたいというふうに思います。

 その上で、次に行かせていただきたいと思います。

 今回の子ども手当につきまして、今申し上げた財源との絡みもありますけれども、私は、この子ども手当と、それから今議論されている扶養控除等々をどう廃止していくのか。あるいは、児童手当及びそれ以外もあるのかどうかわかりませんけれども、今既に支給されているものを廃止する、あるいはこの中に吸収する、こういう全体の中で今回の措置というものは効果が図られていくのではないかというふうに思うんですけれども、なかなかその辺の姿が見えてきていない。支給は大臣のマターなのか、あるいは扶養控除になるとこれは財務大臣になるのか、その辺はわかりませんけれども、ぜひ、トータルとしての姿を私は出していただきたい。その延長の中にいわゆる給付つき税額控除みたいな議論も当然出てくるんじゃないかというふうに思っておりますので、これはひとつお願いをしておきたいと思います。

 その上で、子ども手当の場合、今、国が一〇〇%負担する、こういうお話になっていると思いますけれども、少子化対策にはさまざまな施策があります。今日、国、都道府県、市町村、事業主そして利用者、保護者というべきでしょうか、がそれぞれ負担をされているわけでありますけれども、これから、こうした少子化対策は国が全面的に負担をしてやっていくんだ、こういうお考えなのか、この辺のバランスというものをどういう考え方に立ってこれから進めていこうとされているのか、お示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これは、平成二十二年度の概算要求でも、厚生労働省といたしましては全額国費という考え方で概算要求をさせていただいております。私としては、今後、財政当局あるいは内閣の意向というのもございましょうが、厚生労働省としては全額国費ということで要求をさせていただいております。

加藤(勝)委員 私がお聞かせいただきたかったのは子ども手当の話ではなくて、子ども手当を一〇〇%国費とすると、それ以外の施策の今の費用分担、これも当然考え直していくべきだと思うんですね。その辺のお考えをお聞かせいただきたかった。

 例えば、保育所あるいはさまざまな学童保育、さまざまな支援事業については、国と地方公共団体、事業主、利用者、それぞれに負担を求めておられますよね。そういった問題についてどうお考えになっておられるのかというところを教えていただきたかったんですが。

長妻国務大臣 御指摘のとおり、例えば学童保育等々につきましては、今、事業主負担の財源を使ってその政策を実行しているということがございます。そうしたときに、子ども手当が全額国費になると、ではその部分はどういう考え方なのか、こういう御指摘だと思いますけれども、これは今後、概算要求、十二月末に向けて、内閣での議論を通じて、その部分についても私どもとしては決定をしていきたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 新しく政策を転換していかれるわけでありますから、そうした基本的な考え方、もちろんケース・バイ・ケースということはあるとは思いますけれども、はっきりさせて進めていただきたいと思います。

 それから、子ども手当の支給について所得制限をつけられない、こういう御主張でありました。その主張はその主張とした上で、例えば今、児童扶養手当、これも所得制限がついていますね。こういうものについて、あるいは保育所の保育料についてはいわゆる応能負担という形になっているんですけれども、そういった所得制限やあるいは応能負担といった考え方について、この少子化対策の中において、これからどう位置づけていかれるのか。いや、もう所得制限はしないんだということでお考えになっておられるのか、そこを教えていただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、今私どもが実行しようとしております子ども手当については、御指摘いただいたとおり、所得制限がないという考え方のもと概算要求をさせていただいているところであります。子ども手当が所得制限がないから、直ちに、今現在、各種保育サービス、子育て応援のサービスについてもそういう考え方、所得制限を一律なくす、応能負担をなくす、そういうことにはすぐにはつながらないというふうに考えております。

加藤(勝)委員 一番近いのは児童扶養手当だと思いますけれども、当然そういったことも議論をしていかなければならないと思います。

 この子ども手当、先ほど申し上げたように、多くの方は確かに関心がある。しかし、一点豪華主義でこれだけ行かれるのは大丈夫かという不安があるということを、もう既によく御認識だとは思います。その認識を払拭するためにはやはり全体のグランドデザインというものを、十年後なのか五年後なのか、これはいろいろあると思いますけれども、出した上でその実現を図っていかれる、私はそれが本当の筋ではないかと思いますし、当然、そのときにはかなりの費用負担になると思います。その財源もどうしていくのか。やはりこの議論から逃げてしまったのでは国民の安心というのは実現できないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、中医協の委員の任命についてちょっと教えていただきたいと思います。

 今回、中央社会保険医療協議会の委員について改選が行われたわけでございます。その中で、これまでの慣例として、一期が二年でありますから三期六年、これを超えれば改選するということでございまして、その対象者が二名おられます。しかし、それ以外の七名の方について、三名が再任をされた一方で、四名の方が新しい方になっているわけであります。

 こうした状況の中で、御承知のように、社会保険医療協議会法の第三条に、これは中央協議会ですから、中央協議会は「次に掲げる委員二十人をもつて組織する。」こう書いてありまして、その第二号に「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」、こういうふうに書かれているわけでございます。

 今回、新たに四人の方が委員として任命をされているわけでございますけれども、この四人の方々が、どういう形で今申し上げた医師、歯科医師及び薬剤師を代表しておられるのか、その辺の御見解をお教えいただきたいと思います。

長妻国務大臣 政権交代をしてこの中医協のメンバーが、これは任期途中ということではもちろんございませんで、任期が切れた後、委員の入れかえがあったということでございます。

 この中医協というのは、御存じのように、巨額な医療費をどこに幾ら配分するのか、一円単位で事細かく決めていく一つの審議会でもございまして、その役割というのは、医療政策を立案、実行する上で非常に大きな役割を果たす、地域医療再生にも大きな役割を果たす組織であるというふうに考えております。

 その中で、これまでの慣例どおりに、ある意味では自動的に決まっていくということではなくて、しかし、今言われたような法律の定めもございますので、一定の、地域医療を代表される方々という観点でこういう新しい人選を、任期切れに伴って後任を決めさせていただいたということでございます。

 医師会におきましても、私どもも文書等でも説明をして、この人選を決定させていただいたというふうに御理解をいただきたいと思います。

加藤(勝)委員 私がお聞かせいただきたかったのは、この法律による「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」という意味を大臣はどのように解釈されて今回の四名の方を任命されたのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。

長妻国務大臣 具体的にはお名前は申し上げませんけれども、新しく任命申し上げた方でありますが、京都府医師会の副会長をされておられ、かつ、日本医師会の社会保険診療報酬検討委員会の委員長もされておられるということで、非常にその組織を代表されておられるのではないか。そして、もう一人の方は茨城県の医師会の理事をされておられるという方でもございますので、お医者様の全体の意向も酌んだ上での御発言ができる方であるというふうに判断、あるいは総合的な判断をして決めさせていただいたということであります。

加藤(勝)委員 もう一方、ある大学の医学部長というお立場の方がいらっしゃいますが、これはどういう判断によるんですか。

長妻国務大臣 これも今までは、大学の医学部の先生というのは中医協のメンバーとして、私の記憶の限りではおられなかったと思います。地域医療のある意味では中核を担う、そういう大学病院の方にも御議論に参加いただこうという趣旨でございます。この大学の医学部、全国を横断する組織もございまして、そこでも委員を務めておられる方という意味でも、大学あるいは中核病院を代表するという意味で、この先生にお願いをしたというところです。

加藤(勝)委員 そうしますと、大臣の解釈は、例えば医師を代表するというのではなくて、ある部分の医師を、ある地区の医師を代表するということで十分この条文は満たしている、こういうふうに解釈されているということですか。

長妻国務大臣 これはやはり、どういう考え方で中医協を位置づけていくのかということで、ある意味では政権の根幹にかかわる、医療政策、社会保障政策の根幹にかかわる問題でもあると思います。

 従来型の議論でいきますと、日本医師会の役職の方が、ある意味では自動的にそこに当てはまっていく、こういう考え方で前政権も来られてきたわけでございますけれども、お医者様を代表するといったときに、多様な方々の御意見もお伺いする、しかし、やはりその方々はあくまでも代表者でなければならない、こういういろいろな制約要件の中で、私どもとしても、地域医療立て直し等々の観点、そして医療政策における重要な役割を担っている中医協であるという観点から考えて、今回の人選を申し上げたところです。

加藤(勝)委員 正直言ってよくわからなかったんですけれども、大臣がお考えを変えて、法律をお変えになられて、それに従っておやりになるというのはそれは一つの考え方だと思います。しかし、現実には今ここに法律がある以上、いかに政権がかわったとしても法律の方が優先するのは間違いない事実だと私は思っておりまして、そういう意味で、やはりそれにしっかりと対応した、今のお話では、政権がかわったからその辺の解釈も変わってきたんだ、このように受けとめたわけでありますけれども、むしろ、ここはしっかりこの法律を定義していただいて、法律にのっとって対応していただくか、また、必要な改正があれば、それは改正していただくというのが筋ではないかというふうに思います。

 その上でもう一つお聞きしたいのは、その第五項に、「厚生労働大臣は、第一項第一号に掲げる委員の任命に当たつては医療に要する費用を支払う者の立場を適切に代表し得ると認められる者の意見に、同項第二号に掲げる委員の任命に当たつては地域医療の担い手の立場を適切に代表し得ると認められる者の意見に、それぞれ配慮する」、こういうふうに書いてあるのでありますが、この二つ目の「地域医療の担い手の立場を適切に代表し得ると認められる者」というのは、どういう者を大臣はお考えになっておられるのか、そして、今回の一連の任命に当たってどのような配慮をされたのか、教えていただきたいと思います。

長妻国務大臣 まずもって申し上げたいのは、今回も任命申し上げた方は日本医師会のメンバーの方であるということは、まずもって申し上げたいところでございます。

 その中で、「地域医療の担い手の立場を適切に代表し得る」ということでございますけれども、一人の先生は京都府医師会で開業医をされておられるということで、都市部ですので、都市部で開業されておられるそういう御苦労やそこでの御経験というのが反映できるのではないか、そして知見としても、医師会で診療報酬の委員長まで務めておられる方であるということであります。

 もう一人の方は茨城県医師会の理事の方でございますけれども、この方はどちらかといいますと、都市部ではない、地方部分で御奮闘をいただいておられる方であるということ等々も勘案して、そういうお声をお届けいただけるのではないかということも含めた、総合的な結論であります。

加藤(勝)委員 申しわけないんですが、今のは法律とは全く関係ないお答えであります。今のは、任命に当たってどういう者の意見に配慮するかということでありますから、どういう人を任命するかという話とは全く違っているわけでありますから、その辺をやはりしっかり踏まえて任命をしていただくなり、また、任命に当たっての手続を踏んでいただきたいというふうに思います。

 時間がたちましたので、これで終わらせていただきます。

藤村委員長 次に、棚橋泰文君。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。

 まずは、長妻大臣、近い年齢の者として大臣の大臣御就任を心からお祝い申し上げます。と同時に、長妻さんが野党の議員であったときに、私は、長妻さんの言う中身に政党を超えて共感する部分も率直に言ってございました。ですから、ぜひ、大臣なんですから、それを実現していただきたい。大臣は、就任されて約二カ月たつ、野党の議員ではありません。もう今あなたの仕事は、何かを指摘したり何かを発言することではなく、何を実行するかでございます。そういう意味で、厚生労働行政を中心に、本質的な点について具体的な例を挙げながらお尋ねしたいと思います。

 第一に、社会保険庁、新たな機構に移りますね、大臣。移りませんか。では、社会保険庁は新たな機構に移るのかどうか教えてください。新たな形態に変わるのかどうか。お願いいたします。

長妻国務大臣 来年一月から日本年金機構となります。

棚橋委員 それでは、その機構には懲戒処分を受けたかつての、今いる社保庁の職員は一人も雇用されない、当然のことだと思いますが、そのように理解してよろしいでしょうか。イエス、ノーでお願いいたします。

長妻国務大臣 これは既に閣議決定されているところでありますので、イエスです。

棚橋委員 では次に……

藤村委員長 指名をしてから発言をしてください。

 棚橋君。

棚橋委員 では次に、懲戒処分を受けた社保庁の職員は厚生労働省等に雇用される、あるいは国家公務員の身分のまま機構が発足した後に残るということはございますか。それとも、もうそういう方々には簡単に言うとおやめいただくということで間違いありませんか。

長妻国務大臣 この閣議決定といいますのは、御存じのように、日本年金機構には懲戒処分を受けた職員は行かないという閣議決定でございまして、それは私どもとしても遵守をするということを申し上げました。

 この職員の方々については、新しい組織ができるに伴って、行き場がない場合は分限処分ということにもつながるわけでございます。その一方で、私、任命権者、厚生労働大臣には分限回避努力義務という義務も一方では課せられておりますので、こういう方々をどう再就職させるのかということは、私どもも、あらゆる手段、あらゆる方策を今検討しているところでございます。

 前政権におきましても、社保庁で懲戒処分を受けられた方数百人が厚生労働省の正職員として内定をされ、既に働いておられる方もいるというふうに聞いております。我々としては、分限回避努力をしていくということで今取り組んでおります。

棚橋委員 大臣、それは少しおかしくないですか。あなたが今までやってきた年金記録問題に対する追及、これは、もともと社保庁の職員の一部でしょうが、いいかげんなことをしたがゆえに国民に大きな不安を呼んだんですよ。そして、その社保庁にいた、懲戒処分を受けているそういう職員を、会社で言うなら企業が倒産して再生するに当たって生活のために守るわけですか。今民主党席からやじが飛びましたが、懲戒された職員の生活が大事なのか、一生懸命頑張っているけれども雇用をまだ保証されなくて就職口を探している普通の国民が大事なのか。

 大臣は今、分限回避義務があると言いましたが、あなたの職責は、懲戒処分を受けた社会保険庁の職員の職を守ることなのか、それとも、失業率がこれだけ高い中で、少しでも多くの方に、まじめに働く国民の職を守ることなのか、どちらです。

長妻国務大臣 この閣議決定の趣旨というのは、私が考えますのは、年金記録問題というのは、これは五十年前に内部文書がございました。五十年間ある意味では表に出ずに、ずっとここまでひどい状態になるまでほったらかしにされてきた重大問題であって、国家の威信が傷つき、信頼も地に落ちるような問題であった。その中で懲戒処分を受けられた方がその記録問題の回復の作業に携わるということはいかがなものかという趣旨で、懲戒処分の方々に対する日本年金機構への移行は認めないということは私も同感でございます。

 その一方で、裁判所の判例なども含めて、大臣に分限回避努力義務が課せられているというのも実態でございます。既に懲戒処分の方でも民間に再就職が決まっておられる方も何人かいるというふうにも聞いております。そして、前政権においても懲戒処分者を厚生労働省で数百人内定を出しておられるということも聞いております。

 今後、方針を決定しているわけではございませんけれども、そういうことも総合的に判断をして、きちっとした方針を打ち出すということであります。

棚橋委員 大変残念です。長妻委員であればそのような答弁は多分許さなかったと私は思いますが、前政権だったら前政権だったらといつまで言い続けるんですか。もう二カ月ですよ。いつまでも野党のつもりでいないでください。政府なんですから。あなたは国務大臣なんですから。

 では、もう一度聞きますが、年金記録をのぞき見した職員もいますね、関係ないのに記録を、個人のデータを。まず、こういう職員はどうなるのでしょうか。それから、今お話にあったように、年金記録とは直接関係ない理由で懲戒処分を受けた人間は、再雇用ないし機構に移る、どちらかで守られる、国家公務員としてなのか機構の一員なのか、そういうことなんですね。その点をお答えください。

長妻国務大臣 今のお話は、懲戒処分を受けた社会保険庁の職員、のぞき見、年金の記録の不正閲覧ということでございますが、そういうことで懲戒を受けた方も確かにおられます。そして、別の案件で懲戒を受けられた方もおられます。

 私が申し上げているのは、どんな案件であれ、社会保険庁で懲戒を受けた方は日本年金機構には行けません、こういうことを申し上げているところです。

棚橋委員 おかしいじゃないですか。まじめに働いている職員は民間との競争をしながら年金機構に行くわけでしょう。懲戒処分を受けた人間だけが国家公務員で残れるわけですか。今のお話ですとそう聞こえますが、そういうことはないんですよね、もちろん。

長妻国務大臣 私はそういうことは言っておりませんで、何しろ日本年金機構には今申し上げたような考え方で移行するということでありまして、その方々がそのまま分限処分になるのか、あるいは、大臣には分限回避努力義務が課せられておりますので、どういう再就職先を考えるのか、これについて今方針を決定するべく議論をしている、こういうことでございます。

棚橋委員 だから、年金機構にはまじめに働いている職員が行って、懲戒処分を受けた人間が国家公務員で守られるなら、正直者がばかを見るということになりませんか。それだったら、ああ、おれも懲戒処分を受けるようなことをしておけばよかったということになりませんか。

 そうならないために、懲戒処分を受けた職員は、社保庁自体が事実上機構に移るわけでしょう、そうであれば、そこには、機構はもちろんですが、国家公務員としても残っていただくことができないと言うべきではありませんか。もう一度その点、お聞きいたします。

長妻国務大臣 繰り返しになりますけれども、何しろ懲戒処分を受けた方は日本年金機構には行かないということでございまして、そういう方々を今後どういう形で処遇するのかということにつきましては、今、省内あるいはいろいろな方の御意見も聞いて議論をしている最中であるということで、結論が出ればそれは速やかに公表していきたいというふうに考えているところです。

棚橋委員 本当に残念です、長妻さんからはもうちょっと歯切れのいい御答弁があるかと思いましたら、官僚答弁そのものでして。

 もう一度言いますが、簡単に言うと、悪いことをした人間は国家公務員に残って、まじめに働いている人間が機構に行く、これはおかしいと思いますよ。残念ながら、この質問、何度質問しても官僚答弁しか返ってきませんので、もう一つ別の角度から厚生労働大臣の姿勢を教えていただければと思います。

 子ども手当。大臣、給食費を払えない御家庭、これはしようがないです、しかし、払えるのに払わない保護者がいるのは御存じですね。その方々は、まじめに給食費をきちんと払っている保護者の方からすると、大きな、おかしいんじゃないかという声がある。

 そういった中で今回子ども手当を民主党政権としてお出しになるならば、地方自治体等が給食費を子ども手当の中から、お子さんのためなんですから、天引きする制度、これをぜひつくっていただきたいんですが、そのお気持ちはありますか。

長妻国務大臣 確かに今御指摘いただいたような御意見も、委員以外の方からも私も事実いただいております。

 ただ、給食費を払えるのに払わないという方につきましては、やはりこれは別の措置も含めて払っていただくことが必要であるということは、これはもう当然のことでございます。

 その意味で、子ども手当というのは、現金を支給するときに途中でそういう天引き等々の作業が入るということに関して各方面に御理解が得られるかどうかということもございますので、私どもは、今の御指摘の点についてはなかなかすぐここで即答できるという案件ではないというふうに考えております。

棚橋委員 なぜできないんですか。今民主党の議員からもやじが飛びましたが、自治体にやらせろということでしたけれども、これは自治体に全部押しつけていいんですか。現実にはできないからこそ給食費の滞納があるわけじゃないですか。そして、それが多くの、一生懸命家計をやりくりしながら子供のための給食費を払っている保護者の皆様方の不公平感を大変呼んでいる。

 そもそも子ども手当というのは何ですか。お子さんを一生懸命育てるために、子供のためでしょう、極論すれば。それなのになぜ給食費はそこから天引きできないんですか。

 もう一度、その点を教えてください。

長妻国務大臣 払うことができるのに給食費を払わない方を何とかしなさいという、この趣旨は私も全く同感でございますが、それを例えば、じゃ、どんどん拡大してまいりますと、例えば国民健康保険、国保の保険料を払えるのに払っておられない方、お子さんにも保険は適用されるわけですけれども、それも子ども手当から天引きした方が自治体はいいと。じゃ、ほかの保険料も払っておられない方から天引きしてと。じゃ、なぜ給食費だけ天引きして、ほかのものも、そちらの方が徴収コストが安いから天引きをしようということにもなり、議論としては広がる可能性もありまして、まずは私どもとしては子ども手当を支給していくということを実行していきたい。

 そして、今地方というお話がございましたけれども、これはもうよく御存じのように、厚生労働省は、各地域に手足、出先機関が細かくあるわけではございませんで、多くの施策は地方自治体の事務に頼らざるを得ない。地方自治体の御協力なしには厚生労働行政は動かないと言っても過言でないわけでございまして、子ども手当の事務につきましても、地方自治体の皆様に十分御説明をして御協力をいただくというふうに考えております。

棚橋委員 まず、地方にすべて押しつけるのはやめてくれませんか。どうも鳩山内閣の皆さんは、だれかにその責任を押しつけることがしばしば多いんですが。

 もう一度言いますが、お子さんの給食費というのは、まさに子供のために必要な最たるものじゃないですか。私はまだ、国保に関して、そこも徴収してくれなんて言っていませんよ。少なくとも、子ども手当なんですから、子供のために使うんですから、お子さんの一番本質的な給食費の天引きぐらいは認めるべきじゃないんですか。なぜそこが認められないのか。もう一度、できれば後ろからのメモを読まずに自身のお言葉でお答えいただければありがとうございます。

長妻国務大臣 そこについては、これは先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、給食費を、どういう理屈で給食費だけに着目をして、あらかじめ天引きするのか、じゃ、払えるのに払わないということをどういう基準で考えていくのか等々、論点がたくさんあるというふうに考えております。

 私どもとしては、これは来年度からの事業でありますので、これについては基本的には現金でお支払いをするということで取り組んでいきたいと考えておりますので、今御指摘の案件について、直ちにそれを実行するということは今の時点では考えていないということでございます。

棚橋委員 今いみじくも現金でお支払いするという話がありましたが、これは何のためにやるんですか。子供のためでしょう。それなのに、なぜ給食費は天引きできないんですか。そもそも、来年の六月に子ども手当の給付をなさる、これはどう見ても有権者に対する買収じゃないですか、これじゃ。

 いいですか、本当にこの二万六千円が子供に使われるという保証があるならば結構ですけれども、それはないわけですよ。そして、私が給食費を取り上げたのは、これが象徴的事例だからです。あなたは、親御さんが、保護者が給食費を払う能力がありながら払ってくれない、それで給食を食べている子供がどんなにつらい思いで給食を食べているかわかりますか。わかるのならば、二万六千円出すのならば、その中から給食費を天引きしたらどうですか。

 もう一度お答えください。

長妻国務大臣 議論を分けていただきたいと思うんですが、給食費を払えるのに払わない、それはだめですよね、それは。それはだめですよ。当たり前で、そこはきちっと差配していただきたいと思います。

 そして、多分、委員は子ども手当は子供に使われないという御懸念もあると思いますけれども、先ほども申し上げましたように、子ども手当は、お金に色はありませんけれども、それが家庭に入って、お子様がそこに歴然としている家庭に入るわけで、それは、そのお金が、例えば別の生活費にそのお札自体が回ったとしても、そのお子さんを育てるためにはお金はかかるわけです、かすみを食べて生きておられないわけでありますので。そういう意味では、お子様を育てるお金というのは、お子様がいる家庭は確実にかかっているわけでありまして、その基礎的な費用を社会全体で見ていこう、こういう趣旨でございますので、基本的には、お子様がいるということは、そこにお金はかかっているということだと私は認識しております。

棚橋委員 おかしいじゃないですか。今大臣は、給食費が払えるのに払わない親はだめですねとおっしゃいましたよね。この御家庭では、二万六千円もらっても、天引きしなかったら、給食費は払わない、自分の遊びには使うという可能性もあるわけですよ。だからこそ、天引きしたらどうですかと言っているんです。まさに、給食費が払えるのに払わない親はだめなんでしょう。そこに二万六千円渡して、天引きしないんでしょう。どうしてなんですか。給食費を払えるのに払わない親がだめならば、二万六千円はお子さんのためのものだから、そこから給食費だけは天引きしますと言ったらどうですか。

 なぜここにこだわっているかというと、本当にこの二万六千円が子供のためのものなのか、そうでないのかという、民主党政権の本質が問われているからですよ。お答えください。(発言する者あり)

藤村委員長 御静粛に願います。

長妻国務大臣 今のお尋ねでございますけれども、突然のお尋ねでもございますので、私どもとしても、そういうことを実行した場合、どういう論点があるのか、どういう課題があるのか、あるいは、その部分について法律の立案というのが必要になるのかならないのか、そういうことも含めてこれは検討はしていきたいと思いますけれども、今この場で直ちに言われて私が即答をするということは逆に無責任な結果になるというふうに考えておりますので、それはどういう論点があるのかということについては、我々も中で検討していきたいと思いますけれども、それが直ちにお約束できるという段階ではないということは御理解いただきたいと思います。

棚橋委員 申しわけないですが、まず、大臣の答弁、どんどんどんどん後退というか食い違っていますよ。

 先ほど私がこの話をしたときに、そういう指摘は委員以外からもありましたがというお話をされていたから、前からこの問題は認識していたんじゃないですか。しかも、昨日、この厚生労働委員会の理事会で最終的にきょうの委員会が決まったのが夕方ですよね。私、通告出しましたよ、子ども手当についての。

 子ども手当は民主党政権の最大の目玉でしょう。当然制度設計ぐらいはしているんじゃないですか。まして、あなたが大臣になってから二カ月でしょう。その中で一番、こんな象徴的な問題がまだ制度設計していないんですか。

 もう一度伺いますが、子ども手当なんだから、子供に必要な予算に関しては特化して天引きするおつもりがあるのかないのか、もう一度教えてください。

長妻国務大臣 確かに委員からは、きょう子ども手当については聞きますということを……(棚橋委員「昨日です」と呼ぶ)昨日ですか、昨日はいただいたというふうに聞いておりますけれども、個別具体についてここで即答せよというお話はございませんで、これについて本当に、この場で今聞いて、そこで私がそれに伴う論点を持たずに、それはいい悪いと、国会の場で責任ある立場で言うというのはできないということはぜひ御理解をいただきたい。

 ただ、先ほど申し上げましたように、そういう考え方をとるときに、どういう論点があってどういう課題があるのかということは、国会でのお尋ねでもございますので、我々も部内で現状把握をしていくということでございますが、直ちにそれを実行するというお約束はこの場ではできないということも申し添えておきます。

棚橋委員 大臣、大変見事な官僚答弁です。よくまあ二カ月のうちにここまで官僚答弁を身につけたなと。たしか大臣は官僚経験ないはずですけれども、見事なものだなとあきれておりました。

 いいですか、子ども手当の給食費の問題というのは子ども手当の本質なんですよ。つまり、民主党さんが政策構想を出す中で、政権公約をする中で、子供のためにと言っている以上は、この二万六千円のお金が子供に使われるかどうかということを当然詰めているはずなんですよ。まして、あなた、大臣になってもう二カ月でしょう。それなのに詰めてないわけじゃないですか。本当に子供のためなんですか。そこがおかしいでしょう。

 だからもう一度聞きますが、その象徴例として、給食費を払えるのに払わない御家庭に関して、あなたは天引きする制度を設けるつもりがあるのかないのか、もう一度お願いいたします。

長妻国務大臣 別に私は官僚の方から何か答弁を習ったわけでもございませんけれども、やはり常識的に考えて、この場で責任ある立場として、すぐやる、すぐやらないということは即答できないということもぜひ御理解をいただきたい。ベテランの棚橋委員でございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

棚橋委員 こういうふうに国会でざっくばらんに、しかも虚心坦懐議論するというのは当然のことじゃないですか。あなたがよく質問で今までやってきたじゃないですか。

 何よりも、今申し上げているように、子ども手当に関して給食費を天引きするかしないかは、この子ども手当という制度の本質にかかわるものなんですよ。

 本当に子供のために使われるかどうか、それを民主党政権は、あるいは長妻大臣は全く検証しないんですか、してなかったんですか。本当に子供のために使われるのかどうか。我々も、本当に子供のために使われるなら議論の余地はあると思いますが、国民の多くが心配しているのは、残念ながら、ごく一部でしょうが、心ない御家庭を中心に、税金が子供のために使われない、そういうことにならないかということを心配しているんですよ。

 だからこそ、制度設計の中で、せめて前向きに考えるとか、官僚答弁じゃなくて、ことしじゅうにそれを導入する方向で検討するとか、それぐらいは言えないんですか。

長妻国務大臣 いや、私も、棚橋委員の趣旨というのは、なぜそれを考えるに至ったかということは理解できないわけではございませんので。

 先ほど申し上げましたように、それを具体的に実行するときに、ではほかのものはどうするのか、あるいは法的ハードルはどういうものがあるのか、現状、払えるのに給食費を払っておられない方々がどの程度おられて、市町村はどういう対策をして、市町村としては天引きというのが有効だと考えておられるのかどうか、思いつくだけでも数々の論点がございますので、そういう論点につきましては私どもも部内あるいは関係者と協議をして現状把握をしていくということは先ほど来申し上げているところであります。

棚橋委員 本当に残念です。ミスター年金がミスター検討中になったというのは本当なんですね。

 この議論、何度お話ししても、検討中、検討中というお話でしょうから、これ以上は、きょうの委員会では御質問しません。

 もう一点、インフルエンザの問題。

 これは国民の多くが、そしてまた、特に高齢者や基礎的な御病気をお持ちの方あるいはお子さんをお持ちの御家庭、こういう御家庭を中心に物すごく心配をしておりますが、御承知のように、ワクチンを一回打つ、それを、足立さんという政務官がいるんですか、その方が二回に変えた。そしてまた一回に戻した。

 この点、当然大臣としては把握していると思いますが、昨日の本会議でもあなたは、科学的知見に基づいてこれは判断したと言いましたが、では、二回原則として打つと決めたときに、一回打てば重症化しない、生命にかかわるような重症化しない確率がどれぐらいで、二回打てばどれぐらいである、そういう検討は当然なさったんでしょうね。多分、基礎的な数字だからおわかりになると思いますが、一回打てばどれだけの効果があり、二回打てばその効果に何%の方がさらにプラスになるのか、その数値を教えていただければ、あるいはその議論を大臣教えていただければありがとうございます。

 申しわけございませんが、大臣に通告しております。政務官には聞いておりません。

長妻国務大臣 これも先日、本会議でもお尋ねになられましたので私も御説明申し上げましたけれども、私どもはこの新型インフルエンザワクチンの接種の臨床試験ということを実際に実施しております。成人の健康な方へ一回接種するとどういうところまで免疫ができるのか、二回目接種するとどこまでその免疫が上がるのか、あるいは中高生に接種するとどれだけ免疫が上がるのか等々の臨床試験を今実施しているところでございまして、先日、新たな方針を私どもが出させていただきましたのは、成人の方への接種の臨床試験の二回目の結果がその日に出まして、そしてその日に方針を決定して、公表させていただいたということで、その臨床試験の結果に基づいて議論をして、そして、速やかに結果が出て、速やかに方針を打ち出す、こういう手法をこれまでもとらせていただいているところであります。

 これにつきましては、一回接種でいいと一回言い切って、やはり二回がいいですということは、これはもうもちろんあってはならないことでありますので、そういうことがないように我々は取り組んでいる。我々は、一回接種でいいと言って、二回ということを行政として決定したことはございません。

棚橋委員 そういう方向で強く政務官が指導されたという報道は、ではすぐ打ち消されたんですか。翌日に、あるいは少なくとも火、金には定例の閣議がありますから、閣議後の記者会見で今の件、すぐに訂正して、そのようなことはないとおっしゃっていたんですか。

 相当多くの方の、国民の不安を呼んでいましたよ。おっしゃったのかどうか、訂正をすぐにしたのかどうか、大臣、お答えください。

長妻国務大臣 これについては、専門家の御意見はいろいろございましたけれども、行政としての結論というのは、十月の中旬にまずは初めに出し、そして先日、十一月の上旬に出したということでございまして、それにつきましては、経緯も含めて、私の会見でも丁寧に御説明を申し上げたところであります。

棚橋委員 大臣、あるいは今政府の政務三役と言われる方々に申し上げますが、政治主導というのは政治家のわがまま主導ではないんです。

 少し落ちついて考えてみたときに、一回の接種でこれだけ効果があって、二回目接種するとこれだけの方にプラスになるということと、ワクチンの量は限られているわけですから、全国民には打つことができないんですよね。であるならば、一回接種にすれば、大ざっぱに言えば倍の方が打てるわけですよね。倍の方が打てることによる疫学的な、このインフルエンザによって悲劇がもたらされない、そういう考えと、一回目よりも二回目接種が効果があっても半分の方しか打たれなければ、インフルエンザワクチン自体が感染を予防するものではありませんが、とはいえ重篤化を防げる、少なくとも被害を一番小さくできる、そういう検討をするのは当然だと思うんですが、その検討の経過をちょっと教えてください。

長妻国務大臣 私どもも、間違いがないように、総合的に判断をして記者会見等で正式決定を公表させていただいているところであります。

 その意味で、先ほども少し申し上げましたけれども、臨床試験というのを我々もきちっと行って、その結果を見て間違いのない形にしていこうということで、健康成人に対しては一回目接種してどの程度抗体が上がるのか、そして二回目接種の結果も既に出ました。そしてその日に即日我々は方針を公表した。そして、今、妊婦の方々についても、新型インフルエンザワクチンの接種の臨床試験を行っておりまして、十二月中旬に一回接種の結果が出ます。二回接種の結果は一月中旬に出る。それで、中高生でございますけれども、一回目の結果が十二月下旬に出る、一月の下旬に第二回の中間報告が出るということでございます。

 そういう意味で、先日発表をさせていただいたのは、成人の方の二回目接種の結果が出た即日に、私どもといたしましては、健康成人の方は一回接種でいい、そして基礎疾患をお持ちの方につきましても、お医者さんの判断で、免疫機能が後退している方等々を勘案して一回と二回を判断いただく、そういうことを発表させていただいているところであります。

棚橋委員 委員長、答弁をきちんとさせてください。私が聞いたのは、今例えば臨床試験をしたというならば、一回目の接種によってどれだけ効果があって、二回目の接種によってどれだけ上増し効果があって、一方で、倍の方に打てるのとそうでないのでは、疫学的に見てもどれだけ国民の一番最悪のことが防げるか、それを聞いているんです。それを答えていないですよ。委員長、答えさせてください。お願いします。

藤村委員長 それでは、足立政務官、時間が過ぎていますので、端的に短くお答えください。

棚橋委員 いや、委員長、申しわけないですけれども、大臣に聞いております。

藤村委員長 私は、足立政務官をまず指名いたしました。

棚橋委員 委員長、私は、申しわけございませんが、大臣しか質問通告を出しておりません。大臣が手を挙げていますから、大臣にお願いします。

藤村委員長 では、長妻大臣。

長妻国務大臣 これは、私どももきちっとしたペーパーをこの委員会に提出しようと思います。

 今、数字というのは、先ほど申し上げましたように、成人の方に第一回目に打ったときに、抗体が効果があるまで上がった方の数字はあります。そして、二回目打ってどこまで抗体が上がったかの数字はあります。それについて今持ち合わせておりませんので、突然のお尋ねですので……。

 これは、委員……(棚橋委員「何で隠すんですか」と呼ぶ)いや、隠していないですよ。委員、この国会の場で私は責任ある数字を、別に隠しているわけではなくて、資料はありますよ、あります、もしそうであれば、事前にそれを……

藤村委員長 長妻さん、時間が過ぎていますので、短く。

長妻国務大臣 聞くということを言っていただければ、私もきちっとその数字を頭に入れて答弁する予定にしておりますけれども、今ここに数字はございますが、これが本当に棚橋委員が言われた数字を適切に反映しているものなのかどうかについて、私もきちっと見ますので。この数字を別に隠しているわけではございません。これについてきちっと出しますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。

藤村委員長 棚橋君、時間が過ぎています。短くまとめてください。

棚橋委員 私が言っているものかどうかは別にして、今お手持ちの数字だけを教えてください。今お手持ちの数字を教えてください。

藤村委員長 時間が過ぎていますので、では、手短に今の質問にのみ答えてください。

 長妻大臣、短く答えてください。

長妻国務大臣 ここに今数字は確かにございますけれども、これは別に隠しているわけじゃないんですよ、棚橋委員。これは、責任ある数字を、この質疑というのはインターネットの中継でも流れていて、国民の皆様方もごらんになっておられます。この数字についてきちっとしたペーパーをお出しするというふうに申し上げておりますので、ぜひそれをごらんいただきたいというふうに思います。

藤村委員長 棚橋委員、時間が過ぎましたので、短くまとめてください。

棚橋委員 残念です。民主党の委員長が数字だけ答えるようにとおっしゃったにもかかわらず、大臣が手元に数字がありながら出さない。何があるのか。大変残念ですが、くれぐれも、厚生労働大臣ないし政務三役というのは、素人的に、素人政権でやられると国民が物すごく不安で迷惑。ぜひその点を重々御重責を認識していただきますことをお願い申し上げまして、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 雇用情勢の改善が見られません。総務省が先月三十日に発表した労働力調査によると、九月の失業者数は、実数で、前月から二万人ふえ、三百六十三万人に上り、十一カ月連続の増加であります。

 雇用調整助成金など、二百五十万人とも言われる企業内失業を入れると失業率九%に上るのではないか、このような野村証券金融経済研究所の指摘などもございます。

 政府は、再び年越し派遣村をつくらない、こういうかけ声のもとに十月二十三日に緊急雇用対策を発表し、また、二次補正も取りざたをされています。手続の煩雑さや体制の強化は課題としてあるものの、ワンストップサービスや住居の確保などが確実にやられていくことを期待したいと思います。

 全労連の調査によると、反貧困ネットワークや日本共産党が参加して諸団体との共同でやられた街頭生活・労働相談、これは四十五都道府県、二百七十八カ所、六千五百八十五件の相談を受け付け、九百六人が生活保護を申請するなど、まさに今ワンストップサービスが広範な国民によって展開をされています。

 大臣には、一つ最初に要望しておきます。ワンストップサービスをワンデーで終わらせないこと、行政もまず断らないこと、そしてたらい回しには絶対しないこと、このことをお願いしておきたいと思います。

 さて、同時に、政権交代を実現させるエネルギーとなったのは、年越し派遣村に象徴される雇用とセーフティーネットの破壊、これを取り戻してほしいという労働者と国民の声でありました。ここに正面から向き合えるかが国会の責務だと思います。

 そこで伺います。

 労働者派遣法の抜本改正についてです。

 来通常国会に提出するために、年内の取りまとめに向けて労政審の審議がやられております。ところが、労政審の担当部会の議論では、先ほど阿部委員からも少し紹介がありましたが、使用者委員からも、製造業四十七万、一般事務派遣二十八万、合わせて七十五万人が禁止の対象になり、これは派遣切りを促進する法案になるとか、勤労者の職業選択の自由を侵すもので憲法違反だなどと驚くような議論がやられております。

 そもそも、十月十五日の職業安定分科会労働力需給制度部会において清家座長は、前回の答申、つまり旧政府案をベースに議論を進めてもらいたいと発言をしているんです。これでは、政権がかわっても中身が変わりようがないではありませんか。

 質問は、改正案の検討に当たっては、少なくとも、前国会に民主党、社民党、国民新党が出された三党案がベースになるものではないのか、伺います。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今回の連立政権の三党政策合意にもございますように、登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止等々のものについて、この十月七日に私の名前で、労働政策審議会、いわゆる労政審にこれを諮問させていただき、今精力的に御議論をいただいている。いろいろな意見がその中で闘わせられているということは私も承知をしておりますけれども、こういう論点について私の方から諮問をさせていただいております。

 いずれにしましても、この審議会の結論を踏まえながら、私自身が法案の内容の最終的な決定を行って、来年の通常国会への法案提出を目指してまいりますので、この連立合意の範囲の中で法案を作成していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今ちょっと思いがけない答弁でございました。大臣自身が労政審に対して、三党案が出された原則禁止について、製造業派遣や登録型派遣のことだと思いますけれども、諮問をしたとおっしゃいました。

 資料の一枚目をごらんになっていただきたいと思います。まさしく長妻大臣の名前による十月七日の諮問書であります。「今後の労働者派遣制度の在り方について」。

 下の段の方を見ていただきたいんですけれども、「上記の法律案において措置することとしていた事項のほか、製造業務への派遣や登録型派遣の今後の在り方、違法派遣の場合の派遣先との雇用契約の成立促進等、派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進のために追加的に措置すべき事項についても検討を行い、改めて法律案を提出する必要が生じている。」

 この文面ではあくまでも「在り方」なんですね。ですから、禁止をしたい、あるいは、もっと規制を強めたいという政府のメッセージは全く伝わりません。だから、座長が旧政府案をベースにとおっしゃったのではないですか。

長妻国務大臣 御存じのように、この労政審というのは普通の審議会ではございませんで、法律に基づく審議会、かつILO、国際機関などからも、労使が入った形での議論というのは要請があるわけでございまして、この諮問の文章にもございますように、冒頭でも「近年、日雇派遣など社会的に問題のある形態」云々の記述で課題をここで例示し、そして「改めて法律案を提出する必要が生じている。」ということも申し上げ、具体的には、登録型派遣の原則禁止の論点、製造業派遣原則禁止の論点、日雇い派遣禁止の範囲、マージン率の労働者への通知の是非、派遣労働者と派遣先の労働者との均等・均衡待遇等々についての論点について御議論をいただくということで申し上げているところでございます。

 いずれにしましても、最終的にその御議論を踏まえて私が法律を判断して、来年の通常国会を目指して今議論をしていただいているということでございます。

高橋(千)委員 ですから、ILOが言っているのは、政府が政策を変更する、決定するにおいては、労働者、使用者それぞれの審議会を持って、公益委員も、三者入っていますけれども、決定をするように、検討をするようにということを言っているのであって、政府のメッセージが聞こえてこない、禁止やあるいは規制強化というようなことを考えているというのが伝わってこないんじゃないかということを指摘しているのであります。そこまでILOが、そういうふうなやんわりとした表現じゃなければだめだと言っているわけではない。最初から諮問がこうであるから、中身も旧政府の枠を出ないのではないかということを指摘させていただきました。

 ただ、今、私自身が決意をするとおっしゃっておりますので重ねて伺いますけれども、例えば日米の大企業が集まる日米財界人会議が三日に共同声明を発表しました。その中で、非正規雇用の正社員化は非生産的な対策でしかないと発言をしています。低賃金諸国と日米両国の競争がますます激しくなっている中で、企業に厳格かつ硬直的な労働法規や社会的規制を課すことに両協議会は懸念を持っている、このような指摘をしているわけですね。

 そうすると、国際競争だからという話になると、やはり低賃金で使い捨て自由の雇用のシステムの維持が求められる。そして、先ほど紹介したような、労政審の中に出てくる使用者側の意見というのも、まさにここに共通するものがあるわけです。

 こういう理論にくみする立場なのか、基本的な立場が問われていると思うんです。せっかく新政権になって、貧困率を初めて発表いたしました。貧困の背景にある雇用の破壊、一千万人が二百万未満のワーキングプアである。これと本当に向き合って、正社員が当たり前のルールをつくっていく決意があるのか、伺います。

長妻国務大臣 今御指摘をいただいた話でございますけれども、恐らくこちらにおられる与野党の委員の皆様方も、日本国はこれまでかなり行き過ぎた労働法制等の規制緩和があったということは、おおむね程度の差こそあれ意識を共有しているのではないかと私は信じているところであります。

 そのことによっていろいろなひずみが起こっておりますけれども、これまでは、正社員が企業に雇われる、年功序列賃金体系、企業は家庭のような役割も果たし、社会保障もきちっとそこでは適用され、ある意味では企業単位で社会保障を担っている大きな役割を果たしていた。そのモデルが崩れているというのは、まさに労働法制等の緩和のなれの果てだということは私も十分理解をして、だからこそ、今回のマニフェスト、三党連立合意でもそういうことを書かせていただいているところでございまして、やはり今の状況を立て直すということは私も論をまたないというふうに考えております。

高橋(千)委員 もう一つ議題がございますのでここまでにしますけれども、労働法制緩和のなれの果てだということをおっしゃいましたので、それが本当に抜本改正という形で出てくるように、政府の強いメッセージが必要ではないかということを重ねて指摘をしたいのと、通告をしていましたけれども時間の関係で要望にとどめますが、有期労働契約の問題についても、政府として今研究会が立ち上がっております。

 製造業派遣の禁止などが聞こえてくる中で、また請負や期間工への切りかえなどということも始まっている。あるいは、何年も反復雇用をしていたけれども実は登録型派遣だった、専門業務だから期間制限はないのだと言われて、突然、十七年たって首を切られるとか、そうしたことが現実に起こっているわけですね。ですから、派遣法の抜本改正と有期契約の規制強化、これはどうしてもやらなければならないということを重ねて指摘しておきたいと思います。

 そこで、次にお話ししたいのは、全国に広がる正社員切りの問題であります。工場閉鎖、再編などによる解雇あるいは労働条件の変更が相次ぎ、地域経済や雇用に深刻な影響を与えています。

 資料の二、これは福島民報ですけれども、会津若松市の半導体工場、富士通マイクロエレクトロニクスが、今後FMLと呼びますが、LSI、高密度集積回路製造体制の再編を発表したという、これは一月三十一日の報道であります。従業員千五百人のうち半数近い七百人が配置がえかと報じられています。地域の動揺が中に書かれています。

 めくっていただきますと、資料の三、これは岩手日報であります。同じ会社です。富士通MLの岩手工場。千七百人のうち約千百三十人が再配置対象となり、再配置先が十六カ所になると報じられております。

 岩手県、福島県ともに有効求人倍率は〇・三三倍と大変低いです。この間も、例えば会津地方では、富士通系列のスパンション・ジャパンの会社更生法、六百人近い削減、サティ、中合など大型店の閉店が報じられています。岩手県では、八百七十人の正社員を抱えるソニー千厩テックの工場閉鎖、関東自動車、東芝などの期間社員打ち切りなど、まさに地域経済、雇用に大穴があいている状況であります。

 伺いますが、そもそも再配置という言葉です。富士通が勝手に使っている言葉だと思いますが、そういう概念があるでしょうか。

 その中身なんですが、北九州、京浜、いろいろな地区がございます。身分も正社員から契約社員、ばらばらです。でも、その多くは、退職金を加算して一たん退職させて、新たに契約社員にするというものであります。もちろん賃金とか処遇は割り引かれることになります。

 いずれにしても労働条件の大幅な変更になり、本人の合意なしにはできないと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これは、まずもって、この個別の事案について具体的コメントができないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、一般論といたしましては、裁判の判例などにおいて、殊さら多数回、長期にわたる使用者からの退職勧奨が一定の要件で違法とされた例があるということは承知をしているところであります。

 厚生労働省としては、こうした裁判例の周知啓発により、違法となり得る退職強要がなされないよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ちょっと次の質問の答えを先におっしゃったような気もしないでもないのですが、次の質問をしますのでもう一回答えてください。

 最初の質問は、本人の合意なしにはこうした労働条件の大幅な変更、つまり、配転だったり、一たん退職してまた契約社員になる、こういうふうなことはもちろん基準法からいっても違法であるということを確認したかったのです。

 それから、再配置という言葉はそもそもないと思うのですけれども、では局長に一言確認して。

森山政府参考人 再配置という言葉につきましては、これは企業でつくっている言葉だと思っております。

 法律上その再配置という言葉でいろいろなことが書いてございませんけれども、先ほど来お話ございますように、裁判例等におきまして、その有効性、それからまた効力につきましては、いろいろな判例が出ているところでございます。

高橋(千)委員 非常に歯切れが悪くて……。

 勝手に使っている言葉である、そういう言葉はないということだと思います。それから、本人の合意なしにはできないというのは、基本的にはもう判例でも確立をされているということでよろしいですよね。

 次に行きたいと思うのですけれども、さっきちょっと大臣がお答えになったことが、実はこれなんですね。資料の四を見ていただきたい。これは、このままプリントされて、退職願というものが出ております。富士通MLの会津若松工場の。ここには氏名を書いて判こを押せばいいだけになっております。ところが、その理由について、「今般一身上の都合により二〇〇九年六月三十日付を以て退職いたしたく」と、一身上の都合によりということを最初から会社が書いて、そして本人に書けと。だから、もう文字どおりこれは退職強要になるということでよろしいですね。これは大臣。

長妻国務大臣 これについても、個別の案件についてはお答えできないというのはぜひ御理解をいただきたいと思いますけれども、一般的に、退職を強要していくということに関して、これは最高裁、昭和五十五年七月十日の判決がございまして、いろいろな要件のもとでの判断がなされておりまして、この判例というのを我々も重く受けとめているところでありますけれども、多数回、長期にわたる使用者からの退職勧奨が違法とされたという判例でございます。

 これは、当局といたしましても、この判例の周知啓発にはきちっと取り組んで、こういう基準に基づいて我々も措置をしていこうというふうに考えております。

高橋(千)委員 私は、きょうは長妻大臣に、せっかく大臣になられて、これまでの自民党政権のときの大臣の答弁をひとつ抜け出していただきたい、こういうことを思っているのであります。それが、先ほどの個別の事情ではというお話でございます。

 今紹介をした、この退職願の文章、これは書いているように「一身上の都合により」と書かされている。そうすると、普通はこれは自己都合扱いされるわけですよね。ところが会社側は、雇用保険の関係は会社都合でいいよと言っているのです。わかりますか。一身上の都合という退職願を書かせておきながら、雇用保険の関係は会社都合になっている。何でこんなことをするのでしょう。これは会社の社会的な体裁なわけですよ。社会的に、解雇をしたのではないのだと言っている。だけれども、本人には気の毒だから、一応、雇用保険を受けられるように会社都合にしている、こういう二枚舌を使っているんです。

 こういうことはやはり認めるべきではない。社会的な批判を免れたい一心の身勝手な会社の意図に対して、やはりきちんと物を言っていかなければならない。肝心なことは、こういう意図に対して政府が認める仕組みになっているんですよ。

 例えば、一体何人が再配置に応じたのか、何人が退職したのか、大量雇用変動届を出したのか、あるいは再就職援助計画を出したのか、雇用調整助成金を活用して解雇を回避しようとしたのか、個別企業なので一切答えられませんというわけです。こういう体質を変えるべきではありませんか。多くの労働者を雇用する企業の社会的責任からいっても、大量に離職者を出した場合の数、あるいは企業がとった対策を政府として公表すべきと考えます。

藤村委員長 申し合わせの時間が過ぎていますので、短くお答えください。

長妻国務大臣 今御指摘のように、今御指摘のようにというのはその個別企業のことではございませんけれども、これもあくまで一般論でございますが、行政が問題企業に対してきちんと指導を行っているかどうかということの御懸念もあるのではないかと思います。

 その意味で、今まで指導件数というものを全国ベースでなかなか詳細には公表してこなかったということもございますので、私としては、事務方に、その公表をするとすればどういうやり方があるのかということを検討を命じておりまして、これについては私どもも検討をしております。

 ただ、大量の離職等に関する再就職援助計画を提出するということに関しては、これは全体数字のデータというのは公表しているところでありますけれども、その指導に着目した全体数字のデータというものもどういう形で出すべきか、これはきちっと検討してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 済みません、時間がなくなったので一言だけ要望を言わせてください。

 今、検討という言葉がございましたので、これはミスター検討中であってもいい意味の検討だと受けとめたいと思うのであります。

 再就職援助計画のその一端がこの資料の五枚目なんですよ。つまり、麻生政権が最後にやった経済対策、ふるさと雇用再生特別基金事業、これを使って、富士通から退職になった人を介護施設で雇う。つまり、首を切った企業がまた国の税金で補助金をもらって、新たに、それもちょっぴりですよ、八十人ですよ、こうやって雇用する。ここにまた国が応援している。こういうのが社会的に見て許されるのかということが言われるのです。

 だから、企業に対してもしっかり物が言える、国もそうだし、自治体にも言わせる権限を持たせるということを、ぜひ今後検討されたいと思います。

 以上です。

藤村委員長 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 たった十分ですので、てきぱきといきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、国民の手に政治を奪還するといって、国民の期待を一身に受けて政権交代をして、大臣、副大臣、政務官、御就任されたことを心からお喜び申し上げます。

 そうした民主党政権であるからこそ、ぜひ、国民の常識、世間の常識に照らして、胸にすとんと落ちるような言葉でやはり政治を語ってほしい、そう私は思うんですよ。長妻大臣も、私も何度か御一緒を特にメディアではしましたけれども、私以上にラジカルでしたよ。脱官僚とか天下りの根絶、そういうところに民主党政権への国民の期待がある。私も期待をしておりますから、ぜひその期待を裏切らないようにこれからも政権運営をしていただきたいと思います。

 その点、午前中の議論でもあったんですけれども、あれっと思うことが結構あるんですよね。

 そこで、ちょっと冒頭、大臣、それは確かに天下りの根絶という意味で、齋藤次郎さんの問題、それから私が総理秘書官で同僚だった坂さんの副社長就任の問題、問題ありますよね。ただ、私はある意味でもっと問題だと思うのは、坂さんの後の損保協会の副会長にまた元大蔵官僚、国税庁長官がついているわけですよ。しかも、民主党政権のもとでですよ。しかも、鳩山総理がもう天下りを根絶すると宣言された後に、粛々と損保協会の副会長に元大蔵省の役人がついていることこそ私は問題だと思っていますね。

 これはもう長妻大臣には説明するまでもないですよ。損保協会の副会長というのは、五代、六代じゃないですよ、もう何代にもわたって指定席のように大蔵省が占めてきた。これを鳩山政権が許しているというのが私は信じられないし、それに対して何か全然騒ぎが起きないというのも問題だし、メディアもそうですよ、メディアも指摘していないというのはおかしいと思うんですけれども、長妻大臣、どうですか。

長妻国務大臣 鳩山政権では、天下りを許さないということで、まずは独立行政法人の人事が迫っておりましたので、これの自動的な役所からの天下りというのは、もう全面公募にして、厚生労働省所管の独立行政法人も、今、役員を公募して、ホームページにも載せて、優秀な民間の方が応募をしてきているという報告も受けているところであります。

 その中で、五代続く天下り団体というのは、野党時代も私ども資料請求をして明らかになりました。では、五代がいいのか悪いのか、四代がいいのか悪いのか、三代はどうなのか、この個別案件を見るのは、やはり所管官庁の大臣がその役所の天下り団体等の中身を見て対応するということが原則だと思います。

 私自身は、厚生労働省所管のそういう団体について、補助金をカットする等々第一弾の見直しをいたしましたけれども、それについても今後とも取り組むということです。

江田(憲)委員 いやいや、そういう問題ではなくて、これは独立行政法人でも何でもなくて、損保協会という、これはたしか社団でしたかね、いわば民間の団体なんですよ。そこに、まさに長妻さんがおっしゃっていたように、もう何代も指定席のように、わたりのように同じ省庁が座っているわけですよ。それが鳩山政権の、これはいつでしたかね、十月終わりかにやられているんですよ。それを許しているんですよ。それをどう思いますかと言っているんですよ。

 それはまさに、長妻さんに限らず民主党政権の、これはもうさっきの五代だ、四代だは関係ないんですよ。独法関係ない。要は、これはまさに、これを禁止しなきゃ何のわたりの禁止か、天下りの禁止かというような典型的な事例ですから、こういうことが起こっていることについてどう思いますかと聞いているんです。ちょっと簡潔に。

長妻国務大臣 いや、今、何代にもわたって指定席というお話がありましたので申し上げたところでありますけれども、基本的には、個別の案件については、やはり所管する大臣がそれを判断して対応するというのが初めの原則だというふうに考えております。

江田(憲)委員 だから、そういうことを言っても国民は、私は批判のために批判をしているんじゃないんですよ。そういうことをきっちりやってほしいと思っているんですね。そうじゃないと、今まであなたが政治家としての筋を通してきた意味がないじゃないですか。大臣なんだから、それをきちっとやらないとだめだと言っているんですね。

 もうこれ以上言いません、時間がないので。

 では、長妻大臣が一躍名をはせた年金記録問題というのがありましたね。そこで、平成十九年に、前政権時代に責任検証委員会を設けて、歴代社会保険庁長官が一番責任が重いという結論を出しているんですが、それは同意しますか。する、しないで答えてください。

長妻国務大臣 この消えた年金問題は、先ほどもこの場で答弁いたしましたけれども、五十年前にそういう問題があるという内部文書も出てまいりました。そういう意味では、積もり積もって、表に出ずにそのまま、ある意味ではお上意識といいましょうか、そういう意識もあり、ここまで来てしまったというところで、もちろん歴代の社会保険庁長官の責任というのは大変大きいものがあるというふうに考えております。

江田(憲)委員 それでは、今、歴代社会保険庁長官はどんなところに再就職していますか。これは全部挙げたら切りがないので、二、三挙げてください、固有名詞は要りませんから。どこの団体、それは固有名詞で答えてください。

長妻国務大臣 歴代の社保庁長官でございますけれども、お一人は財団法人厚生年金事業振興団顧問、お一人は財団法人日本障害者スポーツ協会会長、お一人は社団法人国際厚生事業団非常勤理事等々であります。

江田(憲)委員 それでは、厚生労働省所管のことだけに限る今の団体、これははっきり言うと、一番責任の重い方々が今優雅な天下り人生を謳歌しているわけですよ。先ほど冒頭申し上げましたように、国民感情からして許されざるべきこと、そういうことでしょう。

 ですから、所管の団体なんですから、今の天下りの方々をどう今後処遇するんですか、責任追及という意味を含めて。六十歳、六十五歳以上の人は、やめても年金もらえるわけですよ、公務員の共済年金が。しかも割り増しなわけですよ、民間の厚生年金と比べれば。やめても何も困らない。ですが、けじめをつける。

 ここでちょっと、追及してきた一番の急先鋒だったわけですから、大臣としての所見を伺います。

長妻国務大臣 この案件だけではなくて、天下りに甘いというお言葉をいただきましたけれども、かなり厳しく厚生労働省の中で、五代続く団体にはまずは半分補助金をカットし、天下り団体については一律まずは一割補助金をカットし、公益法人も、指定席の案件については、独法だけではなくて、公募も実行するということになっております。それは、あくまでまず第一弾の考え方を示しております。

 その中で、いわゆる天下り団体の弊害、持参金型天下り等々いろいろなパターンがございますけれども、それを見直す中でこれらの問題にも取り組んでいきたいというふうに考えております。

江田(憲)委員 それでは一点確認しますが、鳩山総理がおっしゃった天下りの根絶というのは、これから先天下りを根絶するのであって、これまで天下った人には、そういう補助金だ云々の話がありますけれども、例えばその地位を奪うとか、そういった根絶はしないということで理解してよろしいですか。

長妻国務大臣 いや、そうではございません。

 例えば、私の所管の厚生労働省では、就任して直後に独立行政法人の役員ポストの数を削減いたしましたし、先日は、嘱託という形で非常に見えない不透明な六ポスト、三独立行政法人にございましたけれども、これも年内に廃止するという方針を打ち出しております。

 一回何か宣言をしたら終わりではありませんで、既に天下っておられる部分も含めて、補助金の使い方も含めて見直しを不断にするということで、事業仕分け等でも厚生労働省の団体も指摘を厳しく受けているところであります。

江田(憲)委員 それは迅速な対応だったと思いますよ。さすがは大臣だと思いますよ。

 ですから、すぐ首を切れとは言いませんよ。しかし、一番大臣が追及してきたこの記録問題、国民に多額の損害も与えている。一番の責任者が歴代社会保険庁長官というのであれば、次の任期切れのときに、もうそれ以上天下りさせないということはできるわけでしょう、少なくとも。どうですか。

長妻国務大臣 これは先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、この部分の、天下りも含めて、厚生労働省、多数の天下りの方々、もう既に再就職している方々がおられますので、そういう問題について、補助金あるいは人事の面も含めて今後見直していく、その中で、御指摘の問題も大きなテーマであるというふうに認識しております。

藤村委員長 江田君、時間が過ぎております。取りまとめてください。

江田(憲)委員 はい、わかりました。

 だから、冒頭に言ったんですよ、胸にすとんとね。やはり、民主党政権になったんですから。昔官僚が言っていたようなこと、昔前政権が言っていたようなこと、そんなことを言っていたようでは、期待が大きいだけに本当にすぐこうなりますから。長妻さんは、この人はそういう意味では一番同じ方向を向いている政治家だなと私は思っていたので、ぜひあれしてください。

 委員長、最後に一つだけ。これで終わりますから。

 要は、年金記録問題のように、幹部職員が結果的に多額の損害を国民に与える、そうした場合に、私は、下の方の公務員の責任まで問えとは言いませんけれども、幹部職員にはしっかりと何らかの、損失補てんであるとかそういう責任が問えるような法整備とか制度というのを、ぜひこの民主党政権、国民の常識が通用するこの民主党政権として検討していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

藤村委員長 長妻大臣、手短にお願いします。

長妻国務大臣 御存じのように、今も予算執行責任法という法律があります。一定の要件についてはお役人が個人で弁償する、そういう法律もありますけれども、非常に使い勝手が悪く、ほとんど適用されていないという問題もよく理解しておりますので、これは内閣全体で考える問題でありましょう。私も、その点については今後検討をして、声を上げていきたいというふうに考えております。

江田(憲)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

藤村委員長 内閣提出、新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長妻国務大臣 引き続き、説明を申し上げます。

 ただいま議題となりました新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国内で今般発生している新型インフルエンザについては、季節性インフルエンザと類似する点が多く見られますが、基礎疾患を有する方、妊婦等において重症化する可能性が高いこと、国民の大多数に免疫がないことから、季節性インフルエンザの感染者を大きく上回る感染者が発生し、国民の健康を初め、我が国の社会経済に深刻な影響を与えるおそれがあります。

 このため、政府においては、新型インフルエンザの発生は、国家の危機管理上重大な課題であるとの認識のもと、その対策に総力を挙げて取り組んでいるところであります。

 今回の新型インフルエンザ予防接種については、新型インフルエンザ対策の一つとして、接種の必要性がより高い方に優先的に接種機会を確保しつつ、その他の国民についても接種機会を提供できるよう、厚生労働大臣が実施主体として臨時応急的に実施することとしております。

 このような中、厚生労働大臣が行う新型インフルエンザ予防接種による健康被害を救済するための給付を行うとともに、特例承認を受けた新型インフルエンザワクチンの製造販売業者等に生ずる損失を政府が補償することにより、新型インフルエンザ予防接種の円滑な実施を図ることを目的として、この法律案を提出した次第でございます。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済措置として、厚生労働大臣は、みずからが行う新型インフルエンザ予防接種を受けた方が、疾病にかかり、障害の状態となり、または死亡した場合において、当該疾病、障害または死亡が当該新型インフルエンザ予防接種を受けたことによるものであると認定をしたときは、給付を行うこととしております。

 第二に、政府は、特例承認を受けた新型インフルエンザワクチンの製造販売業者を相手方として、当該製造販売業者から厚生労働大臣が購入する新型インフルエンザワクチンの使用により生じた健康被害に係る損害を賠償すること等により当該企業に生じた損失等について政府が補償することを約する契約を締結することができることとしております。

 なお、この法律の施行期日については、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

藤村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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