衆議院

メインへスキップ



第10号 平成22年3月19日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十二年三月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      阿知波吉信君    相原 史乃君

      小原  舞君    大西 健介君

      岡本 英子君    郡  和子君

      斉藤  進君    園田 康博君

      田名部匡代君    田中美絵子君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      福田衣里子君    藤田 一枝君

      細川 律夫君    三宅 雪子君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      室井 秀子君    山尾志桜里君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      谷畑  孝君    永岡 桂子君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     山尾志桜里君

  菊田真紀子君     阿知波吉信君

  樋口 俊一君     小原  舞君

  福田衣里子君     中野渡詔子君

  武部  勤君     永岡 桂子君

  棚橋 泰文君     谷畑  孝君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     菊田真紀子君

  小原  舞君     樋口 俊一君

  中野渡詔子君     福田衣里子君

  山尾志桜里君     岡本 英子君

  谷畑  孝君     棚橋 泰文君

  永岡 桂子君     武部  勤君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医薬食品局長高井康行君、職業安定局長森山寛君、職業能力開発局長小野晃君、年金局長榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 まず、質疑に入る前に、一言委員長に申し上げておきたいと思います。

 先週の金曜日でございますけれども、私ども、子ども手当法案、いろいろまだまだ審議を尽くせない、また、答弁は決して十分とは言えない、そういう状況の中で強行採決が行われた。外国人で、特に子供さんが外国にいる場合どうなんだ、今多くの国民の皆さんからこういう指摘があり、財源問題、さらには、そもそも政策目的がはっきりわからないじゃないか、こういう議論が山積している中で、当委員会の職責が十分に果たされることなく強行採決がなされたことは、大変私ども遺憾だというふうに思っております。本来の私どもの委員会の職責をしっかりと果たしていけるような適正な運営を今後お願いすることを、まず委員長に申し上げたいと思います。

 その上で、まず、今申し上げた子ども法案の関係、今参議院の方で審議されております。これに関して、一つ関連で質問をさせていただきたいと思います。

 当委員会でも大臣とも議論をさせていただきました、いわゆる児童養護施設入所児童等、子ども手当の支給がなされないこうした子供さん方に対して、安心こども基金を活用される、こういうお話がございました。

 そして、その安心こども基金の活用において、ここはまず確認をさせていただきたいんですけれども、児童養護施設に入っている子供さん全員が子ども手当の支給を受けられないわけではなくて、例えば措置入所等、あるいはそもそも御両親がいらっしゃらない、こういう子供さんは子ども手当の支給対象外でありますけれども、何らかの事由で親御さんが施設に預けておられる、こういう場合、まさに生計維持及び監護と関係がある、こうみなされる場合には支給対象、こういうことになるわけです。

 そういたしますと、児童養護施設の中に入っている子供さんで、いわば、親御さんがということになりますけれども、子ども手当の支給を受けていない子供さんと子ども手当の支給を受ける子供さんがおられる。この御両者について、安心こども基金によるこの事業についてはその対象を区別するか、あるいは施設内である子供さんは同一として扱うのか、そこをまず確認させていただきたいと思います。

長妻国務大臣 今のお尋ねでございますけれども、施設に入所されているお子さんというのは、今おっしゃられたように、御両親がおられないお子さん、そして御両親がおられるけれどもいろいろな理由で施設に入っておられるお子さんということで、御両親がおられないお子さんは基本的には子ども手当が出ませんので、それと同じ金額をこども基金から施設にお支払いする。そして、親がおられるお子さんで、当然親の要件がございます、生計同一、監護しているということがあれば、その親御さんに出るということであります。

 その中で、こども基金から施設に出るお金につきましては、基本的には親御さんがおられないお子さんに重点に使ってほしい、こういうようなことで我々は考えているところであります。

加藤(勝)委員 今の基本的にというのと重点にというところをちょっと確認したいと思います。

 これは、施設を運営されている人にとっては大変大きな問題であります。したがって、そこのところの、そもそも、両者を分けて、子ども手当の支給対象者にならない子供にこの安心こども基金の事業、何をするかわかりませんけれども、結果としてその子供だけにそうした事業を行え、そういう指示、あるいは運用方針というんですか、そういうことになるんですか。

長妻国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、こども基金から施設に出るお金は、それは施設全体で使うのではなくて、親御さんがおられないお子様のために使ってほしいというようなことをお願いするということでございます。

加藤(勝)委員 この話は、児童養護施設の団体の皆さんとお話をされましたか。

 私も地元にある養護施設の施設長さんとお話をして、とてもじゃないけれどもそれはできないと。大体、子ども手当を支給される親御さんも、中には、これを、出たからと持ってこられる方もいないわけではありません。しかし、大体のケースは、まずそれはないよと。となると、施設側でやろうとすれば、施設の子供さんに区別をつけるわけにはいかない。異なる取り扱いをするようなことになると、施設内が大変なことになる。となれば、この事業を実施しようとすれば、この事業の対象にならない子供さん方に対し、施設は別途手当てをしなきゃいけない。ただでさえ厳しい経営状況の中で追加的な負担が求められる、これは大変だよと。

 こういう声が私の耳には入っておりますけれども、大臣の耳には、児童養護施設のそうした経営をされている、運営をされている方々の声はどんな声が入っているんですか。

長妻国務大臣 これは、厚生労働省にもお越しいただくなど、施設の責任者の方と意見交換を何度かさせていただいております。

 その中で、我々も考えておりますのは、子供の間で心理的な影響が生じないような使い方の配慮をするというようなことで、例えばそのお子様に特化してお金を使うときに、余り他の子供に目立つような華美なものに使わない等の配慮をしていくというようなことについても、いろいろな施設の責任者の方と意見交換をさせていただいているところであります。

 もちろん、この基金の配慮がなければ、施設に入っておられるお子さんの中で親御さんがおられる方は子ども手当が出る、そして施設に入って親御さんがおられない方は子ども手当が出ないし、そしてそれに見合うお金も一切ない、こういうことではいかがなものか、こういうような意見は、やはり私が聞いた範囲では、施設の幹部の方というのはそういう意見が多かったのではないかと思います。

加藤(勝)委員 子ども手当というのは子供に着目している、そして、この子供、特に児童養護施設に入っている子供さんに対して、親御さんには支給されるけれども、残念ながらその手当は子供さんに、あるいは施設にはほとんど行かない、これは実態ですよね。

 私は、今大臣が最後におっしゃったようなことを本当に児童養護施設の皆さん方が言っているのかな。もし仮にそういうことがあれば、少なくとも団体から、あるいは団体を代表する方々から、いや、今大臣がおっしゃったようなやり方でいいんだ、そういうようなお話があった、こういうふうに認識してよろしいですか。

山井大臣政務官 この件については、私も現場の方々、団体の方々ともお話をしましたので、お答えを申し上げたいと思っております。

 最初に申し上げますが、この件については、非常に、本当に悩ましい問題であります。御存じのように、児童手当では両親のいない子供には一銭も出ていなかったというわけであります。そういう現状を踏まえて、民主党の政策会議の中でも、子供の育ちを社会全体で応援するという子ども手当の趣旨の中で、やはり一銭も出ないというのはおかしいのではないか、本来そういう子供たちを応援すべきではないかという問題提起もなされました。しかし、加藤委員が御指摘されるように、逆に、施設に出せば、監護をしている親がいても、児童養護施設に入れている子供のためにもしかしたら使わない親もいるかもしれない、そうなると、逆転現象になるのではないかという議論もありました。

 それで、現場の里親の方々、児童養護施設の施設長の方々とも議論をさせていただきました。その中で、加藤委員御指摘のように、配ってもらっても確かに悩ましい問題はある、施設内での平等をどう保つのかという議論もある。ただ、さまざまな議論を聞く中で、その議論はやはり悩ましい問題として引き続き議論はするけれども、やはりそもそも、子ども手当が一万三千円、六月以降出る中で、両親のいない子供のような社会的養護を一番必要とする子供たちに一銭も出ないというのはやはりおかしいんではないかという声が強いことを受けて、今回の方針にさせていただいたところであります。

 ですから、加藤委員がおっしゃるように、その次の段階としては、逆に安心こども基金から出る子供の方が、ほかの監護している親から子供に来るような取り扱いよりも不公平にならないように、そのことはやはりしっかりと議論をして検討していく必要があると思っております。

加藤(勝)委員 政務官、今、議論をして検討していくって、二十二年度、今始まるんでしょう。そして、二十二年度中にまさにそういう問題が起きてしまう、そこを申し上げている。

 私はこれ以上議論する気はないんですが、確かに今回、子ども手当、施設の中において受給される方、受給されない方がいる。それを踏まえた措置であることは、まさにそうでしょう。しかし、それを踏まえた措置であるということを施設長さんが十分認識してやってくれ、そこから先は施設長さんに任せますよ、こういうやはり弾力的な運用にしないと、預けておられる親御さんにももちろんいろいろあるし、施設の状況も違うから一律には私も言おうとは思いませんが、ただ、私が聞いたような施設等々、ほとんど持ってくることはありませんよ、これまでもそうでしたよ、場合によっては子供に出たものを取りに来られる方もおられますよと。

 多分、聞いておられると思います。その実態に応じてやれるようには少なくともしていただきたい、これをお願い申し上げて、次に入らせていただきます。

 次に、輸入インフルエンザワクチンについて、契約交渉をされるということでございました。その後の経緯をちょっと教えていただきたいと思います。

 まず、現在、輸入ワクチンの在庫をどのぐらいお持ちですか。それから、国内のワクチンの在庫はどのぐらいございますか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国産ワクチンでございますけれども、契約数量が約五千四百万回分、現時点での出荷数量は約三千九百万回分でございまして、国の在庫量、流通市場への未出荷分でございますけれども、約千五百万回分ございます。

 輸入ワクチンの方でございますけれども、契約数量が約九千九百万回分、二月までの出荷数量は二千四百三十六回分で、国の在庫量は約三千六百万回分でございます。

加藤(勝)委員 まず大臣にお伺いしたいんですけれども、ここ二月、三月、大変ありがたいことに、新型インフルエンザも終息に向かってきている。そういう中で、余りワクチンの出荷も出ていない、政府から病院等の方へは出ていない、こういうことだと思います。

 そういう中で、今、輸入ワクチン、この三千六百万回分を既に購入されている、九千九百万回分のうちの三千六百万回分を既に購入されているというわけでありますけれども、これは契約交渉との関係で、三千六百万回分はいずれにしても必要だ、こういう判断でお買いになっているんですか。

長妻国務大臣 今申し上げましたように、輸入ワクチンでございますけれども、これは契約数量のすべてを今月末までに日本国へ引き渡す、こういう契約となっておりまして、その一環として、今現在三千六百万回分が在庫として日本国にあるというようなことであります。

 今まさにこの輸入二社とかなり厳しい交渉をしている途中でございますので、なかなか詳細は申し上げられませんけれども、私どもといたしましては、この余ったものについて、できる限りそれは支障のない形で返却をするというようなことで交渉をしているところであります。

 そして、この三千六百万回分については、今のところ、これについては備蓄をするというような方針で我々としては考えております。

加藤(勝)委員 済みません、確認させていただきますけれども、返還するというか、九千九百万回分のうち既に購入した三千六百万回分を除く六千三百万回分については、これは契約交渉ですから、交渉いかんですけれども、大臣のお考えとしては、これは契約の解消を図りたい、こういうふうにお聞きしていいんですか。

長妻国務大臣 今おっしゃられたことについて、詳細は、今交渉中でありますけれども、これはいろいろな考え方、バリエーションというのがあるわけでありますけれども、基本的には今おっしゃられた枠の中で交渉をしているというようなことであります。

加藤(勝)委員 いずれにしても、三月中ということでございましょうから、残すところ十日少々ということになりますか、その段階で、またどういう結論になったか、これははっきりと公表していただけますね。

長妻国務大臣 これについては、決着したときには契約をもう一回交わすということになりますので、そうしましたら、その契約内容について、日本国と相手社と話して、私としてはできる限り公表をしたいと思っておりますけれども、その会社との話し合いの中で、できる限りの公表というのを、もちろん国会の質疑の中でも公表させていただきたいと思います。

加藤(勝)委員 輸入ワクチン約九千九百万回分で千百二十六億ということでございましたから、今、その約三分の一が購入されている。したがって、金額ベースで八百億弱ぐらいの予算がどうなるかというのは大臣の双肩にかかっているわけでありますから、その思いを受けてしっかりと交渉をしていただいて、その成果を発表していただく日をお待ちしております。

 次に、大臣、この間、日本年金機構の方へ視察に行かれた、こういう記事がございました。記事によりますと、これはだめだなどと言い改善を指示した、掲示物が小さくて見えにくい、記入用紙がわかりにくい場所に置いてあるなどと次々にということであります。また、違う新聞では、年金サービスコンテストを実施する方針を大臣は固めた、こういう記事がございますが、これは、具体的に、まず視察において個々に指示をされた、そういうこと、この記事の内容は間違いないですか。

長妻国務大臣 この視察は、私一人がお邪魔したわけではございませんで、年金記録回復委員会ということで、有識者の先生方、社会保険労務士の方々、非常に年金の記録関係に詳しい方々も皆さん一緒に行って、それを拝見して、かつ、その視察をさせていただいた後に、何時間かかけて、近くの会議室をとって、そこで再度議論をしたところであります。

 これまでも、年金機構が発足する前にも、サービスについてのお客様との十カ条というようなことも決めさせていただいているわけですけれども、改めて、サービス向上のために、いろいろな細かい議論がその会議で出て、それを一つ一つクリアしていきましょうということで、今も定期的に、日本年金機構と私どもと回復委員会の先生方と協議の場を持っております。

 その中で、この視察の後に決まったことは、三百十二ある年金事務所の中で非常にいいサービスをしている事例もその場で報告をされましたので、こういう事例は全国に広めないともったいないというようなこともありまして、サービスコンテストをするということを決めさせていただいたわけであります。

加藤(勝)委員 そうすると、一々現場でこれをしなさい、あれをしなさい、そういう指示をしたという事実ではないということですね。

長妻国務大臣 もちろん、私がちょっと行って指示をして、それで全体がすぐに変わるわけではありませんので、一定の指示はいたしましたけれども、それは、回復委員会の先生方の意見もその後の会議で聞いて、では全事務所に指示をすべきポイントはこういうポイントだということの議論があったわけであります。

 そして、大きくは、サービスを競い合うサービスコンテストを全事務所で競い合って、そしてベストテンかベスト二十か、そういうサービスを評価して、そして最終的には政務三役や日本年金機構の理事の皆さんの前で発表して、いいものはほかの事務所でも取り入れる、こういうようなことを定期的にやっていきましょうということを確認いたしました。

加藤(勝)委員 先ほどからちょっといろいろ聞かせていただいているのは、社会保険庁、これは外局でしたね、そして今、日本年金機構、独法までにはいっていないけれども、その間ぐらいということですから、これは割と、監督をこうしなさいとか、法律にかなりきめ細かく書いてあります。御承知のように、第一条においては「厚生労働大臣の監督の下に、厚生労働大臣と密接な連携を図りながら、」とは書いてありますけれども、個々については、こうやって監督しなさい、こうやって調査しなさい、るる書いてあるわけであります。

 やはり、一つの組織、これは少なくとも日本年金機構には理事長がおられるわけでありますから、その方のもとでしっかりやっていただく、それが前提の中で、厚生労働大臣ないし今の有識者の皆さん方がこうだああだという議論は私はあると思います。ただ、直接、今お話があったように、コンテストそのものを大臣の前でやるというのが本当にいいやり方なのかどうか。

 コンテストみたいな方法はあるよ、それは示唆としてあると思います。そして、それをしっかりやってくれというのはあると思います。しかし、逐一、これをせい、あれをせいということを大臣がおやりになるというのは、この組織のたてりとして私は必ずしも適切ではないんじゃないか。

 それはそれぞれつかさつかさに任せられて、その方に対して指示をされる、それが組織のあり方ではないか、また大臣のあり方ではないかというふうに私は思うので、我々議員が行って現場でいろいろ議論をするのはあると思います。これはちょっとおかしいね、これはあると思います。

 しかし、大臣はやはり法律に基づいてさまざまな権限を持っておられるわけでありますから、その大臣が現場に行って、新聞記事を見れば、その職員の方々に対してこれをしろ、あれをしろと細かく指示をするのは、組織のたてりとして、組織のあり方、それぞれのあり方として私は必ずしも適切ではないんじゃないか。そして、言うべきときには、今申し上げた法律にのっとってしっかり指摘をするべきじゃないか、こういうふうに私は思うんでありますけれども、大臣の所見をお願いしたいと思います。

長妻国務大臣 もちろん、紀陸理事長という理事長がおられて、この視察に行ったときも一緒にそれは見せていただき、その後の長時間の討議の場でも紀陸理事長と一緒に議論をし、これまでも、ほぼ必ず議論をするときは紀陸理事長立ち会いのもと、紀陸理事長の御意見もお伺いしながら議論をしている。

 そしてもう一つは、これは日本年金機構と協定書を交わさせていただいております。これは普通のそういう特殊法人等々では異例だと思います。といいますのは、これは、我々野党時代も、日本年金機構になると非常に国の関与が薄くなって、この年金問題が置き去りにされるのではないかという懸念を持っておりましたので、日本年金機構はそういう経緯もある団体でありますので、協定書を結んで、厚生労働省と本当に一体となってやっていきますということで、紀陸理事長も合意の上、やらせていただいている。

 ただ、今おっしゃられたように、非常に重要なポイントだと思います。つまり、何でもかんでも厚生労働省が直接やると、日本年金機構の職員が、ではどこを見て仕事をするようになってしまうのか。つまり、理事長の求心力を高めるということが非常に重要なポイントだと私も思っております。

 そういう意味では、紀陸理事長と今は二人三脚という意識で私はやっておりますけれども、一定の仕組み、一定の軌道に乗るということがあれば、もう全面的にお任せをしていくということであります。この組織は、当然御存じのように、過去大きな、社会保険庁ということで不祥事を起こした組織で、ある意味では一たん、会社でいえば倒産をして再建をしている組織だという意識もありますので、そういうような形で怠りなきよう取り組んでいるというところであります。

加藤(勝)委員 後半の御答弁でありました、基本的に職員の方は理事長に対してしっかりやるということで、たしか宣誓書か何か出すようになったと思いますけれども。やはりそういう意味ではまさに新しいスタートでありますから、理事長がしっかりリーダーシップを発揮していただく、そして、それはもちろん大臣がチェックをしていただく、そういう組織としてのあり方、そこは踏まえていただいていると思いますけれども、引き続きそういうところにも留意して進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、雇用保険についてお伺いをしたいと思います。

 まず、雇用保険を議論するに当たって、毎月勤労統計調査というのがございまして、その調査によりますと、月間の平均現金給与総額というのが、平成二十年と二十一年を比べますと三・八%も減っているということであります。二十一年度の水準が三十一万五千二百九十四円、こう出ておりました。したがって、約三%、一万円か一万二千円、年間でいえば十一万、二万円ぐらい給与が落ちている。大変給与所得が減少した、そういう一年であったわけであります。

 そして、それに加えて、平成二十二年度の経済見通しの雇用所得に行きますと、これは政府が出しておられるわけでありますけれども、マイナス〇・七%ということでありますから、引き続き減少傾向が続く、こういう中でございます。

 そこで、お手元に資料がございますけれども、私のページの一ページ目であります。厚生労働省の方でちょっと試算をしていただきました。

 実は、ことし、平成二十二年度は、雇用保険だけじゃないんですね。今の流れでいきますと、いわゆる健康保険、この協会けんぽも保険料率が約一%、一・一%引き上げられる。厚生年金や介護保険料も引き上げられる。こういうことになっております。

 例えば中小企業に勤める年収三百七十四万のサラリーマン、これはいわゆる協会けんぽの平均的な年収をここで出させていただいておりますけれども、その方について、平成二十二年度の保険料の増加額は、ここの表の二万一千円、六千円、六千円、七千円を足しますと、トータル四万円ということになります。年間四万円上がる。

 一方で、先ほど申し上げたように、三・八%ですから、年間十二、三万、あるいは場合によってはもっと多いかもしれません、所得が減り、そしてことしもその所得がふえないだろう、こうされている中で、さらに四万円もの保険料の負担が引き上げられる。

 このことについて、大臣、どういうふうに思っておられますか。

長妻国務大臣 今のこの試算でございますけれども、これについては、本当に今景気も厳しい中、この増加額を極力抑えていこうということで、協会けんぽにつきましては、今まで国庫負担補助率が下げられておりましたけれども、それをもとに戻していこう、こういうような取り組みもさせていただいて、本来であればもっと増加するところをぎりぎり抑えているというつもりであります。

 それと、雇用保険につきましては、これは御存じのように、失業等給付に係る保険料というのは本則が千分の十六ということでありますが、平成二十一年度には軽減の措置をされたということがありました。この失業給付の厳しい状況にかんがみて、これは上げたというよりも原則の形、千分の十六にしたということでありますけれども、弾力条項というのを使わせていただいて、千分の十二という形でぎりぎりの御理解をいただきたいということで取り組んでいるところであります。

加藤(勝)委員 要するに、大臣は、年収が十万円以上を超えたサラリーマンの皆さん方に、四万円ぐらいは負担してもしようがないじゃないか、こういう御判断だ、こういうふうに承らせていただきました。

 その上で、今のはミクロの数字でありますが、今度は、マクロの数字として下の方に出させていただきました。健康保険で八千億、国民年金、厚生年金、雇用保険が五千億、これだけ足しても一兆六千億。それに加えて、組合健保、国民健保、後期高齢者、介護保険、共済等々がありますから、全部足すと二兆円をはるかに超える、こういう金額が国民の懐から吸い上げられていく。大変な負担増になっている。

 やはり、この厳しい、高齢化が進むこういう状況の中で、もちろん財源の確保をしてこれにしっかり当たっていかなきゃいけない、我々はそう思っております。しかし、民主党の皆さん方はまだそこまで踏み込んでいただいていないようでありますけれども、その問題と、こうした負担額がふえる背景の中には、逆に、そのベースとなっている給与が下がってしまった、上がらない、こういう事情があって、結果的に保険料収入が減るからその分を補完するために引き上げている、こういう部分もあるわけであります。

 私は、特にその部分を、この厳しい状況の中でさらに国民の方に負担を求めるというようなことは、そうした福祉という観点から、また景気に対する配慮という観点から、本当にすべきことなんだろうか。まさにそういうことにしっかりと手当てをすることの方がより大事で、やるべきことではないか、私はこういうふうに思うわけであります。

 そういう中で、ここは意見の違いだというふうに思います、それでも取る方がいいんだ、やる方がいいんだと。むしろ、こういうところこそ、国が一時的な肩がわりをする等支援をしていくということが本来の姿ではないか、私はこういうふうに思うわけであります。

 そういう中で、大臣から今雇用保険のお話がございました。お手元に配らせていただきました二ページ目でありますけれども、失業等給付関係収支状況というのがございます。

 二十二年度予算案のずっと下の方の積立金残高の数字を見ていただきますと、二十二年度末には三兆九千七百九十九億円、約四兆円の残高が予算上予定されております。もちろん、これから支出、失業等給付がどうなるかは一概にはわかりませんから、これはあくまでも予測ということになります。

 そして、下の方に小さい注があります。注の四番目にはこう書いてあります。「二十二年度予算案の積立金残高は、特例措置により雇用安定事業費を支弁するために必要な四千四百億円が減額されている。」したがって、もし減額されなかったら四兆四千億がある、こういう計算なんだろうというふうに思うわけであります。

 そして、先ほど私が申し上げた、平成二十一年度が千分の八のものを平成二十二年度は千分の十二へと五割も引き上げる、こういうことでありますから、仮に五割引き上げなかったら、先ほどの数字でいえば五千億あるいは六千億ぐらいの減収になります。それでも積立金残高は、仮に四千四百億円の繰り入れを行っても、なおかつ三兆三千億あるいは四千億がそこに残るということになります。

 こうした状況の中で、さらに積立金、これは将来の失業等給付が急速に拡大した場合ということでありましょうけれども、残念ながらこの表にはありませんけれども、これまで一番多かったのが平成十年から十二年度、保険料収入とそのときの失業等給付の差額を見ると最大約一兆円、こういうことになります。そうすると、三兆幾らもあれば、一兆円の赤字が三年続いても対応できる、私はこういう数字だと思います。

 前にここで、江田委員からもたしか御指摘があったと思います。本当にどのくらいの積立金が必要なのか、これは我々ももう一回反省も含めて考えなければいけないと思いますけれども、先ほど申し上げた、給与がこれだけ減っている、そしてことしもまだまだその状況が続くという、いわゆるサラリーマンの方々の給与所得の実態を考え、そして、失業等給付の勘定の積立金がまだ三兆円以上も、いやいや、三兆四、五千億もあるよ、こういう状況を考えれば、当然、二十一年度と同様に特例的な措置をとって千分の八にしておくということが妥当な、適切な対応ではないかというふうに私は思いますが、大臣の所感をお聞きしたいと思います。

長妻国務大臣 雇用保険という保険でございますけれども、ある意味では、これは一つの国家の危機管理という側面もあるのではないかというふうに考えております。

 御存じのように、かつては、例えば平成八年、九年というのは四兆円程度の積立金があったわけでありますけれども、急速に雇用が悪化をいたしまして、平成十四年度には、やむを得ず、これは積立金が急速に減ったということで、年度途中で保険料を引き上げるというある意味では非常に申しわけないことが起こり、給付日数も減らすというような対応をとらざるを得なくなったという過去の大きな反省があると思います。

 それを繰り返さないためにも、やはり、先行きが不透明な中、確かに有効求人倍率とか失業率というのは、数字上は若干の改善はありますけれども、私どもの認識としては、持ち直しつつも、依然として厳しい、予断を許さない状況であるということもあって、こういう水準を維持すべきということで、ただ、弾力条項がありますので、千分の十二ということでお願いをしているところであります。

加藤(勝)委員 今の大臣のお話でありますけれども、もちろん、将来の予想というのは非常に慎重に見ておかなきゃいけない、いろいろな事態に対して対応しておかなきゃいけない、特に事が失業等給付に関する事業でありますから、それはそのとおりだと私も思います。

 しかし、そういう中で、やはり大臣として御判断いただきたいのは、その部分とそして今働いている方々が置かれている状況、このバランスをどう考えて決めるのか、これが政治だと私は思います。今の大臣の答弁を聞いていると、非常に役所的なんですね。役所の方々はこの失業等の関係収支、これを大事にしたい。しかし、そこで働いている方々の生活、それをどう考えるか、そこをしっかりと指摘するのが私は政治の役割だと思う。

 そういう意味で、これだけまだあるし、過去を見たら、一年間でいえば一兆円ずつしか減っていかない、そしてこれから我々も頑張って経済成長していこう、こういう意思を持っておられると思います。それであれば、やはり今の状況で、そしてサラリーマンの皆さん方の厳しい状況の中で、幾ばくかでもその負担を減らしていく、こういう判断をされる、これがまさに政治主導であり、政治判断である、私はそう思います。

 そういう観点から、私どもとして、二十二年度も引き続き千分の八でやっていける修正案を近々にお出しし、またそれをもってしっかりと議論をさせていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

 その上で、次に入らせていただきたいと思います。

 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、雇用保険二事業への繰り入れについてでございます。

 これは先般の補正予算関連の法案のときにも議論になりました。そもそも失業等給付は、労使折半の保険料と国庫負担によって成り立っている事業であります。雇用保険の二事業は、事業主の全額負担によって成り立っている事業であります。そもそも事業の質が違うから財源構成が違っている、こういうことになるわけであります。

 それからもう一点、大臣は、年金の保険料の関係では、本来その目的以外には使ってはいけないんだ、事務費にすら使ってはいけない、こういうことを強く御主張されてこられました。やはりそういう関係のこれまでの御主張と考えても、この雇用保険二事業に繰り入れるというのはどうも納得できないな。

 やはり素直な姿とすれば、確かに雇用保険二事業でやっておられます雇用調整助成金等の事業、これは非常に活用されております。まだまだ規模も大きくなる可能性、あるいはこの規模が、若干今収れんしているかもしれませんけれども、高い水準で推移していくということもあります。しかし、これを支えるとするならば、私は、国庫補助を直接入れるか、あるいは雇用保険二事業が、こうした失業のお金から取るのではなくて、別途の形で借り入れを行う、これが本来の姿ではないのかな、こういうふうに思いますけれども、大臣は、何でこういう形での、失業等給付に本来使うべき積立金から繰り入れをする、こういう措置をとられるわけですか。

長妻国務大臣 まず一つ、御存じのように、雇用保険二事業、以前三事業と言っておりましたが、これは今御指摘のように、全額が事業主負担のみで賄われているということでありまして、ここに例えば一般会計を入れるとなると、今までにない話にもなり、なかなか、御理解がいただけるのかということもあります。その中で、この二事業は雇用調整助成金などで非常に大きな負荷がかかりますので、そういう意味では、失業給付の本体の会計、勘定からお借りをするということであります。

 その意味は、雇用調整助成金、例えばそれを拡充すると、これは失業者が会社の外に出て雇用保険を受給するということがなくなるわけでありますので、そういう意味では、企業の中で休業という形でとどめていただいて、その休業補償の一部を出すという措置をすることは、失業保険がふえることも抑える効果があるということで、相関関係にある。こういうようなことも考え、そこからお金を貸すというような措置をさせていただいているところであります。

加藤(勝)委員 いやいや、相関関係とか言い出せば、例えば年金だって、事務費というのは相関関係があるじゃないですか、それぞれ。あるいは密接な関係がありますよ。それはだめだ、本来保険料は給付に充てるんだ、こう主張されたのは大臣なんですよ。

 やはりその原則というものをしっかり守らないと、この話、今の大臣のお話で続けていけば、だんだん雇用保険二事業が厳しくなってきた、政府の財政も厳しい、では失業等給付からお金を少し入れちゃおうか、直接。繰り入れじゃなくても入れてしまおうか、こういう方向だってあり得る道筋を進んでいく、私はこういうふうに思います。

 もう一点、では追加でお聞きをしたいと思います。

 お手元にございます資料で、四ページ目になります。今、失業等給付の積立金、これは財政融資資金の預託金に預けられております。これを見ますと、大体三年以上に多くのお金、これはちょっと時点が違いますから残高は変わってくるわけでありますけれども、集められているわけでありますから、右側の直近利率を見ますと、〇・二から〇・七、真ん中をとれば〇・四、五ということになるわけであります。

 仮に、四千四百億円、これを財融に預けておけば、〇・四%で回せば十五、六億円ぐらいの収入がこの失業等給付のところに入っていた。これを二事業に使ってしまえば、本来得べきそうした利子収入、利息収入を喪失するということになりますけれども、これは大臣、補てんされるんですか。

長妻国務大臣 今のお話は、失業等給付の積立金から雇用二事業に繰り入れる、貸し出すということに利子をつけたらどうかというお尋ねと同意でもあるというふうに思います。

 これについては、同じ特別会計の中の二事業、同じ勘定の特別会計の中で資金を融通するということと、先ほど申し上げた雇用調整助成金が失業等給付についての抑制効果が高いということを勘案しておりまして、この利子をつけないということについては、保険料を御負担いただいている労使の御了解もいただいているところであります。過去の事例、平成十五年に創設された失業等給付費のための雇用保険二事業からの借り入れ制度というのがありましたけれども、その制度においても、利子をつけないというふうにされたところであります。

加藤(勝)委員 過去の制度はともかく、今私が申し上げたいのは、得べき利益も、実は、本来であれば失業等給付のところの積立金に入っていた、十五億、例えば〇・四%で運用すれば。その十五億は、全く無償で二事業に入れてしまったということなんですね。だから、まさに失業等給付のお金をそれ以外に使ってしまう。返してもらうんじゃないですよ、使ってしまう。この先鞭を、そんなことをしてはだめだと言ってきた長妻大臣がまさにおやりになる、そういうことじゃないですか。

 だから、金利の話がありますけれども、本来、機会費用ですから。まさにそこに費用が発生しているというか、本来であれば十五億、積立金が積み上がるべきその十五億を雇用保険二事業にそのまますぽんと入れてしまった、まさに流用しました、そのことはお認めいただけますね。

長妻国務大臣 これはもちろん法律によって今御議論をいただいているところでありますので、これについて、繰り返しになりますけれども、国家の危機管理という観点から見ても、この雇用二事業と雇用保険本体とは、雇用調整助成金が本体の増加を防ぐ抑制効果もあるというようなことで我々としては皆様に御審議をお願いしているということでありまして、何か隠れてそこを流用するとか、そういうことではありません。

加藤(勝)委員 いやいや、隠れた流用ではなくて、表でも流用してはいけないと大臣はおっしゃっていたじゃないですか、保険料はその目的以外に。だから、今回その先鞭をつける。そして、もしかするとこれをきっかけとしてどんどん広がっていく可能性もあるよ、だから多分厳しく、これはだめだということを大臣はおっしゃったんだと思いますよ。

 財政が厳しくなると、いや、過去にこういう事例があるじゃないかと。私も財政当局におりましたから、過去の事例を突き出して、これをやってきたじゃないか、だからこれもいいじゃないかと広げてきた、そういう反省も持っております。そういう意味で、いや、だからこそ大臣は、そういう原則を曲げたらだめだよということを強くおっしゃってこられたんでしょう。その大臣が、ここでまた穴をあけちゃうんですか。

 しかも、本来十五億、これは金利運用だからわかりませんけれども、あるべきお金を、繰り入れだけじゃなくてまさに流入してしまう、その先駆けをつける。言ってきたこととやることと全然違うじゃないですか。完全に政府側に入って、政府側のいろいろなものを吸収された。いい部分は吸収していただきたいと思いますけれども、悪い部分はやめていただきたい。

 本来の姿、やはり大臣、これはおかしいです、正直言って。少なくとも、大臣のこれまでの主張とは全く異なる。これをおやりになるんですか。もう一回確認いたします。

長妻国務大臣 私の考えは、野党時代、例えば、年金保険料を使ってゴルフボールを買って、ゴルフ練習場でゴルフクラブもそれで使う、これはだれが考えてもおかしいものについてやめさせていくということで、年金教育、年金広報はこの政権でやめるということにしたわけでありまして、これは、事務費の浪費型流用ということではもちろんないというふうに思っております。

 事務費というのは一方的にそこで消費されるものでありますけれども、これはあくまで貸し出しでありまして、後で必ず返していただく、雇用二事業に黒字が出たときにそれを返していただく、こういう性格のお金だというふうに承知しております。

加藤(勝)委員 いやいや、元本の話じゃなくて、少なくともいわゆる利息部分を考えたら、本来失業等給付事業が得たであろうお金は、そのまますぽんと二事業に行ってしまうんですよ、大臣。

 だから、本来失業等給付に使うべきお金が雇用保険二事業に使われてしまう。そして、雇用保険二事業の中身も、雇用調整助成金だけじゃないでしょう、これから仕分けの対象になってくる部分も多分あると思います。いろいろなもの、相当な事業が入っています。やはりそういう流れがあるからだめだと。さっき言ったゴルフボールは、ちょっと極端な例だと私は思いますよ。

 事務費にも使ってはいけない、これは年金のときにもここで議論になりまして、残念ながら、平成二十二年度はその一部しかできなかったという御発言もありましたけれども、そういう方向に行こうとされている中で、逆方向へ進めていく、それはやはりおかしい、私はそういうふうに思います。

 それから、もう一つお聞きをしたいと思います。

 年金に関しては事務費は使ってはいけない、こういうお話がありましたけれども、失業等給付に係る事務費は、平成二十二年度で一千四十三億円計上されております。このうち、国庫負担金は八億であります。残り一千三十五億は保険料から賄えというわけであります。

 この点について、足立政務官、年金保険料流用禁止法案を出されましたよね。そうすると、年金保険料の事務費は流用しちゃいけないけれども、雇用保険の事務費は流用してもいい、こういうふうに考えておられるんですか。

足立大臣政務官 保険制度は、私、多分加藤議員と同じだと思うんですが、原則は、受益者負担ということを考えると、保険料財源で負担するというのは本来の姿だと思っております。

 ほかの例も挙げさせていただきますけれども、雇用保険についても、労使話し合いのもとで、双方の理解の上で、保険料財源で負担するということは原則ですけれども、一部は国庫負担になっている。これはもう御案内のとおり、今八億という話がありました。

 そのことと、先ほどの保険料流用禁止の話ですけれども、私のとらえ方としては、原則は先ほど申し上げたとおりで、保険料でいいと私は思いますけれども、保険料の流用禁止法案というのは、国民の皆さんに年金制度というものが非常に失望感を与えてしまったということの中で、それを回復するためには、まずは年金記録をしっかり回復させて、本来給付がいただける方にはしっかり給付が行き届くようにということと、保険料は給付以外には使わないんだということの政策判断の一つだったんだろう、私はそのようにとらえています。

加藤(勝)委員 よくわからない答弁でありました。

 例えば、今回、年金記録の確認に係る事務費、これは保険料から使うのは申しわけない、これはまだわかりますよ。ただ、年金の関係に本来係る事務費、これも保険料から使っちゃいかぬ、こういうお話だったと私は理解をしております。

 そういう意味において、この部分についてはこうだ、この部分においてはこうだ、さっきも申し上げましたけれども、年金の方はもう事務費にも使っちゃいけない、雇用保険の方は、本来得るべき利益も、こういう失業等給付に充てるべきお金もそれ以外の雇用保険二事業に使ってもいいという、何か、哲学というか理念が残念ながら全く見えないな、こういう思いがいたしました。

 もう一回申し上げておきますけれども、やはりここはきちんと筋を通したことをしておかないと、本当に前例というのは将来にいろいろな禍根を残す、このことを強く指摘しておきたいと思います。

 最後に、五分残っております。

 民主党は、マニフェストで、すべての労働者を雇用保険の対象にするということをおっしゃっておられます。それに対して、今回の法律では、週所定労働時間二十時間未満の者あるいは三十一日以上の雇用の見込みのない者を法律で適用除外にしておりますけれども、すべての労働者の中にはこうした適用除外に入った方は入らない、こういう解釈ですか。

長妻国務大臣 今回御審議をお願いしている法律の中には、今までと異なって、三十一日の雇用見込みがあれば非正規雇用の方も雇用保険に加入いただく、こういうことで、約二百五十五万人の方が新たに加わっていただくということであります。

 ただ、その点においても、週二十時間以上というものについて守っていただく、二十時間以上というのが一つの適用の要件となっております。これは、なぜならば、やはり雇用保険が支出されるわけでございますので、週二十時間以上といいますと、週休二日だとしますと一日四時間掛ける五日間ということで、毎日四時間の労働ということで、やはり、みずからの労働による賃金で生計を維持している労働者という方に、雇用保険の保険料で支出をされるわけでありますので、財源が使われるべきであるということを我々は考えております。

 我々が申し上げている趣旨といたしましては、みずからの労働による賃金で生計を維持している労働者について、すべて対象にすべきである、こういうことを申し上げているところでありまして、それが我々の考え方であります。

加藤(勝)委員 そうすると、マニフェストで言う「全ての労働者」、要するに、みずからの労働によって生計を立てている労働者というのがここに書いている「労働者」ということですか。「全ての労働者」と書いてあるじゃないですか。

長妻国務大臣 これは、我々が申し上げましたとおり、みずからの労働による賃金で生計を維持している労働者、この方をすべて対象にしていくべきであるということであります。

 例えば、大学生のアルバイトの方が、週に、先ほど申し上げた時間に満たない形のときに、そういうものが適用されるのかされないのか、こういう御議論もあると思いますけれども、我々は、二十時間というのを一つの要件にするということであります。

加藤(勝)委員 今回の法律で外される週所定労働時間二十時間未満の者、三十一日以上の雇用の見込みのない者は、どのくらいおられるんですか。

長妻国務大臣 今おっしゃられた週二十時間未満の雇用者というのが、約四百十三万人おられるということであります。

加藤(勝)委員 それだけ多くの方々が、まさにこれは、これまでこの辺を政令で決めてきたという経緯があったと思います。今回、法律で決められた。皆さん、そこに線をびしっと引かれたんですね。だから、残念ながら、皆さんのマニフェストでは、すべての労働者と、何の注意書きも書いていません、さっき大臣のおっしゃったように。全部雇用保険の対象にすると言いながら、ここで法律において、したがって、その労働者の中に、みずからの労働によって賃金を得て生計を立てる労働者とそうでない労働者がおられて、そうでない労働者の方は対象にしませんと。言っていることとやっていることが違うんじゃないですか。もししっかり書くのなら、やはりそういうことを主張されないと、私は違ってくるというふうに思います。

 それから、もう一点お聞きをしたいと思います。

 三十一日以上の雇用見込みがあっても、離職の日前一年間に六カ月以上の被保険者期間がないとこれは支給されないということになりますね。ですから、厚生労働省の推計でも、今回の措置によって一見対象になっても、今申し上げた被保険者期間が足りないから対象にならない方が五割以上おられる、こういうことでありますけれども、この辺に対しては特段の対応はお考えになっていない、こういうことですか。

長妻国務大臣 我々としても、いろいろな要件というのは課しているわけでございますけれども、これについては、安易な離職や、循環的、繰り返す給付の防止とか、あるいは保険財政の給付と負担のバランスへの影響を考慮するというようなことで、こういう形にさせていただいているということであります。

加藤(勝)委員 それでは、時間が参りました。先ほど申し上げました、雇用保険の料率を平成二十一年度と同様にする、この修正案をしっかり出させていただいて、さらに議論をさせていただきますことをお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。

 先日、本会議での代表質問に立たせていただきましたけれども、我が方も、子ども手当の質疑で皆さん疲れ切っているということでありますので、引き続き私が担当させていただきます。

 先日の本会議で私、質問に立たせていただいて、特に触れたかった部分があります。我々、ついぞ、この細かな議論というものを続けているわけでありますけれども、それ以上に、やはり政策には哲学が大事なのではないかなと思います。我々はどんな社会に向かって、そして、どんな国民にどんな政策を受け入れていただきたいかということが、私は何よりも大事ではないかなと思うわけであります。

 昨今、大竹文雄先生という方が、アメリカの経済学会の学会誌に掲載されたフランスの経済学者の方々の論文を、日経新聞とかまた雑誌などで取り上げていらっしゃいます。アルガンとカユックという二人の経済学者の指摘というのは非常に私も納得するところでありまして、その論文の指摘というのが、社会保障の給付について、見つからなければ政府の給付を不正に受け取ってもいいと考える人の比率が高い国ほど、失業給付の水準が低くて、そして解雇規制というものが厳しくなっているということであります。

 モラルが低いと、そういう自分勝手な人が多いと、結局、国民すべてが不利益をこうむることになるというのがこの結論でありまして、なるほど、我々はそういう悪循環に陥ってはならないなというふうに思うわけであります。

 これはOECD諸国の中の調査を出しておりまして、日本は中くらいか、中のちょっと上ぐらいかなという感じらしいんですけれども、まず、大臣、日本国民のモラルというものについて大臣の御認識を伺います。

長妻国務大臣 日本国民のモラルということでありますけれども、私は、今の調査という詳細は承知しておりませんけれども、高い国民性ではないかというふうに考えております。

 ただ、この不正受給ということに関しましては、雇用保険の不正受給もあります。生活保護の不正受給もあります。本当に、不正はすべてよくないわけでありますけれども、こういう生活、社会保障について、不正受給というのは一部の方にもかかわらず、多くの受給している方もそういう目で見られてしまうという弊害、非常にやるせない状況になる可能性もありますので、これはもう徹底的に不正がないように取り締まるということは、私は特に心がけているつもりでありますので、不正が起こらないそういう仕組みというのを今後とも不断に検討していきたいと思います。

松浪委員 それは当然のことであると思いますけれども、今我々は大変な変化を経験しているわけでありますけれども、やはり今我々の社会というのは、私はどうもモラルが向上する方向には向かっていないんじゃないかなという感じがいたします。

 大臣、御感想はいかがですか。今の社会情勢について、モラルは向上する方に向かっているなというか、それともこれから変わらないなというか、それともこれからちょっと下がっていくんじゃないかな、こうした中での、大臣のこの社会に対する今の感性というものをちょっと聞かせていただきたいなと思います。

長妻国務大臣 いろいろ若い方などと話をさせていただいても、我々の学生時代に比べても、例えば環境問題とか、節約をして本当にお金を有効に使っていくとか、あるいは将来に対して、これだけ失業の方が多いということで資格をきちっと取ろうとか、そういうような欲求や意欲というのはかつてよりも非常に高いという感覚を持っております。

 そういう意味では、モラルが上がっているか下がっているのかというのは一概に私もわかりませんけれども、やはり一つは教育というのが、これは重要性は何度言っても言い過ぎないわけでありますので、そういうものを初め、社会の中でそういうモラルの向上を目指すということが何よりも重要だと思います。

松浪委員 大臣がおっしゃるように、例えば環境とか節約とかいう面については、確かに社会的なモラルというのは向上してきているのではないかなと私も思います。

 しかしながら、一方で、やはりこれまでの右肩上がりの時代とは違った非常に厳しい雇用情勢、仕事がしたいけれどもできない、そして理不尽な社会に対する思い、ロストジェネレーションというような言葉があるわけでありますけれども、やはり私は、特にそのロストジェネレーションの世代について詳細な調査というものは存在をしませんけれども、彼らにはちょっと、もしかしたら無力感から、こういう社会保障給付、おれたちはこんなのもらっても当然だよなというような何か無力感というのは、私は、今さまざまなそういう方々とお話をしていて、広がりつつあるのかなというような懸念を持つわけであります。

 この論文も、確かに結論づけて言えるというようなところまでいっておりませんけれども、確かに、モラルの高い国というのは、北欧の国がモラルが高いという結果が出ております。上から、オランダ、イタリア、スウェーデン、カナダ、日本とOECD諸国が続きまして、その後、ドイツ、英国、米国、スペイン、ロシア、フランス、中国、メキシコなどになっていくということでありまして、割と寒い地域というか、そういう地域は、やはり公共心というものは非常に高く持つ傾向がある。

 あと、こう言ってはなんですけれども、地中海の陽気な雰囲気というのは、やはりそういうところは緩いというような民族性があるようでありますけれども、特に宗教とか、それから公共的な、非常に北欧は厳しい幼児教育を行いますので、大臣おっしゃるように、これからはやはり教育というものが大事になろうかと思います。

 私は、特に政治家のモラルというものも本当に問われるべきだろうと。論語なんかでは、法で人を縛っても法で縛り切れるものではないというふうによく書かれております。徳をもって政治をしなければならないと。この結果を見ると、その論語が示しているものもこの調査でしっかりと示されているのではないかな、証明してくれたんじゃないかなという気がします。まさに洋の東西を問わないということでありますけれども、私は、この国会での審議というのは本当に誠実に行われなければならないと思います。

 大臣、政府は国会の議論に対して誠実に議論に臨むべきだとは思っていらっしゃいますか。

長妻国務大臣 私もこういう立場になりまして、非常に幅広い行政をつかさどるところであります。政務三役あるいは幹部の皆さんと力を合わせて行政を実行するんですけれども、やはり国会議員の皆さんは、週末のみならず地元に帰って、いろいろな方の御意見を、もちろん私も聞きますけれども、いろいろな方のおしかりや御意見を聞いて、そして国会に来られて質問をいただくということで、本当に与野党の皆さんのこれまでのいろいろな御指摘というのは、これは取り入れるべきところはすぐに役所に指示をして、それを実施してくださいということで、いい御意見はどんどん取り入れるということで、私にとっては大変ありがたいし、日本国の厚生労働行政にとっても大変ありがたい御指摘を数々いただくという機会を与えていただけるのがこの国会であるというふうに考えております。

松浪委員 大臣おっしゃるような、そうした理想の政治が行われるためには、やはり国会の議論には政府から誠意を持っていただかなきゃならぬのじゃないかなと思います。

 それで、先般、私は、本会議で質問させていただきました。答弁にがっかりいたしました。答弁が故意に削除されているんじゃないかな、無視されているんじゃないかなという感じがいたしました。

 例えば、私は、これは大臣に対する質問ではありませんけれども、福島大臣にこう伺いました。日ごろから、労働者の、これは前置きしますと、福島事務所が雇用保険を払っていなかったという問題、そして、当時の代表の小沢事務所も雇用保険を払っていなかった。雇用保険法を改正すると言っているのに、今は与党の要職にある方々が、片方は大臣が、そんな状況で、そして、その後に出したマニフェストは、雇用者、絶対に保険料は払わせます、全雇用者にやりますみたいなきれい事だけ言って、てめえのところはやっていないんじゃないかということを私は改めて指摘をさせていただきました。

 大臣について、福島大臣には、みずからの言動と整合性についてどう考えているのか御答弁ください、また、現在、この事務所に勤める労働者の労働保険及び社会保険の適用状況はどうなっているのか、お尋ねします、私はこう尋ねたわけですよ。

 では、福島大臣からはどういうお答えがあったか。いきなり、松浪議員にお答えいたします、私設秘書の二人についてですが、一人は、本採用に云々、雇用保険への加入は、労働者にとって保障されるべき制度であると考えておりますと言ってさらっと終わっちゃうんですけど、私は、これは二問聞いていますよね。特にメーンの部分は、福島大臣の言っていることとやっていることが違うじゃないか、この矛盾をどう考えますかと。これを無視して、結局自分の、今、事務所はこうなっていますという都合のいいところだけ、後半の質問だけとっている。これは何なのかなと。

 そして、私は、長妻大臣にも、これは何時間も前に、全文書いたやつを渡しているんですよね、本会議でも。ここのは当然、通告だけですけれども、本会議は文章まで渡しているんですよ。これで、長妻大臣に聞きましたね。長妻大臣におかれましても、ほんの一年前まで、民主党代表の事務所でさえ労働保険に加入していなかった事案をどのようにとらえておられるのか、伺います、こういうふうに聞いておるんです。

 大臣はどうお答えになったのか。これを見ますと、まあ、はっきり言って、答えは見つからないんです。答えがない。

 それで、うちの事務所からちょっと厚生労働省に問い合わせてみました。すると、こういうくだりがありました、国会議員が事業主となる団体であっても、労働者を一人でも雇用すれば、適切に手続を行う必要があります、これで答えになりませんかねと。なるわけないですね。これはちょっとひどいですよね。やはり、倫理を問うんだったら、もうちょっとまともに答えてもいいと皆さん思いますよね。聞いたことには答える、それがなくて、無視までして、これで何が議論なんやと。

 私が何で政府でと言ったかというと、私は、福島大臣と長妻大臣、それから官房長官に話を聞いたわけですね。官房長官がまあ一番きれいにひどかったですね、本当に。官房長官はひどい。

 特に、政治と金の問題で僕、聞きましたので、やっぱりモラルは我々から見出さなあかんということで、官房長官に私は、小沢さんの確認書の問題で、にせの確認書あるでしょう、うなずきませんね。あれ、にせですよね、どう見ても。あれを見てにせやないと思うやつは、多分かなり痛いですよね、そこは。あれは、よう見たらにせものやとわかるんですよ。こんな、最近になって十何年も前の、政治資金規正法が変わる前の文章と、今わかっても通るような、不動産は自分のものやありませんという文章をつくれるわけないんですよ。それが出てきたという中で、当然、私、官房長官に聞いたんです、にせの確認書について官房長官の所見を伺いますと。

 それから、私、前に予算委員会で懲罰動議を食ったんですよ。懲罰動議をやったときに、官房長官は記者会見で、官房長官は国対委員長代理でしたからね、私にかなり厳しいことを言うてましたよ。松浪議員の発言は誹謗中傷としか言えないものである、何の根拠も示さず、個人の推量、思い込みでの発言は議員としての品位を厳しく問われてしかるべきであると。これは民主党のホームページに載っていたんですよね。これについても聞いた。答えがない、全く答えがないんですよ。

 だから、福島大臣が、自分の問題、モラルの問題を聞かれて無視して、長妻大臣が無視して、挙げ句の果てに、懲罰動議を食らわせるんやったらもっとひどく言うからといって、官房長官に言って、無視して、これ、何のために僕は質問しているんですかね。国民をなめているのかというふうに思いますけれども、この三大臣そろって質問に答えないということについて、これで大臣、議論が成り立ちますか。

長妻国務大臣 その本会議でそういう質問をいただきまして、これはもう御存じのように、本会議で仮に答弁漏れがあるとなると、本当に厳しく、担当の議員に壇上に上がられて、そして答弁漏れということで指摘をされるわけでありまして、まあ、そのときには答弁漏れの指摘もございませんし、私どももできる限り答弁をさせていただいたということであります。

 先ほど言われたくだりについては、私が答弁をいたしましたのは、個別の団体で労働保険の加入対象となる労働者がいるかどうかについては把握していませんが、国会議員が事業主となる団体であっても、労働者を一人でも雇用すれば、適切に手続を行う必要があるというようなことを答弁申し上げて、お答えを申し上げているということであります。

松浪委員 大臣、今、再質問ができるようなことをおっしゃいましたけれども、もうちょっと国会のルールを勉強していただきたい。本会議では、再質問は、事前に通告しておかないと、時間を残しておかないとできないんですよ。だから、答弁漏れを後で、私はその場で質問できないんですよ。そのことについては、ちょっと御承知をいただきたいと思います。

 そして、今の答弁、大臣、今までこちらで厳しく追及してきた大臣が、本当にそんな機械みたいな答弁でいいんですか。いいんですか。代表ですよ。民主党でしょう、大臣。民主党の代表が保険に入っていなかった、これは、個別の案件は承知していないと。承知していないんですか。本当に承知していないんですか、ちょっと伺います。

長妻国務大臣 その団体で労働保険の対象となる労働者がいるかどうかということについては把握していないということであります。

松浪委員 新聞記事にまでなったものをそこまで、僕らだって別に嫌がらせでやっているんじゃないので、やはり国民の皆さんに対してルールを守ってくださいというのであれば、国民の皆さん、我が党の代表がこういう不手際がありましたけれども、申しわけありませんでした、このようなことはこれからないので、何とか皆さん、これから我々はしっかりやりますので、どうぞよろしくお願いしますと一言謝罪して、そして姿勢を示すのが大臣の立場でしょう。何のために政権交代したんですか。こんな空虚な答弁をする大臣をつくるためにやったんじゃないでしょう。

 もう一回聞きます。もう一回チャンスを与えます。どうですか。

長妻国務大臣 本会議でも答弁したとおりでございますけれども、同じことを繰り返すわけではありませんけれども、個別の団体で労働保険の加入対象となる労働者がいるかどうかについては把握しておりませんが、国会議員が事業主となる団体であっても、労働者を一人でも雇用すれば、適切に手続を行う必要があるということを申し上げているところであります。

松浪委員 こちらを見たら、民主党の議員の方に目をそらされちゃいましたよ。こんなことではだめですよね、本当に。こんな答弁、だめでしょう。もっと心のある政治を行うべきだと私は思いますよ、本当に……(発言する者あり)いや、ばからしくないよ、これは。本当に大事なことですよ。みんな素直に謝るところは謝っていいんですよ。それで、こらと言って別に突っ込むわけじゃないんですから……(発言する者あり)はい、済みません。

 では、次は、不正受給、この実態について伺いたい。

 私は、タクシーの運転手さんを悪く言うわけじゃないんですけれども、タクシーなんかに乗っていても、結構、資格があるものだから失業保険をもらえるだけもらって、それからまた働くんですよなんというすれすれのことを言う方もいらっしゃったりとか、やはり不正というのは少なくあるべきだと思いますけれども、今、不正受給の実態について伺います。

山井大臣政務官 松浪委員にお答え申し上げます。

 三つ、典型的な事例を申し上げます。

 まず一つは、不正受給の典型例でありますが、A社を離職し、既にB社に就職をしているにもかかわらず、まだ失業しているとの虚偽の申告をして失業の認定を受け、雇用保険基本手当を不正に受給。このようなケースに関しては、被保険者資格取得届の記録のチェック等により不正であることを発見し、対応しております。

 事例二に関しては、事業活動を停止しているA社の名前を使って、A社に採用されていたが、社長が経営不振で行方不明となり、離職したとして、偽造した書類、給与明細を提出して離職票の交付を安定所に依頼、雇用保険を不正に受給。警察と連携して捜査、調査を行い、不正受給であることが発覚して、詐欺罪により逮捕しました。

 もう一つの事例は、事業実態のない架空の事業所に雇用され、解雇されたとして、離職証明書を偽造して雇用保険の手続を行い、雇用保険を不正に受給。後日、安定所が当該事業所について現地調査をしたところ、事業所が実在しないことが判明、警察と連携して捜査、調査を行い、不正受給であることが発覚して、これも詐欺罪により逮捕いたしました。

 以上です。

松浪委員 こうした不正受給の実態、今、事案だけ出していただきましたけれども、数の方はどうなっていますか。

山井大臣政務官 松浪委員にお答え申し上げます。

 平成二十年度において、失業等給付の不正受給件数は約七千件、不正受給金額は約十億円となっておりますが、近年は減少傾向にはございます。ちなみに、平成十六年度は、約一万二千件で約二十億円の不正受給金額がありました。

 不正受給の防止は重要課題だというふうに私たちも思っておりまして、第一に、雇用保険受給説明会における受給者に対する周知啓発、ハローワーク窓口における対面での失業確認、そして第二に、就職後も受給し続ける不正を防止するため、被保険者資格取得届の記録によるチェック、第三に、架空事業所設置による不正を防止するため、事業所の現地調査、また、発見した不正受給事案については、支給停止や返還命令等を行い、不正行為が悪質等の場合は、警察に告発するなど、厳正に対処しております。

松浪委員 数はその段階よりも、また近年かなり雇用情勢も厳しくなっておりますので、これについては減少を続けていただけるようにと思うわけでありますけれども、適用範囲もこれから拡大されていくわけでありますので、不正受給を低減させる施策というものについては今どうなっておりますか。

山井大臣政務官 少し重なってしまうかもしれませんが、まずは、雇用保険の説明会でやはりきっちり周知啓発、ハローワーク窓口において対面での失業認定による確認をするということを徹底していくということと、それと、やはり就職後も受給し続ける不正を防止するためには、被保険者資格取得届の記録によるチェック、そして、先ほども事例でありました架空事業所の設置による不正というのもありますから、事業所の実地調査ということをやっていきます。

 また、三段階ありまして、こういう不正が見つかった場合には、支給停止ということで、不正行為のあった日以降支給しないという、これが一番緩いやり方、二番目には、返還命令、不正行為によって受給した額の返還を命ずる、そして三つ目は、納付命令、返還を命ずる額の二倍以下の額の納付を命ずる。これらの命令に従わなかったら差し押さえを行うということもあり得ますし、さらにそれも無視するようであれば、先ほども言いましたように、警察に告発して詐欺罪で立件する、そういうふうに厳しく対処してまいりたいと思っております。

松浪委員 こうしたことも当然でありますけれども、先ほどから申し上げておりますように、誠意のない答弁に対して言うようでありますけれども、やはりモラルがあって我々の制度は機能する。こうした、社会的な問題になりますけれども、モラルが高くなるためには、やはり近隣の人が密接に連絡をとり合っているとか、今、個人情報保護法の弊害なんかで近所づき合いがどんどんなくなっているとか、家族がばらばらになっているとか、そういった実態があるわけでありますので、そうしたことを我々政治家はこれに加えてやっていかなければならないのではないかと私は思います。

 次に、雇用保険二事業の、先ほどから加藤先生の方が随分とおっしゃっておりますけれども、収入約一兆円で、失業給付の積立金から四千四百億円を借りているということであります。収入の四割を借金に頼っているということでありまして、雇用失業情勢、大変、急激に好転するというような見通しは今立っていないわけであります。このように悪化した財政状況の中で、雇用保険二事業は労働者の雇用安定、能力開発に必要な事業を実施していくことがこれから可能なのかということもやはり懸念されるわけであります。

 そこで、毎年度の返済額や返済期間を含めた雇用保険二事業の今後の収支見通しをちょっと明確にお示しいただきたいと思います。

山井大臣政務官 今後のことを述べる前に、まず今までの実績を御参考までに申し上げたいと思っております。

 雇用保険二事業の収支、平成十八年度は千八百二十三億円の単年度黒字、平成十九年度は千九百七十二億円の単年度黒字、平成二十年度から赤字に転じまして、四百十九億円の単年度赤字、そして平成二十一年度は、これは見込みでございますが、六千七百九十三億円の単年度の赤字、そして予算案では、平成二十二年度、来年度におきましては、二千三百十一億円の単年度の赤字というふうに見込んでおります。

 そして、毎年度の返済額や返済期間を含めた雇用保険二事業の今後の収支見通しについては、これは景気、雇用情勢によって大きく変動するものでありますので、今一歩一歩回復しつつあるというものの、将来的な見通しをすることは困難でありますが、失業等給付の積立金への返済については、雇用保険二事業の単年度収支が黒字になったときには、先ほど長妻大臣が答弁しましたように、しっかりその額を返済したいと考えております。

松浪委員 これからの雇用状況は、リーマン・ショックのような問題もありましたのでなかなか厳しいと思いますけれども、それは明確に見通しがつかないということでありますけれども、それでも、我が国の財政も厳しくなっておりますので、厳しい態勢で対応いただきたいと思います。

 次に、雇用保険に未加入とされた者に対し、二年を超えて今回遡及適用というものが可能になっているということであります。

 二年前の日を超えて事業主から保険料を控除されていながら被保険者資格の確認ができない場合は、これは事業主が雇用保険料を着服していたというようなことになってしまいます。その場合に、救済措置として二年を超えて遡及適用をするということができるわけでありますけれども、事業主から控除されていたことの証明責任というものはどうなっているのか、伺います。

長妻国務大臣 今回の法案では、今おっしゃられたような措置も盛り込ませていただいているんですが、証明というのは、労働者が所持する給与明細、あるいは使用者が保存する賃金台帳及び税務関係書類を想定しております。労働者が所有する給与明細には、常識的には天引きの金額というのが書いてあるというふうに考えております。

松浪委員 そのあたり、不公正なことが出ないように対応いただきたいと思います。

 雇用保険についてはこれぐらいにさせていただきまして、かつては法案二日で一般一日というようなルールがありましたけれども、最近はそれがなくなっておりますので、私もちょっと一般的な質問をこれに続いてさせていただきたいと思います。

 大臣も、特に年金問題で本当に輝かしい実績を上げられて、そして今回、厚生労働大臣に就任しておられるようでありますけれども、なかなか年金問題というのが最近マスコミでも注目されることが少なくなってきたんじゃないかなというふうに感じております。舛添、失礼しました。済みません、かつての上司の名前を言ってしまいましたが、長妻大臣が厚生労働大臣になってから、これは別に通告しているような話じゃないですけれども、年金についてはこれが一番大きな成果だというようなものは何になるのか、ちょっと最初に伺いたいと思います。

長妻国務大臣 まず、記録問題については四年間で紙台帳を全件照合する、この計画ができたということと、さらに大きいのは、制度の改革ということで、これも四年後に法律を出すということを、これは歴史的にも日本国の社会保障の中でも大改革の一つになると思いますけれども、それについて総理をトップとした会議の第一回目会合も開きましたけれども、そういうことを実行するということを決めたというのが非常に大きいと思います。

松浪委員 私も、現場に足を運んでシステムの問題等を見ていると、本当に今までの一様のやり方ではこれは解決するのは難しいなと。また、レガシーシステムについても、いまだにレガシー、COBOLという古代語のような言語でやっている。これを我々もいろいろなスキームをつくってやってきたわけでありますけれども、そのあたり、本当にこれまでのパラダイムを超えた改革をやっていただきたい。それについては、私は、まだはっきりとした姿はちょっと見えていないなという感想を持っております。

 ただ、社会保障カード、そしてまた税との相関性といったものが、民主党の政権になってからこうしたことが出てきたということは、私は、これは素直に高く評価をしております。

 それに加えて、私がきょう問題にしますのは、年金基金の運用であります。

 ちょうど五年ごとの見直しの時期に差しかかっているわけでありますけれども、この年金基金の運用について、大臣はどういうふうなお考えを持っておられますか。まず伺います。

長妻国務大臣 年金基金の運用でございますが、今現在、国民年金、厚生年金、百二十兆円というお金を運用させていただいております。それとは別に、国家公務員の年金積立金、地方公務員の年金積立金、これはまた別途運用しているというところでありますが、この百二十兆円の運用でいえば、基本的に、GPIFというふうにこの独立行政法人、英語名ですので最後のFはファンドという略称でございますが、ただ、ファンドというイメージにあるように、このお金を投資したいから、運用してほしいということで国民の皆さんから預かったお金ではないということは肝に銘じる必要がある。

 その金というのは、我々日本政府が国民の皆様に義務としていただいている保険料ということで、払った方は運用を目的に払ったのではもちろんありませんで、老後、本当にきちっと年金を払ってほしいという思いのもと預かっておりますので、そういう意味では、安全確実に運用をしていくというのが基本的な方針だというふうに考えております。

松浪委員 大臣おっしゃるように、本当に国民の皆さんの大事な年金でありますから、当然、安心確実に運用していただかなければいけないわけであります。

 しかし一方で、やはり中期目標の中にも何度も何度も使われている言葉が、効率的に運用するということであります。効率的にというのをだれが判断するのかというのはなかなか難しいものでありますけれども、やはり海外の年金市場がどうなっているのかということはしっかりと把握をしなければいけないと思います。

 年金基金の運用について、これは事務的なことなので政府参考人に伺いますけれども、各国との比較は行っているんでしょうか。

榮畑政府参考人 年金積立金の管理運用に関しましては、先進国の中で年金給付金の数年分の積立金があるアメリカ、カナダ、スウェーデン、さらに言いますと、三十兆円もの積立金がある北欧のノルウェーと対比して、いつも考えておるところでございます。

 このうち、スウェーデン、カナダ、ノルウェーにつきましては、株式等が六割前後あるといった形で積極的な管理運用を進めておられる一方、アメリカにおきましては、全額、非市場性の財務省証券で管理運用をしておられるところでございます。

 一方でまた、これらの国々につきまして、成績でございますが、平成十三年度から平成二十年度の八年間で、日本が一・一%であるのに対しまして、スウェーデンでは〇・九%、ノルウェーでは〇・五%になっておる一方、アメリカでは五・七%、カナダでは四・一%という結果となっておって、こういうふうな諸外国との比較対比をしながら、年金積立金の管理運用を進めているところでございます。

 以上でございます。

松浪委員 今、諸外国、全部で四カ国ですか、出していただいたんですけれども、この四カ国を抽出している基準をもう一回、的確に短く教えていただきたい。

榮畑政府参考人 年金制度のさまざまな事項につきまして、諸外国と対比、検討するに当たりましては、常日ごろから、いわゆるG7諸国、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア、日本と、それから、近年大きな年金制度改革を行ったスウェーデンを加えた国々と対比、検討しておるところでございます。

 そしてまた、この中で、年金積立金に関しましては、先ほどもお答えいたしましたが、年金給付費の数年分という、積立金の規模が大きいアメリカ、カナダ、スウェーデンというのを対比、検討しておるところでございますし、一方、北欧、ノルウェーが三十兆円もの積立金があるということで、その四カ国というのを対比させていただいているところでございます。

松浪委員 この間から随分と、自民党の厚生労働部会でこの問題、何度かやりとりをさせていただいて、そちらで私のところにも説明に来ていただきました。

 そちらで出していらっしゃる今の数字なんですけれども、これは、よくドル建てで統一している場合と、それから、年金ですから自国の通貨で、当然我々、ドルで年金をもらうわけじゃありませんので、自国の通貨で比較をしている場合がありますけれども、先ほどの数字はどちらで比較をされているわけですか。

榮畑政府参考人 日本円に換算しているところでございます。

松浪委員 日本円に換算をすると、やはりそこには為替のリスクというものが入ってきますので、必ずしもそれだけで状況が詳細に示されるわけではないということは、私は指摘をさせていただきたい。できれば、各国、皆さん日本円でもらっているわけではないので、こうしたものはやはり自国通貨建てでまず比較をすべきではないかというふうに思います。

 そして、今回、資料を配付させていただきました。これはロイターの記事でありますけれども、タワーズワトソンというかなり大きな、年金を専門とする調査会社によりますと、日本の数字が最も低い〇・八%。これは割と世界の年金市場をきれいに分けておりまして、P13、十三選んでいるものは、世界の年金資産の八五%をこの十三カ国で占めている。その十三カ国のうちでも、トップから、アメリカ、日本、英国が五七パー、一四パー、八パーと大きな割合を占めている。全体にすると約七割が、いわば日本を含む三カ国で運用されているということであります。

 こうした統一的な比較というのは、今までの経緯でこういうものはちゃんと参考にされているのか、伺いたいと思います。

長妻国務大臣 今配付をしていただいた資料でございますけれども、これは事前にいただいておりましたので、事前に調べさせていただくと、ここの資料というのは、利回りの比較ではないようでございまして、利回りというよりも年金の積立金の絶対金額がどういうふうに推移をしていくか、こういうような比較だというふうに考えております。

 そうしますと、日本国は年金積立金を今取り崩しているところでありますので、運用とは別に、お支払いするために年金の積立金額が減るということと、当然運用によってふえるということのプラスマイナスというような数字ではないかということと、あと、ここで触れられておりますのは、日本は約三十兆円だというふうに触れられておりますけれども、これがどの金額なのかというのは、よく調べてみましたけれども、なかなかわからない点がある。

 日本は三十兆円というときに、今申し上げたように、厚生年金、国民年金が百二十四兆円、そして国家公務員共済組合が八兆円、地方公務員共済組合が三十六兆円に加えて、民間の厚生年金基金も入れると十六兆円、あるいは企業年金連合会を入れると九兆円、あるいは確定給付企業年金を入れると三十三兆円で、それを全部足しても二百二十六兆円でありまして、ここで言う三百兆円というのが、ほかの金額も入っているのではないかとも思いますけれども、そこについてなかなか確認できないということでございます。

藤村委員長 三十兆円と三百兆円が二つありました。

長妻国務大臣 恐縮です。三百兆円でございます。

松浪委員 話がちょっとずれているような気がするんですけれども、三百兆円はどこの数字を出したわけですか。

長妻国務大臣 それは、いただいた資料で、十三カ国の資産は約二千七十兆円とされ、そのうち日本は一四%を占めるとされているということで、一四%とすると約三百兆円というふうに考えております。

松浪委員 多分、そこは計算が何か違うところがあると思いますので、次の質問のときにはその辺を詰めてやらせていただきたいと思います。

 今回、厚生労働省とやりとりをさせていただく中で、今回のタワーズワトソンの件も、本当に役所の方も承知をしていらっしゃらないという実態がよくわかりました。

 ですから、効率的な運用というものを心がけるのであれば、こうした資料も、先ほど、自国通貨建てなのか、それともドル建てなのかとか、そういったものも示しましたけれども、それ以前に、我々のところに持ってこられる資料というのは、本当に、例えば、こういう五つぐらいのものを勝手に抽出されて、その基準が何だかわからないということでは、これはどこに効率があるんだ。効率的なのか非効率的なのか、そういうまず比較の対象もないわけであります。

 このタワーズワトソンの場合は、随分と、リーマンも含めて、その後の立ち上がりも含めた数値になっているわけでありますけれども、厚生労働省からいただくものは二〇〇八年とか、もう今二〇一〇年ですから、ちょっと古さがあるというわけでありますので、五年、十年のスパンの中で、リーマンを経てすらこれぐらいの形だったということはやはり詳細に把握をいただいて、これを実現するというように、大臣の方からも御指示をいただきたいと思います。

 中期目標の中では効率的ということでありますけれども、ちょっと、この組織について伺おうと思います。

 この独法、GPIFについては、当然ながら、独法を監視するのは評価委員会というのがあるわけでありますけれども、検討会というものが存在をいたします。この検討会というのは、厚生労働大臣のもとに、伺い定めでこれが出てくるわけであります。この検討会ともう一つ、運用委員会。これは、独法の運用委員会というのが一番の御意見番としてあるわけでありますけれども、委員長の方が一緒であったりとか、意見を伺うために、当然ですけれども経団連とか連合の方がいらっしゃるわけでありますけれども、委員長までメンバーがダブっている。こういうことで本当にチェック機能というのは果たせるんでしょうか。大臣、伺います。

長妻国務大臣 今おっしゃられましたのは、これは、政権交代を機に百二十兆円の運用について、その目標、ガバナンスあるいは説明責任、こういう三つの観点で、見直す必要があるところは見直しましょうということでつくりましたのが年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方検討会でございますけれども、今御指摘いただきましたように、この検討メンバーの十一人のうち、お二人がGPIFの運用委員会の委員でもあるということであります。

 この方を委員にいたしましたのは、まずこれは、現在の運用の状況も踏まえた議論を行うには、やはりそういう当事者の方に十分にそれを御説明いただきたいということと、これはある意味では労使の御意見も聞かなければならないということで、厚生年金の保険料は、御存じのように、労使折半でいただいているものでございますので、日本経団連に推薦をお願いしたところ、このGPIFのお二人のうち一人について、経団連の方からこの方をお願いしたいというようなこともありまして、運用委員会のお二人がメンバーに入っているということであります。

松浪委員 この検討会についてちょっと、さらに伺いたいわけであります。

 この検討会、機能としては、運用の基本方針を決める。運用方法や運用対象のあり方など、それを含むと。アクティブ運用、パッシブ運用、リバランスのあり方、運用対象資産及びベンチマークのあり方、社会的責任投資。運用体制とか運用方法、手法までこれは入るわけですね。

 一方、検討メンバーの中に入るのが、厚生労働省の政務三役と、それから、独法の評価を担当する立場の総務省の政務三役となっているわけですけれども、こういう運用という非常に専門的なものというのは、どっちかというと金融庁とか財務省とか、そっちと連携された方がいいんじゃないですか。これ、総務省でいいんですかね。

長妻国務大臣 これについては、総務省というのは、全独立行政法人の評価を担当する役所でもございますので、そういう立場として参加をいただいております。

 特に、今回の検討会は、単に利回りの目標がどうだとか、そういうところだけではございませんで、ガバナンスというか、本当に諸外国に比べて日本国の年金の運用というのがきちっと、運用委員会や理事長との関係、あるいは株価が下がるときには、国民の皆様に損が出たという理由をきちっと御説明をする。ただ、益が出たときも、それはどうして益が出たのかを説明する。そして、手数料はどれだけ払っていて、どういう形で運用しているのか、そういう説明が、これまでも一定のものはなされてまいりましたけれども、本当に国民的コンセンサスを得るような説明がなされてきたのか、こういうガバナンスというか組織のあり方論ということもかなり大きい比重を占めるということで、総務省が参加をしているところであります。

松浪委員 これは、やはり額が非常に大きいわけであります。本当に日本のメガバンクを合わせたような大きさがあるわけですから、この運用ということについては、今後、各国との比較も、はっきり言って、厚生労働省の方ではまともにやっていないというのが我々の率直な感想でありますので、これについては、この見直しの機会にしっかりとやっていただきたいと思います。

 それでは、これについては、また一般質問でも後日、取り上げさせていただこうと思いますが、きょうはこの辺にいたしまして、次の問題に移ります。

 十一月に私、ここに立たせていただいたときに、薬の関係の質問もさせていただきました。実は、未承認薬の開発支援事業というのを、我々与党のときに補正予算で七百五十三億円、これを組ませていただきましたけれども、実際は六百五十三億円が執行停止になりました。まさにこれは未承認薬の開発支援事業ということであります。

 未承認薬の開発支援事業といいますのは、当然、希少なお薬の、製薬会社としてはこれを売ってもお金にならないんだ、もうけにならないんだというようなところを、やはりそれを支援していこうという考え方で行ってきたわけであります。それが結局、七百五十三億円が百億円になってしまったということについて、今後何らかの措置をされる気があるのかどうか、伺います。

長妻国務大臣 これにつきましては、基金の執行停止ということでありますけれども、当初、七百五十三億円ございましたが、ただ、この時点で、適応外薬について、三十六品目は枠はあるものの、どの薬にするかというのがまだ決まっていないということでありまして、決まっていたものについては、未承認薬の十四品目というのを優先して支援するということで、この百億円についてはそのまま十四品目分で継続をするということであります。

 では、削られたお金はそのままなのかということでございますけれども、我々としては、診療報酬でそのお金が医薬品メーカーに流れるような仕組みをつくっていこうということで、来月から始めさせていただくということとしております。

 それについては、新薬創出・適応外薬解消等促進加算というのを診療報酬の中に入れさせていただいて、そこで、医療費ベースで年間七百億円程度、二年間で一千四百億円程度について、本来であれば薬価を下げる部分を、一定の要件があれば、つまり、未承認薬や適応外薬の開発に取り組む、国の要請を受けたものについてですね。あるいは、当該企業が有する後発品のない新薬のうち一定要件を満たすものに対して、市場実勢価格に基づいて算定される額に現行薬価を上限として五・一%上乗せするもの。

 つまり、本来であれば、ルール上、下がる薬価について、下げないでそれを維持するということで、二年で一千四百億円程度、国から要請を受けた未承認薬や適応外薬の開発に取り組む企業に対してだけですけれども、そういう措置をして、そのお金はそういう趣旨できちっと使ってください、こういうような合意のもと、始めさせていただいているということであります。

松浪委員 その点、やはり私はそこにちょっと問題点を指摘させていただきたいなと思います。

 今大臣がお触れになった、今回、薬価改定で新薬創出・適応外薬解消等促進加算というものの創設は、この仕組み自体は私はすばらしいというふうに思います。

 ただ、我が国の製薬産業、薬をつくるというのは大変なリスクを伴いますね。本当に、新薬創出というのは、一部の、一兆円に近い売り上げのある企業じゃないともう最近はなかなか進まないと言われるぐらい、厳しい状況にあるわけであります。そこをカバーするという目的で、もともと、このアイデアというのは生まれてきているわけであります。

 それをこれから国家として成長産業にするんだ、国家戦略として、こうしたこれからのライフサイエンスをこの国にもっと根づかせていくんだという考えであるのであれば、この適応外薬を、新薬創出と適応外薬、これは哲学的には全く相反するものでありまして、やはりそこは別に考えないと、成長戦略としてはやはり、せっかくのこの仕組みが機能しにくいということを指摘させていただきたいと思います。

 それについて、どなたでも結構です、今後御検討いただきたいと思いますけれども、いかがですか。

足立大臣政務官 今まではどのような支援があったかということは、もう議員御存じのとおりだと思いますが、希少疾病用医薬品という仕組みで優先審査をする、そのことと、公知申請、これは広く一般的に認められているものはそれを認めるということがあったわけですけれども、先ほどの議論の中で、新薬はそうだろうけれども適応外は違うんじゃないかとありましたが、これはやはり希少疾患ということに対して、企業にとってはその承認を新たに得ることは非常に高いハードルがあって、もう採算が合わないという、先ほどありました。

 このことは、とらえ方としては、その後、要望を集めたところ、適応外薬は二百八十五品目、さらに要望があった、それから未承認薬は三十数品目あったということの中で、国民の皆さんから見れば、創薬、新しい薬ということと、適応外を広めてほしい、もっと適応してほしいということは、同じ望みであるし、企業にとってはそこにモチベーションが働くような仕組みをつくるということは、私は、同じ考え方でできるのではないかと思っております。

松浪委員 そう言うと聞こえはいいんですけれども、企業の側に立つわけではありませんが、やはりそういう非常にインセンティブの働きにくいものについては一緒くたにしないで、それに対する政治の意思というのは示した方が成長戦略を政府は明確に打ち立てられるのではないかということを私は指摘させていただきたいと思います。

 次は、インフルエンザのワクチンについて少し触れさせていただきたいと思います。

 もう時間がないのですが、今回、先ほど加藤先生の質問の中で、国産ワクチンとしては、ドーズが五千四百万回分で、出荷量が三千九百万、未出荷が千五百万、輸入ワクチンについては、三千六百万回分を輸入しているけれども、出荷したのが実に二千四百回分であるというような厳しい状況が出ているわけです。

 私は、何もこれが、使えない分をどうするんだとか、これは国家の危機管理として行ったわけですから、そういうつもりはないわけでありますけれども、今回、六千三百万については、大臣も先ほどの議論の中で、向こうの会社に引き取ってもらえるようにとか、そういう議論があるというふうに伺いましたけれども、今回は、特措法までつくってやっと我々、これを輸入しているわけでありますけれども、これからのことも考えた中で、ワクチンについては、アジュバントが一緒になっていないタイプもあるというふうに聞いているんですけれども、こうしたものは別々に買い取るようなオプションというのはあるものなんですか。

足立大臣政務官 交渉の内容には触れられませんけれども、十分考えられると思います。

松浪委員 お願いしたいのは、今回、我々野党もですけれども、ヒステリックな議論をしないということが大事だと思います。来年またパンデミックが起きるかもわからない、再来年起きるかもわからないという中で、私は、十一月の議論の中で、国内の整備体制を、本当に今までにない形で、ODAででも出して、国内生産の体制を、基盤をつくるべきだというようなことも申し上げましたけれども、特に足立政務官には、そのときうなずいて、大変御支援をいただいたと思います。私も政務官時代に、やはりこれは省の垣根を越えていくというのが我々政治家の役割だと思いますので、その点について、また今後とも質問で触れさせていただこうと思います。

 その基盤整備の方、一千億、前回もお願いをいたしましたインフルエンザの対策基金、千二百七十八億円から一千億円をワクチン購入に充てたけれども、これをまた一千億円基金に繰り入れていただいたということは高く評価をさせていただいて、質問を終わろうと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 私は、時間が三十分と短いものですから、要領よくぱっぱっぱといかないとすべて終わりませんので、要領よくいきたいというふうに思っておりますが、もしきょう全部お聞きすることができなかったら、もう一遍機会があるそうでございますから、そのときに回させていただきたいというふうに思っております。

 雇用保険のことを議論します前に、やはり雇用をどう守っていくかということが一番大事なことでありまして、これが厚生労働省にとりましても大きな課題だというふうに思っております。

 世界的な潮流を見ましても、例えばアメリカを見ましても、アメリカは、一九九一年そして二〇〇一年と二回、雇用回復なき景気回復、ジョブレスリカバリーの経験をいたしまして、今回もまたそういう状況になりつつあるのではないかというふうに心配をいたしております。

 これは、アメリカがそういうふうになるということは、日本もその可能性なきにしもあらずというふうに思うわけですが、日本の方でそういう傾向があるとお考えになっているのか、それとも、そういうことは余り心配ないとお考えになっているのか、その辺のところ、まずお考えをひとつお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

細川副大臣 坂口委員には、雇用について御心配をいただいております。

 私どもも、やはり雇用というのは大変大事な問題でありまして、これにはしっかり取り組んでいきたいというように思っております。

 今、景気が大変厳しい状況でありまして、雇用失業状況がこれまた非常に厳しいところでございます。

 ただ、今のところ、失業率あるいは有効求人倍率がやや持ち直しているような、そういう状況でもございますし、一方で、失業者数とかあるいはハローワークへの求職者数というのも、これも数は徐々に減ってきております。そしてまた、雇用者数、これについては数が大変、だんだん減っておりまして心配しておりましたけれども、昨年の十二月には十万人ふえ、そしてまた、ことしの一月には三十七万人ふえてきている、こういうことでございます。

 そういう意味ではややよくなっておりますが、しかし、こういう厳しい情勢ですから、これからも、まず雇用の維持、それから雇用の創出についてはしっかりやっていかなければいけないというふうに思っております。

坂口(力)委員 皆さんのお手元にペーパーをちょっと配らせていただきましたが、これはアメリカのケースでありまして、「景気後退局面から回復局面でのジョブレス・リカバリー発生ケース」というのがございます。これは「欧米労働市場の現状と今後の見通し」のところから拝見したものでありまして、一部カットさせていただいて、そしてつくり上げたものでございます。

 これをごらんいただきますとおり、九一年と〇一年はジョブレスリカバリーになった。この特徴は何か、共通している特徴は何かといいますと、確かに製造業部門の雇用者数が減っている、その製造業が減ったときにサービス部門もともに減っている、ともに減ったときにジョブレスリカバリーが起こっているというのが一つの考え方でございます。

 今回のアメリカの状況は、二つともうんと下を向いておりまして、二つとも大変減っている、こういう状況にあるのでアメリカは心配している、こういうことだというふうに思います。

 もう一枚の方をごらんいただいて、これは日本でございます。これは労働力調査の平成二十一年十二月分の速報からつくったものでございますが、全部挙げてあるわけではありません。その中の主なものをここに拾い上げさせていただきました。

 これで見ますと、製造業は一年間の増減がマイナスの七十五万で、これは多いのは当然でありますけれども、卸売・小売業がマイナスの二十三万、サービス業がマイナスの十四万、そして建設業がマイナス二万、医療・福祉の方がプラスの二十万となっておりまして、宿泊業や飲食業もプラス六万というふうになっておりますが、合計いたしますと、サービス業の方もマイナスになっている。

 だから、日本も、アメリカほどではありませんけれども、ジョブレスリカバリーになる可能性としては、ないとは言えない状況に私はあると思っております。製造業で職を失った人が第三次産業の方に行けるかといえば、第三次産業の方も非常に手詰まりになっている。そうすると、景気がある程度回復してきましても、なかなかここが回復をしないということが起こり得るということだというふうに思っております。

 それで、そういうふうにならないために、どういう手だてをしていくかということが今後大事になってくるんだろうというふうに思いますが、そこを聞けますかね。いや、きょう聞けなかったら、これはこの次のときにお聞きしますので、宿題にさせていただいておきますが。

 では、大臣の方からちょっとお答えください。

長妻国務大臣 今、ジョブレスリカバリーというお話がございました。

 確かに、リストラ、リストラを企業がすると、その時点では企業の業績というか収支は黒になるということがあるかもしれませんが、その後、景気が一定程度回復しても、雇用もふえないし、ある意味では企業のその後の付加価値がふえてこないということもあり得る可能性もあるわけでございます。

 そういう意味では、先ほど細川副大臣も申し上げましたけれども、今は、本来は失業される方であっても、雇用調整助成金などで企業の中にとどまっていただいておられる方が数百万人、日本にいらっしゃるということで、景気回復した折にはそういう方々が付加価値をつけて活躍をしていただくという、一つのためがあるということ。

 もう一つは、ここの表でもお示しをいただきましたけれども、やはり、今、経済がこういう状況になっていても、人手不足の分野というのは、ここにもありますように、医療、福祉、介護の分野でございますので、そこに人が移行するような、そういう措置を準備していくと同時に、移行させていくということもこれは大変重要ではないかというふうに思います。サービス業という一くくりの中で、医療、介護、そして福祉の分野に、雇用の受け皿としての考え方のもと、人がそこに来るような処遇の改善というのも大きな課題でございますけれども、そういう考え方を推し進めていくということ。

 もう一点は、職業訓練というのが非常に重要になってまいります。私も、先日、専門学校の幹部の方から話を聞きましたけれども、やはり一番いい職業訓練というのは、もう企業は、人を雇うのはやめよう、景気が悪いから雇いませんと、しかし、すばらしい人材を目の前にして、やはりこの人材であれば、人件費はかかるけれども、雇ったときに即戦力として企業に付加価値をもたらして、企業の右肩下がりの売り上げを右上がりにしてくれるのではないか、そう思わせる人材と実際にそういうことを実現する人材ということで、今、こういう時期だからこそ、高度な職業訓練というのが非常に重要になってくるというふうに考えております。

坂口(力)委員 ありがとうございました。

 もうちょっと聞きたいところがありますけれども、時間の都合がございますので、この次にもう一度お聞きをさせていただくということで、今の大臣の答弁を一つもとにして、もう一度またお聞きをさせていただきたいというふうに思っています。

 なぜかといいますと、あいているから介護の方にどんどん行ってほしいと言うんですけれども、医療にしろ介護にしろ、統制経済みたいなものですから、そんなに多くそこに入り切れない。また、おむつ交換だけは勘弁してくれという人もたくさんいるわけで、そうした人たちをどうするかというような問題もあるわけですので、この次にもう少し議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、雇用調整助成金が、二十一年度におきましては六千六百億円、そして二十二年度は七千億円と、大きな額が積んでもらってあります。二十二年度も、今年の六千六百億円以上に七千億円という予算を組むということは、来年というか二十二年度も経済の回復は難しいという予測のもとにこれはつくられているのかなという気もするわけであります。

 それで、二十二年度に対する考え方を、余り長時間やってもらいますと私の時間がなくなりますから、手短に、簡潔に、要領を得てお答えをいただきたいというふうに思いますが、きょうは経済産業省の方から我が親愛なる高橋政務官にお越しいただいておりますから、両方からひとつお聞きをしたいというふうに思っています。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

細川副大臣 雇用調整助成金につきましては、特に、景気が悪くなって、リーマン・ショック以来、この制度については非常に企業の方からもニーズがあるところでございます。

 ところが、昨年の後半といいますか、ちょうどリーマン・ショックから一年ぐらいたったときに、リーマン・ショックでどおんと景気が落ちた、それがずうっといっていますけれども、要件として、売り上げがちょうど一年前の五%下がった場合に適用、こうなっておりましたところ、これがあるからなかなか企業が、適用できない数がふえてくる。

 こういうことで、去年の十二月に適用緩和をいたしました。二年前から一〇%落ちた場合にも赤字の企業では適用する、こういう要件緩和をいたしましたので、それで、来年度もその適用を受けて多くの企業が雇調金を使う、こういうことになりますので、ことしも七千三百億という形で、昨年度よりもさらに予算をふやした、こういうことでございます。

高橋大臣政務官 坂口元大臣の方から御質問いただきまして、本当にありがとうございます。

 おととい、経済産業省の方で、地方に散らばっている地方経済産業局長に集まっていただきまして、それぞれのところから業況の報告がございました。

 私どもの地元の東海地区は、少し求人倍率も上がっているんですけれども、相変わらず厳しい状況は変わっておりません。特に、沖縄だとか大変厳しい地区もありますし、業種によって随分違うという格差も出てきておりまして、これは大変厳しい状態は相変わらず続いておりまして、私どもとしては気を抜けない状況にまだあると思っております。

 雇調金については先ほど細川副大臣の方からお話があったとおりでございますけれども、経済産業省としてもあらゆる手を使って中小企業の景気回復のために頑張っていく。これが、まず雇用対策の一番のことでございますので、私どもとしても一生懸命やっていきたいというふうに思っております。

坂口(力)委員 ありがとうございました。

 高橋政務官、お忙しいでしょうから、これで結構でございます。ありがとうございました。

 それで、この次は、雇用保険の適用範囲の話を少しお聞きしたいと思います。

 先ほど加藤先生からも少し最後にございましたが、今回、雇用保険の掛金をするのは、六カ月以上の雇用見込みから三十一日以上の雇用見込みというふうに緩和されることになったわけであります。

 これは、緩和されるのはいいんですけれども、今度は雇用保険の給付を受けるのはどうかということになりますと、自己退職のときには一年以上、そして解雇のときには六カ月以上ということになっておりまして、雇用保険に早く入ることはできるけれども、それを今度は給付される、もらう段になると今までと変わらない、こういうことになっておるわけですね。

 早く入るんだから早くもらえるようになるというんだったら、それはセーフティーネットとして意味があると思うんですけれども、入るのは早く入れるようになりました、しかし、五カ月で解雇されましたというんだったらそれをもらえるかといったら、もらえぬわけですね。一カ月目の終わりにもう入りました、入りましたけれども、もらおうと思ったらもらえません、こういうことになるわけです。

 これは、この前の改正のときには六カ月で合わせたわけですね。六カ月以上の雇用見込みのときには、これは保険に入れますよ、入って徴収しますよ、そのかわりに、今度は解雇されたときには六カ月でもらえるようにしますよとバランスをとったわけですね。だけれども、今度は、入れるのは早いけれども、しかしもらうのは遅い、遅いというか今までどおり。これでセーフティーネットとしての役割を果たしますかね。

 いや、私は、これは多分、大臣や副大臣も余り御存じなかったと言うと失礼ですけれども、法案をつくるときに、事務方の方はそこまで詳しい説明をしてくれないんですね。

 ここがこういうふうに変わりますというところはちゃんと説明してくれる。それで、六カ月が一カ月になったらいいね、それはそう思いますよね。だけれども、もらうのは変わりませんよというところまでちゃんと言うてくれてあれば、皆さんも、それはちょっとバランスを欠いておるんじゃないというふうに思われるけれども、そこを言うてもらわぬと、こういう議論の場に出てきて、そしていろいろの質問があって、ああそうか、そんなことになっていたのか、それはちょっとぐあい悪いねということに、私の経験からいいますと、なることが多かった。だけれども、そのときは時既に遅しで、閣議決定はされている、この法律を通さなきゃならないという立場に、そこに座っておみえになる以上、皆さん、しなきゃならぬわけですね。

 それで、どうするんですか、しかしこれはちょっとぐあい悪いですねということを言いたい。どうですか。もう時間がなくなってきておるので、余り長く私も言っておってはいけませんから、これは大臣でも副大臣でもどなたでも結構です。人は問いませんから、どうぞお答えください。

長妻国務大臣 今の御指摘でございますが、おっしゃられるように、倒産、解雇による離職者あるいは雇いどめ等による離職者は、離職の日以前一年間で六カ月以上被保険者期間が必要、この要件は今回も変えていないわけであります。

 その中で、きょう閣議決定させていただいた派遣法の改正案でございますけれども、その中には、日雇い派遣も禁止、あるいは製造業派遣についても常用以外はだめだということで、その雇用を長く維持していこうという取り組みをしているということと、仮にこの六カ月を短く短くしていくと、これは安易な離職あるいは給付が繰り返されるというようなことはどう考えればいいのか、あるいは保険財政の給付と負担のバランスなども議論があるというようなことであります。

 その中で、仮にそういう方が離職をされると、雇用保険がないということになってしまうわけであります。それについても、セーフティーネットということで、我々も提唱しました求職者支援ということで、雇用保険に入っておられない方も無料で職業訓練を受けて、要件によって生活費を一カ月十万円、あるいは御家族がいらっしゃる場合は月額十二万円をお支払いするということで、そういう形での整備もさせていただいているところであります。

 保険の範疇の中には六カ月という要件を入れさせていただいておりますが、それ以外のいろいろな、セーフティーネットを含め、手だても考えているところであります。

坂口(力)委員 いやいや、この雇用保険以外の問題は、それはおっしゃるとおり、いろいろの雇用に対する研究もしてもらわなきゃならないし、あるいは、雇用に対する訓練も受けてもらわなきゃならないし、それに対する手当も出しますと。

 それは今までもやっていたことだし、それはそれでいいと思うんですけれども、雇用保険だけを見ましたときに、雇用保険というのは一つの、職を失ったときの最大のセーフティーネットですね。だから、六カ月雇用見込みがないとこの保険の中に入りませんよというのではぐあいが悪いから、一カ月まで、三十一日まで短縮して、今までよりも早く入れるようにしますよというふうに言ってもらうのは、それはそれで非常に正しいと僕も思っているんですよ。いいと思うんですが、しかし、入るのは入ったけれども、もらうのは今までどおりしかもらえませんよというのでは、少しこれはぐあいが悪いことありませんか、セーフティーネットにならぬではないですかということを私は言っているわけですね。

 もうちょっと短くなる、たとえ三カ月にでもなるというんだったら、少し早くもらえるようになりましたねということになりますけれども、もらうのは六カ月、それは解雇されたときですね、解雇でない、自己責任でやめますときだったら一年もらえぬわけですから、それはそのままですねということになっている。それでは少しぐあい悪いことありませんか。

 これはもう法案が出ているわけですから、法案は一遍出たらこれを修正はできないというふうにおっしゃるかもしれないけれども、少しここは考えていただいても私はいいのではないかというふうに思っています。

 もう一つ聞きますので、では、これはもうここまでですね。答弁を先ほど大臣からいただきましたし、ここまでにきょうはしておきましょう。この次、もう一遍聞きますから、きょうはここまでにしておきます。

 もう一つ聞かなきゃならないのは、失業等の積立金、すなわち労使折半の雇用保険から、事業主負担が一〇〇%の雇用保険二事業のこれに借り入れをすることになるわけですね。

 平成二十一年度の支出を見ますと、一兆一千九百九十二億円になっています。この中には六千六百億円の雇用調整助成金が含まれているというふうに思いますから、残りは約五千四百億円ぐらいあるわけですね。ここが何に使われているか。ここをもう少しちゃんとした使い方にすれば、六千六百億円あるいは七千億円、借りなくても、もう少し減らした額でも済むのではないかという考え方もあるわけであります。

 ここはひとつ、残りの五千四百億円が何に使われていて、そこはカットできない問題かどうかということは少し資料として御提出をいただきたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。

長妻国務大臣 今の雇用二事業でございますけれども、これは、かつての三事業のときから、よく言われるスパウザ小田原から私のしごと館から、いかがなものかと思われる支出が続き、そして、これは本当に恥ずかしいことだと私は思っておりますが、先日も総務省からこの二事業についての勧告をいただきまして、今厳しく精査をしているところであります。

 政権交代をしてから、この二事業を見直そうというのは、これは大きな課題であるというふうに私も考えまして、例えば高齢期雇用就業支援コーナーというのもあったわけですけれども、これはもう全部廃止をいたしました。言葉は何か必要性が高いようでありますが、これは普通のハローワークでもできるということで、このコーナーには余り、これは閑古鳥が鳴いているような状況でありましたし、あるいは独立行政法人への交付金についても、二十一年度の予算に比べると三百二十一億円をカットいたしまして、大幅な経費の削減ということにも取り組んでいるところであります。

 今お尋ねでございましたので、雇調金以外のものが具体的にどういうふうに使われているのかということは、資料としてお届けを申し上げます。

坂口(力)委員 時間が迫ってまいりましたから、きょうはもうこれだけにしておきますが、きょうはさわりでありまして、あとはこの次にお聞きをしたいというふうに思っております。

 特に最初の、お聞きしましたジョブレスリカバリーに日本が陥ることはないかどうかというのは大変大事な問題でありまして、その可能性があるとするならば、それに対する対策をしっかり打っておかないといけないわけでありますから、このことに対するしっかりとした御答弁をいただきたいというふうに思います。

 事業仕分けのこともきょうはお聞きしたいと思ったんですけれども、その時間がありませんので、この次に回していただきます。

 とりわけ、事業仕分けでも、中小企業関係の予算がばっさりと切られているということが言われております。これは私が言うのはどうかと思うんですが、赤旗さんに載っておった記事でありまして、これは高橋先生に言ってもらわないと、私が言うのはいささか失礼だと思うんですけれども、その記事によりますと、防衛予算の方は〇・五から〇・七%ぐらいしか切られていないのに、中小企業の方は一七・五%切られているというようなことが載っております。

 私も、事実かどうか調べたことはございませんけれども、もしそうしたことが事実であるということであるならば、中小企業をどうするかということ、これは最大の問題でございますし、そこをちゃんとやらないことには、これはもしジョブレスリカバリーに陥ってくるというようなことになりますと大変なことになってくる。しっかりとした御答弁をお願いいたしまして、きょうは終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 全国十地裁で三百八十三名の原告が争っているB型肝炎訴訟において、三月十二日、札幌地裁で和解勧告が出されました。和解協議に当たり、救済範囲をめぐる本件訴訟の各争点については、その救済範囲を広くとらえる方向で臨むとの指針が示されたことは、命の残り時間と競争するように闘ってきた原告や支援者を大きく励ましました。

 大臣に伺います。一日も早く和解協議につくべきですが、御決意をお願いいたします。

長妻国務大臣 先日も、総理、官房長官、私、仙谷大臣、菅副総理等が集まって、この対応に向けては政府内で万全の態勢で取り組んでいこうというような話し合いをいたしました。

 次回の期日が五月十四日と聞いておりますので、次回期日に向けて、政府部内で総合的に検討、調整を進めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 きょうは時間がないのでこれ以上は聞きませんけれども、勧告は、具体的な金額の提示ではなく、まず協議のテーブルに着けということであります。ですから、まず、ためらいなくそのことを表明されればいいと思うんです。

 そもそも、集団予防接種によるB型肝炎感染については、〇六年の最高裁で国の責任を認めています。本来ならそのときに救済されるはずだった方たち、あるいは、その時点でもっと国が肝炎検査や医療費助成などに踏み切っていれば重症化は防げた方たちも多数いらっしゃるわけです。だからこそ、五月十四日までなど、あと二カ月も時間稼ぎをするべきではありません。このことを強く要望して、一日も早い決断をされることをお願いしたいと思います。

 さて、雇用保険法の議論に入ります。

 ちょうど一年前、雇用保険法改正が全会派一致で成立をし、当時の野党三党が提出していた求職者支援法案、あるいは私も修正案の提出をいたしましたが、これらも考慮した附帯決議が採決をされました。その中で、今回、雇用保険の適用要件を六カ月以上から三十一日以上に緩和することなどは評価できると思われます。同時に、失業者の四人に一人しか給付が受けられていない、世界的に見ても低い到達、これを根本的に変えることは引き続く課題ではないでしょうか。

 雇用保険二事業は、今年度の収入五千百九十九億円に対し、雇用調整助成金だけで六千六百二十九億円、既に上回っているわけです。今回、失業等給付の方から四千四百億円借り入れても、収支を黒字化するところまで行きません。

 そうした中で、労政審雇用保険部会からも事業費全体の絞り込みを要求され、総務省の行政評価、あるいは事業仕分けでもターゲットになってまいりました。しかし、失業の予防、雇用の安定、能力の開発という二事業の三本柱は、今日の雇用失業情勢を改善するためにも本当に重要だと思いますが、率直に言って、大臣は今後どのような見通しを持っているのか、伺います。

長妻国務大臣 雇用調整助成金は、言うまでもなく、これが仮になければ失業率が上がっているということもあろうかと思います。景気がよくなるまで、失業という状況にならないで、企業の中で休業補償等に補助していくということでありまして、要件緩和もさせていただきましたので、金額がこれからかなりふえてくるのではないかというふうに思いますが、それについて怠りなく準備をしていくということであります。

高橋(千)委員 今聞いたのは、雇調金をどうするのかという質問ではないんです。二事業のあり方をどうするのかということを聞いたんです。時間がもったいないので、端的にお答えください。

長妻国務大臣 二事業につきましては、先ほどもお答えを前のところでしましたけれども、雇調金以外の事業もやっているところであります。

 これについて、総務省からも先日も勧告を受けたということで、ここの部分は、過去の経緯からいって、いろいろな無駄も指摘されている部分でもありますので、これは厳格に費用対効果を見て事業を峻別するということも必要だというふうに考え、省内でも今、省内事業仕分けというのをしておりますので、そこでも厳しく、見直すものは見直すという姿勢で取り組んでまいります。

高橋(千)委員 本当は役割に触れてほしいということを通告しておりましたけれども、残念ながら無駄の指摘だけでございました。

 私は、二事業の中に、この間指摘をされてきた天下りやあるいは無駄遣い、これが多数含まれていること、ここに徹底してメスを入れることは当然のことだと思います。しかし、国民から喜ばれている財産や施策まで無駄遣いと切り捨てることは、本末転倒ではないでしょうか。

 一言でお答えいただきたいと思います。独立行政法人雇用・能力開発機構が設置している地域職業訓練センター及び情報処理技能者養成施設、コンピューターカレッジ、これらの廃止を決めたのは長妻大臣自身ですね。

長妻国務大臣 今申し上げた雇用二事業の観点から、国と地方の職業訓練のあり方はどう役割分担するのか、あるいは民間との役割分担というような中で、これは廃止ということではありますけれども、建物自身が直ちになくなる、事業がなくなるということではありませんで、地方自治体への移管をお願いして、一定の要件で、地方自治体で必要性がある部分は運営をいただきたい、こういうことであります。

高橋(千)委員 今私が指摘をしたのは、大臣自身が廃止を決めたということなんですよ。

 資料にあるように、コンピューターカレッジは全国十一カ所、地域職業訓練センターが八十二カ所、突然の廃止通知に全国から怒りと存続を求める陳情が寄せられている、このことはよく御存じだと思います。また、本委員会の各委員のところにも届いているはずです。

 私は最初この話を聞いたときに、自治体の皆さんは、事業仕分けによって廃止になったと言われました。しかし、事実は、事業仕分けがあったのは十一月十一日、大臣が会見で廃止を表明したのはその前日でございます。もともと、自治体から賃貸料を取り、リース支援などに限られているこの両事業の予算は、わずか十六億円であります。つまり、何もこちらから差し出す必要はなかったわけです、仕分けの対象にまだなっていなかったわけですから。そのことを言いたいわけです。

 まず、事実関係をちょっと局長にお願いしておきたいんですけれども、独立行政法人整理合理化計画、あるいは平成二十年十二月二十四日付閣議決定「雇用・能力開発機構の廃止について」など、この間、方針が出される中でも、この二つの施設については、一律廃止ではなく、事業改善を求め、利用実績が改善しなければ廃止も含め見直すという意味であったと思いますが、いかがですか。

小野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、独立行政法人整理合理化計画、それから平成二十年の「雇用・能力開発機構の廃止について」閣議決定、この段階で業務改善目標をつくりまして、業務改善目標をクリアしている施設につきましては機構の業務として引き続き存続をする、下回っているものについては機構の業務として廃止をし、自治体等への譲渡を進めるということでございました。

 昨年の秋には、先ほど大臣から御説明ありましたように、民間、自治体にゆだねられるものはできるだけゆだねていく、また、国、独法につきましてはさらにスリム化の徹底を図っていく、こういう方針のもとに、機構の業務としては廃止をし、地方自治体への譲渡を進める、こういうことになったということでございます。

高橋(千)委員 今、確認ができました。

 この間の方針によって、目標があるわけですけれども、それを達成できれば、機構が廃止になっても次の機構に移管をして継続するという方針であったと思います。

 平成二十年の二月十三日付内簡によって、コンピューターカレッジは充足率七〇%以上として事業改善を求められ、その達成のために各施設は頑張ってまいりました。ところが、翌二十一年三月五日では、この目標を一年前倒ししなさい、二十一年度で達成をしなさいと言われたわけです。それだけでも大変むちゃな話でありますが、青森、北上は目標を達成しました。また、未達成であっても、いわき、久留米、諫早など、二十二年度の充足率で再度判断することとしていたわけであります。

 ここで、青森の陳情書にある資料が二でございます。アンダーラインが施設の方で引いてありまして、見ていただければわかると思いますが、年平均九十三名の入学生であった。これは百人の定員でございますので、非常に実績が高いわけです。また、就職率の平均が九二・八%、IT関係でも四二・二%など、るる実績が紹介をされています。また、資格取得なども全国トップである、そうしたことが書かれているわけです。これは、全国一、二の就職難を誇る、不名誉ではありますが、そういう中で、本当に重要な役割を果たしているということは一目瞭然だと思うんです。

 機構が廃止されてからも雇用支援機構に移管されることが決まっていたとして、教職員は、これまでの努力と積み重ねてきた実績が評価されたことを喜ぶと同時に、今後の人材育成に向け、気持ちを新たに、カリキュラムの見直しや機器構成の検討に着手し、鋭意作業を進めてまいりました、このように述べているわけであります。

 ところが、昨年の年末、十二月二十五日、廃止の通知であります。資料の三番目につけておきましたが、事業改善に取り組んでいただき、目標を達成していたところです、しかし、今般、二十二年度末をもって廃止し、建物の譲渡を希望する自治体等に対しては、これを譲渡することとなりましたと。

 これまで言われて頑張ってきたことを全く無視して、大臣の会見と一片の通知で廃止を決めたわけです。何の合理性もありません。廃止を撤回すべきではありませんか。

長妻国務大臣 これは、先ほども申し上げましたけれども、この通知にもありますように、国の事業としては、「今般、平成二十二年度末をもって廃止し、」というふうに書いてございますけれども、必要のあるものについては、その建物、中の設備などを、譲渡を希望する自治体にお渡しをしてやっていただくということであります。

 今、自治体が譲り受けやすい条件にしてほしいという御要望もいただいておりますので、我々としては、できる限り自治体の要望に沿うような、そういう譲渡要件をつくっておりますので、それを提示して、自治体で必要性があるものについては継続をしていただくということであります。

 その中で、我々としては、全体の、国が関与すべき職業訓練ということで基金訓練というのも始めさせていただいて、そして、平成二十三年度には求職者支援ということでそれを恒久的にやっていく。これは、失業保険のない方、ある方でも参加できますけれども、民間の専門学校等に職業訓練をお願いして、そこで訓練を受けていただくということで、今後、十五万人の定員を確保していこうということで、国全体の訓練に対して民間の力もきちっと使っていくという考え方を実現していくということ。さらに、専門性の非常に高い、訓練の学校の中で教える先生、この先生を育成する機能も国で特化していこうということで、そういうめり張りをつけた役割分担の中でこういうことをお願いしているということであります。

高橋(千)委員 存続はするけれども、地方にやってもらうのだと。なぜそうやって国の都合を地方に押しつけるんですか。あなたはそう言って、結局、地方に時価で買えと言ったんでしょう。それで、どこも受けてもらえなかった。そういう実態があるわけですよ。国の都合で廃止を決めて、そして地方にやってくれと。地方がこれまで頑張ってやってきたものを、全く無視しているわけじゃないですか。なぜそういうことを認めないんですか。

 基金訓練で十五万人やると今おっしゃいました。現在、三万人であります。これを十五万人にしたとしても、今の公共的な職業訓練が果たしているのは百五十万人以上、十倍以上の効果があるわけです。それを地方が受け入れられないとなったら、その受け皿がどこに行くのですか。そこをちゃんと認めるべきではないでしょうか。

 今ほど地域密着の職業訓練が必要なときはないと思います。

 例えば、地域職業訓練センターは、中小企業の労働者や求職者らを対象に、地域に、産業に合わせ、建設、板金などの技能向上、資格取得のための訓練を行っています。

 一月十五日の岩手日報によると、岩手県一関市千厩にある両磐地域職業訓練センターは、木造建築科、配管科の長期訓練のほか、県や市の委託で事務、建設、溶接、造園、電気工事、パソコン、介護、CADなど、さまざまな分野で技術習得を支援しています。昨年四月から十二月で、利用者は一万九千六百四十八人、前年同期の二二%増。この地域は、NECトーキン、ソニー千厩テックが相次いで工場閉鎖をしており、再就職支援のために定員を超える応募があるといいます。

 このような雇用失業情勢の中で、国としても、まさにこうした公的な資産を本当に活用する。逆に、地方にお願いしても、今、十六億円の予算、これはリース料とか、これが地方にとっては非常に貴重なわけです。これは、お願いしてでもやってもらう、そういう立場に立つべきではありませんか。

長妻国務大臣 先ほど、地方に時価で買えというような話があったようなお話がありましたけれども、地方にそういうことを提示したという事実はございません。

 そして、基金訓練にいたしましても、この十五万人というのは定員数でありますけれども、これは平成二十二年度、来年度の計画数ということで、これは実行していこうということで考えているところであります。

 私どもとしては、職業訓練は決して軽んじているわけではありませんで、その重要性というのは本当に、これから人を雇うと思っていない企業にとって、そういうすばらしい人材が目の前にいた場合、雇って付加価値をさらに高めて企業を回復していこう、こう思えるような人材を育成するということで、文部科学省とも連携した中で国全体の役割分担を果たすということは、さらに職業訓練については強い、特化した役割を果たしていくというのは、これは目標として私も取り組みたいと思います。

高橋(千)委員 時価で買えというのは、提示したのではなくて、御相談をして聞いたということであります。そういう事実はちゃんと把握しております。

 今、特化とおっしゃったんですけれども、私が言っているのは、地域に受け皿がないのだ、やはり地域に格差があるのだ、そこをちゃんと、今ある資産を活用するというのは必要じゃないかと言っているんです。

 例えば、雇調金の受給者は今二百万人を切っておりますが、助成金をもらった企業が適切な訓練ができていますか。こういうセンターを活用するべきではないでしょうか。また、基金訓練も、今民間だけをどうも随分当てにしているようでありますけれども、これは手挙げ方式でありますので、地域に満遍なく民間が手挙げするというところまではまだ行っていないわけです。

 そういう意味でも活用する必要があると思いますが、まず、この可能性についてお願いいたします。

長妻国務大臣 いろいろな活用というのは、これは検討していく必要があると思いますけれども、やはり職業訓練について、今国がやっているものは、もう全く役割分担をしないでそのまま国が続けるということで本当にいいのかということもあります。

 例えば、コンピューターカレッジにつきましても、定員百人のところを平成二十一年度は十九人しか来ていただけないというようなことも現実としてあるわけでありますので、本当に必要な施設について我々も譲渡条件を受けやすい形で提示させていただいて、地方と国と役割を分担していくということ。そして、基金訓練という民間委託の訓練については、これは来年度十五万人の定員を確保していくということでありますので、そういう民間の活用、あるいは、非常に高度な職業訓練をする、ある意味では先生役の育成などなど、特化をしていくような役割分担ということを議論していきたいと思います。

高橋(千)委員 全く聞いていることに答えていないんですよ。私は、せめてもの可能性として、国が考えている雇調金の活用や基金訓練も生かして、やはり地元で存続する道を探るべきだと、少し、一歩譲って提案しているんですよ。そういうこともちゃんとのみ込んでくださいよ。

 十九人の話は、あなたは予算委員会から何度も同じことを言っています、参議院の予算委員会から。最初に局長に確認したように、目標を達成したところは存続するというのが最初の方針だったわけです。十九人のところが、もし本当に利用が、存在価値がないのであれば、それはそこまで踏み込んで言っているわけじゃないですよ、だけれども、みんなが十九人のような言い方をしないでください。

 先ほどの青森の話もあったように、利用率が非常に高いところがあり、また目標達成をして頑張っているところがあり、そこは存続するんだということでやってきたのに、はしごを外されて、大臣一人の決断で廃止をされた、そういう問題なんですよ。そこをきちんと認めるべきなんです。これは大臣と通知だけの世界でありますので、見直す余地があると思います。再度検討をお願いしたいと思います。

 四月間近の今、三万人の高卒あるいは十六万四千人の大学生などが、就職の決まらないまま社会に出ることになります。最初の仕事が派遣会社のお試し雇用や、あるいは雇調金で休職そのものだ、あるいは緊急雇用創出の臨時雇用に応募してきた学生もいます。こういう中を本当に変えなければいけない。でも、企業の側は即戦力を求めているわけですから、職業訓練の役割は本当に重要なわけです。そういう点で、実績も中身もある公的職業訓練を生かして雇用につなげるべきです。

 私が言っているのは、官なのか民なのかどっちかではなくて、どっちも生かして、すべての資源を生かさなければ今乗り越えられない情勢なんだということなんです。

 そのことをしっかり受けとめていただきたいという指摘をして、終わります。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、公務員改革担当の泉健太内閣府政務官にお見えをいただいております。

 鳩山総理は、先日、三月二日の衆議院の予算委員会で、みんなの党の浅尾慶一郎政調会長の質問に答えて、公務員の労働基本権付与について来年の通常国会で法案をつくり上げたい、このように答弁をされておられます。

 私どもも、基本的にこの御答弁については、大変踏み込んだというか、当然のことなんですけれども、答弁をいただいたなというふうに思っているところですけれども、これについて、政府としてそのような方針、すなわち来年の通常国会に法案を提出して二〇一一年度から労働基本権の付与を行う、こういう方針であるということでよいかどうか、公務員制度改革を担当する内閣府泉政務官にお尋ねをしたいと思います。

泉大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 総理大臣の発言もございますので、我々としては、方向性としては来年の常会を目指してというふうに考えております。

柿澤委員 方向性としては目指しているということでありますが、私どもは、公務員制度改革の総合的な体系をつくるに当たって、公務員の身分保障につながる、ここの部分にかかわる労働基本権の問題というのをやはり真っ正面から議論して、そして基本権付与の方向で解決をしていかなければいけないということを前々から申し上げさせていただいております。それによって初めて民間並みの人事給与体系を導入し、そして聖域なきリストラというか、言葉は余りよくありませんけれども、いずれにしても、皆さんが掲げている公務員総人件費の二割削減ということにもつなげていけるんだというふうに理解をしております。

 こうした形で労働基本権の付与ということになれば、ある意味ではここまでの基本権の制限というものが取り払われるわけでありますから、公務員の身分保障も基本的に外れるということになるんだろうというように思っております。そうすると、公務員も雇用保険に入らなければいけないということになるのではないかというふうに思います。

 これまで公務員は、雇用保険の適用除外ということになっておりました。公務員は、基本的に人員整理や倒産というものがないので、失業というものを前提にしていない、したがって、雇用保険を掛ける必要がないという考え方だったというふうに理解をしておりますが、今後、そういうようなわけにはいかなくなるというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

泉大臣政務官 ありがとうございます。

 雇用保険については、今現在でいうと、民間労働者の皆さんに比べると、身分が安定している、失業が起こりにくいという事情がありますので、適用除外としているということであります。

 また、それぞれというか、公務員の皆さんがもし働く期間が短くて退職金が少なくてという場合においても、雇用保険との差額を調整するような手当もございますので、そういう配慮も行われているということで、現在のところ、いろいろな検討の中でまだ具体的に雇用保険について、適用すべきではないかということで結論が出てはいない状況であります。

柿澤委員 公務員の雇用保険の適用については、例えば、失業給付相当分については退職金として渡しているとか、こういうことが説明としてあるわけですけれども、先ほど申し上げたように、民間と同じような形で労働基本権を与えると同時に、民間並みの人事、例えば降格、あるいは、場合によっては整理解雇というか分限処分のあり方について、もっともっとさまざまなやり方を行うことができるようなことにする、こうしたことがあるとすれば、やはり普通に考えれば、公務員も雇用保険に入っていくというのが理の当然ではないかというふうに思うんです。

 そうすると、公務員が雇用保険に加入しなければならなくなるとすると、雇用保険料を納めなければいけなくなるわけです。

 今、まさに雇用保険法の改正案で、その保険料率の引き上げが議論をされているわけですけれども、このまま成立すれば、失業等給付保険料率で、労使折半で千分の十二、そして二事業の保険料率で、使用者負担で千分の三・五。使用者負担の千分の六プラス三・五で九・五が、国または地方公共団体が負担をすることになる。

 本人負担は千分の六で、労使折半ということになっていますけれども、そうなったからといって、いきなり本人の給与からこの分払ってくださいということにはどうもならないのではないかという気がしております。これは、公務員の給与からその分を上乗せして差っ引くということにならないとすれば、この分も結果的には、雇用保険を適用するとすれば、職員への支給に上乗せする形にならざるを得ないのではないかと思います。

 となると、先ほど申し上げたように、私から見れば、理の当然として、公務員制度の改革、二〇一一年度以降、鳩山総理が指し示した方向で実現をすれば、雇用保険に公務員も加入をするということになると思うんですけれども、そうなれば、国や地方公共団体の公費による負担というのが大変重くなるということが考えられるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

泉大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 しかし、柿澤委員の頭の中の展開が、恐らく実際の議論よりかなり先行して、幾つかの仮定を立てられて組み立てをされているというような気がしております。例えば、労働基本権もどの範囲まで付与していくのか、あるいは民間並みの解雇というのは何を指すのか、そういうことについても今後また一層整理が必要だと思いますので、まだ我々そこまで考えてはいない状況で、おっしゃるような雇用保険の料率ですとか、そういうところまでは考えていないというふうに思っております。

 もう一つ言えば、我々が労働基本権の付与ということで何を言っているかというと、それは、基本権を付与することによって、賃金の交渉、労使交渉をするということをもって、公務員人件費の削減ということを今マニフェストにも書かせていただいているところでありますので、主眼としては、そちらをまずは念頭に置いているというふうに御理解いただければと思います。

柿澤委員 議論が先行している、こういう御指摘をいただきましたけれども、これは、公務員総人件費は大体三十兆円とか言われるわけで、雇用保険料というのは賃金総額に対してかかるものなので、私が先ほど言った考え方で大ざっぱに計算をすると、これは年間五百億円ぐらいの労働保険特別会計、支出すべき新たな負担が生まれるということになるわけです。

 そういう意味で、先日も、民主党政権というか新政権が掲げている公務員制度改革が仮に実行された場合、国家公務員人件費はどうなるのか。六十五歳定年まで働き続けることができる、一方で、天下りはもうやらない、こういうことをするとどうなるかということを試算していただきましたところ、民主党のマニフェストの二割削減どころか、国家公務員人件費二割アップしてしまう、こういう試算も出ているところであります。

 そういう意味で、逆に、今公務員制度の改革として行われる方向であるものを突き詰めて考えていくと、支出の増加要因というものが多いのではないか、こういうことを感じておりますので、公務員に対する雇用保険の適用ということを一つの例にとってお話をさせていただいたところであります。

 もう一つ、雇用・能力開発機構についてお尋ねを申し上げます。

 雇用・能力開発機構は、かつては雇用促進事業団、前身の時代から無駄な箱物づくりで問題を繰り返してきた、いわば無駄遣いの王様と言ってもいいような存在だと思います。雇用促進事業団時代は、スパウザ小田原で、四百五十億円で建設したのが八・五億円で売却。雇用・能力開発機構になって、私のしごと館、これは五百八十一億円で建設をして、結局、毎年十数億の赤字を垂れ流して、廃止が決定をいたしましたが、売却できるかどうかということであります。

 こうした無駄遣いは、すべて労働保険特別会計からされているわけで、雇用保険の金が余って箱物にかえてしまった、やるべき仕事をやらないで箱物をつくってしまったとも言えるかもしれませんけれども、こういう経緯だというふうに思います。

 今回、雇用保険二事業の財政基盤強化ということで四千四百億円、これをやるのは百歩譲っていいとしましても、これまたいつか箱物にかわってしまっては元も子もないわけであります。まず、これまでの無駄遣いの徹底的な検証を行って、返還できるものは特別会計の財源として戻すこと、今後はこうした無駄遣いが生じないよう措置を講じること、例えば雇用保険二事業で箱物はつくらないということを明確に定めることなど、こうしたことが、やはり今回、必須の前提ではないかというふうに思います。

 この雇用・能力開発機構については、我が党の渡辺喜美代表は、自民党を離党するに当たって、麻生総理に対して、七項目の物申すという書面を出したわけですけれども、この中でも、雇用・能力開発機構を統合する閣議決定を撤回して、そして、廃止、解体、整理の方針に沿って決定し直すべきである、こういうことを、わざわざ離党に当たって総理に対して物申していた。

 こうした、ある意味では思い入れの強いものでもございますので、ぜひこの点について、今後、こうした形で過去積み上げられてきた無駄な箱物を、もうこのお金を使ってつくらないんだということを明言していただくということが必要ではないかと思いますが、御答弁をお願いいたします。

長妻国務大臣 雇用・能力開発機構は廃止をいたします。そして、その業務の一部について、施設も徹底してスリム化をした上で、職業訓練業務に限定して、高齢・障害者雇用支援機構に移管をするということであります。

 先ほどは、余り廃止や地方に移管するなというお話もありましたけれども、我々は、やはり国と地方、あるいは民間との役割分担をきちっとして、そして無駄な箱物はつくらない、こういうような姿勢で取り組んでまいりたいと思います。

藤村委員長 柿澤君、時間が来ております。

柿澤委員 はい。

 ぜひ明確に、雇用保険二事業で、もう箱物にはこれは使わないんだということを明言する、明記をする、こうしたことが、やはり過去に行われたような使われ方の今後の抑止という意味で極めて重要ではないかというふうに感じております。そのことを最後に申し上げさせていただいて、もはや時間も過ぎておりますので質問は終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次回は、来る二十四日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.