衆議院

メインへスキップ



第1号 平成22年1月25日(月曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十二年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    菊田真紀子君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    棚橋 泰文君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    江田 憲司君

平成二十二年一月二十五日(月曜日)

    午後三時三十七分開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡田 康裕君    岡本 英子君

      菊田真紀子君    工藤 仁美君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    棚橋 泰文君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      中島 隆利君    江田 憲司君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十五日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     岡田 康裕君

  園田 康博君     工藤 仁美君

  阿部 知子君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     菊田真紀子君

  工藤 仁美君     園田 康博君

  中島 隆利君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

一月十八日

 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律案(馳浩君外四名提出、第百七十三回国会衆法第六号)

 国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律案(田村憲久君外六名提出、第百七十三回国会衆法第一二号)

 国民年金法等の一部を改正する法律案(長勢甚遠君外五名提出、第百七十三回国会衆法第一三号)

 独立行政法人地域医療機能推進機構法案(内閣提出、第百七十三回国会閣法第八号)

同月二十二日

 雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働関係の基本施策に関する事項

 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項

 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項

以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

藤村委員長 内閣提出、雇用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 雇用保険法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長妻国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 雇用保険財政の収支状況については、現下の厳しい雇用失業情勢のもと、失業等給付費が増加し、積立金を大幅に取り崩すことが必要な状況となっております。

 一方、失業等給付に係る国庫負担については、平成十九年度からの暫定措置として、本来の負担額の百分の五十五に相当する額を負担することとされております。

 このような状況のもと、雇用保険の失業等給付に係る国庫負担について、当初の国庫負担に追加して負担することによって雇用保険制度の当面の安定的運営を確保するとともに、平成二十三年度において、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとし、この法律案を提出した次第でございます。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、国庫は、求職者給付及び雇用継続給付に要する費用の一部に充てるため、当初の国庫の負担に加え、三千五百億円を負担することとしております。

 第二に、雇用保険の国庫負担については、平成二十三年度において、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

藤村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長上田博三君、医薬食品局長高井康行君、職業安定局長森山寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。

 本日、一月二十五日、この衆議院厚生労働委員会、ことし平成二十二年最初の委員会でございます。その最初に質問させていただきます機会をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げたいと存じます。長妻大臣初め関係の皆様方と、しっかりとことし一年も濃密な議論をして、この厚生労働行政を前に向けて進めていければというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。

 時間も限られておりますので、長妻大臣初め関係の皆様方には、簡潔に御答弁をいただきながら議論を深めていければというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、きょうは雇用保険法の改正案が議題ということでございますが、その前に、長妻大臣、予算委員会の答弁を終えて休憩なしに帰ってこられて、大変お疲れのことだと思いますが、まずは、予算委員会でも大きな議論、テーマになっておりました政治倫理の問題について、その法案の前に御質問を申し上げたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、鳩山総理につきまして見解をお聞きしたいというふうに思います。

 この鳩山総理の政治資金の虚偽記載の問題等々、政治と金の問題が大きな話題になっております。予算委員会でも相当議論が深められたと思っておりまして、私もこれを拝聴いたしておりましたが、まだまだこれはしっかり詰めていかなければいけない問題だというふうに思います。

 そこで、まず、今回の鳩山総理の脱税の問題につきまして、長妻大臣に見解をお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 今、脱税というお話がありましたけれども、まだというか、そういうことは今回の一連の中でも断定がされていないというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、この問題については、本人も記者会見で詳細を御説明し、今も、御存じのように、予算委員会の中でも繰り返しお尋ねがあり、それに対してでき得る限り御説明を総理として申し上げている、それを私も横で聞いているという状況でございますので、いつでも説明責任を果たしていくという姿勢で総理は臨んでおられると思います。

大村委員 七年さかのぼって、およそ六億円の税金を払う。億単位の脱税をいたしますと、一般人であれば即逮捕ということになるわけでございますが、今回は上申書のみだということでございます。

 これは、法のもとの平等という観点からすればおかしいというふうに思いませんか。いかがでございますか。

長妻国務大臣 脱税というお言葉でお尋ねいただいているわけでありますけれども、総理も申し上げておりますように、基本的には、きょうの予算委員会でも説明をしておられ、一国の総理大臣でありますので、当然、毎日のぶら下がり、あるいは記者の方からその都度その都度問いを発せられるわけでありまして、それについて本人が知っている限りのことをお答え申し上げるということを、恐らく今後、参議院の予算委員会も開かれると思いますので、その場でも総理は質問に対して回答をできる限りしていく、こういう姿勢で臨んでいくというふうに考えております。

大村委員 鳩山総理の答弁の中に、検察の捜査でここまでだから私は問題ないというような人ごとのような言い方、また開き直りとも言える答弁がありました。私が知らなかったことは捜査でも事実として解明されたとか、検察から違法な支出との指摘はなかったので、基本的に不正な支出はないというふうな答弁が繰り返されておりました。

 今、長妻大臣言われたように総理みずからがそれを説明したということではないというふうに思います。そういう姿勢について、問題だと思われませんか。いかがでございますか。

長妻国務大臣 これについて、私も全体の事実を事細かに承知しているというわけではございませんが、いずれにしても、総理大臣がかなりの時間を割いて、自民党からも事細かに御質問をいただきまして、予算委員会で私もずっと座って聞いておりましたけれども、その中で総理が、本当に御自身が知っている限りのことを説明申し上げる、こういうことを続けて、これからもされていくし、自民党の皆様方から、あるいは記者の方からも御質問があるというふうに思いますので、それについては総理もでき得る限りの回答をされ続けるという姿勢をとられるということである、それは本当に重要な姿勢であるというふうに考えております。

大村委員 長妻大臣は、野党でいろいろな場で質問されたときに、この政治倫理の問題、政治と金の問題は大変厳しく追及をされてきたというふうに思っております。また、民主党自体としても、民主党の議員さんも野党時代は、たとえ捜査中の案件であっても、そうしたものについては非常に、これは厳しくやるんだということを言っておられたというふうに思います。

 しかしながら、今の長妻大臣の御発言、お答えは、どうも歯切れの悪い、奥歯に物が挟まったような言い方だと思います。私は、こうした問題についてもやはり、これは政治家の政治姿勢の問題ですから、一本筋を通してもらって、しっかりと民主党の中でこういったものについての全容を、こういった政治倫理の問題について、さらに厳しくこの全容を明らかにしていくという姿勢を貫いていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。

 あわせて、小沢氏の問題について申し上げたいというふうに思っております。

 小沢氏の政治資金問題について、この問題が昨年来、ずっと日本の政治の大きな大きな議論、話題になっているにもかかわらず、そしてまた、年末から大きな動きがあったにもかかわらず、各閣僚は一斉にこれを擁護しているわけでございまして、非常に異常であり遺憾だというふうに私は思います。

 この点について、今私が申し上げましたように、長妻大臣は、野党議員時代は先頭に立ってこうした問題は追及してきたというふうに思います。この点についてあなたは今何と言っているのか、簡潔に御答弁をよろしくお願い申し上げたい。

長妻国務大臣 小沢幹事長の問題でございますけれども、これはもう御存じのように、おとつい、土曜日、事情聴取に長時間答え、その直後に記者会見を開いて細かく説明をし、その文書を配付する、こういう形で説明をされているというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、小沢幹事長も公党の幹事長でありますので、定例記者会見もございますし、随時記者の方々が説明を求め、それに対して小沢幹事長も答える、こういうことになるというふうに考えております。いずれにしても、節目節目で必要があれば御本人から説明がなされるというふうに考えているところであります。

大村委員 今回の件で、マスコミ、ジャーナリストの中では、まさにこれはコンクリートから裏金へという問題だというふうに言うような人もいます。そんなことまで言われても、民主党の中では擁護する声しか出てこない。これは非常に異常だというふうに私は思います。小沢支配ここにきわまれりだというふうに思うわけでございますが、そんなに小沢さんは怖いですか。あなたはどうですか、小沢さんは怖いですか。

長妻国務大臣 今、裏金という断定的なお言葉がありましたけれども、これは私自身も、今裏金というお話がありましたけれども、検察も含めて、これは裁判所も含め、事実として断定がされている事実というのは具体的に何なのかということが今明らかでない、つまり捜査中の案件だというふうに考えておりまして、その中で、ただ、政治家としては、捜査中でも説明をする、説明責任を果たすということは必要である、そういう立場で幹事長は、土曜日、記者会見を開いてそれを説明申し上げているというふうに考えております。

 いずれにしても、定例記者会見もありますし、記者の方も随時、幹事長にいろいろなことを問いかけて、幹事長も必要があるときにはそれにきちっと答える、こういうことを繰り返していくということだと思います。

大村委員 今までの答弁を聞いておりますと、長妻大臣は、今回の小沢幹事長にはもっともっと説明しなければいけない説明責任があるというふうにお考えということで受け取ってよろしいんですね。もっともっと説明をしなきゃいけない、もっと国民に説明をしなきゃいけない、まだ十分ではないというふうに今答弁されたということで受けとめてよろしいですか。

長妻国務大臣 これは土曜日、事情聴取の直後、かなり長時間にわたって記者会見を開いて、あるいは記者の方に数字の入った紙もお配りを申し上げ説明をしたということであります。

 そういう意味では、繰り返しになりますけれども、記者の方は毎日周りにおられるわけでありますので、節目節目で本人が必要と考えるときには説明をする、こういうことを続けていくということだと思います。

大村委員 節目節目でというのは当たり前のことだと思いますけれども、今の御答弁は、小沢幹事長にやはり説明責任があるというふうに言っていると受けとめていいというふうに感じますけれども、よろしいですね。

 だとすると、その上で、今回これだけ大きな問題になっているということについて、小沢さんの元秘書と国会議員の計三人が逮捕された、このことについてここまで来たということでありますから、私は、小沢幹事長は潔く民主党の幹事長をやめられたらいかがかというふうに思いますけれども、それについて長妻大臣はいかがお考えですか。

長妻国務大臣 これは本当に、今おっしゃられたように、同僚議員が逮捕されるというのは大変残念なことであります。

 ただ、今捜査中ということで事実関係がなかなか確定していない中で、土曜日の記者会見でも御本人から細かく説明がある、こういう段階でありますので、小沢幹事長としても続投ということを言われ、そして党大会でもそれが承認される、今こういう段階だというふうに考えております。

大村委員 大変残念ですね。もうちょっと歯切れのいい明快な答弁がいただけるのかなというふうに思いましたけれども、何か、かばっているのか、擁護しているのか、逃げているのか、よくわかりませんけれども、歯切れの悪い答弁しかいただけなかったということを非常に残念に思います。

 そこで、きょう、財務省の大串政務官にもお越しをいただいております。後ほど雇用保険についてお聞きしたいと思いますが、その前に、今回逮捕された石川代議士の逮捕を考える会、民主党に石川知裕代議士の逮捕を考える会というのができました。十八日にできたんですね。十三人ですか、おられますけれども、どうも、このメンバーの言っていること、内容を聞きますと、十八日に勉強会を結成した、石川容疑者の逮捕が不当だ、法務省から担当者を呼んで事情を聞いたり、釈放を請求するんだというようなことも言っているやに聞いております。

 まさに検察批判の先頭に立っているというふうにとられても仕方がないと思いますが、大串政務官、この石川知裕代議士の逮捕を考える会のメンバーとして、この会はどういう会ですか。御説明いただけますか。

大串大臣政務官 お問い合わせいただきました。

 きょうは雇用保険の財務に関する質問ということでお呼びいただきましたが、今、政治と金の問題もお問い合わせいただきましたのでお答えしますと、当時の会には、同期で集まりましょうということですので、その場に参りました。そして、私は、そこに会が始まる数分前に着いて、会の開会あいさつが始まるときにはその場をもう出ました。その後、そこに戻ることもありませんでしたし、その後、そういう会が開かれているのかも知りません。よって、会がどういう趣旨か、どういう内容か、どういう人がいるのか、私は存じませんので。これが事実関係でございます。

大村委員 呼ばれたから行ったと。しかし、石川代議士の逮捕を考える会という名称でもって声がかかって集まったというふうに報道されています。

 とすると、今の大串政務官の答弁からすると、こういう報道は事実ではないということでよろしいんですか。事実と違うということですか。御答弁いただけますか。

大串大臣政務官 私が知っている事実のみをお答えさせていただきます。

 私は、同期会、同期で話し合う場ということで声がかかったので行きました。会の始まりのあいさつが終わるときにそこを出ました。以後、その場にはおりませんでした。以上が私の知っている事実でございます。

大村委員 この会の会長が福田さんという方だと思いますが、そうした方を中心に、報道によりますと、私が今申し上げたように、石川容疑者の逮捕は不当だとして、法務省から担当者を呼んで聞いて、その上で釈放まで要求したらどうかというような話が報道されております。

 だとすると、今、大串政務官の答弁を聞きますと、政府の一部局である……(発言する者あり)済みません、ちょっと静かにしてもらえませんか。

藤村委員長 静粛に願います。静粛に願います。

 委員の皆様に申し上げます。質問が聞けませんので、静粛に願います。

大村委員 もう一度申し上げます。

 この会はまさに、民主党の二期生の国会議員がこうした検察の動きを牽制するために、検察批判を先頭に立ってやるためにつくった会だというふうに報道されています。したがって、大串政務官は、こんな会はもう解散するというふうにここで言われますか。

大串大臣政務官 今おっしゃっている会が存在するものなのか、それがどういう会なのか、私は存じませんので、解散するかどうかということにも私は答える立場にはございません。

 以上でございます。

大村委員 いずれにしても、こうした、まさに政府の役職に入っている方が五人、この会に入っておられたということで、そういった方が検察批判を先頭に立ってやられるというふうに受け取られるということについて、私は極めて遺憾だと思います。そこはぜひ反省をしていただいて、そうした行動に入らないように、ぜひぜひこれは申し上げておきたいというふうに思っております。

 ということで、この小沢氏の政治資金の問題、それから鳩山総理の脱税の問題、これは引き続きまたいろいろな場でしっかりと追及をしていきたいというふうに思っております。

 続きまして、雇用保険法の改正について申し上げたいと思っております。

 まず、お聞きをいたしたいと思います。民主党マニフェストでは、雇用保険の国庫負担を四分の一に戻すというふうにしております。なぜ二十二年度から戻さないで二十三年度となっているのか。いかがでございますか。

長妻国務大臣 今回の三千五百億円の措置といいますのは、これはもう御存じのように、雇用保険の失業給付の本体部分について、本則としては四分の一は国庫負担を入れる、こういうルールが今まであったんです。ところが、平成十九年度から、例の小泉改革で、社会保障の伸びを一年間二千二百億ずつ自動的に削る、こういう機械的な、問題のある措置がなされて、その一環として、本来は雇用保険本体部分に四分の一の国庫負担を入れなければいけない、そこが例外的に、四分の一を入れなきゃいけないというルールなのに、それがさらに減らされる、こういう新しい例外ルールがつくられたということで、我々はそれを早急に戻さなければならない。そして、雇用も、言うまでもなく、今大変厳しい状況でございますので、それにかんがみると、その措置は緊急になされるべきであるということで、今回の第二次補正でお願いをさせていただいているところであります。

大村委員 いや、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。マニフェストに書いてあることをやるんだったら、何で二十二年度からやらずに二十三年度にするんですかと聞いているんですよ。前段の、関係のないようなことは言わないでくださいな。

 それと、だとすると、今回予算計上した三千五百億円、これについてはその内訳を聞いても全然答えてくれないわけですね。これについて、最初の段階で、素直だと思いますが、厚生労働省の事務方に聞いたところ、三千五百億円の内訳は何だと聞いたら、これは政治的判断であって事務方では答えられないというように言っておりました。

 こんな不透明な予算を計上していいんでしょうか。この三千五百億円の内訳、しっかり今ここでお答えをいただきたいというふうに思います。

長妻国務大臣 今、マニフェストには平成二十二年度なのに早過ぎるというお話がありましたけれども、いろいろほかの案件では遅過ぎるという御批判もいただいておりますけれども、マニフェストで書いてあるよりも早目に、数カ月でございますけれども、今雇用がこれだけ大変で、積立金は四兆円ありますが、これで十分という議論をされる方もいますけれども、過去の事例を見ていただくと、その四兆円の積立金が急速に減るという過去の事例もありますので、我々はそれを入れさせていただいている。

 そして、この三千五百億円の根拠でございますけれども、基本的に、先ほど申し上げましたように、これまでの雇用保険の失業給付本体のルールとしては、四分の一は国庫負担を入れるというルールがずっとこれまであったので、そのルールに基本的には戻したい、こういうことで、我々、財政当局と交渉をいたしまして、この数字になったわけでございます。

大村委員 しっかり答弁していただけませんか。何でそうやって問題をそらすんですか。三千五百億円の中身と聞いているでしょう。答えられないなら答えられない、ないならないと何で言えないんですか、はっきり言ったらどうですか。もういいよ、あなたは何度聞いたって同じことしか言わないから、いいよ、いいよ。

 大串大臣政務官、財務省に聞きます。

 三千五百億円の内訳、これは厚生労働省の事務方が、どうも財務省の主計局から土壇場になって降ってきた予算だからよくわかりませんというような話を言っていたんですよ。これは主計局の方からどんとつけた、こういうことですか。その中身をはっきり言ってください。

大串大臣政務官 今、雇用保険の財政に関するお問い合わせをいただきました。

 三千五百億円を補正予算で措置した理由でございますけれども、今、長妻大臣がおっしゃったのと同じく、基本的には失業保険に関する経理、これは非常に収支が厳しゅうございます。二十一年度においても収支の赤が七千億ほど出るということが見込まれておりますし、二十二年度においてもかなりの赤。これを見越してこの部分の財務の強化を図らなければならないことが一つと、もう一つは、雇用二事業に関して、雇調金の要件を緩和したことで、これに対して財源不足になるということから、積立金から四千四百億円ほど活用するということも当年度予算で考えております。

 これらのことを総合的に勘案して、三千五百億円という数字に至ったということでございます。

大村委員 いずれにしても、今回のこの三千五百億円というのは、今のお話も全部聞いておりますが、ほとんどが二十二年度の支出である、要は二十二年度に積むということなんですね。

 二十一年度末では急速に減るといいながら、それでも失業給付の部分の特会の積立金の残高はこの三月末では五兆円を超えてあるという中で、今回の二十一年度補正、緊急経済対策としての緊急性。この三月には五兆円あるんです。そこに三千五百億円を足す。そのことは、もちろんそれは少ないより多い方がいいんでしょうけれども、それだけじゃないのか、そういう緊急性はないんじゃないのか。ただ単に緊急経済対策を、全体が七・二兆円ですか、要は、この三千五百億円を乗せて初めて七兆円台に乗る、そういう意味でこの三千五百億円がぽんとついたということではないんですか。

 中身がなくて、ただただ七兆円に乗せるということで、ある意味では国民新党の亀井さんがぎゃんぎゃん言ったからぽんとつけたとか、そんな話ではないんですか。それについてはいかがですか。

長妻国務大臣 これはもう御存じのとおり、今回の予算編成の中では、一億、二億必要なお金をつけるのでも非常に大変な、財政の厳しい制約の中で厚生労働省としても交渉をしてまいったわけでありまして、そんな必要のないお金がつくなんということはあり得ないわけでございます。

 私どもとしては、先ほど申し上げましたような、本則に戻していく、こういう基本的な考えの中で、過去、本則のルールよりも減らされてしまった国庫、この過去の分というのも当然あるわけでありまして、いろいろなことを勘案して、財政当局といろいろ交渉をした結果、この数字になったということでございます。

 先ほども大串政務官からもお話がありましたけれども、二十一年度においては、今の措置が、三千五百億の国庫追加がない場合は約八千億円の単年度赤字が生じることが見込まれたということもありますし、二十二年度においても引き続き約七千億円の単年度赤字が見込まれるということもございますし、先ほど申し上げましたように、この四兆円につきましては、ちょうど平成九年の段階でも実は四兆円の積立金があったわけでありますけれども、これが急速に減って、積立金自身が平成十二年には八千億円台になる、こういう急激な悪化というのもありますので、国民の皆様に本当に安心していただく、そういうメッセージとしても、この予算は私は重要だと考えております。

大村委員 いや、そんなことは、我々オペレーションをやってきたからわかっていますよ。

 それでもって、ことしの三月で五兆円、来年度、もしこれがこのままいったとしても四兆円、その状況がある中で、とにかく、私が言っているのは、これは二十一年度、今年度の補正予算で三千五百億円積まなきゃいけない緊急性があるのかと。要は、少ないより多い方がいいに決まっていますよ、それは。だから、これを積みたい、積む、別にそれは邪魔になるわけじゃないから積むわけです。

 積むというのは、積みたいのはわかりますよ。だけれども、これは二十一年度の補正で緊急性があるのか、それとその積算があるのかと聞いたら、まともな答えができないじゃないですか。だから、その点は非常に問題だと。そういう意味で、今回の補正予算に積んで、わざわざそれをやるために雇用保険法の、特会法の改正まで出してくる、そういうことの姿勢を私は問題だと言っているんですよ。

 それでは、先ほど答弁の中にもありましたけれども、今回は失業等給付の方に積み立てる、そこから雇用調整助成金、これについてはちょうど昨年、一年前に雇用調整助成金の要件緩和を行って、そしてさらに補正予算でどんと積んで、二十一年度、七千億円近いような雇用調整助成金の剰余があった、これで雇用が守られてきたというふうに我々も自負をしておりますし、これがある年限といいますか、一年ぐらい過ぎたら、リーマン・ショックの後一年過ぎたら、やはり一年前の雇用状況を加味するから、それはまた条件改定をやらなきゃいけないねというのは、ずっとこれはやってきました。ですから、これをやるのは既定路線だから問題ないと思いますけれども、雇用調整助成金について、来年度、これがもし仮にといいますか、足らなくなるおそれがあるから、それを今回失業等給付の方の積立金から借りるんだというふうにも聞いております。

 私は、そういう複雑な、わかりにくいやり方をやるならば、これは真正面から、当然この雇用調整助成金、雇用二事業のものは企業負担だから、その保険料だから、そこについて、後からまたよくなれば返すんだということもわかりますけれども、そこは一般会計の方から直接どんと入れたらどうですか。そういうふうに真正面から取り組むということは考えていないんですか。それについていかがですか。

長妻国務大臣 これは本当に、先ほどの繰り返しになりますけれども、財源がかなり潤沢にあるような状況であれば、いろいろなことが考えられるというふうに思います。

 今の話というのは、雇調金で雇用二事業の勘定の方が不足する可能性がある場合、失業給付の本体の方から貸し出すということでありますけれども、これはあくまでも貸すということでありまして、もちろん返してもらって、この失業給付の本体部分が厚みを増すような形にして、当然、貸したら貸しっ放しではないわけでありますので、この失業給付の部分も重要である。そして、雇用二事業の部分も重要である。

 しかし、この雇調金の下支えというのは、御存じのように休業補償の一部を国が措置するということでありますので、願わくば、今後景気がよくなって雇調金が全体の金額が少なくなるにつれて二事業からも返済を求めていくということで、そういう意味では、両方苦しい中で我々がその貸し借りというのを考えたところでありまして、後日返還するということであります。

大村委員 いやいや、そういうことじゃなくて、要は、今回三千五百億円積むという理由に、来年度、雇用調整助成金、雇用二事業の方が四千四百億円失業給付から借りるんだ、こういうふうに言うから、そんなことをするぐらいだったら、だって、長妻さん、あなたはずっと、特別会計の中でこういう複雑なやりとりをするなとかいろいろなことを言ってきたでしょう、特別会計のあり方について。だとしたら、そこで四千四百億円、これは別に、特別会計というのは逃げも隠れもするわけじゃないんですから、その間のお金として、失業等給付に積んでさらに借りるということをやるぐらいだったら、来年度の当初予算で一般会計から雇用二事業、雇用調整助成金に貸すか何かして、貸すがだめなら繰り入れして、また後でそれは返してもらうということで予算議決をしておけばいいわけですから、そういうことでやるという方が真正面から素直じゃないんですか。

 だから、わざわざ三千五百億円を二十一年度補正予算で無理やり立てて、そのための理屈の補強のために雇用二事業に借りるんだということを言っているんじゃないんですか。その点についていかがですか、簡潔にお答えください。そんなことが必要あるんですか。

長妻国務大臣 逃げも隠れもしていないわけでありまして、これはもう国会の場でも今も御審議いただき、審議会の場でも公の資料として審議いただき、また今後法律措置としても堂々とそれを出していくということであります。

 その中で、雇用保険、失業保険本体と二事業の関係でありますけれども、当然、雇用調整助成金によって失業給付が事実として抑えられている、こういう部分もあるわけでありまして、そういう意味では、雇用調整助成金が充実することによって失業保険本体の給付費も助かる、こういう関係にもあるわけで、その中で我々は、一般会計、苦しい財源の中で今回のような措置を国会の方にお願いしているということであります。

大村委員 いやいや、そんなことは聞いていないんですよ。だから、私が申し上げているのは、あくまでもそういうのは、雇用調整助成金というのは必要だ、これは我々が一年前に条件改定をやって、これを今年度、二十一年度、七千億円使えるようにして、それでもって雇用を支えた。状況が今の状況ですから、これはまた引き続きやらなきゃいけませんねと、その点の必要性は、これはもうこれまでもずっと敷いてきたレールですからやっていかなきゃいけないと思いますが、財源確保は真正面からやったらどうですかということを言っているんです。

 だから、その点はまた引き続き申し上げていきますが、今回のようなこういうやり方、わかりにくいやり方と、三千五百億円という内訳のないものはいかがなものか、私はそのことは申し上げたいと思います。

 そして、この点についてはまた同僚議員に譲りたいと思いますが、最後、五分だけ残りがありますので、年金記録問題について、本当は幾つか、何点か用意してきたんですが、資料も用意してきたので、これは一点二点お聞きをしたいというふうに思っております。

 資料にありますように、これは十一月二十五日、社会保険庁の資料でございます。コンピューター記録と紙台帳の照合を国家プロジェクトと位置づけて、二十二、二十三年度の二年間に集中的にやるというふうに言っております。それで、二ページ目に、ごらんいただくように、こういった予算で全部で千七百七十九億円の概算要求をわざわざ出し直して、こういうものを要求されました。

 しかし、結果は、全体が半分になったということでございます。鳴り物入りで要求を出しておいて半分になるということでございまして、そういういいかげんな要求、枠組みだったのかというふうに言わざるを得ないと思います。まさにマニフェスト違反と言わざるを得ません。

 そして、申し上げたいのは、この二ページ目と三ページ目のところなんですが、二ページ目の「一、紙台帳等とコンピュータ記録との突合せ」、これは二十二年度からの四年間のこういう工程表がここに書いてあります。それが三ページに行きますと、二十二年度だけ「全体の一割」ということになっております。これはもう、民主党マニフェストに書いてあった、年金記録について二年間でやるということはあきらめたということでよろしいんですね。

長妻国務大臣 これは、我々は言っていることは全く変わっておりませんで、基本的に、よく聞いていただければと思うんですが、この年金記録問題については、四年間でこの対応をする、そして初めの二年間は集中的に対応する、こういうふうに申し上げているところでありまして、紙台帳とコンピューター記録との突き合わせについても、政権一期の四年間で全件を照合するということは変わっておらないわけであります。

 その中で、その予算が少ないというような話もありましたけれども、これは、自民党政権下の平成二十一年度の当初予算、年金記録問題の予算は二百八十四億円でございまして、今回お願いをしている二十二年度の予算は九百十億円ということで、これだけでも三倍、我々は国民の皆様の貴重な税金をお願いして取り組んでいるところでありまして、四年間で全件の紙台帳の照合をするということは変わっているわけではありません。

大村委員 年金記録に関する事業につきましては、二〇〇七年、八年、九年と、特に二〇〇九年度は補正等々で倍増しておりますから、そのことは申し上げておきたいと思います。そこら辺のレールについてはしっかりと我々がやってきたということでありますが、そういう中で、今、長妻大臣が言われるなら、この十一月二十五日の資料で、あなた方は、この四年間はこういうふうにやりますということで出しているわけですね。それで、今回は出さない。

 もし、これは四年間でやるというふうに言う、それと、四年間というのは私も本当は納得していないんですけれども、あなた方のマニフェストには二年でやると書いてあるんですよ、二年でやると。だから、これについて、この二十二年度の、ここの三ページのこれだけじゃなくて、この四年分、どういうふうにやるんだ、そういう工程表をぜひお示ししていただきたい。ここで、工程表を一日も早く出すと、次の委員会の機会まで、委員会の機会か、予算委員会でも資料を要求しようと思いますが、可及的速やかにこれは出すということをお約束いただけませんか。

長妻国務大臣 四年間の工程表ということでございますけれども、二十二年度、二十三年度、二十四年度、二十五年度でございますが、お求めであれば、これをお出し申し上げようというふうに考えております。

 そして、この紙台帳の件では、今もこれを進めているところでありまして、まず第一陣は、これは我々が野党時代に、コンピューターの国民年金の特殊台帳三千三百万枚、これを照合してほしいと強くお願いして、政府が進めているところでありまして、それが今、次々にいい結果が出ているところであります。

 つまり、お気づきになっていない方も、こちらで台帳を照合して、年金額がふえたということでそういう方に通知をして、本人も気づいていなかったということで、記録が戻って再裁定を処理されているという方々が今現在で二万四千六百五十五件ございまして、一件が一人だとすると二万人以上の方がそういうような措置になっておりまして、この紙台帳との照合というのを我々力を入れてどんどんやっていきたいというふうに考えております。

大村委員 今、そういうことを言われるならば、ぜひこれはできるだけ早い機会に、またいろいろな場で資料要求いたしますから、この工程表をお出しいただきたい。その上で、濃密な議論をしていきたいというふうに思います。

 なお、この問題については、年金通帳の問題、年金通帳をやると言ってやめるとか、また、この年金保険料の流用禁止を法案まで出しておいて、これを今回、二千二百数十億、年金の事業費に充てているとか事務費に充てているとか、そういった意味でのマニフェスト違反が山のようにありますから、また引き続きこれはしっかりとただしていきたいというふうに思っております。

 以上です。終わります。

藤村委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 きょうは、補正関連を含めて、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、その前に、今、大村委員からもお話がありました、予算委員会等でも議論がありました、政治とお金。今大臣から御説明がありましたけれども、やはり、常に大臣は国民目線、そして、今現場にいろいろ行かれて、国民の感覚、こういうのを大事にされているというふうに私は認識をしておりますけれども、そういう大臣から見て、今回の鳩山総理のまさに脱税問題あるいは幹事長の献金疑惑の問題について、それぞれ説明されている説明において国民は納得している、理解している、こういうふうにお考えですか、御認識されていますか。

長妻国務大臣 今、総理の案件についてのお尋ねもありましたけれども、やはり総理も、記者会見でも言われ、きょうも予算委員会でも答弁されておりますけれども、自分が知っている限りのことを説明するということを申し上げているというふうに考えております。

 その中で、でき得る限り自分が知っていることを話して、あとは国民の皆様がどう判断をされるかということだと思いますので、総理の姿勢というのは、そういう説明をきちっとしていこう、こういう姿勢が今あるわけでありますので、それを引き続き続ける、こういうことだと思います。

加藤(勝)委員 私が聞きたいのは総理の姿勢ではなくて、長妻大臣から見られて、国民の皆さんがそれで納得しているか、理解しているか、その認識をお伺いしているんです。

長妻国務大臣 いろいろ新聞各紙も、世論調査でそういうような質問をされている新聞も拝見しますけれども、その設問というのが具体的にどういう設問かというのは、私もすべて承知しているわけではありませんけれども、国民の皆様方は、かなりの部分、納得がなかなかできないというようなお話をいただいているのではないかと思いますが、いずれにしても、やはり御本人が、知っている限りのことを説明すると総理は申し上げているわけでありますので、その中で国民の御評価をいただくというのが政治だというふうに考えております。

加藤(勝)委員 要するに、国民を大事にされる、こう標榜しておられる大臣の答弁とはとても思えない。国民が、世論調査で見てわかるように、理解できない、納得できないと言っているものをそのまま看過していこう、こういう姿勢は全く大臣らしくない、こういうことをまず御指摘申し上げたいと思います。

 最初に、新型インフルエンザについて、まず事務方からお伺いしたいんですけれども、現在の感染状況、そして累積の患者数はどうなっていますか。

上田政府参考人 一月十一日から十七日の一週間に医療機関を受診した新型インフルエンザ患者数は全国で約四十八万と推計され、ピークと考えられる十一月二十三から二十九日の週の約百八十九万人から減少しております。

 これまでの累積数は、約一千九百万人と推計をしております。

加藤(勝)委員 いっとき大変危惧をした、まだまだ感染されている方もおられますから、これは気を抜いてはいけないと思いますけれども、ある程度、とりあえずは終息してきているというのは、一つ吉報ではないかと思います。

 それでは、さらに事務方にお伺いしたいんですけれども、昨年、接種回数は一回でいいのか二回でいいのか、さんざんころころ変わったところはもう御承知のとおりでありますけれども、結果として、現在の厚生労働省における基準の中で仮に国民全員に接種するとすれば、一体どれだけのワクチンが必要なのか、あるいは何万回必要なのか、御答弁をお願いします。

上田政府参考人 これは幾つかの前提が必要になりますけれども、接種率が一〇〇%、それから高齢者を除く優先接種対象者は国産ワクチンを使用する、国産ワクチンについては、回数は、成人量換算で、基礎疾患を有する者については一・三五回ぐらいは打つ方もある、あるいは輸入ワクチンはもう全員一回だ、こういう前提でやりますと、約一億三千万回分が必要と推計されます。

加藤(勝)委員 今、大臣、ちょっとお話がありました。また、新聞でも、輸入ワクチンについては、たしか一県だけですか、配分の希望がある。ほかは配分の希望がないということでありますけれども、まず、実数としてとらえて、たしか、今回、購入予定、輸入予定の数量は、国内分で五千四百万回、海外分で九千八百万回、合わせて一億五千二百万回の接種分。

 そして、今お話があったように、約一億三千万回分で足りるということですから、ここでまず二千万回分、当面不要ということになると思います。そして、既に推計患者一千九百万、中には接種されてなった方もいらっしゃると思いますけれども、それを足しただけで四千万。全員が打つわけじゃありませんから、ざっと考えても、輸入ワクチン九千八百万回分の半分近く、あるいはもっとかもしれません、これはどう考えてもこのシーズンの中では必要ないではないか、こう思われるわけであります。

 この点について、これも新聞報道ですけれども、フランス等ではメーカーと転売あるいは契約解消について交渉をしている、こういうことでありますけれども、日本政府として、既に見られる、もちろん、全部返したら何かあったら困るわけでありますけれども、現時点で不要と思われる部分について契約を解消する、そのために契約を再交渉する、こういうお考えはありますか。

長妻国務大臣 この輸入ワクチンについては、委員も経緯をよく御存じのとおり、この輸入ワクチンに頼らざるを得ない、国産ワクチンの製造体制が非常に脆弱であるということがある。その一方で、当時は二回打ちというような国際的な判断の中で、国民の皆様方が、最悪の事態になったときに、御希望をされる皆様に接種をしなければならない、そのときに、実は足りませんということは政府としては許されない、こういう国家の危機管理の中で、我々としては、当時、七千七百万人が接種できる量ということで、当時の、今も同じですけれども、優先接種対象者の全員五千四百万人と、それ以外の健康成人の約三割が希望されたときということで、この回数分を確保したということであります。

 そして、今現在の状況では、今も局長からも答弁されたように、流行が当初考えられていたほどは高まっていない。ただ、第二波が絶対に来ないとも政府としては言い切れる状況ではない。備蓄という考え方もとる必要も一定の部分はある。ただ、それにしても、今申し上げたことを勘案しても、私どもとしては、輸入ワクチンが余る公算が大きいということで、輸入ワクチン二社、ノバルティス社とGSK社でございますが、この二社と今交渉のテーブルに着いている状況であります。

加藤(勝)委員 先ほど、私の質問では、例えば購入数を減らすという意味での交渉をしてはどうかと申し上げたんですが、どういうための交渉をされるんですか。

長妻国務大臣 これは交渉事でございますので、今、委員から御指摘をいただいた点も含めて、二社とテーブルに着いているという状況でございます。

加藤(勝)委員 どの点が必要か、なかなか難しいことはあると思いますけれども、しかし、いずれにしても、国民の税金に係る話でありますから、しっかり交渉していただきたいと思います。

 そこで、私は一つ指摘をしておきたいのは、今回の新型インフルエンザのワクチン接種、国が価格を決めました。その中のワクチン本体が幾らか。たしか八百六十円前後というふうになっていると思いますが、しかし、国内ワクチンは幾らかといったら四百八十円ぐらいなんです。差額の四百円ぐらいは、海外分があるからといって国民の皆さん方に、そして子供さんがいれば、二回接種ならば八百円、この負担を政府がお願いしているわけでありますけれども、仮に減らすということになれば、その負担はしなくていい負担をしている、こういうことになると思いますけれども、その点は大臣、どうお考えですか。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、このワクチンの接種費用というのは、国産の四社そして輸入の二社の加重平均ということ、プラス流通コスト、あるいはお医者さんの注射を打つ手間賃等々について価格が決められているわけであります。これは、打つワクチンによって価格がそれぞれまちまちであるということは国民の皆様の要望にはこたえられないではないかということで、加重平均をして、国産四社、輸入二社、ともに同じ費用として設定をしているところであります。

 その中で、今回の交渉とは、直接的に何か変化が起こるということは、今のところ結びつきはないというふうに考えております。

加藤(勝)委員 結びつきがないといっても、結果的には、仮に本数を減らすというようなことになれば、政府の購入量は減る。しかし、今言った加重平均をされているわけですから、精算し直せば当然安い価格になる。その差額分はだれが、今負担されている方々が過剰に負担をしたということになると私は思います。

 そういうこともあるから、我々は、少なくとも、今回は全額ワクチン代を国が負担して、一回購入しているわけですから、その分だけでも無料にすればいいではないか、こう申し上げてきたわけであります。この議論を繰り返しても仕方がありませんが、しかし、そういう問題があるんだ、そして、この推移によっては、これまで打ってこられた方々が、また、これから打つ方々が、本来の負担以上に負担する可能性があるんだ、このことをしっかり指摘させていただきたいと思います。

 次に、子ども手当に係るシステム経費についてお伺いいたします。

 今回の補正予算で百二十三億計上されております。残念ながら、私どもには、まだ子ども手当の概要、詳細、何ら伝えていただいておりません。一体、いつになったら詳細をお話しいただけるのか。そして、当然のことだと思いますけれども、通常の、例えば金額を少しふやすとか対象を少し広げるというものとは到底違う、皆さんおっしゃっている、根本的に変えるということでありますから、当然、法案ができて、法案が成立して初めてこのシステム経費は支出されると私は認識しておりますけれども、その認識に間違いありませんか。

長妻国務大臣 その前に、ワクチンの件で、先ほど言われて打ち切られたので申し上げますけれども、それは理想的には、すべて無料というのは一番の理想的なことではあるというふうにも思いますけれども、その一方で、財政的な問題もある。そして、今現在、季節性インフルエンザは一回三千円台、これは地方自治体の軽減措置もありますけれども、そういうこともかんがみて本当にぎりぎりの価格設定をしているところで、そこはよく加藤委員も御存じのことだというふうに思います。

 そして、子ども手当のシステム経費でございますけれども、これについて、私どもとしては、第二次補正の中でこの経費を入れさせていただいているということでございます。

加藤(勝)委員 新型インフルエンザのことをおっしゃいましたけれども、そういうこともあるから、これは国が進めた措置ですから、通常の季節性ワクチンとは違うから、いろいろなことがあるので無料にしたらどうかと我々は申し上げたということを再度申し上げておきたいと思います。

 それから二問目のシステムの話は、それは補正に計上されているのは承知しておりますけれども、執行についてお伺いをしたわけでありますので、しっかりお答えいただきたいと思います。

 もう一回申し上げます。

 いつ、子ども手当の詳細な姿をお示しいただけるのか。そして、二点目であります。これだけの大幅なというか根本的な制度改正をされるわけでありますから、当然、国会において法律が成立した上でこの予算は執行されるもの、こういう認識でよろしいんですか。

長妻国務大臣 この子ども手当の制度の詳細ということでありますけれども、これについては、二月初めまでの閣議決定を目指して法案の全体像をお示しできるのではないか、こういうようなスケジュール観で今進んでいるところであります。

 そして、このシステムの経費でありますけれども、これは奨励的な経費ということで、地方自治体がその経費を見越していろいろな作業をされた場合、後日その御請求をいただく、こういうような趣旨となっておりますので、地方自治体からの御請求がいつ来るかということにもかかわってくるというふうに考えております。

加藤(勝)委員 甚だ無責任な答弁じゃないですか。地方公共団体に任せているからと。しかし、やるのは国でしょう。しかも、詳細な姿が出ていないにもかかわらず、一体どうやって地方はシステムを組むんですか。

長妻国務大臣 これは四大臣合意であらあらの仕組みは出ていますし、あと、私どもも、一月十五日の全国厚生労働関係部局長会議というのを開きまして、そこで、全国自治体の担当者の方々をお呼びして、今の時点で判明しているものをお示しするということをしております。

 かねてより、自民党からは、いや、本当にこういうシステムで間に合うのか、もっと事前に準備しろ、こういう御指摘をいただき、あと、地方自治体からも、早目早目に教えてくれ、早目早目にいろいろな措置をしてくれというのは、かねてより何度も何度も我々は要請を受けているところでありまして、そういう意味では、今、心配だという趣旨のお話がありましたけれども、これが本当に我々六月に実際に支給をするということで動いておりますので、これを早目早目にきちっと説明をしていくということで、心配なきように、それを実施する、こういう体制をとっているところであります。

加藤(勝)委員 国会において全くお示しをされずに、要するに国会に関係なくお進めになる、こういうことですね。それだったら、我々がこれから議論する意味も全くない。あえて言えば、前国会のように、ほとんど審議せずに強行採決される、そういうふうにすら我々は受けとめるわけでありまして、我々が早くやってくれと言ったのは、そういうことじゃないんです。昨年の臨時国会に必要なら出されればいいでしょう、そして、そこで審議ができてやれば間に合うじゃないですかという意味で早くやってくれということを申し上げたのであって、国会での議論を無視して早くやってくれということは一言も申し上げたことがないわけでありますけれども、その点、もう一回確認させてください。

長妻国務大臣 これは国会での説明という意味で、今ももちろん説明しているわけでありますし、過去の例でいっても、平成十九年改正、乳幼児加算の創設、あるいは平成十八年の改正、小学校第三学年修了までが小学校修了までということも、かなり前もって地方に準備をいただくということで取り組んでいる、こういう事例もあるやに聞いておりますので、我々としては、本当に地方自治体の皆様の事務が滞りなくできるように、許される範囲内で前倒しであらゆる点について準備をしている、こういう段階でございます。

加藤(勝)委員 いや、全く納得できないんですけれども、少なくとも、先ほど申し上げたように、一部の修正ではない、根本的な見直しである、そういう制度を入れるのであれば、まず国会でしっかり議論し、そして、どういう趨勢になるかわからないわけでありますから、場合によっては修正があるかもしれない。にもかかわらず、どうぞ地方でやってください、地方の、しかもさっきおっしゃった、奨励的だということでありますから、地方の判断でやってください、変わった場合の責任は地方が持ってください、こういう姿勢で責任ある行政が進むんでしょうか。

 そして、この中身についても、親御さんがいらっしゃらない、こういう事情で児童福祉施設に入っておられる子供さん、残念ながら、今児童手当は支給されておりませんけれども、その取り扱いについてはこれから検討するという新聞記事がありました。こういった問題も含めて、まだ中身が詰められていない。それにもかかわらず、進めてください、こういうことですか。

長妻国務大臣 これは誤解なきようにお願いしたいんですが、国会軽視ではございませんで、根幹にかかわることについては、これは地方の方で児童手当等々の改修ということになりましょうが、システムでありますけれども、それを進めていただきたいということで、今から、あるいは前もって作業をするにしても、細かい点まですぐにすべてが地方で整うということではないわけであります。

 そして、今御指摘の点は大変重要な点だと我々も認識をしておりまして、例えば、親御さんがおられないお子さん、施設で入所されているお子さん、中学三年以下の方にはどういう対応になるのかということでございますけれども、私どもとしては、できる限り、この子ども手当と同額見合いのものがそのお子様のために施設に渡るような、そういう方策が実行できないかどうか、今精力的、前向きに検討をしている、こういう段階です。

加藤(勝)委員 今申し上げて、その中で地方公共団体がいろいろと勉強される、これはあっていいと思います。しかし、これは、システムを発注したりするお金だと思います。外に対して地方公共団体がお金を出すということですから、その中身がしっかり決まっていなければ、軽々にそういうことをすれば、逆に言えば後戻りが出てくる。

 そういう意味も含めて、国会軽視でないとおっしゃるのなら、しっかり国会で成立した上で、具体的な執行ですよ、私が申し上げているのは。地方公共団体にいろいろな情報を提供されるのは、それはおやりになればいい。しかし、予算の執行は当然この成立を待ってやるということをお約束いただきたいと思います。

長妻国務大臣 それは第二次補正のことであるとすれば、その第二次補正予算の成立がなければもちろんこれは執行ができないということであります。

加藤(勝)委員 成立しなきゃ執行できないということを前提にして申し上げていることはわかって、あえてそういうことしか御答弁されないということなので、ここは、私どもとして、この委員会を、この国会を重視されているのであるならば、このシステム経費の執行についてはそういう姿勢で臨んでいただきたい。私どもは、むしろその政府の姿勢によって、子ども手当法案ですか、多分これが出てくると思いますけれども、それに対する政府の姿勢、国会に対する姿勢、これを判断させていただくということを申し上げておきたいと思います。

 最後になりましたけれども、雇用保険の関係、先ほど同僚の大村委員からもございました。

 二点だけ質問させていただきたいと思います。

 まず、今回の三千五百億ということでございますけれども、大臣は、本則に戻らなければならないと。単年度主義の原則からいえば、二十一年度に本則に戻るとすれば、大体二千億ぐらいあれば足りると思いますね。そうすると、残りの千五百億、先ほど大臣は過去の分も踏まえてとおっしゃいましたが、過去の足りない分の一部でも補てんしよう、そういう意味で三千五百億にしているんですか。お答えください。

長妻国務大臣 これも大村委員からの質問の答弁の繰り返しになりますけれども、いろいろな財政当局との交渉をする中で、まず、基本的にあるのは、やはり我々は、これまで、二千二百億円、機械的に削られて、本則のルールを破られた国庫負担について回復をしていきたい、こういう思いがまずあり、そして、過去の分や、先ほども話が出ました雇調金の問題などなど、そして財政当局とぎりぎりの限られた財政の中での交渉ということで今回の数字が決定されたということであります。

加藤(勝)委員 もう一回お尋ねいたしますけれども、大臣はもちろん財政法、単年度主義の原則を御存じだと思いますから、まさか二十二年度分ということで入れているわけではない。となれば、二十一年度ないしそれ以前の足らない分というふうに今の答弁は解釈させていただきますが、となると、二十二年度は本則をお戻しにならないわけですから、また現行の、暫定で本則の五五%ですか、こういうことになる、こういう認識でよろしいんですか。

長妻国務大臣 実際にこの本則という議論、これは法律の改正が必要でございますけれども、その前に、今回の補正にこの措置を申し上げたのは、緊急的に積み立てていくという姿勢を示し、実際にもその財源が心配なきように手当てする、こういう趣旨でありますので、その補正予算で、第二次補正、今回の予算で措置をいただければ、それがその見合いと言ったらなんですけれども、我々が当初考えていた国庫負担に戻す、その見合いの財源はまずは確保できる、こういうことが二十二年度にも続く、こういうふうに見越しているところであります。

加藤(勝)委員 いや、今おっしゃったのは、二十二年度に続くって、二十二年度は、当初の要求では、二十二年度、本則に戻るという要求をされながら、二十二年度予算では認められていないわけでしょう。ということは、戻らない。二十二年度は戻さない。そして、その予算でいいですよと大臣は了承したんじゃないんですか。

長妻国務大臣 ですから、これも繰り返しになりますけれども、本則の四分の一に戻す、これは法律的な措置が必要であります。その意味で、実質的に積み増しをして、それが四分の一以上に見合うような実態の姿にして、国民の皆様にも御安心をいただき、実際の財政にも穴があかないようにする、こういうようなことを我々は考えているところであります。

加藤(勝)委員 本来の姿に戻せばいい、四分の一、二十二年度からやる、これが本当の姿であります。ちょっと今の大臣の答弁をお聞きすると、何か二十二年度のために今回計上している、先ほどから問題になっておりますけれども、単年度主義、そして補正事由、全くない、こう断定せざるを得ないと思います。

 そしてもう一つ、先ほど、雇用調整助成金のために二十二年度においては借り入れをする云々、議論がありました。それについて一言だけ申し上げておきたい。

 積立金が足りないから今回措置をする、失業状況が厳しいから手当てをする、にもかかわらず二十二年度でそれを他の事業に使う、甚だおかしいと思います。しかし加えて、積立金が、ほかの事業に流用するにも加えて、雇用保険料は二十一年度は千分の八ですね。二十二年度、千分の十二にされるんでしょう。保険料を上げておいてそのお金を他に流用する、こんなばかげたことを、大臣、されるんですか。

 そしてもう一点、足立政務官にお伺いします。

 年金保険料の流用法案をお出しになりましたね。年金保険料は年金の支給以外使っちゃいけない、その考え方からして、失業給付のための雇用保険料を、一時的だとしても他に流用することは問題ない、こう考えられるんですか。

長妻国務大臣 これも先ほどもお答えいたしましたけれども、全体の財政が本当に潤沢であればそれぞれの分野に措置をするということも考え得るかもしれませんけれども、限られた財源の中で、そして雇用二事業と失業保険の本体というのは密接にかかわることでありまして、これも先ほどの繰り返しですけれども、雇調金をきちっと差配することによって失業給付が減るんです。失業に直ちにならない方、失業給付が発生しない方々が雇調金の拡充によって支えられる、こういう相関関係もありまして、私どもとしてはそういう措置をお願いしていくということを考えているところであります。

足立大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどから大臣がいろいろ、るる説明しておりますように、私は、関連性というものは非常に高いと私自身も認識しております。そのことと年金保険料は、私が提案者の一人であったから御質問されたんだと思いますが、これは民主党全体で決めたことでございまして、年金保険料の問題と今回のことは、その関連性において直接的な関連はないと私は思っています。

加藤(勝)委員 いや、先ほど大臣のような答弁をされたらば、大臣がこの場で立っていたら激怒しておられたんではないかと私は思います。

 いずれにしましても、この問題、二十二年度にもかかわる話でありますから、また次回やらせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

藤村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、雇用保険法改正案、そして雇用対策についてお伺いをしてまいります。

 平成二十年秋の世界的な金融危機以降、雇用情勢は、昨年の七月、過去最高五・七%を記録いたしまして、その後も五%台ということで、予断を許さない状況、いわば高どまりになっている状況であります。

 鳩山内閣は、昨年の政権交代以降、切れ目ない景気対策が求められたにもかかわらず、第一次補正予算の一部執行停止を強行いたしました。結局は、景気回復にブレーキをかけた、雇用の維持や改善に大きな影響を及ぼしたと言わざるを得ません。凍結となりました約二兆九千億円、今回の第二次補正予算案で活用されることになっておりますけれども、昨年十月に実施できたはずの対策が四カ月以上もおくれたというわけであります。特に、心理的なマイナス影響というものも大きいというふうに思います。

 また、さらに気がかりなのは、バブル崩壊後の就職氷河期の再来を思わせるような局面を迎えているということであります。一九九〇年代半ばから二〇〇五年ごろの就職氷河期に社会に出た世代、その多くは今でも非正規社員である、不安定な働き方を余儀なくされているという現状を見ますと、現在の就職していく世代、この将来というもの、非常にこれも不安であるということが言えるかと思います。

 総務省が昨年末に公表した労働力調査で、十一月の完全失業率、特に若年層、十五から二十四歳の若者、これが八・四%、二十五から三十四歳、ここが六・三%と、非常に高い比率となっております。全体の失業率五・二%を大幅に上回っているというわけであります。

 さらに、就職戦線も非常に厳しい。十四日に発表されました昨年十二月一日現在の就職内定率は七三・一%、一九九六年の調査以降、過去最低となっております。前年からの下げ幅も、過去最大だった昨年の十月時点の七・四ポイントとなっております。

 こうした数値が示す若者の厳しい雇用情勢、一刻も早く改善をしなければならないというふうに思います。将来を担う若者の生活基盤、この経済基盤が確立しない限り、結局、日本の活力もないというわけであります。

 そこで、若者の生活基盤の安定、雇用対策に万全を期さなければいけない。中長期の視点からも、若者が希望を持って社会に出ていけるような状況をつくっていかなければいけない。そのためにも、政府が全力を挙げて雇用対策、また雇用創出に取り組んでいかなければいけないと思いますが、大臣、この点に関しまして御所見をお伺いいたします。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

長妻国務大臣 今、古屋委員の御指摘のとおり、大学卒業見込みの方の内定率が、これはもう史上最悪の数字だということで、あの就職氷河期よりも大変な数字になった。そして、高卒の方の内定率の低さはもとよりでありますが、私は、本当にこれは政府として頑張らなければいけない事態だと思います。

 その中で、私どもとしては、一つ重要なのは、やはり雇用のパイを広げる。厚生労働省がいろいろ雇用対策をやりますが、下支えというのが非常に中心の政策でありますが、内閣全体としては、雇用のパイを広げるということで、成長戦略を年末に打ち出し、この詳細な工程表をことし六月をめどに、厚生労働省分野でも、医療、介護などの成長分野について、今詳細な工程表を詰めているということで、パイを大きくする。

 そしてもう一つは、下支えという意味で、ハローワークに、新卒者専用のジョブサポーターという方を、これまでの人数から倍増して九百二十八人、全国のハローワークに配備をして、そのジョブサポーターは、就職先企業を訪問して、新卒者を何とか採用してほしいというお願いに回る。そして、就職面接会を全国でことし三月までに百五十回、厚生労働省が音頭をとって開催をしていく。あるいは、新卒者を体験雇用する事業主について、月八万円支給するという新卒者体験雇用事業というのを新たに創設するということにも取り組み、そして、新卒者の方も、就職がない場合、これは大変厳しい話ではありますけれども、新卒した後に就職訓練に直ちに入っていただいて、そのときに一定の要件であれば生活する資金も支給をしていく、こういう措置も我々新たに設けていこうということで、万全の下支え策をとらせていただこうということであります。

古屋(範)委員 当然、雇用と経済対策、これは表裏一体でありまして、雇用のパイをふやしていく、これも当然のことだというふうに思います。九十二兆という二十二年度の本予算を組まれた後に成長戦略を出してこられた。そしてその工程表は六月であるという、非常にこれは本末転倒、後先逆なのではないか、このように思わざるを得ないわけであります。

 私たちも、こうした雇用の厳しい現状を見まして、公明党の青年委員会が中心となりまして、介護の方も行ったんですが、雇用総点検というものを行いました。特に、公明党が進めてまいりました若者の就労支援ということで、ジョブカフェあるいは若者自立塾、こうしたところを中心に全国の総点検運動を行いました。

 ジョブカフェは今四十六の都道府県に八十七カ所設置をされておりまして、若者の就労支援に役立ってはおりますが、今現状、こういう雇用の中でどうなっているのかということであります。

 私たちは、そのうち十七都道府県、二十四カ所の調査を行いました。ジョブカフェそのものは非常に立地がよく、駅から平均約四分のところにあるということですので、立地条件は非常にいい、若者にとっても行きやすいところに設置をされているということになります。

 この調査をいたしましたジョブカフェの利用者数分の就職決定者数の割合なんですが、就職率が約七・六%、一番高いところでも一四%ということでありまして、これをどう見るかということなんですが、非常に厳しい数字であるというふうに私は思っております。

 また、ここを利用する人の割合に関しましても、若年無業者が全体の三割以上を占めると答えた施設が十七カ所で、最多であったわけなんですね。フリーター対策ということもあったんですが、実際には無業者が非常に多いというわけなんです。また、学生生徒が全体の三割以上を占めると答えたところが八カ所、フリーターが全体の三割以上と答えたところがわずか三カ所でありまして、やはり無業者がジョブカフェに頼って就職の活動に来ているということになろうかというふうに思います。

 また、昨年の秋以降の経済悪化の影響につきまして、求人枠が減少していると答えたところが十七カ所、次いで若年離職者の増加が十六カ所ということで、経済悪化が若者の雇用にも非常に大きな影響を与えているというような調査結果が出てまいりました。

 そこで、私たちは、それをもとに提言を発表いたしました。若者が夢と希望を持てる社会を目指す政策提言を発表いたしました。その中にも、具体的な提案といたしまして、訓練・生活支援給付制度の恒久化ということを掲げております。

 平成二十一年度から、新たな雇用のセーフティーネットとして、訓練期間中の生活保障を行う緊急人材育成支援事業を実施しております。平成二十二年度末に終了することとなっております。しかし、この事業は、雇用保険を受給できない者に対する第二のセーフティーネットである、また、雇用保険と生活保護の中間に位置する必要な施策であると考えます。

 そこで、運用開始後の実情を検証し、真に使いやすく役に立つ訓練・生活支援給付金制度として平成二十三年度以降恒久化すべき、このように考えますが、これについて御見解をお伺いいたします。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 今言われた制度、今はいわゆる基金訓練というようなことで、これは我々も野党時代、与党に申し上げ、そして前の政府が採用して、今も引き続き実施をしているというものであります。

 我々は、求職者支援というようなことを申し上げ、第二のセーフティーネット的な位置づけ、つまり、雇用保険も切れてしまったり、あるいは自営業の人は初めから雇用保険に入っていない、生活保護の要件にも満たない、そのはざまの方々が職業訓練を受けながら生活費を支給するという制度でございまして、これは二十二年度は暫定的な基金ということで措置をされておりますけれども、私どもといたしましては、二十三年度からも、これを恒久的な措置として、きちっと予算、法案を提出して継続をしていこうというふうに考えております。

 ぜひ、委員の皆様方におかれましても、御地元で、無料で就職訓練を受けて、かつ、雇用保険が切れた方は一定の要件であれば月十万円、そして扶養者がいれば月十二万円の生活費も支給して職業訓練を受ける、こういう制度が今あるということもぜひ広めていただければ、ハローワークが受け付けているところでありますので、我々もその周知を図っていきたいと考えております。

古屋(範)委員 前政権におきまして、累次の経済対策、生活支援の中でこの訓練・生活給付制度をつくってきたわけでありますけれども、今、二十三年度から恒久的な措置にするというふうに明言をされましたので、ぜひともそのとおり実行していただきたい、このように思います。

 次に、介護職員の処遇改善ということについてお尋ねしてまいります。

 この雇用を創出するということ、現在、有効求人倍率は過去最低の〇・四二倍。若干は改善をしておりますけれども、〇・四倍台で推移をしているということであります。

 政府は、緊急経済対策で、緊急雇用創造の充実ということで、今大臣もおっしゃいましたけれども、介護、医療、農林、環境等の分野で新たな雇用機会を創出するための事業、今回の第二次補正で一千五百億円を計上されております。

 特に、私は、雇用の大きな受け皿として期待されている介護分野ということに注目をしていきたいと思っております。特に、介護現場で人手不足が慢性化している一方、介護福祉士などの養成学校は訓練生であふれているが就職には結びつかない、こういう現状もございます。

 公明党は、介護の充実こそ最重要課題ということで、昨年十一月から十二月にかけまして、介護総点検運動を全国の三千名を超える議員で行ってまいりました。私も、介護施設に何度も足を運びまして、職員の方々からさまざまな意見を伺ってまいりましたし、また、街角にも立ち、アンケート活動にも立ってまいりました。国民に直接話しかけ、そしてお答えいただくということで、プライベートな質問であるのでなかなか答えていただけないかなとは思ったんですが、道行く人々、結構私たちの介護アンケートに答えてくださいました。

 その中で、七十二歳の女性は、夫の介護をしているけれども老老介護だ、また、施設への入所、経済的な負担などが不安だということも切々と語ってくださいました。また、介護現場で苦労していらっしゃる方々の声も伺ってまいりました。

 今、党としては、新介護ゴールドプランの策定をしている真っ最中でもございます。

 今回の総点検運動の中で、介護職員として働いている方々へのアンケートで、働ける限り介護の仕事をしたい、続けたいと答えた方が七割いらっしゃいました。仕事にやりがいを感じているということもよく伝わってまいりました。しかし同時に、心身の負担が大きい、業務内容に対して収入が低いと答えた方も八割に上っております。介護を敬遠する理由として、全産業の平均の六割から七割程度という低い給与水準が問題となっているわけであります。

 大臣は、予算委員会の井上幹事長の質問に答えて、この介護職員の処遇改善ということで、月四万円程度アップしたいという答弁をなされていたと思うんですが、私たちも、約四千億近い基金を積んで、月一万五千円程度のアップということを予算計上してまいりまして、月四万ということになりますと相当な財政規模ということになろうと思いますが、大臣、この具体的な制度設計なり全体の財源の確保、これについてのお考えをお伺いしたいと思います。

山井大臣政務官 この四万円、介護職員の賃金を引き上げるというのは、民主党のマニフェストに書いていることでございます。そして、古屋議員御指摘のように、この不況の中で介護職員が非常に人手不足に陥っている、そのためには介護職員の賃金引き上げは急務だというふうに思っております。

 御存じのように、旧政権下で二年半に限ってつくられました介護職員の処遇改善の交付金、二年半で切れます。その意味では、残された一年半のうちにさらに引き上げまして、四万円に達するように、四年以内には、マニフェストで約束したことですから、やっていきたいというふうに考えております。

 さらに、この処遇改善交付金に関しましては、公明党さんも御指摘のように、介護職員だけの賃金引き上げにしかならない、もっと広げるべきではないかという御主張がございます。

 このことについては、私たちもそのような御批判はいただいているわけですけれども、介護職員以外の方に広げますと、一・五倍に人がふえますもので、今の交付金四千億円でしたら、それを介護職員以外の人に広げますと六千億円になってしまいます。

 そういう意味では、本当に現場では、介護職員のみならずケアマネの方や事務職員、給食の担当の方々、みんなチームでケアをしているわけで、非常に心苦しいわけでありますけれども、ここは財源に限りがあるために、最も今人手不足が深刻な介護職員の方の賃金引き上げをまず優先するというふうに考えております。

古屋(範)委員 具体的な財源についての御答弁はなかったというふうに思います。

 介護の問題につきましては、引き続き、重要な問題でもありますので、次の機会にさらに議論を深めてまいりたい、このように思います。

 そこで、今回の法案に入ってまいります。

 先ほど二人の委員からも質問があった点でもございますが、私の方からも確認をさせていただきたいと思います。平成二十一年度において、現行の国庫負担金のほかに三千五百億円、一般会計から労働保険特別会計へ繰り入れるというふうになっておりますけれども、この理由として、雇用保険制度の当面の安定的運営を確保するとなっております。

 そこで、失業等給付関係収支状況を見ますと、第一次補正後、差し引き余剰金七千九百五十二億円の赤字ということであります。しかし、積立金残高は四兆七千八百六十八億円となっております。この状況を見ますと、赤字が発生したとしても、失業給付に係る安定的な財政運営を確保するためには積立金を取り崩せばよいのではないかと考えられるわけであります。

 今回、積立金を活用せず、法律改正までして新たに三千五百億円の一般財源を投入することにしたこの理由について、お伺いいたします。

細川副大臣 先ほども議論がありまして、大臣の方からお答えをいたしました。重複するかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。

 本来、失業給付の国庫負担については四分の一、こういうことになっておりましたけれども、平成十九年度からこれを四分の一の百分の五十五という、国庫負担の割合が低くなってきたところであります。そこで、私たちはこれを本来の四分の一にまずは戻すべきではないか、これが私どもマニフェストなどでもお約束をしていたところでございます。

 そしてもう一つは、やはり、今度の雇用失業状況が大変厳しい状況になっておりまして、二十一年度単年度で約八千億円の赤字、来年度も七千億円程度の赤字になるのではないかというふうに見込まれております。過去にも、四、五兆円の積立金がありましたけれども、大変経済が悪くなりまして失業がたくさんふえまして、その失業率も五・五というそんな事態になりまして、そのときには、平成十四年にはわずか四千億円程度の積立金しか残らないような、そんな大変な事態になりまして、そこで保険料を上げたりとかあるいは給付金も削減をするような、そんな事態になったこともございます。

 史上最高の失業率五・七%というようなことも昨今経験もいたしまして、非常に悪い状況でありますから、まずは雇用保険の財政的なものを安定的に運用するということで、まずは国民の皆さんに安心をしてもらうということで、この際、三千五百億円のお金を一般会計から投入させていただく、こういうことを決めたところでございます。御理解をいただきたいと思います。

古屋(範)委員 今、るる御説明をいただきましたけれども、今回の改正案については、平成二十二年度予算の総額を抑制したいという財務省、そして必要な財源を確保したいという厚労省の利害が一致をしたのではないか、そういうことが類推をされるわけであります。

 そして、失業等給付費を除く支出、これについて資料要求をいたしましたけれども、全体で約二千億のお金が使われております。業務取扱費、施設整備費、また他勘定への繰り入れ、予備費ということで全体二千億ということでありまして、その業務取扱費の内訳もいただいておりますけれども、ぜひ、こうした失業給付等に係る以外の支出について、こここそ事業仕分けをしっかりしていただきたい、このように思いますけれども、もしこれについて御所見があればお伺いいたします。

長妻国務大臣 これについては、雇用保険特別会計二事業の勘定と本体の勘定、それぞれ、さらに厳しく、無駄のなきように、怠りなきよう、我々取り組んでまいるつもりであります。

古屋(範)委員 もう時間でございます。

 今くしくも大臣おっしゃいましたけれども、今回、総務省の方からもこうした雇用保険二事業に対しまして勧告がなされております。ぜひ、こうしたところ、見直し、精査を徹底して行っていただきたい、このように思います。

 以上で質問を終わります。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年、年越し派遣村に象徴された雇用の破壊に対し、何とか国会もこたえようと、雇用保険法の改正が行われました。わずか一日でしたけれども施行日を四月一日から三月三十一日に前倒しをしたことで、雇用保険が受けられるようになりましたと集会で発言をしていた青年もおりました。国会の果たす役割、そして雇用のセーフティーネットとして雇用保険の役割が本当に重要になっているのではないかと思っております。

 そこで、国庫負担については、昨年の法改正の際に本委員会の附帯決議において、「今後、雇用失業情勢のさらなる悪化によって安定的な財政運営に支障が出る恐れがあり、現在、百分の五十五に軽減されている国庫負担の暫定措置については、本来の四分の一に戻すことを検討すること。」と明記をされました。また、民主党のマニフェストにも、本則に戻すとあったはずであります。

 私どもは、まず、この本則に戻すという考え方に賛成であります。しかし、残念ながら、今回出された法案はそれとは若干違うものであります。

 先ほど来、なぜ三千五百億円なのかという議論がされておりましたけれども、私の理解は、本則に戻した場合に必要となる額の今年度の残り三カ月分と来年度の十二カ月分相当という考え方だと理解をしておりましたけれども、それでよろしいでしょうか。まず、確認です。

長妻国務大臣 この本則に戻すというのは、私ども、前から申し上げているところであります。実は、今回の法案にも、安定的財源を確保した上で二十三年度において本則に復帰できるように努めるというように書いてあるところで、私としましても、平成二十三年度には法律上も本則ということをしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 質問に答えておりませんけれども。

山井大臣政務官 高橋議員がおっしゃったように、十五カ月間であります。

高橋(千)委員 まず、確認をされました。十五カ月分だということであります。

 そこで、さっき、早いとかなんとかという話がありましたけれども、私は違うと思うんです。二十一年度の補正予算ですから、今積むのは三カ月分だけにして、二十二年度予算案で本則へ戻すという法案と一緒に予算を提案されるべきではなかったでしょうか。

長妻国務大臣 いろいろ先ほども御指摘をいただきましたけれども、基本的に、第二次補正で緊急的にこの三千五百億円を措置していきたい。そして、過去の事例を見ても、四兆円もあった積立金が急速に減る、こういう事態もございます。国民の皆様に安心をしていただくということも含めて、そういう措置を今回させていただいたということであります。

高橋(千)委員 これも答えになっていないんですね。

 ですから、精神は賛成なんです。でも、必要なお金を積むという予算措置だけであれば、これは確実に本則に戻るということは担保されていないわけなんですね。ならば、基礎年金の国庫負担二分の一の法案がかつてそうであったように、毎度毎度法改正をして、予算をそこに入れるということをしなければならない、そういうことになってしまうわけです。だから、なぜ法改正をすぐにやらないのかということを聞いています。

 重ねて聞きますけれども、安定的な財源とは何でしょうか。この法案では、安定的な財源が得られない場合は、結局本則に戻らないということになるんですよね。

長妻国務大臣 これについて、この法案にも「安定した財源を確保した上で」ということが書いてございます。これの意味というのは、歳出削減などを通じて毎年度安定して確保される財源を示すものであるということでこの文言を入れさせていただいたわけでありまして、具体的なあり方については、平成二十三年度の予算編成過程で我々も議論をしていくということになります。

高橋(千)委員 とても安定的とは思えないわけですよね。歳出削減をしただけが安定財源であるとすれば、逆算をしますと三千億近いお金を用意しなければならなくなるわけで、このままではなかなか見通しが立たない。

 しかも、さっきから言っているように、財政だけの議論にしてしまえば、とりあえず基金があるじゃないかと。今回も、二十一年度補正をやっても三兆九千億円の基金がある。そうすると、まあ今入れる必要がないでしょうという話になって、本来やるべきはずだった雇用安定財政ということも担保できなくなっちゃうわけですね。そこが問われるということを重ねて指摘をしたいと思います。

 そこで、もうこれはきっぱりと答えていただきたいんです。資料の一枚目にありますが、これまで、自公政権時代、閣議決定において、国庫負担について何度も廃止を含める検討というものを打ち出してまいりました。平成十七年の行政改革の重要方針、あるいは平成十八年の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、平成十八年のいわゆる骨太方針の中で、廃止を含む見直しを行うということが繰り返し言われてきているわけです。まさか、少なくとも国庫負担の廃止はないということをきっぱり言っていただきたいんです。

長妻国務大臣 国庫負担の廃止というのは考えておりません。

 これはやはり哲学の問題だと思いますけれども、雇用については、労働者、使用者がそれぞれ拠出しているお金だけで失業保険を賄うというような発想も過去にあったようでありますけれども、我々は、それに加えてやはり国も失業ということに責任を持つという考え方は続けていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 そのためにも、マニフェストを一日も早く法案として提出していただきたい、本則に戻すという法案をつくっていただきたいと思います。

 そこで、先ほど来指摘をされているんですけれども、三千五百億円を繰り入れる一方で、来年度予算では四千四百億円を二事業に貸し出すことになっております。

 雇調金の要件緩和などで財政が逼迫しているということがございますけれども、先ほど大臣は、いや、貸すといっても返すんだからとおっしゃいました。ただ、二事業の財政というのは大体年五千億円ベースなんですね。五千億円ベースの収入に四千四百億円の貸し出しで、それはそう簡単に返せるわけがないわけですよ。一、二年という話では全然ない。めどがなかなか見えないわけです。

 でも、そういうことを考えたときに、今本当に緊急な経済情勢なのだから、国の経済対策として行う雇調金の要件緩和や第二のセーフティーネット事業なのだ、そういう位置づけで直接一般財源を入れるべきであると思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これも繰り返しになりますけれども、やはり、限られた財政の中で、今回、本体部分から二事業という発想を提示させていただいているところであります。その意味では、貸し出すといっても、それぞれ相関関係があるわけでありまして、雇調金によって下支えされることで失業給付も減る、こういう関係にあるところでありますので、このお金というのは、経済の状況が回復した暁にはきちっと返していただく、こういう前提のものであります。

高橋(千)委員 ここは指摘にさせていただきたいと思うんですけれども、今回の雇用保険法の改正案の提出に当たって、労政審の職業安定分科会雇用保険部会の報告書の中で、今の二事業の問題について、借り入れを行うことはやむを得ないと。しかし、二事業自体の財政が非常に危機的であるということを踏まえて、事業費全体の絞り込みを図るとか、失業予防や能力開発という雇用保険事業の二事業の趣旨に照らし、現時点で必要か否かという観点から事業内容を再度精査するなど、徹底的な見直しを行っていくこととすべきである、こういう指摘がございます。

 そうすると、今おっしゃったように、二事業が充実すれば失業給付の方に還元されるんだとおっしゃった、その趣旨は非常にいいんです。だけれども、財政が逼迫したことで、二事業そのものを見直すべきだということで本来の失業の予防というところから外れていく、あるいは、民主党さんがこの間非常に重視をしてきたセーフティーネットの事業が縮小されていくというようなことがあってはならないということを指摘したいと思います。

 そこで、私がきょう言いたいのは、やはり本体の失業等給付そのものを充実させるべきではないか。この間、民主党さんは、すべての労働者に雇用保険をとおっしゃってきました。私はその趣旨に賛成であります。ただ、残念ながら、失業者の五人に一人しか失業保険を受給できていない。この現状を変えるべきではないでしょうか。

 まず、年末に雇用保険が切れた人が多かったと思いますが、どのくらいでしょうか。

森山政府参考人 お答えいたします。

 雇用保険の支給終了者数でございます。

 解雇、雇いどめ等による非自発的離職者につきまして、平成二十一年六月から十二月までの雇用保険の支給終了者数は、さまざまな実績等をもとに推計いたしますと、約三十九万人というふうなことでございます。

高橋(千)委員 なぜそれだけを答えるんですか。年末に雇用保険が切れた人としか私は聞いておりません。自発的離職者は約五十四万人。合わせると百万人近い方が雇用保険が切れている。こういう現実があるということをまずしっかりと受けとめていただきたいんですね。そうやって数字を小さく見せるということが非常に大きな問題ではないか。

 昨年の法改正のときも、個別延長給付が最大で六十日、その根拠は約二カ月で再就職しているからというものでありました。しかし、総務省の労働力調査詳細統計でも、失業期間が三カ月以上にわたっている方は二百三十八万人で、六五・九%、三分の二です。一年以上が九十五万人、二六・三%にも上っております。失業の長期化、このことについて大臣の認識を問いたいと思います。

 また、ちょっと時間がありませんのであわせて伺いますけれども、資料の二枚目。これは、多分前回私が質問したことに関連があるのかなと思うんですけれども、厚労省が、完全失業率のデータにプラスをして潜在失業を含む失業率というものを、今回、「平成二十一年版労働経済の分析」という厚労省が出したものの中で明らかにいたしました。潜在失業という考え方が今回採用された。新しい数字を入れてもらいましたが、六・一%、こういう状態になっているんです。

 ですから、完全失業も高い、けれどもその周りにはもっと、失業が長期化していたり失業に近い状態がある、このことをしっかりと認識して、それにふさわしい対策をとるべきだと思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

長妻国務大臣 その雇用の数字というのは、表面に出ている以外のさまざまな御事情もあり、数字にあらわれない方もたくさんおられるということも認識をしております。

 その中で、委員御指摘のとおり、雇用保険が切れてしまった、あるいは自営業の方はもともと雇用保険に入っておられないということに関しましては、これは御存じのように、平成二十一年の改正で、一定の要件で六十日支給を延長する、こういうこともございますし、私ども考えておりますのは、雇用保険に加入の要件も一カ月超の雇用見込みということで緩和をしていこうということも考えておりますけれども、やはり一つ重要なのは、雇用保険が切れた方、そして生活保護の要件にも当てはまっていない方、この方々をどうサポートするかということです。

 これに関しては、自治体が行っている、国も支援する住宅手当、住宅がなければ職も探せません。そして、先ほども申し上げましたように、無料で職業訓練を受けていただくと同時に、職業訓練を受けたという証明があれば、月十万円、あるいは扶養者がおられる方は月十二万円ずつ生活費を支給する。こういうような措置で我々対応をとっていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 残念ながら、時間が来ましたので次の雇用保険法の審議のときに譲りたいと思いますが、住宅手当、十万円では生活保護基準以下でありますから、やはり本来の雇用保険の、第二のセーフティーネットは否定していませんよ、もっと使い勝手のいいようにした方がいいと思います。しかし、先ほど私が指摘したように、二カ月ではないのだという実態を明確に政府が出しているわけですから、それに見合った雇用保険制度、せっかく財政を安定させようという方向に皆さんが行っているのですから、その財政をうまく使って失業等給付を充実させるべきだ、このことを指摘して、終わりたいと思います。

藤村委員長 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 冒頭からずっと注意深く、理解しよう理解しようと思って私も聞いてきたんですけれども、私の頭が悪いのか、全く理解できません。

 皆さん方は、積立金が史上最高規模の五兆円を超えるだ何だということについて、昨年来から埋蔵金論争があったときに、いやいや、積立金というのは、景気変動も大きいから、給付額も大幅に変動することもあるから、だからそのための準備として積み立てているんだとおっしゃってきたわけですよ、厚生労働省の公式見解として。だから、今こそこれを取り崩してやるべきなんですよ。何のために積み立ててきたのか。

 単年度で八千億円の赤字になる、そんなことも想定されていましたよ。来年度七千億円もそうでしょう。そのために五兆数千億円の積立金を積み立ててきた。そうでなければ、これは過剰な保険料を取ってきたとしか言いようがないですよ。だって、これは保険数理上からいって、単年度たかだか一兆、二兆円の給付で五兆円も積立金が積み上がるというのは、本来は責任問題ですよ。それだけ保険料を高目に見積もってやってきた、雇用されている方や企業主から過剰に取ってきたということですからね。だから、そういうことを言われないためにも、まさに使うべきときにこういった積立金を使わずに一般会計から三千五百億円というのは、私、おかしなことを言っていますかね。

 長妻さん、これはあなたの一番得意分野のところですから、もっと明確に答弁しないと……(発言する者あり)いや、そうだっていって、別にあなたに同調しているわけじゃない。

 やはり、これは大臣としてのこけんにかかわることなので、ぜひわかりやすく、もう一回答弁してください。

長妻国務大臣 今、江田委員の御趣旨の一つとしては、特別会計の雇用保険の積立金をいわゆる埋蔵金的に使っていこうというような御趣旨にも聞こえるんですけれども、これは何でもかんでも積み立ててあるものが埋蔵金だとすると、年金の積立金も百兆円以上ありますから、そういう議論にもなるわけであります。

 やはり、我々が考える適正規模と……(発言する者あり)今自民党からもいろいろ言われておりますけれども、過去、自民党も、これは四兆円の積立金があるわけですよ、そのときにかなり急速にその積立金が減ったという事実もあるわけでありまして、このレベルは過去にもある程度のレベルになっているところであります。そういう意味では、今回の補正予算で雇用の厳しい状況もかんがみて三千五百億円の一般会計をお願いしている、こういう趣旨であります。

江田(憲)委員 長妻大臣、そういった自民党政権のアンチテーゼとして民主党政権は登場したわけですから、そんなことをおっしゃっちゃだめですよ。

 では、お聞きしますよ。平成十八年に、あのふがいない会計検査院ですらが、積立金、準備金の積立率については大変不明朗だと指摘をして、もっと本当に必要な積立金、準備金とは何ぞやという指摘をして、それぞれ改善しました。では、お聞きしますけれども、この労働保険特会の雇用保険勘定における適正な積立金とは何ぞやということを国民にわかりやすく説明してください。

長妻国務大臣 これはやはり、一つは危機管理という側面もあるわけですね。雇用保険、失業給付が一体将来幾らぐらいになるのか。大体このくらいになるのではないかと見込んで、金が足りなくなったらどうするか、こういうことも考えて、最悪の事態というのも想定をしていくという考え方も一つの考え方である。雇用情勢が悪化した際にも安定的な給付を行う、こういうことを政府がきちっと保障しなければならないわけで、それを考えて我々はこの水準というのをその都度適正に決めていく、そういうつもりであります。

江田(憲)委員 それは、国民の皆さんが今聞いて、やはり本当に長妻さんには失望しますと思いますよ。そんな程度の答弁しかできないのか。

 厚生労働省から一年ほど前にもらった資料にこう書いてありましたよ。今後、過去最悪の支出実績が五年間続いたとしても、五年後、まだ一・一兆円の積立金がありますという資料、こういう公式の資料を持っていますから。今後、過去最悪の支出実績が五年続いたとして、それでも一・一兆円も残るような積立金の額がなぜ適正と言えるんですか。そんなことを国民に向かって言えますか、あなた。

 いや、長妻さん、もう私は情けなくて。だって、長妻さん、あなたは埋蔵金を我々と一緒にやっていたじゃないですか、特別会計で。そんなことで埋蔵金が発掘できると思っているんですか。これから、菅さん初め、二百七兆円の組み替えをやるんでしょう。組み替えをやるためには、こういったすべての特別会計の準備金や積立金の準備率、積立率が適正かどうかということを保険数理学的に、当たり前のことだけれども、ちゃんと見て、それで適正水準を超えたものは埋蔵金と言うんですよ。そんなものを百年の危機管理のために準備だと、だれに向かって説諭しているのかわかりませんけれども、そんなことのために民主党に政権をとらせたわけじゃないんですよ。

 長妻大臣、これはぜひやってほしいと思うから言っているんですよ。ぜひ見直してください。長妻さんはそういう志があったんですよ、少なくとも。全部子細に見て、身内の会計検査院ですら不明朗だといって指摘をしているのに、長妻大臣、それに対する答えがさっきのような答えじゃ情けないですよ。

 こんな労働保険特会というのは、長妻さんも追及してきた、小田原のスパウザだ、中野サンプラザだ、二千施設、雇用勤労福祉施設を四千億もかけてつくって、二束三文で売っ払った。それに懲りずに、まだ私のしごと館をつくった、五百数十億使って。それも廃止に追い込まれた。そういうことについて一生懸命やってこられた方じゃないですか。

 こんなむちゃくちゃなことをやった当時の労働事務次官や局長の責任問題も本当は追及したいですよ。まだ天下りしているに違いない。民主党政権になったら、こんなのは即刻首にしろと言いたいですよ。でも、時間がないからきょうは言いませんけれども。少なくとも、これは予算委員会で追及しますから、ちゃんと準備しておいてください。冒頭の予算委員会でやりますから、それは言いませんけれども。

 ここで言ってください。今までは確かに事務当局の説明で切り込めなかった。しかし、これからは、この積立率、準備率の問題も含めて、労災勘定の準備率もそうですよ、しっかり保険数理的に大臣みずからが精査をして、それで余剰の分はできるだけ民主党政権の施策のために使っていきます、もっとよりよいものに使っていきます、そういうことを言ってくださいよ。

 だって、皆さん一生懸命頑張って二・九兆円を出してきたんでしょう。もう一円たりとも無駄にされたくない。しかし、このお金というのは、三兆円の地方交付税の補てんも三千五百億円も、景気には全くきかないんですよ。景気中立なんですよ。こんなことに使っている場合じゃないんですよ、民主党政権は。だから、官邸に司令塔がないと言われるんですよ。私が民主党政権だったら、こんなところに三千五百億円の貴重なお金なんか使えませんよ。ぜひ切り込んでください。

 大臣、最後にお願いします。

長妻国務大臣 これは、二つに分けて考えなきゃいけないと思うんです。

 今言われたスパウザ小田原から始まって、雇用保険、当時は三事業ですか、その勘定からばんばん湯水のごとく金を支出して、非常におかしなことに使われたということを、我々は今も、雇用・能力開発機構をさらにスリム化できないかどうか、私も職業能力開発総合大学校に視察に行ったりいろいろな検討をしているところで、そこはおっしゃるように、徹底的に支出は見直す必要がある。

 もう一つは、この積立金については、これはもう言うまでもなく、本体部分については、事業主のお金と労働者のお金、この二つが、国費も入っていますけれども、失業保険ということで使われる貴重なお金として積み立てているところでありまして、その適正規模がどの程度なのか、本当に雇用の情勢いかんによって積み立てたお金が激減をしてしまうということがあってはならないわけであります。今御指摘もありましたので、我々も不断の見直しをするつもりでありまして、その水準についても、今後、見直す必要があれば我々も謙虚に考えていきたいというふうに考えているところであります。

江田(憲)委員 予算委員会でもやりますから、しっかり見直してください。よろしくお願いします。

藤村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 私は、自由民主党・改革クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっております雇用保険法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。

 討論に入る前に、まず、国民を代表する国会議員として、政府・与党の政治と金の問題、これは多くの国民が政権交代に大いに失望している部分でございますので、触れざるを得ません。すなわち、鳩山総理の巨額脱税問題、小沢幹事長の不正資産の疑惑でございます。

 代表質問や予算委員会において、我が党を初め野党各党から総理自身に質問したにもかかわらず、明確な答弁や説明がございません。一昨日は小沢幹事長に対する東京地検の聴取がございましたが、疑惑はますます高まり、政治に対する信頼を大きく損ねることになっております。

 民主党は、野党時代、政治資金問題を厳しく追及してまいりましたが、与党となった現在は、党内から全く疑惑解明の声が聞こえてまいりません。国会議員の役割は国民生活にかかわる法案を議論し定めていくことにありますが、しかしながら、その国会議員の信頼にかかわるこの問題を解明しない与党の皆さんの国会議員としての倫理観に、国民は失望しているものでございます。

 この際、鳩山総理、小沢幹事長、みずからの疑惑解明に向け、国民への一層の説明責任に対して強く求めまして、本題に入らせていただきます。

 今回の雇用保険法の一部を改正する法律案は、平成二十一年度における求職者給付及び雇用継続給付金の国庫負担として三千五百億円の一般財源を投入することになっておりますが、そもそも、なぜ平成二十一年度に三千五百億円を投入するか、その理由、積算根拠が全く不明でございます。

 民主党は、マニフェストで、国庫負担を本則の四分の一に戻すとしており、また、平成二十二年度の予算要求において、そのために二千四百七億円を要求していた経緯からすれば、本則に戻すべきではないでしょうか。

 また、政府は、雇用調整助成金の緩和に合わせて、平成二十二年度からの失業給付に係る国庫負担金の引き上げについて、雇用保険制度の安定的運営を確保するため、平成二十一年度第二次補正予算において対応するというふうにしております。しかしながら、これは二十一年度中に支出されないことを前提にしていることになり、会計年度独立の観点からも、本来、二十二年度当初予算に計上すべきものでございます。

 雇用の非常に厳しい環境の中で、雇用調整助成金の要件緩和と財源確保のあり方に関しましては重要な問題でございまして、与野党がともに正面から取り組む必要がございます。しかしながら、今回の改正案は、そうした取り組みを回避しながら、一般財源を失業給付に入れ、失業給付のための積立金から借り入れを行うとする、非常に場当たり的で、さらに、幾ら質問してもストレートな回答が全く出てこないという極めてわかりにくいものでございます。

 また、与党の年金保険料は年金の支給のみに充てるとのこれまでの主張からすれば、一時的であれ、失業等給付のために徴収された保険料をほかに流用することは、言語道断、言行不一致のそのきわみでございます。

 さらに、失業給付のための積立金は、平成二十二年度でも四兆円近くの残高がございます。今すぐ使うということでもなく、ただ積み増すだけであれば、なぜ緊急経済対策費として計上しなければいけないのか。いわゆる、大臣のお言葉、言語明瞭意味不明の説明からは全くわかりません。緊急経済対策費をかさ上げし、平成二十二年度予算の総額を抑えるための方策ではないか。

 こんなあいまいな与党に、国民はこれ以上政治は任せておけない。この国のためにも、一日も早い政権交代が必要であります。

 以上、反対の理由を述べまして、私の反対討論といたします。(拍手)

藤村委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、雇用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

藤村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

藤村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.