衆議院

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第12号 平成22年3月26日(金曜日)

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平成二十二年三月二十六日(金曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    城井  崇君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      斉藤  進君    園田 康博君

      田名部匡代君    田中美絵子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    和嶋 未希君

      渡辺 義彦君    あべ 俊子君

      伊東 良孝君    菅原 一秀君

      田村 憲久君    棚橋 泰文君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     和嶋 未希君

  樋口 俊一君     渡辺 義彦君

  藤田 一枝君     城井  崇君

  武部  勤君     伊東 良孝君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     藤田 一枝君

  和嶋 未希君     園田 康博君

  渡辺 義彦君     樋口 俊一君

  伊東 良孝君     武部  勤君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

三月二十五日

 医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

同月二十六日

 保育を必要とする子供たちすべてに国からの補助を求めることに関する請願(田名部匡代君紹介)(第四八六号)

 同(阿部知子君紹介)(第四九一号)

 同(仁木博文君紹介)(第五一八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六〇八号)

 同(笠井亮君紹介)(第六〇九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六一〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六一一号)

 同(志位和夫君紹介)(第六一二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六一三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六一四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六一五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六一六号)

 最低賃金千円の実現を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第五一三号)

 同(仁木博文君紹介)(第五一四号)

 同(志位和夫君紹介)(第六一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六一九号)

 社会保険病院・厚生年金病院等を公的医療機関として存続させ、地域医療の確保を求めることに関する請願(中島隆利君紹介)(第五一五号)

 同(大西健介君紹介)(第五五七号)

 同(城内実君紹介)(第六二〇号)

 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質的向上を求めることに関する請願(藤田一枝君紹介)(第五一六号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第五三二号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第六三〇号)

 労働者派遣法の早期抜本改正を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第五一七号)

 後期高齢者医療制度廃止などを求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五九三号)

 後期高齢者医療制度を中止し、廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五二八号)

 七十五歳以上の高齢者と子どもの医療費を無料にすることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五二九号)

 労働者派遣法の早期抜本改正に関する請願(志位和夫君紹介)(第五三〇号)

 労働者派遣法抜本改正を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五三一号)

 後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、高齢者・国民が望む医療制度を目指すことに関する請願(志位和夫君紹介)(第五三三号)

 膵嚢胞線維症の治療環境実現に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第五三九号)

 同(井上義久君紹介)(第五四〇号)

 同(小野寺五典君紹介)(第五四一号)

 同(高木美智代君紹介)(第五四二号)

 同(高木陽介君紹介)(第五五四号)

 同(古屋範子君紹介)(第五五五号)

 同(石田祝稔君紹介)(第五九五号)

 医療崩壊を食いとめ、患者負担の軽減により安心して医療が受けられることに関する請願(牧義夫君紹介)(第五四三号)

 同(大西健介君紹介)(第五五六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五九七号)

 同(笠井亮君紹介)(第五九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五九九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第六〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六〇三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六〇四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六〇五号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(石田芳弘君紹介)(第五四四号)

 同(田中康夫君紹介)(第五四五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六〇六号)

 同(吉田統彦君紹介)(第六〇七号)

 現行保育制度に基づく保育施策の拡充を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第五五一号)

 同(重野安正君紹介)(第五五二号)

 同(長尾敬君紹介)(第五五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六二一号)

 同(城内実君紹介)(第六三一号)

 細菌性髄膜炎ワクチンの公費による定期接種化の早期実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六二号)

 同(笠井亮君紹介)(第五六三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五六四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五六五号)

 同(志位和夫君紹介)(第五六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五六七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五六八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五六九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五七〇号)

 膵嚢胞線維症の治療環境を実現することに関する請願(安住淳君紹介)(第五七一号)

 同(田嶋要君紹介)(第五七二号)

 同(山口和之君紹介)(第五七三号)

 大量解雇の中止・撤回、緊急の生活支援と労働者派遣法の抜本改正を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五七四号)

 人間らしい働き方と暮らしの実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第五七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五七七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第五七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五八二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五八三号)

 労働者派遣法の抜本改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五八四号)

 同(笠井亮君紹介)(第五八五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五八六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五八七号)

 同(志位和夫君紹介)(第五八八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五九〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五九一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五九二号)

 後期高齢者医療制度の即時廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五九四号)

 中小業者とその家族の健康を守る対策に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五九六号)

 同(鳩山邦夫君紹介)(第六二九号)

 介護保険制度の改善、社会保障の充実を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 介護保険法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、介護保険法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 おはようございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 きょうは、介護保険に関して質問をさせていただきたいと思います。

 大臣に質問をさせてください。介護保険をなぜ導入したというふうに大臣は認識していらっしゃいますか。

長妻国務大臣 社会保障の歴史というのを見ますと、人間にはさまざまな悩みがあると思います。かつては、親が介護を受けなければならない状況になったときには、子供が面倒を見るのが当たり前だ、それはもう家族の、家庭の中の悩みだ、こういうような時代もございました。

 ところが、社会の意識の変化あるいは実態に応じて、やはりそれは社会全体でその悩みを共有する必要があるのではないか、個人あるいは家庭が抱える悩みから、社会が共有する悩みに介護を広げていきましょうということで、ある意味では共助という範疇にこの介護を入れるべきであるということで、十年前に介護保険ができたというふうに承知をしております。

あべ委員 共助という考え方ということでございますが、やはり老人医療費の問題がこの介護保険導入に非常に大きかった、特に社会的入院が多くて、特に措置ということを行政が判断し、家族がいる方、所得の高い方は後回しにされる、この不十分だった体制に対して介護保険を入れたというふうに私は理解をしているわけでございます。

 今、高齢者にとって非常に不可欠な受け皿になっているにもかかわらず、この介護保険制度が十分とは言えない。やはり安定的な介護保険制度の充実強化が非常に不可欠なときだと私は思っております。

 しかし、持続可能な中で、やはり介護保険料がどんどんふえてしまっているという実態があります。年に一〇%を超える伸びが出てしまっている。これに対して、なぜ介護保険料がこんなにふえているのか、大臣、どう御認識していらっしゃいますか。

長妻国務大臣 これはもう御存じのように、世界に類を見ない高齢化の進展に伴って、介護サービスを受ける方も急速にふえているというようなことに伴う措置であるということで、私どもとしても、介護についてもできる限り、不必要な介護、だれが見てもそこまでやる必要のないような介護、過剰介護というものは厳に慎むべきだということを考えておりますが、必要不可欠なものはサービスを提供するということについて、施設のベッド数についても三年間で十六万ベッド増床しようという目標を掲げておりますので、一定の保険料の上昇があるということであります。

あべ委員 高齢者がふえているだけが要因であるとは私は思いません。介護保険制度設計そのものが大きく間違えたのではないか。すなわち、認定の仕方、さらには待機の方が多くできている。すなわち、介護保険があるけれども、保険あって介護なしという状態の中で、大臣が今おっしゃった過剰介護と言われる部分は、重症者に対しておっしゃっていますか、それとも軽症者に対しておっしゃっていますか。

長妻国務大臣 一般論として、例えばケアマネジャーの独立性の問題などなどありますので、これについてはそういうことが起こらないようにする必要があるということは当然だと思いますが、必要不可欠な介護についても、これを一定のサービスを御提供するとすると、かなりの費用がかかるということも御理解をいただきたいと思います。

あべ委員 大臣のお答えがこちらの質問している内容と非常にずれているということをいつも思うわけでございまして、その割にはお話が長く、言語明瞭、内容なしという形のお返事をできれば避けていただきたいとお願い申し上げるわけでございます。

 先ほど申し上げました、いわゆるケアマネの独立性と過剰介護とどう相関しますか。大臣、お答えください。

長妻国務大臣 これについては、ケアマネジャーが例えば事業所で雇われている場合、そのケアマネジャーがその事業所のサービスを過度に提供する、こういうことはあってはならないということを申し上げているところであります。

あべ委員 すなわち、サービスを提供する側がサービスの必要度をアセスメントするということを問題だというふうに大臣がおっしゃっているわけだと思いますが、では、これから先、ケアマネをサービス提供者から切り離すということを検討されているということでしょうか。

長妻国務大臣 これは、やはり今後の、中長期の課題だと思いますけれども、ホームヘルパー、介護職員のみならず、ケアマネジャーの方々の処遇改善ということにも努めてその独立性を高めていく、こういう方向性は必要だというふうに考えております。

あべ委員 ケアマネの方々の処遇改善というお話と、ケアマネがいわゆるサービス提供体制側から全く独立したものになるということは別な話だと思いますが、それを二つ同時におやりになるということでよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 これは全く別の話でもないと思いますのは、ケアマネジャーの職業的な地位を高め、あるいは処遇を改善していくということは、独立性を高める方向性とも合致をしていくのではないかと考えております。

あべ委員 その独立性を高めるという話と処遇を上げるという話は、私は連動するとは限らないと思いますが、特にこの中で大切なのは、サービス提供者の側のケアマネをこれから使わないように独立させていくという理解でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 ケアマネジャーは、御存じのように、全体の介護の計画を立てる非常に重要な職責だというふうに考えておりまして、その必要性は十分認識をしているということであります。

あべ委員 ケアマネの独立性を、しっかりとサービス提供側と分離するということは、何年かけておやりになるおつもりでしょうか。

長妻国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは中長期的な課題であるというふうに考えておりまして、まずは処遇改善、今も取り組んでおりますけれども、介護職員の処遇改善に取り組んでいくということであります。

あべ委員 今、私がお願いしたのは、何年かけて独立性を確立するのか、処遇改善を何年で達成し、中長期というのは、今、財政戦略などを立てている、三年ということを民主党が言っている中長期なのか、それとも二十年かかるのか、大臣が内閣にいらっしゃるうちにできるとおっしゃっているのかということをお聞きしています。

長妻国務大臣 独立性を確保するといっても、どこまでを確保するのかという議論もあるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、まずは介護職員の処遇改善に努める、そして、中長期でケアマネジャーの処遇改善、そして、それを実行することで独立性を高めていく、こういう方向で取り組んでいくということであります。

あべ委員 何年かけてということを質問しているわけでございまして、中長期は何年ということを大臣がおっしゃっているのか、年数でお答えください。

 取り組んでいるお話は六カ月間ずっと聞いておりますが、その結果が全く出ず、どう取り組んでいるのかもわからないので、この独立性に関しては、大臣のお話はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなお話をされておりますので、ぜひとも、独立性をいつまでにされるのか、年数でお答えください。

長妻国務大臣 これは年数ということではなくて、これまでも取り組んでいて、これからも取り組んでいくということであります。

 これまで、以下の措置を講じているわけですが、質の高いケアマネジメントを評価するため、常勤、専従のケアマネジャー三名以上が配置され、二十四時間連絡体制を確保し、かつ、必要に応じて利用者からの相談に対応できる体制を確保するなどの加算を介護報酬で創設したり、あるいは、適切なケアマネジメント実施のためのケアマネジャーの資格の更新制五年の導入、及び更新研修の受講の義務づけということで、そういうことを政策の中に取り入れて、これを高めていくという政策を進めていくという話であります。

あべ委員 介護保険の改定に関しては、二年に一度というのがございますので、それが二回ぐらい以内には達成できるという形でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 ちょうど二年後には、診療報酬、介護報酬の同時改定の議論が政府内で始まるというような時期を迎えます。介護報酬は三年、診療報酬は二年でありますので、ちょうど二年後には同時改定という機会を迎えますので、その中でこのケアマネジャーの先ほど申し上げました処遇改善なども論点になるというふうに考えております。

あべ委員 その二年後のときには、処遇改善プラス独立性もしっかりと明記をするという検討内容でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 私は、二年後の同時改定の中の論点として、独立性を高める方向に進めるための処遇改善、これは介護職員のみならず、そういうものについても検討課題になるというふうに考えております。

あべ委員 処遇改善の話と独立性の話を一緒にしていただきたくないと思います。私は、過剰介護の部分は、この独立性は大きなかぎだと思っておりますので、同時にその二年後の改定のときに前向きに入れていくのか、片側しか入れないのか、どちらですか。イエスかノーかでお答えください。

長妻国務大臣 これは別々の話じゃないと思います。処遇が改善されないで独立性が高まるということは、必ずしも別々の話ではなくて、やはり職業的地位を高めていく、処遇改善とこれは関連する話だと思います。処遇を改善しないで独立性を高めるということも、それは考え方としては、委員のお考えであるのかもしれませんけれども、やはり関連する話ではないかというふうに考えております。

あべ委員 関連するかどうかは方向性次第で、処遇だけ改善して独立性がないということも大臣、あり得るんですよ。それまで大臣が内閣にいらっしゃるかどうかわからないですが、そこは両方同時に入れるという確約がなければ、ケアマネの処遇だけが改善し、独立性は全く無視されたという話だってあるわけじゃないですか。

 大臣、これは両方入れるかどうかということを聞いております。長く御返答は要りません。イエスかノーかでお答えください。

長妻国務大臣 ですから、中長期の課題として、次回の診療報酬、介護報酬同時改定のときに、これはケアマネジャーの独立性を高めるための処遇改善というのも検討事項であるというふうに考えております。

あべ委員 お聞きしたのは、独立と両方入れるかどうかということでありますから、両方お入れになりますか。

長妻国務大臣 独立性といっても、入れる入れない、マル・バツという話ではありませんで、独立性を高めていくためにはさまざまな方策がある、その中の一つとして処遇改善というのもあるわけでありますので、独立性を高めるための方策についても、それは検討課題であるというふうに考えております。

あべ委員 大臣、独立性と処遇改善は全く違います。そこは、セットでやるか、別々でやるかは方向性が全く違いますので、またここのところはしっかりお返事をいただかないといけないと思っております。ぜひとも、両方入れるかどうか、しっかり御検討していただき、二年後の中に入れるかどうか、しっかり検討をしていただきたいというふうに思います。独立性を外したら、処遇改善だけでは過剰介護の部分は決して見直しができない。

 さらには、この保険料の上がり方に関しまして、やはり、制度の創設時と想定が変わってきた。例えば、福祉の中でサービスを提供すべき方を入れていき、対象を拡大してしまったことにも私は大きな問題があると思っています。例えば、介護予防の部分、さらには重症の、本当に介護度五の方の部分、どっちに選択と集中をするのかということが大きく私は問題だと思っております。

 介護保険制度、ドイツが入れておりますが、形は違うにしろ、申請がはじかれる率が、日本が三%、ドイツは三割。これは介護認定のアセスメントの仕方にも私は大きな問題があるのかと思っておりますが、大臣、そのあたりの認識はいかがでしょうか。

長妻国務大臣 まず、これは言うまでもないことですけれども、前提としては介護が必要な方が介護が受けられる、その基準というのはきちっと今あるわけでございますので、はじかれてはいけない方がはじかれるということはあってはならないということであります。

 その中で、あべ委員が言われておられるように、やはり重度の介護の方に手厚い介護をするということがなくてはならないというふうに考えております。

 ただ、介護予防についても、それに取り組むことでその介護の重症化をとめて、結果的に介護全体の財政面等にも資するという考え方もあるのではないかというふうに考えております。

あべ委員 どっちもやらなきゃいけないという気持ちはわかります。しかし、財源が限られた中、今トータルでかかっている額が、もう本当に、これから先、いわゆる団塊の世代の老年期を迎えるに当たって、かなりの介護費用がかかる中、どちらに集中するのかという方向性は定めていかないといけないと私は思う。

 特に、要支援と要介護一の部分は、給付費総額の六分の一ぐらいに今なっています。そこの配分の部分を、大臣、重症者、本当に御自分で歩けなくて、自分で排せつもできず、お食事もできないという介護の方々に集中をするのか、いわゆる介護予防に集中するのか。財源が一定の中、どちらに焦点を、選択と集中をしていくのかということを教えてください。

長妻国務大臣 委員が、介護予防にとどめる、ある意味では自助に任せると言っておられるのは、要支援一、二、あるいは要介護一の部分を言っておられるのか、あるいは要支援にもならない方のことを言っておられるのか、定かではありませんけれども。

 私も、要介護一の方の御自宅にお邪魔をしてお話をお伺いしますが、やはり要介護一で、これは軽いというイメージがあるかもしれませんが、本当にこれは介護者がいなければ生活がままならないというようなことでございますので、そういう方にも必要不可欠なサービスを提供していく、そして予防にも取り組んでいくということであります。

あべ委員 選択と集中が全く見えない御返答をありがとうございました。特に、両方何でもやっていって、結局、最後は何もできなかったということにならないように、ぜひお気をつけいただきたいというふうに思います。

 もう一つは、低所得者対策と扶養義務のあいまいさということでございます。

 すなわち、このホテルコストの部分、今回問題になっておりますが、非常に不公平感があった中、二〇〇五年にこのホテルコスト部分を入れたわけでございます。

 しかしながら、なかなか御自分で払い切れない方々もいらっしゃる。実際、特養の入居者の三分の二ぐらいが補足給付を受けているという現状でございまして、本当に厳しい方々は、いわゆる生活保護も受けられない、かといって介護保険も払えない。では、お子さんがいるから大丈夫じゃないかといっても、子供は親の面倒を見たくないという中で、一番置き去りにされているのは高齢者であると思います。

 ここの扶養義務のあいまいさが日本は問題だと私は思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

長妻国務大臣 今、子供による扶養義務のお話がございました。

 これは、今まで、政権交代して通知を出させてもらいましたけれども、お子さんがいるということで介護保険の適用が難しくなるというようなことはあってはならないという通知を出させてもらいました。

 結局は、同居要件ということでありますが、一義的にはやはりお子さんが親の面倒を見るということでありますが、これは冒頭にも申し上げましたけれども、それには限界がある部分は、介護保険で社会共有の悩みとしてまいりましょうということで、要支援、要介護ということでルールをつくって、その範疇に当てはまる方は介護保険の対象となるということであります。その範疇に当てはまる部分はやはり社会で悩みを共有していくということでありまして、そういう考え方で介護保険がつくられているということであります。

あべ委員 介護保険に関しては、大臣がいかに通知を出しても、市町村負担があるかないかでやはり市町村判断がかなり変わってくる。特に扶養義務に関しましては非常に日本はあいまいでございまして、ですから、大臣がもう扶養義務は日本はないんだというふうにおっしゃるのであれば、それなりに全体的な制度を整えていく必要がございます。

 一応、民法の八百七十七条では、直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務を負うというふうにございますが、しかしながら、親の面倒を見なくても法的拘束力がないということが今大きな問題になっておりまして、義務はない、けれども、いわゆる市町村などの窓口に行けば、お子さんがいるんだからと言われて、一番の被害者は今高齢者なんです。この方々に対して、大臣、扶養義務を外すのか外さないのか、お答えください。

長妻国務大臣 民法において、今おっしゃられたように、直系血族及び兄弟姉妹間の扶養義務が定められているということであります。

 今、自宅で介護をされておられる状況を拝見しますと、六十歳以上の方が介護をする側に回る、いわゆる老老介護というのがもう全体の六割近くにもなっているという状況でありますので、やはり介護保険が必要な方は介護保険で介護を受けていただくというのが基本であります。

 扶養義務についても、これはできる限りそういう義務を果たしていただくということで、介護保険の範疇については介護保険で介護をする、こういう考え方でありますので、何でも子供が面倒を見なければいけないというようなプレッシャーを受けておられる方がいるとすれば、それはルールに従って、介護保険の範疇の方は介護保険で介護をするということであります。

あべ委員 言語明瞭、意味不明でございまして、すなわち、私が何度も申し上げているのは、いわゆる扶養義務があるにもかかわらず、自分は面倒は見ないというふうにお子さんが言われた場合に、その被害者は高齢者であるということを申し上げているわけです。ここの部分が統一的な制度がなくて、家庭内扶養なのか、地域のサービス提供なのか、個人によるいわゆるサービス購入なのかという対応が、本当に制度がしっかりとしない限り、住んでいる市町村によって、またお子さんの考え方によって、大きく左右されるということが今問題ではないかと思っているわけであります。

 例えば、中国が九七年に、父母を扶養する義務を負うという家庭内扶養協議書というのをつくっておりまして、これは親子間で、いわゆるリビングウイルといいますか、遺書の一部をつくった方がいいよということで、例えば、扶養者は、老人が持っている田畑を耕作しろ、それで、材木、牧畜も管理する義務を負う。しかしながら、利益は老人の所有に帰属する。でも、例えば本人がどこかに入ったときには、子供は親の財産を使ってもいいよとかいうことをお互いに約束するという協議書を中国が始めているわけでございます。

 しかしながら、問題は、介護保険、これは本当に、扶養義務と言われながら面倒を見ない人は、死ぬ思いをしながら自分たちで費用を捻出し、さらには年金の高い高齢者もいらっしゃいます。高齢者といえど、すべてが弱者じゃございませんから、介護保険制度が入った瞬間に一割負担になり、お金が余っちゃっている方がいるんです。本当にターミナルになって亡くなりそうになったときに、いや、何とかもう少し、あと一年で孫が大学を卒業するから、もたせてもらえませんかということを現場の方が言われているわけです。

 すなわち、子供の扶養義務ということと、なおかつ、扶養しないで、お金を親が余るほど持っていて、親の面倒を見ないけれども自分のところに親の年金が残ってしまうという、その問題に関して、余りにも矛盾があるのではないかと私は思いますが、大臣、どうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 まず、これは先ほども申し上げましたけれども、今、自宅で介護をされておられる御家族で、介護する側が六十歳以上、つまり高齢の方が六割近くなんですね。そういう方々に、扶養義務があるから介護保険は使わないで、あなたやりなさい、子供なんだからというようなプレッシャーを受けて悩んでおられる方もいらっしゃるわけであります。

 それは、でき得る限りお子さんが面倒を見ていただくということは必要でありますけれども、六十歳を過ぎて、介護保険なしに介護を受けるべき方を自宅で面倒を見ていくというのは、これは本当に努力をして一生懸命やってもなかなか難しい部分がある。そういう方々に対して、介護保険ということを、介護サービスを提供するということでありますので、そういう意味では、介護サービスを受けていただくということで、被害者は高齢者ということにはならないというふうに考えております。

 そして一方、今おっしゃられた点は二点あると思うんですけれども、高齢者でかなりお金を持っておられる方はどういうふうにするんだ、あるいは本当は面倒を見られるのに面倒を見ない方はどうするんだというお話でございますけれども、お金を持っておられるということについては、介護の方でも、いろいろな自己負担限度額の設定ということで、これは年収要件などもかけている部分もありますし、あるいは今後、税調の中でも、税制の中で累進性をきつくする等々、検討事項となっているところであります。

あべ委員 やはり、介護保険を入れた瞬間に、社会が高齢者を見ていくといったときに、その社会というのはどこまでを指すのかということが私は大きな問題であると思っております。

 個人で高齢者を考えるのか、扶養義務をさらに強化された形にするのか。個人で考えるのであれば、介護保険制度というのが一〇〇%保険で成り立っているものではございませんから、この制度設計も含めてしっかりと見直していかなければいけないんだと思っています。

 特養のユニットケアについて質問させていただきます。

 個室ユニットケア、いわゆる従来の四人部屋中心の集団ケアを改め全室を個室化するという形でやったわけでありますが、そういう中におきまして、入居者にホテルコストを負担してもらう、こういうシステムの中でつくられた特別養護老人ホーム、新型特養という形で言われているわけでございます。ところが、地方には、この個室ユニットケア、非常に評判が悪い。なぜかといいますと、集団ケアと違って、個別ケアになると人手がかかる。

 なぜ個室になると人手がかかるか、大臣、どう認識していらっしゃいますか。

長妻国務大臣 一人一人部屋に行かなければならないからだというふうに思います。

あべ委員 すなわち、動線は長い、さらには非常に転倒しやすい方々、御自宅にいらしても、六十五歳以上の方、三分の一以上は御自宅で転んでいらっしゃいます。そういう方々に、いわゆる安全、安心の環境を提供するというには、今の人員配置で個室ケアをするということは私は無理ではないかと思いますが、大臣、どうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 今、平成二十年十月の時点ですけれども、特養におけるユニット型、つまり個室型施設の比率は二一・二%ということで、五件に一件が個室型というふうになっているところでありまして、そういう意味では、この人員配置についても、今全力で取り組んでおられるというふうに考えておりますけれども、我々は、処遇改善というようなことで、まずは月額一万五千円の処遇を改善する。これが一時金に使われている部分もありますけれども、それにさらに上乗せを目指すように頑張っていくということを申し上げているところであります。

あべ委員 処遇改善に関しましては、私どもが与党のときに入れたものでございますから、継続していただくことは大変感謝でございます。

 そういう中でございまして、処遇を改善したら人が足りなくても頑張れと大臣は今おっしゃったんでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、我々も介護就職デーというようなことを開催して、全国一万人の方に来ていただいて、事業者とマッチングをして、厚生労働省主催の会で千人の方が就職をされた。

 今もって介護の現場は有効求人倍率一・三ということで人手不足が続いていますので、これは一つの雇用対策としても、そこに失業された方が、初めての職場で御不安かもしれませんけれども、そういう不安を払拭するような取り組みで、そういう失業の方がスムーズに介護の現場に移っていただくような施策をこれからも引き続き取り組んでいきたいと思います。

あべ委員 大臣、私は介護における人材不足、人手不足の話をしているのではなくて、今の施設基準における人員配置で足りていると思っているのかということを質問しています。

長妻国務大臣 人員配置の基準というのがございますけれども、この基準については我々提示を申し上げておりますが、今、現場の方でも大変御苦労されておられるというふうに聞いておりますので、こういう基準については、まずは、先ほど申し上げました処遇改善や二年後に議論がある介護報酬の中で、今言われたような論点についても議論をしていきたいと思います。

あべ委員 この人員配置に関しては、最低基準が余りに低過ぎて、実態とずれています。実態は、本当に足りない状態で人をふやしながらやっている。

 特に、私自身も、介護の現場、しばらく顔を出していないので、やはりやってみようということで夕方に一度お伺いいたしました。三人ぐらいで五、六十人の入れ歯をそれぞれの方々の歯ブラシを使いながら磨く、口腔ケアといいますが、それをするのに本当に大変で、ここで待っていてくださいと言って、待っていられる方ばかりじゃないんです。待ってくださいと言った瞬間、はいと言いますが、一分後には歩き始めているという方々ばかりの中で、本当に介護職員の方々は、一万五千円の処遇改善だけでは済まない、実質的な人数が足りないということを考えたときに、次の改定ではこの最低基準を見直さなければ、幾ら箱物をつくっても、さらには一万五千円上げられたって、離職者は減るものではないと私は思っておりますので、この施設基準に関してはしっかりと見直しを前向きに取り組んでいただきたい。

 大臣、前向きに取り組んでいただけますでしょうか。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、基準上、最低基準でありますが、入所者三人に介護職員一人ということでございまして、実際にはそれを上回る職員をつけていただいておるところもあるわけでございます。

 いずれにしても、そういうような施設で手厚い人手を雇っていただいている施設なども含めた処遇の改善というのが喫緊の課題であるというふうに考えております。今、月額一万五千円上乗せというような申請を事業所から受けつけているところでございますけれども、二年後の同時改定では、その部分についても我々は検討課題であるというふうに考えております。

あべ委員 今、その部分とおっしゃったのは、いわゆる施設基準としての人員配置だという理解でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 先ほど申し上げましたように、最低限の人員配置が入所者三人に一人、それを上回る、例えば入所者二人に対して一人配備していただいているような、手厚く職員を配備していただいている、こういうような案件について、介護報酬でさらに上乗せできないかどうかというのも検討課題であるということであります。

あべ委員 すなわち、施設の人員規制に関しまして、いわゆる上乗せ改正を入れるということで理解をいたしました。

 最後になりますが、一つは、いわゆる保険あって介護なしと言われる特養の待機者が四十二万人を超えている中、箱物をつくっていくということは、ある意味、その後、いわゆる供給は需要を喚起するというふうに言われているわけでございます。

 そういう中で特養をつくっていく中で、有料老人ホームというのもございます。ところが、特養の方が立派なところがかなり多いということを考えたときに、これからどういう形のそういう待機の方々に対する制度を設計していくかということが大きいんだと思いますが、私は、官でやるのか民でやるのか、さらには、それに対して、本当に民へ移行するとすれば、建物の減価償却云々のイコールフッティングが全く整備されていないということを考えたときに、大臣はこの方向性はどうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 例えば、民間である軽度老人ホームについては、我々としても、規制を一定の緩和をして、それが設置しやすいようにしていく、こういう措置も講じていく予定にしておりますし、あるいは、今非常に待機者が多いということについては、特養、あるいはグループホーム、あるいは老健施設合わせて今後三年間で十六万床増強していこうということで、過去三年間が八万床でありましたので、二倍という形を実現していきたいということで、これについて取り組んでいくということであります。

 そして、これは国土交通省とも今検討会をしているわけでございますけれども、高齢者の専門の賃貸住宅、高専賃と略して呼んでいるようでございますけれども、それについても、国土交通省の所管ではございますが、連携して拡充をしていくということ。と同時に、施設だけではなくて、御自宅、つまり在宅の介護サービスも拡充をするということで、在宅と施設、これをバランスよく組み合わせた増強策というのを今進めているところであります。

あべ委員 では、大臣がおっしゃったその十六万床というのは、特別養護老人ホームを十六万床ふやすというふうにおっしゃったんでしょうか。

長妻国務大臣 今も申し上げましたけれども、この十六万床といいますのは、これについては特養だけではございませんで、グループホームも、老健、そしてケアハウスを込みで、三年間で十六万床ということであります。

あべ委員 では、すべてそういう形でやっていくので、これからはいわゆる民間が提供する高齢者の住宅に関しては余り考えていらっしゃらないということで、イコールフッティングに関して教えてください。

長妻国務大臣 いや、これは先ほど申し上げましたように、軽度老人ホーム、これは民間です。これについて、面積基準などを規制緩和して参入しやすくしていく、あるいは高齢者賃貸住宅、これも民間であります。国土交通省と協調してそれをふやしていく、そういう施策も進めていくということであります。

あべ委員 すなわち、十六万床というのがさまざま入っている中で、その中の分の特養部分は何床ですか。

藤村委員長 長妻大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔に願います。

長妻国務大臣 この特養を今の十六万床の中でどれだけにするかというのは、いろいろ我々も計画をしておりますけれども、まだ、それぞれ個別については発表できる段階ではございません。

あべ委員 いつごろ発表できますか。

長妻国務大臣 これは、我々が申し上げておりますのは、三年間で十六万床ということを申し上げております。毎年毎年、それは予算編成の中、そして決算の中でそれぞれの数字が出ますので、それが適切に最終的に十六万床になるというようなことで取り組んでおりますので、今の段階では、それぞれの明細というのを申し上げるという状況ではありません。

あべ委員 三年間でどういう形になるか全くわからない状態でございまして、多分ずっと検討をしていらっしゃる段階なんだと思いますが、本当に、内閣が発足して六カ月、検討だけではなく、しっかりお答えを出していただきたいと思っておりますし、私は、高齢者のための介護保険制度は安定的に、また持続可能なものであると思っておりますので、本当にここはしっかりとやっていただき、また、現役世代、若い世代に負担のかからない形でやっていくということを大臣にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 群馬県の無届け有料老人ホーム「たまゆら」で十人もの犠牲者を出した火災事故からちょうど一年がたちました。私も現地調査に赴き、本委員会で質問させていただきましたが、身寄りのない犠牲者の御遺骨を特定できずにいる、こうした現実を本当に重く受けとめました。

 そしてまた、十三日には、札幌市のグループホーム「みらい とんでん」の火災事故で、七名の犠牲者を出してしまいました。本当に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 きょうは最初に、通告の趣旨とは若干違うかもしれませんけれども、グループホームの研究者である山井政務官にぜひお伺いをしたいと思います。

 この「みらい とんでん」は、夜間に職員が一人、スプリンクラーも自動火災報知機も設置をされておりませんでした。しかし、法令違反ではなかったわけであります。義務基準の外であったと。

 また、毎日新聞の北海道版二十日付によりますと、「お金がない中、よくお世話をしてくれた。本当に安心して暮らせていたのに」と、ただ一人無事救助された八十三歳の女性の娘さんの声を紹介しております。また、同じ記事によりますと、NPO福祉サービス評価機構Kネットが〇八年十二月に作成した「みらい とんでん」の外部評価結果には、「家庭的な雰囲気を色濃く残す」「和やかな触れ合いは認知対応の生活での新たな可能性といえる」と記され、「たまゆら」とは違って、市への苦情も一件もなかったとされております。

 もちろん、住民参加の避難訓練がされていないなどの問題点も指摘をされているところでありますが、基本的に国が目指す認知症ケアの方向に合致し、しかも法令違反ではないところでこのような大きな犠牲を防げなかった。このことについて、国としてどう考え、どのように取り組んでいこうとしているのか、簡潔にお答えください。

山井大臣政務官 高橋委員、御質問ありがとうございます。

 まさに今回のことに関しては、個々個別のグループホームの問題であったというとらえ方ではだめだというふうに思っております。やはり今回のことを反省材料として、国土交通省、総務省、そして厚生労働省で緊急プロジェクトチームを発足させまして、今、実態調査を行っております。

 最新の大まかな状況でありますが、奈良県奈良市だけを緊急調査しましたところ、認知症の高齢者グループホームにおけるスプリンクラーの設置割合は四八・七%ということが、今回初めてわかりました。このこと一つとっても、防火体制の現状等も残念ながら十分に把握されておりませんでした。

 そこで、今、三省庁合同になりまして、一カ月間をかけまして、消火器がどうなのか、スプリンクラーがどうなのか、火災報知機がどうなのか、また、夜勤の体制がどうなのか、職員体制あるいは入所者の状況はどうなのか、そういうことを緊急に調査をしているところであります。

 それを踏まえまして、今後、スプリンクラーの設置の要件について、また補助額について、また、スプリンクラー以外についても補助が必要なのか、そういうことも含めて、一カ月をめどに調査結果をまとめていきたいと考えております。

高橋(千)委員 今、一カ月をめどにというお答えでありました。スピード感を持って取り組まなければならないという決意が述べられたと思うんですけれども、小規模施設に対応した防火対策に関する検討会報告書というのは、実は、ことしの二月に出ておりまして、こうした火災事故が繰り返される前に、「たまゆら」の問題ですとか長崎県の問題ですとか、あるいはいわきの小規模な施設の火災事故を踏まえて、そういう対応は既に出されていたわけで、スプリンクラーの設置など、あるいは火災通報機、警報器の設置なども、どんな小規模な施設であってもやはり取り組むべきではないかと提案をさせていただきたいと思います。

 同時に、この報告書の中で、出火及び延焼拡大の防止として、今回はストーブだったわけですよね、そうではなくてエアコンですとかあるいは電磁調理器など、そもそも火の気を断つという考え方、あるいは、カーテンや避難路などの防炎化などということも指摘をしています。こうした耐火構造の支援というものも交付金の中に組み込んでいく考えはないのかというのが一つです。

 それから、夜間加算、こうしたグループホームでも使えるものがありますが、二十五単位ということで、十人いるホームだとして月に七万五千円程度で、一人ふやすには余りにも足りな過ぎるわけであります。複数配置がどうしても必要だと考えますけれども、見解をお聞かせください。

山井大臣政務官 質問ありがとうございます。

 もともと、このグループホームは宿直であったわけですが、夜勤が必要だということで夜勤に格上げしていった。かつ、今は九人に対して一人の夜勤でありますが、それだけでは不十分な場合もあるということで二十五単位、加算に関してつけておりますが、これも十分ではないという御指摘も数々いただいております。さらに、グループホームに関しましては、外から、訪問看護も介護保険の中で受けられるようにしてほしいという重度の方がふえておりますので、そういう要望もいただいております。

 今後、やはり小規模で家庭的な雰囲気のグループホームというのはますます重要になってまいりますので、これをどういう形で支援していくのかということは、今回の夜勤のことも含めて、今後検討していかねばならないと思っておりますし、防火、耐火構造についてのことも、今回の緊急対策プロジェクトチームは消防庁とも国土交通省とも共同でやっておりますので、その一カ月の議論の中で検討してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 ぜひ、具体的に予算措置という形で、成果が出るように期待をしたいと思います。

 やはり認知症のグループホームでは、一人が徘回を始めると、もうそれだけでほかの入所者に手が届かなくなるという実態があるわけですから、そういう方たちだけが集まっているわけですから、本当に人手が足りないというのはだれが考えてもわかるわけで、また同時に、認知症の家族を抱えている介護の悲惨さということも今大きな社会問題となっていて、国としてはそういう方向に向かっていくんだろう、しかし、そうであるがゆえに、こうしたことを繰り返さないための体制づくりは本当に必要だということを重ねて指摘したいと思います。

 また、一つの御提案ですけれども、当然、行政との連携や地域ぐるみでの避難訓練というのはやらなければならないことでありますけれども、もし自分やあるいは自分の家族が認知症になったらどうしようかという不安はだれもが抱えております。ですから、そういう方たちを、いわゆる研修を行政が行って、認知症サポーターという形で、地域が支える側に回る。それが全体として社会が支えていくという方向に向かっていきますので、長野ですとかいろいろなところでそういう取り組みが始まっているようであります、大いに研究して応援をしていただきたいと思います。

 さて、今回の法改正は、介護保険前に特別養護老人ホームに措置入所されていた方の負担軽減という経過措置を延長するものでありますので、当然賛成でございます。

 そこで、先ほどのあべ委員の質疑にもございましたが、厚労省はことしの一月に、特別養護老人ホームの待機者について、四十二万一千人と発表いたしました。

 二十三日付の毎日新聞で、山井政務官は、この四十二万人のうち在宅で要介護の四や五の方、つまり重症の方という意味だと思うんですが、六万七千人について早急に対応すると述べております。まず、この意味と、そうすると、同じ重度の方でも、病院や有料老人ホームなどさまざまなところで待機されている方は、まだ十一万人残されているわけです。料金が見合いではないとかさまざまなことがありながらも、とりあえず、いるところがないのでそういう施設にいる方、この方たちは考慮しないということになるのか、また介護度三以下はどうなるのか、伺います。

山井大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 この四十二万人の施設利用希望者の中で、要介護四から五でかつ在宅の方、この方々が最優先だと思いますが、昨日も発表させていただきましたが、例えば、たんの吸引等の医療行為も、介護職員の方々が一定の研修のもと利用できるようにさせていただく方向であります。そういうふうなことを含めて、より多くの方が施設を利用しやすくする。

 ただ、同時に、そのことに関しては、先ほどあべ委員に答弁させていただきましたように、三年間で十六万床と言っておりますが、これは三年間の中でもできるだけ前倒しできないかということで、今市町村にお願いをさせていただいております。

 また同時に、幾ら施設をつくっても追いつかないところがありますので、今後、やはり夜間でもホームヘルパーや訪問看護婦さんが行って、二十四時間三百六十五日体制で、願わくば、望めばターミナルまで在宅で暮らしていけるような社会をつくって、在宅か施設とを選べるような形にしていく。そういう意味では、特養の待機者を減らすことは、やはり在宅をしっかりとやっていくということとセットでやっていかねばならないのではないかと考えております。

高橋(千)委員 最後に、大臣に伺いたいと思います。

 この今の問題はもう少し具体的な計画を示していただきたいと思うんですけれども、いずれにしても、先ほどの答弁にもあるように、どうしても受け皿づくり、規制緩和の方向、それから在宅重視ということが、当然方向としては考えているのだろうと思うんですね。

 そこで、先ほど来議論している安全対策の面、それと人員配置の面で緩和をし過ぎるということは、結局、今の事故の教訓と相反することになるわけですね。そことの見合いをどうするのかということと、これからの、やはり今の経過措置の方たちは低所得者の非課税世帯であるわけですけれども、ユニット型中心の施設整備などでは、生活保護世帯や非課税世帯という方は入る施設がなくなってしまうわけですね。そういう低所得者対策をやっていかなければ、できないということもあるわけですが、その辺、一言お願いいたします。

長妻国務大臣 低所得者対策ということでありますが、平成二十六年度における特養の入所定員のうち七〇%以上をユニット型施設とするのを目標に掲げております。特養は、これは住むわけでありますので、やはりユニット型というのが望ましいというふうに考えておりますが、そのときのやはり自己負担というのが大部屋に比べると上がってしまうという問題もありますので、こういう問題についても、二年後の同時改定等で検討課題になるというふうに考えているところであります。

高橋(千)委員 まだまだ課題がありますが、時間が来たので、また次にいたします。

 ありがとうございました。

藤村委員長 午前十一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十分開議

藤村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山口和之君。

山口(和)委員 長妻大臣が欠席ということで、褒め殺しにしたかったなと思っていたんですけれども、それができないということがとても残念ですが……。あれっ、ありがとうございます。

 私は、約三十年近く、理学療法士としてリハビリテーションの世界で仕事をしておりました。その意味から、鳩山総理の所信表明のスピーチについては身震いする思いで聞いていたことを、今も鮮明に残っております。これまでの積み重ねが今であるならば、これからの積み重ねが未来をつくる。チーム長妻に大きく期待をするとともに、政権交代の果たすべき役割を全力で実行していきたいと思っているところでございます。

 さて、地域リハビリテーションの定義に、「地域リハビリテーションとは、障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで、そこに住む人々とともに、一生安全に、いきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉及び生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う。」とされております。

 私は、今回、その立場で質問させていただきます。多少、前半のあべ委員とかぶるところがあるかもしれませんが、こちらは太陽でコートを脱いでもらいたいと思っております。

 皆さんがよく使うので使わせていただきますが、まずその前に、受動喫煙について少し質問させていただきたいと思います。

 先般、受動喫煙対策に対する通知が出されておりますけれども、たばこ対策が積極的に行われるように進められるということですが、今後、受動喫煙防止対策をどのように取り組むのか、若干教えていただければと思います。

山井大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 我が国が批准しておりますたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約においても明確にされているとおり、喫煙や受動喫煙が健康に及ぼす悪影響は明らかであることから、受動喫煙対策等のたばこ対策は、国民の健康増進の観点から重要と考えております。

 このため、平成二十二年二月二十五日に、受動喫煙対策に関して基本的な方向性として、公共の場は原則として全面禁煙であるべき等を記した健康局長通知を発出したところであります。

 今後は、通知後の影響について適宜、現状の把握を行いながら、対策を推進してまいりたいと考えております。

山口(和)委員 ありがとうございます。

 自分は病院にずっと勤務しておりましたので、病院でたばこを吸うとなると、少し犯罪者みたいな扱いがずっとされておりました。それが当たり前の世界だと思います。できれば国会内、ここに初めて来たときにびっくりしたのですが、堂々とたばこを吸える場所があちこちにあって、これは分煙すべきでないかと思われますので、ぜひ分煙に協力していただきたいと思います。

 一方で、JT、たばこ産業はせっせと缶コーヒーや食品やいろいろなところで仕事を転換しておるんですが、たばこ料金を上げる値上げの話になるといつも出てくる問題は、たばこ農家に対する対策です。ぜひ、漢方薬をつくるなり、何か転作するための作戦を今からやっていただきたいと思っております。

 さて、本題に入らせていただきます。

 ちょっと皆さんにお聞きしたいんですが、皆さんは、ぴんぴんころりがよろしいでしょうか。ぴんぴんころりをしてみたいと思っていらっしゃいますでしょうか。(発言する者あり)そうですよね。普通は、ぴんぴんころりを望む方が多いです。その望む理由は何かというと、脳卒中になって病院に入って、障害を持っておうちに帰れなかったり、つらい思いをしたり、あるいは偏見の目で見られたり、そういうことが現実で起こっているわけです。まだまだ日本の社会に残っているわけです。ですから、ぴんぴんころりの方がいいという意見が多いと思われます。

 そこで、住みよい社会をつくっていくために、若干質問させていただきます。

 また、幼い子供がいれば保育所待機児童の問題、老いた親がいればこれまた入所待機、本人が希望するのであれば、施設等において適切な介護を受けられることが望ましいというのは言うまでもありませんが、本来、介護保険の理念は、介護の社会化と適切な在宅介護にあったのではないでしょうか。

 資料の二の方を見ていただきたいと思います。

 これは富山市のデータなんですけれども、富山市で調査したデータです。一般の方々に対する調査はよく見かけるんですけれども、施設入所されている方の調査というのは余り見かけないと思いますが、富山市は、在宅復帰というのを一生懸命やっている市でございます。その中で、介護保険施設に入所中の六百人について、面接法で調査した結果がございます。

 在宅復帰への本人の意向としては、条件が整えば希望するという方が、本人としては、老健施設、介護療養型病院においては半分ぐらいいらっしゃる。一方で、在宅復帰への家族の意向はといいますと、極めて少ない数なんです。問題は、本人は帰りたいと思っていても、家族の受け入れがまず不安であるということが大きなところなんです。家族へのアプローチなしにして在宅復帰は成り得ないと思います。

 次のページを見ていただくと、今までの施設で行われているサービスを見ますと、朝起きて、歯を磨いて、御飯を食べて、カラオケやいろいろなゲームをして、お昼御飯を食べて、夕方にお風呂に入って、また夜寝る。それの繰り返しをしていても、おうちに帰れるとは到底思えません。家に帰るためには、おうちに対するアプローチと徹底した自立回復が必要になってきます。まずこのことを念頭に置いていただきたいと思います。

 そこで、次の質問に入りますけれども、要介護度が改善すると収入が減る。これは資料一を見ていただければいいんですが、資料一は、二〇〇四年に私の地元の増子輝彦議員が、当時、ここにいらっしゃる坂口厚労大臣に質問した内容でございます。

 その当時は、中村局長さんがいらっしゃったときには、もう議論は尽くしたというような回答だったと思いますが、坂口厚生大臣はそのときに、検討するということを言っていただきました。私はすごく感動して、このメッセージの紙をずっと持っておりました。一生懸命やっている施設は頑張れば頑張るほどボーナスが減るような体制で、自立を支援すれば支援するほど何か収入が減っていくようなシステムでございました。ですので、このときの坂口厚生大臣に言っていただいた言葉は、非常に自分たちとしては明るい話題であったと思っています。

 そこで質問なんですが、要介護状態を軽減させたりあるいは在宅復帰を実現させたりする介護老人保健施設などの介護事業所を評価するための導入は考えられないかということですが、お答えいただければと思います。

山井大臣政務官 このリハビリテーションは一番重要なことでありまして、山口先生を初めとする現場の方々の御努力で、本当に、歩けなかった人が歩けるようになるとか、それで人生が大きく、クオリティー・オブ・ライフが向上する場合も多いのではないかと思います。

 そして、今の御質問の件でありますが、現在は、要支援者が利用するデイサービス、通所リハビリテーションについては、要支援度の改善を介護報酬上評価しているところであります。逆に言えば、要介護の方々に関しては、まだ評価になっていないということであります。

 これについては、質の高いサービスを安定的に利用できるようにするため、事業所を評価することは重要であると考えており、今、介護事業所の質の評価は調査研究を行っているところであります。

 ただし、要介護度の改善そのものを直接介護報酬で評価することについては、高齢者は身体機能の悪化、改善を繰り返すことが多く、評価の対象期間の設定が難しいといった論点があり、何らかの方法で評価ができるかどうか、引き続き検討を続けてまいりたいと思っております。

山口(和)委員 長年検討されて実現されなかったことでございますけれども、これは考えるに、可能性は非常にあると思いますので、ぜひ検討を続けていただきたいと思います。なるべく次の改定には実現していただきたいと思います。

 次に、ケアマネジメントについて質問したいと思うんです。

 これも前半のあべ委員とかぶってしまうんですけれども、所属事業所の利益にとらわれず、利用者にとって本当に必要なサービスを効率的に提供するということを観点に置けば、ケアマネジャーの独立性を担保すべきではないか。もちろん、今も独立しても構わないんですけれども、担保するためにはそれなりのものが必要になってくると思います。午前中で回答をいただいておりますので、この件については引き続き検討していただくということにしたいと思います。

 続きましてもう一つ、施設ケアマネは本当に必要かという問題、ちょっとこれは通告にないかもしれませんけれども。

 実は、介護老人保健施設のような施設に施設ケアマネジャーというのがいるんですけれども、在宅生活を一生懸命支援している在宅ケアマネが、施設に入っている方々のケアをマネジメントすることによって、可能性が高いのは、中立的な立場ができる。ここの老健は本当にサービスがいいのか、あるいはここの療養病棟が本当にいいのか、あるいはショートステイが本当にいいのか。家族も希望を出しやすいし、在宅を意識しやすいと思います。施設の虐待への目も入りやすくなります。ケアマネの目から見て本当にいい施設というものがわかるようになって、実際のサービスの提供のあり方が変わってくるし、在宅復帰の可能性が非常に高くなってくると思われます。

 この件については提案したいなと思うんですけれども、もしよろしければちょっと返答いただければと思います。

山井大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 老人介護保健施設あるいは老健というのは在宅復帰を目的としているわけですから、そこが思うように進んでいないという現状、山口委員のおっしゃるとおりだと思っております。

 それについて、今おっしゃったことは、施設のケアマネというよりも在宅のケアマネがやった方がいいのではないかという提案だと思いますが、これは正直言いまして一長一短ございまして、施設のケアマネだからこそ、施設内でのその高齢者が置かれている状況がよくわかっているという部分もありまして、現状においては、施設の入所者であっても、包括支援センターのケアマネジャーとか施設外のケアマネジャーの助言をいただきながら判断するということがあるんですけれども、今おっしゃったこと、どういう形でこれからより充実していけるか、また検討させていただきたいと思います。

山口(和)委員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいと思います。

 それから、これもまたあべ委員とかぶってしまうんですけれども、人員配置は、やはり日本においては極めて少ない人数でやっています。夜間においても少ない人員でしておりますし、拘束はなかなか、してはいけない、もう当たり前のことですけれども、そういった場合に、転倒したりする方がいらっしゃって、どうしても裁判でも施設側が負けてしまったりします。やはり人員配置というのは非常に重要ですので、ぜひ検討していただきたいと思いますが、ただ、施設によって、あるいはサービスの提供するところによって、ピンからキリまであるんですね。

 長妻大臣が以前に視察に行かれた特別養護老人ホームは、日中のおむつがゼロです。認知症ケアに対するサービスもかなり充実しております。では、スタッフの数はというと、そんなに極端に、倍いるとか、そういうわけではございません。やはり質だと思うんですね。その辺について、量と質についてお答えいただければと思います。

長妻国務大臣 山口委員におかれましては、病院のリハビリの責任者としても活躍されておられて、今後とも御指導いただきたいと思います。

 私も大臣に就任して、実体験ということで介護の体験をさせていただいた施設では、今おっしゃったように、日中はおむつをつけないで介護をしようということで頑張っておられる施設でありましたが、やはり最低基準の人員配置ではきめ細やかなものが難しいということで、それを上回る配置をしていただいている施設もあるということであります。

 午前中も答弁申し上げましたけれども、まずは処遇改善ということに取り組む必要があると考えておりますので、今は一万五千円の上乗せ月額報酬ということでありますが、それに見合った資金提供ということでありますけれども、それにさらに加えて処遇改善を続けていきたいというふうに考えておりまして、二年後の介護報酬の見直しのときにも、これは一つの論点になるというふうに考えております。

山口(和)委員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいと思います。

 いろいろなサービスを、質を高めて、配置基準をふやしたり、いろいろなことをするんですけれども、どうしてもやはり在宅に帰れない方がいらっしゃるんですね。そういった場合に、ぜひ低所得者向けの受け皿をしていただきたいと思います。

 次に、リハビリテーションの提供体制についてお伺いいたします。

 在宅に帰ろうとしたとき、あるいは帰ったときに極めて重要になってくるのがリハビリテーション、訪問リハビリテーション等々ですが、これが介護保険の限度額を超えて、どうしても生活のための介護保険の活用というふうになってしまうことがあります。そこについて、リハビリを集中的に行えるような、優先されるような何か解決の手だてはないかということでお聞きしたいと思います。

山井大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 山口委員の御指摘というのは、もう少しリハビリをやれば歩けるようになるとか、改善が著しいのに、限度額を超えると全額自己負担になってできない、そこが非常にもうもどかしいという趣旨だというふうに思っております。

 現状では四割から六割程度しか限度額を使っておられないという方が平均でありまして、限度額を上げると保険財政を圧迫するのではないかという批判がある一方、もう少しサービスがいけば、在宅にずっといられて、逆に施設に入らなくて済むのではないか、そういう意見もありますので、厚生労働省では、リハビリにかかわらず区分支給限度額基準を超えてサービスを受けておられる方々がどれぐらいおられて、どういう状況なのかというのを把握しておりまして、そのことを踏まえて、この支給の限度額についても再検討していきたいと思っております。

山口(和)委員 前向きな御回答、ありがとうございます。

 地域リハ体制の強化においてもう一つですが、今後、プライマリーケアが重要になってきて、地域の中で、健康管理であったり、疾病、再発予防であったり、かかりつけ医機能は強化されていくものと思っております。そのかかりつけ医の共同利用施設として訪問リハビリステーションというものを追加していきたいと思うんです。

 ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、資料の四ページ目の方を見ていただくとわかると思うんですが、四ページの右側の図です。これはケアマネ五千人にアンケートを出して、回収率は二七%、千三百件戻ってきたものですが、ケアプラン作成時にケアマネジャーとしてはリハビリテーションが必要だということが資料三のページには書いてありますが、その次のページを見ていただくと、訪問リハサービスが充実しているかというと、必ずしもそうではないといったときに、かかりつけの先生、A先生、B先生、C先生が共同利用して行おうとすれば、今は訪問看護ステーションからのリハビリテーションしかできない状況なんですね。

 そこで、訪問看護でリハビリをやっていないところがあったとすると、その近くに訪問看護ステーションをもう一個設けなきゃいけないとかという何か面倒くさいことがたくさん起きてきます。ですので、訪問リハステーションが地域の中にあれば開業医の先生が共同利用できる、非常にいい案だと思うんですが、ちょっと見解をいただければと思います。

長妻国務大臣 高齢者が住みなれた地域で生活を続ける上で、訪問リハビリテーションというのは重要なサービスだということは認識を同じくしていると思います。

 これは従来も、いろいろなリハビリテーションを提供した場合、加算というのがあるというのは御存じだと思いますけれども、議員が提案されたような訪問リハビリステーションの創設については、看護師あるいはお医者さんが密接あるいは継続的に関与するというのが必要不可欠になってまいります。ある意味ではチームで対応するということが必要でありますので、これからも、二年後の介護報酬改定に向けて、この体制を進めるべく取り組んでいきたいと考えております。

山口(和)委員 どうもありがとうございました。

 私の地元の福島県石川町では、三十近くの介護予防のためのサロンが展開されております。介護保険を使わずに、しかも事業費としては一銭も使わずに、保健師の努力によって、三十近くのサロンができておったりします。サービスを効果的に使うための施策をぜひ展開していただければと思います。

 どうもありがとうございました。

藤村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 初めに、グループホームの火災の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 札幌でのグループホームの火災から約二週間がたちまして、お亡くなりになった方、また、けがをされた方、心からお見舞いを申し上げたいと思っております。

 平成十八年、長崎県でのグループホームの火災から四年がたちました。こうした事件を背景に消防法が改正をされまして、スプリンクラーの設置基準も見直しをされてまいりました。

 このような事故が起こった際に真っ先に被害に遭うのが、認知症の高齢の方々であります。こうしたときにスプリンクラーが設置をされていますと、初期消火に非常に役立つ、消防車が到着するまでの間何とかしのぐことができるということで、すべての施設に設置をするのが理想的だと考えております。

 私も総務大臣政務官のときにこの消防法の改正にかかわってまいりましたが、そのときに大変大きな課題となりましたのが、やはり費用面のことでございます。現在、スプリンクラーに国庫補助はありますが、自動火災報知機とあわせまして小規模施設でも数百万に上る自己負担額、施設の経営を圧迫して防災設備を整えられないというのが現状であります。

 今後、特に都市部ではグループホームなど小規模なものがふえていくことが予想されておりますし、このような悲劇を二度と繰り返さない、そのためにも早急な検討が必要です。そこで、費用負担について、これまで以上に国庫補助を拡大する必要がある、このように考えますけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。

 さらに、全国すべての高齢者施設に火災の可能性がある。防災対策は欠かせないものであります。グループホーム等介護施設には、夜間時の避難訓練や防災マニュアルの策定、地域住民との連携など、やらなければならないことが山積をしております。夜間の職員の体制の、人件費などの問題でやはり手薄になっていたことが指摘をされております。こうした防災対策、グループホームに任せきりにするのではなく、国が積極的に支援をするべきだ、このように考えますが、大臣の御見解を伺います。

長妻国務大臣 まずは、防災防火体制をきちっと整備するというのが重要でありまして、現状把握をきちっとしていこうということで、三月十八日からおおむね一カ月かけて実態把握をしようということで、サンプル的にまず出てまいりましたのは、七県七市の集計で、グループホームにおけるスプリンクラーの設置割合は四八・七%。これは、二千七十八のグループホームを調べましたら、スプリンクラーですけれども、設置済みが千十三ということで四八・七%、約半数しかと言っていいんでしょうか、スプリンクラーがないというような実態もわかりまして、これは、面積基準との問題、そして費用の問題ということであります。

 そしてもう一つは、スプリンクラーだけではもちろんございませんで、さまざまな警報装置なども含めた論点があると思います。まず実態把握をした上で、消防用設備の設置に対する補助、あるいは夜間を含めた防火安全体制のあり方について、関係省庁間で対応を今後とも協議して結論を出していきたいと思います。

古屋(範)委員 実態調査をされまして四八・七%の設置率ということで、非常にこれは低いということが言えるかと思います。

 こうした小規模の施設で、自力で避難できない要介護者、重度の障害者が入所する施設、五千三百九施設、これは消防庁の〇九年の調査なんです。粗い計算ですが、平均して二百五十万円でこれが設置できるといたしますと、費用は約百三十二億円なんですね。ですので、命を守る政治というふうにおっしゃっていますので、大きな額ではないと思います、ぜひ積極的な支援をお願いしたい。このことを再度要望しておきたいと思っております。

 次に、インドネシア、フィリピンからの介護福祉士候補者の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 この両国とのEPAによりまして、インドネシアまたフィリピンから看護師、介護福祉士の候補が来日をいたしまして、一年以上が経過をいたしました。

 両国とも、当初の二年間で看護師候補者四百人、介護福祉士候補者は六百人、日本に派遣できることとなっております。しかし、これまで来日したのは約八百八十人にとどまるということで、実際には非常に低調であります。さらに、二〇一〇年度は、両国から受け入れる日本の施設と求人数が、インドネシアは今年度の三分の一に、フィリピンも半分以下になっていることがわかりました。

 その理由といたしましては、候補者が働く病院や施設は、日本人と同等以上の賃金を支払う義務がある反面、介護福祉士候補者を配置基準上の人員に、これが配置をしてもその人員に算定できないということになっております。また、日本語研修費など、一人当たり数十万円の負担が生じてしまう。さらに、技術指導の責務を負うなど、実質的に受け入れ施設側の負担が余りにも大きいということが指摘をされております。

 また、これは先日、三月二十四日に発表された調査でありますけれども、候補者のコミュニケーション能力ということで出てまいりました御意見、一方でコミュニケーション不足により問題事例が発生したと回答した割合が約三割から五割ございましたということで、非常に現場も苦労しながら受け入れているという実態でございます。

 こうした現状については、大臣はどう思われるのか。日本語教育また試験対策など施設への丸投げ、こうしたことを抜本的に改めていかなくてはならないと思います。国の責任で日本語教育に取り組むべきと考えますが、大臣、この点いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、最大のポイントは日本語教育ということだと思います。

 一昨日、二十四日に現状把握ということでまず発表させていただいた調査は、今引用していただいたように、インドネシア人の介護福祉士候補者の受け入れ実態調査でありますけれども、現場にお話をお伺いしますと、引き継ぎや申し送りについて、簡単な言葉でゆっくり話をしてもなかなか支障があるという回答が施設長や研修責任者から二割から四割あった、次に、コミュニケーション不足により問題事例が発生したという回答が三割から五割あったということで、やはりこれを突き詰めていくと日本語の問題となります。

 そこで、一つは、厚生労働省としてやはり日本語教育をきちっとサポートしようということで、二十一年度予算は八千万でしたが、二十二年度予算は大幅にふやして八・七億円ということの予算を、日本語教育ということでつけさせていただいたところであります。

 あるいは、二十二年度から新たに二つの事業を始めようということで、介護福祉士候補者の日本語習得を支援するために、受け入れ施設が独自に外国人の候補者を日本語学校へ通学させた場合に費用の一部を助成しよう、あるいは、介護福祉士候補者を集めた集合研修を実施して、日本語習得の評価や国家試験を見据えた学習方法を提示する、こういうふうな事業を始めております。

 いずれにしても、やはり日本語をきちっと一定のレベルまで習得していただくというのが大前提となりますので、これについて我々も支援を申し上げていこうと考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、日本語教育へのさらなる支援をお願いしたいと思います。

 次に、外国人看護師、介護福祉士候補者への試験制度についてお伺いしてまいります。

 この国家試験では、やはり専門用語が非常に多い、日本人である私などにも非常に難しい漢字が含まれております。実際に、昨年の看護師の国家試験合格者はゼロでありました。また、介護福祉士は、日本人受験者でさえも合格率が五割であります。こういう状況では非常に意欲も低下してしまうのではないか、このように考えます。

 もちろん、医療、福祉の現場では、投薬、カルテの作成など、非常に専門用語がかかわってまいりますし、日本語ができなくてはいけないという意見もございます。しかし、このインドネシア、フィリピンから来日している方々は、母国ではきちんと資格を持っていらっしゃいます。難解な漢字がたとえ読めなくても、仕事に大きな支障があるとは考えにくいという御意見もございます。今回来日した方々は、勉学、また就労、研修に熱心に励む方が多く、関係者や実際に看護、介護を受けている患者さんからは非常に好感を持たれているということも聞いております。

 試験の目的は、本来、看護、介護に必要な知識を身につけているかどうか、これを問うことであると思います。漢字にルビを振るような簡単な工夫はもちろんでありますが、外国語による専門試験と日本語検定の組み合わせとか電子辞書の持ち込みといった、日本語のハンディに配慮をした方法が考えられるべきと思います。

 また、看護師候補者は三年以内に受験機会は三回あるんですが、介護福祉士の場合には四年以内に一回という非常に少ないチャンスになっております。この試験制度を早急に改善すべきと思いますが、大臣、この点いかがでしょうか。

長妻国務大臣 ちょうど本日の午後に看護師の試験の発表があるということで、何とか外国人の方が受かっていただくことを願っているところでございますけれども、今の試験の件で、まず二点を試験委員会において御検討いただこうというふうに考えております。

 まず一点目は、易しい日本語に置きかえても現場に混乱を来さないと考えられる用語については、別の言葉に言いかえることを検討する。例えば褥瘡という、床ずれのことでありますが、これは普通でも難しい言葉で、漢字は恐らく書ける人はかなり少ないのではないかというものがほかにもいろいろございますので、そういう件。

 そして二番目には、易しい日本語に置きかえたときに現場に混乱を来しかねないと考えられる用語については、何らかの注釈をつけるとか、いろいろな手だてを講じることができるのか、できないのか。

 まず、そういうようなものを検討していきたいと考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、さらなる試験制度の改善、この早急な検討をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、准介護福祉士の資格についてお伺いいたします。

 この資格、平成十九年に法改正が行われ、この際、EPAとの整合性の確保、あるいは激変緩和の観点から、養成施設を卒業した者は、当分の間、准介護福祉士の名称を用いることができる旨、規定が盛り込まれました。この改正の議論の中で、准介護福祉士を誕生させないよう、法施行後五年を目途に検討することが改正法附則に加えられ、実際には誕生させないよう、平成二十四年十二月五日をめどに所要の措置を講ずる内容の社会・援護局長通知もあるわけでございます。

 本年五月にフィリピン人介護福祉士候補者の募集が始まることを考えれば、この四月中に所要の措置を講ずる必要がある、このように考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

長妻国務大臣 今のお尋ねは、准介護福祉士ということで、これは介護福祉士の養成校を卒業したけれども国家試験には合格していない方のことでございまして、こういう方の資格、こういう呼び名も含めた是非でございますけれども、これについて、今おっしゃられたように、公布後五年でありますから平成二十四年十二月をめどに、准介護福祉士制度について見直し規定が置かれているところであります。

 参議院の附帯決議でも、早急にフィリピン側と調整を行って、その結果を踏まえて速やかに介護福祉士への統一化を図るようという御指摘をいただいているところでありまして、これはフィリピン側との調整が必要となる話でもございますので、今関係省庁とも相談をしているところであります。

古屋(範)委員 もう時間が参りましたので最後になりますが、出入国管理難民認定法で、就労を目的とする在留資格に介護が含まれておりません。特に、四年制大学などで介護を学ぶ外国人留学生、現状では卒業後に帰国を余儀なくされるケースもたくさんありまして、日本で、臨床の場でスキルアップする機会がないということが現状指摘されております。この日本で学び、その知識と技術を生かしたいという外国人留学生の意欲にこたえるためにも、在留資格にぜひ介護を加えていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 介護保険法施行法の一部を改正する法律案については、軽減措置をこれからも続ける、継続をするという内容のもので、私どもも特に異論はないところであります。

 これに関連して、きょうは認知症の問題をお伺いしたいというふうに思います。

 認知症については、厚生労働省の研究班の推計で、二〇三五年には〇五年の二・二倍に当たる約四百四十五万人になる、こういう推計が出ているわけであります。大変な数の認知症の方がこれからふえてくる、こういう状況にあるわけでありますけれども、この認知症高齢者に対する厚生労働省の取り組みについて、御所見をお尋ね申し上げたいというふうに思います。

長妻国務大臣 認知症におきましては、精神病床に五万二千人の方が入院しておられ、療養病床に二万二千人の方が入院しておられ、そしてグループホームにはそれよりは軽い方がおられるということで、しかもその数がふえているということで、大変重要な問題だというふうに考えております。

 その中で、今回の、来月からの診療報酬の改定で、認知症病棟について、入院早期の手厚い医療に対する評価は上げました。そして、手厚い人員配置かつ支援の必要性の高い患者さんへの評価を上げるなど取り組んでおりまして、さらに、新設の、認知症の方々へのサポートをした場合の診療報酬というのも新たに三つほどつくりまして、医療体制も怠りなきようサポートしていきたいと考えております。

柿澤委員 認知症に関して、国は、医療側の中核機関として、二〇〇九年度から認知症疾患医療センターというのを全国で百五十カ所整備する、早期診断、治療を行って、また介護サービスにつなげていく、窓口としていく、これが認知症対策の厚生労働省としての目玉だというふうに言われているわけです。その一方で、認知症疾患医療センターに対応する介護側の中核機関として地域包括センターが位置づけられて、そこに認知症連携担当者というのを配置するということになっております。

 しかし、この認知症疾患医療センターというのが、なかなかこれは配置が、指定が進んでいません。東京はまだゼロだと思います。百五十カ所でも足りないというのが認知症の専門家の見立てでありまして、全人口の四%に当たる四百四十五万人がこれから認知症の患者となる、こういう時代状況の中では、本当にこれでは心もとないというふうに言われているところでもございます。

 しかも、先ほど申し上げた認知症疾患医療センターと介護の側の地域包括センターとの連携の役割を、まさにかなめを担う認知症連携担当者、この研修を受けてくれる受講者というのが全くいないというんだそうです。これは新聞報道で書かれていますけれども、「厚労省もくろみ大外れ」ということで、昨年の九月から国の委託を受けて認知症介護研究・研修東京センターでこの研修を始めたところ、わずか六人しかこの研修を受けてくれない、こういう状況だというんです。医療と介護、切れ目なくサービスを連携させて認知症高齢者に対する取り組みを進めていく、今のところ、これは完全に、仏つくって魂入れずの世界になってしまっていると思うんです。

 しかも、医療の現場の方にちょっとお話を聞きましたけれども、認知症疾患医療センターで入所している、入院をしている認知症高齢者の方々に対するケアも、介護に類するケアがやはり非常に必要で、例えば尿失禁に対する対応とか、そういったことを考えると、医療現場で介護の人たちが入って働きにくい状況に今なっている、こういう状態になっているそうなんです。

 まさに、これから一番大事なところの認知症高齢者に対する医療と介護が連携をしたケアの体制づくりというのが、かけ声倒れに終わってしまってはいけないというふうに思います。

 その点について、これからの取り組みの改善の姿勢を、ぜひ御答弁をお願いしたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、認知症に対する対応策は重要でございます。

 認知症疾患医療センターが中核となって、地域包括支援センター、そして、連携としては介護の分野、これはグループホームもホームヘルパーもそうですけれども、それが適正にならなければならないということで、二年後の介護と診療報酬の同時改定では、ちょうど同時ですので、やはり一体的な改革をしていきたいというふうに考えておりまして、この連携も課題となるところであります。

 診療報酬については、認知症疾患医療センター等での認知症の鑑別診断についても、来月から新たに診療報酬をつけることにいたしました。そして、地域のかかりつけ医からそういう医療機関への情報提供料というのも、新たに認知症について報酬が来月からつくようになるわけでございます。

 そして、厚生労働省として、認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトというのをつくりまして、そこで五つの項目について推進をしていきたいということで、総合的に進めるべき課題だというふうに考えております。

柿澤委員 今の答弁の何となく淡々とした調子を見ていると、本当にどこまでこのことを真剣にとらえていただいているのかなというふうに感じるんです。毎日新聞の「解説」で、「認知症医療底上げを センター整備拡充は急務」、こういう解説が出ていますけれども、ここにも、「長妻昭厚生労働相ら新政権のトップにはまだ積極的に取り組む姿勢は見えない」、こういうふうに論評されてしまっているんです。

 これは、このままでは本当に済まない問題だと思います。日本の社会が抱えている最も大きな問題だと言ってもいいかもしれない。そうした点で、ぜひこれからの取り組みをもっともっと危機感を持って進めていただきたい、そのことをお願い申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 時間も参りましたのでこのまま終わりとさせていただきますが、御要望を申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、介護保険法施行法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

藤村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 この際、本案に対し、内山晃君外六名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。伊東良孝君。

伊東委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及びみんなの党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    介護保険法施行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 いわゆる認知症高齢者グループホーム等における悲惨な火災事故が後を絶たないことを深刻に受け止め、小規模な事業所に対するスプリンクラー設置費用の助成等を含め、防災体制の強化・拡充を図ること。

 二 四十二万人にも上る特別養護老人ホームの入所待機者を解消するため、現在実施している交付金事業等に加え、更なる施設整備に対する助成、既存施設の転用などあらゆる政策手段を駆使した措置を検討すること。

 三 介護職員処遇改善交付金事業が実施されているところではあるが、同事業は三年間の時限措置であり、また、介護従事者の処遇が十分改善したとは言えない状況にあることを踏まえ、更なる処遇改善のための方策を講ずること。

 四 介護保険制度施行後十年の実績を踏まえ、安定的で持続可能な制度とするための見直しを進めるとともに、介護サービスの質的、量的な拡充を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

藤村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

藤村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、長妻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

藤村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

藤村委員長 次回は、来る三十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十八分散会


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