衆議院

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第5号 平成22年3月5日(金曜日)

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平成二十二年三月五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    菊田真紀子君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      松岡 広隆君    三宅 雪子君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      室井 秀子君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    和嶋 未希君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      高木  毅君    武部  勤君

      橘 慶一郎君    永岡 桂子君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     松岡 広隆君

  山口 和之君     和嶋 未希君

  あべ 俊子君     橘 慶一郎君

  棚橋 泰文君     永岡 桂子君

  長勢 甚遠君     高木  毅君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     相原 史乃君

  和嶋 未希君     山口 和之君

  高木  毅君     長勢 甚遠君

  橘 慶一郎君     あべ 俊子君

  永岡 桂子君     棚橋 泰文君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 早朝からの質疑ということで、大臣、副大臣、政務官、まことに御苦労さまでございます。高井政務官も、どうも済みません、ありがとうございます。

 大臣のお顔を、もう大臣になられてからやがて半年近くなってくるのかなと思うんですが、やっと素直に大臣と呼べるようになってまいりました。最近はおなれになってこられて、大分余裕も出てこられたかなというふうに思うわけでありますけれども。

 ことし早々から予算委員会で一度大臣には御質問をさせていただく機会がございました。医療の議論をそのときにさせていただいたんですが、子ども手当、当然、配られれば医療にも使われてまいります。小児医療の充実を含めて医療全体がどれだけ充実をしておるか、これは健全な子供の育成という意味では大変重要な意味でございますので、そのときの積み残しをちょっと冒頭させていただきたいと思います。

 資料で配付をさせていただいておるんですが、診療報酬改定のトリック、ちょっと名前がセンセーショナルなんですけれども、これは何を言っておるかといいますと、大臣は、〇・一九%、今回診療報酬改定が実質プラスだということをよく胸を張って言っておられます。それを絵にかいたものであります。

 まずは大臣に、トータルで〇・一九プラスにした、これで満足なのか、それとも、いやいや、本当を言うと、今の医療の現状、医療崩壊だとか民主党はずっと言ってこられました。〇・一九%より本当はもっと上げたかったんだけれども、しかし、財源の問題だとかいろいろな問題があって、今、現状ではこれだけしか上げられなかった、もっと本当は上げたいんだというふうに思っておられるのか、冒頭、それをお聞きいたしたいと思います。

長妻国務大臣 私自身は、これは医療崩壊を食いとめるための施策の第一歩だというふうに考えております。

 その一方で、さらにどんどんどんどん上がってくると、もう一つとしては、患者さんの自己負担が上がる、あるいは保険料にはねる、そういうような問題もありますので、私は、このネットプラスを第一歩として、この形というのは一つの結果としてぜひ御評価いただきたいと思います。

田村(憲)委員 それは保険制度の構造的な問題ですから、どうするんだというのは今の保険制度全体を考えなきゃいけない話で、後期高齢者医療制度というのは大変評判が悪いというふうに言われておりますが、保険料を抑えるという意味では、大変あれはやりやすい制度でありました。なぜならば、七十五歳以上の方々の保険を一つにくくって、ここに公費を五〇%入れる、あれは、当時厚生労働省は言いづらかったんだと思うんですが、この五〇の比率を上げていけば、保険料は保険者それぞれあそこに拠出していますから、それぞれの保険者の保険料を抑えられるんです。これをばらばらにしちゃいますと、どこに公費を入れるんだという意味では非常に難しい。

 だから、実は、後期高齢者医療制度というのは、保険料を抑えていく、伸びを抑えていくという意味では非常にいい制度であったんですが、それを破壊されるようでございますから、どんなものをおつくりになられて、公費を入れて保険料を抑えるのか、ほかに方法があるのか、これからどんどんどんどん総医療費はふえてまいりますから、私はよくお考えいただきたいなというふうに思うんです。

 それはそれといたしまして、そういう意味では、〇・一九%は、いろいろな要因はあったけれども、とりあえず、満足ではない、本当はもっと上げたいというようなお声だったというふうに思います。

 そこで、ネットプラスだというお話なんですが、この表を見ていただきますと、予算委員会でも申し上げたんですが、実はトリックがありまして、六百億円と八百二十五億円、これは正確な数字かどうかは、我が方で試算したものでありますから若干の誤差はあると思いますが、六百億円は後発品の置きかえ効果の精算、薬剤費削減ということでありまして、これは、思ったほどジェネリックにかわらないからということで薬価を引き下げた。中医協に諮らずに引き下げたという非常に珍しい引き下げ方なんですが、これが約六百億円。これは総医療費削減になるんですね。それから、当然ジェネリックに置きかわった部分が、約でありますけれども八百二十五億円ぐらい。これぐらい医療費の削減になる。合わせると、一千四百億円以上が総医療費は削減になるんですよ。そして、診療報酬改定では七百億円しかふえていませんから、全体で見ますと、ネットでは何と七百二十五億円ぐらい医療費がマイナスになるんですね。こういうことなんです。

 ですから、これは実はマイナス改定なんです。診療報酬は上がっていますよ。診療報酬が上がっているのは確かなんです。ところが、逆に言うと、一千四百億円以上削減して七百億円しか上がっていませんから、もっと上げられた、つまり、〇・一九さらに上げられたという話なんです。

 この話をしますと、いや、それは今まで自民党さんがやっていたでしょうと言うんですね。大臣、そういうことですよね。答弁で、自民党さんもやっていた方式ですよと。つまり、シーリングにこれを差し出していたんですよ。こういう話なんです。だから、自民党もやっていたから我々もやったんです、こういう御発言を予算委員会でいただきました。

 ただ、シーリングをやめろと言われたのはあなた方なんですね。もうシーリングをやめちゃえと。今まで、医療からも社会保障の二千二百億円のシーリングに財源として出していたんですね。ところが、あなた方も、シーリングがないにもかかわらず七百二十五億円を差し出しちゃったんですよ。これを医療に使えれば、さらなる診療報酬アップができた。これをこの表は言っているんです。

 シーリングベース、今ありませんが、今までやってきたシーリングベースでいえば、約ですけれども七百二十五億円マイナスシーリングであったというふうにお認めになられますか。大臣、どうですか。

長妻国務大臣 この議論は予算委員会などでも御指摘をいただいたところでありますけれども、まずは、計算の方法として、ジェネリックの医薬品を使うことによって、これを促進しなきゃいけないというのは、先進国の中でも日本は使う比率が低いというおしかりを受けておりますので、この促進をするということでいろいろな施策をして、そして一定の促進の見込み、あるいは、過去促進ができなかった部分について、医薬品メーカーにその部分をある意味では精算していただく、こういうような考え方でございます。

 その部分のお金というのは、ある意味では診療報酬というのは技術報酬の話でありますので、お医者さんの収入という意味では、別にジェネリックを使うということで何か収入が上がるということではありませんで、先発の医薬品とジェネリックでは仕入れ値が違いますので、安くなりますから、別にもうけがふえる、減るという話ではないということで、そういう考え方で過去の自民党政権でもその部分は外に出したというふうに考えておりまして、我々もそれは中に含まずに計算をさせていただいている、同じ計算方式を踏襲しているというところです。

 重要なのは、本体部分の改定率で、プラスでありますけれども約五千七百億円、そこで使う財源を生み出した。医科では約四千八百億円、入院では約四千四百億円の財源があって、配分ができるようになったということが重要だというふうに考えております。

田村(憲)委員 今、本体部分で五千七百億円と言われましたが、薬価を引き下げていますから、結局はこれで約五千億円稼いでいるんですよね。だから、ネットでは七百億円だという話になるんです。

 そう考えるならば、今言ったこの二つの千四百億円強、これも実は医療の効率化ですよね、ジェネリックに置きかえるわけですから。医療の効率化で原資ができるわけですよ。できたものを、もし大臣がこの診療報酬改定で十分だ、医療に投資するのはもう今回の〇・一九%ネットプラスで十分だというのなら、それはそれでいいでしょう。これで日本の医療は万々になりますよというならいいでしょう。しかし、まだこれじゃ本来足らない、多分足らないでしょう。もっと本当は上げなきゃ、日本の医療はもたないと私も思いますよ。

 それならば、ここに一千四百億円以上の原資があって、これをどこに使われているのか。財務省に差し出したのか、それともほかの厚労省の予算に使ったのか知りません、それはお金に色はついていませんから。でも、企業なら、効率化したものを、もしもう十分にこれで利益が出ているというのなら、内部留保や借金に回すということもあるでしょう。しかし、まだこれからやらなきゃいけない投資があるとなれば、そちらに回しますよ。医療も、これだけの効率化があって、まだ回さなきゃいけないんだったら、医療に再投資するのが当たり前じゃないですか、大臣。なのに、なぜ一千四百億円の原資があるのに七百億円しか使わなかったんだ、七百億円はどこに持っていかれたんだという議論なんですよ。

 そして、今、自民党もこれをやってきたと言われましたが、それは、マイナスシーリングするときの原資として使ったんですよ、差し出さなきゃいけないから。自然増ではふえていますよ、医療は自然増分がありますから。しかし、自然増を除いた部分では、これはどこかから二千二百億円原資を出せと言われて、医療の方も毎年毎年それを出してきたわけでしょう。それでシーリングをやめたわけでしょう、それはだめだと。民主党政権は、その二千二百億円のマイナスシーリングで日本の医療やいろいろな社会保障が壊れたといってやめたわけでしょう。それならば、ここで一千四百億円、上げたのは七百億円、差額の七百億円強は、これはマイナスシーリングでどこに差し出す必要があるんですか。

 少なくとも、医療においてはマイナス七百億円超のマイナスシーリングであったということは認めてくださいよ、大臣。これを認めてもらわないと、議論できないですよ。うそつき内閣だという話になりますよ。大臣、ちゃんと認めてください。

長妻国務大臣 自民党時代はやったけれども、その算定は間違っていたから民主党政権ではそういうのをするなと。いささか、何か理論がよくわからないところもあるんですけれども。

 自民党時代に外出しをしてこれを計算した、つまり、ジェネリックの促進によるお金というのは、これは基本的には技術料には関係ないということで外に出されている。シーリングとは別に、そういう考え方だというふうに我々は考えておりまして、それを我々も踏襲させていただいているということであります。

 ジェネリックと、先ほど冒頭触れられました薬価の差益ですね。薬価の差益というのは、当然、薬価が市場価格で二年の診療報酬改定を待たずに下がってまいりますから、その差益というのは当然、病院なり診療所の利益となって、それは技術料に充当される、こういうような性質がありますので、薬価の部分については、これは本体部分に反映される。こういう考え方がずっと貫かれているところでありまして、それを同じ考え方でやったということでありまして、考え方は前から変えていないということであります。

田村(憲)委員 まず、薬価も下げているんですよ、六百億円、あなた。(長妻国務大臣「あなたって」と呼ぶ)六百億円下げているんですよ。いや、あなたって悪い言葉ですか。あんたと言っているわけじゃないですよ。あなたと言うのがだめなんですか。丁寧な言葉だと思いますけれどもね、あなたは。

 これは六百億円、薬価も下げているんですよ。これを見れば、今あなたがおっしゃった、薬価の部分を上げていますよと言いましたけれども、薬価引き下げの部分は。六百億円は薬価を引き下げているんですよ。これは中医協にかけずに、勝手に、今まで思ったほどジェネリックで下がっていないから、移行していないからというので。そうしたらこれぐらい戻しなさいよ、六百億円は。そういうことでしょう。

 しかも、自民党政権がやってきたと言われました。我々も反省していますよ。(発言する者あり)いや、ここにいる方々はほとんど知らないでしょうけれども、厚生労働委員会では、大臣も含めて、当時は舛添大臣ですよ、このシーリングはだめだと言ってきたんだ。ところが、我々の政府、官邸がそれを言うことを聞かなかった。これは我々は反省していますよ。反省しなかったら我々は立ち直れないんですよ。そして、民主党は同じように、シーリングなんてだめだと言ってきたんですよ。なのに、シーリングの計算を今もやって、それを差し出しているんですよ、財務省に一千四百億円。あなた方、笑っている余裕ないですよ。自民党と同じことをやっているんですよ、これは。

 大臣、マイナスシーリングだということだけは認めてくださいよ。少なくとも、自民党がやってきた計算方式では医療はマイナス七百億円シーリングであったと、これを認めてください。これを認めてもらわなかったら、議論できませんよ。

長妻国務大臣 基本的に重要なことは、入院に四千四百億円財源をつけている、あるいは医科に四千八百億円つけているということで、それ以外の計算方式については前と変わっていない、こういうことで我々は平仄を合わせているつもりであります。

田村(憲)委員 こればかりやっているとほかの質問ができませんから、これで終わりますけれども、大臣、担当者から話を聞きました。そうしたら、やはり、自民党と同じ方式では、これはマイナス七百億円シーリングと同じ意味だ、そうやって言われましたよ。事実、絶対そうなんです。これは大臣がもうちょっと勉強された方がいいと思います。言いたくないのかもわかりませんが、これは、自民党と同じ、以前やっていた計算でいけば、マイナス七百億円、シーリングとして財源を差し出したということです。

 そして大臣、診療報酬を上げたからそれでいいと言われましたが、では、もうこれで医療は十分だというふうに認識をされているということですね。そういう第一歩をやったならば、もっと余裕があるのならば、ことしつければいいじゃないですか。こういうのを語るに落ちたというんですけれども。

 大臣、そういうことは言ったって、もうどうせ議論にずれがあって、根本論では多分、足立さんはわかっていると思うから、足立政務官、ちょっと答えてくださいよ。お願いします。

足立大臣政務官 田村議員、釈迦に説法で申しわけないですけれども、おっしゃっていることは二点あるんだと思いますね。

 田村議員が、まず、診療報酬改定も何もしなかった場合の推計と今回改定した場合の推計で比較したら医療費はどうなるんだとおっしゃっているのがまず一点目だと思います。

 何もしなかった場合というのは、今回の改定で医療費全体、田村さん、総医療費とおっしゃいますけれども、やはりこれは国民医療費と言った方がいいと思うんですが、それは下がります、約七百億円。それはそのとおりだと思います。

 では、診療報酬改定というのは一体何なのかということになると、本体部分というのは、これは技術料や管理料や判断料が入るわけですね。これを上げることによって、医療費は効率化される可能性もあるわけですね、無駄が省けて。そういう部分につける。それから、薬価、材料費はどう考えるか。この改定というのは、先ほど大臣が申し上げましたように、差益、この差益の部分をなくそう、この部分を本体の方に持っていこうという考え方でやっておるわけです。

 では、そこで出たお金というのは全部つけるべきじゃないかということを今おっしゃいましたけれども、例えば、真空切りというのはもう皆さんおわかりのようですが、これから後発医薬品を促進していくからこれだけ下がるはずだ、それを見越してというのは、実は、財政あるいは財源の考え方からいくと、そこを丸々踏み込んでしまうというのは、私は正しい考え方ではない、そういうふうに思っております。

 以上です。

田村(憲)委員 もうこの議論はやめますが、今までこれで財務省と厚労省はずっとやってきたんです、この表で。幾ら財源を差し出して、そして帳じりを合わせるかというやり方でやってきたんですよ。ことしも同じようなことをやらなかったら、このジェネリックの促進だとかという数字なんてあるわけないので、このお金はちゃんと、財務省とのいろいろな予算の折衝ではこれを使われているんです。それで納得されて、これで一応決着がついた。

 七百億円、言われるとおり、診療報酬で全体では上がるんでしょう。しかし、一千四百億円というものは、これは予算ベースではですよ、決算ベースでどうなるかわかりません。大体、予算と決算なんて乖離していますから。だから医療なんて、いつも補正なりなんなりで義務的経費として帳じりを合わせるんですからね、介護もそうですけれども。だから、予算ベースではこうだ。あくまでもこの国は予算至上主義なんですね。予算を組むときは当然ですけれども。そのベースで診療報酬も決まってくるので、これでいけば、財務省との折衝の中ではもっと診療報酬を上げられたはずだ。それは間違いのない話なんです、財源としてカウントしていますから。そこはお認めをいただきたいと思います。なかなか認めていただけない。

 大臣、もう一回事務方と話をしていただいて、今度、私的にお話をしてみましょう。

 そういうことで、次の質問、いよいよ子ども手当に入ります。

 まず私は、子ども手当、児童手当のそれぞれの趣旨と目的を見合わせまして、児童手当には、「家庭における生活の安定に寄与する」というのが入っているんですよ。しかし、子ども手当には、この「家庭」というのが入っていないんですね。社会全体で子供を育てるとよく民主党は言われますけれども、ああ、家庭という意識がないんだな、民主党にはというふうに、民主党と言うと怒られちゃいますか、今の政府にはということを改めて私は思いました。

 社会全体で子供を育てるというのは、もう家庭はどうでもいいというような意味であられるのか、なぜ家庭というものを法律から抜かれたのか、大臣、お答えください。

長妻国務大臣 当然、お子さんは家庭で育てる、あるいは、御両親がおられないお子さんについては施設で育てるということは当然だというふうに考えておりますけれども、児童手当では「生活の安定」という項目が入っておったわけであります。子ども手当については、所得制限を我々は設けておりませんので「生活の安定」ということの文言は入っておりませんで、社会全体で子育て、子育ちを応援していく、こういうような趣旨というのを前面に出させていただいております。

田村(憲)委員 所得制限があるからないから家庭の生活の安定を抜いたというのは私は納得できませんで、それは、所得制限があろうがなかろうが、やはりそういう家庭の生活の安定というのがあるからこそ子ども手当を配るわけでしょう。別にそんなのどうでもいいんだというんなら、生活の安定がどうでもいいんだというんなら、子ども手当なんて配る必要がないわけでありますから、わざわざ抜かれた意味がまずわからない。

 そして、そこにどうも、もともと民主党のマニフェストでこれをつくられたわけでありますけれども、民主党イズムみたいなものが家庭を壊そうとしているんじゃないのかな。これは私だけじゃないんですよ。今、自民党が実は民主党に対して大変な危機感を持っているのは、それぞれのいろいろな出てきている政策がありますよね、個別具体的には言いません、それが家庭を壊そうとしているんじゃないかというような疑いを我々は持っているから、この法律に関してもあえてこういうことを私は注文をつけたわけでありまして、やはり家庭という一文をぜひとも入れていただきたいというふうに要望いたしたいと思います。

 そして、実質的な目的、これもころころ変わるのでわからないんです。例えば、少子化対策だという話から始まりまして、子育て世帯への経済支援策だという話が出てまいりまして、あげくの果てには、これは景気対策だなんということを総理までおっしゃられて。

 予算委員会で、菅さんとこの議論をしました。乗数効果なんという話が出ましたが、乗数効果、乗数は使っていませんが、かわりに消費性向を使って〇・七だなんという話をされました。しかし、そもそも〇・七も高いじゃないかなんという話もしたんですが、結果的に菅さんが最後におっしゃったのは、来年度のGDPへの寄与度なんていうのは余り重きを置いていないんですと。総理は景気対策だと言って、財務大臣はこれは景気対策じゃないんですなんという答弁に最後はなっちゃったので、これは一体、もともと何が目的でやられようとしておるのかさっぱりわからないんですが、端的に少子化対策ということでよろしいんでしょうか、大臣。

長妻国務大臣 この法律の目的のところにも書いてございますけれども、やはり、これまで我々は、子供を育てるというのは家庭のお金で基本的には育てるんですよ、こういうような考え方でありました。この子ども手当といいますのは、初年度は半額でありますけれども、これは、社会全体でお子さんを育てていきましょう、社会全体で子供を育てる経費をシェアしましょう、これが最大の目的ということで、法律にもその趣旨を書かせていただいています。

 結果として、そのことによって少子化の流れを変える、あるいは、子供の学習あるいは生活の質を上げていく、そして子供の貧困率の解消にもつなげていく、こういうような取り組みとして、そして、GDPの比率で子育てにかける費用が、現物、現金給付を含めた数字が先進七カ国で最も日本は低いわけでありまして、その改善も図っていく、こういうようなことであります。

田村(憲)委員 何か今の話だと、社会で子供を育てるのが目的でということでいいんですか。あと、結果として、教育だとか、子供の貧困率の向上だとか、少子化対策になる。そうすると、それは結果なんだと、結果だから知らないという話ですよ。そういうことでいいんですか。

 ちょっと今の言葉、よくわからなかったんですが、少子化対策だとか、子供の貧困率の解消だとか、教育の充実だとか、そういうことが目的ではなくて、社会で子供を育てるのが目的なんですか。それをよく言っていただかないと、この議論をそもそもできなくなるんですが、大臣、どういうことですか。

長妻国務大臣 これも繰り返しになりますけれども、これまでは、費用の面でいうと、一義的にお子さんを育てる経費というのは家庭で持つ、こういうような発想があったわけでありますけれども、費用の点で、社会全体でその費用を分担していきましょう、これが目的であります。

 これは当たり前の話でありますけれども、お子さんがおられる世帯とお子さんがいらっしゃらない世帯、当然その費用のかかり方というのは違うわけでありますので、それについて、社会全体でその費用をシェアしていきましょう、こういう趣旨であります。

田村(憲)委員 では、少子化対策だとか子供の貧困をなくすというのは、それは結果であるから、どういう結果であっても我々は知らないと、今の話だと。(発言する者あり)いやいや、そういう話でしょう。そうじゃなくて、これは少子化にも、子供の貧困にも、教育の充実にも、当然それは目的に入っているんだということであるならば私はこれからいろいろな議論ができるんですが、配るのが前提で、結果は後からどうなるかわからないという話だとこの後議論できないんですけれども、これは、少子化対策だとか子供の貧困をなくす、そういうような目的は入っていないんですか、大臣。端的にお願いします。入っているのか、入っていないのか。

長妻国務大臣 ですから、先ほども申し上げましたように、お子さんを育てておられる御家庭とお子さんがいらっしゃらない御家庭、これについて、当然お金の支出というのは違うわけであります。お子さんを育てておられる家庭の方が、その部分で見ると支出が高いということでありますので、その部分について、その経費を、その相当部分を社会で見ていきましょう、これがこの法律の目的でありまして、そして、結果として少子化の流れを変えていく、そして貧困率を改善する、そして、当たり前ですけれども、そういう子ども手当によって子供の学習の質や生活の質の向上を目指していく、こういうことであります。

田村(憲)委員 質問の仕方を変えます。

 要するに、そういうもの、少子化だとかそういうものは、政策的な効果としては、この法律の中には一応ねらいとして入っているんですか。

長妻国務大臣 それは、政策的効果の一つとしてもちろん入っております。

田村(憲)委員 とするならば、当然、その効果をあなた方は一応期待しているはずでしょうから、大臣おっしゃられたように、これだけの、二兆数千億円、満額になれば五兆円をはるかに超えていく金額になりますから、当然これは、費用対効果がどうだとか、一応ある程度予測はされているんだと思うんですよね。

 少子化が、何年に合計特殊出生率がどれぐらい上がるかだとか、子供の貧困をどれぐらいこれによってなくすだとか、一応そういう目標を挙げられて、そして、よく言われますPDCAサイクル、大臣よく言われていましたよね、プラン・ドゥー・チェック・アクション、これをちゃんとやられる予定であろうと思いますので、今どれだけの目標数値を置かれて、そして、どの時点でこれに対してチェックをされて、そしてさらにそれを見直していかれるのか、この工程表は多分あられると思いますので、教えてください。

山井大臣政務官 田村委員にお答えを申し上げます。

 御存じのように、少子化対策ということに関しては先進国各国が悩んでおりまして、現金給付と現物給付、これをセットにして、さまざまなメニューでトータルで支援していくということにおいて、結果として少子化対策になっていくということでありまして、現金給付単体ということではなく、今回の政権においても、一月二十九日に発表した子ども・子育てビジョン、それと現金給付、現物給付の車の両輪で、結果的には少子化対策にもなればというふうに考えております。

田村(憲)委員 それを出されたんでしょう。出されたんですから、それに合わせわざで、これからどういうような工程表でPDCAサイクルをつくられるのか。もうあるんだと思いますよ、あれを出した時点で。だって、いつも大臣はそれをおっしゃっていましたから。何かやる前には必ずそういう準備をすべきだ、企業ならやっていますよと、これは大臣のいつものうたい文句ですから。もうつくられているんでしょう。政務官、どうぞ。

山井大臣政務官 これは、少子化対策の合計特殊出生率の数値目標を立てるとか、そういうふうなことというのはなかなかなじまないというふうに思っておりますし、まさに長妻大臣も結果としてということをおっしゃいましたように、結果として少子化対策にもなるでしょうし、子供の貧困率の削減目標にもなるでしょう。そういうふうなことを私たちは期待しております。

 しかし、子供の貧困率の削減においても、子ども手当のみならず、さまざまな、高校の授業料無償化や、まさに小児医療の充実や学習機会を与えること、トータルな政策だと思っております。田村委員がおっしゃる趣旨はよくわかるんですよ。私たちもやはり、これだけ多くの財源を使う以上、できれば数値目標であった方がいいという質問の御趣旨はわかりますが、なかなか、その数字をまず出して、そして工程表をつくってというふうには、今のところはそういう数値は持っておりません。

田村(憲)委員 これは本当にいいんですか。五兆から使うというんですよ。日本の防衛費よりも多いんですよ。それを何の政策的な効果も予想もせずに垂れ流すんですか。

 私、これはちょっと、なぜこんなことを聞くかというと、この後本当は聞きたかったんですが、六月までにこれを支給される、現場では今大変な混乱です。横浜市あたりは五十万人以上子供がいますから、今必死になってシステムをつくってやっていますよ。

 しかし一方で、寄附を取るなんということを、一万三千円単位でやるという寄附を取られるという話、あんなことをあなた方がまた思いつきで言ったものですから、これはもう対応が間に合わない、システムには組み込めないと言って泣いていましたよ。こうやって思いつきでどんどんやって、これは選挙対策じゃないんですかという話に最後はなっちゃうんですよ。七月に参議院選挙があるから、その前までに何としてもこれを配らなきゃならない、負担はその後だと。負担がふえるのはその後ですよ、扶養控除がなくなるのも。

 こういう話をしていきますと、これはどう考えたって、あなた方は何の政策的効果も予想せずに、あれだけ大臣がおっしゃってこられたじゃないですか。大切な税金を使うときには、あらかじめどのような効果があるのか、そしてそれが本当に出ているのかどうかは検証する、出ていなかったらそれをやめるのか、それとも続けるのならどう改良するのか、これをやるのがこれからの政府だ、民間なら当たり前のようにやっていますよと言い続けて、口を酸っぱくして言い続けたのが長妻大臣、あなたですよ。あなた、大臣になったら変わっちゃうんですか、自分の信念。ちゃんと出してくださいよ。

 大臣、何かありませんか、大臣。

長妻国務大臣 基本的に、これまで子育てに関する予算というのは余りつかずに、結果として、GDPの比率、国内総生産比で見ると先進七カ国で最低になっているわけです。常に子供に関する予算というのは、ほかに重要なことがあるから、効果が本当にあるのかどうかわからないから、これは後回しにしましょうということでずっと先送りをして、そして、結果として出生率も先進七カ国で最低になってしまった、こういうようなことであります。

 それで、出生率を何%に上げるというような目標というのは私はそぐわないというふうに考えておりまして、今、山井政務官からも答弁がありましたように、子ども手当だけで出生率を改善するというようなことではなくて、現物給付の保育所サービスなどの充実、そして現金給付とワーク・ライフ・バランス、この三つがきちっと適切に整備されてそれが達成されるということで、総合的な政策の中で少子化対策というのは語られるべきだというふうに考えているところです。

田村(憲)委員 歯切れが悪くなっちゃったですね、大臣。もう何か政府についてしまうとこんなになっちゃうのかなと、本当にがっくりですね。

 では、聞き方を変えますけれども、現物給付、現金給付、これは現金給付が突出しています。世界で少子化対策が成功した国、大体、現金給付が突出した国は失敗しました。バランスがいい国が成功しました。これは余りにも現金給付が突出します。GDP比当たりですけれども、現金だけは世界の子育て先進国以上になっちゃうような状況になります。

 こう考えると、現物の方、現物サービスの方をふやさなきゃいけない。そして、あなた方はそのプランをこの間出されたという話。バランスからいえば、あれではボリューム的には足らないですね。そもそも足らない。多分、同じぐらいは必要でしょう。これは山井さんもよくわかっておられると思いますが。

 あれでもつくられた方がましだと思いますよ。我々は今同じようなものをつくっています、あなた方よりはボリュームのもうちょっと大きいものを。それは我々は子ども手当をやらないから。やらないから財源があるんですよ。あなた方は子ども手当で五兆円使っちゃうから。

 そこで、問題は、書いてもやらなきゃ意味がないんです。六月に中期財政フレームをつくられるという話ですが、大臣、再来年度の子ども手当の満額支給、そして今回つくったプラン、これは当然、この中期財政フレームの中に入れていただくんでしょうね。その準備に入っているんでしょうね。もしこの中に入らなければ、これは絵にかいたもちだ。財源が何もないのに計画だけある。

 だから、あと残すところ数カ月ですけれども、この中期財政フレームは大事なんですよ。ここに書き込めなかったものというのは何の信憑性もない。しかも、財源的に余裕のあるときならともかく、今、政府はないですから、入らなかったらほぼできないと思っていいと私は思っている。

 これは大臣、入れるという決意、入らなかった場合にはやらないということに等しいということをお認めください。

長妻国務大臣 この中期財政フレームというのが具体的にどういうものなのかというのも私も詳細に聞いているわけではありませんので、ただ、私の立場では、もちろん、子ども手当について平成二十三年度、マニフェストどおりに支給をするということで、検討課題ということで判こを押した四大臣合意、予算を具体的にどう捻出するか検討するという文書もあります。あるいは、現物給付五カ年計画というのを立てさせていただいて、そこで数値目標も書きましたけれども、それについても、もちろん、それは数字を出しただけではなくてきちっと整備をしていくということで、平成二十二年度も一定の予算をつけさせていただいておりますので、そういう主張を我々としてはしていくということになると思います。

田村(憲)委員 プランの方も新規であと一兆円以上かかるというような、そんな数字が出てきていましたけれども、毎年かかっていく費用というのがほとんどでしょうから、財政的にはかなりの圧力になります。子ども手当を五兆円、満額配った上にこれをやらなきゃいけないという話でしょうから、大変なことなので、入れてもらわなかったら我々は信用できないという話になりますから、命がけでこれをやってもらわなきゃいけないというふうに思います。

 だんだん時間がなくなってまいりました。あと六分ぐらいなんですけれども、ちょっと一つ。

 今、町で話題だというか、納得いかないという住民の方々の声に、子ども手当が、日本に来られている外国人の方々が自国で育てておられる子供にまで支給をされる、これは民主党の中でも話題になったようであります。これは事実ですか。どうでしょうか、大臣。

山井大臣政務官 これは事実でございますが、児童手当のときと同じ形にしております。児童手当のときと同じ制度になっております。

田村(憲)委員 内国民待遇だとか難民の条約だとか、いろいろな形の中で、国際人権規約ですか、そういう中でこういうふうな流れになってきたというお話だというふうにも担当者の方々に聞きました。

 ただ、お聞きしますが、そもそもこの子ども手当法は、こういう方々も入れるという想定のもとに皆様方は考えておられたんでしょうか。つまり、こういう方々も対象になる、社会で子供を育てるというのは、こういう外国におられるお子さん方、たまたま働きにお父さん、お母さんが来られて、自国で扶養しておられる子供たちも対象になるということでこの子ども手当という法律は設計されたんでしょうか。

山井大臣政務官 ここは正確に答弁をせねばならないと思いますので、その経緯、児童手当のころから、どうしてそういうふうに外国に住まれている外国人のお子さんに出るかということを御答弁申し上げます。

 現在の児童手当制度において、一九八一年の難民の地位に関する条約の加入に当たり、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の趣旨も踏まえ、他の国内関係法と同様、国籍要件を撤廃した。現在は、国籍にかかわらず、親が日本に居住している場合には、その子についての監護が行われ、かつ生計を同一にしているときは、その子が外国に居住していても支給対象となっている、今までどおりの対応となっております。

田村(憲)委員 全然答えていないんです。私が何でこれを気にしているかというと、児童手当を準用しましたよね。今回、財源がないからというので、地方それから事業主に負担をかませました。そのために、これは児童手当法のをそのまま引っ張ってきちゃったんですよ。つまり、今年度はそういう法律ですが、来年、児童手当を今と同じような設計で組み込むかどうなのか、満額払うのかどうなのかというのはまだ決まっていないんだと思うんですね。決まっていないから、私は、さっきの中期財政フレームも怪しいということを言っているんですよ。ここまでお感じいただかなきゃいけないんですが。

 来年、再来年度にスタートする新しい制度、つまり、来年度出される法律が新しい子ども手当法としてもし児童手当と乖離しちゃった場合は、こういうものはなくなる可能性があるのか、続けるのかという話を聞いているんです。

山井大臣政務官 田村委員にお答えを申し上げます。

 非常に重要な論点だと思っております。来年度の子ども手当については、第一に、現行の児童手当の支給要件を厳しくする場合には、今までもらっていた外国に住んでいる日本の子供、そして外国人の子供がもらえなくなるという不利益変更、権利の剥奪になるわけですから、六月支給ということを考えたときに、そういうことはそう簡単にはできないという判断におきまして、日本人も含め支給対象外となる方に対して、その趣旨について十分な周知を図ることが六月までにできない。

 また、第二に、海外に居住する子供を支給対象外とする場合には、子ども手当の申請が不要とされている既に児童手当を受給している方の中から支給対象外となる方を個々に抽出する必要が生じ、市町村の事務負担が非常に膨大となることなども考慮して、現行の児童手当の支給要件を踏襲することといたしました。

 しかし、田村委員がおっしゃるように、再来年度の本格実施においては、子供が外国に居住している場合など子ども手当の支給要件に関しては、平成二十三年度に向けた制度のあり方の検討の中で、現場の地方自治体の御意見もよく聞きながら結論を得てまいりたいと思っておりますし、御指摘のとおり、重要な一つの論点だと思っております。

田村(憲)委員 だから行き当たりばったりだというんですよ。今回の子ども手当、選挙対策じゃないんですかという疑いがあるのはそこなんです。こういうような部分を整理されずに、結局は財源のつじつまで、このまま全部国が持ったのでは財政が組めない、だから地方負担だ、事業主負担だとやっちゃったのが、児童手当をそのまま準用しちゃうから、それを引っ張らざるを得ないという話になっちゃったんですよ。だから、やはりこの政策はどうも私は怪しいんですよ。費用対効果もよくわからない、何としても六月に配らなきゃいけない、地方は大混乱だ。

 そして、これも現場で話を聞きますと、今、児童手当は何で判断しているんですかと聞きましたら、今は児童手当も判断するのは住民票だとか健康保険証だとか、それも翻訳して持ってきてもらっていますと。日本語に翻訳しているのはだれだという話なんですよね。これは、外国人労働者の中では今は児童手当は余り意識されていません。これは本当にサンプル調査してほしいんですが、今の児童手当で、どれぐらいの今言われた対象の外国人の方々が受けられているのか、対象者がどれぐらいで、どれぐらいが受けられているのか、これは本当はサンプル調査していただきたいんです。

 そして、子ども手当、これはもうマスコミで、こういう方々も対象になってもらえるということがどんどんどんどん報道されていますから、みんな気づいちゃっているんですよ。すると、申請します。申請したら一遍にふえますよ。ふえたときに、真っ当な方々だけだったらいいですけれども、もし将来子ども手当二万六千円満額なんという話になって、シンジケートができて、いいかげんな書類で通っちゃうのだって、これは市町村が見ますからわからないんですよ、国みたいに全部チェックできないんですよ。地域によっては、外国人労働者がたくさんおられる地域がありますから、一遍に来ちゃったら現場はパニックになっちゃいますよ。

 その方々が全員そうだとは言いませんが、世の中というのは、そういうものがあれば変なシンジケートができて、悪いことをする人たちが出てくるんです。そして、そういうものの中に善良な外国人労働者が組み込まれていく可能性があるんですよ。だからこの問題を私は提起している。

 所得制限もなくなっちゃうんでしょう。アラブの王様のお子さんあたりが、こちらで知的労働をして数千万稼いで、向こうに子供が五十人いたといったら、五十人対象になるんですよね、申請すれば。まあ、こういう方々が申請するかどうかわかりませんが、こういう問題を含んでいますので、慎重に対応していただきたいと思います。

 高井政務官、申しわけありませんでした。時間がなかったので、きょうはちょっと御質問できませんでした。

 最後に大臣、何か答弁があるならお伺いいたします。

長妻国務大臣 今、地方自治体の扱いのお話がございましたけれども、私ども、もしこの子ども手当法案を成立していただいた暁には、地方自治体に通知を出そうというふうにも考えております。

 そういう意味では、外国人の方で、母国にお子さんがおられる場合、ただおられるだけでは支給はされません。主たる生計維持者であるということや、監護という法律用語がございますけれども、監護という要件がなければ支払えないわけでありますので、それについてきちっと要件をできる限り確認していただきたいという通知を、今の御指摘もありましたので、出させていただきたいというふうに考えておりまして、そして、平成二十三年度の本格実施の中で検討していくということであります。

田村(憲)委員 アラブの王様は不適切な発言でございました。アラブだけではございませんで、いろいろな王様という意味で、お金持ちという意味で申し上げたわけでありまして、そこは訂正をさせていただきます。申しわけありません。

藤村委員長 次に、西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。

 早速、質問に入りたいと思います。

 野田財務副大臣にもお越しいただいていますので、財源論からまず議論をさせていただきたいと思います。

 お手元に、皆さんに資料を配らせていただいています。資料の一が、財務省が出した今後の財政予測試算でありまして、二十二年度は御案内のとおり国債四十四兆円発行、そして来年度は、ことしの制度を前提にすれば五十一兆足らなくなる、五十一兆の国債発行が必要になる、さらに二十五年度には五十五・三兆必要になる、こういう試算を出されています。

 まず、長妻大臣、来年、二万六千円満額支給をして、マニフェストどおりに全額国費で負担をすれば、ことしから幾らふやさなければいけませんか、国費を。これはちゃんと通告していますからね。

長妻国務大臣 子ども手当の所要見込み額ということでありますけれども、平成二十三年度につきましては、二十二年度との増額でいいますと、二兆五千三百九十一億円の増額見込みとなっております。

西村(康)委員 野田副大臣、この二十三年度の歳出九十三兆九千億には、今の長妻大臣が答えた二兆五千億強は入っていますか、入っていないですか。

野田副大臣 西村委員の御質問に、謹んでお答えをさせていただきたいと思います。

 この影響試算は、委員が御説明のとおり、二十二年度までの制度を前提として機械的に置いていった数字でございまして、先ほど、差額の部分を公債発行とお話しされましたけれども、必ずしもそうではない。あくまで差額であって、これをもって公債ではないということはぜひ御理解をいただきたいと思いますが、お尋ねの、二十三年度の子ども手当の満額支給分については入っていません。一万三千円の、初年度分の前提でその後のことを書いているということでございまして、その後の制度設計は前提としていません。

西村(康)委員 そうすると、差額五十一・三兆に、今の二・五兆として、差額は五十三・八兆になる。さらに、高速道路無料化、その他いろいろマニフェストを実行するとすると、それよりも上回る。こういうことになるわけですけれども、野田副大臣、こうした状況の中で来年度から満額二万六千円の支給をやることは適切だと考えておられますか。

野田副大臣 平成二十二年度分も、子ども手当を含めてマニフェストの主要事項というのは、例の事業仕分け等を踏まえて、二兆三千億円の歳出削減、それから、公益法人等の基金からの国庫返納等で三兆三千億円の財源を確保して、マニフェストの主要事項を効率的に実施するという形をとりました。

 同様に、二十三年度の編成についても、基本的にはマニフェストに書いてあることを、しっかりと財源を確保することによって実現すべく全力で努力をしていきたいと思います。

西村(康)委員 どうやって全力で努力をするんですか。ぜひ、具体的に聞かせていただきたいと思います。

 ことし、税外収入で十兆円出されました。そのとおりです。外為なり財投資金から余裕ある分を出しています。しかし、これでもうすっからかんになっています。来年以降は、フローで出る分だけの積算でしょう。それから税収も、これを見ていただくと大体一兆円ずつふえていますけれども、これは三%成長ということを前提に計算すればほぼ一兆円ということでやられているんだろうと思いますし、こんな中でどこから財源を捻出されるおつもりですか。

野田副大臣 先ほど、田村委員との質疑も裏で聞いていましたけれども、六月までに中期財政フレームをつくることになっていまして、それは、平成二十三年度、二十四年度、二十五年度、その歳入の見通しとともに、歳出の骨格と削減のあり方をまとめる内容でございます。そういう中期財政フレーム等を生かしながら、加えて、四月、五月と、行政刷新会議による事業仕分けの第二弾もございます。そういう努力も含めて、歳出歳入それぞれの大胆な見直しをしながら、財源の確保に努めていきたいと思います。

西村(康)委員 野田副大臣、わかっておられるんだと思いますね。以前には、二万六千円満額支給は難しいと言っておられた。ぜひ勇気を持って、この財政状況を直視していただいて、正しいと思うことを言っていただけないでしょうか。御自身の主張を曲げてまで政権にしがみつく、そんなおつもりですか。

野田副大臣 私自身の認識は変わっていません。子ども手当だけではなくて、いろいろとやはり、何かを実現するための財源を確保するということが大前提であり、財政規律を守るということは大事だと思います。

 その上で、子ども手当の満額支給はハードルが高いと言ったことはあります。ハードルは高いんですが、低かろうが高かろうが、乗り越えるべく全力で頑張っていきたいと思います。

西村(康)委員 いや、拍手していますけれども、どうやって財源を出すんですか。五十三兆円を超える差額があるわけですよ、税収はたった三十八兆なのに。しかも、二十五年度は五十五兆ですよ。これにさらにマニフェストの分が乗っかりますから、多分六十兆円近い差額をどう手当てするか。税外収入も、もうほとんどない。

 民主党は、予算の組み替えをやれば二十兆近く出せるという話をされていましたけれども、それもとても無理だというのは多分おわかりになっていると思います。ほとんどが社会保障の支出であったり国債の償還であったりするわけですから、組み替えられるとしても、多分十兆円ぐらいしかないわけですね。どうやって財源を出すんですか。

 国家公務員、地方公務員の給与二割カットをマニフェストでうたわれていますけれども、これはやられるおつもりですか、野田副大臣。

野田副大臣 基本的には、マニフェストに書いてあるとおりのやり方で財源の確保を目指していきたいというふうに思いますが、やはり二十三年度の編成以降の話なので、具体的にはそこで検討していくことになると思います。

西村(康)委員 野田副大臣、私は、宇宙基本法も一緒にやらせていただきましたし、大変信頼をしている、党は違いますけれども、仲間だと思っております。この国の将来を見据えて、政権内で真っ当な議論をしていただいて、変なばらまきや社会主義的な政策に惑わされず、この国の将来を担っていただくお一人として、ぜひ真っ当な議論をしていただきたいと思います。

 さらにお伺いをいたします。

 私は、こうした財政状況にかんがみれば、子供たちの支援、子育て支援なりする、そこにお金をもっと投入すべきであると。先ほどの田村委員と同じですけれども、これは現金給付に限らず、サービスの給付、子育てと仕事の両立、こうしたものにしっかりと支援をしていく、あるいはそういう環境を整えていく、これは賛成であります。私も当選以来、若手の仲間同士で取り組んできました。私たちのやってきた児童手当は、四人家族でいえば大体八百六十万円ぐらいの所得制限を入れています。そういう意味で、所得制限を入れるべきだという考えに我々は立っています。

 まず、長妻大臣、長妻大臣にはお子さんがおられると聞いておりますけれども、この子ども手当の対象となるお子さんがおられるのか、おられるとすればこの子ども手当を受け取られるのかどうされるのか、お伺いします。

長妻国務大臣 私ごとでありますけれども、子供がおりまして、そのうちの一人が対象になるということであります。

 この法案を成立していただいた暁には、それを私は受け取って、使い道は家族会議で決めていこうと考えております。

西村(康)委員 まるで定額給付金のときの自民党の大臣のような御答弁でありますけれども。

 野田副大臣、野田副大臣にもお子さんがたしかおられたと記憶をしておりますが、対象となるお子さんはおられて、受け取られますか。

野田副大臣 ちょうど今、高三と中三なものですから、子ども手当導入時には対象ではなくなります。男の子二人いますが、対象外でございます。残念です。

西村(康)委員 野田副大臣、今の残念ですというお言葉は、ちょっと聞き捨てならないんですけれども。つまり、受け取られるということですね。もしおられれば受け取りたかったということですか。

野田副大臣 子ども手当の理念というのは、次世代、次の社会を担う子供たちを社会全体で後押しする、応援するという理念ですから、その理念に私は賛同していますから、基本的には受け取ります。受け取ってから、直接うちの子供に使うかどうかは別です。寄附をするというやり方もあるというふうに思っております。

西村(康)委員 野田副大臣、副大臣は今回受け取る対象ではありませんけれども、今寄附のお話をされましたけれども、確かに二十三条に寄附が入っていますけれども、政治家はこの二十三条の寄附の適用がありますか、長妻大臣。寄附できますか。

長妻国務大臣 私が聞いておりますのは、これはまた別の法律が政治家にはありまして、そういう意味では、選挙区内の自治体等での手続というのはできないというふうに聞いております。

西村(康)委員 そうすると、今の長妻大臣のお話あるいは野田副大臣のお話を前提に考えますと、民主党の皆さんは、この法律に賛同しておられて、基本的に対象となるお子さんがおられれば受け取る、そして寄附はできないということです。当該市町村に寄附をするとなっているんですよ、法律をよく読んでください、二十三条。二十三条は適用ないわけです。

 それで、民主党の議員の数は今四百二十三人だと認識をしていますけれども、仮に、子供が二人、あるいは年配の方はお孫さんがおられる、二人おられるとすれば、満額給付になれば年間二万六千円で十二カ月で一人当たり三十一万強、二人で六十二万。この四百二十三人の方が、仮に二人とすれば二億六千万を超えるお金、仮に平均一人だとしても一億数千万円、これだけの金額が国庫から皆さんの手元に行くわけです。

 私たち、私は少なくとも受け取るつもりはありませんし、これまでの児童手当も、所得制限でもちろん受け取れません。自民党の多くの議員も受け取るつもりはないと思いますけれども、こうした二億数千万のお金が、高額所得、二千万を超える所得をもらっている我々国会議員、民主党の皆さんに行く、このことを野田副大臣、どうお考えになりますか。

野田副大臣 基本的には、さっき申し上げたように理念でありますので、これは所得の多寡のいかんにかかわらず社会全体で子育てを応援するという理念のもとに、私は、基本的には受け取っていいというふうに思います。その使い方はいろいろあるかもしれませんが。欧米でも基本的には所得制限が余りないというふうに聞いておりますので、日本の独特の制度では決してないというふうに思っています。

西村(康)委員 これだけ財政赤字があって、しかも格差が言われて、山井政務官、先ほど来、貧困率の話をされています。厳しい世帯の人がたくさんいて、それなのに、高額の所得をもらっている方々に年間一人当たり三十一万円強、民主党の国会議員、ざっと計算しただけで一億円以上のお金が行く。こんなことが本当に許されていいんですか。もっと有効なお金の使い方があると思います。

 長妻大臣、所得制限を入れることについて、もう一度お伺いをします。こうした状況で、お金の使い道、財政状況、そして貧困率の話を強調され、厳しい世帯の方が多い、そんな中で、所得の高い人にまで子ども手当を配る必要があるんでしょうか。

長妻国務大臣 まず、国会議員のお話も前段にございましたけれども、これについては、選挙区内の自治体に寄附というのは別の法律でできないというふうに聞いておりますけれども、選挙区外の自治体ということでは可能であるというのが一点。

 そして、所得制限の話でありますけれども、子ども手当については、所得制限は確かにかかっておりません。ただ、我々は、控除から手当へという流れの中でセットとして、若年者控除を廃止して、そして子ども手当、所得制限なしということでありまして、手取りでいうと控除の廃止も、控除というのは御存じのように高額所得者に対して非常に有利になっているわけでございまして、そういう意味では、実質の手取り、控除がなくなって子ども手当ということで、プラスマイナスを見ていただくと、もちろん高額所得者の実質的な手取りは減っていくということであります。

 そして、先ほど二十三年度に二兆五千三百九十一億円ふえるというふうに申し上げましたけれども、当然、年間で、この国税や地方税の控除がなくなることで、これは平年度、完全に、年度途中ではなくて一年間を、控除がなくなったすべての一年ということに計算をしますと、国税と地方税合わせて約九千億円ぐらい、そういう意味では税金というのがふえてくるということになっておりまして、そういう考え方で子育て、子育ちを社会全体で応援する。控除から手当へという流れの中の政策であります。

西村(康)委員 今の大臣の答弁、間違っていると思います。二十三年度は地方税の控除の廃止に伴う増税はないと思いますが。これは、総務省。

長妻国務大臣 今申し上げたのは、二十三年度に二兆五千三百九十一億円ふえると申し上げましたけれども、これについて、平年度、全部それが実施されたときに地方税と国税合わせて九千億ということで、地方税については二十四年度からの措置でありまして、所得税については来年の一月からの措置であるということであります。

西村(康)委員 つまり、二十二年度は所得税が一月からきいてくるだけで三カ月分であり、地方税は全く増税がない。二十四年度に初めて平年度ベースになってくるということですので、ことし、二十二年度は控除から手当という制度になっていないじゃないですか、大臣。

長妻国務大臣 いや、これは税調の中でも議論をして、そういうスケジュールを決めていくということになったわけでありまして、控除から手当の流れというような政策の中でそういうスケジュールが出てきているところであります。

 我々は、マニフェストでも、これ以外についても控除から手当へという流れを促進するということも申し上げているところであります。

西村(康)委員 いや、二十二年度は手当だけを配る、二兆数千億配るということでありまして、先ほど来、田村委員も主張しておりましたし、七月の参議院選挙へのまさしく選挙目当てのばらまきじゃないんですか。しかも、六月に支給をする。自治体は今準備であたふたと大混乱していますけれども、まさしく選挙目当てのばらまきじゃないんですか。

 ぜひ所得制限を入れるということをちょっと議論したいと思いますけれども、所得制限を入れて、本当に苦しい方に配る、そんな高額の所得をもらっている人には配らない。仮に、児童手当と同じ四人家族でいえば約八百六十万円の所得制限を入れれば、何割の子供が対象から外れ、どのぐらいの予算が節減できますか。

長妻国務大臣 突然のお尋ねでございますけれども、今は……(西村(康)委員「通告していますよ」と呼ぶ)いや、通告いただいておりません。

 九割の方が支給をされているということでありまして、一割の方が所得制限の対象である、こういうようなボリューム感であります。

西村(康)委員 金額はどれだけ節減できますか。答えてください。

長妻国務大臣 二千億円程度というふうに聞いております。

西村(康)委員 程度、きのう、担当の方が来られてちょっと議論しましたので、正確にお答えください。

長妻国務大臣 二千二百億円ということであります。

西村(康)委員 仮に、今の児童手当と同じ四人家族で八百六十万円程度の所得制限を入れてやれば、約二千二百億円が節減できると。

 山井政務官の言われた子供の貧困率、貧困線の所得、四人家族でいえば貧困線というのはどのぐらいの所得ですか。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 一人世帯の場合は、平均ではなくて中央値は二百五十四万円、そして貧困線が百二十七万円、四人世帯の場合は、中央値が五百八万円、貧困線は二百五十四万円であります。

 私たちは、子供の貧困率、そして相対的貧困率を発表して、政権交代後、これを減らそうとしておりますが、子ども手当のみならず、トータルな税制改正を含めたそういうもので、政策パッケージの中でこういう貧困率を削減していきたい、そういうふうな思いを持っております。

西村(康)委員 子供二人の四人家族で二百五十四万円未満の世帯が、相対的な貧困という貧困率に当たるということだと思います。今のお答え、そういうことだと思いますが、この貧困率、貧困線未満の子供は、子ども手当の対象となる数のうち、何%いて、何人になりますか。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 子供の貧困線未満の児童数は二百四十六万人、中央値未満の児童数は九百九万人でございます。

西村(康)委員 二百四十六万人と今答弁していただきました。

 つまり、さっきの八百六十万を超える世帯で、我々がやってきた児童手当と同様にそこで所得制限を入れれば、二千二百億円が浮く。これは、百歩譲ってことしのこの金額を使うとすれば、むしろ所得制限を入れて、この貧困線未満の相対的貧困にある二百四十六万人の子供たちに使えば、一人当たり十万円、月一万円近いお金が支給できるわけです。

 この使い方の方がよっぽどお金の使い道として値打ちがあると思いますけれども、長妻大臣、いかがですか。

長妻国務大臣 これについては、まず社会全体で子供の育ちを応援するというのが一点と、仮に所得制限ということになりますと、控除の廃止ということで所得制限が入った世帯は完全な増税だけというふうになるわけであります。そういう意味で我々、控除から手当へ、こういう流れを加速する。つまり、控除というのは高額所得者に有利な制度であるということで、控除から手当へに考え方を変えると本当に適切に低所得者に手厚く手当が行く、こういう形になりまして、海外、先進国、ヨーロッパ諸国でも、子供に対する手当を入れている国でも、所得制限は多くの国でかかっておりませんので、我々は、控除から手当へという考え方の中で、トータルでとらえていただきたいというふうに考えております。

西村(康)委員 この法律は、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律です。先ほど答弁がありましたとおり、二十二年度は控除の廃止はほとんどないんです。高額所得者にも増税はほとんどないんです。しかも、高額な所得を得ている方々は、自分でお金も使えるでしょう、それなりに子供を育てていくことができる。社会で子供を育てる、子育ちをしていく、そういうことであれば、より厳しい層に重点的に支援をするのがこの法律の理念じゃないですか。

 「二十二年度における」ですよ。二十二年度は控除から手当になっていないんですから、ことしの制度は。少なくとも、二十二年度は控除がなくなるのはほとんどないんですから、貧困線未満の世帯に集中的に支援をすべきじゃないですか。

長妻国務大臣 先ほども、法案の中の寄附のお話に触れていただきましたけれども、そういう意味では、寄附という制度も入れさせていただいて、これは、お金を受け取って寄附というよりも、当該自治体であれば、お金を受け取る前にそれをお申し出いただくとその自治体が適切にそれを使う、こういうようなことであります。

西村(康)委員 寄附に期待しているんですか。どれだけの寄附を期待しているんですか。数字を挙げてください。

長妻国務大臣 今、高額所得者について、自発的にそういう方がそのお金について、自分は家庭で使わずに寄附で使いたいと思う方はそういう制度を利用いただくということも盛り込んでいるということでありまして、基本的には、所得制限が入っておりませんので子供の育ち、子育てを応援する費用に使っていただく、こういう趣旨が大前提であります。

西村(康)委員 いや、全く答えていないじゃないですか。寄附に期待しているんですか。何で高額所得者にまで社会の子供の育ちのためのお金を配る必要があるんですか。控除もなくならない。しかも、寄附に期待している。その分予算を削減して、それをどういう使い道がいいのか考えるのが大臣の仕事じゃないですか。

長妻国務大臣 寄附制度に期待をするということではありませんで、これを入れましたのは、高額所得者の方で、自分がこの金額をいただかなくて、社会全体、人様のそういう施設等々で使ってほしいと思われる方がいるとすれば、そういう方が簡便に寄附をできるような制度を設けたということで、これは先ほど来申し上げておりますけれども、基本は、子供の育ち、子育てを社会全体で応援するというのがまず大前提にあるのがこの法律であります。

西村(康)委員 今の答弁は、所得制限を入れて、その分自分たちで予算を考えて、子供を社会で育てていく、そのための予算、別の予算を考えるということを放棄して寄附に期待している、こういうことですか。自分で予算をつくるのに自信がないということですか。

長妻国務大臣 これは寄附を、一定を見込んで、それを政策の中の恒常的な現物支給とか、あるいは保育サービスの充実の予算として想定してカウントする、こういうことは我々はもちろんしておりませんで、それについては五カ年計画でもお示しをしておりますように、現物支給の充実というのは別途我々は考えているところであります。

西村(康)委員 そのプランを出されてやろうとしているのはわかりますけれども、なぜ、所得制限を入れてことしそのプランの一部でも実行しようとしないんですか。

長妻国務大臣 これも先ほど来申し上げておりますけれども、この社会全体で子育て、子育ちを応援するというのと、もう一つについては、控除から手当へという流れ、セットで我々は考えていきたいということと、そしてもう一つは、諸外国、ヨーロッパ諸国においても、所得制限が入っていないということもあります。

 いずれにしても、我々としては社会全体で子育てを応援する、こういうことでこの制度を導入させていただいておりますので、御理解をいただければと思います。

西村(康)委員 全く理解できません。

 何度も言いますけれども、二十二年度は控除の廃止がほとんどないんです。先ほど答弁されたとおりです。どこが控除から手当なんですか。この法律が恒久法、二十三年度以降も示した法律なら、まだ百歩譲ってそういう議論が通用するかもしれませんけれども、二十二年度における法律なんですよ、これは。控除の廃止はほとんどない。所得の高い人たちには支給が行くだけです。どこが控除から手当なんですか。

長妻国務大臣 今お願いをしている法案というのは、これは御存じのように単年度の法案でございまして、これについても所得税部分は来年の一月から控除の廃止ということになり、二十二年度の後半から始まるということであります。そして、その流れの中で、私どもとしては、二十三年度について、本格実施の中で控除から手当へという考え方を実現していきたいというふうに考えております。

西村(康)委員 いや、だから何遍も言いますように、平準化するのは二十四年度からですけれども、そこでそういう言い方をされるのはまだ議論に余地がありますけれども、ことしは控除の廃止がほとんどないんです。これは二十二年度の法律なわけですから、二十二年度の予算の使い道は、もっと別の考え方を入れてもらわないと、これは控除から手当になっていないんですよ。これはどう考えても控除から手当になっていないですよ。大臣、もう一度答えてください。おかしいですよ、この法律は。

長妻国務大臣 我々が申し上げておりますのは、所得制限をかけないというのは、社会全体で子供の育ちや子育てを応援するというのがまず大前提にこの法律の理念としてあるということでありまして、そしてその背景には、全体の、これは子ども手当だけではなくて、控除から手当へという考え方が背景にはあるということであります。

 そして、六月支給が何か意図があるのではないかというお話がありましたけれども、これについては、我々、マニフェストの工程表の中で、既に選挙前に、半額を四月分からお支払いするということは明確にお約束をしておりますので、そのお約束を履行するということであります。

西村(康)委員 全く答弁になっていません。

 控除から手当へ、しかも所得制限を入れない、高額の所得者はもらい得というか、支給だけがある、負担は上がらない。財政がこれだけ悪くて、貧困線以下の子供たちが一四%、二百数十万人いる、そんな中で、このお金の使い道が本当に正しいのか。我々は、所得制限を入れてやってきたわけです。ぜひこれは徹底的に、この後も仲間が、同僚議員がやると思いますけれども、議論をしていただきたいと思います。

 そこで、所得制限を入れて、現金給付よりもサービスの給付を充実させていく、両立支援をしていく、このことについて、時間がありませんので何点かだけお聞きします。

 一つは、放課後児童クラブ。これも私の地元でもみんな大変苦しんでいて、特に指導員がいないと。年間二千時間近く働く方もおりますし、所得も百五十万にいかない、こんな人がたくさんおられます。

 例えば、保育所の整備も大事ですし、この放課後児童クラブの指導員の支援を強化すれば、雇用の機会にもなるし、そして、子供たちを預けて安心してお母さんが働きに行ける、お父さんも働きに行ける。この指導員の支援の強化、どういうふうにお考えになりますか。ぜひ進めていただきたいと思います。

長妻国務大臣 今おっしゃられましたように、放課後児童クラブの職員の待遇を改善すべしというような声は多くの方からいただいているところでありまして、この児童数についても、五年間で三十万人増を目指すというからには、やはりその環境整備が必要であるということであります。

 その意味では、まず放課後児童クラブ関係の予算でありますけれども、二百七十四億円、四十億円増額、一七%増というのを二十二年度予算で我々考えさせていただいておりまして、その中で職員の処遇改善も含めたサービスの質の向上を図るということであります。

 そして今、全体の具体的なプランも考えているところでありまして、研修に対する補助、あるいはクラブ職員の専門性の確保向上等々についての強化というのも十分検討をして、放課後児童クラブの職員の皆さんの処遇改善に努めていきたいと我々考えております。

西村(康)委員 それも、いきたいという、将来に向けてのそんな答弁じゃなくて、所得制限を入れて予算を有効に活用すれば、いろいろなことができるんです。それを放棄して、寄附にゆだねる、高額の所得者にも支給する、この姿勢はぜひ改めていただいて、本当に子育ての支援になる、現金給付のみならず、必要な世帯への現金給付は必要ですけれども、仕事と子育てが両立できる環境整備をぜひやっていただきたいと思います。

 きょうは、高井政務官、文科省から来ていただいていますので、もう時間がありませんから、二つあわせてお伺いします。

 今の放課後児童クラブと、文科省でやっている放課後子ども教室、この連携ということも我々も主張しながらやっていますけれども、対象がやや違いますので両立してやっていただいているわけですけれども、学校の先生がこれに全くタッチしていない。

 今、放課後子ども教室は、何か遊び、まあ遊びも大事ですけれども、遊んでいるだけで、ボランティアの人たちがお手伝いしている。むしろ、やる気のある学校の先生に入ってもらって、勉強的なことや課外学習的なことも多少やってもらう、政治活動なんかさせずに、子供たちとしっかり向き合ってもらって、こうした放課後子ども教室にも参加してもらって、そして、そういうやる気のある先生には手当がふえる、所得がふえる、そういうめり張りをつけた給与体系をぜひつくっていただきたいと思います。

 あわせてもう一つ、通告しておりましたので、子宮頸がん予防ワクチンです。

 子宮頸がんは、今すごく話題になってきていまして、二十代から三十代の女性の罹患率が乳がんとかほかのがんに比べても非常に高くて、いわゆる結婚、子育て期に当たる女性が発症しやすいという深刻な状況にあります。年間一万五千人発症して三千五百人ぐらい亡くなる。ここも、しっかり手当てすれば、少子化対策にもつながってくる、女性の健康を守るということにもつながってくると思うんですが、国がこの公費助成をしっかりやるべきじゃないか。

 私は、地元明石市でも、ことしの二十二年度予算で、小学六年生から中学三年生までにワクチンを打つ、全額補助をするということを打ち出していますけれども、国が公費助成をして、かつ、小学校での集団接種についてぜひ検討していただきたい。なかなか接種率が上がりませんので、学校で集団で接種をする、このことをぜひ御検討いただきたいと思います。

 最後、これは厚労大臣にもお伺いいたします。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘がありました放課後子ども教室について、小学校の教員をもっと活用すべきではないかというお話でございましたが、現在、約七割が小学校を活動場所として行われておりまして、教員も、管理職が運営組織の一員として参画をいたしましたり、学習支援の活動の際の助言等、いろいろな、全くノータッチというわけでは当然ございません。

 今ちまたで言われておりますことは、やはり教員の皆さんが大変、残業の増加が始まって、授業の準備等、十分な時間がとれていないということなど、超多忙な現状というのがございまして……(西村(康)委員「政治活動しているんじゃないですか、政治活動」と呼ぶ)御指摘があった政治活動の話は詳しくは存じ上げませんが、しかし、やはり教員自身の多忙化を、少なくとも社会全体で支えていこうという理念からも、この放課後子ども教室に多くの人がかかわっていくということが大事だと私どもは思っております。

 退職教員の皆さん、学生の皆さん、地域のおじさん、おばさんも含めて、お兄ちゃん、お姉ちゃんとかがかかわっている、いろいろな取り組みが現状ございますので、教員の多忙化を解消するためにも、大変この取り組みを広げていっていただきたいと我々も思っております。

 多忙化の要因といたしまして、やはり指導要領の改訂に伴う授業時間の増加等も、これは前政権時代のこともございましたし、状況が変化をいたしまして、いろいろな、不登校児童がふえてきたり、いじめの問題、発達障害等への対応、それから外国人児童への対応等、もう御承知だと思いますが、学校現場は本当に、教員の皆さんの大多数は本当にまじめに一生懸命頑張っておられる方が多うございます。そうした方を、まさに社会全体で子供を支えよう、いろいろな人に学校にかかわってもらおうという趣旨で取り組んでおりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っています。

 子宮頸がんのワクチン接種については、詳しくは厚生労働省からお話をしていただけると思うんですが、予防接種法に基づくものではございませんので、我々といたしましては、厚生労働省が集団接種によることが差し支えないとの方針を示すとともに、市区町村長が学校に協力を求める場合には、予防接種法に基づく予防接種のように、学校の教育活動に支障がない範囲で、実地場所の提供、それから予診票の配付等の協力を最大限、惜しまないつもりでおります。

藤村委員長 長妻大臣、簡潔に願います。

長妻国務大臣 子宮頸がんウイルスでございますけれども、今現在あるワクチン、政権交代後に認可させていただきましたけれども、これは全部のウイルスに対応するわけではございませんけれども、半分以上のウイルスに対応するということでありまして、今御指摘もいただきましたので、専門家の先生を交えて、公費助成のあり方について検討を進めていきたいというふうに考えております。

西村(康)委員 全体に、答弁、まだ納得できていない面もあります。予算の使い方について納得できない面もありますのでまた改めて質疑に立ちたいと思いますけれども、これで終わります。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、武部勤君。

武部委員 こういう場で質問するのは十五年ぶりぐらいで、帰り新参というのが心境で、私はそんな難しく質問いたしませんので、大臣も肩の力を抜いて、率直にお答えいただければありがたいと思います。

 ただいまも同僚議員の議論を聞いておりまして、この子ども手当支給法案というのは理念なき迷走を続けている、制度設計が十分でないから、余りにも次から次と問題が出てくるような気がしてなりません。

 久しぶりに私も勉強しまして、どんな問題があるかというのを調べてみました。ここに自分で列挙したものを、まず冒頭、並べ上げてみたいと思います。

 まず、子ども手当創設の政策目的が不明確だ。経済対策なのか、景気対策なのか、少子化対策なのか、貧困対策なのか、何が目的なのか、はっきり説明がなされていない。また、社会全体で子供の健やかな育ちを支援すると言いますが、親の扶養との関係がわからない。子供とか育ちとかという言葉を使っていますけれども、このことについても一般国民は極めてわかりづらいんじゃないか、このように私は思います。

 また、財源の面では、安定的財源が示されていない。国債の発行によって子ども手当を支給するので、子供にツケを回すことになる。平成二十二年度における支給総額一兆二千三百億円に対し、年少扶養控除の廃止等でふえる税収は約八百億円、十分な財源が確保されていない。財源がないのに無理をするから、いろいろ大臣も答弁に苦労するのだと思いますね。

 子ども手当といいながら、児童手当との併給になっている。子ども手当法案といいながら、児童手当法を廃止しておらず、児童手当法の拡充になっている、こう思います。

 財源構成でありますけれども、従来は全額国庫と主張しておりましたね。しかし、地方自治体や事業主の負担がある。地方自治体や事業主の負担が残されたことについて、明確な理由説明がない。地方に負担を求めることについて、自治体関係者と十分な意見交換をしていない。していませんね。

 支給額の根拠でありますけれども、満額実施時、子供一人当たり月額二万六千円ということでありますが、これまでの経過を見ましても、根拠が全く不明確。必要とされる支給額についての実態調査を実施していない。長妻大臣は野党時代によく調査とかサンプルとかということを、私、耳にしました。やるなら、しっかりした実態調査に基づいて、根拠を明らかにした上で制度設計をするべきじゃないのかな。

 今も議論がありましたけれども、所得制限を設けないこととした経緯が不透明だ。そのため、所得制限を設けない理由が不明確。所得制限を設けないので支給対象が拡大し、巨額の財源が必要になっている。

 次に、支給対象等でありますが、教育費の負担が重くなる高校生、大学生に対しては支給されない。乳幼児加算や多子加算がない。児童養護施設等に措置入所している場合、支給されない。上記のような入所児童については安心こども基金で対応する方針が長妻大臣から示されておりますが、その制度設計が明らかになっていない。里親に対して支給されない。子供を十分に監護していると言えない親に対しても支給される。

 また、国外に子供を置いてきている外国人にも支給されるが、子供を監護しているかどうかの確認がきちんとできているのか不明確。外国人登録している国内在住の外国人に対し支給されるが、外国在住の日本人に同様に支給されるのか確認されていない。

 当初の説明資料では子供に支給するとなっていたのに、子供に直接支給される形になっていない。酒、パチンコなどに使ってしまう親に対して用途制限あるいは支給停止できるような規定がない。学校給食費等を滞納している場合にも支給される。給食費等を子ども手当から天引きできる仕組みがない。

 平成二十三年度以降の見通しについても、満額実施できるのか、どのような制度になるのか、全く不透明。今も、満額支給できないとはっきり率直に言ったらどうかという議論がありました。これは、満額実施するとしても、二十三年度以降、安定的財源を確保できるのかが不明だからでしょう。

 このように、列挙をしただけでも、こんなにたくさん、いろいろな問題点が明らかになってきたわけであります。このことにお答えくださいと言えば私の質問は終わっちゃうんですけれども、そういうわけにもいかないでしょうから、少しこの中で私が特に問題視している問題の幾つかを挙げて質問したいと思います。

 そもそも子ども手当の目的は何か、これが大事なんじゃないでしょうか。政府関係者による発言は常にぶれているように思いますよ。現に鳩山総理は、教育への投資であると同時に、消費刺激策であり、少子化対策であると発言しております。子育て費用の保障なのか、少子化対策や低所得者対策なのか、さらには景気対策などと多くの効果を期待する余り、明確な軸が示されていないんですね。目的のあいまいさが、所得制限の是非に関してもいろいろ問題があり閣内不一致を生む、多くの混乱を招く結果になっていると思います。

 また、法律案では、子ども手当導入の趣旨は、次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するためのもの、このようになっておりますけれども、児童手当にあるように、児童養育費の家計負担の軽減を目的とするという趣旨よりも、さらにあいまいになっているんじゃないでしょうか。

 子ども手当の政策目的をどう考えているのか、少子化対策なのか、消費刺激策なのか、低所得者対策なのか、景気対策なのか。私は、おさらいの意味で、長妻大臣にしっかり考えを述べていただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、今、一番根幹の目的のところに御質問がございましたけれども、我々の問題意識は、非常に財源というのは限られておりますけれども、やはり日本国は、世界先進国で見ても人生前半の社会保障というのがこれまで不十分だったのではないか、こういう大きな問題意識に立っております。それが結果として少子化につながったのではないのか。

 今、合計特殊出生率は先進七カ国で一番低いというところまで来ておりまして、その展望がない、こういうようなことがございました。GDP比で見ても、子育てにかける予算は先進七カ国で最低である、こういう問題意識があります。

 その中で、子供を育てるというのは、一義的には、そのお金は家庭で見るのが当たり前だ、こういうような発想があるわけでございますけれども、これは、すべてのお子さんに対して、その経費の相当部分については社会全体で見ていきましょう、社会全体が経費の面で応援をしていくんですよ、こういうメッセージを出す必要がある。

 そして、今議論いただいているのは現金給付のみのものでございますが、これに現物給付、これは保育サービスがよく言われますけれども、保育サービスだけではなくて、小児医療の立て直しというのも現物サービスの一つだと私は思っておりますし、ワーク・ライフ・バランスということで、仕事が忙しくて子育てをする時間が御夫婦とも全くないということでは子供の育ちを応援できませんので、生活と仕事の調和という政策も、我々、新たなものもことしの中盤から始めるというようなことで、やはり、トータルとして人生前半の社会保障を見直していこう、後回しにされがちの部分に光を当てていこうというのが一つの大きな目的であります。

武部委員 今大臣がお示しになりました、メッセージを発するということは私も多としたいと思いますが、きょうの新聞を見ましても、奈良県と埼玉県で、幼い子供が親の虐待の後、亡くなっている、そういう痛ましい事件が起こっております。

 私は、そのメッセージ性のことで言うならば、子供を育てるというのは、一番大事な親の事業であり責任だと思いますよ。どういう子供に育てるかということについても、私は小学校のころのことをちょっと思い出すんですけれども、今でもすぐ言葉に出てまいりますけれども、校長先生が朝礼で、よく学び、よく遊び、よく働く、いつもにこにこ元気な子、これは毎日みんなで唱和したんですね。

 そういう意味では、子供は国の宝ですから、社会の宝ですから、社会全体でこれを支えていこう、そういう考え方はこれからさらに大事になってくる考え方だ、私はこう思います。

 我々自民党は、少子化対策として、幾つかの政策を重層的に行ってまいりました。

 一つは、低所得者層の子育てを経済的に支援する政策、例えば児童手当もそうです、幼児教育負担の軽減もそうですね。それから、育児環境の整備、新待機児童ゼロ作戦、放課後児童クラブの充実などがそうですね。さらには、子育てする親の育児環境を改善するための政策、育児休暇制度の充実や勤務時間の短縮化などがこれに当たると思います。そして、そうした取り組みを推進する自治体や企業などを応援する、そういう政策も推進してまいりました。

 ですから、今大臣のお話のとおり、社会全体で子育てを支える、健全な子育ち、育ち、こういう言葉は僕はどうも抵抗を感ずるんですけれども、そういう考えも一つですし、また、今大臣がお示しなされたような諸般の政策をバランスを持って推進していくということが大事なんだろうと思います。しかし、現実には、今回の子ども手当が突出している、バランスがとれているとは言いがたい。個別政策や短期的な視点だけではなく、中長期的な視点での総合的な子育て支援策を考える必要があるのではないか、このように思います。

 このことについては、今大臣が触れられましたので、御答弁は結構であります。

 次に、財源のことについて少しお話ししてまいります。

 民主党は、政務三役による補正予算見直しや執行停止、事業仕分けなどを通じて歳出削減を徹底するとしてまいりましたけれども、私は、無駄の排除のみによって子ども手当に係る巨額な財源を賄うことはそもそもできない、このように思うんです。実際に、子ども手当の設計については、政策決定の道筋が示されておりませんね。四大臣合意のもとに、あくまでも、平成二十二年度に手当を支給するための暫定的なもの。本格的な子ども手当の制度設計が先送りされているんですよ。

 厚生労働省予算においては、二十二年度の子ども手当の経費として約一兆五千億円が計上されております。二十一年度の児童手当に対する国庫負担額の約二千七百億円に比べまして、一兆二千三百億円の増ですね。所得税扶養控除の廃止、特定扶養控除の縮小が平成二十三年一月から実施されますが、先ほどからお話がありましたように、初年度における税収増額は八百億円。平年度でも税収増額は六千百億円程度ですよ。経費の半分にしか満たない。

 その上、二十三年度は、社会保障費だけでも、高齢化などに伴う自然増一兆円がありましょう。それから、基礎年金の国庫負担を二分の一にするということで、二兆三千億円が新たに必要になりますね。これに、二十三年度からの子ども手当満額支給のための財源といえば、三兆八千億円の積み増しが必要になるんじゃないですか。これは、私は不可能ではないかと思いますね。

 ここで幾ら予算編成過程でどうするこうするといったって、そういうはっきりしていることをあいまいにするから政治不信というのは起こるんです。私どもの選挙区でも、最近、この間民主党に入れた方々も、子ども手当で二万六千円なんてもらえない、みんなそう思い込んでいますよ。

 ですから、マニフェストにこだわる余り、予算を子ども手当だけに使って、保育、福祉などの分野を切り捨てても構わない、民主党の姿勢を見ていると、そのように見てとれるんですよ。(発言する者あり)全然そんなことないと言ったって、そんなことあるんですよ、現に。後でまた話してもいいですよ、具体的なことを申し上げてもいい。

 改めて、子ども手当支給に係る財源確保について、大臣の説明を求めます。

長妻国務大臣 この財源については、平成二十三年度、子ども手当のみならず、今御指摘いただきましたような社会保障の自然増、国庫負担だけでも一兆円ずつ伸びていく、あるいは、厚生労働省のみならず、ほかの省庁で約束している部分の公約の予算等々も始まるということであります。その一方で、やはり、政府の効率の悪い予算、これを徹底的に見直すということで、事業仕分けというのも近々始めさせていただく。

 そして、私どもは、この政権一期では消費税を上げないというふうに申し上げておりますけれども、先ほど来申し上げていますような、それ以外の税制、控除から手当へ等々、流れを加速していくというようなことについても、税調を中心に取り組んでいく。そして、何よりも、税収が九兆円も落ち込みましたけれども、新成長戦略をてこに景気の回復を実現していく。

 いろいろな課題の中で、これは財源が厳しいということは、もちろん我々もわかっております。その中で、国民の皆様に御提示したものをぎりぎりまで努力をして実現をしていくということで、内閣挙げて取り組んでいく、こういうことでございます。

武部委員 以前の長妻さんなら、そういう答弁はなさらないでしょうね。

 それから、これは子供に支給するということが前提なんでしょう。私は、そういう考え方というのはあってしかるべきだとは思います。しかし、その子ども手当が子育てのため、教育や保育のため、育児にかかわる分野に支出されるならばいいですよ。しかし、子育て支援という目的から外れたただのばらまきになってしまう、そういうおそれがあるじゃないですか。パチンコや酒などの遊興費に使われることがあっては、子育て支援のために広く負担を国民の皆さんにお願いして、社会全体で子育てをするという理念を裏切ることになりませんか。

 子ども手当が子供のために使われないのであれば、子ども手当の政策目的は果たせないのであります。その防止策などについて、政府はきちっとした対応を用意しておりますか。

山井大臣政務官 武部委員にお答えを申し上げます。

 確かに、このような現金給付の場合、その現金給付が本来の趣旨に使われるかどうかというのは、この子ども手当の法案にかかわらず、重要な論点であると思っております。

 しかし、今までの児童手当においてもそうでありましたし、また、諸外国の子ども手当、児童手当においても、そのような趣旨の限定ということは義務づけはされてはおりません。

 しかし、今回の法案では、御存じのように、子ども手当の受給者である親等は手当の支給の趣旨に従って子ども手当を使用しなければならないという旨の責務を規定しておりますし、まさにここは党派を超えて、児童手当であれ子ども手当であれ、保護者は子供のためにその趣旨に沿ってお金を使うということをお互いが言っていく必要があるというふうに思っております。

武部委員 まあ、党派を超えて。私は、政治主導、脱官僚というのは内閣主導じゃないと思っているんですよ。ちょっと今の考え方は民主党さんも間違っているなと思うんです。本来、国会主導ですよ。社会保障制度が政権がかわるたびにころころ変わったら、迷惑するのは国民なんです。だから我々は、この子ども手当の問題についても、制度設計をしっかりした上で、これは選挙対策だなどというようなことが言われないように、真剣に国会内で論議を進めていったらいいんじゃないかということを申し上げているんですよ。

 そこで、所得制限については、先刻同僚議員からもありましたけれども、私からも申し上げますが、子育て支援の目的がもし低所得家庭に対する家計支援策であるのであれば、限られた財源を有効に使う意味で、所得制限をかけるべきだと私は考えます。児童手当法、併存しているでしょう。これはまさに家計支援策であります。

 しかし、現在議論されている子ども手当の仕組みには所得制限はない。所得制限をかけない場合には、政府・与党が考えるケースと異なり、所得の低い人よりも高い人の方が結果として受け取る金額がふえる場合はあるじゃないですか。ありますよ、我々もいろいろ調べてみまして。

 ですから、本来手当を本当に必要とする低所得者世帯よりも収入源の増加が大きくなるという逆転現象が生じることにならないように、これは世論調査を見ましても、七割以上の人が所得制限に賛成ですよ。政府がより所得の低い人に対して手厚い支援をするのであれば、所得制限などをしっかり考えた方がいいのではないか。もう一度、大臣のお考えを明確にしてください。

長妻国務大臣 先ほども申し上げましたように、子育てにかける経費、費用を社会全体で支えていくというのが大きな理念としてあるわけでございまして、その中で結果として少子化対策、少子化の流れも変えていこうということも我々考えているところでございます。

 それと同時に、先ほど来申し上げておりますけれども、控除から手当へという全体の流れの中で、控除は高額所得者に有利に働いていく、だから手当は所得制限をかけない、こういうような考え方も一つあるわけでございます。ヨーロッパ諸国で子ども手当に似た支給をしている国についても、ほとんどの国に所得制限がかかっていないというようなこともかんがみて、私どもとしては今回所得制限を外すということでございまして、選挙のマニフェストでも所得制限を入れるということは申し上げていないところでございます。

武部委員 国民から大事なお金を預かり、社会全体で子育てをしようというのであれば、無駄遣いをしないという原則にのっとって、必要な人に必要な手当てをする、手当てが行き届くような仕組みにしなければならないと私は思いますよ。

 子ども手当は、完全実施すると約五兆三千億円を要する政策じゃないですか。マニフェストが国民との約束であるからといって、十分な検討と合意がなければ急いで制度を導入すべきではない、私はこのように思います。逆に、国民や子供の利益を損なうことになっては本末転倒じゃないですか。政権交代したから、選挙で約束したマニフェストだから何が何でもやらなければならないというやり方は必ず将来に禍根を残す、私はこのように思います。ここは十分に議論を重ねて、しっかりした制度設計を行い、確実な財源を示して、国民との合意、理解、その上で制度を導入すべきと考えます。

 七月の参議院選挙に向けて、私は、潔く、二十三年度以降の子ども手当の満額支給はできない、このように民主党の公約修正をした方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょう。

 また、少なくとも、六月支給にこだわるのは問題ですよ。これは大混乱が起きているんですよ。十月支給ではなぜだめなんですか。

 今後も我々は、国民生活の安定のために適切に提案をしていきたいと思っております。先ほど申し上げましたように、国会において与野党、しっかり政策論議を行って、場合によっては修正協議の合意を求めてスピーディーに適切な結論を導いていくということが肝要ではないか、私はこのように思います。

 大臣のお考えをもう一度伺いたいと思います。大臣というよりも、長妻さん御自身の気持ちを吐露してください。

長妻国務大臣 今、るるお尋ねがございました。

 六月支給ということでございますけれども、これについては、もう御存じのように、今までの児童手当の支払いの方法というのが、四カ月置きに年三回支払うということで、それが新年度は六月がまず第一回目ということで、その支払いの事務の軽減も含めて、そこの支払いスキームは変えずに払っていく。

 十月という今のお話というのは、恐らく十月に四月分から全部を払えばいいのではないかという趣旨だとすると、では、六月、年に三回児童手当は支払われておりますので、そういう意味では、そういう方々への支払いがなくなってしまうと、やはり御家庭ではいろいろな予定を立てておられるということだと思いますので、それについてはでき得る限り同じようなタイミングでお支払いすることが非常に重要なのではないか。

 その中で、国会にもお願いを申し上げまして、第二次補正予算でそのシステムの関連経費の計上をお認めいただきましたので、地方自治体にも、早目早目にお金の手当て、あるいは説明会も厚生労働省に御足労をいただいて、幾度か詳細な打ち合わせというのもさせていただいて、六月にスムーズに支給できるように、我々としては万全なサポートをしているということであります。

 そして、いろいろなお尋ねの中でありますけれども、やはり今までは、国会あるいは政府は、子供に対する子育ての支給というのは、ほかにもっと重要なことがあるんだといういろいろな議論の中で、結局は、そこに対する、これは現物支給、保育所、保育サービスもそうでありますけれども、後回しにされてしまっていた。こういうようなことを感じておりまして、それが結果として先進国の中で子育てにかける政策や予算のおくれをとってしまったというふうに考えておりますので、政権交代を機に、そういう今までの考え方を転換するという第一歩としよう、こういうふうに我々は考えているところであります。

武部委員 政権交代を機に、せっかく国民の期待を得て皆さん方が新しい政権を担っているわけですからね、国民の期待を裏切っちゃいけませんよ。

 私は、政権交代は小選挙区制の制度を導入する以上は必ずあり得る、こう思っているんです。ですから、これを民主主義の、議会主義の一つの転機にしたらいいと思っているんですよ。あなたたちがこれで国民の信頼を失い、希望から絶望に変わってしまったら、国民の日本の政治に対する信頼は地に落ちていくんです。政治不信は一層大きくなっていくんです。政治と金の問題で、同様ですよ。私は、そのことはもう少し謙虚に国民の声を聞いたらいいということを強く申し上げます。

 それから、最後に、少し時間をいただきまして、地域医療再生臨時特例交付金の問題についてお尋ねしたいと思います。

 鳩山内閣の無謀な第一次補正予算の執行停止で、地域医療再生基金は、当初予定していた百億円規模のいわゆる再編事業が廃止されました。そして、二十五億円規模の事業の数を八十四から九十四にふやしました。この結果、四十七の都道府県で二十五億円規模の事業を二つずつ、各県二つずつ、一見公平に見える配分ということになりました。

 一見公平そうに見えますけれども、例えば北海道と東京都を同一視して、それぞれ二つの医療圏にかかわる地域医療再生計画に対して支援するということであれば、医療圏の数でいえば、北海道は二十一です。東京は十三です。一番小さなところ、鳥取県などは三つですね。東京都の場合、十三圏域の大半は二十三の区部ですよ。広大な自然といえば聞こえはいいかもしれませんが、冬の北海道の移動の困難さ。先日も家内から電話があって、けさは零下二十七度だ、そういう電話がありました。この自然の厳しさを考えてみてください。

 このような地域でも、整備が行き届いた東京のような地域も、同じ額で地域医療を立て直す計画が現実にできると大臣は思っているんでしょうか。地域の実情を理解しようとしないこのような考え方が鳩山内閣の理念や姿勢であるとすれば、私はこれは全く許せない、こう思うんです。

 私の地元は、選挙区は知床から利尻、礼文まで、ちょうど四国と同じぐらいの広さですよ。網走支庁管内だけでも秋田県と同じです。ここで心臓外科手術ができるのは、北見の道立病院だけですよ。この道立病院は、循環器内科の医師がいなくなるということで、存続の危機に置かれていたんです。そこで、この地域医療再生基金を使って、道立病院を建て直し、旭川医科大学の協力もいただいて、行く行くはオホーツク循環器呼吸器センターという位置づけにしようと。

 さらに、もう一つつけ加えさせていただきますと、北見には国立の北見工業大学があります。我々は、ぜひ医学部が欲しい、医師確保のためにも、地域医療を充実させるためにも、そう願ったのですが、これは不可能。結果、医療工学部をつくろうということで大きく前進しているんです。この四月から医療工学専攻課程というのが大学院に設置されるんですよ。これは北見工業大学と旭川医科大学の連携でそれができるようになったんです。

 これを充実させるために、実現させるために、道立病院の改築、そして設備の近代化、さらには医師の研修、こういったものもやっていこうということで、この百億円の規模の地域医療再生基金を当てにして計画が進められていました。それが、民主党政権になってこれが廃止になった、取りやめになったということで、地元の皆さん方は大きな失望感を持っています。

 長妻大臣、ぜひ、この広い北海道や各地域の実情、実態を把握して、それぞれの地域に合った地域医療計画というものを支援してもらいたいと思いますが、この点についての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

長妻国務大臣 医療の立て直しといったときに、簡単に言うと、大きく二つの手法があると思います。今言われたような、税金で直接そこに補助を入れる、もう一つは診療報酬という中で見ていくということがあると思います。

 今は前者のお話で、その意味で、百億円の事業を十地域つける、二十五億円の事業を八十四地域つけるというのが当初の計画でございまして、これについて、十地域はコンペ方式でどこかを決めるということで、まだ決定前の話でもございまして、この十地域の百億円というのを、ほかの二十五億円と並びにして、そして地域の数は同じにして、九十四地域、八十四足す十で九十四地域に、すべてに二十五億円ずつつけさせていただくということで、九十四というのは四十七都道府県に二つずつつけるということにさせていただいているところです。

 そして、この税金の事業はモデル事業ということでございまして、では、九十四カ所やればすべて日本の医療が解決できるとはもちろん思っておりませんので、新しい試みも含めたモデル事業につけさせていただく、こういう趣旨であります。

 私は、医療の立て直し、本当に全体に目配りをしてお金を流していくというやり方の王道は、やはり診療報酬できちっと措置をするということで、診療報酬というのは一点十円でございまして、これがいろいろな医療の過程の中で予算がつき、政策的な目標に誘導するという作用もございますので、そういう意味で、私どもとしては診療報酬についても、これまで十年間上がらなかったものをネットでプラスにさせていただいて、入院にも四千四百億円今回つけさせていただくということで、これは全国満遍なく広がる措置であります。

 そして、今、武部委員の方からございました、公立病院や民間病院の改修については、いろいろな別の手だてもございます。公立病院の改修については、病院事業債というのが充当できまして、元利償還金の三割が普通交付税で措置をされますし、もちろん、診療報酬で収入があれば、それによって銀行から借り入れをして建物を建てかえる、こういうようなことも一部に、それに充当するということもあるわけでございますので、我々としては、そういうような趣旨で、医療崩壊を食いとめるというその御趣旨は私も共有をしているところであります。

武部委員 時間ですから申し上げませんが、そういう認識ではだめですね。やはり実情、実態をしっかり把握した上で、子ども手当もそうですよ。いろいろな手だてというものがあるんですよ。だから、やはりこの狭い国とはいいながら、南北に長い日本列島なんですから、長妻さんは冬の北海道に行ったことがありますか。今度私が案内してあげますから。そういう答弁では、速記録をみんな見ますから、がっくりしますよ。そういう失望をさらに大きくしないようにしっかりやってください。

 終わります。

藤村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 子ども手当法案の質疑に入る前に、子供の生命を守る小児医療について、一問お伺いしたいと思います。

 NICU、新生児集中治療室、またその後方支援体制の整備についてお伺いいたします。

 私は、平成十八年十二月、本委員会におきまして、周産期医療ネットワークが未整備であった奈良県での妊婦死亡問題を踏まえて、この一因としてNICUが満床であったことを指摘いたしました。そして、この周産期医療を取り巻く厳しい状況の改善に向けて、NICUの整備状況、実質どれくらい機能しているのか、全国的な調査をすべきだと訴えました。

 翌年に調査が始まり、さらにNICUが常に満床に近い状態が続いていることも指摘をいたしました。この解消のために取り組みを強化すべき、このように訴えてまいりました。

 そして、この調査結果が公表されました平成十九年の十一月にも、本来の機能である急性期の患者を救命し治療するNICUのベッドが足りない、絶対数がまず足りないということ、それから、急性期の未熟児、新生児の治療、救命というNICU本来の役割を果たすためには、呼吸管理等も可能である、慢性的な集中治療を必要とする患者のための専用施設、いわゆるNICUの後方支援施設の早急な整備を主張したところでございます。

 この意味でも、先日、二月十二日に発表されました平成二十二年度診療報酬改定では、産科、小児科の評価が大変手厚くなったと評価をしております。特に、ハイリスク妊婦管理の充実、拡大が実現をし、さらに、NICUの評価として、ハイリスク新生児に係る集中治療の評価を加算、さらに、NICUからハイリスク児を直接受け入れる後方病床の評価を新設されています。このほか、NICUの後方病床や在宅での療養へと円滑に移行することができるよう、この評価も引き上げが行われております。

 今回の措置により、NICUの後方支援体制の整備充実が期待をされているところであります。

 私は、周産期医療の健全なる発展のために、後方支援施設整備の拡充を強力に進めるべき、このように考えます。改めて、NICU、そしてその後方支援の整備拡充について、大臣のお考えをお伺いいたします。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

長妻国務大臣 今御指摘の点は、広い意味での子育て支援の現物給付、保育サービスとともに医療サービスも充実をさせるという筋のお話だと私は思います。

 子育てビジョンの中にNICUの病床の目標も入れさせていただいていまして、今現在は出生一万人当たり二十二・四床でございますが、これを平成二十六年度目標値としては二十五から三十床にしようということで、拡充は図ってまいります。

 そして、NICUというのは新生児の集中治療室でございますけれども、そのベッドで寝ておられるお子さんが移れる亜急性期、急性期を多少過ぎた場合、ではどこにそのお子さんが移るのか。受け入れの後方ベッドがなければ、NICUが満床で救急車のたらい回しが起きるということにもなりかねないわけでございますので、今御指摘いただきましたように、ことしの四月から、新たな診療報酬体系として、NICUからの後方病床の新設をいたしました。

 これは、一日五千四百点ということは、五万四千円というお金をつけさせていただくというのが新たなもの。そして、NICUの評価も、八千五百点から一万点に引き上げるということ。あるいは、予算措置としても、平成二十二年度の予算案では、前年度比の二倍強の約八十七億円を周産期医療体制の充実強化に入れさせていただいております。

 私も、就任をしてから、周産期の医療、NICUを見に行きましたけれども、本当に一生懸命医療の方が頑張っておられ、本当に御苦労されておられる親御さんもいらっしゃるわけでありまして、小児科、産科の立て直しというのは大変急務であるという意識を持っておりますので、全力で取り組んでいきたいと思います。

古屋(範)委員 やはり、安心して出産ができる体制整備、これが非常に重要であります。

 その意味でも、周産期医療、特に救急の周産期、こうした体制整備のためにも、NICUの整備、そして後方病床の整備、これをあわせて、さらなる拡充、目標値も既に発表されているようでありますけれども、ぜひその目標を達成されますよう重ねて要望しておきます。

 それでは、きょうの質疑に入りたいと思います。

 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案ということでありますけれども、先日、二月十九日に大阪で公聴会が行われました。そこで意見を述べられましたのが、連合大阪高齢・退職者の会、三ッ木氏であります。その中で三ッ木氏はこのように述べております。

 子ども手当で本当に子供がふえるのか、その上で、国民の皆保険制度が維持できるのか、子ども手当で子供のいる家庭の可処分所得をふやしたとしても消費が起きるのか、それを本気で思っているとしますと、非常に甘い算段と言わざるを得ないと。

 また、将来必要とされる労働人口やあるいは産業形態と労働の質と内容をどのようにとらえるべきかが重要であり、この重要な点が明確でない、にもかかわらず、子ども手当の創設は非常に拙速ではないかと。

 そしてさらに、将来の労働力の確保や皆保険制度の負担の担保は十分な検討が必要であります、今後も歳入増が余り見込まれないときに、この子ども手当という恒久的付加給付は後世に禍根を残す、制度化したらやめることができないというふうに思っております、大変口の悪い言い方で申しわけありませんが、私は現政権の政党を支持する立場でございますけれども、これは厳しく指摘しておきたい、子ども手当は点取り虫的な政策だ、このように厳しい指摘をしております。

 とりもなおさず、連合OBということでありますけれども、現政権の支持団体であります。こうした子ども手当に対する厳しい指摘を大臣はどのように受けとめられますか。

長妻国務大臣 やはり我々は、この子ども手当について、さらにPR、広報、説明をする必要があるというふうに考えております。

 大々的に説明するのは、まだこれは法案が通っておりませんので、世間の皆様方には法案の成立後になろうかと思いますけれども、まずは、少子化というお話もございましたけれども、これは現金給付のみならず、現物給付とワーク・ライフ・バランスの三つが適切に整備されるということで、その大きな一つの柱として子ども手当があるという認識でもあります。

 そしてもう一つは、社会全体で子供の育ち、子育てを応援するというのは先ほど来申し上げております。お子さんを育てるということは、これはもう言うまでもなく、そこには必ずお金がかかるわけであります。教育費あるいは食費も含めてお金が必ずかかっているところでありまして、その経費について、一定の部分について社会全体で支えていこう、こういうような考え方の中で、諸外国の予算の使われ方なども参考にいたし、今の少子高齢社会の現状も見て、社会保障の担い手も大変不足をしているというようなことも考え、この施策を実行させていただきたいということです。

 私は、何よりも重要なのは、当然、お子さんを持っている親御さんへの説明も重要だと思いますが、もうこの対象の年齢でない納税者の方についても、その趣旨を何度も説明をして御理解いただくということも非常に重要だと思いますので、その説明をきちっと続け、法案成立の後には広報の体制も整備をしていくということであります。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 これから広報活動をやっていかれるということでございますけれども、やはり、こうした連合のOBの代表で、公聴会に出てこられる方、ある程度というよりも、かなり制度設計に詳しく、政治にも非常に関心の高い、まさにそのど真ん中にいる方々でさえもこうした厳しい批判をしている、このことを厳粛に受けとめるべきではないか、このように指摘をしておきたいと思います。

 さらに、平成二十二年度のみの法律案を提出した緊急性、必要性についてお伺いをしてまいります。

 先日、私は本会議で質問いたしました。その質問に対しまして、大臣は、単年度の法案として提出した理由について、少子化が進展する中、今、思い切った対策を講じなければ、将来、経済や社会の担い手が不足し、国の基盤が揺らぎかねないと。また、財源をめぐりさまざまな議論がある中でとして、国家百年の計に立つ政策を一歩踏み出した、そういう見解を示されております。

 現行の児童手当制度は、議論が始まってから十年以上の年月を経て法案提出に至り、施行に当たっては、三年間、段階的に支給対象を広げてきたという経緯がございます。その後も、御存じのとおり、公明党は、連立十年間で五回にわたって、限られた財源の中でだれもが納得できる形で児童手当を拡充してきたわけであります。こうしたやり方が、現実の財源を考えれば、責任のある現実的な政策の進め方ではないのか、このように思います。

 子ども手当制度は、半額を支給する来年度でも、半額であれば二兆三千億円、満額支給するとなりますと五兆五千億円とも言われる巨額の財源が必要となります。十分な検討、慎重の上にも慎重な検討が必要でありますし、合意形成なしに制度を導入することは絶対にあってはならない、このように思います。

 二十二年度におきましても、約一兆五千億もの予算が計上されております。二十一年度の児童手当に対する国庫負担費は、二千七百億円であります。これと比較をしても、既に一兆二千三百億円もの増加となっているわけであります。

 大臣、マニフェストは確かに国民との約束ではありますが、検討も合意もなしに制度を導入して、かえって国民や子供の利益に反する、このようなことになっては取り返しがつきません。思い切った対策を講ずることは重要であると思いますけれども、これだけの巨額な財源を投ずる、十分な議論を重ねるべき、このように思います。

 実質は児童手当の拡充である単年度の子ども手当法案を拙速に出すのではなく、やはり確実な財源と制度設計を行って、それに議論を重ねて国民の理解と合意を得た上で、本格的な子ども手当法案を提出すべきではないのか。今回、制度設計を先送りして、また財源についても十分に確保されないまま、単年度の法案を出した緊急性、必要性について再度お伺いいたします。

山井大臣政務官 古屋委員にお答えを申し上げます。

 言うまでもなく、児童手当は、今まで五回の公明党を中心とした御尽力によって引き上がってまいりました。そのような中ですが、先進国の中で比較をしてみますと、先ほど長妻大臣が御指摘をされましたように、子供に対する現金給付の割合はまだまだ非常に低い、そして、そのことに関しては本当に待ったなしだという認識を私たちは持っております。

 さらに、子育て中の保護者の方々と最近出会いましても、早く子ども手当を支給してほしいという声が強まっております。これは、子育てに対する支援のみならず、やはり今のこの不況を脱却するためには内需を拡大せねばならない、内需を拡大するためには可処分所得をふやさねばならない、そういう中で、六月のこの支給を待っている保護者の方々、さらに、教育産業、子育て産業の方々も、非常に景気に対する追い風として期待をしておられます。

 確かに、古屋委員おっしゃいますように、今までの児童手当の経緯、そういうものを含めてじっくり議論を与野党通じてやりながらも、しかし、待っておられる保護者の方々、お子さんたち、また景気に対する影響というものを考えて、今回、六月実施ということで考えておるわけでございます。

古屋(範)委員 これは、二〇〇七年三月二十日の児童手当法案の民主党の反対討論であります。その中で、児童手当制度に対しまして、あくまでも当分の間の暫定措置として小学校六年まで延ばしているにすぎません、それは、財政措置についても同様であり、一体いつまで暫定措置を続けるおつもりなのか、繊細なガラス細工のような危うさをもって今の仕組みがつくられており、根本的な制度の見直しは待ったなしの状況にあります、このように述べられております。

 まさに、このガラス細工のような危うい児童手当制度、これを併用して、併用というよりも、まさにそこに乗せた形で今回の子ども手当法案はできている。そして、まさに二十二年度のみの、暫定措置でということを批判されていた、子ども手当法案こそ暫定措置そのものではありませんか。

 さらに、そのときの討論で、国会審議では、毎回、このように制度の抜本改革の必要性が言われているのですが、そのたびに政府は、検討を進めますの一点張りで、その場しのぎの答弁を繰り返すだけだ、このように言っているわけであります。

 こうした、今まで批判をされてきた、抜本改正が必要だというふうに言われている中で、今回の法案は、二十二年度限りのまさに暫定的な法案であります。子ども手当の創設とおっしゃるが、創設ではない、これは仮設であると思います。

 そこで、二十三年度以降の子ども手当の制度設計についてお伺いをしてまいります。

 二十三年度以降の子ども手当について、私の本会議での質問に対して大臣は御答弁で、昨年十二月の四大臣合意を踏まえつつ、平成二十三年度予算編成過程において、財源のあり方も含めて改めて検討することとなっていると。まあ、検討を繰り返しているように思いますが、政府全体で本格的な制度設計に向けて検討し、改めて法律案を提出したいとの見解を示されました。

 私は、二十三年度以降において子ども手当を恒久な制度とするのであれば、予算編成においてというような悠長なことを今言っている場合ではない、子ども手当の趣旨、目的に相応した制度設計を早急に示さなければいけない、このように思います。そして、その制度設計の検討過程についても、民主党さんが今までも言っておられたように、透明性を確保すべき、このように思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 平成二十三年度の制度設計でございますけれども、私としては、この子ども手当のみならず、子育ての現物支給も含めたかなり大きな枠組みの提示をしていきたいというふうに考えております。

 といいますのも、ずっとこれは懸案でありました幼保一元化、幼稚園と保育所の一体化、今の認定こども園のような余り一体とは言えない部分の考え方ではなくて、さらに幼保一体化を進めるという法律も来年の、二十三年の国会に提出をしたいというふうに考えております。その意味で、子ども手当の二十三年度の本格施行と幼保一体化と、これは平仄を合わせて議論をして、子供を育てる全体の中での考え方というのをお示ししたい。

 その議論の場として、まだ、設定はされつつありますけれども、幼保一体化も含めたシステムを議論するそういう会議体の中でこれを議論していくということでございまして、当然、その議論が始まったときには、国民の皆様にもできるだけ開示をしていくということで、二十三年度のトータルの設計ということで、子ども手当もきちっと議論を深めていきたいと考えております。

古屋(範)委員 二十三年度の制度設計、児童手当制度を残すのか否か、これもはっきりはしていないわけであります。ということは、事業主負担も地方負担も一体どうなるのか、それさえもわからない。非常に今まで暫定的と言い、危ういと言ってきたそこさえも、今のところ制度設計は検討ということであります。しっかりと透明性を持ってそこの議論の過程を明らかにしていただきたい、このように思います。

 さらに、支給対象年齢を中学校修了としたその理由についてお伺いしてまいります。

 本法案では、子ども手当の対象となる年齢は中学校修了前まで、現行の児童手当の小学校修了前から三年間延長されることとなっております。これは、公明党が児童手当拡充の次の段階には中学生までとしていたものと一致するものであります。一方で、子供の教育費負担が重くなる高校生、大学生の年代まで支給対象とすべきか、あるいは、乳幼児のいる世帯の収入がやはり非常に低いということから、乳幼児に対する支給額を手厚くすべきなど、さまざまな意見があります。

 このような中で、子ども手当の支給額は、本年度は年額十五万六千円、満額支給の場合は年額三十一万二千円となります。公立高校の授業料は約十二万円ということであります。高校の授業料無償化とでは、ここに大きな格差が生ずることとなります。

 今回、支給対象年齢を中学校修了までとした理由についてお伺いをいたします。

長浜副大臣 先ほど来、児童手当の歴史についてもお話がありました。

 ここにおられる委員の皆様方は児童手当のことは大変お詳しいわけでありますが、昭和四十七年に発足をした後も数度にわたる変更が行われ、特に平成十二年、そして翌年の平成十三年、所得制限緩和をして、七二・五%から今度は八五%へと拡大し、そして対象年齢も、そのときは義務教育就学前、六歳というところが、平成十六年には、今度は九歳まで、小学校三年まで、そして平成十八年には、さらに所得制限を緩和して、受給対象者が九割になるという状況になり、今度は支給対象者が小学校修了前、十二歳という段階に、ずっと、御党を初めとしてこの手当に大変熱心な方々の努力により、拡大を続けてきたわけでございます。

 そして、このたび、先ほど古屋さんの方からもお話がありましたように、御党のマニフェストにも書かれていたところでもありますが、義務教育が終了するまでという一つの区切りの中において、対象年齢を義務教育終了までと決めたところでございます。

古屋(範)委員 まさに、今回の子ども手当法案は児童手当制度の拡充にほかならない、それでいい、そのように言わざるを得ないわけであります。

 次に、児童養護施設等に入所している子供への対応についてお伺いをしてまいります。

 本法案では、子ども手当は、子供を監護する親に支給をされるわけであります。両親がなく児童養護施設等に入所している場合、あるいは措置入所によって入所している子供、あるいは里親の子供など、最も援助を必要としている子供に子ども手当が支給されない、このようなことがあってはなりません。

 九日の衆議院予算委員会で、我が党の富田議員より、子ども手当が里親に養育されている子供などに支給されない点に言及をいたしまして、政府が支給対象外と説明をしてきた子供に関してきちんと支給すると約束をと訴えたのに対しまして、鳩山総理は、指摘はもっともだ、そのようにしたいと答弁をされました。長妻大臣からは、安心こども基金から同額の支給をする考えが示されたわけであります。

 この安心こども基金は、保育所の整備等、子供を安心して育てられるような体制整備を行うことを目的として、国の交付金によって都道府県に積み立てた基金であります。それを、市町村が必要なときに全額を使うことができるものとなっております。

 早速、市町村の担当者が都道府県に問い合わせをしたところ、何も聞いていないのでわからない、こういう回答が返ってきたそうであります。鳩山総理や長妻大臣が明確に予算委員会の場で答弁をされているわけですから、これは責任ある対応をすべき、このように思います。

 そこで、安心こども基金による措置がどんな形で具体化をしていくのか、支給の仕組みについて御説明いただきたい。さらに、二十三年度以降における子ども手当において、これはどのような制度として盛り込むおつもりなのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これにつきましては、児童福祉施設に入所しておられる親御さんのおられないお子さんなどについて、これは子ども手当という法案の中では措置ができないということでありますので、安心こども基金というものを活用させていただいて、その中から同額分を施設にお渡しして、趣旨をきちっと申し上げた上、お使いいただく、こういうようなことを考えているところでございます。それについて地方にも十分説明をして、この法案が成立すると、平仄を合わせてこの手続もお願いをしていきたいというふうに考えているところであります。

 いずれにしましても、二十三年度の本格施行では、これらの考え方が法案の中に盛り込まれることができるのかできないのかも含めて検討課題ということになると思います。

古屋(範)委員 国会での答弁、これをぜひ都道府県にも徹底していただいて、きちんと子供に届くように指示をお願いしたい、このように思います。

 次に、子ども手当が子供のために使われる方策についてお伺いをしてまいります。

 今までもさまざまな議論がございました。親が本当に子供のために、養育のために子ども手当を使うのかどうか。これについては多くの議論があったわけでありますけれども、昨年の十二月四日に規制改革会議が取りまとめました「更なる規制改革の推進に向けて 今後の改革課題」の中で、子ども手当に対する見解が述べられております。そこには、使途制限を付したバウチャーで支給すべき、保育施設やベビーシッターなど保育サービスや幼児教育関連サービス、育児用品などの物品類など、利用できる対象を子育てに限定すべきとしております。

 子ども手当が真に子供のために使われるために、保育サービス等子供を対象としたサービスに特定したバウチャー券として給付する、また保育サービス等の現物給付にした方がよい、このような意見に対する大臣のお考えをお伺いいたします。

長妻国務大臣 バウチャーという考え方も一つの考え方だとは思いますけれども、これは非常に難しいのが、では、どこまでの範囲をそういう措置にするのか。そして、あるいは自治体を含めた、非常に手間、手続がかかる。あるいは、最近は我々も新しい公共ということを申し上げておりまして、今、NPO団体がいろいろな子育てのサービスをするケースもございます。そして多様な、保育ママも含めたいろいろな子育てサービスがある中で、では、どこまでの範囲をバウチャーにして、日々新たに生まれてくるサービスも含める、含めないということになると、かなり複雑な考え方になる。

 そうであれば、現金という形で私どもは支給をして、ただし、きちっと広報して、法律にも目的を書いておりますけれども、子供のために使うんですということを広報した上で、それは一定の範囲内で自由度を持って親御さんに使っていただくということが適当ではないかというふうに考えているところであります。

古屋(範)委員 この件に関しては、さらに議論を深めてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本会議から、また先般、そしてきょうの委員会において、子ども手当に対する政府の考え方を聞かせていただきました。ただ、どういう聞き方をしても、大臣は控除から手当へという言葉を繰り返すのみで、一体子ども手当の目的が何なのかがやはり見えてまいりません。

 そこで、改めて伺いますが、子ども手当法案の目的は何か、児童手当と明確に違う部分は何かをあわせて簡潔にお答えください。

長妻国務大臣 子ども手当の目的というのは、社会全体で子供の育ち、子育てを支えていく、応援をしていくということであります。

 児童手当は、経済的な支援ということで、所得制限が入っております。その点が一つ違うところではないかというふうに考えております。

高橋(千)委員 子供は未来の主役であり、一人一人の育ちを社会が応援するというのは当然のことだと思います。

 日本は、そもそも、諸外国に比べて子供と家族を応援する支出が少なく、子育てしにくい国であること、また、子供の貧困率が一四・二%にもなり、所得再分配後に逆に貧困率が上がるのは先進国の中で日本だけ、このことが指摘をされてきました。こうした状況を解決するためには、子ども手当をインパクトのある額で投入するというのは基本的には賛成できるものであります。

 しかし、その思想が財源と施策の全体に貫かれているのか、ここが問題であります。未来への投資といいながら、実は未来への借金や増税であってはならないし、手当を支給するだけで息切れをしてしまって、保育所や教育、育児休暇など、子育てしやすい環境整備に手が回らなくなるのでは本末転倒であります。

 今度の法案も、課題はすべて次年度以降に先送りし、一年限りの法案にしてしまいました。子ども手当の創設に伴って児童手当は廃止すると言っていたのに、結局、児童手当のスキームを残すことで決着しました。それなら、今国会は児童手当法の一部改正でよかったのではないでしょうか。

長妻国務大臣 確かに、支払いのスキームについては児童手当と同じ、年に三回、四カ月ずつお支払いする、第一回目は六月ということで、これについては、やはり地方自治体の事務負担というような問題もありますので、事務のスキームは残させていただきました。ただ、所得制限をかけないなどなど、趣旨が児童手当と違うということで、法案はこのような形でお願いをしたということであります。

 そして、二十三年度について、我々は子ども手当の制度設計をさらに恒久的に実行しようというふうに考えておりますが、それだけではなくて、現物支給である幼稚園、保育所の一体化ということについても法案も含めた議論をしていくということで、トータルで子供政策を考えていくところであります。

高橋(千)委員 私は、ある意味でこれは政府に助け舟を出すつもりで言っていることなんですよね。

 つまり、皆さんが政権をとってから、さまざまな形で揺れているわけです。所得制限をするべきではないかとか、そもそも二万六千円満額支給できるかどうかすらわからない。だから全部先送りにして、今回は二十二年度におけるという形で出したわけです。

 だったら、児童手当のスキームそのままだったら、児童手当の一部改正であればそういうことが全く問題にならないわけなんですよ。だから、そういうことは全部制度設計ができてから子ども手当法案として出すべきなんだ、そこに無責任さがあるんだということを重ねて指摘したいと思うんですね。

 そもそも、先ほど古屋委員も御指摘がありましたけれども、これまで民主党さんが児童手当の拡充に反対する際に、ばらまきである、不十分だ、ビジョンが見えない、このように言ってきたわけです。これ、全く皆さんにお返ししなければならない。今の一年限りの法案というのはまさにそのものずばりではないか、このことを重ねて指摘しなければならないと思うんです。

 しかし、税制改正はもう始まっているわけですよね。その影響が及ぶのが一年先だというだけであって、控除の廃止は決まっている。そうすると、一万三千円のまま仮に次年度以降も続けてしまうと、ほとんどの人が負担増になってしまうんです。そうすると、つじつまを合わせるために、何が何でも二万六千円に引き上げなければならなくなる。つまり、何も決まっていないにもかかわらず、この法案を通せば後には引けなくなるんです。これがこの制度の、この法案をこういう出し方をしたことの最大の問題だ、このことを大臣は自覚していますか。

長妻国務大臣 財政が苦しい中で新しい政策を打ち出すということは、いろいろな御意見があるということだと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、政権が交代をしたということで、お金の使い方を変えようと。人生前半の社会保障、特に子育てにかける予算が、これまでいろいろな議論で、効果が見えない、あるいは緊急性がないということでずっと先送りされてきた結果が、GDPの比率でも先進国の中で最も低いというところであらわれ、結果として、少子化、出生率が先進七カ国で最低、こういうことになってしまったのではないのかという強い問題意識がありますので、先送りというのは今回はもうしないという気持ちでこの法案の審議をお願いさせていただいているところです。

高橋(千)委員 ですから、制度設計、財源の確保、順々にやっていくということが大事なんだと。趣旨は全くわかっているんです。だからこそ、それが責任を持てる形で出せるようにするべきだ。六月支給にこだわって、だから選挙対策以外の何物でもないと言わなければならないわけです。

 きょうは、総務省にぜひ伺いたいと思います。

 個人住民税も横並びで扶養控除を廃止することになりました。廃止することになって増額となる部分、これは資料の一枚目につけておきましたが、足していきますと四千四百億円くらいになるかと思います。この中身について、下段の方に、総務省の地方財政計画の概要というところから抜粋しました。読み上げます。一番下の段です。「所得税・住民税の扶養控除の廃止等国民の負担増に伴う地方財政の増収分等については、平成二十二年度の検討を通じて、サービス給付等に係る国と地方の役割分担、経費負担のあり方の見直しにより国と地方の負担調整等を行い、最終的には子ども手当の財源に活用されるよう制度設計」とあります。

 平たく言うと、地方増収分は、国庫補助金を減らすなどして、子ども手当の財源に回すという意味ですね。

小川大臣政務官 昨年の暮れに、子ども手当を全額国費で賄っていただきたいということを地方の側から申し上げました。しかし、結果的に、御指摘のとおり、従来の児童手当分は地方負担で残ったわけであります。

 今回、児童手当の地方負担分をどうするか、そして、御指摘の扶養控除の見直しによる増収額四千億円余りをどうするか、改めて議論をさせていただきたいと思っております。

 今読み上げていただいた文章は、私どもの思いとしては、この児童手当の地方負担分を廃止することによる五千億弱と扶養控除の見直しで出てくる五千億弱、これを合わせれば、今、国と地方が折半して負担しています保育所の運営を初めとした現物給付に係るもの、これを地方自治体で行うことができる。そういうことで、回り回って子ども手当の財源にする、一方で、現物給付は地方が責任を持ってということで議論をさせていただいております。

高橋(千)委員 国が制度を決め、一方的に地方に負担を押しつけてきたという問題がこれまで多々あったと思います。また、三位一体は、財源の移譲とスリム化がセットだったために、結果として地方の財政を深刻にしてきた。このうち、三位一体の問題については、原口総務大臣も委員会の場で明確に、問題であったと述べていらっしゃると思います。

 そこで、今回の扶養控除廃止に伴い、課税所得が上がり、保育料などさまざまな利用料に連動するということが指摘をされ、現在、各省政務官らによるPTが設置されたのは承知をしております。そのことはお答えにならなくて結構です。

 しかし、地方が独自に設定している利用料あるいは助成制度、例えば一人親家庭の医療費ですとか重度心身障害者、難病支援など、地域によって本当にさまざまな制度があります。それこそ地域主権の立場に立てば、こうした制度を手当が出るから廃止するともし自治体が言った場合に、何の口出しもできないことになりませんか。自治体の住民サービスの後退になったら、元も子もないと思うのです。

 あるいは、地方税の増収分を、いやいや、そうではなくて、自治体の子育て支援拡充のために独自に使いたいんだということがあっていいのではないか、自治体が本来ならばみずから使うべきではないか。どうですか。

小川大臣政務官 基本的には、この増収分については、自治体がいろいろな知恵と工夫で使えるような環境をというふうに思っております。

 その上で、来年度の子ども手当の満額支給とか、いろいろな難しい議論がことしもまた時期が来れば一生懸命取り組まなければなりませんので、御指摘を踏まえた上で、いずれにしても限りある財源ですから、地方の自由度を高めながら、今御指摘のような方向でしっかりと努めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 先ほど、一問目に政務官がお答えになった、例えば保育などの現物給付、この問題はちょっと時間の関係で来週に回したいと思いますけれども、先ほど来大臣が、セットでやるんだ、現物給付と現金給付とセットでやるんだと言っているけれども、これは結局、自治体に補助金を回しますよ、自治体でやってくださいということになったら、トータルとして拡充になるかどうかはわからないわけです。私たちは、むしろ後退であると思っています。

 そのことを強く指摘して、そして、地方自治体に関しては、この間、本当に知事会などからも繰り返し強い抗議声明などが出ておるわけであります。地方負担に対して、これ以上求めないということを約束いただけるでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、四大臣合意でも、平成二十三年度においては予算編成の中で議論、検討をしていくということになっておりますし、今御指摘いただいた幼保一体化の中でも、そういう保育所運営等に係る財源をどうしていくのかということが、議論が本格化してまいりますので、その中で適切な結論を見出していきたいと考えております。

高橋(千)委員 今、非常にいろいろな問題を含んだ答弁だったかと思います。

 負担は求めないとは答えていないということ。それから、幼保一体化の中で見直していきたいとおっしゃいましたので、結局、保育所の拡充という問題や、いわゆる最低基準の問題がこの間指摘をされてきたわけですけれども、それが後退につながるのではないか、そういう懸念を一言表明させていただきたい。これは次に譲りたいと思います。

 もう一つきょう指摘をしたいのは、児童手当は、事業主拠出金千分の一・三による年金特会児童手当勘定から交付金という形で財源を充ててきました。資料の二にその五年間の収支を出しておきましたけれども、拠出金は、平成十九年度から乳幼児加算を手当に導入したこともあって二千億円台に上って、差し引きで積立金が現在八百八十八億円になっております。子ども手当が満額支給されると、この児童手当勘定がなくなるのか。私はなくすべきではないと思っておりますが、そのことを伺いたい。

 そして、児童育成事業、二十二年度でいうと七百六十四億円に増額されておりますが、学童保育の増設などが含まれるこれらの予算の確保がどうなるのか、伺います。

藤村委員長 山井政務官、答弁は簡潔に願います。

山井大臣政務官 国、地方、事業主が費用負担をして、それ以外の費用に関しては、来年度は全額国庫が負担するということになっておりますが、再来年度に関しては、財源のあり方を含め、予算編成過程において改めて検討することになっております。

 高橋委員お尋ねの費用負担の問題は、児童育成事業とも関係する問題であり、関係者の御意見もよくお伺いしながら結論を得ていきたいと考えておりますが、とにかくこの育成事業というのは非常に重要な事業でありますので、予算をしっかり確保してまいりたいと考えております。

藤村委員長 高橋君、時間が過ぎております。

高橋(千)委員 いや、まだ来ていません。

藤村委員長 ああ、まだですね。

高橋(千)委員 十一月十六日の事業仕分けの場で、財務省から、日本は諸外国に比べて家族政策に対する事業主負担の割合が低いという指摘があったのに対して、厚労省は、民主党が目指す子ども手当の創設は児童手当勘定の廃止が前提だ、このようにお答えをしています。

 私は、これは本当に、財務省の肩を持つ気は全然ありませんが、この点においては正しいと思っています。資料の三番目につけておきましたけれども、もうおわかりのように、諸外国に比べて、日本の家族関係社会支出、それ自体がトータルで低いんですけれども、事業主負担がわずか〇・一と極端に低いわけです。

 ですから、最初に言った目的、子供を社会で育てるという観点に立てば、企業だって、それは結果としてメリットになるわけですから、社会的責任を負うべきだと思いますが、大臣、最後に一言お願いいたします。

長妻国務大臣 今御指摘のような、学童、放課後児童クラブなどなどについて、いろいろ御協力いただいているところで、この放課後児童クラブについても、五年後に百十一万人整備目標ということで、これをやらなきゃいけないわけでありまして、その中で財源をどうするかというのは、先ほど来申し上げておりますように、幼保一体化や子育てビジョンの議論の中、あるいは二十三年度の本格施行の過程で内閣全体で議論して、適切に決定をするということであります。

高橋(千)委員 時間が来ましたので、次にまた続けたいと思います。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案に関連して、子ども・子育てビジョンについてお伺いをいたしたいと思います。

 この子ども・子育てビジョンについては、平成二十二年一月二十九日に閣議決定をされました。少子化対策に取り組む政府全体の計画書として、現政権における子供施策の基本的な方向性が示されているものと理解をいたしております。

 中を見ますと、待機児童解消に向けて、二〇一〇年度から二〇一四年度までの五年間で、認可保育所の定員二十六万人増、また三歳未満児の保育サービス利用率を現行二四%から三五%に高めるなど、約四十項目の数値目標が盛り込まれております。

 この子ども・子育てビジョンに掲げられた二〇一四年度目標を実現するための追加支出というのが、五年後、二〇一四年度に約一・六兆円、機械的試算ということでありますけれども、試算をされております。今お配りをした資料の一枚目の「制度改善を含めた機械的試算 約一・六兆円」というのがこれに当たっております。

 子ども・子育てビジョンについて、東京新聞、ことしの二月二十三日の社説で、「子育てビジョン 今度は失望したくない」、こうしたタイトルで触れております。これについて、「まさに「バラ色のビジョン」で、意気込みは分かる。残念なのは、いつまでにどう対策を進めるかの工程表がないことだ。追加支出は五年後に一・六兆円と試算したが、財源のあり方も明記しなかった。」こうしたことが書かれております。

 この子ども・子育てビジョン、大変意欲的な目標を掲げているようにも見えますが、この事業を実施する財源が不明である、こうした指摘についてどのようにお答えになられますでしょうか。

長妻国務大臣 まず、このビジョンを実現するための予算というのは、平成二十二年度にはきちっとつけております。認可保育所でいいますと三千五百三十四億円、これによって、この目標に近づいていく。放課後児童クラブでは二百七十四億円。病児・病後児保育、休日保育、延長保育、一時預かり、地域子育て支援拠点など、予算を二十二年度つけております。

 お尋ねは、では二十三年度以降、この五年のビジョンのトータルの予算をどうするのかというような御趣旨だと思いますけれども、これについては、子ども手当の制度設計あるいは幼保一体化の議論の中で我々としてはこの予算を確保していきたいというふうに考えておりまして、まずは平成二十二年度の予算案でお願いをしているというところであります。

柿澤委員 平成二十二年度はきちっと予算化している、平成二十三年度以降もこの財政支出の規模をしっかりと確保していきたい、こうした趣旨の御答弁だったと思います。しかし、私が申し上げたいのは、財源が不明だというふうに批判をされている、今申し上げたこの一・六兆円ですら実は全然足りない数字なんじゃないかということであります。

 病児保育について取り上げさせていただきます。

 子ども・子育てビジョンでは、五年後の二〇一四年度までに、数値目標として、この病児保育の利用延べ人数を三十一万人から二百万人に、約七倍にする計画になっております。そして、休日・延長保育等々を合わせた追加所要予算額は、これを二百億円ということで試算をいたしております。

 しかし、この手元の二枚目の資料を皆さんごらんいただきたいんですけれども、施設をつくるとしたらということで書いてありますが、これは、ことしの二月二十四日、参議院の少子高齢化・共生社会に関する調査会で、病児保育のNPO、フローレンスの代表理事駒崎弘樹さんがプレゼンテーションで使用したものであります。

 駒崎さんの試算では、今の施設型の病児保育のサービス提供を前提にすれば、予算は全然足りません。仮に、延長保育等を含めて計上された二百億円のうち、四分の三に当たる百五十億円を病児保育で使えるというふうに仮定をしたとしても、これ、見てください。二百万人から現状の利用者数を引いた百七十万人。一方、今の百五十億円、年間の施設の補助金八百四十万円で千七百八十五施設。こうした計算をしていくと、この予算規模では、実は、この病児保育の供給量は六十一万人分しか達成できない。実に、この二百万人という目標を達成するためのプラス百七十万人と比べると、百万人以上も足りなくなってしまうわけです。

 はなから勘定が合っていない。しかも、病児保育の施設補助については、一〇年度から補助金を増額する方針が示されているというふうにも聞いております。同じ二百億円の予算規模でふやせる人数は、そうなるともっと少なくなるはずです。

 百万人も少ない、どうしてこんなはなからおかしい計算になってしまっているんでしょうか。そうなることは、厚生労働省の方もこのプランをつくる上でわかっていたはずであります。

 言っておきますけれども、この駒崎さんというのは、鳩山総理が掲げている新しい公共を具体化するための官邸の「新しい公共」円卓会議のワーキングチームの一員となっているような人です。政権批判の意図は全くありません。にもかかわらず、普通に現場の感覚で常識的に試算をすると、今、この出したばかりのプランで掲げている目標に沿って予算を使っていくと百万人分も足りないという計算になってしまうわけであります。

 どうしてこんなことになっているのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

山井大臣政務官 柿澤委員にお答えを申し上げます。

 駒崎さんの講演は私も聞かせていただきまして、非常にすばらしい取り組みをされていると思います。

 それで、柿澤委員が御提示のこれなんですが、少し私たちの考え方と前提が違いますのは、柿澤委員の御主張によりますと、すべて施設をつくるならという仮定になっているんですが、私たちのこの二百万人分というのは、非施設型のサービス、つまりスタッフが病児宅を訪問してやるサービスというふうなこともこの人数の中に入れておりますので、まさにフローレンスの駒崎さんがやっておられますような、そのような訪問型も入った数が二百万人であるということ。それと、例えばもう一つつけ加えさせていただきますと、ここに九百六十人掛ける三六%となっているんですが、最新の、二十年度の稼働率は五〇%に上がっております。

 そういうふうな前提の違い等からこの乖離が出てくるのではないかと思っておりますが、私たちは、今回の予算でしっかりとやっていく所存でございます。

柿澤委員 今御答弁をいただきましたけれども、何しろ百万人分という乖離、まあ施設型だけではないということではありましたけれども、そういうことでありますので、これは非常に大きな数字だというふうにも感じております。

 子ども手当の予算は、来年の支給総額が二兆二千五百五十四億円、再来年度以降は五・三兆円になるわけであります。これにプラスをして子ども・子育てビジョンの現物給付的施策の予算が乗っかっていくということを考えますと、場合によっては、このプランをつくるに当たって、子ども・子育てビジョンの実施に当たる所要の追加支出額というものを低く抑えて、一・六兆円しかかかりませんよということで、何とか子ども手当との両立を可能だというふうに見せようとした、こういう意図があるのではないかというふうにも私には感じられますけれども、そうした意図はなかったんでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。

長妻国務大臣 この追加費用というのは、一定の前提を置いて中立的に試算をしてお示ししたものでございまして、そういうような意図というのはありません。

柿澤委員 しかし、このメニューに書かれている施策を本当に実行するに当たって、一・六兆円という追加支出で済むのかどうかということは、やはり問われなければならないというふうに思います。

 私は、何もこれをやらない方がいいと言っているわけではありません。むしろ、先ほどおっしゃられたような、OECD諸国の中でまさにGDP比最低水準の子育て支援策、これを充実、拡充していくんだということをもっともっと堂々と前に出して、そして必要な予算額を確保する、そうした方向でさらなる御努力をいただきたいというふうに思っております。

 その上で、そういう意味では、今回の病児保育、例に取り上げさせていただきましたけれども、こうした試算で果たして本当に今掲げている政策目標を達成するだけのことができるのかどうかということをお尋ねさせていただいたつもりです。

 そういう意味では、ぜひこれからの、ある意味では財政当局との厳しい折衝があるわけですから、なかなか厳しい面があると思いますけれども、ぜひ皆さんの御主張を正面に出していってもらいたいというふうに思います。

 今回、本当に、今厚生労働省が進めている、原則となっている施設型のサービスでは百万人も足りない、こういうことなわけですから、こうしたことが結果的に、五年後になって、予算が確保できずにここまでしか進捗しませんでしたということがないようにしていただきたいということをお願いさせていただきまして、時間も過ぎましたので終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る九日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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