衆議院

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第17号 平成22年4月13日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十二年四月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    笠原多見子君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      斉藤  進君    園田 康博君

      田名部匡代君    田中美絵子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      福田衣里子君    藤田 一枝君

      細川 律夫君    三宅 雪子君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      室井 秀子君    森山 浩行君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山田 良司君    山井 和則君

      山本 剛正君    横粂 勝仁君

      あべ 俊子君    菅原 一秀君

      田村 憲久君    武部  勤君

      棚橋 泰文君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   参考人

   (全国市長会副会長、社会文教委員会委員長)

   (大阪府池田市長)    倉田  薫君

   参考人

   (健康保険組合連合会常務理事)          白川 修二君

   参考人

   (全国健康保険協会理事長)            小林  剛君

   参考人

   (立教大学コミュニティ福祉学部教授)       芝田 英昭君

   参考人

   (神奈川県立保健福祉大学教授)          山崎 泰彦君

   参考人

   (中央社会保障推進協議会事務局長)        相野谷安孝君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     笠原多見子君

  長尾  敬君     森山 浩行君

  藤田 一枝君     山本 剛正君

  三宅 雪子君     横粂 勝仁君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     山田 良司君

  森山 浩行君     長尾  敬君

  山本 剛正君     藤田 一枝君

  横粂 勝仁君     三宅 雪子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 良司君     園田 康博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、全国市長会副会長、社会文教委員会委員長・大阪府池田市長倉田薫君、健康保険組合連合会常務理事白川修二君、全国健康保険協会理事長小林剛君、立教大学コミュニティ福祉学部教授芝田英昭君、神奈川県立保健福祉大学教授山崎泰彦君、中央社会保障推進協議会事務局長相野谷安孝君、以上六名の御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、発言される際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず倉田参考人にお願いいたします。

倉田参考人 ただいま御紹介をいただきました、全国市長会で社会文教委員長を仰せつかっております大阪府池田市長の倉田薫でございます。

 本日は、このような意見陳述の機会を与えていただきましたことに、まずありがたくお礼を申し上げたいと存じます。

 先端自治体の長として、また、全国国民健康保険の保険者を代表して、医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案について意見を申し述べさせていただきます。

 意見を申し上げます前に、まず、現在の地方分権改革の進展についてお礼を申し上げたいと存じます。

 前政権下の平成十八年、地方六団体の強い要望を受けて地方分権改革推進法が成立をし、いわゆる第二期地方分権改革がスタートいたしました。今日の現政権におきましても、地域主権を一丁目一番地と心得て、基礎自治体優先の原則のもと、地方分権改革を加速的に進めていただいておりますことに対しまして、また、今日まで地方分権改革を進めていただきました各党の先生方の御努力に対し、冒頭に、心からお礼を申し上げたいと存じます。

 それでは、国民健康保険の現状について御報告なりお願いなりを申し上げたいと存じます。

 我が国の国民健康保険制度は、被用者保険に加入していない方々が加入する地域保険であり、世界に誇る国民皆保険を支えている、いわば最後のとりでと言っても過言ではありません。ただ、保険者の方から申し上げますと、この今日の国民健康保険は、加入者における高齢者、低所得者の割合が著しく高い上、昨今の経済不況に伴う失業者の急増により、今まで以上にさらに厳しい状況になっております。したがって、各市ともに、年々医療給付費や後期高齢者医療支援金が増加していく中で、制度の安定的運営を行うべく、加入者に何とか理解をしていただきながら保険料を引き上げる努力を行っているのが現状であります。

 一方で、加入者の方の負担能力についても限界に近いとの考え方のもと、多くの市町村においては、厳しい財政状況の中にもかかわらず、法律で定められた負担のほか、一般会計から法定外の繰り出しを行っております。その法定外の繰り出しの総額は、平成二十年度決算では全国で約三千七百億円にもなっており、厳しい地方財政の現状を考えると、この点においてももはや限界に近づいていると言っても過言ではないと思っております。

 したがって、さきに申し上げました世界に誇るべき国民皆保険の最後のとりでである国民健康保険制度の安定化を図るためには、財源の確保が必要不可欠なことをまず申し上げさせていただきたいと存じます。

 以上のことから考えましても、全国の保険者にとっては、本法律案の速やかな成立もまた必要不可欠なことであります。先生方には、本法案について、慎重な御審議にあわせて、速やかな成立に御尽力くださいますように、まずお願いを申し上げたいと存じます。

 速やかな成立を求める最大の要因は、今回の法律改正案には市町村国保に対する財政基盤強化策の延長措置が盛り込まれているからでございます。現行の平成十八年から二十一年までの四年間の措置として実施されてきた財政基盤強化策につきましては、既に本年三月で期限を迎えておりますので、この強化策の延長がなければ全国の国保財政に極めて重大な影響が及ぶことになるからでございます。したがいまして、当委員会の先生方の御理解のもと、一刻も早くこの法律が成立し、現在の不安定な状況が解消されることを望んでやみません。

 法律案の速やかな成立を求めるもう一つの要因は、この法律案に国民健康保険の都道府県単位に向かっての環境を整備するための新たな仕組みが盛り込まれていることであります。

 現在の国民健康保険は、御承知のとおり、市町村が運営しているため、一般的に財政単位が小さく、その運営が不安定になりやすいという大きな課題を抱えております。財政運営の広域化は我々市町村長の悲願でもあります。

 今回の法律案では、都道府県が地域の実情に応じて市町村国保の広域化を支援するための広域化等支援方針を策定することができるようにすることに加えて、これまで国が一律にレセプト一件当たり三十万円以上と定めてきた保険財政共同安定化事業の対象医療費の範囲を、都道府県が市町村の意見を聞きながら、拡大することができる仕組みが盛り込まれていることも高く評価をいたしております。

 全国市長会といたしましては、現在、すべての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向けて、まずは都道府県を保険者とする国民健康保険制度に再編統合していただくべく要望をしているところであります。今回の仕組みは、地方分権改革推進委員会の第一次勧告にも書かれてありましたが、新しい方向に向けた大きな第一歩となるものと期待をさせていただいております。

 法律案の早期成立を重ねて要望いたしますとともに、厚生労働省御当局におかれましては、すべての都道府県で広域化等支援方針が適切に策定されますよう御指導いただきたく、この場をおかりしてお願いを申し上げる次第であります。

 次に、今回の法律案では、後期高齢者医療制度を廃止するまでの間、現在の保険料軽減措置などを延長することとされていますが、この後期高齢者医療制度の見直しに当たり、市民に直接対応する現場を預かる立場から、幾つか意見を述べさせていただきたいと存じます。

 私は、昨年、全国市長会に設置された政権公約調査特別委員会の委員長に就任をいたしました。総選挙を前にして、全国知事会のマニフェスト委員さんとともに、自民、民主、公明三党の政策担当者の皆様との公開討論会に出席をいたしました。

 その際、私からは、特に民主党のマニフェストの中の後期高齢者医療制度の廃止の部分について、後期高齢者医療制度については、立ち上がりで種々の混乱があったものの、現在では一定の落ちつきを見せてきている、直ちに廃止、新制度の立ち上げについては少々無理があるのではないか、現行の制度をベースに若干の見直しを行うことの方がより現実味を帯びていると思うと述べさせていただきました。

 総選挙の結果、新しい政権が誕生し、現行の後期高齢者医療制度については、廃止の上、新しい制度を構築することとなりました。

 この後期高齢者医療制度につきましては、ただいまも申し上げましたが、今なお、私のみならず多くの広域連合長や市長は、現行制度をベースに見直していただくことの方がより現実味を帯びていると考えていることを改めて申し述べておきたいと思います。

 その上で、今後の新たな高齢者医療制度の制度設計に当たっては、被保険者を初め現場に混乱が生じることのないよう、国と地方の協議の場などで地方の意見も十分聞いていただき、地方の意見を尊重した制度設計となりますように要望させていただきます。

 ところで、この新たな高齢者医療制度については、市町村国保を広域化した上で、一体的に運営するという考え方が有力であると聞き及んでおります。検討いただきます大前提として、これ以上国保加入者や市町村の負担がふえることのないよう、国の責任において十分な財政措置もあわせて御検討いただきたく、お願いを申し上げます。

 もう一つ、失礼ながら、この際あえて申し上げさせていただきますが、現在の四十七の広域連合をまたまた千七百五十の市町村に分散するということになってしまう旧老人保健制度に戻すことは、非現実、非合理なことであり、全国市長会としては絶対に反対であることについても改めてこの場で申し上げさせていただきたいと存じます。

 それから、制度の見直しについては、十分な移行準備のための期間を確保いただくことも大切なこととお願い申し上げます。

 現在の後期高齢者医療制度は、平成十八年六月に成立し、以来一年十カ月の移行準備期間があったにもかかわらず、制度改正後に国から示されるはずの政省令やシステムの内容がなかなか決まらず、現場での作業がおくれたことから、制度の導入に当たり大きな混乱を来したからであります。新たな制度は、来年の通常国会に提案され、平成二十五年春のスタートと伺っておりますが、前回と同じ轍を踏むことのないよう、速やかに制度の詳細を決定いただき、現場に向けての情報提供を行っていただくように強くお願いを申し上げたいと存じます。

 以上、数点にわたって意見を述べさせていただきましたが、国民健康保険を初めとして、さまざまな社会保障、医療制度を担う立場にある私たち市町村は、今それぞれの地域の活性化と、そして財政の健全化という両面をにらみながら、必死に行財政運営を行っております。

 ただ、この国民健康保険を初めとする社会保障各般の制度については、単に一つの市町村の行政努力だけでその効果が上がるというものではありません。基本的には、本来、国が国として一元的に管理運営していただくべきものであり、少なくとも都道府県という広域自治体、その広域で実施いただく必要があると思っております。改めて御認識を賜りたいと存じます。

 国民健康保険という名でありながら、その保険料を見ますと、東京都青ケ島村に比べて大阪府寝屋川市の保険料は三・六倍も高くなっております。大阪府内だけの比較においても、寝屋川市と大阪市の間で一・六倍の格差がついているわけであります。同じ県で隣の町に引っ越しするだけで国民健康保険の保険料が大きく異なるというのは、やはり異常な現象ではないでしょうか。ぜひ今後の制度改正において、まずは広域自治体である都道府県を中心とした制度に改めていただきますように重ねてお願いを申し上げて、私の意見陳述といたします。

 御清聴ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

藤村委員長 倉田参考人、ありがとうございました。

 次に、白川参考人にお願いいたします。

白川参考人 健康保険組合連合会、白川でございます。

 本日は、このような意見陳述の場を与えていただきましたことに対しまして、厚生労働委員会に深く感謝申し上げます。

 また、平素から健保連あるいは健保組合の活動につきましてさまざまな御指導や御支援を賜っておりますことも、あわせてこの場をかりて厚く御礼を申し上げます。

 私ども、今回の法案の中で申し上げたい箇所は一カ所のみでございます。協会けんぽへの国庫助成額の増額に関連して、後期高齢者医療制度への支援金の算定方式を、平成二十四年度までの三年間、その三分の一の部分を総報酬割に改定するという案になっている点でございます。私どもは、この法案のこの部分だけ問題ありというふうに考えておりますので、本日は、この部分に限定して意見を陳述させていただきたいというふうに存じます。

 私どもが反対する理由を整理して、三点意見を申し上げたいと思います。

 第一点は、本来国が負担すべき協会けんぽへの国庫補助金の一部を、健保組合と共済組合に実質的に肩がわりさせる案になっているということでございます。

 協会けんぽに対する国庫補助に関する規定は、健康保険法百五十三条におきまして、一六・四%から二〇%までの範囲内で政令で定める割合となっておりまして、これが本則でございます。

 この百五十三条が法制化された後、附則がつけられ、当分の間一三%とするとされ、これが現在まで適用されております。同じく附則の中に、中期的財政運営等を勘案し、必要があると認めるときは、この規定について検討を加え、所要の措置を講ずるとされております。

 協会けんぽの平成二十一年度収支見込みは約六千億円の経常赤字、準備金は約四千五百億円の不足というふうに伺っております。こうした財政状況を見ますと、今こそ附則の取り決めを適用して、国庫補助を現行一三%から本則である一六・四%から二〇%に国の責任で戻すべきというふうに考えております。

 国の財政が非常に厳しい状態であるということは私どもも十分認識しておりますが、それでも、本来国の責任で賄うべき国庫補助の増額部分の一部を健保組合や共済組合がかわって負担するということに対して、私どもは納得がいかないということを申し上げたいと思います。

 二点目は、この負担肩がわりを後期高齢者支援金の負担方法を変えることによって賄おうとしている点でございます。

 御高承のとおり、昨年十一月に高齢者医療制度改革会議が発足し、本年八月の中間まとめに向けて、現在、議論が進められております。高齢者の医療費をどのように負担するかということに関しましては、この高齢者医療制度改革会議の最重要課題の一つでございます。こうした検討の最中に現行の後期高齢者支援金の算定方法を変更するということは、私どもとしては得心できないということでございます。

 三点目は、健保組合の財政が悪化し、これ以上の負担増には耐えられないということでございます。

 お手元に資料を配付させていただきましたが、平成二十年度の医療制度改革法施行以来、健保組合の財政は悪化しておりまして、二十年度決算で約三千億円の経常赤字、二十一年度予算では約六千百五十億円の赤字、また先週発表いたしました早期集計では、二十二年度の予算は約六千六百億円の赤字となっておりまして、高齢化の進展に伴って、健保組合の財政は悪化の一途をたどっております。

 財政悪化の主因は、高齢者医療制度に対する支援金、納付金が平成二十年度以降、約四千億円も負担増になったことに加え、昨今の経済低迷による標準報酬、賞与の減額によって保険料収入が大きく減少したことが主因でございます。こうした財政状況の厳しさは、今後、中期的にも続くというふうに考えておりまして、したがいまして、これ以上の負担増には耐えられないということでございます。

 私どもが訴えたい点は今まで申し上げた三点でございますが、この機会に、我が国の医療保険制度に対する私どもの基本的な考え方を御説明させていただくとともに、要望を二点申し上げたいと思います。

 我が国の医療保険制度、国民皆保険制度は、世界に誇れるすばらしい制度であると認識しております。こうしたすばらしい制度をつくり上げた先輩方に深く敬意を表すると同時に、この制度を次の世代にも残していく責任が我々にはあると強く覚悟しております。

 その際に最も重要な課題は、現在約三十四兆円の国民医療費のうち、その半分を占める高齢者の医療費をどのように負担していくかであろうというふうに考えております。私どもは、高齢者の医療費は国民全体で支えるべきという考えに賛同しておりますし、したがって、いわゆる若年層、現役世代も高齢者医療を支えるために応分の負担をしていくべきという考えに立っております。

 ただし、その場合、負担の公平性や負担する側の納得性が必要なわけであります。私ども健保組合も、加入者や事業主に対し何度も説明をし、理解を求める活動を続けてまいりました。それなりの納得も今までは得てきたというふうに考えております。

 しかしながら、現在、健保組合の保険料収入に占める高齢者医療制度への支援金、納付金の割合は既に平均で四三%を超えておりまして、保険料収入に占める割合が五〇%以上の健保組合が全体の三分の一に達する状況でございます。高齢化の進展とともに、さらにこの率は増加するというふうに思われております。この現状が続けば、加入者、若年層、事業主の納得の限界を超えてしまう危険性があると感じている次第でございます。

 千四百六十二の健保組合のうち約九割の健保組合が経常赤字という状態、また協会けんぽも非常に厳しい財政状況が続いておりますが、こうした被用者保険の財政不安がさらに拡大すれば、我が国の皆保険制度の持続性そのものに悪影響を及ぼすのではないかと危惧する次第でございます。

 現在、高齢者医療制度改革会議で議論が進められておりますが、世代間の負担の公平性の観点から、働く世代の負担が過重とならないよう、新しい制度において公費投入の拡大をぜひともお願いしたいというふうに思います。また、改革が実現するまでの間、高齢者医療制度への支援金、納付金の負担増をしのぐため、被用者保険全体に対する財政支援をぜひともお願いしたいと思います。

 二点目は、我が国の社会保障全体のグランドデザインがぜひとも必要なのではないかという点でございます。

 医療保険制度の問題点の一部は今までるる申し上げましたが、もちろん、それ以上の大きな課題もたくさんございます。さらに、年金制度、介護保険制度等、我が国の社会保障制度全体を見渡した社会保障制度のグランドデザインを今こそ描くべき時期ではないかというふうに考えております。

 厚生労働委員会の先生方におかれましても、ぜひともこの点を御検討いただくようお願い申し上げます。

 私ども健保連、健保組合は、今後も、世界に冠たる国民皆保険制度をよりよいものにしていくため、全力を傾注する所存でございます。先生方には、引き続き御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 御清聴大変ありがとうございました。(拍手)

藤村委員長 白川参考人、ありがとうございました。

 次に、小林参考人にお願いいたします。

小林参考人 全国健康保険協会理事長の小林でございます。

 まず、私ども協会けんぽの財政再建のための特例措置に関する法案について御審議いただいておりますことに対し、御礼申し上げます。

 また、本日こういう機会をいただいたことに対しまして、重ねて御礼申し上げたいと存じます。

 早速ですが、お手元の資料に即して、全国健康保険協会の概況について、財政状況を中心に御説明申し上げます。

 まず、一ページ目をごらんいただきたいと存じます。

 一昨年十月、全国健康保険協会は、中小企業の従業員を中心として、健康保険組合に入っていない百六十万事業所の三千五百万人の被用者、御家族が加入する健康保険事業を国から引き継いで設立されました。当協会は非公務員型の法人であり、私も含めて、四十七都道府県支部長はすべて民間出身であります。そして、民間組織としてサービスの向上や業務の効率化を進めております。

 協会には、事業主代表、加入者代表、有識者から構成されております運営委員会が設置されており、保険料、予算、事業計画などが審議されております。また、地域の実情に応じて運営していくため、四十七都道府県支部にそれぞれ評議会が設置され、支部の運営に関する事項が審議されております。

 二ページ目をごらんください。

 協会には全国百六十万の事業所が加入していると申し上げましたが、事業所数の半分以上が従業員五人未満、四分の三以上が従業員十人未満であり、中小零細の事業所が大多数を占めております。

 三ページをごらんいただきたいと思います。

 これは被用者保険の各制度を比較した表でございますが、表の下から二段目をごらんいただきたいと存じます。被保険者一人当たり標準報酬総額、すなわち平均年収で見ると、協会けんぽ三百八十五万円、健保組合五百五十四万円、共済組合六百八十一万円となっており、大きな格差があります。このように、当協会は他の被用者保険に比べて財政力が脆弱な保険者であることを御理解いただきたいと存じます。

 次に、四ページをごらんください。

 協会けんぽと健保組合の平均年収の推移ですが、この平均年収の格差は拡大する傾向にあります。平成十四年から十五年にかけて点線になっております。これは、保険料の基礎となる報酬の範囲として、新たに賞与、ボーナスも含めたこととされたわけですが、賞与は大企業と中小企業の間で大きな開きがあることから、これを反映して報酬格差が拡大しております。

 本法案の中で、後期高齢者支援金の負担方法として、総報酬割が一部導入されることが盛り込まれておりますが、ごらんのとおり、協会のような財政力の弱い保険者にとっては、財政力に応じた負担という点で、より公平な負担方法につながると考えております。

 五ページをごらんください。

 これは協会けんぽの加入者の報酬月額の水準の年次推移の表であります。これを見ると、加入者の報酬水準の下落が明らかであります。

 次に、六ページをごらんください。

 さて、今年度の保険料率についてであります。急激な財政悪化を受け、二十二年度予算編成において、平成四年以降引き下げられていた国庫補助率を法律本則上の補助率に戻していただき、保険料率の上昇幅を圧縮していただくよう、協会として関係方面に要請してまいりました。

 そして、法案に盛り込まれている三年間の特例措置を取りまとめていただき、これにより、保険料率の上昇幅が〇・六%程度抑制されることとなります。すなわち、全国平均で八・二%だった保険料率は、特例措置がなければ全国平均で九・九%まで上昇してしまいますが、九・三四%に抑えられることになります。このような特例措置を盛り込んだ本法案については、ぜひ今国会で成立を図っていただくようお願い申し上げます。

 なお、保険料率改定に当たっては、事前に協会において都道府県支部から意見を聞くこととされておりますが、幾つかの支部からは、料率の引き上げ幅をさらに縮小すべき、料率について再度考え直すようお願いしたいとの意見もありましたが、大半がやむを得ないという意見でした。これらを踏まえ、運営委員会で了承いただいております。

 次に、七ページをごらんいただきたいと存じます。

 ここには、これまでの保険料率と国庫補助率の推移を参考までにお示ししております。

 引き続いて、八ページをごらんください。

 昨年の九月以降、都道府県ごとに地域の医療費水準を反映した保険料率が導入されており、今般の改定により、今年度の保険料率は全国平均で九・三四%となり、最高は北海道の九・四二%、最低は長野の九・二六%となっております。

 次に、九ページをごらんください。

 この都道府県単位保険料率の設定に当たっては、都道府県間の保険料率の差が急激に大きくならないよう、都道府県ごとの医療費水準を反映した保険料率と全国平均の保険料率の差について、これを十分の一・五に圧縮する、いわゆる激変緩和措置が講じられております。

 この措置については、支部評議会や運営委員会から、保険料率が高い支部の保険料率がさらに上がることは避けるよう配慮すべきとの意見や、激変緩和期間は延長してほしいとの意見をいただき、協会として政府に要請したところ、これらの点についても法案などに盛り込んでいただきました。

 次に、十ページをごらんいただきたいと存じます。

 今回の保険料率の引き上げの背景について御説明させていただきます。

 これは、平成十五年の医療費、保険料収入をそれぞれ一とした場合の指数をグラフにしたものであります。近年、高齢化等の影響で医療費が年々ふえる一方、保険料収入は横ばいないし下落傾向にあることがわかります。

 次に、十一ページをごらんください。

 これは、単年度収支差と準備金残高の推移をグラフにしたものであります。準備金については、十八年度に五千億ありましたが、十九年度からは単年度収支差がマイナスとなり、準備金を取り崩しながら運営し、二十一年度は、一昨年秋のリーマン・ショック以降の経済不況の影響を受け、単年度収支差はマイナス六千億、準備金残高はマイナス四千五百億となり、借り入れをしながら運営している状況となっております。

 次に、十二ページをごらんください。

 十八年度以降の被保険者一人当たりの報酬月額の推移を示すグラフです。ごらんのとおり、十八年度から二十年度のグラフの形と二十一年度のグラフの形は異なっております。二十年度までのパターンは、九月には四月以降の昇給等の状況を反映して一定程度上昇し、その後、年度後半にかけ下がっていくというパターンでありました。

 しかしながら、二十一年度については、前年のリーマン・ショックの影響を大きく受け、これまでのパターンと異なり、一度も上昇せずに下降が続いておりまして、依然として厳しい状況で推移しております。

 次に、十三ページをごらんいただきたいと存じます。

 医療費支出について申し上げます。

 これは、インフルエンザの報告数の推移について平成十一年度以降の各月の報告数を見たものであります。例年一月から三月にかけて報告数がふえ、医療費支出にも影響しますが、二十一年度は、秋以降の新型インフルエンザの流行により、医療費支出が膨らんでおります。

 次に、十四ページをごらんいただきたいと存じます。

 今後の平均保険料率の見通しについて若干申し上げたいと思います。

 今般の特例措置を前提として、平成二十三年度、二十四年度の保険料率を試算すると、さらに引き上げが必要となる見通しとなっております。

 中ほどに、参考とありますが、賃金上昇率については、AからDまでの四つの前提条件を置いて、それぞれ、上の段の表で黒く囲ったとおり、二十三年度、二十四年度の保険料率を試算しました。いずれの賃金上昇率のケースでも保険料率は上昇し、二十四年度はケースによっては一〇%を超える試算となっております。

 十五ページ、これは二十一年度の実績見込みと二十二年度の収支見込みについての表であります。二十一年度末の四千五百億もの借り入れを要する見通しとなっておると先ほど申し上げましたが、この借入金は特例措置により三年間で返済することとされております。

 この表の二十一年度の下の方の単年度収支差と準備金残高をごらんください。

 単年度収支差はマイナス六千億円、準備金残高はマイナス四千五百億円となっており、二十二年度の方をごらんいただくと、単年度収支差プラス一千五百億円とし、これを返済に充てることとし、準備金残高はマイナス四千五百億円からマイナス三千億円に減少しております。二十三年度、二十四年度についても同様、単年度収支差をプラス千五百億円として着実に返済し、二十四年度中に赤字を解消していく方針であります。

 なお、表の支出欄のその他に含まれております業務経費等に関して若干御説明申し上げます。

 表の下に、米印のとおり、業務経費と一般管理費について記載しております。業務経費は前年度比八十一億円の増加でありますが、このうち、保険者の義務であります健診、保健指導の増加分が百六億円となっておりまして、それ以外はマイナス二十五億円となっております。

 一般管理費、これは人件費や事務費に当たりますけれども、これにつきましては、前年比十二億円の削減に取り組んでおります。

 いずれにいたしましても、今般の特例措置の実施を前提といたしまして、協会けんぽが担っております被用者保険のセーフティーネットとしての機能をしっかり維持しながら、二十二年度から二十四年度までの三年間の財政再建をなし遂げられるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、十六ページであります。

 協会けんぽの保険者機能の強化について申し上げます。

 協会発足後、運営委員会での御審議もいただきまして、保険者機能強化に向けたアクションプランを作成して、ジェネリック医薬品の促進や保健指導の推進、地域の医療費分析などを進めており、これらについては今後とも強化してまいる所存でございます。

 あわせて、医療費適正化の取り組みはもとより、加入者、お客様の声を踏まえて、業務改革やサービス向上、意識改革をさらに進めてまいりたいと考えております。

 最後に、この法案の早期の成立を改めてお願い申し上げて、私の意見陳述とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

藤村委員長 小林参考人、ありがとうございました。

 次に、芝田参考人にお願いいたします。

芝田参考人 ただいま紹介していただきました、立教大学の芝田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、このような厚生労働委員会に参考人として招聘されましたこと、非常に光栄に思っております。

 さて、私に与えられた仕事は、今回のこの法律案に対する意見を述べてくださいということでしたが、今回の法律案は多岐にわたっております。すべてについて意見を述べるほどの能力はございません。今回は、国保に限って、その問題点あるいは将来的にどういうふうに改革をしていくのかという理念、そういうところに絞ってお話をさせていただきたいと思っております。

 今回の法律の中で、やはり国保の財政基盤が非常に弱いということが述べられております。その改革をしなければいけないということですけれども、そもそもなぜ財政基盤が弱いのか、この点について少し考えてみたいというふうに思っております。

 資料の一ページ目の表一を見ていただきたいんですけれども、国保世帯の平均所得及び保険料あるいは保険税について書いてございますけれども、二〇〇一年から二〇〇七年まで七年間についての世帯の平均所得は二百万円を下回っております。二百万円というのは、いわゆるワーキングプアと言われている年収かと思います。それよりもかなり低いのが国保世帯の実態であるということが言えると思います。そういう中で、負担率については非常に重い。これは後でもう少し説明しますけれども、そういう問題がそもそもあるのではないかというふうに思っております。

 国民健康保険に加入している世帯の構成ですが、これも近年、かなり変化してきているということが言えると思います。やはり無職者が非常にふえてきている。二〇〇七年で五五・四%が無職である。それとともに大きな問題なのは、被用者も四分の一弱含まれているということですね。本来は、被用者は被用者保険に加入することになっているんですが、近年の非正規雇用の労働者の増加の中で、いわゆる被用者保険に入れずに国保に流れてきている。無職層及び被用者を含めますと、約八割が国保の加入の構成割合になってくる。

 この人たちは、当然、無職であれば年金か、あるいはその他の収入があるのかないのか、かなり低い層であるということが言えるのと、あるいはここで出ております二十数%の被用者に関して言いますと、先ほど述べたとおり、非正規労働者が非常に多いですから、収入というものは限られているということになってくるかと思います。

 そういう中で、近年、保険料が非常に上がってきている。二ページを見ていただくとわかるかと思うんですが、私どもが昨年六月に埼玉県下七十市町村に対してアンケートを出し、四十四市町村から国保税あるいは国保料に関して回答が寄せられております。これは、四十歳の夫婦二名で、資産が全くなく、未成年の子供が二名いるという標準的な四人世帯というのを勘案して保険料を算定していただいております。二百万円ですから、先ほど申し上げましたように、ワーキングプアと言われているような世帯の収入と同等です。この場合、例えばさいたま市であれば三十二万八千二百円、年収の一六・四%。埼玉県下で最も保険料が高かったのは越谷市で、三十四万六千五百円、一七・三%でした。約一五%から一五%を超える市町村は七市町村ございましたけれども、これは異常なことだということが言えると思います。

 年収が二百万円で二十万円を超えるような保険料、あるいは三十万円を超えるような越谷やさいたま、これはどれぐらいの可処分所得が残るのであろうかというのを考えますと、例えば越谷を考えた場合、保険料が二割近いというような状況ですが、これに加えて、国民年金保険料、所得税、住民税等の固定的費用が必要になってきます。こういうものを引きますと、四人世帯で可処分所得が百万円ということになります。百万円で果たして暮らしていけるのか、こういう大きな問題がある。つまり、国民健康保険料というのは生活を圧迫させるほど非常に高くなってきている、これが大きな問題ではないのかというふうに思っております。

 そういう中で、未納、滞納というのが非常にふえてきておりますので、赤字の保険者もふえてきております。表三のところでは赤字の保険者が書かれておりますけれども、二〇〇七年度で七一・一%の保険者が赤字となっております。これはひとえに、保険料が高いという問題、それが収納率を下げているということに起因するのではないのか。

 また、なぜ保険料が高いのかというのは、これは当然のことですけれども、被用者保険については事業主負担がありますけれども、国民健康保険に関しては事業主負担がございません。ですから、実質的に被用者保険の倍の率の保険料を支払っていることになります。これは三ページの表四に書いてあるとおりですけれども、二〇〇六年、国民健康保険が平均八・六七%、協会けんぽが八・二%、健康保険組合が七・三二%ですけれども、この保険料に関しては、協会けんぽと健康保険組合に関しては事業主負担がありますので、半分というふうに勘案いたしますと、国民健康保険は保険料率で言いますと倍だということ。これはとてつもなく高い数値だということが言えると思います。

 今回の法律案においては、財政的な支援措置が必要だということが書かれておりますけれども、本来、国民健康保険というのは国が法律をもって制定した制度であるということを考えますと、国庫負担をふやしていかなければいけないのではないのか。暫定的な財政支援だけでは国保の問題点を解決するのはかなり厳しいというふうに私は考えております。

 この間、一九七〇年代以降、国民健康保険に対する国庫補助は減らされてきております。一九七九年においては六四・二%という最高率を記録しておりますが、一九八四年に国保法が改正されて、国庫負担率は四五%から三八・五%まで引き下げられております。二〇〇七年度においては、市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合は二五%にまで落ちております。

 よく、国保は、医療費の半分は公費なんだというふうに言われますけれども、これは国民も非常に混乱が起こっているところなんですけれども、医療費の給付費の五〇%が現在国庫補助です。これは、以前は医療費の四五%でした。医療費というのは、患者の自己負担を含む治療にかかった費用の全体を指しますけれども、現在使われている医療給付費という概念は、治療にかかった費用のうち、保険から給付される部分のみです。ですから、医療費の五割というふうには言っておりますけれども、実際はかなり低いんだということが言えると思います。

 今回の法律案の中で、国保の広域化が必要だということが言われておりますけれども、それは医療費の適正化という名目で行われる。医療費をいかに削るかという中で行われるということは、いわゆる公的責任の縮小につながるのではないのかという危惧を私は持っております。医療費を削減するということではなく、医療というのは、特に国民健康保険は、地域住民の健康保持が本旨であるというふうに考えます。そういう目的で改革を進めていただければいいというふうに思います。

 国の責任で医療保険の一元化は必要だというふうに私も考えております。ただ、広域化というのは非常に大きな問題があるのではないのかというふうに思います。

 広域化することによって、保険料が高くなる可能性があります。これは、県内で統一ということであれば、その中で一番高い保険料に合わす可能性が非常に高いのではないのかというふうに考えられます。また、広域連合にすることによって、市町村の一般会計からの繰り入れがなくなりますので、当然、保険料は高くなっていく。これは介護保険が前例であるということが言えると思います。

 もう一つ、国保の広域連合の運営は、責任主体が不明確になるというふうに考えられます。国なのか、都道府県なのか、市町村なのか。結局、だれもがその責任を負えない制度になってしまう。将来的には民営化されるおそれもあるのではないのかというふうに私は危惧をしております。

 今回の法律案の中でとりたてて注目したいのは、無保険状態の子供の救済であるというふうに考えられます。

 十八歳未満の子供に関して短期保険証を無条件に配付、交付する、これは非常に重要なことです。この部分に関して、速やかに成立させ実施すべきだというふうに思います。他の改正とは分離し、速やかに行うように考えるべきではないのかというふうに思っております。

 ただ、資格証明書世帯における子供さんたちに短期証が交付されるということだけですべてが解決されるというふうには私は思っておりません。

 学生とともに東武東上線の沿線上の各駅において、三割の自己負担が重くないのかというアンケートをいたしましたけれども、六三%もの人たちが三割の自己負担が重いというふうに回答しております。これは五ページに書いてございます。そもそも自己負担が非常に重く、これによって病院にかかれない人も出ているのではないのかというふうに私は思います。

 国立社会保障・人口問題研究所の調査においても、健康でなかったが病院に行くことができなかった、こういう人がいるということが報告されておりますし、また、全日本民主医療機関連合会の二〇〇九年の国民健康保険などの死亡事例の報告の中でも、正規の保険証を持っていた十人の方が、病院に行ったが手おくれで亡くなっている、そういう報告もございます。

 こういうことを考えますと、一部負担が重いことが病院にかかれない一つの要因だというふうに考えられます。速やかに、三割の自己負担を一九八四年の健保法の改正時の原則二割負担まで戻していく、そういうことの英断をしていただくべきかというふうに思います。

 また、全国の自治体において子供医療制度ができ上がっております。千八百自治体において昨年度実施されておりますが、これを国の制度とすべきだと思います。子供の健康を守るのは、親であったり一自治体の責任ではなく、国家の責任だというふうに考えております。子供は、未来の日本、世界を築いていく宝であるということ、健全に子供を育成していくのはまさに国家の財政的な責任だというふうに私は考えております。こういうものもぜひ急いで検討していただけたらありがたいというふうに思います。

 それと、もう一点つけ加えますが、最後のページに書いてありますが、埼玉県下の四十四市町村から国保のしおりが送られてきました。そのすべてを検討させていただきましたが、そのパンフレットの中に、国保は相互扶助あるいは助け合いだというふうに書かれております。これは、一九三八年に制定された法律では相互扶助と書かれておりますが、一九五八年に制定された現行国保法においては社会保障というふうに書いてあります。お金を払わないと国保の給付にはあずかれないというのは非常におかしなことだと思います。お金を払った払わないにかかわらず、生存権を守るのは国家の責任だというふうに考えております。

 そういう意味では、無保険状態にある人、保険料を払えない人たちを速やかに救済していく施策を講じていただきたいというふうに思っております。

 以上です。(拍手)

藤村委員長 芝田参考人、ありがとうございました。

 次に、山崎参考人にお願いいたします。

山崎参考人 御紹介いただきました神奈川県立保健福祉大学の山崎でございます。本日は、お招きいただきましてありがとうございます。

 今国会に提案され、現在審議中の国民健康保険法等の一部を改正する法律案そのものにつきましては、私は基本的に賛成という立場であります。特に、国保の広域化に対する都道府県の権限と責任の強化を図ることや、当面の暫定措置とはいえ、被用者保険グループの後期高齢者支援金について応能負担の要素を組み込んでいることにつきましては、将来の改善に向けての足がかりにもなるものであり、特に高く評価しております。

 さて、現在の国民の関心事であり、政治的にも大きな争点になっていますのは、今回の改正そのものよりも、今後の高齢者医療制度を中心にした医療保険制度のあり方であります。本日は、このことにつき私見を述べさせていただきます。

 まず現状認識でありますけれども、高齢者医療制度につきましては、現在、厚生労働大臣のもとに改革会議が設置され、検討が進んでいます。政府・与党の方針では、改革会議での検討を踏まえ、来春の通常国会に法案を提出し、平成二十五年には新しい高齢者医療制度を創設することとされております。

 検討会議の開催に当たりましては、連立政権合意及び民主党マニフェストを踏まえたいわゆる長妻六原則が示されております。率直に申し上げて、来春までの短期間に長妻六原則に沿って幅広い合意を得ることは至難のわざだというふうに見ております。

 世論について見ますと、施行時の事務的な混乱がおさまり、さらに、その後の高齢被保険者の負担軽減措置の導入、そして診療報酬の見直しなどにより、今では、後期高齢者医療制度を直ちに廃止すべきという声は少数にとどまっているように思います。

 例えば昨年十一月の読売新聞調査では、今の制度を廃止し、新しい制度をつくるという意見を支持するものが三二%、一方、今の制度をさらに手直しして続けるが四七%、今の制度のままでよいが一六%になっています。

 一方、関係団体や専門家の主張、意見につきましては、平成十八年改正前と同様に百家争鳴であります。相変わらず、高齢者独立型、突き抜け型、リスク構造調整、一元化などの提案があり、収拾の兆しは見えません。早急に関係団体の合意を得ようとすれば、決定的な条件になるのが、公費負担の大幅な増額による保険料負担増の抑制ということになると思われます。しかし、それは増税を伴うものであって、政権与党にとっては最も厳しい、その意味では実現可能性の乏しい条件になるはずであります。

 平成十八年改正当時も今も共通する課題は、関係団体の間の利害調整と税財源を含む安定財源の確保であります。

 現行制度は、税財源を今後急増する後期高齢者に重点的に配分しつつ、関係団体の間での利害調整を図ったものであります。十年に及ぶ議論を経て関係者が互いに譲歩し歩み寄ったということに、現在の制度の最大の価値があるように私は思います。しかも、今では高齢者の間でもかなり受け入れられており、廃止を急ぐほどの決定的な欠陥があるとは私には思えないわけでございます。

 また、現行制度に対する評価に関しては、高齢者医療の制度的な枠組みと診療報酬の問題は区別すべきだというふうに考えております。

 後期高齢者医療制度につきましては、日本医師会の内部からも反対の声が高まっていました。しかし、創設の経緯からしますと、七十五歳以上を独立させ、そこに公費を重点配分すべきだと主張したのは日本医師会であります。日本医師会こそ、後期高齢者医療制度の最大の推進勢力でありました。その医師会の現在の一番の不満は、過度な医療費抑制政策であり、それが高齢者医療制度の創設によりさらに強化されようとしていたことに対する反発であったというふうに私は見ております。

 その意味では、政権がかわり、今回の診療報酬改定に見られますように、政策が転換されようとしているわけで、問題は大きく解消する兆しが見えてきたというふうに私は見ております。

 改めて高齢者医療制度のあり方を検討するときの視点のようなものについて、幾つか申し上げてみたいと思います。

 第一点は、年齢による区分そのものは、差別することでも、うば捨て山をつくることでもなく、後期高齢者医療制度を廃止する決定的な理由にはならないというふうに思っております。

 端的な例は、介護保険制度であります。同じ障害者でありながら、六十五歳を境に介護保険法と障害者自立支援法というように原理を異にする制度に分断されているわけでありますが、そうかといって、介護保険制度がうば捨て山だとはだれも言いません。まさに世代間で支え合う社会連帯のシステムの象徴として介護保険制度は存在するわけであります。

 実は、後期高齢者医療制度は、その介護保険制度と極めて類似したものであります。あえて言えば、介護保険制度をモデルとして制度の枠組みが設計されたとも言えるわけであります。高齢者と現役世代とを区分した高齢者独立型の制度であること。高齢者の一人一人を被保険者として適用し、応分の保険料負担を求めていること。財源は公費と保険料が二分の一ずつであること。今では後期高齢者医療の方は見直しがされましたが、当初の制度では、保険料の徴収も原則として年金からの天引きでありました。そして、ともに地域を基盤にした地域保険であるという共通点もあります。違いは、六十五歳と七十五歳という年齢区分の違い、そして市町村と広域連合という保険者の単位の違いでありますが、しかし、本質的な違いではないように思います。

 それにもかかわらず、介護保険制度の基本的枠組みについては超党派の合意があり、これを廃止せよという声は、少なくとも政治的な勢力としては聞かれないわけであります。

 決定的な違いは、介護保険制度が国民的な広がりを持った市民運動の盛り上がりの中で生まれたものであること、政治家や国、地方自治体の行政官が市民の中に入り、市民と対話をし、市民の声に耳を傾ける中で、地域に根差した市民参加型の制度の創設に結びつけたことにあるわけであります。

 一方、高齢者医療は、今日まで、市民不在、特に当事者である高齢者不在の中で、専ら利害関係者の間での議論に終始してきたという問題があります。高齢者医療制度のあり方の検討に当たっては、何よりも、当事者である高齢者や地域の医療や福祉の担い手、さらに地方自治体の声に耳を傾け、地域にしっかり根を張った制度として再構築していただきたいというふうに思います。

 第二は、国保制度の保険者は、将来ともに市町村に基本を置くべきだということであります。

 有力な提案として、国保を都道府県単位化し、これに後期高齢者医療を統合する舛添前厚生労働大臣私案がありますが、これには問題が多いように思います。

 お手元の一枚目の資料にありますように、一般的に、医療費の水準は、町村の方が低く、都市部の方が高くなっております。収納率も、町村が高く、都市部が低いわけであります。その結果、大都市部では、やむなく一般会計からの繰り入れによって収支の均衡を図っています。総務費の割合も保険者規模による顕著な差は見られず、大都市であれば効率的な運営が期待できるという規模の経済も働いていません。

 このように、国保の問題は、むしろ大都市の方が深刻な問題を抱えているわけであります。逆に、低所得者や高齢者が多いという構造的な問題についてきちんと支援をすれば、むしろ町村国保の方が健全運営が可能になる状況があるわけでございます。都道府県単位になれば、医療費が高く、収納率が低い都市部と、医療費が低く、収納率が高い町村部の財政が共同化されることになり、効率性が低下し、受益との関係で見れば、むしろ不公平が拡大することになります。

 第三点は、医療と介護を連続的、一体的にとらえるべきだということであります。

 介護は市町村単位、医療は都道府県単位で考えるべきだという声が高まっていますが、少なくとも高齢者のプライマリーケアは、介護と同様に、地域に密着したサービスだというふうに思っております。介護よりも広域的な要素があるにしても、せいぜい第二次医療圏単位で大半の医療は完結するわけであります。その意味でも、高齢者医療を担う保険者は市町村に基本を置くべきだと思います。都道府県に期待されるのは、今回の改正法案にもありますように、後方からの市町村に対する支援の強化であります。

 医療の保険者を都道府県単位とすることの問題は、医療保険と介護保険が互いに背を向け合い、排除し合う関係になることであります。例えば、介護保険の保険者である市町村にとっては、高齢者を病院にとどめておけば介護保険の財政負担が軽減されることになり、高齢者を住みなれた地域に戻すインセンティブが低下するということになります。医療保険者である都道府県にとっては、その逆ということになります。実は、このことは、現在、都道府県単位の保険者になっている後期高齢者医療と介護保険との間に既にある問題であります。

 第四に、年齢区分をなくすという方向を目指すとすれば、連合が主張しており、かつて民主党も主張した、いわゆる突き抜け方式になります。しかし、この方式は、同時に被用者保険グループがリスク構造調整を受け入れるのでなければ、単なるエゴで、社会連帯に反するということになります。

 その際、被用者保険の拠出金負担につきましては、応能負担の仕組みに切りかえる必要があります。健保連は、高齢者医療、特に前期高齢者医療に対する拠出金の増加による組合の財政圧迫を問題にしております。その典型が西濃運輸等の一部の組合の解散であります。

 しかし、問題は、健康保険組合の間で著しい格差があるということであります。保険料収入に対する高齢者医療拠出金の割合が六〇%以上になる組合がある一方で、二〇%に満たない、いわば左うちわの組合もあるわけであります。その主な原因は、拠出金が、組合の財政力を一切考慮しない、収入のない扶養家族も含めて、加入者一人当たり、頭割りで負担するという仕組みになっているからであります。

 ちなみに、資料にありますように、平成十八年度では、扶養家族も含む加入者一人当たりの総報酬額に、最高五百二十七万円から最低百六十九万円の幅、倍率にして三・一倍の格差があります。他の条件が等しければ、拠出金の負担割合に三・一倍の格差が生じることになります。極めて逆進的な拠出金の負担であります。

 今回の改正法案において、部分的ではありますけれども、後期高齢者医療に対する支援金に応能負担の要素を組み込むこととしているのは、その意味で賛成であります。

 本日、特に申し上げたいことは以上であります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

藤村委員長 山崎参考人、ありがとうございました。

 次に、相野谷安孝参考人にお願い申し上げます。

相野谷参考人 中央社会保障推進協議会で事務局長をしております相野谷と申します。

 本日は、厚生労働委員会の貴重な審議時間に意見を陳述させていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 さて、後期高齢者医療制度が導入されて、この四月一日で丸二年となりました。人間の尊厳を踏みにじる制度への怒りが、政権交代への原動力の一つだったと私は思っております。現政権は、それを受けて、後期高齢者医療制度を撤廃することを表明いたしました。

 しかし、次の制度設計まで三年もかかり、それまで現制度が存続することについては、即時廃止を願ってきた高齢者にとっては納得のできるものではありません。私の母親も七十九歳になりますが、そんなに待てないよと申しておりました。同制度が即時廃止されますよう、ぜひ議員の皆様の御尽力をお願いしたいというふうに思っております。

 また、地域医療の崩壊の危機が叫ばれる中で、現政権は、医療費のOECD加盟諸国平均並みへの引き上げあるいは国民健康保険への国庫負担の増額などをマニフェストに掲げておりましたが、その引き上げの中核をなす、四月一日の診療報酬の改定は極めて不十分なものでありました。国保への国庫負担の増額もわずかなものであったと思います。

 後期高齢者医療制度が、人間の尊厳を踏みにじる、高齢者の尊厳を踏みにじるということになったのは、この後期高齢者医療制度の目的が医療費の適正化とされ、適正化という名の医療費抑制が最大の目的とされているからだと思っております。

 七十五歳を迎えた人に、長生きをしてください、安心して医療を受けてくださいとするのではなく、高齢者は医療費がかかる、だからその負担を痛みとして知ってもらう、我慢してください、こういうことを押しつけたのが制度の本質ではないでしょうか。

 審議されています改正案の提出の背景と経緯の中では、高齢者に対する周知が行き渡らなかったこと等により、制度発足時において大きな混乱が生じたなどとされておりますけれども、制度実施からわずか二カ月後に参議院において廃止法案が可決されたのは、この制度の本質に対する高齢者自身の怒りを背景とするものであり、周知徹底の不足が原因ではないというふうに思っています。

 日本の医療制度政策は、一九八〇年代初頭の医療費亡国論の提唱以来、臨調行革あるいは構造改革などの路線のもとで、この三十年近くにわたって、医療費抑制ということが最大唯一のテーマで検討されてきたと思っております。

 しかも、この抑制は、国の負担と企業主負担の抑制、削減に主眼が置かれており、抑制のために保険料と窓口負担を引き上げる、国民、患者に痛みを押しつけ、受診を抑制する方法によって抑制が進められてきた。その結果、後で少し詳しく述べさせていただきたいと思いますが、医療が受けられずに手おくれで亡くなられる、こういう方がふえています。あってはならない悲劇が数多く生み出されております。医療費の負担を心配し、暮らしの経費に腐心し、療養どころではないという現状が広がっています。

 こうした抑制路線をぜひ転換していただく、それが、命を守るということを第一義に置く現政権が掲げた公約を実現していただく方向だろうと思っています。

 残念ながら、今般審議されているこの改正案は、構造改革、医療費抑制の総仕上げとして行われた二〇〇六年、平成十八年の、後期高齢者医療制度の創設を含む、医療費適正化計画なども含めた医療制度改革を肯定、継続しております。この改革によって生じた保険財政の赤字を、またもや国民、加入者への痛み分けで繕おうとしていると思われてなりません。

 高校生世代までの無保険の解消など、一部に評価できる部分もありますが、以上のことから、私は本改正案には反対を表明いたします。抜本的に医療費抑制の政策を転換する、そういう立場からの審議をぜひお願いしたいと思っております。

 この十年間、診療報酬は四回にわたるマイナス改定で、削減された医療費総額は十三兆一千億円に上ります。これが医療供給体制の崩壊の原因であることは間違いありません。同時に、医療費総額は削減されているのに、国民健康保険を中心とする保険料は上がり続けました。二〇〇三年からは、健康保険本人の窓口の一部負担金が三割に引き上げられ、高い保険料と窓口負担が国民、患者を苦しめております。

 先ほど芝田参考人も触れられましたが、お手元の資料に、全日本民主医療機関連合会がこの三月十一日に発表した、二〇〇九年国民健康保険など死亡事例調査報告を掲載させていただきました。ぜひお読みいただければと思います。

 この調査は、保険証がなかったり、保険証があってもお金がなくて病院に行くことができず受診がおくれ、死亡してしまったという人についての調査であります。昨年一年間に民医連の病院や診療所がかかわった人だけで、四十七名の方が亡くなられております。問題なのは、そのうち二十七名が一切の保険証を持っていない無保険の人でありました。

 国民皆保険制度を誇るこの国で、一切の保険証を持たない無保険者が急増しております。医療保険制度の安定的運営とは、だれのため、何のための安定なのか、このことが今問われているのではないかと思われます。

 この二十七名の無保険の方の職業欄では、無職、非正規雇用の文字が目立っております。

 トヨタの期間工だった四十七歳の男性は、派遣切りのあらしが吹き荒れた二〇〇八年末に失業。その後、自覚症状がありながらも、所持金に余裕がなく、国保に加入しないまま、がんで亡くなっています。

 四十歳でやはり非正規雇用の男性は、社会保険に未加入、受診したときには既に呼吸不全状態、四日後に肺結核で死亡されています。

 また、五十一歳の非正規雇用の女性も、社会保険加入を拒否され、救急搬送されるものの、二週間足らずで死亡、肺がんでありました。

 特にがんが目立つのですが、がんは、早期に発見できれば、普通、数年来の治療期間があるはずです。この報告事例の特徴は、一定年数の治療期間がある方がわずかに二例、圧倒的多数、二十二例に及びますが、初診から数カ月、短い人ではわずか三日後に亡くなられております。受診までの間、どれほど痛みや苦しみ、恐怖が彼らを襲い、死を迎えることになったのか、想像を絶するものであります。

 医療への受診を遮断するこうした無保険は一刻も放置できない問題であり、命が救われる安定化のために、ぜひとも無保険者の実態や実数について調査し、緊急の改善策を実施していただきたいと考えております。

 また、この四十七名のうち十名の方は、短期保険証や資格証明書が交付されていた方でした。資格証明書も事実上の無保険です。保険料を払えない人が、治療費の全額を用立てられるわけはありません。こうした国民健康保険における機械的な制裁措置の実施もぜひストップをさせていただきたい、やめていただきたいと思っております。

 さらに、残りの十名の方は、正規の保険証を持っておられました。正規の保険証がありながらも、経済的な理由によって受診がおくれたと考えられる人であります。

 正規の保険証を持っていても治療が受けられずに亡くなられた方、この中には、六十五歳のおそば屋さんを営む男性がありますが、国保の保険証を持っていました。自覚症状があったものの受診せず、やっと入院したときには手おくれで、二週間後に亡くなっています。

 高い保険料を払い続けていたのに、いざ病気になっても受診できない。国保には、健康保険制度にはある傷病手当の制度がありません。病気で休業するための保障がない制度であります。ぜひとも、こうした視点での改善をお願いしたいと思います。

 この間、医療費抑制の政策のもとで重ねられた医療制度の改定で、医療保険制度は、健康保険本人負担が一割から三割になり、入院給食への自己負担の導入、高額療養費限度額の引き上げ、これらの結果、今、住民税課税世帯の方が一カ月入院をされますと、差額ベッド代なしでもおよそ十万円が必要という状況になっています。こうした負担の高騰が、医療費が払えない、病院にかかれない、そういう状況に拍車をかけているものと思います。

 ぜひ、これら四十七名の方の死を無駄にしないでいただきたい。四十七名の方を死にまで追い詰めた医療費抑制策の転換を強く求めるものであります。

 次に、同様の理由から、改正案にある、医療費の抑制を目的とする国保の広域化に反対をいたします。

 この委員会の四月七日の同法案の審議の中で、長妻厚生労働大臣は、保険者機能とは何かということを問われ、こう答えております。「保険者機能は、例えば企業でも地域でも一定の目が届く範囲内、あるいは把握できる範囲内で、そこの例えば予防、保健事業、健康の教育とか、健診の促進とか、何しろ予防に取り組んでいくというようなことで、健康で皆様がお暮らしになるということで、結果として医療の財政も改善をしていく」と述べられています。

 国保の広域化は、まさにこの答弁とも反する、目の届かない範囲に保険者を置くことになるのではないでしょうか。

 国保こそ、目の届く範囲内で運営されることこそが大切な制度だと考えております。既に、現在の市区町村単位でも、この間の合併などで人口規模が拡大し、滞納者へのきめの細かい、あるいは丁寧な対応が困難になっております。その結果が、滞納期間による機械的な制裁措置、資格証明書の発行などに結びついています。そして、先ほど紹介したような手おくれ死亡事例なども発生をしている。こういう点では、今回の国保の広域化を図る本改正案に断固反対を表明させていただきたいと思います。

 最後に、協会けんぽの課題に関しましては、お手元の資料の最後に、私ども中央社保協が二月十二日に発表いたしました「協会けんぽの「三月保険料引き上げ、傷病手当・出産手当の減額案」に抗議する」という声明を添付させていただいております。ぜひ御参照いただければと思います。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

藤村委員長 相野谷参考人、ありがとうございました。

 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 けさは早朝から、参考人の皆様方には、この委員会においでいただきまして、それぞれのお立場で、十五分という短い時間ではございましたけれども、御意見を開陳していただきました。私からも改めて感謝を申し上げたいと思います。

 今、我が国の医療保険制度、持続可能性をめぐっては、実は本当にどの保険分野でもさまざまな課題を抱えているのだという認識を改めてさせていただき、そしてまた、この間、さまざまな痛みもまた顕著になってきているということも、きょうのお話の中から感じ取らせていただきました。

 鳩山総理は命を守るということをおっしゃったわけでして、命を守る、命を支えていく、そういう保険制度の仕組みを提案したいということで、まずは、今回のこの改正はその第一歩だろうというふうに私自身は受けとめているところでございます。

 そこで、まず小林参考人にお話を伺いたいと思います。

 協会けんぽは平成二十年に民営化されました。そして、きょういただきました資料の中にもございますけれども、基本理念としては、民間の利点やノウハウを積極的に取り入れて、そして保険者機能を十分に発揮して、また加入者、事業主の意見に基づく自主自律の運営ということを基本的に持たれているということでございます。きょうのお話の中でも、大変厳しい状況の中で御努力され、運営されている様子も御説明をいただいたわけでございます。

 きょういただいた資料の一枚目にございますけれども、本部には運営委員会が、また都道府県の支部には評議会が持たれていて、それぞれ、事業主、加入者、また学識経験者、三者構成でさまざまな意見を集約するという組織が持たれているということでございました。

 一部お触れでもございましたけれども、今回の特例措置に対する運営委員会からの評価、そしてまた保険料率の引き上げに対する各支部の御意見、もう少し詳しくお聞かせいただければと思います。

小林参考人 小林でございます。

 今の先生からの御質問につきましてですが、まず、運営委員会の評価についてであります。

 運営委員会は何回か開催いたしましたが、保険料率についての議論も随分行ったわけでありますけれども、最終的に、何らかの措置が行われなかった場合に比べて、今般、保険料率の引き上げが一定程度抑えられたということでありまして、そういった意味で一定の評価をいただいたということであります。

 それから支部評議会についてでありますけれども、これも意見陳述の中で触れさせていただきましたけれども、幾つかの支部からは、料率の引き上げについてもっと縮小すべきではないかという御意見、それから、料率については再考を願いたいという意見もございましたけれども、多くの、大半の支部については、これはやむを得ないという意見でございました。

 以上でございます。

郡委員 ありがとうございました。

 もう少し縮小すべきではないかというような御意見もあったということでございましたけれども、大部分は、やむを得ない、そういう地域の支部からの御評価であったということでございました。

 今回、総報酬割につきましては反対という御意見もあったわけですけれども、これは、負担能力に応じた公平な負担の仕組みをつくっていくべきではないかという基本的な考え方があるのだろうというふうに思います。

 現行の加入者割は、財政力が弱い強いにかかわらず、とにかく加入者一人につき四万四千円ということが決まっているわけでございますけれども、今回は、保険料率の換算で、給与の高い比較的裕福である保険者は〇・九%相当であるわけですけれども、低いところが三%、その格差が三倍にも広がってしまって、これがさらに拡大してしまうのではないか、それを縮めていくために、やはりそれなりに御負担をいただきたいということなんだと思います。仮に総報酬割というのが完全実施されますれば、それこそ真に公平な負担ということになるわけでしょうけれども、完全とは言わないまでも、三分の一につきまして総報酬割を導入させていただきたいという提案でございます。

 これによって、三倍の格差がおよそ二倍にまで縮小されることになるわけですけれども、重ねて小林参考人に、こうした総報酬割の導入について、財政力が弱い保険者である協会けんぽの考え方として、さらに詳しくもう少しお話をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

小林参考人 今委員が御指摘のとおり、私ども協会けんぽの加入者の収入は非常に低いということで、そういった意味で、協会けんぽの財政力は非常に脆弱だということであります。

 そういった意味で、今回の総報酬割、三分の一が導入されるということでありますが、一般論として考えた場合、当協会としては、高齢者医療を支える各制度間の負担というのは、各制度の負担能力を反映した公平なものであるということが重要だというふうに考えております。

 したがいまして、高齢者医療を支える制度として考えるのであれば、総報酬制が基本であるというふうに考えております。

 以上でございます。

郡委員 一方で、白川参考人にお尋ねをしたいと思います。

 白川参考人は、基本的にこれは肩がわりであるということをおっしゃられたわけでございます。しかし、この総報酬割の導入によりまして、財政基盤の弱い、三分の一の組合の皆さんたちは実質的に支援金の負担が軽くなるというふうに承知しております。健保連は今回は導入に反対というお立場を表明されたわけですけれども、この支援金負担が軽減される健保組合の声も踏まえたお話であったのかどうか、その辺のところについては余り詳しく述べられておりませんでした。

 負担能力に応じた公平な負担という基本哲学、それとまた、そういった公平に負担していく仕組みの実現に向けましてはどういうお考えでおられるのか、あわせて御紹介をいただきたいと思います。

白川参考人 今の郡先生の御質問でございますが、一つ申し上げておかなきゃいけないのは、私どもは、総報酬割という考え方そのものについて反対をしているわけではございません。

 申し上げたかったのは、平成二十年の四月に医療制度改革の新しい法律ができましたときに、その前から私どもは総報酬制ということは申し上げておったんですが、その段階では、加入者割という考え方で国が決められたということでございまして、それを二年もたたないうちに、しかるべき審議機関も通さずに変えるということについて、私どもは問題であるというふうに申し上げているわけでございます。

 総報酬制につきましては、基本的には賛成というスタンスでございます。ただ、私が意見陳述の中で申し上げましたとおり、それで余りに若年層、現役世代の負担が重くなる危険がございますので、それ相応の公費投入の拡大が必要だということを前提に賛成をしているということでございます。

 それからもう一つ、得をする健保組合もあるのではないかという趣旨の御質問がございましたけれども、数字的に申し上げれば、確かに三分の一の健保組合、千四百六十二ございますけれども、五百強の健保組合は支援金の額が少し減るということになっております。

 ただ、私どもが申し上げたいのは、この件は、個々の健保組合が損をするとか得をするとかいう話ではないということでございます。そういう意味では、法案では、今、健保組合全体では三百三十億円の負担増となっておりますけれども、これが百億ならいいのか、一千億ならいいのか、そういう話ではないということを、しつこいようですが申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

郡委員 ありがとうございます。

 国としても厳しい財政状況の中で真水で支援を行うこともさせていただいているということも御理解いただいた上での御発言なのだろうなというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 一方、第三者の立場で山崎参考人に、総報酬割で負担額が変わる当事者ではなく、客観的な第三者から見てのお立場で、こうした導入についてどういうふうにお考えになるのか、御意見を伺わせていただきたいと思います。

山崎参考人 これは非常に難しい問題だというふうに思っております。

 かつて昭和四十年代、三Kと言われた時代があります。国鉄、健保、米でございますが、そのときの健保は、国保ではなくて政管健保の問題でありました。政管健保は非常に財政赤字を抱えていたわけでございますが、当時、政府・与党が頻繁に提案しましたのは、健康保険組合と政管健保との間の財政調整でございました。

 当時は、政管健保には国庫負担がなかったわけでございます。それが、何度も提案し、廃案になるという状況の中で、昭和四十八年、田中内閣のときでございますが、政管健保に定率の国庫負担を入れて決着したわけです。つまり、それ以来しばらくは、医療保険制度の間の格差を国庫負担によって調整する。国保に一番多く、次に政管、そして組合健保には原則としてなしということであったわけでございます。

 ところが、こういう状況をずっと続けていきますと、高齢化に伴って国保は際限なく苦しくなっていきます。また、民間労働者でも比較的高齢者を抱えるのは政管健保ということになります。いつも健康保険組合は若い労働者を抱え、そして高齢化の影響は一切受けない集団ということになります。

 ということになると、高齢化の影響を受ける国保、そしてやや受ける政管健保に国庫負担を次々とつぎ込むということになります。恐らく、そういうことは許されない状況が昭和五十年代になって発生し、制度間で財源を持ち合うという工夫をしたのが、老健法であり、退職者医療であったんだろうと思います。

 しかし、従来どおりの国庫負担が残っておりますから、こういう問題になりますと、国庫負担で調整すべきだという主張が出てくるのは当然だと思いますが、恐らく、長期の社会保障の発展ということを考えますと、国庫負担というのはめり張りのついたものとし、つまり構造的な要因にきちっと支援する、例えば低所得者部分について支援するとかというのが、だれもが納得する一つの要素でございますが、それ以外の部分につきましては、制度間で支え合うという方向を今後は主とすべきだというふうに思っております。過度な公費に依存する社会保障というのはどうも発展性が乏しいように思います。

 以上でございます。

郡委員 ありがとうございます。

 時間が来てしまいました。山崎参考人には、介護保険を例にとって後期高齢者医療制度についてのお話もちょっと開陳していただきましたけれども、さらにお尋ねしたかったのですが、また別の機会に譲らせていただきたいと思います。

 きょうは、倉田参考人、芝田参考人、相野谷参考人、大変申しわけございませんでしたけれども、御質問できませんでした。きょういただきました御意見をさらにもませていただきまして、より安心できる制度構築のために私どもも力を尽くしてまいりたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

藤村委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、各参考人の皆様に多岐にわたる論点の御指摘をいただきまして、本当にありがとうございます。

 ちょうどアメリカでは、オバマ大統領が国民皆保険に向けて、いろいろな困難がありながらも一歩でも二歩でもそれに道筋をつけよう、そうした段階でありますが、日本においては、昭和三十六年、よく言われるような国民皆保険という制度ができ上がり、きょう来ていただいているいずれの参考人も、それをどうやって守っていくかということに向けての、おのおのの抱えていらっしゃる背景あるいはお考えの開陳であったと思います。

 さて、私ども社民党は、民主党の皆さん、国民新党の皆さんと連立政権を組んで、特にこの社会保障分野においては、医療費等々の相対的な支出はOECDに対して非常に低く抑えられ、国民の最も基本である健康権というものも、今、皆保険制度も揺らいでおりますが、医療提供体制も大変だという中で、何とかここを乗り切って新たな時代の展望を出したいという中でございます。

 先ほど御発言にありましたが、長妻厚生労働大臣が保険者機能というものを評して、それはそこで生きていただく方の健康を予防的にもさまざまに工夫して保持していくためのものだというふうにおっしゃった。それは私どもの政権の総意でありますので、そこで、まずきょうは倉田池田市長にお伺いをいたします。

 先ほどのお話で、後期高齢者医療制度についてのお考えの中で、私は、この制度で最も問題があるとすれば、それは七十五歳以上の方の健康の保持に対しての予防的な、あるいは疾病を抱えたときの、その最も果たすべき保険者機能がだれによって担われるのかが明確でないというか、はっきり言うとなかったんだと思うんですね。市のやられる健診なども七十四歳までとなっておりまして、七十五歳になると広域連合で、一部、いろいろな要求があって組み入れられるようになった健康診断はございますが、では、高齢者のそうした資料、貴重な健診の資料をどう集め、どう活用していくのか、それは当然自治体の、最も身近な自治体の役割ではないかと思うものであります。

 この点において、各市長会の皆さんは、七十五歳以上の方の、あえて言えば、一貫したゼロ歳から百までの地域の住民の健康管理ということと、それが制度間で断ち切られるということの矛盾はどのようにお考えでしょうか。

倉田参考人 後期高齢者医療制度の問題でございます。

 今先生おっしゃるとおり、年齢で一定の線を引いて、そのことによって、それぞれの市町村からいろいろな意味で健康あるいは医療に関する配慮が遠のくのではないか、そういうことを危惧したのは事実でありますし、もう一つは、後期高齢者医療の広域連合というものが保険者として機能するわけですが、非常にファジーである。

 本来、市長会としては、このときにきちっとして、できれば都道府県を中心にやっていただきたいということをお願いしたところでありますが、結果的には都道府県は後ろに下がって、市町村の、表現はおかしいですが、もたれ合いによる広域連合で後期高齢者医療制度というものをお世話させていただく。そこに若干の責任転嫁が起こってこないのだろうか、それぞれの市町村が責任を持って七十五歳以上のお年寄りについてのいわゆる社会保障というものをきちっと機能できるかどうか、この点についてはいささか以上に不安感を持っていることは事実であります。

 であるがゆえに、次の制度が全く見えてきておりません。現在、その制度ではありながら、少なくとも定着をしてきている。この定着をしているのをまずもとに戻すということは私はあり得ないと思っておりますし、これを先に進めようと今計画をしておられるわけでありますけれども、進めるについては、現行制度の問題点を十二分に把握し、国と地方の協議の場等で市長会の意見等も聞いていただいた上で、慎重に次の道を模索いただきたいということをお願いしたところでございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

阿部委員 私は、御高齢者についての最も基本的な健康保険の責任者がはっきりしないまま定着といっても、定着とは言えない、切り捨てたに等しくなってしまうのではないか。その辺は恐らく各市長の皆さんも大変苦慮しておられる。

 あとお二方、実は山崎参考人と芝田参考人には、では、保険者機能は、市町村の方が確かに目が届くし一貫性ができるだろうということで、ここで担うべきである、広域連合といってもファジー過ぎるし、あるいはまた都道府県単位というものについてはどうお考えか。ここは私は、正直言って、非常に悩ましいと思うのです。いろいろな健診事業をやっていただくにも、規模が大きくなればやはり緻密度というものが欠けていき、近いところにおられればこそいろいろなサービスも十分にできる。かといって、今度は財政基盤が大変厳しい。国庫補助というものを入れていく手もあるでしょうが、もう一つ、もし中間に都道府県という単位を置くとすれば、その役割とは何であるのか。この二点について、おのおの、芝田参考人と山崎参考人にお願いいたします。

芝田参考人 阿部議員からの質問にお答えしたいと思います。

 保険者機能をどういうふうに考えるかということですけれども、先ほどからるる幾人かの参考人から出ていることかと思いますけれども、やはり医療というのは、住民の顔が見えるところでその行為が行われなければ、成果というのは上がらないというふうに考えられます。住民がどのような健康状態にあるのかないのか、それは、規模が大きければ大きいほど、正確にそれを測定、はかっていくことは不可能かというふうに思います。そういう意味では、市町村が保険者機能を担っていくというのは、今後も特に国民健康保険等においては必要なことだというふうに考えております。

 また、各市町村の国民健康保険等における財政規模が小さいことで赤字を抱えている問題は非常に大きいかと思うんですけれども、これも、私が先ほどの意見陳述のところで申し上げましたように、ひとえに国庫負担が減らされてきたということがやはり大きい問題、あるいは、払える金額でない大きな額の国民健康保険料を払わされている中でやはり収納率が下がってきてという問題が大きいかと思うんですね。そういう意味では、その問題を解決しながら今後も市町村規模で保険者機能を強化していくというのが大事だろう。

 では、都道府県はどういうふうな機能を担うのか。これはやはり、指導したり、あるいは財政的な支援をするというものに徹しなければいけないのだろうというふうに思います。当然、その機能の分化は必要だと思います。

 広域化に関して、私は、やはり責任体制が不明確になるということで、これは非常に疑問が残るというふうに考えております。

山崎参考人 先生おっしゃったとおり、後期高齢者医療の保険者が都道府県単位の広域連合になったことによって非常に問題が生じていると思っております。まさに高齢者こそ、地域に密着した、介護だけでなくて、医療の体制を整えなければいけないというふうに思っております。

 したがって、私は、率直に申し上げまして、年齢による区分をなくすという民主党の、あるいは連立政権の方針からすれば、もとに一たん戻す、その上で、財政の共同化あるいは事務処理の共同化といったところで、従来以上に都道府県に大きな責任、権限をお願いしたいというふうに思っております。

 基本は、やはり市町村に置くべきだ。市町村が不十分なところを都道府県が全面的に支援する。もちろん、国も責任を持つということだと思います。

阿部委員 では、小林参考人にお伺いをいたします。

 今回、もともと政府管掌保険と呼ばれた、今日は協会けんぽと申しますが、これは、国の医療政策の上で、保険料の設定と同時に、提供する医療の診療報酬も決めながら、もともと根幹的な役割を果たしてきた健康保険であったと思います。それが都道府県単位に分けられることになったのは一つの方向性ではあると思いますが、都道府県格差というものも抱えながら、これが本当にその方向性で進めるのかどうか、今スタート点に立っておるわけです。

 ここでもまた保険者機能ということでお伺いを申し上げますが、いわゆる特定健診というのがあって、メタボ健診等々をやることで、その加入しておられる組合員の健康が増進されて医療費が軽減されるだろうという予測で行われたと思うのですが、これにもやはり、組合健康保険のような比較的、これは比較ですけれども、保険者としての財力の比較的いい部分と、協会けんぽのように大変厳しい部分では、特定健診の実施に係ります費用と効果、果たしていかがかということは当然あるように思いますが、この点について、特定健診は医療費の軽減に役立っておるかどうかです。端的にお伺いいたします。

小林参考人 協会けんぽの設立の趣旨というのは、都道府県単位で保険者機能を発揮するということで、従来、全国一律で運営されていたものが都道府県単位になったということで、先ほど申し上げましたように、都道府県支部単位で評議会を設け、評議会で、事業主、加入者、それから有識者の意見を聞きながら、地域の実情に合った形でいろいろな運営をしていこうということで、一年半たったところで全体として見ると、設立の趣旨、方向性としては非常にいい方向に向かっているのではないかというふうに思います。

 先生今御指摘の特定健診ということにつきましては、協会が、先ほど申しましたように、六割程度が従業員五人未満、それから四分の三が十人未満ということで、私どもの距離感が非常にある、それから各事業所が非常に小さいということで、実際のところ、やはり特定健診だとかそういうものについては、設立以来、非常に苦戦しているというのが実態でございます。

 財源の問題については、こういった補助をもらいながらもやっておりますけれども、何とか地域の実情に合った形で、従来と違った格好で、都道府県、いろいろな皆さんの御意見を聞きながら、これから進めていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

阿部委員 都道府県格差や健康増進をどう進めるか、これからの課題と思います。また、どうかよろしくお取り組みください。

 ありがとうございます。

藤村委員長 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 自由民主党の田村憲久でございます。

 きょうは、参考人の皆様方には、大変多岐にわたる御意見をいただきましたことを心から厚く御礼を申し上げます。

 きょうも議論をお聞きいたしておりまして、改めて、もちろん国保も厳しい、そして健保組合も厳しい、協会けんぽも本当に厳しい状況であるということを認識させていただきました。

 シーリングというのを、前政権といいますか、我々はやってきたわけですね。後ろで笑っている方もおられますけれども、二千二百億円というのをずっと続けてまいりまして、それが医療に対して非常に厳しい財政的な制約をかけてしまった。そんな中で、医療が大変厳しい状況といいますか、大変な状況になった。これは我々は率直に反省をしなきゃならないというふうに思っています。

 そこで、シーリングを外そうということで、実は我々、総選挙のときも、敗れはいたしましたけれども、我々のマニフェストに入れました。もちろん、現政権もそれを入れてきたわけですね。

 そういう意味では、本来はもうちょっと楽に今回のいろいろな改正ができればよかったのになと思っておったんですけれども、しかし、結果的には、シーリングを外しても相変わらず保険者間のお金のやりとり。シーリングじゃありませんから、前回、平成二十年のときに、それこそ、健保組合さん、そして共済の方に泣いていただいた一千億円を超えるお金、こういうものを、また同じような形で今回政府が打ち出してこられたというのは、残念で仕方がないわけであります。

 そういう意味で、白川参考人にお聞きをいたしたいんですけれども、前回、平成二十年のときに、財政が厳しいという中で、たしか七百五十億円でしたか、負担、拠出をお願いいたしたいということを時の政府がお願いをさせていただいた。当時は、苦渋の選択であったというふうに記憶をさせていただいております。もちろん積極的には賛成しないけれども、やむなくこれを了承した、ただし条件をつけてという話であったんだと思うんです。

 今回に関しましては、金額的には、前回から比べると少ない三百三十億円という形になろうと思います。一方で、政府は、今もお話がありましたが、組合の中で五百以上の健保組合が負担が軽くなるんだよ、だからいいじゃないのというような声があるようでありますけれども、しかし、皆様方は、二月十二日の声明で、「改めて反対を表明する。」と結構厳しい御口調で言われておられるわけであります。

 先ほど来のお話の中で、今、全体の改革の会議の中でいろいろな議論をしているのに、急に総報酬制、報酬割を導入すること自体も納得いかないんだというお話がありましたが、平成二十年のときと比べて、なぜ、やむなく平成二十年は理解をし、今回は反対をずっと表明されておられるのか、どこが違うのかというのを改めてお話をいただきたいと思います。

白川参考人 先生おっしゃるとおり、平成二十年のときに、当時の政管健保に対して、私ども健保組合と共済組合で支援ということで御提案がありまして、私ども、最終的には、やむなくお受けするという結論で回答させていただきました。

 今回と何が違うんだという御質問でございますが、前回は制度そのものを変えるという話ではございませんで、一年限りの特例措置として、いわゆる政管健保ですから、政府管掌の団体でございましたので、そこを支援するということに協力をするということで、やむなく、一年間の特例としてお受けしたということでございます。

 今回、私どもがこだわっておりますのは、私、意見陳述の中で申し上げたとおり、本来、協会けんぽに対する国庫助成を本則に戻すべきというのが私どもの意見でございまして、その一部とはいえ、同じ被用者保険とはいえ、私どもから支援を肩がわりするということがおかしいということと、制度そのものを加入者割から総報酬割に一方的に、いわゆる国民的合意が得られないまま出すということは納得がいかない、しかも、私ども、加入者あるいは事業主に対してきちっと御説明をして御理解を得なきゃいけないんですけれども、今回はそういうことがまず相当難しい状況にある、したがって反対、こういうことでございます。

田村(憲)委員 十分な理解が得られない中で決められてきておるというところ、それから制度の根幹であります、言うなれば加入者割から総報酬割に変わるというところに対して十分な説明がない中で進んできておる、一方で、今高齢者医療会議の方でいろいろな議論がなされている、その結論もない中で根幹がいじられるということに対して非常に不安感をお持ちであるというようなお話であったというふうに思います。

 それでは、一方、今おっしゃられた本来の協会けんぽに対する国庫補助率、一三%を今回一六・四%、本則の一番低いところに持ってくるという話になったわけでありまして、そういう意味では協会けんぽの方は若干一息つけるから、まあ一息つける状況でもないんですけれども、これからさらに医療費が上がってまいりますし、収入自体が、景気が悪い中でふえるかどうかわかりません。標準報酬月額、協会けんぽをずっとこの十年間ぐらい見ていますと、下がっているという現状でありますから、これは協会けんぽだけじゃなくて多分健保組合の方も同じような状況であろうと思いますので、ここを何とか直していかないことには、もうちょっと景気を上げて所得がふえていかないことには医療保険制度全体がもたないということ、私どももそういう問題意識はあります。しかし、とりあえずは一息つかれたということなんだろうと思うんです。

 我々も、こちらで健保組合、共済の方々が泣きながら、一方で、国庫補助が後期高齢者の方でなくなった部分、本体の方を一三から一六・四に引き上げる、これはどう見ても筋がおかしいなと。本来は、こちらで肩がわりさせるんじゃなくて、公費で一六・四、いやいや、もっと言うと二〇まで上げられるわけですから、二〇%まで上げれば済む話ではないのかな。もちろん、政府はお金がないという話なんでしょうけれども、一方で、今回、結構使うところにはお金を使っていますので、そういう意味では、国民生活の根幹である医療というものを考えたときに、ここにお金を使うべきだというふうに我々は思うのであります。

 小林参考人にお聞きをいたしますが、肩がわりしていただくよりかは政府が責任を持って二〇%ぐらいまで上げていただいた方がありがたいのになというのが本音ではないんですか。

小林参考人 私ども協会けんぽ、現行の制度でいきますと、先ほど来、非常に保険料収入がリーマン・ショックの影響でどんどん落ちてきた、従来にないような格好で落ちたということで、それまでは平均保険料率は八・二%だったものが、最終的に十一月の試算の段階では九・九%ということで、一・七%引き上げなきゃいけない、こういった状況になるということで、私どもとしても、当然、国庫補助率、これは暫定的に一三%だったものを本則に戻していただきたい、一六・四%ないしは二〇%へ戻していただきたいということで関係各方面にいろいろと要請してまいりました。

 そういった中で、今回については、二十二年度についての国家の財政が非常に厳しい予算編成の中で、ぎりぎりの調整の結果ということを承っておりまして、そういった意味でこれは受けとめなければいけないんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。

 以上でございます。

田村(憲)委員 私の質問にはお答えになりづらいんだと思います。もうこれ以上は、参考人の先生でございますのでお聞きはいたしません。

 今回、非常に皮肉なことに、後期高齢者医療制度、政府は反対でありますけれども、反対と言っていいのか、今民主党中心の政府は反対でありますが、これを導入したがために、比較的、健保組合、健保連の皆様方は悔しい思いをされながら、総報酬制というものをいきなり導入されたということでお怒りもあろうと思うんですが、これが導入しやすかった。それはどういうことかというと、負担の割合が非常に明確になっておりますから、お金をうまく肩がわりしやすかった、そんな効果もあったのかなと思うんです。

 私は、後期高齢者医療制度、長寿医療制度というのはそれほど悪い制度じゃないなというふうに思っているんです。もちろん、プレゼンの仕方が悪かったのと、中身はいろいろな問題点がございました。

 例えば、資格証明書の問題をいきなりどんとやっちゃって、実際、満額払えなくて医療が受けられないというような問題が起こったりでありますとか、今、阿部委員からもお話ございましたけれども、健康増進事業等々が、主体がわからなくなっちゃったために、もともと努力義務ということでございましたから、健康診断を受けられなくなってしまうお年寄りの方々が出てまいったりでありますとか、数数え切れないぐらい問題点が出まして、それを逐一修正していった前の政府でございまして、その後手後手に回ったのがまた、国民の皆さんから、何だこの制度はと信頼を失った、悪循環に回ったのかなというふうに思うんです。

 しかし、やはりこれからの医療というものを考えれば、高齢者がふえていく中で医療費全体は増大していく、この負担をどのようにわかりやすく、だれが見ていくのか。決して七十五歳だけ独立して自分らでやれという制度じゃありませんよね。公費もちゃんと入れます、若人の方々の協力もちゃんといただきます、それがわかりやすく、目に見える形で、どれぐらいの負担が将来必要になってくるかということを予想できるようにしようというのが、今回の後期高齢者医療制度だったというふうに私は思うんです。

 公費負担を五〇%から引き上げなきゃならぬであろうなということも我々はあらかじめ考えておりましたし、多分健保連の皆様方は、前期の方にも公費負担を本来入れてほしいなというお気持ちもあろうと思います。そういう修正点はいろいろとあろうと思うんです。

 お一人お聞きしておりませんでした。済みません、ほかにもお聞きしていない先生方もおられるんですが、倉田参考人に、後期高齢者医療制度はできれば残したいというお気持ちを冒頭おっしゃられましたけれども、どういう点を修正しながらこの制度を本来残した方がいいというふうにお考えであられるでしょうか。

倉田参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 まず、我々市町村長の思いは、政権政党がどの政党であろうとも、その町に住まう住民が安全に安心して住まえるような施策を構築して実行していくのが我々首長に与えられた使命、このように心得ております。

 したがって、将来の医療制度そのものを考えた上で前政権が、いささか強行採決であったかもわかりませんが、新しい制度を構築された。その制度には、おっしゃるように、いろいろ問題がありましたけれども、まさにばんそうこうを張りめぐらせて、でも何がしかの市町村の要望も聞いて定着をしてきた。もし登っている山が違うのなら別ですが、せっかく将来の高齢化に備えた山の頂を目指して進んでいるものを、途中で山をおりて、別の山ではなくて、また同じ山に登り直す、これはいささか以上に手間であり、現場に混乱を来すことは明らかであり、現場に混乱を来すということは改めてまた市民生活に混乱が生じるということが想像できますので、現制度の中で幾つかの点について見直しをしていただく。

 同じ世帯でありながら、同じ夫婦でありながら、片方は後期高齢者の方に行く、片方は国保に残る、そのために負担が増大をする、そんな幾つかの例は御承知のとおりでございますので、私どもは今なお、現行制度についていささか以上の見直しをしていただいた方が国民生活に結果として混乱は起こらない、そのように思っております。

田村(憲)委員 全く我々も同じ思いでございます。

 きょうは本当にいい御意見をたくさんいただきました。御質問できませんでした参考人の皆様方には深くおわびを申し上げながら、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、参考人の皆様方、国会においでいただき、貴重な御意見をいただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。

 初めに、山崎参考人にお伺いをしてまいります。

 昨年、総選挙がございました。そのときに、民主党は後期高齢者医療制度の廃止を掲げたわけでございます。しかし、今は新制度へ移行をする、二〇一三年には新たな制度を構築するということで、高齢者医療制度改革会議というものを立ち上げました。二〇〇八年の六月には廃止法案というものを提出しておりました。

 また、三党の連立政権の合意の中で、「後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。」このような連立合意を出しておりました。

 その中で、この後期高齢者制度は、改善すべき点はあるにせよ、現在こうして落ちついて一定の機能を果たしている、このように思うわけなんですが、廃止という方針に関してはいささか現実味がない、私はこのように考えておりますが、山崎参考人はいかがでしょうか。

山崎参考人 私自身は、現行制度の基盤の上に見直しをする、これは前政権下で始まっていたことでありますし、私も舛添厚生労働大臣のもとの検討会議に出ておりました。そして、与党自民党のヒアリングにもお伺いしたことがありまして、現行制度をもとにしていろいろ調整していくということは必要だと思っていましたが、完全に廃止するというのはいささか性急過ぎるんじゃないかなというふうに思っております。

古屋(範)委員 後期高齢者医療制度を即廃止すべき、こうした意見は余りにも性急である、私自身もそのように考えております。

 先ほど先生の意見陳述の中で、七十五歳という年齢区分は差別ではない、このように言及をされました。であるならば、六十五歳から七十五歳までの間、この前期高齢者の部分も今後さらなる検討が必要である、これは私もそのように考えております。

 こうした六十五歳からの前期、あるいは七十五歳以上、全体の制度設計を含めまして、先ほど先生も御指摘ありましたように、これは十年の歳月をかけてつくり上げたといいますか協議をしてきた制度ではありましたけれども、さらなる改善に向けて、当事者、それから現場でかかわっていらっしゃる地方自治体の皆様、また、政権交代ということが起きまして、そこにはマニフェストに掲げたさまざまな社会保障制度の改革というものがそれぞれの党でございました。

 しかし、年金もそうですが、こうした医療、国民の生命、健康と密接にかかわった制度に関しまして、これが政権交代ごとにくるくると変わっていく、例えば後期高齢者医療制度は即時廃止、このようなことが起きますと非常に国民生活が混乱をする、こういうことも考えられるわけです。

 ですので、当事者、自治体、もちろん関係団体も含めてなんですが、与野党も含め、大きな方向性というものは協議をして、一定の方向を見定める必要があるのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

山崎参考人 おっしゃるとおりでございます。

 私、研究者としてはいろいろ意見を持っておりますが、関係者が、これだけ利害が錯綜している中で、何とか折り合いをつけていただきたいということで、そういう意味で、前回の改正というのは、ぎりぎりのところで手を握っていただいたというのは本当に感謝、奇跡の合意だったというふうに思っております。それをもとに戻せばまた混乱が起こるだけということで、来春までに合意が得られるような状況には全くないと思います。

 ただ、はっきりしていますのは、後期高齢者の保険者を広域連合にしたというのが非常にファジーという先ほどからの御意見もありますけれども、地域の住民ときちんと向き合える主体でなければいけない。それは現実には市町村だろう。市町村もいろいろ問題を抱えていることはあるんですが、私は、それは最終的にもう一度町村合併を進めて、住民と向き合える市町村になっていただきたい、そのために国も努力していただきたいというふうに思っております。

 それから、広域連合をすべて悪いと思っていないんです。財政とともに事務組織の、事務の共同化というのは大いに、市町村を支援する上で、特に零細な町村を支援する上で、人手も能力も乏しいわけでございますから、そういったところで広域連合を引き続き残すというのは十分にあるというふうに思っております。

 以上です。

古屋(範)委員 今回の後期高齢者医療制度、奇跡の合意、それをずっと注視してこられた先生にとって、やはりそういう結論であったんだろう、私自身もそのように思っております。

 広域化に関しましては、事務の共同化など、そういった面で大いに生かしていくことができるということでございました。

 住民と向き合える自治体は市町村なわけなんですが、当然、介護保険も今そこで保険者として行われているわけでありまして、先生は、医療と介護が連続して一体化して実施されることが理想だというお話だったかと思いますが、私たちも今、特に介護問題について、公明党において、昨年、介護総点検というものを行いまして、十万人の調査を行いました。そういう中で、医療と介護の連携ということが非常に大きな課題として上ってまいりました。

 医療、介護の連携強化あるいは統合、この点に関して、もう少し御意見があれば先生から伺いたいと思います。

山崎参考人 実は介護保険がある程度成立しそうだという、構想段階でございますが、法案化されて間違いなく成立しそうだという時期に、私は将来的には、この際、これだけ介護保険で合意を得たのだから、高齢者医療もドッキングするような形で一体化できないだろうかというふうに考えたことがあります。つまり、高齢者医療介護保険制度というものを地域を主体にしてできないだろうかと考えたことがありますけれども、それは私の夢でございますが、現実にはすぐにそこまでいくとは思っておりません。夢として語るだけでございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に、倉田参考人にお伺いをしてまいります。

 先ほど、後期高齢者医療制度の廃止というものは現場に携わる者としては余り現実的ではない、このような御意見であったかと思います。若干の修正をしていくことが現実的だという御意見でございました。さらに、四十七の広域連合を千七百五十に分散すること、旧老人保健制度に戻すことには反対であるという意見表明がございました。

 現在、都道府県の関与というものはどのように機能しているか、今の課題と、それから都道府県に望むことがあればお聞かせいただきたいと思います。

倉田参考人 お答えをいたします。

 後期高齢者医療制度については、今、私は大阪府の連合長を仰せつかっております。一定の機能はしているものの、住民から遠いところに保険者がいる、これは事実でありますが、ただ、徴収等、市町村の窓口が我が市民、我が住民のためにそれぞれが頑張っているという事実は、そう異なってはいないのではないかと思っております。

 加えて、都道府県の関与、市長会としては、この制度の発足に当たって、都道府県に逃げられたと思っています。やはり、これは都道府県も一定の責任を持って関与していただかなければならないと思っていたからであります。ただ、財政基盤安定という形で、いわゆる財政面でいささかの援助をしていただいている、これは事実でございます。

 それから、広域化についていろいろな御意見があります。本来は市町村が基本的に住民と向かい合う一番の基礎自治体であるからでありますが、財政的にはそうは言い切れません。先ほど言いましたように、お隣同士で保険料が違ってくる、同じ保険証を持っていって、医療は同じ医療を受けられるのに保険料が違う、それはやはり都道府県単位あるいは国が一元的にしていただく方がいいのではないかというのが全国市長会の主張でございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に、白川参考人にお伺いをしてまいります。

 ことしの二月の十二日に声明を発表されています。先ほどの意見陳述にもございましたけれども、高齢者医療制度改革会議の議論を待たずに制度の根幹を一方的に変更すること、また、協会けんぽの後期高齢者支援金に対する国庫補助を減額して健保組合等に肩がわりをさせること、さらには、その財源を本来国の責任で確保すべき協会けんぽの給付費等に対する国庫補助に充てて、予算のつじつま合わせをすることに理がない、このように表明をされております。

 今回こうした法案が出てまいりました。先ほども、相互に支援をし合うこと、この辺についてやぶさかではない、このようにもおっしゃっておりますけれども、ここには、大きな方向性というものが見えた上での肩がわりといいますか、そういうものが求められてしかるべき、このように思っておりますが、いかがでしょうか。

白川参考人 御指摘の点でございますが、再三申し上げておりますとおり、私ども健保組合あるいは健保連は、高齢者の方々の医療問題というのは医療保険制度の最重要の問題だというふうに認識をしておりまして、それは、国民全体でどのような仕組みで支えていくかということを、今現在も議論中でございますが、国民全体で議論をして決めていかなきゃいけないというふうに考えております。

 そのほんの一部とはいえ、政府の方で御提案がありました今回の法案につきましては、そういう議論を経ずに法案として提出されたということで、私ども疑問を呈しているわけでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、私どもが一番困るのは、私ども保険者として、加入者の方とか事業主の方に合理的な説明をする責任を負っているわけでございますが、今回の法案については合理的な説明ができかねるという状態で困っておるということもあわせて付言させていただきたいと思います。

 以上でございます。

古屋(範)委員 保険者それから被保険者に対する合理的な説明がつかない、納得させることができないという御意見でございました。私自身もそのように考えております。ありがとうございました。

 次の質問を考えておりましたが、時間が参りましたようですので、以上で質問を終わらせていただきます。貴重な御意見、大変ありがとうございました。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、六人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 被用者保険も国保も財政的に非常に厳しいことが表明される中で、負担のあり方についてさまざまな意見があったかと思います。また、後期高齢者医療制度については、現行の枠組みをよしとする意見もかなり多かったかのように思われますけれども、ただ、それでも、来春までに後期高齢者にかわる新しい制度の案を合意する、まとめるのは難しいということでは皆さん同じではなかったのかな、そんなふうに思っております。

 きょうは、ふだんより時間が短いですので、すべての皆さんに質問できないことを最初におわび申し上げたいと思います。

 最初に、芝田参考人に伺いたいと思います。

 先生は「国保はどこへ向かうのか」という本を三月に発表されまして、まさにタイムリーな出版であったかと思います。

 陳述の最後にあったんですけれども、そもそも国保とは何かということがやはり大事だと思うんですね。例に挙げられましたさいたま市の例もあるんですけれども、そもそも相互扶助という言葉が、ここ最近、政府ですとかさまざまに使われてきたわけですね。資格証を出して保険証の取り上げをするということも、まさに相互扶助だから仕方ないのだ、そういうことで使われてきたのではなかったかと思うんです。

 やはり、国保は保険ではあるけれども、同時に、憲法二十五条に基づく社会保障制度でもあったはずではなかったか、こうしたことを先生も指摘していらっしゃるのかなと思うんですが、ぜひ御見解を伺いたいと思います。

芝田参考人 議員の質問にお答えしたいと思います。

 そもそも国民健康保険は社会保障だということで私の意見陳述の最後の資料のところに書いてございますけれども、翻って、社会保障における社会保険とは何なのかというのを少し考えてみなければいけないと思います。

 社会保険というのは、まず国民等が保険料を支払ってお金をプールし、そして、社会保険におけるさまざまな問題が起こった場合、給付をするという制度なんですけれども、ただ、その説明だけですと私的な保険と何も変わりません。

 社会保険というのは何なのかといいますと、社会的扶養部分である国の公的な、財政的な負担と、あるいは事業主負担、そういうものを社会的扶助部分というふうに呼んでおりますけれども、ここがあるがゆえに社会保障の中の社会保険だということが言えるんですね。そうなれば、単に相互扶助で、私的な保険のように、保険料を払ったからいわゆる給付が見返りとしてあるんだということではないというふうに考えられます。

 つまり、私保険の場合は、私的な商取引になりますので、保険料という商取引にかかわる代金を払わなければ当然給付はないのは当たり前の話ですけれども、社会保障における社会保険というのは、払えない場合であれば払わなくてもいいというのが一般的な概念だと思います。これは生存権というものを具現化しているんですから、お金があるないにかかわらず、医療を受けたりあるいは社会福祉制度を受けるというのは当然の国民の権利であるというふうに考えられております。

 そういう意味では、一九五八年以来、国民健康保険においては、その目的の中で社会保障制度として位置づけているにもかかわらず、各市町村のパンフレットがいまだに相互扶助あるいは助け合い制度だということをうたって、国民に対して、保険料を払わない、払えない人たちを差別する制度を維持しているというのは大変問題だというふうに思っております。

高橋(千)委員 貴重な御提言、本当にありがとうございました。

 もう一点伺いたいんですけれども、広域化が医療費抑制のためのものであるという指摘がございました。私も実は先週の委員会の質問で、保険料の平準化やあるいは給付の適正化と称して、都道府県が調整交付金の減額、これらを活用して市町村を競わせることになるのではないかということを指摘したわけであります。その点で、もう少し補足の意見をいただければと思います。

芝田参考人 ただいまの質問、御意見なんですけれども、広域化に関しては、何人かの参考人の方がおっしゃっているように、私は非常に大きな問題があると思います。

 議員のおっしゃるとおり、保険料が高い方で平準化される可能性というのは非常に高いと思います。これは、介護保険なんかでもそういうことが言えると思いますし、まさに各市町村に対して競わせてということも当然起こってくるだろうというふうに思います。

 それと、先ほど来出ておりましたが、例えば事務に関しては広域化してもいいのではないのか。これは、昨年度、埼玉県から、広域行政にした場合の医療保険等の報告書というのが出ておりますが、広域化することによって事務経費は効率化されていないということがその報告書の中でも出ております。

 ですから、規模が拡大することによって事務経費が効率化するというのは幻想ではないのかというふうに私は思っております。その点を勘案しても、広域化することには何らメリットはないというふうに考えます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 次に、相野谷参考人に伺いたいと思います。

 医療や介護や社会保障のさまざまな分野で、各地でさまざまな運動が取り組まれている、また実態などを本当によくつかんでいらっしゃると思います。きょうは、保険証がないために死亡に至った事例のお話などもいただきました。

 同時に、自治体では既に、例えば滞納整理機構などを使ってサラ金まがいの厳しい取り立てがされているということが聞こえています。ぜひそこら辺の実態と、先ほどの芝田参考人に対する質問にも重なるわけですけれども、本来どうあるべきだったのかということで御意見をいただきたいと思います。

相野谷参考人 相野谷です。議員にお答えをしたいと思います。

 特に国民健康保険の収納率の低下が続いておりまして、それに対する収納率アップと称する取り立てがかなり深刻になっています。例えば、これは二月二十二日の朝日新聞ですが、千葉県の鴨川市で七十七歳の男性が孤独死をする。その男性は税金の滞納を理由に振り込まれた年金の銀行口座を差し押さえられる、その結果、電気もとまった寒い部屋で孤独死をしていたというもので、ここでは細かくいろいろ申し上げる時間もないんですけれども、生活そのものまでも差し押さえてしまうような行き過ぎの差し押さえというのがかなり横行しているように思っておりまして、その点では、やはり何のための保険料なのか、何のための税金なのかという視点での改善をぜひ求めたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 今のお話、時間の関係で余り詳しくお話しできなくて非常に残念だったと思うんですが、例えば私がこういう問題を質問しますと、それは地方で決めていることですとお話をするわけですね。取り立てですとかあるいは保険証を取り上げているのも、地方が決めていることなんだと。でも、一方では、収納率アップを国が求めているということとの関係で起こっている問題ではないか。つまり、国に一切責任がないということでは実はないんだと思うんですね。

 その点で、一言お考えを伺いたいと思います。

相野谷参考人 国が収納率アップということでかなり強烈に指導もしておりまして、現場では、本当は国保で医療を受けさせるということよりも取り立ての方に力点がいく。その点では、ぜひ国の指導としても、国民の命を守るための保険制度という視点での指導に変えていただきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 もう少し相野谷参考人に伺いたいと思うんです。

 次に、後期高齢者医療制度について、他の参考人からは、現行の枠組みをベースとすべしである、いいところもあるという意見もあったと思うんです。

 ただ、やはり枠組みを残すと、高齢者がふえれば、それが保険料の値上げにもなり、かつ、被用者保険においては支援金をふやすということにもなって、ますます対立を生み出すことになるのではないか。また、これ自体が制度の欠陥ではないのかなということを私自身は思っているんですけれども、アピールなどもつけていただいておりますので、少し補足の御意見を伺いたいと思います。

相野谷参考人 先生のおっしゃるとおりで、日々、七十五歳の誕生日を迎えられる方がおよそ四千人いらっしゃいます。これが三年延長になるということになりますと、約三百万人ちょっとが、七十五歳以上ということで、新たに後期高齢者医療制度に加わる。そうすると、それに対する支援金も当然ふえてくるという仕組みでもありますので、これは、日を延ばせば延ばすほど、この後期高齢者医療制度が持っている問題を拡大するものというふうに私は考えています。

 そうした意味でも、これは一日も早く廃止していただく以外にないというふうに思いますし、一たん老人保健制度に戻した上で、本当に納得できる、高齢者自身も参加した討議の中で、新しい制度の枠組みについての検討を進めていただくのが一番肝要かというふうに思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 あと一点だけ、協会けんぽの課題について、資料は出ておりますけれども、時間の関係で言及がなかったので、一言伺いたいと思います。

相野谷参考人 どうもありがとうございます。

 先ほど芝田参考人がお話しになりましたが、やはり社会保障としての医療保険制度、社会的扶養原理が大切だというふうに思っています。そうした意味では、今回の案では一六・三%までですけれども、やはりこれは本則の二〇%まで国庫負担は引き上げて、できる限り加入者の保険料引き上げを抑える、そういう道筋をとるべきであろうというふうに私は思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 あと一分ぐらいかもしれませんけれども、最後に、白川参考人に一言伺いたいと思います。

 肩がわりではないかという指摘は、私も全くそのとおりに思っております。この後、被用者保険と国保との一元化とか、そういう問題が出てくるわけですけれども、それについても反対の意見を表明されていらっしゃると思うんですね。保険者機能を発揮してやってきているんだけれども、支援金の比率が非常に高まってきている、それでは非常にインセンティブが落ちるだろう、そういうことがあると思うんですね。その点での思いを一言伺いたいと思います。

白川参考人 保険者機能につきましては、いろいろな参考人の方々も言及されましたけれども、健保組合の存在意義の一つは保険者機能にあるというふうに私どもも考えております。ただ、残念ながら、財政が厳しくなってまいりまして、保険給付費や支援金、納付金は優先的に納める項目でございます。したがいまして、例えば、保健事業費のような保険者機能を発揮する項目がかなり財政的に圧迫されてきていることは事実でございます。

 ただ、これは私どもだけではなくて、協会けんぽさんあるいは国保組合さんでも同じような状況だとは思いますが、ここは保険者としては手を抜いてはいけない部分だというふうにも同時に考えておりまして、予算は圧迫されておりますけれども、いろいろな工夫をしながら、保険者の健康度を上げていく、あるいは医療費を効率的に使っていく、こういったことについては今後も努力をしていかなければいけないというふうに覚悟しております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 努力をしていくというお話がございましたが、圧迫されることによって今後何が起こってくるのかというのはまた大きな課題であろうと思いますけれども、その話ができないままに時間が来てしまいましたので、次の審議でお話をしたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、六人の参考人の皆さん、本当に長時間お疲れさまでございます。私がラストでございますので、あと十五分間おつき合いをいただければというふうに思います。

 まず、健保組合の財政のことについて白川参考人にお伺いをしたいんですけれども、つい先日、二〇一〇年度の赤字額の早期集計が健保連の皆さんから発表されて、これは過去最大の六千六百五億円の赤字になるということが公表されました。この法案が通ると、さらにプラスして三百三十億円の赤字がこれに上乗せをされるということで、これは健保組合、肩がわりをさせられる方ですけれども、肩がわりをさせられる方の健保組合も大変厳しい状況になっているわけです。健保組合の約九割が赤字になっているわけでして、そうした中で、これは協会けんぽの財政の問題だけではなく、本当に公的医療保険の財政スキーム全体が、ある意味では持続可能性を失いつつあるというふうに私は思っております。

 二〇〇八年の日本総研の西沢研究員のペーパーを見ますと、これから、まさに後期高齢者医療制度への財政支援で、二〇〇八年度の予算ベースで、それが組合健保加入者への医療給付費対比で八割に達している。二〇一五年には、この高齢者医療制度への支援金と組合員に対する医療費の給付が大体同じぐらいになって、それ以降はもう支援金の方が上回ってしまうという状況になってしまうわけですね。

 この支援金の比率が今四〇%台ですけれども、五〇%に到達をして組合員に医療給付を行う医療費の額を上回ってしまうこの二〇一五年という年次が、医療保険制度が社会保険としての機能をある意味では失ってしまうというか、著しく弱まってしまう、ある種の臨界点だというふうに私は思っております。

 そういう意味で、皆さんの財政状況も大変逼迫した状態にあると思いますけれども、その点についての御認識を改めてお伺いできればというふうに思います。

白川参考人 健保組合の財政の厳しさを先生よく御理解していただきまして、まことにありがとうございます。

 先ほど意見陳述の中で申し上げましたとおり、今、高齢者医療制度に対する支援金、納付金が二十年度の法改正で約四千億ふえまして、それが健保組合の収支の悪化の最大の要因ということでございます。ただ、何度も申し上げているとおり、そうはいいましても、高齢者に対する医療が国民医療費の約半分という実態を考えれば、現役世代、若い人たちがやはり支えていかなきゃいけないというのは間違いない。したがって、私どもは、負担がふえたことを、多少は文句は言わせていただきましたが、拒否しているわけではございません。

 ただ、このままいきますと、先生御指摘のとおり、保険料収入のうちの四三%ぐらいでございますが、そのうち半分は高齢者の方に拠出をするという事態になれば、それは現役世代、若人の方が耐えられない状況になるということは私どもも同じ認識でございます。

 したがいまして、高齢者医療制度に対して投入しております公費、国費をどの程度にしていくか、どういう負担にしていくかということについては、私どもは、ぜひとも国費の拡大がないと高齢者の医療は支え切れない、こういう主張で、先ほども意見を申し上げたとおりでございます。

 以上でございます。

柿澤委員 ありがとうございます。

 次に、小林参考人にお伺いをいたしたいと思います。

 協会けんぽ、旧政管健保でありますが、今回、六千億の収支の赤字で、四千五百億、三年かけて返済というか償還をしていくという計画になっているわけですけれども、単年度で収支を合わせていくスキームから三年支払い繰り延べみたいな形になるわけで、これは政府が行ってきたいろいろな制度において、いつか来た道という感じも私はするんです。地方交付税の特別会計なんかを見ても、償還すべきスケジュールをどんどん繰り延べして、結果として雪だるま式に債務が膨らんで、今や、あれを全部チャラにするというのはほとんどフィクションの世界になってしまっている。私、これは総務委員会で取り上げさせていただいていますけれども。

 そういう、ある意味では非常に逼迫した状況であることは、社会構造がそうなわけですから、今後も場合によっては続いていくということになるわけですので、この三年の繰り延べ償還というのが、ある意味ではその道の第一歩を踏み出してしまうんじゃないかというふうな懸念を大変私はしております。その点について何か感じるところがあれば、ぜひ小林参考人から御意見をお伺いしたいと思います。

小林参考人 今御指摘いただきました二十一年度の準備金のマイナス四千五百億、累積四千五百億ということにつきましては、今回の三年間の特例措置で、千五百億ずつ償還、返済する特例措置ということで法案が提出されているわけであります。

 私ども、先ほど意見陳述の中で御説明申し上げましたように、二十二年度については千五百億の単年度収支プラスということで、これを年度末には三千億にする。それから二十三年度、二十四年度についても千五百億ずつ償還するということで、これは、医療費の適正化とか業務の効率化とか、そういったものでぜひ二十四年度末には借入金を償還する、全部これは返済するという方向でこれから運営していきたい、そういう方針で考えているということでございます。

 以上です。

柿澤委員 詰め寄るようで恐縮ですけれども、千五百億の単年度の黒字を出して、千五百、千五百、千五百で、三年間で四千五百をゼロにしていくというこの計画に自信を持って取り組んで、このとおりやっていくんだということで間違いないですね。

小林参考人 今の特例措置の中で、今後の三年間の収支の見通しについては、これは、まだ保険料率は引き上げていかなきゃいけない、引き上げざるを得ないというふうな状況にあります。そういった中で、今申し上げましたように、いろいろな業務改革だとかいろいろな医療費の適正化、あるいは私どもが取り組んでいるのはジェネリック医薬品の使用促進、こういったもので極力適正化ということに取り組んでまいりまして、二十四年度末についてはこれを解消したいという方針で取り組んでいきたいというふうに思っています。

柿澤委員 解消したいという方針で取り組んでいきたいということでは困ると私は思うんです。まさに来年度以降、計画ではこうでしたけれども結果としてこうなりましたと。結局またびほう策というか穴埋め策を講じざるを得ない。こういうことが積もりに積もっていったのがさまざまな社会制度の歴史だったというふうに私は思っております。そういう意味で、ぜひお取り組みの姿勢、確実に実行するんだという気概でやっていただきたいというふうに思います。

 その意味で、協会けんぽ、全国健康保険協会の業務の効率化というお話がありました。先日の厚生労働委員会でも、私はこの点について質疑で取り上げましたけれども、先ほど小林参考人のお出しになられたペーパーでも、また陳述の方でも、業務効率化をやっていますよというお話がありました。その御努力については敬意を表したいというふうに思います。

 平成二十二年度の健康保険勘定予算の資料をちょっと拝見したんですけれども、これは、業務経費、一般管理費の中で、業務改革・サービス向上経費というのがありまして、これが二十二年度予算は三億六千百万円になっていて、前年度というか二十一年度に比べると二億四千四百万円のプラスになっているわけです。

 業務の効率化をやるというときに、業務改革・サービス向上経費の上積みを行っているということですけれども、予算増になっているわけですから、一体これはどういうことなのかなというふうに感じる部分があります。

 また、人件費についても三億五千万円プラスになっている。ここには人事評価に基づく昇給、地域手当の見直しというようなことが書いてあるわけです。

 こうしたことと今おっしゃられた業務効率化の努力ということと矛盾しないのかどうか、お伺いをしたいと思います。

小林参考人 業務経費につきまして、これは業務改革・サービス向上経費ということでプラスを計上しておりますけれども、例えば、現在、非常に電話がつながりづらいということで、加入者の皆さんからいろいろな御意見をいただいております。そういった中で、例えばコールセンター、こういったものを展望しておりまして、それを外部委託するということで、先行的に経費をかけて、将来的にはこれは効率化に努めていきたいということで、現在、将来的な改善、業務の効率化、こういったことに一部費用を計上しているということでございます。

 それから、人件費については、これは退職手当が一部定年で増ということとか、法定福利費、これは協会けんぽが保険料率が上がるということで、私ども協会けんぽの加入員でございますので、例えば今の人件費、全額三億四千九百万の中の一億五千四百万は法定福利費の増額ということになっております。そういったことが主因になっているということでございます。

 以上でございます。

柿澤委員 ここ数年、社会保険庁時代から、額だけ単純に比べると、この業務経費、一般管理費は、むしろ、協会けんぽになって実は伸びていっているんですね。これはいろいろな要因があるのは存じております。しかし、こうした数字を見ると、いささかの疑問を感じる市民もいるのではないかというふうに思います。皆さんが、そういう意味で、財政的な肩がわりを受ける側だということを考えると余計そうだというふうに考えますので、これからの御努力を切に求めたいというふうに思います。

 後発医薬品のお話、ジェネリックのお話もされました。ジェネリックが今協会けんぽの加入者でどのぐらい使われているか、こういう数字もあるんですけれども、金額ベースで六・六%だというんですね。日本全体が、ジェネリック工業会とかああいう団体から聞くと、金額ベースでいうと六・二%だ。正直言って、ジェネリックの使用促進に協会けんぽが並外れた努力をして成果を出しているというふうには見えない数字です。

 世界的に見れば、欧米諸国はもっともっと高い数字になっている。これは厚生労働省の施策の問題でもあるとは思いますけれども、正直、そうやって、効率化の努力をしている、経費削減の努力をしていると言えるほどでもないのではないかというふうに感じますが、この点、どうなのか。これからの取り組み姿勢とあわせてお伺いをしたいと思います。

小林参考人 ジェネリック医薬品の使用促進につきましては、昨年度、七月ですか、私どもは広島支部でパイロット事業を行いまして、広島支部の加入者のうちの、先発医薬品を使っていて、ジェネリックを使うことによって効果があるという、加入者の皆さん、約四万人の方について、ジェネリックを使ったら幾ら削減するかという通知を全員にお出ししました。それで、八月のレセプトからどのぐらい使われたという結果を見まして、これは約二割の方がジェネリックをその中で使用されているという結果になっております。

 それを踏まえて、私どもは今年度から、四十七全支部に個々に同じような通知をしまして、これは全支部で取り組むということで、ジェネリック医薬品については特に力を入れて進めているということでございます。

 以上でございます。

柿澤委員 財政的に大変厳しい状況にある、だからこそこういう法案が出てきたということで、加入者にも負担をお願いするということになるわけです。しかも、申しわけないですけれども、協会けんぽというのは、いわゆる社保庁がいろいろな問題があって解体をされて、そして非公務員型の組織として、まさに効率化を目指して立ち上がった組織だというふうに思います。

 そういう中で、先ほど来、白川参考人が何か随分うなずかれて聞いているんですけれども、本当に徹底的な努力をしているという形を見せていただかないと、これはなかなか得られる納得も得られないということになるのではないかというふうに思っております。

 そのことを最後に申し上げさせていただいて、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 御協力、まことにありがとうございました。

藤村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、明十四日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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